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1990/05/24 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第6号
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1990/05/24 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 外務委員会 第6号

#1
第118回国会 外務委員会 第6号
平成二年五月二十四日(木曜日)
    午前九時四分開議
 出席委員
   委員長 柿澤 弘治君
   理事 愛知 和男君 理事 園田 博之君
   理事 浜田卓二郎君 理事 浜野  剛君
   理事 牧野 隆守君 理事 上原 康助君
   理事 高沢 寅男君 理事 山田 英介君
      伊東 正義君    小渕 恵三君
      鯨岡 兵輔君    小坂 憲次君
      坂井 隆憲君    塩谷  立君
      福島 譲二君    福田 康夫君
      五十嵐広三君    松原 脩雄君
      遠藤 乙彦君    神崎 武法君
      山口那津男君    古堅 実吉君
      和田 一仁君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 中山 太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      太田  博君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省経済局長 林  貞行君
        外務省経済協力
        局長      木幡 昭七君
        厚生大臣官房審
        議官      代田久米雄君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部薬物対策課
        長       属  憲夫君
        防衛庁教育訓練
        局衛生課長   西本  至君
        法務大臣官房審
        議官      堀   雄君
        法務省刑事局青
        少年課長    古田 佑紀君
        外務大臣官房審
        議官      丹波  實君
        外務大臣官房審
        議官      石垣 泰司君
        大蔵省関税局監
        視課長     本村 芳行君
        厚生省保健医療
        局精神保健課長 篠崎 英夫君
        海上保安庁警備
        救難部長    土方  浩君
        外務委員会調査
        室長      藪  忠綱君
    ─────────────
委員の異動
五月十七日
 辞任         補欠選任
  和田 一仁君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 英成君     和田 一仁君
同月二十一日
 辞任         補欠選任
  市川 雄一君     神崎 武法君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     小坂 憲次君
  遠藤 乙彦君     山口那津男君
同日
 辞任         補欠選任
  小坂 憲次君     山口 敏夫君
  山口那津男君     遠藤 乙彦君
    ─────────────
五月十七日
 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名され
 た原子力の平和的利用に関する協力のための日
 本国政府とフランス共和国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第四号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)
 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第四号)
     ────◇─────
#2
○柿澤委員長 これより会議を開きます。
 向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原脩雄君。
#3
○松原委員 今回の向精神薬に関する条約ですが、一九七一年に作成をされて、七六年には発効しております。日本は、その七一年の十二月に署名を行っておるわけですが、既に現在までおよそ二十年近くたっておるという情勢であります。この条約の調印から今国会の提出までおくれてきた理由、これをお聞かせ願いたいと思います。
#4
○中山国務大臣 今委員御指摘のように、この条約は一九七一年十二月に批准を条件に署名をいたしております。今日までこの条約が批准ができなかったということは、一つには、日本で麻薬の汚染が比較的少ない、よその国に比べて非常に麻薬の取り締まりが厳しかったということが背景にあると思いますが、なお国内の関係省庁との各種の関連法案、政令等のすり合わせに非常に時間を要したものではないか、私はそのように認識をしておりますが、ぜひ、今回これを御審議いただいて、一日も早く批准に持っていきたい、このように考えております。
#5
○松原委員 実は、この条約の次に、いわゆる麻薬新条約というふうな条約も既に国連では採択をされまして、昨年の十二月に我が国の方も署名をいたしたわけですが、今回のこの向精神薬のような条約の国会での批准が二十年ほどかかるというふうな状態のままでこの新しい条約に対応していたのでは、全く、まさに日本が世界からまたおくれてしまったということになりかねないわけですから、その点につきましては、この新条約につきましてできるだけ急いで対応する必要があるというふうに考えます。
 そこで、この麻薬新条約についてですが、今度は随分と国内法の整備に関しては問題が出てくるように思うのですが、その点につきまして新条約の国内法上の検討課題をちょっと整理をしていただけますでしょうか。
#6
○石垣説明員 ただいま先生より御指摘ございましたように、一九八八年に採択されましたいわゆる麻薬新条約につきましては、私ども真剣に取り組んでまいりたいと思ってございますが、まず麻薬新条約を締結するに当たりまして整備する国内法上の事項としては、例示いたしますと、例えば国外犯についての裁判権の設定、次に薬物の不正取引による収益の没収、さらにその収益のマネーロンダリング、いわゆる資金洗浄行為と言われますが、そのマネーロンダリングの処罰等が考えられます。これらを含めまして国内法上整備が必要な事項につきましては、今後条約の詳細を確定する過程でさらに明確にしていく必要があると考えております。
#7
○松原委員 今指摘された問題のうち、日本の麻薬問題あるいは覚せい剤等の問題につきましても、やはり日本国内で製造されているのではなくて、国外において製造され、それが密輸をされて国内で広まるというふうなのが現在の情勢だと思うのです。そういう場合に、国際的な麻薬組織といいますか、これらを禁圧するために国際的な協力が必要である、こう思います。その場合に、今おっしゃったマネーロンダリングが一番有効な措置だろうと思うのですが、マネーロンダリングについてもう少しその問題点を説明していただけますか。
#8
○石垣説明員 マネーロンダリングにつきましては、麻薬新条約のいわゆる麻薬に関連する行為を犯罪とし処罰するという基本的な条項に規定されておるわけでございますが、これは一口で申しますと、こういった犯罪またはこれへの参加行為により生じた財産であることを知りながら、その財産の不正な出所の隠匿、擬装等のために財産を転換、移動すること及びその財産の真の性質、出所、所有権等を隠匿、擬装することでございますので、これを処罰するには国内法上のいろいろな綿密な検討が必要でございます。
#9
○松原委員 マネーロンダリングというのは、麻薬取引によって得た現金なり小切手なりその他のものを主として銀行において仮名等を使って預ける、それを上手に運用したり引き出したりという形によっていわゆる汚い金をそうでないものに変える、洗濯の役回りをしているわけですよね。この場合に、やはり銀行を通じて、これが麻薬の金なのかどうかという点が一番重要なポイントになってくる。例えば、この点については、スイスのように銀行の秘密が最もよく保たれておる国でも、昨今、マネーロンダリングのために、いわゆる秘密について一部解除をする、そして、これは麻薬の金でございますよという場合は政府に対して通報したりする、そのような措置等を今回とったようであります。そういう意味で、日本でもマネーロンダリングを実効あらしめるためには必要な措置があると思うのですが、銀行に対する措置というのはおよそどのような筋道を考えておられますか。
#10
○石垣説明員 ただいま御指摘のございましたようなマネーロンダリングを処罰することに伴います銀行の現在の預金者の保護その他いろいろな微妙な問題を含みます。それで、現在麻薬新条約に関します関係省庁の会合を再三開催いたしまして、どういう問題点があるか、どういう手当てが必要かという点につきまして鋭意検討作業中でございます。
#11
○松原委員 検討作業中であるということですから、それでは、その新条約を国会に提出する時期及び国内法の問題も絡みますが、その提出時期、その点については大体どの程度の見通しになっておるのでしょうか。
#12
○石垣説明員 国会へ御提出できます時期につきましては、ただいま申し上げました国内法整備に関する検討作業とも密着した問題でございまして、今後、この新条約に既に批准、加入した諸国、麻薬問題について国内的にいろいろ取り組んでいる各国の考え方等をも確認しながら、この条約の解釈、詳細を確定しますとともに、国内法を所管する関係省庁の協力も得つつ、できるだけ速やかに国内法の整備につき検討を進めまして、国内法の整備等が行われ次第、この条約に関連します国内法改正案とともに早急に国会に御提出申し上げたいと考えております。
#13
○松原委員 その点については、ことし二月に国連で麻薬特別総会が行われまして、その特別総会で、各国はことしじゅうに新条約を批准するようにという趣旨の勧告が出たと思うのですが、その時期は、やはりその勧告に沿って提出をしてくるというふうになりますでしょうか。
#14
○石垣説明員 本年二月に開催されました麻薬に関します国連の特別総会で採択されました宣言、行動計画にも、確かに新条約について早期批准に努めるように、できればことしじゅうにもということがございますが、これはあくまでもそうすることが非常に望ましいということでございまして、私どももそれを念頭に置きながら、可及的速やかな締結に向けて作業を行ってまいりたいと考えております。
#15
