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1990/05/09 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第17号
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1990/05/09 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 予算委員会 第17号

#1
第118回国会 予算委員会 第17号
平成二年五月九日(水曜日)
    午後三時開議
 出席委員
   委員長 越智 伊平君
   理事 近藤 鉄雄君 理事 佐藤 信二君
   理事 野田  毅君 理事 原田昇左右君
   理事 宮下 創平君 理事 加藤 万吉君
   理事 佐藤 敬治君 理事 村山 富市君
   理事 神崎 武法君
      粟屋 敏信君    井奥 貞雄君
      井出 正一君    伊吹 文明君
      池田 行彦君    石井  一君
      稲村 利幸君    内海 英男君
     小此木彦三郎君    越智 通雄君
      金子 一義君    亀井 善之君
      工藤  巖君    倉成  正君
      後藤田正晴君    左藤  恵君
      自見庄三郎君    鈴木 宗男君
      田澤 吉郎君    戸井田三郎君
      野中 広務君    葉梨 信行君
      長谷川 峻君    浜田 幸一君
      林  義郎君    原田  憲君
      松本 十郎君    村岡 兼造君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      井上 普方君    川崎 寛治君
      串原 義直君    嶋崎  譲君
      新村 勝雄君    新盛 辰雄君
      戸田 菊雄君    藤田 高敏君
      堀込 征雄君    松浦 利尚君
      和田 静夫君    渡辺 嘉藏君
      石田 祝稔君    倉田 栄喜君
      日笠 勝之君    冬柴 鐵三君
      山田 英介君    三浦  久君
      吉井 英勝君    中野 寛成君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 長谷川 信君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 保利 耕輔君
        厚 生 大 臣 津島 雄二君
        農林水産大臣  山本 富雄君
        通商産業大臣  武藤 嘉文君
        運 輸 大 臣 大野  明君
        郵 政 大 臣 深谷 隆司君
        労 働 大 臣 塚原 俊平君
        建 設 大 臣 綿貫 民輔君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     奥田 敬和君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 坂本三十次君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 塩崎  潤君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      砂田 重民君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 石川 要三君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      相沢 英之君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      大島 友治君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 北川 石松君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 佐藤 守良君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 大島 理森君
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       依田 智治君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  杉浦  力君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  増島 俊之君
        総務庁長官官房
        審議官     新野  博君
        防衛庁参事官  内田 勝久君
        防衛庁長官官房
        長       児玉 良雄君
        防衛庁防衛局長 日吉  章君
        防衛庁教育訓練
        局長      米山 市郎君
        防衛庁人事局長 畠山  蕃君
        防衛庁経理局長 藤井 一夫君
        防衛施設庁総務
        部長      吉住 愼吾君
        防衛施設庁労務
        部長      竹下  昭君
        経済企画庁国民
        生活局長    末木凰太郎君
        経済企画庁総合
        計画局長    冨金原俊二君
        科学技術庁原子
        力局長     緒方謙二郎君
        環境庁企画調整
        局長      安原  正君
        国土庁長官官房
        長       北村廣太郎君
        国土庁長官官房
        会計課長    森   悠君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        法務省入国管理
        局長      股野 景親君
        外務大臣官房審
        議官      太田  博君
        外務大臣官房領
        事移住部長   久米 邦貞君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省欧亜局長 都甲 岳洋君
        外務省経済局長 林  貞行君
        外務省経済協力
        局長      木幡 昭七君
        外務省条約局長 福田  博君
        外務省情報調査
        局長      佐藤 行雄君
        大蔵省主計局長 小粥 正巳君
        大蔵省主税局長 尾崎  譲君
        大蔵省国際金融
        局次長     江沢 雄一君
        厚生大臣官房総
        務審議官    加藤 栄一君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局長      長谷川慧重君
        厚生省年金局長 水田  努君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房予算課長   山本  徹君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        通商産業省通商
        政策局次長   堤  富男君
        通商産業省貿易
        局長      内藤 正久君
        通商産業省基礎
        産業局長    高橋 達直君
        運輸大臣官房長 松尾 道彦君
        運輸大臣官房会
        計課長     岩田 貞男君
        運輸省海上技術
        安全局長    石井 和也君
        海上保安庁次長 野尻  豊君
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        労働省労働基準
        局長      野崎 和昭君
        労働省職業安定
        局長      清水 傳雄君
        労働省職業能力
        開発局長    甘粕 啓介君
        建設大臣官房総
        務審議官    福本 英三君
        建設大臣官房会
        計課長     小野 邦久君
        建設省住宅局長 伊藤 茂史君
        自治大臣官房長 小林  実君
        自治省行政局選
        挙部長     浅野大三郎君
        自治省財政局長 持永 堯民君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
委員の異動
四月二十六日
 辞任         補欠選任
  稲村 利幸君     星野 行男君
 小此木彦三郎君     井奥 貞雄君
  倉成  正君     狩野  勝君
  田澤 吉郎君     岩屋  毅君
  井上 普方君     川島  實君
  加藤 万吉君     大畠 章宏君
  川崎 寛治君     速見  魁君
  串原 義直君     上野 建一君
  佐藤 敬治君     須永  徹君
  嶋崎  譲君     吉岡 賢治君
  新村 勝雄君     沢田  広君
  新盛 辰雄君     小森 龍邦君
  戸田 菊雄君     小川  信君
  藤田 高敏君     元信  堯君
  松浦 刺尚君     上原 康助君
  武藤 山治君     仙谷 由人君
  村山 富市君     渡部 行雄君
  和田 静夫君     常松 裕志君
  神崎 武法君     東  順治君
  日笠 勝之君     竹内 勝彦君
  冬柴 鐵三君     近江巳記夫君
  山田 英介君     渡部 一郎君
  吉井 英勝君     小沢 和秋君
  大内 啓伍君     菅原喜重郎君
  楢崎弥之助君     江田 五月君
  井奥 貞雄君     住  博司君
  星野 行男君     萩山 教嚴君
  常松 裕志君     辻  一彦君
  吉岡 賢治君     鉢呂 吉雄君
  竹内 勝彦君     東  祥三君
  東  順治君     藤原 房雄君
  川島  實君     沖田 正人君
  須永  徹君     松前  仰君
  三浦  久君     藤田 スミ君
  鉢呂 吉雄君     貴志 八郎君
  速見  魁君     関  晴正君
  元信  堯君     山花 貞夫君
  近江巳記夫君     貝沼 次郎君
  藤原 房雄君     東  順治君
  渡部 一郎君     山口那津男君
  沖田 正人君     佐藤 恒晴君
  貴志 八郎君     山元  勉君
  沢田  広君     小松 定男君
  松前  仰君     和田 貞夫君
  山花 貞夫君     鈴木喜久子君
  藤田 スミ君     三浦  久君
  貝沼 次郎君     薮仲 義彦君
  東  順治君     草川 昭三君
  三浦  久君     児玉 健次君
  住  博司君     山本 有二君
  関  晴正君     速見  魁君
  草川 昭三君     平田 米男君
  東  祥三君     森本 晃司君
  山口那津男君     吉井 光照君
  小川  信君     小川 国彦君
  大畠 章宏君     堀込 征雄君
  佐藤 恒晴君     松原 脩雄君
  鈴木喜久子君     外口 玉子君
  仙谷 由人君     野坂 浩賢君
  辻  一彦君     秋葉 忠利君
  速見  魁君     山中 末治君
  山元  勉君     清水  勇君
  渡部 行雄君     佐々木秀典君
  森本 晃司君     玉城 栄一君
  吉井 光照君     河上 覃雄君
  小沢 和秋君     吉井 英勝君
  児玉 健次君     古堅 実吉君
  河上 覃雄君     遠藤 和良君
  平田 米男君     石田 祝稔君
  菅原喜重郎君     川端 達夫君
  小川 国彦君     馬場  昇君
  松原 脩雄君     小林  守君
  山中 末治君     細川 律夫君
  石田 祝稔君     平田 米男君
  遠藤 和良君     伏屋 修治君
  薮仲 義彦君     近江巳記夫君
  上野 建一君     細谷 治通君
  古堅 実吉君     佐藤 祐弘君
  吉井 英勝君     菅野 悦子君
  秋葉 忠利君     辻  一彦君
  馬場  昇君     伊藤 忠治君
  細川 律夫君     前島 秀行君
  細谷 治通君     小岩井 清君
  玉城 栄一君     竹内 勝彦君
  平田 米男君     草野  威君
  江田 五月君     阿部 昭吾君
  佐藤 祐弘君     古堅 実吉君
  菅野 悦子君     金子 満広君
  川端 達夫君     高木 義明君
  伊藤 忠治君     大木 正吾君
  清水  勇君     後藤  茂君
  前島 秀行君     網岡  雄君
  近江巳記夫君     倉田 栄喜君
  竹内 勝彦君     斉藤  節君
  伏屋 修治君     河上 覃雄君
  金子 満広君     菅野 悦子君
  網岡  雄君     長谷百合子君
  草野  威君     大野由利子君
  倉田 栄喜君     坂井 弘一君
  斉藤  節君     東  祥三君
  大木 正吾君     斉藤 一雄君
  小林  守君     川島  實君
  小松 定男君     沢田  広君
  佐々木秀典君     渡部 行雄君
  河上 覃雄君     吉井 光照君
  坂井 弘一君     薮仲 義彦君
  菅野 悦子君     吉井 英勝君
  古堅 実吉君     東中 光雄君
  後藤  茂君     谷村 啓介君
  東  祥三君     斉藤  節君
  川島  實君     井上 普方君
  小岩井 清君     串原 義直君
  斉藤  節君     森本 晃司君
  薮仲 義彦君     貝沼 次郎君
  谷村 啓介君     山元  勉君
  岩屋  毅君     田澤 吉郎君
  狩野  勝君     倉成  正君
  萩山 教嚴君     稲村 利幸君
 山本 有二君     小此木彦三郎君
  上原 康助君     松浦 利尚君
  小森 龍邦君     新盛 辰雄君
  斉藤 一雄君     戸田 菊雄君
  沢田  広君     新村 勝雄君
  辻  一彦君     和田 静夫君
  外口 玉子君     藤田 高敏君
  野坂 浩賢君     武藤 山治君
  長谷百合子君     川崎 寛治君
  堀込 征雄君     加藤 万吉君
  山元  勉君     嶋崎  譲君
  和田 貞夫君     佐藤 敬治君
  渡部 行雄君     村山 富市君
  大野由利子君     神崎 武法君
  貝沼 次郎君     冬柴 鐵三君
  森本 晃司君     日笠 勝之君
  吉井 光照君     山田 英介君
  東中 光雄君     三浦  久君
  高木 義明君     大内 啓伍君
  阿部 昭吾君     楢崎弥之助君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  倉成  正君     石破  茂君
  加藤 万吉君     佐々木秀典君
  川崎 寛治君     沢田  広君
  串原 義直君     渡辺 嘉藏君
  嶋崎  譲君     有川 清次君
  新盛 辰雄君     小岩井 清君
  戸田 菊雄君     谷村 啓介君
  藤田 高敏君     野坂 浩賢君
  村山 富市君     志賀 一夫君
  神崎 武法君     中村  巖君
  日笠 勝之君     草川 昭三君
  山田 英介君     倉田 栄喜君
  三浦  久君     藤田 スミ君
  吉井 英勝君     辻  第一君
  大内 啓伍君     菅原喜重郎君
  楢崎弥之助君     阿部 昭吾君
  佐藤 敬治君     辻  一彦君
  井上 普方岩     元信  堯君
  志賀 一夫君     筒井 信隆君
  谷村 啓介君     五島 正規君
  和田 静夫君     鈴木  久君
  渡辺 喜藏君     常松 裕志君
  草川 昭三君     吉井 光照君
  倉田 栄喜君     渡部 一郎君
  中村  巖君     遠藤 乙彦君
  藤田 スミ君     寺前  巖君
  菅原喜重郎君     柳田  稔君
  冬柴 鐵三君     石田 祝稔君
  渡部 一郎君     長田 武士君
  柳田  稔君     菅原喜重郎君
  寺前  巖君     木島日出夫君
  菅原喜重郎君     神田  厚君
  神田  厚君     中野 寛成君
  小岩井 清君     網岡  雄君
  五島 正規君     渡部 行雄君
  辻  一彦君     土肥 隆一君
  筒井 信隆君     小川 国彦君
  野坂 浩賢君     関  晴正君
  元信  堯君     吉岡 賢治君
  石田 祝稔君     平田 米男君
  遠藤 乙彦君     遠藤 和良君
  吉井 光照君     近江巳記夫君
  木島日出夫君     寺前  巖君
  辻  第一君     吉井 英勝君
  網岡  雄君     赤松 広隆君
  鈴木  久君     細谷 治通君
  吉岡 賢治君     山花 貞夫君
  近江巳記夫君     草川 昭三君
  長田 武士君     山田 英介君
  阿部 昭吾君     江田 五月君
  赤松 広隆君     加藤 繁秋君
  土肥 隆一君     中村 正男君
  山花 貞夫君     北川 昌典君
  草川 昭三君     草野  威君
  平田 米男君     貝沼 次郎君
  寺前  巖君     山原健二郎君
  中野 寛成君     川端 達夫君
  北川 昌典君     沢藤礼次郎君
  常松 裕志君     山元  勉君
  遠藤 和良君     春田 重昭君
  貝沼 次郎君     北側 一雄君
  山原健二郎君     木島日出夫君
  川端 達夫君     伊藤 英成君
  北側 一雄君     山口那津男君
  草野  威君     東  祥三君
  石破  茂君     倉成  正君
  有川 清次君     嶋崎  譲君
  小川 国彦君     村山 富市君
  加藤 繁秋君     新盛 辰雄君
  佐々木秀典君     加藤 万吉君
  沢田  広君     川崎 寛治君
  沢藤礼次郎君     井上 普方君
  関  晴正君     藤田 高敏君
  中村 正男君     佐藤 敬治君
  細谷 治通君     和田 静夫君
  山元  勉君     串原 義直君
  渡部 行雄君     戸田 菊雄君
  東  祥三君     日笠 勝之君
  春田 重昭君     神崎 武法君
  山口那津男君     冬柴 鐵三君
  木島日出夫君     三浦  久君
  伊藤 英成君     大内 啓伍君
  江田 五月君     楢崎弥之助君
五月七日
 辞任         補欠選任
  大内 啓伍君     中野 寛成君
同月九日
 辞任         補欠選任
  井出 正一君     後藤田正晴君
  伊吹 文明君     村田敬次郎君
  内海 英男君     井奥 貞雄君
 小此木彦三郎君     松本 十郎君
  金子 一義君     村山 達雄君
  自見庄三郎君     村岡 兼造君
  鈴木 宗男君     浜田 幸一君
  野中 広務君     原田  憲君
  町村 信孝君     長谷川 峻君
  串原 義直君     堀込 征雄君
  武藤 山治君     渡辺 嘉藏君
  日笠 勝之君     倉田 栄喜君
  冬柴 鐵三君     石田 祝稔君
  吉井 英勝君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  井奥 貞雄君     内海 英男君
 亀井 善之君     小此木彦三郎君
  堀込 征雄君     串原 義直君
  渡辺 嘉藏君     武藤 山治君
  石田 祝稔君     冬柴 鐵三岩
  倉田 栄喜君     日笠 勝之君
同日
 理事加藤万吉君、佐藤敬治君、村山富市君及び
 神崎武法君四月二十六日委員辞任につき、その
 補欠として加藤万吉君、佐藤敬治君、村山富市
 君及び神崎武法君が理事に当選した。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 平成二年度一般会計予算
 平成二年度特別会計予算
 平成二年度政府関係機関予算
 主査からの報告聴取
     ────◇─────
#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が四名欠員となっております。この際、その補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に
      加藤 万吉君    佐藤 敬治君
      村山 富市君    神崎 武法君
を指名いたします。
     ────◇─────
#4
○越智委員長 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 この際、各分科会主査より、それぞれの分科会における審査の報告を求めます。
 第一分科会主査池田行彦君。
#5
○池田(行)委員 第一分科会における審査の経過を御報告いたします。
 本分科会の審査は、去る四月二十六日、二十七日の二日間にわたり行われました。
 質疑応答の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
 裁判所及び会計検査院関係では、司法、立法、行政三権の意見交換の必要性、陪審制度の導入、会計検査の指摘事項についての事後点検等について、
 国会関係では、国会の情報化促進、国会職員の労働条件の改善等について、
 防衛庁及び沖縄開発庁関係では、防衛庁本庁舎の移転問題、岩国米軍基地の沖合移設、厚木基地のNLPの硫黄島移転、飛行場周辺の騒音対策、那覇那潮基地へのP3C配備及び弾薬庫の増設、沖縄の米軍基地の返還と跡地利用等について、
 総務庁関係では、病院等交代制職場の労働時間短縮、同和問題の現状と対策、人種差別撤廃条約の批准促進、入国審査官増員の必要性、国家公務員の労働条件の改善等について、
 内閣及び総理府本府関係では、韓国内の在日韓国人政治犯釈放への取り組み、シベリア抑留者の補償問題等について、
 科学技術庁関係では、原子力発電所の事故防止、地球環境問題への取り組み、放射性廃棄物処理施設の建設問題、我が国の宇宙開発のあり方、原子力船「むつ」の出力上昇試験の安全性等について、
 警察庁関係では、警察官の待遇改善、道路交通法及び車庫法の改正、外国人被疑者の捜査手続における通訳の確保等について質疑がありました。
 以上、御報告申し上げます。
#6
○越智委員長 第二分科会主査越智通雄君。
#7
○越智(通)委員 第二分科会における審査の経過を御報告いたします。
 本分科会におきましても、四月二十六、二十七日の両日審査を行いました。
 質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
 まず、外務省関係では、日ソ外交の基本姿勢、北方領土の返還問題、シベリア抑留者の補償問題、在日米軍の削減と在沖縄米軍基地の返還、在日韓国人及び朝鮮人問題、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおける米の市場開放問題、海外留学生のホームステイにかかわるトラブルの防止策、人種差別撤廃条約の早期批准、輸入食品の安全性の確保等であります。
 次に、法務省関係では、戦後処理問題、在日韓国人及び朝鮮人の法的地位の問題、外国人の不法就労問題、出入国管理体制の強化、登記及び入国管理事務関係出先機関における職員の増員と事務機器の近代化等であり、
 大蔵省関係では、我が国の金融資本市場の現状とG7、中国への第三次円借款問題、公益法人課税のあり方、パート減税、所得税の控除方式の是正等の税制問題、税務行政のあり方、たばこ産業の振興、日本たばこ産業池田工場の廃止問題等でありました。
 以上、御報告申し上げます。
#8
○越智委員長 第三分科会主査工藤巌君。
#9
○工藤委員 第三分科会における審査の経過を御報告申し上げます。
 本分科会も四月二十六、二十七日の両日審査を行いました。
 質疑応答の詳細につきましては会議録に譲ることとし、質疑事項のうち主なものを申し上げます。
 まず、文部省関係では、学校事務職員の定数基準、第二国立国会図書館の建設構想、国際識字年の意義、スポーツ・健康行政の整備充実、日本語大辞典の編さん、国立大学職員の待遇と附属図書館の定員外職員の実情、児童生徒の登校拒否の原因と背景、養護教員の配置と養護学校の整備、遺跡等文化財の保存、冬季オリンピック長野開催の実現、国際化に対応する教育のあり方、高校生海外留学の実情、地方国立大学の拡充整備、大学院の質的高度化の必要性等であり、
 自治省関係では、最高裁判所裁判官国民審査制度の意義、選挙制度審議会答申に対する対応、宅地開発等指導要綱の適切な運用、原子力発電所周辺地域における住民参加の防災訓練、在来新幹線の新駅設置と地元負担、救急医療体制の整備充実、職務上請求取得した戸籍謄本の不正流用問題、不在者投票制度の見直し、留守家庭児童会の制度化等であります。
 以上、御報告申し上げます。
#10
○越智委員長 第四分科会主査林義郎君。
#11
○林(義)委員 第四分科会における審査の経過を御報告いたします。
 本分科会におきましても、去る四月二十六日及び二十七日の両日審査を行いました。
 その質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
 まず、労働省関係では、国鉄清算事業団職員の解雇と再就職問題及び仲裁裁定に対するJRと労働省の対応、人手不足に対応する総合的雇用対策、在日韓国人の就職問題、外国人労働者問題、障害者の雇用対策、労働時間の短縮、勤労青少年有給教育休暇制度の創設、パートタイム労働及び育児休業制度の法制化、勤労者の住宅問題などであります。
 次に、厚生省関係では、在宅要介護老人対策、マンパワーの確保と養成の推進等「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の進め方、高齢者住宅及び施設の充実、有料老人ホームのあり方、救急医療体制の整備、医療法の改正問題、骨髄移植・骨髄バンク問題、国民健康保険料の格差の是正、廃棄物処理対策、食品添加物の安全性、輸入食品検査体制の拡充、心身障害児者及び精神薄弱児者の福祉対策、色覚異常者問題、喫煙の健康に対する影響、地域改善対策、沖縄の厚生年金格差の是正及び遺骨収集問題、中国残留日本人孤児問題などであります。
 以上、御報告申し上げます。
#12
○越智委員長 第五分科会主査内海英男君。
#13
○内海委員 第五分科会における審査の経過を御報告いたします。
 本分料会におきましても、四月二十六、二十七日の両日審査を行いました。
 質疑内容の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
 まず、農林水産省関係では、同和対策審議会答申に沿った農村の近代化と農業政策のあり方、土地改良事業第三次長期計画の達成見通し及び転作地等受益者負担の軽減措置、ビニールハウスの固定資産税、中央競馬会のファンサービスの改善と岡山市の場外馬券売り場建設問題、東京湾の青潮対策及び環境保全対策、日ソサケ・マス漁業交渉の経過及び国際漁業再編対策による救済措置、自主流通に係る価格形成の場の設定、ウルグアイ・ラウンド交渉等、米の自由化問題と国内自給の考え方、輸入食品の安全性の確保、スーパー三〇一条に係る日米林産物交渉の決着内容と我が国への影響、IWC商業捕鯨モラトリアムの見通しと調査捕鯨についての見解、吉野川下流域の塩水化対策、ゴルフ場における農薬使用と環境保全対策、本年産米価についての考え方等であります。
 環境庁関係では、地球温暖化、オゾン層保護等の地球環境問題、空き缶等の処理対策、IPCSの有機水銀の新評価基準及び今後の水俣病対策、ゴルフ場の農薬散布と環境汚染、手賀沼、印堀沼及び琵琶湖の湖沼水質保全対策、JR在来線及び道路交通騒音の現状と対策、石垣島のアオサンゴ保護と空港建設計画、大気汚染防止対策、産業廃棄物の処理と水質保全対策等であります。
 以上、御報告申し上げます。
#14
○越智委員長 第六分科会主査石井一君。
#15
○石井(一)委員 第六分科会における審査の経過について御報告いたします。
 本分料会におきましても、四月二十六、二十七日の両日にわたり審査を行いました。
 質疑の詳細につきましては会議録に譲ることとし、ここでは主な質疑事項について申し上げます。
 まず、通商産業省関係では、我が国産業構造の現状と今後のあり方、中部地域における航空宇宙産業の振興対策、西暦二〇〇五年開催万博の愛知への招致促進、伝統的工芸品産業振興対策、古紙リサイクルの現状と見通し、貿易研修センターの移転問題、国内製靴産業の現状と対策、産炭地域振興臨時措置法の延長と産炭地域振興対策の推進、石炭鉱害復旧事業の進捗状況と残存鉱害量の調査、白島及び上五島における石油備蓄基地のあり方、青森県六ケ所村の核燃料サイクル施設に関する電源立地促進対策交付金の交付のあり方、原子力発電所における安全確保対策、商店街の活性化対策、中小企業への官公需受注確保対策、事業承継税制の実現など中小企業育成諸対策実施の重要性などであります。
 次に、経済企画庁関係では、総合調整官庁として果たすべき役割と機動的な経済運営のあり方、個人信用情報に対する公的規制の必要性、訪問販売法の運用の現状と指定商品方式の見直しなどであります。
 以上、御報告申し上げます。
#16
○越智委員長 第七分科会主査代理伊吹文明君。
#17
○伊吹委員 第七分科会における審査の経過について御報告いたします。
 本分科会においても各分科会同様、四月二十六、二十七日の両日審査を行いました。
 審査の内容につきましては会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものについて申し上げます。
 まず、運輸省関係では、整備新幹線の建設促進、大都市圏における鉄道の輸送力増強対策、常磐新線の早期着工への取り組み方、営団地下鉄の延伸計画の早期実現、身体障害者等に対する運賃割引制度の改善、タクシー運転手の労働条件の改善、地方バス路線維持のための財政補助、自動車検査登録事務所の新設基準、関西国際空港の全体構想、新東京国際空港第二期工事の進捗状況、東京国際空港沖合展開事業の進捗状況、中部新国際空港建設の必要性、地方空港の整備、造船業の経営安定化と新技術研究への取り組み、港湾区域内の無免許埋め立てについての対応、海難事故における油流出防止対策などであります。
 次に、郵政省関係では、切手発行政策、電波行政の基本的姿勢、災害情報伝達放送のあり方、NHKの受信料の値上げ、NTTの電話番号案内の有料化などであります。
 以上、御報告申し上げます。
#18
○越智委員長 第八分科会主査粟屋敏信君。
#19
○粟屋委員 第八分科会における審査の経過について御報告申し上げます。
 本分科会も各分科会同様、去る四月三十六、二十七日の両日審査を行いました。
 質疑の詳細は会議録に譲ることとし、ここでは質疑事項のうち主なものを申し上げます。
 まず、建設省関係では、高規格幹線道路網の整備、一般国道の拡幅及びバイパスの整備、主要地方道の国道昇格、連続立体交差事業の推進、高速道路料金の見直し、自動車道トンネルの排気ガス処理問題、JR御徒町駅付近の地下工事による道路陥没事故と請負工事のあり方、ビル等の建設残土処理問題、建設業における労働者不足への対策、公団住宅の建てかえ問題、電柱、電線の地中化事業の推進、豪雪地域における雪害対策、長良川河口ぜきの建設問題、中小河川の改修整備、地域改善対策特定事業の進捗状況などでありました。
 次に国土庁関係では、大都市圏における地価抑制策、水資源対策の推進、琵琶湖総合開発事業の進捗状況、大阪湾臨海再開発構想、大都市圏における防災対策などでありました。
 以上、御報告申し上げます。
#20
○越智委員長 以上をもちまして分科会主査の報告は終了いたしました。
    ─────────────
#21
○越智委員長 これより締めくくり総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
#22
○野田(毅)委員 総理、連休の間、暑いところを南西アジア諸国御歴訪、お疲れさまでございました。何年ぶりかになるかと思います。中曽根総理以来の歴訪であったかなと思うのですが、大体この時期になぜ南西アジアの諸国をお選びになったのか、そしてそのねらいは何であったのか、まずそのあたりからひとつ国民に向かって、自分が何を意図してそっちの方に行ったのかということを御披露願いたいと思います。
#23
○海部内閣総理大臣 南西アジアの国々と日本はきょうまでも友好関係を維持していることは野田委員御承知のとおりと思いますが、冒頭にお話に出ましたように、インド、パキスタンには中曽根総理以後六年経過しておりますし、またスリランカは岸信介総理以来三十三年経過しておる。同時にまた、バングラデシュという国は今まで総理訪問したことがないということで、これらの国々からかねてから要請を受け続けておりました。同時に、私も就任以来アメリカと欧州の訪問はでき、それぞれの首脳と会談をしてまいりましたが、アジアの一員たる日本としてアジア諸国をいまだ一国も訪問していなかったということ等もございまして、この連休には南西アジア四カ国と東南アジアの議長国であるインドネシアと訪問をいたしました。行きに立ち寄りましたタイ国では、チャチャイ首相から要請を受けて朝食の懇談をさせていただきました。
 なぜ今の時期にと言われますのは、今申し上げたように比較的訪れるチャンスが少なかった地域だということと、同時にそれらの国々の首脳と話し合ってみまして思いますことは、世界の対立構造が大きく変化をしてきた。東西の対立というのが変化をしてまいりますと、例えば非同盟というのはどういう旗印でどういうことになるのか。世界情勢の変化というものが南西アジア地域にはやはり大きな影響を与えるようになっております。そういったときに、日本とそれらの国々とのきょうまでの友好関係の中で、さらにその関係を深めていきたい、経済の自立をしていくためにもあるいは文化面での交流のためにも、日本に果たしてもらいたい役割は大きいということを首脳はこもごもに言われました。
 私は、そういった意味で南西アジア地域に対して、一部では、ややもすると世界の大きな変化で欧州に西側の目はいってしまっておるのではないか、アジアのことは目が向かないんじゃないか、そういう懸念や御指摘も間々あったわけでありますが、私は、それはありません、アジアを日本も一員として従前同様に大切に考えて今後ともお役に立ちたいと思っておりますということをはっきり申し上げました。
