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1988/03/28 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 建設委員会 第2号
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1988/03/28 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 建設委員会 第2号

#1
第114回国会 建設委員会 第2号
平成元年三月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     松本 英一君     久保  亘君
     馬場  富君     片上 公人君
     山田  勇君     藤井 恒男君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     片上 公人君     馬場  富君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         稲村 稔夫君
    理 事
                井上  孝君
                沓掛 哲男君
                志村 哲良君
                赤桐  操君
    委 員
                井上 吉夫君
                石井 一二君
                植木 光教君
                遠藤  要君
                川原新次郎君
                高橋 清孝君
                宮島  滉君
                青木 薪次君
                久保  亘君
                片上 公人君
                馬場  富君
                三木 忠雄君
                上田耕一郎君
                藤井 恒男君
                青木  茂君
   国務大臣
       建 設 大 臣 小此木彦三郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  内海 英男君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        公文  宏君
       国土庁土地局長  片桐 久雄君
       国土庁地方振興
       局長       森  繁一君
       建設大臣官房長  牧野  徹君
       建設省都市局長  真嶋 一男君
       建設省住宅局長  伊藤 茂史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        荒木 正治君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第二課長    薄井 信明君
       文部省高等教育
       局大学課長    泊  龍雄君
       水産庁漁政部協
       同組合課長    前川 豊志君
       資源エネルギー
       庁公益事業部開
       発課長      作田 頴治君
       郵政省郵務局企
       画課長      鍋倉 真一君
       郵政省電気通信
       局電気通信事業
       部業務課長    濱田 弘二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振
 興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(稲村稔夫君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、馬場富君、松本英一君及び山田勇君が委員を辞任され、その補欠として片上公人君、久保亘君及び藤井恒男君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(稲村稔夫君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(稲村稔夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に志村哲良君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(稲村稔夫君) 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。内海国土庁長官。
#6
○国務大臣(内海英男君) ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主な内容を御説明申し上げます。
 奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業を実施し、これにより奄美群島の基礎条件の改善とその振興開発を図ってまいったところであります。
 しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然として厳しく、なお本土との間に格差が存すると考えられます。今後、その格差の是正を図り、国土の均衡ある利用を推進するためにも、奄美群島の特性とその発展可能性を生かし、積極的に社会基盤の整備と産業の振興を進める必要があります。
 このような見地から、現行の振興開発特別措置法の有効期限を五カ年延長することにより、振興開発計画を改定し、これに基づく事業を推進する等特別の措置を引き続き講ずる必要があります。
 また、小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業を実施し、その成果を上げてまいってきたところでありますが、本土から極めて隔絶した外海離島であるという自然的条件等のため、人口の定着、産業の育成等が十分には達成されていないと考えられます。
 このような見地から、現行の振興特別措置法をさらに延長して題名を振興開発特別措置法に改めるとともに、新たに総合的な振興開発計画を策定し、これに基づく事業を実施する等特別の措置を引き続き講ずる必要があります。
 以上がこの法律案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、奄美群島振興開発特別措置法の一部改正につきましては、第一に、この法律の有効期限を平成六年三月三十一日まで五カ年延長し、奄美群島振興開発計画の計画期間も現行の五カ年からさらに五カ年延長することとしております。
 第二に、奄美群島振興開発基金の業務に新たに出資業務を追加するとともに、理事は理事長が内閣総理大臣及び大蔵大臣の認可を受けて任命することとしております。
 次に、小笠原諸島振興特別措置法の一部改正につきましては、第一に、題名を小笠原諸島振興開発特別措置法に改め、所要の規定の整備を行うとともに、法律の有効期限を平成六年三月三十一日まで五カ年延長することとしております。
 第二に、新たに平成元年度を初年度として五カ年にわたる小笠原諸島振興開発計画を策定することとし、その内容についても振興開発を図るための計画事項を定める等の規定の整備を図っております。
 第三に、小笠原諸島振興審議会の名称を小笠原諸島振興開発審議会と改めております。
 以上が、この法律案の提案理由及び主な内容であります。
 何とぞ、慎重に御、審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(稲村稔夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○久保亘君 私は、主として奄美群島振興開発特別措置法についてお尋ねをいたしたいと思いますが、今大臣の提案理由の御説明にありましたように、昭和二十八年以来三十五年にわたって復興法、振興法、振興開発法と順次変わってまいりましたけれども、特別措置法に基づく奄美振興並びに開発が進められてきたのでありますが、三十五年に及ぶ特別措置法の成果というものを今日どのようにとらえておられるのか。
 それから、現在なお格差が本土との間に存在するということが今回さらに五年間特別措置法を延長する理由であると述べられておりますが、この格差の現状というものをどういうふうに認識されておるのか。
 それから、三月三十一日で一応終了いたしますこの五年という間に、所得を中心にして奄美群島の格差は開いたのか縮小したのか、その辺を御説明をいただきたいと思うのであります。
