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1990/03/05 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第4号
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1990/03/05 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第4号

#1
第118回国会 本会議 第4号
平成二年三月五日(月曜日)
    ─────────────
 議事日程 第四号
  平成二年三月五日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
#4
○土井たか子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、海部内閣総理大臣の施政方針演説に対して質問いたします。
 まず、私は、今回の海部総理の施政方針演説と各党の代表質問は、さきの通常国会で総選挙に入る前に行われるべきであったことを指摘しないわけにはまいりません。総選挙の前に各政党が内外の政策課題に対する考え方の全体像を明らかにし、国民の審判を仰ぐことは、民主政治の基本であります。当時、日程上の困難は全く存在しなかったにもかかわらず、故意にそれを省略して本院を解散された総理の意図はどこにあったのでございましょうか。国民の前に堂々と所信を述べ合い論争することを避けたことによって、今回の総選挙が自民党の争点隠しによるすれ違いに終始したことにもなりました。この点についての海部総理の責任をまず問いたいと存じます。(拍手)
 今や、ベルリンの壁の崩壊、東欧諸国の激動、マルタ島での米ソ首脳会談などを通じて、歴史は大きな転回を遂げつつあります。それは、全体として半世紀近く続いた冷戦の時代は終わり、人類を核戦争による破滅の恐怖から解放する方向を目指すうねりであるととらえることができます。
 私たちは、ヨーロッパを中心に、人々が敵対から友好へ、憎悪から信頼へ、隔離から共生への道を歩みつつあることをまことに喜ばしく思うものであります。しかし、同時に、地球上にはなお飢えに苦しみ、医薬品にも事欠く人々も多数ある現実から目を離すわけにはまいりません。さらに、世界規模での環境破壊という戦争にかわる大きな脅威も確実に私たちを追い詰めようとしています。
 そのような時代において、巨大な経済力を持つに至った日本が、どのような国であり、どのように世界に貢献しようとしているのかは、人類の今後に大きな影響を与えるものとして、つとに内外のひとしく注目するところであります。私たちは、世界の流れにただ身を任せるだけではなく、進んで望ましい流れをつくり、加速させる責任があると申さねばなりません。
 また、日本が世界のGNPの一四%を占める経済力を持っていること自体につきましても、世界経済の上でのプラスの役割とともに、国際摩擦の原因となる側面が年を追って増大しております。その解決に当たっては、これまで状況にただ流されるだけであった日本の政治が今後どのような存在感を示すのか、世界の重大な関心事となっております。
 総理は、国際環境の現状をどう認識され、日本の進路をどこに向けられようとしているのか、御見解を聞かせていただきとうございます。
 私は、日本が示さねばならない第一の責任は、世界の平和に対する寄与であることを疑いません。それも、ただ平和に徹するという表面的な言葉だけではなく、具体的に何によってどう寄与するのかが、今最も緊急の課題として目前にあると考えるのであります。
 政府予算案によりますと、九〇年度の防衛費は、GNP見込みの一%以内におさまってはおりますが、実に四兆円を超えて、NATO方式で比較した世界各国の軍事費の中に占める第三位の地位は揺らぎそうにもありません。
 アジアにおける各国軍備の縮減の速度はヨーロッパに比べて遅いとは申せ、アメリカはもはやソ連を主要な脅威とみなさず、諸外国への駐留軍隊を削減し始めていることに如実に示されていますように、デタントの及ぶところはアジアをも例外とはしておりません。その中で、八九年度に比べて六・一%もの日本の軍備の突出的な拡大は、現在の国際社会に対して余りにも鈍感、無神経なものであると言わざるを得ません。(拍手)
 日本は、この際、防衛費の思い切った削減によって、アジアの軍縮、平和への細い流れを一気に奔流に変えるべきだと思います。それこそが私たちの平和憲法の求めるところではないでしょうか。
 海部総理、あなたは九〇年度防衛予算を進んで見直し、削減する用意はございませんか。また、その上に、冷戦時代の思考によって準備されてきた九一年度からの次期防衛力整備計画を根本的に修正する必要を感じていらっしゃるかどうか、はっきり御答弁を求めたいと存じます。
 今や、米ソの関係は、対決から対話、対話から協力の時代を迎え、ジョイントマネジメント、つまり共同運営が宣言されました。したがって、米ソの戦略的対決の中から生まれた日米安保条約も変質せざるを得ないことは明白であります。平和国家日本の課題は、アメリカと協力してその軍事同盟の性格を変え、他国の脅威とならない道を探ることにあると考えます。また、北東アジアの緊張緩和と平和と安定のために、日本が関係諸国に信頼醸成と平和保障のための協議を提起すべき時期ではないでしょうか。私は、この際、日米安保体制の今後とアジアの平和のために日本は何をすべきかという点について、総理の率直な御判断をお尋ねしておきたいと存じます。
 さて、海部総理、あなたは、特別国会の冒頭であるにもかかわらず、ブッシュ大統領の求めに応じて急遽訪米されました。ブッシュ政治の本質は、ワシントン・ポストが評したように、リレントレス・プラグマティズム、つまり仮借なき現実主義と徹底した議会対策主義にあると言われています。確かに今回の首脳会談はその本質をあらわにしたものであります。国内における十分な準備と協議もないまま、大統領から構造協議やスーパー三〇一条問題について日本の努力を要請され、総理は、真剣にやる、国民、企業の理解と協力をお願いしていると答えられたと報道されています。
 海部総理、一体何を大統領にお約束され、何に対して国民に協力を求められるのでしょうか。例えば大店舗法などについて、具体的にあなたはどうしようとされるのですか。また、米の市場開放問題について、完全自給を守るという国会決議に従うことを日本の総理としてはっきりと通告されたのでしょうか。私は、この際、首脳会談の経過と結果について、しっかりと御報告をいただきたいと存じます。
 今、国民は、ことしの夏までには最終的な結論を出さなくてはならない日米構造協議、ことしじゅうに終わるウルグアイ・ラウンドについて、さまざまな思いを込め、かたずをのんで見守っています。日米交渉を通じて日本はどんな譲歩を強いられるのか、もし譲歩しなかった場合、アメリカはどんな強硬手段に訴えるのかといった不安を持っています。政府は、これらの不安と疑問に対して、はっきりとこたえなくてはなりません。
 国民の知らないところで約束したり、内外の使い分けによって当面を取り繕うことのないよう、国際協調と国民の利益との調和を図る必要があります。総理はどのような方針で日米摩擦に対処しようとなさるのか、国民の理解と協力をどのように得ていくのか、お考えを明らかにしていただきたいと思います。
 次に、海部総理、総選挙の結果、あなた方自民党は安定多数を確保されました。しかし、それを国民が自民党に白紙委任した結果であるとお考えになっては困ります。
 議員定数の是正や政治改革は放置されたままであります。消費税の存廃やリクルート事件のけじめなど重要な選挙争点はあいまいなままでございました。その上に、空前の金権選挙、企業ぐるみ選挙が展開されたことは、周知のとおりです。
 選挙で公正なルールと公約に対する責任が尊重されなくてはならないことは当然でありますが、今回の選挙は、イギリスの新聞に、この国では民主主義の根が浅く、選挙戦は知的空白の中で行われたと書かれたような実態であったことは、極めて遺憾であります。
 そこで、お伺いいたします。海部総理は、今度の選挙が金権選挙、企業ぐるみ選挙と巷間批判されていることをどうお考えなのか。リクルート事件の関係者を閣僚、政務次官から外されたのは総理の見識だと思いますが、あなたは、いわゆるみそぎは終わったという説をとらないと理解してよろしいでしょうか。
 私たちは、かねてから、政治腐敗をなくすために、今から百年も前にイギリスで制定された政治腐敗防止法を参考にした政治倫理法の立法化を提案してまいりました。また、政治倫理の確立は国民に開かれた政治が基本であるという立場から、情報公開法の制定を求めてまいりました。総理は、今その必要性はないとお考えか、御存念をしかと承りたいのでございます。
 私は、総理が施政方針演説の中で、お金のかからない政治活動ということをおっしゃったことにこだわりたいと思います。これまで、政治にはお金がかかる、だから、という言葉を繰り返して、汚職事件に対する言いわけをしてきたことを反省し、お金をかけない政治を目指すべきであることを主張いたします。(拍手)
 さきの公職選挙法改正では、お金を出す方について幾分の改正が行われましたが、お金を集めることは野放しになっていることは問題です。私は、企業献金を禁止すること、公営選挙を徹底すること、政治団体、候補者への公的補助制度を確立することが必要だと考えますが、御見解を承りとうございます。
 海部総理、政治改革を一般的、抽象的なスローガンだけにとどめたり、小選挙区制の導入などにすりかえることは許されません。まずは、議員の定数是正についての国会決議を実現し、その上で一票の格差がなくなるよう選挙制度の抜本的改正を政治腐敗の防止策の確立とあわせて進めるべきであると存じます。いかがでございますか。
 次に、消費税と税制改革の問題についてであります。
 今度の総選挙で、自民党公認候補の中に、消費税には反対または廃止を公約された方々、消費税に全く触れられなかった人々が相当数おられることは御承知のとおりでございます。その上、複数の自民党の領袖は再見直しを主張されました。国民は一体どう判断すればよいか迷ったと思います。私は、まさか自民党の領袖が国民の目をくらますために発言されたとは信じたくありません。
 このような事実は、自民党の中にさえ、消費税及びその見直し案には重大な問題があることを認める人々が多数おられることを証明するものにほかなりません。それを、選挙に勝ったから消費税は支持されたと強調されるのは、牽強付会だと言わなくてはなりません。(拍手)
 中曽根さんが大型間接税は導入いたしませんと選挙公約して大型間接税を導入しようとし、それが消費税の強行採決につながり、海部さん、あなたがその陣頭指揮をとられた歴史を反省されるなら、この際、あなたはその反省の原点を、もし強行採決なかりせばというところへ戻すべきであります。
 消費税が年金生活者や低所得者ほどその負担に苦しむ弱い者いじめの不公平な大衆課税であることは、今さら申し上げるまでもありません。その上、今度の自民党の見直し案でも、国民が納めた五千億円を超える消費税が国庫に入らないというような不公正を続けることになるのです。それは、最初のボタンをかけ違えたまま次から次へとボタンをかけていくことと同じであり、矛盾は一層拡大するばかりでございます。
 海部総理、消費税は、参議院の意思として示されたように、廃止することをはっきりとさせるべきであります。私たちも、国民に責任を持つ立場から、廃止を前提として、与野党で忌憚のない話し合いを行うことに協力いたします。今国民が求めていることは、不公平税制の是正であり、所得税や固定資産税などの重負担の軽減であります。私たちは、その解決のため全力を挙げたいと考えています。これらの点についても総理の御見解をお尋ねしておきたいと存じます。
 また、政府は九〇年度予算案を提出されましたが、この予算案は、消費税の存続を前提としています。そして、その執行には関連の法案の成立が必要であります。私たちは、消費税の存続のための関連法案に賛成することはできません。もし政府が地方財政対策を初めとする予算を遅滞なく執行させたいとお考えなら、予算案における消費税収入はとりあえず歳入において凍結すべきであると考えます。(拍手)これらの予算修正について、政府・自民党は真剣に野党と協議すべきだと考えますが、どうなさいますか。
 次に、私は、九〇年代の経済、社会と国民の暮らしについて質問させていただきます。
 海部総理、東京など大都市では高層ビルが日ごとに建設されています。しかし、下水道や公園・緑地、文化・スポーツ施設などの社会資本の整備は、国際的に見て誇れる状況だとお考えでございますか。
 そして、強く指摘いたしたいのは、土地や住宅などに見られる資産格差が急激に進んだ事実であります。東京などでは、生涯懸命に働いても、もうマイホームを持つことは夢のまた夢であります。このような異常な地価の高騰をもたらした政策的責任を自民党政府がお感じになるならば、土地基本法成立の上に立ってどのような具体的施策をお持ちになっているのか。また、土地や株などの資産格差の是正のために、税制を含めどのような施策を講じられようとされているのでしょうか。
 あなたは、年収の五倍以内の価格の住宅を十年間で首都圏に百万戸つくると選挙公約されましたが、その具体的施策は何も聞かせていただいておりません。依然として持ち家制度下の百万戸ですか。私は、公有地など未利用地の利用を含めて公共賃貸住宅を建設することで住宅難の解消を図るべきだと思います。計画性のない空約束ではなく、東京圏において今後十年間に公共住宅を百万戸建設すること、家賃控除の創設や住宅ローン控除の拡充を図ること、そして一方、数百兆円とも言われる巨額な含み資産を社会還元させるため、土地の保有課税を思い切って改革し、地価の抑制を図るべきだと思いますが、総理、いかがでしょうか。(拍手)
 豊かな社会とは、また優しい社会のことです。優しい社会とは、年齢や性別にかかわりなく、また、障害のある人もない人もひとしく社会の一員であるということが大切にされる社会であり、働く場や社会参加がだれにも保障される社会です。我が国が今急速に本格的な高齢化社会へ移行しつつある中で、だれもが安心できる高齢化の社会福祉プログラムを国民的な論議を通じて確立することが求められています。
 国民が最も老後に対して不安を感じていることは、寝たきりや痴呆症になったときのことです。お年寄りの介護問題への対応は緊急の課題であります。社会党は、先般、重介護保障のための政策大綱を発表し、必要なときすぐ利用できる介護サービスの確立の提案をしております。
 政府の十カ年戦略では、十年後になっても西欧にはるかに届かない水準の福祉にすぎません。ホームヘルパーを政府案の二倍にして、ようやくヘルパーが一日三人の介護をさせていただくことが可能となり、そこでヨーロッパの水準に達するのであります。寝たきりのお年寄りやその御家族は十年も待ち続けることはできません。総理、思い切ってこの問題に対処していただきたいのです。いかがでしょうか。(拍手)
 第二は、高齢者の雇用と所得保障の問題であります。
