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1990/03/27 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 大蔵委員会 第6号
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1990/03/27 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 大蔵委員会 第6号

#1
第118回国会 大蔵委員会 第6号
平成二年三月二十七日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 衛藤征士郎君
   理事 遠藤 武彦君 理事 高村 正彦君
   理事 田中 秀征君 理事 平沼 赳夫君
   理事 村井  仁君 理事 中村 正男君
   理事 早川  勝君 理事 宮地 正介君
      浅野 勝人君    井奥 貞雄君
      石原 伸晃君    岩村卯一郎君
      金子 一義君    河村 建夫君
      久野統一郎君    中西 啓介君
      野田  実君    萩山 教嚴君
      原田 義昭君    松浦  昭君
      御法川英文君    村上誠一郎君
      柳本 卓治君    山下 元利君
      上田 卓三君    大木 正吾君
      佐藤 恒晴君    沢田  広君
      関山 信之君    仙谷 由人君
      富塚 三夫君    細谷 治通君
      堀  昌雄君    渡辺 嘉藏君
      井上 義久君    日笠 勝之君
      正森 成二君    中井  洽君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  尾身 幸次君
        大蔵大臣官房審
        議官      谷口 米生君
        大蔵省主計局次
        長       藤井  威君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省関税局長 瀧島 義光君
        大蔵省証券局長 角谷 正彦君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
        国税庁直税部長 福井 博夫君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局政策企画官 広瀬 研吉君
        国土庁土地局土
        地政策課長   鈴木 省三君
        国土庁土地局土
        地利用調整課長 大日向寛畝君
        法務大臣官房審
        議官      米澤 慶治君
        厚生省年金局年
        金課長     松本 省藏君
        厚生省年金局企
        業年金課長   木村 政之君
        農林水産省畜産
        局畜政課畜産振
        興推進室長   赤松 勇二君
        農林水産省食品
        流通局野菜振興
        課長      佐藤  晉君
        通商産業大臣官
        房審議官    庄野 敏臣君
        通商産業省通商
        政策局国際経済
        部通商関税課長 豊田 正和君
        通商産業省生活
        産業局紙業印刷
        業課長     井田  敏君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     森本  修君
        労働省労働基準
        局監督課長   氣賀澤克己君
        建設大臣官房政
        策課長     清水 一郎君
        建設省建設経済
        局宅地企画室長 木村 誠之君
        建設省都市局都
        市計画課長   近藤 茂夫君
        建設省都市局下
        水道部下水道企
        画課長     仲津 真治君
        建設省道路局国
        道第一課長   松延 正義君
        建設省住宅局建
        築指導課長   鈴木 俊夫君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
     ────◇─────
#2
○衛藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。橋本大蔵大臣。
    ─────────────
 所得税法の一部を改正する法律案
 租税特別措置法の一部を改正する法律案
 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案
    〔本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
#3
○橋本国務大臣 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における社会経済情勢にかんがみ、公的年金等控除額及び個人年金保険契約等に係る生命保険料控除額を引き上げる等の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、公的年金等控除につきましては、年金受給者の税負担軽減の見地から、定額控除を年齢六十五歳以上の者にあっては八十万円から百万円に、年齢六十五歳末満の者にあっては四十万円から五十万円にそれぞれ引き上げる等の改正を行うことといたしております。
 第二に、個人年金保険契約等に係る生命保険料控除につきましては、自助努力の奨励等の観点から、個人年金保険料については現行の生命保険料控除から除外して別に控除を認めることとし、その控除限度額を五千円から五万円に引き上げる改正を行うことといたしております。
 その他、寡婦控除の適用要件である所得限度額を三百万円から五百万円に引き上げることとするほか、非居住者等が行う土地等の譲渡の対価について源泉徴収を行う等の措置を講ずることといたしております。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律につきまして御説明申し上げます。
 政府は、租税特別措置について、当面の政策的要請に対応するとの観点から、土地対策、住宅対策、輸入促進策等早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、土地税制につきましては、超短期所有土地等に係る譲渡益重課制度等の適用期限を延長するほか、土地譲渡益重課制度の対象となる土地を事業用資産の買いかえ特例の適用対象資産から除外する等の措置を講ずることといたしております。
 第二に、住宅取得促進税制につきましては、国民の持ち家取得を一層促進する見地から、税額控除期間を六年間に拡充する等の措置を講ずるとともに、その適用期限を二年延長することといたしております。
 第三に、総合的な輸入促進策の一環として、製品輸入促進税制を創設することといたしております。
 第四に、企業関係の租税特別措置法につきましては、平成二年度におきましても、政策目的と政策効果との観点から、既存の租税特別措置の整理合理化を図る等必要な改正を行うことといたしております。
 その他、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税、中小企業の貸倒引当金の特例、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例等適用期限の到来する特別措置について、その適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における国家公務員の出張、赴任等の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額の改定を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 国家公務員等の旅行に際して支給される旅費につきましては、最近における宿泊料金の実態等を考慮し、内国旅行における日当、宿泊料等の定額を約三二%引き上げることといたしております。
 また、移転料につきましても、国家公務員の赴任の実態等にかんがみ、その定額を内国旅行につきまして約三四%引き上げることといたしております。
 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、戻税制度、減免税還付制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、関税率等の改正であります。
 機械類を中心として工業製品関税の一千四品目の撤廃、四品目の引き下げを行うとともに、牛肉缶詰等農産物の輸入自由化に関連した関税上の措置を講ずる等所要の改正を行うことといたしております。
 第二は、戻税制度、減免税還付制度の改正であります。
 輸入時と同一状態で再輸出される貨物に係る戻税制度を新設するとともに、関税の減免税還付制度について適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
 以上のほか、平成二年三月末に適用期限の到来する暫定関税率についてその適用期限を延長するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上が、所得税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
#5
○衛藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤恒晴君。
#6
○佐藤(恒)委員 社会党・護憲共同の一員といたしましていわば新参でありますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 最初に、大蔵大臣に感想的なところを申し上げまして、所見を伺いたいと思います。
 今国会は、御案内のとおりに内外ともに非常に大きな課題がございますし、また総選挙の直後の特別国会ということで、国民の皆さんがどのような国会の審議がなされるかということを注目をしておられると思います。
 総理はよく、国会の運営については各党間の話し合いによってと、こういうふうに申されておるわけでありますが、御案内のとおり、いわゆる新しい枠組みづくりといった言い方がされまして、大変国会が空転をしたわけであります。補正予算編成そのものについても、今日まで種々論議をされましたように、いろいろ問題があるということが指摘をされてまいりました。こういう中で国民の生活にさまざまな影響を及ぼしてまいりましたし、また国家公務員の給与の分割支払いというよつな問題も発生をいたしまして、これは政府の責任であると私は思うわけでありますが、第一次海部内閣より大蔵大臣として解散前に予算編成にも当たったわけでありまして、今日なおその席にあるわけでありますが、その責任は重大なものがあろうかと思うのであります。所見があれば伺っておきたいと思います。
#7
○橋本国務大臣 これは事務方の書いた紙で御答弁を申し上げる性格のことではありませんし、私なりに率直にその感想を申し上げたいと思うのであります。
 私にとりまして一番残念なことは、公務員の給与の分割払いという事態を行わなければならなくなったことでありました。そして、私どもとしては、ぎりぎりの時間帯まで何とか一括現金支給ができることを期待しながらその準備を続けておりましたけれども、その準備もむなしく、結局半額支給という事態に踏み切らざるを得なくなったわけであります。これについては、私は決して国会の責任だと申し上げるつもりはありませんし、給与の支払いの責任者としての政府の立場は、その与えられた条件の中で最善を尽くしましたけれども、こうした事態が起きたことは大変残念なことであった。そして、こういう事態が繰り返されることを我々は決して起こしてはならない。これは政府の立場ばかりではなく、院におかれても私は同様のお気持ちをお持ちになったであろうと思います。
 そして、確かに、私どもが今衆参の議会勢力の全く異なる状況という初めての経験の中で国政の御審議をお願いするわけでありますから、その中においておのずから新たなルールづくりというものが行われることは当然であろうと思います。願わくは、そうした新しい国会のルールの作成に当たりまして、国民生活に支障の及ぶことのないような運営をお願い申し上げたい、心からそう願っております。
#8
○佐藤(恒)委員 新しいルールづくりは、それぞれの立場からいろいろ必要性を感ずるところでありますが、一たん決まった運営について途中から混乱をして、ルール、慣行というものが一朝にして変わるようなことでは困るのでありまして、そういう意味ではひとつ十分に御配慮願いたい、こう思うわけであります。
 次に、質問に移ります。
 特に三月二十四日、アメリカのロサンゼルスにおきまして日米の蔵相会談が行われたということで、事前にあるいはまた帰国後さまざまな報道があるわけでありますが、事前の報道などを見ますと、何のために訪米をするのかということがさまざまな角度から報道されておりましたが、アメリカなどからの報道では、G7に向けた事前協議ということで報道があるし、また大蔵省幹部の発言ということで報道されておるところによれば、いろいろ問題はあるけれども、特定の問題に絞り込んでやるのではなくて全般的な問題について話し合いをする、蔵相同士が常に会って、いつでも電話で話し合えるような間柄をつくることに意義がある、こういうような談話も実は報道されておりまして、国民の皆さんが注目している為替相場の安定や、あるいはまた日米構造協議等の問題についてどういう立場で臨むのかということについての事前の報道は、国民の間では内容を十分に知ることができなかったのではないか、こんなふうに実は思うわけでありますが、共同声明が発表されまして、非常に簡単な共同声明であります。
 この共同声明を見る限りにおいては、何がどのように成果があったのかということが読み取れないわけでありますが、その後さまざまな記者会見等での発言があるようでありますが、共同声明だけではちょっとわかりませんので、ひとつ何が成果であったのかお伺いしたいと思います。
#9
○橋本国務大臣 大変に委員恐縮でありますけれども、何が成果かという御指摘については、私は多少不本意であります。というのは、これはたまたまブレイディ財務長官の場合に私の方からロサンゼルスまで訪問をいたしましたために、そういう御質問が出るきっかけが生まれたのでありましょう。しかし、つい数日前に、例えばスイスの大蔵大臣が私を訪ねて来られたとき、あるいはその他さまざまな国の大蔵大臣と、私の方から出ていける機会は少ないけれども、しょっちゅう実はお目にかかっております。そして、それはまさにお互いの認識の中での特定の問題について論議をいたすこともありますし、あるいはそれぞれの国がそれぞれの国の立場から、世界の経済情勢をどう認識しているかというような論議を交わすときもございます。具体的に成果というものをかざして一々会合を持つ時代というのは、既に変わったのではないかという気持ちを私は持ち続けておりました。
 たまたま私にとりましては、ブレイディ財務長官には、昨年のIMF世銀総会の際ワシントンでお目にかかりましてからお目にかかる機会を持っておりませんでしたし、そして、個人的にお目にかかる機会は早く持ちたいということは何回か私は今までにも口にしてきたところであります。そしてそれは、特定の問題をかざしてお目にかかるということを必ずしも思っておったわけではありません。
 ただ、同時に、昨年来、東欧の情勢の大きな変化の中でヨーロッパの枠組みにも変化が生じ、それが例えば世界経済の中で今後どう動いていくかといったことについて、一体アメリカはどう考えているのだろう、こうした点も私にとっては知りたいことでありました。殊に欧州復興開発銀行の創設の問題等、今各国の間で話し合いの進んでおる問題について我々の意見を交わしておきたかったこともございます。あるいは、例えばIMFにおける日本の順位の問題が第九次増資とかかわっております。そして、その順位の変更についてアメリカ側の協力を得たい、こうしたこともございました。そしてそういう中で、年が明けましてから為替相場等について、必ずしも日本経済のファンダメンタルズをそのままに反映したとは言いがたい為替の状況が現出しておることについて、昨年のお話し合い以降の国際的な協調の枠組みが崩れていないことを再確認すると同時に、一層の安定への協力をお互いに協調しながら払うことも、私としては話し合いたいことの一つでありました。
 こうした幾つかのテーマを抱えて、まさに、特に議題を定める形ではなく、今回の会談は実現をしたわけであります。しかし、その中で、今委員が御指摘になりました共同声明という形に踏み切りましたことは、現実の為替市場における思惑的な動き、投機的な動きと申しましょうか、こうしたものが私にとりましては非常に不安の種であります。そしてその中において、その協調体制が崩れていないということを確認をいたしたかったことも事実であります。
 そして、これは大蔵委員会の場でありますから、正確な状況を御報告すべきであると思いますけれども、この問題の論議に入りましたとき、アメリカ側は共同声明の発出というものについては、当初大変逡巡をいたしました。それは二つの原因があります。一つは、ブレイディ財務長官自身が最近各国の、特にG7各国の蔵相との会談を積み重ねてきておられる。そして、それぞれの国とアメリカとの間において相当論議をすべき問題があり、また論議が行われ、中には同様に共同声明の発出を求められたところもあるやに聞いておりますけれども、アメリカとしてはついにそれに応じてこなかった。今回日本に対して共同声明の発出に応じるとすれば、他のG7諸国との間がどうであろうか、こういう懸念を持たれた。これが一つでありました。
 もう一つの理由は、たまたまブレイディ長官、ブラックマンデーの後の対策の委員長をされたということであります。そしていわばブレイディ長官にとっての原体験としてしみついておりますものは、まさにブラックマンデーの後でありました。そして、そこから出てくるものは株式相場の大幅な下落、アメリカの場合には、それは株式市場から逃げた資金が債券市場に向かった。ですから、為替には大して影響がなかったし、株の暴落はそのまま債券市場における非常な好況につながった。その経験からいくと、為替市場が下がりぎみ、株式市場が崩れている、債券市場にも資金がシフトされた形跡がない、一体それじゃそのお金はどこに行っちゃったんだということに非常に強い疑問を持っておられる。その辺の解明をなされないうちに共同声明の発出ということには、非常にためらいを感じておられたというのが事実であります。
 こうした問題に対して、私どもはそのそれぞれの現象に対する説明もし、同時に、共同歩調をとり、今日まで枠組みを堅持してきたその体制が崩れていないことの確認を求め、その結果が共同声明という姿に連なったということでありまして、状況を正確に御報告を申し上げますならば、以上のような経過をたどった会談でありました。これについてどう評価をされるか、これはまたおのずから別なものがあろうかと思います。事実をそのままに御報告をした次第であります。
#10
○佐藤(恒)委員 成果がどうであったかなどということを挙げて会談をする時代は終わったというような答弁のように今受け取りました。
 しかし、竹下元総理が訪米をされた後の、そしてまたこういう重要な時期での訪米であっただけに、それを期待するというのは国民の率直な気持ちだろう、こう思いますのであえて申し上げておきますが、今、為替相場の安定についての協調を確認もしたかったというお話でありますが、つまり、したかったということはなかったということに理解ができるわけであります。いろいろな談話などを総合いたしますと、認識については、つまり現状をどうするかという認識については一致をしたということのように報道されておりますが、具体的な歯どめの問題については明らかにされなかったということもまた報道されておるのでありますが、その辺についてはいかがでありましょうか。
#11
○橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、今委員のお話の中で一つ私は正式に異論を申し述べなければなりません。今日までもアメリカとの間の協調体制は崩れておらず、その機能は引き続いて果たしておりました。ですから、それが機能していなかったというおっしゃり方については、これは国際的なことでありますので、私はあえてその点について異論を申し述べさせていただきます。
 そして同時に、話し合いをし、その共同声明の内容について今お尋ねでありますけれども、これは現実の市場に与える影響等を考えますと、その具体的な内容等について私から申し上げることは、これは控えさせていただきたい。市況に影響を与える行動は厳に慎むべきであると考えておりますので、その点は御理解をいただきたいと思います。介入というものが行われたか行われないか、どんな格好で行われなかったのか、あるいは行われたのか、こうしたことが一々表に出てしまうようでありますと、なかなか機能は十分に発揮できないものでありますから、そうした点についての御理解はいただきたいと思います。
#12
○佐藤(恒)委員 構造問題協議のうち、特に公共投資の拡大問題について話題になっているわけでありますが、記者会見等の内容を報道によって知りますと、七月の最終報告の段階で結論を得たいというような趣旨の発言にも受け取ったわけであります。さきに発表になりました「財政の中期展望」との兼ね合いで、この七月段階で公共投資のGNPに対する割合を明らかにしていきたいということでありますが、中期展望との関係ではどんなふうになっていくのか、そのあたりをちょっとお示しをいただきたいと思います。
#13
○橋本国務大臣 大変恐縮でありますが、GNP対比で云々とおっしゃいましたけれども、私は、GNP対比でその目標を示すとか、そういう言葉は一度も使っておりません。これはもしそういう報道がなされておるところがあったとすれば大変残念でありますが、それは私が申しておることと違います。むしろ私は、今GNP対比というような形で、言いかえれば一定の先行きまでの公共投資を固定してしまうこと、それは財政の経済に対する影響力を非常に減殺してしまうものである。景気の動向によって財政が対応していく場合に、公共事業の分野というものは一番大きな役割を果たすわけでありますから、そのGNP対比というようなやり方では私はそれは示すことはできないということを申し続けております。ですから、そこはどうぞ誤解のないようにしていただきたいと思うのであります。
 と同時に、社会資本の充実整備というものは、お互いが国民生活の質の向上を考える場合に今後とも努力していかなければならないものであることは間違いがありません。今日、日本の社会資本に対する投資というものは、欧米諸国に対して比率からいえば非常に高いものがありますが、それは逆に言えば社会資本整備が我々がおくれていたということにもなるわけでありまして、そうした意味での投資というものは、我々自身が自分の国民の生活の質を向上するために払わなければならない努力でありますから、私はそうした視点で論議をしてまいりましたし、これからもするつもりであります。しかし、最終報告が七月ということになっておるわけでありますから、その時点においては何らかの形で将来に対して我々はこうするんだという意思がわかるようにしていきたいということを申しておるわけでありまして、GNP対比で数字を示すということは、私は申したことはありません。
#14
○佐藤(恒)委員 それで、会談のいかんによっては円相場の問題で不安が非常に増幅するのではないか、こういったことも事前に言われておりまして、昨日の相場等についてもいろいろと報道されておりますが、そのあたりについて、つまり会談の成果が円相場にどのように影響をもたらすかということについての事前の懸念、不安というものの一つのあらわれが昨日の段階ではあったのではないかというような見方も出されているわけでありますが、その辺について何か所見があれば伺いたい。
#15
○橋本国務大臣 為替の水準というものについて私どもが具体的に言及をいたしますことは、絶対にやってはならないことということで今まで私どもは行動してまいりました。ただ、現実の為替の水準というものは、今私自身が考えて、日本経済のファンダメンタルズに比して低きに失しているという気持ちは持っております。
#16
○佐藤(恒)委員 財政再建策の問題にかかわりまして、国民負担率等の問題について若干伺いたいと思いますが、去る二日の本会議の総理の演説の中で、税制改革は、来るべき高齢化社会を展望した場合に、国民の重税感あるいは不公平感、こういうものをなくすことを目指した、こういうふうに述べておられます。また、大蔵大臣も財政演説の中で、消費税は着実に日々の生活に溶け込んできているというような基本認識を示されたわけであります。しかしながら、消費税については、廃止あるいはまた見直しというようなそれぞれの御意見があったとしましても、非常に多くの不満があることだけは事実であります。さらに、この総理の演説の中では、逆進性の緩和の観点や社会政策的配慮から見直しをするということを述べておられまして、このことは言葉をかえて言えば、その制度あるいはまた政策的な矛盾をある意味では認められた、こんなふうにも解釈できるわけでありますけれども、消費税の廃止について、既にもう何回となく答弁、質疑のあるところでありますが、見解を伺っておきたいと思います。
#17
○橋本国務大臣 私どもは、今国会に消費税の見直しを含めた御審議をお願い申し上げる立場にあります。そして、それは廃止というものを我々は考えておらず、消費税というものが定着することを願うという視点からのものであることはまず申し上げておきたいと思います。そして、過去にさかのぼって長々とお話を申し上げる気はありませんけれども、この消費税を含めました税制改革全体というものがどういう環境の中から行われたかについては、委員にももう一度御想起をいただきたいと思うのであります。
 昭和五十年代の後半になりまして、国民の一番の不満、そして政府に対して求められるものは税制改革でありました。これは各種の世論調査等でも出ております厳然とした事実であります。そして、そういう声が起きてまいりました原因というものは、所得に偏った日本の税体系というものの中で、殊にサラリーマンを中心とした勤労所得者とでも申し上げましょうか、こうした方々の中からさまざまな税制上のゆがみ、ひずみといったものの中で重税感が高まり、それが税制改革を求める声になっておった。これは事実として申し上げなければなりません。そして、そういう声にこたえて所得税、法人税あるいは住民税の大幅な減税を行い、一方で、国際的にもさまざまな批判を呼んでおりました物品税というものを廃止すると同時に、広く薄く国民に御負担を願う消費税というものが構想されたというその経緯を考えますときに、私どもは税制改革全体でこの成果というものは御批判をいただきたいと思うのであります。
 しかし同時に、消費税を実施するに当たり、確かに国民に対して十分その税制を御理解いただくための努力あるいはその持つ意義を御理解いただくためのPR、こうしたものに足りない点がありましたことも事実でありました。そして、そうした中から国民から消費税についてさまざまな御意見が出てまいりました。私個人の立場で物を申し上げることはできませんけれども、税についての素人の私が大蔵大臣になりましたときに、消費税というものに対し国民がどう思っておられるかじかにお手紙をいただきたいと呼びかけましたところ、結局一万八千通をはるかに超えるお手紙をいただきました。そして、私が何がうれしかったかと言えば、その中にだれかが例文を書いたものをお互いに写し合ったような手紙は全くなかったということであります。そのかわり、頭ごなしに徹底的におしかりばかりのお手紙もありましたし、全く変えるなという御意見もありましたし、さまざまな御意見がありました。小学校のお子さんからお年を召した方まで、本当に幅広い御意見をいただきました。そして、その御意見を参考にしながら提起をされた問題点すべてを見直しの材料とし、検討の対象に上せ、そしてその中から私どもは見直し案というものを固めてきたわけであります。
 私は、国民の声にこたえて、払うべき努力を払ったと考えておりますし、それが国会の御審議の中でお認めをいただけ、一層の定着に資することを心から願っております。
#18
○佐藤(恒)委員 大臣に対する手紙の問題は、いろいろ今までの国会でも話題になったようなことのようでありますから、あえて触れませんが、その同じ大蔵大臣の演説の中で、財政制度審議会の報告に沿って、高齢化社会に多大の負担を残さず、再び特例国債に頼ることのない財政構造の確立を目指したい、こうも述べておるわけであります。
 結局のところ、今までの状況を考えますと、この赤字国債の発行をゼロにするということは達成されたわけでありますが、これは税の自然増収なりあるいはまた一般会計の補助金の削減なり、それなりの負担と地方あるいは国民の犠牲という上に達成されたものである、こう思うわけであります。今後も特例国債の発行に頼らない財政をつくっていくということになりますと、税の伸びに期待したりあるいはまた国民負担率の上昇という問題も考えられると思うのでありますが、そのあたりについての見解を伺いたいと思います。
#19
○橋本国務大臣 おかげさまでようやくという感じが本当に私どもにはいたしますけれども、平成二年度の予算において私どもは、十五年ぶりに赤字公債に頼らない予算編成を行うことができました。その中には今委員が述べられましたように、国民の御努力の積み重ねの中から我が国の経済が予想以上に伸長し、そして、その結果として税収に恵まれたという要因があったことも、私は否定をいたしません。しかし同時に、その間における歳出削減の努力、冗費の節約に対する努力というものが非常に厳しい姿で行われてきたことも、私はここで申し述べたいと思います。そして、そうした形の中でようやく平成二年度赤字公債の脱却という目標には到達をいたしましたが、まだいわゆる隠れ借金と言われるものも我々はきちんとお返しをしていかなければなりませんし、国鉄清算事業団の累積債務も資産の売却等が済んだ段階において一体幾ら残るのかわかりませんけれども、これを処理するという目標も果たさなければなりません。
 同時に、平成二年度予算そのものをごらんいただけば、六十六兆円を超える規模の予算でありますが、その中において国債費の利払い、国債費が二割を占めているという状況は依然として変わらないわけでありますし、我が国の国債発行残高が平成二年度末において百六十四兆円に達するということも現実であります。今世界の債務国の債務全部を合わせておよそ一兆一千億ドルと言われております。言いかえれば、日本の国債残高は世界各国の債務の総計とほぼ等しいということでありまして、これは大変なことでありますし、我々はできるだけ早くこの国債残高の累増に歯どめをかけなければなりません。そして、平成二年度予算の中で一般歳出は三十五兆であります。そして、二割を超える国債の負担というものがあるとすれば、こうした状況は極めて厳しいものでありますし、これからも我が国の財政運営というものは厳しい対応を迫られる。そして、むしろ一日も早く隠れ借金と言われるようなものを返済し、国債残高の累増に歯どめをかけ、財政の健全性を取り戻すために全力を挙げなければならない、私はそう考えておりますし、財政審の御意見というものも、まさにそういう方向に向けての我々の努力を求められたもの、そのように受けとめております。
#20
○佐藤(恒)委員 今、国債費の二割を超す現状についての御答弁がありましたけれども、国債残高を抑制していくということになれば、当然国債費はふえるということになるわけであります。単に自然増収なりあるいは経費の削減といったようなことだけではなくて、今御案内のとおり、世界の潮流は軍縮平和の方向に向かっていると私は思うわけでありますが、そういう意味では毎年ふえ続けつつある防衛費というものについても見直しをして、縮減していくことによって経費の、歳出の削減を図って国民の負担をなるべく抑えていく、負担増を抑えていく、そういう努力も必要ではないかと思うのでありますが、そのあたりについての見解を伺いたいと思います。
#21
○橋本国務大臣 もとより私どもが予算を編成していきます際に、最大限の努力をし、余計な費用を使わないようにしていくという視点からは、防衛費といえども聖域ではありません。その意味におきましては、委員の御指摘に私は異論を唱えるものではありません。
 ただ、同時に、防衛というものの持つ性格をお考えいただきたいのは、私は実は軍事情勢の専門家ではありませんので、細部についての知識はありません、しかし、世界的な潮流は確かに軍縮に向かって流れていると私も思いますけれども、日本の周辺においてそれではその軍縮の実は上がっておるか、そういう点から考えましたときには、おのずから我が国の防衛というものに世界の潮流と必ずしも一致しない部分があることもやむを得ないということも御理解をいただかなければならない、私はそう思います。しかし防衛費は聖域ではない、その点は委員の御指摘のとおりであります。
#22
○佐藤(恒)委員 防衛問題は別にいたしまして、この日本周辺では必ずしもどうかという御疑問を投げかけられておるわけでありますが、それは単によそごとの問題として客観的に見るのではなくて、我が国自体がいかに平和の具体的なアジアにおける主導権をとるかという問題でもあろうと思いますので、その点はそういう見解を私は申し上げておきます。
 先ほども触れました国民負担率の問題でありますが、新行革審の報告骨子によりますと、いろいろと、従来の四〇%台というような言い方とか、あるいは今般は五〇%を下回るとか、その数値についての表現の変動があるようであります。また、さきの我が党の大木委員の質疑の中でも、この国民負担率の問題について若干大臣の見解が述べられていたように記憶するわけでありますが、この負担率の構成といいますか、例えば税部分における率あるいはまた社会保障費等における率それぞれが構成をするわけでありますけれども、税は所得の再配分という考え方もございますので、そういう意味では社会保障部分の負担率の増加あるいは拡大というのは好ましくないというふうにも私は思うのでありますが、大臣の見解をちょっと伺っておきたいと思います。
#23
○橋本国務大臣 租税負担と社会保障負担とを組み合わせました国民負担というものの今後のあり方というのは、究極的には国民が必要とする公共支出の水準と表裏をなすものでありますから、受益と負担のバランスを考えながら、その折々の情勢の中で国民的な選択が行われるべき課題だと私は思います。しかし同時に、高齢化社会というものの進展に伴いまして国民負担率というものは長期的にはある程度上昇するものと考えられるわけでありますが、臨時行政調査会におきましても、また財政審答申の趣旨等を考えましても、その上昇を極力抑制すべく努力を払っていくべきものと私どもは考えております。
 その場合に、委員は、むしろ租税負担の方を重視すべきであり、社会保障負担は余り上がらないようにという見解であろうと今の御意見から拝察いたしましたけれども、私はその点は逆ではないだろうかと思います。社会保障負担の水準といいますものは、あるいは医療であり年金であり、それぞれの社会保障給付費の水準によって規定されることになるわけでありますが、これは給付と負担の関係を切り離してしまった形にしていった場合には制度がなかなか効率的に機能しなくなる可能性を無視することはできないと私は思います。そうした意味では、社会保障給付費の安易な拡というものに対して国民がチェックをされるということから考えましても、やはり適正な負担と給付という視点から社会保障負担にウエートを置いて考えるべきではなかろうか、私はそう思います。
#24
○佐藤(恒)委員 私は、社会の現状において給付と負担というのはセットにして考えることはできないと思うのでありますが、それは意見の違いといたしまして、次に、租税特別措置について若干お伺いしたいと思います。
 今回、廃止四項目、縮減二十二項目というような説明もございますが、既にこの特別措置については、措置そのものには制度的に多少問題があるという見解も出ておりますし、また税調の答申の中でも、税の公平負担という立場から、あるいは税の基本原則を損なうという意味から整理合理化、創設拡充の抑制を行うべきであるという、答申にもそのような文面が見られるわけであります。改めて申し上げる必要はないわけでありますが、今日の企業活動あるいは経済状況を考えた場合に、従来からの既往の資本の蓄積なり資本構成の是正といったような点では相当な改善といいますか、それがなされておると思うわけでありまして、今般の法案は日切れ法案と俗に言われるものではありますが、そうは言っても今日の状況からるならば、租税特別措置については徹底した見直しが必要だと思うのでありますけれども、見解伺っておきたいと思います。
#25
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 租税特別措置の整理についてでございますが、これは整理の仕方がいろいろあるわけでございますけれども、私ども、廃止五項目、縮減合理化十七項目、合わせて二十二項目というように整理をいたしております。
 それから、この租税特別措置、特に企業関係の特別措置につきまして厳しい見直しをしていくべきではないかという御趣旨については、私どもも同じように考えております。それで、特にこの問題が意識されましたのは昭和五十一年度以降でございまして、連年にわたりまして厳しい合理化措置をとってまいりました。昭和五十一年当時の企業関係租税特別措置による減収額を法人税収に対する割合で見ますと、五・一%を占めていたのでございますけれども、平成二年度では二・九%の水準にまで下がってきておるということでございます。いずれにいたしましても、御指摘のように租税特別措置につきましては今後とも不断の見直しを行ってまいりたいと存じております。
#26
○佐藤(恒)委員 そこで、今回提案されていることではございませんけれども、法人関係で例えば貸し倒れとか賞与、退職等の引当金制度があるわけでありますが、これは統計によれば相当膨大な金額になっておるわけであります。不公平税制の是正を行うという立場からいたしまして、我が党といたしましても今日までその実態、例えば貸倒引当金は実態との乖離とか、賞与引当金については廃止してはどうかといった立場からいろいろ問題提起をしてきたわけでありますが、不公平税制を是正するという立場から今後これら引当金についてどのようにしようとしておるのか、考え方があればお伺いしたいと思います。
#27
○尾崎政府委員 引当金の問題につきましては、御指摘のように、これまでいろいろと議論が行われてまいりました。ただ、引当金の場合には、これは特別措置と言うのが適当であるかどうか。要するに、費用と収益を対応させるという考え方に基づきまして、費用を適正に期間配分する、そういう考え方から法人税の課税所得を合理的に計算する方法として認められているものでございまして、制度それ自体を政策税制というように考えるものではないというように私どもは考えております。
 しかしながら、その個々の引当金につきまして、それぞれの趣旨それから利用の実態などを踏まえまして、引き当て率その他につきまして見直しを行うことは必要であると考えておりますし、これまでも何回かそのような見直しが行われてきているわけでございます。六十三年に与野党でいろいろと税制改正につきまして協議が行われたわけでございますけれども、その際に野党側に対しまして与党から、「企業税制のあり方については、全体としての法人の負担軽減が図られる中で、引当金等がどうあるべきかについて、二〜三年内を目途に更に検討する。」という考え方が示されていることを私どもも承知いたしておりまして、今後とも税負担の公平、税制の経済に対する中立性、そのような基本原則に照らしまして、実情に即して見直しを進めてまいりたいと考えております。
#28
○佐藤(恒)委員 引当金の問題は、不公平税制を是正するという一つの問題として今申し上げたわけですが、六十三年の問題についてお答えございましたけれども、記録などを見まして要約すれば、かなり具体的に検討されたやにも当時の記録を見れば思うのでありますが、ただいまの答弁ですと、何かさらに検討の方向が遠くなっていったような気がするのでありますが、もう一度見解を伺っておきたいと思います。
#29
○尾崎政府委員 先ほど申し上げました与野党間の経緯もございますので、二、三年内というようなことをめどに置きまして検討は進めてまいりたいと考えております。
#30
○佐藤(恒)委員 次に、土地税制の問題に関しまして若干お尋ねをしたいと思います。
