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1990/03/06 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第5号
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1990/03/06 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第5号

#1
第118回国会 本会議 第5号
平成二年三月六日(火曜日)
    ─────────────
 議事日程 第五号
  平成二年三月六日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続

    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
    午後二時四分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。新村勝雄君。
    〔新村勝雄君登壇〕
#4
○新村勝雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、第二次海部内閣の施政方針に関し、総理並びに関係各大臣に対して質問をいたします。
 まず、政治倫理についてであります。
 海部総理、倫理とは生きとし生けるものに対する無限に拡大された責任である、これは現代の碩学シュバイツァーの言葉であります。
 そこで、お伺いいたします。
 まず申し上げなければならないことは、あなた自身リクルート事件の渦中におられたという事実であります。あなたは、さきに首相就任の際、リクルート社から五年間に総額千四百四十万円の政治資金を受けたことを明らかにしました。また、一九七六年十二月から七七年十一月の文部大臣在任中、七七年七月五日と同年九月二十日の二回にわたり、いずれもリクルート社が主催したシンポジウムに講師として出席をし、講演料として合計百万円を受け取ったとされています。リクルート社の贈収賄は文部省を一つの舞台としており、高石氏に対し未公開株を譲渡したのは八六年十月三十日であります。総理は、八五年十二月から八六年七月まで文部大臣として在任しており、その期間に、部下であった高石氏らの不法行為が進行していたと推定されます。
 これらの状況から判断するならば、海部総理、あなたはリクルート事件の渦中に身を置いていたと断定されてもやむを得ないと考えますが、いかがですか。
 第二次海部内閣は、リクルート関係議員を一人も入閣させない方針で組閣されたと言われますが、海部総理御自身その渦中の人であったという事実は、極めて矛盾する事態と言わなければなりません。(拍手)
 また、最近の報道によれば、あなたは、さきに公表された額を含めてリ社から合計二千六百三十万円の献金を受けたとされています。これは事実であるか、明らかにされたい。さらに、総理以外の現閣僚中にリクルート社及び関連会社から政治献金を受けた者がないというのは真実かどうか。もしあれば、その氏名と金額を明らかにされたい。
 今、総選挙を終わって、リクルート事件に関係し当選した人たちは、みそぎが済んだとして公然と政治活動を再開しようとしています。しかし、この考えは、政治倫理の原点から考えて容認することはできません。
 フランスの詩人バレリーの言葉に「選挙とライセンスこそ、我々の社会における最大のガンである。」という警句があります。もちろん、この言葉は、選挙を軽視し、あるいは冒涜するものではありません。みずからの主体的判断やモラルの確立を怠って選挙という手続に逃避しようとする倫理的貧困を戒めているのです。
 政治改革は、民主主義の原点である選挙改革から出発しなければなりません。それは、定数の合理的配分、選挙公営など、解決すべき多くの課題に直面しています。ちなみに、今回の総選挙における自民党の得票率は四六・一%なのに、同党所属議員の議席占有率は五三・七%であります。
 一方、選挙に多額の政治資金を必要とすることは、金権政治の元凶をなすものとして、世の指弾を浴びています。殊に、今回の第三十九回総選挙で、自民党は財界に三百億円もの選挙資金を求めたと報じられています。これは事実かどうか、事実だとすればどこから幾らもらったのか、総理のお答えをいただきたい。
 政治改革の核心は政治資金にあり、その集め方と透明度にあります。企業献金は必然的に政治家と企業との癒着を生じ、公平な行政をゆがめる結果をもたらします。これを断ち切って政治の浄化を図るために、企業献金、団体献金の一切を禁止して、政治資金はすべて個人献金のみとし、その内容は公開すべきです。
 総理は、大胆な政治改革を公約して登場しましたが、政治資金の使途を一部制限したにとどまり、実効ある方策はほとんど提起されていません。具体的な政治改革の手順についてお示しをいただきたい。
 周知のように、今回の総選挙は消費税を中心として争われたことは改めて申し上げるまでもありません。この選挙で、与党は勝利したと言っていますが、廃止を公約として戦った野党などの得票率は、自民党が得た得票率と全く同率の四六%なのであります。この数字を無視することはできません。しかも、自民党の多くの候補者は、廃止に近い徹底見直しを主張して、それを約束し、支持を求めたのではなかったのでしょうか。それにもかかわらず、自民党は党公認が二百七十五名当選したから消費税は認められたと公言しているようでありますが、それは主権者の意思を正しく受けとめる態度とは言えません。(拍手)現行消費税については、これを廃止とし、国民合意の税制改革を目指すべきであります。海部総理の見解をお尋ねいたします。
 次は、自民党が突如として一方的に提起したのが、いわゆる体制選択論であります。
 そもそも、この時期に自由主義か社会主義かの選択を日本国民に迫るというのは一体どういう感覚なのだろうかという疑問を抱いた国民がはるかに多かったと思います。有権者を愚弄するのも甚だしいのであります。
 総理、今や、世界の政治潮流は多元的民主主義であります。共産党独裁から解放された東欧といえども、それは資本主義を直ちに導入しようとするのではなく、社会民主主義を最良の政治経済システムととらえ、その樹立に懸命に努力していることば周知の事実であります。その意味で、自由主義か社会主義かという選択論は、いかに国際情勢に無知であるかを示すものにほかなりません。(拍手)
 そもそも、自民党に体制選択を迫るような資格があるでしょうか。土地で暴利をむさぼる自由、リクルート疑獄事件に見られる構造汚職の自由、金権選挙の自由など、その実態が果たしてよい体制と言えるでしょうか。総理の目指す自由とは一体どういう自由なのか、正確に御説明をいただきたいのであります。
 次いで、今回のブッシュ大統領との首脳会談でも議題となった日米構造協議について伺います。
 総理、今回の首脳会談で、内需拡大、市場アクセス改善などについて積極的取り組みを約束したとのことですが、目前に迫った中間報告、そして夏の最終報告ではいかなる具体策を打ち出すのですか。また、その中で、大規模小売店舗法の規制緩和か同法の撤廃か。また、独占禁止法は、公正取引委員会の拡充など規制強化か法改正による罰則の強化か。さらに、公共投資の一〇%拡大要求に応ずるのか。これらの点について、まず明快な答弁をいただきたいと思います。
 米国では、管理貿易の圧力が高まり、四人に一人が日本に非友好的な感情を抱きつつあるとも言われ、その一方、我が国では、経団連や小売業団体が米国による内政干渉を非難するに至っています。
 例えば、先日我が国を訪れたブレジンスキー元大統領補佐官も、貿易摩擦で敵対的な感情が生まれていると警告しているわけでありますが、これを日本側から見るとき、政府の姿勢にもその責任があると言わなければなりません。すなわち、この問題は、国民が豊かさを実感できる経済政策を確立をする絶好の機会であるとの認識、言いかえれば、試練をチャンスとして活用する積極的な立場を明確にした上で、リアリズムに立脚した両国民の総対話を展開する必要があると思うのであります。
 政府は、今後、財界を初め民間レベルでの日米構造協議の場も検討されているようですが、さらにもう一つ、消費者レベルにおける協議の場が必要ではないでしょうか。
 昨年秋、アメリカの消費者運動のリーダーで世界的にも有名なラルフ・ネーダー氏が日本を訪れ、これを迎えた我が国の消費者運動の一部で、両国の消費者による構造協議に向けた検討が既に始まっていると聞いております。今後このような市民レベルでの自発的な取り組みが具体化した場合は、政府としてもできる限り支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、アメリカ側から日本の閉鎖性の一つに見えない参入障壁があるとして批判されています親企業と下請などの系列関係についてお尋ねいたします。
 部品、中間財などの品質管理、迅速な対応、アフターケアなど競争力に直結する企業行動は、我が国の場合、この系列関係がしっかりしていることによると見られていますが、これが果たして参入障壁として取りざたされてよいのでしょうか。最近、アメリカにおいてさえ、我が国のこの親企業と下請の系列関係が、企業のプロダクティブパフォーマンスを支える産業競争力再生の重要な要素として指摘されているではありませんか。ただし、経済合理性を無視した生産系列の従属的関係と、これに基づく取引慣行による障壁に対しては、独禁法の運用の改善によって対処し、開放性を確保すべきであると考えますが、政府の今後の対策を明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、今回の構造協議で米国から要求のあった公共投資の拡大は、極めて重大であります。政府は、この際、さらに踏み込んで、内需主導型経済の定着を目指す今後の社会資本整備のあり方を内外に明確にすることが必要であります。欧米先進国に立ちおくれている下水道など従来型の公共投資に加えて、大都市への一極集中の是正と均衡ある国土開発、アメニティー重視の都市環境整備、ハイテクを活用した公共交通機関の整備や高度情報化社会の確立に向けた基盤整備、情報発信拠点としての地域開発など、生活のゆとりと質を確保する新しい視点からの各種社会資本整備の中長期展望を早急に提示すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、土地問題でお伺いをいたします。
 今日の土地狂乱とサラリーマンの住宅難は、すべて自民党の長期政権の帰結、すなわち、自民党が進めてきた自由主義体制の結果であります。このゆがんだ事実については、いかに目まぐるしく政権をかえてみても、もはや弁解、釈明は許されないことをまず肝に銘ずべきであります。
 顧みると、土地の暴騰は、まず所得倍増政策と称した池田政権下で起き、続いて列島改造政策と言われた田中政権下で全国化し、さらに最近では、規制緩和、民活推進、東京一極集中政策の中曽根政権下で狂乱状態を引き起こしたのであります。つまり、自民党政権が三度にわたって政策的結果として大幅な土地の暴騰をもたらしたものであります。自民党の責任は決して逃れることばできません。
 海部総理、こうした自民党による土地無策をいつまで続けるおつもりですか。土地の制度、政策を確立するには法制上、税制上あるいは金融上から抜本的な改革を加えなければならないにもかかわらず、土地基本法一つとっても、社会党など四野党案が政府案を終始リードしながら昨年の臨時国会で成立したことは、既に御承知のとおりであります。また、国土利用計画法の改正についても、社会党など野党案が先行していることも、つとに知られているところであります。
 このように、自民党政府は、この土地政策については依然として有言不実行であり、いまだにその姿勢は、土地の値上がり益による政治資金の培養優先であり、土地関連税収の大幅増を期待するのみであって、真に解決を図るものではありません。
 そこで、お尋ねをいたします。
 我が国の土地制度は、明治以来百年余、多くの変遷を経て今日に至っているのでありますが、これを抜本的かつ国民的立場から解決をするためには、まず、日本全国の実態を計数的に把握しなければなりません。そして、この関係資料は国民につまびらかに公開されなければなりません。
 つきましては、土地所有の実態把握のため、法人、個人の面積規模別所有者一覧を今国会に速やかに提出していただきたいのであります。次に、土地利用の状況についてですが、これまた全国民的に利用状況を確認し、値上がり待ちの遊休地に対して強力に有効利用を徹底させるため、法人、個人を問わず、資材置き場や平面駐車場などいわゆる低利用を含めた遊休地の所有者別一覧を提出することであります。
 総理、以上の二件の基礎資料を公開することなしに土地制度の抜本的解決は絶対にあり得ません。総理の御見解と御答弁を明確にお願いをするものであります。と申しますのも、今月号の月刊誌に、某財界人が法人分を含めて約十二兆円の土地資産を所有しながらわずかの納税しかしていないという驚くべき実態が紹介されているからであります。
