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1990/04/18 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 商工委員会 第3号
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1990/04/18 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 商工委員会 第3号

#1
第118回国会 商工委員会 第3号
平成二年四月十八日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 浦野 烋興君
   理事 甘利  明君 理事 井出 正一君
   理事 江口 一雄君 理事 奥田 幹生君
   理事 古賀 正浩君 理事 後藤  茂君
   理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君
      今枝 敬雄君    植竹 繁雄君
      衛藤 晟一君    木村 義雄君
      佐藤謙一郎君    斉藤斗志二君
      田原  隆君    谷川 和穗君
      中村正三郎君    中山 成彬君
      鳩山 邦夫君    牧野 隆守君
      増岡 博之君    大畠 章宏君
      加藤 繁秋君    小岩井 清君
      渋谷  修君    鈴木  久君
      竹村 幸雄君    水田  稔君
      安田  範君    吉田 和子君
      権藤 恒夫君    二見 伸明君
      渡部 一郎君    小沢 和秋君
      伊藤 英成君    川端 達夫君
      江田 五月君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  武藤 嘉文君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      相沢 英之君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     梅澤 節男君
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       矢部丈太郎君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 糸田 省吾君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 柴田 章平君
        経済企画庁調整
        局長      勝村 坦郎君
        経済企画庁調整
        局審議官    安田  靖君
        経済企画庁国民
        生活局長    末木凰太郎君
        経済企画庁物価
        局長      田中  努君
        経済企画庁総合
        計画局長    冨金原俊二君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  関   収君
        通商産業大臣官
        房商務流通審議
        官       山本 貞一君
        通商産業大臣官
        房審議官    横田 捷宏君
        通商産業大臣官
        房審議官    合田宏四郎君
        通商産業省通商
        政策局長    畠山  襄君
        通商産業省貿易
        局長      内藤 正久君
        通商産業省産業
        政策局長    棚橋 祐治君
        通商産業省機械
        情報産業局長  山本 幸助君
        工業技術院長  杉浦  賢君
        資源エネルギー
        庁長官     山本 雅司君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 牧野  力君
        特許庁長官   吉田 文毅君
        特許庁総務部長 渡辺 光夫君
        特許庁審査第一
        部長      山浦 紘一君
        中小企業庁長官 見学 信敬君
 委員外の出席者
        外務省北米局北
        米第二課長   藪中三十二君
        商工委員会調査
        室長      松尾 恒生君
    ─────────────
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  衛藤 晟一君     小泉純一郎君
  川端 達夫君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 英成君     川端 達夫君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案(内閣提出第二七号)
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ────◇─────
#2
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀正浩君。
#3
○古賀(正)委員 昨日、通商産業大臣及び経済企画庁長官の所信を拝聴いたしました。内外の経済社会情勢の多端の折、また、我が国の長期的諸課題を踏まえまして、通商産業政策の推進あるいは経済運営のかじ取りはかつてなく重要かつ厳しいものがあろうかと思います。両大臣の格段の御奮励を御期待申し上げる次第であります。そのような気持ちを込めまして、若干の項目についてさらに踏み込んでお考えをお伺いいたしたいと思います。
 まず、現下の日本経済につきまして、経済企画庁長官にお尋ね申し上げます。
 現在の我が国の経済は、六十一年の暮れ以来景気の拡大が四十カ月に及ぶという長期にわたりまして、過去の岩戸景気を追い越し、イザナギ景気に迫る勢いということになっております。このような内需を中心とした景気の拡大というのはできるだけ持続的なものとすることが非常に重要であると私どもは認識しておる次第でありますけれども、最近とみに不安定な経済状況、いわゆるトリプル安と言われるような状況を受けまして、現在、今後の景気の先行きに対する懸念が一部に示されておるような状況であります。私は、政府が自信を持って今後の景気の行き先に対します明確な姿勢を示すべきだと思っておりますけれども、経済企画庁長官が今後の景気についてどのようにごらんになっておられるか、ここで国民に明確に示していただきたいと思う次第であります。
 また同時に、国際収支についてでございますけれども、直接的には円安によります輸出価格の低下、原油価格の上昇等によりまして、また、構造的には内需を中心とした景気の持続的拡大あるいは海外現地生産の進展等を要因といたしまして、黒字幅の着実な縮小傾向が続いている。これは結構なことでありますけれども、しかしながら心配なのは、今後は現在の円安の影響が徐々にあらわれまして、輸出増から黒字は拡大傾向に転ずるのではないか、そう見るのがむしろ自然かなという考え方もあるわけでございますけれども、現段階での今後の国際収支の見通しについて、あわせてお伺いしたいと思います。
#4
○相沢国務大臣 御質問の趣旨は、大別いたしまして、これからの経済をどのように考えていくか
ということと、これとも関連いたしますけれども、国際収支の見込みがどうなるかということであると思っております。
 最初の、今後の景気の見通しについては、確かに最近の為替相場が非常に円安になっておる。けさ方の寄りつき、始値が一ドル百六十円を超えたということでありますし、先行きが大変に懸念がある。それから債券安、また株が昨年の三万九千円近い水準から見ますと一万円も下げておるということで、このいわゆるトリプル安というものが経済の基調が変わらないという見方とどういうふうな関連があるのかという疑問が当然生ずるわけであります。
 ただ、この点につきまして予算委員会でも再三御答弁申し上げてまいりましたが、現在の経済の推移を指標で見ましても、経済成長の面、鉱工業生産、消費者物価、卸売物価あるいは求人求職の雇用状況、雇用者所得の面等々、いわゆる経済のファンダメンタルズというものについては特に大きな変化はないわけであります。御承知のように、GNPの一番大きなファクターは個人消費でありますが、これが全体のGNPの五四、五%になろうかと思います。この個人消費は、ことしの春闘相場が五・八%ということで前年を上回っておりますし、それから、雇用者の数も無論昔ほどの伸びでありませんけれども伸びておりますし、貯蓄性向に変わりがなければ個人消費に向けられる面も決して落ちるとは考えられない。こういうようなことから見ますと、経済のファンダメンタルズに変わりはないという考え方は変える必要はないのじゃないか。ただ、当面の為替安、債券安、株安といういわゆるトリプル安の現象面はどう見るのかということになりますと、これは単なる一時的なものと見るのか、あるいはこれはこれからさらに景気の下降の前触れになるのかということが一つ懸念されるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように経済の基調に変わりはございませんから、多少現象的にこういうトリプル安というようなことが今ありましても、私どもはそう大きく心配することはない、このように考えているのであります。
 それから国際収支の点につきましては、国際収支の黒字が非常に大きくなってまいりましたことが諸外国に、特にアメリカ側にも強い刺激となって、日米構造協議というような大きな課題も持つようになっているわけでありますが、御承知のように平成元年度の経常収支は、実績見込みで六百十億ドル程度の黒字、これは六十三年の七百七十三億ドルの黒字に比べますと大分少なくなっておりますし、また貿易収支につきましても九百五十三億ドルの黒字という六十三年の実績に対しては、元年の見込みが八百十億ドル程度ということで、十数%の下落を見せているということでありますから、おおむね国際収支の黒字幅は縮小方向に向かっているのであります。円安がこの方向にブレーキをかけるのではないかということは無論懸念されないわけではありません。事実、円安ということになりますと、大きく輸出に依存しているところの産業の部面においては、内需から振りかえを考えたらどうかというような動きが既にあるようであります。したがいまして、これが黒字幅の縮小の傾向に対しては影響を与えることは考えられますが、ただ、そういう大ざっぱな言い方をしてはいけないかもしれませんが、この程度の円安ということであればそれほどそれが原因になって輸出が非常に伸びるということにもならないのじゃないか。基調的にはやはりこれも黒字幅の縮小の傾向をたどっておりますから、国際収支の黒字、特に貿易収支の黒字が再び大きく騰勢に向かうというようなことは、私はないのじゃないかというふうに見ております。
#5
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 去る四月六日に、例の日米構造協議の中間報告が取りまとめられたわけであります。この渦中にありまして、通産大臣、本当に御苦労さまでございました。とりわけ大店法、大変御心労が多かったろうと思う次第であります。
 そもそも日米構造協議で取り上げられるべき項目というのは、私どもの理解では、日米間の貿易あるいは国際収支の調整の上で障害となっている構造問題ということだろうと思うのであります。そういうことならば、その中でこの大店法の改廃問題がこのような優先度の高い課題として挙げられること自体、私はちょっと的外れと言っては何ですが、そのような感じも持つわけであります。緩急順序が取り違えられているのではないかなというような思いもなしとしないのであります。
 ここに大店法部分の中間報告についてのアメリカのコメントがございますが、その中で、「アメリカ政府は、大店法の運用改善及び来年の改正が外国製品の入手可能性を実質的に高めるとともに、より競争的な流通部門をもたらすことを期待する。」こう書いてございます。ありていに言いまして、大店法をいじったら外国商品が目に見えて売れるようになるのかといえば、私はそういうものではないような感じがするわけでありますけれども、しかしながらアメリカの方はそのような思い込みのもとに、また同じコメントの続きでありますけれども、「万一、このようなこととならないことが判明した時は、アメリカ政府は、より思い切った法的な解決の必要性に関する当初の見解に戻ることとなろう。」というようなことをおっしゃっておられる。このコメントに至りましては、私は、アメリカは構造協議を何と心得ているのかなというような感じもいたしますし、これはいわば一種の恫喝ではないかというような、大変不愉快な気持ちがしておることを率直に申し上げたいと思うのであります。
 これは、ただ一つの例を挙げたにすぎませんけれども、通産大臣にお伺いしたいのは、日米構造協議はあくまでも、マクロ経済の諸要因によりまして規定される国際収支の調整に関しましてマクロ経済政策協調を補完するためのものであると考えるわけでありますが、構造協議の成功、失敗は、国際収支の結果によって判断されるようなものではないということをアメリカに十分理解させる必要があるのではなかろうか。見解を承りたいと思います。
#6
○武藤国務大臣 今御指摘のとおりでございまして、今度の日米構造障壁協議というのは、今いろいろと経済政策を協調的にやってきておりますし、特に国際的にも理解される経済政策を進めていこうということでやってきておりますが、しかしそうは言うものの、一方大変大きな、日本にとっては貿易収支の黒字、アメリカにとっては赤字が存在していることも事実でございまして、もう少し何か、今お話しのとおり補完的な政策を、構造政策をいろいろやっていけないだろうか、そしてそれによって多少なりともこの貿易収支が改善をされていくならばいいのじゃないかということでこの話は昨年始まったわけでございます。
 そういう点からまいりますと、私どもはできるだけ、その方向は悪いわけじゃございませんし、また日本の国民の皆さんのことを考えても、より一層国民の生活の質が向上していく、あるいは消費者の皆さんをより重視するという政策が進められていくということもプラスでございますし、そういうことも踏まえながら、日本は日本として、アメリカから言われたいろいろのアイデアについてできることとできないことと、いろいろ努力をし、結果的に中間報告に盛り込んだわけでございますが、今御指摘のように、アメリカというのは結果主義でいろいろ判断をいたしますので、私どもとしては大変つらいところでございますけれども、それじゃ定量的にどういう形で貿易収支が改善されていくかということは、全く私ども予測もできませんけれども、しかし日本の方でとるべき措置の中にも輸入拡大の、今までもやってまいりましたが、それをより一層高めていくいろいろの措置も中間報告の中にも書いておるわけでございます。
 同時に、アメリカに対しても、例えばもう少し従業員というか労働者の教育をして、よりよい品質のものをつくっていただくようにしなければいけないのじゃないだろうかとか、いろいろと輸出しやすいような方向にアメリカの経済政策も変え
ていっていただきたいということを指摘をいたしておるわけでございまして、それらのものが総合的に進められたときには、少なくとも現在よりは結果においてもよくなるだろうと私どもは期待をいたしておりますが、しかし大幅に改善されるかどうか、その辺のところまでは、正直わからないわけでございまして、その点は御指摘のとおり、あくまでこれはお互いに構造的に直すべきところ、より改善すべきところをやっていこうということであって、その結果、どうも貿易収支が思い切っていかなかったからどうこうということが言われないように私どもは努力をしていきたい。特に今御指摘のように、大店法が貿易収支の改善に大きく役立つとは、私自身もそんなに大きなことにはならないのじゃないかと思っておりますので、その点は今後ともアメリカにより理解を深めるように努力をしていきたいと考えております。
#7
○古賀(正)委員 今大臣もお触れになりましたけれども、構造協議のそれはそれといたしまして、実質的な国際収支の改善に関しまして日本としてさらに努力をしていかなければならないということは当然であろうと思う次第であります。日本の現在の貿易黒字が依然として大きく、特に日米間の貿易摩擦の背景には、アメリカの対日赤字がアメリカのEC向けの赤字に比べましてなかなか減らないということに対するいら立ちが非常に強いというふうに考えられます。最近におきます外務省がアメリカのギャラップ社に委託した世論調査によりますと、アメリカの有識者の八〇%が我が国の市場開放問題に強い不満を持っている。これは中間報告の以前の調査のようでありますが、そういう結果も出ております。また、一般のアメリカ人の四〇%が日本は信頼できないと思っておるというような憂うべき結果も出ておるわけであります。そういった意味におきましては、健全な日米関係を維持するということは我が国の安定と発展の基本であるということでございますし、そのためにも現実に効果の出る輸入拡大方策を講じていかなければならないと考える次第であります。このことについて通産省の御見解を承りたいと思います。
#8
○畠山(襄)政府委員 御指摘のように、対米収支の黒字の減り方が余り望ましい減り方ではございません。ECとの関係ではアメリカは九十億ドルばかりの赤字でございましたものが、八九年になりますと十五億ドルの黒字というふうに劇的に変わったわけでございますけれども、日本の場合は五百二十億ドルだったものが四百九十億ドルということで、五百億ドルを割りましたけれども、そのところがECほど劇的ではないということで不満を持っていることは事実でございます。ただ、アメリカの日本向けの輸出の伸び率の方が、アメリカのEC向けの輸出の伸び率よりも常に最近年次上回っておりまして、八九年にいたしましてもさようでございます。そういうことで、基本的に円高になりましたこと、それから内需振興の努力をしていること、そういったことが実ってきておるわけでございまして、今後とも、この構造協議を初めといたしましてそれ以外の輸入拡大策でございますとか、御審議いただくことになっております輸入促進税制の導入でございますとか、そういった御指摘のような具体的な施策を講じてまいりまして、今のようないい傾向、つまり対米収支の黒字が縮小する方向を具体的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
#9
○古賀(正)委員 次に、アジア・太平洋協力の問題についてお伺いしたいと思います。
 アジア・太平洋地域は現在非常に高い経済成長を遂げつつありまして、同地域が世界経済の牽引力となることが期待されているということであります。また、EC統合などの地域統合の動きがあります中で、アジア・太平洋地域においてどのような地域協力が行われるか、これは世界経済全体にとっても非常に重要な問題であると思われます。さらに、我が国のアジア・太平洋経済協力への貢献というのは我が国の国際的貢献の一環としても極めて重要であると思う次第であります。
 私、地元は福岡でございますけれども、昨年はアジア太平洋博覧会、ょかトピアというのをやりました。大変成功いたしましたけれども、こういうアジア・太平洋地域に対する関心もとみに高まっておるというようなことでございます。そのような中、昨年十一月にキャンベラにおきます第一回閣僚会議以来、関係国の貿易産業担当大臣及び外務大臣などによりますアジア太平洋経済協力閣僚会議、APECが発足したとお聞きいたしますけれども、その現状につきまして通産省の評価はどうなっておるのか、またアジア・太平洋経済協力の中で通産省としてはどのような貢献を行っていくつもりなのか、お尋ねしたいと思いま
#10
○畠山(襄)政府委員 御指摘のように、昨年十一月にキャンベラでアジア太平洋経済協力閣僚会議が開かれたわけでございますけれども、その後の現状がどうなっているかという御指摘でございますが、それに基づきましてことし夏にまた第二回目の経済閣僚会議を開こうという手はずで今準備が進んでおるわけでございます。先般もそのための準備会合が開かれまして、その場で今度の第二回目の経済閣僚会議で採択いたします具体的なプロジェクトの案が決まりまして、それは、簡単に申し上げますと六つでございます。データレビュー、人材育成、貿易振興、投資、技術移転、エネルギー、海洋資源保護という六つのプロジェクトでございます。それで、この中で日本が提案いたしましたもの、かかわり合いのございますのがデータレビューと人材育成と投資、技術移転、こういうものでございまして、これらの三テーマにつきましては日本が幹事国に参加をする予定になっております。このほかに貿易振興というのも日本が提案いたしましたけれども、十二カ国でやっているプロジェクトでございますので余り日本ばかり幹事国になってもいけませんので、ここは韓国とマレーシアがなさることになっておりますけれども、そんなぐあいでございまして、この日本が提案いたしましたものはすべて今御指摘の前回の閣僚会議で当時の松永通産大臣から提案した四つのプロジェクトでございます。
 もともと、通産省はこのプロジェクトを積極的に推進をしてまいっておりまして、元来、今御指摘のようにこの地域が世界の成長センターになっておるということ、他方、対米輸出依存度がこの地域で、日本も含めまして余り多くてもいけないというようなこと、それから、ECの方では九二年の統合があるというようなこと、そういった情勢を踏まえまして、ひとつアジア・太平洋のこういう組織をつくったらいいのではないかということで、アジア太平洋貿易開発研究会というものを最初に八八年の六月につくったわけでございます。それを受けたような形でホーク・オーストラリア首相の提案もあって実現の運びになっていったわけでございます。途中でもベーカー国務長官が、この閣僚会議開催の前でございますけれども、本年秋に閣僚会議を開催するというホーク首相や日本の通産省の提案を支持するというような発言もございまして、今後ともこういった当初の意気込みを堅持いたしまして積極的に推進をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#11
○古賀(正)委員 時間の関係もございますので、中小企業対策に話を移したいと思います。
 まず、話を日米構造協議の大店法絡みに戻しまして、今回の中間報告におきます大店法に関します措置は、消費者利益、中小小売商の地域経済への貢献、そして国際協調、この三つの観点から決定したものと昨日大臣もお話をいただいたところでございます。
 大規模小売店の出店というのは御案内のとおり周辺の中小小売業の経営に非常に大きな影響を与えるおそれなしとしないわけでございまして、私の地元でも皆さん関係者大いに心配をしておるところでございます。地域経済を支えておるという重要な役割を担っておる中小小売業でございます。そしてまた、さなきだに厳しい経営環境にございます中小小売業でございますから、これが安定的に発展できますように政府としても新たに抜本的な中小小売業対策を講ずる必要があると考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思いま
す。
#12
○武藤国務大臣 今御指摘のとおり、地方の中小小売商というのはその地域社会また地域経済に対して大変大きな貢献をしてきていただいておるわけでございまして、正直それぞれの中小小売商がなくなってしまったら地域の住民の皆さんにもかえって御迷惑をおかけする点があるのではないかということを考え、今御指摘のとおり、今日も中小小売商の皆さんの環境というのは非常に厳しいものがございまして、そんなことで、私どもとしてはこの間成立をいたしました平成元年度の補正予算におきましても中小商業活性化基金というのを創設させていただきましたし、また、今御審議をいただいております平成二年度の予算につきましても、例えばコミュニティ施設整備事業というのは平成元年度よりも、二億ではございますけれども、金額的にもふやしまして充実を図っておるわけでございますが、今度の大店法がこれからどういう形でいくのか推移を見守らなければいけませんけれども、その結果いかんによっては今まで以上に中小小売商の皆様方にも大変御迷惑をおかけする点があるのかもしれない。この点を考えまして、私どもとしては今回思い切った措置を考えなければいけないのではないかということを言っておるわけでございますが、原則としてやはり中小小売商の自助努力をよりお願いしなければいかぬというのが一つあると思います。何でもかんでも政府が保護するということではなくて、やはりそれぞれ中小小売商の皆さんに御努力を願うということは当然でございますし、いま一つは、今まで以上に大型店と中小小売商が共存共栄できるような、そしてそれに地域の都市、街づくりと申しますか、街づくり会社構想というのも今度考えておりますけれども、何かその街づくりと大型店、それから中小小売商がうまくその中でかみ合っていくような、いわゆる共存共栄の形というものも考えていかなければならないと思います。
 しかし、そういういろいろの努力をしても、なおかつなかなかついていけないんだというようなお店も出てくる可能性もあるかと思いますので、そういう点についてはこの推移を見守らなければなりませんから平成三年度以降の予算ということになると思いますが、今までとは違った観点で、例えば従来でございますと、いわゆる地域、それから団体というものをどちらかというと対象にして助成措置が考えられてきたと思うのでございますが、場合によれば中小小売商、個々のお店が何らかの形で恩恵を受けていただけるような措置も考えなければいけないのではないかなということ、思い切った措置というのはそういう意味合いで私ども申し上げておるわけでございます。これは今申し上げたように今後の推移を見守らなければまだ何ともわかりませんけれども、場合によればその辺のところまで踏み込んだ助成措置も将来考えなければいけないということを考えておるわけでございます。
#13
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 ただいまは中小小売業についてのお尋ねということになるわけでございますが、小売業に限りませんで、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しいものがあるわけであります。大臣が昨日の所信でもお触れになりましたように、中小企業は我が国経済社会発展の原動力であります。その活力は我が国経済のいわば体力の基礎というべきものでもありますし、我が国地域社会の活力と健全性のよりどころと言ってもよろしいかと思います。特に、自由主義経済体制をとっております我が国におきますその意義は、今後二十一世紀にわたりましてもいささかも変わるものではないと私は確信をしておるわけでありますし、また自由民主党もこの中小企業の活性化を公約いたしまして今回の選挙も戦ってまいりました。
 中小企業対策の充実、活力ある中小企業の育成に向けまして、大臣の所信と決意を改めてお伺いをいたしたいと思います。
#14
○武藤国務大臣 私は従来から、日本経済を支えてきたのは決して大企業だけではない、やはり中小企業があってこそ初めて今日の日本経済の繁栄があるのだということを繰り返し申してきておるつもりでございますけれども、しかしながら中小企業というのは、幾ら努力をしてもこういう国際環境が大変厳しい中、あるいは一方人手不足というようなこともございまして、非常に御苦労いただいておることは事実でございます。
 そういう面においては、これから中小企業対策、やはり技術開発あるいは人材養成、あるいは地域全体の中でいかにしたら中小企業が生きていけるかという意味においては地方の産業おこしといったようなことも言えるかと思うのでございますけれども、それらの施策を進めながら、また一方、金融面、税制面でもまだまだやれるべきことはあるのではないだろうかと思っておりますので、やはり今後のこのような国際情勢の中で中小企業が生きていっていただけるための政策というのは、いろいろこれから考えられると思いますけれども、とにかく、先ほど中小小売商の方でも申し上げましたが、少し思い切った、観点を変えた施策を進めていかなければいけないと思っておるわけでございます。
 いずれにしても今まだ平成二年度の予算を審議していただいている最中でございますから、今どうこうという具体的なことは申し上げられませんけれども、平成三年度の予算などにおいては少なくとも平成二年度よりもまたひとつ変わった、より温かい政策をとってくれたというようなことになり得るようなことを、場合によれば審議会などにもいろいろ相談をいたしましていい知恵を出していただきながら、ひとつ中小企業の皆さんが、やはり自分たちを見捨てるものではない、地域社会の中で中小企業が一生懸命やっていることに対して政府もよく理解をしておる、こう思われるような政策をぜひひとつつくり上げていきたいと思っておるわけでございまして、この点は、与野党ともにひとつ商工委員会の皆様方にまたいろいろといいお知恵も拝借をしたいと思っておるわけでございます。
    〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
#15
