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1989/11/16 第116回国会 参議院 参議院会議録情報 第116回国会 内閣委員会 第1号
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1989/11/16 第116回国会 参議院

参議院会議録情報 第116回国会 内閣委員会 第1号

#1
第116回国会 内閣委員会 第1号
平成元年十一月十六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  委員氏名
    委員長         板垣  正君
    理 事         大城 眞順君
    理 事         永野 茂門君
    理 事         山口 哲夫君
    理 事         吉川 春子君
                大島 友治君
                岡田  広君
                後藤 正夫君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                村上 正邦君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                八百板 正君
                中川 嘉美君
                吉岡 吉典君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         板垣  正君
    理 事
                大城 眞順君
                永野 茂門君
                山口 哲夫君
                吉川 春子君
    委 員
                大島 友治君
                岡田  広君
                田村 秀昭君
                名尾 良孝君
                翫  正敏君
                角田 義一君
                野田  哲君
                三石 久江君
                八百板 正君
                中川 嘉美君
                星川 保松君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 森山 眞弓君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  水野  清君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  松本 十郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       管理局長     菅野  雄君
       人事院事務総局
       任用局長     森園 幸男君
       人事院事務総局
       給与局長     中島 忠能君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       総務庁統計局長  井出  満君
       北海道開発庁計
       画監理官     竹中 勝好君
       防衛庁参事官   小野寺龍二君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       防衛施設庁建設
       部長       黒目 元雄君
       防衛施設庁労務
       部長       竹下  昭君
       外務省北米局長  有馬 龍夫君
       外務省情報調査
       局長       山下新太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     榊   誠君
       国立公文書館次
       長        溝口 喜久君
       環境庁自然保護
       局保護管理課長  小原 豊明君
       外務省北米局安
       全保障課長    重家 俊範君
       外務省欧亜局審
       議官       荒  義尚君
       文部大臣官房人
       事課長      岡村  豊君
       海上保安庁警備
       救難部警備第一
       課長       中島 健三君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    太田 芳枝君
       建設省河川局水
       政課長      飯田志農夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (潜水艦「なだしお」の航泊日誌に関する件)
 (ウタリ問題の統一窓口に関する件)
 (公務員の婦人の地位向上に関する件)
 (防衛白書の軍事データに関する件)
 (即位の礼及び大嘗祭に関する件)
 (日米共同訓練に関する件)
 (基地問題に関する件)
 (次期防衛力整備計画に関する件)
 (自衛隊の隊員施策の充実・人材確保に関する件)
 (シベリア抑留者問題に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(板垣正君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。大城眞順君。
#5
○大城眞順君 委員派遣の報告をいたします。
 板垣委員長、永野理事、山口理事、吉川理事、中川委員、星川委員及び私、大城理事の七名は、去る九月十二日から十四日までの三日間、北海道における国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度等の実情について調査を行ってまいりました。
 第一日目は、航空自衛隊第二航空団、陸上自衛隊北部方面総監部でそれぞれ業務説明を受け、基地内を視察いたしました。その後、人事院北海道事務局、総務庁北海道管区行政監察局、防衛施設庁札幌防衛施設局、北海道開発庁北海道開発局よりそれぞれ業務概要を聴取いたしました。
 第二日目は、陸上自衛隊第二師団で業務説明を受け、駐屯地内を視察いたしました。午後は、北海道開発局より、十勝地域における開発事業の説明を受け、また、サホロリゾートを視察いたしました。
 第三日目は、陸上自衛隊第五師団で業務説明を受け、駐屯地内を視察いたしました。
 以下、調査の概要について、御報告申し上げます。
 まず、国の地方支分部局及び公務員制度等についてであります。
 人事院北海道事務局は、北海道における国家公務員の採用試験、任用状況調査、民間給与実態調査、公務員研修、公平審査等の業務を実施しており、事務局の組織は三課、職員数は十九名であります。
 昭和六十三年度に実施した採用試験の回数は合計十四回、申込者は一万四千七百二十五名に達しておりました。しかし、申込者は年々減少しており、同局は学校訪問、説明会等に努め、本年度に至りその傾向に歯どめをかけたとのことでありました。民間給与実態調査は、北海道、札幌市の人事委員会と共同して、二百七十事業所を対象に実施しており、また、寒冷地手当の資料として灯油及び石炭の小売価格等の調査も行っておりました。なお、公務員問題懇話会が札幌市においても開かれたこと、公務員研修では倫理の高揚にも努めていること等の説明がありました。
 質疑では、採用試験申込者の減少要因、単身赴任の現状と経済的負担、勤務条件に関する陳情内容等がただされました。
 北海道管区行政監察局は、北海道における行政監察、さわやか行政サービス運動、行政相談、地方環境行政調査等の業務を実施しております。組織は、札幌市の本局に行政相談部、第一部、第二部が置かれているほか、函館市、旭川市、釧路市にそれぞれ行政監察分室が配置されており、職員数は本局五十二名、分室各十名の合計八十二名であります。
 管内の行政機関等は、国、地方、特殊法人を合わせ六百十八機関に上り、いずれも過疎の拡大等で多くの行政課題を抱えているとのことでありました。
 昭和六十三年度に実施した中央計画監察は「国と地方の関係等に関する調査」等三十件、地方監察は「救急患者の長距離搬送体制に関する実態調査」等十一件、「さわやか行政」への提言、行政相談等の受付件数は一万三千三百五十二件に達しているとの説明がありました。
 質疑では、医療過疎地域の実態とその対策、スパイクタイヤ粉じん等環境問題、国有地の台帳記載漏れ問題、行政監察調査事項の選定方法等がただされました。
 防衛庁札幌防衛施設局は、北海道を管轄区域として防衛施設の取得、管理、補償、防衛施設周辺整備等の業務を実施いたしております。組織は、札幌市の本局に総務部、施設部、事業部、建設部が置かれ、出先機関として帯広防衛施設支局、千歳防衛施設事務所、旭川出張所が配置されているほか、局長の諮問機関として防衛施設地方審議会が設置されております。職員数は、本局二百十三名、出先機関五十一名の合計二百六十四名であります。
 北海道の防衛施設用地は、広大な演習場等約四百四十四平方キロに及んでおり、全国施設面積の約四二%に当たるとのことでありました。当面の課題としては、これらの施設を使用して日米共同訓練が予定されていること、米軍機の低空飛行訓練が住民被害をもたらしていること、足寄弾薬貯蔵施設の用地取得を進めていること等の説明がありました。
 質疑では、低空飛行の被害状況と防止方の申し入れ、日米共同訓練の目的と区域・スケジュール、浜大樹演習場の買収契約等がただされました。
 北海道開発局は、北海道における総合開発計画の調査を行い、これに基づく直轄事業の実施等を任務とする総合的な事業官庁であります。組織は、札幌市の本局に局長官房と建設部、農林水産部、港湾部、営繕部が置かれ、下部機関として十一の開発建設部、四十四の事務所、百二十七の事業所が配置されているほか、附属機関として開発土木研究所、建設機械工作所が設置されております。職員数は、本局七百七十八名、下部機関七千二百六十一名、附属機関四百四十二名の合計八千四百八十一名であります。
 本年度は、第五期北海道総合開発計画の二年目に当たり、総額一兆二千五百四十九億円余の事業費をもって、新たな社会・経済に対応する基盤づくりが進められておりました。雄大な自然に囲まれた十勝地域では、昨年末噴火を繰り返した十勝岳の火山砂防事業、御影地区の畑地帯総合土地改良事業等の概況説明を聴取し、また、バカンス基地・新得町サホロリゾート事業を視察いたしました。
 次に、自衛隊の組織及び業務運営等についてであります。
 航空自衛隊第二航空団は、戦闘機をもってする防空行動及び領空侵犯に対する措置を主な任務としており、二飛行隊がともに要撃戦闘機F15で編成される航空自衛隊唯一のF15だけの戦闘航空団であります。
 同航空団の所在する千歳基地は、約二千五百名の隊員が勤務しており、一年の約半分が雪及び氷の影響を受けるという厳しい自然環境の中で、飛行場の機能維持には特段の努力を要するとのことであります。
 同基地においては、F15によるデモ・スクランブルの発進を視察いたしました。なお、日米共同訓練への参加部隊、実施区域、基地周辺の騒音対策等について質疑が交わされました。
 陸上自衛隊北部方面総監部は、北部方面隊を統括しております。
 北部方面隊は、北海道全域を警備区域とする陸上自衛隊最大の方面隊であり、主要な部隊として四個の師団を有し、総人数は全陸上自衛隊の約三分の一であります。人員の充足については、道内出身隊員及び道内定着隊員の比率を高める「郷土部隊化」を二年前から進めており、その割合は五五%まで向上しているとのことであります。
 戦車、火砲、装甲車、ヘリコプター等の主要装備については重点的に配備を受け、ほぼ一〇〇%の充足であります。演習場については釧路北方の日本一広い矢臼日別演習場、千歳周辺の北海道大演習場等二十五カ所を数え、その面積は全国演習場の約五〇%を占めております。
 部外協力については、「雪まつり」への参加、各種スキー大会の支援等を行っておりますが、今年は特に「はまなす国体」において、通信、救護の協力を行ったとのことでありました。
 陸上自衛隊第二師団は、道北の防衛、警備及び災害派遣の実施等を主たる任務とし、四個普通科連隊及び特科連隊等をもって編成され、その定員は約九千人であります。なお、同師団は、昭和六十二年度に改編され、一個普通科連隊が装甲車化、三個普通科連隊が自動車化されております。
 災害派遣に関しては、昨年末の十勝岳噴火活動の際に、師団として、関係機関と密接に連携を図りながら、指揮所の開設、情報の収集等万全の態勢を確保したとのことであります。
 同師団においては、七四式戦車、短SAM等の装備品の展示を視察いたしました。なお、旭川駐屯地においては、隊舎、整備工場等の老朽化が目立っており、施設の改善に努めたいとの説明が
ありました。
 陸上自衛隊第五師団は、道東の防衛、警備及び災害派遣の実施等を主たる任務とし、三個普通科連隊及び特科連隊等をもって編成され、その定員は約七千人であります。なお、同師団においても、昭和六十三年度に第二師団と同様の改編が行われております。
 帯広駐屯地においては、対戦車ヘリコプターAH1Sの戦闘シミュレーターを視察いたしました。
 陸上自衛隊各部隊におきましては、米軍との共同訓練の内容、演習場の取得計画の有無、施設の改善状況等について質疑が行われました。
 以上が、調査の概要であります。
 御協力をいただきました各位に対し御礼を申し上げ、報告を終わります。
#6
○委員長(板垣正君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○山口哲夫君 まず、「なだしお」の航泊日誌の改ざんの問題について質問をいたします。
 海上保安庁にお尋ねをいたしますけれども、きのうの新聞報道によりますと、「航泊日誌の書き直しは、事故直後、第三管区海上保安本部(横浜)の捜査でも、「口裏合わせをし、航泊日誌も書き直している可能性が強い」と指摘されていた。」、こういうふうに述べておりますけれども、そういう事実についてあったのかどうか。
#8
○説明員(中島健三君) お答えいたします。
 事故当初、横須賀地方総監部より私どもの横須賀海上保安部にあった連絡では、衝突時刻は十五時三十八分ということで連絡がございました。その時刻をもってその後の対外発表等も三十八分ということでさせていただいております。もちろん、送検のときには我々が認定した三十九分という時刻で発表しておりますけれども、それまでは対外発表等も一応三十八分ということで統一させていただいております。
 この時刻そのものは今おっしゃいました航泊日誌の記載時刻と違っておりましたので、その辺の違いについても我々は調査しておったわけでございまして、そういう改ざんといいますか、清書といいますか、修正といいますか、そういう事実があったことは私どもも承知しておりました。
#9
○山口哲夫君 そういう事実があったのに今まで全然発表されていなかったということについて非常に残念に思っております。今後そういう事実があった場合には直ちにやっぱり発表をしていただきたい、こんなふうに思っております。
 それで、海上自衛隊には「記載要領に関する海上自衛隊達」というのがございます。これは航泊日誌の訂正についての方法について部内で通知をしている内容であります。
 ちょっと読んでみますと、「記載事項の訂正は、青色又は黒色のペンで行うものとし、字句を削る場合又は字句を改める場合は当該字句を一線で抹消し、訂正印を押す。字句を追加する場合は、適宜の余白に追加する字句を記載し訂正印を押す。余白のない場合は、同質の他の白紙に記載し、本紙に添付することができる。この際、本紙と添付紙の両方に掛かるように割印する」、大変具体的に書いてございます。
 それで、最初に「なだしお」が衝突した時刻、これは十五時三十八分、こういうふうに書かれておりました。その書かれていた航泊日誌のそのページを破棄いたしまして、そして新しいページに十五時四十分と書き改めさせたというその行為は部内で通知しているこの規則に違反している、そういうふうに考えますけれども、大臣いかがでしょうか。
#10
○政府委員(米山市郎君) 航泊日誌の記載の件でございますが、事故当時、非常に錯綜をした中で、航泊日誌につきましては鉛筆書きで時刻に対応してどういう事実があったかというようなものを走り書きしていたということでございます。事故後、それを清書した。これは航泊日誌自体はペン書き、まあボールペンでも結構でございますけれども、いずれにいたしましてもペン書きにすることによって航泊日誌として成立するわけでございます。非常に錯綜をしておりましたので、その事後におきまして鉛筆書きのものを整理いたしまして、ペンで書き直したということでございますので、これは航泊日誌の修正とか訂正とかいったような行為には該当しないと私どもは考えております。
#11
○山口哲夫君 非常に達し文書の中には細かく書いていますよね。ですから、鉛筆であろうがボールペンであろうが何であろうが、一たん航泊日誌にその担当者が書いたということは、それは改ざんしてはならないから、訂正する場合においてはちゃんと線を引きなさいと、こういうふうに詳しく書いているわけでしょう。そして、そういったページを破棄できないようにわざわざ一連番号をずっと振っていますよね。その一連番号を振ったということは、もし書き改める場合には、それを破って新しいものを入れるのでなくしてそのものに訂正をしていかなきゃならない、そういうことになっているわけですね。だから、鉛筆で書こうが何であろうが、もし訂正する必要があるんならば、当然傍線を引いて、そこに割印をしていくのが当然でないんですか。
#12
○政府委員(米山市郎君) ただいま申し上げましたように、訓練とかあるいはこういった緊急な事態と申しますか、錯綜をした事態におきましては、やはりいろいろな事象が起こりますので鉛筆で走り書きをしておく。それを書き改める。その際に、予備紙というのがこの航泊日誌の末尾に、薄冊の後についております。これは当然そういう予備紙、一日一ページというのが原則のようでございまして、それ以上の事象が起こった場合にそれを書き足すとか、あるいは書き直す場合にその予備紙を使うということは一般的に認められていることでございます。
 ただ、今先生おっしゃいましたように、こういった事態のもとでございましたので、今から考えればもとの鉛筆で書いたものを全くなくしてしまったということがそれで一〇〇%正しかったかどうかという点については、私どももそのようには考えてはおりません。できれば残しておくべきであったというふうには考えております。
#13
○山口哲夫君 鉛筆で書いたんだけれども、それを消してボールペンで書き直せば鉛筆の跡が残るんだと、それで改ざんしたように考えられるのが嫌であえてそれをなくして新しいものを入れた、こんなことも言われていますよね。ですから、これは非常に意図的にやられたというように考えられるわけです。今あなたが一応お認めになったように、たとえ鉛筆であったとしてもきちっとしたやっぱり訂正をするべきであったというふうにおっしゃっていましたけれども、そういうことからいきますと、部内でもって非常に細かく達しをしているこの規則に違反していたことだけは認めますね。
#14
○政府委員(米山市郎君) 冒頭に申し上げましたように、しっかりとしたペン書きになって初めて航泊日誌というものになるというふうに私ども考えておりますので、鉛筆書きのものを清書する、それは紙を別にして新たに書き改めるかあるいは鉛筆の上をなぞるか、それは状況にもよるだろうと思いますので、しっかりとペンで書いたものを破棄したというわけではございませんので、これが直ちに内規に違反をするかどうかということについては必ずしもそうとは言い切れない点があると思います。
#15
○山口哲夫君 それならどうして鉛筆で書いたものを消してそこにボールペンで書かなかったんですか。何でそのページだけを破棄してしまって新しいものを入れたんですか。
#16
○政府委員(米山市郎君) 私が書いたものではございませんので、そのときにどういう判断をしたか、これは推察に属することでございますけれども、できるだけわかりやすく、鉛筆書きの上をなぞりますとどうしても汚く読みにくくなる面もご
ざいますので、その辺はわかりやすくしようというような判断があったのではないかと思っております。
#17
○山口哲夫君 そんな甘いものじゃないでしょう。何のためにこれだけ厳しい達しをわざわざつくっているんですかね。新しいものをそこに持ってきて入れかえるような、そういうことを絶対にさせないために一連番号を打っているわけでしょう。
 こういう記録というのは将来非常に重要な意味を持つわけですよね。だから、鉛筆であろうが何であろうが一たん書いたものは、もしどうしてもそれを直さなければならないんであれば、消しゴムで消してきちっとボールペンでその用紙に書くのが通常じゃないですか。そういうことを規定したのがこの達しなんでしょう。その精神からいってもこれは明らかに改ざんしたというふうに考えざるを得ないんじゃないですか。通達違反であることだけは認めた方がいいんじゃないですか。
#18
○政府委員(米山市郎君) 再々御答弁申し上げておりますように、直ちにこれが通達違反になるかということについては、必ずしも私はそうは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、こういう事態になれば余計にその記録がどうであったかというのは大変重要な関心を持たれることでもございますので、今となっては残しておくのがよりよかったのではないかというふうな考えを持っております。
#19
○山口哲夫君 もう少し謙虚に認めた方が私はいいと思うんですよ、こういう問題は。あなた方はそのためにこれだけの厳しい達しを出しているわけでしょう。これに違反したら、あなた方は上司としてそういう手続をきちっととらなかった人に対しては相当厳しく指摘をしなければならないんじゃないですか。そういう指摘する立場にある方が、自分たちがつくった達しをそういうふうに部下がやったことを何かかばうようなそういうやり方というのは、それはちょっと国民を欺くような行為ではないかなと私は思うんですね。
 それで、あなた方は改ざんでないと言うんですが、こういう事実についてどう思いますか。これもきのうの新聞に載っておりますけれども、「海上保安庁の捜査官が来鑑する前に整理を終わっておけ」と山下艦長が命じた。「乗組員は「艦長が決定された以上、従うしかないと思った」などと、海上自衛隊の内部文書には、ろうばいし混乱する艦内の様子が記録されている。」、こういうふうに書いていますね。それから「乗組員の一人は、文書の中で」、これは内部文書だと思うんですけれども、「「航泊日誌を整理し直したことは、後で問題になると思い、苦痛だった」としている。」、こういうふうに言っているわけですね。だから、直された方は、山下艦長の命令によってやったんだけれども、これは良心の苛責というか、そういうものに非常にたえかねているようなそういう印象がずっと強くされているわけです。
 けさの新聞にもこう書いています。書き直した幹部なんですけれども、「「航泊日誌を整理し直したことは後で問題になると思い悩み、苦痛だった」とし、このため、問い合わせに対して「事情を説明できなかった」としている。」。幹部から聞かれてさえ非常に自分は苦痛だったためにそのことを幹部にも言えなかった。本当に苦しんでいる状況がわかるわけです。
 これは明らかに山下艦長が意図的に時間の改ざんをしたとしか私は思えないんです。どうですか。
#20
○政府委員(米山市郎君) 特に衝突時刻について問題になっているわけでございますけれども、これは航泊日誌の方が三十八分という一応鉛筆の走り書きがあった。それから、鑑内のほかの記録、速力通信受信簿といったようなものも、これは機関室の方で記録をしているものでございますが、そういった記録もあるわけでございまして、その記録であるとかあるいは当時の関係者の状況報告等を総合的に判断して、みんなで艦長のもとで話し合って、三十八分と四十分という二つの数字があるものですから、どちらがより正確なものかということで、最終的には総合的な判断の上から四十分がより正しいであろうと。実際問題として時計とにらめっこをしながら記録をつけているわけではございません。むしろ、記録というのは後から、ああ何分ぐらいだったということで分単位で記録をしているものでございますので、実際問題として正確な衝突の時刻というのはなかなか特定するのは難しい面がございますが、そういう努力を鑑内でした結果が十五時四十分という結論に落ちついたというふうに私どもは承知をいたしているわけでございます。
 したがいまして、先生御指摘のようにこれを改ざんとか何とかというふうには私どもは考えておりません。
#21
○山口哲夫君 総合的に判断したということは、結局つじつま合わせをしたとしか考えられないんですよ。
 これだけで時間をとれませんので、この問題については改めてまたやらなければならないというふうに考えているんですが、例えばこういう問題はどうなんですか。事故当日、横須賀海上保安部から山下艦長に出頭を求めた。ところがそれを拒否しているんです。それで、保安部の方としてはやむなく係官を「なだしお」に派遣をして事情聴取している。これは実は事故から七時間もたっているんですね。晩の十一時半ころに派遣されて事情聴取に行っているんです。
 この間海上では遭難した方々の捜索のために海上保安庁とか民間の人たちが必死になって捜しているわけでしょう。その間自衛隊は一体何をやっていたんですか。鑑内でもって会議を開いて、そして重要な日誌の改ざんを実はやっていたわけです。そして、いつでも海上保安庁から来られて事情聴取されても何でもないように、そういったあなたの今言った総合的な判断によって、きちっと時刻をどう突っ込まれても大丈夫のように改ざんをして万全の態勢を整えているわけです。多くの命が失われていこうとしているそういう海上で、海上保安部や民間の人たちがそれこそ命がけで必死になって捜索をしているわけでしょう、救難しているわけでしょう。自衛隊はそういうときに鑑内でそんな文書の整理をしている、会議をしてつじつま合わせをするような、そんな余裕なんかないはずですよ。山下艦長というのは本当に血も涙もないそういう人かなと、こんなふうにも私は疑わざるを得ないんです。
 防衛庁長官、先ほども読み上げましたように、幹部の方でさえ山下艦長から命じられて航泊日誌を書き直したことについて非常に苦痛に思っているわけです。そういうことが明らかにされている。そういう中で防衛庁長官は、「清書するときに鑑内の記録を総合的に判断して二分間直したもので、意図的にやったものではない、と聞いているので、そう信じている」と。部下の方からそう言われたのでそれを信じているというんですけれども、しかし今までの報道関係を見、今私が言ったようなことを考えて、今でもそんなふうに思いますか。そんなに信じていられますか。どうですか。
#22
○国務大臣(松本十郎君) 清書し、書き直したことの事実なり経緯なりにつきましてはただいま政府委員から答弁したとおりでございまして、私はその報告を信じておるわけであります。ただ、改ざんしたのではないかというふうな誤解を与えたことについては、これは遺憾だと思っております。
 なお、一言申し上げますが、「なだしお」に海上保安部の係官が訪れて事情聴取を行った時刻は、委員御指摘のように夜になってはおりますが、当時「なだしお」が行方不明の方々の捜索救助活動に従事していたために、当面緊急に必要である捜索救助活動を優先させることで、保安部の方との了解を得てその話が保安部から来るのが時間がおくれたということでございまして、「なだしお」も捜索と救助活動には全力を尽くしたことは事実でございます。
#23
○山口哲夫君 それはもちろん隊員の一部は救助活動に当たったことは事実です。
 しかし、艦長初め十数名の幹部の人たちが士官室に集まって七時間もこういった文書の整理、私に言わせれば改ざん、それをやっていることは事実だと思う。そういうことをやっぱりお認めになった方がいいんじゃないですか。そして、防衛庁長官、幹部の中でさえ艦長から言われて日誌を書き改めたことについて非常に苦痛を感じているということが何人かの証言から出ているわけでしょう。そういうことを考えたときに、あなたは今、海上自衛隊の方から報告があったことをそのまま信じていいとお思いですか。もう少し内部を調査してみる、そういうお気持ちにはならないですか。
#24
○政府委員(米山市郎君) 七時間も会議をしていたわけではございません。先ほど長官の方から御答弁申し上げましたように、「なだしお」の乗組員も一生懸命行方不明者の捜索活動に従事をいたしておりました。先ほど申し上げましたような総合的に判断をした場と申しますのは八時過ぎごろからの会議と申しますか、集まって艦長を中心に状況報告等をしたり記録の突き合わせなどをしたというふうに聞いておりますので、そう長い時間ではなかったのではないかと思います。
#25
○山口哲夫君 海上自衛隊の中に内部文書というのがあるんですね。新聞に内部文書によるととよく出てくるんですけれども、この内部文書というのは何ですか。
#26
○政府委員(米山市郎君) 報道で言われる内部文書というのがどういうものであるか私は承知をいたしておりません。ただ、事故原因究明のために関係の者から事情を聞いたりというような形でのメモがいろいろあることは事実でございます。そのメモのどれであるかは私は特定はできておりません。
#27
○山口哲夫君 私が推測するところによりますと、これは事故のてんまつをずっと書いたものでないかなというふうに思うわけですね。この内部文書は非常に重要だと思うんです。こういった中で幹部の人たちあるいは乗組員の一部の人たちが山下艦長からいろいろと指示をされている、その辺のいきさつがずっと書かれているわけですね。ですから、今後の審査のためにもこの内部文書それから航泊日誌、この二つをぜひ提出していただきたい、こう思いますけれども、どうですか。
#28
○政府委員(米山市郎君) 内部文書がどのものであるかが特定できないわけでございまして、いろいろなメモ、個人的なメモ等はたくさんございます。公式な形での文書というのはまだございません。したがいまして、今海上幕僚監部におきましても事故調査報告ということで調査をいたしておりますので、いずれそれがまとまりました段階で公式な形でそういったものの経緯なりあるいは事故原因についての報告がなされるものと思っております。
 航泊日誌につきましては、海難審判の審理の場にも資料として提出をしてございます。
#29
○山口哲夫君 じゃ委員会にも提出してもらえますね、航泊日誌。
#30
○政府委員(米山市郎君) 現在、海難審判の方へ提出をいたしておりますので手元にございません。
#31
○山口哲夫君 内部文書というのは、これはメモであろうが何であろうが、一応そういったてんまつが書かれているとすれば、私たちにとっては非常に重要な公式文書に属するものだというふうに考えております。これは提出してもらえませんか。
#32
○政府委員(米山市郎君) 内部文書がどれであるかという特定ができないわけでございまして、どのようなメモ――全くの個人的なメモというのはいろいろあると思います。そういったもので委員会に御提出するようなものではないというふうに思っております。
#33
