くにさくロゴ
1990/04/24 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第4号
姉妹サイト
 
1990/04/24 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第4号

#1
第118回国会 社会労働委員会 第4号
平成二年四月二十四日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 畑 英次郎君
   理事 粟屋 敏信君 理事 伊吹 文明君
   理事 自見庄三郎君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 持永 和見君 理事 池端 清一君
   理事 永井 孝信君 理事 貝沼 次郎君
      今津  寛君    小沢 辰男君
      岡田 克也君    古賀 一成君
      古賀  誠君    坂井 隆憲君
      鈴木 俊一君    住  博司君
      平田辰一郎君    宮路 和明君
      山本 有二君    伊東 秀子君
      岩田 順介君    沖田 正人君
      川島  實君    川俣健二郎君
      五島 正規君    外口 玉子君
      渡部 行雄君    大野由利子君
      児玉 健次君    柳田  稔君
      菅  直人君    岡崎 宏美君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 塚原 俊平君
 出席政府委員
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        労働大臣官房審
        議官      石岡慎太郎君
        労働省労政局長 岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局長      野崎 和昭君
        労働省婦人局長 佐藤ギン子君
        労働省職業安定
        局長      清水 傳雄君
        労働省職業能力
        開発局長    甘粕 啓介君
 委員外の出席者
        法務省人権擁護
        局人権擁護管理
        官       門阪 宗遠君
        法務省入国管理
        局警備課長   町田 幸雄君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   長野 厖士君
        厚生省健康政策
        局医事課長   丸山 晴男君
        厚生省保険局保
        険課長     真野  章君
        厚生省保険局国
        民健康保険課長 大塚 義治君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        部監理課長   圓藤 壽穂君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        部保安課長   高重 尚文君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 草刈  隆君
        労働省労働基準
        局賃金時間部長 椎谷  正君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        一課長     佐藤  信君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        二課長     谷本 正憲君
        社会労働委員会
        調査室長    滝口  敦君
    ─────────────
四月二十日
 保健婦助産婦看護婦法の改正に関する請願(伊東秀子君紹介)(第二二一号)
 同(永井孝信君紹介)(第二四五号)
 同(岩田順介君紹介)(第二五五号)
 重度身体障害者無年金者の救済措置に関する請願(速見魁君紹介)(第二四〇号)
 同(渡瀬憲明君紹介)(第二五六号)
 同(愛知和男君紹介)(第三二八号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三二九号)
 同(遠藤登君紹介)(第三五五号)
 同(岩村卯一郎君紹介)(第三七七号)
 脊髄神経治療の研究開発促進に関する請願(速見魁君紹介)(第二四一号)
 同(渡瀬憲明君紹介)(第二五七号)
 同(愛知和男君紹介)(第三三〇号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三三一号)
 同(遠藤登君紹介)(第三五六号)
 同(岩村卯一郎君紹介)(第三七八号)
 労災重度被災者の終身保養所設置に関する請願(速見魁君紹介)(第二四二号)
 同(愛知和男君紹介)(第三三二号)
 同(遠藤登君紹介)(第三五七号)
 同(岩村卯一郎君紹介)(第三七九号)
 労働災害被災受給者の遺族補償制度に関する請願(速見魁君紹介)(第二四三号)
 同(渡瀬憲明君紹介)(第二五八号)
 同(愛知和男君紹介)(第三三三号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三三四号)
 同(達藤登君紹介)(第三五八号)
 同(岩村卯一郎君紹介)(第三八〇号)
 労働者災害補償保険法の改善に関する請願(速見魁君紹介)(第二四四号)
 同(渡瀬憲明君紹介)(第二五九号)
 同(愛知和男君紹介)(第三三五号)
 同(山下徳夫君紹介)(第三三六号)
 同(遠藤登君紹介)(第三五九号)
 同(岩村卯一郎君紹介)(第三八一号)
 生活保障等に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二九五号)
 同(金子満広君紹介)(第二九六号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二九七号)
 同(児玉健次君紹介)(第二九八号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第二九九号)
 同(菅野悦子君紹介)(第三〇〇号)
 同(辻第一君紹介)(第三〇一号)
 同(寺前巖君紹介)(第三〇二号)
 同(東中光雄君紹介)(第三〇三号)
 同(不破哲三君紹介)(第三〇四号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三〇五号)
 同(古堅実吉君紹介)(第三〇六号)
 同(正森成二君紹介)(第三〇七号)
 同(三浦久君紹介)(第三〇八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第三〇九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三一〇号)
 看護職員の大幅増員と労働・生活条件改善に関する請願(小沢和秋君紹介)(第三三九号)
 同(金子満広君紹介)(第三四〇号)
 同(木島日出夫君紹介)(第三四一号)
 同(児玉健次君紹介)(第三四二号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第三四三号)
 同(菅野悦子君紹介)(第三四四号)
 同(辻第一君紹介)(第三四五号)
 同(寺前巖君紹介)(第三四六号)
 同(東中光雄君紹介)(第三四七号)
 同(不破哲三君紹介)(第三四八号)
 同(藤田スミ君紹介)(第三四九号)
 同(古堅実吉君紹介)(第三五〇号)
 同(正森成二君紹介)(第三五一号)
 同(三浦久君紹介)(第三五二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第三五三号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三五四号)
 同(寺前巖君紹介)(第三六七号)
 同(寺前巖君紹介)(第三八二号)
 同(平田米男君紹介)(第三八三号)
 国民医療改善に関する請願外一件(串原義直君紹介)(第三六三号)
 同(左近正男君紹介)(第三六四号)
 同(鈴木久君紹介)(第三六五号)
 同(渡部行雄君紹介)(第三六六号)
 同外四件(大畠章宏君紹介)(第三七五号)
 同外三件(時崎雄司君紹介)(第三七六号)
 国民医療の改善に関する請願外二件(竹内勝彦君紹介)(第三七三号)
 同外一件(西中清君紹介)(第三七四号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 労働関係の基本施策に関する件
     ────◇─────
#2
○畑委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。
#3
○鈴木(俊)委員 私は、先般の総選挙で初めて当選したわけでありますが、与党の一年生議員の立場といたしまして労働行政につきまして若干御質問をさせていただきたいと思います。
 初めに大臣にお伺いしたいわけでありますが、大臣はさきの社労委員会における所信表明におきまして、我が国の勤労者がその経済的地位にふさわしい真の豊かさとゆとりを享受できるような社会を実現できるように積極的に労働行政を推進するというお言葉を述べられまして、大変心強く存じたところであります。
 私は、今日本の国を考えました場合に、何か一つ大きな変革期にあるという認識をいたしております。現在ございますいろいろな法制度や法規制の多くは戦後早々にその枠組みがつくられたわけでありますけれども、戦後四十五年経過をいたしまして、その後の社会経済のいろいろな変化によりまして税制や年金を初めといたします多くの制度が改革を迫られていると思います。また、近い将来を展望してみますと、我が国は他の先進国に例を見ない速さで高齢化が進んでおりますし、また国際化の波にもさらされているわけであります。
 このように今日日本が大きな変革期にあるという認識に立ちますと、労働行政も、今までの積み重ねも極めて大切ではありますけれども、事柄によりましては新しい視点からの見直しや発想の転換も必要であると思います。その意味で、塚原大臣は第二次海部内閣で最も若い大臣でありますし、また昭和二十二年生まれという戦後世代の政治家としてそういう新しい転換、新しい発想での政策展開に対します期待というのは大変大きなものがあると思いますが、転換期の労働行政を担当される大臣の御決意を伺いたいと思います。
#4
○塚原国務大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、今大変に大きな変化のうねりというものが日本全体の構造の中にあると思います。労働省ができました年代と私どもの年代が大体同じ世代でございまして、ちょうど戦後の混乱期から今日の安定から繁栄期にかけて非常に難しい時代を労働省の先輩あるいは労働組合の先輩また経営者側の先輩、大変な努力をして今日までいわゆる労使の信頼というものをつくり上げてまいりました。そういった面では、ある意味で一つの姿はもしかしたら完成をしたのかもしれない。というのは、信頼を得るという一つの姿は完成したのかもしれないと思います。ですから、そういう面ではまさに今こそ行政と労使が一緒になって、今先生の御指摘になりました一つ一つの新しい問題というものについて積極的に取り組んでいかなければいけない、まさにそういう時期だと思います。
 ですから、所信表明でも就任のときの記者会見でも高齢者の対策、労働時間の短縮、勤労者の福祉対策、働く女性のための対策、人材確保に向けた雇用・能力開発対策、障害者雇用対策、地域雇用対策等を積極的に進めていくという決意を述べさせていただきました。具体的に法案を提出してお願いするものもあれば、一つ一つお話し合いをしながら政策の展開をしていくものもございますし、また社会労働委員会の歴史を見ていただければわかるのですが、本当にこの委員会の中で各党各派の皆様方からの御指摘によって今日の一つの大きな信頼をかち取ったこの委員会の議論というものが一番大きな背景になっているわけでございまして、そういった点につきまして、これからまた鈴木委員を初めとして大勢の皆様方から御指摘、御指導をいただきながら積極的な行政を進めてまいりたいと思います。
 あと具体的な個々の問題につきましてはかなり細かい部分もございますので、もし御質問の過程で私がお答えできるものがあればお答えしますし、場合によっては政府委員の方に御答弁させていただきたいと思います。
#5
○鈴木(俊)委員 ただいま大臣から基本的な決意につきまして御答弁をいただいたわけでありますけれども、私は、新しい時代の変革の一つのキーワードは高齢化社会と国際化ということにあるのではないかと思っております。そこでまず、高齢化社会の問題に関連をいたしまして、高齢者の雇用対策についてお伺いしたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、我が国は世界の他に例を見ない猛烈な速さで人口の高齢化が進んでおりまして、来るべき二十一世紀の初頭には四人に一人が高齢者という高齢化社会になると言われております。そのため、働く意欲の高い高齢者の知識、能力を生かせるような社会の仕組みをつくっていくことが日本の国の社会の活力を継続、維持していくことになるわけでありまして、これは極めて重要な問題であると思います。そういう意味で高齢者の雇用の推進は今後の大きな国民的な課題になると思いますが、現在の高齢者の雇用がどのような状況になっているのか、お伺いしたいと思います。
#6
○清水(傳)政府委員 ただいま先生御指摘のように、我が国の労働力人口を見ますと、全体で六千二百七十万人でございます。その中で五十五歳以上の高年齢者につきましては千二百三十五万人、労働力人口の約五人に一人が高年齢者になっておるわけでございますが、今後二〇〇〇年にはこれが約二三%に達すると見込まれておるところでございます。
 労働市場の現状でございますけれども、現在の有効求人倍率は一・三倍を超える、こういう中にございまして五十五歳以上の有効求人倍率は〇・三三倍ということで、全体として非常な人手不足感の広がりが見られる中におきまして、高齢者につきましては依然として厳しい雇用情勢にあるということが言えると存じます。
#7
○鈴木(俊)委員 高齢者の雇用の問題は、本当に長期的な問題として取り組んでいかなくてはならないと思いますが、今現状につきまして、雇用の状況につきましてお伺いいたしますと、有効求人倍率が一・三倍のところ五十五歳の年齢の方につきましては〇・三三倍ということでありますから、本当に極めて厳しい状況にあると思います。当面の課題といたしまして高齢者の雇用失業情勢の改善を図るために何らかの積極的な雇用対策を講じていく必要があると思いますが、そのために現在労働省で講じております雇用対策と、それから今後どのような対策を推進していくのか、あわせてお伺いしたいと思います。
#8
○清水(傳)政府委員 労働省といたしまして、高齢者対策といたしましては、現在、特に六十歳代前半層の高齢者の雇用機会の確保に大きな重点を置きながら対策を推進をいたしておるわけでございます。
 具体的には、高年齢者雇用安定法という法律に基づきまして六十歳定年の定着を図るということを一つの大きな重点といたしまして、法律に基づきます各般の措置を講じてまいっておるわけでございます。さらに、それを基盤といたしまして、六十五歳までの継続雇用を促進をするためいろいろ助成制度を設けまして、また事業主団体としての性格も持っております高年齢者雇用安定協会を通じまして、事業主に対する相談、援助の実施、こうしたきめ細かな対策を行っておるわけでございます。これは継続雇用というふうな観点からの対策でございますし、現実に労働市場にあらわれているそうした高齢者の方々の再就職を促進するということも極めて重要でございます。できるだけ離職というふうな過程を経ないで高齢者の能力を活用していく、そういうことも重要であるわけでございまして、安定所の機能といたしまして高
年齢者キャリアセンターを拡充する、そういうことを含めまして安定所におきます体制の強化に努めているわけでございます。
 それから、さらに高齢者の場合、定年退職後におきます臨時的あるいは短期的な就業の場を確保していく、なだらかな引退過程におけるそうした対策ということも極めて重要でございます。そのため、シルバー人材センターの設置を図ってまいっておりますし、平成二年度予算案におきましても相当大幅なシルバー人材センターの拡充をお願いいたしておるわけでございます。
 さらに、本年度予算案におきましてはただいま申しました助成制度の拡充とか、あるいは高年齢者地域雇用開発事業の創設を盛り込む等を初めといたしまして、定年延長なり六十歳以上の継続雇用の促進を積極的に図ってまいりたいということといたしております。
 さらに、六十五歳までの雇用機会の確保を図るため、定年後の再雇用の努力義務などを内容といたします高年齢者雇用安定法の一部改正法案を今国会に提出させていただいておるところでございます。
#9
○鈴木(俊)委員 ただいまお答えをいただきまして、高齢者の雇用促進について労働省で各般の施策が展開されているというお話を伺いました。特に定年六十歳の定着の問題、さらには再就職の促進の問題、そういうこともあるわけでありますが、そういった政策の方向を確実なものにするためのいろいろな要素があると思いますが、その一つは、何といいましても高齢者の方々の能力開発ということではないかと思っております。今、日進月歩の時代、こう言われておりまずけれども、日々経済とか技術の変化があるわけでありますから、高齢者の方がそういう新しい変化に着実に対応していただかなければ雇用の促進も進まないわけでありまして、高齢者の能力開発、職業訓練というものが特に重要であると思います。この点につきまして、労働省といたしましては高齢者の能力開発にどのように取り組んでおられますのか、お伺いしたいと思います。
#10
○甘粕政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、これからの高齢化社会を迎えまして、高齢者の方々の能力開発というものが非常に重要な事項であると私ども認識しております。そういう意味で、能力開発行政の重点課題といたしまして、情報化、国際化と並びまして、私ども高齢化対策に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
 私ども、そういう高齢者の能力開発につきましては、大きく分けまして二つの方向で行っておりますが、一つは先生御指摘でございましたような日々技術革新が進む、求められる能力が変わっていくということに対応いたしまして、高齢期になってからの能力開発ではなくて、ふだんからの、若いときから必要な能力開発をしていただくという生涯能力開発ということを一つ行っております。これにつきましてはいろいろなやり方がございますが、公共職業訓練所で向上訓練という形でそういう方々に対しての訓練の機会を提供するというのが一つと、それから、やはり企業の中で日本の場合は多く訓練が行われます。技術革新への対応ですとか、今やっている仕事に必要な能力を向上させるというふうな訓練を企業内で行っておりますので、そういう訓練を一層助成をするという意味で、賃金助成なりあるいは訓練にかかった経費につきまして助成をするというふうな仕組みで企業内訓練を振興する。それからもう一点は、やはり働いている方一人一人が絶えず自己啓発をしていただく。そういう意味で有給訓練休暇制度につきましての賃金助成なり必要な経費の助成をするというふうなことで、自己啓発をしていただくという、観点を分けました生涯にわたる能力開発というのが第一点でございます。
 それからもう一つは、やはり高齢者の方々が定年等によりましてやむを得ず離転職をするというふうな機会もございますので、そういう場合に、高齢者向けの訓練科目を増設するとか、あるいは企業に訓練を委託するということで、効率的な訓線を行うということに努めておるところでございます。
 これからもこういう仕組みで高齢者の方々の能力開発につきまして一層推進してまいりたいというふうに思っておるところでございますが、特に二年度からにつきましては、高齢者の方々が今までの豊かな知識経験を生かすような仕組みの訓練をもう一つ導入したいということと、何といいましても需要が非常に多いのは情報化関連でございます。そういう情報化関連の分野に高齢者の方々がスムーズに転換できるような訓練用の器材を開発いたしましたので、これに基づきます適性判断なり訓練の進捗状況なり、そういうものを活用いたしまして新しい分野でも活躍できるような、そういうふうな訓練にも一層充実を図っていきたいというふうに思っているところでございます。
#11
○鈴木(俊)委員 高齢化社会のことにつきまして御質問しているわけでありますが、高齢化社会というものは着実に私たちの前に迫っているわけでありまして、この高齢化社会が到来した際に国民の老後の生活が本当に明るく豊かなものであるようにすることは、今後の政治に課せられた最重要課題の一つであると認識をしております。
 老後の安定した生活を保障する一つの柱は、言うまでもなく年金であるわけでありますけれども、高齢化社会における年齢構成ですとか年金の財政事情等を考慮いたしますと、年金制度を維持していく上からも年金の支給年齢の引き上げということもやむを得ないことなのかもしれません。その際に、年金の支給年齢と定年との問題が出てくるわけでありますが、勤労者が職業生活から年金生活へとスムーズに移行できる仕組みをつくることが大変重要なことであると思っております。また、この社会労働委員会の場におきましても、年金法の改正案が審議されました際になされました附帯決議の中でも、雇用と年金の連携が強く求められ、指摘されているわけでありますが、この点、極めて重要な点だと思いますので、どのようにお考えかお伺いをいたしたいと思います。
#12
○塚原国務大臣 非常に重要で大切な問題だと思いますし、特に私どもの世代からが一番影響を受けてくることでございまして、そういう面では特にいろいろな面で不安感を覚えている仲間も非常に多いわけでございます。
 労働省の方としてやらなければいけないことは、ともかく先生が、いや、先生と言ったらしかられるのか。委員が今お触れいただきましたように、高齢者の雇用の場をいかに確保していくのか、どれだけ六十五歳近くまでお働きをいただくのかという雇用の場をできるだけ確保していくというのが、年金の法案の行く末とは関係なしに労働省が早急に一つ一つ手を打っていかなければいけないことだと思います。ですから、そういうことでただいま一つ一つ委員から御指摘をいただきましたことは一々極めて重要な課題でございます。職安局長から答弁がございましたように、今国会で高年齢者の雇用安定法の改正案というものもお願いをいたしておるわけでございまして、ぜひともこの法案もお通しをいただきまして、その法案の審議の過程でまたさまざまな御指導をいただきながら、この極めて大切な問題にしっかりと取り組めるように頑張ってまいりたいと考えております。
#13
○鈴木(俊)委員 高齢者の問題につきましてはあと一点だけお尋ねしたいと思います。
 この問題に関連をいたしましてお尋ねいたしますが、私の地元岩手県を初めといたしまして、東北は季節出稼ぎ労働者の大変多い地域であります。出稼ぎの方々は大体農村出身の方であります。その農村が高齢化しているわけでありますから、当然この出稼ぎ者の方も近年高齢化が進行をしております。高齢化が進行した中で労働災害が増加しているというお話を聞いておるわけでありますが、労働省といたしましては、こうした出稼ぎ労働者の労働条件の改善、特に健康管理ですとか、それから労働災害の防止対策を推進すべきだと思いますが、どのような見解をお持ちでございましょうか。
#14
○野崎(和)政府委員 御指摘のとおり出稼ぎ労働者は年々減少しておりまして、さきの高度成長期のころに比べますと現在は二十万人台で半減している状況でございますが、その関係もございまして、御指摘のとおり平均年齢は年々上昇して、最近では五十五歳以上の方が占める割合は四分の一を超えるようになっております。こうした出稼ぎ労働者の多くは建設業に就労をしていただいておるわけでございますが、その建設業における五十歳以上の労働者の労働災害発生率というものは、二十歳代または三十歳代に比べますと約二倍ということでございまして、そういう意味で、今後出稼ぎ労働者の高齢化の進展に伴いまして労働災害の発生件数の増加が危惧されるところでございます。
 建設業につきましては、私ども最重点業種として労働災害の防止に努めているところでございますが、こういった高齢労働者の増加という事態も十分認識しまして監督指導の一層の強化に努めてまいりたいというふうに思っております。
 また、御指摘のとおり、出稼ぎ労働者の方は非常に厳しい生活環境の中で働いておられるわけでございまして、高齢化に伴いまして脳溢血等の成人病に罹患される方が増加するおそれもあるわけでございます。このために事前の健康診断の徹底、その結果に基づく適正配置等の指導に努めますとともに、特に建設業附属寄宿舎等に対する監督指導についても今後十分留意してまいりたいというふうに考えております。
#15
○鈴木(俊)委員 今まで高齢者の雇用の問題についてお伺いしてまいりましたけれども、今後の雇用の問題を考えますときに、高齢者の問題と並んで重要な問題は、女性の雇用の問題であると思っております。最近女性が進出する職種、職域の拡大が進んでおりますが、男女雇用機会均等法が施行されて四年余りが経過いたしまして女性の就業実態はどのように変わってきたのか、まず最初にお伺いいたしたいと思います。
#16
○佐藤(ギ)政府委員 女子就業者は量的にも最近はふえておりますと同時に、勤続年数が長期化いたしておりますし、また既婚者が非常に増加をいたしております。さらに、高学歴者がふえるなど、その質的な側面においても非常な変化が見られるところでございます。特に、今お話ございました男女雇用機会均等法の施行を契機にいたしまして、男女を問わない求人の増加、職域の拡大、男女を同一に取り扱う新入社員の研修の増加、男女別定年制の是正といったような雇用管理を法の要請に沿って改善いたしております企業が多数見受けられるところでございます。また、近年の好景気の継続によりまして労働力不足も強まっておりまして、そうした中で女性の能力を積極的に活用していこうという社会的な機運も一層高まっているところでございます。一方、大卒女子の就職率の上昇なども見られますように、女子労働者自身の職業意識も高まっているところでございます。
#17
○鈴木(俊)委員 今御答弁をいただきまして、男女雇用機会均等法の施行によりまして女性の社会進出が前進しているということは大変喜ばしいことでありますけれども、最近の人手不足感もありますし、また中長期的には労働力人口の減少が見込まれる中で、就業を希望する女性の意欲と能力が十分に生かされることは社会経済にとりまして極めて重要なことでありまして、この方向をさらに推進していただきたいと思っております。
 その点で考えまするに、女性が仕事を続けていく上での一つの障害となっておりますのは、出産と育児があると思います。それに対処するために、男女雇用機会均等法の中でも育児休業制度や女子再雇用制度の普及が図られているところであります。私は、この二つの制度は、単に男女雇用機会均等法の精神に基づく女性の雇用問題にとどまらず、もっと大きな問題を持っているような気がいたします。と申しますのは、高齢化社会を迎えても日本の活力をどのように維持していくのかということを考えますときに、将来の労働力人口の減少というのはまことに憂慮すべき問題であります。
 御承知のとおり現在出生率はどんどん低下をしておりまして、女性一人が生涯に産む子供の数は一・六九人というデータもございます。子供をだんだんつくらなくなった要因はいろいろあると思います。例えば教育費にお金がかかるとか住宅事情の問題とかいろいろあると思いますが、女性の雇用条件の面も出生率低下の大きな要因になっていると思いますので、このためにも、大きな意味からも、育児休業制度それから女子再雇用制度の普及促進を図ることが必要ではないかと思います。現在は男女雇用機会均等法の中におきましては事業主に対する努力要請にとどまっているわけでありますけれども、これを義務規定にさらに前進させる必要があるのではないかと思いますが、この点につきましてはいかがでございましょうか。
#18
○塚原国務大臣 ただいま御指摘ございましたように、女性がその能力と経験を生かして職業生活と家庭生活との調和を図ることができるように働きやすい環境づくりをするということは、重要な課題であるという認識をいたしております。
 労働省は、現在のところ、育児休業制度についてはその確立に向けてさらに一層の普及促進に努めるとともに、女子の再雇用制度についても普及促進を図ってまいりたいと考えております。また、高齢化の進展等に対応いたしまして、介護休業制度につきましても普及促進を積極的に図っていきたいというふうに考えております。
#19
○鈴木(俊)委員 現在、事業主に対する努力要請にとどまっているのを義務規定に一歩前進させる必要があるかどうかという点につきましては、いかがでございましょうか。
#20
○佐藤(ギ)政府委員 ただいま育児休業制度の普及率は二割を切っているところでございまして、中小企業等でもさまざまな問題もあるわけでございますが、私どもといたしましては、当面は育児休業奨励のための奨励金の措置もございます。それから各部道府県の婦人少年室には普及の促進のための指導員を置いておりますので、こうした制度を活用しながら、また社会的な機運の醸成ということも大事でございますので、シンポジウムあるいは普及促進のための月間などを設けてキャンペーンにも努めているところでございます。さらに一層普及促進に努めまして、今先生がおっしゃいました条件整備を十分に進めてまいりたいというふうに考えております。