 また、三十五年特別措置を続けながら、なお本土との格差が大きく存在をするというその原因はどこにあるのか。ただ単に外海離島であるとか台風常襲地帯であるとかいうようなことを理由にして説明されてもいけないのではないかと思うのです。それはわかり切ったことでありまして、そのためにこそ特別措置法が三十五年間も施行されて奄美の振興開発ということが進められてきたわけでありますから、なお今日格差が大きく存在するその原因はどこにあるのか。
 それらの点についてまず最初に伺っておきたいと思います。
#9
○国務大臣(内海英男君) ただいまお話しのように、奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、同群島の隔絶した外海離島というような特殊事情もございまして、復興計画、振興計画、さらに御指摘のように振興開発計画と続けて各般の事業を推進して、特別の措置を講じてきたわけでございます。したがいまして、同群島自体の基礎的な条件の改善あるいは振興開発ということにつきましては、ある程度相応の成果を上げてきたものと私どもは認識をいたしております。
 しかしながら、先生もただいま御指摘のように、隔絶した外海離島、しかも台風の常襲地帯であるというようなハンディもございまして、その後進性はなかなか脱却することが容易ではないというような考え方から、いまだにいろいろな格差が生じておることは先生御指摘のとおりでございます。今後、国土の均衡ある開発を推進するに当たっても、同群島の特性と開発可能性をよりよく引き出しまして、我が国経済の発展と国民福祉の向上にとって極めて有益な同群島の開発を進めていきたい。それには一層積極的な総合的居住環境の整備と産業の振興を進める必要があると考えておるわけでございます。
 昨年はジェット空港も完成を見ましたが、離島であるためにいろいろな生活物資等が海上輸送あるいはその他の交通不便の関係から高くついておる、あるいは生産物を外へ持ち出してさばく場合でもそれだけ余分な費用がかかる、こういうような非常に往復の不利益というものも存在していることでございまして、なかなか難しいというような他の地域と比べての差があるわけでございます。
 今回、この法律の延長等によりまして、現行の振興開発計画を改定いたしまして特別の措置を継続してやっていくことによって地域格差を縮めていきたい、こういうのがこの法律の趣旨でございまして、今後の基本方向といたしましては、その群島としての特性を生かした産業の振興を進めていきたい、また海洋リゾート、こういったような立場からいきまして快適で住みよい生活環境を確保していこう、それから均衡のとれた地域社会の発展、こういった三つの柱を総合的な整備の基盤として、自立的な気持ちを島民の方々にも持っていただいて、政府、地元一体となって諸施策の推進を図っていきたい、こういうように考えてこの法律を出しておるわけでございます。
#10
○久保亘君 お考えはよくわかりますが、奄美群島振興開発特別措置法をこれからさらに五年間延長して、目的である格差の是正をやっていくということについていろいろな振興計画などをお立てになります場合に、現状というものを計数的にもきちっとしておく必要がある、こう思うのであります。
 前に参議院で、この前の振興開発特別措置法の延長のときにも国土庁がお答えになっていることだと思うのでありますけれども、そのときに、最初の復興特別措置法の十年でもって戦前の水準に引き上げる、次の振興特別措置法でもって鹿児島県本土並みとする、そして振興開発特別措置法でいわゆる日本列島の本土並みの水準に格差を是正していく、こういうことを大きな目標としてやってきたんだという御説明をいただいておるのでありますけれども、現在国土庁で掌握されております一番新しい数字でもって、奄美群島の対国の所得格差というのは今どれだけになっておりますか。
#11
○政府委員(森繁一君) 今先生がお示しのように、これまでの復興計画、振興計画はそれぞれ、ある地点のある時代の水準に戻そうということで進めてきたわけでございます。お示しのように、現在の振興開発計画は、言うなれば本土との格差を是正するということで進めておるわけでございます。
 お尋ねの所得水準の問題でございますが、最新の実績データによりますと、昭和六十年度の計数が出ておりますが、全国を一〇〇といたしますと、奄美群島の所得水準というのは六四・七、こういうことになっております。
#12
○久保亘君 それでは、六十年度で六四・七ということでありますと、五十五年度、五年前ですね、五年単位で来ておりますから、五年前は幾らになっておりますか。
#13
○政府委員(森繁一君) 五年前が六六・一という数字になっております。先ほど申しましたように、六四・七が六十年度の数字でございますので、若干下がっておるというのが実情でございます。
#14
○久保亘君 この五年間に所得格差は、まあ若干と見るかどうかは別にしまして、六六・一から六四・七に拡大をしているということになると思いますが、この所得格差が拡大をしているというその原因はどこにあるんですか。特別措置法でもって本土並みの水準に近づける、それを目的にしてこの特措法による振興開発事業を進めたにもかかわらず所得格差がなお拡大していったこの原因はどこにありますか。
#15
○政府委員(森繁一君) この所得格差がなお厳然として残っておるということの理由でございますが、大きく分けまして、一つは基幹産業の問題があろうかと思います。
 御承知のように、奄美の基幹産業でありますサトウキビについて申し上げますと、価格の低迷等もございまして、伸び悩みといいますか大変厳しい状況になっておるのが実情でございます。それからまた、もう一つの基幹産業であります大島つむぎをとってみましても、外国産の輸入品の問題もありますし、あるいは国内の販路の開拓等の問題もありまして、これもピーク時に比べますと約六〇%の生産量にしか至っていない。こういう奄美の二つの大きな基幹産業がいずれも低迷といいますか停滞の状況にあるというのがこの奄美の所得の水準が上がってこなかった大きな理由ではなかろうか、こういうように思っております。
 さらに、かてて加えて申し上げますと、ウリミハエ等の特殊病害虫等がございましたために、農林水産業等につきまして飛躍的な伸びというのが見られなかったということも背景にあろうかと思います。
 ただ、今後をいろいろ考えてみますと、先生御承知のように、新布美空港がジェット化されましていわゆるフライト農業というのが実現できる、こういう時期にも至りました。また、病害虫につきましてもウリミバエの根絶が近い。こういう状況でございますので、そういう面をも考慮いたしました場合に、今後奄美の振興につきましては、産業の振興というのを一つの大きな柱にいたしまして所得水準をできるだけ上げて本土との格差を是正していく、こういうことで私ども全力で進めたい、かように考えております。
#16
○久保亘君 これからこういうことでやりたいというお考えはわかりますけれども、結局、経済的な情勢とかそういうものが所得格差の拡大に影響をもたらしているということは、それは理由のあるところだと思いますよ。しかし、なぜ特別措置法を継続しながらその格差が拡大していっているか、そしてその格差の拡大を抑えることができないか、そのことについてはやはり政治、行政の面からの原因というものもきちっと見なけりゃいけないんじゃないか。そうしないと、法律を五年間ただ延長するというだけでは問題は解決しないのではないかという感じが強くするわけです。
 奄美群島振興開発審議会の意見書も昨年出されておりますが、この中にも、「本土との間はもとより、昭和四十七年に本土復帰した沖縄との間にも所得水準をはじめとする諸格差が残されており、」ということが書かれてございますね。そうすると、その沖縄の場合と一体どこが違って――奄美群島の場合に、本土との間はもとより、二十年後に本土復帰をした沖縄との間にも格差が残されている、こういうことを奄美群島振興開発審議会が意見書を総理大臣あてに提出しているというこのことについて、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
#17
○政府委員(森繁一君) まず前段の格差の是正については、いろんな分析をいたしまして、その結果的確な対策を立てるように、こういうお話でございます。
 私ども、先ほど申し上げました産業の振興の問題を一つの核にいたしまして、今後計画の中で奄美の振興のための具体的な方策というのを逐次実施していく、こう考えております。
 それから後段の、沖縄との格差についてどう思うかということでございます。
 今委員お示しのように、所得水準一つ見てみましても、沖縄と奄美との間にはやはり格差がございます。復帰の時点がそれぞれ違う、その他地域経済の状況にいろんな差がある、こういうことは当然のことながらあるわけでありますけれども、それにいたしましても、沖縄と奄美は大体同じような地理的条件でございまして、私ども、できるだけ早く沖縄並みに所得水準が回復するように、こういうことを念願いたしまして今後の施策を打ち出したい、こう考えておるわけでございます。