 次は、土地の評価制度についてであります。
 さきに成立した土地基本法にも、社会党などの要求によって、抽象的ながら一定の趣旨が条文化されている重要な点が、土地の公的評価の一元化であります。一物四価を早急に改め、少なくとも公的評価は迅速に一元化し、法制、税制上の行政的基盤を整備することであります。総理、せっかくの土地基本法を単に宣言法や理念法に終わらせないために、土地行政にとって最も不可欠な公的評価の一元化を今年度中に着手するお考えがあるかどうか、明確にお答えいただきたい。
 次は、住宅問題であります。
 住宅の供給の質的低下は、諸外国から冷笑の的となって久しいが、海部総理、あなたが欧米の首脳たちとの会談等で、多分に恥ずかしく、肩身の狭い思いに駆られていることでしょう。こうした我が国の社会資本軽視の政治姿勢は、自民党の基本的体質なのですが、それにしても、西ドイツやフランスなどと日本との住宅格差は余りにも深刻な実態で、今や都市サラリーマンへのしわ寄せは甚だしく、その苦しみ、不満、怒りは爆発寸前と言っても過言ではありません。今回の総選挙で、東京、大阪など大都市で自民党公認が議席、得票数ともに反自民に遠く及ばない少数派に転落させられたことも、その反発のあらわれと言えるでしょう。
 そこで、この破局寸前の住宅問題を解決するには、住宅を供給する国の責務を法律的に明確にする住宅保障法を早急に制定することであります。住宅保障法は、住宅の質、量、価格、住環境等のミニマムを保障し、困窮者登録制を確立することであります。この住宅保障法は、我が社会党が十年来提案してきましたが、海部総理、政府としても早急に同様の法案を提出するかどうか、お伺いをいたします。
 一般に土地問題を解決をすれば住宅問題は解決されると言われますが、今日の自民党政府による土地問題の解決を待っていたのでは、住宅問題の解消は不可能と見るべきであります。したがって、今日、特に都市においては、低家賃の公共住宅を緊急、大量に建設、供給することが必要であります。ところが、この公営、公団住宅等の公共住宅の建設戸数が十年前と比べ約四万五千戸も減少しています。海部総理、政府は公共賃貸よりも公庫融資住宅に力を入れていますが、今後は、土地の確保とローン地獄に苦しむ公庫住宅でなく、供給の重点を低家賃を原則とした公営、公団、公社等公共住宅に移すべきであります。総理、実質的に持ち家と言われる公庫住宅重視から公共の賃貸住宅中心に本年度から転換するよう強く要求します。明確にお答えいただきたい。
 我が国の経済政策は、もう一方で地球環境の保全という世界的な課題に対してこたえられるものでなければなりません。
 日本の提唱によって設置された国連の環境と開発に関する世界委員会は、一九八七年に報告書を取りまとめ、持続可能な開発という目標を提起したことば、既に御案内のとおりであります。これをわかりやすく言えば、人類と自然が共存できる経済ということだと思います。昨年七月のアルシュ・サミットにおいても、その経済宣言は、OECDに対し、経済と環境を両立させるために必要な政策研究を要請し、これを受けたOECDは、同年十二月に、環境破壊の影響を経済の指標に組み込むための研究を重点課題の一つに指定し、日本政府にも参加協力の要請をしてきたのであります。この要請に対し積極的に対応する必要があると思うのですが、政府の姿勢並びに協力の状況について御報告いただきたいと思います。
 他方、経済企画庁の来年度予算として、新たに地球環境保全のための産業経済政策検討費が計上されました。しかし、日本の経済をめぐる新しい状況は、必ずしも地球環境の問題だけではありません。急速な高齢化に伴う福祉の拡充と国民負担率の増加という要因をも視野に入れる必要があるのであります。つまり、検討しなければならない新たな産業経済政策として、環境水準、健康と福祉の水準、国民負担率、経済成長率の四大要素、さらには市民参加の度合いを加えた五大要素を統合化することによって、人間と自然が共存できる経済成長をはかる新たな尺度を確立をし、これを国際社会にも提案していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 ところで、来る四月二十二日は、すべての国のすべての人々が地球に対して優しい生活を見出すきっかけにしようという趣旨で、アースデーと呼ばれているのを御存じであろうと思います。これは、一九七〇年にカリフォルニア州で始まり、ことし初めて世界的な規模で市民レベルの行動が展開される予定と言われています。政府は、地球環境への負荷を軽減するライフスタイルのあり方の検討であるとか、地球環境保全に関する啓発活動などの施策も重視していると言われます。そうだとすれば、市民によるこうした自発的な取り組みに対して政府は支援、協力を惜しんではならないと思うのですが、いかがでしょうか。
 次に、福祉政策についてお尋ねいたします。
 何よりも問題なのは、中曽根行革以来、自民党政府は、一方で福祉財政を削減しながら、他方では国民負担率を引き上げているという矛盾した対応であります。まずこの事実をお認めになるかどうか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
 例えば、一九八九年度の租税及び社会保険料負担は国民所得の三八・八%と見られておりますが、五年前のそれは三四・五%だったのであります。一方、社会保障に対する国庫負担率は、同じ期間に国民所得の四・六%から四・〇%へと逆に下がっており、これは当然のことながら、自治体及び利用者の負担を高める結果を招いているのであります。一方で福祉を削減し、他方で国民負担を高める自民党政府のやり方は、いわば高かろう悪かろうという路線であり、低福祉なのに重税感が伴う自助型の社会を形成するものと言わなければなりません。
 そこでお尋ねしますが、あなた方自民党が総選挙に不利と判断して先送りしたサラリーマンの年金支給開始年齢の繰り延べ、それに老人医療の自己負担増について、政府は今後どうするのかということであります。私は、高福祉・納得負担と言える連帯型の社会を目指す立場から、福祉はもうこれ以上レベルダウンさせないことをこの際明確にすべきであると考えますが、いかがでしょうか。(拍手)
 また、政府の「高齢者保健福祉推進十か年戦略」について、二点お尋ねいたします。
 その一つは、在宅介護サービスについてどこまで国が責任を持つのかということであります。食事、入浴などにいつも介護を必要とするいわゆる在宅重介護の対象者は、今約四十万人、十年後に約五十八万人程度と推定されます。この人々が必要に応じて毎日でも公的な介護サービスを利用できるようにすることが、国民の安心と納得を確保する最低条件ではないでしょうか。
 もう一つは、デイサービスセンターなど施設を確保する上で、大都市部の用地確保をどうするかということについてであります。極めて困難なこの課題に対して、例えば、土地を自治体に売却すれば譲渡所得税を免税にするといった方法で自治体による土地先買い権を強化する方向、また、中央官庁の合同庁舎化を進めたように、保健所、社会福祉事務所、各種施設などの合築化を本格化すべきではないでしょうか。また、数多くある省庁の出先機関や県の施設についても、所在地市町村の要請があれば当該市町村の関係施設を合築するなど、柔軟な対応をすべきではないかと思うのであります。
 なお、具体的な問題をもう一つお尋ねいたします。
 それは、国鉄民営化以来、旧国鉄及び現JR職員に対する不当労働行為に対し、各地の地方労働委員会から実に七十九件もの救済命令が出されたにもかかわらず、事業者側は和解の二件を除いて履行していないという驚くべき問題についてであります。政府は、これらを含めた再就職希望者約千六百名について、いわゆる再就職促進法の期限であるこの三月末日までに救済し、一人の職員も路頭に迷わせないという当時の中曽根総理の答弁を厳守、実行すべきだと考えますが、方針を承りたいと思います。(拍手)
 以上、山積する課題に対し、我々国会議員は、単に政府に対して質問し提案するだけではなく、国会において議員同士が十分討論を深めなければなりません。
 そこで、自民党の総裁として、国会改革についてお答えいただきたいのであります。
 国会は、国権の最高機関としての権威を与えられながら、いたずらに旧慣、先例を墨守するにとどまり、時代の進運に伴わない側面が多く見られます。殊に指摘したいのは、院の意思決定過程が明確でなく、政党間、議員間の討論が極めて不足していることであります。
 そこで、私は次の二つを御提案したいと思うのであります。
 第一は、各委員会ごとに議員相互間における討論の機会を保障し、全委員が議員として対等の立場で参加する定期的な政策協議の場を設けること、第二は、各会期に一回、議員のだれもが参加できる公開の政策シンポジウムを本院として開催することであります。
 かつて憲政の神様と称せられた尾崎行雄氏が「国会は議事堂ではなく表決堂にすぎない」と言われたそのままの状況を、本会議場に参集されたすべての同僚議員とともに深く反省することを呼びかけ、私の質問を終わります。(拍手)
 なお、総理にお願いしたいことは、今、日本の国会は、両院において政治勢力が異なるといういわゆるねじれ現象のもとにあります。これも、主権者たる国民が与えた政治状況である以上、政治家はお互いに知恵を出し合わなければなりません。殊に、総理は、今までの自民党政治とは全く違った発想と哲学とを持って対処しなければならないと考えます。総理のこの点における賢明な御判断とお考えとを強く要望して、終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 最初に政治倫理についての御発言があり、私の政治資金についても御指摘がありましたが、私にもリクルート社からの政治資金もございました。五年間で千四百四十万円でありました。ただ、これは、社会的に同社が問題になる前の通常の政治資金として受け取っておったものでございますが、今後は十分に注意をして対処をしてまいらなければならぬと考えます。なお、それ以上の金額はございません。また、私が文部大臣在任中は、文教行政について厳正に対処してまいりました。御理解をいただきたいと思います。
 現閣僚についてリクルート社及びその関連からの政治献金についてでございましたが、これは各閣僚から内閣官房長官に対し自主的に申告が行われているものでございますので、その取りまとめを次のように御報告します。すなわち、私の分千四百四十万円、橋本大蔵大臣二百四十万円、大野運輸大臣六十万円、塚原労働大臣六百三十万円、坂本官房長官八百九十三万円、砂田北海道・沖縄開発庁長官二百二十万円、佐藤国土庁長官千四百万円であります。これらの政治献金等については、いずれもリクルート問題における政治献金等に関する自民党の見解に照らして問題はないものと考えております。
 また、財界から三百億円もの政治資金を求めたとの報道についてお触れになりましたが、その報道があったことは承知いたしておりますが、現行制度にのっとってそれぞれ対応してきたものであり、報道のような巨額な財界からの企業献金があったとは承知いたしておりません。
 企業献金、団体献金の一切を禁止して、政治献金は個人献金のみとして、その内容を公開すべきではないかということでございますが、企業等の団体も一つの社会的存在であることを考えますと、政治活動に関する企業の団体寄附がよくないと決めてかかるのは適当でないと思います。もとより、節度を持って政治献金を調達すべきは当然のことでありますが、政治献金の公開性を高める努力は必要と私は認識をいたしております。
 なお、各党それぞれにおいても政治資金の問題について御議論をいただいており、選挙制度審議会の意見も伺いながら、さらに努力をしていく所存でございます。
 また、現在、政治改革を進め、信頼の政治を確立することが何よりも必要とされております。リクルート事件の反省の上に立って、政治倫理を確立するとともに、金のかからない政治活動や政策中心の選挙の実現など、実のある政治改革を全力を挙げて進めていく。さきの国会における公職選挙法の改正は高く評価されるものであり、これは平成の政治改革の第一歩としてとらえられるものであります。
 現在、選挙制度審議会において、定数是正を含む選挙制度及び政治資金制度の抜本的改革のための具体策について精力的に御審議をいただいております。選挙制度審議会が各党各会派の御意見を聞きたいと言ってお招きするときは、どうぞ野党の皆さんも御出席をいただいて、野党自身の御意見を審議会にも述べて反映をさせていただきたいということを心からお願いをしておきます。
 なお、ことしは時あたかも国会開設百年という記念すべき年であります。御答申をいただいたら、その改革の実現に向けて不退転の決意で取り組みますから、引き続き各党各会派のこの問題に対する御理解と御協力もこの場からお願いを申し上げておきます。
 与野党の得票率を見ても、今回の総選挙で消費税が認められたとは言えない、消費税を廃止しろ、やり直すべきではないかとおっしゃいます。
