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1990/03/27 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 法務委員会 第2号
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1990/03/27 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 法務委員会 第2号

#1
第118回国会 法務委員会 第2号
平成二年三月二十七日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 小澤  潔君
   理事 逢沢 一郎君 理事 大塚 雄司君
   理事 太田 誠一君 理事 熊谷  弘君
   理事 自見庄三郎君 理事 小澤 克介君
   理事 小森 龍邦君 理事 中村  巖君
      大原 一三君    木部 佳昭君
      久間 章生君    中谷  元君
      古屋 圭司君    御法川英文君
      簗瀬  進君    渡瀬 憲明君
     宇都宮真由美君    清水  勇君
      鈴木喜久子君    高沢 寅男君
      山花 貞夫君    平田 米男君
      冬柴 鐵三君    木島日出夫君
      小平 忠正君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 長谷川 信君
 出席政府委員
        法務政務次官  狩野 明男君
        法務大臣官房長 井嶋 一友君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 則定  衛君
        法務省人権擁護
        局長      篠田 省二君
 委員外の出席者
        総務庁行政管理
        局管理官    松村 雅生君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  谷合 靖夫君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  金谷 利廣君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  泉  徳治君
        最高裁判所事務
        総局経理局長  町田  顯君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  今井  功君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  島田 仁郎君
        法務委員会調査
        室長      乙部 二郎君
    ─────────────
委員の異動
三月十五日
 辞任         補欠選任
  木島日出夫君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     木島日出夫君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  加藤 紘一君     中谷  元君
  佐藤  隆君     御法川英文君
  中野 寛成君     小平 忠正君
同日
 辞任         補欠選任
  中谷  元君     加藤 紘一君
  御法川英文君     佐藤  隆君
  小平 忠正君     中野 寛成君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
     ────◇─────
#2
○小澤委員長 これより会議を開きます。
 この際、法務大臣及び法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。長谷川法務大臣。
#3
○長谷川国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび図らずも法務大臣に就任をいたしまして、法務行政を担当することになりました。内外にわたり極めて困難な問題が山積いたしておりますこの時期に当たり、その職責の重大であることを痛感いたしております。
 私は、法務行政に課せられた使命は法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立をされ、国民の権利がよく保全をされていることが極めて肝要であると存ずるのであります。
 私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり、一層の充実を図り、時代の要請に応じた適切な施策を講じ、真に国民の期待をする法務行政の遂行に万全を期してまいりたいと存じております。
 もとより、これらのことは、委員長を初め各委員の御理解、御協力なくしては到底果たし得ないのでありますから、どうかよろしく御支援、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 以上、簡単でありますが、所信の一端を申し上げまして、就任のごあいさつといたします。(拍手)
#4
○小澤委員長 狩野法務政務次官。
#5
○狩野政府委員 このたび法務政務次官に就任いたしました狩野明男でございます。
 時局柄、大任でございますが、長谷川法務大臣のもと、よき補佐役として、時代に即応した法務行政の推進のため、微力でありますが最善を尽くしてまいりたいと存じます。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 簡単でございますが、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
     ────◇─────
#6
○小澤委員長 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所金谷総務局長、泉人事局長、町田経理局長、今井民事局長、島田刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ────◇─────
#8
○小澤委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。長谷川法務大臣。
    ─────────────
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#9
○長谷川国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、簡易裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、簡易裁判所判事の員数を五人増加しようとするものであります。
 第二点は、裁判官以外の裁判所職員の員数の増加であります。これは、一方において地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図るため、
裁判官以外の裁判所職員を六十二人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所職員を三十七人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所職員の員数を二十五人増加しようとするものであります。
 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いをいたします。
#10
○小澤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
#11
○小澤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木喜久子君。
#12
○鈴木(喜)委員 鈴木でございます。
 最初でよくわかりません。もし要領が間違っていたらお教えください。
 まず最初に、最高裁判所の方にお聞きしたいと思います。
 この裁判所職員の定員二十五人増ということについて、まず伺いたいと思うのですけれども、この二十五人というのは、いろいろなところで少なくなる分またはふえる分、その両方を合わせまして結局トータルとして二十五人ふえるということでございますけれども、この配置、その主たる目的について伺いたいと思います。
 資料の十五ページを見ますと、裁判所の書記官というのはプラスである。裁判所事務官のところでマイナスの部分が出ております。そして技能労務職というところでもマイナスがかなり出ております。これを拝見しますと、執行事件、破産事件処理というところに増員が多くて、技能労務職、特に「地方裁判所における庁舎管理業務の合理化に伴う減員」、ここのところで十四名マイナスになっているという形でございます。これから見ますと、今度の増員と減員ということに関しましては執行、破産事件の処理というのに重点を置きたいというような御意思に考えられるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
#13
○金谷最高裁判所長官代理者 一般職の増員の関係で申し上げますと、今委員御指摘のとおり、破産事件、執行事件それから地方裁判所の民事訴訟事件の充実強化ということに力を入れたいということでございます。
#14
○鈴木(喜)委員 本年の三月十三日付の各新聞によりますと、神戸の地裁内で親子の殺傷事件、殺人事件が起こったということがございます。このことに関しまして、裁判所の庁舎内で起こった殺人事件ということでございますので、その警備ということについて私は大変不安を持っているものでございます。ここで地方裁判所における庁舎管理業務の合理化に伴う減員が十四名ということになっておりますけれども、これで一体裁判所の安全管理というものができるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
 私も弁護士をしておりましたときに、家庭事件でございますけれども同様の非常な危険を感じて、事なきを得ましたけれども、そういうことは間々あることでございます。大変恐ろしい目に――一般の民間の、民事事件または家事事件においてこのような殺人事件というものが起こるということを裁判所の方としては一体どういうふうに考えておられるのか、この点を伺いたいと思います。
#15
○金谷最高裁判所長官代理者 まず、お尋ねの前段の部分について私からお答えさせていただきます。
 今回減を立てましたのは、いわゆる庁務員でございます。警備に当たる職員について減を立てたのではございませんで、その点御理解願いたいと思います。
 後段の点につきましては、民事局長の方からお答え申し上げます。
#16
○今井最高裁判所長官代理者 民事事件におきます当事者に対する保護の関係について申し上げたいと思います。
 これにつきましては、各裁判所におきまして事件の内容であるとか、あるいは当事者が法廷においてどのような態度をとっておるか、あるいは代理人の方からの申し出等によりまして、当事者が他の当事者に危害を加えたり逆に当事者が危害を受けるおそれがあるというような事件につきましては、次のような配慮をしておるわけであります。
 まず一つは、当事者が出頭しましてその際に待合室などを別のところに来ていただくという配慮をする。当事者が裁判所に出てこられる時間、事件が終わってお帰りになる時間をかち合わないように調整するという措置。場合によりまして、裁判所の警備員を法廷なり調停室等に配置をいたしまして危害のないようにする。それから、今言われました調停事件では、特に当事者本人が出てくることが多いものでございますから、このようなときには調停の控室を申立人、相手方別々にするという配慮をしておるわけでございます。
 これにつきましては、裁判所の方としましては裁判官の協議会あるいは書記官の打合会といういろいろな機会を通じまして、そのような配慮をするようにということでお願いをしておるわけでございます。今回こういう事件が起こったものですから、これを契機としまして、各裁判所にはこのような事件の内容を通知いたしまして、今後の再発防止ということに注意を促した次第でございます。
#17
○鈴木(喜)委員 今の御答弁の内容なんですけれども、まず本人訴訟というものが、調停だけでもなくて、現在民事事件の中でも特に家事事件では多いという状況を踏まえますと、代理人がいる場合には事前に申し出ることができます。それからまた、何回か法廷を開いたり本人が裁判所へ来ておかしな態度をとるようなのが見える場合には、その予防ということは、その措置でも十分とはいかないまでもある程度足りてくるであろうと思います。そういう御配慮をなされていることはわかりますけれども、私も八年間の経験の中では、地裁において待合室を別々に設けるということは、申し上げても一回だけです。それから、帰る時間等をずらすということは、一回もございません。このぐらい今まで配慮というものはなされていなかったところに、今度のように本人訴訟で出てきまして法廷の中ではなくて前の廊下でこのような事件が起こったときにだれも職員の人が廊下にはいないという状況が常時あるということでは、これからも裁判所に対してこんな危ないところなのかという認識を国民が持つのじゃないかと思います。自分たちの生命、身体の安全を守ってくれるはずの裁判所だという信頼がなくなるのではないか、私はその点を大変危惧しているわけでございます。
 この点、まず一つの問題は、廊下で和解の待ち合いをさせるということ、それからもう一つが、廊下で裁判の前の待ち合わせをするのかどうか、これの二点が非常に大きな問題になると思います。そしてしかも、その廊下というのが東京地方裁判所の場合でも本当に森閑としておりまして、だれ一人通らないということが大変多い状況でございます。秩序正しくて大変静かでいいのかもしれませんけれども、反面大変危ないことのある場合だと思います。こういう点についての御配慮はなされていらっしゃらないのでしょうか。
#18
○今井最高裁判所長官代理者 神戸の事件につきましては、今申し上げましたように当事者の従前の態度からそういう事情がうかがえなかったということでございますけれども、今後、おっしゃるような本人訴訟も確かにございますので、例えば訴状の内容であるとか訴状を持ってきたときの当事者の態度あるいは答弁書の内容というものを十分配慮をして、きめ細かくこういう事件が発生するおそれのあるような状況については把握をして、それを裁判部それから警備に当たります事務局に徹底させたいと考えているわけでございます。
#19
○鈴木(喜)委員 今のお話を伺いまして、従前にも昭和五十八年、暴力団同士のようですが、こういう事件がありました。また、平成元年にもこう
いう殺傷事件があった。そのときにも同様のお答えを裁判所は各方面でなさっているにもかかわらず、また今回このような事件が起こったということで、この辺で本当に決意を持って国民の安全を考えていただきたい。裁判所の中の設備を見ますと、法廷の秩序の維持のため、また公安事件のための秩序維持または警備は大変整っていると思います。そして裁判官の方の通り道等については細かい厳重な配慮がなされているにもかかわらず、真の意味の利用者である国民の安全が保たれないのでは大変困った状況だと思います。今後こういう事件が絶対に起こらないように心からお願いをする次第でございます。
 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。
 簡易裁判所の問題でございます。また裁判所の方によろしくお願いいたします。簡易裁判所の集中配置については、先年もういろいろと実行されているところもあると伺っております。特に大都市、東京、大阪等における集中的な簡易裁判所の業務に関して伺いたいと思います。
 まず、地方において簡易裁判所集中についての現状はどうなっているかということを伺いたいと思います。既に集中してもうそこを引き払った後の土地についてもどうなっているかという問題と、現況どの地域でどの程度の集中が行われているのかを伺いたいと思います。
#20
○金谷最高裁判所長官代理者 私ども簡易裁判所の適正配置と申しておりますが、平たく申し上げまして簡易裁判所の統廃合でございます。これは法律の改正をしていただきまして、昭和六十三年五月から実施をさせていただいたわけでございます。現在、百二庁の簡易裁判所を廃止いたしまして、近いところの簡易裁判所に受け入れたという状況になっております。