 その沖縄と奄美の差の大きなものは、一つは地域経済の状況があろうかと思いますが、他方では、先ほど申し上げましたように、奄美の基幹産業であります大島つむぎの問題もございます。そういう点で沖縄との差が出ておるんではなかろうかと、こう見ておるわけでありますが、いずれにいたしましても、沖縄に追いつき追い越すということが奄美の一つの宿望、願望でもございますので、その意味で今後とも努力をいたしたい、かように考えております。
#18
○久保亘君 これは、奄美群島振興開発特別措置法と沖縄に施行されております開発特別措置法との間にも、この法律の内容自体にも大きな差がございますね。だから、もし、奄美群島が沖縄との間にもなお格差を残しているということを審議会も意見を答申され、そしてまた国土庁としてもそのことをしっかり御認識になっておるのでありますならば、少なくともこの法律の内容について、奄美群島についても沖縄並みの水準まで早く近づけてやりたいということならば、それに見合う法律の内容を持つということも重要なのではありませんか。
#19
○政府委員(森繁一君) 奄美の特別措置を沖縄と同じようにするべきだ、こういう御趣旨だろうと思いますが、先生御承知のように、奄美と沖縄では復帰の時点がそれぞれ異なっておりまして、これまでいろんな歴史的経緯等がありまして現在の状態になっておるわけでございます。
 ただ、奄美につきましてできるだけ沖縄並みにということで、これまで幾つかの主要な事業につきましては、例えば補助率等につきましても沖縄と同じような補助率にする、こういうことでやってまいりました。平成元年度におきましても、漁港関連道につきましては奄美も沖縄と同じような補助率にする、こういう努力をいたしておるわけでございますし、さらにまた、奄美の基金につきましても、これまで出資機能がなかったわけでありますが、その点沖縄公庫との間に差があったわけでございます。これにつきましても、出資機能を創設するということで、必要な部分につきましては私ども沖縄と同じような形での特別措置をやりたい、こう考えまして平成元年度も努力をいたしたつもりでございますし、今後とも先生の御趣旨を体しまして努力に努力を重ねたい、こう考えております。
#20
○久保亘君 細かい補助率の問題とかいろいろな、それから対象事業の問題とか、そういうものについての中身を一々ここでお尋ねしている時間もございませんので、今総括的にあなたがおっしゃったことで、今後具体的にどういう内容のものを奄美振興開発の新たな事業計画の中でお出しになるのか、よくまた検討さしていただきたいと思っておりますし、今申されたような方向で十分御努力いただきますようにお願いをいたしておきます。
 ところで、私、先般奄美大島の経済界の指導者の方とお目にかかってまいりましたが、この方が言われるには、久保さん、奄美群島の我々は特別措置法に依存し続けようと考えているんではない、特別措置法は本土との格差を是正するということを目的にやられているはずだ、だから一日も早くその格差が是正されて特別措置法の必要がなくなることを我々は望んでいる、こういうことを言われたのであります。
 私には非常にそのことが奄美の人たちの気持ちとしてよく理解ができるのでありますが、なおその格差が拡大をしていくという中で、今五年間さらにこの特措法が延長されるということは当然に必要なことであると思っております。それならば、この特別措置法を五年間延長するという場合に、一体新たな五カ年計画の終了時における奄美群島の島民の所得はどうなっているのか、並びに対国の所得格差はどのようになっているのか。一応その目標を定めて新しい五カ年間の特別措置というのをお考えになったと思うのでありますが、平成五年度末における奄美群島の島民所得並びにその対国の格差を、計数的に言いますと、どこに目標を定めておやりになろうとしておるのですか。
#21
○政府委員(森繁一君) 先生御承知のように、奄美の計画につきましては、具体的な数字でなく文言での計画になっておるわけでございます。そのために、今後五年後の水準を例えば所得をとってみまして明確な数字で示すということは大変難しゆうございまして、例えば財政の見通しとか全国の水準等も当然に変わるわけであります。それかまた、努力の結果当然のことながら施設水準等つきましては相当改善されるものと、こういうように考えておりますけれども、具体的な数字として五年後に例えばこうなるということはなかなか示せないということを大変申しわけなく思っておりますが、私ども最大限の努力をいたしまして、目標は言うなれば本土との格差是正ということでありますので、その方向で最大の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
#22
○久保亘君 格差が大きく存在しているから奄美群島に対して一定の援助措置をやるために法律をそれじゃ延長しておきましょう、これでは私は百年河清を待つようなものでだめだと思うんです。やっぱり目標をきちっと定めて、今度の新しい特別措置法、五カ年間が終わるときにはここまではやりますぞという目標を持って振興開発事業というものを国も一体になってやってやるということでなければ、私はこの特別措置法というのは五年後にもまた同じような状況で延長が議論されるだけになりはしないか、こう思うんですが、これは今数字をお示しになれないということですから、それを私がこれを出しなさいと言っても無理でしよう。
 しかし、五カ年の振興開発事業計画を十年間に延長して平成五年度末までかけてやるんですということなら、その年度末においてどうなるのだということをいつかは事業計画としておつくりにならなければだめでしょう。ただもう何となく、法律延長したら毎年毎年出たとこ勝負でやっておきましょうや、そういうことではこれは奄美群島の人たちだって、私はこの延長されたことはありがたいと思うけれども納得できるものにならないと思うんですよ。特別措置までやって事業計画を立てるというなら、五年後にはここを目標にしてやりますということを示して、そこへ地元も国も県も一体的に力を合わせてやるということでなければだめなんじゃないですか。大臣、どうお考えですか。
#23
○国務大臣(内海英男君) 先生の御指摘まことにごもっともだと思っております。
 この振興開発計画の改定に当たりましては、今後五年間にどういう目標を持ってどういう事業を推進していくかというところまで踏み込んで、群島の地元住民の皆さん方に期待を持たれるような計画をつくってお示しをしてそれを推進する、しかも地元の皆さん方にも御協力をいただく、御理解をいただく、こういう形で一つの目標をつくるような改定作業を目指して私どもは計画をつくりたい、こう考えておる次第でございます。いずれの機会かに、その目標が達成できるように最大限の努力をして、事務当局と検討を進めてまいりたい、こう思っております。
#24
○久保亘君 わかりました。また、できるだけ早くそういう計画をお示しいただいて、その段階で私どもも意見を申し上げる機会を与えていただきたいと思っております。
 ところで、今度延長されるこの奄振開発事業の中心的な課題というのは、先ほど大臣も局長もおっしゃいましたように、経済の自立化を図ることに重点を置いた産業振興ということが中心に据わらなければ所得格差という問題はなかなか解決していかないのではないか、こう思うんですが、その点については私が今申し上げたようなことで理解していいのか。
 それから、振興すべき産業は、奄美の特性を生かした伝統産業の大島つむぎ、キビを中心にした農業、それから奄美群島周辺の広い海域を有効に生かす漁業ですね、それと亜熱帯のすぐれた自然というものが本当に生きるような形での観光、こういうものが柱とならざるを得ないし、それがまた今考えられている問題だと思いますが、そういう産業の柱となるものについて、具体的にこれから五年間どういうことに力点を置いて振興を図ろうとされているのか。この点を、余り詳細にお述べになる時間もないでしょうが一応伺っておきたいと思うんです。
#25
○政府委員(森繁一君) これまでの振興施策の中で、当然のことながら産業振興にも力を入れておったわけでありますが、どちらかといいますと、社会基盤といいますか公共基盤といいますか、その方に力が注がれてきたことは事実でございます。ただ、今委員お示しのように、今後、奄美の所得水準を向上せしめるためには、産業の振興というのをむしろメーンの大きな柱に据えて、それに対して具体的な施策を展開していくということがどうしても必要であろうと思っておりますし、私どもも委員と同じような考え方に立っておるわけでございます。