 しかし、今回の選挙におきまして消費税が重要な争点となりましたこと、また、我が党は、思い切って消費税の見直しをして、世論の指さす方向、国民の皆さんの御意見を聞いて、大幅に見直しもしたわけであります。
 選挙中には、社会党は、今度の選挙は消費税の存廃を決める国民投票だとも言われたのであります。もしそうであるとするなれば、過半数の支持をいただくということは、国民投票の結果はどうであったでございましょうかと私は申し上げたいのでありますけれども、そこは謙虚に、自由民主党はそのことだけを申し上げるのではなくて、与野党の御議論を通じて、消費税の中身について国会で御議論をいただぎたい、こう思っておるわけでありますから、我が方も見直し案を出しますから、選挙のときに御提案になった個別間接税に関する問題もやはり国会にお出しになって、そこで議論を重ねることが本当の議会政治というものではないかと考えておりますので、一日も早く御議論をいただき、我が党としましては、二十一世紀を支えるための必要な税制である、高齢化社会を展望して、重税感、不公平感をなくすためのものであるということを、私自身、党首討論会でも、選挙中の至るところの遊説でも、国民の皆さんに向かって、楽しくない、そしてつらい話であっても御負担はお願いしなければならぬと言って、消費税の定着をお願いし続けてきた選挙でございますから、これを廃止しようという考えはございませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。(拍手)
 総理の目指す自由について、今御議論の中で、自由主義か社会主義かの選択を国民に迫って考えが古いと、こうおっしゃいましたが、私は自由主義か社会主義かの選択を今度の選挙で迫ったものではありません。何回も申し上げましたが、自由、民主主義と市場経済、そして社会主義と統制経済、これは東欧においてもう歴史的に勝負がついておることだと私は言い続けさせていただきました。そうして、自由、民主主義と市場経済を貫いていこう、目の前に内政、外交ともにたくさんの問題を抱えておるわけでありますから、現実的、具体的な政策をお願いをしておる自由民主党に引き続き政権を担当させてくださるか、あるいは連合政権構想をいろいろ言っていられる野党連合に政権をお任せなさるのか、この御選択を国民の皆さんに私は率直に訴えたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
 また、日米構造問題協議のことにつきましては、私は、日米問題というのは現下の世界情勢の中でも最も重要な課題の一つであると認識をいたしております。日本の外交の基軸は日米でありますから、ここにおいて、経済問題その他においてこれがよくない関係にどんどんいくことば、これは阻止しなければなりません。抱える構造問題の改革に向けても今鋭意検討しておるところでありますが、日米間においては、きょうまでいろいろな問題を実務者レベルで議論を続けてきておりますけれども、アメリカ国内にいら立ちがあったり、アメリカの議会にいろいろな動きが出てきておって、経済問題のそういう点だけが妙に拡大されていくことはこれはよくないことだと考えましたので、国会のお許しを得て私は首脳会談に行き、率直にこの問題の重要性について話し合いをいたしました。
 これは、申し上げれば、前川レポートというものを中心に数年前から我が国の経済構造の自主的な調整作業が行われて、内需を拡大すること、輸入をふやすことによって国際社会の中における日本の責任と立場を守っていこうという努力がきょうまで続いてきておったわけであります。国民生活の質の向上や消費者重視の観点からも、この構造改善はできるだけ努力をしていかなければならない我が国のための政策でもございました。私は、この努力を今後とも一層続けることによって、国際社会における日本の立場、同時に、日本とアメリカとの間にあるこの構造問題協議の解決に向けて前進をしていかなければならぬと考えておりますので、どうぞ皆様方の御理解をお願いしたいわけでございます。
 また、日米構造問題に関しましては、国民生活の質の向上からできるだけの努力を行うのですけれども、市民レベルにおいても広く議論等が行われることは、私も、先生の御指摘と同じように、極めて有意義なことであると考えております。
 また、系列関係が参入障害となってはいないかという御質問もございましたが、今、日本の企業の実情や系列関係の問題、その他品質を高品質、高精度に保っていかなければならぬという問題などたくさんあると思います。私は、それらの問題につきましても率直に関係者とお話をしながら、ただ、系列企業間の取引を優先することに伴って独占禁止法上問題となるような行為があるとすれば、公正取引委員会において厳正に対処されるべきものと考えております。
 また、生活のゆとりと質を確保するという観点から、社会資本整備の中長期展望を早急に提示すべきではないかと御指摘がございました。
 豊かさを実感できる国民生活を実現するためには、いろいろな問題がありますが、社会資本整備の基本的な方向を公共事業関係の長期計画の策定というところに持っていこうというお考えは、きょうまでも十五本にわたる中長期の計画をつくって努力をし、そのうち八本はほぼ一〇〇%を超える達成率を今日も達しておるのですけれども、依然として諸外国と比べて社会資本の見劣りはするわけでありますから、国民生活のためにでき得る限りの充実を図っていかなければならぬと考えております。
 また、土地保有の実態を把握しろ、土地所有者状況、遊休地の所有者別状況を把握しそれを公開しろとの御指摘でございます。
 土地に関する施策を実施するに当たっては、土地利用のデータを体系的に把握、管理することが不可欠でございます。こうした観点から、今後とも、土地の所有及び利用状況、地価の動向、土地に関する基礎的な情報の総合的な整備に努めてまいりたいと考えております。
 住宅保障法についてお触れになりましたが、社会党が国会に提出されたことのあることは私も承知させていただいておりますが、住宅に関する基本的な考え方を示す法律として、住宅政策の目標、国の責務、住宅費負担の取り扱い問題等に関して、国民及び各政党の間のコンセンサスがいまだ形成されておらないと考えております。政府としては、国民の居住水準向上のため、住宅建設計画法に基づき住宅建設五箇年計画を作成し、その達成に努力をし、あわせて、緊急に大都市地域での住宅供給を引き続き促進していく考えでございます。
 また、住宅政策の基本は、国民のニーズにこたえて居住水準の向上を図っていくことにあると考えております。したがって、今後とも公庫融資等の持ち家対策と公共賃貸住宅などの借家対策とをバランスよく展開していくのが必要であると考えております。
 また、福祉予算と国民負担についてお触れになりましたが、これまでの財政改革の過程においても、国民生活の安定と向上を図るため、社会保障関係予算については特別の配慮を行ってきたところでございます。国民負担率の上昇は、福祉の充実に伴う社会保障給付費の増額と過去の国債の大量発行に起因する公債費の増が主なる原因と考えております。今後の財政運営の基本的方向としては、本格的高齢化社会の到来における国民負担率の水準の上昇を極力抑制することが必要であり、そのために、当面、国債残高の累増を抑制することが大切だと考えております。
 また、土地を自治体に売却した場合の譲渡所得税の免除についてお触れになりましたが、土地を譲渡した場合には、収用等の場合の五千万円特別控除や、公有地拡大法の買い取り手続により地方団体等に買い取られる場合の千五百万円特別控除が適用されますほか、その土地の所有期間が五年を超える場合には一律二〇%の軽減課税が行われるなど、最大限の配慮を行っているところでございます。
 また、自治体施設の合築についても、各地方公共団体において現在各種公共福祉施設の複合化に意を用いているところと承知いたしております。今後とも、住民の福祉の向上を図りつつ、各地方公共団体における用地の一層の有効活用を期待いたします。
 省庁の出先機関の合築化についても、さきの地方の考え方と等しく、国の出先機関の省庁の合同庁舎化については積極的に推進し、その際、地方公共団体の施設との合築についても必要に応じて対処をしていかなければならないと考えております。
 国鉄清算事業団職員についてもお触れになりました。
 政府は、全力を挙げて再就職確保に努力してきたところでございます。しかし、いまだ千六百名の就職先未定の職員が残っておりますが、残された一カ月の期間も、全力を挙げて再就職希望者の再就職促進に取り組むよう清算事業団を指導してまいりたいと考えております。残っている再就職先未定の職員も、再就職先を見つけることができますよう真剣に最大の努力を払われることをお願いするとともに、地方労働委員会からJR各社に対し不当労働行為の救済命令が出されていることは承知いたしております。これらの事案については、中央労働委員会等において当事者間においてなお係争中でございますので、政府としてはコメントを差し控えさせていただこうと思います。
 最後に、国会運営についてお触れになりました。
 国会で議員が討論をするようにすることを考えるとの御提言でございます。これは、議長さん初め各党の皆さん方がお話し合いによって御決定いただく問題とは存じますけれども、政府といたしましても、まことにいい姿でありますから、ぜひそのような御提言が実りますように心からお願いをいたしますとともに、両院のねじれ現象についてもお触れになりましたが、確かに、衆議院はこの間の選挙の結果安定過半数を賜っておりますけれども、参議院は与野党が逆転であります。だからといって、衆議院で通る法律が参議院に行っては絶対に通らないよということを初めから決めてしまったのでは、議会政治というものは一体何のためにあるかということは最大の問題点でありますから、前半の委員の御指摘のように、与野党の議員が十分御調論をいただくこと、ここを大きく期待をさせていただく次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣佐藤守良君登壇〕
#6
○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。
 私に対する質問は二つあったと思いますが、その一つは、土地の有効利用を徹底させるため個人、法人を問わず遊休地の所有者別一覧を作成し公開すべきではないかという御提言でございますが、遊休地の所有者別状況の把握、公開についての御指摘がありましたが、大都市地域における低未利用地の有効高度利用は、土地対策上重要な課題でございます。こうした観点から、低未利用地の実態把握とその利用を促進する制度の整備が必要であると認識しております。
 二つ目は、土地の公的評価の一元化を今年度中に着手する考えがあるかどうかということでございますが、公的土地評価制度については、先生御高承のとおり四つございまして、地価公示及び都道府県地価調査、相続税評価、固定資産税評価がございます。これらについては、それぞれ制度の目的に応じた評価がなされており、一元化することば容易ではございません。
 しかしながら、公的土地評価に対する国民の信頼を高めることが重要であることにかんがみまして、昭和六十三年六月に閣議決定した総合土地対策要綱において、相続税評価、固定資産税評価について、その性格を考慮し、地価公示との関係に十分配慮しつつ、その均衡化、適正化を推進することとしております。
 また、昨年成立しました土地基本法において、公的土地評価について相互の均衡と適正化に努めるものとされており、さきの土地対策関係閣僚会議においても、公的土地評価の適正化を行うことを申し合わせたところでございます。今後とも、関係省庁におきましては、その推進が図られるべきであると考えております。(拍手)
    〔国務大臣北川石松君登壇〕
#7
○国務大臣(北川石松君) 新村議員の御質問にお答え申し上げます。
 環境破壊の影響を経済指標に組み込み、そうして検討を開始するOECDの要請に積極的にこたえるかどうか、また、人間と自然が共存共栄する可能についての経済成長をはかる尺度をどうするか、この御質問についてお答え申し上げたいと思います。
 人類はもとより生きとし生きる万物がその生存の基盤であるところの地球環境を保全するには、持続可能な開発を実現することが世界の共通課題となっておることは御指摘のとおりであります。そのためには、環境と経済を統合した指標をつくることが効果的であると思います。また、このような観点に立ちまして、昨年のアルシュ・サミットがOECDに対しまして新たな環境指標の開発のための検討を求めたのは、御承知のとおりでございます。これはまた時宜を得たものであると考える次第でございます。
 これを受けましてOECDで行われている環境指標の検討のため、環境庁といたしましては、専門家の派遣等によりましてこれに大きく協力することばもちろんであり、今後とも、人間と自然が共存共栄することについて、積極的にこれに参画し、貢献してまいり、私は中和の心を持って精励してまいりたいと思います。(拍手)