#24
○野田(毅)委員 大変今の御説明よかったと思うのですね、この時期に。とかくすると、日米間は毎年のように貿易摩擦問題なり、ここ国会でも構造協議問題なり、非常に大きくクローズアップされる、あるいはヨーロッパにおいては、ソ連を初め東欧諸国の変動、そういった中からややもすれば欧米にマスコミも目が向きがちであった。しかし、そういう中でやはり日本の基本は、一つはもちろん西側の一員としての基盤があるけれども、もう一つはやはりアジアの一員であるということ、それを身をもってお示しになったということのあらわれであろう、こういうことで国民にもそのことは認識をされる大きな、大事なきっかけだったというふうに思います。
 それで、お帰りになって、それらの各国をお回りになった御感想、あるいはこの点でこういう成果があったぞ、せっかく行かれたのですからただ行ってきたのではないはずであります。海外諸国でいろいろな論評をやっておりますけれども、国会の場でその成果、感想をお述べになるのがきょうは初めての機会でありますから、ぜひひとつ感想をお述べいただきたいと思います。
#25
○海部内閣総理大臣 一言で申しますと、南西アジアの四カ国にはそれぞれ立場とかいろいろ要請されることのニュアンスの違いは、国が違いますから確かに違いはありましたが、全体としてやはり自分の国の力をつけていかなければならぬ、そして、そのために日本のきょうまでの経済援助それから技術協力、そういったものを一層期待するという気持ちが非常に強かったかと。首脳の皆さんと直接話し合って、日本がアジアの一員だという考え方に立って今後もいろいろなことをしていく。同時に、経済協力のみならず、文化面の協力も遺跡の問題等についても御協力をさせていただきたい。同時に、それらの国々と本当に相互理解を深めていくためには、あすを担う青少年の皆さんの交流も大切だというので、南西アジアの青年、今後五年間にとりあえず五百人招待しますから日本へ見に来てください、日本を十分理解するために来てください、こういう提言もいたしました。
 そのほか、技術者やあるいは研究者、学者の問題等も出ましたけれども、一様にそれらの事々についてはさらに両国の関係を深めながらアジアの安定とアジアの平和を確実なものにしていくためにはどうしたらいいか、それぞれ三国間の話もしましたし、同時に、御承知のように南西アジア地域はSAARCという連合体をつくってSAARCの内部でいろいろきょうまで努力が続いてきておりました。私は、SAARCが域外国との関係も望まれるなれば、日本としてもSAARCを通じての南西アジアへの御協力もいろいろ考えていきたいということを申しましたら、これは各国首脳とも賛意を表してもらえました。
 帰りに寄りましたインドネシアは東南アジアの議長国でありますから、南西アジアとはいささか趣が異なっておりましたが、今や離陸する経済的な体質改善、構造改善の最中でありまして、きょうまで頼っておった石油製品の輸出よりも非石油製品の方の比重が大きくなった。さらに日本が適切な協力、貢献を続けてくれれば、何かこの今の五カ年計画が終わったときには、できれば自力ですべてできる国になりたいという大きな目標を立てて大統領が話しておられたのが非常に印象的でございました。
 以上でございます。
#26
○野田(毅)委員 大変お疲れさまでございました。
 今経済的協力のみならず、文化的な協力の分野、恐らくそのうちに日本に対して何らかの政治的な分野についても協力を要請されるようなことが出てくるかもしれない、そういったことをも頭に置きつつ、ぜひひとつ海部外交を展開をしていただきたい、こう思うわけであります。
 同じアジアの問題でありますが、あと二週間ほどいたしますと、二十四日にはお隣韓国の盧泰愚大統領が来日をされるわけであります。この日韓両国の友好関係を進める上では非常に大事な好機だ、私はそう理解をいたしておりまして、ぜひこの訪日を成功させなければならない。今、両国政府においてそのための地ならしを一生懸命御努力をいただいておることだと思っております。この機会に、日韓両国関係について政府の基本的なスタンスといいますか、これを改めてお伺いをいたしておきたいと思います。
#27
○海部内閣総理大臣 韓国との問題は、アジアの中で、しかもお隣同士の国で、自由と民主主義をともに国の存立の基盤として、そして国民が努力をしながら経済的にも力をずっとつけてきた国として、私は友好関係というものをさらに強固なものにしていきたい、これが大きな基本認識でございます。
 そのためにはぜひ触れなければならぬのは、過去の歴史の経緯もございます。私は日本としては、それらの問題について謙虚な気持ちでそのことを率直に認めるとともに、我々が反省しなければならぬことは率直に反省をしながら、将来に向かって日韓両国が果たさなければならないいろいろなアジアの平和と安定のための役割もあるわけでありますから、過去の問題と、ここで一つの節目として将来に向かって前進できるようなそんな間柄をつくるために、今度の大統領の訪日の問題は我々として謙虚に受けとめて解決をして前進していくための一つの踏み台にしたい、こう考えております。
#28
○野田(毅)委員 事前のいろいろな地ならしの御努力の過程で、在日韓国人の特に三世あるいは協定二世の処遇問題などについていろいろ御努力をいただきました。報道によりますと、まだまだ残された課題は多いものの、当面大統領が訪日をされるための一応の合意といいますか、大体その辺には達したというような報道もございますが、御披露できる範囲の中でその合意の内容、八項目なりいろいろあったと思いますが、その点についてお示しいただきたいと思います。
#29
○中山国務大臣 委員お尋ねの件につきましては、去る四月三十日ソウルにおきまして日韓外相会議を開きまして、次のようなことで一応の合意を見たわけでございます。
 いわゆる在日韓国人三世問題について、在日韓国人法的地位協定第二条に基づきこれまで日韓間の事務レベルで協議を実施してまいりました。
 その点につきまして、まず第一に、簡素化した手続で覊束的に永住を認める。
 第二に、退去強制事由は内乱、外患の罪、国交・外交上の利益にかかわる罪及びこれに準ずる重大な犯罪に限定する。
 三、再入国許可については出国期間を最大限五年とする。
 四、指紋押捺については、三世以下子孫の立場に配慮しこれを行わないこととする。このため指紋押捺にかわる適切な手段を早期に講ずる。
 五、外国人登録証の携帯制度については三世以下子孫の立場に配慮した適切な解決策を見出す。
 六、その他教育問題、地方自治体公務員及び教師の採用問題、地方自治体選挙権問題等については今後とも協議を続けていくこととする。
 今後さらに詰めるべき点や引き続き協議すべき事項がございますが、最終的に明年一月を目途として日韓両国政府が満足し得るような結論を得るように双方が努力をいたす、こういうことで合意を見たわけでございます。
#30
○野田(毅)委員 大変お疲れでございました。まだまだ残された課題、幾つかあるようであります。
 そこで、先般あるテレビを見ておりましたら、在日韓国人の三世の学生のことが出ておりました。本当に若い学生が、偏見や差別に悩み、苦しみながらも誇りを持って生きていきたい、日本名ではなくて自分の本名で生きていくんだ、その本名を日本の社会で自分で名のっていくということは実は大変な勇気が要った、だがそれをあえて乗り越えていくんだというようなことがありまして、思わず胸の熱くなったことがあります。
 この人たちは、自分たちが好きこのんで日本に来たわけじゃない、彼らに何の罪もない、しかし生活の基盤はまさに日本の中にある、税金も一人前に納めているわけでありますね。そんなことを思いますと、彼らが悩み苦しんでいる、そういうものを招いた基本的原因はむしろ我々日本人の過去及び現在の行動に起因しているんだということは、やはり改めて想起すべきことではないかなというふうに実は率直に思います。これは何も政府だけではなくて、我々日本国民全体がやはりこの点はもう一遍しっかりと肝に銘ずることではないかな、そのように実は感ずるわけです。
 さらにまた、この日本の社会が今いろいろ貿易摩擦だけではない、国際社会の中でどうも閉鎖的ではないかといういろいろな角度で見られております。そういう中で、もっともっと日本の社会自身がオープンマインドな社会にしていかなければいけない。そういう角度からも、私はこの問題は積極的に将来にわたって取り組んでもらいたい、このように思うのです。
 残された問題、これはいろいろ法務省だとかいろいろなこともあるのでしょうけれども、私はそういう基本的なスタンスというものについて、今後残された問題を解決していく対処方針といいますか、そういうことについてぜひひとつ引き続き、これは外務大臣、その辺の基本的スタンスといいますか、そのことについて伺いたいと思うのです。
#31
○中山国務大臣 私どものこの日本で居住をされている外国の方々、この方々はすべて自分の国に誇りを持って生きておられると思います。また、日本におられる韓国の方々も同じように誇りを持って生きておられると思います。そのような方々のその誇りを尊重し、そしてこの国が開かれた国際国家としてみんながお互いの立場を理解しながら、そしてお互いがその人権を尊重しながら、住みよい環境をこの日本につくっていくということが、これからの日本のあるべき姿ではないかと私は考えております。
#32
○野田(毅)委員 最近の報道を見ますと、盧泰愚大統領が来日をされたときに天皇陛下がどういうお言葉をお述べになるかということにどうも非常に関心が集中しておるようであります。
 しかし私は、基本的には皇室を外交問題に何か巻き込んでいくようなことというのはやはり避けなければならないことである、むしろ本当は、国民を代表する外交の総責任者は、天皇陛下ではなくて内閣総理大臣なんですよ。ですから、そのことを頭に置くならば、天皇陛下の言葉だけではなくてもっと日本の総理が前面に出て、日本国民を代表してやっていくようなそういうスタンスが私は必要だ、こう思っておるわけですけれども、この点は、総理、いかがでしょうか。
#33
○海部内閣総理大臣 野田委員の御質問を承りまして、私もみずからそのとおりだと思います。そうして、私自身が今度の首脳会談を通じて率直に私の気持ちを相手方に誠意を持って謙虚に訴えることによって、この節目を大切にしていきたいと思っております。
#34
○野田(毅)委員 私ども率直に言って、戦後四十五年たつわけでありますけれども、ややもすれば第二次世界大戦の事柄について、いろんな戦争責任の論議や何かがありますけれども、やはりいろんな局面があったように思います。第二次大戦も対アジアという側面もあれば対欧米という側面もあれば、そういった中でこの日韓関係というのは、それよりもっと日韓併合という問題もあるわけであります。
 確かに双方合意というその条約、その上にスタートしたことではあるかもしれないけれども、その背景がどうとか言いません、形式論はそういうことであったかもしれないけれども、しかし現実に日本統治下においてどういう事柄が行われてきたのか。やはり強制連行の問題もありますが、創氏改名ということになりますと民族であることを捨て去れという話でありますから、これがもし我々逆の立場であったならこの傷はいえないですよ、容易には。やはりそのことを我々日本人が、政府だけじゃなくて本当は日本人全体もそのことをもう少し深く見てみるべきだな、そんな思いを実は新たにします。この傷の深さというものをしっかりと認識をしていかなければいけない。
 そこで、最も近い隣国であり、また歴史的に最も深い交流を続けてきた両国関係のあり方として、今総理もおっしゃいました、我々は大きな過ちを犯したことを率直に認めて心からおわびをするという、そういう謙虚さが必要なことの一つであるし、またそれだけではなくて将来にわたって、我々はどういう事態になろうともお互いが主従の関係にあるのではなくて、やはり基本的には真のイコールパートナーというか、そういう形での理解と友情というものを深めていくんだ、そういうことで日本の戦後の再スタートが行われたはずでありますから、そのことをあわせてこの際表明をすることが必要なんだろう、またそのことがなければ、韓国側に日本に対する真の友情を期待することはなかなか容易なことではないな、こう思います。
 日本の総理がこのことを表明したからといって、韓国の人たちがこのことに勢いを得て何らかの法外な要求をしてくるとか、私はそんなことにはならない、こう確信をいたしております。総理も謙虚な姿でお述べになりましたが、ともすればできるだけそういった問題にはさわらないようにして、逃げて逃げていくような姿勢もあったり、何か第三者的に他人事のように、何か両国の間に過去不幸な一時期がございましたぐらいのことを言っていたのでは、これは本当に心の傷はいえないな、そんなことを思います。
 今たびたび総理からもお話がございましたが、この際、従来の総理の意見表明といいますか、お考えよりもさらに一歩踏み込んだ姿での総理のお話が、盧泰愚大統領初め韓国の皆さんに意思表示が行われるものだ、こう期待をいたしておるわけでありますけれども、その点は総理のお考えはいかがでありましょうか。
#35
○海部内閣総理大臣 私は、従来からも隣国である韓国と日本との関係の中で、歴史の経緯にありますように、我々が率直に反省をして謙虚に臨まないといけないという気持ちは常に持っておりましたし、そういった表明もしてまいりましたが、今せっかくの野田委員の御質問でございます。私も日本の総理として首脳会談に臨むのは初めてでありますから、きょうまで言ってまいりましたことをもう一回かみしめて、同時に、将来に向かって真の安定した信頼関係、友好関係ができていくということが自由と民主主義を共通の基盤とする隣国同士の関係に大きな影響を及ぼすわけでありますから、私自身、委員の今の御質問の言葉を十分肝に銘じて、首脳会談のときには率直に申し上げたいと思います。
#36
○野田(毅)委員 ありがとうございます。
 私は、あわせて総理にもお願いしたいのですが、今るる私も申し上げました、これは海部総理が韓国に向けてお話をいただくというだけでなくて、我々日本国民の中に広く、まだまだやはり反省すべきところもある。考えてみれば、日本の国民に向かって過去を余り自虐的になりなさいとかそういうことじゃないのです。あるいは反省反省でその中に閉じこもってしまえというのじゃないのです。やはり率直に是は是、非は非であった、そういうことを日本の国民全体に、戦後四十五年の間そのことがやや、革新的な人たちは何か全否定みたいな話になっていくし、余り全否定が表に出ると、いや日本も正しいところもあったのだよということで、何かオール・オア・ナッシングみたいな、全肯定にいくか全否定にいくかという、何かそんなようなことがあって、意外と国民全体の中に本当に正しいその辺の状況認識というものが、西ドイツの場合はそのあたりは徹底して行われたようでありますけれども、日本の場合はまだまだ不足していたのじゃないかな。
 そんなことを思いますときに、そろそろここのあたりで、戦後四十五年たち、国民の中も若い世代がどんどんふえる、そういった事柄も風化が始まってきた、一方で、経済大国になるにつれてややもすれば日本人が、アジアの人たちだけじゃなくて、欧米に対しても傲慢な姿が目立ってきておるという、こういう機会であるからこそ、ひとつ韓国に向かってだけじゃなくて日本の国民に向かっても、私は、総理が率先して何かお述べになる。特別声明といったらなんですけれども、これを機会に、日本が本当にアジア重視の外交、今まさに総理が南西アジア歴訪でお示しになったような、欧米だけではない、アジアの一員なんだ、それをしっかりとした核として展開をしようというときだけに、何かそういうことがあってもいいんじゃないかな。
 このことは私は中国についても率直に言って同じような感じを抱くのですよ。かつて、あれはたしか田中元総理が周恩来さんに、何か御迷惑をかけたという程度の軽い表現を使ったので、そんな程度で済むのでしょうかという話があったことを記憶しておりますけれども、私は、そういうアジア全体についてもう少し、戦前のアジアにおける日本の歩みというものを冷静に見詰める時期じゃないかな。本当に、そういう是は是、非は非としてやっていく、その勇気が今大事なんで、今それをやらないで、何かできるだけ避けようとしている。そういうことから、何か事があると、日本が過去の行動を正当化しようとしているんじゃないかというような誤解がぼつぼつ出てきてしまって、かえって本当の日本外交が展開できないでいる、こういう状況にあるわけです。
 くどくど申し上げましたが、ぜひひとつ、この盧泰愚大統領訪日の機をとらえて国民に向かって総理が何らかの形で語りかけるような、そういうような場があってもいいんじゃないかな。そして、誇り高く、かつ謙虚な日本外交を展開していく、そういうきっかけにしていただければありがたいがな、そういうお考えはありますでしょうか。
#37
○海部内閣総理大臣 過去の歴史に対する正しい認識をしなければならないということは私も全くそのとおりであると思いますし、また将来に向けては、新しい真の信頼関係に基づいた両国の果たさなければならぬ役割、これも両国関係のみならず、アジアの平和や安定のために日韓で力を合わせていかなければならぬテーマもこれから出てくるのではないかと思われるときです。何回もここで申し上げましたように、私は今度は極めて謙虚に、過去の歴史の経緯については私自身も反省の気持ちを持っております。それについては首脳会談の席で私自身の責任において率直に申し上げようと思います。同時に、おっしゃるように、国民の皆さん全体にも過去の歴史の認識を正しく持っていただくとともに、将来に向かって、国際化時代でありますから、隣国との間の真の友好、真の信頼関係というものが打ち立てられていくようにしていただきたい、このことは強くお願いをするわけであります。
 幸い、日本の高校生の一部が韓国へ修学旅行に行かれるようになって、年々その数がふえてまいりました。修学旅行をして帰ってきた生徒の間には韓国に対する認識についていろいろ、こんないいこともあった、こういうこともあったという報告がなされておることを私は承知しております。両国の交流を通じて国民レベルの認識もそのように高まり、前進していきますことを私は心から願っております。
#38
○野田(毅)委員 ぜひ国民に向かっても総理が先頭に立って、啓蒙というとなんですけれども、その考えをお広めになるような姿が欲しいな、このことを特に強くお願いをしておきたいと思います。
 話は少し変わりますけれども、お帰りになりまして、いよいよ内政問題で大きな、最大のテーマに浮上してまいりましたが、政治改革といいますか選挙制度の改革を含む政治改革、いろいろ報道を見ますと不退転の決意である、こういうお話でありました。ちょうどことしは議会開設百周年という節目でもありますし、特にこの問題は、ここ数年来のいろいろな出来事もございました。政治改革、選挙制度改革の機運は従来になく非常に盛り上がりができておると思います。この機会を逸しますと、またなかなかこういうチャンスは出てこないだろう。
 そういうことを思いますと、まさに不退転の決意で取り組んでいただかなければならぬのでありますが、不退転ということは、後に引かないということなんです。背水の陣という言葉もありますが、これは後ろに下がったら水におぼれて死ぬということでありまして、つまり退路を断つということであります。前に進むしかないというのが不退転であります。言葉をかえて言うならば、政治生命をかけるというのが不退転ということに言葉としてはなるわけであります。やはり総理がそれだけの覚悟を持って進まないと、みずから何らかどこかに退路を残しておるぞということをみんながじっと見ている。そういう姿を見ておると、やはりこれは本気じゃないな、どこかで逃げてしまうのじゃないかということになるとなかなか難しい。これは政治家にとって大変な、まさに不退転の覚悟でやらなければいけない。それだけに、ある意味ではかけかもしれないけれども、しかし、それだけ海部総理がこの問題でリーダーシップをとって、しゃにむに自分のすべてをささげてこれをやり切るんだという中で、全軍が一致して、総理を先頭にしてやっていくんだという一つの軍勢が整うていくわけであります。
 ぜひひとつそういうことを肝に銘じて、総理自身のこの問題に対する決意のほどをここでしっかりとお示しいただきたい。野党の皆さんもその総理の意気込み、決意を見て、これはしようがないかな、こういうことにつながっていくわけでありますから、ぜひひとつこの機会にその総理の御決意をお述べいただきたいと思います。
#39
○海部内閣総理大臣 御指摘のような政治の状況の中で政治改革をして国民の信頼を取り戻していかなければならぬということは、もうこの数年来の御議論の結果でございました。野田議員御承知のように、与党、自由民主党においても、厳しい反省に立って政治改革大綱というものもおつくりをいただきました。去る衆議院の選挙のときは、私も先頭に立って政治改革を訴えてまいりました。一昨年以来の一連の不祥事件に国民の信頼を失った背後にあったものは何であったろうか。これはやはり政党政治である以上、それぞれの政党がみずからの掲げる政策をもって政策本位の選挙戦を争ってくるようにしなければならぬことと同時に、次元は違いますけれども、政治と政治資金をめぐるいろいろな一連の不信感、そういったものが国民の間に広く蔓延していったということもこれは事実でございます。
 一人一人の政治家が政治倫理を確立せよということは当然の第一前提でありますけれども、個人の決意だけでどうにもならないような問題があるとするなれば、その環境はきちっと整備していかなければならぬという立場で、各界の代表の皆さんが審議会で御議論をいただき、今度いただきました答申は、政治資金の問題と選挙制度の問題と、そして選挙をめぐる政治家の倫理責任の問題と、これらについていろいろ厳しい御指摘がありました。そして国会は今開設百年という節目を迎えております。かつて英国が選挙の腐敗をきちっと立て直していったときの背景、同時にまた、お金が幅をきかせ過ぎるのじゃないかと言われる今の選挙のあり方や政治のあり方やいろいろ問題点をとらえてみると、この際思い切って審議会の答申を最大限に尊重して政治改革をすべきときであると私は決意をいたしております。ただ、これは皆さん方の各党各会派にいろいろ御意見があり御議論があることも、百も承知いたしております。けれどもそれに向かっては、今御指摘のように、私は所信表明演説でも施政方針演説でも申し上げましたように、政治改革は運命と思ってこれをやらなきゃならぬ大切な時期だ、こう考えて不退転の決意で臨んでまいります。後に下がるということはございません。
#40
○野田(毅)委員 今、運命という言葉をお使いになりました。それだけの言葉を使うのは、総理の大変な決断の要る、勇気の要るお言葉だったと思います。そのお言葉を総理が、自民党総裁でもあるわけですから、当然我々は、打って一丸となってそれがしっかりと前進をし成功するように全力を挙げて御協力をし、一生懸命奔走しなければならぬという思いをまた新たにいたした次第であります。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 終わります。ありがとうございました。
#41
○越智委員長 これにて野田君の質疑は終了いたしました。
 次に、村山富市君。
#42
○村山(富)委員 いよいよこの予算委員会の審議もきょうで終わるわけでありますが、私が予算委員会の審議を通じて特に感じますことは、これだけ国民から注目をされている国会ですから、与野党がどういう論戦を展開されるだろうかということは大変興味を持って注目していると思うのですよ。ただ残念ながら、私の感じを率直に言わせてもらいますと、どうも政府の方はまともに受けて立っていく姿勢がないのですよ。どうかすればもう逃げよう、時間を稼いで済めばいい、こういう態度の中からは本当の意味の論戦は展開されてこないと思うのですよ。ですから、そういう反省も含めて、きょうは最後の日ですから、ひとつ率直に物を言わせてもらって、皆さんからも率直な御答弁をいただくというふうにお願いしたいと思うのです。
 先般この委員会で集中審議を行いましたが、その際に、我が党の川崎委員より、五十一年度の防衛計画大綱が作成された当時の情勢と今日の情勢とは大変大きな変化があっておるではないか、その変化に対応して次期防の策定については当然見直しをすべきではないか、こういう意味の意見が力説されたわけですよ。それはもうだれが考えたって、やはりマルタ会談以後は緊張が解けて冷戦構造が崩壊する過程にある。そしてベルリンの壁も取り払われて両独は統一する動きが見えてきた。東ヨーロッパの方では民主主義と自由を守る台頭がずっと出てきておる。これはもうずっと世界が変わってきつつあるわけですよ。そういうことを背景にして、アメリカもソ連も防衛費を減らして、そして軍縮をやっていこう、こういう状況になっているのでしょう。そういう状況になっているにもかかわらず、なぜ日本だけ防衛費をふやしていかなければならぬのか、この理屈はどうもわからないのですよ。
 同時に、説明させれば欧州とアジアは違うという説明もありましたね。それから極東ソ連軍の変化はあらわれていないという意味の答弁もありました。まあ若干アメリカに対する配慮もあるのかもしれませんけれども、しかし、そういうものがあるにしても、この情勢の変化を認めないというのは、これは私は世間の常識からして納得ができないと思うのですよ。せっかく南西アジアを回ってこられて若干認識も変わったかもしれませんから、この際、改めて総理の見解をひとつお聞きしたいと思うのです。
#43
○海部内閣総理大臣 世界の情勢につきましては、私は本委員会でも、私の考えを率直に申し述べましたときに、情勢が変わっているということを申し上げております。東西の力による対決、対立の時代が終わりを告げた最も劇的なものがベルリンの壁の崩壊だったということは、委員御指摘のとおりでございます。ただ私が、アジアの地域にそれがそのまま手のひらを返したように押し及んでいない、不安定な要素やアジアにはアジアの抱えておる不透明な部分もあるということを申し上げたことも事実でございます。けれども、アジア・太平洋にもそういった冷戦時代の発想を乗り越えて真の平和、真の安定というものを定着させていくために、日本も積極的に協力をしていかなければならないという考えを持っておることも率直に申し上げました。世界はそういった意味で今大きな歴史的な変動期であって、対決から対話と協力をして新しい世界秩序をどう構築していくかということに動きが続いておる、続きつつあるということは、率直に私も認めさせていただきます。
#44
○村山(富)委員 そういう情勢の変化を前提とするならば、中期防を考えていく際に、当然そういう情勢の変化を前提にして物を考えていくというのが当たり前の話だと思うのですよ。それがその分野についてだけは全然変わっていないのだ、こういう説明では、どうも私はやはり納得ができないと思うのです。
 あなたはニューデリーで演説をしていますけれども、その演説の中に大変いいことを言っていますよ。「私は過去の冷戦時代の名残を一日も早く取り除くとともに、新たな不安定要因の発生を未然になくしていく」というようなことも言っていますし、それからまた、「東西の力の対立、冷戦時代の発想を乗り越えて、対話と協調によって新しい世界秩序を模索していこうという動きは、欧州にとどまらず、アジアへと連動させていかねばならない。」こういうことも言っていますね。
 もしこの言葉に偽りがなければ、今ヨーロッパで動いておる、あるいは米ソ関係を中心にして軍縮がずっと進められておるこういう情勢をアジアにまで導入させてくる、こういう意思があるのなら、日本の国は率先をして軍縮の立場をやはり表明して、そしてイニシアチブをとるということが日本のとるべき態度ではないかというふうに私は思うのですね。私は、総理が今回西南アジアを歴訪されまして、我が国のアジアに占める位置、アジアの国々が我が国に対する期待の大きさ等々も改めて強く認識をされたと思うのです。それは決して日本が軍事大国になることを期待しているわけじゃないと私は思うのです。しかし残念ながら、日本の軍事大国化の危惧というものはだんだんだんだんやはり外国の中に芽生えつつある。特に、マレーシアの国防大臣なんかは日本の軍事大国化に対して厳しい批判を行っている事実もあるわけですよ。しかも、この国権の最高機関である国会の中でそうした議論をされているやさきに、既に防衛庁は中期防の二十三兆五千億円を早々に打ち出しているじゃないですか。こういう現象を見た場合に、幾らあなたが日本は軍事大国にならないのだ、こう言って強調してみても私は信用しないと思うのですよ。日本は軍事大国化するのじゃないかというその危惧は消えないと思うのですよ。
 こういう問題に関連をして、一体総理はどういうふうに受けとめているのかということについて見解を聞きたいと思うのです。
#45
○海部内閣総理大臣 我が国の平和と安全を確保する、言葉をかえて言いますと専守防衛ということできょうまで我が国はやってまいりました。基本的な立場からいいますと、かつてアメリカもそしてソ連も、対決、対立の時代には二カ二分の一戦略という言葉も出たぐらい物すごい有事を前提とした、しかも二正面作戦プラスアルファの軍事力を持ったのでありますけれども、その当時でも日本は、平和時における節度ある防衛力ということで必要以上に対立時代を前提としたり必要以上に対決を求めての防衛力の整備はしてきておらないわけでございます。
 そういった意味で、確かに南西アジアの国々に対しても、私どもはそんな軍事大国になろうという意思もなければ、またアジアにいろいろ出てこようなんというそんなことは毛頭考えておりません、その能力もありませんということを言ったのです。能力がないということもきちっと申しました。意思もないということも言いました。ですから、そういった意味で、日本の場合は専守防衛という大きな旗印のもとで、しかも日米安保条約のもとにおける日本の安全を守るための防衛力であったということでありますから、他国に対して脅威を与えたり軍事大国になろうなんということは、これは考えたこともやろうとすることもございません。
#46
○村山(富)委員 いや、そういう説明をされてみても、やはり日本の防衛力というのはだんだんだんだんひとり歩きしているじゃないか、こういう印象を与えるのですよ。僕ら持ちますよ、率直に言いまして。それはこの予算委員会における質疑を聞いていましても、一体閣僚全体がどの程度日本の防衛問題について認識があるのかというふうに危惧を持ちますよ。それは防衛庁の局長が答弁するだけじゃないですか。こういう現状を考えた場合に、これはやはりこれでいいのだろうかという気持ちになりますよ。
 私はなぜそんなことを言うかといいますと、後でまた北方領土の返還の問題についても若干御質問いたしますけれども、これだけ対ソ関係というものが、日ソ関係というものが当面の重要な課題になっている、しかも戦後平和条約は結ばれていない、何とかやはり親善友好の関係をつくって平和条約を締結しなければいかぬという状況にあるのですよ。そして北方領土の返還についても、返還しやすいような条件をどうつくっていくかということも課題でしょう。そういう課題を抱えて政府が一生懸命やっているときに、防衛庁だけは、これはソ連に対抗する、例えばイージス艦もそうでしょう、あるいは対潜哨戒機もそうでしょう、あるいは五十トソ戦車もそうでしょう。なぜ北海道に戦車隊をつくってやる必要があるのか。そういう緊張を一方ではつくっているじゃないですか。むしろあなたが考えて対ソ関係を一生懸命やろうとしておるものと防衛政策とは逆行しているような状況にあるのじゃないですか。こういう現状というものに対してどういうふうに考えますか。
#47
○海部内閣総理大臣 我が国の平和と安全を守る専守防衛という立場に立っての節度ある防衛力整備と私は考えて、諸外国に対して脅威を与えるようなこと、そんな意思も能力も日本から発揚していくことは断じてあってはならない、これはもう憲法もそういった精神でございます。
#48
○村山(富)委員 いや、それは日本から攻めていくことばないでしょう。攻めていくことはないけれども、こういう国際情勢の変化、しかも西南アジアにもそういう軍縮の波をずっと引き寄せて、そして世界全体が平和になるような、軍縮がずっと浸透していくようなそういう状況をつくらなければならぬという国際的な背景がある。しかも、日ソ関係はこれからもっと積極的な話をして、友好関係を深めて、そして問題の解決に当たらなければならぬ。こういう状況にあるときに、五十トン戦車というのは、この間うちも御質問がありましたけれども、日本の道路は使えないのですよ。日本の橋梁は使えないのですよ。だから、分解して運ばなければいかぬのですよ。そういう戦車を購入をして、そしてどこに使うのかといったら北海道に特殊な戦車隊をつくる。それは明らかにソ連を前提にしているのじゃないですか。そういうことを一方で防衛庁はやっているのですよ。それで一方では友好に話をしましょうといったって、なかなかそれは筋道が合わないのじゃないですか。そういうところに私は、総理以下内閣が持っている方針と防衛庁がとっている政策とは全然逆行している、むしろ防衛政策はひとり歩きしているのじゃないか、こういう危惧を持ちますから、そういう点は大丈夫ですか、一体シビリアンコントロールはどこにあるのかと言いたくなるような現状にあるのではないのかということを聞いているわけですよ。
#49
○石川国務大臣 お答えいたします。
 今先生の御質問を拝聴いたしますと、一口に言えば、総理の考えと防衛庁の考えというものが逆行している、こういうような角度からの御質問のように拝聴するわけであります。
 私は防衛庁長官としての立場で申し上げますが、やはり私どもの現在の防衛というものは、先生も十二分に御承知のとおり、防衛大綱というものの一つの水準を達成するために中期防というものでやっているわけでございます。これは申し上げるまでもない。その大綱というものは一体いつできたかというと昭和五十一年で、確かに今の軍縮と同じような一つの時代である。しかも、その中の国際情勢というものは大きく言って二つに基本的な認識といいますかそういうものを立てているわけでありまして、一つは、簡単に言えば相互のいわゆる軍事力の均衡、これによって世界の安全というものが保障されつつある、その中で今日もそうでございますが、したがって東西間の全面的な軍事衝突というものはまず起こり得ないだろう、こういう認識が立てられているわけであります。それからもう一つは、我が国の周辺においては大国間の均衡的関係及び日米安全保障体制、この存在が要するに国際関係の安定維持と、そして我が国に対する本格的な侵略というものの防止に大きな役割を果たしている。この二つの考え方が国際情勢としての基本的な認識に立っているわけでございます。これは私はいみじくも現在も同じだ、このように思うわけでございます。
 幸いなるかな、今日ではそのような一つの基本的認識というものが、むしろ現在の米ソを中心とする軍備管理あるいは軍縮交渉の進展を見ても、今日においても十二分に妥当している。言うならば、いささか誇らしげに言わしていただくならば、先見性があったと言っても私は間違いない、このように思うわけでございます。
 そういうことの上に立って、いわゆる我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めたのが防衛計画の大綱であるわけでありますから、先般申し上げましたような大綱の認識と、そしてまた現在のこのデタントの中におきまして、私どもはこの平成二年度予算においてもそのような観点から要するに必要経費を計上している、こういうことでございます。したがいまして、総理と私は意見が全く一致している、私はこのように思うわけでございます。