○松原委員 今の件ですが、この新条約の提出とそれから国内法の整備、要するに国会提出、これについての外務大臣の今のお考えをお聞かせください。
#16
○中山国務大臣 今委員お尋ねの国内法の整備とこの批准の問題につきましては、私どもは、ヒューストン・サミットにおいて、日本のある程度の見通しというようなものも話ができるような情勢を国内的にもつくっていきたい、そのように考えております。
#17
○松原委員 麻薬問題は、アメリカの国内世論では五〇%を超えるぐらいにアメリカで一番の問題であるというふうに言われていますし、実際統計によれば一日に十万件も麻薬関係の犯罪が行われている、それぐらいアメリカにとっては深刻な状態が実は生まれております。こういうふうなアメリカでの深刻な状態というのが、今後我が日本においてそういう状態になっちゃ困るわけですから、そのための諸措置について若干お聞きをしたいと思います。
 昨今、アメリカでのぎゅうっとした締めつけもあって、いわゆる麻薬の国際組織がどうも日本を一つの消費地としてターゲットに挙げてきつつあるのではないか。具体的に、今までは中継地点として日本が使われておって、そのためにことしもかなり大きなコカインの密輸中継犯罪が摘発をされたというふうな状態になっておるようですね。中継地というのは、その次には消費地になるという一つの経験則もあるようですから、そういう意味で、これから麻薬社会に入る危険を防止するための措置を我々は十分に考えていかなければいけないと思うのです。
 まず、そのために、最近で結構ですから、摘発されておる麻薬の種類と押収量、それから検挙者数、実際上検挙以外の推定取引量ももしあるようでしたらお聞かせを願いたいと思います。
#18
○属説明員 最近は我が国には麻薬が非常に入ってくるようになっております。特にコカイン、ヘロインというものの検挙、押収量も非常にふえているといった状況であります。
 この三年間で比較して申し上げますと、検挙人員では、コカインが三・四倍、ヘロインはその二倍、また押収量で申し上げますと、コカインが二十七・四倍、ヘロインが二十一・三倍、そういうことで急激なふえ方をしているという状況で、私どもも極めて深刻に受けとめておるところであります。
 ただ、推定のどれぐらいの量が国内に入ってきているかということにつきましては、なかなか難しい問題があるのですけれども、場合によっては押収できる量の五倍から十倍ぐらいのものが入ってきておるのではないかというふうに思っております。
#19
○松原委員 今おっしゃったコカインとヘロインの押収量とかそういったものを見ますと、これはいわば戦後の日本の最高の件数に到達をしておるというふうに言ってよろしいのでしょうか。
#20
○属説明員 昨年は、コカイン、ヘロイン、それから大麻の押収量は、それぞれ過去最高の記録になっております。
#21
○松原委員 やはり日本がアメリカに次いで麻薬社会にいく可能性、危惧を持たざるを得ないような数字が出てきつつあるようであります。
 そこで、麻薬、それから覚せい剤も日本の場合は特別重要だと思うのですが、麻薬・覚せい剤の対策について、とりわけ使っておる人間、使用しておる人間よりも、やはりこれを密輸等で入れるということ、ここをどうやって対策としてとめてしまうかという問題、あるいはその他これに関連する問題ですね、いわゆる取り締まり対策について、これはいろいろ各省庁が分かれておるようでありますが、順次警察、厚生、大蔵、それから運輸省ですか、この順で簡単に御説明を願えますか。
#22
○属説明員 我が国で乱用されております覚せい剤あるいは麻薬のほとんどは海外から不正に密輸入されているという実態にあります。そういう状況にありますので、警察といたしましては、密輸入を水際で抑えるということを最重点に取り組んでおるところです。特に税関等の関係機関と連携を図りながら、水際での監視体制を強化するとともに、そういう容疑情報の収集に努めているところであります。
 また、特に海外から供給している国、そういう国の捜査機関と十分連携していく必要があるということで、捜査員を派遣しまして、捜査情報の交換あるいは具体的な事件についての捜査協力を今そういう方向で積極的に行っているところでございます。
#23
○代田政府委員 厚生省でございますが、厚生省も麻薬取締官あるいは都道府県に麻薬取締員を置きまして薬物乱用の防止に当たっております。具体的には、これらの職員によりまして、一つは医療に使われますモルヒネ等の麻薬が不正ルートに流通しないというような取り締まりを行うとともに、不正麻薬の密売、乱用につきましての取り締まりを行っております。
 もう一つ大事なことは、薬物乱用を社会的に許さないという国民意識が非常に大事であろうというふうに考えておりまして、そのためのキャンペーンといいましょうか、そういうものにつきまして厚生省では非常に力を入れてやっておりまして、特に覚せい剤につきましては、防止の推進員等の制度もつくりまして、全国的にこういった社会的な規範を高めるといいましょうか、そういうことに努力をいたしております。
#24
○本村説明員 大蔵省でございます。御説明いたします。
 先生より御指摘のありましたように、日本の場合には麻薬等の不正薬物はほぼ全量が海外から密輸入されている状況でございます。税関のサイドから見ておりますと、近年覚せい剤とか大麻は一般的な商業貨物への仮装という非常に巧妙な手口で大量に密輸入しているような事例がたくさんふえてきている状況でございます。またコカインにつきましても、特にアメリカにおきます取り締まり等の強化がございますもので、西欧とか日本を新しい市場開拓ということでいろいろ企図しておるというようなことも言われておりまして、乱用の拡大が懸念されている状況でございます。
 こういう状況の中で、私ども関税局、税関といたしましては、昭和六十三年七月以降、麻薬・覚せい剤の水際における密輸入取り締まりというものを白い粉対策ということで位置づけておりまして、情報収集の強化とかあるいは警察等の関係取り締まり機関との連携、国際協力の推進、それから白い粉キャンペーンということで種々の施策を講じている状況でございます。御承知のとおり、こういう白い粉対策を効果的に実施していくためには、国民各位の御理解と協力が不可欠でございまして、特に昨年二月以降は政府全体で薬物乱用事犯取締強化月間というのを二月と十月に行っておりまして、これに合わせまして関税局、税関としては、白い粉キャンペーンというキャッチフレーズのもとで積極的に広報活動を行って、国民の皆様方の理解を求めているという状況でございます。
#25
○松原委員 では大蔵省に、今の話ですが、一つは、密輸を防止するために、いわゆる麻薬犬というものですね、今までの経験則では、これがほぼ一〇〇%やっておるのじゃないか、探知しておるのじゃないかと言われるような話もあるぐらい非常に有効な措置の一つだと思うのですが、その麻薬犬対策を今後どのように展開をされるおつもりなのかということと、今おっしゃった水際作戦のために、税関職員の今の配置状況、これは今のままでよろしいのでしょうか。それとも大蔵省としてどんなふうにお考えになっているのか、お聞かせ願えますか。
#26
○本村説明員 お答えいたします。
 麻薬犬につきましては、現在、東京税関の成田等を含めまして全国に二十二頭いる状況でございます。もちろん水際における取り締まりにおきましては、先生御指摘のとおり、麻薬犬の活用、それからエックス線の機器等の使用というのは非常に有効な手段でございますので、麻薬犬につきましては、やはり今後計画的にかつ着実にふやしてまいりたいというぐあいに考えております。
 それから、税関の増員でございますけれども、現在、国家公務員の定員の状況は非常に厳しいものがございます。しかしながら、麻薬等の水際防止、そういう非常に重要な部分につきましては、従来から事務の重点化でありますとか効率化ということに努めておりまして、そういう分野における要員の確保につきましては、最大限努力しているのが実情でございます。そういう意味におきまして、今後とも事務の重点化、効率化を図っていきますとともに、要員の確保に一層の努力を行って麻薬等の水際防止に万全を期してまいりたい、かように考えている次第でございます。
#27
○土方説明員 麻薬・覚せい剤につきましては、そのほとんどが海外から国内に持ち込まれる状況にあります。一たん国内に持ち込まれますと、直ちに拡散頒布されてしまう、こういうことで水際におきますところの取り締まりが極めて重要である、かように考えております。このため、海上保安庁では、情報の収集及び虞犯船舶の立入検査によりまして事犯の摘発に努めておりますが、今後とも関係機関と連携いたしまして、この種密輸入事犯に対しまして対応してまいりたい。特に洋上の積みかえ事犯、これに対して取り締まりの強化をいたしたい、かように考えております。
#28
○松原委員 これは警察にお聞きをしたいのですが、外から入れる場合も、それから国内でさばく場合も大体暴力団がかんでいる。暴力団がどんどんいわゆる麻薬・覚せい剤等に手を染めていっているという状態ですから、国内の暴力団対策、この点については特別に考慮されておられることはありますか。
#29
○属説明員 ただいまの御指摘にありましたように、現在日本でそういう薬物の密輸、密売には暴力団が深く関与しておりまして、暴力団の一番大きな資金源になっておるといった実態にあります。そういうことで暴力団対策、暴力団に対する取り締まりというものが非常に重要な側面を持っております。そういうことで私ども警察部内でも、薬物担当部門だけでなく暴力団担当部門と連携を密にしながらその検挙に努力をしておるところです。特にまた暴力団がそういう薬物密売で一般市民に対しても巧妙に働きかけをしておる、そういう実情にありますので、そういう実態も国民の皆さんに十分わかってもらうようなキャンペーンもしておるところであります。
#30
○松原委員 次に、薬物乱用に陥った者に対する措置ですが、今回の条約の二十条にも、薬物乱用に陥った者の治療、教育、社会復帰ということについて措置をせよという条約上の義務があるようですが、この薬物乱用に陥った者に対する措置はどのようなものが講ぜられておるのでしょうか。
#31
○篠崎説明員 覚せい剤等の薬物の乱用者の治療につきましては、精神保健法の二十七条の規定によりまして、精神保健指定医二名の診察の結果、その患者さんが中毒性精神病等で自傷または他害のおそれがあると診察されたときは、精神保健法によりまして措置入院をさせ、必要な治療及びアフターケアをすることになっております。また自傷、他害のおそれがない場合でありましても、中毒性精神病と診断されました場合には、同じく必要な入院治療及びアフターケアが行われているところでございます。
#32
○松原委員 先ほどから日本ではまだ麻薬による被害が余り多くない、比較的多くないというふうな従来の事情もあったという御説明もちょっとあったようですが、今の御説明の続きで、現在のいわゆる麻薬中毒患者数、それから措置入院中の患者数、医療施設数、それも若干説明していただいて、そういう医者、看護婦等の体制が果たして現状で十分なのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