 これもまた恐縮でありますが、総理の演説の中では、土地税制を総合的に見直して平成二年度中に、こういうことで成案を得たいというふうに述べておりますし、また大蔵大臣も、土地の税制は土地に対する負担の適正化、土地政策の推進の見地から総合的見直しに取り組む、こう述べておられるわけでございます。
 今般、特別措置法の土地に関する部分の改正がいわゆる日切れということで出されておるわけでありますけれども、総理あるいは大臣の言われるこの総合的見直しとかあるいはまた年度内の成案というような関係からまいりますと、それまで待ちなさいということにも聞こえるわけでありますが、今般、いわば現状追認の期限の延長とか、そういう程度にとどまっているわけでありますが、それら今後の、つまり総合的な見直し、あるいはまた年度内成案という点からいってこの程度にとどまったことについて、見解を伺いたいと思います。
#31
○橋本国務大臣 確かに私どもは、今この四月からも始めていただこうと考えております税制調査会の小委員会において、土地税制というものについて総合的な見直しをお願いをするつもりであります。
 そして、その視点として一つありますのは、地価高騰の結果、土地を持つ方と持たない方の間にいわば非常に大きな資産格差が生じている。そして、その資産格差というものに対して課税の適正化を求める声が国民の中にある。この声にどうこたえるかという視点からの検討が一点。もう一点は、非常に素朴な言い方になりますけれども、とにかく大都市において、一生懸命にまじめに働いていればいつかは自分で家が買えるんだという夢を国民に持っていただけるようにする、その土地政策全体の中で税がいかに役割を果たすべきかという視点からの検討。この二つの視点からの検討を私どもはぜひお願いを申し上げたいと思っております。
#32
○佐藤(恒)委員 資産格差の拡大の是正ということとか、一般サラリーマンでも家を買えるような土地政策を実現する税制、こういったことを言っておられるのでありますけれども、サラリーマンでも家が買えるような土地政策を実現する税制というものについて、もう少しイメージの浮かぶようにひとつ御説明をいただきたいと思います。
#33
○橋本国務大臣 どう申し上げたらいいのかわかりませんけれども、私は、土地というものについて、あるいは土地政策というものについて、私どもの役所が主管をいたします金融の面、また税制の面、これはいずれも主役ではあり得ない、非常に大きな働きをする役割ではあるけれども、これはいずれもわき役であって、いかにして宅地を供給し住宅を供給するかというその視点からは、主役ではあり得ない存在だと考えております。それだけに、その重要な役割を果たすわき役としてこれから先、例えば総理の述べておられる首都圏における百万戸の住宅建設というものに対し、いかに宅地を生み出すか、あるいはそこに住宅を建てていくかということについては、これはわき役でありまして、その目標を達成するためにどういう税制が一番望ましいかということを考えていきたい、そうした主役を助ける役割としていかなる役割が果たし得るかを検討してみたい、私はそう申し上げておるわけであります。
#34
○佐藤(恒)委員 土地の、例えば未利用地の放出をさせるための保有税とか、あるいはまた投機抑制策としての超短課税の問題等々いろいろありますけれども、今回提案をされております長短の区分の五年未満、五年以上という問題について本則に戻したらどうかという見解もありますが、この辺について、投機を抑制するという立場から本則に戻すことについてどのようなお考えを持っているか、お尋ねをしておきたい。
#35
○橋本国務大臣 これにはいろいろな御議論があるいはあるのかもしれません。しかし、仮にその五年を十年と延長いたしました場合に、今度は供給の方にブレーキがかかってしまうのではないか、そういう懸念も私にはございます。
#36
○佐藤(恒)委員 住宅政策というか地価対策というか、さまざまな角度から政策を検討しなければいけない、こう実は思うのでありますが、地価の問題の一つに金融の問題があろうかと思います。
 お金を借りて安い方に投資をしておいて、いろいろ税制対策も行うなどということもあろうし、不動産金融についてはさまざまな問題が提起をされておるわけでありますが、既に八九年度で銀行の不動産業向けの融資はもう四十兆円を突破しているというようなこともございまして、金融の果たす役割についていろいろと問題が提起をされております。大蔵省も既に何回かの通達を出して、融資の自粛とかいろいろ指導をしておられるようでありますけれども、一向に成果が上がらないということから、最近の報道では、土地融資の実態などを踏まえて、ノンバンクを含めた土地融資についてもう一段きめの細かい行政的な詰めを行う必要があるというような大蔵省の見解も報道されておるわけでありますが、こういうことを考えてまいりますと、現在四十兆を超すという統計がございますけれども、これは銀行だけの統計ではないか。その他の企業等の不動産向けの融資等々を含めて、一体不動産向けの金融の実態というのはどうなっているのかということについて、資料があればお示しをいただきたい。
#37
○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりました資料につきましては、事務当局の方から後ほど御説明をさせたいと思いますが、本日、私は金融機関に対しまして土地関連融資の抑制について新たに通達を発出することにいたし、先刻それを公表いたしました。
 その通達では、金融機関の土地関連融資につきまして、最近の地価動向にかんがみて、金融機関の融資全体に対して均衡のとれた水準にすることが望ましい、そういう基本的な考え方を示しますと同時に、当面、不動産業向けの貸し出しにつきましては、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制するよう、金融機関に対して求めることにいたしたわけであります。
 大蔵省として、各金融機関におきまして今回の措置の趣旨を十分に認識していただき、土地関連融資の適正化に努めるように引き続いて厳正な指導を行っていく所存でありまして、これにつきましても関係の事務方の方から報告をさせたいと思います。
#38
○土田政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいま御質問の、まず事実関係でございますが、この不動産関連融資の総額その他はどうやってわかるかという問題でございます。
 その点につきましては、非常にデータが限られておりますし、それから例えば製造業なり流通業なり一般の業種に貸し出される融資でありまして、その実態が土地取得などに向けられておるものもあろうとは思いますけれども、それを個別に把握するようなことはいたしておりません。ただ、この不動産業向けの貸し出しとか建設業向けの貸し出し、それからさらにノンバンクと申しますか、貸金業者に向かう貸し出し、その中の相当の部分は土地取得ないし土地関連融資の実態を備えておるものと私どもは推定をしておるわけでございます。
 そこで、この不動産関連融資の中の第一の不動産業向けでございますが、これは先生御指摘のとおり、四十兆円を超える全国銀行の融資残高がございまして、平成元年十二月末の不動産業向けの融資残高は四十六兆九千億円でございます。それからさらに、建設業向けの貸し出しの計数も全体としては判明しておるわけでございますが、これは平成元年十二月末で約二十兆円でございます。そのほかにノンバンク向けの融資の残高というのは、必ずしも正確な定義があるわけではなく、厳密な数字をとれておる自信はないのでございますが、実は今度、不動産業、建設業それからノンバンク向け、この三業種につきましては、当面、融資の実行状況を報告するように通達を発することとしております。この三業種に対する融資は、全国銀行の融資全体の約三割に達するものというふうに推定をしておるわけでございます。
#39
○佐藤(恒)委員 最後にお尋ねをしたいと思いますが、これも報道の域を出ないわけでありますが、建設省は大都市地域の住宅難解消策として、今国会に都市計画法改正法案など、いわゆる住宅宅地供給に関する関連法案を出したいということが報道されております。その中では、既に大蔵省との協議も進んでいるような報道になっているわけでありますが、政策推進に当たりましては、さまざまな金融、税制の対応策があろうかと思います。検討中ということでありましょうからそう具体的には述べられないのだろうと思いますが、予想されます関連三法案ということに関連して、税制上一体どういうようなかかわり合いのある検討になっていくのか、そのあたり輪郭があればお示しをいただきたいと思います。
#40
○清水説明員 お答えを申し上げます。
 委員今お話のございましたとおり、建設省といたしましては、大都市地域におきます住宅宅地の供給の促進を図るという観点から、都市計画法あるいはいわゆる大都市法等の一部改正の作業を進めておるところでございまして、今国会にもその法案を提案いたしたい、このように考えておるところでございます。これにあわせまして、大都市地域において住宅宅地の供給の促進を図るという観点からもぜひ税制面でのお願いをしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 特に土地税制につきましては、委員御案内のとおり、総合土地対策要綱等におきまして、工場跡地等の低・未利用地につきましては、その有効利用を図るために特別土地保有税の見直しをする、あるいは大都市地域の市街化区域内農地につきましては、生産緑地地区等を活用いたしまして保全すべき農地を都市計画上位置づけ、その他の宅地化すべき農地につきましては、いわゆる長期営農継続農地認定制度であるとか、あるいは相続税の納税猶予制度を見直すという方向が示されておるわけでございます。聞くところによりますと、この四月からも税制調査会での検討が開始されるというように聞き及んでおりますが、私どもといたしましては、この検討結果に期待をさせていただいておるところでございます。
#41
○佐藤(恒)委員 国民のそれぞれ抱えている課題を解決していく、とりわけこの土地問題につきましてはいろいろと国民の強い期待もありますので、ひとつ不公平税制を是正するという大眼目を達成すると同時に、資産の格差の解消ということに向けて税制改革については特段の検討をされるように要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#42
○衛藤委員長 細谷治通君。
#43
○細谷委員 社会党・護憲共同の細谷でございます。
 総理を目指されております大蔵大臣に対しまして新人議員として委員会で質問させていただく初舞台でございますけれども、経験できることを大変光栄に思っております。
 私どもは、自民党政治にかわり得る政権を目指そう、政権を担うに足る社会党をつくろうという熱い思いで当選を果たしてまいりました。そのためにも――そうです、何でも反対ではだめだということで、常に対案を対置させまして徹底的な討議が必要だというふうに考えております。そういう中から国民的な合意を目指していくことが大切じゃないかと思う次第でございます。そうした基本的姿勢を表明いたしました上で、以下の質疑に入ってまいりたいと思います。どうぞ、木で鼻をくくったような官僚答弁ではなくて、だめなものはだめで結構でございますから、価値ある提案であればぜひ御一考を、誠意ある御回答を賜りたいというふうに思います。少なくとも新人議員であります私どもに二度と質問に立ちたくないという気持ちは起こさせないように、ぜひ御配慮を賜りたいというふうに思います。佐藤議員から総括的な御質問がございましたので、私からは法案の中身について具体的に少しく御質問させていただきたいと思います。
 まず所得税法関連で申し上げますけれども、公的年金等控除の引き上げの問題であります。もちろん、私どもこれについて、今回の改正というものが一連の年金給付水準の改善に伴ういわば緩和措置という観点で実施されると聞いておりますので、そのこと自体に反対をするつもりはないわけでございますけれども、それに関しまして若干御質問させていただきたいと思います。
 まず第一に、六十五歳以上で二十万円のかさ上げで三百二十一万八千円、六十五歳未満で十万円のかさ上げで二百万九千円ということでございますけれども、今回の改正をいたすことによって一体どのぐらいの人たちがこの恩恵を受けることができるのか、これについてもしわかるようであればお教えいただきたいと思います。
 なおあわせて、現在の制度で、六十五歳以上のに限ってで結構でございますから、年金受給者のうち何%ぐらいに相当する人がこの課税最低限の適用を受けて非課税になっておるのか、その辺こについて承りたいと思います。
#44
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 今回の公的年金等控除額の引き上げでございますけれども、これによります減収額が初年度四百億円、平年度三百四十億円というように見込まれているわけでございます。この見込み額の前提といたしました公的年金等受給者に係る納税者の数でございますが、約二百万人強と見込んでおります。これは、例えば障害者年金のようにもともと非課税となるものがございますが、それを除きました公的年金等受給者の総数が約二千万人程度でございますから、課税になる方が一割程度。したがいまして、約千八百万人ほどの人がいろいろの措置によりまして非課税となっているということでございます。
#45
○細谷委員 厚生年金の受給者で、平均的なモデルで申しますと、大体年金受給額は約二百万ぐらいというふうに承知しておりますけれども、そういうことで考えますと、減税の恩典を受ける人というのは極めて限られた少数の高額年金の受給者ということになるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょう。
#46
○橋本国務大臣 そういう言い方をされれば、確かにそういうふうな言い方もできないことはないと思います。しかし、要するにできるだけ年金受給者の方々の課税対象者を減らすという意味合いからこの問題を見ていただければ、それだけ非課税の方々がふえた、年金生活者に対しての配慮が進んだということではないか、私はそう思います。
#47
○細谷委員 先ほどちょっと数字のお示しがありましたけれども、大体一〇%ぐらいの人たちがこの適用対象になるだろうという話がありました。一〇%ということでございまして、私どもの受けとめ方といたしましては、大変少数に限定されているというふうに認識をするわけであります。
 そこで、年金生活者に対する真の支援といいましょうかサポートというのは、むしろ私は、課税最低限の引き上げという措置ではなくて、そもそも年金水準そのものの引き上げというものが必要ではないかというふうに考えておるわけであります。年金給付水準の引き上げについて、厚生省で結構でございますけれども、今後どういうふうにお考えになっているのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
#48
○松本説明員 お答えを申し上げます。
 年金給付水準の引き上げに関しての御質問でございますけれども、まず全国民共通の基礎年金について申し上げますと、老後生活の基礎的な部分を保障する、こういう考え方に立ちましてその年金給付水準を設定しているところでございます。また、民間のサラリーマンの方々が加入いたします厚生年金について申し上げますと、これは標準的な年金の場合でございますけれども、現役男子の平均賃金の七〇%弱、約七割、これが現在の給付水準でございます。昨年の秋の臨時国会で年金改正法案を成立させていただいたわけでございますけれども、その際におきましても、この年金の給付水準を今後維持していくという、そういう基本的な考え方に立ちまして年金額の具体的な引き上げを図ったわけでございます。
 もう少し具体的に申しますと、先ほどの基礎年金で申しますと、前回改正時は五十九年度価格で設定しているわけでございますが、月額五万円という額でございました。その後の基礎的消費支出の増大等に即しまして月額五万五千五百円に引き上げる、また厚生年金の方につきましても、前回改正時以降の賃金上昇あるいは国民生活水準の向上に見合いまして、制度成熟時のケースで申し上げますと、前回五十九年度価格で月額十七万六千二百円、これを十九万七千四百円、こういうことでかなり大幅な引き上げを図ったというところでございます。
 しかも、その引き上げの時期でございますけれども、私ども政府提案では元年の十月から引き上げを行うということで御提案を申し上げたわけでございますが、国会の先生方の修正によりまして、平成元年四月にさかのぼって年金の大幅引き上げを実施するということになったわけでございますし、さらにその昨年の年金改正の中で、完全自動物価スライド制というものが導入されたわけでございます。その完全自動物価スライド制の導入によりまして、今申し上げました年金額が自動的に本年四月から、平成元年の物価上昇率二・三%に対応いたしましてさらに二・三%押しなべて引き上げが行われる、こういう仕掛けになったわけでございます。
 こういうようなことでございまして、年金の給付水準については、少なくとも五年ごとに回ってまいります年金の財政再計算の際に設定をしていくわけでございますが、私どもといたしましては、現在の年金給付水準というのが適当ではないかと考えております。そして、御指摘のような意味でさらに引き上げをしていくということになりますと、今後の高齢化社会に向けての現役の被保険者の方々の保険料負担との兼ね合い、バランスというようなものを考えていかなければならないわけでございまして、なかなか困難なことではなかろうかと考えているところでございます。
#49
○細谷委員 要するに私どもが言っているのは、現行水準の維持ということじゃなくて、年金生活者のことを考えるとするならば、この水準そのものを引き上げていくことを考えなければ、幾ら課税最低限を引き上げたからといって真の意味での救済にはならないということを申し上げているわけであります。
 時間がありませんから先へ行きますけれども、ところで大臣、六十五歳以上で三百二十一万八千円、六十五歳未満で二百万九千円で、百二十万ぐらいの格差があるわけであります。御承知のように、現在まだ六十歳定年制というのは、かなり定着してまいりましたけれども、全企業でやっているわけではありません。さらに言えば、六十歳を過ぎた六十五歳までの高齢者の雇用環境というのは大変厳しいわけでありまして、いろいろと政府で努力されておりますことはわかりますけれども、これは余りにも格差があり過ぎるのじゃないかと考えます。この辺について、この理由、そしてもしそうお考えになるならば改善する意図があるかどうか、お尋ねしたいと思います。
#50
○橋本国務大臣 これは本来なら厚生大臣から、年金受給開始後労働可能年齢と申しましょうか、雇用対象年齢と申しましょうか、その時期における実質的な給与との見合いの数字等で御説明をすることが筋だと思います。しかし、実態としては、私はそのバランスがそう大きく崩れているという状況ではないと聞いております。
 それと同時に、今委員が御指摘になりました年金水準そのものの引き上げということについては、むしろ私はここで一つ委員にもお考えをいただきたいと思うことでありますが、本院でもしばしば論議をさせていただいてまいりましたけれども、今私どもが日本の社会保障の将来を考えますときに、非常に判断がし切れずに悩む部分がございます。それは何かといいますと、今我々は本当に高齢化社会に向かってばく進をしておるわけでありますけれども、その中において将来の社会保障というものについての国民的な合意というものがまだ形成されておりません。もっと正確に申し上げるならば、高齢化社会に対して我々が備えをつくっていく場合に、所得保障に中心を置いて考えていくべきなのか、医療保障に中心を置いて考えていくべきなのか、あるいは公共福祉サービスに重点を置いて考えるべきなのかという視点であります。もっと言いかえるならば、一体これから先の我が国の高齢化の進展の中で我が国の家族制度、老親との同居という関係はどう変化をするのだろうということであります。それによって所得保障に重点を置くべきなのか、まさに年金ですね、あるいは高齢者に対する医療を中心として考えるべきなのか、あるいはほどほどに両方を組み合わせるべきなのか、この判断をしなければなりません。
 さらに、高齢者がふえていけばいくほどもう一つの問題は、介護の問題を我々は考慮の対象にしなければならないわけであります。私はたまたま今、一年半以上倒れております母を抱えております。残念ながらまだ病院から自宅に戻せる状況になりませんが、母が倒れましてから家内や子供にかかる負担というものは、私が見ておりましても相当なものであります。幸いに介護の専門家をお願いするだけの所得が私にはありますから、それでもその負担に耐えておりますけれども、仮に同居世帯が今後ともに継続をしていくということを希望するならば、なおさら実は在宅介護、公共福祉サービスに我々は重点を置かなければなりません。これが一体どう変わるのだろう、そこを見きわめないと、今厚生省の事務方の方から水準というものについて現状を固定した答弁がなされたわけでありますけれども、そうした範疇から外に出られないのではなかろうか、率直に私はそういう感じを持っております。
#51
○細谷委員 時間がありませんから、次へ進みたいと思います。
 次は、同じく所得税法の関連でございますけれども、個人年金保険料の控除限度額の引き上げというのがございます。今まで五千円だったものが五万円になる、生命保険料控除と合わせると十万円になるということでございます。この個人年金保険料控除の制度の目的、趣旨、そして対象者、現行で結構でございますけれども、そしてわかれば減税額についてお示しをいただきたいと思います。
#52
○尾崎政府委員 まず、その趣旨、目的でございますけれども、この制度は昭和五十九年度の改正におきまして創設されたものでございますが、これからの高齢化社会の進展を踏まえまして、老後生活安定のための自助努力を奨励しようということ、それから老後生活に対する相互扶助の推進を図るという観点から設けられたものでございます。
 それから、今回の個人年金保険料控除による減収額は、初年度、平年度とも四百億円と見込んでおります。それからもう一つ、控除対象者数でございますが、大体七百五十万人程度と見込んでおります。
#53
○細谷委員 大臣、これは税額控除でありませんから所得控除という形になるわけでおりますので、高額所得者ほど税率の関係で減税額が大きくなっていくことになります。例えば最高税率の適用を受ける人は、限度額が五万円でございますから五〇%で二万五千円の減税になります。最低税率の一〇%の人は、五万円掛ける一〇%、五千円。二万円の差があるということになるわけであります。所得の多い人ほど、負担力のある人ほど減税額が大きくなる、そして負担力の少ない、所得の少ない人ほど条件が厳しくなる、これは私は不公平税制だと思うのですけれども、どういうふうにお考えになりますか。
#54
○尾崎政府委員 生命保険料控除のようなものを設けておりますのは、例えば万が一の不幸の際とか、あるいは老後生活の安定でございますとか、そういうことに備えまして、みずから保険に加入するという備えをした方がいいのではないか、それを誘引しようという、そういう政策税制でございます。したがいまして、所得に対する配慮というよりかは、そのようなことに対する誘引の税制でございますので、所得控除方式、支払った保険料が所得控除の対象になるということが納税者にとって非常にわかりやすいものでございますので、所得控除という方式をとっている次第でございます。
 ただ、所得控除の場合に、確かに控除になった分はその納税者の方の上積み税率のところで恩典が及ぶということがございますから、そういう特質はあるわけでございますけれども、この政策税制の目的に照らしまして所得控除の方がよろしいというように考えているわけでございます。
#55
○細谷委員 わかりやすいという意味ではそうかもわかりませんけれども、老後の生活ということを考えれば、所得の多い人であろうと所得の少ない人であろうと同じように不安を持っているわけであります。それを現在の所得で減税額が違うということは、私どもは明らかに不公平税制だと指摘せざるを得ないと思います。
 そこで、一部には、この制度は生命保険会社に対する優遇措置だという批判が巷間あるのです。いわば生保の個人年金契約を促進するためのセールス税制じゃないかという批判も実はあります。この辺についてどういうふうにお考えになっているか、所見を伺いたいと思います。
#56
○橋本国務大臣 今局長から御答弁申し上げましたように、まさに万が一の不幸あるいは老後生活の安定等に備えるためにみずから努力していただくという意味での政策税制であり、誘引的な控除という言葉を局長が使いました。私は、それはそのとおりのことであり、それの事実が間違っておるとは思いません。
 ただ、同時に、先ほど委員がお述べになりましたような視点もあり得るわけですし、家計上の余裕のある方ほどこれは多額に行い得る性格のものであること、と同時に、例えば中途解約によって元利金を受け取る場合には、結果的に見て一般的な貯蓄と同じような性格であるというような指摘もできるかもしれません。そうしたことも考えてみながら、これから先まだ私どもとしては、この制度については適切なあり方などについて検討をしていくつもりはございます。
#57
○細谷委員 私は、制度そのものについて今後検討すべきだと思うのですけれども、仮にこの制度を残すとすれば、やはり所得制限をつけるようなことも考えていかなければならないのじゃないか、そうしなければ不公平税制という批判を免れることはできないのじゃないかということを指摘しておきたいと思います。そして、これと同じような趣旨で言えば、生命保険料控除についても言えるわけでありまして、この生命保険料控除、先ほどと同じような意味でどのぐらいの適用対象者があって、どのぐらいの減税額になっておるのか、お答えいただきたいと思います。
#58
○尾崎政府委員 減収額で二千二百九十億円、控除対象者数で三千八百万人程度と見込んでおります。
#59
○細谷委員 この方式も先ほど言いました個人年金保険料の控除と同じような所得控除の形になっているわけであります。性格的には同じであります。私は、やはりこれについても不公平税制で、節税対策に使われているという批判も賜っております。生保優遇という批判もないわけではありません。私はそういう意味において、個人年金保険料の控除、そして生命保険料控除その他について先ほど大臣ちょっと触れられましたけれども、思い切って抜本的に、総合的に一度土俵にのせて議論をするということがあってしかるべきじゃないかというふうに思っているのです。その辺について再度見解を承りたいと思います。
#60
○橋本国務大臣 私は御論議をいただくことがいかぬとは決して思いません。ただ同時に、みずからの健康に対する備えあるいはみずからの老後に対する備え、これが個人の意思で行われるものであり、それに対する誘引的な性格を持つこの種の税制において不公平税制という御指摘は、私はちょっと承服をしかねます。しかし、今私自身が申し上げましたような視点があることも私は否定をいたしませんから、論議は幾ら行われても、私は決して異論はありません。
#61
○細谷委員 みずからの意思でやることに対しての誘引的な措置、それはわかります。しかしながら、それが現在の所得によって、それがまさに掛金に反映するでありましょうから、そういう意味において所得によって差があるということが不公平だと申しているわけであります。
 次に、芸術賞金に対する非課税の問題というのが、今回の所得税法の改正案の中に入っております。現在御承知のように、学術に関する顕著な功績があるものについて賞金が出、それに対し非課税になっているということでありますけれども、これに今度芸術を加えるということであります。学術に関して非課税となっている例はたくさんあるでありましょうけれども、今回芸術というものを加える。一体芸術であるかないかの判断基準、そしてだれがこれを判断していくのか、その辺についてちょっと承りたいと思います。
#62
○尾崎政府委員 芸術賞金のうち非課税とするものは、具体的には次のような基準に該当するもので、国、地方公共団体または大蔵大臣が指定する団体から給付されるものを予定しているわけでございます。その基準でございますが、受賞者は全日本または全世界を対象として選考されるものであること。それから、受賞者は長年にわたり芸術の水準向上に関する顕著な業績を上げた者であって、その金品が特定の作品の対価といった色彩を有するものではないこと。それから、芸術分野の専門家を含む委員から成る適切な選考を確保するための委員会を設けまして、そこで受賞者を選考するものであること。四番目には、その賞金の名称は特定の営利企業や特定の商品等の名称を使用するものではないこと。このような基準を設けている次第でございます。
#63
○細谷委員 何でこんなことをやる気になったのか、どういう圧力があったのか知りたいわけでありますけれども、それは時間がございませんから結構でございます。
 一体、芸術か否かの判断の裁量が大変広くなってくるわけであります。恣意的になるおそれが多分にあると私は考えます。特に最近は、何でも芸術、芸術ということで芸術ばやりでありますし、芸術と名のつく賞ないし賞金はいっぱいあるわけでありますから、このチェックをどうやってしていくかということについて、私は大変疑念を抱くわけであります。特に、現在の社会情勢に照らしてみますと、企業や私的団体の商業主義に利用されるおそれがあるのではないかというふうに心配もいたします。大蔵大臣や運輸大臣のところにも大変陳情その他来るのではないかと思います。この制度の厳格な運用について、大臣としての見解ないし決意を聞かせていただきたいと思います。
#64
○橋本国務大臣 私は、よほど非芸術的な顔をしていると見えまして、残念ながらそういう陳情は一件もございません。
 ただ、これはむしろ学術賞金の方の現実の例をお考えいただければ、私は、今委員が述べられたような恣意的なものにはならないと思います。例えば学術賞金の例で挙げますならば、日本学術振興会からの国際生物学賞として交付される金品でありますとか、あるいは財団法人国際科学技術財団から日本国際賞として交付される金品でありますとか、あるいは財団法人日本農業研究所から日本農業研究所賞として交付される金品でありますとか、またあるいは今委員がおっしゃいかけたようなところに多少疑念を持たれるのかもしれませんけれども、財団法人稲盛財団からの京都賞として交付をされているケース、こうしたものはいずれも非常に厳重に審査を受け、しかも賞そのものが国際的にもあるいは国内において高い評価を受けておるものばかりでありますから、私は、今委員が述べられましたような恣意的方向に走ることはない、そのように考えております。
#65
○細谷委員 企業が別の法人をつくって、財団をつくって、そこにいわば芸術なり文化的な粉飾を凝らして、そこから賞が出るという形が考えられるのじゃないか。そういう意味において、今後この制度を運用されるに当たって厳格な運用をしていただくことをお願いしておきたいと思います。
 それから、話はちょっと小さくなりますけれども、これは後で租税特別措置関連でお尋ねするのが筋かと思いますが、言い出しましたのでお尋ねいたします。
 電線類の地中化設備の特別償却の問題があるわけでありまして、俗にキャブシステムと言っておりますけれども、特別償却の制度について、償却割合を今回下げる、百分の十五を百分の十四にする、そして期限を延ばすというのがあります。建設省にお伺いいたしますけれども、この電線類の地中化設備、いわゆるキャブシステムは都市の美観形成、そして緑化推進、防災、市民には大変歓迎されている、好感をもって迎えられている施策であります。私は、積極的に今後とも推進していかなければならぬし、特に欧米の都市と比較しておくれておるわけでありますから、日本のそうした現状にかんがみ、強力に推進体制をとらなければいかぬと思っております。事実、最近各自治体におきましてはキャブシステムの推進はかなり進められておるわけでありますけれども、建設省として今後都市部におけるこのキャブシステムの推進についてどういうふうにお考えになっているか、方針をお伺いしたいと思います。
#66
○松延説明員 電線類の地中化によりまして、安全で快適な通行空間の確保あるいは都市災害の防止あるいは都市景観の向上、こういったものを図るためにキャブシステムの整備を進めているところでございます。
 電線類の地中化につきましては、道路管理者、電線管理者から成る各地方に電線類地中化協議会というのをつくりまして、ここで実は五カ年計画、これは六十一年度から平成二年度でございますが、これを策定しまして計画的に整備をしているところでございます。平成二年度までに約千キロの地中化を行う計画になっております。それで、電線類の地中化を促進する観点から、電線管理者の地中化費用の軽減を図る、こういう目的で昭和六十一年度から税制の優遇措置を講じているところでございます。先生御指摘のように、今回租税特別措置法の改正におきまして、電線類の地中化に伴う特別償却率が従来の一五%から一四%に改正することになっておりますが、キャブシステムの整備への支障はほとんどないと考えております。
 なお、電線類の地中化につきましては、地域の方々から非常に高い評価を得ておりますし、まだまだその水準は欧米に比べまして非常に低いところでございますし、地域からもまだまだ要望がたくさん出ております。今後とも電線類の地中化を私どもとしては積極的に進めていきたいと考えております。
#67
○細谷委員 積極的に進めていくという決意表明をいただきましたけれども、その割には税制面で制度の逆行と思われるような、そういう今回改正でなく改悪が行われると私たちは指摘せざるを得ないのであります。今後ともキャブシステムの一層の促進のために、特別償却制度の拡充はもちろんでありますけれども、国道以外の部分について国の助成措置の導入等について一層強化をしていただくことを要望いたしておきたいと思います。
 それから次に入りますが、租税特別措置法の改正問題であります。
 先ほど来指摘がございましたように、租税特別措置の目的というのは、その時代時代なりの産業政策とか社会政策なり一定の政策目的達成のために必要だということで設けられているものであります。海部首相みずから、三月二十二日の本会議の答弁の中でいみじくも、あえて課税の公平を犠牲にしても政策目的を達成するために措置するもの、そういうふうに認められております。だとすれば、政策目的を達成しなかったり、不公平を助長するものであったりしてはならぬわけでありますから、絶えず見直しを行うことが不可欠であると思います。まして大企業優遇という、そして不公平税制という国民の批判があるわけでありますから、これに謙虚に耳を傾けて改廃の絶えざる努力をしていく必要があると思うわけであります。また、税制の簡素化という観点からも必要であります。そしてまた国際的な非難、批判というのもあるんじゃないかと思うのです。産業に対する国の介入、保護という観点からの批判もあるんじゃないかと思います。そして、こうした優遇税制を通して官と民の癒着の温床になりかねないという要素もあるわけでありますから、なおさらのこと改廃努力というものが必要になろうと思っております。
 そこで、具体的にこういう観点に立って御質問さしていただきたいと思いますが、先ほど廃止四件、政省令の改正を含めて縮減十七件、新設五件、その結果残る項目は八十二件と私は理解しておりますけれども、この数字でよろしゅうございましょうか。
#68
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど私、廃止五件と申し上げました。今先生から廃止四件というお話がございましたが、実は過疎法の関係がございまして、これは議員立法絡みでございますので、その数え方が場合によって変わっているわけでございます。そういう問題点があることを申し述べまして、数字は先生のおっしゃったとおりでございます。
#69
○細谷委員 新設が五件ということで承っておりますけれども、簡単に内容とその目的について御説明願いたいと思います。
#70
○尾崎政府委員 五項目の新設の企業関係租税特別措置でございますが、まず第一に、エネルギー環境変化対応投資促進税制というものがございます。これは、経済社会エネルギー基盤投資促進税制というのがございましたが、それを廃止いたしまして、かわりに最近の環境問題等も加味いたしまして新たに設けたものでございます。その内容は、エネルギーの需給構造の安定化、地球環境問題への対応を図る等の見地から創設したものでありまして、エネルギー利用効率化設備等につきまして三〇%の特別償却または七%の税額控除を認めるものでございます。
 第二に、製品輸入促進税制でございますが、これは対外不均衡の問題に対応するために、製造業者等に対しましては税額控除または割り増し償却を認める、それから卸、小売業者に対しましては準備金の積み立てを認めるという措置でございます。これはそのように内容が分かれておりますので、先ほどの特別措置の数といたしましては二つに数えております。
 それから三番目に、電波有効利用設備の特別償却というのがございまして、これは周波数の有効利用を図りますために、電波有効利用設備につきまして三〇%の特別償却を認めるものでございます。
 四番目に、原子力発電施設解体準備金でございますが、これは原子力発電施設の解体に要する費用は、原子力発電施設を使用したとき、つまり発電をしたときの収益から積み立てておくことが費用収益対応の観点から合理的であるという考えに立ちまして、解体費用の見積額と発電量を基礎といたしまして一定の準備金の積み立てを認めるものでございます。
 以上でございます。
#71
○細谷委員 今回の廃止、縮減での税収増は一体どのくらいと見積もっておられるのか、そして今回の新設に伴う減税額、先ほど五件ですか四件ですかおっしゃいましたけれども、減税額が幾らになるか、お示しいただきたいと思います。
#72
○尾崎政府委員 まず、整理合理化によります増収額でございますが、平年度千百六十億円、初年度八百八十億円でございます。それから、今回の企業関係の租税特別措置の創設によります減収額でございますが、平年度千七百七十億円、初年度で千四百億円と見込んでおります。
#73
○細谷委員 縮減、廃止に伴う税収増千百六十億、そして今回の新設に伴うもの千七百七十億ということでございます。こういう数字を認識された上で、過去の新設、廃止の年度別の傾向というものがどうなっているのか、それから年度別の推移について政府としての廃止、縮減に対する努力、そういうものをどういうふうに認識されておるのか、御見解を承りたいと思います。
#74
○尾崎政府委員 先ほども申し上げましたが、企業関係の租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以降連年にわたりまして厳しい整理合理化を行ってまいりました。先ほども申し上げた数字でございますが、昭和五十一年度当時企業関係租税特別措置によります減収額の法人税収に対する割合が五・一%でございましたが、平成二年度では二・九%ということになっているわけでございます。このように私ども努力を続けてまいったところでございますが、今後とも適切な見直しを続けてまいりたいと存じます。
 それで数字でございますが、企業関係租税特別措置によります減収額を申し上げたいと存じますけれども、これは実は交際費分というのがございまして、それを足しますとプラスになってしまいますので、交際費を除いたところで申し上げます。昭和六十一年度で四千六十億円、六十二年度四千五百五十億円、六十三年度四千五百七十億円、平成元年度で五千七十億円、平成二年度で五千六百四十億円ということになっております。その規模は膨らんできているわけでございますが、これは経済そのものが大きくなってきている影響もあろうかと存じます。
 企業関係特別措置の整理合理化状況、これを先ほど来話題になっております本数で申し上げますと、平成二年度は改正前が八十一項目、それに対しまして、先ほどお話にございましたように廃止五、縮減十七、創設、教え方によりますが、仮にこれを六と数えますと、純増減といたしましては一ふえたことになりまして八十二ということになるわけでございますが、平成元年度は八十一、それから昭和六十三年度も八十一、昭和六十二年度におきましては同じく八十一、昭和六十一年度は七十七でございましたので、六十二年度に四つふえているわけでございます。これをさらにさかのぼってみますと、例えば昭和五十年度は九十八項目でございましたし、五十一年度は九十三項目でございました。それを縮減の努力を続けてまいった次第でございます。
#75
○細谷委員 私どもの持っております資料では、なるほど五十年対比ということでおっしゃればかなりその率は減少してきているわけでありますけれども、しかし五十七年、まさに行財政改革が叫ばれ出した状況から見ますと若干微増の状況も出てきているわけでありますから、一層この縮減努力を積み重ねていただきたいというふうに要望をする次第であります。
 ところで、この租税特別措置の問題につきまして、日米貿易摩擦の中、構造協議の中とか、いろいろの場面においてアメリカ側から指摘がなされているんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺についてもしございましたら御説明いただけたらと思います。