 ただ、先生御指摘の、じゃ一体、北海道の中の戦車の状況は対ソの準備ではないかとかいろいろとありますが、それは専門的立場でございますから、これは政府委員の方からさらに御必要ならば説明をさせていただきたいと思いますが、しかしいずれにしましても、私は、平時における最低の持つべきその軍備というものを私どもはこの防衛大綱で水準としている、このことをひとつぜひ御理解をいただきたい、かように思うわけであります。
#50
○村山(富)委員 それは何遍聞いても同じ答弁しかしないのだけれどもね。私はやはり、これは端的に聞いたのですよ。日ソ関係をこういうふうにしようという願望を持って今一生懸命やっている、これから話し合いもせにゃいかぬというときに、これには逆行するような防衛政策が進められていくというのは話がイコールせぬじゃないですかという意味のことを言っているわけですよね。そこらはどういうふうに判断したらいいのか、こう聞いているわけだけれども、それに対する答弁はないのだ。
 例えば五十一年に防衛大綱がつくられるときには、今もお話がありましたけれども、当時の坂田防衛庁長官ですよね、総理が師と仰ぐ三木内閣のときだと思いますけれどもね。そのときにやはり日本の防衛を考える会といったようなものをこしらえて、そしていろいろな方々の意見も聞いて、そして防衛大綱というのはつくられたのですよ。しかし、もう今日、そのときの情勢とはだれが考えたって同じだということは、これは言えないのですよ。だれが考えたってそうですよ。だから私は、やはりこれから中期防を策定するのなら、そういう前提に立っていろいろな情勢分析もし、英知も集めて、そして誤りないものをつくったらどうですか、こう言っているわけですよ。それは当然の話じゃないか。それを、いやヨーロッパの方は変わったけれどもアジアは変わっていないんだ、ソ連の潜在的な力は変わっていないんだ、こんなことでもって済まされるような問題ではないと思うのですよ。そのことを私は言っているわけですから、その点はひとつ十分これからも反省を深めてもらいたいと思うのですね。これはそうでないとシビリアンコントロールが機能しませんよ、形骸化して。そして、今も言いましたように、防衛政策だけは聖域としてひとり歩きする。予算の編成だって同じじゃないですか。文句なしにぱっと上がっていくじゃないですか。そういうものがやはり危惧を与えるのですよ。そのことを私は強く申し上げておきます。
 そこで、やはりそうした今の背景があって初めて、私は四月二十三日の西廣防衛事務次官の記者会見の発言があったのではないかと思うのですけれども、これは委員会で発言された議員の質問に対して委員会の中で反論するならいいですよ、これはいろいろな意見があるんだからここでやり合うのはいい。しかし、委員会の外で行政の最高責任者が、その議員の実名まで挙げて、そして発言を誹謗するようなこんな発言はあってはならぬ。これは絶対に許されませんよ。私は、そういう発言が出てくるところに、やはり防衛庁の持っている今日の危険な体質があるのではないかというふうに言わなければならぬと思うのですよね。ひとつ総理の見解を聞きたいと思うのです。
#51
○海部内閣総理大臣 御指摘のありました西廣次官記者会見において、防衛政策、防衛計画の大綱策定当時の情勢認識、情勢判断等について、国際関係の相互依存関係が深まりつつある中にあって、東西間では核戦争を回避し、相互の関係改善のための対話が継続していること。我が国周辺においては、米ソ両大国の力の均衡と日米安保の存在が国際的な不安定さを抑え、我が国に対する本格的侵略の防止に大きな役割を果たし続けるであろうという認識に立っていること。したがって、我が国が保有すべき防衛力の整備目標は、脅威に直接対抗することをねらうものではなく、力の空白をつくらないようにするとの考え方に立っているものであります。つまり、大綱はそもそも冷戦的な発想から脱却したものであることを説明しようとしたものと承知しております。
 しかし、この説明の中で、真意が十分伝えられなかったとはいえ、結果として特定の議員を批判するような発言をしたと受け取られたことはまことに遺憾であり、今後は誤解を招くことのないよう発言には十分配慮するように、政府部内を指導してまいりたいと考えております。
#52
○村山(富)委員 時間の関係もありますから後に進めますけれども、次に、日米構造協議の問題に関連をしてお尋ねしたいと思うのです。
 これまでの日米構造協議の問題についての議論を聞いていますと、アメリカ側から日本に要請された問題点が大分議論されましたよね。しかし、一体日本の国はアメリカに対してどういう要求をしたのか、どういう要請をしたのかということについては余り議論をされていないわけです。これは日本とアメリカの立場の違いは、どこから見ても、やはりアメリカはスーパー三〇一条の発動を背景にしてそして強圧的に出てきておる、日本はやはり聞かざるを得ない。これは日本自身が解決しなければならぬ問題もたくさんありますよ、ありますけれども、客観的に見るとどうしてもやはりそういう印象はぬぐい切れない、こういう状況に私はあったんじゃないかと思うのですよ。
 そこで、一体この日米構造協議の中で日本側がアメリカに対してどういう要請をしたのかという問題について、二、三お尋ねをしてみたいと思うのです。
 一つは、アメリカ側はその中間報告で、一九九三年までに連邦政府の財政赤字を削減するとしているが、どのような政策手段を行うことによってやろうとしておるのか、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。赤字の削減は、この文章を見ますと、歳出の削減と持続的成長を通じて達成されようとしているというふうに言っていますけれども、その見通しは一体どうなっておるのか。日本政府はどういうふうに受けとめておるのか。日本政府は赤字の削減について具体的にどのような要求を行ったのか。こういうことについてもこの際明らかにしていただきたいというふうに思うのです。
#53
○中山国務大臣 アメリカ政府に対しましては日本側から次のような点を指摘いたしております。
 御案内のように、アメリカは膨大な財政赤字を抱えております。それにつきまして、この予算編成の際にグラム・ラドマン法の目的が達成されるように予算のチェックをすることを厳重にやってもらいたい。私どもの米側とのいろいろなデータの交換の中で、アメリカの財政赤字は、一九九〇年千二百三十八億ドル、一九九一年六百三十一億ドルの見込みと私どもは考えておりまして、一九九二年にこの財政赤字をゼロに持っていくというふうに、アメリカ政府は日本側の指摘を受けて、米国政府の立場でこの財政赤字を解決するためにこのような考え方をとっておるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
#54
○村山(富)委員 今の状況から考えますと、やはり財政赤字を解消する一つの大きな問題点は、これは米ソが話し合いで軍縮に入った背景にもあると思いますけれども、やはり莫大な軍事費が相当なものになっているということは否定できないと思うのです。したがって、赤字解消には欠かせない問題だというふうに思うのですけれども、中間報告の中にはそういう問題は一切触れられておりませんね。こういう問題については全然折衝がなかったのかどうかということについて明らかにしてもらいたいと思います。
#55
○中山国務大臣 アメリカの抱える赤字の削減については日本側としてはそれぞれ意見を申し述べておりますけれども、軍事費等の個々の案件につきましては具体的に触れておりません。
#56
○村山(富)委員 事実関係だけ明らかにしてもらえばいいですからね。
 そこで次に、ココムの問題について承りたいと思うのですが、これは私どもからいいますと、これだけもう変わってきたわけですから、もうココムなんというものは必要ないんじゃないか、この際撤廃してやることが一番いいというふうに考えていますけれども、今までの経過もありますから、一挙に全部なくしてしまうということはそれは難しいかもしれませんね。幸いに、アメリカの方が相当大幅な緩和をするという発表をしましたね。しかし、この発表を見ますと、それぞれの国の利害関係がありますから、アメリカはアメリカの得意とするような分野を取り払って、そして自由に輸出ができるようにしようという、それぞれの国の利害関係が絡まってくるんじゃないか、そういう内容のものになっているのではないか、僕は具体的に申しませんけれども。
 一体、日本の政府はココムの問題についてはどういう態度、方針を持って臨んだのか、これからも臨むつもりなのか、そういう点について明らかにしてもらいたいと思います。
#57
○中山国務大臣 日本は、ココムの規制を戦略的に真に必要なものに限定してココムの信頼性を高め、また、東欧における歓迎すべき国際情勢の変化をさらに促進するとの観点から、従来からココムリストの緩和に向けてこれを推進しようという考え方を持っておりました。それを積極的に主張もしてまいりました。今次アメリカ側の提案は、ココム規制を包括的かつ大幅に緩和しようとするものでございまして、日本の考え方と軌を一にしておりまして、今回の米側の提案を日本は支持をいたしておるわけでございます。今後包括提案の詳細を検討の上で他のココム参加国と協議をして、六月に予定されておりますココム・ハイレベル会合において妥当な結果が得られるように日本政府としても努力をしてまいりたい、このように考えております。
#58
○村山(富)委員 ココムで規制されておる対象物件というのはどういうものがあるのか、今度どの程度のものが解除されるのかというようなことは資料として出せますか。
#59
○林(貞)政府委員 今回アメリカが提案しておりますココムのリストの緩和といいますのは、一般産業リストの約三分の一の緩和ということを念頭に置いての提案でございまして、こういう提案を踏まえまして、先ほど大臣から答弁を申し上げましたように、今後六月のハイレベルの会合に向けて協議が行われていく次第でございます。
#60
○村山(富)委員 いや、ですから、今ココムで規制されておる品目はどういうものがあって、今度解除をされようとしている品目はどんなものなのか、そして日本の政府はそれに対してどういう考え方を持っているのかということを明らかにしてもらわないと、これは議論にならぬわけだ。
#61
○内藤政府委員 ココム全体で規制しておる品目は約百六十程度でございますが、そのうちで一般汎用品が百二十品目ぐらいございます。その中で今回四十品目ぐらいのものについて徹底した合理化を図ろうというのが現在の内容になっております。かつ、中身といたしましては、ことしの二月以来、特定三分野、例えばコンピューターでありますとかテレコミュニケーションでありますとか、そういう分野の議論を既に進めておりますけれども、その議論をさらに深化していくというのが現在の状況でございます。
 それから、我が国の方では当然のことながら、それぞれの国が自国の利益に沿って自分の強い分野のみを排除するということは本来の目的とは外れておりますので、我が国としては技術的な観点から本当に整合性のとれた形のものになるべきだということでかねがね勉強もいたしておりますので、ココムの会合で十分に議論をしてまいりたいと思っております。
#62
○村山(富)委員 私が言うのは、何品目あるというのではなくて、どういう品目があるのか、今度アメリカがリストから外そうとしている品目はどんなものがあるのか、日本政府はどんなものを今考えておるのか、そういうことを具体的にわかるような資料が出せますか、こう言っているのです。
#63
○内藤政府委員 今特に議論いたしておりますのは、先ほど申し上げましたようなコンピューター、通信機器、工作機械等でございますが、そのさらなる細かい内容につきましては、外交案件といたしまして議論をいたしておる最中でございますので、その詳細は我々もなお検討しなければならないし、アメリカの提案を具体的にまだ受けたわけではございませんので、今後十分な議論をし、各国のコンセンサスを得た段階でまた御報告をさせていただきたいと思います。現段階で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#64
○村山(富)委員 そんなことが秘密にされなければいかぬですか。いやいや、秘密にする必要はないと僕は思いますよ。
 例えばココムで規制されておる品目はこんなものがある、もう今の国際情勢から考えてみて、日本の立場から考えてみて、こんな品目はもうココムで規制するというのはおかしい、だから外してもらうべきだというようなことを考えておるのかということがわからなければ、私どもはどういう反応をすればいいのですか。反応のしようがないじゃないですか。これはもう外交秘密で、役所で今検討していますから決まるまで待ってください、こういう話になれば、決まった結果をこっちは聞くだけで、何の審議する権限もなくなるじゃないですか。そんな扱いになりますか、これは。
#65
○内藤政府委員 その中身、非常に技術的検討中の内容でございますので、それからココムの議論というのは関係者の合意を得るまで秘密ということになっておりますので、そういう国際的な申し合わせの観点から十分に御理解をいただきたいと思います。
 それで、例えば一つの例といたしまして、コンピューターでございますと、例えば計算速度二百七十五メガビット秒のものについてどうするかとか、そういう議論をいたしておりますので、極めてテクニカルでございます。
#66
○村山(富)委員 これは私はやはりそういうものまで秘密にすべきことではないというふうに思いますから、そういう意見だけを申し添えておきます。
 次に、社会資本の整備の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、今後十年間の新しい総合的な公共投資計画を策定して、恐らく六月末ぐらいまでには数字を書き込んで出さなければならないんじゃないかというように思うのですけれども、この計画の中にどう国民的なニーズを反映させていくか、とりわけこれは地方自治団体が仕事をする主体になるわけですから、地方自治体等の意見がどんなふうに反映されていくのか、こういう問題については私は極めて重要だと思うのです。したがって、その十カ年計画が策定されるプロセスというものは一体どういうことになるのか、ここでひとつ明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
#67
○相沢国務大臣 来年度以降十カ年間の公共投資の総額策定につきましては、今関係各省に対しましてそれぞれの項目に基づきましてのおよその見込みまたは問題点というものを提出を願っておりまして、来週あたりから事務当局がヒアリングに入るという段取りにいたしております。最終協議が六月末というふうに予定しておりますので、大体段取りといたしましては、六月の中旬ごろまでにはまとめるという予定で進めてまいりたいと考えております。
 当然これは公共事業の中には、いわゆる政府でありますから、国と地方公共団体の公共事業が入ることは今おっしゃるとおりでありまして、それらのものも当然公共事業の中身として地方の単独で実施するものも含まれてまいりますので、それ、らも含めたところの今検討を各省にお願いしている段階でございます。
#68
○村山(富)委員 今説明があったような経済企画庁の作業に対して、自治省はどういうふうな対応をしていくのですか。
#69
○奥田国務大臣 今の御指摘のとおり、九〇年代は地方の時代、こういったことで、特にこの間の中間報告でも、国民生活の質の向上に重点を置いた社会資本整備ということが強くうたわれておるわけでございますし、その担い手は当然地方自治体ということになろうと思います。そうすると、今五カ年計画で今年度末をもって切れるものが住宅、下水道含めて八分野、これらの策定と相まって財政措置を講じてまいりたい、地方財政に穴があかないように万全の措置を講じてまいりたいということであります。決意表明になります。
#70
○村山(富)委員 ある意味から考えてみますと、社会資本の整備というのは、外国に比べますと日本の国は非常に立ちおくれていますからね。だからこれはむしろ言われるまでもなく、やはり積極的に対応してやっていく必要のある事業だというふうに私は思いますよ。特に、これまでの日本の公共投資というのは生産基盤の整備の方に力を入れられて、そして生活基盤の整備というのは立ちおくれていますからね。これからむしろそういうところにウエートを置いてやる必要があるのではないかというふうに思うのです。
 しかし、これまでやってきた公共投資の事業の中身を見てみますと、非常に予算の使われ方が硬直化しているのですよ、実際問題として。これは具体的に例を挙げて見てみますと、建設省関係の予算の推移を見てみますと、例えば五十五年、道路整備に使われた金というのは四一・九%ですね。それから五十六年も四一・八%、五十七年が四一・六%、ほとんど同じ配分の率ですよね。それから、これはもう治山治水、都市計画、公園、下水道、大体同じような予算配分でずっといっているのですよ。ですから、これはもう金の使われ方が大変固定化されているというふうに言わなければならぬと思うのですよ。これは建設省関係の事業質の推移を見ても同じです。もう時間がありませんから詳しく申しませんけれども、これは私は否定できないと思います。
 そこで、今度政府の方では、そういう硬直化した姿から幾らか改善をしていくという考えがあるからかもしれませんけれども、十カ年計画において、従来の分野別の分け方ではなくて、例えば生活とか安全とかこういう目的別に投資の内訳を示すことによって何らかの是正を図っていこう、こういう考えがあるからこういうことになったのかどうか知りませんけれども、そこらの実態をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
#71
○相沢国務大臣 御案内のように、国の財政状況もございまして、ここ数年間の公共投資全体が、NTTの関連の投資を除きましては大体前年度金額を踏襲してまいりましたので、おっしゃるようにその中身におきましてもそれほど大きな変化はありませんが、ただ、子細にごらんいただきますと、やはりおっしゃいますような生活関連部門は過去においておくれている部門でありますだけに、例えば下水にいたしましても公園にいたしましても、そういういわゆる生活に関連する分野のウエートというのはだんだん大きくなっていることはお認めいただけるだろうというふうに考えております。ですから、今度の十カ年の計画におきましても、おっしゃるように生活関連に重点を置いていくというような考え方になっておりますので、そのような考え方のもとに検討していきたいと思います。
 ただ、どのような分野のものが、あるいはどのような項目のものが生活関連というふうに観念されるかということにつきましては、いろいろとまた御意見があろうかと思いますので、その辺の調整が要るというふうに考えております。
#72
○村山(富)委員 いや、僕がさっきから言っていますのは、ずっとこれは年次別に見ましても、大体事業ごとに予算の配分の率というのは決まっているのですよ。余り変わっていないのです、変動していないのですね。それだけやはり金の使われ方が硬直化している。もっと言えば、これはもうばらまかれておる、こういう中身になっているんじゃないかという気がするのですよね。せっかくこういう機会に、社会資本をもっと充実さして投資して、そして生活基盤を整備していこう、こういう時期ですから、本当の意味で効率的に効果の上がるような金の使い方をしてもらいたい。そのためには、そうした分捕り合戦が展開されるような予算の配分ではなくて、やはり総理が指導性を持って、大蔵大臣がきちっと予算の配分をやっていくというぐらいの決意で当たる必要があるのではないかというように思うのですが、どうでしょうかね。
#73
○橋本国務大臣 今経済企画庁長官は比較的短いレンジでの変化についてお触れになりましたけれども、例えば昭和四十年度ぐらいから今日を考えてみますと、住宅、下水道あるいは環境衛生、公園など生活関連は、当時一般公共事業に占めるシェアが九%でありましたものが平成二年度におきましては二七・八%までふえているといった形で、着実な変化はしているわけです。
 ただ、委員が御指摘になるように、私どもが国民生活の質の向上という視点からこれを見直すときに、当然、従来とは違った発想はあっていいものと思います。ただ、同時に、公共事業の分野について、常に、例えばそれではこの分野をある程度抑えてこちらに回してよろしいかと問いかけたときに、必ずこっちも欲しいしあっちも欲しいという話が出てくるのも事実なんですね。ですから、そういう点について、私どもなりの決意を持ってこれに当たりたいということだけは申し上げておきます。
#74
○村山(富)委員 それはもう予算編成になるとそうなりますよ。なるから、私はやはり思い切って効果的に金が使われるような配分をしなければいかぬということを強く望んでおるわけです。
 それで、先般のこの委員会におけるうちの井上委員の質問の中で、日米協議の中で公的投資二十四兆円というものを中間報告で示していますね。その中身について、これは狭義の公共事業が七兆円ぐらいあるということも含めて、NTTやJR、地方自治体の単独事業、学校建設といったようなものについての個別に明示したものを出せ、こういう要求をして、出すということになっておりましたけれども、まだ出ていないのです。これはどういうわけですか。――いや、その二十四兆円の中身を個別に示したものを出しなさい、こういう要求でしょう。それに対して出ていないんだね。――いや、それはよく事情はわかっているはずだから、もう一遍検討してなにしてくださいよ、出してくださいよ。今説明できますか。
#75
○小粥政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、国の予算だけではございませんで、地方あるいは公的企業の支出が全体として公的固定資本形成を構成している内容でございます。ただいまのお尋ねで、先般の当委員会の御議論におきまして、たまたまお尋ねに対しまして私どもの方から、数字が出ております六十三年度の公的資本形成、その内容として、一般政府の中で、中央と地方、それから公的企業について数字を申し上げた経緯がございます。私ども、この公的資本形成の内容といたしましては、現在数字としてお答えできます内容は先般申し上げたつもりでございます。
 なお、この公的資本形成、例えば六十三年度で申しますと、総額二十四兆八千億というこの規模でございますが、その内容を先般、今申し上げました中央、地方、公的企業について申し上げましたが、そのさらに詳しい内容ということになりますと、私ども、これは国の予算以外の数字を全部含むものでございますから、それからもう一つは、この公的資本形成の数字自体は、恐縮でございますが私どもで内容を実はつくっているものではないものでございますから、それ以上のお答えができなかったわけでございまして、中央、地方、公的企業と、この三分類でお答えを申し上げたのが先般の経緯でございます。
#76
○相沢国務大臣 先般のお尋ねはたしか大蔵省にあったんじゃないかと思うのでありますが、実は二十四兆円というのは昭和六十三年度の数字でおっしゃったというふうに思いますが、これは国民経済計算において算出されているところの数字でありまして、その中の区分は、今主計局長が答弁申し上げましたように、中央、地方、そしてまた中央が一般政府、公的企業、そしてその一般政府の中は一般会計、非企業特別会計、事業団等というふうな区別がございます。その中身につきましては、具体的にJRが幾らとかそういうような細かい内容は実は発表されておりませんのです。その今申し上げました程度の区分の数字はもちろん持っておりますから、それでよろしければ提出をいたします。
#77
○村山(富)委員 それでは、ひとつそれを提出してください。
 それから、さっき自治大臣から決意の表明がありましたけれども、なお関連して具体的に聞きたいと思うのです。
 これはさっきお話がありましたように、地方公共団体に対する影響というのは大変大きいわけですよ。ウエートが高いわけです。そこで、財源負担をどうするのかということが一番心配されるわけですけれども、今、国庫補助負担事業の補助金カットの問題、これを見直しをして来年度からどうするかということが検討されていると思うのです。この補助金カットがされるかされないかということは地方財政の負担には大変大きな影響がありますから、それは一体どういう検討をされておるのか。私は、もうこれだけ国の財政も好転をしておるわけですから、この際やはりカットすべきではないのではないかというふうに思うのですけれども、そこらはどういう扱いになっていますかということをお聞きします。
#78
○奥田国務大臣 全くありがたい御質問で、同感でございます。
 もちろん、今現在補助金カットの形は検討中でございますけれども、御存じのとおり、大蔵大臣との覚書では平成三年度から、この平成二年度と昨年の暫定措置は六十一年度分ですね、六十一年度の補助率に復元するということは申し合わせておりますから、それは復元することになります。これは大変いいことなのですが、私から言わせれば、本来五十九年のスタートの時点に戻ってあの補助率カットのなかった状態のところまで復元していただきたいということで、目下そのことも含めて検討中であります。
 しかし、かといって地方自治体の方とすれば、今先生御指摘のように、たくさんの下水道、住宅関係の社会資本整備、自治体はもう難題をたくさん持っておりますから、事業量も確保したい、片や補助率ももとに返してくれ、こう二つの要求が今重なっておるわけで、現実的な対応をどういうぐあいに調節するかということについては、先生の御意見等も踏まえ、地方自治体の意向も十分お聞きした上で大蔵当局とお願いしようと思っておるところであります。
#79
○村山(富)委員 これはぜひひとつ復元をさせてもらって、そしてこれは実際本当にもう地方自治体が全部生活基盤整備事業なんというのはやるわけですから、そういう財政の裏づけというものはやはりきちっとやってやる必要があるというふうに思うのです。
 それから、最近の傾向を見ますと、地方単独事業がざっとふえてきておるわけですよ。平成二年度だけで見ますと、投資的経費全体としては地方財政計画の中で二十一兆三千五百五十億円が組まれておるわけですね。その中で、補助事業というのは九兆二千九百十二億円、単独事業が十二兆六百三十八億円ありますから、単独事業が圧倒的に多いわけですね。それだけやはり財源負担も要るわけですけれども、特にこの十年計画の中でその単独事業というものがどういうふうに展開されていくのかということについては、まだ見当がつきませんからわかりませんけれども、いずれにしてもふえていくことは間違いないと思うのですね。そうしますと、それだけやはり財源も要るわけですから、そういう財源措置というものは十分考えられていくのかどうかということについてもお答えいただきたいと思うのです。
#80
○奥田国務大臣 先生の御指摘は、特に財政力の弱い地方団体に対しての御質疑であろうかと思うのです。ですけれども、これに関しては、地方交付税の傾斜配分を含めていろいろな措置を講じているところですから、細かい形は財政局長からもし御必要があれば答弁させますが、特に知恵を出してほしい。今比較的に地方財政は、交付税も含めて、今のところは非常に内需主導型の景気の好調と相まって順調でございます。したがって、ことしもそういった地方自治体に関しては知恵を出してほしい。ふるさと創生関連事業として一兆数千億規模のそういった形を確保してお手伝いをしようという形になっておるので、ことしあたりに関しては地方自治体の御要望は十分組み入れるだけの用意があります。今後の形においてどうかということになると、地方財政の健全化もさることながら景気問題も関係してまいりますので、その点については一つの期待と現実の問題との間で今すぐお答えすることはできないと思います。
#81
○村山(富)委員 全体から見れば財政力の弱い地方団体ほど必要とするわけですし、そういうところのレベルアップを図っていくということがむしろ必要なことだと思いますし、十分重点的に配分できるような配慮というものも必要ではないかというふうに思いますから、その点はひとつ強く要望しておきたいと思うのです。
 そこで、先般この委員会でも若干問題になりましたけれども、今、公有地拡大法というのがありますね。そして、起債を認めて土地の取得をしておるわけです。私はこの種の質疑を聞いていまして、一、二年先に決定しているのでなければ起債を認めない、こういう扱いをしていると言われたのですけれども、むしろ私は、この法律の効果を上げていくためには、例えば公園や緑地の用地を確保しておきたいというのは五年先、十年先を考えて構想を考えていくと思うのですよ。そのために、五年先に用地を買収するよりも今買収した方が安く買えるということだってありますし、とりわけ道路なんかの場合には代替地が必要になるのですね。ですから、代替地なんかもやはり前もって用意しておくということもあり得ると思うのですよ。ですから、むしろ先の先まで考えて公有地が確保できるような、そういう手だてを講じてやることが必要ではないかというふうに思いますから、むしろそういうものに対しても、これは起債を含めて地方自治体の借り入れができるような方途というものを十分考えてやる必要があるのではないか。これは私はぜひ検討してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
#82
○奥田国務大臣 公有地の先買いということであろうかと思いますけれども、これに関しては、今御指摘のとおり、十年先、二十年先とまで言われるとちょっと困りますけれども、五年先くらいまでの見通し計画に関しては積極的に前向きに取り組んで、そういった起債措置等を講じておるところでございますから、計画的に五年、六年先に公有地として使用される計画のある形については、今先生の御指摘のような形で対応してまいっておるというのが現状でございます。その方を積極的に推進してまいります。
#83
○村山(富)委員 この種のここの質疑の中では、一、二年先のまでは認めるけれどもそれから先のものは認めていない、こういう答弁があったのです。
#84
○持永政府委員 先般の大臣の答弁も、たしか五、六年先のものまでは措置しているという答弁を申し上げたつもりでございますし、現にそういう取り扱いをいたしております。
#85
○村山(富)委員 いずれにしても、弾力的に運用できるような措置をしてやって、この法律の効果が上がるようにしていく必要があるというふうに思いますから、ぜひひとつお願いしておきたいと思うのです。
 それから次に、労働時間短縮の問題について若干お尋ねしたいと思うのですけれども、これはもう多く語る必要はないと思うのですが、今労働省は、一九九二年までに年間の総労働時間を千八百時間に短縮をしたいという目標を持ってやっていますね。今まだ日本の場合には二千百時間ぐらい働いているわけですね、労働時間というのは。これは通勤範囲まで含めて拘束時間として計算をしますと大変長い時間になるのですよ。これは国際的にも相当厳しい批判もされているわけですから、この労働時間の短縮というのは、ある意味から申し上げますと国民的な課題でもあるというふうに思うのですけれども、労働省が考えていますように、一九九二年までに千八百時間という目標を達成する見通しがあるかどうかということをまずお聞きしたいと思います。
#86
○塚原国務大臣 委員御指摘のとおり、まさに国民的課題でございます。私どもも精いっぱい努力をしておるわけでございますが、改正労働基準法が制定されましてから、平成元年度は一応総労働時間、今の先生の幅の広い通勤時間等も全部掌握してくるとちょっとあれなんですけれども、一応今までの計算で言う総労働時間でいきますと二千七十六時間で、前年度比一・〇%減、それから所定内労働時間でいきますと千八百八十八時間、これもやはり一・〇%減ということで、今までのところ過去最低になっております。
 それで、じゃいわゆる平成四年度ですかに経済計画の中にある千八百時間程度というものが果たしてできるのかというふうに御指摘をされますと、なかなか難しい状況にあります。当面一生懸命頑張らなくちゃいけませんので、今、週四十六時間になっておるものですから、とりあえずまず四十四時間にするように連続休暇取得促進要綱というのを策定をいたしまして、何とかでき得る限り目標達成に近づくように頑張ってまいりたいというふうに決意をいたしております。
#87
○村山(富)委員 もう今、西ドイツやらフランスなんかは千七百時間から千六百時間に短縮しようという動きがあるわけですね。だから、日本の場合には大変立ちおくれておるわけですよ。
 私は、今労働大臣の答弁を聞いていましてもなかなか達成が難しいというふうに思われるのですけれども、この際もっと政府が前面に出て、そして国民的な合意を形成するようなそういうものをつくっていく必要があると思うのですよ。そうでなければ、経営者だけに任せてもこれはできないし、労働組合だけに任せたってこれはできませんよ。だから、政府が率先をして国民的な合意を形成しながらずっと進めていく、そして目標を達成させるということが必要ではないかというふうに思いますから、そういう国民的な合意が形成できるような何らかの運動母体といいますか、推進母体といいますか、そういうものを考えていく必要があるのではないか。そして、先進国に追いついて、日本の労働者も言われるようにゆとりのある生活ができるような基盤というものをしっかりつくってやるというのが当面の課題だと思いますから、そういう点は十分検討する必要があるのではないかというふうに思いますが、どうでしょうか。
#88
○塚原国務大臣 もうまさに御指摘のとおりだと思います。これはもう先生御承知のことなんでございますが、現在、有識者二十三名から成る労働時間短縮政策会議というのをつくっておりまして、今の先生の御指摘の中で政府の出方がちょっとということを言われた。無論私どもの方でお願いをして、それで労働界それから学識経験者並びに経営者側のトップの方にお集まりをいただきまして、第一回目を実は六十三年の三月三十日に行いました。一番最近は第四回を平成二年の一月二十二日に行ったわけですが、先ほど申し上げました労働時間短縮に関する提言というのも実は第三回の平成元年の一月十一日にいただいております。これは十五項目で、これを全部読み上げますとおしかりを受けちゃいますけれども、非常に具体的な内容のもので、いやおしかりを受けるというのは時間が長くておしかりを受けるので、内容はかなりいい内容のものが出ております。でありますので、そういうようなしっかりした母体、今先生御指摘の母体はしっかりしたものができておりますものですから、これをより活用して、でき得る限り御趣旨のとおりに、この母体を運用しながら目標に近づけるように頑張ってまいりたいと考えております。
#89
○村山(富)委員 どこにその隘路があるのかというようなことも含めて、そしてやはり隘路が打開されるような方策というものを積極的に考えていくというようなものでなければならぬと私は思いますから、これはひとつ、体を見ると体力がうんとありそうだから、頑張ってやりなさいよ。
