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1990/03/22 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 大蔵委員会 第5号
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1990/03/22 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 大蔵委員会 第5号

#1
第118回国会 大蔵委員会 第5号
平成二年三月二十二日(木曜日)
    午後二時二分開議
 出席委員
   委員長 衛藤征士郎君
   理事 遠藤 武彦君 理事 高村 正彦君
   理事 田中 秀征君 理事 平沼 赳夫君
   理事 村井  仁君 理事 中村 正男君
   理事 早川  勝君 理事 宮地 正介君
      浅野 勝人君    井奥 貞雄君
      石原 伸晃君    岩村卯一郎君
      金子 一義君    河村 建夫君
      久野統一郎君    中西 啓介君
      野田  実君    萩山 教嚴君
      原田 義昭君    松浦  昭君
      御法川英文君    村上誠一郎君
      柳本 卓治君    山下 元利君
      上田 卓三君    緒方 克陽君
      大木 正吾君    佐藤 恒晴君
      沢田  広君    関山 信之君
      仙谷 由人君    富塚 三夫君
      細谷 治通君    堀  昌雄君
      渡辺 嘉藏君    井上 義久君
      日笠 勝之君    正森 成二君
      中井  洽君    菅  直人君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  尾身 幸次君
        大蔵政務次官  山岡 賢次君
        大蔵省主計局次
        長       小村  武君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省理財局長 大須 敏生君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        社会保険庁総務
        部長      川崎 幸雄君
        社会保険庁運営
        部長      土井  豊君
 委員外の出席者
        厚生省保険局保
        険課長     真野  章君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
    ─────────────
委員の異動
三月十四日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     田中 秀征君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  関山 信之君     緒方 克陽君
同日
 辞任         補欠選任
  緒方 克陽君     関山 信之君
同日
 理事太田誠一君同月十四日委員辞任につき、そ
 の補欠として田中秀征君が理事に当選した。
    ─────────────
三月十五日
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
 取引所税法案(内閣提出第九号)
同月二十二日
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
 国の会計、税制及び金融に関する件(財政金融の基本施策)
     ────◇─────
#2
○衛藤委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、田中秀征君を理事に指名いたします。
     ────◇─────
#4
○衛藤委員長 この際、橋本大蔵大臣並びに尾身大蔵政務次官及び山岡大蔵政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。橋本大蔵大臣。
#5
○橋本国務大臣 先般、再び大蔵大臣を拝命いたしました。
 内外ともに解決すべき課題が多い中、引き続き財政金融政策の運営の任に当たることとなり、その責任の重大さを改めて痛感いたしております。
 今後とも政策運営に遺漏なきよう全力を尽くしてまいる所存でありますので、よろしく御指導をお願いいたします。(拍手)
#6
○衛藤委員長 尾身大蔵政務次官。
#7
○尾身政府委員 先般、大蔵政務次官を拝命いたしました尾身幸次でございます。
 厳しい財政情勢の折から、その職責の重大さを自覚し、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございます。
 よろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
#8
○衛藤委員長 山岡大蔵政務次官。
#9
○山岡政府委員 先般、大蔵政務次官を拝命いたしました山岡賢次でございます。
 職責の重大さをひしひしと痛感をいたしております。微力ながら全力を傾けて職務の遂行に当たる所存でございます。
 委員各位の御指導と御叱正をよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
     ────◇─────
#10
○衛藤委員長 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 この際、財政金融の基本施策について、大蔵大臣の所信を聴取いたします。橋本大蔵大臣。
#11
○橋本国務大臣 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでありますが、本委員会におきまして重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 まず、最近の内外経済情勢について申し述べます。
 現在、我が国の経済は、物価が安定する中で、内需を中心とした自律的拡大を続けております。設備投資は増勢を続けており、個人消費も堅調に推移するなど、民間需要は順調に拡大いたしております一方、労働力需給等注視を要する点も存在しております。対外面では、不均衡の是正は着実に進んでおります。
 国際経済情勢を見ますと、先進国においては、物価安定に努力が払われる中、持続的な経済成長が続いております。主要国の対外不均衡は、改善の努力が行われているものの、依然、大幅であり、これを背景として、保護主義的な動きにはなお根強いものがあります。また、累積債務問題につきましては、前進が見られるものの、依然、深刻な状態にあります。さらに、最近における東欧の民主化、自由化の動きが世界経済に与える影響については、十分注視する必要があるものと考えます。
 私は、今後の財政金融政策の運営に当たり、我が国を取り巻く状況を踏まえ、以下に申し述べる諸課題に取り組んでまいります。
 第一の課題は、内需を中心としたインフレなき持続的成長を確保していくことであります。
 このような見地から、平成二年度予算につきましては、長年の懸案であった特例公債依存体質からの脱却を実現するなど、財政改革をさらに推進するとの考え方のもとに編成いたしました。
 金融政策につきましては、先般、公定歩合が引き上げられたところでありますが、今後とも、内外経済動向等を注視しつつ、適切かつ機動的な運営に努めてまいりたいと考えております。また、最近の地価動向などにかんがみ、土地関連融資について引き続き厳正な指導に努める所存であります。
 持続的な経済成長を確保する上で、為替相場及び金融・資本市場の安定が重要であることは申し上げるまでもありません。今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じ、為替相場の安定を図るとともに、金融・資本市場の動向を十分注視し、その安定を期してまいりたいと存じます。
 第二の課題は、財政改革を引き続き強力に推進することであります。
 各般にわたる改革努力の結果、平成二年度予算においては、特例公債依存体質からの脱却を実現するなど、我が国財政の健全化に向けて大きな歩みを進めることができました。
 しかしながら、特例公債依存体質からの脱却は財政改革の第一段階にすぎないのであります。国債残高は平成二年度末には百六十四兆円にも達する勢いであり、国債費が歳出予算の二割を超えて他の政策的経費を圧迫するなど、我が国財政は依然として厳しい状況にあります。また、国鉄清算事業団長期債務の処理問題なども残されております。
 将来の我が国の安定と発展にとって、財政の対応力の回復を図ることは緊要の課題であります。
 今後の中期的な財政運営につきましては、財政制度審議会の報告に沿って、来るべき高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例公債に頼ることのない財政構造の確立を目指して、公債依存度の引き下げなどにより、国債残高が累増しないような財政体質をつくり上げることに全力を傾けてまいる所存であります。
 第三の課題は、新しい税制の一層の定着を図ることであります。
 御承知のように、先般の抜本的税制改革は、それまでの税制が持っていたさまざまなゆがみやサラリーマン層を中心とする重税感を是正するとともに、高齢化の進展を踏まえ安定的な脱体系を確立することを目的として行われたものであります。
 このうち昨年四月に導入された消費税は、その後の経済動向や円滑な申告・納税などの状況を見ましても、着実に日々の生活に溶け込んできております。一方、消費税に対しましては、国民各層からさまざまな御意見や御指摘をいただいたところでありますが、それらをすべて検討の対象とし、現時点で最善と確信する消費税の見直しを行うことといたしました。
 具体的には、逆進性の緩和や社会政策的な配慮という見地から、すべての飲食料品について小売段階を非課税とするとともに、卸売段階までの税率はこれまでの半分の一・五%といたしております。また、人の生命にかかわる出産費、火葬・埋葬料を非課税とするほか、住宅家賃や入学金、身体障害者用物品なども非課税といたしております。さらに、年金生活者のために、一層の所得税及び住民税の減税を実施することといたしております。
 また、消費者の立場から御指摘をいただいた制度上の問題点について、中間申告・納付回数の増加など現時点においてできる限りの措置を講ずるほか、事業者免税点制度などについては、消費税の申告・納付が一巡する本年五月までの間は実態把握を行い、これらの制度をどう見直すか十分検討の上提示することといたしております。
 さらに、消費税収のうち国分について福祉に優先して充てる趣旨を法律で明らかにするとともに、歳出の分野においても、高齢化に対応した公共福祉サービスの充実などを推進することといたしております。
 税制は、国民生活や経済取引などに深く関連するものであり、現実の社会経済情勢や生活実感から離れたものとならないよう努めていかなければなりません。このような観点から、消費税についても見直すこととしたところでありますが、執行面における努力も相まって、消費税は日々の国民生活に一層溶け込んでいくものと確信いたしております。
 なお、土地税制につきましては、土地基本法の趣旨に沿った関係制度の整備状況を踏まえつつ、土地に対する負担の適正化、土地政策の推進の見地から、その総合的な見直しに取り組んでまいる所存であります。
 第四の課題は、調和ある対外経済関係の形成に努めることであります。
 昨年七月の日米首脳による共同発表を受け、日米構造協議が行われておりますが、我が国としては、構造調整は国民生活の質の向上につながるとの観点からも、我が国みずからの課題として積極的に取り組むべきものと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、本年末の交渉期限に向け、交渉を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 関税制度につきましては、市場アクセスの一層の改善を図るとの見地から、平成二年度において、機械類の関税の原則撤廃を含む工業製品関税の撤廃、引き下げなどの改正を行うことといたしております。
 経済協力につきましては、開発途上国の自助努力を支援するため、政府開発援助の着実な拡充に努めております。
 累積債務問題につきましては、国際的な合意を得て進められている新債務戦略を我が国としても積極的に支持し、所要の協力を行っていく考えであります。
 さらに、最近の東欧の民主化、自由化の大きな流れの中で、これら諸国への支援が大きな課題となっておりますが、我が国としても、西側主要国の一員としてふさわしい協力を行うとの考え方から、ポーランド、ハンガリーに対する積極的な支援策を表明したところであります。
 第五の課題は、金融・資本市場の自由化、国際化を着実に進めていくことであります。
 これまでにも、預金金利の自由化、外国金融機関のアクセスの拡大などの措置を逐次講じ、短期金融市場、国債の発行・流通市場、先物市場の整備拡充などに努めてまいりました。証券取引につきましては、内外の信頼をさらに深め、取引の公正性、市場の透明性を高めるため、内部者取引規制の整備など所要の措置を講じてまいったところでありますが、これに加え、株式などの大量の保有状況に関する情報の開示制度の導入及び公開買い付け制度の改善を図るため所要の法案を今国会に提出し、御審議をお願いいたしたいと考えております。
 さらに、今後の我が国の金融制度のあり方、資本市場のあり方及び保険事業のあり方などにつきましては、関係各審議会において鋭意審議が進められているところであります。
 次に、平成二年度予算の大要について御説明いたします。
 平成二年度予算は、真に必要な財政需要に適切に対応しつつ、財政改革の第一段階である特例公債依存体質からの脱却を実現するとともに、公債依存度の引き下げを図るため、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むことなどにより公債発行額を可能な限り縮減することとして編成いたしました。
 歳出面につきましては、一般歳出の規模は三十五兆三千七百三十一億円となっており、また、国債費は、定率繰り入れを実施することとし、十四兆二千八百八十六億円となっております。これらに地方交付税交付金等を加えた一般会計予算規模は、六十六兆二千三百六十八億円となっております。
 次に、歳入面におきましては、平成二年度の税制改正として、消費税の見直しのほか、土地税制に係る所要の改正、製品輸入促進税制の創設、租税特別措置の整理合理化などを行うことといたしております。
 公債発行予定額は前年度当初予算より一兆五千百七十八億円減額し五兆五千九百三十二億円となっております。これはすべて建設公債であり、特例公債の発行はいたしません。なお、倍換債を含めた公債の総発行予定額は、二十三兆四千八百九億円となります。
 財政投融資計画につきましては、住宅、社会資本の整備、国際協力の推進などの政策的要請にこたえ、資金の重点的、効率的な配分に努めており、その規模は三十四兆五千七百二十四億円、このうち資金運用事業を除いた一般財投の規模は二十七兆六千二百二十四億円となっております。
 次に、平成元年度補正予算について申し述べます。
 平成元年度補正予算につきましては、地方交付税交付金、国債整理基金特別会計への繰り入れ、災害復旧等事業費、給与改善費、厚生保険特別会計への繰り入れ、住宅金融公庫交付金等、日本国有鉄道清算事業団補助金など特に緊要となった事項について措置を講じております。
 平成元年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも五兆八千九百七十七億円増加して、六十六兆三千百十九億円となっております。