#21
○鈴木(喜)委員 その百二庁入れた後のところはどのような形で後始末がなされていらっしゃるかどうか。
#22
○町田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 適正配置の結果、現在までに建物、土地が不要になりました庁が百六庁ございました。そのうち、九十九庁につきましては、これは行政財産でございますので、行政財産の目的がなくなりましたときには原則どおり大蔵大臣の方、具体的には財務局とか財務事務所に引き継いだわけでございます。それから二庁につきましては、直接国の機関が利用するということで、他の国の機関に所管がえをいたしております。それから五庁は、もともとそこの土地が借地でございまして、地主に返したということでございます。
 なお、九十九庁を財務局、財務事務所の方に引き継いだと申し上げましたが、そのうちの六十七庁は、地元の要望に従いまして地元に払い下げあるいは貸し付け等が行われ、あるいは近く行われる予定になっているところでございます。
 以上でございます。
#23
○鈴木(喜)委員 地元に払い下げたり、または地元に払い下げ予定である分に関して、地元というのは多分自治体だろうと思うのですが、そこではどのような利用の仕方をされているのか、伺いたいと思います。
#24
○町田最高裁判所長官代理者 地元に払い下げ等があった都市ということは、もちろんそこの地元の市町村でございます。そこがどういうふうに使っているというのは、実はいろいろな使われ方をしておりまして、例えば市役所の分庁舎に使うとか、あるいは児童会館に使う、図書館に使う、それから郷土資料館のようなところに使われているところもかなりございます。あるいは公民館、保健センター、公園、ゲートボール場といったようなさまざまな形に使われているようでございます。
#25
○鈴木(喜)委員 そこでわかりましたが、今回東京の方にだんだん取りかかることになる、大都市になるということを聞いております。東京、大阪の場合でございますけれども、この統廃合の問題に関しては、ここを統廃合するということで事務の合理化が図られるということが大きな目的になると思うのです。今回のこの法改正の中で簡易裁判所の裁判官が五名増員ということになっておりますけれども、これと今回の集中的に統廃合するということとの関連というのはございますのでしょうか。
#26
○金谷最高裁判所長官代理者 今回の簡易裁判所判事五名の増員の理由といたしましては、簡易裁判所の民事訴訟事件というのは委員御承知のとおり六十年ごろをピークに非常に伸びたわけでございます。その後鎮静化いたしております。しかし、十年前あたりと比べますと、現在も高原状態にあるということでございます。
 そういったところで、一方、先ほどお話の出ました簡易裁判所の適正配置の作業を行っている過程で、簡易裁判所の一部をなくするけれども受け入れ庁での審理というものを充実されたい、こういう要望、声が非常に強うございました。そういったところから、適正配置を契機に簡易裁判所の審理のあり方をより一層充実強化したいというような趣旨も踏まえまして、簡易裁判所につきましては一昨年度、昨年度、今年度、簡裁判事五名ずつの増員をお願いしているわけでございます。また、適正配置におきまして、廃止した簡易裁判所にいました判事約十名も他に使うということで、そういったことをあわせまして簡易裁判所のより一層の充実強化を図りたい、適正配置を契機に、より一層簡易裁判所の、特に民事訴訟の審理のあり方を改善してまいりたい、こういったところが今回の増員の理由でございます。
#27
○鈴木(喜)委員 民事訴訟のあり方とおっしゃいましたけれども、簡易裁判所の中で主としてたくさんたまっているものとしましては、金融機関といいますか、そういう民間の金融機関からの少額の金の貸し借りの問題、支払い命令その他、そういった簡単な問題が非常に多いと思うのです。そして、それに伴う執行の問題が多くなると思うのですが、そうなりますと、簡易裁判所というところはそういった町の金融機関のために利便を図っているという形になるということではないか、そんなことを私はちょっと勘ぐるわけでございますけれども、その点はいかがなものでございましょうかというのが一つでございます。
 それから、東京のような大都市になりました場合に、一つのところに集中して簡易裁判所を設けるということが果たして本当に住民、国民の便利ということに役に立つのかどうかということでもう一つ伺いたいと思います。
 一つは、建物をどこに設けるかということでございます。そして、前回の法務委員会での質問の中に、家庭裁判所も一緒にその建物の中に入れるというような御答弁がなされている部分があったと思いますけれども、そういう形で建物をつくられるのかどうか。また、区検それから検察庁の建物ともどの辺のところに東京都の場合はつくられるのかということについて伺いたいと思います。
 それからもう一つ、住民の便利ということでいいますと、調停委員という制度、調停の問題が簡裁の中でも非常に多いと思うのですが、その土地、その土地に精通している調停委員が出ていましてそこで地元の問題を解決するということが、大きな二十三区内の問題全部ということになりますと、調停が非常にやりにくくなるのではないか、その点について伺いたいと思います。
#28
○金谷最高裁判所長官代理者 東京の簡易裁判所の統合の問題でございますが、私ども、現在、霞が関に二十三区内の十二の簡易裁判所を統合したいというふうに考えておるわけでございます。それで不便になるのではないかといった趣旨のお尋ねが含まれていたと思いますが、東京のように交通事情が発達したところにおきましては、二十三区内から霞が関に来る時間は大してかかりませんし、また、弁護士さんを御利用される当事者の立場などからいたしましたら、むしろ霞が関に集中して簡易裁判所を置いた形の方が利用していただきやすいのではないかというふうに考えたわけでございます。現在二十三区内の簡易裁判所は、霞
が関に比べますと、駅から少し歩いていかなければいかぬとか所在が非常にわかりにくいとかいろいろなところがございますので、そういった点を一つ考えたわけでございます。
 それから、あわせまして、多数の事件を一つの簡易裁判所に集めて行うということになりますれば、OA化等の面でいろいろ効率的、合理的な処理の方法がとり得ます。そういったことでいい事務処理の形ができるのではないか。あるいはまた、十分なスペースの簡易裁判所をつくり、そしてそこで住民の方に利用していただきやすい形の窓口等を建物を建てる上で十分工夫をいたしますれば、そしてその他の物的な設備あるいは人的な体制を充実すれば、それの方がかえって都市におきましては住民の利用の便に資することになる。そういったことを考えまして、私ども、大都市の簡易裁判所の統合というものを考えている次第でございます。
 その余の点につきましては、他の局長からお答え申し上げます。
#29
○町田最高裁判所長官代理者 私の方から建物の建築関係についてお答え申し上げます。
 御承知のとおり、現在、東京の高地簡裁、法務省があり、裏側の方には法務省の新庁舎が建ち、それから検察庁があります、あの一ブロックを霞が関の中央官衙のAブロックというふうに呼んでおります。あそこになるべく司法機関を集中させたいということで、現在の建築計画によりますと、今もうほぼ完成に近づいております法務省、検察庁の新館、これが中央合同六号館のA棟というふうに言われております。これに並びましてB棟とC棟が大体今の検察庁の、新しい庁舎寄りのあたりにB棟、C棟が建ち、これは御承知だと思いますが、今の検察庁の正面玄関の辺にあります、まああの角のあたりが弁護士会館の合同のビルの建設予定地ということになっております。A棟は、今申し上げましたとおり大体法務省、検察庁が入ることになっております。B棟は、今度統合されます東京区検等が入るというふうに伺っております。私ども裁判所の関係では、従前から申し上げておりますとおり、C棟に簡易裁判所と家庭裁判所をあわせた建物として建てたいと考えております。
 以上でございます。
#30
○鈴木(喜)委員 家庭裁判所と一緒ということについては大変問題があるのじゃないかと私は思っております。家庭裁判所と簡易裁判所というものは、本来、設立されたときからの趣旨も全然違いますし、それが混同して、たとえその中の階数が違っても同じ玄関から出たり入ったりするということは非常に問題があるのではないか、やはり家裁は家裁で独立すべきじゃないかというふうに思っております。その点については、これからのまた議論もあると思いますけれども、私自身はそのように思っております。
 それからもう一つですけれども、こういった窓口も広げる、受付もみんなが相談しやすくするとおっしゃいますけれども、こういうことに関して国民の意見を取り入れるような協議会みたいなものはないのかどうか、またはおつくりになるつもりがあるかどうか、この点を伺いたいと思います。といいますのは、弁護士会との共同のお話し合いというのはずっと継続的になさっているのですけれども、利用者たる国民からの意見というものは裁判所では直接お聞き入れにならないのかどうか、この点簡単で結構でございますから、伺いたいと思います。
#31
○町田最高裁判所長官代理者 私ども、簡裁の適正配置を行いますに当たりましては、地元の東京の場合で申しますと、区長さんとか区議会議長さん、あるいは東京都の知事さん、東京都議会の関係の方々というような方々、あるいは地元の調停委員の方々、司法書士の方々といったような方々に広く御説明申し上げ、御意見を拝聴したわけでございます。それらの中から、今度できる裁判所についてはこういうふうにしてほしいといういろいろな意見を伺っております。私ども、それは非常に貴重な意見だというふうに考えておりまして、それらを踏まえて新庁舎の設計には当たっていきたいと考えております。
#32
○鈴木(喜)委員 今高くそびえております東京地方裁判所、高等裁判所の庁舎でございますけれども、それにしては、使う側にとって余りにも不便な建物で、ばかでかいだけ大きい建物であって、その中で、使う方の身になりますと、エレベーターの階数の表示もなければ、表示盤も小さくて、ちょっと離れると見えない、明るくないからなかなか掲示板も見にくいというような、非常に使いにくい庁舎になっております。そういうことが今度の簡裁ではないように切にお願いしたいと思います。
 そして、もう一つだけ。今度集中化されたために残った跡地の利用についてですけれども、これについては、地方の場合と同様の、自治体にまたどうするかというようなことはないのかどうか、その点伺いたいと思います。
#33
○町田最高裁判所長官代理者 東京の場合と地方の場合と若干異なりますのは、地方の場合は、いわば廃止する簡裁は廃止したままでその土地がまさに不要になる、代替の施設も基本的には必要ないというところであったわけでございますけれども、東京の場合は、都内の各簡裁を廃止いたしますとともに、先ほど来申し上げておりますとおり、霞が関に合同庁舎を建てるということでございます。
 それで、具体的には、これは特定国有財産整備特別会計ということで特特会計というふうに申しておりますけれども、廃止されます簡易裁判所等の敷地等を新しく建てます霞が関の六号館の財源にするという特別会計によって建てるということにいたしております。
 それで、特定の処分先というのは決まっているわけではございませんけれども、そういった財源に充てるという趣旨で、私どもといたしましては、建物が完成し不要になりました簡裁の敷地につきましては関東財務局の方に引き継ぐということになっております。関東財務局の方でこれを処分されるという形になるわけでございまして、従来の地方の簡易裁判所の敷地とは若干様相を異にしたところがあるわけでございます。
#34
○鈴木(喜)委員 この跡地の問題に関しましては、関東財務局からどのような形でいくかということはまだわかっていらっしゃらないのかどうかをこの問題では最後にお聞きしたいのですけれども、それとともに、お願いとしましては、この跡地に関しましても、住民が、それだけここに集中するということについては何もプラスの面ばかりではありません。やはりそれなりの不便を強いられる面があるわけですから、できることであれば、住民の利便のためにこの跡地というものもぜひとも使っていただきたい、そのために使わせていただきたいということをここでお願いしておきます。
 次に、最高裁判所の裁判官の国民審査について自治省に伺いたいと思います。
 今回の総選挙のときでございますけれども、まず、最高裁判所の裁判官の国民審査で、罷免を可とする数の最も多かった裁判官の名前と、そして棄権をした率、通常の選挙のときの投票者の中の何%の人が棄権をしたか、その点について数字を伺いたいと思います。
#35
○谷合説明員 今回の国民審査におきまして、罷免を可とする投票の数が一番多かった方は奥野久之裁判官でございます。
 それから、今回の国民審査におきます棄権者の選挙当日の有権者に対する割合、棄権率と申しますか、これは二九・四二%でございます。
#36
○鈴木(喜)委員 約三〇%の人が――今はっきり聞かなかったのですけれども、有権者からの棄権率でございますか、それとも当日投票した人の中のという意味でございますか。
#37
○谷合説明員 選挙当日の有権者に対する棄権者の割合でございます。
#38
○鈴木(喜)委員 はい、わかりました。
 この最高裁判所の国民審査というのは非常にいい制度でありながら、しかもこれは全然機能していないでこれまで来ているというのもまた事実で
あると思います。そして、その当日についていえば、約三分の一の人が棄権をしているわけでございます。
 無理もないことだと私は思います。これまでの国民審査公報というものを見てみますと、これを読んで一体この裁判官が本当に罷免をされるべき人なのかどうかということについて判断しろと国民に言ったって、これは到底無理なのではないかというふうに思います。この公報の書き方を見ますと、略歴というのは非常に立派な略歴がばあっと並びまして、そして最高裁判所において関与した主要な裁判が抜粋的に、ほんの少しの、要旨とも言えない部分がひょいと書いてあって、それから信条というのがある。大体がこういうことで、ある年代においては、そこに趣味というのをちょこっと書いて、囲碁でありますとか読書とかお書きになっておられる方もあるということでございます。このようなわかりにくい国民審査の公報について、これからこれをもっともっと国民に身近なものとしてわかりやすくしていただきたいというのがこの棄権率の中にあらわれているものだと思いますので、これはぜひお願いしたいと思います。
 時間が余りありませんのでこれからちょっと飛ばしますけれども、墨田区におきまして、今回の総選挙の間に国民審査についてマル・バツを間違えて集計したという事件がございました。これについては、そのことは特にマル・バツがどうだということではないミスだとは思いますけれども、選管自体が国民審査を軽く考えているということがこうしたミスにつながっているものだと思います。この点もこれからきっちりとして、この国民審査をもっと実のあるものにしていく方法をお考えいただきたいと思います。
 国民審査についてのことはここで終わりまして、最後にもう一つだけでございます。
 情報公開の問題なんですが、これは大変な問題でございますので、残された時間の中で申し尽くすことはできません。ただ、私はこれまで国民の手による政治、そしてガラス張りの政治、そしてみんなのために健康で文化的な生活ができる政治というものを選挙の中でも訴えてきて、これについてはどなたも御異論のないところだと思います。これに関しては、どうしても情報公開ということが必須不可欠の条件だろうと思います。この点について、この情報公開法というものを政府はこれから制定するお気持ちがあるのかないのか、その中でどのような形の理念を持っておられるのか、これを総務庁の方に伺いたいと思います。
#39
○松村説明員 お答えいたします。
 行政情報の公開の問題につきましては、臨時行政調査会の最終答申、昭和五十八年でございますが、行政に対する国民の信頼を確保する観点から取り組むべき課題であるというふうに指摘を受けております。このような観点に立ちまして、政府といたしましては本省庁、出先機関等に文書閲覧窓口を整備し、公開可能文書の目録を備える等により、国民が必要とする行政情報を簡便迅速に入手できるように努めてきております。