#76
○尾崎政府委員 日米構造協議におきまして、中間的評価の取りまとめに向けまして、日米双方で今構造問題に関しまして種々のアイデアを示し、鋭意検討しているところでございますが、その中の論点として税制の問題も含まれていることは事実でございます。もっとも、そうは申しましても、この協議は対外不均衡是正に向けての経済政策協調努力を補完するということで行われておりますので、租税特別措置のあり方というような税制についてのそもそも論につきましては、議論がなされているということはございません。
#77
○細谷委員 最後に、先ほども言いましたけれども、海部総理が本会議の席上で、課税の公平をあえて犠牲にしても政策目的を達成するために措置していくのだ、まさに特別なものであるということをお認めになっているわけでありますから、今後とも不断の見直しの努力をしていただきたいと思います。それで、我々といたしましても、租税特別措置の中の各項目についての個々具体的な勉強をして、積極的な提言というものもいたしてまいりたいというふうに思っております。その節にはぜひ誠意を持って協議に当っていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。
 そこで、次は輸入促進税制の関連でございます。
 御承知のように、日本の貿易黒字解消努力も着実に効果が出てきているということは申すまでもありません。経常黒字が一九八六年の時点で対GNP比四・二%をピークにいたしまして急速に減少傾向を示しているのは、御承知のとおりであります。去年の十月から十二月期で見ますと、これが対GNP比一・三というところまで来ているわけであります。しかも、この減少傾向というのは、八九年度の後半以降特に顕著になってきているということであります。いろいろの要因が指摘されておりますけれども、この指摘される削減要因というのは、いずれも一時的、一過性のものではなくて、かなり構造的、そういう意味においては継続的な要因だというふうに分析もされているところであります。もし持続的、構造的要因だ、黒字が減っていく要因がそういうことだとするならば、私は、あえてこの小手先とも言える、そして効果が一体どれだけ期待できるかわからない輸入促進税制なる特別措置をここで導入するその必要性、必然性については、大変乏しいのではないかというふうに考えております。
 ある外国人の著書によれば、五年後、一九九五年時点で、日本の経常黒字は赤字に転落するのではないかという見方もあるぐらいであります。そういう意味においては本来の輸入の促進策というのは、例えば内需の拡大、土地政策の問題でありますとか公共投資の問題、市場のアクセス改善、そして各種の規制緩和など、まさに構造的な調整策というのが強力に推進されなければならないと私は考えます。これらのいわば努力が主体であるべきであって、税制で輸入促進を図るというものは、私は本筋ではない。あえて言えば、小手先であると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。こういうことで一体対米交渉の中でアメリカから本当に真の評価を受けるのであろうかどうかということについて、大変疑問にも思うわけであります。
 さて、そういう観点に立ってお伺いをしたいと思います。
 この制度を導入する効果として初年度六百五十億、平年度八百七十億という大変巨額の減税額が試算されておるわけでありますけれども、当然、こういうふうに減税額が出てくるということは、ある程度適用業種といいましょうか、減税の恩典を受ける業種というものが示されるのではないかというふうに思うのです。積算の根拠として当然あるのではないかというふうに思います。我が党の白。富塚委員から三月二十二日の本会議で、業種別、資本金ランク別の減税額を示しなさい、効果を示しなさいという指摘がありましたけれども、この点についてどうお考えになっておりますか、お伺いしたいと思います。
#78
○橋本国務大臣 数字につきましては、事務方から答弁いたさせます。
 ただ、今委員の御指摘を伺いながら私は、逆にかつて私がサラリーマン時代であったときのことを思い返して本当に今昔の感に打たれておりましたが、そのころにはむしろ輸出促進税制であり、我々はその輸出によっていかにして原材料の割り当てを受けるかに対して非常に苦しい思いをした時代でありました。そして、そういう制度というものが効果を発揮するものであることは、私は十分に当時記憶いたしております。
 今私は、輸入促進税制というものがこれだけで、例えば日米間の貿易不均衡を是正する、それほど大きな役割を果たすと期待するわけではありませんが、少なくとも一方で構造調整が叫ばれ、日米間において論議が進められている中におきまして、製品輸入促進税制というものは有形、無形に役に立つものであると私は評価いたしております。
#79
○尾崎政府委員 業種別にというお話でございましたが、卸、小売業者について積み立てを認めます、輸入製品国内市場開拓準備金と呼んでおりますけれども、その措置といたしまして、減収額は平年度百七十億円と見込んでおります。製造業者について適用を認めます税額控除、それから割り増し償却の選択適用につきましては、減収額七百億円というように見込んでおります。いずれも平年度の数字でございます。
#80
○細谷委員 卸、小売と、それから製造業という範疇ではお示しいただいたわけでありますけれども、もっと細かく業種別に示していただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょう。
#81
○尾崎政府委員 減収額の計算に当たりましては、卸、小売それから製造業というように分けまして、マクロで推算をいたしております。
#82
○細谷委員 どうも数字はないようでありますけれども、次に移ります。
 製造業で、例えば製品ベースで基準年度対比一〇%増というのが一つの基準になっているわけでありますけれども、実績として見てみまして、これまで一体どんな業種でそういう一〇%実績を超えるようなものがあったのかどうか、この辺にっいてもしわかるようであれば、これは通産省の関係になると思いますけれども、お示し願いたいと思います。
 それから、この一〇%という基準は一体どういう観点から設けられたのか、この辺についてもし基準を御説明いただけるならばお願いしたいと思います。
#83
○庄野説明員 お答えいたします。
 一〇%以上伸びた業種その他についての数字があるかというお問い合わせでございます。業種トータルの数字として私どもは把握しておりますので、その旨御了解いただきたいと存じますが、八九年で見てまいりますと、製品関係で円ベース二三・九%伸びております。
 ちょっと内訳を申し上げさせていただきますと、化学が一五・〇%、金属一六・三%、機械三〇・六%、事務用機械でございますと四三・三%、IC三四・三%、そういう伸びを示しております。
 以上でございます。
#84
○細谷委員 最後に、この制度が特定の業種、特定の企業に偏するということを大変心配するわけでありまして、事実、産業界の中でもこの制度の効果について疑問視する見方もあるやに伺っております。そういう意味において、これがある特定業種、企業に偏するということになるならば、まさに不公平税制というそしりを免れないのではないかというふうに私は判断いたしておるわけでありまして、この制度について大変疑問であるということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、住宅・土地税制であります。
 もう時間がなくなりましたからはしょって御質問申し上げたいと思いますけれども、土地税制について建設省にお伺いしたいと思いますが、短期、超短期の重課制度の設定の趣旨は、もちろん投機的な土地売買の抑制ということでございましょう。しかしながら、現状にかんがみまして、すなわち土地供給の緊急性が非常に叫ばれておる一方で、地価監視制度などがかなり効果をあらわしてきておるという面があるわけであります。今日時点でとらまえてみて、この超短期、短期の重課制度をもし廃止したら一体どういうふうなことになるのか、この辺についてもしお考えがあるならばお伺いいたしたいと思います。
#85
○木村(誠)説明員 お答えいたします。
 現在の超短期重課制度につきましては、先生御指摘のとおり、昭和六十二年十月に、当時の東京圏を中心といたします地価高騰に対処いたしまして、一方で宅地供給の促進を図るという観点から、いわゆる長短期の区分、長期、短期の区分、これを十年から五年にいたしました。これとあわせまして、他方、投機の抑制という観点から、この超短期重課制度を設けたわけでございます。この制度につきましては、先般の地価公示を見ましても、地価の高騰が地方にまで波及しておるという状況でございまして、私どもといたしましては、地価の問題が依然として厳しい状況というふうに認識いたしております。したがいまして、投機の抑制を図りつつ宅地供給の促進を図るという観点からは、これらの措置を少なくとも当面維持していくことが必要ではないかと考えております。
#86
○細谷委員 要するに、土地問題というのが大変重大な局面を迎えておる、発想の転換をしていかないといけないのじゃないか、そういう意味においては、現在の制度についても抜本的に見直しをすることが必要じゃないか。そういう意味においては、この短期、超短期の重課制度を一遍廃止したらどういうプラス・マイナスの影響があるのかということを判断してみるのも、一つの素材になるのではないかということで申し上げておるわけであります。
 いよいよ時間がなくなりましたので、大蔵大臣に御見解を承りたいと思います。
 土地供給ですが、特に住宅適地の供給という観点から、現在、公用地取得のための収用等の場合に特別控除額五千万円というのが設けられておりますが、大都市においてはこの五千万円というのは実態としてはほとんど意味をなさなくなってきているのじゃないか、その効用が本当になくなってきているのじゃないかと考える次第でありますけれども、この辺についての見解。それから、これは後から触れようと思っていたのですけれども、時間がなくなりましたからやめますけれども、土地取得について、自己所有で、そして居住する目的意思で購入する場合に限って、したがって大都市ですが、大都市に限って持ち家の取得促進税制みたいな、いわば税額控除制度というものを適用することは考えられないかどうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
#87
○橋本国務大臣 まず第一点は、公的な賃貸住宅の建設等を促進する観点からの収用等の特別控除額の問題でありました。
 これは一つは、土地等の譲渡所得につきましては、特別控除や買いかえ特例などの結果、土地譲渡益のかなりの部分が既に課税の対象から脱落しているという問題があること、また公共事業の用地提供の場合の譲渡でありましても、五千万円を超えるような多額の譲渡益がある場合、応分の税負担を求めて当然ではなかろうかという考え方も成り立ち得ること、こうしたことを考えますと、今の委員の御見識のような考え方というものは多少問題を生ずるのではないかと私は思います。しかし、いずれにいたしましても、土地税制につきましては、譲渡所得に対する特別控除のあり方も含めて、今後本格的な検討をお願いするテーマの大切な部分の一つであります。
 また、もう一点御指摘がありました住宅取得という視点から、宅地を取得するときに何らかの手だてが考えられないかということでありますけれども、現在、住宅についての取得促進税制をつくっておりますのは、初期負担を軽減することによりまして国民の持ち家取得を促進し、同時にその住宅建設による内需の拡大というものを目的にしているものでありますが、限られた財源の中でこうした目的のために特別措置を講じるということを考えますと、やはり住宅の取得等のために直接に必要な借入金というところに限定することが当然ではないかと私どもは思います。当然と言っては言い過ぎかもしれません、適切なことではないかと思います。同時に、例えば自己資金や借入金でマンションでありますとか土地つきの分譲住宅を取得される場合に、住宅の取得がまず借入金などによって充てられたと見て住宅取得促進税制が適用されていることにも留意をしていただきたい、そのように思います。
#88
○細谷委員 土地問題、住宅問題というのは、いわば従来の観念の延長上では解決できない、発想の転換が求められているという意味において、いろいろ御指摘を申し上げたわけであります。
 残余の問題については別の機会でまた御質問させていただくということで、これで私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#89
○衛藤委員長 午後一時から再開することとし、
この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ────◇─────
    午後一時二分開議
#90
○衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。仙谷由人君。
#91
○仙谷委員 仙谷由人でございます。今度、徳島から当選をさせていただきまして、大蔵委員会に属することになりました。
 私、十九年間弁護士の生活をやっておりました。そこで、質問に入る前にお断りを若干いたしたいと思うのですが、どうも弁護士の言葉遣いというのは、割とぞんざいといいますか、荒っぽいものでございます。横柄でございますので、大臣あるいは政府委員の皆さん方にちょっと失礼に当たることがあるかもしれませんのですが、御了承をいただきたいと思います。
 そしてもう一つ、私ども社会党の新人議員で、先生と呼ばない、呼ばせないというふうに取り決めをしております。せんだってからの御論議を聞いておりますと、大臣は委員というふうにおっしゃっておるようでございますけれども、どうも政府委員の方々が私ども若造をつかまえても先生というふうに言っておるようです。何か、なめられておるのか冷やかされておるのか、そういう気持ちになりますものですから、先生と言うのはひとつ御遠慮をいただきたいと思います。
 さて、租税特別措置法に関して質問をいたしたいわけでございますが、その前に大臣に、非常に抽象的、一般的なお話になるわけですが、日本人の、あるいは国民、企業の税に対する意識といいますか、あるいは法意識といいますか、そういうものについての御認識、御所見を伺いたいと思います。
 私の経験からいいますと、どうも国民、日本人は、税に対しては、ある種の取られるという意識、あるいは反対からいえば何とかしてごまかしたいという意識があるようでございます。そしてまた、法人、企業という形をとった場合には、ある種ゆがんでそのことが増幅されておるのではないかというふうに感じておるわけであります。もっと抽象的に言えば、公の取り決めといいますか、公というものに対する国民の感覚がややルーズなのではないか、そんなことを考えておるわけでございます。
 弁護士のレベルでいいますと、税法違反事件あるいは選挙違反事件というふうなものを担当いたしますと、被疑者、被告人の方々の、俗語で言えば罪の意識が薄いということになるわけですが、もっと言えば、そういうものにひっかかるのは運が悪かった、いわば自動車のスピード違反の取り締まりにたまたま遭って捕まった、逮捕されたのと同じであるというふうな感覚が、どうも税法違反事件あるいは選挙犯罪等々には強く感じられるわけでございます。
 さらにその上に、企業の関連事件ということになりますと、あの人は会社のために一生懸命やったんだからお気の毒であるし、会社のために犠牲になってくれたんだから会社の恩人であるというふうな称賛にも似た声が沸き起こってくるわけでございます。近時の例でいいますと、リクルート事件の松原さんという方が楢崎さんにわいろを贈ろうとして逮捕された事件がございましたけれども、この事件でも、底流にはそういう、松原さんは個人としてはいい人なんだ、悪いことはしたくないのに会社のためにああなったんだ、非常にお気の毒だというふうな声があるわけであります。裁判所の情状論でもそのことが罪一等を減ずる理由になるというのが日本の社会の現状でございます。
 こういうことで、どうも税法違反事件といいますか、税に関する意識の問題としても、何とか課税を免れるような、あるいは抜け道を探すような、そういうことがむしろ会社においては有能であるというふうな風潮があるようでございます。こういういわば風潮といいますか考え方について、国民の納税意識あるいは企業の納税あるいは税に対する考え方というものについて、大臣の御所見をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#92
○橋本国務大臣 先ほど中村理事からおまえの答弁は長過ぎるとしかられたばかりでありまして、できるだけ気をつけますけれども、大変お答えのしにくい御質問であります。
 今御質問を伺いながら逆に私が頭に浮かべておりましたのは、もともと私は本院におきまして社会保障とか福祉行政を自分のライフワークにしておりました関係で、医療というものから各国の制度を見る癖がございます。
 そして、その場合に、日本の現状と例えばアメリカを対比いたしました場合に典型的な差異といつのは、医療訴訟の多い少ない、またその質的な内容であります。アメリカの場合に非常に問題になりますのは、患者は常に何らかの問題があれば師を訴える態勢をとっておる、そして医師は必それに応訴できる態勢をとって患者の診療に当たる。結果として、いわば専門医制の中で、自分で多少ともに危険を感じた場合にはより上位の専門医に患者をどんどん送ってしまう、結果として患者のケアという意味からいうと問題を生ずるケースが起きる。
 日本の場合には、むしろ患者と医師の信頼関係というものは、今希薄になったと言われましても非常に強いものがあります。そして、逆に医師にも患者に対して全力を挙げてその患者の生命を救おうという意識があります。その意味では日本というのは相互信頼意識の非常に強い国、言いかえれば、より情緒的な部分を多く残した国ということが言えるでありましょう。アメリカの医療システムの場合、極めて合理的な、いわば経済行為を中心とした医療が組み立てられておる。そして、その中において訴訟というものが非常に大きなウエートを占めている。これはそういう部分から見た私の実感でありました。
 逆に、そういう関係は、今委員が御指摘になった税の世界に移した場合には、その納税意識あるいは税負担に対する意識の希薄さというものを生むのかな、今御意見を伺いながらそんな印象を持ったところであります。
#93
○仙谷委員 海部総理大臣は、先ほどの本会議の施政方針演説さらには質疑の中で、政治献金をめぐる論議といたしまして、企業が社会的存在であるから政治献金をすることは当然なのだという論理をおっしゃっておったというふうに記憶をしておるわけですが、私も、企業はまさに社会的存在であるというふうに考えます。さらに、そのことをより強く企業自身が自覚をしなければならない。そしてまた、企業活動の方法に、今構造協議で取り上げられておりますように、公正あるいはフェアということが強く今の時代に要求されてきたのではないかと思うわけであります。
 税であれ、あるいはその他の方法であれ、利益を社会に還元するという考え方、あるいは業務自体で日本の市民社会の中に貢献していくという気風が日本の企業は非常に少ないのではないかというふうに私は考えておるわけでございますが、大蔵大臣、その点はいかがでございましょうか。
#94
○橋本国務大臣 また社会保障屋の視点に戻って恐縮でありますが、私ども、日本でこうした問題を扱いますときに常に遭遇いたしますのは、いわゆるボランティアというものの基盤が浅いことであります。そして、その原因を調べていきますと、いつも最終的に突き当たりますのは、私は宗教のよしあしについての判断基準は持ちませんけれども、プロテスタントの国であれカソリックの国であれ、教区を単位とした住民の結合意識、その上に根づいたボランティアというものであります。そして企業もまたその中に入っていかなければ地域に存在し得ないという、これは私どもから見ると大変うらやましいことであります。
 しかし、残念ながら、日本の風土の中にそうした地域における基盤というものは非常に求めづらい状況にありますだけに、日本の企業が海外に進出をいたしました場合、ややもすると地域に溶け込め切れないという批判を浴びる原因もその辺にあろうかと思います。
#95
○仙谷委員 私がお伺いしたかったこととやや違う、お答えがちょっとずれておるようにも思うわけでございますが、租税特別措置法を全体として見ますと、うちの業界だけは、あるいは我が社だけは何らかの特権、特典を税制上与えてほしい、あるいはうちの会社だけはお目こぼしをいただきたいというふうな企業感覚にどうも迎合する、あるいはそういう企業の姿勢を助長しておるのではないか。いわば企業の社会的存在としての自覚を促すということではなくして、企業の私的利潤の追求一辺倒におもねている、そういうものがこの租税特別措置法にあらわれておるのではないか、そんな感覚を持つわけでございますけれども、その点は租税特別措置法一般論で結構でございますので、さらにお答えをいただきたいと思います。
#96
○橋本国務大臣 私はその点については委員と見解を異にいたします。税の公平性、公正性というものが担保されるという原則は当然のことであります。その上に立って、社会目的あるいは政策的な見地から、その公平性を多少犠牲にしてもそれだけのカバーをしてあげることが、結果的に社会、国民のためになるという判断から行われておる措置でありまして、私は委員の御指摘とは残念ながら見解を異にいたします。
#97
○仙谷委員 なかなかかみ合ってきませんけれども、もう少し質問を先に進めたいと思います。
 この租税特別措置法にうかがわれる思想というのは、どうも産業社会の発展といいますか、産業の振興に重点の置かれた法制度ではないか。もっと言えば、大企業優遇ということが端的にあらわれておる制度ではないかと考えておるわけでございます。当然のことながら、時代時代によって政策目的というのは変更せざるを得ない、現に、現在日米構造協議というような格好で大きく政策転換あるいは構造転換を促されておるわけでございますけれども、今、日本の社会にとりまして必要なのは、ますます経済重視の政策をとることではなくして、国民一人一人の生活あるいは自然環境の保全という観点から政策全般をとらえ直さなければならないのではないか、そういうふうに私自身は考えておるわけでございます。
 海部首相も先般の施政方針演説で、「地球環境の保全については、」というふうに述べて、「資源を大事にし自然を愛する心、いわゆる環境倫理を大切にして、環境保全のための努力を着実に進め、世界的規模での取り組みへと結実させてまいります。」ということをおっしゃったわけですが、今度の租税特別措置法で、海部首相がおっしゃったような「資源を大事にし自然を愛する心、いわゆる環境倫理を大切にして、環境保全のための努力を着実に進め、」そういう観点からの税制上の措置が新たにとられたということがおありになるのでしょうか。
#98
○尾崎政府委員 エネルギー環境変化対応投資促進税制というのを新たに設けました。これは前にございました経済社会エネルギー促進税制を改組した形になっておりますが、その際、環境問題、特にエネルギーに関連いたしました大気汚染の問題等を考慮いたしまして、新しい見地から制度を組みかえたということがございます。それが新規としては一番大きなものでございます。
#99
○仙谷委員 大きい小さいは結構なんですが、そのほかには何かおありになるのでしょうか。
#100
○尾崎政府委員 新規のものとしてはございません。例えば公害防止の関係でございますとか既往のものの中の対象施設の洗いがえ等はございますが、新規はただいま申し上げたものでございます。
#101
○仙谷委員 私は、施政方針演説で総理大臣が大見えを切る以上は、そういう観点からの政策が打ち出されなければならないというふうに考えるわけでございます。ただきれいな言葉で言えばいいという問題では政治はないはずであります。
 今、環境保全の見地から税制あるいは税の体系を考え直すべきときに来ておるのではないでしょうか。ただであるとされた環境がこれ以上浪費され続けないためには、値段がつけられなければならないわけであります。すなわち、国庫の収入が減少しあるいは国庫支出がふえる、環境のためにそのようなことがあっても、それを我々は負担していくという姿勢がなければならないのじゃないでしょうか。私どもはこれからの日本を考えましても、資源を多く消費する形の社会ではなくして、資源が循環されるような形の社会、あるいは大規模集中型ではなく小規模分散型の社会をつくる、そういう経済社会構造をつくる努力を本格的に始めなければならないのではないかと考えるわけでございます。税制が国家の背骨であるというふうに言われますけれども、そうだといたしますならば、まさにこの租税特別措置法を意味あらしめる、その存在理由を探すといたしますならば、そのような観点から考えざるを得ないのであります。
 そういう立場から、本日は、租税特別措置法四十三条に関係しまして、水とプラスチックそれから紙の問題について、少々細かくなりますけれども質問をいたしたいというふうに考えます。
 まず水でございますけれども、当然のことながら日本人にとって水というのは生命線でございます。日本のように水道から出る水を飲める国はほとんど諸外国ではないわけでございます。しかし、このごろは水道から飲む水というのは都会では非常にまずい、おいしくないわけであります。ミネラルウオーターが大々的に売られておるところからも明らかであると思います。河川が汚濁して、そしてまたその汚濁の原因が工業用水あるいは生活雑排水、し尿と、いろいろな原因があるようでございますけれども、河川も汚いし、我々が飲んでおる上水道の水もそれほどきれいな水を飲まされておるようではないようであります。
 どうやればきれいな水が流れ、きれいな水を利用できるか、そういう社会につくりかえていくことができるか、そういう点でございますけれども、下水道の建設の進捗状況について建設省の方にお伺いをいたしたいというふうに考えます。
 現時点での公共下水道、流域下水道の進捗状況についてお答えをいただきたいと思います。
#102
○仲津説明員 昭和六十三年度末でございますが、下水道の普及率は四〇%となっております。これは、公共下水道によってカバーされる、それから流域下水道が公共下水道を受けてカバーする、両方合わせたものでございます。
#103
○仙谷委員 公共下水道が四〇%ということでございますけれども、一年間の建設省の下水道に関する予算といいますか、この額と、今おっしゃったパーセンテージは一年間の予算によってどのくらいの進捗があるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#104
○仲津説明員 地方の単独計を含めまして全体で下水道は二兆三千億ほど投入してございますが、これによって年間二百万人強の処理人口の増加を見ております。
#105
○仙谷委員 四〇%が四十何%になるかというのを聞きたかったわけでありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#106
○仲津説明員 下水道普及率は近年、年二%ほど上昇してございます。
#107
○仙谷委員 下水道というのは、家庭雑排水を含めましてそれが管を通って河川に流れ込むという構造になっておるわけですね。その河川に流れ込むときの、いわゆるきれい度の度合いといいますか、あるいは何かBODという単位であらわされておるようでございますけれども、それは大体どの程度のBODの濃度の水が河川に流れておるということになるわけでしょうか。
#108
○仲津説明員 下水道の終末処理場から放流されるBODの濃度でございますが、二〇ppm以下が一般的な基準となっておりまして、現状について見ますと、季節、流入量等による変動はございますが、平均的にはおおむね一〇ppm前後で処理されておると承知しております。
#109
○仙谷委員 時間の関係がございますので余り細かくお伺いするわけにもいかないようでございますが、もちろん一〇ppm程度の放水ということになりますと、直ちに飲み水とかその他の用途に使うわけにはいかないわけですね。
 そこで、今私どもが知っておる範囲では、小規模といいますか、ある種の集団範囲でもいいわけでございますけれども、石井式浄化槽というのがどうも各地域でつくられておるやに聞いておるわけでございます。建設省はこれについては余り積極的な評価をなさってない、この石井式水循環システムについては建設省はある意味で否定的だというふうにお伺いをしておるわけでございますが、その評価と、そしてまた、何か八項認定という問題があるようでございますが、八項認定がされたのかどうなのか、その点お答えをいただきたいと思います。
#110
○鈴木(俊)説明員 お答え申し上げます。
 いわゆる石井式浄化槽、これは明確な概念はないのでございますけれども、当然でございますが、建築基準法に基づきます告示に規定します構造基準に適合いたしますれば、し尿浄化槽として設置することができます。既にいわゆる石井式浄化槽で認定されたものもございます。
 ただ、今委員御指摘の告示第八の件でございますけれども、これは現在評定中でございます。
#111
○仙谷委員 この石井式浄化槽というのは租税特別措置法四十三条に言う公害防止設備というふうなものに該当するのでしょうか、しないのでしょうか。
#112
○尾崎政府委員 石井式下水処理装置がいかなるものかというのは詳しくは承知しないわけでございますけれども、大蔵省の告示によりまして汚水処理用設備の中身が定められておりまして、それに適合するものでございますれば当然対象になるものと存じます。
#113
○仙谷委員 次の問題は、設備そのものは四十三条に言う公害防止設備に該当するといたしまして、これは個人が設置した場合は適用にならないということになるかと思うのですが、環境保全という観点からは、個人の住宅、あるいはこの例でいいますとゴルフ場の浄化槽として設置したというふうな例もあるようでございますが、あるいは学校の設備というふうになってきますと、法人ではあっても、いわば事業活動といいますか、工業的事業活動から生ずる公害防止以外の、まさに生活的レベルでの公害防止というふうな場合の設備にはこの租税特別措置法四十三条というのはどうも適用にならないのじゃないかというふうに感じられるわけですが、その点いかがでしょうか。
#114
○尾崎政府委員 個人、法人ともに適用できるわけでございますが、事業を行っておりまして青色申告書を提出しているという要件がございますので、それに該当いたしませんとその制度を利用できないわけでございます。
#115
○仙谷委員 四十三条は「法人で」というふうに書いてありますけれども、個人でもこれはいいのですか。
#116
○尾崎政府委員 租税特別措置法は所得税に関るものと法人税に関するものと分けて書いておまして、十一条に「青色申告書を提出する個で」云々とございまして、特定設備等の特別償却が規定されているわけでございます。
#117
○仙谷委員 そうしますと、事業目的に使う限りにおいては適用がある、こういうふうに考えればいいわけですね。生活目的の場合には適用がないということになりましょうか。
#118
○尾崎政府委員 個人の場合、生活のための支出とそれから事業のための支出は分けることになっておりまして、青色申告の場合、事業に関するものでございますので、個人の施設については適用がございません。
#119
○仙谷委員 後でまとめて要望なり提案をしたいと思うわけでございますが、次にプラスチックの問題をお伺いをするわけでございます。
 プラスチックの中で、今農村では農業用の廃ビニールが公害問題として非常に大きい問題になっておると思うわけですが、これをどのように今処理をしておるのか、あるいは処理の過程で出る公害等々の問題についてどのような状況認識をなさっておるのか、農林省にお伺いいたしたいと思います。
#120
○佐藤説明員 農業用廃プラスチックの処理の現状についてお答え申し上げます。
 プラスチックフィルムを使用いたしましたハウス栽培、トンネル栽培などが増加しておりまして、農業用廃プラスチックの排出量は昭和六十二年には十七万五千トンほどになってございます。これを焼却、埋め立て、再生処理などの処理方法別に見ますと、再生処理をしておりますものが三万三千トン、全体の一九%ほどでございます。埋立処理が三万六千トンで二一%、焼却処理が七万六千トンで四三%というような私どもの調査結果になっております。
#121
○仙谷委員 例えば、最近農業用廃ビニールの再生処理装置というようなものがあるようでございますが、これは当然のことながら租税特別措置法四十三条の「資源の有効利用の促進に資する廃棄物再生処理用の機械その他の設備」ということに該当するのでございましょうか。
#122
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 告示によりましてさらに細かく廃プラスチック類再生処理装置というのが定められております。そのうち特定のものにつきましてさらに詳細に定められているわけでございますが、それに該当いたしますれば当然適用になるわけでございます。
#123
○仙谷委員 先ほどの水処理の関係もそうなんでございますけれども、この農業用廃ビニールといいますかあるいはプラスチックの再生処理、このような関係の設備をこれから今の日本の社会の中で大いに推進をしなければならない時点に立ち至っておるのではないか、私はそういうふうに考えるわけでございますけれども、その点は建設省あるいは農林省、いかがでございましょうか。
#124
○佐藤説明員 まず、農業用廃ビニールのことについてお答え申し上げます。
 施設園芸などによる廃プラスチックの処理につきましては、原則的には廃棄物処理法に基づきまして、産業廃棄物として排出事業者であります農家がみずから処理するのが大原則であるというふうに思っております。しかしながら、排出農家が大変広域に分布、分散しているという点、あるいは排出されますプラスチックが農業用の場合には畑の土とか土砂などによりまして大変汚れているという点、こういったこともございまして再生処理の採算が大変悪いという点、いろいろございますので大変難しい問題があるわけでございますが、適切な回収処理をしないことには環境が大変汚染される原因になりますので、適正な回収処理を推進しているところでございます。
 このため、行政機関、農協、農家が連携いたしまして広域的な回収処理を行うように指導しておりますし、また、全国段階におきましても関係の協議会などを設置しまして、処理方法の検討、回収システムの検討、担当者の研修などを行っております。また、農協などが設置いたします処理施設につきましては、補助や融資の制度で助成することにしておりますし、処理設備の特別償却等につきましては、先ほど御答弁ございましたように税制上の優遇措置の点についてお願いをしておるところでございます。
 今後とも、農業用廃プラスチックの処理につきましては適正に円滑に処理できるように努力していきたいと思っております。
#125
○鈴木(俊)説明員 建設省におきましても、公共用水城の水質保全という観点から、性能のよい小規模合併処理浄化槽につきましては、住宅金融公庫等の融資によりまして上積みの融資をしてその設置を推進しているところでございます。
#126
○仙谷委員 補助助成策というのが予算措置としてとられることは望ましいことであると私も思いますが、今回の特定設備等の特別償却、四十三条の改正規定というのは、どうも償却割合を減少させておるということのように受けとめられるわけでございます。今のように水の問題あるいはプラスチックの問題で私どもが日本社会全体としてこれを推進しなければならないとすれば、従前、特別償却割合がどの程度であったのか、私も勉強してこなかったわけでありますけれども、償却割合を減少させるというのはいかがなものか。むしろ、環境問題の重要性を考えるならば、政策的に環境保全を誘導するということならば、償却割合を増加させるという方向でなければならないのではないかと考えるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
#127
○尾崎政府委員 租税特別措置につきまして私ども議論をいたしますときに、いつもその点が非常に悩むところなのでございますが、特別措置、先ほどお話にもございましたように、いわば公平を害することを覚悟の上で特定の政策目的のために設けるわけでございます。
 それは、その政策目的とするところに民間の活動を誘導するインセンティブの役割を持っているわけでございますが、その場合には、その政策に沿って早くその施策をとられた方に有利に働くように制度を仕組む、そうでないとインセンティブとして役に立たないわけでございます。いつまでたっても同じことであるということであれば特段急ぐことなしに終わってしまうわけでございますので、したがいまして、期限をつけましたり、それから、最初のうちは有利に、時がたつにつれて次第に優遇の度合いを少なくしていく、やがては廃止をする、そういうようなことがどうしても必要になるわけでございますし、またそれが政策税制の見直しという点から必要なことであろうと考えております。
#128
○仙谷委員 環境関係については、今のような考え方ではなくして、改めて優遇の諸施策、そのうちの一つとしての税制というのをお考えいただきたいと思うわけであります。
 さらに、今私どもの身の回りに、古い紙、古紙の再生紙を使おうといういわば官民一体となった運動のようなものがあるわけでございますけれども、この再生紙利用について、現況、特に官庁レベルでどうなっておるのか、この点をお伺いしたいと思います。
#129
○井田説明員 お答え申し上げます。
 古紙の利用促進につきましては、従来から省資源、省エネルギーの観点から積極的に取り組んできておりまして、我が国の製紙原料の約半分が古紙というぐあいになっておるわけでございます。また最近では、都市ごみ問題もございまして、ますます古紙の利用の重要性が高まってきておるところでございます。
 通産省といたしましても、平成二年度から率先いたしまして省内で使います紙類をすべて再生紙に切りかえるというぐあいにこのたび決定をいたしたところでございまして、あわせまして池省庁、それから政府関係機関、民間企業等々、対外的にも積極的にこのような働きかけをしていくことといたしておるところでございます。
#130
○仙谷委員 自治体あるいは官庁では相当再生紙の利用が進んでおるようでございますけれども、先般いただきました資料によりますと、コンピューター用紙あるいはコピー用紙の関係がまだまだ古紙が使われるに至っていないというふうにお聞きしたわけでございます。そしてまた民間では、官庁、自治体のように古紙を使おうということになっていないようでありますけれども、この点について税制上何らかの優遇措置、例えば再生紙製造設備についての償却あるいは反対に古紙を利用したユーザーに対する税制上の優遇措置は考えられないのでしょうか。そういう措置をすることによって再生紙の利用をより促進させるということが現時点で必要ではないかというふうに考えるわけであります。
#131
○井田説明員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、通産省を初め官庁全体で再生紙を使っていくことにいたしておりますし、それから、民間企業の中でも既に会社ぐるみで再生紙使用に踏み切っているところもございまして、委員御指摘の税制上の優遇措置の必要性につきましては、今後この再生紙利用の普及状況等も勘案いたしまして検討してまいりたいと思います。
#132
○仙谷委員 今の点、大蔵省いかがでしょうか。つまり、先ほど局長がおっしゃったインセンティブの観点から再生紙製造設備に対する償却ということが考えられないでしょうか。
#133
○尾崎政府委員 再生紙の利用の有用性等については、委員のお話しのとおりよく理解できるのでございますが、それに税制上の優遇措置を講ずるかどうかにつきましては、やはり租税特別措置は例外的な措置でございますので、特にそれをつくる必要があるのかどうかにつきましては、費用対効果いろいろ考えまして慎重に判断しなくてはいけない問題だと存じます。
 いずれにしましても、いろいろな点から望ましいことはたくさんあるわけでございますが、そのうち租税特別措置という形で税制上の措置にのせていくということにつきましては、やはり相当制限的に考えていかなくてはいけない問題であろうと思っております。
#134
○仙谷委員 それでは次の問題に移らせていただきますが、週刊誌等によりますと、三越株の増資につきまして、二月十五日に三越が二千万株公募で増資するという決定をした、発行価格を二月二十三日の終わり値を上回る額でございますか、決められたというふうにお伺いをしておるわけであります。そしてまた、三月六日になぜかこの公募増資が中止されたという問題があるようでございます。
 このいきさつといいますか、事実関係について、今私が申し上げたようなことなのか、あるいは取締役会の決定がいつなされて、中止がいつの時点でどのような理由で決定されたのかという点でございますけれども、大蔵省にお伺いをいたしたいと思います。