 具体的に申し上げますならば、三点ばかりあろうかと思いますが、その戦略の一つといたしましては、複合農業経営というのを展開していく必要があるのではなかろうかと思うわけであります。御承知のようにサトウキビが基幹産業でありますが、そのサトウキビを中心にいたしまして、野菜とか果物とか花とか、こういうものを組み合わせました複合農業経営を展開する。新奄美空港等が完成いたしましたためにいわゆるフライト農業というのが展開できる、そういう情勢にもなっておりますし、病害虫の根絶も近いという、いわば明るい見通しもございますので、そういう複合農業経営を展開することによりまして産業の振興を図っていこうというのが第一点でございます。
 それから第二点は大島つむぎの問題でございまして、現在低迷状態にありますが、新しい需要を開拓いたしましたり、流通システムを改善いたしましたり、あるいは新しい技術を導入いたしましたりする等いたしまして、大島つむぎを基幹産業、伝統産業としております地場産業を積極的に振興を図っていこうというのが第二の基本的な戦略になろうかと思います。
 それから第三の戦略は、あのすぐれた自然的、文化的特性を持っております土地柄でございますので、言うなれば大規模な観光、リゾート開発というのを積極的に進めまして、そういう観光、リゾート面における産業の振興というのが第三の戦略として考えられようかと思います。
 そのほか、今委員お示しのように、漁業の問題等もございますし、そういう他の産業をも総合的に複合的に有機的に考えながら、産業の振興というのを次の振興計画の中心課題として展開してまいりたい、かように考えております。
#26
○久保亘君 産業振興の今後の戦略についてのあらましの話は私もよく理解できることでありますが、具体的に一つずつの問題を論議いたしますと大変時間がかかりますので、一つだけ、大島つむぎの場合には、これは奄美群島における基幹産業の一つでございますね。この大島つむぎの場合には、今、大きく分けると二つの理由によって大変困難に直面をしているわけです。既に大島つむぎは最盛期からいたしますと生産量は非常に下がっておりますね。三五%ぐらいまで下がっているんでしょうか。それから価格においても半減するという状況がございます。この一番大きな理由は、外国産つむぎ、特に韓国つむぎの流入です。これがなかなか規制できない。実際にいろいろと規制を取り決めてもそれを実際に守るということが非常に難しい状況がある。そのことが一つです。だから、この問題についてきちっとした政府の対応がないとなかなか大島つむぎの将来の展望というのが開けない。
 もう一つは需要の拡大の出題です。和装産業でありますから、今大変生活様式も変わってきて大変になっている。そこで大島つむぎの需要の拡大、つまりそれは市場拡大につながっていく。そのことについて、新しい技術の開発であるとか、需要拡大に見合ういろいろな大島つむぎの広範な利用についての研究であるとか、そういうようなものが非常に必要になってきていると思うのでありますが、この外国産つむぎの流入を規制するということについては、現地の人たちもそれこそ長い年月にわたって政府に対して要請をされ、そして二国間の取り決めとかいろいろなことが行われてきましたけれども、今なおこの問題が大島つむぎの不況の最大の要因となっているわけであります。
 これは通産省にお聞きいたしたかったのでありますけれども、きょうはちょうどその繊維産業の問題について商工委員会が開かれているということでここへおいでいただけませんでしたが、国土庁の方としてこの問題について御意見をいただけることがありましたら御説明をいただきたいと思います。
#27
○政府委員(森繁一君) 大島つむぎの生産につきましては、今先生お示しのように、昭和四十七年に二十九万七千反でございましたが、それをピークにいたしまして、六十二年度は十七万九千反ということで、ピータ時の六割程度にまで落ちておるわけでございます。また、生産額にいたしましてもほぼ半減をしておるという状況でございます。
 こういう大島つむぎの不況につきましての主たる原因というのは、今委員お示しのように、一つは需要の問題があり、一つは韓国産の問題だろう、こういう理解をいたしておるわけでございますが、その韓国産のつむぎ対策といたしまして、韓国からの輸入数量につきまして日韓の政府間交渉で毎年協議が重ねられております。昭和五十五年からその輸入枠が約三万六千反余り、それから土産品の持ち込み量は一人二反以内、こういうふうになっておるわけでございます。ただ、この数量は一反当たり百八十ドル以上の製品、こういうふうになっておりまして、言うなればそれ以下の製品につきましてはいわば規制の対象外、こういうことになっておるわけでございます。
 そういう規制の対象外になっております絹織物がどういうふうな量で入っておるかと申しますと、六十二年の状況で、かすり糸を使いました幅四十五センチ以下の絹織物というもので見ますとへ約十三万トンになっております。これは十年前が四十万トンでございましたので、そのころに比べますとかなり改善はされておるわけでございますが、いずれにいたしましても十三万トン程度のかすり糸を使用した絹織物が日本に入ってまいっておるという通関統計が出ておるわけでございます。これが産地にとりまして需要の減少する中で非常に大きな脅威になっておるということは先ほど来御指摘のとおりでございます。そこで、これは関係省を中心にいたしましてこの協定の遵守につきましてなお御努力をいただいておるところでございますし、私どもも県とともにこういう問題につきまして関係省に改めてこの問題の提起をいたしまして、是正策につきまして要望をさしていただきたい、かように考えております。
#28
○久保亘君 この問題は、通産省にも御出席いただけるときにはた少しお尋ねをしたいと思っております。
 時間が非常に短くなりましたが、次にもう一つ伺っておきたいことがございます。
 四全総の中で奄美群島は九州ブロックの一部として位置づけられておりますが、これは行政的に見ましても鹿児島県の一部である奄美神島でありますから、当然そういうような考え方はあると思います。しかし、奄美群島の歴史的、経済的、文化的交流における沖縄県との関係を軽視しては奄美振興を考えることは難しいのではないか、こう思うんです。特に、農業の問題にいたしましても観光の問題にいたしましてもそういうことが言えると思うのであります。奄美群島は、琉球弧という呼び方がありますが、琉球弧の一翼を形成するものとされているのでありまして、したがって、全国総合開発計画の中でも南西諸島の特殊性をもっと重んじて、そういった意味での圏域間交流を念頭に置いた開発というものを奄美群島の場合に考えていくことが必要なのではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
#29
○政府委員(森繁一君) 今お示しのように、奄美群島と沖縄とは同じ南西諸島、いわゆる琉球弧の中に位置しておるわけでございまして、歴史の面でも文化の面でも経済などの面におきましても非常に関係が深いということは全くお示しのとおりだと思います。そしてまた、その期間に若干差があるとは言え、同じくアメリカの施政権下に置かれておった、こういう共通の体験を持っており、奄美の方々は沖縄との間の格差解消をと、先ほど来お話のございます。そういう住民の姿勢に切実なものがあるということも私ども十分に認識をいたしております。こういう面につきまして、現行の計画におきましても、奄美の問題につきましては隣接する沖縄との連携を考慮しながら開発を進めよう、こういうことになっておりますし、また四全総におきましても、「外海離島である奄美群島については、周辺地域との連携交流を進めつつ、」「その特性に応じた振興を図る。」、こういうふうに定められておるわけでございます。
 お示しのように、九州との交流も当然のことでありますが、沖縄との交流も奄美では非常に大きな課題の一つと、こういうふうに理解をいたしております。
#30
○久保亘君 大変きちんとした御理解をいただいているようでありますから、ぜひそういう立場に立って産業の振興等にも御考慮いただきたいと思うのであります。
 私は、今言いましたことを基本的な問題とは思いませんけれども、沖縄と奄美群島との間には住民の間においてもいろいろな生活の交流が密接でございまして、郵便物等も大変たくさんの量が動くわけであります。
 郵政省にもおいでいただいておりますので、このことに関連して郵政省にひとつお聞きしたいのは、今郵便物の中で送料が地域によって区別されておりますものに郵便小包がございます。この小包は第一地帯、第二地帯、第三地帯という分け方がされておりまして、この郵便小包の料金が違うわけであります。どういうわけか沖縄は四国、中国、近畿と一緒に第二地帯の中に入っておりまして、九州とは別の地帯になっております。そのために、一番極端な例を言いますと、与論島の人が、沖縄がそこに見えておりますね、見えているところへ小包を送りますと、大阪へ送るのと同じ料金を取られるわけであります。奄美大島の人が福岡へ送りますと、これは第一地帯の料金でありますから沖縄へ送るよりも安いのであります。これは非常に私は不合理だと思います。