#33
○代田政府委員 先生言われますように、麻薬につきましては、幸い日本は中毒者は極めて低いレベルでございまして、麻薬中毒者、特にヘロイン等の麻薬中毒者につきましては、毎年私ども発見するのに十名程度しかおりません。したがいまして、精神病院等に措置入院をされる患者も一年間に数名というのが現状でございます。
 ただ、問題がありますのは覚せい剤でございまして、覚せい剤の中毒者数というのは、一時点調査でございますが、六百名という者が病院に入院しておるという調査もございます。大体こういう患者さんは三カ月くらい通常入っておりまして、大体その四倍くらいの患者数が年間で覚せい剤中毒者として入院治療を受けるというふうな状態でございます。ただ、精神保健法の措置入院でございますが、措置入院につきましては、一時点で約百名前後でございますので、年間では四百名くらいになるのではないかというふうに推定されております。
 これらの病院等の設備でございますが、こういった措置入院をいたします病院は、国あるいは都道府県が設置した精神病院でありますとか精神保健法で指定された病院でございますが、現在全国で千二百カ所ほどの施設が指定をされておりまして、ベッド数で四万七千ベッド以上が用意されておりますので、そういう点で病院等が不足するようなことはないと考えております。
#34
○松原委員 確かにコカインやヘロインといったようなものについての被害はまだ顕著ではないように思うのですが、覚せい剤については昨今有罪事犯が年間二万件を超えるということで、いわゆる戦後の例のヒロポン時代から始まった一つの大きな流行の波の中でいえば第三回目の今の流行、いまだに衰えておらぬわけです。
 そこで、覚せい剤の中毒者の場合は、実際幾ら逮捕されて刑務所に行っても、それがまた累犯を犯すということが非常に多うございますね。一説によれば、十人覚せい剤に染まったら、そのうち本当に治っちゃうのは一人くらいしかいないのじゃないか、残りの九人はまたどこかでもう一回繰り返すというふうな累犯の事例が相当ふえてきておりますね。それからもう一つは、いわゆる覚せい剤でいえば、普通の事業者とか普通の主婦とか普通の市民、そういった者に広がる傾向もまさにあるわけです。
 そこで、とにかく覚せい剤事犯等、今後の麻薬も含めまして、実際裁判を受けて刑務所に行った場合に、ここで何とか社会復帰が可能なような措置をとらなければいけない。恐らくこれは一つの薬が人間の体を、ある程度器質を変えておるような面もあると思いますので、治療という意味合いでも今後対策をとらなければいけないと思うのですが、その点につきまして、これは法務省になりますか、有罪判決を受けた人に、いわゆる交通刑務所という特別の刑務所施設がありますが、こういう薬物の治療を兼ねた、乱用者治療を兼ねた薬物刑務所的な措置といったものについては何か検討でもされておられるのでしょうか、ちょっとお聞かせ願えますか。
#35
○堀説明員 御説明いたします。
 覚せい剤事犯、麻薬事犯関係の受刑者でございますけれども、これは自己使用に係る者だとか売買に係る者など犯罪の態様が一様でないことがございます。また、他の受刑者と比較しますと、性格的に際立った相違が認められないことから、現在のところ一般の受刑者と同様の基準、つまり性別とか年齢、刑名、刑期等の別に従って分類して収容することにいたしております。ただ、これらの者のうち精神症状が発現している者につきましては医療刑務所に収容いたしまして、薬物療法、精神療法、作業療法などの専門的医療措置を施しておるところでございまして、薬物事犯者だけを収容する刑務所を今新たに設ける考えは持っておりません。
 以上でございます。
#36
○松原委員 ちょっと問題を、麻薬撲滅の国際協力体制についてお聞きしたいと思います。
 先ほどから指摘をしておりますとおり、特にアメリカを中心として、麻薬問題がアメリカでは国家の最大の関心事というふうに国民がこれを認定をするというふうな状態すらできておりますし、世界的にもそれが広がる傾向があります。実際サミットにおいても麻薬問題はずっと討議をされてまいりました。それから、今のアメリカでございますが、アメリカでは昨年の九月にブッシュ大統領が国家麻薬撲滅戦略というものも発表しまして、かなり大きな予算をつけて対策に出てくるという状態であります。また、主要な供給国である南米のコロンビア、ペルー、ボリビア、こういった国との間でアメリカはことしの二月にいわゆる麻薬サミットというようなものも開催をしておるというふうな状態ですし、先ほど指摘しましたように、この二月には国連の麻薬特別総会が開かれたということで、非常に強い国際的関心が麻薬問題に関して出てきておるわけです。特に、今申し上げた国連の麻薬特別総会において政治宣言と世界行動計画というものが採択をされた。九一年から二〇〇〇年までを国連麻薬乱用撲滅の十年というふうな宣言もされておりまして、今後この点について経済社会分野における国際十年のためのガイドラインに妥当な考慮を払いつつ世界行動計画の実施を促進するため、効果的かつ継続した国内的、地域的及び国際的行動に専念するものとするというふうな形で今度の麻薬総会で宣言等がなされておるわけですが、まず外務省として、この総会における政治宣言あるいは世界行動計画といったような計画をどのようにお受けとめになっておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#37
○石垣説明員 本年二月に開催されました国連麻薬特総は、麻薬問題を取り上げました最初の特別総会でございまして、薬物の不正使用に対し国際社会が一丸となって戦っていくという強い政治的決意を表明したことは非常に意義が大きいというふうに考えております。
 特に、御指摘の政治宣言及び世界行動計画が採択されまして、麻薬問題への対応として生産、流通、消費、教育、治療、リハビリテーションなどすべての面における総合的なアプローチが重要であるということにつき意見の一致が見られました。また、麻薬問題の取り組みが各国の共同責任であるという趣旨が明確にうたわれましたことは、従来生産国、中継国、消費国、それぞれ責任を批判し合うというような面もあったことを考えますと、極めて重要な前進があったと高く評価してございます。
#38
○松原委員 そこで、我が国の場合、今言った行動計画を具体的に日本で実施していくためにどういうふうな指針を出しておられるのか、とりわけ重点的な項目はどんなものがあるのか、お聞かせを願いたいと思います。
#39
○石垣説明員 ただいまの行動計画は本年二月採択されたばかりでございまして、非常に多岐に包括的にいろいろな側面を扱ってございます。かつ、御指摘ございましたように、世界麻薬撲滅の十年ということで今後十年にわたって取り組んでいくということでございます。私どもとしましては、この宣言及び行動計画の趣旨を十分踏まえまして、関係省庁と協議しながら麻薬撲滅のために必要な努力を行ってまいりたいと考えております。
#40
○松原委員 先ほども指摘しましたが、アメリカではブッシュ大統領が国家麻薬撲滅戦略というのを提案した。ところが、これは共和党の方針ですが、アメリカの民主党は、この戦略でも、とりわけ需要サイドの方の対策が不十分である。予算が十分つけ切れていない。予算増をしてでも需要サイドの対策をする必要があるんだ。それが結局、では財源をどこから引っ張ってくるかということになって、国防予算を削りましょうというような議論までアメリカで実はなされておるというのが実態なわけです。それほど深刻であると思うのですが、このブッシュ大統領の麻薬撲滅戦略というものにつきまして、外務省としてどのように評価をされておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。外務大臣、お願いできますか。
#41
○中山国務大臣 ブッシュ大統領が昨年九月五日に発表した麻薬対策は、厳格な法執行、麻薬患者の治療、教育、国際協力を柱とした積極的な麻薬対策と認識しております。日本といたしましても、同大統領の積極姿勢を評価し、麻薬問題の国際性にかんがみて、日米グローバルパートナーシップの観点から日米協力が必要であるというふうに認識をしておりますが、去る三月に行われましたパームスプリングズの日米首脳会談におきましても、この問題が出されまして、日本としては国際的な協力に積極的に取り組んでまいるという国としての考えを明白にいたしております。
#42
○松原委員 今のパームスプリングズの首脳会談で双方が麻薬対策については協議をしていくというふうな大統領と首相との間の合意があったということですが、その協議は具体的にどんな形で、どんな内容で今進んでおるのか、お聞かせ願えますか。
#43
○石垣説明員 麻薬問題に関します日米間の協議といたしましては、ただいま大臣からお話がございましたようないきさつを踏まえまして、昨年十二月に日米間で専門家会合を開催いたしまして、関係省庁の参加を得まして専門家が米国に参りまして、双方の国内の麻薬対策の状況その他意見交換等を行いました。その専門家会合の結果を踏まえまして、現在日米の実務当局間で緊密な連絡をとり合っておるところでございます。
#44
○松原委員 先ほどのコカインの供給地である南米のボリビア、コロンビア、ペルー、その三カ国の供給地対策をどうするかという問題からいえば、あそこでは貧しい農民たちがコカを生産する、それがまさに自分たちの生活の糧になっています。ですから、南米三国からすれば、本当にコカをなくそうと思ったら、これにかわる農業といいますか農作物といいますか、そういったものをしっかりと先進国も考えてくれないと、実際実は上がらないのではないかという主張があるようです。こういう南米三国に対してコカにかわる農業対策、この辺について日本としては従来どんな対応をされておられるのでしょうか、ちょっとお聞かせ願えますか。
#45
○石垣説明員 麻薬問題対処のための今お話のございましたアンデス三国への経済協力といたしましては、中南米における麻薬問題も地球的規模の麻薬問題の一環として非常に重要であると認識しておりまして、アンデス諸国の麻薬問題の背景には、今御指摘のございました農村社会の貧困、国内開発のおくれ等さまざまな問題があると考えております。我が国としては、これまで第三国研修というような技術協力で研修をやったところでございますが、麻薬問題の解決に資するという観点を踏まえまして、これらの諸国の国づくり、経済社会開発に今後とも協力してまいりたいと考えております。
#46
○松原委員 今南米のことをお聞きしたのは、実は日本がこれから麻薬社会に入るかもしれない、そういうための準備を十分しなければいけない、対策をとらなければいけないのですが、そのためには麻薬を生産する国と日本との関係を今後は考えていかなければ絶対いけないだろうと思うからです。