#135
○角谷政府委員 株式会社三越の公募増資に関する事実関係について御説明いたしたいと思いますが、まず、三越は平成二年二月十五日の取締役会におきまして二千万株の公募による新株発行を決議いたしました。発行価格につきましてはほぼ御指摘のとおりではございますが、より正確に申し上げますと、二月二十三日の東京証券取引所における同社の株式の終わり値に〇・九六五、つまり三・五%ディスカウントでございますが、そういうことで算出される金額を発行価格とする。それからもう一つあわせまして、この計算の結果が二千六十九円、いわゆる最低発行価格を下回るときには新株の発行は中止するということをこの取締役会で決議しているわけでございます。
 そこで、値決めの日でございますところの二月二十三日の東証における三越株式の終値は二千百五十円でございまして、これに今申し上げました〇・九六五を乗じまして得た価格というのは二千七十五円でございますので、いわゆる最低発行価格である二千六十九円を上回っているという状況でございましたので、三越は計画どおり増資を進めるということにいたしまして、二月二十七、二十八日の両日に公募売り出しを実行したということでございます。
 しかしながら、払い込みの前日でございます三月六日におきまして取締役会を聞きまして、発rの中止を決議いたしました。その中止の理由につきましては、三越からの説明によりますと、発行価格を決定した時点におきまして相場は非常に変動した中で行われておりましたし、その後も、御承知のように最近に至るまで株式市場というのは非常に変動を続けてきたわけでございますが、株式市場の状況が非常に不安定であり、あるいは不透明であるといったことから、公募価格割れになったということになりますと、その場合には購入した投資家にいろいろな不測の損害を与えかねないといった問題があるので発行を自粛したというふうな説明を受けております。
#136
○仙谷委員 幹事証券会社の野村証券が、二月二十三日の三越の終わり値を今おっしゃった最低発行価格に維持するために相当の買いを入れたのではないかということが報道等では言われておるようであります。現に、当日の出来高二百九十四万株のうち野村証券だけで八十三万株、野村証券は前日は九万株しか購入してなかったわけでございますけれども、八十三万株、二十六日には百二十万株という買いを入れておるわけであります。それで、二十三日の全体の二百九十四万株のうち野村証券が八十三万株でございますけれども、ちなみに、山一は八万、日興七万、大和も七万でございます。
 この日に、いわゆる野村証券関連の証券会社、私は十六社あるというふうに聞いておるわけでございますが、この野村証券と人的あるいは資本的に、あるいは野村証券と関係のあるいわば銀行グループ、これと密接な関係にある証券会社、中小の証券会社、これがどの程度三越株を買っていたか、大蔵省当局にお答えをいただきたいと思います。
#137
○角谷政府委員 三越の増資に当たりまして、発行価格を決める値決め日でございますところの先ほど申しました二月二十三日でございますが、売買高が非常に急増いたしましたので、これにつきましては、大蔵省といたしましては、その辺の事情につきまして主幹事証券会社から説明を受けますとともに、当日の各証券会社の取引状況についても調査を行いました。しかしながら、主幹事証券会社の売買の内容でございますが、これにつきましては、非常に株式の取引高がふえたといった意味ではかなり誤解を招きかねない面はあるわけでございますけれども、それぞれの売買というのはすべてお客からの注文による委託売買であるといったことでございまして、そういった意味ではいわば株価操作に当たるような事実があるというふうに断定をするような状況ではございませんでした。
 それから、主幹事証券会社以外のいわゆる系列、系統と言われる証券会社でございますけれども、これはどこまでを系列というかについてはいろいろ問題がございます。ただ、一般的に言いまして主幹事証券会社である野村証券の系列と言われておりますものにつきまして、例えば一五%以上の出資割合があるとかあるいは社長が野村から派遣されているとか、そういった八社について取引を見てみますと、この間におきます二月二十三日時点における売買シェアというのは、売りが四・二%、買いが七・七%といったことでございまして、特にこの期間におきまして価格形成に影響を与えるほど大きな売買があったというふうなことではございませんでした。そういったことから、私どもといたしましては、この問題について株価操作、いわゆる証券取引法百二十五条で言いますところの株価操作があるといったふうな断定をする事実はないというふうに判断せざるを得ないというふうに考えたわけでございます。
 なおこの件につきましては、日々東京証券取引所におきまして売買の状況を監視いたしまして、不審な取引があればいろいろチェックするということになっておりますけれども、東京証券取引所からもこの件につきまして特段の報告は受けていないという状況でございます。
#138
○仙谷委員 証券局長から、私が株価操作の問題を聞こうといたしましたら、あらかじめ株価操作ではないというお答えを先にされましたので、何か語るに落ちたような感じがするわけでございますけれども、もう一度、株価操作云々の調査を大蔵省がしたのかどうなのか、したとすれば、どのような調査をしたのか。
 先ほど委託取引というふうにおっしゃったわけでございますが、委託取引でも、証券取引法百二十五条の二項でございましたか株価操作というふうに断定できる、そういう項目があると思います。それで、今はほとんどコンピューターが管理しておるようでございますので、委託取引であろうと何であろうと、顧客勘定元帳というのを提出させて見ればある程度のことはわかると思うのでございますけれども、そこまで調査をなさったのでしょうか。
#139
○角谷政府委員 当日の売買状況について、出来高が急速にふえたといったことにつきまして調査したことは事実でございます。ただ、どういう調査をしたかといった問題について個別に申し上げるのは、これは私どもの行政の立場からいいましてやや守秘義務の関係もございますので、詳細はお許しいただきたいと思います。
 ただ、今御指摘の証券取引法百二十五条につきましては、第二項でございますが、「何人も、証券取引所に上場する有価証券等について、有価証券市場における有価証券の売買取引等を誘引する目的をもって、次に掲げる行為をしてはならない。」といったことで、いろいろ相場を変動させるような事実というようなことが書いてあるわけでございます。自己または委託の取引によって相場を変動させる事実ということでございますけれども、「売買取引等を誘引する目的をもって、」ということになりますと、いろいろこれは主観的な立証が必要でございます。その点は、委員は弁護士でいらっしゃいますので非常に御承知だと思いますけれども、こういった問題がございます。
 そこで、例えば自己においてそれを買いあおるという行為があれば、そういった目的についてはこれは容易に立証もしやすいわけでございますが、そういった事実はないということ。それから、確かに野村証券の取引高は大きいわけでございますけれども、ただ、私ども一般的に大きな証券会社が相場に影響を与えることを目的として過度の委託売買であれ自己であれ取引をしてはいけないという原則を決めておりまして、俗に三〇%ルールと申しております。市場取引の中で原則として総体の三〇%以上の取引をすることによって相場に過度の影響を与えてはいけないということを言っておりますが、この全体の取引高に占める当該証券会社のシェアというのも三割を割っているという状況でございます。、
 こういった状況から見まして、私どもといたしましては百二十五条であるという断定はなかなか難しいというふうな断定をしているわけでございまして、そういったことはなかったのではないかというふうに考えているわけでございます。
#140
○仙谷委員 もう一つお伺いしますが、そういたしますと、証券局長がおっしゃった調査、これは公募取り消しを三越がする前になさったのでしょうか、それともそのずっと後でございましょうか、そしてまた、この三越の売り出しの取り消しというのは野村証券を通じて大蔵省に報告等がなされたのでしょうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#141
○角谷政府委員 この取引につきましては二月二十三日の調査でございますので、それがいつとは申し上げられませんけれども、三月の発行中止を行う以前に既に調査に入っていた、調査といいますか説明を受け、その事実関係について調査していたということは事実でございます。
#142
○仙谷委員 そういたしますと、三越の売り出しの中止決定に、大蔵省の調査というのですか事情聴取というのですか、それが影響があったということになるのじゃないでしょうか。
 私は法律をやってきました関係で、取締役会で一たん決まったものを取締役が業務執行をやめてしまうというのは、商法上の規定からいえば取締役の忠実義務違反になるのではないか、こんなふうに考えるわけでございます。つまり、株価を操作して、そして公募を中止すべき金額以上にしたがために、取締役の忠実義務違反の問題が起こってこざるを得ない、そういう状況に立ち至ったのではないか。反対からいえば、こういう野村の買いが入らなければ二十三日の三越株は売り出し中止にすべき価格に落ち込んでおった、そういうことになるのではないかと思うわけでございます。
 先ほどから証券局長のお話をお伺いいたしておりますと、例えば株価操作について、「売買取引等を誘引する目的をもって、」といういわば目的条項があるので、主観的要素があるので非常に難しいというふうな意味のことをおっしゃったわけでございますけれども、このケースなんかも、「李下に冠を正さず」といいますか、客観的な、間接的な事実から見ますと、どうも大証券会社による株価操作が行われたのではないかというふうな、さっき証券局長は誤解と言いましたけれども、そういう解釈を生む。そして、これについて大蔵省当局の調査が、主観的意図の問題を一つの口実にいたしまして非常に甘い。公正な競争についての行政当局の調査が甘いのではないか。今まさに日米構造協議で問題にされております不透明性あるいは不公正ということにつながってくるのではないか。例えば、アメリカ合衆国から今回の三越株の公募あるいは中止というふうなことを見ますとそういうことになるのではないかという懸念をするわけでございます。
 どうかひとつこの点は、国民の生活、国民に不測の損害を与えないということから考えますと、こういう株価操作的な行為に関しましては十二分の注意と調査をして、今後の教訓にしていただきたいと思うわけであります。
 その他質問したい項目もございましたが、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#143
○衛藤委員長 井上義久君。
#144
○井上(義)委員 初めに、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。
 まず、この法律案の立法の趣旨並びに今回の改正の概要について説明を願いたいと思います。
#145
○藤井(威)政府委員 今回の旅費法の改正の趣旨でございますが、旅費法につきましては、国家公務員の公務による出張あるいは赴任に伴う移転経費等については実費弁償というのが基本的な原則であるわけでございます。鉄道運賃とか航空運賃、そういうものについては実際にかかった経費を弁償するという形になっております。ただ、日当とか旅館、ホテルの宿泊料、こういうものについては、事務の便宜あるいは公平というようなことも考えまして、旅費法において定額を規定するという形になっております。
 そこで、現在の旅費法の定額規定は五十四年四月に改正されたものでございまして、今回、実態調査等の結果を勘案いたしましてこれを実態に合わせるよう十一年ぶりに改正するということで、ほぼ三割を超える伸びの定額改定を御提案申し上げておるところでございます。
#146
○井上(義)委員 立法の趣旨が実費弁償ということのようでございますけれども、実費弁償という考え方からいたしますと、十一年間放置していた、この理由は何なのか、このことについて御説明願いたいと思います。
#147
○藤井(威)政府委員 旅費の定額をどうするかという点につきましては、ここ数年間、毎年のように実態調査を行ってまいりました。それで今回このたびの改定を御提案申し上げることになったわけでございますけれども、ことしの実態調査の結果を見ると、どうも定額と実際にかかっているコストの間に三割くらいの乖離があるという事実を把握したこと、それからもう一つ民間企業の状況等も考慮いたしまして、今回改定に踏み切ったということでございます。ここ十一年間、改定を行ってこなかったわけでございますけれども、財政を取り巻く環境が厳しかったということもございますが、諸般の情勢を慎重に考えた上、今回御提案申し上げたということでございます。
#148
○井上(義)委員 十一年ぶりということで、諸般の事情という今の御説明なんですけれども、財政事情もあった、じゃ財政事情が突然よくなったのかというふうにも勘ぐられるわけでございまして、これも消費税の一つなのかなというふうに考えるわけでございますが、この三二%引き上げることになった大まかな根拠を御説明いただけますか。
#149
○橋本国務大臣 事務的に説明させる前に、私から一点申し上げたいと思います。
 私が着任いたしてからこの相談を受けましたときに、実はびっくりいたしました。これは言葉が多少差しさわりがあるかもしれませんが、よくこれだけほっておいたなというのが実感でありまして、多少君たちはマゾヒストではないのかと言って冷やかしたくらいであります。
 そしてむしろ、かつて公務員の出張の際にいろいろな問題が起こりましたことを想起いたしますと、やはりきちんと公務員としての体面を保って行動できるだけのものは支給すべきである、そう考えて改正に踏み切りました点も申し添えます。
#150
○藤井(威)政府委員 改正の趣旨は今大臣の方から御答弁があったとおりでございますが、三二%という改定率の根拠でございますけれども、五十四年四月に改定した当時と実際に公務員が出張に際して通常利用しているという宿泊施設の宿泊料金を平成元年四月の時点で調査をいたしました。その結果を基礎にして、本省庁の係員クラスの甲地の宿泊料と定額との開差を調査しました結果、三〇%ちょっとという開差のあることが判明いたしました。その平成元年四月の開差にその後の消費者物価の上昇を加味しまして三二%という改定率をはじき出したわけでございます。この調査は出張者が実際に利用している旅館等の料金を調べたということで、出張の実態に合わせたということでございます。
#151
○井上(義)委員 そうしますと、三二%でほぼ実費弁償の法律の趣旨にかなっている、このように解釈してよろしいわけでしょうか。
#152
○藤井(威)政府委員 我々としてはそのつもりで御提案申し上げました。
#153
○井上(義)委員 ちょっと調べますと、これは小売物価統計調査なんかによりますと、この間に大体四三%くらい宿泊費が上がっているという調査もございますし、また、民間に比べてまだまだ少し低いのじゃないかというような現場の声もあるようでございますが、これについてはどうなんでしょうか。
#154
○藤井(威)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、調査自体が当該の公務員、例えば係員なら係員、課長補佐なら課長補佐、そういう当該の公務員が通常利用しておる宿泊施設の宿泊料を調べたということで三二%という率を出しているわけでございます。先ほど申し上げましたように、そういうような実態調査の結果、さらには民間におけるこういう旅費の支弁の水準ももちろん頭に置いてやったわけでございますけれども、数字といたしましては民間の水準と大差はないというふうに考えております。
#155
○井上(義)委員 財政上は厳しく考えるべきだと思いますけれども、余り厳しくやって、かつてのようにいろいろな問題が起きてもこれはつまりませんし、ぜひとも格段の配慮をしていただきたいと思います。
 特に、過去の改正を見ますと、昭和三十八年、四十一年、四十五年、四十八年、五十年、五十四年と、ほぼ二年から四年置きくらいに改定をしてきているわけでございまして、十一年間もやらなかったということは、この間職員の皆さんは自腹を切ってきたということになるわけでございます。今後は、そういう実費弁償という立法の趣旨にかんがみて、定期的に、趣旨からいえば毎年ということなんでしょうけれども、少なくとも二、三年ごとに見直しを行っていくべきである、このように思うわけでございますけれども、この点、大臣いかがでございましょうか。
#156
○橋本国務大臣 これは、次長は担当次長として非常に厳しくチェックをしておるという姿勢は褒めるべきだと思いますけれども、同時に、幾ら何でも私は本当にため過ぎたという感じがいたしましたし、率直に申し上げるならば、もう少し何とかならないものかという気持ちもございました。ただ、財政当局の立場からすれば、なかなかそういう言葉を吐くというのには他に対しての遠慮があろうかと思います。むしろ今の委員の御意見を私どもは大切にさせていただきたい、御好意に謝したいと思います。
#157
○井上(義)委員 それからもう一点、この点に関して。
 これは職員の等級区分によって支給格差が設けられているわけでございます。しかし、実際の仕事は等級の異なる人が一緒に行くというケースも多いだろうというふうに思うわけでございます。同じところへ行って同じ仕事をして、食事や宿泊場所が違うということもおかしな話でございますし、また、直接経費に差をつけるということもこれはいかがなものかなというふうに思うわけでございます。職場のチームワークということもございますし、また円滑な業務の遂行という面からも、例えば下位の等級の方が上位の等級の方と一緒に行く、こういう場合は上位の等級者に合わせて支給するというようなことは考えられないのかどうか、この辺はどうなんでしょうか。
#158
○藤井(威)政府委員 旅費法の定額の規定がいわば階級によって差を設けておるということは御指摘のとおりでございます。先ほど申しましたように、旅費の実費弁償というのを基本原則として定額を定めておるということでございますから、職員の職務とか責任とかそういうものにふさわしい旅行をしていただくという観点からは、こういう形の定額の決め方というのはやむを得ないものではないかというふうに考えております。
 当初、旅費法ができましたころは、内国旅行について申し上げますと、実は級別に十一段階に分けて規定しておりました。それが何回かの改正の経緯の中でこの段階を次第に少なくしてまいりまして、現在では六段階になっております。総理大臣等というクラスがございますので、実際の行政官のクラスでいいますと、一般職員で一段階、係長、課長補佐クラスで一段階、本省の課長クラスで一段階、それから本省の部長クラス以上、いわゆる指定職と言われておるクラスで一段階ということで、現在、一般行政官について言えば四段階ということで相当大きな区分になっていることは事実でございまして、今回の改正の御提案の中ではこれを維持するという形で御提案申し上げておるわけでございます。
 御指摘のような、例えば階級の上の人と階級の下の人とが一緒に公務で出張をして、それでどうしても下の人がややレベルの高いところに泊まらざるを得ないというような公務上の必要性があった場合には、そのための調整というシステムもございます。できる限り実情に合った運用は現行法制度のもとで可能だと思っておりますので、その点をつけ加えさせていただきたいと思います。
#159
○井上(義)委員 現場職員の士気の高揚という面からぜひ御配慮をお願いしたい。次の改定のときにぜひ一考いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、移転料の問題でございますが、今回三四%の引き上げというふうになっておるわけでございます。この移転料につきましても、民間との比較、今回の引き上げで大体どうなっているのか、この辺のことについてちょっとお尋ねします。
#160
○藤井(威)政府委員 移転料の定額の引き上げにつきましても、元年の六月から七月三十一日の間に実際に赴任した職員の移転に要した経費を調査いたしまして、実際に支給された移転料に対して全体としての平均で約三四%の不足になっておるという事態を踏まえまして、今回三四%余りの引き上げの御提案を申し上げておるところでございます。
 民間の調査といいましても、制度も非常に区々でありますし、なかなかしっかりしたデータを把握するというのは難しいものでございます。移転料につきましては、実際に公務員が移転に要した経費というものを調べて、それで適時適切に変えていくというやり方をとらざるを得ないのじゃないかなというふうに思っております。
#161
○井上(義)委員 公務員の皆さん、民間に比べて非常に転勤も多いわけでございまして、民間に比べてかなり低いやに聞いておりますので、ぜひ一考いただきたい。特に荷づくり運送費、実際荷物を送るのにかかる費用については実額精算という方向で考えるのが本来の趣旨にかなっているのではないか、こう思うわけですけれども、この辺はどうでしょうか。
#162
○藤井(威)政府委員 荷づくり等についての実額精算という御意見があることは我々もよく承知しております。ただ、この荷づくりの実際の経費といいますのも、実態調査を現実に見てみますとかなり大きなばらつきがある。実際の引っ越しのやり方によって、あるいはその家族それぞれの事情ということもございましょう、非常に大きなばらつきがございまして、やはり支給の便宜、事務の便宜、あるいは公平という点からいきますと、全体としての平均的な経費を基準に定額を考えていくというやり方の方がいいのではないかという感じがいたしております。現在御提案しております旅費法も、いわばそういう考え方に立っておるということでございます。
 ただ、大臣からのお話もございましたように、その実態をきちんと把握しながら適時適切な改定をこれからも考えていくということは、やはり我々としても考えていかなければならぬことだというふうに思っております。
#163
○井上(義)委員 出張あるいはそういう転勤等で公務員の皆さんが自腹を切らなければならぬというようなことがたび重なることのないように、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案についてお尋ねをしたいと思います。
 今回の関税の引き下げにつきましては、昨年六月の経済構造調整推進本部の会合で、当時橋本幹事長でいらっしゃったわけでございますけれども、全工業製品の関税をゼロにするというようなことを御発言になっているわけでございまして、今回、結果的に千四品目の関税をゼロにする、品目について引き下げるというような結果になったわけでございますが、この間の経緯について、今回の関税引き下げの考え方を含めて御説明いただければと思います。
#164
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 我が国の貿易をめぐる環境は委員御承知のとおり大変厳しいものがございます。日米のSII協議などはその一つの象徴でございますが、このような厳しい環境のもとで我が国が自主的、一方的に関税の率を引き下げる、このような行動をとることが、多角的自由貿易の体制を維持する、大きく言えばそのような方向に向けていい効果があるであろう。現在さらにウルグアイ・ラウンドということで交渉が進められておりますが、このような交渉についても積極的なインパクトを与えることができるであろうという考えから、今回の鉱工業品についての関税率の引き下げ、撤廃という措置を政府としては御提案しているわけでございます。
 鉱工業品全体として四千四百ほどの有税の項目がございますが、そのうち千を超える千四品目の関税をゼロにするということでございますから、相当の評価をいただいていいのではないかと考えております。
#165
○井上(義)委員 今回の措置で、大体日本がいわゆる関税負担率あるいは関税ゼロ品目の率等を含めて世界のイニシアチブをとれるほどの状況になったのかどうか、この辺の国際比較はどうなのかということについて御説明いただけますか。
#166
○瀧島政府委員 関税の負担率を計算します場合に、分母に総輸入額をとり分子に関税額をとる、これを関税負担率と称して、こういうものの計数をもって国際比較をすることがございます。我が国の場合、最近におきましてこれが三・四程度でございます。アメリカが三・九程度、それからEC諸国が四%程度でございます。そういうことから見ましても、我が国の関税負担率は既に国際的に見て遜色ないというどころか、威張っていいくらいの水準に下がっているということが言えると思います。
 今回さらにこうした基盤の上に立って一方的に引き下げを行う、これによりまして無税の品目の比率、現在二三%程度でございますけれども、これが三七%程度に上昇するものと私ども計算しております。
 委員御質問の外国の状況でございますけれども、実はこの辺につきましてのはっきりとした統計がありませんので詳しいことはわからないのでございますが、アメリカ、ECそれぞれ大体一〇ないし一五%程度が無税の項目と考えていただいていいのではないかと思います。
#167
○井上(義)委員 日本が自由貿易を守るためにイニシアチブをとらなければいけないということからとられた措置だと思いますけれども、先ほどありましたように、全製品をゼロにするのだというようなお話もございまして、関税という国際比較で比べて相当日本が先に進んでいるにもかかわらず、今後さらにこれを進めていくというふうな考え方なのかどうか、この辺のことについてちょっと。
#168
○橋本国務大臣 確かに、今委員が御指摘になりましたように、私は、幹事長時代、会議の席上、工業製品の輸入について全関税を原則ゼロという考え方をとってはどうかという発言をいたしまして、当時大蔵省から非常にしかられました。そして、その意味では今多少チャックをかけられております。
 ただ、私は基本的に、日本が今後ともに世界経済の中で相応の責任を果たしていくとすれば、今後ともにやはり内需を中心とした持続的な成長を遂げていくことにより、またその中における輸入の拡大により、世界経済の中に資していくべきであろうと思っております。そうなれば国内の産業が結果として致命的なダメージを受けてしまうようなことをするべきではありません。そういう観点から今全製品原則ゼロという発言は慎んでおりますけれども、これから先それぞれの国内産業が十分輸入品と対抗のできる状態になりましたならば、それぞれの製品が国際競争の中で戦っていくためにも、むしろ関税は引き下げあるいはゼロの状態に持っていくことは望ましい方向だと私は考えております。
 そうした中で今回これだけの措置をしたわけでありまして、今、国際比較、できる範囲の数字で答弁が事務方からありましたような状況であり、こうした方向はむしろ、今構造協議等で非常に厳しい批判を浴びております日本経済が決して閉鎖社会ではないということを世界に示す意味でも、大きな役割を果たすと考えております。
#169
○井上(義)委員 今回千四品目無税になったということで、いわゆる国内的な産業は十分競争力があるという前提であるというお話でございますけれども、逆の面からいいますと、十分な国際的な競争力がある、だからゼロにしたんだということであれば、これは輸入促進という面から見ると余り効果がないなということにも裏返して言えばなるわけでございまして、今回のこの措置によってどの程度の輸入促進につながるとお考えになっているのか。
#170
○瀧島政府委員 委員御指摘のとおり、輸入の促進ということを図るのであれば関税率が一番高いものをゼロにする、国内産業にかなりのダメージが生じてもそのような政策をとる、これは極端な場合、一つの議論として成り立つのだろうと思います。
 しかし、私どもが今回お願いをしております措置は、あくまでも我が国が一方的に自主的にとる措置でございます。かかる措置をとることによりまして日本という市場へのアクセスを改善するということでございますが、今申し上げましたような一方的措置であるということから、私どもは、品目の選定に当たりまして、外国の関心が那辺にあるか、我が国の消費者の皆さんの関心がどの辺にあるか、それから、一方的措置ということからして、我が国の産業の受ける影響がどの程度であるか、こうした多要素を総合的に勘案いたしまして、一品一品、品目のマル・バツの判定を行ったわけでございます。
 その結果輸入がどれだけふえるかということにつきまして、これはまさに当然のお尋ねでございますけれども、効果を定量的に示すためには、為替の問題あるいは景気の問題、いろいろございまして、私ども、こういう公の席できちんと自信を持ってお示しできるような数字がなかなか計算できないという点も御理解いただきたいと思うわけでございます。確かに輸入促進という、これだけを見れば、これはベストの案ではないと思います。しかし、今よりはベターであるということで御了解いただければと思います。
#171
○井上(義)委員 今回のこの関税率の引き下げに関連して、租税特別措置法の一部を改正する法律案で輸入促進税制創設が提案されているわけですけれども、この輸入促進税制の対象となる品目、これは関税率ゼロということで千四品目というふうに考えてよろしいのでしょうか。
#172
○瀧島政府委員 輸入促進税制の対象品目、これは関税率ゼロの品物ということが一応基準になっているようでございますが、それがそのまますべて促進税制の対象になるわけではなくて、輸入促進税制という措置の対象にするのが適当かどうか、あるいは税制上の措置を講じてまで輸入促進を図る必要があるかどうかといった角度からのふるいをもう一度かけるということでございまして、そういう意味では直接のリンクはないわけでございます。ただ、この関税率ゼロということが輸入増大の方向に作用するであろう、方向だけは輸入促進税制と同じであろうかと思っております。
#173
○井上(義)委員 どの程度輸入促進に効果があるのかということについてははっきりしたお答えがないわけですけれども、関税率の引き下げ、また輸入促進税制、これが今回の二つの柱になっているようでございます。
 しかし、これまでのお答えなんかをずっと総合して考えますと、どうも諸外国が求めておるような輸入促進に余りつながらないのじゃないか、逆に、日本の輸入の場合は大半が商社あるいは総代理店を経由してきているわけでございまして、商社や総代理店、そういったところの利益を拡大するだけじゃないか、あるいはもっとうがった見方をしますと、輸入原材料が安くなるわけですから、再加工して輸出しているような輸出主導型の産業は、ますます輸出競争力が高まって輸出が拡大してしまうのじゃないかというふうにも考えられるのですけれども、この辺はどうなのでしょうか。
#174
○橋本国務大臣 私は、委員が御指摘になるような視点も成立しないとは申しません。取扱量の問題その他からいきますと、そういう傾向は決して否定できない部分の一つであろうと思います。しかし同時に、一つの例でございますが、例えば、中小といいますよりも小に近い工作機械のメーカーが特殊な工作機器を求めておるような場合に、これによって恩恵をこうむるというのは当然想定できるわけでございますし、現にそういうケースは生まれようとしております。
 こうしたものを見てまいりますと、この輸入促進税制というのは、従来とは違った部分において新たな需要を創造する可能性を多分に秘めている、これからいかに我が国の産業界がこの税制を活用し輸入を拡大してくれるか、むしろそれよりも、輸出国がこれを利用していかにして自国の製品を日本に売り込むべく紹介をする努力を払ってくれるか、そういった意味でのインセンティブの方が現時点において大きい効果を発揮するのではないか、私はそうした感じを持っております。
#175
○井上(義)委員 今、中小企業のお話が出ましたので関連してお尋ねしますけれども、この輸入促進税制はかなり枠がはめられているように思うわけでございまして、中小企業という立場からいいますと、輸入したくてもそれだけの資金がないというようなケースの方が多いのじゃないか。そういう意味からいいますと、輸入促進のためには、例えば輸入促進のための融資制度を拡大するというようなことの方がより現実的ではないか、そういうふうに思うわけでございますけれども、この点はどうでございましょうか。
#176
○橋本国務大臣 今の御指摘は、輸入というよりもむしろ国内の方、例えば機材購入等々についても同様の問題はあろうかと思います。そして、それはむしろ中小企業振興策全体の中で考慮されていくべき視点のもの、私はそのように思います。
#177
○井上(義)委員 それから、輸入促進の議論の中でもいつも出てくることなんですけれども、輸入が拡大されて、また輸入する企業がそういう促進税制あるいは関税率が下がるというようなことで利益をこうむる、果たしてそのことが個人の消費者にまで還元されるのか、いわゆる内外価格差が是正されるのかということがいつも問題になるわけでございます。今回の措置が一部商社や代理店あるいは大企業の利益が上がるというふうなことだけにならないようにしなければいけない、こう思うわけでございまして、この点について大臣の所感をぜひお伺いしておきたいと思います。
#178
○橋本国務大臣 各種の自由化措置がとられましたとき常に問題になりますのが、その結果として国内におけるそれらの商品価格が下がらないという問題でありました。そしてその原因は例えば我が国の流通機構にあるとか、さまざまなことが言われてまいっております。しかし、既に内外価格差の問題というのは放置しておくわけにいかない一つの大きな問題として、内閣全体が今日これに取り組んでおります。今の御指摘は、直接の主管といいますならばこれは経済企画庁に申し上げるべきことでありましょうが、私どもそれぞれの分野における責任者として十分留意をしてまいりたい、そのように思います。
#179
○井上(義)委員 次に、税関職員の定員の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 ここ数年、衆参両院の大蔵委員会で関税定率法の審議の際に、税関職員の定員の確保と処遇の改善という附帯決議がなされておるわけでございます。この決議がどのように生かされているのか、それから、最近事務量が非常に急増しているわけでございますけれども、税関職員の定員について平成二年度どのようになっているか、この辺お伺いしたいと思います。
#180
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 平成二年度におきましては、国家公務員全体としての定員が三千百四十八名純減ということになっております。その中で税関の定員につきましても大変厳しい議論が行われたわけであります。計画削減七十四人、マイナス七十四というところからスタートしたわけでございますが、委員御指摘の附帯決議等々が我々にとって大変力強い援護射撃として作用いたしまして、結果といたしましてはマイナスでございますが、マイナスは十一人で済んだということでございます。
#181
○井上(義)委員 行政改革は今後とも力強く推し進めていかなければいけない、こう思いますけれども、ただ一律に枠を決めてしまうのは余りにも形式的じゃないか。特に税関のように国際化の中で非常に業務量が急増している職場については、少なくともそういう行政需要が十分加味されていかなければいけないのじゃないか、このように思うわけでございます。特に、成田の第二期工事あるいは関西新空港新設工事が今進められているわけでございます。これと関連して、今後の長中期的展望に立った要員の確保は非常に重要であろうかと思います。予算が単年度編成でございますので、どうしてもその年その年の要員を決めていくことになるわけでございますけれども、長中期的な観点からの要員確保ということについては、当局としてどのようにお考えになっているのか。
#182
○瀧島政府委員 ただいまお話のありました成田の第二期工事あるいは関西新空港、こうした大きな要因はもちろんございますが、そのほかに、底流といたしまして輸出入の貨物の増大ということがございます。それから、行き来いたします旅客の数がふえるということもございます。こうしたことに加えまして、先ほど来御議論のあります麻薬の問題その他税関でチェックしなければならない要因が多々ふえてきている、これに対し、私ども基本的に中長期的に要員をふやしていくという方向でお願いをしなければいけないと思っておりますが、これも、国民の皆さんのお立場からすれば公務員の数がやたらふえるというのも問題であるということで、厳しい枠もございます。
 そうした中で、定員の確保と並んで、人間がしないでも済むこと、つまり機械でできることはなるべく機械でやっていく。機械の中に犬を含めては犬が怒るかもしれませんが、麻薬大の活用とかそういうことも含めまして、いろいろな工夫をして使命を達成していきたいと思っております。
#183
○井上(義)委員 当局としては欲しいのはやまやまなんでしょうけれども、全体的な定数削減の中で苦しい立場もあろうかと思いますけれども、これはぜひ大蔵大臣、先頭に立って特に税関職員の枠の拡大についてはよろしくお願いしたいと思います。
 これは一部お聞きした話なんですが、税関職員に最近現職で亡くなる方が他の職場に比べると非常に多いということも伺っておるわけでございますけれども、その実態はどうなのか、ぜひお聞かせいただきたい。超過勤務が原因の一つではないかというふうにも思うわけでございまして、この辺について御所見をお願いしたいと思います。
#184
○瀧島政府委員 現職死亡のニュースは私にとりまして一番つらいニュースでありますが、幸いと申してはいけないのかもしれませんが、ピークを越えたという感じがいたします。今突然のお尋ねなので数字が手元にございませんけれども、昨年一年の実績はその前の年に比べましてかなり減ってきております。これが一時的要因によるものではなくて、この傾向が定着することを目指してあらゆる手だてを講じていきたい、こう決意をしております。
#185
○井上(義)委員 次に、税関の機能の問題でありますけれども、最近、麻薬、覚せい剤、これが非常にふえておりまして、これは単に個人的な健康問題にとどまらず、さまざまな犯罪や暴力団などの関与などで社会的な問題になっておるわけでございます。また、最近、国連の特別総会でも麻薬撲滅のための政治宣言、世界行動計画を全会一致で採択いたしまして、一九九一年から二〇〇〇年を「国連麻薬乱用撲滅の十年」ということで、地球的な規模で取り組むことになっておるわけでございます。
 この麻薬とか覚せい剤はほとんど海外から来るわけでございまして、いわゆる水際阻止が最も効果的だというふうに思うわけでございます。最近は、検挙といいますか、事件として摘発される例を見ておりますと、どうも中に入ってきてから摘発される例の方が多いのじゃないか、水際防止ということについてどうも余り十分でないのじゃないかなということを感ずるわけでございますけれども、この辺どうなんでしょうか。
#186
○橋本国務大臣 ちょうど先日、国会のお許しを得ましてロサンゼルスヘブレイディ長官との対面のために出かけますとき、成田の税関支所で先日発見をしたコカインの相当量の押収物品、その現物を見せられました。その発見の状況等を聞きましても、よくこれを発見したと思うような状態で発見をいたしておりますし、その能力はすぐれたものだと私は思いますけれども、確かに今委員が御指摘のような問題はあろうかと思います。
 ただ、私の知る限りにおきまして、例えば空港における税関職員の努力、また港湾における海上保安庁の努力、そして、それが厚生省の麻薬取締官事務所と連携をとりながら、警察との連係プレーの中で相当程度の成果を上げていると言うこともできようかと思います。その点は、たまたま私は厚生省と運輸省と大蔵省という関係する役所三つを動きまして感じることでありますけれども、日本の捜査官関係者は、お互いに非常に競争し合いながらも情報を伝え合い、いわば横の連係プレーをとりながら捜査に当たっているという点、他国に比べて非常にすぐれた捜査体制をとっているということが言えると思います。
 それと同時に、幸か不幸か、本当に島国でありますために、空から入ってくるか海から入ってくるか、その意味では非常に押さえやすい体制にあるということも言えましょう。
 ただ、このごろ逆に、昔のように漁船でことことと運んできてそっと持ち込むといったものよりも、非常に巧妙な手口に変化しつつあるということは、私どもが横で見ておりましても実感として感じることでありまして、そうした意味において、人員のみならず器材においてもこうした捜査に資するだけのものを職員に与えてやらなければいけないということを感じております。
#187
○井上(義)委員 今大臣もお話がありましたように、非常に巧妙化してきているということでございまして、最近は特に出入りの多い成田でありますとかあるいは税関職員の少ないような港なんかが集中的にねらわれるというようなことがあります。
