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1989/09/06 第115回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第115回国会 法務委員会 第2号
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1989/09/06 第115回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第115回国会 法務委員会 第2号

#1
第115回国会 法務委員会 第2号
平成元年九月六日(水曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 戸塚 進也君
   理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
   理事 井上 喜一君 理事 太田 誠一君
   理事 坂上 富男君 理事 中村  巖君
      赤城 宗徳君    塩川正十郎君
      清水  勇君    山花 貞夫君
      冬柴 鉄三君    山田 英介君
      伊藤 英成君    安藤  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤 正夫君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣外
        政審議室長   藤田 公郎君
        警察庁刑事局保
        安部防犯企画課
        長       根本 芳雄君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  平沢 勝栄君
        警察庁警備局外
        事第一課長   石附  弘君
        防衛庁防衛局運
        用課長     守屋 武昌君
        科学技術庁原子
        力局政策課長  笹谷  勇君
        科学技術庁原子
        力安全局核燃料
        規制課長    大森 勝良君
        科学技術庁原子
        力安全局保障措
        置課長     高木喜一郎君
        環境庁企画調整
        局環境保健部特
        殊疾病対策室長 田中喜代史君
        法務政務次官  田辺 哲夫君
        法務大臣官房長 井嶋 一友君
        法務大臣官房審
        議官      東條伸一郎君
        法務省民事局長 藤井 正雄君
        法務省入国管理
        局長      股野 景親君
        法務省入国管理
        局警備課長   町田 幸雄君
        外務大臣官房外
        務参事官    石垣 泰司君
        外務大臣官房外
        務参事官    茂田  宏君
        外務大臣官房領
        事移住部外国人
        課長      武藤 正敏君
        外務省経済協力
        局政策課長   大島 賢三君
        大蔵省主計局主
        計官      浜中秀一郎君
        文部省学術国際
        局留学生課長  中西 釦治君
        海上保安庁警備
        救難部警備第二
        課長      夷子 健治君
        法務委員会調査
        室長      乙部 二郎君
    ─────────────
委員の異動
八月十一日
 辞任         補欠選任
  甘利  明君     上村千一郎君
  森田  一君     戸沢 政方君
九月六日
 辞任         補欠選任
  滝沢 幸助君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 英成君     滝沢 幸助君
    ─────────────
八月十日
 一、刑事施設法案(内閣提出、第百八回国会閣法第九六号)
 二、刑事施設法施行法案(内閣提出、第百八回国会閣法第九七号)
 三、民事保全法案(内閣提出、第百十四回国会閣法第四〇号)
 四、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十四回国会閣法第六三号)
 五、刑事訴訟法の一部を改正する法律案(坂上富男君外三名提出、第百十二回国会衆法第四号)
 六、裁判所の司法行政に関する件
 七、法務行政及び検察行政に関する件
 八、国内治安及び人権擁護に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件(最近の難民問題)
 派遣委員からの報告聴取
     ────◇─────
#2
○戸塚委員長 これより会議を開きます。
 この際、法務大臣及び法務政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤法務大臣。
#3
○後藤国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。
 先般の組閣に当たり、図らずも法務大臣に就任いたしまして、法務行政を担当することになりました。内外にわたり極めて困難な問題が山積いたしておりますこの時期に当たりまして、職責の重大であることを深く感じております。
 私は、法務行政に課せられました使命は法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤ともいうべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民の権利がよく保全されていることが極めて肝要であると存ずるものでございます。
 私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり、一層の充実を図り、時代の要請に応じた適切な施策を講じ、真に国民の期待する法務行政の遂行に万全を期してまいりたいと存じております。
 もとより、これらのことは、委員長初め委員皆様の御理解、御協力なくしては、到底果たし得ないものでございますから、どうかよろしく御支援、御鞭撻くださいますようお願い申し上げます。
 以上、簡単でございますが、所信の一端を申し述べまして、ごあいさつの言葉といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○戸塚委員長 次に、田辺法務政務次官。
#5
○田辺説明員 このたび法務政務次官に就任いたしました田辺哲夫でございます。
 時局柄大任でございますが、後藤法務大臣のもとによき補佐役といたしまして最善を尽くしたいと存じます。
 もとより微力でございますが、委員長並びに委員の各先生の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
 ありがとうございました。(拍手)
     ────◇─────
#6
○戸塚委員長 この際、派遣委員の報告について、便宜この席から私が御報告いたします。
 私ども派遣委員は、去る八月二十九日から三日間にわたり、大阪府、和歌山県、奈良県及び京都府における裁判所の司法行政及び法務行政等につ
いて実情調査を行いました。調査に関する詳細は報告書に譲ることとし、その概要について御報告申し上げます。
 派遣委員は、私、戸塚進也を団長とする、逢沢一郎君、井出正一君、太田誠一君、坂上富男君、中村巖君、冬柴鉄三君及び安藤巖君の八名であります。
 調査は、まず大阪空港において、同空港における出入国の概況について説明を聴取し、その実情を視察いたしました。
 大阪空港における出入国者数は年々増加しており、これに伴い、不法就労を目的とする外国人及び旅券、査証等の偽変造事案等が増加しており、一般上陸審査業務の手不足を招き、ひいては審査場の混雑等の一因ともなっております。
 次に大阪高等裁判所において、同高等裁判所、大阪高等検察庁、大阪法務局、大阪矯正管区、近畿地方更生保護委員会及び大阪入国管理局の管内概況について、各機関からそれぞれ説明を聴取し、引き続き、最近、我が国に連日のごとく到着している、いわゆる難民問題について、これに対する我が国の基本方針及び今後の対策等について、法務大臣官房審議官から説明を聴取いたしました。
 高裁において聴取いたしました各庁の管内概況について御報告申し上げます。
 裁判所関係における事件処理の状況は、高等裁判所においては、民事、刑事事件とも、全体として事件数に大きな変化は見られませんが、民事訴訟事件については減少の傾向を示しております。管内地方裁判所においては、民事事件は全体として減少傾向にありますが、刑事事件では訴訟事件について漸減傾向が見られております。管内簡易裁判所においては、民事事件は全体として減少傾向を示しておりますが、これはいわゆる貸金業規制二法による規制効果によるものと推測されております。刑事事件についても、全体としては減少傾向にあるが、訴訟事件は庁により増減があります。略式事件は、昭和六十二年の道路交通法の改正によって各庁とも大幅に減少しております。家庭裁判所の家事事件及び少年事件は、庁により増減はあるものの全体としては減少傾向にあります。各庁を通じてこれらの事件は順調に処理されております。
 検察庁関係における事件の受理・処理状況は、高等検察庁における控訴事件人員は漸減傾向を示しておりますが、検察官控訴事件人員は、全国の二三・四%に当たり、その率の高いことが指摘されております。管内地方検察庁の刑事事件は漸減傾向にあります。また、特別法犯のうち覚せい剤事件の占める割合は、全国平均を大幅に上回っております。なお、未検挙重要事件としては、グリコ森永事件の犯人グループによる食品企業脅迫等事件、朝日新聞社阪神支局における猟銃使用による記者殺傷事件があり、大阪府警及び兵庫県警等で強力に捜査活動を展開しているが、いまだ犯人を特定するに至っておりません。
 法務局関係における訟務事務は、本訴事件が常時二千件を数え、その内容は民事事件が七割を占め、その他が行政事件、税務事件となっており、これらの事件は公害、水害、医療など国の政治、行政、経済の根幹に触れる事件も少なくありません。
 登記事務は、登記申請等の甲号事件、謄抄本交付等の乙号事件とも増加の傾向にあり、さらに関西国際新空港及び関西文化学術研究都市建設等に関する登記事件等の急増が見込まれております。また、登記事務の増加に伴い、登記済証、印鑑証明書の偽造行使等外部者による巧妙な不法事犯が発生しており、当局はチェックシステムの強化を図る等、これらの防止に努めております。
 戸籍事務は、年間届け出事件数が約四十一万件強となっており、ここ数年ほぼ横ばいの状況にありますが、市町村の戸籍事務担当者について、経験職員の減少が著しい等の事情から、戸籍事務処理についての電話照会、戸籍訂正事件等が増加しており、当局はこれらに対処するため、研修・指導の強化を図るなど市町村職員の養成に努めております。
 国籍事務は、全国の約二二%に当たる外国人が管内に居住し、その九一%は韓国・朝鮮人であり、これらの帰化申請事件は年間総受理件数の九〇%を占めており、長期未済事件が増加しております。
 供託事務は、事件数に顕著な変化は見られないが、受け入れ金額では年々大幅な増加となっております。
 人権擁護事務は、同事務に占める同和問題の割合が高く、結婚、就職差別など部落差別事象が後を絶たない状況にあり、それらの調査・処理及びその原因たる心理的差別を生む土壌を根本から解消するため、人権尊重思想の啓発活動を行っております。
 このように、法務局所掌事務は登記を初め、戸籍、国籍、供託、訟務及び人権擁護など、すべてにわたって事務量が増大し、かつ、事件は複雑困難化しております。このため、当局は、事務の合理化、能率化等に努めておりますが、これらの方策もほぼ限界に達し職員の増員が最大の急務となっています。
 矯正関係では、当管区内には刑務所、拘置所、少年院等、合計三十八庁の矯正施設が設置されており、収容人員は約一万二百人に達し、職員はこれら施設の適切な管理運営に精励いたしております。今回、私ども派遣委員は、このうち和歌山刑務所、奈良少年刑務所及び京都拘置所の実情を視察いたしました。
 更生保護関係では、近畿地方更生保護委員会の取扱事件数はここ数年減少傾向にあり、管内保護観察所の取扱事件数も横ばいないし漸減傾向を示しております。また、管内の保護司の平均年齢は六十・七歳でやや高齢化の傾向にあります。
 出入国管理関係では、期間更新、資格変更等の申請件数が著しく増加しており、また、不法就労事案等の入管法違反事件数も増加しております。これに対して、職員の増員が十分ではなく、当局は対応に苦慮しているところであります。
 管内概況説明に対し、派遣委員から、休眠担保権の抹消手続の実情、特別養子制度の利用状況、地・家裁支部の適正配置問題、暴力団対策、登記事務のコンピューター化問題、朝鮮・韓国人が多数住んでいる地域社会の実情等について質疑応答が行われました。
 次に、派遣委員は、我が国における外国人就学生の実情を調査するため、大阪YWCA専門学校を視察いたしました。当校では、現在、中国帰国者を含め、十カ国、二百五十名の学生が日本語を学んでおり、YWCAが日本語教育の充実と国際親善に寄与していることがうかがわれました。
 以上、御報告申し上げます。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま報告いたしました内容の詳細につきましては、報告書が提出されておりますので、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ─────────────
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
     ────◇─────
#8
○戸塚委員長 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 本日は、特に最近の難民問題について調査を行います。
 この際、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤法務大臣。
#9
○後藤国務大臣 先ほど大臣就任のごあいさつを申し上げましたが、委員長を初め委員の皆様には、常日ごろ法務行政の適切な運営につきまして格別の御支援と御鞭撻をいただいていることにつきまして、厚くお礼を申し上げます。
 さて、本日の当委員会におきましては、急増するボートピープルの現状とこの問題につきまして
政府部内で検討しております対策の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 第一は、ボートピープルの受け入れ方針の見直しについてでございます。
 近年減少傾向にありましたボートピープルが本年に入って急増しており、九月五日現在二千九百五十名の多さに達しておりますが、これは昭和五十五年の一千二百七十八名という記録を大きく上回るものであります。
 急増の原因といたしましては種々考えられますが、最近のボートピープルの特徴は、その多くが迫害からではなく生活苦から逃れることを目的としており、しかも日本を直接目指して比較的大型の船舶により到着していることであります。また、これらボートピープルの中にはベトナム難民を偽装する中国人も相当数含まれていることが判明いたしております。‐
 これら出稼ぎ目的のボートピープルやベトナム難民を偽装する中国人は、一時庇護のための上陸の許可の要件を欠くばかりでなく、その上陸を許可することは、近隣諸国からの不法入国者等の扱いとの間で著しく均衡を欠き、出入国管理行政上重大な支障が生じるおそれがあるのであります。
 したがいまして、当省といたしましては、我が国に到着したボートピープルについては、とりあえず我が国領土に仮上陸をさせた上で本格的な上陸審査を実施して、この結果難民と認められる者については従来どおり一時庇護のための上陸を許可する一方、難民と認められなかった者については、出入国管理及び難民認定法の定めるところにより入国者収容所に収容して退去強制手続を進めるとの方針のもとで、目下関係省庁との協議を行っているところでございます。
 なお、この方針は国際社会におけるボートピープルの取り扱いの方針にも合致しているところであります。
 第二は、収容施設、要員等の確保についてであります。
 当省はボートピープルの一時的な収容施設である大村難民一時レセプションセンターを所管しておりますところ、ボートピープルが急増したため二百名の収容定員の数倍ものボートピープルをやむなく収容しているという窮状にありまして、目下この窮状を打開すべく同センターの収容能力の拡充に向け努力をいたしているところであります。
 また、さきに申し上げました方針に基づきボートピープルの審査を行うこととした場合、審査等に従事する要員を必要とする上、退去強制手続の対象として当省所管に係る入国者収容所に収容すべき者が相当数に上り、その収容期間も長期間になることが予想されますので、これに要する収容施設、要員等の確保についてその実現に向け検討する一方、難民と認められなかった者の送還の速やかな実現及び関係国への難民流出防止の要請につきましては、関係省庁との緊密な協力のもとに一体となってこれに取り組む所存でございます。
 以上、ボートピープルの問題について最近の状況に関し御説明申し上げますとともに、これについての対策の実施が緊急の課題となっておりますことにつき、委員各位の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
    ─────────────
#10
○戸塚委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。太田誠一君。
#11
○太田委員 最近十年間の外国人の入国者数は二倍以上、退去強制事件の数は七倍にもなっているわけであります。しかも、外国人の入国者は、昔のように単純に観光を目的として来日する人たちばかりではなくて、働くことを含めてさまざまな活動を行おうとするようになってきております。また、日本の経済的地位の向上を背景として不法就労者の数もウナギ登りの状態となっており、その数は十万人を超えると推定されております。こういう中で出入国や在留の審査、そして不法就労の取り締まりに従事する入国管理局関係の職員の数は千七百五十名で、ほとんどふえていないという状態でございます。
 そこで、もともと仕事のやりくりが切迫をしているところに今回のボートピープルの問題が突然起きてきたわけでありまして、毎日百人単位の難民が到着をし、そして現地の入国管理局ではまさにその対応に多忙をきわめておるわけでございます。福岡の入国管理局などに聞いてみますと、大変な、想像を絶する忙しさだということでございます。そして、一昨日にはついに現地の福岡入国管理局の警備課の寺井課長補佐が亡くなるというまことに悲しい出来事が起きております。ここに、第一線で奮戦をされまして、事実上の殉職ということだと思いますが、亡くなられました寺井課長補佐に対しまして心から哀悼の意を表し、また御冥福をお祈りをいたしたいと思います。
 職員の増員の問題は、もちろんこれは大蔵省や行管の協力なしにはできない問題でありますけれども、こうした悲しい出来事が起こったということも踏まえて、入国管理局関係の職員の増員、このような新しい我が国の経済的地位の大きな変化に伴って起こってまいりました入国管理の現場の問題に対しまして体制を整えるということは、深刻かつ緊急の課題であると思われますけれども、御見解をお伺いしたいと思います。
#12
○後藤国務大臣 太田委員にお答え申し上げます。
 ただいま御指摘のありましたように、急増するボートビープル到来につきまして、その対応は追われていた現職の入国管理の職員が九月四日職務遂行中に急死するという事件が発生いたしましたことは、入管業務を所管いたします大臣といたしまして本当に痛恨のきわみでございます。
 ボートピープルについての対応につきましては、全国からの職員の応援派遣等により対応しているところでございますが、入管業務の各分野における業務量も激増しているということから、この方法も既に限界に達しているというのが実情でございます。このような実態を踏まえまして、当省といたしましては所要の人員の確保に向け最大限の努力をいたしているところでございます。
#13
○太田委員 先ほども大臣の方から最初に現状の対応につきましてお話がございました。昨日も自民党の法務部会が大村の難民一時レセプションセンターの方に行かれたりいたしましたけれども、緊急の措置として今どういう能力の拡大、あるいは緊急の措置として民間団体にも協力を求めるというふうなことも聞いておりますが、お差し支えのない範囲で今お答えできれば伺いたい。緊急措置はどういうふうにするのか。
#14
○股野説明員 ただいま委員御指摘の緊急措置の問題でございます。
 これは短時日の間に次々とボートピープルが到着するという事態がございましたために、入管当局としてもそれに即応する態勢をとるために、各地からその現場の実際の仕事に当たっている人員に応援を派遣するという手段をまずとってまいりました。これまでのところ、各地の入管局から九州の現地の各局に対しまして約六十名の応援派遣をいたしたところでございます。
 また同時に、施設の問題につきましても、先ほど大臣の発言の中にもございましたように、実際の定員を数倍上回るようなボートピープルを受け入れることをやむを得ず行っていた状況でございますが、それをもってもなお対処し切れない事態がございましたので、まず最初の段階において、入国管理当局が受け入れを行うまでの最初の段階においては九州の各自治体の御協力をいただいておったわけでございますが、これについてもできるだけ早く国が所掌する施設への受け入れを図るために、東京を初めとしまして本州の各地域での受け入れを急いでいるところでございます。
 また、民間の団体、これは例えば日赤であるとかカリタス財団というところの御協力もいただきまして、同じく最初の受け入れをする段階での御協力をいただいているところでございますが、こちらについても今後なおまた民間側の御協力もいただくということで現在対処いたしているところ
でございます。
#15
○太田委員 最近、スクリーニングという言葉がよく出てくるわけでございますが、ベトナム難民を難民として認定するかどうかということは、これは今のような情勢であれば厳格にやらなければならないことだと思います。早急にこのスクリーニングということを実行していくべきだと思いますけれども、いつごろからこれはやるつもりなんでしょうか。
#16
○股野説明員 ただいま御指摘のございましたスクリーニングの制度について関係省庁との間で現在準備を進めているところでございますが、当方といたしましては、できるだけ早い段階でこれを実施に移す必要がございますので、今関係省庁との間の打ち合わせを進めておりますが、今月中のしかもできるだけ早い段階で実施に移したいということで、具体的な日取りについて目下検討中でございます。
#17
○太田委員 これは閣議で決めることになると思いますが、閣議で了承されれば直ちにというふうに理解してよろしいですか。
#18
○股野説明員 閣議の御了解をいただくということを必要と考えておりますが、その際にこのスクリーニングの実施の日取りについて改めて指定をする、その指定された日から実施する、こういうことになる予定でございます。
#19
○太田委員 今月の中旬ぐらいだろうと思いますけれども、そこで、このスクリーニングを実施して振り分けをするわけでありますけれども、退去強制手続の対象になる人は当然たくさん出てくるだろうと想像されるわけであります。
 退去強制手続というのは、聞くところによりますと、こちら側でこれは難民ではないというふうに認定をして退去強制手続の対象にしたとしても、その出てきた国の方がオーケーと受け入れるか受け入れないかというのは向こう側の国の手にゆだねられるというふうに聞いておりまして、そうであればこの退去強制手続というのは、いうような強制という言葉を意味するようなすかっとしたものではない。そこから受ける印象と申しますか、退去強制という言葉から連想するようなすかっとしたものではなくて、まださらに外国と、相手の、出てきた方の国と交渉しなければいけないというふうに聞いております。
