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1989/10/25 第116回国会 参議院 参議院会議録情報 第116回国会 予算委員会 第4号
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1989/10/25 第116回国会 参議院

参議院会議録情報 第116回国会 予算委員会 第4号

#1
第116回国会 予算委員会 第4号
平成元年十月二十五日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     沓脱タケ子君
     中村 鋭一君     粟森  喬君
     足立 良平君     小西 博行君
     井上  計君     猪木 寛至君
 十月二十五日
    辞任         補欠選任
     猪木 寛至君     井上  計君
     野末 陳平君     横溝 克己君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林田悠紀夫君
    理 事
                伊江 朝雄君
                石井 一二君
                下稲葉耕吉君
                平井 卓志君
                穐山  篤君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                青木 幹雄君
                井上 章平君
                遠藤  要君
                合馬  敬君
                片山虎之助君
                北  修二君
                久世 公堯君
                清水嘉与子君
                田中 正巳君
                谷川 寛三君
                中曽根弘文君
                永野 茂門君
                二木 秀夫君
                前島英三郎君
                山岡 賢次君
                稲村 稔夫君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                國弘 正雄君
                竹村 泰子君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                村沢  牧君
                本岡 昭次君
                山本 正和君
                猪熊 重二君
                白浜 一良君
                和田 教実君
                沓脱タケ子君
                粟森  喬君
                池田  治君
                井上  計君
                猪木 寛至君
                小西 博行君
                西川  潔君
                横溝 克己君
   国務大臣
       内閣総理大臣   海部 俊樹君
       法 務 大 臣  後藤 正夫君
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君
       文 部 大 臣  石橋 一弥君
       厚 生 大 臣  戸井田三郎君
       農林水産大臣   鹿野 道彦君
       通商産業大臣   松永  光君
       運 輸 大 臣  江藤 隆美君
       郵 政 大 臣  大石 千八君
       労 働 大 臣  福島 譲二君
       建 設 大 臣  原田昇左右君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    渡部 恒三君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 森山 眞弓君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  水野  清君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       阿部 文男君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  松本 十郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       高原須美子君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       斎藤栄三郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  志賀  節君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  石井  一君
   政府委員
       内閣官房内閣外
       政審議室長兼内
       閣総理大臣官房
       外政審議室長   藤田 公郎君
       内閣審議官    菊地 康典君
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       警察庁長官    金澤 昭雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      森廣 英一君
       総務庁長官官房
       審議官兼内閣審
       議官       増島 俊之君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       総務庁行政監察
       局長       鈴木 昭雄君
       青少年対策本部
       次長       福田 昭昌君
       北方対策本部審
       議官       鈴木  榮君
       防衛庁参事官   玉木  武君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       経済企画庁調整
       局長       勝村 坦郎君
       経済企画庁国民
       生活局長     末木凰太郎君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   石塚  貢君
       科学技術庁研究
       開発局長     須田 忠義君
       科学技術庁原子
       力局長      緒方謙二郎君
       科学技術庁原子
       力安全局長    村上 健一君
       環境庁長官官房
       長        渡辺  修君
       環境庁企画調整
       局長       安原  正君
       環境庁自然保護
       局長       山内 豊徳君
       環境庁大気保全
       局長       古市 圭治君
       国土庁長官官房
       長        北村廣太郎君
       国土庁防災局長  市川 一朗君
       法務省入国管理
       局長       股野 景親君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省経済協力
       局長       松浦晃一郎君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       大蔵省主計局長  小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  尾崎  護君
       大蔵省証券局長  角谷 正彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       大蔵省国際金融
       局長       千野 忠男君
       国税庁次長    岡本 吉司君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       文部省体育局長  前畑 安宏君
       文化庁次長    遠山 敦子君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省生活衛生
       局長       目黒 克己君
       厚生省年金局長  水田  努君
       社会保険庁運営
       部長兼内閣審議
       官        土井  豊君
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産省経済
       局長       塩飽 二郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     松山 光治君
       農林水産省食品
       流通局長     鷲野  宏君
       農林水産技術会
       議事務局長    西尾 敏彦君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    甕   滋君
       水産庁長官    京谷 昭夫君
       通商産業大臣官
       房商務流通審議
       官        山本 貞一君
       通商産業大臣官
       房審議官     横田 捷宏君
       通商産業省通商
       政策局長     畠山  襄君
       通商産業省通商
       政策局次長    堤  富男君
       通商産業省貿易
       局長       内藤 正久君
       通商産業省産業
       政策局長     棚橋 祐治君
       資源エネルギー
       庁長官      山本 雅司君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        向 準一郎君
       運輸大臣官房長  松尾 道彦君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    大塚 秀夫君
       海上保安庁次長  野尻  豊君
       労働大臣官房長  若林 之矩君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     甘粕 啓介君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
       自治大臣官房長  小林  実君
       自治省行政局選
       挙部長      浅野大三郎君
       自治省財政局長  持永 堯民君
       自治省税務局長  湯浅 利夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○予算の執行状況に関する調査
    ─────────────
#2
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 それでは、これより小西博行君の質疑を行います。小西君。
#3
○小西博行君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表いたしまして、若干の時間をいただきまして数点にわたり質問をさしていただきたいと存じます。
 まず第一に、今回のサンフランシスコで発生いたしました地震の災害に大変多くの犠牲者が発生いたしまして、改めて自然の脅威ということに私自身自覚を新たにしたところでございます。一日も早い復興を期待いたしますとともに、亡くなった皆さん方の御冥福を心からお祈りを申し上げたいというふうに存じます。
 我が党といたしましては、早速官房長官を通じまして、総理に対してできるだけ早く国際緊急援助隊の派遣等、物心両面にわたって援助すべきである、お願いしたいと、このように文書でもって申し入れたところであります。この災害に対して我が国といたしまして今までどのような対応をされたのか、あるいは今後はどういう方向で対応しようとしているのか、その点をまず第一にお伺いしたいと思うんです。
#4
○国務大臣(海部俊樹君) サンフランシスコの大地震につきましては、私どもも被災者の皆さん、御遺族に対しては心から御冥福をお祈りするとともに御同情も申し上げる。同時に、日米関係のこともあり、また今御指摘のように、先生を初めその他の方々からも積極的な行動をとれという御示唆もあり、私からはブッシュ大統領あてに早速お見舞いの電報を打ちますと同時に、日本政府としては可能な限り米国の御要請によってあらゆる角度からの御協力をする用意があるということも申し出をいたしました。
 また、政府といたしましては、邦人の安否の問題とか被災地の実情を把握する等のために、政府職員等のチームを既に現地にも派遣をいたしました。
 現在までのところ、現地での救援作業及び復旧の作業については順調に進められており、また、劇的な生存者の救出というような心温まるニュースも伝わってきておりますけれども、米国側としては、外国からの救援隊派遣の申し出に対しては謝意を表明するとともに、ただいまのところ米国内ですべて対応可能としてこれらの申し出を辞退するという態度でございますから、政府といたしましては、今後とも米国からの御要請があれば、御指摘のようなことをも含めてあらゆる対応をしていく考えでおります。
#5
○小西博行君 少し古い話になりますが、一九〇六年にサンフランシスコで地震の災害があったときに日本からは二十四万ドルお金を供与しております。そして一九二三年、大正十二年になりますけれども、関東大震災、その発生のときにはアメリカから千二百万ドルお金をちょうだいしているわけであります。そういう意味からいきますと、日本としても相当の援助というものを考えていかなきゃいけない。
 同時に、過去のいろんな地震災害あるいはその他の災害に対して各国でいろんな援助活動を行っております。特にメキシコ地震、このメキシコ地震では欧米チームの援助というのが大変膨大でありまして、例えば瓦れき除去用の重機であるとか、あるいはコンクリート切断機あるいはビル解体技術、そういうものを動員いたしまして大々的に援助をされた、このようにも聞いております。日本
も当然ながら要請をいただいて援助はしているわけでありますが、その規模は大変小さいというようなことで、この緊急援助隊なんというのは性格も向こうの政府から要請があって初めて動く、こういうことになっておるわけですが、国によってはなかなか要請しにくいという条件もあるようであります。
 例えば要請しても受け入れ態勢が非常に悪い、完備していない、あるいはそういう悪い面を見てもらいたくないというようないろんな事情がありまして、なかなか正式の要請に至らない。したがって、欧米チームというのはそういうものを待つまでもなく、もうすぐに大勢の皆さん方が押しかけて、そして救助作業に当たる。こういうのが今回のこの事件が発生した後でいろいろ考えさせられる問題ではないかと私は思います。
 特に、これはあってはいけないんですが、もしアジアの地域の中でそういうような問題が起きた場合に、欧米の先進諸国の皆さんが先に到着して日本が一番後に参加する、こういうことになりはしないかという点も大変心配でありまして、そうでなくてもお金だけで何でも済ましているということは諸外国から非難の的にもなっておりますので、そういう部分を含めて、ただ要請を待つというだけではなくて、積極的な対応をしてもらいたい。
 最近の新聞でも御承知のとおり、中央大学の学生が四十名、自分の意思でもって向こうへ援助に行く、そういうことも実際に起きておりますし、また、市町村の中でも、議会の中で決議をして大いにカンパ活動をやろう、こういう動きがありますので、再度そういう細かい面をよく考慮されてどういうような対応をしていくべきだと、私は大いにやるべきだという意思を持っておるんですが、その点はいかがでしょうか。
#6
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の災害に対する日本からの自発的な緊急援助の問題につきましては大変大事な問題だと私ども考えておりまして、実はサンフランシスコの地震が発生いたしました情報が入りましたのがちょうど当日の昼ごろ、国会で御報告申し上げたんですが、国際緊急援助隊という組織が日本にもございまして、その先生方は既にその時点から出動する待機態勢に入っておられました。
 そして飛行機の予約等もしておられたように伺っておりますが、私、直接実は伺ったわけですけれども、現地の空港の利用状況あるいは米側の政府の同意、そういうものを受けないで出るという状況ではないという判断をされまして、翌日まで実は待機をされておられたような形でございまして、日本側としても、米国のみならずアジア地域におけるいかなる災害の発生に対しましても、直ちに出動して救助に当たるという態勢はございます。
#7
○小西博行君 私は、今の言葉は非常に立派な言葉だと思うんですが、やっぱり要請を受けて初めて動くということではなくて、積極的にやっていくために一つの約束事みたいなものが要るんじゃないか。
 例えば非常時の救援協力をある国と結んでおく。もしものときにお互い頼みますよと。こういうものが正式にちゃんとしておれば、行動が非常にしやすいのではないか、私はそのように思いますし、それから過去のいろんな事例を見てみましても、日本の専用機、つまり政府の飛行機というものが具体的に自衛隊以外には余りないだろうと思うんですが、やがてジャンボ二機、これは政府の専用機ということで購入されるというふうに私聞いているわけです。
 そういう飛行機を十分に利用して、直接現地へいろんな物資を持って入るということでなければ、民間の飛行機を乗り継いで三十時間も四十時間も後に到着するというのでは余り援助の効果がないんではないか、そのように思いまして、その辺の姿勢についてはどうでしょうか。
#8
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、やはりこちらから自発的に相手の要請なしに出ていくということも可能かとも思いますけれども、実際問題といたしまして、アルメニア地震のときのように、行きましても現地の受け入れ態勢が全然整っていないというようなことで結局仕事ができなかったというようなケースもございますので、私どもといたしましては、国際赤十字を通じて、できるだけ協力態勢がいつでもできるように準備をしておくという考え方でおります。
#9
○小西博行君 ぜひ積極的に対応していただきたいと思います。
 次に、プルトニウムの輸送の件でありますけれども、これも実は私、外務委員会の中でもいろいろ御質問を申し上げたり、あるいは科学技術特別委員会にも所属しておりますので、そちらの方でも何回か質問をさせていただいたわけでありますが、これは飛行機による輸送ということが相当長い間論議をされました。途中で給油するということになりまして、大変それは国としては困ると、アラスカ州だったと思いますが、大変大きな反響を呼んだ。したがって、一万二千キロをイギリス、フランスあたりから直接飛行機によって日本に運ぶというようなことで検討したことはあります。
 問題は、安全な容器の開発というのが、アメリカと協力してやっているんだけれどもなかなか間に合わない。したがって、今後はどうやら保安庁の船でそれを運ぼうというようなことを聞いておりますが、その点の経緯はいかがでしょうか。
#10
○国務大臣(江藤隆美君) プルトニウムの輸送につきましては、政府部内で鋭意検討が進められておることは委員御案内のとおりであります。まだ、飛行機を取りやめて船によって輸送するということが最終的に決まったわけではありません。しかし、事の性格、物の性格からいいまして、船の方が安全ではないのかということが検討されておるわけでございまして、もしそういうことになれば、私どもは海上保安庁として万全の態勢をもってその輸送を完了するための準備を整えていく、こういうふうに考えております。
#11
○小西博行君 今大臣のお話を聞きますと、船の方が安全である、そういうふうに明確に言い切りました。
 私は、核ジャックの問題というのがやっぱり護衛の場合に一番大きな要素になってくるだろう。果たして、じゃ、核ジャックというのはどの程度のものを想定されているのか。具体的に、例えばミサイルを打ち込まれるとかあるいは水中から魚雷でねらわれるとか、そういうものを想定した上で船の輸送、その護衛、こういうふうに具体的につながってくるんじゃないか。そのような細かい分析について、政府はどの程度までちゃんとしたデータを持っておられるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#12
○国務大臣(江藤隆美君) 航空機を全くもう断念したということではありません。船の方がいいのではないか。もしそういうことになって、海上保安庁でやれと言われれば私どもはそれはお引き受けをします。その場合に問題になりますのは、どの程度の一体脅威があるのか、どういうことが予想されるのかということは、これはもう専門家がそれぞれ寄り合って相談をしておることでありましょうが、私どもが考えて、常識的に考えますことは、例えば一万七千海里を無寄港で日本に帰ってくるわけであります。そのときに、事態の発生というのは予想できませんが、ある面では予想できることもありましょう。
 したがって、考えられることは、例えばどのあたりを通るんだといったら、それは二百海里の外を通りますと、こういうことを一つ考える。非常に陸地から離れたところを通る。それから、仮に積み荷をハイジャックされるということをやられるかといったら、そういうことはさせない。船ごと丸ごと持っていかれれば仕方がありませんが、船ごと取られない限りは中の積み荷だけを取られるというようなことは絶対しない装備を考える。
 それから、船にいたしましても非常に遠いところを通るわけですから、港まで持っていって積み荷を取り上げるというのには二日、三日かからないと実は港まで届かないようなそういう船足というものも考える。あるいは最近は衛星通信が発達
しておるわけですから、一般の通信はもちろんでありますが、衛星通信を使って万般のそうしたいわゆる予防体制も整えていく、こういうもろもろのことを実は今検討しておるわけであります。
#13
○小西博行君 何か、よく聞いてもわからない。私も科学技術のメンバーでありますから、そういう意味でどうやらそういうものが十分分析されない、あるいは日本以外の先進諸国のいろんな条件なんかもつぶさに調べて、そして対応していかなければ、今のような答えでは全然納得できないと思いますし、もしそういう船で運ぶということになれば、補正予算をつけるとかつけぬとかいう話ももう具体的に出ているわけですから、私は、どのような船をつくるということは明確にその条件に合わせてやるべきではないか、そういうような気持ちを持っております。
 これはもう日米原子力協定実施附属書というのがございまして、その中でも核ジャックという問題についてはちゃんとうたっているわけでありますから、安全に運ぶということが一番私は緊急の課題ではないか、そのように思いますし、日程の関係もありますね。これは早く結論を出さないと、九二年だったでしょうか、運ばなきゃいけないというのがもう目の前に差し迫っている。従来、これはもう随分昔の話ですけれども、やっぱり昭和五十九年の秋と私データであるんですが、晴新丸というのがプルトニウムを運んでいる。そのためにはフランスあるいはその他の国々、あるいは米国ですか、そういう国々の海軍を動員して護衛していただいた。そういうことがちなみにいろんな形で出てまいっておりますので、やっぱり私は、独立国家としてちゃんとしたそういう機能は持つべきではないか、そういう気持ちでございます。
 したがいまして、この問題は早く結論を出さないと間に合わない。そういうことで総理、この問題は私は総理の決断も相当要るのではないかというように思っておりまして、しかもこのエネルギーの問題は、リサイクルをして使っていくという基本的な原則がありまして、日本の中でも相当これは再生するためにいろんな研究をやっているわけですね。本来、やっぱり日本独自で研究をやって、みずからのエネルギーを保障するというのが一番大きな大事な問題ではないかと思うんですね。そういう面で意気込みについて総理にお答え願いたいと思います。
#14
○国務大臣(江藤隆美君) 総理答弁の前に一言。
 どういう護衛艦をつくったらいいかということを検討していないわけではありません。私どもがもし引き受ける段階になったならばこういう装備がやっぱり必要だなということは内々十分検討いたしております。
 ただいま、御承知のように「みずほ」「やしま」という五千二百トン級の船がございまして、三十五ミリ、二十ミリというのを実は積んでおるわけであります。こんなものを余計したからといって安全というわけでもありませんし、いろんなことが想定をされますので、そのときの護衛艦はどのようなものがいいかということは十分検討いたしております。ただ、その内容等について、こうした公開の席でこういうものをこういうふうにいたしますということについての説明ができないことを大変申しわけなく思いますが、その点はひとつ事情御賢察の上御了承賜りたいと思います。
#15
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、我が国のエネルギーを考えますときに、今の地球環境の問題等から考えても、いわゆるクリーンなエネルギーとかいろいろな角度の検討も必要になってまいります。また、今御議論になっておりますプルトニウムの問題につきましても、再処理能力を国内できちっとできるように持っておるということが理想の姿であると私は思っております。
 そのために、ただいまいろいろな問題がございますけれども、政府としてはそのようなことが民間の御努力によってできていくような、その姿にこれは国を挙げての対策と考えて御協力もしておるわけでありますが、しかしそれはまだいろいろな問題がございます。結局当面の問題につきましては、どのような形で回収プルトニウムを輸送してくるかという問題については各方面の御議論を踏まえて、また、ただいまの御質問の趣旨等も踏まえながら、政府としては万全を期して検討を進めておる最中でございます。
#16
○小西博行君 プルトニウムの護衛については、以上で終わらせていただきたいと思います。
 次のテーマとしては、スポーツの振興ということで、二、三点質問させていただきたいというように思いますが、きょうは同僚の猪木議員も、先日暴漢に襲われましてやっとけさ退院して、これは相当スポーツに対しては経験豊富でありますから関連質問を後で許していただいて、猪木議員の方からもお願いしたいと思います。
 まず第一点です。
 総理にまず質問させていただきたいんですけれども、今度文部省で、保健体育審議会というのがございまして、そこでいろんな答申を今まとめている、多分十一月の下旬にはそれがまとまって、そして新たにスタートする、こういうことだと思うんですが、最近のスポーツにおける国際試合等を見ておりますと日本の成績というのは必ずしも立派とは言えないような結果になっております。あの頂点はやっぱり東京オリンピックであります。それからだんだんソウル・オリンピックまで下降線をたどっておる、そのように私も判断をするわけでありますけれども、総理は二回文部大臣をやっておられますので特別にスポーツあるいはそういう関係の教育に対して興味をお持ちではないか、また、造詣が深いのではないか、そう思いまして、現状のスポーツ、日本のスポーツ、こういうものに対してどのようにお考えなのか、あるいはこれを将来どういう方向に持っていきたいとお考えなのか、その点をまず答弁願いたいと思います。
#17
○国務大臣(海部俊樹君) スポーツが広く普及されていくことは歓迎すべきことだと私は思っておりますし、また競技スポーツと国民スポーツとでも申しますか、この両方の側面があって、幅広く奥深くスポーツは広がっていくべきであるというのが私の基本的な考えでございます。
 また、競技スポーツについてのお触れもありましたが、参加することに意義があると言われておりますけれども、やっぱりそこからもう一歩踏み込んで勝つことにも意義があると、私は個人的にはそう思っております。頑張ってほしいと思っております。
 そのために何が必要か。施設の整備だけで勝てるというのであれば、プールをこれだけ全国に整備したんですからもっと勝てるようになるんじゃないだろうか、グラウンドをこれだけ整備してあるんだからもっと勝てるようになるんではないかと思いますが、どうもそれだけではない。もっと科学的に、もっと医学的にいろいろな研究、検討が必要でしょうし、あるいは言うなれば心構えの問題というものも、自覚の問題というものもあるのではないかな、いろんなことを考えながら今関係各省でそれらのことについて積極的に検討を進め、また審議会の御意見等を踏まえ、それぞれにふさわしいような対応をして、国民みんなで参加をして、そしてその頂点の競技のときにはなるべくすぐれた成果がおさめられるように、そんなふうにしていきたいと私は願っております。
#18
○小西博行君 猪木委員にタッチいたします。
#19
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。猪木寛至君。
#20
○猪木寛至君 デビュー戦でちょっと緊張しておりますが、去る十月の十四日に会津若松におきまして暴漢に襲われるという事件に遭いまして大けがをいたしましたが、大変御心配をおかけしましたが、きょうこのように元気になって退院してまいりました。
 そこで、きょうはスポーツの関連ということで、スポーツ平和党の立党の精神をちょっと述べさせてもらいたいと思います。
 政治とスポーツと芸術が一体となって、たくましい青少年の育成とスポーツ交流を通じて世界平和の実現です。スポーツは国境や肌の色を超越して世界人類が持てる共有の文化だと思います。私は過去三十年間プロレスのリングで世界の強豪と
戦ってまいりましたが、お互いに持てる力をフルに出し切ったときに本当の信頼とすばらしい友情が生まれます。私の経験からして、現代に生きるすべての人々に心身両面に強い影響を与えるのがスポーツだと確信しております。日本は本当に経済大国になりましたが、私も外国をよく歩きまして、文化、スポーツの面においてまだまだではないかと思います。
 そこで総理に御質問いたしますが、日本のスポーツ、文化の水準はどのくらいだとお思いでしょうか、お伺いいたします。
#21
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に、委員の痛々しい頭の白い包帯を見て、心からお見舞い申し上げます。
 いかに強豪といえどもルール無視の襲撃にはやっぱり災難を受けられるわけでありますから、どうぞルールを守ったスポーツの振興に一層お励みをいただきたいと思います。
 芸術、文化の水準はどれくらいかとおっしゃいますけれども、国によって文化、スポーツ、それぞれ歴史や伝統や得意種目があると思います。ですから、文化のことはちょっと時間が長くなりますから、芸術、文化のことは、日本は日本的な芸術、文化を、すぐれたものを持っておると、この程度にとどめさせていただきます。
 スポーツでも、やはりプロレスといえば発生地のアメリカが進んでおるのではなかろうかと我々は推察しますが、例えば相撲なんというスポーツは日本が一番すばらしいとも思いますし、総合的に判断しますと、それぞれの国においていろいろとスポーツを大切にしようという心構えや国民の意識というものがその水準を押し上げ、高めていくんじゃないだろうか、こう思いますので、先ほど小西委員に率直にお答えしましたように、我が国は競技スポーツとともに国民スポーツの幅をうんと広くして、みんなでこれを大切に盛り上げていこう、こう思っておりますから、かなり高い水準点がいただけるのではないか、こう考えてやっていきたいと思います。
#22
○猪木寛至君 保健体育審議会の方からのスポーツに関する資料が出ておりますが、そういう資料の中に本当にすばらしいことばかりが書いてあります。そこで、なぜオリンピックに勝てないのか。それには本当に若人が闘魂をかき立てるような政策が伝わってきません、大変難しい質問になるかもしれませんが。それから、これからのそういう政策で十分かどうか、ちょっとお聞きしたいと思います、総理に。
#23
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほどちょっと触れましたように、決心とやる気だけで選手を激励しておりましても、医学的、科学的な研究というものが各国で随分進んでおりますから、日本もいろいろなところで、スポーツ医・科学研究所なんかが例えば愛知県なんかには立派なのができてそれぞれやっておりますけれども、そういう角度からの選手に対する御協力の面も確かに必要でしょう。それから施設をふやしていくという面も確かに必要でしょう。これは随分やっておると思います。
 もう一つ、私、率直に言わせていただくならば、オリンピックで極めて高い成績を上げる国々の中には、国が丸抱えのような形で育成をしていらっしゃる国もある。それから国は余り丸抱えじゃなくて、一部体育協会なんかに選手の育成をお任せしておるという姿のところもある。そういう面からいきますと、すべてを打ち込んでやろうという選手に対して、日本の国としてその人の生涯に対してどのようなことを考え、安心して打ち込めるような環境をつくる必要が経済的な面でもあるのではないかということも随分御指摘を受けておる問題点であります。それらのこと等を全部踏まえて、どの一点に偏ったらいいかというような結論はまだ出し切っておりませんけれども、十分に御意思を尊重して考えてまいりたいと思っております。
#24
○猪木寛至君 よろしくお願いいたします。
 そこで、教育型スポーツということで、例えば十年前であればアマチュア選手が金品を受け取ったということで追放になるようなことであったんですが、今世界のスポーツ界全体が大きな流れで変わってまいりました。そんな中で、教育型スポーツというあり方だけでそのような流れに対応できるのかどうか、文部大臣にお伺いいたします。
#25
○国務大臣(石橋一弥君) お答えいたします。
 今委員御指摘のとおり、確かに、例えばオリンピックの出場に関して、テニスとかサッカー等は、プロであってもオリンピックの出場が許されているということを聞き及んでおります。注目すべきことだと私も思っております。
