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1990/06/19 第118回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第28号
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1990/06/19 第118回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第118回国会 本会議 第28号

#1
第118回国会 本会議 第28号
平成二年六月十九日(火曜日)
    ─────────────
 議事日程 第十九号
  平成二年六月十九日
    正午開議
 第一 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案(内閣提出)
    ─────────────
○本日の会議に付した案件
 日程第一 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案(内閣提出)
 日本国憲法第八条の規定による議決案
 山本農林水産大臣の農業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度農業施策、林業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度沿岸漁業等の施策についての発言及び質疑
    午後零時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ────◇─────
 日程第一 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案(内閣提出、参議院送付)
#3
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長畑英次郎君。
    ─────────────
 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔畑英次郎君登壇〕
#4
○畑英次郎君 ただいま議題となりました食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律案について、社会労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、食鳥肉等に起因する衛生上の危害を防止するため、食鳥処理の事業を都道府県知事の許可制とする等必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けようとするもので、その主な内容は、
 第一に、この法律は、食鳥処理の事業について衛生上の見地から必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設けることにより、食鳥肉等に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的とすること、
 第二に、食鳥処理業者は、一定の構造・設備基準に適合した食鳥処理場ごとに都道府県知事等の許可を受けなければならないものとし、食鳥処理場ごとに食鳥処理衛生管理者を置き、衛生管理基準に従って食鳥処理等を行わなければならないこと、
 第三に、食鳥処理業者は、処理を行うすべての食鳥等について、都道府県知事の行う食鳥検査を受けなければならないこととし、その検査は厚生大臣の指定する者に行わせることができること等であります。
 本案は、四月二十五日に参議院から送付され、同日付託となり、五月三十一日津島厚生大臣から提案理由の説明を聴取し、六月十五日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 日程第二 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案(内閣提出)
#7
○議長(櫻内義雄君) 日程第二、生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。文教委員長船田元君。
    ─────────────
 生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔船田元君登壇〕
#8
○船田元君 ただいま議題となりました生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、中央教育審議会の答申を受けて、生涯学習の振興施策の推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図るために、国及び地方公共団体を通じて必要な措置を定めようとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、目的及び学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮すること等を定めるとともに、都道府県の教育委員会は、生涯学習の振興に資するための事業に関し、その推進体制の整備を図るよう努めるものとし、その体制の整備に関し、文部大臣が望ましい基準を策定すること、
