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1989/11/17 第116回国会 参議院 参議院会議録情報 第116回国会 農林水産委員会 第2号
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1989/11/17 第116回国会 参議院

参議院会議録情報 第116回国会 農林水産委員会 第2号

#1
第116回国会 農林水産委員会 第2号
平成元年十一月十七日(金曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     細谷 昭雄君     谷畑  孝君
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     岩崎 純三君
     鎌田 要人君     野村 五男君
     熊谷大三郎君     陣内 孝雄君
     高橋 清孝君     尾辻 秀久君
     本村 和喜君     清水尭与子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         仲川 幸男君
    理 事
                大塚清次郎君
                北  修二君
                上野 雄文君
                村沢  牧君
                井上 哲夫君
    委 員
                青木 幹雄君
                岩崎 純三君
                尾辻 秀久君
                鎌田 要人君
                清水尭与子君
                陣内 孝雄君
                銭木 貞敏君
                高橋 清孝君
                成瀬 守車君
                野村 五男君
                初村滝一郎君
                一井 淳沿君
                菅野 久光君
                谷畑  孝君
                谷本  巍君
                三上 隆雄君
                猪熊 重二君
                刈田 貞子君
                林  紀子君
                橋本孝一郎君
                喜屋武眞榮君
                横溝 克己君
   国務大臣
       農林水産大臣   鹿野 道彦君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       鶴岡 俊彦君
       農林水産省経済
       局長       塩飽 二郎君
       農林水産省構造
       改善局長     片桐 久雄君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     松山 光治君
       農林水産省畜産
       局長       岩崎 充利君
       農林水産省食品
       流通局長     鷲野  宏君
       農林水産技術会
       議事務局長    西尾 敏彦君
       食糧庁長官    浜口 義曠君
       林野庁長官    甕   滋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡  光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (当面の農林水産行政に関する件)
 (農業政策の拡充強化に関する決議の件)
○森林の保健機能の増進に関する特別措置法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、細谷昭雄君が委員を辞任され、その補欠として谷畑孝君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(仲川幸男君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○刈田貞子君 質問をさせていただきます。
 私は、通告をしてあった順序が少し変わりますけれども、まず畜産局の方から先に伺わせていただきます。
 昨日、同僚の委員の方から、飲用乳の指定団体とメーカーとの本年度の契約時期が大変大幅におくれている問題について御質問がございました。酪肉振興法では四月一日に取引契約を文書化するという昨日のお話のとおりなんですが、私はこの問題について、例年三月に加工乳の価格が決定した後相対でそういう価格が決まっていかなければならないはずのものが、近年長引く傾向にあるという状況も含めまして、特に決着が遅かったことし、なぜそんなふうにおくれたのかという原因のところの方を伺いたいと思います。
#5
○政府委員(岩崎充利君) 生乳取引関係につきましては、指定団体と乳業メーカーとの間での自由な交渉で決まるということでございまして、通常の場合に三月末に決めますものですから、その二カ月前から実質的に交渉に入るという状況でございますが、現実には加工原料乳の乳価が決まる三月に決まりますが、四月以降実質的にじっくりと両当事者間で話をするというようなことの中で決まってくるということで、現在までの平成元年度の状況で見ますと、一部の県を除いて大体ほぼ合意に達しているという状況でございます。
 本年の場合には、決まらない場合にどういう形でやっているかということを見てみますと、現状のままで仮払いという形の中で進んでいるというような状況でございまして、決まらなかったということで特に指定団体側で不利益を受けるというような状況でないというようなこともありまして、そういうことも含めて交渉自身が若干長引いたというようなこともあったのではないかというふうに思っておりますが、ただ私どもは、生乳取引の近代化ということからいきますと、やはり早期交渉妥結、また早期文書化ということが望ましいということで指導しているところでございます。
#6
○刈田貞子君 なぜ近年長引く傾向にあるかという状況の原因についてという質問には少し答弁がずれているようには思いますが、私が思いますのに、まあ団体の言い分と乳業メーカーの言い分とがなかなかかみ合わないという状況のもとに起きている現象だというふうに思うんでございますね。
 ことしの例で話を詰めてみますと、生産団体の方の言い分としては保証乳価も据え置きになっている、あるいはまた飲用乳の消費の伸びがまことに堅調である、いわば乳業メーカーの決算が空前の利益を上げているとか、したがって、用途無指定のいわゆるその他向けの枠ですね、これは外せという要求がことしありましたですね、例年話に上がってくるのですが、その解消というような要求が。
 一方で、メーカーの方の言い分は、保証価格は据え置きになっているが消費税分を含んでおるから実質引き下げじゃないかというような言い分とか、あるいは生産費の値下がり、それから地域間の価格格差、これを解消していかなければいけな
いというような言い分もあって、メーカーの方としてはかなり強硬な姿勢であったというような状況も見聞きしておるわけでございますが、この辺のところの状況判断についてはどのように考えていらっしゃいますか。
#7
○政府委員(岩崎充利君) 確かに生産者関係でいきますと、生産費が年々下がっておることも事実でありまして、価格というのか、売り渡し価格よりも確かに生産費そのものは下がっているという状況であります。
 それから、また他方、メーカーサイドの場合は、いわば飲用牛乳そのものの需要も伸びている、売上高は伸びているということの状況でございますが、ただ、なかなか現実の話としてはコストの方もかかるというような状況のもとで、乳業メーカーサイド、指定団体サイドの両者ともじっくりそういうような面について話し合いをしてきたというのが長引いている原因の一つであろうというふうには思っております。
#8
○刈田貞子君 前年の実績に基づいて仮契約みたいな形で事は進んでいくんだから、さして現場に支障はないというふうには言われておりますようですが、私はやっぱりそこら辺のところは何らかの指導が必要じゃないかなというふうに思っております。
 現実には、好決算だった大手乳業三社というような資料を見ますと、これは六十三年度分を本年三月総決算して六月に発表したものだと思いますが、大手乳業三社の決算内容、雪印が経常利益で八%、明治で一・九、それから森永で二・七。純利益になると雪印が一八・六、明治が一三・七、森永が九・九というふうに、つまり純利益というような形で相殺していきますと大変大きな二けた台の利益を上げている、史上空前と言われるような利益を上げている。こういうことを生産団体の方は見ておりますから、したがいまして、なかなか過酷な条件の中で生産を営む農業者としては非常に納得のいかない部分があるんだろうと、こういうふうに思うんですね。したがって、価格交渉というのが長引いている大きな私は原因じゃないかというふうに思うんです。
 これは、六月二日付といいますと前局長ではもうありませんよね。早期妥結の通達を出されたのは京谷さんですか。――まあ六月二日付の局長通達で、とにかく早く妥結をしなさいと、こういう通達を出しているわけですね。話し合いをして早く解決しなさいという通達を出しておられますですよね。それは御指導なさる立場からいえば早くしてもらいたいということはわかりますけれども、生産者が納得しない価格ではやっぱり落ちない、こういうことがあるわけですが、その辺のところの問題。
 それから、今言ったメーカーは大変な利益を上げているというこの状況と、それからことしは結局平均すると幾らぐらいでキロ落ちたんですか。
#9
○政府委員(岩崎充利君) まずメーカーの問題からちょっと申し上げますと、六十三年度でございますが、営業利益でいきますと、三社計、これは大手三社でございますが、営業利益で二・六%ほどふえているということになっております。それから、経常利益でいきますと五・四ということで、三社の問題からいいますと、営業外の収益がかなり上がったというような形で、総体として利益が上がってきたというような状況になっておるところでございます。
 それで、両当事者間で十分話し合って、早期妥結、早期文書化ということにつきましてはかねてから私どもとしては指導しているところでございまして、本年度につきましてもそういう指導をやってきたということでございます。確かに、生乳取引の近代化ということを図る上からは、やはりただいま申し上げましたように、早期に交渉妥結して早期にその文書化を図っていくというのが適切であるということで対応してきていますし、そういうことで指導してきたというような状況でございます。
 それから、本年度の状況でございますが、先ほど申し上げましたようにまだ妥結というのが、ちょっと離れておりますのが四件ほどございますが、それ以外はおおむね合意に達している。状況を見ますと、大体が据え置きないしは微減というような形の中で合意に達しているというのが本年度の実情でございます。
#10
○刈田貞子君 昨年の段階では百八円から百十円ぐらい、ことし、状況によっては四円ぐらい引き下げを迫られているところがたくさんあるというような話も聞いておりますけれども、平均するとどのくらいになりますか。据え置きないしは微減と言われましたけれども、平均すると幾らぐらいになりますか。
#11
○政府委員(岩崎充利君) 平均したような形で具体的な数字そのものをまだとっているという状況ではございません。ただ、何%程度のという形の中で、据え置き、それから三%未満という状況の中に今まで合意に達したものにつきましては全部入っている、大体そういう状況でございます。
#12
○刈田貞子君 ただ、据え置きないしは微減ですから、生産者にとっては決していい条件では交渉がまとまっていっていなかったというふうに理解をするより仕方がないんじゃないかなというふうに思うんですが、私は、先ほども申し上げましたように、メーカーが大変に大きな収益を上げているという環境の中で、しかも、生乳に対する顕著なニーズが高まりつつありますね。生産者はそこで大変意欲が出てきているわけでありますから、私はやはりそういう生産者及び生産者団体に水をかけるような価格が決定していくということについては大変に遺憾であるというふうに思っています。
 さらには、輸入貿易統計なんかによりますと、六十三年乳製品輸入は史上最高であるというような別のニュースも彼らは持っておりまして、これを生乳換算でいくと三百八十一万トンというような数字を関係者から聞いてきました。そうすると、心境複雑なものがあるわけですね。
 この辺のところも含めて、今後価格の決定に対して、つまり、先ほどは早く交渉の妥結をせいという指導はできる。だけれども、価格決定に関してどの辺のところまで介入できるのか、あるいは指導できるのかというのは微妙なところでございますけれども、どうなんでしょうか。生産者の意欲をそぐというようなことで価格が決定してはならないという場面に立てばどんな指導ができるのか。こんなことも含めてお伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(岩崎充利君) 私どもは、やはり乳価につきましては指定生産者団体と、それから乳業メーカーとの間で自由に交渉して、それで妥結されるということでございます。妥結されました価格につきましては私どもがコメントする立場ではございませんで、やはり両当事者間で自由に交渉された結果でございますので、私どもとしては尊重すべきものだというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、現実に指定団体とそれから乳業メーカーが交渉する際に、指定団体としてやはり全国段階では中央酪農会議なり全農なり全酪連なりございまして、そういう全国的ベースの中でお互いに情報交換し、話し合いをし、そういう形の中で乳業メーカーと対応するというふうなことでございまして、その辺のところは十分全国段階の指導助言をするということとして対応しているところでございます。
#14
○刈田貞子君 私もこういう状況を何年か追ってみていて思うのは、やっぱり生産者団体も情報交換をもっと密にしながら交渉に当たるには、大きな集団としてのやっぱり一つの意思をはっきりとさせて、相手が大きいだけに交渉の場に臨まなければいけないのではないかというようなこと。一応各部道府県段階の単位になっておりますから、非常に難しい場面もあろうかと思いますけれども、今後やはり適正な価格でこれが進められていくことを希望いたします。
 次に、お米の問題に入らせていただきます。
 まず、大臣にお伺いをいたしますが、昨日、後期対策についての決定を自民党の部会においてな
さったということを伺いました。この後期対策を比較的具体的に政策化しておりますのが既に出されておりますところの農政審の報告であろうというふうに思うのでございますが、特にきょう私がお伺いしたいところのお米の問題については、第一小委員会の「米の政策及び米管理の方向」という報告が出ておりますね。これと、それから昨日決定された後期対策とを絡めて大臣はこれを受けてどんな政策を前向きになさるか、まず御決意を伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(鹿野道彦君) 今先生おっしゃいますとおりに、米の管理のあり方につきまして、先般六月に農政審報告をいただいております。
 その報告の中身につきましては、現在米の生産なり流通なり消費というふうなものをめぐる状況が大きく変わってきておるわけでありまして、そういう中で、需要に対応した生産など当面する課題に的確に対処するため、米の需給及び価格の安定を図るという本来の食管制度の基本的な役割を維持しながら、市場原理がより生かされる仕組みとして、というような観点から取りまとめられたものであるわけでございます。
 そのような中で、今後食管制度の基本的な役割というふうなものを踏まえながら、報告の方向に沿って十分検討の上、条件整備を図りながら逐次具体的な施策を展開していくことといたしております。
#16
○刈田貞子君 この農政審報告を見ますと、これは全体の報告でもあるわけですが、特に小委員会報告の中で既に実質面では先取りされているようなものもあるわけですよね。
 例えば自主調整保管とか、あるいは水田農業確立対策による生産調整のいろいろな変化とか、あるいは生産者米価の引き下げをすることによってできてきた環境としての順ざやの拡大とか、あるいは流通改善大綱等に基づいた競争原理の導入なんというのはもう少しずつ動いているわけです。だから他用途利用米の拡大、こんなふうなことは既に先取りをされておると私は思っておりまして、今回のこの小委員会の報告を見て私がやはり大変関心を持つのは、価格形成の場を形成していくということ、これは大変に注目していかなければならない事柄であろうというふうに思うんです。
 今、いみじくも大臣が競争原理の導入という話をなさいましたけれども、これが価格形成の場というのはどういうものを想定して考えればいいのかということをまずお伺いいたします。
#17
○政府委員(浜口義曠君) 農政審の答申でございますが、この農政審の報告におきましては、ただいま先生が御指摘のように現実に動いている、既に先取りをしたものについての言及もございますが、今御指摘のとおり、価格形成の場という言葉をもちまして一つの具体的な提案がなされているわけでございます。
 この価格形成の場でございますけれども、我々の過去の米の歴史から見まして、例えば食管制度ができる前に正米市場といったようなものがあるわけでございますが、特にここで報告におきまして価格形成の場という新しい言葉といいますか、聞きなれない言葉で御提言があったということは、そういったこれまでの過去の市場、マーケットといったようなものにとらわれない一つのものの提言をされているというふうに理解しておるところでございます。