 次に、アースデーについて御質問でございますが、地球環境保全のためには、地球的視野に立って考え、足元から行動するとの理念を持って、国はもとより、地方も国民も企業も挙げて地球環境への負荷を少なくするための努力と行動をしていきたい。
 このような趣旨から、国連では、六月五日を世界環境の日としまして、世界各国におけるところの啓発運動に参加いたしております。政府といたしましても、世界環境の日が、これは我が国の提唱に基づきつくられたものでありまして、この経緯にかんがみまして、例年六月五日は環境週間として、環境保全のための啓発活動を実施いたしております。本年もまた、環境週間を中心として普及啓発の強化を図ってまいりたい、このように思っております。
 一方、御質問の米国の民間団体が中心となりまして四月二十二日にアースデーを行われますが、民間団体等がそれぞれの立場から環境保全に取り組むことには大きな意義がございますし、環境庁といたしましては、アースデーの行事につきまして、申し出があれば個別に検討し、適切に対処してまいりたい。特に、地球環境は大事な問題でございますから、本院はもとより国民の御理解の上に立って、本庁もまた精励恪勤いたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
#8
○国務大臣(津島雄二君) 新村議員の質問の第一点は、年金の支給開始年齢の繰り延べの問題について今後どうするかということでございました。
 老後の所得保障の柱として、年金制度の確立は政治上の最大の課題でございます。しかしながら、高齢化の急速な進展の中で現行制度を維持することもまたなかなか容易でないことば、御承知のとおりでございます。こうした中で、現行の年金給付水準を維持しながら後代の負担を過大なものにならないようにするためには、厚生年金の支給開始年齢の引き上げは避けて通れない選択肢であると考えております。今後、高齢者雇用の確保を図りつつ、前国会で設けられた支給開始年齢見直し規定の趣旨を踏まえ、総合的に検討してまいる所存であります。いずれにせよ、この問題については、受益と負担に関する国民的合意を形成するよう努めてまいりたいと考えております。
 新村議員の質問の第二点でございますが、老人医療の自己負担増は今後どうするのかという点でございました。
 老人保健制度について、平成二年度において制度の基盤安定化を図るための措置を講じることとしておりますが、老人保健制度のあり方については、自己負担を含め、費用負担等についても引き続き検討を行い、適切に対処してまいりたいと考えております。
 新村議員の質問の第三点は、在宅の重介護の対象者が必要に応じて毎日でも公的な介護サービスを利用できるようにすべきであるがどうかということでございます。
 社会党の重介護保障政策大綱においては、ホームヘルパーが毎日在宅の要重介護者を訪問することとされていることはよく承知をいたしております。私どものゴールドプラン、すなわち「高齢者保健福祉推進十か年戦略」においては、ホームヘルパーの訪問とともに、ショートステイ、デイサービス等の各種在宅福祉サービスを思い切って拡充することとしており、必要に応じてこれらのサービスを総合的に活用することによりお年寄りやその家族を支援していくことが適切であると考えております。同時に、家庭での介護が困難な方々については、特別養護老人ホームや老人保健施設を大幅に整備していく方針であります。
 今後、政府としては、ゴールドプランの目標の着実な実現に向けて全力を挙げていく決意でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(櫻内義雄君) 不破哲三君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔不破哲三君登壇〕
#10
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、内外政策の諸問題について、海部首相に質問いたします。
 首相は、施政方針演説の中で、今世界は歴史的変化のさなかにあるとして、新しい平和共存の世界の構築とか冷戦の克服の歩みなどについてしきりに語りました。しかし、その世界にあって日本が何をするかということになると、政府演説で強調されたのは、これまでどおりの力の政策であり、日米安保体制の堅持、節度ある軍備拡大など、従来の冷戦型の政策の繰り返しだけでした。そこでは、今日、世界平和の焦点となっている軍事同盟の解体はおろか、軍縮の問題さえほとんど無視されているのであります。これは、日米軍事同盟にすべてをかけてきた自民党政治の古い枠組みでは、世界の現在の大きな流れにもはや対応できなくなっていることの告白ではないでしょうか。
 まず伺いたいのは、軍事同盟の解体という世界的な課題をどう考えるかという問題です。
 四十五年前に国際連合が創設されたとき、二つの世界大戦の痛苦の教訓からの最大の問題とされたのは、相対抗する軍事同盟の存在を認めない世界秩序をつくることでした。この教訓に逆らって、冷戦の中で、国連憲章からいえばいわば脱法的に生み出されたのが、核兵器で対抗し合う軍事同盟という現在の体制だったのです。
 今日、世界の安定した平和を目指そうとするならば、世界のすべての軍事同盟の解体、外国軍隊の撤退の問題を避けて通ることはできません。東ヨーロッパでの激動による積極的な変化の一つも、チェコその他でソ連軍の撤退やその協議が具体的に始まったことにありました。
 海部首相は冷戦の克服を歓迎すると言いますが、日本政府として、軍事同盟のない世界を目指して努力する意思があるかどうか、明確な答弁を求めるものであります。
 アジア・太平洋地域について言えば、日米安保体制は、この地域での冷戦体制のかなめをなすものです。首相は、日米軍事同盟が世界平和と矛盾しないことを示そうとして、専守防衛、非核三原則などの制約を強調しました。一体、首相は、日米安保体制がベトナム戦争や中東紛争で果たしてきた役割を、在日米軍の活動を含めて、専守防衛の範囲内のものだと本気で考えているのでしょうか。また、六〇年の安保改定以来のこの三十年間、寄港などのいわゆる一時通過を含めて、日本にアメリカの核兵器が持ち込まれたことば一度もないと責任を持って保障できるのでしょうか。
 日米安保体制が、日本をこの地域におけるアメリカの核戦争の第一線基地にするとともに、自衛隊の自動参戦をも予定した攻撃的かつ侵略的な軍事同盟であることは、事実が示すことです。この軍事同盟を強化する政策を現実には進めながら、他方で冷戦の克服や平和共存の世界の構築を云々しても、それは偽善のそしりを免れ得ないでしょう。(拍手)
 首相演説は、また、核兵器廃絶の課題についても、もっと一般的に言えば核軍縮の課題についても、ついに一言も言及しませんでした。今日、核兵器の廃絶を目指す核軍縮の課題は、国際政治の中心問題となっています。そのときに、核軍縮について語るべきものを何一つ持たないのだとしたら、被爆国日本の政府としての資格を疑わざるを得ません。改めて、核戦争阻止、核兵器廃絶の課題に対する見解と態度を問うものであります。
 なお、昨日の答弁で総理が唱えた核の均衡と抑止の立場なるものについては、これは既に八〇年代冒頭の国連報告でも、今存在する最も危険な集団的誤謬として退けられた議論であることを指摘しておきたいと思うのであります。
 日米軍事同盟の問題で特に重視すべきことは、アメリカからの軍備拡大要求が国民生活を圧迫する最大の重荷の一つとなっていることであります。一般消費税をあきらめた大平首相が、アメリカの雑誌でのインタビューで、米国の軍備拡大要求をそのまま受け入れれば、国民生活に関連する予算の削減と増税とが避けられなくなる、こう答えたのはちょうど十年前のことでした。ところが、この十年間の自民党政治は、そこで懸念されたとおりの道を歩いてきたではありませんか。十年前に軍事費で世界第八位だった日本は、今やアメリカ、ソ連に次ぐ世界第三の軍事大国となりました。そして、その負担は、まず福祉や教育の予算の切り捨てとして、次いで売上税、消費税という増税計画として、国民生活に転嫁されてきたのであります。
 この軍備拡大がアメリカの要求と計画を受け入れたものであることは、米国政府が議会に公式に報告しているところです。しかも、アメリカの要求はとどまるところを知らず、昨年十二月には、一九九二年までに日本の軍事費と戦略援助予算をGNPの三%にまで拡大することを米国政府に義務づける法律まで制定されました。
 総理、あなたはアメリカのこういう態度を内政干渉だとは考えませんか。日本の軍事費をどうするかは、日本の主権に属する問題です。日本があなた方の言うように主権国家であるならば、こうした干渉的な軍備拡大の要求はきっぱりと拒否すべきであります。そして、日本が率先して軍縮に転換することで世界の平和に貢献する道を選ぶべきであります。日米安保体制のもとではこうした干渉は当然だというのならば、日本国民の主権と安全のために、日米安保体制という枠組みそのものの是非を今こそ根本から再検討すべきではありませんか。(拍手)
 今回の日米首脳会談は、その経過も内容も、日米軍事同盟のもとでの日米関係の異常な実態をあからさまに示したものでした。率直に言って、この会談に至る経過は、首相がアメリカ大統領の電話一本で呼びつけられたといった印象を国民に与えました。総選挙直後の国会の開会中、国会での代表質問も受けないままでアメリカとの首脳会談を緊急に行うという理由は、一体どこにあったのですか。そのこと自体が、米国政府を日本の国民と国会の上に置く対米追従の態度であります。
 この会談で、在日米軍の経費を含む日本の軍事費や戦略援助の拡大の問題について、どのような協議とどのような約束がなされたのですか。また、いわゆる構造協議問題で、アメリカ側からは何を要求され、何を首相は約束してきたのですか。この緊急首脳会談が、具体問題での何の取り決めもない、協議もない、一般的な意見交換にとどまったなどという説明は、通用するものではありません。これまでも、日米会談での重大な取り決めが、日本の国内ではひた隠しにされ、後で米国政府の報告などで明らかになるといったことは、しばしばありました。今回の会談でいかなる対米公約を行ってきたのかについて、首相には国民の前で明らかにすべき厳粛な義務と責任があるはずであります。
 次に進みましょう。
 首相は、世界の歴史的変化の第一に、ソ連・東欧での変化を挙げました。東欧で国民が見放したのは、スターリン流、ブレジネフ流の政治、経済の体制であって、ここに社会主義そのものの失敗を見るのは見当違いであります。我々は、東欧諸国で、それぞれの国民が、自主独立と民主主義の立場に立って、今日の激動の中からよりよい社会主義への道の探求に成功することを希望するものであります。
 もともと科学的な社会主義の運動と理論の根本は、社会の現実と法則を正しく見て、当面する国民の苦難にこたえるとともに、よりよい社会を目指すところにあります。その意味で、当面日本共産党が目指しているのは、資本主義の枠内での民主的な改革の実現であります。そして、情勢が求め、国民の賛成があるならば、究極的には搾取制度を卒業して、より高度な社会に前進しようというものであります。
 人類が国民主権の原則を初め自由と民主主義をかち取ったのは資本主義の時代においてですが、その民主的な前進に最も貢献したのは、資本主義の支配勢力ではなく、社会主義運動を重要な柱とする人民の運動でした。日本でも、専制政治が支配した戦前の暗黒時代に、国民が主人公という民主政治の旗を国民の先頭に立って掲げたのは、政党では、科学的社会主義の党である日本共産党でした。そのときあなた方自民党の先輩たちは、自由と民主主義に対する弾圧者の側に立っていたではありませんか。これが歴史の真実であります。自由と民主主義の価値を力説する総理がこの歴史をどう反省しているか、伺いたいのであります。(拍手)
 日本共産党は、戦前から国民が主人公の民主政治の立場を貫いてきた政党として、日本の将来について、どのような段階においても、複数政党制や選挙による政権交代制を含む議会制民主主義の充実拡大の道を進むべきだということを早くから展望してきました。私たちは、この立場から、東欧諸国での民主化のうねりを、その変革の途上ではさまざまな試行錯誤があるとしても、全体としては、社会主義の本領を発揮する方向での新しい前進の過程として歓迎するものであります。
 日本でも、長期にわたる自民党一党政権の終結、政権交代への要望は、今回の選挙の争点の一つでした。自民党政府としては当然今の政治がいつまでも続くことを望むでしょうが、私がここで総理に聞きたいのは、国民主権の立場から政権交代をどう考えるかという原理の問題、基本問題についてであります。
 現在、自民党を含む日本の政界の一部には、世界観や価値観、さらに安保、外交政策の一致を政権交代の前提として野党に求める議論があります。これは、政治を選択する国民の権利に制限を加えて、特定の政権体制の永続化を押しつける議論であり、国民主権の原則とも、思想信条の自由の原則とも矛盾するものとは考えませんか。民主政治の原理にかかわる問題として、総理の見解を問うものであります。