 第二に、都道府県は、特定の地区において、生涯学習に係る機会の総合的な提供を民間事業者の能力を活用しながら行うことに関する地域生涯学習振興基本構想を作成し、文部大臣及び通商産業大臣の承認を申請することができることとし、さらに、民間事業者に対する資金の融通の円滑化などの業務を行う基金等について規定すること、
 第三に、文部省に生涯学習に係る重要事項等を調査審議する審議会を設置するとともに、都道府県に都道府県生涯学習審議会を設置することができることとすること、
 このほか、本案は、平成二年七月一日から施行することなどであります。
 本案は、去る五月十一日本院は提出され、六月一 日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日文教委員会に付託されたものであります。
 本委員会におきましては、六月六日保利文部大臣から提案理由の説明を聴取し、同月八日より質疑に入り、参考人の意見を聴取する等、慎重な審査を行いました。
 かくて、六月十五日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党から賛成、日本社会党・護憲共同及び日本共産党から反対の意見がそれぞれ述べられ、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
#11
○佐藤敬夫君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 日本国憲法第八条の規定による議決案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
#12
○議長(櫻内義雄君) 佐藤敬夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ─────────────
 日本国憲法第八条の規定による議決案
#14
○議長(櫻内義雄君) 日本国憲法第八条の規定による議決案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長岸田文武君。
    ─────────────
 日本国憲法第八条の規定による議決案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
    〔岸田文武君登壇〕
#15
○岸田文武君 ただいま議題となりました日本国憲法第八条の規定による議決案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 皇室が財産を譲り受け、または賜与するには、憲法第八条の規定により国会の議決を要することになっておりますが、皇室経済法及び皇室経済法施行法の規定によりまして、通常の私的経済行為に係る場合、外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合、公共のためになす遺贈または遺産の賜与に係る場合、天皇及び内廷にある皇族について一年間にこれらの方を通じて賜与する価額の合計が一千八百万円、譲り受けの価額の合計が六百万円までの場合には、そのたびごとに国会の議決を要しないこととなっております。
 御承知のように、本年十一月には即位の礼が挙行されることになっておりますが、本案は、これを機に、さきに申し述べました場合のほか、皇室が、本年十二月三十一日までの間において、社会福祉事業の資に充てるため、一億円以内を賜与し、また、本年十一月一日から十二月二十日までの間において、内閣の定める基準により、天皇陛下の御即位を祝するために贈与される物品を譲り受けることができるよう、国会の議決を得ようとするものであります。
 本案は、六月十五日本委員会に付託され、本十九日坂本内閣官房長官から提案理由の説明を聴取し、直ちに採決いたしましたところ、賛成多数をもって可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#17
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ────◇─────
 国務大臣の発言(農業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度農業施策、林業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度沿岸漁業等の施策について)
#18
○議長(櫻内義雄君) 農林水産大臣から、農業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度農業施策、林業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林水産大臣山本富雄君。
    〔国務大臣山本富雄君登壇〕
#19
○国務大臣(山本富雄君) 農業、林業及び漁業の各平成元年度年次報告並びに平成二年度において講じようとするそれぞれの施策につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、農業について申し上げます。
 我が国農業・農村は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食料等を安定的に供給するという重要な使命を担っているほか、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全など我が国経済社会の発展と国民生活の安定に不可欠な役割を果たしております。