 まず、そういうことで我が国だけの裁量では有効に退去強制手続が完結し得ないということも含めて、外務省にお聞きをしたいのですが、二国間の交渉、偽装難民と言われる中国からのボートピープルについては中国と話をしなければならない、あるいはベトナムについてはベトナムと話をしなければならないということだと思います。そして、経済難民は、ベトナムからであってもこれはきちんと退去強制手続の対象にしなければならないと思いますけれども、これらの交渉は今どういうことになっておるのかということをお答えいただきたいと思います。外務省。
#20
○石垣説明員 お答えいたします。
 外務省といたしましても最近のボートビープルの急増という事態は深刻に受けとめておりまして、これを外交的には、まずベトナムに対しましては、ボートピープルの流出抑止のために実効的措置をとってほしいということは従来よりも繰り返し申し入れているところでございますが、最近にも八月三十日にパリにおきまして中山外務大臣からコー越外務次官に同様の趣旨の申し入れを行ったところでございます。今後も機会あるごとに申し入れを行っていく所存でございます。
 中国に対しましては、八月三十一日に遠藤国連局長より東京の中国公使に対して申し入れを行ったわけでございますが、申し入れの主要点といたしましては、まず第一に、日本漂着のボートピープルの中国立ち寄り及び立ち寄り先からの中国人の乗船に関する事実関係の調査、第二に、中国からの不法出国者の身柄引き取り、第三に、中国側の不法出国抑止に向けた厳重な取り締まり、この三点につき行いました。先方は基本的には我々の申し入れに対して前向きの反応でございましたので、今後両国間で実務的な協議を通じまして問題解決に努力していきたいと考えております。
#21
○太田委員 今のようなことだと思いますけれども、最近のボートピープルというのは、かつては南ベトナムが北ベトナムに占領されたと申しますか、やっつけられた方が被害者になってボートで外へ出てくるということであったわけでありますけれども、最近のものは必ずしも南ベトナムから来ないでむしろ北ベトナムの方から、そういう区別をするのはおかしいのだけれども、もともとベトナム戦争で勝った方の地域から出てくるということになりますと、事実は、同じベトナム語を話すベトナムからの難民といっても数字上は北の方から来る人が圧倒的に多い、最近はそういうことであるらしいので、そうであれば、それは、この委員会でも今から八年前ぐらいだったと思いますけれども、難民条約の審議をここでいたしたわけであります。私もそのとき質問をしたのですけれども、その難民条約の精神からいうと、これはまさに南ベトナムからの難民のことを考えて難民条約ができたと私は思っておりまして、それとあわせてほかの、いろいろな亡命とかなんとかということも扱ったと思いますけれども、考え方としては、北ベトナムから出てくる人たちに対しては難民条約をそのまま適用するというのはいかがかなというふうに思うのですが、そこはどっちに聞けばいいのかわかりませんが――じゃ、法務省の方、お答えいただきたい。
#22
○股野説明員 ただいま委員御指摘のとおり、最近我が国に直接到来するボートピープルの中で北ベトナムの出身者が多い、これは新しい事態でございまして、そういう意味では我々も新しい事態としてこれを受けとめているわけでございます。
 ただ、ただいま委員御指摘の難民条約がこれらの人に適用があるかどうかという点になりますと、これは難民条約、一般的に申しまして、出身国あるいは出身地のいかんを問わず適用するという体制でございますので、難民条約は北から日本に到来するという場合であっても適用がある、こういう立場で臨んでおります。また、一般的にも、国際社会においてもさような扱いをしていると承知しております。
#23
○太田委員 まさに文章上はそうなっておるわけでありますけれども、なぜ難民条約ができたかというときの、そもそもその条約ができたそこの起源というのは、まさに南ベトナムからの難民のことを念頭に置いてつくったわけでありますから、あとは運用の問題で、難民条約に基づいて我が国の入管法その他が改正をされ、そして運用されているわけでありますけれども、その運用に当たっては当初の考え方とはちょっと違うのだ、特に経済難民なんかについては、今は何かベトナム語を話せれば、来た人の中でベトナム語さえ話せれば市民権があるように何か錯覚をしておりますけれども、ベトナム語を話せる話せないというのは、私は余り関係ないと思うのです。やはり経済難民は我が方は受け入れないという方針で臨むべきであって、きのうかおとといか、ベトナム語を話すグループとベトナム語を話せないグループとの間で内紛があったというふうなことがあっておりますけれども、それは、ベトナム語を話す方は、おれたちは当然その権利があるのだ、仮に経済難民であっても権利があるのだというふうな錯覚を向こうの方でも持っているのではないか、我が方も何かそういうふうな感じを持っているのではないかというふうに思うわけでありますが、その点について、ひとつ難民条約の精神ということからそこを混同しないような取り扱いが必要であろうというふうに思っております。
#24
○股野説明員 ただいま御指摘の難民条約の実際の適用ぶり、これは我が国の難民受け入れの態勢いかんということにかかわるものでございますが、今、我々法務省当局が関係省庁との間で協議を行って、近く発足させようとしております新しいスクリーニングという体制につきましては、まさに今委員御指摘の難民条約に言う難民性を持っているものかそうでないかということを厳格に審査を行って区分をする、こういう態勢で臨んでいるところでございます。
#25
○太田委員 今回のボートピープルの問題は、短期間に集中的にしかも大量に到来していることに特異な点が見れるわけでありますけれども、新聞報道によれば、これらのボートピープルの中には少なからず中国人が紛れ込んでおり、しかもこうした中国人は我が国への出稼ぎを目的として計画的に難民に成り済ましているというふうに聞いております。
 中国人の我が国への入国は、昨年来日本語学校等の就学生を中心として急激に増加をしているわけであります。そして、これらの者の中にはもともと我が国へ出稼ぎを目的にして入国をしている者も少なくない。今回の中国人による難民偽装ケースも、在日している中国人就学生の手引きによって組織的に行われておる、村ぐるみという報道もございます、組織的に行われているということも言われております。
 現に東京北区の日本語学校で百八十万円を強盗をしたという事件が起こりましたけれども、これはよく新聞を見てみますと、選考料二万円そして保証人料八万円、こういうことで合計一人十万円、十八人というふうに書いてありますけれども、これが事実だとすれば、保証人というのも、ふだん我々が中国人の留学生などと接触をしておって、保証人というのは、何か関係があって、人間関係があって保証人に立っているのだろうと思ったら、そうではなくて、ちゃんと日本語学校の方でビジネスとしてそういう保証人を世話をしておるということでございますから、これはいかがなものか。
 入ってくる人とそれから難民の――強盗をするというよりも、本人に言わせれば自分が払ったものを、入国を拒否されたわけですから、これは取り返すのは当然だということでそういう犯行に及んだと思いますけれども、そこでも明らかなように、今回の難民偽装ケースには、日本語学校というものが一つの、何と申しますか組織的なそういった活動をする場所になっておるのではないかというふうに考えられるわけであります。そして、こういう事実が起こっている以上、どうこれに対して対応するのかということをお聞きしたいと思います。
#26
○股野説明員 ただいま委員御指摘の、日本におる中国人の就学生と今度到来しているボートピープルの間に何らかの関係があるのではないかという御指摘の点でございます。
 当方もこれらの問題について今調査を行っているところでございますが、これまでのところでは、偽装難民と言われる中国人を日本に既にいる中国人の就学生が手引きしているという具体的な事実を把握するまでには至っておりません。
 ただ、先般来日本に到着しました中国人ボートピープルの中に偽造の日本語学校の就学生入国事前審査終了証というものを持っている者がございました。また、そのボートピープルの出迎えに、東京に居住しておる中国人就学生が九州まで出向いていたという事実もございました。また「ボートピープルで到着した中国人が所持するものの中に本邦における連絡先についてのメモがあり、そのメモの中にある連絡先の所在地が中国人の就学生の居住地であった、こういう事実もございましたので、こういう点にかんがみまして、就学生との関係について当局といたしましても強い疑念を持っておりまして、目下その解明に鋭意努力をいたしておるところでございます。
#27
○太田委員 実は我が国では、留学という言葉のほかに就学という言葉が使われておるわけでございますが、就学というのは果たして制度として認め得るものなのかどうか、大変疑問に思っております。
 つい最近もこの委員会で民社党の安倍委員が同趣旨の質問をしたわけでありますが、アメリカに例えば勉強しに行くという場合には、我々はみんな事前に財政的な裏づけがあるのかどうかということを問われるわけであります。そして、お金がないということであれば、お金がない者が勉強しに来るということは、つまりそれは勉強する傍らアルバイトをして働かなければいけない。だれが考えてもそれはわかるわけであります。お金がない者が勉強しに来るというときはアルバイトをしなければいけないというのはだれが考えてもわかるわけでありますから、そうであれば、これはアメリカ政府の考え方だろうと思いますけれども、財政的な裏づけがない者が勉強しに来るということは、それ自体がこれは就労を目的としているのではないかというふうに疑うわけですね。疑うだけの合理的な根拠がある。したがって、就労は認めない。
 日本の場合は何十時間か日本語学校に行きつつ働いてもいいということになっておりますけれども、そもそも学資を稼ぐ、それから生活費をそこで調達するということ自体が日本に来て勉強するという目的とは相入れない部分もあるわけでございますから、この就学という制度そのものがあることがおかしいというふうに私は思っております。そういうふうに思う人はほかにもたくさんいると思いますけれども、この点について、これは法律ではなくて、たしか数年前に法務省の入管局長の答弁で就学というものを認めるということになったように私は記憶をしておりますけれども、ちょっとその辺を御説明いただきたいと思います。
#28
○股野説明員 ただいま委員御指摘の日本語学校で勉強するいわゆる就学生について、近来いろいろな問題が起こっておるということを当局としても十分承知しておりまして、その改善のためのいろいろな努力を今積み重ねているところでございます。
 委員御指摘のように、アメリカの制度としては、原則はアルバイトというものは認めない、ただ留学が二年目以降になった場合には移民局の許可を得ればアルバイトが可能な道も開かれている、こういうような状況であるというふうに私どもは承知しておりますが、他方、我が国におきまして、日本語を中心として就学生が参っておる状況は、これは最近非常に発展を見ておる新しい一つの状況でございます。
 本来、留学生という形で大学レベルないしそれと同等のレベルの学生についての受け入れについては、在留資格というものも入管法上設けられておりまして、これを受け入れられる態勢になっておりましたのに対して、これらの日本語学校等における就学生については留学生とは別の扱いを現在している。これは新しい事態に対処するためにそういう入管法上の扱いをしている、これは委員からただいま御指摘のあったとおりでございます。
 ただ、我々当局といたしましては、本当に日本で日本語を勉強し、そしてそれを通じて日本のすぐれた学術あるいは産業、技術等の知識を修得しよう、こういう人たちが外国から来る場合には、これは国際協力の精神に立って、我が政府としてもきちんと一定の要件を満たす場合にはこれを受け入れていくということが適当であると考えております。
 問題は、就学をすると称して、実は日本に来てから専らアルバイト活動をする、実質上就労を行っている、こういう事態が起こるということでございまして、これについては当局としてもぜひ是正を図る必要があると存じておりまして、まず就学生の入国の事前審査に当たりまして、真に日本で日本語等を勉強するという就学生であることを入念に審査を行った上でこれを受け入れる、またその受け入れる側の学校当局も日本語教育ということが適切に行われるように政府当局として、これは法務省、文部省等協力のもとで新しい指導体制というものをつくっていくということに努力し、既にそれが実施の段階になっております。
 そこで、我々としては、あとアルバイトの問題について、これはあくまで学費を補てんする、本来の日本語等の勉学に必要な資金を補てんするという限りにおいては、これはそれを通ずる一つの日本における生活体験ということの意義もございますので、これを認めていく。ただ、そのアルバイトを認めていくその認め方につきましては十分慎重を期し、先ほどの就労というような実態が起
こることのないように努力をしてまいりたいと考えております。
#29
○太田委員 もう時間がございませんので最後に一言申し上げて、できれば外務省の御意見も伺いたいわけでございますが、今の入管局長の答弁は、従来の日本語学校あるいは就学生についての考え方を言われたものだと思いますけれども、そこは私はもう考え方を変える、発想を変える時期に来ておると思うわけでございます。
 というのは、日本語を学びに日本に来る就学生というものを歓迎する必要があるのかどうかということになりますと、日本人がアメリカにかつて留学をするというときには、アメリカに着く前に、そもそも向こうの大学が受け入れてくれるというためには、英語をある程度しゃべらなければ受け入れないわけであります。ですから、大学に入って授業についていけないような者を受け入れる必要はないわけでありまして、英語を学ぶためだけにアメリカに行くというのは、これは歓迎されてないはずであります。我々も、日本語を学ぶためだけに日本に来るということは、これは歓迎されない。この間もこの委員会で、先ほど委員長から御報告ありましたけれども、YWCAですかに行ったときも、ここを出た人が大学に入っても大学の授業についていけないというふうな、何を言っているんだかわからないということをそこの校長先生か何か話しておられましたけれども、まさにあの事態なんですね。だから、もともとしゃべれない人が日本に留学をしようなんということは、これは基本的にそこが間違っておる。財政的な裏づけがあって日本に来なければいけないというその一つの条件があるのと同時に、ある程度日本語がしゃべれて初めて日本に来るべきであると思いますね。
 ですから、これはむしろ我が国の国内で日本語学校を整備するということよりも、これはODAの対象になるのかどうかわかりませんけれども、外国に、要所要所の国に日本語学校をつくって、日本の政府がそれを援助して、日本に来る前に日本語がしゃべれるようにする、その手助けを我が国がするということが正しい方法であって、ここに来て、自分でやってきて、自分でここでアルバイトをしながらやるというのは、どうしてもこれは偽装留学といいますか出稼ぎ目的の偽装留学というふうに、もう八割、九割はそうなってしまうのではないかというふうに思いますね。
 最後に、外務省はこのことについて、何かこういう制度があるとついついよその国に気を使って、よその国に気を使う余り、外務省の方が何かそういうふうな協力をすべきだというふうな考え方を持っているのではないかというふうに私は思っているもので、その点についてちょっと外務省の御意見をお伺いしまして、私の質問はこれで終わります。
#30
○武藤説明員 お答え申し上げます。
 就学生というのは、大学入学の準備のために、日本語ですとか各種技能の習得を目的として来られる方々でございます。
 日本語の勉強は、何も日本ではなくて、外国でやれるように政府としてもいろいろ考えていく必要があるのではないかという先生の御指摘でございますけれども、やはり海外におきまして日本語がより容易に勉強できるように努力しなければいけないということは、先生の御指摘のとおりだろうと思います。
 他方、日本で実際に日本語を勉強したい、留学の準備に当たって日本語を勉強したいという方もおられますので、そういった方々の便宜も図るということは、国際交流という見地からやはり必要なのではないかと考えております。
 ただ、先ほど法務省の股野入管局長からも御答弁申し上げましたとおり、就学生として入国しようとする者の中には、一部就労を主たる目的とする人がいることも否定しがたい状況にかんがみまして、真に日本語を勉強しようとする人と、それから就労を主たる目的とする人とを慎重に見きわめていかなければいけないというふうに考えております。
#31
○太田委員 そういう目的の交流は必要がないと思いますけれども、これで終わります。
#32
○戸塚委員長 坂上富男君。
#33
○坂上委員 今政府側の答弁を聞いておりますと、何かぴっとくるものがありません。もう少し的確に、そして長く答弁要りませんから、核心だけ答えていただけば結構ですから、どうぞひとつきちっと御答弁賜りたいと思っております。
 まず法務大臣でございますが、法務大臣の御説明はわかりました。しかしながら政治的に難民問題をどのように政府は考えているのか、これをきちっと政治的な立場でひとつ御判断を、どう認識されているかお答えをいただきたいと思います。
#34
○後藤国務大臣 ただいまの坂上委員の御質問にお答えいたします。
 難民問題は急激に新しい事態を次々ともたらしている問題でございまして、この問題につきましては、速やかに対処しなければならない政治的にも重要な課題だと思っております。したがいまして、私、大臣に就任早々でございますけれども、この問題は、当面の最大の急務の問題といたしまして政治的にもこの問題を特に重要視して取り上げなければならないという深い決意を持って所管業務の推進のために臨む決意でございますので、御了承いただきたいと存じます。
#35
○坂上委員 大臣、何か国難にでも遭っているという感じなんですか。
#36
○後藤国務大臣 国難の幅も意味も広いと思いますけれども、これは国難という意識ではなく、むしろ国際的に平和裏に解決しなければならない問題であるという認識を私はいたしております。したがいまして、そういう意味で私は最善の努力を所管大臣としてしなければならないというふうな気持ちでいるということでございます。
#37
○坂上委員 あえて私が国難と言ったのは、今までの答弁を聞いているとそういう感じがするからです。日本には想像できないような事態が急に起こってまいりました、そして、その責任の省庁でありまするからこれに対処いたします、こういうような御答弁としか聞けないわけであります。私は、これはやはり政治的に見まして当然来るべき現象が起きたんじゃなかろうか、こう実は思っておるわけです。だから聞いているのです。
 もういろいろと報道されているでしょう。日本は大変な景気だ、日本に行って働けば、一年働けば一生暮らせるようになれるとか、しかも一方、東南アジアあるいは中国を含めまして大変な失業だ、生活苦だ、こういうような現象でございますから、これは人間の本能といたしまして、こういう現象が起きるのは当たり前なんであります。
 そこで我が日本は、こういうような状況について国際的にその責任ある国としてどう対処するかということが問題なんだろうと思っておるわけであります。だから一体政府はこの問題をどういうふうにお考えになっているのか。今お話のあったような現象面だけを言っているのじゃないのです。基本的な問題としてどういうふうに見ておられるのか。これは当然の成り行きであって、これについて日本がきちっとこたえ、対応することがやはり日本の責務と思っておられるのか。ただ違反の者は追い返す、そして該当する者は定住を許す、そんなようなことだけで解決できる問題でなくして、もっと根本的な問題を政府がどう認識しているか。このことがこの問題の解決の基本になる問題だろう、こう思っているから聞いているのです。どうぞ、大臣でなくてもいいですから、物をお考え、判断しておる、ひとつ政府を代表するだけのきちっとした答弁を国民に納得できるようにしていただきたい、こう思っておりますが、どうでしょう。
#38
○股野説明員 まず、委員御指摘のとおり、この難民問題というのは非常に根が深いということを、我々この問題に対処しております政府当局の一員として感じております。
 この難民問題についてはいろいろな面がございますけれども、当面、今私どもが大きな努力を傾けておりますのは、インドシナ難民の対策の問題でございまして、このインドシナ難民の問題は、
委員よく御存じのとおり一九七五年に旧南ベトナムの政権が崩壊以来新しく起こった問題として、関係諸国、これはアジアの近隣諸国も含めまして一つの協力体制をつくってまいりました。それに日本も国際的な協力をするという観点からの対処をいたしてまいりました。したがって、そういう意味でそのインドシナという地域の歴史的な経緯に基づいて発生した問題についての国際的な協力の枠組みというものがあり、それについての日本の役割ということが従来あったわけで、これについて今後とも日本としての役割を適切に果たしていく、そういう意味での国際的な協力という観点が一つ基本にございます。
 同時に、ただいま委員御指摘のとおり、最近の難民と言われる者の中に専ら経済的な動機で不法出国を試み、日本に入国しようとするそういう人たちがふえているということも事実でございまして、その背景には日本と近隣の諸国との間の経済格差という問題があるということも事実でございますが、しかしこの経済格差の問題についてどういうふうに日本が対応していくかということは、これは難民問題ということに限らずもっと幅広い国際協力という観点、つまり近隣の諸国を含めたアジア地域社会の発展という中での日本の役割ということを考えていくべきだろうと思います。
 他方、不法入国という問題については、これは日本の国内の法体系の秩序の維持という必要性が現にあり、また入国管理ということについて我が国の現状に見合った運用ということが必要であると思いますので、そういう点を考え合わせて、先ほど来大臣が御説明いたしました新しいスクリーニングという制度を国際協調のこれも一環として、かつ日本の事情を踏まえた体系として現在取り組んでいこう、こういう状況でございます。しかし同時に、これは近隣諸国側との話し合いも重要であるので、中国あるいはベトナムとの間の政府当局間の話し合いということも積極的にこの問題の合理的な解決のために進めていく必要がある、こういう考え方でございまして、それぞれの政府当局の部局において役割を果たしていく。法務省当局といたしましても、入国管理の責任にある者としての入管法に基づく対処ぶりを考えておる、こういうことでございます。
#39
○坂上委員 聞いておりますと、国際上やむを得ず嫌々ながらやっている、こんなような感じがしてなりません。
 さて、じゃそうだとするならば、長崎市長本島さんの発言について政府はどうお考えですか。
 念のために申し上げます。「ベトナム難民を装った中国人にしても、生活に困って故郷を出た人たちに変わりはなく、人道的な立場から考え、むやみに強制送還すべきではない。政府がこの問題にどう対応するかで、日本の国際性が試されている」、こうおっしゃっているわけでございます。そこで「香港が五万人も受け入れているなら、日本が百万人ぐらいを受け入れてもおかしくない」こういうお話でございます。「やっかい者が来た。追い返せ、という国民感情が強くなるのが怖い」「もはや単一民族であることは自慢にならない。世界市民としての感覚を大事にしなければ二十一世紀は生きられない」こう言っているわけです。大臣、日本政府としてこの発言を一体どういうふうにお考えですか。
#40
○後藤国務大臣 本島長崎市長がベトナム難民を装った中国人であっても受け入れを主張しているということは、市長の個人的な御見解であるというふうに私は理解をいたしております。我が国の政府といたしましては、国際的に認められた難民の要件に該当する人だけを難民として認める方針であります。したがって、それ以外の者はこれに該当しないものと考えているので、所定の措置をとるというのが当然である、そのように考えております。
#41
○坂上委員 日本政府の対応といたしましては、この発言は単なる個人的な発言であって認められない、こういうことですか。
#42
○股野説明員 ただいま大臣が申しましたとおり、これは市長の個人的な見解を述べられたものと考えております。私どもは、私どもの現在の体制の中で中国から来るボートピープルの問題に対処していかねばならぬと思います。国際的に認められている難民の取り扱いというものを適用すべき者については、これは出身地のいかんを問わず考えていくべきものでございますが、国際的な難民という基準に合致しないと考えられる者については、これは法の上で定められた措置で対処する必要があると考えております。