○山口哲夫君 これからの審査のためにもどうしてもこの内部文書、内容については例えば乗組員が一連の衝突の事故の中で自分たちがどういうことを話をしていたのか、あるいは艦長からどういう指示を受けたのか、そういったことをずっと記録されている文書というのはあるはずですよね。ですから、そのたぐいの文書というものを私はぜひこの委員会に提出していただくように委員長にひとつお願いをしたい。委員会としてそういう資料が今後の審議のために必要と思いますので、ぜひひとつ提出をするように委員長としてお計らいをいただきたい、こう思います。
 それからもう一つは、山下艦長とそれから最初に航泊日誌を書かれた乗組員、それから整理をする段階で書き直した、私に言わせれば改ざんしたと思うんですけれども、山下艦長の命によって書き直した乗組員、この三人を私はやっぱり今後委員会として喚問して真相を明らかにしていく必要があると思う。そういうことで委員長にお願いしたいと思うんですけれども、少なくともこの問題については内閣委員会と運輸委員会、この連合の審査をやっていただいて、そこに今申し上げたような人たちをぜひ喚問してもっと真相を明らかにするべきである、こんなふうに思いますので、ぜひひとつお取り計らいをいただきたい。
 これは非常に国民を欺いた恐るべき問題だと思っております。自衛隊というのは自分たちの身を守るというか、自分たちの都合のいいことのためにはどんなことでもやるという、これはもう私に言わせれば非常に大胆不敵な文書の改ざんだと思うんです。こんなことで一体国民の命を自衛隊に任せることができるのかどうなのか、そういう疑問さえ生じます。そういう点で非常に重要な問題だと思いますので、ぜひ今申し上げたようなことを委員長としてお取り計らいをいただきたい、こういうふうに思います。
#34
○委員長(板垣正君) ただいまの山口哲夫君の要望につきましては、後刻、理事会において協議いたします。
#35
○山口哲夫君 それでは次に、官房長官は記者会見の時間の都合もありますので、最初にアイヌ問題。
 これは八月三十一日の当委員会で官房長官に宿題というかお願いをしてある点です。当日、私の方としては、できれば窓口は総務庁にしたらいかがですかということについて、検討をしたい、こういうことになっております。それから今まで非常に長く時間がかかっているんで、臨時国会までに結論をぜひ出していただきたいということについては、官房長官は、意見を十分参考にして結論を出すように努力をしたい、こんなことで終わっております。自来もう二カ月有余たっておりますので、その経過について報告していただきたいと思います。
#36
○国務大臣(森山眞弓君) 先生の御指摘は私も承りましてよく承知いたしております。
 ただ、この内容、問題点につきまして検討をただいま進めているところでございますが、残念ながらまだ御報告申し上げられる段階に至っておりません。鋭意検討を進めまして、できるだけ早く結論を出して御報告いたしたいと考えておりますので、御了承いただきたいと存じます。
#37
○山口哲夫君 検討中だそうですけれども、どなたに指示されているんですか。
#38
○国務大臣(森山眞弓君) ウタリ問題は非常に幅広く、各関係省庁が数多くございますので、関係しております各省庁に命じまして協議をするように進めております。
#39
○山口哲夫君 官房長官の指示を受けて各省庁に対してさらに要請をしていくわけですね。そうなりますと、どなたですか、官房長官が直接指示された方は。
#40
○国務大臣(森山眞弓君) 内政審議室というのがございまして、そこが私どもの部局でございます。そこが中心になりまして、関係省庁、北海道開発庁でありますとか総務庁でありますとかその他、もっと広く言いますと教育問題は文部省、福祉問題は厚生省というふうに関係省庁が非常にたくさんございますので、そういう部局の関係者と協議をするようにいたしております。
#41
○山口哲夫君 それじゃ内政審議室というのは審議室長というのがいらっしゃるわけですか。その方に御指示されているんですか。
 何でこんなにしつこく聞くかと言えば、今まで二年以上たっているんですよね、こういう問題について、窓口一つ決めることについて。歴代の官房長官が検討します検討しますと言って、ほとんど検討されていなかったと私は思うんです。ですから、あなたにも引き継ぎもなかったようです。こんなもの二カ月半もかかる問題ではないですよね、窓口をどこに決めるかなんですから。まずそこを決めてから、それでは新法に対してどういう対処をするかということを論議すればいいんであって、その窓口を決めるのに約束してから二カ月半もたつというのはちょっと私としては理解できないですね。
#42
○国務大臣(森山眞弓君) 大変おくれておりますことはまことに申しわけございませんが、調整にいささか時間がかかっておりまして、もうしばらくお待ちをいただきたいと存じます。
#43
○山口哲夫君 どんなところが障害になっているんですか。各省庁みんな窓口を引き受けたくないと言っているんですか。
#44
○国務大臣(森山眞弓君) 何分にもこの問題の範囲が広うございますものですから、調整に時間がかかっているということでございまして、積極的に進めてまいりますので、できるだけ早く御報告申し上げたい、そのことだけはお約束できると存じます。
#45
○山口哲夫君 前の委員会でも私は申し上げたんですけれども、各省庁にまたがる問題というのはやっぱり総務庁が窓口になった方がいいんじゃないか、こう申し上げましたですよね。その一つの例として交通事故対策、高齢者対策、これは広範に各省庁にまたがっている。ですから総務庁の中に専門官を置いているわけですね、審議官ですか、置いているわけですね。それと同じようなものでないんですか。そういうふうにお考えになったとするならば、まず総務庁の中にそういう専門の窓口を置くという、そういう御指示をあなた自身がするべきではないですか。
#46
○国務大臣(森山眞弓君) 交通対策の例ももちろんございますし、そのような可能性も含めましてさらに検討していこうということで今進めておりますので、できるだけ早く御報告申し上げたいと存じます。
#47
○山口哲夫君 毎回同じ答弁ですな。今検討中でございます、努力をしておりますと。窓口一つ決めるのに二カ月半かかるなんてとても考えられないですよ。
 あなたはそういう総合的な省庁にわたっているということはお認めになっているわけでしょう。お認めになっているんであれば、なおさら直接それを総括する窓口というものは総務庁に置かなければならないというのも、これは理屈からいっても当然のことだと思うんです。あなたがそういうふうに判断をすれば、副長官の方に、石原さんなら石原さんに、こういう方針でひとつ各省庁を集めてまとめてくれ、こういう指示の仕方が私は当然筋だと思うんですけれども、なぜそういう御指示をされないんですか。
#48
○国務大臣(森山眞弓君) 実際に仕事を進めていくという必要がございますので、そのためには何が一番いいか、どういうやり方が最もふさわしいかということを検討してもらっているわけでございますので、できるだけ早く近いうちに結論を出したいと考えておりますので御了承いただきたいと存じます。
#49
○山口哲夫君 近いうちにということは、今国会開会中というふうに理解していいですね。
#50
○国務大臣(森山眞弓君) 今国会開会中にできますればと考えてはおりますが、今のところまだいついつということのお約束はいたしかねるわけでございます。
#51
○山口哲夫君 それではちょっと引き下がるわけにいかないんです。あなたの約束は、歴代の官房長官を含めて今までみんなほごにされてきているんです。私どもは信用できないです。これは二年半たっているんですよ。そして、北海道の知事と道議会、道議会の議長と北海道のウタリ協会の理事長の三者連名で新法の制定についても要請して一年半たつんですよ。そのためにはまず窓口つくらなきゃならないでしょう。そして七回も陳情を繰り返しているんですよ、わざわざ北海道からアイヌの方々が出てきて、早くやってくださいと。その都度、検討します検討しますなんです。本当に検討する意思があるのであれば、今会期中に必ず結論出すというふうに約束してくれませんか。
#52
○国務大臣(森山眞弓君) 私もその陳情の皆様にお目にかかりましてお話を伺っております。確かにその窓口を設けるということが必要だということは、先生の御質問もあり、またその陳情の皆様のお話もありまして具体的に感じているところでございまして、お約束のことでもありますので、できるだけ早くというふうに考えているところでございます。
#53
○山口哲夫君 こういうことを余り言いたくないですけれども、あなたはどこかで、社会党を中心とする野党の政策能力を疑うと、そういう御発言をされたようですけれども、疑われるのは結構でございますけれども、私どもは十分政策能力を持っているつもりです。
 言葉を返すわけじゃないけれども、こんな窓口一つ決めるのに二年も三年もかかっている今のあなた方政府の行政能力、特にあなたの行政能力を疑わざるを得ませんよ、大変失礼ですけれども。もし行政能力に御自信があるのであれば、まだ十六日まで一カ月も時間があるんですから約束してくださいよ、必ず今国会中には結論を出しますと。どうですか。
#54
○国務大臣(森山眞弓君) 私は野党の皆様方の政策能力を疑うというようなことを申した覚えはございませんが、この件に関しましては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ早く近いうちに御報告申し上げられるかと思いますので御了承いただきたいと存じます。
#55
○山口哲夫君 この間質問をいたしましたら、官房長官が女性だから詰めが甘いぞと言われて随分あちこちからおしかりを受けているんです。私どもとしては本当にはらわたが煮えくり返るくらいにふんまんを持っています。みんなそうですよ。特にアイヌの人たちなんていうのはこのまま黙って引き下がれない、重大な決意をしなければならない、そういうことさえ言っていますよ。私どもも本当にそういう気持ちでいっぱいです。私はあなたを信じますので、今度の臨時国会中に必ず結論を出してくれるようにぜひひとつ最大の努力をしてください。
#56
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘を踏まえまして最大の努力をいたします。
#57
○山口哲夫君 官房長官、三分くらい前でよろしいですか。五分くらい前ですか。
#58
○国務大臣(森山眞弓君) まだもう少し大丈夫です。
#59
○山口哲夫君 中途半端になるんですけれども、それじゃちょっと聞いてください。防衛白書の問題です。
 特に官房長官と防衛庁長官にお尋ねをしたいんですけれども、シビリアンコントロールというこの定義でございます。私は防衛官僚が制服の自衛官をコントロールするものではないと思うんですね。それは御理解いただけるでしょうね。そうではなくして内閣や国会が自衛隊をコントロールする、そして国民の意向に沿った自衛隊となるように指揮、指導をしていくという、これが私はシビリアンコントロールの定義ではないかなと思うんですけれども、両長官いかがでしょうか。
#60
○国務大臣(森山眞弓君) シビリアンコントロールとは、民主主義国家におきまして軍人に対して政治の優先ということを確保するということであると理解いたしております。
 我が国の現行制度におきましては、国防組織である自衛隊は文民である内閣総理大臣、防衛庁長官のもとに十分管理されておりますほか、法律、予算等について国会の民主的コントロールのもとに置かれているわけでございます。また、国防に関する重要事項等につきましては安全保障会議の議を経るということになっておりまして、いわゆるシビリアンコントロールの原則は貫かれているものと考えております。
#61
○国務大臣(松本十郎君) シビリアンコントロールにつきましてはただいま官房長官の御答弁のとおりでございまして、私といたしましても政府一体となりまして今後ともこの制度の適正な運用に万全を期してまいりたいと考えております。
#62
○山口哲夫君 今お答えいただきましたように、やっぱり内閣や国会がそういった自衛官というものを指揮、監督していくという、そこが非常に大事なことだと思うんですね。
 そういうことを考えますと、このシビリアンコントロールの根幹をなすものというのは、我々国会議員やそれから各省庁、それから国民にいろんな資料が提供されるんですけれども、まずその資料は正確でなければならない、こういうふうに思うんです。これについてはいかがですか。
#63
○国務大臣(松本十郎君) 委員御指摘のとおりでございまして、すべて各省庁とも十分調整をしながら資料をつくり、いろいろ出しているわけでございます。
#64
○山口哲夫君 もし仮に情報を操作いたしまして内閣や国会議員を誘導するような行為が防衛庁の中にあったとすれば、これはシビリアンコントロールに対する重大な違背ですね、命令に背くことになるんじゃないか、私はそう思うんです。
 防衛庁というのは秘密事項が非常に多いんです。それだけに情報が正しいかどうかダブルチェックをしなきゃならないんですけれども、マル秘の文書が多いだけにそれも非常に難しいんです。したがって、正確なデータの提供、それからデータの客観的、誠実な評価を我々に示すべきだと思うんです。だから、シビリアンコントロールということを考えたときに、我々国会議員だとか内閣に対しては常にデータというものは正確でなければならない。そして、そのデータに基づいていろんな評価をする場合でも客観的なきちっとした正しい評価をしなければならないということだと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
#65
○国務大臣(松本十郎君) データの提出については委員御指摘のとおりでございまして、すべてそういう点については客観的なものをあれしながら出しております。
 ただ、御承知のように中には軍事機密を要して出せないものもございますが、そういうものを出しながら、庁内の内局さらには安全保障会議、その前には各省庁と十分そういった情報、データについて検討、調整を加えた上で正確だということがはっきりした上で出しておりまして、誘導するような気持ちはさらさらございません。
#66
○山口哲夫君 誘導するものであってはならないんですけれども、先ほどの「なだしお」ではないけれども、改ざんをしてもならないし、正確なデータを提供するというのが非常に大事だと思うんですけれども、残念ながら今お配りいたしました十一月七日発行のアエラの記事の中に、防衛白書として防衛庁が書かれたものと、それからアメリカの国防総省が出している「ソ連の軍事力」についての内容と、イギリスで発行しているジェーン年鑑の海軍編、同じくイギリスから出しているミリタリー・バランス、これについて非常に数字の上で違いがあるんです。この点はぜひ官房長官にもお聞きしていただきたいんで、今、記者会見でお出かけになるそうですから、私の質問を一回中断いたしまして、お帰りになってから続けることを理事会で御了承いただいておりますので、この辺で私の質問をとりあえず中断いたしたいと思います。
#67
○三石久江君 まず、労働省にお尋ねいたします。
 昭和六十一年四月一日に男女雇用機会均等法が施行され、その後、施行規則と女子労働基準規則の一部が改正されて平成元年から施行されておりますが、その法律の趣旨がどのように生かされておりますか、その状況をお尋ねいたします。
#68
○説明員(太田芳枝君) お答えさせていただきます。
 昭和六十一年四月に男女雇用機会均等法が施行になったわけでございます。この法律の施行を契機といたしまして、各企業におきましては男女を問わない求人が非常に増加いたしました。それから、女子の就業の分野というのが拡大してまいりましたし、また女子を管理職へ登用するという企業もふえてまいりました。また、新入社員教育を同一扱いしたり、男女別定年制を是正するなど雇用管理を法の要請に沿ったものに改善し、女性の能力を積極的に活用していこうという企業が多数見受けられるというふうに考えておるところでございます。
 労働省におきましては、今後とも事実上の均等をさらに進めていくために、均等法の趣旨に沿った雇用管理が職場で行われますよう事業所内で均等を推進する立場にある方々を機会均等推進責任者ということで選任していただきまして、雇用管理を自主点検していただくというような自主点検促進事業を昨年度から始めさせていただいております。これにつきましても現在三万人を超える推進責任者が選任されておりまして、各企業において女性の能力を活用していこうという風潮は非常に高いというふうに考えておるところでございます。
 この自主点検促進事業を初めといたしまして、今後もさらに雇用の分野における男女の均等取り扱いが着実に実現されるように法律の適切な運用に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#69
○三石久江君 ただいまの御答弁で民間での男女差別撤廃の努力がなされていることがわかりました。今後とも成果の上がることを期待しております。
 次に、前回の本委員会におきまして公務員のI種相当在職者の女性公務員について伺いましたが、女子の昇進「昇格がおくれているということがわかりました。
 そこで本日は、II種、III種のクラスについてお伺いいたします。資料といたしましては、II種、III種のクラスの方が大変多いので、実態を見るのに都合がよいと思いましたので国立大学を調査対象にいたしました。
 そこで文部省に、昇進、昇格について女性の地位向上にどのような配慮がなされているかお伺いいたします。先日御提出いただきました資料から、全国の大学に勤めている文部事務官は九十六大学全部で計三万一千二百五十四人で、そのうち男子は二万三千四百二十人、女子は七千八百三十四人。すなわち女子の比率は二五%で四分の一です。
 そこで、事務官は主任、係長、補佐という順序で昇進するわけですが、この表でも大学間に格差が見受けられますが、個々についての検討は省いて総数についてお話をさせていただきます。主任の数は男子が三千五百五人、女子は一千十一人で比率は二二・三九%。したがいまして、全事務官の比率とそう違わない数です。これだけで見れば女性の差別がないように見えますが、係長となりますと男子六千四十七人で女子は二百十五人で比率は三・四%しかありません。男子は主任の三千五百五人の約二倍の係長がいます。それに対しまして女子は係長が二百十五人で主任一千十一人に対し約五分の一になっております。
 この数字からいろいろのことが考えられますが、まず第一に、男子は主任から係長に昇進できるのに女子はほとんどが主任どまりのように見受けられます。第二に、年齢構成が示されておりませんが、女子の主任クラスはかなり男子に比べて昇進が遅くて、高齢者にならなければ主任にもなれないのではないかと思われます。その上、補佐になりますと全国で女子はたった一人です。男子は一千三十一人おります。比率は〇・一%です。すなわち女子の昇進が遅いということを具体的に示していると思いますが、文部省の見解はいかがでしょうか。
#70
○委員長(板垣正君) 文部省は見えていますか。
#71
○三石久江君 文部省の方がいらっしゃらないそうで、しばらく待たせていただきます。
#72
○委員長(板垣正君) 文部省はあと三、四分で見えるそうですから、それまで待ちます。――じゃ、文部省いいですか。質問内容はわかっていま
すね。
#73
○説明員(岡村豊君) 大変失礼いたしました。
 国立大学における行政職の主任、係長、補佐の男女比率等についてのお尋ねだと思いますが、国立大学におきます行政職の主任の総数は、これは元年の十月の時点で調べましたけれども、四千五百十六人でございまして、うち女性は一千十一人、二二・四%でございます。それから、係長は総数が六千二百六十二人でございまして、うち女性は二百十五人、これは三・四%でございます。また課長補佐は、総数は一千三十二人、うち女性は一人で〇・一%ということでございます。これらの主任、係長、補佐を合計した総数は一万一千八百十人、うち女性は千二百二十七人ということで一〇・四%ということでございます。
#74
○三石久江君 ただいま質問いたしましたのは、女子の昇進が遅いということを具体的に示していると思いますということで文部省の見解を求めたんですけれども。
#75
○説明員(岡村豊君) 国立大学の課長補佐以下の職員の人事につきましては国立大学の学長さんに委任をいたしております。私どもとしては、国家公務員法の規定の趣旨等にのっとりまして、能力それから意欲等に基づいて係長、主任あるいは補佐等への昇進を適切に行うよう常日ごろ指導しているところでございまして、意欲、能力等十分おありの女子職員については男子職員に比べて特に昇進が遅いというようなことにはなっていないというふうに私どもは理解しております。
#76
○三石久江君 しかし、この表で見ますと、補佐になったという人は九十六大学でたった一人というのは余りにも差別じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
#77
○説明員(岡村豊君) 御指摘のとおり九十六大学中課長補佐は女性は一人でございますが、これら課長補佐等を含めまして管理職への登用につきましては意欲、能力等十分勘案して男女の差別をすることなくやっていただくよう私どももお願いしておりますし、大学当局もそのようなことで人事をやるというふうに理解しております。結果的にそういう数字になっているわけでございますが、この数字が長期的な目で見た場合必ずしもいい数字だというふうには私ども思っておりませんので、一層努力さしていただきたいと思います。
#78
○三石久江君 今後十分に差別のないように昇進、昇格について考えていただきたいと思います。
 先ほど申しましたように文部省というところでは、各大学にそういう責任があるというようなおっしゃり方をされたんですけれども、やはり今あなたがおっしゃったように大学の人事を扱う事務局長、庶務部長、人事課長は文部省の直接の指揮監督のもとにあるのですからよろしく御指導していただきたいと思います。民間でさえも労働省は機会均等法などで指導しておりますのに、各省庁は公務員法に照らして指導監督義務というのはあるはずですので、今後よろしくお願いいたします。
 それから、人事院にお伺いしたいのですけれども、ただいまの文部省の方の御返事で、各省庁は出先機関に対して人事権を行使できるのでしょうか。
#79
○政府委員(中島忠能君) それぞれの省庁の内部の規定の定めによりまして大臣から各省に権限を委任されておると思いますので、その関係で、委任ということでございますので、必要があれば大臣が直接行使することは理論上は可能だと思いますが、それが政策的にいいかどうかという判断はそれぞれの省庁でなさることだと思います。
#80
○三石久江君 ありがとうございました。
 冒頭にも申し上げましたように今回は大学の行政職を取り上げましたが、国家公務員全般の女子差別の問題ですので、はっきりと女子に対する差別をなくす具体的な実効ある方策を人事院には考えていただきたいと思います。
 以上で終わります。
#81
○山口哲夫君 官房長官いらっしゃらないんですけれども、時間の関係上やむを得ず私続けたいと思います。
 先ほどお手元に配付いたしましたソ連太平洋艦隊の主要水上戦闘艦艇、これをちょっと見ていただきたいんですけれども、防衛庁が出している防衛白書によりますと一九八五年は九十隻です。それが四年後の八九年になりますと百隻に十隻ふえております。同じソ連の太平洋艦隊の主要水上戦闘艦艇についてアメリカの国防総省が発表した「ソ連の軍事力」、この本ですけれども、これによりますと一九八五年が八十七隻、それが四年後には六十九隻に十八隻減っております。それから、世界的に非常に権威があると言われるジェーン年鑑海軍編、これは九十五隻、それが四年後の今日は八十九隻、これも六隻減っております。同じくミリタリー・バランス、イギリス、八十五隻、それが八隻減って七十七隻、こんなふうにずっと減ってきております。日本だけがふえております。国防総省が出している「ソ連の軍事力」と比較しますと、何と日本の数字というのは三十一隻、四五%も差があるんですね。これは非常に不思議なんです。
 それから、次のソ連太平洋艦隊の潜水艦数、これをごらんいただきたいと思うんですけれども、防衛白書では一九八五年から今日まで百四十隻でずっと変わらず。ところが、アメリカ国防総省の「ソ連の軍事力」によりますと百三十四隻が四年後には百十八隻に減っております。マイナス十六隻です。ジェーン年鑑海軍編によりますと百二十七隻が百十三隻、マイナス十四隻。ミリタリー・バランス、百十八隻が百二十隻になっておりますけれども、これは下の米印に書いてありますように、「この年度より救難用、標的用など非戦闘用潜水艦十隻を含む」ということになっておりますので、比較するためにはこれを引かなければなりません。ですから、実際は百十隻ということで八隻減ってきております。これを見ますと、いずれも権威のあるアメリカの国防総省やイギリスで出しているこの数字は、ソ連の海軍というのはどんどんどんどん減らされてきているのが実態なんです。ところが、日本だけはどういうわけかふえているんですね。これは不思議でしようがないんです。
 もう少し立ち入ってみますと、これが「ソ連の軍事力」というアメリカ国防総省が発行したものなんですけれども、この中にこんなふうに書いてあります。
  ソ連海軍の戦力構成(艦艇)の相当な部分(二百隻以上の主要水上戦闘艦艇、潜水艦等)は一九五〇年代と一九六〇年代に建造され、まとまって旧式化しつつある。
  一九八七年以来二十隻のソ連海軍の主要戦闘艦(巡洋艦四隻、駆逐艦十六隻)がスクラップ化されたり、武器と電子装備をはずしてスクラップ待ちである。
  また数ダースの寿命の過ぎた潜水艦がスクラップ候補だとされる。
こんなふうに載っているわけです。
 ですから、今示したこのアメリカやイギリスで出しているソ連の水上艦艇の数字は日本より低いけれども、さらにこの中にはもう使い物にならないようなものも入っているんですよ、こういうふうに言っているんですけれども、これはどういうことなんですかね、この数字の違い。非常に不可思議なんですけれども、まずこの数字の違いについてできるだけ簡潔にお答えください。
#82
○政府委員(小野寺龍二君) 白書の数値につきましては、各種の情報に基づいて確認した事実を客観的に分析して、その結果を一定の基準に基づいて取りまとめて公表しているものでございます。一方、ただいま委員御指摘の「ソ連の軍事力」、ミリタリー・バランス、ジェーン海軍年鑑、これらの刊行物はそれぞれ独自の基準、手法、算定時点に基づいて軍事力を算定しており、また過去において基準の変更が行われたこともありまして、これらの数字を過去と時系列的に比較すること、これが必ずしも適当でない場合、それからまたその基準が違うことによって白書の数値と単純に比較できないというものもございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、「ソ連の軍事力」、アメリカの国防総省の発表でございますけれども、これにつきましては艦艇については本年、航空機について一九八七年に基準の変更が行われております。その細部の内訳についてはわかりませんけれども、変更が行われていることは事実でございます。また、ミリタリー・バランスにつきましても、これはミリタリー・バランスの注の中に書いてございますけれども、毎年データの見直しが行われており、「各年版に示された情報から根拠のある時系列的比較ができるとは限らない。」という記述がはっきりいたしてございます。さらにジェーン海軍年鑑についても、ソ連の太平洋艦隊の所属隻数は概数で示すにとどまるということがはっきり書いてございます。
#83
○山口哲夫君 一定の基準に基づいてやっているというんですけれども、その基準というのはどんなものですか。
#84
○政府委員(小野寺龍二君) 基準についてはいろいろな基準が、いろんな要素がございまして一概にちょっと申し上げるわけにはまいりませんけれども、ミリタリー・バランスとかジェーンとか、そういうほかの刊行物はその基準を変えているわけでございます。それに比べて白書は基準を一定にして、それで比較していると、そういうことでございます。
#85
○山口哲夫君 確認しますけれども、白書の方は基準は変えていないんですね。それと同時に、ほかの方は毎年基準を変えているというんですけれども、どういうふうに変えているんですか。
#86
○政府委員(小野寺龍二君) 白書の方は一定の基準でやっているつもりでございます。我々としては戦力として評価し得るものをその軍事力の構成要素として、そういう基準に基づいて見ているわけでございます。ほかの出版物についてはその基準の変更というのはそれぞれの時点においていろいろなことが行われておりますけれども、例えば艦艇でありますと主要水上艦艇、それから大型主要水上艦艇というふうにいろいろな定義の仕方が変わっておりますし、その中に含まれている艦艇の種類も恐らく違っているというふうに思われます。作成時期についても同様のことが行われております。
 ミリタリー・バランスなんかについては、委員のお示しになっておられますその数字の中で、例えば一九八八年と八九年との間でソ連太平洋艦隊の主要水上艦艇が七十三から七十七までふえておるわけでございますね。これなんかも、我々の見積もりによりますと艦艇というのはほぼ一定しているというふうに今のところ見ておるわけでございますけれども、ミリタリー・バランスではふえていると、そういう数字になっております。これは必ずしもミリタリー・バランスが実際に艦艇がふえたというふうに分析したのではなくて、恐らくその評価を変えたということではないかと思われます。
 同様のことが潜水艦についても――潜水艦の場合はミリタリー・バランスはどうして八八年と八九年の間に数字の差が出てきたかという説明を若干いたしておりますけれども、ほかの場合についてもこういうようなことが何回も行われているというふうに見ております。
#87
○山口哲夫君 例えばアメリカの国防総省で出している「ソ連の軍事力」、これは基準は変えていないでしょう。どうですか。
#88
○政府委員(小野寺龍二君) 「ソ連の軍事力」も航空機については一九八〇年に……
#89
○山口哲夫君 航空機を聞いているんじゃないんですよ。上の二つについて聞いているんです。
#90
○政府委員(小野寺龍二君) 艦艇につきましては、本年、教え方を変えております。
#91
○山口哲夫君 どういうふうに。
#92
○政府委員(小野寺龍二君) 「ソ連の軍事力」については、本年になりまして、従来主要水上艦艇、プリンシプル・サーフェス・コンバタンツという基準で数えておりましたのを、ことしはラージャー・プリンシプル・サーフェス・コンバタンツ、大型主要水上艦艇、それから小型フリゲート及びコルベット、スモーラー・フリゲーツ・アンド・コルベッツという別な基準を採用いたしております。
#93
○山口哲夫君 ちょっと専門的なあれでよく聞き取れなかったんですけれども、そんなに大きな変更ではないでしょう。例えば今まで一千トン級であったものを五百六十トン級まで下げるとか、そういう大きな変更ではないというふうに考えるんですけれどもね。
#94
○政府委員(小野寺龍二君) この点については必ずしもはっきりいたしません。したがって、今回示した二つに分けたようなもの、これを足したものが従来と同じものに相当するものであるかどうかということは、これは必ずしもわかりません。
 さらに、今申し上げましたように大型主要水上艦艇と小型フリゲート及びコルベットという二つの何と申しますか、カテゴリーをつくったわけでございますけれども、そのカテゴリーが従来のものと一致するものかどうかということは、これは「ソ連の軍事力」の中では説明がなされておりません。
#95