 ただ、こういう地帯で分けます以上はどうしても線引きをされた隣同士の間とその地帯の一番遠いところの間で不合理が起こるのはわかりますけれども、さっき申し上げましたように、奄美群島と沖縄とは琉球弧をなす一体の地域である。でありますから郵便小包の扱いもかなり多い。そういうところで料金が単なる人為的線引きによって高い料金を課せられておるということについてはどうしても納得しかねるところがありまして、全体的な改善をやれと言っても今すぐには難しいと思うのでありますけれども、少なくとも奄美群島と沖縄との間の小包の取扱料金については同一地帯のものとして扱うように郵政省として御検討なさってもよいのではないかと思うんですが、いかがでございますか。
#31
○説明員(鍋倉真一君) お答え申し上げます。
 小包郵便物の距離別の料金区分は、先生御指摘のとおり、原則として第一地帯、第二地帯、第三地帯というふうに分けられておりますけれども、この分け方は原則としまして県庁所在地相互間の距離によって行っておりますので、例えば奄美群島からやる場合には、奄美群島から沖縄ということではなくて、鹿児島県の鹿児島市からの距離ということになってしまいます。そういうことで、先生御指摘のとおり、人為的ということではございますけれども、一応今の区分はそういうふうになっておりますので、そういう問題点も生じてまいります。そこで、私どもこの小包につきましては、民間の宅配便というのもございまして、民間の宅配便についてもちょっと調べてみたんですが、やはり小包同様に、例えば奄美から山口県に出す方が沖縄に出す方よりも安い料金体系というふうになっております。
 ただ、御指摘の点につきましてはいろいろ問題もございますので、今後、国としての離島対策あるいは利用動向、小包のコストの問題その他いろいろ勘案いたしまして、小包料金を総合的に検討する中で、先生御指摘の点につきましても参考にさせていただきたいというふうに考えております。
#32
○久保亘君 民間の宅配というのは最近もう大変発達してきたのでありまして、これは料金を決めていきます場合には郵政省の料金というものが一つ頭にあって決めていっているんです。そしてあなたの方との競争を念頭に置きながら民間の宅配業者はやっておるわけです。だからこの地帯分けというものも参考になっているのであって、もし郵政省の方が、今あなた御検討くださるということでありましたから、そういうことで、例えば地域的な特性というものに配慮してやるということをおやりになれば、民間の宅配業者もそれに準じてくるのであって、住民の受けるそのことによる利益というものは私は相乗的に非常に大きなものになると思うんです。
 沖縄とは人的交流も盛んなものですから、自分の親戚とか子供とかいうものに小包を送るというようなのが非常に多いわけであります。それから、離島には民間の宅配業者が最近になってどんどん進出を始めておりますけれども、郵便小包に頼る度合いというのがまだ奄美群島の場合には非常に高いんです。だから、それだけに私はそういう地域の状況も念頭に入れた上で格段の配慮をせらるべきものだと思うのであります。
 NTTの方も既に地域の強い要望にこたえて離島間の電話料金をことしの二月から是正されました。島と島との間の電話は同じ県内においてはすべて隣接区域扱いにするということになりましたので、これは大変料金が下がったわけです。しかし、これが下がったといえば何か特別な利益がいっているようでありますが、当然のことでありまして、海上距離をゼロメートルという計算をする立場に立てばそうなるのが当然だったわけであります。これはしかし、NTTが沖縄を一年先行させて、一年おくれで全国の離島についてそういう適用をされたのであります。
 今なお奄美群島の場合に残っております問題は、本土へかけます電話料金は、沖縄から北九州に電話をかけますもの、沖縄のどこからかけましても、これは全部鹿児島の最南端の局であります大根占を発信地とする料金で計算されるのであります。ところが奄美群島の場合には、自分のかけた場所から海上距離も含めて計算されるのであります。これはもう明らかに不平等な扱いとなって残っているわけです。島と島との間は一年おくれに是正されましたけれども、今度は島と本土との間の電話料金というのは依然としてそういう不平等が残ったままになっておりますが、この点についても郵政省としては御検討をいただきたいと思うんです。そしてNTTの方にもその検討をさせていただいたらどうかと思うのでありますが、いかがなものでございますか。
#33
○説明員(濱田弘二君) 離島料金の改善につきましては、先生の方から相当詳細にただいま御説明がありましたわけでございますが、昨年二月とことし二月の二回のNTTの電話料金の引き下げに際しまして大幅な離島料金の改善を行ってきたわけでございます。
 先生御指摘のような離島間料金につきましては、一年ちょっと前は三分昼間四百円のところも現在一律二十円というような料金にまでなってきておるわけでございます。この措置は離島間だけではございませんでして、例えば先生御指摘の奄美の例をとりますと、名瀬市と一番通話量の多い鹿児島市との間におきましては、従来二百六十円の三分間料金だったわけですが、現在は三分二十円というような措置も講じておるところでございます。ただ、先生御指摘のように、奄美群島につきましても、沖縄方式といいますか、奄美群島を九州本土最南端の大根占に位置するものとして、そこから料金をカウントするような方式にいたしますと、一番通話量の多い奄美と鹿児島市との間が六十キロメートル以内でございますから、三分九十円になってしまうということで、かえって二十円が九十円になってしまう、そういうような問題もあるわけでございます。
 それからいま一つ、奄美につきまして北州本土最南端に位置するものとして料金計算をするというような方式をとりますと、これは全国の離島全体の取り扱いの問題ともかかわり得る問題になってくるんじゃないかというようなところで、現在、その事業体におきましては、事業経営の観点からこの問題については慎重な対応が必要ではないかというような考えであるというふうに私ども承知しております。
 郵政省といたしましては、今後とも、遠距離料金を初めといたします料金全般の低廉化を推進する中で、離島の皆様方にとりましてもより一層通信がお使いいただきやすいものとなるよう、そういう観点からいろいろ努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
#34
○久保亘君 私は去年通話料金の是正についてNTTのお考えも詳細にいろいろとお聞きいたしました。今あなたが御説明になったような険路があるということもよく知っております。そのために離島間同士の電話の料金の是正しかできなかったわけでありますけれども、しかし現実に沖縄の場合には奄美群島や種子島を通り越して本土最南端からの計算になっているわけでありますから、それならば、鹿児島県の離島の場合には、もう既に海上距離ゼロメートルとなって鹿児島市との通話料金が認められて、そこを基点とすればよいわけであります。それが全国的にできないのかどうか。これはNTTの経営全般とも関係してくる問題だと思いますので、その辺も今後の検討課題としてはぜひ取り上げていただきたい問題だと思うのであります。
 不合理は起こらないんです。大根占大根占と考えるから不合理が起こるのであって、それは沖縄の場合には、自分のところの県庁所在地ではなくて、鹿児島県の離島を飛び越えて一番南端のところへきて、そこからいっておるわけですね。もし大根占の局がそれじゃ廃止になったらどうするんですか。そうするともっと北の方へいくわけでしょう。だから、やらない理屈をつくるんじゃなくて、そういう料金の是正をやるにはどうすればよいかという理屈をつけていかなければこういう問題は解決しない。意見だけ申し上げておきます。
 時間が非常に短くなりました。文部省に来ていただいておりますが、奄美の振興開発ということになれば、産業の面においても人材の育成ということが非常に大事であります。また、奄美は今高等教育機関を持っておりませんために非常に子弟の教育費が高くつくという問題がございます。だから、教育の機会を均等化する、それから奄美の将来に向かっての人材開発を行うという立場に立って、高等教育機関並びに地域の特性に見合った研究機関の設置ということに対する要請が非常に強くございますが、文部省はこれらの地域の要請をどのように受けとめておられるか。また、奄美群島に高等教育機関並びに研究機関を設置するとすれば、どのような機関が望ましいと考えておられるのか。これらの問題について今後検討をなさる御用意があるかどうか。こういったことについて御答弁をいただきたいと思います。
#35
○説明員(泊龍雄君) お答え申し上げます。