 以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。
 本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、平成二年度予算に関連するもの八件、平成元年度補正予算に関連するもの一件、その他一件、合計十件であります。今後、提出法律案の内容について、逐次御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
     ────◇─────
#12
○衛藤委員長 内閣提出、厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。橋本大蔵大臣。
    ─────────────
 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#13
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 平成二年度以降、老人保健医療に係る加入者按分率が一〇〇%に移行することを踏まえ、健康保険組合等被用者保険について、今後における老人保健制度の基盤安定化の措置を講じる必要があります。
 このため、本法律案は、平成元年度補正予算において、厚生保険特別会計に、一般会計からの繰入金により資金を設置し、その運用益を老人保健制度の基盤安定化の措置に充てることができるようにするとともに、この資金を、過去における厚生年金保険国庫負担繰り延べ措置についての、将来の返済のために用いることができるよう、所要の法的措置を満じようというものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計業務勘定に、当分の間、特別保健福祉事業資金を設置することとしております。
 第二に、この資金の運用益を用いて、老人保健拠出金の負担が重くなっている被用者保険への対策などの老人保健制度の基盤安定化の措置を行うこととしております。
 第三に、厚生年金保険事業の長期的安定を確保するため、業務勘定から年金勘定に、資金の額を限度として繰り入れができることとし、繰り入れが行われた場合は、その金額の範囲で、一般会計から年金勘定に対する厚生年金保険国庫負担繰り延べ措置についての返済が行われたものとみなすこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#14
○衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
#15
○衛藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大木正吾君。
#16
○大木委員 大変多難なといいましょうか、難しい局面を迎えて、橋本大蔵大臣、大変御苦労と思います。
 関連する法案につきまして質問いたす前に、きょうの正午のニュース等を拝見いたしますと、大分円安問題が、公定歩合の引き上げ問題もありましたにもかかわりませず百五十五円を割り込んだ、こういう話がございまして、一般の中小企業の方々やあるいは金融界、株式等に対する影響もございまして、その先行きを少しく心配しているわけでございますが、大臣の所見を、もしございましたら伺いたいと思います。
#17
○橋本国務大臣 通貨当局といたしまして為替相場の見通しに言及すること自体いかがかと考えますけれども、このところ為替相場が円安で推移いたしておりますことについて、また、それが日本経済のファンダメンタルズに何ら変化が生じていないにかかわらず思惑的な動きが大変強いことに対して、非常に懸念いたしております。
 先般行われました日米首脳会談におかれましても再確認されたように、日米を初めとする各国の協調体制というものはおかげさまで非常にかっちりとしたものになっておりますので、投機的な働きに対しては各国と協調して適切に対応しながらこの相場の安定に努めてまいりたい、今、以上申し述べさせていただきます。
#18
○大木委員 近いうちに橋本大蔵大臣は渡米されると伺っておりますが、こういった問題についてアメリカ側とお話し合いする用意はございますか。
#19
○橋本国務大臣 諸般の情勢が許しますならばこの週末にブレイディ長官とお会いすることになると思われますけれども、現時点におきましてまだ細部が煮詰まっておりません。しかし、もしそういう機会が与えられることになりました場合、私どもが当面共有する幾つかのテーマの一つとして、その論議の中にこうした問題が出てくることは予測されることであろうと思います。
#20
○大木委員 これは中小企業の方々あるいは金融市場の方々等は大変心配している面もございますので、ぜひそういった懸念を取り除くためにも、また、せっかく公定歩合の引き上げ問題等もやったさなかでございますから、なるべく、アメリカを初め他の先進七カ国との関係におきまして、こういった問題についてのぶれが早く落ちつき、しかも物価の安定に寄与する、こういった状態に持ち込めるように努力願いたいと考えております。そういった方向についての所信がありましたら伺いたいと思います。
#21
○橋本国務大臣 先日、日銀当局が公定歩合を改定いたしました際にも、物価上昇に対する予防的な措置という言葉がその発表の内容に使われておりましたように、我々として何よりもインフレというものを未然に防止するという努力は絶対に欠くことができません。今委員から御注意をいただきましたようなことを踏まえながら、そうした場が与えられました場合には対応してまいりたい、そのように考えております。
#22
○大木委員 この問題はこれ以上お話しいたしましても明確なお答えはなかなか難しいかと思いますので、この程度にいたしますが、非常に国民の関心の深い問題になっておりますので、ぜひ大蔵大臣の御努力を要請いたしておきます。
 さて、問題のこの法案に関連いたしましての質問に入りますが、自然増収という言葉については、大蔵省は現在はこういった言葉は使わないというような新聞記事を拝見いたしましたけれども、そういうように考えておられますか。
#23
○尾崎政府委員 自然増収という言葉が時々混乱して使われますものですから、当初予算に対しますその年度の税収の狂いにつきましては私ども税収見積もりの誤差というように考えておりますし、それから、当年度と翌年度とを比べてどのくらい増収を生ずるかというのは年度間増収という言葉で呼ぶようにいたしまして、自然増収という言葉から生ずる混乱を避けたいというように考えております。
#24
○大木委員 大蔵省かくどくどそう説明いたしましても、マスコミ等はやはり自然増収、自然増収と言っておりまして、なかなかわかりにくいわけですが、何かもうちょっとわかりやすい表現の仕方、言い方はないのですか。
#25
○尾崎政府委員 例えば平成元年度予算につきまして三兆二千百七十億の増収を今度の補正予算で私ども見込んでおるわけでございますが、言ってみますと、これは見積もり誤差を見直したということでございます。それで、この見直しをしたところから今度は平成二年度予算の歳入見積もりをするわけでございますが、それが大体七兆ございますけれども、この種のものを年度間増収というように呼んでおりまして、混乱をできるだけ避けたい、その当年度中の自然増収、それから当年度と翌年度の自然増収というものがいろいろ論議の混乱をもたらすものでございますから、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#26
○大木委員 これはなかなかすっきりしませんけれども、私は大蔵委員を参議院の方でもやったのですが、こういったことに対する解明がなかなかはっきりしないので困ったことがありましたけれども、とにかく法案の中身について少しく入ってみます。
 こういった財政上のいわば余裕ができた際には、一般国民の立場からしますと、まず減税してくれぬかという気持ちが起きると思うのです。同時に、財政審の答申等を拝見いたしますと、まず国債の返還等に充てなさいといった話も出ております。ですから、そういったこととの兼ね合いにおきまして、本法案につきましては、少しく逸脱といいましょうか、それを飛び越していっているという感じがいたしますが、それについての主計局次長のお考えはいかがですか。
#27
○小村政府委員 ただいま主税局長からお話がございましたいわゆる見積もり誤差、税収増が生ずることは避け得ないということになりますと、私どもとしては全体の補正予算でそれを計上させていただき、さらに、その補正予算において緊急の課題にこたえるべくいろいろな歳出の内容についても精査させていただきます。同時に、特例公債の減額の問題とかそういった面についても総合的に検討させていただいて、歳出歳入両面にわたって検討いたしまして補正予算の御審議をお願いしておるということでございます。
#28
○大木委員 財政審の答申には必ずしもそう書いてはいないのじゃないですか。むしろ、減税のことは抜きにいたしましても、国債の返還になるべく充てろ、こういった趣旨のことを相当言葉の重みとして感じる点がございますが、その点はどうなんですか。
#29
○小村政府委員 財政審からも御指摘をいただいておりますのは、百六十四兆円の国債をできるだけその残高の累増を避けるという意味におきまして、新規の国債の発行の抑制及び過去におきまして発行いたしました特例公債の早期償還、こういった面について御指摘のように御指摘をいただいております。したがいまして、私どもとしましてはまず特例公債の新規の発行分について、できるだけその年度間における税収等をにらみながら調整をさせていただいておるということでございます。
#30
○大木委員 財政審の答申ということは特にウエートを持って考える、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#31
○小村政府委員 財政審の答申は私ども尊重しなければならないということで、極力過去の債務の返済及び新規の公債の発行、これを抑えていかなければならないと考えております。したがいまして、今回の補正予算におきましても、財政法第六条における剰余金の二分の一を国債整理基金特別会計に繰り入れ、さらにその特別会計の財政状況に応じまして赤字公債の早期償還等にも努めているところでございます。
#32
○大木委員 私自身の考えですと、財確法を国会が大分厳しく議論をし合ったときの記憶からしますと、少しく大蔵省自身が、予算ですから歳出歳入ともに見ながらいくことは当然でしょうけれども、財碓法をつくった精神からしますれば、やはり国債の返還、そのファンドに優先的に持っていく、充てる、こういったことが正しい、こう考えていますが、どうなんですか。
#33
○小村政府委員 私ども歳出面の緊急の課題にこたえるとともに、先生御指摘のように過去に発行した特例公債の早期償還、これにつきましても最近時におきまして毎年努力をいたしておりまして、平成元年度におきましては国債整理基金特別会計において二千三百億円の早期償還を予定しております。これは財確法にもできるだけ早期償還に努めるという規定がございまして、それを実行しておるわけでございます。
#34
○大木委員 今回のこの法案そのものが、大体今の財政審の答申というものについて、あるいは財確法当時からの経過にかんがみて、私自身余り適切な法案とは思っていないのです、これは大臣に失礼に当たるかもしれませんけれども。そして、どうも継ぎはぎといいますか便宜主義といいますか、言葉は悪いのですが、やはり結果的には、いろいろな言い回しがございますけれども自然増収的なものが見込める、そういう際に何か新しい会計といいましょうかあるいはファンドというか勘定、そういったものをつくっていく、そういった機会に、いえばやみくもに登場してしまう、こういう感じがしてなりませんが、そういうようなお考え方は主計局次長等はお持ちじゃないですか。
#35
○小村政府委員 今回の措置で厚生保険特別会計に資金の設置を予定させていただいておりますが、これは、厚生年金の国庫負担金につきまして過去に繰り延べを行っておりますが、その返済見合い財源一兆五千億を用いまして、現下の老人保健制度に対する緊急の課題にこたえようというものでございます。
 したがいまして、財政体質の改善という意味におきまして、厚生年金の過去の繰り延べ分の返済財源を確保したという意味で一歩前進したということでございまして、いわゆる隠れ公債の返済という一つの課題もございますので、こういった面も念願に置いて措置を行ったということでございます。
#36
○大木委員 私が申し上げているのは、そういうことの中身じゃなしに、新しい形の会計なり勘定なりあるいはファンドというものがどんどんどんどん創設されていくという流れがあっていいかどうか、こういったことを聞いているわけです。余り唯々諾々としてこれからも資金に余剰ができたらそういったものをつくっていくのだ、こういったことでは困るのでして、そこのところはどうなんですか。こういう例がどんどん出てきますと、これはもう財政法自身が根拠を失ってしまいますからね。そういう意味合いでもって、要するにこの新しい特別保健福祉事業資金といったものを創設をする、こういったことをこれからも続けてやるのですかどうですか、こういったことを聞いているのです。
#37
○小村政府委員 今回、国の資金として設置をお願いしているのはこれだけでございます。その際に資金として一兆五千億円もの財源を確保したというのは、一つは先ほど申し上げました厚生年金の過去の繰り延べ分の返済見合い財源だということでございまして、他にこうした例というのはございません。
#38
○橋本国務大臣 ちょっと補足させてください。今、大木委員の御質問と担当次長の答えております中身が必ずしも一致しておりませんので、私から補足させていただきたいと思います。
 私は、今委員が御指摘になりました問題点、この御指摘は基本的に間違っている認識だとは思いません。そうして、国がさまざまな問題への対応の中で安易に予算をもって特別会計を創設するあるいは基金を創設するということは、常套手段として使うには好ましくない手法であるという認識については、私は委員と見解を同じくいたします。
 今回は、先ほど次長が申しましたようないわば二つの要請にこたえる中で、この時局面における回答として一番望ましいものを選択したということで御理解をいただきまして、御了承願いたいと思うのでありますが、こうした手法が安易に用いられていいものではないという御指摘は、私もそのとおりに思います。
#39
○大木委員 大臣の方がむしろ次長を補足いたしまして私の質問に答えていただいて、どうも大臣の方がよっぽど話がわかっているのですね。
 結局、そういったことから入ってまいりまして、なおかつ、だんだん細かくなって恐縮でございますが、結果的には厚生年金の繰り延べをしてきました分につきまして、国の方で、例えば厚年特別会計法の十八条等を見ていきますと、当然の問題としてこれは返す責任がございますね。そういったふうにして素直に返していけばいいのですけれども、その返し方につきまして、結果的には特別に業務勘定に資金をつくって、そして老人保健法の按分率の関係で出る各種保険の赤字に充てるのですね、そういったとり方をしているわけでございますけれども、どうもその辺に少し、ひねり過ぎという言い方は変ですけれども、何か素直さがない、こういう感じがしてなりませんので、むしろこれは一般会計から出しておいて、そして返すものは返す、こういうふうにした方が国民にわかりやすいし、すっきりしてよろしい、こんな感じがするのですが、これは主計局長でも次長でも結構ですから、大臣に相談してからでも結構ですから答えてもらえませんか。
#40
○小村政府委員 今回措置をさせていただきまして、資金からの運用益七百五十億円を老人保健の基盤安定化事業に活用させていただくということでございますが、毎年毎年の予算措置でそれだけの金額を確保すればいいじゃないかという御指摘かもしれません。実際そうした予算措置において技術的に不可能ではございませんが、ただ、毎年の財政需要、あるいは関係者からの御要望によって安定した財源を確保する、毎年毎年こうした金額の確保の目安がつくということで、関係者から強く御要望があったということでこのような措置をとらせていただいたということでございます。