#21
○鈴木(俊)委員 今、冒頭私は、時代認識の中で高齢化社会と国際化というお話をしたわけでありますが、次に国際化の問題につきまして若干質問をさせていただきたいと思います。
 外国人労働者の問題でございます。外国人労働者、特に単純労働者の受け入れ問題につきましては、各方面で議論が行われているわけでありまずけれども、いずれにいたしましても現実の問題といたしまして、外国人のいわゆる不法就労者が全国で既に十万人を超えているというお話も伺っております。こういう中で労働省はどのように実情を認識し、対応策を講じようとしているのか、この点につきましてお伺いしたいと思います。
#22
○清水(傳)政府委員 外国人労働者の就労の実態につきましては、いろいろな技術的な問題もございまして、調査というような方法で全体を把握することが非常に難しい面はございますが、不法就労事犯で摘発をされた件数で見てまいりますと、平成元年で約一万六千六百件、これは五年前の三倍以上、前年に比較いたしましても一六%増という状況でございまして、ふえ続けているというふうに見られるわけでございます。そして摘発をされた不法就労者の状況を見てまいりますと、男性の不法就労が急増をしておる。働いている内容につきましても、建設現場の土木作業員、町工場の工員、雑役でございますとか、そうしたいわゆる単純な作業を内容とするものが多くなっております。そしてまた、よく言われますように、この数字は氷山の一角にすぎないというふうに思われるわけでございまして、御指摘のとおり十万人を上回る不法就労者がいると言われているところでございます。
 このような状況が放置されるということは、いわゆる法治国家としても憂慮すべき事態でもございますし、労働面各方面への悪影響も懸念をされるところでございます。こうした不法就労を減少させるということにつきましては、やはり日ごろから事業主の方々のこの問題についての正しい理解をいただき協力を得ていく、そして不法就労を誘発するような需要をなくしていくということが大事であろう、重要であろうというように考えておりまして、そうした事業主あるいは事業主団体を通じましての指導を基本といたしまして不法就労の防止を図ってまいっておるわけでございます。また、現実に不法就労の疑いがある状況が見られました場合には、もちろんその関連で労働関係法規違反がある、こうした場合には厳正に対処をしていくことはもとよりでございますし、事業主に対しましても不法就労を是正する指導を行う、また必要な場合には関係行政機関とも協力をしつつ、そうした状態の解消を図ることといたしております。
 また、その反面、いかに不法就労といえども労働関係の保護という面もゆるがせにもできません。そういう面につきましても、全国的な業務展開の中で適正に対処をしていくというふうな体制で臨んでおるわけでございまして、御承知のように入管法の改正の施行を目前に控えておるわけでございます。今後とも具体的なそうした施行段階の面におきまして、法務省とも協議をしつつ、十分な連絡、協力をとりながらその適正化に労働省といたしましても努めてまいりたい、このように考えております。
#23
○鈴木(俊)委員 ただいまお答えをいただきまして感じるわけでありますけれども、外国人労働者、特に単純労働者の受け入れにつきましては、西ドイツのようなこの問題が大変深刻化しています国の事例を見てみましても、労働市場や経済社会全般に及ぼす影響、いわゆる社会的摩擦が将来的に大きく懸念されるわけでありまして、単純労働者の受け入れにつきましては慎重にならざるを得ないということは十分に理解できるわけでありますけれども、しかし一方におきまして、現実の問題としてもう既に不法就労者という形で急増していることをこのまま放置しておきますと、将来的に大きな問題になるのではないか。
 今これに対する御答弁をいただきまして、各省庁とも連携をとりながら対策を講じるということでありますけれども、私はこの問題で心配いたしますのは、法的には外国人の単純労働者は入れないということになっておりますから、これがどうしてもアンダーグラウンドに潜るような形になる。そういたしますと、劣悪な条件の中で働かされるということも十分予想されるわけであります。そういうときに、日本に参りまして何かとても日本で悪い印象を持って国に帰る、そしてそれをまたいろいろ話すということになりますと、一方におきまして、今国際社会の中で日本の評価を高めようという努力を盛んにしておるわけでありますけれども、それと相反することになると思います。また、アンダーグラウンドに潜っているわけでありますから、労働災害の問題等、人道的な側面からもこれは問題ではないかと思っております。
 そこで、例えば厳格な一定の条件、例えば一年間ないし二年間だけ働いてもらって後は確実に国に帰ってもらうとか、外国あるいは我が国のそれぞれの公的な機関が労働者の送り出し、受け入れをきちっとするとか、そういうような厳格な一定の条件の中で受け入れに向けての体制の整備を関係省庁と連携して検討すべきことは、今後将来を考えますと避けられないことではないかと思うわけでありますが、この点につきましてもう一度お尋ねをいたしたいと思います。
#24
○清水(傳)政府委員 不法就労者が急増をいたしております現状は全く御指摘のとおり憂慮すべき状態であろうと思うわけでございます。いわゆる外国人労働者の受け入れという問題につきましては、政府の方針といたしまして、専門技術的な能力あるいは外国人ならではの能力を生かせる、そういう分野につきましては可能な限り受け入れる方向で対処をするということといたしておりまして、いわゆる入管法の改正の施行段階におきましても、そうしたことを念頭に置いた受け入れ体制の整備という面での準備を進めているところでございます。
 しかし、いわゆる単純労働者の受け入れの問題につきましては、御指摘にもありましたように、雇用、労働市場の分野のみならず、経済社会全般にわたりまして非常に多様な影響をもたらす問題でございますし、そうした面のデメリットも各国の経験に照らしまして非常に大きく懸念がされるところでございます。
 ただいま御指摘のような年限を限ってはどうか、そうした御議論、お聞きをし、承知もいたしておるわけでございます。ただ、諸外国、例えば西ドイツなんかの場合におきましても、これは一時的な労働者として入れた、その結果やはりどうしても大量の定着化が結果として招来するというふうな形になっておるわけでございます。世界各国の経験に照らしてみましても、比較的うまくいっている例としてよくスイスの例が挙げられるわけでございますが、これなんかにつきましても、最近のOECDの報告書なんかを見てみますと、やはり問題が起こっているというふうに聞いておるわけでございますし、またアジアの例としてはシンガポールの例があるわけでございますが、これまた期間を限ってやっておりましても大量に不法な形で滞留をする、そういったことから大変に苦慮をしているというふうな状況になっておるわけでございまして、この問題につきましてはとりあえずやってみようかというようなわけにはなかなかまいらず、実験的なものがきかない、後に残った後遺症というふうなことを考えますと、やはり非常に大きな問題であろうかと思います。
 中期的には労働力の供給事情の問題、いろいろな問題がございますが、さまざまな議論がなされておることも承知をいたしておるわけでございますが、なお多様な角度から慎重に検討、対応すべきものいうふうに考えておるところでございます。
#25
○鈴木(俊)委員 質疑の持ち時間が終了いたしましたので、これで質問を終えますけれども、大臣はさきの所信表明の中で最後に、御自分が先頭に立ち、綱紀粛正の一層の徹底を図る、そして国民の期待にこたえる、こういう御発言があったわけであります。昨年、大変大きな事件があったわけでありますけれども、しかし、労働行政というのは私たち国民にとりまして極めて重要な問題でございますので、ひとつそういうことに萎縮されることなしに、自信を持って労働行政を進められますことを御期待いたしまして、私の質問を終了させていただきます。
#26
○畑委員長 伊東秀子君。
#27
○伊東(秀)委員 社会党・護憲共同の伊東秀子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、引き続いて外国人労働者の問題について、労働大臣の御答弁を伺いたいと思うのですが、先ほど労働省の方のお答えでは、長期商用者とか代替不可能な技能、技術を持つ外国人あるいは熟練労働者については拡大して受け入れる方針をとっておられるということだったのですが、この熟練労働者という形で日本に入ってきた外国人あるいは研修とか留学の目的で入ってきた外国人の労働条件が非常に違うとか、さまざまな問題が発生していることを私は聞いております。その辺の、外国人労働者の就労状況のフォローアップについて、具体的にどのような施策をとっておられるのか。具体的にお答えいただきたいのです。
#28
○清水(傳)政府委員 外国人労働者の就労実態につきましては、先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、技術的な面におきましてその把握の困難性が非常に強ぅございます。これは雇用をしておる事業主サイドからも、それからまた就労をしている人たちからも、やはり本当の実態というふうなものを聞き出すということが非常に難しい、いわゆるアンダーグラウンドの問題ということでございますし、また人権的な問題等々もございます。そういったことで、調査というような方
法で全体を把握するには非常に難しい状況でございます。
 ただ、そうは申しましても、できる限りの実態の把握ということはやっていかなきゃならない、非常な難しさの中でもそういう面の努力はしていかなきゃならないわけでございまして、そういった意味で、全国的に展開をいたしております安定所の窓口あるいは労働基準監督署によります調査的な監督、そういう手法によりまして、サンプル的な状況ではありますけれども、状況把握という面には努めておるわけでございます。全容をそれで申し上げるというふうなわけにはなかなかまいりませんけれども、事例的な形ではそういうふうな形といたしまして把握に努めているという状況でございます。
#29
○伊東(秀)委員 私、なるべく具体的にお答えいただきたいと思っております。
 まず、外国人労働者の場合には、言葉の限界とかさまざまなハンディを背負っているわけで、今のように、事業主からも労働者からも実態が把握しにくいとおっしゃるのであれば、労働基準監督署に外国人の労働者の対策を強化するような部を設けるとか、そういった窓口を広げていくようなそういう努力を現になさっているのかどうか、今後なさる御予定があるかどうかについて伺います。
#30
○野崎(和)政府委員 外国人労働者の実態はなかなか把握しにくいわけでございますけれども、そういった方々が、労働基準局、労働基準監督署に相談にお見えになる場合の便宜を考えまして、全国の主要都道府県の労働基準局に相談コーナーを設けまして、外国人の方が相談に来やすいように語学等のできる者を配置しているところでございます。設置以来半年ほどになりますけれども、約百件ほどの相談が寄せられていると承知しております。
#31
○伊東(秀)委員 外国人労働者は、労働政策上の視点からとか、人権の視点あるいは社会、文化、教育の視点、三つの視点から考えなければいけないと思うのですが、まず、労働政策の視点で、技術協力とか政府開発資金援助、そういったものを活用して、さらに受け入れを拡大するようなことを政府として考えていないのかどうか、その辺についてはどうなんでしょうか。それから、二国間協定についてのこともあわせて御答弁願います。
#32
○清水(傳)政府委員 いわゆる外国人労働問題、議論される視点がいろいろあるわけでございまして、その中の一つとして、発展途上国に対します我が国としての一定の役割を果たしていくという中でこの問題が議論されている場合がございます。そのための非常に大きな、我が国として果たすべき役割として、人づくりの面で協力をしていくということが極めて重要であるわけでございまして、そうした面につきましては、発展途上国に対しまして能力開発の施設の設置、運営協力に努めるとか、これは従来から行ってまいったわけでございますが、いわゆる我が国の国内で研修生として受け入れて、そして、そういう形でもって人づくりの協力をするということも一つの手法として重要である、こういう考え方でございまして、そういう面につきまして、労働省といたしましても一定人数を受け入れて研修を進めていく、そうしたことをこの平成元年あるいは平成二年にかけて具体的な施策として打ち出してまいってきているところでございます。
#33
○伊東(秀)委員 二国間協定のことはどうなんですか。全然締結していないのか、する意思がないのかどうか。
#34
○清水(傳)政府委員 具体的に研修生の受け入れに当たりましては、送り出し国との間で協議をいたしまして、向こうの方できっちりした態勢をつくってもらいながらそれを進めていく、こういうことをきちっとした形で行えるような態勢で進めております。
 今御質問の二国間協定云々というのは、そういうふうな形だけじゃなしに、外国人労働者一般を受け入れるに当たっての二国間協定、こういう御質問の趣旨だと思いますが、これは先ほど来申し上げております外国人労働者の受け入れ問題についての基本姿勢について、いわゆる単純労働者については慎重な対応で臨んでいく、こういう姿勢で、現在の入管法も含めまして政府の考え方になっておりまして、そういう受け入れということを前提とした二国間協定というのは現在どこの国とも結んでおりません。
#35
○伊東(秀)委員 次に、不法就労者の実態について伺います。
 不法就労ということを盾にとられてというのでしょうか、日本人が働きたがらない職場で大変劣悪な労働条件のもとで外国人が働いている。しかも、賃金不払い、あるいは労働災害が多発している、そういった状況がかなり社会問題化していると言われているわけですけれども、こういった問題に対する政府として何らかの対処を考えているのかどうか。その辺は法務省に後で伺いますけれども、労働省の方へまずお伺いいたします。
#36
○石岡政府委員 外国人労働者につきましては、日本国内の事業に使用される者であれば、合法就労、不法就労を問わず労働基準関係法令の適用がございます。したがいまして、不法就労を容認するものではございませんが、労働基準監督機関といたしましては、事業主に対してその旨の周知に努めるなどによりまして法令の遵守の徹底を図っているところでございます。
 それから、先生御指摘のように、確かに不法就労者から賃金不払い、あるいは労働災害の被災等につきまして申告、相談がある場合がございます。これらにつきましても、労働基準監督機関といたしましては、その内容を十分に聴取いたしまして、法違反の是正を通じて本人の権利の救済を図ること等適切に対処しているつもりでございます。なお、この場合、いろいろ問題はございますけれども、原則として申告等がございました場合には、出入国管理当局にも通報を行わないといった配慮も行いながら人権擁護等に努めているところでございます。
#37
○伊東(秀)委員 昨日の朝日新聞にも載っておりましたけれども、不法就労者が労働災害等に遭った場合に、それがきっかけで強制送還される。しかも、賃金の不払いや労働契約違反等がいっぱいあるが、それを申告すると入管法に基づく措置が直ちに発動されるということで、大変仲間からまでも恨まれる、そういう人権の侵害実態があると言われているわけですけれども、まず基本的人権を守るという立場に立てば、例えば賃金不払いの実態が摘発されたなら、その調査の期間は入管法上の措置をとらない、強制送還はしないとか、あるいはリハビリ等がうまく終了するまでは労災の被災者である外国人を強制送還しないとかいうような措置をとる気がないのかどうか。当然とるべきであると私は考えるわけですが、その点はどうでしょうか。
#38
○町田説明員 ただいま委員の御指摘のありましたような、例えば未払い賃金がまだあるというようなときには、私どもはそれがわかった範囲では、直接雇い主等に連絡して支払うように促すというようなことは実際に実務としてやってございます。昨年、正確な統計をとっておりませんが、入管法違反で摘発したのは大体二万二千人ぐらいおりまして、その中で恐らく四千人ぐらいはそういう未払い賃金の、表現は悪いが、取り立てといいましょうか、そういうようなことを実際に声をかけていると思います。
 それから、我々の方で違反調査の過程あるいは審判の過程で、例えば指がなくなっている人がいるというようなことが、ごくまれにですがあるわけでございます。そういった際に、我々の方で雇用主を捜して、そして労災手続をとっているというような例もございます。そのように、特に法的な義務として我々がやっているわけではございませんが、私ども入国管理局としてもそのような配慮はして実際の仕事に当たっているということでございます。
#39
○伊東(秀)委員 実際に配慮して当たっているという大変心強い御回答だったのですが、その間の身柄はどのようにして扱っているのか。例えば労災の手続でしたら最低一カ月ぐらいはいろいろか
かると思うのですけれども、その間、当外国人の身柄はどういうふうにしておられるのか、お答え願います。
#40
○町田説明員 それは症状にもよると思うのですが、例えば非常に重症であるというようなものであれば、一時的に病院へ入ってもらったものもあります。しかし、そうでもないというものであれば、それは収容した状態で時々通院させるというような形で処理したものもございます。
#41
○伊東(秀)委員 私が伺っているのは、災害に遭った人の治療の問題ではなくて、申請期間というのが必要ですし、賃金未払いであれば、その未払いについて本人が雇用者に対して交渉する期間が必要なわけです。各弁護士会などでそういう相談窓口を設けておりますけれども、一番困ることは、当人が本国へ帰されてしまったというような場合が多いから、その間、何らかの措置でもってなるべく当人を日本国にとどめておいて、本人の弁明を聞く機会を与えるべきではないか、そういう趣旨の質問なんですが、その点の扱いほどうなっているのでしょうか。
#42
○町田説明員 質問の御趣旨がよくわからない面がありますが、私どもとしては、実際に収容して、それで退去強制手続をとる、その過程でそういったことがわかりますと、それは取り立てたり、あるいは先ほど申しましたような措置をとった上で帰している、そういう認識でおるわけでございます。
 ただ、こういうことがあると思うのです。例えば我々がそういうことを認識ない状態で出頭してきて、そして、その手続が終わって帰ってしまったというようなことがあるかもしれません。何というのでしょうか、恐らく収容期間の問題についていいますといろいろな要素がございます。例えば私どもたくさんの人を扱わなければいけない、また、収容施設が非常に小さい、収容能力が極めて小さい、それから私どもの人員も非常に少ない、こういうような面もございます。また、本人が早く帰りたいと申し立てる場合もございます。そういういろいろな要素を勘案して、それなりに私どもとしては努力している、そういうぐあいに考えております。
#43
○伊東(秀)委員 今問題になっている実態は、強制送還を恐れて、そういった不払いとか労働条件違反とかがなかなか表に出づらくて、民間の相談機関や弁護士会に駆け込みつつ、どうしようかと思いあぐねている外国人労働者、不法就労者が多いということなんです。先ほどおっしゃったような法務省の人道的な、法にはないけれどもいろいろな手だてを講じてあげているというのであれば、もう少しその辺をきちんとした形で各部道府県の入管局なりに指導監督する、あるいは外国人労働者にみずからの人権擁護の手だてをPRする、そういった手だてを今後は考えてほしいと思います。
 それから、外国人労働者問題の最後になりますが、大変悪質なブローカーとか悪質な雇用主が後を絶たない状況で、今回入管法の改正はなされましたけれども、この入管法をより補完する形で雇用許可制度等を導入する気はないのか。例えばちゃんとした雇用管理能力のある事業主にのみ雇用許可を与えるとか、あるいは労働者に対して雇用許可証を与えるとか、諸外国でとられているようなそういう制度を日本においても導入する気はないのかどうか、その点について伺います。
#44
○清水(傳)政府委員 諸外国の例といたしまして、外国人労働者向けにほとんど例外なく労働許可制度をもって対応している、そういうように私ども承知をしておるわけでございます。これはそれぞれの国の歴史的な背景と申しますか、移民国であるというふうな状況、あるいは一時的な労働力の導入を図るとか、そういうふうな中でそうした許可制が設けられているように承知をいたしております。
 我が国の場合につきまして、こうした不法就労の急増等の事態の中で御指摘のような雇用許可制という構想というものは、労働省が研究会で一つの提言として受けて検討もいたしてまいったわけでございますが、御承知のように現在の政府の基本的な方針といたしまして、いわゆる単純労働者については受け入れを行っていない、そういう状況の中でやはりある種の屋上屋の感を免れない面もございますし、現在も入管法の改正という措置によりまして対応していくことといたしておりますが、いずれにいたしましても、外国人労働者問題というのはさらに持続的なさまざまな角度からの慎重な検討が必要な問題であるわけでございまして、そうした中で雇用許可制度につきましてもさらに検討を深めてまいる必要があるだろう、このようには考えております。
#45
○伊東(秀)委員 最後に、労働大臣に責任ある立場でお答えいただきたいのですが、今のように単純労働者を受け入れない方向で慎重に検討していくと何度もおっしゃりながら、どんどん不法就労者がふえていく実態に対して、今当面大臣としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、伺いたいと思います。
#46
○塚原国務大臣 単純労働者の問題は、労働省がもう一番慎重に対応していかなければいけない問題だと思います。現実に、現在雇用自体にいたしましても非常に人手不足だというお話がある一方で、地域間では大変大きな格差があるとか、あるいは高齢者の雇用をこれから確保しなければいけないとか、婦人がさらに職場に進出をしなければいけないとか、新しく雇用を創出しなければいけないという極めて大きな課題が国内にもございます。また、加えまして、やはり昭和四十年代高度経済期の最終段階でも外国人労働者、これは単純労働者についてですけれども、非常に受け入れるべしと強い御意見等があったことがございましたが、現実の問題として昭和五十年代前半にはレイオフまでしなければいけない状況が出た、これからの経済見通しもよっぽどしっかり出さなければいけません。
 そういった意味で、御党の武藤委員からも、単純労働者は一体何人くらいまでなら日本の国のいろいろな経済や何かに影響しない、そういう数字は出せないのかという御質問もございましたけれども、そのときも禅としても一生懸命検討して数字を出そうとしたのですけれどもなかなか出せないという状況がございまして、単純労働者の受け入れについては、労働省としては非常に慎重に対応せざるを得ないというのが現在の状況でございます。
 そういう中で不法就労者がどんどんふえているじゃないか、それに対しては一体どう思うんだ、現実の問題として人が足りないからどんどんみんな入れているのではないかという御意見が今ございました。私自身も日立市という中小企業中心の町でございまして、今度の選挙前は大変強い陳情を中小企業の経営者から受けました、外国人労働者をぜひとも雇わしてもらいたい。ただ、私どもそのときに、間違っても、言葉は悪いかもしれないけれども、戦時中の徴用みたいな形になったらえらいことになるというお話をいたしましたら、いや、それは俊平さん、我々のことをばかにしているのか、そんなことはしない、しっかり給料だって払うし労災だってきっちりあれして安全を守ると言うのですね。ただ最後に必ず出てくる言葉は、でも給料は少し安くても構わないのだろうということでございまして、どうしてもその辺をしっかりと皆さんに御認識をいただくというのも大変難しいお話もございます。
 加えて、日本商工会議所等で外国人労働者をどのように受け入れるかというような一つのケーススタディーがございまして、私どもも拝見させていただきましたが、それこそ今先生のおっしゃっていた二国間でしっかりと協定を結んで、出すときには向こうの国でしっかり教育をしてから出す、こっちもしっかりした雇用条件で雇うというような一つの仮定ではどうだと言ったら、やはりそれを見たら経営者の方々は、いや、ここまでやられたらちょっとという感じでございました。
 そういった面で、先生の御指摘、一つ一つごもっともな点多々あるわけでございますが、現実問題としましては労働省としては極めて慎重に考え
ざるを得ないという状況でございます。
#47
○伊東(秀)委員 外国人労働者問題はこれくらいにいたしまして、次に、JR北海道の踏切事故の多発問題が昨年の十二月からことしの二月にかけて北海道では大変社会問題になったわけでございますが、その点についてお伺いいたします。
 まず、昨年の十二月五日からことしの二月十九にかけて、わずか七十六日間でございますけれども、二十三件の踏切事故がございました。その間に死者が十一名、負傷者が三十三名、例年のこの時期の三倍強という数字でございます。JRが発足して三冬目だったわけですが、一年目、二年目は比較的雪が少なかった、ことしは平年より雪が多かったという状況の中でこういう事故が発生し、北海道民に大変不安な状況を与えているわけでございます。
 その原因についてはJR側は、ドライバーの不注意であるとかマナーの悪さであるとかいうふうに一〇〇%ドライバーの責任かのように新聞等では発表しております。しかし、JRに移行してからの保線区要員が激減している、そのために一人当たりの保線担当キロ数が増大している、保線区職場が非常に少なくなっている、こういった保線の問題がかなり根深いのではないかというふうに考えております。
 具体的な数字を挙げますと、JRに移行する二年前の一九八五年に保線区要員は二千三百六十九名おりました。昨年の十月には一千五百二十名となっておりまして、この間約六〇・九%激減しております。民営化移行の一九八七年までの二年間においても四百五十九名保線区要員が減少している。そのために一人当たりの保線担当キロ数が約二倍、二〇八%になった。保線区職場でいえば、保線区が二十八あったものが十八に減り、保線支区七十六がゼロになった。管理室は三百六十三あったものが七十四カ所に減っている。このような状況で、一管理室当たりの負担増がこの四年間に約四倍になっております。さらに、線路の巡回回数も合理化により通達を出して減らしているというような状況の中で、管理室では除雪に追われて保線の巡回その他の検査が非常に手薄になっている、線路の安全が極めて深刻な状態だという声が道民の間では上がっているわけです。こういった実態について、指導責任を負う運輸省としてはどのように考えておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
#48
○高重説明員 近年、踏切事故というのが鉄道事故の中で非常に高いウエートを占めておりまして、JR北海道におきましても、元年度で七五%が踏切事故ということでございます。先ほど先生御指摘のように、元年度、JR北海道では三十四件の踏切事故があったわけですが、十二月から二月にかけて、冬季の間に二十二件という非常に多数の踏切事故が発生しております。その原因は、先ほども御指摘あったのですけれども、ドライバーの運転ミスというものが推定されるわけですが、これにつきましては、ドライバーに対する安全な踏切通行の広報啓発運動等を推進しておるわけでございますが、またJR北海道におきましても、冬季の踏切事故を防止するために、踏切道におけるロードヒーティングだとか、あるいは踏切道のスリップ防止のための硬質ゴム化等の対策を講じるとか、あるいは積雪寒冷地に適した踏切障害物検知装置の開発、そういうものを行っているところでございます。
 また、保線区要員の問題でございますけれども、鉄道事業者が他の交通機関との競争に打ちかって生き残っていくためには事業の合理化とか効率化ということが必要であるということは我々も認識するわけですが、しかし、そういう業務の合理化、効率化というのは、あくまで鉄道は安全が基本ですから、この安全を確保した上で、安全を損なわない範囲で業務量等を見ながら会社の責任のもとで決めていくというふうに我々認識しております。保線区員が年々減っているという御指摘があったわけですけれども、これはこのJR北海道のみならず他のJR各社におきましても、あるいは他の民鉄においてもそうなんですけれども、保線区要員というのは機械化とかあるいはメンテナンスフリー化等によりまして年々減少する傾向にございますけれども、それはやはり先ほどから申し上げておりますように、安全の確保というのが最優先でございますから、安全を確保するという前提のもとでそういう合理化あるいは業務の効率化というのが行われているというふうに我々認識しているところでございます。今後とも、安全こそ最大のサービスであるという認識のもとに、JR北海道あるいは鉄道事業者を指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#49
○伊東(秀)委員 運輸省としても、保線について、人員については安全確保の視点から今後とも検討を要するという御回答だと思うのですが、現にこのように、例年より多い雪を三年目にして迎えたら例年の三倍強の事故が客観的に生じた。しかも、本州に比べて北海道は大変積雪が多くて厳しい寒土である。当然、線路破壊も通常の場合よりも激しいという実態があるわけですが、運輸省としては、この保線区要員をこのように減らしたことについては問題であるという御意見をお持ちだというふうに伺ってよろしいのでしょうか。
#50