 一方、情報公開法の制定の問題、先生御質問の件でございますけれども、これは全く新たな分野の事柄であり、また公益上秘密とすべき情報あるいはまた個人情報、企業情報等第三者情報の取り扱い、その他、制度実施に伴って種々予想される問題点がございます。こういうことにつきまして、現在学識経験者による研究会の開催等によりまして制度化について鋭意調査研究を進めておる、政府としてこういう取り組みをいたしております。
#40
○鈴木(喜)委員 どうも聞いていてもよくわからないのですが、本当に法制化するのかしないのか、する気があるのかないのか、私には今のお話ではよくわかりませんでした。時間がないというのが残念なんですけれども、また次回、いつかの機会にはじっくり聞かせていただきたいと思います。
 この情報公開法というものは、日本だけの問題ではなく、既にアメリカを初め諸外国においてこれが法制化されております。どうしてもこれは早急に日本でも法制化しない限り、政治のこれからの改革というものはあり得ないと思います。ぜひともこの前向きの姿勢で検討していただきたいと思います。
 質問を終わります。
#41
○小澤委員長 宇都宮真由美君。
#42
○宇都宮委員 宇都宮真由美でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、この裁判所の定員法、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、これ自体について少しお尋ねしたいと思います。
 私は裁判所の国民に対するサービスが今のままで決して十分とは考えておりませんので、増員をするということ自体に異議があるわけではございませんけれども、少しばかり疑問点がございますので、お答えいただきたいと思います。
 まず、裁判所の増員の要求というのが一九八二年からずっと四十九名で同じなわけです。もちろんその内訳は違いますけれども、その数字が約十年近く四十九人という同じ数字であるということ、このことについて何か根拠があるのかどうかということです。そして、働く現場の声といいますか、裁判所の組合の個々それぞれの裁判所の増員要求数というのは、一九八九年六月三十日の調査によりますと千八十四人の増員要求が出ているということ、この余りにも大き過ぎる数字の開きというのがあると思うのですけれども、この点、そういう要求というのも御参考になさっているのかどうか、まずその点についてお聞きしたいと思います。
#43
○金谷最高裁判所長官代理者 毎年毎年こういう形で増員要求して国会に大変お手数をおかけいたしておるわけでございますが、我々増員の要求をいたします際には、基本的に考えますのは事件数の動向でございます。そして、新受事件が伸びまして、その結果未済事件がたまる、あるいは審理期間が延びるといった状況になってまいりますと、これは事件処理状況の悪化を防ぐために何とか増員しなければならぬというようなことを考えるわけでございます。
 しかし、ことしのように事件数全体としてはむしろ横ばいないしは減少傾向にあるというときの増員というのは、何とかして現在の事務処理をもう少しいい形にしたい、事務処理の改善というようなことを考えておるわけでございます。
 基本的にはそういったことを見まして、あるいは各下級裁からのいろいろな声を聞きまして、また職員団体の声等も考慮させていただきまして、その結果、毎年毎年の増員数をそれぞれの職種について検討して決めておるという状況でございます。
#44
○宇都宮委員 では、まずは現場の声というのも、要求数というのも一応は御参考にしていただいている、そのように解してよろしいのでございましょうか。
#45
○金谷最高裁判所長官代理者 一応私どもとしても十分考慮させていただいているということでございます。
#46
○宇都宮委員 それにしては余りにも開きが大きいということと、それからずっと八二年から同じ数字ということ、これは偶然の一致なのでしょうか、それとも何か根拠があるのでしょうか。
#47
○金谷最高裁判所長官代理者 職員団体の側からすれば、もっと楽と申しますか負担が軽くなるようにということで申すわけでございますが、私どもの方は、事件数の状況とか審理期間がどうなっているかとかそういったことをつぶさに見ておる次第でございまして、そこにある程度の乖離が生ずるのはやむを得ないと思います。
 それから、毎年同じ数ではないか、これは非常にお答えがしにくいところでございますが、率直に申し上げますと、前年の実績あるいは最近における政府の方のとっておられる定員抑制政策に対する配慮、そういったものも踏まえながら、基本的には前年の実績等を基本に据えましてこういう数になっておるわけでございます。
 ただ、増員している職種等は違いまして、裁判官につきますれば、この簡易裁判所の判事の増員をいたしましたのはこれで三年連続でございます
が、その前はむしろ判事というものを九年間ほどやっておったわけでございます。その前にはその判事の増員の前提になる判事補の増員といったことをしておりましたし、一般職の方につきましても、それぞれ増員の理由としております事件の増加、どういう事件の増加を見たかというようなことは違っておる次第でございます。
#48
○宇都宮委員 それから、裁判所の要求に対して増員が認められた数というのが一九八七年からは多くなっているわけなんです。一九八〇年ごろを見ますと、裁判所の要求に対して実質的に認められたのはその半分以下の数字なんですけれども、ここのところはずっと裁判所の要求の方が少ない。この点はどのような事情によるのでございましょうか。
#49
○金谷最高裁判所長官代理者 今回の場合について申し上げますと、ことしの当初の夏時点の要求では四十九という数を出したわけでございます。しかし、先ほども話の出ました支部の適正配置、これにつきましてずっと私ども作業を進めております過程で、弁護士会あるいは一般規則制定諮問委員会で有識者のいろいろな声を聞きまして、やはり民事訴訟の改善、特に受け入れ庁を中心といたしまして民事訴訟をもっとよくしなければならないのじゃないかといった声が相当強く出てまいりました。諮問委員会で結論を出していただきましたのは十月の時点でございます。あるいは地元への説明、意見聴取、弁護士会といろいろ接触する中でそういった民事訴訟あたりの充実改善を求める声が強うございましたので、そういったことにつきまして、当初予算の要求後の段階で財政当局の方にその辺の事情を説明いたしまして追加要求させていただいたものでございます。それについて理解を得られました。そういうことで当初の要求数よりもふえた数になっている次第でございます。
    〔委員長退席、自見委員長代理着席〕
#50
○宇都宮委員 この増加についてはわかったのですけれども、こういう定員を増加するということと国民に対する司法サービスを充実させるということは、定員を増加するだけでは実際にはサービスの向上にはならない。実質的に人員をふやす必要があると思うのですけれども、昨年の十二月一日現在で、簡易裁判所の判事につきましては、定員七百八十九人に対して七百六十五人、二十四名の欠員があるということ、裁判官以外の職員につきましては、定員二万一千四百一人に対して二万一千二百九十四人、欠員が百七名あるということ、こういう状況でもやはり定員を増加する必要があるのでございましょうか。
#51
○金谷最高裁判所長官代理者 それぞれの時点におきまして欠員はございます。そしてまた、簡易裁判所の判事につきましては例年八月一日採用でございますので、それまでの間になお欠員が生ずるわけでございます。しかし、それに対しましては、充員と申しますか、その欠員を埋めるという措置はほぼとり得るという見込みのもとに増員させていただいておるわけでございます。定員の枠だけをふやしまして、そして実際に埋まらない、そういう空の形で定員をとっても意味ございませんので、私ども、増員要求する際には、供給源からの充員の可能性といったものを一方でにらみながら増員の要求をさせていただいている次第でございます。
#52
○宇都宮委員 そうしましたら、今までの定員の増加と実際の裁判官あるいは裁判官以外の職員の増加というのはどのような状況になっているのでございましょうか。
#53
○金谷最高裁判所長官代理者 若干の差のあることはございますが、基本的には枠をふやした分、実人員の方もふえているという関係でございます。
#54
○宇都宮委員 では、次の質問に移らせていただきます。
 何回も言うようですけれども、今裁判所の国民に対するサービスというのは十分ではないと考えているのです。その中で、家庭裁判所の調査官それから速記官、この方たちが足りないという現場の声をよく聞くのでございますけれども、それぞれにつきまして、まず調査官、速記官の定員、それから実際の数はどのようになっているのか、そしてまた、裁判所といたしましては調査官あるいは速記官の制度をどのように考えて、また今後どのようにしていきたいとお考えになっているのかについて、簡単で結構でございますのでお答えいただきたいと思います。
#55
○金谷最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の調査官につきましては、欠員が二十二名ある状況でございます。それから、速記官の方につきましては、たしか六十四名だったと思いますが、欠員のある状況でございます。
#56
○宇都宮委員 そうしますと、そういう調査官とか速記官が足りないという声も納得できるのでございますけれども、今後ふやすお考えはあるのかどうか、それからまた、この制度というものについてどういうふうにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
#57
○金谷最高裁判所長官代理者 家裁の調査官につきましては、欠員はございますが、これは養成して、そして調査官研修所の卒業生をもってその調査官を採っていくわけでございますので、これは埋まるということでございます。
 それから、速記官につきましては、ちょっと難しい問題がございます。私どもできるだけそういう欠員を埋めるということでこれまでも努力してまいったわけでございますが、何しろ裁判所の速記、ソクタイプを打ちまして行う非常に技術的なものでございます。そういったところから、これの志望者を確保するというのが非常に難しい状況でございますし、また、最近いろいろな録音その他のソクタイプにかわる方法が世間に広まっている状況のもとで速記官志望者を確保するということはなかなか難しゅうございます。それから、試験をして合格いたしましても採用辞退ということが起きたり、あるいは養成の過程でその適性がないということで脱落したりする者がございまして、毎年何とか四十名程度を確保していきたいと思いながら、現実にはそういう辞退、脱落等含めまして速記官として確保できるのが二十数名という状況になっているところでございます。
#58
○宇都宮委員 速記官という職種をこれからも必要とするということにつきましては、必要としていく方針である、そういうふうにお聞きしてよろしいのでしょうか。
#59
○金谷最高裁判所長官代理者 事件の中には非常に難しい事件がございまして、それがむしろ最近ふえているような状況もございますので、やはり証人あるいは本人を調べる場合に速記あるいは逐語調書になるような方法を用いなければならないという必要のあることは私ども承知しておりまして、今後そういう逐語調書に対する需要が減少するというふうには考えておりません。
 ただ、その逐語調書の作成の方法につきましては、これからのいろいろな技術の進歩等を考えて現在の速記官でよいのかどうかといったところ、将来の問題になってくると思います。
#60
○宇都宮委員 確かに速記録の要請は強いということを聞いております。そして、現在、大阪などでは事件の当事者が費用を負担して行う外部速記、そういう利用が多いということも聞いております。この点につきまして、裁判所の速記官が十分に充実しておればその費用を出さなくても当事者としては裁判所を利用できるわけなんです。でも、現実には、それが不足しているためにわざわざ自分たちで費用を負担して外部速記を利用する、こういう状況があると聞いているのですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
#61
○金谷最高裁判所長官代理者 逐語調書を作成することが必要な証人等がどの程度の数あるかということ、これは非常に把握の難しい問題でございます。私ども、基本的には現在の速記官の数は裁判所の方で必要と考える逐語調書を作成するのにそう支障の生ずるような数ではないと考えている次第でございますが、ただ、要速記事件と申しますか逐語調書を作成する証人であるかどうか、そこの判断につきましては、率直に申し上げまして、
弁護士さん、むしろ当事者の方のお考えと裁判所の方の考えに若干のずれ、場合によっては相当のずれのあるところもございます。裁判所の方といたしましては、書記官の要領を記載した調書、あるいは最近は録音テープ等も利用できますので、録音テープをとり、あわせてそれを参考にしながら要領調書をつくるということで、非常に読みやすい、正確な、裁判官にとってはありがたい調書ができるのではないか、こう考えておる次第でございますが、弁護士さんの方からいたされますと、もう少し広い範囲で速記をつけてほしい、あるいは逐語調書をつくってくれ、こういう要求があるのが実情でございます。
 そういったところから、裁判所の方としてはこの事件は速記は入れないといったことに対しまして、それじゃ自分らの方で負担をするからとかいった外部速記というような形で行われることがございまして、その辺にそういったことの原因があるのではなかろうかと思っております。
 基本的に、現在の速記官の数で、先ほど申し上げましたように欠員を埋める努力はいたさなければならないわけでございますが、必要な逐語調書の作成にそう大きな支障を生ずるような不足を生じているものではないと私どもでは考えております。
    〔自見委員長代理退席、委員長着席〕
#62
○宇都宮委員 そうしますと、裁判所の方が速記官を入れる必要があると判断した場合には裁判所の速記官を用いる、それについてはまず十分な速記官がいるということでお聞きしていいのかどうか。それから、外部速記というのは、裁判官は必要でないと考えているけれども、当事者あるいは弁護士が速記を必要と考えているから外部速記を利用しているのかどうかという点。それから、そういうふうに裁判所の判断だけを優先させてよいとお考えになっていらっしゃるのかどうかという点。この三点についてお聞きしたいと思います。
#63
○金谷最高裁判所長官代理者 私もずっと裁判官をしておりまして、速記を入れるかどうかというときに、まず事件の内容、それから、これから取り調べようとする証人がどういう点を立証事項とするものであるのかといったことを考えますし、また実際問題としては、代理人、弁護人の方からの要望の強い事件等にはできるだけ入れたいといった形で考えるのでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、大きく見ますと、要速記事件の判定につきましては、裁判所の側と代理人、弁護人の側とで若干ずれがある。しかし、実際の事件では、例えばそういう外部速記というような道、これを好ましいと見るかどうかは別の問題でございますが、そういう道がございますので、個々のいろいろな事件、部の状況によりましては、いろいろな事情で、必ずしも裁判所が要速記でないと考えた事件だけが外部速記で行われているというものではございませんで、個々の事件につきましては、裁判所も外部速記でやっていただくのもやむを得ないなといった事件もあることは承知いたしております。
#64
○宇都宮委員 私は愛媛県の松山というところで弁護士をしているのですけれども、一度経験がございましたのは、当事者が速記を入れてほしいと言えば、うちの地裁の方では速記官が十分足りているのかと思いますけれども、私などが考えても、多分裁判所もそうだと思うのですけれども、とても速記が要る事件とは思われなかったのですけれども、それでもやはり裁判所の速記官が速記をしてくれました。そういうところで、やはり地域というか、その個々の裁判所の格差というのが生じているんじゃないかと思うのですけれども、この点はどのようにお考えなんでございましょうか。
#65
○金谷最高裁判所長官代理者 委員も十分御承知と思いますが、裁判所に来る事件あるいは特定の部に来る事件、いろいろな事件が等均質な形で来るということであれば速記をすることの必要な事件数というのも安定するわけでございますが、何分、部に来る事件は時には集中して難しい事件がどっと来、ある時期は比較的要速記の事件は来ないといったこともございます。そういったときには、委員御指摘のように、さほど速記をつける必要はないけれども速記を付するというようなことも行われるのでございます。