 なお、現実の動きといたしまして、全体の流通量の中で、政府が関与しております流通量の中で六割になんなんとしております自主流通米の市場、自主流通米というのがあるわけでございますが、それについての価格の形成の仕方というものは、全農とその他の全集連、あるいは卸売価格というものの協議会といわれるものの中で行われておりまして、そういったものを踏まえながら価格形成の場、需要の動向や品質評価を価格に的確に反映させるものとして形成をしろ、こういう御提言であります。
 現在私どもそれについて早急にということでございまして、学識経験者の方にお集まりをいただいて、九月から二回ばかり研究会を開きまして、今月末にその検討をさせていただくわけでございます。できれば来年の三月ぐらいまでの間に御提言を賜りたいというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても既に食管制度、昭和十七年からできておりまして、先ほどのような流通の中での経験はございますけれども、過去の正米市場に携わられた方々という御経験のある方々も数少なくなっております。そういう意味で、これから学識経験者の方から価格形成の場というものを具体的に御提言賜ろうというふうに思っているところでございます。
#18
○刈田貞子君 私もいわゆる市場が立つのかなというような単純なものを描いてみたりするんですが、よくわからないものですからいろいろ読んでみると、例えばこんな解説を読みますと私のイメージは違うのかなと思うのは、通信網などを使った取引の場のようなものを消費地に数カ所設ける、いわゆる立ち会いの市場というようなものよりは通信網などを使った取引の場のようなものを消費地に数カ所設ける。具体的には、東京、大阪などを初め数カ所にこうした価格形成の場をつくる、あるいはまた取引はあくまで現物取引、先物はまだ扱わないとか、あるいはまた参加業者は団体、個人ともに限定をしていくとか、取引は月一回ぐらいとかいうふうな細々とした解説をなさるところもあるんですね。
 私はそういうものを見るにつけても、例えば今言った通信網などを使って取引の場をつくっていくというようなことになると先物なんかに走りがちじゃないかなというような思いとか、あるいはまた先ほどから非常に今回のこの後期対策でも強調されておりますところの競争原理の導入というようなことによって、条件いかんによってはかなりの米価の乱高下というようなことが考えられるのかどうなのかとか、あるいはまた既に我が国の米の流通量の三割に迫ると言われている自由米市場などの状況を見ておりますと、投機的な行為にはこの市場が侵されていかないのかどうなのかとか、いろんな心配がございますね。
 そこで、今申し上げたこと等をめぐってさらに具体的にこの価格形成の場というものがもうちょっと見えてこないでしょうか、御説明いただきたいと思います。
#19
○政府委員(浜口義曠君) 先ほどもお答え申し上げましたように、今回提言をされております価格形成の場という内容でございますが、タイトルから「価格形成の場」ということで、市場という言葉を使っておりませんし、そういう意味で、その内容は今後まずお集まりいただいた学識経験者の方々の御提案を待ちたいというふうに思っているところでございます。したがいまして、基本的にはどういうものをやるかというのは、まだ途上でございますので、私からいろいろ申し上げるのはいかがかというふうに思っておりますし、また十分慎重にお話を伺いながら、関係者の皆様方の御意見を聞きながら御提言の内容を詰めていきたいというふうに思っております。
 ただ、今先生が御提案になりました諸点につきまして、現時点で私の方からわかっているというのはおかしいんですけれども、考えられる点というものについて申し上げてみたいと思います。
 一つは、まずどういう方を限定するかというお話がありまして、その前に、現在の情報社会の中でどういう――いろいろなコンピューターとかそういうものが進んでおります。VANといったようなものもありますし、いろいろなものが考えられますので、既存のマーケット等においても情報機器を用いて、結局場というものが抽象的にはありますけれども、具体的にどこどこの取引所というものがないところもあるように思います。ただ、これは御提言の点を見ますと、「一定の資格を有する集荷業者と卸売業者等との間の価格形成」というふうになっておりまして、まずは言うなれば消費市場といいましょうか、消費者とそれから生産者の間を直接に結ぶというのではなくて、やはり産地市場といいますか、産地市場というのは語弊があるかもしれませんが、実際に生産
者の方と卸売の方との場というふうなことが提言をされているわけでございます。そういう意味で、そこのところは一挙に今の通信機器を結びまして消費者と生産者の間に交渉の場を掲げるというものではないというふうに考えております。食管法の中で流通の経路というものを限定しておりまして、特定の規定をしておりますから、おのずとこの場の対象者というのは資格を有する者という形で限定されていくのではないかというふうに思っております。それが一点でございます。
 それから、提言の中に先生御指摘の「作況変動や投機的行為による価格の乱高下を防止する必要があり、」、と、こういう提言があるわけでございまして、これは私の言い方はやや少し独断的に過ぎるかもしれませんが、そういうことから考えますと、言うなれば先物というのはなかなか慎重な御提案ではないかというふうに私は思います。
 ただ、もちろん市場とかマーケットとかといった場合には危険を分散する、ヘッジをする場面ということで、一般的な意味で先物は当然であるというような御意見を、米についてではございませんが、マーケットというようなことから考えますとそういう御提言をなさる方があります。
 参加される方の危険を分散するための必然性のものとして先物があるという御提言がありますが、これは米に結びつけてのお話ではないと思いますし、現在価格形成の場ということで慎重に御提言になっていることについては、御議論を賜っている方に対する枠をはめるという意味ではございませんが、この提言についてはそういう先物というものを予想しておられるような提言ではこの農政審の答申はないんではないかというふうに私は理解をしておりますが、なお現在経験者の方々の自由なる御提言を賜りまして、十分御議論を賜り、また関係者の慎重なる御相談をさした上で行っていきたいというふうに思っているところでございます。
#20
○刈田貞子君 市場原理に価格をゆだねるということでございますので、今言われた作況の話なんかも出ましたけれども、五十九年、六十年でしたか、綱渡り需給の時期のときと、それから今日いささかだぶつきぎみであるという、この今日の状況と、こういう状況の中ではおのずと市場に働く原理というものも違っていくと思うんですね。そういうふうなものが意図的な、恣意もので動かないような歯どめのようなもの、こういうものも私は必要じゃないかと思うんです。しかし、一方で管理価格と言われているこの食管制度下における何とも言えぬ競争性のない米の価格というものに対していら立ちを覚えている人たちもたくさんいるというのも、これまた事実ですね。
 したがいまして、その辺のところをどこに調和を置きながら、この価格形成の場ないしは競争原理というものを生かしていくかというのは非常にこれから大きな課題であると同時に、日本の国民のいわゆる基幹的、基本的食料に当たるところの米でございますので、これは慎重にやはり扱っていかなければならないというふうに私は思います。
 次なる質問は、この価格形成の場を今後進めていくということが、価格形成の場をつくっていくということが生産現場にどんな影響を及ぼしていくのかということをお伺いしたいわけですが、当然高く売れる米を一生懸命つくろうと農民は思うようになるだろう。それから消費者の方は安くておいしい米がというようなニーズも、より市場原理に対してニーズが高まってくるかもしれない。こういうふうなものを通じて、恐らく私はこうした価格形成の場が設けられることが生産現場にかなり大きな影響をもたらすのではないか。もっと汚い言い方をいたしますと、実はそこがねらいなのではないかというような考え方も持つ者の一人でございますが、のことを含めまして価格形成の場を設けるということが生産現場に及ぼす影響、どういうふうに読んでおられますか。
#21
○政府委員(浜口義曠君) 今御指摘のように価格形成の場、先ほど触れましたように生産の方と卸売との関係だということでございますから、生産の場といったような場面にこの価格形成の場の影響があることは当然だと思います。
 この価格形成の場は、先ほど申し上げましたように、現実にあります協議会というものを踏まえての御提案だというふうに我々は思っておりますが、まず前提におきまして、これははっきりと自主流通米についてという限定があるわけでございます。そういう意味におきまして、現在の政府米の直接の、狭義の意味での政府米については別におくといたしまして、自主流通米において既に行われております良質米との関連での、あるいは銘柄米と言った方がいいかもしれませんが、価格の差異ができておりますが、そういったようなものについての反映が行われ、それによって生産の場面に生産農家の方々がそれに対応する行動をなさるだろうというふうに考えておるところでございます。
 ただ、良質米というふうに私も申させていただきましたけれども、一つは、根源的に申し上げますと、消費者の方の需要の対応が良質米ということよりも多様化しているんではないか。それを受けまして、先生のお言葉を引かせていただくと、良質米の話がありましたし、さらに安全で安いというようなことをおっしゃいましたけれども、そういうような、単なる良質米だけではなくて、価格相当に見合ったものというような形で多様な生産というものの要請が価格の中に出てくるんではないかと思います。もちろん、形の上ではよい良質米、銘柄米が高くなるというようなことで表現されますが、私の受けとめ方は、多様なニーズといったようなものがこの価格の中に表現されるんではないか。それを受けまして農家の方々は、ある場合には良質米を、高いといいますか、良質米を生産される。一方では、多量なと言うのは語弊があるかもしれませんが、良質米でない分については的確なる価格で生産をするような生産形態をとられるんではないか。もちろんそれは、繰り返すようでございますが、政府米を除き、自主流通米についてでございます。
#22
○刈田貞子君 非常に論議をしていかなければならない事柄がたくさんあるわけですけれども、時間もたくさんありませんのでちょっとお伺いいたしますのは、そういう中で政府米の位置はどうなっていくのかということが一つですね。
 それからもう一つは、結局のところ、昨日の定で八十三万ヘクタールは据え置きになって、まあまあという形のところにはなったけれども、実は生産現場へは水田の面の規制というようなことではなく、こうした価格の一つのインパクトがある意味で生産者に大きな意味を与えていくというふうに私は思うんですね。それをいいとか悪いとかは私は今言いません。けれども、ういう体制ができ上がってきていることは私は確かではないかなというふうに思うんです。
 先ほど来、乳価の話もお話をいたしましたけれども、やっぱりこれでは稲作はもう合わないというような価格が形成されていくことは私は望まないんですけれども、そういうことも含めてもう一度御答弁いただきたい。
#23
○政府委員(浜口義曠君) 最初に政府米の性格づけの問題がございましたけれども、繰り返すようでございますが、結局食管制度のもおきまして、一方では国民に安定的な供給というものをしていかなきゃいけないという基本的な機能の問題、目的の問題がございます。それと同時に、基本の取り巻く状況がやはりいろいろと変わってまいりまして、現下におきます飽食の時代と言われている中で、繰り返すようでございますが、国民各層の要請が極めて多岐にわたっている、いろいろな方面にわたっているということはこれは戦前と比較して全然違うところでございます。基本を維持しながらそういうような新しい状況に対応していくというところが一番難しいといいますか、それに対応していくにはある程度の市場原理といいますか自由といったようなものが食管制度の基本と相まちまして、かなりこの点はバランスをとっていくことが難しい点でございますけれども、両者を調和しながらやっていくというところでご
ざいます。
 ところで、政府米の性格づけについて農政審議会のこの報告では「年間及び全国を通じた安定供給を確保するために必要な数量を政府が直接買い入れ、保有し、売り渡す必要がある。」という提言があるわけでございます。政府米の持ち越し在庫につきましては、作況の変動等の推移を踏まえまして十分安定的に確保するように考えていかなきゃいけないわけでございまして、食管の基本の安定的確保という意味でこの政府米の役割があるわけでございます。
 この場合一応、備蓄だけということではございませんで、これも現行どおりやっているわけですが、回転備蓄という形でやるわけでございますので、先ほどと重複をいたしますが、政府が買い入れて持ち越し米と新米とをまぜて売る、こういう形をしていくわけでございます。この量は、一応流通研究会以来、当面、主食用の流通量の四割程度を目途にしろということでございますので、その水準を達成していく中で政府米の部分を確保し、食管の基本であります安定確保の中核としていかなければならないというふうに考えているところでございます。
#24
○刈田貞子君 今後また機会を得てこの問題についてはお伺いをさせていただきたいと思います。
 次に御質問を申し上げますのは、一連の流通機構改革の問題でございます。
 昨年から始まった米流通改善措置における卸の新規参入の問題でございますけれども、これが食糧庁の方では十月末までに何らかの状況をつくれというような御指導をなさっているようでございますが、その状況が全く進んでいない、こういうことであるようでございます。この卸の新規参入の問題はなぜ進まないのかなというのが単純な質問なんですが、例えば小売店の新規参入あるいはブランチの導入などのときにほかなりスムーズに進んだわけですね。ところが、これが卸という形になるとなぜ進まないのだろうかということを考えます。
 例えば、既存の卸の人が足を引っ張っているんだとか、あるいはまた基準がなかなか厳しいのだとかというふうなことも聞いてはおりますけれども、十月末までに何とか形をつけようと思っていらした食糧庁の考え方とは裏腹に一向進まないという理由は何でしょうか。
#25
○政府委員(浜口義曠君) 流通改善大綱におきまして、小売の問題とかあるいは卸の売りの問題というふうな形でそれぞれの数の問題であるとか、そういうようなことから両者において差ができていることは事実でございます。
 小売の問題につきましては、一斉更新ということが昨年の六月ありましたので、その際においてかなり大きなキオスク等についても小売の許可がなされたということでございまして、世上この点についてははっきりとした形が出ておりますが、卸の場合におきましては全体で数が少のうございます。これにおきましてはっきりとした姿が出ておりませんが、今先生がおっしゃったことしの十月という点でございますけれども、卸の部分につきましては全国各地のそれぞれの条件にかんがみまして、知事許可のことでもありますが、それぞれの対応がなされておりまして、去年の十一月から卸の新規参入を順次実施することといたしております。ことしの二月に岡山県で実施ということで、その次に挙がってきておりますのは具体的には東京都でございまして、東京都につきましては既に公示をされまして応募者を募られたということで、それに対する審査が行われまして十二月二十日に許可の予定というふうに我々は聞いております。
 全体におきましてのテンポが、そういうふうな形で岡山、東京というのが具体的になっておりまして、これから大消費地であります大阪あるいは愛知といったようなところが日程に上っておりますが、全体に申し上げまして、小売の段階に比べますと数も少ない、新規許可の経験もないといったようなことから差が出ていることは事実でございます。
#26
○刈田貞子君 今お話しのとおりで、岡山で一カ所決定したという話ですね。それで十二月二十日に東京で許可をする予定であると。
 東京の場合でございますけれども、これは資格の基準等も見せていただきましたけれども、定数三という考え方ですね。これはどういう根拠から出てくるのか。例えば手を挙げている人が五者だとして定数が三だということになれば落ちるところも出てくるわけですけれども、これは定数みたいな物の考え方をつくるんですか。
#27
○政府委員(浜口義曠君) 卸の数は全体で、県の全く平均でいきますと大体五から六だというふうに思います。しかしながら、現実のところの各県の数は、例えば東京が十八だと思いますが、例えばほかの方で三つとかそれぞればらつきがございます。
 そういうふうに、現実におきましても地域におきますそれぞれの状況に応じましてばらつきがあることでございますので、先生御指摘のこれから幾つするのかといったようなことについては、一方ではその現存の数といったようなものからやはり規制がなかなか難しいと思いますが、その点につきましては食糧庁としては、卸についての資格条件というものを現行の食管法の施行令で決めてはおりますけれども、新規参入の数とかあるいは適正数というんですか、そういったようなものは一切決めていないわけでございまして、都道府県知事にお任せをしている。ただ、新規参入の際の、新規参入という言葉はあれですけれども、卸の許可を与えるに当たっての基本的な基準といいますか、そういったようなものを定めている、あとは各地域の実情にお任せをしている、こういうことでございます。
#28
○刈田貞子君 それから、先ほどお話が出ておりました今後愛知、神奈川、千葉、それから大阪というふうに漸次こうしたものを許可し決定していくという動きはあるようなんですけれども、例えば今既存の卸の大手があって、そこののれん分けをするような形でしていくというこの新規参入のスタイルですね。これが私は流通改善大綱にうたわれているところの競争原理が働くというところからいくと、筋がちょっと違うんじゃないかなというふうに思うのでございますけれども、こうした考え方ですね。
 それから、東京都が決めておるところの資格基準で、年間販売見込み量が四千精米トン以上、それから小売業者のいわゆる受け手登録予約数が大体七十以上というふうな規模で東京都は決めていらっしゃいますね。これはもちろん今言われたように、地域の適性に合わせた一つ一つの基準なんだろうというふうに思いますが、全国的にそうした基準というものが統一化していかないことの方が、より競争原理が働くのかどうなのか、このことについて。