○古賀(正)委員 通産大臣の大変心強い御決意を承りまして、本当にありがとうございました。大臣の今のお話のように、中小企業はやはり国の一番基礎でありますし、また経済の前向きの活力ある発展のためにもあるいはまた地域を安定させていくためにも非常に重要な役割を担っていくわけであります。その中小企業、二十一世紀に向けてまた日本の経済社会がいろいろ変わっていかなければならぬという中で、ひとつ積極的に前向きのいろいろな施策もやっていっていただかなくてはならない、あるいはまた既存のものを見捨てるわけにはいかない、それを何とか支えながら円滑ないろいろな転換なり調整なども図っていかなければならぬ、そういう苦しさの中に、ジレンマの中にこの政策は展開していかなければならないのであろうと思う次第であります。
 大臣は御記憶でしょうか、十年ほど前、私は大臣のゴルフのお供をしたことがございます。そのときに大臣はホールインワンをなさいました。そのとき大臣に記念品にキャディーバックの小さな筆立てを私もちょうだいいたしまして、現在も大事に使わせていただいております。ゴルフというのは、ホールインワンという格好いいことも大事だと思いますけれども、やはりシュァーにやっていくというのも非常に大事だと思う次第であります。特に昨今のいろいろな状況からいたしますと、いわばもう大臣にトラブルショットをお願いしなければならぬみたいなこともいろいろあろうかと思いますが、これまた非常に大事なところではなかろうかと思います。大臣の御決意、もうしかと承りましたので、私どももしっかり御支援も申し上げ、御期待も申し上げていきたいと思います。大臣の今後の御活躍を心からお祈りいたしまして、両大臣に対する質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#16
○甘利委員長代理 続いて、小岩井清君。
#17
○小岩井委員 私は、昨日の通産大臣の所信表明並びに経済企画庁長官の所信表明、さらに公正取引委員会委員長の平成元年における公正取引委員
会の業務の概略についての説明について、それぞれ項目別に質問をいたしたいと思います。
 第一点は経済運営問題です。
 政府は平成二年度のGNP四%の成長の見通しをいたしておりますけれども、昨日の経済企画庁長官もそれをベースに所信でその実現を述べておりました。政府部内の予算編成作業を行った昨年十二月当時と、最近では状況が大変変わっているのではないかと思うわけです。そのことについて、最初に内需から伺いたいと思います。
 外需の落ち込み分〇・五%をカバーして内需は四・六%の成長を見込んでおりますけれども、一つとしては、円安に対する四度目の公定歩合の引き上げの実施。二つ目としては、株式市場の落ち込みの結果、企業の資金計画の大幅変更の可能性がある。このことについては、民間の野村総研の試算においてもGNPに〇・六%のマイナスに働くという指摘があります。そして、住宅投資もますます抑制されるというおそれもあるわけです。さらに、賃上げも春闘で労働側の期待に届かない不満足な結果でもあったわけであります。以上、四つ挙げましたけれども、この四つの状況を踏まえてみても、経済企画庁長官の昨日の所信の中で述べられた内需の政府の見通しについては大変疑問が大きい、このように思いますけれども、現時点に立ってこの内需の見通しについてお示しをいただきたい、これが第一点です。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
#18
○相沢国務大臣 きのうの所信表明の際に申し上げましたように、日本の国の経済は、個人消費の面でも今お挙げになりました住宅投資等の面でも、また国際収支も、確かにさっき申し上げましたように一昨年に比べれば無論貿易収支の黒字は縮小するという状況にもございますし、またこれが現在のようないわゆるトリプル安の現象が起きている状況下において、今までのような経済のファンダメンタルズには変わりはないというが本当にそうなのかという御趣旨の質問だろうと思うのでありますけれども、ただ私どもは、先ほども答弁を申し上げましたように、GNPの一番大きな割合を占めておりますのが個人の消費でありまして、これが五四、五%前後であると思います。それは春闘相場も確かに六%台に乗せることができませんでしたが、五・八%というのは昨年の実績を上回っておりますし、雇用数も増加をいたしておりますし、物価も消費税の値上げに伴う上昇一・二%というものを織り込みまして考えなければならぬわけでありますけれども、現在の円安ということを考慮に入れましても、それほど大きな物価の上昇ということにもなっておりません。為替が動くと当然それは物価に影響を与えるわけでありますが、為替相場が例えば一〇%の円安ということになりますと、それが卸売物価に与える影響が約一%、それから消費者物価に与える影響が約〇・五%程度であります。したがいまして、仮に二割働いたといたしましても、それぞれ二%ないし一%ということであります。しかも、それにはタイムラグがございますから、仮に今申しましたように二%程度の円安ということになりましても、年内における物価に対する影響はおおむねはその半分程度というふうに見ております。
 そういうことでありますので、いろいろな点から見ましても、確かに全く心配の要素がないかといえばそれは問題でありますけれども、少なくとも現在の状況からいたしまして、直ちにこれからの経済成長についても大きな問題がある、こういうことではないというふうに我々は判断をいたしているのであります。
#19
○小岩井委員 経済企画庁長官から御答弁いただきましたけれども、全く心配の要素がないわけではないというふうに最後答弁ありましたね。ということは、心配の要素がないわけではないということはあるということなんですね。あるとすれば、この経済四%見通しについては修正をされる可能性もあるのかどうかということなんです。全く心配の要素がないわけではないということをおっしゃったわけだから、この点を伺いたいと思う。簡潔に答えてください。
#20
○相沢国務大臣 それはいわゆる経済の先行指標というものを見まして、このところ三月ほど言うなれば黄色い信号が点滅をしている。そういう黄色い信号が三月も続くときには、先行き景気がダウンする可能性が六〇%程度あるというのが過去の実績でありますが、しかしそれはあくまでも今までの経験からいうとそういうような傾向があり得るということでありまして、それが直ちに、今おっしゃいますようなGNPの見通しを修正しなければならない程度の変化がこれからもあるというふうに想定するのはいささかまだ短絡的ではないかという感じがしているのであります。しかも、昨年のGNPの見通しは当初四%と見ておりましたのが、実績見込みでは四・六%程度になっておりますし、大体経済成長を見る場合も、どっちかといえば確実にかた目に見るということが普通考えられますから、私は今直ちに、この四%程度の経済成長をここで変更するというようなことは必要ないと考えております。
#21
○小岩井委員 四%の見通しを変更することは現在考えていないということでありますが、これはそういうふうに御答弁なさるだろうと思いながら質問しておりましたけれども。
 続いて、外需について伺いますが、アメリカの景気拡大に陰りが見られるということが第一点であります。二つ目は、東欧情勢も世界経済にとって当面攪乱要素だと思うのです。それから、貿易統計でも、三月の輸出、前年比一・八%減、数量ベースで四・〇%増になっておりますが、海外市場の伸び悩み。それからさらに、輸入の方は一〇・三%増、この傾向は対外不均衡の是正には役立つとは思いますけれども、外需の政府見通しは大きなマイナスになることが懸念されるのではないか。内需、外需合わせて、所信で述べられているような四%が難しくなるのではないか。私は先ほど内需のことを申し上げましたけれども、外需についてもこういうことが言えるのではないかと思います。
 以上の状況を踏まえて経済企画庁長官と通産大臣に質問いたしますが、以上のような経済環境の変化について経済企画庁長官の認識と経済運営の見通しをお伺いしたい。それから、特に物価上昇懸念からの公定歩合引き締めが景気を冷やし過ぎる懸念がないのかどうかということもあわせて伺いたいと思います。
 それから、通産大臣、国内に内需の陰りが生じた場合、今円安ですから、円安を利用して国内企業が再び輸出にラッシュすることはないのか。これは改善してきた不均衡を再び悪化させることにはならないのか。この点については通産大臣から御見解をお伺いしたい。以上です。
#22
○相沢国務大臣 アメリカの経済も確かに成長が若干減速しているというふうに思われる点がございますけれども、決してそれが大きく景気の後退につながるような情勢ではございません。そしてまた、外需の経済成長に占める割合は、御案内のように平成二年度におきましてはマイナス〇・五%、それから平成元年度の実績見込みでもたしか〇・七%程度のマイナスと思っておりますが、この点につきましては最近の円安というものが、先ほどの御質問にもございましたように、これはどちらかといえば輸出の増加の要因になり得るものでありますから、国際収支の黒字の減少傾向に影響が出ないかということの心配はありこそすれ、それが外需を減速させる、つまりマイナス〇・五%がさらに大きくマイナスになる、こういうような状況ではないというふうに判断をいたしております。
 それから公定歩合の引き上げでありますが、これは日銀総裁も予算委員会等で答弁をされておりますが、いわば市中金利の上昇に伴いまして追従的に上げたものである、そういう性格も持っております。ただ、現在の経済の働きでは、今の公定歩合の引き上げというものが、株価安におけるいわゆる逆資産効果等とあわせて考えますと、確かに経済の成長に対する影響はないわけじゃありません。また、そこが一つのねらいであるわけでありますけれども、ただその影響は、そう申しては
なんでありますけれども、公定歩合の引き上げ後における為替相場あるいは株式相場の働き等を見ましても、それが非常に大きく経済の成長に影響を及ぼすような状況ではないというふうに私は考えております。
#23
○武藤国務大臣 確かに御指摘の円安という傾向からいけば、輸出がプラスになっていくんじゃないかという御指摘は私もよくわかります。ただ、一方今海外における生産という形で各業界どんどん出ていっておられるわけでございまして、これは逆に輸出にマイナスに働くだろうと思います。あるいはまた、今アメリカの景気の陰りということをおっしゃいましたけれども、海外の需要もどういう形で行くのか、これも不透明なところが非常に多いと思います。
 それから一方、輸入の方でございますけれども、これはやはり今も経企庁長官からもお話がありましたように、内需振興策をとっておりまして、例えば民間の設備投資でも依然として好調な歩みを続けておりますし、あるいはまた消費動向を見ておりましても、消費は非常に順調な歩みで、それこそ大変高い伸びを示しておるわけでございます。それに、私どもの輸入拡大政策というものがうまくまいりますれば、私は貿易収支についてまた黒字が多くなっていくというようなことには必ずしもならないんじゃないかと思っておるわけであります。
#24
○小岩井委員 それぞれ御答弁をいただきました。経済企画庁長官は、影響がないわけではないと今もおっしゃった。先ほどは、全く心配の要素がないわけではないということもおっしゃった。そういうふうに言いながら、GNP四%成長については、この変更は考えていないということでありますね。
 ということは、一点だけ簡潔に答えてもらいたいのですが、昨年の予算編成時の十二月時点と現在と経済環境が変わってきているということはお認めになりますね。この点だけ答えてください。
#25
○相沢国務大臣 ちょっとその経済環境という意味は私正確に把握いたしておりませんが、昨年の十二月において予算編成あるいは経済見通し等立てたわけでありますけれども、その時点と違っておりますのはいわゆるトリプル安ということでありますけれども、それは先ほど来の答弁に申し上げましたように、経済の基調においての大きな変化がないということで、経済見通し等の改定を行う必要はないんじゃないか、このように思っております。
#26
○小岩井委員 次に移ります。日米構造協議問題について伺いたいと思います。
 スーパー三〇一条、これとは全く別の枠組みとして日本と構造問題について協議をする、これは交渉ではなくて日米双方が相手国にアドバイスをし合うんだ、その結果処方せんを提案をする、そういう性格のものだというふうに言われて、私もそういうふうに理解をしていたわけですが、四回の協議の経過を見てみますと、アメリカ側がスーパー三〇一条を常にちらつかせながら、一方的な、協議というより交渉になった感が強いというふうに思いますね。この点について最初に通産大臣の御見解を賜りたい、こう思います。
#27
○武藤国務大臣 御承知のように、最初この日米構造障壁協議が始まりましたのは、昨年、サミットの前にブッシュ大統領から当時の宇野総理に対してお話があって、あくまでこれはスーパー三〇一条とは別の枠組みであるということが明言されておるわけでございまして、私どもはそれを受けて今日まで来たということを考えれば当然スーパー三〇一条とは別の枠組みのものである、こう判断をいたしております。
 ただ、今御指摘のありましたのは、多分、ボーカス上院議員などが市場に三〇一条を場合によってうまくいかないときには適用すべきだ、日本を指定しろというような法律案を出すぞということが報道されておりますので、そういうことも御心配をいただいて御指摘をいただいたかと思いますけれども、少なくとも今度の日米の協議の中で事務当局から報告を受けております中では、三〇一条の問題をそこでちらつかしたということは全くないというふうに私は報告を受けておりますので、そういうことはあり得ない、少なくとも政府間ではそういう三〇一条をちらつかせながら交渉に臨んだということはあり得ない、こう私は信じておるわけであります。
#28
○小岩井委員 通産大臣から今ボーカス議員の名前が出てまいりましたけれども、アメリカ側ではこれは構造協議というふうには理解をしていないというふうに聞いているのですね。構造的障害除去行動だ、こういうふうに。ですから、アメリカ政府と日本政府のこの構造協議の問題について理解が違うんじゃないですか。その点どうですか。
#29
○武藤国務大臣 ストラクチュラル・インペディメンツ・イニシアチブというのが正確な言葉でございますから、そういう点においては、いわゆる構造上の障壁について主体性を持ってお互いに考えようということだと思いますから、除去というよりは、イニシアチブ、こう言っているわけですから、イニシアチブというのは主体性を持ってお互いに考えるということだ、私はこう考えておりまして、やはり構造上の障壁についてお互いにアイデアを出し合ってそれを主体的に、これをどうする、こうするということを考え、そしてまたそれをお互いに話し合うという形であろうと私は判断しておりまして、今御指摘のように障壁除去の交渉を受けているというふうには私は判断をいたしておりません。
#30
○小岩井委員 日米双方でその点は解釈に食い違いありませんね。その点は確認を後ほど答弁していただきたいと思います。
 続いて、この合意内容をなぜ事前に、あるいは協議の途上、国民に説明しなかったのか。それから、利害関係者にも説明していないわけであります。多分外交交渉だからとおっしゃるでしょう、これは。しかし、この中間報告内容を達成するためにも、各界各層の理解と協力が不可欠じゃないんですか。この点の見解を承りたい。
 それから、これは行政府だけ、限られた省庁だけで協議をしてきた。それでアメリカ側の反応だけを重視をして取りまとめられたというふうに理解をするのですけれども、この点について、この中間報告についての通産大臣の御見解を承りたいと思います。
 それから、通産大臣とあわせて経済企画庁長官にも伺いますけれども、経済企画庁長官は国民生活の安定向上についての責任大臣ですね。私の理解しているところでは、協議の中に入れてもらってなかったのではないか、そう認識しているのですけれども、この点についてはどうですか、率直な所感を賜りたいと思います。大臣に答えてもらいますから、政府委員の方は結構です。
#31
○武藤国務大臣 私から二点お答えさせていただきます。
 第一点は、途中経過をなぜ公表しなかったかということでございますが、これは、今御指摘のように相手との外交という問題もございますが、特に日米間で、今回の場合お互いに中間の経過については発表しないでという形で話し合って進められたわけでございまして、もう両国間でそういう話し合いになっているわけでございますから、大変恐縮でございますけれども、外交上そういう形で約束の上に始まった協議でございますから、御理解をいただきたいと思います。
 第二点は、今回の中間報告に盛られていることはそれぞれに国民の皆さんにも大変影響のあるところであり、また中には場合によれば法律改正もあるではないか、そういう点では少し政府が行き過ぎたのではないかという御指摘かと思いますけれども、これも、我々としては今申し上げたような形で、外交上の約束から始まったことでございますからあれでございますが、少なくとも我々は、今日の中間報告に盛り込んだことは決して日本国民の皆さんのマイナスになることではない、結果的には日本国民の国民生活の質の向上にも役立つことであり、また従来以上に消費者重視、こういう観点から政策を進めていこうということでございますので、今後我々がPRに努めていかな
きゃならぬことはもちろん当然でございますけれども、よく国民の御理解を得るように努力していけば国民の御理解がいただけるものと信じておりますし、また法改正に当たりましても、こういう参議院においては与野党逆転というような状況の中でございますから、野党を含めて国会の皆様方の御協力がなければ法律改正はできるわけではございません。この点についても、私どもはそういう観点から国民のために、こういう考え方でやっておるわけでございまして、ぜひ御理解、御協力をいただくように今後我々は先生方皆さんにお願いしなければならぬと思っているわけでございます。
#32
○相沢国務大臣 日米構造協議が国民生活との関連が深い点が多々ございます。経済企画庁はなぜそれに参加していないのか、こういう御質問であると思いますが、実は、日米構造協議が始まりました際に、外務、大蔵、通産、この三省がいわば議長省となってそれぞれ審議官がその会合に出席たしておりますが、企画庁の方も海野審議官がこれらの会合全部を通じましていわば準議長というような立場で参画いたしております。今回の中間報告におきましても、貯蓄・投資のパターンあるいは価格メカニズム等々の面におきましてそれぞれの役割を果たしてまいっておりますので、決して経済企画庁が疎外されているということではない。じゃ、なぜ議長団に入っていないのかということになると、これは前のことでありますので私も詳しく承知しておりませんが、言うなればアメリカ側においてカウンターパートが見当たらないといったような事情もあったやに伺っておりますけれども、そういうような事情であります。
#33
○小岩井委員 言うならば、蚊帳の外に置かれたということですね。これは答弁は要りません。
 続いて、今通産大臣から答弁がありましたことについてさらに承りますが、これは法改正も必要だ、与野党の御理解もいただくし、国民にも国民のためになるということで御理解をいただきたいというように答弁がありました。おっしゃったように、立法措置が必要とする事項があるのです。この中間報告は、例えば大店法については次期通常国会における改正、さらに二年後の再改正、そして改正の内容にまで踏み込んでいます。日本国憲法は三権分立をうたっておるのですけれども、これは立法権の侵害にならないですか。通産大臣も議員として先輩ですから、みずから議員としてこの立法府に参加しておる一人でもあるわけです。立法権の侵害にならないか、この点は両大臣に答えてもらいたい。そして、もう決めた内容に立法府の議員として、はいそうですかというぐあいにいかないと思うのです。この点についてどうですか、御見解を伺いたいと思います。
#34
○武藤国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、今回の中間報告に盛られておる措置というのはあくまでも国民の皆様方のプラスになると考えて私どもはやっておるわけでございまして、それをもとにこれから法案を考えていくわけでございます。今御指摘のように、確かに例示はいろいろございますけれども、その例示について、手続といたしましては、まず審議会にもお諮りをしなければなりませんし、その上で法案をまとめていくわけでございまして、私は決して立法権を侵害したとは思っておりませんし、これから法案を作成いたしましたときに国会で十分御理解をいただくように私ども説明をさせていただき、そして御審議をいただくという形でございまして、何も私どもが立法府に対して、この法案を出したらそれはすぐそこで可決をしろと言っておるようなことは全くございませんので、これはこれから国会の中で私どもはベストの案を出すつもりでございますから、出しましたときには御審議を賜れれば結構かと思っておるわけでございます。
#35
○相沢国務大臣 今通産大臣から御答弁がありましたことと同じ趣旨でありますが、要するに日米構造問題協議に関する日本側の措置というものは、これは四月六日に閣議了解をされております。したがいまして、行政府としてはこのような考え方のもとに今後各種各般の対策を進めていくということになっておりますが、当然、その措置を行うに際しまして各種の立法措置が必要になってくる点がございます。言うまでもなく、これらはいずれ法律案の形におきまして国会の御審議を仰ぐことになるわけでございますので、そういう意味におきまして、これが立法権の侵害ということには当たらないのではないかというふうに思っております。
#36
○小岩井委員 立法権の侵害にならないということですね。また、出したらこれを可決しろということではないのだ、御審議をいただきたいのだ、当然のことですね。しからば、アメリカ側にもう約束しておるわけです。合意をしておる。法改正が成立しなかった場合はどうするのですか。政府は責任をとって、海部内閣総辞職しますか。通産大臣、経済企画庁長官、法改正が成立しなかった場合の責任はどうなりますか。それとも、日本政府の努力とは別に、議会が反対だから成立しないからやむを得ないというふうにアメリカに説明するのですか、あるいは議会が悪いと批判をするのですか、どっちなんですか。その点、明確に答えてください。
#37
○武藤国務大臣 与野党問わず、国会の先生方は国民の生活がより向上し、国が繁栄を遂げていくために御努力いただいておるわけでございまして、私ども法案を作成するに当たりましては、先ほどから申し上げておるように、国民生活の質の向上に役立つという形で法案を考えていきたいということでございまして、これからどういう形の法律案になっていくのか、まだこれからのことでございますけれども、ぜひ私はそういう面からいけば、国民国家のためになることならば、与野党問わずこれは御理解はいただけるものと信じておりまして、今この時点で法案が成立しなかったらどうかというようなことは、我々としてはいいものを出すということを申し上げておるわけでございますから、それはもう後ほど国会で御審議をいただくときでございまして、私どもはきっと御理解をいただけるものと信じてやっておるわけでございます。
#38
○相沢国務大臣 この日米構造協議に伴う措置につきましては、これは先刻申し上げました閣議了解の中でも、「政府としては、世界経済とより調和のとれた姿の中での国民生活の質の向上及び消費者利益の重視の観点から、同協議に対し、最大限の取組を行って来た」、こういう趣旨のことが述べてございます。でありますので、この構造協議に示された各般の措置の推進は、これは一般の消費者としても、国民生活の面でも必要なことだということの認識の上に立っているのであります。したがいまして、通産大臣から答弁を申し上げましたように、私どもといたしましては、これらの措置につきまして立法府の皆様方に十分な御理解を得られるように、そしてまたぜひそれに対するところの法的な措置がとられるようにこれからもお願いをしてまいりたい、このように考えております。
#39
○小岩井委員 時間がありませんので、この問題はやりとりしても時間をとりますので、また別な機会にやらせていただきます。
 続いて、独禁政策について公正取引委員長に伺いますが、時間がありませんので、独占禁止法運用の基本姿勢、この点が第一点。第二点は課徴金の引き上げについての考え方。これは日米構造協議問題の中間報告でも約束をしておりますけれども、この点について具体的考え方と改正案提出までのスケジュール。それから三点目として、損害賠償請求制度の有効活用の考え方。これを答弁してください。簡潔にお願いします。
#40
○梅澤(節)政府委員 独禁法の運用の基本的な考え方でありますけれども、二つあると思います。一つは、独禁法の違反に対する執行力を強めること、それから二つ目は、法運用の透明性といいますか、国内はもとより外国にも非常にわかりやすい行政運用を行うことによって、ひいてはそれが我が国の取引社会の透明性に対する理解につながるということであります。
 この観点から、今回の報告に幾つかの具体的な
対応措置を盛り込んでおりますが、項目別に簡潔に申し上げますと、一つは、最終的には立法府の御決定にかかわる問題でございますけれども、課徴金の引き上げを行う。それから二つ目は、ガイドラインというものをつくりまして、これは恐らく年内に作成、公表することになると思いますけれども、これによって個々の取引についての独禁法に触れるか触れないかという具体的な基準を明確に打ち出していく。それから三つ目は、公正取引委員会のなかんずく違反処理を行います部門の体制を強化するということでございまして、これは既に現在国会に提出されております平成二年度の政府予算案にその内容が盛り込まれております。それから四つ目と申しますか、現行の刑罰規定の内容を改正する必要はないと私どもは考えておりますけれども、これをさらに積極的に活用いたしまして、刑事告発に基づく刑事訴追というものを積極的に行っていく。この点につきましても、なるべく早い機会に公正取引委員会の具体的な考え方を公表いたしたいと思っておりまして、法務省等関係当局とこれから鋭意詰めていきたいと考えております。それから違反事件につきまして、従来は警告事案等については公表は例外的に扱っておりましたけれども、今回は勧告のみならず警告事件につきましても、原則としてこれを公表するという措置をとりたいと思っております。
 それから、課徴金の問題でございますけれども、もとよりこれは最終的に立法府の御決定にかかわる問題でございますけれども、政府側の作業といたしましてはなるべく早く検討作業に着手をしなければならないわけでございまして、現在関係方面とスケジュール等については鋭意詰めておる段階でございます。したがいまして、お尋ねのどういう内容になるかということはこれからの作業の問題にかかわることでございまして、今の時点で具体的なことを申し上げる段階にはございません。
 損害賠償制度につきましては、現在の独占禁止法二十五条の活用をより活発にする、そのためにはどうすればよいかということで今専門学者によります研究会をつくっておりまして、これは六月ごろに考え方を取りまとめていただくことになっておりまして、それを待って今の制度の活用を図っていく、そういう考え方に立っております。もとよりこれは法律の運用の話でありますから、最終的には司法と申しますか、判例等の今後の発展にまたなければならない分野が非常に多いわけでありますけれども、行政府といたしましては現行の制度がいかに効率的に活用されるかという問題に取り組むべきである。
 以上でございます。
#41
○小岩井委員 公正取引委員会に対する問題については後日に譲りたいと思います。
 最後に、エネルギー問題について質問いたします。
 エネルギー需要について、現在、好景気あるいは省エネルギー意識の低下、ライフスタイルの変化等を背景に大変大幅な伸びを示しておりますけれども、しかし、エネルギー需要の大幅な増大は、環境への影響、需給の逼迫などを招く可能性が大変高いと考えられます。こうしたことから、省エネルギー、特にエネルギーの効率的利用を一層促進することが必要であると思うわけであります。
 さらに、エネルギー供給面についてですけれども、地球環境問題、特にCO2の削減、さらには原子力立地の厳しさが増しているなど、大きな制約が生じております。こうした制約を考慮した上でのバランスのとれたエネルギーの組み合わせを考えていくべきではないかというふうに思うのです。
 そこで、お尋ねをいたしますけれども、今後の総合的なエネルギー対策のあり方並びに現在進められているエネルギー長期需給見通しの見直し作業の状況、策定の時期の見通しについて、これは通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
#42
○武藤国務大臣 御承知のように、昨年の六月からエネルギー調査会で今後のエネルギーの需給その他の見通しについて検討をしていただいているわけでございまして、この六月ごろには大体答申を得たいと思っております。その中身については、エネルギー庁長官の方からお答えをさせていただきます。
#43
○山本(雅)政府委員 現在、総合エネルギー調査会で検討をお願いしておりますが、その中の大きな二つの柱、たまたま今先生が御指摘のとおりでございまして、一つは、何としてでも省エネルギーを進めなければいけないということで、これをどのような形でやれるかというのが第一の柱でございます。第二の柱は、そういう省エネルギーをしてもなおかつエネルギーの需要は相当増大することが予想されますから、その増大するエネルギーに対してどのような形で、言葉としてはベストミックスという言葉を使っておりますが、どのようなエネルギー源をどういう形でまとめていけば一番いいかという二点について、現在鋭意検討しているというのが実情でございます。
#44
○小岩井委員 終わります。ありがとうございました。
#45
○浦野委員長 加藤繁秋君。
#46