 今の日本で国政の争点となっているのは、資本主義か社会主義かの選択ではありません。日本では、他の資本主義諸国と比べても、国民にとっての民主主義の不足が際立っており、私たちは資本主義の枠内での民主主義の徹底こそが現在の日本の政治の中心問題だと考えています。
 首相も、演説の中で、日本の社会が当面している幾つかの問題点を挙げました。しかし、それらは、我が国社会が大きな変動期を迎えたからだとして済ませられる問題ではありません。日本は、政府が世界のGNPの一四%を占めると誇る世界第二の経済力を持っています。にもかかわらず、首相自身「国民一人一人に豊かさの実感が乏しい」と言わざるを得ないのは、この経済力が、長い自民党政治のもとで、軍備拡大や米軍基地、大企業の利益を最優先に使われ、主人公である国民のために使われていないからであります。
 実際、国民生活の上には、世界に例を見ないようなひどい実態が無数にあります。
 まず、社会福祉の問題ですが、その国際的な立ちおくれは重大です。特に、世界で老人問題が共通の大きな問題となっているとき、自民党政府がとってきた福祉切り捨ての政策は、今日極めて深刻な問題を全国に引き起こしています。老人保健法で実施し始めた年齢による医療差別の制度が、世界に例のないものであることは、さきの国会で政府自身も認めましたが、全国のお年寄りと御家族に大変な苦痛をもたらしています。また、一九八一年の厚生省通達による生活保護の極端な受給制限が、多くの老人世帯に無数の悲劇をもたらしたことはよく知られています。こうした施策を早急に再検討し、その是正を図る考えはありませんか。
 貿易摩擦を引き起こしている大企業の異常な輸出競争力の根底に、労働者の長時間過密労働や下請締めつけの体制があることは、隠れもない事実であります。日本の労働者の実質労働時間は年間二千百六十八時間で、西ドイツより四カ月分も長い。しかも、大企業では、職場に憲法なしが常識となるほど、人権をも抑圧した超過密労働の押しつけや家庭崩壊の危険をはらむ単身赴任の強要が天下御免で横行しています。
 その結果、高度な技術を持った大企業でも、労働災害や在職中の死亡者を含む死亡者が続出しており、「ジャパニーズ・カローシ」が世界語となるに至りました。東京のある生命保険会社のアンケート調査では、サラリーマンの二人に一人が、過労死の可能性があると答えたという驚くべき結果が出ています。
 こうした事態は世界に全く例がないものです。大企業の利益は日本の利益だとしてその横暴を野放しにしてきた自民党政治も、その責任を免れることはできません。国民の生命と健康を守る立場から、労働時間の短縮を初め、こうした事態の抜本的な解決のために必要な手段をとろうという考えはありませんか、伺いたいのであります。
 首相は、演説で、土地住宅問題を取り上げました。実際、特にこの十年来の土地の高騰はまさに狂乱の名に値するもので、計算によれば、一九八七年末の水準でも、日本の土地の総価格でアメリカ全土を四回買うことができ、東京二十三区の土地価格だけでも、アメリカ全土を買ってなお三十兆円のおつりがくるという状況です。大都市は既に勤労者の住めるところではなくなりました。
 問題は、土地価格のこの暴騰が自然現象ではないということです。そして、その責任の第一は、民活の名で大企業の土地買い占めを促進してきた自民党政治にこそあります。(拍手)そのことへの反省と、大企業の土地投機の取り締まりなど、土地政策を根本的に転換させる決意なしには、土地住宅問題の解決を責任を持って語ることはできないはずですが、総理の認識のほどを伺いたいのであります。
 農政について言えば、首相は、演説の中で、国民の食糧のカロリー自給率を問題にしました。現在、日本の自給率は四九%、文字どおり世界でも最低水準のところまで低落しています。自給率のこれ以上の低下を許さず、早急にその向上を図ることは、日本の経済的自立にとっても、国民の食品の完全確保にとっても、急務であります。そのためには、主食である米の市場開放、輸入自由化を認めないことがまず不可欠です。首相は、日米首脳会談で、ウルグアイ・ラウンドでの日米の緊密な協力をうたいましたが、米の輸入自由化は認めない態度を貫く決意をお持ちかどうか、はっきりした答弁を求めるものであります。
 また、首相は、自給率の五割への回復を努力目標として掲げました。五割とは、一%の回復ということであり、日本の置かれている危機的な事態からすれば、余りにも志の小さい目標であります。日本共産党は、今後十年間に自給率を六割台に回復するという政策目標を掲げ、そのために必要な農業再建策を提唱しています。この点では、サミット参加国でも、西ドイツは十五年間に自給率を二七%、イギリスは二九%向上させた実績を持っています。首相に本気で日本の食糧問題を重視し、農業の再建を図る熱意があるならば、一%の向上といったものではなく、真剣な検討に値する政策目標を提示すべきではありませんか。
 以上、幾つかの問題について述べました。これらはすべて資本主義世界でも例外的な異常な状況に日本が落ち込んでいることを示すものであって、世界第二の経済力を国民本位の立場で活用するならば、一定の政策と手順のもとに解決できることばかりであります。
 ところが、政府が今実行しているのは、全く反対のことです。選挙戦の最大の争点の一つとなった消費税は、そのことを典型的に示したものでした。ただでさえ自民党の悪政に苦しめられている国民の肩に、軍備拡大や大企業中心の政治のための財源づくりとして、大型間接税を三たびにわたる国民の審判に反して押しつけるなどは、悪政の上に悪政を重ねるものであって、絶対に許されることではありません。
 しかも、見過ごすわけにいかないのは、政府が、将来の税率引き上げを予定しながら、その見通しについて全く口を閉ざしていることです。首相は、消費税を「二十一世紀を支えるため必要なもの」だと特徴づけました。そうであるならば、一内閣として将来のことに責任を負えないといったこれまでの逃げ口上は持ち出せないはずです。自民党の政府として、消費税の税率について、二十一世紀を支えるいかなる計画を持っているのかを国民の前に明言すべきです。それを隠したまま、見直しでの定着を図ろうというのは、主権者である国民を欺瞞するものではありませんか。
 しかも、選挙戦で自民党が公約とした見直しは、現状では、衆参両院を通って成立する見通しのないものです。日本共産党は、消費税を廃止すると同時に、九〇年度予算を消費税抜きの予算に組み直して改めて国会に提出することが、昨年来の国民の審判にこたえる道であることを強く主張するものであります。(拍手)
 指摘しなければならないのは、今日のゆがんだ政治を生み出しているのが、大企業の金で動かされる金権政治だということです。総理は、自分の政治姿勢の一つに「信頼の政治」を挙げましたが、この言葉ほど空虚に響いたものはなかったでしょう。リクルート事件の本質は、企業がわいろ株や政治献金によって国の政治と行政をその企業の利益のために動かしたというところにありました。リクルート事件への反省の言葉に何がしかの真剣な思いが含まれているというのなら、企業、団体献金の禁止に今こそ踏み切るべきであります。企業が社会的存在だからという弁護論は成り立ちません。アメリカでも、企業は社会的存在です。しかし、アメリカでは、金権腐敗を取り除くために、既に八十年以上も前に企業献金の禁止に踏み切っているではありませんか。
 金権政治のこの根を温存したまま、政治改革の名のもとに、自民党の年来の野望である小選挙区制や政党法の導入を図るに至っては、国民を愚弄するも甚だしいと言わなければなりません。また、選挙の洗礼を受けたからといって、リクルート、金権政治を反省しない、無反省な態度を続けることは、「信頼の政治」どころか、国民の政治不信、自民党政治への批判と不信を拡大するだけだと言わなければなりません。日本共産党は、リクルート疑惑の徹底究明をこの国会の重要な任務として追及し続けるものです。
 以上、金権政治の打破、根絶にかかわる一連の問題について、総理の見解をただすものであります。
 世界の激動は、東西の別なく、国民が主人公という民主政治の大道こそが天下の公理であることを示しています。日本共産党は、国民こそ主人公と胸を張って言える日本の実現のために全力を尽くすことを最後に申し述べて、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(海部俊樹君) お答えいたします。
 冷戦の克服と平和共存の世界の構築を私は本当に願っております。究極の目的は、戦争という言葉を使わなくてもいいような平和共存の世界でございます。ただ、きょう現在は、まだ不安定性や不透明性がたくさんあり、現実的には力が世界の均衡を保っておるという一面もあり、また、軍事同盟のあり方一つをとらえても、民族の悲願として統一するドイツの統一問題をとらえても、統一ドイツがNATOにとどまるかどうかということが大きな議論になっておるという現実を見ましても、私は、最終的な目標を目指して努力を続けるにはかなりの時間がかかるのではないかと思っておりますので、それまでの間は、現実的に我が国の平和と安全を責任を持って確保しておらなければならないと考えるものであります。したがいまして、我が国は、憲法に述べられておるとおり、専守防衛という基本的な防衛政策のもとで、節度ある防衛力の整備を努めてきておるところでございます。
 核の問題についても、アメリカが事前協議を行うことば、安保条約及びその関連取り決めに基づく条約上の義務として明記し、定めておるものであり、米国政府は、従来より、核持ち込み問題に対する我が国の立場及び日本国民の関心を十二分に理解しており、安保条約及びその関連取り決めに基づく我が国に対する義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き履行する旨確認をしておるところでございます。
 もとより、核兵器が使われるようなことがあってはいけない、このためにあらゆる実効的措置が講ぜられるべきである、そのとおりでありまして、我が国としては、今後とも、核兵器の究極的廃絶のために、ジュネーブ軍縮会議、国連等においてこのような努力を継続していく考えでおります。
 また、この十年間の軍事予算はアメリカの要求に基づくものだ、GNPの三%に拡大させるような交渉をアメリカに義務づけさせる法律までできておるではないかとおっしゃいましたが、米国の議会でいろいろな動きのあることば承知しておりますが、GNPの三%などということを義務づけられるようなことは全くありませんし、我が国の防衛努力は、憲法及び基本的な防衛政策に従って、自主的に、平和時における必要な防衛力の整備というところで行ってまいっておる次第でございます。
 また、我が国の防衛力の整備はあくまで自主的な判断であり、「防衛計画の大綱」というのは平和時におけるものであって、あらゆる防衛力の整備に努めるとともに、今後、世界の軍備管理・軍縮のためには引き続いて努力を続けていく所存であります。
 干渉的な軍拡要求を当然のこととして生み出安保体制の是非とおっしゃいますが、当然のこととして生み出すのではなくて、安全を確保すると同時に、安保条約は経済的な問題や福祉条件の向上といったような幅広い両国の国民生活安定的な面に関する問題等もきめ細かに決めた条約であり、また、必然的に軍拡を持ち出す文字は安保条約のどこを見てもないわけであり、しかも、東西関係が進展し、世界の対立が新しい方向に動いておるということは、不破委員長自身もここでお認めになった問題でありますから、どうぞそのようにお考えをいただきたいと思うのであります。
 また、国会の代表質問を受けないままアメリカへなぜ首脳会談に行ったかというお説でありますけれども、私は、今日の世界の情勢というものは、欧州の激変を見るまでもなく、物すごい劇的な大きな変化が続いております。特に、日本とアメリカは、世界の経済において、貿易面においてもGNPにおいても大きな部分を占めており、激変する世界に対して協調して協力をしていかなければならない問題がたくさんあり、新しい世界の戦後の枠組みを築くためにテーマを決めないで率直に話し合いたいという申し入れは、この一月早々に前通産大臣の帰国時にも、また十九日の選挙終了の翌日にも、アメリカ側から連絡もあり、また、過日、大統領がマルタ会談に臨む前に、日本の意見も聞いてからソ連との首脳会談に臨みたいと言われて、私も意見を述べたことがございます。
 そのような中で、時間の許す限り早い機会に会って、世界的な規模の問題で新しい世界の枠組みづくりについて話し合いをしたい、日米の二国間の問題についても高い次元に立って議論をしたいという要請があれば、私は日米関係を大切に考えておりますので、国会のお許しをいただき、ぎりぎりの時間において首脳会談を持つことができましたので、この重要性をかんがみ、日本の国際社会に貢献すべき責任と立場を考えて行ってきたわけでありますから、御理解をいただきたいと思います。