 具体的には、例えばアジアは我々にとって一番関心のあるところですね。そのアジアで言えば、いわゆる黄金の三角地帯と言われるタイ、ミャンマー、ラオス、これにかかる黄金の三角地帯がある。もう一つは黄金の三日月地帯というのもありますね、アフガニスタン、パキスタン、イランにかかる地域です。ここらでアジアのいわゆる麻薬生産地帯ができておる。そこで生産をされて、そして世界に流れていくときに、中継地点としては香港と日本が今急浮上してきている、こういう状態です。先ほど言いましたように、中継地は大きな消費地になるという経験則があるから、そういう観点からしますと、いよいよアジアにおいてもアメリカがやったと同じようなアジアの麻薬生産国と日本とが一種のアジア麻薬サミットというようなことをして麻薬対策をしていくべきではないかと思うのですが、その点について外務省はどんなふうにお考えをお持ちでしょうか。
#47
○中山国務大臣 実は日本政府は、この国際的な麻薬の問題を解決するために、日本の警察関係を中心に関係省庁も集まりまして、各国の麻薬捜査官とか麻薬関係者を集めたシンポジウムを開いております。
 私は、実は自民党の麻薬対策議員連盟の会長をいたしておりまして、日本の関係各省庁の麻薬対策関係の予算の確保にも、予算編成のときにはこの会の先生方と一緒に努力をさせていただいてきた立場から考えますと、今御指摘のように、このアジアに生産拠点を持っている地域の農民たちの作付転換にいかに経済協力をやるか、あるいはそういうふうな農産物の育成のための技術指導をやっていくか、また付加価値の高い農産物の流通の問題をいかに彼らに教えるかということが非常に基本的な問題である、そういうことで、私どもとしてはごく最近調査団も出すことにいたしておりますが、御存じのように、麻薬生産地帯に調査に参りますには非常な危険が伴うものでございますので、行動は一切明らかにいたしておりませんけれども、政府としては問題の解決に全力を挙げてこれから取り組んでいかなければならないと思っております。また、アジアの関係諸国と協議しながら、アジアにおける問題点をどうしたらいいかという議論の機会を持つことも必要であると考えております。
#48
○松原委員 今申し上げた麻薬以外に日本で目下一番重要だというのは、覚せい剤の影響だと思うのです。覚せい剤の製造地というのは大体北東アジアの方で生産される場合が多いと聞いておりますから、そういう覚せい剤まで含めた状態を考えますと、まさにアジア全体でこの問題の対策をしなければならないというふうに私も考える次第です。
 そこで次に、条約に関する問題点をちょっとお聞きをしておきたいと思うのですが、いわゆる自衛隊法の百十六条に「麻薬取締法等の特例」として、麻薬・覚せい剤を譲り受けたり所持する点について特別の特例措置ができておりまして、いわゆる自衛隊の部隊長または補給処の処長が麻薬・覚せい剤等の扱いをすることができる、こういうふうになっておるわけです。今回の条約による向精神薬も、またそういう取り扱いができるという趣旨に改正案が考えられておるようでありますが、自衛隊法で特に麻薬等の取扱者に部隊長もしくは補給処の処長を充てることができるとされた趣旨をちょっと説明願えますか。
#49
○西本説明員 お答えいたします。
 麻薬取締法及び覚せい剤取締法の規定によりますれば、麻薬及び覚せい剤の原料は診療施設あるいは研究施設でないと譲り受けたり所持することができないということに相なっておるわけでございます。したがいまして、非常に緊急的な救護活動というようなことをいたします自衛隊といたしまして、救援の第一段階で非常に重要な薬品でございます麻薬等を、固定的な設備のない、あるいは移動性がある、また平常診療業務を行っておりません自衛隊の衛生隊というようなものが所持し、またはこれを譲り受けることができるというような必要性があるという観点からこの特例を設けたわけでございます。
#50
○松原委員 具体的に、例えば覚せい剤を部隊の長が管理する、一体使用はどういうものを想定して、あるいは現に使用されておられるのか、この点いかがでしょうか。
#51
○西本説明員 麻薬につきましては、実際問題としてほとんどございませんが、今お話ございました覚せい剤でございますと、エフェドリンあるいはメチルエフェドリンというような鎮咳作用のある、せきをとめる、そういうようなものとして用います。また、麻薬でございますと、御承知のように鎮静あるいは鎮痛というような第一段階の救命処置的なものに用いるということでございます。
#52
○松原委員 覚せい剤といいますとヒロポンである。ヒロポンというのは大日本製薬がつくったものであって、戦前はまさに覚せいさせる意味で特攻隊にたしか使われたというふうに聞いているのですね。そうすると、軍事行動にこういう薬、麻薬等を使用する目的で部隊長に扱わせているのじゃないのかというふうな危惧もあるのですが、現実に部隊行動を起こすときに薬を使うという方法は諸国の例でもありますよね。そういう点からしますと、その点は軍事行動目的でこういう特例措置がされたのかどうか、ちょっと聞かせておいてください。
#53
○代田政府委員 私がお答えする立場かどうかわかりませんが、少し正確に私から御説明させていただきたいと思います。
 現在自衛隊の部隊長あるいは補給処長に譲渡できますのは、麻薬、それから覚せい剤につきましては覚せい剤原料でございまして、エフェドリンとかといったぜんそくの薬みたいなものでございますので、覚せい剤そのものではございません。ちょっと言葉が似ているものですから非常に混同しやすいのでございますが、覚せい剤は譲渡することはできません。覚せい剤原料というものも、これも覚せい剤に転換しやすいということで取り締まっておるという状態でございますが、覚せい剤そのものではございません。ちょっと我々も混同することがございますけれども、そういう点は、原料であるということで覚せい剤ではないということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
#54
○松原委員 そうしますと、今度の条約では、向精神薬の中にはいわゆる覚せい剤と言われるものが付表Iだったかにずらっと並んでいますね。今度の改正案では、そういう覚せい剤も含んだものも部隊の長がこれを扱うことができる、こうなるはずなのですが、この点についてはどうでしょうか。
#55
○代田政府委員 今回の法律改正案におきましては、覚せい剤原料、それから向精神薬取締法によるいわゆる向精神薬を対象とするということでございまして、その中には覚せい剤は含まれておりません。
#56
○松原委員 もう一つ確認しておきますが、今度自衛隊法の中に向精神薬というものを入れてくる、これは本件の条約上は一体どのあたりの条文の根拠からこれが入ってきたのか、御説明願えますか。
#57
○石垣説明員 この条約の対象で国内法、麻薬取締法上麻薬に指定されることになる予定のものは、この条約の付表Iの物質、二十二物質ございますが、及び付表IIのフェンシクリジンでございます。これらの物質につきましては、政令に定めるところにより自衛隊の中の資格を有する者が入手することが可能となるわけでございますが、これは条約上差し支えございません。また、これ以外の資格のない自衛隊による入手は国内法上生じない制度となってございますので、この向精神薬条約の義務違反その他の問題は生じません。
#58
○松原委員 条約上の根拠条文は今示されましたか。その点いかがでしょう。
#59
○丹波説明員 ただいまの石垣審議官のお答えの条文上の根拠は、本件条約の第七条の(a)にございますけれども、「正当に許可された者が学術上及び極めて限られた医療上の目的のために使用する場合を除く」云々というところ、それから第八条の二項におきましても、「これらに従事することを正当に認められた人及び企業」云々ということで、付表のI及び付表のIIからIVまでにつきまして、そういう正当に許可された者が国内においてこの種のものを扱うことができるということが条約上明確になっているというふうに考えております。
#60
○松原委員 麻薬や向精神薬というものについては、医療目的という面は重要な面が確かにあります。しかし、他方では、これはいろいろな意味で害毒も流すし、場合によってはいわゆる兵器としても使われる可能性もあるという見方が私は必要だと思うのです。現在、化学兵器禁止条約というものについて、これをどうするかというふうに検討中であるようですが、そこで、将来この麻薬や向精神薬等が化学兵器として使用されるおそれはないのか。現に、この面で麻薬、向精神薬を研究開発している国もあるのではないか。この点はいかがでしょうか。
#61
○石垣説明員 お答えいたします。
 現在ジュネーブの軍縮会議におきまして、化学兵器のグローバルな全廃を目指す化学兵器包括禁止条約について交渉が行われてございます。我が国も積極的に参加してございます。御指摘の麻薬及び向精神薬の兵器としての現実的使用可能性については、この軍縮関係の会議でも出ておりません。私ども確認する情報は持ってございません。
 しかし、いずれにしましても、化学兵器包括禁止条約といいますのは、化学兵器目的である限り、すべての化学物質の開発、生産、保有及び使用を包括的に禁止しようとするものでございまして、我が国としましても、このような条約を早期に締結いたしまして、かかる懸念といいますか心配を払拭することが非常に重要であると認識しております。
#62
○松原委員 そうしますと、今やられている化学兵器の禁止条約のカテゴリーの中に、この麻薬も、それから向精神薬も、将来仮に兵器として転用される可能性が出てくる場合、化学兵器のこの禁止条約でカバーできるというふうにお聞きしていてよろしいでしょうか。
#63
○石垣説明員 お答えします。
 ただいま交渉の対象となっていますいろいろな化学物質がございますが、神経ガスとかいろいろなものがございますが、現実に兵器になり得るというのはすべて網羅されております。したがいまして、万々が一そういう可能性がある場合には、当然対象となり禁止されることになると思います。
#64
○松原委員 では、これ最後の質問にさせていただきますが、今回問題になっているこの向精神薬ですけれども、これがいわゆる家庭薬として市販されていくおそれはないのかどうか、この点だけお答えを願いたいと思います。
#65
○代田政府委員 お答えいたします。
 この向精神薬というのは、現在でも専ら医師の処方せんあるいは指示によって入手できるという状態でございますので、このものが一般家庭薬として流通するということは考えておりません。
#66
○松原委員 ありがとうございました。終わります。
#67
○柿澤委員長 山田英介君。
#68
○山田委員 今審議をされております向精神薬条約、それは向精神薬の乱用あるいは不正取引の防止、これらを内容とするものと理解をしているわけでございます。