○加藤(繁)委員 加藤でございます。私は、今日的課題でいいますと政治経済の中心的な商工委員会に所属できまして、大変光栄だと思っております。きょうは、通産大臣と経済企画庁長官の所信表明に対して二、三お伺いをしたいと思うのです。所信表明ですから、ぜひとも両大臣からお答えをよろしくお願いしたいと思います。
 私は、まず経済企画庁長官にお伺いしたいのですが、長官のごあいさつの中で、ゆとりある社会の実現を目指す観点から週休二日制や連続休暇の問題について決意が述べられておりますが、賛成でございます。そして、昭和六十三年五月二十七日の閣議決定の中でも労働時間の短縮について決意が書かれているわけでございます。大変結構なお話なのですけれども、しかし一方で、平成二年三月十六日の閣議了解「国家公務員の交替制等職員の週四十時間勤務制の試行について」、この中で、試行は現行の予算、定員の範囲内で実施をする、試行に当たっては行政のサービスの低下を招かない、このような了解事項があるわけでございますが、実はこの閣議了解と長官のごあいさつとは内容が矛盾をするのじゃないか。つまり、一方でゆとりある社会を目指す、こう言いながら、一方ではやらない、こういうように受けとれるのですが、まずその点についてお伺いをしたいと思います。
#47
○相沢国務大臣 ゆとりある国民生活の実現ということは、我が国の経済成長が非常に著しいというような、言うなればそういう計数的な概念的なものでは国民生活の面では十分ではないので、やはり豊かな生活を実感できるというところに本当の意味におけるゆとりある国民生活が実現できるのだという考え方で今までいろいろな面に取り組んでまいっているわけであります。
 そのゆとりある国民生活の中に、一つの大きな項目として、諸外国に比べて勤務時間、労働時間が長いという問題がございまして、これを何とか千八百時間という国際水準並みに縮小をしていかなければならないというところに努力目標を置いているわけであります。なかなか急速に進展はいたしませんが、労働時間というものが、今数字は申し上げませんが、着実に減ってまいっていることは明らかでございまして、その中で、今お話がございましたように、公務員の点におきまして、交代制の職員について四十時間勤務制を実施することについて、一般の公務員につきまして週四十時間勤務制を実施いたしました際に交代制の職員についてはいろいろ問題点がございましたから、言うなれば少しその実施がおくれておったのであります。
 おっしゃるように、ことしの三月十六日に閣議了解をいたしまして、交代制の職員についても四十時間の勤務制を、これはまだ試行の段階でありますので、予算や定員についてとりあえずその枠内で実施をしてみて、いろいろ問題点を検討し、さらに試行ではない、何と申しますか、完全実施
をするような手段を今後とっていく、こういう趣旨でこのことが考えられているというふうに承知をいたしております。
#48
○加藤(繁)委員 今長官が勤務時間が減っている、こういうようにお答えになったのですが、私、ここに労働省調べの資料を持ってきたのです。
 昭和でいいますと五十五年度、時間外労働時間が一カ月で十三・四時間、昭和六十三年度は十五・七時間と、着実にふえているわけでございます。したがって、勤務時間が減っている、働いている時間が減っているという御指摘は当たらないのではないか、私はこのように考えるのです。
 そしてもう一つ、試行というふうに言いましたけれども、仕事量が一定で休日がふえれば当然一日の労働密度はふえる、これは当たり前のことなのです。そして、特に交代制勤務の職場といいますと病院でございますが、一カ月に八日夜勤で二人体制を守るとすれば、これはどうしても人をふやさなければできないことなのですけれども、そういうはっきりしたことがわかっているにもかかわらずこのような取り決めをしたということは、長官自身、どのようにお考えですか。
#49
○相沢国務大臣 時間が減ってないではないかという点についてお答えをして、さらに後段については政府委員から答弁をいたさせます。
 確かにおっしゃるように、所定外の労働時間につきましては六十二年が年間百七十八時間、六十三年が百八十八時間、それから平成元年が百九十時間という実績を示しておりまして、わずかではありますけれども、ふえております。ただ、所定内の労働時間が短縮をいたしておりますので、年間の総実労働時間といたしましては、昭和六十二年の二千百十一時間、六十三年の二千百十一時間、それから元年の二千八十八時間、おっしゃるようにまだ減少率というものがそれほど大きくはございませんが、確実に実労働時間では下がっている、前のことを申し上げるとよくわかりますけれども、減っておりますから、所定外の労働時間がふえたからといって実労働時間がそれによってふえたということではないのでございます。
 自余につきましては政府委員から答弁させます。
#50
○冨金原政府委員 大筋はただいま大臣がお答え申したとおりでございますが、ただ、最近の傾向をもう少し月別にちょっと見てまいりますと、月によってばらつきがございますが、所定外の労働時間の前年同月比率というものの推移を追ってみますと、昨年の七月ぐらいはまだ一年前の七月に比べて所定外の労働時間が伸びておりますが、八月、九月、十月、十一月と、いずれも比率としては一%前後でございますけれども、所定外の労働時間も一年前の月に比べて減っているという実績はございます。ただ、十二月、一月は減っておりません。二月は、これは特殊な要因もございますが、一年前に比べて二・六%減っているということで、大数としては所定外の労働時間、遅々としておりますけれども、最近、直近のところを見ますと、少し減少傾向は見えるという点はございます。
 先生御指摘の個々の問題につきましては、それぞれのところでかなり労働時間が長い、勤務条件が厳しいという面はあろうかと思いますが、私どもが全体として見ておりますのは今申し上げた数字でございます。
#51
○加藤(繁)委員 ゆとりというのは実感で考えられるものだというふうに長官はお答えになったのですけれども、私もそのとおりだと思うのですが、果たして今言った数字で、民間も含めて働いている人が労働時間が短くなったと実感しているでしょうか。多くの民間で働いている皆さん方から見ると、私はとても短くなったという実感は持ってないのじゃないかと思うのです。その証拠に、一つは民間企業における年休の取得率、これで見てみますと、昭和四十五年に六二・一%だったのが昭和六十三年には取得率が五〇%に落ちているのです。したがって、これから見ますと、長官のごあいさつの「ゆとりある社会の実現を目指す」という観点は予算、人をふやさないとできない、このように考えるのですけれども、長官、どのようにお考えですか。
#52
○相沢国務大臣 予算、人と、これは既定の枠内において試行するということに先ほどの閣議了解はなっておりますが、国の行政機関の仕事のあり方あるいは人員に求められておりますのは、今まで行政改革ということで進められていました国の方針というものは、あくまでも定員はできるだけこれを抑えていくという考え方のもとに行われてきたわけでありますし、またそうでなければならないのではないか。ただいたずらに人を削ったらいいということにはならないので、その前提としては役所の事務処理方法について改善を行いますとか、あるいは人員の再配置について十分検討を行いますとか、その辺にいろいろと創意工夫があってしかるべきことなのでございます。
 そういう意味におきまして、こういうような四十時間制の実施というようなものを一つの契機にいたしまして、今までの執務体制についてもいろいろと真剣な検討が行われて、そして何とかそれが実施できるようなことをお互いに工夫していかなければならない、このように考えているのでございます。
#53
○加藤(繁)委員 長官にお答えいただいたのですが、ごあいさつの中では積極的にやります、実態は積極的にやりにくい、こういうことがよくわかりました。ありがとうございました。
 それでは、続いて二つ目の問題に移りたいと思うのです。
 大店法の問題について通産大臣にお伺いしますが、ごあいさつの中で「消費者利益、中小小売商の地域経済への貢献、国際協調」、この三点から思うのですが、私は、今日の車社会の発展と都市間競争になっている、こういう点から言えば、街づくりという点、これはやはり今は大変必要になっているのではないかと思うのですが、その点についてぜひともつけ加えていただきたい、このように考えるのです。
 そして、その街づくりという観点からいけば、地方自治体の果たすべき役割というのが非常に大切になっている。そういう点で通産省の昭和五十九年三月五日付の五十九産局第二百四十一号の問題、これの中の「第一種大規模小売店舗の出店が相当水準に達していると認められる市町村」、その場合には「各都道府県知事を通じてその届出の自粛を指導されたい。」とあるのです。この場合の「相当水準」というのは、一体どういうことを指しているのかお答えいただきたいと思います。
#54
○武藤国務大臣 私は、今のお話のとおり、所信表明の中でも地域の経済に大変御貢献をいただいておる中小小売商の問題、それから消費者の保護と利益を増進をしていくという考え方、いま一つは、国際的な環境の中で日本がやはり国際的に通用する方向でいかなければいけない、この三つを挙げておるわけでございますけれども、今御指摘の街づくりと申しますか、都市計画との関連というような面においては、当然それは大変重要な項目だと思うのでございますが、ただ、今現実に出店調整を商調協でいろいろやっております中におきまして、この都市計画との関連というのは非常に重要な項目として、当然都市計画との調整、整合性ということを重点的な一つの項目としてやってきておることは事実でございます。今後もより一層その点は重要なことかと思っておりますが、たまたま一つの大きなタイトルとしていくという形で三つのことを申し上げただけでございまして、当然街づくりということを重点に置いていかなければならぬというのは、私は当然かと思っております。
 なお、今の通達の点でございますけれども、これは通産局の通達でございますので、事務当局からお答えをさせていただきます。
#55
○山本(貞)政府委員 先生が今御質問のいわゆる相当水準市町村、基準についてでございますが、基準というか考え方といたしましては、第一種大型店舗の面積当たりの顧客数というのを基準にいたしまして、かつ人口規模とかあるいは人口の増
減率あるいは商業施設充足の程度等を総合的に勘案してまず考える。同時に、やはりこれは先生今御指摘のことでございますが、地元あるいは自治体の意向を中心に考えなければいけないということから、市町村とそれから当該商工会議所なり商工会の御意見を伺って定める、そういう運用をしております。
#56
○加藤(繁)委員 そのことはわかっているのですけれども、具体的に例えば人口が何万人で商圏人口がどのぐらいだったらこれは認めるか、認めないかという具体的な基準をつくっているのかどうかということについてお伺いしたいのです。
#57
○山本(貞)政府委員 今申し上げました基準全体につきまして、私どもとしては一つの目安を持っております。ただ、具体的な基準につきまして今申し上げるのは、大変恐縮ですが差し控えさせていただきたいと思います。
#58
○加藤(繁)委員 どうしてですか。なぜここでは言えないのですか。それがよくわからないのですが。
#59
○山本(貞)政府委員 これは先生御案内一のように、五十九年にさらに通達を出し直しましたので、今委員御指摘の五十九年の通達が今生きておるわけですが、五十七年から実施しておりますが、その直前、昭和五十四、五年ごろから大変な出店ラッシュがございまして、出店に伴うトラブルというか調整案件が大変ふえまして、その時点で当時、大店法を改正して届け出制から許可制にすべきではないかとか、あるいはその運用を強化すべきだという御意見がございました。その御意見の調整の中で、今の相当水準市町村という運用をすることになりまして、その時点で今申し上げましたような基準で運用することになったわけです。
 私ども、今公表しておりません基準につきましてなぜかという御下問でございますが、その基準なりその当該市町村を表に出しました場合、その市町村がすべて出店ができないところという印象をむしろ与える、そういう点から従来、審議会の御意見も伺いまして、アプリオリにそういう判断を与えるのはよくないために、一定の基準に基づいて当該市町村なり、当該商工会なり、商工会議所の方にはその都度御連絡を申し上げる、そういう運用をしておるわけでございます。
#60
○加藤(繁)委員 九〇年の四月十日の繊維新聞によりますと、その基準が書かれているのです。それによりますと、商圏人口で「@人口十万人以上の都市は三・四人A五万人以上、十万人未満では三・七人B三万人以上、五万人未満では三・九人――を下回る都市を出店抑制地域と認定。」こういうふうにあるのですけれども、これは事実かどうかお伺いしたい。
 同時に、「大手企業の年間出店申請面積を制限する「個別抑制指導」も現在実施されている」、こういうふうに書かれているのです。それについて具体的には「ダイエーは年間六万平方メートル、イトーヨーカ堂、西友、ジャスコ、ニチイなどは各五万平方メートルの年間枠を設定している」、こういうふうに書かれているのです。これは事実かどうか。もし、事実だとすれば、これは外国から来る企業に対しても適用するのかどうなのかお伺いしたい。
#61
○山本(貞)政府委員 今の数字を伺いまして、基本的には大きな違いはないと思いますが、ただ、経済の実態というか毎年そのあたりは数字は見直しておりますので、現時点でその数字ということはあるいは違っているかもしれません。
 それから、この点につきましては、外国の企業が進出する場合でもすべて内外無差別に出店調整制度は現時点で適用されておりますので、外国の企業が出店する場合でも同様の手続対象になるかと存じます。
#62
○加藤(繁)委員 四月十日の繊維新聞には発表されて、私が質問したことには答えられない、このことについて、通産大臣どのようにお考えですか。
#63
○武藤国務大臣 残念ながら、私その新聞を実は見ていないものでございますから、何とも今の時点では答えられないわけでございます。ただ、今の、今回の五月中に実施する運用改善、これは昨年、産構審、中政春の合同会議で御審議をいただいた上で「九〇年代流通ビジョン」という形で出てきておるものを大体もとにして今後運用していこうということでございますので、今御指摘の、私どもそういう細かいことまで存じていなかったのでございますが、そういう点についてはとりあえずは、なかなか難しいかとは思いますが、先ほど御指摘いただきましたように、私ども法律改正を目指しておるわけでございまして、来年度の通常国会、来年度といいますかこのことしの暮れからの通常国会を目指して法律を何とか改正をしていきたい、御審議を願いたい、こういう形で審議会にもまたお諮りをしていこうと思っておりますが、私がその中で事務当局に言っておることは、とにかく不透明なことはいけない、なるべくだれが見てもわかるような形にしなければいけない、今どうも通達でいろいろと不透明な点があるようでございますから、そういう点はやはり法律で規制をしなければいけないことはしなければいけないで法律で書いた方がいいんじゃないかということを私は指摘をいたしておるわけでございますから、今の点も踏まえて、法律改正のときには私も十分よく事務当局からその実情を聞きまして、やはりだれが見てもわかるように、透明性のあるような方向に行くということを努力をさせていただきたいということだけ申し上げておきます。
#64
○加藤(繁)委員 よくわかりました。明記するということですね。
 この新聞によりますとさらに、「九〇年代流通ビジョン」ではこの出店抑制地域は続けることが望ましいとあるのです。そうしますと、これは続ける、したがって不透明さを続けるというのが「九〇年代流通ビジョン」にあるということです、そういうふうに書かれているのです。したがって、通産大臣が新聞を見ていないとおっしゃいますからぜひ一度見ていただいて、次回私はまた頭脳立地で質問しますから、そのときお答えいただきたいと思います。
 時間がありませんから、次に移りますが……
#65
○武藤国務大臣 透明性というのは、今のことを明記するという意味で申し上げたわけではないので、場合によればそういうのはなくなるかもしれませんし、これから審議会にいろいろ御議論いただく中で、できるだけ透明性という形を持って、どういう形を今度の法律改正の中に盛り込んでいくかというのはこれからの問題でございますから、その問題も含めてできるだけすべてだれが見てもわかるような仕組みに、少なくとも法律以外のことで非常にわからないことが現在まで多うございましたから、そういう点は私は極力排除していきなさい、こういうことを言っているということだけを申し上げておきますので、その今の規制何とかですか、小規模、小さいもの、そういうものの明記という意味じゃございませんので、その点誤解のないようにお願いを申し上げます。
#66
○加藤(繁)委員 よくわかりました。私が申し上げた基準というのは通産省の内部で考えていることと余り変わらない、これが一致したということと、それはしかし現在では明らかにされない、その点については次回の質問で通産大臣にお答えいただくということだけ私申し上げて、この点については終わります。
 それからもう一つ、最後の問題ですが、東京一極集中の点についてお伺いしたいのです。
 確かに東京は地価も高いし、県民所得も沖縄の倍だ、こういうことになっていますので、庶民生活から見ますと、大変一極集中が大きい。ですから、この一極集中について通産省としてどのような対策を考えていくのか、一体何が原因だと思っているのか。私が思いますのは、情報の集中というのが非常に大きな要因じゃないかと思うのです。そうしますと、情報の集中でいきますと、情報というのは集中してこそ効果がある。しかし、それを今度分散しようとする頭脳立地的な、地方分散的な方法で果たして可能なのかどうなのかということですね。これで本当に可能かどうかとい
うことについて、もし可能だったらこれまで成果が上がっているはずですから、ぜひその成果をお聞かせ願いたい。
 そして、私、質問というと大臣がお答えになって終わりになると思いますから、最後にぜひとも。これは、地方分散ということでいきますと、政治、経済、文化が東京に集中していて地方分散というのは非常に難しいんじゃないか。したがって、例えば国会をほかの地域に移す、このくらい思い切ったことをやらなければ、これは実際できないんじゃないかというふうに私は思っているんですが、通産大臣としての決意がどうなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#67
○武藤国務大臣 今御指摘のように、今日、政治経済の中心的な役割を東京が果たしてきた、そこへ情報化時代になりまして情報のキャッチは東京の方がしやすいということもありますでしょうし、あるいはこのごろは国際的な立場で日本の金融がいろいろ行われてきておりまして、こういう点でも世界の金融関係の人たちがいろいろ東京に来ておる、いろいろ一極集中になってきておると思うのですね。これはもう本当に困るわけで、私ども四全総でも多極分散型国土形成ということを言っておるわけでございますし、通産省といたしましても、今日まで例えば工場再配置の問題であるとかテクノポリス構想であるとか、あるいは今も御指摘の今回法律の改正をお願いをいたしております頭脳立地の問題であるとかいろいろやってきておりますが、まだまだ十分な成果はもちろん上がっていないと思います。もっともっと私ども努力をしていかなければならないと思っております。
 同時に、今の国会、いわゆる立法機関をどこか東京からよそへ移したらどうかという話でございますが、これは実は私の権限じゃないわけでありまして、これが一政治家という立場だけであればまたいろいろ申し上げられるかと思いますけれども、ちょっと通産大臣でその辺を答弁すると所管外のことにまたがってまいりますので、大変恐縮でございますけれども、私の個人的な考え方はございますけれども、正式な委員会での答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
#68
○加藤(繁)委員 所管外と言ったんですけれども、こういう問題に取り組む場合には閣議の話し合いが重要になってくると思うのですが、そういう閣議の中での通産大臣としての立場ですね、どういう立場にいるのかということです。そういうことをやっていこうという立場なのか、いやいやこれはもうこのままでいいんだというふうに考える立場なのか。
 それと、もう一つ私ぜひお答え願いたかったのは、一極集中の原因が情報化ということになりますと、情報を地方に分散さすということ、これは確かにいいことなんですが、しかし、分散さすことによって情報集中の効果というものが薄れてくるんじゃないか。ですから、その場合の問題点になるのは料金ですね。例えば地方で受ける場合に、札幌から香川県に行く場合と、香川県から九州に行く場合と東京に行く場合といろいろ料金に差があると思うのですが、そういう問題がありまして、情報を地方に散らすというのはなかなか難しいのじゃないか。難しい中で頭脳立地的に地方に情報源をつくっていこうということが、やろうとすることと情報の集中という効果との面でやや矛盾するんじゃないかなと思うのですが、どうでしょうか。
#69
○武藤国務大臣 いずれにいたしましても、先ほどの立法府の移転の問題は、閣議でどうこうということも含めて、今この場で私が答弁するということは差し控えさしていただきたいと思います。
 それから、今の情報の分散、私は大変大切なことだと思うのでございます。これはもう今の頭脳立地の法律案もそういう形で私どもお願いしているわけでございますけれども、例えば将来光ファイバーが非常に発達していけば、今の料金なども相当安く各地域で情報をキャッチできるんじゃないかなと私は思っておりまして、そういう光ファイバーなどの推進ということも一方においては変大切ではないか、総合的にいろいろな情報がうまくそれぞれの地方でキャッチできるようなことを考えていくということはこれから大変必要なことだと私は思っておりますので、今後もいろいろの政策を私どもはお願いをしていかなければならないと思っておるわけであります。
#70
○加藤(繁)委員 ありがとうございました。この頭脳立地の問題は私が担当ですから、これからまた質問のときにお伺いしたいと思うのです。
 最後に、端的にお伺いしたいのですが、通産大臣が、新閣僚に聞くというので新聞で消費税の問題についてお答えになっているのです。現行の法律を思い切って見直す、こういうふうに言っているのですが、私、思い切って見直してほしいのですけれども、その点の中で、生活必需品はどうしても非課税にしてほしい、こういう一般の方、生活者の方は大変多いのですが、私は大臣が生活必需品は非課税にするという思い切った見直しを考えているかどうか、お伺いをしたいと思います。
#71
○武藤国務大臣 これも所管は大蔵省でございまして、私がここでいろいろと具体的なことまで申し上げるということはやはり差し控えさせていただきたいと思いますので、今の御意見は十分私の頭の中には入れさせていただきます。また、大蔵大臣といろいろ消費税のお話をするときには、その御意見を私の頭の中に入れながらお話をしていきたいと思っております。
#72
○加藤(繁)委員 ありがとうございました。
 現在の行政は、縦割りの矛盾がやはり今みたいな形で出ている。したがって、ある問題を聞けば私は担当でない、この問題を聞けばこれは担当でないというふうにいろいろ逃げ道があるので、ぜひともこれからは、国民生活を豊かにするという意味においては、縦割り行政だけでなくて二つ三つ寄せて問題を集中的に審議する、解決していくというふうに思い切って行政を組みかえていく必要があるのではないかな、こういう感想を述べまして、私は質問を終わりたいと思います。
#73
○浦野委員長 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
    午前十一時五十二分休憩
     ────◇─────
    午後一時二分開議
#74
○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。鈴木久君。
#75
○鈴木(久)委員 私は、昨日大臣から趣旨説明があった問題等について順次質問をしてまいりたいと思います。
 構造協議問題あるいはココム問題等の質問を申し上げますけれども、その前に、極めて具体的な問題でございますけれども、緊急的な性格を帯びておりますので、初めに韓国スミダ電機問題についてお尋ねをしたいと思います。
 本問題は既にマスコミ等で大きく取り上げられておりますので、その実情は通産当局も十分に御承知のことと存じます。葛飾区に本社のあるスミダ電機株式会社の一〇〇%出資である韓国スミダ株式会社が、昨年十月十四日付で四百五十人に上る人員を一方的に解雇通告を行って撤退してしまったことに端を発しているわけでございまして、この会社の理不尽な首切りに抗議して、この解決を求めて労組代表四人が昨年の十一月十五日以来日本に参りまして、交渉要求を続けてまいっております。既に今日まで五カ月を過ぎておるわけでございますけれども、抗議の座り込みやらハンストを続けておりますけれども、実はきょうは第二回目のハンストで、五日目になっております。この韓国スミダ電機と同様にTNDというところとアジア・スワニーという三社も同時に韓国から撤退をしたわけでございますけれども、ここは一応労使の交渉の中で解決を見ておるのでありますけれども、この韓国スミダだけは今日に至っても交渉にも応じないという態度に終始をしておりまして、極めて不誠実であります。特に今日、日本は進出企業が外国で大きな活動をしておるという状況の中で、このまま事態が推移すれば国際的な批
判が高まる、さらには極めて人権問題であるという立場からいって憂慮すべき問題であろう、こういうふうに思うのですけれども、まず大臣の御認識、どんなふうにされておるのかお伺いをしたいと思います。
#76
○武藤国務大臣 この問題につきましては私も新聞報道などでは承知をしておりますが、正直なかなか難しいのは、一民間企業が韓国へ進出をしまして、そこで現地のいわゆる企業をつくって、それが撤退をしたというところから起きている問題でございまして、いわゆる政府としてこれに介入するということはなかなか難しい問題だと思うのです。もちろん、私ども一般的に申し上げれば、海外へ進出されるそれぞれの民間企業がその地域社会の中においてよき市民となっていただいて、その地域社会と協調していくことも大切でございますし、また労使間の問題についても、円滑にいくようにするというのが当然だと思います。その点においては、一九八七年に民間の七団体で自主的に、外国へ出ていった場合のガイドラインみたいなものをつくっておられます。その中に実は「良好で適正な労使関係の確立」というのが書いてあるわけなんです。それからまた、私どもの方でも昨年、多国籍企業の企業行動指針に関する動きというのを、一九八九年に政府の方で産業構造審議会の建議の「海外事業展開に当たって期待される企業行動(十項目)」というものを産構審でつくっていただいて、それをもとにいたしましたものを政府として通達をいたしておりますが、その中にも今と同じようなことが書いてあるわけでございます。
 私どもとしては、現地で労使関係が円滑にいくようにきちんとしてもらいたい、こういうことをしておりますので、民間企業におかれてもその趣旨を踏まえてしていただいておるものとしておったわけでございます。今度のようなことは大変不幸な出来事かと思いますけれども、先ほど申し上げるように、私どもとしては全般的に指導することはできますけれども、個別の企業の紛争にまで立ち入るというわけにはなかなかいかないものでございますから、我々としては当事者間の円満な話し合いで一日も早く解決をしていただけることを期待をしておるというような状況でございます。
#77
○鈴木(久)委員 この問題の本質は、安い労働力を求めて外国へ進出をして企業活動をする。通常、渡り鳥企業と言われているのだそうでございます。この韓国スミダは、韓国から撤退してすぐフィリピンに行っているのです。そのほか台湾、中国、マレーシア、そういうところでも現在操業をしている。ですから、韓国の問題だけではなくて、この企業だけではありません、こういう企業がかなりたくさんあるわけでございまして、まさに渡り鳥企業と言われる、安い労働力を求めて海外へ進出をしている企業の象徴的な出来事なんじゃないか、私はこういうふうに思うのです。実は、撤退するときに廃業手続もしていない。さらには賃金未払い、韓国の労働法、労働協約を一切守っておりません。日本で経営しているのであれば、一〇〇%出資の子会社が倒産した場合は親の責任を当然問われますね。こういう立場からいっても、先ほど大臣もお話ありましたけれども、日本の中でも、外国へ行って活動をするものに対して産業構造審議会から、今大臣が御答弁になったような趣旨の、特に雇用に責任を持ちなさいということについて提言を受けているわけですね。通産当局はそういう立場で指導されるべきなんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いわゆる外国進出企業の指導監督、監督という言葉はちょっと出過ぎかもしれませんけれども、そういう指導的な立場に通産省の窓口がしっかりあって指導されるべきなんじゃないか、それでないとこういう問題がこれからどんどん出る可能性がある、国際的な批判を浴びる、こういうことになりはしないか。今日、それでなくても日本の企業が外国でいろいろ問題を起こして批判を受けているわけでございますので、もう一度その辺の雇用の問題を中心にした、あるいはまた通産省としての今後の指導のあり方についてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
#78