○高重説明員 JR北海道の踏切事故の内容を分析してみますと、直前横断とか踏切内でのエンストとかあるいは鉄道の側面に衝撃したとかという分析になるわけですが、これらの比率というのは、他のJRと比べましても大体同様な傾向にございますし、また、JR北海道の踏切事故が、踏切道の数だとかあるいは列車走行キロ当たりとか見ましても、他のJRと比較して踏切事故件数が高いということではございませんけれども、先ほども申しましたように、冬季に集中しておりますし、それを改善すればなお一層事故防止が図られるわけですから、JR北海道におきましても、先ほどのような対策を講じているということでございます。
 要員につきましては、何といいましても安全というのが輸送業務の最大の使命でございますから、我々、JR各社に対しても安全対策に重点を置いて取り組むように指導しているところでございまして、JR北海道の要員につきましても、会社の責任のもとに必要な業務量を勘案して、それに見合った要員が配置されているというふうに認識しているところでございます。
#51
○伊東(秀)委員 そうしますと、運輸省とすれば今の要員で十分であるというお考えというふうに伺ってよろしいのでしょうか。
#52
○高重説明員 繰り返してお答えするわけですけれども、その要員の配置等につきましては、JR各社が、JR北海道もそうですけれども、それぞれ安全を確保するという認識のもとに、それぞれ業務を勘案しながら配置しているというふうに聞いておりまし、我々もそのように認識しております。
#53
○伊東(秀)委員 今の回答の趣旨がちょっと不明なんですけれども、要するに冬期間、わずか七十六日間に二十三件の事故が生じている。しかも保線区要員が極めて少なく、どんどん減らされてきている実態がある。機械化すればすべて事故がなくなるわけでもないし、ドライバーの責任にしたところでドライバーが急にマナーがよくなるわけでもない。やはりJRという一つの鉄道を経営する会社の改善策というのは、安全に対してどれくらい人員をさらに配置するかという具体的な施策を持たなければいけないし、そのような指導を行わなければいけないと考えるわけですが、その保線区要員の問題も含めて、今後このような積雪時期の踏切事故をなくすために運輸省としてはどのように考えているのか。先ほど施設の点だけはおっしゃいましたが、そのほかの点についてもう一度おっしゃってください。
#54
○高重説明員 踏切事故の防止につきましては、運輸省としましても、踏切道改良促進法等に基づきまして施設の整備等を図ってきておるところでございます。
 また、要員につきましても、当然先ほどから申し上げておりますように、鉄道の基本は安全でございますから、安全を確保するという前提のもと
でJR各社に対してもそういう要員の配置が行われているというふうに我々感じておるところでございます。
 要員の合理化につきましては、先ほどから申し上げておりますように、これは鉄道事業者共通でございますけれども、機械化とかメンテナンスフリー化等によりまして減ってきておることは事実でございますが、それはあくまで安全を確保するという前提のもとに、JR各社の責任のもとでそういう要員の配置が行われているというふうに認識しているところでございます。
#55
○伊東(秀)委員 要員についての運輸省のもっと積極的な見解を伺いたかったのですが、次に、清算事業団の問題に移りますけれども、北海道で五百二十一名の清算事業団の職員が、今回解雇されたわけです。現実に、先ほど申し上げましたようにJR北海道では大変踏切事故が多発して道民の不安が増大している。JRへの不信が募っている。しかも室蘭本線、函館本線、千歳線といった幹線地区に事故が多発しているということもございまして、道民の中では大変問題になっているわけでございますけれども、こういった事業団の人間から優先してJR北海道へ採用する、そういった指導を運輸省としてもやってもらいたいと考えるわけですが、この問題についていかがでしょうか。
#56
○圓藤説明員 JR北海道におきましては、雇用対策に協力するというような観点から、JR北海道が発足いたしました当時に、鉄道業務に必要な適正要員の数以上の余剰人員、二割増しの余剰人員を既に抱えておるわけでございます。それから二番目には、経営安定基金等の運用によって辛うじて利益を計上できる。本来の営業損益で申しますと五百三十三億も赤字でございます。これを経営安定基金でありますとかいろいろな補助金でやっと利益を計上しておる、非常に経営が苦しい状況であるということでございます。さらには、JR北海道の置かれておる状況を考えますと、今後は高速道路等との非常に厳しい競争下に置かれるということが予想されるわけでございまして、会社の健全経営を確保するためにはこれ以上の職員を抱えるということは好ましくないというふうに考えておるわけでございます。
 また、従来から、これ以上の地元JRでの雇用はないということを前提に多数の職員の方が雇用対策に協力をいたしまして広域追加採用に応じて北海道から本州地域に移動していることでもございます。全部で今までで三千六百二十三名の北海道の職員の方が本州地区に移動しておるということでございまして、現在、地元JRの採用を主張している方を優先的にJR北海道に採用するということは、既に移動された方との公平の観点からも問題である、かように存じておる次第でございます。
#57
○伊東(秀)委員 JR北海道は過剰人員を抱えていると言いながら、保線区要員は先ほど数字を申し上げましたような実態である、しかも事故が多発したという現実を考えて、今の採算上の点からのみ定員を割り出したことが問題ではなかろうかと考えるものでございます。
 次に、労働大臣に伺いますけれども、十七地労委において十九件、対象者二千八百十六名について救済命令が出ている現時点において、実際には解雇された。これは、労働委員会規則の四十五条で定めている、認容の命令が交付されたときには、使用者は、遅滞なく命令を履行しなければならないという規定があるわけでございますが、これに反している、こういうふうに私は考えるのですが、いかがでしょうか。時間がございませんので大臣にお伺いします。
#58
○塚原国務大臣 地労委で決定が出たわけですが、一応現在中労委の方にお話が行っているということでございまして、現在係争中の案件でございますので、ここでコメントということは差し控えさせていただきたいと思います。
#59
○伊東(秀)委員 そうしますと、中労委の命令が出た段階では労働大臣としては中労委の命令に従うように強く勧告される、それ以上もう裁判等に持ち込ませないようにしたいというようなお考えがあるのかどうか、その点はいかがでしょうか。大臣にお願いいたします。
#60
○塚原国務大臣 先生法律の専門家ですから、あれなのですけれども、その後のまた許されているいろいろなやり方というのがあるわけです。ですから、そういう中で果たして労働大臣がどこまでそれに対して発言できるのかというのはなかなか難しい問題だと思います。ともかく中労委に上がっている話ですから、中労委がどういうような御決定をされるのか見守りたいと思っております。
#61
○伊東(秀)委員 労働省は中労委について管轄しているわけでございますので、この問題について、先ほどの事故の問題、人員の問題も含めて、労働大臣からも強く中労委の決定についてはJRに善処するよう指導してもらいたいということで、この問題は一応終わらせていただきます。
 次に、現在、地方自治体にふえている非常勤嘱託職員の問題について伺います。
 今回、厚生省は高齢者福祉十カ年計画というものをお出しになりまして、四千五百名のホームヘルパーを増員予定であるというような予算を組んでおられるわけでございますが、その任用規定の根拠についてどのようにお考えになっておられるのか、お願いいたします。
#62
○谷本説明員 ホームヘルパーの確保状況ということでございますけれども、これにつきましては、御承知のように高齢者福祉推進十カ年戦略というのが厚生省の方で策定をされたわけでございます。これに基づきましてホームヘルパーを大幅に増員をするという形になっておるわけでございますが、現状では、市町村におきます直営でございますとかあるいは社会福祉法人等への委託による場合、こういった状況にあるわけでございます。ただ、このホームヘルパーにつきましては国庫補助制度があるわけでございまして、その国庫補助制度では定額の単価で算定をするというふうな仕組みになっておるわけでございますので、市町村で直営で確保するという場合におきましては、報酬支弁という形で対応しているという例もそれなりに見られるのではないかな、こういうふうに考えておるわけでございます。
 なお、このホームヘルパーの大幅な増員につきましては、厚生省の方で在宅福祉十カ年戦略の中で在宅福祉事業の実施主体の全市町村への普及、いわゆる財団法人である公社等の設立、これを全市町村に普及をさせようということもあわせて規定をされておりますので、これらの活用によって所管省庁でございます厚生省で適切な対応が講ぜられるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
#63
○伊東(秀)委員 私が伺いましたのは、せんだっての厚生大臣の御発言では、正規の自治体の職員として考えているというような趣旨の御答弁があったので、自治体の職員として任用するというのであれば、どのような形式の任用を考えているのかということをお伺いしたわけです。
 例えば、札幌市の場合ですと、現在七十八名のホームヘルパーがおりますが、その任用の根拠規定は地方公務員法の三条三項三号に基づく嘱託職員ということで採用いたしまして、それで週三十時間勤務、一年更新、しかも毎年毎年更新されて現実には二十年以上勤務している人もいるというような実態があるわけです。いつ首切られるかわからない、しかも正規の職員に比べて手当も少なく、退職金もなく、さまざまな身分保障上の劣悪な労働条件に置かれている。こういうような方々をホームヘルパーに充てたのであれば、厚生省がおっしゃっているような本当に生き生き、温かい高齢者福祉につながらないではないか。まず福祉に当たる職員の身分保障と、本当に働きがいのある職場にしていくということが先決ではないかということを思うわけでございますけれども、そういった意味で、今後もこの地公法上の三条三項三号で採用していくのかどうか、それについて具体的にお答えいただきたいと思います。
#64
○佐藤説明員 ただいまのホームヘルパーに関する具体的なお話に関しましては、先ほど公務員第
二課長の方から御答弁申し上げましたように、直接の所管省庁でございます厚生省の方で、今後十カ年計画の中身の実現に際して的確な方途が講ぜられていくものと考えておるわけでございますけれども、一般論といたしまして、今のお話にございましたような地方公務員の任用に関して、どういったような法律上の規定なりそういうものがあるのかというふうな点についてお答えを申し上げておきたいと思います。
 もちろん、正式の任用の職員として常勤の職員があるのは言うまでもないわけでありますけれども、いろいろな事情によってこういった正式の任用をしない場合のその方策として、先ほど御指摘がございました地方公務員法の三条三項、具体の場合には恐らく三号が該当するケースかと思いますが、これによる特別職の非常勤の職員という任用の仕方、あるいはまた、地方公務員法十七条の規定の中で期限つきということも法律上認められているということになっておりますので、この規定を利用したところの非常勤の職員の、期限つきの場合が多いと思いますが、期限つきによる非常勤の場合、それからまた、二十二条の規定によります臨時的な任用のケースといったようなことで、おおむねそういった点が考えられるわけであろうと思います。
 いずれにいたしましても、そういった形はそういったことで利用されているけれども、実質的には非常に長い期間にわたって繰り返し任用されているというふうな実情があるというお話でございました。こういった臨時的に任用された職員などが、繰り返し任用されることによって、事実上常勤の職員と同じような結果になっているというようなことについては、そもそもの法律自身が予定しているケースではないのではないかと思いますので、そういった事態は極力防止されるように、本来の職員の活用の手段としての地方公務員法を初めとする各種の法令の規定にのっとった適切な対応がなされるべきであろうと考えておるわけでございます。
#65
○伊東(秀)委員 今の、法形式上の適切な任用ではないのじゃないかということは、具体的にこういうことなんでしょうか。つまり、地公法の三条三項三号というもとに、たくさんの、例えばホームヘルパーの方とか国民保険の徴収員とか用務員とか給食の方とか、恒常的な住民サービスに従事する人がどんどん今自治体にふえているわけでございます。勤務時間もフルタイムの正規の職員に近い、しかも週三十二時間、だから非常に長時間働いているという実態なんですけれども、本来この三条三項三号では、高度の学識経験、技術を有する者、こういう人を予定している、しかし、それを利用して、それ以外の恒常的な常時勤務を要する職業に非常勤の特別職の嘱託職員を採用していることはやはりちょっと問題ではないかと自治省もお考えであると考えてよろしいでしょうか。
#66
○佐藤説明員 ただいまのお話は特別職としての任用についての御質問というふうに御理解をいたしますが、先ほどお話にございましたように、三条三項三号としての、特別職の臨時または非常勤の嘱託員として任用する場合には、特定の学識または経験に基づいて任用するということが私どもの方の法律の考え方でございます。したがいまして、そういった特定の学識または経験に基づかないで任用されるところの非常勤の職員というのは、通常特別職の職員ではなくて一般職の職員ということになるのであろうと思われるわけでございます。
 それから、特別職の非常勤の職員、今申し上げました三条三項三号の場合には、必ず任期を付さなければいけないのかどうかということについては、若干議論があるかもしれませんが、通常の場合は任期が定められているのが通例だし、任期を定めるべきであろうというふうに思います。
 なぜかと申し上げれば、一般職と特別職の区分けをする場合の大きなメルクマールとして、一般職の職員の場合にはいわば定年まで身分が保障されている、そういうことの中で、逆に言えば法的な制約もあるということで一般職というふうに区別されている。逆にそういった法的規制に服さしめる必要がないと考えられるもろもろの職種について、特別職という形で区分けをしているという考えに基づくからということでございます。
#67
○伊東(秀)委員 しかし、実態は、特別職、非常勤の嘱託職員という形で一般職と同様の職務内容に従事している職員が自治体に非常にふえている、しかも身分保障はいつ雇いどめになるかわからないとか、手当や退職金、各種保険その他でも差別を受けているということが今自治体職員の間で問題になっているわけですけれども、先ほどの御答弁では、三条三項三号は、特別の知識や学識経験に基づく採用の者というふうに自治省もお考えである、それ以外は一般職であると考えるべきであるという御回答でしたので、そういう法形式上と実態とがそごが生じている部分についてはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
#68
○佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、個別具体のケースについて、私ども、先生が把握している実例がどのようなものなのか詳細に承知をしておりませんので、一般論としてしかお答えの申しようがないわけでございますけれども、そういった臨時、非常勤の職員も含めて、どういった職員をどういう形で任用するかどうかというのは、これは任命権者である各地方公共団体の判断によるわけでございますので、私どもの方がそれ自体をどうこうと申し上げることはちょっとできにくいわけであります。
 ただ、先ほど言いましたように、そういった人たちを任用する場合に、法律の趣旨に従ってきちっとした形で、地方公務員法を初めとする法令の規定に従ってきちっとした形で任用を行っていくべきであろうというふうに申し上げたところでございます。
#69
○伊東(秀)委員 今問題なのは、任用の形式はこの三条三項三号あるいは十七条に基づく非常勤職員でありながら、実態は正規の職員に近い仕事をしている、そして労働条件が非常に劣悪であるということが問題なわけですけれども、自治省としてはこういった労働条件に関する条例化なりなんなりか整備したいというように具体的に考えておられるのかどうか、その点を伺いたいのです。
#70
○佐藤説明員 先ほど申し上げましたように、そもそも各地方公務員をどういう形で任用するか、そのこと自体は各地方公共団体の責任と判断において行われるべきものであるというふうに思っておりますけれども、今のようなお話を聞いておりますと、若干法律の規定がルーズに適用されるというふうな事例を頭に置いての御質問かというふうに思います。
 地方団体において、行政運営の効率化を図るとかあるいはその他の事情によって必ずしも常勤職員を配置する必要がない業務というふうなものについて、その事務の性質に応じて臨時あるいは非常勤の職員を活用するということ自体は、これは否定すべきものではなくて、その性質に応じた活用の方法というのは極めて有効な方策であろうというふうに思います。ただ、これが安易な形で行われるとすれば、それは非常に問題であるというふうに思います。ただ、ただいまの時点では、この臨時、非常勤の問題については非常にさまざまのケースがあるというふうにもお伺いしているところでございますので、一律的な指導というふうなものができるかどうかといいますと、非常に難しい点があるのではないかというふうに思っております。
 いずれにしろ、先ほど申し上げましたように、一義的には、本来各地方公共団体がまさに独立した自治体であるわけでありまして、議会もあれば選挙で選ばれた長もおられるわけでありますから、そこが責任を持ってきっちりした任用を行っていただくというのが法の建前でもあり、私どもの考え方ということでもございます。
#71
○伊東(秀)委員 端的に伺います。私が聞いているのは、法形式はともあれ、非常に職務の内容は恒久的な職務であり、かつ、常時勤務を要する、そういう職務に非常勤の嘱託職員というような形で、本来三条三項三号ですか、学識経験者を雇う
べきような人を充てている、そして労働条件が悪い、この点について自治省はどう考えるのか、この一点に絞ってお答えください。
#72
○佐藤説明員 先ほどから申し上げておりますように、具体のケースについての判断ということになりますと、私どもそれに的確な御回答がしにくいわけでございますので、先ほど来一般論として、法律に従ったきちっとした任用が行われることを期待したいというふうに申し上げているわけでございます。
#73
○伊東(秀)委員 質問時間が終わりましたので、終わります。
#74
○畑委員長 岩田順介君。
#75
○岩田委員 労働大臣が御就任なさったときに私はテレビで拝見をいたしておりましたが、本当に人柄を見たような気がいたしたわけであります。その後例の事件がなければ、今ごろは海部総理を抜いて人気はトップではなかったかと私は思うのでありますけれども、先ほど来高齢化社会の問題や、進化する、複雑化する労働情勢の問題、るる御質問、御答弁ありましたけれども、そういう状況になればなるほど、労働福祉行政はとりわけそうでありますが、かかわる人、トップに立つ人の姿勢、心がやはり非常に問題ではないかというふうに思ってくるわけですね。したがって、他人の傷を横目で見て通れない、他人の苦しみが見過ごせない、こういったお人柄でないとやはりこういう労働行政のトップには向かないんじゃないかというふうに思うのでありますが、そういった意味では、私もそうでありますけれども、国民の多くが新しい労働大臣に期待をしているというふうに私は思うわけであります。
 したがって、まず最初にお尋ねをしたい問題は、先ほども何点か出ておりましたけれども、最近の労働情勢というのは目まぐるしく変わっておりますが、とりわけいわゆる労働意識の変化について大臣の御所見を賜りたい、こう思っています。
#76
○清水(傳)政府委員 若干施策絡みのことをちょっと先に申し上げさせていただきます。
 若年者の職業意識が非常に変化をしておることはもう御指摘のとおりでございまして、いわゆる生活の高度化現象、そうした中でそういう意識の変化が急速に進んでいるのじゃないか。そういったことで、転職志向の高まりでございますとかいろいろな就業形態の多様化の傾向がございまして、そうした面につきましては、私ども雇用対策を円滑に進めていく上でも、そうしたものがどういうふうな影響を及ぼすかということを見ていくことは非常に重要な課題であろうというふうに思っておりました。そういう若年者の職業意識、勤労観の変化の実態、背景、そうしたものを幅広く関係者による意見交換を行い、検討を行う場というふうなものを昨年からつくりまして、若年者等の職業意識に関する懇談会というふうなものを設けまして、そうした問題についての検討を深めていくことといたしております。
#77
○塚原国務大臣 私もそんなに年をとっている方ではないと思うのですが、私が会社に入りました昭和四十四年ごろは、かなりの多くの同僚、仲間が、勤労時間が長くてもいい、人数が少なくてもいいから給料をたくさんもらいたいという感じでございました。しかし、今いろいろ御指摘いただいていますように、いろいろな面で今新しく会社に入られる方の意識というものは随分変わっていらっしゃる。遊び一つにしても、私どものときにはマージャンしかなかったわけですが、今はもうマージャンする方はほとんどいらっしゃらないというふうなことで、そういう余暇の過ごし方も随分変わってきている状況だと思います。
 ですから、そういう状況の中で今雇用が非常に不足しているというようなことで、最近いろいろなマスコミでも取り上げられておりますが、異常なまでの人集めの作業がなされている。ですから、意識が変わったところにもってきて、これは甘やかすという言葉はおかしいのですが、さらにいろいろないい条件を出して雇用を確保しようとするというような状況があると思います。
 そういったときですから、若い人たちが今何を考えて、今度は会社を経営する方の方がどのような形でこの方々をお迎えして、また行政はどのような形で対応して、少なくとも戦後、当委員会の各党各会派の皆様方の大きな御尽力で本当にここまで信頼を増してきた労働行政、唯一の汚点は、今ちょっと御指摘をいただきまして私も非常に申しわけないわけでございますが、信頼を増してきた労働行政というものが、この転換期の中でしっかりと対応できるようにしなければいけない。そのためにはそれぞれ、我々政治をする側も使用者側もそして労働組合の側も、若い人たちに対する極めて的確な情報というものをしっかりと持ち寄って対応していかなければいけないということだと思います。
 今局長の方から御答弁ございましたが、今一つ機関をつくってお話し合いをしている。また、私どもといたしましても、産労懇というような場でいろいろな形でいろいろなお話をさせていただいている。若い人たちがより働きやすい環境で、さらに経済効率が上がるような感じの労働条件がつくれるように一つ一つ対応していきたいと考えております。
#78
○岩田委員 今御答弁がありましたように、ある意味ではまさに転換期だと私も思うのですが、別な言葉で言えば革命期ではないかと思うのですね。そういう意識と現状にギャップがあるわけでしょう。それをどういうふうに縮めていって、なおかつ先進国から批判が来ないように、そしてワークシェアリングといいますか、全体が労働の分配がうまくいくように、それをするためにぜひとも大臣の努力を期待したいというために私今お伺いをしたわけであります。
 続きまして、この変化についてもう一つお尋ねをいたしたいと思いますけれども、労働省の統計によりますと、私の統計の資料は昭和四十五年と六十二年に限っておりますけれども、例えば昭和四十五年に発生した同盟罷業は二千三百五十六件、これに参加をした人員は百二十九万四千人、こういう統計になっておりますが、それを昭和四十六年に見ますと、九百四件に減っておりますし、参加人員は二十七万一千人というふうにかなり減っております。本年度三月末を見ますとそれはもっと減っているのではないかというふうに私は予測をするわけでありますけれども、労働情勢、労使関係の安定度をここだけでは図れないというふうに思います。いろいろな要件が入ってくると思いますけれども、しかし、この件数だけで見ますと随分減っている、この統計でもずっと減っていると思いますけれども、そういった状況の中で、私も労働運動にかかわってきた時間は長いのでありますが、隔世の感がある意味ではいたす次第であります。
 そういった意味で、労使間の問題についてどういう所見を持っておられるか、お聞きをしたいと思います。
#79
○塚原国務大臣 きのう、ある労働関係の会合がございまして、かなり大勢の方がお集まりになった会合で、連合のトップの方とそれから経営者側のトップの方とお二人がごあいさつされたのですが、連合側がいろいろな文章をつくる、それから経営者側も文章をつくる、そうすると現在違いは二割しかないと言うのです。八割は目標とするところは極めて一致をしているというようなお話がございました。両方のお立場の方が同じような話をされておりました。ですから、ただいま委員御指摘のとおり、本当に労使関係は信頼のもとに非常にいい方向に現在進んでいるということは言えると思います。
 ただ今度、では残りの八割が全部行政の方にばあんとおっかぶさってきますと、果たしてどこまで国の方で対応できるかどうかわからないようなことも出てくると思うので、そういう面では、先ほども御答弁申し上げましたが、いろいろな機会で私どももぜひとも話し合いの中に入らせていただきまして、労使両方、さらに学識経験者の方も含めたいろいろな形でのお話の中から、さらに行政が、この労使関係がより一層信頼されてすばらしいものになっていくためにはどういう対応をし
ていけばいいのか、しかしまた、御要求をされてもどうしても厳しいものもありますので、そういうことについてはしっかりと御説明を申し上げるというような形でやってまいりたいというふうに考えております。
#80
○岩田委員 私も連合を進めてきた地方の指導者の一人であったわけでありますが、それはそれとして歓迎をすべきだし、ぜひとも連合との政策協議もやっていただきたいというふうに思うのであります。労使関係もかつてなく安定をした、経済も好況が引き続き持続をしている、地域差はありますけれども有効求人倍率もかつてなく上がった、そういう状況になったときだけに、どうするかということが問題ではないかというふうに思います。
 冒頭お尋ねした大臣の決意も、それに関連をして私は評価をするわけでありますが、今御答弁にありましたように、二割という問題が出ましたけれども、それともう一つは、日本の雇用形態や何か見てみた場合の二重構造の問題をどうするか、こういうのは残っていると思います。残っているというよりも、中小零細の労働者をどうするか、こういうところにこそ改革の目を当てる、これが必要だというふうに思うのです。冒頭質問に立たれました鈴木委員の御指摘にありましたように、大胆な発想の転換、それから伊東委員も外国人問題等についてはもっと具体的にどういうふうにするか、例えば基準監督署や所管の窓口をきちんと設けて広げるというようなことも含めまして、大胆な発想と改革というのが必要だと思いますけれども、とりわけ私は、こういうことを言っては失礼かもわかりませんけれども、比較的日の当たってない方々にどうするか、こういったところにむしろ労働省が持っている指導力と力を八割ぐらい入れていくというようなことについて、ひとつ決意をお聞きをしておきたいというふうに思います。
#81
○塚原国務大臣 鈴木委員の御答弁のときに申し上げたのですが、私自身が日立市という地域の出身でございまして、自分自身の後援会のかなりの部分が中小企業の経営者とそこに働く方々が後援会員であるという、割に珍しい型の自民党の国会議員だというような感じもございます。そういった面で、例えば時間短縮の問題にいたしましても、あるいは高齢者の対応にしても、それから育児休業等の問題につきましても、一番問題になってくるのが、では中小企業に対してどういうふうな対応をしていくんだ、それで中小企業の労働組合の幹部の方々は、いろいろな場合にいわゆる中小企業だけは別の措置を講ずるようになっているわけですね、そういう措置はできるだけこれから外していくようにしてもらわぬと困るよという話を私どもにいただくのです。ただ、現実に経営というような面を見てみますと、日本の国を今日まで支えてきた中小企業経営状況を見ると決して甘いものじゃないというようなことがございますものですから、そこは非常にこれから難しい対応を迫られると思います。ただ、今御指摘いただきました中小企業並びにそこに働く皆様方の問題につきましては、私にとりましては当然これは最重点の課題でございますので、精いっぱいの努力をいたしてまいりたいというふうな決意をいたしております。
 ただ、外国人労働者問題につきましては、どうしても余り前向きの御返事ができませんで、伊東委員のときも何か後ろ向きで本当に申しわけなかったのですが、慎重にやらなくてはいけない要件がたくさんあるというようなことでございまして、ではどこまで御期待に沿えるようなことができるか、ちょっとこれは今のところ自信がございません。
#82
○岩田委員 私どもが認識をしている認識と大臣の認識は、基本的にはやはり幾つかのずれがあっても、一致している面が多いと思います。先ほど伊東委員の質問に対する外国人労働者の問題についても、今大臣そういうふうにおっしゃいましたけれども、心を豊かに持ってどうするかという点ぐらいについては前向きな姿勢を示してほしいということが今後は必要ではないかというふうに私は思ってお尋ねをしたわけであります。
 次に、国鉄精算事業団の職員に関する地労委、中労委の問題について若干御質問をしたいと思います。