 それで、この問題の特殊性ということを考えますと、先ほど機械化というお話がございましたけれども、この機械化にもやはり一定の限界があるのではないか。麻薬が一たん入ってきてしまいますと、これは大変なことになってしまうわけでございまして、やはり今が一番大事じゃないか。そのためにも、先ほど総定員が十一人減るというお話がありましたけれども、社会的な状況、日本の将来、青少年の育成等々考えますと、今ここで本当に水際で防止するということに真剣に取り組まなければいけないんじゃないか、もっと本気でこの問題に取り組まなければいけないんじゃないかと私は考えるわけでございます。
 そういう意味で、機械化にも一定の限界がありますし、この部分についての人、なおその人もかなり専門的な知識が要るわけでございますし、危険も伴うので、職員の人たちの処遇の改善を含めて、人員の確保ということをぜひともやらなければいけないと思う次第でございます。この点、大臣の御決意をぜひお伺いしておきたいと思います。
#188
○橋本国務大臣 大変失礼な言い方でありますけれども、私は本当にありがたい御質問をいただいたと思います。
 と申しますのは、かつて社会労働委員会におきまして超党派で麻薬、覚せい剤取締法の量刑の改正をいたしたい、引き上げたいということを考えましたとき、当時なかなか世論の協力が得られなかったことがあります。例えば、大麻でありますとかマリファナでありますとかいったものに対して世論は非常に甘く対応する、その中でむしろ量刑の引き上げというのは何か強権をもって臨むかのごとき印象を与えてしまったことがありました。そうした時代に私どもは、殊に麻薬取締官事務所等について苦労を重ねてまいりましたけれども、今委員から御指摘を受けますような御発言が院の中でこうして政府に対して与えられますことは、我々としては非常に感謝すべきことであります。今後とも全力を尽くして努力をしてまいります。
#189
○井上(義)委員 余り時間がございませんので、最後に一つだけお伺いしておきたいと思います。
 先般、租税特別措置法の代表質疑の折にも質問いたしましたけれども、家賃の控除制度について大臣の所感を改めてお伺いしたいと思います。
 最近の家賃の高騰が非常に家計を圧迫しているわけでございます。最近、土地の高騰が六大都市にまで拡大をして、来年は固定資産税の見直しが行われる、固定資産税が上がるとまた家賃が上がるというようなことで、特に民営の借家の皆さんは今深刻な問題になっておるわけでございます。
 東京都の六十三年の住宅実態調査を見ますと、借家世帯の平均家賃は大体四・九万円、全国に比べて東京の場合は大体一万五千円高い。それから、その中でもとりわけ民営の借家の平均家賃というのは六万円、公営住宅の平均家賃の約二・六倍ということになっておるわけでございます。今や東京では、家を持っている人、持ってない人、それに加えて公共住宅に入れた人、入れなかった人というような格差まで生じているわけでございまして、これは衣食住の衣や食とは次元の違う問題になりつつあるということを実感するわけでございます。
 経企庁が発表した「平成元年経済の回顧と展望」によりますと、東京圏の場合は、六十三年平均価格で一戸建てを買える世帯は全体の一三%、それからマンション購入、これは二三%、したがって、残りの六四%の人は家を買えないというのが現状でございまして、公共住宅が当面大量に供給されるというような状況にもないわけでありますので、家賃の負担の軽減というものはぜひ図らなければいけないというふうに考えるわけでございます。
 今回、所得税法の一部改正案で年金の控除額の引き上げがありました。例えば、年金生活をされている方にとりましても、年金というのがいわゆる生活費という観点から見ますと、公共住宅に入っている人はそれで何とかやっていけるかもしれないけれども、あるいは地方に住んでいる人はやっていけるかもしれないけれども、この首都圏、東京に住んで民間アパートを借りざるを得ないというような人は実は大変な思いをしているわけでございまして、家賃の負担の軽減ということはぜひとも図らなければいけないというふうに、改めて主張するものでございます。この点に関して、大臣の御所感をぜひともお尋ねしたいと思います。
#190
○橋本国務大臣 この点につきましては、先般来しばしば御党の皆様方から御質問を受け、そのたびに大変申しわけないと思いながらも同じ答弁を申し上げております。
 私はきょう、税法上の云々といった基本的な問題についてここで論議をするつもりはございません。ただ、その家賃控除というものの持つ性格を考えましたときに、限界税率の高い高額所得者でありますとかより高額の家賃を払っておられる方ほど、より大きな恩典を享受するという意味では、非常に不公平な話だと私は思うのです。というのは、非納税者の方にはそれは恩典が及ばないわけでありまして、むしろその意味では問題が違ってしまうのではないだろうか、そういう感じがいたします。
 それともう一つは、今委員から例示で挙げられましたのも東京の実態でありますけれども、むしろ今大都市圏の土地とか住宅問題という視点から考えましたときに、どうやって一極集中を排除し多極分散型の国土をつくろうかと考えておりますときに、この家賃控除が創設をされた、その不公平とかいうことを抜きにして、こういうものができたといたしますとかえって大都市圏への人口の集中を助長してしまうのではないだろうか、それは逆にむしろ問題を生ずる可能性があるという感じがしてなりません。
 しかし、従来からの御意見等も私どもは頭にありましたので、今回消費税における家賃非課税という考え方をとったわけでありますが、これならばどなたにも均てんする考え方でありまして、家賃控除というものについてはなかなか問題が多い、私どもとしては率直にそういう感じを持っております。
#191
○井上(義)委員 最後に一言。
 今大臣からお話がありましたが、例えば、高額所得者に非常に有利ではないか、これは所得制限を設ければいいわけでございますし、あるいはまた、家賃の控除についても限度を設ければいいわけでございます。それからまた、非課税世帯については、現状の高い家賃の中で公共住宅にも抽せんでなかなか入れないという皆さんたくさんいらっしゃるわけでございまして、これはもう家賃手当をぜひとも出さなければいけない問題である。
 それから、一極集中を進めるのじゃないかという議論に対しては、家賃控除があったとしても、それほど、例えば家賃の半分や三分の一が補助されるというわけでもありませんし、ともかく今現在住んでいる人の家賃の負担を少しでも軽減してあげなければ、行政としては非常に不公平であるということを非常に痛感するわけでございまして、私はそのことをぜひ主張しておきたいと思います。
#192
○衛藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後二時五十六分休憩
     ────◇─────
    午後三時四十分開議
#193
○衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡辺嘉藏君。
#194
○渡辺(嘉)委員 大蔵委員会で初めて質問をさせていただきますが、どうか委員長を初め議員の皆さん、そして橋本大蔵大臣を初め政府委員の皆さん、よろしく御協力をお願い申し上げます。
 私は二つ質問を申し上げたいと思いますが、租税特別措置法の改正案とそれから製品輸入促進税制でございます。
 まず第一に租税特別措置法でございますが、資産課税につきましては譲渡、保有、取得に分けて考えられています。二並びに三は別のときに論議をするといたしまして、きょうは譲渡についてのみ考えてみたいと思います。
 この譲渡について、まず第一は、自己努力並びに社会的環境の整備、変化等、また不労所得等による資産性所得の的確な捕捉と課税、二つ目には、譲渡所得は水平的公平で同時に垂直的公平でなければならないということ、三つ目には、土地対策の一環として地価の高騰抑制と供給の促進等があると思うのであります。
 六十二年十月に超短期重課制度、長期を五年化、あるいはまた居住用資産の買いかえ廃止等その他の改正がなされたわけですが、六十二年八月二十五日の議事録を拝見いたしますると、政府委員水野局長から、「これは全体としての資産課税の適正化を図る中で土地の供給増に配意したということでございまして、」云々と述べていらっしゃいます。
 そこで、この実施以来二年六カ月たったわけですが、その目的にどのように実効がありましたか、まずお教えをいただきたいと存じます。
#195
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の六十二年十月の土地税制の改正でございますが、一つは超短期重課制度、もう一つは長短区分を十年から五年にするということでございました。申すまでもなく、超短期重課制度は、投機的な土地の売買、土地転がしのようなものを抑制しようということでございましたし、十年間持たなくても税制上有利な取り扱いになるように五年にその期間を短縮したということは、土地供給の促進をねらったものでございます。
 土地につきましての施策は、税制だけでそのすべてを律するわけではございませんで、関連諸施策がいろいろとまじっておりまして、そこを評価するのは大変難しいのでございますが、私どもが行いましたサンプル調査が一つございます。それは、個人の土地譲渡につきまして所有期間別に調べたものでございますけれども、十年超、それから五年から十年、五年以下というような所有期間に分けまして見たものでございます。
 それがどういう比率になっているかといいますと、例えば六十三年につきまして、ちょうどその制度改正があったところでございますが、六十二年九月以前というのを見ますと、取引のうち、十年超持っていたというのが八九・六%、五年から十年が四・七%、五年以下のところが五・七%となっております。それで、十月以降の六十二年の分を見ますと、十年超のところが、八九・六%と先ほど申し上げましたが、それが八四・四%に減りました。五年から十年のところが、四・七と先ほど申しましたが、十月以降はそれが一〇・六にふえている、ちょうど所有期間が五年から十年に当たるところの供給がふえているわけでございます。それから五年以下、これは超短期の取引を抑制したということもございまして、先ほど九月までは五・七%と申しましたが、五・〇%に減っているというような調査がございます。果たしてどの程度これをもって判断できるのかという問題もございますが、制度の目的はそれなりに達成されているものというように私どもは見ております。
#196
○渡辺(嘉)委員 それと関連するわけですが、そのときに、今度は居住用の土地の買いかえは廃止をする、事業用の土地の買いかえは八〇%容認する。今日、地価の上昇の主犯は大企業、法人の土地買いと金融緩和であると言われておるわけで、個人の細々とした居住用土地の買いかえが爆発的な地価の高騰を招く、こういうものではないのではないか。ましてや東京から大阪へこの地価の高騰が移る、各地方へ移るということが、居住用土地の買いかえ、この個人の力で起きるはずはない。とすれば、居住用土地の買いかえについていろいろな制度を設けられましたけれども、こういうことは煩瑣に過ぎるだけであって意味がないのである。
 こういうような意味で、むしろ居住用土地の買いかえについては復活をするか、現在の制度の選択制度にするか、どちらかにすべきではなかろうか。そして、事業用の買いかえについては、むしろ廃止をするか、またはもっと縮減すべきではないかと思うのでありまするが、これについてはどう思いますか。
#197
○尾崎政府委員 居住用の資産の買いかえを廃止いたしましたのは、ちょうどその時期に当たりまして都心の地価の高騰が郊外に移っていった、その一つの理由は、都心で高く土地を売った方が郊外で、例えば神田で売って田園調布でもって金に糸目をつけずにそれを買いかえて住宅を手に入れる、それが地価をつり上げているというような御批判がございました。それと、例えば配偶者を亡くしたお年寄りが最後の資産であります自己の住宅を売りまして老人ホームに入るというようなケースにつきましては、これは買いかえではございませんので、まともに高い税率で税金がかかるというような問題も同時に指摘されておりました。
 そこで、そういうような状況を勘案いたしまして、通常の譲渡所得より低い税率でございますが、居住用の資産を売った場合にも課税をする。買いかえの特例というものはごく限られたケース、当時墳墓の地ということが言われましたが、親あるいは祖父母から引き継いだような非常に長期にわたって居住をしている例などに限り特例として認めるということにいわば縮減をしたわけでございます。
 それでは、なぜ事業用資産の方は相変わらず買いかえが認められているかといいますと、これは居住用の場合と違いまして、あらゆる場合に買いかえが認められている、どこへ行ってもいいということではございませんで、土地、国土政策というような観点から、例えば過密の地から過疎の地に行くというようなケースについて、ほかにも幾つか例がございますけれども、そういう特定のケースについてだけ買いかえを認めるということになっております。したがいまして、過密対策をどうするか、あるいは工場の地方移転をどうするかというような政策と結びついているわけでございます。ただ、委員御指摘のとおり、事業用の資産につきましても、そのまま買いかえを認めるというのはどうかということで、その八割の額に限り認めるという、これも縮減をいたしたところでございます。
#198
○渡辺(嘉)委員 居住用の資産の買いかえについては、今おっしゃったような局長の意向は私も承知しておるわけです。しかし、それがために非常に困っておる人もあるわけですから、私は両者併用の選択制度にして、現在の制度と買いかえをする制度と両方認めて――それによって地価の高騰を招くような、そういうことはあり得ない、量的な問題から見てあり得ない、こう考えておるわけです。ですから私は、選択制度にしたらどうか、こういうことを申し上げたわけですが、この点についてもう一遍御検討いただきたい。
 いま一つは、その目的とされた土地転がし等を規制するために超短期制度を設けたということでございますが、この超短期重課制度につきまして中身を調べてみますると、昭和六十二年十月から六十三年の一月までの四カ月間で、この超短期重課課税の税収は百五十七億、ですから、年に推計いたしますと約五百三十億となるわけであります。六十三年の二月から六十四年の一月までの、これは一年間、実額は六百九十三億、そうすると、百七十億ほどふえておるわけです。すなわち、三五%の税収がふえたという推計が成り立つわけです。
 反面、この土地の税収の総額は、昭和六十二年が三千四百五十一億、これが六十三年は千九百七十七億と、前年対比で五七%に激減をしたのです。この六十三年度は、先ほど申し上げました六百九十三億円の超短期分を含めておりまするから、実質は大変な激減をいたしたわけです。
 ここで考えられることは、土地転がしを防止しようとして考えた超短期重課制度が実際に導入されても、土地転がしによる売買は、税収がふえたということは実際問題として取引件数その他もふえたのではないか、こう考えられるのであります。反面、今度は十年から五年に長期の扱いを短縮されたわけですが、この税収は先ほど申し上げたとおり大変な激減をいたしております。
 これは私の体験、あるいはまた実際を調べてみますると、まず前者においては、業者その他については一〇%の上積みを重課でしたわけですが、しかしその場合には、土地を売った人が税金を、重課の一〇%の分を払うのではなくて、今度土地を買う人が、そのくらいは土地代に上積みをしてやるから、だから売れ、こういうのが実際にあるのであります。すなわち、譲り渡し人が納税するのではなくて、土地の買い上げ人、これが負担をして地価を押し上げておる。
 あるいはまた、居住用の土地の場合でも、先ほどいろいろな理由を申された、私もわかる。しかしながら、そういう場合にもやはり同じように、買いかえ制度が廃止されたものですから、その課税される分については、結局は欲しがっておる大企業、法人等の業者はその分を上積みして土地を買っておるというのが実態なんです。それがためにこういうものの上積みも結果的には地価の値上がりになっておることを、私は実態的に体験をし、また調べておるのであります。
 そしていま一つの、後者の十年を五年に短縮された、これによって四・七%が一〇・六%にふえた、こうおっしゃるが、こんなものではない。これは一部の業者の方がやっただけであって、本当にたくさんやるならもっと量がふえなきゃならぬはずなんです。ところがふえていない、この程度であるということは、私に言わせれば、これは個人だけですから、法人その他の分が入っておりませんから、なんですけれども、これは単に一部の業者を喜ばせただけである。五年くらい保有しておるというのは、いい買い手を探す、適当なお客を探すには、期間としてはむしろ適当な期間なんですよ。買ってすぐ売れるほど今の世の中うまくいかないのです。ですから、むしろそういうような意味で、先ほど個人の件数はふえたとおっしゃいますが、税収で見る限りにおいてはこの分は大変な減少をいたしておる、こういうふうに考えるわけですが、この点についてはどう思われますか。
#199
○橋本国務大臣 後段の御指摘に関しまして、数字を含む部分については事務方から答えさせますけれども、ただいま六十二年の九月までと十月以降の数字で局長は申し上げたわけでございますが、その前の数字を申し上げますと、五年以下につきまして、五十九年は七・二%、六十年六・八%、六十一年は八・〇%という状況から、これが施行されて五・〇に下がりましたということは、やはり確実に効いている部分があるわけであります。
 そうして、委員の御指摘ではこれは少ないという御指摘でありますし、事実必ずしも多いと私は言い張るつもりはありませんけれども、五年から十年の間の土地が五十九年には三・二、六十年には四・四、そして六十一年には三・九というものが、六十二年の十月以降一〇・六という数字にまで伸びておりますことは、やはりこの措置は効果を発揮しておる、それは私はお認めいただきたいと思うのであります。
 ただ、今御指摘をいただきましたような買いかえの特例等々を含めまして、いずれにしても土地税制というものについては総合的な見直しを必要としておるわけでありまして、事業用資産の買いかえ制度につきましても、私は当然検討の対象になると思っております。
#200
○尾崎政府委員 超短期重課制度の導入によりまして、現行の三七・五%という法人税率を前提にいたしました場合に、二年以内の取引で超短期重課制度の適用を受けます場合には、実効税率が八五%を超えるということになっているわけでございます。
 確かに六十三年度、これは法人だけでございますけれども、法人の納めた超短期の土地譲渡税額は御指摘のとおり六百九十三億円ということになっておりますが、これは一つは、そのような重い税金を払っても売らざるを得ないような状況にあったということもあるのかもしれません。もしも売る時期を選べるのであれば、そんな八五%というような高い税金を払ってお売りになるということはまず考えられないことでございましょうから、切迫した事情があったということなのかもしれません。
 しかしながら、このような高い税率をもっていわゆる転がしを抑えるという措置をとる、その効果というものはやはり十分あったのではないかと私どもは見ているわけでございます。
#201
○渡辺(嘉)委員 ちょっと主税局長に問い合わせしたいのですけれども、先ほど聞いたパーセント、あれは件数のパーセントですか、税収のパーセントですか、金額でしたか。
#202
○尾崎政府委員 これは土地譲渡件数でございます。
#203
○渡辺(嘉)委員 件数がそういうふうに変化したということは、今実績でお示しのとおりなんです。
 ただし、私が特に申し上げたいことは、その超短期に対しては重課を課しますよ、だから法人の場合に実効税率八十数%、これはそのとおりなんです。ところが、赤字法人の場合もありますから、実効税率はそのまま機能するとは考えておらないのです。
 そうすると、六十二年の推計した額よりも六十三年の場合にはその税額がふえたということは、土地転がしがむしろふえたということは、地価の上昇が急速に来たものですからこの土地転がしがあったのではないか、こういうふうに考えると、これの効果はむしろ余りないのではないかという気がしておるので、この点を問い合わせしておるわけです。
#204
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 六十二年の法人税の税収のうち超短期分でございますが、それが百五十七億ということになっております。これは十月一日からの適用でございましたので、六十二年十月一日以降の数字でございます。新しい制度が導入された直後でございますから、非常に高い税率ではございますけれども、売らなくてはならないような状況にあった企業がかなりあったのではないか、それが六十三年度にあらわれているのではないかと私どもは見ております。
#205
○渡辺(嘉)委員 だから、百五十七億は四カ月分ですから、これを三倍掛けて約五百三十億と先ほど申し上げたわけです。それよりも六十三年は六百九十三億と税収がふえておるということは、実際問題として超短期になっても売っておる人はふえたということなのです。二年以内にふえたということなのです。だからこれでは効果がない。
 なぜ効果がなかったか。これは売る人が税金を負担するのではなくて、その上積みした税金の分は買う人が、よろしい、私の方で持ちましょう、だから売りなさい、百万の土地なら一〇%上積みして百十万にしましょう、一千万なら一千百万にしましょう、あるいは個人の買いかえができなければ二〇%なり四〇%は買う人が持ちましょう、こういう現象が各地に起きているわけです。だから私は、こういうことは効果がなかったのではないか、これを言うておるわけです。
#206
○尾崎政府委員 新しい制度が入った直後の年でございますから、そのように採算上不利な状況であっても売らざるを得ないようなケースがあったのではないかということを申し上げたわけでございます。
 それから、赤字法人の場合でございましても、実はこの重課分、超短期でございますと三〇%でございますが、その分は赤字法人の場合にも納付をさせるという制度になっているわけでございます。その意味で大変きつい抑制となっている制度でございます。
#207
○渡辺(嘉)委員 いや、これは、先ほど局長が実効税率八三というように非常に大きくおっしゃったので、赤字法人の場合には二〇なり三〇になりますよということで申し上げただけなんです。
 時間が食っていきますので次に移りますが、いま一つは、五十七年以来、幾多の面で土地税制はむしろ実質的には緩和の方向で来たわけなんです。それに加えて、今度は金融緩和がこれに裏打ちをしておりました。昨年の五月までは公定歩合も二・五%という超低金利であったわけです。そこで、この土地の取得のために借入金をする。
 その利息については実質的には経費に扱われておるということも見逃すことはできない。それがために、形式的には六十三年の抜本改正で企業の税負担回避行為を禁ずるために四年間はその利息を損金とせずに据え置くということにせられたわけですが、しかし四年後は今度は均等に四年間で損金に繰り入れてもよろしい。また、その間に売却をいたしますと、四年以内でもその後でも据え置き分を含めて一括して経費処理、損金処理ができるわけですね。これでは、この規制はむしろ実質的には抜けておるのじゃないか、ざる規制じゃないか、こういうことが考えられるわけです。これはむしろ法人等の借入金によっての土地取得に利便を与えておるのじゃないか。そして、低金利ですから、その金利が四年ぐらい据え置きにされてもそれほどの痛痒は感じない。
 昨年の三月二十二日、当時の村山大蔵大臣は「法人が借金をして土地を買って、そしてその利子を、まだその土地が本来の事業の用に供されないにもかかわらず、それを損金に算入するという制度がますます法人の土地取得を増進しているということで、この点は是正をしたところでございます。」これが是正の実態なんですが、こういうふうに見てみますると、土地の取得のために借入金をした、それの利息は実際結果的には損金扱いを受けておるのですから、超低金利の時代における一定の据え置きなどは効果はない、私はこう考えておるのです。それが先ほどから話が出ております四十兆とか五十兆とか言われる土地融資になっておるのだ、それで、企業の方もそれによって運用して十分利があるのだ、こういうことになるわけですから、この際、こういう法人の土地取得のための借入金の利息の損金を今のような状態のままにしておくことは余り効果がないのじゃないか、こういうように考えるのですが、どうですか。
#208
○尾崎政府委員 今委員のお話にもございましたように、企業が利益を出した場合、その利益を借入金の利子に全部充ててしまう、そのことによって利益を消してしまう、他方その借入金で土地を買う、したがいまして、利益は出ていないのにもかかわらず資産としての土地が膨らんでいく、そういうような現象を生じているのは非常におかしいのではないかということで、最初の四年間、土地取得につきまして借入金の損金算入を認めないということにいたしました。ただいま申し上げましたケースにつきましては、したがって少なくとも最初の四年間は利益が発生するわけでございます。法人税も納めていただくということになるわけでございまして、やはりそれ相応の効果はあると考えております。
 しかしながら、四年たちますと今度は損金に含めることができるという点は御指摘のとおりでございまして、そこをさらに期間を長くするというようなことになれば一層厳しくなるということでございます。しかしながら、実際土地の取得の中には、そういう特別の意図を持っていわば一種のスペキュレーションで土地を買っているという企業ばかりではございません。本当に必要があって買っているところもあるわけでございますから、いろいろの事情を勘案いたしまして四年間ということで打ち切ったということでございます。
#209
○渡辺(嘉)委員 今おっしゃったように、四年間は据え置いておるから四年先にはそれを今度は損金で認めていく。そうすると、最初のときにはもちろん税金を払います。その分については税金を払う、益金算入。ところが、後からそれを引いてしまうのですから、結局同じことなんですよ。それでまた、四年以内であっても売ったときには全部据え置き分も一括して損金に落としますから同じことだということですね。こんなことは格好だけつけておるだけじゃないか。
 だから、本当に損金に算入しないというのなら、むしろ土地については算入しない方がいいのです。もちろん、それは税制ですから、あらゆる意味で、取得費の関係その他総合的に判断してお考えになっていると思いますけれども、この土地に関連しておる部分についてはそういうふうな思い切ったことをやらないと――なぜかというと、今は企業は、先行投資で工場用地を取得する場合と、いざというときにはいつでも買いかえをするということと、いわゆる半身に構えて両方うまく選択できるように考えて運営しておりますから、そんな単純に考えておりませんから、そうすると、うまくいけば買いかえを利用しながら大きくする、そして、借入金の利息は損金になる、こういうことでありまするので、私は、むしろこれは厳しくしないと実効が上がってこないのではないのか、こう思うのです。
#210
○尾崎政府委員 企業会計の原則から申しまして、やはり利子は費用として扱うというのが原則であろうかと思います。
 それにどの程度現下の土地をめぐります環境を考えまして修正を加えていくかという話でございますが、すべて土地を買うための借入金の利子につきまして費用性を認めない、これはすべて認めないというところまでいきますと、先ほど由しましたように、必ずしもスペキュレーションのために土地を買っている例ばかりではないわけでございますから、企業経営上非常に重大な影響が出てくるわけでございます。
 確かに四年間という期間を切っておりますが、しかし、企業の経理の関係、法人税の世界では、この期間損益というのは非常に大きな問題でございます。例えば、特別償却のようなものを認めまして企業にインセンティブを与えたりいたしますが、これも、先生のようなお考えに立ちますと単なる期間のずれにすぎないということになるわけでございまして、実際の企業の経営に当たりましては、そのような期間損益の扱いというのが経営上重要な意味を持つということもこれは一つの事実でございます。
 したがいまして、私どもは、先生のおっしゃいますように完全に費用性を否認するというようなケースと比べますと不十分かもしれませんが、今回の措置もそれなりの効果を上げているというように考えております。
#211
○渡辺(嘉)委員 これに余りこだわるつもりはありませんが、企業が四年も利息を据え置き、損金不算入は企業にとっては非常に厳しい状態だからそういうことはそうないはずだ、こうおっしゃるかもしれませんが、そのかわり四年以内に事業の用に供すればそれはもう全部損金になるのですから。そうでしょう。
 そうすると、四年も先に持っていて、そして八年も持っていて、それが十年にもなるということは、事業の用にも供さない更地をそうやって持っておるということはどういうことですか。むしろ十年を五年に切り下げたことは、それと相乗効果で、私は、地価の高騰のために土地の買い占めを、高くなってもいいから買いましょうという衝動を起こさせておるのではないのか、こう考えておりますので、これはひとつ十分御検討いただきたい、こう思います。
 そこで、大臣に最後にお聞きしたいのですが、これはそれぞれの認識、理解の仕方が違うと思います。ところが私は実際各地の現場の状態を見ております。全部ではありませんから、私が見る部分は本当に「群盲、象を評す」に当たるかもしれませんけれども、六十二年の十月に導入してから急速に地価がまた上がってきたことも事実なんですね。これは導入と何も軌を一にしたのは意識的なものではありませんけれども、しかし、そういう結果であったことだけは明らかであり、それが、東京の一極集中を抑えたところが、大阪、名古屋へ波及していった。
 こう見てまいりますると、先ほども述べましたような幾多の超短期重課制度、あるいはまた土地については土地の買い受け人が負担をしたり、居住用の土地においても買い受け人が負担するというような行為、あるいはまた利息についても、実質的には損金にはなるのだというやり方、こういうようなことからずっと考えてきますると、この土地税制の改正案について私はいろいろな点で不備を感じておるのです。これでは十分ではない、こう考えておるわけです。
 そこで、所期の目的に本当に役立ったと言い切れるのかどうか、最初に大蔵省の主税局長もおっしゃっていられたように、本当に役立っていたかどうか。あるいはまた、私が見る限りにおいては、部分的にはむしろそれを地価に上乗せして買い取るというような逆効果を与えたのではないか。この点についてはむしろデメリットではなかったか。あるいはまた、その都度、五年を十年にぽんと切り下げます、そうすると、五二%が二六%にぽんと下がる、こういう極端な改正を逐次やられますると、どうしても垂直的な公平ということには欠けることは事実なんです。
 こういうような意味と、いま一つは、地価の高騰その他を考えながら今導入されたこの改正案とずっとあわせて見ておると、業者の方あるいはまた大企業、法人等の方にとっては、うまく上乗せしたり、うまく悪乗りしてメリットがあった、しかし、本当に住宅を欲しがっておる方々にはむしろ地価の高騰を招いただけマイナスがあったのだ、私はそう見ておるのです。
 こういうような意味で、一つは、五年からすぐに、個人でいうなら五二%の税負担が二六%にぽんと下がる、これは極端ですね。五年を超えるとすぐ下がる。こういうことでなしに、スローカーブを描いて放出させるようなやり方をした方が、税率をそういうスローカーブにやった方がいいのではないか、私はこういうふうにも考えておるわけです。
 こういう点を含めて、もう時間もないことですから、私ども、部会でも出ましたが、責任野党として代案なしに簡単に反対するのではないのだというような意見もありまして、なんでございますけれども、この際、これをもう一遍抜本的にきちっと見直してつくりませんと、場当たり的に、雨漏りするからといってそこにトタンを張ったりバケツを持ってくるようなやり方をしておると、非常に不公平が生じてくるし悪乗りが生じてくる。そして、一般庶民は第一わからなくなってしまうのです。こういうような不合理がありまするので、この際、これは一度考え直していただいて見直していただく、改正の改正を考えていただくことはどうか、このことをひとつ承りたい。
#212
○橋本国務大臣 今非常にまじめな御議論を展開していただいたことに敬意を表します。と同時に、幾つかの点について私も教えられるところがありました。
 ただ、私が委員に一つ申し上げたいと思いますことは、土地の問題について金融も税も主役ではあり得ないということであります。先ほど来何回か同じことを繰り返しましたが、私は、やはり宅地供給、いかにして供給するかという、実はそれは税とか金融の問題ではなく、土地政策全体の問題であろうと思います。そして、我が国の非常に不幸だったことは、土地というものについての国民的な基本的な哲学というものが欠如していた。そして、まさに委員が御指摘のように、そのときそのときの問題に対応するための対策を、本来はわき役であるはずの税がある程度正面に出て受け持たなければならなかった、私はこの辺に一つの問題があったことを決して否定いたしません。
 昨年、土地基本法につきまして、各党にも御協力をいただき成立をさせていただきました。そして、土地政策全体が見直されていきます中で、私どももまた土地税制というものを、総合的な見直しをこの四月からスタートをさせようとしているわけであります。ただ、一つ一つの制度についてそれが絶対的な効果を持つというものでないことは当然御理解をいただけているところでありまして、各種の制度が組み合わされながらいかにすれば効果を発揮するかという視点から、私どもはこれから本格的な見直しにかかろうといたしております。御指摘には敬意を表します。
#213
○渡辺(嘉)委員 大臣の御答弁を私も本当に真剣に承りました。私も税が主役で土地の問題が解決すると思っておりません。当然のことです。これは補完的なものであることは間違いないわけですが、しかし今では主役にならざるを得ないような状態も一部ある、このことも十分御認識いただいて、この対策を講じられるそうですが、ひとつ積極的な中身においての改善をお願いし、私どももその改正の素案をつくることになっておりますので、またよろしくお願いをいたしたいと思っております。
 次に、製品輸入の促進税制についてでございますが、これは通産省にまず承ります。
 この輸入増をどの程度見ていらっしゃるのか、まずこれを冒頭に承りたいと思います。
#214
○庄野説明員 お答えいたします。
 我が国といたしまして一層の輸入促進を図るという見地から、この製品輸入促進税制を含めましていろいろと輸入拡大策を講じております。これら諸施策の具体的効果といたしましては、今後の経済情勢なり輸出国側の輸出拡大努力にも左右されるわけでございますけれども、相当の効果があるものと考えております。
 特に、この製品輸入につきましては、これまで着実に伸びてまいりましたが、今後とも一割ないし二割程度の着実な伸びが見込めるものと考えております。
#215
○渡辺(嘉)委員 相当程度ということと一割から二割、こういうことから判断せざるを得ないのですが、そうすると、私の計算によるとそれは約一兆円ぐらいに当たるのですが、そういうふうに認識してよろしいか。
#216
○庄野説明員 そのとおりでございます。
#217
○渡辺(嘉)委員 そうすると、この一兆円程度の輸入増を基調といたしまして、今度は大蔵省の方では減税総額をはじき出されたわけですね。そうすると、減税総額は、富塚議員からの代表質問でも明らかですが、八百七十億、こうなっていたわけです。
 そうすると、その内訳は、卸、小売の場合には準備金に繰り入れるので、その分として百六十八億、これは初年度ですが。それから、製造業の場合には特別償却が四百二十億、税額控除が二百八十億、こういうふうに確認してよろしいですか。
#218
○尾崎政府委員 製品輸入促進税制の減税額の積算でございますが、卸、小売業、それから製造業、製造業のうち税額控除による減収額、それから割り増し償却による減収額というように、マクロ計算で分けて計算をいたしておりますが、平年度減収額で申しますと、卸、小売業につきましては御指摘のように百六十八億でございます。それから製造業の税額控除分といたしまして、平年度百十五億というように見ております。それから、償却分といたしまして五百八十九億円、合わせまして約八百七十億というように見ております。
#219
○渡辺(嘉)委員 私の計算とちょっと違いますが、ちょっとどころか大分違いますね。しかし、これは後からまた明らかにしていきます。
 そこで、しからばこういう優遇税制によって輸入がどの程度拡大するかということは、相手国の問題もあるし景気の状態もあるし、いろいろあるわけですが、今日のレートが、きのうきょうが百五十六円ですね。一時は、昭和六十三年一月四日には百二十円まで円は高くなった。ところが将来は百六十円とも百七十円とも言われておるわけですね。こういうふうな現状の中で、輸入価格は一時に比べて一五%から二〇%上がってくるのですよ。そうすると、そういうふうに上がってきた場合に、それでもこの一五%程度の、約一兆円と目されている輸入の拡大ができるのかどうか。これは通産省ですがね。
 そしてこれはもろ刃の剣なんですね。要するに、これをどんどん入れることによって今度は逆に輸入インフレということも考えざるを得ないわけです。そうすると、これが今懸念されておる本格インフレの火種になりはしないかということも考えなきゃならぬわけですが、この点の懸念はないのですか、また、何か対策があるのですか。
#220
○庄野説明員 お尋ねの点で、円レートの状況からして引き続き輸入は伸びるのかというお問い合わせでございますが、確かに現在の円安基調が続くようになれば、中長期的には我が国の貿易不均衡是正の進展などを阻害する可能性もなしとしないし、望ましくはないと考えております。ただ、現在の為替相場は主として短期的な思惑による動きから円安になっているものとも考えられますので、為替相場が経済のファンダメンタルズというものを反映した水準で安定することを期待しております。このような為替の安定に加えまして、内需主導型の経済運営、さらにまた今回の総合的輸入拡大努力等々によりまして輸入を着実に増加させていきたいと考えております。
 なおまた、一言申し上げさせていただきますと、この対象としております製品関係については、円安の影響を受けます価格弾力性というよりも所得弾力性が高いという特徴がございます。したがいまして、このようなことを考えますと、内需拡大とか、先ほど申し上げました今回の輸入拡大措置により着実に伸びが期待し得るという点もあわせ考えてよろしいかと存じます。
 以上でございます。
#221
○渡辺(嘉)委員 このレートが今のような状態でいきますと、これに対する不安、そして輸入インフレ等々、いま一つは、外国製品でありまするから、それによって生ずるいろいろな故障、トラブル、アフターケアの問題等々でこれからの伸びはそれほどは見込めないのではないかと私は思っております。これは一緒にまた御答弁をいただきます。
 次に、大蔵省に御質問いたしますが、先ほどの八百七十億の内訳で、準備金は百六十八億、これは合っておったわけですが、この部分については、言うまでもなくこれは単なる準備金ですから、一応積み上げておいて、そして以後五年間でそれを取り崩していくわけですから、単なる繰り延べだけであって実際の減税ではないですね。実際の減税効果は、繰り延べた税金の分の利息にすぎないのです。また上手に回せばもうかりますがね。そういうような意味で、これは繰り延べにすぎないというわけです。
 それからいま一つ、先ほど私の申し上げた四百二十億の特別償却が五百八十九億とおっしゃいましたが、これもまた償却の繰り上げにすぎないのですね。実質的な減税じゃないんです。もちろんそれは、その単年度においては減税効果はあらわれますけれども、しかしこれもこれまた繰り上げである。
 そして、実際の減税そのものは、税額控除、いわゆる輸入製品の一割増加した部分の五%の部分ですね。これはもうその都度の税額控除ですから、これはもうすぱっとそのときの減税になる。これが、私は二百八十億見ておったのですが、百十五億しかない。
 こういうふうに考えますと、実質的な減税は八百七十億もあるのではなくて、こういう計算をしてくると、私もまあ三百億ぐらいあるかしらんと思っておったら、これはもう二百億程度にしかならぬのじゃないか、こんなことで人が乗ってくるだろうか、中身計算したらわかるんですから、こう思うんですが、どうですか。
#222
○尾崎政府委員 いろいろな施策のインセンティブとして認められております方策のうち、準備金の積み立て、それから特別償却ないし割り増し償却のようなものが非常に有効な手段として機能しているわけでございます。
 それは、確かに委員おっしゃいますように、非常に厳密な意味での期間損益でないものという点からいいますと、その利子分に相当するというようなことになるのかもしれませんが、しかし、各企業にとりましてはその年度その年度の決算というものが非常に重要なわけでございますから、例えば準備金を積みまして、準備金を積んでおります間に輸入したものの市場の開拓ができる、そのようなことは大変なメリットであるというように存じます。