○武藤国務大臣 御指摘のとおりでありまして、私ども、今、日本の経済界に対しても、この貿易インバランスの問題などを踏まえて、現地生産の極力お願いをしているわけでございます。しかし、その現地生産をおやりになる、外国へ進出された企業がその地域社会の中でひんしゅくを買うようなことがあっては、これはまた逆に日本の国のためにもならないわけでございますから、そういう点は本当に、先ほど答弁させていただきましたように、民間団体でも行動指針をつくり、また私ども政府としても産業構造審議会でそういう提言をしていただいてやっているわけでございまして、正直みんな良心的にそれに基づいてやっていただければこういう問題は起きないわけでございますけれども、たまたまこの案件は、その企業の経営者が良心的でないと私は思うのでございますけれども、ただ、企業の経営者が良心的でないといっても、国内の問題でございますと労働紛争は幾らでも労働省の方で取り上げてやれるのでございますが、何せ現地の韓国における問題でございますので、これは本当におっしゃるとおりで、私ども、やれれば政府が介入してでもやりたい気持ちはございますけれども、現実の問題としてこれはなかなか難しい問題でございますので、何とか一日も早く円満な解決をしてもらえるように期待をしているということしか今のところでは何とも申し上げられようがないわけでございます。非常に残念に思っております。
#79
○鈴木(久)委員 これは、一〇〇%出資した本社が日本にあるわけです。そことの交渉を求めているわけですから、そこは通産省としてもある一定程度やれるんじゃないか、こういう気がしてならないのです。撤退して、もうみんなこっちへ来ているわけでしょう。日本人の役員も全部戻ってきているのですよ。本社はここ、社長は日本で工場もあるし経営もしている、こういう実情ですからね。親の責任というものをしっかりすべきなんじゃないか。それでないと、これから、ずっと進出していくんでしょう、こういう渡り鳥企業がどんどんふえて、日本がまたアジアで、武器は持たないけれども何だと言われかねない状況になってしまうんじゃないだろうか、こういうふうに憂慮するわけでございます。
 昨年の十二月五日にも参議院の外務委員会で中山外務大臣が現地に進出した企業の問題に答弁をしておりまして、こういう事態を引き起こすことは各方面で努力している友好関係に大きな影を落としてしまうことになる、一日も早い解決を当事者間に求めたい、こういうふうに答弁をしておられますけれども、既に五カ月、先ほども申し上げました。きょうは第二回目のハンストに入って、命かけてぎりぎりの闘いを労働組合の代表がしている、この現実をただ見過ごしておくわけにはいかないんじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのですね。冒頭申し上げましたけれども、本社が日本にあるわけですから、通産省としての一定の早期打開、解決の道を指導すべきなんじゃないだろうか、こういうふうに私は思っておるので、もう一度大臣の答弁をいただきたいと思います。
#80
○武藤国務大臣 今、現時点では、先ほど答弁をした以上のことは申し上げられないわけでございますけれども、何かいい方法はないか、私自身もひとつ考えてみたいと思いますので、ここでは答弁はちょっとできませんけれども、私のできる範囲のことはやっていかなきゃならぬと思っておりますが、どの程度までできるかは早急に研究をさせていただきたいと思います。
#81
○鈴木(久)委員 大臣の今のお話承りましたので、ぜひいろいろな形での努力をいただきたいということを要望して、この質問は終わりたいと思います。
 次に、日米構造協議問題については数多くの議論がございましたけれども、私からも多少お尋ねをさせていただきたい。
 中間報告の内容について申し上げるよりは、む
しろ率直な感想を申し上げながら通産大臣の所信を伺いたいのでありますけれども、今度の構造協議は、異例と言えるような形で先に首脳会談がセットされて首相の政治決断を求められたというふうに言われた上に進められたのではないだろうか、私はそういう認識を持っております。中間報告をするのに最後まで大店法の問題等々が難航したようでございますけれども、米側が要求している、例えば土地の利用や流通、排他的取引の慣行の問題あるいは系列関係、価格メカニズムなど、現在の経済関係にそぐわない点というのは確かにあると思うのですね。しかし、これは日本の文化や風土の中で生まれ育った経済システムということでございまして、もし現状にそぐわないとすれば、本来、日本政府がみずから積極的に解決すべきなのではないか。今見る限り、何か外圧があって改める、そういうそしりを免れないような感じを私は受けるわけであります。日米構造協議の成り行きいかんでは日米関係に根本のところで重大な影響を及ぼすという性格までこれが行ってしまっている。私は残念でならないのです。
 もともとこの背景にあるのは日米の貿易不均衡であり、日本の大幅な貿易収支の黒字というのが一番根本にあるわけです。同時にそれは、アメリカの経済の弱体化、言葉はちょっと的確ではないかもしれませんけれども、だれもそのことは承知しておるのですね。この根本の問題のところに、いわゆる経済構造に黒字、赤字を生み出している根本のところにメスを入れないでこの構造協議で幾ら汗を流してみても、先ほども議論がありましたけれども、貿易摩擦の解消にはならないのではないか。大臣はこのことを今どんなふうに認識しておられるか、再度伺いたいのです。それでその摩擦解消が十分でないという場合、新たにまた問題を持ち込んで構造協議のような形のものが進められていきはしないのか、こういうことも憂慮するのですけれども、その辺について御答弁いただきたいと思います。
#82
○武藤国務大臣 けさほど来御答弁いたしておりますように、日米のこの構造障壁協議と申しますか、これは、お互いの貿易の収支の面で余りにも日本の黒字が多過ぎるのではないかということから始まったことは、確かにそのとおりでございます。しかし、そうはいうものの、あくまで問題点としては、やはり従来も経済政策を協調的にしてきたけれども、まだまだお互いの構造上直すべきところはいろいろあるのではないか、そういうことを補完的にやっていくことによって、結果的に貿易インバランスも多少なりともよくなっていくのではないだろうかということから始まってきたわけでございまして、日本側としては、今も御指摘ございましたいろいろな観点、特に貿易インバランスに関係するという点からいけば、輸入の拡大というようなことが一つの大きな問題になっておりますし、またアメリカ側としては、輸出競争力を強化するために労働力の強化あるいは技術革新、あるいは経営者は長期的な見通しに立ってやるとか、いろいろな指摘を私どもからいたしておるわけでございまして、両国がそれぞれ指摘を受けた点について、それぞれ両国が主体性を持ってその点を改善をしていくならば、定量的には申し上げられませんけれども、貿易インバランスは多少なりとも改善されていくのではないか、こう期待をいたしておるわけでございまして、また新たに摩擦が起きるということは少なくとも今のところはない、私どもはこういう考え方で進めておるわけでございますので、ひとつその点は御理解をいただきたいと思います。
#83
○鈴木(久)委員 私は、この構造協議が日米関係の今後に、一定の前進というか、もあったかもしれませんけれども、大きなデメリット部分も残したんじゃないか、こういう気がするんですね。それは、これまでにも摩擦解消のためには輸出の自主規制をやったり、あるいは急速な円高も克服して日本は努力してきている。それに対して三〇一条での制裁があり、その後は今度はまさに一方的なスーパー三〇一条という、そういう対日経済圧力と言ったらいいんでしょうか、次々にこれがェスカレートしてきている。それでも摩擦の解消にはほとんどならなかった。この要因は、先ほども申し上げましたけれども、ほとんど主要な部分はアメリカの財政赤字あるいは経済構造上の問題に起因していると言っていいでしょう。もともと日本の経済構造は特に生産者側重視でやられている、アメリカ側は消費者重視だというふうな指摘もあるんですけれども、こういう違いがある中での協議。アメリカ政府はそのことを十分承知の上に、議会の圧力を一つの理由のような形にして日本に迫ってきている、こういう感じがするんですね。
 国民の目は、きのうの毎日新聞等にも載っておりましたけれども、かなりこの問題に対して注目をしていると同時に、このスーパー三〇一条を武器にして攻めるアメリカ、ずるずると後退する日本、そういう構図に映っている、見ている。したがって、協議を重ねるたびに、どうもアメリカの国民は、日本に対する信頼、こういうものがいろいろ議論、取りざたされている。日本の方も、何だ−部内政干渉なんじゃないか。こういうふうなことを含めて、反米感情みたいなものが生まれたり、あるいはまたナショナリズムが出はしないかという、そんな心配さえするくらい、この構造協議問題というのは、むしろそういう面でのデメリットというのがあるんじゃないか、こんな感じがするのですけれども、これ以上こういう形でどんどん日米間が進んでいくというのはむしろ不幸なことだ、こういう認識があるのですけれども、どんな御認識を大臣はお持ちですか。
#84
○武藤国務大臣 まず、けさほども御答弁いたしましたが、スーパー三〇一条とはこれは全く別の枠組みでやっていこうということから出発したということだけは、ぜひ御理解をいただいておきたいと思います。
 それから、これはもう日米問いろいろ今までも摩擦がございましたし、とらえ方によってはいろいろ、それは考え方は自由でございますから、それは内政干渉ではないかとか、どうも日本は外圧を利用してやっているんじゃないかとか、どうもアメリカにしてやられているんじゃないかとかいう御意見もあると思います。しかし、一方また世論調査などを見ておりますと、やはり国民の、消費者のためになることならばかえってよかったんじゃないかという意見もあるわけでございまして、いろいろ世論調査を見ておりましても、国民の皆様方それぞれ考え方があると思うのでございます。要は、私どもはこの日米構造障壁協議によってお互いに約束したことをしっかりとこれから実行していく、それによって両国の友好関係もよりよくなり、また同時にお互いの経済構造を改革していくことによって両国の経済状況がよりよくなり、あるいはそれによって多少なりとも先ほど申し上げたように貿易のインバラソスも解消していくということなれば、そのときにはきっと両国民とも理解をしていただけると私は思うのでございます。
 ただ、現時点ではまだこれからの話でございますし、何もまだ実行はこれからのことでございますから、なかなかその辺が理解ができないというのは私はよくわかりますが、私ども政府といたしましては、できる限りこれから少なくともこの日米構造障壁協議でやろうとしたことについては着実に実行していかなければなりませんし、そのためには国民の皆様方の御理解をいただかなければできない、また、法律改正は先ほど申し上げましたように国会で御協力を願わなければできない話でございますので、私どもとしては精力的に、今後より多くの国民の御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#85
○鈴木(久)委員 中間報告でさえかなり難航してまいりまして、最終的に七月の最終報告というのがあるんだろうと思うのですけれども、いわゆる最終報告までの中に新たにいろいろ検討しなければならない課題が、どういう問題があるのか。
 それから、ちょうど最終報告の七月の段階の前に、今大臣からスーパー三〇一条とは違いますよ
というお話がありましたけれども、三〇一条の適用をするかしないか、この辺は大体六月段階にそういう通商部からの問題が提起をされるというふうに聞いておるのですけれども「今の感触でこのスーパー三〇一条の適用回避というふうなものに明るい見通しを大臣お持ちですか。
#86
○武藤国務大臣 私どもはとにかく適用にならないように努力をいたしているということでございまして、これは私どもの努力いかんかと思っております。何とか、ならないようにということで努力をしているわけでございますから、なるかならないかという見通しはどうかと言われても、とにかく今のところ努力をしているということで、私どもとしてはそういうことにならないと思いながら努力をしているということでございます。
#87
○鈴木(久)委員 時間がありませんので次の問題に質問を移しますけれども、東欧の変革、これは激しい形で今進んでおるわけでございます。戦後の冷戦構造の崩壊と言ったらいいんでしょうか、ソビエトのペレストロイカが引き金になって、東西を越えてあるいは国境を越えて歴史的な大変革が進んでいる、こういうふうに言ってもいいんだろうと思います。日本としても、もちろんこういう大きな世界の流れにどういうふうにかじ取りをするのかということが問われている時期だと思う。
 通産大臣も経済企画庁長官も、東欧の変化、動きには大きな注目をしていますということを所信表明でおっしゃってございます。しかし、具体的にはどうするのかということについては所信表明にはほとんど何にも示されてございません。さきに海部総理は、東西ベルリンの壁が人民の手によって取り払われたような歴史的な時期にちょうど訪欧されました。各国を回っていろいろな援助や約束をされてきたようでございますけれども、どうも対症療法的な感じを受けるんですね。
 私は、こうした大きな流れですから、しっかり長期的視野に立って積極的な、特に経済レベルでも外交展開をすべきだろう、こういうふうに思うのですけれども、まずその基本的な構えといいましょうか、その辺の大臣の考え方を聞かしていだだきたいと思います。
#88
○武藤国務大臣 所信表明の中にも書いてございますように、私どもとしては、今の東欧諸国のいわゆる自由主義、民主主義を求め、そして市場原理の導入を図っていこうという動きに対しては積極的に評価をし、積極的に応援をしたいと思っております。
 これからどうしていくかということでございますけれども、例えば今ハンガリーとポーランドにつきましては大型ミッションを実は派遣をいたしておるわけでございます。そして、平成二年度の予算の中におきましても、できるだけ経済協力の面ではハンガリーとポーランドについては具体的に今考えておるわけでございます。今後、ハンガリー、ポーランドのみならずほかの東欧諸国についても、順次、向こうの体制を見ながら思い切った応援をさしていただかなければならないと思っております。特にそれぞれの国が非常なインフレ、また対外債務、外貨不足、いろいろの経済的に困っておられる点が多いわけでございまして、それぞれの国の経済基盤が一日も早く確立をされるように、これは日本だけではできませんので、アメリカあるいは西ヨーロッパの国々と協調しながら、そういう方向で努力をしていきたいと思っております。
#89
○鈴木(久)委員 そこで、東欧への経済援助、支援ということで見た場合、一つ障害になっているのがココム規制の問題があろうと思うのですね。日米構造協議のときにも米側から規制緩和の措置の方針がいろいろ示されたというふうなお話も漏れ承っておるのですけれども、日本として今後そのココム問題にどんなふうに対応するのか。具体的に言えば、今の段階では、外国為替及び外国貿易管理法に基づいて輸出規制の問題をきちっとしておられますね。こういう問題を具体的にこの法律の中に示されている幾つかの問題の緩和というところまで進めていかれるのかいかれないのかというか、今後の方針も含めてお尋ねをしたいと思います。
#90
○内藤政府委員 先生御案内のとおり、ココム規制は西側陣営十七カ国の共同の体制で、安全保障確保の観点から議論をいたしております。
 それで、その中で今御指摘の、昨今の東欧の状況というふうなものを含めてどう対応するかということでございますけれども、基本的には西側陣営の安全保障の確保という観点から、ココム自身は非常に重要であり、そこでの協調を図っていくという考え方が基本でございますが、東欧との問題に関連いたしましては、ことしの二月以来ココムの中で議論がいろいろ進捗いたしております。一つは、審査期間を短縮をするというふうなことで、手続面の簡素化が一つでございます。それからもう一つは、特定の分野、例えばテレコムでありますとか工作機械でありますとかコンピューター、こういう部分につきまして必要最小限の規制にとどめるということで、西側の技術が必ずしも守る必要のないものについては東側にも流すというふうな観点から、ココムの中で議論が進められております。
 日本は、ココムの中でその流れに沿いながら積極的な対応を図っておるということでございますので、あくまでもその体制の中で今後とも実行をいたしていきたいと思っております。
#91
○鈴木(久)委員 時間が来たようですから、本当はソビエトの問題等についても質問したかったのですけれども、これで私の質問を終わらせてもらいます。
#92
○浦野委員長 渋谷修君。
#93
○渋谷委員 私は、大店法に絞って質問をさせていただきます。
 質問に入ります前に、大変私的なことで恐縮なんですが、武藤大臣とは、思い起こしますともう十年余にわたるおつき合いをさせていただいております。例えば分野法などにつきまして、昭和五十年でありましたけれども、なかなか自民党内の理解が得られない。そのときに武藤大臣はみずから私案を示されまして自民党の中をまとめられ、分野法の実現に大変大きな役割を果たしていただいたわけであります。本当にこうした長いおつき合いの中で中小企業や商店の皆さんのことを心配されて政治活動をされてこられた、そのことに深く敬意を表しながら、また、長い間貴重なアドバイスをいただきましたことにここで心から感謝を申し上げたいと思います。
 私に与えられました時間は非常に限られております。ですから、早速具体的な問題に入らせていただきますが、日米の構造協議におきまして大店法の問題が大変大きくクローズアップされる、象徴的に扱われたと言ってもいいでしょう。マスコミも意図的に大きく取り上げる。私は、こうしたあり方に大変疑問を持って見ていたのでありますが、大臣はどんなふうな御見解をそのときにお持ちになっておられたか、まず最初に。
#94
○武藤国務大臣 私自身、正直今のお話のとおりで、なぜこれが象徴的に取り上げられたのか、全く理解ができないという感じで対処いたしておりました。
 確かにこの問題については、既に昨年の産構審並びに中政審の合同会議で「九〇年代流通ビジョン」というのが打ち出されておりまして、今の大店法の運用のままではいけない、やはり新しい時代に合った運用をしていかなきゃいけないということで指摘をされ、そして提言を受けて「九〇年代流通ビジョン」を打ち出してきておるわけでございまして、そういう面からいけば、どうしてこんなに大きな問題になったのかな、いかにもシンボライズされてしまった、なぜかなというのを私も本当に意外な感じを受けとめながら、しかし、なった以上はこれはできる限り日本は日本の考え方で大店法の問題に取り組まなきゃいけない、こういうことで対処してまいりました。
#95
○渋谷委員 大店法のあり方そのもの、大店法が本当に中小小売業者や地域の商店街を守ってきたかということについては、実はいろいろ議論があるのであります。議論があるのでありますが、こ
の問題がアメリカから指摘され、非常に政治的に大きく取り上げられる。私はどうも納得いかないということで、実はアメリカ大使館とも接触をいたしまして、率直な彼らの意見を伺いました。彼らも、こういうシンボリックな取り扱いについては非常に戸惑いを感じている、あくまでも今度の日米の構造協議におきましては六項目がパッケージでありまして、大店法の問題が解決すればあとはもういいよという話ではない、こういうことにつきましてアメリカの方々も、大店法の問題で規制緩和がされたからといって、直ちにアメリカからの輸出品あるいは日本でいえば輸入品がふえるなどという話ではない、そんなことは期待してないと発言をしていたのであります。しかし現実にはこういうシンボリックに取り扱われ、政治的に取り扱われて、通産省は運用改善で規制緩和を図るということを発表し、既に閣議了解でも細々とした今後の取り組みなどが示されております。これらについてきょうは一々質問している時間はありませんが、いずれ一般質問の段階で具体的にこれについてはお伺いしていかなければならないと思います。
 私は、こうしたことが報道されるたびに、実際町で御商売されている商店主の人たちは一体これからどうなるんだろう、通産省の運用改善という指導のもとで今ある大店法は中小小売業者を守るのではなく、それを背景にして通産省はどんどん大型店の出店促進を図るのか、大型店は野放しになるのか、とりわけ東京といった大都市ではいずれ適用除外になって、適用除外ということは大店法廃止と同じことであります、適用除外になって大店法は廃止される状態の中で、大型店がどんどん出てくるのではないかということを、もうすぐ目の前にあらわれる、そういう現象ということで心配しているのであります。これについてひとつ御見解を伺いたい。
#96
○武藤国務大臣 私どもは、産業政策、特に流通政策の中では、やはりそれぞれの地域社会において地域経済に大変大きな貢献をしてきていただいおります中小小売商の存在、これはやはり全く無視するわけにはいかないのは当然でございますし、無視するどころか、その方々の御努力に対しては心から敬意を表し、そしてそれぞれ御努力をいただければ、やはり生業とも言えるような方々も大勢いらっしゃるわけでございまして、何とか立派に生きていっていただけるようにしなければならないと思っております。
 特に大店、大型店が本当に消費者の利益につながり、中小小売商が本当に消費者の利益につながらないならば、これはやはり中小小売商の皆さんには反省をしていただかなければなりませんけれども、私はこの間予算委員会でも申し上げましたが、例えば電気製品一つ取り上げましても、大型店で目玉商品として安売りをされた、それが故障しちゃった、そのアフターケアはどうしてくれるかというと、大型店ではしてもらえない、かえって中小の専門店の小売屋さんの方が親切にアフターケアをしてくれる、こんなようなケースもよくあるわけでございます。
 私どもは、中小の小売商がそれぞれ御努力をいただければ立派にその地域社会の中で立ち行くようなことを考えていかなきゃいけないのじゃないか。ですから、大店法がその運用改善あるいは将来法改正がなされたからといって、すぐそれが大型店の進出につながり、中小小売商の倒産につながるというようなことだけは、私は絶対阻止をしたい、こういう考え方で進めていきたいと思っておりますので、この点は全国の中小小売商の皆様方もぜひその心配のないように、しかし一方、自助努力だけはこれはしていただかなきゃなりませんので、やはり時代に合った経営をどんな小さなお店でもやっていただかなければならないことは当然でございますけれども、その辺のところは私どもは共存共栄ができるような政策を考えていきたいと考えておるわけであります。
#97
○渋谷委員 通産省の役割とこれから新しい時代での地方自治体の役割というのは、今のままでいいということにはならないと思います。ですから、商店街や中小小売商のあり方の問題について、例えば今大臣もおっしゃいましたけれども、消費者利益という言葉、これまでもずっと使われてまいりました。この消費者利益という言葉が一体どういう意味を持つのか、だれかがこの消費者利益というものを定義したことがあるのか。私は、消費者利益というよりも生活者の利益というぐあいに言わなければならないと実は思うのですが、きょうはこの問題については置いておきます。事務当局にぜひ、消費者利益とは何ぞやということについて、つまり、消費者利益という言葉が出てくれば、葵の御紋じゃありませんが、これだけがひとり歩きをして、後はみんな議論がおさまってしまうなどという話では困るのです。というのは、中小小売商は常に消費者利益に反している、大型店が全部消費者利益を自分たちが守っていけるような議論では商業政策は進みません。そういう点で、実はこの消費者利益の問題については五月に一般質問の時間がありましたらもう一度やりますが、事務当局に、消費者利益とは何ぞやということをひとつ定義づけていただきたいというぐあいに思います。私は、あえて生活者の利益ということでこれからは考えるべきだというふうに考えております。
 大臣は新聞などでも、この協議は両国がそれぞれの構造問題の解決に努力することになっているのに、日本は守勢一方に立たされている感があるというぐあいに発言されているわけです。私も先ほど来の質問の中でそう思っています。そこで、実は私もはたと考えまして、一体アメリカではこういうスーパーあるいは大型店の出店についてどう調整しているのだろうか、これは当然の疑問であります。大店法のような法律がなくても、まさか野放しということはないでしょう。そこで、先週、きのうと通産省に、優秀な通産省ですから、当然こういったことは想定しながら、アメリカにおける調整のあり方というものは資料を集めたり何らかのそういうデータを持っているのだろうと思って資料要求したのでありますが、ないと言います。相変わらずありませんか。事務当局でいいです。
#98
○山本(貞)政府委員 お答えいたします。
 アメリカでは、我が国のような調整法はございませんが、ただ州法で、ゾーニングあるいは都市計画それから環境保全、騒音、交通、そういう観点から規制をできるようになっておりまして、そのために公聴会等もやりまして、いわば開発行為の許可という形で規制をやっております。ただ、その場合の規制の観点は、中小商店との調整とか中小事業者の事業機会の確保というような観点ではございません。
#99
○渋谷委員 審議官、そういう調査をした資料があるのでしょう、私のところには持ってきていただけなかったのだけれども。いかがですか。
#100
○山本(貞)政府委員 各州それぞれの制度でございますが、今申し上げましたような大枠のものは持っておりまして、簡単なものでございますが、それで、先生からのお話で、私ども簡単な資料はお届けしたと存じておりますが:::
#101
○渋谷委員 私のところには紙一枚たりとも持ってこない。私は、アメリカにおいても大型店の出店について土地利用の観点から調整が行われているということは知っているのですよ。私どもの同僚の議員に在米十九年の議員もいるのです。そういう議員からも聞いて事情は知っているのです。だから通産省にないかということでお尋ねし、ないと言う。そこで、しようがないから八方手を尽くしてあちこち探しました。探している最中に、ある筋から、通産省が先月、委託をしてアメリカに行かせて調査をさせて、そのレポートが先週あなたの手元に来ているはずだという話じゃありませんか。しかもそれは、私が接触しているアメリカ大使館に話をして、行き先まで全部指示してあげて、それで行っているという。その資料が私のところへ来ない。アメリカ大使館からもそういう意味での裏づけをとってあるのですが、それでもないのですか、そのレポートたるや。
#102
○山本(貞)政府委員 大変御無礼いたしましたよ
うですが、先生からの御質問が商業調整に関する法律というふうに私どもの担当者が誤解したようでございます。ただ、今申し上げましたように、網羅的なものは従来持っておりませんで、簡単なものでございますが、それは後でぜひお届け申し上げたいと思います。
 それから、先生が今言われましたレポートにつきましては、たしかきのうですか、私の机の上に参りました。まだ私も読んでおりませんけれども、これについてはもう一度見まして、必要であれば先生のところにお届けするようにいたしたいと思います。
#103
○渋谷委員 大臣にもぜひ聞いていただきたいのであります。大臣の所信表明に対して質問するということで私も準備をしている、いろいろな角度からぜひ質問をしたい、そのための資料がないかということで通産省に頼む、何か通産省の恣意的な判断で、これは持っていかなくてもいいだろうということで紙一枚たりとも持ってこない。
 委員長、国会議員には国政調査権というのがある。そういうことで資料請求しているにもかかわらず――私は商業調整云々なんということは言っていませんよ、審議官。例えばそういう大型店、スーパーが出るときにどういう方法で調整のあり方がありますか、あるいは調整という言葉がなければ、それはどういうぐあいに扱われますかということで、そういう関連する資料があったら持ってきなさいと言っているのです。目的はわかるでしょう。私は、こういう通産省の姿勢に対しては、きのうも質問をとりに来ましたけれども、とてもじゃないが協力する気にはならない。これからもこういうことであれば、私はこういう形で常にぶっつけ本番で質問せざるを得ません。委員長、これは言ってみれば国会の審議に対して行政が協力しないという図ですからね。これは今の話じゃありませんよ、これまでもそうです。私は現場にいて、通産省との交渉の中で何度いろいろな資料要求したって、それこそこういう今の姿勢で、自分に都合の悪いものは出さない。いつも物事を小出しにして対応するというのは、日本の役人の一番悪いくせですよ。これについて委員長、ぜひ私がわかるような判断なり対応なりを考えていただきたい。委員長からも御見解をいただきたいし、大臣からも一言御見解をいただきたいと思います。
#104
○武藤国務大臣 どうもいろいろ誤解があったのじゃないかと思いますけれども、今後においてはそういうようなことのないように私はよく指導をいたします。
#105
○渋谷委員 そこで、私が調べた資料によりますと、アメリカにおいても確かに、中小小売商を守るということではないけれども、調整は行われているのです。大店法といったようなことでの調整ではありませんけれども、ゾーニングということで土地利用規制ということでは非常に細かく規制が行われています。もちろん州法や自治体における条例ということで行われているのですが、例えばシカゴの条例では、住居、業務、商業、手工業という四つの基本的用途地域に分けられておりまして、それがさらに十六区に区分されて、さらに建築密度に応じて七十以上のグループに分けられて、つまりきめ細かに地域の町づくりが行われているわけです。