 しかし、大きい目で見まして、私どもの方で事件数の状況等を考えまして、各地の需要にアンバランスがあるときは不必要なところの人員を必要なところの方へ回すという定員の操作を一生懸命努力しておる次第でございます。そして、私どもの方でそういう方針を出しましても、時には当該庁の速記官が一時的に転勤することが困難だといったような状況がございまして必ずしもアンバランスがいつも是正されるとは限らないのですが、私どもはそういうアンバランスのないようによく目を配っていかなければならないということで努力しているところでございます。
#66
○宇都宮委員 私も裁判所はこれからも国民に対する司法サービスをますます充実させていただきたいと願っておる一人でございますので、今後の御努力に期待いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 次は、地家裁支部の統廃合の問題についてなんですけれども、その現場で働く職員の労働条件、また地域住民への司法のサービス、この二点からこの統廃合の問題についてお尋ねしたいと思います。
 まず、この統廃合によりまして四十一ですかの支部がなくなるということなんですけれども、この支部のあった土地、建物、これはどのようになるのかということ。それから、そこで働いている職員というのは、四月一日から実施されるわけですけれども、現在その残った簡裁に振り分けるとか、あるいは残る支部の方に振り分ける、そういう形で振り分けていらっしゃるということをお聞きしたのですけれども、その点、職員の方たちの声にこたえることがおできになったかどうかという点をまずお聞きしたいと思います。
#67
○金谷最高裁判所長官代理者 来月一日から実施いたします支部の適正配置の関係でございますが、まず最初のお尋ねの支部を廃止した後の土地、建物はどうなるかということでございますが、これは、支部は廃止いたしますが、支部に併設されている簡易裁判所は存続するわけでございます。したがいまして、支部の建物と申しますか、現在地家裁の支部と簡裁の建物として使っている建物は将来は基本的には簡易裁判所だけで使う。土地も同様でございます。四十一のうち、二十につきましては家庭裁判所の出張所ということを置くことにいたしましたが、そういうところでは家庭裁判所の出張所兼簡易裁判所ということで使うということでございます。
 そして、お尋ねの後段の職員の点でございますが、現在その支部の所在地には地家裁の支部と簡裁の職員がいるわけでございます。それにつきましては、残る簡易裁判所の事務量を見まして、そして従来の基準からすればむしろ少し余裕のある形で残る簡易裁判所に一定数の職員を残しまして、その他の職員につきましては、廃止支部の受け入れ庁その他忙しいところの裁判所の方に人を回すということで考えております。しかし、何分職員につきましては個々の個別の事情で転勤ができないとか、そちらの方へ通うとなると困るとかいろいろな事情がございます。そういったところにつきましては、職員の声も十分把握いたしまして、特に制度実施の当初でございますことしにつきましてはその辺を柔軟に考えて、職員にも御納得いただけるあり方で人事ができるもの、こう考えておる次第でございます。
#68
○宇都宮委員 そうしましたら、例えばある裁判所では定員がこれだけだけれども、転勤できない人がいるから今回はその枠を広げて少し多目に採る形になってもそこで働くことができる、そういう形も今回はとられるということなのでしょうか。
#69
○金谷最高裁判所長官代理者 そういうことでございます。個々の個別の事情を十分見させていただきまして、本来事件量と申しますか事務量からすればそれだけの数は要らないけれども、そういう個々の職員の個別の事情があるのであれば、こ
としは過員と申しますか、本来あるべき定員より上回るがやむを得ないということで、そこにプラス一するといった形のものも相当数ございます。
#70
○宇都宮委員 家裁の出張所の件についてお聞きしたいのですが、二十について家裁の出張所を設けるということで、それは原則的には日記簿で受理して事件の受け付けのみを行って、実際の審判とか調停とかはしない。ただ、審判官や調停委員が判断すれば出張所でも審判なり調停をやることができるということなんですけれども、実際に調停や審判を行う審判官や調停委員会の判断の基準、これについてお伺いしたいと思います。
#71
○金谷最高裁判所長官代理者 今回設置いたしました家庭裁判所の出張所といいますのは、従来からあります出張所と違いまして、基本的には、委員仰せのとおり家事事件の受け付けを行うための出張所ということでございます。申し上げるまでもなく、家事事件につきましては弁護士さんが代理人につかれて申し立てられるという場合もございますが、本人が直接書面を持参したり、あるいはやってきて口頭で申し立てたりするといったことも多いわけでございまして、その辺の、住民に対する不便をかける程度を少しでも抑えたいといったところから、支部を廃止するところに家庭裁判所の出張所を置きまして、そして従来型の出張所とは違いまして家事事件の受け付けを行うということにしたわけでございます。あわせて、裁判官あるいは調停委員会が相当と認められた事件につきましては出張調停等を行うという形でございます。
 その基準というのは非常に申し上げにくいのでございますが、比較的はっきりしているところで言いますと、例えば、前回の簡易裁判所の適正配置によりまして家庭裁判所の出張所が廃止になったところがございます。そしてそれは隣接の支部で扱うことになった。今回その支部がまた廃止になるといったところがございます。いわゆる二段落としというような言い方をする場合もございますが、一たん近いところへ持ってきてさらにまたもう一つ遠いところへという形は、非常に住民にとっても迷惑でございますし、私ども何かだましてやったというふうな誤解を与えてもなりませんので、そういったところについては密度の濃い出張処理を行っていただくということでございます。
 その他につきましては、それぞれの住んでおられる地域あるいは高齢者であるかどうかとか、そういったことを見ながら、裁判官あるいは調停委員会が健全な御判断で、出張所を置いた意味をなくしないよう、また余りに一律にたくさんの事件を出張処理することになって支部の適正配置をした意味がなくならないよう、その辺の両方をにらみながらうまく運用していただけるものと思っておりますが、基準というものはなかなか一口で申し上げにくいので、この程度で御勘弁願いたいと思います。
#72
○宇都宮委員 そうすれば、利用する者のごく個人的な理由、先ほどちょっと高齢であるということを一つ出されましたけれどもそういうこととか、あるいは子供が小さくて預けるところがないとか、あるいは運転免許を持ってないとか、付近の交通事情を勘案した場合に出かけるのがすごく負担になるとか、そういう当事者、利用者のごく個人的な理由というのも出張所で調停を行うかどうかということの判断基準の中に入っている、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。
#73
○金谷最高裁判所長官代理者 そういう事情も重要な考慮要素として踏まえて御判断いただけるものと考えております。
#74
○宇都宮委員 それから、この統廃合によりまして、事件数とか距離とか交通機関とかは十分お考えになったと思うのですけれども、国民に対する、地域の住民に対するサービスが実質的には低下するのではないかと思われるのですが、その点をお聞きしたいと思います。
 それから、今でもどうしても私たち利用する者にとっては裁判所の敷居というのは非常に高い、このように感じるわけなんですけれども、今の国民が裁判所を利用している利用状況で裁判所としてはいいと思っているのか、もっと利用してほしいとお考えになっているのか。そうであるならば、今の利用状況だけを前提に置いて判断するというのはおかしいのじゃないかと考えるのですけれども、この点いかがでしょうか。
#75
○金谷最高裁判所長官代理者 改めて申し上げるまでもなく委員十分御承知と存じますが、今回廃止いたしました支部は大部分が裁判官がおりません。裁判官を一人置けるだけの事件数がないわけでございます。また、弁護士さんもその管内にいらっしゃらないというところが大半でございます。正検事もいない、あるいは副検事もいないというところも少なからずあるわけでございます。そういったところで裁判をいたしますと、例えて一つ申し上げますと、期日を入れる際に、期日と期日の間隔が非常にあくという状況が生じております。この辺は統計数字も明らかに示しておるところでございまして、むしろ裁判官不在庁あるいは弁護士非常駐管内の支部の事件というのは開廷間隔が開いております。私どもとしましては、そういう裁判の形がいい形とは思っておりませんで、十分の準備期間はとっていただきながら、裁判をし出したらやはり比較的短い開廷間隔で事件処理が行われるということが望ましいと考えておるわけでございます。
 そういった一つの例でございますが、基本的に申し上げますと、少し足を延ばしていただきましても人的状況あるいは物的状況の整った裁判所で裁判をする方が本来の裁判としていい形の裁判ができる。訴えはしたけれどもいつ判決が出るかわからないという形よりも、少し足を延ばしていただいても適時適切に和解ができ、判決が下される、そういった形の事件の処理というのが本来の司法サービスと考えておりまして、そういった形で司法サービスをよくしたいということで今回の支部の適正配置を行ったところでございます。
 なお、今回の支部の廃止をいたします場合に、事件数の状況等を見ました。これは単に利用が少ないからということではなくて、その支部を廃止した場合に国民にどの程度の足を延ばすという負担をかける数があるか、あるいは隣接庁までの時間がどうか、そういった国民にかける迷惑の量を見るものとして御承知のような相関表で事件数と受け入れ庁までの所要時間を見たわけでございます。決して現在の利用状況がいいとかなんとか思っておりませんで、私どもその辺のことは、正確なことは申し上げられませんが、心がけるべきことはただ一つ、やはり利用しようと思われる住民の方が利用していただきやすい裁判所にしなければならない。そういった面から、いろいろな支部の適配もそうでございますが、いろいろな面で現在見直し作業を進めているところでございます。御理解いただきたいと思います。
#76
○宇都宮委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、私は、やはり裁判所を利用する入り口の点で遠くなるということは国民にとりまして裁判所の敷居がますます高くなるということにつながっているのじゃないかと危惧倶している者の一人でございます。
 そして、ここ愛媛では、大洲支部と八幡浜支部の統廃合が行われまして八幡浜支部がなくなるということなのですけれども、この間の国民審査におきまして、八幡浜、大洲における最高裁の裁判所の裁判官の罷免を可とするというふうに意思表示をなさった住民の方が異常に多かったのですけれども、その点今回の統廃合問題と関連があるのではないかと私は考えているのですけれども、この点いかがでございましょうか。これが最後の質問でございます。
#77
○金谷最高裁判所長官代理者 私ども、新聞報道によりまして、八幡浜で不信任のバツをつけられた票が他に比べて高かったということを承知しております。そして、これも新聞報道によりますと、今回の支部適正配置に対する抗議の意思をあらわす手段としてそういうバツをつけるようにという呼びかけが行われたこともあってそういう数字になっているのだろうとは思っております。
 しかし、今回廃止いたしました支部四十一の管内全体につきまして、他と比べて高いといった状況にはございません。八幡浜、甘木の関係が委員御指摘のような状況を呈しているのでございます。そのことはそのこととして、国民が近くの裁判所をなくされるということに対するそういう形であらわれたものとして、これはこれとして私どもも重く受けとめまして、今回の支部の適配後の充実策について、少し遠くなったけれどもいい形の裁判がしてもらえるようになったと喜ばれるような裁判を心がけてまいりたい、こう思っております。
#78
○宇都宮委員 どうもありがとうございました。
#79
○小澤委員長 御苦労さまでした。
 小森龍邦君。
#80
○小森委員 広島三区から出てまいりました小森龍邦でございます。どうぞよろしくお願いします。
 先ほど来の日本社会党からの各委員の質問によりまして、定員の増加に関する問題についてはほぼ理解ができたわけでありますが、なお私の疑問とする点が多少ございますので、その点をまずお尋ねしてみたいと思います。
 それは、こうして簡裁の判事あるいは書記官の増員が年々図られておるわけでありますが、年間を通して見ると、年度当初のこれだけの要求というものが実際は運用面において十分に賄われていない。したがって、何か機械的に増員しなければどうも格好がつかぬというような感じでやっておるのではないかというふうな気がするわけでありますが、どうして年度途中に欠員になったものを年度途中に補充するような努力が行われないのか。せっかくの枠があるのにやらないのか。私は、地方議会議員の経験がございますけれども、地方の自治体では、その欠員が生じた場合にはその定数条例の枠内いっぱいに、住民サービスということもあるし、労働者の労働条件ということもあるし、速やかにこれを補充するわけでありますが、その点はどういうことになっているのでしょうか、お伺いします。
#81
○泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 今回の定員法の改正におきまして簡易裁判所判事五名、それから裁判官以外の裁判所職員二十五名の増員をお願いしております。そのいずれにつきましても、国会に資料を提出してございますけれども、簡易裁判所判事の場合には昨年の十二月一日付で二十四名、それから一般の裁判所職員の場合には百七名の欠員があることは、委員御指摘のとおりでございます。
 どうして年度途中にこういう欠員を埋めないのかという御指摘でございますが、御承知のように、裁判所の場合には全国七百カ所の部署で仕事をしているわけでございます。一つのところで欠員ができましても本当にぽつぽつという欠員でございますけれども、集めますと、先ほど申しましたような百近くの欠員になるわけでございます。これを年度途中でなかなか異動で埋められないという点が一つの原因でございます。
 それからもう一つは、裁判所の場合にはやはり資格がございます。簡易裁判所判事はもちろんのこと、裁判所書記官にいたしましても一つの試験を通って採用しているわけでございます。そういう資格という面から、それを毎年年度初めに行って資格者を足している、こういう状況がございます。そういったために、欠員が年度途中にできてもなかなか埋めがたいということでございます。その点をひとつ御理解いただきたいと存じます。
#82
○小森委員 その点が私とすればなかなか合点のいかぬところでありまして、これは政府各省庁もそうだと思うし、地方自治体の場合もそうだと思いますけれども、本年度、当該年度採用予定者、つまり試験に合格した者の名簿がちゃんとできておりまして、そして次から次へと採用していく、こういう形でやっておるからうまくいくのでありまして、もちろん裁判官とか書記官とか資格が必要でありますが、その資格を取った者がいるわけでありますから、なぜその点が順繰り、順繰りとうまくできないのか。それができずしてまた翌年増員を頼むというのは、それは事務の誠実な執行という意味でちょっと欠陥があるんじゃないか、こう思いますのでお尋ねしておるわけで、どうしてできないのか。資格が要るということだけでは私はなかなか納得いかないのです。
#83
○泉最高裁判所長官代理者 私どもも、委員御指摘の問題点につきまして、年度当初に採用試験をいたしまして、採用者名簿というものをつくってございます。これは原則といたしまして四月一日に採用するわけでございますが、その中から残った者がございます。それはできる限り年度途中でそういった名簿から補充をしているわけでございます。
 しかしながら、先ほど申しましたように、裁判所書記官などというものは、書記官研修所に一年ないし二年の修習期間を入れまして、それが四月一日に卒業してくる、四月一日に書記官にすることが可能である、こういう状況がございます。私どもできるだけ埋めたいというつもりでおりますけれども、そういった資格の問題。それから、資格のございません裁判所事務官にいたしましても、裁判所職員の採用試験でもって合格した者で、それは大体四月一日で埋めてしまわないとほかへ行ってしまいますので、残りの名簿が少なくなってまいります。そういったことから、年度途中に全員を埋めることができないという事情にあることをひとつ御理解いただきたいと存じます。