#29
○政府委員(浜口義曠君) 今先生二点おっしゃいましたが、第一の方ののれん分けといったようなもの、実質上の競争原理というものが働くことに関連いたしまして、形式的にはそうだけれども、実質的にはそうじゃないというようなものではいけないんじゃないかという点は、おっしゃるとおりだと思います。
 そういうものについては、例えば東京都が決めております今回の点を見ますと、第七項のアというのに既存の卸売業者による申請と実質的に同一と認められるものではないことという条件がありまして、それはまさにそこを言っていることではないかというふうに我々は思います。
 それからもう一つ、基準ということは、新しい卸売業者の資格という意味での基準は決めていると先ほど御答弁申し上げましたが、先ほど御指摘のところの年間販売数量の見込み数量四千精米トンあるいは小売業者の買い受け登録数が七十以上というのは、実はこれは食糧庁の食管制度の政令及び規則で決めております。
 そういう意味では、ここでは一つの基準といったものは、ある程度の卸売業者が新規参入であれ、古い方であれ、今後維持していくための必要な最低条件というような意味で、全国的、統一的
に決めさせていただいたわけでございまして、それ以上に条件を絞るといったものがいいのか、あるいはその地域に応じまして緩めるというのはこれは基準でございますから考えられないのでございますけれども、それは地域の実情に応じて実質的な競争原理が働くことになるのかどうかがかかってくるように思いますので、ここのところはやはりこれ以上の全国統一の基準の上にさらに基準をつくることがどうかというふうなことについては一概には断定できないと思います。
 それぞれの地域に応じまして、基準の上に基準をつくることが実質競争原理を導入することになる場合もあるかと思いますが、実例がないものですから、ややあいまいな答弁になりましたけれども。
#30
○刈田貞子君 いずれにいたしましても、これもまた国民の基本的食料であるところの米を一つの商品として扱う業界の話でございますから、やはり適正な御指導をされていかなければならないというふうに私は思います。
 時間があと五分ほどになりましたので大変はしょりますが、いろんな問題を全部整理いたしまして、一つだけ。現在の米の在庫の問題についていろろ心配をしております。古々米も発生しているというような現状にあるわけですが、そこのところを聞いていると時間がございませんので、私はこうした古々米の発生というような現状を思うにつけても、それからまた昨日決定いたしました八十三万ヘクタールで調整を抑えたというような問題も絡めまして、やはりこれから過剰基調が生まれてくるであろう、もっと出てくるだろうというふうに思います。
 そこで、需給均衡化対策をこれまでも計画的に進めてきたわけでございますが、その中で米消費純増対策、それから需要開発米の問題、これがどんなふうに今機能しておるのか、実績はどんなふうに上がってきておるのか。これは大変に鳴り物入りで進めてこられた均衡化対策でもあり、また消費拡大対策でもございますので、この辺のところの実績を御答弁いただきまして、私の質問を終わります。
#31
○政府委員(浜口義曠君) 最後の米需給均衡化対策でございますが、これは今御指摘のように他用途米の用途の拡大といったようなことと相まちまして、それこそ各地域、地域で工夫やら知恵を絞っていただいて行われているわけでございます。
 消費純増策でございますが、六十三年におきます実績は二万八千トンでございます。これは一つは、それこそおかわりもう一杯といったようなところから始まりまして、米の加工食品とか、さらには純米酒の生産、きのうも御質問がございましたけれども、今までのようなアルコール添加の上に全く米だけでつくるというような純米酒のための運動とか、そういったようなものが行われております。
 このほかに需要開発米でございますけれども、価格のいかんによってはさらに需要の開発が伸びるということを前提にいたしまして、実施しております都道府県は極めて限られておりますけれども、六十三年度の実績として四千トンが出ていっております。今後、平成元年度の動きでございますが、現在集計をしておりますが、大体今申し上げました数量と同じ程度のものが実施をされるんではないかと思います。
 もちろんその中ではいろいろと、例えば米飯給食の拡大に地域の米を直接使うといったようなこともございますし、その他先ほど挙げました例で米菓といいますか、米の原料を使いましたお菓子の製品に使うとか、そういった動きが出ておりまして、内容的には大分動きがあろうかと思いますが、量的には平成元年度は前年度と大体ほぼ同じぐらいのところまでいくのではないかというふうに思っております。
#32
○刈田貞子君 終わります。
#33
○林紀子君 私も米の問題を御質問したいんですが、私は米の自由化問題を中心に御質問させていただきます。
 きょうまでガットの非公式閣僚会議が開かれ、昨日は農水省も参加されたわけですが、さらに今月の二十七日、二十八日の農業交渉グループ会合では日本政府としての提案をする予定と言われております。米の自由化を迫るショック提案と言われるアメリカの提案にどういう態度をとるのか、日本政府の提案がどういうものになるのかなどはこれからの我が国の米と農業、食料を守る上で大変重要な意味を持っていると思います。
 そこで第一に、アメリカの提案についてお伺いしたいと思いますが、アメリカの提案では、日本の米などの自由化を要求し、さらに食管制度など各国が実施している価格保証政策の撤廃を求めております。こういう内政干渉の言語道断な要求をきっぱり拒否しなければ、日本の農業も食料も守れないということは明らかだと思います。十月二十五日、二十六日の会議で日本の政府は、アメリカの提案につきましては余りにも急激な変革を目指しており、その実現可能性は疑問であると、こういう趣旨の発言をしたと言われております。また、農水相御自身も十月二十五日の参議院の予算委員会で答弁されていらっしゃいますが、この答弁は、アメリカの強い姿勢をあらわしたもの、アメリカ提案の実現性については問題がある、こういう批判だったと思います。
 ところがECは、アメリカ提案はECの政策を根底から覆すものであり交渉の基礎にはなり得ないものだ、ECは共通農業政策をやめるつもりはないと、大変厳しく批判しております。
 米まで自由化を迫り、国内農業政策の全面的な変更を要求して、日本農業の存立そのものを突き崩すようなこういうアメリカの提案に対して、日本の政府はなぜ毅然として反論しないのかという大変強い批判が起こっておりますけれども、こういう批判にどうおこたえになるのかということを最初にお聞きしたいと思います。
#34
○政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。
 今お話がございましたように、農業交渉グループでの十月の会合でアメリカが包括的な農産物の交渉についての提案を出したわけでございます。その内容は、今お話がございましたように、私どもに非常に徹底した自由化を求めている、国内でそれぞれの国が農業政策をやり、それに見合った国境措置をアメリカも含めて実施しているわけでございますけれども、それを究極的にはほとんど撤廃に持っていくという大変極端な提案をしたわけでございます。この提案の内容自体は、実施に至るプロセスなども明らかにし、これまでのどの国に比べましても非常に詳細で包括的な性格の内容になっておるわけでございます。しかし、その内容自体については、そこに盛られた考え方自体については、従来からアメリカが言ってきたことのいわば延長線の上にある考え方、それを非常に詳細にしたというものでございまして、我々は改めて今回のウルグアイ・ラウンドの農産物交渉にアメリカが大変な意気込みをかけている、強い姿勢で臨んでいるということをこの提案によっても改めてうかがうわけでございます。
 しかし一方、果たしてアメリカの提案が現在の世界の農産物の生産なり貿易の実態からいってどうなんだということになりますと、今お話がございましたように非常に問題のある提案でございます。
 申すまでもなく、農業生産は工業と違う、天候に支配されるとかあるいは土地の条件に支配されるというような特殊性がございます。それからまた、農業生産は国民に対する食料の安全供給、安定供給という大きな役割を持っておりますし、また生産を通じて国土なり環境保全にそれぞれ役割を果たしておるわけでございまして、こういう役割はなかなかほかの機能では代替できにくい機能を農業が果たしているわけでございまして、今のこのアメリカの提案をそのまま各国の農業に当てはめると、我が国はもちろんでございますけれども、世界の相当の国は大変な影響を受けることになりかねないわけでございまして、その結果は、今申したような農業のその国で果たしている役割というものはどこへ行ってしまうんだろうかということになるわけでございます。
 そういう意味では非常に問題のある提案であり、また、そういうものがいかに交渉の中とはいいながら、各国がそれを現実的なものとして受け入れる余地は非常に乏しいのではないかというふうに我々も見ております。そういう考え方については、十月の交渉の場でも日本の代表から反論いたしましたし、先般ワシントンで日米次官級の経済協議があったわけでございますけれども、その際にもこれを取り上げて我が国から批判をしたわけでございます。
 ECの批判についても言及がございましたけれども、私どもは決してアメリカの考え方についてECと違ったような見方をしているわけでございませんで、EC以上にアメリカの提案というものに厳しい見方をしているわけでございます。かつまた、このアメリカの提案は、ことしの四月の中間合意、これはアメリカも含めて合意をした中間合意の内容からいってもそれにそぐわない内容でございまして、そういう認識を持って今後もこれに取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
#35
○林紀子君 確かに反論なさっていると思うんですけれども、今お話のありました日米次官級協議での発言、それからアメリカ農務省筋の発言などを聞いていますと、アメリカ政府側は全く言いたいほうだいのことを言っている、こういう状況じゃないかと思うんです。
 ガットの農業会合に顔を出しておりますカッツ通商代表部次席も、日本の食料安全保障論は米輸入禁止政策を正当化する理論にはなり得ない、米を一〇〇%自給しなくても食料安保は確保できる、こんなふうに言っているというニュースも聞いております。そして、アメリカの提案に対してアメリカ国内でも大変な反発があるということもまたニュースに伝えられておりますけれども、アメリカの上院の農業委員長は、アメリカの農業政策はジュネーブでつくられるのではなくてアメリカの議会でつくられるものである、また、砂糖や酪農製品の輸入制限をあきらめるわけにはいかないという声明を発表しておりますし、また、アメリカ最大の農民組織である全米農業者連盟の会長は、アメリカ提案がそのまま実施されればアメリカの家族農場は崩壊する、大規模生産者や穀物メジャーだけが恩恵を受ける、世界の消費者への食料の供給も不安定になると、こういうふうに批判しております。
 このようにアメリカの議会や農業団体からも強い批判が出され、しかも今お話にありました長い間かけて練り上げてきた四月の中間合意にも真っ向から反対するアメリカ提案が交渉の対象にならないということは明らかじゃないかと思うんです。せめて日本もEC並みに、これは交渉の対象にはならないものだと、これくらいの強い発言というのはしてしかるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#36
○政府委員(塩飽二郎君) 今お話がございましたように、アメリカの提案は、アメリカの国内でもアメリカの農業団体あるいは議会の中から不満、不安の声が起こっていることは我々も認識をし、また、そういうことも言いつつアメリカの提案の非現実性を指摘をしているわけでございます。
 繰り返しませんけれども、非常に問題のある提案であるというふうに見ておりますので、具体的な表現はともかくとして、日本の農業を守る見地に立ってこのアメリカの提案についても的確な反論を加えていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#37
○林紀子君 そういうことでは、大変ECに比べましても日本は弱腰だという印象はぬぐえないわけですけれども、アメリカの方ですけれども、アメリカも酪農製品などの輸入を制限しているわけですが、具体的に例えばバターとか脱脂粉乳、落花生、こういったものはアメリカの消費量に占める輸入量の比率というのがどういうふうになっているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#38
○政府委員(塩飽二郎君) 今お話がございました三品目を含む十四品目につきまして、アメリカは輸入制限措置をやっております。
 これは一応、一九五五年にガットの当時の加盟国の三分の二以上の合意を得てウエーバーという手続をとって、そういう措置をやってもよろしいというガットのいわば許可を受けてやっているわけでございますが、三十年以上たってもなおそういう制限措置をやっていることについては、日本も含めまして非常に問題のある措置であるということをあらゆる機会に言ってきておるわけでございます。
 そういう措置の中でこの三品目があるわけでございますけれども、バターについて申し上げますと、アメリカで約五十一万トンぐらいのバターの消費量がございますが、そのうちアメリカに輸入されているバターは〇・二万トン、つまり二千トンでございますから、アメリカ人が消費しているものの〇・四%しか輸入に頼っていない。それから脱脂粉乳につきましては、アメリカで約三十三万トンの脱脂粉乳の年間消費量がございます。それに対して輸入は〇・一万トン、一千トンである。したがって〇・三%しか輸入の比率がないわけでございます。それから落花生は消費量が百三十万トンぐらいあります。ですが輸入はわずか千トンということで、〇・一%ぐらいしか輸入していないということでございまして、単に輸入制限をやっているだけではなくて、その輸入制限が非常に制限的な運用をされているということが今の数字でわかるわけでございまして、この点も非常に我々としても従来から問題にしている点でございますけれども、そういう実態にあるわけでございます。
#39
○林紀子君 日本の米の輸入実績といいますのは、八七年で三方六千トン、消費量に占める割合が既に〇・三%になっている、こういう資料をいただいておりますけれども、アメリカは盛んに日本の米の輸入禁止政策はけしからぬと言っているわけです。今御説明いただきました実態を見ますと、アメリカこそが酪農製品や落花生の輸入禁止をしているんじゃないかと思います。
 ウエーバーの撤廃というのは確かにアメリカは言っているわけですけれども、さきに紹介したように、アメリカ国内では上院農業委員長はこういう輸入制限をあきらめるわけにはいかないと言っているわけですね。農業交渉におけるアメリカの身勝手さというものについては、この委員会でも先輩の議員の皆さんが随分論議をされているところですけれども、このように自分の輸入禁止状態は棚上げをして日本の米政策を非難する、これはもうアメリカの身勝手さの一番典型的な例だと思うわけです。
 この点についてどう思われるかということと、それからあわせて、先ほど資料をいただきました中で、日本の米の輸入は沖縄の泡盛用の輸入を除けば、米にエビをまぜたり、またイカ飯にしたり、あるいは米の粉に砂糖などをまぶして調製品という形で輸入しています。これは米の輸入制限を逃れる脱法行為だということも言えるんじゃないかと思います。これは日本の企業の悪知恵でやっているということですけれども、円高のもとでこれがどんどん今後ふえるということも考えられますし、十一月の提案では、こういうような可逆性のあるものを輸入規制の対象にすることも検討しているということも聞いておりますけれども、こういうインチキなやり方というのを規制すべきだと思いますが、この辺はいかがでしょうか。
#40
○政府委員(塩飽二郎君) 後の方でおっしゃられました点をお答えしますと、御存じのようにガットでは原則として輸入制限はやってはいけないという原則がございますが、その例外に国内で生産制限、生産調整措置をやっている場合には、国境でも一定の条件を満たせば輸入制限を例外的に認めるという仕組みがございます。その場合、技術的な問題になるわけでございますけれども、国内で生産制限しているその品目と、例外的に輸入を制限している品目との関係について、やや今のガットの規定は品目の競合性といいますか、関連性というものを狭くつかまえているのじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございま
す。
 御存じのように、品目は加工段階を経るに従ってそれに占める原料の割合というのはもちろん低くなるわけでございますけれども、一定の範囲内では原料形態の農産物と非常に近い競合性のあるそういった加工製品もあるわけでございます。そういうものを弾力的に把握しながら、例外的に認められる輸入制限というものが、そういう貿易なり流通の実態というものを十分反映したような制度であるべきだというふうに私どもは考えております。そういう見地から、十一月の交渉グループでの提案でも対応していきたいという考えでおるわけでございます。
#41
○林紀子君 そうしますと、その弾力的運用というものをもっときちんとさせるということなわけですね。
 それでは質問を進めさせていただきますけれども、今月の二十七日、二十八日の会議に日本政府がどういう提案をするのかということをお聞きしたいと思います。
 九月の会議では、日本政府は海外依存度の高い食料輸入国においては基礎的食料に関しては所要の国内生産水準の維持を図ることが必要、まあきのう鹿野農水相もこういう立場で御発言をしていらしたということですけれども、それでは今月の二十七日、二十八日の会議にはこれをどういうような形で具体化したものを提案するのかということを御説明いただきたいと思います。