○山口哲夫君 そう大きな変更ではないというふうに判断をしているんです。百歩譲ったとして、仮にそういう変更があったといたしましても、そんなにふえているわけではないんで、一九八八年七十七隻がことしは八隻減ってますよね。それはあなたが今言うように基準の違いだというんですけれども、もし基準の違いでなくて昨年どおりでやったとしても七十七隻なわけです。これと比べても日本は何と二十三隻も多いわけです。同じソ連の艦隊を対象にして日本の方が実にこういうふうに多いということは一体何なんだろうかと思ったんです。
 日本の基準が変わったというんならいいんですよね。例えば今までは旧式艦は入れなかったんだけれども、旧式になった船も入れたんだとか、そういうふうに考えているんなら日本の隻数が多くなっていることもわかるんですけれども、今あなたが言っているように日本の基準というのは一定して変わっていないというんです。変わっていないのに、外国の方かこういうふうに減っているのに日本だけがふえているというのはどうしても私は解せないんですね。防衛庁長官、どう思いますか。ちょっと不思議に思いませんか。
#96
○国務大臣(松本十郎君) 潜水艦につきましては防衛白書は一九八五年以来ずっと約百四十という数字が変わっておりません。それから、その上の防衛白書の主要水上戦闘艦艇については八八年からふえておりますが、御承知のようにヨーロッパ方面から回航したものもあれば、新しく建鑑されて配備されたものもありますし、そのときに先生御指摘のような老朽のものを落とすのかどうかというところは、私も詳しくは知りませんが、ある段階まで入れておれば新しく追加された分がふえるということは当然予想されることではないでしょうかということであります。
#97
○山口哲夫君 この太平洋艦隊というのは決まっているわけですよね。その中で数字が変わってきているということは、老朽化している船を落としているのかという感じもしますね。しかし、こっちの方の資料を見ますと、その中にも老朽化している船が大部分入っているんだと言っているんです。落としていないんです。老朽化している船も入っているんです。だから、そういうことからいきますと、この白書の二十三ページに、「ソ連海軍は、沿岸防衛型から外洋型の海軍への成長のため、過去四半世紀以上にわたり一貫して増強されてきた。」というんだけれども、全然違うんじゃないですか。白書ではソ連海軍というのは増強されているというんですけれども、これでは何にも増強されていないんですよ。減ってきているんですよ。これはどうですか。
#98
○政府委員(小野寺龍二君) 委員の御指摘ございますけれども、我々の分析によりますと、数量において今までのところはずっとふえてきて、最近になって、これは白書でもはっきり見えておりますけれども、量的にはほぼ頭打ちないしは艦艇であれば若干の減。これは全体の艦艇においては防衛白書は若干の減を記しているわけでございます。
しかし、ソ連太平洋艦隊の戦力という観点からいいますと、その量だけではなくて質という点、質においては非常に目覚ましい改善が行われているということを指摘せざるを得ないということでございます。
#99
○山口哲夫君 ちょっと聞き取れない点があるんですが、どうしても私が不思議に思うのは、アメリカで出している「ソ連の軍事力」というのでは減ってきているのに日本ではふやしている。だから、もし日本で基準を変えて、今まではソ連の老朽艦は入れなかったけれども今後は老朽艦も含めていくんだというんであれば、日本の防衛庁が言っている数字が上がってくるのはわかるんです。しかし、基準は何にも変わってないというんですから老朽艦は入れてないということは事実なんですよね。だから、数字がここで変わるということはどう考えても解せないんです。
 これはアメリカだって「ソ連の軍事力」というのは国民に向けてソ連の脅威をPRする一つの資料でしょう。その中でさえちゃんといろんなことがはっきり正確に書かれているんですよ。例えばこういうふうに書いてある。百十三ページですけれども、「現在、太平洋艦隊は、軍艦、潜水艦二百六十隻、航空機四百八十機を有し、ソ連の四つの艦隊中最大のものである。数においては堂々たるものであるが、太平洋艦隊に多数の老朽化しつつある潜水艦、駆逐艦を抱えており、その大部分は近代戦ではほとんど役に立たない」と言っているんです。アメリカの国防総省は、数だけソ連の軍艦とか飛行機は多いけれども老朽化しているのが大部分なんだから役に立たないんだと言って、ソ連の軍事力の脅威を国民に知ってもらおうとして書いているこの「ソ連の軍事力」の中でも非常に正直に大したことはないんだと書いているんですね。
 ところが、日本の防衛白書というのはソ連の海軍というのは一貫して増強されてきていると言ってソ連脅威論を一生懸命あおっているわけなんですね。これは私はそれこそ数字を捏造したというふうにしか考えられないですよ。どうですか。
#100
○政府委員(小野寺龍二君) ただいまいろいろ御指摘ございましたですけれども、確かに戦力の評価というのはなかなか難しい点がございます。ソ連の海軍の中に老朽艦がたくさんあること、これは事実でございます。老朽艦の中では動いているもの動いてないもの、いろいろあるかと存じます。ただ、現在ソ連の海軍が質的に非常に強化されているというこの事実もございます。
 数字につきましてちょっと一例を申し上げますと、ソ連が最近数字をみずから発表し出しておりますですね。あの中で潜水艦は三百七十六隻という数字を出しております。これは我が防衛白書で言っております潜水艦の総数よりももっとふえてしまうわけでございます。これはソ連がどういうカウントをしているか我々も存じません。ということで、数字の差がいろいろ出てきているということ、これは必ずしも捏造とかというものではなくて恐らく基準とか評価の違いかと存じます。
 先ほど申し上げましたとおりソ連の艦隊の中に老朽艦がたくさんあるということは事実でございます。その老朽艦の中には果たして動いているのか動いていないかという評価が分かれるところもあるかと存じます。恐らくアメリカの国防総省が行っておりますこの数字の評価というのは、よくオーダー・オブ・バトルという実戦配備として部隊に配備されているもの、これを数えているというふうに推定されます。我々の方は戦力として評価できるもの、すなわち保有数ということを重点として数えております。そういったようなことからも恐らく差が出てくる可能性があるんではないかというふうに推定いたしております。ですけれども、この点はあくまでも推定でございまして、はっきりしたことはわかりません。
#101
○山口哲夫君 ソ連の発表している数字で今私は申し上げているんじゃないんですよ。少なくともアメリカが出している「ソ連の軍事力」というこの本に基づいて言っているわけです。同じソ連の太平洋艦隊を比較するのに、何で日本の防衛白書で出しているのが数字がずっと高いのかということを言っているんです。
 防衛庁というのは偵察衛星と言うんですか、あれ持っていませんよね。スパイ活動やっているわけじゃないでしょう。だから、当然資料というのはこういうアメリカで発行しているようなもの、さっき言ったジェーン年鑑、ミリタリー・バランス、そういうさっき防衛庁長官がおっしゃっていたようにいろんなものを総合的に判断してまとめていくわけでしょう。それであるならば、対象になるべき資料というものがみんな数字が低いのに何で防衛白書だけがぽんと高くなっているのか私は不思議でならないんです。
 官房長官、お帰りなさい。時間の関係があったものですから先に進めさせてもらったんですけれども、実はさっきお手元に配付いたしました防衛庁が発行している防衛白書によるソ連、極東と言われる太平洋艦隊の水上艦、潜水艦、それの数字が、同じものを対象にしてアメリカ国防総省で出している「ソ連の軍事力」の数字、それから世界的に権威があると言われるイギリスで出しているジェーン年鑑、ミリタリー・バランスの数字、それと比較すると日本の防衛白書だけが非常に数字が高いということなんです。私はこれは非常におかしいと思うんです。もし日本の防衛白書の基準が変わったんなら別だ。途中からソ連の海軍の老朽艦も含めるようにしたというんであれば日本の数字が高くなることはわかるんです。しかし、それは一定でございまして、全然基準は変えてないということははっきりおっしゃっているんです。しかも「ソ連の軍事力」の中を読んでみますと、その発表している数字の中でさえ使い物にならないような艦艇が随分含まれているというんです。そんな大したことのないものと比較しながら、日本の方は老朽艦も含めていないんです。そして、非常に強力なソ連の太平洋艦隊であるということをここで白書でもって書いているわけですね。
 これは、私はさっきシビリアンコントロールのことを申し上げたんですけれども、総理大臣とか官房長官とか大蔵大臣とか、そういう方々が日本の軍事力というものをこれからどうしていくかという判断をするときに一番大事な資料だと思うんです。そういういわゆる総理とかトップの人たちの判断をもし防衛庁の人たちがこういう数字の操作によって誤らせるようなことがあるとするならば、これは重大な問題だと思うんです。私はシビリアンコントロールの精神に全く反すると思うんです。それであえてこの数字の違いについて質問をしているわけです。
 それで、この時間だけでは到底詰めることができませんので、一体これはどうしてこういう数字の違いになってきたのかもっと解明する必要があると思うんです。
 参考までにお聞きしておきますけれども、これは筆者はだれですか、書かれた方は。
#102
○政府委員(小野寺龍二君) 防衛白書は防衛庁の内局で書いております。
#103
○国務大臣(松本十郎君) 委員御指摘のこの違い等については、なかなか難しいんですが、解明の努力はしたいと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたように主要艦艇については九十五が百に上がっているということでございまして、新艦がどんどん入ってきて古いものを落としていきますが、落とし方の基準が変わってなければふえるのはやむを得ませんし、潜水艦については同じ数字が並んでおります。
 そして、委員御指摘の増強増強とおっしゃいます言葉は、大体量的には減る方向も考えられますが、質的に装備がよくなって増強されているんだということでございますので、その辺の前後の脈絡を見ながらお読みいただければ幸いだと思います。
#104
○山口哲夫君 質的に増強しているのは日本だって同じなんです。例えば航空機に例をとってみますと、一機五億円のF104J、これは退役しましたでしょう。一機五億円のやつが今度は一機九十億ですよ。F15J、これを新規配備する。日本だって物すごい質的な増強しているんです。ソ連も質的な増強をしている、日本も質的な増強をしてい
る。そして、数字の方でアメリカの発表によるソ連の数の方が白書よりも低いということになれば、これはどっちが強いかといったら日本の方が強く書いているのはこれは小学生だってわかりますよね。時間がありませんので、防衛庁長官、この数字の解明については努力をするというふうにおっしゃっていただきましたので、改めてこの数字の違いについてぜひ克明に解明をしていただきたいと思います。
 官房長官にもお願いしておきますけれども、シビリアンコントロールというのは非常に大切なことです。第二次世界大戦の中で軍が間違った報道を随分されました。そして、国民に対して日本は勝っているというような印象を与えて戦争をずっと長く続けてきたわけですね。そういうことから考えたときに、冒頭に申し上げましたように防衛庁の幹部が制服組を指導するのではなくして、少なくともシビリアンコントロールというのは内閣や国会がそういった自衛隊を指揮、指導していかなければならない立場だと思うんです。そういう一番基礎になるデータがまるっきりトップの判断を誤らせるようなものを出したということになれば、これはシビリアンコントロールの精神に反するものである。自衛隊がもしそういうことをやったとすればそれこそ大胆不敵な行為と私たちはとらざるを得ない、そう思います。
 ですから、官房長官におかれましても、防衛庁長官が今お話しになったように数字の解明をされるというわけですから、ぜひそれに対して十分配慮をしていただきたい。その点についてお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
#105
○国務大臣(森山眞弓君) 先生御指摘のとおりシビリアンコントロールというのは非常に重要なことだと思います。我が国におきましてはこの制度は十分整っている、今後ともこの制度が適正に運用できますように政府全体として努力をしていきたいと思います。
#106
○山口哲夫君 それじゃ最後に。
 防衛庁長官、繰り返すようですけれども、ぜひひとつこの数字の解明をしていただきたいと思いますし、その解明に基づいてさらに当委員会でその問題について論議できるように委員長としてもお計らいをいただきたい。
 これで私の質問を終わります。
#107
○国務大臣(松本十郎君) 解明の努力はしますが、なかなか秘密に属する部分があって、向こう側の説明に十分でない点があれば、おのずからそこには限界があるということはあらかじめ御了承願いたいと思います。
#108
○角田義一君 角田義一でございます。
 即位の礼、大嘗祭の問題について基本的な問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 まず、最初に官房長官にお尋ねをいたしますが、即位の礼に臨む政府の基本的な姿勢、立場というものについてお尋ねを申し上げたいと思うんです。
 新天皇になられてこれは初めてのことでございますし、しかも新憲法施行後初めてのことです。象徴天皇制、しかも憲法上の政教分離あるいは憲法遵守義務、さらには国際的ないろんな視点まで踏まえた上で即位の礼というものはとり行われていかなければならぬものじゃないかというように私どもは考えておるわけでございますが、まず即位の礼に臨む政府の基本的な立場についてお答えいただきたいと思うんです。
#109
○国務大臣(森山眞弓君) 先生仰せのとおりこれは新憲法下初めてのことでございまして、非常に慎重に進めていかなければいけないと思いますが、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統を尊重したものということを踏まえて準備していきたいと思っております。
#110
○角田義一君 その点についてまたちょっと議論があるところで、後でお尋ねしますけれども、この即位の礼や大嘗祭について国民の中にいろいろ議論がございます。率直に申し上げまして。民主主義社会でございますからこういうものについて国民が活発におのが意見を述べる、そしてそれを自由にだれにはばかることなく公表できて自由な議論ができる、それを保障することが大変私は大事だというふうに思っておるわけであります。
 そういう中で、特に即位の礼については、これはお祝い事でもあるわけでございまするからやはり国民の皆様の理解、協力、納得というものが非常に大事だと、その前提として議論というものが自由濶達に行われなきゃならぬ、そういう雰囲気づくりというものを保障する責任がやはり私は政府にある、こういうふうに思っておるんですけれども、いかがでございますか。
#111
○国務大臣(森山眞弓君) 即位の礼のあり方につきましては、国民の間にいろいろな議論があるということは先生御指摘のとおりでございます。そのことを念頭に置きまして、先ほども申し上げましたように新憲法下初のケースということで、内閣といたしましては慎重な対応が必要であると考えているわけでございまして、去る九月二十六日に設けられました即位の礼準備委員会におきましては、その協議の参考にいたしますために有識者の御意見等を十分伺って、それを参考にして進めていきたい、そういうふうに進めております。
#112
○角田義一君 私が質問しておるのは、まず国民がこの問題について自由な討議をするということについて政府とすれば歓迎するのかどうかということが一つなんだ。
 もう一つは、そういう自由な討議ができるということを保障する責任が政府にあるだろうというように私は聞いておるのであって、その二つについて端的にお答え願いたい。
#113
○国務大臣(森山眞弓君) 国民各層の方々がそれぞれいろいろな御意見をお持ちだと思います。その御意見を発表していただくということは自由でございますし、また言論の自由というものを保障するというのはもう当然のことだと思います。
#114
○角田義一君 そこで、法制局長官にお尋ねをいたしますが、御案内のとおり現行の皇室典範の二十四条では、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」という規定がございますが、歴史的に旧皇室典範の十一条では「即位ノ礼及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ」、あるいは登極令の四条は「即位ノ礼及大嘗祭ハ秋冬ノ間ニ於テ之ヲ行フ大嘗祭ハ即位ノ礼ヲ訖リタル後続テ之ヲ行フ」と、こういう規定があったわけでございます。その旧皇室典範にあった大嘗祭さらに登極令というものは今日廃止されておるわけであります。そういう歴史的な経過を考えますと、即位の礼と大嘗祭というものは非常に厳格に概念として区別さるべきだと、区別しなきゃならぬというふうに私どもは考えておりますし、歴代そういう法制局の立場だと私は思いますが、いかがでございますか。
#115
○政府委員(工藤敦夫君) 現在の憲法及びその他の法令におきまして大嘗祭に関する規定かないことは委員御指摘のとおりでございます。それから、旧憲法下におきまして、旧皇室典範の第二章でございますかは、「践祚即位」という章を設けまして、そこにおきまして十一条で「即位ノ礼及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ」、あるいはこれを受けました旧登極令等で細かい規定があったこともまたそのとおりでございます。そしてまた、現行の皇室典範の二十四条におきまして、「皇位の継承があつたときは、即位の礼を行う。」というふうにございます。
 今、歴史的な経緯というふうなお話もございました。現行の皇室典範の二十四条は天皇の即位に伴いまして国事行為たる儀式として即位の礼を行うことを予定したものと解しておりますが、大嘗祭につきましてこの皇室典範制定のときの経緯は必ずしもつまびらかにいたしませんけれども、宗教的な面があるとしてこういう関係の規定を設けないで将来の慎重な検討にゆだねたものではなかろうか、かように考えております。
#116
○角田義一君 現行の皇室典範の二十四条の規定の中に、「即位の礼を行う。」と書いてございますが、法制局とするとこの即位の礼の中には大嘗祭は含まれない、含ましめるものではないというふうな解釈に立っておる、そういう形で内閣に対して法律的な意見を述べておる、こういうふうに理解してよろしいですか。
#117
○政府委員(工藤敦夫君) 現行の皇室典範の二十四条におきまして、今申し上げましたように、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」ということがございます。現に即位の礼の一環といたしましてことしの一月に剣璽等承継の儀あるいは即位後朝見の儀というふうなことも行われたところでございまして、即位の礼の範囲というものをどういうふうに考えるか。これは従来から今のような一環として、旧皇室典範で申し上げれば、践祚というふうなことで別になっていたものを、践祚の中の一つの儀式というものが即位の礼の一環として行われたということもございまして、必ずしも概念がかつてのものと今回のものとぴたっと同じになっているかどうか、そういうことも含めまして現在準備委員会で検討しているところでございます。
#118
○角田義一君 法制局とすると随分後退しておりますな。
 そうすると、はっきり私は聞きますけれども、皇室典範の言う二十四条の即位の礼の中には大嘗祭というのは入るんですか、入らないんですかということを聞いておるんです。
#119
○政府委員(工藤敦夫君) 現憲法下におきますものと旧憲法下におきますものとぴたりと同じような形になっていない、それは先ほど委員御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回の即位の礼といいますものの範囲をどのように考えるのか、それはまさに新憲法下でも、先ほど官房長官からお答えがございましたように、初めてのことでございますので慎重に検討をしている、かようにお答えを申し上げる次第でございます。
#120
○角田義一君 これは大問題です、あなたのお答えというのは。歴代の、例えば真田法制局長官等は、これはもう現行憲法のもとにおいては、かつての御答弁でございますけれども、大嘗祭というようなものを国事行為の中に含ませるわけにはいかないと、これははっきり明言していますね。私は大嘗祭や即位の礼について国民的な議論をする、内閣がいろいろな御討議をされることは結構なんです。しかし、概念としてしっかりとその辺は踏まえておきませんと、あなたのような、法制局長官のような御見解だと、即位の礼の中に大嘗祭も入ってもいいんだというふうに政府が考えているならこれは大問題ですぞ。これはどうですか。
#121
○政府委員(工藤敦夫君) この点につきましては、この臨時国会の冒頭の予算委員会でもお答え申し上げましたところでありますし、かつて昭和五十四年に、今多分先生はこのことをおっしゃっているんだろうと思いますが、昭和五十四年の衆議院の内閣委員会におきまして当時の真田法制局長官がお答えをしております。また、ことしの二月の衆議院予算委員会におきましても当時の味村法制局長官がお答えしておりまして、このときにも、「大嘗祭につきましては、これはもう少しせんさくしてみなければわかりませんが、」という留保をつけていろいろお答えを申し上げておりまして、そういう意味で「せんさくをしてみなければわかりませんが、」という意味におきまして、現在準備委員会で検討をしている、かようにお答え申し上げます。
#122
○角田義一君 いろいろ歴史的な経過や憲法上の問題をせんさくしても、大嘗祭というのはいわば皇室典範で言う即位の礼には入らないんだと、いわば国事行為には入らないんだと、そのことだけは明確にしてもらわなければ私はだめだと思っているんです。検討しというのはまた別。しかし、解釈としてはそのことはぴしっと押さえておくべきだと私は思いますけれども、どうですか。
#123
○政府委員(工藤敦夫君) 先生のおっしゃることごもっともでございますが、私どもの方はそのような幅広い見地から検討をしておりまして、準備委員会として結論を出したい、かように思っております。
#124
○角田義一君 これはあなた大変なことを言っているんですよ。法制局長官というのは憲法の解釈を勝手にやって、日本国憲法を無視してもいいような印象を与える。少なくとも憲法に間違わないように行政が行われるべき意見を内閣に申し上げる内閣法制局長官がそういう態度でおられるというのはこれは私は心外だ。これは大問題です、あなたの答弁は。
 そこで、私は官房長官にお尋ねするんだけれども、内閣が大嘗祭の問題等について検討されることを私は否定してはいないんです。だから、はっきり申し上げますけれども、この「即位の礼準備委員会の設置について」という内閣の閣議決定が九月二十六日にされておるんです。この中には「即位の礼に関する諸問題について協議を行う」と、こうなっている。大嘗祭のダの字もないんです。概念が非常にあいまいだからこういうことになるわけだ。現実に今やられていることは大嘗祭についていろいろと御意見を聞いておるわけだ、私に言わせれば。
 かつて検討委員会というのがあったそうですな。検討委員会がもしもあったとすれば、はっきり申し上げますけれども、即位の礼及び大嘗祭について検討委員会というのがあって、そこでいろいろ検討された結果、即位の問題についてはこういう準備に入ります、大嘗祭についてはこうなると、これが行政の筋目であります。しかも憲法を守るべき筋目であります。それをあいまいにしておいて、即位の礼に関する諸問題という形で大嘗祭の問題についてもどんどんとやっていくということ。私は大嘗祭の話で議論をするなと言っているんじゃないのです。するならするようにきちっと憲法を守って筋目をつけていきなさいと、こう言っているんです。どうですか。
#125
○国務大臣(森山眞弓君) 即位の礼準備委員会は、九月二十六日の閣議決定によりまして、先生御指摘のような設置要綱により設けられているわけでございます。それにまつわる諸問題を検討するためということでございますので、その関連におきまして大嘗祭との関係、即位の礼の中に入るのか外であるのかということも含め検討するということも考えられるのではないでしょうか。
#126
○角田義一君 政府までそういうことを言っているんじゃどうにもならぬですよ。それはいいんですよ、大嘗祭について御議論されて結構だ。
 しかし、少なくとも大嘗祭というものについては今日法律上の根拠というのは全くないんです。それははっきり法制局長官が言っているでしょう。だから、事は非常に慎重に進めなければならないわけです。だから、私ははっきり言って、筋目を言えば私が申し上げたのが筋だと思うんです。即位の礼及び大嘗祭について検討する委員会というのがあって、そこでいろいろ検討された結果、即位の礼についてはこういう準備を進めていきたい、大嘗祭についてはこういうふうにしていきたいと、これが行政の筋目だと私は思うのです。その辺が非常にあいまいだ。これは重大な問題ですよ。どうですか、もう一遍お答えください。納得できません。
#127
○国務大臣(森山眞弓君) 今先生御指摘のような問題も含めまして検討しているわけでございますので、そこのところは御理解いただきたいと存じます。
#128
○角田義一君 御理解ができない。これは簡単に御理解できる問題じゃない。
 そうすると、即位の礼ということについて、今日の内閣なり法制局はこの皇室典範の二十四条に言う即位の礼には大嘗祭も場合によっては入ってもいいんだというようなことになってきたら、これはえらいことですよ。
 そこで、それじゃ議論を先に進めますけれども、準備委員会の御議論というのは発表しないというか、公表しないということでございますが、私はそれは事柄の性格上公表できないものもあってもいいと思います。しかし、いわば有識者というような方々をお招きしていろいろな御意見をちょうだいしておる。みんなそれぞれ立派な方々で見識を持っておられる。そういう方々の御意見というものは私は公表されていいんじゃないかというふうに思うのでございます。いかがでございますか。
#129
○国務大臣(森山眞弓君) 有識者の皆様から御意見を拝聴いたしておりますが、その済みました後
で、一段落いたしましたならば、このような御意見がありました、またこういう御意見もありましたということで、個別にどなたがどうおっしゃったということは差し控えつつ公表する機会があろうかと思います。
#130
○角田義一君 それは、ある程度有識者の御意見を拝聴した後、要するにこの準備委員会の名において責任を持って公表するというふうに承ってよろしいですか。
#131
○国務大臣(森山眞弓君) そのように御理解いただいて結構だと思います。
#132
○角田義一君 いずれにしましても、私は今のようなあいまいな形で大嘗祭についてこの準備委員会が議論するというのはおかしいということを言っているんですけれども、進んでいるものは仕方がありません。仕方がないというのは、しようがないなという気持ちで見ている。こういうずさんな、ルーズなやり方じゃ困るなと私は思っているんです。
 いずれにしましても、いわば大嘗祭についての性格づけ、これは極めて大事な問題、重大な問題。その大嘗祭の性格づけについてはこの委員会として結論をお出しにならなきゃならぬというふうに思いますが、いかがでございますか。
#133
○国務大臣(森山眞弓君) そのことも検討の対象になっておりますので、特にこの準備委員会におきましては喪のお明けになった後で設置される予定の正式の委員会に上げるための内容を詰めなければなりません。ですから、特に年末には明年度の予算要求ということもございますし、そのようなことを具体的に頭に置きつつ進めておりますので、そういう内容のものはまとめていかなければいけないと考えております。
#134
○角田義一君 私は大嘗祭の性格づけというのはきちっといずれおやりにならなきゃならぬ問題だと思う。これは一体どこが主体でやるのかというような問題、お金はどうするか、予算はどうするか、いろいろ御議論があるようですね、宮廷費でやるとか内廷費でおやりになるとか、あるいはある識者の論文等を読んでみますと、国民の募金でやったらどうかというような議論まであるようでございます。したがいまして、それは大嘗祭の性格によっていわば予算との関係が出てくるわけでございまするから、当然その性格づけというものはきちっと文書なりで政府の立場でお出しになるというふうに理解してよろしいでしょうか。よろしいでしょうかという質問です。
#135
○国務大臣(森山眞弓君) 特に予算の関連におきましては十二月いっぱいにめどを立てなければいけませんので、そのような観点から整理をしていかなければいけないと考えております。
#136
○角田義一君 それらの問題についての結論めいたものが出るのは十二月の予算ですから、タイムリミットとすれば十二月の二十二、三日というところがぎりぎりだと思いますけれども、その辺ぐらいだというふうに理解してよろしいですか。
#137
○国務大臣(森山眞弓君) 具体的な日付まではちょっとまだ何とも申し上げられませんが、そのようなことを頭に置きつつ進めております。
#138
○角田義一君 そこで、今盛んにいろいろ巷間言われておるんですが、これは仮定の問題でございますけれども、しかし非常に大事な問題なんですが、大嘗祭というのは場合によっては皇室の公的行事でやれないものかというような御議論もあるようでございます。
 そこで、法制局長官にお尋ねしますけれども、公的という概念ですが、大嘗祭をいろいろ御言及なさるときに、大嘗祭というのは歴史的な一つの流れというか決まったものがあるわけでございますから、それに対しての評価、こちら側の物差しというものがある、その物差しに例えば公的という言葉をつける、皇室の公的という、その場合の公的の意味、内容、公的の分析ですね、これは今日どう考えていますか。これは言えるはずです。
#139
○政府委員(工藤敦夫君) 一般的なことで申し上げますと、公的というのは、行事の趣旨あるいは目的、性格、こういったものから見まして国としてその行事を行うことについて関心を持つ、あるいは人的、物的な側面からその援助をするのが相当だと、こういうふうなものが認められる、そういう側面があることを言っているものと考えております。
#140
○角田義一君 そうすると、ちょっと踏み込みますけれども、大嘗祭についてもそういう観点でも検討しておるというふうに承ってよろしいですか。
#141
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまお答えしましたときに一般的にと申し上げました。もちろん、種々の観点から検討するわけでございますから、例えば新聞記事等にもそんな記事を私も拝見しておりますけれども、いろいろな観点から検討すべきものと考えております。
#142
○角田義一君 巷間いろいろ伝えられておるんですが、皆さんこれは関心があることだから当然だと思いますけれども、いわば即位の礼というのは来年の十一月十日におやりになると、祝典がやられる、しかもそれは国民の祝日になる、大嘗祭は十一月二十三日になる、こういうようなことがでかでかと報道されております。それを見た国民はそうなるのだなと思わざるを得ないような雰囲気でございますが、実際そうなるのでございますか。それは一体どこでそういうことを発表してなったのでございますか。