#84
○小森委員 余りこのことで時間をとっても次の質問ができませんので、私の考え方を参考までに申し上げておきたいと思います。
 やはり採用する採用予定者のプールが足りないのではないか、だから年度がわりでないとなかなかうまくいかないのではないかというようなことも考えられますので、裁判官については、司法修習生ですか、今これをどう改革するかという議論もあるようですが、もう少しそこの枠を広げて人材をプールできるようにすることが迅速に欠員を補充する道ではないかというふうにも思いますし、書記官も、いろいろ制度があるのでしょうけれども、そういう点を考慮していただければ、せっかくの定数をいっぱい使って国民にそれなりのサービスをしていくことができる、こう思いますので、その点はひとつお考えをいただきまして適切なる措置を講じていただきたい、かように思います。
 それから、同じくこの問題に関しての質問、もう一点でありますが、四月一日に採用するということですけれども、今回は、九〇年度の予算というものの成立する見込みはまだ何十日か先だと私は思います。そうすると、四月一日に採用するということになると、予算と法律がマッチしません。したがって、その点はどういうふうなお考えなのか、お尋ねをしてみたいと思います。
#85
○泉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 私どもただいま暫定予算をお願いしてございまして、暫定予算を人件費の範囲内で四月一日から今回の増員をお認めいただきましても十分賄っていける、そういう体制をとっておりますので、予算の関係では支障がないというふうに考えております。
#86
○小森委員 その暫定予算ですが、数字のトータルにおいて支障がないというのか、ちゃんとそれは計算に織り込んで、例えば私ども地方議会で予算審議するときには、備考欄というか予算説明書ですね、そういうところにちゃんと人数掛ける幾ら幾らというような形で、余り理事者が恣意的にできないようにきちっとした枠組みというものを明示しておる、その予算審議を経験しておりますが、その点はいかがに計らっておられますか。
#87
○泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 ただいまお願いしております増員分について、その分としての予算を暫定予算に積んであるというわけではございませんけれども、暫定予算は年間の裁判所の必要な人件費の中の一応の暫定期間の割合のものを積んでおりますので、そのトータルの中で今度四月一日に増員分も含めて新規採用することが可能になっている、こういうことでございます。
#88
○小森委員 暫定予算のうち、書記官とか裁判官
とか人数が今度増員されれば、それだけの人数がもうはっきりしておるわけですが、それ掛けの何十日分とか何カ月分とかを人件費については見ているのですか。
#89
○泉最高裁判所長官代理者 暫定予算の計算のいたし方といたしましては、人員の数というものを積算の根拠にはいたしておりませんで、裁判所で年間必要な人件費のうち、暫定予算の見込まれます、五十日でございますか、その日数分を計上している、こういうことでございます。
#90
○小森委員 それでは質問を変えます。
 裁判官のみならず書記官の資格というものが先ほどちょっと答弁の中で出てまいりましたが、私は、国民の生命、財産を究極のところで守る最高の価値判断をする場所が裁判所だと思いますので、その資格、一般的な言葉で言うと裁判官の資質というようなことは国民にとって非常に大事な問題である、こういうふうに思っています。
 そこで、裁判官を養成する司法修習の場で、人権にかかわる単元のようなものがあるのでしょうか。
#91
○泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 司法研修所におきます教育と申しますのは、日本の大学におきます教育がどうしても理論中心でございますので、司法研修所におきましては実務に直接必要な最低限度の技術的な教育を中心にして行っているわけでございます。しかしながら、一般教養的なものもそれに加えているわけでございますが、やはり主流は実務に直接必要なものを教育しているということでございます。
 そこで、今お尋ねの人権に関する問題がどうかということでございますが、これは一般の教養課程の中で取り上げることもあろうかと思いますが、一般教養はそのときそのときの適当な講師の方を呼んできてお話を伺うということになっておりますので、特に人権について、その問題について定期的に講座を持っているということにはないわけでございます。
#92
○小森委員 釈迦に説法だと思いますけれども、憲法第十三条が言うところの個人の尊厳ということは、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」つまり、最大のポイントについてしっかりした感覚を裁判官の皆さんに持っていただかないと、せっかく我が国の法体系が、刑訴法などは随分整備されておると思いますけれども、それがうまく運用されないのではないかという危惧を私は持つわけです。
 そこで、ちょっと申し上げてみたいと思うのですが、同和対策審議会の答申が昭和四十年に出されたことは御存じのとおりでありますけれども、これは部落差別に関する今日の我が国の現実というものを解決するのは焦眉の急だ、こういうことを提起しております。そこで、私の記憶によりますと、それが出たころのことなのでありますが、岡山の家庭裁判所の出来事だと思います。部落出身者の姓、例えば小森なら小森という姓と部落外の人の姓とがたまたま同じであって、いつも部落民と間違えられて生涯大変な損失をこうむるので姓を変えたい、こういうことを裁判所に訴え出て、それはそのとおりだ、変えなさい、こういう判決が出ているのですね。その理由書を私読んだことがあるのですけれども、部落問題というのは容易に解決のつかないことだ、容易に解決がつかないとすれば、あなたが姓を変えてあなたの分だけでもそういうふうな差別的な処遇を受けるそういう可能性のあるところから逃れるべきだ、それは当然だという意味の判決が出ているのです。こういうことは、要するに裁判官が今日の国家的な立場からみんな一生懸命やっておることについてむとんちゃくというか、無知というか、世間一般の常識よりも人権感覚が薄い、こういうように私は思うのですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
#93
○泉最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の裁判は、昭和四十一年十一月一日の岡山家庭裁判所高梁支部の審判であろうかと存じます。私ども事務総局におります者といたしまして、一つ一つの裁判についてその適否を論評するという立場にはないわけでございますけれども、その後、私どもの方で調査いたしましたところ、岡山ではもちろんのこと、全国的にも、今委員が御指摘のような趣旨の審判というものは出てないというふうに聞いているわけでございます。
 それから、これはもう委員つとに御承知のとおりでございますけれども、昨年の十一月三十日に最高裁判所第一小法廷で判決がございました。同和地区出身の女性の方が、夫が家出して家庭生活が壊れたのは夫の兄らが差別的意思から夫婦の仲を裂いたためだということで、夫とその兄夫婦に対しまして損害賠償請求を求めた事件でございますけれども、これは兄夫婦らの行為を違法と明確に断じまして、夫とその兄夫婦の連帯による損害賠償請求を認めた事件でございまして、これは大々的に新聞にも報道されたところでございます。
 同趣旨のものは、裁判所に出ておりますものだけでも、四十年三月二十日の長野地裁の上田支部の判決、それから四十七年三月二十四日の高知地裁の判決、こういったものが出ているわけでございます。
 先ほど委員が御指摘になりました個人の尊厳の問題、それから憲法十四条一項の法のもとの平等の問題、これらは基本法規であります憲法の中でも、その人権規定の中でも最も重要な規定でございまして、私ども、これは非常にいつも銘記して仕事に当たっているわけでございます。御承知のように、司法試験、一番の重要な科目といたしまして憲法が取り上げられております。短答式試験それから論文式試験、口述試験、これはすべて憲法が必須の科目となっておりまして、これらは十分頭にたたき込んで仕事をしている所存でございます。しかしながら、委員御指摘のように、これらを常に忘れることなく銘記しながら仕事に当たるべきことはまことに御指摘のとおりであろう、このように考えております。
#94
○小森委員 よい判決も私は知っているのです。それから、ごく最近のことでなくて随分以前でもかなりしっかりした人権感覚に立っての裁判が行われたことも知っておるのです。しかしながら、その途中途中に気にかかることもさわるわけです。したがって、裁判官に対して十分な認識が持てるような、それは裁判官だけでなくて、司法研修の場では弁護士になられる方も検察官になられる方も一緒だと思うのですが、何とかもう少しそういう認識が深く持てるような研修の計画といいますか、そういうものも持っていただけないものか、こう思いますので、その点はお願いをしておきたいと思います。
 それから、法務大臣にそのことに関連してお尋ねをしてみたいと思いますが、日本の国には今日気にかかる差別の実態というのはいろいろありますな。部落差別だけではございません。きょうは話が余り散漫になってもいけませんので、法務大臣は、今日の段階で我が国における部落差別の現状というものをどういうふうに認識されておられますか。
#95
○長谷川国務大臣 部落問題につきまして、私のところは新潟県でございますので、ほとんど該当者が、部落の関係の方が余りいらっしゃらない。したがって、的確な御答弁ができるかどうかわかりませんが、部落を差別するということが、今の現社会においてやはり検討しなければならない問題であると同時に、何というか、昭和四十四年以来の今日まで推進されてきた施策の結果、同和地区の実態、差別等について見るべき改善がなされたが、結婚差別、就職差別等に見られるように、心理的な差別の解消についてはなお多くの問題が残されており、法務省としては、心理的差別の解消を図るべく強く啓発活動を展開していく所存であります。今申し上げたとおりでございます。
#96
○小森委員 なるべく本論からそれないようにと思うのですが、法務大臣の認誠は新潟県だからよくわからないというのでは、これはちょっと答弁にならないので、少しばかり私、補足しておきますが、新潟県のある村で、私は視察に行ったこと
がありますが、裁判になりまして、この前までここの委員でおられた坂上先生がかなり手がけられた事件ですけれども、行ってみますと、その部落に入る道路が、せっかくその部落に面した前に立派な大きな幹線が川の土手を使ってできておるのに、部落に入る方の道はできていない。だから、どう言いますか、ひじ曲がりになって、部落から一般へ出るのも、一般から部落へ入るのも、二度ひじ曲がりを自動車のハンドルを切りかえなければならぬというような現実もある。それは時間がありませんからきょうは申し上げませんけれども、法務大臣、ひとつしっかりと差別の現実を把握していただいて、法務省全体、特に我が国唯一の人権擁護行政機関を持っておられる省でございますので、しっかりとした指揮をとっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 そこで、質問の中身を変えさせていただきまして、また裁判所の方へ戻るわけでありますが、御存じのとおり、私どもは市民的権利というものについていろいろ世間に協力をしていただいて我が国社会にあるすべての差別を解消していこうという努力をしておる者の一員でございますが、裁判官がしっかりした認識を人権感覚で持たなければならぬということの具体的な問題としては、憲法第三十三条にある「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、」という、あの条文ですね、権限を有する司法官憲が発する令状による、こうなっておりまして、私は憲法の精神というものは、例えば司法警察官とか検察官が請求をすると、これは十分考えて対応した請求をしていただけるのだと思うけれども、余計にもう一つチェックするこういう機能が、市民的権利の重要な、わずか三十五条か四十条しかない我が国の国民の権利及び義務という憲法の規定の中にあるわけでありまして、言うなればこれは憲法的事項ですね。したがって、裁判官がしっかりした人権感覚を持っていないと、警察官が逮捕状を請求してもすぐにフリーパスというようなことになるおそれがあるわけでございまして、一体裁判官のところではどういう水準におけるチェックが行われるのか、この点につきまして御回答をいただきたいと思います。
#97
○島田最高裁判所長官代理者 ただいま委員御指摘のように、令状発付ということは裁判官にとっては非常に重要な、憲法の精神にのっとって十分司法的な抑制を働かさなければならないチェック機能を果たすべき役割だというふうに、全裁判官がそのように自覚しながら一件一件十分慎重にやっております。
 そこで、今仰せの基準というようなことにつきましては、委員も御承知だと思いますが、法律上は逮捕状の場合でありますと逮捕の理由及び必要性という双方の条件が満たされて初めて逮捕状を発付するということになりますので、その二つの要件につきまして十分慎重に判断をいたしておる、こういうことでございます。
#98
○小森委員 裁判官のこれまで養ってきた法律の知識あるいはその背景となる周辺のいろいろな合理的な近代精神、そういうもので判断するのだろうと思うのですけれども、例えば刑事訴訟法がいろいろ細かいことを決めて、あるいは実情に合わないかもわからぬけれどもこれはルールとして守っていかないとほかのことで大失敗することがある、刑事訴訟法のいろいろな手続というのは私はそうだと思うのです。それと同じように、逮捕状を出すときに、犯罪の事実を疑うに足りる合理的な十分なものがあるという、その抽象的なことでなくて、逮捕をしなければこれは捜査ができないのか、あるいは逮捕しなくても司法警察官が幾らでもやれるではないか、そこらのところの判断がうまく行われていないと、場合によったら警察官など随分むちゃなことをする者がまだいますからね。特に、今度また問題になります代用監獄の問題などを考えてみると、夜遅くまで眠らさないようにして調べ上げて、もう面倒くさいからやったと言おうかということで冤罪が成立する可能性があるわけですからね。その逮捕状に対しても全く、あなたの良識でやってくださいというのであって、逮捕状の請求が来たら、こういう要件を満たさなかったら裁判官は判を押したらいけないというような何か判断の基準になるようなものはないのでしょうか。
#99
○島田最高裁判所長官代理者 今委員がおっしゃいましたように、まず犯罪の嫌疑がなければならない。しかし、犯罪の嫌疑があるからすぐに逮捕状の発付というわけではございません。これは、かつては犯罪の嫌疑が十分あればそれだけで逮捕状が発付できるかという問題も議論されたことがございますが、しかしそれだけでは十分ではない、やはり今委員もおっしゃったように、果たして身柄を拘束し逮捕までして捜査をしなければ捜査が十分できないかどうか、そのあたりまで裁判所において十分チェックすべきであるという意見が大勢を占めまして、その結果、刑事訴訟の規則上も、明らかに逮捕の必要がない場合には逮捕状を出してはならないという規則が追加されて、明文で明らかにされておる、こういう状況でございます。したがって、私ども令状を取り扱う際には、逮捕状の発付に当たり、その嫌疑のみならず必要性についても十分慎重に一件一件当たってやっておるつもりでございます。
#100
○小森委員 いつかさらっと目を通したときにそういう規則上の文面があったことも、私は今答弁をいただきまして記憶をよみがえらせたわけです。しかしそれは、逮捕する必要がない場合はというのもまた、裁判官のいわばこれまでの法律知識とこれまでの民主主義あるいは人権に関する常識だと思うのですね。したがって、いやそれは私の常識でやりましたと言ったら、それまでのものですね。