 そういう意味で、本島市長のお考えは我々もその十分な背景等について伺っておりませんが、我我は今申し上げたような現在の日本の体制に基づいた法的な対応をしていくということになると存じます。
#43
○坂上委員 今度は具体的に聞きましょう。
 大村では施設が狭くなったのでテントを張ってやっているそうでございますが、何でプレハブか何かでしないのですか。何でテントでしているのですか。
#44
○股野説明員 まず、最近のボートピープルの到着が非常に短期間に数が多かったという状況で、当方が従来ボートピープルを受け入れるために用意していた施設では到底対応できないという状況が起こりました。そこで、テントということは我我としても決して望ましいことではございませんでしたが、万やむを得ず一時の応急策としてテントを用意したということでございますが、今このテントをよりよい施設に切りかえていく努力を行っているところでございます。
#45
○坂上委員 いま一つ聞きます。
 中国の人というのは生野菜を食べないそうでございますが、何かほかほか弁当などを出して、生野菜が入っているのを出しているという話なんですが、これはどうですか。
#46
○股野説明員 これは、食生活については中国でもいろいろございまして、確かに生野菜を食べない人が中国に多いということはあると思いますが、そういう点は、日本に着きまして日本の食生活の事情、また日本のそういう生野菜というものについての扱いということは、これは日本に来た外国人の方も受け入れていくということが必要であろうと思います。
 食生活について今委員の御指摘は、それらの出身地のそれぞれの好みのことも配慮して対応せよというお考えかと思いますが、これについては我我もできる範囲内でそういう配慮をしていきたいとは思っておりますが、何分にも限られたいろいろな対応の手段をもって十分できない点もあるという点は御了解願いたいと思います。
#47
○坂上委員 大臣なり局長でいいですが、課長補佐さんが過労のため亡くなったそうでございます。この問題はどうお考えですか。
#48
○股野説明員 先ほど大臣申しましたとおり、入管職員が職務遂行中に亡くなられるという事態を招いたことは、我々入管当局としましてまさに痛恨のきわみと存じております。これは、入管当局が今度の事態に対応するために、限られた人数をもって日夜努力をいたしてまいった中で起こった大変不幸な出来事であったと思っておりますが、そういう個々の職員の負担を少しでも軽くするために、目下法務省全体で態勢を強化するために取り組んでいる、こういうことでございます。
#49
○坂上委員 三つの問題を挙げましたのは、結局のところ予算がない、これに帰するんだろうと思うのです、今のお話を聞いていますと。どこからどう予算を捻出していいかわからぬという状況で、またこれが決まらないから、プレハブを建てるべきものをテントで、そして食生活に合ったような食事というのも、ただ売っておるほかほか弁当を持ってきて食べさせる。そして、第一線の諸君には不眠不休で働かせる、こんなようなことがここへ来ているわけでございます。
 一体、法務当局はどれぐらい緊急の予算の要求をしているのですか。それから、人員の要請をどれぐらいしているのですか。この辺きちっとまず法務省からお聞きをいたしましょうか。
#50
○股野説明員 まず施設の点でございますが、これはプレハブを早急に一時レセプションセンター
内に増設すること、さらには、それの近くにございます大村の収容所の方にもあわせて施設を増強するという点で、現在財務当局と折衝中でございます。その規模については、まだ折衝の途中でございますが、できる限り、現在の定員をはるかに上回って収容しているという状況を解消するに必要なプレハブの数をそろえたいと考えております。
 また、人数についても、これは先ほど申し上げましたように、約六十名の増員を九州以外の地域から既に手配しておるところでございますが、それに加えて今、さらにまた新たに人数を派遣することで、近日中にその配置が済むよう努力をいたしておるところでございます。
#51
○坂上委員 大蔵省どうですか。この難民問題に関連をいたしまして予算の追加要求が随分各省からなされていると思うのですが、今各省からどのような程度の予算要求が出されているのですか。それから、それについて大蔵省はどういう対処の仕方をしようとしているのですか。
#52
○浜中説明員 ただいま御説明ございました最近におけるボートピープルの急増に伴い、大村難民一時レセプションセンターの入所者定員を大幅に超過した状態になっております。入管局長からお話ございましたように、ただいまこれに対処すべく施設の確保、これが一番重要なところでないかと思いますが、政府部内において所要の措置を講ずるという考え方で調整を行っているところでございます。
#53
○坂上委員 大蔵省、私の聞いておるのは、具体的に法務省を初めとする難民関係官庁が幾らずつ大至急必要ですと言って要求をしているのか、それを聞いているのです。
#54
○浜中説明員 ただいま御答弁申し上げましたとおりに、現在早急にこれを詰めるべく検討を進めておるところでございまして、所要の措置を講ずるという考え方に立って検討を進めているということでございます。
 具体的に何名程度の施設を設けるか、土地等の広さの関係もございますし、また今後どのような形でボートピープルの方々が日本に来られることになるのかどうか、そこら辺も考えつつ早急に対策を講ずるという考え方でございます。
#55
○坂上委員 あなた方の見通しが間違ったからこういう事態が起きてくるのではないのか。それで今度は、もう大丈夫のような予算をつくります、こう言ってもつくられるのか。さっきからの話を聞いていれば、想像しないことが起きました、そして今必死になってやっております。しかしながら、第一線の職員を殺した、そしてまたプレハブもつくられないでテントの中に入れていかなければならぬ、こういう状況。これはやはり皆さん方のこういう問題に対する対処の仕方の過ちなんだ。だから、まず大蔵省が、各省庁が要求をしておる金額がどれくらいで、大体どういうふうに考えているのか、これを聞いているのですよ。あなた、そんなもの、それだったら当初予算のときに決めて、それで解決できるのだけれども、これが解決できなくて今言ったような状態が出ているわけであります。だから、これはどういうふうな考えを大蔵省が持っているのか、具体的に各省から幾ら来ているのか、きちんと答弁しなさいよ。
#56
○浜中説明員 先ほど入管局長から御答弁いただきましたように、大村の難民一時レセプションセンターは定員二百名ということで、かねてよりこの種の問題に対応すべく用意をしたとおりでございます。そこで五月以降、急激にボートピープルが急増している、こういうことでございます。これですべての方が難民として収容されたということでもございません。今後さらに事態が進展していくということもあろうかと思います。この点につきましては、法務省、外務省ほか関係省庁とも相談いたしまして、必要な措置を講じたいと考えておるところでございます。また、今御指摘の中に当初予算等の御指摘もございましたが、必要であれば予備費の使用等も考えて早急に対応を図る、こういうふうに考えておるところでございます。
 具体的にどの程度の収容施設をプレハブ等によりまして設けたらいいかどうか、これにつきましても早急に詰めたいと存じますが、このほかプレハブ住宅等をどの程度早急に手当てをできるものかどうか、直ちにプレハブ住宅を集めたいと思いましても、なかなか難しいという面もあることは事実でございます。そのようなことを考え合わせつつかなりの規模のものを考えたい、こういうふうに考えているところでございますが、今まさに、どの程度収容するべく施設を設けたらいいか政府部内におきまして詰めておるところでございますので、しばらくお待ちをいただきたいと存じます。
#57
○坂上委員 いま一つ、地方自治体の負担しておる、立てかえておられるこの経費は高等弁務官の方で出すというようなお話ですが、これはどうなっていますか。
#58
○石垣説明員 お答えいたします。
 地方自治体がとりあえず負担しております費用のうち、国連難民高等弁務官事務所が原則的に負担する経費の範囲につきましては、食費、衣服、医療、輸送のために必要な費用及び船舶の焼却費等が含まれることにつきまして先方の了承を原則的に得ているところでございます。
#59
○坂上委員 さて法務大臣、今いろいろのことを私が調査の結果に基づいて御指摘をしながらお聞きをいたしました。聞いておっておわかりのとおり、まず難民問題に対する対策というのが早急かつ緊急に内閣の中でどうもまだ確立してないんじゃなかろうか。しかも現場に行って権限のある人がてきぱきとこれの判断、指導、措置がなされておらないのではなかろうか。結局第一線の諸君に任せて、責任ある人たちは東京におられて、一々お伺いを立ててもなかなか予算がない、手が足りない、こんなようなことでこの問題が推移しているように思われるわけでございます。もっと抜本的な対応の仕方というのがあってしかるべきだと思うのでございますが、これは政府の権限のある人が行って、その場でいわば適切な判断というのをお考えになっておらないのでしょうか。今の状況でいいと思っているのですか、どうですか。
#60
○後藤国務大臣 ただいま坂上委員御指摘の問題につきましては、法務省といたしましては、何よりも緊急の問題ということで、先ほど来御質問のございました収容施設を速やかに、例えばプレハブをつくる問題等につきましても、これはできる限り緊急な措置として大蔵省とももちろん折衝をいたしているさなかでありますけれども、その折衝を待っているばかりではなく、とにかくやりくりできる範囲内で法務省としてももう既にその準冊を進めて、仕事を進めているような段階にございます。したがいまして、これからの問題につきましても、いろいろな予測の仕方はありますけれども、あらゆる場合に対処するための場合を考えながら準備を進めていくべく今法務省の関係職員一同努力をいたしておりますので、その点につきましては、私も所管大臣として督励をいたしまして善処いたすように努力をこれからもいたしていく覚悟でございます。
#61
○坂上委員 答弁はできるだけ簡単でいいです。
 さて問題はスクリーニングですが、これには三つの分類が考えられると言われておるわけであります。一つは中国人、この偽装難民は旅券を持たずに入国した不法入国者として収容して強制退去の措置をとる。それから中国系ベトナム人は中国人と同様の扱いをする。それからベトナム人については今月中に難民の要件を個別的に審査する方法を正式に導入して、経済難民と認定された者については日本や第三国に定住を認めないで本国への送還を奨励する。こうあるわけです。
 まず、この中でこれを聞きたいのですが、中国系ベトナム人であったといたしましても難民の人が相当おられると思うのです。この対応はどういうお考えですか。
#62
○股野説明員 中国系ベトナム人という場合に、これがまた二種類あると思います。中国系のベトナム人という場合に、ベトナムから直接日本に漂着するというようなケースと、それから、一たん
中国へ移りまして、そしてそこで中国の庇護を与えられ、また相当期間そこに定住をしておったという人たちが別途ございますので、この二つの人たちについてはそれぞれ違う対応をとることになると思います。
#63
○坂上委員 さてそこで、経済難民だ、それから中国へ強制退去だ、こうした場合、今いろいろ折衝しているそうですが、その国が一体受け入れない場合どうするのですか。
#64
○股野説明員 法的には退去強制手続をとりますが、しかし、物理的に相手国が受け入れないという場合には、これは日本の国内で相応の措置をとって日本にとどまるということになります。
#65
○坂上委員 これは、両国との折衝はどんな程度に進んでいるのですか、その見通し、そして日本政府はどういう見通しを持っているのですか。
#66
○石垣説明員 お答えいたします。
 中国との関係におきましては、八月三十一日、国連局長より中国大使館公使に申し入れを行ったわけでございますが、申し入れの骨子は三点ございまして、まず第一に、ボートピープルの中国沿岸立ち寄り及び中国からの乗船等の事実確認、第二に、中国からの不法出国者の身柄引き取り要請、第三に、流出抑止の努力を期待するということでございます。
 これに対する先方の回答の骨子としましては、まず第一に、日本側申し入れの諸点については速やかに中国国内関係方面へ伝達する、第二に、公民出入国管理法、中国の管理法に基づきまして中国公民の出国を厳格に管理しているが、中国政府としては不法出国は認めるものではない、第三に、日本側から詳細な資料の提供をしてほしい、それを速やかに関係方面に送付し事実確認を行い、その結果中国公民であれば前向きに対処するということでございました。
#67
○坂上委員 今まで強制送還で引き取らないというのはあるのですか。そして、引き取らないために日本に何人おる、それで、これに対する処遇をどうしているか、これは先例はどうですか。
#68
○股野説明員 退去強制手続をとりました後その送還するべき国との間でそれについての話を行っているというケースは、韓国との間で長年ございます。その場合に、これは話し合いでございますので、韓国側が我が国が退去強制手続をとっている、対象としている人物について韓国側の考え方によってその引き取りを行わないという事態がございますので、この場合にはまた引き続き話し合いを行うという手続をとっておることがございます。また、場合によって、その人の個別の状況等にかんがみまして、住居地を指定して収容所から仮放免という形の手続をとって日本に引き続き滞在をさせているケースもございます。
#69
○坂上委員 そうだといたしますと、今回の問題はそういう人がたくさん出るのじゃないですか。見通しはどうですか。
#70
○股野説明員 これはまさにこれからの、入管当局は現在鋭意個別に一人一人のボートピープルについて審査を行っておりますので、その結果を見て判断する必要があると思いますが、状況によっては、全員収容が前提でございますが、個別の事情によっては先ほど申しました仮放免という制度を適用することも考えられると存じます。
#71
○坂上委員 さて、ちょっと話を変えまして、警察当局ですが、この難民問題、どういうような捜査あるいはそれとも行政権の行使をなさっているのですか。そしてまた、これに対する見通しをどんなふうに考えておられますか。
#72
○石附説明員 お答えいたします。
 最近のいわゆる偽装難民の不法入国の背後関係につきましては、いろいろ言われていることは承知しております。警察といたしましても、そのような点を踏まえまして鋭意解明に努めておるということでございますが、これまでのところその実態を把握するに至っておりません。警察といたしましては、今後とも入国管理当局と緊密な連絡をとりつつ背後関係の解明に努め、悪質な違法行為については断固これを取り締まっていく所存でございます。
 なお、警察庁においては、八月三十一日、長官官房の審議官を長とする偽装難民対策班を設置しております。関係部局の連携のもとに偽装難民の不法入国事案取り締まりのため、沿岸の警戒及び不法入国企図者の早期発見等、関係府県に指示しているところでございます。
 本日現在、各管区警察局、警視庁及び十六府県にこの偽装難民対策班、各県警にそういうものが設置をされております。万全を期して警察の本来の任務を遂行していく所存でございます。
 以上でございます。
#73
○坂上委員 さて、それに関連してお聞きをいたしますが、就学生入国事前審査終了証、こういうものがあるそうでございますが、これはだれが発行するのですか。そして、どういうことによってこれが発行されるようになるのですか。
#74
○股野説明員 就学生についての事前審査終了証というものは、これは各地方の入管当局が発行するものでございます。
 その趣旨は、日本で日本語等を勉強するという就学生が外国で査証申請をするに当たりまして、それに先立って、その就学先である学校が入管当局に対して、その受け入れの態勢が整っておって、当該の就学生が要件を満たしておるという申請をし、それに対する審査を行って、そして事前に与える、その結果、査証発給の手続が簡易に行われる、こういう観点で行われた制度でございます。
#75
○坂上委員 これが偽造されているものを所持をしておる者が相当ある、こういうふうに言われておるわけでございますが、これは間違いなく偽造ですか。私は、偽造でなくて、あるいは有効なものが出回っているのじゃなかろうか、こう思っておりますが、どうですか、間違いなく偽造ですか。これは今のところどれくらい出ているのです。
#76
○股野説明員 我々入管当局もこの事前審査証の偽造のものが出回っているということについては非常に大きな関心を払っておりまして、積極的にその真偽を今調査しておりますが、現実に入管当局で偽造と判定されたものがいろいろございます。詳細については警備課長から御報告申し上げます。
#77
○町田説明員 委員御指摘の就学生入国事前審査終了証の偽造の案件は昨年の暮れごろからかなり多発いたしております。そして例えば、それを持って空港へ来た際に発見されたもの、あるいは国内へ入ってから発見されたもの、多々ありますが、かなりの数がございます。
 私ども、これを非常に重視いたしておりまして、過般、警察庁ともこの対策について協議いたしておりまして、お互いに協力してこの背後関係、そういったものについても解明していきたいということで、お互いに協力し合ってお話し合いをしている最中でございます。
#78
○坂上委員 法務省が、偽造が間違いなく出回っているのだ、こういう認定ならそれはそれで結構でございますが、問題はこういう制度です。こういう制度は法務省は一体どこから考案したのですか。どういう理由でこういうことをしたのですか。いわば簡便の方法でしょう。どうですか。
#79
○股野説明員 入国手続をこの就学生、希望者に対して簡易にするという発想が確かにその基本にございます。その就学生の受け入れということについての意義にかんがみて、関係省庁とも御協議の結果こういう制度をつくったわけでございます。
#80
○坂上委員 どうですか、これは今後も出回るおそれがあると思うのですが、今後とも維持するのですか。
#81
○股野説明員 この点は我々も偽造を防止するための対策を積極的に講じてまいりたいと存じますし、また、その学校側に対する指導ということもあわせて行ってまいりたいと思います。
 ただこの点は、従来の扱いの中で就学生の案件が各地方入国管理当局の扱います業務量の中で非常に急増しているという状況下において、こういう事前審査制度というものは、窓口が非常に混雑
している、これはまた別途の我々の入管当局の大きな問題としてあるわけでございます。その窓口の混雑緩和という観点からも有効であるという効果もございましたので、そういう意味に照らして適正な実施ということは努力してまいりたいと思いますが、現在においては、この制度は引き続き改良を加えながら維持していくことにいたしております。
#82
○坂上委員 大枠の問題はまた午後から質問もいたしますが、やはりこういうような問題は、いわば日本語学校に大変な権限を与えた、いわゆる入国について日本語学校が手続をして申請をすれば今言ったような終了証を入管が発行してくれる、そしてこれを向こうに送る、そして入ってくる、これが大変便利なものだからあるいは偽造して入ろうとする、こうなるわけでございます。そういうような状況でございますから、いわばこういうような本来の制度というのは日本語学校に権限を与えたわけだ。私はもう二度にわたってこの問題を指摘するわけでございますが、本来こういう仕事というのは行政書士の仕事なんです。でありまするが、今言ったように大変急増する、そして便宜のために、できるだけ早く手続をするためにこういう方法をとったのです。結局のところ人手が足りない、そして日本に来る人にできるだけ便宜を与えよう、こういうことなんでございます。
 結論から見ると、人員が足りない、予算がない、こういうことからこういうことが来ているんじゃございませんか。いかがですか。やはり本来に戻るべきなんじゃないか。大蔵省が本来きちっとした金を出していないものだから法務省はやむを得ずこういうことをやって、あげくの果てこういう偽造が出て、日本語学校に対する不信もまた出てきておるわけでございまして、結局のところ犯罪がこのことによって誘発をされておる、こういうことにたっていると思うのですが、いかがですか。
#83
○股野説明員 残念ながら偽造の文書につきましては、ただいま委員御指摘の入国事前審査終了証以外にも、そもそもパスポートそのもの、あるいは日本のビザ等につきましてもいろいろなものが最近出回っているという状況がございますので、こういう日本へいろいろな外国人が来ようとするときに偽造文書がほかの形でも出ているという点で、我々はそういうものに対する対処ぶりの一環としてこの問題もとらえていきたいと思っておるわけでございますが、この問題に限らず偽造の問題は起こっております。
 行政書士の点について今委員御指摘がございました。これは私どももかねて御説明申し上げましたように、在留関係の申請につきまして行政書士の取り次ぎということを既に開始いたしておりますが、そういう点の実績も見ながらこの問題についての今後の検討をさらにしていく、その間適正な審査終了証の取り扱いがなされるように努力もしてまいる、こういうことでございます。
#84
○坂上委員 文部省おられますか。じゃ、あわせてひとつお聞きください。
 今言ったような問題は、結局のところ中曽根元首相が、いわば十万人の留学生受け入れ発言をもとにして、日本へ行って就学ができるということを東南アジアの皆様方に植えつけたのだろうと私は思うのです。そしてその中曽根発言を機会に中国人就学生のビザの申請手続が極めて簡素化された。そして中国青年が急速に増加したが、受け入れの準備は整っていなかった。今言ったように、日本語学校が急増する、日本語学校の新設ブームを起こしたり営利目的の日本語学校による信用の失墜等、こういうような事態が今起きまして、しょっちゅう日本語学校が問題になっているわけであります。
 そこで今度は、この反省の上に立って政府は就学生の審査基準を厳しくしておりますが、結果的にこういうようなことのために厳しくなったからそこでこの問題が結びついてくるのじゃなかろうか。というのは、日本語学校で勉強する。アルバイトなら許す。アルバイトで働いたという金が一年間で何百万円。そして中国に帰る。立派なうちを建てる。そして、就学おれもしよう、こういうことで日本に来ようとしたが、なかなか今就学が受け入れられない。そうだとするならば、何としても日本に潜入をして働いてそういうことにしたい、こういうふうになるのじゃなかろうか。いわゆる日本に行きたい、行けば何とかなるなという幻想、いわゆるこういう空気を中国の人たちに与えたのじゃなかろうか、こんなふうにも私は思っているのです。これはやはり内閣総理大臣の根本的な、準備も整わないうちに安易に大ぶろしきを広げまして結果的にこういうことになり、最後には命がけで日本にやってきてあげくの果てはまた追い返される、どうもこういうような状況になっているのじゃなかろうかと思っておりますが、こういう点を文部省はまずどうお考えになっていますか。
#85
○中西説明員 お答え申し上げます。
 留学生の受け入れと申しますのは、我が国と諸外国との相互理解あるいは我が国と諸外国との教育研究の向上ということに非常に大きな意義を有しておりますとともに、特に発展途上国関係に関しましては人材養成の点での協力という意味で大きな意義を持っているということで、私どもは非常にこれを重視しております。
 そういう観点から文部省におきましては、昭和五十八年に各界の有識者の方にお集まりいただきまして、今後の留学生政策ということで御提言をいただいたわけでございますが、その主要な柱と申しますのが二十一世紀の初頭までには我が国に十万人の留学生を受け入れるということで、これらの御提言に基づいて今までに各般の施策をとって留学生の着実な増加に努めてきたところでございます。
 そこで、この留学生と申しますのは、あくまでも外地におられる青年の方々が日本で勉強したいということで日本の大学に希望を出しまして、日本の大学においてその希望された各青年の能力であるとか勉学の意志であるとか、それから日本においてちゃんと所期の目的を達成するだけの基盤を持って来られるのかどうか、こういう観点から審査をいたしまして、入学を許可した者を留学生として受け入れていることでございまして、必ずしも先生がおっしゃっているような形での問題がこの十万人計画によって起こっているというふうには私どもは理解しておらないわけでございます。
#86
○坂上委員 そういう考えだからこういう問題が起きているのだ。留学生の前提になるために日本語を勉強しなければいかぬ。日本語を日本で勉強してはいかぬから外国でやらして、そして受け入れたらどうだ、こういうお話なんだ。君たちはこの留学生問題は就学生問題と別でございまするからこの問題は違います、こういうところにこの問題が起きているのじゃないか。もう一度お考えをお聞きしましょう。