#42
○政府委員(塩飽二郎君) 九月の農業交渉グループで我が国の基本的な考え方を主張いたしました。それで、昨日も今お話がございましたように鹿野農水大臣から非公式の閣僚会議の場で、この日本の一番重要な農産物についての交渉の考え方を改めて非公式閣僚会合の場で発言をしていただいたわけでございます。
 十一月の二十六、七でございますか、その会合ではこれをさらに詳細な形で提案をしたい。食料安全保障に係る部分だけではなくて、日本の農産物に関するすべての要素を盛り込んだ詳細な提案を出したいということで今調整を進めているわけでございますが、その中で食料安全保障に係る部分については、今お話がございましたように九月の段階で我が国は既に基本的な考え方を明らかにしたわけでございまして、それの肉づけをする必要がございます。これはガットのいわば規律として、ルールとして、あるいは一つの制度として、我々はこの食料安全保障の見地からの基本的な食料の国内生産を維持するために必要な措置を設けるべきであるというのが我が国の主張でございますから、それを肉づけして出す必要がございます。
 それはこれからの政府各省間の調整も残されておりますし、やや細かいことになるわけでございますので、現段階では申し上げにくいわけでございますが、そのエッセンスはもう九月の段階で申し上げたことでございまして、要は日本の米のような基礎的食料については国内生産の水準を維持する。これは米については、何遍も大臣あるいは総理も国会でも御答弁されておりますように、国内自給を基本とするという方針が確立されているわけでございますから、その方針をガットの場で実現するような内容の提案でなくちゃいかぬわけでございますから、そういう内容の提案として肉づけして出すということで今調整を進めておるわけでございます。
#43
○林紀子君 その肉づけのところで、ぜひこれだけはということを確かめておきたいと思うんですが、所要の国内生産水準、それがどういう水準なのかというところが一番の問題じゃないかと思うわけですね。例えば米の生産は約一千万トンですけれども、この所要の国内生産水準を例えば三十万トンとか五十万トン減らして九百七十万トンとか九百五十万トンにすると。そういうことになりますと、アメリカの当面の要求に従ってミニマムアクセスを設定するということになると思うわけです。それで、米を輸入しないということになりましたら所要の水準というのが一〇〇%でなければならないと思うわけですね。提案するルールに所要の生産水準は一〇〇%だということが書き込めるのかどうか、書き込むつもりがあるのかどうか、それをぜひ伺っておきたいと思います。
 それと同時に、これは一部の報道ですけれども、米を麻薬や絶滅寸前の野生動物の輸入規制と同じようにガットの一般的例外、二十条ですか、それで扱うつもりだというような報道もありましたけれども、こういうことも考えているのかどうかということもあわせてお答えいただきたいと思います。
#44
○政府委員(塩飽二郎君) 所要の国内生産水準とか基礎的食料というのは、もちろん日本の場合の基礎的食料には米は当然入るわけでございますが、これはガットの制度としての要求でございますので、それぞれの国で基礎的食料は何ぞやというのはその国の実態から決まってくるわけですし、その国の基礎的食料についての所要の国内生産水準というのはその国のもろもろの条件から決まってくるべきものというふうに考え、そういう一般的な制度として私どもはまず実現を図っていきたいということを主張しているわけでございます。米の場合には、先ほども申し上げましたけれども、今後国内自給するという基本方針でいくということになっているわけでございますから、この国内生産水準というものを基礎的食料である米について適用する場合には当然そういう考え方でいく、そういうことが可能な形で我が国の提案をまとめて提出をしたいということで考えておるわけでございます。
 それから、後段でお触れになりましたガットの二十条との関係では、これは二十条は今お話がございましたように、ガットは貿易をできるだけ自由にしようという考え方で貫かれておりますけれども、そういう考え方だけでは律し切れない、例えば麻薬であるとかあるいは公序良俗に反するようなそういうものは、輸入の禁止なり制限というものはそういう公的な理由から当然できるわけでございます。それを確認したのがガットの二十条でございまして、二十条にするのかどうかというような議論はあり得ると思いますけれども、私どもはそういう既存の特定の条文との関係ということを離れまして、一つの明確なガット上の制度として位置づけられるべきものを我が国の主張として出していきたいということで考えておるわけでございます。
#45
○林紀子君 今お話を伺っていまして、やはりミニマムアクセスとの関係で一部でもというところで入ってくるんじゃないかという心配というのはどうしてもぬぐえない話なんですね。しかも、こういうあいまいな提案に対しても、アメリカは、日本は基礎的食料の自給を考えているらしいが、自給はコストが高くなる、輸出国の輸出制限の禁止や備蓄や農地保全で十分ではないか、こんなふうに反論しているということも報道されておりますし、昨年十月には、当時のヤイター通商代表は基礎的食料を自由化の例外とするといった議論は受け入れられないと全面拒否の態度をあらわしているのが実態だと思います。
 参議院選挙で示された国民の意思は米の自由化は反対だ、これが国民の意思だと思います。部分的輸入も認めないという立場をどうしても貫いていかなければならないと思います。
 ECはウルグアイ・ラウンドの閣僚宣言をつくる際に、ECの共通農業政策、特に輸出補助金の撤廃を宣言に明記するのであればECはウルグアイ・ラウンドには参加しないと主張し、さらに会議のたびに共通農業政策を堅持することを前提に交渉に臨んでおります。せめてこういうECの態度を教訓にして、日本の米政策を交渉の対象にはしない、こういうことを明確にすべきだと思いますが、これは大臣、どうお考えになっているかお答えいただきたいと思います。
#46
○国務大臣(鹿野道彦君) 米の重要性にかんがみ、国内産で自給するというこの考え方を貫いていく、このような中で、ウルグアイ・ラウンドにおきましても私どもの基本的な考え方を出しておるわけでありまして、またさらに詳細に提案をいたす予定でありますが、私どもといたしましてはこの考え方を確保することができるように全力を挙
げて臨んでいく、こういうことであります。
#47
○林紀子君 政府はこれまで米の輸入制限の根拠としてきました国家貿易条項、ガット十七条に関する権利を放棄しました。そして、米の輸入拒否を明確に主張できるわけでもないあいまいな提案を玉砕覚悟で提出しようとしている、こういうことを報道している新聞もございましたけれども、本当にそうではないかと思うわけです。
 参議院選挙で示された国民の強い反発に慌てて、国内向けには自給が基本だとか米の輸入はしない、こういうPRをしているのではないか、こういうふうに考えざるを得ないわけですけれども、昨年九月の参議院の本会議の決議は米の完全自給を求めています。米の自由化反対を明記しているように、米の輸入拒否というのは国是だと思うわけです。しかし、政府はこの決議にもかかわらず、ウルグアイ・ラウンドの協議結果次第では米の輸入自由化もやむなしという態度なんじゃないかと思うわけで、我が党は十月の二十六日に、米をガット協議そのものから除外することを国会が決議するべきだということを要求しまして、決議案文を衆参両院議長に提出いたしました。私はこの決議実現のために奮闘するということも決意いたしまして、発言を終わりたいと思います。
 なお、きょうは食品の安全性の問題につきましてもお話を伺いたいと思いまして、厚生省の関係の方にも来ていただいていたわけですけれども、私の持ち時間あと一分しかございませんので、大変申しわけありませんけれども、次の機会にこのことについては質問させていただきたいと思います。
#48
○井上哲夫君 私は、このたびの参議院選挙で新しく生まれました会派であります連合参議院の所属議員として、そして実は議員も初めての体験でございまして、今から御質問をさせていただきます。
 農政問題についてはまさにずぶの素人でございますが、そのためふなれと知識不足による質問中の御迷惑があるかと思いますが、委員長よろしくお願いを申し上げます。
 まず大臣にお尋ねをいたしますが、大臣は就任以来一貫して、その所信の表明の中で、私が聞きたいのは米づくりに関してでございますが、足腰の強い農業の確立のためには農地の貸し借りをもっと盛んにする、あるいは農作業の受委託をどんどん促進させて、そしていわば大規模化のそういう農業規模にしたい。そのことによって足腰の強い農業ができるんだ。そして、そのためには、必ず大臣の最後の言葉には、新たなる展望を開きたい、あるいは新しいめどをつくりたいんだ、こういう御趣旨の発言がこれまであったと思いますが、これは農用地の増進利用法をもっと積極的に実施をしていこう、こういう心づもりからもそのような御発言になっているんでしょうか。
#49
○国務大臣(鹿野道彦君) 基本的には生産性の向上を図っていく、国民の皆様方に納得のできる価格で食料安定供給をしていくということが大事でございまして、そのような意味において今先生申されたいわゆる農地の貸し借りなりあるいは農作業の受委託と、そして農業構造改善を進めていくことによって、また同時に担い手をしっかりと育成をしていくというふうなことによって、そのようなしっかりとした基盤をつくり上げていく、こういうふうな考え方でありまして、今先生申された私ども基本的な考え方はそのような考え方でございます。
#50
○井上哲夫君 この農用地の利用の増進法でございますか、この法律は昭和五十五年に成案になっているといいますか制定されておるわけでございますが、この法律案が国会で審議されて成案、法律案になったときにどの程度所期の目的を、どういう段階的にめどを見て実現できるかと、こういうふうな点について制定以降の具体的な実績と、そしてもし万が一思うようにはかどらなかったというのであればその点について見解をいただきたいと思うんですが。
#51
○政府委員(鶴岡俊彦君) 先生御案内のとおり、なかなか農地に対する農民の感覚というのは特殊なものがございまして、急速に規模拡大していくということはなかなか率直に言って容易でないわけですけれども、そういう感覚も頭に置きながら、むしろ所有権の移転もさることながら土地を貸し借りあるいは使用対策ですか、そういうことによってできるだけ集積していくというようなことで、農用地利用増進事業を活用しているわけでございます。当時計画的なものはなかったわけでございますけれども、そういう利用のための組織的な運動を進めていくというふうなことで、農地委員会あるいは今年度からは農協をもそういうふうな取り組みができるというようなことで運動的に進めていくと、積極的に進めていきたいというふうに考えて政策を展開しております。
#52
○井上哲夫君 この法律は昨年度ですか、作業の受委託についてもそれをこの法律のもとで積極的に推進すると、こういうふうになったわけでございますが、その場合にはこの一年間で当初の目的というか達成はどのように受けとめてみえるんでしょうか。
#53
○政府委員(鶴岡俊彦君) 数字的な目標というのはなかなか定めがたいわけでございますけれども、実績的には徐々に、所有権移転よりむしろ貸借、農作業受託というような格好で大規模化が進んでいるわけでございます。さらにそれを今年度から、先ほど申しましたように農協もそういう運動といいますか、そういうあっせんができるような格好にいたしておりまして、そういうことを利用しながらそういう所期の規模拡大が進むような対応を進めていきたいというように思っております。
#54
○井上哲夫君 今の問題で米に関して特にお尋ねをいたしたいと思うんですが、こういう役所と農協とそれから農家が一体になって規模の拡大というふうなことに努力を重ねていくんだと。これは大規模になれば米の生産コストがかなり下げられる、したがってその分農家も収入がふえて、そして大臣の言う担い手の育成にもつながるんだと、こういうことになろうかと私なりに理解はしておりますが、今この点で単に漠然と何とかなるだろうという見通しではなくて、例えば具体的にここ三年とか五年の間にはこの強力な推進のもとに、日本の水田の場合ですと例えば何%ぐらいは規模の拡大を図りたいとか、こういう点については今のところどのようなお考えでしょうか。
#55
○政府委員(片桐久雄君) 稲作等の土地利用型農業の規模拡大を進めるためには、地域の実情に応じまして農地の貸し借りとかそれからまた売買、農作業の受委託等を推進してきたわけでございますけれども、最近の農地の権利移動の面積は年々着実に増加しているわけでございます。六十二年には年間約九万ヘクタールというふうになっております。こうした中で近年各地におきまして徐々にではございますけれども、規模の大きな農家とかそれから高能率な生産組織、そういうものが育ちつつございまして、経営規模別の農家数の動きを見ましても、例えば都府圏で三ヘクタール以上層農家は農用地利用増進法制定当時、これは五十五年に制定したんですけれども、九万五千戸ということだったんですが、六十三年には十三万戸というふうに増加をしておりまして、徐々にではございますけれども、規模拡大の動きがあるわけでございます。
 しかしながら、やはり施設園芸等のいわゆる施設型農業に比べますと、土地利用型農業の規模拡大がまだ不十分であるということは確かに御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては前の国会で成立さしていただきました農用地利用増進法等を活用いたしまして規模拡大のためのいろんな施策、特に売買とか貸し借りとかそういうものを今後いろいろ掘り起こして規模拡大を進めるとともに、それからまた農村地域への工業導入、そういうような就業機会を確保することによりまして積極的に規模拡大のための施策を展開していきたいというふうに考えております。
#56
○井上哲夫君 きのう大塚先生も少し触れられたと思うんですが、これはなかなか思うようにはかどらないという面はあると私も理解をしておりま
す。こういう規模の拡大で生産費の切り下げを図ろうという問題のほかに、例えば農作業で作業の過程を省略その他開発して生産コストの低減を図ろう、こういう努力あるいはそういう研究についてお尋ねをしたいと思うんです。
 まず私の、これはごく普通の受けとめ方なんですが、米の消費の拡大のためには今我々国民は少しお米がパンとかその他に比べて高いんではないか、もし米がもう少し安くなればもっと消費の拡大が成るかもしれない、こういう見方も実はあるわけでございますが、米の生産コストの切り下げで、例えばこれは素人判断でございますが、田植えをやめてじかにもみをまく、そのことで苗をつくる育苗といいますか、その過程とさらに移しかえという田植えの過程を一遍に一度でできる、こういう直まきと言うそうでございますが、こういうことについてどの程度今我が国では研究が行われているのか、あるいはどこまで来ているのか、この点のお教えをいただきたいと思います。
#57
○政府委員(西尾敏彦君) 米の低コストに関する試験、研究についてのお尋ねでございますが、低コストに関する試験、研究、何も直まきに限りませんで、私ども省力省資材という目的のもとに、国の研究機関それから公立の県の研究機関が共同して試験研究を実施しております。これまでにも、それぞれの地方におきます直まきの中型体系、大型体系、そういうような機械化作業技術体系を考えてまいっておりまして、労働時間の大幅な減少に尽くしているつもりでおります。
 また最近では、例えば今先生からお話がありましたような直まき、特に湛水直まきといいまして、カルパーという酸素発生剤でございますが、苗に酸素を補給するそういうような資材を使いました湛水直まき技術の開発でございますとか、さらにはまた、コンピューター利用の病害虫の発生予察技術、これをやりますと余分なときに薬をまかなくてもいい、そういう余分な労力が要らなくなるというような研究、さらにはまた、汎用かつ耐久性のあるいろいろなコンバイン、大豆でありますとか麦、それから稲を同時に使えるようなそういうコンバインの開発でありますとか、さらにはまた、同時複数作業を一緒にできる機械、よくありますのは側条施肥と田植えを一緒にする機械、さらにはまたコンバインで稲を収穫しながら同時に麦をまいていく、そういうような同時作業機械の開発、さらにはまた一番大事なのは、病気にかからないような、さらに虫にかからないような稲をつくることでございますので、そういう耐病虫性の品種の開発、そういう研究を進めているところでございます。
 今後とも、バイオテクノロジー、エレクトロニクス、いろいろと新しい先端技術がございますので、そういうものを活用して技術開発とコストダウンの研究に尽くしてまいりたいというふうに考えております。
#58
○井上哲夫君 今お話がありました研究開発の努力の中でも湛水土壌中の直まき、これについてお尋ねをしたいと思います。
 私は、今米が余るおそれがあるということで減反減反と、きのうの新聞によると三カ年はこれ以上の減反はしないということになって、結構なことだと思うんですが、今の減反の中では、本来は米がつくれる田んぼを遊ばせて、そして補償をしておる。そういう状況ならば、そういう遊んでいる田んぼを逆に新しい開発といいますか、助成に何とか利用できないのか、これは素朴な疑問でございますが、湛水土壌中の直まきの方法がいろいろの点で普及できそうであれば、むしろそういう積極的な減反政策にのせることは、お考えはないんでしょうか。
#59
○政府委員(松山光治君) まず、その生産調整との関係でございますが、ちょっと御理解をいただきたいと思っております点は、今の水田農業確立対策といいますのは、単なる需給調整の措置ではございませんで、米の生産は需要に見合うものに抑制いたしますが、そこからはみ出ます要するに余った水田につきましては、できるだけ日本で不足しております、あるいは日本が必要といたしております米以外の作物をつくっていただくという政策でございまして、現に麦、飼料作物、大豆、野菜、あるいは他用途利用米といったような形で、全部とは申しませんけれども、相当大部分のものがそういうもので利用されておるというふうにまず御理解をいただきたいわけでございます。