 次に、日米構造協議の問題の中で、これはたびたびここでも私も言いましたし議論になりましたけれども、消費者が非常に軽視をされているというシステムになっているじゃないか、もう少し消費者を重視する政策をやらなければいかぬというので指摘をされていますね。これは総理もあらゆる機会にこれからは消費者重視に転換していく、こういうことを言われているわけです。だけれども、これは言葉だけではだめなんで、身をもって示さなければいかぬ。そこで、身をもって示すために、例えば、先般も申し上げましたけれども、消費者保護庁をつくるとか、あるいは総務庁の中に、もっと一元的に消費者のニーズにこたえられるようなそういう施策ができるものを考えるとか、何か行政の仕組みの中に、なるほど海部内閣は消費者を重視しているということが示されるような、そういう具体的な方策を考える必要があるのではないかというふうに思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
#90
○相沢国務大臣 総理の答弁は後でお願いするとしまして、消費者行政に関しましては、御案内のように、経済企画庁の所掌事務としていろいろなことがうたわれているわけでありますし、また消費者保護会議というものも設けられておりまして、会合を開き、消費者の保護に関する各種の方策を研究し、またその実行を各省にお願いするということになっております。
 御案内のように、消費者に関する行政は関係各省に非常に広範にわたっているわけでありまして、それぞれ各省の権限と関連することも多いものでありますから、それを一つにまとめて、どういうような姿になるのか、この辺も問題がございますから、消費者の保護に関するところの基本的な方針を定めて、そして各省の行政と関連をとりつつこれを進めるという現在の体制を強化していくことが私はいいのではないかというふうに考えているのであります。
#91
○村山(富)委員 総理、もう今地方自治体ではむしろいらいらして、そしてオンブズマン制度の導入もあるぐらい問題になっているわけですよ。そして全体として消費者を重視するような政策をどんどんやっていかなければならぬ、こういう動きがあるのですよ。だから、私は今一番いい時期じゃないかと思うのですよ。そういう時期であるだけに、もっと総理が率先して、そしてあなたが言われるように、消費者を重視して消費者を守っていくというぐらいの意気込みを見せる必要がある。それは言葉だけではだめなんで、やはり身をもって示す必要があるというふうに思いますし、そういう行政の仕組みというものも十分検討に値するのではないかというふうに思いますから、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
#92
○海部内閣総理大臣 消費者重視の基本姿勢でいくということは私も再三申し述べてきたとおりでございますし、また具体的には、消費者会議を通じて各省のいろいろな問題点を整理して、お互いに共通の認識に立って消費者行政をとり行うとか、あるいは内外価格差是正のときにも各省庁皆が力を合わせて進めていくとか、同時に、その以前に学校教育の中でも、消費者の立場に立った学校教育の中で、消費者とは何であるかということの教育課程も教えるようにしていかなきゃならぬとか、あるいは消費者の皆さんに情報をできる限り提供していくことも国の行政の姿勢としては必要でございましょうし、いろいろな問題点がございます。それらのことをできるだけ総合的にいろいろな立場に立って考えて行っておるところでございます。
#93
○村山(富)委員 いろいろな立場に立って行っておるというのは、どこでどういうふうにしているんですか。それは言葉だけではだめですと言うのです。今率直に言って、あるのは経済企画庁に国民生活局があるだけですよ。ですから、各省を通じてそれはそれぞれ関係があるでしょう。そういうものをやはり総合的にまとめて、そしてきちっとやれるようなものを考える必要があるんではないか、こういう意味で申し上げているわけですからね。これは、今までの仕組みのままだったら何ぼ口で言ったって効果は上がりませんよ。ですから私は、そういう意味ではやはりここらで本気になって、消費者の立場を考えた行政というものを仕組んでいく必要があるんではないかというように思いますから、申し上げているわけですよ。
#94
○海部内閣総理大臣 私は、各省庁にまたがっておる問題でありますから、いろいろ対策本部をつくったり、各省庁が消費者会議に集まって基本的な問題についてやっておることを申し上げましたが、機構の問題となりますとまたこれは別の次元の問題になってまいりますので、私としてはこれは研究させていただきます。
#95
○村山(富)委員 ひとつ十分検討してくださいね。
 それから次に、これはちょっと通産大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、あなたは訪米中に、新聞の報道によると三十日ですか、ベーカー国務長官あるいはヒルズ通商代表と個別に会談をして、米開放の問題について強く要請されたという新聞報道があるわけです。具体的に米をどうしてくれという話はなかったんではないかと思いますけれども、しかし三〇一条の適用が外されたその裏には、やはりガットにおけるウルグアイ・ラウンドの交渉を、主として日本の場合には米を中心に期待を持たれているということがある意味で報道されていますよね。あなたはそのことをお感じになっていると思うのですけれども、米市場開放の問題については相当強い圧力がかかってくるなということが想定されると思うのですけれども、あなたはアメリカでそういう、具体的に米の問題で話したわけじゃないでしょうけれども、全体を通じてどういうふうにお感じになっていますか。
#96
○武藤国務大臣 確かにベーカー国務長官それからヒルズ通商代表からは、ウルグアイ・ラウンドをまとめていかなきゃならない、お互いに一緒にやっていこう、しかしその中で農業問題というのは重要な課題である、こういう発言はございました。しかし、今御指摘のような、私どもそれはスーパー三〇一との問題とは、たまたま適用から指定が外れたということは、そういうことを期待をして外したんじゃないかというふうには全く受けとめておりません。新聞報道がどういう形でなされているか知りませんけれども、私とベーカー長官、またヒルズ通商代表との間においてもそのような観点での話は全くなかったわけでございまして、たまたまウルグアイ・ラウンドの話をしている中で、農業問題というのは非常に重要な課題である、特にヒルズ通商代表との間においてはそういうことがありましたので、私から、こちらからは、それは農業問題も、メキシコでのウルグアイ・ラウンド非公式の閣僚会議で特にそういうことがあったというような話もありましたから、私からは、メキシコの会議においては、報告によれば、農業問題だけではなくて繊維問題も非常に重要な課題として取り上げられたと報告を聞いておる、こういうような話をしたら、向こうからは、いや、それもそうであったが、またセーフガードの問題もあったな、こういう話もありました。こんなような中であったわけでございまして、米の問題というような観点で私は全く向こうはおっしゃっていないというふうに受けとめて帰ってきたわけでございます。
#97
○村山(富)委員 僕らは新聞の報道を通じてしか知る機会がないのですよ。そこでやはり国民もそうだと思いますよ。そうすると、こういう記事を見ますと、神経をぴりぴりぴりぴりさせて関心を持っていますよね。これは事実ですよ、それほど関心が高いのですから。
 そこで、こういう記事もありますよ。例えば「コメ問題で農水省、譲歩も 通産首脳見通し四極通商会議のためナパに滞在中の通産省首脳は三日、「ウルグアイ・ラウンドを成功させるため、どこかの役所が譲歩せざるをえない場合も出てくるだろう」と述べた。直接言及していないものの、同ラウンド農業交渉で、所管官庁である農水省がコメの輸入禁止政策の見直しといった譲歩をすることが必要との判断を示したとみられる。」こんな記事が出ますと、前の通産大臣が米一粒もなんという話があった、やはりそうかな、こういうふうに連想させられますよ。
 私は率直に言って、米の市場開放問題というものもそう安易に考えられない厳しさがあると思うのですよ。ですから、そういうことも十分踏まえた上で、どうするのかということを考える必要があると思うのです。そこで、私はこの際農林大臣の決意も聞いておきたいと思うのですが、どうですか。
#98
○武藤国務大臣 新聞の報道は、私ども記者会見をやりますと、とにかく何か米の問題がなかったか、なかったかと聞くので、私は全然なかったとこっちは答えているのです。そういうところで、いろいろ私は推測記事がどうもあるように思えて、何か特に米へ引っ張っていこうというような、どうも新聞記者は皆さんがそう聞くのですよ。本当に私は何にもなかったから何にもなかった、こう申し上げているわけでございまして、これは本当に推測記事だと思うのです。
 しかも、私はこの間も新聞記者の皆さんに申し上げたのは、予算委員会でたまたま出発前に一般質問の中でとにかくこの御質問をいただいたときに、国会決議があるんだ、その国会決議を踏まえて慎重に対処すると言っておれば答弁してきたばかりであって、これ以上のことは言えるか、こういう話を私はしているわけでございますから、ぜひその点は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
#99
○山本国務大臣 お答えいたします。
 これはここでもしばしば答弁しております。また総理からもはっきり申し上げておるわけでございますが、お米は私どもの主食であるということ、したがって日本農業の主幹の作物であるということ、そしてまた水田稲作というのがさまざまな大きな意義を持っているというふうなこと等から、国会でも特に御関心を持たれて、衆参両院にわたりまして御決議がされておる。すなわち国内産で自給せよ、こういうしっかりした御決議を踏まえながら、従来もそれを貫いてきた、これからも貫いてまいりたい。たまたま今委員の御指摘のとおり、必ず新聞に米が出てくる。これからも出てくると思います。しかし私は、外務大臣がメキシコからお帰りになると、いかがでございましたとお聞きする。いや、お米の問題ではないよ。また通産大臣が、今もお話しになりましたが、アメリカあるいは四極から帰られる。新聞に出ておりますが、いかがでした。そうじゃないということでございますから、それを信じる以外にございませんで、私自身は今申し上げているような態度を総理とともに貫いてまいりたい、こういうふうに考えております。
#100
○村山(富)委員 やはり一般の国民もマスコミを通じて知る以外に知る方法はないわけですからね。ですからこれは、通産省はだんだんだんだん環境整備をしていきよるなというふうにこれをとられる向きもあるのです。そういうところにやはり問題があるわけですからね。
 そこで私は、やはり多くの農家の皆さんに今不安を与えていると思いますから、この際もう一遍、総理は不退転の決意という言葉が大変好きなようですから、この問題について不退転の決意で臨む意思というものを明確にしてもらいたいと思うのです。
#101
○海部内閣総理大臣 米問題につきましては、我が国における米及び稲作の重要性にかんがみ、また国会における御決議の趣旨を体しまして、国内産で自給するとの基本的な方針で今後とも対処してまいる考えでございます。
#102
○村山(富)委員 いずれにしてもこれから重要な問題になるでしょうから、ひとつ一体となって、日本の農業を守るということで頑張っていただきたいというふうに思います。
 それから次に、先ほど申し上げました日ソ関係について少しお尋ねしておきたいと思うのですけれども、これは、国際情勢がこういうふうに変わってまいりまして、戦後の枠組みから脱却をして、我が国に課せられた当面の最大の課題は何といってもやはり日ソ関係の打開にあるというふうに言わなければならぬと思うのですね。
 これはもう長く申しませんけれども、海部総理は、四月二十日付のコムソモリスカヤ・プラウダのインタビューにおいて、日ソ関係改善についての強い意欲を示されていますね。このくだりに関しては私はもう大変結構なことだというふうに思うのです。この中に、
 そのような流れのなかで二十一世紀における日ソ関係は、そのあらゆる潜在的な発展可能性を開花させた新しい章に入ると確信している。そこでは第一に、両国国民の相互信頼を揺るぎないものとする平和条約が締結されている。第二に、その土台の下で経済、科学技術、文化、人的交流、あらゆる面で両国にふさわしいダイナミックな発展を見せているだろう。第三に、このような日ソ関係は単に二国間関係にとどまらず、アジア・太平洋、さらに国際社会全体の平和と繁栄のために意義ある対話と相互理解の関係を進めている状況となっているはずだ。
こういうふうに言っていますね。二十一世紀を展望してこういう構想を持っておる。
 この二十一世紀に平和条約が締結されているだろうということは、北方領土四島は返還されておるということを前提に考えての発言ですか。
#103
○海部内閣総理大臣 そのとおりでございます。そうして私は、二十一世紀を目指してそのようなことになるはずであって、我々は大いにそれに向かって努力をしていくということをそこで申し述べた次第でございます。
#104
○村山(富)委員 十年間ぐらいの見通しの中で北方領土を解決するとすれば、よほど知恵を出し合って努力をしていかないとなかなか難しい問題があると私は思うのです。国内でも、先般金丸さんがああいう発言をされたりいろいろな意見があることも事実ですよね。これはソ連の中にもいろんな意見があることも事実だと私は思うのです。そういう意見は意見として、大いに世論を喚起する意味では、タブーにするのではなくて、やはり意見は意見として出し合っていくことも必要だ、大いに議論をする必要がある、その議論の中からお互いの理解というものが深まっていくのであって、そのことは決して否定してはいかぬと私は思うのですね。ただ基本的に、この四島返還という方向だけはきちっと踏まえた上で、その手段ややり方についてはいろんな意見があって当然だというふうに私は思うのです。
 そこで、それだけに何といいますか、北方領土の問題が解決しなければ一切だめだと入り口を閉ざしてしまう、こういうかたくなな、棒を飲んだような態度ではやはりうまくいかないんではないか。ですから、北方領土の問題も含めて、むしろ話がしやすいような客観的環境をつくっていくということも大事なことですから、したがって、政治、経済、文化等あらゆる分野の交流も深めながら、そういう基礎的な条件を整備していくというようなこともしながらやっていく必要があるんではないかというふうに思うのですよ。ですから、さっきも防衛問題で、こういうことが課題になっているときにその障害になるようなことをなぜする必要があるのかというようなこともちょっと申し上げたのですけれども、その十年間をめどに北方領土の返還を求めていく、これは早い方がいいのでしょうけれども、ひとつどういう姿勢で今後取り組みをしていくのか、臨むつもりなのかという点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
#105
○中山国務大臣 委員御指摘の平和条約を締結することが、日ソ両国のみならず、アジア・太平洋地域の平和と繁栄のためには非常に大きな基本的な問題であろうと私は考えております。
 こういう観点から、昨年、平和条約作成の作業グループが五部門に分かれてそれぞれ作業を進めております。また外務省もソ連のオピニオンリーダーを招待させていただく、あるいはまたソ連の外交関係の日本担当者を日本の外務省が招きまして、現実の日本、そして平和を志向する国民の考え方、防衛は専守防衛で徹している、こういうふうな日本の実情をよく認識をしていただく、そうして日本の担当官とそれぞれ日ソ間の均衡拡大のために、あるいは平和条約作成のために向かって同じ考え方を調整しながら進んでいかなければならない。こういうことで先般来そういうふうな人的交流を拡大いたしておりますし、今まで外務省が御招待を申し上げてもなかなか来ていたたけなかったような方も引き続き来日をしていただいております。
 さらに、ソ連の経済改革に必要な経営ノーハウ、こういうものに関する調査団も、政府ができる限りの協力をしながら日本の経済団体との、あるいは地方自治体との接触等も準備をいたしてまいりましたし、これも既に二回、日本に来ていただいているようなことでございまして、私どもは、言論の自由、民主化の進む新しいソ連のこの政治情勢の中で、ソ連のオピニオンリーダーとして活躍をしておられる方々にできるだけ日本に来ていただき、日本の考え方、また国民の考え方、そういうものを御理解していただいた上で、この日ソ間の長年にわたる懸案を解決するための双方の理解が深まるように今後とも努力をしてまいりたい、このように考えております。
#106
○村山(富)委員 時間が余りありませんから、次に、消費税の問題について若干お尋ねしたいと思うのです。
 二月の総選挙で消費税の問題が大きな課題だったことは間違いないのですね。自民党は過半数をとったわけですから、ある意味では自信を深めたのではないかというふうにも思いますけれども、しかし、この委員会でたびたび言われましたように、消費税の問題を全然政策にのせていない、公約の中にのせていない皆さんもおりますし、中にはみずから消費税を廃止するということを公約して出た議員もおりますし、全体としてはやはり消費税の問題は余り触れたくない、こういう態度で終始した方が大変多いというのは、先般もここで問題になりましたね。したがって、選挙の結果が必ずしもこれは見直しを支持されたんだというふうには断定できないと私は思うのですね。これははっきりしておく必要がある。まあ私どもは廃止を公約しているわけですから、この国会に廃止法案を提出していることはもう御案内のとおりです。
 そこで、これからこの国会はどういうふうに行くだろうかというふうに考えてみますと、幸いに税特委の設置が決まりまして、そしてこの特別国会でも野党の提出した廃止法案、政府の見直し法案、両方が審議されることになるでしょう。しかし、今のこの参議院の野党多数からすれば、衆議院では廃止法案が廃案になった、しかし見直し法案は通った、逆に言うと、参議院に行ったら逆になった、両方ともだめじゃないか、そうしますと結果的に今の消費税はそのまま残る、こういうことになりますから、これは国民の期待に沿えないことになる。そこで、これからどうするかということはお互いに知恵を出し合わなければならぬことだと思います。
 そこで、私はちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですけれども、私は、今度政府が出しておる見直し案というのは、これはもう見直しに値しないようなものではないかというように思うのですけれども、総理は、ジャカルタ市内のホテルで同行記者団との懇談の席で、「野党との接点を見出し、誠意を持って見直し案を説明したい」、こういうことを述べられていますね。「誠意を持って見直し案を説明したい」というその中身は、具体的にどういうことを考えていますか。
#107
○海部内閣総理大臣 最初に、ちょっと村山委員と私の認識が違うのかもしれませんが、選挙中、自由民主党は消費税の問題と真っ正面に取り組みまして、私自身も、街頭でも党首討論会のときでもいつでも、税の話は楽しい話ではありませんけれども、ぜひこれだけは聞いてくださいと言って、税のことについては率直に訴え続けてきたつもりでございます。
 同時に、選挙中、廃止法案のみとおっしゃいましたが、そうではなくて、具体的な個別間接税の御提起が野党第一党の委員長からもございましたし、また相当詳細に、これは普及率によって税率を変えるとか、どの品目にかけるかはそのときによって判断するとか、いろいろ具体的な御提案がありましたので、私はそれらの点を踏まえて、そのようなスタイルの間接税がいいのか、あるいは我々が見直し案を国会へお出ししますからそれがいいのか、そこで御議論、御検討願いたいということも国民の皆さんの前で何回も申し上げさせていただきました。
 ですから、私がジャカルタの内政懇で申し上げたことも、そういった意味において、自民党はいいと思って去年の四月から始めた間接税の中の消費税でありましたけれども、ほかのものとの組み合わせを幾ら御説明してもなかなか十分な御理解がいただけなかった。御説明不足であったのか、言葉足らずであったのか、その辺のところは率直に反省もいたします。同時に、消費税のあのようなあり方が自民党・政府がいいと思っても世論の皆さんからはいろいろな御指摘やあるいは御不満もいただいた。世論調査を調べてみますと、いろいろなことが出ておった。そこで思い切って見直しをして見直し案を出したわけでありますから、私どもにとってみればあれは今考えられる最善の見直し案だ、こう思ってお出ししておるわけであります。
 ですから、その内容につきましても、例えば何を誠意を持って話すつもりか、こうおっしゃいますが、例えば家賃に対する非課税の問題にしても、教育に対する非課税の問題にしても、食料の小売段階非課税、途中の段階二分の一という問題にしましても、その他いろいろ中身に盛られておりまする案については、それぞれのお立場で、それは今行われておる消費税よりも悪くなったぞ、また負担が大きくなるんだぞというようなお声はないわけでありますから、少なくとも我々は反省に立って、世論を尊重した前進した見直し案だ、こう思っておりますので、それを十分お認めいただくと同時に、選挙中お示しいただいた個別間接税の制限列挙方式ですか、あのような問題についても御説明がいただければ、我々は十分それを聞かせていただいて、そしてさらに論議を深めていきたい、こういうつもりでおりましたので、あのような発言をジャカルタでいたした次第であります。
#108
○村山(富)委員 野党は選挙で公約しましたから廃止法案を出しておるわけですよ。――いやいや、待ちなさいよ。出しておるわけです。今の消費税を廃止するという法案を出しておるわけですよ。あなた方は、今の消費税は若干問題があるから慎重に検討した結果、最善の努力をして見直し案を出しておる、こう言われるのでしょう。だから見直し案はいいと考えておる、そうでしょう。これは私に言わせたら、思い切って見直したものではなくて、単なる手直ししたにすぎない。これは本質的な欠陥は全然是正されていませんよ。ですから、こんな見直しでは大衆は納得しないだろうというので、選挙のさなかに再見直しの議論が出たんじゃないですか、そうでしょう。そして、現にこれから見直し案が審議されるのですよ、国会の中で。いいですか。これから見直し案が審議されるのに、これは大蔵大臣も言いましたよね、一巡をした後で経過を見て再見直しをするかもしれないという意味の――ちょっと待ちなさいよ。大蔵省は具体的に再見直しの案を出しているじゃないですか、ちゃんと考え方を。見なさいよ、新聞を。これだけはっきり出れば、これは各社みんな出ているんだ。私は、だから冒頭に本音でもってお互いに話をしましょうやと言ったのは、そこですよ。いいですか。それならこういう事実は全然ないのですか。(橋本国務大臣「その新聞記事ちょっと見せて」と呼ぶ)ええ、見てもいい。これは上げますよ。これは各社みんな出ているんだ。
#109
○橋本国務大臣 大変お言葉を返して恐縮でありますが、私は、再見直し、言いかえれば、今回提出をいたしております消費税の見直しの内容についての再見直しを行う意思はないということは何回も申し上げております。ただし、同時に、簡易課税、免税点等につきましては、一巡した後においてその結果を見て検討するということも、昨年からのお約束でありますから、これについては引き続き作業を行うということは申し上げております。もし、それを再見直しと言われるのであれば、その再見直しは行うわけでありまして、これはお約束と何ら変えていることではございません。ただ、今誤解のないようにしておかなければなりませんのは、委員は小手先と仰せられましたけれども、私は小手先だとは考えておりません。そして、消費税についての見直し案の内容、提出をいたしました内容について、これを我々は見直す意思はないということであります。
 また、これは大変恐縮でありますが、ここに書かれております簡易課税の問題、限界控除制度などの問題についての検討は、これはお約束をしておることですから引き続いて行うことでありますけれども、それ以外のことについていろいろ書かれております中身、例えば国民福祉税とか公共福祉税という話は、私は存じておりません。簡易課税の見直しは、先ほど申し上げたとおり、一年間の実施したその結果を見てその上で検討するということは、昨年来申し上げておることであります。
#110
○村山(富)委員 これは大蔵省が独自の立場でこういう見直しの検討をしているという内容の記事ですよね。「平成三年度の税制改正に向けて独自の立場から再見直しをすることにした。」と言い切っていますよね。「同省は再見直しの主な課題として@弱い立場の人に負担を強いる逆進性の緩和A支払った税金の一部が国庫に入らないという欠陥の是正、をあげている。」じゃ、こういう事実がなければ、ないとはっきり言いなさいよ。――いやいや、これは大蔵省当局に……。
#111
○橋本国務大臣 いや、私も大蔵省でございますから、大変申しわけありませんが。
 ですから、免税点の問題や簡易課税の問題については、既に、一巡した後その結果を待って検討するということは昨年来申し上げております。それは再見直しではなく、見直しの継続であります。
#112
○村山(富)委員 しかし、いずれにしても今国会へ出されておる見直し案と、今大蔵大臣が言われた、例えば簡易課税方式とか限界控除制度だとかあるいは免税点とかいうものを経過を見て見直しをする……。そうじゃないの。
#113
○橋本国務大臣 いえいえ、違いますよ。今提出しております内容については、我々はこれで作業は完結したものと申し上げております。ただ、当初から簡易課税でありますとか免税点につきましては、施行後一年間の実績を見た上で、その結果を見て検討いたしますということを、昨年の臨時国会においても私は御答弁を申し上げてまいりました。そして、それは作業を継続するということを申し上げておるわけであります。
 今、その新聞記事を引用されましたが、その新聞記事がどこの社のものか、またどういうつもりで書かれたのか私はわかりませんけれども、再見直しではありませんで、それは昨年から引き続いて一年後検討をしますということをお約束をしておりますものを事新しく書かれたものではないでしょうか。
#114
○村山(富)委員 それはしかし、見直しでなくて何と言うのですか。
#115
○橋本国務大臣 ですから、それは昨年の臨時国会から御答弁をしておりますように、免税点や簡易課税の問題については、実施後一年の実績を見て、その上で検討いたしますというお約束を私は答弁としても申し上げてきているわけでありまして、その作業は継続して行うということであります。
#116
○村山(富)委員 今政府は自信を持ってこれでいくという見直し案を出しているんでしょう。その見直し案を出しておきながら、一年間の経過を見て、そして簡易課税方式、限界控除制度、免税点、これはある意味からしますと、今の消費税が持っている一番大きな欠陥です。その欠陥を是正をする。見直しと言わないから是正をする、こう仮定をしますよ。そうしますと、今出されておる見直し案は一体何なのかということにもなりかねませんよね。どうせその本質から欠陥についてメスを入れるとするならば、それと一体的なものとして議論をしたっていいじゃないか、なぜ出さないんだ、こういうことになりますよ。
#117
○橋本国務大臣 どうも余り村山委員とこういう厳しいやりとりになった経験を持たないのでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、確かに昨年私どもは、消費税の見直しということを私自身が幹事長として参議院選でお約束をし、その後大蔵大臣として担当責任者としての作業を続けてきたわけであります。そして、その中において結論を得たものについて、私どもは、例えば非課税範囲の拡大でありますとか、こうした問題については結論を得て、成案として今国会に御審議をお願いをいたしております。
 同時に、簡易課税でありますとか免税点という問題は、一年間の実績を見た上で検討いたしますということを、昨年の臨時国会においても私は繰り返し御答弁を申し上げております。そして、そのお約束どおり作業を継続しているということでありまして、もし今委員がお述べになりましたことを逆さに申しますと、その一年間の実績を見た上で検討するときまで、他の改正まで待つということか。それは、我々自身が非課税範囲の拡大ということについて既に結論を出しておることでありますから、国民の手元に少しでも早くそれをお届けをする責任がある、私はそう考えております。
#118
○村山(富)委員 それはやはり今出されている見直し案を検討するのに、一年後にはまたこういう点が是正されるかもしれぬ、見直しされるかもしれぬ、こういうことが想定されますと、正直言いまして、それは本気になって検討する気になりませんよ。ですから私は、それほどのものであるとするならば、もう潔く廃止をして出直せと言いたくなりますよ、正直言いまして。まあひとつここは議論のあるところだから、強く廃止をすることを求めて、この問題については一応ピリオドを打ちます。
 もう余り時間がないものですから質問ができないんだけれども、土地問題について若干御質問したいと思うのです。
 まさに土地というのは異常ですよね。これは異常ですよ。二年ぐらい前に都留教授が「世界」に書いていましたけれども、何か東京二十三区の土地代でアメリカ合衆国の購入ができるというようなことを比較していましたけれども、それはもう全く異常な高騰ですよね。こういう土地の異常な高騰になった背景というものを考えた場合に、いろいろ要因はあると思いますけれども、やはり税の課税の問題が若干促進剤になったのではないかということが言えるんではないかと思うのですよ。
 これはもう時間がないから余り詳しく申しませんけれども、せっかく土地対策基本法を全与野党でつくったわけですから、それで土地というものはやはり公共の福祉が優先するということを前提にした基本法ができたわけですから、この際本気になって土地問題を解決するというのであれば、その基本に基づいて具体的な政策をやっていく、同時にその政策の裏づけとして税制問題もやっていくという車の両輪を果たす、こういう役割を持っているのではないか。だから、大蔵大臣が言われるように税制は主役でなくてわき役だという考え方でなくて、もっと積極的に土地問題を解決する税の役割というものを考え直す必要があるのではないかというように思いますが、これはどうですか。
#119
○橋本国務大臣 私は、今、土地基本法が成立をし、公共の福祉優先という基本哲学が確立した段階において、今までと同じお答えを申し上げるつもりはございません。そして、現在、税制調査会の小委員会は既に真剣な検討を開始していただいております。そうした中におきまして、私は、その公共の福祉の優先という哲学に立脚した御見解をお示しいただけるものと期待をいたしておりますし、それは資産課税の適正化という視点からも、また土地問題の中における、非常に素朴な言い方を繰り返すようですけれども、どうやったら大都市で一生懸命に働いている国民が自分の家を買うことができるのか、そういう土地政策の中で税制はどういう役割を受け持つべきかについても、それなりの視点からの検討がいただけるものと私は期待をいたしております。
#120
○村山(富)委員 今、政府税調の中にも小委員会が設けられて土地税制の問題について検討されているんでしょうけれども、一つは、やはり固定資産税がありますね。それから特別土地保有税がありますね。この特別土地保有税の評価の仕方、税率等が余りにも低過ぎるのではないかということがやはりテーマとして検討されていると思うのですね。その点はどうでしょうか。
#121
○橋本国務大臣 今私はお願いを申し上げておる立場でありますから、具体的な言及は避けさせていただきたいと思いますけれども、今委員が触れられました土地保有税につきましても、私は当然検討が行われるもの、こう考えております。
 ただ、繰り返して申し上げるようでありますけれども、一つは、私はやはり資産格差というものに対して着目した見解を示していただきたい。もう一つは、率直に申し上げて、自分の家が大都市で持てるような土地政策をする中で、実行する中で税がいかなる役割を果たすべきかという視点から、これについての意見を示していただきたいと願っておるわけでありまして、今委員が述べられましたような御提案というものも、私は検討されるべきものの一つであろうと思います。
#122
○村山(富)委員 その場合、固定資産税を手直しするのか、これは評価がえを今度はしますからね、その中でやるのか、あるいは特別土地保有税の中でこの改革をするのか、あるいは新しい税金を構想して考えられるのか、こういう点はどうなんでしょうかね。
#123
○橋本国務大臣 一切そういう制約はつけておりません。小委員会に対してお願いをいたしました内容については、今申し上げたような二つの視点をとっていただきたいということのみで、私は条件をつけずに御検討をいただいております。
#124
○村山(富)委員 私は、やはり今の土地課税の問題については、法人と個人と余りにも課税の不公平があり過ぎるというところに問題があると思うのですよ。最近の傾向を見ていますと、もうほとんど法人が土地を買い占めて、そして法人所有の土地がふえてきている、これはもう明らかですよね。
 それはなぜかといいますと、やはり法人の方が土地が購入しやすい。なぜならば、単価がどんどん上がっていますから、したがって担保にして金を借りる、土地を買う、そして土地を買った金は、利子を損金で落とせば、これは全体として節税のためにもなるわけですからね。したがって、法人の場合は金を借りて土地を買えば買うほど収益が上がっていく、こういうことになっていますから。個人の場合は相続税を取られますから、そこでやはり評価されて取られるわけですから、ですから個人と法人を考えた場合にはやはり大変な不公平がある。
 この法人の不公平に対して、例えば含み益に対して課税をするとかなんとかいうこともやはり検討されてしかるべきではないかというように思うのですが、その点どうですか。
#125
○橋本国務大臣 今委員がお述べになりましたような角度からの御意見があることも承知をいたしております。従来でありますと、含み益課税というものを提起されました場合、税制調査会の過去の答申におきましては、所得課税として考えた場合、いまだ実現されざるキャピタルゲインに対する課税、あるいは保有課税と考えた場合、その固定資産税や特別土地保有税との関係をどうするか、こうしたことを繰り返し申し上げたわけであります。
 しかし、今回そうした問題を超えてむしろ土地問題というものが深刻化しておるわけでありますから、私どもは、そうした状況を十分に頭に入れながら御検討がいただけるものと信じております。
#126
○村山(富)委員 私は、土地問題を真剣に考えるとするならば、それは今韓国でやられているようなことはなかなか難しいと思いますけれども、ある程度やはり思い切って腹を決めてかかるというのでなければ解消しないと思いますね。これは東京ではもうサラリーマンは住宅は手に入らぬわけですから、住めないわけですからね。ですから、やはりそういう点はもう少し本気になって腹を決めて、それこそ不退転の決意で取り組むぐらいの姿勢でないと私は解消しないと思うのですよね。総理、いかがですか。
#127
○橋本国務大臣 先ほど来何回も申し上げておるわけでありますけれども、私どもは従来、本来わき役であるべき税が主役を演じなければならないところに土地政策というものの哲学の欠如していた悲しい問題点があったということを既に本委員会でも認めております。そうした中におきまして、土地基本法という一つのベースを与えられた上で今私どもは土地税制の検討に入っておるわけでありますから、全力を尽くします。
#128
○村山(富)委員 次に、ODAの問題について若干御質問したいと思うんですけれども、時間がありませんから前段は全部省いて、具体的に申します。