 奄美群島にその地域の子弟のための高等教育機関あるいは研究所等の設置方についてのお話と承りますが、国立大学という観点で申し上げますと、御案内のような現下の行財政事情等もございまして、先生御案内のとおり、各国立大学全体を通じまして非常に厳しい対応を余儀なくされているという状況がございます。ただ、高等教育はやはり今後の日本のいろんな意味での基盤となるということにかんがみまして、緊急性の高いものに精選をいたしまして対応さしてきていただいているところでございます。そういった意味合いもございまして、新しい対応につきましても、既存の教育研究組織等のいわゆるスクラップ・アンド・ビルドと申しますか、改編改組といったような工夫も盛りながら対応してきているという状況がございます。
 また一方、高等教育機関の整備その他を考えます場合の大きな要因でございます十八歳人口の動向というものを考えますと、平成四年度をピークといたしましてその後急激な減少期を迎える、こういった一般的な状況がございます。そこで、そういった中で新しい高等教育機関の設置ということにつきましてはなかなか難しい状況にあるというふうに私どもとしては考えております。ただ、御案内のとおり、そういう全体として厳しい中の対応でございますけれども、例えば奄美群島ということを頭に置きますと、先ほど来先生からのお話もございましたように、地域の交流の事情等も留意しながら、御案内のとおり国立大学も各県それぞれの配置ということで伝統的にまいってきておりますので、そういった中でこれらの地域の方の高等教育機関への就学の機会といったものについて配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、いずれにいたしましても、平成四年度をピークとしましてその後年々急減少してまいります十八歳人口の動向等を踏まえました対応といたしまして、現在、大学審議会におきまして、そういった急減期に対応する国公私立を通じました高等教育機関の整備のあり方といったようなものについて審議を進めていただいているところでございます。私どもといたしましては、この審議会の検討の状況といったようなものも踏まえながら、また奄美に限って言えば、先ほど来申し上げましたような地域の交流の実情等にも留意しながら対応さしていただきたい、かように考えております。
#36
○久保亘君 この問題はまた関係の委員会でいろいろ私も意見を申し上げたいと思っておりますので、きょうはあなたの方のお考えをお聞きするだけにしておきましょう。
 もう時間が非常に短くなってまいりましたので、最後に一つ資源エネルギー庁にお尋ねしたいことがございます。
 現在、電源三法によって、発電所の設置されている地元の振興、福祉向上の目的のために、その立地されております市町村及び隣接の市町村に対して交付金が支給されておりますが、この交付金は六十三年度で総額幾らになっておりますか。また、この交付金の財源は電気料金の中に含まれて徴収されておると聞いておりますが、これはどの程度の徴収になっておりますか。数字をお知らせいただきたいと思います。
#37
○説明員(作田頴治君) お答えいたします。
 六十三年度におきます電源立地対策促進交付金、これの金額は七百二十一億円を計上しております。
 それから、料金にどの程度反映されているかということでございますが、これは一キロワットアワー当たり四十四・五銭、これを料金と合わせていただいております。
#38
○久保亘君 電力の供給を受けるすべての人たちが一キロワットアワー当たり四十四銭五厘の交付金を負担している。この交付金は総額七百二十一億円国から交付されるわけですね、発電所のある市町村に。
 ところが、該当するものが、最初に法律ができましたときには水力発電所で一万キロワット以上だったものが、だんだんその後変わって一千キロワット以上になっておりますね。それから地熱で一万キロワット以上、火力発電所で三十五万キロワット以上、原子力発電所でも三十五万キロワット以上、こういう基準になっておるようでありますが、離島の場合、例えば奄美群島に限って言いますと、竜郷発電所というのが一万キロワットのものを二台、それから名瀬発電所は四千五百キロワットが二台、六千キロワットが二台、新徳之島発電所は四千五百キロワットが一台ございますが、これは火力発電所の中に入るんでしょうか。一般的には、専門家の方ではこれは内燃力発電所であるので、この立地交付金の対象には発電所の種類として該当しないというようになっているという意見がございますが、これはスケールだけで該当しないんですか。その辺はどうなっておりますか。
#39
○説明員(作田頴治君) お答え申し上げます。
 水力及び地熱につきましては、先生御承知のとおり、現在我が国は脱石油といいますか、石油代替エネルギーの促進開発を進めるという観点から、実は水力及び地熱については小規模のものもこれを対象にするという思想がございます。それからこの奄美群島にございます内燃力、これは発電所の分類からは火力発電所と分類されておりまして、かつ規模が大変小さいということ等々いろいろな問題がございまして、現在のところこの電源三法の対象にならないということでございます。
#40
○久保亘君 発電の量からいたしますと、どういうわけか水力発電所は、最初法律ができましたときには一万キロワット以上であったものが、その後五千に下がり一千キロワットに下がって、全部交付金支給対象になっておるんですよ。ところが、一千キロワットの水力発電所でも交付金が市町村にいくのに、離島のような場合はこれはどうしようもないじゃないですか。これしかないんですよ。それで、一万キロ、四千五百、六千、こういういわゆる広い意味では火力発電所に含まれる内燃力発電所で電力を賄っておるわけです。そしてその電力の供給を受けている人も一キロワットアワー当たり四十四銭五厘を払っているんでしょう。これは払っていませんか。
#41
○説明員(作田頴治君) 離島の方々にも同じように四十四・五銭は御負担いだだいております。
#42
○久保亘君 きょうはもう時間がないから言えないけれども、消費税の問題だって何だって離島が一番大きな影響を受けるんです。そういう中で、電力の問題だって、この地域の市町村にしてみれば、なぜ自分たちのところはそういう電源三法の対象から外されて交付金を受けられないのか、そのことに対しては大変疑問が残るわけです。離島の場合にはこれしか方法がないんです。水力でやれといったってできないでしょう。それから三十五万キロの火力発電所をつくれといったってそんなものできるわけないんです。それで、こういう精いっぱいの発電所をつくって、そこから電力供給を受けて、それに対して交付金の財源となる費用も負担をして、そして何にも見返りなしというのはこれは私は大変なやはり差別扱いだと思うんですよ。
 もしこれが対象になるとすれば、例えば一万キロワットの発電所についてどれぐらいいくんですか。
#43
○説明員(作田頴治君) 現行の制度におきますと、キロワット、つまり出力の大きさに応じて交付金が出ることになっておりますけれども、火力の場合ですと原則一キロワット当たり四百五十円が交付されるということになっております。
#44
○久保亘君 時間が参りましたのでこれで終わりますが、この問題については、こういう離島における内燃力発電所に対する交付金が全く対象から外されているという問題について私は非常に問題があると思います。ぜひ一遍御検討をいただいて、十分当該の地域の納得のいく説明をいただきたいとお願いをいたしておきます。
 これで私の質問を終わります。
#45
○片上公人君 二十八年の本土復帰以来、奄美群島は、特別措置法のもと、諸計画に基づきまして各般の事業が実施されて、本土との格差の是正に取り組んできたわけでございますが、なお実情はまことに厳しいものがあると言われております。
 そこでまず、所得と財政力、社会資本の整備水準面における本土との格差の現状の説明をお願いしたいと思います。
#46
○国務大臣(内海英男君) 奄美群島につきましては、本土復帰後、復興事業を初め鋭意積極的な施策を講じてまいりまして、相応の成果を上げておると考えております。例えば、奄美群島におきましては、港湾や空港の整備、民間テレビの基幹中継局の整備、県立大島病院等医療施設の整備、その他産業基盤等の整備についても相応の成果を得ておるものと考えております。しかしながら、御承知のとおり、奄美群島は本土から遠く隔絶した外海離島であります上に台風常襲地帯でもあるという厳しい条件下に置かれておりまして、その後進性を克服することは容易ではございません。このため、その特性と発展可能性を十分に生かすことができずに、なお本土との間にはいろいろな格差があることもよく承知をいたしております。
 お尋ねのうち、人口一人当たりの所得、昭和六十年度について申し上げますと、全国が二百十万四千円であるのに対し百三十六万一千円、これは全国対比で六五%。市町村の財政力指数、これで見ますと、昭和六十一年度で見てまいりますと、全国の〇・四四に対し〇・一七、これは対全国比で三九%でございます。社会資本整備水準として道路の整備水準、国県道改良率、幅員五・五メートル以上のものにつきまして昭和六十年度末の水準でいきますと、全国の六〇・三%に対し奄美の方は四六・八%でございます。小学校の校舎の整備率、昭和六十一年度で見ますと、全国の九三・三%に対し七二・六%でございます。