 今のお尋ねの湛水土壌中直播の問題でございますが、これ今技術会議の事務局長の方から御案内ございましたようなやり方で、育苗を省略いたしますことでかなりの省力化が図られるわけでございますし、かつ育苗の期間をうまく活用いたしますと、労働期間といいましょうか、作期の調整がかなり可能になるわけでございます。幅が広がるわけでございます。そういう意味では相当有望な技術だというふうに思っておりまして、五十五年の実用化以降ある程度全国で取り組まれております。
 ただ、全体的な面積からいたしますと、今のところまだ三千ヘクタールという程度に実はとどまっておるわけでございます。そのゆえんといたしましては、一つにはやはり田植え機を使う場合に比べましていささか農家の方には収量の安定性、その他の点で心配があるのかなという気もいたしますけれども、何と申しましょうか、作業規模その他の点で相当大規模になってまいりますれば相当の省力化を必要とするということになるんですけれども、現在のところはそれほどの必要性がないといいましょうか、そういう農家の受けとめ方が一つあるのかなというふうな感じもいたしておるわけでございます。
 したがいまして、この技術の進展をこれから頭に置きます上では、一層の技術としての安定性をいかに高めていくかという問題と、規模拡大と申しましょうか、生産単位としての拡大の問題をどう考えていくかといったようなことが関係してくるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
#60
○井上哲夫君 実は私は先週、私の出身県は三重県ですが、鈴鹿市の鈴鹿農協主催の農協まつりというのに行ってきました。そうしたら、今の御説明のあった湛水土壌中の直播のカルパーですか、加工された種もみを宣伝しておりましたが、隣で育苗マットの宣伝もしておりました。それでたくさんの農家の人とその担当の職員のやりとりを見ておりましたところ、最後に、こういう長い間田植えというものに縛られた頭の中で思い切った省力化、そして生産コストの低減につながるこういう直まきが、今や非常に研究されて余り心配はないといいますか、あるいはもう英断のときであるという時期に来ておっても、現実の農家はいろんなことで隣の人がやらないならやめておこうとか、あるいは確たる保証もないから万が一失敗したらどうしようとか、そういうことでなかなか思い切りができない、こういうふうなお話を聞いたわけでございます。その点で私から見ると、もっとそれじゃ役所が、国が思い切りをさしたらどうか、そして安い生産費でお米ができれば農家にとってはそれだけ収入が上がる。
 実は、御存じか大臣に特に見てもらいたいと思ってちょっともらってきました。(資料を示す)これが今お話の出た過酸化石灰と石こうでもみを巻いてかぶせてそれをまく、こういうこれはいわゆる背中にしょって散布機でまくやり方やヘリコプターで空からまく。それによって粒の大小があるそうでございますし、その過酸化石灰の含有率もいろいろな工夫をされているようなのでありますが、こういうふうなところまで来たのなら、思い切って重い腰を上げさして、何とか生産費を安くするための踏ん切りをつけさせるというのはちょっとおこがましいわけですが、その辺のことについてはいかがでしょうか。
#61
○政府委員(松山光治君) 私どももできるだけ地域の条件に即して省力化等を進めまして、新しい技術を活用しながら低コストの稲作農業の確立を図っていく、非常に重要な課題だと考えておりますし、そういう意味では開発された技術を農家段階に的確に移していくのは普及事業にとって非常に重要な役割であるというふうに認識をいたして
おるわけでございます。
 問題は、その場合に何と申しましょうか、現実の生産体制との関係でこれをいかに的確に普及に移すかということであろうかと思います。いかによい技術でございましても、作業規模だとかあるいは生産体制がその技術に見合ったものになっておりません場合には、妙な例えでございますけれども、だぶだぶの洋服を着てしまうことにもなりかねない。そういったことを考えますれば、各地域の条件に即してできるだけ能率的な生産を行うための体制をどのように考えていくかということと合わせながら、それに一番ぴったりフィットいたします技術を導入していく、こういうふうな視点が必要なのではないだろうか、このように考えておる次第でございます。
#62
○井上哲夫君 こういう方法をもしとったら従来の田植えの方式に比べてどのぐらいコストが、例えば資金面のコストと労働時間のコストと両方あると思うんですが、安くなるかというか、低くなるか、その辺の具体的なめどに当たるような大まかな数字でもお持ちでございましょうか。
#63
○政府委員(松山光治君) ちょっと今手元にその数字を持っておらぬわけでありますが、私どもの普及事業等の推進に当たりましては、こういった新しい技術を現場におろしていく際には、まず農家の人に目で見ていただくということが非常に重要でございますので、一般的なやり方としては、実証展示圃というようなものをそれぞれの地区に設けまして現場で見ていただきながらこれを進めていく、こういうふうな形でどういう効果があるかというようなことを肌に感じていただいた上で、納得の上で採用していただく、こういう手法をとっておるところでございます。
#64
○井上哲夫君 余りこのことでお尋ねをしていると時間がなくなるので、もう一つこれも素人的な考えなんですが、米の生産の過程で稲刈りをして脱穀をしてもみすりをする。今は稲刈りと脱穀を汎用コンバインというんですか、そういうものができるようになった。しかし、もみすりはまた別の装置でやる。これを一遍に田んぼの中でできてしまうというかやれるような、そういう研究開発の点についてはいかがでしょう。
#65
○政府委員(西尾敏彦君) 田んぼの中で同時にもみずりから精米まで持っていくというような機械の開発は、私今のところ承っておらないんですけれども、もみに持ってまいりましてから先の、つまり圃場でもみまでの段階にしまして、しかもかなりきれいなもみにしたものを持って帰って、その後一気に精米にするというような技術は既にできております。
#66
○井上哲夫君 その点について、先ほど、私農協まつりに行きましたら、国立の大学の先生がそういう開発した機械をその場に置いて実験をしておりまして、できるんだと。従来は水分が多いとその場で脱穀まではいいけれども、もみすりをするとお米が割れるとかいろいろな問題点があった。あるいはうまくもみ殻が取れない。しかし今は、私もよくわからないんですが、インペラー方式とかいうもみすりの構造でかなりの水分があるお米でもできるんだと、わざわざ大学の先生が作業服を着て一般の農民に訴えておった、こういうふうなところを見てきたわけでございます。その点について今後どんどんと研究開発の努力をしていかなきゃ生産コストの低減にはならないと思うんですが、いかがでしょうか。
#67
○政府委員(西尾敏彦君) 大変失礼をいたしました。コンバインにインペラー型のもみすり機を接続しますとその場でいきなりもみずりができる、そういう機械の開発は既に進んでおります。先ほどの発言を訂正いたしたいと思います。
 それから、そうしてできましたもみを早く乾燥いたしまして、それから一気に貯蔵する。しかももう既に、精米にして貯蔵した方がいいんではないかというような、そういう研究成果も出ておりまして、そういう意味の研究開発も私ども進めてまいりたいというふうに思っております。
#68
○井上哲夫君 これは半分はお願いもあるわけですが、生産費のコストを下げるために今言った田植えのところを省略できないかとか、あるいは刈り取りから逆に精米までできれば一番いいわけですが、省略できないか。こういうところで、もしかなりの省力化ができれば、私が見る限り三〇%ぐらいの生産費が低くなるんではないかというふうに思われるわけです。
 こういう点で一番障害になるのは、一つには技術の改良でございますが、もう一つは従前の今までずっとやってきたことをそのままやればいいんだというそういうところから、清水の舞台から飛びおりるといいますか、そういうためには何らかの国の大きな意味で言えば助成というか支援というか、そういうものがないとなかなかできないんではないかと思うんです。これはさきの農地の貸し借りの促進とか、あるいは農作業の受託の集団化による促進とかいうこともやはり意識の面の制約もあったと思うんですが、その点も含めて、特に大臣に最後にお答えをお願いしたいと思うんです。
#69
○国務大臣(鹿野道彦君) やはり今日も自主的にこれからの稲作農業のあり方というふうなことで、それぞれの地域において積極的に取り組んでおる農業者はおられるわけであります。今、先生おっしゃられたとおりに、これからの生産性向上を図っていくというふうな中においてそういうふうないろんなあらゆる手段を講じていくべきであるということに対しましては、まさしく技術導入にも積極的な意欲的な農業者をどう育成していくかというふうな問題が非常に大事なことだと思うんです。
 自主的に取り組んでいくというふうなことでなければなかなか、新しいものに挑んでいかれるわけでありますから、それだけに私どもはやはり研修というふうなことにも相当力を入れていかなきゃならない。単なる国内だけではなしに、国際化の時代を迎えて先進国はどうなっておるのか、途上国はどうなっておるのかというふうな問題についても勉強してもらう、そういうふうなところにもこれから力を入れていかなきゃなりませんし、また、技術開発等の問題につきましても正確なる情報というふうなものがそういう稲作農家の方々に行き渡るようにもしていかなきゃならない、そういうきめの細かい配慮を持ってやっていくことも大事なことではないか、このように考えておるところでございます。
#70
○井上哲夫君 最後に、私の早とちりや勉強不足もありまして、また、お聞き苦しい点もあったと思いますが、中身のある御答弁をいただきましたことをお礼申し上げますとともに、この辺で質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#71
○委員長(仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#72
○委員長(仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#73
○橋本孝一郎君 既に通告申し上げております私の質問事項というのは、もうさきの議員が相当消化されております。したがって、できるだけ重複を避けたい。私の質問はむしろ落ち穂拾いみたいになっちゃうと思うんですけれども、しかし基本的な問題についてはやはりただしていかなければならないと思いますので、そういう立場から質問申し上げたいと思います。そしてまた、私、農水委員会初めてでございまして、農業関係は全く素人でございますので、専門用語等で異なるようなことを言うかもわかりませんが、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
 まず、長期ビジョンの問題についてお尋ねしたいわけでありますが、農水省ではそれを作成されて現在検討中である、こういうことを承っておるわけであります。当然すべての事業といいます
か、産業が一つの中長期展望というものを持って、事業計画に基づいた事業活動が行われていく。農業の場合でも、過去ずっとそういうことが行われてきたと思います。そういう中で多くの問題を抱えながら、そういう経験の上に今度のビジョンというものかつくられたと思うのであります。
 過去の実績というのは減反に次ぐ減反ということで、ほとんどの作物が生産調整あるいは計画生産下にあるという現実から、農政に対する農家の不信というものが非常に強い。それは、その場限りのといいますと失礼ですが、その場しのぎの猫の目のように態度が変わったところにも大きな原因があるんではないかと思うんです。そういう意味では、長期計画というのは非常に大事でありますし、二〇〇〇年に向かっての自給率をどうするのか、そのための具体的な手だてはどうか、あるいはそういったものを遂行する上においてどのような行政上の問題点があるのかということをやはり明らかにしていかなきゃならぬと思うんです。
 政府として二〇〇〇年に向けての長期ビジョンを作成するということでありますが、私が考えますには、策定するに当たっては何といっても日本農業の再活性化ということ、これが一つの大きな柱だと思います。それともう一つは、今まで余り出ておりませんけれども、これだけの問題があります上に、国民の合意をもう少し得るということについてのポイントも必要ではなかろうか。今までのお話を聞いておりましても、いわゆる米離れ、あるいはまた自由化に対しましても農家を中心とする反対の意見やら、あるいはまた逆に言うなら、一般的な人ではやはり外圧に、少し風を当ててやってもいいんではないかという自由化論者もあるわけであります。そういう中で、日本としてのやはり農業の国民合意というものを得ていかないといけないんではないかと思います。
 そういった問題について、こういう前提条件についてどのようにお考えになっておるのかお尋ねしたいと思います。
#74
○政府委員(鶴岡俊彦君) 今、農政審議会の中に小委員会を設けて、そこで御検討願っておるわけでございます。
 私ども長期見通しの視点といたしましては、最近の経済成長でありますとか食生活の動向等、一定の条件のもとで各品目ごとに需要を見通すとともに、生産の見通しを明らかにしていきたいということでございます。
 生産の見通しにつきましては、単なる生産予測とは異なって、今後の技術革新等を織り込んで、作目ごとに品質の改善でありますとか生産性の向上等生産拡大のための諸条件に配慮しつつ、我が国農業の持てる力を発揮した場合に実現可能な姿を意欲的に示したいというふうに考えて論議をお願いしているわけでございます。
 小委員会のメンバーにつきましては、学識経験者の方はもちろんでございますけれども、それ以外に各層の、例えば食品業界あるいは生産者団体、生産者の代表あるいは消費者の代表の方々、また女性の委員の方々、いろいろ各界各層から委員に御就任いただきまして論議をしていただいておるわけでございまして、そういう点でいろんな方面の意見を入れたものになるということを期待しておるわけでございます。
#75
○橋本孝一郎君 いただいておりませんから、新聞で見る限りでございますけれども、この長期見通しというのを拝見いたしますと、まあ物によっては異なるかもわかりませんが、現状もしくは減少が見込まれるような感じがするわけですが、これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、将来農業規模を縮小する政策につながるのではないかというような気がしますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#76
○国務大臣(鹿野道彦君) 我が国の穀物自給率は、先生御案内のとおりに、昭和四十年の六二%から六十二年の三〇%に低下をいたしておるわけでありますが、この間、国内の農業生産額は三倍を上回る拡大を示しておるわけであります。
 特に畜産の生産額というものは四十年の六千六百億円から六十二年の二兆八千六百億円と四・三倍の大幅な発展を遂げておるわけであります。国土資源の限られた中で、我が国におきましては安い価格の輸入飼料穀物を利用することによりまして畜産業が大きく発展いたしまして、国民に対して良質で安い価格の畜産物を供給するとともに、農業生産全体としての拡大に大きく寄与しておるもの、こんなふうに考えておるわけであります。
 今後の国内生産につきましては、飼料穀物は輸入に依存せざるを得ないものの、米は自給をするという考え方、その他の作物につきましても消費者のニーズ、需要の動向に対応いたしまして、生産性向上を進めながら国内生産の維持拡大を図る方向で検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#77
○橋本孝一郎君 次に減反問題について、もう既に出ておりますけれども、これもちょっと聞いておきたいんです。
 水田の減反面積については、もう生産者の間では限界に近いという悲鳴の声が出ておるわけであります。そこで、また今度八十三万ヘクタールということで一応三年間いくわけでありますけれども、こういう減反を進めざるを得なかったというのは、やはり需給バランス、消費量が年々減少しているところに一番大きな原因があったと思うんです。
 政府は、今までのお話で、学校給食とかあるいは新規需要開発、こういった手法でもって消費の拡大に取り組んでいきたいというお答えがあるわけですけれども、八十三万ヘクタールを当分据え置いていった場合の、これは作付け状況によって先はわかりませんけれども、いわゆる保有米はもっと多くなっていくのか少なくなるのか、需要の拡大との関係をどういうふうに考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
#78
○政府委員(浜口義曠君) 今、先生御指摘のように、米の需要が年々減ってきているということにこの問題の最大のポイントがあるわけでございます。したがいまして、減り方をどういうふうに考えていくかということが重要でございます。
 まず最初の御質問の点を簡単に申し上げますと、減り方をここ数年間のことで考えてみました場合には、いわゆる政府の持ち越し数量は、ことしの場合百五十万トンという数字でございますが、百五十万トン程度、少し下回るかなという感じでございますが、それがこの三年間の実施後の状況においてほぼ同じような水準、場合によっては需要の減退がこの五年並みといいますか、あるいは四年並みといったのが適切かもしれませんが、そういう状況であります場合にはむしろ持ち越し数量が少し減るかなというようなことになろうかと思います。