 そこで、御指摘のとおり国際大会において比較的成績が悪い、まことに残念だなと、こう私も思っております。もちろん、日本体育協会の実施する選手強化事業への補助の問題でありますとか、あるいはいろんな問題がありますが、ただいまも総理がおっしゃったとおり、古来から心技体と言われております。特に科学的な分析の問題でありますとか、あるいはいろんな問題がありますが、私は耐える心というもの、そうしたものがやはり大きく左右をしているのではないかなという感じを持っているものであります。
 国際競技力の低下をどのように防ぐか、上げていくかということでありますが、これはもちろん選手の体力、体格の問題もあるでしょう。あるいはまた、一貫指導体制が残念ながら割合に欠如しているということもあるでしょう。あるいは選手、コーチの競技会への参加を可能とするような支援体制の必要性もあると存じます。そのようないろんなことが重なり合ってこんな形になってしまったのはまことに残念であります。燃えるような心をということでありますので、私どももできるだけ協力をしてやっていきたい、こう考えております。
#26
○猪木寛至君 今、国民のスポーツに対するニーズが多様化しております。また、我々が気軽にスポーツを楽しむという環境も、先ほど総理の方からお話がありましたが、まだまだ不十分だと思います。
 そこで、オリンピックに勝てる選手の育成というようなことやいろんな要求が多くなってきている中で、そういうものにこたえるスポーツ省のようなものが必要なのではないかという気がしますが、それについて総理にお伺いいたします。
#27
○国務大臣(海部俊樹君) スポーツを幅広くすることとオリンピックに勝てるような選手を育成することと、どうしても二つの目標があるということで、最近体育協会とオリンピック委員会が組織として分離して、それぞれの目的に従って合目的的な活動をしていただくというような流れになりつつあることも委員よく御承知のことと思います。また、文部省といたしましてはと言うとちょっとおかしいんですけれども、従来の文部行政の流れの中におきましてはと言い直さしていただきますけれども、スポーツを極めて大切に考えながら、そのようなことできちっとした行政をしていかなければならぬ、こう考えてやってまいりました。
 そして、私個人の心情としては非常に大切に考えておりますが、他の政策との整合性とか、あるいはただいま行政改革の動向その他も十分に勘案いたしまして、せっかくの御指摘でもございますから、私も前から考えておったテーマの一つでもございますので、長期的な観点から慎重に検討すべき問題である、このように受けとめさせていただいております。
#28
○猪木寛至君 そういうスポーツ政策を積極的に行えば、現在十八兆円という医療費がかかっておりますが、例えば一〇%の人たちがそういうスポーツを通じて健康になって医療に頼らないとした場合に、これは一兆八千億という財源が節約できると思うんですがね。
 そこで、きょうは大変時間も制限がありますのでこれで終わりにしたいと思いますが、私としては具体的なプランと政策を考えておりますので、総理に提出したいと思いますが、御検討いただけますでしょうか。
#29
○国務大臣(海部俊樹君) せっかく経験や体験に基づいた提言、プランをお持ちということでございますから、私もいただきまして、検討をさせて
いただきます。
#30
○猪木寛至君 終わります。
#31
○小西博行君 今、猪木委員の方からスポーツの振興ということでいろいろございました。私も、数少ないわけでありますが、つい先日北欧へ行ってまいりまして、スウェーデンはビョルン・ボルグというテニスの有名な選手が出ておりますけれども、そこでいろいろお聞きしましたところ、日本の場合はどちらかというと学校教育の中の体育というものに非常に大きなウエートを置いている。北欧の国々というのはそうではなくて、自宅へ帰ってからのクラブ活動、そういうクラブが非常にたくさんありまして、しかも子供のときはいろいろなクラブに所属する、そしてそのうちにやっぱり自分に一番合ったものを、ビョルン・ボルグの場合はテニスが一番自分に合っていた、こういうふうに言っていますけれども、それでもってやる。しかも、国が非常に近いものですからしよっちゅう国際大会をやる。したがって、場なれというのでしょうか、大会に非常に強いそういう選手がどんどん生まれるんだ。このようにお聞きいたしました。
 私は、そういう意味で日本もできるだけそういうような大会に参加する、あるいは選手を呼ぶ、こういうものを通じてやはり皆さん方のスポーツに対する興味というものを高めていく必要があるんじゃないか。国民全体でいろいろ世論調査いたしましても、やっぱりオリンピックとか国際大会とかというのはどうしても勝ってもらいたいと、関心の度合いが非常に高いのも事実であります。そういう意味で私は、ぜひスポーツの振興をやっていただきたい、そのこともお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。消費税の関係について質問させていただきたいと思います。
 消費税につきましては、衆議院、参議院通してたくさんの議論がございます。私もそれを大変興味を持って拝聴し、また勉強もさせていただいております。総理は絶えず、見直すところは大いに見直す、そういうような非常にはっきりした自分の見解を述べていらっしゃるわけですが、この見直すところは見直すと言うのですけれども、この間からずっと議論になっておりますように、大綱の提出であるとか、あるいは法案ですね、こういう問題を具体的に早く出さないとやっぱり問題があるんじゃないか。もう野党は廃止法案を出しているわけですから、それに対して一日も早く出していただいて、お互いに出したところで議論を深めるというのが実は本当ではないかというような感じがいたしますし、もしこれを見直すということになりますと、当然この次の予算に具体的にどのように組み込んでいくかという大きな問題も残っております。その点を踏まえてまずお願いをしたいと思います。
#32
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今委員が御指摘になりましたように、消費税の見直しというものにつきまして今政府税制調査会におきましても、また自由民主党の税制調査会におきましても論議が進められております。そして、私どもとしては来年度の予算編成にはその見直しの結果を踏まえた歳入に基づいて予算編成をいたさなければなりません。そのためには、本委員会でも私は何回か申し上げましたけれども、年内の予算編成を行うためのタイムリミットというものは当然あるわけでありまして、十二月のしかるべき時期にその結論を次年度の税制改正として明らかにする責任が我々にはございます。そして、私どもは逆に、そのぎりぎりまで国民から寄せられます見直しについてのさまざまな御意見というものすべてを俎上にのせながら十分検討させていただいて答えを出したいと考えております。
 総理が今までお話しになりました中で、こうした見直しに対する心構えとして見直すべき点は思い切って見直すという表現も用いられておりますが、私どもはその言葉に従い次年度予算編成に合わせてきっちりとした対応をいたしたい、そのように考えております。
#33
○小西博行君 今の審議をいろいろ聞かしていただいて、大変皮肉な現象だなとつくづく思うわけです。というのは、消費税法案を提出する前に野党からいろいろな質問が出ました。子供さんの問題、駄菓子とかそういう問題は一体どうするんだとか、あるいは本当に弱者の皆さん方にはどうするんだと。そういう問題が今度の見直しの議論の中心になっているような気がいたします。そういう意味で、あの時点でもう少し国民の皆さん方の意見を十分聞いて法案を提出するという作業をやっておれば、これは私はある意味では成功したのかもわからない。
 ところが、今は全く逆になりまして、そういう面の言いわけを一生懸命しなきゃいけない。そこが実は大変な問題だと思うんです。しかも、大きな見直しといっても、これは当然法律案の改正という問題まで含んでやらなきゃいけないということになりますと、御存じのとおり、衆議院で可決しても参議院ではなかなか可決しない条件というのがもう目の前にございまして、私はその辺を果たしてどのようにして切り抜けられるのかということを国民全体も恐らく心配されているだろうと思うんです。
 したがいまして、私どもは何としても消費税は一遍撤廃してゼロからやっぱりスタートすべきが本当ではないか、私はそのように感じておるんですけれども、これもたびたびそういう答弁もございましたが、総理の決意を聞かしていただきたいと思うんです。
#34
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、委員が御指摘になりましたように、税制改革全体、殊に消費税に関連いたします部分について、国会においての御議論がもっと多く深く行われておればという気持ちは今でも私もしないわけではありません。また、これは私就任いたしまして改めて調べてみますと、この税制改革に関連いたしまして消費税に関する地方公聴会が二十五回開かれておりまして、従来のこうした問題に対する取り組みよりは随分当時の税制調査会も御論議になったんだなという感じはいたしますけれども、これはごく限られた方々しかお知りになる機会がなかったわけでありますから、今御批判のような点が出るのもやむを得ないことかと思います。
 しかし同時に、既に税制改革は進行し、御批判は受けておりますけれども消費税は実施をされ、国民にも御協力をいただき、進行しつつあります。そして、私どもは政府として見直しをお約束し、与党としてもお約束をし、その作業を進捗させておるわけでありますから、そこから出てまいりました結論に従って対応をいたしてまいりますけれども、その見直しについても私は院の御協力も得たいと考えておりますし、またこの定着のために国民から御理解をいただくための努力というものを全力を挙げて続けてまいりたい、そのように考えております。
#35
○小西博行君 私は、先ほども申し上げましたように、最初の導入というのがまず一つは失敗と。で、今回はまたその見直しということでの失敗を繰り返すんではないかと。私は、率直にこの問題はもう一回本当にゼロにして考えていく。そして、現実問題はやっぱり何といっても毎日毎日物を買っている奥さん方の批判というのが非常に強いんじゃないか。そういう意味で、今度の皆さん方がやろうとしているいろんな中身について、一体主婦の皆さん方からどのような形でその整合性を得るのか、どういう調査をなさるのか、その辺が実は一番大切な問題ではないか。
 現実に消費税をやってみて、野党の方からはこういう問題がありはしないかということをもう何回も追及したわけですけれども、そういうことはありませんと、それで実施した。結果は非常にまずい状態になっている。またそれと同じような繰り返しをやるんではないか、私はそういうような気がしてなりません。その点はいかがでしょうか。
#36
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府の税制調査会も消費者の代表の方々からいろいろな角度で既に御意見を拝聴しつつありますし、これからも必要に応じてそういう努力はされると思います。
 また、高原経済企画庁長官には大変御苦労をいただきましたが、消費者団体の方々との対話の形でその御意見の吸い上げを既に実施していただき、御努力をいただき、その御報告は総理もまた私も拝聴いたしました。
 私自身は、税制調査会にモニターとして御活躍をいただいておられる方々、意見聴取の際お目にかかりもいたしましたけれども、それよりも今国民の皆様方から、これは主婦だけではございません、消費税について意見をいただきたいということを呼びかけましたところ、既に一万四千通に近い、正確な数字はちょっと忘れました、一万三千何通でしたか、一万四千通に近いお手紙をいただいております。
 この中には、本当に小学校のお子さんからお年を召された方まで非常に幅広く御意見をいただいておりますけれども、もちろん賛否両論もございますし、見直しについての御意見もございます。それから、反対だが見直された中身によっては、という御意見も含めて非常にたくさんの御意見をいただいております。中には、今委員が御指摘になりましたように、消費税の内容以前の問題としての導入の経緯についての不満、あるいはもう一つそれをさかのぼってのリクルート事件に端を発した政治不信について、そうした点の意見を述べてこられる方々もございます。そして、私は全部まだ目を通し切れておりませんが、しかし少なくとも今まで拝見をしております御意見は、賛否のいずれを問わず非常にまじめな御意見を述べていただいておることに感謝をいたしておりまして、私は国民の方々の声をこのような方法で受けとめております。
#37
○小西博行君 制度を新しく導入するというのは、私は大変なエネルギーだったと思います。しかし同時に、これを勇気を持って廃止するという労力も、既に実施しているわけでありますから余計にこれまた大変な部分があると思うんですが、私はその点はやっぱり相当思い切って皆さん方、責任を感じてその方向に勇気を持ってやっていただかなきゃいけない、そのように思っているわけでありますが、しかし、次の問題に個々に入ってまいりたいと思うんです。
 御存じのように、竹下元総理は九つの懸念ということを具体的に当時総理の時代に明確にされました。最近の海部総理のいろんな御意見を聞いておりますと、何となくその九つの懸念というのはもう大部分払拭されたような発言が目立つわけでありますけれども、その点は果たしてどうなんでしょう。私は払拭されていない、そういうような気持ちでおりますけれども、海部総理はもうほとんど大丈夫だというふうにお考えでしょうか。
#38
○国務大臣(橋本龍太郎君) 多少細かくなりますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。
 竹下総理がいわゆる九つの懸念と言われましたもの、それぞれにその当時としては理由があることでありました。しかし、例えば第一の逆進性の問題でありますけれども、消費税というものの持つ性格からいたしまして、広く薄く皆さんに御負担を願うという点で、この税には低所得者に対して厳しい面がある、それはそのとおりであります。でありますから、今例えば課税最低限の引き上げといった手法で給与所得の方々に対する対策を講じ、そのほかの各種の控除をつくることによりまして、税制そのものの中でもこれに対する対応策は用意してまいりました。
 また、細かく一つ一つを申し上げるいとまもありませんけれども、例えば生活保護基準の改定につきまして、消費税の予想される影響、そのほかに生活水準向上分を織り込んだ基準の引き上げをいたしております。また、年金、さらには恩給等につきましても今回年金額の改定をいたしておりまして、こうした部分に対する手当てもいたしてまいりました。
 さらに、歳出面におきまして、例えば寝たきり老人に対するヘルパーの増員とか、こうした対応策も用意をいたしております。また、内職あるいはパートの方々に対するパート減税につきましても、院に現在御審議をお願いしているところでありまして、こうした対応策を講じております。
 ですから、私は、完全に一〇〇%逆進性がゼロになったと申し上げるつもりはありませんけれども、少なくとも相当程度の対応は講じてまいりましたし、殊に一番所得の低いと思われる方々に対して、または母子家庭その他各種の社会的ハンディを負われる方々に対しての手当て等についても、所要の改善措置は講じておると思っております。しかし、これで終わりということではなく、次年度以降当然考えていかなければなりません。
 また、次に、物価あるいは転嫁という問題についての問題がございましたが、物価につきましては、相当な心配を払われていた向きがございましたけれども、御承知のように、導入直後、この転嫁に伴いまして消費者物価が一時期上がりましたが、その後平静を保っておりまして、その意味における転嫁は非常にスムーズに行われております。そして、今の時点における物価の状態というものは非常に安定をしておるということが申し上げられると思います。
 また、事業者の事務負担というものにつきましての懸念がございました。これにつきましては、仕組みの中におきまして中小事業者の納税事務負担に対する配慮等を加えておることは御承知のとおりでありまして、今それなりにこれも機能しておると私どもは考えており、消費税に対する国民の御意見を賜る中にも、こうした点についての不満というものは、私が手にいたしました手紙に関する限りほとんど出てきておりません。
 また、納付した消費税が国庫に入らないのではないかという問題がしばしば提起をされました。これは御承知のように、免税点その他の影響がそういう形で出るのではないかという不安だったわけでありますが、通産省に調査をしていただきましたところでは、売上高三千万以下の小売業のうち四割の方々は転嫁をしておられない、サービス業にありましては七割の方々が転嫁をしておられないという状況でありまして、事業者免税点制度によります生じ得る理論的な減収の多くの部分というものが、消費者がそれだけ安い価格で物を購入することができるということを意味しておる、そういう実態でございます。
 また、地方団体の財政運営に関する懸念というものにつきましては、地方に対する財源配分など必要な措置を講じてまいりました。
 ですから、私は完全に消費税に対する懸念が消えたと申し上げるつもりはありませんけれども、当初示されましたいわゆる九つの懸念というものにつきましては、それぞれ解消されつつあり、また対応策が講じられておる、そして今後一層努力をしていきたい、そのように考えております。
#39
○小西博行君 今のお話を聞いておりますと、かなりいい方向に行っているみたいなことですが、現実は大変厳しいということであります。
 例えば、消費税の持つ逆進性、先ほどもちょっと触れましたけれども、子供さんあたりが買う小さなもの、こういうものも、よくいろんな情報で入っておりますように、大変苦労されている。それから年金生活者、寝たきり老人の方、現実は大変な状況であります。それからまた、三百万から四百万ぐらい以下の年収の勤労者の皆さん、これも逆進性はそのままだというようなことで、一つ一つを見ておりますと、たくさんの矛盾がそこに見られている、私はそのように判断するわけであります。
 いかにも大蔵大臣のお話を聞きますと全くそのとおりのような説明をされますけれども、必ずしもそうでないところに実は問題がある、そのように私は思いまして、特にまた、資産格差の拡大という問題も最近は非常に大きく膨れてきておりますし、そういう問題一つ一つここで詳しく議論する時間はございませんけれども、私はまだまだ、まだまだというよりも、むしろ今の問題点としては大きくクローズアップされてきている、そのように感じまして、何としてもこの問題を廃止の方向でぜひともやっていただきたい、そのようなことを要求さしていただきたいというふうに思いま
す。
 総理は、そういうことに対しましていろんな発言をされておりますので、それは先ほど大蔵大臣が言ったと同じような観点でとらえておられますか。
#40
○国務大臣(橋本龍太郎君) 総理の前に、一点だけ私それでは補足をさせていただきたいと思います。
 ただいま三百万円前後からの方々のところのという例示をされましたが、御承知のように、所得税減税を行います前、標準世帯におきまして二百万円台の半ば過ぎから所得税を御負担願っておりました。しかし今回の所得税減税の結果は、三百万円台に入って初めて所得税を負担していただくことになり、しかも刻みが変わり、ほとんど一本の税率で対応していただけるようになっておるということも考えていただきますと、今の三百万円台とこうおっしゃいましたところは、従来よりは完全に所得税は減っておるわけでありますし、その以下の方々については、従来御負担を願ったところも所得税がかからなくなっておるということは申し添えさせていただきます。
#41
○国務大臣(海部俊樹君) 前国会においても、九つの疑念という問題についていろいろ御議論がありましたことは私もよく承知しております。そして、逆進性の問題を初めとしまして、今大蔵大臣が申し上げましたように、やはり間接税で消費税のような姿になりますとどうしても逆進性の問題は制度に伴う問題としてそこだけを見ると出てまいりますから、したがってそこだけの税制改革だけではなくて、減税とかほかの税制も含めての税制改革でありますから、全体の中で御議論をいただきたいというお願いが一つと、もう一つは、そういった逆進性を解消するためにこそ、他の社会保障施策なんかの充実その他を通じてきめの細かい配慮をしていかなければならぬということは、十分に承知をして御説明をし続けてきたつもりでございます。
 ただ、見直すべき点は見直していかなければいけない、こう決意をしましたのは、やっぱり国民の皆さんの御理解と納得をいただくということが税制が定着していくための大前提でございます。しかも、新たにこういった制度を御理解願いたい、そしてそれに伴ういろいろな問題については御協力を願いたい、国民の皆さんにも将来の問題に対する御協力というか、負担を感じていただかなきゃならぬという面も日常の売買行動の中にはあるかもしれません、そういったことをお願いするというのですから、それらの方々の御希望や御意見もできる限り聞いて、できる限り組み入れて、そして改めるべき点は改めるということが定着させるためには基本的に大事であろう、こう思っておりますので、私の決意をどうぞお認めいただきたいと思います。
#42
○小西博行君 税制改革全体について私どもは反対しているわけじゃないわけですね。税制問題は当然日本の将来を考える場合にやらなきゃいけないということはもう前々から言っているわけでありますが、今度の消費税というのは余りにも問題点が多い。
 例えば最近では非課税の問題で、生鮮食料品を非課税にするとか、あるいは入学金をどうするとかいうようないろんな問題が出ておりますけれども、そういう具体的なものはもう既に政府の方では相当つくっておられて、少なくともこういう分野でいきたい、あるいは免税点についてはこうなんだと、そういうような何か具体的なものは現在の段階で発表していただけるものはございますか。
#43
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、私どもが政府税制調査会にその見直しをお願いしておる立場でございます。そして、現にその作業が進行しつつあります。そして、国民から御要望のありました事項についてはすべて俎上にのせていただいていくわけでありますから、委員がお触れになりましたような問題点もそれぞれに当然論議の対象とはなりましょうけれども、今その結果がどうなるかということについて、私が予見を持って申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
#44
○小西博行君 そういうような答弁になると思いますけれども、それじゃ全然議論になりませんし、具体的な一つ一つについて議論していかないと、これは何のためにこういう審議をしているんだろうという感じがいたしますね。国民の皆さん方もやっぱりそのことを聞きたいと思うんですね。例えば生鮮食料品、これは一体どうなんだと、これはこういうような考え方なんですよと具体的に答えてもらわない限りは、今十分検討してもらっている、それまではわからないよというんだったら税制の審議なんというのはできないわけですね。どういうような審議をしたらいいんでしょうか。私はその点が非常に不満であります。総理、どうでしょうか。
#45
○国務大臣(橋本龍太郎君) しかし、お言葉を返して大変恐縮でありますが、ちょうど参議院選当時、国民から消費税について大変御批判が上がっておりましたのは、まさに消費者の方々と、それに向かい合うお店屋さんの店先のお立場からのことでありました。そして、その当時も私は党の責任者として、今度は納税義務者としての方々の声が出てきます、その双方の御意見を伺って我々は見直しをいたしますと申し上げてきたわけでありますが、その十月二日に申告、納付がいよいよ動き始めたばかりの状況でありました。納税義務者の現実に実務をされての声というものはまだ出てきておる状況ではございません。
 そうなりますと、両方の御意見を伺ってきちんと我々は見直す責任を持っておるわけでありまして、その途中過程がいろいろな形で外に御論議の材料として出ていきますことが果たして国民にとって安心してごらんをいただけることであるのかどうかといえば、私は必ずしもそうだとは思いません。むしろ論議を一応税制調査会としておまとめをいただいたものが、こういう形でいかがでしょうかとそろって国民にお示しのできることが私は望ましい姿だと考えております。
#46
○小西博行君 相当私どもの考えとずれがあるようでありますけれども、一点だけ、先ほどから申し上げておりますように生鮮食料品、これを非課税にするということになりますと、当然お百姓さんの方で購入されるいろんな農機具、農薬その他原価に係る部分ですね、経費としてそういうようなものも当然非課税にしなきゃいけない、そういうようなことが起こるんではないかと思うんですが、その点はどういうようにお考えなんでしょうか。
#47
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私ども今特定品目を挙げて御論議をさせていただく立場にございませんけれども、例えば一般的に非課税品目があったといたしまして、その場合の仕入れのコスト等は価格に転嫁をされるべきものではございませんか。現在私どもは、売上税の際に非課税品目をたくさんつくりましたことが非常に国民から御批判を浴びたこともありまして、限定した対応をいたしておるわけであります。しかし、それらの部分につきましても、同様にそれはコストとして価格に転嫁されるべきものであるというふうに理解をいたしております。
#48
○小西博行君 どうもその辺も納得はしかねるわけであります。
 私は、時間も余りありませんからこの程度で終わりたいと思うんですが、税金はやっぱり私は国民の皆さん方が将来安心して平和に住めるような、そういう国づくりという一つの大きな観点の中で実行されるべきものではないかというように思うわけです。そういうように見てみますと、当然私どもが要求しました行政改革というのがその前段になくてはならないという主張をずっとやってまいりました。五カ年計画はもう既にあるわけでありますし、それを徹底的にやっぱりやらないと、一般の国民の皆さん方は、税金は政府が必要なんだ、取るんだ、しかし具体的に自分たちは一体どうなるんだと、その辺が実は一番大きな問題ではないか、そのように私は思います。
 年金の問題も後で少しやろうと思っているわけでありますが、年金の受給者というのは、もう総
理御存じのように、日本の戦後の発展というのに大変条件の悪い中で頑張ってこられた方々でしょう。その方々が年金生活を今送っている。果たして現在十分なる年金をもらって生活ができるんだろうか。そういうように考えますと、長期的な相当のビジョンを持って確実にそれを進めていくという、皆さん方が安心できるような体制をつくっていかない限りは、減税して、やれやれうれしいと思ったら今度は増税だと、こういうようなやり方というのはまさに、もう大変失礼だけれども、下手なやり方をするなあと、私なんかもそのように考えるわけです。
 そういうように、私は、この消費税一つとりましても、ちょっと国全体のいろんな将来に向けての展開、これが非常に説得性に乏しい。その中で消費税を実行する。そこらに大きな問題があるんではないかというふうに思いますが、最後に、総理のその辺の決意を述べていただきたいというふうに思います。
#49
○国務大臣(海部俊樹君) 委員御指摘のお考え方は私もよく拝聴をいたしました。そして、我々が率直に考えております、世界にも類を見ないような急速な高齢化社会が来るわけでありますから、人生六十年時代から人生八十年時代に移り変わっていくこの時期にあって、どのような社会保障政策、どのような年金政策、そして安心して暮らせる老後というものをどうしてつくっていくかということを十分国民の皆さんに御理解いただくとともに、そのために必要な財源をどのようにして安定的に確保をさせていただくかということや、あるいはそのときにおける給付と負担の関係はどのようにしていくかというようなこと等を、まさに年金関連法案の御議論を通じて各党のお考え方等も述べ合っていただきながら、これはきちっと成立させていただくことが非常に望ましいことだと私は期待もいたしております。
 また、そういった将来のビジョンをお示ししながら、なお、きょう現在我々がずっとやってまいりました税制の中に持っておるゆがみやひずみというものがあるわけですから、それをこのようにして解消させていただきたいと思って税制改革をお願いしたわけでありますから、私たちはそれが定着をして御理解いただき、将来の安心して暮らせる高齢化福祉社会を支えていくためにもこれは必要なことなんですという御納得をいただくために、いろいろと出ている御批判や御不満の声にはお答えをして、それらのことを今一生懸命検討しておりますが、見直すべき点は思い切って見直していかなければならない、こういう決意を申し述べておる次第でございます。
#50
○小西博行君 これは消費税だけの問題じゃありませんけれども、こういう長期的なビジョンをいろいろ策定する場合は、各省庁にお任せするというだけでは私はいけないと思うんです。どうも官僚政治型になってしまっている。過去のデータを見て分析する、これは大事です。しかしやっぱり私は、これは政治家の一つの大きな課題ではないか。つまり、このビジョンを策定するわけでありますから、その点は十分政治家の方で検討して、勉強してやっていかないとまずい方向に行ってしまう、私はその点を特に憂えるものであります。
 特に今回のこの消費税という大きな将来に向けての問題が出ているわけでありますから、自民党の政治家は優秀な方が大勢いらっしゃると思うので、内部でよく検討していただいて、私どもが要求しております廃止の方向でまずスタートしてもらうということを主張させていただいて、次の課題に移ってまいりたいと思います。
 次は、日米構造協議。これも実はもう既に御存じのとおり、日米間の貿易摩擦という大きな問題があります。現在でも大きな黒字を出しておりまして、アメリカからは相当厳しくその問題について抗議をされている。
 そこで、第一点でありますけれども、この日米構造協議の性格についてまずお伺いしたいと思うんです。
 米国では、来春の中間報告で具体的な成果を得たいと、このように非常に目的が明確であります。日本の方は、あくまでも話し合いにとどまり具体的な合意を得るものではないと。もう全然これは違います。その点について政府はどのように認識をされているのか、あるいは日米間でどのような調整を今されているのか、その点をまず御質問申し上げます。
#51
○国務大臣(中山太郎君) この構造調整会議につきましては、先般のアルシュ・サミットにおきましてブッシュ大統領から提案がありまして、これを受けて日米首脳間で合意に達してこれを開始するということになったものでございます。
 その背景にありますものは、委員御指摘のように、この日米の貿易のインバランスが余りにも日本側の黒字が大き過ぎるというところから、この問題が提案されてきたと理解をいたしております。この問題は、アメリカの政府といたしましても、議会の中にあります厳しい対日批判というものも現実にございますし、日本側としてもこの貿易のインバランスで一方的に黒字を計上するというのも好ましきことではございませんので、先般行われました海部総理とブッシュ大統領の日米首脳会談におきましてもこの問題が提起され、また私とベーカー国務長官との二度にわたる日米外相会談でもこの問題が出てまいりました。
 この問題は双方それぞれいろいろ事情がございますから両者でお互いに話し合う、そしてこのブッシュ・海部会談でもこれは日を切るというわけにはいくまい、日本側としては誠心誠意この会議を通じて双方で問題点を勉強し合う、努力をします、こういう約束をした経過がございまして、それに基づいて九月、十一月、一月、三月と会議が予定をされておりまして、明年の春、一応アメリカ側はその中間報告といいますか、そういうものを得たいと考えておりますけれども、これは双方のこれからの努力にかかるものと考えておりますし、ぜひ前向きの結果が出るように努力をいたしたいと日本政府としても考えております。
#52
○小西博行君 そこで、前川レポートというのがございますね。当初はアメリカ政府もこのレポートを大変結構だというような意思表示があったというように聞いておるわけですが、最近ではどうもそうではない。つまり、まあ政府と議会筋で多少意見の相違があるのかもわかりませんが、そういうふうに私も聞いております。いずれにしてもいろんな条件の設定は必要だと思うんですが、将来の方向ということであれば、やっぱり輸入を促進しなきゃいけないだろうということだと思うんですね。
 通産省ではもう既にこの輸入促進減税というようなことも検討しているというように聞いているわけですが、必ずしもそれ、全部の商品についてそのような形というのは大変だと思います。それは日本のいろんな産業の事情もありますので、その点は十分考慮した上でそういう検討もしなきゃいけないだろう。その辺に対しての通産省の御意見をまず聞きたいと思います。
#53
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 委員よく御承知のとおり、最近における日米間の経済摩擦のもとにあるものは、アメリカは五年も連続して一千億ドルを超す赤字を出しておる。我が方は三年連続して九百億ドルを超す黒字を出しておる。日米関係だけを見ましても、三年連続して我が方が五百億ドルの黒字、アメリカがその額の赤字、これが日米間の経済摩擦のもとにある問題点であります。したがって、これをそのままにしておきますというと、我が国が発展をしてきたその一番大事な要件である自由貿易体制そのものにひずみが生ずるおそれがありますので、何としてでもこの貿易インバランスの是正に向けての最大限の努力をしなきゃならぬわけであります。
 そこで、不均衡是正の一番大事な施策は何かというと、マクロ経済政策であるわけでありまして、今後とも内需主導型の景気好調さを持続させていくことが大事でありますが、同時に、この際思い切った輸入拡大策を我々はとっていく必要があるというふうに考えておるわけでありまして、予算、金融あるいは税の面、もろもろの方法をとって輸入拡大策を推進してまいりたいとこう考えておる
わけでありまして、現在そのための調整を各方面とやっておるという現状でございます。
#54
○小西博行君 結構なことだと思うんですが、各産業界との調整を十分とっていただきたい、そのことを要望させていただきます。
 次に、スーパー三〇一条。これはまたいろいろ問題がたくさんございます。当初日本の政府もこの三〇一条の問題については大変批判的であったというように私も聞いております。しかし、どうも最近になってまいりますと必ずしもそうではない風潮がある。当初はもうガットに提訴しようというような動きもあったようでありますけれども、最近はどうもトーンが落ちているというふうに聞いているんですが、その辺のいきさつはどうなんでしょうか。
#55