#41
○大木委員 関係者とおっしゃった、その関係者とは一体どなたのことをおっしゃるのですか。
#42
○小村政府委員 老人保健制度を主管しております厚生省初め、あるいは健保連等々の方々からも御要望があり、こうした解決をさせていただいたということでございます。
#43
○大木委員 どうもその健保連等の名前が出てきますと、私自身の判断では私の言った意見の方が好ましいのでありまして、自分たちが積み立てている部分をこういうふうな利用の仕方をしたということは、これは大蔵省から話が行ってやむなく向こうが了承した、こういう経過じゃないのですか。逆じゃないですか。
#44
○小村政府委員 予算編成過程ではいろいろな案がございまして、その際お互い知恵を出し合いながら解決をしたということでございます。
#45
○大木委員 大臣が一番素直なんですよね。やはり次長さんは非常に頭がいいものだからひねくっちゃって――まあいいです。
 そういったことからいたしまして、私はあくまでもこれは一般会計から持ってくるべきものであって、こういった資金の創設には、反対だと言ってしまったらまずいのかもしれませんけれども、ちょっとこれは賛成とは言いにくい。――納得できないという声がありましたが、納得できないという感じがいたしますので、さっき大臣は、これからこういった新しいものは慎重に、こうおっしゃったのですが、今回の問題につきましても幾つかの問題点をこれからも指摘してまいりますから、そういったことに従って新しいものをつくることはなるべく避けてもらいたい、こういうことでさらに御質問を続けてまいります。
 厚生省はここにいますか。――厚生省はこの問題については一体どういうふうに受けとめておられますか。
#46
○岡光政府委員 老人保健制度の運営につきましては、いろいろ問題が指摘されております。老人医療費のあり方から、老人の処遇の仕方から、こういう医療費の拠出の仕方から、いろいろと論じられておりますが、老人保健法の法律の規定では、ことしの四月から、老人医療費の持ち方につきまして各保険者で等しく持ち合おうではないか、いわゆる一〇〇%按分に移行するということになったわけでございます。
 これに伴って国民健康保険の方は負担が軽減すると同時に、その見合いで被用者保険グループが負担増になるわけでございまして、この被用者保険グループの負担増に何とか対処してその負担軽減を図らなければ、各保険者からの老人医療費に対する拠出の協力が得られないのじゃないか、そういう心配も危惧されたわけでありまして、そういうことを避けたいということを考えたわけでございます。もちろん、今お話がありましたように一般会計でどうするかということが基本でございますが、当初予算にも限りがあるということでございまして、何とか全体の負担を軽減したいということを第一義に考えまして大きなファンドをお願いしたというような経緯でございます。
#47
○大木委員 今の最後の方の話ですと、厚生省からお願いした、こういうふうに言われたのですが、そうなんですか。
#48
○岡光政府委員 予算折衝の過程でいろいろ御相談させていただいたということでございます。
#49
○大木委員 それならばニュアンスは残るから、幾らかわかったような気もしますがね。
 問題は、形を見ていますと、例えば六十一年度から去年、平成元年度までの分で一兆三千四百八十億円、利息を入れて計算して見ていきますと約一兆四千九百八十三億円になりまして、国の方の負担分というのは十七億でしかない。そして一兆五千億円のファンドをつくって運用益を得ていく、こういうような仕組みになっているのですが、問題は、この一兆三千四百八十億円プラス金利、こういったものについては、厚生省は返された、こういうふうに受けとめておられるのですか。
#50
○岡光政府委員 いわゆる厚生年金の国庫負担の繰り延べ分につきましては、今回の措置をとられたとしましても返されたということにはならないというふうに理解をしております。ただし、先ほど次長から御説明がありましたように、その返されるであろう財源というのでしょうか、資金というのでしょうか、そういったものの確保が図られたということにはつながるというふうに考えております。
#51
○大木委員 大蔵省はどうですか。
#52
○小村政府委員 ただいま厚生省からお答えのあったとおりでありまして、私どもとしても、返済財源の確保を行ったということでございますので、厚生年金勘定への返済を行ったものではないというふうに理解しております。
#53
○大木委員 そこで問題が起きるのですよ。結局、何か金を見せびらかしておきまして別の金庫へしまってしまって、厚生省はこの金は使えません、大蔵省が管理をしまして、財投等の関連も含めて運用する、こうなるわけです。別の金庫へしまってある金は、あそこに金が見えているから一応安心だという安心感はある。しかし、それを使うあるいは運用益を得る、一兆三千四百八十億円であっても、これは仮の計算でございますけれども、私の手元の資料ですと、利息を加えまして一兆四千九百八十三億円、利息はこの場合には一千五百三億円、こうなるのですが、こういったものについてはもう厚生省から離れてしまっている。そういったことについては、厚生省は、利息分は要りません、元本だけがどこかに保証されていれば結構ですと、全く欲得のない、非常に素直な、立派な、最近珍しい金貸しですよね。そういった態度でもっていい、こういうことですか。
#54
○小村政府委員 将来年金勘定に繰り入れる際には、その運用益相当分も含めて繰り入れを行う予定でございます。したがいまして、この一兆五千億で不足の場合にはさらに一般会計からその部分について手当てをするということになる、そういう法律構成になっております。
#55
○大木委員 厚生省に聞いているんですよ。要するに厚生省の発言権とか運用益等に絡んで、財源としては確かに別の金庫にしまってあるんだというだけでいいのであって、おれの方はもうそれに対して発言権は当分の間ない、これは「当分ノ間」の措置、こう書いてあるわけですから。それでもってよろしいのですかどうですかと厚生省に聞いているのに、あなたが答えるからちょっと調子が狂っちゃうんですよ。
#56
○土井政府委員 今回の一兆五千億でございますが、厚生保険特会の業務勘定に資金をつくるわけでありまして、年金勘定にはいまだ返ってきていないという状況でございます。したがって、将来のある時点におきまして、年金勘定に返済するという時点までの金利はその段階できちっと返していただくということかと考えております。
 なお、今回の措置はあくまで先ほどるる説明がありましたような性格の措置でございまして、年金サイドからも一つの安心はございますけれども、それと同時に、年金の立場から早期返還という立場はございますので、今後とも財政当局と十分協議をしてまいりたいというふうに考えております。
#57
○大木委員 そういう答えが返ってこなければおかしいですね。大体それでその辺は、納得じゃありませんけれども理解ができました、こういうことにいたしておきますが、問題はその次なんですね。この改正案と財政法の関係についてなんです。
 財政法二十九条、予算委員会でも大分、新聞等でも拝見いたしましたけれども議論があった模様でございますが、二十九条一号、二号絡みの、いえば契約上の義務とか法律上の義務とか、そういったようなものには今回の法案自身は触れる法案ではありませんね。それはどうですか。
#58
○小村政府委員 財政法二十九条は、御指摘のように、義務的な経費と、それから「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」を補正予算の条件として挙げております。今回の編成に当たってもこれらの補正事由を十分念査の上計上したということでございます。
#59
○大木委員 肝心なことに対しては、これはやはり大臣に答えてもらうしかないのかな。この二つの条項に反するとあえてはっきりと申し上げようかな。これにはふさわしくないというか、反するというか、二十九条には無関係の制度、私はこういうふうに受けとめているわけでございますが、それで間違いないですか。
#60
○小村政府委員 今回の老人保健の基盤安定化措置というのは、昨年末の老人保健審議会等で老人保健制度の見直しに関する論議を経て、平成二年度から老人保健医療に係る加入者按分率、医療費の負担割合でございますが、これは各保険者が一〇〇%負担をするというふうに移行する、まさに平成二年度からそういった措置がとられる。これに対して今補正予算におきまして老人保健の基盤安定化のための資金造成が必要であるということと、さらに厚生年金の国庫負担金について確実な返済に資するため元年度中にこの措置を行う、この二つの要請にこたえるものでございまして、財政法二十九条の趣旨にかなうものと理解をしております。
#61
○大木委員 大事なことなのでして、財政法二十九条は極めてはっきり書いてあるのですよ。「法律上又は契約上国の義務に属する」「特に緊要」、そういった言葉等をずっと見ていきますと、これ自身がこの第一号に当てはまる事項ではない、こういうふうに私は考える。解釈をするのです。第二号の「予算作成後に生じた事由」という面からも、これも当たらないですね。
 そうすると、あなたは按分率のことなんか言ったけれども、こっちは按分率は聞いてないのですよ、按分率のことはわかっているから。こういうふうに按分率が変わるからこういったことが必要なのだということを大蔵省は考えたのでしょうが、按分率は聞いてない。この法律、財政法というのはしっかり守らなければいかぬからね。財政がめちゃくちゃになってしまっては困るのでしょう。そういったことでもって念を押して聞いているわけです。問題は二十九条の第一号、第二号に沿うかどうか、あるいは反していないかどうか、少し明確に答えてもらいたい。
#62
○小村政府委員 財政法第二十九条の補正予算の要件といたしまして、一つは、先生御指摘のように一号で「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補う」、いわゆる義務的経費の補てんでございます。そのほか「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」、これは国庫内の移しかえ、特別会計等の出し入れ等を含む、こう書いておりますが、途中省略いたしますが、「必要な予算の追加を行なう場合」、この後段の方に該当すると考えております。
#63
○大木委員 そうすると、あくまでもこれは第二号に該当して財政法二十九条には反していない、そう解釈せよと、こうおっしゃるのですか。
#64
○小村政府委員 私どもとしましては財政法第二十九条の一号の後段に該当すると考えております。
#65
○大木委員 納得できないよ、それは。按分率問題ということはわかっていたことですからね。何もあなた、予算編成時に急に起きたわけじゃないのであって、これは予測のできた問題でしょう。だったら、もっとさきの国会にこういった法案をどうするこうするということについては出すべきものでもあったかもしれませんしね。あるいは、わかっていたのだったら一般会計でもって予備費等から出す、そういったことであって、やたらにここのところを自分たちの解釈で法律上、契約上の義務云々の中に入る云々なんということを言ってほしくないですね。こんなことを認めたら財政法は要らなくなってしまう。だから、財政法には、疑わしいというのか、反するというのか、その辺のことについてもうちょっと明確に解釈を示してもらいたいのですよ。
#66
○小村政府委員 六十一年度の老人保健法の改正の際に、見直し条項というのがございまして、第十四条に「昭和六十五年度までの間に保険者の拠出金の算定方法その他この法律による改正に係る事項に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」という規定がございまして、これに基づきまして老人保健審議会が継続して検討を行ってまいりました。昨年の予算編成の直前までこの審議会で種々論議をされてまいりまして、その結果を踏まえまして私ども予算編成の最終段階でかような措置を講じさせていただいたということでございまして、年度間に生じた、予算編成後生じた緊急の事項であると解釈をしております。
#67
○大木委員 老人保健審議会で何回も議論してきたから、これに沿う法律で間違えていない、こういう言い方では私は納得できませんよ。按分率が九〇、一〇〇になることはわかっておったはずだから、こういった保険者負担等も交えた、いわば按分率の一〇〇%負担に対しまして足らない分を捻出する必要ということは大蔵省はわかっておったはずです。とすれば、保健審議会がどういう意見を出そうと出すまいと、この問題については別の法律でもって、財政法二十九条に関係なく、別途の問題としてもっと早く大蔵委員会等に提出する等の措置が必要じゃなかったのですか。
#68
○小村政府委員 まさにこの問題につきまして昨年末、十二月十八日に老人保健審議会で答申をいただきまして、それに基づきまして厚生省とこの費用負担問題について議論を交わし、平成二年度から加入者按分率一〇〇%というのは所要の事項でございますが、これに伴う激変緩和措置について種々意見がございました。その結論は、予算編成後生じた緊急の事項であるということで、審議会の御意見等々を踏まえまして今回の措置をとらせていただいたということでございます。
#69
○大木委員 さらに財政法四十四条に入っていきますと、もっと問題が明快になってくるのですよ。四十四条では「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。」こう書いてあります。今度の新しい法案は、現に持づている法律のある場合に限り、に乗っかりますか、当たりますか。現にこういった問題については、資金運用部資金の問題とか外為法の問題と資金の関係とか国債整理基金とか、相当限定をされていますね。やたらにそういったもので法律にないものを、新しいファンドとかで資金をつくってはいかぬということが明快にここに書いてあります。
 だからそういったことと照応いたしましても、この問題について、二十九条、四十四条に照らして、先ほど大臣の言ったことをお受けするといたしますと、やたらにこういったものはつくらないという立場の発言があったわけでございますから、そういった面からして、私自身が法律的な根拠あるいは財政というものを健全にしていく立場からして申し上げているわけでありまして、どうしても二十九条違反ではない、こう突っ張るのであれば、これはもう一遍大蔵委員会をやり直してもらって、勉強のし直しをしながらやるしかない、私はこう考えるのです。
#70
○小村政府委員 今御指摘の点は、四十四条の資金の創設の問題を……(大木委員「関連させて質問している」と呼ぶ)四十四条の方からお答えを申し上げますと、「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。」ということで、財政法はこの資金の設置を法律をもって可能であるというふうに規定をしております。
 一般会計に設ける資金の場合ですと資金法等の法律形態をとる場合があろうかと思いますが、今設けられている各種資金は主として特別会計に設けられておりまして、その際、財政法、会計法の特別法である特別会計法の改正案ということで御審議をお願いする、この特別会計法の一部改正法が財政法四十四条に言う特別の法律に該当するものというふうに理解をしております。
#71
○大木委員 先ほどの大臣答弁と少し違ってくるのですが、こういう解釈に立ちますと、むしろ財政法二十九条というものをもうちょっと厳密に手直しをするかどうかしないと、今後財政のあり方につきまして、大蔵省の思惑どおりに国民の知らない間に新しいファンドがどんどんできてしまって、将来整理がつかなくなってしまう、こういった心配がどうしても生じてくるわけです。