 以上でございます。
#47
○片上公人君 復帰当時と比較しますとかなりの改善が見られるわけでございますが、依然として生活条件というのは厳しいし、本土との格差が存在することは明らかでございます。
 そこで、過去五カ年の振興開発計画の事業達成状況を説明していただきたいと思います。
#48
○政府委員(森繁一君) 過去五カ年間の開発計画の達成状況でございますが、いろんな面がございますが、幾つか例を挙げて申し上げてみたいと思います。
 まず、交通基盤整備の中で道路につきましては、国県道の改良率をとってみますと、この五年間に四三%から五〇%余りに上がっております。それから舗装率が九三%から九八%近くまで上がっております。それから空港につきましては、六十三年七月に新奄美空港がジェット化空港として供用が開始をされております。
 それから社会基盤の関係では、例えば民間のテレビ放送につきましては、昭和五十九年度から民放の三局目の電波を導入いたしますための整備を進めておりますし、また産業基盤整備につきましても、例えば農業につきましては各種の事業を積極的に実施いたしましたほかに、県の農業試験場の大島支場、徳之島支場につきまして約十五億円の経費を投じまして整備拡充を行ってまいりました。それから林業、水産業につきましてもそれぞれ事業を実施しておりますが、特に大島つむぎにつきましては、昭和五十九年度に大島紬会館を設置したり、あるいは昭和六十三年度に大島紬技術指導センターの移転整備に着手をいたしております。
 それからまた教育文化の関係では、奄美振興会館というのを昭和六十年から六十一年度にかけまして名瀬市に広域の文化施設として設置をいたしております。
 こういうことによりまして、島民の生活水準なり公共施設の整備水準というのはかなり向上を見せておりますけれども、やはり本土とのまだ格差があり、今後また積極的に実施をしなければならない部面もあるということで法律の延長をお願いしておる、こういうことでございます。
#49
○片上公人君 計画の目標であるところの本土との諸格差を是正し、豊かでぬくもりに満ちた地域社会を実現する、こういう観点から見ますとまだまだほど遠い状況であると言えるわけですが、このような結果になった要因、それはどこにあるんだと、どのように分析をしておるかということを伺いたいと思います。
#50
○政府委員(森繁一君) 確かに現在の計画の目標は本土との諸格差を是正するというところに置いておるわけでございますが、先ほど申しましたように、これまでいろんな事業を実施してまいりましてそれ相応の成果を上げてきておる、こういうようには考えられますけれども、やはり一方では、本土の水準も上がってまいってきておりますし、なかなかその格差が一挙に是正できない、追いつけない、こういう状況であるということは先ほど申し上げたとおりでございます。
 その格差の原因といいますのは、一つは地理的条件にあろうかと思います。御承知のような外海離島であり、台風常襲地帯でもある、こういう厳しい自然的、地理的条件にあるということが一つあろうかと思いますし、他方では、産業の面で、特にサトウキビ、大島つむぎを中心といたしましてなかなか思うに任せない状況にある、こういうことも一つの要因になろうかと思います。
 ただ、これらの問題につきましては、今後いろんな問題を検討いたします場合に、その地理的条件につきましてもすぐれた特性を持っておるわけでありますし、その意味で発展可能性も十分に生かすことができる、こういう余地もあるわけでございます。こういう面に着目いたしまして今後ともこの格差の是正につきまして最大限の努力をいたしたい、かように考えております。
#51
○片上公人君 今回法改正をして改定する新計画は、国土の均衡ある発展を図る上からも、また奄美群島の特性とその発展可能性を生かして積極的に社会基盤の整備と産業の振興を推進するためにも必要なわけでございますけれども、この新計画の基本的な考え方、主なポイントといいますか、策定のめどを伺いたいと思います。
#52
○政府委員(森繁一君) 新しい改定計画の基本的な考え方は、今先生お示しのとおりのものが基本的な考え方になろうかと思います。
 具体的な主なポイントといたしましては、一つは、特性を生かしました産業の振興を積極的に図っていこう。その産業の中には亜熱帯性、海洋性等の自然的特性を十分に生かしました農林水産業の振興を図りますとか、あるいは観光、リゾートの開発を図りますとか、あるいは伝統産業であります大島つむぎの普及を図りますとか、あるいは農林水産物を利用いたしました、言うなれば一・五次産業の振興を図っていくとか、こういう課題があろうかと思います。
 それから第二の主要なポイントといたしましては、快適で住みよい生活環境を確保するということが何よりも肝要であろうかと思います。例えば交通情報通信体系を整備するとか、生活環境施設、社会福祉施設、保健医療対策等の整備充実に力を入れていくとか、あるいは水の問題を解決するとか、こういう課題があろうかと思います。
 それから第三番目のポイントは、奄美群島の中でも均衡のとれた地域社会の発展を図っていかなければいけないということであろうかと思います。それぞれの島、それから島の中の各地域の均衡ある発展を図る。特に、本島南部地域につきましては自然的、社会的に非常に厳しい条件下にございますので、そういう地域の振興開発を積極的に考えていかなければなるまい、こういうところがポイントではなかろうかと思っております。
 具体的には、この新振興開発計画の改定につきましては、鹿児島県の知事が案を策定いたしまして、その案に基づぎまして内閣総理大臣が審議会の議を経た上決定する、こういうことになっております。この法律を成立させていただきましたならば、鹿児島県におきましてはその案を直ちに作成するというふうに伺っておりますし、鹿児島県の案を待ちまして、関係行政機関とも十分調整をいたしました上、できるだけ速やかにこの策定をいたしたい、このように考えております。
#53
○片上公人君 振興開発に関する具体体的問題の一つであります大島つむぎは国の伝統産業でもあるとともに、奄美の基幹産業として発展してきたわけでございますけれども、最近における生産動向と今後の振興策についてちょっと説明をお願いいたします。
#54
○政府委員(森繁一君) 大島つむぎの生産の状況につきましては、昭和四十七年に生産反数で二十九万七千反というのがピークでございました。その後若干の変動はありますが、おおむね一貫して下落を続けておりまして、六十二年時におきましては十七万八千反、こういうことになっております。それから、それを生産額で見ますと、ピーク時が昭和五十五年でございまして、このときには約二百八十七億円余りの生産額がございました。その後価格の低迷等がございまして、昭和六十二年度は約百四十億円程度の生産額、こういうことになっております。
 大島つむぎにつきましては、一方では韓国産の問題がございますが、他方では需要の停滞といいますか鈍化といいますか、ということが一つの大きなネックになっておるわけでございまして、そのために例えば和装ばかりでなく洋装化という新しい分野への進出というのも当然考えなければいけないと思いますし、また生産基盤の整備につきましてもこれまで以上に力を入れなければいけないだろうと思っております。さらに、販路の拡大ということにつきましても最大限力を入れなければいけない課題ではなかろうかと考えておるわけでございますが、現在、昭和六十三年度から大島紬技術指導センターの移転、整備充実を行っておりまして、これを一つの軸にいたしまして、今後ともいわば企画力の強いそういう大島つむぎの生産体制、流通体制の整備というのを図っていく必要があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#55
○片上公人君 奄美群島の地質の特殊性といいますか、サンゴ礁、これによりまして水資源開発利用を大変困難にしているため慢性的な水不足になっておる。奄美の発展阻害のこれは一因とされておるわけですが、将来的な水資源開発につきましてどのような見通しを持っていらっしゃるのか伺いたいと思います。
#56
○政府委員(森繁一君) 先生御承知のように、奄美群島は年間大体二千ミリから三千ミリの降雨があるわけでございます。ただ、これが梅雨と台風の時期に集中をいたしておりまして、特に大島本島と徳之島は地形が急峻でございますので、雨が降った後直ちにその雨が海へ流れてしまう、こういう状況でございます。それからまた、喜界島、沖永良部、与論島は琉球石灰岩から成っておりまして、降った雨はすぐに地下に浸透してしまいまして、言うなれば水質源の確保というのがなかなか難しい、そういう土地柄でございます。