#87
○中西説明員 就学生の問題につきましては確かに留学生の問題とはちょっと違った観点から検討が必要だと思いますけれども、私どもの立場といたしましては、日本に来て真剣に勉強して日本の大学に進みたいという形で就学生として入る人たちにつきましては、法務省、外務省ともいろいろ相談しながら入るためのいろいろな措置を講じていただいているところでございます。
 今の問題は、そういう勉強するために日本に来るということではなくて、経済目的で来られた方をどう処理するかという問題と一緒になっているところにこの留学生あるいは就学生問題の難しさがあるというふうに考えておりまして、先ほどから関係の方々から御答弁がございますような形での改善策を考えているというところでございます。
#88
○坂上委員 ようよう問題点わかったようだね。あなたが言うような問題は、いわゆる当時の中曽根首相の十万人留学生問題からこの問題が出てきておるのじゃなかろうか。しかも、これに対する日本の態勢が満足でなかったものだから、こういう就学に名をかりた日本の労働ということになってきているのだろう、こう思いますよ。したがい
まして、こういう問題は根本的に日本の内閣のあり方として考えなければ、もう幾度となくこの問題は起きますよ。だから一体法務省は国難と思っているのか、あるいはこういう日本の政治のひずみ、そして外国へ行って大ぶろしきを広げる結果がこういうとんでもないことを起こしているんじゃなかろうか、こう言っているわけなんです。どうですか、大臣。
#89
○後藤国務大臣 ただいまの坂上委員の御意見、私もよくわかります。閣僚の一人といたしまして十分念頭に置きまして努力をいたしたい、そのように考えております。
#90
○坂上委員 じゃ、ここで一区切りにいたします。
#91
○戸塚委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ────◇─────
    午後一時二分開議
#92
○戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂上富男君。
#93
○坂上委員 午前中に引き続いて御質問させていただきます。
 そういたしますと、今自治体が立てかえて出しておりまするところの難民関係の経費、これは全部心配しないでいわば自治体が近い将来立てかえ分の弁済を受けられる、こう理解していいのでしょうか。
#94
○石垣説明員 お答えいたします。
 地方自治体が負担しております経費につきましての原則的な了解は、午前に御答弁申し上げましたとおり、国連難民高等弁務官事務所が負担するということで原則的に了解はついているわけでございますが、ただ、その後、中国人のいわゆる偽装難民の存在、それから、現在検討されておりますスクリーニング制度の導入という新しい事態も生じてきておりますので、厳密にUNHCR、国連難民高等弁務官事務所が負担すべき経費につきまして、関係省庁と弁務官事務所との間で現在詰めの作業を始めている段階でございます。
#95
○坂上委員 今おっしゃいましたところで、例えば自治体の職員、超過勤務をしておる、大変だろうと思うのです。こういうようないわば国連が負担できない、いわゆる地方自治体としてどうしても難民のために出さなければならないという経費、今言ったように職員の超過勤務手当あるいはそれらに関連するいろいろの問題があると思うのですが、これは、今後とも国独自の問題として予算上の考慮ができるのでございましょうか。
#96
○石垣説明員 委員御指摘の詳細につきましては、今後さらに関係者間で話し合いをする必要があろうかと存じます。
#97
○坂上委員 外務省、ついででございますが、どうですか、今この偽装難民が来ているのは福建省あたりから来ていると言われておりますが、これは現地の調査をなさっているのですか、どうです。あるいはこれからそういう調査を中国と協力してやるというようなことはあり得るのですか、どうですか。ただ、ほんの来た人の供述を聞いて、もってこうだ、こういう対応の仕方だけですか、どうです。
#98
○石垣説明員 お答えいたします。
 この点につきましては、私どもといたしましては、先般、答弁いたしましたとおり、まず中国側に事実調査を依頼したわけでございますが、我が国国内におきましても法務当局の調査も進行していると承知しております。こういった調査を踏まえて今後対処してまいりたいと考えております。
#99
○坂上委員 ひとつ、領事館もあることでございましょうから、できるだけの調査をして実態というのをやはり把握をして報告していただかぬと、新聞やテレビはいろいろ実態調査をなさっているわけでございますから、国の方は全然知らないで新聞報道、テレビ報道だけで対処しておられるようじゃ困りますし、しかも、到着した諸君から聞いただけで物の対応をしようとしている、どうもそんなような感じがしてなりませんが、もっと本当に実態的な調査というものがなされなければいけないのじゃなかろうかな、こんなふうに実は思っているわけでございます。
 さて今度は、これを引き寄せる日本の内部で暴力団あるいはブローカー、こういうものが介在すると言われておりますが、この辺の実態はどうですか、法務省。まず、どんな程度に把握しています。
#100
○町田説明員 委員御指摘の暴力団あるいはブローカーの関与の実態、私ども一生懸命関心を持ちまして今調査中でございますが、具体的にどういう男がどういう形で関与しているというところまではまだつかめていない、こういう状況でございます。今後、私ども一生懸命その方向について調査いたすつもりでございますし、この面について警察庁とも協力しながら強力に進めてまいりたいと思っております。
#101
○坂上委員 さてそこで、今回の難民問題をどういうふうに見るか。いわば日本に不法入国をするために難民の諸君をその中に入れて入り込んできたのか、あるいは難民は確かにたくさんおられる、日本に救済を求めたい、それに便乗して来たのか、この辺どういう認識です。
#102
○股野説明員 本来のインドシナ難民と言われるべき人たちの存在がそもそもあって、そこに委員御指摘のような日本に出稼ぎをねらう中国人というものが一緒に来た、そういう意味でのいわば相乗り的な要素というものが今回の事態にはあると思います。
#103
○坂上委員 まあ相乗りは相乗りでいいのですが、相乗りというと非常に偶発的な感じがするわけです。これは相当深い根っこが、計画的なものがないのでしょうか、どうです。
#104
○股野説明員 御指摘の点をまさに今入管当局で、個々の到来しましたボートピープルから事情を聴取することによって事態を解明していきたいと存じておりますが、その調査の過程の中でベトナムから脱出してきた人たちが中国で何らかの組織の仲介を得ているという可能性もあると考えられますので、その点についての調査も今行っているところでございます。
#105
○坂上委員 これから審査が始まるそうでございますが、現在到着しておる諸君の審査は大体どれぐらいで終わるという見通しを立てているのですか。大蔵省が予算をきちっとつけてくれて、あなた方が必要な人員の要求、それからいろいろの予算の裏づけ、こういうようなものがありましてから、この審査がきちっと終わるのは一体どれぐらいかかるのです。
#106
○町田説明員 個々の審査を一人一人行わなければならないわけでございますが、それぞれの条件によってかなり日数の違いがございます。本件の場合には、私ども一番悩んでおりますのは通訳の問題でございまして、非常に通訳の少ない、例えば北部福建語というような言葉でないと通じないとかいろいろな隘路がございまして、苦労いたしております。
 具体的に、それでは何日で終わるのかということでございますが、それはちょっと今のところまだはっきりしませんが、もう少し時間はかかるだろうというぐあいに考えております。具体的に、あと二十日間で終わるとかいうところまで明示できない状況でございます。と申しますのは、現在港におります者たちだけではなく、既に一応入った者、日本に一時庇護上陸をさせた者の中にも再調査をしなければならない者もある、そういうぐあいに見ておりますので、相当の期間かかるのであろうというぐあいに私どもは考えております。そういう次第でございます。
#107
○坂上委員 それは訂正してもいいですけれども、見通しを聞いているわけです。一カ月なのか二カ月なのか。結局、皆さんはその分の予算を要求するわけでしょう。ですから、大体でいいですから、相当期間と言われても困るから私は聞いているのです。きちっともう一カ月以内とか二カ月以内あるいは半年は見てほしい、そしてその大半は大体このとおりに終わりますと、少し明確に答
えられませんか。
#108
○町田説明員 私どもの考えておるところでは、一カ月や二カ月では無理である、恐らくさらに半年近くかかるのではないか、そんなふうな見方をいたしております。
#109
○坂上委員 結構です。
 さてそこで、政府といたしまして現地に責任のある人を派遣をいたしまして、もう少しきちっとこれに対処するというお考えはないのですか。いわば十二省庁が会議をしていろいろ決められるそうでございますが、これは縦割り行政の弊害がここに端的に出ているのだろうと思うのです。もう少し全体的な権限のある者が現地に行っててきぱきと指導するとか、足りないものは直ちに経費を出すとか、いろいろなことがあると思うのですが、そういうことについてはどういうお考えですか。
#110
○股野説明員 ただいま委員御指摘のとおり、中国側の現地の事情をよく把握することが必要でございますので、現在の段階では中国側で調査をしていただいて我々にその結果を通報していただくよう要請しているところでございますが、今後の中国側の回答ぶりも見ながら、委員御指摘のような現地についての情報について日本と中国の両当局による協力が可能かどうか、その点についても検討をしてみたいと存じております。
#111
○坂上委員 不法入国者、そしてもう強制送還だと決定した人は何名くらいいるのですか。そしてその人はどういう人ですか、中国人とかそういう意味ですが。
#112
○股野説明員 五月二十九日に美良島に到着しましたボートピープルから始まりまして、直接本邦に到着した者がこれまでに二千二百五十七名おります。このうち、入管当局で調査をいたしまして中国から渡米してきたと思われる者で退去強制の手続の対象にいたした者は、きょう六日現在で四百八十名でございます。また、このほかにその可能性があるということで調査をしている者は別途六百十六名ございます。さらにまた、五月二十九日以降一たん一時庇護のための上陸を許可をいたしました別途の一千百八十名につきましても、今後再調査を行うことを予定をいたしております。
#113
○坂上委員 さて、現在中国人で難民条約に該当することがあり得るのですか。
#114
○股野説明員 純法理的にこの点を取り上げますれば、難民条約に該当する者は中国人であれほかの出身地の者であれあり得るわけでございますが、それじゃ現実に今そういう可能性がこれまで渡来した人の中にあるかという点については、これまでの調べではその可能性は極めて乏しいと考えております。
#115
○坂上委員 森山官房長官が一番最初にこの発言をなさって、一般的な事項であるというお話があったようでありますが、どうとらえたらいいのですか。
#116
○股野説明員 ただいま委員御指摘になりましたとおり、長官からこの点についての御発言は、一般的な法理的な面をとらえて御発言なされたと伺っております。
#117
○坂上委員 このときは流民問題があるのに、なぜ一般的な問題をおっしゃったのですか。あなたはおわかりになりますか。
#118
○股野説明員 スクリーニング制度という新しい制度を我が国で導入しようと現在検討しているときでございますので、法理的な面の把握という点も重要であるという観点から御発言なすったものと承知をいたしております。
#119
○坂上委員 これは本人が来てもらいたいと思ったのですが、何か忙しくて来れなかったそうでございますが、あなたに余りお聞きするのもいかがかと思いますので、これはこの程度で終わります。
 さて、委員長、いかがですか。今私が指摘をしただけでも相当な問題があろうと思っておるわけでございます。政府の対応は必ずしも完璧でないような気がしてなりません。これは法務委員会としても大村の施設等の実態の調査の必要があるのじゃなかろうかと思っておりますが、ひとつ委員長の方で、法務委員会で早急に実態調査をやっていただきたいなと思っております。ただ、私たちが行きますと、全部それに手をとられて処理が手おくれになっては大変申しわけないことでございます。仮に行くとしても、それに対する配慮も必要でございますから……。
 この難民問題に対して政府当局はもたもたし過ぎているのじゃなかろうか。その原因は那辺にあるか。難民問題に対する国際的な認識、そういうものに対する政府自体の認識がまだ浅いからこういう結果が出ているのだろうと私は思っておるわけであります。これからもまた相当あるだろうと思うのです。一罰百戒で厳重にさえすればもう来ないと思ったら間違いじゃないかと思っておるわけであります。今後ともこれは続々と起こり得ることじゃなかろうかと思っておりますが、最後に、一体政府としてはこれからの問題をどういう見通しを持ち、どう思っているのですか。
#120
○戸塚委員長 委員長として、坂上委員の最初の御発言については、後刻また理事間でよく協議したいと存じます。
#121
○股野説明員 本年、日本のみならず東南アジア諸国等においてもベトナムからのボートピープルの流出が激増しているという状況もございますので、最近、日本において起こった現象というのは今後どういう状況になるのか、今後の状況はよく見てみたいと思いますが、なお今後についても起こる可能性はあると思いますので、その防止のためには、先ほど来申し上げておりますような我が国自体の体制づくり、それから関係する諸国との間の十分な話し合いによる対処ぶりが必要であると考えております。
#122
○坂上委員 難民問題はしばらくおきまして、これの関連事項として少し質問をさせていただきたいのでございます。
 きのう、きょう報道されております天然ウランの事件でございますが、警察当局、来ておられましたら、今どんなような事件として把握をなさっているのか、捜査をなさっているのか、まずお聞きしたいと思います。
#123
○平沢説明員 警視庁におきましては、在日のアメリカ大使館に核燃料物質であるウラン四キログラムを百二十億円で売り込もうとした密売グループ六人につきまして原子炉等規制法違反で逮捕したところでございます。現在その入手ルートあるいは残りのウランの所在等につきましては所要の捜査を推進しているところでございます。
#124
○坂上委員 関係者は全部捕まったのですか。
#125
○平沢説明員 まだでございまして、関係者が何人いるかということにつきましては今後の捜査を進めてみなければわからないところでございます。
#126
○坂上委員 科学技術庁、お見えですか。
 私は、この問題は科学的、技術的には幼稚な問題だと思っているわけであります。しかしながら、ウランが一般に出回っているということは大変な問題だと思っているわけでございます。しかも、こうやってやみからやみにこれの授受がなされているとするならば、これは大変なことだと思うのであります。ロベルト・ユソクが「原子力帝国」という本を書いておるのでございますが、これを見ますと、原子力を選択すると必ずこういう問題が起きるということを言っておるわけでございます。
 そこで、このことによりまして管理国家、警察国家、こういうような状態が強化されるおそれがあるのじゃなかろうか。確かに今天然ウランそのものについては直接国民に放射能等の被害を与えるとは思いませんけれども、こういう重要な天然ウランが売買をされ、秘密裏に出回っているとするならば、これはもう大変なことでございます。これを科学技術庁は一体どういうふうに見ていますか。
#127
○笹谷説明員 御説明いたします。
 原子力につきましては、その経済性、供給安定性さらにまた環境影響面において非常にすぐれたエネルギーだとして、私ども我が国の基軸エネルギーとして今その開発利用を積極的に進めている
わけでございます。
 先生御指摘の管理国家あるいは警察国家というものにつきましては私ども十分承知しているわけではございませんが、我が国では原子力の平和利用を担保するために、あるいはまた核物質の防護、こういう観点から、その防護につきまして盗難等がないように厳重に行っているわけでございます。しかし御指摘のように、こういうことによっていたずらに情報の公開の制限とか、あるいは基本的な人権を不当に制限する、そういうことがないように、私ども管理、いわゆる情報の管理とか、そういうものについては十分配慮していきたい、こう思っております。
#128
○坂上委員 科学技術庁、今のこの問題をどういうふうに見ているのですか、これも聞いているわけですが。
#129
○大森説明員 お答え申し上げます。
 今回、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律違反容疑で六名が逮捕されたということを聞きまして、まことに遺憾に思っている次第でございます。
 先生御指摘のように、今回の事件は天然ウランが四キログラムということでもあり、いわゆる原子爆弾の材料となるものでは全くありませんし、また、安全上もさしたる問題となるものではありません。現在警視庁で事実関係をさらに捜査中ということでございますので、事実関係がさらに明らかになりまして、安全上それから平和利用、こういった観点から必要な事項がありますれば適切に対処してまいる所存であります。
#130
○坂上委員 科学技術庁、この問題は大したことはないと言うの。普通の窃盗事件と変わりはないと言うの。あるいは売り込みに行ったのを、何の犯罪になるかわかりませんが、原子炉規制法違反だそうですが、大したことはないと言うの。
#131
○大森説明員 お答え申し上げます。
 現在明らかにされている事実関係は天然ウラン四キログラムということでございますので、それについていわゆる原爆の材料となるかどうかというふうな関係、それから安全上の問題について申し上げたわけでございますが、この入手ルート等につきましては現在捜査が進展中というふうに聞いておりますので、その結果を見ないとこの事態についての、その部分についての評価というのは申し上げられませんものですから、先ほど申し上げましたように、結果が明らかになりました時点で安全上及び平和利用の観点から必要なことがございますれば対処してまいりたいということでございます。
#132
○坂上委員 今の答弁、納得できませんな。出方によってその対処の仕方が違うなんと言う。安全の上においては一つしかないわけじゃないですか。あなたの答弁、捜査の結果によってそれに対処する、こう言っているだけのことであって、警察庁が言うようなことを言わぬだっていいのです。科学技術庁として、日本の科学の上で、そして国民のいわゆる安全という意味からいって、この問題にどう対処するか、こう聞いているのです。捜査の結果によって対応するなんというなまぬるい答弁じゃいかぬのです。もう少しきちっと示してくださいよ。これは大変なことじゃないですか。しかも、あなた、これはカナダの重水炉だったら直ちに原料になるでしょう、たく原料に。そう安心していられるものじゃないんだよ、今言ったように。この問題、出回ってこういう事態になるということは大変なことじゃないかと私は思っているのです。だけれども、直接的に直ちに身の危険を感ずるものではありません、これはわかっているんだ、さっきから私は言っているんだ。この問題そのものが、いわゆる大変な問題として処理しなければいけないのじゃなかろうか、こう聞いているのです。もう一遍お答えいただきましょう。
#133
○大森説明員 お答えいたします。
 核燃料物質であるわけですが、こういったものが簡単に入手できない、ないしはこういったものに対して厳密な管理がなされているということは現在の法律体制の中でできておるわけでございますので、この事件が、実際にどこから入手されたものかといった点が明らかにならない限り、私どもとしては現時点で具体的な対処ということをお求めになられても、今のところ、現在捜査の結果を待つということしかちょっととりようがないわけでございますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
#134
○坂上委員 それならば、次の質問を一ついたしたいと思います。
 国際的に、国内的に紛失をした核物質の総量、件数、わかっている範囲で答えてください。
#135
○高木説明員 お答えします。
 国外におきまして核物質がどれくらい紛失したかという御質問でございますが、我が国は国外の核物質の紛失につきましては把握し得る立場にございませんので、承知してございません。
#136
○坂上委員 国内は。
#137
○大森説明員 国内についてお答え申し上げます。
 原子炉等規制法によります核燃料物質使用許可等を有する者は、その所持します核燃料物質について盗取、所在不明等生じましたときは、遅滞なく、その旨を警察官または海上保安官に届けなければならない、こういうことになっておりますし、また同時に科学技術庁長官にも報告しなければならないというふうになっております。
 科学技術庁が安全規制を所管しております現在有効な許可事業者数、事業者等でございますけれども、これは核燃料物質の使用者、加工事業者等ございますが、事業所数で約二百弱でございます。このうち、天然ウラン、濃縮ウラン、プルトニウム、トリウム、これを取り扱う事業所におきましても、盗取、所在不明等の報告は受けておりません。
 なお、劣化ウランについてでございますが、これは、昭和六十年八月に日本航空のボーイング747墜落事故に伴いまして、バランスウエートとして尾翼に装着した劣化ウラン、これは全量約二百四十八キログラムでございますけれども、このうち八十キログラムは後日回収してございますが、これが所在不明ということになっております。
 また、既に使用を廃止しております事業所でありますが、昭和四十八年、財団法人日本科学技術振興財団、これの科学技術館でございますけれども、ここにおきまして展示中の天然ウラン、インット二本、重量にしまして一・九キログラムでございますが、これが盗取されたということはございました。
 以上でございます。
#138
○坂上委員 さっき答弁なさった科学技術庁、国際的の方はわからぬ、こうおっしゃった。わからぬところに問題があるんじゃないの。外国ではこうこうしかじかあった、そして横流しがある、あるいは日本に入ってくるだろうか、こういうようなことはしょっちゅう警戒をしていただかぬと大変な問題になるんじゃないですか。知りませんでその責任勤まりますか。私らだってどこでどういうことが起きたぐらいは本やなんかでいろいろ結構報告があるわけですから、どの程度把握をしておられるかお答えになりませんか。わからぬというのはちょっと怖い感じがしますが、いかがですか。
#139
○高木説明員 ただいまの委員の質問でございますが、例えばIAEAで、国際原子力機関でございますが、これは核物質につきまして保障措置の適用を行っているわけでございます。過去二十五年間でございますけれども、毎年九月に年次報告が提出、公表されるわけでございますが、この年次報告につきましてIAEA事務局長から、これらの保障措置の適用を受けてございます核物質につきまして核兵器の拡散につながる転用はなかったということが毎年年次報告で報告されてございます。
#140
○坂上委員 さてそこで、科学技術庁、本件はどこから入手したと想定していますか。全然見当つかぬですか、どうです。
#141
○大森説明員 現在捜査中ということでございま
すので、私どもからのコメントを一切控えさせていただきたいと思います。
#142
○坂上委員 わかっていないから答えないというのか、わかっているけれども答えないというのか、それならそれでいいですよ、どっちです。わかっているけれども答えないというの。
#143
○大森説明員 わかっているか、わかってないかも含めましてちょっとコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#144
○坂上委員 何を生意気な答弁しているんだ。ひとつ委員長、注意してください。そういう答弁あるかね。まかり間違えば国民の命にかかわる重要な問題だ。わかっているけれども捜査上の秘密だからお答えできぬというのならそれでいいですよ。わかっているか、わからぬかわからぬから答弁しませんでは答弁にならぬじゃないですか。委員長からも厳重な注意をひとつ。だったらこれ以上質問できない。もう少しまじめに答えなさい。
#145