 ですから、こういったものについてむしろはっきりと、疑問があるとか問題なきにしもあらずとか、何らかの、おたくの方で出した法案だから、大蔵官僚の方々はお偉い方が多いから、一遍言い出したことはなかなか曲げられないということは気分的にはわかるけれども、やはり気分的な面で頑張られちゃ困るのだ。そうじやなしに、若干の疑義はあります、あるけれどもこうさせてもらいましたということならまだ幾らかこっちも理解が届かないこともなきにしもあらずたけれども、この法律でどんどんできるんですよとやられたら、これから幾らでもできますよということになってしまうので、それは困るのだ。
#72
○小村政府委員 財政法の趣旨も、何でもかんでもできるという趣旨ではないというふうに理解をしております。こうした資金、あるいは民間の特殊法人に対する出資金による基金造成等々につきましても法律上はそういう手だてがございますが、先ほど大臣がお答えになりましたように、こうしたものが乱立をするということは、行政改革等の観点からも望ましくはないということは一般論として言えると思います。
#73
○大木委員 一般論としては言えるという失礼な言い方は、あなた、ないじゃないですか。一般論としては大臣の答弁のようなことが言えますなんということを聞いたのでは、ますますもって混乱しますよ。これについてもうちょっとはっきりした解釈を、どの文言に沿ってどういう経過でこれが二十九条違反じゃないんだということについてもう一遍説明してくださいよ。
#74
○小村政府委員 二十九条の問題に関して申し上げますと、二十九条は既定の経費の増額しか認めないという趣旨じゃございません。予算作成後に生じた諸情勢の変化に対応するために特に緊要となった新規施策等についても計上が許されるというふうに解釈ができるということでございます。
 それから、出資金あるいは基金、資金の造成につきまして、こうしたものが幾つもできるのは問題ではないかという御指摘は、そのとおりだと思います。私どもとしては、各基金、資金、そうしたものの内容を精査いたしまして今回御審議をお願いしておるということでございます。
#75
○大木委員 納得できませんが、時間の関係があるから進みましょうか。
 これは、今のようなお答えではどうしても納得ができないので、もし老人保健審議会等々でいろいろな相談をされてきたとおっしゃるならば、ちゃんと別の法律を出して、そして財政法二十九条との関係について明確にされておくべきであって、何か私たちが見た目では、これはちょっとひが目かもしれませんけれども、この補正、自然増収等でもって金が大変潤沢にできた、だからこの際、ちょうどここに老人の方々に対する大きな面として、野党といえども気分的に反対できないだろう、そういったことを考えられて、いわばこういったどさくさに突っ込んできた、こういう感じがしてならないのですね。どうもこの辺のことが、大臣さっき、やたらにはこれからやりませんとおっしゃったけれども、果たしてそうで済むのかどうなのか、これは非常に疑問なんですよ。私、この問題はついては理解ができません。主計局次長でも大臣でももう一遍答弁してくれませんか。
#76
○小村政府委員 繰り返しになって大変恐縮でございますが、今回の老人保健基盤安定化措置は、平成二年の予算編成過程におきまして、激変緩和措置ということにつきまして大変御要望の強かった分野でございます。私どもとしましては、老人保健法の前回の改正で一応これが決着はついたものと考えておりましたが、なお費用負担問題について、いわば加入者の頭割りでこの負担をしていこうというところに、いわゆる若人が多くて子供さんがたくさんいる家庭の負担が重くなる、その集団の負担が重くなるということでございまして、どうしてもそういった激変緩和措置が必要であるということでございました。
 したがいまして、それに対する財政措置、これは平成元年度の補正予算でこの資金造成をさせていただいて、その運用益をもって充てるということによりまして、四月一日から各保険者が保険料を算定する際におきましても、そういった財政設計を確実にしていただくという意味におきましても、一定の基金を創設して各年度におけるある程度の財政措置の目安がつくような措置をという御要望が強かったものですから、その措置をとったわけでございます。
 あわせて、過去の年金財政に対する繰り延べ分につきましては、これは平成二年度から特例公債依存体質脱却という目標を達成する、その際にこうした年金に対する繰り延べ措置についてもできるだけ解消を図りたいということで、その返済財源を確保した、こういう趣旨で今回のこの御提案を申し上げておりまして、何とぞ御理解をお願いいたしたいと思っております。
#77
○大木委員 理解ができませんね、これは。まあ素朴に物を申し上げたいと思うのです。素朴に申し上げますが、いわば言葉の上では、これは理解が大蔵の主計局次長とちょっと違いますから。
 自然増収が相当に見込める、そして厚年の繰り延べになってきました分に対してお返しができる、そういったことからヒントを得まして、たったらその金は一応厚年の会計に返済ではなしにお預かりしながら一応別の金庫をつくっておいて、そのファンドでもって運用益を得て、そして結果的には老人保健の按分率による赤字を埋める、逆算していけばそういうふうなことを無理やりにこの財政法二十九条に絡めて押し込む、こういう形じゃないですか。私はそういうふうな受けとめ方をしているわけですがね。
 だから大臣、さっきも申し上げたとおり、こういった制度をやたらにつくったら困りますよということを最初に確認したのです。そういった私が申し上げたような経緯じゃないのですか、これは。老人保健審議会とかこんなのは、どうせ大蔵省から出れば、あなた、みんないいようになっちゃうのだから。一般の保険者の立場は極めて弱いものだから。
#78
○橋本国務大臣 先ほどから次長がこもごも御説明を申し上げておりますように、私どもとすれば、二つのそれぞれに緊要かつ不可欠と思われる情勢を十分考えた上で、その双方に回答の出せる方式として今御審議をいただきますような考え方を採用したわけであります。
 その過程において、先ほどから委員が問題にされておりますように、財政法二十九条あるいは四十四条というものに照らして、それが瑕疵なきものであるかどうかという判断はもちろんいたしました。そして、その判断の中に、例えば先ほど来次長が申しておりますように、老人保健審議会における論議といったものが一つの判断材料として存在したということでありまして、今委員が御指摘になりましたような安易な発想で少なくともこの問題に対処したものでないということだけは御理解をいただきたいと思うのであります。
#79
○大木委員 時間がだんだん迫ってまいりますので、大蔵の説明という立場からは理解いたしますが、しかし私が納得をしたという状態でないことだけはつけ加えさせていただきまして、次の問題に移らせていただきます。
 次に、新しい老人保健に対しまする各保険者関係の負担の度合いの問題でございますけれども、政府の出し前というのは大体幾らぐらいになっておりますか。
#80
○小村政府委員 ちょっと御趣旨がよくわからなかったのですが、老人医療の負担の問題につきましては、公費で約三割を負担しております。公費が一兆七千億、そのうち国が一兆一千億、残りは地方でございます。さらに、各拠出者につきまして七割負担をお願いしておりますが、各保険者が拠出する際に、この分につきましても国が補助をいたしております。この分を入れますと、公費で負担をするのは全体の五割弱ということでございます。
#81
○大木委員 私の手元に資料があるのですが、「平成二年度老人医療費負担内訳」といたしまして、按分率が九〇から一〇〇に変わりますと、健保組合関係が一番多くて結果的に六百十五億の負担増ですか、影響を受ける。そして、国や地方の方はむしろ若干マイナス、減少がありまして、総体的に差し引きますと国の負担が七十数億、こういうふうに手元の資料から拝見できるのですが、これ間違いですか。
#82
○小村政府委員 今回按分率が九〇から一〇〇になることに伴いまして、被用者保険グループが千二百六十六億の負担増になります。反面、国民健康保険は千二百六十六億負担減になります。これは先生御案内のように、老人加入率の高い国民健康保険が、結果的に、按分をしてプールをすると、平均率で各保険者が負担すると負担軽減になるということでございます。その中で、被用者保険の中で、例えば御指摘の健保組合は六百十五億の負担増になります。政管健保は四百五十一億、共済組合は百九十六億、船員保険が四億の増ということになります。
 それから、国庫負担との関係から申し上げますと、国民健康保険に対して国が半分補助をしておりますので、そのはね返りとしましてその他政管健保は一六・四%を国が負担をしております。政管健保は出してまいりますから、その分の一六・四が国庫負担の増にはね返る、こういうことで、出し入れで申し上げますと国が五百九十一億の負担減ということになります。
#83
○大木委員 計数的には合うのですが、国が国がという言葉が非常に気になるのですが、国が新しくこれは負担するわけじゃないですよ。新しく五百九十一億円の負担をするのですか。負担減ですね。そうでしょう。それで、負担増の分は幾らですか。
#84
○小村政府委員 国の負担は、公費負担三割のうちの二割、それから保険者の拠出分につきまして各保険者に対する国庫負担率がございます。それを出し入れをしまして五百九十一億円の負担減でございます。現実には健保組合、共済組合について国庫負担はございませんので、関係があるのは国民健康保険と政管健保、この二つでございます。
#85
○大木委員 政管健保の関係は一体どうなんですか。
#86
○小村政府委員 今すぐに計算いたしますが、政管健保は今回の措置によりまして四百五十一億円の負担増になります。この負担増の分の一六・四%は国で負担するという関係になります。それは七十四億でございます。
 それから、国民健康保険は千二百六十六億円の負担減になります。その約半分の六百六十五億が反射的に国庫負担の減につながります。
 したがいまして、七十四億と六百六十五億、ネットアウトしまして五百九十一億円の国庫負担の減になるということでございます。
#87
○大木委員 そこの数字は合いましたので、後でまた関連して質問がありますから一応これで終わりまして、次の項目に入らせていただきます。
 隠れ借金と言われるものでございますけれども、先ほど大臣演説の一部にもちょっとニュアンスがあったのですが、隠れ借金は現在どれぐらい残額がございますか。
#88
○小村政府委員 いわゆる特例的な歳出削減措置によりまして、私ども隠れ公債と称しておりますが、これはそれぞれの制度、施策をめぐる状況等等ございまして、各種の措置を講じてまいりました。その定義は必ずしも明らかではございませんが、今後処理を要するものとして現在残されているものとしましては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化一兆二千百九十九億円、それから地方財政対策の改革による交付税特会の借入金を一般会計に振りかえた分五兆八千二百七十八億円、それから地方財政対策に伴う後年度負担一兆三千六百四十七億円とございます。これらのものは既に法律等によりまして計画的に返済の仕組みがとられております。
 また、このほかに政管健保に対する国庫補助の繰り入れの特例が四千六百三十九億円、それから、これは定義にもよりますが、政管健保の過去の棚上げ債務一兆四千五百五十六億円というものがございます。
 これらのものを合わせますと、機械的に合計いたしますと十兆三千三百十九億円になります。
 このほかに、現在御審議願っております厚生年金の国庫負担の繰り延べ分一兆三千四百八十億円、これはまだ予算ベースで確定数字ではございませんが、これを加えますと十一兆六千七百九十九億円ということでございます。
 定義は違いますが、そのほか国鉄の清算事業団の長期債務二十六兆二千億円等々がまだございます。
#89
○大木委員 こういう状態で、それこそ各隠れ借金につきましての返済法について大体方法ができておる、こうおっしゃったのですが、その中身は、全部とは言いませんけれども、少しく特徴的に挙げてみてください。
#90
○小村政府委員 既に処理方法等について法律で定められているものが、例えば国民年金特会への国庫負担金の繰り入れの平準化ということでございますが、これは当初、無拠出の福祉年金が多額を占めておりまして、将来拠出制年金に移行していく間においてその国庫負担額の平準化をしていこうということで、これは年度割りに各年度における負担額を規定させていただいております。
 その他、地方財政対策の改革におきましては、五兆八千二百七十八億円を交付税特別会計から国の国債整理基金特別会計へ引き継ぎまして、これは定期的に元利の償還を行っていくということにいたしております。
 もう一つは、地方財政対策に伴う後年度負担ですが、これは交付税法におきまして各年度別に個別の規定を設けて処理をさせていただいているということでございます。
 あとの政管健保の繰り入れの特例あるいは政管健保の棚上げ債務等については、具体的な返済方法ということには規定されておりませんが、できるだけ、例えば政管健保につきますと、政管健保の財政状況を見て、その困難に立ち至ったときには国がその返済に着手するというような精神で行っております。
 以上でございます。
#91
○大木委員 国鉄を除きますと、そうすると大体どれくらいの時期にこういった隠れ公債は消滅をするという見通しに立っていますか。
#92
○小村政府委員 手元の資料のある分について申し上げますと、国民年金の平準化につきましては、平成二年度以降平成九年まで平準化措置が続いてまいりますので、九年度においてこの措置が完了するというふうに考えております。
 それから交付税特会等につきましては、元本は、これは交付税特会法に基づきまして平成三年から償還を行うというふうになっております。
 その他のものにつきましては、詳細はまた、ちょっと手元にございませんので、別途御説明を行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#93
○大木委員 大臣にちょっとこれは伺いたいのでございますけれども、結局、公債の問題もございますし、こういったものについて、これは聞くのもやぼかもしれませんけれども、隠れ赤字あるいは繰り入れすべきものをしなかった問題、こういったものと公債の返済問題、返還問題については、一体どちらが優先すべき問題だとお考えになりますか。
#94
○橋本国務大臣 今想定される数字として、平成二年度末における国債の残高百六十四兆円という数字がございます。そして、この百六十四兆円という数字は、世界じゅうの債務国の債務約一兆一千億ドルと言われておりますから、世界各国の債務をすべて積み上げて円に換算いたしました場合、日本の国債残高とほぼ見合うということが言われているくらいこの国債残高というものは我々に対して厳しい重荷を背負わせております。そして、平成二年度予算におきましても国債費が二割を超えるという状況でありまして、この累増にいかにして歯どめをかけるかは、赤字公債依存体質脱却後の私どもの大きな目標の一つでなければなりません。
 一方、今委員がるる御指摘になりました各種の繰り延べ措置あるいは平準化措置というものが、一口に隠れ借金とよく言われておりますけれども、こうしたものについてももちろんこれは返済をしていかなければなりませんけれども、それぞれの制度の事情に応じてこの返済にはスピードの差異があると私は思います。ですから一概に申し上げることはできませんけれども、我々としては、基本的には並行して双方ともに荷を少しでも軽くする努力をしていく。その中におきまして、特にその隠れ借金と呼ばれるグループにつきましては、それぞれの制度の間の差異に着目しながら急ぐべきものから順に返していくという姿勢をとらざるを得ないのではなかろうか、基本的にはそのように考えております。
#95
○大木委員 大変難しい財政状況の中にございますから、おっしゃったようなことで、それぞれの性格に差がございますし緊急性のあるものもございますから、そういう点でぜひこの委員会になるべく相談する機会等を持っていただきまして、それぞれどういうような配慮をするか、そういったことについて、隠れ借金の解消等含めた財政再建問題について御相談にあずからしてもらいたい、こう考えています。
