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1988/03/24 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会 第1号
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1988/03/24 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会 第1号

#1
第114回国会 外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会 第1号
平成元年三月二十四日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
平成元年二月二十一日外交・総合安全保障に関す
る調査会長において本小委員を左のとおり指名し
た。
                石井 一二君
                植木 光教君
                大木  浩君
                鈴木 貞敏君
                林 健太郎君
                最上  進君
                本岡 昭次君
                山口 哲夫君
                黒柳  明君
                田  英夫君
同日外交・総合安全保障に関する調査会長は左の
者を小委員長に指名した。
                大木  浩君
    ―――――――――――――
   小委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     和田 教美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        大木  浩君
    小委員
                石井 一二君
                植木 光教君
                鈴木 貞敏君
                林 健太郎君
                山口 哲夫君
                和田 教美君
                田  英夫君
    小委員外委員
                吉岡 吉典君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        荻本 雄三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外交・軍縮問題に関する件
 (アジア太平洋地域の軍縮問題・外交機能の強
 化等について)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(大木浩君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会外交・軍縮小委員会を開会いたします。
 小委員の異動について御報告いたします。
 昨日、黒柳明君が小委員を辞任され、その補欠として和田教美君が選任されました。
#3
○小委員長(大木浩君) 外交・軍縮問題に関する件を議題とし、本日はアジア太平洋地域の軍縮問題・外交機能の強化等について各会派を代表して御意見をお述べ願います。
 それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。
#4
○鈴木貞敏君 最初に、外交、安全保障政策の基本方針について申し上げます。
 私は、我が国が軍事大国にならないで国際社会での重要な地位を占めるに至ったということが、世界史上極めて貴重なことであることを認めるのにやぶさかではございません。そして、このような歴史的評価をさらに具体的に申し述べるならば、次のようなことが容易に指摘できると思います。
 まず、安全保障政策面では、平和憲法のもと日米安保体制を堅持するとともに専守防衛に徹してきたこと。外交政策面では、自由民主主義諸国の一員であると同時にアジア・太平洋地域の一国であるとの立場に立って世界の平和と繁栄に積極的に貢献してきたこと。また、経済、産業政策面では、社会生活において平等と個人の創意をともに尊重し、自由で活力にあふれた豊かな経済社会の実現を目指してきたことであります。
 もとより、我が国はきのうの我が国ではなく、そのGNPが世界のGNPの一割を優に超えるに至った現在、その一挙手一投足が国際社会に大きな影響を与えていることを等閑視するわけにはまいりません。竹下総理は、外交政策面での最優先課題として「世界に貢献する日本」というテーマを打ち出し、その具体策として三つの構成部分から成る国際協力構想を推し進めております。
 まず、国際平和のための協力であり、その内容は、紛争の未然防止と平和的解決のための外交努力、難民援助、紛争後の復興援助、国連の平和維持定着活動への資金的、人的協力であります。第二次大戦以後、世界の兵器数は冷戦や絶えることのない第三世界の紛争のため増大の一途でありましたが、先ごろINF全廃条約が締結され、話し合いによる軍縮への第一歩が踏み出されたことはまさに画期的なことだと存じます。これに関連し、竹下総理とデクエヤル国連事務総長が先月合意したことにより、日本で初めて軍縮問題に関する国連会議が核実験禁止とその検証、軍縮と安全保障、核兵器、化学兵器等の不拡散などをテーマとし来月京都で開催されることになりましたことは、平和国家日本を世界にアピールするとともに、世界的な軍縮に貢献する貴重な場が与えられたという点で大いに歓迎されるべきでありましょう。
 次に、開発途上国に対する経済援助の拡充であります。これは国際経済・社会小委員会に譲りまして、三本目の柱の国際文化交流の強化について申し上げます。
 世界の日本に対する関心の高まりに対応するために、国際的な人的、知的交流、世界的な文化遺産の保存事業への貢献などを推進することとしております。国家の安全は何よりもまず友好国をふやす外交によることと考えるならば、従来にも増して力を注ぐべき分野と言えましょう。特に、東アジア諸国が近くて近い国であり続けるように、単なる外交の花としてともすれば惰性に陥ることを常に戒めなければならないと思います。
 さて、基本的方針について述べてまいりましたが、ここで本日のテーマに沿いさらに敷衍いたしまして、外交、軍縮に関する私の見解を申し上げたいと思います。
 まず、アジア・太平洋地域の軍縮問題について申し上げます。
 軍縮が人類の悲願であり理想であることはだれしも否定できないところであります。我が国は、最近生じた軍縮の兆しを大いに助長し、あらゆる側面から支援していくべきであります。ただし、軍縮を現実の確固たる政策とし実行に移すためには、個別に具体的な条件を子細に検討する必要があることを強調いたしたいと存じます。
 戦後すぐ、スイスが永世中立国としてもてはやされたことがありました。しかし、その賛美者たちにはだれ一人として、スイスの永世中立が国民皆兵の武装、一筋縄とはいかない外交、そして幸運な国際環境によってやっと実現したものであることに言及する者はなかったと思います。国連の消長を考えるべき政治家の一人といたしまして、私は、軍縮が理想なればこそその実現を目指し、現実を冷徹に見据えたいと思います。
 さて、アジア・太平洋地域における多国間の軍縮交渉の可能性につきまして、以下条件を一つ一つ考えてみたいと思います。