 しかし、一方では、海外農産物との競合の強まり、農業労働力の高齢化等の諸問題に直面し、また、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉が本格化するなど厳しい状況にあります。
 このような状況のもとで、今回の報告におきましては、我が国農業・農村が一層の発展を図るための課題を検討し、農業の生産性向上や需要の変化への対応の状況、さらには農村社会の活性化への取り組み状況等について記述したところであります。
 そして、今後の農政の重要課題として、生産性の向上を基本に、需要の変化に的確に対応するよう市場適応を強める必要があること、ウルグアイ・ラウンドの交渉結果に世界最大の農産物純輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう努めること、中山間地域を初め、農村の定住条件の総合的整備が不可欠であること等を訴えております。
 以上の観点に立ち、平成二年度には、農業の体質強化を目指した構造政策等を推進するとともに、需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開、中山間地域を初めとする農山漁村の活性化、先端技術の開発普及、食品産業の振興と流通対策の推進など各般の施策を総合的に推進していく所存であります。
 第二に、林業について申し上げます。
 近年、国土保全、林産物生産など国民生活に重要な役割を果たしている森林に対し、国民の要請は一層多様化しております。一方、木材の需要量は高い水準にありますが、国内森林資源が充実しつつある中で、国産材の供給量は停滞を続けております。また、海外においては、熱帯林の減少など地球的規模での環境問題に対する関心が高まっており、森林整備の重要性への国際的認識が深まっております。
 このような状況のもとで、今回の報告におきましては、国民のニーズにこたえる木材の供給、国
内森林資源の有効活用とその整備の推進、世界の森林資源と我が国の海外林業協力等に重点を置いて記述し、また、今後の林政の重要課題として、国産材供給体制の整備、林業、木材産業、山村の活性化、国有林野事業の経営改善、海外林業協力の積極的展開等を訴えております。
 以上の観点に立ち、平成二年度には、多面にわたる国民の要請にこたえる多様な森林の整備、国産材の低コスト安定供給体制の整備、担い手対策の強化、林業、木材産業と山村の振興など各般の施策を総合的に推進していく所存であります。
 第三に、漁業について申し上げます。
 最近の我が国水産業をめぐる情勢を見ますと、昭和六十三年の漁業生産額が四年ぶりに増加するなど若干の明るい材料も見られますが、国際規制の一層の強化、近海資源の悪化など厳しい状況が続いております。
 このような状況のもとで、今回の報告におきましては、水産物需給の現況、生産構造の変化、公海漁業をめぐる動き等に重点を置いて記述し、今後、我が国漁業が目指すべき基本的方向として、周辺水域の最大限の活用、水産物需給及び価格の安定、経営基盤の強化と活力ある漁村の形成、国際社会に対する積極的な貢献を図ること等を訴えております。
 以上の観点に立ち、平成二年度には、我が国周辺水域の漁業振興、漁業生産基盤の整備、海外漁場の確保及び海洋水産資源の開発、水産業経営対策の充実、水産物の流通・消費対策の充実など各般の施策を総合的に推進していく所存であります。
 以上をもちまして、農業、林業及び漁業の各年次報告並びに講じようとする施策の概要の説明を終わります。(拍手)
     ────◇─────
 国務大臣の発言(農業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度農業施策、林業基本法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度林業施策並びに沿岸漁業等振興法に基づく平成元年度年次報告及び平成二年度沿岸漁業等の施策について)に対する質疑
#20
○議長(櫻内義雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。北沢清功君。
    〔北沢清功君登壇〕
#21
○北沢清功君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま報告されました農林漁業三白書につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理、農業白書といえば、昭和三十六年、今ではその役割を喪失したと言われる農業基本法が制定されるのと軌を一にして、農業の指針ともいうべきものとして公表されるようになったのが農業白書であります。
 総理、今、全国の農業生産者は、自由化、減反、過疎の三重苦の中で、どうしたら農業を維持できるか、その将来の指針とも展望ともいうべきものを強く求めているのであります。
 総理、農業白書の副題に、「市場適応型農業の展開と農村地域の活性化」と唱えるだけあって、食糧需給の変化と農業、食品産業の分析、解明については多くの資料を駆使して、なるほど加工、外食を含めた食品産業の需要に応じた、いや奉仕する農業生産構造に転換しなければならないのかと思わせる白書であります。しかし、白書に示されました市場適応型農業についての分析はあっても、その具体的処方せんは見当たらないと言っても過言ではありません。言うならば、農政の基本目標ともいうべき食糧の自給、何をいつまでにどの程度つくるかという農政の哲学が見当たらないのであります。