 この条約が作成されましたのが一九七一年の二月、我が国が批准を前提に署名をいたしましたのがその年の十二月、かれこれ二十年近くも経過をしているわけでございます。その間、一九七六年八月には条約が発効し、現在締約国も九十六カ国となっているわけです。我が国の麻薬・覚せい剤等に対する乱用の危機意識が薄いのではないかというような批判を国際的に受けるようであってはならないわけでございます。条約という国際約束の上からも早期批准に努力すべきであったと考えるわけでございますが、国際信義の上からどのように受けとめておられますでしょうか。
#69
○石垣説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘ございましたように、向精神薬条約の署名後長期日を経過したわけでございますが、この理由といたしましては、一つには、この条約が効果的に機能するためには、主要先進国を含みます多数の国の締結が必要でございますので、その締結状況を見ますとともに、薬物の乱用に対する規制につきましては、我が国で国内法によりまして厳しい規制が行われておりまして、この条約の対象となってございます向精神薬の乱用も大きな国内問題になっていなかったといったような事情もございました。こういう事情がございまして、関係省庁との協議、国内法の整備等に時間を要したわけでございますが、国際信義という観点からは、各国の締結状況といいますか、締結時期も非常にまちまちでございまして、フランスなんかは一九七五年直ちに締結したわけでございますが、英国につきましては八六年でございます。さらにカナダは二年前の八八年ということでございまして、我が国の締結のおくれが特に国際的に問題にされたことはないと認識しております。
#70
○山田委員 我が国が締結している条約に麻薬単一条約があります。今回向精神薬条約を批准する、こういう運びになるわけですが、この向精神薬条約を締結する意義、それから締結によって我が国が負うことになる義務、これについて教えてください。
#71
○石垣説明員 この条約を締結いたします意義としましては、この条約は向精神薬の乱用及び不正取引の防止を目的といたしまして、向精神薬の製造、取引、使用等の規制について国際的な枠組みを定めるというものでございまして、我が国がこの条約を締結しますことは、我が国におきます向精神薬の乱用及び不正取引の防止の一層の強化及び薬物問題についての国際協力の一層の推進に貢献するという観点から有意義であると考えてございます。
#72
○山田委員 これはぜひ大臣に御答弁いただければと思うのですが、お話出ておりますように、現在、タイ、ミャンマー、ラオス地域に麻薬撲滅を目的としたミッション、調査団が既にもう出ているのだろうと思います。それで、この東南アジアのこの地域と、もう一つはアンデス三国、コロンビア、ペルー、ボリビア、近年特にコカインがその地域から我が国に上陸をしつつあるという危機感があるわけでございます。したがいまして、このタイ地域へのミッションの成果を踏まえて、アンデス三国地域にも麻薬調査団、ミッションを出していいのではないか、あるいはさらにパキスタン、アフガニスタン、イラン、この地域への麻薬ミッション、積極的に派遣をなさるべきではないかと存じますが、大臣、いかがでございましょうか。
#73
○中山国務大臣 今委員御指摘のように、現在タイ、ラオス周辺には調査団が出る準備が進んでおりまして、そういう中で私どもが一番注意しなければならないのは、現地の政府との協力関係をどうするか。この調査団の情報が漏れますと、シンジケートからは一つの大きなターゲットになってくる、こういうことで非常に危険性が伴っておる調査団でございます。そういうことで、まずこの調査団の帰国後、私どもがどのような形で調査が行われたか、また現地の状況はどうであったか、相手国政府との連絡の結果はどうであったかということを十分認識をいたしました上で、今委員御指摘のようなアンデス地域に派遣するかどうかということは検討していってもいいのじゃないかと思います。
 ただ、この場合でも、御案内のように、大変な麻薬関係者の殺人が行われているところでございまして、私どもから見ますと、日本の在外公館、こういうところの人たちあるいは家族、こういう人たちの身命の安全をどのように保障するか、こ、こいらも実は麻薬の調査については政府としては十分配慮をしながらやっていかなければならない問題ではないかと考えておりまして、十分、調査団の帰国を待ちまして、そのような点も踏まえて検討した結果、できるだけ国際的なこのような麻薬の撲滅に政府としては協力する姿勢をとらなければならないと考えております。
#74
○山田委員 政府は、この麻薬撲滅あるいは麻薬乱用撲滅ということに対しましてODAを活用をしたらどうか、そのような方針を決定されたと一部報道がされております。そういうことなんでしょうか。もしそのとおりとすれば、具体的な中身につきまして、どういう形で、いわゆる麻薬ODAの中身というのはどういう点が柱になりますのか、明らかにしていただければと思います。
#75
○中山国務大臣 今委員御指摘の点は極めて大事な点でございまして、問題は、農民たちの農産物所得、収入がどのように確保できて生活が維持できるかという問題につながっているのだろうと思います。だから、普通の農産物をつくるよりも、麻薬を栽培した方がはるかに所得が高いという中に農民がそちらに流れていくということではないか。そういう意味から考えますと、まず考え方を整理して、その代替作物の栽培について指導をすることが必要である。また、そのための経済協力も必要であろうと思いますし、相手国の政府と十分協力をしながら、ODAによるこの麻薬地域の作付転換に日本政府としてはこれから協力することが必要だろうと考えております。
#76
○山田委員 麻薬産出国の経済構造を転換さしていくという角度は非常に大事だと思います。と同時に、国連薬物乱用統制基金、年間予算が大体七十五億円ぐらいと伺っているのですが、従来の我が国の拠出金といいますか、負担金というのは大体一億二千万円ぐらいではないのか、麻薬撲滅を目指して決意をなされている、そしてまた経済大国我が国において、これはちょっと少な過ぎるのじゃないかなと思うのですが、ここは思い切った何か予算措置、増額を考えられるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#77
○石垣説明員 ただいま御指摘のございました国連の麻薬統制基金、UNFDACは大変有用な活動をしておりまして、私どももこの基金の今後の活動に大変期待してございます。これまでの拠出状況は、御指摘のとおり、決して巨額なものであったと私ども考えておりません。今後引き続きUNFDACの活動を支援する見地からできるだけの努力をしてまいりたいと考えております。
#78
○山田委員 ちょっと先に大蔵省にお伺いしたいのですが、先ほど松原委員の質問にもございましたが、麻薬探知犬、かなり水際で麻薬の上陸を阻止するという意味においては非常に効果を発揮している。私も一度羽田だったでしょうか、百個ぐらいの荷物を並べておいて、そこに麻薬犬を放しますと、ぐるっと回って、嗅覚がすごいのですね、かっとかみつく、物すごい威力を発揮していると思います。私の承知しているところでは、成田に十四頭、数年のうちに七つの全国の税関に麻薬探知犬を配置するということを伺っているわけでございますが、もうちょっと具体的にそのスケジュールといいますか、導入、配置の計画をお知らせいただきたい。
#79
○本村説明員 お答えいたします。
 麻薬探知犬は、麻薬、大麻等を水際で効果的に摘発いたしますため活用しておりまして、現在成田空港等に二十二頭配備している状況でございます。平成二年度におきましては、新たに麻薬探知犬を二頭配備することを予定しております。
 それから、平成三年度以降の配備頭数につきましては、各税関の業務の実態であるとか、例えば空港があるとかないとかいうことも、港の方が多いということもございますし、また麻薬探知犬の育成可能数、犬をすぐ麻薬探知犬に変えるというわけにいきませんで、訓練等で非常に時間がかかりますので、そういう麻薬探知犬の育成可能頭数等を考えまして、今後計画的かつ着実にふやしてまいりたい、かように考えております。
#80
○山田委員 特段の予算措置などもぜひお願いしたいと思います。
 次に、いわゆる麻薬新条約について残された時間質問させていただきます。
 麻薬の不法取引に関して既存の諸条約、一九六一年は麻薬単一条約、一九七一年向精神薬条約、これらでは想定されていなかった新しい局面に対応する国際新条約を作成する必要があるとして、一九八八年にいわゆる麻薬新条約が採択をされ、ことしじゅうにも発効の運びでございます。我が国も一九八九年署名を行っておりまして、以下、早期に国内法の整備を行い、早期にこの麻薬新条約を批准すべきであるという観点から質問をしたいと思います。
 まず外務大臣、先ほどの質問と重なるかもしれませんが、七月には米国でヒューストン・サミットが控えております。当然このサミットでは麻薬問題が議題に上ると思います。その焦点の一つは、この新条約、日本にあってはいつごろ批准するのかというような話も出るかもしれません。外務大臣としては、そこのところを踏まえて出席をなさるわけだろうと思いますけれども、もう一度、この新条約を我が国がいつごろまでに批准しようとするのか、今会議でいろいろ詰めておられるということは承知なのですが、その結論を得てということでは質疑応答は余り意味がありませんので、大臣のお気持ちとしてどのくらい、いつごろまでにということなのか。それからいま一つは、国内法の整備が前提になるわけですけれども、その基本方針、基本的なお考えなどございましたら明らかにしていただきたいと思います。
#81
○中山国務大臣 委員からのお尋ねの条約の批准問題につきましては、一番大きなポイントは、やはり国内法の整備の問題であろうと思います。関係する省庁が十をオーバーするような、関係各省庁にいろいろ立場もございますし、法律の解釈の問題もございまして、協議を今重ねておるところでございますが、私は、ヒューストン・サミットに行くまでに、この会議をさらに重ねさせて、大体いつごろまでに批准ができる可能性があるというふうなことを、その場で日本政府として言うことができるように努力しなければならないと考えております。いついつと日を切るというよりも、これからサミットまでの間に日本の関係省庁がさらに会議を数遍重ねて、この法案は、問題は結局国会にお願いせにゃいかぬことにもなりますものですから、関係諸法案をどういうふうに、いつごろの国会で処理するか、そこらの問題も踏まえて、日本政府としての意思を表明しなければならないと考えております。
#82
○山田委員 この麻薬新条約の中身はもう御案内のとおりでございますが、物ではない収益の凍結、差し押さえ、没収あるいはマネーロンダリングの犯罪化、あるいはまたコントロールドデリバリー、管理された輸送、非常に画期的な、麻薬犯罪というのは組織犯罪ということが言えるわけでございます。これを壊滅させようとする上で、新条約が内容としているこれらの諸点は非常に有効であるというふうに考えられます。ですから、できるだけ速やかに国内法の整備、批准ということを、ぜひ政府としては目指していただきたいと思います。