 厚生年金は現在六十歳から受給できますが、六十歳以上の定年制を実施している企業は六割にすぎず、いまだに五十五歳定年制を実施している企業が四分の一近くを占めているのが実態です。我が国でも、ヨーロッパ諸国のように雇用と年金の接続を社会的な原則として確立することが必要です。現在の基礎年金については、無年金者や低額年金者をなくすために最低保障年金として一層充実する必要があると考えますが、総理の御見解をお尋ねいたします。
 国際的要請としても、我が国の労働時間の短縮が不可欠です。我が国は、九三年度中に千八百時間の達成を国際公約していますが、それは長時間労働が国際競争の上で不公正な要因となっているためでもあります。しかし、時間短縮は残念ながら杳として進んでいません。
 そこで、完全週休二日制、週四十時間労働のための労働基準法の改正、官公庁の完全土曜閉庁の推進、中小企業への税財政上の措置などにより時間短縮を促進すべきであると考えます。
 また、パートで働く人々の権利を保障するための立法化と所得控除の大幅な引き上げ、野党四党が共同提出した育児休業法の早期制定などを図るべきだと考えますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
 今、春闘のシーズンであります。岩戸景気に次ぐ景気の長期拡大の中で大企業は笑いがとまらないのに、労働分配率は低迷を続けています。したがって、経済力に見合った賃金の引き上げが必要であります。加えて、国際的に見て特別に高い物価水準を是正するため、製品の内外価格差の是正、輸入総代理店制度の見直しなど流通制度の改善、公共料金の適正化、独占禁止法の運用強化、公正取引委員会の拡充等を図るべきであります。こうした国民生活の当面の問題についてどのような所見をお持ちなのか、物価の海部とみずからおっしゃった総理の明快な御答弁を伺いたく存じます。
 さて次に、最初にも触れましたが、我が国の外交について若干ただしておきたいことがございます。
 海部総理は、日米首脳会談でグローバルパートナーシップを確認されました。私は、この点にして、もし総理が地球的規模の協力や未来を語るとすれば、今現在、日本みずからに課せられたき諸問題についてきちっとしたスタンスを示すべきだと思います。申すまでもなく、それは平和憲法の心であります。日本は、今こそ核兵器の廃絶と軍備全廃を全世界に訴え、それを具体化するために積極的な外交を展開すべきであります。それこそが、海部総理、あなたのおっしゃる志のある外交ではありませんか。(拍手)
 そのために、我が国の国是である非核三原則を堅持し、これを厳守しなくてはなりません。また、防衛費を思い切って削減し、アジアの軍縮を促すとともに、諸国民の日本に対する警戒心を解消していくべきであります。日本に偏狭なナショナリズムが台頭することを懸念する人々に対しては、民主主義をより確かなものにすることによってこたえなければなりません。経済大国にふさわしい国民生活のために、内需を拡大し、福祉を充実させ、労働条件を改善することによって、日本がエコノミックインベーダーなどと呼ばれない国になることが必要であります。その上に立って、私たちは、その経済力、技術力、マンパワーによって、地球上の飢えや疾病、貧困、そして地球環境の危機を救うために積極的に貢献すべきだと信じます。
 その点で、私は、第一に、ODAのあり方について御見解を求めたいと存じます。
 ODAは、本来、最貧困地域、最貧層、社会的弱者への支援が目的であり、被援助国の経済的自立、民生向上が最優先されなくてはなりません。そのためにも、ODAの目標をGNP一%に置き、当面国連決議である〇・七%を目指すとともに、ODAの基本原則、優先順位、情報公開、計画と予算についての国会の関与、実施体制の一元化とNGOの参加などを盛り込んだ国際開発協力基本法の一日も早い制定が不可欠であります。総理の御見解をお聞きしたいと存じます。
 第二は、地球環境の保全のための国際共同行動に日本が積極的なイニシアチブを発揮することであります。一人一人の生活と地球環境問題は密接不可分に結びつき、南北問題とも絡み合っております。その意味で、私たち一人一人の生活スタイル、産業のあり方、森林資源の保全を含め、地球環境問題は人類文明のあり方にかかわっております。我が国が、砂漠の緑化や熱帯雨林の再生、二酸化炭素の削減などの技術開発のためにナショナルプロジェクトを設置し、対外貿易黒字の数%をそれに投入するだけで世界に十分に貢献できると考えるのでありますが、総理はどのような御所見をお持ちでありましょうか。(拍手)
 第三は、憲法の基本的人権の立場に立った人権立国の確立と人権外交の展開であります。
 先月、南アフリカのマンデラ氏が二十七年ぶりに釈放され、先日は在日韓国人の徐勝さんが十九年ぶりに自由の身となったことを私は心から喜びたいと思います。しかし、総理、日本の人権問題が国連で批判の対象になっていることを御存じでございましょうか。被差別部落の問題、アイヌ民族、精神障害者、在日韓国・朝鮮人を初めとする在日外国人の人権問題など、日本は経済力は豊かだがモラリティーは貧しい国だと言われたことを心から恥じるものであります。
 国連は、昨年、子供の権利条約を採択しましたが、我が国は早期批准のための準備本部を発足させるべきであります。また、ことしは国連が決めた国際識字年でもあります。非識字者の七割がアジアに集中していることを考えるならば、ODA予算の重点配分を含め、日本が識字教育のために積極的な役割を果たすべきであると思いますが、総理の御所見を伺いたいと存じます。
 私は、現在の世界が戦後政治史の転換点に立っていることをるる申し上げました。しかし、日本の政治、外交において未解決の懸案が二つ存在いたします。
 その一つは、朝鮮問題であります。
 極東アジアにおける平和と安定にとって、朝鮮半島の情勢は大変重要な位置を占めています。日本にとっての朝鮮問題は、三十六年間にわたる植民地支配に対する反省と贖罪がすべての出発点でなくてはなりません。この点について、一昨年竹下首相も同様の見解を本院で表明されましたが、総理はどのような認識をお持ちでありましょうか。
 現在、日韓両国の間で在日韓国人の法的地位問題、とりわけ三世の人々の法的地位、いわゆる九一年問題が懸案として浮上しております。この問題は早急な解決が必要であり、また、南北の国籍の相違によって差別があってはなりません。私は、日本と朝鮮民主主義人民共和国との関係をあらゆる面で正常化し、南北との均衡ある関係を確立することが、緊張緩和と南北対話・統一を促進することにつながると考えますが、総理の御見解を承りたいと存じます。(拍手)
 二つは、日ソ関係の改善であります。
 日ソ関係は、これまで北方領土問題の解決を入り口論とする政経不可分の原則をとる日本政府の方針によって全く前進しておりません。この間、米ソ関係は、相互信頼、相互依存の方向で大きく変化しております。しかるに、自民党政府は相も変わらぬソ連脅威論にしがみつき、外交当局は政経不可分を盾に民間の対ソ関係改善の動きを妨害することも再三でございました。
 我が党は、北方領土問題について原則的な立場を主張し、そのためには経済、文化、学術などのあらゆる分野で日ソ関係を改善し、信頼関係を確立することが領土問題の解決に不可欠であるとの立場をとってまいりました。来年にはソ連のゴルバチョフ書記長の訪日も予定されています。今が日ソ関係改善の好機であります。その点で、去る一月の安倍元外相のソ連訪問は政経不可分から一歩踏み出したものと判断いたしますが、総理の御所見を伺います。
 以上、私は、海部内閣総理大臣の施政方針演説に対して質問してまいりました。最後に、一番大切なことについてお伺いいたします。
 昨年の参議院選挙、今回の総選挙を通じて、日本の政治が新しい現実を迎えたと私は考えます。三十数年間にわたる自民党一党支配の政治がもはや貫徹することができず、形式的な数の論理ももはや有効性を持ち得ません。まさに議会制民主主義の原点に基づく徹底した討論と話し合いによって国民合意を形成する新しい政治の時代を迎えたと考えるのであります。総理は、こうした新しい現実を踏まえ、新しい国民合意の政治を構築するためにどのように決意をなされているのかをお伺いし、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 土井委員長にお答えをいたします。
 私が去る国会で施政方針を行わなかったことについての責任とおっしゃいましたけれども、議会の日程は各党間の御協議で調わず、私も各党間の御協議に従ったものであります。
 国際環境の現状と日本の進路につきましても申されましたが、ただいまは、土井委員長おっしゃるように、歴史的変化のさなかであるという認識は私も同じでございます。ヨーロッパにおける東西関係というものが対立から対話に変わったこと、そして社会主義統制経済の不効率さを乗り越えて自由と民主化を求めようという動きが大きく出ておるということも私は思います。ですから、その中で対話と協調へ発展していかなきゃならぬ。そして、世界は、もうこれから戦争ではなくて、人間が豊かで明るく幸せに暮らすためにはどうしたらいいかという新しい秩序づくりを求めているところでありますから、日本はその新しい秩序づくりにきょうまでの経済力や持てる技術力を積極的に提供し、参加をし、新しい枠組みづくりの中で大いに役割を果たしていかなければならない、私はこう考えております。(拍手)
 また、来年度の防衛予算に関して、現下の国際情勢について言われましたけれども、私も、軍備管埋・軍縮交渉を初めとする東西間の対話の進展や東欧諸国における民主化の動きなど目覚ましい変化が見られること、それは注目をいたしておりますけれども、いまだ現実に世界のすべてが力の均衡と抑止力が平和を支えておる基本的な条件になっておる、これもやはり率直にお認めをいただかなければいけないことだと考えるのです。
 同時にまた申し上げますけれども、我が国が今保有しております防衛力というのは、戦時を目標としたものでなくて、あくまで平和時に保有すべき防衛力の水準を決めた「防衛計画の大綱」に従っておるものでありまして、あくまで平和時のための節度あるものであります。平成二年度の防衛予算につきましては、これは平和時における我が国の安全を国民の皆さんのためにきちっと確保するというその目的で置いてあるわけでありますから、世界の紛争とか東西の解決によって、平成三年度以降の防衛力整備については、その国際情勢の変化及び経済財政事情等を勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに逐次検討をしておるわけであります。
 また、日米安全保障体制の問題についてもお触れになりましたが、東西の対立がヤルタ会談においてあのような対立となり、マルタ会談によってその対立が対話の方へ動き始めたという歴史の流れの裏には、それまでの長い間の西側諸国の同盟に基づく結束と決意があったからあのような動きが出てきたものと私は思っておるのです。(拍手)ですから、アジア・太平洋情勢は、欧州とは異なり、より複雑で、より不安定であり、変化が見られません。今後とも、私は、日米関係の基礎をなす強固なきずなが日米安保条約であり、アジア・太平洋の平和と安定にとってこれは不可欠な枠組みとして機能していくものと考えておりますので、その運用に当たっては細心の注意を払いながら努力を続けていく考えであります。
 また、アジアには、まだ南北が対峙している朝鮮半島があります。カンボジアでは今日なお戦争が続いておるという状況もございます。我が国は、アジアの一員としてこれらの国々との友好関係の確立に努力をしながら、みずからの平和と繁栄の多くをこの地域の平和と安定の中でつくり上げていかなければならないのであります。私は、今後とも、可能な限りの外交努力を傾けながら、アジアの平和のために貢献してまいる考えであります。
 また、日米首脳会談の問題でありますが、私は、内閣発足早々にアメリカへ行きましたというのほ、日米関係を重要だと考えているからであります。過日の党首討論会でも、土井委員長も訪米の意向をテレビ討論会で表明しておられるわけでありますから、アメリカと胸襟を開いてお互いに話し合おうということを、話し合うのはよくないというのは、どうぞ考えを改めていただきたいと思うのであります。(拍手)
 また、今般の日米首脳会談は、激動する国際情勢のもとで、新たな日米関係について掘り下げた意見交換を行いたい、議題を決めないで率直に話し合おうということで参ったわけでありまして、これは、特定の交渉だとか取り決め事をしようというのではなくて、世界経済の現状から、日本とアメリカが政策協調をし協力をしながら、地球的規模の問題にどのように対応できるのか、累積債務の問題も、環境の問題も、麻薬の問題も、テロの問題も、いろいろとお話し合いをしてまいりました。
 また、日米両国の間柄につきましても、最近の経済情勢を通じて、日本とアメリカとの間にあるいろいろな貿易の不均衡問題については、アメリカにはアメリカが考えてもらうべき問題を指摘し、アメリカからは日本が考えるべき問題の指摘を受けて経済の構造調整を続けてきたわけでありますが、その結果は、最近アメリカも、努力によって貿易摩擦の問題に徐々にいい傾向が出てまいりました。日本の輸入の拡大によって、アメリカの大統領自身も認めるように、最近は五百億ドルというラインを下がって、四百九十億ドルのところへ下がる傾向が出てきておることも、一つの兆候としてはこれは努力でございますし、アメリカの財政赤字もアメリカの努力によって下がってきておるということも、これは事実でありますから、こういう好ましい方向性の努力を、今後、日米両国がお互いに協調をし、話し合って、それぞれの国の国民の生活を高めるような努力をしていくことが大切だと考えておりまして、腹を割って率直な意見交換をしてきたところであります。
 私は、そういう意味で、かねて前川レポートのとき以来、日本は内需を拡大して、輸入を多くして、国際貿易の中で日本の果たすべき役割は非常に大切だと指摘をしてやってまいりました。日本の貿易相手はアメリカだけではありません。アジアの諸国からの輸入も最近目立ってふえてきておることは皆様御承知のとおりであり、日本は貿易と経済を通じてこれらの地域の経済的安定と活力のためにも大いに貢献し努力をしておるということをこの際御報告申し上げて、国民の皆さんの御理解と御協力も賜りたいと思うわけであります。
 また、この間の選挙について言及がありましたけれども、金権選挙、企業ぐるみ選挙が何を意味しているのか定かでありませんが、政治活動を行うにはある程度お金がかかるわけであります。私は、この間の討論会でも申し上げましたが、政治にお金がかかるから与党も野党も政治資金を集め、使ってきたわけですけれども、その問題はもう少しわかりやすくきれいにというところにあるなれば、選挙制度や政治資金制度の抜本的な改正にも取り組んでいかなければなりません。現在選挙制度審議会において御審議していただいておるところでありますが、答申をいただきましたならば、また各党各会派の皆さんの御議論をお願いをして前進をさせていきたいと考えております。