○国務大臣(松永光君) アメリカのスーパー三〇一条で指定された三項目については、これは一方的な制裁、こういった脅迫を背景とした交渉になってくるわけでありますから、我々としては、スーパー三〇一条はガットの精神に反するものであるから、その枠組みの中での交渉には応ずるわけにはまいりませんという姿勢を、今までも貫いてきましたが、現在も貫いておりますし、将来もそれは貫き通すつもりでございます。いささかも変更はありません。
 ただ、そのスーパー三〇一条における交渉とはかかわりなくアメリカの側で貿易についての関心を説明したいということであれば、それは三〇一条とは別の、その枠組みじゃない別の形での関心の説明は十分お聞きしましょうという態度を我々はとっておるわけでありまして、何ら今までの姿勢に変更はございません。将来も変更する気持ちはございません。
#56
○小西博行君 それでは、ガットに提訴するという準備を十分しているということでございましょうか。
#57
○国務大臣(松永光君) アメリカ側で具体的に制裁的な措置をするような事態になったならば、これはそのことを考えなきゃならぬでしょう。現在では制裁的なことは何らなされておりませんので、その時期ではないと、こういうふうに判断いたしております。
#58
○小西博行君 よくわかりました。
 それでは、自由貿易でやっていかなきゃいけないというのが原則ですね。ところがアメリカの方は、先ほど大臣がおっしゃったように、経済的にいろんな問題を抱えている。したがって、一部には管理貿易論、これが非常に大きな勢いで議会の中でも議論されるような状況になっている。そのことが非常に私は大変なことではないか、そのように思うわけであります。これはもちろん相手の国があることでございますから、アメリカの言い分も十分聞かなきゃいけませんけれども、自由貿易、これを守っていくという強い姿勢でこれからも頑張っていただきたい。
 ところで、この三〇一条に基づく三品目特定の経緯、これについて少し詳しく教えていただきたいと思います。つまり、不公正貿易慣行国として日本がとらえられておりますので、その点についてお聞きしたいと思います。
#59
○政府委員(林貞行君) 今の御質問は、ことしの五月におきましてアメリカが日本のスパコン、人工衛星及び木材につきましてスーパー三〇一条に基づき特定したということについての背景という御質問であると思います。
 私どもとしては、これら三品目がいかなる基準、経緯で特定されたかにつきましては、これは米側の問題でありましてつまびらかには承知しておりませんが、全般の経緯からいたしますと、アメリカ側はこれら品目につき日本への市場アクセスの面で問題があると考えているというふうに考えております。もちろん、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、私どもとしてはこの三品目についてアメリカ側が考えているような問題はないと考えておりまして、いずれにせよアメリカ側としてさらに日本側に説明したいことがあれば聞くという態度で話し合いに臨んでおります。
#60
○小西博行君 それでは、この問題の最後にお聞きしたいんですが、貿易摩擦の解消という大きな立場でこれから具体的に例えば何年度計画でこのようにやっていきたい、そして貿易摩擦を解消していきたいと。さっき内需の拡大という非常に抽象的なお話がございましたが、それだけでは非常に具体性に欠けると思うので、これから日米関係のそういう貿易摩擦を解消するというのにはこういう手が幾つかあるんだ、こういう問題について最後にお聞きしたいと思います。
#61
○国務大臣(松永光君) 先ほども申し上げましたけれども、不均衡是正の決め手となるのはマクロ経済政策なのでありまして、一昨年来我が国は内需中心の景気拡大政策をとってまいりました。その結果として昨年度、日本の輸入は三百八十億ドル増加したわけであります。アメリカからの輸入も百億ドルを超す増加を見たわけであります。こういう傾向でありますので、今後とも内需主導の経済政策をとっていくと同時に、先ほども申し上げましたように、予算、税制、金融、そういう手段を駆使して輸入拡大策をとっていきたい、これを実行していけば輸入拡大がさらに続くものだというふうに考えておるわけであります。
#62
○小西博行君 大変抽象的でありますが、総理、この問題も特に日米間の一番大きな問題だと私は思いますし、日本の経済が発展してきたのも実は日米間が非常にうまくいったということだと思いますが、最近はどうもアメリカの情勢がかなり厳しい方向に行っているのではないか。各専門家の皆さん方もそのように分析をされておりますので、積極的にこの問題には取り組んでいただきたいというふうに思います。
 それでは、時間が十分になりまして、次に参りたいと思います。
 年金問題。これももうたくさんは申しません。先ほどちょっと税金のところでも触れましたように、やっぱり年金というのはあるいは社会福祉というのは、どうしても日本がもう少し積極的に取り組まなければいけない大きな問題だろうというふうに思います。
 私は先日、先ほどもちょっと触れましたように、北欧四カ国へ各党の皆さん方と教育について調査に行ってまいりました。本当につくづく北欧の皆さん方というのは日本とは随分違うなと。大体顔つきが違います。それから目の感じが非常に穏やかですね。いきなり東京へ帰ってまいりましたら、ネクタイ族が非常に多いというのも実はこれはびっくりいたしました。スウェーデンでさえも、朝の出勤なんかをずっと見ていますと十人に一人くらいはネクタイをしているかなと、そういう感じでスニーカーを履いて出勤されている。そして、働く時間は非常に短いわけですから、自分の家へ帰っていろんなことをやっている。生活は、もちろん皆さん御承知のように、社会福祉は非常に徹底している。教育費も全然かからない。医療費もかからない。そういうのが実は我々が目指す一つの方向ではないか。
 今、どうでしょうか、年金の生活者。生活者というのは非常に言葉が悪いわけですが、我々の先輩ですよね、戦後非常に物資の少ない中で頑張ってきて、欧米に追いつけ追い越せ、こういうことで寝食を忘れて働いてもらった皆さん方が今年金生活をしている。その年金生活が十分でない。もう一つそれにプラス食料費がかかる。そういうようなことになってまいりますと、大変私は気の毒というよりも、我々として当然なすべきことを今していない、それが私は社会福祉の中の一つの形として年金だと思うんです。
 当然皆さん御存じのように、年金は五年に一回改定する。いろいろ計算をして改定する、それから物価にスライドする、この二面性がありますね。物価スライドの問題はもうすぐやってもいいような問題だと思うんです。これは年内に支給してもらいたいと私は希望するわけですけれども、この間いろいろ厚生省の皆さんにお聞きしたら、七十日ぐらい準備にかかるということですね、決まってから。これは私どものところへ、恐らく先生方のところへも随分いろいろ電話もあると思います、年金の受給者の皆さん方から。
 総理、そういう問題を解決をしなければ、具体的にどうだということでなければ私はこれから大変じゃないか。それが私は政治の力ではないか、我々のやるべきことではないか、そのように思いまして、この今の二面性の面を含めて具体的にどうするのか、物価上昇分については年内にどうしても出すか、この面についてお答えを願いたいと思います。
#63
○国務大臣(戸井田三郎君) 委員御指摘の物価スライド部分である〇・七%、この問題ばかりではなく同時に給付改善が行われておりますので、一一千五百万人の受給者は一日も早くこの支給を心待ちにしていることは事実であります。
 そこで、そのためにはやはり〇・七%という問題だけではなくして、給付改善部分も国民の期待が非常に高いわけでありますから、その改善を同時に行っていかなければ、いわゆる物価の問題だけでは当面の問題が解決できません。御承知のとおり消費税も上がっております。そういったことも年金面でも考えておるわけでありますから、ぜひこの問題の審議を十分尽くしていただいて、そして合意を得ていただくように努力していただきたい、かように思っておるわけであります。
#64
○小西博行君 今の答弁を聞いておったら皆さんがっかりされるんじゃないかと思うんですが、とにかく積極的にこれは与野党問わずこの問題に早く取り組んで、そして早く実施できるようにぜひとも要望したいというふうに思います。
 それでは、年金問題はそれだけにいたしまして、在日韓国人の問題について一、二点お伺いしたいと思います。
 既に御存じだと思いますが、日韓法的地位協定というのがございまして、永住権についていろいろ取り決めがございます。私がここで申し上げたいのは三世問題です。これが一九九一年にはその期限が切れるということで、何としてもこれに早く対応しなければいけないという問題がございます。この問題に現在どのように取り組んでおられるのか、あるいは今後どういうふうにされるのか、この点だけお伺いしたいと思います。
#65
○国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。
 在日韓国人の子孫の法的地位につきましては、その歴史的な経緯及び日韓友好関係を考慮いたしまして、政府といたしましては日韓法的地位協定、それに前文というのがございますが、その前文に示されております精神と目的を十分に尊重いたしながら、今後両国政府の間の協議を通じまして双方の満足し得るような結論を見出すべく努力いたす所存でございます。
#66
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 ただいま法務大臣から御答弁のあったとおりでございますけれども、いわゆる三世の方々の法的地位の待遇の問題につきましては、大臣仰せのように日韓法的地位協定に基づく正式協議をやっておりまして、昨年の十二月から韓国側と話し合いを始めております。そこでこの協議におきまして日韓両国は、歴史的な経緯及び日本社会におけるこの方々の定住性の増大ということを勘案して、在日韓国人の子孫の方々の法的地位の安定を図る、そしてこれらの方々が我が国の社会的法秩序のもとで安定した生活を営むことができるようにすることが日韓両国の間及び日韓両国の国民の間の友好関係の増進に必要ではなかろうかということで認識の一致を見ておりまして、そのような基本的な認識のもとに両国当局で今鋭意忌憚のない意見交換を開始しておるところでございます。
#67
○小西博行君 次に、外国人の労働者の問題について触れたいと思います。
 最近、町でもよく外国人の皆さん方を見る機会がふえております。単純労働者を政府の方で受け入れるというような制度はないわけでありまして、私は最近の新聞から見ましても、研修制度ですね、外国人の研修制度というような形での研修生の受け入れ、こういう感じで今対応していると思うんですけれども、果たしてそういうような状況だけでこの国際社会の中の先進諸国の一員としてどうなんだろうか。いろんな国々では外国人の労働者というのは大勢受け入れてやっております。確かに大変な問題を抱えております。日本が将来どういう方向に行くんだろうか、そのワンステップとして研修制度というような形になっているのかなという感じがしてならないわけですが、その辺の実態についてお伺いしたいと思います。
#68
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘の、外国人労働者の問題に関連いたしまして、研修ということとの結びつきについてのお尋ねがございました。委員御案内のとおり、政府といたしましては専門的な技術、技能あるいは知識というものを有する外国人についての受け入れというものは行い、これをまた拡大していくという方向で現在検討しておりますが、特定の技術や技能、知識というものを有さないいわゆる単純労働というものについては、これを受け入れないという方針で臨んでおります。この単純労働の問題につきましては、国内でその受け入れについて議論が多岐に分かれておりますほかに、またこれを受け入れることとしました場合に社会的な影響というものが非常に大きいということもございますので、この点については今後とも国内でのコンセンサスを得るということを念頭に置きながら、多様な角度から慎重に検討していくということが必要であろうと考えております。
 また、研修の問題でございますが、これは発展途上国に対する一つの協力の方法としましてこれらの国の経済社会開発に役立つものでもあり、またこれらの国との関係を深めていくということの上でも効果があると考えておりますので、そういう意味で本来の研修という実体を備えたものにつきましては、これは一定の要件のもとで政府側といたしましてもこれを受け入れ、また拡大も考えていくべきものと考えております。
 そこでこの点につきましては、今申し上げましたように本来の研修の実体を備えているということが大事であると考えておりまして、研修という名目のもとで就労が行われるという事態は、これは防止せねばならないと、こう考えております。
#69
○小西博行君 同時に、不法就労外国人問題というのがこれまた違った意味で大きな問題になろうかと思いますね。
 私は、一昨年だったかと思いますけれども、留学生問題をとらえていろいろやらしていただきました。それと同時に、今申し上げたような日本語学校の問題、これはなかなか実態をつかむのが難しい、法務省の管轄と文部省の管轄ということもあるんでしょうけれども。最近は何となく町で見かけるその様子を見ておりますと、果たしてこれ将来大学へ入ろうと思って日本語学校へ来ているのかどうなのかと大変疑問視されるような方々も相当いるようであります。そしてまた事件も相当起きておりますが、そういうものの実態というのはもう正確に把握しているんでしょうか。
#70
○政府委員(股野景親君) まず、不法就労の問題でございます。
 私ども法務省当局において、これは一つの出入国管理をする関係からの統計をとっておりまして、その統計の基礎のもとで、これはあくまで推計になりますのですが、本年の六月末現在で我が国には不法就労している外国人が十万人を超える状況になっている、このように思っております。この点は法治国家としてまことに憂慮すべきことであると考えておりますので、これに対する適切な対応と不法就労の取り締まり、こういうことが大事であろうと思っております。
 また、ただいま委員御指摘の就学生の問題でございますが、昨年来日本における日本語学校等で勉強する就学生の問題について、これがあるいは本来の就学の目的を超えて専ら就労しているのではないか、こういう御指摘をいただいた状況があったということを我々も認識いたしておりますが、これにつきましては本来日本語を勉強する、あるいは日本語以外であっても一つの知識というものを日本で得るために来る外国人、これが本来の学習目的というものを達成するように指導していくということが必要であろうと思います。
 そこで、まず政府側といたしましては、入国の審査に当たりまして、本来の就学目的を持って入
国してくる者であるということについての入国の審査の段階での審査を厳格化するということを昨年来行っておりまして、この点につきましてはかなり顕著な成果が上がっていると思います。それから次には、今度は就学をする就学先の日本語学校等の質を向上させるということが大事でございますので、この点につきましては昨年文部省側と法務省側との協議を経まして日本語学校の運営基準というものを策定いたし、それに基づきまして新しく日本語学校についての審査というものを一つの民間組織において法務、文部両省が指導する形で行い、それによって日本語学校の質の向上を図る、こういう点についても鋭意今努力を行っているところでございます。
#71
○小西博行君 取り締まりを厳重にするという不法就労、そういうふうに言われたんですけれども、現実にできないんじゃないですか。例えば警察官が町にいる人をつかまえてビザはどうですか、パスポートはどうですかというようなことは恐らく今の警察の能力というか数からいっても、あるいは逮捕しても言葉のハンディがあってなかなか通じない、こういうことも一つありますね。それから逮捕後のいろんな手続というのはこれは入管の方でやらなきゃいかぬわけですが、これも今人数が足らないんじゃないですか。今やるとかなんとか言ってもできないんじゃないの。その辺どうですか。
#72
○政府委員(股野景親君) 委員御指摘のように、不法就労を取り締まるということについては現実にいろいろな困難はございますが、法務省当局といたしましても、警察庁初め関係省庁との御協力のもとで積極的にこの不法就労の摘発を進めておりまして、昨昭和六十三年に摘発を行いました不法就労事犯というものは合計で一万四千三百十四人、これは前年比で二六・六%増、こういう実績を上げておりまして、さらにことしの上半期におきまして一層の努力を傾けまして、不法就労事犯として摘発いたしました者が九千三百十人、これは前年同期比で二九%増、こういう形での取り締まりの効果の実績を上げております。
 他方、ただいま委員御指摘のとおり、取り締まりに関しましては語学の問題あるいは取り締まりに当たる職員の数の問題という問題もございますが、これらについてはぜひ所要の人員、施設等を確保していくということに今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
 またもう一つ、この不法就労の取り締まりの非常に大事なポイントといたしまして法務省当局で現在考えておりますのはいわゆる雇用主の問題でございまして、不法就労を行う雇用主に対する対策が現在の法体制のもとでは十分ではございませんので、現在国会で御審議をお願いしております入管法の改正案の成立をぜひお願いいたしまして、それによってこの不法就労を行う外国人を雇用する側に対する処罰等の対応策というものの法的な枠組みというものもぜひ我々としては持ちたい、こう考えているところでございます。
#73
○小西博行君 総理、そのようなことであります。たくさんのそういう問題がこれからどんどんどんどんまだふえておりますから、どのように具体化していくか。この問題は具体化がないと、こういうふうにしたいとかああいうふうにしたいと言っても、私の感じでは恐らく今のあれではとてもできないだろうと思います。それから、勝手にあなたはどこから来たのなんて言うこともあるいは失礼な面もあるわけでありますから、そういうことを含めて、どういう対応をしていくかということは考えておいていただきたいと思うんです。
 きょうは時間がないので質問できませんけれども、難民問題もそうでありますね。相手の国があることですから、経済難民に対してどうするかということの扱い方。そして、中国はこの間引き取ってくれましたけれども、ベトナムのように引き取らないという国もあるわけですから、当然それは何かの処置をしていかなきゃいけない。こういう問題が恐らくこれからどんどんふえていくんじゃないか、そう思いますので、その点をぜひともお願いしたいというように思います。
 それでは、もう時間がありませんが最後に環境問題について、昨日もどなたか議論されておりましたけれども、この地球的な環境という問題は大変これは大きな問題であります。まさに日本がどういう責任分野でこれから先やっていくか。サミットでもたびたびそういう環境の問題が出ておりますが、後になればなるほど、逆に言いますと最近のサミットほどそういうような環境、地球環境という意味で取り決めが非常に多くなされております。その問題は先進諸国としては当然やらなきゃいかぬことでありますし、発展途上国の方もまた違った意味で大変大きな問題を提起しておりますので、あわせてそういう分野からぜひともやっていただきたい。
 先日の東京会議でもそういう具体的ないろんな煮詰めがされたというように聞いておりますけれども、日本はある意味では加害者という分野があります。まあ象牙の輸入というのは禁止されたわけでありますけれども、そのほかに植物とか何か、これは物すごい数がありますね。輸入してはいけない植物、動物というのがたくさんあります。それから木材の関係、これはもうテレビでもたびたび放映されておりますね。木材はどんどん買うわけでありますけれども、後の処置が全然なされていない。
 総理の方は開発援助、発展途上国に対して三千億というようなお話も実は見たわけでありますが、それもただ開発ばかりして後は一体どうなるんだろうという心配がちょっとつきまとうわけです。開発はどんどんやって後は全然だめになったということになると、これはまた加害者ということでやられますね。そういう意味を含めて、この開発援助の性格と、後のフォローまで実際やられるのかどうかということを最後にお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘のように、公害問題、地球環境の問題は、先般の国連総会におきます日本政府の演説といたしましても、私どもの政府としては地球環境保全のために今後三年間に三千億円の協力をするという約束を国際社会にいたしております。
 なお、開発途上国の問題では、途上国側からの要求される経済援助、技術協力という問題以外にむしろ日本から、開発等に伴う公害の問題、こういう問題について当方の方からアプローチをしていくという姿勢をとっていきたいというふうに考えております。
#75
○小西博行君 終わります。
#76
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で小西博行君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#77
○委員長(林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 これより下稲葉耕吉君の質疑を行います。下稲葉君。
#78
○下稲葉耕吉君 私は、ただいま国内的にはもちろんでございますけれども、国際的に大きな関心を持たれ、政府の適切な対応を求められておりますような事案につきまして御質問いたしたいと思います。
 まずその第一は、難民問題と、それに関連いたしまして出入国管理行政についてお伺いいたしたいと思います。先ほど午前中、同僚の小西議員からもこの問題に触れられたわけでございますが、私は若干角度を変えまして御質問いたしたいと思います。
 まずその質問に入ります前に、本年五月二十九日から急増いたしました日本に対する難民の到着、一応九月四日で落ちついたかに見えたわけでございますけれども、九月下旬になりまして再び到来したことが伝えられております。
 まずそこで、ことしに入りましてから日本に到
着いたしました難民の実態につきまして法務省から答弁をお願いいたしたいと思います。
#79
○政府委員(股野景親君) ただいま委員から御質問のございました本年における日本へのボートピープルの到着状況でございます。本年に入りまして日本に到着するボートピープルは急増いたしておりまして、本年の初頭以来これまで到着した者の数は合計で三十六件、三千三百七十二名となっております。
 ことしの特徴としては、このように数が急にふえておるということがございますほかに、比較的大型の船に百名以上の多数の者が日本を目指して直接到着する、こういうケースが頻発しているということが指摘できると思います。日本に直接到着をいたしましたケースは、ただいま申し上げました総数の中で二十一件、二千六百七十九名となっております。
 また、もう一つの特徴といたしまして、こういうボートピープルの中に経済的な理由で日本に到来したと見られる者が含まれておるということがございます。また、もう一つの特徴として、ベトナムの難民を装った中国人が相当数含まれている、こういう状況も判明いたしております。
#80
○下稲葉耕吉君 ただいま御説明のあったとおりでございますが、難民を大別いたしまして、ベトナム難民の中に政治的な難民と経済難民と申しますか、そういうふうなものがある。それから、今大変な問題になっております中国からの偽装難民の問題があるわけでございますが、それぞれに対します政府の基本的な方針、その対応の仕方につきましてお伺いいたしたいと思います。
#81
○政府委員(股野景親君) ただいま申しあげましたような、本年に入りましてボートピープルが急増しているという状況の中で、まずベトナムからのボートピープルの問題でございますが、これは先般九月十二日の閣議了解というものにのっとりまして、本年の六月に開催されましたインドシナ難民国際会議における合意を踏まえまして慎重に審査を行って、難民性のある者とそうでない者とを区別して扱う、こういうことにいたしております。そして、そういう審査の結果、本来の難民であると認められる人たちについては、我が国ないしは第三国における定住のための処遇を行う、こういうことになります。他方、難民性を認められない者については、これは法の規定に従って退去強制手続をとるということになります。
 他方、ベトナム難民を偽装して参ります中国人については、これはもとより不法入国者として法の規定に従って退去強制手続をとる、こういうことでございます。現在、この退去強制手続の対象となる者についての中国に対するまず引き取りのための折衝を鋭意行っているところでございます。
 また、別途ベトナム側に対しても、今後、新しい審査制度に基づいて我が国ないし第三国への定住を認められない者の送還についての話し合いということが必要になってくる状況でございます。
#82
○下稲葉耕吉君 ただいま、何といいますか、模範答弁があったわけでございますけれども、問題は、政治難民は結構でございますけれども、ベトナムからの経済難民あるいは中国からの偽装難民は退去強制をするというふうなことで、政府の方針はそれで結構なのでございますけれども、果たして実際にその退去強制の実が上げられるかどうか、ここが大変な問題点じゃなかろうかと思うわけでございますが、それにつきまして、政府の決意、それから対応の状況をお伺いいたしたいと思います。
#83
○国務大臣(中山太郎君) 経済難民といいますか、先生のお尋ねの本来の国連の、何といいますか、標準に合った難民の方々以外の、いわゆる経済難民と言われている方々の本国への引き取り問題につきましては、先般パリで開かれましたカンボジア和平会議に出席をいたしました際に、ベトナムの外務次官に対しまして、組織的に不法出国を黙認するというようなことがあった場合には、ぜひひとつこの問題についてベトナム政府として厳しく取り締まりを行ってもらいたいということを厳重に申し入れを行いましたところ、ベトナム側からは、日本に入国した難民のうちでそのような不法に組織的に出国をしている者があるという調査の結果が出れば、その情報をぜひひとつ伝えてもらいたいというお話がありました。
 また、中国に対しては、中国籍を持っているいわゆる経済難民、こういう者については引き取り方を引き続き要請してまいるという考え方でございます。
#84
○下稲葉耕吉君 私は、中国の偽装難民問題の背景には日本における外国人労働者の問題が潜在的にあると思うのでございます。中国からの偽装難民は、一応のとらえ方をいたしますと、後で若干触れたいと思いますけれども、単純労務者の方々がいろいろな名目で日本に入って、そしてオーバーステイしている。こういうふうな人たちはそれなりに外国政府のパスポートを持って、そして合法的に入国して、それからオーバーステイなりなんなりというふうな段階にいっているわけでございますが、中国の偽装難民という人たちはおよそパスポートを持ってない。言いかえますと密入国者というふうなとらえ方もできるのではなかろうか、このように思うわけでございます。
 今外務大臣が御答弁なさいましたような方針で政府は対応するわけでございますけれども、もちろん相手国のあることでございますし、相手国の理解と協力を得なければこれは実現しないわけでございます。そういうふうなことで、退去強制すべき人たちが長いこと日本に滞在するような結果になる。そして、それがまた非常に長くなりますと、仮放免みたいな形で日本で生活するというふうなことになりますれば、結果的にはやはり日本に住めるようなことになる。もし日本政府がそのようなことで比較的寛容なといいますか、あるいは言い方を悪くいたしますと非常に緩い対応の仕方をいたしますと、それが国際的な通念になって、日本に行けばしばらくの間我慢すれば何とか定着できるというふうな実績がもしできるということになりますと、それは国際的に大変な影響を与える。日本のそういうふうな問題のみならず、国際的な評価というものもいろいろ変わってくることになるのじゃなかろうか。
 私は、そういう意味で改めて政府にそういうふうな問題について、大変御苦労も多いことだと思うのでございますけれども、粘り強い、忍耐強い継続的な対応というふうなものをぜひお願いいたしたい、このように思いますが、改めて外務大臣の所信を承りたいと思います。
#85
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、この問題は単なる日本だけの問題でございませんで、実は香港におきましても既に五万五千の難民を受け入れておりまして、もうこれ以上受け入れられないというようなことから国外退去というような問題も今検討されているやに聞いております。
 日本におきましても大変大きな問題でございますので、この問題につきましては政府のきちっとした態度を今後とも堅持してまいりたい、このように考えております。
#86
○国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。
 今外務大臣から御報告のありましたとおりでございまして、偽装難民に対しましては退去強制処分をこれは行わなければなりません。その実効を上げますためには、今外務当局が外交交渉としていろいろ行われておられますけれども、その結論が出るまでの間は、また向こうが送還に対して引き取るまでの間は辛抱強く収容を継続していく、そして交渉の結果をさらに待つということ以外にはないと思いますので、その点はしっかりした態度で臨んでいきたいと思っております。
#87
○下稲葉耕吉君 それでは、中国からの偽装難民の問題に関連いたしまして、中国との関係について若干触れてみたいと思います。
 世界の中の日本でございます。中国に限らず日本は世界に対して国際的な交流を深めまして、そして世界全体の繁栄と福祉に貢献する、これはもう当然のことでございまして、国際交流を深めていく、多くの人たちが往来するということは、こ
れは大変好ましいことでございます。ただ、それはあくまでも一定のルールに従って、ルールの中で秩序正しく整然と行われるということがやはり民主主義社会の基礎にあるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、中国との関係について承りたいと思いますが、我が国に入国している中国の方々の実態、特にその中で留学生あるいはまた午前中問題になりました日本語学校等における就学生、こういうふうな実態につきましてお伺いいたしたいと思います。
#88
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘のございました中国から日本に来ている人たちの問題でございますが、まず、昭和六十三年一年間で、特に委員の御指摘のございました日本語学校等に就学を目的として日本へ来た人たちの数というものが全部で二万八千二百五十六人、こういう数になっております。それから、ことしになりましてこの状況にある程度変化が起こりまして、同じ日本語学校等における就学を目的として日本へ入国をしているという人の数、これがことしの上半期でございますが、合計六千四十一人でございまして、前年の同期に比べますと約五三%方減っておるという状況がございます。それからまた、昨年末に同じく就学という目的で日本に滞在をしておりました中国人の数は全体で三万五千三百八十八人、このような状況になっております。
#89
○政府委員(川村恒明君) 中国から我が国に参っております者の中で留学生についてお尋ねがございました。
 現在、我が国には留学生というのは大体全体で二万五千人ほどおりますけれども、その中で中国から参っております留学生が七千七百人ぐらい、ですから大体三分の一ぐらいでございまして、これは国別に統計をとりますともちろん一番多いわけでございます。この留学生は私費留学生が一番多いわけですけれども、そのほかに国費留学生でございますとか、あるいは中国政府が経費を負担をして送ってくる政府派遣留学生、そんなものもございまして、全部で七千七百人というような状況でございます。
#90
○下稲葉耕吉君 わかりました。私がここで申し上げたい点は、法務省の方からお話がございましたように就学生の数は大変減ってきているという実態、留学生はふえてきている。
 最初に戻りますけれども、正規のルールの中で国際交流をどんどん広げる、留学生にしろ何にしろ、これは当然いいことでございます。就学生の実態の中で、例えば日本語学校に通う人、そういうふうな人が問題がありましたために、お話しのように法務省と文部省の方で話をされまして、そこに対するチェックの機構をつくられた、そういうふうなことのために就学生が大変減ってきたというふうなことではなかろうかと思うのでございます。それはそれなりに一つの歯どめであると思うんです。それが直接の原因かどうかわかりませんけれども、また上海を中心とする就学生問題と、地域は違いますが福建省を中心とする偽装難民問題、これは相当の関連があるんじゃないだろうかというふうな感じがするわけでございます。
 そういうふうなことを含めまして、今度は次に、私はこういうふうな問題に対処いたします政府の総合調整の問題について若干触れてみたいと思うんです。
 この難民問題が発生いたしました際に、政府は官房副長官を長とするインドシナ難民対策連絡調整会議というふうなものを開かれました。十二省庁が関係いたしているわけでございます。それでいろいろな措置をとられる、そしてまた、具体的に効果を上げているというふうなことも事実でございます。ところが、現場の直接難民等を受け入れました市町村あるいは住民の方々、その人たちの声をじかに聞いてみますと、やはり政府の対応が非常に手ぬるい、あるいは、せっかく我々はこういうふうにやったんだけれども、これは補償してくれるんだろうか、してくれないんだろうか、あるいは、こういうようなことを連絡したいんだけれどもどこに連絡したらいいんだろうかどうかというふうな問題等がございまして、対応が遅いということもさることながら、そういうふうな手順というものがはっきり決まっておれば、目に見えたその補償なりなんなりというのがすぐできないにしても、やはり地方公共団体なり住民の方々は安心されると思うんですね。
 私はマニュアルが必要だと思うんです。その点についてはほかの委員会でも発言したことがあるわけでございますけれども、その後、こういうふうな総合調整の問題、難民問題等につきまして、どこのボタンをどういうふうに押せばすぐ対応がはね返ってくるというふうなことを政府としてお考えいただきたいとかねがね申し上げているわけでございますが、その点官房長官、いかがでございましょうか。
#91
○国務大臣(森山眞弓君) 多数のボートピープルが連続して直接我が国の沿岸に漂着するというような、ことしの五月以来のような状況は全く初めての、未経験なことでございますので、予想外のことであったために、当該地方公共団体あるいは住民の皆様方に大変御迷惑をおかけし、御苦労をおかけした結果になりまして、心苦しく思っている次第でございます。
 先生御指摘のようなマニュアルも必要かと考えておりまして、政府としてもこの経験にかんがみまして早速マニュアルをつくるべく今鋭意努力中でございます。一応原案をつくりまして各方面と連絡しているところでございますので、もう少しお待ちいただきたいと存じます。