○戸塚委員長 委員長として再度科学技術庁大森核燃料規制課長に答弁を求めます。大森核燃料規制課長。
#146
○大森説明員 捜査は警視庁の手において行われておりまして、私どもが得ている情報というのは警視庁から一部分いただいておるだけでございますので、その点からしまして、私ども何らかの判断、推測をする状況に今のところないということでございますので、何とぞ御理解いただきたいと思います。
#147
○坂上委員 わからぬという意味だね。
#148
○大森説明員 先ほど申し上げましたことでございますが、そういう、ただいま私ども入手している情報等から踏まえまして、ちょっと私どもコメントできないということでございます。
#149
○坂上委員 この問題について申し上げますが、こういう事件を契機といたしまして一層秘密主義、警察国家、管理国家、こう進むおそれがあるのじゃなかろうかと思っております。今の答弁はその象徴的な答弁です。どうですか、科学技術庁。国民は原子力三原則を持っているわけだ。民主、公開、自主。そういうような観点から、きちっと国民の前に公表すべき原子力関係の義務があると私は思っているのですが、どうですか、科学技術庁。
#150
○笹谷説明員 御説明いたします。
 先生御指摘のとおり、我が国は原子力基本法にうたわれております公開の原則のもとに原子力開発利用を推進しているところでございます。この公開の原則の適用に当たりましては、財産権の保護という観点から、ノーハウ等商業機密、こういうもの、また、核不拡散という観点から、核物質防護上、機微なる情報等については従来から慎重に対処しているところでございます。しかしながら、企業秘密あるいは核物質防護等、こういうものに名をかりましていたずらに情報を抑えて、いわゆる管理してしまって、こういうことは避けるべきであるというふうに思っております。
 原子力の安全性等に関しまして国民の理解あるいは協力が一層得られるよう、極力成果の公開については努めてまいりたい、こう考えております。
#151
○坂上委員 これは極めて重要なことでございますし、科学技術庁、「原子力帝国」という本もごらんになっているでしょう。これを読むと本当にそら恐ろしくなることが書いてあるわけでして、これもまたこういう危険性があることはよくわかるわけでございます。ひとつこういうようなことのないように、しかも、本件の事件を契機にしましてますます秘密主義が原子力の中で横行するようでは非常に困りますから、ひとつきちっと対応して、皆さん方課長さんですから余り強く言っても私は本意じゃないのでございますが、ひとつ上の方にもお伝えくださいましてきちっとしてくださいよ。
 さて、時間もありませんので、法務大臣、法務大臣とされましてはリクルートの捜査が終わってから御就任になったわけでございますが、リクルート問題、これはどういうふうにお考えでございますか。これは、いわば国民の皆様方はこれに対するけじめはまだついていない、しかも、必ずしもその捜査についても、特に巨悪と言われるような問題点について解明不十分じゃなかろうか、こういうようなことも言われておるわけでございます。しかもまた、灰色高官、前の国会でとうとう灰色高官の認定が決議できなかった。そしてこの次は参議院で、自民党は過半数割れをしたものだから、今度は灰色高官の認定をして、参議院でまず要求が出るのだろうと思っておりますが、こういうような問題を含めまして、所管の大臣とされまして今後リクルート問題に対する対応をひとつお答えいただきたいと思います。
#152
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 いわゆるリクルート事件につきましては、第百十四国会、前国会で、二百六十日にわたります検察当局の捜査を終えました段階で、衆議院の予算委員会、参議院の予算委員会でも御報告を申し上げたとおりでございます。したがって、その後のことにつきましては、これは捜査の段階が終わった後のことでございまして、今ここで私が意見を申し述べるべき筋合いのものではない、裁判の、公判の問題にかかわってまいりますので、差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、次に御指摘のございました灰色高官の問題でございますけれども、灰色高官につきましては、灰色高官というものはどういうものであるかということにつきまして、国会から灰色高官というものについての範囲といいますか、が示されることがなければ法務省として判断をいたすべきことではないというふうに思っておりますので、これは国会の御判断によって法務省としては灰色高官についての報告を申し上げるということになるだろうというふうに考えております。したがって、今の段階ではそういう定義をお一不しいただかないとお答えできないということでございます。
#153
○坂上委員 こういうふうにお聞きをしたことでいいでしょうか。
 灰色高官というのは、今まで国会の答弁によりますと、厳格な定義はありませんが、政治的道義的に責任のある国会議員、これを灰色高官と言っておるようでございます。国会で、灰色高官はかくかくしかじかの人たちである、こう認定があって、その捜査結果を報告せよとすれば、検察当局としては報告をいたす用意がございます、こういう答弁が前回までの答弁なんです。そのまま確認してよろしゅうございますか、こういう意味です。
#154
○後藤国務大臣 そのとおりでございます。
#155
○坂上委員 ぜひひとつ検察の方も、機会があったら詳細な御答弁賜りたいと思います。
 最後でございますが、環境庁。
 熊本に水俣病があります。そしてまた新潟で第二の水俣病があります。この問題の解決は極めて深刻であります。世界的にもこのことは有名でございます。したがいまして、私は新潟でございますが、厚生省、環境庁、まあ当時環境庁あったかどうかわかりませんが、担当省におきまして的確な処理をしていただけるならば、第二の新潟の水俣病は出ないであったであろうと思っております。
 そう思っておりましたやさきに、この間新聞の報ずるところによりますと「”水俣病警告”ドイツ文献 昭和十三年から厚生省に 水銀中毒、詳細に記述」、厚生省の国立公衆衛生院にその本があった。一体厚生省は、国民の健康、そういうようなことについてどういうふうな対処の仕方をしているんだろう。しかも、こういうような文献から見れば、あの水俣病の発病も、こういうようなところから水俣病が発生するんだからというようなことを、的確にこれを把握でき、被害の拡大を防止できたんじゃなかろうか、こう実は言われておるわけでございますが、このドイツの文献というものが昭和十三年から厚生省の国立公衆衛生院に所蔵されており、皆様方が研究をし、お読みになり、行政の上でこれを利用するという立場にあると思っているんですが、ただ単に本を飾っておくだけではないだろう、こう思っておりますが、
この問題、どういうふうなお考えに今なっておられますか。
#156
○田中説明員 ただいまお話のございました、一九三三年のドイツ・ベルリン大学のエルンスト・バーダー博士の「水銀―その製法、工業的利用および中毒作用」と題する書物を、昭和十三年に国立公衆衛生院が買い求め、同院の図書館に所蔵しているということは事実だというふうに厚生省の方からお聞きいたしております。
 なお、御指摘の文献につきましては、九月一日の大阪地裁の水俣病訴訟の口頭弁論におきまして書証として提出されて初めて知ったものでございます。
 その内容の詳細等について現在検討中でありますが、昭和三十年来の水俣病の原因解明の際になぜこの文献が生かされなかったのかということにつきましては、その経緯等が不明でございますが、当時といたしましては、原因解明に当たって内外の文献の有無の検討につきましてもできる限りのことがなされたものだろうというふうには思っておるところでございます。
#157
○坂上委員 もう時間がありませんので終わりますが、それが、まあ当時厚生省でしょう、厚生省の精いっぱいの能力ですか。そんなようなことがこれだけ大量な、もう本当に想像を絶する被害が出ておるわけでございます。しかも第二の被害者まで出したわけです。それが厚生省の能力ですか。ちょっと承服できません。
 新潟の団長が言っています。これと同様のスイスの文献が京都の訴訟弁護団の手で国会の図書館、東大図書館などからも二年ほど前に発見をされた。しかし、今回のものは直接行政にかかわる厚生省内部にあったということに重大な意味がある。拡大、再発に対する国の責任はこれで免れない。責任論の詰めの段階に入っておる新潟の水俣病訴訟にも大きな影響がある。このようなずさんさは厚生省のやり方を見ているとやはりという気がする。しかし、被害者の立場からすれば絶対に許せない。改めて深い憤りを感ずる。
 団長だけでありません。私もこれを見て激しい憤りを感じております。水俣病と限らず、今後こういうような行政の姿勢であったとしたらいかぬと思っております。今はもう過ぎたことでございまするけれども、やはりこのことを基礎にして万遺憾なきよう期してもらいたいと思っておるわけでございますが、最後にひとつお聞きをいたしたいと思います。
 そして法務大臣、今こういうことが裁判になっているんです。今のような状況から見て行政のあり方としていかがでございますか、御所見を承って終わりにしたいと思います。
#158
○田中説明員 先ほども申し上げましたように、この事件が昭和三十年来のことでございまして、当時としては原因解明に当たりましていろいろな角度から文献の有無について当たったものだというふうには考えておるわけでございますが、なおこういった問題に今後十分対応できるように、国立水俣病研究センターにおきましては、水俣病に関する内外の文献検索がスムーズに行われるよう文献検索システムの整備を図っているところでございます。
#159
○後藤国務大臣 ただいまお答えを説明員から申し上げたとおりでございます。なお、この問題につきましては私も重要な関心を持っている問題でございますので、十分念頭に置いておきたいと思っております。
 それから、一言つけ加えさしていただきますが、先ほど坂上委員の御質問にお答えいたしました際に灰色高官の問題に私触れましたけれども、灰色高官の問題につきましては、先ほどのことにつけ加えさせていただきたいと思いますのは、結果について御報告をいたします場合には、今の定義をしていただきましてそれについて御報告をいたします場合には、法令の許す範囲内でしかお答えはできないだろうというふうに思っておりますので、その点一言つけ加えさせていただきたいと存じます。
#160
○戸塚委員長 ただいまの坂上委員の質疑中、股野入管局長の発言に訂正があります。股野入管局長。
#161
○股野説明員 先ほど坂上委員の御質問の中で、五月末以来日本に到着したボートピープルの中で退去強制手続をとっている者の数についての御質問に対して、私、その数は現在四百八十名と申し上げましたが、これは正確には四百六十名でございますので、ここで訂正申し上げます。
#162
○戸塚委員長 冬柴鉄三君。
#163
○冬柴委員 本日の質問の冒頭に、一部起訴も終わっていますが、まだ捜査中の事件でもありますが、宮崎勤にかかわる幼女誘拐、殺人、死体損壊そして遺体遺棄事件というものは、我が国の抱える、豊かさの陰に潜む精神の荒廃という問題をあからさまに示している事件ではないか、このように私は考えます。
 本日の昼のニュースによりますと、本人の供述に基づきまして四人目の被害者と申しますか、吉沢正美ちゃんという七歳の少女と思われる遺体が発掘されたということを報じていました。
 この事件につきましては今、捜査あるいは公判係属中ということで、そのような面ではお答えは難しいかもわかりませんけれども、司法行政を統括される法務大臣として、このような事件の再発の防止といいますか、そのようなことについてどのような所見を持っておられるのか明らかにしていただきたい、このように思います。
#164
○後藤国務大臣 お答えをいたします。
 ただいま御指摘のございました本件につきましては、本当に胸の痛い思いが私もいたしております。このような犯罪が今後起こらないようにするために私どもも最善の努力を尽くさなければならないと思っております。
 なお、本件につきましては、一部検察庁においてもう既に起訴をいたしておりますが、なおその他の余罪といいますか、それに続くいろいろな問題については目下捜査中でございますので、私からお答えするのは差し控えさせていただきます。
#165
○冬柴委員 さて、本年、なかんずく八月に入りましていわゆるボートピープルと言われる者の日本漂着が急増いたしておりまして、質問に入る前に、その対応に大変、寝食もままならず対応をされている入国管理局等々の行政関係者に対して大変に御苦労さまということを申し上げたいと思います。
 そこで、質問に入る前に明らかにしていただきたいのは、難民というものの意義でございます。それをまず示していただきたいと思います。
#166
○股野説明員 難氏についていろいろな言い方がされておりますが、基本的にまず私ども難民として入管法上に対処すべきものは、いわゆる難民条約で定義されているところの難民というものを難民と考えております。
 ただ、このほかに、いわゆる難民条約上の難民の定義には必ずしも該当しないが、インドシナからボートピープル等の形で流出した人たちについては、累次の閣議了解に基づきましてインドシナ難民として我が国に受け入れるというこれまでの取り扱いをいたしておりますので、そういう意味でのインドシナ難民については、これはいわゆる難民条約に基づく難民とはまた異なる受け入れ方をしておるという実態がございます。
#167
○冬柴委員 次の私の質問まで答えていただいたわけですけれども、そうすると、難民条約による難民の定義というのが示されています。「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者」というふうに示されていると理解しているのですが、今言われたインドシナ難民について、この難民というのはここに示された難民のある要件を外すという意味で拡大しているのかどうか、その際、インドシナ難民というのは対象国は具体的にはどこの国を指すのか、その点はっきりしていただきたいと思います。
#168
○股野説明員 難民条約上の難民については、ただいま委員が御指摘になりましたとおりの定義が
難民条約上の定義としてございます。別途インドシナ難民につきましては、累次の閣議了解をもってこれに対する受け入れを行っているところでございますが、我が方の受け入れ方において、現行の入管法に基づきますと第十八条の二という条項において、一時庇護のための上陸の許可という制度を従来適用してきております。ここでは、難民条約の規定する理由その他これに準ずる理由により、その生命、身体の自由を害されるおそれのあった領域から逃れて、本邦に入った者というものを対象にしておりまして、これがインドシナ難民の受け入れについて具体的に適用している考え方でございます。
 したがって、インドシナ難民の場合には、インドシナと申しますと、現実にはベトナム、カンボジア、ラオスという三カ国がその出身地域として該当するものになると思います。
#169
○冬柴委員 そうすると、最初、ベトナム難民の対策について五十三年の閣議了解が一番最初に行われたと理解しているのですけれども、これはいわゆるベトナム戦争によって旧南側に、南ベトナムといいますか、住んでいられた方々を、思想的な理由によって迫害を受けるおそれがあるという場合に、周辺国家あるいはそれに利害関係のある国家、あるいはそのような難民を受け入れてもいいという国家が優先的に受け入れようというところから、ベトナム戦争終了の五十年以降にこういう問題が起こって、我が国も五十三年に対応した、そういう沿革があると理解しているのですが、それでよろしいですか。
#170
○股野説明員 委員御指摘のとおり、このインドシナ難民の受け入れについては、現在はインドシナ難民という形にしておりますが、当初昭和五十二年に閣議了解をいたしましたときにはベトナムの難民という形で始まった制度でございまして、昭和五十四年の閣議了解においてこれをインドシナ難民という形で対象を広げたという経緯がございます。
    〔委員長退席、井出委員長代理着席〕
#171
○冬柴委員 そうすると、今ベトナム、カンボジア、ラオス、これでいいわけですけれども、その対象国以外、例えば中国ですね、これは含まれていないということがはっきりしていると思うのですが、ここで、先ほど言われた難民条約の定義には該当しなくても、人道上その他の事情からという、このその他の事情、それとまた、在留を認めるのを相当とするというような非常に漠然とした概念、これは非常に恣意的な判断がそこに生まれるように思うのですけれども、では、なぜ国内法の改正その他の手続をとらずに閣議了解ということでこのような重大な問題を処理してこられたのか、そこら辺はどういういきさつがあるのでしょうか。
#172
○股野説明員 インドシナ難民について、確かに委員御指摘のとおり、五十二年以降累次の閣議了解を遂げてこれで対処してまいりましたが、その際にインドシナ難民として受け入れる者についての受け入れ態勢について、昭和五十六年に入管法の改正をいたしまして、先ほど私の申し上げました新たに十八条の二という条項によってインドシナ難民を受け入れる際の一つの基準を法的に明確化したという経緯がございます。したがって、それ以前とそれ以後では確かに法的な面で違いがございますが、この法改正の後は、現行の一時庇護のための上陸許可という制度によって対処しているという事態でございます。
#173
○冬柴委員 この一時庇護のための滞在許可というのは我が国が国際的にも初めてつくった概念のようですけれども、これはそれでいいと思うのですけれども、そういいましても、出稼ぎ目的まで広げていいのですか。その点についてどう考えていますか。
#174
○股野説明員 これは我々、現在の入管法の規定の仕方から見ても、出稼ぎの移民という性格のものについては難民という我々の基準には合致しないものと考えております。
#175
○冬柴委員 そうすると、ボートピープルの中には中国の人がいる、あるいはベトナムの人、あるいはラオス、カンボジアの人でも、そういう人は今余り入っていないようですけれども、そういう人でも出稼ぎ目的だということがわかれば、我々としては難民としては扱うことはできない、入国は認めない、このように考えていいのですか。
#176
○股野説明員 法的にはただいまのような区分があるわけでございますが、ただベトナムを含めましたインドシナから到来する難民につきましては、別途、先ほど申し上げました累次の閣議了解の中で一時的に我が国で受け入れることについての制度の弾力的運用ということもございまして、その意味では従来比較的この点について弾力的な対応をしておりますので、その意味で条約上の難民であるかどうかについての審査についても弾力的な運用が行われてきたという事態がございます。
 ただ、先ほど来御報告申し上げておりますように、新たにスクリーニングという制度を国際的な協調の一環として導入する場合には、まさにその点について従来よりも厳格な審査を行うということになる段取りでございます。
#177
○冬柴委員 そのスクリーニングは、やはり難民調査官が行うのですか。
#178
○股野説明員 現在私ども考えております、これはまだ正式な決定を見たものではございませんのであくまで法務当局で現在検討中の段取りでございますが、これの方式でいきますと、一たん日本に到着した者についてとりあえず審査をするために仮上陸という制度を新たに適用をいたします。仮上陸をした後、まさに上陸審査をいたしますので、その上陸審査に当たって一時庇護のための上陸許可を与えるかどうかという判断をいたします。そこでこれを行う者は入国審査官でございます。
#179
○冬柴委員 入国審査官といえどもベトナム語とかカンボジア語、ラオス語は話せないと思うのですが、現在大村その他にその通訳は何人配しているのですか。
#180
○股野説明員 確かに委員御指摘のとおり、言葉の制約というものが非常にございまして、入管局でもその入管局職員そのものの中でベトナム語の要員がまだ十分そろっていない状況にございまして、当面、法務省側の委託を受けまして大村で一時レセプションセンターの運営等に当たっておりますアジア福祉教育財団側においてベトナム語の要員を今現在持っているという状況でございます。
#181
○冬柴委員 聞くところによると二名ぐらいしかいないみたいな感じなんですが、大変苦労していられると思うのですね。ですから、こういう実情を中央が把握されて、そしてやはりそういう者を個別審査する、難民調査官をふやすといいましても、肝心の通訳がおらなければ聞き取り調査はできないわけでありますから、そういう点につきましても十分配慮をされてスピーディーな処理ということを切に求めたい、このように思います。
 それから、漂着した、漂着されたと言ってもいいけれども、地方自治体が難民の一時収容のための衣食住、炊き出しとかボートの焼却まで自費でしなければならないというようなことがあったようですけれども、それにつきましては、先ほどの委員の答弁の中で国連難民高等弁務官事務所が原則として負担するということが決まったというふうに答弁がありました。それはそれで評価するのですけれども、その他方自治体、市町村ですね、とりあえず支出した市町村がどんな手続でそこへ請求したらいつごろその金が入るのか。それからまた、今問題になっている難民と認定されない、例えば中国人、中国籍の人とかそういう人が漂着した場合に、これは国連難民高等弁務官事務所はその費用を負担するのですか。それをしないといった場合にどこが負担するのですか。その点を明らかにしていただきたいと思います。
#182
○股野説明員 まず難民高等弁務官事務所側との交渉において現在合意を見ております範囲につきましては、先ほど外務省側が御説明いたしましたとおりで、外務省側に別途また御説明を願いたいと思いますが、我々入管当局において退去強制手
続に付するというための手続をとる対象者につきましては、これは難民性を有しているとは認められませんので、退去強制手続をとる段階になりましてからは当然国が政府の施設に収容することを初めといたしまして対応すべきものと思っております。
 問題は、その退去強制手続をとるまでの間に果たしてこれはインドシナ難民であるのかどうなのかという点で審査をする必要がございまして、その段階ではまだ難民性を有する蓋然性があるということで我が国に仮上陸をすることがあり得るわけでございますので、その段階については国連側の費用の負担ということが現在考えられておりますが、具体的には目下まだその詰めを行っているものと承知をいたしております。
#183
○冬柴委員 今のお話を聞いていますと、現実に自分の村、漂着されたところは大変な迷惑なことになりますよ。東京でこれがどちらが負担すべきであろうかというようなことを鳩首協議している間、その人たちはその人たちの世話をしなければならぬ。それから疫病を予防する意味では船まで焼かなければならない。そんな手間とか費用とか、そんなものをそういうところに負担をさすということになりますと、今後そういう意味じゃなしに本当に漂着した難民たちをもうおれたちの村には着かないでくれといって追い返すような非人道的なことが起こらないとも限りませんよ。私はそういう意味で早急にその問題につきましては、地方自治体と関係省庁とが協議を遂げられまして万遺漏のないようにしていただきたい、このように特に要望しておきたいと思います。
 最後に、先ほど太田委員の質疑の最後の問いの中で、いわゆる就学生というものを本来は認めるべきではない、そして外国の、主要な各国に多数の日本語学校を我が国の資金援助のもとに設置、運営をして、日本語及び日本文化の普及に積極的に努めるべきだという趣旨の発言だというふうに私受け取っているのですが、これは私が年来考えていることであり、独立してでもこれを質問をしたかった事項であります。
 そこで最後に伺いたいのは、我が国に来て勉強したいといういろいろな国がたくさんありますけれども、そういう国に政府開発援助等によって日本語学校というものを設置し、運営するという、そういうような考え方があるのかどうか、その点をお尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。
#184
○大島説明員 海外におきます日本語普及事業の一環といたしまして、日本にやってまいります留学生あるいは就学生に対します日本語の予備教育、こういうものをやっておるわけでございます。国際交流基金を通じまして教員を派遣する、例えばマレーシア、中国、インドネシア等にやっております。それから、青年海外協力隊の中で、二十数名が主としてこういった日本語の教育に携わって派遣をされておるというようなことがございます。最近は、今委員御指摘のような、例えばこれはインドネシアの例でございますけれども、大学の中に日本語センターを建設する、これはODAの事業の一環としてやっておりますが、こういった事業を既に手がけておりますし、来年度に向けましては、さらに日本語研修センター、こういったものを開発途上国、一部先進国もございますけれども、開発途上国で建設をしていくというようなことも実施に移しつつありますので、御指摘のようなことを踏まえまして各国の要望、要請、こういうことも十分見きわめながら対応してまいりたいと思っております。