 現在、端緒についたばかりの軍縮が、INF全廃条約にはアジアもその一部として含まれてはいるものの、先ごろ開始されたばかりの欧州通常戦力交渉やその実現が期待されている戦略核半減交渉などが欧米を中心として展開されていることは事実であります。アジア・太平洋地域でも同様の交渉を進展できるかどうかは、欧州と同じ戦略環境にあるかどうかを見ることが判断の一助になると思います。
 欧州ではワルシャワ条約機構軍、それに対するに北大西洋条約機構軍と、集団安全保障体制が確立しております。ところがアジア・太平洋では、西側にANZUS機構が存在するとはいえ、ニュージーランドの非核政策により機能不全を来しており、この地域のもう一つの集団安全保障機構であったSEATOは既にベトナム戦争を契機として解体してしまっております。東側はといえば、中国、北朝鮮、ベトナム、ソ連が個別に二国間条約を結んでおりますが、集団安全保障機構はつくられるに至っておりません。
 次に、地理的環境を見ますると、欧州は陸続きであり、対するにアジア・太平洋は大陸、半島、島というぐあいに複雑な地形になっております。殊に、軍事的には海が介在しているか否かは大きな違いを生じます。古くはナポレオンのロシア遠征、近くはナチスのソ連侵攻と、ヨーロッパを席巻する戦いがなされたのも遮るもののない大陸が舞台であったからであります。現在、欧州通常戦力交渉でその防止が焦点となっている電撃作戦あるいは機械化部隊による奇襲は、欧州正面が地続きなればこそ深刻な問題となっているのであります。ところが、アジア・太平洋地域では海が間に存在するため、中国、ソ連の主力軍が陸軍であるのに対し米国の主力軍が海軍であるというように、異なる軍種の対決となっております。
 そして、もう一つ見逃せないのが、先ほど集団安全保障のところで触れましたように、アジア・太平洋地域では東側が一枚岩ではなく、特にこの地域に限ればソ連の軍事力に拮抗し得る軍事力を有する中国の存在であります。その中国が一九六九年の珍宝島武力衝突を境に米、日等西側諸国との国交を回復し、近年目覚ましい経済改革、開放政策を推進していることは御承知のとおりであります。
 しかし、中ソは最近両国関係を修復しつつあり、その争いの一因となった珍宝島は中国に帰することとなりました。また、この五月にはゴルバチョフ書記長が訪中し、中ソ両国間の国交が完全に正常化されることが予想されます。中国の帰趨によりアジア・太平洋地域の戦略環境は一変してしまいます。ことしは中華人民共和国が成立して四十周年に当たりますが、その間に内外の政治が大きく揺れ動いてきたことは史実であります。今後ともその動向は慎重に見きわめる必要がありましょう。
 もう一つの注目すべき隣国であるソ連では、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長はその登場以来、「新思考」をモットーに次々と内外で新政策を展開してきております。アジア・太平洋地域の軍備管理、軍縮に関しましても、一九八六年のウラジオストク演説、昨年のクラスノヤルスク演説と、欧州に引き続きこの地域でも話し合いに入りたいとの提案をいたしました。しかし、事軍備管理、軍縮に限定してその提案を検討してみますると、米海軍のプレゼンスを無力化して、当地域における軍事力バランスをソ連優位に持っていこうとする意図がうかがわれるのであります。なぜなら、先ほども指摘いたしましたように、ソ連の陸を中心とした極東軍事力に対するに米国は海軍力で対峙しているからであります。
 また、クラスノヤルスク演説で新しく提案されたのが、米国がフィリピンにある軍事基地の撤去に応じるならソ連もベトナムのカムラン湾の艦隊物資、技術供給所を放棄するというものでありました。これも一見すると公平な提案のように見えて非常に片手落ちな提案であります。つまり、米国がフィリピンの軍事基地を重視するのは、西側の石油需要を大量に賄っている中東へのアクセス、中継基地として最適の位置に存するからであるのに対し、ソ連は仮にカムラン湾の基地を失っても中東へ陸伝いに素早く軍を派遣することができるのであります。外交交渉では互いに譲歩し合ってこそ妥結点に至るものだと思います。このように、ソ連が自国にのみ有利となり、相手の譲歩だけを求める提案をしている間は軍縮どころか軍備管理さえもおぼつかないと言えましょう。
 それどころかソ連は、日本国有の領土である国後、択捉、色丹諸島に七八年以来師団規模の陸軍やミグ23約四十機を保有する空軍を配備しております。日ソ関係の真の安定化と発展のため相互信頼を築くことが基本的に重要でありますが、そのために今必要なことは、ソ連が四島を返還して日本との間に平和条約を締結する必要があることを政治的に決定して、真剣な話し合いを行うことだということを私は信ずるものであります。
 さて、アジア・太平洋地域の軍縮に関しまして結論を申し上げるならば、一挙に多国間の軍縮交渉に入ることは時期尚早であるということであります。
 この地域の軍縮、軍備管理を論ずるに当たりましては、緊張緩和、紛争の解決ということが大前提で、我が国としては当面、政治、経済あるいは経済協力といった外交面に努力を集中していくことが重要だと思います。もとより、秩序を担う責任を有する国の一つとして、情勢の変化に対応する準備をすることまで消極的であるということではございません。事の成就をせく余り、相手のみを利して後悔することのないよう、冷静に相手のオファーをはかりにかけ、目盛りを慎重に読むことが大事であることを強調したいと思います。
 次に、外交機能の強化について申し上げます。
 近年国際社会における地位が著しく向上した我が国が外国からの期待にこたえて、その地位と役割にふさわしい外交活動を展開していくためには、外務省の定員及び予算の一層の増強が必要であることは言うまでもありません。従来から各方面で指摘されていることでありますが、我が国の外務省定員は主要先進国の中でも最も少なく、米国の四分の一、英国、フランスの二分の一にすぎない陣容であり、増大する業務量に追いついていないのが現状であります。殊に在外公館の館員数については、各国が東京に置いている大使館に比べ大幅に下回っております。また、予算面につきましても主要国中最下位に近く、とりわけODAや国際分担金等を除いた一般外交予算は依然厳しい状況であります。
 こうした点は近年徐々に改善されつつはありますが、我が国の国益を守り、また我が国が国際社会の中で果たすべき責任を担っていくための積極的外交活動を行うにはまだまだ不十分であり、外務省定員を五千人にふやそうとする定員拡充計画を早期に達成するよう引き続き努力しなくてはなりません。
 また、量的充実のみならず質の面での充実が重要なことは言うまでもなく、外交に携わる人材の有効な活用に一層意を用いるべきであります。例えば、採用時の試験区分にとらわれない人材登用、社会経験を有する適任者の外務公務員への採用や他省庁との人事交流、大使、公使への民間有識者等の起用などを進めることであります。また、市場開放問題など、外交と内政が不可分な問題の増大にかんがみ、外務公務員と一般の内政省庁、地方公共団体との交流を推進し、外務公務員が内政への理解を深めることがますます必要になってきます。外交は内政の延長とも言われるわけでございますが、外交一元化の実を上げるためにも今後この点格段の努力を要望したいわけでございます。さらに、若手大使の積極的な登用を検討するとともに、不健康地対策の充実にも引き続き努力することが求められます。
 一方、急速に広がった我が国の国際的な利害関係を十分に支え得るだけの情報機能の強化も重要であります。このため、在外公館における情報収集能力向上のための体制整備に努めるとともに、外務省本省においても情報調査局の機能を強化するための予算面等の手当てを増強する必要があります。また、的確な情勢分析のため特定地域、事項などについて専門家の計画的な育成と適切な処遇、また他省庁出身者の活用が図られることが望まれましょう。さらに、情報に関するハードの面では在外公館との通信に昭和六十二年より高度データ通信網が一部導入され始めましたが、引き続き通信能力の向上と通信事情のよくない地域での回線の安定的確保に努める必要があります。