 さて、そこで国内法の整備なのですが、例えば、この収益の凍結、差し押え、没収。刑法を読んでみますと、十九条に、いわゆる犯罪を組成したる物、「之ヲ没収スルコトヲ得」と。まさに物なんですね。麻薬、薬物という物質、これは没収することができる。あるいは裁判所による証拠物の差し押さえ、やはりこれも物ということになっています。あと刑事訴訟法の九十九条では提出命令が規定されていますから、物の没収ということについてはこういうことになっているわけです。この収益ということは、有形、無形、有体、無体、動産、不動産を問わずあらゆる種類の財産あるいはその権利を表章する、何と言いますか書類といいますか、ですから、麻薬取引、不正な取引から得た収益が不動産に変わっていようと、その収益をもとに投資をしてふやした場合、そのふやした部分も含めて没収しますよ。これは麻薬犯罪というものを撲滅していく上においては、ある意味では決定打になり得るのではないか、こんなふうに思います。
 そこで刑法、今お話ししましたけれども、法務省来ていただいていると思いますが、十九条あるいは「価額の追徴」十九条ノ二ですね、これでは当然新条約が言うところの収益には及ばないわけですから、刑法を改正して国内法整備ということに考えておられますか。簡単で結構です。
#83
○古田説明員 ただいま御質問の点について御説明いたします。
 御指摘のとおり、現在の刑法では、まず物の存在が没収、追徴の前提となっております。したがいまして、現金で受け取ったような場合はよろしいのですが、そうでない場合にはかなり問題が出てまいります。この没収、追徴を新条約の批准のためにどうするかということにつきましては、刑法が御案内のとおり一般的な性格を持つ法律でございまして、麻薬犯罪に限ってだけその収益については別な取り扱いを刑法内でするということは、法体系上かなり慎重な検討を要する問題があると考えております。
#84
○山田委員 刑法ではやはりちょっと厳しいのじゃないかという御答弁だと思います。
 そうすると、麻薬関連では厚生省ですね。麻薬及び向精神薬取締法、そのほか大麻、覚せい剤、あへん、いわゆる取り締まり四法、こちらの改正で対応せざるを得ないのじゃないでしょうか、厚生省。
#85
○代田政府委員 今御質問ございましたように、この条約を受けるためには、刑事法制上新しい刑事処罰あるいは手続等を新設することが必要であるというふうに我々も考えております。それから、このようなものを衛生法規であります麻薬四法、これは衛生法規でありますので、その中で刑事処罰等を決めるというようなことはなかなか難しい問題であるというふうに私どもは考えております。したがいまして、立法形式も含めまして、現在鋭意検討をさせていただいておるということでございます。
#86
○山田委員 今一生懸命会議されているところですから、余り突っ込んでということも避けたいと思いますけれども、結局、刑法なのか麻薬四法なのか、どっちでどうやるのかということが決まらなければ、その分だけ当然国内法の整備がおくれるということになるわけですね。ですから、そこのところは一生懸命両省庁間で精力的にやる必要があると思います。
 もう一つ、厚生省に伺いたいのですが、麻薬四法をこの際一本化しまして、その中に、時間がありませんからマネーロンダリングも含めて申し上げますけれども、収益を没収できる新たな規定、マネーロンダリングを犯罪化する新たな規定も、その四法を一本化して、その中へ盛り込んでという方法もあるのだろうと思うのです。と同時に、四法は四法でそのままにしておいて、もう一つ法律を新たにつくって、収益の没収規定、マネーロンダリングは犯罪ですよという規定を盛り込んでいく、これはどっちで行けそうですか。
#87
○代田政府委員 法律の立て方でございまして、私どもは先生の御提案も含めまして、これは検討する事項であるというふうに考えておりますが、麻薬四法につきましては、過去の経緯を見ますと、麻薬から例えば大麻あるいはあへん法が分離してきたというようなこともございますし、覚せい剤につきましては議員立法でできたという経緯もございますし、それぞれ罰則の中身も違いますし、あるいは大麻等につきましては、これはむしろ栽培規制とか栽培許可の法律であるというようないろいろな観点が、法律の性質が違いますので、これを一本化するのはなかなか大変だなというふうに感じております。
#88
○山田委員 どうも国内法整備は、そこのところが一つの大きなポイントのようでございますので、法務省さんと厚生省さんでひとつよくがっちり検討していただきたいと思います。
 それから、コントロールドデリバリー、捜査技術、捜査の手法、これも麻薬の密売組織あるいは麻薬の犯罪組織を一網打尽にする、麻薬の仕出し国、通過国、それから到着国、こう流れがありますが、麻薬犯罪人あるいは麻薬を所持しているということが途中でわかっても、一網打尽にするために監視し続けるというか監視のもとに泳がせるといいますか、こういう一つの捜査手法、これもやりようによっては非常に大きな効果を上げられると思います。
 警察庁にお伺いしたいのですが、現行法の枠内でコントロールドデリバリーという捜査手法をとり得るのかどうか、それからその効果について、取り締まり当局のお考えというものをお聞かせをいただければと思います。
 それからもう一つ、時間が迫っておりますので、捜査の第一線を預かっておられる警察庁としては、この新条約の批准についてどんなふうにお感じになっておられますか。ちょっと抽象的ですかね、早く批准してもらいたいということだろうと思うのですが、そこのところを含めて。
#89
○属説明員 コントロールドデリバリーの実施につきましては、現行法の範囲内でもできるんじゃないかという一部の解釈もあるわけですけれども、それはまだ確定しておりませんで、今後さらに関係省庁との間で十分詰めていく必要があるというふうに考えております。
 また、その効果につきましては、これはやはり先生御指摘のように、麻薬密輸組織を一網打尽に検挙できるというそういう大変大きな成果は上げることができます。しかし一方、途中で薬物の流れを徹底的に監視するということは必ずしも容易なことでもありませんので、その具体的な実施方法については十分今後検討していかなければいけないというふうに考えております。
 それから、麻薬新条約の批准そのものにつきましては、これは画期的な新しい捜査手法を盛り込んだものでありますし、そういう麻薬シンジケートに対して、国際的に協力をしてぶつかっていくということが非常に重要だという観点から、我が国としても早期に批准をすることが非常に大事だというふうに考えております。
#90
○山田委員 カナダを除いては、根拠となる明文上の規定は特に置いてないと伺っています、コントロールドデリバリーの手法を採用する場合に。ただ、具体的な実施条件などを定めて、この捜査手法を取り入れている国が多いんだ、こんなふうにも言われていると思うのですが、積極的にこれらの捜査手法も駆使できるようになったら麻薬撲滅の上で非常に大きな効果を発揮できるものと、私もこう思います。途中で見失うと、反対に今度はその国内に薬物が流出するという危険性もありますので、この辺も一つの検討課題かなというふうにも思います。ただしかし、画期的な麻薬撲滅に向けての効果的な捜査手法であるということは、私は言えるのだろうと思っているわけです。
 それで、大蔵省からちょっと御意見を伺いたいのですが、関税定率法というのがありまして、その二十一条に「輸入禁制品」という規定があるのです。「左の各号に掲げる貨物は、輸入してはならない。」といたしまして、アヘンその他の麻薬などが書かれている。このコントロールドデリバリー、今警察庁の課長の答弁では、現行法内でできるかどうか、なお慎重に検討しなければというふうにおっしゃいましたけれども、この関税定率法で麻薬等の禁制品は輸入してはならないとなっているわけですから、そこのところで、麻薬の仕出し国から通過国へ入ってくる、そこで捕まえないで泳がせるということにおいて、この関税定率法とか関税法の罰則規定との関係はどうなるのでしょうか。
#91
○本村説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、関税定率法第二十一条では、麻薬、大麻、アヘン、それから覚せい剤等、こういうものは輸入してはならないという規定になっております。
 これを受けまして、関税法の第百九条におきまして、こういう「(輸入禁制品)に掲げる貨物を輸入した者は、五年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」という規定になっております。ですので、関税法との関連では、例えば我が国へそういう麻薬が密輸されようとしまして税関のところを通る場合があるわけでございますが、そういう場合、コントロールドデリバリーを実施することといたしますと、税関職員につきましては、関税法第百九条の禁制品輸入罪の幇助犯が成立する可能性があるとの考え方もあり得ますので、現在、その対応ぶり等につきまして鋭意検討しているのが実情でございます。
#92
○山田委員 終わります。
#93
○柿澤委員長 古堅実吉君。
#94
○古堅委員 向精神薬条約についてお伺いしますが、関連して沖縄の米軍基地にもかかわって伺わしていただきます。
 この条約がなぜかくもおくれたのかについての御質問があり、御説明がありましたが、どうしてもまだ腑に落ちない疑問が残ります。それで、最初にそのことについてお伺いするのですけれども、政府はどうしてもこの条約を批准しなくちゃいかぬというふうに考えておられる積極的な理由は何か、もしそれが批准されないとした場合にはどういう不都合が起きるのかということについて、何か真剣に考えておられるのかなという疑問が残ります。最初にそれを。
#95
○中山国務大臣 委員御案内のように、麻薬というものは、私は率直に申し上げて人類の破滅をもたらすものだというふうに考えております。また、それを知りながら、それによって富を築く人は、私は人類の敵だという認識を持っておりまして、そのような観点から、この条約は国際的に麻薬を廃絶していくということを大きな理想にした考え方でございますから、この条約が早期批准を見なければ、日本という国は、あるいは日本という国民は、そのような人類共通の大きな課題に対する積極的な意思が十分示されていない、こういう国際評価を受けるものだと私は認識をいたしております。
#96
○古堅委員 なれば、なぜかくもおくれたのかということについての国民一般の側への納得のいく御説明があられるはずなんです。しかし、先ほど来お二人からの質問に答えておられるのですが、それでも納得できないので、同じ質問をさせていただいているわけなんですけれども、この条約は一九七一年二月に国連加盟国等の参加による会議で採択されました。我が国は、同じ年の十二月に署名国となりました。署名国は三十五カ国でありますけれども、そのうちまだ批准してない国がガーナ、イラン、日本、レバノン、リベリア、ニュージーランド、その六カ国だけであります。締約国は、その後の加入国を含めて既に九十六カ国を教えております。日本の署名以来十八年余、この条約が一九七六年に発効してからでも十四年に近くなります。