 問題は需要の減退をいかに食いとめるかということでございまして、先生第二の御質問のところは政府としてどういうような対応があるのかということであろうかと思います。これはひとり農林水産省のみならず、学校給食の場合、当然のことでございますが文部省の御努力によっているわけでございますが、私どもといたしましてはやはり需要の拡大というものが一番のポイントではないか。もちろん私どもの食生活というものを戦後の四十年間というものを振り返ってみました場合に、米中心の食生活といったようなものがややそれに洋風化といいますか、畜産的なものが入ってきたということの大きな趨勢があるわけでございますので、米が中心のものから少し拡大しているといいますか、変わってきているということは事実でございますけれども、基本はやはり日本型食生活と言われているようなものでございますので、若い人たちの米離れといったようなものを中心に、なるべくそういう焦点を、ターゲットを置きまして、そういったものを日本型食生活が栄養上も健康上もいいんだということを普及宣伝いたしまして、できる限り米の消費減退を少なくするような努力を積み重ねていかなきゃいけないというふうに思っております。
 学校給食におきましては五十一年から文部省を
中心にやってまいっておりますが、農林水産省といたしましても供給する米の値引き等についての最大限の努力、予算上の二百億を上回るような努力を重ねているわけでございますし、さらにまた自主流通米導入によります――自主流通米といいますか、地域の良質のお米を食べることについても本年から対応しているわけでございまして、米の需要拡大ということは大臣を先頭に最大の努力を傾けていかなきゃいけないというふうに考えているところであります。
#79
○橋本孝一郎君 ちょっと私聞き違ったと思うんですが、この三年の据え置きでいわゆる現在の保有米がもっとふえてくるのかどうかということです、普通の作付状況でいった場合に。それはふえていく、片っ方は毎年十五方トンずつ減退していくと、これ往復になるものですから、その辺をちょっとお聞きしておるんです。これは後の対策にそれが出てくるんですから。
#80
○政府委員(浜口義曠君) 先ほど第一の答えということでお答え申し上げたとおりでございまして、基本的には大体需給の方で、政府の在庫といったような意味では現行の水準であろう、こういうことを申し上げたわけです。
 具体的な数字を申し上げますと、これどういうふうに見込むかということでございますが、ことしの私どもが持っているデータで六十二年の食料需給表によりますと、十五万トン年間減っております。それは先生の御指摘のとおりです。その前の数字でございますが、六十一年の減り方の数量は五万トンなんです。そういうふうに各年によりまして数字の減り方がいろいろなんでございます。最近におきまして、昭和五十年代の後半におきましてはかなり一人当たりの消費量の減退、一人の方でございますが、一%を切るといったような状態がありまして、私どもやはりこれは日本型食生活といったようなものにおきまして米のよさが見直されて下げどまったんじゃないかという期待を持ったわけでございます。その時点におきました場合の全体の食料需給表の数字は、先ほど六十一年を例にとりましたけれども、五万トンだったわけです。そういったように年によっていろいろでございますが、六十二年は十五万トン減ったということでございまして、この数年間の平均をとりました場合に大体十万トン前後かなというふうに思っているわけです。
 それを今後四年間に、十万トン前後かなということを前提に置きまして、先生の、現行の水田の転作面積八十三万ヘクタールを前提に置き、かつ生産量の上がり方を現行のトレンドのとおりだといたしますと、先ほど言いましたようにこの三年を終わったときの時点はほぼ需給に過不足ないといいますか、具体的に申し上げますと、持ち越し数量について本年の数量が大体維持できる水準かなということを申し上げたわけでございます。
#81
○橋本孝一郎君 次に、転作物の問題についてお尋ねしたいと思います。
 現在、転作作物の主流を占めるのは麦と大豆と、こういうことを聞いておりますが、いずれも価格が高くて品質が劣るというような問題があって、加工業者が苦境に立たされているということを聞いておるわけです。パンなんかでも外国産の麦でつくった方がおいしい、日本のはまずいというような、こういった不満が高まっているわけでありますけれども、これにどのようにこたえようとしておるのかお尋ねしたいと思います。
#82
○政府委員(松山光治君) お尋ねございましたように、現在の転作作物の中では麦が約十三万ヘクタール余、大豆が九万ヘクタール程度ということでかなり大きなウエートを占めておるわけでございます。
 私どもといたしましては、地域輪作農法を推進していく上で合理的な輪作体系を構成する必要不可欠な土地利用型の作物であるというふうに考えておりますし、また今申し上げましたような面積の大きさからいたしましても転作推進上非常に重要な地位を占める作物であるというふうに考えておる次第でございます。と同時に、麦、大豆ともに自給率が非常に低い作物でございまして、米をつくったのでは余ってしまう水田を有効に活用して日本農業の供給力を強くしていくという観点からいたしましても重視すべき作物の一つである。現に、麦について申しますと、日本の今麦作面積の約三分の一は転作麦でございます。それから、大豆の約七割が転作大豆でございます。
 ただ、先生から今御指摘がございましたように、この麦にいたしましても大豆にいたしましても、いろんな実需者その他からの御議論があることは私どもも承知をいたしております。共通しておりますのは、どうしてもコストが高くなっているじゃないかという議論でございます。それから、麦の場合は一般的にはパン用に向くというよりも、むしろ日本めん用にという考え方で対応しておるわけでございますが、それにしても品質の安定性なりあるいは品質といったような点から外国産麦と比べてどうかという議論があるのは事実でございます。大豆につきましては、かなり品質的には大粒で良食味だということで国内産の方がむしろ評価が高いという面があるわけでございますが、今申しましたように生産コストの問題があるわけでございます。
 したがいまして、私ども麦、大豆をそういうふうに非常に重要な作物というふうに位置づけました上で、できるだけ作業規模の拡大なりあるいは団地化なりを図りながら生産性の向上を図るというのが一つでございますし、特に麦の場合につきましては、品質問題、これは品種問題もございますし、それから乾燥調製方法から出荷単位に至るまでの、いわばとれたものをいかにうまく売るような形にするかというような工夫も含めまして、そういう努力を相伴いながら適切な振興を図っていきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#83
○橋本孝一郎君 次に、これも出ましたけれども、食管に関係するいわゆる不正規流通米、やみ米ですね。大潟村事件も既に聞いたわけでありますけれども、大潟村に限らずこれは良質米をつくるところはそういう傾向に走っていくというのは、これは一つの成り行きだと思います。大体、最近、いわゆる不正規流通米というやみ米はどのぐらい年間に動いておるのか、そのトン数をお伺いしたいと思います。
#84
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生の御質問は、いわゆるやみ米はどのくらいの量があるかということでございます。
 このやみ米の量でございますが、物事の考え方といたしまして、正規のルートでつかまえられていないものがやみ米なのでございますので、率直に申し上げましてその数量は幾らだということがわからないのがやみ米、こういうことだろうと思います。
 この不正規の流通のものにつきましては、世上いわゆる米の流通関係のプロと言われる人がいろいろな数字を言っておりますが、具体的なその数字が幾らだということはだれもわからないわけであります。私どもの把握の数字は、いろいろな意味での数字のデータから把握をいたしますと、いわゆる数量全体の中で、現在の米が生産をされていきます分は、これは統計という形でつかまえられるわけでございますが、それに反当収量を掛けまして、大体大ざっぱな数字でございますけれども一千万トンという数字があるわけでございます。
 もう少し大きゅうございますけれども、一千万トンと見ていただいていいと思いますが、そのうち管理の数量が大体六百五十万トン、そのほか三百五十万トンというのがまあ大ざっぱな数字でございますが、昨年のような不作の場合等々ありますけれども、いわゆる後に残りました農家の保有といったようなもののうち、三百五十万トンというような数字があるわけでございます。これはもちろん農家が御自身で消費をされて、農家の直接的な生活に役立たれるということの部分がありますし、それから食管制度におきましてきちっと認められております無償の縁故米とか、そういったような問題があります。
 そういったようなものをベースに考えますと、
私どものいわゆる統計の数字といったようなものが先ほど申しましたように一千万トン台というふうに考えますと、農家の保有米の三百五十万トン以内というのが今御質問の数字だろうというふうに考えられるところでございます。
 そういったようなことから考えますと、農家の保有米、三百五十万トンといっておりますけれども、そのうちの縁故米と呼ばれるもののうち、縁故米が大体百二十万トンぐらいじゃないかと私どもは見ているわけでございますが、無償譲渡の六十万トンを見ますと、あとが有償譲渡のものであるかなというふうなことでございまして、もちろん先ほど冒頭俗的な言葉で申し上げましたけれども、この実態はトータルの幾ら幾らだというような統計は一切ございません。俗にいろいろな人が言っておりますけれども、少なくとも生産の部面からそういう米になる可能性のある数字は、以上申し上げた六十万トン前後というようなことではないか。もちろん、それがそのまま俗に言われるやみ米の数字だということを言っているわけじゃございませんけれども、大体そういうものであるかなというふうに思っておる次第であります。
#85
○橋本孝一郎君 非常にわかったようなわからないような、やみからやみで言いにくいかと思うんですけれども、いわゆる計画生産している唯一の米が、しかも農業人口、食べる量、全部計算していけば逆算で出てくるわけですね、これは素人考えかもしれませんけれども。しかし、これがふえていくということはやはり食管の問題とも関係するし、それから、これからのいわゆる試みとして考えられております市場取引の関係との連動も出てまいりまして、これは非常にややこしい問題のような気がするわけです。ふえないことを願うわけですけれども、やはり消費者の方の嗜好とそれから生産者はできるだけ高く売りたいという、これはもう当然商取引としてはマッチするわけですからね。しかも、それが昔のように厳しく取り締まれないとするならば、必ずそこに生きる道が出てくると思います。この問題また後にします。
 もう時間ございませんので、最後にどなたも質問されないような問題を一つだけ申し上げます。年金問題です。
 農業者年金制度の現状を見た場合に、年金資産の六十一年度以降の単年度収支は赤字で推移しておるようであります。このままの状態が続けば、あと六、七年後には年金資産が枯渇する。もうマン・ツー・マンぐらいの負担になってくるというようなことを聞いておりますが、私はこの農業者年金制度を取り巻くこのような厳しい環境は理解できるわけですけれども、日本農業が置かれた現状を見た場合、年金はなおこれからの日本の農業を守っていく上においても、後継者問題等を含め、農業に従事する人をやはり確保する意味からでも年金というのは非常に大事であろうと思います。したがいまして、この際、一定の被用者年金期間の通算措置、特定保険料の適用拡大の整備など、いわゆる新規加入者を増加させる方策をとる必要があると考えますが、今後どう対処していく方針なのか、最後にお尋ねしたいと思います。
#86
○政府委員(片桐久雄君) 農業者年金基金は、農家の老後生活の安定それから農業構造の改善の推進に非常に重要な制度であるというふうに認識いたしております。
 先生御指摘のように、近年農業者の兼業化とか高齢化の進行によりまして加入者が減少するとか、それからまた受給権者が増加するというようなことで、今後年金財政の長期安定を図ることが緊要となっている次第でございます。こうした状況に対応するために、現在本制度の今後のあり方につきまして各方面の意見を聞きながら検討を続けているところでございますが、その結果を踏まえまして次期通常国会に改正法案を提出する予定で現在検討を進めておる次第でございます。
 先生御指摘のような、被用者年金期間の通算措置とか特定保険料の適用拡大、こういう問題につきましても次期制度改正において検討してまいりたいというふうに考えております。
#87
○喜屋武眞榮君 私は農水大臣への質問初めてでございますので、時間の関係もございますので、次のことをまず大臣にお尋ねいたしたいと存じます。
 それは、結論を先に申し上げますと、沖縄の農林水産開発振興についてどのようなお考えを持っておられるかというその結論でありますが、ところがその背景としてぜひ次のことを申し上げて、その御理解の上に立って答弁をして、また実践していただきたい。
 そういう願いを込めて、まず第一点は、戦後四十四年、復帰十八年目、ところが戦後処理もまだ十分なされていない、これが第一点。そこで、沖縄振興開発特別措置法の第二次振も二年後に追っておるわけなんですね。第三点は、我が国における唯一の亜熱帯気候風土の沖縄であり、離島、多島県、海洋県であるということ。四つに、したがいまして、国が金と技術を施すならば、年間常時食料生産の基地として位置づけることができるんだと。したがいまして、そのことは一億二千万国民の食料供給の生産基地と位置づけることができるんだと私はいつも自負しております。第六点は、このような宝の島に米軍基地が実に在日米軍基地の七五%を占めていて、県民の生命、財産、人権の脅威が、日にち毎日攻め立てられておる、脅威に立たされておるという、このことを十分理解していただいて、大臣としてどういう抱負をお持ちか、どうお考えか、まずそのことをお聞きしたい。
#88
○国務大臣(鹿野道彦君) 沖縄県につきましては、今先生申されたとおりに、我が国でただ一つの亜熱帯性気候地帯に位置づけられておるわけでありまして、その特性というものを十分に生かした農業の発展が期待されるんではないか、こういうふうに考えるわけであります。
 そのような考え方に立ちまして、農林水産省といたしましても、第二次沖縄振興開発計画、昭和五十七年から平成三年度まででございますが、に基づきまして農用地並びに農業用水の確保、土地基盤の一層の整備というふうなものに努めるとともに、主要作物でありますサトウキビなどの生産性の向上を図っていく、豊かな太陽エネルギーというふうなものを有効に活用した野菜なりあるいは花卉類の生産の拡大を図っていく、あるいは飼料基盤の整備等による畜産の振興、そういうふうないろいろな施策による農業生産の振興を図りながら、生産性の高い農業の確立を図ることを基本といたしましていろいろな施策を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#89
○喜屋武眞榮君 今、大臣は沖縄の唯一の基幹作目のサトウキビ振興について触れられましたが、実は平成元年産のサトウキビの最低生産者価格等については去る十月二十六日に決定されましたね。過去三年間ダウンでした。そしてことしは去年並みに据え置き、こういうふうになっておりますね。トン当たり二万百九十円、これは生産費を償うにはほど遠いものであることは十分御承知だと思います。そして、沖縄、鹿児島両県のサトウキビ生産農家にとって今回もう一つの大きな関心事でありました品質取引への移行時期の問題でありましたが、それは五年後の平成六年産から導入するものというふうにうたわれておりますね。そうしますと、その円滑な移行へ向けての今後の国、県、農業団体、農業者、糖業者が一体となって取り組むこととするとさらに結ばれております。
 そこで、私が思いますことは、五年後間違いなく円滑に品質取引への移行をするためには、サトウキビの生産性を高めるために基礎条件である生産基盤の整備が不可欠であり、しかも緊急を要する課題であると私は思うわけなんです。国の施策があって初めてこれも可能であるわけなんですが、このことについてお伺いしたいことは、五年間にサトウキビの生産基盤の整備をどの程度まで達成しようとしておられるのか、そしてどのように進めていこうとしておられるのだろうか、その具体的な計画を示してもらいたい。
#90
○政府委員(片桐久雄君) 沖縄における農業基盤の整備状況は本土に比べておくれておりますので、採択基準とか補助率、それから予算配分、これにつきまして特別の優遇措置を講じてきておりまして、特に基幹作物であるサトウキビその他の畑作振興を主たる目的といたしまして、農業用水源の確保とかかんがい排水施設、農道、圃場の整備等に関する各種の事業を実施しているわけでございます。
 平成元年度の基盤整備費は、全国、前年対比で一〇二・〇%でありましたんですが、沖縄県につきましては一〇七・五%、金額にいたしまして三百十五億六千二百万円と重点的な予算の確保を図っているわけでございます。また、国営かんがい排水事業の沖縄本島南部地区の地下ダムの新規全体実施設計の採択、また緊急畑地帯総合整備事業の創設など、近年の沖縄の農業情勢の変化に対応した農業振興施策を講じているところでございます。
 お尋ねの農地の整備率の目標でございますけれども、第三次土地改良長期計画では、最終年度におきまして七〇%の整備率、また第二次沖縄振興開発計画におきましては、平成三年度におきまして例えば圃場整備とか農道整備七〇%、こういう整備目標を掲げておりますけれども、このような計画に定められました整備目標を踏まえまして、今後とも沖縄県におきます農業基盤整備事業を積極的に推進してまいりたいというふうに考えております。
#91
○喜屋武眞榮君 分析して、これから緒につこうとしておる計画、計画を進められつつあるもの、そして終わろうとしておるもの、こういろいろあるわけですが、六十三年までに約三千億投入されておると私は理解しております。ところで、六十三年までに圃場整備率を申し上げますと二九・五%なんですね。全国平均は四三・一%になっておりますね。この事実はこれはもう何よりの真実、隠すわけにはいかぬです。
 私が申し上げたいことは、全国水準からの立ちおくれを早急に解消していくためには現在の優遇措置では不十分であるということなんです。沖縄の特殊条件に配慮した優遇措置を講じていくべきであると考えるが、大臣いかがでしょう、その見解は。
#92
○国務大臣(鹿野道彦君) 先ほど申し上げましたとおりに、私どもといたしましては、沖縄振興開発計画に基づきましてこれからも着実に基盤整備が進められるよう全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