#92
○国務大臣(中山太郎君) 現地の問題、今先生御指摘のように、政府としてどういうふうにこれからこの難民問題に対処するか、これは外務省といたしましても国連高等弁務官事務所というものを通じていろいろやっておりますけれども、外務大臣といたしましても、日本国内の施設を、今週末の土曜日に国際救援センター及び長崎県の大村の収容施設を私自身が視察し、現地の状況を把握いたしてまいりたいと、このように考えておりまして、今後ともこの難民問題については政府として総合的な対策を立てていきたいと考えております。
#93
○下稲葉耕吉君 次に、このような難民問題に遭遇いたしまして改めて痛感いたしますのは、我が国の出入国管理行政といいますか、管理体制といいますか、これの弱さを感ずるわけでございます。
 今回の難民問題につきまして法務省から伺うところによりますと、福岡入国管理局に六十名の緊急の応援を、入国管理局のほかのところから集めて応援なさった、それだけでも足りないので、検察庁の職員でございますとかあるいは矯正局、刑務所関係の職員、そういうふうな方々も含めて百名の応援をなさったというふうなことでございます。大変過労が重なっておりまして、痛ましい殉職者もお出しになったというふうに承っているわけでございますけれども、こういうふうな一時的な、一時的と言っちゃ語弊がございますけれども、難民問題のみならず入国管理行政の体制の弱さというのは大変なものである。
 最初に申し上げましたように、国内的にももちろんそうだけれども、国際的に関連のある問題という形で取り上げているわけでございますけれども、そういうふうな点のために、簡単で結構でございますから、最近の我が国に対する出入国者の増加の状態、それから不法就労あるいは不法残留、偽装残留、不法入国者等の摘発の状況あるいは国外退去の違反調査、違反事案の審査状況、そういうふうなものと、それに対応する入国管理関係の職員の増加状況、これを簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
#94
○政府委員(股野景親君) ただいま委員御指摘いただきました我々の入管局側の体制について、今鋭意努力を重ねているところでございますが、ことしのボートピープルの到着が急増したというようなことがあって、必ずしも十分に対応できないという点、我々としても問題の所在を痛感している次第でございます。
 今お尋ねのございました各入国管理行政にかかわる主要な点についての最近の業務量の変化につ
いて申し上げますと、昨昭和六十三年におきまして日本に出入国を行った人の数、これが合計で約二千百六十八万という数になっておりまして、昭和六十三年のこの数は、昭和五十四年の、約十年前でございますが、出入国者総数が約一千三十万程度であったことに比べますと二・一倍という伸びになっております。
 それからまた、御指摘のございました不法就労、これが非常にふえておるという点が一つ我々とし、ても注目している点でございますが、不法就労を当局によって摘発いたします。その摘発を行って処理した数、これは当局が自分でいろいろな努力を重ねてその数がだんだんふえてきておるわけですが、同時に、対象案件が非常にふえているという状況がそれに反映していると思います。
 そういう意味での入管法違反という問題で当局が法的な措置をとりました案件数、いわゆる法違反案件数、これが昨年一年間で摘発をいたしましたものが一万七千八百五十四件となっております。これは昭和六十三年の数でございますが、これを十年前の昭和五十四年の状況に比べますと、昭和五十四年が同じ法違反の取扱件数が二千五百五十四件であったということでございますので、この十年間に約七倍の伸びでそういう法違反案件の処理を行っておるという状況がございます。
 そういう状況に対しまして、入管当局としては、事務の合理化あるいは職員配置の機動的な実施等々、自助努力を非常に繰り返してきているわけでございますが、残念ながら、入管職員全体としまして、昭和五十四年以降昨年に至るまで総員で約千七百五十名という数がほとんど動かないという状況がございまして、大変事務量からいいますと窮迫した状況になっておりますが、本年、平成元年度におきまして実質的に増員を得まして、千七百六十五名という初の実質増員を得たということがございます。
 今後は、そういう自助努力によるさらに効率的な行政運営ということを最大限努力してまいりますが、なお、ただいま申し上げましたような、業務量が急増をいたしておるという状況にかんがみますと、所要の人員の確保ということがぜひとも必要であり、またそれに伴いまして、今般のボートピープルに対処する際に非常に我々として痛感いたしました施設の拡充という問題も、ぜひまたこれあわせて行う必要があります。
 さらには、この入国管理行政を効率的に行うためにも、現在また国会で審議をお願いいたしております入管法の改正案で、入国審査についてのさらに効率的な運営に役立つような改正の内容を盛り込んでございますので、この早期の成立もぜひお願いをいたしたいと考えているところでございます。
#95
○下稲葉耕吉君 入管局長が大変苦しい答弁をなさっておられるわけでございますが、これはやはり行政レベルというよりも、もう政治的な段階でいろいろ具体的に考えなければ十年一日のごとくでございますし、十年間でやっとことし初めてふえたとおっしゃるものだから、幾らふえたと思ったら十五名だということでございますね。詳しく聞けばもっといろいろ出てまいりますけれども、現場の入管職員というのは全国で千七百五十名でございます。本部にいる人もおりますし、現場にいる人もおりますし、現場におります入国審査官もおれば、入国警備官というふうな人たちもおられるわけでございまして、これはもう三けたの単位ですね。それが全国でやっておられるわけです。
 したがいまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、オーバーステイ等で不法入国しているような実態というのは十万名、あるいは十万名ちょっと超すだろうぐらいのニュアンスのお話があったわけでございますけれども、実態はその倍ぐらいあるんじゃないかというふうな話すらあるわけでございます。
 それから、施設の問題も今度大蔵省で予備費をお認めいただきまして、大村収容所あたりもこの難民問題と絡みまして増設していただけるようでございますけれども、施設も貧弱だし、体制も貧弱だと。おまけにこういうふうな不法労務者問題というものが、国内的にはもちろんのこと、国際的に大変問題になっている。外務大臣がお話しになりましたように、難民問題等においては、香港は既に治安問題にまで転化しておるわけでございまして、収容している難民相互間の対立抗争、あるいは警備している警察官とのトラブル、あるいは収容所を増設するということに対する地域住民の人たちの反対運動、それに今お話がございましたように、退去強制の問題等々、大変な問題になっている。
 日本もそういうようなことで、難民問題ならず、現在のような出入国管理体制で管理行政が行われるとするならば、もう大きな国内問題、治安問題までになることは間違いないんじゃなかろうか、このように憂うるわけでございます。もう皆様たち御承知のとおりに、退去強制しようと思っても収容するところが足りない、実態はまだいろいろある。それを摘発して持っていこうとしても持っていけない。どんどんどんどん摘発の数字はふえておりますけれども、それをやろうと思ってもできないのが実情です。
 要するに、その氷山の一角みたいなところをなで回っている。実態はだんだんだんだん底辺は大きくなってきている。それが日本の社会に浸透してきている。問題が大きくなってからあわてて対策をとろうとしてもなかなかうまくいかない。そういうようなところまで追い込まれているんじゃないだろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。
 政府は政府といたしまして、いろいろそれぞれの役所が一生懸命、一人一人は私は大変よくなさっていると思うのです。もう殉職者まで出しておられるぐらいです。大変よくなさっていると思うのですけれども、やはりそれは政治の力じゃなかろうかと。国際的な問題にまでなりそうなこういうふうな問題を解決するのは、それは今まで十年間変わりませんでしたけれども、やっと十五人増員していただきました。それは内部努力で合理化をやり、何とかやりますというのは、これはもう政府答弁としては当たり前のことでございます。それはもう当然やっていただかなくちゃならぬけれども、そういうふうな問題でこの問題は済む問題じゃない、私はこういうふうに思うのでございますけれども、法務大臣、そして最後に総理の御答弁をいただければありがたいと思います。
#96
○国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。
 ただいま下稲葉委員から御指摘のございましたような実情でございますし、また、それに対しまして入管局長からいろいろ御説明を申し上げたような実情にあるわけでございまして、政府といたしましては、このままの状態では非常に厳しいことに追い込まれております。したがって、今後この問題に的確に対処いたしますためには所要の人員の確保あるいは施設の拡充、組織の改編等につきまして、今後とも最善の努力をいたしまして、少しでも改善するようにいたさなければならないとかたい決意を持って臨んでおりますので、この上とも御支持、御了解、御支援を賜りたくお願い申し上げます。
#97
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、最近の国際化の進展を反映しまして出入国審査、不法就労の外国人対策などで出入国管理業務の事務量が極めて増加しておりますことは御指摘のとおりでございます。この状況に対処するため、全体的な定員削減の中でも入国管理職員の増員、不法就労特別対策経費の増額など、入管業務の電算化対策などにも力を入れてきたところでございます。
 また本年五月以降の、いわゆるボートピーブルの急増に対しましては、先般予備費を使用して収容施設の拡充を行うなど遺漏なきよう努めているところでありますが、今後とも、出入国管理体制は大切でありますから、その整備については引き続き委員の御質問の御趣旨等も踏まえながら検討をさせていただきたいと思います。
#98
○国務大臣(水野清君) ただいま法務大臣から努力をするというお話がございましたが、総務庁としては従来から格別の配慮はしてきたつもりでございます。
 今年度は、実は公務員は、国家公務員全体で三千人を超える純減を実施しておるわけでございますけれども、その中でこの入管関係につきましては最大限の配慮をしまして、昨年末の予算編成では要求どおりの定員はつけたわけでございます。来年度予算に関しても委員の御趣旨を体して考えていきたい、かように思っております。
#99
○下稲葉耕吉君 問題が国際的にも大変大きな問題になりつつあるわけでございまして、私は現在のような状況で推移すると後で大変な問題になるというふうなことを恐れる者の一人でございますので、そういうふうな意味で高度の政治的な御配慮というものをお願いいたしたいということで御質問した次第でございます。
 次に、同じように国内的にも大変問題でございますけれども、国際的にも高い関心が持たれ、対応を迫られている第二の問題といたしまして国際開発協力の問題について御質問いたしたいと思います。外務大臣、大変恐縮でございますが、十月六日は何の日でございましたでしょうか、御存じでございましょうか。
#100
○国務大臣(中山太郎君) この日は国際協力の日ということになっておりまして、これは一九五四年にコロンボプランに日本が初めて加盟した日でございます。
#101
○下稲葉耕吉君 大臣御答弁のように、三十五年前に日本がコロンボ・プランに参加いたしまして、アジア諸国に対しまして初めて技術援助を開始した日でございまして、当初の予算は五万ドル、千八百万円と聞いておるわけでございます。三十五年たちました今、予算ベースで、これは事業量ベースで一兆三千六百九十八億円。昨年はドルベースで九十一億三千四百万ドルということで、米国に次ぎまして第二位の援助大国になったわけでございまして、ことしは米国を抜いて一位になるのではなかろうか、こういうふうに言われているわけでございます。
 経済協力の歴史につきましては今さら申し上げるまでもございませんけれども、戦時賠償的な援助から始まりまして、言葉は必ずしも適切でないかもしれませんけれども、援助を通じて日本も発展する、協力といいますか、援助といいますか、というふうな段階を経まして、今日の世界の中の日本、世界に貢献する日本というふうなところまで進んでいるわけでございます。したがいまして、援助に対する考え方も、私どもは人道的、道義的立場と国際的相互扶助を理念とする援助というふうなことで現在の我が国のODAは行われているというふうに思うのでございます。
 そこで、参議院では去る六月の百十四国会におきまして国際開発協力に関する決議を行っているわけでございます。これは本院として初めてのことでございまして、重みのある決議であると私は思うのでございます。この決議は、参議院独自の機関でございます外交・総合安全保障に関する調査会で論議を重ねまして与野党間の合意を得たものが基礎にあるわけでございますけれども、そういうふうな論議を重ねる過程で、合意を見ないで与野党間の対立のまま終わった内容もあるわけでございます。
 そこで私は、その問題を取り上げまして若干政府の見解をお伺いいたしたいと思うのでございますが、いろいろございますけれども大きな問題の一つは、国際開発協力計画を政府が策定し、それを国会の承認を得て実施しなさいという問題でございました。昨日もこの問題につきまして同僚議員から質問があり、外務大臣は、予算の際に、予算の中に入っておることでございますから予算の国会の議決でやらさせていただきたいという趣旨の発言があったように記憶するわけでございます。
 私は、やはり外交というものは機動性を持ち、弾力性を持って推進されなければならない。それから、特定の国に対する援助計画というふうなものがオープンになりますと、その国は安心するかもしれませんけれども、それに伴う具体的な努力、特に自助努力、そういうふうなものをやっていただかなければならぬわけでございますけれども、そういうふうな点にも影響を及ぼすんじゃないか。あるいはまた、ある特定の国への援助というものがわかれば、その周辺国に対してもどういうふうな配慮をしなくちゃならないのかというふうなこともございますし、あるいは周辺国を含めて国際関係の大きな国にもやはり影響を及ぼすことがある。それはやはり行政の責任として政府が責任を持っておやりになるということではなかろうかと思います。
 ただ、じゃそれなら何でもいいかというと、そういうわけでないわけでございまして、やはりそういうふうな具体的な援助の実績、これは詳細に国会に報告されるべきだと思います。そしてまた、そういうふうなものに対する評価、評価の中身はいろいろ言われておりますけれども、厳格に評価をやられまして、そしてそれも国会に報告をされるべきである。そういうふうなことを踏まえて国会で議論して、長期的なあるいは将来に向けての国際開発協力の重点なり方向なりというふうなものが決められるべきだ、こういうふうに思うわけでございますが、この点につきまして外務大臣、御意見がございましたら。
#102
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおりだと私は思っております。
 外交の一元化、これはもう極めて国にとりましては重要な基本的な問題でございまして、今日のように日本の国際社会における経済協力あるいは援助、このような大きな負担といいますか、責任を遂行していく立場で、やはり経済協力、経済援助というものは、裏を返せば我が国の外交そのものであるかもわかりません。そういうことから考えますと、やはりこれは外交一元化の原則によって外務省が責任を持ってこの問題を処理してまいる、こういうことで今後ともやってまいりたいと考えております。
 ただ、国民の側からごらんをいただくと、自分たちの納めた税金が海外にむだ遣いされているんじゃないかという疑問をお持ちの方もなきにしもあらずだと私は認識をいたしております。そのような点も十分考慮いたしまして、協力をいたす場合には事前の調査、また事後の評価、このようなものをきちっとやって、その結果を国民にお知らせするために議会に報告をするということが必要かと考えております。
#103
○下稲葉耕吉君 それから、先ほどの院の決議をする際に必ずしも意見の合わなかったもう一つの点は、開発行政の一元化の問題でございます。野党の中には、既に御承知のとおりに、法律案を国会に提出されている党もおありであるわけでございますし、この一元化の問題について触れてみたいと思うのでございます。
 政府は、昨年の十二月十三日に対外経済協力関係閣僚会議を復活されました。あえて復活と申します。これは昭和五十二年一月廃止されて以来なかったわけでございますが、それを復活されました。私をして言わしむれば、これはまことに結構なことだけれども、実は遅過ぎた、こういうふうに思うわけでございます。現在、関係省庁は十六省庁にまたがっていることは御承知のとおりでございますし、援助額も世界一になろうというふうなことでございます。そのためにはやはり政府の運用で、ODAについて運営の一元化といいますか、運用の一元化といいますか、これはどうしてもなされなければならない。十六省庁がばらばらに勝手なことをやっている、そうしますと、あるところはダブるし、あるところは考え方が違う、そういうふうなことではだめなわけでございまして、やはり高いレベルの意見の調整というものが大変大事である、これはどうしても必要である、こういうふうに思うわけでございます。
 そういうようなところで、やはりODAについての理念でございますとか、あるいは重点でございますとか、もっと具体的に言いますと、予算をつくる際に、一般の予算は何%増だ、ODAは幾らだ、防衛費は幾らだ、こういうふうな議論がよくなされるわけでございますけれども、そういうふうな問題をここの関係閣僚会議で十分議論されまして、じゃこういうふうなことでいこうというふうなことを調整される。そしてさらに重点とし
て、場合によっては地域的な重点あるいは政策的な重点、いろいろ出てくるだろうと思うんですね。
 そういうふうなものをお決めになって、そしてそれに基づいて各省が予算要求なりなんなりやるというふうなことになれば、なればと言ったらもうなっておるという反論もあるかもしれませんけれども、そういうふうな形で経済閣僚会議を活用していただくということが、金額もふえ、件数もふえ、さらに細かくなる、そういうふうな中で基本的なことを決めるためにはどうしても必要である。現在まで三回も、三回というのは多いか少ないかわかりませんけれども、おやりいただいているということでございますけれども、そういうふうなことにつきまして官房長官、外務大臣、御意見がございましたらお伺いいたしたいと思います。
#104
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のように対外経済協力関係閣僚会議というものが現在ございまして、十六省庁にわたる関係省庁の経済協力についての方針や重点などを総合調整いたしております。そして援助行政の一元化を図るということで努力をしているわけでございますが、これが意見交換を行う場といたしまして活用されておりまして、政府部内の協議、調整に努力をいたしております。できるだけこれを機動的に運営いたしまして、援助行政の運用の改善を図っていきたいというふうに考えております。
#105
○国務大臣(中山太郎君) 官房長官から御答弁申し上げたとおりでございますが、外務省といたしましては、ODAの予算がアメリカを抜いて世界一になる、このような状況の中で、これを国際社会で信頼されるような形、あるいは我が国の税を納めていただいている国民の皆様方に御納得のいただけるような経済協力あるいは援助というものをやるためには、どうしてもそれにふさわしい人員を確保することが必要であろうと考えております。
 ちなみに米国は、一九八七年に約八十八億ドルの援助を総勢約三千五百人で行っております。また英国は約十九億ドルの援助を千六百人で行っております。カナダは約十九億ドルを約千三百人で実施しておりますのに対し、我が国は約七十五億ドルを約千六百人の人員で処理をいたしておる。いわゆる援助額の増大とそれを担当する職員の数が比例をしておらない、こういう点に私ども大変大きな悩みを持っておりまして、ぜひひとつこの面についても十分な御理解をいただきたいと考えております。
#106
○下稲葉耕吉君 私は、このような関係閣僚会議を積極的に活用するためには、今、内閣の外政審議室がその事務局をやっているわけでございますけれども、この辺のところの体制の強化というふうなことも極めて重要だと思います。時間がございませんので、その辺の強化について強い要望を申し上げておくにとどめます。
 そこで、残りの時間を割きたいのは、今いみじくも外務大臣がおっしゃいましたように、このODAの実態というふうなものをずっと検討してまいりますと、はたと行き当たるのが体制が大変弱いということでございます。これも、もうにっちもさっちもならなくなっている状態であると思います。
 そこで、例えば現場の体制の問題について外務省にお伺いいたしたいと思いますが、日本とアメリカとの比較だけで結構でございますが、インドネシア、タイ、フィリピン、まあ日本の周辺国でございますが、そこの国に対する日本の援助額とアメリカの援助額、そしてそれに対応する日本のそういうふうな援助に従事している要員、アメリカの要員、その辺の比較、さらにできれば、その一人当たりの比較が援助量に対しましてアメリカの何分の一であるかどうか、その辺の実態を御説明いただきたいと思います。
#107
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のインドネシアとタイとフィリピンにおきまして、日本とアメリカの援助量、それからスタッフの数について比較をさせていただきます。
 最初に、インドネシアでございますが、結論を先に申し上げますと、日本の援助量がアメリカの十九・一倍でございますけれども、人員は日本がアメリカの五分の一でございますので、一人当たりの援助処理量を計算いたしますと日本が九十一倍になるという状況でございます。それから次にタイでございますが、タイにおきましては日本の援助量がアメリカの四十九・八倍、約五十倍でございますが、スタッフの数は日本が三分の一でございます。したがいまして、一人当たりの援助処理量は日本が百五十倍ということになります。それからフィリピンでございますが、フィリピンに関しましてはかなりアメリカが援助の規模をしてございますので、援助量は日本がアメリカの三・八倍でございます。他方、スタッフの数は日本が四分の一でございますので、一人当たりの援助処理量は日本が十六倍ということになります。
#108
○下稲葉耕吉君 総務庁が去年とことしにわたりまして大変御苦労なさいまして、ODAについての、昨年が無償資金協力、ことしが有償円借款等について行政監察をなさったその結果がございました。
 外務大臣もちょっと触れられましたけれども、私どもびっくりするほど政策対話が少ない。事前の調査が少ない。それから実施上のかかわり合いが少ない。実施後のフォローアップが少ない。アフターケアが少ない。評価もない。もう本当にこういうふうなことだと大変だと思うんです。そして、総務庁はやはり立場上人をふやせということが言えない。言えない立場なのかもしれませんけれども、やはり定員の重点配置だとか何だかんだおっしゃっている。重点配置といいましても、地方事務所は一人か二人しかいないんですね。これ配置のしようがないんです。
 私は、このような結果、日本の経済協力というのが推移いたしますと、さなきだに今言われておるわけです、血税じゃないかとか、あるいはむだな援助をやっておるじゃないかとか。あるいはDACの日本に対する監査の報告、プレスリリースなんかを見てみましても、国際的にも体制が弱いということが指摘されている。ここにやはり日本のODAの問題の最大の原点があるんじゃないか。解決しなくちゃならぬ問題があるんじゃないだろうか。
 しかも、特に現地の対象が変わってきているわけです。昔は橋をつくればいい、道路をつくればいい。最近は、人文科学、社会科学の問題が非常に多いんです。あるいは文化の問題もございます、教育の問題もあります。専門家が変わってきている。現地の要員をもっともっとふやさなくちゃいけない。さらに外国人の意見も聞いたっていい、あるいは間接雇用をもっとふやしたっていい。今みたいな経済協力をずっとやっていきますと、これもまた行き詰まってくる。国際的に批判を受けるんじゃないか。
 私は、今こそこれもまた政治的決断に立ちまして、増員の問題それから質の問題いろいろございます、総務庁長官、大蔵大臣、予算の関係もございますし、最後に総理の御意見を承りたいと思います。
#109
○国務大臣(水野清君) 経済協力関係の要員の問題からお答えをいたしますけれども、過去大体八年間ぐらいで総務庁は国家公務員の約三万人の純減を果たしてきたわけであります。それに反比例しまして、実はこの経済協力関係では昭和五十四年には百七十三人であったものを、まあこれでも少ないとおっしゃるかもしれませんが、今年度は三百五人までいたしました。これにJICAとか基金の関係を入れると、先ほど外務大臣もお答えになりましたが、千数百人になっているわけでありますが、内外の情勢というものを考えまして私どもも対処をしていきたい、かように思っております。
 それから、昨年来ODA関係の監察をいたしましたけれども、その中で指摘をいたしましたように、やはり援助の質の向上といいますか、もっと無償の小規模な援助をやってやるべきであると。先ほど下稲葉先生の御指摘があったように、調査を十分にやる、アフターケアをきちっとしてやる。
特にアフターケアはソフトウエアの問題なんかを考えてやるということ。あるいは援助システムの問題でありますが、公務員とか公的なものだけでなくて、ボランティアというものが今いろんな形で参加をしてくれておりますし、もっと参加をしてもらえる余力があるわけでございまして、こういうものも協力を得ていく考え方を取り入れてもらいたい、かように指摘をしたわけであります。あるいは人材の育成ということにつきましても、いろいろ構想があることは御承知のとおりでございます。
#110
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど委員は出入国管理の問題から御提起になり、ODAに入られ、いずれにしても外交機能とそれに関連する分野の定員、予算についての問題を提起されました。
 先般来、各閣僚からも、また政府委員から御答弁を申し上げておりますように、それなりに今まで対応してきたわけでありますけれども、このボートピープルのような異常事態というものをふだんから想定してそれだけの要員配置をしろと言われるのは、これは御無理だと私は思います。むしろこうしたアブノーマルな状態を改善するためには、それぞれの難民の発生している地域において、外交努力において偽装難民が流出しないような工夫をしていただくことが根底ではないかと考えておりますし、またその結果、やはり来る方々に対する対応については、先ほど予備費の話もありましたように、関係当局と御相談をしながら対応をしてまいります。
 また、JICAについて、あるいは外務省の定員について、ODAの実施状況を踏まえて御提言がございました。
 これはたしか、私は委員が内閣総理大臣秘書官のころに総定員法が生まれたと記憶をいたしておりますが、それ以来国家公務員の要員管理というものは非常に厳しく行われております。殊に数次の定員削減計画は、行政改革の趣旨にのっとって、国民からできるだけ簡素にしてスリムな政府という要望をされ、国家公務員全体の定員を縮減してまいりました。しかし、その中においても外交関係については他に比べてはるかに配慮が払われてきたと私は承知をいたしております。
 なお、これから先のODAの実施体制について要員の確保が必要なことはもちろんでありますし、その必要な定員について充足を図ることは当然でありますが、今委員のお話しのように、私はJICAなり外務省なりだけで協力体制が完全にできるとは考えておりませんで、経済協力、ODAを完全に実施していきますためには、やはりそれぞれの所管省庁がそれぞれの分野の専門家を外務省なりあるいはJICAなりに協力をさせて能力を発揮させることの方が大切だと考えておりまして、総合的に判断をしながら検討させていただきたいと思います。
#111
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国の対外経済協力は、量においては世界有数のところまで高める努力を皆様の御理解で到達してきたと考えますが、要は量よりも内容であろうと思います。効果的、効率的にこれを使っていきますためにも、関係閣僚会議を積極的に活用をしてむだのないような経済援助に統一できるとともに、さらに内容の質を高めていくよう一層の努力を続けてまいりたいと思っております。
#112
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で下稲葉耕吉君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ─────────────
#113
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、村沢牧君の質疑を行います。村沢君。
#114
○村沢牧君 私は、主として農業問題について質問いたします。
 さきの参議院選挙で自民党が歴史的な敗北を喫した要因として、消費税、リクルート、それに加えて農政不信があったわけであります。従来保守が強いと言われた農村地域において農政不信が高まり、自民党離れが続いてまいりました。総理はどのように感じていますか。
#115
○国務大臣(海部俊樹君) さきの参議院選挙でいろいろなテーマで争われたことは私も承知しておりますが、その中に御指摘のあった農政問題が大きな論争点となった地域もたくさんあったと承知いたしております。
#116
○村沢牧君 農政不信が高まった要因についてどのように感じますか、総理。
#117
○国務大臣(鹿野道彦君) 今回の参議院の選挙の結果は厳粛に、ただいま総理から申されたとおりに受けとめさしていただいております。
 農政不信につきましては、やはり米を中心とした農産物の価格の引き下げ、あるいはまた牛肉・オレンジの自由化の決定というようないわゆる将来に不安を与えるような急激な変化が起きたと。そういう中で農業外からの農業批判も重なり、農業者の方々がいわゆる農業切り捨てと、このように受けとめられてしまった、こんなところが農政不信の大きな原因ではないかと思っております。
 そのようなことを考えた場合に、やはり手順を尽くしたつもりでも手順を尽くしてなかった、また、正確なる情報の提供というふうなことにも欠けておったんではないか、このような反省の上に立って、私どもも全国の農業者の意見、考え方等も聞かせていただきながら農政を推進してまいりたい、こんな考え方でおるところでございます。
#118
○村沢牧君 農政不信に対する農林水産大臣の認識は極めて甘い。ですから農政不信が高まってくるんです。そのことについては後ほど指摘をいたしましょう。
 農家、農民が自民党政治にそっぽを向いたことは、単に農業政策だけではない。消費税に対する怒りが自民党批判となってあらわれたことも認識すべきでありますが、総理いかがですか。
#119
○国務大臣(海部俊樹君) 農林大臣が申しましたように、農政に対するいろいろな問題点は私もそのとおりであったと思いますが、それよりも前に、御指摘のように消費税に関する論争もございましたし、それよりもさらに前に、リクルート事件に端を発した一連の政治不信に対する御批判もその中にたくさんあったと私どもは謙虚に受けとめております。
#120
○村沢牧君 農家、農民が消費税に対してどういう不満を持っているのか、以下申し上げましょう。
 消費税はすべての生産資材、輸送費あるいは基盤整備の事業費にもかかってまいります。農家は事業者であると同時に、こうした生産資材を購入する消費者であります。また、生活資材を消費する消費者でもあるわけですね。このように生産資材にすべてかかってまいりますと農産物生産のコストを高めることになるわけであります。農業生産に対する消費税の影響について、これは農林水産大臣に伺います。
#121
○国務大臣(鹿野道彦君) 消費税は最終的には消費者に転嫁することを予定いたしました税でありますことから、農業経営に必要な生産資材等に含まれる消費税額の円滑な転嫁が行われれば、農林水産業者がその負担をすることにはならないものと考えております。
 さらに、農産物などにつきましては、行政価格や卸売市場における不正取引の対象となるものが多いことなどの事情もありますので、その円滑な転嫁を図るため、行政価格につきましては、その対象となるものについて消費税の導入に伴う影響を織り込んで算定すること、競り取引については、競り価格に税額分を上乗せする方法を採用することなどの対策を講じてきたところでありまして、転嫁は円滑に行われているものと、こんなふうに考えているところであります。
 また、消費者としての側面につきましては、一口に農家家計といいましても、農業所得を主たる所得とする専業農家から、農業所得以外の所得を主とする第二種兼業農家までその実態はいろいろでございまして、また家族構成もさまざまであることから、税制改革の影響を一概に申し上げることは困難ではないかと思っております。
 しかし、一般的に申し上げますならば、今回の税制改革は全体としては大幅なネット減税でありまして、農家におきましても、基本的には消費税導入による負担増がある一方、基礎控除の引き上げなどによる所得税、住民税減税の効果も相当程
度及ぶものと考えておるところでございます。
#122
○村沢牧君 私はそんなことを聞いているんじゃないですよ。今、農林水産大臣の答弁になったようなことはこれからだんだん聞いてまいります。
 私が聞いたことは、消費税が導入されることによって生産のコストが上がるんだ、生産費が高まるんだ、そのことについて聞いているんです。
#123
○政府委員(塩飽二郎君) 御答弁申し上げます。
 農業生産資材につきましてはほとんどの業界で消費税の円滑な転嫁が行われたわけでございまして、それを反映いたしまして、農林水産省で調べております農村物価指数によりまして実態を申し上げますと、四月の時点では価格指数が三月に比べまして農業生産資材全体の総合で見ますと二・三%の上昇、重要な資材でございます肥料につきましては二・八%、えさでは二・〇%、農機具では二・九%、それぞれ三月に比べて上昇しておりますけれども、その後はおおむね落ちついた状況で推移をしているわけでございます。
 それから第二に、農業基盤整備についてのお尋ねでございますけれども、基盤整備事業につきましては他の一般の公共事業と同様に、国営事業につきましてはもちろんでございますが、県営あるいは団体営等の補助事業においても、請負工事の発注に当たりまして消費税相当額を的確に上乗せした額で契約が行われるよう指導をいたしてきておるわけでございまして、全体事業もその分上昇をしているわけでございます。