 なぜ、このように長期にわたって引き出しにほうり込んでおったものを思い出して今問題にする、このように思われてもいたし方のないほどに余りにも長い期間経過して、今日批准の手続をとられることになったのか、それについての納得できる説明になってないということなんです。
#97
○石垣説明員 ただいま御指摘いただきました批准といいますか、締結に時間を要した点につきましては、大臣から答弁ございましたように、それからさきの御質問にも答えましたように、いろいろな事情があったわけでございますが、基本的には、繰り返しになりますが、我が国における薬物乱用の規制の状況という実情がございまして、この状況を踏まえまして手直しを要します関係国内法の整備に時間を要したということでございます。
 ちなみに、その他の各国もやはりそれぞれその国の実情に応じて締結しておりまして、参考までに申し上げますと、フランスについては一九七五年でございましたが、西独は同じく七五年、米国は八〇年、イタリアは八一年、英国は八六年、カナダは八八年というふうにそれぞれ締結は異なってございます。この国際麻薬問題に関します深刻な状況を踏まえまして、私どもとしましては、ぜひ今国会で御承認をお願いしたい、こういうことで御提出しているわけでございます。
#98
○古堅委員 御理解いただいておられると思うのですが、我が党もこの条約の批准には賛成です。それにかかわらず、皆さんの御説明が国民の側から見て納得のいく説明となってないがゆえにあえてお尋ねしているわけなんですよ。
 先ほどの大臣の最初の質問にかかわる御説明、第一番目の質問者に対して、我が国においては、この問題についてそれほど被害、問題がなかったということがここまで延びてきた一つの理由であったようなことを言われました。我が国がそういうことがなければ、それほど国際的な協力関係において重大視して推進しなければいけない問題についてここまで延ばしてよかったのか、我が国がそういう国際問題についてそういう態度をとってよかったのかということを問われる内容がここにあるのじゃないか。裏返して言えば、そういうことを言っておられるに等しい、そう思うからあえてそういうことをお尋ねしているわけです。
 前に進みます。
 取り締まりの実を上げるには、やはり何としても体制が重要だと思います。現場からは、麻薬取締官、もう十八年ほどにわたって百七十人に限定されているこういう状況を、増員してほしい、もっと充実強化すべきだという声があることを聞いております。それらについて、今度の条約批准を契機にして増員など体制を強化するおつもりはないかどうか。
#99
○代田政府委員 お答えいたします。
 ただいま麻薬取締官の増員を図れという御指摘でございますが、私どもも常に努力はいたしておりますけれども、国策といたしましては、やはり定員削減というような方針も強くあるわけでございまして、この問題につきましては大変厳しい状況にございます。しかし、内外の最近の状況にもかんがみまして、今後とも努力をいたしたいというふうに考えております。それをさらにカバーする意味でも、麻薬取締官事務所におきましては、捜査機材あるいは鑑定機器等の整備あるいは効率化をするというようなことで、限られた人員で有効な捜査ができるように努力をしている状態でございます。
#100
○古堅委員 お言葉を返すようですが、大事なことですから、限られた人員でということをおっしゃらずに、現場の要望にもこたえて、増員を含む充実強化の方向に検討してほしいということを要望申し上げておきます。
 沖縄の米軍基地は、かつてそういう麻薬等の侵入路といいますか中継基地といいますか、大変な事態がございました。今日の状況はどうですか。
#101
○松浦政府委員 私、最近の正確な状況は承知しておりませんが、全体としては改善の方向にあると承知しております。
#102
○古堅委員 米軍基地にかかわる取り締まりの面での手抜かりがないように引き続き十分強化策を図ってほしい、そのように考えています。
 沖縄の基地は、麻薬の問題、その他の犯罪の問題、いろいろ言われて、沖縄では諸悪の根源、このように言われています。つい最近、総理府の沖縄についての世論調査の結果が発表されました。それには圧倒的な多数が、米軍基地について日本の安全上必要でない、むしろ危険だ、そういう世論調査の結果が出ております。
 それにかかわってお尋ねしますけれども、今、日米間で協議が進んでいる沖縄の基地の返還交渉について、これまで対象として進められているのは、既に一九七六年までに日米間で合意されてきたところの、そしていまだにその実を上げてない十八の施設と、西銘知事がアメリカに渡って要望した七つの施設、そういうのが対象の範囲だと理解しておりますが、そういう理解でよろしいかどうか、お尋ねしたい。
#103
○松浦政府委員 先生御指摘のように、現在日米の合同委員会で沖縄の施設、区域の整理統合問題を鋭意検討しておりますが、その対象になっておりますのは、まさに先生御指摘の案件を中心としております。
#104
○古堅委員 ということは、この間アメリカの国防省が東アジア戦略構想を発表した、その中で言われている米軍の縮小や基地の返還、そういうものとは直接かかわりのない立場から検討されてきたものだと考えられますし、あの東アジア戦略構想に基づいて言われているものを具体化するということになれば、さらに新たにその他の基地も含めて返還問題が交渉の舞台に上がるというふうに理解してよろしいですか。
#105
○松浦政府委員 先生御指摘のように、四月にアメリカの国防省が議会に提出いたしました「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」と題します報告書の中に、米軍の削減問題が提起されておりますが、先生御指摘のように、先ほど御答弁申し上げました沖縄の整理統合問題というのは、まさに沖縄の返還時代からの懸案でございまして、私どもといたしましては、これはできるだけ早く結論を出したいと思って進めているものでございます。今触れました今回の新しい「戦略的枠組み」と題します報告書に触れられております米軍の削減問題とは切り離しまして、できるだけ早く結論を出したいと思っております。
#106
○古堅委員 戦略構想に言われている縮小、返還問題が具体化してくれば、今進められている二十三施設のほかにも新たに交渉の対象になってくるのが浮かんでくるというふうに理解してよろしいですか。
#107
○松浦政府委員 最初にちょっと申し上げたいと思いますけれども、先生今回交渉の対象として二十三カ所というのを今御指摘になりましたけれども、そういう報道があるのは私どもも承知しております。つまり現時点で米側と二十三カ所について合意を見たという報道がございますけれども、残念ながら現時点でまだ最終的な合意は見ておりませんので、具体的に幾つ最終的に合意が見られるか、今の段階では申し上げられませんが、いずれにしましても、先生御指摘のように、今後生じ得べき米軍の兵員削減計画との関連でどういう基地の整理統合が必要になってくるかということは、今後の問題でございまして、現時点でそもそも沖縄を初めとして日本におきましてどういう形で削減が行われるか、全体の数字としては、今後一年から三年の間に五千から六千という数字は挙がっておりますけれども、まだ詳細が全くわかっておりませんので、現段階でその結果として基地の整理統合問題、どういうのが出てくるかということは、申し上げるのはちょっとまだ早いのではないかと思っております。
#108
○古堅委員 時間が参りましたので、最後の一点。この返還交渉についての中間報告が六月にも発表されるだろうというふうに報道されております。そのような段取りがございますか。
#109
○松浦政府委員 先ほど御答弁申しましたように、現在日米合同委員会で鋭意検討しておりまして、できるだけ早く、それも全部につきまして最終的合意が難しければ、中間的な成果なりとも盛りました報告書をできるだけ早く公表したいと考えております。ただ、それが具体的に先生御指摘のように、六月に可能かどうかに関しましては、現時点では断言しかねますので、できるだけ早期にということで鋭意検討しているということで御了解いただきたいと思います。
#110
○古堅委員 終わります。
#111
○柿澤委員長 和田一仁君。
#112
○和田(一)委員 大臣に御質問できる機会が少ないので、本来ならばさまざまな国際問題等についてお伺いしたいのですが、きょうは時間もございませんし、かかっております法案の関係で麻薬問題のみに絞ってお尋ねしたいと思います。
 麻薬問題が今国際的な非常に重要課題になっておりますので、これに対する大臣の基本的なお考えを聞きたいわけでございますけれども、国際的な重要課題と言えば、従来は東西問題が最大問題でございました。しかし、昨秋以来東西問題はだんだんと緩和の方向に向かっておりますし、それにかわって今大きな問題は、やはり南北問題、この格差の是正に先進国はどう取り組むか、こういう大きな課題があろうと思います。そういう大きな国際的な重要課題の中で、ともすれば忘れられがちであった環境問題、そしてこの麻薬問題が急浮上してまいりました。
 私は、それはそれなりに大きな理由があると思っております。一つは、環境問題は全人類、地球を一つの星として生活を営む人類にとって、環境悪化ということは大変な問題でございますから、これまた外的要因として、先進国を中心に当然国際的な取り組みをしていかなければならない大変大きな課題であると思うのです。いま一つが、今度は外側からの問題でなく、人間の精神の内側からぼろぼろにしてしまうような麻薬問題、これが大変汚染が広がっている。こういう国際環境の中でこの麻薬汚染をいかに防止するか、これはやはり国際問題として共通の大きな課題になってきている、こういうふうに私自身は考えておるわけでございます。
 こういう問題がサミット等でどんどん取り上げられる、そういう席におかれまして、特にドクターである大臣の御関心は、ほかの外国の外交責任者よりもはるかに理解があり、受けとめ方も非常に違うと私は思っておりますので、そういう点も含めて、重要課題になっている麻薬問題に対する基本的な大臣の御認識をまずお伺いしたいと思います。
#113
○中山国務大臣 麻薬問題につきましては、麻薬の使用というのは古くからあった。しかし、先進工業国の中でいわゆる麻薬を使用する人たち、しかも自分の意志が弱いために麻薬におぼれるという人たちが激増し始めてきた。それの需要に対して供給をする側がそれによって利益を得る、あるいは運搬者がさらに利益を得るというようなことで、国際的に国境を越えての大きな麻薬問題が政治課題として登場してきたものだと思っております。