#143
○国務大臣(森山眞弓君) そういうことは全く決まっておりません。恐らく新聞記事は観測あるいは推測で書いていらっしゃるのだろうと思いますが、準備委員会としてはまだ全く決めておりません。
#144
○角田義一君 くどいようですけれども、全く白紙と、今日まだ日取り等については全く政府とすれば白紙である、こういうことをここで公言されたわけですな。そういうふうに承ってよろしいですな。
#145
○国務大臣(森山眞弓君) そのとおりでございます。
#146
○角田義一君 ちょうど宮内庁の次長さんお見えでございますから最後にお尋ねするんですけれども、この前の国会で、大嘗祭の問題等についてこれは皇室の伝統的な非常に重い儀式である、こういうような趣旨の御答弁がございました。
 私は皇室の重い伝統的な儀式であることを否定はしないんですけれども、今日のやはり日本国憲法のもとで政教分離という大原則があるわけでございますから、宮内庁におかれましても、これは老婆心かもしれませんけれども、やはり新憲法の政教分離の原則あるいは象徴天皇制ということで、こう言っては御無礼でございますけれども、旧憲法的感覚でこの問題を進められたのでは困る。宮内庁がこの問題についてお進めになるときにはやはり新憲法の精神というものをきちっと踏まえた上で取り組むということでなきゃいかぬと私は思いますけれども、どうでございますか。
#147
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭を含めての御質問だと思いますけれども、大嘗祭につきましては、私もたびたび国会で御質問があったときに、大嘗祭というのは御即位に伴いまして一代に一度行われる大変重い儀式である、皇室の長い伝統を受け継いだ皇位継承に伴う意義深い儀式であるというようなことをお答え申し上げておるわけでございます。
 私どもとしてはそういう考え方のもとに、ただもちろん皇室の伝統を尊重するということだけでなくて、憲法の精神に沿った形で皇室の長い伝統というものを尊重しながらこれをとり行っていく必要がある、こういうふうに考えておるわけでございまして、宮内庁も当然政府の一員でございますので、政府の中でただいまそういう考え方のもとに大嘗祭というものをいかにとり行うかということを慎重に検討しておる段階であるというふうにたびたびお答えを申し上げておるわけでございます。
#148
○角田義一君 先ほどの官房長官の一番最初の御答弁に関係することなんですけれども、海部総理も国会の中で、要するに即位の礼あるいは大嘗祭については日本国憲法と皇室の伝統、こういう物の言い方をされておるわけです。私はそれにこだわるわけじゃありませんけれども、日本国憲法と
皇室の伝統を同列に置かれたのでは困ると思うんです。皇室の伝統というのは私どももそれなりにこれは敬わなきゃならぬ面もあると思いますけれども、国がそういう問題に関係をするということになれば、これは日本国憲法がやはり上なんでございましょう。そこのところの認識というか、これは事を進める上でいつも頭に置いてもらわなきゃならぬことだと私は思うのでございます。
 はっきり言いますと、皇室の伝統であればどんなことでもどんどん国が関与してやっていってもいいということになりかねないから私は申し上げる。いつもやはり日本国憲法というのが一番上にあるんだということをきちっと頭に置いていただいて事を進めていかないと、これは大変なことになるんじゃないかという私は心配をしておる。それが杞憂であれば結構でございますけれども、どうも今までの行政の流れから見ているとそれは杞憂ではないように思われますので、その点どうでございますか。官房長官の見解、見識を承りたいと思います。
#149
○国務大臣(森山眞弓君) 憲法が最も大事であるということは申し上げるまでもございません。しかし、この儀式が皇室の伝統を踏まえたものであるということも必要であろうというふうに思っている次第でございます。
#150
○角田義一君 的確な答弁とは言えませんけれども、私の質問とぴたっと合っているわけじゃありませんけれども、私が申し上げたいのは、これは国民にとっても初めてのことだし、おめでたい行事でもございますので、私は議論は非常に結構だと思いますけれども、やはり最終的には国民の理解、協力、これでよかったと、最終的にはこういうことでなきゃならぬと思うんですね。したがいまして、やはり即位の礼、特に大嘗祭の問題についてはよほどこれは慎重に対応してもらいませんと、禍根を歴史に残すようなことがあってはならぬというふうに私は思うからいろいろときついことも申し上げておるわけでございますので、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思うんです。
 最後にもう一度官房長官にお尋ねしますけれども、この問題についてのあなたの見識をひとつお伺いしたいと思います。どうですか。
#151
○国務大臣(森山眞弓君) たびたび申し上げておりますように、憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統を尊重したものとして行いたいと思っております。
#152
○角田義一君 納得できない答弁は多々ありますけれども、これで終わります。
#153
○委員長(板垣正君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#154
○委員長(板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#155
○翫正敏君 防衛庁長官にお尋ねします。
 我が国の国防の基本方針に関して少し質問いたします。
 太平洋合同軍事演習、いわゆるPACEX89ですけれども、これが持っているさまざまな問題点や危険性のうちでも今問題にしたいのは、韓国内における対日脅威論が強まっているという問題についてお伺いしたいと思います。
 政府は昭和六十二年一月の閣議で、「我が国は、平和憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」という基本理念を決定しておりまして、これはことしの防衛白書を見ましても二カ所で出てまいります。しかし、ことしの九月一日から二カ月にわたって実施されました太平洋合同軍事演習、PACEX89に対しまして、我が国の友好国であるお隣の大韓民国の中から重大な対日脅威が表明されていることは私は国防の基本方針にかかわる重大な問題であると思うんですが、この閣議決定にある「他国に脅威を与える」ということはどういうことを内容としているのか、初めに防衛庁の考えをお聞きいたします。
#156
○政府委員(日吉章君) 委員ただいま御指摘のように、我が国は、昭和六十二年一月の閣議決定にございますように、「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」ということを我が国防衛の基本理念の一つといたしております。この場合、「他国に脅威を与える」といいますのは、一般的に申しますと国際情勢や軍事技術の観点から客観的に判断いたしまして、例えばICBMとか長距離戦略爆撃機、こういったような他国の本土を壊滅的に破壊するというようなことのみに用いられるいわゆる攻撃的な兵器を有している、そういうようなこと、あるいはその国の守るべき人口や産業や国土と比較いたしまして防衛力そのものが非常に大きなものである、こういうようなことを意味しているのではないかと考えております。
 私ども、日本の防衛力の整備に当たりましては、あくまでも憲法の精神に徹しまして、我が国防衛のため専守防衛という考え方に立ちまして、自衛のために必要最小限度の範囲の中で防衛力の整備を図ってきているところでございまして、決して他国に脅威を与えるような軍事大国をねらっているものでもございませんし、現実にそのようなことになっていないと考えております。
 ただ、不幸な第二次世界大戦の経緯にかんがみまして、周辺諸国は我が国のいろいろな行動に対して敏感、神経質になっているという点は十分注意しなければならないところでございまして、私どもといたしましては、決して誤解のないように絶えず関係諸国等にも我が方の政策の意図を説明していくようにしなければならない、かように考えております。
#157
○翫正敏君 今の答弁に納得できるわけではないんですけれども、質問を続けたいと思います。
 我が国がかつて軍事力を行使して朝鮮半島を支配してきたということは歴史的な事実でありまして、この事実を踏まえて朝鮮半島全体の人々との平和友好関係の確立に努めるということは我が国の責務であろうと思います。ですから、同時に、朝鮮半島に住んでおられる人々も、北に住んでおられる人々も、南の方に住んでおられる人々も、それぞれ政治的な立場は異なっておりましても常に日本との善隣友好の関係を望んでいるというふうに考えて間違いないと思います。しかし、一方日本のいわゆる防衛力が著しく増大しているということに対して、周辺の、特に朝鮮半島の国の中から対日脅威論というものが出て、その国の国民感情が増幅してきているというふうに思いますので、これは残念なことであります。
 さきの太平洋合同軍事演習、PACEX89に対しまして、大韓民国を代表する新聞であります朝鮮日報が厳しい批判を展開しておるわけでありますけれども、この新聞の論調を読みますと、朝鮮日報の九月二十一日付の社説では次のように述べてあります。
  この演習に参加する場合、国内外で、韓・米・日の三角軍事同盟を追求するという批難が起こることは火を見るよりも明らかである。日本は、くだくだしく言うまでもなく、かつて我が国での三十五年間の植民地統治という傷口を抱えた戦犯国家だった。したがって、日本の軍事大国化を警戒する国内世論が高いところに、日本とともに環太平洋演習に参加することを、国民感情が果たして納得するだろうかという点を考慮せざるを得なかったのである。
中略します。
 今回の太平洋演習参加の決定で、韓国は結果的に米国を橋渡し役にした韓・米・日の三角軍事演習に参加することになった。
こういうふうに言っています。
 このPACEX89班が日・米・韓三角軍事同盟であるという批判は、大韓民国内の五大全国紙の中でも最も創刊が古く、現在の発行部数が百八十万部以上と言われておりますこの朝鮮日報の紙上において載せられた記事であります。したがって、
韓国の全国民に多大な影響を与えるものであったと考えられるのですが、こういう世論がお隣の韓国内で我が国に対して起こっているということを政府はしっかりと把握しておられますか、お聞きをします。
#158
○政府委員(日吉章君) 突然のお尋ねでございますので担当局長がおりませんので、私からお答えをさせていただきたいと思います。
 先生ただいま御引用になられました記事でございますが、私は承知いたしておりません。
 ただ、PACEXにつきまして御理解を賜りたいと思いますと、これは本年度、米国が従来太平洋周辺の、太平洋をめぐります米国の同盟国との間で二国間でその都度訓練、演習いたしておりましたのを、米国の経済的、財政的理由等によりまして、米国の西海岸から関係の部隊が太平洋を一巡することによりまして、その途中でカナダ、日本あるいは韓国あるいはオーストラリア等と個別に二国間で訓練をしたわけでございますが、それを米国側は、米国人の習癖といたしまして絶えずそういうようなものに総括いたしましてニックネームをつける習癖がございまして、これをPACEXと称しているわけでございますが、今私が申し上げましたようにこれはあくまでも米国と日本と二国間の訓練でございます。かつ韓国と米国と二国間の訓練であったと、これは他国のことでございますが、私たちはそのように理解しておりまして、韓国と米国の訓練に日本が参加をいたしてはおりません。
 しかも、日本と米国との間の訓練はあくまでも両国におきます戦術技量の向上を図る、なお日本が不幸にして他国から武力攻撃を受けた場合に日米共同いたしましてどのように効率的に対処するかというための訓練をいたしたわけでございまして、決してこれが他国を攻撃的、ましていわんや韓国に危険を与えるようなものであったというふうには理解いたしておりません。かつ韓国は、今も申しましたように、同じくPACEXと米国が総称している中におきまして米国と米韓の訓練をいたしているわけでございますので、ただいまの記事は、事実そういう記事があったのでございますでしょうけれども、杞憂にすぎないといいますか、事実認識は必ずしも正しくはないのではないか、かように考えております。
#159
○翫正敏君 とおっしゃるんですけれども、しかしさらにこの記事の数日後であります九月三十日付の社説でも重ねて韓国の朝鮮日報は論じておるわけでありまして、日本の前進防衛ということが問題であるというふうに言っております。「日本の前進防衛――漸進的戦略概念の変化を注視する」と題した社説がこの日掲載されておりまして、こういうふうに述べてあります。
  日本の銃口が我々に向かって少しずつ近づいている感じだ。これは単純な幻想的な恐怖感や過去の軍国主義的侵略史だけから類推するのではない。それよりは、日本の「力」の実態が少しずつその輪郭を明らかにしつつあるので警戒心を持つということである。
こういうふうに言っています。
 隣の国である韓国で今日本の軍事力また軍事演習というようなものに対して強い調子の警戒心、つまり対日脅威論という世論だと思いますが、こういうものが高まっているということは我が国としても見過ごせないばかりじゃなく、具体的な対応を迫られている問題だと思います。この韓国内の動向に対して、この記事をさっき見ておらないということでございましたけれども、防衛庁長官も見ておらないのかどうかお尋ねしながら、政府は今日まで何らかの対応をおとりになったかどうかをお聞きしたいと思います。
#160
○国務大臣(松本十郎君) 残念ですが、その記事は見ておりません。
 ただ、先ほど政府委員が答弁いたしましたとおり、PACEXにつきましては、日米の共同訓練に限って日本とアメリカとの間の軍事技術の向上やあるいは不幸にして日本が有事になった際の対応ということをあくまで限定してやったわけでございまして、その辺の御理解を願いたいと思いますし、さらにまた韓国でそういうふうな御心配があるとすれば、我々の説明がまだ十分でないかとも思うわけでありまして、あくまでも我が国は専守防衛に徹して他国に脅威を与えるつもりはさらさらございませんということについて一層の理解を深めるための努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
#161
○翫正敏君 では次に、PACEX89に関しまして、イギリスの軍事専門誌を引用したいと思いますが、「ジェーンズ・ディフェンス・ウイークリー」という雑誌の九月二日号にこのPACEX89に関して記事が載っております。「米国の空母機動部隊は、三沢基地のF16戦闘機部隊の協力を得て、日本北方海域で、水上打撃並びに対潜水艦攻撃の訓練を行った後、苫小牧沖で海上自衛隊に合流する。航空、陸上、両自衛隊の支援のもと、海上自衛隊は苫小牧周辺を確保する。」、こういうふうに書かれてあります。この訓練の目的は何なのか、具体的にお聞きしたいんです。これは津軽海峡や対馬海峡という海峡を封鎖して、そこをソ連の艦船が通れないようにするための、そういうことを目的とした軍事演習なのではないかと、そういうふうに考えられるのですけれども、いかがですか。
#162
○政府委員(米山市郎君) ただいまのお尋ねでございますが、これは先ほど長官の方からも御答弁申し上げましたように、今回の日米共同訓練におきましても自衛隊と米国との戦術技量の向上をそれぞれ図るということと、有事における日米対処行動を円滑にするための訓練でございまして、今お尋ねの目的につきましてはそういうことでございます。
#163
○翫正敏君 海峡封鎖の訓練ではないんですか。
#164
○政府委員(米山市郎君) 海峡封鎖というような形で共同訓練は行っておりません。ただ、海上自衛隊の演習の中で沿岸防備と申しますか、あるいは海峡防備という形で自衛隊として海峡の防備の訓練はいたしております。
#165
○翫正敏君 三海峡封鎖の一環の非常に危険な軍事演習を行ったのではないかという感じがいたします。
 苫小牧沖において核兵器を搭載したアメリカの空母が海上自衛隊と共同訓練をしたのだというようにも別のものに書いてあったんですけれども、こういう事実はあったでしょうか。
#166
○政府委員(米山市郎君) 核兵器を搭載しているかどうかということについては米国は否定も肯定もしないということも従来から政策としてとってきております。したがいまして、そのような事実は私どもはないと思っております。
#167
○翫正敏君 核兵器を積んで、アメリカが核兵器を持って日本の自衛隊と訓練をするというようなことは非核三原則がある以上ないと、こういうことをおっしゃるのだと思いますけれども、しかし現にアメリカの空母であるタイコンデロガが水爆を積んだまま戦闘機を沖縄近海に落として、それを放置したままその二日後に横須賀港に入港したということが明らかになっております。政府はこのタイコンデロガの事故に関してアメリカ政府に問い合わせをしたと、こういうことになっておりますが、その後アメリカの方からこのことに関しての回答はありましたか。
#168
○説明員(重家俊範君) 先ほど先生から御指摘のございましたタイコンデロガの寄港先に関します件は従来からアメリカに照会しておるところでございます。今のところ返答を受けていないという状況でございます。
#169
○翫正敏君 そういうことで、本当に情けないと思うのであります。これだけはっきりした事実が明らかになっていて、それを問い合わせしているということなのに、返事が来なければいつまでもそうやってじっと返事が来るのを待っておるばかりなのでしょうか。もっと積極的に、早く返事をしなさい、回答をよこしなさいというふうに働きかけるという、そういうことにはならないんでしょうか。
#170
○説明員(重家俊範君) 先ほども申し上げましたように、米側に照会中でございます。また、折に触れまして米側に照会をしておるというのが状況
でございます。
 いずれにしましても、従来国会で答弁させていただいておりますように、日米安保条約上、艦船によるものも含めまして、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となるわけでございます。これは安保条約及びその関連取り決めに基づきます条約上のアメリカに課せられた義務というふうになっておるわけでございます。また、アメリカも累次にわたりまして安保条約及びその関連取り決めに基づく我が国に対する義務を誠実に履行してきたし、これからもしていくということを確認しておるところでございます。
 政府といたしましては、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことにつきましては何らの疑いも有していないということでございます。
#171
○翫正敏君 ただそう信じておればいいというようなことでは国民はもうほとんど納得できない、全く納得できないということになっておりまして、国民が政府の言う国是、非核三原則、このうち特に核兵器を持ち込まないという原則が空洞化しておるのではないかということで大変心配をしておることは御承知のとおりであります。ぜひ政府としてこの国民の不安を解消するための積極的なそして具体的な施策を講じていただきたいということを要望いたしまして、次に移ります。
 次は防衛施設庁にお尋ねしたいんですが、三宅島の軍事基地の建設の問題について質問します。
 防衛白書を見ますと、「三宅島においては、村当局を始め住民の間になお反対の意向が強く、実現までには相当の期間を要すると見込まれる。」、こういうふうに白書に書かれておりますが、相当の期間とは具体的に何年ぐらいを考えてこう書いておられるのでしょうか。簡単に答えてください。
#172
○政府委員(松本宗和君) 具体的に何年ということを申し上げられるところではございませんが、相当の期間必要であろうというぐあいに考えておるところでございます。
#173
○翫正敏君 昭和六十三年三月二十八日に三宅村の議会が以下の決議をいたしております。
   三宅島に対するNLP空港の建設計画撤回を求める決議
  昭和六三年二月一〇日執行された三宅村議会議員選挙において、大多数の三宅村民が、国が三宅島に建設を計画するNLP空港(官民共用)について絶対反対の意志を明示したことは、定数一四名の議席中これが受入れ反対を公約した議員十一名を当選させた結果をみても明らかである。
  よって新たに構成された三宅村議会は三宅村民を代表し、NLP空港の誘致及び建設に反対することを表明するとともに、同計画の撤回を要求する。
こういう決議があったということを事実として把握していますか。
#174
○政府委員(松本宗和君) 承知しております。
#175
○翫正敏君 寺沢村長でありますが、ことし三月の村議会における所信表明の「平成元年度の最重点施策」の中で、
  米軍艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)場を三宅島に建設する計画の撤回を求める。
  厚木基地で実施している同訓練(NLP)の一部を暫定的に硫黄島で実施する計画を防衛庁は発表しましたが、最終的には、三宅島であるとの考えは変えていません。今後、気象観測、地質調査等の関連行為が予測されますが、民生安定のため、一日も早く同施設の建設計画の撤回を求めて、陳情してまいります。
こういう施政方針を述べておられますが、事実として把握しておられますか。
#176
○政府委員(松本宗和君) ただいまの件につきましてはちょっと具体的に私どもの耳に入っておりません。
#177
○翫正敏君 ぜひ資料を取り寄せて把握をしていただきたいと思います。
 さらに、今年九月一日には三宅島NLP空港に反対する会第五回全島大会が行われまして、そこで次のような決議が採択をされました。
  われわれは「島の将来を決めるのは、島民自身」と言う大前提に立って、基地に頼らぬ生活をしようと決意した。この決意は変わらざる信条として堅持されるであろう。われわれは過去において、すべての選挙に勝ち、その意思を明らかにしてきた。またいかなる権力の介入にも恐れること無く闘ってきた。従って今後も、NLP空港建設に関わるいかなる策動もこれを許さず、事あれば断固としてこれを阻止し、平和で美しい自然に恵まれた生活を守ることを、第五回全島大会の名において宣言する。
こういうようになっています。これらの決議とかその他を見れば、三宅島にNLP軍事基地を建設するに当たって住民の賛同を得るということはもはや不可能であると私は思いますが、政府としてそういうふうには思いませんか。
#178
○政府委員(松本宗和君) 米軍の艦載機のいわゆる夜間離着陸訓練を実施させるということは我が国にとりましても必要なことでございます。そこで、当庁といたしましては、これは現在厚木で実施しておるわけでございますけれども、御存じのように厚木飛行場の騒音問題、これは大変でございまして、これを軽減するための代替訓練場の建設ということを考えたわけでございますけれども、立地条件といたしまして三宅島が最適であるということで、過去からさまざまな説得その他を行ってきたわけでございますが、残念ながらただいま先生おっしゃいましたとおり同島において依然として住民の方々の反対が非常に強いということで、国側の説明あるいは話し合いに十分応じていただけるというような状態にないということでまことに遺憾に思っておるところでございます。
 そこで、当面厚木の問題を少しでも軽減するために、暫定的に硫黄島を使用して訓練を実施させるということで所要の整備を行っておるところでございますけれども、当庁といたしましては三宅島が依然として地理的に見ましても、その他の条件から見ましても最適であるということには変わりがないと考えておるところでございまして、また十分説明をさせていただく機会をまだいただいてないということもございまして、今後とも引き続き地元に御理解を得るように努力はしてまいりたいというぐあいに考えております。
#179
○翫正敏君 こうした基地の設置に関しては、政府としては当該地域住民の意思に従うという民主主義の原則を堅持されるおつもりだと思うんですが、そのことをお尋ねしたいんですが、設置及び存廃という、それを廃止をするかどうかというようなことも含めて、やはり当該地域住民、自治体、そういうところの意思というものが基本的に尊重されるべきだ、こう思うんですが、基本的にはそういう考えでしょうか。
#180
○政府委員(松本宗和君) 施設を維持する上におきまして地元の皆様方の御協力が必須であるということは申すまでもございません。したがいまして、私どもすべての施設につきまして地元の御理解を得るように努力しておるところでございます。
 三宅島について申しますと、今後とも地元の住民の方々の理解を求める、求めてから行うという姿勢には変わりはございません。
#181
○翫正敏君 同じく施設庁の方に池子における米軍住宅の建設に関して質問しますが、防衛白書を読みますと、その中にかなり最近の状況が詳しく書かれております。それに関連しまして、防災用の仮設調整池の建設は逗子市との河川協議がなくても実施できる工事である、こう判断しておるようなのですけれども、施設庁としてそういう判断のようなんですが、そういうふうに判断する河川法における根拠はどこにあるのですか、お伺いしたいと思います。防衛施設庁の考えをお伺いしたいんです。
#182
○政府委員(松本宗和君) 私どもは河川法につきまして有権的に解釈する権限を持っておりませんので、正確にといいますか、私どもの方からこれを申し上げるのが適当かどうかと存じますが、現在、今先生が御指摘になりましたとおり仮設調整
池ということで現地で工事を実施しております。
 この事業を実施するにつきまして、地元からも要望が出てまいりました河川のつけかえ等を実施するためには河川協議が必要となります。ところが、この河川協議に逗子市長が応じてくださらないということもございまして、やむを得ず暫定措置といたしましていわゆる仮設調整池というもので当面実施していくということを考えたわけでございまして、この仮設調整池の工事は、いわゆる河川区域外で実施されるものでありますし、また河川工事に該当しないものと承知しております。
 この計画の実施に当たりましては、当然のことながら私どもは所管しております建設省あるいは神奈川県とも事務的に十分調整した上で実施さしていただいております。
#183
○翫正敏君 要するに仮設だからいいということのようなんですが、区域外ということもおっしゃいましたが、この池子の米軍住宅の建設を前提にした仮設調整池ということなので、仮設であってもやはり協議をして同意を得てやるということでなければならないと思うんです。
 これは建設省の方にもお聞きしたいんですけれども、建設省としては河川法上こういう協議における同意というものがなくても別に問題がないというふうに判断しておられるのでしょうか。
#184
○説明員(飯田志農夫君) 現在横浜防衛施設局が工事をしております仮設調整池、名前が仮設だからということでなくて、その工事の目的、内容が河川法の第八条に言う河川工事に該当しないものである、したがって河川法による協議が必要でないと、こういうことでございます。
 先ほど施設庁長官から御答弁ございましたように、基本的な点を申しますと、現在やっております仮設調整池の内容が、降る雨の水を集める集水域と言っておりますが、集水域が住宅建設事業地を対象としている、こういうことが基本的な要素でございます。
#185
○翫正敏君 仮設というようなことで第八条に言う河川工事ではないということをおっしゃるんですけれども、しかし米軍の住宅建設というものが前提になって当該の自治体での選挙が何回も行われて、反対の意思が明確になってという、こういう状況の中から今日に至っておるわけでありますから、そういう見解は全く納得ができませんので、次回再度地元の事情等を調査しまして質問したい、そういうふうに思います。
 ところで、社会党が逗子池子の基地内の立ち入り調査を行いたいということで上原康助衆議院議員から外務省を通じて米軍へ申請をいたしましたが、二度にわたってこれを拒否されております。建設工事中というのが拒否の理由でありますが、ことし内にも社会党といたしましてこの場所に調査団を入れたいというふうに思っております。政府として、これは施設庁なのだと思いますが、この社会党の当該問題についての現地調査に協力方をお願いできるかどうかお聞かせ願いたいんです。
#186
○政府委員(松本宗和君) 本件、実は外務省を通じて申し入れを行われておるというやに承っております。したがって、外務省の方とも十分調整いたしまして、事情をよく把握してみたいと思います。
#187
○説明員(重家俊範君) 地位協定第二条に基づきまして、米側は米軍に提供された施設の使用につきましていわゆる管理権というものを与えられておるわけでございます。その権利のもとにおきまして地域施設、区域内の設定、運営、警護及び管理のために必要なすべての措置をとることができるというふうに規定されておるわけでありまして、そういう意味でアメリカの管理権に基づきましてアメリカ側が了承しないことには立ち入りということは難しいという法律的な建前になっておるわけでございます。
#188
○翫正敏君 全く納得ができないわけで、そういうことを言っておっては、逗子市民の方たちが選挙というものを通じて再三にわたって米軍の住宅建設に反対するという意思を表明しておられると、そういうことについて政府が真剣に考えていないと。
 我々社会党が調査をするということに対して、当然アメリカに働きかけをして調査をできるようにするというのが責任だと思うんですけれども、これは今ほどお答えになりましたような何かアメリカの治外法権で日本が物を言えないようなことをおっしゃられましたので、これ以上同じことを聞いても同じ答えだと思いますので、次へ移ります。
 自然環境の問題が中心になってこの池子の問題が出ているわけなんですけれども、アメリカの方ではこうした自然保護のために日本で言う国立公園とかそういう中では軍事基地の建設または演習等は規制されているというふうに伺っているんですけれども、実情はどういうふうになっているか、環境庁の方で実態が把握されていたらお聞かせ願いたいと思います。
#189
○説明員(小原豊明君) 国立公園や国定公園について軍事基地が規制されているかどうか、諸外国の状況については今のところわかっておりません。
 わが国におきましては特に軍事基地についての規制ということは特段ありませんで、ただ一般的に国立公園の中でいろいろな開発をする場合には環境庁長官もしくは都道府県知事の許可が必要になっております。
#190
○翫正敏君 把握しておらないということなので、ぜひ今後そういう外国の実情についてもお調べ願いたい、そういうふうに要望しておきます。
 日本では国立公園や国定公園など貴重な自然が保護されている地域での基地建設や演習が現に行われているわけでありますけれども、こういうことは極めて私は遺憾に思います。環境問題、自然保護ということは国の内外において重要な課題となっているわけでありますので、こういう池子の問題に関連しましての自然保護と基地建設ということなんですが、こういうことについて防衛庁、防衛施設庁そして環境庁はそれぞれどんなふうにお考えか、簡単で結構ですから、一言お答え願いたいと思います。
#191
○政府委員(松本宗和君) 自然保護につきましては私どもも十分認識し、また自然保護の精神に従って対応しておるところでございます。