 そこで、一つの例を出しますが、これは去年のことだったと思うのですが、在日朝鮮人、朝鮮総連という団体の地方の幹部をしておる人なんですが、仮にGさんと言っておきましょう。このGさんが五万円ほどの詐欺事件を起こしたという嫌疑がかかりまして、そして逮捕された。十日間ほど勾留された。しかしそれは、例えば彼がやったということを合理的に疑う材料というのは私はほとんどないと思う。つまり、これは私の出身の町の府中警察署のやったことなんでありますが、岡山県に住んでおる方を、その人の名字が詐欺をした人が借用書みたいな受領書みたいなものを書いておる名字と同じだというだけで、そこに焦点を当てて、そして逮捕しておる。そうすると、逮捕状の請求をなさったときに裁判官が、おい、これだけじゃいかぬじゃないか。例えば受領書みたいなものがあるのだから、筆跡もあれば、私は紙にどの程度指紋が反応として出るのか知りませんけれども、素人の判断からすれば指紋だって幾らでも捜査の段階で整備できるはずなんですね。ところが、そういう物的なもので裁判官が合理的に疑う材料がないのに出しておる。したがって、途中で行き詰まって、これはもう釈放せざるを得なくなる。こういうことになるんですが、何かその辺のところ、単なる合理的な判断というだけでは――私はむしろ合理的な判断という言葉自体が不合理な裁判官の恣意を誘発するという結果になると思うのですが、いかがでしょうか。
#101
○島田最高裁判所長官代理者 具体的な事件については裁判所の立場として、ここで私どもの立場として何とも言いかねるところでございますが、ただ、今委員が言われたように資料が十分でない、例えば物的な証拠があるのではないか、あるいは必要な帳簿上の証拠とかいろいろな、事案によっては被害者との間に面割りがなされておるかどうか、そういった裏づけ的な証拠、これにつきましてもしこのような証拠があるのではないかというようなことになりました場合には、私ども、逮捕状を発付する段階でその資料の追加を求めたり、あるいは逮捕状の請求者にいろいろと釈明をいたしまして、突っ込んだ検討をいたしておるわけでございます。その上で、なおかつ十分な資料が欠けておるということになれば、その段階では却下する、こういうことになるわけであります。
#102
○小森委員 裁判のことでありますから、今私が
例に挙げましたのは、Gという形で呼ばしてもらうと言いまして、少し一般論に還元しながら話しているわけですが、例えばこういうときはどうでしょうか。
 被害者があの人だと思うと言っただけで裁判官とすれば令状に判を押せるのか、その点はどうでしょうか。
#103
○島田最高裁判所長官代理者 こう具体的なケースになってまいりますと、なかなか一概には言えないことでございますが、例えば今おっしゃったように被害者の方であの人だと思うという供述があるといたしますと、裁判官といたしましては、その被害者が果たして信用おける人間であるかどうか、その辺のところはやはりチェックすることになろうかと思います。その被害者の年齢の点もございます。職業の点もありましょう。被害者のいろいろな、人柄等、その辺も資料からあらわれている範囲内でどの程度まで信用おけるか、それから被害者と犯人と目されておる被疑者との間の接触、その接触の程度、かなり長い期間接触があったものであれば、これはあれが犯人だと言えば間違いなかろうか、しかし一瞬の間に出会った被害者と被疑者であれば、これはちょっとそれだけでは十分信用できないなというようなことになりますので、諸般の状況を十分勘案しながら判断することになろうかと思います。
#104
○小森委員 私は最近目が少しかすみまして、視力は字を読む力はあるのですけれども、ぱっぱっと方向転換したときによく物が見えないという場合があるのですが、その人によっても違うと思いますけれども、わずかな時間接触した人があの人のような気がするというくらいで逮捕状を出してもらったら、それはもう大変な結果が生まれてくるわけですね。したがって、今私がGさんと言ったのは、十日間くらい勾留されましたが、出てまいりまして、広島県を相手取って、県警のやったことですから、損害賠償請求をやっておるのです。その際に、当該警察署がどういうことを言っているかというと、自分らは逮捕状をもらっておるという強みがありますから、捜査上私らは過ちはありません、そううそぶいているわけですね。そうすると、捜査上間違いがありませんと釈放された後も言われれば、逮捕されたことが新聞に出ただけでもその人は随分迷惑をこうむって恥ずかしい思いをしておるのに、その後また間違いありませんというようなことを言われたら、これはもうその人にとってなかなか名誉の回復は難しい。そうすると、司法警察官とか検察官はなるべく調べたいから職務上逮捕状を請求するのは人情だと思うのです。私は裁判官が一番ポイントだと思うのですね。裁判官が一番ポイントだと思うけれども、裁判所、裁判官はそのことについて余り責任を感じないというか、また世間も余り責任を追及しない。ここが、非常に近代化した法体系を持っている日本の国の冤罪にかかわる部分の一番出発点ではないか、私はこう思うわけです。したがって、裁判官に反省を求めるとか、裁判官が間違ったことをしたら懲罰にかけるとか、もっと悪いことをすればいろいろ制度はありますけれども、今のところそういうことがないわけです。したがって、先ほど来我が党の委員が国民審査のことについてかなり質問されておりましたが、裁判官の国民審査、あれは最高裁判所だけですけれども、あれをもう少し充実するということや、あるいは司法研修の場でもっとしっかりした法律と良心にのみ従うという、その良心に従っておればまず間違ったことはやらないというような状況にもう少し前進をさせていただくようにお願いしたいと思います。
 ごく総論的なことになりますけれども、そのことについてもう一度答弁をいただきます。
#105
○島田最高裁判所長官代理者 先ほども申し上げましたように、令状の発付ということがいかに人の運命にかかわる重要な仕事であるかということは私ども十分に絶えず自覚しておりまして、したがって、令状関係につきましては、日ごろから協議会、会同等も開き、あるいは部内で研究会もし、十分慎重にやるべく心がけておるつもりでございますが、今委員の御指摘もありましたので、なお今後ともその方向で一層励んでまいりたいと思っております。
#106
○小森委員 終わります。
#107
○小澤委員長 御苦労さまでした。
 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ────◇─────
    午後一時二分開議
#108
○小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。平田米男君。
#109
○平田(米)委員 まず私は、簡易裁判所の裁判官の増員と職員の増員につきまして、簡単にお伺いをしたいと思います。余り時間がございませんので、要点を的確にお答えをしていただきたいと思います。
 今回の増員につきましては、民事訴訟事件の充実強化ということをうたっておいでになるわけでございますけれども、参考資料の9、二十四ページによりますと、民事新受件数が昭和六十一年から六十三年にかけては減少をいたしております。新受件数が六十一年から六十三年にかけて減少しているにもかかわらず簡易裁判所の裁判官を増員するというのは、昭和五十三年と比べますと昭和六十三年は新受件数が倍増している、こういう状況を踏まえてのことだと思うわけでありますけれども、その倍増をした、急にふえた状況の中でずっと定員を今日までふやしてこなかった、今日までといいますか、今回と前年には定員増をしておるわけでございますけれども、一番にふえている状況の中で定員をふやしてこなかったことにつきましてお伺いをしたいわけでございます。
 まず第一に、なぜ減少傾向になってからふやすようになって、上昇傾向のときにふやさなかったのか、この点についてまずお答えをお願いしたいと思います。
#110
○金谷最高裁判所長官代理者 ごもっともなお尋ねでございます。簡易裁判所の判事につきましては六十三年から増員要求いたしたわけでございますが、増員要求いたしました理由は、委員御指摘のとおり、十年前に比べますとなお事件の量が高原状態にあるということでございます。そして、六十三年五月から実施させていただきました簡易裁判所の適正配置、これを行います過程で簡易裁判所の審理の充実策ということが各方面から要望されまして、それを受けまして、この際それを契機に簡裁の手当てをしたいということでございます。
 なぜふえていたときに増員しなかったのかという点でございますが、確かに五十七年ごろから簡易裁判所の民事訴訟事件がふえました。その主な内容は、消費者信用関係のクレジット、サラ金等の事件でございますが、それがふえていたわけでございます。
 そのふえていることにつきましては私ども十分着目して留意していたわけでございますが、その簡裁判事増員要求をしなかったのは幾つかの理由がございますが、一つは、当時地方裁判所の事件の処理の充実あるいは家庭裁判所の事件の処理の充実ということで、判事、判事補関係の増員に力を入れたかったということが一つでございます。
 それから、まだ当時簡易裁判所の適正配置の骨格が固まっていなかったと申しますか、そういう状況にあったこと。
 それから、事件数はふえておりますが、先ほど申し上げましたように、消費者信用関係の事件でございまして、この種の事件は、中には大変難しいのもございますが、一般的に申し上げますと、裁判官の判断自体は比較的容易な判断でございまして、事件の量はふえても、それにとられる手数、事務量というのは、裁判官自体についてはそれほどでないということ。
 そして、あわせて、当時の簡易裁判所の一方の事件でございます刑事事件というのは減少傾向をたどっていた。
 それから、簡易裁判所の民事訴訟事件の審理期
間でございますが、これは悪化していなかったといったようなことを見まして、重点的に地家裁の方の充実ということで、そちらにウエートを置かせていただいた。
 そういうことでございますが、そのうちには先ほどの簡裁適正配置の経過等からの各般の要望等を踏まえまして、やはりこれを契機にもう少し充実強化したい。事件数自体も十年前に比べれば、最近は減っているものの、なお高原状態にある。そういったところから、六十三年、昨年、ことしとこういう簡裁判事の手当てというのをいたそうということにしたわけでございます。
#111
○平田(米)委員 今のお話を伺いますと、要するに増員の枠というのは決められておるので、その枠内で先に判事、判事補をふやして、それがどうにかめどがついたので今度簡易裁判所の方に回るようになった、こういうふうに伺ってよろしいのでしょうか。
#112
○金谷最高裁判所長官代理者 枠が決められておるというわけではございませんのですが、重点を判事に置きたかったということでございます。
#113
○平田(米)委員 枠が決められてなければ、上昇傾向にあったならば、幾つかの理由をおっしゃいましたけれども、基本的には事務量は増大したわけでございますので、やはりそれに対応しなければならなかったのではないかと思うわけです。今お話を伺っていますと、明確にはなかったにしても、やはり大蔵省の予算との関係でそれなりの増員枠というのが決められていたのではないかな、こんなふうな印象を受けるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
#114
○金谷最高裁判所長官代理者 もう少し増員に早く手を打つべきではなかったかという御批判は、今から考えますとごもっともな面がございます。しかし、当時の考えとしましては、先ほど申し上げましたとおり、この増員というのは、事件がふえまして、その結果未済がふえていく、そして例えば簡裁の民事訴訟事件の審理期間が延びていく、こういう状況が出てまいりますと、これは人をふやすということで基本的に手当てをしなければならないわけでございます。しかし、新受事件がふえましたけれども、先ほど申し上げましたように、簡裁の民事訴訟事件の審理期間というのは一つも悪化していなかったというような状況。それから、ふえている事件の内容が判断自体は比較的簡単であった。それからもう一つ、先ほど申し上げませんでしたが、この種のあれにつきましては、受け付け事務とか送達事務等の補助職員の分野の手当てをするということで賄えるのではないかと当時の時点では判断したのでございまして、現に昭和五十五年から六十三年までの間に、簡易裁判所の民事訴訟事件の処理の充実強化という関係で、一般職については約百二十名の増員をしたところでございます。
 そういったところで、現時点におきまして、そういう御批判はなるほど当たっている面もございますが、そういう状況で今日に至った次第でございます。
#115
○平田(米)委員 今回、簡易裁判所の裁判官は五名の増員ということでございますけれども、最高裁といたしましては、今の状況の中で、あるいはあるべき司法の姿からいって、簡易裁判所の裁判官というのはどのくらいの数があれば適正であるとお考えなのでしょうか、またそれをいつごろまでにどういう手だてで達成しようとお考えになっておいでになるのか。また、簡易裁判所の裁判官をふやせば、それに対応して書記官その他の職員も必要になるかと思いますけれども、そういうものも増員していく必要性が出てくるわけでございますが、どのくらいの数までふやし、またどういう計画でそれを実現しようとしておいでになるのか、その点についてお答えをお願いいたします。
#116
○金谷最高裁判所長官代理者 大変ごもっともな質問でございますが、また大変難しい問題でございます。
 確かに、こういう増員のお願いをする場合には、中期的あるいは長期的に見まして簡易裁判所の判事の数がこのくらいあるべきである、そこへ至る過程として計画的に増員していくということが非常に筋のいい増員の仕方でございます。
 しかし、現在どのくらいの簡裁判事の数が適正な数であるかということを見ます場合には、一つは事件の量ということに左右されるところでございます。もう一つは、裁判官一人でどのくらいの事件を処理するのがいいのかという、適正負担件数と申しますか、そういったことをにらまなければならないのでございます。
 しかし、この事件数の動向あるいは適正負担件数というものも、いずれもそれぞれ流動的な要素にかかっておりまして、例えば事件数の動向と申しますと、先ほどのとおりクレジット、サラ金関係の事件がどっと出だして事件がばっとふえたかと思いますと今度は減っていく、一方では少年の反則事件とかそういった事件が激減するとか、ここ数年というのは非常に事件の変動の波の多い時期でございます。そういったところから、一体安定的にどのくらいの事件数が来るのかといったところが非常に見通しにくい点がございます。
 それから、裁判官一人でどのくらいの事件が処理できるのかといったことも、これは単に件数だけじゃございませんで、やはり事件の中身によって相当違いますし、その時点で来る事件がどういう種類の事件が多いかによっても異なります。あるいは訴訟手続の進め方、これは訴訟代理人等の御協力に負うところが大きいものでございますが、それによって訴訟の運用の仕方の改善がどういうふうに進んでいくかということにもかかるわけでございまして、私どもそういったことの算定ができないかいろいろ研究はしておるのでございますが、現在簡裁判事としては適正人員はこのくらいであるということをまだ算出し得ないで、いろいろ模索している状況でございます。
#117
○平田(米)委員 その点については研究中であるというふうに言われたわけでございますけれども、どのくらいのめどでその結論をお出しになる予定でございましょうか。
#118
○金谷最高裁判所長官代理者 これはしばらく事件数の動向を見なければなりませんので、この場でいつまでにということを申し上げられません。この委員会でも、従来から、そういった中期的に見てこのぐらいの人員が必要である、そういうものを立てて、そして毎年毎年こういう年中行事のように増員要求をして国会の御審議を仰ぐというような形をとらない方が合理的ではないか、そういう御示唆も受けておりまして、私ども、法務省の方と寄り寄り研究させていただいておるのでございますが、申しわけないことではございますが、現在、いつまでに成果を出せるということまで申し上げられる状況ではございません。
#119
○平田(米)委員 おっしゃるとおり、いろいろ難しい点はあるかと思います。社会の急激な変動ということはなかなか予測がつかないわけでございます。しかし、そういう中でやはり五年先、十年先の司法というものをどう構築していくかということは極めて重要なことでございまして、状況は変動するので予測が立たないということではきちっとした司法行政というのはできかねるのではないかと私は感ずるわけでございまして、長期的とは申しませんが、中期的なきちっとした計画の構築ということをぜひともお願いしたいと思うわけでございます。