 次の問題に入りますけれども、先ほど話をいたしました今回の法改正の問題に絡む中で、当然運用の問題については、これは一兆五千億円の運用で七百五十億円程度のいわば運用益を得ると思うのですが、それについては財投資金の運用が中心であろうと考えますが、それは間違いありませんか。
#96
○大須政府委員 ただいまの御質問、一兆五千億については資金運用部に預託していただくことになりますので、資金運用部を通じまして財政投融資の原資に使うことになると思います。
#97
○大木委員 最近の資金運用部の資金の中で、拝見いたしますと、幾つか使い切れない分、そういったものが散見されるのでございますけれども、例えば輸出入銀行等では六十一年度一千八百八十億円、同時に住宅・都市整備公団等で二千四百四十二億円ですか、こういったものが出ていますね。額にいたしますと二年間で一兆三千億近いものが不用額として出てくるわけですが、そういった問題について大蔵省どう考えていますか。
#98
○大須政府委員 財政投融資は、委員御承知のとおり金融的手法を用います政策手段でございます。したがいまして、金融情勢の変化等によりまして年度当初に貸し付けを予定していた資金の貸し付けの必要がなくなる、こういうことから不用が生じることはあり得るわけでございますけれども、その不用になりました資金は翌年度以降の財政投融資の原資として活用していくところでございまして、そういう意味で資金の効率性というのは十分確保しているところでございます。
 それから、御指摘の点は六十一年度、六十二年度でございまして、確かにこの当時は、金融情勢あるいは特に輸出入銀行につきましては相手国の事情等のこともございまして貸し付けの不用が生じたということもあるわけでございますけれども、近年、金融情勢の変化が起こっておりまして、そこで不用率は非常に厳しく私ども見ておるわけでございますけれども、顕著に減少しているところでございまして、現状におきましてはいわば摩擦的な不用、そういうような範囲にとどまっているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも財政投融資計画の策定に当たりましては、各機関の資金需要の実態把握を十分行ってまいりまして、不用の削減、圧縮を図ってまいる考えでございます。
#99
○大木委員 今度の新しい制度の改正と今申し上げた財投資金の使い残しとは、財政的にあるいは金融的に余り関係ありませんか。
#100
○大須政府委員 ただいまの一兆五千億円の資金でございますが、これは資金運用部に預けていただくわけでございますが、その預けていただく時点によりまして、それ以後資金運用部から国会の議決を得ました範囲内で財政投融資計画に従った資金が、財政投融資のお金が各財投機関に出ていくわけでございますから、その出ていく資金として順次使われてまいる、このようになっております。
#101
○大木委員 と申しますと、七百五十億円程度見込んだ運用益は間違いなく確保できる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#102
○大須政府委員 資金運用部がこの会計に対して借り入れのお約束をするわけでございます。これは確定債務として借り入れのお約束をし、これに対して確定した金利をお払いするわけでございます。その金利は、そのときそのときの条件で決まっておりますけれども、基本的には国債の金利等を基準といたしましたいわゆる運用部の預託金利というものを確定的にお支払いするということでございますので、金利の支払いについて遺漏が生じるということはございません。
#103
○大木委員 大体大筋今の関連について納得できないわけではありませんが、ただ、問題はこの財投資金全体、いろいろな性格のものもございますけれども、やはりこの使い残しが何か同じ項目で続いている、こういったものもなきにしもあらずですね。そうしますと、もし何か前年度こうしたからことしもこうするんだという形でもって組まれているものは、この中にはないですか。
#104
○大須政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、財投の資金は金融情勢等によりまして確かに当初計画されたとおり出ないこともございますが、その反面、金融情勢等によりまして追加をしなければならない、このようなこともございまして、要するにそういう面では伸縮するものでございます。
 今のお話は、特定の団体に対して必ず不用が発生する、こういうような事情があるかどうかという点でございますけれども、確かに一部の団体、例えば住都公団等でございますが、これは不用が、六十二年度が二千八百九億円、それから六十三年度が千八百九十三億円というふうにやや高い水準に推移しておりますけれども、住都公団については住宅の分譲代金がどれだけ入ってくるかという見通しいかんによりまして実際に予想より進捗度が高い、つまり住都公団の金繰りが非常によくなってまいりますとお金が出ていかない、したがって財投の不用がふえる、こういう関係でございます。
 それから、六十三年度でございますと、地方公共団体に対する不用が千九百八十九億円ございますけれども、これも実は地方税の税収がよかったということで、地方公共団体の金繰りがよくなりまして財投のお金を出す必要がなくなった、こういうようなものでございます。
 そういうことがございますので、不用というものは確かに、我々としては最大限度できる限りその必要な額というのを事前に把握して、その発生を防いでまいるところでございますけれども、金融の状況によりましてある程度の不用が出てまいるということは、それは金融的手法を使っております財政投融資としてはある意味では不可避的なところがございます。
 なお、その全体の姿でございますけれども、確かに御指摘のような六十一年度あたりでございますと、財政投融資の予算現額に対する不用の比率が二・五%ということで、従前に比べて幾分高いかなという感じがございましたが、六十三年度はその不用の比率が一・九%まで低下しておりまして、元年度につきましてもさらにこれが低下するような運用をやっておるところでございます。
#105
○大木委員 いずれにいたしましても、これは使い残しができる部分ということになりますと、結果的にはせっかくつくった新しい――大蔵省側として、私自身が余り納得できませんけれども、結局こういう状態の中の問題だということの御理解を願いたいし、同時にこれは大臣に特にお願いしておきたいことは、やはり公定歩合が上がり一般の金利も上がりまして、ここの部分の運用益については確かに利息が上がりますから七百五十億円心配ない、こういう話もわかります。しかし、むだな使い方とかあるいは継続的に説明が、結果的には前年度実績その他でもって押し切られる、そういったことがあってはなりませんので、ぜひ厳重にこれからもこういった問題について、やはり財投資金をばらまけばいいのだというものじゃありませんから、御注意願っておきたい、こう考えております。特に、この新しい創設される問題との関係では、その辺の関連について十分に御配慮を願っておきたいと考えております。
 さて、最後の質問でございますが、これは大臣に答えていただきたい部分が幾つかありますけれども、中期財政運営の報告、財政審の報告が最近出されましたですね。これについて、大臣は先ほど非常に長々とお話がございましたのであの筋が大体わからぬでもありませんが、一般論としてお考えになって、財政審答申に対する考え方について、大臣からお聞かせいただけますか。
#106
○橋本国務大臣 私は、先般ちょうだいをいたしました財政審の御意見というものは、赤字公債依存体質脱却後の私どもにとりまして非常に適切な示唆をいただいたものと考えております。そして、あの御意見の方向に沿いながら一日も早く財政の健全性を取り戻せるように努力をしていきたい、そのように考えて、また委員におきましても御協力を賜りたい、そのように願っております。
#107
○大木委員 これは事務当局からで結構でございますけれども、現在の国民の負担率については、税金の方と社会保険負担ですね、これについて現状と同時にどういう動向に行くだろうかについてお話しいただけますか。
#108
○小村政府委員 国民の負担率で申し上げますと、平成二年度の見通しは対国民所得比四〇・四%でございます。内訳は、租税負担率が二八・三、社会保障負担が一二・一でございます。
 この中でございますが、租税負担率がふえておりますのは、資産課税の増及び消費税の平年度化増等に伴うものでございます。あと、昨年御審議いただきました厚生年金の財政再計算に伴う保険料の改定等に伴うものでございます。
#109
○大木委員 将来の動向をどういうふうに見られますかということもつけ加えて聞いているのです。
#110
○小村政府委員 国民負担率の今後のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏をなすものでございまして、受益と負担のバランスを眺めながら国民的な選択が行われるべき事項だと基本的には考えております。ただ、今後高齢化の社会の進展に伴いまして国民負担率は長期的にはある程度上昇するものと考えられますが、臨調答申や財政審報告の趣旨を踏まえて、その上昇を極力抑制すべく今後とも最大限の努力を払ってまいりたいということでございます。
#111
○大木委員 大臣答弁みたいなことは言ってほしくないのですけれども、ここに産経新聞の三月二十一日、ついきのうあたりの記事です。「新行革審の委員会最終報告 国民負担率最高五〇%の枠」そして「「増税なき財政再建」の原則外す」、これを見ていさますと、社会保障負担がある意味では現在の一二・一%から相当な比率でもって上がっていきますね。もちろん、租税負担の方は十二年から三十二年ぐらいまでほぼ横に推移する。上がっていくのは社会保障関係の負担率、こういうのがここにありましてちょっと気になるものですから、四〇・四%、よくわかっているのですけれども、恐らく大蔵省の優秀な官僚諸君だからこういったことを見ていないはずはないと思うので、これとの関係については新聞の記事だからあずかり知らない、こういうふうにおっしゃるのかどうなのか、その辺のことについて聞きたいと思います。
#112
○小村政府委員 去る三月二十日に出ました臨時行政改革推進審議会の報告によりますと、高齢化のピーク時点におきましては五〇%未満に国民負担率をとどめるべきである、高齢化は大体二〇二〇年ごろにピークに達するものと考える、この時点における国民負担率は五〇%未満にとどめるべきであろうという御提言がございます。
 私ども、この提言に即してこれからまた財政設計をさせていただくということになるわけでございますが、委員御指摘のように高齢化が進んでまいりますと、年金を初め医療その他につきまして社会保障関係ではかなりの支出の増加があろうかと思います。年金等につきましては、具体的に財政再計算等行いまして比較的社会保険負担の算出が可能でございますが、あとはどういう前提を置いて推計するか等々によって異なってまいります。ただ、現在の四〇・四%を五〇%未満の水準にとどめるべきであるということでございますので、私どもはこれを念頭に置きながら、歳出と負担の問題についてバランスのとれた財政設計をこれからやっていかなければならぬというふうに考えております。
#113
○大木委員 これは大臣からもちょっと伺っておいたらいいかと思うのですが、大臣、先ほど五年の間依存度五%というお話などもあったのでございますけれども、そういうこととの関連において大臣はどういうふうにお考えですか。余り役人的な話じゃなしに、橋本さん個人の感想的なものでも結構ですから聞かせてください。
#114
○橋本国務大臣 私が就任をいたしましてから本日までの間に、その国民負担が将来どうなっていくかということについての御論議は、本委員会を含めて何カ所かで行われました。そして、結論として、私はその時代における国民の選択ということを答えの最終で必ず申し上げてきたわけでありますけれども、基本的に一番私どもが判断に迷いますものは、それ以来今日までの議論を振り返ってみましても、従属人口の変化に対する考え方が二通りあるように思います。そして、私どもは高齢化が進めば進むほど実は負担はふえていく、医療におきましても年金におきましてもいや応なしにふえていく部分が大きい。一方、今まで児童数の減にもかかわらず児童に対する投資の総額というものが変化してこないことを考えてみますと、やはり高齢化が進展すればするほど負担は大きくならざるを得ない。それを一体税で御負担を願うのか、保険料で御負担を願うのか、これはまさに国民の選択にかかる問題、そのようにとらえてまいりました。
 しかし、一方では、本院における御論議の中におきましても、従属人口が余り変化をしない限りにおいて高齢化社会になっても負担は余りふえないという御見解をお示しの方々があることも、また事実であります。私は、残念ながらそれほど実は高齢化社会というものに楽観はできません。そして、その場合に社会保障負担の中で、一体国民は所得保障に重点を置かれるのか、医療保障に重点を置かれるのか、あるいはそれぞれにある程度のバランスのあるいわば中程度のものを求められるのか、さらに公共福祉サービスに対してどれだけの支出を期待されるのか、実はこの辺についての国民的な合意はいまだできておらないという感じがいたします。
 そうした中におきまして、今まで政府はさまざまな形で、例えば今手元にありますのは六十三年の三月に大蔵省、厚生省で出しました「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」の中で「社会保障給付費、社会保障負担、国庫負担の推計」の表でありますけれども、こうした推計にいたしましても、現在の制度がそのままに存続した場合をとらえて機械的に推計するわけでありますから、非常に腰だめの数字になるわけであります。そうした中で私は、これから先本委員会ばかりでなく本院における各種の論議の場において、相願わくば高齢化社会というものについて、その認識をある程度一つのものにしてまいりたい。その中における社会保障負担というものがいや応なしに高齢化につれてふえていくという事態をもし了としていただけるなら、その認識を了としていただけるなら、それが税によるべきものか保険料によるべきものかについても、やはりある程度の国民的な合意に導かれるような御論議がいただきたい。
 その場合、私個人の考え方を申し述べるならば、ある程度社会保障負担がふえていくことの方が望ましい。税よりは社会保障負担が伸びていくことの方が望ましい。そして、その場合において、私自身が自分でまだ考え方の整理がつきませんのは、率直に申しまして所得保障と医療保障のバランスでありまして、高齢化というものが仮に独居老人あるいは老人世帯の増というものを拡大していく方向に働き、また国民の親に対する扶養意識が仮に変化をしていくととらえるならば、所得保障機能を重点に置いた設計をしなければならないと思いますが、相願わくばそういう事態にはならないことを求めたい。そうした中で、私自身がおぼろげながらに姿を模索しながら、まだ確たることを申し上げられるだけの結論をみずから出せずにおります。
#115
○大木委員 ぼちぼち最後になるかと思うので、一方的に少し言わせていただきますが、これは消費税問題のときに、社会党は少し頭が悪いとかかたいとか、橋本さんにも大分おしかりをちょうだいしたこともあるわけでございます。
 今おっしゃるとおり、やはり税制の不公平というものについての特にサラリーマンの層が非常に不満が強いですね。そして結果的に、これはトーゴーサンの問題から始まりましてずっと来ているわけですけれども、いずれにいたしましても、税金、消費税が、買ったときに全部入ってしまっているから、現場では小売のときにはもう取りませんよ。そうすると隠れていますから、税金の問題については、物価に反映しているかもしれませんけれども、税金としては一円玉でおつりをもらうこともないという状態ですね。割合手数が省ける、そういったこと等考えていきますと、税金の問題、むしろある意味では私は社会保障の方が一体どれくらいかかってどうなっているんだということは、国民相互の中でも議論がしやすい問題だと思っていますから、そういう意味合いではむしろ重要視したいのは今言った社会保障関係だ、こうおっしゃった中身についてはある程度同感ができるわけでございます。