 この池子につきましても、地元と再三にわたり調整を重ねまして、また知事の調停もいただきまして、当初の計画を大幅に削減し緑を最大限に残すという努力を行った上で現在の計画に落ち着いたものでございます。今後とも自然の保護につきましては、十分の配慮をしてまいりたいというぐあいに考えております。
#192
○説明員(小原豊明君) 池子は実は国立公園とか国定公園とか、そういういわゆる保護のための指定区域にはなっておりません。したがって、法律の観点からは特段の規制はございません。
 ただ、本件につきましては、防衛施設庁におきまして十分地元と調整を行って自然環境が十分保全されるものというふうに私どもは考えております。
#193
○翫正敏君 自然環境を守るためには米軍の住宅建設に反対であるという地元の自治体、住民の意思をぜひ尊重していただきたいということを要望したいと思います。
 次に、小松基地の問題について質問いたします。
 小松基地の周辺対策並びに基地の運用に関しましては国として幾つかの協定を地元の自治体などと結んでいるわけでありますが、これらの協定の有効性ということについてお伺いをいたします。
 昭和三十四年十二月四日、防衛庁名古屋建設部長加藤善之助、小松市小松飛行場対策協議会長宮埜茂、立会人小松市長和田伝四郎、小松市議会議長吉田福松、敬称は略しましたが、以上によって結ばれた約定書があります。さらに昭和三十九年四月三十日には名古屋防衛施設局長久保一郎、石川県小松市長藤井栄次、立会人小松市議会議長北岡次郎吉、小松市議会飛行場対策特別委員長石野伊之作によって結ばれた「小松基地拡張に伴う小松市要望事項に対する協定書」があります。同じ
く昭和三十九年四月三十日、名古屋防衛施設局長久保一郎、小松市長藤井栄次によって結ばれた覚書というものもありますが、これら三つの協定が今日までに何らかの理由、事情によって協定としての効力を失ったというようなことはありますでしょうか。あるかないかだけお答えください。
#194
○政府委員(松本宗和君) 協定は現在も生きております。
#195
○翫正敏君 同じく昭和五十年十月四日、防衛施設庁長官斎藤一郎、石川県知事中西陽一、小松市長竹内伊知、加賀市長中野己之吉、松任市長作本博、根上町長森茂喜、寺井町長中田良三、辰口町長松崎従成、川北村長山本堅次、美川町長佐々木浩、立会人として衆議院議員森喜朗、石川県議会議長米沢外秋によって結ばれました「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書」。同じく同日、名古屋防衛施設局長相場正敏、小松市長竹内伊知、立会人小松市議会議長福田秀三によって結ばれた協定書。昭和五十年十月四日、防衛施設庁長官斎藤一郎、石川県知事中西陽一、小松市長竹内伊知によって結ばれた覚書。それから、昭和五十七年九月二十四日、名古屋防衛施設局長田丸達雄、小松市長竹田又男、立会人小松市議会議長東庄一、各氏によって結ばれました「日米共同訓練に関する協定書」。
 これらの四つの協定書が今日何らかの事情によって効力を失っているというようなことはありますか。
#196
○政府委員(松本宗和君) これも先ほどの答弁と同じでございます。
#197
○翫正敏君 すべて七つの小松基地に関する協定が現在も効力を持って有効なものであるということを確かめさせていただきましたが、昭和三十四年十二月四日の約定書の第九項において、「元三昧谷国有林を飛行場として使用しないこと。」「使用することはない。」と書かれてあります。これについて具体的な文面の内容を説明していただきたいのです。
 あわせまして、昭和三十九年四月三十日付の覚書の第四項には、「日末町地内の通称「三昧谷」国有地の払下げに関する対農林省との交渉については、当局において積極的に協力する。」と、こういうふうに書いてございます。これについても具体的にはどういう内容を持つものなのか。
 関連があると思いますので、二つあわせて内容を御説明ください。
#198
○政府委員(松本宗和君) ただいまおっしゃいました昭和三十四年十二月の約定書の九項でございます「元三昧谷国有林を飛行場として使用しないこと。」ということたつきまして、「使用することはない。」というぐあいになっています。
#199
○翫正敏君 文面を読み上げてくださいと申し上げたのではなくて、そこに書いてある内容はどういうことなのか。読んだとおりだとおっしゃるならそれでいいんです、文面に書いてあるとおりだと言うのならまあそれでいいんです。
#200
○政府委員(松本宗和君) 当時の事情でございますけれども、この約定は、ただいまもお話がありましたように、昭和三十四年十二月に締結されておりますが、三昧谷地区の土地は農林省所管の国有地でございます。この際、当該地は地元が農林省から払い下げを受けたいという希望を持っておられまして、防衛庁はこの当該地を飛行場用地として直接農林省から所管かえを受けることがないことを約束したものというぐあいに承っております。
 なお、この土地でございますけれども、昭和四十年八月、農林省の方から地元住民に払い下げられておりまして、この条件は履行されたものと現在理解しております。
#201
○翫正敏君 条件が履行されたので、この旧三昧谷地区を飛行場として使用しないということはもうなくてもよいのだと、使用してもよいのだと、そういう意味でおっしゃったのかどうかわかりませんが、もしそうだとするとそれは極めておかしい。日本語を読めないのではないかと疑わざるを得ないほどひどいわけでありまして、ここにははっきり使用しないと書いてあって、先ほどこの協定は現在も有効であるとおっしゃったわけですから、書いてあるとおり、使用しないと、こういうことになると思うんです。
 ところで、平成元年九月七日に大阪防衛施設局長中川虎三氏が小松市長竹田又男氏にあてて、「航空自衛隊小松基地における航空擬えん体整備に係る基地の南側に隣接する用地の取得に伴う事前協議について」という申し入れがなされております。ここで言うこの隣接用地というのは先ほどからるる読み上げております旧三昧谷国有林というものに該当するわけでありますから、この事前協議の申し入れというもの自体が協定というものを無視してなされたものだと、こういうふうに見ざるを得ないでんすけれども、事前に旧三昧谷国有林は基地として使用しないというような協定項目を十分に踏まえて、その上でこの申し入れをなされたのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
#202
○政府委員(松本宗和君) 先ほどの項目につきまして、その解釈につきましては、その後、小松市長の方とも、小松市の方とも十分打ち合わせをいたしまして、私どもの方の解釈、つまりその時点で一応履行は終了しておるというぐあいに考えていいんだというように解釈してよいというぐあいなお話といいますか、御了解を得まして、その上で現在計画が行われております航空機のシェルター用地としての一部拡張にこの土地を利用させていただくということについて事前協議の手続を開始したというものでございます。
#203
○翫正敏君 今ほど述べられたような協定というものがあるにもかかわらず、それを無視されて小松基地の拡張計画を進めようとしておられる防衛施設庁の態度には私は極めて強い反対の意思を申し上げさせていただきます。今後引き続いて地元のいろんな方々の事情をお聞きしながら、再度また質問させていただきたいと思います。
 では、昭和五十年十月四日の「小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書」の問題ですが、この第一項、「公害対策基本法第九条に基づく昭和四十八年十二月二十七日環境庁告示第百五十四号「航空機騒音に係る環境基準について」に従って、公共用飛行場の区分第二種Bについて定められている期間内に速やかに環境基準の達成を期する。 なお、年次計画については、次項に掲げるもののほか、音源対策、運用対策及び周辺対策を総合勘案する必要があるため、引き続き検討し、協議を続けることとする。」とあります。
 現状においてこの協定項目の達成状況はどのようになっているのか、お伺いをいたします。
#204
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 小松飛行場におきましては環境基準を達成いたしますため音源対策、運用対策等を講ずることによりまして騒音の軽減に努めているところでございますが、これらには当然限界がございますので、環境基準を超える地域におきましては、住宅の防音工事を実施することによりまして環境基準が達成された場合と同等の屋内環境が保持されるように努めているところでございます。小松飛行場に係る住宅防音工事につきましては、五十七年六月に……
#205
○翫正敏君 住宅防音のことを聞いているんじゃないんです。それはいいです。
 環境基準の達成というものは、これは屋外において達成されるものであるということは言うまでもないと思うんですけれども、住宅防音工事というものはそういう屋外における環境基準が達成されるまでの暫定的な措置として住宅の防音工事が行われると、こういうことでありますから、私がこのことでお聞きをしているのは、この項目に書かれている環境基準の達成のために今日までどのようになされてきたのか、その達成目標ほどの辺まで来ているのか、かなり来ているけれどももう少しだとか、ちょっとしかまだ進んでないとか、そういう環境基準それ自体の達成の状況をお聞かせ願いたいわけです。ゼロならゼロで、実情で教えていただけば結構です。
#206
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 音源対策、運用対策につきましては、防衛庁と
いたしましてはいろいろ努力をしてまいっております。また、地元の方々ともいろいろ御相談しながら、あるいは行政の方々ともいろいろ工夫をしながらまいっておりますが、いかんせん屋外において環境基準を達成するという段階にまでは至っておりません。したがいまして、屋内での環境基準を満たすように私どもといたしましては一生懸命努力をいたしておる、こういう実情でございます。
#207
○翫正敏君 屋外における環境基準の達成に引き続き努力をしていただかなければなりませんので、この問題につきましても今後各種の調査等々を私なりにさせていただきまして、また機会があれば質問させていただきます。
 なお、この同日付の協定書の第四項の二に、「騒音の人体に及ぼす医学的影響について、国費で調査研究する。」とあります。この項目の実施状況はどういうふうになっておりますか、小松基地周辺において実施されておるものについてのみお答えください。
#208
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 航空機騒音が人体にどのような影響を与えるかということにつきましての調査は長期にわたる追跡調査と各種の事例についての数多くのデータの収集等を行う必要がございます。当庁といたしましては、過去から公的医療機関に委託いたしましていろいろ調査を実施いたしておりますが、今先生が御指摘になられました小松基地周辺では最近行っておりませんで、横田の周辺でこれを鋭意実施させていただいております。
#209
○翫正敏君 協定に書かれておるとおり小松基地周辺においても騒音の人体に及ぼす医学的影響調査を行っていただきたいので、今行っていないというのは聞いてわかりましたけれども、今後行う予定があるのかどうか、協定に明確に書かれていることですから、それを踏まえてお答えください。
#210
○政府委員(大原重信君) お答え申し上げます。
 ただいま横田で人体に対する影響の研究をさせていただいておりますが、今のところ小松基地周辺でこれを重ねて実施させていただくという予定はございません。
#211
○翫正敏君 まことにけしからぬことでありまして、協定無視も甚だしいので、これもまたさらに調査を私といたしましてもしまして、そして引き続き実施のために私なりにまた努力をしたいと思います。協定に書かれておる項目の実施をサボっておるということは極めて不誠実であるというふうに抗議をさせていただきます。
 なお、同日付の覚書にはこういう文面もございます。「いわゆる小松市の経費問題については、小松基地周辺の騒音対策に関する基本協定書第五項の趣旨に則り、今後とも誠心誠意努力するものとする。」と、こういうふうにあります。この基本協定書五項というのは騒音の原因者は国であるとの認識ということでありますが、これについて小松市当局のさまざまな要望が今までにもあったと思います。これからもあると思いますが、その小松市など地元自治体のさまざまな経費問題についての要望についてはその実現に努力していただくことは間違いないと思いますが、確認させていただきます。
#212
○政府委員(大原重信君) 過去の協定について盛られておりますことにつきましても、誠意を持って対処してまいりましたところでございます。
 当庁の対応につきまして地元の市の方からいろいろ御理解を賜りまして、平たい言葉でございますが、喜んでいただいているという面もございます。また、地元の一般の方々からも特段の苦情をいただいておるという事情ではございません。これからも鋭意努力してまいりたいと考えております。
#213
○翫正敏君 小松基地の問題につきましては、先ほど申しましたように私の地元の問題でありますので、今後も引き続き協定の完全実施のためにいろいろ申させていただきたい、そういうふうに思っております。
 最後に、私は軍縮と世界平和の問題について防衛庁に、また政府に質問したいと思います。
 ことしの防衛白書を見ますと、東西の軍事的対立に変化がない、こういう趣旨で貫かれておるわけであります。こうした政府の世界情勢の認識は時代おくれではないか、時代の今の流れに全くおくれをとっているのではないか、そういうふうに私は考えるものでありますが、いかがでありましょうか。時代おくれだと思うか思わないか、それを端的にお答え願いたいと思います。
#214
○国務大臣(松本十郎君) 大きな流れが国際情勢の中にあることは委員御指摘のとおりでございますが、そういった流れがどのように進んでいくのか、また現状においてはそうは申しましてもまだまだこれまでの枠組みは残っておるわけでございまして、この枠組みが一朝一夕に変わるとも我々は考えておりませんので、防衛白書に述べております国際情勢の認識は我々は決して時代おくれになっていないと、そういう考えを持っております。
#215
○翫正敏君 防衛白書の記述の当該部分を見ますとこういうふうになっています。「近年、ソ連は、ペレストロイカを標榜し」「軍備管理・軍縮交渉の積極的推進、一方的戦力削減の表明など「新思考」外交を展開しているが、西側諸国の安全保障にとって大切なのは軍事的脅威の軽減又は解消である以上、今後ともソ連の保有する軍事力の実態などについて冷静に見極めていく」としてあります。また「東西関係は、対話の側面を一段と強め、変化の兆しを示し始めているものの、軍事的対特関係にあるという側面については基本的に変化はない。」、こういう結論になっておるわけであります。
 しかし、御案内のように今月の九日夕刻には、日本時間は十日の未明ということになりますが、東ドイツ政府は国外旅行と移住手続を大幅に簡略化することを決定しました。これは直ちに実施に移されました。東西ドイツ間の国境が開放された歴史的な瞬間を私どもはテレビを通じて見たわけであります。こうして民族分断と厳しい東西関係の象徴でありましたベルリンの壁が一九六一年の築造以来二十八年を経てその役割を終えたのであります。壁の厚さが十六センチメートル、高さは四メートル、長さが実に四十五キロに及ぶものだと言われております。
 そしてさらに、今月十一月十三日付の米国週刊誌ニューズウイークの報道によりますと、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が十二月初旬の米ソ首脳会談において、米ソ両国軍の欧州からの撤退、北大西洋条約機構、NATOとワルシャワ条約機構の段階的な解体という大胆な提案を行う可能性が大きいと、こういう報道が出ておったわけであります。第二次世界大戦末期に米ソが中心となって生み出した東西対立、これを規定するャルタ体制は抜本的な再編成の時代を迎えております。
 米ソ対決、東西対立を基軸とする戦後世界体制は今大きく転換しようとしています。私は、こうした世界情勢の大変化の中で、日本が世界情勢の動向におくれることなく、いやむしろ日本こそが先に立って世界平和をつくり出していく努力を傾注すべきだと考えるものであります。世界に誇れる平和憲法を持つ日本国政府として、広島の心、長崎の心に立ち返りつつ、世界の軍縮を行うためにまず我が国の軍縮をこそ世界に宣言すべきだと思います。そして、一日も早く我が国の軍縮をこそ実行すべきだと考えるものであります。ニューデタントの流れを見失うことなく、平和国家としての正しいかじ取りを政府に期待をするところでありますが、政府といたしましての現在の世界情勢の大きな変動というものを踏まえての高い見地に立った御見解をお伺いしたい、そういうふうに思います。
#216
○国務大臣(松本十郎君) ソ連のペレストロイカあるいはポーランドの民主化、さらにはハンガリー、チェコ、その前の東ドイツの民主化の動き、そして委員御指摘のような一九六一年以来のベルリンの壁の事実上の撤去といいましょうか崩壊、まさに御指摘のとおり大きく雪崩を打って動いているということは十分認識をいたしております。
そのことが軍事的な面におきまして、かつてのNATOとWPOの対立というふうな姿を変えるということもこれまた予見されるところではございますが、それがどのようなテンポで、どういう形で、真っすぐに行くのかジグザクをたどるのか、その辺についてもまだまだ十分予見しがたい要素もあるわけでございます。
 特に極東におきましてはNATO対WPOのような形ではありませんで、アメリカと日本あるいはアメリカと韓国等々、北朝鮮とどこというふうに二国間の安全保障体制というものの積み重ねの中にあるわけでございますし、地政学的にこれを見ましても、ヨーロッパは大陸が二つに分かれているのに対して、日本は半島あり海峡ありあるいは島ありということでございまして、ヨーロッパとは必ずしも軌を一にいたしませんし、極東の現実におきましてはまだまだ――ムードとしてはデタントの方向に行っているかとも思いますが、ゴルバチョフ書記長の軍縮発言にもかかわらず極東におけるソ連の軍備がどのようになっていくのかまだ定かでないところもございまして、それやこれやを頭に置きますと、現実の面においては我々はまだ今のところとてもそこまで、軍縮という方向まで一歩踏み出すほどの自信もないということでございまして、そういう現実に立ってこれから十分国際情勢の動きを展望し、分析しながら対処してまいりたい。
 特に十二月に予定されておりますマルタの近くにおきます米ソ首脳会談、艦上会談の行方につきましても十二分に注視しているところでございまして、今の段階はそういうものを十分見きわめながらこれからのことについて対処していきたいということでございますので、せっかくの先生の真っ先にやれということではございますが、現実はそれほど甘くないという認識で臨んでいるわけでございます。
#217
○翫正敏君 終わります。
#218
○永野茂門君 最初に即位の礼についてお伺いいたします。
 本件につきましては十月二十日の予算委員会で同僚の前島委員が、また本日は同じく同僚の角田委員がそれぞれ政府の考え方あるいは検討しつつある状況について承りましたけれども、政府は即位の礼準備委員会において種々慎重検討中であり、今後行われることが予想されている即位の礼の儀式のあり方等につきまして、憲法の趣旨に沿ってかつ皇室の伝統を尊重したものということで検討されていると承りました。
 そこで、さきに行われました剣璽等承継の儀あるいは即位後朝見の儀は、即位の礼の一環として国の儀式として実施されたと承知しております。来秋行われる即位礼あるいは大嘗祭、大饗なども私は当然即位の礼の一環として行われるものと思っておりますが、まず大嘗祭とはいかなるものかということについて簡単に、午前中も御説明がありましたので、簡単に宮内庁の方から承りたいと思います。
#219
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭はいかなるものかということでございますが、大嘗祭は天皇陛下が御即位の後、新穀を皇祖及び天神地祇にお供えになりまして、また御みずからお召し上がりになる儀式だというふうに言われております。
 この儀式は、御承知のように御即位に伴いまして一代に一度行われます非常に重要な儀式であるというふうに考えております。皇室の長い伝統を受け継いだ皇位継承に伴う非常に意義の深い儀式だというふうに考えておるわけでございます。
#220
○永野茂門君 大嘗祭についてはいろいろと意見がありますが、特に宗教色が強いものとして国事にはなじまないとする意見が多数聞かれます。
 しかしながら、ただいまの御説明あるいは今までの政府答弁に見られますように、世襲により代々皇統において継承される日本国及び日本国民統合の象徴である天皇が御即位に伴って一代に一度行われるところの重い儀式、意義深い儀式であるとされておりまして、この意味から私は大変に公的な行事であり、それも国としての公的な行事ではないかというように意義を考えるものであります。したがって、国事としてとり行われるのが妥当であると考える者の一人でありますが、これに対してどういうように御見解をお持ちでしょうか。これはどなたが答えていただけますか。
#221
○政府委員(大森政輔君) お尋ねの件につきましては、本日午前中内閣法制局長官から御答弁申し上げましたとおり、即位の礼の儀式のあり方等については大嘗祭を含めまして即位の礼準備委員会で目下検討中でございまして、お尋ねの件につきまして具体的にお答え申し上げる段階には至っていないということで御了承いただきたいと思います。
#222
○永野茂門君 検討中であるということで、まあやむを得ません。
 そこで、私は宗教色の強いことで政教分離のことについてさらに確認したいと申しますか、私の意見を含めてどういうように解釈されておるかということについて承りたいんですけれども、大嘗祭を中心とする一連の儀式は、仮に宗教的色彩を伴うものがあったとしても、それが直ちに一般国民に対する教化あるいは宣伝という目的または効果となるとは考えられないのでありまして、憲法第二十条に言うところの宗教的活動にはならないのではないか、こういうように考えるものでありますが、法制局の御見解はいかがでございましょうか。
#223
○政府委員(大森政輔君) 大嘗祭と憲法二十条三項との関係についての御質問でございますが、先ほど宮内庁の方から大嘗祭についての簡単な説明はございました。ただ、政教分離との関係を検討するに際しましては、大嘗祭の方式とか意義等さらによく検討いたしまして、その上で最高裁判所の昭和五十二年七月十三日のいわゆる津地鎮祭判決が示しております判断基準に照らしまして慎重に判断すべきものであるというふうに考えておりまして、その点につきましても目下鋭意検討中でございまして、お尋ねに端的にお答えできないということを御了承いただきたいと思います。
#224
○永野茂門君 真剣に検討されておるということはわかりますが、直ちには答えられないようでございますので、本件につきましては質問はこの付近で終わらせていただきたいと思いますけれども、官房長官にお願いしたいのでありますが、特に本件は日本の伝統あるいは文化に関する重要な事柄でありますので、憲法、皇室の伝統、日本の文化尊重の立場から委員会において慎重に御決定をしていただいて、国民が納得してお祝いできるような儀式にしていただくようにお願いしたいと思います。お願いでございますが、一言だけお言葉をいただきたいと思います。
#225
○国務大臣(森山眞弓君) 仰せのとおり憲法の趣旨に沿い、かつ皇室の伝統を尊重したものとして進めていきたいと考えております。
#226
○永野茂門君 次に、防衛問題に移ります。
 最初にまず、平成三年度以降の防衛力整備、いわゆる次期防について防衛庁にお伺いいたします。
 中期防は来年で終わり、予算的には大綱水準を達成すると説明されております。いわゆる次期防は恐らく平成二年の春ごろまでには作成され、閣議決定される状態にあるのではないかと想像しておりますけれども、あるいはそうあるべきであると考えておりますが、最初に計画作成のタイミングといいますか、タイムスケジュールはどのように構想されており、どのように進行中であるかということについて防衛局長にお伺いいたします。
#227
○政府委員(日吉章君) 次期防につきましては、昨年十二月の安全保障会議を踏まえまして、防衛庁といたしましても庁内それぞれの担当部局が個別、具体的な作業を開始しているところでございます。
 それで、今後これがどういう計画で作成されるのかということでございますけれども、政府計画といたしましては、初年度になりますのが平成三年度でございますので、私どもの希望を申し上げさしていただければ、平成三年度の概算要求までに策定されるということが非常に望ましいことではないかと思いますが、いろいろな事情があるとしましても、遅くとも平成三年度の予算の政府原
案ができるまでにはでき上がらないといけないと思います。したがいまして、防衛庁の庁内作業といたしましては、私たちの望ましい方向でそれに間に合うような形で庁内の作業をしているというのが実情でございます。
#228
○永野茂門君 わかりました。
 そこで、いわゆる次期防計画というものをどういうような形につくり上げるべきかということについて承りたいと思いますけれども、その前に、一体次期防期間中あるいはその後の世界情勢について、次期防作成に影響するような要素がどういうようになるのかということについてどういうように見積もっていらっしゃるか承りたいと思いますが、これは防衛局長。
#229
○政府委員(日吉章君) 次期防を作成するに当たりましては、まず大前提といたしまして、ただいま委員御指摘のように、将来これからの国際情勢、特に国際軍事情勢をどのように見込むかということが非常に重要でございます。ところが現在、けさほどからもいろいろ御議論がございますように、国際情勢は極めて激しく流動的に動いております。したがいまして、私どもといたしましては、最近のソ連のペレストロイカを初めといたします東欧諸国の民主化の働き、これに伴います国際情勢の動きを今後どのような方向に向かうのかということを慎重に見きわめないといけないと思っております。また、軍事の面で申しましても、ヨーロッパでは軍事管理や軍縮交渉の進展などが見られますが、他方、先ほど来大臣からもお話し申し上げましたように、この方面におきましては極東では必ずしも顕著な動きが見られないというのが事実でございます。
 いずれにいたしましても、軍事的側面から見ますと、戦後の世界におきましては、長く基本的には米ソを中心とします核抑止力を含む力の均衡によりまして大きな武力紛争が抑止され、平和と安定が保たれてきたところでありまして、こうした構造が直ちに根本的に変化するというようなことにはならないのではないか、かように考えております。いずれにいたしましても、複雑かつ流動的な国際情勢でございますから、この情勢を慎重に見守りながら検討を続けていく必要があろう、かように考えております。
#230
○永野茂門君 おっしゃるとおりに当分の間の国際情勢というのは大変に流動的であると思いますし、一方では確かに世界は緊張緩和あるいは平和に向かって動いておりまして、非常にうまくいった場合に大変な高いレベルのそういうようなものに到達する可能性があるし、一方ではこれら急激な変化によって、あるいはこれに向かっての急激な変化そのものが世界情勢を大変に難しいものに変えていく。しかも、その間における各国が保有している、特にソ連が保有している軍事力というのは依然として大変な軍事大国としての軍事力を保有しておるわけでありまして、冷戦構造が変化してなくなっても大変な難しい状況に入りますし、変化しない場合においても大変に難しい情勢が残る。
 いずれにしろ、大変に難しい情勢が今後とも予想されると思うわけでありまして、この五年間にエマージェンシーオルタナティブぐらいの構想を、その程度のものを頭の中に、もちろんプランとしてとかそういうような意味ではありませんけれども、その程度のことさえ考えておかなければいけないほど今の世界の変動は厳しくかつ急激であるので、大変に難しい見積もりのもとにやらなければいけない、こういうように私自身は思っておるものであります。
 そういう意味で、そこでまず第一に、計画対象期間は、例えば中期防の場合には五カ年といたしたわけでありますけれども、本計画の対象期間も五カ年を踏襲しますか、あるいは三カ年といたしますか、あるいは五カ年として中間のかなり重い見直しをやるというようなことを考えますか、その付近について承ります。
#231
○政府委員(日吉章君) 次期防の計画対象期間につきましては今後安全保障会議等の場におきまして検討されるべき問題でございますけれども、防衛庁の立場から一般論として申し上げますと、中期的な防衛力整備を計画的に進めるという点から見ますと、ある程度の期間の見通しが必要であるとともに、対象期間が余り長くなりますと正確な見積もりを行うことが難しくなるという両面がございます。そういうようなことを考えますと、常識的には五年とか三年とかいうのが一応の案ではないか、かように考えております。
 また、計画の見直しの点もこの期間と関連をしてくるわけでございますけれども、見直しあるいはまたローリング方式というようなものにつきましては、計画の弾力性の確保とか時代の変化への対応という面におきましてはすぐれたものを持っているわけでございますけれども、他方におきまして計画上の所要経費とその実績との関係が容易に把握できるかどうかというような点から考えますと、この点はある期間フィックスしてしまった方がいいというような点もございます。こういう観点から、現中期防を総額明示方式としてお決めいただきましたときには、六十二年の一月でございますが、閣議決定におきまして、中期防にはローリングの見直しの規定を設けておったわけでございますけれども、ローリングを行わないとしたというような経緯がございます。これやあれやをいろいろと勘案して最終的には定めなければいけないと思います。
 いずれにいたしましても、私が今るる申し上げましたような点を総合的に勘案して、最終的には安全保障会議等の場で決定していただくべき問題ではないか、かように考えております。
#232
○永野茂門君 経費の点まで既に触れられたわけでありますが、経費につきましても一般的には、国民の皆さんに対して明確にするという観点からいいまして、六十二年一月二十四日に閣議決定されました総額明示方式といいますか、これを原則的には踏襲すべきだ。私は今防衛庁の方でおっしゃったことに賛成でございますけれども、先ほど申し上げましたような流動的な情勢からいいますと、やはり恐らく見直しということはあり得るというように考えておかなきゃいけない。見直しはプラスの方の見直しなのかマイナスの方の見直しなのかということは、これはまだ何とも言えないところでありまして、いずれにしろかなり流動的な情勢で、それに対応するということを考えた期間設定でありそれから総額の設定であると、こうあるべきではないかと思っておるわけであります。その点ちょっとさらに説明していただきたいと思います。
#233
○政府委員(日吉章君) 総額明示方式にするかどうかという点も期間の問題と絡めてお説を伺いながら御質問を賜ったわけでございますが、委員ただいまいろいろ御指摘されましたとおりでございまして、私どもといたしましては期間の問題も含めまして所要経費をどのように設定するかということを考えないといけないと思っております。