#185
○冬柴委員 留学生の倍ぐらい就学生がいる。これは私は就学生というのはできるだけ母国で日本語を勉強されて、そして留学生は少なくとも授業を日本語で受けられる程度の学力をつけてから来ていただきたい。もしこちらへ来て日本語を習いたいというのであれば、そのためにはその財政的な裏づけをきちっとした保証を得て、こちらでアルバイトなんかしなくても勉強できる程度のものを携えて来ていただきたい、このように思っておりますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わりたいと思います。
#186
○井出委員長代理 中村巖君。
#187
○中村(巖)委員 本年の五月二十九日以来今日まで、正規の手続によらないで船で日本に入国をして上陸をした、こういうケースが多発をしているわけでございまして、五月二十九日以来ということで法務省の資料によりますと二十四隻来ている、こういうことでございます。そのうち法務省が十八隻を日本に直接漂着したケース、こういうふうにされているわけでありますけれども、端的に言って、まずこの十八隻の日本に直接漂着をしたケース、この中にベトナムを近々の間に出国をして日本に漂着をしたというケースがあるのかどうか。この十八隻全部が中国を出て日本に来ているのではないか。少なくとも船舶の状態というものを見ればこれは中国製の船舶である、こんなことが言われておるわけでありますが、その辺、今調査中ではありましょうけれども、今の現段階で十八隻全部、またそこに乗船をしておった人間全部が中国から来たのではないか、こういうふうに思われますけれども、その点はいかがなんですか。
#188
○股野説明員 ただいま委員御指摘の問題意識も我々の中にあって現在審査を続行しているわけでございますが、何分にもその実態がまだ十分に把握できていない状況がございます。問題を複雑にいたしておりますのは、明らかに中国から渡来したと思われる者と、それからベトナムから渡来したという可能性が十分あると考えられる者とが同じ船に一緒に来ているという点が非常に審査を難しくしている点でございます。それからまた、一部のボートピープルの陳述の中で、ベトナムから一たん出国しました後、中国に寄ってそこで船を新たに調達してきている、その意味で日本に来る船は中国からの船であるけれども、もともとはベトナムからもやはり別の船で出ておるのだ、こういう陳述もございますので、その意味で我々としてもまだ実態を十分把握しかねている状況でございます。引き続き審査の続行中でございますが、その船の実態について今のような状況があるということを念頭に置きながら、しかし、やはり中国から渡来してきた者と我々として判断せざるを得ないという立場で既に退去強制手続の対象とした者が、先ほど申し上げました四百六十名でございます。
    〔井出委員長代理退席、委員長着席〕
#189
○中村(巖)委員 だから、要するにベトナムから船を仕立てて中国へ入った、そしてまた別の船で中国から来たんだというふうに陳述をする者があったとしてもそれは虚偽の陳述で、実は、中にはベトナム人はあるかもしれないけれども、そのベトナム人も中国に一定期間居住をしておって、そしてそれは中国人と一緒に日本に来たのではないか、こういう疑いというものはいろいろな新聞紙上からするとあると思うのですが、そういう疑いのあるということでやっているのか、それとも今局長が言われるようにベトナムから直接出てきた人もあるんだという観点でやっているのか、その辺を聞きたいわけです。
#190
○股野説明員 ただいま委員の御指摘のありました、もとベトナムに在住して、そしてその後中越関係の緊張時に中国へ移って一定期間定住をして、そして今度日本へ来た、こう考えられる者も現実に今度の一連のボートピープル到着のケースの中でございます。したがって、その二つについては我々はそういう状況があると判断しているわけでございますが、同時に、引き続きまだ、ベトナム自身から直接到来したケースということについて現在調査をして確定をしていきたいと考えているところでございます。
#191
○中村(巖)委員 それで、今十八隻について法務省としては恐らく中国から渡来したのではないかという疑いを持って調べておられると思うのですけれども、法務省からいただいた資料によると、六月六日に大阪へ上陸している米国船に救助をされた百七十三名、さらに七月六日、関門に上陸をしておる、やはり洋上でもって米国船に救助をさ
れた百三十三名、これについても、これはやはり中国から来たのではないかという疑いはあるのではないですか。
#192
○股野説明員 今の御指摘の米国船で救助された者についてもこれから、先ほど申し上げましたように、もう一度再調査をするということにはいたしております。人数が多いという点等で従来と違う要素も見られますので、その意味で、一たん一時庇護のための上陸許可を既に与えた者についても今後再調査を行う予定でおります。
#193
○中村(巖)委員 五月二十九日以降今日まで膨大な数、本来のベトナム難民と思われる者も含めて二千六百五十一人、こういうふうに来ているわけですけれども、このうちどの段階の者までが既に一時庇護のための上陸を許可されていることになるのか、その辺はいかがでしょう。
#194
○股野説明員 今、正確な点は確認をして後ほど御報告したいと思いますが、八月の下旬までの段階は一時庇護のための上陸許可の対象としてまいりました。
#195
○中村(巖)委員 その段階で、恐らくどうも五月二十九日の上陸者の中には中国人がいるらしいということが判明したので、それまではわからなかったからどんどん一時庇護のために上陸させていた、こういうことらしいのですけれども、八月の下旬まで五月二十九日から三カ月経過している。その間に全然気がつかないで、中国人がどんどん入ってくるのに、いやこれはベトナム難民だというふうに思って一時庇護のための上陸を許してきたということは、やはりそれを審査するというかその段階に、法務省の入管の機構なりあるいはまたやり方そのものに、余りにもずさんだ、こういう欠陥があったのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#196
○股野説明員 ただいま委員御指摘の点、私どもも相次ぐボートピープルの到着ということに対して十分を期し得なかったという点は大変残念だと思っておりますが、そういう点についての今人員の増強等を行いまして努力を重ねているところでございます。
 ただ、委員御指摘の五月二十九日に最初に美良島に到着したグループについて、入管当局としてはこのグループが初の大量の直接漂着ケースでございましたので、その段階では従来の一時庇護のための上陸許可という制度が適用されましたが、その段階から私どもとしても何かこのグループの中に従来のものと違う異質のものがあるのではないかという感触は持っておりましたので、実は五月二十九日の到着以来既にそういう意味での我々の調査を内々の形で行っておったわけでございます。ただ、何分にもこれを確定するということについてはいろいろな障害がございましたが、その後に至りまして在日の中国人からの通報等に基づいて確定をする事態に至りましたので、八月以来そういう意味での取り扱いも変えたということがございます。
#197
○中村(巖)委員 五月二十九日以降の私が御指摘を申し上げた船も含めて二十隻、これが全部中国から来たということであって本来のベトナムから近隣に出国した人を含んでいない、こういう仮定をいたしますと、これはまさに偽装難民、えせ難民、こういう問題でございまして、本来の難民問題とは全く縁もゆかりもない問題ではないか、こういうふうに思われるわけでございます。言ってみれば密入国者集団が渡来した、こういうことにしかすぎないのではないか、こういうふうに思います。したがって、この難民問題とこの問題とは峻別をしてかからなければ話にならないのではないか、こういうような感じがいたすわけであります。ところが、今法務省の対応というものは、調査中であるとはいえ、何となくこれも難民問題というような、両方をごちゃごちゃにしたような対応をしているように思われますけれども、そういうことはないのでしょうか。
#198
○股野説明員 委員御指摘のとおり、中国から直接日本に渡来している者については、これはインドシナ難民に対する我が国の対策として累次の閣議了解を遂げている内容には合致をいたしませんので、通常の不法入国として対処するというものだと思います。
 他方、ベトナムからのボートピーブルの流出が、ことしになりまして日本のみならず近隣のASEAN諸国あるいは香港等においてもふえているという状況が現実にございまして、その関連では我々としても、ボートピープルが日本に到着するということについては、これは本来のインドシナ難民の問題として対処していく必要があると考えておりますので、その意味では、委員御指摘のとおり中国側の人物が来たという点はあくまで区別して扱う必要がございますが、他方、インドシナ難民の問題というのは難民の問題として引き続き対処をしていく必要があると考えております。
#199
○中村(巖)委員 密入国者集団がわっと我が国に来たという問題は、かつて韓国から密入国者の集団がどんどんと日本にやってきた、こういう事態とほとんど同じだと私は思っております。
 そこで、この二つのグループを分けて考えなくちゃならぬということで、まず第一に本来の難民の問題でございます。インドシナから今いわゆる難民扱いをされて入国をする人たちの問題でございますけれども、これは言ってみれば、昨年度で見ますれば、六十三年にも数が少なかった、あるいは六十二年にも数は少なかったわけでございます。今後、この本来のベトナム難民が日本へ来る可能性、そういうようなものをベトナムの情勢とあわせてどういうふうに考えておられるか、外務省にお伺いをしたいと思います。
#200
○石垣説明員 お答えいたします。
 いわゆるインドシナからのボートピープル、ベトナムを中心とするボートピープルでございますが、この流入問題につきましては、ASEANを中心とします東南アジア諸国、香港等が頭を悩ましている問題でございまして、今後とも基本的には続くのではないか。この背景としましては、ベトナム自体の経済情勢にも起因するところが大きいのではないかと私ども考えております。先般六月、インドシナ難民に関する国際会議が開かれたのもそういった背景のもとでございます。
 ただ、最近の偽装したベトナム難民の問題につきましては非常に異常な面があると考えておりまして、これが今後とも同じような伸びで続くかどうかということについては現段階では何とも言えないというふうに考えております。
#201
○中村(巖)委員 偽装難民、えせ難民については、これはスクリーニング以前の問題で、こんなものは不法入国者ということになるわけでありますけれども、そうすると、先ほど来スクリーニングの問題を言われているのは、ベトナムから直接出国して日本へ漂着するそういう人間についても今後は余り甘い顔をしないよということでスクリーニングをする、こういうことになるわけですね。
#202
○股野説明員 まさに委員御指摘のとおり、ベトナムからあるいはインドシナから来る難民について難民性の審査に厳格を期していく、その基準というものは先般のジュネーブにおける国際的な合意に合致するものである、こういうことでございます。
#203
○中村(巖)委員 いや、難民性の審査は厳格を期する、それはわかるのですが、そういうふうな言い方をすると、先ほど冬柴委員が聞いたように、今、難民といったって、難民条約あるいは難民議定書上の難民でなくても一時庇護だということでどんどん入れているわけですね。そうすると、今後はスクリーニングをやることによって本当の難民だ、難民条約上に言われる難民だという者だけを入れるのか、それとも、やはり国際関係上そうはいかないんだということで、難民性の認定というものの基準を中途半端なところというか変なところへ置かなければならなくなってくるのじゃないかと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
#204
○股野説明員 この点は先般のジュネーブの国際的な合意の実際の運用ということにもなろうかと思います。これは各国側もそれぞれの考え方でしていく中でおのずと一つの国際的な基準というも
のは出てくると思いますので、そういうものを踏まえながら我が国としても対応していくということになろうかと憩います。
#205
○中村(巖)委員 いわゆるこれは概念の問題だから難しいのですけれども、やはりこれからのベトナム難民というものが、先ほど外務省にも伺いましたけれども、経済状況が悪いから出てくるということ、本来の難民であってもそういうことにならざるを得ない点が多いと思うのです。ただ、そうなると、今度スクリーニングを加える上では、単に経済的理由でやってきた者はだめだ、こういうふうにするということなんですか、どうなんですか、端的に。
#206
○股野説明員 経済的な出稼ぎ目的で来るということについては、これは難民とは認めがたいというのが一般的な国際的な考え方になっておりますので、そういうことで我が国も対処していくことになると思います。
#207
○中村(巖)委員 まあ数の上からいえば、六十三年に上陸した人は、船舶数で九つで上陸者が二百十九人、六十二年には船舶数が十で上陸者は百四十四人、こういうことになっておるわけですけれども、今度は、法務省の見通しでは、そうなると今後これは難民と認めがたいよということで、上陸してもそれは強制退去になってしまう、こういう事案がふえて、現実に上陸を許可される人数というようなものは少なくなっていく、こういうことになりますか。
#208
○股野説明員 昨年及び一昨年の数字についてはただいま委員御指摘のとおりでございまして、ことしがこれまでにない事態でございまして、従来の扱いの中で、これから新しい審査を行っていきます、そうなりますと、その中で難民として一時庇護のための上陸許可を与えるという人数は、これはその全体の中のやはり一部分、こういうことになってまいると思います。
 では、全体的な数字としてどうなるかといいますと、これは直接の到来のケース等を考えましてまだ必ずしも予測はできませんが、従来我が国が、昨年あるいは一昨年受け入れてきた人数というものは、これは本来的に少ない数であったと思われますので、ことしの特別な事態ということになりますと、これを見て今後の絶対的な数というのがどのくらいになるかについては若干私どもも予測困難な面がございますが、しかし、日本に来てもその中で一時庇護のための上陸許可を与えられて定住を認められるという者はその中の一部分にとどまる、こういうことになる見通しでございます。
#209
○中村(巖)委員 そこで外務省に伺いたいのだけれども、そうなるとベトナムから出てきた人間であっても日本ではこれは難民とは認めがたいということになって、では強制退去だということになると、ベトナム側はその強制退去された人間を受け付けるのですか。
#210
○石垣説明員 お答えいたします。
 ベトナムにつきましては、関係各国が流出防止策をとるようにということを従来より再三申し入れますとともに、帰ってくる難民については引き取るようこれまたいろいろな面で圧力をかけているわけでございますが、ベトナムの従来からの公式的な立場といいますのは依然として自主的帰還によらない者は引き受けないという立場にとどまっておりますので、今後、スクリーンアウトされたベトナム人の送還については実際上困難な問題はあろうかと存じますが、今後の調査結果等も踏まえまして、私どもといたしましては越側に対しまして、送還されることとなった者の受け入れについても強力折衝を重ねていく所存でございます。
#211
○中村(巖)委員 強力折衝を重ねていく所存であるということはわかりますけれども、従来ベトナムは、そういう強制退去だと言われた人間は絶対入国は認めないんだ、こういうふうなやり方でやってきたということは間違いないのですね。ですから、そうなると、スクリーニングをやりますと言ってみたところで、実際スクリーニングをしてあなたは強制退去と言った、ところがベトナムは引き取ってくれないということになってしまって、中途半端な人間が、日本の上陸は認めないんだ、だけれども日本にいる、仮上陸か何か知りませんけれども、そういう人間が今後やたらとふえてしまって困るのじゃないか、この点はどうですか。
#212
○股野説明員 送還を実際に行うにはベトナム側のこれを受け入れるということがぜひ必要でございますので、それが実現するまでの間、この退去強制手続の対象となった者については日本に滞在することになります。それについて、当然収容施設というもので収容をしてまいることになりますが、しかし同時に、その収容期間が仮に長期に及ぶという場合には、先般御報告申し上げましたような仮放免という手続もあわせて併用する道も開きまして、居住地を指定し、そして収容所の外で実際には居住する、こういうことも考えていかねばならないという状況でございます。
#213
○中村(巖)委員 それはいつまでも収容所に置いておくわけにはいかないだろうから、そうなると、今言うように仮放免ということをしなくちゃならない。そうすると、本当の意味で滞在許可のない人間が結局日本に滞在をする。そういった中でやはりその人たちも働かなければならない、そんないろいろな問題が出てきて、あるいはまた仮放免するまで長期に収容所に置いておくということになればそれに対する経費そのほかも非常にかさむ、こういうようなことになってしまうわけですね。その辺については、もうそれ以外にやりようかないのでしょうか。
#214
○股野説明員 この難民問題について、流出を防止するという一つの国際的な努力は現在行われておりまして、実際上なかなか妙案というものが今までのところ確立していないというのが現実でございます。そこで、それに対して今までよりも防止をするために新たな努力を講ずるということが国際的な一つの合意になっておりまして、その意味で我が方が新しいスクリーニングを入れるのも防止というための効果を非常に意図したものでございます。
 日本に来ても定住を認めない、また第三国への定住も認めない、したがって退去強制手続の対象になる、こういう新しい体制ができますと、この流出してくる人たちも定住ということを本来目的としてくるわけでございますから、そういう意味での歯どめがかかるということがこのシステムの一つの目的とするところでございます。なかなか一つのシステムのみをもっては十分は期しがたいと思いますが、少なくともそういう意味での抑止的な効果ということについては実効も期待し得るのではないかと思いますが、これは関係各国が一緒にこれを実施するという点も大事でありますので、そういう意味での関係各国との協力態勢も必要であると考えております。
#215
○中村(巖)委員 本来の難民の問題についてはまだいろいろ問題もあらうかと思いますけれども、それはさておいて、今度はえせ難民の問題でございまして、いわゆる偽装難民、これが発生をするという原因については、中国において生活が苦しいとか、いろいろな状況があろうかと思うわけでございます。中国の今の経済の状況、こういうものが大変悪いということは私どもも承知をしているわけでありますけれども、こういう背景というものが変わりがないとすれば、今後とも何らかの形で日本へ侵入をしよう,――侵入という言葉はあれですけれども、日本に入ってこよう、こういう偽装難民というようなものがどんどんと起こってくるんじゃないか、こんなことが考えられますけれども、そういうような見通しというか状況について外務省としてはどう考えておられますか。
#216
○石垣説明員 お答えいたします。
 いわゆるベトナム難民を装ったボートピープルでございますが、その動機、背景等につきましては関係当局の調査が進行中でございます。私どもとしましては、その背景には、やはりその装った難民が出てくる地域の経済事情と我が国の経済水準との経済格差、さらには就労といった経済的目的が基本的にはあるのではないかと考えておりま
す。
#217
○中村(巖)委員 五月二十九日以来今日までそういう人たちがたくさん流入をしてきている。それは根本的にはいろいろな原因があるし、またこの時期にこういうふうに起こってきたということは、一つは海洋の気象条件というようなものがあって、五月ごろから九月ごろまでは非常に気象条件がいいだろう、だから日本に行かれる、冬になれば波も高いから大変だということでここで一時的に激増をしている。だから九月を過ぎれば恐らく減るんだろうというふうに思います。来年になったらまた海洋の気象条件がいいときにはこういうふうに出てきてしまうのではないか、こういうような感じがしてならないわけでございます。
 しかし、こういうふうに言ってみれば組織的としか言いようのない仕方で偽装難民というか密入国者団というものが日本を襲う、こういうことの中には、何らかの形で日本に行けば働ける、そして金が稼げるというような状況をつくり出す条件があると同時に、そういう機構というものが日本につくられているんではないか。だから、それとの連携の中で送り出し側も送り出してくる、受け取る側も受け取って、それを労務あるいは労働力として配慮をしていく、こういうような体制そのものができているんじゃないか、こんなような感じがしてならないわけですけれども、その面について暴力団なりブローカーというものが関与をしている疑いというものが非常にある。そういうものとの連携の中で送り出し側はそれだけの船団を仕立てて、船団ということでもないかもしれないけれども、仕立てて日本へ送り込んでくるんだ、こういうような感じがするわけですけれども、その辺のことについて、入管なり、入管というよりも警察の方ではどういうふうに認識をされて、どういうふうに対処されようとしているのか、その辺を伺いたいと思います。
#218
○根本説明員 今委員御指摘の点でございますけれども、そういう可能性は大変あろうかと思います。ただ、現在、この問題、御指摘の偽装難民の問題にかかわっては、そういった実態、いわゆる暴力団がブローカーまがいのことをやって引き入れたとか、そういった実態は現在のところ把握しておりません。
 今後は、特に入国管理当局と協力いたしまして、そういった偽装難民の入国や労働者の就労の背後にあるブローカー等の実態解明と違法行為の取り締まりに努めてまいる所存でございます。
#219
○中村(巖)委員 かなりそういうことがなければこういった形は起こってこないと思うのです。ましてや九月三日に長崎市の海岸に接岸をして不法に強行上陸をした事案なんというものは、ベトナム難民を装うどころの話ではないので、それは日本の受け入れ機関があって、上陸をしてそこと何らかの連絡がとれれば日本で働くことができるというような状況になっているのじゃないか、こんなことが疑われるわけでございまして、そういう意味で、日本におけるそういう暴力団かブローカー’かそれはわかりませんけれども、受け入れ組織みたいなものを根絶しないと、やはりこういう問題はなくなってこない、こういうふうに思うのでございます。その点を警察でも鋭意そういうものを突きとめていただきたい、そして根絶をしていただきたい、こういうふうに思います。
 だんだん時間がなくなりますけれども、もう一つは、中国の関係については、これは強制退去だということで今お話の中で四百六十人にもう退去令書が出ている。それからさらに調査をしていけば、恐らくはこれは全体で二千人を超えるような状況になってくるのじゃないかというふうに思われますけれども、この関係の退去強制の執行の実効性、こういうことについては法務省なり外務省、どういうふうにお考えになっておられます
#220
○股野説明員 ただいま委員御指摘のとおり、既に退去強制手続をとっておる者が四百六十人に及んでおるわけでございますが、これについて当然、送還の実施ということになりますと中国側との話し合いが必要になってまいります。ただ、この問題の重要性ということについては先般来の両国の外務当局間の話し合いの中で中国側も認識をしているという感触が得られておりますので、具体的な人物についての、中国人であるとの特定がなされ次第送還ということも十分でき得るのではないかと今考えておりまして、現在、そういう意味での個々の人物の特定等についての手続を進めているところでございます。
#221
○石垣説明員 中国側につきましては基本的に、我が方の申し入れに対しまして、身柄の引き受けについては、中国公民と明らかになれば前向きに対処するという意向を示しておりますので、私どもとしましては、中国側の調査、日本側の調査を踏まえつつ、送還実現に努力してまいりたいと考えております。