 では、次の質問に移りまして、今回の増員につきましては判事、判事補についてはないわけでございますけれども、昭和六十三年の司法統計年報の第二十二表によりますと、第一審の通常の未済事件の四四・一%が審理期間が一年以上である、こういう統計結果が出ておるわけでございます。
 こういう裁判の状況に照らしまして裁判の適正迅速な処理というのが極めて重要なわけでございますが、そういう観点から見まして私は甚だ問題があるのではないか、このように思うわけでございますけれども、裁判所はどのようにお考えなのか、また裁判のどのくらいが一年以内に解決をすべきであるか、その点をどのように考えておいでになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#120
○金谷最高裁判所長官代理者 現在、地方裁判所
の民事訴訟事件の平均審理期間というのは十一・七カ月でございます。平均審理期間としては一年以内、そしてこれは従来に比べますと、十七カ月前後かかったときもございますので、それがだんだんとよくなってきた状況ではございます。しかし、中には長期を要している事件がございますし、また争いのある事件等ではこの平均審理期間よりもはるかに上回る期間がかかっていることは大変問題のあるところだと私ども思っておりまして、そういう訴訟遅延のないようにいろいろ工夫しなければならないと思っております。
 一体どのくらいの期間で処理するのがよいかということ、これまた非常に難しい問題でございまして、十分な準備と十分な審理をした上で早ければ早いにこしたことはないわけでございますが、訴訟がおくれる原因につきましては、単に裁判官の数という面だけの検討では足りませんで、やはり基本的には訴訟手続の運用が、最近では弁護士会の方からもいろいろと御提言があったりしまして、充実して早く審理を行おうという機運が出てきたことを私どもは大変結構に思っておりまして、私ども裁判所としましてもこれに何とかして本格的に取り組んで、それなりの成果を生まなければならないということで努力している次第でございます。
 そういう訴訟手続の運用がどういうふうに改善されていくかということともかかわりまして、どのくらいの事件が一年以内に、あるいはどのくらいの事件が二年以内にということはちょっと数字的には申し上げられないのでございますが、充実した審理をしながら少しでも早くということを目指していろいろな運用の改善をこれから一生懸命やっていかなければいかぬということで、既に裁判所の中でもいろいろ試みを行っているところでございます。
#121
○平田(米)委員 今御答弁の中で、平均審理期間、資料によりますと、二十五ページの資料10でございますが、地裁の場合は六十三年で十一・九カ月、約一年になっておりますが、それを超える分については非常に残念だというようなお答えをいただいたわけでございまして、それが一つのめどであると私理解させていただいたわけでございます。
 御承知のように、日本弁護士連合会で司法シンポジウム等をやりまして、そこの中で一般市民のアンケートをとりますと、一番多い御希望が六カ月以内に一審の判決を出してもらいたい、一年以内でとりますとほとんどの方が一年以内でおさまるといいますか、おさめてもらいたいという御要望が多いわけでございまして、そういう点では今の御答弁と国民の意思というのがおおよそ合致しているのではないかと思うわけでございます。そういう意味では多くの裁判が、何割とは言いにくいかもしれませんけれども、やはり多くといいますと九割前後になるのではないかと思うわけでございますけれども、そういう裁判が一年以内に終わるようなシステムを我々は構築していかなければならないと思うわけであります。
 そういう目標に向けて、ではどうするか。裁判の適正迅速な処理を高めるためにはいろいろな方策が考えられるわけでございますけれども、やはりその中でも重要なことは裁判官の増員ではないかと私は思うわけであります。そのためにも司法試験の改革に当局が取り組んでおいでになると理解をしておるわけでございますけれども、ことし判事補につきましては八十一名が任官希望しておいでになる、また検事につきましては二十八名が希望しておいでになるというふうに伺っておるわけでございますけれども、現状の判事、判事補、検事の定員数を維持するためには毎年平均して何名ぐらいの任官希望者が必要なのか、また、最近十年間の平均の任官希望者数はどのようになっているか、お答えをいただきたいと思うのです。
#122
○泉最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 まず、現在の裁判官の定員を維持していくために毎年どの程度の任官数が必要かという御質問でございます。
 お手元の資料にありますとおり、現在判事補の定員は六百三人でございます。これを、十年間かかるわけでございますので、十で割りますと一年当たり六十人程度になろうかと思います。それから、十年の間には退官していく者がございます。これを年平均いたしますと六、七人になります。それで、合わせますと六十七人から八人程度の任官者があれば現在の定員を維持していくことが可能になるというふうに考えているところでございます。
 そこで、過去十年間にどの程度の任官者があったかという御指摘でございますが、平均いたしますと六十二人でございます。多いときには七十一人、少ないときには五十二人という数字がございますが、平均いたしますと六十二人ということでございます。しかし、今委員が御指摘のとおり、ことしは八十一名という多くの任官志望者がいるわけでございまして、大変ありがたく思っている次第でございます。
#123
○平田(米)委員 検事については法務省、いかがでございましょう。
#124
○井嶋政府委員 検事の任官者につきまして数を申し上げますと、過去十年でございますが、昭和五十五年から申しますと、五十五年が五十名、五十六年が三十九名、五十七年が五十三名、五十八年が同じく五十三名、五十九年が五十名、六十年が四十九名、六十一年が三十四名、六十二年が三十七名、六十三年が四十一名、そして平成元年が五十一名でございまして、平成二年度には二十八名が希望をいたしております。そういうことで十年間の平均は約四十六名になるわけでございます。
 現在の業務を維持するためにどのくらいあればよいかという御質問でございましたけれども、これは犯罪情勢だとか検事の体制のあり方とかそういったものによってまた変わってくるということもございましょうし、また中途退官者あるいは定年退職者が毎年でこぼこがございますから、そういった意味で必ずしも一概に申し上げるわけにはまいりませんけれども、今申しましたように、平均約四十六名の任官者である、これに対しまして、ここ数年平均しますと毎年大体六十名台から七十名台の欠員があるわけでございますので、やはり任官者だけではそれをカバーし切れてないという現状がございます。したがいまして、この欠員を大体カバーできる数が必要だ、それが維持できれば水準は保てる、こんな感じで対応しておるわけでございます。
#125
○平田(米)委員 先ほども裁判の九割ぐらいは一年以内に処理するのが適切ではないかというふうに私は意見を申し上げたわけでございますけれども、簡裁の裁判官につきましても適正数とかあるいはそれを達成する計画を明らかにしてもらいたいというふうにお伺いをしましたところ、るる御説明があったわけでございますが、地方裁判所の判事、判事補あるいは高裁等の数につきましても同様の中期的な計画を持って適正な人数に達するように努力をしていかなければならないと考えるわけでございます。
 昨年の四月二十一日でございましたか、日独の司法シンポジウムが行われたかと思います。そこの中で、最高裁、法務省等が参加をされましていろいろ意見をお述べになったわけでございますけれども、その中である最高裁の方がこのようなことをおっしゃっておいでになります。「経済生活のテンポは年々早くなっており、迅速な紛争処理を望む社会的要求は日増しに強くなっています。そして、裁判所の人的、物的設備を増加させることには、予算上あるいは法曹養成上の制約があります。限られた人的、物的設備を前提に、増加し、かつ複雑困難化した民事事件を、従来よりもさらに迅速に、しかも適正に処理することは不可能にも思えることではありますが、それが、現在裁判所に期待されていることであり、その意味で今まさに民事裁判制度の存在価値が試されているものということができましょう。」こういう報告をされておいでになりまして、私、この発言を伺いまして、裁判所の置かれた非常に厳しい状況というものを痛感をいたしまして、そこの中で必死に努力をしておいでになります当局の方々あるいは現
場の裁判官の方々の御苦労というものを感じたわけでございますけれども、しかし、このような御苦労をかけていて適正な裁判、迅速な裁判ができると思ってはならないと私たちは思うわけでございまして、そういう意味で裁判官の増員というものを積極的に、予算の問題があったといたしましても、鋭意そういう問題を乗り越えて実現をしていかなければならないと思うわけであります。
 私、この発言を聞いておりますと、そういう御苦労のお心はわかると同時に、何かそういう精神主義的なもので、充実できないものを精神で乗り越えよう、こういうように伺ったわけでございますが、そういう考え方というのは私ども、戦争時代の考え方に何か似通ったような思いがいたしまして、私が尊敬をするといいますか立派な方だなと思っておいでになる方で、最後の海軍大将と言われた井上成美さんという方がおいでになるわけでございますが、この方は、日本海軍が極めて合理的な考え方を持っていた海軍であったけれども、しかし、途中から精神主義を入れるようになってしまった、大砲が足りなければ、それは百発百中の大砲をつくればいいではないか、こういう海軍首脳の精神主義の考え方によって海軍の合理的な考え方が大きく変わっていってしまって究極的に終戦まで持っていかれてしまったのではないかという批判をしておいでになるわけでございますが、それが当たる、当たらないは別にいたしまして、今の最高裁の状況、また考え方というものはそういう精神主義に偏っている部分があるのではないかと思うわけであります。
 最高裁あるいは裁判所というものは私は理性の府だと思うわけであります。そういう意味で合理的な考え方をしていかなければならない。やはりキャパシティーが足りなければキャパシティーをきちっとつくっていく、そういう姿勢を明確に出していく必要があるのではないかと思います。いろいろ財政上あるいは他の国の機関との均衡上の問題もあるかもしれませんけれども、しかし、司法というものは日本の民主主義を根底において支えておる極めて重要なものでございまして、他の行政諸機関に比べまして優先をされるべきものではないか、このように私は思うわけでございますけれども、最高裁及び法務省の御意見を承りたいと思います。
#126
○金谷最高裁判所長官代理者 司法に対する非常に御理解ある御発言を拝聴させていただきましてありがたく存じておる次第でございますが、精神も大変重要でございますが、精神主義のみに偏ってはいけないということは仰せのとおりだろうと思います。裁判所といたしましても決して精神主義だけでということではございませんで、例えば裁判官の増員について見ますと、判事補については昭和四十五年から五十三年までの間で七十六人の増員をいたしましたし、判事につきましては昭和五十四年から六十二年までに九十二人の判事を増員いたしたわけでございます。
 しかし、裁判官の増員につきましては、特に供給源から供給されるか、そういう給源の問題、そして判事補、判事になる人の資質をできるだけ高いものに保つ、そういう必要がございまして、充員の可能性といった点も考えて増員するかどうかということを考えざるを得ない状況でございます。
 一方では、先ほどのシンポでの御発言というのも、基本的にはむしろ精神主義と申すよりも運用面においてなおいろいろ改善の余地がある。現に、例えば裁判官がほかの事件をすかせまして待っておりましても、さて代理人が非常にたくさんの事件を持っておられる、あるいは中には若干準備のおざなりな方もいらっしゃる、そういったところで次回の期日がなかなか入らないということもいろいろ我々が経験するところでございます。十分な準備期間をとりながら、始め出したらできるだけ詰めた開廷間隔で事件を入れ、そして計画的に訴訟を運ぶ、そうした面で裁判所もいろいろ訴訟指揮面で工夫し、反省しなければならない点が多うございますが、また、訴訟関係人である弁護士さんに御協力を賜ってそういった面の改善を図らなければならない面も多いわけでございます。そのあたりのところを強調された御発言と理解をしておりまして、私ども、先生のおっしゃるとおり、両面をよくにらんで、クールにしっかりとした対策を考えてまいりたい、こう思っております。
#127
○平田(米)委員 この日独司法シンポジウムの報告の中でやはり法務省の方がこういう感想を述べておいでになりますので、御紹介をして、この点についての質問を終わりたいと思いますが、「西独の実務家から、手続法の改正のみでは必ずしも十分な成果は期待できず、裁判所の人的・物的キャパシティの拡大などの必要性や、速さだけでなく当事者の納得のいく裁判であることの必要性が指摘されたことが、印象に残った。」こういうことも感想で述べておいでになるわけでございまして、そういう点で中身の充実といいますか、人的、物的な充実についても御努力をお願いしたいと強く希望を申し上げる次第でございます。
 時間があとありませんが、司法試験制度の改革につきまして若干お伺いをしたいと思います。
 司法試験制度の改革につきましては、現在法務省、裁判所、日弁連ともに尽力をしておいでになることに対しまして深く敬意をあらわすものでございますけれども、司法試験の改革に当たりましては、その基本理念といたしまして、法曹一元を守る、それから民主主義を根底から支える法曹の責任の重大性、また三番目には国民に信頼され親しまれる法曹をつくっていく、こういう三点が私は重要であると考えるわけでございますが、法務省、最高裁はどのような理念で司法試験制度の改革に取り組んでおいでになるのでしょうか。
 また、今回法務省から出されました三つの改革基本構想がございます。甲、乙、丙案がございますけれども、理念実現のためにこの構想はどのように考えておつくりになったのか、また評価をしておいでになるのか、御意見を伺いたいと思います。
#128
○則定政府委員 大変大きな意味を持ちます御質問かと思いますけれども、委員御発言のように、法曹三者それぞれ職務は違うわけでございますけれども、利用する国民サイドから見ますと、それぞれの職務の中において迅速適切な法的判断あるいは事実認識というもので法的紛争を解決し、社会の求めるところにこたえていくことであろう、こういうふうに思うわけでございます。
 その場合に、やはり法曹全体の陣容がこのままでいいのかという点が一つ大きな命題としてあるかと思います。その大きな法曹界全体の陣容強化を図るということと、それからそれぞれ法曹三者の各陣容が量的にも質的にもすぐれた人材によって充実、充足することを求めていかなければならないというふうに思っております。そういうことを通しまして、先ほど申しました社会のニーズ、国民のニーズに合いました法的紛争をそれぞれの職分に応じて的確に果たしていく、こういうことを私どもは考えているわけでございます。そのために、御案内のとおり現在の唯一の実務法曹登用試験でございます司法試験の現状ということについては、非常に長年月を合格までに要するということがございまして、そのために本来なら法曹界に来てもらいたいような人材が他に流れている、いわば司法試験離れの傾向もございますし、それからなかなか少数回では合格いたしませんので、合格者、ひいては修習終了者の年齢構成が一般的に高うなる、こういったことから、先ほど申しましたそれぞれの分野に適正に人材が流れるということにネックになっている現実がございます。
 そこで、私どもといたしましては、今回提起させていただきました甲、乙、丙の三つの案、これはいずれも適性のあるより多くの者がより早く合格し得ることを考えておるわけでございまして、それらのいずれかの案が実現し、かつまた合格者の数がそれなりにふえますれば、先ほど申しました法曹界全体の陣容強化というものに大きく資するであろう、こういうように考えているわけでございます。
#129
○泉最高裁判所長官代理者 今回の司法試験改革問題について最高裁がどう考え、今度の法務省の提案についてどういう評価をしているかというお
尋ねがございましたので、その点についてお答えいたします。