 私は今ここで消費税問題についてとやかく言いませんけれども、せめてそういった問題について、例えば定年制延長というものをもっと義務づけるとか、あるいは社会保障関係の掛金、若干賃金が下がるかもしれないけれども高齢者の方々にも働いてもらうとか、そういったことを併用する問題とか、そういう点等含めて、私たちの党にも意見もありますし、できれば、大臣に対してかみついているばかりが能じゃないわけですから、やはり相互の討論ということを資料を出し合いながらやって、そしてこういった高負担を何とかして切り抜けていく。ですから、おっしゃった中で非常に大臣立派だと感じたことは、社会保障関係について、これはみんな結局、例えば厚生年金組合が一番典型的な例でございまして、会社側、組合側といいますか、労使ともどもに大体同じ認識を持っておりますから、ああいった例等が仮に国会の場でもって生かされてきますと、ある意味ではこの高齢社会五〇%段階というものを四七%にするとか、そういったことが可能かもしれませんし、そういったことについての、いわば単なる政府委員いじめ、私はそんないじめの仕方をしたつもりはございませんけれども、とにかくそういったことを含めて各党間の御議論等もぜひ委員長、理事等の中で御工夫願ってはどうだろうか、こういった感じがいたします。
 最後に、またお願いでございますけれども、渡米される橋本大蔵大臣に対しましては、為替問題、構造協議問題、たくさん問題がございまして、私たちも毎日、新聞を見るだけでもって頭が痛い感じがしてなりませんから、そういったことに対して政府自身がもうちょっとしっかりした意見を持ちながら対米関係あるいは対EC関係等について十分な御努力を願って、後半何か不況が来るかあるいはインフレが少しずつ芽生えてくるとか、そういったことがないようにぜひ御努力をお願いいたしまして、持ち時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#116
○衛藤委員長 日笠勝之君。
#117
○日笠委員 今回、この法案によりますと、特別保健福祉事業資金というものが創設されるわけでございますが、その目的、趣旨を厚生省さんからお伺いしたいと思います。
#118
○岡光政府委員 今回の制度でございますが、平成二年度よりいわゆる加入者按分率が一〇〇%に移行するわけでございまして、それに伴って被用者保険グループのいわゆる拠出金の負担が急増するわけでございます。その緩和を図るということと同時に、老人保健制度の基盤の安定化を図りたいということでこの措置を講じたいという趣旨でございます。
#119
○日笠委員 今度は大蔵省さんにお伺いしますが、この法案のどこにそのことが明記され、該当するのでしょうか。法案から見て、条文から見て教えてください。
#120
○小村政府委員 今回、厚生保険特別会計法の附則の改正を予定させていただいております。その第十九条に、「特別保健福祉事業ニ関スル政府ノ経理ハ当分ノ間」「本会計ニ於テ行フ」ということと、この福祉事業とは「国民保健ノ向上及老人福祉ノ増進ヲ目的トシテ国民ノ老後ニ於ケル健康ノ保持及適切ナル医療ノ確保ヲ図ル為特別保健福祉事業資金ノ運用利益金ヲ財源トシテ行フ左ニ掲グルモノ」である、こういう定義を第十九条で置かせていただいております。
#121
○日笠委員 今の厚生省さんのこの法案の改正の趣旨は、いわゆる加入者按分率が一〇〇%に移行する、それに伴って被保険者の拠出金負担増の緩和を図る、まさに老人保健制度の基盤の安定化のためだ、こうおっしゃいましたが、この条文を読んでもそういうところは全然出てきません。非常に抽象的なんです。
 殊に、この特別保健福祉事業資金というネーミングの問題ですけれども、この特別保健福祉事業資金というのは、だれがつけられたのですか。これは大蔵省さんがつけられたのですか、それとも厚生省さんがつけられたのですか。ネーミングの問題です。
#122
○小村政府委員 このネーミングにつきましては、現在、厚生保険特別会計の中の健康勘定等におきまして保健福祉事業というのがございます。それと区別する意味で、特別保健福祉事業ということで新たにこの第十九条を設けさせていただいておりまして、この第十九条の第一号におきまして、「社会保険診療報酬支払基金ガ行フ老人保健法第六十四条第三項ニ規定スル老人保健関係業務ニ対スル政令ヲ以テ定ムル補助ニシテ予算ノ範囲内ニ於テ行フモノ」、こういう規定がございますが、老人保健法第六十四条に老人保健の施設事業を行うことができるという規定がございます。したがいまして、この老人保健法の第六十四条を引きまして、この特別会計から支払基金の方に所要の財源措置を行い、目的を達成しようという全体の法律構成になっております。
#123
○日笠委員 その施設云々というのは、箱物、ハードですか。それとも、こういう拠出金負担緩和のために支払基金に戻すということも拡大して読めるのですか。それとも、施設というところを拡大するのが苦しいのならば、同時にそこも改めなければいけないのじゃないでしょうか。それは古いのじゃないでしょうか。
#124
○岡光政府委員 御指摘のように、老人保健法の第六十四条の第二項で「基金は、前項の業務に支障のない限りにおいて、厚生大臣の認可を受けて、第一条に規定する目的の達成に資する施設をすることができる。」こう規定がしてございます。老人保健法の第一条というのは、非常に広く規定をしておりまして、国民の老後における適切な医療の確保とか保健事業の総合的な実施というふうなことを踏んまえておるわけでございまして、それを受けて行う万般のものというふうに理解をしております。
 それで、この解釈につきましては、内閣の法制局の方にも確認をいたしまして、事業としてこの条文から十分読み込めるというお互いの了解をとっておるところでございます。
#125
○日笠委員 ですから、その条文どおり読んでいると、施設というのは箱物というイメージですよ。ですから、拡大解釈して、お互いに法制局もこちらもいいのですからと言うのじゃなくて、そこのところを現在の一番フィットした方向へ改めておいた方がよりベターではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。
#126
○岡光政府委員 繰り返しになりますが、老人保健法第一条の規定の趣旨から考えますと、非常に広い規定になっておりまして、今回の措置は十分――つまり今回の措置といいますのは、老人医療費をみんなで支え合おう、そしてその医療費を出す各保険者の財政をできるだけ楽にしていこうという趣旨でございますので、十分読み込めるというふうに考えております。
#127
○日笠委員 そんな無理な拡大解釈をされずに、そうなってくるとまた財政法第二十九条の問題になってきますから、無難にいくためにも今後機会があれば改正してもいいのではないか、このように私は御主張申し上げておきます。
 それと、このネーミングですが、どちらがつけたとはっきりおっしゃらないのですけれども、名は体をあらわすといいますし、本来ならば言い方がいろいろあるでしょうが、特別老人保健基盤安定資金であるとか、その方がまさに厚生省さんが今おっしゃった趣旨にぴったり合うのです。そういう意味ではこのネーミングが非常に悪いのではないか、かようにも思います。これも主張だけ申し上げておきます。もう少し知恵を絞って、大蔵省さんにも大変優秀な方がたくさんいらっしゃるようでございますので、これは主張として申し上げておきたいと思います。
 それから、第十九条に「当分ノ間」云々と出てきますね。この「当分ノ間」というのは、非常に幅広うございまして、一年、二年でも当分の間、何十年も続いているようなことでも当分の間、こう言うのですけれども、いつごろをめどにいわゆる本来の年金勘定へ返済をしようというスタンスがあるのか、これをお聞きしたいと思います。
#128
○岡光政府委員 老人保健制度のいわゆる本格的な改正につきましては、関係者のコンセンサスを得てできるだけ早くやりたいというふうに考えております。この補正予算審議とか本予算審議の推移も考えながら、私どもできるだけ早く関係の審議会の老人保健審議会等も開いて御意見を再度聴取したい、そんなふうに考えておりまして、私どもはできるだけ早く本格改正に取り組みたいと思っております。したがいまして、この「当分ノ間」というのは、そう遠い将来ではないのではないかというふうに期待をしております。
#129
○日笠委員 それは厚生省さんの願望、要望ということでよくわかるのです。当然だと思います。
 反対に、大蔵省さんの方はどうですか。
#130
○小村政府委員 今回の措置は、厚生年金の国庫負担金の繰り延べ返済見合い財源を利用させていただいております。したがいまして、厚生年金の国庫負担の繰り延べ措置については、今後年金財政の安定が損なわれることのないよう、できるだけ速やかに返済を完了すべきだという一つの要素がございます。これに加えまして、資金の運用益を活用する老人保健基盤安定化事業につきましては、平成二年度以降における加入者按分率が一〇〇%になることに伴う暫定的激変緩和措置だというふうに基本的に位置づけされるものと考えております。
 いずれにいたしましても、この二つの要請を総合的に勘案しまして、現時点で何年と申し上げるわけにはまいりませんが、こうした施策の定着状況等を十分見きわめて判断していくべき事項であろうと考えております。
#131
○日笠委員 激変緩和をするということでございますが害。葉だけが先行しておりまして、今回の措置を講じた場合、被保険者、国民、サラリーマンが大半でございましょう、自家営業、自由業の方もいるかもしれませんけれども、一人当たりの拠出金の状況は、加入者按分率が一〇〇%になればこれだけ負担がふえる、しかし、激変緩和でこの運用益七百五十億円を使えばこれほど緩和されるのだという、代表的なもので結構でございますが、政管健保それから組合健保、共済組合、代表的なものがどの程度緩和になるのか、具体的な数字でお答えいただければと思います。
#132
○岡光政府委員 まず政管で申し上げますと、被保険者一人当たりの拠出金額でございますが、補助の前が五万六千九百円でございますが、補助後五万六千五百円になります。それから健康保険組合で申し上げますと、これは全体の平均でございますが、同じく一人当たり拠出金額で、補助前が七万二千五百円、補助後が六万九千二百円という格好になります。共済につきましては、補助前が七万七千百円、補助後が七万四千百円ということでございます。
#133
○日笠委員 そうしますと、政管健保の方、もちろん平均でございますが、一人当たり年間四百円ですか、それから組合健保の方が三千三百円、共済組合の方が三千円ということでございますが、共済組合でもいろいろな組合がございますけれども、一番激変緩和をされるであろう組合の場合はどうなりますか。
#134
○岡光政府委員 共済組合の中で一番その影響を受けるというか、拠出金の負担が重くなっておりますのは警察共済でございますが、それで申し上げますと、補助前の一人当たりの負担が十万九百円でございますが、補助額が九千九百円になりますので、補助後は九万一千円になります。
#135
○日笠委員 そういうことから見れば、激変緩和される組合の場合はこのことによりまして年間約一万円ぐらいの補助をされるという、大変サラリーマンにとりますればありがたい施策なのかな、かようには思います。
 そういうことで、私どもが申し上がたいのは、ネーミングの問題から入りましたけれども、ここのところがPRをしっかりしないと、何となく保健福祉事業と言われると、建物が建ってみたり、十カ年戦略で何かホームヘルパーがこれでふえるのかとか、そういうふうな非常に国民にわかりづらい。そういう意味でネーミング、名は体をあらわすですから、こういう激変緩和のための安定基盤資金なんですよと言われると、サラリーマン諸君はああいいことだ、公明党さんもぜひひとつこの法案頼みますと言われれば、私たちも国民政党ですから、話し合う余地は多分にあるわけです。もう少しそういう知恵を絞って、国民の皆様方が納得するような言い方、言い回し、それから説明の仕方、それをぜひひとり今後研究をお願いしたいということを、これも御主張申し上げておきたいと思います。
 続きまして、分娩費の問題でございますけれども、昨年の十二月、私は質問主意書を提出いたしました。そして、それに対する御答弁もいただいておるわけでございます。時間がありませんので、また予算委員会でじっくりとデータを出してやります。簡潔は申し上げますと、昭和六十年に分娩費は十五万円から二十万円にアップいたしました。国保の肋産費の方も十三万円を基準額といたしました。しかし、今回平成二年度の予算を見ますと、全然値上げのことについては措置をされておりません。もしこれをこのまま見過ごしますと、五年間何ら措置をされずに今のままの二十万とか十三万という金額になるわけでございます。
 そこで、三月二日の海部総理の施政方針演説の中にこういう一節がございます。これは橋本大蔵大臣も同じようなことを言われております。「人口の高齢化の問題で忘れてならないのは、高齢者がふえていくという側面だけでなく、我が国において誕生する子供の数の減少が進んでいることであります。」云々と続きまして、その締めくくりは「効果的な環境づくりを積極的に進めてまいります。」、これはもう中身についてはよく御承知だと思います。私が申し上げたいのは、積極的な環境づくり、まず人間が産まれてくる入り口、誕生、このところで五年間も分娩費が二十万円のまま、助産費が十三万円のまま据え置きになっているということは、海部総理がおっしゃっている「積極的に進めてまいります。」というのに相反するのではないか。これは金額的に幾らとは申しませんけれども、ぜひひとつアップをするように特段の御配慮、御努力をお願い申し上がたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
#136
○真野説明員 お答え申し上がます。
 健康保険の分娩費の最低保障額は、先生今御指摘のとおり二十万円でございますが、これは従来から国立病院におきます分娩にかかる実勢費用を勘案をいたしまして、また保険財政の状況も考慮いたしまして引き上げを行ってきているところでございます。国立病院の実勢費用の平均は、平成元年三月時点で二十二万四千円というふうに承知をいたしております。現在のところ、この二十万円はその約九割に相当いたしますので、その引き上げは考えておりませんが、今後ともこの実勢費用の推移等を見守りまして、必要に応じて適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#137
○日笠委員 国立病院はその実勢費用になっていますね、実勢価格ですか。しかし、一般の民間の産婦人科の病院であるとか、もっともっと現実には高いですね。実は私の秘書の方の子供さんが昨年できましたが、三十五万円かかっております。やはりそういうことを、国立病院だけの実勢費用ではなくて、国公立とかそういう大きな病院なんかも含めた実勢価格にしていただくということで、ぜひひとつこれは私は社会保険審議会に付議をお願いをしたい、かように思います。これは要請をしておきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 大蔵大臣にお伺いしたいのは、演説でもおっしゃっておられましたので、一体どうすれば出生率、出生数が――これが今この十年間くらい年々減少して、一・六とか七とか言われておるわけですけれども、二・一の出生率がないと人口は減少するわけですね。総合的な戦略、こういうものは産めよふやせよじゃないのですけれども、例えばなぜ理想の子供さんの数だけ産まないのですかというと、育児費が高い、教育費が高い、住居が狭い。こういう問題がたくさんありますので、ひとつ私は大蔵大臣に、いろいろな観点から、特に財政の方の担当をされておるわけですので、近い将来、総理もこうおっしゃっておるわけでございますし、総合的にやはり日本の出生数、出生率をどうするかということを検討していかなければならないときが来たのではないか、かように思うのですが、いかがでございましょう。