 また、選挙とリクルート事件のみそぎのことについてお触れになりましたが、リクルート事件のいわゆるみそぎについては、選挙を通じてそれぞれの選挙区の有権者の方からそれぞれの議員が洗礼を受けてこられたのは、これは事実でございます。選挙の結果を否定するわけにはまいりません。ただ、私は、党としてリクルート事件のけじめというのは、政治改革を思い切って前進させて国民の皆さんの信頼を取り戻すことにあると、こう考えております。
 また、政治倫理法の問題についても、国会議員の資産公開を含む政治倫理の確立について、各党において法制化に向けられた努力が続けられていると承知をいたしております。今国会におけるお話し合いによる各党間の合意が生まれますように私は期待をさせていただきます。
 情報公開法の問題にもお触れになりましたが、行政に対する国民の信頼を確保する観点から、行革大綱等に基づいて文書閲覧窓口、閲覧目録の整備などにより行政情報の公開にただいま努めておるところであります。引き続き、これらの問題はどのようにすべきか、調査検討も進めてまいる所存であります。
 企業献金の禁止に関しての御意見もありましたが、企業も一つの社会的存在であることを考えますと、政治活動に関する企業などの寄附が全くよくないと決めてかかるのは適当ではないと考えております。もとより、節度を持って政治資金を調達すべきことは、これは当然のことでありますから、前国会に引き続いて、政治資金規正法を通じての各党の御議論も御期待をさせていただきたいと思います。
 また、公営選挙につきましては、現在のところいろいろな問題を通じてできる限り公営選挙の制度も取り入れられておるわけでありますが、公営のみならず、政策論争を中心の選挙とかいろいろなテーマがあるはずでありますから、これは今後の問題として検討させていただきます。
 政治改革は、まず定数是正の国会決議を実現し、その上で一票の格差を是正するようにというお話でございます。私は、衆議院議員の定数是正に関する国会決議の趣旨も十分に尊重しながら、これは事柄の性質上各党の皆さんの御議論の進展を期待いたします。
 消費税につきましては、いろいろと御議論がございましたが、私は、今度の選挙を通じて、税の話は愉快な話ではないけれどもこれはぜひお願いしなければならぬから聞いてくださいと言って、消費税の問題を率直に訴えてまいりました。党首討論会のときにもいろいろ申し上げた次第でございます。もし今度の選挙、一時言われましたように、今度の選挙は消費税の存廃を左右する国民投票だというのが説であるとするなれば、この国民投票の結果は、国民の皆さんによって御理解と御支持をいただいたと言っても言い過ぎではないと思います。しかし、私はこの前の選挙のときにも申し上げましたが、選挙というのは消費税だけで戦ったのではないわけですから、政治は消費税だけで行っておるわけではありませんので、移り変わる外交の問題や、将来に向かっての公正な社会の問題や、いろいろなこと等がございます。
 我々も謙虚に反省をして、消費税を見直し、見直し案をつくって国会に提案をするわけでありますから、どうか皆さんの方も、選挙中におっしゃったように、廃止ではなくて、個別間接税のお話もきちっと出てきたわけでありますから、そうして直間比率をどうするかということも社会党からもお述べになったわけでありますから、七対三の直間比率が望ましい案だというような御意見も私は選挙中新聞で読ましていただきましたので、それらのことに関して具体的な案を示していただき、国会を通じての御議論をぜひいただきたいものだと私は心からお願いをさせていただきたい次第でございます。(拍手)
 また、不公平税制の問題については、一昨年、与野党協議の場において野党から不公平税制是正の共同提案が示され、十項目が検討の対象として提示されておりました。この中において、政府は今後ともかかる公平な税制実現のために努力を続けてまいる所存でございますから、これらのこともお話し合いを続けていただくためのテーマになるのではないでし上うか。
 また、所得税の負担の軽減につきましては、既に総額三兆三千億円に上る大規模な所得減税を実施したところであり、この結果、中堅所得者層を中心とした重税感、負担累増感が大幅は緩和されたものと考えております。
 固定資産税の重負担の軽減の問題につきましても、固定資産税は三年ごとに評価がえを行い、適正な負担を求めているところでありますが、このうち特に住宅用地については、住宅政策の観点から、二百平米までは四分の三、それを超える部分についても二分の一を軽減する特例措置を講じておるところであります。
 政府は消費税収入を凍結して予算修正について野党との協議に応ずる考えはないかとおっしゃいますけれども、これを凍結したり廃止したりする考えはございませんので、現に施行されておる消費税であり、その世論を尊重しての見直し案を前提に編成もしておるわけでございますから、この現実の上に立って、御審議の上、いろいろと御議論を賜りたいと考えております。
 また、生活関連社会資本の整備につきましては、私たちもそれが極めて重要だということは認識し、きょうまでも既に十五本に及ぶ公共社会資本関連の中期経済計画を立てて、国際的に見ても、上水道等既に遜色のないような分野も出てきている一方、下水道など依然として整備水準が十分でない分野もあることはよく承知しております。今後とも国民生活の質の向上に向けて社会資本の着実な整備を推進していくことは当然の心構えと考えております。
 土地基本法の成立の上に立ってどのような具体策を講ずるかというお話でありますが、かねてより、総合土地対策要綱に従い、監視区域制度の的確な運用、不動産業者、金融機関等に対する指導、税制上の措置等の各般の対策を推進してきたところであります。今後とも、土地対策関係閣僚会議において今後の土地対策の重点方針を決めておりますので、平成二年度中に住宅宅地供給の促進や土地税制の総合的見直しについて、特に重点的に成案を得て国会にお示しをしてまいりたいと思っております。
 近年の東京圏を中心とした地価高騰により資産格差が拡大していることば、私も重々理解をし、自覚をしておるところであります。ここで、総合土地対策要綱に沿った各般の施策を推進していかなければならないと考えております。
 また、資産課税についてもお触れになりましたけれども、利子課税や有価証券譲渡益課税については、きょうまでいろいろ見直し等各種の措置を講じてきたところでありますが、さらに土地税制については、土地基本法の理念を踏まえて見直しを行っていきたいと考えており、これは早急に税制調査会の御検討を煩わしたいと考えております。
 また、首都圏において、一般勤労者の住宅需要にこたえ、今後十年間に百万戸を目標に新たな住宅の供給を行うことを検討しておりますけれども、これは、住宅宅地供給方針の作成、低未利用地の有効高度利用による住宅供給の促進を内容とするものでありまして、おっしゃるように、我々は、年収の五倍で家が求められるように、月収の二割の家賃で良質な家が借りられるように、そのようなことを構想しながら努力を続けてまいります。
 土井委員長は、公共住宅を百万戸にしろと言われますが、公共住宅の的確な供給についてはきょうまでも努めたところでありますけれども、今後も住宅金融、税制上の措置等によって良質な民間住宅の供給にも努力をしてまいりたい、あわせて庶民の要求にこたえていかなければならない、このように考えます。
 お年寄りの介護問題に対しましては、極めて重要な課題であり、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を作成し、ゴールドプランと称して、その目標を明らかにしております。ショートステイやデイサービスや各種在宅サービスの拡充に、きちっと目標を決めてやっておるわけであります。
 社会党もこの二月に政策大綱を発表されましたが、高齢者の生活様式やその家族の負担意識、そして負担額の相違その他のことを考えますと、異なるヨーロッパと我が国を単純に比較することは困難な事情もあると考えますので、政府としては、このゴールドプランの実現に向けて今後全力を挙げていくつもりでおります。
 基礎年金は、老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方に基づいて、先般の改正で月額五万五千五百円に引き上げたところであります。
 労働時間の短縮を進めるというお話もございましたが、これは勤労者生活を豊かにするために達成しなければならない国民的な課題であると考え、改正労働基準法が施行された一昨年四月以降着実に減少傾向をたどっております。五カ年計画における目標の達成に向けて、中小企業に対するきめ細かな配慮をも加えながら、完全週休二日制の普及を基本に考えていきたいと思っております。
 労働時間の短縮を進めるため官公庁の完全土曜閉庁の推進を図るべきではないかとの御意見もありましたが、国民の合意を形成し、業務の一層の効率化を図りつつ、実現するように努力をしていきたいと思っております。また、昨年一月から実施している土曜閉庁の定着状況もあわせて見きわめながら検討をし、国民世論の動向を勘案して判断を深めてまいりたいと思っております。
 中小企業については、労働時間の短縮を進める上できめ細かな配慮が必要であります。このため、中小企業には自主的な労働時間短縮の取り組みを促進するため、指導及び援助に努めるとともに、経営基盤の強化に向けての施策を講じてまいりたいと思います。
 パート労働法、育児休業法については、労働条件の改善、雇用の安定を図ること、また、育児休業制度の確立に向けて普及促進に努めてまいる考えであります。
 昨年十一月のいわゆるパート減税の実施により、パート収入の非課税限度が百万円に引き上げられた結果、妻のパート収入が百万円の世帯の場合、夫の給与収入と合わせた世帯収入で三百六十四万二千円まで全く所得税がかからないことになるなど、既に税制面でほできる限りの配慮をいたしておるところであります。
 また、経済力に見合った賃金の引き上げをとおっしゃいます。本年の春季賃金引き上げにおいても、労使がこのような観点に立って自主的な話し合いを通じて円満、合理的な解決が図られることを期待いたしております。
 内外価格差の問題については、消費者重視の観点から、政府・与党一体となって価格差対策推進本部を設置して、六項目から成る検討事項を申し合わせ、五十二項目にわたる内外価格差対策についての案件を決定いたしました。これによって、内外価格差の実態調査とその公表、規制の緩和、独禁法の厳正な運用、競争条件の整備、予算、税制、関税等による輸入促進策など適正な政策を盛り込み、今後とも着実な実施に努力をしていきたいと思っております。
 終わりに、外交について、地球的規模の問題とは何かという御指摘がございました。御指摘のとおり、核兵器の問題については、我が国の究極的な目標が核兵器の廃絶にあることは言うをまちません。ただ、今日の国際社会において、依然として核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えているというのが冷厳な現実でありますから、均衡を維持し、安定を崩すことなく軍備の水準を可能な限り下げていくという軍縮促進の努力が今いろいろなところで行われておるのではないでしょうか。国連、ジュネーブ軍縮会議等において、我が国も積極的に参加をし、努力をしていく所存であります。
 また、ODAについては、相互依存と人道的考慮に基づき、これからも第四次中期目標のもとでその着実な拡充に努めてまいります。また、国会に対しても随時所要の報告、資料提出等を行うとともに、相手国の立場にも配慮しつつ、情報の公開にも努め、民間援助団体との連携強化にも努めて、経済協力の実施体制を進めてまいりたいと考えております。
 地球環境問題は、人類の生存基盤に深刻な影響を与えることは、これはよく理解をいたしております。我が国も、昨年、地球環境問題東京会議を開くなど、国際的な枠組みづくりへの協力、参加、科学的知見の強化のための観測監視と調査研究、地球環境保全に関する技術の開発普及、開発途上国の環境保全努力を支援するための政府開発援助の拡充などの面で施策の推進に鋭意努力をしていくつもりであります。
 憲法の基本的人権の立場に立った人権外交を展開せよとの御指摘は、私もそのとおり受けとめさしていただき、日本国憲法は基本的人権を基本理念といたしております。人権尊重は国連の重要な目的の一つでもあります。人権尊重と促進のために今後とも努力をしてまいります。
 また、児童の権利条約の締結については、他の条約との整合性をも勘案しつつ、政府部内において検討を始めたところであります。
 識字教育に関しましては、ユネスコが中心となって国際協力を呼びかけております。我が国もこれにこたえて、アジア・太平洋地域における識字事業に協力するため、平成二年度予算においてユネスコに対する拠出を予定いたしております。
 朝鮮半島政策にお触れになりましたが、竹下元総理が昨年三月国会において申された方針、すなわち、朝鮮半島のすべての人々に対し過去の関係についての深い反省と遺憾の意を表明したが、私も全くそれと同感であります。かかる認識は絶えず銘記されるものであると思っておりますから、このような過去を克服し、将来に向かって善隣友好関係を構築していかなければならないと考えております。
 また、日韓友好関係を踏まえて、いわゆる三世問題にもお触れになりましたが、法的地位協定に基づき、日韓両国政府間で精力的に協議を実施してまいりたいと考えております。
 我が国の重要な隣国であるソ連との間柄については、貿易、人間、文化の交流などそれなりに前進をしつつあるということは、私もそのように考えておりますが、日ソ関係の抜本的な改善はいまだ実現しておりません。私は、アジア・太平洋地域における平和と安定の強化、さらには東西関係改善の観点からも、日ソ関係の正常化と抜本的な改善は枢要な意義を持っておるものと認識しております。
 しかし、戦後最大の懸案である北方領土の返還、そして平和条約を締結すること、これが最重要課題であるというこの基本に変わりはございません。私は、日ソ関係全体を均衡のとれた形で拡大させることが基本的な考えであり、この立場より、既にソ連側に対して拡大均衡の考え方を提示いたしてあり、基本的賛同を得ておるところであります。
 今般、私あてにゴルバチョフ議長から親書が参り、そこで確認された来年の来日という意向を踏まえ、今後一層対話を積み重ね、両国関係の正常化と抜本的な改善を図ってまいる所存でございますが、御質問の中で触れられた政経不可分の問題については、政府としてこの原則を堅持するものであり、また、さきに安倍元自民党幹事長の訪ソの際の八項目の提案についても、この基本路線を変える趣旨ではなく、まさに拡大均衡の立場より日ソ関係の推進のために努力を図られたものと理解をさせていただいております。
 最後に、議会制民主主義の原点は徹底した討論と話し合いによって国民合意を形成するという点にありとおっしゃいました。私も全く同感でございます。願わくば、徹底した討論と話し合いを通じて合意が得られますように心から御期待とお願いを申し上げて、答弁といたします。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(櫻内義雄君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#7