 それからさらに農産物につきましては、最近ではトラックによる輸送が運送の大部分を担っているわけでございますが、運賃料金の改定等によりましてトラック運送業等各物流事業におきまして消費税が転嫁をされているというふうに理解いたしておるわけでございます。
#124
○村沢牧君 そういうことであるので生産コストが上がる。農林水産大臣、どうですか。
#125
○国務大臣(鹿野道彦君) 今局長から答弁がありましたとおりに、四月の時点では三月に比べましてそれぞれ上昇いたしたところもございましたが、その後はおおむね落ちついた状況で推移をしている、こういうふうなことでございます。
#126
○村沢牧君 農林水産大臣、そんなことを聞いているんじゃないですよ。あなたは四月のことだけ言っているけれども、例えば農林水産省の統計情報部調査の物価指数によっても、一月までは農業生産資材は前年対比マイナスだったんです。しかし、四月から上がってきて、八月は三・六%になっているんですよ。だんだん上がっているじゃありませんか。生活資材もそうなんですよ。もう一回答弁してください。
#127
○政府委員(塩飽二郎君) 先ほど、資材別に三月と四月で比べました農業用の主要な資材についての価格の上昇の動向を、農村物価指数の統計によりまして申し上げたわけでございます。再度繰り返すわけでございますけれども、四月は三月に比べて農業資材総合では二・三%の上昇、肥料では二・八、えさでは二・〇、農機具では二・九と、それぞれ消費税の動向を反映して上昇の傾向が見られたわけでございますけれども、その後はおおむね落ちついた状況で対前月比では推移をいたしているということでございます。
#128
○村沢牧君 前年対比を聞いているんです。
#129
○政府委員(塩飽二郎君) 前年対比で申し上げますと、ただいま先生からお話のございましたように、平成元年の八月時点では農業生産資材総合では対前年で三・六、肥料では二・一、えさでは八・七というような上昇の傾向が見られるわけでございます。
#130
○村沢牧君 このように生活資材もあるいは生産資材も全部上がっている。私はこれを全部消費税だとは言いません。いろいろ要因もあるかもしれぬ、しかし主たるものは消費税である、このように私は思いますが、どうですか。
#131
○政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、三月から四月にかけまして資材の価格は、それぞれ物によって若干の差はございますけれども、上昇を見せたわけでございます。もちろん、先生からただいまお話がございましたように、それぞれの資材は、肥料にせよ飼料にせよそれぞれの需給事情、特にえさなどにつきましては海外からの供給に大幅に依存しているわけでございますので、そういった国際的な穀物の市場の状況等を反映いたしましてそれぞれ対前年では価格の変動があるわけでございますけれども、少なくとも消費税に伴う上昇は、三月対比で見まして四月の上昇がそのほとんどであろうというふうに我々は受け取っておるわけでございます。
#132
○村沢牧君 ですから、農業生産資材の上がったのは消費税がほとんどだと。
 経済企画庁長官にこの際お伺いしますが、消費税の物価に及ぼす影響、それから生計費に及ぼす影響ですね、数字で結構です、簡単に。
#133
○国務大臣(高原須美子君) 消費税の導入によります消費者物価への影響は、平成元年度におきまして一・二%というふうに経済企画庁では推計いたしております。その後、四月に消費税導入によりまして物価が上がりました。消費税の影響によるものでございます。これは消費税の導入によるものですから、インフレ的物価上昇とは違いまして一回限りのものでございます。
 その後の動きを見ておりますと、基調的な上昇を除きますと、大体企画庁が考えておりました一・二%程度の範囲に消費者物価の上昇はおさまっているというふうに見ております。その後も安定的な基調を続けております。
#134
○村沢牧君 物価は一・二%の上昇だと言うんですが、農業生産資材については、今説明がありましたように、前年対比三・六%も上がっているわけです。これは生産コストに随分影響しています。
 そこで、総理にお尋ねしますが、農産物の生産コストを下げて、消費者に安くて安全な食糧を供給すること、また農産物の内外価格差を縮小すること。これは農政における重要な課題であるわけですね。農家もそのために真剣に努力しているんです。ところが、消費税を導入することによってこのように生産コストが高まってきておる。このことは農家に対しても、あるいは消費者にとっても決していいことではない、不利益をもたらすものである。どうでしょうか。――どうして答弁できないんですか。私は政治的なことを聞いているんですよ。
#135
○政府委員(尾崎護君) お答え申し上げます。
 消費税は多段階の課税でございます。したがいまして、各事業者の方は仕入れに税金が乗った価格で買うことになります。もしそうでございませんと、その前の段階、農家で申しますと肥料を売る方、農機具を売る方、そういう方が転嫁できないということになってしまいますので、その分正しく転嫁をしていただきますと農家の方の仕入れに税がかかるということになります。そしてそのかわり今度は自分の売り上げに三%を乗っけて売るということでその転嫁をしていくことになるわけでございます。
 そういう仕組みでございますので、確かにおっしゃいますように、全体として見ますと一つのコスト上昇の要因でございますけれども、それが多段階課税という仕組みを通じまして次の段階に移されまして、最後に消費が負担をするというのがこの消費税の仕組みでございます。
#136
○村沢牧君 私はそういうことはわかっていますがね。わかっていますが、農家が転嫁ができないと言っているわけじゃないんですよ。コストが上がってくる、そうすると農産物の価格も上がってくる、内外価格差の縮小に役に立たない、悪い影響を及ぼすと。そのことを聞いているんですよ。
#137
○政府委員(尾崎護君) 消費税でございますから、最終的に消費に負担をしていただくという形で税の負担が行われるわけでございます。したがいまして、それは、それを悪い影響と考えるのか、それとも税の負担の一つのあり方と考えるのかという問題であろうかと思います。
#138
○国務大臣(海部俊樹君) 御答弁しておりますように、いろいろな段階で転嫁をしながら最終的には消費税というものは消費者に負担をお願いする税だということになっておりますし、価格の違い
の問題は、ほかにいろいろと内外の諸条件もあるし、また日本の農政の持っておるいろいろな問題の中で生産性を高めてそれによって価格を下げる努力をするとかいろいろなテーマがほかにございます。内外価格差の是正の問題については、ほかの為替の問題とかいろいろございますので、そういうところで努力をいたしますが、消費税に関する限りはこれは最終的には消費者に御負担を願っていく税であると、このように考えております。
#139
○村沢牧君 どうも答弁を聞いておっても、おわかりにならないようですが、例えば今総理が答弁した内外価格差の是正は為替問題で解決する、そうじゃないですよ。
 農政問題については、内外の農産物の価格差を縮小するために生産コストを下げてやりなさいと、それが農政の問題じゃありませんか。ですから、消費税をやって生産コストが上がってくれば、内外価格差を是正することにもこれは逆行するものであるということなんです。
#140
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど政府委員から仕組みの立場から御答弁を申し上げていたわけでありますが、今総理から御答弁を申し上げましたように、確かに消費税導入後委員御指摘のように一時的に価格が上昇し、その後水平に推移しております部分についてはこれは消費税の影響と、そのとおり、私も御指摘のとおりに受けとめます。
 しかし、委員が例示として挙げられました中に、例えば飼料のように国際的な穀物取引の状況とか為替の変動によって影響を受けるものもあるわけでありまして、これを一律に消費税の影響ととらえられるとこれは私ちょっとまた違った論議になるのではないかと思うんです。
 そこで、その上で消費税が内外価格差を拡大するという御指摘になりますと、これは政策選択の問題として私はまた農業政策の中で別途御論議をいただくべき側面に入るのではなかろうか。ですから、私に聞かれますと、農業政策は私の担当ではございませんので、別途の議論をしていただかなければならないのではなかろうか。ただ、転嫁につきましては、先ほどから政府委員が申し上げておりますとおり、転嫁が行われている状況にあると認識をしておるということであります。
#141
○村沢牧君 私は仕組みだとか転嫁を聞いているんじゃない。今大蔵大臣が言われたように、農業政策面から聞いているんですから、農業政策について答弁をする人がひとつ答えていただきたいんですよ。
#142
○国務大臣(鹿野道彦君) 先ほど申し上げましたとおりに、いわゆる今日の状況におきましては落ち着いてきておる状況である、こういうふうなことでございまして、そのようなことから、基本的には消費税というふうなものは農業の経営に必要な生産資材等に含まれる消費税額の円滑な転嫁が行われれば農林水産業者というものはその負担をすることにはならない。一方、消費者というふうな側面からするならば、いろいろな農家の形態がございますので一概に税制改革の影響を申し上げることは難しいことでありますけれども、一般的に申し上げますならば、今回の全体としましては相当な減税効果も及んでおるものと考えられるわけでございます。
#143
○政府委員(鶴岡俊彦君) 補足して答弁させていただきます。
 私ども農林水産省といたしましては、農業等を取り巻く経済環境といいますか、経済仕組みの中で、できるだけ規模を拡大しながら生産性を向上してコストをできるだけ下げていく、そういう点で国民の納得する価格で食糧を供給していくということでありまして、あくまで消費税も農業を取り巻く経済の一つの仕組みというふうになりますから、その中でできるだけ努力して国民に納得していただく価格で供給するということで今後とも進めていきたいと思っております。
#144
○村沢牧君 官房長が一番わかっているようです。それ以上追求しません。ですから、生産コストを下げるように努力するということは、生産コストが高まるから努力をするということです。
 次に、生鮮食料品に対しては、競り価格に消費税を上乗せするので生産費をカバーできる、こういうふうにおっしゃっているんです。ところが大蔵大臣、農産物というのは需要と供給の関係あるいは市場メカニズムによって必ずしも生産費が価格に反映できないんです。特に最近のように外国農産物が多くなってくると国内の農産物は安くなってくる。生産費は消費税が入って高くなったけれども、その価格に反映できないということがある。同時に、三%上乗せしたとしても、流通段階の経費等もかかるので、そこで農家の方では、この生産資材のアップ分、その他のアップ分を、三%の上乗せがそっくり農家に行くわけじゃありませんから、これはカバーできない、こういう不満があるんですが、どういうふうに思いますか。
#145
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは大変難しい御質問をいただいたのですけれども、私は事実問題として委員が御指摘になるようなケースはあり得ると思います。殊に農業あるいは水産業、自然を相手の産業の場合に、例えば量的に機械をとめてそれ以上生産をストップするとか供給にブレーキをかけることはできないわけでありますから、供給過剰状態を来した農産物あるいは一時的にしゅんを迎えて大量に出荷された農産物の市場における価格が値崩れを起こすとかこうした問題は起こり得る、そしてそういう場合に価格が十分なものを得られないケースがあり得るということは、それは私は否定をいたしません。
 ただ、それは価格形成のメカニズムと産地対策と出荷調整等々のいわば農業政策全般の中からそれに対する答えは探すべきものでありまして、税制からその面に対する、殊に供給過剰といった情勢あるいは消費者の好みの変化に対応しての生産過剰というものに対する対策を求めることは、それは私はちょっと違うのではないかと思うのです。むしろ、税制で申し上げますならば、確実な転嫁が行われていく体制を維持するということがその根本でありまして、消費税が生産者のところで滞留してしまうという事態を防ぐということが主眼ではなかろうかと思うのですが。
#146
○村沢牧君 そこで大蔵大臣、参議院選挙のときにはあなたは与党の幹事長だったですね。時の農林水産大臣は、農家の九九・六%は三千万以下の非課税である、したがって消費税の半分しか猫ばばできない、半分は猫ばばしている、こういう発言をして大変に農家農民の批判を買ったんですが、あなたはこの仕組みの中でそういうふうになっているというふうに思いますか。
#147
○国務大臣(橋本龍太郎君) 前内閣の同僚の発言につきましての意見は控えさせていただきたいと思いますが、御承知のように、免税点以下の業者の方々、確かに比率として非常に多い比率を占めておりますけれども、売り上げからその方々の領域を確定いたしました場合には数%ということが従来から議論をされております。そして、その方々の転嫁が仮に最終段階において行われない、行わないということになりました場合には、それは消費者がそれだけ安く商品を手に入れておられるということに結びついていくと私は理解をいたしております。
#148
○村沢牧君 次は、米などの行政価格についてでありますが、この行政価格は、生産費の中の物財費に消費税を織り込むので、これは行政価格に反映されると、こういう説明ですね。しかし行政価格は、需要や供給、そのときの経済事情、政府の財政によってほとんど決まるんですね。ですから、生産費がこれだけ出ても、そっくりそのまま行政価格に、米価にならない。極端なことを言うと、今までのやり方は据え置きか引き下げを決めておいてその計数は逆算してくっつけていくようなことをやっておったんですね。これでもって消費税が本当に行政価格に反映できるというふうに思いますか。
#149
○政府委員(浜口義曠君) 行政価格の点につきまして先生から御質問がありました。
 これについては、まず考え方といたしまして、先生ただいま御指摘がございましたけれども、やはり米価審議会等々のこともございますし、きちっと農水省としては計算をしてやったわけでご
ざいます。
 例えばことしの生産者米価でございますが、これにつきましては、元年産の生産者米価の算定におきまして、算定の基礎になる過去の生産費の物財費を、消費税実施後の元年四月と五月のデータを用いた物価修正の指数によりまして換算しております。これによりまして、消費税導入による生産費の物財費の上昇分を適正に米価に盛り込んだということになります。この部分につきましては先ほど来御議論がございました。
 ちなみに、物財費の上昇のうちに消費税の影響分はどのくらいか、こういうお話が当然出ようと思いますけれども、これはなかなか困難なことでございますが、先ほどの数字をお聞きと思いますけれども、前年の、直近の六十三年度の生産費と比較してみました場合に、これは米審に出しております数字でございますけれども、物財費につきまして二・二%の上昇という数字を出させていただいております。
 もちろん、これにつきましては先ほど先生から御質問がございましてお考えのところでございますが、今回の生産者米価、結果的には据え置きでございます。ただ、私ども政府事務当局といたしまして諮問させていただきましたのは、これは御案内のとおり三角二・五五、こういうことでございまして、その中でなぜコストの部分が物財費に消費税等々も含まれて今のような数字で上がるのに下がるのかという問題については、これも先生御案内のとおりでございますけれども、大体半分ぐらいが生産費の中に占めます労賃でございますけれども、具体的な数字を申し上げましても、六十三年の四十七・二時間、それが私ども使いました数字では四十・六時間というような形でございまして、一四%の減というようなことでございます。そういったようなマイナス、上がらない要因というようなものも総合的に計算をさせていただいております。その結果、政府の諮問といたしましては三角二・五というような形で諮問させていただきましたけれども、その後の政治折衝等々のことで現行は据え置きということになったわけでございます。
 簡単でございますが、物財費における消費税の影響というものについて御説明いたしました。
 なお、もう一つ、三千万の方は別途また、これは三千万を上がる課税控除につきましては、この点については別途加算金として出させていただく予定になっております。
#150
○村沢牧君 そこで、いろいろ説明があったんだけれども、わかりやすく言うならば、今お話がありました生産費、それから労務費は下がるというようなことでいろいろやっても、六十キロ当たり生産費は幾らかかって、ことしの米価は幾らなのか、そのことだけ答えてください。
#151
○政府委員(浜口義曠君) 簡単に数字だけ申し上げますと、ことしの生産者米価は一万六千七百四十三円でございます。もちろん生産費、これは……
#152
○村沢牧君 そんなことはいいから、その生産費の差、第二次生産費は幾ら。
#153
○政府委員(浜口義曠君) 第二次生産費の場合、具体的に例えばそれぞれの……
#154
○村沢牧君 例えばなんて、生産費が出ているでしょう。
#155
○政府委員(浜口義曠君) 具体の例えば三・三ヘクタールのところでいきますと、一万六千七百九十五円でございます。それぞれの、例えば〇・三ヘクタール未満の階層におきましては二万五千四百四十八円ということでございます。
#156
○村沢牧君 私はそのことも通告してあるんですよ。だって、ここに六十二年産生産費の農水省の調査があるじゃないですか。第二次生産費が二万二百三十二円かかっているんです。しかし、生産者米価は一万六千七百四十三円、今言ったようにですね。これを引いてみますと、三千四百八十九円も生産費より低いんですよ。幾ら物財費へ消費税を織り込んだといっても、こういう米価の決め方では全然反映されてはおらないじゃありませんか。そのことを私は聞いているんですよ。
#157
○政府委員(浜口義曠君) 先生御質問の、平均的に申し上げますと、もう一回言わしていただきますと、六十三年産生産費で公表された部分でございますが、第一次生産費、いわゆる第一次生産費の物財費の方でございますが、一万五千七百七十五円でございます。これに資本利子といったものを、地代というものを加えました第二次生産費というものを算定して統計の方から出させていただいている数字でございますが、これは二万三百六十七円でございます。
 それで、先生が御質問の点の要点のところでございますが……
#158
○村沢牧君 ですから、物財費へ消費税が入るといっても、行政価格にそのとおり反映されませんと、このことを私は申し上げているんですけれども、農林水産大臣、どうでしょう。
#159
○国務大臣(鹿野道彦君) 今長官から答弁いたしましたとおりに、いわゆる第一次生産費それから第二次生産費につきまして数字が出ましたけれども、実際カバー率というものは低い、こういうふうなことになるものであります。
#160
○村沢牧君 それでは、カバー率が低いという話がありましたから、現行米価で生産費をカバーできる農家のシェアあるいは面積の規模、販売数量、そのシェア、これを説明してください。
#161
○政府委員(浜口義曠君) まず、家族労働費や物財費、雇用労賃といった、直接コストに結びつきます第一次生産費を先生御指摘のような米価水準六十三年において比較いたしますと、これは各階層の平均値を見てみますと、おおむね一・〇ヘクタール以上の農家になります。
 これは先生御指摘のように、現行の米価一万六千七百四十三円によってカバーされているものにつきます各階層の比率を申し上げますと、販売農家数でいきますと二二%、それから作付面積シェアでいきますと四九%、それから売り渡し数量のシェアでいきますと六〇%でございます。
 さらに、先生の御質問の点にありました、この一次生産費に、実際に農家の人が支払っているわけではございませんけれども、先ほどの統計の数字を言いました資本利子と地代を加えました第二次生産費のものでいきますと、これは三ヘクタール以上になりますが、この三ヘクタール以上の農家がカバーされます農家数につきましては、販売農家数でいきますと二%、作付面積シェアでいきますと一二・五%、さらに販売数量シェアでいきますと一七%になります。
#162
○村沢牧君 今お聞きのように、生産者米価を決めるけれども、これだけしかカバーできないんですよ。ですから、これだけしかカバーのできない米価、それにまた消費税が入ってくるとますますカバーできなくなってしまいますね。そのことを指摘しておきましょう。
 時間がありませんから次に移りますけれども、食料品などを非課税にしようというようなことを検討しておるようなことでありますし、またいろいろな意見がありますが、大蔵大臣にお考えをお聞きしたいと思います。
#163
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本院においてもたびたび御答弁申し上げましたが、今政府税制調査会、党の税制調査会で見直しの作業に入っていただいております。その中で国民から提起をされました問題はすべて見直しの対象にするようにお願いをいたしておりますので、具体的な項目についての言及はお許しをいただきたいと思いますが、見直しの中に非課税範囲の拡大という問題も当然提起をされておることでありますし、御議論の中においてそうした点もあろうかと思います。
#164
○村沢牧君 いや、見直し見直しと言うけれども、だんだん消極的になってきましたね。ですから、食料品は非課税品目にすると今までずっと言われてきたんですね。大蔵大臣が言ったかどうかは知りませんけれども。
 そこで、食料品を非課税にした場合、生産費や加工費に係るコストアップ分をどのように転嫁するんですか。今でもなかなか生産費のアップ分をカバーできない。食料品を非課税にした場合にはどのようにして生産費アップ分を転嫁するんです
か。
#165
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはやはり特定の――これは別に食料と申し上げるつもりはございません。特定の何かの物あるいはサービスを非課税とする場合、そこにかかってまいります原材料とか諸経費などの課税仕入れ部分、これはそこに含まれております税額相当分は当然コストとしてそのサービスあるいは物の価格に含まれるということでありまして、消費者にその部分で転嫁されるべきものでございます。ですから、これは現在の消費税におきまして、例えば社会保険医療サービスというものは非課税になっておるわけでありますし、授業料も非課税になっておるわけでありますから、これも例えば医療用の機械でありますとか器具でありますとか、あるいは建物の償却等々のものはコストとして計算をされているわけでありまして、たまたま今委員は食料品という例示をとられたわけでありますが、非課税物品の価格形成というのはそういう形態になります。
#166
○村沢牧君 工業生産やその他、そういう形になるでしょう。大蔵大臣の言うことはわかります。私は、食料品でですね、これはほかのものと違うんですよ、非課税になった場合、生産コストはアップしていくけれども、それをどういうふうに転嫁できるのか、食料品の場合について。あなた本当に真剣に考えてみたことがありますか。食料品の場合、転嫁をしなくてその生産費が価格につながってくるということになれば、これは非課税にしても食料品の価格は上がってきますよ。そういうことになりませんか。
 もう一つ聞きましょう。三%消費税がなくなりましたら、食料品が三%安くなりますか。
#167
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、今私どもは政府税制調査会に作業をお願いしておる立場でありますから、特定のテーマを取り上げて云々することは、お願いをしておる立場としてできません。ただ、今申し上げましたように、いかなるものでありましても、最終に非課税というものがありました場合、その生産のプロセスにおいてかかりました課税対象部分というものは当然これは経費としてコストとしてその売り手に積算をされるべきもの、そのように私は思っております。
#168
○村沢牧君 理屈はそのとおりです。しかし、食料品の場合は、先ほどから申し上げておりますように、競りによって価格も決まるわけですね。ですから、今食料品のうちどれを非課税にするとかどうするとか聞いておるわけじゃないんですよ。食料品を非課税にした場合に、本当にコストに転嫁するとなれば非課税にしても食料品は高くなる。三%はなくなってもそれは三%そっくり安くならない。このことについて聞いているんですよ。
#169
○国務大臣(橋本龍太郎君) どういうものでありましても、最終段階において非課税であるものでありまして途中その仕入れに係る消費税分というものが含まれますものは、それは最終価格に転嫁されるということになります。ですから、これは委員、理屈はおまえの言うとおりでわかるとおっしゃっていただくわけでありますから、どの分野の製品でありましても最終段階非課税というものは途中の仕入れコストの価格への転嫁までを規制するものではないと、私はそのように思います。
#170
○村沢牧君 もっとわかりやすく言えば、先ほど来質問しておりますように、食料品を非課税にした場合食料品は三%安くなりますかということなんですよ。
#171
○国務大臣(橋本龍太郎君) 税の理論から今私はお答えを申し上げておりますけれども、農産物価格全体についての価格政策というものは、また別途の御論議があってしかるべきものと思います。
#172
○村沢牧君 だから、税の理論からいっても、そこにまた消費者にも生産者にも大きな影響を及ぼすんですよ。
 そこで、大蔵大臣にもう一つお伺いいたしますが、農家は減税よりも消費税の負担の方が大きいんだ。私は幾つかの事例を持っていますが、時間がありませんからそれは一々申し上げません。消費税を導入して減税と言うけれども、減税の恩恵に浴しているのは大企業であり高額所得者であって、一般サラリーマンあるいは老人だとか年金生活者、自首業、農家、これは消費税の方が高いんですよ、現実にやってみても。あなたたちの計算上では減税の方が多いと、そんなことを言っているんですけれども、現実に当たってみると、そんなぐあいになっていない。これはどういうことでしょうか。
#173
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど農林水産大臣が述べられましたように、生産者としての側面からいきますと、消費税というものは最終的に消費者が負担されることを予定してつくられておる税でありますから、生産資材などに含まれております消費税額というものは円滑な転嫁が行われます限りにおいて農家がその負担をされることにはならない、委員はその点についての疑念を挟まれたわけでありますけれども、理論的にはそういうことであります。
 そうなりますと、今度は消費者としての側面になるわけでありますが、一口に農家の家計といいましても、専業農家から二種兼業農家まで非常に幅の広い、しかもそれぞれの家族構成、先ほど御論議のありましたそれぞれの農家の抱える耕地面積、全部態様が違うわけでありますから、なかなかこれは一口に申し上げようがありませんけれども、税制全体として御承知のようにネット減税は非常に大きいわけでありますし、農家におかれても、私は基本的にはまさに消費税の導入による負担増というものは否定をいたしませんけれども、一方において基礎控除の引き上げなどに係る所得税あるいは住民税の減税というものを考えてまいります場合には、その効果は当然相当程度及んでおると思います。
#174
○村沢牧君 私は現実の問題として大蔵大臣の見解と違うんです。ですから、これもまた申し上げますが、前の内閣の建設大臣は、農村で税金を納めている人はいないんだから減税の話をしても知らぬ顔をしておる、こういうことを選挙中言ったんですね。ですから、皆さん方はその程度にしか考えておらないんじゃないですかね。もう少しやっぱり実態をつかんでもらいたいというように思うんです。
 総理、いろいろ申し上げました。消費税の問題ばかりやっているわけにいきませんが、このように農政についても農業についても大きな問題点があるんですよ。ですから、全国の農業団体、農民団体、農協もたくさん反対をしていますね。あるいは県の農協中央会でも反対決議をしたところがある。私は、農業団体でもって消費税はまことに賛成だというのは聞いたことがないんですよ。いろいろ問題があるんですから、私どもが言っているようにこれは一たんやっぱりあきらめて、もっと検討し直すべきだと、農業の立場に立っても私は総理に言いたいんですよ。
#175
○国務大臣(鹿野道彦君) 担当大臣としてまず申させていただきます。
 ただいま先生から多くの農協あるいは県の中央会から消費税の廃止を決議しているというふうなお話もございましたが、農水省といたしまして関係団体とも協調しながら説明会もやってきておるところでございまして、消費税につきまして、農林水産物また関連物資の取引におきまして、次第に農協関係団体の理解も得られてきているものと、こんなふうに思っております。一部農協等におきましては、消費税につきまして御指摘のような決議が行われたことは承知をいたしておりますが、現在政府税調におきまして消費税の見直しの検討が行われているというところでございますので、これらの状況を踏まえまして消費税に対する理解をこれからも一層得ていきたいと、こういうふうに思っておるところであります。
#176
○国務大臣(海部俊樹君) 農水大臣もお答えしましたように、先生御指摘のごとく、農協でいろいろなところで反対の決議をいただいたということは私も報告を受けております。そしてそれは、最初に申し上げたように、このたびの選挙でもそういったものに対する御批判があったということは十分承知をいたしております。ですから、結論的
にこの消費税をやめる気はないかと、このようにおっしゃったと私はここに座っておって受けとめさせていただいたんですけれども、しかしそういう角度から申し上げますと、これはもっとやっぱり御理解をいただいて、将来のために税制改革の一環としてこれはお認めをいただきたいということで、今一生懸命認めていただくような見直しのためのいろいろな努力もいたしておりますし、お声にも耳を傾けて謙虚な努力をしておるわけでありますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#177
○村沢牧君 理解をすればするほど、内容を知れば知るほど、これはまた認めることができないということになってくるんです。
 そこで、次の問題に移りましょう。
 今、農政不信が高まってきておる。農民の不安をなくして農政不信を取り除くためには、国政の中で農業の位置づけを明確にすること、そして当面する施策の充実を図るとともに、将来こうなりますよという農業の中長期的な展望を明らかにしなければいけませんが、総理、どうですか。
#178
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、農業は国民生活にとって最も基礎的な食糧の安定供給のほかに活力ある地域社会の維持、国土、自然環境の保全など、我が国経済社会と国民生活の土台を支える重要なものであるということを認識するとともに、農業の健全な発展を図っていくということは国政の重要課題であると考えております。
 今後の農政の推進に当たりましては、おっしゃるように、将来の展望といいますか、平成十二年、紀元二〇〇〇年ごろにどうなるかという需要と生産の見通しを今一生懸命作業中でございますし、同時にまた、そういった見通しを立てるとともに生産性の向上を一層進めて、国民の納得できる価格での安定的な食糧供給を図っていただかなければなりませんし、また農業構造改善、すぐれた担い手の育成、技術の開発普及など、諸般の施策を強力に展開するとともに、農業の持つ多面的な役割を重視して農村の活性化を図っていくことも極めて重大だと考えております。
#179
○村沢牧君 今答弁のありました農業の展望は、農業基本法に規定をする重要農産物の需要と生産の長期見通しのことですか。それはいつまた公表するんですか。
#180
○国務大臣(鹿野道彦君) 今作業に取りかかっておるところでございまして、今年中にというふうなところで打ち出したいと、こういうように考えておるところでございます。
#181
○村沢牧君 その長期見通しは農業基本法に決められておるんですよ、政府が公表しなければならない。したがって、それは単なる予測ではない。見通しを発表したならば、その目標を達成するための努力をしなければいけない。その責任が政府にありますが、どうですか。
#182
○国務大臣(鹿野道彦君) 生産見通しにつきましては、ただいま先生申されておるように、単なる生産予測とは異なりまして、作目ごとに品質改善や生産性向上などの生産拡大のための諸条件に配慮しながら、我が国農業の持てる力を発揮した場合に実現可能な姿というふうなものを意欲的に示していくことといたしておるわけであります。また、その需要と生産の長期見通しをこれからの指針として、生産から流通、消費にわたる各般の施策を進めてまいりたい、このように考えております。
#183
○村沢牧君 それでは、九〇年見通し、すなわち現行見通しについて、自給率の目標と実績を述べてください。
#184
○政府委員(鶴岡俊彦君) まだ途中年次でございましてちょっと正確な比較というのは現段階であれかと思いますけれども、方向ということを考えますと、野菜とか果実あるいは牛乳、乳製品等は消費が多様化して輸入がふえているというようなことから見通しとかなり異なっていますけれども、米あるいは大、裸を除きました麦類でありますとか大豆、鶏卵、鶏肉というのは、大体方向として見通しの線に沿っていっているんではないかというように判断しております。
#185
○村沢牧君 途中ではございますけれども、六十五年見通しですから、もうぼちぼちこれは目標年度になるわけですよ。
 そこで、特にこの自給率の中で、極端に自給率の目標を達成することができない作目と、それからその自給率について説明してください。
#186
○政府委員(鶴岡俊彦君) 今の時点で難しいのは、今例示に挙げました野菜、これは需要の多様化ということで輸入がふえているということもございます。それから、果実等につきましても、国内で生産できないものの増加というようなことから、自給率の見通しの達成が……
#187
○村沢牧君 数字を言ってくださいよ、自給率。
#188
○政府委員(鶴岡俊彦君) 野菜は、六十五年見通しは九九、今の六十二年段階で九四%程度になっています。それから果実は、六十五年見通しが八三、現段階で七五ということでございます。それから米は、当然一〇〇で、現在一〇〇ということでございます。それから、牛乳、乳製品は八九、これは現段階で七八。肉類は、なべて申しまして見通しは八三、それが現段階では七六程度でございます。鶏卵は九九でございます。以上のような状況でございます。
   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
#189