 先ほどからも出ておりますように、三月三十一日付で国鉄精算事業団の職員が大量に解雇をされたわけであります。一千名を超える大量解雇がされたわけであります。いろいろ労働組合のふくそうしている関係や何かあったのでしょうけれども、これはきょうはひとつ除きまして、この三年間に清算事業団、国労関係につきまして地労委に申し立てをして救済命令が出た件数は、正確には記憶いたしておりませんが百十を超えたのではないかと思います。百十を超えた救済命令が出されたわけであります。結果的には、先ほども御答弁がありましたけれども、JRはそれを一つも受け入れることなく今日まで過ごしているわけであります。
 先ほど伊東委員の質問に対しましてはコメントは差し控えたいというふうに大臣は言われていますけれども、私は角度を変えまして、いわゆるこういうふうに百十も超えた救済命令が出た、しかも一つの企業、まあこれは分割されていますけれども、同業種について百十も超えた救済命令が北海道から福岡まで一律に出た。これはかつてなかったことじゃないですかね、量の上からも。それから、振り返ってみますと千人を超えた解雇者というのも、これは大変な問題ですよ。この事態について大臣はどういうふうに思われたか、労働大臣としてどういうふうに思われているかということについては、これはコメントじゃなくて見解があると思いますから、これはお聞かせをいただきたいと思います。
#83
○塚原国務大臣 千名を超える解雇者が出たことに対しては、これはもう大変なショックを受けまして、当初いろいろな形で、大臣になってレクチャーを受けたり、あるいはそれぞれの各党の先生方からこの問題で御陳情いただいたりしたときに、大体見通しとしては、やはり五百とか六百とか、もしかしたら三百ぐらいに解雇者を抑えられるのじゃないかというようなこともあったものですから、できるだけ少ない方がというふうに思っていたのですけれども、全部で千五百人ぐらいですか、非常にショックを受けました。ただ、伺いましたところ、その後五百名以上の方が職業安定、いわゆるハローワークの方にも御相談に見えていただいたということでございまして、私ども、そのことについては、できるだけ御満足いただけるような職を紹介できるように一生懸命職員が頑張っているという現状でございます。
 それから、百十を超える救済命令が出たことに対して、一つの企業で短期間で、ただJRが民営化に伴います非常な特殊事情というものがあったと思いますので、当然それだけの件数が各地域から地労委に上がったわけでございます。やはり、その特殊事情の中からその件数が多かったということだと思います。ただ逆に、ほとんどが救済命令が出ているということでございますから、では、それに対してどう思うのかということにつきましては、私どもまだ勉強不足で、果たしてどういう感じの地労委でのそれぞれの主義主張がなされたのかとか、そういうことがちょっとまだよく認識が持てないままになっていたものでございますから、その点につきましてはこれから一生懸命勉強させていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、今、中労委の方でお話をしておりますので、見守っていきたいというふうに思います。
#84
○岩田委員 この地労委における主義主張がどんなものであったかどうかというのは、この際関係ないですよ。その結果、ひとしく百十に上る救済をするという命令が出たことをどういうふうにお考えになっているかということを私は聞いているわけですね。ですから、労働省というのはやはり、人間が人間らしく平等に働ける機会をどうするか、いわゆるこの権利をどう救済するかという大きな使命があるわけでしょう。ショックだとい
うことはまあお聞きしましたけれども、異常な事態であったのかどうなのかということはちょっとお聞きをしておきたいと思います。
#85
○岡部政府委員 手続的なこともございますので、その面を御答弁申し上げたいと思います。
 現在八十二件、併合されたものを含めますと百十を超える事案でございます。そのような地労委の救済命令につきまして、これは制度的に、先生御高承のとおり、一般論として申し上げますと、地労委の救済命令につきましては、それに不服のある使用者は中労委に再審査を申し立て、あるいはまた地方裁判所に提訴することができるということが法的な手続として認容されているわけでございます。その場合に、裁判所による緊急命令の発出を除きましては、この地労委の命令の内容を使用者に履行を強制する手段はないわけでございます。このような労働組合法の体系を総合的に勘案いたしますと、やはり地労委の救済命令につきましてはいまだ確定していないわけでございますので、これは使用者の任意の履行にまつ、このような制度でございます。したがいまして、大臣が申し上げましたとおり、これにつきましては中労委の再審査の状況を見守るというのが基本的な労働省の姿勢でございます。
#86
○岩田委員 私はまだそこまで聞いてないのですよ。労働委員会が、中労委も地労委もそうでありますけれども、三者構成機関であって中立である、労働省もこれには関与できないでしょう。だれしも関与や圧力を加えることができないことは私もよく知っているわけですよ。しかし、これだけの数の救済命令が出るということはもともと異常なのです。これは一企業と労働組合との関係を超えた大事件であるという点で私は異常だというふうに言っているわけですよ。それについて形式論を私、聞いてないのですよ。手続論も聞いてない。三者構成であることは知っているわけですかじり。
 したがって、次に移りますけれども、私も清算事業団の職員からいろいろ聞いておりますが、また事業団当局の、それはJR当局とのやりとりの場にも参加したことがあるのですが、大まかにいけば地方労働委員会の命令は守らなくてもよい、罰則規定も何もない、中労委があるではないか、それでだめなら裁判もあるじゃないかと。一般論と言われましたけれども、一般論としてはそういういわゆる当局側の意識がこの事件にはかかわってきておるわけですね。具体的にそれはたくさん事例があるのです。そういう状況の中でJRの対処というのは、全然受け付けなかった、最初から受け付けてない。そういう重大なことだというふうに私は思うのですけれども、これについて先ほど伊東委員の質問に対して大臣は、コメントすることではないというふうにおっしゃいましたね。いわゆる命令が出ている段階でコメントすることはできない、中労委がありますからということですよ。これは質的には若干違いますけれども、当局の方もそう言ってきたのですよ。後は中労委があるから、地労委段階で言うことはありません、どうぞ出してください、裁判するのならしてください、こういう態度だったのですよ。だから、この間解雇が強行されるということについて労働省は横目で見てきたのですか、傍観をしてきたのですか、この点についてはどうですか。
#87
○塚原国務大臣 労働省といたしましては、ともかく何としても雇用の場を確保しなければいけないということで、これはその内容の中に、給料が全然安かったとか条件が違うとか行ってみたらいなかったとか、そういう御指摘は受けるのですが、少なくとも三万件以上の職業の御紹介等もいたしましたし、また各地区のJRに対しましてもできるだけ人数を、やはり国鉄というものに対して皆さん物すごく愛着を持っていらっしゃるわけでございましたので、できるだけお引き受けをいただきたいというようなこともいたしましたし、労働省としてはでき得る限りの雇用の確保を目指して頑張ったつもりでございます。
#88
○岩田委員 労働委員会が今度は中央労働委員会に移ってきたわけですね。これについて見通しはいかがでしょうか。
#89
○岡部政府委員 現在、中央労働委員会に七十八件の事案が上がってきているわけでございます。これにつきましては現在、中労委におきまして鋭意審理中である、処理中であるということでございまして、これにつきましては独立の機関でございますので、私どもがいつごろまでとか、どのようなというふうなことを申し上げることはできないわけでございます。
#90
○岩田委員 審理中である、処理中というふうにおっしゃいましたが、審理は進んでいるわけですね。
#91
○岡部政府委員 既に結審をした事案もございます。
#92
○岩田委員 再度お尋ねをいたしたいと思います。
 こういう場合、労働省としてはいわゆる労働情勢を安定させるということ、労使間を安定させるということ、こういう基本的な姿勢なんでありましょうけれども、この清算事業団にかかわる中労委の処理中である今の段階ですべて関与ができないということなんでしょうか。何らこれについて労働省としてはコメントも言うことができない、関与できない、こういう姿勢なんでしょうか。
#93
○岡部政府委員 独立の行政機関でございますので、これに対して労働省の方から直接に指揮命令をするというふうなチャンネルはないわけでございます。
#94
○岩田委員 いや、チャンネルはないことは私は再三申し上げているわけですよ。
 お聞きをいたしますけれども、三池争議のときに中労委はどういう態度をとったのか。これはたしか最終段階で中労委は三回命令あっせんを出していると思いますね。順序は覚えませんけれども、この最終段階で中労委はあっせん案を出す、けられる。それから中山委員の中山あっせんというのが出される、それも不調に終わる。そして例の暴力事件が起こって、その後に会長であられました藤林あっせん案が出て、ようやくこれは収拾に向かうということなんです。その中には当時の総評の太田さんも行っているし、労働大臣も何回か会談をしていると思うのでありますが、これはやはり最終的な中労委のあっせん、藤林あっせん案が出たという過程において何らかの政府と労働側、それから政府と中労委との間に事態収束のための意見調整ぐらいはあった、政治的な根回しはあったというふうに私は思っているのです。これはそうじゃありませんか。
#95
○岡部政府委員 過去の大争議といたしまして、例えば近江絹糸でありますとか王子製紙あるいは三井三池、いずれにいたしましても、これは先生御指摘のように政治的な根回しがあったわけでございまして、その上に立って関係各省の話し合いがあり、そうして、そのような土俵ができた上で中労委が行司役となりまして労使がそこで決着を見た、このようなことであろうかと私ども教えられているところでございます。
 今回につきましてそのような形の中労委のあっせんはないのか、このようなお尋ねの趣旨であろうかと思いますが、そのような解決の糸口というのは残念ながら今のところないのが現状ではないかというふうに拝察をいたしております。
#96
○岩田委員 いや、それをやはり積極的に関与すべきではないかというのが私の主張なんです。
 当時は労働大臣は松野労働大臣ですね。衆議院の社会労働委員会でこの三池争議に関して議論があっていますが、その際、松野労働大臣は、「いろいろ情勢もございますが、中労委の今後の努力というものを期待して、平和解決ということに私は進むべきであろうと考えております」、こういうふうに答弁なさっているわけです。これはまさに労働省、政府が、三池争議というものをこれ以上やはり泥沼に落とし込んではいけない、平和的に解決すべきである、そのためには中労委の姿勢を期待する、こういう政治的というか、政府の示唆が明確に出ているわけですよ、希望も出ているわけですよ。
 そういう過去の事例から見るまでもなく、私は
JRの問題というのは、清算事業団の問題というのは、三池に比べて労使ともに非常に軽微な事件であるというふうに思っておるならばまた別なんでありますが、千名を超える解雇者を出しておる、こういう事態から考えると、私は、そう軽微な事案ではないんではないかというふうに思うんですね。したがって、中労委に対してもう一度大臣のどういうふうに解決をすべきかという見解か希望か望みか、大臣、ふくよかな人間性のその発想からして何とかしたいというような希望はございませんか。
#97
○塚原国務大臣 今御指摘ございました万々が一不調、裁判というようなことになってまいりましたら、それはもう本当にもしかしたら泥沼化してしくというようなことは十分考えられるわけでございまして、何としてもそういうような事態は防ぎたい、それはまあだれしもが思っておると思うんですね。恐らく中労委もそういうような御認識で作業をされておると思います。ただ結論的には、先ほどもちょっと御質問の中にありましたけれども、じゃあ今度JRの方に裁判を持っていっちゃけしからぬとか、あるいは今解雇されている人の方に裁判を持っていっちゃけしからぬとか、そんなことなかなか言えないと思いますが、中労委が一生懸命今御努力をしていただいているわけでございますので、何とか努力の成果が出ることを期待をしたいと思います。
#98
○岩田委員 今の大臣の短い、期待をするという言葉の中に私も期待をしてまいりたいというふうに思うわけであります。
 あれほどの数の命令が地方労働委員会でそろったわけですから、これは私の感想でありますけれども、中労委はこの地労委を無視するわけにはいかぬという状況が一般的に考えられるわけですね。あれほどそろった、中労委は非常に御苦労なさっていると思いますけれども、そこで、仮にこの中労委が地労委とは違った命令その他の見解を、あっせん案みたいなものを、あっせん案が出るというふうには私は思いませんけれども、地労委とは異なった見解が中労委で出るということになると、これはどうなるのか。すっと裁判に行くのかどうなのかはよくわかりませんけれども、私自身は今までの経過、状況からいたしまして、異なった見解が中労委から出されるとは思いませんけれども、もし仮にそうなった場合、地労委の基本的な使命は崩壊するのではないかというふうに心配するのですよ。むしろここを私は心配をするわけですが、いかがでしょう。
#99
○岡部政府委員 地労委は独立の行政機関でありますとともに、中労委も独立の行政機関でございます。その間に具体的な案件につきましての指揮命令関係はないわけでございまして、それぞれが独立をして判断を下すわけでございますから、地労委と異なった命令を、判断を中労委が行うということは、理論上これはあり得ることでございます。
 地労委の命令を中労委で覆したというようなことは過去にも幾つも例があるわけでございますが、そういった場合におけるこれだけ大量の事件についての労働委員会としての権威と申しますか、そういうことについてのお尋ねであろうかと思いますが、これは、中労委がどのように判断をするかということを私ども見守っている段階でございます。それにつきまして予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#100
○岩田委員 私が伺っているのは、中労委で地労委と異なったことが出た場合に、命令が出た場合に、単に地労委のメンツがつぶれるだろうという観点で言っているわけじゃないのです、これは。中労委の出方は関係者だけではなくて非常に注目をされておるわけですね、御承知のとおりだと思います。とりわけ中小零細に与える影響は大変な問題になってくるんではないでしょうか。現在でも、先ほども私申し上げましたが、日の比較的当たりにくい、当たらない中小零細の皆さんの実態というのは比較的格差が開いていますよね、すべての面で格差が開いています。それから、きょうはこれは特定して申し上げませんけれども、そこにはやはり比較的労使間が安定をしていない、むしろ使用者側のいわゆる労働問題に対する認識の不足、一概に僕は否定をいたしませんが、そういうものもあって、簡単に解雇されたり、簡単に配転されたりしていることは局長や労働大臣が一番頭の痛いところでしょう、現実あるわけですから。こういう実態の中で、とりわけ中小零細の皆さんの最後の頼みはこの地労委なんですよ。今でも、いや地労委の命令というのは関係ない、罰金も払わなくていいし、ペナルティーは何にもないわけですから、そういう事例たくさんあるでしょう。したがって、最後は人間の常識というか、そういったもので地労委の命令をいわゆるにしきの御旗に双方が歩み寄ったり和解をしたり、そうしうことで保たれている労使関係というのは、ある意味では日本の労働情勢の基本的な部分を支えているのかもしれませんよ。これが、簡単に守らなくてもいいというJRへの今回の大量命令が効力を発揮しない、こういう実態になったとき、中小零細に対する影響を具体的に私は心配をするわけでありますけれども、このことにつきましては、とにかく大臣、これは腹を据えてひとつ守っていただくという観点で、先ほど短に言われましたように、いわゆる中労委のあり方について、これはJR当局の職員の皆さんもそうですけれども、全国の本当に踏ん張って頑張っている中小零細の皆さんをどうするかということにも直結する問題でありますから、全英知を絞って対処をしていただくことを要望申し上げておきたいと思います。
 次に、人手不足の問題について若干お尋ねをしたいと思いますけれども、時間がございませんのでやれるところまで質問をいたしたいと思いますが、最近の人手不足は、先ほどからも言われておりますように極めて異常な事態になっているわけであります。簡単に質問をいたしますので簡単にお答えをいただきたいと思いますけれども、東京、大都市だけではなくて、やはり全国的に蔓延している人手不足の状況だと思いますけれども、この人手不足というのはいつまで続くのか、経済状況はどういうふうに見通しをされているのか、簡単にお答えをいただきたい。
#101
○清水(傳)政府委員 当然一つの基本的な事柄は、経済の景気の持続性ということはもちろんべースになるわけでございますが、ただ、人手の問題というのは今までの経験に照らしましても遅効性と申しますか、そういうものが必ずつきまとうわけでございまして、それからまた、一つの流れというふうなものがかなりございます。例えば、四十年代のいわゆる高度成長期、非常に長い高度の成長、このときも当然山あり谷ありでございましたけれども、これは一貫してやはりそういうときは逼迫基調で推移をする。それから、五十年代におきましても、これまた山あり谷ありでございましたけれども、ここは全体として緩和基調で推移をする、こういうふうな状況になってきております。それで、六十年代、やはり労働力の供給構造そのものが比較的近い将来において大きく変化していくというふうなことが、これは企業の採用マインドにかなり大きく影響をするだろうというふうな感じがいたしておりまして、景気そのものの持続性もさることながら、そういうふうなマインドのもとに逼迫基調は当面続くのじゃなかろうか、私どもはそういうふうに見ております。
#102
○岩田委員 仮需要が多くなって人手不足が短期に出ているということではないと私も思うわけでありますが、安田信託銀行の加藤主任調査役が四月十六日のエコノミストで、この三年間で非農林雇用者は三百万人ふえた。「一方、総実労働時間は週休二日制の普及と祝日の増加で八八年後半から減少している。このように、好況下の雇用環境は労働時間が減少するなかで雇用者数が大幅に増加したのが特徴である。」というふうに指摘をされているわけであります。また、同氏は、今日の人手不足というのはややもすれば経済の阻害要因にもなりかねないというふうに言っておられますけれども、こういう認識でよろしいのかどうなの
か、お答えをいただきたいと思います。
#103
○清水(傳)政府委員 一言だけ先ほどのことに申し添えたいと思います。
 いろいろ数字を見てまいりますと、いわゆる経済成長の伸びに対してどれだけ雇用就業者が伸びているかという、成長に対する就業の伸びの弾性値というのがございます。これが非常に急角度で上がっているという状況でございまして、例えば六十二年ごろですと、成長率一%に対しまして就業の伸びが〇・二四とか五とかいう数字でございます。これが平成元年の半ばごろになりますと〇・三六九というふうに上がってきている。それから、労働生産性の伸び自身がそう大きく出てきてない、三%を若干切るか切らぬかぐらいの形で推移してきているという状況になっております。これは企業の採用マインドかこうしたところからいくと今の雇用の伸びをかなり押し上げているという点は否定はできないのじゃなかろうか。相当高い期待成長率を持っているということ、五十年代のいわゆる抑制基調の中で従業員の構成の若年者のくびれというものをこの際補っていこう、こういう個々の事情の積み重ねが大きな雇用需要になり、それに最近の若年者の職業意識の変化から、そうしたしわ寄せが中小企業の方に来ている、そういう人手不足の実態じゃなかろうかというふうに見るわけでございます。
 先ほどのエコノミストの論文も、私も拝見いたしましたが、基本的には、一九九五年以降生産年齢人口が減少に転ずる、そういう非常に大きな潜在的な可能性をこれは持っておるわけでございまして、そういう中でこれからの労働生産性の維持、高揚を経済全体としてほどのように図っていくか、そういう意味で特に中小企業対策というのは重要になってくるであろうと思いますし、それからまた高齢者それから女子、女性労働力、その意欲と能力を十分に生かせるような就業環境の整備を図っていくことがこれからのそういう状況の中での活力ある経済社会を維持していくためにはぜひ必要じゃないか、こういう点につきましても、先ほどのエコノミストの論文と私も同じように考えているところでございます。
#104
○岩田委員 雇用と女性の問題、それから中高年層の活用の問題、それから労働力の有効活用というのは全体的にこれから問題になっていくのだろうと思いますけれども、もう一つは、ワークシェアリングとして中長期的に労働省が、どの段階で啓発していくか、教育していくかというのはありましょうけれども、そういった意味の基本的な啓発、教育方針というものが要るのではないかと思うのでありますが、これはどうでしょう。
#105
○清水(傳)政府委員 御質問の御趣旨は、時間短縮を中心としたワークシェアリング、こういう御趣旨でございますか。(岩田委員「そういうことですね」と呼ぶ)ワークシェアリングの物の考え方、これはいろいろございますし、いろんな議論もされておりますが、時間短縮ということは、そういうことも含めてこれは極めて重要であるというふうに認識しております。
#106
○岩田委員 この問題については後ほどの機会に譲るといたしまして、もう一つは、数年前まではこういう景気の状況というのは想定できなかったのですね。逆に、円高でどうなるかということで大騒ぎになって、急遽こういう事態になってきたわけですね。そのときにも問題になったことなんでありますが、空洞化の問題は心配にならないんでしょうかね。例えば、今我が国の企業というのは、さまざまな形で外国に進出をいたしていますね。さまざまな形で外国でやっているわけでありますが、例えば自動車なども、部品を輸入をしている、向こうで生産をするという、自動車だけじゃないのですが、こういう形態が今のところ多いのですね。ところが、やがてこれが施設も向こうへ行って向こうで生産をし始める、こういう時期が早晩来るのではないんでしょうかね。そうなった場合に、今やっておかなければならない問題というのは、やはりあるのじゃないかというふうに思います。例えば、同業種間のトラブル、それから雇用の問題がどうなるのか、失業者は出ないのかどうなのか、したがって、企業責任をどうするかというのは大変難しい問題でありますけれども、空洞化の問題についてどういう心配、私はそうなってくる時期がやがて来るんではないかというふうに思うのですが、いかがなものでしょうか。
#107
○清水(傳)政府委員 企業の海外進出につきましては、急速に進んでおりますし、今後もやはり増大が予想されるだろうと思います。確かに、景気の動向いかんによりましては、そうした面が国内生産、雇用面の影響ということも懸念はされることではあるわけでございます。しかし、現在までのところ、内需を中心とした景気の拡大している中で、この問題は顕在化はいたしてはいない状況にはございます。
 これからの問題も含めましてのお尋ねでございますが、やはり国内雇用の影響の問題ということは、海外進出が盛んになり出した時代から、非常に一つの問題意識を十分持って私ども対応いたしてまいってきておりまして、昭和六十二年十一月に労働省で設けております雇用問題政策会議という、労使と学識経験者を含めた会議を持っておりますが、ここで海外進出に伴う雇用問題につきまして、やはり企業自身の雇用の維持、確保、それから企業内部におけるそうした関係の労働移動を通じた雇用開発による雇用の維持、能力開発の問題、それから労使間の事前の協議システムの問題、そうしたことを柱とした対応のあり方についても提言をいただいておるわけでございまして、それをベースといたしまして、私どもといたしまして各産業の、特に海外進出の多い業種につきまして私どもが主宰をいたしまして、労使間においてこの問題についても雇用の安定のためのコンセンサスづくりに資するような、そういう労使会議を全国ベース、地方ベースにずっと開催をしてきてまいっております。現在までのところ、景気拡大の中で懸念が顕在化はいたしておりませんが、そういう姿勢でもって、もちろん実態把握に努めながら雇用の安定ということについて労使のコンセンサスづくりが広く、そういうことが大きい業種について進むようにやってまいりたいというふうに考えております。
#108
○岩田委員 時間がなくなりましたが、はしょってまいりたいと思いますけれども、唐突になりますが、最賃問題について、前後しますけれども、具体的なことは後の機会に触れるとして、今どういう状況になっているか、企業側がどう守っているかということを含めて簡単にお答えをいただきたいと思います。
 一緒に御質問をしますけれども、かつてルーズベルトは、最低賃金も払わないような企業はやめてしまえというふうに言ったことがあるのだそうですね。労働大臣にこういうことを言えというふうに私は言うつもりはありませんけれども、いかがでしょう。いろいろな地域格差がありますね。業種間の格差がある。まじめにやっていてもやはり最低賃金まで行き着かない中小零細もあるでしょう。それから漸次改善をしたところもあると思いますけれども、それに対して労働省のいわゆる指導の仕方、私も若干知っていますが、人手の問題なんかがあって万般これは掌握できないという状況もあるのでありましょうが、こういう好景気のときだけにやはり思い切った改善のための努力をされるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#109
○野崎(和)政府委員 先生御指摘のとおり、賃金は労働時間と並ぶ基本的な労働条件でございまして、最低賃金の遵守というのは事業主として守るべき当然の責務だというふうに私ども考えております。違反の状況でございますけれども、昭和六十三年に全国で十六万二千件の事業場を監督いたしておりますが、違反がございましたのは五千八百四十八件、違反率三・六%でございます。これらについては当然全部是正をさせております。
 なお、最低賃金につきましては先生御承知のとおり、毎年三者構成の最低賃金審議会におきまして、他産業の賃金の引き上げの状況であるとか、あるいは労働市場の状況等を見まして調査審議の
上、決定いたしているところでございます。
#110
○岩田委員 時間がなくなりましたから最後を質問と要望にしたいと思いますけれども、例えば最低賃金について引き続き改善のために努力をした企業等については、一定の基準を設けまして何らかの形で政府が助成をするというような発想が必要ではないかというふうに私は考えるわけであります。例えば労災保険料の一部軽減等々、これは幾つかやり方があると思うのですけれども、これは質問の結論だけを申し上げて、提案も含めて次回に討論させていただきたい、こういうふうに思うのであります。
 もう一つは、これもそういう趣旨でありますけれども、何回も中小零細問題を申し上げてまいりましたけれども、どうしてもどういう施策を講じてみても、今の状況から推定をして大幅に中小零細の皆さんの労働条件や権利の問題が上がるという見通しは非常に私は、努力されていないと言うのではないですよ、やはりなかなか遅々として進まない状況はあると思いますね。したがって、具体的な提案はきょうは申し上げませんけれども、三十人以下の事業場等における労働者の実態について、これはやはり社会保障的な権利みたいなものを救済をする、そういった発想を具体的にしていってもいい時代に来ているのではないか。余りにも格差が広がっているのではないかという前提で申し上げますが、いかがでございましょうか。
#111
○野崎(和)政府委員 大変大きな問題を提起されているかと思いますが、私どもの立場から申し上げますと、そういった大企業と中小企業との間の労働条件の格差を埋めまして中小企業の労働条件を引き上げるためには、やはり労働基準法、最低賃金法等の、労働条件の最低基準を法定しておりますその基準を引き上げることが最終的な、一番基本的な方法ではないかというふうに思っているわけでございます。
 しかしながら、中小企業は経営基盤が脆弱であるということがございまして、なかなか一遍には上げられないということで、例えば労働時間などにつきましても、四十時間に持っていくのに段階的に持っていくというような措置も講じております。また一方、その経営基盤の弱い点につきましていろいろな指導、助成措置を講じている、そういう形で労働条件の改善を図っているところでございます。
#112
○岩田委員 しばらく待てば改善するという見通しがあれば私はこういうことは言わないわけであります。したがって、今そういう答弁がありましたけれども、全然考えがないなら、ない、する必要がないなら、ない、きょうはこれだけ聞いておきたいと思います。
#113
○野崎(和)政府委員 非常に大きな問題でございますので、十分検討しなければならない問題というふうに承ったところでございます。
#114
○岩田委員 終わります。
#115
○畑委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ────◇─────
    午後一時三十一分開議
#116
○自見委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五島正規君。
#117
○五島委員 日本社会党・護憲共同の五島正規でございます。よろしくお願いいたします。
 朝からの討議の中におきましても、高齢社会を迎えての雇用問題につきまして各委員からも論議のあったところでございますが、私も、まずこの問題につきまして具体的にお伺いしたいと思います。