○加藤六月君 私は、自由民主党を代表して、海部総理の施政方針演説に対し質問を行うものであります。
 質問に先立ち、本年十一月、天皇陛下の即位の礼及び大嘗祭が全国民のお祝いと世界各国からの祝福のもとにとり行われることを心からお喜び申し上げます。(拍手)
 さて、今般行われた総選挙によって示された国民の審判はどのようなものであったのか。我々はこの結果をどう受けとめねばならないのか。
 昨年夏の参議院議員選挙に続き、野党は、今回の選挙で与野党逆転の政治状況をつくり、社会党中心の連合政権をつくることを訴えてきましたが、国民は自由民主党による安定した政権での政局運営を支持し、我が党に安定多数の議席を与えたのであります。(拍手)
 野党の言う連合政権は、自民党にかわってどういう政策を行うのか、明確な指針を国民の前に示すことができませんでした。これは単に消費税の問題にとどまらず、日米経済摩擦にどう対応するのか、経済の運営は、脱冷戦時代の外交は、防衛政策は、土地住宅問題は、高齢化社会への対応は、エネルギー問題はどうするのかなど、無責任でばらばらの状態でありました。政権担当能力のない野党に国の将来をゆだねることに国民が不安感を抱いたことが、選挙の結果としてあらわれたものであると考えます。海部総理はこのたびの厳粛な国民の審判をどう受けとめておられるのか、まずお伺いいたします。
 選挙の結果、衆議院は自民党の安定多数、参議院は野党が多数という、いわゆるねじれ現象の不安定な状況であることは否定できません。しかし、我々は、今、この不安定の状況の中からこそ、健全な議会制民主主義の成熟に最大の努力を傾注すべきであると考えます。そして、それがための諸改革、とりわけ政治改革こそが今日最も重要な課題であります。
 国民の政治不信はリクルート事件にありました。同時に、政治と国民、すなわち政治家と国民の間に大きな隔たりがあるといったことも大きな不信の一つであります。したがって、政治改革、国会改革を進めるに当たっては、小手先の対応ではなく、システムそのものに対して全体的、根本的なメスを入れ、民意即応を基本に、すべてについて抜本的な改革を断行しなければなりません。
 我が党は、さきに政治改革大綱を取りまとめ、その実行を党議決定し、選挙を通じて国民に公約いたしました。すなわち、政治倫理の確立を初め、選挙制度、政治資金の抜本的改革、国会運営の改革、党の改革等々、政治制度全般にわたる大改革を着実に実行し、国会開設百年を迎える本年十一月までにすべての改革を具体化しようとするものであります。
 国民の政治に対する信頼なくして議会制民主主義は存在し得ないのであります。総理の政治改革に対する決意のほどをお伺いいたします。
 また、先ほど申し上げましたように、健全な議会制民主主義の成熟のため、今後の国会運営において、野党の意見にもさらに謙虚に耳を傾け、徹底した討論の政治を行うべきであると考えます。もちろん、これには、野党も、従来のように何でも反対という硬直した対決型の政治姿勢ではなく、国民にわかりやすい協議型の政治姿勢に意識改革されることがその大前提であります。(拍手)
 先般の国会における野党提案の消費税廃止関連法案の審議に当たっては、我が党は、参議院において徹底的な審議を行い、その結果採決するという議会主義の基本原則を実践したのであります。しかるに、衆議院においてはどうだったでしょうか。野党は、提案をしておきながら提案者みずからが委員会出席を拒否し、国会審議を放棄したのであります。名誉ある議会制度の歴史の中でかつて見聞したことのない歴史的汚点を残したのであります。選挙の洗礼を受けた新しい国会のスタートに当たり、本来のルールにのっとった国会審議を望む国民の前で野党はかような愚挙を再び犯すことはないと信ずるものでありますが、総理の所信を伺うものであります。
 現在の国際情勢は大きな変化の中にあり、東西対立の時代から協調共存の時代へと移ろうとしています。その大きな時代のうねりの中で世界が政治、経済の両面で新しい国際秩序を模索しているのであります。この変化は、自由と民主主義及び市場経済という価値観を世界の市民が選択したことを意味し、また、我が国が第二次世界大戦後これらの価値を一貫して追求するとともに、同様の価値を求める諸国との連帯によって、今日、「世界とともに生きる日本」から「世界に貢献する日本」に発展することができたのであります。二十一世紀に向けて、我が国は引き続きこの路線を継続するとともに、世界に平和と繁栄をもたらす新しい秩序形成へ積極的に貢献することをいま一度明らかにすべきであります。
 世界が流動化しつつある現在、人類の将来に明るい希望をもたらす一方で、大きな不安定と不確実性をもはらんでいます。このようなときにこそ、我が国としては外交の基軸である日米関係を一層確固たるものとしていくことが必要であります。総理は、まさにこのような認識のもとに訪米をされ、ブッシュ大統領と意見を交わしてこられたものと思います。
 ところで、今回の日米首脳会談は、極めて短い日程でありましたが、経済構造協議を中心とする日米二国間問題を初め、国際的な問題での政策協調を進めるための日米欧の三極協議の拡大等国際的諸問題について実のある協議がなされたとのことであります。
 特に、経済構造協議については、これまでに米国側から公共投資の拡充、独占禁止法の運用強化、流通規制の撤廃等について実効ある措置を求められていたのに対し、総理は、経済構造協議は、国民生活の質的向上、消費者の立場に立って新内閣の最重要課題として取り組む決意を表明されました。経済構造協議等日米間の重要事項に対し総理はいかなる方針で対処されるおつもりか、お伺いいたします。
 また、引き続き不透明な状況下にあるアジアの安全保障の環境のもとでは、節度ある防衛力の整備と日米安保体制の堅持という我が国の安全保障政策は、まさにこれを堅持する必要があります。安保体制は、我が国の安全保障のための柱であるのみならず、アジア・太平洋地域の安定要因となっていることにも留意せねばなりません。日米関係等についての総理の所見をお伺いいたします。
 昨年秋から特に顕著になった東欧の自由と民主化への流れは、ベルリンの壁の崩壊に伴うドイツ問題の急浮上、ソ連における共産党一党独裁の放棄と市場経済の導入等々となってあらわれ、欧州の戦後秩序の再編成に発展しています。また、米ソ関係も急速に進展しております。
 総理は、このような重要なときに、先般、欧州各国を歴訪、各国指導者と意見を交換するとともに、東欧諸国に対する我が国の支援を明確にされました。また、ベルリンにおける演説では、欧米諸国と協調し、国際秩序の安定化のために積極的に貢献していく決意を表明されました。訪欧の成果を踏まえた今後の欧州諸国との関係につき総理の所見を伺いたいと存じます。
 アジア・太平洋地域においては、国際情勢がこのように急激に変化しつつある中において、緊張緩和と平和に向けて我が国の責務が従来にも増して大きくなっていくと思われます。とりわけ朝鮮半島問題やカンボジア和平等の地域内の諸問題において積極的なイニシアチブを発揮すべきときが来ています。
 また、我が国にとって、隣国中国との関係は歴史的にも地理的にも極めて深く重要なことは言うまでもありません。このため、従来より我が国は中国との友好協力関係の維持発展に努めてまいりました。昨年六月の天安門事件以降、我が国としては、批判すべきは批判しつつも、中国を国際社会から孤立させないことに努めてきましたが、私も同感であります。そして、今後とも日中双方の努力を通じ改善が図られるべきであると考えます。総理の見解をお伺いいたします。次に、
 ソ連をめぐる情勢、日ソ関係についてお伺いいたします。
 ソ連においては、ゴルバチョフ議長の進めているペレストロイカの成功が、ソ連のみならず世界の安定に大きく寄与するものであり、我が国としてもしかるべく評価していくべきと考えます。他方、ソ連のアジア・太平洋地域においては、対中関係の正常化、カンボジア問題への積極的取り組み等の新しい政策展開は見られるものの、我が国との関係についてはいまだ明確な変化の兆しがあらわれてまいりません。
 私は、先般、安倍元自民党幹事長の訪ソに同行して、ゴルバチョフ議長を初めソ連の首脳と意見の交換をしてまいりましたが、日ソ関係の真の改善は東西関係のグローバルな改善において重要な要素であり、そのためにも、英知を持って北方領土問題を解決して平和条約を締結することが極めて重要な外交課題となってきております。ソ連の新思考に基づく外交政策が対日関係にも反映されるよう、今後とも粘り強い努力を続けていくことが重要と考えます。現在ソ連で進められている改革路線に対する評価と対ソ外交について総理の所見をお伺いいたします。
 世界経済は順調な拡大を続けている中で、一月の国際収支は六年ぶりに赤字に転じたとはいえ、我が国の大幅な貿易不均衡は、世界経済の持続的成長の実現にとり憂慮すべき問題であるとして、その改善に向けての我が国の一層の努力を求める動きが勢いを増す状態にあります。また、こうした対外不均衡を背景として、保護主義圧力の増大が特に懸念され、事実、米国内には昨年のスーパー三〇一条の発動と並行し一部に管理貿易論も登場する等、我が国の繁栄の基礎である多角的自由貿易体制が深刻な危機にさらされようとしています。
 このような中で、ウルグアイ・ラウンド交渉は、我が国としてもぜひとも成功に導かねばならない重要な外交課題でありますが、世界経済の運営に大きな責任を有する我が国としていかなる方針で臨むのか、総理の所見をお伺いいたします。
 世界の平和と繁栄のための国際協力構想についてでありますが、その第一の柱の平和のための協力を推進し、地域紛争解決等の政治的分野においても相応の国際的責任を果たすことは、国際秩序の主要な担い手の一員として我が国に課せられた責務であります。国連の平和維持活動に対する要員派遣面での協力等をさらに推進していくことがますます重要であると思います。
 第二の柱のODAについては、今や世界一の規模となり、途上国のみならず、他の援助国からも高い関心と期待を集めております。国際社会における我が国の地位にふさわしい貢献をODAを通じて積極的に果たすためには、途上国の立場に立って人材の育成や効果的、効率的な援助に努め、さらなる改善を図らねばなりません。
 第三の柱の国際文化交流の強化は、諸外国の我が国に対する関心と期待の増大にこたえ、文化面においても国際社会に積極的に貢献しようとする我が国の姿勢のあらわれであり、今後とも積極的にこれを推進していくべきと考えます。
 これら国際協力に関する三つの柱についての総理の所見をお伺いいたします。
 今日、国際社会は、地球環境、麻薬等薬物、テロ、人口問題等、国境を越えた地球的規模の諸問題に直面しております。これらの問題の解決なくしては、将来の我々の子や孫は平和で豊かな生活を享受することはできません。総理は施政方針演説で、全地球的視野に立った国際協力につき言及されましたが、具体的にいかなる方針で対応を図っていく所存か、お伺いいたしたいと思います。
 我が党は、長年の懸案であった公平、公正、簡素な税制の抜本改革を実現いたしました。これは、働き盛りの中堅所得者層を中心とする重税感や不公平感を解消するための思い切った所得減税、特定の物品だけに偏って重い負担を課していた個別間接税の矛盾の解消など、従来の税制が抱えていた諸問題を解決いたしたのであります。
 また、人口の高齢化が今後急速に進展していく中で、経済社会の活力を損なうことなく豊かな長寿社会を築いていくためには、若者や働き手のみに過大な負担を負わせるのではなく、国民全体で広く薄く負担を分かち合う仕組みをつくることがぜひとも必要であります。消費税は、このように、我が国の将来を展望した抜本的税制改革の柱として位置づけられるものであります。
 この税は、実施後一年近く経てそれなりになじみつつありますが、我が国にとっては新しい税であるため、国民からさまざまな御意見が出されていました。我が党は、こうした国民の声に謙虚に、かつ真摯に耳を傾け、消費税の見直し案を決定したのであります。
 見直しに当たっては、広く国民の声、とりわけ主婦の意見を取り入れ、消費者の立場を十分考慮しつつ、何が本当に国民のためになるかを真剣に議論し見直し案を作成いたしたのであります。
 その間、税以外についての強い意見は、次の二点がありました。
 インフレにまさる増税はないと言われます。物価の上昇によるインフレはもろに台所を直撃することになり、家計への影響は消費税の負担の比ではないというのが国民の率直な声でありました。幸い物価は引き続き安定しております。
 また、内外価格差について、消費者の立場に立って早急に是正されなければならない問題であります。
 見直し案では、まず、食料品について、消費者が小売店から購入する段階については非課税としたほか、家計の中で食費と並んで大きな比重を占める住宅家賃、出産費や入学金、教科書、身体障害者用物品、第二種社会福祉事業、ホームヘルパー等の老人に対する在宅サービス等についても非課税とすることにいたしました。これにより、消費者の負担の軽減は一兆円を上回るのであります。
 我が党のこの見直し案について、多数の方々から御意見をいただいております。その中で最も多いのは、食料品の小売段階非課税を初め家賃、福祉関係などを非課税とする見直し案は評価するが、これが衆議院は通っても参議院の状況を見ると実現しないのではないか、その場合最も困るのは我々消費者であるという切々たる声であります。私は、この見直し案の実現によって、消費税についての国民の理解が深まり、消費税が国民生活により一層溶け込んでいくことを心から願うものであります。
 今回の消費税の見直しについて、総理の所見及び定着に向けての決意のほどをお伺いいたします。
 ところで、さきの総選挙においては、この消費税が大きな争点の一つとしてクローズアップされました。我が党は見直し案を掲げて理解を求め、野党各党は廃止を主張し、消費税の存廃をかけた国民投票であるという言い方もされたわけであります。このようにして戦われた総選挙において、我が党は過半数を大きく超える議席を与えていただきました。これは、国民が、消費税の廃止ではなく、現行消費税の改善を選択されたことを示すものと考えます。(拍手)
 しかるに、野党四党は、さきの国会に出した消費税廃止関連法案をほぼ同じ内容のまままた提出されるとのことであります。恒久的な税制の具体的な姿を示さないままの廃止法案の再提出は、さたの限りであります。そうして、何よりも、総選挙で示された民意を無視する姿勢は、議会制民主主義を否定するものと言わざるを得ません。(拍手)この際、野党各党におかれては、ぜひとも国民の長期的、全体的利益という観点に立って、責任ある対応をされることを心より期待するものであります。
 不老長寿は古来より人類の夢であり、人生八十年時代を迎え得たことはまことに喜ばしいことであります。しかしながら、その背後には、人口構成に占める高齢者の増大と就労人口の減少、高齢者雇用対策、高齢者に対する保健福祉対策の飛躍的充実等幾多の難問が控えていることを見逃すことはできません。我が国がこれらの難関を乗り越え、明るく活力にあふれた長寿社会を築いていくためには、国民の一人一人が自分の人生の設計図を希望を持って描けるような、二十一世紀を見据えた壮大な社会保障政策のグランドデザインを示すことが不可欠であります。