 幸い日本は、委員御承知のように、麻薬の患者よりも覚せい剤患者が非常に多うございましたし、覚せい剤は日本の周辺国で製造されたものが日本に密輸入されて暴力的関係者から売られている、これが一般の市民層に今日入り込んできているというのが日本の大きな問題であろうと認識をいたしておりますが、アメリカの社会は麻薬の汚染が極めて激しい。私は、昨年参りましたときも、いわゆる子供たちの世界に麻薬を運ぶことによって大変いい収入が得られるということで、麻薬そのものが人類に与える悪い結果よりも、運ぶことによって得られる、簡単なアルバイトの目先の代償のために魅力があって、若い世代がそういうものに巻き込まれていっているというアメリカの社会を現実に知りました。英国あたりではエイズが麻薬患者によって非常に拡散しているという現実もございます。そのような観点で、麻薬問題を国際的な協力のもとで使用を未然に防ぐための教育、また、そのようなものをつくって売る農民たちの所得が向上するために、代替作物の栽培に対する技術指導、資金援助というものが国際社会で極めて必要になってきたという認識を持っております。
#114
○和田(一)委員 共通した認識として、これが野放しであっては大変だということで、こういう条約が結ばれてきたわけでございますけれども、これの締約国でいながら批准が非常におくれてきたという点は、いろいろ先ほど来御質問があって、その理由がどうも釈然とはいたしませんけれども、きょうこうしてだんだん進んでまいることは結構なので、私はその点はおいておくといたしまして、なぜそうであったかの一つの理由として、日本の社会の中では向精神薬あるいは麻薬といったものに対する汚染度がまだ低いために、比較的局部の人たちが真剣に考えるだけで、全体的な関心度にはいっていなかったという点があろうかと思うのです。
 ところが、最近は経済大国日本がまだ処女地に近い、汚染度が低いということも含めて、今大臣がおっしゃったように、これによって利益を得ようという人々が日本をターゲットにし始めていることがだんだん明らかになりつつある。特に日本を中継地点として大量の密輸がされていくというデータを聞かされておるのです。中継点であることもけしからぬが、中継点になるということは、同時に汚染が広がる可能性が非常に強いと私自身は思っております。そういうことを考えますと、ましてやこういうものに非常に好奇心が強い若い世代が、精神活動を活発に行うべきその若い世代が精神を侵されてしまう、ぼろぼろになってしまうということは、国家としても民族としてもまことにゆゆしい問題である。そういう意味では、中継地点にあることは怖いんだということも含めて、こういう条約を手がけられた外務省としても大臣としても、この怖さのPRについて、厚生省だけに任せるとか文部省だけに教育を任せるというだけでなく、ぜひひとつ積極的なお取り組みがあってしかるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
#115
○中山国務大臣 先ほどもちょっと私申させていただいたのですが、実は私は自民党の麻薬対策議員連盟の会長として会員の先生方と一緒に、毎年麻薬に必要な政府の関係予算の確保にいささか力を尽くしてきたつもりでおりますけれども、その予算の使用目的は教育あるいは広報費が非常に大きかった。また、民間団体ではライオンズクラブあたりが政府の考え方に協力をして積極的な広報活動を大衆にやってくれている。こういう中で、私はこれから各省庁の一層の協力のもとに国内法の整備、それから国民に対する啓蒙活動運動、これが非常に重要であるという認識を持っておる次第でございます。
#116
○和田(一)委員 厚生省にもおいでいただいているので、ちょっとお伺いしたいのですけれども、この向精神薬というものがどんどん新しく研究開発がされているようでございますけれども、そういうものが医学的に有用であるという、新しい技術として新薬が開発される、その目的のためにこういう研究開発がされていると思うのですけれども、これは人間の領域として一番大事な精神の問題、これをあるときは刺激して活発にさせる、あるときは抑制したりあるいはコントロールして精神活動を鎮静化させる、自然にある人間の精神活動を薬物によって、それも合成した新薬によってコントロールしたりしていこう、ある意味では軍事的なそういう大きな目標もこういう新薬開発の中にはあるやに伺ってもいるわけなんですが、こういうものに対しての研究開発が今どのような行政の取り組みとして指導されているのか。それでやってみてつくった薬が医学的には活用できない、しかし精神的にはこういう大きな作用があるということがわかると、これは医学的には使えないよといって使用は難しくなっても、製法その他新しく開発された技術が公表されると、アンダーグラウンドにあるそういうものを新しく求めている者、さらにエスカレートしたものが欲しいという連中の手に入ったときには、これは大変なものであって、これはそれこそこういう開発している科学者にとっても意に反した大変なことになるわけなんで、そういう点については所管官庁としてどんなふうにお考えになり指導しておられるか、伺いたいと思います。
#117
○代田政府委員 お答えいたします。
 今先生御指摘のとおり、確かに向精神薬というのは、一面では疾病の患者さんを救うために非常に有効に使われておるという反面、これを乱用いたしますと非常に害悪を起こすという両面があるわけでございます。我々といたしましては、このようなある面では医薬品の開発というものは非常に大事なことでありますので研究が進んでおりますが、その害が非常に強ければ、それを医薬品として許可しないというようなことで、もっとできるだけ安全性の高い、しかし効果がすぐれた医薬品を選別して許可をしていこうというように考えております。また、その害のみ非常に強いものにつきましては、この条約の中でもあるいは法律の中でも取り締まりの対象に指定をしていく、追加をしていくという手続をとらなければならないと思っておりますし、今後も新しい化合物が合成されれば、そのものの害毒の程度をチェックしながら必要があれば取り締まりの対象にしていきたいというふうに考えております。
#118
○和田(一)委員 私は、これだけについてももう少し詳しくお聞きして、また同時に、そういう新しい分野で開発されることが人類の病気を治していくというプラスの面に活用される、そのことに限ってきちっとしたことを国際的にもお考え願わないといけないな、こう思うわけでございまして、もっと伺いたいんですが、それはまた別の機会にさせていただきます。
 時間がなくなりましたので、大臣にもう一回お尋ねしたいのですが、ケシであるとかコカインであるとか、こういったものは特定の地域で産出されて、そういうところは、さっき大臣おっしゃったように、これで非常に経済的に支えになっているという面もあります。そういう抜本的なところに対して、先進国としての日本がこれからODAを通してどういうふうな対策を講じていくのか、根っこをきちっとしていくということが出てきたものを後で処置するというよりは大事だと思うのですが、ODA等を活用しながらこういう根っこにある問題にどう対応していくか、大臣のお考えを伺いたいのです。
#119
○中山国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、やはりこのコカとかいろいろなものを栽培して生活をして所得を得ているという農民たちの生活改善をしていくことが大事だろうと思います。そのためには農民たちの教育、それからいわゆる代替作物の作付転換への資金的な経済協力、そういうものをODAを通じて日本政府としては行っていくということが極めて大切でございまして、そのために、現在調査団を派遣することを政府としては具体的に進めておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#120
○和田(一)委員 大臣、七月にヒューストンでサミットがございますが、お出になると思いますが、この七月のサミットで今おっしゃられたようなこと、国際的なお約束をなされますでしょうか、どうでしょうか。
#121
○中山国務大臣 ぜひそのようなことに日本政府としては意思を表明したいと思っております。
#122
○和田(一)委員 ありがとうございました。
#123
○柿澤委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#124
○柿澤委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#125
○柿澤委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○柿澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
#127
○柿澤委員長 次に、千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府より提案理由の説明を聴取いたします。中山外務大臣。
    ─────────────
 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#128
○中山国務大臣 ただいま議題となりました千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 日仏両国には、昭和四十七年に、原子力の平和的利用に関する協力のための現行協定が締結されていますが、その後、我が国は、核兵器の不拡散に関する条約を締結し、また、国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。他方におきましては、フランスも、欧州原子力共同体及び国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。さらに、国際的にも、核不拡散政策の強化の動きが見られます。このような事情を踏まえまして、現行協定の改正のため、政府は、昭和六十三年七月以来、フランス政府との間で六回にわたる交渉を行いました結果、平成二年四月九日にパリにおいて我が方木内駐仏大使と先方シェール外務省次官との間でこの議定書に署名を行うに至った次第であります。
 この議定書は、原子力の平和的利用の分野における日仏間の協力のための法的枠組みを一層整備するものであり、核物質防護に関する規定、核物質等が協定の適用を受けるための要件としての事前通告に関する規定、機微な技術に関する規定等が新たに設けられることなどを定めております。
 この議定書の締結は、原子力の平和的利用に関し、我が国にとって重要なフランスとの協力を、長期的に安定した基礎の上に確保するものであり、今後の我が国の原子力平和的利用の促進及び核拡散防止への貢献に資するものと考えられます。また、フランスとの間の友好協力関係の維持及び増進の観点からも、本議定書の締結は有意義なものと考えております。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#129
○柿澤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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