#93
○喜屋武眞榮君 私が率直に申し上げたいことは、お心がけと申しますか、お言葉と申しますか、それはいつの場合でも同情、申しわけないという言葉はもううるさいほどはね返ってきます。私は、事実は何よりの真実だというんです。幾ら言葉を並べたって、文章を並べたって事実が前進しなければ意味がないということなんです。それほど沖縄の問題は深刻であるということなんです。しかも、それが戦争の犠牲、国の犠牲、もっと率直に言わしてもらえば差別、そういうところまでしみ込んでおるということを十分知っていただきたい。このことを強く申し上げて次に移ります。
 次に、特に沖縄の畜産の面で、これも歴代の大臣も、また関係者も非常に沖縄は畜産も有望である、いろいろな条件があるわけですが、そしてマイナス要因もないわけではありませんが、その中で特に肉用牛の飼養推進、このことを政府も強調しておられますし、また私たちもそう思っております。かつて神戸牛の温床は沖縄牛であったことも御承知かと思うんですが、それほど畜産は、特に肉用牛ですね。
 ところで、これも戦争の犠牲とも、ハンディがありまして、五十九年では四万三千七百五十二頭、六十二年では三万九千四百四十三頭、こういうふうに、ある時期はアップしましたがだんだんダウンしつつある中で、平成三年の牛肉輸入の自由化のあおりを食らって、大変今戸惑うておる最中なんです。ところで、平成三年における政府の目標は八万頭に増頭すると言っておられますね。それでは、現実はいわゆる外国の輸入、いろいろ条件がありまして、非常に圧力を受けておる。それを政府は、三万九千そこそこに落ち込みつつあるものを八万頭に増頭計画をしておられるんですがね。そこで、政府として沖縄の畜産、特に肉用牛の振興対策についてどのように推進していこうと思っておられるのか。
#94
○政府委員(岩崎充利君) 先生御指摘がございましたように、沖縄県におきます肉用牛生産は、温暖な気候に加えまして粗飼料の生産性が高いということから低コスト生産が可能な自然的条件に恵まれており、今後における肉用牛の生産振興が期待されるところでございます。
 沖縄県におきましては、本年二月に新たに酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づきまして酪農・肉用牛生産近代化計画というものを作成しておりまして、これに基づきまして肉用牛生産の振興を図っているということでございます。一応目標を平成七年度ということで、本年二月に立てた計画に基づきまして振興を図りたいということで、新たに計画を立てたところでございます。
 国としても、従来から自給飼料生産基盤の整備あるいは畜産基地の整備というふうな形の中で、生産団地の育成を進めるほかに肉用牛の改良、増殖の推進なり、生産から肥育までの地域一貫生産体制の整備、また沖縄県におきましては特に重要と考えられております牧野ダニの清浄化のための家畜衛生対策など、いろんな各種施策を講じているところでございまして、今後ともこれら事業を活用して、県計画に沿った形での肉用牛生産の展開が図られますように肉用牛振興に努めてまいりたいというふうに考えております。
#95
○喜屋武眞榮君 次に、時間も迫りましたのではしょって申し上げますが、まず野菜と花卉、これは順調に伸びておると私は理解しております。野菜と花卉、それぞれの伸びる理由は十分あるわけです。ところで、基幹作目の一つであるパイナップルのことについては大変気になるんです。
 そこで、政府とされてもパイナップル自由化対策の資料をいただいておりますが、この資料によって着々裏打ちされておると信じますが、この資料のとおりに政策遂行された暁にはこれでパイン生産には安心して十分に今後取り組めると、こういうことになる保証ができますかどうか、こういうことをひとつ含めてお聞きしたいと思います。
#96
○政府委員(松山光治君) 沖縄県におきますパイナップル生産、これは沖縄県農業のまさに基幹的作物の一つでございます。また、その多くが加工用に回されておるということからいたしますと、缶詰等の加工産業も含めまして、地域経済にとっては大変重要な役割を果たしておる、こういう基本的な認識に立っておるわけでございます。
 私どもといたしましては、今回のパイナップル調製品の自由化問題に対しましてはそういう基本的な認識のもとに、沖縄におきますパイナップル産業の健全な発展ということを頭に置きまして万全の対策を講じてまいる、こういう考え方のもとに、全体としては七十億の対策費、これを頭に置きながら六十三年度補正で約四十一億、平成元年度で約五億を既に措置しておるところでございます。
 私どもの今描いております構図と申しますと、現在の沖縄のパイナップルの生産の主たる用途は、三万七千トンのうち三万トンぐらいが缶詰用に当てられておるわけでございます。今度その調製品が自由化されるということでございますので、まさにそこへの影響をどのように考えていくかということになるわけでございますが、自由化時期の来年の四月から関税割り当て制度というものを導入いたしまして、無税で輸入する、一次税率で輸入した一定量については一種の沖縄の国内産と抱き合わせの制度をとるわけでございます。それ以外の分についてはかなり高い三〇%という高率関税を予定しておるわけでありますが、そういう形でもって、言ってみれば缶詰用の用途を確保していくというのが一つでございます。その間、缶詰用のパイナップル生産の合理化努力をひ
とつお願いする、それまでの間を八年間、価格安定対策でつなぐということで、体質強化のためのもろもろの生産対策予算を準備いたしております。
 同時に、缶詰だけに依存するんではなくて、むしろ生食用のパイナップルをふやしていこうという、こういう考え方をとっておりまして、そのための生産対策予算もまた準備しておるわけでございますが、そういうことを通じまして、言ってみれば一定の缶詰用の生産を維持しつつ生食用の生産を維持することによって現在の沖縄の生産量を維持したい、こういう考え方のもとに対策を進めていきたいと考えておる次第でございます。
#97
○喜屋武眞榮君 それでは、最後に大臣に御所見を承る前に、私このことを申し上げてみたいと思うんです。
 まず、どこの国にもその国土、気候風土にマッチしてその国の国民の生活の中から生み出した食物というのがどこの国にもありますね。これが私は基幹作目と思うんです。ならば、その基幹作目というのは、政策あるいは何かの理由によって簡単に消すわけにはまいらぬと私は思います。これは長い人類の歴史の中から、人間が住まっておる国土の、土地、風土の中から生まれ出た食物を食べて今日に至っておるわけですから、その伝統ある食物、これが基幹作目だと私は言っております。ならば、申し上げるまでもなく日本の基幹作目は米、その他もありますけれども、沖縄にとってはサトウキビとパイン。同時にこれは、サトウキビは鹿児島の一部もありますけれども、パイナップルは沖縄以外につくれない、日本では。
 そうしますと、このような他に簡単にかえることのできない作目は、しかも日本国民にとって必要なこれは生産作物である。ならば、これは国の責任において保護育成すべきである、守るべきである。だのに、サトウキビにしてもパインにしても毎年お百度踏んで陳情参りをしておる事態が私は逆じゃないかと、こう思えてならないんです。
 ですから、本当の基幹作目は国の責任において保護育成すべきだという前提に立つならば、心配するな、国がちゃんといついつまでも保護育成、成り立つように育成していくんだ、このことを明確に国の姿勢として打ち出していただくべきである。それをいかにもギブミー的な陳情、こういうことでは本当の基幹作目は守れない、私はそう思います。
 したがいまして、沖縄の農業の多様化は、気候風土から非常に多様化しつつあります。土壌の改良の問題、品種の改良、いろいろ非常に幅広くなりつつあります。どんなに多様化してもサトウキビとパイナップルは沖縄から消すわけにはまいらぬと、私はそう信じております。そういう前提に立ってこのサトウキビとパインを守り抜かなければいけないというわけでございます。
 いずれにしても、もう水は命の水である。生活の水はもちろんですが、農業にしても工業にしてもすべて水ですが、特に沖縄にとって今水の問題が、水を治めるものは国を治めるとも言われておるとおり、水の問題が今現在もピンチに来て、節水、時間給水、こういう直前にまで今来ておるということも、毎年のようにこの悩みを繰り返しておるわけでありますが、抜本的にこの水の問題をどうしても解決しなければいかぬ。こういうことと、基幹作目は国の義務と責任において守り抜いていただきたいということを率直に申し上げまして、大臣のコメントを求めて終わります。
#98
○国務大臣(鹿野道彦君) それぞれの地域の特産であるいわゆる基幹作物を振興させていくということは大事なことだと思っております。
 そのようなことから、第二次沖縄振興開発計画に基づきましてこれからもサトウキビ等の生産性の向上、そういうふうな問題につきましてもしっかりと条件整備を整えていかなきゃならない。また、農業用水の水の問題につきましても、その確保につきましてもこれからその整備に努力もしていかなきゃならない。また、パインの問題につきましては、基幹作物の重要性、このようなことから、御承知のとおりに昭和六十三年度の補正予算につきましても約四十一億円、平成元年度の予算におきましても五億円、こういうふうな措置をいたしたところでございまして、これらのいろいろな施策を第二次沖縄振興開発計画に基づきましてこれからも努めてまいりたい、振興を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#99
○横溝克己君 それでは質問させていただきますけれども、私もまだなれませんのでいろんなことがあると思いますが、よろしくお願いいたします。
 二、三農政の基本方針といいますか、これについてひとつお伺いをいたしたいと思いますが、昨日からの大臣の御答弁をお聞きしますと、魅力のある農業とか足腰の強い農業をつくる、あるいは二十一世紀に向けての農政の基本方針、こういうのを見ましてもまことにごもっともなことでございます。
 ただし、一歩下がりまして外から農業というものを見てみますと、何か建前だけで動いているということで、本音がなかなか言えない雰囲気だということを感ずるわけでございます。それで、建前と本音の間のギャップが大き過ぎるんではないかということがあります。例えば農政の方針の一つに、米の生産では規模の拡大とかコストを低くする、こういうことが言われておりますが、実際に規模拡大ができるのかといいますと、受託田などをたくさん集めましてやっていくんですが、とてもパーフェクトにいっているような、大きさとコストがストレートにいくわけではない。集めれば集めるほど今度は田が遠くなったりあるいは小さな田を集めなきゃいけない。そうすれば機械の稼働率は減ります。そういうふうなことがありまして、適正な大きさもあるでしょう。
 こういうことが一つあるわけでございますが、一体幾らまで下げたらいいのかということがパンフレットその他には一つも出てこないんでございます。雑誌なんかで見ますと、食管をやめちゃえば半分になるとか、あるいは大手の農業者の中には二分の一になるとかということが言われておりますが、この辺は一体どういうふうにお考えになるのか、これは担当の方にお伺いいたしたいと思います。
#100
○政府委員(松山光治君) 日本農業のあり方、特に主体をなします稲作農業ということでまず申し上げたいと思いますが、やはり地域の立地条件を生かしながらできるだけ効率的な営農が行われるという方向を目指して各地域で御努力をいただきたいというふうに思っております。
 一体どういうことを目標にしたらいいのかという御質問でございますが、今私どもといたしましては、そういった意味での全国各地のいわば努力の目標になり、かつまた私ども構造政策なり価格政策なりを進めていく上での一つのガイドラインになり得るものとして、米とそれから麦と大豆という土地利用型の農業の中心になる作物につきまして、現在の技術水準をフルに使って一定の生産単位を形成しながらしっかり頑張ればどれぐらいのことが可能かという、そういういわばめどを示すような生産性向上指針と呼んでおりますが、そういうものを外部の人の御参画も得ながら検討中でございます。
 私どもできるだけ早くこれを示すと同時に、やはり地域の条件によってそれぞれのありようも違ってまいろうかと思いますので、国が示します一定の幅でもって示したいと思っておりますが、そういうものを一つ基準にしながら、各県でもそれぞれ御検討いただく、こういう形で総体としての日本の稲作農業あるいは土地利用型農業の生産性向上の問題に取り組んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#101
○横溝克己君 そこで、いろんなことが考えられるんですが、とにかく土地利用型ではアメリカあるいは労賃の方から見ますとタイ国などではもう十分の一の労賃ですからとても日本ではかなわない。いろいろ大規模にやっているところでも労務比率が三〇から四〇%、これが二次産業のメーカーだったらもうつぶれてしまっているというよ
うな状態でございます。そこでおのずから限界があるだろうということでございます。そうしますと、大規模経営、高能率、低コストというのもひとつ考え直さなければいけないのではないか。
 一方、最近の農業の状況を見ますと、高齢化がどんどん進んでいきます。恐らく今のままほうっておけば数年足らずして非常な減衰が来るんではないか。それから後継者がいないという、ことしの卒業生は〇・四%ですか、そういう数字も挙がっております。それから大変な人手不足でございます。あるところへ行きましたら、もう難民でも何でも来てくれないかというようなことで、もしその人が希望すれば後継者になってもらいたい、このくらいのことは言っているわけです。こういった状況の中でもやっているところもあるわけです。
 一つは、例えばあるところ、これ幾つかあるんですけれども、農事組合法人なんかつくりまして、百とか百五十ヘクタールぐらい集めまして、働いている人は、指導者は別ですけれども、あとはサラリーマンの奥さんが耕耘機を動かしてみたり、それから企業を定年した人が作業員になる、あるいは小規模な農業をやっている人だとか、こういった人たちが集まりまして結構やっているわけです。ただし、人件費が非常に高い、それからもうそろそろ低コストといっても限界だ、そういうのはあるんですが、しかし水田の確保とか景観の保持とかいろんなそういう面では大変役立っているんではないか。こういう点を考えますと、日本的な農業というのも一つあるんではないか。こういったことで、できましたら大臣の御意向を伺いたいと思います。
#102
○国務大臣(鹿野道彦君) 我が国の農業は、国民の納得できる価格によりまして安定供給を図っていくというふうなことが大変重要なことでありまして、そのような意味から、生産性の向上を進めながらコスト低減に努力をしていく必要があると思うわけであります。
 ただもう一方、先生御案内のとおりに、我が国は南北に非常に長い国土を有しておりまして、地域ごとに土地なりあるいは気象なり変化に富んでおるわけでございますから、これらの地域の特性を生かしながら創意工夫によりまして農業生産の振興を図っていくということが大変重要だと、このように考えておるわけであります。
 このために、地域の条件に応じて中核的な担い手によりますところの個別経営の規模拡大のほか、これらの農家を中心とする、先生今申された効率的な生産組織の育成を進めていくとか、いずれにいたしましても、我が国のそれぞれの地域の自然条件に合った農業生産、そういうふうな振興に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#103
○横溝克己君 それでは次に、農政の基本方針の中に、消費者のニーズを尊重した農業をつくりたいということでございますが、最終消費者というのは大変ニーズは多様化をしております。それで、家電とか自動車生産とか、こういうのはもう今、円高以来日本では大量生産はしていないわけでございます。最近デパートなどであるそうでございますが、ライスカレー用とかチャーハン用とかそういうような米のブレンドまで売っているということでございます。
 それから一方、つくる方のことを考えますと、耕耘機とかいろんな機械の効率を考えますとわせからおくてまでつくった方がいい、そういったことがございますので、こういう点では矛盾しないんじゃないか、その点をうまくやると消費者のニーズに合ったと言うことができるということでございますが、どうも今まで農林水産省の指導を見てみますと、ミカンならミカン一本でばっと全国的につくってしまう、あるいは小麦だとか大豆とかそういうようなものでやりまして、最終的には生産過剰になったり、この間あたりもいろいろありまして、ミカンあるいはオレンジあるいは牛肉にしましても、建前では大変威勢よくいくんですけれども最後は押し切られたりしまして、つくっている方から見ますと大地震が来たという、そういうことがございます。
 今度の米の問題にしましても、最近の新聞論調を見ましても何となく農林水産省のお手並み拝見というようなことも感じられるわけでございまして、これはやはりバックに、日本の方は生産者のベースでいく、アメリカの方は消費者のベースでいく、日本の中には消費者が非常に多いわけでございまして、その辺のところをうまくつかまないとなかなか世論として大きな力になってこないということが一つあるんではないかと思います。
 そこで、消費、流通、生産、こういった情報の問題につきまして現在どのような処置をとっておられるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#104
○政府委員(鷲野宏君) 農産物全般が過剰基調、それから食品マーケットの成熟化ということも進んでおります。そういうことで、その中で消費者の薄好が大変多様化、個性化してきておる、昔のように物をつくれば売れる時代は去ったと、こういう時代でございます。このために、消費者側が何を求め何を欲しているかというニーズやウオンツをつかむ、この情報を産地側に伝えるとともに、産地側ではこれらのニーズ、ウオンツに合った商品をつくり、これを積極的に売り込んでいくという、そういう生産、販売面での取り組み努力をしていくことが大変重要でございます。