 昨年七月の自民党にとっては悪夢のような参議院選挙では、消費税、政治改革、農業問題と世に言う三点セットの選挙で農政不信のあらしが吹き荒れました。総理、自民党が歴史的な敗北を喫した原因は、自由化はしないと公約していた牛肉・オレンジの自由化と米もまた同じ道をたどるのではないかという農政の不信ではなかったでしょうか。(拍手)
 しかも、その後の衆議院選挙では、自民党農政の柱ともいうべきコスト削減、内外価格差縮小をかなぐり捨てて、生産者米価を据え置き、減反面積さえも据え置かざるを得なかったのは、農業者の農政不信をかわす小手先の対症療法と言わざるを得ないのであります。その証拠には、これほど農政の転換があるのに、農業白書には一行も触れられていないのはどういうわけでしょうか。総理及び農林水産大臣の御見解をお伺いをいたしたいのであります。
 今、全国の農業者が重大な関心を持ち、その成り行きを注目しているのが、農政審答申を受けての自主流通米の市場形成の場であります。本年産米から実施しようというのに、取引数量、値幅制限、市場運営主体など、実に不確定要素が多く、生産者に重大な不安を与えています。この市場形成が政府案で実施されると、需給価格化された自主流通米を基礎に政府米は下支え価格と変質され、政府買い入れ米の削減との見合いで事実上の買い入れ制限が強化されることが予想されるのであります。
 また、政府の米価抑制、自主流通米の価格差の拡大とともに、作柄の変動によって買い占めや米価の乱高下、産地間競争の激化など、何ら歯どめがないままに国民の主食である米の生産、流通の混乱が予想されるのであります。しかも、米の国家管理と生産調整のなし崩しが進むと、日本の米はガット十一条二項の例外規定となり、米の一部輸入の外圧は完全自由化を迫る外圧に変わり、米市場開放に道を開きかねないものと思わざるを得ません。
 牛肉・オレンジの例を見るまでもなく、自由化はいたしませんとのその舌の根も乾かぬうちに自由化を決め、米は完全自給すると言いながら、みずから米の市場開放、自由化に道を開きかねない自主流通米の市場形成について、どのようにお考えなのか、農林水産大臣の御所見をお伺いをいたします。(拍手)
 総理、我が国農業の将来を決定するものとして、ウルグアイ・ラウンドでの米問題が、生産者はもとより、国民の間で重大な関心を呼んでおります。ことしは正念場の年であるだけに、生産者の不安も強く、国民の主食である米の自給について、どれほど本気で日本の立場を理解させることができるかが注目されております。白書では、国内での完全自給の方針とこれまでの交渉過程を述べるにとどまっております。しかし、今こそ米市場開放の不当性を明らかにし、なぜ米を自給をしなければならないかを強く主張しなければなりません。同時に、集中豪雨的な輸出中心の産業構造から内需拡大、福祉国家への産業構造の転換など、具体的なプログラムを示し、国民の理解を求めるべきだと存じますが、いかがでしょうか。総理及び外務大臣に御見解をお尋ねしたいのであります。
 本来、米は日本人の主食であります。その貿易は、自然や文化とは関係なく合理性と利潤を徹底して追求できる工業製品の貿易と異なり、国際分業論になじまないものと言わざるを得ません。国際的には主食である米の自給に努めるのは常識であり、輸出は、過剰基調である我が国へではなく、不足国に対して輸出するのが米貿易本来のあり方であります。我が国の農産物の自由化の度合い、大量の食糧輸入の現状を見れば、米の自給方針は国際的にも通用するものと考えるものであります。
 総理、今日、ECはもちろん、アメリカでさえ、農畜産物については強い国境調整を行い、国内農業を保護していることは周知の事実であります。これらの国が、他国に農畜産物の輸入を訴えながら、一方で自国の農畜産物には多額の輸出補
助金をつけ、対外ダンピングを行っているのが現実であります。こうした現実を踏まえ、ウルグアイ・ラウンドでの新しい国際ルールを確立しなければなりません。
 このため、食糧自給率の著しく低い国の基幹作物の自給率を高め、維持するために、カロリーベースの自給率六〇ないし七〇%の基準を設定をし、一定の輸入制限のできる道を認め合うことを主張すべきだと考えますが、総理及び農林水産大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。(拍手)
 次に、林業問題についてであります。
 今日ほど地球環境保全問題が世界的な関心の的となっているときはありません。我が国においても、緑に対する国民の要請は高まっております。それだけに、林業白書では、我が国の森林・林業の実態を率直に国民に知らせ、ともに解決しようという姿勢に立たなければなりません。白書では森林資源は増加したといいますが、間伐のおくれからもやしのような森林がふえて、しかも間伐材の四五%が捨てられたままであります。熱帯雨林の乱伐が心配されている今日、ベトナムの薪炭材伐採の一割にも当たる森林資源が山で腐っているのです。白書は、森林資源を積極的に生かす提案をすべきではなかったでしょうか。農林水産大臣の御所見をお伺いをいたしたいと思います。