 既に、厚生省の人口問題研究所が一九八七年に発表しております資料によりましても、本年度、一九九〇年で十五歳から六十四歳の生産人口に対する六十五歳以上の高齢者の比率が一七・一八%、それが二〇〇〇年には二四・七二%、二〇一〇年には三二・七二%というふうに、約一五%も上昇するというふうに言われています。このことによりまして、高齢社会が来るということで非常に問題になっているわけでございますが、高齢社会というのは単に平均寿命が延びるというだけではございません。二十年前の六十五歳と今日の六十五歳は大変な違いがございます。今日の六十五歳の方々は、二十年前、三十年前に比べますと大変お元気な状態にあるわけでございます。そういう意味で、二〇〇〇年あるいは二〇一〇年の段階において、二十歳から六十九歳を生産人口というふうに置き直して考えてみますと、その場合、二十歳から六十九歳の生産人口とそれから七十歳以上の高齢者の比率というのは、二〇〇〇年においては一六・六二%、二〇一〇年においては二二・八九%というふうに、二〇一〇年において現状よりも約五%増加するという程度に落ちついてくるわけでございます。そのことは、今後早急に六十九歳までを生産人口として、そういうふうな社会をつくるための努力が要求されているものであるというふうに考えられるかと考えます。
 しかるに、もう一方におきまして、労働力人口あるいは労働力率ということで見てみますと、こうした将来的な見通しに対しては逆に年々低下していく、そういう実態があるのでございます。この労働力率というものをどのように上げていくかということが、今後の労働行政の中において非常に大きな問題になってくるかというふうに考えられるわけでございます。そうした状況の中で、我が国の労働力率というものについて検討してみますと、御案内のように、二十九歳から三十九歳の女性の労働力率というのは非常に低い。御案内のように、労働省の労働大臣官房政策調査部の調査によりましても、二〇〇五年における我が国のその年代の女性の労働力率が現在のアメリカの女性のその世代の労働力率にまだ及ばないというふうなことが述べられているわけでございます。この二十九歳から三十九歳の女性の労働力率を一〇%アップすることによって、国民全体の労働力率に換算しますと約一%、二〇%アップしますと約二%、この数字がもし獲得できるとすれば、労働力率の低下というものはそれだけによっても完全に防ぐことができるという内容になっております。
 早朝、鈴木委員の質問に対しまして、婦人局長の方からも雇用均等法等々によって女性の雇用状況が極めて順調であるという御答弁があったわけでございますが、こうした女性の労働力率が改善される、そういうふうな具体的な見通し、あるいはそういう具体的な数的な予測というものができているのかどうか、そのあたりについてまずお伺いしたいと思います。
#118
○佐藤(ギ)政府委員 昭和六十二年度に雇用政策研究会で労働力の需給見通しにつきまして推計を行っているわけでございますが、女子の労働力率は、平成七年に四九・四%と見込まれていたのでございますけれども、平成元年、まだ六年前の平成元年に既に女子の労働力率は四九・五%ということで、見通しを上回る実績となっているわけでございます。この理由といたしましては、好景気が続く中で女子の労働力に対する需要の高まりといった経済面での変化に加えまして、男女雇用機会均等法の施行を契機に女子の活用が進んでいるということが原因として挙げられると存じます。
 それで、先ほども御指摘ございましたけれども、男女雇用機会均等法の効果といたしまして、雇用管理を法の要請に沿ったものに改善した企業が多数見受けられる一方で、大卒の女子の就職率の上昇などにも見られますように、女子労働者自身の就業意識が高まっておりまして、法の趣旨の定着とともに女子労働力の積極的な活用がより一層進むものと考えておるわけでございます。今後女子労働者の増加、勤続年数の伸長等によりまして労働力率は上昇していくものと考えております。
#119
○五島委員 今平成元年度の女性の労働力率が〇・五%予想よりふえたということでございますが、二十五歳から三十九歳の男性の労働力率というのは九六%、九七%と最も労働力率の高い世代でございます。それに対しまして、女性のそれは大体六〇%、二〇〇〇年で六四%というふうに非常に大きな格差がございます。この格差というも
のの原因をどのように除去していくか、そこのところの政策を充実していくこと、これが今後の雇用問題において一番大きなポイントではないか。高齢者の労働力率を高めなければいけないということも当然でございますが、しかし、労働者の労働力率を高めるといたしましても、仮に男女合わせて全六十五歳以上の人々の労働力率を〇・五%高めたとしても、トータルな国民へのはね返りというのは極めてわずかにとどまってくる。そういう意味においては、この世代の女性の就労の確保、労働力率の確保というものが、高齢社会の中において安定した労働生産力を確保していく上において、最も重要な部分であるというふうに考えるわけでございます。
 現在の雇用均等法というものによって〇・五%上昇というのは、非常に好ましいことでございますが、これは、いずれにしても男性との比較において、二〇%程度はいずれは上昇していかない限り二十一世紀の労働不足というのはもう否めないし、そして、その時期におけるいわゆる高齢者負担の問題というものは、非常に大変な問題になってくるということは、はっきりしているわけでございます。そういう意味で再度、今のそういう婦人局長の御答弁でございますが、二十五歳から三十九歳の女性の労働力率を高めるための施策としてどのようなことをお考えなのか、お聞きしたいと思います。
#120
○佐藤(ギ)政府委員 先生御指摘のように、二十五歳から三十九歳あたりの年齢層の労働力率は、男性に比べますとかなり低いわけでございまして、その理由としてはいろいろ考えられると思いますが、一つは、女子が出産、育児、家事というようなものをかなり負っているというようなことが大きな理由ではないかと存じます。ただ、十年前の昭和五十五年と現在の労働力率を比較いたしてみますと、この一番ちょうど出産、育児期の年齢別のグラフを書いてみますと、M型の一番ボトムになるところ、底になるところでございますが、ここも年々上がってまいりまして、数ポイントないし十ポイントぐらい上がってきておるわけでございます。そのことにつきましては、さっき申し上げましたように経済的な影響と、それから雇用機会均等法の施行その他の要因があると思うわけでございます。
 こうした方々が子供を育てながらも働いていけるような、もちろん希望する方ということでございますが、女性が働きやすい状況をつくり出していくということは、御指摘のとおり大変重要なことでございまして、私どもも、育児休業制度の普及あるいは再雇用制度の普及、さらに今年度からは介護休業制度の普及につきましても、企業に働きかけていきたいというふうに考えているところでございます。
#121
○五島委員 この女性の労働力率の引き上げに合わせまして、当然高齢者の就労あるいは労働力率の引き上げというものが図られないといけないわけでございます。仮に、六十歳から六十九歳の初期高齢者と申しますか、その方々の労働力率を一〇%引き上げるということを達成すれば、全体に対するはね返りとしては約一%ぐらいの力率の引き上げになってくる。この二つを達成することによって、二十五歳から三十九歳の女性のそれと、それから高齢期初期の労働者の労働力率を引き上げることによって、二十一世紀の高齢社会の中において、安定したいわゆる生産人口が維持できるというふうに予想されるかと思うわけでございますが、この高齢者の労働力率の引き上げということになりますと、先ほど出稼ぎ労働者の問題でも御答弁ありましたように、さまざまな、過去進められたものとは質的に異なった高齢者が働けるそういう職場の仕組み、労働条件の整備といったものが必要になってくるかというふうに思います。そのあたりについて、どのようにお考えになっているかお聞かせいただきたいと思います。
    〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
#122
○清水(傳)政府委員 御指摘のように、高年齢労働者の雇用環境の整備を図っていくことが今後極めて重要であると考えております。いわゆる労働力率という形でとらえてまいります場合には、さまざまなそれに影響を与える要因が、これは御承知のようにあるわけでございまして、一般的に推計等いたす場合には、一次産業を中心とした自営業種とかあるいは家族従業者、こういう人たちの動向がどうなるかというのは、そうした面では割によく聞く要素としてあるわけでございますし、こうしたものは減少傾向をたどる面がございます。
 それの動向がどうなるか。それから、年金なり社会保障制度の状況も大きな要因としてあるわけでございますし、あるいはまた個々の高齢者の場合がございますので、人によっては引退過程ということを志向される場合もございます。そういうふうな分かれ目の問題としての個人の資産の蓄積の状況でございますとか、あるいは就業意欲そのものもこれは大きな影響を与えるわけでございます。私どもの施策の担当分野といたしますのは、企業の雇用慣行を初めとするそうした雇用環境の整備ということになるわけでございます。
 最近、高齢者の労働力率は昭和五十年以来、低下傾向を示してきておりますが、近年はこれが下げどまってきて、八九年は若干上昇している面もあるわけでございます。いわゆる定年延長を初めといたしまして、できるだけ六十歳定年というものを定着をさせつつ、その上に六十歳以上の継続雇用の促進ということへ向けて、今般高年者労働法の改正をお願いいたしておりますし、それを支える形での各般の助成誘導策、こうしたものを講じて、今申しました雇用環境の整備に努めてまいりたい、このように考えております。
#123
○五島委員 時間がございませんので、この問題はこれぐらいにしたいと思うわけですが、女性、特に二十五歳から三十九歳の女性についての労働力率関数あるいは高齢者の労働力率関数というものを見てみた場合、女性の場合でも、変動要因としては自営率その他あるにしても、児童千人当たりの認可保育所数が唯一変動ケースであるといったような実態、あるいは高齢者の問題に対しては、社会保障給付費がマイナス要因であるといったような要因としてしか統計的には有意差が出てこない、こういう状況は極めて、現在実施されているそういう政策がまだこうした統計数字の関数としても有意的な意味を持っていないということをあらわしていると思います。そういう意味では、ぜひそうした面での政策努力を今後も続けていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 続きましてお伺いしたいわけですが、労災保険行政についてまずお伺いしたいと思います。
 御案内のように、労災保険には、労災あるいは職業病によって罹患した労働者に対してある一定の状態あるいは一定の時期において症状固定判定というものがなされるわけでございますが、この症状固定判断というものについて、労働省はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#124
○野崎(和)政府委員 お尋ねの労災保険で言う症状固定でございますけれども、治療を行いましても、もはやそれ以上は治療効果が期待できない状態でございまして、治療によって症状の改善が認められる場合あるいは治療を中断することによって症状が悪化する場合等は、症状固定としては取り扱っていないところでございます。
 なお、症状固定の状態になりました以降は療養補償給付を行うことはできませんが、症状固定後においても後遺症状が残っている場合には、アフターケア制度で診察、検査、投薬等を行っておるところでございます。
#125
○五島委員 治療の効果が認められなくなった場合をもって症状固定とする、ただし、治療を中止して症状が悪化するような場合は症状固定ではないというお答えであったと思うわけでございますが、この治療の効果が認められなくなる、あるいは治療を中断して症状が悪化するという判断はどなたがなさるのでございましょう。
#126
○野崎(和)政府委員 お尋ねの症状固定の認定というのは、御指摘のとおり非常に難しい問題でございまして、私どもの基本的な考え方は、長年治療に携わってこられました主治医の方の判断を基
本にいたしまして、必要に応じ、私ども都道府県労働基準局長が委嘱した局医という方がいらっしゃいますので、その局医の協議会にお諮りして、その御意見をも聞いた上で慎重に判断しているところでございます。
#127
○五島委員 現実には、主治医の意見としてまだ治療が必要であるというふうな意見書があるにもかかわらず症状固定処理をされたという事例が近年非常にふえてきているわけでございます。そういうふうな状況の中で、その治療の効果が認められなくなった場合というのは具体的にどのようなことを意味しているのか。現実の経験から言うならば、ある一定期間治療して、そのことによって症状がはかばかしく改善しないという状況をもって症状固定という判断をされている事例が非常に多いのでございます。そして、このような判断をする場合に、それぞれの疾病の疾病として持つ重篤度に差があるとしても、それぞれの疾病あるいは障害の重症であったものほど症状固定という処理を受けやすいという問題を持っています。
 例えば、具体的に実例を挙げますと、振動障害の場合、昭和四十五年以前の段階においては、チェーンソーの持っている振動加速度というのは重力加速度に直して約三十Gぐらいの振動加速度を持っておりました。昭和五十年ぐらいになりますと、このチェーンソーの振動加速度は三Gぐらいまで改善されます。現在では大体〇・五あるいは〇・六Gぐらい、機械そのものが非常な発展によって改善してきております。ところが、昭和四十五年以前にこのチェーンソーを使って長時間の振動暴露によって重症の振動障害になった患者さんは、非常に治りが悪くて、現在もなお数多くの障害と訴えを持って治療しておられる。一方、昭和五十年以後そういう機械を使われて、そして使い過ぎた結果、近年になって振動障害で認定を受けた。その場合、どちらが治りやすいか。治療年数ではございません。明らかに後者の方がはるかに改善も見られるし、治癒もしていっている。その一方、昭和四十五年以前に長時間にわたってチェーンソーを使った労働者は症状の改善がなかなか得られない。ところが、今日こうした振動病患者に対する症状固定判断というものがなされているわけで、実態としては重症患者を症状固定ということで労災保険から締め出しているという状況があるわけでございますが、その点についてどのようにお考えでございましょうか。
#128
○野崎(和)政府委員 振動障害の問題についての具体的なお尋ねかと思いますが、振動障害の原因の大きなものでございますチェーンソー等について、最近、非常に改善が進んでおりまして、新たな障害者の発生というのは相当減っているというふうに私ども認識いたしております。それで、現在、症状固定ということの対象になっておりますのは、そういったことで非常に長期間にわたりまして療養を続けておられる方でございます。そういった方を症状固定という認定を行います場合には、先ほど申し上げましたように、医学的な判断が基本でございますので、主治医の判断を基本に一つ一つの具体的事情に即しまして、必要があれば局医協議会の御意見も伺いながら慎重に判断いたしているところでございます。
#129
○五島委員 慎重に検討している、あるいは主治医の意見を尊重しているというふうに言われるわけですが、現実はそうではない。きょうも私どものところに青森の方の振動病を打ち切られた患者さんから速達が参っております。現在もなおかつレイノー現象が頻発し、疼痛、しびれが持続している、けれども、三月末において症状固定処理をされた、主治医の方は治療が必要だと言っているという事例について来ております。こういうふうな状況が非常に数多くあるわけでございます。
 この点につきましては後ほど再度お伺いするといたしまして、症状固定の処理をされた人は症状は残っているわけでございます。そういう具体的な症状が残っている患者さん、これは今日では振動病についていえば再発基準を超えた症状が残っている患者さんまでが一定の治療年数によって症状固定ということでもって打ち切られていて、そういう患者さんに対して労災の症状固定判断をされた後それじゃどうするかといえば、アフターケア制度しか労災保険としては用意されていない。そういうふうな患者に対してアフターケア制度を適用するということでございますが、このアフターケア制度というのは医療でございますか、まずその点からお伺いしたいと思います。
#130
○野崎(和)政府委員 まず前段の点でございますけれども、私ども、労災補償は労働災害による被災者に対する補償でございますので、必要にして十分な補償を行うべきだという基本的な認識に立ちまして、症状固定と認められないものまで一定年数で打ち切るというようなことは全く考えていないつもりでございます。
 そこで、お尋ねのアフターケアが医療かという点でございますけれども、私ども、アフターケアというのは医師が行われるという意味では治療行為に当たるというふうに一般的には言えると思いますけれども、労災保険法上は療養は一たん終わったという判断に立ちまして、非常に細かい話でございますが、経費の支弁につきましては、療養補償費ではなくて労働福祉事業費から支出しているところでございます。しかしながら、医師が行い、先ほど申しましたように診療、投薬等の行為でございますので、医療と申しますか治療と申しますか、そういう医学的な行為であるというふうに認識いたしております。
#131
○五島委員 今局長は、このアフターケアについて治療であるというふうなお話をされたわけでございますが、昭和六十二年十二月十日に出されました「振動障害に係るアフターケア実施要綱について」という基準局長の通達を見てみますと、アフターケアについては、これは明らかに保健すなわちヘルスサービスの一つとして位置づけられているのでございます。ただ、その中身として、このアフターケアは「原則として症状固定後二年を限度とし、一カ月に一回ないし二回程度必要に応じて行う」というふうになっております。そして、「保健のための薬剤の支給」すなわちヘルスのための薬剤の支給として投薬を行うということになっているわけでございます。ただ問題は、このように保健すなわち健康保持のヘルスのために薬剤を支給するということで出されているものが、ニコチン酸剤、循環ホルモン剤、各種ビタミン剤、カルシウム拮抗剤、交感神経アルファ受容体抑制剤、消炎鎮痛剤といったような薬剤がヘルスの目的で投与される。これは非常にゆゆしい問題であって、こういうふうな投薬がヘルスという名目で投与してよろしいということについては、非常に大きな問題を持つているものであるというふうに考えるものでございます。
 そこで、私は厚生省にお伺いしたいわけでございますが、現実に疼痛その他の症状を数多く持ったままでそれ以上治療の効果が認められない、自覚症状その他そういう症状が消失していない、しかし治療の効果が認められないということで労災保険を打ち切られた患者さんの場合、医療に救済を求めるのは当然でございます。こうした症状固定を受けた患者さんが苦痛を逃れるために医療を受診した場合、医療保険による療養がどのようになっているか。御案内のように健康保険法においては、第一章第一条において、労災患者は業務上災害については社会保険の適用は忌避されております。国保、老人保健においてはその条項はございません。したがいまして、労災の打ち切り判断を受けた患者さんが社保を使って治療するとした場合、どのようになっているのか、厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
#132
○真野説明員 健康保険法と労災保険との適用の関係でございますが、先生今御指摘のとおり、健康保険法は、業務外の事由による傷病につきまして保険給付を行うということが法律上明記をされておりまして、業務上の事由によります傷病ということが明らかな場合に健康保険法からの給付ということは行われないわけでございます。
 ただ、労災によります業務上の事由に起因するとして給付を受けておられた方々が、その後治癒の認定を受けまして、さらになお療養を要すると
いう状況になった場合でございますが、その傷病が業務上の事由に起因するということが明確な場合は、今申し上げましたように健康保険法上の規定もこれあり、健康保険からの給付は行われないということになります。ただ、実際の問題といたしましては、そういたしますと労災の保険者から業務上という認定も受けられない、健保の保険者からは業務上外という認定も受けられないということになるわけでございますので、いわばその谷間を生ずることのないように、それぞれの労働基準監督署並びに私どもの社会保険事務所というところで十分調整を行う。それぞれ違う業務上外の認定を行う場合には、それぞれの第一線機関でそういうことの谷間が生ずることのないように、できる限り調整を行えという指導をいたしております。現場におきましてはそういう指導を十分しているというふうに承知をいたしております。
#133
○五島委員 谷間が生じるということをお認めになった上で、しかも社保においては適用はできない、他の国保、老人保健においては適用はできるという、でこぼこがある状況の中でこれの調整を行えという御指示を出しておられるというお話でございます。しかし、現実問題として労災保険の給付の中身が年々制限的になってきている。先ほども申しましたように、振動病について言えばレイノー現象がまだ頻発しているというケースまで、ある一定時間によって打ち切っていくという状況になった場合、例えば社会保険で振動障害という病名で治療の継続をお認めになることができるのかどうか、その点をお伺いしたい。現実には、主治医のところに基準監督署の職員が、病名を変えて社会保険あるいはその他の医療保険を使って療養してくれという要請があったという話まであるわけでございます。このような話がある中において、今のお話、大変重要でございますので、もう一度念を入れてお伺いしたいと思います。
#134
○野崎(和)政府委員 まず、再発の問題とアフターケアの問題でございまして、ちょっと二つは分けてお考えいただく必要があろうかと思いますので、その点を説明させていただきたいのでございますが、アフターケアと申しますのは、症状固定後に、振動障害の場合でございますとなお痛みやしびれが残っている、それが例えば冬季等に発生するというような状態に対しまして、先ほど申しました診察、投薬等を行うわけでございます。これは再発とは別でございまして、一たん症状固定とされたものが確かに再度再発する場合もございます。これが再発と認められれば、当然労災保険で再び療養を行う、療養を再開するということになるわけでございます。再発ではなくて新たな疾病だということになれば、これは健康保険の方でやっていただく、そんなふうになると考えております。
#135
○真野説明員 今局長からお答えをいただいたとおりでございまして、先ほども申し上げましたとおり、健康保険法上は業務外の事由による傷病についての保険給付でございまして、業務上の事由に起因する傷病について健康保険法が法律上明記されている条項を逸脱いたしまして給付を行うということはございません。ただ、実際の業務上の認定または業務外の認定につきましては、今申し上げました、局長から御答弁がありましたように、再発なのか違う傷病なのかということにつきまして、それぞれ第一線の機関において調整をしていただくというふうに考えております。
#136
○五島委員 私のお伺いしているのは、再発あるいは新たな疾病の問題ということではなくて、現実には、先ほども言いましたように症状そのものが全く変わっていない。変わっていないということは症状が持続していっている。主治医は治療を必要であると言っている。にもかかわらず、そこで症状固定という形でもって労災保険給付は打ち切られた。打ち切られたとした場合、その患者が苦痛を逃れるために医療に求めるのは当然でございます。その場合に、社会保険は使えるのか使えないのか、今の厚生省のお話ですと使えない。これは健康保険法に明記してあるわけでございますから、使えないのは当然であるというふうに考えるわけでございますが、そうしますと、国保や老人保健の患者さんはその場合は医療を受けることができるけれども、社保の患者は治療を受けることができない。これは、国民皆保険制度の中において医療の保険給付を求めることができない、受けることのできない一つの大きな谷間として残ってしまう。
 現実に高知の中におきましても、社会復帰をするに当たっても、社保になれば自分の治療ができないから、日雇いの国保で仕事を探さないといけないという問題が起こってきている。国保で治療できるようにいわゆる臨時で仕事を探さないと仕方がないという問題が現実にあるわけでございます。そういうふうな実態、基準局長は、それは再発の問題だというふうにおっしゃるわけでございますが、これはもう既に今までも労働省に対して申し上げてまいりましたし、御存じのはずでございますが、そういう再発という問題ではない。現実には症状固定という判断がされて、その段階で改めて他の国立病院を含めて医療機関で診察し、尺骨神経不全麻陣まで続発している。すぐに手術をしないといけないという診断書が出された。だけれども、労働省の方は、それであれば再発申請をしてくれ、打ち切ってから後わずか半月間です。再発申請をするというのはおかしいじゃないかというふうに言うと、今度はそれならもう認めない、打ち切りだというふうな形で、高知でもめているという事例がある。
 そういうふうな患者のケースを、社保はできないとしても、国保あるいは老人保健が全部抱え込んでいくのかどうか。振動病の患者なんかが非常に多い町村というのは、人口も非常に少なくて国保の財政基盤も非常に脆弱でございます。そういうところにおいて、労災が一方的に患者の症状を無視して打ち切っていっているということに対して、それを国保が全部面倒を見ていくということについても大変問題があるのではないかというふうに考えているのでございますが、そのあたりについても厚生省の御意見をお聞きしたいと思います。
#137
○大塚説明員 お尋ねの国保と労災との関係でございますけれども、先生御指摘のように国保の場合には地域保険でございますから、業務上外という観念がございません。したがいまして、両者の併給調整を行うという形で制度が仕組まれているわけでございます。したがいまして、労災の給付が打ち切られた場合には国保の給付が行われるという形になるわけでございますが、国保の給付が市町村の財政状況にいかほどの影響を及ぼしておるか、これは私ども詳細なデータを持ち合わせておりませんし、また現実問題といたしまして、市町村からそのようなお話を耳にするということは近年までございませんけれども、いずれにいたしましても私ども、国保の国庫助成の中で財政力に応じた助成ということをやっておりまして、医療費が高い、あるいは所得水準が低い、そうした観点で運営が厳しい市町村に対しましては財政調整交付金の活用等によりまして対処しているところでございます。
#138
○五島委員 この問題につきまして、現実に現行の医療制度の中において、医療給付ということについて社保の労災の症状固定を受けた患者さんについて谷間ができてしまう。この問題について、これは許されることではないというふうに思います。改めてこれは社会労働委員会、厚生省のところでもお伺いしたいと思いますが、これについて、そのそもそもの原因が、患者の症状が持続している、そういう状況の中で、すなわち医療がまだ必要であるという状況に対して労災が打ち切られるという状況の中で起こっているということを指摘しておきたいと思います。
 続きまして、先ほどお話ございましたアフターケアの問題でございますが、このアフターケア実施要綱というものを見てみますと、アフターケアの範囲として、診察、保健指導、保健のための薬剤の支給、保健のための検査というふうになっているわけでございます。保健のための診察あるい
は保健指導、保健のための検査、これらについては了解できるとしても、保健のための薬剤の支給といった場合、ビタミン剤であるとかそういうふうな極めて限られた薬剤、いわゆる一般薬と称する薬品に限られるのが通常の事例であるというふうに考えます。
 しかるに、先ほども申しましたように、振動病に限って言っても、ニコチン酸剤あるいは循環ホルモン剤、カルシウム拮抗剤、それからアルファ受容体の抑制剤、それから消炎鎮痛剤、こういうふうなものが保健のための薬剤の支給ということでもって使うということになっている。しかも、その回数が月に一回、最大限月に二回である。これは現実に厚生省が医療給付の中において認めている中身からいえば、厚生大臣が認可した薬に関しては、今回これまで十四日であったのが一月まで認められるようになった。通常は二日を限度とするということになっているわけですね、保険医療においては。ところが、ヘルスのための薬剤投与ということでもって、極めて副作用の危険性の高い消炎鎮痛剤であるとかカルシウム拮抗剤、あるいはアルファ受容体の抑制剤、そうした薬品が使われることを認めている。この点について、労働省はそういうふうにもう通達を出しているわけでございますが、厚生省の方はその点について事前に御相談があったのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。
#139
○野崎(和)政府委員 厚生省からお答えいただく前に、誤解があるといけませんので若干御説明をさせていただきたいのでございますが、アフターケアというのは、確かに予防、保健という表現も使われておりますけれども、私どもの理解しておりますその意味は、症状としては固定している、これ以上治療してもよくなる効果は期待できない、しかしながら、振動障害の場合で申しますと、しびれとか痛みとかがまだ後遺症状として残っており、季節的にそれが発生するおそれがある、そういう場合にアフターケアで対応しているわけでございまして、医師がもちろん診察し、医師が投薬を指示して行わせているものでございまして、そういう意味では、私どもは予防、保健という言葉を使っておりますけれども、医療とか治療とかそういう意味の医療なり治療というならばそれに当たるというふうに思っているところでございます。