 もう一兆円を超しているんですね。これだけの規模になってまいりますと、従来のような仕組みでこれから先もODAを続けていくというのはやはり無理じゃないかと思うんですよ。第一、財政民主主義の原則からしても、全然根拠法もなくて金が使われていく。言うならば、相手の国の要請に基づいて出すものだから、余り深入りした議論をすると内政干渉になるということが一つの壁になっているんですよ。だから国会の中でも議論されない。
 こういう状況の中で全然問題がないかといえば、ここにたくさん資料を持っていますけれども、各国でやはり問題になっているんですね。今度総理が行かれたところで大分抗議も受けておるというようなことが言われておりますけれども、それほどやはり問題があるわけですから、この際基本法ぐらいはやはりつくるということが当然政府としてとられるべき措置ではないかというふうに思うのですが、その考えがあるかないか、それが一つですね。
 それからもう一つは、今のように各省がばらばらで、四つの省が主管になってやっているといったような状況ではなくて、やはり一元化して、どこかが担当して全部を取り仕切るというぐらいの行政の仕組みというものも考える必要があるのではないか。これは総務庁が、もう何年でしたか忘れましたけれども、一年前に各大使館の中にこうした問題を担当し得る能力を持った職員がいないということも指摘されておるわけですから、もう少しこういう職員の養成やら適正な人員の配置もして、そして、名実ともに援助額もトップになっておるわけですから、したがってやっていることもなかなかいいことをしているというふうに評価されるようなものにするためには、根本的に姿勢から変えていく必要があるというふうに思いますから、基本法の制定やらあるいは行政の窓口を一元化する問題やら、あるいはまた職員の養成、適正配置等についても十分検討する必要があるというように思いますが、どうですか。
#129
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、ODAは国民の皆様方の虫自重な税金を政府が使って、発展途上国に対する経済協力をやっていくわけでございますから、税を納めていただいている国民の皆さん方が十分な御理解をいただけるようなODAの運営をしていかなければならないというのが基本的な政府の哲学でなければならないと考えております。
 そういう考え方の中に立って、特別に設置法をつくるかというお話でございますが、そういう考え方は現在のところございません。どこかのお役所が一元的にこれをやるべきではないかという御指摘でございますが、外交の総攬者として外務省が一元的にやるべきことが当然かと私は考えております。
#130
○村山(富)委員 これだけ問題になっていまして、しかも冒頭に言いましたように、これは一兆円を超す金を出しているんだったら、根拠法が全然なくてそんな金が出せるなんということは財政民主主義の立場からしても私は納得できませんよね。ですから、せめて根拠法ぐらいはつくって、そしてきちっとする必要が、土台をちゃんとする必要がある。そうでなければ、これはきょう何か後からまた質問があるようですけれども、いろいろな問題が各国出ていますよ。ですから、そこらの反省も含めて、しかもこれは秘密にするようなことでなくて、ガラス張りで国会の中でも議論ができるというようなものにやはりする必要があるというように思いますから、そこらの点はそんなことではなくて、もう少し真剣に検討する必要があるのではないかというように思いますから、重ねて聞きます。
#131
○中山国務大臣 重ねての御指摘でございます。
 私どももこのODAの仕組みで、いろいろと相手国の政府が交渉の過程で変わるとか、あるいはまた相手国の政府の主権の問題とかございまして、なかなかわかりにくい点も多々あろうかと思っております。さらに、先般当委員会でも御議論がございました債務救済の無償援助等につきましては、やはり日本だけの制度ということでは国民がなかなか理解しにくい問題があろうかと私は考えまして、事務当局にこの制度の政変について、この委員会での御指摘の後検討を既に命じておりまして、できるだけ国民の皆様方が御理解をいただき、御支持をいただけるようなODAの制度にさらに努力をさせていただきたい、このように考えております。
#132
○村山(富)委員 次に、先ほど話題になりました選挙制度の改正について、答申について若干御質問していきたいと思うのですけれども、今度の答申を見ますと、政策中心の選挙をするとか、それから金のかからない選挙とか政権交代が可能になるような選挙というようなことを柱にして検討されたというふうに言われているわけです。で、そういうものができないのはもうすべて今の中選挙区制に問題があるのだというふうに絞っていることは、私は余り短絡に過ぎるのではないかと思うのですね。政策を中心にした選挙というのは、小選挙区でそれができるかといったら同じことですよ、私に言わせれば。今の選挙が政策を中心にした選挙にならないのは、選挙宣伝のビラやら選挙宣伝活動やら戸別訪問やら、そういう政策を知ってもらうといる機会がうんと制約されているのですよ。しかも、供応、買収に対しては取り締まりが非常に緩やか、こういう格好で行われているところに問題があるのであって、私は小選挙区制にすれば解消するという問題ではないというふうに思うのです。
 ただ、一番私はやはりここで問題にしたいと思いますのは、せっかく一九八五年の国勢調査を踏まえて定数是正をするということが国会決議をされているわけですから、まず何よりもしなきゃならぬことは、この国会決議を実行するということが第一ではないか。第二には、あのリクルート疑惑に見られましたように、これだけ政治不信が出ているわけですから、その政治不信を払拭をして政治の信頼を回復するためには、政治資金規正法を改正するとか政治倫理法をつくるとかして、まず姿勢を正すということが緊急に当面やらなきゃならないことではないか。その上で、将来に向けて選挙制度をどうすることが一番いいかということを議論するならお互いに議論しましょう。まず国会決議を実行するということが前提ではないかというふうに思うのですが、どうですか。
#133
○海部内閣総理大臣 お触れになりました定数是正に関する国会決議を尊重するということは、私はこれは当然のことだと思いますし、また、これこそ議員の皆さんのその立場にも直接影響する重要な問題でありますから、各党においてお話し合いをされることが性格上一番望ましいのではないかと考えております。
 また、お触れになりました選挙制度審議会の答申におきましては、この問題について衆議院議員の新しい選挙制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とすることを基本原則としているところでございますから、この答申を実施すれば投票価値の平等の要請にも応じ得ることになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、国会決議の趣旨を尊重して、政府は各党間のお話を見守るのは当然のことだと受けとめさせていただいております。
#134
○村山(富)委員 今もう国民の意識というのは非常に多様化していますから、したがって、その多様化した意思が反映される、素直に国会に、国政に反映されるということからすれば、いろいろな政党がやはり代表されて国会に出てくるということは、それは当然あり得ることですよね。ところが、小選挙区制になりますと、一選挙区で一人ですから、ですから、それはもう大変な死に票が出ますよ。それだけ、有権者の気持ち、有権者の意思が素直に国政に反映される機会がなくなるということにもなるので、私はその方の弊害の方が大きいのではないかというふうに思うのですけれども。そういう問題ももちろんありますよ。だけれども、何よりもかによりもやはり緊急にしなきゃならぬことは、まず国会の決議を実行する。政治の信頼を回復するためには、政治資金規正法なんかをもっと厳しくやって、同時に政治倫理法もこしらえて、お互いが政治の姿勢を正すという気構えをつくっていくということが緊急にやらなきゃならぬ大事なことではないか、それをこそ国民はやはり求めておる。それを選挙制度の改正の方に問題をすりかえて、そしてぼかしていこう、こういう魂胆があるとすれば、それは大変なことになるというふうに私は思うのですが、それはどうですか。
#135
○海部内閣総理大臣 今回の審議会の答申は、ただ単に制度問題だけに触れたものでもございません。そして、政治資金の改革についての明確な指針も中に示されておるものでございますので、私は、この答申の趣旨を尊重するということは、やはり政策論争中心の選挙、そしてまた必要以上にお金のかからない選挙というものを考えていけというこの答申の趣旨に沿ってくるものでありますから、制度の論争だけにとどめるつもりは毛頭ございませんし、また、冒頭お触れになりました、選挙に伴う買収、供応でお金を使うのがいけないのではないか、ここからまず正せという御指摘は、これはまさにそのとおりでございましたが、これは、去る国会において、与野党の皆さんの御議論をいただき公職選挙法の一部改正案が成立を見たということは、そこに対する第一歩が踏み出されたものと私は評価をさせていただいておる次第でございます。
#136
○村山(富)委員 不退転の決意で臨む、取り組むという総理の姿勢はわからぬでもありませんけれども、さっき、後に下がることはないという言葉を使われましたけれども、後に下がることもなければ前に進むこともないのだな、こういうふうに私は判断をしたのですがね。
 私はもうこれ以上この問題には触れませんけれども、要するに、やはりもう少し政治の信頼を回復するということを前提にして、木気になって当面緊急にしなきゃならぬことは何かということをしっかり考えていくことが必要ではないか。選挙制度の改正といったって、正直言いまして、そう簡単に右から左にできるものじゃないですよ。これは各政党の利害関係が全部あるのですから、今度の審議会の答申の中には政党の意見というのは全然反映されていないのですからね。したがって、これからのことを考えますと、できるできないは別にして、これはもう大変時間のかかる問題ですよ。それだけに私は、緊急にしなければならぬ政治浄化の問題やら政治信頼の回復の問題等の手だてがこの問題にすりかえられて消されていくということがあったのでは大変だということを懸念しますから、そのことだけは申し上げておきたいと思うのです。
 もう時間がございませんからこれ以上申しませんけれども、最後に、郵政大臣の扱いについて若干お尋ねをしておきたいと思うのです。
 これは今までの経過から見てまいりまして、閣僚として自主申告をした中で、何もないという返事をされておる。後日、事実が発覚すれば一部答弁を修正する等の食言を行った。また総理も、結果的に本件について国会で、本会議の質問に対しても食言をしたことになっておる。この際、深谷郵政大臣はみずから辞任をされるか、あるいは清潔をモットーとする海部内閣としては罷免すべきではないか、こういう意見もございました。こういう意見の中で、我が党の和田委員が一般質問の中で行ったときに、官房長官は、総理に伝えておく、こういう答弁もいただいているわけですが、恐らく総理はお聞きになっていると思うのです。この際、これはもう締めくくりですから、総理の考え方を明確にお聞きしておきたいというふうに思うのです。
#137
○海部内閣総理大臣 リクルートの問題に関し、深谷郵政大臣が申告時に調査の徹底を欠き、また一部答弁を修正するなど、国会及び国民の皆様に混乱を与えましたことは大変遺憾であります。深谷郵政大臣には、今後みずからを厳しく戒めるよう厳重に注意をいたしたところであります。
#138
○村山(富)委員 これは組閣のときにあれだけ厳しく精査をして、そして汚れのない清潔な内閣なんだということを看板にしているだけに、やはり私は食言をされた総理の責任というのは大変重いものがあると思うのですね。そのこともひとつしっかり踏まえて対処してもらいたいということを重ねて要望して、私の質問を終わります。
#139
○越智委員長 この際、加藤万吉君から関連質疑の申し出があります。村山君の持ち時間の範囲内でこれを許します。加藤万吉君。
#140
○加藤(万)委員 前回の補正予算の審議の折に、私は、プルトニウムの海上輸送問題について御質問をさせていただきました。プルトニウムは、御案内のように、我が国のエネルギー問題に大変かかわり合いのある問題でありますがゆえに、一九九二年、敦賀の新たな「もんじゅ」型の発電が行われるのに合わせて、この輸送計画を我が国の海上保安庁の巡視船をもって充てる、こういうことを予算の関係で論議をさせていただいたわけであります。
 さて、私はその際に三つの問題を申し上げました。一つは、これから必要とされるプルトニウム約一トン、これがこの一隻の船によって輸送が可能かどうか、これが第一点でありました。第二点は、従来アメリカないしはフランスにこの輸送の護衛を依頼しておった経過から顧みて、この船をもってその輸送が可能であるのかどうか。 さらに第三点は、無寄港でこの輸送を行う観点から見て、これからつくられるであろう巡視船によってそのことは可能であるのかどうか、いわば給油その他を含めてこの船をもって可能であるのかどうか。こういう三つの視点で前回質問をさせていただいたわけであります。
 ところが、最近再び、プルトニウム輸送についてさまざまな報道がなされるに至りました。これは主として核ハイジャックに対する、我が国で建造されるであろう巡視船、これによって可能であるか不可能であるかという議論から発するものが多いわけであります。
 そこで、まず第一にお聞きをいたしますが、これは外務大臣にお聞きした方がよろしいと思いますが、日米原子力協定の改定に伴う交換公文には、プルトニウムの国際輸送について、護衛方法についてもアメリカの同意を得ることが義務づけられていると私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
#141
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 日米原子力協定上、プルトニウムの輸送に関しましては、日米協定の実施取極の附属書に書いてございますガイドラインに従いまして、輸送計画を策定してアメリカと協議をすることになっております。したがいまして、正確には、プルトニウムの輸送に関しましては、輸送計画について米国政府と協議をするというのが日米原子力協定上の規定でございます。
#142
○加藤(万)委員 そうなりますと、当然のことでありますが、今回建造される船及びプルトニウム輸送に伴う海上保安庁の巡視船についてもその合意が求められなければならないわけでありますが、この間の交渉の経過というものはどうなっているのでしょうか。
#143
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問のプルトニウム輸送の護衛船の点でございますけれども、日米間で、先ほど申しました日米原子力協定の実施取極の附属書には、武装された護衛船を原則として配備するということが合意されておりまして、これに従いまして輸送計画の準備を取り進めるということでございます。
#144
○加藤(万)委員 アメリカの合意が必要であり、同時に武装された船舶、こういうことになってまいりますと、なってまいりますとというよりもそういう話で進められておるわけであります。核ハイジャックがもし起きるとすれば、どの規模――まあ私ども一般的に、俗な言葉で言う海賊というような言葉に当てはまるようなもので律せられる集団ではないと私は思うのですね、核ジャックするという武装集団があるとすれば。どういう武装集団を想定されて、今言いました武装された船舶が必要である、こういうように日米間での話がまとまったのでしょうか。
#145
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 予想される脅威に関しましては、国際的なテロに対する厳しい姿勢にかんがみまして、国家によるテロは一応考えられないということで、日米間では、本件に関連して想定されるべき脅威といたしましては、国家のレベルではない、つまりテロリストによる奪取の危険性、これを念頭に置いて計画を策定するということで共通の理解が存在しております。
#146
○加藤(万)委員 この問題、しばしば実は本院でも取り上げられておりまして、我が党の上田議員の質問に、これは質問主意書で出して、当時総理大臣代理でありました橋本現大蔵大臣から答弁書をいただいたわけであります。これによりますと、原子力の平和利用に関する協力のための日本国政府とアメリカとの間の協定第十一条に基づく実施取極附属書五に言う武装護衛船とは理論的には海上自衛隊の自衛艦を含み得る、こういう質問主意書に対する回答をいただいております。
 また、総理は、平成元年の十月の本会議においてでありますが、これは民社党の永末議員の質問に対しまして、原則として護衛艦の同行が必要でありますと答弁をし、同時期に海上保安庁の巡視船をもって護衛艦として派遣する可能性について政府部内で今検討中であるという当時の答弁でございました。原則として護衛艦の同行が必要である、同時に、先ほど上田議員の質問に対する回答等を照合いたしますと、今政府が想定されておる巡視船をもってこの海上プルトニウム輸送に対するテロ集団に対する鎮圧といいましょうか、それでは間に合わない、すなわち海上自衛艦をこのプルトニウム輸送に同道させるか、ないしは、かえるべき手段として自衛艦を使うということも理論的にはあり得る、こういう答弁になっているわけであります。
 さてそこで、私どもどうしても懸念をされるのは、一体、今日アメリカが要求しているこの武装した護衛艦というものは、今我が国がつくろうとしている巡視船をもって事足りるのであろうかという疑念がどうしても持たれていたのであります。ことしの二月になってでありますが、アメリカの国務省から外務省に対して、日本が今建造されようとしている巡視船について、プルトニウム輸送に対するこの同艦では同意できない、その旨の回答が寄せられたと新聞では報道されておりますが、この事実関係は存在をするんでしょうか。
#147
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のような趣旨の報道がされているということは我々も承知いたしておりますけれども、アメリカから日本政府に対して、先生が御指摘のような回答があったということ、そういう事実はございません。
#148
○加藤(万)委員 しかし、私は一紙だけを取り上げて言うわけではありません、たくさんの各紙がこれほど書いておりますと、アメリカの国務省側からそういう通報はございませんでしただけで私どもが納得し得る条件にはどうもいかないのであります。
 なぜかといえば、先ほど、襲撃をする集団はいわばテロリスト的な要素だろう、こういう話がございましたが、今日、テロリストといいましても、相当武装的には装備をされているテロリストもあるやに国際的には聞いております。今プルトニウム輸送に対しては、例えば人工衛星を使って、襲ってくるであろう集団、あるいは船舶とこの場合は言った方がよろしいでしょうか、艦船でもいいんですが、それに対して、それをレーダーでキャッチをしながら、同時にこれを鎮圧する、ないしはこの海上における襲撃に対して我が方が防衛、防備をしていく、そういう装備というものがなければ、そういう装備を持った集団に対抗し得る護衛艦でなければならぬのではないか。
 先般、私の質問に対しまして、今度できる護衛艦に装備をされる機関砲、機銃、これは二十ミリないしは三十ミリという話でございましたが、それをもって徼撃でき得る程度のテロ集団と理解してよろしいのでしょうか。例えば核をハイジャックをするというのは、それは小さな集団もあるでしょうけれども、事によれば背景にはある国があってそれをしないとも限らない、そういう国際情勢というものが今日存在をするんじゃないでしょうか。これは国際情勢の認識ですから、外務大臣にひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
#149
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 プルトニウムの輸送の安全を期するためには、先ほど御説明申しましたように、日米原子力協定上、単に武装護衛船の同行だけではなくて、安全を確保するための種々の措置をとることになっております。例えば輸送船自体に武装護衛者が乗船することですとか、信頼性のある通信系、これを確保する問題でありますとか、船と陸との連絡を確保するためのオペレーションセンターの設置等、総合的な措置をとることになっておりまして、こういう総合的な措置をもってテロリストの脅威に対抗する、そういうのが基本的な考えでございます。
 なお、武装護衛船に関しましては、先ほど申しましたように、附属書に「輸送船は、出発から到着まで、武装護衛船によって護衛される。」となっておりまして、別途サイドレターという書類がございまして、この書類の中で、ここで言う武装護衛船とは、海上保安または沿岸警備の船舶あるいは公務についているその他の船舶というふうな解釈が書かれておりまして、アメリカ政府といたしましても、この一連の輸送計画の中でとる措置として、武装護衛船といたしましては海上保安庁の船でも構わないということにつきまして、日米間で共通の認識があるということでございます。
#150
○加藤(万)委員 先般も御質問いたしましたが、船と艇と艦、こうあるわけですね、国際海上輸送のいろいろな取り決めの中で。艇と言えば一番小型、それから船と言えば一般的に私ども見るのは、海上保安庁の巡視船まで含めて船。鑑という定義があります。艦の場合には明らかに戦船、軍艦であります。今度の巡視船は国際的な海上輸送の定義からいくと、これはどちらに入るのですか、今も御説明ありましたけれども。国際的な保護といいましょうか、あるいは海上航行における条約下にはどの船に該当するのですか。
#151
○福田(博)政府委員 先生のお尋ねの件につきましては、昨年たしかほかの委員会でございましたが、上田議員の御質問に私答弁いたしましたので、そのことも存じておりますので答弁させていただきますと、日米間の合意でありますのは、英語で申しますとアームド・エスコート・ベッセルという言葉が使用されている。これを武装護衛船という日本語が使われておるわけでございます。このべッセルあるいは船というものは、国内法上いわゆる自衛艦であるか、あるいは例えばどの程度大型の船であるか、あるいはどのような小さな舟艇であるかということの差を持つことなく、いわゆるべッセルという広い意味での船でございますので、それは理論的にはどれでも入り得るわけでございます。
 日米間の合意としてございますのは、要するに武装護衛船であるということが必要であるということを決めてあるわけでございます。
#152
○加藤(万)委員 きて、今御答弁のありましたことを集約してみますと、テロ集団である、しかも今の沿岸の各国のレーダー網を駆使をしながら、時には武装された船員といいましょうか、あるいは兵員と言っていいのでしょうか、これを乗せてそれらのハイジャックに対応していく、こういうお話ですね。
 五十九年の八月、晴新丸がプルトニウムを日本に輸送、フランスからパナマ運河を越えて東京に帰ってきた、帰港させたわけでありますが、その際にアメリカもフランスも、フランスは領域内で、アメリカは公海上で、二隻の軍艦をどうして伴わせたのでございましょうか。先ほどおっしゃいましたテロリスト集団の襲撃程度ならば、二隻の護衛艦をもってこの晴新丸をいわばテロリスト集団から守るというほどの要素はなかったのじゃないですか。アメリカは今懸念をして、日本に外交的に、今度建造される巡視船では日米間のプルトニウム輸送に対する武装船としての能力、その面で極めて不本意であるという意思が何らかの形で示されているのじゃないでしょうか。なぜかといえば、今言いましたようにフランスが我が国の晴新丸を護衛した際、あるいはアメリカが我が国の晴新丸を護衛した際のその海上輸送の様子を見れば、前の話と連動して考えてみると、まさに今度建造される護衛船をもってしては不可能であるということを述べているのじゃないですか。
#153
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 昭和五十九年に晴新丸がプルトニウムをフランスから日本に運びましたときには、ただいま先生御指摘のように、フランスの領海内ではフランスの海軍、それからその後日本の近海近くまではアメリカの海軍が護衛いたしましたが、アメリカの海軍が具体的にどういう護衛体制をとったかに関しましては、我々は必ずしも正確に承知しておりませんが、我々の理解しているところでは、全航程常に二隻が護衛したということではなくて、その航程のところどころによりまして護衛の形態が違っていた、それで継続的な護衛が行われた、そういうふうに理解をいたしております。
 この晴新丸によるプルトニウムの輸送は現在、先ほど来お話しになっております新しい日米協定下の合意のできる前の話でございまして、その後、この晴新丸の際の護衛、これも踏まえまして、日米間で鋭意協議をした結果、先ほど御説明を申し上げましたような日米協定の実施取極の附属書の五に書いてありますいろいろな措置をとることによって、プルトニウムの海上輸送の安全を期するということで、日米間で意見の一致を見た次第でございます。
#154
○加藤(万)委員 アメリカの上院議員のジョン・グレン議員が、日米原子力協定について重大な不当な欠陥があるという指摘を上院でしていらっしゃいます。これはつい最近のことであります。しかもその中には、プルトニウムの長距離輸送に対して問題の提起がなされているわけであります。これも単なるジョン・グレン議員が問題提起をしたというだけではないようであります。これも新聞報道によるところでありますが、海上長距離輸送に伴う日本側の今度建造される船に対して、アメリカが委託をしたある会社が情報を双方に提供しながら、一方では、この護衛艦をもってしてはプルトニウムの核ハイジャックに対する鎮圧は不可能である、同時に、アメリカ側の要請される武装船とはこの程度のものであるということを日本の方にも情報として提供している、こういうことについて上院の本会議で議論しているということが、五月の六日ですか、新聞で報道されております。
 これを私、見まして、どうも外務省と海上保安庁、運輸省がともに、今度つくろうとして当時議論がありました防衛庁の自衛艦を使うべきではないかという論争、これは自民党さんの方は皆さん御存じ、当時も新聞でも盛んに論争されたことですから。これに、いわばその日本側に寄せられた情報が余りにも甘過ぎた、いわばアメリカ側の本来、核拡散、核というものに対する認識の度合いというもの、これがハイジャックをされるであろうことを想定した場合の護衛艦の装備のあり方などについて、甘い情報が流されたのではないか、こういう指摘を実はアメリカの上院の本会議でされているという報道であります。
 さて、どうでしょうか。これは科学技術庁に聞きましょうか。そういう情報を受けたのでしょうか。
#155
○緒方政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の新聞報道と申しますのは、五月八日のこの記事のことであろうかと思いますが、私どももこの新聞でしか承知をしておりませんが、新聞の報道内容、先生の御指摘されました護衛船の問題というよりは、むしろこの新聞報道によりますと、アメリカのエネルギー省が、アメリカの民間コンサルタント会社IEALという会社に、日本の再処理の問題であるとかプルトニウム輸送の安全性の問題、政治的意味等々について、環境保護への影響などについて調査を委託をした。その同じ会社に、日本の動燃事業団がアメリカ側の情報収集をする契約を結んでおって、要するに二重に同じ会社がアメリカの政府の委託を受け、また日本の動燃からの委託を受けておった。こういう事実を指摘をして、そういうやり方であったからアメリカ側の国内手続上、日米原子力協定の改定がアメリカにとって不利に行われたのではないか、こういう指摘をされておるようでございます。
 ところで、アメリカ側の事情はよく存じませんけれども、日本側の方といたしましては、動燃事業団がアメリカのコンサルタント会社との間で情報入手のための契約をしていることは事実でございますが、この内容でございますが、動燃事業団の業務の遂行の参考にしますために、アメリカのコンサルタント会社がアメリカの議会などで公表されました公開情報、これを収集をいたしまして一般情報の形に定例的に取りまとめをしているものを、その会社から購読の形で購入をする、こういう内容の契約でございます。つまり、アメリカのコンサルタント会社は、日本の動燃事業団のために特に何かをやっているということではなくて、アメリカの情報収集をしたものを多数の顧客を対象にそういう情報提供をしておる、動燃事業団も顧客の一人として契約をしている、こういうことのようでございますので、この性格からいたしまして、日米原子力協定の改定交渉に何らかの影響を与えたものというふうには承知をしていないわけでございます。
#156
○加藤(万)委員 恐らく、アメリカの上院での会合ですから、アメリカ側の不利益の問題についての云々でしょうけれども、この記事とその他の記事との照合、こう合わせてみますと、日本の情報として収集されている、そういう今度の護衛に対する船舶の建造についても、アメリカ側の意図というものが一つの情報として提供され、今回の海上保安庁の巡視船によって関係閣僚会議での決定になった、こううかがわせる要素が極めて多分にあるわけです。
 そこで外務大臣、最後にこれは大臣と総理にお聞きをしたいのですが、どうしても懸念されるのは、フランスでも今度の巡視船については多分に懸念を表明しているという報道も一部にあるのです。これはアメリカと恐らくスタンスは同じだと思うのですが、その懸念をされている、そういう報道を見ますと、アメリカ側が日本の外務省に対して、今度建造される護衛船では不合意である、いわゆる合意ができないという報道の真実性がますます強まってくるのですね。私は、事務方から答弁がありましたから恐らくはないとは思いますが、改めて外務大臣から、これは二月の選挙期間中というふうに報道はしておりますから、今年の二月にそういうアメリカ側から、今度建造されるであろう巡視船について不同意であるという意思表示はなかった、このことは確認をしてよろしゅうございましょうか。
 それから二つ目に、総理に今度はお願いするのですが、私のこの前の質問に、総理は、まずそういうことはありません、関係閣僚会議で海上保安庁の船をもってこの任に当たらせる、こう言われました。その前に総理は、海上自衛隊の海外派遣といいましょうか、派遣については、例えば緊急時における災害の復旧であるとかあるいは緊急時に在留邦人の救出であるとか、そういうときには自衛隊の海外派遣という問題はあるけれども、しかし、少なくとも武力とか紛争に巻き込まれる状況の中には我が国の自衛隊は派遣はしません、こう答弁されているわけです。一部の新聞報道では、今度の日本が建造される船に対してアメリカが合意できないという状況は、逆に言えば、自衛艦をもってこれに当たらせるという示唆ではないか、いわば我が国の自衛艦をもって海外へのそういう護衛的な任務につかしめるためのサゼスチョンではないかとさえ報道している一部新聞があるのです。よもやそういうことはないと思いますが、総理の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
#157
○中山国務大臣 委員お尋ねの、プルトニウムの護衛船につきまして、アメリカ政府及びフランス政府から、この不合意の意思の連絡があったのではないかというお尋ねだと存じますが、そのようなことは一切ございません。
#158
○海部内閣総理大臣 輸送計画の中で必要となります護衛船につきましては、海上における犯罪の予防及び鎮圧は第一義的に海上保安庁の任務でありますので、海上保安庁の巡視船を派遣する方針であり、この方針を見直すことは考えておりません。
#159
○加藤(万)委員 これで質問を終わりますが、この問題は、今後どういう事態が発生するかわかりません。よもや外務大臣、総理大臣の食言にならないということを私は期待して、この質問を終わります。
#160
○越智委員長 これにて村山君、加藤君の質疑は終了いたしました。
 午後七時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後六時三十八分休憩
     ────◇─────
    午後七時開議
#161
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神崎武法君。
#162
○神崎委員 初めに、深谷郵政大臣の問題につきまして一言申し上げたいと思います。
 我が党の市川書記長が質問をいたしました。その質問の際に、リクルート社が大臣の後援会から退会をした退会届を提出するように要求をいたしました。ようやく本日、退会届が理事会に提示されたわけでございます。この提示された退会届は、退会届のコピーでございます。昭和六十三年七月二十八日付で、リクルート社の社長、位田さんから南陽会あての退会届でございまして、「昭和六十三年七月三十一日付をもって貴会を退会させていただきたく、ここにお届けいたします。」このようになっているわけでございます。確かにこういうコピーを拝見いたしましたけれども、これだけでは、率直に申し上げて、退会に至った背景なり、あるいはだれが一体だれに対して退会届を提出したのか全く明らかでないわけでございます。その意味において、真相を究明するために別の機会でさらに究明をいたしたい、このように考えております。その点だけ冒頭申し上げたいと思います。
 続きまして、日米構造協議問題、特にこの中間報告ないし最終報告の法的性格についてお尋ねをいたしたいと思います。
 憲法七十三条の三号によりますと、条約につきましては国会の承認を経ることを必要としているわけでございます。そして、昭和四十九年二月二十日の大平外務大臣の衆議院外務委員会における政府の統一見解によりますと、憲法七十三条三号に基づき、締結につき国会の承認を経るべき条約の範囲及びその他の国際約束のうち、一定のものについて国会に報告すべきではないか、この国会承認条約のカテゴリーを三つに分けて答弁をいたしているわけでございます。
 一つは、法律事項を含む国際約束、二つ目は、財政事項を含む国際約束、三つ目は、法律事項または財政事項を含まなくとも、我が国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束、この三つについては国会承認条約である、こういう政府の統一見解が出されているわけでございます。
 まだ最終報告が出ておりませんので、中間報告を中心に議論をさせていただきたいと思いますけれども、この中間報告、これには明らかに法律事項を含むと考えられます。大店法あるいは独禁法、建築基準法等国内法の改正を含んでいると考えられます。さらにまた財政事項も含んでいると考えるわけでございます。公共投資十カ年計画、実質的な社会資本整備の総額というのは現在の水準よりも大幅に拡充することがうたわれているわけでございます。
 そこで、まずこの法律事項を含むか財政事項を含む、この二つの点について、この中間報告についてその二つを含んでいるのかどうか、この点について確認をいたしたい。
#163