#138
○橋本国務大臣 私は、実は厚生省の政務次官のころから同じようなことを言い続けて、いまだに変わらずに今日まで、高齢化社会というものにおける問題というものは、大人の問題、健やかに老いていくべきお年寄りの問題だけではないということを言い続けております。
 そして、その間に調べてみますといろいろな問題点があります。一つは、それこそ住宅環境の問題もありましょう。また、婦人の社会進出の進む中において、新たに生じつつある問題もありましょう。そして、それと同時に非常に国民の家族意識の変化というものについても無視ができないと思います。ただ、その家族意識の変化というところまで問題が行きました場合に果たして政府が介入できることなのかと言えば、これは私はなかなか政府が介入すべき問題とは世間はお考えにならないであろうと思います。そして同時に、医療の面からの問題もあります。例えば本院でかつて論議をされました問題の中の優生保護法の改正問題等も、その一環かとも思われます。
 いずれにいたしましても、どういう視点からこの問題に対して切り口をつけるかによって全く異質の答えが出てくる危険性がある問題だけに、一概のお答えは申しかねますが、いずれにしましても社会政策的な対応が必要になるということだけは間違いがありません。
#139
○日笠委員 また予算委員会がございますので、そのときにもう少し詳しくやりたいと思います。
 最後に、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」というものを発表されておられます。ホームヘルパーを十万人であるとかショートステイ五万床、デイサービスセンター一万カ所、そのほかにも特別養護老人ホームの二十四万床、老人保健施設の二十八万床、高齢者対策に今後力を入れていこう、介護を中心とするものも大いに拡大していこう、こういうことは非常によくわかるのですけれども、さて具体的にこうなってまいりますと、ホームへルパーをふやすということも、私の岡山県も各市町村、一生懸命ふやそうと努力をしているのですが、なかなかマンパワーがないのですね。マンパワーの確保ということがいわゆる十カ年戦略の大きな柱ではないかと思うのです。
 そこでひとつお伺いしたいのは、マンパワー確保に対する対策はどのようにお考えであるかということと、それからいろいろな箱物をつくられるわけでございますけれども、現実に東京二十三区とか川崎とか神戸市でしたか、こういう大都市はもう地価が非常に高くて、特養だとかショートステイだとかデイサービス、老人保健施設、こういうものはなかなか今もってできていないところもありますし、今後の大きな土地対策ということで課題があると思います。以上二点、マンパワー対策と大都市におけるこの十カ年戦略の考え方、土地の問題でございます、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
#140
○岡光政府委員 まず、マンパワーの確保対策でございますが、どうしてもこの十カ年戦略を政府として達成をするというためには人の確保ということが基本になりますので、一生懸命やっていきたいと考えております。
 まず手当でございますが、介護を主な化事にしておるヘルパーの手当額を中心に大幅な引き上げをやっております。それから、現在市町村の職員になっておる人と社会福祉協議会へ委託をするというタイプとがございますが、そのほかにも実施主体であります市町村の責任のもとに、介護の専門的な技術を有する特別養護老人ホームであるとか、そのほかのそういう対応ができるところへ事業を委託するということも考えていいのじゃないだろうか。これは現場の皆さん方、あるいは市町村の皆さん方と十分話し合いをしながら進めていかなければなりませんが、そういう多様な対応ということが必要なのではないだろうか。それから勤務形態につきましても、いわゆるフレックスタイムというふうなことも考えたりして、多様な勤務形態をとってみたらどうだろうかということを考えております。それから、このヘルパーの仕事そのものは大変社会的には意義のある、そしてまた個人にとっても大切な仕事でございますので、そのイメージアップも図りたい、こんなふうなことを中心に考えております。
 それから、特に大都市部における関係施設の用地確保の問題でございます。
 大変難しい問題でございますが、今でも、例えば普通の場合には自己の所有地に建ててくださいというふうにお願しをしておりますが、都市部の場合には例外的に地上権だけでも結構ですよ、こういう措置であるとか、あるいは社会福祉・医療事業団から土地の取得費について低利融資をするとかの措置をしておりますが、大都市部ではなかなかそういうことでは対応できません。したがいまして、まず公用地の優先的な活用を図るとか、あるいは特に具体的に申し上げますと二十三区内、中央区で中学校が廃止になりまして、そこへ特別養護老人ホームであるとかお年寄りの集会施設であるとか、いろいろなものを複合的につくったりいたしましたが、そういうふうに他の施設と複合して有効利用を図るというふうなことであるとか、そういうことを中心にできるだけ必要な施設が身近に確保できるように、特に土地の確保について考えていきたいと考えております。
#141
○日笠委員 これは要請をして、次の予算委員会でやりますから、お願いをしておきたいと思います。
 医科診療医療費の診療行為別構成割合、六十二年度版を保険局からいたださますと、検査というのが一一・三%でございます。非常に高い比率を示しておりますりもちろん投薬が二二・五%ですからその半分でございますけれども、六十二年度の薬価差益、これが厚生省さんの答弁で明確になったわけでございますが、薬価差益は実に六十二年度一兆三千二百四十八億円、平均薬価差益率が二五・七%と言われております。今度の四月から改正をされて、九・二%ですか下げる、こういうことで実勢価格に合わせていこう、努力はよくわかります。
 問題は検査でございますが、実は検査は臨床検査センターが今は大体やっておりまして、各病院とか診療所が専門の人を抱えてやっているというのは非常に少なくなっております。私、これをいろいろ調べてみますと、保険の点数と委託費の差が大体四〇%から五〇%、こういう差がありまして、薬価どころの騒ぎじゃございません。そこで、次の予算委員会で質問いたしますので、せめて国立病院だけでもどれぐらいの検査の委託料と点数との差があるのか、ぜひ調べておいていただきたい。そして、できる限りこの検査費を、四〇%も五〇%も、物によっては入札で非常に安く入るというところもございまして、六〇%、七〇%も、言葉は悪いですが医者がもうかるという実態もございますので、ひとつぜひ国立病院だけでも結構でございますから、この薬価差益じゃなくて検査差益を調べておいていただきたい。それをもとにまた質問をし、できる限り医療費の抑制ということで私ども知恵を絞っていきたいと思いますので、これは要請をして終わりたいと思います。
 以上です。
#142
○衛藤委員長 正森成二君。
#143
○正森委員 私は、短い時間でございますが、日本共産党を代表して質問させていただきます。
 まず第一に、予算編成の当初では、一九八九年度補正で厚生年金保険への繰り延べ分の返済を予定して、老人保健の加入者按分率一〇〇%移行に伴う各保険者の拠出金負担増に対する緩和策としては、九〇年度予算で一般会計から国庫負担六百億円を別途支出する案を考えておられた。ところが、この額を不満とする自民党社会部会、厚生省などの要求で変更された。
 この間の経過を、「週刊社会保障」というのがありますが、政府は、「予算内示直前の二十二日午後四時四十分から厚相と蔵相が事前折衝を行い、蔵相の「国庫負担六百億円」の回答に厚相が不満を表明し、同日深夜に再度折衝した結果、厚生年金国庫負担の特例措置見合いの原資一兆五千億円の運用益七百五十億円などによる、総額九百億円を充当することで決着をみた。」これは九〇年一月十五日号の十五ページでありますが、こういうぐあいに書いております。これは事実ですか。
#144
○橋本国務大臣 経過はいろいろありましたけれども、結論は、委員が御承知のとおりの補正予算で私どもは御審議をお願いを申し上げております。
#145
○正森委員 予算委員会のときと違って非常に簡潔な御答弁でありますが、結論はそういうことだということですけれども、しかし結果として、大蔵省当局も六百億円の金を一般会計から出すと言うておったものを、返すべき金を返さないで業務勘定というようなところに宙ぶらりんに入れておいて、その利息で加入者按分率一〇〇%に伴う健保組合等の負担増大を賄うというのは、今大木議員もるる述べられましたように、財政の基本原則から見ていかがなものかという意見が述べられ、安易に行うべきものではないということまでは大蔵大臣も御答弁があったようであります。その当初六百億円一般会計から出そうというのを出さないで、七百五十億円は一兆五千億円の利息で賄うというようになったようでありますが、盛んに相談しておられるようですが、「週刊社会保障」という雑誌ではそう書いてあって、ともかく深夜まで折衝されたのですから、間違いのないところだと思うのです。
 それは、結局金がないということが主な理由らしいのですけれども、私は主計局長じゃないですからよくわかりませんが、しかし考えてみると、補正予算でも五兆九千億円も金があるのでしょう。自然増収というのが三兆二千億円あり、前年度からの剰余金が二兆数千億ありということになれば、金がないなんというのは理由にならないんじゃないですか。少なくとも国民はそう思いますよ。
#146
○橋本国務大臣 時間的経過のお話がございましたけれども、それ以前にも厚生大臣との折衝はいたしておりますし、その時間的な経過について私は必ずしも否定をいたしませんけれども、その雑誌の記者の方がその場におられるとは私は存じておりませんし、その内容が正確だとは申し上げておりません。
#147
○正森委員 今、私の前の質問にお答えになりましたが、後の質問ですね、補正予算でも五兆九千億円も財源があるのに、その中から当然一般会計が出すべき金を出さないで、厚生年金に返すべき金の利息を流用するというようなことは健全でないのではないか、こう私は言っているのです。
 さらに、補正予算はともかくとして、九〇年度の本予算は御承知のようにお金がないんだ、もしそうおっしゃるとすれば、一つ疑問を呈したいと思うのです。
 私は、橋本大蔵大臣、あなたの本会議での財政演説等も詳細に読ませていただきましたし、聞いておりますが、それを見ますと、八九年度の補正後一般会計予算額は六十六兆三千百十九億円ですね。ところが、九〇年度の当初予算は六十六兆二千三百六十八億円で、既に補正後の前年度八九年度予算の方が約一千億円オーバーしているのですね。つまりそれだけ、入るをはかって出ろを制すといいますけれども、ある程度お金があるわけです。そうすると、税収は現在順調で、大蔵省からも資料を毎月いただいておりますが、政府の主要経済指標では、九〇年度GNPの伸びは五・二%ですね。そして、税収の弾性値は一・一。最近はずっと二・二とか、非常に大きい場合は三を超えておりますね、三を超えるとまでは言いませんけれども。そうすると、税収はさらに伸びるということになれば、予算規模自身が非常に少なく見積もっているということになりませんか。
 私は予算委員会でも、三年連続数兆円に上る自然増収を出しているのは、いいですか主計局次長、俊秀をもって鳴る大蔵省としては、一度ぐらいの誤りは許されるけれども、仏の顔も三度といって、三回もそういう誤りを犯すというのは意図的なものがあるのじゃないか、それは消費税の導入を控えてわざと財政を緊迫状態に見せて、そして野党の反撃を防ぐという意図すらあったのではないかということを申し上げ、大蔵大臣はそういう意図はないということでるる御説明がありました。しかし常識的に考えても、既に補正後の予算が一九八九年で六十六兆三千億円だ、ところが今年度の当初予算は六十六兆二千億円で既に一千億少ないということになれば、その間当然経済成長率もあるわけですから、そもそもこの予算もおかしいので、私は、加入者按分率一〇〇%に伴う千二百六十六億円の健保等の負担増は、全額とはいかないまでも七百五十億円やそこら、みみっちくも年金財政に返すのを留保して途中でその利息だけを借り上げるというようなことをしなくてもできるし、それが当然ではないかということを再度申し上げたいと思います。
#148
○橋本国務大臣 委員が時間がないから簡潔にと申されたものですから、先ほど来簡潔に申し上げてまいりましたけれども、それでは改めて丸い数字で申し上げさせていただきます。
 確かに平成二年度予算、今ここで平成二年度予算の御審議までいただけるのは大変幸いでありまして、委員が比較をされましたとおり、平成元年度の補正後予算の姿に比べておっしゃった数字は、そのとおりでございます。
 同時に、その中をごらんいただきたいのは、国債の残高というものがいかに我が国の財政を圧迫している大きな要因であるかということでありまして、国債費及び地方交付税等を除きました一般歳出としては、その中の三十五兆円にしかすぎません。それだけ財政状況は決して楽なものではないということは、国民にも御認識をいただかなければならないところであります。
 そして、元年度の補正予算におきまして、私どもは今委員が御指摘のとおりの手法をとりました。それは先刻来るる御説明を申し上げておりますように、二つの要素というもの、しかも緊急を要する要素というものに対してできる限りの考えを出し合い、厚生省との間でいわば双方の要請にこたえ得るものとして考えた行為でありまして、これ自体は御理解をいただきたいと思うものであります。
 平成二年度の財源が厳しいとか厳しくないとかということを本来ここで申し上げるべきではありませんけれども、平成二年度予算の内容がそういう状況であること、さらに二年度の末における国債残高の百六十四兆円というものは、債務国全体の債務を今トータルして一兆一千億ドルと言われておりますから、世界の債務国の債務全額に比するくらいの国債残高を我々は抱え、その累増にブレーキをかけなければならない状況にある、その厳しさについても御理解をいただきたいと思うのであります。
#149
○正森委員 今のお話は、大木議員への御答弁の中でもお答えがありましたから、後ろで聞いておりましたから理解しておりますけれども、しかしそのことはストレートに今回の厚生保険特会を合理化するものではないというように私は思っていることを申し上げて、次に進みたいと思います。
 厚生省、お見えになっていますね。そこで厚生省に伺いますが、先ほど社会党の委員もお聞きになりましたけれども、加入者按分率一〇〇%になれば組合等の負担が大きくなるのは当然ですね。今年度は一千二百六十六億円大きくなっております。そこで伺いますが、この制度が導入されて何年かたちましたが、当初は四四・七%、去年は九〇%ですね。仮に四四・七%のときに比べると、国庫負担はどれだけ安くなっているのですか。
#150
○岡光政府委員 まずこの加入者按分率でございますが、制度の発足当初は五〇%でございまして、それが八〇、九〇、一〇〇、こういうふうに動いていくわけでございます。四四・七%というのは途中段階での数字でございますが、今お話がありましたように、九〇%按分率から一〇〇%按分率に移行するということで約六百億国庫負担が軽減になりますが、仮に四四・七%をベースに一〇〇%按分に移行するということを考えますと、仮定計算いたしますと約三千三百億の減でございます。
#151
○正森委員 今のお答えはほぼ正確ですね。ここへ計算書を持ってまいりましたけれども、約三千三百億と言われましたが、我々の計算では三千二百八十三億日国庫負担が減少になります。つまり、老人保健法を改正することによって、我々の用語では改悪することによって、三千二百八十三億円国庫負担が減っているのですね。加入者按分率というのは非常に難しい、難しいといったらおかしいですけれども、大蔵委員にとってはなじみの薄いことですからここで一々説明いたしませんけれども、そのやり方をとって私どもの方で計算したら、そういう結果になるわけです。