 ただ、現時点におきまして防衛庁の立場からこの考え方を申し上げますと、やはり整備の内容とその裏づけとなります経費を一体として明示できるいわゆる総額明示方式というものが望ましいのではないか、かつ六十二年一月の閣議決定のときにもそういう方法をおとりいただいたということとの関連でも望ましいのではないかというような考えを持っておりますけれども、ますます流動的に変動する国際情勢の中において計画を策定するわけでございますので、委員ただいま御指摘のような期間の問題とも絡めまして政府レベルで慎重に御審議、御決定を賜りたい、かように考えております。
#234
○永野茂門君 内容について入りたいと思いますけれども、現在最終年度に入ります中期防において大綱水準は一応達成されるということになっておりますが、したがいまして脅威の変化傾向に応ずる重点の修正等質的改善は必要でありますが、恐らく後方施策の充実でありますとか隊員処遇の抜本的な改善などがいわゆる次期防において重視されるべきものじゃないかと薄々と観察しているわけでありますが、今まで検討されておる中で次期防の重点施策をどういうように検討されており
ますか、御説明願います。
#235
○政府委員(日吉章君) 防衛庁限りの作業といたしまして私どもが検討してまいった計画を申し上げたいと思いますが、これにつきましては、現在の極めて流動的な国際情勢の動向、それからただいま委員からも御指摘がございましたように防衛計画の大綱の整備水準がおおむね中期防によって達成されるというような状況、そういうようなこと等を勘案いたしまして、まず装備面で申し上げますと、正面装備につきましては量的拡大を図るというよりはむしろ将来の方向を展望しながら質的な向上を図るということを基本にすべきではないか、かように考えております。
 それから、正面装備というよりもむしろ正面装備の能力をフルに発揮し得るようなこれを支える情報、指揮、通信等を初めといたします各種支援能力の充実、これは中期防までの反省でございまして、必ずしも十分な整備が図られておりませんので、その充実を図るということが次期防期間中の大きな柱といいますか、主眼点になるのではないか、かように考えております。
 ところが、人的資源の制約等の問題もございますので、良質の隊員が確保できるような隊員施策にも意を用いないといけませんし、また人的資源がなかなか十分に確保できないという情勢をも踏まえまして、防衛力整備に当たりましてはできるだけ省力化し得るような効率化、合理化の徹底を図らなければならないと、こういう具体的施策も頭に置きながら次期防計画は作成しないといけない、こういうような認識でもって作業を進めているところでございます。
#236
○永野茂門君 時間がありませんので、今おっしゃられました後方施策のうち次の二つを一括して御質問いたします。
 まず、隊員の隊舎でございますが、隊舎における生活様式は隊外の生活様式と全くかけ離れておることはごらんのとおりでありまして、こういうことでは隊員は余り楽しい生活じゃないので募集も困難であろうと、こういうふうに思われるわけでありますが、例えば小部屋方式に転換していくというような構想、これは将来の構想になるかと思いますが、そういうことを少なくも検討するぐらいのことを始めてはいかがかと思いますが、いかがですかということが一つ。
 それから幹部等の宿舎についていろいろと、不足の問題でありますとか、これは一般に公務員全体も規格が余りよくないわけでありますが、規格の問題等ありますけれども、いずれにしろ特に東京圏といいますか首都圏といいますか、宿舎事情はよくないと承っておりますが、これは事実でありますか。どうやら事実のようであると私は見ておりますが、事実とすれば今後の改善策をどうなさるか、承ります。
#237
○政府委員(村田直昭君) お尋ねの隊舎、宿舎等の生活関連施設の充実でございますけれども、これは隊員の士気を高く保つということと、先ほど来出ております資質のすぐれた隊員を確保するということで非常に重要なものと私どもは考えて従来から整備に力を入れておるわけでございます。次期防におきましても、さらに自衛隊を若者にとって魅力ある職場とするための施策の一つとして、営内隊員の生活の場である隊舎については快適な生活とくつろぎのある施設として整備を推進する必要があると考えております。
 具体的には、若者のニーズ、すなわち私的時間を過ごせる空間の確保でありますとか私物が持ち込める空間の確保、あるいはゆとり、くつろぎのある空間の確保というようなことを踏まえました隊員居室のあり方について現在検討をしているところでありますが、いずれにしてもまだ個々の具体策について申し上げる段階にはないわけでございますが、そのような方向で今検討しておるということでございます。
#238
○政府委員(畠山蕃君) 御質問の第二点の首都圏におきます宿舎事情の改善の問題でございますけれども、確かに御指摘のとおり特に首都圏地域におきましては最近持ち家の減少あるいは借家の経済負担の増大等によりまして公務員宿舎を必要とする隊員の数が急増をいたしておりまして、特に首都圏地域において厳しい事情になっていることは事実でございます。そこで、防衛庁といたしまして従来から既にそういった実情を踏まえた努力を逐年重ねてきたところでありますが、特に平成二年度の、これは概算要求ベースでございますけれども、全国での宿舎の純増戸数分の約半数以上のものを首都圏地域に充てたいということで要求を申し上げているところでございます。
 なお、平成三年度以降につきましても、それら首都圏地域を含む各地域の実情を踏まえまして、きめ細かい配慮をしながら宿舎について特段の努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#239
○永野茂門君 次は人事施策ないしは隊員の処遇改善施策について承りますが、任期制隊員が再就職に対しては自衛隊に勤務したことがプラスになるといいますか、恩典あるいは利益は一般的には全くないと言っていいほどでありますし、修得した教養でありますとか技術が必ずしも新しい再就職先で有用とは言いがたい状況であります。
 しかも、自衛官の給与は、かつてはかなり一般の外の、自衛隊外の職業に比べて優位性があったわけでありますが、今や全くそれはなくなっておりまして、全く任期制隊員については魅力がない職場になっておる。しかも、二年とか四年とかあるいは三年とか六年とかということでやめていかなきゃいけない、こういう状況でありますが、したがって隊員募集というのは非常に難しくなってきており、ますます難しくなるわけでありますが、これを改善するために抜本的に任期制隊員の配置数を制限してしまう、それで一たん入ったら定年まで一般の職場と同じように進むことができるんだというような体制をとるというようなことを検討しておるはずだと思いますけれども、この検討の状況と問題点をお伺いしたいと思います。
 それから、もう時間がありませんのでもう一つ最後の問題として、募集でありますが、人材確保難を救うという見地から、今までは自衛隊みずからで行っているような業務のうち、例えば補給、整備業務などで部外委託が可能なものについては民間に委託するのがいいんじゃないかと。以前から随分いろんな意見があったわけでありますが、その辺について検討されておりますところの構想あるいはその問題点というようなものを承ります。
#240
○政府委員(畠山蕃君) 御質問の第一点の任期制の問題についての抜本的検討という点でございますが、委員よく御承知のとおり、これまで任期制がとられてきておりましたのは、常に活気ある自衛隊員を確保して、よって精強精鋭の自衛隊を維持編成するというところにポイントがあったわけでございますが、他方におきまして、御指摘のとおり二年ないし三年の任期を設定したままにしておくといたしますと、当然毎年多数の採用と退職を余儀なくされるということになりまして、この面からいいますと必ずしも教育効果なり教育投資効果あるいは人材の有効活用といった面から効率的ではないという面もございますし、それから将来とも引き続き安定的に働けるという職場の安定性という観点から見たときにも、そういう目からは必ずしも魅力的な職場ではないということもございます。
 したがいまして、そういう今委員御指摘のとおりの問題意識を私ども持ちまして、その点について検討をしているところでございます。任期制の現在の利点を生かしつつ、可能な限り准尉、曹まで生涯管理するような点について検討しているところでございますが、現段階ではなおまだそこについて結論を得られていない状況でございまして、結論の方向についておおよそのことは今のとおりでございますけれども、さらに具体的な問題としては控えさせていただきたいと思います。
#241
○永野茂門君 時間が参りましたので長官の御決意を承りますが、隊員の処遇改善あるいは士気高揚について長官の御決意を承ります。
 その中に、既に年金問題等について委員会をつくって検討がかなり進んでおりますが、これをさ
らに拡大して給与等にまで拡大するというようなことについて公的機関を設定するというようなことを構想されてはいかがかと思うわけでありますが、そういうことも含めまして、もしそういうことは局長の方に答えさせるというんだったらその分だけ除いていただいて結構でございますが、お願いします。
#242
○国務大臣(松本十郎君) 隊員の士気を高めるためには何としましても処遇改善は喫緊の課題でございまして、従来ともすれば正面装備を備えることに熱心にやっておりましたために、ともすれば後方、特に人事面、処遇面がおくれていることはもう委員御指摘のとおりでありまして、これから量的な正面装備の確保が見通される段階になりますので、今後は挙げて後方の充実に努力したいと思います。
 とりわけ隊員の士気を上げるための処遇改善、勤務環境あるいは生活環境をよくすることが一つでもありましょうし、さらにまた若くして定年になって退職する者を考えますと、仰せのとおり現在の年金ではとても十分ではないということでございまして、後ほどまた政府委員から答弁するとは思いますが、できれば給与体系を考えるべきではないか。年金という言葉になりますとやはり年金全般の枠に縛られまして、自衛隊員の特殊性というものが十分加味しがたいという要素がありますので、これらも踏まえまして今後努力してまいりたいと考えております。
#243
○政府委員(畠山蕃君) 給与制度について公的な機関を設けてという点でございますけれども、現在自衛官の給与の決定の仕方は御承知のとおり一般職の例に準じた形で決められておりまして、それなりに均衡がとられた形になっているというふうに理解をいたしております。
 御提言の公的機関をつくるかどうかということにつきましては、これは他の特別職の国家公務員との関連もございますし、高度の政治判断によるべきものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、私ども現行の制度の枠内で、自衛官の職務の特殊性を勘案しながら、他方一般職の給与との均衡を考慮しながら適正な処遇改善に努めてまいりたいというふうに考えております。
#244
○永野茂門君 ありがとうございました。以上をもって終わります。
#245
○吉川春子君 質問いたします。
 総務庁長官と官房長官が時間の都合がありますので、防衛問題を一番最後に持っていきたいと思います。
 まず、公文書の保存、それからアーキビスト等専門官の養成について伺います。
 公文書の保存、閲覧等につきましては欧米諸国初め世界各国で大変力を入れております。それに比べて我が国では法律の制定も一昨年ということで、国際的に見てかなりおくれていると言わなくてはなりません。私は公文書館法の制定の直後、昭和六十三年の三月にこの問題について一度質問しましたが、きょうはその後の進展状況等について伺います。
 まず、国立公文書館というのがございますが、これは国の各行政機関から受け入れた歴史資料として重要な公文書等を長く保存し、閲覧、展示などに供する機関として一九七一年、すなわち公文書館法成立の十六年前に発足をしたわけなんです。
 そこでまず、この公文書の保存の実態について伺いますが、昭和五十五年の十二月二十五日付各省庁連絡協議会申し合わせにより各省庁の公文書が国立公文書館に移管されることになっているんですけれども、その申し合わせ以前はどうなっていたんですか。
#246
○説明員(溝口喜久君) お尋ねの昭和五十五年十二月二十五日各省連絡会議申し合わせ事項によりましてただいま各省から移管している基準ができたわけでございますが、それ以前につきましては、各省庁ごとにそれぞれ相談をいたしまして連絡をとり移管をしていたのでございます。
#247
○吉川春子君 それ以前については統一的な基準すらなかったということのようです。
 そして、その五十五年の申し合わせによりますと永久保存の公文書については一〇〇%移管されることになっていますが、有効期限の定められているもの、それから保存期間の定められていないものについては移管の必要があると認められるものが国立公文書館の方に移管されるということで、基本的には各省庁の判断にゆだねられていることになっているわけですね。だから、移管するもしないも各省の自由ということですね。
#248
○説明員(溝口喜久君) 今御指摘のとおりでございまして、この申し合わせによりますと、各省庁で行政事務を遂行するに当たりましてなお関連があるということで国立公文書館に移管するのが適当でないというものにつきましては移管をしないということになってございます。
#249
○吉川春子君 その永久保存の公文書については一〇〇%移管されているんですか。
#250
○説明員(溝口喜久君) 永久保存のものにつきましては当該文書が作成された後三十年経過した時点をめどとしまして移管することになってございますが、その時期につきましても、そのめど、期限につきましても、各省庁におかれまして必要があるということを判断された場合はこれは移管されずに各省庁において依然として保管されているということになってございます。
#251
○吉川春子君 つまり、永久保存の文書も含めて国立公文書館に移管される公文書というのは全く各省庁の自由判断にゆだねられていて、本当に歴史資料として重要な公文書が漏れなく国立公文書館に集まるというシステムにはなっていないわけですね。アメリカの公文書館等に行きますとかなり重要な資料を発見することもありまして大変活用価値があるわけですけれども、日本の国立公文書館というのは全くそういう意味で中途半端ですよね。
 官房長官、私お願いしたいんですけれども、やはり国立公文書館というものがあって、しかも公文書の保存というのは欧米諸国に限らずインドとかその他の国々においてもきちんと行われているわけですよ。それが日本が非常にそういうことで不十分だということが現状なので、この点についてぜひ改善の措置をとっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#252
○国務大臣(森山眞弓君) 先生仰せのとおり、この公文書館法というのができましたのが昭和六十三年、ごく最近でございますし、おっしゃるとおり以前のものについては非常に十分でないことは確かだと思いますが、この法律ができまして、国が有する歴史資料として重要な公文書などの保存及び利用に関する責務を果たす施設として正式に位置づけられたわけでございますし、国民の共通の財産である歴史資料としての公文書などを後代に継続して伝えるという重要な役割をきちっと決められたわけでございますので、これらの責任を果たしますために各省庁との連携を一層強化いたしまして、歴史資料としての公文書等の移管、公開の促進を図り、専門職員の充実を進めるなど内外の要請にこたえ得る施設として充実してまいりたいと考えております。
#253
○吉川春子君 それで、公文書が永久保存であるかどうか、それからそうでないものも含めてお役所においてはその省庁の必要度によって永久保存とか何年保存と決まっているわけですね。ところが、国立公文書館で今度は歴史資料として学術研究その他に利用する場合にはまたそのランクと違って、お役所では余り価値がないとされる文書でも歴史資料としては大変貴重なものがあるわけなんです。だから、そういう役所のランクでもって必要度が決まらないことはもちろんなんです。
 国立公文書館にお伺いしますけれども、どういう文書が重要でどういう文書が保存する必要がないと、そういうような判断は今どういうふうになさっているんですか。
#254
○説明員(溝口喜久君) 国立公文書館の業務といたしましては、各省から移管を受けました文書の歴史的な重要性を十分判断し、それを分類し、研究者を初めとする一般の利用に供することが任務でございます。
 そこで、公文書の歴史的な価値の判断につきましては、やはり専門的な職員を十分に養成いたしまして各種文書をいろいろ研究を進めるということが必要だろうと思っております。その意味におきまして専門職員の充実ということが重要な課題であると考えております。現在におきましてもその面の活動はいろいろと努力を続けているわけでございますが、今後の問題としてはなおそのような必要性が生じてくるものだろうと考えております。
#255
○吉川春子君 随分先のことまで御答弁いただいたんですが、要するに入ってくる公文書の重要性ということについてはやはり各省庁で判断するよりも専門機関である公文書館で判断された方がいいのではありませんか。
#256
○説明員(溝口喜久君) 各省庁との関係におきましては毎年定期的に連絡会議を持ちまして、公文書館の業務でありますところの歴史的な公文書を移管されるようにいろいろと要請をしているわけでございます。
 このたび公文書館法ができましたのでございますので、その趣旨が十分に徹底されますように、なお公文書館法の趣旨を各省庁において十分御理解いただくように連絡をさらに密にいたしまして、各省庁におかれましても行政目的による書類の文書の管理、分類ということと同時に、やはり公文書館法の趣旨に沿ったような形で御判断いただいて、そういった歴史的に重要な公文書が多数私どもの館に移管されますように引き続き御協力をお願いしていきたいと思っております。
#257
○吉川春子君 私の質問に端的に短くお答えいただきたいと思うんです。
 アメリカの国立公文書館法では、「アメリカ合衆国の政府に属するすべての公文書または記録は、」「文書保管官」、これは翻訳ですからこういうふうに呼んでますけれども、「文書保管官が担当し、監督する。」とされて、この文書保管官はすべての機関のいかなる記録も閲覧でき、国家公文書委員会が移管を承認する公文書または記録を国立公文書館へ移管するように強制する権限を持っているわけなんですね。だから、防衛庁のは入らないとか外務省のは入らないとか警察のは入らないとか、アメリカはそういうんじゃないんですよ。一切のものが収集できる強力な権限を持って公文書の保管というものをやっているわけなんですね。こういう点はアメリカを見習ってほしいと思うんです。そういう場合に、今のお話ですと各省にひたすらお願いして、話し合いをしてということなんですけれども、政府が決意をすればそれはもう集められるわけですから、そういうことをきちっとおやりになって、必要なものを公文書館に集めるということをされるように私は強く要求します。
 そして、その集まった膨大な資料をどれを保管しどれを破棄するか、この判断をするのが専門官ですね。さっきからのお話では専門官がいないと。今まで十六年間どういう形であの膨大な処理をされてきたのか、あるいは実際処理をされてきている専門的な知識のある方をどのように処遇してきたのか、非常に疑問なんです。
 埼玉県におきましては埼玉県立の文書館におきましては五人の職員で作業してて、司書とか学芸員とか、そういう資格を持った者もその中にいるわけなんです。捨てる文書は九〇%、残す文書は一〇%、こういう取捨選択をしているんですけれども、これをやるには相当な力量のある、学歴で言えば大学卒よりは大学院卒で、さらに訓練を受けたような人が当たらないとなかなか難しいという問題もあります。法律ができたためにというか、それが一層各県の公文書館の建設に拍車をかけていますが、今一番悩んでいるのは専門官がいないわけですよ。養成の制度がないわけですね。だからそういう問題があるわけなんです。だから、そういうアーキビストといいますか、文書司といいますか、いろんな翻訳の方法があると思うんですけれども、そういう専門官養成のためにやっぱり国は基準づくり、養成機関をどうするかとか、そういう専門職員をどうふさわしい待遇にするかとか、そういう問題を含めて早急に取り組んでいただきたい、そのことを私、官房長官にこの問題の最後にお願いしたいと思います。
#258
○国務大臣(森山眞弓君) 公文書館法の施行に際しまして、各省庁連絡会議を開催しましてその趣旨及び運用のあり方の徹底に努めましたほか、内閣官房副長官名をもちまして各省庁の事務次官あて通知をしているところでございます。協力方を要請しております。
 地方との関係につきましては、公文書館法の趣旨を踏まえまして、都道府県文書主管課長会議、地方公文書館長会議、及び公文書館等職員研修会なども開催いたしておりまして、今後とも公文書館の充実のために努めてまいりたいと考えております。
#259
○吉川春子君 日本は最初に申し上げましたようにかなりおくれてこの問題に取り組み始めたわけですが、早急にぜひ充実させていただきたいと要望しておきます。
 二番目に、私は国家公務員の中の女性の公務員の問題について取り上げたいと思います。
 日本の女性の地位がまだまだ低い実態の一つに、本来国が率先して行うべき女性の地位向上、これがなかなか進まない、政府が十分にやってこなかった。決して女性が男性より能力が劣っているということではないわけです。
 私は先日新宿にあります統計局に伺ったんですけれども、日本の統計事業というのは国際的に随分高く評価されているんだそうで、トップレベルにあるというお話を伺いました。各国からも研修に訪れている。これは行政からの独立と同時に、そこで働いておられる職員の皆さんが専門的に非常に技能が高い。系統性、正確性、こういうものを持っておられるわけです。しかも、この統計局で働いている職員の八割が女性なんですね。私は、こういう女性職員も含めて、統計局の職員の高い能力、これに日本の統計業務が負うところが多いんじゃないかと思いますが、まずこの辺の御認識はいかがですか。これは大臣にお伺いします。
#260
○国務大臣(水野清君) 今先生のお話のように、私の役所で統計局を所管としておりますが、確かに仰せのように日本の統計の水準の高さというのは国際的にも非常に認められておりまして、アジア各国あるいはその他の国々から研修生その他を多く受け入れております。
 そして、私も先般見てまいりましたけれども、大勢の女子の職員の方々が働いておられます。
#261
○吉川春子君 そこで働いておられる女子の職員の方がいろいろな意味で差別をされている、この問題について伺います。
 国家公務員の雇用、昇格、昇進、研修などに当たってはもちろん男女差別などあってはならないわけですが、統計局統計センターの女子の職員の中で四級、つまり係長以上の方は何人いますか。それから、課長、課長補佐、係長、主任、この数を男女別に言っていただけませんでしょうか。
#262
○政府委員(井出満君) お答えいたします。
 課長等は総数で十七人、男子が十六人、女子が一人。それから、係長等は総数が二百八人、男子が百四十四名、女子が六十四名。それから、主任は総数で三百七十九人、男性が六名、女性が三百七十三名となっております。
#263
○吉川春子君 今の数字のように係長以上が全体で三百十五人いるわけですね。男性の職員の中で五八%以上が係長以上の役付です。女性は五・四%の人がこの地位についているにすぎません。大臣、こんなアンバランスがあってよろしいものでしょうか。
#264
○国務大臣(水野清君) 職員のポスト、任用につきましては、職務の複雑な問題あるいは困難度及び責任度合いあるいは本人の能力、勤務成績等を総合勘案して成績主義でやっております。
 今、男女差別があるのではないか、こういう御質問でございましたが、総務庁におきましては男女の差別による人事管理は行っておりません。
 以上でございます。
#265
○吉川春子君 私は数字を挙げて、こういうアンバランスがあっていいものかどうかというふうにお伺いしたわけですけれども。
 人事院にお伺いいたしますが、国家公務員の女子の労働者の昇格、昇進の実態について伺います。
 本省の女性の係長、課長補佐、課長の人数と全体に占める割合、おのおのどうなっていますか。わかりますね。
#266
○政府委員(森園幸男君) 本省につきまして特にデータとして持っておりませんが、公務員全体について申し上げます。
 行(一)でございますが、まず男女計でございますが、行(一)全体で二十三万四千七百二十九名でございまして、うち男が八五・五、女が一四・五%でございます。内訳でございますけれども、十一級が千四百二十名中、女子で申しますが、女子が一・一%。十級が千六百八十六名中、女子〇・六%。九級、三千七百三十名中、女子〇・七%。八級、一万七千四十名中、女子一・〇%。七級、一万五千九百六十七名中、女子一・九%。六級、三万四千三百十名中、女子八・三%。五級、二万四千八十二名中、女子一五・三%。四級、四万三千五百三十名中、女子一七・四%。三級、四万四千七百九十七名中、女子二四・二%。二級、二万八千百七十三名中、女子一六・一%。一級、一万九千九百九十四名中、女子二〇・五%。これは六十三年三月三十一日現在の数字でございまして、締めて冒頭に申しましたとおり女子の構成比が一四・五%、こういうふうになっております。
#267
○吉川春子君 公務員全体も女子の公務員の昇格、昇進の実態というのは非常に低いわけですね。それに比べてさらに統計局統計センターは低い位置にあるわけなんです。
 人事院総裁にお伺いいたしますけれども、公務員の中で女性の地位の、地位といいますか係長以上の比率の低さ、そういうものについて本当に徹底して改善していただきたいと思いますけれども、お願いいたします。
#268
○国務大臣(水野清君) 統計局において女性の職員が多いが管理職その他の昇進が少ないという仰せでございますが、私ども総務庁が設置した昭和五十年七月から比べますと六十人も増加をしております。これはいろいろ職員の採用、上級職とか中級職とか、それぞれ国家公務員には最初受験をしたときからの比較があろうと思います。そういうことにかんがみて、それから男女雇用平等法というものが施行されてからの歴史もあると思いますし、最近において全くそういう男女の差別をしている事実はございません。
#269
○吉川春子君 これだけの数字を示して、数字にアンバランスがあるじゃないですか。男女の差別をしていないというんだったらば、じゃ女性は能力かないからそのパーセンテージが低いとでもおっしゃるんですか、どうですか。
#270
○政府委員(井出満君) 統計局統計センターでは職員の役付への昇任は、国公法第三十三条、それから人事院規則の九の八の級別資格基準に基づきまして、経験年数または在級年数を満たすことを要件とするほか……
#271
○吉川春子君 数字のアンバランスについてどう思うんですか。基準は聞いていませんよ。
#272
○政府委員(井出満君) 級別定数の枠内において職員の能力、勤務成績等を勘案して行っており、その運用は国公法の「平等取扱の原則」を踏まえ、成績主義を基本としております。したがって、そういう男女の差別ということは一切行っておりません。
#273
○吉川春子君 それでは主任についてお伺いします。主任は男性はほとんどいないんですね。女性が九八%占めているんです。その中で、勤続二十年の人が二百人以上、三十年の人が百六十名近くいると私は承知していますが、そうですね。
#274
○政府委員(井出満君) 主任の数は全体で三百七十九名でございます。男子が六名、女子が三百七十三名、こういうことでございまして、勤続年数二十年以上がこの全体のほとんどでございます。それから、三十年以上はその半分ぐらいと承知しております。
#275
○吉川春子君 ですから、今の御答弁のように主任の二十年、三十年勤続した女性が圧倒的にこういう低い地位に置かれているということは明らかじゃないですか。女性の職場で女性の係長が非常に少ない、そしてベテラン職員の多くが主任になっているわけですね。
 係長職、それと組長主任、いわゆるリーダーというふうに呼んでいるんですか、その職務の内容の比較について伺いますけれども、リーダーの実質的な職務と係長の職務はどこが違うんですか。リーダーというのはむしろ係長相当の仕事をしている、こういうふうに見てもよろしいんじゃないですか。
#276
○政府委員(井出満君) 統計局の統計センターとしましては、主任は係の業務の一部を分担処理することを職務としております。したがいまして、係長とは職務の複雑さ、困難度、責任の度合いは異なっておるわけであります。したがって、単に処遇のためだけに主任から係長に格上げするとか、こういうことはできないわけでございます。
#277
○吉川春子君 女性の二十年、三十年勤めたベテランの方が例えば研修会の講師までおやりになる、後から入ってきた男性の職員の方よりもいろいろ仕事も知っているので最初は指導する、そのうちにその若い男性の方が追い抜いて係長、それ以上の職にどんどん行くと、こういう中で長年黙々と世界最高水準の統計局の仕事を支えてきている女性の悔しさというのはわかりますか。大臣、どうですか。
#278
○国務大臣(水野清君) ただいま統計局長が申し上げましたように、総務庁が発足しまして以来、私はなるべく女性の職員の主任、係長、課長等の登用を進めているというふうに思っております。もちろん、今後優秀な人があれば私は統計局長でも何でもするつもりでございます。決して差別をしているような事実はございません。
#279
○吉川春子君 百歩譲って、差別はないとおっしゃるとしても、今の数字のアンバランスはおわかりいただけますよね。係長の数の男女の差、主任の数の男女の差、そして長年勤めた人が主任という地位にたくさんいる、女性の方が。そういうアンバランスはやっぱり直していく方向が、女性の公務員の昇進、昇格を平等にするということに照らして、そういうことが望ましいということはおわかりになりますでしょうね。
#280
○国務大臣(水野清君) おっしゃるとおり原則としては望ましいのでありますが、必ずしも経験年数だけで職員を登用する、こういうわけにはいかないだろうと思います。
#281
○吉川春子君 実質的にいろんな仕事ができても、ポストがないとかという問題もありまして女性の主任から係長に昇格する道というのはほとんど閉ざされているんですね。主任から係長に昇格した人数というのはこの五年間でどれぐらいいるんですか。
#282
○政府委員(井出満君) この五年間に主任から係長に昇任した数についてはちょっと手元に数字がございません。
#283
○吉川春子君 根本的には女性の能力の向上対策、職場の実態に適したポストの配置、こういうものに問題があるようですね。
 さっきも言いましたけれども、三十年も勤続しているベテランの職員がリーダーとして研修の講師すらやっている、こういうことも私は聞いていますが、そういう方でも係長にはなれないというのは本当に不合理だというふうに思うわけですね。いわゆるリーダーと言われる方々、組長主任、そういう方々はやっぱり全員係長もしくは相当の専門職に昇格させるべきじゃないか。ポストが足りないという問題を解決するためにはやはりそういうポストをつくっていただきたいと思うんです。これは総務庁じゃなくて人事院にお伺いしますが、いかがですか。
#284
○政府委員(森園幸男君) 各省庁の組織づくりでございますけれども、やはり仕事の性質等を勘案されまして、能率的な業務運営のためにはどのような組織が適当かというような視点と、職員が意