#140
○丸山説明員 先生お尋ねの、厚生省に相談があったかどうかという点でございますが、申しわけございませんけれども、私どもあったかどうかちょっとにわかにお答えしかねるのでございますけれども、いずれにしましても、医療というのは医師の高度な専門的な知識に基づく、いわば職業的な判断で行われるものでございます。薬剤の支給につきましても患者の症状に応じて個別に行うものでございまして、それを医療という立場から当不当を論ずるということは大変困難であることは御理解願えればありがたいと思っております。
#141
○五島委員 したがって、今労働省のおっしゃっていることも厚生省のおっしゃっていることも、アフターケアというものが医療であるということなわけですよね。それを都合上、アフターケアは保健制度である、あるいは保健処置であるというふうに言っておられるだけであるということだと思うわけです。ということは、医療というものが症状固定後においても必要であるということを労働省自身が認めておられることであるだろうというふうに思うわけでございます。
 時間がございませんので、次に話を進めたいと思います。
 このような状況が起こってきている一番大きな問題は、先ほどから基準局長が痛みやしびれと非常に軽くおっしゃっておるわけでございますが、現実には痛みというのは非常に原始的な苦痛でございまして、決して他人が軽視していいものではない。さらには、現状、例えば振動病の問題について言えば、レイノー現象がまだ頻発しているという事例まで症状固定という形でもって打ち切りが進んでいっている。すなわち病状の程度によって症状固定の判断をするのでなくて、治療期間でもって打ち切りをやっていっている。こういうふうな状況が続く限りこういう矛盾はますます進んでくるわけでございます。また、基準局長は症状固定問題について、主治医の意見を尊重する、そして局医協議会の意見を云々というふうにおっしゃるわけでございますが、では現実に主治医の意見がどのように尊重されているのか。主治医の意見と局医の意見が異なった場合、本来医師同士の関係でいうならば局医と主治医の間において協議をして、その上での判断に従うというのが当然のことだと思うわけでございます。ところが、現実にはそのような処理はされていない。今後、主治医の意見と局医の見解が異なった場合、主治医と局医との間においてそのケースについての協議を保証していく、そういうお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#142
○野崎(和)政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、労災被災者に対しまして必要十分な補償を行うべきだというのが私どもの基本的な考えでございまして、振動障害者の場合でも、何年たったから当然打ち切るというようなことは全く考えておりません。ただ、医学的判断が重要でございますので、主治医の意見を尊重することを基本に、必要がある場合には局医協議会の意見を聞いて慎重に判断をさせていただいているということでございます。
 そこで、お尋ねの局医協議会と主治医との間で意見が一致しなかった場合どうするかということでございますが、まずその前提といたしまして、これは本委員会での御議論を踏まえまして、局医協議会にかける場合には直前に必ず主治医の意見をお聞きしまして、その意見を局医協議会にお出しをして局医協議会の意見を伺うということにいたしております。そして、主治医の御意見と局医協議会の御意見が異なりました場合につきましては、なかなか微妙な問題でございますけれども、私どもとしては、多少時間がかかりましても両者の意見の一致が図られますように、必要な説明を主治医の方に私どもが行ってするというような努力をいたしているところでございます。主治医の方と局医の方が直接話し合われるというのは、実際問題としていろいろ障害もあろうかと思いますが、今後とも、私ども行政の側が中に立ちまして、できるだけ意見の一致が図られた上で処理されるように最大限努力してまいりたいというふうに思っております。
#143
○五島委員 その医学上の判断に対しまして行政官が局医と主治医の間に入るということ自身が問題をおかしくしているのであって、これは当然局医と主治医との間において医学上の判断の問題として処理されるべきであるというふうに考えます。
 あわせまして、先ほど基準局長は、治療を中止して症状悪化するような場合は症状固定ではないというふうにおっしゃったわけでございますが、そうだとするならば、当然、症状固定の判断をする前に主治医のもとで治療を中断して経過観察を行う、そういう期間を新設すべきであるというふうに考えるわけでございますが、その点についてはいかがでございましょうか。
#144
○野崎(和)政府委員 問題になりますケースの場合、先生よく御承知のとおり、相当期間経過している場合がほとんどでございます。その間におきましては、いろいろな対応を主治医の方もしておられるのではないか。また、かなり時間が経過しまして、私どもとしましても症状固定の可能性があるのではないかと思いましたものにつきましても、主治医の方あるいは直接患者に私ども接触いたしまして、そういった実態を十分踏まえて症状固定の認定まで進めていく、そういう扱いをしておりまして、経過観察というのはそういう中で現実にある程度行われているのではないかというふうに考えているところでございます。
#145
○五島委員 お話が大変矛盾していると思いますね。症状固定については、治療効果が認められなくなった場合であって、治療を中止して症状が悪化するような場合は症状固定ではないと言い、そしてその判断には主治医の意見を尊重するとおっ
しゃりながら、現実に局医と主治医と、局医というのはその患者は診ておられないわけでございます。いいですか、医療の中においてその患者を診ていない医者が判断できることは、その相手の医者の判断そのものが医学的常識に照らしてどうなのかということしか言えない。患者に対する診断はできないはずでございます。したがって、そこで意見が食い違った場合に、医師同士の間において話し合いの場を保証するべきである。
 あるいは、長期間にわたって、時間によって打ち切らないと言っておりながら、本人の症状が重症であるがゆえに治療が長引いた、そのケースに対して、ではその治療を中断してその上で症状が悪化するかどうかを検討するその場を設けろということについて、それは恐らく主治医のもとでやられているだろうから。それは主治医の方でそれをやった上で症状固定であるとなれば、主治医の意見が一致するわけでございますね。ところが、主治医の意見と一致しないケースについて、そういうふうな場合に、治療を中断して経過観察をするということについてもやらない、これでは一体症状固定についての労働省のお答えになった判断というものはいかがなものだったのかというふうに思わざるを得ません。この点については、今後引き続き具体的な事例でもってお伺いしていきたいと思いますが、時間がございませんので次に進ませていただきます。
 労働安全衛生行政の問題につきまして、もう時間がございませんので一つだけお伺いしたいと思います。
 昭和六十三年四月十四日、参議院の社会労働委員会におきまして渡辺四郎議員が質問されまして、アスベスト従事者あるいはコークス炉の従事者に対しての健康管理手帳についてお尋ねしています。それに対しまして労働省の方から、専門委員会を設立してアスベスト従事者、コークス炉従事者に対しての健康管理手帳の交付について検討していくというお答えがございます。現在この問題についてどのような状況になっているか、お伺いいたしたいと思います。
#146
○草刈説明員 お答えいたします。
 ほかの物質を取り扱う作業も含めまして、職業がんに関する検討委員会等で従前より種々検討を重ねてまいりましたが、御指摘の石綿を取り扱う業務、化学用コークスを製造する業務につきましては、新たに専門家による健康管理手帳交付対象業務等検討委員会を設置いたしまして、現在、業務と健康障害の蓋然性について医学的知見の集積に努めているところでございます。
#147
○五島委員 職業性のがんの発生につきましては、草刈部長御承知のように近年非常にふえてきています。そういうふうな中で、アスベストの問題につきましても、今後ビルの解体工事が増加すると考える中におきまして短期の大量暴露という事態が想定されるわけでございまして、早急にこの問題について結論をお出しいただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 最後に、大臣にお伺いしたいと思います。
 去る四月二十日、高知の白ろう病裁判に対する高松高裁の上告審におきまして、最高裁判所は国側勝訴という判断を下したわけでございます。これは裁判の問題でございますので、裁判の判決そのものについてはこの場において云々することは差し控えますが、その中でお伺いしたいのは、この裁判の、高松高裁で下された裁判に対して原告側が控訴したそのもとになる判決文でございますが、高松高裁は一九八四年九月十九日、このような文章を判決文の中で言っています。
  産業革命以来この世の中には高速度の交通機関をはじめとして各種の機械が次々と生れそれが人間の労働を軽減し生活を便利にし生活水準の向上に役立ってきたことは紛れもない事実である反面、永年タイプライターやレジスターを打っていると頸骨腕症候群を発症させることがあるように、各種の職業病が発生することも事実であるが、こうした機械を数年にわたって使用した後に発生した重症でない職業病について直ちに企業者に債務不履行の責任があるとしたら、長期的にみれば機械文明の発達による人間生活の便利さの向上を阻み特にわが国のように各種の機械による産業の発展で生活せねばならぬ国においては国民生活の維持向上を逆行さすもので合理的であるとはいえない。
これが高松高裁の判決文でございます。
 そして、去る四月二十日の最高裁におきまして、戦後における科学技術の著しい発達に伴い、往時とは比較にならぬほど種々の形態の機械器具が開発、利用され、そのため我々の社会、経済生活を営む上で各種の利便ないし利益を享受してきたが、それによってもたらされる危険もまた否定し得ない。社会、経済の進歩発展のため必要性、有益性が認められるがあるいは危険の可能性を内包するかもしれない機械器具については、その使用を禁止するのではなく、その使用を前提として、その使用から生ずる危険、損害の発生の可能性の有無に留意し、その発生を防止するための相当の手段方法を講ずることが要請されているというべきであるが、社会通念に照らし相当と評価される措置を講じたにもかかわらずなおかつ損害の発生をみるに至った場合には、結果回避義務に欠けるものとはいえないというべきである。
これが最高裁の判決文書でございます。
 この二つの判決文書は、国民の生活にとって利便性をもたらす、そういうふうな機械や制度の仕組み、そういうふうな仕組みがいかにあったとしても、そしてその結果として労働者に障害が発生したとしても、その目的が全体にとって利益になるものなら労働者はその被害をあえて甘受すべきであるという中身であるというふうに考えられます。判決の内容についてここで云々しませんが、労働行政として見た場合に、このように弱者、労働者に犠牲をしわ寄せする、このようなことに対して労働省はどのようにお考えなのか、一言大臣の御見解を伺いたいと思います。
#148
○塚原国務大臣 新しい機械がいろいろと開発されまして、それに伴っていろいろな職業病というものが出てまいったという歴史の経緯がございます。それに対しまして、当社会労働委員会におきましてはその都度、それぞれの各党各会派の委員から問題の提起をいただきました。ただいまの振動病もそうでございますが、まだまだ先生には御不満な点がありますが、ともかくこの前の国会でいろいろな形で一歩一歩進んでいるというのもこれまた事実でございますし、一つ一つに対して労災の枠等につきましても新しい判断ができるような御指導をこの委員会の中でいただいております。そういう面におきまして、判決の内容につきましては私も全く読んでおりませんので、ちょっとどうこうということは言えませんけれども、少なくとも職業病、労働災害につきましては、労働者保護というものの大前提に立った上で、今日まで行政が当委員会の御指導をいただきまして非常に前に進んでいるということは申し上げられると思います。
#149
○五島委員 以上で質問を終わります。
#150
○畑委員長 大野由利子君。
#151
○大野(由)委員 公明党の大野由利子でございます。
 生活者の立場から、働く婦人の問題について質問をさせていただきます。
 平成元年の婦人労働白書を拝見しましたが、労働力人口に占める女性の割合が四〇%を超えた、そのように出ております。女性の労働相談の特徴とその傾向について教えていただきたいと思います。
#152
○佐藤(ギ)政府委員 都道府県の婦人少年室ではさまざまな御相談を受けているわけでございますけれども、大きく分けますと、女子労働に関する相談、勤労青少年に関する相談、婦人問題一般に関する相談など非常に多様な御相談があるわけでございます。御相談の内容といたしましては、例えば男女雇用機会均等法に関するものとして申し上げますと、単なる法の解釈に関する問い合わせから、個別の紛争事案の端緒となるようなものまでさまざまでございます。事項別に見ますと、定
年、退職、解雇に関する相談が最も多くなっているわけでございます。
#153
○大野(由)委員 昨年の流行語大賞を受けた言葉にセクシャルハラスメントという言葉がございますが、そうした問題の御相談がありましたかどうかお尋ねしたいと思います。
#154
○佐藤(ギ)政府委員 セクシャルハラスメントにつきましては、その言葉の意味する内容が受け取る方によってさまざまなのでございますけれども、私どもさまざまな御相談を受けている中では、セクシャルハラスメントに関する御相談ということでおいでになる方はごくわずかということでございます。
#155
○大野(由)委員 セクハラはマスコミで大変おもしろおかしくやゆ的にセンセーショナルに取り上げられておりますけれども、職場でのいわれない性差別をなくして男女とも働きやすい職場をどのようにつくり出すか、そういったことは大変軍要なテーマとしてまじめに取り組まなければならない問題だと思っておりますが、労働省の御見解をお尋ねしたいと思います。
#156
○佐藤(ギ)政府委員 おっしゃいますとおり、いわゆるセクシャルハラスメントというものが原因で、雇用の場で女性が十分能力を発揮し、また男性と対等な扱いを受けることの上で障害ほなるようなものがございました場合には、そうしたものの改善に精いっぱい努めてまいりたいと思います。
#157
○大野(由)委員 今大変盛んにセクシャルハラスメントが話題になっておりますが、このセクシャルハラスメントをどのようにとらえていらっしゃるか、どのように定義づけていらっしゃるか、そういうことについてお尋ねいたしたいと思います。
#158
○佐藤(ギ)政府委員 これまでのところは、おいでになった方の御相談を受けるという形で私どもやっております。それは、均等法に関するもの、ほとんどそういう形になるのでございますが、おいでになった方が、これはセクシャルハラスメントであるとお感じになった場合には、そういうお感じになったということを中心に伺わせていただき、どのように対応するか、そのケースケースで決めているということでございます。
#159
○大野(由)委員 全体の実態把握はしていらっしゃいますでしょうか。
#160
○佐藤(ギ)政府委員 先ほども申し上げましたように非常に多様なものがございます。それから、私ども現在、雇用機会均等法全般の定着ということに全力を挙げておりまして、そういう御相談の方が、セクシャルハラスメント以外のものが圧倒的に多く、しかも迅速性を求められるというものもございますので、セクシャルハラスメントにつきましては、まだ実態調査というまでには件数が積み上がっておりませんので、現在のところはおいでになったものについての対応を迅速にするということでいたしております。
#161
○大野(由)委員 このセクシャルハラスメントというのが大変な社会問題になっているということは感じていらっしゃると思うのですが、問題が問題であるだけに非常に表ざたになりづらい。昔からこういう問題は決してなかったわけではありませんが、大半が泣き寝入りという形で処理をされてまいりました。最近女性労働者がふえてきたこと、また、女性の権利に対する意識が目覚めてきたこと、職場に働くためにやってきたのであって、性的関心の対象にされるために働きに来たのではないという女性の意識が高まってきた結果、このセクハラに関する話題も高まってはきておりますが、こうした問題は昔からあったという意味で、労働環境を整備するという立場から、これほど大きな社会問題になっています問題に労働省としてはぜひ積極的に取り組んでいただきたい、そのように思っております。
 婦人政策課でセクハヲの勉強会を始められた、そのように聞いておりますけれども、これはどういう勉強会をなさったのか、その点をお聞きしたいと思います。
#162
○佐藤(ギ)政府委員 そのような勉強会は特にいたしておりません。
#163
○大野(由)委員 今まで全く関心を持ってこられなかったということであれば、これほど社会問題にもなり裁判ざたにもなり、そうした問題であるわけですから、労働省としてもっと積極的に取り組んでいただきたい、そのように思います。
 アメリカでは、十年前の一九八〇年にはもう全米規模の調査が行われております。また、同じ一九八〇年に雇用機会均等委員会がこのセクハラに対するガイドラインをもう作成をしております。日本でも、第二東京弁護士会が昨年の十月七日に行いました一日電話相談で、セクハラの被害を訴える声が全国各地から百三十八件寄せられた。男性上司による部下の女性に対する性関係の強要が半数近くを占め、拒否した女性が解雇されるなど職場を失うケースがそのうち二割以上あった、そのように報道をされております。そのほかまた、言葉による嫌がらせとか身体にさわられるなどの扱いで、毎日職場で嫌な思いをして深く心が傷ついて退職に追いやられる、退職せざるを得ない、そういう状況があります。
 こうした問題に関しまして、これは女性の人権、また労働権な侵害している問題ではないか、そのように思いますが、これに対する労働省、また法務省の見解を伺いたいと思います。
#164
○佐藤(ギ)政府委員 今お話がございましたように、性的な関係を強要してそれを拒否した者を解雇するとか、左遷といいますか、不利な取り扱いをするというようなものは大きな問題だと存じます。そのようなものに対しましては、私どもも御相談を受けました場合には直ちに対応いたしておるわけでございますし、先ほど申し上げましたように、数はわずかでございますけれども、お名前を出さないで御相談においでになれるわけでございますから、個々のケースにつきましては、私どもに来ていただいて、できる限りの対応をこれまでもいたしてまいりましたし、これからもいたしていきたいというふうに考えております。
#165
○門阪説明員 いわゆるセクシャルハラスメント問題というのは、職場における女性に対する性的な嫌がらせ、この問題を中心に論じられてきているものと理解しておりますが、法務省の人権擁護機関といたしましては、先生御指摘のような問題も含めて人権擁護上問題のあるものについては、人権相談あるいは人権侵犯事件の処理などによりまして、積極的な被害者の救済に努めてまいっておりまして、今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。
#166
○大野(由)委員 例えば職場で、セクシャルハラスメントで仕事をやめたくないけれどもやめざるを得ないというような、そういう状況に追いやられている女性や、また毎日不愉快であるという女性の救済方法としてどういう救済方法がありますか、考えられますか。その点について、具体例を挙げて教えていただきたいと思います。
#167
○佐藤(ギ)政府委員 ケース、ケースで大分内容が違っております。重いものといたしましては、例えば性的な関係を強制する、そして、そのことを拒否した場合に雇用上の不利益につながるというものもございますし、たまたま何かのお薬を飲んで、太ったねと上司に言われて非常に苦痛であると言っておいでになった方とか、さまざまなものがございます。
 そこで、私どもではまず、おいでになりましたら御本人の言い分を十分伺う。そして、それに応じて相手方の当事者といいますか、そういう方や、場合によっては人事の担当者など会社側に御連絡をして話を伺うということでございます。その結果、これは非常におかしいという場合には会社側を指導いたしまして、現実にもその結果、男性の方が持ち場を変わるとかさまざまなものもございました。それから、企業全体で、このようなことが二度と起こらないように指導されたというものもございますので、ケース・バイ・ケースで対応は異なっております。
#168
○大野(由)委員 全国的な公的機関としまして、また私的機関としましてどういうものがあるかについて教えていただきたいと思います。相談の窓口でございます。
#169
○佐藤(ギ)政府委員 先ほど法務省の方にも窓口があるようなお話でございましたが、労働省でございましたら各都道府県の婦人少年室にお越しいただければ、できる限りのことはさせていただきたいと考えております。
#170
○大野(由)委員 社内に苦情処理委員会等ができればいいということも考えられますが、ただ、こうした問題の場合は往々にして被害者である女性にとっても不利な処分になるということが考えられます。望まない、不本意な解雇であるにもかかわらず自己都合退職になってしまって、本来なら請求できる解雇予告手当を受けられない、また退職金も自己都合退職扱いで安くなってしまう。また雇用保険の受給も三カ月待期させられるとか、そういうさまざまな問題がございます。
 こうしたことで、表ざたにできない問題であるだけに、婦人少年室まで御相談に見える方は非常に勇気ある方だと思うのです。そこの相談に見えない数多くの人がいらっしゃるということで、またその辺の対応をぜひ考えていただきたいと思います。
 ILOでこのセクシャルハラスメントに対しましてどういう決議をしているか、また労働組合でどういうふうにこれに取り組もうとしているかについて、労働省はどのようにつかんでいらっしゃるかお聞きしたいと思います。
#171
○佐藤(ギ)政府委員 御指摘のように昭和六十年六月の第七十一回ILO総会におきまして「雇用における男女の均等な機会及び待遇に関する決議」というのが採択されております。その中で、「職場における性的いやがらせは、女子従業員の労働条件、雇用、昇進の展望を害するものである。したがって均等促進政策の中には、性的いやがらせを止めさせ、予防するための措置を含む必要がある。」とされております。
 それから、労働組合につきましては必ずしも私ども十分存じているわけではございませんが、連合の方で何か調査をされるやに伺っております。
#172
○大野(由)委員 国際連合の女子差別撤廃条約を日本は批准いたしましたけれども、この理念の具現化の一環として、一九八五年ナイロビで開かれました国連婦人の十年世界会議で「ナイロビ将来戦略」が採択されましたけれども、この中におきましても、「職場における性的いやがらせを防止するため適切な処置が講じられるべきである。政府は救済のための適切な措置を講ずべきであり、またこれらの権利を保障するための法的措置を強化すべきである。」このように出ております。この女子差別撤廃条約の理念を実現するための国内法として日本では男女雇用機会均等法が制定されたわけですが、この男女雇用機会均等法もまた法整備のために適当な時期に見直すということが義務づけられているわけですが、この雇用機会均等法の中にこうした問題、セクシャルハラスメントを禁止するというか、そういう項目を入れることができないかどうか、労働省の見解をお聞きしたいと思います。
#173
○佐藤(ギ)政府委員 現在、この問題につきまして国の法制上そのような対応をしている例というのは、先ほどアメリカの場合にはガイドラインをつくりまして指導しているという御指摘ございましたが、アメリカでは、均等に関する法律ができましてから十数年の間、たくさんの判例などが積み重なり、その中でこのようなガイドラインができてきたものと私は理解をいたしております。私どもの場合、それに比べますとこうした問題が出てまいりましたのがやや遅いということもありますし、均等法ができましてからもまだ日が浅く、私ども定着に全力を挙げているわけでございますが、今後、室でもさまざまなケースを積み上げていく中でこうしたことについても十分対応を検討いたしたいと考えております。
#174
○大野(由)委員 民法の七百十五条に「使用者の責任」ということが記載されておりますが、これは単なる個人の問題としてではなくて、そうした劣悪な環境をそのまま放置しておいた使用者側の責任も問われるのではないか。雇用主、企業責任の明確化みたいなものも必要だと思いますし、そうした企業に対する指導みたいなものもぜひやっていただきたいと思います。また、労組、使用者団体、公益代表によります男女雇用平等委員会みたいな、そうしたものの設置も考えられるのではないかと思いますし、この問題に関しまして、労働省としてぜひ前向きに検討を始めていただきたいと思いますが、その点について、今後の方針というか今後の取り組みについて、御決意のほどを伺いたいと思います。
#175
○佐藤(ギ)政府委員 先ほどからも申し上げているところでございますが、御相談のありました個々のケースにつきましてはできる限り迅速に対応いたしておりまして、一応それなりの改善を見ているものがほとんどなわけでございます。私どももこれから個々のケース、対応に十分に気をつけてまいりたいと思いますし、またこれまでの解決の中で、実際に企業の中でこうした問題について十分機運を醸成するように指導いたした例もございますので、ケース・バイ・ケースで適切に対処をいたしてまいりたいと考えております。
#176
○大野(由)委員 この問題に関します法整備が十分ではないのじゃないかと思っておりますが、この対応について、労働大臣のお見解も伺わせていただきたいと思います。
#177
○塚原国務大臣 ともかく非常にケースがいろいろなのがあるみたいなので、私どもとしても、まず実態を把握するのがこれはなかなか難しいと思うのですね。それででき得るならば、ただいま婦人局長御答弁いたしましたが、それぞれそういう不快な思いをされた方が勇気を出して婦人少年室の方に御相談に来ていただきたい。こちらからセクハラありませんか、ありませんかと回るというのもあれでございまして、これは非常に難しいのですけれども、ともかくまずそういうようなことで不快な思いをされた方ができるだけ積極的に私どもの方にもお話をいただいて、そういう過程の中からこれから一体どういうことができるかということを検討していくというような段階であると思います。
#178
○大野(由)委員 これほど大きな社会問題になっている問題でございますので、まず無記名のアンケート調査とか実態把握から始めて、非常に難しい問題だということは私自身もよく承知しておりますが、このまま放置することはできない問題であると思いますので、労働省として女性の労働環境を整備するという観点から、ぜひもっと積極的に前向きに取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、この件に関する質問は終わりたいと思います。
 では別の問題になりますが、パート労働のことについてお聞きをしたいと思います。
 現在、働く女性の四人に一人、労働者全体で六人に一人がパートタイム労働、そういう状況になっております。今のパートの生活が、生活費やローンの返済とか教育費とかという形で充てられているわけですけれども、パート労働もようやく非課税枠が年収百万になりましたけれども、まだまだ現実とはほど遠いものがあるのではないか。非常に劣悪な環境条件のもとで安い労働賃金で働いているわけですけれども、このパート労働に関して、昨年の十月六日、公明党の衆参の議員が当時の福島労働大臣に対して働く女性のための環境整備の充実を申し入れ、その中でパート非課税を今後さらに百二十万円へと引き上げを急ぐべきだと求めたのに対しまして、福島労働大臣は、本年は百万円を実現し、来年度は百二十万円の引き上げを財政当局に強く働きかけていきたい、そのように公明党の提案に同意をされています。すなわち、百二十万円が必要であるということをお認めになっていらっしゃるわけですが、このパート収入、財政的問題、財政の論理よりは生活を優先させるという観点から平成三年度は非課税枠を百二十万円、また次の平成四年度は百五十万円にすべきではないか、そのように思いますが、労働大臣、いかがでございましょうか。
#179
○塚原国務大臣 福島大臣の御答弁は御陳情に対する御答弁で、当然責任を持った御答弁をされたのだと思うのですが、そこまで突っ込んだお答えはなかなかここでできませんで本当に申しわけないのですが、それでも少しでも前向きにというこ
とで一生懸命答弁を考えまして、賃金の実態及び物価水準等を考慮した場合には、今後とも引き続き課税最低限について検討が加えられることが望ましいと考えている、そういう御答弁をさせていただきたいと思います。
#180
○大野(由)委員 ちょっと今よくわからなかったのですが、この非課税枠を拡大されるのかどうか、もう一回はっきりお答えしていただきたいと思います。
#181
○長野説明員 パートの課税につきましては、税制上の問題としてかつて二つに分けて問題を考えておりました。一つはパート所得者御自身がどこまで非課税かという問題と、もう一つ、パート固有の問題としまして、その非課税水準を超えるとだんな様の方の配偶者控除が途端になくなって、夫婦合わせてみると税引き後の手取りが実は逆転してしまう、働いた方が実は現金でも損になるという問題がございまして、その後者の問題につきまして配偶者特別控除というものを創設させていただいて、ある水準を超えて収入があったとしても途端に配偶者控除がなくならない、そのかわり配偶者特別控除というのがそこに入ってまいりまして、段階的にそれがなくなっていくということで逆転現象をなくす、これがパート問題と言われたものの対処の一つでございます。