 小売商業にかかわる部分だけちょっと申し上げますと、例えば地域的な小売地区ということでいえば、これは隣接の住居地域に住む住民の買い物の便のためにのみ設定されまして、居住地に近い買い物施設で日常的な基本的買い物需要を充足せしめるのに必要な用途のみが許可される。さらに、制限的小売地区ということでいえば、その地域的小売地区よりも少し大きな消費人口の需要を充足せしめるために設計されて、それゆえに多様な業務用途が日常及び時折の買い物のために許可される。さらに、一般的小売地区ということでいえば、さらに大きな多量の車及び人の交通を発生せしめる大規模な建造物によって特徴づけられる主要なショッピングセンターの所在地に図示されるということになっているわけですよ。日本みたいに、大型店が工場跡地があけばあそこ、田んぼだって何だって用地を決めて、後は農業委員会にうまく話をつけて変更させて大型店が出る、無差別に、野方図に出るなどという実情じゃないのです、アメリカだって。
 そこで、アメリカの具体的な事例を申し上げますと、シカゴ郊外のノースブルクですが、アメリカのシアーズローバック社の百貨店などを核店舗とするショッピングセンターでありますけれども、計画から完成まで公聴会が開かれたり、道路一本隔てた町、ハイランドパークというところ、百店ぐらいのお店があるそうです。そこから当然出店反対の声が上がる。建設反対の訴訟も起きる。こういう中で大臣、アメリカでさえも、例えばこの事例では五年かかっているのですよ、計画から出店まで。大臣も、日本では十年もかかるのはおかしいという発言をされておりますけれども、もうほとんど持ち時間がないのでありますが、なぜ十年かかるか。アメリカでも五年かかるのです。利害の衝突であれば当然です。地域の町づくりという観点でいえば、はいはいどうぞというわけにはいかないのです。日本でも十年かかる、七、八年かかる。例えば十年かかるという事例は、多分京都のイズミヤ白梅町事件だと思うのですが、これは私が直接かかわっています。なぜ十年かかったと思いますか。これは事務当局でも構いません。どなたでも構いません。
#106
○山本(貞)政府委員 やはり先生御指摘の点だと思いますが、地域社会あるいは地域経済との融和というか、関係というか、そういう点から京都の案件はいろいろな御意見が地元からあったというふうに承知しております。
#107
○渋谷委員 全然理解していない。なぜ十年かかるのですか。既存の商業集積があり、町があって、商店があって、そこに新たな大型店が出店してくるのでしょう。利害の衝突でしょう。けんかになるのは当たり前なんですよ、一方は生き延びなければいけないのですから。
 そうすると、そこに大店法があり、大店法には位置づけられていない商調協があり、それが本当に透明性が確保されて、みんながわかる議論がされているならいいのです、最初から。実際には、それで商売ができないような大規模な計画を立てたり、それからその出店する地域での、例えば消費者運動を買収してしまうようなことをやったり、あるいは商調協に至っては、何度も指摘したじゃありませんか、なぜ密室でやるんだ、これは公開でやるべきではないかということを何度も主張したのであります。通産省はそのときには答えない。ずっとこれまでそのままでやってきた。商調協委員は公務員じゃありませんから、買収供応やりほうだいであります。これも倫理規定をつくりましょうと言ってつくった。
 静岡の事件、七、八年もかかった事件はどうですか。中に取引業者がいたじゃありませんか。あれはイトーヨーカ堂の取引業者だということで指摘をしたら、通産省は何と言いましたか。専属納入業者じゃないから取引業者とはいわないんだ。あなたたち、勝手に基準を決めて、専属的納入業者というのは何だと言ったら、取引関係で売り上げの半分を占めていなければ専属的取引業者じゃない。
 結局、商調協にだれが何を求めているのかと言えば、そこで公正に審議され、調整されるということを望んでいるわけですよ。つまり、そういう不透明さが、本来であれば、大店法であれば、例えば今度は一年半に運用改善すると言っていますが、裁判にもなりましたけれども、その中で大店法をそのまま正直に読めば、七カ月過ぎたら制限をするものは何もありませんよ。その後出店調整ということを、具体的に五条以降入りますが、それだって五カ月。大型店は一年で出られるのです。三条と五条とは規定が違いますから、三条をやりながら五条の届け出だってできるのです。そうすれば、七カ月過ぎれば大型店は出られるのですよ。
 そういう法律でありながら、どんどん延びていっていたずらに時間を費やすというのは、それは
通産省の今までの姿勢、通産省の今までのかかわりにも大きな責任があったのじゃありませんか。今度、透明性を確保するということを言っておりますけれども、もう時間がありませんからこれでやめますが、私はこういう通産省の姿勢そのものを改めてもらいたい。アメリカ大使館との話の中でも、彼らはいろいろ要求している点、それはあるけれども、それ以上に日本の官僚のこの思い上がり、こういう不透明さについて、実は彼らは厳しく指摘しているわけであります。
 今度の大店法、運用改善云々と言っていますけれども、今後の運用改善の中で、あるいは法改正の中で、大臣、これは大臣もかかわってこの委員会の中で審議してきた経過でありますから、ぜひお考えをいただきたいと私は思うのです。今、大店法のもとでは、町の中小小売業者はどういう結果が出ようと不服申し立てもできない、裁判も起こす権利もないじやありませんか。原告適格性がないと通産省自身が主張してきたことじゃありませんか。言ってみれば、そういう中小小売業者を守ることのできない大店法ですね。こういう現状について一体どうするのか。私は、原告適格性を明確に認めるべきだと思います。司法救済ができない法律が一体どうしていつまでも存在しますか。
 さらに、今度の閣議了解の中で出ておりますけれども、社会資本ということでいえば、これは大臣と私は考えが一致すると思うのですが、商店街というのは長い時間をかけて築き上げてきた、ある意味ではかけがえのない地域の共有財産であり、あるいは社会資本と言うことができると思います。その意味では、閣議了解の中にある今後の社会資本の整備の中にこの商店街というものも位置づけながら、商店街も積極的に育成していく、充実させていくということがその中に入ってくるべきだと思うのですが、それらの点について大臣の御見解を伺って、私の質問は終わりにしたいと思います。
#108
○武藤国務大臣 先ほど答弁の中でどなたかに申し上げたのですが、今回法律改正を次の通常国会でお願いしたいと思っておりますが、その法律改正に当たっては思い切った透明性を確保していきたい。今御指摘のような商調協の非常に不透明な点は今回法律の中でしっかり打ち立てていきたいし、また商調協のメンバーについても、準公務員的な資格を与えて、少なくともいわゆる収賄などをされたら、これは刑事罰が加えられるというような形に直していきたいと思っております。
 また一方、いろいろの紛争処理といいますか、いろいろの問題について、それを話を承るというか、そういうものの相談になる窓口を各通産局につくりたい、また場合によれば本省にもつくりたい、こういうふうに思っておりますので、いろいろ改善をしていくつもりですから、今までのことはいろいろあったかと思いますけれども、ぜひいい方向で行こうと思っておるのですから、ひとつぜひ御支援をいただけるように心からお願いをいたしておきます。
#109
○渋谷委員 ありがとうございました。
#110
○浦野委員長 森本晃司君。
#111
○森本委員 昨日、武藤通産大臣、また相沢経企庁長官の所信表明をお伺いさせていただきました。国際化の中で、また日米構造協議あるいは九二年にはEC統合という時代がやってくる中で日本の果たす役割というのは大変重大な役割を持っている。一方、先ほどから社会党の先生から議論をいただきましたけれども、大店法の問題等国内的な問題もいろいろ抱えている。その中で大臣に御就任になりまして何かと大変なことかと思いますが、どうか我が国あるいは世界の中から見た御尽力をさらに賜りたいと思います。通産大臣は長い間この商工委員会で頑張っていただき、非常に見識豊かな方ともお伺いもしておりますし、また経企庁長官は大蔵省でいろいろと数字等々いらわれておられた方であるとも伺っております。 両大臣、これから大いに頑張っていただきたいと心からお願いするところでございます。
 そこで、通産大臣の所信表明をお伺いいたしました中で、まず最初にお尋ねしたいのは、第三番目の「地球的規模での共存共栄を目指した幅広い」というくだりのところでございます。「人類共通の課題である地球環境問題は、経済成長と環境保全の両立を将来にわたって実現する方向でその解決を図ることが必要」であるというふうに所信表明で述べていらっしゃいます。これからの大臣の役割というのは、単なる通産省の省益だけでは、あるいは日本の国益では、その視点だけで見ているとだめになってしまう。十分御自覚もいただいていると思いますが、これから地球益、人類益、そういった視点で我が産業政策を考えていかなければならない、私はそのように思うところでございます。
 そこで、先般IPCCの第一部会が開催されまして、その内容が発表されました。第一部会、第二部会、第三部会というふうに分かれていて、ことし八月、ストックホルムの全体会議でこういった問題が採択されるわけでございます。
 このIPCCの発表を見ておりますと、殊に取り上げるべき点は、その報告書では地球温暖化は現実のものであるという結論を出していること、地球の平均気温は二〇二〇年までに一・三度から一一・五度上がる、さらにまた、海面の上昇率は二〇三〇年までに二十センチ、二〇七〇年までに四十五センチ上がるであろうというふうに指摘しながら、温暖化ガスの中で最高のものは、一番温暖化に影響を与えているのはCO2である、したがって、CO2をここでは六〇から八〇%削減することが必要だというようなことを発表しているわけであります。
 今日までいろいろな環境会議が行われましたけれども、どうも日本のこういった環境問題に対する姿勢は非常に消極的であるというふうに今日まで言われています。口の悪い人によりますと、日本はきわめつきの環境破壊の一員ではないだろうかとも言っておりますし、昨年十一月八日のノールドベイク宣言のときにも、日本は非常に消極的であったということで、内外から大変な批判を受けました。今、IPCCの第一部会の報告がなされますと、恐らくまた、通産省としては八月のストックホルムの結論の状況を見てからというふうにおっしゃるのではないだろうかというふうに思うわけでありますけれども、経済大国の重要な役割を果たしている我が国が、今日までのように単に経済発展のみを追い求めているのではなくて、むしろ環境問題等々についても、我が国の産業も世界をリードしていく役割を果たしていかなければならないのではないかと思うところでございます。
 このIPCCの第一部会の報告を受けてすぐに、四月十六日、武藤大臣は鉄鋼業界の皆さんにCO2の削減についてお話をされたというふうに伺っておるところでございますが、この報告を受けて大臣はどのように考え、何をされようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
#112
○武藤国務大臣 IPCCの第一作業部会における報告というのは、私も承知をいたしておりますが、私が承知をしておる限りでは、この第一作業部会というのはいわゆる気候変動に関する科学的知見の評価を行う部会、こういうふうに定義づけられておるようでございまして、大体学者の皆さんたちが集まっておやりをいただいておるようでございます。
 そこでは、この間の発表は、いわゆるCO2の濃度を仮に現在の水準で安定させた場合、排出量をどこまで削減すべきかを機械的に試算されたもの、こういうふうにも承っておるわけでございまして、それが実際にうまくそこまでできるのか。先ほど御指摘ありましたけれども、私は決して地球の破壊をしていいとは思っておりませんし、経済の発展も要は究極的には世界の人たちの幸せにつながる、世界の人たちの福祉につながるものでなければ、経済の発展というのは何も意味がないわけでありまして、そういう面からいけば、経済の成長とこの地球環境の保全というのは当然両立をすることを考えていかなければならないのは当たり前の話だと思っております。当然そういう方
向でいくべきだと思っております。
 ですから、もし今の温暖化という形がCO2の排出によって行われているんだということになれば、またこれは別でございますが、まだその点は科学的な解明は十分なされていないと承っておりますし、今後、第三作業部会の方で第一作業部会の報告を受けていろいろ議論されると思いますので、私は正直、第三作業部会のこれからの審議の状況も十分踏まえながら考えていかなければならないと思っております。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げるように地球環境、これはお互いの財産でございますから、全世界の人たちが英知を集めてこの地球環境が破壊されないように努力をしていかなければならないことは当然でございまして、ある程度経済の成長のテンポがそれでおくれるようなことになってもやむを得ない。しかしまた、経済が今度余りにも縮小してしまいまして、世界の人たちのそれこそ幸せという点から考えて、お互いの国民の生活水準がどんどん下がっていくようなことがあってもいけませんので、その辺をどの辺で両立をさせていくかということを政策として考えていかなければならないのではないか、こう考えておるわけであります。
#113
○森本委員 第一部会の発表を受けて第三部会が対応戦略、その結論を見てということになってくるわけでございますけれども、環境問題で我が国のとる姿勢は、今日までいつもそういう姿勢であったということは否めない事実であります。温暖化ガスの排出量の多いのは世界でも我が国とアメリカではありますけれども、今日までの経緯の中でこのIPCCの結論を尊重するというふうに言明してきたはずであります。第一部会の報告を受けて第三部会ではどうあるかということが考えられるわけでございますけれども、この第三部会の報告、この現状を認識した上で、我が国は我が国の産業政策も温暖化対策をきちんとやっていかなければならない、省エネの目標をどこまでにするかということを定めていかなければならないと思うわけでございますけれども、通産省の考えている温暖化対策について述べてもらいたい。
#114
○合田政府委員 第一部会の作業結果の評価につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
 第一部会の作業報告書の中にも、先ほど大臣が申し上げましたように科学的に不解明の部分がまだまだ多いということを認めまして、これから数値モデルの開発をやったりいろいろな理論的な研究を詰めていかなければならないということは説明されているところでございます。
 通産省といたしましては、大臣も先ほどお答え申し上げましたように、地球温暖化問題は非常に重要であると考えております。ただ、経済への影響もまた非常に重要でございます。この点も今各国は一番真剣に検討しておるところでございますので、その排出量の削減が実際に実行可能なものかどうかという最終的な政策判断につきましては、対応戦略の検討を担当する第三部会で今なお検討中でございまして、その結果を見守りながら対応していきたいと考えております。
 ただ、通産省は決して後ろ向きではございませんので、第三作業部会の報告を待つと同時に、従来から省エネルギー対策とか炭酸ガスを出さないクリーンなエネルギー、いわゆる新エネルギーの技術開発あるいは省エネの促進等につきまして積極的な対応策を講じておるところでございます。
#115
○森本委員 地球再生計画というのを通産省の方で考えていらっしゃる。百年計画とか言われるものですが、随分息の長いものだなと思いながらその大綱だけを読ませていただいたのですけれども、この計画はどういった計画なんですか。
#116
○合田政府委員 地球再生計画は実はまだ通産省ではっきり定めたものではございませんけれども、現在産業構造審議会の中の地球分科会の中で検討中の構想でございます。産業革命以来二百年ぐらいかかって地球のさまざまな気象条件が変わってきたと言われておるわけでございますけれども、これを早急に、例えば規制とかそういうことをやりますと経済成長率がスローダウンをいたしまして、日本が迷惑をこうむるだけでなく、発展途上国等への援助とか、その他いろいろな現象を通じて悪影響があるものでございますから、新たな技術を開発しながら開発された技術を連続的に適用していくという形でもって、やや長期的な展望に立ちながら、かつ植林等の、あるいはバイオテクノロジー等を活用いたしました緑化の推進等も考えまして、炭酸ガスを吸収するようないわゆる吸収源というものを拡大しつつ総合的な対応策を講じながら、結果として炭酸ガスを初めとする温室効果ガスの排出抑制をやっていきたいというような情想でございます。
#117
○森本委員 この計画を読みますと、一九九〇年代各国省エネ目標の設定というようなことが書かれております。各国というのは、我が国、我が国以外のところも含めてでありますけれども、これを提唱する以上は、通産省の方で省エネ目標についてはもう既に検討されようとしているのでしょうか、どうですか。全く検討も何もされていないのですか。
#118
○山本(雅)政府委員 現在、私どもでは総合的なエネルギー政策を調査会に諮問いたしておりまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、六月ごろをめどに答申をいただくことになっております。現在のところ、それは二〇〇〇年を中間年次といたしまして、二〇一〇年を目指しましてエネルギー計画を立てることになっておるわけです。
 その中で一番重要な項目の一つとして、実は省エネルギーを強力に進めたいと考えておるわけでございます。その場合、具体的な省エネルギーの目標が量的なもので出せるのか、あるいはGNP、GDPとエネルギーの相対の値をできるだけ改善するという形で出すのか、いろいろ出し方はあるかと思いますが、何としてでもこれから省エネルギーを全力を挙げてやっていこうということで、具体的な計画という形に出せるかあるいはもう少し定性的なものになるかはまだわかりませんが、いずれにいたしましても、この地球温暖化との関連も踏まえまして最大限の力を注いでまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#119
○森本委員 いずれにいたしましても、この美しい地球を私たちは守らなければならないことは間違いないことであり、また共通した認識であります。今日までの日本は、生産者優先、産業優先の政治を行ってきた。これからは生活者のための政治を行わなければならないし、同時に、産業の発展だけではなしに地球の環境を守っていくということに大変な努力をしていかなければならない。通産省もそういった点についてはこれから全力を挙げて取り組んでいかないと、ただ産業の発展だけに取り組んでいるということでは大変なしっぺ返しを私たちは受けることになってくるかと思います。省エネ目標をいろいろな角度から検討されて、また、ただ検討している、検討している、検討するまで答えを出さないということではなしに、まず今省エネでできる部分からでも行動を起こし、また各企業にそういったことの推進を今からやっていかなければならないのではないか、もう今からでも遅いくらいだと私は思うのです。
 さっき合田審議官から名刺をいただきました。再生紙の名刺でございまして、さすが立地公害局審議官の名刺だな、この名刺一つでその姿勢は私もうかがえたわけでございますけれども、先ほど皆さんの手元に、大臣の手元にも――大臣が鉄鋼業界に申し入れをされました四月十六日に公明党は「ガラスの地球が危ない」ということで「その現状と地球を救う77の方法」というハンドブック、一部二百円でございますけれども、今回これを出しました。この中に「省エネのために」ということも書いてございます。また「公明党の環境政策」も一番最後のところに書いてあります。どうぞこれをまたよく読んでいただいて地球を守っていただきたいし、また通産行政に当たっておられる皆さん方、それをいろいろと推進しておる我々議員もこういった問題一つ一つを推進していかなければ、実行していかなければならないと思います。
どうぞこの「ガラスの地球が危ない」をよく読んでいただいて、今すぐ実行できるものからやっていただきたい。ずっと一番から読んでいきまして一番最後の七十七番目、何をすればいいのかという点でございますが、「もう一度最初から読んで、家庭や地域、職場で、できそうなところからやってみる」というのが七十七番目でございます。どうぞこれを御一読いただきまして、我々すぐにでもできる問題から取り組んでいかなければならないと思います。これは贈呈させていただいておきます。それでなおかつ、最後に書いてございます、「この本は再生紙を使用しています。」ということでございます。どうぞ大きなことだけではなしに身近なことからどんどん推進を図っていっていただきたい。
 いずれにいたしましてもCO2は大事な問題であります。かけがえのない地球でございます。この一枚目の表紙の裏をあけていただきましたら、「一人の行動が地球サイズにひろがる「地球を大切にしなさい。それは、親からもらったものではなく、子供達から借りているものだからだ」(ケニアのことわざ)」こう書いてございます。どうぞこれを大いに推進方図っていただきたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#120
○武藤国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますように、地球というのは私どもにとって本当に貴重な財産であり、地球がなければ私どもは生きていけないわけでございますから、そういう面において、地球の環境を守っていくということについては私ども今まで以上に全力を振るって努力をしていきたいと思っておるわけでございます。そういったときに、たまたま今貴重なパンフレットをちょうだいいたしましたので、非常に日常生活に密着したいろいろのことが書いてあるようでございますから、今からでも政策の中に取り入れられれば、できる限り取り入れてやっていきたいと思っております。大変ありがとうございました。
#121
○森本委員 それでは、次の質問に入ります。
 四月六日の日米構造協議の中間報告において、最大の焦点になっていた大店法問題について三段階に分けて運用面で改善をしていくという答えが出ました。そこに大店法の廃止が盛り込まれなかったものの、私はこれが中小企業に、商店街に与える影響は大なるものがあるなと思っておりますので、その角度からの質問をさせていただきたいと思うのです。
 私も先般この日米構造協議の始まる前にアメリカ大使館の人と会っていろいろ話をしました。私もわからなかったのは、なぜ今回この大店法が焦点となったのか、先ほどの社会党の先生の考えと全く一緒でございます。これはスケープゴートこされたのではないだろうかと思うくらいのところもございました。大使館の人は、大店法が目玉商品になりましたのでと言われたので、私は、これは目玉商品じゃない、やり玉商品になったのだよと申し上げておったところでございます。
 大店法の本来の趣旨というのは、大型店と中小小売店がそれぞれの特徴を生かしての中小小売業者の皆さんの事業活動の機会の適正な確保という点、大型店と中小小売店という点、それからもう一つは、消費者の利益の保護という問題、そもそもこういった点から大店法ができたのではないか。そこには共存共栄の精神が貫かれていたはずであります。
 しかしながら、この十六年間、いろいろ運用面で随分その方向が変わってきた。果たして消費者のためになっていたのであろうか、あるいは中小企業の商店街の皆さんのためになったのであろうか、そういったことを疑問を持って考えざるを得ないような状況がいろいろ起きています。出店が十年あるいはそれ以上かかったということも、かかったものは今度はその商品価格となって消費者に高いものになっていくという状況も考えられる。あるいはまた商調協の内容がさっぱりわからない、そして、そこに何となくうさん臭いうわさ話だけが流れていてお互いが疑心暗鬼になってくる、商店街の皆さんの中に心の荒廃までが起き始めてくるというのが、この大店法の実情ではなかったのだろうか。これは今回アメリカから指摘されたようではございますけれども、本来我が国独自で、こういった問題を指摘されて廃止しろと言われる云々の前に、どうすれば適切な運用をすればよいのか、どうすれば最初の精神、目的に達成することができるのかどうか、もっともっと真剣に取り組んでくるべきではなかったかと思います。
 日米構造協議を受けて、また今私が申し上げたことを受けて、通産大臣は商店街の、大臣になるまでは議員連盟の会長でもいらっしゃったようでございますので、御答弁をお願いいたします。
#122
○武藤国務大臣 先生御承知のとおり、昨年の六月に産構審と中政審の合同会議で「九〇年代流通ビジョン」という形で提言をしていただいたわけでございまして、もうその時点で既に今までとは違って新しい時代、いわゆる国際化時代、情報化時代、そういう中で中小小売商の皆さんもどうして生きていったらいいのか、また、もちろん従来も消費者の利益というのは考えてきたわけでございますけれども、ややもすれば相対的に消費者の利益の方が多少産業政策の中で薄められておったのではなかろうか、こういう反省の上に立って、もっともっと消費者のことも考えていかなければいけないという形で、あの流通ビジョンをつくっていただいたと私は思っておるわけでございます。その点はアメリカから言われるまでもなく、いわゆる日米構造協議の問題が始まる前からそういう観点に立ってやってきたわけでございますから、大店法の運用その他、いわゆる新しい時代の流通ビジョンというものを打ち立てておったわけでございますから、あながちアメリカから言われてやったということでもなかろう、ただ、たまたまアメリカからいろいろそういう点を指摘をされた一つでございますので、その流れが、その動きが少しスピーディーになったというか、スピードがアップしたということは言えるだろうと思うのでございます。もうこれは構造協議の、言われるまでもなく前から一連の動きとしてあったわけでございますから、この点は御理解をいただければ幸いかと思うわけでございます。
#123
○森本委員 そこで、今度の運用改善の中身についてお尋ねしたいのです。
 きょうの新聞で、「大店法の運用改善通達」「出店調整一年半に短縮」という大きな見出しで、五月下旬に各部道府県に通達を出されるということが報道されていました。また、監視本部を設けてこの運用改善が実行できるようにしていくというふうにも報道されていたわけでございますけれども、今まで十年あるいは長いのではそれ以上かかっていたものが、今度急に言われたからといって実際に調整期間一年半でできるものなんでしょうか。できるものであれば、今までなぜそういうことをしなかったのかということを私は問いたいわけであります。
 既に今までこの調整期間で非常に長引いておったのは何かというと、事前説明で長引いてきたということなんです。しかし、今度のこの構造協議で一年半に短縮しますよという話が生まれたときに、今生まれている言葉は何かというと、これではできないから事々前説明をしなければならないのではないかという言葉まで、やゆして生まれているようでございますけれども、これ、一年半の短縮、実際可能でありましょうか。
#124
○武藤国務大臣 先ほど申し上げました昨年の六月の答申では、大体おおよそ二年をめどにということでそのとき答申をいただいているわけでございます。
 そこで、先ほどの話で私がスピードアップしたと申し上げたのはそこでございますけれども、大体おおよそ二年をめどにということになっておったわけでございますが、それを私がもう少しスピードアップできないかということで、一年半ぐらいでどうだろうと、こういうことでやったわけでございまして、これはこの二十七日に一応産構審、中政審の合同会議を開いていただいて、御理解をいただいてから通達をつくるということにな
ろうと思います。少しその今の新聞報道は先走った報道ではないかと私は思うのでございますけれども、二十七日によく審議会にお話をし御理解をいただいた上で、通達を五月いっぱいかかって出す、こういうことになろうかと思います。
 いずれにしても従来、従来でも全部が遅かったわけではございませんので、中には一年そこそこでやっていたケースもあるようでございますし、とにかく全体的にせっかく二年という形で去年答申をいただきましたので、もう一踏ん張りして一年半でいこうじゃないかというのが私が指示したところでございまして、これは審議会の御理解をいただいた上で通達で実施をしていきたいと考えております。
#125
○森本委員 いずれにしても、短縮して運用改善をやっていき本来の姿に戻そうということでございますから、どうぞ実効あるものにしていただきたいと思いますし、同時に、地方自治体の上乗せ、横出し、こういった点についてもどうするか。どういう形でそういったものに対するいろいろな規制から、本当に共存共栄できるような街づくりをしていくようなものになっていくかということについて、よほどしっかりと腰を据えて取り組んでいただかないと、結局いつの間にか、事々前説明という言葉が今生まれようとしておりますが、それが事実になってしまって、いつの日かまた、いや、実はあれでこれでという弁解ばかりをしなければならないということにならないように、しっかりとこういった決められたことについてはその運用をやっていただきたいということを言っておきます。