 この輸入促進税制に限らず、いろいろと他の租税特別措置におきまして準備金の積み立て、特別償却というものが活用されておりますのは御承知のとおりでございますし、また、その効果は認められているところでございます。
#223
○渡辺(嘉)委員 私はそんなに甘く見てはおらないのです。各企業の実務者は、これを計算してみて、何だ、こんなもの大したことないじゃないか、税額控除はその場ですぱっと落とせますのでこれはいいんですけれども。私はこう見ておるんです。もちろんそれは償却をやるところもあります、それぞれの企業が選択することですから。
 しかし、そういうように見てくると、これは直輸入なんですね、直接輸入なんです。ですから、中小企業なんかのように、商社を通じたりその他の間接輸入の場合にはこれは効果はないんです。何も影響ないんです。減税はない。だから、この際、中小企業なんかでも直輸入ができるように、直接輸入ができて、そしてこの減税の恩典も受けられるような、こういう政策については通産省は何か特別に考えてみえますか、大蔵省は何か考えてみえますか。そしてまた、これが消費者にどのように還元されていくかということですね。
 要するに、機械は入れた、それによって企業は減税は受けた、配当金を上げるだけじゃ意味ないんですね。この点どうですか。
#224
○庄野説明員 中小企業に関しまして、製品輸入に関し中小企業は難しい状況であるのではないかというお尋ねでございました。
 私ども、実は平成元年の中小企業白書で中小企業にアンケート調査をいたしました。その結果をちょっと御披露させていただきますと、今後輸入を拡大しようという希望が強うございまして、中小流通業者が今後輸入品の取り扱いを拡大するという回答をなさった方々が、小売で二七%、卸で四六%に上っております。ただ、先生おっしゃるように、このアンケートによりましても、中小企業が輸入を拡大しようとする際に在庫あるいはアフターサービス、そういう負担がございますし、それから、商品情報がややもすると不足がちでございます。それが輸入拡大に際しましてコストなりリスクを生じまして輸入拡大の支障となっているという状況がございました。
 したがいまして、この税制によりまして、このようなリスク、コストを補てんして輸入拡大へのインセンティブを与えることとした次第でございます。
 なおまた、これにとどまらず、この税制にあわせまして予算関係でもいろいろと措置を講じようとしております。例えば一、二例を挙げさせていただきたいと思いますが、中小企業者の商品情報不足ということを補う見地から、全国各県に輸入情報ネットワークを整備いたします。ここで中小企業者のそういう流通業者の方々にも十分知悉していただく機会を与える、あるいはまた欧米諸国へ商品発掘専門家を派遣するなどいたしまして、海外の商品の情報提供等々、総合的な輸入拡大策を講ずることといたしております。
 これら措置と相まちまして中小企業者の輸入拡大が促進されることを強く私どもとして期待している次第でございます。
#225
○渡辺(嘉)委員 あと一括してちょっとお伺いします。
 中小企業も輸入拡大の意欲を持っておる、これはそのとおりなんですよ。ところが、今のようにアフターサービスの問題、情報不足の問題、あるいはまた手続上の問題、いろいろな問題があって、中小企業は直接輸入みたいなものはできるものじゃないんですよ。そうすると、結局商社を経由する。すると商社が恩恵を受けるのであって、中小企業は恩恵を受けない、こういうことになるわけですね。減税の恩典はないということ。だから私はこの点についても、これは昨日もお話が出ておるように、もう委託輸入しかしょうがない。だから委託輸入の制度をできるだけ拡大させるとかその他の方法をとって、中小企業にも、あるいはこれがまた消費者にも還元できるように施策を十分やってもらいたいということについて、そのほかにいい方法があればまた教えていただきたい。
 と同時に、いま一つ大事なことは、やはりレートの安定なんですね。この点については大蔵大臣が本当に御苦労さまになっておるわけです。敬意を表する次第ですが、それは相手があることですからなかなかそううまくいくとばかり思いませんけれども、まして市場原理で動いておりますから。しかし、何としてもレートが安定しませんと、これはもうこの製品輸入の問題だけでなくて日本経済そのものが大変なんですが、これについて、極端な言い方をしますと、総選挙が過ぎてから急速に下がってきたということですね。私はその間に何かあるんじゃないかと思うのですがね。要するに、公定歩合の引き上げが手おくれしたとか、あるいは選挙中だったからその辺はどうだったとか、私は詳しいことはわからぬけれども、何はともあれ総選挙が済んだら急速に円安・ドル買いが来たということ、国外状況もありますけれども。これらのいろいろなこと。あるいはまた、これは新聞によると昨年の十二月十九日の橋本大蔵大臣の発言がどうだったとかこうだったとかいろいろなことが出ております。
 これらにつきまして、この税制を有効に使って輸入の拡大が実現できて、貿易摩擦が解消できて、そして日本経済も安定するわけですが、このレートの問題を含めまして、この税制が中小企業も含めて有効に活用できるようにひとつお願いしたいのですが、大臣の所信を承って終わりたいと思います。
#226
○橋本国務大臣 今さまざまな視点からの御論議が行われたわけでありますけれども、私自身、通貨当局の関係する者の一人として、為替相場につきましてその分析を明らかにするあるいはその価格について具体的に云々することは避けなければならない立場でありますが、特にこのごろ、ソ連、東欧情勢等を背景にして思惑的な動きが非常に強く市場に出ており、円がその中で下落をいたしておることを強く懸念をいたしております。これは日本だけではありませんで、遺憾ながら我が国が一番大きな影響が出ておりますけれども、ドルのひとり高という雰囲気が出てきております状況について、先日のブレイディ財務長官との会談の際にも、日米双方の責任者同士がその問題意識を一にしておりました。
 昨年の十二月公定歩合が〇・五%引き上げられ、そして先般一・〇%の公定歩合の再引き上げが行われたわけでありますが、これは日銀の専管事項として日銀の判断されたタイミングにおいて行われたものでありますし、為替には間接的に影響を行使することを脳裏に入れながら、むしろインフレの防圧、物価の安定という視点から予防的な引き上げ措置を行われたと言われる性格のものと私自身も理解をいたしております。
 いずれにいたしましても、現行の為替レートというものが、日本経済のファンダメンタルズに比して決してそれを正確に反映しているものと私は考えておりませんだけに、できるだけ早くこれが安定することを期待しながら市場を見守っておるところであります。
 しかし、そうした中におきまして、先刻委員がその相場の変動の中で果たして製品輸入促進税制というものが効果を発揮するかという御指摘がありましたが、私は、その中でも、なおかつこれがある意味では象徴的な役割を果たしてくれることによって、今後の我が国の輸入拡大に資してくれることを信じております。そして、日米構造協議におけるいわば日本側からの一つの象徴的な手法として、この製品輸入促進税制というものは相手側からの評価も受けておりますし、私どもとしてはこれが十分効果の発揮できるような経済情勢に安定させていく努力を今後とも払ってまいりたい、そのように考えております。
#227
○庄野説明員 先ほどの先生の御質問に一点だけ補足させていただきます。
 中小業者が例えば商社に輸入を委託した場合でも、これは商社が税制上の恩典を受けるのではなくて、委託輸入ということでございますから、中小業者、中小企業が恩典を受けるということでございますので、補足させていただきます。
#228
○渡辺(嘉)委員 だから、それをできるだけ広げてやれということだ、そうしないと意味ないから。
 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
#229
○衛藤委員長 関山信之君。
#230
○関山委員 大臣、大変お疲れのことだと思いますが、私も大蔵委員は一年生でございまして、初めての質問でございますので、何かと御教示をいただければありがたいと思います。
 それにいたしましても、この一年間はまことにお互い大変忙しい一年でございまして、参議院選挙から衆議院選挙へと、私のところの新潟などは知事選挙や補欠選挙などもございましたから、一年のうちに四つも大きな選挙をやったのです。
 お互い消費税で大いに汗をかいたわけでございますけれども、今、改めて振り返ってみまして、この問題については、国民の皆さんは、そもそも不公平税制、これをまず何とかしてもらわなければ困るというのがありまして、それにしてもやはりやり方が乱暴過ぎたのじゃないかというのがあって、それにしても消費税は弱い者いじめでだめなんじゃないのというふうに受けとめているのです。
 私は、その順序に従えば、そもそも不公平税制の是正について一体どれだけ事が進んだのか、何一つと言うのは少々語弊がありますが、この不公平税制の見直し是正について余り大きな進展がない。あの消費税国会の八八年の十月に、野党四党が不公平税制について共同提案をいたしまして、自民党の皆さんから回答があった。いずれも二年先、三年先、五年先の先送りで、よしなに対処するよというような御返事で、一つ二つ具体的な回答がその後の税制改革に盛られたものもございますけれども、しかし総じて国民の期待にこたえるものがその後見られていないというふうに申し上げざるを得ないんです。特に、その後の平成元年税制改革、新しい年の税制改革を見ましても、その中身は極めて不十分だという感じが否めません。
 その辺の状況について、まずは大臣、どんなお考えかお聞かせをいただきたいと思います。
#231
○橋本国務大臣 久しぶりに関山委員にいじめられる立場になりまして、どうぞお手やわらかによろしくお願いをいたします。
 ただ、今委員が述べられました中で、私は不公平税制という言葉の定義そのものから、議論をし始めるとすればいたさなければならないと思っております。税制というものが不断に見直しを必要とすることを私は決して否定をいたしません。と同時に、今委員は消費税のみを言及されましたが、税制改革全体の図面の中における消費税の位置づけということから、もし御論議をいただくとすれば、また私の方もお答えをしなければならないことがございます。
 そして、確かに与野党の税制協議の中で、いわゆる不公平税制ということで野党側から提起をされましたものに自由民主党としての考え方を当時お答えを申し上げ、引き続き検討とお答えをした項目があったことも承知をいたしておりますが、その後の時日の経過の中においてそれぞれに検討が進められ、まだ結論に至っていないものをも含めて、私は、院として、院の中における構成員の各政党同士の話し合いというものは、その位置づけで進展をしておるものと理解をいたしております。
#232
○関山委員 私はここで今、不公平税制の定義で議論をしたり、当時の十項目に及ぶ不公平税制の中身の一つ一つを議論しようと思いませんが、たまたま租税特別措置の議論をするに当たって、やはりここでは消費税の是非を論ずる前提として、まずそれなりの不公平税制の是正に対するきちっとした姿勢がないとこの議論は始まらぬのじゃないかというふうに考えて申し上げたわけでございますので、その点はどうぞそういう意味で御承知おきをいただきたいと思うのです。
 先ほど、土地税制の問題、四月から論議をスタートさせるというようなお話がございましたが、この点は具体的にどうでしょうか、お聞かせいただける範囲で、土地問題に関する税制の総合的な見直しが答申の中に出ているわけですけれども、作業日程などをお聞かせいただけるようでしたらお聞かせいただきたいと思います。
#233
○橋本国務大臣 私どもは、税制調査会小委員会において、四月に入りますと早々から本当に御論議をいただきたいと願っておりまして、それについては二つの視点を私自身としては持ちながら御論議をいただきたいと願っております。
 これも繰り返して申し上げたことでありますけれども、一つは、まさにこの土地の高騰というものの中から、持てる者と持たざる者との資産格差というものに対し、国民から適正な課税を求める声が出てきている、これに対してどうこたえるか。もう一点は、大変素朴な言い方ですけれども、とにかくまじめに働けば大都市でも家が買えるという土地政策を実現するために、その中で税がどういう役割を果たすべきか、こうした視点から御論議をいただきたいと願っております。
 ただ、小委員会の人選等の関係もありまして、今まだいつから御審議をお願いできるということを御報告できるところまで固まっておりません。これらの日程等が固まりましたら、またこれは大蔵委員会の皆さんには、少なくともいつから始まるというようなことは当然お知らせを申し上げたいと思います。
#234
○関山委員 あえてスケジュールなどをお伺いいたしましたのも、税調の委員の皆さん方の任期などの問題もこれあるようですし、事態は大変緊迫している状況にもございますので、どうぞひとつ急いで、拙速ということは困るのでありますけれども、この時期、集中的な対応をお考えいただきたいと思うわけです。
  私は、今、租特の問題についてはごく一般的な話をさせていただくわけですけれども、租税特別措置というものについてのやりとりは本会議でもあったようですが、そもそも租税特別措置というものについての大臣の御認識を改めて伺っておきたいと存じます。
#235
○橋本国務大臣 今とっさに私が頭にありますものをそのままに申し上げたいと思いますが、もともと税というものが公平、公正を旨としなければならないことは当然のことであります。しかし、ある場合、その原則を踏まえた上で、なおかつ特定の政策目的に対していわば税で誘導していかなければならない場合がございます。
 例えば、私自身の記憶で申しますならば、昭和四十五年、公害国会と呼ばれる臨時国会がございました。そして、十数本に上る公害関係の立法がその一つの国会で行われました。その当時まで、日本の企業において、公害と申しますか環境汚染というものに対する配慮は非常に欠如していたということは否めない事実でありました。そして、企業の投資計画そのものの中にこうしたものに対する投資というものは含まれておらないケースが多々あったわけであります。そして、新たにできました十数本の法律に基づいて企業が環境保全のための投資を行いますことは、企業に対して非常に大きな負担を強いることでもありました。こうしたときに、公害防除施設に対するさまざまな税制上の措置がまさに租税特別措置を行使して行われましたことは、その後の我が国の環境改善のために非常に大きな成果を上げたと私は思っております。
 まさに租税特別措置というものはそうした使われ方をしていくべきものでありまして、公平、公正の原則に立ちながら、そのときどきの政策目標に従って、その原則を超えて何らかの目標を達成するための手段、私はそのように理解をいたしております。
#236
○関山委員 さすがに大蔵大臣と申し上げておきたいわけです。
 ただ、問題は、おっしゃったような税の公平原則や中立性をいわば阻害してもなお必要な政策効果というものを、そこに見届けなければならないわけでして、その点では、租特の政策効果の検証というのは一般的に一体どのように行われているのでございましょうか。これは主税局長で結構でございます。
#237
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 租税特別措置の効果の測定の御質問でございますが、その効果というのが、それぞれの目的とするところが非常にばらばらでございますから、その測定は大変難しいわけでございます。
 私ども、そういう意味での測定の効果ということになりますと、難しいとしか申し上げようがないわけでございますが、ただ漠然と継続することなく、政策目的の早期実現というようなことから、期限の到来の時期にその効果をいろいろな関係から検討してみまして、できるだけインセンティブとしての効果を上げる、社会経済情勢の変化にも即応していくということで、大体の租税特別措置に期限をつけて見直しをするということで、効果のない特別措置が続くことがないように努力してまいっているところでございます。
#238
○関山委員 期限をつけても、見直しが難しければなかなか面倒だという話に戻ってしまうわけでして――いや、僕は別にあなたを責める気持ちはないのですよ。あなた方の先輩の皆さんが同じことをおっしゃっているわけです。
 「戦後産業史への証言」というのを拝見いたしましたら、ここでは泉さん、高木さん、吉國さんという大先輩方が座談会をやっていらっしゃって、そもそも政策効果というのは、ここでは具体的には「大蔵省主税局としてはそんなのはつくれないので、通産省がつくるべきだと思う。」「そう、そう。要求側がつくるべきだと思う。」こういうやりとりなんかがあるのですね。僕らこれを読んでいて、これはやはり困るのでございまして、私ども今後少し腰を据えて租税特別措置は勉強させていただこうと思っておるものですから、そこらあたりは局長、どうなんでしょうか、当然ごらんになっていらっしゃるだろうと思うのですけれども。
 それから、税額控除の問題、きょうも促進税制で出てきますが、ここでは研究費の問題を取り上げて、研究費を税額控除したら途端に薬品代とか電気代とか水道代がふえちゃったとか、人件費がふえちゃったとかいうようなことを挙げながら、余り芳しいことじゃないなというやりとりをやっていらっしゃるのですよ。
 こういうことを考えますと、まさに税の基本をあえて曲げても政策効果をねらう以上は、その検証をきちっとやらなきゃならない。そして、やるにしても大変だということになりますと、絶えず一定のルールというものをお持ちになって、お示しになって対応していかなければならないのじゃないかなと思うのですが、いかがでございましょうか。
#239
○橋本国務大臣 私は、今の委員の御指摘は非常に大事なポイントであると思います。
 ただ、同時にこの機会に逆にお考えをいただきたいことは、例えば本日の本委員会の御論議の中におきましても、電線の地下埋没の償却率を減らしたという点についての御意見がございましたが、私どもとすれば、いわばこういう制度をつくって一番初めから協力をしてくれたところ、それを使って電線を地下に埋没させてくれたところと、ほかの効果を見てからのそのそとやろうというところとは差がついてもしようがないと思うのですね。しかし、その率を下げたということだけでも御異論が出る。
 私は、まさに公害防止関係を頭に浮かべながら申し上げるわけでありますが、今、日本の社会情勢の中で企業が公害防除設備を除外した工場設備をつくったとすれば、その企業は地域での存立は不可能だと思います。そして、公害防止に関する租税特別措置の率というものは、当初に比べれば随分下がってまいりましたけれども、しかしまだゼロにはできない、まだ相当高い租税特別措置によるインセンティブを残している、これは一体どう理解をすれば、割り切ればいいのか、これは税制当局としてもなかなか考えあぐねるところだと私は思うのです。効果測定というものを考えます場合にはそういう点も考慮に入れていただきたい。
 私も税は素人でありますけれども、今御論議を拝聴しながらそうした点をちょっと感じましたので、今後御検討願えれば私どもとしても幸いだと思います。
#240
○関山委員 今の公害の話についてはそれなりに――それなりにと申し上げておきましょう、わからぬわけじゃない。ただ、やはりこれは国民の側からして納得のいく説明のつくものが、絶えず、難しければ難しいなりに提示されなければならぬだろうという意味でお尋ねをしているわけでございますので、先ほどの局長の御答弁でも、大変難しいというのは本当なんだろうと思います。ですから、今後議論は続けたいと思いますので、どうぞひとつ御検討いただきたいと思うのです。
 その前に、実は租税特別措置のあり方というものをめぐって、ここしばらくの税調の答申などを一生懸命探したものの中で、調査室などにもいろいろと御協力もいただいたのですが、毎年毎年大体似たような抽象的なことで終わっているわけですけれども、昭和三十九年十二月の中山税調の答申というのがあるのです。ここでは、いわゆる租税特別措置の廃止三原則というものが打ち出されておりまして、申し上げましたような「負担公平原則や租税の中立性を阻害し、総合累進構造を弱め、納税道義に悪影響を及ぼすなど、多くの短所がある点にかえりみ、」こういう前提を置き、「租税特別措置が認められるのは、他に適当な方法が見出しえない場合に限られるべきである。」ということを指摘しながら、「政策目的自体の合理性の判定」「政策手段としての有効性の判定」「附随して生ずる弊害と特別措置の効果との比較衡量」、この三つを挙げてそれぞれに注釈を加えていらっしゃるのです。
 つまり、お伺いしたいのは、この三原則というのは今日といえども生きているのでしょうねということが一つです。それから、こういういわば原則にのっとって、先ほど申し上げたような租税特別措置の効果の評価、検証というものについて何ほどかのルールをお持ちになったらいいのじゃないかというふうに申し上げて、御質問申し上げたいと思います。
#241
○橋本国務大臣 大変申しわけありませんが、私は、中山先生が当時述べられたその三原別というものを具体的には存じませんでした。しかし、今委員が列挙されました限りにおいて、その原則というものが、私自身が知らないくらいでありますから、そのままの言葉どおり語り伝えられているかどうかは別として、私はその精神というものは現在も同じものだろうと思います。
#242
○関山委員 主税局長もそれでよろしゅうございますか。
#243
○尾崎政府委員 ただいまの大臣のお話のとおりでございます。
#244
○関山委員 それから、同じような評価の問題とかかわるのですけれども、先ほど、どなたの御質問でしたかに対して、いわば租税特別措置の整理縮減は進んでいるということの御説明がありまして、法人税に占める減収額の比率が下がっているというお話がございました。一方で絶対額がふえていることについては、これは経済の拡大があるから仕方がないんだ。しかし、そういう理屈でいきますと、パーセントが下がるのだって、それはやはり全体の経済の規模の拡大はあるわけですから、そういう数字だけではかるのもいかがなものかなという感じもしないでもないのですが、いかがなものでしょうか。
#245
○尾崎政府委員 同じ制度をとりましても、そのもととなる経済の大きさによりまして減収額が違ってくるという意味で申し上げたわけでございます。やはり、その法人税収全体に対しましてどのぐらいの減収額があるかというのは一つの重要な指標であろうと存じます。
#246
○関山委員 それでは、一般論はその辺でやめまして、輸入促進税制について幾つか御質問の項目を申し上げておいたのですが、大体前の質問者の中で消化をされておるようですので、残っている部分で伺いたいと思うのです。
 それにしても、さっきの渡辺委員の御質問で、通産省は一兆円からのいわば輸入増が期待できるという御答弁なんですが、私が実は昨年の税制改正が発表になりましたときの新聞を見ましたら、ここでは三十億ドルといったような数字が示されているのです。これは当時の朝日新聞の記事ですが、さっきの数字――これは今そのことの数字で議論する気はないのですよ。先ほど来議論しておりますように、将来に向けてこの制度を導入するに当たっての皆さん方の根拠をしっかり確かめておきたいからですが、どのような輸入増の数字を期待しているのか、もう一遍お答えをいただきたいと思います。
#247
○庄野説明員 先ほどの一兆円という数字につきましては、この税制の対象となる製品についての増分という理解でございます。
 なお、三十億ドルという数字が何か新聞に載っておったというお尋ねでございました。定量的にどのぐらいの輸入増にはね返るかということについてはなかなか難しゅうございます。私どもとしては、先ほど来お答え申し上げておりますけれども、この税制上の効果、さらにはいろいろな予算措置、関税の撤廃、あるいはまた財政投融資による低金利への助成策等々、いろいろ助成策を講ずることといたしております。なおまた、諸外国におきましても、我々の輸入拡大努力と相呼応して輸出振興努力がなされようといたしております。ということから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、製品輸入につきましては、私どもとして一、二割程度は着実に伸びていくものと認識しているというお答えを申し上げたわけでございます。
#248
○関山委員 それにしても、三十億ドルといえば約四千五百億円ぐらいですか。倍違うから、ちょっと数字をはっきりさせておきたいと言っているわけです。
 今回この税制の導入による減収額は八百七十億ですか、先ほどもちょっとお話がありましたが、数字が出てこないのだが、通産省が平成二年度でいわゆる総合的な輸入促進対策の推進に計上されている予算というのは七十億円ですね。この輸入促進税制では実に十倍の減収額を見ている。減収額というのは補助金ですからね。そのバランスがとうも僕にはよく理解できないわけです。本当にやる気なら八百億円補助金を出したらいかがか、その方がよっぽどわかりやすいのじゃないかと思うのですけれども。
#249
○庄野説明員 お答え申し上げます。
 例えば税制、例えば予算、例えば関税その他、個々のそれぞれによりどのぐらいふえるかという定量分析はかなり難しゅうございます。私どもとしては、先ほど申し上げましたように総合的な輸入パッケージとして今回新たに打ち出した次第でございますが、そのことによりこれまでの輸入関係が一割程度、一割以上は伸びてきておりますけれども、さらに一、二割は着実な輸入増を見込んでおるということでございます。
#250
○関山委員 こんなところで押し問答していてもしようがないのですが、私の言いたいことは、かなりうさん臭い感じがつきまとうものですから。このこと自体が大事でないと僕は言っておりません、このこと自体というのは輸入促進を図るということについてですが。実効性についての明確なお答えがいただけないことはいささか残念でありますけれども、一兆円から五千億ぐらいの幅を持って予定をしているというふうにでも承っておきましょうか。
 それから、先ほど御質問があったのですが、答えがちょっと私には十分理解できなかったのですが、消費者への還元というものはどのように担保されるだろうかというのは一つやはり気になる部分なんですが、これは通産省の方へお伺いしなければいかぬですね。
#251
○庄野説明員 お答えいたします。
 今回の製品輸入促進税制におきましては多様な商品の輸入の拡大が図られると思っております。また、新規の輸入商品なりあるいは輸入事業者の市場参入の増加といったことも予想されますので、その結果、競争の激化を通じまして価格引き下げなり流通合理化が促進されまして、これがひいては消費者の利益につながるものと考えております。
 なおまた、輸入拡大メリットの消費者への還元につきましては、別途、今回の措置と軌を一にいたしまして、消費者重視の観点から、是正に関する対策を総合的に推進するため内外価格差是正のための推進本部の設置がなされておりますし、また、消費者への一層の輸入の浸透を図る見地から、例えば各都道府県に経済国際化センターを設置するなどして消費者に情報提供を行う、そういう予算措置も講ずることとしております。
 以上の措置によりまして消費者への還元が担保されると考えております。
#252
○関山委員 一般的なことを聞いているんじゃないのですよ。この輸入促進税制の対象になるものについて、そういう消費者への還元はどう担保されるかと聞いているのです。
#253
○庄野説明員 今回の製品輸入促進税制の対象製品は、いわゆる製品のSITC五部から八部までといういろいろ多様な製品が入っております。機械類を初め中間財あるいは消費財等々入っておりますが、そういう多様な商品の輸入がふえてまいりますし、かつまた新規の輸入事業者の市場参入の増加も予想されるわけでございます。消費者への直接の還元ということではございませんけれども、恒常的に輸入を行う製造業者なり卸売事業者というところに着目してこの税制の措置を考えておりますけれども、そういう事業者間の競争を通じまして価格引き下げなり流通合理化なりそういうものが促進されて、それが結果的に消費者の利益につながっていくもの、そのように考えている次第でございます。
#254
○関山委員 せめて、この促進税制の恩恵にあずかる関係の企業にはちゃんと指導しますくらいのことは答えてくださいよ。そうでなければ、そんな一般的な話を幾ら聞いても答えにならないわけです。
 ところで、今おっしゃったようにSITC、最終的にはHSでいくのだそうですけれども何品目くらいになるのですか。
#255
○庄野説明員 ただいま精査中でございますけれども、一応二千から二千百品目に及ぶものと考えております。
#256
○関山委員 それからもう一つ、先ほど為替変動のお話があったのですけれども、これは金額で一割ということになるわけですが、市況商品なんかはどう扱うのですか。かなり価格変動の激しい商品なんかで、実際輸入量はふえないけれども金額が上がったというようなケース、こういうものは、ともかく金額さえ上がればいいんだという理解なんでしょうか。
#257
○尾崎政府委員 一割という限定を設けまして、それ以上の輸入効果のあるものということになっておりますが、まさに御指摘のとおり、国際的に価格変動が激しい商品につきましては、輸入量は変わらないけれども値動きだけでそれを超えてしまうというような問題がございます。したがいまして、一部の金属のようなものにつきましては除外をいたしたいというように考えております。
#258
○関山委員 いずれにしても、これはこれから政令がつくられるというふうに承知をしておいていいのでしょうか。
#259
○尾崎政府委員 細かい点、政省令等につきまして通産省と勉強しているところでございまして、そのうちはっきりさせたいと存じます。
#260
○関山委員 関税局、お見えになっておりますか。――実務上の処理で関税局の方に仕事がふえるというようなことは出てくるのでしょうか。
#261
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 この製品輸入促進税制の対象となる品目は関税分類番号で指定される、これは今主税局長からお答え申し上げましたように、これから具体的に詰めまして、政省令、告示いずれかの段階でその対象品目ははっきりするわけでございますが、実際に物が輸入されますとき税関を通るわけでありますけれども、税関では、関税の適正な徴収、それから、いろいろな規制がございますが、規制の適正な実施、これを行うために、すべての物品についてきちんとした関税分類事務を行ってきております。したがいまして、この税制の導入によって新たな仕事が出てくるということはございません。
#262
○関山委員 わかりました。
 それでは、引き続き関税定率法にかかわってお尋ねをいたしていきたいと思います。
 ところで、今回の改正はアクションプログラム以来の、品目からいいましても減収額からいいましても大変大幅なものだというふうに存じますが、どのような位置づけになるのかお聞かせをいただきたいわけです。
 一つは、貿易摩擦の関係で、市場アクセスの改善という意味ではほぼこれで完成したというふうにとらえてよろしいのかどうか。あるいはまた、一年後に参りますウルグアイ・ラウンドとの関連なんかはどのように御判断になって提出をされているのか。
 それからもう一つ、今御議論のありました輸入促進税制、これとはリンクして通産省の方と合い議が行われたやに聞いておりますけれども、そういうことだったのかどうか、お尋ねをしたいと存じます。
#263
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 第一のお尋ねは、今回の措置の位置づけということでございます。
 今、委員のお言葉の中にありましたように、市場アクセスの改善、これがこの関税一括切り下げのねらいでございます。我が国の貿易をめぐります状況は非常に厳しいわけでありますが、その中におきましてこのような措置を自主的、一方的にとる、これが多角的な自由貿易体制の維持強化に役立つという観点から行われるものでございます。
 これが市場アクセスの措置として究極のものであり、これで終わりになるのかというお尋ねでございます。
 そのお尋ねに関連いたしまして、二番目のウルグアイ・ラウンドとの関連というお尋ねが出てきたわけでございますが、ウルグアイ・ラウンドと今回の措置との関係は、端的に申し上げれば、今回の措置が自主的、一方的に行われるものである、ウルグアイ・ラウンドは相互の交渉でお互いに下げ合っていくということで、基本的な性格が異なります。私ども、一方的切り下げ措置といたしましては今回の措置をもって当面は打ちどめ、あとはウルグアイ・ラウンドの世界でということを考えております。
 それから三番目のお尋ねは、輸入促進税制との関連でございます。
 輸入促進税制の対象品目は、基本的には関税ゼロの品物の中から輸入促進税制の対象とするに適当なもの、税をまけてまで輸入をふやす必要があるものという観点から別個にまた拾い上げるということでございますので、関係があると言えばある、ないと言えばない。私どもは別個の措置というふうに整理をしております。
#264
○関山委員 ところで、当然と言えば当然ですが、撤廃をするに当たってはそれなりに中小企業への影響は十分しんしゃくをしてのことだと思うのですけれども、その辺については通産省の方はいかがですか、改めてお尋ねをしておきたいと思います。
#265
○豊田説明員 お答えいたします。
 関税撤廃の中小企業に対する影響でございますけれども、今回の関税撤廃は我が国が一方的に行うものでございまして、国内産業が比較的弾力的に対応ができるものに絞りまして撤廃をすることといたしました。したがいまして、対象品目が低い関税のものに集中した形となっておりまして、これによりまして中小企業等の国内産業が打撃を受けるようなことはないものと考えておるわけでございます。
 なお、関税撤廃の対象品目の中には一部中間財も含まれておりまして、そういう意味におきまして、中小企業にもコスト面においてむしろ利する側面もあるのではないかというふうに考えております。
#266
○関山委員 それからもう一つ、戻税制度というのが新しく創設をされております。私ら素人は、輸入したものを返品をすれば当然税金なんというのは返すものだと思っておりましたら、どうもそういう理屈だけじゃ通らぬのがそもそも関の理解のようでございますけれども、そこらあたりはどういう理屈でこの戻税制度ができたのかという問題をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
 それから、同一物の確認というのはかなり技術的に大変な話じゃないかと思うのですけれども、その辺は関税局長どうなんでしょうか。
#267
○瀧島政府委員 二点お尋ねがございました。第一は、戻税制度を設けるに至った背景、理由でございます。
 関税は、今委員が御指摘になりましたように、国境を越えますときのいわば関所通行料のようなものでございまして、入ってしまってまた出るとに返すという性質のものとは理解されておりません。どの国でも、入ったら最後、もうそれで終わりということになっているわけであります。
 ただ、そうなのでありますけれども、市場アクセスの改善という観点からいたしまして、その理屈を維持しつつも、許される最小限度の範囲内でこの例外措置を講ずるということもまた必要なのではないかというふうに考えたわけであります。一年という原則的な期間を設けております。入ってくるときには、もう再び外国には帰っていかないという決意で来たものが、日本で売れなくてやむなくまた帰っていくというときに戻税を限定的に認めるというものであります。
 この確認、これは確かにこの制度のポイントであります。したがいまして、入ってくるときにその品物の性状とか形、こういったものを記入いたしましたものを税関に出していただきまして、それを税関で確認をする。一年以内にまた外国に戻るときには、その税関で確認をした書面を他の書面と一緒に出していただくという形で確認を行うということを政令で定めるように現在考えております。
#268
○関山委員 それ以上のことは心配してもしようがないのでしょう。宝石なんか、同一物であるかどうかの鑑定なんというのは専門家を呼んできてやらなければならないのではないかと思って余計な心配などをしたりしているわけですが、そこはいいでしょう。
 実は先ほどもお話が出ておりましたが、税関の職員の皆さんの御苦労の話が毎年話題になっているようでして、私もその話を承って、附帯決議が毎年毎年くっついているのを見てびっくりしたのです。全体の定削の枠があるからということもあるでしょうけれども、それだけを聞くというよりも、税関職員だけにとどまらず、例えば法務の登記職員、これは国鉄で随分やりとりしましたが、行政の需要というのは世の中の変わりざまに従って随分激しいものがあるのじゃないだろうか、そんな感じがいたします。
 ここは、今はお身内のことではございますけれども、少し大胆に見直しになることを提起なされてはいかがかな、これだけ毎年毎年続いています、附帯決議がばかにされているようなことにもなるわけでございます。さっき関税局長は、十一名しか減らなかったんだ、よかったんだというようなことをおっしゃっていますが、もう少し突っ込んだシーリングの見直しみたいなものがあってもいいのではないかという気がするので、お尋ねをしておきたいと思います。
#269
○橋本国務大臣 実は、大蔵大臣を拝命しまして所管事項説明を受けました中で、私自身がしまったと思った問題の一つが税関の職員の数の問題であります。
 もともと行政改革の中で私は定員を切り込む方を主として自分の仕事にしてまいりました。そうして、大蔵省の場合に、国税定員については従来から頭の中にありましたけれども、実は税関というものは余り私の脳裏になかったわけであります。それだけに、現況を見まして、確かにこれは率直にしまったという感じを持ちました。
 ただ一方で、総定員法の中において、何次定削という名前のもとに定員削減計画が進行しております状況の中では、これを根本的に変えていくことは全体の枠組みを壊してしまうことでありますので、むしろ通常の定員削減に対しての増員の幅をどれだけとれるかというところに重点を置いて平成二年度も対応いたしたつもりでありますし、またこの年次計画が進む間その点で努力をする以外に方法はない、そう率直に思います。
 ただその上で、今のような一律定削の考え方が、ここまで各省の定員が締まってきた状況の中で将来ともに同じ手法で本当にいいのかどうかについては私は疑問を持ち始めております。しかし、うっかりするとこれは確かにすぐふえてしまう傾向があるわけでありますから、定員削減という方針は確実に堅持をしながら必要な部署にどういう形で増員ができるのか、むしろ総務庁長官にも一度私からお願いをしてみたい研究テーマの一つであります。
#270
○関山委員 時間がなくなりましたが、次は、海上貨物の通関システムの問題で絞ってお伺いをしたいと思うのです。
 全体の構想の概要等については省略をしまして、今、システムの利用者の問題が大変強い関心事になっております。問題は、税関、通関業、銀行という三者でシステムをスタートさせようということのようですが、そこに荷主を入れるか入れないかという問題が、いろいろな影響を及ぼすところでもあって関心の的にもなっているようですし、なお、NACCSの場合はカードシステムを使っているようでして、いわば自社通関というものがやみくもにふえては困るというようなことも踏まえて、ここでもカードシステムの使用を求める声が関係の労働者の労働組合などからも上がっているわけでありますけれども、この二つの問題についていかがでございましょうか。
#271
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 利用者の範囲につきましては、委員御指摘のとおり、税関、通関業者、銀行、この三者を私どもとしては予定しているわけであります。
 荷主のシステム参加の希望についてでございますが、現在私どもは具体的な要望は聞いておりません。要望があれば個々のケースごとに検討を行っていくということになろうかと思いますけれども、これは一部の情報で全体の情報でないのかもしれませんが、荷主の中にこの制度に対し関心を寄せておられる方があることは事実でございますが、その方々は、今委員がお話しになられました自社通関という観点からよりか、このシステムに参加することによっていろいろな情報が得られるのではないかという角度からの関心であるというふうに聞いております。なお、この点につきましてはさらに情報を集めてみたいと思います。
#272
○関山委員 あわせて、システムのトライアルの時期、対象予定地などがぼちぼち関心の的になり始めているわけですが、これはお聞かせいただけませんか。
#273
○瀧島政府委員 お答えいたします。