 そしてもう一つ、御本人の非課税水準をどこまで考えるかということで、昨年百万円ということにさせていただきましたけれども、これによりまして、世帯で考えますとパート収入が百万円ある世帯、夫婦子二人と考えますと、課税最低限が合わせまして三百六十四万円、これはかなりの水準にまで引き上げることができたと考えております。
 現在の百万円のパート所得の非課税水準でございますが、実は税制上、パート所得という概念をつかまえて、それだけに対する特別の税制ができるというものではございません。パートで百万円働けば非課税だが、フルタイムで百万円のときには課税だとか、そういう概念はございませんので、これは一般に給与所得者に対する課税最低限、単身者の課税最低限をどうするかということで工夫せざるを得ないわけでございますけれども、昨年、百万円にさせていただいた考え方は、現在のこの百万円の内訳は、基礎控除三十五万円、給与所得控除六十五万円でございますけれども、この六十五万円は、百六十五万円までは四〇%の給与所得控除を認めますということになっておりまして、その一番下のラインいっぱいのところまで実は六十五万ということにしまして、六十六万円にしますともう給与所得控除の体系が崩れるというところまで持ってまいりましたので、これから先の問題は、給与所得者全体の課税をどうするかという形で考えていくべき問題であろうかな、また税法上もそういう仕組みでしか対応できないということでございます。
 あと水準の問題といたしましては、これを外国の水準と比較するのはこういった場合は適当かどうか存じませんけれども、例えばイギリスでありますと、家族四人でも課税最低限は百万にいっていない、例えばアメリカは合算課税でございますけれども、夫婦二人の収入が合わせて百四、五十万くらいを超えますと課税になるといったような実態でございますから、単身での収入が百万円を上回る場合には、ある程度の独立した納税者として御負担いただくのもやむを得ないのではないかと考えておる次第でございます。
#182
○大野(由)委員 現在、パートの時間給の平均は幾らになっておりますでしょうか。
#183
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者の一時間当たりの所定内給与額は六百四十二円となっております。
#184
○大野(由)委員 先ほど、非課税枠の拡大だけではなくて、配偶者控除ですか、そういった観点とか、いろいろな点で税制上は考えていらっしゃるという御答弁でございましたけれども、現実に今、最低の百万の非課税枠の中でちょっとでも枠を出ると大変税金が高くなるということで、年末、十一月、十二月になると仕事をやめているパート労働者の方がたくさんいらっしゃいます。現実に今大変な人手不足という状況の中で、この非課税枠を拡大すれば労働力不足を捕えるということで、中小企業の経営主筆からこの非課税枠をもっと拡大してもらいたい、もっと働いてもらいたいという切実な声がございます。現在の百万から百五十万に非課税枠が拡大されますと、単純な試算ですけれども、五〇%近い労働力が確保できるのではないか、そういうことが考えられますし、先ほどもおっしゃったように、一時間当たり六百四十三円という非常に大変な、劣悪な、安い、そういう中でパートは働いているわけですから、一般労働者と非常に差別を受けているわけでもございますし、この辺はもっとさらにパート減税の拡大ということにぜひ積極的に取り組んでいただきたい。また労働大臣も、これは福島労働大臣がおっしゃったからということではなくて、労働大臣としてこの仕事は人がかわっても引き継がれる要素の問題だと思っておりますので、このことは途中でほごにしないでしっかりと続けてやっていただきたい、そのように思います。
#185
○塚原国務大臣 はい。今後とも引き続き検討してまいります。
#186
○大野(由)委員 引き続いてぜひ実現をお願いしたいと思います。
 それから、パート減税だけではなくて、短時間労働者の保護法、パート労働法の早期制定、身分を保障したり福祉を向上させるための法的措置、パート労働法を公明党が提案しておりますけれども、これに対する大臣の所見を伺いたいと思います。
#187
○塚原国務大臣 労働省では一応指針をつくって指導しているので、その指針等については今婦人局長から細説明させます。
#188
○佐藤(ギ)政府委員 今大臣からも申し上げましたように、労働省では、パートトタイム労働者のための総合的な対策の一環といたしまして、労使の方々からも御意見を受けた結果、指針を労働大臣の名において告示いたしております。こうしたものを周知徹底するなど、これからもパートタイム労働者の雇用の安定、労働条件の改善のためには精いっぱい努力をいたしてまいりたいと存じます。
#189
○大野(由)委員 また、次に、質問の通告はしておりませんけれども、育児休業法についてでございますが、最近女性の職場進出が非常に目覚ましく、これからも乳幼児を抱えて働く女性が大変ふえる。現状では一たん退職すると再就職が難しい、再就職をしても不利な労働条件になる、先ほどのパートにならざるを得ない、そういう現状がございます。これから小さな子供を抱えても仕事をやり続けたいという人たちに対しての育児休業法案、野党の共同提案として提案をしておりますけれども、この育児休業法案に対して労働省、労働大臣の見解を伺わせていただきたいと思います。
#190
○佐藤(ギ)政府委員 今御指摘ありましたように、女性が働き続けられるような環境を整備する、特に家庭生活の責任と仕事の責任が両立できるようにしていくということは私どもの重大な課題でございます。そこで、育児休業制度についても普及に努めているわけでございますけれども、さらに一層普及のための努力を続けてまいりたいと考えております。
#191
○大野(由)委員 育児休業制度が現在どれぐらい普及しているかということを伺いたいと同時に、今伺ったのは、これはぜひ法案を制定したい、その法案の制定に関する御見解を伺いたいと思います。
#192
○佐藤(ギ)政府委員 法律としてすべての企業に適用するような法律にするということのためには条件整備も重要でございますので、現在普及率は二割をちょっと切っているところでございますけれども、普及率が上がっていくということはそうした方向への条件整備としては重要なことでございますので、労働省といたしましても、そうした方向に向けて制度の確立のために努力をいたしているところでございます。
#193
○大野(由)委員 では、法案の制定に関しましてはどうなんでしょうか。
#194
○塚原国務大臣 ただいま婦人局長何回か御答弁いたしましたが、ともかくまず制度をしっかり御認識をいただく。これは本当に労使、今春闘においてもテーマにしていただいたりして、またマスコミ等でも幅広く報道をいただいたりしてかなり周知徹底を図られつつあるところだと思いますが、まだ現実の問題として二割程度の普及率であるというようなこともございますので、ともかくあらゆる面をまず条件整備をしてみませんと、その後の段階に進むのはなかなか難しいかと思いますので、ともかく制度の徹底をしていくように努力をしてまいりたいと考えております。
#195
○大野(由)委員 後から追いかけるというのではなくて、労働省はもっと働く婦人のために積極的な姿勢を示していただきたい、そのように思います。
 一九八一年にILOがこの出産休暇、育児休暇について勧告を出しておりますが、どのようなものですか、お聞きしたいと思います。
#196
○佐藤(ギ)政府委員 この勧告では、父親、母親、いずれかがとれる育児休業制度を設けることが望ましいということが含まれた家庭責任を有する労働者のための勧告であると認識いたしております。
#197
○大野(由)委員 労働大臣もいろいろなところでおっしゃっていますが、ぜひこの育児休業法案の制定またパート労働法、短時間労働法の整備、こうした問題に関しましてぜひ積極的に実現をお願いしたいと思います。
 それから、もう一点お尋ねをしたいと思いますが、労災保険の遺族補償給付について質問をさせていただきたいと思います。
 この労災保険の遺族補償給付は満十八歳で打ち切られているわけです。満十八歳のお誕生日が四月二日であっても切られるわけですけれども、これをできれば十八歳の年度までというふうに拡充できないかどうか。高校卒業年度までぜひお願いをしたい、そういう要望がたくさんございます。今、高校はほとんど準義務教育化しているほどに充実しているわけでございますけれども、例えば四月二日がお誕生日の人は卒業まで、来年の三月まで非常に大変な思いをする、そういう現状でございます。こうした問題についてお尋ねをしたいと思います。
#198
○石岡政府委員 遺族補償年金を受けることができる子供につきましては、十八歳末満に限られておりますが、この理由は、一般的には十八歳末満の者は稼得能力を欠きますのでその扶養の喪失に対して補償する、そういう趣旨でございます。
 また同時に、厚生年金等他の社会保険制度が十八歳末満に限っておりますので、それとの均衡も考慮している次第でございます。このように範囲を限りますと、御指摘のような問題も含めましていろいろな問題が生じるのは確かでございますけれども、それではその範囲をどの程度まで緩めたらいいのかにつきましてはいろいろな問題がございますし、また、他の厚生年金あるいは国民年金等の公的年金とのバランスも図っていかなければいけない問題もございますので、それらの諸点をいろいろ考えながら検討してみたいと考えておる次第でございます。
#199
○大野(由)委員 労災就学援護費というのがありますが、これはすべての子供が受けられますかどうか。
#200
○石岡政府委員 労災保険制度におきましては、その制度の一環といたしまして労災就学援護費を支払っております。この費用を受けられる方は三通りございまして、一つは遺族年金の受権者と一級から三級までの障害年金の受給者自身でございます。それから第二点は、今申し上げました方々の子弟でございます。それから第三点は特にその傷病の程度が重篤であると認められる傷病年金の受給権者の子弟、この三通りでございますが、この方々が小学校、中学校、高等学校、大学等に在学し、学費等の支弁が非常に困難である、そういう場合に今申し上げました援護費が支給される次第であります。
#201
○大野(由)委員 児童福祉法に「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。」そのようにうたっております。すべての児童がひとしく保障される、そういった観点からも、先ほどの満十八歳で打ち切られるということも、法のために人があるのではなくて人のために法があるわけでございますので、そうした観点からも法の整備を、見直していただきたい。ぜひ給付期間を高校卒業までに改定する、そのように検討をしていただきたい、そのように思います。よろしくお願いします。
#202
○石岡政府委員 労災補償年金の十八歳打ち切りの問題につきましては、先ほど申し上げたようないろいろな問題があるのでございますが、そのほかにも例えば基準法あるいは児童福祉法では十八歳末満の者が年少者あるいは児童となっている等々、こういう制度もございますので、そういう制度とのバランスなども考えた上で設けられた制度だと思っております。したがいまして、先ほど言いましたように非常にいろいろ問題がございますが、検討をさせていただきたいと思います。
#203
○大野(由)委員 以上で質問を終わります。大変ありがとうございました。
#204
○畑委員長 貝沼次郎君。
#205
○貝沼委員 皆さん高尚な質問をされますから、私は余り高尚でない質問をいたします。
 これは四月一日に報道されておる新聞記事でございます。「雇用保険料十二年間払ったが 失業保険おりず 「雇用でなく利用者」」というふうな大きな見出しがございますが、この記事は当局はお読みになりましたか。
#206
○清水(傳)政府委員 承知をいたしております。
#207
○貝沼委員 読んでおられれば話は簡単でありますが、それではこの事実関係というのはどういうことですか。御説明ください。
#208
○清水(傳)政府委員 まず、身体障害者の授産施設に対します雇用保険の適用の建前のところから御説明をさせていただきたいと思うわけでございますが、雇用保険におきましては、事業主との間に雇用関係がある人を保護の対象としているということになるわけでございます。授産施設の入所者につきましては、この施設本来の性格、建前からいたしまして、身体障害者等で雇用されることが困難な人たち、それからまた生活に困窮する人たちに対しまして、就労なり技能の習得のために必要な機会及び便宜を与えてその自立を助長することを目的とする社会福祉施設であるわけでございますが、そういったことからいたしまして、施設と入所者との間には形式的な雇用関係がないということになるわけでございますし、また、今のような趣旨どおり運営がなされているならば、実質的にも雇用関係があるということにはならない、そうしたところから雇用保険の被保険者にならないものとして取り扱ってきておるところでございます。
 ただいま御指摘の件につきましては、本年の一月、身体障害者授産施設「稲城リハビリー」を退所をされた訓練生が雇用保険の被保険者として取り扱われていたというような状況でございまして、そうしたちぐはぐな形になっておりましたことにつきましては、まことに遺憾に存ずるわけでございます。
 安定所といたしましては、その方の雇用保険の被保険者資格の取り扱いにつきまして、判断を保留をいたしました。そして、実地調査を行うことといたしたわけでございます。その結果について、東京都を通じまして実地調査の報告も受けておるところでございますが、それによりますと、当該施設の作業員につきましては、施設との間に実質的な雇用関係があるというふうに判断せざるを得ないじゃないか、こういう感触を得るに至っているところでございます。したがいまして、この問題となった方につきましては、もちろん失業者として認定される等、所定の要件を満たしていかなければならないわけでございますが、そうした要件を満たしていけば、失業給付を支給をするような方向で結論を出しつつあるという状況でございます。
#209
○貝沼委員 これは新しい事例なのですね。ただいま説明がありましたように、授産施設、これは雇用関係ではない、原則的にそうですね。ところ
が、事実関係から判断をすると、雇用関係あるとせざるを得ない感触を得た。つまり、ある意味において雇用が認められた、結果的に。いい悪いは別として、結果的に認められた。ということは、新しい条件になるわけでございます。
 そういう判断、私は結構だと思いますよ。それは大変結構だと思います。あれだけ身体障害者でありながら、せめてもそこで仕事を覚えながら働き、そしてそこから幾らかのお金をいただいて、それから生活をしておるわけでございますから、その方が、しかもこれは雇用保険は十二年間掛けてきておるということは、掛けることを既に労働基準局は認めてきたわけでありますから、これはそれでいいと私は思うのですけれども、しかし、これからまたこれに似たようなもの、これは恐らく世界で一件ということはないと思いますね。そういう場合もそういう取り扱いに当然なるのでしょうね。このことは確認をしておきたいと思います。
#210
○清水(傳)政府委員 本件につきましては、今申し上げましたような経緯によりまして、そういう方向に判断していかざるを得ないのではないか、こういう感触を得ているところでございますが、ただ、そうした状況というのは、こうした授産施設本来の趣旨から見ますれば問題なしとはしない、こういうふうにも考えられるわけでございまして、授産施設という社会福祉施設として、この運営につきましては、厚生省の方の御所管になっておられるところでございますけれども、その作業のあり方、運営面につきましては、そうした本来の趣旨に照らした指導監督の徹底がなされることを要請もいたしておりますし、期待もいたしておるわけでございます。
 基本的に授産施設自身の運営の本来のあり方というものが、やはりいろいろな工賃の分配の仕方とか、あるいはその訓練生に対する管理の仕方、いわゆる労使関係、労働関係、使用従属関係というふうな言葉がございますけれども、そうしたものでないような形で本来の建前としてはあるわけでございまして、そうした条件が本来の運営の趣旨に沿って行われておられればそういう形になるわけでございまして、そういう建前のものにはやはり労働保険そのものの適用というのはないものと基本的には解されるわけでございます。したがいまして、一面においてそういう本来の運営が行われるようなことを期待いたしますと同時に、そういうふうな運営が行われている場合には労働保険の適用はない、このように解せざるを得ないわけでございますので、その点につきましては御理解をちょうだいをいたしたい、このように存じます。
#211
○貝沼委員 本来の運営を期待したい、これはわかります。わかりますが、そのために余り圧力めいた指導などしないように要望しておきます。
 というのは、実態かこうであるということは、その実態の方が正しいのであって、いろいろな、例えば制度がありますけれども、それだけではいかない部分がこういう実態としてあらわれてきているわけですね。したがって、実態というものは、私はそれをきちんと見なければならない、こう思いますので、変な圧力をかけていかないようにお願いをしたいと思います。
 それから、やはりこういう事件があるということはそれなりの理由があって起こっております。したがって、これは雇用関係もない、したがって、労災とかあるいは雇用保険その他が適用にならないわけですけれども、かといって、こういう身体障害者の方々がその働く場、仕事を習いながら働くわけですけれども、そういう場というものが非常に行きにくくなるようなことになってもこれまたおかしなことになるわけでございます。したがって、こういう実態がある以上、やはりこれに対する一つの対策といいますか、方策といいますか、そういうものを積極的に考えていく、それに取り組んでいく、そして安心して働けるようにしていくというのが労働省としてとらなければならない姿勢ではないかと私は考えるわけでありますが、いかがですか。
#212
○清水(傳)政府委員 一般的に障害をお持ちになる方の場合に、例えばそうした授産施設にお入りになりますれば、長年お互いの、障害者の方々、周囲にたくさんおいでになる、そうしたところでの訓練を受けるなり就労なりというものが比較的居心地のいい形で行われる、そういう実態があるかとは思うわけでございます。やはり基本的には自立ということをお願いをしていかなければならないわけでございますし、そのためにも雇用を中心とした自立へ向けての努力というのが私どもの基本的な姿勢として大きな努力を払っていかなければならないわけでございます。いわゆる国連障害者の十年というのもあと終わりを迎えるまでにそんなにもう年月があるわけではございません。障害者の方々の働く場の拡大ということを、ことしの初め特に通達を全国に出しまして、社会情勢の変化に見合った助成措置の中身をさらに充実するとか、あるいは重度の障害者を多数雇用する、そういう事業所をさらにもっとふやしていくとか、そのための助成措置を拡充するとか、そうしたことを含めまして、ただいま御指摘のようなこうした事態が結果的にも起こらないように、本来の雇用の場の拡大ということに向けて努力をいたしてまいりたいと存じます。
#213
○貝沼委員 こういう点、ほかにもまだあると思いますけれども、またこれを挙げますと時間が足りませんので、以上で終わりたいと思いますが、くれぐれも、これは一つの問題提起でありますから、こういう実態があるので、それに対して積極的に方策、検討を進めていただきたい、このことをお願いいたしまして質問を終わります。
#214
○畑委員長 児玉健次君。
#215
○児玉委員 現在、看護婦さんの深刻な長時間、過密労働は、慢性的な看護婦不足とあわせて大きな社会問題になっています。各地の医療労働組合が展開している看護婦の過酷な労働条件の改善、看護婦の大幅な増員を求める取り組みは広い国民の支持を得ていると私は思います。塚原労働大臣は先日の所信表明で、労働時間の短縮と勤労者福祉対策、それとともに、働く女性のための対策、その能力と経験を生かして働けるよう、女性の働きやすい環境づくりを進めることなどを強調されました。
 看護婦さんの労働条件の改善、このことについて大臣の抱負をまず簡潔に伺いたいと思います。
#216
○塚原国務大臣 ともかく、私ども病気になりましたときに一番の健康回復は看護婦さんの温かい一つ一つの配慮ということであります。これも非常に特殊なお仕事でございまして、また経験を要するお仕事でございますので、私の所信表明の趣旨どおりの展開が、果たして看護婦さんという極めて重要なお仕事に対してできるかどうか、ちょっと今不安を覚えております。
 あと具体的な事例につきましては婦人局長等から御答弁させたいと思います。
#217
○児玉委員 私は、この間都市部を中心に幾つかの病院の実態を見せていただきました。そこで、まず指摘したいのは、労働基準法における時間外及び休日の労働に関する書面の協定、いわゆる三六協定、これが、訪れたほとんどの病院で存在しないか、または既に有効期限を経過してしまっている、これは明らかな違法の状態だと思うのですね。この状態を放置することはできない、速やかに是正すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#218
○野崎(和)政府委員 先生御承知のとおり、時間外労働を行います場合には、過半数の労働者を代表する労働組合ないし労働者代表と協定を結びまして、その範囲内で行わなければならないということになっております。また、女子につきましては、労働基準法でその場合でも時間外労働の上限が定められておりまして、これらは労働条件の基本的な部分でございますので、御指摘のように、お訪ねの病院のどこにもないというのは、ちょっと私どもには信じがたいことでございますが、そのような事態がございましたならば非常に重大な事態でございますので、できるだけ是正させたいというふうに思います。
#219
○児玉委員 誤解があると困りますので、全然なかったというのでなく、ほとんどなかったというふうに申し上げております。
 今のこととも関連するんですが、労働基準法の三十三条、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合、行政官庁の許可を得て労働時間の延長、休日に労働をさせることができる、こういった趣旨のことがあります。そして、事態急迫の場合は事後に遅滞なく届け出なければならない、こうありますが、全国で病院、診療所等から労基法三十三条で言うところの許可の申請、事後における届け出、これが何件出ているか、お尋ねしたいと思います。
#220
○椎谷説明員 全国の病院全体の数字というのはなかなかつかみようかないわけでございますが、私どもの監督機関でつかんでおります労基法三十三条に基づく許可それから事後届けの最近の件数を申し上げますと、全体で許可件数が二十二件、それから事後の届け出は三万三千九十件、これは昭和六十三年の数字でございます。
#221
○児玉委員 私が聞いているのは、その中で病院等医療関係機関からはどれだけ出ているか、地域的なものでいいですからお答えいただきたいと思います。
#222
○椎谷説明員 地域的なものでよろしいということでございますので、たまたま私どもで持っております北海道の旭川署の分でございますが、平成元年度、平成元年の四月一日からことしの三月三十一日までの分でございますが、届け出が百二十八件ございます。
#223
○児玉委員 労働省は、この労基法三十三条で言う「災害その他避けることのできない事由」、このことについて、昭和二十二年九月に出された解釈例規で、「単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと。」と明確に示されておりました。そして、労働省の労基法についてのコメンタールの中では、「たとえ避けることのできない事由による場合であっても、それが恒常的なものである場合は、」三十三条の適用はない、こういうふうに述べられています。今も変わりありませんね。
#224
○椎谷説明員 変わりございません。
#225
○児玉委員 そこで、この点は労働省の抜本的な改善の指導をお願いしたいんですが、多くの病院では、事前における許可の申請、そして事態急迫の場合の事後における届け出、それらが残念ながら余り院長や事務長の脳裏にはない、これらは大体病院の都合によって進めていけばいいんだ、どうもこういう意識が強い。それは、先ほどの旭川労働基準監督署で事前の許可申請件数がゼロ、事後における届け出が百二十六、事後はまあ幾らか出ておりますけれども、事前が全く出てない。労働省自身は、たとえそれが臨時のものであっても恒常的であったらだめだと言っているんですから、事前に出てこなければチェックのしょうがない。この点で事前に監督官庁に対して許可を申し出るような指導の強化を行うべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
#226
○椎谷説明員 御指摘の点は、恐らく本来三十三条に該当しないものを持ってきてそれでいわば時間外労働をやっている、こういうことではないかと思います。したがいまして、私どもとして本当の意味で三十三条の事前届け出が必要であるということであれば、それはそのようにいたしますが、そうでなくて、三十三条という形ではありますけれども実際には時間外労働をさせているということであれば、むしろそちらの三十六条に基づく労使協定をちゃんと結んでそれで時間外労働をさせるということで指導をしていきたいというふうに思っております。
#227
○児玉委員 簡単に言いたいのですが、要するに昭和二十二年九月の解釈例現で言う「単なる業務の繁忙その他」「経営上の必要は認めない」、これははっきりしていますね。それから、避けることのできない事由による場合、皆さんの解釈例現の中では、人命の場合というのがあります。急な手術のとき、もう帰るというような病院はどこにもありません。そのことは明確にしておくことができる。三十三条に藉口してほとんど自由裁量的に時間外労働が行われている、この事態の是正が必要だと思うのですよ。その点どうなさるか、重ねて聞きます。
#228
○椎谷説明員 先ほど労働基準局長からもお答え申し上げましたとおり、実態的には、例えば救急医療あるいは救命医療、そういう関係で三十三条の適用をやりたいというのがある場合であっても、それが常態としてある場合には当然三十三条に基づく許可は与えられないということでございますので、常態としてそういうものがあるということが予想される場合には三十六条に基づく時間外労働でやっていただくということになるだろうと思います。
#229
○児玉委員 看護婦の交代制動務のことですが、これも労働省は、内部通達を含めて、本来交代制動務というのは、いわゆる時間外労働を予想していない、時間外労働が恒常的な場合は、それは好ましくなく、そして合理的でない、こういうふうな趣旨の指導をなさっております。
 先日私が伺った病院で、ある病棟で準夜と深夜の引き継ぎの仕事がありました。本来零時から始まる申し送りが少しおくれて始まりまして、そして非常に精力的に熱心になさっていたけれども、申し送りの時間を明らかに全体で超過しておりました。別の日のケースで詳細な記録があるのですが、零時に始まる申し送りが始まったのが零時七分、これは昼の正午という意味でなくて午前零時という意味です。申し送りをやっている最中、零時四十五分に患者の緊急措置のために、これは六十床で二人勤務です。四人で勤めていらっしゃるのだけれども、準夜と深夜の四人のナースが一致協力して患者の緊急事態に対して当たられる、措置をなさる。申し送りが再開されたのが零時五十五分です。本来申し送りは零時三十分に終わってなければいけないのだけれども、再開されたのは零時五十五分。その後も幾つかのことがあり、ドクターコールもあり、この日についていえば結局申し送りが終わったのははるか時間を経過して、準夜の一人の看護婦さんが記録を終了したのが午前二時五十二分、そしてその看護婦さんがお帰りになったのが午前三時三十分、こういう事態があります。
 そこで私はお聞きをしたいのですが、三交代制勤務で恒常的に時間外労働が付随する場合、この際は要員増によってそれを解消するという指導が今最も急がれるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#230
○椎谷説明員 御指摘のとおり、病院の看護婦さんにつきましては二十四時間勤務ということがしばしば行われている。それは救急医療の必要性ですとかあるいは人手不足等、困難な問題がある中で行われているのだろうと思いますが、確かに御指摘の看護婦の増員ということも重要な課題であるとは思っております。他方、病院側でも、今一般的には世の中、人手不足と言われている中で、看護婦の確保ということを図るために、労働時間を中心に労働条件の改善向上に努めているという動きも見られるところでございます。私どもとしては、看護婦の労働時間の短縮というのは雷要な課題だということで、特に病院関係等の団体の自主的な取り組みというのを促進するための指導援助に努めているところでございまして、こういう中で、病院も魅力ある職場として十分な看護婦の確保ができるようにということで努力をしているところでございます。
#231
○児玉委員 労使の話し合いが大いに必要です。同時に、それに対して労働省としてのイニシアチブというのが今は非常に求められている、こう思うのですね。
 北海道の労働基準監督局に参りましたら、労働省の婦人局がお出しになっている「レベルアップ!あなたの職場の均等度 職場で女子雇用管理の自主点検を」というわかりやすいパンフレットがありまして、そして署長さんから大変懇篤な御説明を受けました。その中に、先ほど労基局長からもお話がありましたが、非工業的事業における十八歳以上の女子についての時間外労働は二週十