○村沢牧君 飼料穀物は。
#190
○政府委員(鶴岡俊彦君) 主食用穀物の自給率は、六八の見通しに対して六八ということでございます。穀物自給率全体でも、三〇程度の見通しに対して、現段階で三〇というようなことでございます。
#191
○村沢牧君 新しく示す展望は、我が国の食糧自給率の現状の中から自給率の向上を目指す、つまり農業生産を高めるものでなくてはならないが、総理、どうでしょう。自給率を高めるような展望を示すんですか。
#192
○国務大臣(鹿野道彦君) 自給率につきまして今具体的に数字を挙げたわけでございますけれども、自給率が下がっている今日の状況の中で、何とかその下がっているところに歯どめをかけたい、まあいささかなりとも上げてまいりたい、こういうふうな考え方でおるところでございますけれども、飼料穀物につきましては、先生御案内のとおりに輸入に依存せざるを得ない、こういうふうな事情もございました。しかし、米は自給を基本としてやっていく。そのほかの作物につきましても、生産性の向上を進めて、国内生産の維持拡大を図りながら何とか歯どめをかけてまいりたい、この低下傾向に歯どめをかけてまいりたい、こんな考え方でおるところでございます。
#193
○村沢牧君 新しく示す長期展望は現在よりも自給率が下がるようなことであっては、ますますこれは農政不信が高まるわけですね。自給率を上げていく、その展望でなくてはならないわけであります。したがって、なぜ自給率を上げなければならないのか、以下質問してまいります。
 農林水産大臣、世界の食糧事情について農林水産省はどういう見解を持っていますか。
#194
○政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。
 世界の食糧事情は、大変時期によりまして変動が大きいわけでございますが、一九八〇年代に入りまして、それまでの比較的逼迫した状況から、特に穀物の需給でございますけれども、大幅な過剰基調で推移したわけでございます。ところが、特に昨年、カナダあるいはアメリカの北の地方におきまして、相当大規模な干ばつによる影響がございまして、トウモロコシあるいは大豆といったような、この地域の主力農産物の大変大幅な減産がありました。その結果、一転して世界の穀物需給は引き締まりの方向に転じたわけでございます。
 ことしどうかということを申し上げますと、世界全体の生産量に占めるウエートが大きいアメリカについて見ますと、天候は比較的順調で推移しております。また、昨年の干ばつによる減産ということから、政策的にも従来の減反面積の緩和という措置もとられました。その結果、作付面積も増加したということで、生産量は小麦、粗粒穀物あるいは大豆とも相当大幅にことしは増加をしてい
るということでございます。また、世界全体でも生産の増加が見込まれているわけでございます。しかしながら、在庫の落ち込みが甚だしかったものでございますので、ことしの生産の回復によっても、なお引き続き在庫水準は過去平均に比べましてかなり低い水準であるということでございます。
 それから、中長期の見通しについて申し上げますと、御承知のように世界の人口の圧倒的なシェアを占めております開発途上国で大変大きな人口の増加が今後も見込まれております。それに伴う食糧需要の増加は当然あるわけでございます。また、経済成長に伴いまして、単なる穀物から、それを飼料として使って、畜産としての消費を行うということからの飼料穀物の需要の増加が当然予想されるわけでございます。
 一方、生産につきましては、耕地面積はなお増加はいたしますけれども、その増加のテンポは過去に比べてかなり落ち込んでくるであろう。一方、気象変動については、御承知のように砂漠化の進行でございますとか、あるいは森林の過伐というようなものの影響もございます。したがって、いろんな要素を含んでの計算は可能なわけでございますけれども、一般的には、将来長期的にはかなりな不安定な要素をはらんでいるのではないかというふうに見ているわけでございます。
#195
○村沢牧君 世界の食糧事情は中長期的にかなり不安定な情勢にある。しかし、我が国の現状は穀物自給率は三〇%、カロリー自給率は四九%まで落ち込んで、先進諸国でまさに最低の自給率である。これが農業基本法制定当時と比べてみてどういう推移であったのか。あるいはまた、この間諸外国は自給率向上はどうであるのか。現状はどうか。自給率向上のために他の先進国はどんな努力を図っているのか。そのことについて答弁してください。
   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
#196
○政府委員(塩飽二郎君) 主要先進国の自給率の動向と対策について御答弁申し上げます。
 主要先進国のうち、特に西欧先進国でございますが、穀物で見ますと、一九六〇年から八五年の二十五年間に、イギリスでは五三%から一一三%に向上いたしております。また、西ドイツは八四から九五、フランスが一一九から二〇三、イタリアが七二から八三、それぞれ二十五年間に穀物の自給率の向上があったわけでございます。
 その要因について申し上げますと、御承知のように、これらの国はいずれも現在のECのメンバー国でございまして、EC発足の当初から、とりわけ共通農業政策の実施によりまして共通の農業政策を実行いたしているわけでございますが、その政策の目的といたしまして、生産性の向上とあわせて域内での供給の確保を掲げておりまして、その実現のために特に比較的高い水準での価格支持を行ってきている。さらにまた、技術の革新もかなり行われまして、単位面積当たりの収量がここ数年かなり増加してきたというようなことが重なって、自給率の向上の実現が図られたものというふうに見ているわけでございます。
 特に、自給率の向上の著しいイギリスの例について申し上げますと、一九七三年にイギリスはECのメンバー国になったわけでございます。その結果、穀物の価格水準の引き上げによりまして生産が刺激を受けまして、従来、小麦の作付面積は百二十万ヘクタール程度でありましたけれども、現在では二百万ヘクタールを超えるような面積に小麦の作付が行われております。一方、単収も現在ではへクタール当たり約六トンという高い水準にふえているわけでございます。
 今申し上げたように、自給率が特に西欧諸国では拡大したわけでございますけれども、その結果、EC全体では、かつては御承知のように穀物は純輸入国というステータスにあったわけでございますけれども、八〇年代に入りましてから穀物につきましてはむしろ輸出国の立場に転じた。これがまた世界の穀物需給なりあるいは穀物政策にいろんな意味の影響を与えているわけでございますが、域内では特に生産過剰によりまして大量の在庫を抱える。それに伴う在庫処理の費用あるいはそれを輸出補助金をつけて海外に輸出を伸ばしていくということから、大変大きな財政負担を伴うということになってきておるわけでございまして、こういう共通農業政策の結果による過剰生産の解消のための共通農業政策の改革が大きな課題になってきておるわけでございます。
 また一方、肥料、農薬の多投による営農というようなことから、環境への悪影響が大変憂慮されるような事態にもなってきているわけでございます。
#197
○政府委員(鶴岡俊彦君) 農業基本法制定以来の国内の自給率についてお答え申し上げます。
 基本法が制定されました三十六年には穀物自給率につきましては七五%であったわけですけれども、現在では、先ほど申しましたように三〇%、カロリー自給率では七八%でありましたものが四九%となっています。
 ただ、ここで申し上げますと、農業基本法は、もう先生御案内のとおり、需要が増加する農産物の生産の増進等農業生産の選択的拡大を図ることということを大きな柱として今まで農政を展開したわけでございますけれども、御案内のとおり、所得水準の上昇に伴いまして畜産物の需要は肉あるいは卵、牛乳、乳製品等について伸びてきたわけでございまして、それを国内で供給するということで畜産の振興を図ってきたわけでございますけれども、国土のいろんな制約その他から、国内で供給する穀物につきましては、一番日本にとって気象条件に合った米の自給ということを中心にやってきましたし、また飼料穀物につきましては、安定した安い価格で畜産物を供給するということで輸入飼料に依存をした結果でございまして、畜産の振興ということが現在の自給率の現状につながっておるということを御理解いただきたいと思います。
#198
○村沢牧君 ガットのウルグアイ・ラウンドで我が国は食糧安保を強調して、その合意文書に食糧の安全保障という言葉を入れるために大変努力をした。これは私は評価をするものでありますが、農水大臣、我が国が食糧安保を強調しなければならない理由、その内容について大臣のひとつ答弁を求めます。
#199
○国務大臣(鹿野道彦君) ただいま申し上げましたとおりに、世界の農産物需給が中長期的にはなお不安定な状況の中にある。このようなことから我が国といたしましては、農産物の最大の輸入国といたしまして、我が国の生産性の向上なり、あるいは国内生産の維持を図ることにより、食糧安全保障を確保するというふうなことが特に重要だと考えております。
 このような観点から、基礎的食糧につきましては、所要の国内生産水準を維持するために必要な措置をガット上位置づけるということを主張いたしているところでございます。
#200
○村沢牧君 総理、世界一の食糧輸入国である、これだけ自給率が低い、ですから食糧安保は大事なんですよ。ところが、総理の演説を聞いても、あるいは農林水産大臣、歴代の大臣の所信表明を聞いても、あるいは農政審の答申でも、食糧安保ということが一言も出てこないんですね。ガットへ行けば食糧安保だ、基礎的食糧の何とかと言っていますけれども、国内に来ちゃちっとも言わないんです。こんなことじゃ他の国を説得することができないと思うんですが、総理、食糧安全保障ということの認識あるいはそれを達成するためにどういう方針を持つのか、総理の答弁を求めたいと思います。
#201
○国務大臣(海部俊樹君) 食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でありますし、一億二千万国民に食糧の安定供給の確保を図ることは大切なことであると私も考えております。そして、そのために一層の生産性の向上を進め、国内での基本的な食糧供給力の確保を図っていかなければならぬということは常々考えて努力しておるところでございますが、さあ食糧安保という観点になりますと、日本のこれだけの国民の皆さんに必要な熱量を国内で供給し得るように平素からいろいろな政
策、例えばすぐれた担い手あるいは優良農地、水資源等の確保や農業技術の向上等に努めていかなければならぬことは当然のことでございます。
 ただ、今までの御議論を私もじっと聞いておりまして、いろいろな角度からあれほど一生懸命に担当は担当で努力をいたしておりますけれども、結果として自給率の数字を見ますと随分低下をしてきておることもまた御指摘のとおりであります。
 そうして、これをどのようにしたら盛り上げるかということについて、自給力を高めろとおっしゃいますが、具体的な目標がなかなかつかみにくいという状況の中に、米の使用量がどんどん下がっておるとか、あるいは外国からの輸入食糧に頼っておることが非常に多いという御議論も聞いております。私は、せめてその国で一〇〇%自給できるものがあるなれば、すべての人がこれだけの努力をしておるさなかで高めていかなきゃならぬという問題があるなら、みんなでもう一回米の需要というものを党派を超えて立場を超えて考えてみていただけるようなことも、この場を通じてお願いしたいというひたむきな気持ちを持っております。
 国民の皆さん一人が一回茶わんで御飯を食べていただいたら、生米にして五十グラム、一億二千万人、三百六十五日の御協力で、粗っぽい計算ですから端数は違うかもしれませんが、二百五十万トンのお米がそれで消費されるんです。外国へ行けば、黒いパンしかできない国は黒いパンを食おうと胸を張っておる国民もたくさんあることを私知っております。せめて国でできるもの、一〇〇%自給できるものがあったら、どうか国民の皆さんも党派を超えて、この自給力を高めるためにまず国でできるものを食べようじゃないかということも思っていただけたらありがたいということを、私は心から念じながら御討議を聞いておりました。御理解をいただきたいと思います。
#202
○村沢牧君 総理の決意をお聞きしました。
 そこで、総理、聞いてください。米を茶わん一杯余分に食べるということ、それも消費拡大になるでしょう。同時に、我が国で不足するものをやっぱりつくっていくということなんですね。それが自給率を高めることです。
 じゃ私が今度は提案いたしましょう。日本社会党は、国民食糧を安定供給するために二十一世紀初頭には穀物自給率を六〇%、カロリー自給率を七〇%から八〇%に引き上げることを目標に生産体制を確立する、これを農政の基本としているんです。ところが、政府と自民党の諸君は、みずからの政策目標も示さずに、社会党の政策にけちをつけるだけというのはこれは消費税と全く同じなんですね。我が党も、これを今直ちに六〇%にするなんていうことは言ってないんですよ。三十年かかって八二%が三〇%になっているんですよ。六〇%にするには二十年かかると私も言っているんです。ですから、また自民党の諸君は、六〇%にするには今の耕地面積を倍にしなきゃならぬ――そんなことを社会党は言っているんじゃないですよ。水田が遊んでいるじゃないですか。これだけ減反しているじゃないですか。そこへ飼料穀物をつくっていくんだと、そして耕地の利用率を高めていくんだと。今の現状を見るときに、それをやらなきゃ自給率は上がってこないんですよ。そのことを私たちは提案しているんです。
 先ほど総理もお話があったんですけれども、自民党の農政が批判され、そして参議院も逆転をした今日、我が党の政策に謙虚に耳を傾けて、それじゃひとつ相談しましょうと、そういう気持ちになりませんか。
#203
○国務大臣(鹿野道彦君) 自給率が下がっている中で何とか歯どめをかけたい、いささかなりとも自給率を上げていきたい、これが私どもの率直な気持ちでございます。しかし、先ほど来から申し上げましたとおりに、畜産物の消費がふえているという中で、その畜産に必要な飼料穀物が国内で生産した場合に、我が国農業の生産構造なりあるいは生産性などから見まして、輸入飼料穀物に比べて相当割高にならざるを得ない。我が国の畜産の発展やあるいは良質で安い畜産物の供給のためには飼料穀物の輸入に依存せざるを得ないということから見まして、自給率を大幅に高めていくということはなかなか困難な面があるわけでございます。
 一方、しかし食糧は国民生活にとりまして最も大事な物資でありますから、その安定供給の確保というふうなものは農政の基本でありまして、飼料穀物は輸入に頼らざるを得ないということでありますけれども、米を自給としたところのその他の作物につきましても、生産性の向上を進めながら国内生産の維持拡大を図ってまいりたい、そして長期見通しを策定しながらいささかでも上げていきたい、何とか歯どめをかけていきたい。こんなようなことでやってまいりたいと、このように考えているところでございます。
#204
○村沢牧君 私が言っていることはただいいかげんなことを言っているんじゃないんです。年次的に作目的に、財政も含めてこういうふうにやりましょうと。もちろん、日本の必要なものは全部自給するなんていうことはできませんよ。ですけれども、今飼料穀物が不足をしているんですから、それをつくったらどうですか。私、昭和五十六年の第九十四国会でこういう質問をいたしましたら、当時の亀岡農林水産大臣は、お亡くなりになりましたけれども、飼料穀物についてもう三年待ってください、何とか研究しています、こういう答弁だって来ているんですよ。
 農林水産省、本気になってやるならばこういうことだってできるんですよ。ですから、いろいろけちだけつけるんじゃなくて、少しは私らの方の意見も聞いてみてください。いいですか。
#205
○国務大臣(海部俊樹君) 先ほど来私は真剣に承っておりますし、今御提示になりました六〇%に自給率を二十年かけて高めていこうという御計画、二十年で六〇%という具体的な案も私は一遍お示しいただいて、私自身も一遍勉強さしていただきますし、頭からそれができないことだとか、否定してかかるような態度はとらないつもりでございます。
#206
○村沢牧君 次は、米問題に移ります。
 総理は、国会決議を尊重して国内生産で自給すると述べていますが、確認をいたしたいというふうに思うのであります。
#207
○国務大臣(海部俊樹君) 両院でお米の自由化反対に関する御決議があったことも私はよく承知いたしておりますし、またお米というものの持っておるいろいろな特殊性も踏まえまして、国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいるつもりでおります。
#208
○村沢牧君 総理、本院は昭和五十九年の第百一国会で、米については、「国内生産による完全自給の方針を堅持する」、こういう決議をいたしております。また昭和六十三年、第百十三国会では、完全自給の方針を堅持して米の自由化は反対だと、こういう決議もしているんです。本院の決議は米の完全自給であります。この国会決議を尊重していただけますね。
#209
○国務大臣(海部俊樹君) そのとおりでございます。
#210
○村沢牧君 農林水産大臣は、就任直後のインタビューやその後の発言で、米は国内生産で完全自給の方針を貫く、部分的にも輸入しない、こういうことを発言しております。
 そこで、本院で「完全自給」という言葉が入ったということは、米は一粒も輸入しないということなんですよ。もちろんこの決議をする場合に、前に沖縄のしょうちゅう、泡盛の原料等は輸入していました、これをどうするかという話がありまして、それは過去に輸入したんだからということですね。それは今まで続いていますけれども、今後の問題として、完全自給という決議は、米はいかなることがあっても一粒も輸入しない、そういうことでありますが、農林水産大臣、いいですね。
#211
○国務大臣(鹿野道彦君) 今、御承知のとおりに、稲作農家の人たちは全水田の面積の約三割、厳しい生産調整をやっていただいておるわけであります。そういうふうな状況を見ましても、少量とい
えども米を輸入するということは到底考えておりません。
#212
○村沢牧君 農林水産大臣に重ねて伺います。
 完全自給の国会決議を尊重して一粒も輸入しない、いいですね。
#213
○国務大臣(鹿野道彦君) 参議院決議の趣旨を体して対処してまいりたいと思っております。
#214
○村沢牧君 高原長官にちょっとお聞きしたいんですが、あなたは就任後の記者会見で、米の自由化検討も必要であるというふうな発言をしておられますし、その後も農産物の自由化も国際協調の観点から進めるべきだというふうな発言をされていることが新聞に載っていますが、長官、どんなふうにお考えですか。
#215
○国務大臣(高原須美子君) 米の自由化問題につきましては、今のお話にありましたように、国会の御決議があることも知っておりますし、また企画庁と関係いたしますところでは、経済運営五カ年計画におきまして「国民の主食である米は今後とも国内自給を基本」というふうに指摘されておりますので、私もそのように考えております。
 そこで、就任後の記者会見でございますが、一転して記者会見を受ける身となりましてふなれでありましたために、言葉が十分でなかったことで委員にそういうような御質問を受ける立場になったのかと思いますけれども、そのときの真意を申し上げますと、経済企画庁は物価担当の官庁でございまして、消費者の立場からいたしますと、先ほどからお話がありますように、食料品価格は国際的に見ますと割高なものもございます。したがいまして、企画庁といたしましては内外価格差の是正を進めていく必要があり、その際は農産物の価格も重要な検討の対象であり、勉強をさせていただくという意味でございます。同時に、消費者に対しましても、米をなぜ自給堅持していくのかということを十分説明することが消費者にとっても納得してもらえることではないかと、そういう趣旨で申し上げたことでございます。
#216
○村沢牧君 外務大臣にお伺いいたします。
 日本の米問題は、これからウルグアイ・ラウンドを初め、今後の日米交渉の重大な課題になるわけです。国会決議を尊重して完全自給の方針を貫いていく、外交交渉では外務省が大きな役割を果たすわけでありますが、外務大臣としても米の市場開放は絶対に認めない、こういう決意でございますか。
#217
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣といたしましては、本院並びに衆議院の御決議を十分体してこの外交交渉に臨んでまいりたいと考えております。
#218
○村沢牧君 くどいようですけれども、外務大臣も国会の参議院の決議、「完全自給の方針を堅持する」、よろしいですか。
#219
○国務大臣(中山太郎君) そのように考えております。
#220
○村沢牧君 そこで、アメリカやECは農産物に対していろいろ輸入制限を行ったり、あるいはまた課徴金制度等を設けておるわけでありますが、その実態について農林水産大臣の方から述べてください。
#221
○政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。
 アメリカとECの農業保護制度でございますけれども、まずアメリカにつきましては、御承知のように、ガット加盟当初に得ましたいわゆるウエーバーによりまして、十四品目の農産物につきまして輸入制限をやっているわけでございます。そのほかに、食肉につきましては食肉法という国内法を持っておりまして、一定の水準以上に輸入が急増する場合には輸入制限を一方的に発動できるという権限が盛り込まれた法律があるわけでございます。実際にはそれを発動した実例は一回だけございますが、それ以外には、主要供給国、アメリカは牛肉等についての相当量の輸入を行っておりまして、豪州ですとかあるいはニュージーランドから輸入をしているわけです。豪州、ニュージーランドとの間に自主協定によりまして、輸出国が輸出を一定の水準以内に抑制する実質的な輸入制限的な措置を牛肉等についてやっているわけでございます。そのほかにも、ただいま申し上げた二つの根拠に基づくもの以外に、独自の輸入制限をやっているものが三品目ほどございます。
 それから、ECの場合は、先ほど申し上げましたように、共通農業政策によりましてEC加盟国共通の制度を設けているわけでございますが、国境における輸入措置といたしましてはいわゆる可変課徴金制を適用している品目が六十数品目になっているわけでございまして、世界から入ってくる価格に比較しましてECの域内価格は当然高いわけでございますが、その差額を課徴金として払わなければ域内に入れないようにしているというのが中心でございます。そのほかに、比較的マイナーな産品につきまして、加盟国によりましてはいわゆる輸入制限措置をとっているものも一部にはあるわけでございます。
#222
○村沢牧君 外務大臣、今答弁がありましたように、アメリカでもECでもみずからの国の農業を保護するために輸入制限をしている。しかし、他国に対しては自由化を次から次へと求めてくる、こういう態度についてどういうふうにお考えになるでしょうか。
 日本の農業は今最も自由化が進んだところまで追い込まれてきているんです。世界一の農産物輸入国である。ですから、日本の政府、外務省はもっと毅然たる態度でもって農業交渉を行うべきではありませんか。
#223
○国務大臣(中山太郎君) 従来、外務省としては毅然たる態度で臨んできております。
 明年、ウルグアイ・ラウンドにおきます最終の交渉においては、日本のみならず各国の抱えるいろいろな農業政策につきまして、そこで各国が議論をして結論を出すということになっておりまして、先ほど御答弁申し上げましたように、外務大臣としては、参議院の御決議の趣旨を尊重してこの交渉に当たってまいるという所存でございます。
#224
○村沢牧君 アメリカは、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉に新たな包括提案をすることを昨日発表しているんです。その内容について、農林水産大臣、答弁してください。
#225
○国務大臣(鹿野道彦君) 農業交渉グループでは、四月の中間合意で、今年中に各国から詳細提案をする、こういうことになっておったわけでありますが、米国提案もそれに沿ったものである、こう思っております。
 その内容につきましては、一つは、ウエーバーや可変課徴金の廃止を含め、すべての非関税障壁を関税に置きかえるとともに、十年間で、これからも含め、すべての関税をゼロまたは低率にする。二つ目は、輸出補助金を五年間で撤廃するとともに、食糧の欠乏時においてもその輸出制限を認めない。三つ目、国内価格支持政策については、環境保護、災害援助など生産に影響を与えないものを除いて原則として十年間で廃止する。四つ目、食品衛生や動植物検疫に関する規制が必要以上に農産物貿易に影響を与えないよう所要の国際基準を作成する、などというものでございます。
#226
○村沢牧君 大変重要な提案だというふうに思うんですが、こうした提案がウルグアイ・ラウンドでどういう影響をしていくのか、日本の政府としてはどういうふうに考えるのか、その見解を示してください。
#227
○国務大臣(鹿野道彦君) 今回の米国提案は、農産物貿易について徹底した自由化を目指す、それに至る具体的な実施プロセスを明らかにした詳細かつ包括的なものだ、このように考えております。
 その内容は、従来からの米国の主張に沿ったものであると考えておりますが、改めて農業交渉にかけるアメリカの強い姿勢をあらわしたものではないか、こんなふうに推察されるわけであります。
 一方、世界の農業の置かれている事情や、農業が果たす役割等にかんがみまして、米国提案の実現性については問題があると考えているところであります。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、農業交渉の場におきまして、先ほど来から申し上げております食糧安全保障などに関する従
来の立場を踏まえて適切に対応してまいりたい、このように考えております。
#228
○村沢牧君 次は、農林水産省が明年から減反面積をさらに拡大していく、こういう方針を持っておるようでありますが、これ以上の生産調整はもう農民を苦しめるだけですね、もう限界に来ている。参議院農林水産委員会も東北地方に調査に行ってまいりましたが、こういうことを一様に言っているわけですね。したがって、こういう農民の声があるにもかかわらず、まだ減反を強化していく方針なのかどうか、まず農林水産大臣にお伺いしたい。
#229
○国務大臣(鹿野道彦君) 今先生申されたとおりに、稲作農家の人たちがこれ以上の生産調整は限界だよ、こういうふうな考え方でおると私どもも承知をさしていただいております。
 そういう中で、米の需要が減退しておる、また生産力も向上しておるという事情のもとで、米の需給ギャップというものはこれからも拡大するというふうなことが見込まれる中におきまして、需要に応じた米の計画的生産を確保しながら水田農業を発展させていくというふうなことのためには、消費拡大等も含めまして相当な需給調整努力が必要じゃないか、こんなふうに考えております。
 後期対策をどうするかというふうな問題につきましては、作況の状況というふうなものを見定めながら、生産者の方々にも主体的に取り組みをしていただき、そういう中で地域の事情に合った足腰の強い水田農業というふうなものを実現していくという観点から、関係者ともこれから十分協議をしながら検討を深めてまいりたいと、このように考えております。
#230
○村沢牧君 作況指数等を見て検討するということでございまして、幾らか前向きな答弁が出てきたんですけれども、閣僚の皆さん、そして総理、聞いてください。
 耕地面積の狭い我が国で、水田面積の三割もあるいはそれ以上も減反を強いられようとしている。先人が努力して基盤整備をした水田、国費を投入してあるいは構造改善をした水田に雑草が生い茂っておるんです。山の中の田はもう山林になってしまうんですよ。田園まさに荒れなんとしておるんですね。これでふるさと創生と言えるのでありましょうか。多極分散型の国土づくりと言えるのでありましょうか。もっとこれ以上減反しなくてもいい知恵を働かさなきゃいけないと思うんですよ。聞いてもらいたいと思うんです。自治大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
#231
○国務大臣(渡部恒三君) 突然の御質問でございまして、農業についてはこれは農林大臣が今一生懸命頑張っておられますが、農村、これは私は二十一世紀の豊かな農村というものは農業だけで解決できる問題ではないと思っております。戦後四十五年を振り返ってみましても、我が国の経済の急激な成長が第こ次産業、第三次産業の分野で大きく伸びていって、第一次産業である農林水産業がこれらに比べて著しく国際競争力を失ってきておるという中で、この第一次産業である農林水産業を長い歴史の中で生活の基盤にしてきた、農林水産業を基盤としてきた農村が今日過疎の苦しみの中にあえいでおるわけでありますから、農林水産業を長い間経済の基盤にしておったこの過疎になっておる農村を豊かにしていくためには、鹿野農林大臣はかって私とともにべトコンとして農林水産者のため、農政のために頑張った同志でございますが、今一生懸命やっておりますが、これとやはり並行をして工業の地方分散あるいは情報先端産業の誘致、あるいは大学、教育、そういったものの地方への誘致、また豊かな土地、東京にはない緑と新鮮な空気と水、こういうものの中でリゾート地域を振興していくとか、二十一世紀の新しい国民のニーズにこたえて幅広い立場で豊かな農村をつくっていこうというのが、我が海部内閣が将来を目指す内政の柱としての豊かなふるさとづくりであると御理解を賜りたいと思います。
#232
○村沢牧君 私はそういう抱負を自治大臣にお聞きしたのではなくて、ベトコンの先輩であり、米どころのあなたが、これ以上減反をずっとさせていっても私は大変なことだと思うんですよ。国務大臣としてどういうふうにお考えでしょうか。
#233
○国務大臣(渡部恒三君) これは、農政については農水大臣が一生懸命頑張っておりますから。私も米どころの出身地で、故郷に帰るたびに一生懸命農家の皆さん方が苦労をして立派な田んぼをつくって、その田んぼに稲が植えつけられないで休耕している姿を見ると胸が痛みます。
#234
○村沢牧君 それでは、地域の活性化を図っていく、均衡ある国土づくりをしていく国土庁長官、国務大臣としてどういうふうにお考えになるでしょうか。
#235
○国務大臣(石井一君) 実は、私は都会に生まれて都会育ちでございます。また、内閣の一員として農林大臣が御答弁されております、また総理がそれを補足されておりますことに従うというのが当然でありましょう。
 ただ、個人的な見解を一言申させていただくとすれば、東京への通勤圏が一時間半から二時間になっておる。そうして、マイホームを求めておる働く人々が土地つきの家を求めてもそれが求め得ない。そういう状況を考え、しかも減反をし休耕をして、さらにそこに補助金を払う、こういう制度が正しいんだろうかというようなことに関しまして一抹の疑問を持っております。いささか内閣から逸脱したとおしかりを受けるかもわかりませんけれども、十分研究調査をした後に、もう農地として使用しないものであれば、農村の人々の気持ちも十分考えつつ、それを宅地なりほかの方法で利用する、あるいはセカンドハウスを持っていただくというふうな方法等々、やはり日本の農村においても一つの大きな発想の転換ということが必要ではないかなと、私の立場としてはそういうふうなことを考えております。
 ひとつ賢明な、専門的な委員の国土政策に対する御助言をちょうだいできれば大変ありがたいと思います。
#236
○村沢牧君 米が過剰になりつつある、そのことも承知をしています。しかし、もうちょっと政府が、例えば食糧の消費のために新しい分野は開拓できないのかとか、あるいは学校給食の米飯給食は将来、今やっていますけれども、もっと考えることはできないのかとか、いろいろあるわけですね。ですから、農林水産省、一体今の米の消費拡大、国民に茶わん一杯ずつ余分に食べてもらいたい、そんなことではなくて、もっと基本的なものを考えるべきだと思うが、何か考えていますか。文部省にもひとつお聞きしたいと思うんです。
#237
○政府委員(浜口義曠君) 米の消費拡大の問題につきましては、これまで一つは米についての正しい知識の普及啓発、あるいは地域における米消費の拡大対策、さらに、文部省にいろいろお願いをしておりますが、米飯学校給食の計画的推進等々を柱にいたしまして、国として二百億を上回る予算を組みながら積極的に施策を講じてまいったところでございます。もちろん、細かいことにはなりますけれども、米についての正しい知識の普及啓発に関連いたしましては、テレビとかあるいはライスフェアとか、あるいは若い女性のヤングレディ・ライスクッキング・コンテスト等々のことも行ってまいっております。さらに、地域における米の消費拡大につきましては、稲作体験ツアー等のこともやらしていただいております。もちろん、これに関連いたしまして昨年以来、あるいは本年にかけまして米需給均衡化緊急対策の一環といたしまして、これもやや一つのシンボリックなことでございますが、純米酒の推進であるとか、あるいは入浴剤の普及等につきましての地域の工夫、そういったものも生かして対策をしているところでございます。
 これらの施策の充実によりまして、おいしい米の普及や米と日本型食生活が日本人にとって健康にもよく、あるいは栄養のバランスの面についてもすぐれているということにつきまして国民の皆さんの御理解を受けるよう、積極的な啓発活動も行っていきたいというふうに考えているところでございます。
#238
○国務大臣(石橋一弥君) お答えをいたします。
 お米の消費を拡大したいということは、私自身も農民でありますのでよくわかっているつもりであります。
 そこで、米飯給食の現状でありますが、教育的な観点から食習慣を身につけさせるということ、そしてまた食糧事情等も考慮して、昭和五十一年度から学校給食に導入して推進を図ってまいったものであります。この結果、昭和六十三年五月現在で完全給食実施校の児童生徒のうち九八・二%が米飯給食を受けております。そして、その実施回数は週二・三回でございます。文部省といたしましては、引き続き週三回程度の実施を目標に米飯給食の推進について指導を進めていく所存であります。
 以上です。
#239
○村沢牧君 次に、輸入食品の安全性について質問します。
 輸入食品がふえてまいりました。この安全対策が極めて問題になってきておるわけですね。それで、厚生省に伺うけれども、輸入食品の届け出件数、検査総数あるいは不合格になった件数、また不合格が多い国などについて述べてください。
#240
○政府委員(目黒克己君) お答えいたします。
 昭和六十三年の主要な実績について申し上げますと、農産物の輸入件数は七万三千二百四件、検査件数は一万三千三百二十二件、違反の件数は五十件でございます。主な違反の内容につきましては、先ほどお話しありましたタイ産の砕いた米、これが十件、米国産の小麦四件、中国産の大豆五件、パラグアイ産の落花生四件等となっているのでございます。