 このような意味で、昨年総理が提唱された新人生設計計画は、高齢者、現役世代を含めた多くの国民に日本社会が歩むべき道を示したものとして高く評価されております。
 我が党は、総理の新人生設計計画を受け、高齢者の保健福祉を充実させるため、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定し、ホームヘルパーの充実など在宅福祉に力を入れるとともに、特別養護老人ホームなど施設の大幅整備を図ったり、寝たきり老人ゼロ作戦として、寝たきりにならないための努力を一層強めていくなど、今後十カ年にわたる意欲的な計画を策定しました。これは高齢者問題を積極的に取り組む象徴と言えます。総理の高齢者の保健福祉対策への決意を改めてお伺いいたします。
 近年の地価高騰は、大都市地域におけるサラリーマンの住宅取得の夢を無残にも打ち砕き、そして、持てる者と持たざる者の資産格差を拡大し、我が党が今日まで築き上げてきた日本社会における平等性という美点をも崩さんとしています。まじめに働く勤労者が良質な住宅を確保できないことは重大な問題であり、この大都市の住宅問題の解決を図ることは、現在の最も重要な課題であります。
 我が党は、さきの選挙で、今後十年間に首都圏において適正な家賃や価格で良質な住宅を新たに百万戸供給する作戦を提唱しました。また、やがて到来する超高齢化社会の中で、可能な限り住みなれた地域社会で生活できるよう、高齢化社会に対応した住宅及び住環境の整備を行うことが以前にも増して重要となっています。このため、我々は、二十一世紀を目前とした九〇年代、社会の活力を維持し、国民が豊かさやゆとりを実感できる社会を築いていくために、住宅対策の積極的な展開、特に大都市地域における勤労者の住宅問題の解決と高齢化社会に備える住宅対策の推進を最優先の政策課題に据えなければなりません。
 また、そのための前提条件として、土地問題の解決が焦眉の急務であります。昨年末に土地基本法が成立し、土地対策の基本的方向が明確にされたところでもあり、本年こそはまさに具体的かつ効果的な土地対策を鋭意実行していくべき年であります。
 住宅土地対策に対する総理の見解及び対処方針をお伺いしたいと思います。
 農業は、食糧の安定供給のほか、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全など、我が国経済社会と国民生活を支える重要な役割を果たしており、魅力ある農林水産業の育成に全力を尽くさなければなりません。
 米の輸入自由化問題は、さきの総選挙でも大きな争点となったのでありますが、実際、我が国は世界最大の農産物輸入国であり、世界の農産物貿易に多大の貢献をしているのであります。したがって、自民党は、米については国内産で自給するとの基本的方針を訴え、国民の理解を得ております。
 申すまでもなく、米は国民の主食であり、最も基幹的な農作物であるとともに、水田は国土保全等の面でも大きな役割を果たしております。また、稲作は我が国の文化とも深いかかわりを持っています。こうした米の格別の重要性や関係農家の合理化努力にかんがみれば、米の輸入自由化は断じて行うべきではありません。今後とも毅然たる態度でこの問題に臨み、我が国の農業者の信頼にこたえていくべきであると考えますが、総理の決意をお伺いいたします。
 以上、私は、我が国の当面する内外の重要問題について私の考え方を述べつつ、総理の施政方針演説に対し質問を行いました。
 このほかにも、快適な国民生活を確保するための社会資本の整備、内外価格差の是正と物価の安定、行財政改革、教育改革、文化、学術、技術等の振興等々我々に課せられた重要な政策課題は山積しております。我々は、これらの政策目標を着実に達成し、二十一世紀の日本の土台を築き上げ、子や孫に受け継いでいかねばなりません。
 我が党は、これまでにも時代を機敏に先取りした政策を採用してまいりました。多彩な政策ニーズにこたえながらも、整合性と継続性を損なうことのない我が党の政治運営が安心感を持って国民に迎えられ、政権をゆだねられてきたのであります。
 今や、世界には、人類の社会、経済、文化などさまざまな活動全般にわたり、過去の経験則のみでは対応し切れない複雑多様な問題が顕在化しつつあります。このような時代に必要な政治は、航海を海図に頼る対応型ではなく、確実な時代認識による洞察と決断であります。
 我々政治家は、こうした叡慮を不断に涵養し、みずからの研さんに努めなければなりません。時代の流れを見通して絶えず自己変革をなし得る者こそ、最もよく現実に対処し得るのであります。常に現実を見据え、現実から離れず、しかも変革を恐れないで淡々と事をなす、我々はこのことを銘記して内外の厳しい難局を乗り切っていかなければなりません。(拍手)
 困難に立ち向かおうとする総理に重ねてその決意をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 加藤議員に答弁の前に、土井委員長に対する答弁漏れの補足をさせていただきます。
 申し上げましたように、今度の日米首脳会談は、交渉ではなく、合意をするものでもありませんでしたので、全体的のお話は十分にいたしましたが、御指摘のように三〇一条の中身とか大店法というような個別問題とか米市場という問題について全く触れたことはございませんので、そのように御理解をいただきたいと思います。
    〔議長退席、副議長着席〕
 また、二点目の経済協力、ODAに関連しまして、私は、現行の関係法令等の枠内で運用、改善を図ってまいるつもりでお答えをいたしましたので、援助基本法をつくれとの御指摘に対しては、ただいまそのような必要はないものと考えておりますので、御答弁を追加させていただきます。
 加藤議員にお答えを申し上げます。
 今回の選挙は、厳しい選挙を我々は戦ってきたわけでありますけれども、世界の新しい秩序づくりに日本がどのような役割を果たしていくかという大きな問題、そしてまた、国内において平和と繁栄を築き上げていくために自由民主党がきょうまで行ってきた自由民主主義と市場経済を尊重する政策が大方の皆さんの御支持と御理解をいただいたものと私は謙虚に受けとめさせていただき、内外の山積する諸問題が現存するのも事実でありますから、この選挙の結果を踏まえて、全力を挙げて国民的合意を求めながら頑張ってまいりたいと思っており、加藤議員のお考えと極めて同感でございます。
 また、私の政治改革に対する決意をお尋ねになりましたが、政治家それぞれが倫理を確立して国民の信頼を得るようにすることが基本であることは当然でございます。
 私は、政治資金におきましても公私の区別の明確化と透明性の確保、金のかからない、政策を中心とした選挙の実現などを図っていくことが必要と考えておりますので、現在選挙制度審議会において御検討をいただいておりますが、国会開設百年というこの記念すべき年に当たって、審議会の御答申をいただいたならば、その趣旨を尊重して、各党各会派の御理解と御協力をいただきながら選挙制度の改革に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 また、今後の国会審議においては民主主義のルールを徹底すべきと考えるがどうかとの御指摘であります。
 私は国会は徹底的に審議を尽くして採決をすべきであるという御意見にはこれも同感でありまして、衆議院と参議院の間でいわゆるねじれ現象があると言われるのはこれは事実でありますけれども、ねじれ現象があるからといって、衆議院で成立した法案も参議院へ行ったら全部否決されると決まってしまうのでは、議会政治は何のためにあるのだろうかという大変寂しい気持ちも出てくるわけでありますから、そこはよく話し合いをしていただいて、御議論を通じていただいて、ちょうどねじれ現象ができた後でも野党の皆さんの高い次元に立った御協力によってあの土地基本法もあるいは年金法も通過、成立をしておるわけでありますから、そのような御論議が積み重ねられていくことを私は心から期待をするものであります。(拍手)
 また、二十一世紀に向けての我が国外交の基本をどうするかというお尋ねでありますが、二十一世紀は、もう戦争のない、そして皆、世界の人々が自由と市場経済を求めて、豊かで平和で明るい暮らしをしていきたいということを願う世紀になるように、私たちも持てる経済力や経験や技術力を大いに持っていって、お互いに国づくりに協力をして安定した世界をつくるべきである、それが日本の世界の一員としての大きな責任ではなかろうか、こんなことを考えながら、今後政策努力を真剣に続けてまいりたいと考えております。
 また、日米首脳会談の問題についてお触れになりましたが、今般日米首脳会談の運びとなりましたそのもとは、ブッシュ大統領からの招きでございました。
 私は、日米関係は大切だと考えておりますので、新たな時代に向けた日米協調に向いて、掘り下げた意見の交換をしてまいりました。広範な国際問題についても、また二国間の枠組みの問題についても、あるいは世界の他の地域の問題についても、いろいろ話し合いをしてまいりましたが、特に日米欧の三つの先進民主主義国グループが力を合わせながら、きのうまで社会主義体制のもとで苦しんでおった人々から要請があれば、手を差し伸べてともに協力をする、開発途上国の人々にはさらに思いやりのある経済協力をしていく、また、麻薬とか環境とか国際テロというような世界的課題については地球的規模のパートナーシップのもとで今後一層協力推進していくこと、これで意見の一致を見たわけであります。
 また、日米両国間の関係につきましては、国際情勢の新たな展開の中にあって日米安全保障条約が将来にわたり一層の重要性を有すること、また、日米二国間の経済関係についても、その健全な発展が両国経済のみならず世界経済全体の発展にとって必要不可欠であるとの認識に立って問題の解決に努力することで合意いたしました。我が国としては、今回の成果を踏まえて、日米の友好協力関係がこれからの世界の安定の基礎であることを念頭に置いてともに努力をしてまいりたいと考えております。
 日米間の貿易経済問題の解決は我が国の直面する最も大きな政策課題であることは、議員御指摘のとおりであります。今般の首脳会談においても、大統領との間で構造問題の重要性につき話し合い、大統領も、米国の構造改革に取り組む決意、例えば財政赤字の減少等について、我々の指摘を率直に受けとめて、その努力をしておる決意を述べられました。私は、国民生活の質の向上、消費者重視の観点に立って、新内閣の最重要課題の一つとしてこの経済構造問題協議の前進に向け取り組む決意であります。
 日米安保体制を中心とする我が国の安全保障政策につきましては、きょうまで国民の生命財産を守り抜いてきたことは議員御指摘のとおりでございます。我が国は、引き続いて、この安保体制のもと、専守防衛に徹して、非核三原則と文民統制を確保し、節度ある防衛力の整備を図っていく所存であります。
 特に、最近の国際情勢の変化の中にあって、我が国が効果的な抑止の確保と積極的な対話の展開によってみずからの平和と安全を確保しつつ、広くアジア・太平洋地域の平和と発展を図っていくためには、これが不可欠な要素であり、日米安保条約の円滑な運用のために今後とも尽力をしていく考えであり、この点については、日米首脳会談においても、大統領との間で認識の一致を見たところであります。
 今後の欧州との関係はどうかと言われますが、今までややもすると日米欧という間柄は、特に日欧関係は日米と比べて薄い関係にありましたが、先般の訪欧は、この歴史的な時期に我が国も新しい国際秩序の形成のために積極的な役割を担う用意があることを明らかにするとともに、両欧州との関係を一層強化し、東欧諸国との友好関係を新しく積極的に樹立してきたというところに意義があったと考えております。
 また、アジア・太平洋外交にはどう対処するかとの御指摘でありますけれども、アジア地域は、最近、政治的、経済的、両方に分けますと、政治的な面では、まだ中国と西側諸国との関係とか、今なお戦争の続いておるカンボジアとか、今なお軍事的対峙のある朝鮮半島とか、いろいろ不安定な要素もありますが、経済的には、この地域は世界全体の成長率を大幅に超えるスピードで伸びており、存在感が大きくなってくる地域であると私は考えます。我が国は、アジア諸国の一員として、これからも貿易、投資を通じてアジアの活性化、アジアの平和と繁栄のために一層の努力を続けていく決意でございます。
 中国政策についてるるお述べになりましたが、お述べになった御意見は、まさに加藤議員御指摘のとおりでございます。中国との関係については、諸般の情勢を勘案しつつ、日中双方の努力を通じて関係を徐々に回復していきたいと私も考えております。
 また、ソ連のペレストロイカ路線については、民主化、自由化、市場経済的要素の導入の正しい方向性を支持し、この新思考外交がアジア・太平洋地域の平和と安定に向けて積極的に適用されることを期待しながら、戦後最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結することを最重要課題としながら、拡大均衡の形で両国関係を振興し、今後とも、来年のゴルバチョフ議長の訪日に向けて、外相相互間の協議など日ソ間の対話をさらに一層積み重ねて進めていく決意でございます。
 ウルグアイ・ラウンド交渉に臨む決意はどうかとのお尋ねですが、我が国は、このウルグアイ・ラウンドの成功を通じて、保護主義というものを抑え、二十一世紀に向けての多角的自由貿易体制の維持強化を図ることが極めて重要であると認識をいたしております。
 また、国際協力構想三本柱をどう進めていくかというお尋ねでありますが、我が国は、今や国際秩序の重要な担い手の一人でありますから、世界の平和と繁栄に貢献することは当然であります。
 平和のための協力については、今後とも、カンボジア問題等の地域紛争解決に向けての外交努力を推進するとともに、国連の平和維持活動への資金面とか要員の派遣面とか、それらのことでの協力を図ってまいる所存でございます。
 政府開発援助につきましては、今後とも、第四次中期目標に沿って、量はもとより質の向上改善も伴った効果的な問題になるように十分留意しながら、経済発展に寄与するよう、協力の実施に万全の注意を払ってまいりたいと思います。
 全地球的視野に立った国際協力を具体的にどう進めるかというお尋ねでございますが、地球環境、麻薬、テロ、人口増加といった地球的規模の問題解決のため、我が国は積極的に国際協力を推進することが大切だと考えております。
 具体的には、地球環境保全のための国際的な枠組みづくりへ積極的に参加をし、科学的知見の強化のための観測監視と調査研究、地球環境保全に資する技術の開発普及の面で積極的に鋭意努力を続けてまいります。