○福田(博)政府委員 先生お尋ねのいわゆる大平答弁というものが昭和四十九年にございまして、先生先ほど申されましたとおり、我が国におきましては政府が条約として国会承認を求めるべき国際約束として三種類のものを申し上げておるわけでございまして、これが政府の考え方として今日まで行われてきているわけでございます。
 さて、その中間報告がその意味で条約に当たるかどうか。これは条約という名前がついていなくても、実質的に法律事項あるいは財政事項等を含めば、当然ここに言う、憲法第七十三条に言う条約に当たるわけでございますから、そういう手続を経ることが必要なわけでございますが、ここに書かれております中間報告というのは、日米それぞれが政策的な決意を表明するということによってそれぞれがみずからのイニシアチブでとる措置を述べ合ったというものでございまして、いわゆる大平答弁にあります法律事項あるいは財政事項というものを含んでおるということではないと思います。
 少し具体的に申した方がわかりやすいかと思いますが、確かに日本における法律の改正等を政策的な意図として述べている部分はございますが、これが条約となるためには、それがあらかじめ立法権を拘束するということが必要であるわけですが、その立法権を拘束するというような中身のことはないわけでございます。
 同じようなことは財政事項に当たるかどうかということについても言えるわけでございますが、必ず予算というものがあって、予算の範囲内で行われるということでございますので、大平答弁に言う条約には該当しないということでございます。
#164
○神崎委員 今の答弁ですと法律事項にも財政事項にも当たらない、こういうことですけれども、それはおかしいと思うのですね。明らかにこれは法改正を予定しておる。また公共投資についても新たな財政負担を予定しているわけです。
 問題は、これが国際約束、財政事項、法律事項を含む国際約束に当たるかどうか、これは議論の余地があると思いますけれども、そこの問題であって、法律事項は含まないんだ、財政事項は含まないんだ、これはおかしいと思うのですが、その点はどうですか、大臣。
#165
○福田(博)政府委員 私の言葉がもし適当でなかったら直させていただきますが、法律事項を含まないと申し上げましたのは、国会の立法権をあらかじめ拘束する、あるいは一定の立法といいますか、法律を維持する義務というものを国会に対しても拘束的な形で国際的な約束をする、そういうような事項は含まれていないということで申し上げたわけでございまして、その点は内容をごらんいただければ、そういう意味での法律事項あるいは財政事項、つまり国会の立法権あるいは予算決定権、そういうものをあらかじめ除外するというような事項は含まれていないわけでございます。
#166
○神崎委員 そうしますと、逆に聞きましょう。この中間報告、あるいは最終報告になるかもしれませんけれども、これが国際約束なのかどうか、日米間の国際約束なのかどうか、この点はどうですか。
#167
○福田(博)政府委員 いわゆる条約法条約等に言う条約等の国際約束に当たるかどうかというお尋ねかと思いますが、これは先ほど申し上げましたように、日本とアメリカがみずからのイニシアチブでとるそれぞれの措置を記載したものでございますので、いわゆる条約法条約等に言う国際約束の合意文書ではないということでございます。
#168
○神崎委員 では、仮にこの中間報告が二国間の、日米間の協定という形、そういう形でできている場合、これは法律事項を含む国際約束あるいは財政事項を含む国際約束に当たるか当たらないか、この点はどうですか。
#169
○福田(博)政府委員 これは必ずしも形式が協定であるか条約という名前であるかということにかかわりなく、実体としての国際合意の中身が、いわゆる国際約束として我が国についていえば国会の立法権を拘束する、あるいは予算審査権を拘束するというような中身の約束であれば、これは協定であろうと協定でなかろうと、いわゆる憲法第七十三条三号に言う条約として国会の承認が必要なものとなります。
#170
○神崎委員 条約局長がお答えになっているのは、恐らくこれは国際約束でないんだ、ないから国会の立法権も拘束してないんだ、財政当局も拘束してないんだ、そういうことで御答弁になっているんだろうと思うのですね。
 私は二つに分けて聞いたのです。これは法律事項を含んでいるのか財政事項を含んでいるのか、その上でさらにこれが国際約束なのかどうかと分けて今伺っているのです。その点どうなんですか。
#171
○福田(博)政府委員 大変紛らわしい言い方で恐縮でございますが、いわゆる国際法の分野で国際約束と申しますときには、一般的な日本語の用語よりはもうちょっと厳格な、いわゆる条約あるいは協定あるいは行政取り決め、いずれでもいいわけですが、国家間あるいは政府間の、国あるいは政府間としての合意を形成するもの、これを国際約束という言い方で呼びならわしておるわけでございます。
 法律事項あるいは財政事項につきましては、先ほど申し上げましたとおり、要するに国会の権能、これは四十一条以下に書いてあることでございますが、これをあらかじめ拘束するようなことになるものにつきましては、これは当然国際約束の中であっても、条約として国会の承認を事前または事後に必要とする文書となるわけでございます。
#172
○神崎委員 外務省の解釈によると、これは日米間の国際約束でないということです。
 じゃ、それを前提にして議論をいたしますと、アメリカの通商法三〇一条を見ますと、二国間の通商協定に基づく米国の権利が拒絶されている場合等、こういう場合には制裁措置がとれる、こういうことになっているわけですけれども、今風の中間報告、あるいはこれから最終報告ということになると思いますけれども、ここで合意された内容、これが日本側によって履行されない、そういう事態が生じた場合でも通商法三〇一条には当たらない、こういうふうに理解してよろしいですね。
#173
○福田(博)政府委員 アメリカの国内法の問題について私がお答えするのはいかがかと思いますが、少なくとも国際的な合意のものとしましては、我が国におきまして例えば特定の法律について政府が改正案を国会に御提出する、それについて国会が御審議の結果異なる結論を得られるということであっても、日米間の合意といいますか、この日米間の中間報告に反するということにはならないわけでございます。
#174
○神崎委員 今の、通商法三〇一条に違反しない、仮に今回の中間報告で盛られている内容を日本側が履行しなかったとしても通商法三〇一条に違反しないということは、日本側として米国に確認をしているかどうか。
#175
○林(貞)政府委員 今御質問のこの日米の構造問題協議で出る結果につきまして、国際約束でない、米国の通商法に基づく三〇一条で言う貿易取り決めでないことを確認されているかという御質問でございますが、このことは協議の過程において米側に確認してございます。
#176
○神崎委員 じゃ、米側も了解をしているというふうに承りますけれども、そういたしますと、今回の中間報告、内容は、この中間報告によってこれはもう日本じゅうが大変な騒ぎになった。しかし、今伺ってみますとこれは国際約束でもない、何ら法的には拘束力はない、こういうものだということなんですけれども、そうだといたしますと、もしこの日本側が履行を約束している内容を実際に履行できなかった場合に、法的責任は日米間では生じない。じゃ、日米間では、あれですか、海部総理の政治的道義的責任だけが残る、こういうふうに理解してよろしいですか。
#177
○林(貞)政府委員 先生も先ほど御指摘のとおり、中間報告で盛り込まれた措置につきましては、これが法的にアメリカとの関係で約束したものではないということはそのとおりでございます。
 しかしながら、これを、この中間報告に盛られた措置が実施できない場合にどうなるかという御質問でございますが、海部総理みずから本件の重要性は内閣の最重要課題として取り上げておられるわけでございまして、中間報告に盛られた措置が実行されるよう内閣を挙げて努力していくということを言われている段階でございまして、この中間報告に盛られた措置が実行できない場合にどうなるんだろうかというようなことを、この段階で云々することは適当ではないかと思います。いずれにいたしましても、条約的な意味での対米義務違反というものは生じません。
#178
○神崎委員 総理はどういうふうに認識しておられますか。
#179
○中山国務大臣 委員お尋ねの、このいわゆる中間報告を経て最終報告に至るわけでございますが、そのようなことの日本の政府の考え方というものが実行されなかった場合どうなるかということにつきましては、.私は、日米間の信頼関係が崩れるものというふうに判断をいたしております。
#180
○海部内閣総理大臣 日米双方でいろいろと政府間でこの問題を提起し合ったその大きな背景には、今台頭しつつある保護主義に対して、日米両国のこれは共通の利益だからお互いに協力をして保護主義の台頭を抑えようということで合意をしていろいろ努力をしたわけです。そこでまとまった中間報告でありますから、その内容において我が方が提示したことは、これは御理解をいただかなければならぬ点、御協力をいただかなければならぬ点は率直に皆さんにお願いをしながら、その内容が完全に解決するような方向に向かっていくように、私は全力を挙げて努力をしていくのが私の責任である、こう考えております。
#181
○神崎委員 外務当局はこの中間報告ないしは最終報告につきまして、これは日米間の約束ではない、国際約束ではない、このようにおっしゃっているわけでございますけれども、しかし、果たしてこれは本当に日米間の約束でないというふうに言えるのかどうかという点であります。
 実際この中間報告で盛られた内容が実行されるかどうか、アメリカ側は監視チームをつくる、そこまで言っています。また、それぞれの国がコミットメントする形にはなっておりますけれども、アメリカ側も日本側が約束している内容についてコメントを発表して、強い期待を述べているわけでございます。単なるこれは努力声明ではないんじゃないか、国際約束、日米間の国際約束をこういう形で国会で承認することなくこういう処理の仕方をしている、私はそういうふうに思うわけですけれども、その点いかがですか。
#182
○福田(博)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、ウィーン条約法条約に言う条約等の国際約束という場合の国際約束は、ある一定の内容を含んだ国際合意を示すものであって、中間報告が日米間の約束事ではないか、期待はないのかと言われれば、いわゆる条約法条約に言う国際約束ではないが、お互いに相手がそれぞれの措置をとることについての期待は非常に高いということは、これは紛れもない事実であろうと思います。
#183
○神崎委員 防衛の面でも、ガイドライン安保と言われるように、いわゆる国会に承認を求めない、そういう形の取り決めというものがだんだんふえてきている。今回のこの日米構造協議についての中間報告についても、全く国会に報告をしない、また承認を求めない、そういう形でこういうそれぞれの国がコミットメントをする。しかし実際、監視チームまでつくり、それをそのとおり実行させるような仕組みがつくられている。そういう仕組みがいろいろな分野でだんだんふえてきているのですね。私は、おかしいと思うのです。そしてそうだとしますと、総理もこれは大変意義の高い、この構造協議について高く評価をされておられるのであれば、なぜこれを日米間の協定にしなかったのか、いわゆる国際約束にしなかったのか、この点はどうですか。
#184
○林(貞)政府委員 構造協議で取り上げられた事項、アメリカが日本に指摘したような事項、それから日本がアメリカに指摘した事項、それぞれ内容を吟味してみますと、例えば日本がアメリカに指摘した事項で、財政赤字の削減とか教育の問題とか労働の訓練とかそういうものがございます。これは当初から私ども、日米両国ともこれはそれぞれのイニシアチブでやるもので、両国間の合意を形成するようなものではないということで進めてきましたが、例えばアメリカから見た場合に、先ほど私が申し上げましたような、日本側が指摘している事項につき日本との約束においてこれを実施するということは、恐らくアメリカにおいても国内的に難しい問題があったのではないか、こういうふうに思います。
 いずれにせよ、これは条約にするとかしないとかという議論は、アメリカとの関係では議論というか意見の対立があったことはございませんで、それぞれがみずからのイニシアチブでとる措置ということで進めてきたものでございます。
#185
○神崎委員 もう一つ、今度は前向きの議論で総理にお尋ねいたしたいと思うのですけれども、今回の中間報告あるいは最終報告について、これは日米の新しい時代を築くものだ、したがって新しい通商条約としての位置づけをむしろ積極的にすべきではないか、こういう意見もあります。あるいは今回の構造協議の背景に、前のマンスフィールド大使が提唱した日米自由貿易協定、こういういわゆる均質社会、共同市場づくり、それが背景にあるのじゃないか、そういう意見もあります。そしてまた、これを契機に日米自由貿易憲章というものをつくってはどうかという意見、さらにまた今回の構造協議は一つの日米間の経済社会分野の、ある分野の新しい枠組みづくりである、これからいろいろな枠組みづくりが始まるであろう、そういう場合の基本的な一定のスタンスというものをきちんとした、何を根拠にしてどういうふうな枠組みをつくるのか、そういうことをもっと積極的に議論をすべきだ、こういう意見もあるわけでございます。総理はどういうふうにお考えでございますか。
#186
○海部内閣総理大臣 ちょうど昨年私がこの日米構造協議のスタートするころのことを今御質問を聞きながら思い出しておりましたが、日米間の貿易インバランスが急に目立つようになったのはこの数年来のことでして、将来に向かっての新しい枠組みづくりというよりも、むしろこの構造協議自体が始まったときの出発点は、いかにしてこの貿易インバランスが起こってくるのかという原因を突き詰めるとともに、日本の経済が世界の経済にうまく調和していくような体質にするためには、開かれた市場にしていくためにはどうしたらいいだろうかという問題、そこがスタートであったのではないかと私は思います。
 ですから、最初それがスタートしたときには、この問題とこの問題で協定をつくろうとか、この問題とこの問題でやろうということではなくて、とにかく集まって、お互いにアイデアを出し合って、こういったことがある、ああいったことがあるということを限りなく、幅広く、奥深く意見の交換をして、両方が努力をしていこうというのが出発点じゃなかったかと私は覚えております。そして、スーパー三〇一条というものもそのころあって、あれは一方的な制裁を背景にしての交渉ですから、そういったものには応ずることはできない、けれども、日米関係というものは非常に大切な二国間関係であるし、世界の自由経済体制の中でもアメリカと日本だけで四割近い経済力を持つ国同士で、いろいろそういったことのトラブルがあったのではいけませんから、交渉には応じないが話し合いによって日本側もできるだけの努力をしようという態勢に出たのが三〇一条に対する個別品目の交渉であったと私は受けとめておるのであります。
 だから、むしろ後ろを、過去を振り返って、この数年間特に顕著になった日米の貿易のインバランスというものをほっておきますと将来これが大変なことになるといけないというので、その事前にお互いに話し合って、お互いにアイデアを出し合って、お互いに努力し合ってこれを補完をしていくような経済調整行動ができればそれが望ましいことだと思ってスタートしたのではなかろうか。私は今、自分ではそう受けとめておりますので、新たに条約をつくろうという発想じゃなくて、日米の間にはたしか、これは専門家に答えさせますが、通商航海条約というものはあるはずでございますし、また安全保障条約もこの前の改定以後は相互協力並びに安全保障条約とタイトルも変わり、両国の持っておる自由な発想というものを強く強調して、経済発展の協力もして、福祉に対する協力もやっていこうという基本的な条約もあるわけでありますから、そういった背景の中で二国間の重要性を認め、そしてこの二国間関係を危機に追い込まないためにどうしたらいいかという話し合いをしたというところに一番の重点、力点があったと私は受けとめております。
#187
○神崎委員 総理は、今回、この日米構造協議、これで構造協議は終わりだというふうにお考えですか。これからいろいろな分野での新しい日米間の枠組みが始まる、そういうふうにお考えですか。
#188
○海部内閣総理大臣 構造協議と呼ばれる今回のものはこれが終わりではございません。中間報告でありますから最終報告まできちっとまとめていかなければなりませんし、それが一区切りしたからといって、それは今申しましたように、今のレベルでいろいろ条件を話し合い、お互いに示唆し合った問題ですが、世の中は限りなく変化してまいります。従来の参考書や従来の経験だけで割り切れないような新しい変化がいっぱい出てきますから、同時に、構造協議で両方が構造を改めたとしますと、それがいい制度になればなるほどいい制度は世の中を変えていくと思うのです。変わった世の中に、制度はもう変えないよというわけにはいきませんから、新しい要請が出てくれば、また話し合っていかなきゃならぬ問題は次々と出てくるであろうし、また出てくることがこれからの見通しの中にある、私はこう思っております。
#189
○神崎委員 次に、次期の防衛力整備計画について、これはもう簡単に何点か確認をいたしたいと思います。
 国際情報が今大きく変化をいたしているわけでございますけれども、我が国の防衛政策をどうするか、これは大きな課題になってきているわけでございます。安全保障会議、総理が議長を務めていらっしゃるのですけれども、昭和六十三年十二月二十二日に次期防も中期的な計画でいくことに意見の一致を見たというだけで、その後何らこの安全保障会議で、新しい世界的な国際情勢の変化、大激動、これに対してどうこの防衛政策を対応していくのか、変えていくのか、あるいは今までどおりの防衛政策でいくのか、日本の防衛のあり方、これについてその後全く検討はなされていない。なぜこの安全保障会議で今日まで検討をしてこなかったのか、またそういう必要性が全くなかったのか、この検討していない理由を明らかにしていただきたい。
#190
○依田政府委員 安全保障会議の開催等に関する問題でございますので、事務局を預かっております安全保障室長の方から答弁させていただきます。
 平成三年度以降の防衛関係経費のあり方につきましては、閣議決定としましては、先生御承知かと思いますが、六十二年の一月に、中期防終了後の防衛関係費のあり方についてはその終了までに責任持って決定するということが内閣として決まっておりまして、その後、事務的に作業を進めるに当たりましても、少なくとも一年以上、場合によったら二年以上かかるかもしれないということで、竹下総理のときに先生御指摘の六十三年十二月安全保障会議を開きまして、当時の国際情勢その他いろいろ検討しまして、結局先生御指摘の中期防的な計画というものを、やはりこういう防衛の基本政策なんで、政府計画としてやる必要があるんじゃないかという点と、その場合でも五十一年の三木内閣の節度ある防衛力整備に努めるというこの基本方針はぜひ守る必要がある、この二点を確認し合いまして、防衛庁初め各省庁で責任持ってひとつ検討を進めようということで申し合わせまして、現在、一年以上たっておりますが、鋭意研究を進めておるということでございます。
 ただ、安全保障会議につきましては、その時点時点における予算編成におきまして、昨年は一月、九月、十二月と安全保障会議を開催いたしまして、その時点における国際情勢等につきましては関係議員等の意思統一は図っておりますし、また、白書作成に際しましても、昨年九月安全保障会議議員懇談会を開きまして情勢等も含めて検討し、さらに海部総理就任後、ポーランドとかヨーロッパ情勢、相当ハンガリー等の情勢が変化してきましたので、安全保障会議とは別に設けられております総合安全保障関係閣僚会議、これは官房長官主宰でございますが、これも九月に開催し、総理並びに与党の幹部にも出席いただいて、主として東西関係を中心に国際情勢について詰めておるわけでございます。
 また、事務的には私どもの部屋が中心になりまして、おおむね月一回の割でございますが、関係省庁等の関係で審議官の会議等も開催し、また局長レベル等も随時開くということで意思統一を図っておりまして、現在国会でも大変な御議論をいただいている状況でございますので、私どもの研究成果と国会等の御議論を踏まえまして、これから少なくとも来年度の予算編成までには立派な計画をつくり上げたい、こういうことで安全保障会議を開催していきたいと考えておるわけでございます。よろしく。
#191
○神崎委員 もう一度、事実だけ確認しますけれども、六十三年十二月二十二日の安全保障会議以降今日まで、安全保障会議を正式に開いたのはいつですか、もう一度確認します。
#192
○越智委員長 依田内閣安全保障室長。簡明に願います。
#193
○依田政府委員 はい。平成元年一月二十四日、平成元年九月十二日、平成元年十二月二十九日、これが安全保障会議でございます。それから、同じメンバーをもちまして安全保障会議議員懇談会というのがございますが、これは平成元年九月十二日、それから総合安全保障関係閣僚会議、これは平成元年九月十九日でございます。以上五回でございます。
#194
○神崎委員 総理、この安全保障会議で、国際情勢の変化に対応する日本の防衛のあり方、防衛政策のあり方、これについて総理自身議論に参画しているのですか。
#195
○海部内閣総理大臣 私も出席して説明も聞き、いろいろ皆さんで会議をやっております。
#196
○神崎委員 それでは、総理が出席した安全保障会議での結論というのはどういうことですか。
#197
○海部内閣総理大臣 結論というものはそのとき出しておらなかったと私は思います。
#198
○神崎委員 では、国際情勢について総理はどういう認識をお持ちになっていたのですか。
#199
○海部内閣総理大臣 国際情勢については、私はいつも申し上げておりますように、今東西の対立が力による対決から冷戦時代の発想を乗り越えて新しい世界の秩序を模索しておるさなかだと認識しております。一番目立っておるのはヨーロッパだと考えております。そして、そこでの流れの中にいろいろ不透明なものはまだ残っておるけれども、大きくヨーロッパがまとまろうと動いておるということ、これも認識をしております。アジア・太平洋地域の平和と安定も極めて大切なことだ、日本はそのためにいろいろアジアの周辺諸国との間において平和と安定に役立つような努力を積極的に果たしていかなければならない、こう思っております。
#200
○神崎委員 私はシビリアンコントロールという立場から、防衛当局が示したことを追認する安全保障会議ではなくて、安全保障会議で積極的に国際情勢の変化に対応した日本の防衛のあり方、総理が中心になって積極的に議論をして、大綱のあり方についても日本の防衛政策のあり方についても方向性をそこで出すべきじゃないですか。総理、どうですか。
#201
○依田政府委員 安全保障会議の運営につきましては絶えずそういう心組みでやっておりまして、例えば現在いろいろ話題になっております大綱につきましても、当時国防会議におきまして大変に議論がございました。総理、官房副長官として御参画いただいておりますが、大蔵大臣、当時の福田副総理等を初めとして、むしろ国防会議の案というようなことで真剣な議論の未現在の大綱ができたというような状況がございまして、私どもは、次の来るべき平成三年度以降の防衛力のあり方につきましても、こういう精神を持って立派なものをつくっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#202
○海部内閣総理大臣 私は、日本の安全と平和を確保していくためにはどうしなければならないかという視点に立って安全保障の問題を考えております。世界情勢の認識の中で申し上げたように、私は今まだ、冷戦時代の発想を超えて新しい秩序づくりが始まっておると言いましたけれども、これはまだ現在進行形であって、手のひらを返したように全部解決してしまったとか、あるいは完全にこうなったという状況に変化が定着してしまったとは思っておりません。不安定なことや不透明なことがまだありますから、そういったことをいかにして平和と安定に定着させていくかという、その努力をまさに今世界がしておるのではないでしょうか。
 そういうさなかですから、そういったことがヨーロッパで今起こった、そういう冷戦構造から抜け出そうとしておる努力が始まった、だから直ちに日本の安全もここをこう変えたら、ああ変えたらいいというところにまで私自身も結論は先走って行けないわけです。どうしたらいいかということはきちっと見据えて、世界の情勢も見きわめて、アジアにおけるいろいろな戦争の火種が完全に消えるような動きがさらにさらに進んでいく中で日本の安全というものは考えていかなければならぬわけでありますし、何度も申し上げるようでありますが、平和時における節度ある防衛力というものを頭に描いてできておる日本の防衛構想でありますから、有事を前提としたり、対決しておるその第一線に日本も加わっておって、その対決が終わったから減らしていこうということでは発想の次元が全然違うわけでありますので、どうぞ御理解をいただきたいと私は思います。
#203
○神崎委員 防衛庁長官にお尋ねいたします。
 次期の防衛力整備計画ですけれども、八月末には平成三年度予算案の概算要求が行われることになっておりますけれども、それまでに策定されることになるのか、あるいは骨格だけは示すということになるのか。さらにまた、米軍の海外からの撤退計画が明らかにされるなど米国の防衛政策の変化もうかがえるわけでありますけれども、防衛庁長官として、次期防の策定に当たって米国政府と協議あるいは意見の調整を行うことを考えているのかどうか、あわせて答弁していただきたい。
#204
○日吉政府委員 ただいまも安保室長の方からお話がございましたように、次期防そのものは安全保障会議で決められ、その議を経まして閣議決定をされるというのが従来の手続でございまして、そういうようなことで決められると思いますが、現在のところは、それぞれの関係省庁におきまして事務的に検討がなされているという状況でございますので、事務当局の方から御説明をさしていただきたいと思います。
 安全保障会議のメンバーの一省庁でございます防衛庁としましては、遅くとも計画の初年度となる平成三年度の予算編成の段階までには策定される必要があると考えております。そのためには、今委員御指摘のように、来年度の概算要求までに間に合いますれば非常に望ましいわけでございますけれども、累次御議論いただいておりますように、国際情勢、極めて流動的でございますので、そういう情勢等も十分に見きわめながら策定をする必要があろうと思いますので、いずれにいたしましても、今後関係省庁等において議論を進めた上、安全保障会議を中心としまして政府全体でお決めをいただきたいと考えております。いずれにいたしましても、遅くとも初年度の平成三年度の予算編成には間に合うようにしていただかないといけないと考えております。
 なお、米国との関係でございますけれども、我が国は米国との間に安全保障条約を締結いたしておりますので、米国との関係は非常に重要ではございます。しかしながら、我が国の防衛力整備計画及び防衛政策は、あくまでも我が国が自主的に判断すべきことでございますので、米側と協議をするというようなことではありませんで、やはり米側がどのような期待を持っているか、あるいは米側がどのような考え方があるかということは、私たちは十分理解をし、その上に立って判断をする必要があろうかと思いますが、米側と協議をするというようなことは考えておりません。
#205
○神崎委員 そういたしますと――まあ、いいでしょう、そういう言葉なら。
 最後に、骨髄バンクについてお尋ねをいたします。
 実は、これは総理、厚生大臣にお尋ねいたしたいと思いますけれども、我が国には原因も不明で治療法もない難病で苦しんでおられる方が大勢いらっしゃることは、総理も厚生大臣も御承知のことと思います。そのような難病の中に、血液の病気であります白血病や重症再生不良性貧血等の血液疾患がございます。これらの血液疾患には治療法がないわけではありませんけれども、現在行われている治療法は、化学療法のほかに、血縁者や非血縁者の健全な骨髄をいただきまして、それを患者に移植するという骨髄移植という治療法があるわけでございます。いまだ完璧な治療法ではございませんが、五〇%程度の治癒率があり、すべての治療法が閉ざされている患者にとっては大きな支えと希望となっているものでございます。幸いにも自分の身内のHLA適合者、組織適合性ですね、この適合者がおりますと骨髄移植も可能でありますけれども、なかなかこのHLA適合者は、兄弟でも四人に一人しかいない、非血縁者では五百人に一人あるいは一万人に一人しかいないというふうに言われておりまして、この血縁者から適合者が見つからない患者の場合、非血縁者からの適合者、まあドナーと言いますけれども、このドナー探しを必死になってやっておられるわけでございます。中にはすべての家、財産を売り払い、それでもドナーが見つからないという方々もいらっしゃいます。それでも何とか助かりたい、助けたい、こういう一念で患者、家族の方々は半分徒労に近いようなドナー探しをやっておられる。そういうドナー探しをする公的制度が現実には今ないわけでございます。そういう状況が続いてきたことは厚生大臣もよく御存じだと思います。患者、家族の方々が、そのことを打開するために骨髄提供者の登録組織でございます骨髄バンクづくりを大変な犠牲を払いながらやってこられたわけでございます。
 本来ならば、これは私は、厚生省なり国が率先してやらなければならない責務があると思うわけでございますけれども、そうした中で去る四月二十五日に厚生省が専門家に依頼しておりました骨髄移植に関する研究についての報告書が出されました。それによりますと、骨髄移植は現在考えられる最善の治療法である。第三者からの骨髄移植は幾つかの問題もあるが、他にかわる方法がないため、第三者からの骨髄移植はやむを得ない方法である。いわゆる骨髄バンクは、移植医療機関から独立し、公平性及び公共性が担保された広域的な組織により推進されるべきである。骨髄バンクの設立及び運営に関しては公的な何らかの関与が必要と考えられるが、その程度については今後の検討課題として残された。このように結論づけているわけでございます。
 実際この白血病にかかった方のいろいろな症状等を見ますと、家族も御本人も本当に気の毒でたまらないわけでございます。これもまた神奈川県に住むある青年の例でございますけれども、新婚十カ月のときに白血病と診断されて、伴侶の深い理解と愛に支えられてきたけれども、だんだん病状が悪化する、骨髄移植をすれば助かるかもしれない、それで御夫婦が高いHLA検査費用、これは一人三万円ぐらいかかる、百五十人ぐらいの友人に血液検査を依頼した。ところが一つも適合しない。しかし骨髄バンクがない今、生きたいと思えばむだと思えるようなこともしなければいかぬ。幾ら検査をしても後に残るのは空っぽの預金通帳と自分とは合わなかったHLAの山だった。そういうふうにこの本人は言いながら一生懸命提供者を探そうとしたのですけれども、結局見つからずに本年一月、この青年は一年の入院生活後に亡くなられたわけでございます。それが現実でございます。そういうような悲惨な結果が数多くあるわけでございます。
 ぜひ、こういう報告書も出されたことでございますし、厚生大臣も、この結論に従いまして公的バンクをつくることを決断をしていただきたい。いかがでしょうか。
#206
○津島国務大臣 委員御指摘の骨髄バンクは、再発白血病、重症再生不良性貧血等につきましては、現在長期生存を期待し得る最善の治療法であるという報告書が出ておるわけでございますが、御指摘のとおり、適合する骨髄を提供するということは非常にたくさんの方の御協力を得なければならない、今御指摘のとおりでございます。それからまた、提供者の方に現在の方法ではリスクがかなりございます。そういう問題を背景といたしまして、今委員が言及されました報告書を先月出してくれたわけでございますが、これでは骨髄バンクの組織のあり方及び骨髄バンクに関する公的な機関の関与のあり方についてさらに検討を進めてほしい、こういうことが求められているわけでございます。
 厚生省としては、これを受けまして、今後各界の有識者を集めて研究班を組織をし、積極的に検討いたしたいと思います。そして早急に結論を出したいと思います。骨髄移植につきましては、こういう結論を出す必要がございますとともに、なお提供者側のリスクがより少ない方法を医学的に早く発見したいということで、研究の方も引き続き一生懸命進めてまいりたいと思っております。
#207
○神崎委員 総理にお尋ねいたしますけれども、外国には公的骨髄バンクがあるのですね。ところが日本には全くないわけでございます。ところが、総理の地元の愛知県で、日本で初めて民間の骨髄バンクができたわけでございます、東海骨髄バンクというのですね。さすがにやはり総理の地元だと思うのです。総理のこういう問題についての深い御理解また御認識があるんだろうと思うのですけれども、総理どうですか、もう決断を――総理もこの問題についてどういうふうにお考えなさっておりますか。
#208
○海部内閣総理大臣 骨髄バンクのあり方につきましては、組織、公的機関の関与のあり方等につき、今後各界の有識者を集めた研究班により検討を進め、早急に結論を出すこととしております。
 なお、提供者側のリスクを伴わない骨髄移植の方法等につきましても研究を引き続いて進めていかなければならないと思っております。
#209
○神崎委員 厚生大臣、この公的骨髄バンク、一体いつごろまでに設置するお考えなのか。朗報を待っておられる患者、家族のためにもぜひ時期を明確にしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#210
○津島国務大臣 専門的なことでございますから、私から明確な時期を申し上げられないのは残念でございますが、委員が御期待されて、まあまあと言っていただける範囲内で結論を出したいと思っています。
#211
○神崎委員 もうできるだけ早期に実現をしていただきたいと思います。
 それからもう一つ、現在、骨髄移植を行う場合に患者、家族は大変な犠牲と負担を払っているわけでございます。中には何千万円も使い果たした、そういう家族もいらっしゃるわけでございます。国として何らかの補助を出すべきではないか。特に、HLAの検査料が二万円から五万円ぐらいかかるわけでございますけれども、全額公的な負担にすべきではないか。健康保険の適用を認めるとかいろいろな考え方がありますけれども、全額公的な負担を考えるべきだと思いますけれども、この点いかがですか。
#212
○長谷川政府委員 ただいま先生のお尋ねは、いわゆるドナーの側のHLAの検査費用の問題であろうかと思うわけでございますが、このドナーにかかわります検査費用の問題につきましては、骨髄バンクに関しますいろいろな検討事項とあわせまして、大臣からただいま御答弁いただきました各界の有識者を集めた研究班により検討を行うことといたしております。私どもといたしましては、この研究班の検討の結果を待って適正に対処してまいりたいというぐあいに考えております。
#213
○神崎委員 最後に、総理、この問題全般についてどうですか、今の点を含めて一言。
#214
○海部内閣総理大臣 骨髄バンクに関する御質問については、先ほど私は考え方を御説明申し上げたとおりでございまして、あのとおりの気持ちでやっていきたいと思います。