#222
○中村(巖)委員 そういうことで中国側は柔軟な姿勢であるということは新聞にも報ぜられておりますけれども、実際問題として、では既にして四百六十人も退去手続がなされている者をどうやって中国へ送り返すのだ。では船を仕立てて中国へ送っていくのか、それとも航空券を買って中国へ行かせるのか、あるいは中国から引き取りに来てもらうのか、こういうようなことはどうなっているかということですね。そうでないと、確かに中国側は柔軟な姿勢であっても、実際に日本を出国しない限りは日本でもってずっとこれを収容していなくてはならない、こういうことになるわけで、大村の収容施設にしてもどこの収容施設にしても、こんなたくさんの人を長期にわたって収容をしておく、そういう条件がないというふうに思いますので、その辺具体的にどうするつもりなのですか。
#223
○町田説明員 具体的に中国側との交渉につきましては外務省が現在担当いたしておりますが、そのうち中国側とチャネルができれば恐らく日本の入管と中国側の入管当局との間で具体的な話が始まるであろう、それによって初めて具体的な送還の方法、委員御指摘の、例えば船によるとかどちらがお金を持つというような話はこれからだんだん決まっていく話であるというぐあいに思っております。その間私どもは身柄を収容しておく、こういうつもりでおります。
#224
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので最後の質問ですけれども、先ほど来各委員から御指摘がございますけれども、こういうような問題が、偽装難民と申しますか中国人の密入国の問題が発生をしてくる背景としては、やはり何といっても日本に来たら働けるんだ、こういうことがあろうかと思うわけでございます。どうして働けるということになるのかというと、現実に日本に就学生という名前によって来ている人たちが働いて金をもうけているわけですから、そういう実態があるから、日本に来れば働けるのだ、こういうふうな思いに駆られるわけです。だから、就学生問題というのはこの問題と切っても切れない関係にあるのだろうというふうに思っております。
 それで、就学生問題についていろいろ根本的な議論もありますけれども、法務省は実際問題として今中国人の就学生については、あるときはずっと枠を広げて受け入れますよという形でやり、あるときはちょっとやはり中国人の就学生はいろいろ問題だからこの枠を狭めるんだということでおやりになって、今なんかは日本語学校からいろいろ申請をしてもなかなか許可にならない。ある学校では十人申請すれば一人許可になればいいんだ、こんなような格好になってしまっているわけですね。今後、この就学生問題について就学生政策というかそういうものを、入管が窓口でありますから、日本全体としてどうしていくのだということについてどうお考えになられるのか、それを伺いたいと思います。
#225
○股野説明員 就学生の問題が日本における中国人のアルバイトという形を通じて一つの就労の問題と関係があるという状況になっていることは、これは事実だと思います。
 そこで、就学生の問題を、そのアルバイトの適正なあり方ということとの関連でしっかりとした体制をつくっていくことがぜひ必要であろうと考
えておりますので、昨年来、まず本来の学校側の体制をきちんとするということから、文部省と法務省当局との協議を経て新しい日本語学校の運営基準というものもつくりました。またそれに基づいて、今後の日本語学校の運営について法務、文部両省の指導のもとで、新しい指導と審査のための体制をつくりましたので、そういうものを通じて日本語学校側が適正な受け入れをするという態勢が今後できていくと考えております。そういう新しい体制を通じながら就学生の適正な受け入れということを図っていく。これはその場合特に中国人の就学生の希望者が多いので、そういう点を十分念頭に置きながら対処していくという努力を現在行っているところでございます。
#226
○中村(巖)委員 本当はそれは本末転倒しているのですよ。実際に中国人の就学生をどのくらい受け入れるかということが先決問題であって、それについて国の政策をどうするのかということが先決問題であって、それによってあとは、これだけ受け入れるなら日本語学校の基準もある程度緩めよう、あるいはもう受け入れない、厳密にやっていくのだから、数を少なくしていくのだから日本語学校の基準も極めて厳しくしていくのだ、こういうことになるわけで、その辺の政策を先に確立する、どういうふうに就学生政策をするのかということが先決だと私は思いますので、それを指摘を申し上げて質問を終わります。
#227
○戸塚委員長 伊藤英成君。
#228
○伊藤(英)委員 この難民の問題は本当に難しくて厄介な問題だとも思いますし、本来ですといろいろ深く討議もしたいと思いますけれども、できるだけ今までの各委員の質問と重複を避けて御質問をしたいと思いますが、一部重複するところもありますけれども御了承を得たい、このように思います。
 先ほどの話にも、今回のこの問題もかなりの部分がいわば密入国者集団が到来したのじゃないかというような話もあったりいたしました。私は、今回の問題で、新聞でもいろいろなことが報道されておりますけれども、五月二十九日に佐世保の美良島に難民船が漂着をして、その後何隻も漂着しているのですが、この八月三十日には、新聞の記事でも報じられておりますけれども、熊本県の牛深市では約百七十名の難民を乗せた船が着いて、そのうち約三十人があっという間に上陸をした、そして検疫を受けることもなくて山中に逃げ込んだということであります。さらに九月三日にも長崎市の海岸に不法上陸をしたということであります。今、逃亡をしたまままだつかまっていない人というのはいないのかどうか、そして検疫を受けずに上陸をしたということでありますけれども、これは日本のその地域の住民の生活等を考えたとき、本当に大丈夫なのかどうかということについてまずお伺いします。
#229
○町田説明員 ただいま委員御質問のありました逃亡した者がいないのかどうかという点でございますが、例えば熊本の牛深のケースを考えてみますと、具体的に何名上陸したのか私ども把握できないものですから断言はできませんが、恐らく余りいなかったのであろう、こういうぐあいに考えております。それから佐世保のケースでございますが、リーダー等の証言等からして余りいないであろう、こう思っておりますが、実は、いずれのケースも委員の御指摘のとおり、我々入管当局あるいは警察当局あるいは海上保安当局が発見する以前に上陸されてしまったケースなので、正確にこうであるということを断言して、絶対いないということは言えないわけで、その辺が大変残念なところでございます。
 それから検疫の関係については、私ども所管しておりませんのでちょっとお答えしかねるわけですが、大変よろしくないことである、そういうことだけは強く感じております。
 今後ともほかの機関と協力して、勝手に上がられてしまうということのないように一生懸命努力してまいりたい、こういうぐあいに考えております。
#230
○伊藤(英)委員 本当によろしくないことです。かつて九州方面等にもどこかの国の方が来て日本の女性が拉致をされていったりしたこともありますよね。実際に日本の国民の生活のことを考えたときに、今回のように、皆さん方が本当に御努力をされていると思いますけれども、現実にともかく余り凶悪な人はいないと期待しますけれども、そういう人が入ってしまうという状況ですよね。こういうような状況で本当に日本の海岸警備等は十分に果たせるのだろうかというふうに思うわけでありますけれども、今の警備体制という意味で、これはいわゆる難民であろうとそうでなかろうと、先ほどいろいろ議論がされているように、そういうことは別問題にして、現実にこういう形で上陸をしてしまうという状況について警備体制上どのように考えられますか。
#231
○夷子説明員 お答えします。
 海上保安庁といたしましては、相次ぐ難民船の我が国海域への入域を非常に重視いたしまして、九州、沖縄それから山陰周辺海域を担当する管区海上保安本部、具体的に申し上げますと第七、第八、それから第十、第十一管区でございますが、この管区を中心に難民船の進入が予想されます海域に巡視船艇それから航空機を重点的に配備いたしまして、難民船の海上における捕捉に努めているところであります。
 しかし、最近さらに、今御指摘のように難民が本邦に直接上陸して、そして直ちに逃走するというふうな事案が発生したことにかんがみまして、さらに領海警備を厳重に実施しております。今後とも関係機関と密接な連携をとりつつ、適切に対処していきたい、このように思っております。
#232
○伊藤(英)委員 いわゆるボートピープルの上陸リスト、きょうの委員会の最初にも御説明がありました。これで見ても、一生懸命にそれこそ海上保安庁も今のお話のように御努力はされていると思いますが、しかし、このように毎日毎日どんどん上陸をしてくる、どんどん上陸してくるという言い方は若干語弊があるかもしれませんがそんな状況。そして先ほど申し上げたように八月三十日もある、あるいは九月三日も不法上陸というようなことが起こってくるわけですね。本当に大丈夫だろうかという意味で、これからも鋭意御努力はされていくと思いますが、大丈夫だと断言できますか。
#233
○夷子説明員 我々といたしましては、先ほどお話ししたとおり、海上保安庁の勢力を重点的に投入いたしましてとにかく努力するということでございます。
#234
○伊藤(英)委員 今のお話だけ伺っていますと、ああ本当に心配だなという気がいたします。ひょっとしてこうやって入ってくる人たちがいろいろな武器やら何やら待ってきて、それなりの意図を持って入ってきたときには、日本は大変だという気が私はいたします。
 そういう意味で再度伺いますが、そういうことで本当に大丈夫なんだろうか。そしてまた、日本の海岸線というのは本当に大変な長さでありますから完全に守るのはなかなか大変かもしれません。しかし、考えようによれば、日本は自衛隊もある、例えばそういうところに、ある時期は何らかの機能を負担してもらうとかいうようなことを考えなくていいだろうかということも思ったりいたしますけれども、いかがですか。
#235
○守屋説明員 お答えいたします。
 海上における治安等の維持等の警察活動は、現在の関係国内法現によりまして第一義的には海上保安庁の任務となっておりまして、本件についてもただいま御説明がございましたように海上保安庁において適切な措置が講じられていると承知いたしております。
 ただ、防衛庁といたしましては、従来から自衛隊の任務遂行に必要な調査活動の一環といたしまして、我が国の周辺海域を航行する船舶等につきまして海上自衛隊の艦艇、航空機により監視活動を行いまして情報収集を行っております。その際、今回の事案のような不審船舶等を発見した場合にはその旨を海上保安庁の方に通報いたしまして、国として適切な対処措置がとれるような体制
を従来からとっておるところでございます。今回の事案の発生にかんがみまして、私どもの方は海上保安庁と緊密な連絡をとりまして適切に対処いたしたいと考えておるところでございます。
#236
○伊藤(英)委員 今のお話ですと、多分ずっとそういう活動をされているのでしょう。だけれども、例えば九月三日あるいは八月三十日もそこにはひっかからなかったということですね。
#237
○守屋説明員 今回のベトナム難民船につきましては、私どもの監視飛行の際に発見した例がございますけれども、それはいずれも海上保安庁の船が避難船を同行しているものを航空機において視認している事実がございます。その海上……(伊藤(英)委員「今の、上陸したのは」と呼ぶ)それは把握している事実はございません。
#238
○伊藤(英)委員 今のお話で、把握している事実はないわけですから、いろいろ活動はされているのでしょうけれども、入ってしまったということになるわけですね。
#239
○夷子説明員 我々も、先ほど申し上げましたとおり、海上保安庁としても精いっぱいやったのでございますけれども、この二件につきましては我我見つけることができなかったということでございます。
#240
○伊藤(英)委員 この問題、これ以上議論はいたしませんけれども、しかし、こういうような状況は日本の国民の安全という意味からすれば極めて問題だと私は思うのです。だからそういう意味では、それこそ先ほども申し上げましたけれども、厳密な意味で難民であるかどうかは別問題にしても、これは深刻に考えるべき問題だ、こう私は思います。そういう意味ではぜひ関係者のところでよく御討議の上、善処をお願い申し上げたいと思います。
 それから、先ほども議論になったところでありますけれども、難民の、いわゆる難民全般のですが、収容態勢と現在の収容状況がどのようになっているかお伺いをいたします。そしてまた、この施設とそれぞれの拡充についてどのようにしているか、まず伺います。
#241
○股野説明員 難民が日本に到着しますと、まず最初に法務省で所管しております大村の難民一時レセプションセンターに収容することにいたしておりますが、ボートピープルの急増という事態がございましたので、先ほど来御説明申し上げておりますように、この一時レセプションセンターは定員二百名のところを、九月五日現在では六百十四名収容をせざるを得ないという状況がございます。そういう状況を一刻も早く解消するために、プレハブ等によりまして収容能力の拡大を図るように現在関係省庁と鋭意詰めを行っているところでございます。
 それからまた、これは明らかにインドシナ難民に該当しないということで退去強制手続の対象にした者は、法務省の入国管理当局の収容施設に収容をするということで現在対処をいたしております。ただ、最後の法務省の入国管理当局の収容施設についても限度がございまして、こちらについても早急に施設の拡充を図らなければならない必要性がございますので、法務省の施設についても先ほどの難民の一時レセプションセンターの施設拡充とあわせて増強を図るよう、今その準備を急いでいるところでございます。
#242
○伊藤(英)委員 なお、この入国審査のための担当者も過労のために亡くなったりされているようでありますけれども、そうした人的増強といいましょうか、あるいは応援並びに当該自治体が費用の問題等で大変困っているようであります。そうしたことに対する対処はどのようになっておりますか。
#243
○股野説明員 委員御指摘のとおり、施設の拡充とあわせて審査のために要する人手も非常に多くなっておりまして、現在福岡の入国管理局が中心になって対応いたしておりますが、これに対してほかの地域の入国管理局から急速応援を派遣する、また東京の本省側からも派遣するという態勢をとっておりまして、その意味で法務省全体として至急に増員を図るということで既に相当数の応援は実現いたしておりますが、今後さらに応援態勢も必要であると考えております。またさらに、本来的にも人員不足という状況がございますので、これについてもあわせ努力中でございます。
#244
○伊藤(英)委員 費用、予算のことは……。
#245
○股野説明員 費用につきましても、施設がまず当面の対象でございますが、一時レセプションセンターの施設、さらに大村収容所を中心とする我が法務省当局の収容施設双方についての予算措置を早急に講ずるよう、現在準備が進められております。
 また、人をふやす手当てにつきましても、当然、応援派遣に要する費用、さらには本来の職員の増員に要する費用等についてもあわせ現在関係当局と協議中でございます。
#246
○伊藤(英)委員 難民資格認定制度を導入するように言われておりますけれども、これは具体的にはいつ、どこで決めるのでしょうか、閣議でしょうか。
#247
○股野説明員 この新しい難民資格認定のための手続、一般にスクリーニングの制度と称しておりますが、これにつきましては現在法務省当局が関係各省庁とも御相談をいたしておりまして、インドシナ難民対策連絡調整会議側とも調整を経た上で、この会議の手続を踏んだ上、閣議了解をいただくという手順で現在準備を急いでおります。その閣議了解を経ました後、そのときにこの新しいスクリーニング制度を実施する日取りを発表いたしまして、その日からこれが実施されるということになりますが、具体的な日取りについては、法務省当局としましては今月、九月中の早い段階でこれを実施するよう現在関係当局と協議を進めているところでございます。
#248
○伊藤(英)委員 そのスクリーニングでいわゆる政治難民と出稼ぎ目的のいわば経済難民とを区別することになると思うのですが、現実にそういうことはちゃんと可能だと思われますか。
#249
○股野説明員 これは、日本のみならず、先般ジュネーブで開催されましたインドシナ難民問題に関する国際会議で、各国の間でこの新しい制度の導入についての話し合いが行われました。その際に、難民条約に基づくところの基準というものを基本にしてそういう審査を行っていくということが合意されておりますので、我々としてもそういう基準に基づいて、いわゆる出稼ぎ目的の経済移民というような形での流出をしてきた人たちは難民性を認めないということで対処することになると考えております。
#250
○伊藤(英)委員 今のは、例えば認めなくても実際には帰国できない、向こうが受け入れないという場合もあるでしょうし、いろいろな要因もあると思うのですが、そういうふうになったら一体どうするのだろうということ、それからこの制度を香港とかタイ、マレーシアで実施しているというふうに聞いておりますが、そういうところで効果が上がっているのかどうかについてお伺いいたします。
#251
○股野説明員 既に、このスクリーニング制度については、合意を見て以来逐次実施に移すということで各国がこれを始めているわけでございますが、この制度の一番大きなねらいは、新たなインドシナ難民の流出を防止するということにあります。すなわち、仮に一たん本国を脱出しても第三国への定住が認められないという状況になれば、それで一つ大きな抑止効果があるという点がねらいでございまして、そういう意味での効果というものは、各国が歩調をそろえてこの合意を実施に移すことによって、効果が相当程度考えられると思います。
 しかしながら、では、問題の解決には、ただいま委員御指摘のとおり、実際に難民ではないとされた者についての本国への帰還が実現しないと、これは全体としては一つのシステムが機能しないわけでありますので、そういう点での、例えばベトナムの難民であればベトナムについて国際的な話し合いを続けて、実際にそういう難民と認められない人が本国に帰還するだけの一つのシステムというものをつくり上げていくことが今後の課題
として残っておりますが、これについてもあわせて国際的な努力が行われていると承知しております。
#252
○伊藤(英)委員 香港とかタイ等のことは……。
#253
○股野説明員 香港あるいは他のASEAN諸国において、逐次これを実施に移すということで今準備が進められておりますが、まだ国際合意ができた直後でございまして、実際の実施の態様については現在準備段階にあるというふうに承知しております。
 ただ、香港につきましては、ベトナム側との話し合いをかなり早い段階から行っておったということがございますので、その意味で、香港側との話し合いで自主帰還を希望する人たちの引き取りが実現する可能性も現在予測されておりますが、まだこのシステム全体がそういう意味で合意を見た直後ということで、現在はその実施のための準備段階という状況なので、むしろ効果はこれからということであろうと承知しております。
#254
○伊藤(英)委員 私は実際に効果を発揮することを切に望みますけれども、大変なことではないかなというふうに推測をいたします。
 これは外務省、法務省ともにお伺いしたいのですが、今までも中国やベトナムに対して具体的に要望等をされたりしておりますが、今後どういう対応を本当にされるのか。例えばベトナムの問題について言えば、今後のことを考えると、一つは帰還させる、それについてどうするかという話もあるし、これからまた来るかもしれない人たちのこと等々を考えますと、まさにベトナムはベトナムの自分たちの国の責任ということを痛切に認識をしてもらわぬと困るのですね。要するにベトナムのためにあるいはベトナム政府のためにほかの国々が大変な迷惑をこうむっているという状況であるわけですから、そこに具体的にやってもらわなければいけないわけでありますけれども、そういうような意味で、ベトナムに対しても、あるいは中国に対してもこれからどのようにされるのか。
 それから、この間も在日中国大使館には公使に対して申し入れ等をしたようでありますけれども、私が瞬間思ったのは、なぜ公使なのかな、私もよく存じ上げている方ですからもちろん大変な方でいらっしゃいますけれども、なぜそうなのかなという、いわば交渉のレベルというのでしょうか、そういうような意味からもこれからいろいろ考えるべき話ではないかな、こう思ったりいたしますが、今後どういうふうにされようとしているのか伺います。
#255
○石垣説明員 お答えいたします。
 先ほど来の答弁の中でも申し上げましたが、ベトナム政府、中国政府に対しまして、これまでも累次にわたりまして、特にベトナムにつきましては昨年来でございますが、再三申し入れを行ってございます。中国に対しましても、委員指摘のとおり申し入れを行ったところでございます。いずれに際しましても、最近の私どもの申し入れに対しましては双方から非常に積極的な反応がございまして、先般、先月三十日パリにおいて中山外務大臣から申し入れたのに対して、先方は、今後とも日本側と緊密な連絡をとって対処してまいりたい、それに際しては実効的な防止措置をとるに役立つような資料をぜひいただきたいということで、関係方面とも協議してございます。中国につきましても、まだ私どもの提供した資料がわずかなものでございまして、中国側もさらに日本側からもっと詳細な資料を欲しいということでございます。ただ、私どもといたしましては、かかる問題につきましては、両国間の実務的協議を通じまして問題処理に努力してまいりたいという考えでございます。
#256
○股野説明員 ただいま外務省側から説明がございましたように、この問題についてはベトナム及び中国それぞれの当局との話し合いがぜひとも必要であると感じておりますので、まずただいまの外交ルートを通じまして話し合いが進められておりますが、実際の送還という問題になりますと実務的な話し合いが必要にもなってまいりますので、その際には法務当局としても外務当局と協力しながらその手続を進めてまいりたいと考えております。
#257
○伊藤(英)委員 時間がなくなりましたけれども、最後にお伺いいたします。
 この問題は、ひょっとしたら一時的現象ということがあるかもしれません。あるいはたくさん来る中で、中国から来る人なんかを考えますと、案外局地的な傾向もあるかもしれません。だけれども基本的には、私はこの問題というのはいわば経済的な問題、経済的難民の色彩が非常に濃い問題だと思うのですね。何といっても今のいわゆる経済的に発展した経済大国となっている日本があり、すぐ近くに仕事もなくそして生活に困窮をしている多くの人たちがいる、私は基本的にはこの問題だと思うのですよ。
 そういう中で今、日本が、世界に貢献する日本、国際国家日本ということをいろいろ言ったりします。総理も言い、いろいろな方がそういうふうに言って、日本の役割は何だろうかということを言ったりしております。そういう中でこの問題が、本当にどういうふうにとらえていかなければならぬかということになるのだと私は思うのですね。そういうふうに考えたときに、基本的には、いわゆる外国人労働者の問題をこれから日本はどういうふうにやるかということになると私は思うのですね。
 私は、この問題は去年の予算委員会でも取り上げてやりました。今、日本が原則的には単純労働者を禁止しておるがために、今度は逆に強行して入ってくる、あるいはアンダーグラウンドで入ってきて実際には仕事をするというふうになってきたりします。本日はその不法就労者の統計的な数字等は省略をいたしますけれども、そういう状況になっているわけですね。そういうことからいたしますと、私は、日本もこれから本気になっていわゆる単純労働者の問題について位置づけていくことを検討しなければいけないのだろうと思うのです。だから、逆に、ある制度をちゃんとつくり上げて、その中でどういうふうに管理をしていくかというやり方をしていかないと日本はますます無法国家になるというぐらいの感じを私は持ちます。法治国家としてちゃんとやるためには、そういう制度をつくり上げて、その中でどういうふうにやっていくか、その制度に当てはまらない者は断固としてちゃんと措置をとっていくというふうにしなければ、一たん入ってしまえば何とかなるというふうにどんどんなっていくと思うのです。そういう意味で、外務省並びに法務大臣にお伺いして質問を終わります。