 消費税にお触れになりましたが、消費税は、二十一世紀を迎え、すべての人が公平に社会に必要な費用を負担をしてもらう。しかも、この間まで行われておった旧税制では、直接税と間接税の比率、なかんずく所得税に偏り過ぎているという問題、その他いろいろ不公平問題等も指摘されておりました。これらの問題を解決し、緩和するとともに、安心して暮らせる二十一世紀を支えるために必要な税制であると考えておりますので、思い切って見直しもいたしました。その案を提案をいたします。どうぞ十分な御審議をいただいて御理解をいただくようお願いを申し上げる次第であります。
 また、高齢者の問題につきましては、二十一世紀には、我が国は、国民の四人に一人が高齢者という超高齢社会を迎えるようになってまいります。明るい活力に満ちた長寿社会をつくり上げていくために、私は、「生涯はつらつ、生涯しあわせ」というスローガンを掲げて、具体的には、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の着実な推進を初め、寝たきり老人ゼロ作戦、在宅や施設における保健福祉施策の大幅な拡充等を進めてまいりたいと考えております。
 土地に対しましては、昨年、土地基本法が与野党の御論議を通じて制定をすることができました。この土地基本法に示された土地についての理念や土地対策の展開方向に基づき、需給両面にわたる各般の施策を取り上げてまいる所存であります。これまでの総合土地対策要綱に従って行ってきた各種の対策とともに、平成二年度においては、大都市地域における住宅宅地供給の促進や土地税制の総合的見直しなどについて重点的な施策を施行してまいります。
 住宅に対しては、国民が豊かさを実感できる社会を築く上で、住宅対策の充実は御指摘のように最大の課題であると認識をいたしております。総合的な住宅対策の推進に今後とも全力を挙げて取り組み、特に東京圏においては、一般の勤労者が良質な住宅を確保できるよう、今後十年間に百万戸を目標に新たな住宅供給を行うことを初め、大都市地域の住宅供給を強力に推進するための施策を検討、実施してまいる考えであります。
 米につきましては、我が国における米及び稲作の格別の重要性にかんがみて、国会における決議等の御趣旨を体し、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる所存であります。
 最後に、内外の山積する諸問題に立ち向かう決意を言えと仰せられましたが、全く今日は内政、外交ともに問題山積であります。私は身の引き締まる思いでありますが、国民的な合意を求めてこれらの問題に取り組み、誠心誠意議論を尽くして前進をさせていきたいと決意をいたしております。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
    ─────────────
#9
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#10
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表し、さきの総理演説に対し質問をいたします。
 総理、自民党は、安定多数の議席を手にしたことで、消費税問題を含め課題の大半が決着したようなそぶりでおられます。しかし、この姿勢は極めてゆゆしきものでございます。消費税の再見直しに総理みずから触れざるを得なかったこと自体、消費税に欠陥のあることを示しておるのであります。また、経済優先から生活者優先へと政策転換すべきことも、選挙戦を通じての大きな結論でありました。その意味で、我が国の政治の地殻変動は依然として続いており、その動きには一層激しさが加わると思うのであります。
 以下、我が国の緊急的課題に論点を絞って質問をいたします。
 総理、消費税はまことに哀れな命運をたどっております。売上税の公約違反、自民党がみずから語った消費税九つの懸念をかなぐり捨てての強行導入。大胆な見直し、思い切った見直しなどと批判をかわそうとし、なお国民の怒りがおさまらぬと見るや、総理は、一月二十九日、二月三日、また二月の十九日、さらに組閣後と四度にわたり再見直しを肯定する発言をされました。見直し案が法制化されていない段階で再見直しとはまことに不謹慎であります。思い切った見直しと言明した責任はどうされるのか、明確にされたいと思います。(拍手)
 見直しの内容を見るに、食料品が値下がりする保証はなく、逆進性の緩和には何ら役立ちません。むしろ制度を複雑にさせ、中小企業の事務負担の増大を招く改悪案にすぎません。しかも、私たちから見て、消費税導入はされても現行の税制度の不公平は温存されたままにあると言わざるを得ません。
 総理、景気は高原状態にあると政府自身が認めておられます。これだけの景気の継続の中で、なお資本金十億円以上の法人企業は、四社に一社が赤字計上ということで法人所得税を納めておりません。この傾向は十年間変化がありません。この好景気のときにも、また十年も利益を生まないというのが本当の法人の実態なのだろうかと疑わざるを得ません。国民は皆不信の眼で見ております。総理は、現行法人税制に欠陥なしと断定をされますか。
 また、日本経済は急速にストック化が進み、一昨年末、日本の株式、土地など国民総資産額は約六千兆円、現在ではGNPの二十倍にも達するのではないかと言われております。保有するこの資産から年率五%の収益が上がると仮定すると、GNPとほぼ同額の資産所得が毎年もたらされる計算になります。このストック経済に対し十分な税の対応がなされていないのは余りにも不公平ではありませんか。この是正の具体策を提示すべきであります。
 労働所得のみ偏している現状を改革せず、取りやすいところから取るというのでは、まさしく消費税は希代の悪法であります。総理、ある大蔵省OBは、最近新聞で、「民法に「善意、無過失、平穏、公然」という言葉があるが、そのいずれにも反する手続きで生まれた消費税は支払う義務はないといえる。だから消費税は一度廃止し、新たな考えで臨むべきだ」とまで述べております。
 私どもは、消費税導入が論議される前に、一、総合課税を徹底した所得税制度の再構築、二、資産課税の適正化、三、現在なお進行中の税制の不公平、不公正を是正することの必要性を強く訴えました。再びこの三点に対する見解を伺うものであります。見直し、再見直しといった小手先の議論には一切妥協の余地はありません。消費税は一たん廃止して、税制改革論議を一から出直すことを改めて要求いたします。(拍手)
 さて、二十一世紀を目前にして、時代は劇的に変化を始めました。それは、五十年、百年規模の改革、文明的レベルでの変化であります。独裁と束縛からの解放、人権と自由への希求、公正な経済とそのソフト化、物から心へという価値観の変化、物、人、金の国際化と情報化、あらゆる分野で新しい枠組み、いわゆる地球的レベルの新しい秩序が模索されているということであります。しかも、これは、人類が初めて経験する最も急激で人類史的な成否をかけた政治変革の時代の開幕を告げるものである。我が国の政治もまたその例外たり得ないのであります。
 我が国は、戦前は国家、戦後は産業経済が重視、優先された政治が行われました。その結果、経済大国となり、国民一人当たりの総生産は二万ドル、所得はアメリカを超えて世界でトップの金持ちの国となりました。しかし、一番の問題は、国民がその豊かさを享受できないでいることにあります。総理、これまでの国民の汗の結晶であるジャパンマネーはどこに行き着いているのでしょうか、ぜひ見解を承りたいのであります。
 ここ二、三年、日本企業によるアメリカ企業や不動産の買収は異常であります。ニューヨークではティファニーやロックフェラーなどの各ビルが日本企業に買収され、ロサンゼルスでは中心街のオフィスビルの三分の一以上は日本企業によって買い占められ、ワイキキのホテルの七割以上は日本の資本傘下にあると言われております。私は個々の企業の行動を云々するつもりはありません。しかし、経済大国、資本大国と言われる割には金の使い方の哲学は余りにも貧困、行動原理は相も変わらず利益重視の市場メカニズム中心であります。その結果、今日本は経済侵略とさえ批判をされているのであります。これをどう打開されるのか、方針を示されたいと思います。
 自民党の政治は産業優先、経済効率中心の政策に貫かれ、人間はその歯車とみなされているにすぎません。最近の東欧諸国の動きを見るまでもなく、市場と効率という経済原則は社会の繁栄に不可欠の要素でありますが、同時に、我が国がここ二、三十年の間で経験し得たことば、自由経済の原則だけでは個人の幸福は常に後回しにされることであります。すなわち、人間の社会においては、効率、競争という経済原則と相反する連帯、利他の原則に頼らざるを得ない部分があります。それが福祉の思想であり、社会保障の制度であります。この調整をどうするか、ここに政治の役割が課せられているのであります。
 イギリスの政治思想家バートランド・ラッセルは、「政治の理想は、個人の生活に役立つ理想に立脚すべきであり、政治の目標は個人個人の生活をよくするものでなければならない」、すなわち、個人の幸福の創造こそ政治の理想であり、究極の目標であると断言をしています。九〇年代に求められる政治は、個人の真の幸せを確立することであります。すなわち、道路、港湾、トンネルなどの生産基盤に投資を集中させるのではなく、住宅を筆頭に環境、老後、医療など国民生活にその経済力を向けることにあると存じます。自民党政権が自己改革するというのであれば、それは産業中心、経済効率中心の哲学、政策から百八十度の転換を意味します。自民党にその勇気がございましょうか。確かなビジョンを示すことを要求するものであります。
 さて、激動を続ける国際社会にあって、日本は世界が平和でなければ生きていけません。世界との協調の中にしか生きる道は存在をしないのであります。経済大国、債権大国となった現在、平和な地球と地球環境を守る政治を実現するため、我が国の積極的な国際貢献が求められ、また、その具体的プラン、行動が問われています。
 我が党は、アジア・太平洋地域の平和を確立するため、日、米、ソ、中を中核としたアジア平和会議の創設など、「平和・軍縮十項目提案」を発表いたしました。この世界的規模での変化の中で、我が国は、朝鮮半島の緊張緩和、海の核軍縮を初め、アジアの平和軍縮へのアクションを直ちに起こすべきでありました。しかし、日本の平和政策、軍縮政策には何一つ新しい姿が見えません。米ソ首脳の行動に対し、平和軍縮問題で日本は何をいたしましたか。
 施政方針演説で総理は、「対話と協調によって新しい平和共存の世界の構築への模索が始まっている今日、我が国は、積極的な役割を果たす」と言っておられますが、言葉のみ先行し、中身は何も示されておりません。目にするものは、防衛費増額など、平和に対する逆行であります。
 総理、今やアメリカでさえ、ソ連の軍事的脅威は戦後最低のレベルと主張し、軍事、政治的対立から協調の時代へ歩み始めました。兵力も軍事費も大幅かつ長期にわたって削減しようとしているアメリカであります。また、その世論の一部には、肩がわりを日本に求むべしという向きもあるわけでございますけれども、日本は断固としてこれを拒否すべきであります。その見解を求めます。
 今回の訪米で、日米関係の懸案について、特に平和問題について何をどのように確認されたのか、明確にされたいと思います。
 防衛費は、平成二年度で四兆円の大台を超えました。十年前に比べ約二倍、世界じゅうが軍縮に向かう現在、ひとり防衛費拡大の予算を組むことば、国際世論、国内世論への挑戦であります。
 総理、自民党の機関紙自由新報は、マルタ会談後の昨年十二月十九日号で、日本も世界の軍縮の潮流に乗り、防衛費を抑制していくべきだ、増額一途だった予算に歯どめをかける必要がある、軍縮時代に対応して抑制しなければ国際的にも理解を得ることは難しいと主張されました。なぜこのような主張を予算に反映されなかったのですか。機関紙の主張と党の方針がこれだけ異なる態度を示したのは、まさに国民の目を欺くものであり、極めて遺憾であります。(拍手)
 ここで、日米摩擦に関し、日米構造協議について伺うものであります。
 アメリカにおいて、昨年、ソ連の軍事力よりも日本の経済力の脅威の方がより大きいという調査まであらわれました。今日本に必要なものは、ナショナリズムに火をつけることではなく、冷静で対等な日米パートナーシップの構築であります。構造協議では、双方ともにできること、できないことを峻別し、日本は、イエスとともにノーをはっきり言う姿勢が大事であります。例えば、アメリカの貿易赤字は、景気を刺激し過ぎるマクロ政策、輸入に頼らざるを得ない生産構造に主たる原因があり、双子の赤字の解消を明確に求め、企業の競争力強化、コスト削減への努力を真っ正面から要請すべきであります。
 そこで、アメリカの六項目の要求と対米七項目の要求についてどのような判断をされているのか。特に、今回の日米首脳会議において、独禁法問題、流通機構の改善、日本の市場開放問題が議題となったと報道されていますが、今後どう対処されるのか、明らかにされたい。
 なお、日米摩擦解消のために、日米議員交流の規模を拡大し、率直な意見交換、相互理解を前進させるべきであると公明党は考えます。
 さて、我が国は、輸出大国から輸入大国へと世界へ資金還流できる経済システムの転換とともに、経済力、科学技術力等による国際貢献、いわゆる累積債務国や発展途上国等への支援を積極的に行う責務がございます。私は、我が国の高度な民生用の技術支援や技術移転で人類・地球益に貢献する創造的技術協力プログラムを策定し、今こそ具体的、積極的なアクションを起こすべきことを提案をいたします。
 我が国が国際社会で貢献すべきもう一つの課題は、地球環境保全であります。
 地球環境の保全は、国家の利益を超え、地球益、人類益の立場から最優先に取り組むべきであります。しかし、政府の姿勢は、炭酸ガスの抑制、フロンガス規制等の問題で後退姿勢にあり、国際的な批判を浴びる面が多々ございました。そこで、我が国が先導的役割を果たしていくために、第一に、地球環境保全のための資金づくりを行う地球環境保全基金を創設すること、第二に、国連に地球環境保全の人材養成や調査研究を進める地球環境大学の創設を提唱し、そのための努力を国連を重視しつつ展開すべきでありますが、御所見を承りたいと思います。
 また、国も国民も企業も挙げて地球環境保全に取り組むために、地球の日を設けることを提案をいたします。二十年前にアースデーが提唱され、この四月二十二日は二十周年に当たります。このアースデーに対する政府の参加と取り組みの問題を含めて、総理の所見を承りたいと存じます。
 なお、在日韓国人の第三世代以降の法的地位の問題について、過去にも再三申し上げましたが、速やかに解決されるよう要請をいたします。見解を承りたいと存じます。
 物と金があふれる国日本でありながら、国民が国の経済力にふさわしい豊かな生活を実感できない原因は一体何でありましょうか。経済大国日本の経済力と国民生活とのギャップの解消が政治に課せられた最大の課題であります。
 その第一の課題は、ゆとりある住宅を保障することにあります。東京圏を初め大都市地域には、この異常な地価高騰によってマイホームは絶望的であります。政府も経済企画庁が発表した「平成元年経済の回顧と課題」でこの事実を認めており、地価高騰に伴う家賃の上昇が都市生活者の家計を著しく圧迫しているのであります。