 総理、中でも森林・林業の中心的役割を果たす国有林野事業は、近年、財政事情の悪化から来る基幹的要員の削減、施策の後退などにより、森林資源の有効な活用、自然環境保全に重大な影響を及ぼすことが懸念をされます。この国有林の機能を十二分に発揮させるためにも、効率化、自助努力に重点を置いた改善計画の見直しを図るとともに、累積債務の解消、一般会計からの助成の強化、基幹労働力の確保などにより、真に国民の山にふさわしい積極的な施策を進めるべきであると考えます。大蔵大臣及び農林水産大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 最後に、漁業問題についてでありますが、農業とともに国民の食生活に欠かせないたんぱく質を供給する漁業は、その中枢を占めてきた遠洋漁業が、一九七七年以来北洋漁業を中心に撤退に撤退を重ね、その漁獲量を大きく後退させてまいりました。この間、戦後の食糧問題解決に大きく貢献をいたしました捕鯨業は、本年度にモラトリアム見直しを前提として、一九八七年に中止のやむなきに至りましたが、その復活のめどすら立たないばかりか、国連での公海における流し網禁止についての決議案の採択、さらに、ソビエトにおける一九九二年度よりのサケ・マスの沖取り禁止の主張など、それが現実に実施されるならば、北洋漁業を初めとする我が国遠洋漁業は壊滅的な状態となり、北海道など当該漁業に依存してきた地域経済は大打撃を受けるものと推測をいたしますが、政府はどのように対処される方針なのか、農林水産大臣の御所見をお伺いをいたしたい。
 以上、私は、三白書に関連して、当面の重要課題について質問いたしましたが、第一次産業と言われる農林水産業が衰退の一途をたどっているときに当たり、関係者に勇気を与え、あすに立ち向かえる政府の力強い御答弁を要請いたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 北沢議員にお答えを申し上げます。
 農政の推進に当たっては、農家の方々が将来を見通しつつ希望を持って農業を営める環境をつくり上げることが重要と認識をいたしておりまして、このため、先般閣議決定をしました「農産物の需要と生産の長期見通し」等を指針として、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、技術の開発普及など、諸般の施策を総合的に展開してまいる考えであります。
 また、農業の持つ多面的な役割を重視して、条件の不利な中山間地域を初め、農山村の活性化を図ってまいる考えでございます。
 米問題につきましては、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
 このような方針を実現するために、我が国は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、食料安全保障等の観点から、基礎的食料については所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行っているところでありまして、今後の交渉において我が国の考え方が適切に反映されていきますように、全力を挙げて取り組んでまいる覚悟であります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣山本富雄君登壇〕
#23
○国務大臣(山本富雄君) 北沢議員の御質問にお答え申し上げます。
 農政の推進に当たりましては、農家の方々が将来を見通しつつ誇りと希望を持って農業を営める環境をつくり上げることが重要であるというふうに認識をしております。このため、先般閣議決定いたしました長期見通し等を指針として、生産性向上と食料供給力の確保を基本に、すぐれた担い手の育成、生産基盤の整備、技術の開発普及など、諸般の施策を総合的に進めてまいります。また、生活環境の整備等により、住みよい農村づくりに努めてまいります。
 次に、自主流通米についてであります。
 自主流通米の価格形成の場は、昨年六月の農政審議会報告において、市場原理がより生かされる仕組みとする観点から提言をされております。これは、自主流通米が米流通の主体を占めるようになっているという状況を踏まえ、産地、品種、銘柄ごとの需給動向や品質評価を的確に反映した価格形成を図ることをねらいとしておるものであります。
 したがいまして、あくまでも食糧管理制度の枠組みの範囲内で実施されるものであり、今後とも米は国内産で自給するとの基本的方向で対処していくこととしております。
 次に、総理からもお答えがございましたが、ウルグアイ・ラウンド農業交渉についてであります。
 我が国といたしましては、国民の主食である米のような基礎的食料につきましては所要の国内生産水準を維持することが必要であると考えており、これに必要な国境調整措置をガット上講じ得ることができるよう、ウルグアイ・ラウンド農業交渉の場で提案をしているところであります。今後の農業交渉におきましては、食料輸入国の立場に立ちました我が国の提案が実現できますよう、全力を挙げて取り組んでまいる覚悟であります。
 次に、森林資源の積極的活用についてであります。
 今後、森林整備を一層推進していく上で、御指摘の間伐材の有効活用を初めといたしまして、森林資源の有効利用を図ることは極めて重要な課題であると考えております。
 このため、今回の白書におきましては、間伐材を含め、消費者ニーズに合った木材の用途拡大と新たな利用技術の開発、国産材の低コスト安定供給体制の整備等の重要性について指摘をしているところでございます。
 次に、国有林野事業についてであります。
 森林・林業に対する国民の期待は高まっている中で、国有林野事業が今後ともその使命を十分果たしていくためには、早急に経営の健全性を確立することが重要であります。
 このため、現在、国有林野事業の累積債務対策等を含めた総括的対応策につきまして林政審議会で御検討を願っているところでありまして、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、今後の遠洋漁業対策についてであります。