 それで、こういった観点から農林水産省におきましても、これまで消費者情報のネットワークづくりということで、消費者モニターを活用しましたりあるいは各出先機関に消費者相談窓口を設置したりということをやっております。それからまた、消費者ニーズに即応した産地の育成、整備ということも心がけております。等々の施策を本省段階でも進めておりますし、またブロック機関でございますが、例えば関東農政局では、六十二年から川下作戦と銘打ちまして、卸売市場とか小売店等でのヒアリング、それから消費者への直接のアンケート調査等によりまして消費者ニーズをつかんでこれを産地に情報として送り返す、それと同時に産地の意識革命を進めるという運動を展開しているところでございます。こうした状況の中で、各県や主要産地の中にも消費情報を把握するための事務所やアンテナショップを例えば東京等に設置する等の努力をする動きがだんだん顕著になってきております。
 農林水産省としましては、今後こういった施策の充実に努めまして、産地側、消費地側の円滑な情報交流に一層努力をしていきたいというふうに考えております。
#105
○横溝克己君 ただいまいろいろ情報の交流の問題を取り上げていただいたわけでございますが、実際に、全部じゃございませんが、幾つかの畑作地帯ですけれども行ってみますと、一体何をつくったらいいのかよくわからない、つくってみてももうからない、こういう声を案外聞くんでございます。もちろん畑作のつくる方については皆さん中高年齢なのでベテランの方々でございますが、そういう情報の不足というか指導の不足というか、こういうのが案外多いんではないかと思います。
 そこで、そういういろんな市場の動向とかあるいは技術指導とか、こういうのをもっと細かく何かできないか。例えばあるところではファックスを各農家につけていろんな行ったり来たりのことをやりたいという計画もしているようでございますが、こういうような情報のネットワークづくりに何か補助をするとか、そういうようなことの必要を感ずると思うんですが、こういう点についてはいかがでございましょうか。
#106
○政府委員(鷲野宏君) 先ほどもちょっとお答えを申し上げましたが、例えば全国の食糧事務所、これは各県にございます。それから農林規格検査所というのが全国に十カ所ございます。それから各地方農政局七つございますが、こういったところに消費者の窓口を設けまして、そういうところで消費者のニーズを把握しまして、これを産地側に送り返すような、そういうネットワークづくりもやっております。それから補助事業で、農業サイドと食品産業サイドの連携のもとに、国産原料
農産物についての情報を集めてそれをお互いに交流する、これもコンピューターを通じまして情報を送り返すというような事業もやっておりますが、この点についてはこれからも充実強化をしていく必要があるというふうに思います。
#107
○横溝克己君 あと二つほど質問をいたしたいわけでございます。
 農村を歩いてみますと大変高齢化が進んでいるわけでございます。これがすさまじいような状況でございます。また、後継者がほとんどいないということでございます。それから、人手が足らない、こういうようなことがあるんですが、大臣の揚げ足をとるわけじゃございませんけれども、足腰の強いというよりは最近腰痛が起こって非常に困るとか、あるいは二十キロの肥料の袋がもう担げない、十キロか五キロにしてくれという園芸みたいな形になってしまう、そういうようなことがあるのでございますが、何かこの辺で、いろいろ先ほどから省力化という、力を入れないということです、あるいは楽な作業をするという形の研究がもっと必要なんではないだろうか。例えば自動車の生産なんか見てみましても、あれは量産の成果というよりは、見方を変えますといかに作業者に楽な仕事をさせるかというようなことで作業のやり方を変えていった結果、大変効率がよくて品質がいい、そういうものができたというのがございます。
 こういった点で、単なる農業試験場等ではできないかもしれませんけれども、そういう生産の場ではそういうのを研究している人はたくさんいるわけでございます。ですから、経営工学とか人間工学とか、そういった面の人たちの助力も得まして、もっと楽な姿勢の仕事ができないか、その一部が現在の水田の作業だろうと思うんです。これほど減反をしたのにまだお米がよくできるというのはそういう結果だと思うんですが、これがさらに果樹とか、それからハウス栽培とかいろんなところに影響してくれば、研究が進めば将来何とか農業が持ちこたえていけるんではないかと思うんですが、この点についていかがでございましょうか。
#108
○政府委員(西尾敏彦君) 先ほども大臣の方からお話がありましたように、農業というのは本来多様な自然の条件の中でその条件を生かしながら営むという産業でございまして、試験研究につきましても、特に日本のように南北に長くていろいろな気候状態を持っていたり、いろいろな複雑な地勢の中で営まれる農業の中ではいろいろな意味の試験研究を進めなきゃならないというふうに思っているところであります。
 そこで、先ほどお話がありましたような、高生産性に関する言うなれば低コストの研究と同時に、そういう複雑な地勢の中で、中山間なら中山間に向くような機械化やそれから技術の開発というのが大変重要であるというふうに私ども思っているわけでございまして、六十一年度に四国農業試験場の方に地域基盤部という部をつくりました。特に傾斜地の農業に、傾斜地向きの農業の開発をする、そういうような部をつくっております。そういうところで、例えば高齢者でありますとか、中山間の農業技術の開発のための研究を目下進めているところであります。
 そういう研究を進めるに当たりましては、特に国の研究機関だけではなくて都道府県の研究機関の協力を得ながら進めてまいりたいというふうに思っておりますし、今後ともそういう研究を都道府県、さらには民間の協力を得ながら進めてまいりたいというふうに思っております。
#109
○横溝克己君 私も何か斜面を登るブルドーザーとか見たことがあるのでございますけれども、そういった面ではバイオテクノロジーとかそういう応用研究もこれからの夢を育てるという点では大変結構なことだと思うんです。二〇二〇年ですからあと三十年ぐらいたちますと日本は高齢化社会のピークに達するというような状況でございますが、そのときの状況を考えますと、日本が今の高齢者を養っていくには大変な高賃金で、しかも相当付加価値の高い仕事をしないとできないだろう。そのときの状況を見ますと、第三次産業化も相当進んでいるだろう、果たして今の農業が残れるのかということで私は残っていないというふうに思うわけでございますが、こういったところで何とか農業として存在していくにはバイオテクノロジーだとか、あるいはハイテクノロジーとか、こういうものをいろいろ応用した新しい農業であろうと思うんです。
 現在幾つかの研究ではAIといいますか、人工知能を使ったり、いろんなことが行われていきますけれども、こういうのをやるには大変な広い範囲の研究とか、あるいはたくさんの研究件数があったり、そういうことを考えますと、今の農水産の単なる研究所では能力が不足だと思います。ですから、ひとつ大学とか民間のところとか、そういうのを総力を挙げて将来の対応をしていかなくてはいけないんではないかということを思うのでございますが、お考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#110
○政府委員(西尾敏彦君) 今先生からお話がございましたように、農業は大変多様化してまいっておりまして、単なる生物学の研究だけではなくて、工学的な手法でありますとか理学的な手法でありますとか、いろいろな手法を使って進めていくということが大変重要になってきているというふうに思っております。
 農業の研究は今まで国の研究機関とそれから公立の研究機関、大学が中心になって進めてまいっておりますけれども、そういういろんな多面的な研究を進めるためには、当然民間の協力を得るということが大変重要であるというふうに私ども思っておりまして、既に民間との共同研究体制、共同研究に関するいろいろな制度というのを整備しながら進めているところでございます。
#111
○横溝克己君 私もそのとおりだと思いまして、ぜひ研究費の増額をしていただいて、これはもう減反対策に比べればはるかに小さな額でございますが、しかしそれだけでも将来に向かっての非常な展望が開けるのではないかと思います。そういう要望を一つお願いしまして私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#112
○委員長(仲川幸男君) 本調査に関する質疑はこの程度といたします。
    ─────────────
#113
○委員長(仲川幸男君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、初村滝一郎、鎌田要人君、熊谷太三郎君、高橋清孝君、本村和喜君が委員を辞任され、その補欠として岩崎純三君、野村五男君、陣内孝雄君、尾辻秀久君、清水嘉与子君が選任されました。
    ─────────────
#114
○委員長(仲川幸男君) 村沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
#115
○村沢牧君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ、税金党平和の会の各派共同提案に係る農業政策の拡充強化に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   農業政策の拡充強化に関する決議(案)
  近年における我が国の農業は、農産物価格の低迷、大規模な水田転作の実施、牛肉・オレンジ・農産物八品目の自由化決定、農業予算の削減等極めて厳しい事態に直面している。このため、農業者は、農業の将来に深刻な不安を抱くに至っている。
  一方、このような中にあって、我が国においては、食料の自給率が近年先進国中他に例を見ない低水準に落ち込み、しかも、なお低下傾向を示す等食料安全保障上憂慮すべき事態となっている。
  よって、政府は、我が国の農業の振興と国民食生活の安定のため、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 農業者が、希望をもって農業に取り組むこ
とができるよう農業の将来展望を明らかにすること。
 二 これまでに行われた食糧自給力強化に関する決議、米の需給安定に関する決議、米の自由化反対に関する決議等の国会決議の趣旨を体し、米の完全自給方針を堅持すること。
 三 食料自給率については、その重要性にかんがみ、これを引き上げること。
 四 水田農業確立後期対策の策定に当たっては、これ以上の転作が困難となっている実情にかんがみ、転作等目標面積を据え置くとともに、転作助成の総額の現行確保を図ること。
 五 農業経営を大きく圧迫している土地改良負担金・農家負債について、その償還に伴う負担軽減のための対策を強力に推進すること。
 六 国土と自然環境の保全に重要な役割を果たしている中山間地域農業の振興を図り、地域住民が定着できるよう強力な対策を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#116
○委員長(仲川幸男君) ただいま村沢君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(仲川幸男君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。(拍手)
 ただいまの決議に対し、鹿野農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。鹿野農林水産大臣。
#118
○国務大臣(鹿野道彦君) ただいま我が国農業政策についての多方面にわたる御決議がありました。
 事柄によりましては、実態から見ましてその実現が難しいものもあると考えられますが、我が国農業を取り巻く諸情勢を踏まえ、十分検討した上で努力してまいる所存であります。
    ─────────────
#119
○委員長(仲川幸男君) 森林の保健機能の増進に関する特別措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鹿野農林水産大臣。
#120
○国務大臣(鹿野道彦君) 森林の保健機能の増進に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 近年、国民生活の高度化等に伴い、森林内におけるレクリエーション活動、森林浴等森林の持つよさを維持した保健休養の場としての森林を利活用することに対し国民の期待が高まってきております。
 また、林業・山村側からも、保健休養の場としての森林を整備し、都市と山村の交流、都市住民の林業への理解と協力等を通じて林業・山村の活性化を図ることについて強い要望があります。
 このような要請にこたえることは、現下の林政の重要課題であり、本法案は、このために、保健機能の増進を図るべき森林について、森林の保全に留意した新たな森林の利活用方式として、遊歩道、野営場、休憩施設等の施設の整備を森林の施業と計画的かつ一体的に推進する制度を創設しようとするものであり、これにより、森林資源の総合的な利用を促進し、林業地域の振興と国民の福祉の向上に寄与するものであります。
 次に、この法案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林水産大臣は、森林の保健機能の増進に関する基本方針を定め、これに基づき、全国森林計画を変更するとともに、都道府県知事は、この変更された全国森林計画に即して地域森林計画を変更することができることとしております。
 第二に、森林所有者は、地域森林計画が変更された場合には、森林施業計画を変更し、森林の施業と施設の整備を計画的かつ一体的に推進することを内容とする森林保健機能増進計画を当該森林施業計画の全部または一部として定め、都道府県知事の認定を求めることができることとしております。
 第三に、森林の保全に留意した技術的基準等に適合するものとして、都道府県知事が行う認定に係る森林保健機能増進計画に従って施設を整備する場合には、林地における開発行為等の許可を要しないこととするほか、森林組合の事業の員外利用の特例措置を講ずることとしております。
 以上が、この法案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#121
○委員長(仲川幸男君) 次に、補足説明を聴取いたします。甕林野庁長官。
#122
○政府委員(甕滋君) 森林の保健機能の増進に関する特別措置法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足をさせていただきます。
 第一に、基本方針の策定であります。
 農林水産大臣は、森林の施業と施設の整備を一体的に推進することにより保健機能の増進を図るべき森林の設定等に関する基本的な事項について、基本方針を定めることとしております。
 第二に、全国森林計画の変更等であります。
 農林水産大臣は、基本方針に基づき全国森林計画を変更し、または立てる場合には、森林の保健機能の増進に関する事項を追加することとしております。
 都道府県知事は、地域森林計画を変更し、または立てる場合には、保健機能の増進を図るべき森林の区域、施業の方法及び施設の整備に関する事項を追加して定めることができることとしております。
 第三に、森林保健機能増進計画であります。
 森林所有者は、保健機能の増進を図るべき森林の区域が定められた場合において、その区域内に相当規模の森林を有するときは、森林施業計画を変更し、または作成し、森林の施業と施設の整備を計画的かつ一体的に推進することを内容とする森林保健機能増進計画を当該森林施業計画の全部または一部として定め、都道府県知事の認定を求めることができることとしております。
 この場合において、都道府県知事は、当該森林施業計画が、地域森林計画の内容に適合することのほか森林の保全に留意した森林の施業及び施設の整備に関する技術的基準に適合すること等の要件を満たす場合に、認定をすることとしております。
 第四に、林地開発許可等の特例であります。
 森林所有者が、都道府県知事の認定に係る森林保健機能増進計画に従って施設を整備する場合には、林地における開発行為の許可及び保安林における伐採、土地の形質の変更等の行為の許可を要しないこととしております。
 第五に、森林組合の事業の員外利用の特例であります。
 森林組合は、都道府県知事の認定に係る組合員が森林所有者である森林及び組合員以外の者が森林所有者である森林について、一体としてこれらの森林の保健機能の増進を図るため、員外利用の限度を超えて森林の保健機能の増進に関する事業を行うことができることとしております。
 第六に、国有林野の活用であります。
 国は、追加して定められた全国森林計画に即して森林の保健機能の増進を図るため、国有林野の活用について適切な配慮をすることとしております。
 以上をもちまして、この法案の提案理由の補足説明を終わります。
#123
○委員長(仲川幸男君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ─────────────
#124
○委員長(仲川幸男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 森林の保健機能の増進に関する特別措置法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴
取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#126
○委員長(仲川幸男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時散会
ソース: 国立国会図書館
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