 経済摩擦問題に関しましては、単に貿易収支の不均衡の問題だけでなく、我が国の流通機構や税制など国内制度のあり方にまで及んでくるなど、広範な領域に広がってきており、経済局の拡充など対応能力の一層の向上が求められます。また、国際経済及び科学技術問題の総合的、効率的対応を図るため、国連局の中の経済、科学、原子力等に関するセクションを経済局に移管することも検討されることが望ましいと思います。
 我が国の経済力の向上と国際化の進展に伴い、海外で活躍する日本人の数も増加の一途をたどっております。反面、邦人が内乱やテロなどの緊急事態に巻き込まれる事態も頻発しており、最近の我が国商社員の誘拐事件も記憶に新しいところであります。こうした緊急事態における邦人保護体制を一層強化充実していくことが求められており、外務省もことしから領事移住部の機構整備を行っておりますが、緊急時の通信、連絡網の整備や在外公館と現地日本人会との緊密な連携等に引き続き努めていくことが必要でありましょう。
 我が国の外交機能の強化に関しましては短い時間で網羅的に触れることは困難でありますが、以上述べたほか、緊急な課題として外国人留学生の受け入れ体制の整備、また大都市部の地価の高騰が外国公館の維持に支障を来している問題に対しまして適切な措置が求められている点なども指摘いたしまして、私の見解を終わらせていただきます。
 以上でございます。
#5
○山口哲夫君 私は、まず第一に外交機能の強化について申し上げます。
 一、一国の外交政策には基本的な外交理念がなければなりません。残念ながら我が国には外交はあっても外交理念がないとの批判があります。
 我が国の外交政策の基本理念は、言うまでもなく日本国憲法を擁護することにあります。憲法第九条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とあります。すなわち、我が国の外交は国際平和を実現するための平和外交でなければならないし、そのためにも世界のすべての国々と対等平等の立場に立った外交を維持しなければなりません。
 しかるに我が国は、ソ連脅威論を理由に軍備を増強し、日本の共同演習を年々強化しつつあることは、せっかく進展を見つつある米ソの軍縮交渉に水を差す結果となり、日本自身が国際緊張の一層の激化を招く役割を担うことにもなりかねません。さらに、アジア諸国に対しても軍事的脅威を与え、日本の外交姿勢に疑義をもたらす結果を招来しております。
 二、今日、我が国の外交路線が余りにもアメリカに追随しているとの批判も多いと思います。もちろん、戦後の事情や日米貿易が我が国経済発展の基礎となってきたことなどによって日米関係がこれまでの我が国の外交の基軸にならざるを得なかった側面はあるにせよ、国際平和を希求する我が国としては余りにも偏った外交路線であると言わざるを得ません。
 我が国は、その特異な地理的位置や体制の特徴を活用する必要があります。すなわち、我が国は体制やイデオロギーを異にするソ連、北朝鮮、ベトナムなどの諸国とも隣国の関係にあります。我が国は自由主義体制と社会主義体制との双方に対し対等な平和外交を進めることのできる重要な地位にあります。特にソ連においてはゴルバチョフ政権下でペレストロイカ政策が急速に進み、極東においても経済特区の設定など我が国経済に期待するところも大きいと言わなければなりません。我が国は、ソ連に対しても体制の違いを乗り越えて、経済力、技術力を十分に提供し、シベリア開発にも協力することこそ北方領土問題の解決にも大きく貢献することを考えるべきであります。
 三、今や我が国は世界で最も有力な経済大国になっております。世界はアメリカ、ヨーロッパ、日本の三極構造に変化してきているし、さらに開発途上国の政治的発言が強化され、一部諸国の工業化と経済発展により国際分業の再編成も進行しております。
 このような状況の中で、我が国は経済大国として、軍事面ではなく、むしろ国際経済の安定化や国際貿易の円滑な発展のためにこそ積極的に必要な措置を講じるべきであります。また開発途上国、特に低開発途上国や貧困層に重点を置いた効果的、効率的な経済援助を拡大することによって経済大国にふさわしい負担と責任を負うことを明確にする必要があります。このような経済外交、人道外交の推進こそが、後で述べる軍縮問題とあわせて我が国の平和戦略を構成する柱となるべきであります。
 四、以上の外交政策を実現するためには、他国に左右されない日本独自の世界情勢の把握と分析、評価を持たざるを得ないし、また持つことができる立場にあります。しかし、今日我が国の外務省には多くの弱点があります。
 第一に、以上のような外交理念、外交路線が確立していないことであります。
 第二に、したがって外務省の組織的構成も右の外交理念、外交路線を遂行するようには編成されておらず、人的配置も極めて弱体であります。特に、在外公館の職員が余りにも少な過ぎると思います。他の先進諸国に比べ、主要諸国に駐在する日本の外交官は二分の一ないし三分の一であります。また、ODAの大幅な増額があるにもかかわらず、それを有効に執行する現地担当者、専門家の数も少なく、人的裏づけがなされておりません。これでは途上国民衆の真のニーズや問題点を正確、迅速に把握することはできません。行政改革による総定員法の制限があるとはいえ、我が国の外交の主要課題が職員の不足によって効果を上げ得ないとするならば、極めて問題であります。速やかに在外公館の所要の部署に職員を大幅に拡充すべきであります。
 第三に、在外公館は他の省庁からの出向者を含めた寄り合い世帯であり、日本政府を代表する機関として十分に統制がとれておりません。すなわち、各省庁からの出向者はそれぞれの出身機関との連絡を優先にして、外務省とは独自の行動をとる場合が少なくありません。外交が各省庁の思惑で進められることがあっては、国の方針に一貫性を欠く危険性さえ生じかねません。統制のとれた一元的な責任ある外交を推進する上でもこの点は改めなければなりません。
 五、政府の外交とあわせ、国民サイドの外交も重要であります。
 先日、韓国の高校生が日本の高校生と交流を行いましたが、帰国に際し、日本に来るまでは日本人は嫌いだったが、日本を訪問してその考えは変わった。韓国と日本は仲よくしていかねばならないと語っていたように、より多くの外国人が日本人と直接に接し、また日本での生活を経験してもらうことは重要であります。と同時に、日本人も諸外国の国民と直接肌で接する交流を行うことにより、民族的偏見をなくし、すべての国々と仲よく交際していこうとする機運が生じ、平和外交を国民の立場からも推進する役割を担うことが可能になります。そのため、高校、大学生による諸国民との交流を積極的に教育に取り入れる必要があります。
 また、このこととも関連し、市民外交とも言われる国際親善都市、姉妹都市、姉妹州、友好都市運動も年々増大しておりますが、都市の性格を等しくするもの同士が、産業、文化、スポーツ、教育などを通じて交流を図ることは、多くの国民が国際感覚を身につけると同時に、国と国との平和維持にも大きく貢献することからも積極的に推進すべきであると思います。
 第二に、アジア・太平洋地域の軍縮について申し上げます。
 軍縮問題に入る前に、我が党の軍事的立場を明らかにしておかなければなりません。