 九〇%から一〇〇%の場合は、今言われたように約六百億円程度でありますけれども、年々の間にこれだけ国庫負担は減っているわけです。その減った分だけ原則として健保組合等の負担がふえているわけなんです。そういうものについて今度は一挙に、一挙にと言うたら語弊がありますが、一〇〇%になってしまう。一〇〇%になるということは、健保組合などは非常に老人の比重が少ないのですけれども、それが平均の比重だけ自分のところでも老人がいるということにすれば幾らの分担になるかということを一〇〇%見て、そして負担を考えるということですから、重くなるのは当然なんです。そういう仕組みをつくったんです。しかし、千二百六十六億円というのはいかにも大きいから、今回のような特会を知恵を出して考えたわけですね。しかし、本来それはそういう制度の改悪をすべきではなかったし、また、した後でもなおかつ、本来返すべきお金の利息で賄うべきことではなしに、一般会計を主としてそれを賄うべきものであるということを私は申し上げておきたいと思うのです。
 それで、委員長、本当はこれからまだ二、三問伺いたかったのですけれども、時計を見ましたらもう時間になりましたので、民社党の皆さんに御迷惑をかけるといけませんので、これでやめさせていただきます。
 ありがとうございました。
#152
○衛藤委員長 中井治君。
#153
○中井委員 私、三年七カ月ぶりに国会に戻ってまいりまして、浦島太郎みたいなところもございます。大蔵の委員会は初めてなものですから、大変御専門の方に素人的なことを聞くかもしれませんが、短い時間でございますので、わかりやすく御答弁をいただければありがたいと思います。
 先ほどの質疑の中で、いわゆる隠れ借金についての御説明がございました。国債費の定率繰り入れの停止というものを随分過去続けてまいりました。この金額は十五兆円くらいになると聞いておりますが、これの場合には隠れ借金と考えていない、返さなければならないものだ、国債ですから返していくわけですが、基金の中に入れていかなければならないものだというふうにはお考えになっていらっしゃらない、このように理解していいですか。
#154
○小村政府委員 今回の措置は、一兆五千億円、厚生保険特別会計の業務勘定に資金を造成いたしました。したがいまして、年金勘定に対する過去の繰り入れ繰り延べ措置に対する返済措置には直接にはまだ至っておりません。その財源を確保したという意味でございます。
#155
○中井委員 五十七年から続いております繰り入れの停止額、これについては隠れ借金として返していく、財政に余裕があれば繰り入れていく、こういう基本的な姿勢であるのですか。
#156
○小村政府委員 五十七年から繰り入れの停止をしておりました国債整理基金への財源の繰り入れ、これにつきましては、平成二年度の予算措置で完全にそれを実施するようにいたしました。過去繰り入れ不足分につきましては、まだ今後の課題というふうにして残されております。
#157
○中井委員 世界の主要先進国、あるいは先ほど大臣から、世界じゅうの債務を全部合わせた額に日本はあるんだ、こういうお話がありました。その世界じゅうの全部の債務の国々でこういう基金をつくってある国、基金を常設している国というのは、どういう国ですか。
#158
○小村政府委員 各国の事情については、ちょっと手元に持ち合わせておりません。こうした基金につきまして、先般、郵便貯金のいわゆる自主運用見合い分ということで郵便貯金特別会計の中に新たな勘定を設けまして、いわば資金化いたしまして、その利息をもちまして郵便貯金の安定化のために資するという前例はございます。その他、目的が違った資金というのは、我が国においてもいろいろな資金の設置がございます。
#159
○中井委員 私の知っている限りでは、主要な国国でどこにもこういう基金を持っている国はないと思うのであります。国債というのは大体国の経済の信用で発行して返済をしていく、こういうことであろうかと思います。過去九年間ぐらい、お金のないときには繰り入れない、お金のあるときには繰り入れる、こういうことでやってこられた。お尋ねをしたいのは、国債の定期的な繰り入れというのは、そういうふうに柔軟に考えて、基金が底をついても別に返済ということの心配あるいは信用の心配、そういったことはないんだ、このように理解をされていらっしゃるのか、この点をお尋ねいたします。大臣、どうですか。
#160
○小村政府委員 我が国におきましては、国債の信用力の保持あるいはその歴史的な経緯がございまして、日本の国債が外国で買われるために一定の担保が必要だということでこの減債基金制度が始まったわけでございますが、やはり大量の国債、これにつきまして、これから高齢化社会に対する子孫にできるだけツケを残さないという意味におきましても、適切な国債の管理政策を持ちましてその償還に努めていかなきゃいかぬということで、現在定率繰り入れを基本とする減債基金制度というのがつくられているということでございまして、今回その繰り入れは満額できたということでございます。
#161
○中井委員 他党の方もいろいろとお話がありましたけれども、今回のこの借金を返したのか返さないのかわからない中途半端なやり方、これをやめて、すっきりと厚生年金保険へお戻しになるのはどういう財政状況になったときおやりになるのか。あるいは当分の間ということでしたが、どういう社会的な情勢やら保険の情勢があったときにお返しになるのか、これについてお尋ねいたします。
#162
○小村政府委員 厚生年金へのいわば繰り延べ措置に対する繰り戻し措置でございますが、これは今後我が国の財政状況等を考えなきゃいかぬということと、さらに年金財政の安定を損わないようにしなければならないということでございます。できるだけ速やかにその返済を完了すべきものという基本的な考え方には変わりございません。
#163
○中井委員 過去もいろいろな財政のやりくりの中で、いつでも苦しくなると魔法のように知恵をひねり出していろいろな形をつくられる。そして、それには必ず当分の間、こういう形で国会の審議をくぐり抜けられる。しかし、その当分の間がずるずると続いて今日まで来た最たるものが赤字国債と私は理解をいたしております。こういう財政のやりくりをやったときには、こういう状況になったら、あるいは三年たったらという形できっちりと歯どめをかけていくべきではないか、こういうふうに思いますが、大臣いかがですか。
#164
○橋本国務大臣 私は、今委員が述べられたようなお考えも一つの考え方として決して間違っているものではないと思います。
 ただ、同時に、年々のその経済情勢等を考えながら弾力的に予算編成をしてまいります場合に、特定の項目について非常に早い時期から固定した目標が設定されておるということは、実は財政の弾力的な対応を狭めるという影響があることも、これは御理解をいただきたいと思うのであります。我々は、やはり何といいましても景気に対する財政の対応、弾力的なものとしてとらえていきたいと考えておりますし、基本的な考え方として委員と異にするものではありませんけれども、長期に固定し、例えば特定の項目についての返済時期を明示することにより、その時期において弾力的な対応のできなくなる事態は恐れております。
#165
○中井委員 そうしますと、少し具体的に聞かしていただきますが、こういう形で七百五十億の処理をなさる。しかし、例えば政管健保がこれで助かる金額というのは七十五億円ぐらい。政管健保そのものには四千六百億円くらいの、まあ隠れ借金がある。私どもから見れば、こういうやりくりをするよりも政管健保へお金を返す方法を考えた方が早いんじゃないかというふうな、単純に考える理解の仕方をいたします。
 あるいはまた、会計の処理上でいろいろとおありで、私はわからないところもあります。例えば厚生年金の保険事業というのは大変厳しい、厳しいと言いながら、厚生年金の借金を返さずに、返せる体制だけつくってその利子をほかへ回してしまうというやり方、こういうことが一般国民あるいは世間の普通の会社の会計のやり方と違ってくる。そこらに、国の財政のやり方も大変でしょうけれども、おかしな点が多いのじゃないか、こういう感じを強く抱くのですが、どうですか。
#166
○小村政府委員 私ども、全体の財政運営について先生おっしゃるとおり、高齢化社会に向けてできるだけ国債その他の債務を残さないようにするということを基本的戦略として財政審等からも指摘を受け、その措置を行ってまいりたいと考えております。
 過去、いわゆる隠れ公債と言われるものについては、それぞれいろいろな制度の事情がございまして、一つずつその制度はそれなりに工夫をし知恵を出してきた分野でございますが、基本的には先生おっしゃるとおり、財政審におきましても、国債残高の累増を食いとめる、それから当面新規の国債の発行を極力抑える、特例公債はもちろん発行いたしません、建設公債にしてもその財源としては租税財源によってやっていこう、これから五年間公債依存度を五%にしよう、そういった提言等がございまして、そうした方向で努力をいたしたい。
 さらに、特例公債については、本年、平成二年をもちまして特例公債依存体質から脱却をした。さらには、先ほど御指摘の定率繰り入れの停止をやめまして、本年度から満額国債整理基金への繰り入れが実現できた。こういうことで、国債を中心とする債務残高の累増を抑えていくということでございます。
#167
○中井委員 財政状況、景気は大変よくなって税収がふえてきている、このことは大変結構なことであります。その分、私どもはできる限り行政改革も続け、要らない経費を削減し、また不必要な経費を思い切って政治家同士が削り合って、借金をどんどん返していくべきだ。そういう意味で、中途半端なテクニックを使わずに思い切って借金を返していく、それだけの余力が出てきたんじゃないかという感じがいたします。
 まして、皆さん方は消費税をおやりになった。そして、今国会に消費税の見直し法と言われるものをお出しになる。その第一条には、消費税の主要目的を福祉の関係に充てるものとする、こうやっておうたいになっていらっしゃる。そうすると、たった七百五十億の福祉に使うお金すら本予算から出さずに、こういう借金を返したかどうかわからぬようなテクニックで処理をなさるというのはおかしいじゃないかと私は申し上げているのです。私自身は、変な演説をするつもりはありませんが、消費税というのは大変な財政のやりくりで苦しくなって借金を返すためにお考えになったと思っております。そこまでして借金返しをする時期に、こういうおかしなやりくりで借金そのものを残していく姿、後送りしていく姿、それがおかしいじゃないかと先ほどから申し上げております。
 このお金の使い方と消費税の福祉目的の使い方、どういうふうに調整をなさるのか、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、大臣から御答弁いただきます。
#168
○橋本国務大臣 私は、必ずしも今の委員の御意見に全面的に賛意を表するというわけにはいかないと思います。と申しますのは、私は、厚生保険特別会計の中にこうしたファンドを設け、そのファンドの運用益というものが経常的に年々特定の項目に使われていくこと、これはある意味では、関係者が少し長い目でそれぞれの立場で対応策を考えるだけのゆとりを持たせるといる意味で、一つの魅力のある提案だと本来考えております。これは大蔵大臣であるなしにかかわらず、私はこうした考え方は一つの考え方だと本来思っております。
 今回、たまたま一方で過去の繰り延べ分の返済という問題があり、そして年金加入者の御安心をいただくために、全部返すだけのゆとりはないにしても、これを同じ厚生保険特別会計の中にファンドとして設けることは、そしてそれに既に金利をつけて、ある一定期間の金利を付して、一兆五千億という数字にしてそれをファンドとして活用していくことは、私は決して悪いことだとは思っておりません。ただ、確かに余り多用すべき方途でないということは、先刻も私は答弁等で認めております。しかし、今回、二つの目的を果たそうとした中で政策選択としてこうした道を選んだことは、私は必ずしも委員の御指摘のような方途ばかりから問題を見るわけにはいかない、そのような感じがいたします。
#169
○中井委員 もう時間がありませんから。
 私どもは、国が大変な借金を抱えておる、そして福祉の面においても大変な費用の増額がこれからも当然のごとく出てくる、これをお互いが知恵を出してやっていかなければならない、そのときに、財政、財源が豊かな時期こそ行政改革をやり、そして不必要な補助金等を削減をする中でお金を出し、そのお金を借金返しに返していく、こういった方向をきちっとお立てになる、それも早く返していくということが大事じゃないか、こういう思いを抱いております。そういった意味で、この法案そのものに反対しているわけではありません。私どもは賛成をいたしますけれども、これからの予算編成あるいは財政運営の中で、ぜひとも行政改革あるいは借金返し、こういったものをお急ぎになられるように、このことを強く要望をいたしまして、質問を終わります。
#170
○衛藤委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#171
○衛藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#172
○衛藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
#173
○衛藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、平沼赳夫君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。早川勝君。
#174
○早川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 補正予算を作成するに当たっては、財政法の規定に従い、今後とも引き続き適正に行うよう努めること。
 一 厚生年金保険国庫負担繰り延べについては、財政事情の許すかぎり可及的速やかに返済し、厚生年金保険事業の長期的安定を図ること。
 一 老人保健医療に係る加入者按分率の引き上げに伴う健康保険組合等各被用者保険の老人保健拠出金の負担増については、各被用者保険の保険料率の急激な引き上げをもたらしたり、保険事業運営に支障の起こることのないよう適切に対処するとともに、老人の福祉・保健・医療の全般にわたり、老人保健制度の長期的安定化に努めること。
 一 高齢化社会の進展に伴って、社会保障制度をより安定的に機能させるため、過大な国民負担をもたらすことのないよう長期的展望に立って社会保障制度の一層の充実を図ると。
以上であります。
 何とぞ御賛成を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
#175
○衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#176
○衛藤委員長 起立多数。よって、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議案に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣。
#177
○橋本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。
    ─────────────
#178
○衛藤委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#179
○衛藤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#180
○衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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