#215
○神崎委員 早期に公的バンクが実現できますように、総理からもよろしく御尽力のほどをお願いいたします。
 終わります。
#216
○越智委員長 これにて神崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、三浦久君。
#217
○三浦委員 海部総理にお尋ねをいたしたいと思います。
 日本は世界一の援助大国になりましたですね。しかし、この日本の政府開発援助、いわゆるODAについては、日本の国内また国際的にもさまざまな批判があるということは総理大臣も御承知のとおりだと思います。
 ここにジュニア朝日年鑑、これは小学生、中学生向きのものです。「一九九〇社会統計」という本なんですけれども、これの十六ページに「世界のなかの日本」というところがあるのです。そこに「”援助大国”日本の評判」というのが載っております。これを見ますと、日本は、「八九年にはアメリカを抜き、援助の額で世界一になるとみられている。しかし”援助大国”になっても、世界の評判はあまり良くない。」そして、「無償援助が全体に占める割合は六〇・七%と、DAC諸国の中でいちばん低く、お金を貸して利子をとる有償援助が多い。援助の中身についても、贈ったバスが交換部品がなくて走れなくなったり、最新式の設備が電力不足で使えないなど、「受けとる国の実情を考えない援助が多い」と国内でも批判されている。経済大国として、援助の量、質ともに改善する努力が、まだまだ必要だ。」そういうふうに書かれているのですね。これは小学校、中学校の生徒向きの本です。
 総理はこの連休中に南西アジア諸国を歴訪されましたですね。そこであちらこちらの国に多額の援助をお約束になってこられたと思いますけれども、今のこの本の記事をごらんになって、どういうようにお感じでございましょうか。
#218
○海部内閣総理大臣 私は、各国が日本のそういうODAに関する協力を非常に高く評価をして、引き続いてこれも頼む、あれも頼むという要望が非常に出てくるわけです。その要望については、具体的に検討をさせてもらいますとか、あるいは調査班を派遣して、本当にそれがどういうものなのかということもよく調査をしてから御返事しますという返事をしたり、あるいはもう調査が済んだり、きちっとなっておるものについては、相手国の御要望を聞いて、前年並みの御援助をしますとか、あるいは自分の国がだんだん離陸状況に近づいてきたところは、相手国からの要請も量においては下がってくるところもあるわけですから、それはそれなりにお話をするとか、国によって一律ではございませんでした。皆違っておりましたけれども、ODAについては非常に期待をされておるといいますか、あるいは日本がアジアの中でそれだけ力を持った経済の大きな国になったんだから責任を果たしてもっと援助しろ、そういう要望が非常に強かったということを私は肌で感じて帰ってきたわけです。
 そこに、今お読みになったところに出ておるようなことも、たくさんの援助の中には確かにあったかもしれません。私はそれは全く否定するものじゃありませんけれども、それよりもすばらしく喜んでもらって感謝されている面も随分たくさんあったということ、特にアジア地域に行っておる日本青年海外協力隊が入っておる地域なんかに行きますと、非常に喜ばれて、中には請われて酋長になっちゃった人もおれば、住民と溶け込んでこの国の援助だけじゃなくてもっとほかのことまで全部やってくれと言われてすごく喜ばれておる人、現にたくさんお目にかかって激励してきましたから、いい面も非常にたくさんあるということもあわせてここでは申し上げさせていただいておきます。
#219
○三浦委員 総理、そうおっしゃいますけれども、この小中学生向きの本で「受けとる国の実情を考えない援助が多い」というふうに書かれているということは、そのことはやはり日本の国の援助というものが人道的な立場に立った援助に主眼があるのではなくて、日本の企業利益を優先させているというそういうことがもう世界の常識化している、そういうことを示しているものだと私は思うのです。政府は、今総理も青年海外協力隊の問題をおっしゃいましたね、それからまた難民救済とかまた災害救助、そういう援助の光の部分というものを前面に押し出して宣伝をされているわけですよ。しかし、これはやはり援助の一側面にしかすぎない、私はそう思うのです。日本の援助には光の部分と影の部分とが存在をしているのです。私も、総理が言うように、日本の開発援助が他国の国民を苦しめてばかりおる、そんなことはもちろん言っておりませんですよ。発展途上国の人々の生活水準の向上に役立っている部分のあることを私は否定はいたしません。しかし、日本の援助では影の部分が大きな部分を占めているんだということが多くの識者によって指摘をされているということもこれまた事実であります。
 特に最近は、政府開発援助によって相手国の環境破壊を引き起こしているということ、このことは地球環境の保全という問題とも関連して大きな問題になっているわけですね。ですから、この開発援助に当たっては厳格に環境アセスメント、これを実施する必要があると私は考えています。
 総理でも外務大臣でも結構でありますけれども、私はここに政府からいただいた資料がございますが、「環境配慮のためのOECFガイドライン」いわゆるOECFが作成した小冊子です。これがございます。これを見ますと、いろいろなプロジェクトごとに環境アセスメントのチェックポイントが書いてあるのですけれども、水力発電をやるためにダムをつくりますね。ダムをつくった場合には、いわゆる自然環境とか公害とかそういうものだけではなくて、水没によって移転を余儀なくされる人々、そういう人々についての社会的な環境、こういうものについても十分な配慮をしなげればならないということが書かれてあるんですね。ですから、開発援助に当たっては、やはりそういう環境アセスメントというものを厳格に行う必要があるんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#220
○中山国務大臣 今委員御指摘のように、援助を行う場合に、相手国の環境破壊について日本は十分な調査あるいは勧告をすることが必要ではないかという御意見は、私もそのとおりだと思います。
 また、政府は援助に当たりましては、環境破壊を未然に防止するような注意も相手側にいたしておるということも申し上げておきたいと思います。
#221
○三浦委員 結局、開発に伴う環境保全という問題は、その援助受け入れ国だけの問題ではないということですね。やはり援助をする側の責任でもあるということだと思うのですね。
 そこで、私お尋ねしたいのですが、インドのナルマダ渓谷ダム建設計画についての問題であります。
 この計画は、ナルマダ川に今後四十年から五十年かけて三十の大規模ダム、百三十五の中規模ダム、さらに三千以上の小規模ダムを建設して五十万ヘクタールのかんがいを行う、二千七百メガワットの発電を行うという、総事業費が百三十億ドルにも及ぶ巨大なプロジェクトであります。このナルマダ川は、インド中央のアマルカンタク高原に発して、西方に向かって流れてアラビア海に注ぎますけれども、その全長は千三百十二キロメートルございます。その流域には約二千万人が住んでおるわけです。このプロジェクトが完成をいたしますと、三十五万ヘクタールの森林と二十万ヘクタールの農地が水没をいたします。百万人以上の人々が強制移住の対象になると推定をされております。日本で言えば海部総理の選挙区のある愛知県がすっぽり水没してしまうという、それほどの大きなプロジェクトなんですね。
 このプロジェクトの中で最も重要なダム建設というのは、サルダル・サロバル・ダムとナルマダ・サガール・ダム、この二つであります。サルダル・サロバル・ダム建設、これからSSPというふうに呼びましょう。このSSPはもう既に着工をされております。このSSPは、河口に近いグジャラート州のブハルチ地区に建設をし、約百八十万ヘクタールの土地をかんがいします。そして、千四百五十メガワットの電力を得ることを目的としているわけですね。しかし、そのために農地が二万ヘクタール水没します。森林は一万五千ヘクタール水没をいたします。そして、二百四十五の村落が水没をして、NGOの調査では十万人、世銀の調査でも約七万人が水没対象地域に住んでいて、強制立ち退きを余儀なくされるというふうになっているんです。このSSPに、世銀は一九八五年の五月に四億五千万ドルの融資を決定し、日本は協調融資として同年六月に二十八億五千万円の融資を決定していると思いますけれども、いかがでしょうか。
#222
○木幡政府委員 日本が世銀との協調の形で二十八億五千万円の援助を約束したという点は、ただいまの御指摘のとおりでございます。
 ただ、一言事実関係を私の方から御説明申し上げたいと存じますが、世銀の報告書によりますと、この水力発電計画によって裨益する人たちは一千万人に及ぶ、それによって移動等の対象となる人たちは七万人弱ということになっておりまして、その辺のところは、世銀のこのリポートに基づきましてインド政府がきちんとやるということを確認いたしましたのを私ども踏まえまして、その一部についての援助をお約束した次第でございます。
#223
○三浦委員 そうすると、この協調融資はSSPのうちの揚水発電ユニットに対する円借款要請に対して行われたものであり、その金額の約一〇%、そういうふうに考えていいですか。
#224
○木幡政府委員 私ども約束した文章では、二十八億五千万円という数字で約束をいたしておるところでございます。
#225
○三浦委員 余りやりとりしていると時間がなくなりますから、先に進みます。答えてないですね。
 この協調融資が呼び水になりまして、住友商事が揚水発電ユニットを二百九十億円で受注したということは事実ですね。
#226
○木幡政府委員 私どもが承知しておりますのは、円借款の対象となった借款についての部分だけでございまして、ただいま呼び水になって受注した分については、私ども承知いたしていない次第でございます。(三浦委員「二百九十億円は」と呼ぶ)二百九十億円という数字は、私ども円借款の関係においては出てこない数字でございます。
#227
○三浦委員 いえいえ、そうじゃなくて、住友商事がこのユニットを二百九十億円で受注したということは知らないんですか。
#228
○木幡政府委員 金額、私どもの協調融資として援助の約束をいたしましたのは二十六億円でございますから、先生のただいまおっしゃる数字は私どもともちょっと別な数字になるわけでございまして、その辺は私どもつまびらかにいたしておりません。
#229
○三浦委員 そんな答弁ないですよ。それは二百九十億円で住友商事が落札をしたということははっきりしていることじゃないですか。あなたたち、そんな情報も知らないんですか。冗談じゃないですよ、あなた。そんなだれも否認できないようなことを何であなた答弁をしないんですか。
 それではお尋ねしますけれども、当然、先ほど言ったような、先ほど大臣が答弁なさったような環境アセスメントというものを私は厳格に行ったと思うのですけれどもね。ですから、まあいろいろな面でのアセスメントがありますけれども、私はいわゆる強制移住の対象者になった住民の問題に絞って伺いますけれども、どのような環境調査を行ったのか。例えば住民に対して移転先の確保をどういうふうにするというふうに判断したのか、また移転先でのそれらの住民の生活水準は以前と同じように維持をされているのかどうかですね、そういう点についてはどういう結論に達したのですか。
#230
○木幡政府委員 本件プロジェクトの決定に当たりましては、政府としましてはインド側より提出がございました各種の詳細な資料、さらには世銀からも別途入手した資料を十分精査の上、政府調査団あるいは経済協力基金、OECF審査ミッションを派遣しまして、十分資金計画、事業実施体制等を検討するとともに、インド政府側より説明を求めた次第でございます。さらにまた、現地の調査を行うことによりまして環境、移住問題に対する対策も含め実施計画の詳細につき調査を行ったところでございます。
 なお、本件計画に係る住民の移転問題、環境問題等の問題につきましては、当然のことではございますが一義的にはインド政府の責任においてなされるものでございますが、我が国政府としましても、本件計画の住民に与える影響等をよく考慮いたしまして、種々の先ほど申し上げたような実地調査まで含めて調査をしたということでございます。
#231
○三浦委員 そうすると、世銀と同じようにこの移住問題についても調査をしたと言うんですか、どうですか。そんなことうそでしょう、あなた。
#232
○木幡政府委員 世銀の資料等も踏まえましてインド政府側と十分相談をし、また実地調査を行いましたが、それが世銀と同じようなという程度の問題になりますと、それはまたいろいろ見方もあろうかと存じますが、私どもとしてできる限りの調査をした次第でございます。
#233
○三浦委員 あなた、四月の十七日参議院の外務委員会で、世銀とインド側との間で移転を含めて適切な配慮をするということが合意されていたので、その点を確認した上で協力するという決定をした、こういうふうに述べているんですよね。ですから、要するに世銀というのはいわゆる環境アセスメントについては一九七〇年からもうずっとやっているわけ。機構にしても、またマニュアルとかガイドラインにしても、もうOECFとは比較にならない膨大なスタッフを持っているんですよ。そういう世銀が調べたわけでしょう。ですから、あなたの方で独自に何か調べたなんてことはないはずだ。要するに、インド側と世銀との間の合意事項、そういうものを確認してそれでこの借款を行うということを決定した、これが事実じゃないんですか、どうなんですか。
#234
○木幡政府委員 私どもとしまして、もとより世銀の調査リポートについては、これまでも世銀の調査、立派な調査をやっておりますので、十分それを参考にさしていただきまして、先ほど申し上げましたように、インド政府とも十分相談し、インド政府との間で話をした上でさらに現地調査等も行って、念には念を入れてやったというつもりでございます。
#235
○三浦委員 そうすると、独自の調査を移住問題についてした、こうおっしゃるわけですから、じゃ、もうちょっと深くお聞きしましょう。
 この移住者たちは、大多数が少数民族なんですね。先住民族なんです。サルダル・サロバル・ダムの場合は、立ち退き対象者の五一%がインド憲法の上で特別の保護措置が講ぜられるべきことが定められている指定部族であります。それに指定カースト、これはもう皆さん御承知のとおり不可触賤民と言われている人々ですね、こういう人々が九%おるんです。ですから、これらを加えますと六〇%の少数民族を含む貧困者層が強制移住の対象となっているわけです。
 ところが、インドというのは人口密度が非常に高いでしょう。国土は広いけれども人口も多いんですから、非常に人口密度は高いですよ。ですから、これだけ大量の立ち退き対象者の移住先を確保するということは極めて困難なんです。ですから、世銀が融資を決定してもう五年たちますでしょう。五年たって移住したのはどのぐらいおりますか。
 じゃ、あなたたちが円借款をやる場合に環境アセスメントをしたと言うのであればお聞きをしますけれども、こういういわゆる少数民族であるとかまた先住民族、こういう人々は個別に一人ずつが立ち退きはしないんです。そうでしょう。村落ごとまとまってじゃないと移住しないんですよ。ですから、計算してみますと、大体百名から五百名ぐらいの部落なんです。それが部落ごと移住していかなければいけないのです。そうして、大体土地には土地を与えるという方針でしょう。ですから、一世帯当たり二ヘクタールほどを目当てにして配分するようになっているでしょう。
 そうすると、外務省にお尋ねしますけれども、いわゆる百人とか二百人とか五百人とか、そういうような部落が移転をする、どこに移転をするというような計画をきちんとつかんだのですか。そういうことはやっていないんじゃないですか。そしてまた、そういう、ただ計画がインド政府側に仮にあったとしても、その部落の人々が合意をしなければ、それは計画は実行できないわけですからね。ですから、どこまであなたたちが調査をしたのか、教えてください。
#236
○木幡政府委員 私ども調査しました点については、細かい点にここで立ち入る余裕はないのでございますが、先ほどちょっと申し上げましたとおり、世銀のつくりましたリポートを踏まえて、こういう移転の問題が生ずる、それに対してはインド政府側が責任を持ってやるということを確約してくれたわけでございます。その上で、現場を我が方としては見さしてもらい、我が方としてさらに気をつけなければいけない点等があらば先方には申し述べるということでやったわけでございまして、一義的には、やはりインド政府側がきちんとそこの点を踏まえて、住民側との話し合いを私どもやるわけにはまいりませんので、主体はインド政府側でございます。その辺のところをやはり踏まえてやった、そういうことでございます。
#237
○三浦委員 じゃ、そのインド側の、インド政府の世銀に対する約束というのは今実行されているんですか。
#238
○木幡政府委員 現時点におきましては、現実の移転の問題はさらにまた時間をかけて一、二年後に着手してその辺が進められているというふうに私どもは承知しておりますが、現時点において、したがつて今先生がおっしゃったような移住の問題、それについてやったということにはなっておりませんが、今後の問題としてその辺は先方政府がきちんとやる、こういうことを言っているわけでございます。
#239
○三浦委員 インド政府がやるとそう言っただけで、それで環境アセスメントを厳格に実施したということになるのですか。そんなものあなた、環境アセスメントやったことになりませんよ。それはインド側の問題だと言うけれども、しかし、金を貸すのは我々日本じゃないですか。ですから、金を貸す場合に、やはりそういう移住の問題が円満に解決できる可能性があるのかどうか、そういうことをきちんと見きわめた上で金を貸さなければいかぬでしょう。それは当然のことじゃないですか。十万人、今世銀でも七万人弱と言われましたけれども、そういう人々の移転先がまだ何にも決まっていない、そういう状況の中で円借款をやり、ダムの建設がもう着工されている。そして今住民からはもう毎日のように大反対運動が起こっていますよ。何千人、何万人規模のそういう反対運動がもう次から次へと起こっているというのが現状じゃありませんか。七万人にも及ぶ人々の生活権を侵害する、そういうようなプロジェクトが立派なプロジェクトですか。こういうプロジェクトをやるに当たって、やはり厳格に環境アセスメントを行って、そうして援助をするかどうかを決定するというのが今の日本の国の政府の態度であるべきなのではないでしょうか。
 外務大臣、あなたは先ほど同僚議員の質問に対して、国民に理解されるような開発援助を行わなければならないと言いましたね。そうすると、いわゆる眼底辺の人々ですよ、そういう人々が七万人も追い出される、水没されると追い出される。まだ行き道がないんですよ。行き道がないんですよ。移転先がないんですよ、まだ。それなのにダムサイトを今どんどんどんどん建設している。それで、それに対して日本が援助をするというようなことは慎むべきじゃないか。どうお考えでしょうか。
#240
○中山国務大臣 いわゆる援助につきましては相手国の政府を信用するということが基本でございまして、そういう信頼関係のない援助は実際はできないわけであります。相手国政府からの要請によって世銀と協調融資をしておるわけでございますから、私どもはインド政府を信頼する。外交を展開して、相互に大使を交換し、お互いが相手国の主権を尊重している国家としては、相手国の立場というものを信頼してこのことをやっているということが原点だろうと私は考えております。
#241
○三浦委員 相手の国を信用すると一般的に言いますけれども、しかし、これは、あなたたち日本の政府に約束したことが五年たっても実行されていないのですよ、移住計画を立ててないんだから。それでもまだ信用するんですか。
 私が言うのは、もう時間がありませんからもうやめなければいけないのですけれどもね。本当はもっと詳しくやりたいのですけれども、また次の機会にします。
 いいですか。追加融資が要請される可能性が非常に強いのですね。なぜならば、さっき言いましたようにいわゆる揚水発電ユニットに対する援助なんですね。援助なんです。その一部分なんです。ですから、追加援助要請が来る可能性があるのですよ。そういう場合に大臣はどういうように判断をなさいますか。やっぱりインド政府を信用されるのですか。五年間たってもまだ、日本の政府や世銀に対して約束をした、そういう約束が実行されていないのですよ。実行されていないのに追加融資をなさるのですか。私はこれは極めて慎重にやらなければならない、そしてその結果、私はそれは拒否すべきだというふうに思うのですが、大臣の御所見をお尋ねいたしたいと思います。
#242
○中山国務大臣 追加融資をいたす場合におきましては、本件案件の進展状況を政府としては慎重に調査の上判断をいたすというのが基本的な立場でございます。
#243
○三浦委員 時間がないからやめます。
#244
○越智委員長 これにて三浦君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#245
○中野委員 先ほど加藤委員からも御質問がございましたが、まず私は、国の基本政策であります外交、防衛、エネルギー、三つの問題に絡まりますプルトニウムの海上輸送問題についてお伺いいたしたいと思います。
 日本のエネルギー確保の上で総電力の約三〇%を占めます原子力発電は、重要な欠かすことのできない存在であります。その意味で、プルトニウムの海上輸送の安全は、日本のエネルギー確保にとって死活的課題と言えるわけであります。しかし、あわせまして、先ほど来その護衛の問題が出ているわけでありますけれども、これは単に日本のためということだけではなくて、国際社会に万一の不安を与えないという意味での平和と安全の問題に関係することでございます。そういう意味で、私どもはこの護衛問題につきましてはぜひとも慎重で、そして万全の体制を組むという姿勢が我が国にとっては国際的使命でもあるというふうに考えるわけでございます。
 しかるに先般来、先ほども触れられましたけれども、幾つかの報道で、その後アメリカの方から日米原子力協定に絡みまして、現在日本で考えられている護衛方法については不十分だという意思が伝えられた等々の報道がなされ始めました。私どもは重ねて政府にお伺いをしたいわけでありますけれども、これらについて米国及びフランス等の国々、とりわけ日米原子力協定に基づく日本の義務を果たすことについて、現在考えられております海上保安庁の巡視船で護衛するとの方針を既にアメリカ側から了解をとっている、合意ができている、その上に立って現在の巡視船の建造等が進められている、こういうふうに考えていいのかどうか、私は改めて確認をいたしておきたいと思います。
 念のために申し上げますが、この問題は遠からず明確になるわけでありますから、きょうの答弁はその遠からず、真実であったかどうかも含めて、言うならば明らかになるわけでありますから、そういう意味で、単に事務的折衝の過程ではなくて、政治責任を持つという意味で総理からお答えをいただきたいわけであります。
#246
○太田政府委員 お答え申し上げます。
 プルトニウムの輸送の護衛の問題に関しましては、日米原子力協定の実施取極におきまして、「輸送船は、出発から到着まで、武装護衛船によって護衛される。」という規定がございまして、この武装護衛船が何を意味するかということに関しまして、日米間で取り交わされましたサイドレターによりまして、この武装護衛船は海上保安、沿岸警備の船舶あるいは公務についているその他の船舶という解釈がなされております。したがいまして、海上保安庁の巡視船をもってプルトニウムの輸送の護衛に当たるということに関して日米間で合意が成立しているということでございます。
#247
○中野委員 武装護衛船、海上保安庁の巡視船で護衛することについて日米間で合意に達している、こういうふうに答弁をされたというふうに思うのでありますが、実は先ほど指摘がありました報道のほかに、政府部内で既に、米国側からの懸念の意思表示があったという前提で、代替案として巡視船以外に自衛艦も護衛任務に加えるとか、巡視船を逆に運搬船とし、護衛は自衛隊が担当するとかの案が検討されているというふうな報道も一部なされているわけでありまして、かなりこれは具体的に突っ込んだ報道がなされているわけであります。こうなりますと、十二月十九日の閣議決定も改め、また、日米間の合意については不十分であった、極めてあいまいであった、十分な確認がされていなかったということになってしまうわけでありますが、その心配はないのかどうか、改めてお伺いをいたします。
#248
○太田政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のような趣旨の報道がなされているということは我々も承知いたしておりますけれども、米国あるいはフランスの方から、日本政府の方針としております海上保安庁の巡視船による護衛に関しては合意できないというような通報があったということは、そういう事実はございません。したがいまして、政府の部内で自衛艦を護衛船として充てるという検討が行われているという事実もございません。
#249
○中野委員 ただいまの答弁が後になって覆されるというふうなことがあっては大変であります。また、あわせまして、しかしそういう危惧の念があることが報道されるということにつきましては、国際慣例的に見てやはり懸念する向きがそれだけある。また、今日までの護衛の実態、例えば米国やフランスがやった前回の輸送の際の護衛の実態等とも絡み合わせ、また護衛の国際的な常識に照らし合わせても不十分ではないかという指摘が、やはりかなりの識者から指摘をされているという実態も踏まえますときに、私どもとしては、これは単に日本のエネルギー問題だけではなくて、国際社会、平和と安全を守るということについての国際社会への日本の責務であるということからも考え合わせますと、私どもとしては積極的な護衛方法をなお一層検討をするということも必要なのではないかというふうに思うわけでありますが、これはまさに政治問題でありますから、総理からお答えをいただきたいわけであります。
    〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
#250
○海部内閣総理大臣 海上保安庁の巡視船を護衛船として使用することについて、米側より同意できない旨の通告があったとの報道があることは承知しておりますが、そのようなことは事実無根であり、このような通告がなされたことはありません。また、現在政府部内で自衛艦を護衛に充てることを検討している旨の報道があることも承知しておりますが、事実はなく、自衛艦による護衛は検討しておりません。
#251
○中野委員 これまた総理が明確にお答えになられたわけでありますから、その今日までの経緯についての事実につきましては総理の御答弁を信じ、なおしかし、将来にわたって国際社会に日本が果たすべき役割をきちっと果たし得る体制を整えることにつきましての要望も申し上げておきたいと思う次第であります。
 さて次に、消費税の問題についてお伺いをいたします。
 まず、政府の今回の見直し案につきまして、税の理念からしてもどうも墜落型ではないかという指摘もございまして、なかなか私どもとしては客認できないわけであります。
 海部総理も先般、我が党の米沢書記長の本委員会における質問の際に、第三の道が望ましい、これはもう少し詳しく申しますと、見直しか廃止か、どちらがいいというだけでなく、第三のこういうものがいいという案を出してもらうのが望ましいということで、与野党協議等につきましての積極的な発言をされた、こう思うわけであります。で、一応本日の与野党国対委員長会談で、税制問題につきましての特別委員会の設置が合意をされておりますから、そこで見直し案や、また野党が、私どもが出さしていただいております廃止関連法案等々論議をされることになるわけでありますけれども、しかしながら、たびたび私どもがいろんな機会に申し上げておりますように、現在の各党のスタンスから考えますと最終的にはその両案ともが廃案になってしまう、もしくは否決されてしまうという運命をたどることが目に見えているわけであります。
 私どもとしては、委員会における論議とともに、やはり両方が突っ張り合うという形ではなくて、でき得る限り早く与野党が何らかの形で協議をし、そしてその第三の道を模索する、このことはむしろ国民に対して誠実に政治の役割を果たそうと思えばその道を、第三の道を歩むための努力をするということは現段階において私は必要なことであろうというふうに思うわけでございまして、このことにつきまして総理はいかがお考えでございましょうか。
#252
○海部内閣総理大臣 第三の道が望ましいと国会で私が申し上げたことはございません。それは正確に、事前に御通告もいただきましたので、私も調べ直してみたんですが、私の方、政府としては、政府の見直し案がこれが現段階で考えられるぎりぎりの見直し案であるというので御提出しておりますから、見直し案を認めていただいて、それによって各党が御理解をいただき、定着していくのが一番願わしいわけであります。
 けれども、米沢委員がそのとき御質問の中で、そうは言っても我々は廃止案を出しておるではないかといろいろおっしゃいました。そこで私は、どちらがいいかだけの幅の狭いことではいけないともしおっしゃるとすれば、さらに第三のこういう案もあるんだよというものを米沢議員の方からお示しいただいて、要するに自民党の見直し案と社会党が今主張される廃止案、野党の皆さんそれに今乗っていらっしゃるわけですけれども、どっちがいいかだけでは幅が狭いというならば第三の案もお出しいただくといいということを、私は正確に申し上げておるわけでありまして……(発言する者あり)
#253
○佐藤(信)委員長代理 御静粛に。
#254
○海部内閣総理大臣 第三の道がいい、第三の道を選べと、今出しておる見直し案が悪いんだというようなことは毛頭考えておりませんし、今の見直し案が一番いいと思っておりますので、私はそのような率直な気持ちをお尋ねにお答えをしたんだということでございますので、見直し案が私ども政府としては定着させていただきたい最善の道である、こう考えておりますので、どうぞお願いをいたします。
#255
○中野委員 後ろの方からも随分騒がれましたが、総理の今御答弁の中で、社会党が出して我々が同調しているような御答弁は、これは明らかに間違いでございまして、これは四党共同提案でございまして、私もその発議者の一人でありますから、御訂正をいただきたい。
#256
○海部内閣総理大臣 そのように訂正をさせていただきます。どうも済みません。
#257
○中野委員 いずれにいたしましても、政府の立場として総理が、現在政府が出している見直し法案を最善のものと思っている、それはお立場上そうおっしゃることはわかります。しかし、現在の国会の勢力分野から申し上げ、また衆参両院のねじれ現象等、そしてそれに加えて各党のスタンスから考えて、実際上は、政府がそうおっしゃられましても、結果的には突っ張り合ったままになって、結局廃止、見直し両案がつぶれますと現行消費税はそのまま残ってしまう。それは、言うならば野党の意思にも沿いませんし、政府の意思にも沿いませんし、ましてや国民の意思にはなお沿わないわけであります。ゆえに望むと望まざるとにかかわらず、私どもが国民の皆さんに対して義務を果たそうとすれば、第三の道をいやが応でも最終的にはたどらざるを得ないという宿命があると考えるわけであります。
 政治的な方法、主張としての総理の御答弁は、お立場上わからないではありませんけれども、しかし、やはりお互いに胸襟を開いて、いかにあるべきかを論じ合うという姿勢の中からでなければ、この問題の最終的な解決と決着を迎えることはできないと考えるわけでありまして、そういう意味で私はあえて第三の道という言葉を使って、また米沢書記長からの提言もございましたけれども、御質問申し上げたわけでありまして、総理の御答弁の一言一句の解釈の問題は、総理から今言われたとおりかもしれませんけれども、しかし私は、決着するところとして第三の道と申しますか、言うならばお互いの主張は主張として論じ合いつつも、最終的にはお互いに謙虚に話し合いをするということが必要になるであろう、それが国民に対する義務であろう、こう考えますが、いかがお考えですかとお尋ねをいたしているわけであります。
#258
○海部内閣総理大臣 野党の皆様もいろいろと間接税についてのお考えや御構想をお持ちだと思いますので、私ども政府が出しております見直し案について、それは政府としてはそれで定着をさせていただきたい、こう強く願っておりますが、国会における十分な御議論をお願いを申し上げたいと思います。
#259
○中野委員 これ以上申し上げましても水かけ論になるかもしれませんから、時間もありませんからこれ以上申し上げません。
 ただ最後に、財政上の問題として関連をいたしますが、国民負担率の問題について一言お尋ねをいたします。
 今後の我が国の緊急課題は、急スピードで進展する高齢化社会にいかに対応するかであります。超高齢化社会は当然のことながら福祉需要を増大させ、それに伴う財政負担の増大も避けられません。そこで、急激かつ大幅な国民負担率の増大を招きかねないわけでありますが、これを防ぐこともまた政治に課せられた大きな使命であります。一方新行革審は、国民負担率につきまして、先般最終答申の中で、高齢化がピークに達する二〇二〇年ごろでも五〇%未満に抑える、その前の二十一世紀初頭は四〇%台半ばをめどとするという二段階の枠をはめているわけであります。しかし、既に平成二年度の国民負担率は四〇・四%、すなわち初めて四〇%の大台を超える見通しとなっているわけであります。
 私どもは、国民負担率抑制のために次の三つの条件が必要だと考えるわけでありますが、まず申し上げますと、第一は実質五%程度の適正成長率を今後とも持続すること、第二は我が党が主張する行政改革を断行すること、第三は雇用と年金、医療と福祉、福祉と住宅など、福祉のインテグレーションを推進すること、この三点が欠かせない要素であろうというふうに思うわけでありますけれども、政府としてはいかがお考えでありましょうか。
#260
○橋本国務大臣 今、委員からはGNP五%という数字を挙げられたわけでありますが、政府の経済見通しに述べております数字は御承知のとおり四・七五でありまして、多少その辺の数字には開きがございます。しかし、基本的な考え方において私は大きな差異があるとは思いません。むしろ、不断の行財政の見直しの努力が当然のことでありますし、行革審の最終の御意見からちょうだいをいたしました数字を現実のものにいたしますためには、これから先も不断に、制度の見直しを含めて歳入歳出の見直しを行いながら厳しいチェックを続けなければなりません。
 同時に、本来、租税負担と社会保障負担との比率について、一体その受益と負担のバランスをどうとるかは国民の選択に任せるべきことでありますけれども、我々とすれば、やはり自己責任というものから考えましても、社会保障負担というものにウエートを置いた対応を考えたいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、これを合わせて、二〇〇〇年当初が四〇%台半ば、二〇二〇年には五〇%未満という数字にしていくためには非常な努力を要します。しかし、最大限その目標に向けて努力をしていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いをいたします。
#261
○中野委員 最後に、一点だけお尋ねをいたします。
 「自衛官の命九百万円也」というタイトルで先般新聞に、二月十七日未明に宮古島で起きました交通事故の被害者を沖縄本島へ搬送するために出動した一〇一飛行隊の連絡機、これで行方不明になりました自衛隊員三人、そして同乗の医師一人が殉職した。この方々に対する補償また賞じゅつ金等々につきまして、余りにも、例えば警察や消防の皆さんとの間に差があるではないかという指摘がなされておりました。本来ですと二階級特進をし、そしてそれなりに補償がされなければいけない事例であろうと思いますが、前例がないということで防衛庁の方でお断りになった、見送った、こういう報道もなされているわけであります。前例がないというよりも、確かな基準がないというふうに言った方が適切なのかもしれません。
 しかしながら、私どもお聞きいたしますと、結局悪天候とか夜間などの悪条件のもとで、どうしても消防や海上保安庁のヘリコプターがしり込みする悪条件になったときに自衛隊にお鉢が回ってくるのだということも報道されたりいたしておりますけれども、私は、やはりみずからの危険を顧みずに命を賭してそのとうとい任務に当たる自衛隊の皆様への補償というのは当然あってしかるべきであろうというふうに考えるわけでありますけれども、これらのことにつきまして政府として明確な指針を示し、今後かかることがないように、国民の納得する、また自衛隊の皆さんが納得される基本方針と方策を講じられるように強く要請をいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#262
○石川国務大臣 今回殉職されました方々に対しましては、まず謹んで哀悼の意を表し、御冥福をお祈りし、御家族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 なお、今お尋ねの件でございますが、実際にまだそれを支給していない段階でございますので、十二分に先生の今の御意見につきましては頭に入れていろいろと検討させていただきたいと思いますが、とりあえず、事例につきましてちょっと政府委員からお答えさせていただきたいと思います。
#263
○畠山(蕃)政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま大臣からもお話がございましたように、新聞報道には既に賞じゅつ金が九百万円ということで授与されたというように報道されておりましたけれども、現実にはまだ授与されていませんで、しかも、金額についてもまだ決定を見ておりません。今後、事故調査等も踏まえまして、総合的な事故の状況あるいは功績の度合いといったものを勘案いたしまして決定をしたいというふうに思っております。
 なお、現在の制度では、「特に抜群の功労があり一般の模範となると認められるもの」については千七百万円、それから「特に著しい功労があると認められるもの」については九百万円等というように制度的にはなっております。
 なお、ただいま御指摘の中で、警察官及び消防職員とのバランスの問題についてお触れになりましたけれども、国家公務員たる警察官、消防職員とは、制度的には、国家の制度としては全く同じでございます。ただ、地方公務員である者につきましては、国家から出るほかに、地方公共団体で独自に設けております見舞い金的なものが同時に出される結果として、専ら国から出る自衛官の場合よりも高くなることがあるという状況でございます。
    〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
#264
○中野委員 終わりますが、私は現実の問題として、この報道されたような事実、危惧があるということだと思うのであります。自衛隊内部でもいろいろ検討もなされているようでありますけれども、実態として我々は、御遺族のためのみならず、自衛官の士気にかかわる問題でもありますし、そしてまた、そのとうとい任務をいかに国民の中で評価をするかということにもつながる問題でありますから、これはやはり真剣にかつ前向きに検討し、実施されなければならないものというふうに考えるわけでありまして、そのことを強く御要請を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#265
○越智委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
#266
○楢崎委員 連休の中日の五月二日に、英文毎日それからジャパン・タイムズに在日バングラデシュ大使館から、読者投書欄ですか、それに投書しているんですね。「バングラデシュ向けODAに対する答弁」という投書。在外公館が投書するんですかね。
 しかも、その内容が、私が四月二十三日に当委員会で質問したことについて何社かの新聞社が書いている、その記事に対して答弁しているのですよ。どういうことなんです、これは一体。どういうことなんです。私は、いいですか、日本政府の在バングラデシュ大使館の公使が、バングラデシュ向けの救命ボート、これに対する疑問点を相手国に照会している、それに基づいて私は質問したんですよ、いいですか。それじゃ、私はこういう公の日本の国会で質問しているんだから、私に答弁すればいいじゃないですか。どうして新聞社に投書するのですか、ちょっとおかしいんじゃないですか。
 それで、私は非常に責任を感じますよ。こういうことを書いているのですね。いいですか。「いくつかの逆で、しかも事実でない話が」と書いてある。どこで逆な話をしました、私が。しかも、いつ事実でない話をしましたか。しかも、「一切の解明を求めずに、ゆがんだ言及がなされていることは、遺憾である。」私の方が遺憾ですよ、こういうことを言われたんじゃ。どこがゆがんでいますか、解明してくださいよ。
 そして、一、二、三と三つに分けて反論していらっしゃいますね。恐らくこれは、外務省からいただきました伊藤公使に対する向こうの回答、四月十日付で向こうから回答が来ている、それの骨子というものを私、外務省からいただきましたが、恐らくこの投書の内容の方が詳しいですね。いいですか。どうしてこういうものを、投書にあるようなことが来ているに違いないから、どうして私にそれを渡さないのですか、外務省は。渡せないのでしょう。これは後で答弁してくださいね。
 いいですか、私はあの質問の中で、どうして日本の企業だけに指名が行ったのか。それに対する弁解がここに書いてある。どう書いてあるかといいますと、「その理由は製造に必要な時間が限られていたこと、しかも最もよく知られた理由として、モンスーンによる洪水の前に緊急買付けされなければならないからである。」こう書いてある。つまり、納期が非常に限られておるということを言っておるのですね。これは頭隠してしり隠さずでして、いいですか、私はあのときに、そして金額のことを、高い丸紅の方に決まったことを問題にしたけれども、これは納期のことを言っておる。それだったら、いいですか、納期かこうだから、急いでいるから日本の企業に頼んだ。じゃ、納期は向こうの入札仕様書では九十日ですよ。モンスーンが九、十、十一月、大体洪水があらわれるのがその後十二月ごろ、だから納期を九十日と向こうの仕様書では書いてある。金商又一の一番札の方は九十日になっている。丸紅の方は、長いのは三百六十日、一年間、それから三百三十日、短いので百八十日。納期を過ぎておるのです。一方ではこういうことを言いながら、一方では納期を守っていない方になぜ決めたのですかと私は言いたいのです、こういうことを言われるのだったら。――もう終わったのですか。私だけが五分ですか。
#267
○越智委員長 答弁の時間がある。
#268
○楢崎委員 そうですか、済みません。じゃ、なるだけ協力します。
 それで、もうないから一つだけ言っておきますが、この投書には、向こうの閣議委員会の議を経て決められた、これはうそですね、虚偽ですね、事実に反する。向こうの複数のマスコミでは、この閣議委員会を越えて直接大統領の許可を得ている、こうなっています。だから、協力しますが、この投書ですね、投書を御存じかどうか、そして、この内容と伊藤公使に来た向こうの回答は同じであるかどうか、そして、私が今疑問を呈しておることについて、外務省はその回答で納得されておるかどうかをひとつ御答弁をいただきたい。
#269
○中山国務大臣 委員御指摘の問題につきましては、私、実は日韓外相会談を初め、連休返上してユーゴ、チェコの外相会議に出ておりまして、六日に帰ってまいりましたので、投書の事実は認定をいたしておりません。ただ、きょう委員からせっかくの御質問をいただくのに質問要旨がちょうだいできませんでしたので、事前に十分検討することができなかったこともこの機会に申し上げておきたいと思います。
 なお、席には局長が参っておりますので、事実関係については局長から答弁をさせていただきます。
#270
○木幡政府委員 幾つかの御質問の点がございましたが、私もジャパン・タイムズ等に載った記事は読ませていただきました。
 ただ、私どもとしましては、当然のことながら私どもの大使館で先方側との間で、我が国の援助が適正に援助目的に従って使われているかどうか常時その辺の話し合い、継続しているわけでございまして、先方からの正式な回答があったものを私どもは十分正式な回答と受けとめている次第でございます。
 この新聞に出ておりますものとの対比においては、全部項目は調べておりませんが、大きなところにおきましては先般先生の御質問にお答えしまして、私三点お答え申し上げました。その後文書にしてその点もお届けしてございますが、その点についての基本的なところにおいて相違はないものと私ども考えているところでございます。
#271
○楢崎委員 委員長、一言だけ。
 全然違いますよ、中身が。こんな簡単な骨子でわかりますか。この投書の方がよっぽど中身が詳しい、投書の方が。だから全文くださいよ、私に。それを要求しておきます。何か十七日と十八日かどっらか、暫定の暫定の何か質問の機会があるそうですから、また五分間かもしれませんが、しっかり答弁してもらいたい。
 もう終わります。ありがとうございました。
#272
○越智委員長 何か答弁ありますか。言うことがあったら言っておきなさい。
#273
○木幡政府委員 それでは、委員長の御指名でございますので、一言御答弁申し上げます。
 先方政府からの公式の外交文書でございますので、それをそのまま出すわけにはまいりませんものですから、私、先般要点をきちんとお答えし、それを文書にして申し上げたわけでございます。
 それで、先生、新聞にある方が長いじゃないかということでございますが、新聞にはいろいろと前と後ろにいろいろな丁寧なことがついておりますので、その辺の差もございますことを……。
#274
○楢崎委員 承知しません。
#275
○越智委員長 楢崎君の質疑は終了いたしました。
 これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして平成二年度予算三案に対する質疑はすべて終了いたしました。
    ─────────────
#276
○越智委員長 この際、日本共産党三浦久君外一名から、平成二年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。
 これより、本動議について提出者より趣旨の弁明を求めます。三浦久君。
    ─────────────
 平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計
  予算及び平成二年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#277
○三浦委員 私は、日本共産党を代表し、平成二年度予算三案につき、政府がこれを撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、提案理由及び概要を御説明いたします。
 まず、撤回、編成替えを求める理由について述べます。
 政府提出予算は、端的に言って、世界の流れに逆行する軍事拡大のための消費税定着、推進の予算となっております。軍事費とODAは異常な優遇を保障されている一方で、消費税の税収は、一兆一千億円の見直しの宣伝とは裏腹に、前年度に比べ二兆一千億円、五割も多く見込まれています。そしてまた、大企業に対しては、輸入促進税制、法人減税の恩典を集中しています。ところが、国民には、消費税の負担に加え、年金並びに健康保険料と国立大学授業料の値上げ、生活保護と食管予算の大幅引き下げなど新たな負担と犠牲を強要しているのであります。まさに、政府提出予算は、国民の切実な願いである消費税の廃止を大前提に軍縮と国民生活を最優先にした編成とは正反対のものになっており、抜本的に組み替えなければなりません。
 次に、編成替えの概要について述べます。
 第一は、消費税廃止の予算編成であります。財源問題は何ら心配ありません。政府自身、前年度比七兆円にも上る巨額の税収増加を見込んでいるのであります。しかも、廃止すれば年間一兆円に上る国・地方の消費税負担は不要となり、大企業、大金持ちへの不当な減税の中止によって二兆五千億円の税収が回復し、さらに、大企業、大金持ち優遇の不公平税制の是正によって、九兆円に上る税収増加を図ることができます。二兆円以上の軍事費削減を初め、大企業への補助金など不要不急の歳出にメスを入れることも当然であります。
 第二は、軍事費を大幅に削減し、平和、軍縮、真に世界に貢献する予算にすることであります。軍事費を、正面装備費などを初め二兆円以上削減するとともに、新しい軍事費拡大計画の策定作業は中止をすべきであります。
 第三は、勤労者の生活向上、農業、中小企業を重視することであります。ガットの議題から米を外すこと、日米構造問題協議は直ちに中止し、大店法の改廃、輸入検査の手抜きなどの対米約束は撤回することです。
 第四は、福祉、教育を充実させることであります。老人に対する医療差別を廃止し、老人医療費の無料制を復活すること、基礎年金、国民年金を加入年数を問わず月額六万円に引き上げることなどであります。
 第五は、土地住宅対策を抜本的に強化することであります。公共投資の内容を民活型巨大プロジェクト優先ではなく、勤労者のための住宅建設を柱とした生活基盤重点へと転換すべきであります。
 以上が動議の概要であります。これこそ平和と軍縮、国民生活の向上を目指す道であると確信し、委員各位の御賛同を心からお願いするものであります。
 以上です。
#278
○越智委員長 これにて動議の趣旨の弁明は終わりました。
    ─────────────
#279
○越智委員長 これより討論に入ります。
 平成二年度予算三案及び三浦久君外一名提出の動議を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
#280
○原田(昇)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております平成二年度予算三案について、政府原案に賛成し、日本共産党から提出された編成替えを求めるの動議に反対の討論を行うものであります。
 平成二年度予算は、内外の諸情勢を踏まえ、かつまた、来るべき二十一世紀をも展望し編成されたものでありまして、現状において編成し得る最良、最善の予算であると考えるものであります。
 以下、政府原案に賛成する主な理由を申し上げます。
 賛成の第一は、特例公債依存体質からの脱却という財政再建の第一目標を達成したことであります。
 平成二年度予算において、実に十五年ぶりに政府の悲願であった特例公債依存体質からの脱却を実現し、財政再建の第一目標を達成いたしました。好調な税収に支えられているという幸運に恵まれたとはいえ、十五年の長きにわたる政府の粘り強い努力と熱意を高く評価するものであります。
 賛成の第二は、社会保障関係費の拡充を初めとして国民生活の充実等、時代の要請に的確に対応した予算となっていることであります。
 すなわち、社会保障関係費について、来るべき高齢化社会に向かって活力ある福祉社会を形成していくため、総額十一兆六千億円強を計上しており、前年度比六・六%増は本年度予算の一般歳出の中で最大の増加額となっております。また、公共事業関係費、中小企業対策費、農林水産関係費、文教及び科学振興費についても、めり張りのきいた予算措置が講ぜられております。これらにつき高く評価するものであります。
 賛成の第三は、我が国が経済大国として国際社会で積極的に貢献する予算となっていることであります。
 政府開発援助は、世界に貢献する日本外交の重要な柱であります。平成二年度予算においても第四次中期目標に沿ってその着実な拡充に努めており、適切な措置と考えるものであります。また、防衛費については、中期防衛力整備計画に沿ってほぼ一〇〇%の達成を見たことは極めて妥当な措置と考えるものであります。
 賛成の第四は、消費税の見直しが行われていることであります。
 消費税は着実に定着しつつありますが、何分にも新たに国民に広く負担を求める税制であるため、国民各層からさまざまな意見や指摘がなされていることを踏まえ、現時点で最善と考えられるような見直しを行ったものであります。
 以上、政府原案に賛成する理由を申し述べました。
 なお、日本共産党の編成替えを求めるの動議は、発想の基本が我が党と全く異なる立場に立ってのものであり、到底現実的な提案とは言いがたく、反対であります。
 この際、予算委員会審議について一言申し上げます。
 平成二年度予算の審議が最終段階において滞ったことはまことに残念なことでありますが、総括質疑から分科会に至るまでの間、審議が整々と行われたことは評価すべきことであります。今後の予算委員会の審議に際しましても、与野党とも責任を持って真剣な政策論議を行い、国民にわかりやすい審議が行われますことを切に希望する次第であります。
 以上、申し述べ、政府予算三案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)
#281
○越智委員長 佐藤敬治君。
#282
○佐藤(敬治)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、平成二年度政府予算案並びに日本共産党提出の動議に対して反対の討論をいたします。
 今、国会の各議員のもとには全国の地方自治体から地方交付税法の早期成立を求める要望書が文字どおり山積みになっていると思います。一月、二月は予算審議には最も大切な時期であります。にもかかわらず、国民不在の自民党の党利党略のために、予算審議に重大な支障を来すことが明らかであるこの時期を選んで、あえて解散・総選挙に打って出た海部総理の責任は重大であります。
 また、各党協力して予算委員会がまことに整々と進められている最中、降ってわいたような予算とその関連法案の同時決着という、二院制を定めた憲法軽視とも思われる建前論を振りかざして、貴重な十四日間を空費した自民党の行動は、ついには暫定の補正というまれに見る異常事態を招きました。その責任たるやまことに重く、国政渋滞の責任はすべて海部内閣と自民党が負わなければなりません。
 さて、我が党が本予算案に反対する理由の第一は、消費税であります。
 中曽根内閣が選挙の公約を破り、うそをついて大型間接税を提出し、さらに竹下内閣がこれを継承して消費税を強行した事実は、この消費税に対する国民の不信感の根底をなしております。この不信を解消するためには、消費税を白紙に戻して国民合意の税制を再検討することしかございません。さきの選挙で、自民党は消費税の見直しを公約いたしました。この見直しがいまだ何らの審議も行われないうちにさらに、報道によると、大蔵省は消費税の再見直しをするという。自分たちが信頼をおくことすらできないような矛盾に満ちた税制を国民に押しつける無責任な態度は、まさに傲慢不遜、天を恐れざる行為である。
 反対の第二は、世界情勢の急変に対する政府の対応についてであります。
 ゴルバチョフのペレストロイカに端を発した東欧国家群の大変革は、冷戦構造を解消して、今や軍縮、平和の時代に突入しております。にもかかわらず、政府は依然として冷戦構造にしがみついて、総額十八兆四千億円の現在の中期防をはるかに上回る総額二十三兆五千億円もの次期中期防を策定中との報道があります。在日アメリカ海兵隊司令官は、我々は日本の軍備の拡大を抑えるための瓶のふただと言いました。今や日本の軍備は、アメリカを離れてひとり歩きを始めたのではないでしょうか。アメリカでさえ日本の軍備拡大に脅威を感じているとすれば、アジア諸国の恐怖感は当然であります。それは、このたびの石川防衛庁長官の三カ国歴訪で、マレーシア国防大臣の日本軍事大国化に対する厳しい批判に端的にあらわれております。
 理由の第三は、不公平税制の問題であります。
 「乏しさを憂えず、等しからざるを憂う」。税の最大の原則は公平であります。消費税の成立に安住して、政府は不公平税制の是正に全く熱意を失っている。元来、この問題は消費税に先んじて行われるのが政治の道理というものであります。政府の熱意を疑わざるを得ません。
 第四は、土地問題に対する取り組みであります。
 ウサギ小屋の日本人と言われ、一生まじめに働いてもろくなうち一軒も持てない。この元凶は土地問題であります。土地暴騰が俎上に上がってから既に長年月、もはや小手先で解決できることではございません。思い切った決断のときである。しかるに、海部総理は何の手も打たないで、口角泡を飛ばして、じんぜん日を送っている。
 反対の理由の第五は、生活関連資本についてであります。
 日米構造協議でアメリカから刺激を受けるまでもなく、経済大国とは名ばかり、普通の国民にはその実感は全くありません。社会資本、特に生活関連の社会資本の充実はまさに焦眉の急であります。しかるに、防衛費が突出している一方、生活関連の歳出は依然として抑制され、生活の質の向上に配慮したものにはなっておりません。住宅、都市公園、上下水道など生活基盤の整備はおくれ、教育、農業、中小企業対策などもまことに不十分、社会保障費がふえたといっても、当然増経費が若干改善されただけ。新規施策もまた消費税隠しの色濃く、高齢化社会に対する施策の確立などとはまことにおこがましいことであります。
 以上、反対理由の主なる部分だけをかいつまんで申し述べましたが、これについて我が党は、公明党、民社党、進民連と共同して、予算組み替え要求を政府・自民党に申し入れました。しかし、全くのゼロ回答。これでは、海部総理の言う対話重視の政治などあり得ません。
 最後に、海部内閣は清潔な政治を標榜しております。リクルート事件に関係した閣僚が居直り、再三にわたって食言を繰り返しているにもかかわらず、罷免することもできない海都内閣が、果たして清潔な政治に値するのか。国民とともに疑問を呈して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#283
○越智委員長 山田英介君。
#284
○山田委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成二年度予算政府案につきまして、反対討論を行うものであります。
 以下、順次、反対する理由を申し述べます。
 まず第一に、消費税の存続を前提としていることであります。
 本予算は、消費税を一般会計に五兆三千二百億円計上しております。国民の強い反対を押し切って導入された消費税は、実施後一年有余を経過した今日、年金生活者や生活保護世帯など社会的に弱い立場の人々の生活を圧迫し、消費税の持つ逆進性など構造的欠陥を改めて浮き彫りにしております。
 また、消費者が支払った税が正しく国庫に納入されないなど、これまで指摘されてきた欠陥に対する国民の不満が増大しております。
 さらに、国会に提出されている消費税見直し案は、消費税の欠陥の是正と称しておりますが、改正の主眼である食料品についても値下がりする保証もなく、また、生産、卸段階における複数税率の導入により、事業者の事務の煩雑化や負担の増大を招くなど、むしろ多くの問題を持っているのであります。消費税は、見直しではその持つ構造的欠陥を是正することは不可能であります。
 我が党は、日本社会党、民社党、進歩民主連合とともに予算組み替え要求を提示し、この中で廃止のための代替財源案を示しました。この際、消費税は一たん廃止し、国民合意の税制の確立を図るべきであります。我々は、設置が決まりました税制改革特別委員会で徹底した議論を尽くす考えであります。
 第二に、生活者健先の政治という課題に真剣に取り組んでいないということであります。
 今日の最重要課題が、これまでの産業優先、生産優先の施策を生活者優先に転換することであることは周知のとおりであります。今日までの財政運営は、赤字国債脱却を優先させ、国民生活の向上という財政本来の役割が置き去りにされてきました。今こそ、政策別シーリングによって住宅問題の解決や生活関連社会資本の整備に全力を挙げるべきであります。
 こうした視点から我々は、予算組み替え共同要求で土地住宅、福祉・医療、教育、環境対策などの歳出面について実行可能な範囲で組み替え要求を提示したのであります。しかしながら、これらが全く無視されてしまったことはまことに遺憾と言わざるを得ません。
 第三に、行政改革の取り組みが十分でないということであります。
 平成二年度予算は、確かに赤字国債から脱却いたしました。しかし、これは政府の努力というよりも好景気による税の自然増収に支えられたものであります。我々は財政健全化のための新たなる目標を設定するとともに、中央省庁、地方出先機関、特殊法人等の整理合理化、国家公務員数の大幅な実質減を断行するよう要求するものであります。
 第四に、防衛関係費についてであります。
 防衛関係予算は、経済が大きな伸びを示したことにより、GNP対前年度比は辛うじて一%枠にとどまったものの、前年度との伸び率は六・一%となっており、他の政策経費との比較においても大きく突出し、今回、四兆円の大台を突破いたしました。米ソ冷戦構造の終えん、東西の緊張緩和など、世界情勢は大きく変化し、各国は防衛政策を転換しているのであります。にもかかわらず、我が国だけが、ひとり軍備増強路線をとり続けていることは全く納得できないところであります。
 しかも、世界情勢の変化に対応し、防衛政策の転換を求めた我が党の指摘をも省みようとしない政府の姿勢は、世界の潮流に全く逆行したものと言わざるを得ません。
 むしろ、国際情勢の急激な変化を踏まえて、外交・防衛政策の大幅な見直しを行うとともに、特に、我が国の姿勢を内外に示すために防衛費の削減に取り組んでいくべきであります。
 以上、主な理由を申し述べ、平成二年度予算政府案に対する反対討論といたします。
 なお、日本共産党・革新共同提出の予算組み替え動議には考えを異にするため反対いたします。(拍手)
#285
○越智委員長 吉井英勝君。
#286
○吉井(英)委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の平成二年度予算三案に対して反対し、我が党提出の予算編成替えを求める動議に賛成する討論を行います。
 国際情勢の劇的な変化のもとで、世界は戦後の冷戦構造から抜け出して、軍縮と軍事ブロック解体、外国軍隊の撤退の方向へ大きく踏み出すか否かが問われています。アジア・太平洋地域においては、日米安保体制を打破することがそのかなめをなすものであり、この枠組みの再検討を行うことが、日本の主権と安全のために必要となっています。
 また、消費税が強行されて一年余りがたち、この税がまさに最悪の大衆課税であることを国民は痛感させられています。そして、海部総理自身、国民一人一人に豊かさの実感が乏しいと言わざるを得なかったように、大企業の空前の大もうけのもとで、国民生活は圧迫され、生存の自由が脅かされているのであります。
 このような状況にもかかわらず、政府提出の予算三案は、世界の流れにも国民の要求にも全く逆行するものであります。
 以下、反対の理由を具体的に述べます。
 第一に、大軍拡のための消費税を定着、推進し、国民に一層の負担を押しつける予算だということであります。
 消費税は、民意に従い、何としても廃止しなくてはなりません。政府・自民党が、廃止を求める国民世論に敵対して持ち出した消費税の見直しは全くのごまかしであり、そのねらいは、消費税の基本的な仕細みを残して定着させ、将来において税率を引き上げるということにあります。
 第二に、軍事費を六・一%増で四兆円を突破させ、ODAも八・二%と異常突出させていることであります。
 これは、日米軍事同盟をてこに、アメリカが日本に対して、三年間で軍事費とODAをNATO並みに引き上げるよう要求しているのに対して忠実にこたえるものであります。海部内閣は、既に十年前の二倍に膨張して世界第三位となっている軍事費を次期防によってさらに膨張させ、五年間で二十四兆円に上る新たな大軍拡を計画しているのであります。このような大軍拡は断じて認めることができません。
 第三に、空前の大もうけをしている大企業へは大盤振る舞いを行い、国民に対しては多大の犠牲と負担を押しつける予算だということであります。
 国民には消費税の重圧を押しつける一方、大企業には、法人税の大幅減税を行うのに加え、新たに製品輸入促進税制を創設して大減税の恩典を与えているのであります。
 さらに、日米構造協議におけるアメリカの圧力に屈して、大店法の改廃を進めようとしていることは、全く許せないものであります。
 次に、本委員会審議において我が党が再三にわたって追及したように、深谷郵政大臣のリクルート献金問題は、海部内閣の金権腐敗体質が問われる国政の重大問題であります。それにもかかわらず、我が党の要求した石塚猛秘書と大沢武志の証人喚問及び関係資料の提出について、自民党の拒否によって実現していないことは重大であります。我が党は、このような疑惑隠しを厳しく糾弾するとともに、深谷問題の全容解明と海部内閣の責任追及に引き続き全力を尽くすものであります。
 私は、日本共産党提出の予算編成替え動議こそが、世界の流れに沿って日本の進路を平和と軍縮の方向に転換し、国民の切実な要求にこたえる唯一の道であることを強調し、心から賛成するとともに、政府提出の予算三案に断固として反対することを重ねて表明して、反対討論を終わります。(拍手)
#287
○越智委員長 中野寛成君。
#288
○中野委員 私は、民社党を代表し、政府提出の平成二年度予算三案に対して反対の討論を行います。
 反対の主な理由を申し述べます。
 我々は、夢ある二十一世紀を切り開き、生活者がゆとりと潤いを実感できる社会を創造するため、消費税廃止、税制改革やり直し、インフレの防止と内需主導の実質五%の経済成長の確保、住環境改善等の社会資本整備、資産格差の是正、文化・教育・スポーツ政策の充実と労働時間の短縮などに資する施策を講じることに重点を置いて予算を編成するよう強く求め、さらに四会派共同による組み替え要求を提出しましたが、これらの主張を全く受け入れることなく、従来からの近視眼的、硬直的な数字のつじつま合わせを踏襲しただけの政府予算案は、国民の期待を裏切るものと断ぜざるを得ません。
 政府・自民党が公約した大胆な、思い切った見直しとはほど遠い、小手先だけのずさんな消費税の見直し案が盛り込まれていること、不公平税制の抜本是正、資産課税の適正化が先送りされたことなどは、断じて容認できません。
 税制再改革、行政経費の節減、国民負担の軽減等の観点から、行財政改革の断行が不可欠でありますが、我々が一貫して求めてきた補助金行政の抜本見直し、中央省庁・政府関係法人の再編合理化、公務員の大幅純減、地方出先機関の整理合理化などに着手する意思さえも全く見えないことはまことに遺憾であります。
 いわゆる赤字国債脱却、隠れ借金の抑制等が盛り込まれたことに一定の評価はできますが、従来からの場当たり的やり方ではなく、新たな中長期財政再建計画を策定し、これに従って財政の健全化に努めるべきであります。
 以上、四点の理由を申し上げまして、政府提出の予算三案に対して反対をするものであります。
 なお、日本共産党提出の編成替えを求めるの動議につきましては、我々は見解を異にいたしますので、賛成できません。
 以上、反対討論を終わります。(拍手)
#289
○越智委員長 楢崎弥之助君。
#290
○楢崎委員 私は、進歩民主連合を代表して、ただいま提案されております二案について、反対の討論をいたします。
 反対理由は、社公民代表が言われた理由とほぼ同じでありますので、これを省略をいたします。
 なお、一つだけその反対の理由につけ加えますならば、私はやはり消費税の見直し案について大きな疑問があります。
 一つだけ申し上げておきますけれども、これはいつか橋本さんに聞きたいとは思っておったのですが、十五、六年前に私は当委員会で質問したことがあるのです。リポビタンD、それとオロナミンC。リポビタンDは大正製薬、オロナミンCは大塚製薬、どっちも大の字がついて製薬会社。あの瓶の裏を見てごらんなさい、ほとんど成分は同じですよ。ところが、片一方は医薬品で、片一方は食品。それで、一方は薬局しか売られぬ、オロナミンCほどこでも売っている。これは何じゃと聞きましたら、政府の答弁に、厚生省の局長ですよ、楢崎さん、あなたウナギ好いておるですか、ああウナギ好いております、東京のウナギは脂が抜けておいしゅうないが、博多のウナギは脂が乗ってかば焼きにしたらおいしい、そうでしょう、それと同じですよ。局長が言ったのですよ。おいしいと思って食べるときのウナギは食品ですよ、土用ウナギで夏ばてしたとき精力回復のために食べるウナギは薬品ですよ。そのときは消費税はなかったからそういう答弁で通じたかもしれぬが、一人二役、一匹二役、一体ウナギは食品か医薬品か一遍聞きたいと思っておった、三%か一・五%に関係するから。
 宿題を与えて、討論を終わります。(拍手)
#291
○越智委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
#292
○越智委員長 これより採決に入ります。
 まず、三浦久君外一名提出の平成二年度予算三案につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#293
○越智委員長 起立少数。よって、本動議は否決されました。
 次に、平成二年度一般会計予算、平成二年度特別会計予算、平成二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#294
○越智委員長 起立多数。よって、平成二年度予算三案は、いだれも原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました平成二年度予算三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#295
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#296
○越智委員長 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 去る三月七日の審査開始以来、終始真剣なる論議を重ねていただき、本日ここに審査を終了するに至りました。
 これもひとえに各党の理事並びに委員各位の御理解と御協力のたまものと存じます。ここに深く
感謝の意を表し、ごあいさつといたします。(拍手)
 本日は、これにて散会いたします。
    午後九時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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