 最高裁といたしましても、ただいま法務省からお話がありましたように、司法試験の現状が極めて異常であり、合格すべき者が早期に合格し得るように司法試験制度の早急な改革がぜひとも必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
 そういたしまして、法務省が「基本構想」において示されました今回の改革案は、いずれもあるべき改革の方向に沿うものというふうに考えておりまして、評価している次第でございます。改革案の中では甲案が制度改革の趣旨に最も合致するというふうに考えておりますが、乙案または丙案でも司法試験の現状を改善する方向で相応の効果が期待できるものとして、これらのいずれの案による改善が行われましても最高裁としては特に異存がない、こういう立場をとっている次第でございます。
#130
○平田(米)委員 今とにかく法曹界の全体の陣容を強化するんだ、こういうことが主眼であるというふうに言われたわけでございます。もちろんそうではございますけれども、しかし、何のための陣容強化なのかということが私は重要だと思うわけであります。理念のない単なる手段であってはならないと思うわけでございまして、やはりそういう理念をしっかり踏まえた上での陣容強化でなければならないと思うわけであります。その点、ぜひとももう一度理念の深化をお願いをしたいな、このように感ずるわけでございます。
 余り時間がございませんのであと簡単にお伺いいたしますけれども、質問を限りまして、今回合格者がふえますと、任官者もふえると同時に弁護士の登録者もふえると予想されるわけでございまして、増加分の二百名内外の七、八割の方々が弁護士になるといたしますと、百五十名前後弁護士が毎年ふえるわけでございまして、現在弁護士の需要は渉外弁護士につきましては高いという状況があるかとは思いますけれども、それ以外の弁護士につきましてはなかなか厳しい状況にあると伺っておるわけでありまして、そういう問題につきまして裁判所あるいは法務省はどういう対応をしていくのか。弁護士が経済的にも、また業務的にも低下をしていったならば、法曹全体の質的低下という問題が起きてくるわけでございまして、私はこれは司法の健全性という点、活力ある司法という点からいっても極めて重要な問題ではないかと思うわけでございまして、具体的な対応策をお考えなのかどうか、お考えならばどういうものを考えておいでになるのか、お答えをいただきたいと思います。
#131
○則定政府委員 若干前置きになるかと思いますけれども、最近司法研修所から巣立ちます修習生の数は五百人前後でございますが、そのうち三百五、六十人が弁護士に登録されるわけです。ところで、司法研修所の修習中にいろいろな進路選択ができるわけでございますが、おおむね二年間の修習の中間段階までにほぼ進路をそれぞれ決意されるものと思います。
 ところで、最近の状況を見ておりますと、秋の後期修習に至りました段階で弁護士事務所からいわゆる勤務弁護士募集というものがたくさん来ているわけでございまして、現実には修習生の大半は既に進路を決め、あるいは弁護士になる人でも法律事務所が決まっております。にもかかわりませず、この数年、百数十人がなお新規求人として残っておるわけでございます。と申しますのは、それくらいいわば在野法曹、弁護士に対するニーズ、求人活動、求人意欲といいましょうか、そういうものが高いわけでございまして、今回仮に制度改革とともに二百人程度ふやしましたとしましても、その当面の需要にようやく満つるかどうかというふうな感じであろうかと思います。地方の小都市等におきまして弁護業務を展開されております方々から増員に対する警戒感というのがあるわけでございますが、今申しましたような状況から、大都市を中心にほとんどそういう勤務弁護士として吸収されてしまう程度の数ではなかろうかというふうに思っております。
 加えまして、いわば業務対策的な面についてお尋ねがあったわけでございますが、本来的には自治団体でございます日弁連ないしは単位弁護士会でいろいろと考えておられることであろうかと思いますけれども、法務省といたしまして、今後、先ほど申しましたいわばユーザーの立場から、もっと弁護士にアクセスしやすい方途、例えば最近進めさせていただいております法律扶助制度の問題とか、こういったものにつきましてさらに一層私どもといたしましても努力を傾けていく必要があろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
#132
○平田(米)委員 裁判所から答えはありませんか。
#133
○泉最高裁判所長官代理者 先ほどから委員が御指摘のとおり、裁判制度というものを法的紛争解決機関として国民に利用されやすいものにしなければならないというふうに考えております。国民が裁判制度を今以上に利用してくれるということが、先ほど委員の御指摘になった問題の解決につながるのではないかというふうに考えております。
 そういう意味におきまして、今裁判所で取り組んでおりますのは訴訟運営の改善という問題でございます。これは委員つとに御承知のとおり、今の裁判、特に民事裁判におきまして一番のガンになっておりますのは、五月雨式な審理方法というものでございます。これを何とか早く、訴訟の争点というものを早期に固めて必要な証拠調べというものをできるだけ集中的にやろう、これが裁判というものを国民にわかりやすくする一つのものでありまして、国民の裁判利用を進めることになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それからもう一つの試みといたしまして、判決をわかりやすくする。裁判をわかりやすくする一環として判決を国民にわかりやすくする、こういうことに取り組んでいる次第でございます。
 そういうことでもって司法に対する国民の需要をふやすということを考えている次第でございます。
#134
○平田(米)委員 終わります。
#135
○小澤委員長 御苦労さまでした。
 木島日出夫君。
#136
○木島委員 裁判所職員のあるべき定数を検討する前に、私はまず裁判所の統廃合の問題について裁判所に質問いたします。
 最高裁は、昭和六十三年の五月から百二の簡易裁判所の統廃合を実施したのに続いて、昨年の十二月十三日に、規則を改正して今月末日限りで全国で四十一の地家裁乙号支部の統廃合を強行しようとしております。この統廃合に対しては、裁判を受ける国民の権利を損なう、そして国家の施策で過疎化をますます進行させるものとして関係住民や地方自治体から強い反対の声が上がっているわけですが、まず今回の統廃合対象の管内の地方自治体の数と、そこで生活をしておる住民の人口はどれだけあるのか、お答えをいただきたいと思います。
#137
○金谷最高裁判所長官代理者 今回廃止いたします乙号支部、四十一ございますが、その支部管内の市町村の数は、六十三年五月一日現在で、二百六十二でございます。人口は、六十二年三月三十一日現在で、約三百十五万でございます。
#138
○木島委員 そのうち、廃止反対の陳情とか請願とかあるいは地方議会の議決等が最高裁に上がっている自治体の数は幾つありますか。
#139
○金谷最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げました数字は廃止いたしました四十一支部についてでございますが、一昨年の暮れに統合を検討する対象の支部ということで出しました五十八の支部について申し上げますと、管内の市町村の数は三百九十九でございます。このうち、最高裁の方へ決議書、陳情書等を提出されました市町村数は三百二十九でございます。
 その程度でよろしゅうございますか。
#140
○木島委員 はい、結構です。
 ほとんどの自治体が反対の議決を上げていると
いうことだと思いますが、今回の支部統廃合に対する地域住民の怒りを象徴するものとして、午前中に宇都宮委員から今回の国民審査の結果が論じられましたが、私はもう一つ国民の声を披露したいと思います。
 西日本新聞で、ことしの一月一日から十回にわたって、熊本地家裁の御船支部の統廃合問題について取り上げています。時間がないので御紹介をするのを一部にしますが、こういうことが論じられています。「田舎にこそ、裁判所が要る。」「裁判所は身近にあってこそみんなが頼る。敷居を低くして、より住民に近づくべきなのに、最高裁は統廃合という逆のことをやっている」。また、重要な指摘もあります。「矢部簡裁が廃止された時、最高裁は「御船に行けば裁判所がある」との主張を繰り返した。だが、それからわずか二年余り。最高裁の言葉とは裏腹に、御船の地・家裁支部は消えようとしている。「欺かれた」との矢部町長の思いは最高裁にいる司法官僚への根深い不信感を凝縮する。」こういうことが書かれております。
 昭和六十三年三月二十二日に当時の大西最高裁事務総長は、この法務委員会で、我が日本共産党の安藤委員の質問に答えて、支部の適正配置について、「国民の裁判を受ける権利にも深く関係するところでございますから、各方面の御意見も十分伺って、その意見も踏まえて実施するようにいたしたい、」と答弁しているわけであります。午前中、宇都宮委員の質問に答えて、総務局長は、裁判官もいない、弁護士もいない裁判所より、人的、物的施設の充実したところの方がよりよい司法サービスを提供できる旨の答弁をされましたが、これは裁判官非常駐裁判所をなくすという自分の責任を棚に上げての暴論であると私は思います。最高裁判所は、地域住民の声に謙虚に耳を傾けて、今日の地家裁支部の統廃合を取りやめるべきだと私は考えますが、時間がありませんから簡潔に答えてください。
#141
○金谷最高裁判所長官代理者 委員の御理解が得られなくて残念でございますが、今回の私どもの支部の適正配置の目的は、むしろ裁判を受ける権利を実質的に保障したいということでございます。隣の支部まで行くのに、あるいは本庁まで行くのに時間が短い、そして事件数が少なくて、そこの支部を統合した場合にかける迷惑の程度が比較的小さい範囲にとどまるという場合にはこの配置を見直して、そして人的、物的なよい状況のもとで裁判を受けるようにする、その方がいい形の裁判ではないかと私ども信じて行ったところでございます。
 なお、地域の住民の御意見については十分耳を傾けました。私自身におきましても、最高裁の総務局の方へ陳情に来られたのに対しまして、毎回三十分ないし一時間程度のお相手をたくさんの人方とさしていただきました。五十回を超えております。そういった中で、五十八の対象支部を出した中で、御意見も踏まえまして統合を四十一に絞り、なおかつ、その半数は家庭裁判所の出張所という形で対応さしていただいた次第でございます。ぜひそのあたり御理解願いたいとお願いする次第でございます。
#142
○木島委員 それにもかかわらず今度の国民審査で愛媛県でああいう結果が出たということは、国民は理解していないということをあらわすものであると私は思います。
 時間がありませんから、次の質問に移ります。
 裁判官が非常駐の裁判所の解消の問題について伺いますが、現在非常駐の地家裁支部が幾つあるのか、簡裁が幾つあるのか、それぞれ答えていただきたい。――答えられませんか。前もって言っておいたでしょう。私の調べでは、昨年六月現在で非常駐裁判所は乙号支部で九十八、独立簡裁で四十二とありますが、よろしいですか。よければもういいです、時間がありませんから。
#143
○金谷最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。
 独立簡裁の非常駐庁が四十二でございます。非常駐庁乙号支部で九十八あったわけでございますが、そのうち四十一廃止いたしまして残り五十七、こういうことでございます。
#144
○木島委員 今月末で統廃合によって四十一の地家裁支部が廃止されるわけですが、そうするとそこは全部独立簡裁が残るわけですが、これは全部非常駐の裁判所になるわけですか。
#145
○金谷最高裁判所長官代理者 支部の統廃合によって独立簡裁になります庁で、簡裁判事の配置しない庁というのは十庁でございます。
#146
○木島委員 そうしますと、その十庁と簡裁の非常駐裁判所が四十二で五十二あるわけですが、昨年からことしにかける一年間で幾つの非常駐裁判所が解消されましたか。
#147
○金谷最高裁判所長官代理者 六十三年五月の簡裁適正配置実施後は九庁でございます。
#148
○木島委員 昨年簡易裁判所裁判官を五名増員したことによって、実質上裁判官のいない簡易裁判所の解消が幾つ図られたのですか。
#149
○金谷最高裁判所長官代理者 昨年は二庁でございます。
#150
○木島委員 そうしますと、このペースでいきますと、残る五十二の非常駐裁判所をなくすにはあと二十五、六年かかると伺ってよろしいですか。
#151
○金谷最高裁判所長官代理者 残りの非常駐簡裁に裁判官を常駐させるべきかどうかということは大変問題でございます。
 現在裁判官の常駐していない簡易裁判所の事務量というのは、裁判官一人当たりの五分の一以下でございます。そういう状況のところへ裁判官を配置することがいいのかどうか、むしろ忙しいところの陣容を弱くしてそういう事件の少ないところへ配置するのがいいかどうかということについては、私どもはそれがいいとは考えていません。(木島委員「質問に答えてください。それをした場合にはです」と呼ぶ)実は、昨年二庁解消いたしましたのも相当工夫をいたしまして、てん補の組み合わせを考えた上で実施したものでございます。非常駐庁を解消するという前提をとればおっしゃるとおりでございますが、私どもはその前提をとっていないわけでございます。
#152
○木島委員 時間がありませんから、もう一つ残る問題を質問いたします。午前中も質問されておりましたが、速記官の問題について伺います。
 平成元年十二月一日現在で、速記官の定員は九百三十五、現在員は八百七十一、欠員六十四というようでありますが、裁判所の職員でつくっている全司法労働組合では、現在書記官三百五十一、調査官百五十二、事務官三百四十六などに加えて、速記官八十五名の増員を要求しております。そこでの調査等によりますと、速記官は原則として地裁本庁にしか配属されていない。そのため、八八年十月から一年間に全国で一千六十二回、一千八百七十七時間もの間、てん補によってほかの裁判所へ出張して速記を行っているという調査があります。また、裁判官からの速記の要請に応じられなかった時間も八十二時間ある。私の地元である長野地裁松本支部では二十一時間も速記要請に応じられなかった。これは裁判所からの速記要請に応じられなかったとあります。これでは迅速かつ適正な裁判にも支障が生じまして、国民の期待する裁判はできないと思います。午前中の答弁で、裁判所は速記官は基本的に充足しているという認識のようですが、私は裁判所は現場の実態を把握していないのではないかと思わざるを得ません。
 また、部外速記の問題も午前中触れられましたけれども、私の調べでは、八八年の十月から一年間に裁判所がお金を負担した部外速記が、東京の刑事裁判で四時間、民事裁判で百時間、八王子支部で四十時間、大阪の地裁民事で七百八十時間、高裁民事で八時間、堺支部で二十二時間、岸和田で三時間三十分。また、弁護士たち、自分たち当事者がお金を負担して部外速記を頼んだ時間が、千葉地裁で二十八時間四十五分、大津で六時間三十五分、京都で二十一時間三十分、神戸で六時間、尼崎で十五時間、姫路で二十時間、奈良で三十五時間三十分とあるわけです。とても最高裁の認識のように速記官が充足しているなどとは言える数字ではないと思いますが、どう認識しておられるでしょうか。ぜひともこういう実態を踏まえて増員の要請にこたえていただきますようお願い申し上げま
して、質問を終わります。
#153
○金谷最高裁判所長官代理者 せっかくの委員の御指摘、十分拝聴さしていただきましたが、お答えすることは午前中お聞きのとおりでございます。
#154
○木島委員 終わります。
#155
○小澤委員長 御苦労さまでした。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
#156
○小澤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#157
○小澤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○小澤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#159
○小澤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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