 前述したごとく、我が国は、資本主義と社会主義という相対立した諸国間に位置するという極めて特異な地理的位置に置かれております。特に、軍事的には相対峙する米ソの中間に位置を占めております。そこで、我が国が万が一にも米ソ激突の際に、日米安保条約に基づきアメリカ軍と共同作戦をとるようなことがあれば、ソ連に我が国の軍事基地に対し攻撃を加える口実を与えることになり、その結果我が国は戦火に巻き込まれることは火を見るより明らかであります。そこで我が国は、積極中立国の立場をとることによってアジアの平和に、ひいては世界の平和に大きく貢献することができると考えます。そのためにも軍備を増強することなく、軍縮への方向をとるべきであります。
 軍縮問題については、これまで国連総会において数限りなく多くの軍縮決議が採択されたにもかかわらず、軍縮は思うように図られていません。そのことは、軍事的超大国である米ソに積極的に軍縮を図ろうとする方針が見られなかったからでありましょう。世界の軍縮を考えるとき、米ソを除外しては考えられないのであります。
 幸い、米ソ両国は、一九八六年のレイキャビクにおけるレーガン大統領とゴルバチョフ書記長の首脳会談以来、両国の軍縮に対する熱意はこれまでに見られないほど積極的であり、既にINFの全廃、戦略核兵器の削減が現実化し、世界は第二次世界大戦後初めて本格的な核軍縮と緊張緩和を迎えつつあります。軍縮問題の解決は、世界の大多数の人々と指導者の心にゆだねられている以上、この絶好の機会を逃すことなく、人類最初に核の洗礼を受けた我が国は、世界に向けて核全廃の運動を強力に展開する責任があると考えます。
 今日の核時代にあっては、核兵器システムの技術事故を含む核戦争が起これば人類は共滅し、地球は「核の冬」を迎えます。したがって、核全廃こそが人類共通の再優先課題であります。このため我が国は、海底非核条約、中南米非核条約、南太平洋非核化条約などを踏まえ、東北アジア非核平和地帯の創設、ひいてはアジア・太平洋地域の完全非核化を目指さなければなりません。また、核保有国に対しては核先制不使用を求め、国連の核軍縮決議や核拡散防止条約に基づき、核兵器の実験、生産、貯蔵、配備、使用の中止とINF全廃や戦略核の削減にとどまらず、地球上からすべての核兵器をなくするよう米ソを中心とする核保有国に対して積極的に働きかける必要があります。そのためにも、日本自身が非核武装と核兵器の日本への持ち込み拒否の非核三原則を堅持しなければならないことは言うをまちません。
 今や世界に核軍縮の機運が高まっているときをとらえ、国会議員による世界に核全廃を訴える会を組織し、各国指導者層に対し働きかけ、世界各諸国の国会議員による核廃絶全世界国会議員会議の結成を図り、国際世論を高め、核廃絶への役割を担わなければなりません。
 さらに、核廃絶にあわせ、通常兵器の軍縮も並行して行わなければなりません。
 米ソ両国が核兵器への依存を減らす場合でも、その計画に在来の通常兵器の縮小措置を含めることが重要であります。また、戦後地域的紛争が絶えなかったが、地域的紛争が当事国の国民の人命、財産、経済、社会、文化への甚大な破壊的作用を及ぼし、関係国にも大きな悪影響を与えてきたばかりでなく、一歩間違えば大国の介入する大規模な戦争へ発展する危険性があることを考えれば、地域的な緊張緩和と軍縮への措置がいかに重要であるかがわかると思います。そこでまず、我が国自身が緊張の発生源とはならず、近隣の脅威とならないことが大前提でなければならないし、むしろ日本周辺における緊張緩和、信頼関係確立のために貢献すべきであると思います。
 すなわち、平和友好の二国間関係だけでなく、アジア、太平洋における多国間協力を進めることが有意義でありましょう。このため、体制の相違、軍事ブロックの対立を超えたアジア平和保障会議の設立、日本海を平和の海として共同開発するための日中ソ及び南北朝鮮の共同プロジェクトの設置を進めるべきであります。殊に、朝鮮半島の緊張は東北アジアの平和と安全に直結する重要な問題であります。このため、南北朝鮮の自主的平和統一を支持し、そのための国際環境づくりについて中国など関係諸国とも積極的に協力を進めなければなりません。また、南北朝鮮の軍縮に向けての努力を支持していかなければなりません。
 以上、我が国が世界の軍縮に果たすべき役割は大きいと思います。そこで、我が国独自の平和戦略を形成し、行動するため、国際平和維持のための諸条件を多角的に研究する必要があります。また、国際的軍縮の可能性を追求するための研究を行うため、政府援助による独立した平和研究機関を設立する必要があります。
 以上、外交と軍縮について我が党の見解を述べてきましたが、外交は国際平和と友好を維持し増進させる上で重要な柱であり、特に軍縮は世界の平和にいっときもゆるがせにできない課題であります。したがって、各党間で一致できる政策については直ちに実施に移す手続をとるとともに、政府にも強く働きかけるべきであります。それこそが外交と総合安全保障に関する調査会設立の目的でもあるからだと思います。
#6
○和田教美君 私は、公明党・国民会議を代表し、アジア・太平洋地域の軍縮問題並びに外交機能の強化に絞って意見を述べます。
 昨年五月の安全保障小委員会における意見開陳で私は、「国際情勢の大きな流れは確実に緊張緩和、デタントの方向へ動いている」と述べました。その後現在に至るまでの国際情勢の動きを見ると、私は自分の判断が正しかったと確信しています。
 米ソ関係が大きく改善に向かい、それを軸とする新しいデタントが中ソ和解の促進、西欧諸国とソ連との経済関係の前進など望ましい連鎖反応を呼んでいます。イラン・イラク戦争も停戦が成立し、これまで東西対立の要因でもあった地域紛争が次々に解決に向かっています。また、軍縮の動きは活発で、核戦力から通常戦力にまで及び、七三年以来続けられてきた通常戦力軍縮努力を踏まえて、新たな提案を議題とする欧州通常戦力交渉が今月始まりました。
 しかるに、昭和六十三年度外交青書では、過去一年余の動きは西側にとり歓迎されるべきものを含んでいたが、同時に、東西関係は基本的に対立関係にあるというのが現実であることも否定できないとし、ソ連の新しい動きについても、ソ連の基本的戦略に根本的変化が生じていることを意味するものではなく、むしろ、今後とも超大国の地位を維持すべく、政治、経済、社会、軍事、すべての面において強いソ連を建設するというソ連の目的には変更はないと見るべきであろうとしており、相変わらず冷戦思考に固執していると言わざるを得ません。
 もちろん、INF全廃条約により廃棄される核弾頭は全核弾頭の八%にすぎず、核兵器軍縮はその緒についたばかりと言えましょう。しかし、核兵器を実質的に削減するのは人類史上初めてのことであり、条約の持つ意義を過小評価することはできません。
 軍備拡張論者は、七〇年代のデタントの折、ソ連は片方で軍備管理に応じておきながら、米国から輸入したそのころの最新技術を使い軍事力を増強するとともに、第三世界、特にアフリカへ進出したことを強調します。しかし、そのことのゆえにソ連の最近の緊張緩和提案はすべて見せかけのものであると決めつけるのは明らかに誤りです。
 ちょっと考えてみても、七〇年代デタントを幕あけしたSALTIは軍備管理条約であるのに対し、今回のデタントの出発点と言えるINF全廃条約は軍縮条約であって、その内容が全く違います。スタート地点が違うなら行く先もまた違うと考えるのが素直な推論であります。かねがね私が指摘しているように、政府が推進しているシーレーン防衛とか洋上防空という考え方は専守防衛の枠からはみ出しており、米国の前方展開戦略に積極的にのめり込んでいると思います。そのような戦略からは冷戦型の思考しか生まれないでしょう。
 他国からの脅威を論ずるとき常に取り上げられるのが対象国の軍事能力と意図であります。ソ連の軍事能力については各種機関による推定があるのでここでは論じませんが、それよりその意図は何かということを考えたいと思います。というのは、ゴルバチョフ書記長がこれだけ大胆に軍縮問題についてイニシアチブをとる理由は何かという点に関心があるからです。