 北洋サケ・マス漁業を含む我が国遠洋漁業が、地域経済上一定の役割を果たしていることは十分認識をしております。このため、所要の対外協議
に努める一方、再編整備を行うことが不可避な漁業につきましては、昨年十二月に閣議了解されました国際漁業再編対策に基づく施策等について、事態の推移に応じ、政府全体の問題として適切に対処していく所存であります。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
#24
○国務大臣(中山太郎君) 北沢議員にお答え申し上げますが、既に米に関する問題は総理並びに農水大臣から御答弁を申し上げておりますので、その内容については省略をさせていただきますが、政府といたしましては、このガット・ウルグアイ・ラウンド交渉におきまして粘り強く我が方の主張を主張し続けてまいる所存でございますので、御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私についてのお尋ねは、国有林野事業についてでございました。
 国有林野事業につきましては、基本的には独立採算で運営すべきものとされておりますが、現下の厳しい国有林野事業の財政状況、財務状況にかんがみまして、臨時的なものとして一般会計からの繰り入れを実施しているところであります。
 先ほど農林水産大臣からの御答弁にもありましたように、現在林政審議会におきまして、林政の新たな展開と国有林野事業の抜本的改革に向けて検討を行っておられるということでありますが、いずれにいたしましても、引き続き徹底した自主的な改善努力と所要の財政措置によりまして、国有林野事業の経営の健全性確保に必要な基本的な条件の整備を図っていく所存であります。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(櫻内義雄君) 倉田栄喜君。
    〔倉田栄喜君登壇〕
#27
○倉田栄喜君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま報告のありました農業、漁業、林業の三白書に関し、総理を初め関係閣僚に対し質問いたします。
 第一には、総理に対し、農林漁業政策についての基本的な考え方をお尋ねいたします。
 近年、我が国農業は一段と衰退へのテンポを速め、その産業的基盤は脆弱化の様相を色濃くしておりますが、その現状は今回の白書にも明確になっています。
 ちなみに、労働者五人規模以上の製造業賃金に対する農業所得の割合は、昭和五十年度で六二・五%あったものが、六十三年度には三四・四%へ大きく低下し、また、基幹的な男子農業専従者のいる高いレベルの専業農家であっても、一人当たりの家計費は、勤労者世帯と比べ、昭和六十三年度で八五・八%の水準にすぎません。農産物の総合自給率も、欧米先進諸国が一様に向上させている中にあって、ついに昭和六十二年度にはカロリー換算で四九%へ落ち込んでいます。中学、高校、大学を卒業して農業に就業する数も年々低下し、昨年は何と全国でわずか二千百人。これは、日立製作所の新入社員三千七百人にも遠く及ばない数となっています。
 これら数字の合間からは、将来の不安におびえ、汗と土にまみれながら呻吟する農家の声が、あたかも全国の津々浦々から聞こえてくるようではありませんか。
 こうした現状は、ひとえに経済効率のみを重視し、生産性の低い農業については長期展望のないまま場当たり的に対応してきたこれまでの農政が、ついに破綻したことを物語るものであります。一見手厚く保護してきたかのような政府による各種施策も、実は農家の経営を守り育てるという視点を欠いた農民不在の農政でしかなかったというほかありません。
 加えて、林業、漁業をめぐる現状とその原因についても、農業の場合と大同小異であり、その政府の責任も重かつ大であります。
 総理、こうした農林漁業の窮状を打開し、農林漁業者の経営と生活に明るい展望をもたらすためには、これまでの政策に対する謙虚な反省と厳しい分析を行い、二十一世紀をにらんだ明確な政策の確立と、従来にない気迫に満ちた実行力が問われるところでありますが、まず総理の基本的な御見解を賜りたい。
 第二には、ガットの農業交渉、とりわけ米の輸入自由化問題についてお尋ねいたします。
 現在、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉においては、本年十二月の交渉妥結を目指し、新しい農産物貿易のルールづくりに向けた交渉が行われており、その中で我が国の米自由化問題が正念場を迎えようとしています。もとより米は、我が国農業、食糧の基本をなす重要な農産物であり、したがって、この米輸入自由化問題への対応は極めて慎重でなければなりません。この米の輸入自由化問題について、交渉に臨む政府の基本方針、見通しをまずお聞きしたい。
 次に、この米の輸入自由化の問題のほかに、ガット交渉においては軽視できないもう一つの問題があります。それは、米国の提案が我が国の農業政策にそのまま適用されるとなると、農業の近代化にとって不可欠な基盤整備や融資制度等までが廃止ないし削減の対象になるということも明確になっているという点であります。これは、我が国農業にとって、ある意味では米の輸入自由化問題以上に深刻な問題となりかねません。政府はこの問題についてどのような基本方針で臨んでおられるのか、また、この交渉の見通しについて、総理並びに農林水産大臣のお考えをお伺いしたい。