二時間、それが上限である。年間についていえば百五十時間、二つの上限が設けられております。
 先ほど私が紹介した病院、先日伺った病院についていえば、一月の超過勤務は、ある病棟について最高の看護婦さんが一カ月で三十五時間です。その病棟の平均の時間外労働は二十四・九時間です。最高の方は四十五時間です。どう見ても二週間で十二時間というのは超過しています。それから二月が、同じ病院で最高の方が四十五時間、平均で三十・七時間ですから、二週十二時間も上回り、年間百五十時間も上回る、両方上回っている。こういう場合にどういう具体的な指導を考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
#232
○野崎(和)政府委員 御指摘の事例の時間数を女子の時間外労働の上限に当てはめてみますと、法違反の可能性が強いというふうには思います。ただ、この十二時間とか百五十時間というのは一日八時間を超えた時間でございますので、一概にそういった意味で違反と断定できるかどうか。さらに、先ほどもお話のございましたように労働基準法三十三条に基づく時間が加算されているかもしれない。そういうことがございますので一概に違反と決めつけるわけにはまいらないと思いますが、相当に長く法の上限すれすれのところにあるかと思います。そういったことが全国的実態であるという御指摘でございますので、そういったことを念頭に置きまして監督指導に努めてまいりたいというふうに思います。
#233
○児玉委員 次に、いわゆる看護婦さんの複数による夜勤月八日以内という課題ですが、医労運が一昨年十月に実施なさった全国調査では、夜勤八日以内が三七・二%。先日の社会労働委員会で厚生省が明らかになさったのですが、厚生省が昨年六月に行った調査では、一般病院における八日以内の夜勤は四六・三%、こういう数字が出ております。人事院が全医労の行政措置要求に対して、平均月八日以下とすることを目標とする、そのように判定したのが昭和四十年五月ですから、まさに遅々たる状況である。ここのところを今非常に力を入れて指導すべきでないか、こう思いますが、いかがですか。
#234
○野崎(和)政府委員 労働基準法では夜勤の回数そのものは規制されていないわけでございますけれども、御指摘のとおり八回というのは、人事院あるいは厚生省等が、看護婦業務に熟知しておられるそういった機関で適当とされた数だと思いますので、私どももその範囲内におさまるように可能な限り指導してまいりたいと思います。
#235
○児玉委員 この点は私ぜひ塚原大臣にお伺いしたいのですが、人事院判定も確かに重要なものです。昭和四十四年六月十日、参議院の社会労働委員会が委員会の決議をやっています。そこで、この決議は全会派一致のものですが、趣旨説明において提案者はこのように言っています。「現状のこの無制限的な夜勤を法律、規則によって一定の規制を行なうことがあわせて必要であるということ、」「当面的には、昭和四十年五月に看護婦夜勤の制限のために出されましたこの人事院の判定、すなわち夜勤の月八日実現、一人夜勤の計画的な解消、産後夜勤の免除、あるいはまた休憩時間を明示する等の緊急な実現、労働条件の改善のために、政府にこの実行の努力を強く要望いたしたい」そして、この委員会の決議の三項目目として「看護職員の夜勤についての昭和四十年五月二十四日の「人事院判定」の速かな実行をはかること。」ということが委員会で決議されました。そして政府は、斎藤国務大臣でしたが、「この問題は、まことに緊急にして大事な問題だと考えておりますので、この決議の御趣旨を最大限度に実現をいたすよう努力をいたしたいと、かように存じます。」
 先ほど大臣は、決意はある、しかし、それがどのように進んでいくかということでちょっと不安を感じるとおっしゃいましたが、そのような弱気なことでなく、国会自身が明確にこういう意思表示をしておるわけですから、大臣としてこの際思い切った必要な措置を講じていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#236
○塚原国務大臣 今議論をずっと伺っておりまして、八日というのは非常に妥当な線だと私も思います。ただ、法律上の権限というのが何かないようなので、労働大臣としてどこまでのことができるかちょっとわかりませんが、そのほかの御指摘も含めまして、一つ一つについて精いっぱい勉強させていただきたいと思います。
#237
○児玉委員 終わります。
#238
○畑委員長 柳田稔君。
#239
○柳田委員 民社党の柳田でございます。きょう朝、党大会に出席しておりまして欠席いたしまして申しわけございませんでした。
 最初に、労働時間短縮についてお伺いをしたいというふうに思います。
 先日発表されました「国民生活指標」、経企庁のものでございますけれども、これを見ておりまして、「勤労生活」という項目があるわけですが、そこの総合化指数を見ておりまして上昇の一途ということで、多分これは労働省さんが頑張ったおかげじゃないかなというふうには思います。これからも一生懸命頑張っていただきたいというふうに思うわけですけれども、ただ、今の日本、私たち働く者を見ておりまして、欧米の主要国と比較して勤労者のゆとりといいますか、ちょっと劣っているんじゃないかなという気がするわけなんです。これから労働時間も短縮に向かいますし、勤労者のゆとり、これから徐々にふえていくものだというふうに思っているわけなんですけれども、今後の労働政策の中でもこの勤労者のゆとりというものをどのようにして確保していくかということは重要な点になるのではないかというふうに私は考えております。
 そこで、最初にお尋ねしたいのですが、この勤労者のゆとりは大分不足していると私思うのですけれども、現状を大臣どのように考えているかお尋ねしたいのです。よろしくお願いします。
#240
○塚原国務大臣 ただいま欧米諸国との比較もございましたが、年間二百時間から五百時間ぐらい日本の国は長いということになっておりまして、ともかく労働時間をできるだけ短縮するというのは、労使、それから私ども行政も含めた大変大きな課題であるというふうに考えております。
 国も経済計画の中で何とか千八百時間程度に年間したい、じゃそのためにはどうすればいいのだということになると、まず週休二日だ、それから有給休暇を二十日間消化してもらわぬといかぬ、それから残業は百五十時間にしてもらわぬといかぬということで、大体千八百時間程度になるということなんですが、これは現実問題としてはなかなか難しい問題がまだございますし、きょう午前中の議論の中でもございましたが、特に中小企業等の経営基盤等も考えましたときに、一つの大きなネックになると思います。ただ、そういうことに細心の配慮をしながら、できるだけ目標に向かって近づいていくように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#241
○柳田委員 そこで、これはお願いになるかと思うのですけれども、今地方議会の方でもゆとり宣言というものを決議されたり採択されてきておるわけなんですけれども、政府としてこのゆとり宣言を発表していただいて、国民にゆとりある生活を保障しますということを宣言するおつもりはないでしょうか。
#242
○塚原国務大臣 まず、地方議会でゆとり宣言決議が行われているというふうに伺っておりますが、これは労働時間短縮に関して国民の間にコンセンサスを形成するということで、大変に歓迎すべきことだというふうに考えております。
 労働省は平成二年からゆとり創造宣言都市奨励事業というものを実施いたしまして、地域における労働時間短縮の機運の一層の醸成にこれから平成二年度努めてまいるわけですけれども、昨年の一月に、労使のトップを初めといたしまして、各界の活躍をされる有識者から成ります労働時間短縮政策会議というものが、十五項目にわたる労働時間短縮に関する提言をしていただきました。これはいわば労働省のゆとり宣言のようなものだと考えておりますが、この提言の周知をこれからも徹底してまいりたいと思います。
#243
○柳田委員 先ほど大臣、千八百時間、平成四年度全力を尽くすというふうにおっしゃっていただ
きまして、今の経済事情また労働条件を見ておりますと非常に難しいような気もするわけなんですが、先ほどの御決意なんで、ぜひとも実現をしていただきたいというふうに思うわけです。
 そういうことで、千八百時間になるとしますと、週休二日、さらに有給休暇の完全消化ということになりますと、働く人たちが自由な時間を今以上に持つわけですね。三百情間ぐらいになりますか、それぐらいの時間を持つということになりますと、この自由時間の活用策についてこれからもまたいろいろな問題が出てくるのではないかな。そういう中で労働省として計画的に取り組んでいくというふうなことがあればお聞かせ願いたいと思うのです。
#244
○岡部政府委員 お答えいたします。
 ゆとりある豊かな勤労者生活実現ということのために自由時間の活用が不可欠でございます。現状は、先生御指摘のとおり、自由時間そのものが少ないことに加えまして、その活用のための例えば費用が高いとかあるいは環境整備がおくれているとか、いろいろな問題がございます。従来から労働省におきましては、勤労者の自由時間の活用に資するための各種福祉施設の整備を進めてまいってきておりまして、相当数にも上っているわけでございますが、そういうような施策、さらにまた勤労者の自由時間活用促進を目的とする各種の催し、例えば全国勤労者ふるさと交流会を各地で開催する、あるいはまたリフレッシュ休暇制度の普及促進等の勤労者のリフレッシュ対策、心身ともにオーバーホールしていただくというふうなことを進めてきたわけでございますが、平成二年度におきまして、さらにこれらに加えまして、例えば大企業の企業内施設、これを一般に開放していただく、特にこれは中小零細企業の勤労者に御利用いただくというふうな施設の開放に関する検討をすることといたしております。それからまた、大企業のみならず中小企業を対象とするリフレッシュ休暇モデル事業を実施いたしまして、中小企業労働者の自由時間の活用にさらに資してまいりたい、このように考えております。
#245
○柳田委員 次に、女性の就業対策についてお尋ねしたいと思うのです。
 先ほどもお話がありました育児休業制度、育児休業奨励金ですか、非常にまだ使われていないというふうなお話もあったわけですけれども、これから労働力が不足していくと女性の力もこれから大いにお願いをしたいというふうなことを考えますと、条件整備が非常に必要になってくる。そこでいろいろなことがなされていると思うのですけれども、先日出されました雇用政策研究会の報告の中に、「育児休業制度の確立に向けた総合的な対策を検討すべきである。」というふうに書いてございまして、そのための一つとして育児休業奨励金があるかというふうに思うわけですが、非常に支給実績が低い。
 もう一つ、女子の再雇用制度の普及のための女子再雇用促進給付金、これも非常に支給実績が低いというふうなことなんですけれども、なぜ低いのか、どのように考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
#246
○佐藤(ギ)政府委員 育児休業制度の普及を図るために、先ほど御指摘ございましたように、さまざまな奨励措置をいたしているわけでございますが、昭和五十年度から一定の条件を満たしました育児休業制度を実施することになりました企業に対しましては奨励金の支給を行ってきたわけでございますが、六十年度と六十三年度にさらに奨励金の充実を図っているわけでございます。その利用も徐々には増加をいたしているわけでございますけれども、まだまだ私どもが期待しているほどにはふえていないというところは、率直に申し上げて先生御指摘のとおりでございます。
 奨励金制度につきましては、育児休業制度に関するものにつきましては育児休業制度の普及促進月間、これはキャンペーンのための期間でございますけれども、こうしたものを初めといたしまして業種別の使用者会議あるいはシンポジウムなど、さまざまな工夫を凝らしておりまして、これからもさらに一層普及には努めてまいりたいと考えております。
 それから女子再雇用制度につきましても奨励措置をいたしておりまして、これも消化が期待よりはかなり低いわけでございますが、この再雇用制度に対する奨励金といいますのは、支給されます時点が、この制度をつくりました結果、やめていった女性が子供が三歳とか五歳とか、場合によっては十歳ぐらいになって戻ってまいりましたときに初めて支給されるというシステムになっておりますために、この制度は創立してまだ日が浅く、均等法ができましたときにつくられましたものでございますが、そういう意味で利用できる女性がまだ十分には戻ってきておらないわけで、制度はそれよりはやや多く普及しているかと思いますけれども、いずれにいたしましても、まだまだ私どもが期しているところまではいっておりませんので、御指摘も十分に踏まえて今後努力をいたしてまいりたいと考えております。
#247
○柳田委員 努力をお願いしたいというふうに思います。
 次に、外国人労働者対策についてお尋ねしたいというふうに思います。
 昨年、平成元年は不法就労外国人の摘発件数は一万六千六百八人というふうになっておりまして、ここ数年大分ふえてきているわけでございます。それで、不法就労の実態はどれくらいあるのか、想像しかできないわけなんですけれども、この摘発件数の数倍はあるだろうというふうな気がいたしております。またあっせん業者、この業者に関係しても派遣法に違反をしている人が大分いらっしゃるのじゃないかな。こういうことから、日本にいらっしゃいまして働いて自分の国に帰る外国人のほとんどと言っていいか九割以上と言っていいか、日本という国は嫌な国だ、反日感情といいますか反日意識を持って帰っている人が大分多いのではないかな。理由はいろいろあるかと思うのですけれども、一応日本にも法律がございます。これが守られているかどうかというと非常に大きな疑問点がつくのですけれども、やはり現在は一刻も早く秩序ある受け入れ体制を確立していくのが先決ではないかなという気がいたしております。
 そこで、外国人の就労実態、これをまず調査しなければ話が前に進まないというふうに思うのですけれども、どのようにこれから調査されるか、お聞きしたいと思います。
#248
○清水(傳)政府委員 外国人労働者の不法就労、不法就業の実態の調査につきましては、これは非常に技術的な問題からくる制約が多うございます。雇用している事業主自身もこれはどうしたって表へ出したがらないし、それから就労している外国人の人たちにつきましても、あるいは短期滞在というふうな形をとられるような、そういう何とか隠そうというふうな形をされるということによりまして、調査という方法で全体を把握するということは非常に難しいところでございます。
 ただしかし、こういうふうな形で事態が進んでおる中でやはり的確な政策対応を図っていくためには、できる限り実態把握が不可欠であるということは、これはもう申すまでもないと考えておるわけでございまして、全体の調査ということは、そうしたことでより難しい、困難な面があるわけでございますが、私ども出先の第一線機関を通じましての情報収集、実態把握、あるいは事業主団体を通じての情報収集、そうしたことに努めておりますし、また労働基準監督機関におきまして、いわゆる調査的監督を実施する等の形での実態把握に努めておるわけでございますが、いずれにいたしましても、さまざまな方法を工夫しながら可能な限り実態把握に努めてまいりたい、このように考えております。
#249
○柳田委員 難しいとおっしゃるのはわからないでもないのですが。
 そこで、あっせん業者が大分違反をしているのじゃないかなという気がするのですが、派遣法を守らせるという取り組みについては強化ができるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
#250
○清水(傳)政府委員 不法就労の実態といたしまして、御指摘のようにいわゆるブローカー的な、中に入るふうな形を通じての就労という事態が多いわけでございます。そうしたことでよく問題になるのが、具体的な形態としては派遣法違反、こういうふうな形で浮かび上がってくることはくるわけでございますが、これは派遣法本来の趣旨を徹底して派遣法を適正な形で運用するということとはまたちょっと趣を異にする、そうした形で不法就労の実態があらわれておるということでございまして、基本はやはり雇用をされる事業主の人たちにこの外国人労働者問題について十分な基本的な理解をいただき、協力をしていただく、そういうことを通じて不法就労の是正ということにやっていかなければならないわけでございます。
 私どもといたしまして、具体的な取り組みの方策といたしましては、一つはそういう事業主、事業主団体を通じまして具体的なキャンペーン旬間を設定し、法務省と共同してそういう形を進めてまいります。それからまたもう一つは、ただいま御指摘もございましたように、不法就労とはいえども保護に欠けるというふうなことになってはやはりぐあいが悪い。そうした面は、それはそれとして、労働者保護というふうな観点からの取り組みをやっていかなければならない。そういう面の窓口における充実。それからまた、適正な形で就労されるそうした外国人労働者の方々もおいでになるわけでございますので、やはりそうした形の接し方、いろいろな問題などにつきまして、マニュアルを私どもの第一線機関で作成をいたしまして、そういうものをベースにしてお世話をしていく、そういう形で取り組んでおるところでございます。
#251
○柳田委員 これからこの外国人労働者問題はいろいろな問題が出てくるのではないかなというふうに思いますので、後追いではなくて、やはり今から徐々にいろいろな面で進めていく問題だと思いますので、対応をよろしくお願いしたいというふうに思います。
 ちょうど時間がなくなりましたので、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
#252
○畑委員長 岡崎宏美君。
#253
○岡崎(宏)委員 岡崎です。労働大臣の所信表明、それから労働省の重点的な施策をお伺いをして、女性が働く、女性の労働力の活用ということが大きな柱になっております。私自身も子育てをしながら働いてきた、そういう立場からきょうはお伺いをしたいと思っております。
 ことしの婦人週間のスローガンが「フレキシブルに女と男の当然(あたりまえ)」ということでした。私はこのスローガンを前向きに考えていきたい。どんな人たちにとっても具体的なものとして生きていくようにしていただきたいと実は思っております。そこで、大臣から、女性が働くということについて、その進めていく上でのリーダーたる大臣としての御意見からお伺いをしたいと思っております。いかがでしょうか。
#254
○塚原国務大臣 女性が職場に進出をされるということはもう大変にすばらしいことでございまして、特に、まず一つ、女性でなければできない一つ一つの仕事、能力、また女性の発想というものの重要性というものがあるわけでございますし、そういった面で男女雇用機会均等法は、本来の女性の働く場でのすばらしさというものが大変に、今までその認識がなかったというわけではないのでしょうけれども、一つ一つの面で具体的な重要性というものが認識をされたという面で非常にこの法律の効果は大きかったと思います。
 ただ、そのことによって今まで以上に女性が職場で必要とされるようになってきたわけでございまして、ただ女性の場合は、きょういろいろ議論にもなりましたが、お子様を産まなければ、産まなければいけないということはないのですけれども、やはりお産みになるという一つの、どうしても男性とは違ったところがあるわけでございますので、その部分はしっかりとした問題の解決をしていきませんと、より効果的にお働きいただく状況ができないというようなことにもつながると思います。
 そういう面で、育児休業制度の確立とか再雇用の問題というのは非常に重要な問題であると思います。きょう午後からも大野委員を初めとして皆様方から御指摘をいただいたわけでございますが、大切なものであればあるほど、よりしっかりとした制度の定着をして、皆様方に御理解をいただく努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
#255
○岡崎(宏)委員 積極的な御意見をちょうだいをいたしましたので、具体的に進めていただきたいと思いますが、男性が働くということはもう当たり前のこととしてある反面、女性は数の上では随分ふえてきましたけれども、やはり働くということはまだどうしても不安定な中に置かれております。
 今お話の中にちょっと出てきましたけれども、出生率が低下をしているということは、これは厚生省の側で逆に今度は今問題にもなっているし、将来の労働力の人口が低下をするという不安もあるということでまた問題にもなっております。そういうことも含めた上で女性の労働力を活用をするということは、一方では女性が働きやすい環境をつくるということとこれはもう裏表で進めなければならないと思うのです。
 先ほどから育児休業の問題も出ておりまして、育児休業を普及促進をするということは柱です。その上で、野党の方からも育児休業について一つの案が出ておりますが、一方で女性の側からの大きな意見として、男も女もという立場から育児休業、出産は女性しかできませんけれども、それ以外の部分については家庭の責任も男女ともにということは今一つの流れであり柱でありますが、育児休業を男女ともに適用をさせていくということについていかがお考えでしょうか。大臣からお願いをいたします。
#256
○塚原国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
 ただ、委員冒頭にお触れになりましたように、日本の国、いろいろな慣習等がございましたものですから、おっしゃるとおりのことであるのですが、それをより皆様に御理解、納得をいただいて制度化していくということ、これは納得なしでやって不満を持つ人が出てきたりするとまた制度自体がおかしくなってもいけませんので、より御理解をいただくような努力をしていきたいと思っております。
#257
○岡崎(宏)委員 今大変前向きなお答えをお聞きすることができました。
 制度そのものを普及するに当たってはいろいろなクリアしなければならない条件があるというのは十分承知をしておりますし、これは全体で考えていくということですが、しかし男女ともに適用する、これは当然であるというふうにお答えをいただいたことには大変満足をいたしております。ぜひ進めていただきたいと思います。
 もう一点、均等法を定着をさせていくという問題です。
 随分、採用の時点で法にかからないというふうなことは理解がされてきたようですが、それでもなお公務員も含めましてまだ女性の採用は少ない。そして昇任、昇格ということになってきますとやはりいろいろな差別が実際にはございます。均等法の先進国では結果の平等というものがそろそろ追求されてもいいのではないかという論議も始まっております。これについて特に身近な例からいくと、例えば労働省も国家公務員の職員の皆さんがたくさんいらっしゃるわけですが、その場で、女性がどれほどの範囲で昇任、昇格、あるいは採用の時点で意識をされていくのか。労働省の職員の採用、昇任、昇格というのは、ある意味では他の省庁、そして地方公務員、もっと言えば民間、いろいろなところから注目をされているところですから、現状とそれから今後の部分についてできればお尋ねをしたいと思います。
#258
○若林政府委員 私ども労働省、たくさんの女性の方が働いておられるわけでございますし、幹部
にも多くの女性が働いておるわけでございますけれども、私ども、そういった処遇につきましては従来から十分な配慮をしてきておるわけでございまして、今ここにその数字は持ち合わせておりませんけれども、従来ただいま申しましたように十分な配慮をしてまいりましたし、今後ともそういった面で心がけてまいりたいというふうに考えております。
#259
○岡崎(宏)委員 結果の平等をいろいろな部分で追求をするということについてはいかがでしょうか。例えば、労働省も各種の審議会というものが関係ございますが、そういうところで女性の委員の皆さんを積極的に依願をしていくというふうなことはいかがでしょうか。
#260
○佐藤(ギ)政府委員 政府を挙げて、結果の平等といいますか、審議会等での女性の割合を少しでも高めようということで、目標も設定してやっているわけでございまして、労働省でも各種の審議会で少しでも女性をということで今やっております。やはりそれなりのリストをつくりまして、十分女性でもこういう仕事にこたえ得るという方を一人でも多く発掘いたしませんと、この問題はなかなか目的を達することができませんので、私どもそういうリストの整備その他も含めまして努力をいたしておりますし、少しずつではございますけれども、労働省も女性の比率が上がってきていると感じております。
#261
○岡崎(宏)委員 いろいろな部分ですそ野が広がっていくことによって多分リストは広がっていくものと思いますので、ぜひ引き続き御努力をいただきたいと思います。
 最後に、私自身は兵庫で労働組合の婦人部の運動をしながら実は婦人少年室の皆さんとおつき合いをさせていただきましたけれども、大変いいスローガンを持ちながらあるいは具体的な、例えば均等法にしても、いろいろな問題もあるけれども、よい面を広げようとするときに今の婦人少年室の力というものは、各県一つ少年室長さん以下二、三名ということですので大変力になりづらいものがあるのではないか。多ければいいというものではありませんけれども、女性の力を本当に活用しようというときに、もう少し意識をしてその部分を広げていくというものがあってもいいのではないか。これは前向きに将来的な問題としてぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
#262
○塚原国務大臣 各県婦人少年室には極めて優秀な人材を配置しておりまして、恐らく委員とも対等に議論を闘わすことができるくらいの人材を配置しておったと思います。ただ、今の御指摘でございますので、今後一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
#263
○岡崎(宏)委員 婦人少年室の仕事の中身について、ちょっと大臣と思い違いがあったようですからあれですけれども、努力をいただくということですので終わりたいと思います。
     ────◇─────
#264
○畑委員長 この際、内閣提出、労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。塚原労働大臣。
    ─────────────
 労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#265
○塚原国務大臣 ただいま議題となりました労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 労働者災害補償保険制度については、高齢化の進展等経済社会の変化等に的確に対応し、また、一層の公平、均衡を図る観点から、その改善について、かねてから労働者災害補償保険審議会において検討が行われてきたところであります。
 同審議会における検討の結果、昨年十二月、当面講ずるべき措置について労使公益各側委員全員一致による建議をいただきました。
 政府といたしましては、この建議を尊重し、法律改正を要する部分について改正案を作成し、これを労働者災害補償保険審議会及び社会保障制度審議会に諮問し、それぞれ了承する旨の答申をいただきましたので、ここに労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案として、提案いたした次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、労働者災害補償保険法関係の改正についてであります。
 第一は、年金及び一時金たる保険給付のスライドについて、現在、賃金水準が六%を超えて変動した場合にその変動率に応じて改定することとしておりますが、これを年度ごとに賃金水準の変動に応じて改定するいわゆる完全自動賃金スライド制とすることとしたことであります。
 第二は、休業補償給付及び休業給付のスライドについて、現在、賃金水準が二〇%を超えて変動した場合にその変動率に応じて改定することとしておりますが、この賃金水準の変動幅の要件を一〇%に緩和するとともに、現在、事業場の規模、産業により異なる変動率の算定方式を、全規模、全産業の平均賃金を用いて一本化することとしたことであります。
 第三は、療養開始後一年六カ月を経過した者に対する休業補償給付及び休業給付に係る給付基礎日額について、年金たる保険給付の例に倣い、年齢階層ごとに最低限度額及び最高限度額を定めることとしたことであります。
 次に、失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律関係の改正について申し上げます。
 現在、暫定任意適用事業とされている五人未満の労働者を使用する個人経営の農業の事業への労災保険の適用拡大を図るため、労災保険に特別加入している者が行う農業の事業に労働者が使用された場合、当該事業を強制適用事業とすることとしたことであります。
 以上のほか、この法律案においては、その附則において以上の改正に伴う所要の経過措置を定めております。
 なお、施行期日は、年金及び一時金のスライド制の改善につきましては平成二年八月一日、休業補償給付及び休業給付のスライド制の改善並びにこれらの給付の給付基礎日額への最低・最高限度額の導入につきましては同年十月一日、農業の事業への適用拡大につきましては平成三年四月一日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
#266
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト