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1990/05/31 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第8号
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1990/05/31 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 社会労働委員会 第8号

#1
第118回国会 社会労働委員会 第8号
平成二年五月三十一日(木曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 畑 英次郎君
   理事 粟屋 敏信君 理事 伊吹 文明君
   理事 丹羽 雄哉君 理事 持永 和見君
   理事 池端 清一君 理事 永井 孝信君
   理事 貝沼 次郎君
      今枝 敬雄君    今津  寛君
      小沢 辰男君    大石 正光君
      岡田 克也君    河村 建夫君
      木村 義雄君    北村 直人君
      古賀  誠君    坂井 隆憲君
      鈴木 俊一君    住  博司君
      松岡 利勝君    宮路 和明君
      山口 俊一君    山本 有二君
      網岡  雄君    伊東 秀子君
      沖田 正人君    川島  實君
      川俣健二郎君    五島 正規君
      外口 玉子君    渡部 行雄君
      石田 祝稔君    大野由利子君
      児玉 健次君    柳田  稔君
      菅  直人君    岡崎 宏美君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 津島 雄二君
 出席政府委員
        内閣官房内閣外
        政審議室長   有馬 龍夫君
        総務庁恩給局長 石川 雅嗣君
        外務大臣官房審
        議官      川島  裕君
        厚生省保健医療
        局長      長谷川慧重君
        厚生省生活衛生
        局長      目黒 克己君
        厚生省薬務局長 北郷 勲夫君
        厚生省年金局長 水田  努君
        厚生省援護局長 末次  彬君
        社会保険庁運営
        部長      土井  豊君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    榊   誠君
        警察庁刑事局保
        安部薬物対策課
        長       属  憲夫君
        総務庁恩給局審
        議課長     大坪 正彦君
        外務省アジア局
        地域政策課長  渋谷  実君
        外務省国際連合
        局社会協力課長 鈴木 一泉君
        労働省職業安定
        局業務調整課長 初谷  勉君
        労働省職業能力
        開発局管理課長 広瀬  正君
        社会労働委員会
        調査室長    滝口  敦君
    ─────────────
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  川島  實君     山下八洲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山下八洲夫君     川島  實君
同月三十一日
 辞任         補欠選任
  片岡 武司君     木村 義雄君
  古賀 一成君     松岡 利勝君
  平田辰一郎君     河村 建夫君
  三原 朝彦君     北村 直人君
  村岡 兼造君     大石 正光君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 正光君     村岡 兼造君
  河村 建夫君     平田辰一郎君
  木村 義雄君     片岡 武司君
  北村 直人君     三原 朝彦君
  松岡 利勝君     古賀 一成君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)
 麻薬取締法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)
 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)
     ────◇─────
#2
○畑委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び麻薬取締法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより両案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本有二君。
#3
○山本(有)委員 私は、自民党を代表いたしまして、法案につきまして御質問をさせていただきたいと存じます。
 戦後四十五年を経て、ともすればさきの大戦の記憶も薄れがちでございます。しかし、現在の繁栄する日本の礎となり、志半ばで犠牲になった多数のたっとい命があったことを忘れてはならないと存じます。特に、戦没者を悼む遺族の気持ち、また戦傷病者あるいは戦没者遺族の高齢化を考えると、こうした遺族等に対する援護施策の充実の必要性はむしろ高まりつつあると言っても過言ではないところでございます。こうした観点に立ちまして、私は、戦傷病者、戦没者遺族に対する処遇の改善、さらに、さきの大戦の結果生じ、今なお御苦労されている中国残留孤児に対する施策の充実について御質問をさせていただきたいと存じます。
 そこで、まず今回提案しています援護法の改正案による戦傷病者、戦没者遺族に対する処遇の改善について、補償の額の拡大の幅及び対象など、この範囲にされたお考えにつきましてお伺いをさせていただきます。
#4
○末次政府委員 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみまして、援護年金の支給等各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでございます。平成二年度におきましても、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げる処遇の改善を図ろうというものでございます。
 なお、具体的に申し上げますと、平成元年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇等を総合勘案いたしまして、恩給年額及び各種恩給の最低保障額、これを平成二年四月から二・九八%引き上げられ、さらに遺族加算の額を五千百円あるいは四千三百円引き上げる措置が講じられております。この恩給の改善の措置に準じまして、援護年金につきましても改善を図ることといたしております。
#5
○山本(有)委員 この改正案は戦争犠牲者の保護を厚くしようというところであり、高く評価するところでございますけれども、さらに特別弔慰金支給法を改善して、失権後直ちに支給すること、あるいは特別給付金の併給措置及び特設年金を軍人のそれと同額にするなどの御努力をぜひ引き続きいただきたいとお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 次は、中国残留孤児の問題でございます。
 肉親捜しのための訪日調査が量的には峠を越え、近年、多くの孤児世帯が帰国していることから、帰国孤児世帯の日本社会への定着と自立が最大の課題となっているものでございます。本日は、この定着、自立の促進についてお伺いをいたします。
 まず、訪日調査について、近年身元判明率が非常に低下をしているようでございますけれども、この点どのようにお考えになっておるのか。また、判明率向上のためにどのような施策を講じておられるのか、お願いをいたします。
#6
○末次政府委員 訪日調査につきましては、昭和五十六年三月からこれまで二十回にわたり実施してきたわけでございますが、本年二月から三月にかけて実施いたしました訪日調査におきましても、四十六名中身元判明が十二名、判明率二六・一%という低い水準にとどまっております。
 このように、近年、訪日調査におきます孤児の判明率が低下いたしておりますのは、一つは肉親と離別時の年齢が低い者が多いこと、さらに最近まで自分が日本人であることを養父母等から知らされていなかった者が大半であること、こういう状況がございますので、身元判明につながる具体的な手がかりが少ないということによるものというふうに考えております。このため、各報道機関の協力を得まして、肉親からの対面の名のりで身元解明の手がかりとなる当時の関係者からの情報提供を呼びかけまして、一人でも多くの孤児の身元を判明するように努力しているところでございます。
 なお、訪日調査によりましても身元が判明しなかった孤児の肉親に関する国内情報の収集と総点検のために、昭和六十二年度から肉親捜し調査班を各都道府県に派遣いたしておりますが、昨年でこれが一巡いたしましたところから、平成二年度以降はこれをフォローする形で、元開拓団関係者等、当時の事情に精通した方を新たに県に調査員として配置することにより、未判明孤児の肉親調査を引き続ききめ細かく実施していく考えでございます。
#7
○山本(有)委員 ぜひ、その判明率向上をお願いをいたします。
 次に、これまでに永住帰国した孤児の数並びにそのうちの判明者及び未判明者の数をお伺いいたします。そしてさらに、平成元年度における帰国孤児の数もお願いをいたします。
#8
○末次政府委員 厚生省援護局で把握いたしておりますところでは、日中国交正常化以降平成二年四月三十日までに永住帰国した孤児は千二百三十二名でございまして、そのうち身元判明者は五百六十一名、身元未判明者は六百七十一名でございます。また、平成元年度におきまして永住帰国した孤児は二百十八名、そのうち身元判明者は七十一名、身元未判明者は百四十七名でございます。
#9
○山本(有)委員 次に、身元が判明あるいは末判明それぞれの数の中で、未判明の方がだんだん多いわけであります。身元未判明孤児というのは、身元引受人制度で円滑に永住帰国ができております。しかし、身元の判明しておる当初は喜ばしい孤児は、在日親族の事情からなかなか永住帰国が逆にできないというケースが多くあると聞いております。身元判明孤児の方の帰国をより促進すべきではないかというように思いますが、この点お伺いいたします。
#10
○末次政府委員 肉親が判明した孤児の帰国希望者の受け入れに当たりましては、まず在日親族が受け入れることが望ましいと考えておりまして、受け入れに消極的な在日親族に対しましては、機会あるごとに都道府県を通じて説得に努めているところでございます。
 このような説得によってもなお理解が得られない場合あるいは近親の在日親族がおられない場合等、特別な事情で永住帰国できずにいる身元判明孤児につきまして、昨年七月、肉親にかわりまして帰国手続等を行う特別身元引受人のあっせん制度を設けたところでございますので、この特別身元引受人の確保に努めまして、本制度の円滑な適用により、身元判明孤児の帰国の促進も図ることにいたしたいと考えております。
#11
○山本(有)委員 ぜひそういうような制度を活用されて、せっかく日本の家族がわかったわけでありますから、できるだけ帰国を促していただきたいと思います。
 続きまして、これまでに千二百余りの孤児世帯が帰国をしているということでございますけれども、帰国孤児世帯には東京や大阪などの大都市に居住したいという意向が強く、定着促進センターにおける定着先のあっせんが円滑に行われないケースがあると聞いております。日本人のみならず、帰国者も東京や大阪の大都会ばかりがいいというようになっておるわけでありますが、その対処につきましてお伺いをいたします。
#12
○末次政府委員 帰国孤児世帯の中には、就職あるいは日本語教育の面で有利だというような考え方から大都市定着を強く志向し、あるいは、よりよい条件の住宅を求める者があることなどから、定着促進センターにおきます定着先のあっせんが円滑に行われないケースも若干あることは事実でございますが、これは帰国孤児等が、日本の社会事情や地方都市のよさなどを十分理解していただいていないことによるものというふうに考えております。
 このため、孤児が十分に日本の社会事情を理解した上で帰国することができますように、訪日調査の際に説明を行っております。また、永住帰国希望者に対しましては、日本の事情を説明するための資料を送付いたしますほかに、中国政府担当官及び中国の地方政府の担当官からも日本の事情等について説明を行うよう依頼をいたしております。また、定着促進センター入所後は、定着の候補地につきまして紹介したビデオあるいはパンフレットを活用しながら、家族単位で指導を行っております。また、あっせん地に不安を抱いております身元未判明孤児に対しましては、定着地をあらかじめ訪問させる等の対策を推進いたしておるところでございます。さらに、平成二年度におきましては、定着促進センター入所中の孤児二世を対象にいたしまして、地方都市において、地場産業の見学、職場実習、当該都市に定着した帰国者との懇談等を実地に体験させる地域体験実習事業を実施し、定着地あっせんの円滑化を図りたいというふうに考えております。
#13
○山本(有)委員 この問題にさらに触れさせてもらいますと、帰国孤児世帯の定着地を適度に分散させるということが必要ではないかと思います。高知県、私の選出の県でありますが、長崎県、鹿児島県等の地方都市を含めた全国十五の都市に設置されている自立研修センターの指導内容等の充実をより図るべきではないか、特に、地方のセンターの充実を図っていくべきではないかと考えておりますけれども、局長、いかがでしょう。
#14
○末次政府委員 御指摘の自立研修センターにおきましては、定着促進センターを終了した後の帰国孤児世帯を対象にいたしまして、通所によりまして、八カ月間入所の、習得状況に応じた日本語指導、地域社会の実情に合わせました生活指導、就労指導等を行っているところでございます。
 昨年度におきましては、孤児世帯が自立するために就労することが最も重要であるということから、自立研修センターに個別の就労指導あるいは職場開拓を行う就労相談員を配置するなど、特に、就労等に着目したきめ細かな施策の充実によりまして、自立支援体制の強化を図ったところでございます。
 さらに今年度におきましては、自立研修センターにおきます地域交流事業、これを拡充いたしますほか、自立研修センターの職員等を対象といたします適応促進対策研修会を新たに実施するなどいたしまして、自立研修センターの内容の一層の充実を図りたいと考えております。
#15
○山本(有)委員 大都会ばかりが繁栄する今の政治のような気がいたします。中央、地方の格差がより広がりつつございます。地方は過疎が進みますし、そんな中で、日本へ帰国された孤児ですら、地方が嫌だとかあるいは地方に住まずに大都
会へ行くということになりますと、ますます人口構成につきましても中央、地方が格差が広がりますので、こういったことでもきめ細かに地方に光を当てていただきたいというようにお願いをしておきます。
 通告の質問の順序とはちょいと違いますけれども、私の高知県にある自立研修センターのお仕事をされております福留福太郎さんという方、実際に中国の帰国者の定着促進に当たられた方の御意見をつぶさにお伺いをしてみますと、定着に一番困るのは、文化が違うということと社会観が全く違うということでございまして、「この日本に対する理解が少ないということから、なかなか定着自立ができないというのが実情であるそうであります。そこで、永住帰国希望孤児に対して、帰国後円滑に日本社会に溶け込めるように、あらかじめ中国にいるときから、例えばビデオを見せるときも、大都会を中心に見せるのでなくて、平和な田舎で住みやすいというような形の、いわば日本の社会の制度とか住宅事情等について情報提供をもっと事前にやっておく必要があるのではないかというように思いますけれども、局長、いかがでしょうか。
#16
○末次政府委員 私どももその点大変重要な課題だというふうに考えておりまして、いろいろ訪日調査の際の説明あるいは帰国希望孤児に対します説明、その際に、日本語の学習あるいは住宅事情等々わかりやすく説明する資料を送る、あるいは、帰国希望を具体的に出されました孤児に対しまして承認通知書を出します際に、いろいろ入所予定の定着促進センターの研修内容あるいは周辺都市の状況、こういった情報につきましてあらかじめ送付する、あるいは説明をするというような努力を重ねておりますが、ただいま御指摘の点につきましては、私どももさらにいろいろ工夫をして、孤児の、あるいは日本の社会あるいは日本の地方都市等につきまして理解が深まるように、今後ともさらに努力を重ねていきたいというふうに考えております。
#17
○山本(有)委員 どうもありがとうございました。
 それでは、私の質問の最後に、大臣にお伺いをいたします。
 この援護法の改正案あるいは帰国孤児等につきまして、本当に援護行政に取り組む大臣の御決意をお伺いいたしまして、最初の質問とさせていただきます。
#18
○津島国務大臣 さきの大戦は過酷な戦いでございまして、多くの傷跡を残したわけでございますが、その犠牲者の援護は国の当然の責務としてしっかりやっていかなければならないと思っております。
 具体的には、戦傷病者及び戦没者遺族に対する援護年金等の処遇改善、それから遺骨収集、慰霊巡拝等の慰霊事業の推進、さらには中国残留孤児等に対する施策の充実など、援護施策の重要性を認識しつつ、充実強化に十分努力をしてまいりたいと思います。
#19
○山本(有)委員 よろしくお願いいたします。終わります。
#20
○畑委員長 今津寛君。
#21
○今津委員 麻薬等の乱用問題について御質問させていただきたいと思います。
 最近、麻薬問題は世界的な麻薬汚染の広がりが顕著となってまいりまして、その弊害は、健康上の被害はもとより家庭の崩壊、犯罪の誘発、さらには勤労意欲の低下など、まさに社会の成立基盤を揺るがしかねないものであります。とりわけ麻薬の乱用者の多いアメリカでは、ブッシュ大統領も真剣にこの問題に取り組んでいると伺っているところであります。コロンビアなどで密造されましたコカインはアメリカに密輸されまして、アメリカではコカインの乱用者はもう数百万人いると言われております。そして乱用により緊急入院する人は二万人を超えて、乱用による死亡者は一千人を超えているようであります。私はびっくりいたしましたけれども、アメリカでの麻薬のブラックマーケットの総売上高は一千百億ドル、日本円に直しますと十六兆円相当に上るようでありまして、仕事中の薬物の使用による生産性の低下や、薬物に関連した事故などが年間六百億ドル、およそ九兆円に相当する損害を米国産業界に与えていると言われております。
 アメリカでは十二歳以上の人口の一四%は一年以内に麻薬を経験しており、麻薬問題は今や国家の命運を左右する問題となっているようであります。最近テレビなどを見ておりますと、特にそういう事情でありますから、アメリカが、輸出国でありますところのコロンビアに対して厳しい措置をとっている。そのコロンビアの中でも産業がないわけで、コカインなどを製造して一時的なお金を得ることに容易に走りがちだという、今までの国の経過などがあって、その密売組織のメデジソカルテルというものは、密売犯をアメリカに引き渡す政府に抵抗して、爆弾や銃撃によるテロを繰り返しているわけでありまして、これまでに政府の高官、裁判官、新聞記者など二百人以上が暗殺されていて、死の恐怖でコロンビアの政府のみならず、今や世界じゅうを脅かしていることは御案内のとおりでございます。
 そこで、我が国においても麻薬に汚染されないように最善の努力を払うべきだと考えるわけでありますが、我が国の麻薬乱用の状況ほどのようになっているのか、御説明をいただきたいと思います。
#22
○北郷政府委員 アメリカにおきます麻薬の乱用は今おっしゃるとおりでありますが、先進国の中で日本はまだ比較的状況はいい方であるというふうに見られます。しかし、だからといってなかなか油断できないわけでありますが、現状を申しますと、ヘロイン、コカイン等今お話に出ましたようなたぐいのものは、我が国では比較的少ない状況にあります。平成元年におきます麻薬取締法違反の検挙者数は約二百五十名、発見されました中毒患者十二名、こういう状況であります。しかしながら、覚せい剤につきましては、我が国でも非常に問題でありまして、非常に違反が多い。平成元年度の検挙者数で申しますと約一万七千名ということになっております。
 歴史的に見ますと、戦後直ちに、直後の段階で大変問題になりましたのはいわゆるヒロポンの問題でありまして、大変流行いたしましたが、それはいろいろ取り締まりをいたしましておさまって、しかし昭和四十年ごろから次第に問題になっておりますのが、マリファナの系統であります大麻の問題、それが徐々にふえているというような問題が一つあります。それから覚せい剤につきましても、戦後の終息後さらに四十年代ごろからやはりふえ続けておる、こういう状態でございます。
 こういった最近の外国との交流というような問題もございまして、今後コカインの流入とか大麻がさらにひそかにふえてくる、こういったことについて注意を払うべき時期だ、こういうふうに考えております。
#23
○今津委員 今のお答えでは、ほかの国と比べて日本はそんなに検挙者も数も少ないしということでありましたけれども、それは確かに二、三年前まではおっしゃったとおりだと思うのです。しかし、私、最近の数字を調べますと、まさにびっくりしているわけであります。
 例えばヘロインの押収量でありますが、これは一九八八年ではわずか十七キログラムでありましたが、平成一年では二十七・六七キログラムになっているのであります。
 そして、特に、今もお答えがありましたが、コカインは、先ほど言ったとおりアメリカが何としても青少年犯罪、それから秩序ある社会というものを目指しながらコロンビアに対しては大変厳しい措置をとっているものでありますから、金余り日本に目を向けて最近いろいろと事件なども起きていることもおわかりのとおりでありますし、私の好きな俳優であります勝新太郎さんもハワイでコカイン関係でいろいろと話題にたっているところでありますけれども、日本は一九八八年わずか〇・二キログラムの押収量でありましたけれど
も、平成一年に至りますと十三・六九キログラム、そして平成二年、本年になりますと、横浜の倉庫で二月十三日、二十三・七キロ、末端価格十六億六千万、五月十五日、やはり横浜の貨物船四十二キロ、末端価格三十億、既にもう六十九キロ以上のコカインが押収されている。わずか二、三年の間にもう何百倍という数量が押収されていて、これは氷山の一角であって、既に密売組織というものがあってそれが大量に国内に送り込んでいて、こうやって押収されたのはわずかの量ではないか、末端ではないかというところが実はあるわけでありますが、これに対して早くきちっと今から政府が対策を整えなければ大変なことになってしまう、私はこういう心配をするわけであります。
 そこで、一つの例として、横浜で船からコカインが四十二キロ押収されたわけであります。その背景みたいなものを簡潔に御説明いただけるとありがたいと思います。
#24
○属説明員 警視庁では、本年五月十五日の夜に、東京及び横浜税関の協力を得ましてコロンビア船籍の貨物船を捜索しまして、過去最高の四十二キログラムのコカインを押収しているわけです。この事件は、コロンビア人の船員一名がコロンビア船籍の貨物船、シウダード・デ・パスト号という船ですけれども、その機関室内にコカイン四十二キログラムを隠しまして、本年四月にコロンビアを出航いたしまして五月十五日に横浜港に入りまして、コカインを本邦内に陸揚げしようとした事件であります。現在、詳しい背後関係については継続捜査中でありますけれども、お話がありましたように、本年、もう既にコカインの押収量はこれで約六十九キログラムとなっておりまして、去年一年間の五倍の押収量ということになっております。このように、最近コロンビアの麻薬シンジケートが日本を新しい市場として大量のコカインを密輸しようとする、そういったことで我が国をねらってきている、そういう状況にあると思っております。
#25
○今津委員 アメリカでは麻薬の益金を没収して、その金を取り締まり機関で利用できる、そして、おとり捜査が日常化していて、運び屋を泳がせたりして組織の一挙崩壊を図る、コントロールドデリバリーという手法だそうですが、使われているのです。日本では麻薬を譲り受ける捜査といいましょうか、それは厚生省のいわゆる麻薬Gメン、麻薬取締官だけに許されていて警察官には認められていない、こういうことであります。収益金没収や米国流の麻薬捜査をするためには、アメリカのようにそうやって先々手を打っていくためには、それぞれ厚生省とか警察庁とか総務庁とかいろいろあると思うのですが、それは横で御連絡を取り合いながら手を打って、最終的にはやはり法の手直しも必要であろう、そういうことを考えておりますので、私の意見だけ実は申し上げておきたいと思います。
 そこで、総務庁、厚生省それから文部省、それぞれ、総務庁は青少年対策本部、そして文部省は薬物乱用に関する学習指導要領等の記述の中で、本年度から平成四年の間に薬物乱用などの行為は心身にさまざまな影響を与えて疾病の原因となるというようなことで、中学、高校、それぞれ短期間の間にこういう指導を徹底するようにという指導があるということで、前向きに取り組んでいただいておるということはわかるわけであります。
 そこで、向精神薬の規制の問題であります。向精神薬についても、例えば六十二年では、港区六本木の薬局経営者がメタカロンという睡眠薬を暴力団に不正販売をした。暴力団は六本木などのディスコに出入りする若い人たちを相手に密売をして組の資金源としていた、こういう事件がいろいろとあるわけであります。最近では、やはり暴力団が岐阜市内の病院長をおどかし、睡眠薬の処方せんを多数発行させて、処方せんを常習者に販売するとともに、渋谷区内の薬局などから購入をしてこれを密売をしていた。暴力団は都内の薬品問屋のセールスマンをおどかして睡眠薬を入手していた。タイ女性がタイからアメリカ製、スイス製及びタイ製の睡眠薬を密輸入し、国内で密売をしていた。
 向精神薬については、今のところ目立った事件はそんなに数多く頻繁ということではないのですが、しかし今申し上げたとおり、徐々に暴力団絡みで、しかも相手が青少年、若年層が多いようでありまして、それで今回の御提案になったと思うわけであります。今回提案されております麻薬取締法等の一部を改正する法律案には、睡眠薬等の向精神薬についての規制措置が新たに盛り込まれておりますが、この法案を提出された背景というものを御説明をいただきたいと思います。
#26
○北郷政府委員 今おっしゃられたようなことが大体の趣旨でございまして、睡眠薬あるいは精神安定剤の使われ方が非常にふえておるわけであります。膨大な人数の人が使っておりますので、その量がふえておる。しかも睡眠薬、精神安定剤、これは非常に有効な医薬品でありますと同時に、一面、陶酔感をもたらす、いい気持ちになることにも使えるわけでありまして、いわば乱用の危険があるわけであります。しかも、おっしゃいますように暴力団絡みで出ている、青少年が相手である、こういうことで、さらにもっと危険な薬物、ヘロインあるいはコカイン、こういったものにさらに結びついていく危険のある物質であります。そういうものを厳格に規制をし対処していく、あるいはまた、国際的にこういった向精神薬の流通規制に対応していく、こういうことで今回の法案をお願いをいたしておる次第であります。
#27
○今津委員 ある大手の新聞によりますと、麻薬類の中毒者の診療、治療をしている小沼さんという精神料のお医者さんは、検挙者の数に比べて実際の乱用者というのは十倍ぐらいいるのではないか、検挙は氷山の一角である、特にここ一、二年のふえ方が目立つということをおっしゃっております。その原因として、やはり最近の若い人たちが価値観の多様化で気軽に手を出すようになったということで、この先行きを大変心配をいたしております。加えて、先ほどからのコロンビア等が日本のお金に目を向けて、これからいろいろなことを画策をしているということが容易に想像できるわけであります。
 最後の時間になりましたので、大臣にお聞きを申し上げたいと思いますが、麻薬等の乱用問題に取り組むについて、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
#28
○津島国務大臣 麻薬は、その乱用によりまして人の生命身体に大きな危害を及ぼし、また、それに伴いまして社会経済に大変な罪悪をもたらす存在でございます。政府委員から御答弁いたしましたように、現状におきますと、我が国は一部先進国に比べて麻薬等の乱用の状況はまだ相対的にいいということでございますけれども、これはあくまでも相対的にいいというだけのことでございまして、最近増勢をたどっているということ、それから若い方々が、国際交流が盛んになりますと、ややもすればよそからの影響を受けやすいということもございまして、麻薬の乱用防止対策はこれまで以上に力を入れてやらなければならないと思っております。また、一たん乱用の傾向が広がりますと、これはもう爆発的に広がるというおそれがあるわけでありますから、未然防止ということが何よりも大切だと思います。そのような見地から、青少年における薬物乱用を防ぐ、健康の観点から、また、健全な社会人としての成長という観点からも、社会教育の面で十分周知を図っていかなければならないと思います。厚生省といたしましても、不正薬物の取り締まりに努めますとともに、このような若い方々を中心に国民に対する薬物乱用の危害について啓発活動を推進し、薬物の乱用を許さないという社会環境の確立を図ってまいりたいと思っております。
#29
○畑委員長 網岡雄君。
#30
○網岡委員 お許しをいただきまして、薬物事案に対する問題を中心に、ただいま御提案になりました麻薬取締法一部改正に関する法律に関連をいたしまして、この薬物事案に対してあらゆる角度
から若干御質問をさしていただきたいと思います。
 その前に、一番基本的なことでございますが、今回の改正によって薬物行政上どのような法律が効果をもたらすか、こういう点について一応厚生省側の御回答、御答弁をいただきたいと思います。
#31
○北郷政府委員 今回の改正の主眼点は、睡眠薬あるいは精神安定剤、こういったたぐいのものを物質として、物として押さえていく、大部分は医薬品でございますから薬事法の規制はかかるわけでございますが、薬事法の規制というのはあくまでも医薬品としての規制でございますから、それとは別の角度から物質として規制していく、これは麻薬取締法なんかと同じ体系にいたすわけであります。したがいまして、生産面、流通面、あらゆる面で規制が厳しくなります。物の押さえ方がはっきりしてまいります。それからまた、違反に対します取り締まりの厳しさが一段とまた強くなります。薬事法違反というよりもさらに強い罰則をもって臨む、こういうようなことになります。したがいまして、こういったものの乱用の防止ということに武器として大いに役立つというふうに期待いたしております。
#32
○網岡委員 先ほどの御質問の中にもあったわけですが、今言われましたように、薬物事犯というのは、その件数もそれから被害の幅といいますか、内容も非常に大きなものになりつつございます。
 昨年、薬物乱用白書というものが発表されております。私もこれを拝見いたしまして痛感をしたところでございますが、コカイン、ヘロイン、大麻といったような麻薬が昨年一年間で非常に顕著になってきたということが、薬物乱用白書の中に示す麻薬の事案でいきますと非常に特徴的にとらえられているところでございます。特にこれから問題になるというのは、白書の中にも言われておりますが、コカインというものが、今後日本が一つの標的になっていくのではないかという点で、警察庁の方もそのようにマークをされておられるようでございます。
 多少の事案を申し上げますと、八九年の七月に、先ほどの以外のところでは、神戸港で十二キロのいわゆるコカインがボストンバッグで流されていた。これは恐らく、捕まっちゃいけないので落としたのか、あるいは意識的に事前に通信をもって流したのか、どちらかだと思いますが、手口が非常に巧妙になっていることと同時に、そういう事案について注目すべきところだと思います。しかも、捜査の結果は、やはり当局側がつかんでおみえになりますけれども、コロンビアのシンジケートの手先でやられたということが明確になっているというふうに言われております。それから、先ほどの四十二キロのコロンビア貨物船の事案ということなどから見まして、明らかに一つの傾向は、供給源でありますコロンビアのシンジケートが日本を一つの大きなターゲットとして、標的として、国内における受け入れ側の団体といいますか、暴力団の受け入れ組織とも連携をとりながら一つの動きが出てきているというふうに思われるわけでございます。
 さらにコカインの問題でいきますと、これから注目されるのはクラックと言われる、かなり簡単に精製できると言われるのですが、コカインのフリーベースによる精製をしたものであって、吸引の方法も非常に簡単だということで、アメリカでは非常な速度で流行したというふうに言われております。この日本でも六十二年のときに麻布のある一室の部屋で、最初は覚せい剤で検挙をしたのでございますが、その部屋を捜索しているうちにフラスコの中にクラックの粉末が付着していたということによって発見をしたと言われておりまして、日本でクラックの発見というのはこれが最初のような感じだと言われておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういう実際に売られていく商品の目玉と言われるクラックが既に現実に出てきていて、その原料というコカインが年年非常に多量に日本に密輸をされている。こういう状況から見ますと、麻薬に対する恐怖というのは非常に大きなものになりつつあるわけでございますが、そういうことなどの情勢というものをつかんだ上で判断をいたしました場合に、やはりこれを取り締まっていく体制の強化というものがどうしても必要だというふうに思うわけでございます。
 そこで、まず、麻薬取締官の制度というものが厚生省の直轄の組織としてあるわけでございますが、これはおとり捜査をすることができるという点で一つの大きな目玉的な役割を持つ特権を持っておるわけでございまして、そういう意味ではやり方によってはかなり大きな効果を上げていくと思うのでございます。
 そこで、質問させていただきたいわけでございますが、四十七年のときに十名増員をされまして、その増員の理由は、沖縄が日本に入ったということによる理由をもって十名の増員がされておるようでございます。それ以外は、三十年代に一度ございますけれども、ほとんど増員がされていない、四十七年からいきますと約十八年近くやられていないというような状況であるわけでございますが、これでは、先ほど薬物乱用白書の中にも指摘をされておりますような一つの流れというものを的に見た場合には、この体制ではとても太刀打ちのできない状況ではないか、したがって、この体制の強化というものはやはり目下の急務じゃないかなというふうに私は思うわけでございます。
 それから同時に警察側でございますが、日本における検挙の数の中で全体の九〇%を占めるという役割を担っておいでになったのでございますけれども、その内容を私どもが見させていただきますと、東京警視庁、大阪府警というところにはそれぞれ独立した課がありまして対応がやられておるわけでございますが、そのほかにそれに次ぐものといたしましては、愛知県に麻薬対策室、それから埼玉県に麻薬対策室と全国で室が二つある、こういう状況でございます。しかし、押収量のランクからいさますと東京、大阪、神奈川、福岡、埼玉、愛知、静岡、兵庫、北海道、これは覚せい剤の量で判断をさせていただいておるわけですが、多少の違いはあるかもわかりませんけれども、大体そういうところがベストテンの中に入る県だというふうに私ども考えるわけでございます。そうだといたしますと、これもやはり少なくとも愛知県、埼玉県に倣っていわゆる麻薬対策室的な機構に拡充をいたしまして、それぞれの対策をとっていくということでないとおくれをとっていくのではないかという気がいたしてなりません。
 アメリカの例が端的に示しているわけでございますが、今アメリカではコカインは、乱用者が千二百万人と言われておるわけです。その中で、先ほど言いました問題のクラックは八一年に南カリフォルニアで発見をされまして、八五年にはニューヨークで初めてそのクラックというもののブツを押収したわけでございますが、一年たった八六年の段階では乱用者は百万人に達する、わずか五年であっという間に百万を数えるというところに来ている、この厳粛な事実というものを私どもは直視しなければならぬと思うのでございます。
 そういうことを考えてみますと、現にコカインの原料というようなものが、大量なものが密輸の形で日本に上陸しつつあり、クラックという製品が既に現実に発見をされているということから見ますと、このアメリカの例から見てやはり早急に対策を整えていかないと、時期がたつともう手おくれになる、こういう気がいたしてならないわけでございます。そういう意味からいいまして、今二つの指摘というものはどうしても取り締まり上クリアをしていかなければならないものだというふうに私思うのでございますが、厚生省、警察庁、それぞれの立場からひとつお考えをお示しいただきたいと思うのです。
#33
○北郷政府委員 麻薬取締官事務所、これは今八カ所、百七十名ということでやっております。近
代的な設備を入れましてできるだけ効率的にやるということでいたしておるわけでありまして、これで十分かと言われますと、それはできるだけ人数を増員したいという気持ちもございますが、これは定員法全体の問題もございましてなかなか簡単にいかない問題でございます。おとり捜査という権限もあるからという御指摘がございましたが、確かに有力な方法ではございますが、おとり捜査というのは犯罪捜査の手法としては非常に慎重であるべき問題でございまして、麻薬取締官が実際にいたします場合にも個別的に許可をとってやることになっております。したがいまして、おとり捜査をやるために増員するということにはなかなかまいらぬわけであります。しかしながら、こういう時期でございますので、できるだけ増員に努力をしてまいりたいと考えております。
#34
○属説明員 薬物事犯取り締まりのための警察官の配置につきましては、これまでも薬物の情勢に応じていろいろと増強について努力してまいったところです。しかし、最近の薬物事犯は、先生今お話がありましたように、非常に新しい局面を迎えてきている、そういう状況に来ておるというふうに理解をしております。非常に国際化をしてきておるし、捜査も非常に難しくなってきておる、そういう状況にありますので、今後ともさらにその増強についてはいろいろと検討していく必要があるだろうというふうに考えております。しかし当面は、現在私ども持っております取り締まり要員の力をさらに高めていくということ、それから捜査、外勤、交通、いろいろ部門がありますので、そういう部門の力を結集していく、あるいは捜査の資器材を整備充実を図っていく、そういったことで総合的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#35
○網岡委員 駄弁のようでございますけれども、警察関係でいえば、対策室に変わったところでは、愛知県の私の地元の県警でございますが、そこではことしに入って大麻が一・三キロ、コカインが十四グラム、そして覚せい剤が二十四キロというふうに、これは二年前のようですが、矢継ぎ早に検挙といいますか押収をするような功績を上げているわけでございます。人員の対応からいっても一年で既に二名増員という形で、その二人は小牧空港に配置する、これは専属配置という形で、文字どおり水際作戦の指示のとおりにもう配置について活躍をしているようでございます。したがって、こういう一つの流れから見ましても、室に変わるだけで、体制の強化ができるということ、それから税関、出入国などの関係官庁との連携も非常に密にいく、それからそこが一つの初動捜査の段階での末端での各省の警察官に対する啓蒙、教育のセンターの役割を果たすという点では、文字どおり県警全体、警察全体の体制づくり、こういう薬物事犯を取り締まっていく場合の組織、総力を挙げた体制というのが、かけ声だけではなくて自動的に歯車が回っていくという効果というのは非常に大きいと思うのでございます。
 それから、薬務局長の御答弁の中で、私はおとり捜査というものは有効な手段の一つだという表現を使ったわけでございますが、やはりこれは警察にも実際問題としてはないわけでございますから、使うとすれば非常に有効な手段であることは間違いないのでございます。したがって、そういう権限を持っておる麻薬取締官の機構というものを、一方の歯車である警察と十分な連携をとりながら、捜査の壁を外してお互いに連携をとりながらやっていくというところで効果を上げていただきたいと思うのです。そしてその人員は、これはだれが見ても、いろいろな統計の数字を眺めていきましても量がどんどんふえている、それから、先ほど言ったようにクラックの例を挙げても、わずか五年であっという間に百万を超えるというところまで来ているこの実態というものを真剣に眺めたら、今のような御答弁を言っているような暇はないと思うのでございます。どうぞひとり厚生省としてはこの客観的な状況というものを直視していただきまして、体制整備のためにぜひ努力をしていただきたいというふうに思う次第でございます。
 それで、質問を続けていきますが、もう一方のソフトな面の体制といたしましては、薬物乱用の防止に関する啓発、普及の活動というものが必要でございますが、これを一体今後どのように量も質も高めていく活動を続けられていくのかという点について御答弁をいただきます。
#36
○北郷政府委員 先ほど大臣からもお話がございましたが、未然防止の決め手というのはやはり啓発、普及ということにあるというふうに私は考えております。取り締まりと啓発運動、これは両輪でございまして、PR活動というのをもうちょっと徹底してやらなければいかぬと考えておるところでございます。しかし、有効な手段を求めるのはなかなか難しゅうございまして、PRすると何か逆に宣伝するような結果になるというようなことにならないように気をつけながら進めるということであります。
 現在私どもがやっておりますのは、パンフレットとポスターをつくったり、あるいは県で大会をやる、あるいは各都道府県に麻薬の予防の推進員を置きまして、いろいろな会合に出かけていって麻薬の悪さを説く、こういうようなことをいたしておるわけでございます。もう少し予算額もふやして、有効な、アピールする資料を配布をしてまいりたい。それからまた、いろいろな機会に特に青少年を中心とした運動を展開したいというように考えておるところであります。
#37
○網岡委員 その中身についてまだ若干質問したいのでございますが、あと四十分ぐらいという時間になっておりますので、後の時間に譲っていきたいというふうに思いますが、局長もおっしゃいましたように、啓発、普及の活動というものはやはりその面で大切なことでございますから、今の予算では私は十分でないと思います。どうぞひとつ、こういう時期に来ているわけでございますから、胸を張って大蔵省との間の交渉を続けていただいて、さらに量も質も伸びていくようにこれはぜひやっていただきたいというふうに思います。
 それから、次に世界的な薬物の乱用や不正取引を防止するための国際的な情報交換というものが、いわゆる国際協力の場というものが必要だと思うのでございますが、この方面における厚生省としての活動というのは一体どんな程度のものになっているのか、御説明いただけませんか。
#38
○北郷政府委員 相手が国際的な動きをいたしておるわけでございますから、おっしゃるとおり国際的な情報交換が非常に大事だと考えております。現在、毎年行われております国際的な情報交換の場といたしましては、国連の麻薬委員会がございます。これは毎年ウィーンで開催されておりまして、日本政府からも関係各省が出席をいたしております。それから、アジア地域におきましては、極東地域麻薬取締機関長会議というのがございまして、極東という名前でございますが、東南アジア地域及び極東地域、オーストラリアなども含めまして毎年会合が持たれておりまして、そこが情報交換の場になっておるわけであります。それから、ことし、平成二年度には、こういった麻薬問題をとらえまして国連では特別総会がニューヨークで開かれましたし、それから、ロンドンで閣僚級の麻薬需要削減というような会議が開かれまして、日本政府からも出席いたしまして各国との情報交換を行っておるところであります。そのほか、また、いろいろ研修事業とかこういうものは行われておりますが、警察あるいは厚生省ともそういった面での協力関係のための研修を行っておるということであります。
#39
○網岡委員 国際的な情報交換というのは、これはやはり薬物乱用の対策としては非常に重要な側面だと思います。ぜひひとつ積極的な情報交換というのをこれからも厚生省としては続けていただきたいと思うのでございます。
 この情報交換等の薬物乱用対策の予算というのは、もう率直にお聞きしますが、現在のままでいいというふうに厚生省はお考えになっておるのでございましょうか、今まで三つばかりずっとお聞きしましたが。
#40
○北郷政府委員 情報交換の予算ということは、主として海外旅費になるわけでありますが、海外旅費につきましては、いわば毎年実施されるものは予定ができるわけでありますが、臨時的に開かれるものなどについては非常に変動があるわけでありまして、ある年によっては非常に足りないと思われる場合もございますし、正確な予算計上というのがなかなか難しい。それからまた、海外旅費とは違った面でどういうものが必要かというのは、余り大した顔はございません。その面での不自由は今のところいたしておりません。主として海外との交流面での問題でございますが、今後いろいろな活動をいたしていくとなりますといろいろな需要が出てまいると思いますので、私どもとしてはよく考えた上で不足を来さないようにいたしてまいりたいと思います。
#41
○網岡委員 そこで、総括的に厚生大臣にちょっとお答えをいただきたいと思うのでございます。
 今まで麻薬取締官の問題、それから教宣の問題、それから国際的な交流の問題などを薬務局長を通じてずっと御答弁をいただいたのでございますが、私、冒頭にも申し上げましたように、薬物事犯というものは、国際的な一つの流れから見ましたときに今まで日本は確かに汚染の一番少ない国であったことではございますが、しかし、経済大国になった日本が非常に大きなお得意さんだ、こういう意味で日本が一つのターゲットにされつつあるわけでございます。現に、そういう意味で今までの質問の中ではっきりしてきているところでございますが、ブツがどんどんと流れてきておるわけでございます。したがいまして、対策の緊急な対応というものがもう本当に目下の急務な状態にあるわけでございますけれども、ひとつこれらを踏まえて、厚生大臣として、薬物乱用の対策強化のために一体どういう御決意と、どういう対策を持って今後進められようとしているのか、ちょっと所信を承りたいと思います。
#42
○津島国務大臣 麻薬等薬物の乱用は、社会にとって大きな災害をもたらし、また個々の国民の健康にも非常な被害をもたらすものでございますから、世界的な状況を見ますにつけても我が国をそういう傾向から守っていかなければならない、健全な社会経済を次の世代に渡さなければならないという基本的な考え方でございますけれども、専門家であられる網岡委員のお話を今承ってみまして、改めてこの問題の重要性、問題点等を私は痛感をいたしております。
 まず、取り締まりの面でございますけれども、百七十名の麻薬取締官、一生懸命やっていただいているわけであります。いいことではないのですけれども、これから仕事の量がふえてまいりますときに、これで必要な監視体制がしかれるであろうか。そういう点についても十分配慮をいたしまして、必要な場合にはやはり積極的に予算要求しなければいかぬなという心境でございます。
 それから、先ほど御指摘のように、やはり警察、司法当局との間の連絡についても工夫する必要があるかどうか。これはまた御担当の方ともよく相談をしなければならないと思っております。
 それから、我が国が一般的に申しましてこういう薬物乱用をある程度抑制することができたのは、青少年を中心とするPRの効果が大きかったと思います。例えば麻薬、アヘン等を吸飲をすることについて、普通健康な国民ならあの不健康な雰囲気、あれは嫌だという考え方が広がっておりますと抑止できるわけでございますが、ところが、さっきおっしゃったように、クラックがアメリカで急速にふえたという状況を聞いてみますと、何か何となくナウイ感じだというようなのがアメリカにあったようでございますね。それがベトナム戦争当時以降の社会風潮と一緒になって、それからまた非常に使いやすいなんというようなこともあって、爆発的にふえてしまったというような事情にあるようでございます。そういう意味からいうと、やはり啓発活動は非常に大事だと思っておりまして、そういうものに青少年を中心として手を伸ばすことをためらう風潮をしっかりと植えつけていきたいと思います。
 そういう意味から申しますと、実は予算が十分か、私率直に申しまして、政府委員の御答弁もある程度そういう感じをお伝えしていると思いますけれども、この今の広報関係の予算一億七千二百万程度は不足だなあ、かように思っております。そして、民間の団体にお世話になっている面もあるようでございますね。そういうことも考えますと、今後必要な予算の確保のためには一層努力をしてやってまいりたいと思います。
#43
○網岡委員 厚生大臣の率直な、しかも前向きな御答弁をいただきまして、私もやや胸に詰まっているものを解かしたような感じでございますが、厚生大臣、この仕事はやはり大臣在任中における、場合によれば最も大きな日本の薬物対策の歴史の転換期のような、そういう感じのする時期でもあるというふうに私は思います。どうぞひとつそういう意味で、大臣の積極的なお取り組みをいただきますように御要望申し上げて、質問を次に移りたいと思います。
 では次は、向精神薬の規制についての内容が今度の改正で盛り込まれたわけでございますが、その具体的な中身につきまして若干お尋ねを申し上げていきたいというふうに思うわけでございます。
 これは最も影響を受けますそれぞれの医師会とか日本薬剤師会とかあるいは製薬協会とかいったようなところから、厚生省に対しての質問という形でそれぞれ来ていると思うのでございますが、そういうものを要約をいたしまして、二、三原則的なことをお尋ねをしてまいりますので、率直な御答弁をいただきたいと思うのでございます。
 まず一つは、薬事法の薬局または一般医薬販売業の許可を受けている者の免許の取得、いわゆるこの向精神薬の免許の取得については、本法案においてはどのような措置をされるのか。みなし規定などがあるようでございますけれども、この際、端的にお尋ねをいたしますので、この取り扱いについては、薬事法の規定に基づいて所定の免許を取った者については、それは免許を持った者とみなすというふうになるのか、その点につきましてお尋ねをして、確認をしたいと思います。
#44
○北郷政府委員 薬事法上の薬局、一般販売業の免許は、今回の麻薬取締法上の免許とみなされます。更新も同様であります。
#45
○網岡委員 二つ目ですが、向精神薬営業者に設置が義務づけられておりますところの、向精神薬取扱責任者というのを置かなければならぬことになっておりますが、この点についても、前の質問と同様な形でのみなし規定がはまるということで理解をいたしてよろしゅうございますでしょうか。
#46
○北郷政府委員 薬事法上管理者制度が決められているものがございますが、これについてはみなされます。
 それから、薬事法上の規定のない業者もあるわけでございます。こういった者については、一定の知識経験を要するというような規定を設ける予定であります。
#47
○網岡委員 それは、具体的に中身をお聞きいたしますが、例えば研究機関といったような、研究所といったようなところのものでございましょうか。
#48
○北郷政府委員 研究所あるいは、研究所といいますより、一番想定されますことは、工業試薬なんかのメーカー、取扱者というようなことが多いと考えております。
#49
○網岡委員 その点でございますが、やはりその場合でも、そういう研究所とか工業関係の薬品を製造するところなどでも、大体薬剤師が勤務しておるのが通常でございます。したがって、管理責任者として当てはめていく場合には、これはやはり厚生省としての、必置を指導として、薬事法の規定に基づく薬剤師が、こういう向精神薬の問題についても扱いが一番専門的な立場にあるわけでございますから、ぜひひとつ薬剤師がその管理責任者に当たるというような形での御指導をいただきたい。どうしてもおらぬ場合はこれは別でございますけれども、おる場合には努めてそういう形
での管理者の任命を図っていくというように、厚生省、内面の指導をしていただくようにお願いしたいと思います。
#50
○北郷政府委員 薬剤師の方が望ましいと考えておりますが、いない場合についてどうするかという問題であります。
#51
○網岡委員 次に移ります。
 もう一つは、向精神薬の保管管理、それから譲渡、譲受の記録の作成保存については一体どういう規制になり、運用についてはどういうことになるのか、ちょっと御説明いただけないでしょうか。
#52
○北郷政府委員 麻薬につきましては非常に厳しい、例えば金庫に入れるようなことを想定しているわけでございますが、向精神薬につきましては、いわばその医薬品は通常使われている医薬品でございますので、これはそういったところまでの規制は必要はないと思っております。ただ、外来者が容易に入手できる、こういったことはきちっと押さえたいと考えております。
#53
○網岡委員 大体それで了解をいたしますが、駄弁のようですけれども、病院とか診療所といったようなところは、特に実態に即した弾力的な運用を図っていただくようにお願いをする最も顕著な例になってくるわけでございますが、今の御答弁がこの場合にも大体原則として運用されるというふうに理解してよろしゅうございましょうか。
#54
○北郷政府委員 医療機関につきましても薬局と同様の考え方で対処いたしたいと考えております。
#55
○網岡委員 それでは次に警察庁に対して御質問申し上げたいと思います。
 まず最初に、最近における覚せい剤などの薬物事犯の取り締まりの状況、実態について御質問申し上げたいと思いますが、御説明願います。
#56
○属説明員 それでは最近における覚せい剤等薬物事犯の取り締まりの状況について御説明いたします。
 昨年の例で申し上げますと、平成元年度中の覚せい剤事犯の検挙の状況については一万六千六百十三人の検挙でありまして、押収量は二百十七・六キロとなっておりまして、過去四番目の押収量となっております。また麻薬事犯につきましてはコカイン、これは八十八人検挙いたしまして十三・七キログラムが押収になっております。またヘロインにつきましては九十人検挙で二十七・七キロの押収、大麻事犯については千三百三十四人の検挙で四百三十六・七キロの押収ということでありまして、昨年の特徴はコカインの検挙人員、それから押収量、さらにヘロイン、大麻の押収量がそれぞれ史上最大の量になってきているということでございます。特にコカインが急増してきておるというのが目立っておりまして、コカインにつきましては三年前に比べますと検挙人員では三・四倍、押収量では二十七・四倍ということで、非常な勢いで伸びてきておるので非常に警戒を強めているところであります。
#57
○網岡委員 傾向についてお答えをいただいたわけでございますが、冒頭にも申し上げましたように、コカインが非常にこれから重要な取り締まりの対象になってくるような気がいたします。そういう一連の状況を踏まえて薬物事犯について警察は今後どのような対策をされていくのか。この際、全事件の九〇%の検挙をされてきている実績を踏まえて、どのような考えを持ってやられようとしておるのか、その対策についてお答えをいただきたいと思います。
#58
○属説明員 警察の対策についてお話をしたいと思います。
 まず第一に、暴力団等の密輸、密売組織の取り締まりに全力を挙げるということであります。特に我が国で乱用されます薬物の大半は、海外から入ってまいります。その密輸、そして国内での密売に暴力団が深くかかわりまして大きな資金源としている状況にあるわけです。そのために、税関等の関係機関と連携をいたしまして監視体制を強化して、水際でできるだけ押さえるということと、海外の捜査機関との間で捜査官を派遣し合って、捜査情報の交換あるいは国際的な捜査協力というものを積極的にやっていきたいというように思っております。また、海外の捜査官との連携、きずなを強めるために、毎年麻薬犯罪取り締まりセミナーというのを開催しております。また、それ以外にも、政府開発援助の一環といたしまして、開発途上国に対する薬物対策技術の援助にも力を入れてまいりたいというふうに考えております。
 それからもう一つの柱ですけれども、供給面の取り締まりプラス需要の根絶ということで、末端乱用者の徹底検挙に力を入れておりますし、また今後とも取り組んでいきたいと思います。それに合わせまして、薬物乱用の恐ろしさを国民一人一人にできるだけ周知徹底をするための広報、啓発活動、さらに、覚せい剤等で苦しんでいる人たちの相談に応じるための窓口の整備、そういったもので乱用者の絶無を期してまいりたいというふうに考えております。
#59
○網岡委員 最後でございますが、聞くところによりますと、八九年十二月十二日に、麻薬新条約と通称言われている条約の署名を政府としてはなさったと聞いておるわけでございますが、外務省としての今後この条約に対する批准までに向けた取り組み、対応というものについて一体今どういう進行状況にあり、外務省としては大体のめどとしてどの時点でこの批准というものを考えておられるのか。冒頭申し上げましたような国際的な大きな一つの流れがあるわけでございますが、そういうものを踏まえた上で外務省としてはどういう対応をなさろうとしているのか、その点についてお尋ねをいたします。
#60
○鈴木説明員 お答えいたします。
 私たちといたしましては、このいわゆる麻薬新条約でございますが、この趣旨に賛同しております。特に、今までの麻薬単一条約または向精神薬に関する条約、これは各国の国内の取り締まりを強化する、こういうことでございますが、この麻薬新条約につきましては、一歩踏み出しまして国際間の協力を一層推進する、こういう立場から、協力強化という点でさまざまな手段を規定しているわけでございます。こういう観点から、この趣旨には政府として賛同しておりまして、先生御指摘のとおり、昨年十二月に条約の署名をしておるわけでございます。
 そこで、この条約を我が国として実施いたしますために、私どもとしましては国内法の整備が必要と考えております。今後、国内法の整備という観点から関係省庁の検討をただいまいただいているところでございまして、その検討もいただきながら、できるだけ速やかにこの条約を締結できるように今努力をしているところでございます。
 それとともに、外務省といたしましても、この国内法の整備、このためには、それぞれの規定がどこまで各国に、また締約国に義務を課しているのかという、この条約の解釈を確定する必要があると考えておりまして、外務省内でもこの条約の解釈の確定ということで最大の努力をしているところでございます。
#61
○網岡委員 外務省に重ねてお尋ねをいたしますけれども、この麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約、こういうことで外務省は名称なども内々に内定といいますか想定をされておいでになるようでございますが、この条約の内容とその効果というものが、従来の一方の取り締まり規制というものがあるわけでございますが、この不正取引防止に関する国際連合条約というものがスタートを切ったということになった場合に、この薬物事犯に対する取り締まりをする上で一体どういう効果があるのかということを、署名をなさった外務省でございますから、その辺はどういうふうにお考えになっているのか、その辺のところをお尋ねしたいと思うのです。
#62
○鈴木説明員 お答えいたします。
 この麻薬新条約は、先ほどもお答えいたしましたように、各国の間の協力を促進するという観点が非常に表に出ておりまして、この点から特に麻薬と向精神薬、この二つの物質、これの不正な製
造、販売、輸出入それから栽培、こういう点を広くくくりまして、これを不正取引と定義しておるわけでございますが、これを犯罪としましてこれに対する制裁、こういうものを強化する。それから、国外犯も含めましてこの犯罪についての裁判権を設定する。それから、この犯罪から生じました収益を没収すること、こういうようなことがございます。このほかにもいろいろございまして、例えば犯罪人の引き渡し、これを行えるような措置をとる。それから法律上の相互援助、これは捜査共助または司法共助ということになりますが、これを実施する。それから、犯罪人を特定するためにいわゆるコントロールドデリバリーと申しますか、こういう措置をとる。それから、この物質を製造するためによく使用される材料、そういう材料としてのそのほかの物質の、不正な製造への流用防止、そのほかにも幾つかの海上での不正取引の防止ですとか郵便の利用の防止ですとか、こういうことがございます。
 したがいまして、この条約に加入いたしますと、こういう国際協力という意味で非常な協力の推進ということが可能になるわけでございます。
#63
○網岡委員 今外務省からの御説明もいただいたわけでございますが、当面、この条約が発効するということになりますと、麻薬取り締まりの一番前線に出られる警察庁にちょっとお尋ねをいたします。
 今も御説明があったわけでございますが、やはり暴力団との絡みで、薬物の扱い事犯というものの起こりは全部暴力団の資金源、こういうことになっているのが今までの一連の経過であるし、だれも認める事実のようでございます。そういう意味で、今も外務省からお話がございましたように、収益の没収それから隠匿の枠を外すというようなことを含めた面での取り締まりの幅を広げることになりますと、今までは物だけの取り締まりであったものが金を中心にしたことによる取り締まりに幅を広げていくことになるということで、捜査上の非常に大きなメリットがあるというふうに言われておるわけでございますが、その衝の一番中心にある警察庁として、既に今外務省がおっしゃいましたような打ち合わせの段階に入っておると思いますが、この条約が発効するということになった場合に、捜査上のどういうメリットが具体的に出るのかという点について、この際明らかにしていただきたいと思います。
#64
○属説明員 麻薬新条約には、今お話がありましたように、マネーロンダリングを犯罪化するとか、その収益を徹底的に没収をするとか、そういった新しい効果的な取り締まり手法がいろいろ盛り込まれているわけであります。特にマネーロンダリングの犯罪化、その収益の没収ということは、従来の麻薬犯罪に対する規制が麻薬という物を中心になされたわけでありますけれども、それだけでは十分ではない、やはり金の面から徹底的に締め上げる必要があるということで、その新しい手法として盛り込まれたものであります。そういうことで、現在関係省庁の間で麻薬新条約の批准に向けての国内法の整備の検討が進められているところであります。警察庁の方もまた取り締まり面で非常に関係がありますので、現在一緒になって検討しているところです。
 そういうことで、批准が実現しましたら、それをもとに私どもも全力を挙げて、暴力団等の取り締まりにさらに力を入れていくことができるだろうというふうに大いに期待をしているところです。
#65
○網岡委員 ぜひひとつ、外務省にもそれから関係省庁にも私、御要望申し上げたいのでございますが、今御答弁をいただきましたように、従来の麻薬から覚せい剤、向精神薬というふうに幅が広がったわけでございますが、これらの事の起こりは、やはり暴力団の資金源というものが大きな順になっているような状況にございます。そういう意味で、今御答弁がございましたように、物の取り締まりだけでなしに金の面といった形の中で両面でこれを締め上げていく、こういうようなことをしないと、冒頭申し上げましたようにクラックの発生がわずか五年でアメリカ全土を席巻するといったところまで蔓延をしていく、非常に恐ろしい代物でございますから、ぜひひとつこの条約の批准に向けて、各省、厚生省を中心にいたしまして、積極的なお取り組みをいただきますように御要望申し上げたいと思います。
 最後に大臣に御質問を申し上げたいのでございますが、今までの質問の流れの中から、麻薬、覚せい剤、向精神薬等の乱用対策というものを今後どのように推進をされるかという点につきまして、大臣の決意と申しましょうか、そういうものについて御答弁をいただきたいと思います。
#66
○津島国務大臣 麻薬等の乱用の問題は、我が国にとっても大きな課題あるいは問題として浮上しておりますばかりでなく、世界的な傾向を見ますと、すべての国にとって、大きく言えば人類全体にとっての大問題になりつつあると思います。
 この中にありまして、日本が相対的にまだその傾向が抑制をされておるというのはそれなりに結構なことでございますけれども、増加する傾向がある。国の内外の人や物の移動がふえていく、こういうことの中で今回のこの法律改正、そしてまた、先ほどから御議論のありました新条約の署名という、この時期をとらえて、新たな覚悟をもって麻薬等の撲滅に努力をしてまいりたいと思います。
 そのために、予防対策を積極的に推進いたしますとともに、必要な予算は確保する、それからまた、国内外の関係機関とも協力をいたしまして、国際的なそういう仕事の効率化も図ってまいりたいと思います。一生懸命取り細んでまいります。
#67
○網岡委員 終わります。
#68
○畑委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時三十九分休憩
     ────◇─────
    午後一時七分開議
#69
○畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部行雄君。
#70
○渡部(行)委員 まず大臣にお伺いいたしますが、ただいま議題となっております法案は、改正点そのものについては特に異議はございませんが、この法案のよって立つ基礎を掘り下げてまいりますと、いろいろな多くの問題に突き当たるのであります。
 例えばこの法律の沿革を調べれば明らかなように、大体日本の年金制度というものは、明治の初期に軍人を対象として発足してからいろいろな変遷をたどって、今日まで百十年余の経過を見ているのであります。その中で大きな出来事は、太平洋戦争の終結に伴い、連合国最高司令官の司令によって軍人恩給は一部傷病者の恩給を除いて廃止され、一定期間軍人恩給の空白が続いたのであります。そして、昭和二十七年の第十三回国会において戦傷病者戦没者遺族等援護法が制定されたのであります。そして、その翌年の昭和二十八年に恩給法が改正され、終戦後初めて軍人恩給が復活したわけでございます。
 こうした状況を考えますと、これらの変遷の中で、果たして公正、公平、かつ国民の納得を得ながらこの制度の改定が進められてきたのであろうかと考えれば、甚だ疑問なしとしないのであります。したがって、大臣は、この際、国際的観点と日本経済の見通しの上に立って、これらの国のために犠牲になられた人々に対する諸制度が本当に公平であるかどうか、また国民から喜んで受け入れられているのかどうか、さらに、この法律の網から外されているものはないかどうかなど、まだまだ再検討を要する問題がたくさんあると思うのでございますが、これに対する大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#71
○津島国務大臣 委員御指摘のとおり、確かに現在の我が国の年金制度を概観いたしますと、制度それぞれかなりの期間にわたっていろいろな経緯を積み重ねながら今日に至っておりますから、その長い歴史を通じてすべて同じような取り扱いになっているかと言われると、それぞあの方のこれまでの履歴その他によりまして違った結果になる
という事実は私も否定するものではございません。しかし、制度そのものが相当の期間をかけてつくり上げられているということ、そして、それぞれの制度について既に相当数の方が現在のルールで参加をしておられるということを考えますと、それぞれ個々のグループの方について取り扱いの違いがあるという問題を完全に解消することは非常に難しいのではなかろうか。むしろ現在の制度を前提としながら、これを長期にわたって安定をさせていく、また少しでも条件を整備するということをしていくのが妥当ではないであろうかというのが、私の一般的な考え方でございます。
#72
○渡部(行)委員 そこで、この恩給法の経緯の中で一番問題となっているのは、今軍恩欠格の問題でございますが、同じ軍人として国に奉公しながら除隊になって、ある方は役場に勤務する、あるいは学校の教師となってそこで働く。そういう方方が公務員として取り扱われるし、またその公務員については、かつて軍務に奉職した期間を共済年金期間に即座に通算されている、そして、それに基づいて年金の支給を受けているわけです。一方、同じ軍隊で苦労をし、あるいはその方と一緒に除隊して、自分は農業を営む、また隣の戦友は民間会社に勤める。ところがこういう方々は、全然国民年金にも厚生年金にもその軍務に服した期間が通算されない。こういうことが果たして公平、公正と言えるでしょうか。
 公務員制度とこの軍人勤続期間というものと、どういう兼ね合いで公務員だけがそういう恩恵を受けられるのか。そして同じ軍人として勤務しながら、農民や一般の会社員その他の方々は全然これを考えにさえ入れてもらえないでおる。これについて果たして公正、公平と言えるでしょうか。この問題で、実際軍恩欠格者として今果たしてどれだけの人数が残っておられるのか。また、今は戦後の状態と大分状況が変わりまして、年金の一元化という情勢にあるわけでございます。そうすると、この年金の一元化ということは、言ってみればすべて公的年金と考えても間違いではないと思います。だとすれば今こそ、この軍人恩給欠格者の人たちをこんなに苦しめなくても、その期間をいわゆる軍務に携わった期間を国民年金なり厚生年金の期間に通算してしかるべきではないかと考えるわけですが、その点についてほどのようにお考えなのか、明らかにしていただきたいと思います。
#73
○水田政府委員 御質問の趣旨は、軍人恩給期間は共済組合は通算されているのになぜ厚生年金や国民年金に通算されないのかという点に尽きるかと思いますが、御案内のとおりに共済制度は恩給制度を承継した制度で、いわば一体の制度でございますので、恩給期間の対象になります軍歴期間が共済組合に通算されるのは私ども当然のことではないかと考えておる次第でございます。
 それではなぜ自営業者を対象とした国民年金あるいは民間サラリーマンを対象とした厚生年金に通算しないのか、こういう御指摘でございますが、国民年金、厚生年金とも自分の制度の加入期間で年金が受けられるように種々、制度発足時に配慮をいたしているところでございまして、例えば国民年金で和し上げますと、五年年金、十年年金あるいは十一年から二十四年年金まであるわけでございまして、給付の面につきましてもいろいろかさ上げ措置その他の配慮をいたしているところでございまして、私どもとしましては、社会保険の方式をとります厚生年金なり国民年金というものにつきましては、保険料を拠出していない期間を対象にすることはやはり根幹にかかわる問題としてできない、このように認識しておる次第でございます。
#74
○渡部(行)委員 国民というのは、政治のもとに平等でありたいというのが国民の一番の気持ちなんですよ。それを最初から今の共済年金は軍人恩給の制度を引き継いだ、そういうようなことで、それだけを通算するというのはちょっとおかしいのではないか。もちろん通算するととに反対しているのではありませんよ。それなら、同じように国民に対してもこの通算をしてやって、そして国民の中に、同じ国のために一生懸命奉仕してきたのですから、当然その報いとして平等に取り扱ってもらいたいというのが国民の心理状態だと思うのです。それにこたえるのが政治ではないでしょうか。その点についてはいかがなものでしょうか。
#75
○水田政府委員 厚生年金や国民年金につきましては、先ほど申し上げましたように、自分の制度の加入期間で年金がもらえるように基本的に措置がなされておるわけでございまして、先生御提案のように厚生年金や国民年金に軍人期間を通算するということになりますと、やはり同じく戦時下自営業を営んでいた者あるいは工場に勤めていた者、これらもバランス上国民年金あるいは厚生年金に対象期間として入れないとバランスを失する、こういう問題が起きてくるわけでございますが、そうなってまいりますと、ただでさえ現在の国民年金あるいは厚生年金は制度の維持に財政上の非常な困難を伴っているわけでございまして、膨大な追加費用を伴うということに相なるわけでございますので、財政上から見ても極めて私は困難ではないかと考えておる次第でございます。
#76
○渡部(行)委員 これは全く私は、今のお答えは噴飯物だと思うのです。なぜかというと、財政がやり切れないからそこまで拡大できないのだ、こういうことは理由にならないと思うのですよ。これが敗戦後間もなくの話ならいざ知らず、今一兆五千億からのODAの予算を取って外国に援助しておる、こういう体制の中で、一般の人はこれは大変数が多いし、やると大変だという、そういう感覚でこの問題を見られたら、戦争に行った人たちは一体どのように考えるでしょうか。自分が行ったと考えて、その上で自分ならどういうふうに考えるかを考えていただきたいと思うのです。
 それで、それが正しいやり方だとすれば、それではなぜこの平和祈念事業の特別基金というものを設けて、しかも、恩給欠格者に対する書状、銀杯贈呈事業、こういうものまで起こして、基金の活用を特にこの人たちにやっていこう、こういうことを考えたこと自体、これは明らかに恩給制度の不公平性を証明したものだと私は思いますが、その点はいかがでしょうか。
#77
○榊説明員 お答えいたします。
 今先生、私どもの方で所管しております平和祈念事業特別基金に関しての御質問ということでございますので、この基金ができました経緯につきまして御説明させていただきたいと思います。
 この基金ができましたのは、昭和六十三年五月に国会におきまして、平和祈念事業特別基金等に関する法律というものを御成立いただいたわけでございますが、この法案を提案いたしました考え方といたしましては、いわゆる戦後処理問題の中でも、シベリア抑留者の方々あるいは恩給欠格者の方々あるいは引揚者の方々、この三問題につきましては、非常に大変な御苦労をされたというそういう認識のもとに、国としての何らかの慰藉の気持ちを示したいということから、この基金をもちまして各般の慰藉事業を行わせていただく、恩給欠格者につきましては平成元年度から、今先生お話のありましたように、慰藉の念をあらわすという気持ちの関係で、一定の資格の人でございますが、書状あるいは銀杯を贈呈させていただく、こういう事業を始めさせていただいた次第でございます。
#78
○渡部(行)委員 それでは、同じ戦地に行ってきた方でも、いわゆる共済年金に入っておられる方に対しては別にそういう特別な気持ちで慰藉の気持ちを表現する必要はない、こういうことなんですね。ですから、通算されない人だけは、気の毒だからそこで精神的な慰藉をするためにこういう制度でやったんだ。それをはっきりしてください。
#79
○榊説明員 お答えいたします。
 恩給欠格者の方と言われますのは、六十三年度から元年度にかけまして、平和祈念事業特別基金の方で一応推計調査というのをやっておるわけですが、平成元年十月時点で約二百五十三万人、これは生存者の数でございますが、おられるだろう
この方につきましては、これは在職年が主として兵の場合には十二年未満の方ということで、在職年についてはもちろん長短があるわけでございますが、この方々、恩給を受けられない方の労苦につきまして、一律に、言ってみれば慰藉の念を示すということから行われている事業でございまして、その通算されないことに伴う慰藉の念を示すんだという考え方ではございませんで、むしろ、こういう方々が大変戦争中御苦労された、そういう労苦に対して国としての気持ちをあらわしたいということから行われた事業であるというふうに理解しているところでございます。
#80
○渡部(行)委員 これは私も、むしろ経緯についてはあなたよりも知っているくらいなんだ。
 そこで、この基金の運用は今どのようにされてきたか、それを明らかにしてください。
#81
○榊説明員 お答えいたします。
 平和祈念事業特別基金の現在の運営の状況ということでございますが、御承知のとおり、平和祈念事業特別基金は、六十三年の七月一日に認可法人として設立されてございます。
 具体的な事業につきましては、法律で具体的に事業名を書いてございますが、関係者の労苦に関しての資料収集あるいは労苦調査の関係あるいは講演会等一般の国民の理解を得るための各般の慰藉事業を行うとともに、個別の措置といたしまして、例えば恩給欠格者の方につきましては、先ほど申しましたように、一定の資格のある方に対して書状、銀杯を贈呈させていただいている。あるいはシベリア抑留者の方につきましては、御遺族の方も含めまして、例えば恩給等を受けておられない方につきましては書状、銀杯、国債の十万円、あるいは恩給を受けておられる方につきましては銀杯の関係は三つ重ねという形で、あるいは現地で亡くなられた方につきましても、平成元年度から書状、銀杯の贈呈事業を開始させていただいた。
 現在の状況は以上でございます。
#82
○渡部(行)委員 それで、今度はシベリア抑留者の問題に移りますけれども、戦後強制抑留者に対しては、慰労品あるいは国債で十万円、それから銀杯、こういうふうになって、しかも、今軍人恩給をもらっている方にはこの十万円は差し上げない、そういうことでありますが、これはなぜ三つ重ねと単杯とに分けて支給したわけですか、その内容をお聞かせください。
#83
○榊説明員 お答えいたします。
 シベリア抑留者に関しましての慰労事業につきましてのお尋ねでございますが、先生今お話のありましたように、現在の状況の中では、恩給受給者の方あるいは恩給を受けていない方におきましては、銀杯につきましてそれぞれ異なった種類になっているわけでございます。これの経緯につきましては、六十三年度の予算措置の中では、恩給受給者の方につきましても恩給をもらってない方と同様に単杯の銀杯だったわけでございますが、その後、恩給をもらっている方々から同様に慰労金十万円についても要求がございまして、結果においては慰労金十万円を出すということはしなかったわけでございますが、その辺の気持ちも酌んで、贈る銀杯につきましては三つ重ねという形で平成元年度からの事業として今取り組んでいるところでございます。
#84
○渡部(行)委員 これは大体三つ重ねの対象の方と単杯の対象の方で今どのくらいおりますか。実際に、もう既に手渡して事務的に終わった方、あるいはまだ手渡さないためにこれから仕事を進めていく、こういう方の数字を教えてください。
#85
○榊説明員 お答えいたします。
 シベリア抑留者に関しましての慰労品の請求処理状況について御説明いたしますと、平成元年度末の数字でございますが、恩給等非受給者、単杯の方でございますが、三月末現在で十五万七千件の請求がございます。そのうち十三万五千件処理させていただいているということでございます。それから恩給等受給者、この方は銀杯、三つ重ねでございますが、九万五千件の請求がございまして、三月末時点で三万三千件の処理をさせていただいた。それから先ほどちょっと補足しましたけれども、現地で亡くなられた方、この方につきましても元年度から新規に銀杯の贈呈を始めさせていただいているわけですが、この方につきましては、二千人の請求がございまして一千名の方に贈呈させていただいている、こういう状況でございます。
#86
○渡部(行)委員 こんなのろのろの仕事をされておったのでは、まだもらえないうちに死んでいく人がたくさんいるわけです。せっかくつくられた国の政策でも、実際に何らの効果を発揮しないで、そして後から、死んでしまったところにその銀杯が贈られたり書状が贈られたりしておるというところもたくさんあるわけですから、もっと真剣になって、出すところはどんどんと出して、そういうことのないようにすべきだと思います。
 そして特に、政府の方では戦後処理は終わったというふうに理解しておるようだけれども、これは公式に国会として決議とかそういうもので決めたのではなくて、政府と自民党の申し合わせでそういうことができ上がっているのをあなたも御存じだろうと思うのです。しかし、このシベリア抑留者の問題というのは今まさに訴訟中なのでございます。これの結論が出ていない。そういうことを考えると、もっと慎重に取り扱わないと後で大変な問題になる。
 しかも、このシベリア抑留者の場合、昨年選挙間近になって五億円を一方の団体に交付して他方の団体には全然交付しなかった。つまりこれは、あなたが知っているように、シベリア抑留者の団体というのは二つに分裂しておるわけです。そして交付を受けなかった方の団体の方が人数が多いわけで、そういう一切を知っておりながらこの一方的なやり方をしたことはどういうわけですか、そこを教えてください。
#87
○榊説明員 お答えいたします。
 今先生がお尋ねの件は、元年度の予算といたしまして、シベリア抑留者の特別の慰藉のため、元年度限りということで五億円の予算が計上されたわけでございます。この具体的な内容につきましては予算編成時には特に決められいていたわけではございませんで、現実的な使途につきましては、特別基金に対する補助として五億円を行うという形で予算がついたわけでございますが、具体的な使途につきましては、御承知のとおり特別基金の中に重要事項を審議いたします運営委員会というのが、これは民間の方から構成されます、関係者ももちろん含まれてございまして、十名の委員から成っておるわけでございますが、その委員会の場で一応使い道についての慎重な御論議をいただいた次第でございます。
 その委員会の考え方といたしましては、非常に貴重な五億円というお金でございますので、単年度で全部使い切ってしまうということよりは、むしろ基金といいますかファンドということで、それをもとにして運用益を生み出していこう、そういう運用益をもって永続的に、シベリア抑留者全員を対象にしてきめ細かな慰藉事業をやるのが適当なんじゃないか、こういう考え方になりまして、それで具体的な受け皿としてどこが適当なんだろうかということになったわけでございますが、御承知のとおり公益法人という法人は、不特定多数といいますか、広く関係者を対象にいたしまして公益活動を行うという性格の団体でもございますので、そこの公益法人の方へ助成をするというのが適当ではないか、こういう結論に至ったわけでございまして、それを受けまして、尊重いたしまして、政府側としても特別基金の方に五億円の補助を行ったという経緯でございます。
#88
○渡部(行)委員 全く非常に巧妙なごまかしがなされているわけですよ。あなた、そんなことを言うけれども、全部知っているはずなんだ。この団体が二つに分かれた経緯からすべて知っているはずだ。何でその団体というものを認めないで、全体というものを認めないで、その一部の公益法人として財団法人をその対象にしたのか。財団法人という名前があれば、それで公益法人だとすべてが言えるわけじゃないのですよ。あなた、実態を
完全に調べているのですか。
#89
○榊説明員 お答えいたします。
 今申し上げましたように、五億円の補助を財団法人の方に助成したわけでございますが、この五億円の基金につきましては財団の中でも一応経理を別にしていただくという形で、事業としては財団が本来行う事業とは別な形で一応手当てをさせていただいているわけでございます。あるいは、その事業をやるにいたしましても毎年度特別基金の方の承認をとっていただくということでございまして、その対象となる事業につきましては、特定の団体の構成員を対象とするというよりも、そこに入っていない方も含めて全抑留者のために使われる金ということで助成したわけでございまして、私ども、その使途につきましては非常に公平な形で運営されていくべきものというふうに考えておる次第でございます。
#90
○渡部(行)委員 このお金というのはシベリア抑留者全体が対象になっているのですよ。それをあなた、財団法人に入っている者だけが対象になっているような考え方を持っているようだけれども、おかしいんじゃないですか。大体平成元年というのは、もう選挙が間近に近づいているというのはだれでもわかっていたんだ。そういう時期に一方的に財団法人だけを対象にこういう重要な国民の税金を使わせるということはとんでもない話だ。そして運営委員のメンバーにだってそうでしょう。こっちでは両方から公平に出しなさいと言っているのに、一方からだけ出しているじゃありませんか。そういう不公平なことを、あなたはちょうちん持ちと同じなんだ。本当にそういうことでは困るので、これからはどういう運営をしようとしているのかはっきり言ってください。
#91
○榊説明員 お答えいたします。
 元年度に先ほど申しましたように五億円の助成をいたしたわけですが、財団法人の方が事業主体となりまして、私ども慰藉基金と申しておるわけでございますが、五億円の運用をしているわけでございます。元年度の事業といたしましては地方三カ所、中央一カ所で慰霊祭が行われてございます。この慰霊祭につきましては、必ずしも財団の関係者だけで行っているわけではございませんで、新聞、広報等を通じまして広く抑留者全体に呼びかけを行ってございます。現実に行われた慰霊祭の方には、必ずしも当該団体の関係者だけではなくて、それ以外の団体の方、あるいは一般の、それらに加入されてない方も含めて非常に公平な形で事業が行われていると私ども承知している次第でございます。
 もう一点の運営委員の関係でございますが、確かに運営委員十名の中にそれぞれ三問題の関係者が一人ずつ入ってございます。御承知のとおり、シベリア関係者もお一人入っているわけでございます。しかし、この運営委員につきましては非常に公平に客観的に御審議をいただく機関という位置づけをしているわけでございまして、現在選ばれている方、この方はもちろん関係団体の役員もしているわけでございますが、そういうお立場で御参加をいただいているわけではございませんで、全抑留者を代表する立場での御発言なり御活躍をされているということでございまして、私どもそういう意味では、そういう立場を十分わきまえた意味での御活動をされているというふうに見受けている次第でございます。
#92
○渡部(行)委員 慰霊祭を財団法人にさせたというけれども、私もシベリア抑留者なんですよ。はがき一本来ませんよ。そういうでたらめなやり方をあなたは全然見ようとしない。本当にこれは困ったものですよ。
 しかし、こんなこと長々とやっても仕方ないから先に進みますけれども、これからは同じような財団法人をつくれば、それは結局そういう助成の対象になるのですか。そこを明確に言ってください。
#93
○榊説明員 お答えいたします。
 先生御質問のように、財団法人にすれば助成の対象になるのかという御質問でございますが、基金で行う事業につきましては、いろいろな事業を行っているわけでございますが、補助事業というのは確かにございます。そのうち補助事業の対象としてどのようなものを考えるかということになるわけでございますが、それは事業の内容なり性格なり、あるいは執行面等考慮いたしまして、総合的に補助対象が決まっていくわけでございます。ですから、必ずしもその事業内容、事業性格からすれば財団法人でなければ補助の対象にならぬというわけではございません。現実に、任意団体の方にも、昨年度におきましては、労苦調査に関係の調査を依頼をさせていただいておるというふうに聞いておるところでございます。
#94
○渡部(行)委員 これは尽きることのない議論になりますから、この程度でやめておきます。
 次に、この間韓国から盧泰愚大統領が来て海部総理と大分いろいろお話をされたようでございますが、今韓国にある、日本とかかわり合っている諸問題というのはどういうものがありますか。まずそこをはっきりお聞かせ願いたいと思います。
#95
○川島政府委員 お答えいたします。
 先般の日韓首脳会談におきまして海部総理より、過去の一時期の問題について言及されまして、謙虚に反省し率直におわびの気持ちを申し上げたいと述べられた上で、過去に起因する問題には一区切りをつけて新しい関係構築に向けてスタートを切りたいと申されたわけでございます。一方、盧泰愚大統領は、訪日の最後の記者会見におきまして、私を初め私の国民も、今後、過去の不幸な歴史についてはこれで一応決着がついたと思うであろうと確信いたしておりますと述べられまして、その意味で過去の問題については一区切りがついたという認識でございます。ただ、これは日本側としてこれで過去について忘れてしまっていいというような話ではないことはもとよりでございます。
 なお、これは歴史の認識についてでございまして、大統領の訪日に際しまして、その歴史の認識に加えまして過去に起因する問題というのが三点ございまして、一つは在日韓国人三世の問題、それからサハリンの韓国人の方の問題、それから被爆者の問題でございますけれども、それについてもやりとりがあって一応の解決の方向を見た、こういうことでございます。
#96
○渡部(行)委員 新聞記事と大分違うようですね。新聞記事では、これは五月二十五日の夕刊ですが、「八月にも賠償請求提訴」、こういうふうな見出しで書かれているのです。それはどういうことかというと、お言葉、謝罪を根拠にして訴訟を起こすというわけです。また、海部総理は、「人道的観点から努力したい」、こういうことを言われておって、「残留韓国人や、最近ようやく韓国に帰国できた人たちとその家族、遺族が、日本政府に対し損害賠償を求める訴訟を八月にも起こすことになった。」こういうふうになっているのですが、こういう訴訟が起こされて、サハリンの残留韓国人、これは一体国籍はソ連にあるんじゃないでしょうか、そうすると、そういう国籍関係といわゆる朝鮮人という人種関係との問題はどういうふうにかかわってくるのか、そして、その請求権というのは一体あるのかないのか、その辺について御説明願いたいと思うのです。
#97
○川島政府委員 まず、被爆者の問題につきましては、これはお気の毒な経緯がございますので、四十億円の支援というものを韓国側の被爆者支援事業に対してお出しするということで対応しております。
 サハリンの問題につきましては、ようやくお帰りになれる方たちなものですから、それの里帰りとか故国に帰られる費用等々を毎年お出ししている次第でございます。
 ただ、いわゆる賠償ということになりますと、これは国交正常化、昭和四十年でございますけれども、そのときの日韓請求権及び経済協力協定によって完全かつ最終的に解決しておる、こういうことでございます。
#98
○渡部(行)委員 日韓条約ではそうなっているならば、総理がどうして努力をしたい、あるいは日本がかって朝鮮人を強制連行して、鉱山や軍需工
場で働かせた、そういうことについてもその名簿を探せ、こういうふうに総理は言っているのですね。名簿をつくるのではなく、大至急保管先を見つける、こういうふうに言われているのはどういう意味でしょうか。
#99
○川島政府委員 強制連行の問題でございますけれども、これもまさに不幸な歴史の中の一つの側面だったわけでございまして、これは先般の大統領訪日のときの日韓の外相会談だったのでございますけれども、韓国側外相から中山外務大臣に対して、最近韓国内で強制連行の名簿を日本側に求めろという声が非常に強くなっているので協力をお願いしたいという提起がございまして、ですからこれについて、日本側にどういうものがあるかということを見た上で、いずれ韓国側にお答えしなくてはならないという状況ではございます。
#100
○渡部(行)委員 それで、その名簿は実際にあったのですか。
#101
○有馬政府委員 これは何分古いことでございますので、今、事実関係その他を関係があり得ると思われる省庁の方々に内閣に集まってもらって一緒に調査を開始しているところでございます。したがいまして、まだ御質問の趣旨に対してお答えができる段階には至っておりませんので、しばらく時間をおかしいただきたいということでございます。
#102
○渡部(行)委員 これは幾ら戦時中とはいえ、外国人を国境を越えて自分の国に強制的に連れてくるとき、その人の現住所と本籍と名前とあるいは家族の名前まできちっと保管していると私は思うのですがね。そういう事務はかつてどこでやっていたのですか。
#103
○有馬政府委員 今先生が取り上げられました最後の部分を含めて調査しているところでございます。
#104
○渡部(行)委員 大体どこにあるという見当もつかないでどういう調査ができるのでしょうか。見当をつけてあるからこそ、これから調査をしてその人数を確認するというなら話がわかるけれども、どこにあるか全然わからないで調査する、調査すると言うのは、言葉だけの調査になって結局何にもわからなかった、大山鳴動してネズミ一匹も出なかったということになりはしないか、その点はいかがでしょうか。
#105
○有馬政府委員 今本当に存在しているかどうかわからないのでございます。そして、当時このようなことをどこが所管していたかということを含めて調べているわけでございまして、繰り返して申しわけありませんが、何分にも古い話でございまして、関係あり得るところにお集まりいただいてそれを調べているということでございます。
#106
○渡部(行)委員 そうすると、海部総理の言ったことは何のために言ったのだか何か全然わけがわからなくなってしまうのですね。そして八月にそういう関係している犠牲者の方々から訴訟が出されたときに、それは日韓問題の中で終わったのだということで、果たしてその締めくくりができるでしょうか。その辺についての見通しをお聞かせ願いたいと思うのです。
#107
○川島政府委員 強制連行された韓国人の方たちのお話と申しますのは、国交正常化に至る大変長きにわたる交渉があったわけでございまして、そこでも一つの大きな問題としてずっと取り上げられてきた次第でございますけれども、当時の記録等々を洗ってみますと、請求権の法的根拠とか事実関係についていろいろ詰めてはみたのですが、結局のところ、終戦の混乱とそれから朝鮮動乱による韓国側の資料の散逸等によって積み上げて見るということができなくて、そうして一括解決するという形で決着が図られた、こういうことのようでございます。そこで、強制連行に関します請求権もその中で最終的に解決されたということになっております。
 サハリンの話につきましても、賠償ということになりますと、これは訴訟になりましても同じことだろうと思います。ただ、過去に起因する問題ということで、サハリンにいたしましても被爆者にいたしましても、そうは言ってもお気の毒であるので、何ができるかという観点から、サハリンの場合には、里帰りとか滞在費とかをできる限り御協力申し上げるし、それから原爆についても医療活動を全面的に支援させていただくとか、そういう形で引き続き配慮をやっていきたい、こういうことでございます。
#108
○渡部(行)委員 サハリンの残留韓国人の方というのは何人おられるのですか。
#109
○川島政府委員 お答えいたします。
 帰還促進団体の推定の数字でございますけれども、現在大体六万人ということでございます。このうちソ連国籍が七〇%ですから、四万人強、それから北朝鮮籍が二五%ですから、一万五千人でございますか、ということでございます。それで今韓国へ帰りたいということを望んでおられる方は約三千名、こういうふうに推定されております。
#110
○渡部(行)委員 そこで、この問題は、韓国と日本の場合は日韓条約等があるからわりかた取り扱いやすいと思いますけれども、これから出てくるのは朝鮮民主主義人民共和国との関係が当然同じようなケースで出てくるのではないか、こう推察されるわけですが、そういう場合は日本政府はどのような身構えをしてそれに当たるのか、その辺の事情をお聞かせ願いたいと思います。
#111
○川島政府委員 お答えいたします。
 まさに朝鮮半島に関しまして今までのところ決着しましたのは韓国との関係でございまして、北朝鮮との関係は全く白紙の状況でございます。したがいまして、これはまさに将来あり得べき日朝間の正常化の過程で処理されるべき大変重大な問題だ、こう認識しておりますし、そこで、まさに請求権の問題を含めていろいろと対応しなければならないと考えております。
#112
○渡部(行)委員 そこで、こういう問題は戦後処理問題の範疇に入るのですか、それともそれ以外のどういう問題として取り扱われるのか、その辺の政治的位置づけをはっきりと教えていただきたいのです。
#113
○川島政府委員 お答えいたします。
 北朝鮮に関する請求権等の話は、これは紛れもなく戦後処理の最後に残った話だろうと思います。その他の日韓間の問題、例えば、今御指摘になりましたサハリンの話等々は請求権という観点からですと国交正常化のときに解決済みということでございます。ただ、他方、人道的見地から大変お気の毒であるということで、サハリンあるいは被爆者の問題についてはさらに請求権、賠償とかいうのとは切り離して、不幸な過去にかんがみて対応してきた、こういうことでございます。
#114
○渡部(行)委員 時間もありませんから、最後に恩給の問題で、支那事変及び大東亜戦争等従軍加算一覧表というものがあるわけです。そこで、この表はいつつくられたものか。また、この加算の基準というものはどういう基準によって加算年数なりそれが決められていったのか。そして、この加算を決めるとき、一カ月につき三カ月とか二カ月とかあるいは事変地は二カ月そして抑留加算は一カ月、こういうふうに決められたのは一体どういう根拠に基づいたのか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#115
○石川政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの支那事変及び大東亜戦争等従軍加算一覧表がいつつくられたかという御質問でございますが、これは各加算等につきまして必要を認めて、これを勅裁という形でその都度決裁を得てきたものが戦後一つの表として整理され、まとめられた、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
 なお、加算年等の問題でございますけれども、これは戦地勤務等勤務の危険性、特殊性といった実態に着目いたしまして、その在職年の評価を高める、そういう性格のものであるわけでございますが、この加算制度の枠組みにつきましては、戦前から恩給法においてきめ細かく決められたものでございます。また、いわゆる戦務加算年等の加算の程度それから加算の認められる期間及びその地域等は、先ほど申し上げましたが勅裁で定める
こととされておりまして、戦時または事変のつど内閣告示で公示されたものであります。その内容は、実質的に戦時、事変の状況を掌握しておりました旧陸海軍省を中心に加算事由の生じた当時において種々検討の上決定されたものでございます。
#116
○渡部(行)委員 その都度戦時中にやったというのはわかりますが、それでは、この抑留加算、これはいつの時点でやられたのですか。
#117
○石川政府委員 ただいま御指摘の抑留加算につきましては、昭和四十年に設けたものでございます。その際には、戦後のこの時点において新たに加算制度を設けることの是非を含めて種々検討が行われたようでございますが、その結果、この間非常に苦労されたという実態等から新たな加算年制度を設けることにしたということでございます。
#118
○渡部(行)委員 これは非常に問題があると思うのです。大体その一地域、激戦地においてはどのくらいの率で戦死をしたとか、あるいは負傷者が出たとか、そういうのが過去には考えられておったと思います。ところがこの抑留者でも、シベリア抑留者のように日清戦争よりも死んだ人の方が多いんですよ、率としても。そういうものがほとんど考えられていないで、非常に優遇された土地に抑留された方々と一緒に全部一律一カ月に一カ月、こういうまさに真心の入っていない、いいかげんな事務的なやり方でいいだろうか。こんなことで国民に納得させられるだろうか。まさに日本の一番ずるさがここに出ていると私は思うのです。こういうものについてはぜひ再検討をして、今の加算の数字が違っていくと恩給にも皆これが波及するわけですから、そういう点では洗い直しをして、もっと公平性を実現していただきたいと思います。
 最後に大臣に、今までいろいろ議論してきましたが、特に私は、厚生大臣は非常に誠実な人だと常日ごろ敬意を表しておるわけですが、ひとつそういう点で、こういう問題の総ざらいにある時期に再点検をしていく、そういう姿勢で臨んでいただきたいと思うのです。ひとつ大臣の決意のほどをお聞かせ願って、終わります。
#119
○津島国務大臣 ただいま改めて戦争の傷跡を思い起こさせるような戦後処理の諸問題を承りまして、随分問題が残っているなという感を否めないのでございます。
 ただ厚生省の立場から申しますと、厚生省が引き揚げ援護の仕事を省の仕事として授かりまして以来、戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護、遺骨収集、慰霊巡拝等の戦没者の慰霊事業、それから中国残留孤児等を初めとする引揚者の援護等の業務を担当しろというふうに明確に決まっておるわけでございます。これらの援護施策の充実については私としても一心にやりたいと思いますが、そのほかの問題につきましては、所掌の官庁の仕事を私どもとしてお手伝いできる点がございましたら、お手伝いをしてまいりたいというふうに考えております。
#120
○渡部(行)委員 終わります。どうもありがとうございました。
#121
○畑委員長 沖田正人君。
#122
○沖田委員 私は、第百十四回国会における附帯決議などを反すうをしながら、このたびの戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する質問を行いたいと思うわけであります。
 まず最初に、父島、母島などは東京都に委託されていると言われますが、硫黄島などを含めた、いわゆる小笠原諸島を含めまして、海外の旧戦域における遺骨の収集及び慰霊巡拝について政府が努力してこられたことは十分理解をいたしますけれども、この際、おおむね終わった地域とまだ終わっていない地域の状況を具体的に簡明にお伺いいたしたい。
#123
○末次政府委員 さきの大戦におきます戦没者の遺骨収集事業は、昭和二十七年から開始いたしまして、相手国の理解と協力を得つつ、これまで積極的に推進し、硫黄島、沖縄を含む海外戦没者約二百四十万人のうち、約百二十二万人の御遺骨を日本に送還いたしたところでございます。現在、旧主要戦域に残されております御遺骨は約百十八万柱というふうに考えておりますが、この中には海没遺骨約三十万、さらに陸上にありましても、相手国の事情によりまして遺骨収集が望めない地域のもの、これが約四十七万柱含まれておりまして、これらを除きますと、収集可能な地域におきましては既に四分の三の収集が終わったというふうに考えております。
 主要地域別の遺骨収集の状況につきましては、収集可能な地域で残存遺骨情報が寄せられておりますフィリピン、ソロモン諸島、東部ニューギニア、中部太平洋地域及び沖縄、硫黄島につきましては、政府の派遣団を派遣いたしまして早期収集に努めているところでございます。それから、西イリアンを含みますインドネシア、インド、ソ連等につきましては、相手国の事情で了解が得られず、遺骨収集は現状としては望めないわけでございますが、外務省と協議しながら、遺骨収集の早期実現に向けて努力いたしております。その他のタイ、マレーシア等につきましては、おおむね送還済みと考えております。
 また、慰霊巡拝につきましては、昭和五十一年度から、肉親の戦没した土地を訪れ、慰霊追悼を行いたいという遺族の心情にかんがみまして、旧主要戦域を対象にいたしまして、毎年六ないし七地域につきまして計画的に実施いたしておるところでございます。今後とも、遺族の要望を踏まえつつ、実施していきたいと考えております。
#124
○沖田委員 まだ遺骨の収集が未了のところは百十八万柱あるということで、大変に痛ましい思いがするわけでありますが、遺族はだんだん高齢化していくわけでありますし、遺族の方々の心情を考えると非常にじくじたるものがあるわけであります。したがいまして、相手国の事情というものはいろいろあると思いますけれども、十分誠意を尽くして遺骨収集の努力というものを進めていかなければなりませんし、いわゆる相手国に対する説得というもの、了解工作といいましょうか、十分に努力をしてもらわなければならぬと思いますが、その辺のところを外務省にお伺いをいたしたいと思います。
#125
○渋谷説明員 外務省といたしましても、海外の旧戦域における遺骨の収集及び慰霊巡拝について、その重要性は十分に認識しているところでございます。そして、この実施の完了に向けて努力することは当然私どもの責務であると考えております。
 そういう認識のもとに、未完了地域について外交ルートを通じてその相手国政府の説得に累次にわたって努力してまいりました。その際、相手国政府からは、自国の国民感情、それから安全保障上の考慮ないしその発掘等に伴う技術的困難さ等等の極めて困難な問題があるという面が指摘されておりますけれども、我が国政府としては、こうした問題を一つ一つ解決させるべく、可能な限りの努力を行ってまいったところでございます。
 今後とも関係御遺族の御心情も十分踏まえまして、遺骨の収集ないし慰霊巡拝の完了に向けて、粘り強く努力を行ってまいりたいと思っております。
#126
○沖田委員 中国残留日本人孤児の問題について触れたいと思います。
 中国政府の協力によって、残留日本人孤児として確認された者はこれまで二千三百十八人、そのうち身元が判明した者は千二百十二人、判明率五二・三%にしか至っていないわけであります。日本政府が渡航費用などすべて負担をして訪日調査を実施しても、それによる判明率は三五・九%にすぎない。今後この判明率を高めるためにはどうしたらよいか、先ほども質問があったようでありますけれども、もう一度この点について確たるお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#127
○末次政府委員 訪日調査による身元判明率は、五十六年度に第二次訪日調査時七六・七%、これをピークにいたしまして徐々に低下の傾向をたどっておりまして、これまでの二十回の平均で三五・九%というふうになっております。
 近年、こういうふうに本調査による孤児の身元判明率が低下いたしております原因は、肉親と離別時の年齢が低い者が多い、また最近まで自分が日本人であることを養父母等から知らされていなかった者が非常に多いということによりまして、身元判明につながる具体的な手がかりが少ないということによるものというふうに考えております。このため、各報道機関の協力を得まして、肉親からの対面の名乗り出や身元解明の手がかりとなります当時の関係者からの情報提供を呼びかけておりまして、一人でも多くの孤児の身元が判明するように努力いたしております。
 さらに、訪日調査の時点で身元が判明しなかった孤児につきましても、さらに国内情報の収集と総点険のために、昭和六十二年度から肉親捜し調査班というものを各都道府県に派遣いたしてきておりまして、昨年度でこれは一巡いたしましたので、平成二年度以降は元開拓団関係者等、当時の事情に精通した者を新たに県に調査員として配置することによりまして、肉親調査を引き続ききめ細かに実施していきたいと考えております。
#128
○沖田委員 中国残留日本人孤児二千三百十八人のうち、永住帰国した者が千百八十九人、一時帰国した者が五百三十四人と聞いておりますが、この人たちが帰ってきてよかったと思えるような生活実態にあるのかどうか、これがまず第一であります。全国六カ所の中国帰国孤児定着促進センターから出てそれぞれの道へ進んでいかれた後、一応満足のいく生活ができているのかどうか、また政府は確実にフォローしなければならぬと思いますけれども、この辺についてのお考えを伺いたいと思います。
 例えば、この人たちのうちで、生活保護に頼らなければならないような状況に立ち至っている人たちはどの程度おられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 さらに引き続きまして、日本人孤児は中国にいるときはそれぞれ養父母に養われていたわけであります。日本に帰るについて、中国におられる義父母との断ちがたい思いの中で帰国をされた、こういう関係もいろいろあるだろうと思いますが、帰国孤児世帯の五一・四%が中国に家族を残して来ておるわけでありますし、そのうち養父母を残している世帯は七一・八%となっていますが、このような方々に対する謝意といいましょうか手当といいましょうか、そういうものはどのように対応してこられたか伺いたいのであります。
 また引き続いて伺いたいことは、身元の判明に一般市民の協力を得るためには、帰国を決意した孤児の人たちが、自立をして安定した生活を送れるという確かな現実がなければならないわけであります。このことがキーポイントとしてなければならぬのでありますが、厚生省は従来の努力を改めて見直したり、さらには永住帰国者及び一時帰国者の意向をどのように把握しているのかどうか、この辺をひとつお伺いをいたしたいと思います。
#129
○末次政府委員 まず生活実態の御質問でございますが、この点につきましては、長年、孤児は日本と異なる社会あるいは風俗の中で生活してきたわけでございますから、まず帰ってみえましたときに定着促進センターあるいは自立研修センターに入っていただきまして、あるいは通所をしていただきまして、日本語指導、生活指導、就職指導、こういったものを約三年にわたって継続する、また関係省庁あるいは各自治体にお願いいたしまして公営住宅の優先入居、就職のあっせん等の援護施策を講じておりまして、こういった自治体、国の努力、さらに孤児世帯の自立への努力、これによりましてほぼ三年で過半数の世帯が自立を達成しているというふうに考えております。
 ちなみに、六十二年に中国帰国孤児の生活実態調査というものを実施いたしておりますが、そのデータによりますと、約七〇%の帰国孤児が日本に帰国してよかったというような趣旨の回答があるわけでございまして、こういったものを踏まえまして、さらに自立支援体制の充実強化に努めていきたいというふうに考えております。
 それから、定着促進センターを出て後のフォローの問題でございますが、定着促進センターは帰国いたしまして四カ月間入所して研修を実施するわけでございますが、その後は原則として、全国十五カ所の都市に自立研修センターというものを設置いたしておりまして、さらに八カ月通所により日本語指導、生活指導、就労指導等を行っておりまして、さらに孤児の個別の指導に当たります自立指導員を定着促進センターを出てからさらに三年間派遣をするというふうな体制をとっております。また、十五の都道府県におきましては生活相談室というものを設けまして随時相談に応じる体制をとっておりまして、私どもフォローをしているつもりでございます。さらに、孤児世帯の実態、これを把握する必要があるという観点から、五十九年以降定期的に中国帰国孤児の生活実態調査を実施いたしておりまして、この際いろいろデータをとりながら個別の実態につきましてフォローをしておるところでございます。
 それから、定着促進センター退所後の生活保護の状況でございますが、今申し上げました実態調査によりますと、定着促進センター終了直後は、実態上大部分の孤児世帯が生活保護を受給いたしておりますが、国、自治体の支援あるいは孤児世帯の自立への努力によりまして、帰国後三年で過半数の世帯が生活保護から脱却し自立いたしておりまして、五年経過した時点ではほとんどの世帯が自立を達成しているということでございます。
 次に、養父母の関係でございますが、養父母につきましては、この問題が提起されました時点で、孤児の帰国に伴いまして中国に残された養父母の生活の問題が日中両国政府で取り上げられまして、日本側におきまして帰国孤児の養父母の扶養義務を肩がわりするために扶養費を支払うこととなりまして、昭和六十一年より支払っておるところでございます。また、帰国孤児の養父母に対する感謝の念をあらわすために、これは財団法人中国残留孤児援護基金におきまして、毎年二十名程度の養父母を日本に招待いたしまして孤児家庭を訪問していただくということにいたしております。また、養父母が高齢あるいは病弱で訪日旅行ができないというようなケースにつきましては、逆に、毎年二十名程度の孤児が養父母訪問のために訪中をする、この事業に援助いたしておりまして、養父母と孤児が再会して感謝の意をあらわす機会を提供しておるところでございます。
 それから、残留孤児が日本に帰国した後の生活についての不安があるかという問題でございますが、この問題は、日本に永住する、帰国するかどうか、孤児の人生にとりまして極めて重大な選択を迫られるわけでございまして、従来から、訪日調査時点におきます帰国についてのオリエンテーション、あるいは中国にいる帰国希望孤児に対します永住帰国希望者生活状況等調査票、これを送る祭、こういうさまざまな機会をとらえまして日本の社会事情、あるいは帰国後の国、地方自治体の援護体制について十分な情報を提供するように努めているところでございます。
#130
○沖田委員 永住帰国の手続をとった中国残留孤児の生活援護の措置として特別な制度としては、引揚者給付金等支給法と引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の二つがあるわけでありますが、これら二法の趣旨と永住帰国した孤児への適用状況を説明いただきたいと思います。
 さらに、引揚者給付金等支給法による給付金の額は、一九四五年の終戦時において十八歳未満であった者には何と一時金として七千円程度の記名国債だけであるわけです。これは本法が施行された一九五七年当時の金額であって、その後改善されたことがないのじゃないだろうか。そうだとすれば至急これを改正をして、永住帰国者に対してさかのぼってその差額を支給すべきではないだろうかと思いますが、見解を伺いたいと思います。
#131
○末次政府委員 厚生省が所管いたしておりますのは引揚者給付金等支給法でございまして、この趣旨は、引揚者が外地におきます生活基盤を喪失して本邦に引き揚げさせられたという特殊事情に着目しつつ、内地で生活の再建を図る上に多くの
障害があったという趣旨から昭和三十二年に制定されたというふうに理解しております。ここ数年におきます引揚者給付金の支給、これは年数件程度でございますが、最近の引揚者は中国からの者のみでございますので、これら中国帰国者、つまり残留孤児に対して支給されているものというふうに考えております。
 中国等からの引揚者に対します措置でございますが、多年にわたり海外で残留いたしておりました中国等からの引揚者につきましては、帰国後の当面の生活資金ないしは就職のための支度金ということで帰還手当というものを昭和二十八年から支給を開始いたしております。帰還手当の支給につきましては逐年改善しておりまして、昭和六十二年から特に少人数世帯加算というものを設けまして支給額の改善を図っております。名称も、支給の趣旨に則しまして、六十二年からは自立支度金と改称いたしまして、平成二年度におきましては親子四人世帯で約五十万という金額を支給いたしております。こういうふうに帰国孤児世帯につきましては自立支度金制度によりまして自立のための資金を援助いたしておるところでございまして、引揚者給付金につきまして、現在のところ改定をする考えはございません。
#132
○沖田委員 せっかく努力をさらにひとつ強化をしていただきたいと思います。
 引き続いてお伺いしたいことは、第二次世界大戦中に瀬戸内海の大久野島で毒ガスの製造が行われていたことは御案内のとおりであります。これに従事した者の一部に、もちろん軍人軍属、学徒、女子挺身隊、こういう人たちでありますが、ガス中毒の影響なのか、慢性気管支炎等の後遺症が発生しているようであります。この人々に対して政府はどのような補償をされたのか、経緯を含めて報告をいただきたいと思うのであります。
#133
○長谷川政府委員 お答えいたします。
 大久野島の旧陸軍造兵廠忠海製造所等におきまして毒ガス製造等に従事をしておりました方のうち、正規の工員の方々につきましては、大蔵省の方で「ガス障害者の救済のための特別措置要綱」によりまして、それからお話のございました動員学徒、女子挺身隊員等につきましては、厚生省の方で「毒ガス障害者に対する救済措置要綱」というものを定めまして、それぞれの対策を講じておるところでございます。
 厚生省の対策の主要対象者は、平成元年三月末現在で二千四百四十二人でどざいまして、この方方に対しましては毎年健康診断を実施いたしますとともに、このうち慢性気管支炎等にかかっておられる方々に対しましては医療の給付、健康管理手当の支給等の措置を行っておるところでございます。平成二年度におきましても健康管理手当等の額を引き上げておりまして、今後とも施策の充実に努めてまいりたいというぐあいに考えております。
#134
○沖田委員 大蔵省関連の数字はございませんか。
#135
○長谷川政府委員 申しわけございません。ただいま手持ちにございませんので、後ほど先生の方にお届けいたしたいと思います。
#136
○沖田委員 厚生省の方であわせて答弁をいただけるように伺っておりましたのでお尋ねをしたわけでありますが、後ほどお届けいただければ幸いだと思います。
 しかしながら、ガス島と通常言われております大久野島のこのような後遺症、大変な戦争の後遺症であろうと思いますが、軍人軍属のみならず、学徒、女子挺身隊の人たちに対する手当というものは十分な上にも十分に対応していただきますようにお願いをしておきたいと思います。
 続いて、第二次世界大戦の末期におきまして、閣議決定に基づいて国民義勇隊と国民義勇戦闘隊が組織されたと仄聞しているわけであります。援護法は、国民義勇隊は準軍属として援護の対象としているわけでありますけれども、国民義勇戦闘隊の方は実態がないからという理由で対象になっていないようであります。実態がないというのはどういう事情によるものか、経過、考え方を明らかにしていただきたいと思います。
#137
○末次政府委員 まず国民義勇隊でございますが、これは昭和二十年三月二十三日に閣議決定「国民義勇隊組織に関する件」に基づいて組織されたわけでございます。この義勇隊の隊員で都市疎開作業あるいは陣地構築等に出動して障害を負った者あるいは亡くなった者につきましては、援護法第二条第三項第三号の規定によりまして準軍属として援護法の適用を受けているわけでございます。
 一方、国民義勇戦闘隊の方は、昭和二十年六月二十三日に制定公布されました義勇兵役法により定められたものでございまして、同法によりますと、十五歳から六十歳までの男子及び十七歳から四十歳までの女子に義勇召集に応ずべき義務を課していたとのことでございます。しかしながら、今次大戦が幸い本土決戦とならずに終結したことから、義勇兵役法に基づく国民義勇戦闘隊が実際に軍事行動を行う事態には至らなかったというところで、援護法の対象にしてないということでございます。
#138
○沖田委員 私も、国民義勇戦闘隊の実態であるとか、さらには国民義勇隊などについて私の友人を通じていろいろ調べたわけでありますけれども、なかなか古いことでありますからわかりにくい部分がたくさんあるわけでありまして、しかしながら、国民義勇隊、満蒙開拓義勇軍等の関連のこういう部隊についての措置というものは、戦後処理としてきちっと援護法の精神に基づいて措置をしてもらわなければならぬと思うわけであります。
 ともあれ、援護法の完全実施をめぐりましていろいろな問題がまだ山積みをされているわけであります。そして、やはりまだ戦後は終わっていないという感がぬぐえないのであります。第百十四回国会における附帯決議を反すういたしましても、さらには、先ほど質問されました我が党の渡部行雄議員の質問の中でサハリンの問題とか韓国人の人たちの問題とかいろいろ出ておりましたけれども、いずれにいたしましても援護法に対する取り組みがまだまだ十分ではないように思うわけでありまして、附帯決議の精神に沿って十分努力をしてもらわなければならないだろうと思いますが、その点について大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
#139
○津島国務大臣 戦争の後遺症が残っておる現状にかんがみまして、厚生省といたしましても、援護法の実施については誠意を持って全力を尽くして取り組んでまいる所存でございます。
#140
○沖田委員 しつこいのですが、この点は明らかにしていただければと思いますけれども、大臣は先ほど渡部議員の質問に答えられまして、問題はいろいろ残っているなと思う、いろいろお手伝いしなければならぬ点はお手伝いしていく、こういうように決意を述べられたわけでありますけれども、抑留加算の問題を洗い直してほしいという要望が渡部議員から出されていたように思います。この点について政府側の答弁を願いたいと思います。
#141
○末次政府委員 抑留加算につきましては一種の年功給付でございまして、厚生省が担当いたしておりますのは、遺家族の援護、あるいは障害者、いわゆる傷痍軍人の援護措置でございます。したがいまして、恩給法の問題につきましては、ただいま先生からそういうお話があったということをお伝えさせていただきたいと思っております。
#142
○沖田委員 終わります。
#143
○畑委員長 石田祝稔君。
#144
○石田(祝)委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の質問に先立ちまして、さきの大戦でお亡くなりになられました多数の方々の御冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。
 さて、本法は、戦傷病者及び戦没者の遺族に対し、国家補償の精神に基づき、障害年金等の支給を行うものであります。今回の改正でそれぞれ年金の額等が引き上げられておりますけれども、引き上げの幅の算定の基礎というのはどうなってお
りますか。
#145
○末次政府委員 援護法の給付改善につきましては、従来から恩給法の公務扶助料等の改善に準じて引き上げを行ってきております。今年度につきましては、恩給法の公務扶助料等の額は二・九八%引き上げられますとともに、遺族加算額が五千百円または四千三百円引き上げられる措置が講ぜられることになっております。援護年金につきましてもこれに準じまして、障害年金につきましては四百七十万四千円から四百八十四万四千円、遺族年金につきましては百五十九万六千三百円から百六十四万五千四百円に引き上げたいというふうに考えております。
#146
○石田(祝)委員 恩給の引き上げ額に準じて上げた、こういうことでございますので、総務庁の恩給局の審議課長さんがお見えになっておりますので、恩給の引き上げの算定の基準と申しましょうか、算定の基礎についてお伺いをしたいと思います。
#147
○大坪説明員 恩給の改定率の考え方についてお答えいたします。
 今年度、平成二年度の恩給改定率は二・九八%というふうにいたしておるわけでございますが、この二・九八%の考え方につきましては、昭和六十二年からいわゆる総合勘案方式ということでやっておるわけでございますが、その同じ方法によりまして決めてきているものでございます。この総合勘案方式と申しますのは、恩給法二条ノ二に基づきまして、恩給の国家補償的性格等々の諸般の事情、恩給法二条ノ二におきましてはさらに「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他ノ諸事情」というふうなことが書いてございまして、その辺の諸般の事情を勘案しながら決めさせていただいているものでございます。
#148
○石田(祝)委員 総合勘案方式、何かわかったようでわからないような感じですが、具体的にどの数字を使われたのか説明をお願いしたいと思います。
#149
○大坪説明員 今年度の二・九八%につきましては、昨年の公務員給与の改定率が、行(一)俸給表の平均引き上げ率が三・一五%であったこと、それから昨年の一月から十二月までの物価の上昇率が二・三%であったこと、そういうような諸般の事情を勘案しながら決めさせていただいたものでございます。
#150
○石田(祝)委員 国家公務員の一般職のベアが三・一五、物価上昇分が二・三。これは、私がちょっと数字をいじくりまして計算しましたところ、国家公務員の一般職と物価上昇分四対一の加重平均でやるとどういうわけか二・九八になるわけですね。そういう計算でやられたのかどうか。
#151
○大坪説明員 総合勘案方式、四回やったわけでございまして、それぞれに数字があるわけでございます。その数字の見方につきましては、先生のおっしゃるような見方もあるかもしれませんし、いろいろな見方があるんではないだろうか。ただ、私どもとしては特にそういう算式というものをもってやっているわけではございません。ただ、その考え方としまして、改定というものがそのときどきの事情で大きく変わってしまうというのは受給者の方々が大変不安を持たれるだろうということは十分承知しておるところでございまして、できる限り安定的な水準になるような努力は続けているところでございます。
#152
○石田(祝)委員 そうしたら、その私が計算したような四対一の加重平均ではないですか、そうですか。どっもでしょうか。
#153
○大坪説明員 私どもといたしましてそういう算式を持っているわけではございません。
#154
○石田(祝)委員 そういうことではないようなので、偶然の一致ということにしておきたいと思います。
 続きまして、どういう形で算定をされておるのか。この総合勘案方式は昭和六十二年からやられておるということで、調べてみますと、昭和三十七年以前の公務員給与追随方式、これから見ましたら五回算定の基礎が変わっているのですね。安定的にやらなくてはいけない、ころころ変わっては困るというお話もございますけれども、五回も変えているのはどういう意味ですか。
#155
○大坪説明員 恩給の改定につきましては、確かに先生おっしゃいましたように、以前からいろいろな方式はとってございます。これはそのときそのときにおきます社会情勢等の中で、最も適切というふうに考えられるものでやってきているというところでございまして、現在の情勢では総合勘案方式が適切であろうというふうに考えておるところでございます。
#156
○石田(祝)委員 これはもうこのぐらいにしておきたいと思いますけれども、ぜひとも支給対象者に不利にならないようにやっていただきたいと思います。
 続きまして、遺骨収集の件で若干お伺いをしたいと思います。
 去る五月二十八日に千鳥ケ淵で戦没者の遺骨を納骨する拝礼式が行われまして、そのときに昨年度一年間の約一千百柱がおさめられて、千鳥ケ淵墓苑には合計で約三十三万三千柱納骨されるようになった、しかしながら、現状の数字としましてはまだおよそ百二十万柱の方々がわからない、こういう現状だと伺っております。今後の遺骨収集の御予定についてお伺いをしたいと思います。
#157
○末次政府委員 これまでの状況につきましては、ただいまお話しのとおりでございまして、海外戦没者約二百四十万人のうちの百二十万人の御遺骨を送還いたしております。差し引き約百十八万柱終戦期に残されているということでございますが、この中には海没遺骨が約三十万柱と、陸上にありましても相手国の事情により実際上遺骨収集ができない地域の遺骨四十七万柱が含まれておりますので、これらを除きますと大体収集可能な地域につきましては四分の三の収集が終わったというふうに考えております。
 それで、終戦後既に四十五年余が経過いたしておりまして、当時の事情を知る戦友あるいは現地住民の高齢化に伴いまして、残存遺骨に関する新たな情報が少なくなってきておりまして、御遺族の心情も踏まえながら、こうした事情を勘案して、なるべく早く収集を終了させたいという方向で努力を重ねておるところでございます。今年度は、東部ニューギニア、ソロモン諸島、フィリピン、沖縄、硫黄島、この五カ所について収集を実施することといたしております。また、インドネシア等相手国の事情で遺骨収集ができない地域につきましては、これも今後外務省を通じまして、外交ルートを通じまして、これらの地域における遺骨収集の実現あるいは再開に向けて粘り強く折衝していきたいというふうに考えております。
#158
○石田(祝)委員 現在ソビエト領になっておりますサハリンについても、前の方何人かお触れになりましたので、私もお聞きをしたいのですが、二十九月の新聞で、このサハリンの遺骨収集についてもそのうち実現できると思う、こういうふうな外務省の欧亜局長の話があった、こういうことが載っております。ということは、今まで不可能だと思われていたような場所も、情勢が変わってきて、やはりそういう人道的な立場に立って認めてあげよう、こういうことにもなろうかと思います。そのためにはやはりこちら側が熱意を持って変わらずに収集というものを続けていく、こういうふうなことが私は一番大事じゃないかと思うのです。日本で一生懸命何とかそういう立場に立ってやっていく、そういうものにやはり感ずるところがあって認めようということにならないとも限らないと私は思いますので、ぜひともこちら側のそういう情熱というか熱意というものを持ち続けていただきたいと思います。この件について大臣はいかがでしょうか。
#159
○津島国務大臣 さきの大戦における戦没者の遺骨収集は国として大変重要な仕事と認識しております。したがいまして、これが実施に当たりましては積極的に外国政府と折衝し、その御理解、御協力を得なければならないという委員の御指摘、そのとおりでございます。場合によりましては相手国の了解を得るのに困難が伴う場合もございますけれども、今後とも御遺族の御心情を踏まえて、海外に残されている御遺骨の早期収集に向けてできる限りの努力を続けてまいりたいと思います。
#160
○石田(祝)委員 その点もぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 私は続きまして中国引揚者のことについてお伺いをしたいと思います。
 さきの大戦後四十有余年を経過しましたけれども、戦争の傷跡は今までの質問等また御答弁等によりましてなお深く残っております。終戦前後の混乱期の中国において幼くして肉親と離別した中国残留孤児を含む中国よりの引揚者の問題の解決は特に重要である、私はこのように思うわけであります。
 今回まで四十七年の日中国交正常化以来、多数の方が日本に帰ってきておられますけれども、そういう方々の中で中国で資格を持って立派に活躍をしておられた方がたくさんいらっしゃると私は思います。私が一時期新聞で読んだことでございますけれども、中国で医者として誇りを持って仕事をしておった、しかしながら、自分がそういう日本人だということがわかって日本に帰ってきた、そのときに医者ができない、そういうことで誇りを持って今まで生きておったけれども、今は医者をやることができないのでやむを得ず単純労働、そういうことで糊口をしのいでいる。こういう方がいらっしゃるということを私は何かの記事で読んだことがございます。その意味で、主な資格で、中国で取っていた資格がそのまま日本で使えるという資格でどういうものがあるのか、これをちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#161
○末次政府委員 委員御指摘のとおり、医師等のいわゆる資格といいますか、そういうものにつきましては一般的にそれぞれの国の歴史あるいは衛生事情等を反映してつくられておりまして、そのまま認められるというケースは少ないわけでございますが、私どもが承知しております範囲内では、運転免許資格につきましては中国のものが日本においても若干の手続をとれば通用するというふうに承知しております。
#162
○石田(祝)委員 お答えですと運転免許だけと。中国で取ってそれまで生活の糧にしておった、また、みずからの生きることに際して誇りとしておった、そういうものが結局日本に帰っては運転免許以外は認められない、こういう現状なわけですね。
 そうしましたら、そういう資格を持って帰ってきておられる方々、これは当然把握をされていることだと思いますけれども、そういう方々に対してそれまでと同じように、ある意味でいえば御自分の仕事に誇りを持って打ち込んでいけるようにやっていくことも大事な援護策の一つじゃないかと私は思うのです。そういう意味では、主な中国でお持ちになっていた資格、二つ三つで結構ですけれども、それに対してどのような援護策を講じておられるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
#163
○末次政府委員 一般的に資格の問題につきましては、そのまま日本で通用するということはなかなか難しいわけでございますが、私ども自立研修センター等におきます就職あっせんに際しましては、資格とまではいかないでも中国で身につけました経験、例えば調理、木工等の技能を少しでも生かせるような方向で配慮いたしておるところでございます。それと比較的鍼灸師の養成施設に対する入所希望が多いわけでございまして、これもそのまま資格が通用するというわけにはまいりませんが、中国で医療関係職に従事していた者を対象にいたしまして財団法人中国残留孤児援護基金が奨学金を貸与いたしまして、社団法人東洋療法学校協会加盟の施設に軽費の入学金で入学できる道を開いておるところでございます。
#164
○石田(祝)委員 代表的なものをお聞かせいただきましたけれども、その他たくさんあろうかと私は思います。そういう意味で一つ一つ細かくまた手を打っていただいて、日本に帰ってこられても、帰ってきてよかった、中国と同じように誇りを持ってみずからの手で自立ができて生きていける、こういうことをぜひともフォローをお願いしたいと思います。
 今の中国の引揚者また残留孤児でこちらに帰ってこられた方等に対しては定着、自立ということでやっていらっしゃると思います。根本的には就労を通して自立をしていただくのが一番いいのではないか、単に戦争の犠牲者ということで守られてばかりいるということではなくて、やはりみずからの手で立ち上がっていただいて、立派な日本人として暮らしていただけるのが一番だと私は思います。その意味で就職、就労ということについてどのように援護をされておるのか、ヘルプをされておるのか、これについてお伺いをしたいと思いますけれども、どういう形でやっておる、こういうことを簡単に教えてください。
#165
○初谷説明員 中国引揚者の方々につきましては、言葉の問題を初め社会、雇用慣行の違い、そういったことで就職に当たりまして民生機関との連携のもとにきめ細かな対策を講じていくことが必要だというふうに考えております。そのため労働省におきましては、中国帰国孤児定着促進センター等に職業相談員を配置いたしますとともに、職業相談、就職指導、事業所見学等を実施しているわけでございますが、加えまして、訓練手当を支給しながらの職業訓練あるいは職場適応訓練といったものの実施、それから中国引揚者を雇い入れた事業主に対する助成金の支給というような援助措置を講じまして、中国引揚者の方々の就職の促進に努めているところでございます。
#166
○石田(祝)委員 いろいろな施策を講じておられるということですけれども、私はちょっと具体的にお聞きをしたいと思います。
 職業訓練校というのでしょうか、訓練をするところに入っている方の状況、そういうものを私はちょっと調べてみました。一年だけを例にとってみますと、昭和六十二年に入校者三百三名、終了者が二百五十二名そして就職者が百七十六名、こういうふうな数字が出ております。入校者と就職をできなかった人の数の差というのが昭和六十二年で百二十七人、学校に入って就職していない人百二十七人。そして学校を一年間無事に終えて、終了してなおかつ就職をしていない人の数が七十六人、こういうふうな数字が出ておりまして、五十八年からずっと数字を追ってまいりますと、昭和六十二年になりまして急に、入学したけれども卒業していない人の数また就職できなかった人の数がふえております。この数についてどのようにお考えか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#167
○広瀬説明員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の六十二年の数字でございますが、これは数字のとらえ方に技術的な問題がございまして、六十二年に入校した者が三百三名、ただこれはそのまま一年で卒業ということじゃございませんで、基本的には六カ月の訓練が多いわけでございますので、その前から入った人あるいは後から入った人、その関係で入校者数はとらえておるわけでございます。それから終了者数の二百五十二名はその年度に卒業された方ということでございます。したがいまして、その年度に卒業された方、その人が何人就職をしたか、その数字が、終了者が二百五十二名で、六十二年の場合就職者が百七十六名、こういうことでございます。ちなみに一番最近の数字は、六十三年の終了者が二百七十三名で就職者が二百五名ということでございます。
#168
○石田(祝)委員 大分ちょっと数字のとらえ方が違うということでお答えになりましたけれども、五十八年から順に追ってまいりますと、入学をして、また終了した方で就職していない方の数が六十六人とか、ずっと五十人前後で推移をしております。その意味で、やはりこれは数字のとらえ方が違うのだとか時期が違いますよ、そういうことじゃなくて、現実にいらっしゃるということを前提にして、そういう人たちに対してどうするのか、私はこういう観点でお聞きをしたいと思います。これはいかがでしょうか。
#169
○広瀬説明員 ただいまの就職の数字は、訓練終
了後一カ月以内に就職された方という数字でございまして、実はその後の数字は私どもでは追いかけておりませんが、一カ月限りの範囲の就職率ということで御理解いただきたいと思います。また、もちろんこれからも引き揚げてこられた方々につきましては職業的に自立できるように効果的な訓練を実施してまいりたい、しかも、早期就職をしていただくように我々も頑張っていきたい、こう思っております。
#170
○石田(祝)委員 そうしますと、数字が少ないのは一カ月後をとっているからだ、現実にはもっと多い、こういうふうなお考えだろうと思います。しかしながら、結局一カ月後の時点までしかとっていないということなのですね。それ以後追いかけていない。この一カ月後の数字をとるということは、日本人の、今までずっと日本で育ってきた方と同じ時点の数字のとり方なのですね。ということは、中国から帰ってこられて言葉も不自由な中頑張っておられる、そういう場合は、やはり一カ月後、二カ月後、その数字を明確に追っていってフォローすべきではないかと私は思います。
 時間がございませんので、そのあたり、もう機械的に一カ月なら一カ月とかやるのではなくて、ぜひとももう少し追いかけて、卒業した人が全部一回はちゃんと職につける。それ以降どういう形で、御本人のいろいろな考えもあってやめる方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひともそこまで追って面倒を見てあげていただきたい、このように思います。
 それから、引揚者に対する援護の内容としましていろいろな省庁が関係をしてきていると思いますけれども、どういう省庁がこれには関係してきておりますか。
#171
○末次政府委員 ざっと関連省庁として私どもとらえておりますのは、厚生省以外に建設省、文部省、労働省、それから就籍の関係で最高裁判所というふうに考えております。
#172
○石田(祝)委員 厚生省を含めまして、最高裁判所も含めて五つの、六つですね、六つの省庁が関係してやっておりますけれども、これだけばらばらでやっておりましたら、ただでさえ縦割りだと言われている省庁ですから、やはり意見の統一なり調整と申しましょうか、これはどういう形でやっておられるのでしょうか。
#173
○末次政府委員 ただいま挙げました関係省庁が随時集まりまして連絡会議というものを開催いたしまして、相互の連絡調整を行っておるところでございます。また、各都道府県につきましても、援護担当部局を中心といたしました関係機関連絡会議を設置していただいておりまして、地域レベルでも協力指導体制を組んでおるところでございます。
#174
○石田(祝)委員 随時ということはちょっとはっきりしませんけれども、これは逆に言えば、問題がなければやらないということですか。
#175
○末次政府委員 定例的には年二回程度開催いたしておりまして、そのほか問題が起きました都度、随時集まって会議を開いておるところでございます。
#176
○石田(祝)委員 中央省庁だけではなくて、あと都道府県の方でも当然やっていらっしゃると思います。先ほど前の人の答弁で、大臣は、厚生省が中心になってやるのだ、そういうことをおっしゃっておりましたので、ぜひとも中心になって、中央または都道府県レベルでもやっていただいて、なおかつ、それぞれ風通しをよくして援護に遺漏のないようにお願いをしたいと思います。
 最後に、残留孤児ばかりが大体いつも注目を浴びますけれども、終戦当時十三歳以上の残留邦人、特に女性の方、中国残留婦人という方がまだまだたくさんいらっしゃると私は思います。そういう方々の現状と、そういう方々にどういうふうな援護策を講じておられるのか、このことをお聞きしたいと思います。
#177
○末次政府委員 いわゆる中国残留婦人と申しますのは、中国の東北地区等におきまして終戦前後の混乱の中で生活の手段を失いまして中国人の妻となるなどして中国に生活基盤ができたことから現在に至っている日本婦人、これを一般的に中国残留婦人というふうに呼んでいるわけでございます。現在中国に居住しております残留婦人の多くは中国人と結婚し中国籍となっておりますことから、正確な数は把握しておらないわけでございますが、過去に一時帰国をした者の数等から推計いたしますと約二千名前後ではないかというふうに考えております。
 この残留婦人が永住帰国する場合には、原則として中国から帰国する孤児と同様に帰国旅費の国庫負担、自立支度金の支給、自立指導員の派遣、公営住宅等への優先入居、就職のあっせん等の援護を行いますほか、一時帰国する場合にはその旅費を国庫負担をするというような措置を講じておるところでございます。
#178
○石田(祝)委員 この問題はまた折がありましたらお聞きをしたいと思いますけれども、十三歳の年齢で孤児とまた残留邦人というふうに切られております。いずれにせよ、やはりさきの大戦の犠牲者であることは間違いないと私は思います。その意味でぜひとも国家補償の精神に立ってこれらの方々にも十分な、いや十二分な援護策を私は講じていただきたい、このことを強く要望いたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。
#179
○畑委員長 貝沼次郎君。
#180
○貝沼委員 時間が余りありませんので、戦傷病関係の法律と麻薬関係の法律と両方にわたって若干お尋ねをさせていただきます。
 まず初めに、先ほどから戦後処理の話がございました。処理という言葉がつきますと、何か処理すればいいみたいな感じが出てくるのですが、どうでしょうか、頭脳明晰な大臣でございますが、戦後というのは終わったのでしょうか、始まるのでしょうか。
#181
○津島国務大臣 私は言葉については専門家ではございませんが、終わってはいないということだけは言えるのではないかと思っております。
#182
○貝沼委員 それは終わっておりませんね。それで、実は私は、まだまだ今始まりであって、これからが重大な問題があるのだ、人類にとっても重大な問題があるということを示す象徴的なものを一つだけ取り上げてここで申し上げておきたいと思います。それはトロトラストという問題でございます。このトロトラストというのは簡単にどういうものであったかというふうにとらえておられますか。
#183
○末次政府委員 トロトラストと申しますのは、戦前ドイツで開発された血管などのエックス線撮影用の造影剤であるということでございます。その主成分は二酸化トリウムという、生物学的半減期が二百ないし四百年という長い放射性物質でございまして、我が国では一九三〇年代後半から一九四〇年代半ばまでに、主として旧陸海軍病院の戦傷兵の外科手術等の診断に用いられたものでございます。これが体内に入りますと、肝臓等に特異的な沈着が発生いたしまして、肝機能障害を引き起こすというふうに言われております。
 昭和五十二年度、五十三年度におきまして、厚生省は戦傷病者手帳所持者全員を対象にいたしまして、トロトラスト注入の有無を判定するためのエックス線検査を行っております。その結果、トロトラスト注入の疑いのある者六百九名を対象にいたしまして、昭和五十四年から各県一カ所の選定医療機関におきまして年二回の定期検診を実施いたしますとともに、厚生省に専門の医師から成る健康管理委員会を設けまして、選定医療機関から送付されます定期検診報告書をもとにして、トロトラスト沈着者の経過観察、要注意者の精密検査及び必要な場合には治療の勧奨を行いまして、トロトラストに起因する疾病の早期発見、早期治療の体制の確立を図ってきたところでございます。
 トロトラスト沈着者に対しましては、トロトラストに起因する疾病につきまして、戦傷病者特別援護法に基づきまして必要な医療の給付が行われておりますほか、その障害の程度に応じまして、恩給法または戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく年金給付等が行われているところでございま
す。
#184
○貝沼委員 時間がありませんから、大体そういうことで、要するに戦争中に軍人とかそういう人が外傷、負傷する、そのときに血管を通して造影剤を打ちまして、そしてレントゲンを撮ったわけでありますが、そのときの造影剤が放射性物質である。しかも、これはほとんどトリウムでございますが、大体〇・一とか〇・二マイクロキュリーぐらいの非常は弱い放射能でございます。しかし、これはアルファ線ですから、わきの細胞を破壊いたします。これが戦後五十年近く、まあ戦後といっても何ですが、体に入ってから五十年近くもその人間を通じてずっと追跡調査されてきたというのは実はこの問題でございます。しかも、これは非常に弱い放射性物質であるにもかかわらず、長い期間にわたってどれだけ人体に影響を与えるかということで貴重な資料であり、もう時間がありませんから聞こうと思ったけれども聞きませんが、要するに世界でこれをやっておるのは三カ国、特に日本とドイツが優秀でございまして、アメリカはやっておりません。このトロトラストを注入された方々は世界におるわけですけれども、アメリカは賠償とかいろいろな問題でこれをやっておりません。したがって、今、日本の結果、ドイツの結果というものが世界的に注目をされておることは、もう私が言わなくても当局がよくわかっておることであります。
 なぜこれが注目されておるのか、実はこれは今行われております原子力発電等の防護の問題、これがやはりアルファ線が問題でありますので、この点が非常に関心が高いということ。それからさらに宇宙開発が、だんだん人が乗るようになってまいりました。そういうところから、これは東京医科歯科大学の畠山先生の学術論文でありますが、この中に、アメリカあたりでもいろいろ注目しておりまして、例えば宇宙旅行、有人人工衛星等で問題になる。特にアメリカ側が発表した資料によると、火星への往復旅行で、約三年間かかるそうですが、人類のこうむる放射線被曝線量は重粒子、これはアルファ線のことでありますが、そういうものが主であり、年間〇・三シーベルト、三十レム、つまり職業被曝者での年間線量限度の六倍、こういうふうになって、非常に影響が大きいわけでございます。
 そういうふうにして、一つは、人体と弱い放射性物質との関係が五十年間においてデータがとられたのはまず重要な問題であるということ。さらに、これから先また人間が生きていくわけでありますけれども、それだけ長い期間にわたって肝臓がん、要するに晩発性のがんというものがずっと研究されて、一〇〇%これが出ておるという事実。そして、さらにその後、出るまでに亡くなった人もおりますけれども、さらにドイツと日本の研究の結果、寿命が確実にこの人たちは縮んでおるという結果が出ております。それから、例えば肝悪性腫瘍、肝硬変その他のいろいろなことを、これに直接関係するものではないなと思われるようなものを全部引いてもなおかつ五%の寿命が縮んでおるというデータが出ておりまして、これは日本とドイツ別々にやっておりますが、同じ結果が出ておるということでございます。したがって、今度心配になってくるのは今の人とさらに次世代、そこに影響があるのかないのかということが大きな問題となってきておりまして、単に戦後そういうトロトラストを注入した人だけにかかわらず、なければこれは結構なことなんですけれども、そういうことで心配が絶えません。
 したがって、そういうことの解決のためにこの研究がなされておるわけでありますけれども、このために、注入されておるトロトラスト沈着者と言いますが、この方々が今お話がありましたように年二回、一県一病院、一つの県で一つの病院に検診のために通うわけでございます。ところが、東京みたいに交通の便のいいところであればいいのですけれども、例えば沖縄であるとかあるいは島根県であるとかというふうに島の多いようなところになりますと、そのためにわざわざ出てこなければならないというような問題。しかも、その県に何人おるのかというと今のところずっともう少なくなってまいりまして、一人とか二人とかという状況になっております。こういうようなところから、もっとこの人たちがその検診に参加していただくように旅費の方もひとつ面倒を見ていただきたいというようなこと。それから、さらにもう一つは、これは中央の方からそういうデータをとっておるわけでありますので、現場のお医者さんに対してこれこれの検査をやってくださいというふうに指示しております。それ以外のものを実は現場のお医者さんはいろいろ知っておるわけでありますけれども、それを吸い上げるということがうまくいっていないというので現場のお医者さんの不満もあります。したがって、そういったところをひとつ改善をしていただきたいというのが第一点でございますが、いかがですか。
#185
○末次政府委員 まず交通費の話でございますが、医療機関までの交通費につきましては、一般的にいわゆる戦傷病者特別援護法に基づく療養給付の受給者との均衡もございまして、このトロトラスト定期検診受診者のみにつきまして公的負担ということはなかなか困難であろうというふうに考えております。
 それから第二点の健康管理委員会の委員の話でございますが、健康管理委員会の委員、これは必要に応じまして選定医療機関の担当医と個別に連絡をとり合っておりますほか、年一回、全国トロトラスト定期検診担当医打合会というものを行っておりまして、健康管理委員会の委員と担当医が意見交換を行う機会を設けているところでございます。今後とも関係者相互の連絡が密になるように努めてまいりたいというふうに考えております。
#186
○貝沼委員 ですから、今やっていることなんか説明しなくたって、わかっているから聞いているわけですよ。それから、不満があるから一生懸命要望しているわけでありまして、それに前向きに答弁してもらわないと何のために時間を使っているのかわからなくなってくるから、当局はもっと、実はこれは晩発性まで今私は言ってませんよ。発がんということまで言っていますけれども、そこから先はわからないから私は言いませんが、これはあと何年かたったらこの人たちはいなくなるのです、年をとりますから。人類にとってかけがえのない、大変不幸な事件ではあったけれども、これはかけがえのないデータです。少々金がかかってもきちっと後世のためにとっておくべきことであると思うので言っておるわけであります。
 それからもう一つは、したがって、こういう結果は非常に重要な結果でありますので、諸外国で注目をしております。特にアメリカが注目をしておりまして、アメリカと日本と共同で研究しようではないかというような話が日本に来ておるとか来ていないとかいう話でございますが、私はどちらでもいいのですが、これから先、日本はそういうアメリカとか外国と手をつないでやる気があるのか、日本だけで独自でやろうとするのか。私は、この点を考えますと、外国のお金が入ると口も入ってきますので、日本独自でやった方がよりいい結果になるのではないかと思って質問をしておるわけでありますが、この点簡単にお答えを願いたい。
#187
○末次政府委員 トロトラストの医学研究、これにつきましては、五十二年以来ずっと毎年研究を続けておるところでございまして、ただいま御指摘の点につきましては、歴代いろいろ大家が主任研究者を務めておられますので、その方々の御意見も承ってまいりたいというふうに考えております。
#188
○貝沼委員 それでは、そういう先々のことが絡んでおる話でありますので、ひとつ慎重にやっていただきたいと思います。
 次は麻薬関係の話で、あと九分しかありませんので、端的にお尋ねいたします。
 今回の向精神薬、これは当局の表を見ますと、大体化学合成でできるものであるというふうな表になっております。ところが、今までの麻薬とか
そういうものは、例えばケシとかいろいろな物質がございました。しかし今度は、化学合成でできる物質となりますと、これはたくさんできる可能性があるという事実でございます。それが果たして欲しがるか欲しがらないかということによって、この緩やかとか強いとかという度合いが変わってくるのでしょうけれども、とにかく、化学合成であるということはいろいろな品名ができるということでございます。
 ところが、この法律によりますと、本日かかっておる法律と一緒に出ておるこの別表には、これはちゃんと書かれておるものはこうして国会審議をして決まっていくわけでありますから、罪刑法定主義の立場からいってもこれは結構だと思う。その後、この化学合成をして出てきたものについてはどうするのですか、しかも、これは迅速性が要求されるでしょう、刑法が絡んでおる以上、ということを尋ねましたら、これはその都度政令で定めますというふうに、これは委任立法の条項、憲法の委任立法を利用しておるということはわかります。また、そうでなければこれは対応できないと思うことまでも理解いたしております。しかしながら、委任立法という条項は、ではそれさえ書いておいたら何でもいいのかというところまでは認めておりません。もうくどくどここで議論する必要はありません。
 したがって、端的にお尋ねいたしますが、国会審議等を通じたものと、国会審議を通じないで別表に書かれたもの、政令で書かれたものと二つ出てくるわけでありまして、しかも刑法の適用は一緒でありますから、ここにおいて国会としては少なくとも何らかの歯どめをしておくのが当然であろうと思うわけでございます。したがって、政令に書いた場合、こういうことを今度は別表に盛り込みましたということを、私は、その都度国会にきちっと報告すべきだとは思っておりますが、今この条文にそうなっておりませんから、大臣に英断を下していただいて、誠実なる姿勢、そして麻薬取り締まりに対する態度、こういうことを示すためにも、当委員会なり国会にそれは必ず報告するというお約束の答弁をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#189
○津島国務大臣 向精神薬というものが化学的にどんどんつくられる可能性があるものだ、したがいまして、その規制については機動的に対応しなければならないから、政令でこれを行うことについては理解を示すという委員の御発言、まことにありがたく思っております。
 私も法律家でございますから、政令委任をいたしましたからこれをどのようにでも運用できるかということは、これはもうあり得ないと思っております。これを委任された行政の立場から申しますと、国会から委任をお認めいただいた、その本旨に則して運用していくことは当然であろうと思います。そういう意味で、国会の調査権等もございますから、国会の御指摘を受けないように今後とも運営をしてまいりたいと思っております。そういう意味で、立法者と行政とのしっかりした信頼関係の上でこれを運用していくということで御理解をいただきたいと思います。
#190
○貝沼委員 いや、それじゃ私はまだ理解できないのです。したがって、この法律に書いてないことだから、法律に書けばいいのですよ、ちゃんとこれは報告するものとするとか何か書けばいいのでしょうけれども、書いてありません。したがって私は、大臣の立場から、自主的にこれを国会に何らかの発言を求めて、その都度答弁をいたします、発言をいたします、報告いたします、こういう姿勢があっていいのではありませんかということを言っているわけです。
#191
○津島国務大臣 御指摘の御趣旨はよくわかるのでございますが、私も法律家なものですから、この場合はどうだ、この場合はどうだ――実は税法をたくさん書きまして、税法にも政令委任がたくさんございまして、そういうこととのバランス等も考えると、やはりこれは研究させていただきたい、きょうはこういうことでお願いを申し上げます。
#192
○貝沼委員 まあそこは行政側としては一生懸命頑張らなくちゃならぬところだろうけれども、実はこれは、ちょっとこの間から変な動きがあるので、私は殊さら言っているわけです。
 例えば今度医療法が問題になるそうでありますが、この医療法の診療科名、今まではこれはちゃんと国会で決めておりました。ところが、今度の出てくる法律からは、全部政令で書くというふうにどうも変わる方向のようでございます。
 そうすると、罪刑法定主義は一体どのようになってくるのか、これはもうだんだんだんだん骨抜きになってくるのではないか。国会でこれに歯どめをかけなければ、一体何のための国会なのかということになってまいりますし、また自由に行動する人が、罪刑法定主義であるがためにこれは自由な行動がとれるのに、政令でちょこちょこ入っておったのを知らないで罰せられるような方があっては、これは絶対にあってはならないことでありますから、私はさらに大臣に、その方向、その姿勢を持って事に当たるのかどうか、その辺のところをもう一度確認をしておきたいと思います。
#193
○津島国務大臣 当然のことながら、政令委任は立法の本旨を体してということでございまして、今委員はその点を強く御指摘になっていると思います。それを体して私どもとしてもやっていくことといたしたいと思います。
#194
○貝沼委員 終わります。
#195
○畑委員長 児玉健次君。
#196
○児玉委員 麻薬取締法について端的にお聞きしますので、文字どおりずばり答えていただきたいのです。
 精神科の医師の中には、向精神薬、これを麻薬取締法の中に入れるということは、患者から、麻薬と同様なものを服用させているのか、こういった誤解が出てくるんじゃないかという危惧があります。麻薬取締法とは切り離して向精神薬の扱いを定める法律を設けるべきではないか、これが第一線の医師の意見なんですが、この点どうでしょう。
#197
○北郷政府委員 精神安定剤とか、こういったものが麻薬と比較すれば弱いとはいえ、類似の有害な作用がある、こういうことは事実でございまして、専門家の方々もそれはよく御存じのはずでございます。したがいまして、そこのところは専門家の御理解が得られるものと思っております。
 ただ、そういったことをはっきりわかるために、今回法律の題名も、麻薬取締法から麻薬及び向精神薬の取り締まりに関する法律、こういうことではっきりさせることにいたしたいと考えておりますし、それからまた、向精神薬の医薬品としての価値につきましては、また十分に理解を得るように努力をいたしたいと考えております。
#198
○児玉委員 その点の周知徹底を強化してほしいと思います。
 今回の法改正で、医療機関や薬局等の事務がふえたり精神料の治療に規制が加えられるようなことがあってはならないと思います。この点も確かめておきます。
#199
○北郷政府委員 御質問の趣旨は、過重な負担になるのじゃないか、今回の規制が医療上邪魔になるのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点は私ども、今回向精神薬ということで特別の規制をかける上で医療上の障害にならないように、しかし、なおかつ取り締まり上の規制の目的は達するようにということで、両方の調和を図るべく努力いたしたところであります。したがいまして、過重な負担がかかるということはないと考えております。例えば薬局につきましては、先ほど御質問もございましたが、薬局の許可を免許とみなす、あるいは処方せんにつきましても、麻薬のように特別の処方せんは要らない、このような措置を講じているところであります。
#200
○児玉委員 この機会に、先ほどもちょっとありましたが、戦後がまだ終わってない問題についてお聞きしたいと思います。
 骨肉の情という言葉があります。戦後四十五年、戦没者に対する遺族の思いは決して尽きることがありません。国として戦没者の遺骨を遺族の
もとに確実にお届けする業務、これを今後ますます誠意を持って進めるべきだと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
#201
○津島国務大臣 戦没者に対する慰霊事業は極めて重要な事業でございまして、厚生省としても遺骨収集、慰霊巡礼等の慰霊事業を積極的に今後とも進めてまいりたいと思います。
#202
○児玉委員 厚生省の引揚援護局が編集された「続・引揚援護の記録」、昭和三十年三月二十日発刊のものです。これを拝見しておりますと、その中に、「占領期間中にも、ただ一度だけ、米軍の斡旋によって、比島に残されていた戦没者の遺体、遺骨、合わせて四千八百二十二柱が昭和二十四年一月九日、佐世保引揚援護局へ帰還している」こういう記述があります。四千五百十五柱の遺体は佐世保でだびに付されました。米軍が作成した遺骨名簿、遺体名簿、これは厚生省に現存していますか。
#203
○末次政府委員 ただいま御指摘の名簿につきましては、当方に保管してあるというふうに承知しております。
#204
○児玉委員 御遺族の中に、例えばショウゴなのかショウコなのか、GOかKOか、ヤなのかイなのか、YAかIか、そのことで自分の肉親かどうかというのは大きく分かれる。遺族やその関係者からのお求めがあれば、今の名簿を当然お見せしますね。
#205
○末次政府委員 ただいま御指摘の名簿につきましては、プライバシーの問題がございますので原則として閲覧させるべき性格のものではないというふうに考えておりますが、特別の事情があり遺族が特定された、その特定の遺族からの申し入れであれば、厚生省でごらんいただくことは可能であるというふうに考えております。
#206
○児玉委員 さて、その名簿の中に氏名不詳、米軍がつくったものですから「アンノウンX」、こうなっているのは何柱ありますか。
#207
○末次政府委員 取り急ぎ調査したところによりますと、このリストには約五百五十名程度が「アンノウン」というふうに記載されているという報告を受けております。
#208
○児玉委員 さて、ボゴタ丸で運ばれて、そして佐世保でだびに付された、一カ月大変な苦労があった、そういうふうに聞いております。遺体の中で既に遺骨として木箱に収納されていた八十二柱について言えば、遺髪や位牌、遺品が納められたものが多い。この部分を除けば他のすべては遺骨が存在した、こうですね。
#209
○末次政府委員 当時の記録によりますと、御指摘のとおりであろうというふうに考えられます。
#210
○児玉委員 そこで、「引揚援護の記録」の巻末に年表が付されております。その昭和二十四年十二月十九日のところに、このように出てきます。「比島より二十四年頭還送の遺骨遺体中本籍氏名不明のもの二千七十五柱佐世保局より留守業務部へ移送」、こう出ております。この時点で、二千七十五柱を除く遺骨は遺族に届けられたということになりますね。
#211
○末次政府委員 ただいま手元にその数字がございませんが、だびに付された後、順次判明し次第遺族に送還されたというふうに承知しております。
#212
○児玉委員 そこのところの数は、何しろ遺族の思いを思い、そして戦没者に対する国民の尊崇の念を考えれば、非常に厳格でなければならないと私は強く指摘しておきたいと思います。
 その後、留守業務部で調査し遺族が判明した遺骨は遺族にお届けをした、厚生省はそう言われております。氏名の判明しない遺骨、遺族がわからない遺骨は、昭和三十四年千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨された、六百三十六柱だと私は承っております。
 さてそこで、千鳥ケ淵に納骨された遺骨を除けば、今の計算でいけば遺族のところに遺骨が届いていることになる。一部、さっきの八十二体、その中には遺髪、位牌等があったわけですが、その少数の部分を除けば、少なくとも火葬が終了した昭和二十四年二月十三日の段階では遺骨は八十二を除くすべてについてあったわけですから、遺族のところに届いていなければならない。ところが、小西龍造さんという方が懸命に御遺族お一人お一人のところを訪ねて回られた。数は当然限りがあります。約四百の御遺族のところを訪れられたそうです。ところがその中で、御遺族の中には、届けられた遺骨箱を揺すってみて音がしない、あけてみたら紙切れ一枚の位牌が入っていた、リンゴが入っていたというのも調べの中にあったようです。しかし、そのリンゴを、もしかしたら肉親のよすがか縁があるものかもしれないというので、あえて火葬してお墓に納めた、そういう御遺族もあったそうです。ともあれ小西さんが調べた四百の御遺族の中で、遺骨が届いたと確かにおっしゃっていらっしゃるのはお一人のみ。しかもその方は、その遺骨につけてこられた氏名を見て字が違うというふうに述べられている。遺族のところに届けられなければならない遺骨が一体どこに行ったのか、この点いかがでしょう。
#213
○末次政府委員 当時の記録によりますと、御指摘の遺骨については米軍の名簿をもとにしまして、軍人軍属については当時の引揚援護庁復員局におきまして、また一般邦人につきましては外務省の管理局におきまして遺族調査を行い、遺族が判明した者につきましては本籍地、都道府県を通じて当該遺族に遺骨を伝達したというふうになっております。また、当時の関係者によれば、一部遺品のみのものもあったやに聞いておりますが、ほとんどは遺骨、あるいは遺体を焼骨したものでございまして、御指摘のような事例が多数あるということは少し考えられないのではないかというふうに考えております。
 具体的な事例につきまして御指摘がございますれば、何分相当古い話でございますが、可能な限り調査を行っていきたいと考えております。
#214
○児玉委員 遺骨名簿、遺体名簿でなくて遺骨名簿が二冊あるわけですが、遺骨名簿には所属した部隊、軍における階級、戦没地、戦没年月日などが記入されています。その中にシビリアンエンプロイー、軍属と理解したらいいでしょうか、このように書かれている分が八十数名あります。これらの遺骨の氏名のところには、例えばロケイセイ、リキセイなど、そのお名前から推定して台湾または朝鮮の方が多く含まれているのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
#215
○末次政府委員 米軍から受け取りました名簿は、名前がローマ字で記載されているもののみでございまして、国籍が判然としないものもあるわけでございます。
 台湾につきましては昭和二十六年、朝鮮につきましては昭和二十三年から数回にわたって遺骨を送還したというような記録も残っておりまして、この点につきましては現在のところ詳細は不明でございます。
#216
○児玉委員 先ほど厚生省がおっしゃった遺族への遺骨引き渡しの進め方において、一般邦人は外務省管理局だ、そして遺族が判明した者は関係の各都道府県を通じて当該遺族にお届けした。そうなりますと、朝鮮、台湾籍だと思われる軍属の方方は、厚生省の処理のこの仕掛けの中には乗らないことになるんじゃないのか、このことについては、今局長の話もありましたが、ぜひこの後真剣に調べて適切な処理をしていただきたいと思います。どうですか。
#217
○末次政府委員 何分大変古い話でもございますので、なかなか難しい点もあるかと思いますが、できる限り調査をしてみたいというふうに考えております。
#218
○児玉委員 私は今回の質問に際して、戦没者故鶴田義男さん、西村健一さん、酒谷新一さん、このお三方を含む八柱について、いずれも遺族から遺骨が届いてないという声がありますので、厚生省に調査をお願いしました。昨夜までの段階で二柱について結果が示されましたが、この調査結果については、恐らく二世帯の御遺族は納得されないだろう、私はそう思っております。皆さんに調査を求めた八柱の残り六柱、普通二柱についても遺族は納得しないと思うのですが、それに含
めて、今後遺族から遺骨が届けられていないがどうなっているのか、こういう求めがあったら、厚生省は誠意を持って調査し、遺骨が届いてないという遺族の訴えがあれば、なぜそうなっているのかということを誠意を持って調べて、そして、それを遺族にお伝えし、改めて弔意を表すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#219
○末次政府委員 何度も申し上げておりますとおり、何分大変古い話でございますから、どこまで判明するか現在のところわかりませんが、できる限り調査を進めまして、御遺族の納得は得られるように対応をいたしたいと思っております。
#220
○児玉委員 その点での努力を私は求めます。
 最後に、いわゆるかま墓地と言われている約五千に近い遺体がだびに付された場所に今墓地が立っております。先ほど私が申した鶴田義男さんの弟さん、祝さんとおっしゃいます、熊本県の天草の方です。この方は、先ほどの厚生省にある名簿の中にお兄さんである鶴田義男さんの名が載っていると聞いて、そして先日佐世保に赴き、たくさんの遺体がだびに付されたその場所、強い火力で土が赤茶けている、それを塊を幾つか集めて、そして改めてお兄さんの墓地に納められた。そのとき祝さんはこう言われたそうです。兄貴は自分の家の木戸先まで帰っていた、天草にとっては佐世保というのはもう木戸の先です。なぜ厚生省はそのとき知らせてくれなかったんだろうか、知らせがあったらすぐ行って会えたかもしれない、こういう思いがあります。そのかま墓地は、現在周辺に巨大なレジャー施設、米軍の高層住宅が建って、墓地はそのはざまにあります。全国の遺族が訪れて肉親を思い出すよすがにしているこの墓地を適切に維持、保存するように、私は厚生省が必要な努力を払われることを強く求めて質問を終わります。
#221
○畑委員長 柳田稔君。
#222
○柳田委員 麻薬に関することについて質問をさせていただきます。
 先ほど来から大分麻薬の話、海外においてはひどい状況にあるという話も聞かされておりまして、これから本当に大変な問題だなという気がいたしております。最近、特にアメリカと南米ですか、その辺も大分話題に上ったようなこともありまして、海外においては日本で考える以上に大問題になっているのだろう、そういう気がするわけですけれども、まずその辺についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 海外、特にアメリカが中心になるかと思うのですが、今どのような状況にあるのか教えていただきたいと思います。
#223
○北郷政府委員 アメリカにおきます麻薬のはやりぐあいでございますが、ベトナム戦争が終わりましてからヘロインとか大麻がはやりまして、それから一九八〇年代に入りましてコカインがはやっておる。それで、一九八八年の数字、これはアメリカの研究機関の報告でございますが、コカインの常用者が二百九十万人と報告されております。それからヘロインの常用者が五十万人、マリファナ、大麻でありますが、これは千二百万人ということのようであります。日本と比較しますと大変な、私どもはちょっと想像できない数字でございます。
 それから、ヨーロッパの国でございますが、主としてヘロインでありますが、国連の資料でございまして正確な数はわからないのでありますが、フランスが約九千人程度、イギリスが一万人ぐらい、イタリアが三万人ぐらいがヘロインの常用者だ、こういうような報告資料がございます。
 それから、東西アジアの例えばタイでございますが、これもヘロインの常用者が二十万から三十万人と言われております。
 大体そんなところでございます。
#224
○柳田委員 今アメリカが特にひどいなという気がするわけなんですが、最近特に海外旅行がふえております。その海外旅行に行くのも若い人が中心になっているような気がいたします。今回資料を見ておりますと、国内で検挙される人の年齢層も二十代、三十代が大分多いような気がいたします。特にこの若い人たちは好奇心もあるのでしょうし、一回は吸ってみたいなというちょっと気まぐれな気持ちも起こるかという気がするわけですが、先ほどお話がありましたように、アメリカは非常に日常茶飯事のような、ちょっとすれば手に入るような状況に今現在ある。そして、国内から若い人たちが多数海外旅行に出かけておる。そうしますと、この麻薬のたぐいと接する機会も非常に多くなるわけですけれども、その好奇心を断ち切るためにも何かの手だてをしているはずなのですが、もし、こういうことでやっているんだということがあれば、その辺を教えていただきたいというふうに思います。
#225
○北郷政府委員 最近摘発されます事例を見ますと、アメリカでクラックを覚えてくる、それからマリファナが、今申しましたように千二百万人からでございますから、非常にはやっておるのです。そこで覚えて持ち帰る、こういうようなことであります。おっしゃるように、それは若い人が多いわけでありまして、若さの特権といいますか、好奇心にあふれている、これはいい面でありますが、そういうものがそっちの麻薬のようなものに向くというのはぐあいが悪いわけでありまして、そのためにいろいろPRの資料、若者向けの、若者に受けるようなポスターをつくってみたり、若者が読んでくれるようなパンフレットをつくったりいたしておるのであります。しかし、なかなかうまいこと徹底しませんが、文部省の方にもお願いいたしまして、学校教育の中でもそういうものを取り入れていただくようにお願いしたり、こんなようなことをいたしております。
#226
○柳田委員 若さの特椎といいますか、好奇心で一回吸ってみたいのが後々ずっと常用になってしまって大変なことになるというふうに思いますので、若者が接する機会を極力なくすように、海外でもそういうふうなアピールですか、PR、宣伝を十分にやっていただきたいと思います。
 ちょっと話はそれたのですけれども、本題に戻りたいと思うのですが、先ほどいろいろと国内で摘発をしようということでお話が出ております。最近成果が非常に上がってきたので、摘発する量がふえてきたのだなというふうにいい方の見方もできるのですが、やはり実態はそれだけ麻薬類が世界じゅうでふえてきたという方が事実だろうという気がいたします。いろいろと生産国も世界じゅうにあるわけですけれども、この麻薬のルートといいますか、国内に入ってきているルートも含めまして世界のルートというのはどのようになっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#227
○北郷政府委員 麻薬はヘロインの系統とコカインの系統とあるわけでありますが、まずアヘンに発するヘロインの系統でありますが、これは大きく二カ所ございます。一カ所は東南アジア地域、いわゆる黄金の三角地帯と言われるタイ、ミャンマー、ラオスの三国にまたがります三角地帯であります。それから、もう一つの地域は南西アジア、これは黄金の三日月地帯と言われております。アフガニスタン、パキスタン、イラン、この三国にまたがる地域、この二カ所がメーンの生産地であります。それから、コカインにつきましては、南米、ペルー、ボリビア、コロンビア、この三国が主要な生産地であります。それから、大麻につきましては世界の各地域で栽培されておりますが、南米とか中近東、この辺が生産地でございます。
 それから、流通の流れといたしましては、タイ、ミャンマー、いわゆる黄金の三角地帯からのルートは、主にその地域からタイに流される、一遍タイに出てそれから直接アメリカに行く、あるいは香港なんかが経由される、こんなルートであります。南西アジア地域からのルートでありますが、これは中近東から直接、あるいはアフリカを経由してヨーロッパに流れる、こんなように言われております。それから、コカインの場合は南米、ペルー、割とアメリカと近いわけでありますが、直接あるいは一遍中南米を経由してアメリカに入る、こんな流れになっておるわけでありま
す。
#228
○柳田委員 今生産地とルートを教えていただきました。先ほど来話がありますように、水際で防げば一番いいわけですけれども、それ以上にこういうものをつくらないようにするのがベターだろう。なぜつくるのだろうか、いろいろなことがあるわけですけれども、やはり物が食べられないから手っ取り早くこういうものをつくって食べる物をどうにかしよう、手に入れようということでつくっているのじゃないかなあという気がするわけなんですけれども、この辺について、特にアメリカと中南米の方で先日話題にもなりましたので、わかる範囲でいいのですが、南米の方、そして今言いました生産国であるアジアの方、東南アジア、南西アジアですか、麻薬がその国の経済をどれほど支えているか、依存度を御説明願いたいと思います。
#229
○鈴木説明員 お答えいたします。
 麻薬に絡みます経済は、先生御指摘のとおり、基本的に不明なところが多うございまして非合法経済の部分に入るものでございますので、正確な資料については入手するのが大変困難な状況にございます。例えば、アメリカ等で重大な問題になっておりますコカインにつきましては、主にアンデスの三カ国につきましていろいろな見方がされておりますが、一つの見方によれば、一九八五年の時点で、コカインの密売業者がアメリカにおいて、またアメリカに密売をして得る収益、推定して大体五十億ドルから六十億ドルと見る見方がございます。このうちの一部が生産国の方に還流をしているというふうに見られるわけですが、その大きさが十五億ドルから二十億ドルと見る見方がございます。この還流ドルがアンデス三国にどのくらいの比重を占めているかという点でございますが、この見方が正しいとすればですが、コロンビアでは例えば五億ドルから十億ドルが還流しているというふうに見られまして、これをちなみに、先ほどは八五年の数字と申しましたが、八七年のコロンビアのGNPと比較してみますと、一・四%から二・七%ぐらいの比重になるかと思います。ペルーにおきましては六億ドルから七億ドル還流しているという見方がありまして、同じように比率で見ますと一・四%ぐらいになろうか。それからボリビアについては二・五億ドルから四・五億ドル、八%から一四%の比率、こういう見方が一つございます。
 他方、アジアにつきまして、この点も非常にデータが明らかでないのですが、中南米に比べてもデータが不明な点がありまして、唯一、生産量が大体どのくらいかというのが入手できるところでございますが、これについて見ますと、アジアの大生産国であるミャンマー、ラオス、パキスタン、これはアヘンの精製を行わないでそのままアヘンとして原料出荷がなされている。流通は主に、さきにも御答弁ございましたように、タイそれから香港、中近東、こういうところを経由していきますが、これらがまたこれらの生産地に収益としてどのように返ってくるのか、この辺のところの実体の経済がわからない状況でございます。
 アメリカからの情報ですと、アヘンの精製物であるヘロインの米国内の流通の五、六割がアジアから来ているものだ、こういうことが言われておりまして、非常に利幅の大きい流通がなされているということでございます。ただ、それがどの程度アジアに還元されているのか、この点もう一つつかみ切れないところでございます。
#230
○柳田委員 今お話がありましたように、非常に大きなウエートを占めているということであります。これを全部取り払って、さあ生産国の皆さん、自分らで食べてくれというとやはり非常に困る、そういう理屈から、多分こういうものでもつくって生計を立てているのだろうという気がするのです。ことしの二月にアメリカとアンデス三国で麻薬サミットもありまして、その中で、この辺の代替作物の開発援助、これの含まれた宣言がなされたわけなのですが、多分日本もこれに参画されていろいろなことを、この生産地に対して麻薬をつくらなくても済むような援助をされていると思うわけなのですが、その辺もいろいろお聞きしたいと思ったのですけれども、もう時間がございません。
 最後に、そういうふうな状況を踏まえまして、これからも日本として経済の援助をするのも一つの柱でございますけれども、この辺の含みも入れまして、麻薬をつくらなくても、そこの人たちが安心して食べていけるように援助を差し伸べるのも一つの意味があることではないかなという気がいたすわけです。そういうことからして、厚生省としてもこれからそういうふうな方向でやっていきたいという気持ちがあれば教えていただきたいと思いますし、さらには、現状こういうことをしておるので、さらにこうしたいということがあれば最後に教えていただきたいと思います。
#231
○津島国務大臣 麻薬の問題については、その供給が国際的にまたがっておりますから、この問題の解決は国際協力がなくては行い得ないことは委員御指摘のとおりであります。したがいまして、麻薬問題対処のための国際協力としては、麻薬に対する広報、教育の普及、これはもう国内でも一生懸命やるが、国際的にもやる、ノーハウの交換もする。
 それから二番目に、取り締まり体制を強化する、これも国際的にやらなければならない。これと並びまして、今お話のございました麻薬問題の背景にある生産地住民の経済問題への対処ということは非常に重要であろうと思います。
 厚生省といたしましても、発展途上国の人づくりという観点に立ちまして、毎年十数カ国のアジア諸国から、また、本年度からはペルー、コロンビア等南米諸国からも麻薬行政官を東京に招き、麻薬対策のための技術的、行政的な面でのセミナーを実施し、協力をしております。今後とも、そのほか援助等の分野を含めて、外務省初め関係省庁と連携しながら積極的に協力してまいりたいと思っております。
#232
○柳田委員 どうもありがとうございました。
#233
○畑委員長 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
#234
○畑委員長 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 本案に対して、持永和見君から修正楽が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。持永和見君。
    ─────────────
 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#235
○持永委員 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、原案において「平成二年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改め、平成二年四月一日から適用することであります。
 何とぞ委員各位の御替同をお願いいたします。
#236
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
#237
○畑委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、持永和見君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#238
○畑委員長 起立総員。よって、持永和見君提出の修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#239
○畑委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ─────────────
#240
○畑委員長 この際、本案に対し、持永和見君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。永井孝信君。
#241
○永井委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。
 一 国民の生活水準の向上等に見合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。
 二 海外旧戦域における遺骨収集については、相手国の協力をえて早期収集に一層の努力を払うとともに、慰霊巡拝等についてはさらに積極的に推進すること。
 三 中国残留日本人孤児等に関する情報収集について、引続き中国政府の積極的な協力がえられるよう配慮すること。さらに訪日調査により肉親が判明しなかった孤児に関する調査に最大限の努力をすること。
 四 帰国孤児の定着先における自立促進を図るため、日本語教育、就職対策、住宅対策等の諸施策の総合的な実施に遺憾なきを期すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#242
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 持永和見君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#243
○畑委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
    ─────────────
#244
○畑委員長 次に、麻薬取締法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#245
○畑委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
#246
○畑委員長 この際、本案に対し、持永和見君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。貝沼次郎君。
#247
○貝沼委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    麻薬取締法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 麻薬等の乱用防止には、これらの乱用を許さない社会環境を確立することが重要であることにかんがみ、乱用による危害を広く国民に周知徹底するための施策の充実を図ること。
 二 麻薬等の犯罪の重大性にかんがみ、取締体制の充実強化を図り、関係各機関の連携のもと諸外国とも情報交換を密にし、総合的かつ強力なる取締りを推進すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#248
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 持永和見君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#249
○畑委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。津島厚生大臣。
#250
○津島国務大臣 ただいま御決議になりました両法案に対する附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ─────────────
#251
○畑委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
#253
○畑委員長 この際、内閣提出、参議院送付、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。津島厚生大臣。
    ─────────────
 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#254
○津島国務大臣 ただいま議題となりました食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国におきましては、近年、国民の食生活の多様化や健康志向の高まりなどに伴い、食鳥肉の消費量が大幅に増加してきております。また、一方で、食鳥の疾病罹患率も高くなってきており、こうした食鳥肉に起因する食中毒や疾病の発生を防止するため、食鳥肉の検査制度の創設が必要となってきております。
 さらに、近年、国際間の食鳥肉の輸出入も大幅に増加してきておりますが、今日、主要先進国において、一羽ごとの食鳥の疾病検査制度が存在しないのは、我が国のみであり、その早急な制度化が望まれております。
 このため、食鳥肉等に起因する衛生上の危害を防止するため、食鳥処理の事業について、その事業を都道府県知事の許可制とする等必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、食鳥処理の事業について衛生上の見地から必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けることにより、食鳥肉等に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とすることとしております。
 第二に、食鳥処理業者は、一定の構造、設備基
準に適合した食鳥処理場ごとに都道府県知事等の許可を受けなければならないものとし、その食鳥処理場ごとに、一定の資格を有する食鳥処理衛生管理者を置き、一定の衛生管理基準に従って食鳥処理等を行わなければならないこととしております。
 第三に、食鳥処理業者は、処理を行うすべての食鳥等について、都道府県知事の行う食鳥検査を受けなければならないこととしております。
 なお、食鳥処理業者のうち、処理羽数が一定の羽数以下の者については、食鳥処理衛生管理者に、食鳥等の状況が一定の基準に適合することを確認させること等により、食鳥検査を要しないものとしております。
 第四に、食鳥検査は、厚生大臣の指定する者に行わせることができることとしております。
 以上のほか、食鳥肉を輸入する際に輸出国の政府機関によって発行された安全性に係る証明書等の添付を義務づけるため、食品衛生法の改正を行うほか、所要の措置を講ずることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、平成三年四月一日からとしておりますが、食鳥処理衛生管理者の資格等に係る事項については公布の日から、食鳥検査等に係る事項は平成四年四月一日からとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#255
○畑委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る六月五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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