 結論を先に言いますと、これまでのソ連の安全保障観というのは一種の絶対的安全保障観であったのが相対的安全保障観になってきているのではないでしょうか。長谷川毅北大教授の分析によれば、ゴルバチョフを支える「新思考」の推進者たちの軍事問題に関する考え方は次のように変わってきているということです。すなわち、核時代においては安全保障はもはや軍事技術的手段のみでは確保されない。安全保障は次第に政治的課題となっており、政治的手段によって解決されなければならない。また、安全保障は抑止によっては解決されない。抑止は報復への恐怖に基礎づけられており、軍拡競争を促進する内在的必然性を持っている。そして、安全保障は核時代においては相互の安全保障でしかあり得ない。安全保障は相手の安全保障を弱めることによっては確保できない。このような考え方に変化したというのです。
 ソ連には今なお抑止力の強化を重視するタカ派が存在すると見られますし、このような相対的安全保障観が全面的に定着するかどうかについては見方は分かれるでしょう。しかしここで注目されるのが、ソ連軍部が最近「新思考」に基づいて打ち出したと見られる防衛的軍事ドクトリンであります。その中心概念は「合理的充足性」であります。すなわち、ソ連軍事専門家の定義によれば、自国の安全を守るのに十分でかつ攻撃計画、特に奇襲作戦を実施するには不十分な軍事的潜在力保持のことだそうです。これまでの、攻撃こそ最大の防御であるとしたソ連軍事ドクトリンに比べるとこの「合理的充足性」はいわゆる拒否的抑止力を目指しており、ドクトリンを一変させる可能性を秘めています。
 さて、私がここで問題としたいのは、日本の外交政策の中に果だして対ソ安全保障政策があるのかどうかという点です。安全保障政策というのは軍事政策だけではない。軍事は安全保障政策の一部を構成するけれども、決して全部ではない。ソ連の脅威があるというのであれば、その脅威を外交や経済、文化交流等々で薄めていくこともできるのではないでしょうか。
 ところが、外務省の考え方はいまだに対ソ政策は一にも二にも領土問題です。領土問題の壁があるから基本的な日ソ関係の改善はできないとしてそこで思考停止をしてしまう。私は我が国の北方四島返還要求は正しいと思うし、この領土問題についての主張を棚上げする必要はありません。しかし、それがすべてであり、交渉の入り口でストップしてしまうような態度は賢明なものと言えるでしょうか。外交こそ正面からだけでなく、地道な情報分析を踏まえ、からめ手、奥の手と千変万化の方策を打つべきものであります。
 そこで、本日のテーマであるアジア・太平洋地域における軍縮問題について問題提起をいたしたいのは、この地域にはいまだかつて多国間で地域軍縮を討議し合うチャンネルが存在したことがないということです。御承知のとおり、陸には中ソ国境、南北朝鮮の境界線、中越国境と、大軍が対峙している場所が数多く存在しています。他方、海はといえば、INF全廃条約の対象とならなかった海上、海中発射巡航ミサイル数は増加の一途をたどっており、米ソそれぞれが海における優位を得んと最新鋭の艦船、航空機を配備するなど核のつばぜり合いが行われております。言うならば、アジア・太平洋地域は軍拡の吹きだまりとなっております。このように、地域軍縮の必要性はあり過ぎるはずなのに、いまだに核のレベルにおいても通常兵器のレベルにおいても東西間の対話のチャンネルは存在していません。
 片や欧州においては一九六二年にジュネーブ軍縮委員会が発足し、世界の軍縮が論議されて幾つかの成果が上がっており、また七三年には欧州安全保障協力会議、中欧相互均衡兵力削減交渉が開始され、長期にわたる交渉はまとまりはしませんでしたが、今月始まった欧州通常戦力交渉を生み出す基盤をつくり出しました。その息の長い積み重ねの努力を我々は見習うべきです。対話のチャンネルがあって話し合いを続ければ、対立の中にあっても相互理解が生まれるものです。
 これに関連し思い出されるのが近年の国連事務総長等の活躍です。八八年にはコルドベス事務次長がソ連軍のアフガニスタンからの撤退交渉をまとめ上げましたし、同年にデクエヤル事務総長は八年の長きにわたったイラン・イラク戦争の停戦を実現しました。事務総長自身の言葉によれば、紛争解決のために事務総長が行う静かな外交が成功するにはすべての当事者の信頼が必要であり、そのことは単に事務総長が公平であるばかりでなく、公平であることを認められなければならないとのことです。もしアジア・太平洋地域の軍縮問題を本気で考えるのなら、この地域の米ソを含めた関係国の人々の間に信頼感あるいは問題についての共通認識さえ存在していないことに憂慮の念を当然感じるはずであります。
 この見地から私は、当調査会でもアジア・太平洋地域の地域軍縮について米、ソ、中国を含む関係国が話し合える場、何らかの対話のチャンネルを早急につくるよう我が国がイニシアチブをとれと主張してきました。しかし政府は、このアジアにおける軍縮討議の場づくりには時期尚早と言い続け、今もこの問題に積極的に対応する考えはありません。政府が時期早尚だとする理由は、ヨーロッパは基本的にNATOとワルシャワ条約機構の対抗関係という二極構造で、軍縮討議の場を設定するのは比較的容易だが、それに比べアジアははるかに構造が複雑であり、関係国による討議の場づくりはより困難だというものです。私もアジアの構造が複雑であることは認めますが、複雑さを隠れみのにしていつまでも消極的態度をとり続けるのは問題です。
 そこで、私は、この際改めてアジア・太平洋地域の地域軍縮の場づくりについて我が国政府が率先して努力することを要求するものであります。それと同時に、もし政府が動かないというのであれば、去る二十二日の当調査会の意見陳述でも述べたように、まず手始めに当調査会の主導によって、国会がアジア・太平洋の地域軍縮問題を話し合う関係国国会議員の議員会議の開催を呼びかけるよう提案するものであります。そこでは、海の核軍縮や非核武装地帯の設置の可能性など核レベルの問題は言うまでもなく、通常兵器レベルでも実現可能な軍縮のスケジュールについて自由に意見を交換し、さらに信頼醸成措置の問題も討議することが望ましいと考えます。
 軍縮の主たる対象は核兵器であり、我が国の防衛力増強問題はそれとは無関係で、軍縮の対象にはなり得ないとする防衛庁当局の理屈も、ヨーロッパの通常兵力の削減が日程に上ってきた段階ではもはや成り立ちません。まずは会い、そして話し合うことです。話し合うことにより関係者間の共通認識を一つずつ積み上げていく努力が大切です。
 次に、外交機能の強化について述べたいと思います。
 外務省を軸とする政府レベルの外交機能の強化については、さきに詳しく意見を述べたことがありますので、今回は省略し、それ以外の問題を取り上げます。
 今後の日本の外交機能の強化を考える場合に重要な視点は、単に行政府レベル同士での外交関係を考えるだけでなく、広く国民各層に及ぶ国際交流を活発化させることであると思います。例えば対米関係一つをとっても、市場開放や安全保障問題などでの対外政策決定過程においてアメリカ議会は強大な影響力を持っており、議会の意向を理解せずに対米政策を語ることはできません。一方、米国議会の側も我が国の国情についての知識を必ずしも十分に持っているとは言えません。
 このため、互いに議員同士が相互の主張を率直にぶつけ合う中で問題を掘り下げ、両国間の相互理解を深めるよう努力していくことは極めて重要です。また、議員自身が相手国の情勢や主張を一次情報として摂取することは、議会での外交論議の質を一層高める効果があり、これは外交当局にとっても望ましいことと言えます。したがって、こうした議員外交の充実について政府は積極的に支援を与えるべきです。また、こうした議員外交を一過性のものとせず、制度的に確立されたものにするため、必要な事務機構を整備するとともに、財政当局は相応の予算措置を講ずべきであります。
 また、我が国のNGO、非政府組織は、従来より軍縮、平和運動、難民救済、人権擁護、環境保護など多岐にわたる分野で国際交流や国際協力の実績を重ねてきており、国民外交という見地からその活動は今後ますます重要な意義を持ってしょう。しかし、現状では我が国はNGO後進国と言われており、例えば人口百万人当たりのNGOの数は北欧諸国の約三十分の一にすぎないのです。これは社会的、歴史的な背景に起因する面もありますが、貧弱な資金や不足がちなスタッフをやりくりしているNGOに対し、その組織の充実と活動の活発化のための政府による支援がほとんど行われていなかったためでもあります。ただし、政府が支援を行うにしてもNGOの自主性を尊重し、補助金を出す場合にもひもつきは慎むべきです。政府は平成元年度予算案でNGOへの補助金を計上していますが、民間の海外協力グループ組織NGO活動推進センターは、政府補助金を受け入れる前提として、NGOの独自性を損なわないことなど三原則を提起しています。これらの点は十分配慮すべきです。
 また近年、新しい国際交流のチャンネルとして目覚ましいのが地方自治体の国際活動であります。文字どおり草の根レベルでの市民の交流は、官庁の広報宣伝では得られない体験的な相互理解を深める上で重要であります。また、政府間で問題とするには小さ過ぎるようなもの、あるいはその地域固有の事柄等を取り上げて解決していくのに最適のチャンネルと言えましょう。このような地域に根差す国際交流に対する政府の支援体制は徐々に整備されてきておりますが、今後も引き続き充実させていくことが求められます。
 このように、外交チャンネルの多様化を図るとともに、それらの間での連携を強化していって初めてさまざまの外交手段ができ、矛軟かつ強靱な外交を展開していくことが可能となると私は考えております。
 終わります。
#7
○田英夫君 私は、アジア・太平洋地域の軍縮問題に絞って私見を述べたいと思います。
 この地域の軍縮とは、すなわちアメリカとソ連の軍縮であると言ってもいいと思います。といいますのは、この地域では、アメリカ、ソ連、中国、そして専守防衛を放棄した場合の日本が他国に脅威を与える軍事力を持っていると言えると思います。もちろん朝鮮半島の問題もありますが、これは後で述べます。
 アメリカのアジア・太平洋地域における核戦略体制がこのアジア・太平洋地域における軍縮問題では最も大きな焦点になると思います。まず、これに関連をして日本のアメリカ軍基地の軍縮問題に触れたいと思います。
 日本では横須賀、佐世保の海軍基地、これはアジアでも最も大きなアメリカ軍基地であります。しかもそこはSLCM、トマホークを積載することのできる軍艦の母港になっておりますし、ミッドウェーなど空母、そして原子力潜水艦の基地となっています。原子力潜水艦については、日本の非核三原則との関係で攻撃型のみ寄港しているということになっておりますけれども、攻撃型のみとしても、攻撃型潜水艦もサブロックを積んでいるわけでありまして、サブロックも核弾頭装着可能であるということを考えなければならないと思います。
 そこで、アジア・太平洋の軍縮と日本のアメリカ軍基地を考えたときに、まず日本人として私たちが考えなければならないことは、非核三原則を厳格に守り通すということではないでしょうか。少なくともこのことが守られない限りアジア・太平洋地域における軍縮という問題について日本は役割を放棄していると言われても仕方がないと思います。この問題については安全保障小委員会で非核三原則の法律化に触れて詳しく述べましたので、ここでは触れないことにいたします。
 このアジア・太平洋地域で、近年アメリカの核戦略体制を事実上縮小させるか機能しにくくする動きが目立ってきております。これをどう評価するかということも、このアジア・太平洋地域の軍縮問題を論ずるときに大変重要な問題になってきていると思います。
 まず、ニュージーランドですが、これは言うまでもなくロンギ政権が誕生して間もなく、非核法を制定することによってアメリカの核積載艦船、航空機がニュージーランドに来ることを拒否するという態度をとっています。正式には非核地帯・軍縮・軍備管理法で、一九八七年六月四日に採択をされております。
 その第九条には、「首相がその外国軍艦はニュージーランド内水への入域にあたって核爆発装置を搭載しないと確信した場合にのみ、首相はその軍艦にニュージーランド内水への入域の許可を与えることができる。」と規定をし、また第十条では、「首相がその外国軍用航空機はニュージーランドへの着陸にあたって核爆発装置を搭載しないと確信した場合にのみ、首相はその軍用航空機にニュージーランドへの着陸の許可を与えることができる。」としております。そして、ちなみに十一条では原子力艦船の寄港をも禁止しております。そして第十四条では、この法律に違反した者は「十年以下の禁固刑に処せられる。」としております。前に述べた九条、十条の規定からすると、その刑に処せられる可能性があるのは首相ということになるわけであります。
 次に、オーストラリア。この米軍基地の問題は比較的注目されておりませんけれども、オーストラリアでもアメリカ軍基地撤去の運動がかなりありますし、現にアメリカの核戦略上の通信、コントロールの重要基地がここに存在するということも忘れてはなりません。
 次に、フィリピンの非核法案の問題を述べたいと思います。
 フィリピンでは、一九八八年にタニャーダ上院議員が中心となって非核法案を上院に提出し、六月に上院を通過して現在下院で審議をされております。その非核法案は、もともとは憲法に規定された非核政策を法律によって裏づけようとしたものでありますが、フィリピン憲法は「フィリピンは国益に沿って、その領域における非核兵器政策を採用し、追求する」ということを規定しております。これを受けて今回法律案として審議中のものは、ややニュージーランドの法律に似ておりますけれども、一つの特徴は、核兵器監視委員会を設置するということを決めていることです。
 第七条で、大統領によって任命された「委員長一名、委員二名からなる核兵器監視委員会を設置する。」ということを決めておりまして、第九条で、その委員会の「監視・検証のガイドライン」という規定の中で、外国の艦船、航空機の「運転士・オペレーター・船長・司令官・操縦士に対して、いかなる核兵器あるいはその部品、または構成部分もないことを、委員会の定める宣誓した手続きにおいて、証明あるいは保証することを求める。委員会は、その責任者がここで定める証明または保証を拒否した場合は、上記の艦船あるいは輸送手段の領域入域を禁止、あるいは滞在を拒否する。」、こう規定をしております。
 ただ、この法律案は前にも述べましたように下院で審議中でありますが、アメリカの強い圧力によってアキノ政権、アキノ大統領が下院で審議ストップの状態に置いているという状況にあります。しかしフィリピンでは、フィリピンのアメリカ軍基地が一九九一年で貸与期限が切れるということを控えまして、今フィリピン国民の最大の政治的関心はアメリカ軍基地を存続すべきか撤退させるべきかということにあると見ていいと思います。このこともまたアメリカのこのアジア・太平洋地域における軍縮ということに絡んで今後注目すべき動きだと思います。
 次に、ラロトンガ条約について述べたいと思います。
 この条約は一九八六年の十二月十一日に発効をいたしましたが、一言で言えばアジア・太平洋、むしろ南太平洋ですが、の地域で核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず、文字どおり非核三原則を実施しようとする条約であります。ニュージーランド、オーストラリア、それにフィジー、西サモアなどの島嶼国を含めたこの地域で完全な非核地帯がつくられた。当然アメリカの核兵器はここに持ち込むことができなくなっているという状態にあることを申し上げたいと思います。
 そして、最後に朝鮮半島の軍縮について触れたいと思います。
 朝鮮半島は最近南北の対話が進む情勢にあることは大変喜ばしいと思いますが、これが進展をしないならば、アジア・太平洋地域に残された最も危険な地域と言ってもいいと思います。北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席は、一九八七年に一方的に十万の軍隊を削減するということを宣言し、実施いたしました。
 このことと関連をし、最近の南北対話の動きと絡めて、この朝鮮半島における相互の軍縮が進むことを強く求めたいと思いますが、ここでも韓国にあるアメリカ軍の核が極めて重大であると思います。これは北からの侵攻ということを想定して、核地雷が中心だと言われておりますけれども、このアメリカ軍の核を朝鮮半島から撤去することがまず第一に求められるのではないかと思います。
 そこで、今まで述べましたアジア・太平洋地域におけるアメリカの核戦略に対して、これを縮小し、あるいは機能しないようにするという動きと関連をして、昨年一九八八年の国連の軍縮特別総会でスウェーデンのカールソン首相が述べましたことを想起したいと思います。
 カールソン首相はその演説の中で、アメリカがその核の所在を明かさないという政策を改めるべきであるということを述べております。このことは、一連のアジア・太平洋諸国の中で起こっているアメリカ軍の核戦略に対してディスターブしようとする動きと関連をして、もっとアメリカの側からそれにこたえるという意味で賛同をしたいと思います。
 最後に、こうした動きに対応して同時に望まなければならないことは、アメリカの軍縮あるいは核軍縮が進んでいくとするならば、それに見合った軍縮をソ連もこの地域で行うべきだということであります。既にINF条約によってSS20が廃絶をされつつあることは一歩前進でありますけれども、同時にソ連は、日本の北方領土に存在をするソ連軍を撤退させるべきだと思いますし、また中ソ国境に展開をしている膨大な兵力を削減すべきだと思います。
 以上です。
#8
○小委員長(大木浩君) 次に、当小委員外の委員に意見の開陳をお願いいたします。吉岡吉典君。
#9
○小委員外委員(吉岡吉典君) 最初に、意見開陳の場を与えていただいたことを感謝します。
 私は、日本共産党を代表して、アジア・太平洋地域の軍縮問題についての意見を述べさせていただきます。
 アジア・太平洋地域の一国であり、しかもアジア・太平洋諸国と政治、経済、軍事の各分野で深くかかわっている日本にとって、アジア・太平洋地域の軍縮の実現は極めて重大な課題です。それは日本の平和と安全にとっても、世界の平和にとっても重大な意義を持つ出来事です。
 一、アジア・太平洋地域の新しい流れに立って非核地帯の設置を。
 我が党は、アジア・太平洋地域の軍縮の第一に、アジア・太平洋諸国人民の核兵器廃絶・核戦争阻止の要求と運動に沿ったアジア・太平洋地域の非核地帯化を提唱します。
 アジア・太平洋地域は、内部に矛盾を持ちながらも、今後の新たな経済発展の最も大きな可能性を持つ地域として注目を浴びています。同時に、アジア・太平洋地域について語るとき、我々はアジア・太平洋諸国に巻き起こっている独裁と腐敗に反対し、民主主義を求める人民の運動の大きな発展を土台にした政治的変化を重視しなければなりません。
 周知のように、一九八六年二月、フィリピンで二十年にわたるマルコス前大統領の独裁政権が人民の運動で打倒されたのは、アジアの変化を象徴する出来事でした。マルコスは、政権の座から追われただけでなく、今ハワイに亡命した上、フィリピン国内では不正、腐敗の裁判にかけられています。
 南朝鮮の事態も、人民の民主化のエネルギーの巨大さを示しています。軍事クーデター政権に反対して、人民による政権樹立の要求に基づく大統領直接選挙が実現し、盧泰愚政権のもとで人民の要求に基づく一定の民主化が進み、独裁と腐敗の限りを尽くした全斗煥前大統領は山寺に隠遁を余儀なくされ、なお人民と野党の厳しい追及にさらされています。
 ビルマでは軍政樹立という事態になったとはいえ、民主化の激しいあらしが吹き荒れ、パキスタンでも独裁を推し進めた大統領の事故死を機会に人民の軍事独裁反対の運動が広がり、選挙による野党の勝利で一定の民主化が進みました。こうした人民の動きを無視してアジア・太平洋地域の軍縮を論ずることはできません。アジア・太平洋の軍縮を語る上で最も重視する必要があるのはアジア・太平洋非核地帯化の流れです。
 まず、ASEAN非核化の動きです。ASEANは七一年十一月、クアラルンプールで開かれた特別外相会議で東南アジア中立化宣言を採択しました。この宣言に関連して八四年七月、第十七回外相会議で非核武装地帯構想を検討することを決め、八五年九月のASEAN常任委員会で非核宣言検討の時期であるとうたい、八七年六月の第二十回外相会議で同構想について、協定案文づくりを急ぐとうたつたのです。ASEANはその後、八七年十二月、マニラでの第三回ASEAN首脳会議の共同声明でも、八八年七月、バンコクでのASEAN第二十一回外相会議の共同声明でも東南アジア非核地帯化条約の推進をうたっています。
 特に注目すべきはフィリピンです。フィリピンは、非核憲法を持っている上、昨年六月上院を通過したフィリピン非核兵器法案は、何人であろうと、いかなる核兵器もしくはそのいかなる核の部品または構成部分をも、通過か荷おろしかを問わず、フィリピン領域内に持ち込むこと、あるいはいかなる核兵器もしくはそのいかなる核の部品または構成部分をもフィリピン領域内で所有または保有することは違法であると言っており、厳しい罰則も規定しています。
 南太平洋では、八三年の第十四回南太平洋フォーラムでオーストラリアが南太平洋非核地域に関する宣言案を提出、八五年八月六日のSPF首脳会議で南太平洋非核地帯設置条約が採択され、一九八六年十二月に発効しています。そのほか、バヌアツの非核宣言、ベラウの非核憲法、ニュージーランドの非核法など南太平洋での非核の運動も活発です。ニュージーランドでは、日本でもよく知られているように、八四年七月、ロンギ労働党が核兵器積載艦船、航空機の立ち寄りを禁止する非核政策を公約に掲げて総選挙で勝利し、同年十二月米艦船の寄港要求を核兵器積載の可能性ありとして拒否しました。私は、アジア・太平洋地域の軍縮を問題にするなら何よりもこれらの動きを尊重しなければならないと考えます。
 しかし、アジア・太平洋諸国民の願いとなっている非核化は自然にでき上がるものではありません。妨害を取り除いて初めて実現します。INF条約が成立した今日もなおこれに反する動きが続いているからです。
 私は、今日、日本が唯一の被爆国であるにもかかわらず、アメリカとともに核抑止力論に立ってこれらの動きに反対し、これを抑える動きをしていることを重視し、これをやめることを強く求めざるを得ません。すなわちアメリカは、ニュージーランドの核積載可能艦寄港禁止を理由にして八五年にANZUSの機能停止を宣言しました。そして今、アジア・太平洋における軍事力の強化、基地強化を進めています。その最大の特徴は、海洋発射INF、いわゆる西太平洋版SDIを含む核兵器の近代化と核攻撃能力、核基地の強化です。これは、特に日本の核基地の強化にあらわれています。米軍三沢基地へのF16核攻撃機の配備以降、アメリカはアジア・太平洋における核戦力の近代化を進めてきました。横須賀基地は新たに核巡航ミサイル艦の母港となり、空母ミッドウェーには最新鋭のFA18艦上核攻撃機が積載されました。岩国には核兵器塔載能力のないAV8A垂直離着陸機にかわり、AV8B核攻撃機が配備され、沖縄北部訓練場ではその演習場建設が強行されようとしています。九〇年度米軍事建設計画によれば、フィリピンのクラーク基地にF15に核攻撃能力を付与したF15Eストライクイーグルの修理施設の建設が計画されるなど、同機のアジア・太平洋地域配備に向けた動きが見られます。