 それで、その運用が行われると、今度は商店街が一体どうなるのだろうかということが問われてくるわけであります。中小小売業の皆さんの行く先は一体どうなるのだろうかと心配している人も数多くあるわけであります。殊に零細小売店、一人二人でやっておられる皆さん方の商いが、五十七年から六十三年の間に百三万から八十七万店、一六%も減っているわけでございます。これに対して全力で対策を講じていかなければなりませんが、今運用緩和で中小小売店へ与える影響をどのように受けとめられているのか。
 それから、この運用緩和で大型店舗が軒並み出てくるぞという説と、同じその大型店のチェーンストアの皆さん方の話の中でも、そうじゃない、もう既に出るところは出たので、もう少し少ないぞというのと、いろいろと意見が分かれておりますけれども、大型小売店の今後の推移をどのように見ておられるのか、また、今後の中小小売店の推移はどのようになっていくのかお尋ねします。
#126
○山本(貞)政府委員 先生今御指摘のように、従来、昭和五十七年から六十三年にかけていわゆるパパママストァというのが相当大きな減少を示しました。現在、当時の動きよりもうちょっと落ちているかもしれませんが、同じ傾向だと想定しております。
 ただこれは、全体のライフスタイルなりあるいは消費者の需要動向なり、いろいろな意味での影響がございます。あるいは後継者難という問題もございまして、私ども、大店舗が直接それにどこまで影響しているかということについては、詳細な分析はできておりません。
 今後の見通しでございますが、従来、大規模店、第一種と第二種と私ども分けておりますが、大規模店の数は、年によって違いますが、年に大体二、三%ふえてきております。床面積でいきますと大体三%ぐらいの増でございます。これは景気の動きでかなりばらつきがございますが、私どもとしては、今後の大規模店の動きは、運用の適正化あるいは緩和の措置を今後とるわけでございますが、出店側の想定といたしまして、例えば一年半で出店ができるという想定が立つ場合には、従来と違いましてかなり慎重な出店計画を持ってくる。従来は数年かかったものが一年半でできるということになれば、その地域の需要なり利益率なり資金計画なり従業員の確保とか、いろんな面から大規模店の方で出店を考慮せざるを得ないというようなこともございまして、私ども今その点リサーチしておりますけれども、出店側も相当計画的に動くだろうという想定をしておりました。今後の動きは、先ほど申し上げました数字と若干変わるかもしれませんが、大幅な違いは当分の間はちょっとないのかなという想定をしております。
 ただ、大規模店の出店の申請について、従来五年十年というものが今後はなくなる、そういう意味で、出店の計画なり見通しが非常に立ちやすくなるという意味で改善がなされると想定しておるわけでございます。
#127
○森本委員 いずれにしても、中小小売店あるいは商店街に与える影響は非常に大きなものがあるということは言えると思います。減っているのは、必ずしも大店が来たためとは一概には言えないと私も思いますし、むしろ大型店が進出して、そして共存共栄でその商店街が栄えていったということもあるわけでございます。しかし、減っていく中の最大の要因は何であったかというと、一つは後継者難であるということもその要因の中に上がってくるわけでございますけれども、先行きが見えない、それから、もうからぬというのでは後継者も育ってこない。やはり希望があり、ビジョンがあり、そしてもうかるということの中から後継者も育ってくると思うのですが、そういった意味では、これから中小小売店への、あるいは商店街への、街づくりのための政策を一生懸命やっていかなければならない、輝ける街づくりというものをこれから推進していかなければならないと思うわけでございます。
 中間報告が出された日、大臣、大変お忙しい中でございましたけれども、予算委員会が終わって本省へお帰りになる大変御多忙の中で、公明党が申し入れをさせていただいた次第でございます。主に四項目にわたって申し入れをさせていただきましたが、一つは、商店街を活性化させるために、アーケードあるいはコミュニティー広場あるいは駐車場、そういったものをきちんとやっていくこと、それからもう一つは、各中小小売店への経営基盤のためのいろんな税制や金融政策をやっていくこと、さらにまた、これから情報化社会でございますので、情報システム、そういったものをつくるためにやっていかなければならないこと等々を申し入れをさせていただきました。いずれにいたしましても、運用緩和にたったために商店街が寂れてしまったということでは何にもならないと思います。
 先ほど大臣の答弁の中にも、商店街、小売店が持つ意味は大きいということがございました。私も全く同感でございます。今日までの地域社会あるいは人と人とのコミュニケーション、これはむしろ大型店ではなくして、中小商店街の皆さんが集まって街づくりをしてこられた、あるいはまた駅で雨に遭った、ちょっとおばさん傘貸してやと言うて飛び込めるのも、これもまた商店街のコミュニケーションのあるところでございまして、大型店に飛び込んで傘貸してくれ言うても貸してくれないと思います。こういったよさも商店街は持っているだけに、一生懸命商店街活性化のために全力を挙げて取り組んでいただかなければならないと思うのです。
 そこで、もう一つは、今、中小企業庁が出している、三カ所でモデル的にやっておられる街づくり会社、これは大いに推進を図っていくべきではないかと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
#128
○見学政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、中小小売業、それは地域の顔であるという商店街でございます。その地域文化圏あるいは経済社会といったものを支えているという意味で非常に重要なことと考えておりまして、御指摘のような観点から、街づくりの視点に立ちました中小小売商業対策としまして、いわゆる街づくり会社構想というのを立てまして、既に先生御指摘のように三つ設立されております。これは三つに限定することでなくて、場合によっては事業団から出資します。限定的な数のつもりではございません。市等と協力しながら、鋭意こ
の充実に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところであります。
#129
○森本委員 いずれにいたしましても、この運用改善というところでさらに力を入れていかなければならない。通産省そして中小企業庁が、街づくりを初めそういったことに全力を挙げ、もちろん気持ちの上であるいは知恵を絞ってこれからやられると思いますし、我々も負けないだけのものを出させていただきたいと思っております。私も近く、都内の商店街や名古屋の商店街でそういう街づくりをしたところを調査団をつくって視察に行きたいと思っているわけでございますが、平成二年度予算は、これが運用改善されるあるいは日米構造協議が出る前の予算案であります。何といってもやっぱり予算の裏づけがない。今、予算を審議している最中でございますけれども、これだけの打撃を受けると考えられる中小商店街のために、大臣、これは予算を組み替えてでも対策を考えなければならない。今この予算案をやっているときに、さらにその後の補正予算のことを申し上げてあれなんですが、もう気持ちとしては今すぐにでも対策、予算を考えなければならないと思うのですが、その点と、どうしてもだめなら今度の補正予算でも、この日米構造協議でやり玉にされたのですから、今度はこの中小企業対策が、商店街対策が目玉となっていくくらいのものでなければならないと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#130
○武藤国務大臣 今、組み替えをしてでもというお話をちょうだいいたしましたけれども、運用改善というのは、五月中に私ども通達を出しまして、実際それによって影響が出てくるのは相当先でございますし、大体これは、先ほどから申し上げております昨年の六月に「九〇年代流通ビジョン」として出てきたものを骨子としているわけでございまして、それで違っている部分といえば、一つは、先ほどの御指摘のございました、期間を半年短縮するということと、それから外国品の売り場については百平米以下は届け出だけでよるしい、いわゆる事務はそれだけでもうよろしい、実質的にあとはフリーでよろしい、こういうことにしようとした二点でございます。あとの点は、中小業者の皆さんもお入りいただいた審議会で御理解いただいているものでございますから、私は、この今の運用改善でもって中小小売商にそんなに大きく影響が出てくる――もちろん影響は出てくるとは思いますけれども、大きな影響というのは、やはり次の通常国会にお願いをしようといたしております法律改正によって相当影響が出てくるのではないか、こう思っておるわけでございますから、実際は平成三年度の予算の中で思い切った中小小売商対策を予算化さしていただければ十分間に合うのではないか、こう思っております。
 しかし、どんな推移によって、例えば補正予算の中ででもお願いをしなければならないという場合がもしありますれば、当然補正予算をお願いしてでもやらなければならないと思っております。
#131
○森本委員 次に、独禁法の問題について質問をさせていただきます。
 公取委員長、大変御多忙の中をお出ましいただきまして、まずお尋ねしたいのですが、今回の日米構造協議、これは非常にこの独禁法のことも焦点となりました。この中間報告を受けて、公取委員長としていかが考えておられるのか、お伺いしたい。
#132
○梅澤(節)政府委員 アメリカと日本ではもとより独禁法なり反トラスト法の制度、違いがあるわけでありますけれども、この構造協議を通じまして、双方でお互いの立場を尊重しながら理解を深めることができたということで非常に有意義であったと思います。
 同時に、中間報告の取りまとめといたしまして、先般日本政府としての報告書の中に独禁政策についていろいろな事項が盛り込まれておりますけれども、私はポイントは二つあると思います。一つは、やはり独占禁止法違反に対する執行力を強める、独占禁止法の運用をより強化するという問題が一つと、もう一つは、独占禁止法の運用について、国内はもとよりでありますけれども、アメリカのみならず外国から見て透明度の高い行政をやることによって、日本の経済取引社会に対する理解といいますか、そういうものを深める。つまり、執行力を強める、もう一つは透明度を高める、この二つを大きな柱といたしまして今後の施策を推進してまいりたい、そういうふうに考えております。
#133
○森本委員 独禁法というのは、本来、公正、自由な競争を通じて消費者の利益を確保するための法律であり、その独禁法の番人であるというのが公取の役割であり、極めて重要な役割であるわけでございますけれども、この公正、自由な競争、そして消費者の利益を守るという点から考えまして、また今度の日米構造協議を受けて、これは改正するかしないかはまたこちら側の問題ではありますけれども、公取委員長として独禁法の改正は必要と見ておられるのか、あるいは必要性を感じておられるのか、また感じておられるとするならばどういう点なのか、そういう点をお伺いしたいと思うんです。
 当初、公取委員長は、ある雑誌のインタビューにお答えされたときには、改正を必要としないとされていたわけでございますが、運用ではなく改正が必要だと私は思うんですけれども、その点についていかがでしょう。
#134
○梅澤(節)政府委員 私は、国会でもお答えしたと思いますけれども、現行法の枠内で運用を強化することによって大半の問題は対応できるというふうに考えておりまして、その後日米間のいろいろな議論が詰まってまいります段階で、政府として独占禁止法の運用あるいは競争政策を一段と強化するという意思統一が行われまして、その観点から、カルテルに対する課徴金の引き上げを行う、そのことによって違反に対する抑止力を強めるという方針をとられましたことは、私は大変時宜に適した措置であると考えております。ただ、残余の独占禁止法の制度の問題については、私は、現行の制度の枠内で運用を強化し、透明度を高めるという方向で臨むべきであると考えております。
#135
○森本委員 今回アメリカから指摘されているのは、要するに日本の公取が果たしてその使命を果たしているのかということも同時に指摘されているのではないかと私は思いますし、どうも最近こう見ておりますと、これは非常に失礼な言葉になってくるかもわかりませんが、かみつかない番犬だとか、いろいろなことを言われている。この状況。私は、審理事件の処理状況というのを見てみますと、その数字の上でも端的にあらわれているのではないかと思われるわけです。
 七三年の石油パニックのとき、このときは公取燃ゆと言われた時代であったわけでございますけれども、このときをピークに審査件数は、勧告件数、並びに告発はその後一つも行われていない。七七年に独禁法が改正になって、それから今度は勧告がこの七七年から落ち始めた。そして八一年から警告が非常に多くなってきたというふうに、この処理状況の手元にしている数字から見るとそのことが考えられるわけであります。特に、八四年から勧告が一けた台になりまして、ずっと進みます。八とか四とか六とか三とか。そして警告だけがふえている。
 この数字は間違いないでしょうか、そういう状況にあるというのは。それで、勧告件数の著しい減少はどういうところから起きてきたのか。また勧告と警告の違いはどうなのか。済みません、時間が余りなくなってきましたので、ちょっと簡単にお願いしたいと思います。
#136
○柴田(章)政府委員 今の計数の点は、御指摘いただいたような傾向が見られるわけでございます。
 ただ、勧告が減りました理由としては私どもこういうふうに考えておりまして、一つは、五十二年の改正によりまして課徴金制度が価格カルテルに対して導入されたわけでありますが、その抑止効果が上がってきたのではないかということ。第二番目に、各種のガイドラインの公表等予防行政
に私ども非常に力を入れておりまして、独占禁止法の規定の趣旨あるいは考え方というものが企業に浸透してきたこと。第三番目に、企業も独占禁止法違反の未然防止に努めていること。そんなことがあったのではないかなというふうに考えております。
 それからもう一点、勧告と警告についてでございますけれども、警告というのは、違反の疑いが認められましたけれども法的措置をとるに足る確証が私ども得られなかったということで、審決と異なりまして法的拘束力あるいは強制力を持たない、これが警告でございます。
#137
○森本委員 警告というのは、行政処分ではなくして行政指導なんですね。それで警告というのは、単に警告するだけで、そしてどこにも、新聞等々で発表もしないという状況ではないかと思うわけであります。そういうところがやはり産業界から公取は甘いんだと言われる原因にもなってくるし、あるいは本当に公取というのは消費者の利益のところに立っているのかと思われるところであります。果たして公正取引委員会というのは、不当表示ではないかという、口の悪い人は何かそんなことまで言い始める。
 そういったことを考えたときに、今後も警告の場合、公取はこれからもっと一生懸命、今まで以上に頑張ってもらいたいのですが、警告だけで終わるのですか、それとも公表しようという姿勢をこれから示していくのですか。ぜひ示してもらいたい。
#138
○梅澤(節)政府委員 今担当部長がお答えしたとおりでありますけれども、警告と申しますのは、違反事件の明白な確証を得るに至らなかった事件につきまして、いわばいわゆる行政措置として行っておるものでございます。
 今後の対応という問題でありますけれども、一つは、本来違反事件であったんだけれども証拠収集の段階でそこまで手が行き届かなかったということが起こり得ないように、そのために私どもは、違反事件を処理いたします部分の体制をぜひ強化していただきたいということで、ことしの予算でかなりの人員と予算の措置をお願いしているわけでございます。この辺の努力が一つでございます。そのことによりまして、経済取引活動はますます複雑化していきますし、法運用が厳しくなるとなれば相手方の手口もかなり巧妙になってまいりますから、そういうものについては体制の強化なり各種の手法の開発を通じまして、正規の勧告審決に持っていく努力をぜひしていかなければならないと思います。
 それからもう一つ、それにしてもやはり私は警告事件というものは残ると思います。本来違反事件ではないけれども違反事件の入り口のような事件というものはあるわけでありまして、それに対して警告をするということは、社会的にも行政的にも私は十分に意味のある対応であると考えておりまして、ただ警告するだけで本当にその効果が発揮できるのかというのは今の委員の御指摘のとおりでございまして、その点で今後警告事件につきましても、例外を除き原則として、事業者なりその行いました取引あるいはその状況等につきまして、これを公表するという方針に踏み切ったわけでございます。
#139
○森本委員 ぜひ、この告発にしても石油のとき以来、七三年以来ずっとゼロでございます。これは何も悪いのがたくさんおって捕まえたからいいというだけではありませんけれども、もう少し公取は強い姿勢であってもらいたい。それから先ほど、証拠の収集が難しい、確かに難しいかもわかりませんけれども、むしろその証拠収集のための立証方法の開発をこれからも大いに進めていっていただきたいと思うところであります。
 それで、時間がございません。経企庁長官にお尋ねしたいのですが、内外価格差の是正の問題についていろいろお尋ねをしようと思ったのですが、これは今後内外価格差の問題について全力を挙げて取り組んでいただきたい。
 それから、総選挙が終わってから値上げラッシュが続いております。内外価格差の中で一番価格差が大きいと言われているのが、これは酒税の関係もあるかもわかりませんが、ビールであります。そして、今度総選挙が終わった後の値上げラッシュで、これはまたビールが値上げになりました。経企庁長官、ビールが幾ら上がったか、数字に強い長官でございますからよく御承知かと思いますけれども。こういったビールが値上がった状況、これは、きょうの新聞を見ますと、ビール、わずかな値上げだと言うかもわかりませんけれども、アルコールだけで東京ドーム七・一杯分飲んでいる、ビールだけでも年間大瓶で一人当たり百七本飲んでいるという状況であります。私も、きょう一つ質問を終えたので夜帰って一献傾けようかと思いますけれども、値上がったビールを飲んで何となく苦さが増してくるような感じかするわけでございます。経企庁長官、内外価格差、それから値上げラッシュの中でのビールの値上げについてどのように考えておられますか。
#140
○相沢国務大臣 ビールが値上げになりましたが、もともと、昔と違いましてビールの値段も、これは三十九年六月以降全面的に自由価格になっておりますから、その値をどうするかということは、個々の企業が自主的な判断で決定することができることになっております。そういう意味におきましていわゆる公共料金とは異なっているのでありますが、御承知のように、今回の値上げは大瓶一本につき二十円ということであります。これは主として人件費、配送経費等の上昇に基づくということでありまして、このビールも前回、五十八年十月の値上げ以来六年半も経過をいたしております。そういう流通における人件費、配送費等の値上がりは、これはほかの企業製品の面におきましても見られるところでありまして、やむを得ない点もあろうかと存じているのであります。
    〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
 なお、冒頭に、外国に比べて非常に高いじゃないかということをおっしゃいましたが、事実これはそういう面がございます。ただ、ビールに対する酒税は、日本がアメリカに比べてかなり高い。三百五十ミリリットルにつきまして日本では七十二円九十四銭、ところが、アメリカは連邦税、州税、酒税等々あるわけでありますけれども、ニューヨークにおきましては六円八十四銭ということで、この間三百五十ミリリットル一本につきましても六十六円、要するに十倍以上ですね。それくらいの税金の差があるということも一つの原因かと思っております。
#141
○森本委員 ビールの値上げはやむを得ないと経企庁長官がおっしゃっていたら、これはよろしくないですよ。やむを得ないじゃないですよ。それから、価格はそれぞれ各社自由競争とおっしゃいますけれども、これは果たして自由競争かどうか、一九八〇年、アサヒがトップを切って三月十七日、二十五円上げました。それから各社そろって三月十八日、四月一日、四月十五日、全部二十五円上げた。一九八一年、これは酒税改正で二十五円。一九八三年、酒税改正ではありません。十月一日に四社のトップを切ってアサヒが二十円上げた。十月十七日までの間に各社全部上げた。一九八四年酒税法改正で二十五円上がった。一九八九年、消費税値下げでやっと十円下がった。そして一九九〇年、ことしですが、三月一日に一社が二十円上げたことによって三月六日までのわずか六日間に全社二十円上げたんです。どこに価格は自由なんですか。どこに二十円上がったのはやむを得ないと言うんですか。確かにビール業界人手不足等々、あるいは重たいものを提げなければならないから上げなければならないところもある。しかし、もうかっている会社、前年と比べて売上高が上がっているところも同じように上がっていますよ。この状況がこのままでいいのかということです。
 しかも、私の手元へ入りました数字では、値上げした二十円の取り分は生産者五円三十銭、卸四円二十銭、小売十円五十銭、全部、各社、生産者、卸、小売に至るまで何銭というところまでみんな一緒なんです。これがやむを得ないということで済まされる問題ですか。これは独禁法違反じ
ゃないですか、公取委員長。
#142
○梅澤(節)政府委員 ビールにつきましては、二月の下旬から三月の初めにかけまして、寡占業界であるビール四社が相次いで値上げを実施いたしました。その内容は、今委員がお触れになりましたように、工場からの出荷価格のほかに、希望卸売価格、希望小売価格等につきましても、引き上げが行われておるわけであります。
 この件につきましては、現在、独占禁止法十八条の二の規定に基づきまして、価格の同調的引き上げに該当するということで、既に調査に入っております。私どもは、この調査がまとまり次第、立法府の御要請がございますればなるべく早く国会に御報告しなければなりませんし、独占禁止法の規定におきましても、少なくとも、まとまりました年次の年次報告には報告するということになっておりますので、現段階では独占禁止法との関係において公正取引委員会が調査中であるということを申し上げるにとどめたいと思います。
#143
○森本委員 これはよほどしっかりやってもらわないと、八〇年から酒税改正以外のときの三回全部同じパターンで来ているわけです。これは明らかに不当な値上げの仕方であります。公取委員長、今取り調べ中ということだからあれですけれども、年次報告というとまた年末になってしまったり、もうそのうわさが消えたころですから、どうかその取り調べが終わった段階ですぐにここでまた発表していただきたい、そのことをお願いいたしまして、時間が参りました。どうぞ経企庁長官、ビールの値上げやむを得ないと長官がおっしゃっていたのでは、一体だれがこういった問題について本当に守るのかということについてこれからも真剣に取り組んでいただきたいということを私は申し述べまして、私の質問時間が参りました。それじゃ、最後に長官。
#144
○相沢国務大臣 ビールの値段に関しましては、これは公共料金でもございませんし、もともと自由価格ということになっておりますから、私の方で行政指導してそれをどれだけにするとかいうような対象にはならないと思っているのです。そういう意味におきまして、自由の価格だということで御返答を申し上げております。
#145
○森本委員 じゃ、終わります。
#146
○甘利委員長代理 続いて、小沢和秋君。
#147
○小沢(和)委員 通産大臣の所信表明演説に対して、特に日米構造協議の問題を中心にして質問をさせていただきます。
 けさからの論議を聞いておりまして、今回の日米構造協議は到底対等な独立国同士の話し合いなどと言えるようなものではないのではないかという印象を持たざるを得ませんでした。大臣はさっきから再三、これが国際収支のアンバランスを少しでも改められればというふうにおっしゃっておられるわけであります。この言葉からすると、大臣も今回のこの中間報告の中身がアンバランスの改善に余り大きな影響を与えないというふうにお考えだと思うのですが、私もそのように考えます。そのことを日本側としてアメリカに対してはっきりと言っておるのでしょうか。
#148
○山本(貞)政府委員 日米構造協議全般の問題について、私、総体的にお答えするカバーをしておりませんが、私少なくとも大店法を担当しておりますが、大店法の関係で、今度の出店調整手続が円滑化したという仮定をしたとしても、それほど輸入が目覚ましく直接ふえるとかというようなことは、私どもアメリカにも言っておりません。ただ、アメリカとしては、外国製品の入手可能性が相当ふえるということを期待しておるということでございまして、私どもとしては、外国製品がそういう努力をしていただければ、将来ともその可能性はあるということを考えております。
 それから、全般の問題につきましては、私がお答えするのは適切じゃないかもしれませんが、構造問題全体が仮に解決したとしても、アメリカ自身もそれで貿易収支なりが目覚ましく改善するというふうには認識してないというふうに聞いておりまして、日本側もその点は再三アメリカに言っておるところでございます。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
#149
○小沢(和)委員 大臣にもう一遍お尋ねをしたいのですけれども、そういう少々これで貿易収支、国際収支のアンバランスが改善すればそれでいいというようなアメリカの姿勢なんでしょうか。
#150
○武藤国務大臣 貿易収支の改善というのは、やはりマクロ経済的に見ていかなければならない問題だろうと思います。そういう意味合いで、この日米構造協議と申しますか、あるいは日米構造障壁協議といいますか、最初は確かに少しでもインバランスを直そうじゃないかということから、お互いに気がついた点は経済構造をもう少しいろいろ変えていこうということから始まったわけでございますが、私が先ほど来申し上げておりますのは、定量的に幾ら幾ら貿易収支がこれによって改善されるかということはとても予測できないということを申し上げておるわけでございますし、いま一つは、今申し上げたように、貿易インバランスの問題は経済全体的な中で見ていかなければならない問題だろうと思います。
 しかしまた、一方からいえば、確かに日本側は例えば輸入拡大政策を今の中間報告の中にも書いておるわけでございますし、またアメリカに対しても、とにかくアメリカの輸出力を強化するために従業員の皆さんの教育、あるいはまた経営者の考え方、あるいは技術革新といったようなことに思い切ってもっとアメリカも輸出競争力を強化するためにやってもらいたいということを日本から指摘しているわけでございまして、そういうことが総合的に行われていったときには貿易収支は改善されるということだけは間違いないだろう、ただ定量的に幾らこれで改善されるということはとても予測ができないだろう、こういうふうに私は答弁をしたつもりでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#151
○小沢(和)委員 今までの経過というものを考えてみますと、アメリカの方は、個別の商品や分野ごとの協議などではもうこの日米のアンバランスというのはとても解決がつかない、だから思い切って日本の経済の構造全体からもう文化にまで立ち入って思い切ってここで中身を改めるということで、いわゆる構造協議ということになっていったのじゃないかと私は思っておるのです。そういう点からすると、ここでよほど大きなアンバランスの改善が行われないならば、当然アメリカはもう次、またその次と際限なく要求を出してくると思うし、今度のこの程度のことではそういう傾向というのは何もとまらないのじゃないか、すぐ次が出てくるのじゃないかという感じがするのですけれども、いかがでしょうか。
#152
○武藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、この貿易収支が、もっと日本の黒字が思い切って減っていくというようなことは、今の構造協議だけではなかなかうまくいかないだろうと私は思っております。改善がなされても、これでそう大幅な解消がなされるというふうにはなかなかうまくいかないだろうと思うのでございます。まあ正直、貿易インバランスの問題というのはこの問題だけではなくて、例えば今日本の企業がどんどん海外へ生産拠点を移しておられますけれども、そういうことを進めていくとか、あるいは先ほど、これは構造協議の中にもありますが、諸外国の輸出力が強化される、また日本が逆に輸入を思い切って拡大をしていく、そういうようないろいろな政策が総合的に行われて初めて貿易インバランスは解消していくのであって、この日米の経済構造協議だけでインバランスが解消していくとは私は思っておりませんし、それはアメリカもよく理解をしておると思いますから、アメリカに対しても、日米構造協議で言っているいわゆる輸出力の強化を本当にもっと思い切ってやってもらわなければいけない、同時に日本のそういう企業が進出していくことについてはやはり受け入れてもらわなければいけないということを、私はこれからもアメリカには強く申していきたいと思っております。
#153
○小沢(和)委員 私は、この協議の状態からすると多くの改善は期待はされないし、したがって今
後もそういう摩擦は続くであろうということを一言警告をした上で、具体的に今まで大店法がどういうような結果をもたらしているのかということを次に質問をいたしたいと思います。
 今まで、大店法のために大型店の出店が妨げられてきた、長いところは出店に十年以上もかかっているというようなことが盛んに言われております。しかし、私は、この大店法というのは、出店を届け出る、届け出た上で、調整はするけれども原則として出店を認めるという立場からの調整だと思っております。ですから、今まで私たちの党としては、それではなまぬるい、いわゆる周辺の中小商店街と共存共栄を図るといっても、実際には周りの中小商店街をつぶしていくことになりかねないということを言ってきたわけであります。
 そこで、まずお尋ねしたいと思いますのは、十年、十年というようなことがひとり歩きしているような感じがするのですが、実際に調整にどれぐらいの期間がかかっているのかということについて実態を示していただきたい。それから、途中で断念をしたというようなケースがどれぐらいあるか、私はほとんどないのじゃないかという気がするのですが、それもお尋ねをしたいと思います。
#154
○山本(貞)政府委員 出店表明から調整終了までに五年以上の長期間を要したものというのは、私どもの手元に持っておりますのは全体の一五%程度でございます。個別事例で、今申し上げました長期間で十年以上かかった事例、極端な場合は十三年というものもたまにはございます。全体を平均いたしますと、出店の表明から調整終了まで、短いものも長いものも全部単純平均いたしますと三年程度というふうに認識していただければと思います。
 なお、先生先ほど御指摘の日本の大店については、先ほども申し上げましたが年に二、三%ずつ伸びておりますので、諸外国と比べてもそれほど低い率ではない、それほど高い率でもないですが、平均的なところだと存じます。
#155
○小沢(和)委員 結局、先ほども言いましたように、大店法というのは出店は原則として認めるという考え方での調整でありますから、長い目で見れば大部分が出店をしているわけですね。
 その結果がどういうことになっているか。きのうも資料をいただきましたけれども、いわゆる五十人以上を雇用している大型店は、五十一年が四千八百六十一店だったものが六十三年には七千四百三十二店、そして年間の販売額もその期間に十一兆五千九十億から二十四兆七千百九十億へと大幅に伸びているわけであります。
 これに対して、いわゆる中小の小売店の場合はどうか。特に、私は家族だけでやっている一人ないし二人の従業者規模のことを例に挙げたいわけでありますけれども、中小企業白書によりますというと、五十一年に九十九万九千六百店あったものが、六十三年には八十七万四千三百店、十二万店以上減っているわけです。実際、私たちの経験からしても、その辺の既存の商店街というのを歩いてみるというと、いわゆる大型店の近所だけは人通りがあるけれども、本当に近ごろは閑古鳥が鳴いているような状態になっているところが多いわけですね。
 こういうふうに大型店はどんどん店の数もふえ販売額も伸びている、その反面で零細な小売店がこのようにつぶされていっているということで、大店法が掲げておる目的というのは達せられている状態だというふうにあなた方はお考えなのかどうかということをお尋ねしたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
#156
○山本(貞)政府委員 今委員御指摘の点でございますが、小型店というか、パパママストァは今先生御指摘いただいたような数字で減少しておりますが、先ほどもたしか申し上げたと思いますが、大規模店が進出したことによってそうなったという点、それ以外に、後継者が得られなかった、あるいは周辺の消費者ニーズが変わってきた、そういうような点から変わってきたというふうに、私ども、両方いろいろな要素があると思いまして、中小商店が減るのを大店法で防止するというのはなかなか難しい社会経済実態にあるのではないかと思うわけでございます。
 ただ、大店法で書いております目的は、消費者利益に配慮しつつ中小事業者の事業機会を確保するということでございますので、そのための調整の手続の大枠を大店法が定めておりまして、その他通達なり、自治体でそういう運用をして話し合いを進めて、その話し合いの中で中小商店がその期間中に対応策を考える、あるいはテナントとして中へ入って共存共栄を図っていただく、そういう手続なり対応策を今講じておる次第でございます。
#157
○小沢(和)委員 こういう零細な業者がここまで圧迫を受けているということについては、やはり決定的な原因というのは大型店の進出にあることは、これは中小企業白書などでそういう零細な業者たちを対象にして調査をした結果などというのも載っております。私、今ちょっと手元に持ってきませんでしたけれども、そういうような中でも業者の声としてもそのことははっきりしておるということは私は申し上げておきたいと思うのです。
 それで、今後の具体的な出店調整の考え方についても次にお尋ねをしておきたいと思うのです。
 今度から出店調整の期間を大幅に短くするというふうにアメリカ側に対して意思表示をした。大体一年半、そして法律をつくって一年というふうにしていこうとしているわけですけれども、私は、これはただ出店調整の期間が短くなるというだけでなく、考え方そのものが根本的に変わってくるということじゃないかと思うのです。先ほどから申し上げておるように、今まででも出店することは原則として認めておったわけですけれども、しかしそれにしても、出店する大型店と周辺の商店街でよく話し合って納得ずくでやってくださいよ、そのためには時間がかかってもこれはある程度仕方ない、こういう立場だったのじゃないかと思うのですけれども、今度からはこういうふうに期間を限るということになれば、話し合いをして、期間が来たら納得づくでなくても事実上どんどん店を出していく、こういうふうな運用にならざるを得ないのではないかと私は思うのですが、そういうように調整の中身は変わってしまいやしませんか。
#158
○山本(貞)政府委員 今委員御指摘の点でございますが、従来大変長くかかったケース、その場合の実態を見ますと、その間、中小商店側あるいは商店街対策としてそちら側の対応策が十分とれないで時間が過ぎているというケースが中心でございます。今後一年半ないし一年ということでございますが、その間には、私どもは中小企業庁の施策をこれからもまた十分考えた上で、その期間で最大限努力していただく、積極的にその間に対応していただくという意味で、私どもとしては一年ないし一年半の期間中にそういう対応策をとることは十分可能だと思っておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#159
○小沢(和)委員 最大限の努力をすればその期間に調整をすることが可能だというふうにあなたは今言われましたけれども、そうすると今までは、時間がこれだけかかったということは、そういう努力をしてなかったからですか。私はやはり、それなりに努力をしたけれどもこういう時間がかかったということだと思うのですよ。そうだとすると、今後はもう見切り発車をするということにならざるを得ないのではないかと思うのですが、重ねてお尋ねします。
#160
○山本(貞)政府委員 あらかじめ一年半とか一年という期間を制度的にというかアナウンスしておきまして、その期間中に努力をしていただくという目標を設定させていただく、そういう意味でございまして、その期間中に関係者が努力をしていただくということでございます。従来はその目標期間というのは残念ながらございませんので、言葉は悪うございますが、だらだらと過ぎていたというのが実態でございます。そういう意味で、目標期間をきちっと定めて対応策を考えていただく、そういうことでございます。
#161
○小沢(和)委員 だから、問題は努力をして、かつそのときまでに調整ができなかったときどうするのかということを私はお尋ねしているわけですよ。
 特に、出店表明から開店まで、次の法律改正で一年に持っていきたい。そうするというと、開店までに一年ですから、話し合いを始めて間もなく建物を建て始めるというようなことになって、それと並行して調整なるものがやられるということになったら、どんどん目の前で建物を建てながら、そういう既成事実というのを背景にしてやる調整というのは、もう事実上恫喝みたいな既成事実の押しつけになるのではないですか。それで本当に調整ができますか。
#162
○山本(貞)政府委員 その期間中に関係者で調整をしていただきまして、場合によっては出店者側の面積を縮小するということで話をつけていただく、あるいは場合によっては出店者側が出店をあきらめるという場合も含めて、今後ともあり得ると私ども思っております。話し合いができて出店をする、あるいは面積をしかるべく変えた上、あるいは中小商店が中に、テナントに入っていただいて解決をする、いろいろな解決の仕方があると思います。私ども決して、今委員御指摘のような見切り発車というようなことにはならないように努力をしていきたいと思っております。
#163
○小沢(和)委員 大臣にその点でお尋ねしたいのですけれども、今までに比べて一年半、将来は一年ということで大幅に調整期間を短縮すれば、今審議官は、今まではそんなに密度の濃い努力をしてなかったみたいなことを言うけれども、私はそんなことはないと思うのです。だから、これからそういうように期間を区切ってしまったら、どうしても時間が足りなくなるということはきっと続出するのではないかと思うのですが、そういう事態に対して大臣としてはどうお考えですか。もう見切り発車やむなしですか。
#164
○武藤国務大臣 先ほども答弁いたしましたように、実は今度の日米構造協議の以前に、昨年、いわゆる産構審の流通部会それから中政審の流通小委員会、この合同会議で九〇年代の流通ビジョンを提言をしていただきました。その中に、二年をめどにというのがあるわけでございます。
 その審議の中には中小団体の代表の皆さんもお入りいただいて審議をしていただいたわけでございます。その方々が、従来はいろいろのケースがあったけれども、しかも今は長いケースのお話ばかりございましたが、過去において何も二年かからなくて決着を見ているケースも結構あるわけでございますから、そういう面で大体二年をめどに、それならばよろしかろうということで流通ビジョンがつくり上げられているわけでございます。
 そういうことでございますから、今回その一年半というのが全く急に出てきたわけではないのでありまして、昨年の審議会の答申にある二年をめどにというのを一年半と、半年、もう少しスピードアップをしていただこう、こういうことで私ども考えたわけでございますし、それについても今度の審議会を二十七日に行いまして、そこで御理解をいただいてからやろうといたしておるわけでございます。
 法律だけからいけば、先ほど渋谷委員からもお話がありましたように、今の法律では極端にいけば一年でできる形になっているわけでございます。ただ、従来は法律にないようないろいろの通達によって事前の審査というか、地元からの同意書が要るとかいろいろなことがあっておくれておったケースが多々あったのではないか。そういうところは今度は簡略化していこうということでございますから、私はそんなに難しい話ではなかろうと思っているわけであります。
#165
○小沢(和)委員 今の期限を厳しく貫こうと思えば、私はこれから必ず紛争が続出するだろうということを申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほども問題になったのですが、いわゆる出店を抑制する地域というのがあります。さっきは公表しろということが問題になりましたし、私どもも今までの承知をしている運用の実態というのは、問題になってたしか自治体などが通産局に問い合わせたりすると、いやそこは出店を抑制する地域だとかいうような返事があるというような格好でしか我々にはわからないのです。だから私は、そのこと自体非常に不明朗で、さっさと同じように、私も公表させなければと思いますが、問題はこの出店を抑制する地域という考え方が、今申し上げているような調整期間を大幅に短縮することとあわせてなくなってしまったら、これは大変なことだと思うのですが、今後もこの出店を抑制する地域という考え方は、少なくとも調整の中で引き続いて持っていくというふうに理解していいかどうか、お尋ねしておきます。
#166
○山本(貞)政府委員 今の先生の出店を抑制する地域についてでございますが、昨年の流通ビジョンでもその制度の枠組みは、通達でやっているものですが枠組みを残すということにしております。ただ、その実際の適用というか現場の運用につきましては改善すべき点もある、そういう指摘をいただいておりまして、今回私どももその昨年の答申の線で考えていきたいと思っておるわけでございます。
#167
○小沢(和)委員 では、今の枠組みは残すという考え方だということで理解をしておきたいと思います。
 私は、この問題の締めくくりに申し上げておきたいのは、肝心なことは大型店の進出に対して実質的にはもっと厳しい態度をとらないと、ますます零細な小売業者はつぶされていくということになりかねない。だから、私たちの党としては、大型店の新増設については許可制にすべきだ、許可のためには地元の中小小売業者の同意を要件とすべきだという考え方に立って、今後もそういう方向に進むように努力をしていきたいと考えております。時間もありませんので、この点については私どもの見解を申し上げるということでとどめておきたいと思います。
 最後に一つだけお尋ねをしたいのは、工業技術院の試験研究機関の再編成の問題であります。
 今、工業技術院傘下の四研究所の再編成が検討されております。私も、現地を見てくれという話だったので、この前筑波まで行ってそのうちの二つの研究所は見せていただきました。本年一月二十六日の工業技術院の院議の決定によれば、体制整備実施の背景について、九〇年代の通商産業政策ビジョンと臨調行革審とのかかわりを挙げて、抜本的な体制の見直し、検討を行うとしております。そして、来年度予算の要求に間に合うよう結論を急ぐとのことです。しかし、現地で出された声というのは、まだその九〇年代のビジョンの答申も出されていないではないか、産業構造審議会や産業技術審議会の部会報告案も取りまとめ中ではないか、それなのになぜ急ぐのか、一方では、最近各研究所が科学技術会議諮問十二号に対する答申などに基づいて体制の大がかりな見直しをやったばかりで、まだその評価も出ないうちにまた次の再編成をやるのでは納得がいかないということも聞かされました。
 ですから、お尋ねをしたいのは、なぜそんなに再編成を急がなければならないのか、来年度予算にどうしても間に合うようにということから逆算をして仕事をするというのは、こういう試験研究機関の性格から見てもなじまないのではないか。もう一つは、二十一世紀をにらんで国立の試験研究機関に本当にふさわしいものに再編成しようというのであれば、現場の研究者の声もよく聞いて、その意欲を引き出すようなやり方で進めなければならないのではないか。
 以上の二点についてどうお考えかをお尋ねして、私の質問を終わります。
#168
○杉浦(賢)政府委員 お答えをいたします。
 まず、このような国立研究所の体制整備をいたしますときに長期的なビジョンに基づいてやる必要があるということを私どもも十分承知いたしております。私どもは昭和六十一年に工業技術院の中に研究体制検討委員会というのをつくりまして、これは各所長さんもメンバーでございますけ
れども、一年かけまして将来の国立研究所のあり方について十分な検討をいたしまして、そのときにこの四つの研究所の問題なども指摘されておりました。そういうことをバックにしながら我が国の最近の研究環境について考えてみますと、基礎研究の重要性あるいは独創的研究の重要性、新しい研究分野の拡大、それから国際的な貢献をしっかりしていかないといけないというような、非常に大きな環境の変化がございます。
    〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
 それで、今再編を考えております四つの所につきましては、生物、化学、材料といった分野の研究所でございますけれども、この分野におきましては、おのおのの技術分野にまたがるような技術革新が進んでおります。しかも工業技術院の中で非常に重要な研究分野でございます。それで、これに対応した研究体制をつくっていくということが先ほど申しましたような環境の変化ともども重要と考えておりまして、今回組織再編をしよう、こういう検討を始めたところでございます。
 それからもう一つの、職員の意見を十分に、こういうお話でございますが、現在、研究体制検討準備委員会というのをつくりまして、これは毎週行いまして、そこのところに研究者の意見が反映できるようになっているかと思いますが、こういうことを経ながら、十分に研究者の意向を聞きながら進めていきたいと考えております。
#169
○小沢(和)委員 終わります。
#170
○甘利委員長代理 次に、伊藤英成君。
#171
○伊藤(英)委員 まず経済運営の問題についてお伺いをいたします。
 今、賃金引き上げのシーズン、あるいはもうかなり進んだ段階でありますが、そういう状況でありますので、その賃金引き上げやらあるいは労働時間の短縮等の交渉が進んでおりまして、例えば賃上げについて見れば、最終的にはどのくらいの水準にいくかというのはまだまだこれからでありましょうけれども、まあ六%内外ということなのだろうと思いますが、そうした水準の問題について、いわゆる経済運営の面から経済企画庁としてどういうふうに評価をするのか。あるいは今内需主導型の成長云々と経企庁長官も言っておられるわけでありますが、そうした観点から見てどういうふうに評価をされるか、まずお伺いをいたします。
#172
○相沢国務大臣 今お話ございましたように、ことしの春闘における平均の賃上げ率、これは見込みと思いますが、五・八%でございます。昨年は平均五・一七%という実績が出ていると思いますが、これは、平成二年度の経済成長率は実質四%、この四%の経済成長を支える大きな柱が個人消費でございます。恐らく五四、五%というところになるのではないかと思います。
 そこで、春闘における賃金のアップが昨年よりも上回っているということは、雇用者数の今後の見込みによりますけれども、GNPの成長に寄与するところは大きいと思っております。したがいまして、ことしの賃上げは平成二年度の経済見通しに照らしてみればおおむね妥当なところではないかというふうにも考えております。
#173
○伊藤(英)委員 それでは、労働分配率という視点で見ますと、日本は過去十年くらいを見てみますと若干下がっているくらいの状況にある。そしてまた、欧米との国際比較をしてみれば、日本の水準はこれまたどちらかといえば格差を持って低いというような状況だと思うのです。そうした中で、本当に国民生活の一層の向上を図らなければならぬ、あるいはゆとりある社会をつくらなければならぬと総理も言い、あるいは経企庁長官も述べておられるわけでありますが、そうした意味からして、日本の今後の望ましい姿というようなことを考えたときにどのように考えられるか伺います。
#174
○相沢国務大臣 昨年の経済の推移を考えてみますと、GNPの実質成長見込み、これは計画と申しますか予定では大体四%と見ておりましたのが、実績では四・六%程度の上昇見込みということになっております。これを内訳で見てみますと、個人の消費というものが若干、ごくわずかでありますけれども、当初の見込みを下回っており、そして逆に、非常に大きく伸びているのが民間の設備投資でありまして、実績見込みでたしか一四%台になろうかと思っております。
 私が申し上げるまでもなく、旺盛な設備投資需要というものが数次にわたるオイルショックにもめげず日本の企業の合理化、効率化を通じて生産性を高めてまいったのでありまして、そのことがまた所得の上昇にもつながってまいっていることでありますので、今お話しのように、分配の面から見ましていろいろ考え方はあろうかと存じますが、経済の今までの順調な進みぐあいということから考えますと、それほど大きなひずみになっておったというふうには私どもは受けとめておりません。
#175
○伊藤(英)委員 そんなに大きなひずみ云々ということよりは、私は日本のこれからのことを考えたときには、やはりその辺はいわゆる分配の仕方というのを是正をしていかなければならぬ、こういうふうに思います。そういう意味で、ぜひそういう観点からこれから物を考え、運営をしていただきたい、このように思います。
 それから、これは経済の関係で、最近公定歩合も上がり、金利もアップしたり、あるいは円安になったり株安というような状況があり、さらには輸入物価の上昇ということもあったりして、最近、環境はどんどん厳しくなっている、こういうふうに思うのでありますけれども、政府の経済成長率の見通しが四%と先ほどのお話にあるわけでありますが、これが今申し上げたような要因によってだんだん厳しい状況になっていくのではないかと思うのですが、その辺についての見通しはいかがですか。
#176
○相沢国務大臣 しばしば申し上げておるところでありますけれども、経済の成長率あるいは卸売、消費者物価の上昇率、失業率、それから国際収支の状況等、いわゆるファンダメンタルズは良好でございますから、結論的に申しますと、私は平成二年度の経済成長、実質おおむね四%という線は実現できるのではないかと思うのであります。
 ただ、指摘されますように、最近における為替安、債券安あるいはまた株価の大幅下落というような現象がこれからの経済の成長にどのような影響を与えるだろうかという点でございます。
 確かに、経済の先行きを示す先行指標をとってみますと、この三月ほど赤ランプではありませんが、黄色いランプが点滅をしているということでありまして、そういうような状態を見ますと、全く懸念がないというふうに申し上げるのはいかがかと思いますけれども、しかし、先ほど申しましたように、ファンダメンタルズにおきましては、これは今までの成長発展の過程と大きな差はございません。
 したがいまして、その円安が現に物価にも当然影響を与えるじゃないかというふうに言われますが、しかし、輸入物価の物価において占める比率は、例えば卸売物価についていいますと、千分の九十八という程度であります。為替が一〇%円が安くなりましても、その影響は卸売物価で一%、消費者物価で〇・五%程度というようなことで、これは一例でありますけれども、ということでありますから、私は、いわゆるトリプル安と言われる現象があるにいたしましても、まず基調においては大きな変化はないという見方をいたしております。
 したがいまして、平成二年の経済成長につきましても、おおむね四%のラインはまずいけるものだというふうに考えております。
#177
○伊藤(英)委員 次に、日米経済構造協議の問題について通産大臣にお伺いいたします。既にこの場でもいろいろ議論もされたりはしておりますが、この日米構造協議の性格というのでしょうか、あるいは目的といった方がいいかもしれませんが、この辺について大臣にちょっとお伺いしたいのです。
 大きく分けると二つの目的があるだろうと私は
思っているのですよ。一つは、何といっても対日貿易のインバランスの是正ということがあり、もう一つは、日本におけるいわば自由経済体制を徹底させる、あるいは公正取引を徹底させるといいましょうか、そうしたいわば取引をフェアにするという側面と、この二つだろうと思うのですが、大臣はそれについてどういうふうに考え、あるいは今私が二つ申し上げたようなことがもしも正しいとするならば、今回の日米構造協議でその第一の目的、第二の目的をどんなウエートで大臣は考えられておられますか。
#178
○武藤国務大臣 第一の点の貿易の収支の改善、これは確かにブッシュ大統領と宇野前総理との間で始まった最初のときはそこから出てきた話であることは間違いないと思います。そういう面では、貿易収支の改善というのが一つ頭の中にあると思います。先ほど来私が御答弁申し上げておりますように、貿易収支の改善というのはこういう形だけでできるものではなくて、マクロ経済全体の中で考えていかなければならない問題でございます。
 しかし、せっかくそういうことから始まったわけでございまして、今回はそういう意味も含めて日米の経済構造の中でお互いに直すべきところは直していこうということで始まったわけでございまして、アメリカの輸出力強化のためにいろいろ私どもからも注文はつけておりますし、また、私どもの方としても、輸入拡大についてはできるだけの努力をするということで中間報告の中にも入れておるわけでございます。ある程度の改善がなされるであろうということは、私は期待をいたしておりますけれども、先ほど来申し上げている定量的に相当大きくこれが改善されていくということまではなかなかいかないのじゃないか、この点はアメリカに対しても協議の最中でもよく言ってあるわけでございますから、その点は理解をしていただけると思います。
 いま一つは、同じような形にならなければいけないのじゃないか、国際社会の中で日本も生きていかなければならない今日においては、ルールがある程度国際的にも通用するものでなければいけない、この点は確かにおっしゃるとおりだと思います。しかし、この点は私もいろいろ考えてみて、また今度私は国会のお許しをいただいて、今月末からアメリカへ参る予定にいたしておりますけれども、まだ正式には国会のお許しはいただいておりませんが、多分ちょうどゴールデンウイークでございますし、また日米だけではなくて四極通商会議が五月の二、三、四とサンフランシスコ郊外で行われますので、これはやはりオフィシャルでございますからどうしても行かせていただかなければならないと思っております。その前を利用して、三十、一日と私はワシントンでできるだけ多くの政府要人並びに議会人と会って話をしたいと思っておりますけれども、そこで私は、やはり同じというわけにはなかなかいかないよ、歴史も違い、あるいは地理的環境も違い、あるいは哲学も、正直、日本とアメリカでは違うわけでございますから、キリスト教を基礎にしている西洋哲学と、儒教、仏教を基礎としている東洋哲学、やはりそれぞれ違うわけでございますから、そういうこともよく話をし、できるだけ同じような形にということは考えるけれども、おのずからそこには限界があることは申し上げたいと思っておりますが、一応今度の構造協議においてはそういうことも目的の一つでありたということだけは間違いのないことだと思っております。
#179
○伊藤(英)委員 今、大臣のおっしゃるとおりに、今回の貿易インバランスの是正という意味では、恐らくそんなに金額的には大きな効果はないんだろうと私は思うのです。
 ただ問題は、これは先回予算委員会でも私は総理にも申し上げましたけれども、例えばこうした構造協議の問題も、アメリカの新聞等で見れば、まず出てくるのは、その目的が、この大きな日米間の貿易インバランスを減らすためにこういうことをやるんだという話がすぐ出たりいたします。だから、そういう意味で、本当にちゃんとアメリカの国民にもそのことをよく理解させないと、最近の、外務省がギャラップと一緒にやったアメリカにおける対日世論調査なんかでも、日本は信頼できない国だというのが今や四〇%にもなる、あの数字が本当に正しいかどうかは別にして、同じようなとり方をして、先回、昨年の二九%から四〇%まで上がっているというようなことは、これは注意をしてかからなければならぬ。特にこの貿易摩擦の問題あるいはこの交渉の問題は、基本的に言われるのは、アメリカは結果主義で物を見ますというふうに言ったりいたします。そして、日本はいろんなことを言うけれどもそれが守られない、日本は約束はするけれどもそれが実行されない、だから日本は信頼できないんだよというような話でこれは言われるわけですね。そういう意味では、大臣もこれから各種会議含めてワシントンの方にもいろいろ行かれるようでありますから、この問題は本当に、それぞれの意識ギャップが生まれないように、あるいはそれを埋めるために全力でやっていただきたい、このように私は思います。
 そこで、今大臣から、アメリカ側の輸出振興のためにも日本もいろいろ言ったという話がありました。私は、先般出されました米国サイドでのこの構造協議の報告ですね、それを見まして、そこでアメリカ側の「輸出振興」というところがあります。そこに、輸出振興に効果的に努力する云々という話がありまして、例えば九一年度の予算案は九〇年度に比べて一千万ドルふやして一億五千九百万ドルを提案しているとか、日本に対しては、「米国からの日本に対する輸出のために特別の輸出プログラムを策定した。」と書いて、三項目ばかり一応項目としては上がっております。これを見られて、アメリカの輸出振興という意味で、どんなふうに大臣は評価をされておりますか。
#180
○武藤国務大臣 先回モスバカー商務長官が来日され、私のところに来られたときに、共同プログラムという形で日本の輸入拡大、アメリカの輸出振興、こういう形で合意をいたしたわけでございますし、今回の日米構造協議の中にもまたそれを含めていろいろなことが書かれておるわけでありまして、私はどれだけ評価するかというのは、これもまた定量的になかなか予想はできませんけれども、とにかく今までよりもアメリカがそういう形で、経営者も労働者もまた国民ももっとアメリカの輸出競争力を強化しようという形になっていただくということと、また日本の方も従来以上に輸入促進税制とか関税の千余品目の撤廃とか、あるいは輸入拡大策といたしましては、今申し上げたいろいろなプログラムとか、あるいはまた金融面でも輸入促進を考えておるわけでございまして、そういうものが相まっていけば相当いい効果があらわれるのではないかと私は思っておるわけでございます。
 それからいま一つ、先ほどの御指摘のアメリカ人がなかなか理解しないというのは、私も本当に非常に残念に思っておりますので、私は今度ワシントンに参りまして、政府の要人だけではなくて特に議会の幹部の皆さんにお目にかかるということで、やはり、アメリカ国民の代表である議会人にまず理解してもらう必要があるだろうということで、私は、まず議会人にいろいろなお話を申し上げたい、そしてアメリカの国民の理解を得たい、こういうふうに思っておりますので、その点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
#181
○伊藤(英)委員 先ほどのアメリカ側の報告、あるいはこれからさらにどういうことをされようとするのかわかりませんけれども、私が恐れるのは、これは本当にそんなに効果を上げるかな、そして大臣は本当にどれくらいそれを十分だと評価するかどうかということになるのだと思うのです。私は本当に大丈夫かしらんという気がするのですよ。もちろん日本も日本の経済力が今強いあるいは競争力があると言ったりいたしますけれども、こういう時期がいつまで続くのかなという懸念を私は若干いたしたりいたします。
 しかし、日本側のことを一応別にして考えたときに、アメリカが経済力あるいは競争力がなくな
ってきたりということで、ああ大変だ大変だということになってきたのは七〇年代の終わりだと私は思うのです。特にカーター政権からしーガン政権にかわるときは、まさにアメリカがそういうふうになってきて、だから大統領もかわらなければならぬ、民主党から共和党にというふうに八〇年になったりいたしました。そしてあのときに、レーガン政権になって、競争力を強化しなければならぬ、諮問委員会もつくったりした、そしてその答申も出されたりした、ところがその効果はどのくらいあったのだろうかというふうに私は思ったりいたしました。それで今回こういうことをやって、本当にアメリカが輸出促進をと考えたときに、これは私は、個々の企業等が本当に競争力を持たなければ多分何にもならないということだと思うのですね。だから、今、構造協議、先ほど来問題になっております、例えば大店法云々という話をしたとしても、本当にいい物、よくて安い物がちゃんと来なければこれは売れないということだと思うのですよ。だから、そういう意味で本当に大丈夫かなということを感じるのですよ。アメリカは経済を強くするために本当に努力するのだろうかということだと思うのですよ。いかがですか。
#182
○武藤国務大臣 私は、レーガンのあの政策、確かに経済力を強めなきゃいけないとおっしゃっておられた反面、大幅な所得減税をおやりになった、これがアメリカの国内の消費を非常に刺激した、結果的にアメリカの国内の消費は非常にふえたけれども、それが輸出の方にはなかなか回らなかったというのが現実の事態ではなかったかな、私は、御指摘の点は今そう分析をいたしておるわけでございます。今回はブッシュ大統領が、お互いの経済構造を改めていこう、こういうことから発想されておられるわけでございますから、それがアメリカにおいても忠実に行われ、日本においてもいろいろな施策を忠実に実行していけば、少なくともあのときの、レーガンさんが最初におとりになったときのようなことにはならないのではないか、こういうふうに私は考えております。
#183
○伊藤(英)委員 繰り返して申し上げたいと私は思うのですが、いわゆるマクロ経済云々というところでやれる部分あるいはやらなきゃならない部分もある。しかし、最後の部分は商品力が決定をするということなんですね。少なくとも、今みたいにボーダーレスになっている経済の中で、そこでなお国というその境界を設けて物を考えるとしたときには、その間で商品力がなければ物が売れないということだと思うんです。特に日米間を考えれば、私は、日本は世界の中でもある意味では最も競争社会あるいは厳しい市場だと思うんです。問題は、例えばアメリカが日本に売ろうと思ったら、日本の市場に本当に合わなければ物は売れないんだよということだと思うんです。だからそういう意味で、本当に努力されないといい物は売れないんだろうなという気がいたします。
 だから同じような意味で、さっきモスバカーの話が出ましたけれども、商務長官が日本に来て、例えば半導体なら半導体を売ろう、それぞれの会社に何%買ってくださいというようなやり方は、今回の構造協議なるものが本当にフェアな競争をするために物を進めているとするならば、日本の他の例えば半導体メーカー等からすればアンフェアなやり方を商務長官なんかはひょっとしたらやっているかもしれない。あるいは、ひょっとしたら通産省もそういうことになりはしないか。見方を変えればそういう側面もあるんだろうという気がするんです。だから、いわゆる構造面だけに焦点を絞って、あるいはそういうところだけに余り目を奪われ過ぎていると、本当に貿易のインバランスなるものが消えるようにならないんだろうなというふうに思うのですよ。御意見ございますか。
#184
○武藤国務大臣 たまたま伊藤さんは自動車工業の御出身でございますから、私は一つの例を取り上げてお話をさせていただきます。
 あれは一九八七年でございましたか、自動車の部品のMOSS協議が行われたときに、日本の継続的に、また下請に対してデザインから入っていってやっているというやり方に対しては非常に評価されたと承っておりますし、それを受けてだろうと思いますが、ゼネラルモーターズが今だんだん系列取引を長期的ないわゆる継続的な取引に切りかえつつあるということも私は承っておりまして、こういう点をアメリカの経済界がみんな一生懸命努力をしてくれると、私は、アメリカの商品も非常に商品力がついてくるんじゃないかな。そういう点は、私はこれ一つの例として申し上げましたが、そんなようなこともアメリカの中でも企業によっては日本のいい点を取り入れようということで努力をしておられるわけでございますから、こういうことがうまくいけばアメリカの商品力は強くなって、輸出力も強くなってくると思っており、余り短い期間で今度の結果を見ようというのは間違いであろうと思いますので、ある程度の期間を見ていかなければいけないのじゃないかと思っておるわけでございます。
#185
○伊藤(英)委員 最後に伺いますけれども、構造協議の中で、先ほどから申し上げております公正取引の徹底という観点から独禁政策の強化が言われているわけであります。日本側の報告の中にもどういうふうに措置をするという話がございますけれども、公取委員長にお伺いいたしますが、あの中ではまだ具体的な内容というのは不明確だと思うのです。それで、具体的に市場の参入促進策についてこれからどういうふうにしようと考えるか。そしてまた課徴金の引き上げという話がございましたけれども、そのめど、引き上げ水準あるいは課徴金のかける範囲とか対象、そうしたものについての見直しもするのかどうか。そうしたことについて具体的な考え方があれば、どうしようとしているか、お伺いをしたいと思います。
#186
○梅澤(節)政府委員 まず最初の点でありますけれども、簡単に申し上げまして、独占禁止法に抵触するような不公正取引につきまして、今具体的なガイドラインをつくりまして、年内にこれを公表する、それによってきちっとした法執行を行う。その結果、市場が仮に閉塞されている部分があるとすればそれは除去されるわけであって、それが参入促進の手段であり得る。結果は経済の問題でありますから、公正取引委員会が云々すべき問題ではございませんけれども、そういうふうにやっていきたいということであります。
 それからもう一つ、課徴金の問題でありますけれども、これは最終的に立法府の御決定にかかわる問題でありますが、政府側の作業といたしましては、なるべく早い機会にこの検討作業に入らなければならないわけでございます。ただ、五十二年の改正で初めてこの制度ができまして、例えば刑罰制度との関係をどう考えるのか等々、いろいろな問題がございます。したがいまして、独占禁止法のみならず、各法制分野の学者の意見も十分に聞かなければならない。そういう手順を踏んで作業を進めたいと考えております。したがいまして、お尋ねの個々の内容については、現段階で申し上げる段階ではございません。
#187
○伊藤(英)委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
#188
○甘利委員長代理 次に、江田五月君。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
#189
○江田委員 大臣、大変なときに重要なポストにおつぎになられまして、大変御苦労さんでございます。構造協議、大店法、独禁法、エネルギー、地球環境、消費者重視などなど、商工委員会の抱えるテーマはまさに重要なものばかりで、私は参議院から衆議院にかわりましてこれまで六年間文教委員会でずっと教育改革に取り組んでまいりましたが、このたびは商工委員会初めてでございまして、ベテランの皆さんの御指導をいただきながら張り切って質問いたしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。
 当面する日米構造協議に絞って、しかもその総論だけの質問をさしていただきたいと思います。
 一体この構造協議というのは何だろうかということですが、既にもうお話ありましたように、経緯からすれば、日米間に多額の貿易経常収支のインバランスがある、これはもうどうしようもないのでいろいろの手を講じなきゃならぬというので、いろいろなことをやってきた。いずれもどうもなかなかはかばかしくいかない。そこでいよいよそれぞれの国の、まあアメリカの方にも問題ありますが、特に日本の社会や経済の構造に手をつけていこうというような話に次第になってきたんだと思います。
 経緯はそういうことですが、もっと根本には、これはアメリカに言われるまでもなく、日本の戦後の、いや戦後だけでなくて、もっと言えば明治維新以来、日本の近代史、現代史の経済や社会の発展や展開の型、その転換、日本がこれまでつくり上げてきた日本的な構造の転換をしていかなきゃならぬ、これは日本自身がやっていかなきゃならぬ、そういう問題だということに私たちは気がつかなきゃならぬのではないかと思っておる。それがなかなか今まで日本自身にうまくいかなかった面があって、そしていわば先送りの形でここへ来て一気に噴き出しているからかなり重大な課題として起きてきておりますが、やはりそういう問題で、いわば日本はおくれて近代という時代に入って、戦後は今度廃墟の中から再スタートを切って、欲しがりません勝つまでは、ではありませんけれども、極端に言えばあらゆるものを犠牲にして経済の成長をしようと努力をしてきたと言えると思うのですね。労働時間は長いまま、住居は狭いまま、もちろんそれなりに改善はありますけれども、しかし欧米の改善の速度と比べたら随分遅い。通勤時間は長い、わびしい老後、すさまじい受験競争あるいは自然環境の問題もある。こういう人間の生きがいというものを、仕事が生きがい、仕事一本やりに絞ってキャッチアップを目指してやってきて、それで今GNP第二位ということになっている。しかし、何か今までのやり方というのがもう習い性となって、いわば車を回すハツカネズミのようにくるくる回ってとまらなくなっちゃった、どっかで何とかしなきゃ、そういうところに来ているのだと思うのですね。
 先進諸外国はもっと生活というところに重点を置いている。達成された経済力を上手に使いこなして、生活しやすいシステム、社会構造というものを、人生のあらゆる段階でそれぞれ生きがいを持った選択ができるようにやってきた。ところが、日本はどうもそれをきちんとやることができていなくて、そこで、その日本の社会や経済の核の部分、構造の核の部分にメスを入れなきゃならぬということになってきた。アメリカもずばりそういうことはなかなか言えません。それは内政干渉とかいろいろある。しかし、いろんなこのたくさんなテーマの中で、行き着くところはそういうところになっているんじゃないか。
 私は、日米間でいえば確かにストラクチュァルインペディメンツ、障害ですけれども、それについてイニシアチブを発揮しよう、しかし、我が国にとったらストラクチュアルリフォームじゃないか、構造改革ではないかという気がいたしております。私は今どうも悪名高い二世議員の一人でございますけれども、私の父は構造改革ということを、もう既に何十年前でしょうか、言っておったのですが、親子二代で構造改革ということなんですが、そういう構造改革をやらなきゃいけない、そういうような思いで、問題意識で取り組まなきゃならぬ課題を含んでおる問題だと思っておるのです。
 そういう意味で私たちは、これは与野党ということでなくて、心ある政治家、この構造協議という問題については牽引力になっていかなきゃいかぬし、私どももこの構造協議の問題については、もちろん変なことをやってはいけませんよ、ちゃんとそういう意味の私の問題意識に合致する方向でなきゃ困りますが、そういう意味であれば、我々も与党になっていきたいという気さえしておるのです。もちろん、痛みを伴う改革がありますから、そういうところにはきちんと思いを寄せて、温かい手も差し伸べながらですが、そういう問題だと思っているのです。大臣の問題意識をまず伺っておきたいと思います。
#190
○武藤国務大臣 大変、やはり幾ら小なりといえども一つの政党の代表だけの御意見を拝承しておりましたけれども、正直、今お話しのように日米構造障壁協議、これは貿易インバランスの問題から出てきた発想であり、そしてたまたまお互いの経済構造をもう少し改革していくところがあるんじゃないかという話になってきたわけでございますが、今御指摘のとおり、日本の今置かれている立場から見れば、従来の経済政策、通商産業政策を大変思い切って変えていかなきゃならない時期に来ていると私は思います。
 例えば、地球環境の問題などは余り今まで、私ども日本の国内の公害対策というものには真剣に取り組んでまいりましたけれども、地球全体の環境保全をしていくというような考え方は、正直新しい考え方だろうと思います。それから、ややもすればやはり生産重視という考え方がなかったといえばうそでございまして、もちろん消費者のことも考えてまいりましたけれども、しかし、ここまで日本の経済が大きくなれば、やはりその恩恵が当然国民一人一人に及ばなきゃいけないのじゃないか。そういう点で、国民一人一人にゆとりと豊かさを持っていただくような社会をつくっていかなきゃならないのじゃないか。私はこれもやはり従来とはいささか産業政策を変えていかなきゃならぬことだろうと思っております。
 あるいはまた、貿易の面においても、なかなかこのインバランスはなくならないといえばなくならないかもしれませんけれども、しかし今世界の国々からは、日本という国はどうも自分の国だけがよければいいのか、こういうような批判もいただきつつあるわけでございまして、やはり今後は本当に国際社会に貢献できる日本になっていかなきゃならない。そういう点では、例えばODAを初め海外に対するいろいろな協力というのは、思い切ってふやしていかなきゃならないのじゃないだろうか。しかもそれは実効のある、またそれぞれの国が本当に喜んでくれる、そういうものをこれからやっていかなきゃならないのじゃないか。
 いろいろ考えてまいりますと、たまたま今は日米構造障壁協議ということになっておりますけれども、全体的に一体これからの二十一世紀に向かって日本の経済をどういう方向に持っていったらいいのか、その中で少なくとも通商産業政策はどうあるべきなのかということは真剣に考えるべきでありまして、たまたま実は私ども産横審で、今そういう二十一世紀に向けてのこれからの通商産業政策のあり方というものを検討をしていただいております。大体ことしじゅうにはまとまるのじゃないかと思っておりますけれども、今御指摘のとおりだと、私自身も本当に一つの大きな転換期の中で新しい通商産業政策を打ち立てなきゃならない、こういうふうに考えております。
#191
○江田委員 構造協議というのをそういうふうにとらえれば、これは本当に多岐にわたる。アメリカに指摘をされて、まだ指摘をされていない問題もいろいろあるだろう、例えば労働時間の短縮問題などはそれほど強くは出ていないですね。しかし、恐らく今後の日本の経済社会の構造からいえば、大問題になってくると思います。あるいは市場の競争性の確保といったこれなども、日本の市場は別に競争がないわけじゃないので、非常に激しい競争もある。しかし、その競争は、限られた、選別されたものだけで競争をやっていて、ほかのものが参入しにくいというのは、外国にだけじゃなくて日本の中にだってある。そうしたことも改めていくとか、あるいは企業も個人も政府も、経済の主体としてのビヘービアを改めていかなければならぬといったこともありまして、多岐にわたる。しかし、このインバランスの改善につながるものであっても、インバランスの改善ということ自体には有利であっても、日本の経済や社会が持っているすばらしい特質までなくしてしまってはいけない。これは別にインペディメンツじゃないので、日本のストラクチュァルキャラクタリスティックスであっても、インペディメンツと考える必要はない。それは何であるかというのは人によっていろいろ、例えばそれが日本の経営の
人事管理のあり方とか労働組合のあり方とか、そういうことを挙げる人もいるでしょうし、それはいろいろあると思いますけれどもね。したがって、そうした日本自身が抱えている構造的課題を解決する、それはインバランス改善に役に立つかもしれないし、立たないかもしれない。しかし、やらなければならぬことだという意味で、この構造協議を誠実に実行していって、しかしインバランスは改善されなくても、それはそれで理解を得られるという言い方もあるでしょう。しかし、経緯からするとインバランスの問題から出てきているわけですから、インバランスに何か出てこなかったら、やはりこれは問題解決にならないということもあるでしょう。その辺で大臣も、先ほどから答弁をお聞きしておりますと、なかなか微妙な言い回しをされております。
 私は、いずれにしても、そういう微妙な問題ですので、日米間に認識のギャップがあってはいけないと思うのですね。これは交渉当事者の中にギャップがあってはいけないだけでなくて、アメリカの世論あるいは日本の世論、両方の世論の中にギャップが起こるようなことはしちゃいけないと思っておるのです。まして、両方のいろいろな交渉事を言葉の問題でうまく小手先でごまかすようなことがあっては、これはとんでもない話だと思います。どっちが翻訳だか知りませんが、インベディメンツというのを「問題」という日本語で使う、日本には「問題」ということで、日本国民全部これをとらえる。アメリカの方ではインペディメンツという言葉でとらえるというのは、何か認識のギャップにつながるような気がするのですが、先般のレポートを拝見しますと、もっといろいろ出てくるのです。
 例えば「(日本の中間報告に対する米国代表団のコメント)」というのがあるのですが、アメリカ側のもので言えば、その中に、これは通告してありますからすぐおわかりだと思いますが、最初のパラグラフです。「Many of the measures in the interim report should contribute to the goals of opening markets' reducing trade and current account imbalances' and prompting consumer interests'」「ゴールズ」という言葉が入っているのです。ところが、日本の「日米構造問題協議(日本の中間報告に対する米国代表団のコメント)」の中には、「市場開放、貿易及び経常収支不均衡の削減、及び消費者利益の増進に資すべきものである。」「ゴールズ」というのが抜けちゃうというのは、どうして「ゴールズ」を抜かしたのですか、「ゴールズ」というのはなくても日本語として通じるのですか、どうですか。
#192
○畠山(襄)政府委員 確かに御指摘のように、今のところは「市場開放のゴールに資する」と、リポートが「シュドゥコントリビュートトゥーザゴールズオブオープニングマーケッツ」、こう書いてございますのに、翻訳の方は「増進に資すべきものである。」こうなっているわけでございますが、これは必ずしも私ども通産省が責任を持って翻訳したものではないので恐縮でございますけれども、想像いたしますに、「コントリビュートトゥーザゴールズ」というのが非常に訳しにくかった、「目的に貢献する」というところがそのままだとちょっと訳しにくかったということで、それをいわば意訳したということであろうと思います。御指摘のように、「ゴールズ」というのに相当な思いを込めて向こう側は言っているわけでございましょうから、あるいはその「ゴールズ」というのをはっきり出した方がよかったかもしれないと思いますが、理由は恐らく、「目的に貢献する」というのが日本語として何となくこなれてないなというふうに考えてこうやったのだろうと思います。
#193
○江田委員 善解をするやり方もあるけれども、誤解を生む取り扱いでもあると思います。アメリカ側は、「市場開放、貿易及び経常収支不均衡の削減、及び消費者利益の増進」ということを「目的」だ、「ゴールズ」だと明確に策定をして、その達成に資するのだというように言っているのに、何かその辺を意訳して、こなれないからとかなんとかと言ったのじゃ、向こうは明確にゴールを持っている、日本の方はゴールを持ってないということになるのじゃありませんか。私は、その辺のギャップがあってはいけないということを言いたいのです。
 大臣にお聞きしてもお答えしにくいでしょうから結構ですけれども、今の場合はアメリカのコメントを日本が翻訳したということで、これは翻訳はだれですか。
#194
○藪中説明員 お答えいたします。
 外務省の方で関係省庁と御相談しながら翻訳したものでございます。
 ただいま委員御指摘の点につきましては、米側のコメントというものの翻訳でございますけれども、ただいまの答弁にもありましたように、できるだけこなれた表現にしようということでございます。同様のことは、日米で共同記者発表というのをそのときに出しておりますけれども、そのときの中にほぼ同様の趣旨が書かれてございますが、そこでは必ずしも「ゴールズ」という言葉が使われておりませんで、いずれにせよ、こういう開放された市場であるとか競争力の強化に貢献する、あるいは資するという表現が共同記者発表にも使われておりまして、全体で読めばそういう意味でよりこなれた表現ということで使わせていただいた次第でございます。
#195
○江田委員 もっと言いましょうか。日本側がこういうことをやりますというものを出したレポートがありますね。「排他的取引慣行」というところなんですが、これはどちらがもとでどちらが翻訳なのかよくわかりませんけれども、アメリカの方では、Iが「ベイシック・レコグニション」、IIが「メジャーズ・トゥー・ビー・テイクン」そのIIの1の(1)の後段のところには、「In addition' an Ombudsman system will be newly estableshed in the FTC to deal promptly with information and complaints from foreign businessmen and foreign firms concerning such cases as violation of the Antimonopoly Act.」FTCというのは公正取引委員会です。オンブズマン制度を新たに設立すると書いてあるのですが、日本でどうなっているかといいますと、「外国事業者からの独占禁止法の違反事案等に関する通報、苦情の申し出について、公正取引委員会に相談・苦情窓口を設置し、迅速な処理を行う。」これなどは意識した誤訳ではないかという感じさえいたしますが、いかがですか。
#196
○藪中説明員 ただいま御指摘の点は、まさに「公正取引委員会に相談・苦情窓口」というのが、日本語が正文でございます。それで、その正文を英訳いたします際に、できるだけ英語としてもこなれて外国から見てもわかりやすい表現にしたいということを心がけまして、関係省庁とも緊密に相談して作業した次第でございます。
 そこで、今の「オンブズマン・システム」という表現を用いましたのは、一つには、それが民間と行政の中立性を維持するという形で苦情処理を行うという、この目的に合致した英語ということで言えばわかりやすいという判断がございまして、ちなみに、経企庁に設置されておりますOTOのオフィスもオンブズマンシステムという、オンブズマンという表現を用いたこともございまして、比較的なじんでいるということで使わせていただいた次第でございます。
#197
○江田委員 向こうの人にわかりやすいといったって、誤解を持ってわかられても困るわけでしょう。そういうことが重なって変なミスマッチが起きているのじゃありませんか。私どもは日本にオンブズマン制度をつくれつくれと言って、日本では、政府の皆さんやなんかはつくらないつくらないと言っているのでしょう。それが、外国へ行って、オンブズマンが日本にあるなんというようなことをやったら、それは変なことになるのじゃないですか。
 もう時間がなくなっていますのでこれ以上申し上げることができないのですが、ほかにもいろいろありまして、例えば審議会などにメンバーを加えることは、英語では「ゾーズ フー キャン エフ
ェクティブリー リプレゼント コンシューマー インタレスツ」、つまり、消費者の利益を有効に代表し得る、そういう人をメンバーに加える。素直に読めば、これは消費者運動などの代表者を加えるという趣旨だと思いますが、これが日本語では「消費者利益を効果的に反映する者をメンバーとする」。「効果的に反映」なんというと、何か通産省のだれかでも入れておけばいいというようなことになってしまうような、そういうことをしてはいけないと思うのです。
 ですから私は、いろいろな話し合いの過程あるいは中身からもっと自由闊達にだれにでもわかるようにやらなければいかぬ、構造協議は日本の中でも痛みを伴う部分にまでメスを入れなければならぬところもあるわけですから、国民的な理解も得ながら進めていかなければならぬことですから、ぜひこのすべてのことを国民に透明に公開してやっていかなければならぬ、こういう課題だと思うのですが、最後に、大臣にその点だけを伺って終わります。
#198
○武藤国務大臣 御指摘のことはごもっともでございまして、私どもは、これからこの日米構造協議に関する問題については、国民各層の御理解をいただくためのPRと申しますか、努力をしていかなければならぬことは当然でございますので、その点についてはわかりやすく、同時に間違い、誤解を受けないように、英文については日本語ができるだけ忠実に訳されていくように、また日本語は英文に忠実に訳されていくように、外務省は外務省で努力したと思いますけれども、今後国民の皆さんにお話をするときには、その辺は誤解を招かないようにしていくことは当然だと思いますので、政府としてそのような努力をさせていただきます。
#199
○江田委員 終わります。
     ────◇─────
#200
○浦野委員長 次に、内閣提出、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。武藤通商産業大臣。
    ─────────────
 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#201
○武藤国務大臣 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年、先端技術分野を中心とする技術水準の大幅な向上等を背景に、工業所有権に関する出願件数の増大、出願の内容の高度化及び複雑化といった状況が生じております。このため、特許・実用新案の審査要処理期間が長期化し、この点について内外から厳しい批判がなされております。また、出願人側においても、技術開発に不可欠な工業所有権に関する情報の利用が次第に困難になるといった状況が生じてきております。
 本法律案は、以上の状況に対処し、工業所有権に関する手続の円滑な処理及び情報の利用の促進を図るものであります。具体的には、社会の急速な情報化の進展を踏まえ、書類に基づいて手続を行うことを規定している現行の工業所有権関係四法に関して、電子情報処理組織、いわゆるオンラインシステムを使用して手続を行う等の特例を規定するものであります。
 なお、昭和六十三年五月から工業所有権審議会において慎重な審議が重ねられた結果、本年二月に電子情報処理組織の使用等に伴う特許等制度のあり方に関する答申が提出されており、本法律案はこの答申を踏まえた内容となっております。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、電子情報処理組織による手続等の導入であります。手続をする者は、電子情報処理組織を使用し、または磁気ディスクを提出することによって、特許出願その他の手続を簡便かつ迅速に行うことができることといたします。また、書面の提出により行う手続については、一部の手続について電子計算機により処理を行うための補充的措置が必要となりますが、今後とも存続させることとします。さらに、特許庁が行う処分、通知等や一般の閲覧等についても電子情報処理組織を活用することといたします。
 第二は、磁気ディスクによる公報の発行であります。磁気ディスクをもって特許公報等を発行し、工業所有権に関する情報の迅速かつ的確な利用を促進することといたします。
 第三は、手数料等の予納制度の導入であります。特許出願人等が、納付すべき手数料等の見込み額をあらかじめ納め、手続の都度、その中から所要の金額を手数料等の納付に充てることを可能といたします。
 第四は、指定機関の活用であります。書面による手続に関し必要な情報処理業務等を指定機関に行わせることとし、所要の規定を置くことといたします。
 第五は、要約書の導入であります。特許出願人等は、発明の要約書を願書に添付して提出するものとし、要約書の記載内容を特許公報等に掲載することにより特許公報等の利便性の向上を図ることといたします。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#202
○浦野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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