 このような実情をもたらした深刻な土地問題を解決するためには、さきの臨時国会で成立した土地基本法の基本理念のもとに具体的な施策が進められなければなりません。ですが、平成二年度税制改正大綱では、速効性のある対応策がほとんど示されておりません。少なくとも住宅事情の厳しい三大都市圏では、大企業保有の遊休土地の宅地化や土地増価税の創設で大企業保有地の含み益の社会還元、さらには市街化区域内の農地の宅地並み課税など、早急に効果的施策を講ずべきであります。本気で営農を希望する市街化区域内の農地については、生産緑地地区の指定を受ければよいはずであります。一体政府はいかなる効果的な土地対策を進められるのか。
 また、土地問題を解決する上で、東京への一極集中の是正が大きな課題であります。四全総では多極分散が掲げられ、政府は一極集中の是正策として一省庁一機関の地方移転を進めておられますが、移転候補地は神奈川、埼玉、千葉など首都圏にとどまっており、いわばかけ声倒れであります。私は、行財政制度を大幅に地方に移譲すべきであると主張いたします。一極集中是正に対する総理の方針を明らかにされたいと思います。
 さて、住宅問題を解決するためには、土地問題への施策と並行して住宅基本法の制定が急務であります。これによって国、地方公共団体の責務を明確にし、具体的方途を講ずるべきであります。
 そのため、私どもの第一の提案は、今日の住宅事情への緊急対策として、住宅費軽減のため、家賃控除制度と家賃手当制度を併用した制度を創設することであります。そこで総理、公明党が長年主張し、また、平成二年度の建設省、労働省の税制改正要求にも盛り込まれていたはずのこの家賃控除制度等が何ゆえに削られたのか。予算規模からすれば可能な要求のはずであります。公明党は、この制度が実現するまで要求し続けてまいります。しかとお答えを願いたいと存じます。(拍手)
 これとともに、住宅ローン減税の拡大、一定規模以下の居住用住宅とその土地の固定資産税の大幅軽減、一定規模以下の土地の相続税の減免にも取り組む必要があると訴えます。
 総理、土地、住宅、首都機能移転問題がばらばらではなく、この三つの問題が同時に決行できなければ効果は上がらないことに留意すべきでありますが、御所見を承りたいと存じます。
 第二の提案は、金余りによるマネーゲームの横行、さらにはアメリカへの大量の資金流出にいたずらに手をこまねいているのではなく、この金余り症候群を住宅関連公共投資の財源として見る着眼点と政策を政府が持つべきだということであります。あり余るお金を、国内の社会資本の充実など、魅力ある民間の投資先を見出せるような誘導政策を積極的に講ずべきであります。
 我が党は、かつて、財源対策として、相続税や譲渡税を軽減、減免するかわりに、長期の無利息国債を発行するアイデアを提案したことがあります。最近、労働界と財界が共同で検討しているサラリーマンの共同社宅構想の話が話題となりました。それは、用地は市街化区域内の農地の利用や各企業の遊休地などを活用して、入居権つき債券を発行、参加企業がこの債券を購入することで建築費用の四割を調達、残りを賃貸料で返却するというもので、一つのアイデアかと思います。政府も地方自治体もこうした着想を見習い、さらに新たな誘導政策を打ち出すべきであります。
 さて、住宅、土地問題に次いで、第二の課題について申し上げたいと存じます。それは、高い教育費と激烈な受験戦争を追放することであります。
 大学入試は、大半が終了しました。昨年の浪人生は四十万人を突破、ことしは四十二万人に達すると言われております。日本が技術大国と言われ、経済大国と言われるゆえんは、世界各国に比較して、教育レベルの高さに起因していると言っても過言でないわけであります。片や教育の重視が叫ばれている中で、青年の向学心を抑えるに等しい対応の無策ぶりは、罪悪に等しいと言われる政治の責任であります。
 総理は、教育問題に対し基本的考えを述べられましたが、教育のひずみやその解決などには何ら触れられておりません。教育のひずみの根源は入試地獄にあります。この入試地獄の影響は教育全般にわたっており、どう解決するかであります。私は、外国人留学生の受け入れなどもあわせ考え、大学などの定員については百万人体制を目指し、ひずみの根源を断つべきだと思いますが、総理はいかようにお考えでしょうか。
 また、文部省の昭和六十三年度の学生生活費調査によると、高等教育にかかる教育費は年に七%上昇、消費者物価上昇率〇・六%を大幅に上回り、平均年間百五十二万円、大都市に下宿する私大生は二百万円もかかっております。今や親の所得が高くなければ大学にも進めず、入学資金を準備するため母親が働きに出る、これが今日の実態です。それにも増して、親の老後の蓄えを子供が食いつぶす現状は、政治が親不孝を奨励しているようなものではありませんか。
 我々は、生活費を含めた奨学金を希望者全員が受けられる抜本的な修学奨学金制度を提案します。二千兆円とも言われる日本の金融ストックの〇・一%を活用、利子補給制度に踏み切れば実現可能であります。総理、これは財政の問題ではなく、政治哲学の問題でございます。お考えを承りたいと存じます。(拍手)
 第三の課題は、安心して暮らせる年金制度と医療・介護制度を確立して老後を保障し女性の生活を守ることは、高齢化社会を目前にした政治の大きな課題であります。
 我が国の国民年金の平均受給額は月額二万九千円、厚生年金の平均受給額は約十三万円、暮らせる年金ではありません。公的年金を中心とした暮らせる年金の実現を目指し、国民共通の基礎年金について、国庫補助を強化することなどにより、六万円基礎年金を実現すべきであります。
 さらに、厚生年金六十歳支給を堅持し、高齢者の雇用促進と生活安定を図るために、働きながら年金の受給を選択できる部分年金・部分就労制度の早期確立と、女性が配偶者を失った場合の遺族年金は余りにも低額であり、この給付額を二倍にすべきであります。
 また、年金積立金七十二兆円のうち、約七兆円しか利益を生む自主運用がなされておりません。年金拠出金は財政投融資のために積み立てているのではありません。これを高利回りの運用によって年金の安定度を高めることを公明党は要求いたします。
 これら年金問題に対する総理の考え方を具体的に伺いたい。
 我が党の主張がホームヘルパー等在宅三本柱緊急整備三カ年計画や高齢者保健福祉十カ年計画として結実したことは評価します。しかし、この十カ年計画では激増する介護ニーズへの対応は困難です。したがって、この際、高齢者保健福祉十カ年計画を少なくとも七カ年計画として繰り上げ、早期実現すべきだと考えますが、総理の所見を承ります。(拍手)
 我が国では、女性の意欲と能力を十分に発揮し得る環境整備や配慮がなされているとは言えません。
 西欧先進諸国では当たり前である育児休業制度ほ、我が国では二割の職場で実施されているのにすぎません。育児休業法の制定に政府は積極的に取り組むべきでありましょう。
 また、女性が圧倒的に多いパート労働者は、低賃金と劣悪な労働条件のもとで雇用されております。パート労働者八百万人の労働条件改善と福祉の向上のために、パート労働法を早急に制定すべきであります。昨年、年収百万円まで無税のパート・内職者減税が実現をしましたが、まだ不十分でございます。平成二年度は百二十万円まで無税とすべきであります。
 さらに、働く女性が出産、育児、介護等を行った期間の年金保険料を免除すべきだと考えます。
 これらの諸点についての総理の見解を承りたい。
 総理、時代が劇的に変化し続ける中で最大の課題は、日本の安定と発展が世界とうまく折り合っていけるか否かということにほかなりません。政治のかじ取りがより重視される時代であり、日米の貿易摩擦問題はそのことを象徴しております。これからは政治の時代、政治がしっかりしないと経済が揺らぐ時代であります。そのためには、何といっても政治が国民に信頼されることであり、まず政治改革から事は始まるのであります。(拍手)
 過去数々の疑惑事件を生み、その都度政治改革が叫ばれながら、真っ正面からの規制、防止措置が講ぜられなかったために、政治が汚染され続けてきたことは動かしがたい事実であります。金によってよどむ政治腐敗の根源は、企業の政治献金の存続とその肥大化にあります。現行の政治資金規正法は余りにも抜け穴が多く、企業献金の実態もなぞのベールに包まれたままであります。企業献金、団体献金は禁止すべきことを要求するとともに、公的負担の拡大など、金のかからない政治環境の整備を促進すべきであります。
 さらに、政治倫理法の制定を速やかに行おうではありませんか。国会議員の資産公開と、衆参両院に倫理委員会を設置して、倫理基準違反者には辞職勧告が行えるようにし、モラル確立に努めることを強く要求をいたします。
 さて、私は、選挙制度を変えることで金のかかる政治、選挙を根絶することはできないことを幾多の事例から今までも申し上げてまいりました。選挙区制は選挙制度の中でも民主政治のかなめにかかわる問題であり、大政党だけが議席の過半数を得やすい制度への転換を安易に認めるわけにはまいりません。金のかからぬ政治活動、金のかからぬ選挙への方針を明確にすべきであり、各党の合意を得るべきだと思います。
 これらの政治改革について総理の所見を求めて、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 石田委員長にお答えを申し上げます。
 お触れになった消費税の見直し案の問題でありますが、私どもほ、世論の動向その他を十分に勘案しつつ、思い切って見直し案を作成をいたしており、そして、それについてはこの国会に提案をするということを決めております。言われるように、その見直し案をさらに見直して、再見直しをして国会に出そうということは、思ってもおりませんし、申し上げたこともございません。私が申し上げておるのは、我々の見直し案を国会に提出をして、野党の皆さんも新しい間接税的な案をお出しになるのですから、そこで御議論をいただきたい、そして定着していくように努力をしていきたいということでして、国会における御議論を私は前提にお願いをしておるわけでございますから、どうぞそのように御理解をいただきたいと思います。(拍手)
 また、消費税の今度の見直し案は値下がりする保証がないとおっしゃいますけれども、食料品だけに限定して申しましても、小売段階は非課税で流通段階は半分になるわけでありますから、これが値下がりする保証がないということは、これはお考え直しをいただきたいと思うのです。
 また、今日の好景気の中で大企業の四社に一社は赤字というのはいかがかとおっしゃいます。私も確かに赤字法人に対する課税のあり方については問題意識を持っておるところであります。しかし、赤字法人の中には業績不振で赤字となっているものもあります。これに負担を求めることは、所得課税としての法人税の枠組みを超えるという問題がございます。また一方、黒字であるにもかかわらず意図的に赤字申告をしておる企業もありますが、こうした企業に対しては、引き続き税務調査の充実に努めて、公平を期していきたいと考えております。
 また、経済のストック化の進行の御指摘がございましたが、有価証券譲渡益課税や利子課税の抜本的な見直しのほか、各種土地税制の改正など資産課税の見直し措置を講じてきておるところでありまして、今後とも、土地税制の総合的見直しを初め、よりよき税制を求めてまいりたいと考えております。
 総合課税の徹底、資産課税の適正化の問題については、現在租税特別措置により分離課税とされている株式売却益や利子について、所得の捕捉体制が不十分なまま本則の総合課税に戻すことは、実質的な不公平がかえって増大することにもなりかねないと考えておりますし、また、所得の完全な把握体制のためには、納税者番号制度の導入を初めとするいろいろな問題が出てくると思われます。私は、国民の合意形成の状況を見守りつつ、さらに検討をさせていただきたいと思います。
 また、資産課税については、これまで有価証券譲渡益課税や利子課税の抜本的な見直しなど各種の措置を講じてきておるところであります。しかし、最近の急激な地価高騰により資産格差の拡大に対する国民の不満が高まったことから、資産の大宗を占める土地に対する課税の適正化が求められておるのであり、我が国にとって最重点、緊急の課題となっておる土地税制につきましては、土地基本法に示された基本理念にのっとり、税負担の公平を図りながら総合的な見直しを行うこととし、税制調査会の検討を踏まえて、平成二年度中に成案を得て所要の法律案の提出を図ることといたします。
 見直し、再見直しといったことではなく、消費税を一たん廃止して一から出直すべきではないかとの御意見でありますが、既に消費税は昨年の四月から定着したものであり、我々は、世論を尊重してそれを見直し、見直し案を国会に提案をして皆さんの御論議をいただきたいとお願いしておるところでありますから、どうぞ御審議をお願いをいただきたいと思うものであります。(拍手)
 また、戦後の経済発展の結果、国民所得は、円高の進展もあり、世界最大水準に達しておるが、長い労働時間、低い住居水準、高い生活費等により、所得水準の割には生活の豊かさを実感しがたいものになってきている点は、私も同感の点があると考えております。このため、政府としては、経済計画において、豊かさを実感できる多様な国民生活の実現を重点課題としており、相対的に立ちおくれている居住水準や生活環境面の充実、労働時間の短縮、内外価格差の是正と消費生活の充実等のための施策を進めていく考えでおります。
 また、我が国企業の投資活動について、グローバル化の進展や海外企業の資金需要の増大に伴い、日本企業の海外投資が急速に拡大しておることは事実でございますが、海外投資は基本的には企業の自主的判断とその責任において行われるものでありますが、政府といたしましても、よき企業市民として現地社会に融和し、現地社会に貢献していってもらうことが重要と考え、民間経済団体においても、自主的に海外投資に当たっての行動指針を作成して日本企業の指導に当たっておると承知をいたしております。
 また、自由主義、民主主義及び市場経済に基づく自民党の政治は日本の経済的成長をもたらしたけれども、国民生活に経済力を振り向ける、百八十度転換せよ、こういうことでありますが、経済成長の持続があったからこそ内需中心の三十八カ月の景気の拡大があり、それが基盤になって国民一人一人に豊かさの実感もわいてきたわけでありますから、そういった過去の実勢も踏まえていただきながら、そのわいてきた実感の中で、公正を欠くものがあるとすれば、どちらへ軸足を移していくかということが今日の大きな問題ではないでしょうか。パイが大きくなるからこそいろいろな問題も解決できるわけでありますから、この経済の活力と大きくなった分配を踏まえて、いろいろなところへ政策の軸足を向けて、公正な社会の実現には一層努めていきたいと考えております。(拍手)
 外交問題にお触れになりましたけれども、私は、米ソ首脳の行動に関しては、日本はこれを高く評価をいたしております。そうして、米ソ首脳の話し合いによる、対決から対話へという世界の動き、これはただ単に欧州のみにとどまらず、アジア・太平洋地域においても実効のある軍備管理・軍縮が実現していかなければならない、こう考えております。