 こうしたアジア・太平洋での核能力近代化は、ヨーロッパにおいてアメリカの短距離戦術核ミサイル更新が西ドイツなどの反対で混迷しているにもかかわらず、アメリカの自由勝手に行われています。これが日米軍事同盟の存在と日本政府の積極的協力によるものであることは明白です。日本政府はアメリカに同調し、ニュージーランドの非核化に中曽根前首相が圧力を加えたと非難する報道が行われました。ASEANの非核武装地帯化の動きに対してもシュルツ前米国務長官が、そういう構想はよくない、世界の平和は侵略を抑止する核大国としての我々の能力にかかっていると語ったのに次いで、当時の倉成外相も、ただ感情的な意味での構想であってはならない、世界全体の戦略均衡、世界の平和が保たれているのは核の均衡によるというのも現実だと述べました。この倉成発言に対しインドネシアのモフタル外相は、核抑止力という考えからすればそういうこともあろう。しかし、核兵器の攻撃からみずからを守るために考え出したもので、決して感情的なものではない、今こそ被爆体験国から積極的な反応が出るべきだと批判したほどです。
 これは自民党政府が、我々が指摘する好核政府そのものであることを示すものです。アジア・太平洋地域の非核地帯化のためにも、唯一の被爆国日本で非核の政府をつくることが決定的に重要になっていることを強調しなければなりません。
 いち早くアジア・太平洋非核地帯構想を掲げてきた党として、我が党はこれらの核軍事体制の強化に断固として反対し、アジア・太平洋諸国の非核地帯化の動きを支持し、アジア一太平洋非核地帯の設置を提唱します。同時に、アジア・太平洋地域の諸国がこの地域の非核地帯化にとどまらず、共同して国連に対し、期限を切った核兵器全面禁止、廃絶の国際協定の締結を提起するよう提案します。唯一の被爆国である日本は、アジア・太平洋地域の非核化で果たすべき責任を負っています。そのためにも日本の国是である非核三原則を完全に貫き、外国軍艦、航空機の来日に際し、非核証明書提示を求めること、さらに非核三原則を法制化し、非核日本宣言を各国に通知することを提案します。言うまでもなく、非核日本は在日米軍のあらゆる核兵器、核部隊の撤去を実現しなければなりません。
 二、軍拡競争の停止で流れを変える。
 第二に、アジア・太平洋地域のすべての国が、核兵器はもちろん通常兵器を含むあらゆる軍拡を停止し、アジア・太平洋地域の軍拡の流れを軍縮の流れに変えることが必要であることを主張します。
 今日アジア・太平洋地域は、各国人民の願いに反して軍拡競争が最も激化している地域となっているからです。
 ブッシュ政権の国務長官となったベーカー氏は、我々は太平洋においても同様に、極めて重要な政治的、戦略的権益を持っている。これらの権益は日本、フィリピン、韓国に駐留する軍事能力によって、またこれら諸国との緊密な協力によって防衛されている。我々は、共通の防衛と発展の責任を分かち合う中でこの協力を強化しなければならないと述べました。これは、アメリカが日本などとの責任分担政策によって、強い軍事力を持ってアジア・太平洋のアメリカの権益を守ることを改めて表明したものです。また、ベーカー長官は、太平洋地域の経済発展を地域的抑止の確保という背景の中で保証しなければならない。アジアにおいてはASEAN、他の地域グループとの緊密な調整、恐らく新しい機構的取り決めすら必要とされるようになっていくであろうと述べ、アジアにおける軍事同盟の再編強化の方向まで示唆しています。
 アジア・太平洋地域の軍縮を進める上で我が国にとって最大の問題となるのが自衛隊の拡大強化です。カールーチ前国防長官が再三にわたって言明しているように、中期防衛計画によって進められている軍拡計画により自衛隊は世界第三位の軍事予算を持ち、その軍事力は、量的にはアジア・太平洋を作戦区域とするアメリカ第七艦隊の二倍ないしは三倍となっています。こうした評価は、日本が軍縮に逆行していることの証明であり、喜ぶべきどころか、アジア諸国に不安を与え、多くの批判を受けている恥ずべきものであります。そして、このアメリカの核戦力と一体となった自衛隊の増強がアジア・太平洋の緊張を激化させる最大の要因となっています。ソ連への軍事威嚇と臨戦態勢強化を目指すリムパックやチームスピリット、さらに激化の一途をたどる半ば恒常化した日米共同演習もこれへの対抗を呼び起こさずにはおかず、アジア・太平洋の緊張を激化させ、軍拡競争の悪循環を進めざるを得ません。これらの実態に目をふさぎ、これをそのままにしては、どんな軍縮提案も実際的効果を上げることはできません。私は、こうした軍拡競争の悪循環を断ち切らねばならないことを強調せざるを得ません。
 私は、アジア・太平洋の以上の実態を踏まえ、何よりもまず、一切の軍拡競争を停止すべきであることを主張します。特に日本が、次期防衛力整備計画を含む自衛隊増強、基地の強化、日米軍事同盟強化を中止し、流れを変える先頭に立つべきであることを強く求めます。
 軍事費の大幅な削減、ODA名目の軍事分担の取りやめを提案します。これは、毎年国連総会で繰り返されている軍事費削減の総会決議にもこたえることになります。こうして、アジア・太平洋の軍拡への流れを変えなければなりません。さらに、軍拡を進めるアジア各国への兵器売り込み競争は取りやめなければなりません。もちろん我が党は、ソ連にも、世界に向かって声明した一方的な五十万削減提案を初め一連の軍縮提案をアジア・太平洋地域を含めて実際に実行することを求めます。
 三、軍縮の障害、軍拡競争のよりどころの軍事同盟の解消。
 第三の提案は、軍縮の最大の障害であり軍拡競争のよりどころになっている日米安保条約の廃棄を初め、軍事同盟の対抗をなくすことです。アジア・太平洋の軍拡競争の悪循環は、米ソを中心とする国際的な軍事ブロックの対抗の一翼です。
 今日、ソ連のゴルバチョフ書記長のアジア・太平洋における軍縮の呼びかけを初め、さまざまのアジア・太平洋軍縮交渉やアジア・太平洋安保構想が提唱されています。しかし、軍事同盟による対抗、なかんずく日米軍事同盟を解体し、独立、非同盟、中立の道を進むことこそがアジアの情勢を変え、真に軍縮の条件をつくるものであると言わなければなりません。
 四、強化すべき外交機能の内容。
 最後に、外交機能強化の問題について一言します。
 私は、何よりも重要なことは、日本のアジア・太平洋外交の内容だと思います。アジア・太平洋地域の非核化の動きを妨害するような外交機能、かつての侵略戦争の事実を認めず、アジア・太平洋諸国に不安を与えているような日本の自衛隊の増強などは軍縮への逆行です。私は、アジア・太平洋諸国人民の願いに沿った民主化と非核化、軍縮、自主的な経済発展に役立つ方向での外交機能こそ強化すべきであることを強調するものです。
 どうもありがとうございました。
#10
○小委員長(大木浩君) ありがとうございました。
 以上で予定されておりました委員の皆様の御発言は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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