 また、日米首脳会談について、アメリカ側と個別の問題については何も取り決めをいたしたことはございません。従来の実務者協議の努力、それを見て日本からアメリカに出しておる七つの要求項目、アメリカから日本に来ておる六つの要求項目を、日本側は国民生活の質の向上、消費者重視の面から、アメリカ側はみずからの財政赤字削減の、あるいは貯蓄増大の、あるいは投資促進の努力の面から取り組んでいくということがいかに重要であるかということについて理解の一致をし、双方の努力を確認してきた次第であります。
 また、戦前、自由と民主主義の歴史に対する見解において、我々自由民主党の先輩方は全部弾圧者の側に回っておったとおっしゃいましたが、私の知る限りにおいても、自由と民主主義のために努力をなさった先輩方がいられることはよく承知しておりますし、また、共産党自体についても、お尋ねしたいことは、じゃ、昭和七年の三二年テーゼは天皇制を打倒をして一党独裁方針の革命をやろうというようなにおいのするものでありますけれども、これは自由と民主主義についてこの三二年テーゼはどうなるか、我々にとっては極めて疑問に思わざるを得ない歴史の一つの一こまでございます。
 また、国民主権の立場から政権交代をどう考えるか。これは、野党の皆さんが連合をされて、基本政策をきちっと一致なさって、その基本政策の一致を国民の皆さんがごらんになれば、民主主義の原則からして政権交代のあるということは何ら不思議なものではございません。ただ、選挙の結果という事実があるということでございます。
 また、老人保健法に見られる年齢による医療差別や生活保護の極端な受給制限政策は老人世帯を苦しめており、その是正を図れとおっしゃいますが、「老人医療についての診療方針及び診療報酬は、老人の心身の特性を踏まえて改善を図るものとする」との附帯決議を踏まえて策定されておるものであり、決して差別しておりませんし、生活保護は、国民生活の最後のよりどころであります。相談があった場合、親切丁寧な対応を行うとともに、困窮する方に対しては必要な保護を行っておるところでございます。
 また、過労死と言われる事態に対しては、企業による健康診断、健康指導の適切な実施、長時間労働による労働者に対する過重な負担を防ぐことが大切であると考えております。
 東京の地価上昇は、都心部における事務所ビル需要の急激な増大、住宅地の買いかえ需要の増大、金融の緩和状況等を背景として複合的に起こってきたものと思います。今後、指導、税制上の問題など、各般の対策を行ってまいりたいと考えております。
 また、ウルグアイ・ラウンドに関して米の問題のお尋ねがございましたが、米は、我が国における稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
 熱量による食糧自給率を五割に高めるというのは、農村の皆さんの将来に一つの現実的な目標を持ってもらうためのものであり、低下し続けているこの自給率を、一%だとおっしゃいますが、そこへ目標を置いて低下傾向に歯どめをかけていこうという大きな願いがあることも御理解をいただきたいと思います。六割になさるということでございますが、どうすればできるのか、具体策についてはお示しを賜りたいと思うわけでございます。(拍手)
 消費税については、当面の見直しでごまかすとおっしゃいますが、世論の声を尊重し、世論調査を十分に聞きながら、いろいろな面の見直しを申し上げたわけでございます。今後、国会において十分な御議論を賜りたいと思います。
 消費税抜きの予算に組み直して出せと言われますが、現に行われておる税制を抜きにして国会に予算案を提出するということば、今考えておりません。
 最後に、金権政治、政治倫理についてお触れになりましたが、私どもは、いかなる時代においても政治倫理を確立しなければならぬのは、これは大きな課題だと思います。
 企業の問題についても、いろいろ御意見はございましたが、企業が社会的存在であるという面から見れば、政治献金の調達の過程において、いろいろ御指摘を受けた問題を厳しく戒めていくことが大切であると思いますし、また、選挙制度、政治改革その他の問題については、選挙制度審議会の御答申が近くいただけることになっておりますから、各党各会派の問題でございます。御議論を通じて議論を高めていっていただき、選挙制度やお金のかからない選挙や政策本位の選挙ができるように御協力を賜りたいと思っております。
 リクルート問題の反省に立って、政治改革に全力を挙げて進んでいかなければならぬというのが我々の考えでございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○副議長(村山喜一君) 永末英一君。
    〔永末英一君登壇〕
#13
○永末英一君 私は、民社党を代表し、海部総理に対し質問いたします。
 二月総選挙は、大変動の世界へ向けて我が国がどのような進路を進むか決定する重要な歴史的選挙でありました。我々は、自民党の過半数を打ち破って新しい健全な政権をつくるうと奮闘いたしましたが、目的を達することができませんでした。まことに残念であります。我々は、結党の原点に立ち返り、健全野党として国民の要望を実現するため、是は是、非は非として、議会政治に徹し、全力を尽くす決意であります。
 総理、あなたが政権を担当して以来、世界大変革のスピードは加速され、今や、新しい世界がどのようになるかはおぼろげながら推測できるようになりました。ソ連では共産党は一党独裁体制を放棄し、東ヨーロッパ諸国の共産党の中では、みずからの支配を否定し、マルクス主義につながる社会民主主義をとらず、西側の思想である民主社会主義を名のって国民に生まれ変わったことを印象づけようとするものがあり、ひたすら自由経済圏に入り込もうといたしております。今やイデオロギーと軍事力による対立の世界は、一つの世界へ向けて大きく変わろうとしているのであります。
 新しい世界において、エール大学の歴史学者ポール・ケネディの言葉をかりるならば、「事態の動きとその結果を左右する能力が国の力であるとするならば、今後は金を出せる国が大国となる」ということになります。軍事的対立時代においては、我が国は、対立する超大国の驥尾に付した行動に終始し、独自の外交といえば、気前のよい経済協力を行う程度にすぎませんでした。しかし、ポール・ケネディの言うように、軍事力が物を言わず、経済が軍事力に取ってかわる世界になれば、我が国の経済力は、世界を動かし得るに足る強力なものであります。時代の変化が日本の立場の変化をもたらすのであります。この意味で、今や我が国は、新しい型の大国として、新しい世界に臨む入り口にいると言えるでありましょう。
 身軽でがむしゃらな輸出立国であった日本が、その型の大国としてどんな国際的責任を果たすか、軍事超大国の傘のもとでひたすら経済活動に没頭してきた日本が、発想の転換を行って、大変動の世界へどんな姿勢で臨むのか、日本がその大きな経済力をどのような哲学のもとに世界へ向けて投入、行使するのか、我が国は、今や世界注視の的であります。
 我が国は、地球環境の保全を初め、途上国への協力、世界経済の発展のため、責任ある行動を求められております。国際的な責任を果たそうとすれば、国内の改革をしなければなりません。改革は、必ず痛みを伴います。痛みを恐れていては改革はできず、国際的責任も果たされません。さればといって、痛みっ放しにすることは許されません。痛みを最小限にするため、あらゆる手段を尽くし、改革への国民合意を形成することが必要であります。政治の役割がここにあると言わなければなりません。(拍手)
 海部総理、あなたの施政方針にはここのところが抜けておるのであります。外交は内政であり、外を見るとき、必ず内を見なければなりません。国民の痛みを最小限にする方法について、総理、答えられたい。
 総選挙の結果、衆議院は自民党多数、参議院は野党多数というねじれ現象のもとで議会政治を運営していかざるを得なくなりました。これまでのような強行採決と審議拒否、対決と混乱とでは、何物をも生み出すことはできません。どんなに時間がかかろうとも、与野党が努力をし、接点を見つけて、合意に至るよう最大の努力を傾けるべきであります。(拍手)
 そのためには、政権党である自民党が、政府提案の予算についても野党の修正に応ずる柔軟な態度が必要であります。予算の修正は政権の否定だから一円の修正も許さぬというようなかたくなな態度が国会審議を硬直化せしめた原因であります。海部総理はこの点を改める意思があるかどうか、伺いたい。
 また、国民的な重要課題については、政府が方針を決定する前に与野党で事前協議を行って意思疎通すれば、政治の停滞を防ぎ、国民にとって必要な政策の前進を図ることができます。総理は、このような重要課題の事前協議に応ずる意思があるかどうか、お伺いいたします。
 新しい政治は、国民に信頼される政治でなければなりません。リクルート事件をめぐる自民党政治の腐敗は、国民の政治不信をかつてないほどに高めました。その反省の上に行われた総選挙であったはずであるのに、自民党が行った金権選挙は、一体あれば何ですか。選挙違反事件として立件されなかったからとして表面を糊塗しても、金を使い、権力を行使した金権選挙の実際を知っている国民は、政治を信頼することばできません。総理は、この総選挙がきれいで金のかからない選挙だったと言えますか。お答えを願いたい。
 リクルート事件のような金権腐敗事件を再び繰り返さぬための抜本策の確立が今こそ必要であります。特に、この際、イギリスの一八八三年の腐敗行為防止法のような思い切った法律を制定し、候補者による買収供応等に対しては、候補者の選挙区からの永久追放など厳罰に処すべきものであります。
 また、政治資金についても、民主政治に対する正当なコストを公に負担するため、欧米が行っているような政党への公費補助制を創設し、そのかわり各種団体献金をなくしていく方向に推進すべきであります。総理の考えを問います。
 政治改革のためには、一票の格差を二倍以内とする議員定数の抜本是正を今国会で実現すべきであります。政府は、議員定数問題を選挙制度の問題にすりかえ、小選挙区制導入を意図していますが、もってのほかであります。まず定数是正を行うべきではありませんか。総理の見解はどうか。
 総理は、自民党政治改革大綱に「派閥の弊害除去と解消への決意」の項があることを知っているはずであります。総理は、それを知りながら、選挙の直前、各派閥の事務所を歴訪いたしました。一国の総理が公然と一政党の派閥代表にあいさに行くようでは、派閥の弊害がなくなるわけはないではありませんか。それだからこそ、組閣に当たって派閥順送り人事となり、派閥のごねに遭って組閣が難航したのであります。総理は、派閥解消などは政治改革に役立たぬと考えているのか、答えられたい。
 自民党は、総選挙の結果、消費税の存続が認められたかのように言っております。しかし、総選挙直後のNHKの世論調査によれば、実に七四%もの国民が、衆議院で自民党が過半数を上回ったからといって消費税が認められたわけではないと答えているではありませんか。
 民社党は、消費税廃止のための法案を提出いたします。政府・自民党が見直しという存続法案を提出した場合、現在の国会勢力のもとでは両案相打ちとなって、現行の消費税法が残ることになれば、国民の大多数の意思に反する結果となります。これをどう打開するかは、国会としてまことに重大な問題だと言わざるを得ません。与野党は真剣に協議をすべきであります。総理はどう打開するつもりか、伺いたい。
 政府・自民党の税制改革の大きな欠陥は、資産課税の強化を怠り、不公平を野放しにしてきたことであります。まじめ人間のひたむきな努力よりも投機が幅をきかせる社会では、異常な地価、株価の高騰により資産格差が拡大し、生活格差も拡大します。このゆがんだ社会は、ひとえに歴代自民党内閣が資産課税を骨抜きにしてきたことに最大の原因があります。土地の譲渡、保有、相続、贈与、それぞれの面で土地税制を抜本的に洗い直さなければなりません。また、有価証券の譲渡益課税の適正化のため、納税者番号制度の導入を検討し、総合課税体制を確立し、公平な税体系を構築することが必要であります。海部総理はこれにどう取り組むのか、伺いたい。
 次に、公正な税制改革のためには、行政改革が必要であります。政府が国民に税負担を求めるならば、政府自身も行政改革を進め、みずからの負担において新しい財源をつくり出すべきであります。民社党は、さきに、行政改革基本法案の策定やポスト新行革審の設置などを提唱し、行革を続けて、かつ強力に推進する方向を示しております。総理の見解をお答え願いたい。
 また、税制改革を行うに当たっては、総合的な福祉ビジョンの策定が不可欠であります。政府は、平成二年度予算編成の目玉として、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を企画をしたと言っております。しかし、これを見れば、具体的に中身もなく、雇用対策のないままの提案では、予算のばらまきに等しいものと言わなければなりません。