 ただ、現状は、朝鮮半島の情勢にしても、カンボジアの問題にしても、北方領土の問題にしても、政治的対立や紛争が未解決でありますので、実効性のある軍備管理、実効性のある軍縮を進めるためには、これらの個々の政治的対立や紛争の解決にまず取り組むことが重要であり、我が国もそのような観点からこれらの諸国との関係改善に努力を続けてまいりたいと思っております。
 また、最近、米国において、議会を中心に、いわゆる財政赤字を縮小するための海外の軍事基地の縮小、撤退の問題等が議論されておることは御承知のとおりであります。しかし、我が国を含む同盟国に対して、世界の平和と繁栄のためにおのおのの国力に応じた一層の貢献を求めたいという声が高まってきておるということも承知をいたしております。
 しかし、他方、政府としては、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の効果的運用を確保していくことは極めて重要でありますし、我が国の自衛隊は平和時における基盤的な防衛力でありまして、自主的に在日米軍経費についてきょうまでもできる限りの努力を払ってきておりますが、今後とも、アジアの平和と安定のために、あるいは我が国の平和と繁栄のために、我が国が自発的になし得る限度内において協力を進めていきたい、こう考えておるところであります。
 また、今回の訪米で日米間の懸案についてどのような確認を行ったかということでありますが、自由と民主主義に基礎を置く日米が、ともに新たな世界の流れの中で忌憚のない意見の交換をしながら、国際情勢の新たな展開の中で、ヨーロッパとも途上国とも、あるいはその他の世界各国の安定と民主化のためにできるだけ貢献をしていこうということ、地球的規模の問題の環境とか麻薬とかテロという問題に対してはきちんと対応をしていこうということ、日米間の経済関係についても、その健全な発展が世界経済全体の発展にとっても必要不可欠であるという認識に立って、問題の解決には、話し合いを続けることによって解決する努力を続けることで合意をしてまいりました。
 また、自民党の機関紙についての御意見でございましたが、現下の国際情勢にあっては、米ソを中心とする軍備管理・軍縮交渉を初めとする東西間の対話の進展はございます。東欧諸国は目覚ましく民主化の動きも起こっております。望ましい変化は至るところで見られますが、いまだ現実は力の均衡と抑止が平和と安定の基本的な条件になっておるという事実も厳然たることであります。このような状況を踏まえ、節度ある防衛力の中で我が国の平和と安全をどう守っていくかということが極めて大切なことでありますから、中期防の着実な実施に努めておるところでありますが、今後は、世界情勢の変化と財政経済情勢の世界のいろいろな動きを判断しながら、諸条件を見据えて慎重に検討をしてまいりたいと思っております。
 日米構造協議の米側の要求項目は三つあります。日本側の要求項目は七つございます。そのような問題については、それぞれ実務専門者の間でテーマごとに議論が深められておることば御承知のとおりでございます。そして、その目指すところは、経済構造問題の協議によって、対外不均衡をともに是正する経済政策、それを行っていこうということであり、我が国も、これまでも自主的に構造調整に努力してきたところでありますが、米国の抱える構造問題についても積極的に取り上げて、きょうまで対話を続けてまいりました。その結果、今御指摘になりましたような独禁法とか流通問題とか市場の問題とか、そういった問題については、実務者会議で御議論は続いておりますが、今度の首脳会議で議題に出たことばございません。
 また、アメリカ側が努力して財政赤字が低下してきておること、日本側が努力して既に貿易黒字対米分が少なくなってきておること、これは日米双方ともにその成果を認めながら、さらに一層これらの問題については努力をしていかなければいけないという認識で意見の一致をいたしました。
 いずれにしても、日米摩擦の解消のために貿易構造協議を前向きに成功させていかなきゃならぬことは、日米両国にとって基本的に大切なことでありますので、私も最重要問題と考えてこれは真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、日米摩擦解消のため議員交流を拡大したらどうかという御意見をいただきましたが、私は御指摘のとおりと思います。そして、きょうまで石田委員長は日独友好議員連盟の有力なメンバーとして両国関係について御尽力を賜り続けてまいりましたことをこの席をおかりして敬意を表するとともに、交流がいかに大切であるかということを表明をさせていただきます。(拍手)
 また、我が国の経済力、技術力の活用による累積債務国や発展途上国への支援を盛り込んだ経済協力プログラムを策定し、積極的な行動をとれという御提言でありますが、開発途上国に対するODAは、我が国の国際貢献の重要な柱であります。世界で最も大きな援助国の一つにまで成長した今日、我が国の努力に向けられた期待は、委員長御指摘のとおり極めて大きいものがございます。今後とも、第四次中期目標に沿い、量はもとよりのこと、質の改善、民間活力の利用を含む効果的、効率的な実施に十分留意しつつ、援助すべきものは実情に即した援助に、心のこもった協力の実施にしていこうと万全の努力を図っていくつもりでございます。
 地球環境保全問題にお触れをいただきましたけれども、これは全地球的に取り組む必要があり、国際的協力も重要であります。我が国も可能な限り貢献を行っており、東京で地球環境保全会議を開いたり、また、地球保全に関する人材の養成や研究開発については、我が国としてもでき得る限り二国間、多国間の協力を推進しておるところであり、今後ともこの協力を図ってまいるつもりであります。
 関連して、地球の日として国も国民も企業も挙げて四月二十二日に行動を起こすべきではないかという趣旨のお話がございましたが、地球環境保全のためにはこれは極めて心を一にして行動することが大切であり、先生御指摘の地球の日の活動もございますが、一方、一九七二年の国連人間環境会議の開催を記念して国連が六月五日を世界環境の日として設定し、啓蒙活動の推進を呼びかけているところであり、この世界環境の日は我が国の提唱に基づいて設定されたものでもあり、政府は例年六月五日から一週間を環境週間として広範な啓発活動を実施しておるところであります。このような経緯でございますから、ともどもにこれらの問題を通じて普及活動活発のために努力をしてまいりたいと思っております。
 在日韓国人の第三世代以降の法的地位の問題につきましては、きょうまでの社会生活の全般における待遇の安定等につき、在日朝鮮人の法的地位協定に従い、三世問題については両国政府間で精力的に協議を実施し、可及的速やかに双方の満足し得る結論を見出すべく努力をしてまいる所存でおります。
 土地問題につきましては、総合土地対策要綱に従い、監視区域制度の的確な運用、不動産業者、金融機関に対する指導、税制上の措置等の各般の対策を今日まで推進してきたところでありますが、さらに、「今後の土地対策の重点実施方針」に従い、大都市地域における住宅宅地供給の促進や土地税制の総合的見直し等について、特に重点的にその実施を図っていく所存であります。
 土地税制については、平成二年度中に成案を得るべく、所要の法律案の提出を図ることといたし、近く総合的な見直しを税制調査会の御審議を踏まえつつ行っていきたいと考えております。
 また、東京への一極集中に対して御意見をいただきましたが、私は重要な課題であると考えております。このため、政府は、四全総に基づき、地域主導の地域づくりを推進し、その基盤となる交通、情報通信体系の整備等の施策を総合的に推進してまいります。多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域の開発整備等の諸施策も総合的に推進しておるところであります。
 住宅基本法についてお触れになりましたが、国の責務、住宅費負担の取り扱い等に対していまだ国民及び各政党間のコンセンサスが未形成と思われますので、政府として、国民の住居水準向上のため、住宅建設計画法に基づき住宅建設五箇年計画を策定、その達成に向けて努力をしてまいるつもりであります。
 また、家賃控除の問題等につきまして、家賃そのものを所得税から控除するという制度の創設については、税制面のあり方といたしまして、家賃は食費や被服費等と同じように典型的な生活費であるというところから、家賃だけを取り出して特別の控除を設けることには基本的な問題があることなどから、平成二年度の税制改革においては見送られたものでございます。
 住宅取得促進税制については、平成二年度の税制改革において、持ち家取得を一層促進する見地から、控除期間を五年から六年にするなど大幅な拡充措置を講ずることにしております。控除額の最高限度は一年間に二十万ですから、今回の措置の結果、六年間で合計現在百万円が百二十万円に達することになります。適用される六年間を通じた減収規模も五千八百億円を上回るものとなっており、現下の厳しい財政事情等のもとでの税制上の措置としては、最大限の配慮がなされておるものと考えます。
 また、一定規模以下の住宅の固定資産税の減税でありますけれども、居住用住宅に対する固定資産税については、住宅政策の観点から、既に、二百平方メートルまでの新築住宅について一定期間税額を軽減する特別措置を講じ、また、住宅用地については、二百平方メートルまでは四分の三、それを超える部分についても二分の一を軽減する、そういう措置を講じているところであり、これ以上の軽減については、負担の公平及び市町村財政への影響を考えるならば、慎重にしなければならないと思います。
 また、一定規模以下の土地相続税の減免にもお触れになりましたが、課税最低限の二倍引き上げ、税率構造の緩和などを既に行ったところでありますし、その際、近年の地価高騰に配慮して、居住用及び事業用の小規模宅地についての相続税の軽減措置の拡充を図ってきたところであります。
 土地問題の解決のためには土地、住宅、首都機能移転の三つの問題解決が同時に図られなくてはならないと御指摘になりましたが、土地は非常に広範な分野にわたる問題であり、その解決のためには需給両面にわたる各般の対策を総合的に実施しなければなりません。このため、今後とも、総合土地対策要綱に基づいて、投機的土地取引の抑制、土地税制の活用、住宅宅地対策の推進、首都機能移転問題についての幅広い検討などの対策を総合的に実施してまいる所存であります。
 また、現在あふれている民間資金を住宅関連投資に向かうよう誘導策を講じろということでありますが、内需主導型経済構造の定着のために住宅投資は極めて大事だと思います。このため、住宅金融、税制等の措置の拡充によって民間資金の活用による良質な住宅ストックの形成に努めてきたところであり、今後とも、住宅関連投資の持続的拡大を図るために、この措置の充実に努めてまいります。
 また、大学、短大の問題にお触れになりましたが、ただいま入試については新しく発足した入試センター試験の実情等いろいろな問題を検討して、必要があるときにはまた取り組んでまいりますが、おっしゃるように、定員を百万人にしろと、こう決めておかかりになりますが、今大学教育計画に沿って整備を進め、一応その目的を達成しつつあるところでありますが、最近における志願者数の増加にかんがみ、平成五年度以降十八歳人口は急速に減少いたしますが、進学志望率の動向等を考慮しながら、引き続いて期間を限った定員増を含めて定員の整備に努めてまいる考えでおります。
 育英事業については、能力に応じてひとしく教育を受ける機会を確保するために設けられた基本的な制度の趣旨に沿って拡充をしていこうと考えております。
 年金問題については、先般の改正で月額五万五千五百円という水準を設定したところであり、これ以上の引き上げは、保険料負担との関連もあって今困難と思いますし、現行の給付水準を維持しながら後代の負担を過大なものにならないようにするためには、厚生年金の支給開始年齢の引き上げは避けて通れない課題となりておると考えます。今後、高齢者雇用の確保に全力を挙げ取り組みつつ、前国会での修正の趣旨を踏まえて総合的に検討をさせていただきたいと考えております。
 また、高齢者保健福祉十カ年計画を七年間とおっしゃいますが、十カ年戦略は、高齢化に対応してすべての国民が安心して老後を送ることのできるよう施策の充実を考え、それを目標にした十年計画であります。平成二年度予算はこの初年度として大幅な拡充を図ったところであり、今後この目標の実現に向けて強力に推進をさせていただきたいと思っております。
 育児休暇法につきましては、女子労働者が職業生活と家庭生活を調和させつつその能力と経験を生かすことができるよう、制度の確立に向けて一層の普及促進に努力いたしますし、また、パートタイム労働者については、労働条件の改善、雇用の安定を図るためにパートタイム労働対策を総合的に推進してまいります。
 また、非課税水準を百万円から百二十万円に上げろということでありますが、昨年十一月のいわゆるパート減税の実施により百万円に引き上げられたところでありますし、百万円に引き上げた結果、妻のパート収入と夫の収入と合わせた世帯収入が三百六十四万二千円まで所得税がかからないことになるほど既に税制面では最大限の配慮をしておりますので、どうぞ御理解をいただぎたいと思うわけであります。
 働く女性の出産、育児、介護、この期間の年金保険料を免除すべきではないかという御指摘でございましたが、免除は困難なことであると考えます。
 最後に、企業献金を改め政治をきれいにし信頼に基づく政治を行えと、こうおっしゃいました。政治への公的費用の負担についてもどう考えるか御指摘がありました。ドイツがそうであるように、アメリカがそうであるように、いろいろの政党の活動というものには公費負担の制度が行われておるという現状もござまいす。私は、いろいろな問題点を勘案しながら、選挙制度審議会で政治資金の問題についても御答申をいただくことになっておりますので、これらの公費負担の問題についても、また各党各会派の皆さんと御議論を賜りながら考えさせていただきたいと思います。
 政治倫理法の制定の問題についてもお触れになりましたが、政治改革のためには最も基本的に大切なところであろうと思います。国会開設百年という記念すべき年に当たって、審議会の御答申をいただいた上は、その趣旨を尊重し、政治改革のために、各党各会派の御協力をいただきながら前進させていきたいと考えておりますので、どうぞ御理解をよろしくお願いをいたします。(拍手)
     ────◇─────
#12
○佐藤敬夫君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明六日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#13
○副議長(村山喜一君) 佐藤敬夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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