#241
○村沢牧君 厚生省、届け出件数、何件ですか。
#242
○政府委員(目黒克己君) 輸入件数がイコール届け出件数でございます。すべて届け出をいたしますのでイコールでございます。
#243
○村沢牧君 検査した総数のパーセントは。
#244
○政府委員(目黒克己君) 七万三千の一万三千でございますから、約二〇%弱、一八%でございます。
#245
○村沢牧君 輸入食品がうんとふえてくるんですけれども、これに対して検査員は今何人おるんですか。
#246
○政府委員(目黒克己君) 八十九名でございます。
#247
○村沢牧君 輸入食品の安全問題についてはたくさんのいろいろな問題がありますが、時間の関係上、これは私は後日に譲りたいと思います。
 いずれにしても、検査員の数もこれだけ件数が多くなって極めて少ないんですよ。ですから、もっとふやさなければ、国民に対する安全対策は責任が持てないというふうに思いますから、強く要請しておきます。
 次に、質問を変えます。最後に、朝鮮政策について伺いたいと思うんです。
 竹下元総理は、本年三月三十日、衆議院予算委員会で我が党の委員の質問に答えて、朝鮮半島のすべての人々に対し過去において多大な苦痛と被害を与えてきたことを深く自覚し、深い反省と遺憾の意を表する、日朝関係については今日まで疎遠であったけれども、新たな決意を持って対朝鮮半島外交を進めていきたいというふうに考えている、朝鮮民主主義人民共和国との間においても関係改善を進めていきたい、日朝間の諸懸案については、前提条件なく、できるだけ早期に対話が実現し、双方が責任を持って話し合いを行うことができることを期待する、こういう趣旨の答弁をしています。
 総理に朝鮮に対する見解をお聞きしたいと思います。
#248
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のありました本年三月の竹下総理答弁で明らかにしております政府の対北朝鮮政策についての基本姿勢は、現内閣のもとにおいても変更はございません。すなわち、政府としては日朝関係改善を進めていく、そのために政府間対話を希望しており、ぜひ早期に対話が実現し、双方が誠意を持って話し合いが行えることを期待いたしております。
#249
○村沢牧君 我が党は、国交のない政府にかわって朝鮮関係の改善のために努力をしてまいっている。国民も我が党に期待もしているんです。
 ところが、自民党の一部の諸君は、パチンコ問題に関連をさして朝鮮総連問題を意図的にとらえて、非常な危険な団体であるなんというふうに政府に答弁さしている。これに対して北朝鮮側は、総連を弾圧し、破壊するための計画的な謀略であると厳しい非難声明を行っているんです。自民党の皆さん方は、朝鮮問題を取り上げることによって社会党のイメージダウンをねらっているかもしれませんけれども、日本社会党は、国交のない朝鮮民主主義人民共和国、また朝鮮総連と友好を進めてきた誇りはあっても、指摘をされるような何らやましいことがないことは、この際はっきり申し上げておきたいと思うんですよ。朝鮮人民共和国と朝鮮総連の関係については、申し上げるまでもなく御承知のとおりであります。
 竹下総理の見解、いわば政府の総一見解でありますけれども、その見解が何ら変わりがないとするならば、朝鮮総連に対して中傷、誹謗などはすべきでないと思う。総理はどういうふうに思うんですか。
#250
○国務大臣(海部俊樹君) 国会において各議員がどのような議論を提起されるかということは基本的に国会の問題であり、国権の最高機関たる国会において国政のあらゆる重要問題について御議論が行われるということは、それは自然なことだと考えております。
 いずれにいたしましても、国内治安の観点から、我が国国内の団体たる朝鮮総連を我が国法令に従ってどのように認識しあるいは対処するかという問題と、我が国を取り巻く国際政治情勢の中で北朝鮮との関係をどうするかという外交政策の問題は、おのずから別個の次元の問題であると受けとめさしていただき、あのような態度を申し上げた次第でございます。
#251
○村沢牧君 日朝間には早急に交渉しなければならない懸案事項があるんです。日朝友好促進議員連盟と朝日友好促進親善協会との間で締結されている日朝漁業暫定合意は十二月三十一日で期限が切れるんです。十一月中には、これは自民党も含めてですけれども、議連の代表が訪朝することになっているけれども、協定の延長や内容も厳しいものがあると聞いているんです。また、第十八富士山丸の問題もあります。こんなときに日朝関係を悪化させるようなことはやってはいけないと思う。そんなことをやる諸君は国益や国民のことを考えておらない人だというふうに思いますけれども、こういう国際的な問題について、総理はどういうふうに思いますか。
#252
○国務大臣(海部俊樹君) 今お触れになりましたので、具体的な二つの問題についてお答えさせていただきますが、第十八富士山丸問題が両国の間にあることは事実でございますけれども、無実の日本人二名が六年近くにわたり家族との面会さえも許されずに抑留されているというのは、人道問題ではないでしょうか。本来、政治的主張のいかんにかかわりなく人道的に早急に解決されるべき問題であると思いますし、また日朝民間漁業暫定合意の延長につきましては、右は基本的に民間の問題ではありますけれども、現在、日朝双方の関係者の間で話し合われているものと承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、これらの人道問題や民間の問題が政治問題と関連づけられるようなことがあってはならないと私は考えております。
#253
○村沢牧君 朝鮮に対する最後は、朝鮮総連を非常な危険な団体であるというような決めつけ方は、今までの政府の答弁は日朝、国際関係からも、国民のためにも私は認めることはできない。この点については後刻、我が党の田議員等を中心にして質問してまいりますので、そのことだけ私は申し上げておきたいというふうに思います。
 そして、その次には、パチンコ問題について私は一点だけお聞きしておきたい。
 パチンコの関係の献金については、自民党を除く党が自主的に調査をし、その結果を公表しておる。自民党並びに自民党議員に対する献金はけた外れに多い。にもかかわらず自民党はこの実態を
明らかにしてない。総理、あなたが清潔な政治だとか政治改革と言うならば、自民党総裁としてみずからの手で調査し、全容を公表すべきだと、幹部の諸君が検討しておるなんということじゃなくて、あなた自身が自民党の幹部に命じてやらせるべきだと思うが、どうですか。
#254
○国務大臣(海部俊樹君) 自民党として執行部がどのように対応すべきかということを、国会の御議論等を通じて今検討をしておると受けとめております。
#255
○村沢牧君 パチンコ問題その他については梶原議員から関連がありますので、よろしくお願いします。
#256
○委員長(林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。梶原敬義君。
#257
○梶原敬義君 私は頭が悪いものですから簡単にしか物は言えませんし、また答弁もわかりやすくひとつお願いをしたいと思います。
 今月二十日の本委員会における自民党議員の質問の中で、兵庫県の三木市パチンコ店営業許可期限切れ問題に関する質問ですね。私、土曜、日曜帰ったんですが、これははっきり、某議員ということを言われておりましたが、もうそれは本人も後で会見したように、我が党の佐藤三吾参議院議員、私も大分ですが彼も大分の出身で、非常に大きな反響なんですね。
 私は、私の兄も普通の警察官をしておりますし、また親戚の子も警察官になっているし、友人も警察官がたくさんおる。親戚や知人のお子さんも警察官になっている人がたくさんおるんですが、そういう人たちのことも頭に浮かべながら、さらにまた、一生懸命現場で頑張っている普通の警察官のことも考えながら、以下質問をしたいと思うんです。
 また同時に、佐藤三吾議員をよく知っている彼の友達やなんかが、佐藤三吾さんごときが質問をして警察庁はこの条例を、圧力によって兵庫県の条例を変えるようなことをするのかよと。そうすると、もっと時の政権の圧力となると警察というのはどんなに動くかわからないじゃないか。こういうようなことがぴんぴん返ってくるんですね。だから、佐藤三吾さんごときがと言うのは失礼だけれども、佐藤さんを非常にそういうことでみんな心配をしているんですよ。私は警察というのは、遠山の金さんやあるいは大岡越前守じゃないけれども、やはり悪をくじき、正義のために最後は味方になるというのが私は警察であると思うんですよね。
 これに対して警察庁長官、兵庫県知事も条例を圧力で変えたなんか言われたら迷惑だと、こう言っているようなことを私も漏れ伝え聞いているんですが、あなたは兵庫県のこの条例改正問題が、佐藤議員やその他何かそういう圧力によって変えられたと、こういうとり方をしているんですか、どうですか。
#258
○政府委員(金澤昭雄君) 警察の行政がいろいろの方の御意見を承って公正に仕事をしていく、これはもう当然のことでございます。
 今回の兵庫県のケースでございますが、端的に申しますと、国会議員の方からの働きかけという事実があったと、これは事実でございます。またもう一方で、兵庫県の方で条例政正が行われまして、その結果業者の救済が結果的に行われたというのも事実でございます。この二つの事実がどう結びつくのか、結びつけるのかということでございますが、私の考えといたしましては、この働きかけが業者救済という条例改正のきっかけ、動機になったというふうに認識をしております。
 ただ、一言申し添えさせていただきますと、この条例の改正の内容そのものは、これは風俗環境の保全、こういった行政上の目的から見まして問題のないものと思っておりますし、またその条例改正の手続におきましても適正な手続であったと、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
#259
○梶原敬義君 ちょっと長官、そこにおってください。
 圧力でやったのかどうか、そこだけ。
#260
○政府委員(金澤昭雄君) 働きかけというふうに私は今申し上げたわけでございます。
#261
○梶原敬義君 それは、圧力と働きかけとこれは違いますからね。ここではっきりしてください。
#262
○政府委員(金澤昭雄君) これは表現と受け取り方、その他一般的な解釈の問題であろうかと思いますが、私どもは、繰り返して今申し上げておりますように、働きかけがあったと、こういうことでございます。
#263
○梶原敬義君 ちょっとこれは質問できません。続けられぬです。圧力と働きかけ、私は圧力があったかないかを聞いているんだよ。働きかけがあった、か。それでは質問を続けられませんよ。
#264
○委員長(林田悠紀夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#265
○委員長(林田悠紀夫君) 速記を起こして。
#266
○梶原敬義君 これは佐藤三吾一議員だけじゃなくて、結局与党の地行の委員長やあるいは小委員会の委員長をひっくるめてだろうと思うんですが、これを一緒に私は考えておりますが、一パチンコ店のために、もう一回聞きます、警察に圧力をかけ、県条例を改正させたということがありましたか。
#267
○政府委員(金澤昭雄君) 先ほどお答えしたとおりでありますが、働きかけがあったという一つの事実と、それから県の条例が改正されたという事実でございます。
#268
○梶原敬義君 これは僕は本当は質問したくないんだけれども、まあ我が党の理事が言っているから質問しますけれどもね。いいですか、圧力と働きかけというのは同じことですか。
#269
○政府委員(金澤昭雄君) これは表現の問題と感じ方の問題であろうかと思います。
#270
○梶原敬義君 それではもう一回聞きますが、警察庁長官、圧力には警察は屈しないけれども、理屈の通る働きかけには応ずることはあると、こういう例ですね。
#271
○政府委員(金澤昭雄君) 先ほどもお答えをしましたとおり、いろんな方の話を承って警察行政を行っていく、これは一つの原則であろうと思います。したがいまして、そのケースと中身、それぞれに従って今の問題は適時適切に処理をされていくものと、こういうふうに考えております。
#272
○梶原敬義君 国家公安委員長にお尋ねします。
 公安委員長、戦前の警察国家を反省して現行警察制度ができたと思うんですね。戦後警察制度改革の根幹というのは一体何ですか。
#273
○国務大臣(渡部恒三君) 私も残念ながら、中学一年のときに終戦を迎えましたから、戦前の警察の実態はよく承知しておりませんけれども、今日の警察は国民に奉仕する立場で、国民の皆さん方の平和で安全な生活を守るために奉仕しておるものと考えております。
#274
○梶原敬義君 公安委員長、もう一度尋ねますが、国家公安委員長ですね、あなたは。あなたの職務、職責というものはどういうことになるんですか、そういうことになると。
#275
○国務大臣(渡部恒三君) 全国二十六万の警察職員の皆さん方が、日夜を分かたず国民の皆さん方の平和な生活を守るために頑張っております。それらの職務を誇りを持って執行できるような条件を守ってあげるために、警察行政を管理する立場であると考えております。
#276
○梶原敬義君 警察法第一条「この法律の目的」、どう書いてありますか。「この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定めることを目的とする。」、こうなっているでしょう。
 だから、ここからいきますと、警察権力というのはどんどん拡大していくんだ。警察権力の逸脱行為をチェックする、管理する、これがやっぱり公安委員会だ。そして、さらに国会ではないのか。これは、今の答弁では全く公安委員長、失格じゃないですか。
#277
○国務大臣(渡部恒三君) 国家公安委員長は国家公安委員会を代表しておりますから、大筋におい
て警察行政の遂行に過ちなきを期するために、その務めを果たさなければならないことは当然のことと存じます。
#278
○梶原敬義君 公安委員長、三木市のパチンコ店の許可期限問題、先ほど警察庁長官の答弁にありましたが、国家公安委員長として、この前は非常に何というかいかがわしい答弁を国民がずっと見ているときにされましたよ、いかがわしい答弁を。もう一度しっかりしてください。
#279
○国務大臣(渡部恒三君) 先ほどの質問にまず補足させていただきます。
#280
○梶原敬義君 もういいです。
#281
○国務大臣(渡部恒三君) いいですか。せっかく今これを読もうと思ったんですけれども。
 この前の委員会での私の答弁は、一般論としてそのようなことはあってはならないことであるとこう考えておるけれども、もし仮にそのようなことがあるとすれば、これは政治に携わる者あるいは行政に携わる者として心せねばならないと、こういう一般論を申し上げたことであって、これは皆さん同感であろうと存じます。
#282
○梶原敬義君 違うんですよ。質問の流れから、もし以降、もしこういうことがあれば、そういうことがあればと、こう言っているんですよ、あなたはね。それは、そういうようなことがあるかどうか、警察とよくチェックをして調べた上であなたは答弁をやっぱりするべきじゃないですか。全国にテレビ放映をやっているときにそんないいかげんな答弁、それがいかがわしいと言うんですよ。――答弁は要りません。
 それで、公安委員長の御意見、三木市のパチンコ店営業許可期限切れ問題に関する先ほどの私の質問に対して長官が答えたことに対して、公安委員長としてはどのように答えますか。
#283
○国務大臣(渡部恒三君) 私は、警察当局を信頼いたしております。
#284
○梶原敬義君 これは少し納得できませんが、また機会を見てやります。
 次に行きます。
 最近、パチンコ店が非常にあっちこっちふえているんです。田舎に帰っても小さな町村にも、今までなかったところに大きなパチンコ屋ができてきらきらきらめいておるんですが、どんどんどんどんふえているんですね。まあ赤坂で私も何回かやったことがありますが、本当に全国目ぼしいところにはパチンコ店がどんどんふえております。私もよく県内を回ってみるんですが、県内のある寂しい町の漁村で、パチンコに凝って漁師が漁船を手放してしまったという話も聞きました。また、別な話ですが、やっぱりパチンコにおやじが凝って家庭が不和になったという話も聞いております。
 パチンコ店の許可の仕組みというか手続、これをちょっと警察庁にお伺いします。
#285
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 パチンコ店の許可の手続ということでございますが、風営適正化法の第三条以下に基本的な規定がございます。風俗営業を営もうとする者、これはパチンコ屋さんもその一つでございますが、その種類に従いまして「営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。」ということが基本的に決められておるわけでございます。
 そうして、その許可の基準は同法の第四条に定められておりまして、その第一番目はいわゆる人的な欠格事由というものが定められておりまして、暴力団などには決して許可をしてはならない、かようなことになっております。第二番目の類型といたしましては、いわゆる構造、設備等の許可基準というのが定められておりまして、一定の構造、設備の許可基準に適合しないものは許可をしてはならないということ。それから、営業所が良好な風俗環境を保全するために特にその設置を制限する必要があるものとして、政令で定めるところの基準に従いまして都道府県の条例に定める地域内にある場合には許可をしてはならないということで、場所的な許可基準というものも定められておるわけでございます。さらにそのほか、特にパチンコ屋営業につきましては、国家公安委員会が定めるところの著しく客の射幸心をそそるおそれがあるような遊技機、そういうおそれのある遊技機の基準に該当するものであった場合には許可をしないことができるということが定められております。
 さらに、第五条におきましては許可の手続等が決められておりますけれども、詳細につきましては附属の総理府令あるいは国家公安委員会規則によりまして定められておるところでございます。
#286
○梶原敬義君 ちょっと事務手続を一緒に説明してください。
#287
○政府委員(森廣英一君) 事務手続と申しますと、具体的には先ほど申しました営業所ごとに所轄の警察署長を通じまして申請、出願をいたします。そういたしまして、それが県警本部を通じましてその都道府県の公安委員会に到達いたしまして、公安委員会でこれを審査し、さらに今の逆の順序で許可が伝達をされて許可証が交付される、かような手続になっておるところでございます。
#288
○梶原敬義君 次に、昨夜のTBSテレビですか、放映を見ておりましたら、パチンコ玉の換金システム合理化の構想についてちょっと報道されておりました。景品卸業者の仕事をやるのではないかと、警察庁がね。この点についてはどのような構想と概要、そしてどういうように具体的にしようとしているのか。
#289
○政府委員(森廣英一君) お答えを申し上げます。
 御指摘の番組、実は私自身見ておりませんので詳細は存じませんが、警察庁といたしましては従来より、暴力団がパチンコ営業者を食い物にするのは大変けしからぬことである、パチンコ営業者に対してその指導を徹底して、暴力団の被害に遭わないようにこれを保護するとともに、パチンコ営業者の方にあっても営業の健全化という見地から団結をして暴力団を排除するように、そのように指導しなさいということを各都道府県警察に指示いたしておるところでございます。それに沿いまして、警視庁におきましては最近パチンコ営業を食い物にするような暴力団の事件を相次いで検挙いたしておりますけれども、そのような事件の教訓にかんがみまして、管内のパチンコ業者の方に呼びかけましてそういった暴力排除の指導をしているというふうに聞いておりまして、恐らくそのことが取り上げられたのではないかと思いますが、詳細はテレビを見ておらないのでそのテレビ自体については答弁は差し控えたいと存じます。
#290
○梶原敬義君 聞きたいのは換金システム合理化構想という一連のそういう構想ですね、それを聞いているんです、どこまでいっているか。
#291
○政府委員(森廣英一君) その構想なるものは別に警察庁あるいは警視庁で公式に構想というものをつくっておるという事実はございませんが、そのようなお言葉から察するに、警視庁におきましてパチンコの業者の方々を集めまして、景品買いの面において暴力団がパチンコ業者を食い物にするような、そういうような景品買いのあり方を是正する面について指導をしているやと思います。
#292
○梶原敬義君 それは換金システム合理化構想、そういう何か一つのプログラムをつくってやるということではない、報道が間違っている、こういうことですね。
#293
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 その言葉自体は私は知りません。ただ、今先生が御指摘になりますものですから、そういった構想に該当するようなことがあるとすれば、今のような指導をしていることに対してマスコミか何かその方面でそういうネーミングをされたかと思います。
#294
○梶原敬義君 それはまた後日調べて質問します。
 同じくTBSで一昨夜の報道を見ますと、全遊協の何か帳簿を警察庁の平沢保安課長のところに持参して調査をしたようなことが報道されておりますが、まずそれが事実かどうか、そしていつといつか、どういう帳簿なのか、何の目的で何に役立てるためにやったのか、それをお伺いします。
#295
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 今のような報道がなされたということで私も聞
いてみたわけでございますが、週刊誌の報道が行われた後に、間もなくのころに、こちらから声をかけたわけではなくて協会の方が自発的に報道された内容を釈明するということでおいでになり、その際帳簿のようなものを見せてくれたということはあるというふうに聞いておりますが、詳細については承知をいたしておりません。
#296
○梶原敬義君 週刊誌の報道があるより前ですか後ですか、帳簿を出したのは。
#297
○政府委員(森廣英一君) 日時を私は確認しておりませんが、係の者から聞いておるところでお答えいたしますけれども、週刊誌の報道があった後においでになったというふうに聞いております。
#298
○梶原敬義君 私が聞いているのは違うんですね。間違っておれば訂正しますが、第一回目が八月三十日、第二回目が九月五日。報道はその後からじゃないの。
#299
○政府委員(森廣英一君) 報道はその前からなされているように思います。八月の中旬からたしかなされておったのではございませんでしょうか。
#300
○梶原敬義君 そこまで知っておられますと、どこの報道かちょっと教えてください、その前にあった報道のされた内容ですね。
#301
○政府委員(森廣英一君) お答えします。
 一番早い報道はたしか週刊文春という週刊誌がされたというふうに記憶をいたしております。
#302
○梶原敬義君 警察法第二条から見まして、どうも皆さんが帳簿を見て、それでどうも圧力をかけて帳簿を持ってきてもらった、二回目のときは持ってきてくれと、こういうことですが、私は少し行き過ぎじゃないかと思っているんです。
 警察法第二条は、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」。二項として、「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」、こうなっているんですが、その点はどうなのか。
#303
○政府委員(森廣英一君) ただいまお読みをいただきました条文は私どもも十分に承知をしてそれを守っておるところでございますが、事実関係におきまして、帳簿を持ってこいというふうなことが当方から言い出されたということではございません。
 それから、自発的に持ってこられて説明されるものを見ること自体が今のお読みいただきました第二条に反するというふうには考えておりません。
#304
○梶原敬義君 帳簿を二回目のときは見たいと、こう言ったんでしょう。だから、それは何のために見て、何の目的で見て、何の役に立ったんですか。
#305
○政府委員(森廣英一君) この団体の性格につきまして若干御説明いたしますと、この団体は中小企業関係法規に基づいて設立された中小企業の団体でございます。したがいまして、この団体の運営全体あるいは財政運営というようなことにつきまして警察がこれを監督しておるものではございません。
 しかしながら、ただいま報道されたようなことに関連いたしまして、団体の職員の方々がみずから積極的に警察にマスコミ報道の事実について釈明したいというふうに申してこられたものをお聞きしたということでございまして、それらは権限を超越してこれに圧力をかけて何かを見たとかというものでもございませんし、またそのように釈明を聞いただけでございまして、さほど深く調査をしたというものではございませんので、それを何に使うというようなことは全く考えておりません。
#306
○梶原敬義君 まあいいです。時間がありませんから次に行きますが、日本レジャーカードシステム株式会社と、きのうもちょっと答弁がありましたがもう一度お聞きします、もう一つは日本ゲームカード株式会社、これの会社概要、あわせて資本金、会社の責任者ですね。
#307
○政府委員(森廣英一君) 会社名日本レジャーカードシステム株式会社、所在地は東京都港区西新橋二丁目二十三番一号でございます。設立の日は昭和六十三年十月四日、発起人は日本電信電話株式会社ほか数社の役員でございます。会社役員といたしましては、代表取締役谷口芳男氏、代表取締役副社長中平和水氏その他でございます。資本金は発行する株式の総数八万株、額面四十億円でございます。
#308
○梶原敬義君 もう一つ、日本ゲームカード。
#309
○政府委員(森廣英一君) 失礼いたしました。いま一点お尋ねの日本ゲームカード株式会社は、本年八月二十四日にプリペイドカードの発行及び販売等を事業目的に設立されたと聞いております。この会社には副社長としてOB一名が就職をいたしております。
#310
○梶原敬義君 NTTがやったんですか、真藤恒さんが発起人でしたんですか。今NTTが発起人と、こう言われたけれども。
#311
○政府委員(森廣英一君) 発起人の一人であります。
#312
○梶原敬義君 NTTは。
#313
○政府委員(森廣英一君) 会社ではなくて、真藤恒氏が発起人の一人でございます。
#314
○梶原敬義君 そのときは間違っておりましたと言って、それから次に行ってもらったらどうかな。
 この二つの会社で警察庁出身者はだれとだれですか。
#315
○政府委員(森廣英一君) お答えします。
 レジャーカード株式会社につきましては、中平和水氏と渡辺宏氏、それから日本ゲームカード株式会社につきましては高田朗雄氏でございます。
#316
○梶原敬義君 その両方に、警察官の組織でつくっております株式会社たいよう共済、これが出資をしているのは、日本レジャーカードシステム株式会社には九%、それから日本ゲームカードには何%出資をしているか、それをお伺いしたいのと、先ほど日本レジャーカードシステムの資本金は四十億と、こう言ったけれども、これは授権資本が四十億じゃないの。払込資本は十億じゃないですか。
#317
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 最初の御質問につきましては、五%でございます。日本ゲームカード株式会社に対しましては五%でございます。
 それから、二番目の点につきましては、授権資本で、御指摘のとおりでございます。
#318
○梶原敬義君 払込資本を聞いておるんです。資本金について。
#319
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 払込資本額につきましては十億円でございます。
#320
○梶原敬義君 普通、資本金を言う場合は、授権資本を言うのじゃなくて、払込資本を言うんでしょう。
#321
○政府委員(森廣英一君) 払込資本が十億で、授権資本が四十億でございます。
#322
○梶原敬義君 普通、会社の資本金が何ぼかといった場合には、授権資本のことは言わないんですよ。払込資本のことを言っておるんです。授権資本のことを言っておるんじゃないんです、きのうから何回も言っていましたけれども。
 株式会社たいよう共済について、資本金と役職名、そして役員の肩書についてあわせて報告をしてください。
#323
○政府委員(森廣英一君) お答えいたします。
 たいよう共済株式会社は、全国警察職員及びその家族を対象といたします団体傷害保険の代理業務を主なる事業として行っておりまして、警察職員、家族の福利厚生に寄与することを目的といたしまして、昭和五十二年の十一月に設立された株式会社でございます。
 会社の設立目的及び事業内容の警察との密接な関連性からいたしまして、この会社は主として退職警察職員をもって事業の運営に当たっております。本社の役員八名は全員、また本社及び各支店
を通じて全社員の四分の三はこの警察職員がこれに当たっておるという会社でございます。ただし、同社はあくまで民間の会社でございますので、警察がこれを特に監督しているものではございません。
#324
○梶原敬義君 この会社の社長は山中さん、常務取締役、ナンバーツーが戸高公徳さん、この人は昭和二十七年、大分県のあの有名な菅生事件、警察官のこの人が、これは後で明らかになったのだが、駐在に一緒にダイナマイトをほうり込んだというような事件です。この菅生事件というのは一体どういう事件ですか、ちょっと説明してください。それにかかわった人がこの常務取締役戸高公徳さん。どういう人ですか。
#325
○政府委員(森廣英一君) 菅生事件という事件につきましては、突然の御質問でございますので、私は内容を承知しておりません。
#326
○梶原敬義君 戸高公徳さんのことを知らないんですか。
#327
○政府委員(森廣英一君) 戸高さん御本人につきましては、若干ながら私も御在職中に面識がございます。
#328
○梶原敬義君 この菅生事件、株式会社たいよう共済の常務の戸高さんという人は大変怖い人ですよ。この「続日本の検察」、野村二郎さん、菅生事件というのを書いているのにこう書いてある。
 「警察の情報収集・工作活動のなかで、最も注目をあびたのは菅生事件である。この事件は、大分県下にあるわずか戸数二〇〇あまりの農村で起こった警察官駐在所の爆破事件だが、事件の渦中にナゾの人物が存在し、その人物が現職警官と判明したため、「おとり捜査」として問題となった。」。
 これは福岡の高等裁判所で明らかになった問題です。そして本人は有罪になった。その後、警察庁にまた再就職みたいな形になったのかどうかわかりませんが、「菅生事件は、こうして警察と検察側が、事実上完敗の形で幕を閉じた。事件をめぐってナゾの人物とされていた戸高は、事件発生後、いったんは警察官を退職していたが、昭和三四年一二月ふたたび警察庁勤務の警部補となった。そのあと警察大学特別捜査幹部研修所助教授となり、さらに警視に昇進し、昭和五二年二月には警察庁人事課長補佐になっている。」、こういう人物、これは間違いないですね、この事実は。
#329
○委員長(林田悠紀夫君) 時間が参りました。
#330
○政府委員(森廣英一君) 私が存じ上げている戸高さんは警察庁の立派な幹部であるということでございまして、ただいまのような記事のことについては、今伺いました。
#331
○梶原敬義君 委員長、最後です。
 私は警察庁と自民党、これがいかに癒着をしているかという資料を今持っているんです、僕はここに。昭和六十一年の参議院選挙にかかわりのある資料です。そして……
#332
○委員長(林田悠紀夫君) 時間が来ましたから、また後にしてください。
#333
○梶原敬義君 全遊連が集めた資金がどこに回っているか、そのことを書いた資料をここに持っているんです。いいですか。このような業界と警察庁が癒着をしているような状況について、これは警察庁はしゃあしゃあと答弁をしているが、このままでは済まされぬのじゃないですか。
 やめます。
#334
○委員長(林田悠紀夫君) 梶原君、時間が来ましたから、これで。
 以上で村沢牧君の質疑は終了いたしました。
    ─────────────
#335
○委員長(林田悠紀夫君) 次に、谷川寛三君の質疑を行います。谷川君。
#336
○谷川寛三君 最初に、総理にお伺いいたします。
 きのうの本委員会で、総理は明春一月ごろ訪欧の御意向があるやのお答えをなさいました。私は、さきの訪米等の成果を踏まえまして、各国の首脳者と会談をなさることは大変意義あることと思っております。
 ところで、最近東欧を初めソ連、中国など東側主要国におきまして、共産党独裁体制の崩壊と自由と民主主義を求める国民の声がほうはいとして高まっているのでありますが、総理はこうした現象をどのように受けとめておられますか、承りたいと思います。
 また、おいでになれば当然話になるわけですが、東欧諸国に対しましてどのような御支援をなさるおつもりか、またそれは日本独自でやるのか、それとも西側諸国と共同して一緒になってやるのか、そういったこともお伺いしておきたいと思います。
#337
○国務大臣(海部俊樹君) 東欧の問題についての御指摘でございますけれども、今、東欧のみならず大きく東西という分け方をしますか、あるいは大ざっぱに社会主義国、自由主義国と分けますか、その大きな枠組みの中で自由と民主主義を求める傾向が非常に強くなってきた。ある国ではペレストロイカと言われ、ある国では自由化と言われ、あるいは改革・開放路線と言われ、社会主義諸国の間における自由化の動きというものは大きなうねりになっておると私は受けとめております。
 ただ、ポーランドという具体的なお名前が出ましたけれども、こういったことに対しては、やはり世界の平和と安定のために日本はみずからの選んだ自由と民主主義と市場経済の体制が間違いなかった、そしてこれだけ豊かで幸せな国になったということからまいりますと、世界の平和と安定のためにできる限りの援助をし応分の協力をするのも、これまた世界に貢献する日本の一つの姿であると、こう考えております。
 二国間でやるのか多国間でやるのかという具体的なことになりますれば、日本も西側陣営の一員としてそれらの諸外国のいろいろな動き等とも歩調を合わせながらでき得る限りのことをしていかなければならない、このように受けとめております。
#338
○谷川寛三君 実現されましたら意義ある外遊になりますように祈っておるわけですが、事務当局へ申し上げます。
 けさの新聞に、ポーランド、ハンガリー等にどういう援助をするんだ、幾らの援助をするんだ、それからどういうやり方でするんだとか、事細かに報道されております。こういうことが出ますと、場合によったら相手方が失望することがあろうし、また余りありがたみがなくなるおそれもありますから、ひとつ御注意を願いたいと思います。これは老婆心まででございます。