欲を持って働くためにはその昇進等の処遇はどうあるべきかという双方を考えて配慮されることと思いますが、私どもの方から組織のあり方について直接どうこうあるべきだということはちょっと申し上げられないかと思います。
#285
○吉川春子君 総務庁にやはりこういう問題についてぜひ改善していただきたいと思いますし、それから非常に積極的に研修も受けたい、そういう意欲的な女性の職員もたくさんいるわけですね。半年の研修その他を含めて、そういうものについてもぜひ差別なしに女性にもちゃんとチャンスを与えていただきたいと思うんですが、その点はどうですか。
#286
○国務大臣(水野清君) 先生の仰せのとおり研修その他むしろ平等にチャンスもつくることにいたしますし、それぞれ能力があり立派な御経験があれば、また公務員法上の資格の問題もそこに加わってくると思いますが、登用をしていきたい、かように思っております。
#287
○吉川春子君 この問題の最後に官房長官にお伺いいたします。
 政府の婦人問題企画推進本部では女性を一割以上審議会委員に任命するという方針も決定されているわけです。この問題とちょっと性格は違うんですけれども、女性を政策決定の場に積極的に登用する、こういうことで政府は御努力をされているわけなんですね。日本も批准した女子差別撤廃条約にもこのことは重視されているわけです。政府は女性の公務員をもっと登用することを要請されているわけなんです。だから、こういう趣旨に沿って女性の地位向上のために――国家公務員の女性の差別というものはないとおっしゃるのだけれども、そういう歴然とした数字の実態があります。そういうことを解消するためにもやっぱり一定割合以上の管理職を女性で占めるとか、そういう方向に向かってぜひ努力をしていただきたいと思うんです。
#288
○国務大臣(森山眞弓君) 私も長い間女子の公務員としてやっておりました経験がございますので、吉川先生のおっしゃらんとする意味はよくわかるつもりでございます。
 私自身の経験から申しますと、特に昭和五十年の国際婦人年以降大変事態が改善されてまいりまして、今日のような状況にまでようやくまいったという感じがするわけでございまして、これからも女性が公務について大いに活躍できますように一層努力をしてまいりたいと考えております。
#289
○吉川春子君 それでは、防衛問題に移らせていただきます。
 まず最初に、潜水艦「なだしお」の航泊日誌の改ざん問題についてお伺いいたしますが、昨年の七月、潜水艦「なだしお」が釣り船第一富士丸と衝突して三十名の命を奪った事件で、潜水艦「なだしお」の事故当時の日誌、海図が改ざんされていたと、こういう重大な実態が、事実が明らかになりました。このことは、潜水艦「なだしお」の山下啓介元艦長はもとより、自衛隊の組織ぐるみの改ざん工作が明らかになったということであり、政府が一体になって弁護をしてきたことではないかと、許しがたい行為であるということを私は最初に申し上げて質問に入ります。
 まず、八八年七月二十三日午後三時三十八分衝突というふうに、私たちはずっとそういうことでやってきたんですけれども、四十一分ですね、護衛艦「ちとせ」に対して最初の事故通報で十五時三十八分漁船に衝突したと、救助を依頼するというふうに打電してます。同時刻にほぼ同じ電文を第二潜水隊群司令部にも打電してますが、これは山下艦長の決裁を受けて打電しているんじゃありませんか。
#290
○政府委員(米山市郎君) 事故の第一報につきましては、艦長といたしましてできるだけ早く関係方面に通報をしたいということで、十五時三十八分というはっきりした時刻を今おっしゃられましたが、一応十五時三十八分ごろということで通報をいたしております。それはもちろん山下艦長の責任において行ったものでございます。
 ただ、その十五時三十八分ごろというのが必ずしも鑑内のいろいろあらゆるデータを総合しての結論ということではございませんで、とにかく第一報はそのころであったということで至急通報をしたというふうに私どもは理解しております。
#291
○吉川春子君 最初事実を確認させていただきます。
 五十五分、護衛艦「くらま」、「ちとせ」及び横須賀通信隊に対して十五時三十八分第一富士丸と衝突、十五時四十分同船沈没などの公式の事故通報を海上幕僚長、自衛艦隊司令官及び潜水艦隊司令官ほかあてにそれぞれ打電しているわけですね。公式の打電で、これはうそを打ったとなったら大問題でしょう。どうですか。
#292
○政府委員(米山市郎君) そういう通報をいたしております。
#293
○吉川春子君 十五時四十一分時点で、十五時三十八分衝突、これは自衛艦「なだしお」の公式通報の内容であって、衝突直後の通報ですので衝突時間を殊さら早めたり遅めたりする必要もないし、またその時間的余裕もなかったと思われるわけですね。
 それなのになぜその後変化が起こったのかということなんですけれども、同五時ごろ「せとしお」から「ちよだ」の作業船で山下艦長の直属の上官である高原第二潜水隊群司令官が現場に到着したわけですね。それで、新聞報道によりますと八時過ぎに「なだしお」艦内の士官室で乗組員十人を集めて会議をしたと。ここで、航泊日誌に記載されていた衝突時刻三時三十八分を速力通信受信簿にあった午後三時四十分に改ざんしたということなんですけれども、この乗組員約十名を集めた会議に高原司令官は参加されたんですか。
#294
○政府委員(米山市郎君) 高原司令はその当時は乗艦をしていなかったと承知をしております。
#295
○吉川春子君 高原司令官はその会議に参加しましたか。
#296
○政府委員(米山市郎君) 乗艦をしておりませんでしたので、その会議には参加をいたしていないと承知しています。
#297
○吉川春子君 上級現場指揮官であったというふうにおっしゃるわけですね。
#298
○政府委員(米山市郎君) 「なだしお」が衝突をいたしまして、高原第二潜水隊群司令官の指揮監督のもとに現場付近の海面での遭難者の発見に努めております。十七時四分、同群司令が「なだしお」に移乗をいたしまして状況報告を受けた後、外力等から衝突地点を中心に一マイル圏内の南西側で溺者の捜索及び救助に当たれという指示を出しまして、司令はその後退艦を、離艦をいたしております。
#299
○吉川春子君 そうすると、十人を集めて会議をしたときにはもう潜水艦からは離れていたと、こういうことなんですか。
#300
○政府委員(米山市郎君) そのように承知いたしております。
#301
○吉川春子君 現場の指揮官としてその鑑に赴いて、そしていろいろ指揮したり相談したりする人がこの会議に参加していないということはおかしい。何で帰っちゃったんですか。
#302
○政府委員(米山市郎君) 群司令は「なだしお」事故の発生に伴います行方不明者の捜索、これが第一ということで、そのような指示を行い、群司令の事務所に帰ったというふうに私は承知をいたしております。
#303
○吉川春子君 人命救助が第一というふうに行動したかどうかということは、さんざんいろいろな委員会でやりましたよね。
 じゃ、そういう方がわざわざ潜水艦に行って、そしてそういう会議も出ずに帰ったと、そういう中で航泊日誌その他の改ざんがその後行われたとなると、その前に何らかの指示なり相談なり、直すについてのそういうことを山下艦長から相談を受けたり話し合ったりしたという可能性はこの間にあるんじゃないですか、会議に出てないとしても。
#304
○政府委員(米山市郎君) 今先生が会議ということをおっしゃっておられますが、私どももどういう形で集まったかということについては正確に承
知をいたしておりませんけれども、いずれにいたしましても高原群司令が――私どもが承知いたしておりますのは、艦長を中心としてより正確な時刻を確定をしようということで、艦長を中心にした話し合いといいますか、があったやに聞いておりますけれども、その場には群司令は居合わせていないというふうに承知をいたしております。
#305
○吉川春子君 そうすると、ちょっとはっきりしたいんですけれども、会議というふうには言わないけれども、集まって、何人かの人を集めて話はしたと、いろいろな指示もしたと、現場の指揮官ですからね。当然救助についてだけだっていろいろな指揮をするわけでしょう。そういうような会議はしたと。――じゃ会議じゃない、話し合いは集めてしたり、指示はしたと、こういうことですね。
#306
○政府委員(米山市郎君) まあ事実関係の微に入り細に入ったお話というのは私どもも十分承知をしていない面もございます。また、現在海難審判の場でもそういった点についても十分当事者の方から御説明を申し上げている問題でございますので、余り会議がどうだとかというようなことについてぎりぎりした点については私の方からもはっきりと申し上げかねる点もございますが、いずれにいたしましても、午前中に御答弁申し上げましたように、諸種のデータと申しますか、別の、航泊日誌以外に速力通信受信簿といったデータもございますので、そういったものに書き込まれていた数字であるとかあるいは状況説明を関係の者から聞いて総合的に判断をしたということを申し上げたわけでございますが、そういう場がどういう形で行われたか詳しくは存じませんけれども、あったというふうには認識はいたしております。
#307
○吉川春子君 事故当初、「なだしお」は三時三十八分衝突と打電したわけですね。にもかかわらず、現場指揮官である高原第二潜水隊群司令が現場に到着した後、士官室で会議をして、そして三時四十分というふうに改ざんした、海上保安部の捜査官はその改ざん作業が終わってから現場に到着した、こういうことなんですよね。だから、高原さんが現場に乗り込んでデータの改ざんを指揮したということはもう疑いのない事実だし、私たちはそのことを厳しく指摘します。
 ですから、今度の問題は単に山下さん云々ということではなくて自衛隊の組織ぐるみのデータの改ざんじゃないですか。隠ぺい工作じゃないですか。重大問題だと思いますよ。
#308
○政府委員(米山市郎君) 午前中にも御説明申し上げましたとおり、データの改ざんということではなしに、より正確な時刻を確定したいということで総合的な判断が艦長のもとでなされたというふうに理解をいたしております。
#309
○吉川春子君 航泊日誌を改ざんした根拠として山下元艦長は速力通信受信簿の記録を挙げていますね。その通信受信簿には具体的にどのように書いてあったんですか。
#310
○政府委員(米山市郎君) 速力通信受信簿には、衝突の近辺のことだけ申し上げますが、十五時三十六分停止、十五時三十七分前進強速、十五時三十八分停止、後進原速、後進いっぱい、十五時四十分停止、衝突警報、これだけのことが書いてありました。
#311
○吉川春子君 衝突の時刻の記載なんかないじゃないですか。
#312
○政府委員(米山市郎君) この速力通信受信簿と申しますのは艦艇の速力、前後進の別等についての記録をいたすものでございます。運転員が記録をするものでございますが、そういうことで機関の動きあるいは変化を記載、記述するものでございますので、衝突というようなものは本来的にそこに記載をするというものではないのではないかと私は推測はいたしております。
 ただ、十五時四十分停止と衝突警報、衝突警報が鳴っております。その衝突警報と停止がほとんど四十分ということで同一分の中に書き込まれておりますので、衝突はその寸前にあったものという判断をしたものと思っております。
#313
○吉川春子君 だから、その衝突の時刻をこの受信簿に記載してないわけですよね。それなのに四十分衝突ということで改ざんしたと。しかも、その衝突警報というのはもう三十八、九分ごろからずっと鳴っているわけですよね。鳴り続けているわけでしょう。そういうものをとらえてこのときに衝突したということは言えない。この記述から衝突の時刻を推測したということなんですか。
#314
○政府委員(米山市郎君) 今申し上げましたように速力通信受信簿に衝突時刻そのものの記載がないことは事実でございますけれども、衝突警報の時刻及び衝突警報と衝突との前後関係、こういったものから衝突時刻を判断しているというふうに考えております。
#315
○吉川春子君 最初十五時三十八分と打電して、その後この記録を見て衝突時刻を書き直すなんというのはとんでもないことです。
 防衛庁長官に伺いますけれども、これは大変重大な事件だと思うんですね。この問題についてどうお考えか、まず伺います。
#316
○国務大臣(松本十郎君) 先ほどから政府委員がるる答弁しているとおりでございまして、私はそのような報告を受け、今のところそれを信じております。
#317
○吉川春子君 何を信じていらっしゃるんですか。
#318
○国務大臣(松本十郎君) 政府委員の説明その他を信じておるわけです。
#319
○吉川春子君 政府委員の説明を信じているんですね。山下艦長のこういう改ざんをしたと、こういう事実についてどう受けとめておられるんですか。
#320
○国務大臣(松本十郎君) 私は事実そばにおったわけでもございませんし、その場でどんなことがあったかも知りませんから、そういう経緯でございましたと言われたのを聞いて、そうだなといって信じているわけです。
#321
○吉川春子君 大変なことを山下艦長はやったわけです。衝突ということがまず大変重大なミスですよ。それに加えて今度は時間の改ざんまでやった。その改ざんの根拠になっているその受信簿には衝突の時刻の記載などはないわけです。幾重にもうそを塗り固めているわけですね。そういうようなことについて、ただこの場で政府委員の答弁を信じているというんじゃなくて、こういう重大な事態をどう受けとめて、どう対処されようとしているのかということを伺いたいわけです。
#322
○国務大臣(松本十郎君) 委員御指摘の点は委員のいろいろな何かに基づく御発言でございましょうが、これは最終的には検察庁なりあるいは海難審判ではっきりするわけでございまして、我々は我々の組織の上で報告があったことをそうだなと信ずるわけでございまして、今後のそれは第三者機関による判断によって決まるということであって、今ここであなたの言われることが全部真実であるということはとても信じられません。
#323
○吉川春子君 私のことを信じなさいと言っているんじゃなくて、新聞の情報その他に基づいて質問しているわけです。
 いずれにしても、これまでの国会への報告が正確でなかったということは事実ですよね。だから、私たちはこういうものについてやっぱり国会の場でもちゃんと明らかにして今後この問題について追及していきたいというふうに思います。
 時間の関係で次にPACEXの問題を質問いたしますが、八月の下旬から十月の末までPACEX89がアメリカの太平洋軍にとって初めての陸海空海兵隊四軍統合演習で、空母四隻、八万人が参加して行われたわけです。カナダ、オーストラリア、フィリピン、タイ、シンガポール、日本、韓国、こういう太平洋周辺各国も参加したかつてない大規模な統合実動演習として行われたわけですね。
 その中で私は特に伺いたいのは、横須賀と大湊の護衛艦が米海兵師団を乗せた沖縄からの揚陸艦船団、また佐世保の護衛艦がグアムからの事前集積船の航路を護衛して苫小牧沖まで北上した。九月の三十日に、続いて米第七艦隊の旗艦ブルーリッジなど米艦八隻、ヘリ搭載船「しらね」など海上自衛隊護衛艦八隻が横須賀を出港。北上した日
本とアメリカの主力艦隊が十月二日、千島列島沿いに南下したと推定される空母エンタープライズ戦闘群と北海道根室南方と岩手宮古東方を結ぶ海上で合流した、大体そういうことですか。
#324
○政府委員(米山市郎君) 今回海上自衛隊演習、それからPACEXの参加部隊の一部との日米共同訓練、海上自衛隊との日米共同訓練におきまして、米軍の輸送艦等と海上自衛隊の一部の艦艇との共同訓練、これが行われたことは事実でございます。これはあくまでも安全に兵力や物資の輸送を達成することを目的といたしまして、潜水艦等の脅威を撃退し、あるいは空からの、航空機からの攻撃を回避するということを目的とした訓練でございます。
#325
○吉川春子君 要するに護衛したわけですね。
#326
○政府委員(米山市郎君) 護衛という言葉が適当かどうかわかりませんが、有事に際しまして我が国に必要な物資、日本国民の食糧であるとかあるいは生活に必要な諸物資、そういったものを輸送してくる商船などを、その輸送の目的を完全に達成するということは当然必要なことでございまして、そのための訓練を必要に応じて行うということは当然なことだろうと思っております。
#327
○吉川春子君 護衛じゃないとすれば、護衛の定義を言ってみてください。
#328
○政府委員(米山市郎君) あえて護衛と言うか言わないかは別といたしまして、輸送目的を達成する、護衛といいますか、輸送艦それ自体は武力を持っていない場合が多いわけでございますので、そういう輸送艦の目的を達成するために、その周辺で潜水艦からの脅威あるいは経空脅威を排除する、そういう訓練でございます。
#329
○吉川春子君 実際に護衛したわけですね。日米共同演習として米海兵隊の輸送を護衛、また米空母を護衛したわけですね。
 この海兵隊というのは、他国への強襲上陸部隊、通称殴り込み部隊、こういうふうに言われているわけですけれども、これを我が国の自衛隊が護衛するということはどういうことなんですか。自衛隊の任務として米空母の護衛をやるということはまたどういうことなのですか。
#330
○政府委員(米山市郎君) たまたま海兵隊と陸上自衛隊との共同訓練が北海道で実施をされたわけでございまして、その要員として沖縄から沖縄に勤務をいたします米海兵隊を輸送する必要があるわけでございます。米軍の両用艇でそれを輸送をするという事実がございました。先ほど来申し上げておりますように、それに合わせて自衛隊といたしましても輸送目的を達成するための輸送訓練を実施するのが適当であろうという判断に立って実施をしたものでございます。
#331
○吉川春子君 従来、政府は専ら米艦を守る、護衛を主目的とする行為はできない、こういう見解を持っていたわけですけれども、これを変更なさったわけですね。
#332
○政府委員(米山市郎君) 自衛隊はあくまでも我が国を防衛するための必要な限度内、すなわち個別的自衛権の範囲内において行動をするものでございまして、今るる申し上げております輸送訓練と申しますのも、有事に際しまして我が国を防衛する、我が国の国民を守り、国民の生活を守り、我が国を防衛するために必要なその限度においての輸送訓練というものであります。
#333
○吉川春子君 防衛庁長官に伺いますけれども、海兵隊というのは要するに強襲上陸部隊ですけれども、これは日本有事のときに必要あるんでしょうかね。サハリンかなんかに上陸するために輸送したのかどうか、その辺はシナリオが明らかでありませんのでわかりませんが、そういうことをやりながら、今まではできないということまでじりじりと変えて、そして米艦の護衛もできると、そういうようなふうにどんどん拡大していくということは大変危険なことじゃないですか。その点について防衛庁長官いかがですか。
#334
○国務大臣(松本十郎君) 先般の共同訓練はあくまで日本の本土の、本土といいますか、日本の領土であります北海道へ行くときの護衛でございまして、先生御指摘のような他国を意識したものでは毛頭ございません。あくまでも日米有事の際の範囲内における輸送でございます、護衛であります。
#335
○吉川春子君 アメリカは日本とだけ共同訓練をしたのではありませんで、さっき申し上げましたようなさまざまな国と共同訓練をしながら日本へやってきたわけですね。それぞれの国はアメリカと軍事同盟を結びまして集団自衛権の行使というようなことも当然できると。そういうようなところとずっとやりながら日本に来て、日本の政府だけ、いやこれは個別自衛権だと、日本はこういうふうに思っていると言っても、客観的にアメリカの描いているシナリオが、公表していませんけれども、私たちに見えるシナリオが、これは日本有事ということではなくて、もうはるかにそういう域を超えたものだということはだれの目にも明らかだと思うんです。それを自衛隊だけがそういうふうに言っているというのは、裸の王様という童話もありましたけれども、そんな感じがするわけなんですね。
 私はこの問題は非常に重要だと、PACEXへの我が国の参加、その一環としての日米共同演習はまさにアメリカの対ソ封じ込め戦略に基づいたものなんですね。時間がないのでそういう質問できませんでしたけれども、日本をアジア・太平洋戦略に一層深く組み込み、米国有事に日本が自動的に参戦する集団自衛権行使に直結することを意味するものです。私たちの国がアメリカの戦略にかかわっている限り、日本周辺海域での役割を果たせということをアメリカから強制される、そのことを今回のことは示していると思うんですね。
 だから、アメリカの戦争行為にいや応なく日本を引きずり込もうとするそういう日米軍事同盟、安保体制、こういうものの危険性を改めて浮き彫りにしたと思います。私たちはそういう同盟の破棄ということを強く要求して、時間ですので質問を終わります。
#336
○中川嘉美君 海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と第一富士丸との衝突事故につきましては、午前中そしてただいまも各委員からの質問があったわけですが、我が党としても基本的な問題について二、三点ここでただしておきたい、このように思います。
 本件に関しては、山下前艦長が十分な救助活動もしないで、部下に指示をして航海の記録簿である航泊日誌あるいはまた海図まで書きかえさせて、しかももとの記録を事もあろうに原紙を破棄させるという、こういう事態が明らかになったわけですけれども、このような弁明のしようのない事態、三十人もの犠牲者、とうとい人命を失った遺族の方々の思いを考えるときに、こんなことがあっては断じてならないと、このように考えるわけですけれども、今回の新事実とあわせて衝突事故に関する責任の所在というものをここで明らかにしていただきたい、こう思います。
#337
○政府委員(米山市郎君) 午前中からもるる申し上げておりますように、「なだしお」と第一富士丸の衝突時刻につきまして、より正確を期そうというその努力の結果といたしまして航泊日誌の当初の記載を三十八分というものを四十分に直した、そういう事実は事実として私どもも承知をいたしております。
 ただ、るる申し上げておりますように、これはたまたま錯綜した状況の中で、鉛筆書きでメモ書き的に書いていたものをさらに航泊日誌として完成させるためペン書きにする際に種々の状況あるいはデータ等を総合的に判断して四十分がより正しいものであろうと。実際問題として現実に衝突時刻というものを確定をするというのはそうした混乱の中でなかなか難しい問題だろうとは思いますが、艦長を中心として種々の状況をいろいろ総合的に判断してそういうふうにしたわけでございまして、私どもといたしましてはそういうこと自体を改ざんというふうには考えておりません。
 ただ、午前中にも申し上げましたように、非常に関心を持たれる事項であるだけに、このような形でもともとの鉛筆書きのものがなくなってしまっているということは非常に残念なことだと思っ
ています。
#338
○中川嘉美君 どうもけさほど来の御答弁の内容、大変失礼かもしれませんけれども、責任回避というか真剣味あるいは誠実さに欠けているような気がしてならないわけですけれども、この問題で第一富士丸側としては海難審判の次回の審理冒頭で取り上げる方針と聞いていますけれども、防衛庁としてどのような姿勢で臨まれるか、この点も伺いたいと思います。
#339
○政府委員(米山市郎君) 審理の場において事実をありのままに御説明してまいりたいと思っています。
#340
○中川嘉美君 海上保安庁の対応ですけれども、具体的にどう対処していかれるか。特に日誌改ざんの事実関係について、さらにはこの事実が明確になったときにはどうするか。報道によると再捜査もあり得る、こういうふうに言っているわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
#341
○説明員(中島健三君) お答えいたします。
 私どもの調べに対しまして当時「なだしお」の艦長は航泊日誌の修正を行った旨申し立てておりまして、「なだしお」側に証拠を隠滅しようとか文書を偽造しようとする意図があったことは認められませんので、証拠隠滅とか公文書偽造というような犯罪が成立するというふうには考えておりません。したがいまして、今後この件につきまして再捜査等を行うことは考えておりません。
#342
○中川嘉美君 一定の時間内でこれを詰め切っていくということも非常に厳しいわけですが、この衝突事故に関してはきょうはこの程度にとどめて、機会を改めてまた具体的な詰めを行っていきたい、このように思います。
 先ほど当委員会による派遣報告が行われたわけですけれども、私どもが北海道の自衛隊を視察した際に、陸上自衛隊の第二師団あるいは第五師団、これらの駐屯地内で感じた点についてここで一、二点伺っておきたい、こう思います。
 それは先ほども若干論議がなされていたようですけれども、これら駐屯地内の隊舎あるいは整備工場といった施設の整備、これが非常におくれているということを私たちは認識して帰ってきたわけですが、隊舎については二段ベッドがいまだに数多く使用されている、あるいは娯楽施設もかなり乏しい状態であることも事実でした。また、整備工場については暖房設備がない。非常に厳しい北海道の地域性ということを考えますと、隊員は非常に厳しい作業を強いられている、こういうことでありまして、このような状態はもう当然北海道だけではなくて全国的にも言えることかと思います。
 そこで、二段ベッドの解消の見通しですけれども、これは隊員とも直接話しましたが、非常に切実に希望しておられる。これがどんなものか。
 また、現在暖房を必要とする整備工場でありながら満足な設備がない、これは何棟ぐらいあるのか。そしてまた、それらの暖房施設の設備計画、これがどうなっているのか。車両整備工場、中を見ましたけれども、要するに真冬になれば手袋をはめたんじゃ用をなさない、じゃ手袋をとって素手で作業したらこれは短時間でも若い隊員も勤まらない、こういうような現状でございますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#343
○政府委員(村田直昭君) 先生御指摘のように、自衛隊の施設はごらんになっていただいたようにまだ大変悪い状態にありますので、先ほども御答弁したように次期防にかけても大いに力を入れて直していきたいと考えております。
 今御指摘のまず隊舎でございますが、二段ベッドがあるということでこれの解消を図るということでございます。これにつきましては、現在隊舎の増設所要、いわゆる二段ベッドを解消するための整備所要でございますが、六万平米ほど全国に残っておりまして、平成二年度の今の概算要求でこれを解消すべく六万平米の要求を現在出しておるところでございます。
 それからなお、暖房化あるいは整備工場等の暖房化の所要数でございますけれども、ちょっと今私手元に資料を持っておりませんが、これも勤務環境の改善ということで鋭意進めておるわけでございますが、なおこれについては一挙にとなかなかいかない状態でございますので、次期防にかけてさらに充実を図っていきたい、こう考えております。
#344
○中川嘉美君 我が党は従来から正面装備そしてまた後方装備、このバランスといったものをぜひともとるべきであるということを主張してきているわけですけれども、最近やっと防衛庁も後方を重視するようになってきた、こんな感じがいたします。
 そこで、防衛庁長官に伺いたいと思いますが、特に今申し上げた隊員施策ですね、これは今後の人材確保の面でも極めて重要であるんじゃないかと。先ほど来の施設の充実等に関しても、人道的な立場とかあるいは作業効率の向上、こういったことの立場を踏まえて今後どうあるべきか。北海道について特に今申し上げているわけですが、大いに努力をいたしますという御答弁が返っていますが、もうちょっと具体的な取り組みといったものを踏まえて、長官の御見解あるいは御決意をここで一言伺っておきたいと思います。
#345
○国務大臣(松本十郎君) 後方の充実についてはこれから鋭意努力する決意でございまして、委員御指摘のとおり隊舎はいまだに明治時代のものまであるのが実情でありまして、一番寒冷地であります気象条件の悪い北海道を優先的にやってはおりますが、これもまず二段ベッドの解消に向かって努力もいたします。
 私もきのう先生の行かれた整備工場の暖房のないのを見ましたが、まあ全体の中では二割程度かと思いますが、こういうものを一日も早く解消したいと思いますし、全体として、隊員の士気向上を図るためにも、また若い方々に魅力を持たせるためにもやはり隊内生活の環境というものが、自宅においては個室を持ってゆとりを持ってやっているのが、隊に入って途端に共同の狭いところで二段ベッドに住み、なかなかゆっくりテレビもラジオも聞けないということではやはり今の若い方々にとっては全然生活様式も変わりますので、そういう社会情勢の変化も踏まえまして、それに追いつき追い越せるような方向で鋭意これから努力してまいりたいと私どもは考えております。
#346
○中川嘉美君 次に伺いたいのは、在沖米軍基地の問題で何点か伺っておきたいと思います。
 それは、今県民挙げて大きな問題と関心を呼んでいる米軍のキャンプ・ハンセン、この演習場の都市型戦闘訓練施設の建設現場、ここからと見られる赤土流出問題でありますけれども、この赤土流出のために、国立公園に指定されている海、この一定の海域がとにかく飛行機から見ると真っ赤に汚染されている。変色しているわけです。漁業者とかあるいは観光関係者が非常な不安を今感じているという、この点について外務省、そしてまた防衛庁から本件に関する経過あるいは対応、さらには現状はどうなっているのか、これらについて簡単明瞭に御答弁をいただきたいと思います。
#347
○政府委員(松本宗和君) お答えいたします。
 御指摘のように九月十九日に報道されましたが、恩納村の国定公園海岸に降雨のために赤土が流出をいたしました。その報道を見まして、私どもの那覇防衛施設局の職員が現地に赴きまして調査いたしました結果、一部に米軍の工事も原因しておるということが認められました。そこで、那覇防衛施設局といたしましては米軍に対しましてこの旨を説明いたしまして、これについての防止策をとるように要請し、さらにまた村及び県の立入調査のための便宜も図ったところでございます。
 米軍の方でも、つまり米軍が原因であるということについて認めておりまして、そこで米軍は小銃射場の取りつけ道路造成箇所の最下部及び道路の側面部、このあたりが流出の現場であろうと思われるところでございますけれども、そこに防護壁を設置したというぐあいに聞いております。
 その後、今後の対応につきましてさらに万全を期すために、米軍の方では場内道路の簡易舗装及び裸地化しておる部分につきまして芝張り等を行
い、赤土の流出防止策を講じるというように承知しております。私どもの方といたしましても、これの工事の状況というものを見守ってまいりたいというぐあいに考えております。
#348
○政府委員(有馬龍夫君) 外務省といたしましても、この流出の話を聞きまして直ちに米側と接触いたしております。その後、本件を含めまして当該訓練施設そのものに関連いたしまして、公共の秩序、国民生活に十分配慮を行うよう要請してきております。
 この流出の事故そのものにつきましては、米側のとりました措置は今施設庁長官が答えられたとおりでございます。
#349
○中川嘉美君 この件については、報道によりますと九月十九日の那覇防衛施設局の調査の結果として「建設現場からの流出とはみられない」というような報道もあったわけでありますから、先ほどの答弁というものをしっかり踏まえて前向き、しかも積極的に住民の側に立った考えというものをよく尊重しながら取り組んでいっていただきたい、このように思うわけでございます。