#258
○武藤説明員 お答え申し上げます。
 外国人労働者の問題は、我が国にとりまして近年の急速な国際的地位の向上と円高傾向等内外の構造的諸要因に起因いたします新しい問題でございまして、また、対外的にも無視し得ない影響を及ぼす重要な問題であると認識しております。私どもといたしましては、先生御指摘の外国人単純労働者問題につきましては、この問題のもたらす複雑かつ多面にわたる諸影響にかんがみまして、多様な角度から慎重な検討が必要と考えております。
 他方、この問題の現状を見ますと、今後何らかの適切な対応を図ることが早急に必要な課題となっているものと認識しております。
 この問題につきましては、各界におきまして活発な議論が行われておりますし、種々の提案がなされております。私どもといたしましては、こうした提言を踏まえまして、何らかの現実的な方策を策定すべく関係省庁とも緊密に連絡し合って検討していきたいと考えております。
#259
○後藤国務大臣 先ほど来経済大国、豊かな日本と言われております日本の今後のこの問題についてのあり方について非常に有益な御意見を伺いまして、ありがとうございました。
 確かに、日本は今後経済大国としてどうあるべきか、この問題に関しましても真剣に考えていかなければならない時期に来ていると思います。しかしながら現在の状況におきましては、現行の国
際条約等に基づきまして処理できる問題の範囲で処理いたしていけると考えておりますけれども、将来また、今後の変化に対応することを考えなければならないときがあるかもしれない、それは将来の問題であると思っております。
 なお、特定の技術、技能や知識を有していない、いわゆる単純労働者につきましては、これを受け入れないとするのが現在の政府の方針でございますので、今申し上げましたとおり、当面はこの方針というものに従ってやっていかなければならないというように御了承をいただきたいと思います。
 なお、今までの御意見は私どもの念頭に十分置いて今後対処していくように努力いたしたいと思っております。
#260
○伊藤(英)委員 どうもありがとうございました。
#261
○戸塚委員長 安藤巖君。
#262
○安藤委員 まず最初に、日ごろから出入国管理に当たっておられる入国管理局の皆さん方を初め、いろいろな御努力をしておられることに対して、まず心から御苦労さまですと申し上げるわけでございます。特にことしの五月二十九日以降のボートピープルの、集中豪雨型というと大げさですが、それに匹敵するような難民問題については、とりわけ御苦労が大変だというふうに思っております。
 そこで、まず最初に大臣にお尋ねしたいのです。
 これは、これまでのいろいろな質疑応答の中で日本政府がどういうように考えているかということは大体わかってきたのですが、改めて確認をしておきたいと思います。インドシナ難民に対するこの難民受け入れの問題についての弾力的な運用、これは一応別にしておきまして、特に五月二十九日以降のボートピープル、この中で経済難民とかあるいはいわゆる出稼ぎ難民、こういうふうに言われている人たちにつきましては、私ども日本共産党としては、これは難民の地位に関する条約、あるいはその議定書に言う難民ではない、こういうふうに認識をしておるわけでありますが、これは政府の方もそのとおりだと思いますが、どうでしょう。
#263
○股野説明員 インドシナ難民につきまして、これはいわゆる難民条約に言う難民とまた違う弾力的な取り扱いを従来してまいったということは事実でございます。
 ただいま委員御指摘の経済移民、いわゆる経済難民というものについて、今後厳格に審査を行うことによってこれを、いわゆる難民条約に基づく難民と見られる者との区別を行っていこうというのが現在我々検討中のスクリーニングの制度でございますので、これを近く実施することが予定されておりますが、そうなりますと、そのような区別が行われるということになります。
#264
○安藤委員 そこで、今、五月二十九日以降の難民の問題については、中国から来た人たちあるいは中国人と認められる人たちというような人たちが問題になっておるわけなんですが、この中に、先ほど答弁の中にも、ベトナムから中国へ行って一定期間生活をしておって、それから今度難民としてやってきた、ボートピープルとしてやってきた人もいるというお話なんですが、その中にベトナムから中国へいわゆる難民としてこれは出国をしていっておった人たちが含まれているということも聞いておるのですが、その点はどうなんでしょうか。
#265
○股野説明員 ベトナムから中越関係の緊張に伴って一たん中国へ出国して、中国の領土的な庇護を受けて一定期間そこに定住をしておった、そういう人が今度到来をしております一連のボートピープルの中に含まれていると考えられる状況がございます。
#266
○安藤委員 そうしますと、中越国境の紛争の問題で、私どもはあれは中国が侵略したんだという場面もあったというふうに見ておるのですが、この紛争から逃れる、あるいは迫害されるおそれがあるというので逃れるということで中国へ行った、その人たちはまさに難民として中国で扱われておったのではないのかという気がするのです。そうすると、その人たちに対しては中国政府当局がいわゆる難民として一時庇護の義務を負っておる人たちじゃないかなという気がするのですが、その辺のところはどういうふうに考えておられますか。
#267
○股野説明員 これは国際的な一般的な慣行に照らして我々も判断をするわけでございますが、ただいま委員御指摘のとおり、一たんベトナムを出国して中国による領土的庇護を受けた人たちというものは、そこで中国側の保護があったと考えられますので、その時点で、今度はその人が一定期間中国に定住した後、日本に来て仮に難民であると言っても、日本にとっての難民性というものは既に中国の庇護を受けた段階で失われているという判断でございますし、これは一般的に国際的にもそういう判断がなされているところだと承知しております。
#268
○安藤委員 となりますと、これはそういう人たちに対しては中国当局が一時庇護の義務を十分果たしていなかったからこういうことになっているんじゃないのかというようにも思えるわけなんです。今度のこの一連のボートピープルの問題につきましては、日本政府が中国政府当局ともいろいろ交渉しておられるという話は伺っておりますし、きょうの質疑応答の中でもいろいろ聞かしていただきました。強制退去をしたときの受け入れの問題とかいろいろ議論がありましたが、まず、その一時庇護の義務を中国政府が守っていないという問題についてどうなんだ、守ってもらう必要があるんだ、おたくは義務を果たしておられないのではないか、だから義務を果たすためには引き取っていただくのが当然ではないかという観点からの、強制退去をやって受け入れるかどうかの問題ももちろんその中に入ると思うのですが、そういう言い方、詰め方、要求の仕方、交渉の仕方、これによって義務履行を迫って受け入れをさせるというようなことも一つの解決の方法じゃないのかなという気がするのですが、そういう点は考えてはおられませんか。あるいはそういうような点も含めて中国当局と外交ルートを通じてこれからも折衝されるというようなお考えはないのですか。
#269
○石垣説明員 中国政府との政府レベルの協議は先ほども申し上げましたとおり始めたばかりでございまして、引き取りをこちらから求める範囲その他につきましては今後政府部内でいろいろ検討しなくちゃならないと考えておりますが、委員御指摘の点はまさに念頭に置かなければならない点だと考えております。
#270
○安藤委員 そこで、その点は今御答弁をいただきましたので、そういうことでやっていただきたいというふうに思うのですが、違法な出国をさせないようにということもいろいろ申し入れておられるという話も伺いました。
 そこで、中国政府当局はちゃんといろいろ一生懸命やっているんだということだろうと思うのですが、何か具体的にこういうことをやって、今後そういうことは絶対ないようにするんだという何か具体的な手だて、こうやるんだ、そしてなおかつあった場合はもう引き取らせていただきますというところまで話が進んでいるのかどうかというのはちょっと気になるのですが、その辺のところはどうでしょう。
#271
○石垣説明員 これまでの中国側の反応につきましてはさきに述べたところでございますが、中国側としても、日本へのこのような最近の偽装難民の流入といった報道について大変懸念しておる。それで、日本側から詳細な資料の提供を待って先方としても十分調査したい、と同時に、現在中国側としてできる調査についても関係方面に連絡の上進めてもらうということでございます。したがいまして、詳細な調査と本格的な調査と、これから双方の調査を合体する方向で進むこととなると考えております。
#272
○安藤委員 これから調査を始められるというのですが、まさにこれは中国の、例えば福建省のど
こそこから出ていったのだ、そしていわゆる出稼ぎ目的だ、いわゆる経済難民だということがはっきりしたときは、それは仮定の問題と言われるのかもしれませんが、そうなったときは間違いなくこれは受け入れます、あるいは引き取りに伺いますとか、こういうようなところまでまだ詰めた話にはなっていない、こういうふうに理解していいのですか。
#273
○石垣説明員 そのとおりでございます。
#274
○安藤委員 そうなると今後の調査の結果並びにその外交折衝の御努力に期待する以外にはないわけですけれども、やはりその辺のところはきちっと詰めていただいてやっていただく必要があるのではないかというふうに申し上げておきます。
 それから、スクリーニングの問題についてお伺いをしますが、ことしの六月のいわゆるインドシナ難民問題の国際会議ですね、それ以後、そこの会議で国際的な合意を見たというので、今までは日本の政府、ほかの国もそうだったようですが、インドシナから来たいわゆるボートピープルは個別に審査をしないで、そうか、ベトナムから来たか、インドシナから来たかということで、個別に審査をしないで難民性を認定して一時庇護をしてきた。それを改めるということなんですね。
 そこでお尋ねをしたいのは、いろいろな何回かにわたる閣議了解によって、日本政府はインドシナ難民に対する、最初はベトナム難民と言っておったのをインドシナ難民というふうに変えて範囲を広めたり、そして先ほど来お話しになっておりますような弾力的な運営をやって、できるだけというのか、ほとんど受け入れてきた。今回、こういうような問題もこれあり、そして国際会議の合意もこれあり、スクリーニングをきちっとやるということのようですが、そうしますと、これまで何回かにわたって行われてきた閣議了解そのものは、これは無効にするのですか、撤回するのです。
#275
○股野説明員 今後、いわゆるスクリーニング制度を実施するにつきましては新たな閣議了解をいただくことになりますが、それの新しい制度の中身の運用ぶりについては、今後さらにまた実施細目を別途詰める、こういう形式になっております。したがって、新しい閣議了解ができまして、それで、それの実施の細目はまた別途詰めるということになってまいりますが、基本的にはこの新しい制度は、従来の上陸許可の弾力的な運用という点のやり方について一部の手直しをする、こういう効果を持つことになると思います。
#276
○安藤委員 新たな閣議了解ということになろうかというお話がありましたが、時期的にいいますと、もうきょうは九月の六日ですし、それ以降になる。実際に実施するのは、先ほどのお話からすると何か九月の中旬ごろとかいうようなお話もちょっとあったのですが、そういう新たな閣議了解ができると、普通、法律ですと法律不遡及の原則というのがあって遡及できないわけですね。だから、この五月二十九日以降の一連のボートピープルの人たちに対してそういう閣議了解の線でいわゆるスクリーニングをするのか。あるいは、これは前に一時庇護ということで一時庇護センターへ入所を認めて、あるいは現在永住センターへ行っておられる方もあるかもしれません、だから、そういう人たちも含めて、待てよ、もう一度これは洗い直すんだ。全部が全部ではないにしても、相当程度これはさかのぼるのかな、いやそうじゃないのかな。これから閣議了解ということになると、閣議了解後ボートピープルとして入国した人に対してなるのだろうか。ちょっとその辺のところがわかりませんので、お答えいただきたいと思います。
#277
○股野説明員 これの実施の態様については、まずそのものを現在検討中でございますので、その実際の運用ぶりがどうなるかについては、確定を見た段階で御説明を申し上げる方がいいと思いますが、しかし、一般的な考え方といたしましては、これはスクリーニング制度を導入して、その一定の日を定めまして、そこからこれを適用していくというのが一般的な考え方であると思います。
 ただ、純法理的に申しますと、仮に一時庇護の上陸許可を既に与えた者であってもこれを取り消すということは純法理的にはあり得ることでございますが、一般的には、ただいま委員も御指摘のありましたように、一定の日を定めてそこから実施していくということが考えられているわけでございます。
#278
○安藤委員 そうしますと、難民として認定をして一時庇護の対象にしたという人たちに対して新たなスクリーニングをやって、それを、よく調べてみたら違っておった、スクリーニングを通らなかったということで取り消すというようなことはないというふうに理解していいというふうに今思ったのですが、確めておきますが、どうですか。
#279
○股野説明員 まず、インドシナから本当に渡来した者でないとこの問題については該当しないわけでございますが、そういうことになって、先ほど申し上げましたように、純法理的な可能性ということはこれは排除できないわけでございますが、実際上、それじゃ過去に既に一時庇護の上陸許可を与えた者について、これをさかのぼってまで取り消すというほどにこの問題を取り扱うという、その実際上の問題というのはあろうかと思いますので、今、過去にさかのぼってまで取り消すということは、実際上の問題としては考えにくいということでございます。
#280
○安藤委員 そうしますと、ある一定の日を特定されるわけですが、その日までに難民というふうに認定をされて一時庇護センターに入ってもらった人たちは、この五月二十九日以降たくさんありますけれども、おとといまでですか、その人たちに対しても、まだいろいろ審査中の人がおられるわけですけれども、認定した人に対しては取り消すということはない、こういうふうに思っていいのですか。その人たちももう一遍再審査をなさるのですか。
#281
○股野説明員 この点は、実は今、五月二十九日以来日本に直接漂着したボートピープルについて、そもそもインドシナの難民であるかどうかという判断の問題が我々の急務になっておりまして、その観点で、いや、これはインドシナ難民ではなくて中国から渡来してきた人たちである、こう判定されたときは、これは、過去に既に一時庇護上陸許可を与えた者についても取り消しを現に行っております。そしてそれについての退去強制手続をとる、こういうことで臨んでおりますので、これは今後についても、インドシナ難民でなくて中国から渡来してきた人だと判定された者については、既に一時庇護上陸許可を与えた者であってもこれを取り消して退去強制手続に付す、こういうことは十分今後とも考えられるところでございます。
 他方、本来のインドシナ難民についてどうかというお尋ねの点につきましては、先ほど来申し上げておりますように純法理的に可能性がないとは申しませんが、これまでに既に与えたものについて、いわゆるスクリーニングを実施するという観点から過去にさかのぼってもう一遍審査し直して取り消すということは実際上大変やりにくい、そういうことはしにくいことである、こういう考え方で今臨んでおるところでございます。
#282
○安藤委員 ところで、ベトナム難民あるいはインドシナ難民というふうに言われている人たち、あれは一九七五年ですかのベトナムの解放直後、数年の間はまさに迫害を逃れておみえになった方方がボートピープルとしてあちこちへ行かれたということはわかるのですが、それから相当な年数がたっておるわけですから、現在のベトナム難民あるいはインドシナ難民というふうに言われておる人たちは実質的には、それは日本の政府は最初に申し上げましたように閣議了解で弾力的に運用をずっとやっておられたのですが、それはそれとして別に異論を差し挟むことはありませんが、最近のはどうも経済難民という枠に入るのじゃないのかという気が実はするのです。先ほどもちょっとお話がありましたが、ベトナムはいろいろ経済的な困難を抱えているという御答弁も先ほどあり
ました。だから、経済難民だということだとすると、今度のスクリーニングでみんなはねのけられてしまうのかなという気が実はせぬでもないのですけれども、その点もひとつ確かめておきたいのです。中国からの今回のボートピープルではなくてベトナムからまさにお見えになったという場合、そういう場合どうなるのかな。
 そしてもう一つは、六月の先ほどのジュネーブの国際会議でも、議事録を見ますと、ベトナムの外務大臣の方が、違法な出国は厳正に自分の国でも取り締まりますということはおっしゃって、そして難民の受け入れ問題については各国の代表に対して人道的な配慮ということも要請をしておられるというふうに私は読んだのです。これは条約難民というふうにぴしっと決めてしまえばはっきりしてしまうわけなのですが、そういうようなことにプラスをして、飢餓に苦しむ人たちだとかあるいは紛争を避けて脱出をしてきた、別に迫害を受けるとかというところまではいかないにしても、紛争を避けて脱出をしてきたとか、こういうような少し広い意味での難民というような人たちをも救済するというのが国際的な傾向といいますか、慣行といいますか、そういうものがあるように思うのです。
 そういうことを踏まえて、今後のベトナムからの難民の人たち、ボートピープルでお見えになるかどうかはわかりませんが、ほとんどそうだろうと思うのですが、そういう人たちに対して、先ほどのスクリーニングでいくと条約難民以外はだめということになりそうな気がするものですからひとつお尋ねをしておきたいなと思ってお尋ねするのですが、そういう人たちの場合はどうなりますか。
#283
○股野説明員 まず、経済的な理由で海外に出稼ぎという目的を持ってベトナム等のインドシナの国から出国する、こういう人たちについて、近隣の香港ないしASEAN諸国が現在一番の負担を感じておるわけでございますので、そういう点での今後の流出防止ということを意図したものがこのスクリーニング制度ということのそもそもの発端でございます。したがって、このスクリーニング制度を我が国も各国と歩調を合わせて始めれば、当然そういう人たちについての定住受け入れということをしなくなる、そういうことはしないというのが今後の扱いになると思います。
 さあ、それでは実際にベトナムから来た人たちが今後どの程度そういう意味での判定を受けて、そして、いわゆるスクリーニングの結果スクリーンアウトされる、すなわち難民として認めがたいという判定を受けるかというこの運用につきましては、国際的な合意がジュネーブで先般ございまして、その基準を各国がそれぞれどういうふうに運用していくかというその運用ぶりも見ながら対応していくということになろうかと思います。この点は、難民条約に言う難民という性格が一番の基本でございますが、ただ、その運用ぶりについては、なお今後関係各国及びUNHCR等々の考え方も踏まえた対応ぶりになっていくと考えております。
#284
○安藤委員 そこで、ベトナムの経済的な困難な問題は、今から歴史を振り返ってあれこれ申し上げなくても、フランス、日本、アメリカという、いろいろ植民地政策、侵略行動あるいは戦争というようなことがこれあって経済的な困難をもたらしている面が非常に大きいというふうに思うのです。
 そこで、ベトナムの経済の困難な問題は、例えば国民一人当たりの総生産量で比較すると、これは日本の経済企画庁の調査によるわけですが、一九八七年で日本は一万九千六百六十四ドル、中国が二百七十八ドル、日本の七十分の一。ベトナムは、これは正確な数字が把握されておるわけではありませんが、あちこちから入ってくる話によると約百五十ドルというふうに言われておるわけですね。非常に経済的に困難な状況に立ち至っておる。いろいろ個人的に私ども話しておりまして、先ほどもいろいろ話もありましたが、やはりODAの問題もあったのですが、経済援助というのをインドシナ諸国に対して、ベトナムならベトナムに対してもしっかりやって、そこで生産を高める、企業もたくさんできるというようなことでやっていくというのがやはり難民問題を解決する根本的な問題の一つだと思うのですね。
 そこで申し上げたいのは、ベトナムに対する日本の経済援助は、一九七八年に、有償が百億円それから無償が四十億円、合わせて百四十億円の援助をしておるわけなんですね。ところが、カンボジア問題でけしからぬというのでこの援助を打ち切ってしまっております。もともとこの援助というのは、第二次世界大戦中の日本の侵略行為についての賠償という意味があったわけなんですから、そういうことで援助を打ち切るというのはまことにおかしな話で、けしからぬということだと思うのです。この際、こういう難民問題、ボートピープル問題の根本的解決の一つとして、打ち切っている援助を再開するというようなことも、これは大乗的な見地というのか、そういう国際的な義務を果たすという意味からいっても必要ではないかというふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#285
○茂田説明員 お答えいたします。
 ベトナムに対する経済協力に関しましては、先生御指摘のとおり、ベトナム軍がカンボジアに侵攻したことにかんがみまして、一九七九年度から、一部の人道的援助それから災害援助等を実施しておりますけれども、それ以外のものについては凍結をしまして今日に至っております。我々としましては現時点でも、対ベトナム援助について凍結しているという基本方針に変更を加える理由はないというふうに考えております。
 カンボジア問題は現在いろいろな国際的な場で論議もされておりますし、ベトナム軍がカンボジアから完全に撤退し、かつカンボジア問題につきまして公正な解決が達成されるというようなことが出てきまして、その上で日本がベトナムを含むインドシナ全体の復興と経済発展に効果的な協力を行い得る日が来ることを我々は希望しているということでございます。
#286
○安藤委員 援助の凍結を解除する理由はない、まさに凍結の冷たいお返事をいただきまして非常に残念でありますが、先ほど最後におっしゃったような日が必ず来る、それを一日も早くしていただきたいということを申し上げておきます。
 時間が来ましたので最後に一つだけ。
 入管の職員の人たちの問題について人手不足ということが前々から言われておりまして、きょうの御答弁の中でも所要人員確保に向け最大限の努力をする、非常に結構なことだと思うのですが、いろいろ話を伺いますと、物すごく不足しているというふうに伺っているのですよ。物すごくといったら相当な不足だろうと思うのですが、一体何人ぐらい不足しているんだというふうに思っておられるのでしょうか。何人不足しているんだ、だからこれだけふやしてほしい、予算はこれだ、もう概算要求もいろいろやっておられると思うのですが、具体的にそれをお示しいただきたいと思います。
#287
○股野説明員 現在の入国管理局の職員は、本年約千七百六十五名という定員数でしておりまして、過去十年近くの間千七百五十名程度の規模で推移をしてまいりました。その間に、本委員会で先刻各委員から御指摘もございましたように、出入国者の数が急増しているということ、あるいは日本にいる外国人のいろいろな活動の形態が多様化しているということ、さらには不法就労の問題等々が非常に深刻化しておるということで、これはいずれも一人一人の入管職員の負担が急増しているということを意味するわけでございます。
 そこで、これについて今我々が今後何年間にどのくらいの人を手当てをすればいいかということを、まさに財政当局も含めましてお話をしているところでございますが、具体的に私どもの口から今何人と申し上げる段階にまだ至っておりません。ただ、御存じのとおり、入管の職員の一人一人の負担が業務量から見まして非常に増しているという点は、これははっきり数字的に申し上げられるところでございますので、その点を踏まえて、我々としては一人でも多くとにかく増員を実現したい、こういうことでございます。
#288
○安藤委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
#289
○戸塚委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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