 政府は、このような思いつきでなく、希望の持てる高齢者社会を切り開くため、雇用と年金、社会保障と住宅、医療と保健サービス、保健と福祉サービスなど、制度と制度、政策と政策を総合的に体系化した福祉ビジョンを国民に明らかにし、そのための負担のあり方について議論を進めるべきであると考えますが、お考えを伺いたい。
 次に、生活先進国づくりについて質問いたします。
 まず、土地住宅問題。
 欧米諸国では年収の三、四倍で家が持てますが、日本では、首都圏で平均年収の七、八倍、高いところで十数倍という異常な状況にあります。これを欧米並みの年収の四倍程度に引き下げるという目標をまず確立し、その実現に向け、土地供給対策、税制、金融をフル動員すべきであります。特に、金融機関の土地融資に対する厳しい規制、通勤新線の建設と宅地造成、国公有地の活用、東京一極集中排除、大学の地方移転、遊休地税の創設、建物の低さ制限などを急ぐべきであります。総理の方針を伺いたい。
 次は、内外価格差の是正。
 欧米に比べ約三割も高く、世界一と言われている物価水準を引き下げ、実質的な生活向上を図ることは、日本の政治の重要な課題であります。この見地から、政府が昭和六十年、市場開放のアクションプログラム、行動計画をつくったように、この際、内外価格差是正の行動計画を策定し、三年で欧米並み水準の物価にするよう提案いたします。そのために、規制緩和、輸入拡大、行政改革による公共料金の引き下げ、抜本的な地価対策等を断行すべきであります。政府はこの内外価格差をいつまでにどうするのか、伺いたい。
 次は、労働時間の短縮。
 政府の手をこまねいている姿勢では、国際公約にもなっている平成四年度千八百時間の達成はおろか、欧米との格差はますます拡大していくことになります。我々は、千八百時間早期達成のため、労働時間短縮促進臨時措置法を制定し、中小企業に対する時短助成金や時短投資減税を行うとともに、五月一日を祝日にし、四月二十九日から五月五日までを「太陽と緑の週」とし連続休暇とすべきと考えます。総理の返答を求めます。
 次いで、農業問題。
 近年、農業を取り巻く環境は極めて厳しく、米の自由化問題など、二枚舌農政と言われる政府の姿勢が、農業に希望を失わせ、農政不信を生みました。これをどのように払拭して希望ある農政を確立するのか、自民党の基本姿勢をただしたい。
 また、稲作などの土地利用型農業については、農業経営の改善を図るため、農家の自己負担の軽減に配慮し、構造改善事業を強力に推進するとともに、スケールメリットの発揮しにくい中山間地には一定の振興対策を実施し、あわせて、農家負債を解消するため超長期・低利の融資制度が必要であると考えます。総理の所見を伺います。
 日米安保条約は本年三十周年を迎えましたが、三十年前と今日では、日米関係の様相は一変いたしました。三十年前、超大国アメリカの世界戦略の一部に日米安保条約によって組み込まれた日本は、今や経済的にはアメリカを脅かす大国になり、アメリカからパートナーと呼ばれるに至りました。日米安保条約とは、現在の日本にとって一体何でありましょうか。冷戦時代に生まれた安保条約は、今や日米友好関係の基盤となり、日米両国のグローバルポリシーの基軸となっております。東西の緊張緩和が進むとともに、安保条約は、軍事的側面より経済協力の側面が重視されていくのは当然であります。
 このような日米関係の中で、今や経済摩擦問題の解決が最大の課題となっております。海部総理に急遽訪米を求めたブッシュ大統領の姿勢にも、それがよく読み取れるではありませんか。会談の初めにブッシュ大統領は、スーパー三〇一条問題や構造協議問題に関する日本側の態度決定を強く求めました。
 海部総理、あなたは、出発直前、この衆議院本会議で、ブッシュ大統領から議題を決めずに国際情勢及び二国間関係全般にわたり話し合いたいとの提案があったから訪米したいと申しました。両者の会談に対する意気込みの差、まことに歴然であると言わなければなりません。
 総理は、首脳会談では、議題は特に決めずとか、個々の具体的な項目については話していないなどと言って会談の具体性を極力ぼかそうとしております。しかし、会談後の共同記者会見で、ブッシュ大統領は、重要な期限が近づいていると述べ、四月の中間報告のときの成果を待つと言い切っております。海部総理、あなたは、スーパー三〇一条についても、構造協議についても、具体的に回答を求められたのでしょう。はっきり答えられたい。
 総理は日本の主張を十分ブッシュ大統領に申し伝えたのか。受け太刀ばかりでは、何のために訪米したのか。ブッシュ大統領との二人きりの会談のとき何を語り合ったのか、また、総理は何を約束してきたか、さらに国民にこれから何を求めるかをこの際しかと答えられたい。(拍手)
 問題は極めて深刻であります。もはや従来の日米交渉のパターンで対応できるものではありません。私は、この際、日米両国官民の有識者から成るハイレベルの常設の日米経済調整委員会を設置して解決に当たるべきであると思いますが、総理のお考えを伺いたい。
 ヨーロッパにおける緊張緩和の前進に比べると、アジア・太平洋では目に見える前進はありません。しかし、中ソ国境の兵力削減交渉は続けられ、モンゴルやカムラン湾からのソ連軍の一部撤退は実施されました。アメリカもまた、今後二、三年の間に一〇%から一二%の穏やかな兵力調整という名の兵力削減を行う、日本、韓国、フィリピンでそれをやると発表いたしました。チエイニー国防長官は、アメリカのアジアにおける前方展開戦略は維持し続けていくということを言明し、このたびの兵力調整が撤退の第一歩を語っているのではないと強調し、太平洋における海軍の軍備管理には反対と主張しています。しかし、アメリカの方針に変化があればこそ兵力削減が行われようとしているのであります。その行く末を正確に見据えて我が国の安全保障方針を考えねばなりません。
 総理、アメリカのアジア・太平洋戦略が変わりつつあると思われませんか。ブッシュ大統領と会談してどう受けとめられたのか、お答えを願いたい。
 安全保障は、政府の方針に国民が信頼を置いて初めて万全のものになります。政府は、昭和五十一年に作成された「防衛計画の大綱」の水準を達成することだけを防衛力整備の一つ言葉にしてまいりましたが、それで国民が納得すると思っているのでしょうか。昭和五十一年から現在に至るまで、国際情勢にどんな変化があろうとそれを無視し、かたくなに基盤防衛力構想に依拠した「防衛計画の大綱」は、情勢の変化に伴い見直されるのが当然であります。アメリカの方針変化はソ連側の変化を見通しながら進められるものであり、そうした変化に対応できる我が国の防衛体制の総点検を行うことが必要であります。総理は、変化する太平洋の情勢に対し、どのような構想で我が国の安全保障を全うしようと考えているのか、明らかにされたい。
 なお、先般来日したチェイニー国防長官は、在日米軍駐留費のうち、円建て経費の全額負担を我が国に求め、政府はこれに応じる意向だと伝えられております。在日米軍基地従業員の諸手当については、最近二回にわたって特別協定を締結して、日本側が負担してまいりました。今、本給を新たに負担するなら、地位協定の改正をしなければなりません。それは、地位協定の原則に触れるからであります。総理の方針を明確にせられたい。
 総理、アジア・太平洋の緊張緩和のために、我が国がイニシアチブをとって行うべき外交について伺いたい。
 その第一は、朝鮮半島の緊張緩和のために、日本、米国、ソ連、中国、韓国、北朝鮮の六カ国会談を開催することであります。この会談では、この地域の平和と安定の確保、大規模演習の事前通告などの信頼醸成措置、経済、技術交流の拡大と地域繁栄への方策、人権の尊重などについて自由に話し合うとともに、これを常設化すべきであります。特に、北朝鮮に核保有の懸念が持たれていることを思えば、急がねばなりません。お答えを願いたい。
 第二は、北方領土の返還であります。それは、日ソ両国間のみの問題の域を超え、今やアジア・太平洋の核戦略を含む緊張緩和のたあに行わねばならぬ重要事項であり、また、日本のみがなし得る重要課題であります。それは、ヨーロッパにおけるベルリンの壁の開放に比すべきものと言わなければなりません。総理は、来春のゴルバチョフ訪日の際に北方領土問題を決着させる自信があるか、お尋ねをいたします。
 最後にお伺いいたします。
 国際化時代に突入する日本人が世界の人々から不可解だと言われたのでは、日本の立場はありません。日本人も新しい国際人になる必要があります。しかし、国際人とは、無国籍人ということではありません。まず、日本のことをよく知る日本人であり、同時に、他国のこと、世界のことをもよく知る日本人でなければなりません。そのためには、偏見なく世界を見る目を備えていることが必要であります。他国を尊敬する心は、まず自国を知ることから始まります。自国の歴史に関心を示さず、自国の国旗や国歌を尊敬しない者が、他国や世界を尊敬することができるでありましょうか。(拍手)また逆に、そんな者が他国や世界から尊敬を受けられるでありましょうか。
 どこの国でも、少年時代の基礎教育において、自国の歴史を教え、それを通して自国を愛する心を培っているのであります。我が国の初等中等教育にそうした配慮がなされているでありましょうか。小学校、中学校に対する学習指導要領も変わるようでありますが、国を愛する国際人をつくるため、少年の基礎教育をどうするか、二十一世紀の日本のため、総理、心を込めてお答えを願いたい。(拍手)
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 永末委員長にお答えします。
 政府はこの数年間も構造調整の努力をしてまいりましたが、さらに国際的な構造調整を行っていくとき痛みが起きる、この痛みをどのようにして最小限度に食いとめるかと御指摘であります。
 内需主導型経済構造への転換定着を図ることによって、私は、内需主導をさらに一層促進し、経済成長を図るとともに、やはり新たな技術革新、情報化の成果を生かすなどにより、産業の新たな発展分野をまずつくっていかなければならぬと考えます。同時にまた、多様な雇用機会を創出して雇用の安定を図り、人口の、働く人々の移動が安定的にできるようにも引き続き努力をしていかなければなりません。このために、「世界とともに生きる日本」という経済計画に忠実に従ってそのような整備をしていきたい。最小限に痛みをとどめるように努力がなされるように対処してまいります。
 また、与野党の協力による議会運営を図るためにもいろいろと努力をしろということでございます。
 私どもも、与野党の皆さんの御議論をいただいて、いろいろ法案その他については昨年も通過、成立させていただいておりますが、政府の予算案というのは、長い間のいろいろな経緯を踏まえ、またいろいろな財政上の経緯や手法等も踏まえて、経費を積み上げ、編成をしてきているところでございます。政府といたしましては、これらの予算について十分な御審議と御賛同を賜りたいものと、こう考えておる次第でございます。
 同時に、重要な問題については事前協議をやったらという御提案でありますが、いかなる形でやったらよろしいのか、国会の場で各党の皆さんがこのような形で事前協議をやったらいいではないかという合意をしていただけまするなれば、これは政府といたしましてはできるだけその方向に御協力をさせていただきたいと考える次第でございます。
 今回の総選挙で、これがきれいで金のかからない選挙だと考えておるかとお尋ねになりましたが、私どもは、でき得る限りきれいに、金のかからない選挙に努めてきたりもりでございます。今後とも、このようなことに対するいろいろな御指摘や御批判を謙虚に踏まえて、金のかからない選挙、政策中心で議論のできる選挙、そういった政治改革に向かって努力を続けていきたいと考えております。
 イギリスでは、一八八三年の腐敗行為防止法の制定を境に選挙浄化が実現されたと申されます。私どもも、各党の皆さんとともに、議院運営委員会から、イギリスのこの選挙制度の視察に参ったこともございました。今度の公職選挙法の改正案においては、この物の考え方を取り入れて、腐敗行為を何とか防止しようとしたり、あるいは公民権停止の問題等もそこに連なってきたわけでございますけれども、さらに、選挙制度審議会における御検討等も通じて、取り入れるべきところがあるなれば御議論をいただきながら取り入れさせていただく、そういった気持ちでおるわけでございます。
 政治資金規正についても、公費補助制度を創設して、その一方で団体献金を廃止していく方向を推進すべきと、こういう意見がございますが、私はやはり、欧米先進国でも、政治は公共奉仕であるという考え方から、公費補助制度が現に行われております。十分にこれらの実態も検討しながら、日本の選挙制度と日本の現状にふさわしいような御議論を、これも国会全体の問題でありますから、各党を通じて御議論を賜りたいと考えます。
 また、小選挙区制の導入ではなく、定数是正を行うべきではないかという御議論でございます。