 最後に、農業の構造政策の問題についてであります。
 今回の白書は、「農業労働力の高齢化が全国的に進行しているなかにあって、昭和一けた世代が農業からリタイアする時期が近づいているとみられ、今後、高齢農業労働力が急速に減少する可能性が大きい。こうした世代交代に伴う農業労働力の減少は、地域によっては、農業生産の維持・発展の支障となることが懸念される反面、農地の流動化や農業生産の組織化等による地域農業の再編が進展する契機になるとみられる。」と述べています。
 これまで我が国農業生産の担い手として大きく貢献してこられた昭和一けた世代の皆様の急速な引退が、我が国農業にとって悲観要素となるのか、あるいは構造政策を進展させていく上での楽観要素となるのか。万一の対応によっては、我が国農業が全面的な崩壊さえ招きかねないと警告する専門家も少なくありません。しかし、いずれにせよ、これからの十年ないし十五年間は、国際化時代への対応とあわせ、この構造政策の展開という課題がますます重要な時期となることは確かであります。
 政府が、地域における構造変化を踏まえ、的確な政策目標とそれに至るまでの具体的なプロセスを明示し、実効性ある構造政策の推進により、今こそ我が国農業の再構築を図るべきであると考えますが、農林水産大臣、いかがでありますか。
 以上三点に絞りお尋ねし、私の質問といたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 倉田議員にお答えをいたします。
 農林漁業の現状認識と将来展望についてということでありますが、農林水産業は、食料等の安定供給のほか、活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全など、我が国の経済社会と国民生活の土台を支える重要な役割を果たしているものと認識しております。
 このような認識のもと、農業については、生産性向上の立ちおくれ、担い手の高齢化等に対処して、生産基盤の整備、新技術の開発普及、担い手の育成等により、一層の生産性向上を進め、国民の納得できる価格での安定的な食料供給を図ってまいる考えであります。
 林業につきましては、国産材供給の停滞、林業就業者の減少、高齢化などに対処して、国民のニーズにこたえた多様な森林の整備、林業生産基
盤や国産材の供給体制の整備、担い手の育成確保などを総合的に進めたいと思います。
 さらに、水産業につきましては、国際規制の一層の強化、我が国周辺水域における資源状態の悪化に対処し、つくり育てる漁業の推進等を通じた漁業の振興、国際漁業情勢への的確な対応等に努めてまいる考えでございます。
 ウルグアイ・ラウンドについてお述べになりましたが、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、農業生産の持つ特殊性や農業が果たしている多様な役割が適切に配慮されますように、積極的に対応しておるところでありまして、昨年十一月には、食料安全保障等の観点から、基礎的食料については、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るよう提案を行ったところでございます。
 今後、輸入国として我が国の立場が適切に反映されるよう、全力を挙げて取り組んでまいる考えであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山本富雄君登壇〕
#29
○国務大臣(山本富雄君) 倉田議員の御質問にお答え申し上げます。
 ただいま総理からもお答えがございましたが、ウルグアイ・ラウンドの問題でございますが、我が国は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉において、食料輸入国としての立場に立って積極的に対応しているところであります。
 具体的には、昨年十一月に、農業の特殊性や農業が果たしている多様な役割にかんがみ、農業の国内支持、国境保護の撤廃は受け入れられないこと、食料安全保障等の観点から、基礎的食料については、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るものとすること等を内容とする提案を行ったところであります。
 我が国といたしましては、今後残されました交渉期間の中で、我が国提案の実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいる考えであります。
 次に、構造政策の推進についてであります。
 今後、昭和一けた世代の農業者のリタイア等農村社会の構造変化に対処して、生産性の高い地域農業を確立していくことが重要な課題となっております。
 このためには、地域の実情に応じた農業の方向づけに沿って、農地の売買や貸し借り、あるいは農作業の受委託などを進め、中核農家の規模拡大や生産の組織化等を促進する必要があります。
 具体的には、農業生産基盤の整備を図りつつ、多様な手法による農地流動化施策を実施するほか、農村地域での安定的な就業機会の確保等、実効ある構造政策を推進していくことが大事であるというふうに考えております。(拍手)
#30
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
#31
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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