 それでは労働省に伺いますが、対外経済摩擦の問題がやかましくなりましてから年久しいのでありますが、一向に鎮静化に向かわない。その主因の一つが、日本の労働時間が長過ぎるということにあるように思います。御案内のとおり、日本の労働時間は欧米に比べまして年間三百時間から五百時間ぐらい長いのであります。経済大国だとかなんとか勇ましいことを言っておりますけれども、最も重要な生活の豊かさの面では何か欠落しておるような感じがするのであります。労働時間が長過ぎますから、内需拡大も重大な影響を受けている。国民の努力とそれから我が党の適切な政策運営でここまで発展した経済発展の成果が国民に十分還元されていない面もあるわけであります。
 去年の五月に閣議決定されました「世界とともに生きる日本 経済運営五カ年計画」ですか、これとかお亡くなりになった前川さんのレポートでも、労働時間は年間千八百時間程度にすべきだという指摘がなされております。統計を見ますと、六十三年度は前年度に比べましてわずか〇・八%ぐらいしか労働時間が減ってないような現状でございますが、これで本当に今の千八百時間が達成できるだろうかどうかと心配ですが、お伺いしたいと思います。
 それからまた、このことは摩擦解消に有効だということで国際的に大変注目されておりますし、閣議了解された言ってみれば国際的な世界に向けた重要な公約であるとも思います。労働省の決意、大臣の決意と、平成元年度これまで政府がとってきた措置とその成果、それからポスト土曜閉庁後にどういう事項を持ってくるのか。年度別、できたら具体的な指針がどうなっているか、承知した
いと思います。
#339
○政府委員(野崎和昭君) 御承知のとおり、我が国の労働時間は高度成長期には一貫して短縮したわけでございますけれども、昭和五十年以降安定成長に移行するにつれて、二千百時間前後で一進一退を続けていたわけでございます。しかしながら、改正労働基準法が施行されました昭和六十三年四月以降労働時間は着実に減少しておりまして、ただいま先生御指摘のとおり、昭和六十三年度は前年度に比しまして二十時間、短縮率にして〇・七%ないし八%の減少となっております。所定内労働時間だけをとってみますと二十六時間の減少でございまして、この減少率というのは高度成長期において最も労働時間短縮が進んだ昭和四十八年度、四十九年度に次ぐ大きな短縮率でございます。
 しかしながら、ただいま御指摘のとおり、政府の経済計画におきましては、昭和六十三年度から平成四年度までの五年間に年間総労働時間を千八百時間程度に向けてできる限り短縮することとされておりまして、この目標に照らしますとまだまだ不十分でございますので、今後さらに一層労働時間短縮に向けて努力する必要があると考えております。
#340
○谷川寛三君 今の御答弁では余り満足できませんが、本論に入らせてもらいます。
 私、きょうはこういう資料を持ってまいりました。サラリーマンの過労死につきまして調査した大変貴重な資料でございます。これは、都内の一流企業で企業戦士として働いているサラリーマンの諸君の現状はどうなっておるか、大手の生命保険会社でございます富国生命がことしの七月から八月にかけまして行った調査結果の報告であります。これは労働大臣、お読みになりましたか。
#341
○国務大臣(福島譲二君) まだ残念ながら拝見をいたしておりませんでした。
#342
○谷川寛三君 大変残念でございます。ぜひ読んでください。
 この調査によりますと、私は大変驚いておるんですが、現在の仕事をハードと感じておる人が四人に三人強、ほぼ全員ですね、苦痛を感じておる。それから風邪を引いて熱があっても会社に行くと答えた人、九一・四%おります。(「大蔵大臣は風邪を引いている」と呼ぶ者あり)大蔵大臣も風邪を引いておられるのにきょうは出ておられるようですが。それから四人のうち三人は仕事のために体を犠牲にしている、こう考えておるようであります。それから労働時間も、これ驚くんですよ、残業は一カ月二十五時間で、休日出勤もしておる、早出もする。中には一カ月の残業時間が五十時間以上という人が一一・四%おります。
 先ほどの政府の目標では、週の総労働時間を四十時間にしようというんですね。これは残業だけで五十時間ですからね。これが一流企業のサラリーマンの現状でございます。これにつきまして労働大臣、どのような御感想でしょうか、お考えでしょうか、ちょっと聞かしてください。
#343
○国務大臣(福島譲二君) お答えを申し上げます。
 ゆとりある潤いのある勤労者生活を送るということは、まさに勤労者の福祉の基本であろうと思っております。そういう意味におきまして、先ほど政府委員からも御答弁申し上げましたけれども、今私どもといたしましては、平成四年度において年間千八百時間までにできるだけ近づけようというあらゆる努力を払おうといたしております。そしてその基本は、いろいろございますけれども、年次有給休暇の完全取得が一つであろうと思います。さらには連続休暇の定着とか、あるいはリフレッシュ休暇の普及とかこういうこともあろうかと思いますし、今また御指摘がありましたいわゆる超過勤務の削減ということもその一つの重要な柱になろうと思っております。
 今御指摘の例によりますと、かなりのまだオーバーワークがあるという御指摘でございまして、労働省といたしましても、一カ月に五十時間を限度とする超過勤務を目指していこうというようなことで、総合的に勤労者の皆様方が余りにも働きバチになり過ぎて今お話しのように過労死というような事態にならないように、精いっぱいこれからも全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 さらに、先ほどの政府委員の答弁に補足申し上げますけれども、平成三年の四月を目標といたしまして、現在週四十六時間体制にございますのを四十四時間にするべく、近々関係審議会にお諮りを申し上げたい。
 今御指摘のように、日本人は少し働き過ぎであるという御指摘に対して、私は働くときにはよく働き、そしてよく休んでいただいて潤いのある人生を送れるように、これからもそういう国民的なコンセンサスを得てできるだけ労働時間の短縮を図ってまいりたいと思っております。
#344
○谷川寛三君 今、過労死という言葉が出ましたのでありますが、最近大変話題になってきました。大臣、ゆうべ私質問の連絡をしたんですが、その前に過労死という言葉を聞いたことがおありだったんですか。
#345
○国務大臣(福島譲二君) この点は聞いたことがございます。
#346
○谷川寛三君 聞いたことがあるということでまあ結構だと思うのでありますが、労働大臣、過労死というのはどういうものだとお考えになっておられますか。また、労働省でこの過労死がこれまで話題になったことがありますか、それからまた実態調査とか統計をとったことがありますか、お伺いいたします。
#347
○政府委員(野崎和昭君) 私どもで実務上過労死というものをどういうふうにとらえているかということをまず御説明申し上げたいと思いますが、脳疾患とか心疾患等の基礎疾病のある方が、長時間労働や仕事上の強度のストレス等の過重負荷によって、その基礎疾病が急激に増悪しまして突然死に至るというものを指すと考えております。
 そういった過労死につきまして労災補償の問題が最近しばしば提起されるようになりまして、従来から認定基準はあったことはあったのでございますが、昭和六十二年に専門家の御意見も聞きまして最近の実態に合わせた新しい認定基準をつくりまして、これに基づいて認定をしているところでございます。六十二年度以降、その新しい基準に基づきまして認定されました件数は、六十二年度が二十一件、六十三年度が二十九件でございます。
#348
○谷川寛三君 私は今まで労働省では過労死という概念を認めてなかったと思っておりましたが、はっきり過労死というあれは認めておるんですね。
#349
○政府委員(野崎和昭君) ただいま申し上げましたような意味におきまして過労死というのを認識しております。それ以外に通常過労死という言葉、一般に非常に広い意味でいろいろ使われておりますが、そういういろいろな意味のあります過労死の中で、私どもの業務の関係でこれを定義する必要があるということで、先ほどのように定義して運用しているところでございます。
#350
○谷川寛三君 過労死というのは、今も話がありましたが、文字どおり働き過ぎたために亡くなるということでございまして、過労自体が目に見えない、自覚症状がないことが多いんですね。ある日突然に亡くなる。それだけに大変重要な社会問題であると私は考えております。
 きょうこういう質問をするつもりになりましたのは、皆様のところでもこういうことが時々起こっていると思いますが、実は私の秘書がことしの一月にぼっこり倒れました。ふだん元気だったんですが。精密検査をいたしましたところ、私は余りこき使っているようには思わぬですけれども、過労による虚血症、これは外務大臣、博士でございますから、どういう病気か知りませんけれども、という診断を下されまして、幸い軽かったのでありましょう。一カ月の入院と三カ月の療養、こういうことを余儀なくされましたが、無事に退院ができて今働いております。
 そこで、今まで労働時間と過労ということにつきましては特別考えたこともなかったんですけれども、大変ショックを受けまして、きょう伺うこ
とにした。かつ今までのあれを調べてみますと、労働省では過労死という概念を認めてなかった。
 これからお聞きをしますが、労災との関係でいろいろ問題が起こっている。今大臣も局長もはっきり過労死を認めておるという、認めるという意味のあれがありましたから、これから私が申し上げますことをよくまたお聞き賜って、これからさらに企業戦士のために十分その御配慮を願いたいと思うのであります。
 働き盛りの二・三人で一人のお年寄りを支えていかなければならぬという事態が目の前に迫っております。そういうときに、今過労死とかさっきから問題にしております労働時間の短縮ということに目をそらしていくと、日本の労働人口はますます減っていく。だから政府も避けて通れないこの問題を直視して、今から実効のある施策をいろいろと考えていかなければ、取り返しのつかぬ事態になるぞという心配を持っておるのであります。これは労働省も同じ考えだろうと思うのであります。
 さらに、さきに申しました調査によりますと、驚くべきことですが、自分は過労死の可能性があると回答している人が半数近くあるんです。そして、部長以上になりますと、過労死の可能性があると答えている人は三人に二人。大変なことでありまして、私はショックを受けました。さっき私、今から実効ある施策を考えていかぬととんでもないことになるということを申しましたが、同感でしょうね。それから、今申しましたショッキングな事態を皆さんどういうふうにおとらえになっておるか承っておきたいと思います。
#351
○国務大臣(福島譲二君) 私どもも今まで働きに働き続けてまいりました。私自身の経験から考えましても、委員今御指摘の御質問のような形における過労死ということが間々これからもあり得るかなと。しかし、まさに一家の大黒柱である、家族を抱えてその生計の主体となっておられる、恐らく今まで働いてこられた勤労者の方々が過労死というような形にならないように、いろんな意味で配慮していかなきゃならない。その一つが先ほど申し上げました労働時間の短縮でありますし、また今労働省といたしましては、この十月から一般健康診断につきましても、先ほどお話がありましたような成人病の増加に対応できるように肝機能の検査とか血中脂質の検査とか心電図の検査とか、こういう新たなる検査を義務づけるところの健康診断項目の充実を図ってきたところでございまして、これからも総体として今御指摘のような事態にならないようなあらゆる施策の展開を図ってまいりたいと考えております。
#352
○谷川寛三君 エリートサラリーマンでも死んだらもうそれで終わり、残ったものは何もないというのでは、これはまことに情けない気がするのであります。今お話がありましたが、人間尊重、人命重視の論理がなきゃいかぬと思うのであります。
 そこで、僕がこれからちょっとお聞きしたいのは、労災の認定の問題です。さっき局長のお話では六十二年に二十一件、六十三年に二十九件とあります。これは申請件数ですね。認定は何件でしょうか、このうち。
#353
○政府委員(野崎和昭君) 先ほど申し上げました二十一件、二十九件というのは認定された件数でございます。
 なお、参考までに、請求のありました件数は、六十二年度が四百九十九件でございます。それから、六十三年度が六百七十六件でございます。
#354
○谷川寛三君 皆さんお聞きのとおり、まことに厳しいんですね。僕は、本来労災は多額の資金を要するものでありますから、それだけにその適用や運用につきましては慎重でなければならぬ、条件も厳しくしてしかるべきものである、こう思っております。
 ただ、労災適用条件が現行のままでいいのか。適用条件とされる長時間労働の証明が会社に頼るしかない。会社の方では余りこき使っておったとかということになってしまうと名誉にかかわるということも考えるんでしょうか、いろいろ隠し事もしますからなかなか証明が困難である。それから、その調べも倒れる前一週間だけしか調べませんね。この一週間というスタンスがこれでいいんだろうか。いろいろ疑問がございます。三百日働きづめできまして、一日休んで、次の日過労で倒れても労災はだめだというようでありますが、これは大変人情味に欠けるのではなかろうかと私は思います。まあ日本独特でございますが、サービス残業があります。それから、よく会社員の方とかお役所の方、家へ持って帰って仕事をされておる。そういう仕事の評価とか証明など、制度と現実に大きなギャップが生ずる可能性が高い一面があることはこれは事実ですね。こうした点を考えてみますと、過労とかストレスそして労災の適用など、もう少し柔軟性を持って取り扱ってもいいのではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。間違っておりますでしょうか。
 それから、疲労が医学的にはっきりしないと立証が難しいと言っておりますけれども、これはストレス社会ではちょっとそう言い切ることは時代錯誤ではなかろうかというふうにも感じるんですが、ひとつ見解を聞かしてください。
#355
○政府委員(野崎和昭君) いわゆる過労死と言われますものは、先ほど申しましたように、心疾患、脳疾患等の基礎疾病をお持ちの方が過労なり強度のストレスが引き金になって突然死されるというケースでございますけれども、その基礎疾病自体は、加齢であるとか私生活上の問題であるとか、いろいろな複雑な要因によって基礎疾病に至っているわけでございます。また、長時間労働とか強度のストレスということが明白な場合はともかく、ストレスといいましても私生活上のストレス等もいろいろございまして、通常の職業病でございますと仕事と疾病との間の因果関係が非常にはっきりしているのでございますけれども、このケースの場合にはその認定が非常に難しゅうございまして、そういった点で、認定に当たっては慎重に行わざるを得ないということでございます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、六十二年十月に従来の認定基準を改正いたしまして、それまでは発病の前日と申しますか、二十四時間以内に通常でない異常な出来事があったというのが認定基準であったのでございますが、それを発病前一週間の期間内に、異常な出来事のほかに日常業務に比較して特に過重な業務に就労したことということも加えまして、これによりまして弾力的に認定を進めようとしているところでございます。
#356
○谷川寛三君 さっきも申しましたように、労災にはお金がたくさんかかりますから運用は慎重にやらなきゃいかぬ、そう思います。
 それから、企業の側も体面ばかり気にしまして必ずしも過労の立証に協力的でないので、そういう点もいろいろ考え直さなきゃいかぬ。結局、残されるのが一家の担い手を失った弱い家族でありまして、あすの生活にも困る場合もあります。これでは非常に経済大国日本という名に恥じると思いますので、六十二年の十月に基準を若干改定されたようではありますけれども、今後ともさらに今申しました弱い家族が涙を流すようなことにならぬような、血も涙もあるひとつ行政をやっていただくように要望をするものであります。そういう意味で私は、政府で企業を指導するとかいうことをいたしまして、労働衛生管理や労働医療管理などにもっと積極的に取り組ませるような指導をしていくことも一つの方法ではないかと思っているんですよ。
 私、聞いた話ですけれども、アメリカでこういう会社も出ておりますが、実例がございます。健康維持設備を社内に設けまして社員の健康管理、教育を充実させました結果、医療保険の支出も減った、欠勤も大幅に減少して、健康管理に投資をした金額の三倍になって戻ってきたという会社の例もございます。したがいまして、今申しましたように、ひとついろいろときめ細かい配慮をお願いしたいのであります。企業とサラリーマンが敵対する、表現は悪いかもしれませんが、というようなことではなくて、共存共栄するような状態に持っていくこともさっきの過労死対策の一つで
はないかと思っております。労働不足の状況になっておりますが、ひとつこの点はこれは真剣にこの際考えていくべき問題だと思っておりますが、総理大臣にもお答えをいただきたいし、それから労働大臣にもひとつお考えを聞かしていただきたいと思います。
#357
○国務大臣(福島譲二君) 先ほど御答弁申し上げましたように、労災補償の認定基準につきましては、六十二年に改正をいたしまして一歩前進をいたしたわけでございますが、今委員御質問の御趣旨にかんがみまして、今後とも専門家の意見を伺った上で適切になお検討を続けてまいりたいと思っております。
#358
○国務大臣(海部俊樹君) 過労死の問題についていろいろな角度からの御質疑を私も聞かせていただきました。労働大臣がただいま答えましたように、過労死の場合の認定基準については、六十二年の改正に従ってできる限り認定していかれるように適切な措置をとる、こういうことでございますが、いずれにしましても、何というんでしょう、死んでしまわれた方に対するいろいろな処置のことは手厚くすればするほどいいんでしょうが、余り明るい心楽しい話題ではないわけです。私はもっと過労死というものに至らないような事前の努力ができるなれば、そういったことに力を注ぐべきだと思いますので、労働時間の問題とか事前の健康指導の問題とかまた労働者の皆さん自身による自主的な健康管理への御努力とか、そういったこと等とも相まって健全な状況が保たれて健康な勤労ができることを心から願っております。
#359
○谷川寛三君 ひとつ今後ともこの過労死の問題、真剣にお取り組みをいただきたいと思います。
 そういうこととも関係をするんですが、ちょっと法務省に伺っておきたい。人手不足ということもありましてね。現在日本に在留しておる外国人は、外交官とか公用在留は除きまして何人ぐらいおりましょうか。
#360
○政府委員(股野景親君) ただいまお尋ねの日本におります外国人でございますが、これは外国人登録の記録から出た数でございまして、その中でただいま委員御指摘のとおり、外交公用等の部門の人を除いた外国人登録者数として法務省で把握しておりますところでは、昨年末現在において九十四万一千五人となっております。
#361
○谷川寛三君 それは合法の人だけですね、実際にどれくらいおるかというのはわからぬわけですな。
#362
○政府委員(股野景親君) 御指摘のとおり、これは外国人登録を正式に行っておる合法的な滞在者の数でございまして、したがって不法残留をしておる者の数はこの中には入っておりません。
#363
○谷川寛三君 その今も申された九十四万何がしのうち、就労資格を持って在留しておる人は何人ぐらいおりますか。また、就労資格の有無にかかわらず仕事をしている人の実態について把握しておるかどうか、お伺いいたします。
#364
○政府委員(股野景親君) ただいま申し上げました約九十四万一千人余の外国人が外国人登録をして滞在をしておるわけでございますが、その中で永住定住者あるいは日本人の配偶者等であって在留活動の制限がなくて、したがって就労ができるという者がまず多くの数ございまして、これが昨年末現在で約七十三万六千人ほどになります。これら以外に、今度は正式に就労が認められている在留資格を持って在留している外国人の数というものになりますと、同じく昨年末で四万三百九十八人、こういう数になっております。
#365
○谷川寛三君 観光ビザで入国しまして不法就労している者の摘発はきちんと行われておりますか、お伺いします。もし不法就労者に対する対応が十分でないといたしますならば法治国家日本として大変おかしいと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになっておるでしょうか。日本という国はうまくやれば観光ビザで入国して滞在期限が過ぎても不法就労で稼げるとなりますと、出稼ぎ単純労働難民や観光ビザ入国による不法就労が後を絶たないということになるのではなかろうかと心配をいたします。
 それから、不法就労者のあっせんブローカーの記事等も時々見受けますが、その実態もわかっておれば知らせてもらいたいし、摘発はどうなっておるか、その状況も御報告ください。
#366
○政府委員(股野景親君) ただいまお尋ねの観光目的で入国してそのまま不法就労している者が大体どのぐらいあるかという数でございますが、これは法務省当局で把握しております出入国統計からの推計になるわけでございますが、現在、本年の六月末時点で推計をいたしますと約十万人を干上回る程度の数の不法就労外国人がおる、この大部分は不法残留という形で就労をしておるということになると思います。そうして、その中で観光目的で日本に入国をしておって不法就労しておるという者は、これもあくまで推計でございますが、およそ八割程度になるのではないかと思います。
 別途、法務省当局で昨年じゅうに法的な手続をとって摘発を行った不法就労の事案、これは全体で一万四千三百十四人、こういう数の人間を摘発いたしましたんですが、その中では観光目的で入国しておった者の比率は非常に高くなっておりまして、その約九八%、大部分の人間が観光目的で入っておったという状況がございました。
#367
○谷川寛三君 そこで、外国人が国内で就労する場合の許可基準はどうなっておるか、お伺いいたします。それからまた、先ほど難民対策に関して同僚議員の御質問がありました。入管の手不足の問題が出ておりましたが、不法就労を取り締まるのに十分な対応ができない原因に法務省の人手不足があるとするならば、法務省に対して積極的予算措置をとるか許可基準を見直すかするしかないのではないかと思うのでございます。現状を放置したままでは、入国したらこっちのもの、不法だろうが何だろうがやり得ということになってしまってまことに残念だと思うのでありますが、どうでしょうか。
#368
○政府委員(股野景親君) 日本における外国人の就労の許可基準という問題になるわけでございますが、まず就労を行います外国人の中で先ほど申し上げましたように定住あるいは永住、こういう外国人については、これは在留資格上の制限がございませんので就労ができるわけでございますので、そういう人たちでなくて、外国から日本に就労を目的として入ってくる人たちが当面お尋ねの問題点になろうかと思います。
 この場合に、就労をするその資格要件は、それぞれ在留資格の中で就労ができる、こういう在留資格を持って来る人たちと、それからそういう在留資格以外に、特に法務大臣の在留許可というものを得て就職をする、そういう者とのおよそ二種類があると考えられます。就労することができる在留資格を持って就労するという者は、例えば大学で教授を行うあるいは貿易投資活動を行う等々の在留資格がございまして、これは入管法上に明記されておるところでございます。それからそのほかにつきましては、これは職務の内容等に基づきまして判断を行い、それが適当であるかどうかというので個別に判断をしてまいる、こういうことになってまいります。
 こういう条件を付して認めておるわけでございますので、単純労働というものについてはこれは認めていかない、しかしそういう要件を満たしたものは認めていく、こういうことでやってまいっておるところでございます。
#369
○谷川寛三君 今お話しのように、単純労働は認めない、技術を持った方だけ認めるというのは、その人たちが帰国した際にその国の役には立つということで理解はできますが、現実を見ますと、喫茶店や建設現場、工場などで単純で危険も伴う職場で働く外国人が大勢目につきます。一方で、充実した仕事もたくさんあるのに大変な労働力不足で人手不足による倒産も最近は目につくようになりました。さらには、この間新聞に出ておりましたが、二千二百人もの南米の日系人を単純労働に不法派遣して一年間で三十四億円もピンはねしたなどという事件も発生しておる現状でございます。こういう現状を見まして、私はもう少し現実
的な対応をすべきではないかと思うのでありますが、御意見をお伺いしたいと思います。
 それから、受け入れ体制の未整備、就労希望者が殺到した場合の数的な制限、それから居留期間の制限、日本経済が今申しましたように非常に環境が変わっているのにその対応がおくれているといったことなど、いろいろ難しい問題はありましょうが、一定の条件をつけて克服すべき問題がたくさんある、検討をこの際すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
#370
○政府委員(股野景親君) まず不法就労の取り締まりについては、これは入管当局の最大の努力を尽くして今後とも事に当たってまいりたいと思っております。そしてまた、それに伴いまして我々の方も体制の整備ということを今後ぜひ心得てまいりたいと思っておるところでございます。
 また単純労働については、これはいろいろ国内で意見も多岐に分かれておりますので、やはり今後とも慎重に検討していく必要があると考えております。
#371
○谷川寛三君 それでは、ちょっと自治省の方にお伺いしたいと思います。
 都道府県、市町村など全国の自治体間で、もう貧富と言っていいんでしょうか、その差が大変最近目につきます。一方で、百億円を超すような立派な庁舎がどんどん建設されておるのが目につきます。これは自治体が大変豊かになっているということを証明している証拠だと思っております。一方で大変私ごとを申して恐縮ですが、我が高知県などは財政窮乏でございます。年間の法人、個人の住民税、事業税全部合わせましても二百七、八十億にしかなりません。国からの公共事業費頼みの側面もございます。そこには歴然とした社会資本の整備のおくれが目立つわけであります。それがまた住みにくさというか不便さとなりまして、人が減り歳入減をもたらすという因果関係になってくるわけでございます。そうなりますと、まさに格差の拡大再生産というわけであります。これを断ち切りませんと、幾ら政府で一極集中排除とか言いましても、それから行財政改革をやりましても、実効は絶対上がりません。
 そこで、従来もそう言われながらなかなか実行されませんが、格差縮小のために、公共事業費の超傾斜的な配分、地方窮乏県へのいろいろな補助率の優遇措置、特に自治省所管財源から何とか格差是正的再配分のことが考えられぬものであろうか。大臣、こういう点を御研究いただけないか、お伺いをしておきたいと思います。
#372
○国務大臣(渡部恒三君) ただいまの谷川委員のお話、私は全く同感であります。地方を歩いておりますけれども、自治大臣室よりはるかに立派な町長室も随分ありますし、一方、過疎地域の貧困にあえいでおる町村も非常に多いわけであります。地方団体間の財政力格差は、まさにおっしゃるとおり地域間の経済力格差に由来するものであり、最近税源の地域的な偏在傾向が再び強まっております。こうした格差を原因にさかのぼって是正する、こういうことが基本でありますが、これはまさに国土政策、産業政策、そのためにこそふるさと創生論が内政の最大課題として取り上げられておるわけであります。
 現実の財政上の問題として地方団体間の財源調整を行う必要があり、従来から地方交付税制度を通じて財政力格差の均てん化に努めてきたところでございますが、さきの税制改革における個人住民税の大幅減税、平成元年度から実施された法人事業税の分割基準の見直し等は、結果として財政力格差の是正に資する効果をもたらしたものと考えております。しかし、まだまだこれは十分でございません。今後とも地方交付税の算定等を通じて財源調整を進めるとともに、財政力の弱い地方団体の財政運営に支障を生じないようできる限り頑張ってまいりたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
#373
○谷川寛三君 四国で申しますと、さきに瀬戸大橋ができました。十年もしますとあと二つもまた大きな橋がかかるわけです。いよいよ島でなくなったわけでありますが、今申しましたように、高速道路等社会資本の整備がおくれておりますから、私はこれは早く今言ったようないろんな施策をしてもらわないと、橋ができたことによってまた四国に南北問題が起こりかねないという心配もしておるところでございます。これはひとつ、今御所見も承りましたが、本当に真剣に超傾斜配分等にお取り組みを願いたいと思います。これは総理大臣、一言。
#374
○国務大臣(渡部恒三君) 総理も大変にこのことを心配しておりますから内政上の重要課題としてふるさと創生を取り上げておるわけでございまして、これは海部内閣のふるさと創生を推進することによって、谷川先生の郷里の高知県の市町村もいずれ二十一世紀には不交付団体になるように、これから各省庁に御協力を願ってできる限り地域繁栄に御協力をさせていただきたいと存じます。
#375
○谷川寛三君 しかと今のお言葉を胸にとめておきます。よろしくお願いします。
 時間がなくなりましたから、最後に厚生省に御質問申し上げます。時間の関係で全部一括してお聞きしますから、よろしくお願いします。
 公的年金は、これは私から申し上げるまでもございません、国民の皆さんの老後の生活のよりどころでございます。社会経済情勢の変化に対応しまして、国民の生活水準、賃金に見合った額を確保していかねばならぬ。にもかかわらず、私、一向に改善が進んでいないように思うんです。早急な改善に向けて一層の御努力を願わなければならぬと思いますが、いかがでしょう。
 それから、今回提出されております改正案を見ますと、幾つかの重要な改正が盛り込まれております。特に、保険料の引き上げそれから支給開始年齢の引き上げにつきましては、どういうわけかいろいろ批判がある。これは国民の合意なしにはできないことであると思います。この点の理解を得るためにいろいろ厚生省でも施策を施されておると思いますが、私はそのためには六十歳代前半の人々の雇用促進策とか周辺整備が絶対不可欠と思うのでありますが、どうでしょう。
 また、多少細部にわたりますが、学生諸君のあれを聞きますと、学生の国民年金は全員強制加入になるようでありますが、その場合、自宅通学者や上京しての下宿生活者など、その世帯によりまして保険料負担に格差が生じるのではないかといろいろ心配しておりますが、いかがでございましょうか。
 結局、究極の公的年金制度としては全公的年金の制度一元化しかないと思うのでありますが、今後一元化をどう進めていくのか、スケジュールにつきましてもこの際明確に承っておきたいと思います。
 以上、ひとつお願いいたします。
#376
○国務大臣(戸井田三郎君) 年金問題について大変御支援をいただくような御発言をいただいて、私ども本当に、提案されてから早く審議をして、国民が期待している方向に解決したいなというふうに毎日毎日心を痛めているとき、委員からのお話で、ちょうど過労死から救われるような気持ちでおるわけであります。
 御承知のとおり、年金というものは、この人生八十年という時代で定年退職してからでも二十年あるという時代に、一人一人の高齢者である年金受給者にも自分自身のいろいろな生活設計があるだろうと思うんです。同じように、国としてもこの高齢化時代にどのようにしてその所得を保障していくかということが非常に大きな問題であることは、委員御指摘のとおりであります。そして、その意味で今度の年金改正というものを提案しているわけでありますが、一つは給付の改善。しかし、給付の改善はいいことでございますけれども、やはり将来にわたって子や孫の時代に大きな負担になっていっては何にもならない、今委員御指摘があったように合意が得られない、そういうふうに考えておるわけであります。
 そういう意味から、もう一つは高齢化社会で急激にお年寄りの数がふえてきておることは御承知のとおりであります。厚生年金で申し上げますと、
今大体七人で一人を扶養している、支えているという状態でありますけれども、このまま三十年間ずっと過ぎていきますというと、七人で一人支えているのが二・一人で一人を支えていく。こういうようなことになってくるというと、やはり給付と負担だけではなくして、その高齢化の水準によってはまたこれ後代の人たちに多くの負担をかけるということになってくるわけであります。そういうことから考えて、今御指摘のありました六十五歳というものが今度の法案に入っているわけでありますが、今委員御指摘のように、これは雇用の問題とも非常に関連するということでございます。
 その雇用の面でも、ちょうど年金の受給に入る時代の五十代の後半からの人たちに御意見を聞いてみるというと、やはり六十歳までで年金の受給者にすぐなりたいと思っている人は本当に少ない。六十四歳ぐらいまででも大体四%ぐらいしかいない。ほとんどの人が、七〇%ぐらいの人たちがやはり働く機会を得たい、将来の生きがいのためにも働きたいと考えておられる方々が多いわけであります。
 そこで、今度の場合には六十五歳を目途にスケジュールを立てております。それは、平成十年から一歳上がって平成二十二年までに六十五歳にしようと。世界の水準も、デンマークであるとかあるいはノルウェーであるとかいう福祉国家ではもう六十七歳になっており、そのほかのところでも六十五歳。アメリカも近く六十七歳にしようということを決めているようでございます。そういうことから考えていくと、私たちは、六十五歳といっても今すぐにやろうというのではなくして二十二年後に六十五歳を目指していこう。その間にも雇用の面でも改善をしていこう。閣議でも六十五歳までの雇用というものをしっかり確保していくように努力することを決めております。
 そして、きょうの新聞を見ますと、労働省の方でも御承知のとおり六十五歳雇用に対する諮問をいたしておるようであります。労働界でもいろんな意見がありますけれども、やはり前向きでこういったものに対処をしようとしていただいておるわけでありますから、多くの人たちの早く改善された年金をもらいたいという期待にこたえていくために、私どもはこの提案されたものをやはり一日も早く審議していただきたい、かように思っている次第であります。よろしくお願いいたします。
#377
○谷川寛三君 ほかにも連絡を申し上げておった省庁がございますが、時間が来たためにこれでやめます。どうも済みませんでした。
#378
○委員長(林田悠紀夫君) 以上で谷川寛三君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明二十六日は、午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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