 このトライアルの実施ということは私ども考えておりません。トライアルではなくて本体そのものの稼働開始、それから場所でございますが、これは第一段階、第二段階と分けまして、第一段階は、平成三年秋をめどといたしまして東京、横浜、川崎港、それから第二段階は、平成四年秋をめどにいたしまして神戸、大阪、堺それから名古屋港、このように考えております。
#274
○関山委員 そこで、これは局長も十分御承知のところだと思うのですけれども、シップネッツなどについては、港湾関係の労働組合と関連業界との間でいろいろと労働条件その他について詰めてやってきているというような経緯もこれあるのですが、このシステムの導入によってどんな影響が出てくるのか、あるいは法律的な事項でもどの程度の改廃があるかとか、いまだ定かでない部分がありまして、お聞かせいただける範囲でそこらもお聞かせをいただければありがたいと思います。
 いずれにいたしましても、この事業をうまくやっていくための関係の方たちとのコンセンサスづくりというのは大事にしていってほしいな、こう思っておりまして、そのことについてもお触れをいただけるとありがたいと思うのです。
#275
○瀧島政府委員 この海上貨物の通関システムの問題につきましては、官民双方の利用者から成る協議会というものを設けまして、そこで具体的なシステム構築についての議論を行っているわけでございます。
 このシステムは、今御議論にありましたように、対象を三者に限って、つまり通関システムに限っての電算化ということでございますので、港湾で働いておられる労働者の方々あるいは港湾関係の仕事をしておられる企業の方々、いろいろ関係者は多いわけでありますけれども、基本的には通関業者にだけ影響が及ぶ。例えば港湾運送事業法に規定する港湾運送事業者の業務内容に影響が及ぶということはないと私どもは考えているわけです。
 それから、法律の改正がこの件に関連して必要になってくるのかどうかということでございますが、現在、輸出入の許可申請は文書で出していただくということになっておりまして、電算システムを利用するということになりますとその辺の手当てが必要になります。それから関税の納付、これも国税で行われておりますような振替納付というシステムが導入されることになりますので、その辺につきましても関税法の特例を設けていただく必要が出てくる、こういうふうに考えているわけであります。
#276
○関山委員 そこだけおっしゃられれば、仰せのとおり、そこは通関業者とそこに関係する労働者だけの問題だということになるのでしょうが、ただ、全体的な港湾の合理化というものがもう少し大きな枠組みで進んでおりますことは御承知のとおりでございまして、これからお尋ねする関税法の見直しの問題なども、つまるところは、いわゆる通関の内陸化というのでしょうか、そういうようなものと関連をして次第次第に港頭地区における仕事の量が減っていっている、これはもう現実にそうなんですから、これはいかんともしがたい現実で、近代化というのはいずれにしてもそういう側面を持つことも否定はしないのですけれども、私は実は社会党の港湾対策特別委員会の事務局長などをやらさせていただいておりまして、一昨年などは港湾労働法の関係で大蔵省に随分御厄介になったのです。いずれにしても、港湾というのは、特殊な波動性の問題でありますとか、労働市場がそれなりに特殊性を持っているとか、そういう問題もこれあるものですから、そこはやはり十分慎重な対応をお願いせざるを得ないわけなんです。
 そこで、関税法の問題に移らせていただきますけれども、目下勉強中というお答えしか出てこないのかもしれませんが、関税法体系の見直しについては既に早い時期から一定のスケジュールを持ってお取り組みになっていらっしゃるようでございまして、この作業の具体的な展開などについて少しお聞かせをいただきたいと思います。
#277
○瀧島政府委員 関税関係の法規が現実に即応しなくなってはいけないということで、絶えず勉強していることは事実であります。現にきょうも関税定率法等の一部を改正する法律案について御審議をいただいているわけであります。
 しかし、今委員が御指摘になりましたような関税法体系の見直しというような壮大な事業というものは、今関税局の中では進行しておりません。私は昨年の六月末に関税局長を拝命いたしました。しかし、その後このような作業が私の目の前で行われているということは全くないわけであります。その辺ははっきり申し上げておきたいと思います。
#278
○関山委員 余り時間もないようですが、局長からそうおっしゃっていただけば、それはそれで納得をすればいいのでしょう。
 そうしますと、私の手元に六十二年七月の事務連絡、「関税法体系の見直しについて」という文書があるのですが、これでは六十三年の十二月ごろまでのスケジュール、作業予定なども載っているのですけれども、一応これはこれで中断をしているのか、あるいはこれでやめたということなんですか。中断をしている、休んでいるという状態なんですか。
#279
○瀧島政府委員 今委員が御指摘になりました文書あるいは作業、そうしたものの性格につきまして私が聞いておりますのは、いろいろなところで、つまり我が税関の職場の中での職員の間から、あるいは税関を利用なさる経済界の皆さんの間から関税法に関連する御意見がいろいろ出てきた、それを全部まとめたものができたということでありまして、それに基づいて関税法をまさに体系的に見直すというところまで目指して作業が行われ、また現に行われているものではないということであります。これは休眠中とか一時棚上げにしているとかということではなくて、あの作業といいましょうか、そういう資料を取りまとめたということでもってその目的は達したのではないかと私は理解しております。
#280
○関山委員 わかりました。
 ところで、先ほどちょっと触れました通関の内陸地への拡散という問題は、それなりの合理性も一面では持ちながら、ただ港頭地区の労働者の職場を少しずつ減らしていくという問題だけではなくて、先ほど麻薬の話なども出ておりましたが、麻薬だあるいは武器だといったような安全の問題からいいましてもそう無原則に広げていっていいものではないし、むしろそこは抑制的に絶えず限定をしていくという性格のものではないか。そうでなければまさに関としての意味がなくなってしまうわけですから、それが空であれ海であれ、そこは絶えず水際で通関業務が行われるというのが大原則だと思うのですけれども、これについてのお考えを最後にお伺いをいたしておきたいと思います。
 それから、大臣、この問題をめぐってはまた現地の労働者の皆さんとのいろいろな協議の問題などもあるようでございまして、それなりのお力添えもこの際お願いしておきたいと存じます。
 以上申し上げて御答弁いただいて、終わります。
#281
○瀧島政府委員 税関には関的機能と税的機能があると言われております。このような機能を持つ税関がどこにあるのが適当か。我々税関を預かる者の立場からいたしますと、例えば東京湾に一つつくっておいて、外国に輸出をする人あるいは外国から物を持ってくる人は必ずそこを通るということにするのが一番便利なのです。しかし、民間の企業の方々からすれば、自分の工場あるいは本社の隣に税関があるということが一番便利でございましょう。それで現実はその両極端の中間にあるということで、全国に税関の官署が分散しているわけでございます。
 今委員が御指摘になりました内陸税関の話、これはいろいろな物流の集積度あるいは地方公共団体の政策といったものを考えましたときに、一概に否定し去ることはできないと思います。やはり適正迅速な通関という使命を果たしつつも、いろいろな方面からの要請にできるだけこたえていくという配慮はしなければならないと思います。しかし同時に、その配慮が行き過ぎた余りに本来の適正迅速な通関という機能が十分に果たし得なくなったら元も子もない。やはり現実はそうした両方の要請を勘案しながらケース・バイ・ケースで対応していくということであろうと思います。
 くどいようでございますけれども、内陸税関化ということがもうあらしのように、あらしという表現が適当かどうかわかりませんが、怒濤のように出てくるということはないと私は考えております。
#282
○関山委員 ありがとうございました。
#283
○衛藤委員長 沢田広君。
#284
○沢田委員 大臣、久しぶりでありますが、この間アメリカへ行かれていまだ時差ぼけだと言われておりましたけれども、今度のアメリカの予算を組んだ中身で、今まで千二百億ドルくらいの赤字をつくっていたものを半分くらいまで減らして予算が組まれましたね。これは、アメリカとしてはどこから財源を生み出していこうと考えているか。大臣が行ったら、恐らく金持ちの日本の大臣が来たのだからひとつ何とか頼んでみようという気を起こすのは当然じゃないかという気もするのでありますが、大臣にはどういう要請があったかなかったか、またどういうふうにそれを感じたか、お答えいただきたいと思います。
#285
○橋本国務大臣 アメリカ側の予算編成に対する協力依頼はございませんでした。
#286
○沢田委員 いや、アメリカの予算の編成じゃなく、その予算から貿易赤字と財政赤字の中の、特に財政赤字について半分減額をした、いわゆる増収を見たということについてどう考えておられるか。
#287
○橋本国務大臣 アメリカの抱えております双子の赤字と言われるものが世界経済の中の混乱要因の一つであることは、もう委員がよく御承知のとおりであります。そして、アメリカ自身がその改善努力に全力を傾けておることもまた事実であります。そうした中で委員が御指摘のような状況にまで立ち至ったということでありましょうが、今回のブレイディさんとの話の中にはむしろそうした視点からの議論はございませんでした。ありましたのは、公共投資を含めた構造協議の問題についてアメリカ側のいわば原則的な立場というものを述べられたということであり、私どももまたそれに対して日本の原則的な立場を申し述べた、いわば原則論と原則論を交わしながら相互の認識を深めたという程度にとどまったということであります。
#288
○沢田委員 今回提案されておりまする租税特別措置法等でありますが、租税特別措置法の中で率を決める場合に、減価償却を決めるなら決める、あるいはそれぞれの税制の特例を決める場合に、消費税はどのような織り込み方でこの率を決めたのですか。
#289
○尾崎政府委員 消費税は企業が取得した例えば償却資産にかかっているわけでございますが、その償却資産に対しまして一定割合の特別償却が認められることになるわけでございます。償却資産にどのように消費税を乗っけるかというのは、経理の仕方がいろいろございまして、別に消費税分だけを経理する方法もありますし、直接その償却資産に乗せる方法もございます。そういうことになっておりますので、償却率そのものを考えるに当たりまして消費税率が関係してくるということはございません。
#290
○沢田委員 それならそれでいいです。
 それから、大臣、お母さんが御病気だそうでありまして、心からお見舞いを申し上げます。やはり私もそうでありますが、これは笑い事ではないのでありまして、大臣の奥さんは大変な苦労をされているのだろうと思うのであります。
 我々も、いわゆる嫁としゅうとではありませんけれども、お母さんなりお父さんがいる場合にはその面倒を見ることが非常に苦労が多い。同居していると、ふろの世話から食事の違いから、あるいは食べる物から着る物から、いろいろと苦労が多いということで当時同居減税が生まれたわけであります。でありますから、今回同居減税はいじられていないのでありますけれども、奥さんに三十五万円の特別の控除が追加をされて、これも十六万五千円からそれだけふえた。それから、今度はパートの方もある程度の増額を見た。今はざまに入っているのは、今のような同居の減税で苦労されている人たちと共稼ぎの人だろうと思うのですね。共稼ぎの人は、両方の恩典を受けないのであります。三十五万円の適用もない。同時にまた、もちろんパートの方の適用外であるということで、家事に携わり、育児に携わり、あるいは家庭の仕事に携わる割合は同じなのであります。大臣、これはどう考えても、この同居減税と共稼ぎについて配慮していかなければならぬ課題ではないか。今しろとは言わない、課題ではないかというふうに思うのでありますが、その点、大臣どのようにお考えでしょうか。
#291
○橋本国務大臣 気持ちの上で委員の御指摘はわからぬわけではございません。しかし、六十三年十二月の税制改正におきまして、所得税の負担軽減の一環として老人扶養控除が引き上げられたこと、委員御承知のとおりであります。また、同居老親等の特別控除の引き上げが行われましたことも、御承知のとおりであります。また、いわゆる寝たきり老人等に対しまして同居特別障害者の特別控除の引き上げ等が行われ、寝たきりの老親を同居で扶養する場合の扶養控除等の合計額がかつての八十万円から百二十万円と大幅に引き上げられたことも、御承知のとおりであります。
 このように同居老人に対して思い切った負担軽減が図られていることも、私は御理解をいただきたいと思うのであります。委員が御指摘になるお気持ちがわからないではありません。しかし、逆に、現実にここまでそうしたことに配慮しながら進んできた、私はそう受けとめております。
#292
○沢田委員 次男、三男の方で、例えば遠くへ転勤をして勤めていて奥さんが家にいる場合も、三十五万円の三十五万円ですね。大臣のように家庭でお年寄りの面倒を見ている人も、三十五万円の三十五万円ですね。ですから、その辺の違いが感情的に見ても理論的に見ても、同居していることによって、これが日本の古来の伝統だから我慢せいという論理なら、これまた別なんであります。そうでないとすれば、それだけの負担を負っているという現実を我々は無視してはいけないんじゃないか。今とは言いません。しかし、そういうものを考えていくことが必要になっているというふうに思うのでありますが、重ねてでは恐縮でありますが、いま一言お答えいただきたい。
#293
○橋本国務大臣 私は率直に申し上げますならば、老人同居減税という言葉は余り好きではありません。むしろお年寄りの方が気分的に気にされるような言葉は余り使いたくない、私は率直にそういう感じがいたします。そういう意味ではむしろ、我が国の所得税に対する控除制度全体の中で将来見直す折がありましたときに、これからの我が国の家族構成の変化等をとらえて、その中で論議をしていただくべき性格のものではなかろうか。消費税を福祉税に直せという論議がありましたときに、福祉関係の方々から我々が精神的に負担に感じるようなことはしてほしくないと言われた言葉も私の脳裏には残っておりまして、余り精神的に負担になるような手法が望ましいものだとは思えません。むしろ、家族制度の変化とあわせて本質的な部分で改めて見直すときがあれば、その中において精神的負担にならない考え方で対処すべきものだと私は思います。
#294
○沢田委員 きょうはワンラウンドでこの程度にしておきますが、同居減税というのは、勤めておられる御主人が減税されるのでありまして、結局、おじいさんなりおばあさんが減税対象になるにしても、減税されるのはせがれさんの収入で減税するわけですから、それだけ出費が多いし苦労が多い。こういう意味で言われている言葉でありますので、これはじかに今経験されておる大臣の立場としてみれば、早晩理解できるものではないのかということを私は考えております。
 続いて、今度は細かいことですからちょっとお休みをいただいて、旅費についてお答えいただきたいのです。
 昔の勅任官、高等官、判任官、雇い、傭人というように区分した時代の表そのままなんですね、入れかえてみれば。大臣もこれはごらんになればわかると思うのですが、総理大臣以下ですから恐れ多いのかもわかりませんけれども、指定職にある者から以下比べて見ましても、これは余りにも違いがあるのですよ。
 例えば別表第一の一の分でも、日当だけで見ましても、指定職にある者は三千円だし、いまだに甲地方と乙地方と分けている。甲地、乙地なんというのはなくすということで終わっているわけでありますが、これもいまだに甲地方、乙地方と分けて、甲地方は宿泊料一万四千八百円、それから乙地方は一万三千三百円。泊まれるかな。これは泊まれっこないと思います。食卓料が三千円ついているのですが、これで泊まれるか。泊まれっこないな、こう思うのです。それから、一番下の三級以下の職務にある者は、日当が千七百円、宿泊料は甲地に行って八千七百円、乙地に行って七千八百円、そして食卓料は千七百円、こういうことで差をつけている身分制度というものが今日厳然として残っている。これはもう少し近寄っていってもいいんじゃないのかと思うのですね。恥ずかしくないかと思うのです、答えに出てくるのが。だから、二十三円を三十七円に直しただけでああいいやというつもりでいるんだろうと思うのですが、速やかに現実に合わせて――甲地と乙地なんというのがいまだにある。どこで区分しているのですか。もうないですよね、今は。こういうものをいまだに残しておいてそのままこうやって提案してくるというのは、余りにもそらぞらしいというか、ばかにしたというか、とにかくよく顔を見たいなという気がするわけであります。
 これはそういうことでひとつぜひ、きょう直せとは言いませんけれども、本当に次回までにもう少し体裁のいいものに直してやってもらいたい、こう思いますが、お答えいただきたいと思います。
#295
○藤井(威)政府委員 大変厳しい御指摘で、申しわけございません。
 今回、この旅費法における定額の改正に先立ちまして、我々、前回改正からどれくらいその実態に変化があるかという変化の調査をいたしております。その結果を踏まえて今回の改正の御提案をしておるわけでございますが、委員御指摘のとおり、身分で旅費にいろいろな項目に差を設けておるというのも事実であります。ただ、旅費は基本的には実費弁償という性格でございますので、その職員の職務とか責任にふさわしい旅行をしていただくための実費を支給しようとする、そういう観点から職員の地位に応じてある程度の資金枠の変化が出てくるのもやむを得ない。また、その職員の地位に応じた、職員が泊まっておる実際のホテル、旅館等の実態を調べて改正を御提案しておるわけでございまして、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 委員の御指摘になりました、この旅費法が最初できましたのはたしか昭和二十五年であろうかと思いますが、その当時、内国旅費で申し上げますと、この身分の段階というのを十一段階設けてございました。その後何回か改正を繰り返してまいりまして、現在では六段階までになってきております。委員御指摘になりました総理大臣等を除いて一般的な行政官で申し上げますと、一般職員で一段階、それから本省の係長、課長補佐等結局四段階ということになっております。その四段階の区分に沿って調査をした結果、今回はこの段階で御提案をするのが適正であろうという形で御提案しているわけでございます。
 将来、実情に応じて調査の結果を見て、実情がどうであるかということは我々常にフォローしなければいかぬというふうに考えております。
#296
○沢田委員 あなた、自分でこれで行ってみなさいよ。八千七百円のところへ自分で泊まってみなさいよ、どういうふうなものか。公務員ということで、今どれだけ公務員の地位が落ちたかということもまた一方考えてみてあげてくださいよ。公務員というのは、やはり公共の奉仕というので、昔はいい悪いは別として、全体の服務でやっていたけれども、時間制になったり、そのかわり、お歳暮をもらったって返さなければならないし、お中元をもらったって返さなければならないし、やめたら幾らか仕事の世話ぐらいはしてくれるぐらいな程度であって、年金も同じになってしまったし、公務員のいわゆる長所というのは今だんだん削られていってしまっているのですよ。せめて判任官とかなんとか――だったら、上の方に近づけて合わせるというのだけれども、あなた、これで泊まれるなら泊まってみなさいよ。東京で、どこで泊まれると思います。言ってみなさいよ。甲地でいいですよ。甲地で言ってみてくださいよ、一晩どこで泊まれるか。答えるのはかわいそうだからいいですが、特に要望しておきます。
 その次に、この別表一の二の表の部分、これは何ですか。
#297
○藤井(威)政府委員 別表一の二におきましては、国家公務員がいわゆる転勤、赴任のときに要する移転料の定額を定めているものでございます。
#298
○沢田委員 移転料ということになれば、品物を送ったり何かをしたりする費用も含んでいる。これも極めて階級別なんですよ。これは日通に頼んだって、階級的にまけてくれるわけでもないし、料金は同じだと思うのです、大臣のを送っていったって。それを五級以下は、これは五百キロ、三百キロぐらいを標準にしますと十六万円、上の方にいくと二十二万円、五十キロ以下になると九万三千円。こういうふうに鉄道運賃で見ていきますと、この五十キロまでは往復で千六百円です。それで九万三百円もらうのですから、千六百円以外がその他の荷づくり料だとかそういうものの費用だ。しかし、これをもし五十キロであっても、五十キロから百キロ未満で見ても、走行キロによってそんなに変わらないのです。荷づくりの手間が、大変な人件費がかかるわけですね。それはおわかりになるでしょう。
 だとすると、この表のつくり方というものも、キロ数だけでやってつくっていくというものではないのですね。その中に占めている割合は、荷づくり料もあるし、あとは運送のガソリン代だとか、そういう時間だとかというものになる。この千五百キロなどという場合を考えてみると、鉄道だけで行くと三万七千九百円で行くのですよ。それが二十四万という数字になっていく比率は、これはやはりいかにも非具体的であるし、非科学的ですね。ですから、これもそこまで言われるとは思ってなかったろうから用意はしてなかったと思うのですが、やはりこれは形が整ってないな、言われてみればそう思うだろうと思う。だから、これも近い将来に検討して、直してください。やはり上の人と下の人が荷物代まで差をつけられるなんて哀れなことはないのですよ。だからそういうことは、送る費用は同じだというふうに考えてやらなければいかぬではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#299
○藤井(威)政府委員 移転料につきましても、我々が御提案しております根拠として、実際に国家公務員が赴任をしたときにかかった経費がどうであるかという実態調査を行いまして、それに基づいて今回三割を超える大幅な定額の改定を御提案しているわけでございます。キロ数別の問題あるいはいわゆる身分段階による差の問題、そういうものも含めて実態調査を行った結果でございます。
 基本的には、委員のおっしゃいますように、実態調査を行いまして実情に合わなければその実情に応じて変えていくという方針は、我々も堅持していかなければいかぬというふうに考えております。
#300
○沢田委員 では、今度私も自分で実験して送ってみますから、そのときに今言った言葉が違ったら承知しませんよ。そのときには腹を切るつもりで……。今度実際に我々はこれをやってみますから、そのときになって調べた結果が違っていたら、これは――だけれども、身分別に差をつけるということはまずいということだけは言えるでしょう。ですから、それは直してくださいよ。私の方も調べてはあるのですよ。あるのですけれども、きょうはこの程度にしておきます。
 続いて、ほかの各省から来ている人に悪いですから、その省の関係を先にやらせていただきます。
 年金について、先ほど厚生省は適当な年金である、こういうふうに答えられましたね。さっきの答えではそうですね。今の年金制度は適当な年金である、そのとおりかそうでないのか、出てきて言ってくださいよ。
#301
○木村(政)説明員 先ほど年金局の年金課長の方から、年金の給付水準につきまして、基礎年金については老後生活の基礎的な分を保障するという考え方に立って給付水準を設定、それからサラリーマンの標準的な年金額、現役男子の平均賃金の七〇%程度の給付水準を確保するということを申し上げたかと思います。
#302
○沢田委員 ついでですから、今の標準報酬で二十五年の勤続で年金がつくわけですから、普通、学校を出れば二十二歳ですから、それでいって平均の年金額は大体どの程度にあなたの方の計算ではなりますか。全国の勤労者の平均が今大体三十万ですからね。ですから、平均でとるのは大学出の人にとってみれば少しかわいそうな例なんでありますが、それでも低い水準として例をとってみて幾らになりますか。
#303
○木村(政)説明員 標準的な厚生年金の水準で申し上げますと、四十年加入で十九万七千四百円という数字と承知しております。
#304
○沢田委員 これでも足らないのだと思うのですが、これは主税の方では今度個人年金を導入した。その前提となる根拠は、今の年金制度が不備だから、不十分だからという意味は一つあると思いますね。それから業界に対する育成、こういうこともあると思いますね。どちらかというと、後者の方に近いのではないかと思うのでありますが、その点はどうなっているのでしょうか。
#305
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 企業年金に係る生命保険料控除の引き上げについてのお尋ねと理解いたしました。その趣旨といたしましては、やはりこれからの高齢化社会の進展を踏まえまして、老後の生活安定のための自助努力、それから相互扶助、そのようなものを一層奨励したいということでございます。そのために制度の拡充を行ったわけでございます。
#306
○沢田委員 今の答えでは、月に大体十九万円が支給される金額だ。十九万で不足で、どれだけあったならばあなたの想定する年金になるのですか。
#307
○尾崎政府委員 この年金の今度の措置は、インセンティブの措置でございまして、掛金幾らまでということについては何も決めていないわけでございます。ただ、一定の限度額五万円を所得控除の最高限度といたしまして控除ができるということでございます。あと、その人々それぞれの方々の人生設計によりまして、企業年金の掛け方は変わってくると存じます。
#308
○沢田委員 結局は、十九万の標準というのは我々もまだ少ないとは思っていますよ。少ないと思っていますし、これはボーナスがありませんしね。ですから、それは大変だと思っておるが、これを税法上変えてきたゆえんなるものは、言うならば業界のこういう制度を育成していくという発想に原点がある、こういうふうに結果的にはなりますね。今三十万で計算したのですから、四十年勤めて三十万という人はいないのですよね。ほとんどそれ以上、標準報酬ですから五十万くらいになっているのです。そう考えると、当然これは業界の育成ということを考えたんだ、こういうふうに結論的にはなるのですが、その点はいかがでしょう。反論があったらお聞かせください。
#309
○尾崎政府委員 業界の育成という見地からではなくて、それぞれの個人が自分の将来の設計をして、そして自分の老後に備える、そういう自助努力ないし相互扶助の機運を高めていこうという考え方でございます。
#310
○沢田委員 では厚生省にお伺いしますが、今郵便年金もありますね。今七十二万円ぐらいですか、六万円ぐらいずつプラスされています。それに対して厚生省は、理想的な年金というのは、月額どのぐらいになったならば老後の不安のない年金と言われるのでしょう。今主税が言っているような考え方で、厚生省ではどういうものを描いているのか、ちょっと答えてください。
#311
○木村(政)説明員 老後生活に必要な費用の額につきましては、それまでの生活状況を反映いたしますことから、一義的にはなかなかこの水準というのは申し上げられないかと思います。
#312
○沢田委員 これは厚生省が老後のことを考える省として、大臣も厚生省のベテランですが、福祉のベテランですが、大蔵省が勝手にこういうものを考えて、厚生省はその後の将来の図案もできていない。大蔵省だけが先に突っ走って、厚生省の方はさっぱり後はわからぬ、こういうことで提案してくるというのは、権威がないと思うのですね。これは大蔵省が答えられなければ、厚生省はせめて今のものを向上させるか、どの程度が不安をなくす程度なんだ、そういうことが言えないようでは、答えてもらわなくて結構だが、とにかくこれは話にならぬということだと思う。
 それから、念のため、きょう配ってくれた書類の中に、二百七十一ページですが、個人年金保険というのがあるのです。六十三年度の初めのときからいきますと、災害死亡が金額として一兆一千三百八十億、それから満期・生存給付が十四兆四千二百十一億、それからあと年金と言われているところが一兆三千八百三十九億、生存保障その他が三千二百六十八億、あとは十四億、十五億、二億、極めて少ないのですね。言うなら、個人年金の方が極めて多い。こういう状態になっているし、六十一年度段階では二兆七千二十一億しか個人年金の額はない。それから、六十二年度で四兆一千二百三十九億になったという状況なんです。これはあなたの方で配ってくれた金融年報の中に入っておるわけですよ。
 こういうことで、これではだめだからこういう制度を入れて生保の育成なり個人年金指導をする、そうなったら死亡は要らないのじゃないかという気がするのですよ。これは年金をこれだけ育成していったら死亡は要らないのではないか、こういうふうに思いますが、その点はいわゆる法律をつくる皆さんの立場からお答えください。
#313
○尾崎政府委員 いわゆる生命保険料控除、死亡を事故とするものにつきましては大変長い間助成措置がとられておりまして、その普及の程度も非常に高くなっているという状況にございます。それに対しまして老後に備える企業年金の方は、まだ新しいものでございますから、普及の度合いに当然差がございます。
 御指摘は、十分普及しているものの方はやめたらどうかということであろうかと存じますが、しかし生命保険の問題につきましては、国民的に非常に深い関心があるところでございますし、そういう問題があることは私どももよく承知しているところでございますし、税制調査会などでも話題になったこともございますが、ただいまのところ、死亡の保険、それから新しく老後に備える企業年金、個人年金の双方それぞれ五万円の控除額ということにいたしまして、その奨励措置を続けているという状況にございます。もちろん、いろいろな角度から議論の対象になる問題であろうということは、よく認識をいたしております。
#314
○沢田委員 これも国税庁から出されておる、六十二年度で生命保険金が贈与税の中で捕捉をされた。死んだ人がもらうわけないですからね、その後の人がもらうわけですから。三千百九十四人、六十億ですよ。いかに寡占化といいますか、一人の者が物すごい金をもらっていくという仕組みになっているか。人数は三千百九十四人、それで六十億もらっている。株式及び出資では五万八千ですから、六万人で九百億の贈与をもらっている。一億二千万の国民の中で何人の人がこれに適用し、それを受けているかということから見ると、税で捕捉されている分がこうなのかもわかりませんけれども、極めて少ない。生命保険の保険金でもらっているのが三千人で六十億だ。だから、そういう意味においても広くとかなんという状況にもなってない。加入者は物すごく多い。しかし、長続きしないということです。結果的には損をしてやめていっている。こういうことで、結果的には皆脱落をしていってしまっている。結果的にもらうのはこれだけにしかならない、こういうことだと思うのです。意見があったら言ってください。これはあなたの方から出されている本で言っているのですよ。
#315
○尾崎政府委員 御指摘は贈与税の話でございまして、贈与財産のことでございます。一方、生命保険料控除はそうではございませんで、毎年毎年の所得計算上、生命保険料につきまして所得控除を認めるというものでございますから、やや次元の違うお話のように承りました。
#316
○沢田委員 次元が違うのではなくて、要するに実態がこういう結果が出てきていますよということを知った上で生命保険料控除を決めるなら決めていく必要性があると思うから、その効果なりデメリットはどこにあるかということを考えて対応してもらいたいということで、これもなかなか結論の出る話でないでしょうから、ここでは一応この程度にしておきます。
 次に、今度は違った省のことでいきます。
 畜産振興事業団、いろいろ悪いことをやってきて、随分華やかにやってきましたけれども、そろそろ牛肉の自由化ということになりました。いよいよ自由化になって、ようやくこれで消費者もぶったくられなくて済むのか、肉の日なんて大臣わかっているでしょうが、憎らしいけれども、二十九日を肉の日にしたのに、ちっとも安売りしてない。それ以上にふやせと言ったのに、これもとうとう実行しなかった。そういうようなことで、今度なくなった場合の対応、競りにも加わらないというのかどうか、その点畜産振興事業団の関係をお答えいただきたいと思います。これは農林省、お願いします。
#317
○赤松説明員 お答えいたします。
 先生御案内のとおり、畜産振興事業団は、従来から畜産物の価格安定等に関する法律、さらには加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、畜産物の価格安定を図りつつ我が国畜産業の発展に努めてきたところであります。しかし、さきの日米、日豪の政府間合意によりまして牛肉の輸入枠の撤廃が決定されましたため、昭和六十三年十二月に畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正していただき、平成三年四月から畜産振興事業団は輸入牛肉の売買は行わないこととなっております。
#318
○沢田委員 これは、いかなる名目を問わず、今度の改正公職選挙法にもある言葉だが、いかなる名目を問わず関与しない、こういうふうに解釈していいですね。
#319
○赤松説明員 先ほど申し上げましたように、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正いたしまして、畜産振興事業団は輸入牛肉の売買は行わないということでございます。
#320
○沢田委員 続いて、外国人労働者の問題で、これは大蔵大臣にも聞かなくちゃならないのでありますが、非常に労働力不足が今問題になっております。一方、不法入国ということになるのでしょうか、たくさんの労働者が今働いてきております。その現状について、まずこれは法務省の方からお答えをいただきたいと思います。
#321
○米澤説明員 お答えいたします。
 現在私どもが把握しております不法就労者の数、現に日本にいるであろうと思われます数は、推計計算より仕方がございませんが、オーバーステイといいまして、在留期間を超えて不法に日本に滞在している人の数から推計計算いたしますと、約十万ぐらいという数字が出ております。
 内訳等について詳しいことは、お時間の御都合もありましょうから……。
#322
○沢田委員 私が大臣にここで言いたいことは、正規の入国を認めていくという制度にした方が日本のためになるのではないかという提言です。
 恐らくこの人たちは、タコ部屋であるとかカニ工船じゃありませんが、六畳の間に十二人ぐらい入れられて、ピンはねもされるというひどい状況です。こういう人たちが帰ったときにどういう行動をするかといえば、排日運動をするとか日本製品のボイコットをやる。今度は、向こうへ行った日本人が強盗に遭うとか殺されるとかいうようなことになってくることは、当然の報いだろうと思うのですね。報復手段が行われると思うのです。ですから、何人にするかは別として、やはりある一定の正規のルートにして、働いて一年なら一年で帰ってもらう、二年なら二年で帰ってもらう、そういうふうな対策をとることの方が将来の日本のためにプラスになるのではないかということで、これは通産省の方も関係しますけれども、労働省の方でどの程度に労働条件がなっているかということも言ってもらった上で、大臣からひとつ。これは検討してもらう問題ですよ。ここでイエスとかノーとかと言える問題じゃない。答えてだきい。
#323
○氣賀澤説明員 お答えいたします。
 労働基準法等の労働基準関係法令につきましては、日本国内の事業で雇用される者でありましたら、外国人労働者につきましても適用されることになっております。
 最近、外国人労働者の増加に伴いまして、労働災害に遭うなどの事例が増加してきておりまして、労働省といたしましては、外国人労働者を雇用する事業主に対しまして、法令の適用について周知に努め、その履行の確保を図っていく、あるいは法令違反あるいは労働災害等の情報の収集に努めまして、的確な監督指導をし、重大、悪質な事案につきましては厳正に対処する、また不幸にして労働災害に遭われた外国人労働者につきましては、労災保険法に基づきまして所要の給付を行う、あるいは外国人労働者から労働条件等の相談がありました場合には、相談に応ずる体制を整備するというような諸般の施策を進めておりまして、今後ともそれらの施策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#324
○沢田委員 これはもう答えてもらったが、大臣、今どんな状況にあるか。ちょっと難しいですか、これは。では、これは一応聞いておいてください、どうせ大きくなる問題ですから。
 次に行きます。
 原子力の耐用年数で、百分の七十五という数字で償却を認めているわけでありますが、これは廃棄物の方ですね。今私が聞こうとしていることは、原子力の耐用年数は、これは各電力会社もやっておりますが、耐用年数はどれだけに見ているか。それから、総額の積立金は、減価償却以後の積立金は幾らになっているか。その二つ、わからなければ次に行きますが、どっちか答えてください。
#325
○森本説明員 前者の原子力発電施設の耐用年数でございますが、現在、税法に認められます十五年でございます。
#326
○沢田委員 わかりました。それではその次、原子力の償却の準備金。
#327
○森本説明員 償却準備金の実績でございますが、六十三年度では七百三十億円の積立額になっております。残高で申し上げますと、四千百九十八億になっております。
#328
○沢田委員 それで、これは言っておくだけになるかと思うのですが、それぞれ今の準備金で減価償却していった場合に、新規に改善できるという余地はあると見ているか、見ていないか。例えば私が九電力の準備金全部調べてみたところによれば、そうはなかなかないのですね。北から言うと、三百五億、九十九億、千七百十四億、七百六十億、四十八億、百三十億、三百十三億、こういうふうな金額なんです。あなたのとは違うけれども、余り言わない。言わないけれども、これで果たして本当の積み立てた分になっているのか。ひどいところでは、ちょっとこれを積み立てて会社の決算で黒字にしているというところもあるんだね、どことは言わぬけれども。そういうようなものもあるし、果たして正確に使われているかどうか。時間の方がどんどんたってしまうので、この点は注意だけします。
 それから、廃棄物は今どこに捨てていて、ドラム缶一本幾らで予算を組んでいますか。
#329
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 解体の廃棄物につきましては、放射能レベルの低い廃炉廃棄物と放射能レベルの高い廃炉廃棄物がございますが、日本原子力研究所の動力試験炉でやっておりますものは、現在のところそのサイトにためてございます。最終的には、放射能レベルの低い廃炉廃棄物につきましては、放射能レベルに応じました簡易な処分を行うということが考えられてございます。また放射能レベルの高い廃棄物につきましては、原子炉圧力容器、炉内構造物等量は少ないわけでございますけれども、事業所内に安全に保管をした上で最終的な処分方法を検討していきたいと考えてございます。
#330
○沢田委員 マルコスの問題も、要すればこれの廃棄物の一環があったわけでございますが、ドラム缶一本で幾ら予算を組んでいるかと私は聞いたのです。それはどのくらいになっているのですか、答えてください。
#331
○広瀬説明員 廃棄物の処分につきましては、現在のところまだ積み立て等は行われておりませんで、一本幾らということは現在のところまだ定かなものは決まっておりません。
#332
○沢田委員 今までも十年も十五年も十何年以上たって、それぞれ捨て場に困ってあっちこっち随分当たったわけでしょう。私の方で言いましょうか。ドラム缶一本について三千六百万円の予算を組んで、それをフィリピン沖に一時は捨てていた。それから、今度は尖閣列島の先も模索をした。今はどこかの湖の中で捨てているというふうに言われているわけであります。だから、今まで貯蔵していますということ自身がおかしいんじゃないですか。やはりそれなりの費用を払って処分をしているというのが現実である。だから、七五%もここで特例を認めて対応しているというのが今の現実と言えるのではないでしょうか。ちょっと答えてください。
#333
○広瀬説明員 お答え申し上げます。
 廃炉の準備金のお話と放射性廃棄物の最終処分のお話とは若干異なることかと存じますが、現在、原子力発電所から出てまいります低レベル放射性廃棄物につきましては、青森県六ケ所村で地中処分をするという計画が電気事業者を中心に進められてございます。また高レベル放射性廃棄物につきましては、最終的に地層処分をするという計画でございますが、これはまだ研究開発の段階でございます。
#334