 膨大な米軍基地を抱えている沖縄、私自身ももう二十年前になりますけれども沖縄の返還のときには毎月沖縄に行って調査に取り組んだわけですけれども、日常的に基地公害に加えて米軍演習あるいは基地施設の強化などが県民生活に大きな影響を与えていることはもう御承知のとおりであります。また、自然とか生活環境の破壊だけでなしに実弾演習、これは住民の生命を脅かすということで、今回も地元市町村は抗議、反対をして、沖縄県議会においては異例とも言われる反対決議を三回も行って政府当局に働きかけをしている。しかしながら、結果的に住民の声がまたもや届かないという、こういう失望感に覆われているのが実は現状と言わざるを得なかったわけでございます。
 特に特徴的なのは我が国政府の対応、すなわちいかに県民の意思として関係機関に働きかけようとも、米軍はもとより日本政府も安保条約を盾に沖縄県民の声に耳を傾けようとしない。むしろ、基地建設といい演習といっても、県民の要請を無視した強硬な姿勢というものが率直に言って目立っているわけでありますけれども、こうした批判に対してどのように受けとめておられるか、この点も御答弁をいただきたい。外務省の方の説明を聞きたいと思います。
#350
○政府委員(有馬龍夫君) 米国の施設、区域における米軍によりますもろもろの活動が周辺地域の方々の御理解を必要としていることは日米安保体制の円滑な運用のために必要であることは当然でございます。したがいまして、先生が仰せになられましたような住民の方々からの御懸念等をいただきます際には、それを米側に伝えまして、特に安全等に配慮をしてその活動を行うようにということはその都度きちっと申しておる次第でございます。
#351
○中川嘉美君 防衛庁。
#352
○政府委員(松本宗和君) 沖縄には御案内のとおり米軍施設が多数所在しておりまして、これが県民の皆様方にいろいろ御苦労をかけておりまして、地元の自治体等から種々抗議等がなされておることは私ども十分承っております。
 防衛施設の設置、運用に当たりましては、当然周辺の地域の方々の生活に与える影響というものをできるだけ少なくするように私ども配慮しておりますけれども、ただいま外務省からも話がございましたが、このような抗議その他につきましては、米軍とも十分連絡をとりながら地元に対する影響というものができるだけ少なくなるように配慮をしておるところでございます。こういう点で、施設が非常に多いということからさまざまな問題が起こっておりますが、私ども真剣にこれに取り組んでおりますので、沖縄県民の皆様方の御理解を賜りたいというぐあいに考えております。
#353
○中川嘉美君 外務省は、先ほどの御答弁をそのまま受けとめればいいのかもしれませんが、米軍から地元住民が工事を妨害しないように要請を受けたために、これに対して遺憾の意を表明するとともに、住民の抗議行動が起きないよう米軍に協力をする旨伝えたと、こういうふうに言われていますけれども、こういった報道が事実なされているわけですが、こういった事実があったのかどうか、これをまず明確にしていただきたいと思います。
#354
○政府委員(有馬龍夫君) 申しわけございませんが、今その特定の事項について私承知いたしておりませんけれども、一般論といたしまして、私どもは米国に対して施設、区域を提供しております、地位協定第三条に基づきまして米国はいわゆる管理の権能を有していて、これに基づく行動ができるわけでございますから、それを行うに当たっては私どもとしてできる協力はしなければならない。
 他方、最初に申し上げましたことに関連いたしますけれども、周辺地域の方々との間で円滑な関係が維持されなければなりませんから、それを確保するためのできる努力はするということでございます。
#355
○中川嘉美君 事実、この報道の中身ですけれども、「米軍から、地元住民が工事を妨害しないよう要請を受けた外務省は、米軍に対し遺憾の意を表明し、住民の抗議行動が起きないよう米軍に協力する旨伝えたとも言われる。」、こういう報道がなされていまして、その証拠というわけじゃありませんが、同訓練施設の建設をめぐって機動隊の導入が五回にも及んでいる、このように我々も聞いていますし、これは果たして事実かどうかという問題。事実とするならば、延べ何人ぐらいの機動隊員を導入したのか、この辺を明らかにしていただきたい、こう思います。
#356
○政府委員(有馬龍夫君) それは外務省が要請したことではございません。
#357
○中川嘉美君 この問題は、先ほど来御質問をしているこういう外務省の姿勢というものが事実であったとするならば、これは非常に重大な問題ですから改めてこの問題は詰めていかなければならない、このように私自身は思うわけでございます。こういうようなことがしょっちゅうあるということ自体が沖縄住民の立場というものを果たしてどういうふうに考えているのか、これは非常に大きな問題をまた呼んでいかなければならない、このように思いますが、結局抗議行動というものが起きないように、あるいはまた阻止をするために、機動隊の導入という形で米軍に協力したと言わざるを得ないと私は思うわけです。
 ここで問題になってくるのは、日米安保条約の地位協定に対する認識と対応というもの、沖縄県民の声を阻止する結果となって今までは来ているわけですけれども、現在の我が国政府の認識として、日米安保条約に言う在日米軍の駐留目的に合致する限り米軍が提供施設をどう使用するかは米軍の裁量に任される、こういうのが見解のようでありますけれども、少なくとも今回の一連の赤土流出事件が引き起こした県民一致の抗議行動、これについては地位協定の第三条第三項に抵触するかもしれないとか、あるいはこの規定が守られていたのか否か、このぐらいのことは県民に対して説明があってもよかったんじゃないだろうか、このように私は思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
#358
○政府委員(有馬龍夫君) 先ほど施設庁長官からも御説明がございましたが、この事故については米側も当該建設工事が赤土の流出の原因の一つであるということを認めまして、先ほどお話しいたしました一連の措置を至急とると申しているわけでございます。地元住民の方々の生活に配慮しながら彼らが行動するのは当然のことでございまして、今後このような事態が生じないようにしかるべき対策を講じているというふうに承知いたしております。
#359
○中川嘉美君 ぜひそのように理解したいと思うわけでございます。
 もう一度確認しておきますが、在日米軍基地といえどもやはり日本国民の利益に合致した使用がなされるべきことは当然であって、法治国家である以上、国は国民の生命、財産の安全等が十分に
確保されるようにその施策を講ずべきことは当然である。すなわち、日米地位協定第十六条、そしてまた先ほども述べましたところの第三条三項の規定、こういったものをもっと政府として積極的に運用していくべきではないか、このように考えますけれども、この点ももう一度確認しておきたいと思います。
#360
○政府委員(有馬龍夫君) 今回の赤土の問題との関連で申しますれば、地位協定第三条三項及び第十六条との関連で特に問題があったとは考えておりません。
 繰り返しになりますけれども、米側も今回の流出の事故についてはその建設工事が原因の一つであるということを認めているわけでございますから、米側に対しましては機会あるごとに、地位協定第二十五条に基づきます合同委員会の場を含めまして公共の安全や国民生活に十分な配慮を払うよう繰り返し申し入れているところでございます。
#361
○中川嘉美君 さらに言えることは、このように膨大な米軍基地を抱える沖縄ですけれども、今後も基地問題が絶えることがない、恐らくこれはもう頻繁に起きてくるであろうというふうにも想定されるわけですけれども、その解決の手段の一つとして、例えば地位協定第二十五条の日米合同委員会の効果的な運用、これをもっと働きかけるべきじゃないだろうか、こんなふうに考えるわけです。
 規定の中を見ますと、日米「いずれか一方の代表者の要請があるときはいつでも直ちに会合することができる」云々と、こういうふうに現実にあるわけで、この点について将来のことも考え合わせてどのようなお考えを持っておられるか伺いたいと思います。
#362
○政府委員(有馬龍夫君) 地位協定の第二十五条は仰せのとおり規定しておりまして、この場面で本件を含めましてもろもろのことが取り上げられているわけでありますけれども、米国に対します我が方の申し入れあるいは話というものはこれ以外の場面でも必要に応じていつでもできるという体制になっているということをも申し添えさしていただきたいと存じます。
#363
○中川嘉美君 いずれにしましても、沖縄県民の生命、財産等を守るためにも積極的な取り組みをここで改めて強く要望をしておきたいと思います。
 あと最後に一、二伺いますが、在沖米軍基地の整理縮小問題、これは日米間の交渉がかなり進展しているようでありますけれども、結論が出るのはいつごろになりそうか。特に有力な候補地として恩納通信施設あるいは泡瀬ゴルフ場などが挙がっているようですけれども、これは事実かどうか、また、可能性として何カ所ぐらいが今そういったことの対象となっているのか伺っておきたいと思います。
#364
○政府委員(松本宗和君) 御案内のとおり沖縄の米軍基地の整理統合の問題につきましては、いわゆる日米安全保障協議委員会において了承されました計画に従いまして努力を続けておるところでございますが、現在までに計画のおよそ四六%が達成されておる。
 問題はその残りをできるだけ早くやっていくということでございますけれども、これにつきましてただいま先生御質問の点でございますが、まだ具体的にいつまでにどこをというところまでは詰まっておりませんといいますか、ここで御説明し得る段階まで来ておりません。ただ、努力はしておるということを申し上げさしていただきたいと思います。
#365
○中川嘉美君 きょうはもう時間もありませんので、これはちょっと別のテーマですけれども、最後に一点だけ伺って終わりたいと思いますが、政府専用機ですね、「政府専用機で邦人救出」という見出しなんですけれども、「自衛隊法の改正必要」という大きな見出しがここに出ております。
  政府筋は九日午前、平成三年秋に導入を予定している政府専用機について「専用機の目的に海外邦人救出もあり、これを可能とするためには、将来的に自衛隊法の改正が必要になる」と述べるとともに、導入後は、主管官庁が総理府から防衛庁に移管されるとの見通しを明らかにした。
こういうふうに書き出しています。これはもう最後の一点だけを確認して終わりますけれども、
  政府専用機は自衛官がパイロットの任務につく。主に首相や皇室の海外訪問に使用されることになっているが、同筋は「要人を運ぶことは自衛隊法に規定があり認められているが、(緊急時の)邦人救出のケースは(規定がないので)法改正が必要となろう」と語った。
  「邦人救出」が目的とはいえ、自衛隊法の改正は、自衛隊の海外派遣問題とも密接に絡むため、今後論議を呼ぶものとみられる。
これは全部読んじゃったわけですけれども、こういったことが事実かどうかという点をきょう確認しておきまして、もし事実であるならばこれは当然論議を呼ぶであろうということを想定して、最後にこれを聞きおいて終わりたいと思います。
#366
○国務大臣(松本十郎君) ただいま委員御指摘の新聞報道を私見て確かめたんですが、そのようなことを決めたわけでもなく、発表したこともないということでございまして、これから検討することでございまして、今の段階において移管の問題とかあるいはだれがパイロットになるとか、そのほか出てくる問題点等についてはまだ検討をこれからするという段階で、決まってはおりません。
#367
○中川嘉美君 今の長官の御答弁を今のところは率直に受けとめて、また次回にできれば論議したいと思っております。
 終わります。
#368
○星川保松君 最後の質問になったようでありますが、防衛庁長官もお忙しいでしょうから、一点だけ質問をさしていただきたいと思います。
 いわゆるシビリアンコントロールということについて私どもも多大の関心を持っておるわけでありますが、一番大事なことは、常に国民の声、国民の心、市民の心、そういう心をとらえて防衛のことも進めていくことだ、こういうふうに思うわけでございます。
 それで、そういう点から先日の新聞記事を読んだのでありますけれども、航空自衛隊の最新鋭国産機T4ジェット練習機のエンジンが故障を起こしておるということでございます。これは「いずれもエンジンの心臓部であるタービンの羽根の部分が飛行中に破損した」というふうに出ておるわけでございまして、そのために「現在でも全体の三分の二は飛行できない状態が続いている。」というふうに報道されております。そこで、これに対して防衛庁の航空幕僚監部の話として最後に「新型航空機によく見られる初期故障の範囲」であるということをおっしゃっておるわけでございます。
 これを私ども市民の心で読んだ場合、最後のこの言葉は、新しい飛行機にはよくあることで大したことではないんだという言葉に聞こえるわけでございます。それにしては全体の三分の二が飛行できない状態だということなわけでありますから、これはそう大したことではないということでは済まないのではないかというのが率直な気持ちなわけでございます。そういうことからして、こういうことをやはり説明をなさる場合は国民一般が、また市民の方々が納得いくような説明をなさった方がよろしいのではないかというふうに思いますので、この点について長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#369
○国務大臣(松本十郎君) 隊員の訓練に際しましての第一の要諦はもちろん練度の向上でございますが、安全を図ることはそれと並んでどうしても欠かせない大事なことでございまして、そういう角度からシビリアンコントロールの立場に立っていろいろと指示もし、また進めておるわけでございまして、T4練習機につきましてただいま委員御指摘のお話は少し事実とは違った点があるいはあるのではないかと思いますので、詳細は装備局長の方から、政府委員の方から説明をいたします。
 しかし、あくまでも隊員の訓練の安全については万全を期したいという気持ちは強いのでございます。
#370
○政府委員(植松敏君) ただいま御指摘をいただきましたトラブルでございますが、これは十月二十一日の日に飛行中のT4一機がエンジンに支障を来したわけでございますが、原因はタービンブレードの一枚が、先端から四分の三ぐらいのところでございますが、欠損をしたということでエンジントラブルを起こしまして基地に緊急着陸をいたしたわけでございます。もちろん無事着陸いたしておりまして、搭乗員等に対する被害も出ておりませんが、エンジン自体につきましてはトラブルがあったことは事実でございます。
 現在原因を究明いたしまして、原因の方ははっきりしてきておりますけれども、具体的にそれに対して、当然のことながら十分な安全が確保できないうちに飛行するわけにはまいりませんので、非破壊検査等をいたしまして、これはブレードが過大な振動によりまして損傷いたしたものでございますが、その振動による損傷を受けていないことが確認されたものについてのみまた就役をいたしておりますが、残りのものにつきましては現在その振動発生要因とともに非破壊検査をいたしておりますので、安全が確認されるまでは就役させないということで、二十五機のうち五機だけが安全確認されて飛んでおる。残りの二十機につきましては現在非破壊検査をいたしまして安全を確認中でございます。
 また、そのトラブル自身につきましては、ほかの飛行機も含めまして新しく開発した飛行機につきましては、国際的に見ましても、初期の段階ではいろいろなトラブルがございます。こういったタービンブレードの破損というのもほかの飛行機につきましても実は出ておるわけでございまして、そういう意味でほかにも見られるトラブルであるということで恐らくそういう説明をしたのではないかと存じますけれども、その対策等については万全を期すべく現在検討をしておりますとともに、就役につきましては安全が確認されたもののみを就役させるということで万全の対策で臨んでおるわけでございます。
#371
○星川保松君 その対策ができて全部が飛べるようになるのはいつごろになる見通しでしょうか。
#372
○政府委員(植松敏君) 現在、対策を入念に検討中でございますので、今直ちにいつということは申し上げる段階にございませんけれども、原因の方ははっきりいたしておりますし、またその対策についてもいろいろな対策案が出てまいっておりまして、その対策が具体的にこれでやろうということで、これで万全が期し得るということになれば、その対策を実施した上で再び就役するということでございまして、現在の段階ではとにかくこういったものは慎重を期すべきであるということで、私どもメーカーを含めまして慎重対処ということで徹底的な対策を講ずるよう申し上げておりますので、いつから再び就役できるというところについては今申し上げかねる段階でございます。
#373
○星川保松君 重大な事故等にならないように十分ひとつ気をつけて対処していただきたいと思います。
 防衛庁は以上で終わります。
 次に外務省にお尋ねをいたしますが、まず戦後処理問題にかかわって特に抑留者の問題でございます。
 いわゆる抑留者は、六十万余の兵士その他がソ連に抑留をされまして、強制労働をさせられて、六万人以上の人々が飢えや寒さで亡くなったという大変悲惨な事態になったわけであります。
 それで、先日の朝日新聞に、その抑留された一人であります大阪のいまいげんじさんという七十六歳の人が文章を載せておったわけでありますが、その結びに「死者はそりで運び、密林の雪中に埋めた。死体はオオカミのえじきに――。冬が来るたびに、あのシベリアの雪風に交じる犠牲者たちの悲愁の叫びが今もなお、老残難聴の私の耳朶を貫く。」という言葉で結んであるわけでありますが、こうした抑留者の方々の苦しみというのは、いろいろ国の方でも手当てをしておるようでございますけれども、残り火がまた燃え上がるように燃え上がってくるわけであります。それはやはり、戦中は皆さん苦労したわけでありますけれども、戦後にまた戦中よりもこういう悲惨な体験をした。戦中のことであれば国民からいろいろ評価されるわけでありますけれども、このシベリア抑留の苦労というものはだれからも評価もされないままになっておるというところにその大きな原因があるというふうに私は思います。
 それで、これに対するいわゆるソ連の態度でありますが、これがだんだん変わってきておるようでございます。そこで、ことしの四月に日ソ・シンポジウムがモスクワで開かれたようでございますが、そのときにソ連側のリポートが出されたわけであります。それを見ますと、なぜ長期間抑留したかということについては、いわゆるソ連が戦争状態の終結したのは五六年の十月である、日ソ共同宣言に調印したその時点までだという解釈をしておるわけでありました。それから、帰還がおくれたのはいわゆる日本の国内事情、国内の食糧が不足だったとかあるいは日本の船を回すのが足りないためにおくれたというようなことを言っておるわけでございます。
 それから、多数の死者が出たということについては、一番多かったのがいわゆる終戦の年の四五年の十月、十一月、十二月の三カ月に多かったんだと。これは満州の食糧庫は満杯だったけれども、食糧三カ月分持ってこいと言ったのを聞かないで積み込みをサボったために食糧が不足になった。そのときソ連は穀倉地帯であるウクライナがヒトラー軍に三年も占領されてソビエト国民も食糧が足りなかったんだということを言っておるわけであります。こうした、ソ連側はソ連として責められるということはないんだというような態度だったわけでございます。
 それがだんだん変わってきておるようであります。例えばウラジミール・ツベトフという人が言っておるんでありますが、抑留問題についてソ連では一切の研究が行われてこなかったと。今度いわゆるグラスノスチというようなことで歴史文書あるいは古文書等も閲覧も可能になりつつあるというようなことで、やはりこの研究は始めるべきだということをおっしゃっているわけです。特にウクライナや中央アジアの日本人の抑留者はほとんど死者が出ておらない。ところがシベリアの方が多くの死者が出たということはやはり人道的責任があるということを言い出しているわけでございます。
 さらにノーボエ・ブレーミヤという機関紙でありますが、これにアレクセイ・キリチェンコという人が、抑留者のうち六万人もが死亡してソ連領内に埋葬されている、ソ連はこの問題を無視してきた、しかし日本人の祖先に対する尊敬と供養の念、これを考慮するならば北方領土問題よりも深刻な問題であるということを言っておるわけであります。日本人の感情をもっと素朴に理解し尊重すべきである、日本側の話をもっと聞いてやる態度をとるべきである、そしてまた日本人の埋葬地の整備のために何らかの措置をとってあげなくちゃいけない、こうして対ソ観をよくしていかなくちゃいけないということをおっしゃっておるわけでございます。
 さらには、現在来日中のヤコブレフさんが十三日に私ども参議院の議長を訪問したときに同席をいたしまして、日ソ関係について北方領土に触れたわけでありますが、そのときに、体の一部を治すお医者さんよりも体全体を治すお医者さんの方がいいんだと、こういうことをおっしゃっておりました。それは日本国民の対ソ観、対ソ感情の好転に配慮しておられるようであります。こういうふうにソ連も、今まではもう存在しないというような態度だったわけですけれども、いわゆるペレストロイカとかグラスノスチというような波に乗って抑留者に対する研究が開始されたり歴史的な評価が今度明るい方向に向いてきたのではないかと思うわけでございます。
 以上のような動きに対してやはり外務省として
もこたえていかなければならない。したがって、こういう流れを外務省はどういうふうにとらえておられるかということですね。
 それから二番目には、今度こういうことになりますと、今までは出してもらえなかったソ連側の資料、例えば死亡者の名簿あるいは埋葬箇所、そういったその他の資料など、これをソ連側に求めていく段階ではないか。
 さらには三番目としては、ソ連とこの関係についての合同調査を行うとか、あるいは既に日本の抑留者団体が調査を開始するということも聞いておりますので、こうしたことにやはり外務省としても援助をするなり一緒にやるなりすべきではないかとこう思いますが、外務省のひとつ見解をお伺いいたしたいと思います。
#374
○説明員(荒義尚君) お答え申し上げます。
 シベリア抑留者問題につきましては、委員御承知のように日ソ国交回復前から長い折衝をやっている問題でございます。それで、最近のソ連側の動きにつき種々御指摘ございましたけれども、まず一般的な動きとしましては、最近ソ連側は人道問題という角度につきましては、例えば北方墓参問題につきまして訪問地を若干拡大することを認めるといったように従来よりはやや前向きな対応をするようになってきております。また御指摘のようにシベリア抑留問題につきましても一部のソ連学者の間にソ連の従来の立場を見直そうという動きがあることも我々としても承知しておりますし、注目をして見ておるところでございますけれども、ただやはり日ソ間の折衝の場では残念ながらそういった動きがまだ具体的なソ連側の対応ということになってはあらわれてきておらぬという状況でございまして、そういうことでございますので我々としましてもそういった動きがあるのであればそれがソ連政府の前向きの具体的な対応につながるというように鋭意折衝しておりますし、そういう方向になることを期待しておるということが一つでございます。
 それから二番目に、亡くなられた方の名簿あるいは埋葬されている場所についてさらに情報を要請すべきである、こういうお尋ねと思いますけれども、これにつきましては委員も御承知のように我々としまして国交回復以前からこれまであらゆる機会をとらえまして墓地の調査の結果を通報するよう、また遺骨の送還を行うよう強く申し入れをしてきているわけでございます。最近でも、ことしの三月に日ソ事務レベル協議というのが東京で行われました際にこの点を非常に強く申し入れをやった次第でございます。ただ、これに対しましてソ連側はこれまで墓地につきましては二十六カ所、約四千名の方について資料提供しておりますけれども、最近は特に情報がないということで我が方の要請には応じてきておらぬという状況でございます。
 また、遺骨の送還につきましても従来どおりいろいろ風俗、習慣が違うとかあるいは技術的にいろいろ問題があるということを申しまして依然として否定的な態度をしておるということでございまして、残念な事態でありますけれども、我々としましては今後とも引き続きロソ外相会談等日ソ間のあらゆる協議の場をとらえまして、ソ過側と強く折衝してまいりたいというふうにまず考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#375
○星川保松君 国と国との折衝はどうも私どもの考えているような状況には進んでおらないようでございますが、抑留者の団体の皆さんなどからお話を聞きますと、団体の皆さんが出かけていきますと非常に今までよりは好意を持っていろいろと、ソ連の中央の方でなくても各地方地方で協力をしてくれるというような話も聞いているわけです。
 それで、国と国との関係ということになりますとやはりこれは四角張ってしまうということになろうかと思いますのでしたがいまして民間が進めておる、特に抑留されたことのある方々はその埋葬されているソ連側が発表しないような墓地などもかなり知っておるという方もあるようでございますので、そういう方々の資料を今集めておるようでございます。そうした資料なども、かつての抑留された方々も大分高齢になっておりますのでだんだんそういう資料もなくなってまいりますので、今のうちにそういうものを集める、外務省でできなければ一生懸命やっているそういう団体を援助してくださって、その仕事がもっとはかどるような援助をしてやるべきではないか、こう思いますが、その点どうでしょうか。
#376
○説明員(荒義尚君) ただいまの御指摘のように抑留者及び関係者が大変本件について早く事態の好転を望んでおられる、またそういう方々のお気持ちというものは我々大変心に深く感じておるということでございます。
 それで、ただいまの資料を集める等々につきまして、外務省としても援助ということも考えたらどうかということでございますけれども、私どもとしては、現状ではとにかく日ソ間の折衝で何とか打開へのきっかけをつかみたい、そういうことをまずやって、その後どういうことができるかということを真剣に検討さしていただきたいというふうに思っているわけです。
#377
○星川保松君 いろいろあるかとは思いますけれども、抑留者の皆さんも年をとって皆焦っておりますので、一生懸命そういう仕事をしているわけですから、それが進むように外務省としてもひとつ温かい手を差し伸べてやることをぜひ検討していただきたいと要望いたします。
#378
○説明員(荒義尚君) ただいま委員の御要望は真剣に承ります。検討さしていただきます。
#379
○星川保松君 時間がもうなくなってきたわけでありますが、戦後処理問題につきましては、いわゆる戦後処理問題懇談会が五十九年に、種々検討したが、もはやこれ以上国において措置すべきものはないが、関係者の心情には深く心をいたしということで、平和を祈念する特別基金を提唱するということになりまして、平和祈念事業特別基金等に関する法律が百十二回の国会ででき上がったわけでございます。そこで、その議事録を私ずっと読ませていただいたわけでありますが、時間がなくなったので大急ぎ質問いたしますが、この抑留者の団体が現在大きいのが二つあると思うんですが、それの人数はどういうふうになっていますか。
#380
○説明員(榊誠君) お答えいたします。
 私どもで承知しているシベリア関係の団体としては二つございまして、一つは財団法人ということでことしの三月に設立許可をいたしました全国強制抑留者協会、それからもう一点の方は会長が斎藤六郎さんという方がやっておられますが、全国抑留者補償協議会という団体であろうかと思います。
 その団体の構成員といいますか、数につきましては、財団法人の方はこれは財団でございますので会員数ということはないんですが、協議会の方につきましては構成員を何人ということで聞いてはおりますが、私どもとしてはシベリア関係の事業を特別基金でやっておりまして、その際両団体から申請が出ているわけでございますが、大体数的にはそれぞれ約五万人ずつぐらい申請がございますものですから、大体そのぐらいの数ではないかというふうに推察しております。
#381
○星川保松君 時間がなくなりましたので結論だけ言うほかはなくなりました。
 それで、この二つの団体のうち片方が法人の認可を受けたと、それでもう一つの方はそれを受けられない状況になったと。そういうようなことから、あの五億円の事業資金、これもいわゆる法人の方に交付をされたと。それから役員構成、運営委員会といいましたか、それの構成についても、片方の団体からは入っているけれども、片方の方は入っておらないというようなもろもろの、同じ抑留者でありながら片方の団体だけが優遇されておるというような声が抑留者の間に出てまいりまして、いわゆる慰謝事業というのは傷ついた心をいやしてあげるという仕事なわけですから、特にあなたの場合はそういう細心の注意を払いながらやっていかなければならない仕事だと思うんです
よ。それにしては抑留者間のもめごとを惹起させるようなこともどうもやっておるのではないかとさえ感じられるわけです。ですから、そういうことはぜひひとつないように、本当に抑留者のみんなが慰謝される、傷ついた心がいやされるような行政をあなたに進めていただきたい。そのために今あの請願書も出ておるわけでありますから、あの請願書に沿うてひとつ行政を進めていただきたいということを申し上げて私の質問を終わります。
#382
○説明員(榊誠君) 今先生の方から具体的に二点ほどお話がございまして、慰謝基金の関係と申しますのは、今年度の予算といたしまして五億円シベリア関係で特別慰謝事業費というのが計上されたわけでございます。
 これの具体的な使い道につきましては、平和祈念事業特別基金の中にございます運営委員会の中で御審議いただきまして、最終的にはその委員会の結論といたしましては、公益法人たる全国強制抑留者協会に全抑留者を対象とするきめ細かな慰謝事業を行わせると、これも永続的に基金の果実を使って行わせるというような方針が出てまいったものですから、私どもとしてはそういうような方針を踏まえまして補助金の交付をさせていただいたと。もちろん、このお金につきましては国からの補助金でございますものですから、当然公正に全抑留者を対象にさせていただくように指導させていただくということでございます。
 それからもう一点、運営委員会の構成員のメンバーにつきましてもちょっと御質問がございましたが、運営委員のメンバーにつきましても、これも特別基金の中で一応選任いただきましてこちらの方に認可を求めてくるわけでございますが、真にふさわしい委員の方ということで私ども考えてございまして、今後ともそのような公正な立場で事業を進めさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#383
○委員長(板垣正君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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