 私は、定数是正のことは、国会の御決議もあり、これも重要なテーマの一つでございます。選挙区制度の問題もまた、政治改革で徹底的に改革の努力をしていくためには、当然視野に入れて考えなければならない問題ではなかろうかと思いますが、いずれにしましても、ただいまは選挙制度審議会において、定数是正を含む選挙制度及び政治資金の抜本的改革の方策を諮問し、御審議願っておるところでありますから、その答申をいただいて、また各党と御相談をさせていただきたいと思っております。
 派閥の弊害を除去するために努力を重ねていくことは、自民党の政治改革大綱においても示されたところであり、今後ともその方面に向かって努力を重ねてまいります。
 消費税については、見直し法案を提出し、野党が廃止法案を提出された場合、相打ちになって国民の意思に反することになる、政府はどう思うかとお考えを述べられました。
 私は、そのような両方が相打ちになってしまうことは国民の皆さんのためになりませんので、十分な御議論をいただいて、私どもが思い切って見直しをして提出いたしますこの見直し案についてどうぞ御論議を賜りますように、この場で重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
 また、土地税制につきましては、土地基本法に示された基本理念にのっとり、税の不公平の是正を図りながら、平成二年度中に成案を得て、所要の法律案の提出を図ることといたしております。
 また、株式売却益や利子に対し完璧な総合課税を実施するためには、納税者番号制度の導入を初めとする所得の捕捉体制の整備が不可欠でありますが、納税者番号制度の導入については、さまざまな角度からの技術的な検討とプライバシーの問題について国民の理解と合意が必要であると考えますので、さらに検討をさせていただきたいと考えております。
 行政改革は、行政を取り巻く内外の環境の変化に的確に対応して、二十一世紀を展望した活力ある経済社会を構築していくために、避けて通ることのできない問題であります。臨調答申等に沿って、行政の目標を立て、閣議決定等により計画的に着実に実施してきたところでありますが、なお推進すべき数多くの課題がございます。最終答申を待って引き続き行政改革を強力に推進してまいりたいと考えており、その後の問題については十分に検討をさせていただきます。
 「高齢者保健福祉推進十か年戦略」は、特に高齢者の福祉分野の基盤整備を図るために、従来の目標を改めて新たに出しましたビジョンであり、十カ年の具体的目標でございます。着実に実行を進めてまいりたいと考えております。
 また、住宅取得を欧米並みの年収の四倍程度に引き下げる目標を確立して、その目標に向け総合的な努力をと御提案がありました。
 住宅確保のためにはでき得る限りのきめの細かい努力を続けていかなければならぬと思いますが、そのためには、まず土地問題の解決が先行いたします。投機的土地取引に係る不適正な融資を厳に排除するという観点や、あるいはまた、土地は有効に利用されるべきものであるという土地基本法の理念に従って、土地提供とともに、その上に良質な住宅ができるように、できれば年収の五倍程度を目標に良質な住宅が確保できるようにしたいと考えて努力を続けておるところであります。
 また、新たな鉄道の整備により大量の住宅地の供給が促進されると見込まれる地域においては、引き続き努力をしていきたいと考えておる次第であります。
 また、国有地の処分についてお触れになりましたが、多極分散型国土形成促進法の趣旨を踏まえ、地方公共団体等から公共用住宅プロジェクト用地としての要望があれば、規模、立地条件等を総合勘案をし、これらの活用に配慮しておるところでありますが、これは、国有地の処分のみならず、公有地についても同様に考えてまいりたいと思っております。
 大学の移転については、従来より大都市における新増設の抑制と地域間格差の是正に配慮してきたところでありますが、今後とも一層適正化の観点に留意をいたしてまいります。
 遊休地税といった低未利用地に対する課税については、土地の利用状況に着目し、一定の基準に基づいた遊休地の特定とその利用促進措置を含む制度の創設とあわせて新設を考えるべきものと思っております。
 大都市においての住宅の高さの問題については、やはり都市環境等に配慮しつつ適正な高度利用を考えていくということは、これは重要な問題であると受けとめさしていただきます。
 内外価格差是正の問題は、政府・与党に対策推進本部を設置して、五十二項目にわたる要綱を決めたところでありますが、実態調査とその公表、規制の緩和、独禁法の厳正な運用、競争条件の整備、さらには予算、税制、関税等による輸入促進策、電話料金の引き下げなど適正な公共料金政策等を盛り込んだものであり、今後とも着実な実行に努力をいたします。
 労働時間短縮のプログラムについても、経済運営五カ年計画における目標の達成に向けて努力をさせていただきます。
 また、労働時間短縮の見地から、五月一日を祝日にし、五月五日までの間、「太陽と緑の週」として連続休みとすべきではないかとの御提言でございましたが、中小企業の労働時間についてはきめ細かな配慮が必要であろうと考えますし、また、自主的な労働時間短縮の取り組みを促進するためにも、指導援助や経営基盤の強化に向けての施策を講じ、これらの施策の推進とあわせて考えていかなければならない問題であると考えております。
 農政問題については、希望ある農政を確立するために、農業者に信頼される農政を確立することが大切であり、希望を持って農業を営むことができるよう、とりあえず「農産物の需要と生産の長期見通し」を指針として閣議決定をしたところであります。
 また、農政を進めるに当たっては、生産性の向上を進め、土地改良負担金対策にも配慮しつつ、バイオテクノロジー等の技術の開発普及、生産組織の育成等を推進し、農業基盤整備事業を着実に実施していかなければなりません。
 また、条件の不利な中山間地域については、地域の立地条件に即した農林業の振興等、地域資源の活用をしながらその活性化を図っていく所存であります。さらに、農家の負債については、借入金の償還負担の軽減を図るための償還円滑化資金の融通等も推進してまいる考えであります。
 さきのブッシュ大統領との首脳会談においては、我が国の主張も米国の主張も高い次元に立って十分にいたしました。日本とアメリカが果たさなければならない新たな時代に向けた日米協調の問題についても、また、日本がきょうまでややもすれば行いにくい問題であった世界の平和と繁栄のための新しい枠組みづくりの協力に参加する問題についても、あるいは日米欧の強化の問題についても、率直に意見の交換をいたしました。
 また、累積債務問題や環境、麻薬、国際テロの問題についても十分の話し合いをいたしました。
 日米安保条約が将来にわたり両国にとって一層重要なものであることも話し合いをいたしました。
 また、日米間の懸案になっておる経済問題についても、その健全な発展が、両国経済のみならず、世界経済の発展にとって必要不可欠な観点であるという見地に立って、両国にとって重要な経済構造協議は、四月の中間的取りまとめ、七月の報告に向けてお互いに努力をし、前進させて、解決に向かって努力をするということについて意見の一致を見ましたが、我が国は前川レポート以来既に構造調整問題には取り組んでおりますが、国民生活の質の向上、消費者重視の視点からも、新内閣の最重要課題の一つとして取り組んでまいる決意でございます。
 日米における経済問題を解決していくため、両国官民の有識者から成るハイレベルの経済調整委員会をつくるべきではないかとの御提案でございます。
 政治のみならず、行政のみならず、国会議員の皆さんの間においても日米間のお話は続けていただいておることを日ごろから敬意を表しております。また、経済人とアメリカの産業界との話し合いも、既にいろいろな枠組みがあってお話し合いをされており、また、今月の二十日からも行われるという報告等も聞いております。私は、これらの既存の日米経済委員会の皆さん方のお話し合いに十分耳を傾けながら、さらにそのような場が前進していきますように、心から御期待をし、必要があれば努力をさせていただきたいと思っております。
 また、アメリカのアジア・太平洋戦略の変化をどう受けとめるかと仰せられますが、欧州における変化ほど顕著にアジア・太平洋にはいまだ変化が出てきておらぬというのが私の率直な感じであり、また、大統領もチェイニー国防長官も、アジアと太平洋における安定と平和はまだヨーロッパのそれと直ちに対比することはできないという認識でもございます。
 先生百も御承知のように、欧州は二つの軍事同盟の対立、対決で枠組みができておったところでありますから、これらの問題と本質的に違うアジアでありますから、十分にその動きを見きわめながら、しかし、定着するように、日本としてはできるだけの努力を続けていきたいと考えております。
 在日米軍問題については、日米安全保障条約の円滑な運営を確保していくことは極めて重要と考えておりますので、自主的判断のもとに、経済的影響などいろいろな事情を考えながら、適切に対処してまいりたいと思っております。
 また、朝鮮半島の緊張緩和のため、日、米、ソ、中、韓、北朝鮮の六カ国会談を開催する考えはないかとの御意見でございます。
 私は、朝鮮半島は、南北両当事者の直接対話により第一義的には平和的に解決されなければならないという立場をとっておりますけれども、関係国が率直な意見を交換することができる、そういったものができることは極めて有意義なことだと考えております。我が国も、韓国との友好関係を維持しながら、北朝鮮との間に政府間の対話をしたいという申し出を前からしておったわけでありますけれども、今御提案のような六カ国の会談が具体的な動きが出てくるとすれば、我が国もできる限りの対応をして成功させていきたいと考えるものでございます。
 総理は来春のゴルバチョフ訪日の際に北方領土問題決着の自信があるかとおっしゃいましたけれども、何しろ日ソ間には長い長い懸案でございます。しかし、私に参りました二、三日前のゴルバチョフ議長からの親書によっても、一九九一年には訪日される、その訪日の準備をしておるということでございます。私は、この最大の懸案である領土問題の解決に向けて、今平和条約の作業グループ等においていろいろな話し合いが続いており、また、過日、安倍元自民党幹事長の訪ソ等があり、拡大均衡のとれた形で日ソ間は粘り強く話し合いを続け相互の安定した状況をつくり上げていこうという点については、私は理解が深まりつつあると思いますので、これに向けて一歩一歩前進を続けていくように全力を挙げて努力をしていく所存でございます。
 最後に、国を愛する国際人をつくるための少年の基礎教育に対する御意見でございますが、私も全く同感でありまして、この場を通じて永末委員長のこのようなお考え方に敬意を表する次第でございます。(拍手)
 特に、学習指導要領において、我が国の歴史と文化と伝統を尊重して、自分を大切にするように、自分を愛するように人も愛する、自分の国を大事にするように人の国も大事にする、これが新しい時代の国際化時代には最も必要な基本的な人間としての態度であると私は考えておりますので、このような学習指導要領を通じて学校教育には配慮してまいりたいと考えます。(拍手)
#15
○議長(櫻内義雄君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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#16
○議長(櫻内義雄君) 御報告いたすことがあります。
 元本院副議長勝間田清一君は、昨年十二月十四日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る一月二十一日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに本院副議長の重職につき 終始議会制民主政治の進展に貢献された元日本社会党中央執行委員長正三位勲一等勝間田清一君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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#17
○議長(櫻内義雄君) 永年在職議員として表彰された元議員橋本登美三郎君は、去る一月十九日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において昨三月五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに電気通信委員長の要職につき またしばしば国務大臣の重任にあたられた勲一等橋本登美三郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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#18
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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