○沢田委員 これは大蔵委員会ですから、科学技術なりその他でさらに詰めていく話だと思いますが、やはりこれもきな臭い話が随分つきまとってきている話なんです。ですから、いいかげんなことでこれは済まされるものではないし、国民の安全にかかわる、生活にかかわる問題でもありますから、やはりこの辺は嫌であろうとなかろうと、これはきちんと答えていくという姿勢が必要だと思います。これをあいまいなままにしておくということになれば、余計に疑問も出てくるし、不安も増幅される、こういうことになるわけでありますから、この点は特にきょうの段階はこれ以上詰めることはやめて、次に答えられるように対応してお願いをしておきたいと思います。
 次に、おいでいただいたところをそれぞれずっと終わってきたんですが、あと最後に農林に要望だけしておきます。
 伐採に当たっては三・六の金利を使うということでありますが、営農意欲を持っている農業が相続の場合に、今農林資金の公庫の貸し出しでも三・四なんです。だから、それに対して三・六というのは物すごい低い金利で、言うならば永年の相続の金利として支払うわけですが、これは農業も苦しさは同じなんですね。ですから、それならば農業の方も横並びに見てやらないと、いわゆる税金の滞納じゃないんですが、延納の金利なんでありますから、その点は少し差別をつけ過ぎる、こういうことになるかと思うので、これはどっちが答えてもらうんですか。伐採の方は農林で答えてもらって、金利については大蔵で答えてください。
#335
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 農業の場合には、御承知のとおり納税猶予という大変有利な制度がございます。それが林業の場合にはございません。そこで森林法の森林施業計画を有する者、すなわち計画的に植林、伐採を行う立木につきまして、相続税の納付を容易ならしめる一つの方法といたしまして延納の時期を最長二十年まで延ばす、それから利子税率を軽減するということにいたしているわけでございます。軽減税率は御指摘のように三・六%ということにいたしております。
#336
○沢田委員 一応農業の場合と均衡を図るように対応してもらいたい。片方、林業は、私は伐採することに国土保全のためにも余り賛成でないのですが、やはり相続税を納めるために伐採していかなくちゃならぬということも、これも国土の保全の上に立ってみると、国土自身が身を削っているということと変わりないのですから、余りこれは過酷な条件はつけない方がいいんじゃないのかということだけ申し上げておきます。三・六についても、それは伐採をさして金利をつけて払うというやり方は余り利口な方法ではないということを言っておきたいと思います。
#337
○尾崎政府委員 相続財産が立木である場合のお話でございますので、伐採はしない立木を相続する場合の措置でございます。立木という財産を相続する場合に二十年、三・六%と、先生の御趣旨のとおりにいたしているわけでございます。
#338
○沢田委員 御趣旨のとおりと言われても、全体から見ると大したことないのです。
 それから、自治省待っててもらって申しわけないですが、寄附金控除を五年間延長するということなんでありますが、改正をされた公職選挙法との関係もあって、名称を変えるとか、あるいは具体的な内容には変化がないと考えていいのか、その点を一応はっきりお答えをいただきたい。ここにおられる人は皆関係してくるわけでありますから、一応寄附金控除の取り扱いについて、自治省からお答えをいただきたいと思います。
#339
○衛藤委員長 担当の者が来ておりません。
#340
○沢田委員 じゃ大臣から、これは我々のあしたからのあれに影響してくる問題でありますから、寄附金控除の対象というのは、この法律ができてからすぐに影響してくる問題でありますから、従前どおりの取り扱いというふうに我々聞いているんですよね。公職選挙法の改正の人たちからは、従前の取り扱いと同じだというふうには聞いておりますけれども、この法律の中に入れてありますからそれは同じと見ていいのか、こういうことを確認しておきたい。
#341
○橋本国務大臣 お互いの政治生命にかかわることでありますから、明日まで正確に調べてお返事を申し上げます。
#342
○沢田委員 それから、土地の問題。それぞれ同志の皆さん方がいろいろな角度から言われましたが、一つだけこれは国土庁からお聞きしたいんですが、言うならば、調整区域と市街化区域の区分の撤廃、これはどの程度まで進んでいるのか、それから国土庁として考えている土地安定政策というものはどういうものなのか、その二つについてお答えをいただきたいと思います。
#343
○近藤説明員 いわゆる線引き制度に関する問題でございますが、私どもといたしましては、線引き制度というのは、これは良好な市街地形成、効率的な公共投資、これを実施するための都市計画制度における根幹の制度だと考えておりますので、これを廃止するという考え方はございません。
 ただ、市街化区域の拡大につきましては、適宜弾力的に対応しなければいけないと思っておりまして、これは先回の一斉見直しでございますが、そのときには全国で六万九千ヘクタール、東京圏につきましても一万二千ヘクタール拡大しているわけでございまして、市街化区域の拡大につきましては今後とも適切に対応してまいりたいというふうに思っております。
#344
○沢田委員 建設省の方では、今監視区域――これは国土庁に聞きたかったのはそこなんでございますが、監視区域と規制区域をもう少しきちっと広げていけば、土地の価格の安定も図り得るのではないか。これは私も平素提言している内容ですが、その点は国土庁としては土地安定対策として考えているのかどうか、こういうこと。
#345
○大日向説明員 お答えいたします。
 国土庁といたしましては、監視区域のより的確な運用を図るため、従来から関係地方公共団体に対し会議等を通じ、あるいは直接呼び出しまして、繰り返し厳しく指導してまいったところでございます。さらに、昨年十月二十七日にはその旨を改めて通達にしたためまして、全国に通達いたしたところでございます。今後とも地価の厳重な監視に努めるとともに、監視区域への取り組みが後手に回ることがないよう緊急に総点検を実施するというようなことで、これは総理からも厳しい指示がございまして、本日開催されました土地対策全国会議におきましても、関係地方公共団体に対し厳しく指示をしたところでございます。
 しかしながら、監視区域制度の運用強化によってもなお地価の急激な上昇等を抑制することが困難であるという事態に立ち至った場合には、規制区域の指定についても念頭に置いて対処してまいりたいと考えております。
#346
○沢田委員 なお不十分な点がありますから、さらに一層厳重に進めることを期待して、質問を終わります。
#347
○衛藤委員長 日笠勝之君。
#348
○日笠委員 長時間の大蔵委員会もいよいよ最後でございまして、私、昭和二十年のとり年生まれで、本日の取りを務めさせていただきます。労働時間の短縮も叫ばれておりますので、極力時短で御協力を申し上げるつもりではございます。しばらくおつき合いをお願いしたいと思います。
 まず、大蔵大臣、週末のお忙しいところを訪米されまして、ブレイディ長官との会談、御苦労さまでございました。
 私は、会談を終わった後のテレビ、新聞のニュースを見ますと、例えばある新聞ではドル高行き過ぎで一致とか、これ以上円安はならないのではないか、とまるのではないかと非常に期待をしておりました。しかし現実には、行かれて以来どんどん円安が進んでおりまして、きょうの夕刊を見ますと三年ぶりに百五十七円台、こういうふうになっておるようでございますが、今のこの円安についての御感想はいかがでございますか。
#349
○橋本国務大臣 私どもはロサンゼルスにおきまして、日米両国が為替市場における協力を含めて、経済政策協調を通じて為替相場の安定を図りたいという意識のもとに共同声明を出しました。現状の動向について同じ認識を持っておったということであります。しかし、これは私どもは具体的な相場自体に触れることを許されない立場でありますので非常に申し上げにくい部分もありますけれども、このところソ連あるいは東欧情勢などを背景にして思惑的な動きが大変強い、その中で円が下落いたしておりますことを非常に懸念いたしております。
 各国の協調体制というものにつきましては、確固としておりますし、それは共同声明においても確認されたところであります。今後ともに適切な対応を続けながら為替相場の安定に努力してまいりたい、そのように考えております。
#350
○日笠委員 いろいろな原因があるとは思うのですけれども、最近の報道を見ておりますと、どうも日本の政治への信頼感、いわゆる衆参のねじれ現象を含めた、そういうものが根底にあるのではないか、このようにも言われておりますが、大蔵大臣はどうお考えですか。
#351
○橋本国務大臣 市場の方々の受けとめにはさまざまなものがあろうと思います。私は、衆参の選挙の結果そのものについては国民が選ばれたものとして市場の関係者も別にそれが異なものと受けとめておられるとは思いませんけれども、その結果として予算の審議あるいは法律案の審議等において影響が出ることは懸念しておられるかもしれないと思います。
#352
○日笠委員 では、具体的に法律案の方に移りたいと思います。製品輸入促進税制から入りたいと思います。
 これは日米構造協議でアメリカ側が対日要求をされたものなんでしょうか、それとも日本国として独自に考えられたものなんでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
#353
○庄野説明員 この措置につきましては、SIIの場で討議されておるというようなことではないと理解しておりますし、私ども日本の置かれた環境その他からいたしまして、輸入拡大への道を歩むという私どもの政府としての考え方に基づき講じようとしているものでございます。
#354
○日笠委員 この輸入促進税制は、最初通産省の方が今言われたような趣旨で提案をされたと新聞報道等では仄聞をしておりますが、当初は大蔵省はこの税制には反対であった、例えば中小企業を対象とした輸入資金の方の低利融資制度の拡充にすべきである、こういうふうに言っておられたというふうに聞いておりますけれども、いつごろから大蔵省さんはこの促進税制について納得をされ、今回提案されたのですか。
#355
○橋本国務大臣 政策決定までの論議にはさまざまなプロセスがございます。その中におきまして、通産省の御要求を大蔵省としても受けとめ、真剣に両者で論議をした上で選択をした政策であります。
#356
○日笠委員 この税制はいわゆる輸入業者、商社であるとか代理店、こういう方々の優遇税制ではないか、このようにも言われております。日本の輸入の約六割は商社経由でもございますし、大企業優遇税制の一部になるのではないか、そしてその恩恵がいわゆる消費者の方に届かないのではないか、こういうようにも言われておりますが、どのようにお考えでございましょうか。
#357
○庄野説明員 お答えさせていただきます。
 この税制は、実際に輸入を行いまして、輸入拡に際して相当なコストとかリスクがかかるわけでございますが、そういうものを負担している者に対して、事業規模のいかんにかかわらず恩典を与えようとするものでございます。したがいまして、何も大企業優遇とかいうことを目的としたものでは決してございませんで、輸入の拡大を図ろうという目的から発しておるものでございます。
 それから、この税制の恩典を与える対象者は、現実に対象製品の輸入が一〇%以上増加した者ということでございまして、現実にいわば輸入拡大努力を行った人に限定しておるわけでございまして、いわば輸入拡大努力への見返りという含みもあろうかと存じます。さらにまた、例えば税額控除に限度額を設定する等の配慮もあわせ行っているわけでございます。
 それからまた、さらにお尋ねの、消費者関係にはどうなっているのだというお問い合わせでございますが、これにつきましては、この税制によりまして多種多様な商品の輸入の拡大が図られるわけでございます。また、新規の輸入商品とかニューカマーとかといった方々の市場参入も増加が予想されます。その結果、競争の促進ということを通じまして価格制限なり流通合理化なりそういうものが促進され、消費者の利益につながっていくものと考えております。
 一言つけ加えさせていただきたいと思っておりますが、なを輸入拡大メリットを消費者に還元していく見地から、別途、内外価格差問題是正に関する対策を総合的に推進するために推進本部を設けております。あるいはまた、消費者にこれらの情報を普及させるために、いろいろなセンターを設置するなど予算措置もあわせ講じようとしております。こういうふうなことで、消費者が輸入拡大のメリットに敏感に反応し得るような措置を配慮しているというところでございます。
#358
○日笠委員 何か風が吹けば桶屋がもうかるような、ぐるぐるめぐって価格も安くなるのではないかというふうにもとれますけれども、具体的にお伺いをする点はいわゆる対象品目でございますが、先日こういうペーパーをいただきました。これは大蔵省からいただいたと思うのですけれども、「国連統計分類の第五部から第八部に属する輸入製品」、こうなっております。その中でいわゆる武器でございますが、これはちょっと防衛庁にお伺いいたしますと、六十三年度、防衛庁が民間の会社を代理店として輸入しているリアジェット36A航空機なんかも入っておりますけれども、トータルで五百二億円でございます。こういう武器、航空機、船舶を含めたものは第七部でございましたか、ここに一応入っておるわけでございますが、こういうものはやはり対象になるのでしょうか。
#359
○尾崎政府委員 軍艦とか軍用機とか武器の輸入につきましては、法令上輸入が制限されておるものでございます。したがいまして、輸入促進税制の対象品目からは除外することが適当ではないかと考えております。
#360
○日笠委員 それは通産大臣告示の方で除外をするのですか、政令でやるのですか。
#361
○尾崎政府委員 通産大臣告示になると思います。
#362
○日笠委員 そのほか、除外対象の中に書画骨とうというのがあります。日本は美術品の買いあさりを非難もされておりますけれども、こういう今の経済大国日本から見れば、そういう美術品なんかの購入はこういうときにこそ文化摩擦を起こさない程度に購入をした方がいいということも考えられますが、こういう書画骨とうも対象から外すのでしょうか。
#363
○尾崎政府委員 書画骨とう、絵画、彫刻の類でございますが、SITCの第八部に該当するわけでございますけれども、文化に対する配慮ということがございましても、税制上優遇してまで促進するという種類の輸入であるかどうかと考えてみますと、やはりこれは除外対象にすることが適当ではないかというふうにも考えております。
#364
○日笠委員 総括して言いますと、今回関税をゼロにする品目が一千四品目。そして、関税がゼロになったものがこの輸入促進対象品目ということで、考えてみれば関税がゼロになり、そしてこの製品輸入促進税制でなおかつ恩典がある、二重の恩典ではないか、このように思いますが、お考えはどうでしょうか。
#365
○尾崎政府委員 制度の目的をどのように考えるかということであろうかと思います。我が国の置かれております国際環境、また我が国の貿易収支の状況を考えますと、確かに最近は黒字の幅が落ちてきてはおりますけれども、なおこのような潮流をしっかりと定着させていくということが必要であろうかと存じます。そこが政策目的でございますので、やはり関税率がゼロとなりましたものにつきましてこのような措置をさらに講じていくということを考えたわけでございます。
#366
○日笠委員 この製品輸入促進税制というのは、世界でほかの国がやっていますか。もしやってないとするならば日本の国が独自ということになるわけですが、こういう前向きに検討された税制でございますので、まさに日米構造協議のときに我が国はこういうことも考えていますよ、プラスワンで出すべきものではないかと思いますが、どうでしょうか。
#367
○尾崎政府委員 前半の御質問についてだけお答えさせていただきますが、私ども調べた限りでは、主要先進国でこのような輸入促進税制を持っている国はないと思います。
#368
○庄野説明員 米国その他の政府の評価につきまして、一言ちょっとお答えさせていただきます。
 本税制を含む総合的な輸入拡大策の評価につきましては、先般総理が御訪米されました、あるいはまた私どもの通産大臣が先般訪米いたしておりますその際、先方の政府首脳から評価する旨の意見を得ておりますし、これはSIIの協議の場でも話としては私どもいたしておりまして、私どもとしては輸入拡大努力をこのようにやっている、先方の米国においてもさらなる輸出拡大努力を促してきているところでございます。
#369
○日笠委員 では、次の質問に移ります。
 租税特別措置法の一環でございますけれども、いわゆる住宅を取得した方にはさまざまな恩典があることは御承知のとおりでございます。今回も住宅取得促進税制ということで、控除期間を一年加算をする、五年間を六年間にするということになりますと、これは最高目いっぱい利用できる方は二十万ですから、五年間の百万が百二十万円までということになるわけでございます。そして、そのほかにも給与所得者等が住宅資金の貸し付け等を受けた場合の特例もございますし、また、住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税額の特例もございます。
 この家を持つということについては、いろんな恩典があるわけでございますが、借家の方には何の恩典もないわけでございます。今やエンゲル係数ではだめだ、住宅エンゲル係数にすべきである、このようにも言われている昨今でございます。そこで、我が党が絶えず御主張申し上げておりますところの家賃控除について、もう一度大蔵大臣にどのような御感想を持っておるかお聞きしたいと思います。
#370
○橋本国務大臣 今、私よりもはるかに大蔵委員会に経験の深い日笠委員に対して、税制上の基本論から論議をいたそうとは思いません。しかし、従来から何回も本院でも御論議をいただいておりますように、家賃だけを取り出して特別の控除を設けるということについては、税体系の中から基本的な問題が従来から指摘をされております。また同時に、限界税率の高い高額所得者、より高額の家賃を支払っておる方がより大きな恩典を享受する、その反面非納税者にはその恩典は及ばない、そうした問題があることも御承知のとおりであります。またその場合に、例えば家賃手当を払えというようなお話が時々出ますけれども、そうしたばらまき福祉こそ問題だということは、従来からも本院でも御論議のあったところであります。
 同時に、現在の大都市圏の土地住宅問題という観点から考えますときに、家賃控除の創設というものは、かえって大都市圏への人口集中を助長するのではないかという懸念があることも御承知のとおりであります。これについてもいろいろな御論議はありましょう。しかし、私どもはそうした心配を現にいたしておりますし、むしろ一極集中排除、多極分散型の国土形成というものを目指す観点からも、必ずしも私どもは適切な手法だとは考えておりません。そうした御議論をなさるお気持ちは我々はわからないでは決してないのです。しかし同時に、大都市部の非常に高い家賃というものに着目し、家賃控除というものをつくりました場合に、それが地方とどういう問題を生ずるかもお考えを願わなければなりません。仮に大都市の方々の負担を前提にして家賃控除というものをつくりました場合には、地方においてはほとんど無料の状態になり得ることも考えられる。無料に近い状態になるかもしれませんよ。(日笠委員「控除ですからな」と呼ぶ)その控除の設定の仕方によっては、そういう問題だって生ずるかもしれません。お互いが今私たちの郷里の家賃とこの東京の家賃とを比べた場合に、どこに視点を置くかによってその制度は随分違ってくるはずであります。
 そうしたことを考えてまいりますと、決して私は御意見としてわからないではありませんけれども、家賃控除の創設というものは必ずしも適当な手法だとはどうしても思えません。むしろ、私どもが消費税の見直し案におきまして家賃の非課税というものを打ち出しておりますのは、まさに委員がお考えになりますような問題意識を、非納税者にまで確実に均てんさせる手法として考えていることも御理解をいただかなければならないと私は思います。
#371
○日笠委員 それでは、少し時間をいただいて一つずつ御指摘を申し上げて、御答弁いただきたいと思います。
 いろいろ調べてみますと、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、いわゆる先進諸国でも、家賃控除制度ではなくて、家賃補助制度であるとか住宅手当制度というのがございます。アメリカ、イギリスは家賃補助制度ということで、もちろん所得は一定水準以下、そういうふうな制度は当然ございます。そして西ドイツ、フランスは家賃補助、いわゆる借家の方の家賃補助と同時に、当然新しく住宅を建てられた方には住宅手当という制度で恩典をつけております。本来ならば、日本の国で家賃補助制度というものができれば一番いいんだと思うのです。私どもはそこまでできる間のワンステップとして、せめて家賃控除制度はどうだろうかということを御提案を申し上げておるわけでございます。
 先進国でできているこういう手厚い制度が、経済大国日本、我が国でなぜできないのだろうか。豊かさが感じられないということは、ウサギ小屋、鶏小屋に象徴されるように、もう御承知のとおりでございましょう。そういう意味では、こういういい制度はぜひ先進国に学び、私たちの住まいの環境というものからも豊かさが感じられるような、まさに経済大国日本にふさわしいような制度をつくっていくということが大前提でございます。
 今回、既に大蔵大臣も御存じでしょう、もう新聞で報道されております、例えば江戸川区の移転老人家賃補助制度。今住んでいるアパートなんかを建て直さなければいけない、どこか行かなければいけないという場合は、その差額は江戸川区が払いましょう、そのまま江戸川区にお住まいください、こういうような制度も江戸川区では既に本年一月から実施をしております。また新宿区でも、過疎化ということが言われております。新宿区では、二十代、三十代の幼児を持つ世帯に家賃補助制度を考えていこうということで、九〇年度予算で二十億円の定住化基金をつくろう、このようにも動きがございます。そのほかにも江東区であるとか中野区であるとか、葛飾区でも、障害者も含めた方々の江戸川区同様の制度を始めようと自治体で動き出したわけでございます。一極集中でだめだとおっしゃるなら、こういう制度はやめさせなければいけませんが、私が申し上げたいのは、住環境、まさにエンゲル係数は食費ではなくて住居費ではかっていかなければならないような今日において、もう既に地方自治体が国がそういうことをやってくれないのにしびれを切らしてやり始めたということを考えましても、全国一律にこの家賃補助制度をやるというのは、財源的にも非常に厳しいことはわかりますので、私どもは家賃控除制度による一段階としてぜひこれをやろうではないか、このように御主張申し上げておるわけでございます。
 先進国で家賃補助制度をやっている、そして既に東京都内の各区でもそれに似たような制度をやり始めておるということについて、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
#372
○橋本国務大臣 まさに私は、今委員が例示されました各区の実情を考えますときに、ようやく都市集中から少しずつ地方への分散が始まりかけたのかな。その中において、それぞれの自治体の立場になりますと、やはり住民が減るということに対して不安感を持つ、これは事実。
 私は、東京におりますときには、港区におるわけでありますけれども、昼間人口と夜間人口の差、その結果のさまざまな問題点、これは都市の問題として現実にあることも存じております。そして、それぞれの地方自治体がその状況を踏まえて、その自治体の立場における施策をお考えになるというのは、地方行政の本旨に決して反するものではありませんし、それを国がとめなければならないというような性格のものでもありますまい。しかし、私どもは今まさに東京という都市に人口が集まり過ぎた結果の問題を一方で解決しなければならない状況の中で、果たして国が今委員の御指摘になりましたような形でなおその人口の流出がとまるような施策を講じることが国策として望ましいことかどうかという点になりますと、私はどうしても委員と御論議が分かれるところであります。
#373
○日笠委員 各区のそういう制度をとめようというのではなくて、各区でも国のこういう制度ができないことにしびれを切らしてやり始めたということを申し上げたかったわけでございます。
 聞くところによりますと、東京二十三区内では一九九一年度から一斉にやろうではないか、こういうふうな区長会での話し合いもあったそうですが、江戸川区がいわゆる駆け抜けをしたとほかの区は言っておりますけれども、新聞に発表した途端にこれが大好評ということで、前倒しで本年一月からもう始めておるということでございます。ですからこれは、一極集中云々という話からこういう話になりましたけれども、東京都内三十三区がこういう制度を恐らく来年、再来年ぐらいにはもう始めるのだと思うのです。そうすると、今度は各地方と東京との家賃の補助ということを考えますと、格差も出てくる。こういうこともありますので、私は、先ほどから申し上げました経済大国日本、豊かさが甘受できるような日本にしていかなければいけない。そうなれば、一番の住まいという、衣食住の住という問題が大きな問題でございますから、家賃控除によって少しでも、例えば二DKの方が二LDKに行けるのではないか、家賃控除をやりまして所得税が減税になりますれば、ウサギ小屋、鶏小屋から広い、さらに質の高い住宅へ住むことができる、それが豊かさを甘受できることではないか、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
 そして、高額所得者ほど恩典が大きくてという話がございましたけれども、もちろんこれはいろいろな制限をつけなければいけません。私どもが考えているのは、例えば所得要件は所得一千万円以下、こういう条件をつけます。そして控除額も、いわゆる五十平米未満の賃貸住宅では一カ月五万円を限度とします、十二カ月ですから六十万円までの控除を認めましょう、五十平米以上の賃貸住宅につきましては十万円までです、こういうふうなことで、当然これはいろいろな制限を、後からお聞きいたしますが、生命保険料控除五万円だとか、みんな制限がございますが、そういう制限をつけてやっていこうではないか、このように考えておるわけでございます。こういう試算をいたしましても、所得税、国税でも三千四百億円の減税で済む、こういうふうにもなるわけでございます。
 ここで御論議を申し上げても時間がございませんし、時間短縮に協力すると申し上げておるわけでございますので、これは大蔵省の部内におきましても、労働省や建設省の方からも税制要求が出ておることでもございますし、豊かさを感じるその一番はやはり住宅だということで、ぜひひとつ前向きに今後検討していくべきではないか。大蔵大臣のお話を聞いていると、もう絶対しませんというふうな感じにもとれるのですけれども、そうではなくて、今後検討に値するものだ、検討していかなければならないというふうにもお考えなのでしょうか、もう絶対にやりませんということなんでしょうか、それだけお聞きしておきます。
#374
○橋本国務大臣 今委員から御指摘がありましたけれども、逆に私は委員に、お互いの郷里の実情と東京とを比べて御判断願いたいと思うのであります。
 今、地方に過疎現象が起きております。そして、若人が郷土に戻ることを地方は心から願っておるところが多々あります。また、地方においても都市に集中する傾向があるということも御承知のとおりであります。そして、その結果が我が国の土地問題を非常に深刻にしておるということも御理解がいただけることのはずであります。そうなりますと、一極集中という現象と多極分散という方向と、その中からもこうした問題についての御論議はいただきたいものだと私は思います。そして、私は個人として、今の委員のお考え、述べられる理由はわかりながら必ずしも同感ができないと申し上げておるわけでありまして、これは事務方の諸君はまた私と違った考え方があるかもしれませんけれども、私は、家賃控除という仕組みは現状において我が国に採用するにはいろいろな問題を含み過ぎておる、基本的な問題以外にもさまざまな問題を含み過ぎておるという気持ちがしてなりません。
#375
○日笠委員 一極集中ということになりますと、我々の試算によると、そんなに大減税ということでなくて、年間五万円とか十万円、すなわち一カ月分の家賃くらいの試算なんです。ですから、一年分の家賃が十一カ月分で済むという程度なんです。そういう一極集中を促進するほどの高額な減税というふうには考えていないのです。こういうことでございますので、大臣、もう一度、どうでしょうか、検討するくらいはいいのじゃないでしょうか。税制改正案で建設省からも出ておるのですから、ぜひひとつ検討するくらいは言ってください。そうすると早く終わります。
#376
○橋本国務大臣 残念ながら、時間がかかりましても、私自身がなかなか納得がいかないものをそう簡単に検討するとお約束もできかねます。しかし念のために、私の個人の意見とは別に主税局長がどう申しますか、確かめてみたいと思います。
#377
○尾崎政府委員 私も、これは非常に難しい問題であると考えます。
 日笠委員から各国の制度について御指摘がございました。よく御承知のことと存じますが、その住宅問題に非常に熱心な各国におきましても、家賃控除という方法はとっていないわけでございます。先ほど来大臣が再三御説明申し上げておりますように、高額所得者にとって有利になる問題、それから地域の問題もございます。いろいろな点でこれは税制で仕組むのには非常になじまない話であるということを各国の制度が示しておるというように存ずる次第でございます。
 なお、非常に次元の低い話を申し上げたいのでございますが、大臣のお話には出てこなかったことでございますけれども、仮にこの家賃控除のようなものを仕組みますと、税制の問題は、これは国税当局が対応可能であるかどうかという問題があるわけでございます。現在、全部で七百万ぐらいの還付の申告があるわけでございますけれども、恐らくそれを大きく上回るような件数があるわけでございまして、それにつきまして、実際にその家賃が正しい家賃であるのか、申告どおりの家賃であるのか等々いろいろな手数がかかるわけでございます。そこで、その社会的なコストといいますか、行革的なセンスでお考えいただきたいのでございますけれども、そういうコストという点があることも一点補足させていただきたいと思います。
#378
○日笠委員 コストがかかるとか、国民のための大蔵省でなくてはなりませんから、お役人のための大蔵省ということにはならないわけでありますから、私はそのところだけはちょっと納得できません。いずれにいたしましても、今後とも予算委員会を含めて建設委員会、大蔵委員会で、いろいろなことを調べて新手を繰り出して、ぜひともこれをやり遂げるまで頑張ることを決意表明しておきます。
 それから、今回、生命保険料控除の中で、個人年金の保険料の控除が大幅に拡大したわけでございます。このことによりまして幾らぐらいの減税になる予定でございますか。
#379
○尾崎政府委員 四百億円でございます。
#380
○日笠委員 もう一度、簡単で結構でございます。なぜ今回この拡充をしたのか、趣旨をお知らせください。
#381
○尾崎政府委員 従来、生命保険料控除の中におきまして、個人年金分につきましては限度額五千円ということになっておりました。生命保険本体の方と通算できるということはございましたが、五万円という生命保険料控除に比べまして非常に少なかったわけでございます。
 しかし、御承知のような高齢化社会を迎えまして、自分の死に備えるということよりも自分の老後に備えるということの方が、重要性がはるかに増してきているような時代にだんだんなってきているような気がいたします。そのような中におきまして、もちろん公的な制度がいろいろ準備されているわけでございますけれども、自分の老後に備えまして自助努力を重ねる、あるいは社会全体として相互扶助の思想を高めるということ、そのような点に着目をいたしまして、この制度の充実を図ることにいたしたわけでございます。
#382
○日笠委員 自助努力と相互扶助ですね。
 そうしますと、観点は変わるのですけれども、実は新聞にこういう投書が出ておりました。時間を節約するためにはしょりまして、肝心なところだけ読みます。「車の任意保険控除を認めよ」という岐阜県の方の投書でございます。これは朝日新聞の三月十一日の投書でございました。
 所得税の確定申告の締め切りが間近に迫っているが、所得から差し引かれる保険料は、社会、生命、損害となっており、意外にも自家用自動車総合保険(任意保険)は対象外となっていることに、いささか腑(ふ)に落ちない。
  いま、車社会にあって、交通事故は、いかに定全運転に心掛けていても不運にもいつ加害者という災難がふりかからないとも限らない。こうした不慮の災難に備えて、いかにして被害者を救済するかは、生活保障を含め、まずもって任意保険に頼らざるを得ない。
  このことは任意とはいえ、強制に近い保険加入であるだけに、他の保険類と同様な補償目的であることは明白である。にもかかわらず、いまなお控除の対象となっていないことは、事故防止策の認識とは矛盾を感じずにはいられない。
  この機会に、任意保険の取り扱いについて、新たな観点から前向きに対応することを望む。
という投書でございました。
 これは損害保険料控除というのがございます。昭和三十九年に創設されて、現行は、昭和四十九年に短期の契約が三千円で、長期の契約が一万五千円と改正され、今日まで十五年間据え置かれております。昨今、交通戦争と言われ、昨年はたしか一万一千人以上の死亡者が出ております。ことしになりましても、昨年に劣らないほどのピッチで死亡者が増加しておるというふうなニュースも聞いております。
 そこで、自助努力、相互扶助という精神、個人年金は当然私はいいと思います。ならば、自動車損害賠償責任保険料、いわゆる強制保険と自動車保険、任意保険、これらもあわせて損害保険料控除の対象にすべきではないか、もうそのときに来たのではないか。被害者救済を目的とした強制保険に加えて、当然それでは足りません。死亡の場合二千五百万円までですから、任意の自動車保険料もあわせてこの損害保険料控除に入れるべきではないか。今のところ、いわゆる介護費用保険であるとか火災、家財に限られておりますが、やり方はいろいろとあると思います。自動車保険料控除という新しいものをつくるのも一つの手。それからもう一つは、損害保険料控除の中に強制保険、任意保険、この二つとも難しいというのなら、任意保険だけでも結構です。丸めて一万五千円のところを三万円なり五万円にするとかということによりまして、いわゆる政策誘導するのが生命保険料控除、損害保険料控除の大きな特徴でございますので、いわゆる任意保険を掛けられるような政策誘導をしていかなければならないのではないかと思います。
 いろいろな業界の新聞を見ましても、現在、車保有台数は五千五百十三万台だそうでございまして、そのうちの約八割がいわゆる損保関係の保険、共済保険に入っておるそうでございます。残りの二〇%、約一千万台の車は任意保険を掛けてない無保険、無共済の車でございます。こういう車が事故を起こしたときに、加害者も被害者もともに地獄のような生活になっていくということは、御承知のとおりでありましょう。ですから、私がここで申し上げたいのは、自動車強制保険ないしは任意保険を丸めて、損害保険料控除で五万円なら五万円、今度の個人年金の控除額も五万円でございますから五万円にするとか、もしそれがだめなら、新たに自動車保険料控除というのをつくるとか、こういうことでもって政策誘導して、できる限りの車が任意保険に入れる、そして、いざ事故があったときにはここにございます相互扶助、自助努力でこの保険で何とかカバーできる、こういうふうに政策誘導をしていくときが来たのではないか。交通戦争ということもぜひ考慮に入れて、お答えいただきたいと思います。
#383
○尾崎政府委員 各種の政策目的に資するために設けられております租税特別措置でございますが、その整理合理化が急務であるということは、先ほど来いろいろと御議論をいただいているところでございます。したがいまして、新たな政策措置の創設というのは非常に抑制的に考えていかなくてはいけない問題であるというように存じますが、自動車保険料について考えてみますと、これは私ども従来から、自動車の保有に伴う維持費の一種ではないかというように考えておりまして、そのようないわば特定の家計支出を抜き出して税制上考えていくということにはおのずから限度があり、特別措置を制限的に考えるということになりますと、なかなかここまでは考えられないのではないかという気がいたします。
 それから、先生御指摘のように、既に普及率が八割ということになっております。昭和二十六年以来の古い伝統を持っております生命保険料控除の対象になっております生命保険の加入率でも、八割から八割五分ぐらいでございまして、いわばもう相当高いところに来ているわけでございまして、さらにこれに税制上のインセンティブを与えるというのはいかがかなという気がいたします。
#384
○日笠委員 生保だって八割ですね。自動車関係も八割ですから、じゃ生保の保険料控除をやめるのですか、八割になりまして政策誘導がもう達成されたと。同じ八割じゃありませんか。
 それから、新たなものは抑制する、これは維持費だとおっしゃいましたけれども、家を建てたら、ローンを借りる方は強制的に火災保険に入らざるを得ないわけです。これも維持費ですよ。そういう理屈は後で貨車でついてくるぐらい幾らでも言えるわけですが、一億二千万の国民の立場に立てば、自動車に任意保険がなければ困るわけですよ。主税局長だって、いつ事故に遭うかわかりませんね。そのときに向こうが入ってなければ大ごとですよ。私は、いろいろなやり方があると思います。損害保険料控除を五万なら五万にする、それに自動車保険料も入れるということもできるわけです。新たにつくるのじゃなくて、今ある損害保険料控除の適用にする。今回の個人年金も五千円から五万円に額をふやした、それは生命保険料控除の範疇ですね。これも損害保険料控除の中の話ですから、新たにつくるのじゃなくて今あるものを拡充するという、この個人年金保険料の控除と全く一緒じゃないかと思うのです。ぜひやってください。もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#385
○尾崎政府委員 万一に備える場合の話、あるいは老後に備える場合の話、それから生活の根拠であります家屋等の話、あるいは障害の話等に比べまして、自動車の維持費の一種と考えられます自動車保険について同列に考えるかどうかということでございますが、私どもはそこまで拡大することにはためらいを感じます。
#386
○日笠委員 じゃ大蔵大臣、これも家賃控除と一緒で絶対にしませんとおっしゃるのですか。今私のつたない話の中で、当然そういうことも損害保険料控除の中で拡充をしていくということ等とも考えて、将来的に考えられるのか、もう絶対にだめなのか、これだけお聞きして、私は終わりたいと思います。
#387
○橋本国務大臣 つたなくは全くないので、非常に勉強しながら聞かせていただいておりました。決してつたない話ではなく、いい勉強をさせていただきました。ただ、伺っておりますうちに私また、これまた主税局長とちょっと違うのですけれども、疑問が先ほどから出ております。
 実は、私は、自分が乱視でありまして、車を全然運転をしないようにしておりますので細かいことを知りませんけれども、たしか自賠責保険は無事故の状態が続けば保険料は下がったはずですね。(日笠委員「それは任意保険のときです」と呼ぶ)任意保険の方ですか。それは失礼しました。ただ、いずれにしても下がりますね、任意保険は。そして、あなたのさっきのお話は任意保険を言っておられましたね。そうすると、無事故でいい運転を続けていけばいくほど控除が減るということになりますね。そこのところはちょっと、責任感をむしろなくす危険性はないでしょうか。これは本当に私は自分で運転をしませんから……。いや、委員そうおっしゃいますけれども、むしろ無事故で運転を続けておられれば、任意の場合のその保険料が下がる。それは逆に言いかえれば、控除額が減るということですね。ときどき事故を起こして保険料が高い方ほど控除がふえる、これはいかがなものでしょう。ちょっと御政道向き余りよろしくないという感じが私はするのですが、これは運転について無知識の私の率直な感じであります。
#388
○日笠委員 控除額五万円くらいを考えておりますので、そんなに無事故だから大幅な減税ということにはならないと思います。
 お約束どおり、時間が来ましたので、少しでも早く終わりましょう。
 以上でございます。
#389
○衛藤委員長 次回は、明二十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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