 一方、生活水準が向上いたしておりますし、当然のことながら水需要はふえる。さらにまた、畑作振興等によりまして農業用水の需要もふえるということで、水資源の確保の問題はこの当該地域にとりまして非常に大きな課題になっておるわけでございます。これまで生活用水なり農業用水の確保を目指しまして、いろんなダムを初め水利施設の整備を進めてまいってきたわけでございますが、今後はこの水問題のより抜本的な解決を図るという観点から、その島々に応じまして、例えば大島本島とか徳之島には言うならば地表ダムをつくるとか、それからサンゴ礁の島には地下ダムをつくるとか、こういう島々に応じた水資源対策というのを講じていく必要があろう、こういうふうに考えておるわけでございます。今後ともこういう点にりきましては最大限の努力を図りまして、生活用水なり農業用水なりが安定的に確保できるように努めてまいりたい、かように考えております。
#57
○片上公人君 奄美の医療施設でございますが、また医療従事者は、国、鹿児島県平均と比較しましても少ない上に地域的偏差が大変著しい。また無医地区も散在しておる。それに加えまして過疎化、高齢化が進行していく中で、医療需要の増大が現実の大変大きな問題になっておりますが、医療の実情と当面の医療サービスの確保、向上策を伺いたいと思います。
#58
○政府委員(森繁一君) 今お話しのように、奄美群島につきましては、特に人口構造の高齢化、生活環境の変化に伴いまして疾病の構造が多様化いたしておりまして、医療需要が増大しておるということは事実でございます。
 そこで、医師の数を見てみますと、昭和六十一年十二月末の数字でございますが、百四十三人の方がいらっしゃいます。人口十万人当たりにいたしますと九十四・三人ということでございまして、大変残念なことでございますが、鹿児島あるいは全国平均の約六割という状況でございます。ただ、五十七年当時に比べますと数十人ふえておりますので、最近はお医者さんの定着もよくなってきておるかな、こういう見方もしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、ふえてもまだ非常に低い、こういう状況でございます。特に眼科とか耳鼻咽喉科といういわば専門的な医師というのは中心都市であります名瀬を除きますとほとんどいらっしゃらない、こういう厳しい状況にございます。同様のことは歯科医師につきましても言えるわけでございますし、さらにまた、病院につきましても一般病床の不足が非常に顕著でございまして、十万人当たりの病床数で見ますと、鹿児島県平均の半分ぐらい、こういうふうに御理解をいただければいいかと思います。
 そこで、このような状況のもとで、奄美群島の医療につきましては、これまで県立大島病院の整備充実を図って、ここを中核にいたしまして医療活動を積極的に展開する、特に鹿児島大学の医学部の協力もいただくということで医療従事者の確保等に努めているところでございますが、先ほど申し上げましたような状況でございますので、この大島病院を拠点といたしました、いわば巡回診療と申しますか、それから僻地診療所への医師派遣、こういう形での医療の確保に努めておるわけでございます。
 ただ、今後の問題といたしましては、それぞれ巡回診療、僻地診療というのがあるわけでございますが、最新のコンピューターシステム等を駆使いたしました医療情報システムというものも導入をいたしたい、こういうふうに考えておりまして、昭和六十二年度にこの医療情報システムの導入につきまして調査をいたしました。これによりますと、その可能性があるという報告をいただいておりますので、今後関係の地元の市町村あるいは関係の医療団体とも十分連携をとりながら、今システムの整備というものに全力を注いでまいりたい、かように考えております。
#59
○片上公人君 均衡ある発展また地域の活性化のためには、これは一つは人口の定着が基本であると考えるわけですが、そのためには居住環境を整備して生活基盤を良好にする必要があると思います。最近の人口動向と地域社会の発展のための人口定住策及び生活環境の整備につきましてどのような所見を持っていらっしゃるか伺いたいと思います。
#60
○政府委員(森繁一君) 昭和六十年の奄美群島の人口は十五万三千人でございます。国調ベースで申し上げますと、昭和三十年に比べますと二五%減少しておる、こういうことになっております。五十五年、五年間対比では一・九%の減少ということになっております。さらに、鹿児島県が推計をいたしておりますところによりますと、昭和六十年以降もやはり人口減少が引き続き続いておる、こういう状況でございまして、大変私ども心配いたしておりますのが、昭和五十年代までは一貫して増加をいたしてまいりましたその中心都市であります名瀬市が減少傾向に転じておるような感じを持っておるわけでございます。
 その意味で、今後人口動向というのは非常に注目していかなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございますが、その人口減少を防止いたしますためには、今お話しのように、一つは、産業の振興を図り就業の場を確保して所得の向上を図るということが必要だろうと思いますし、他の一つは、生活環境を整備いたしまして若い人もそこの地に定着をして住むような、あるいは都会に出てきた人が戻れるようなそういう生活環境の施設の整備を進めなければいけない、こういうふうに考えておるわけでございます。こういうことで定住条件の整備を図って人口の今後の定住化策というのを具体的に考えてまいりたい、こういうように思っております。
#61
○片上公人君 四十三年に復帰しました小笠原諸島ですが、復興計画、振興計画を通じまして各種の事業が施されてきたところでございます。現在までに至る両計画に基づくところの事業の評価、実績及び本土との所得、社会整備水準等の格差の概要についてまず説明をお願いいたします。
#62
○国務大臣(内海英男君) 小笠原諸島につきましては、昭和四十三年に本土復帰して以来二十年にわたる復興事業、振興事業を通じ、これまでに総事業費六百七億円余、国費三百九十四億円余を投じ、鋭意積極的な諸施策を講じてまいりまして、それなりに相応の成果が上がっておるものと考えております。例えば二見港、沖港の整備や水産業共同利用施設等の整備が進められましたし、教育施設につきましては、小中学校及び高校の整備も完了いたしております。その他、産業基盤整備及び生活基盤整備等についても相応の成果が上がっておるものと考えております。
 しかしながら、小笠原諸島は御承知のとおり、本土から隔絶した外海離島である上、台風常襲地帯でもあるという厳しい条件下に置かれておりまして、その後進性を克服することはなかなか容易ではないと存じます。このため、その特性と発展可能性を十分生かすことができないで、なお本土との間に所得あるいは道路の整備状況、医療水準、民間テレビの視聴問題等の諸格差が存するものと考えております。このような状況にかんがみまして、小笠原諸島の自立発展のための基礎条件の改善及び地理的、自然的特性に即した産業の振興を図るとともに、今後とも帰島を希望する旧島民関係者の帰島を促進する等の施策を充実してまいりたいと考えております。
#63
○片上公人君 硫黄島旧島民に関しまして若干お伺いしたいと思います。
 硫黄島におきましては、昭和十九年、二百三十三世帯千二百五十四人の住民が本土に強制疎開を受けた後、同島の旧島民が帰島できない状況が続いており、その後五十九年に審議会の方から、一つには火山活動による異常現象が著しい、また産業の成立が厳しいこと等から一般住民の定住は困難であるとの結論が出ているところでございます。また審議会はこの意見具申の中で、「政府は旧島民の特別の心情に十分な理解を示すとともに、これに報いるための措置及び集団移転事業に類する措置を講じるべきものと考える。」と指摘をするとともに、引き続きまして、旧島民に報いるための具体化として、総額五億六千二百万円の見舞い金の支給をすることの意見具申をしております。
 そこでお伺いするわけですが、この硫黄島の経緯、それと意見具申後の措置された施策のあらましをまず説明していただきたいと思います。
#64
○政府委員(森繁一君) ただいまお話しのように、硫黄島につきましては昭和十九年に千二百人余りの住民が本土に強制疎開をされたわけでございます。戦後は米国の施政権下にございまして、昭和四十三年六月に小笠原諸島が復帰してからも、硫黄島におきましては復興事業、振興事業が実施されない、同島の旧島民が帰島できない状況が続いておるわけでございます。昭和五十四年に小笠原諸島振興審議会に硫黄島問題小委員会というものが設置されまして、硫黄島の今後のあり方について検討が重ねられまして、昭和五十九年にその審議会から答申をいただきました。意見具申をちょうだいいたしました。その内容は、火山活動等による異常現象が著しい、それから産業の成立の条件が厳しい、こういうことから一般住民の定住は困難である、そのために、島に帰れない方方、旧島民の特別の心情に報いるための措置と、それから集団移転事業に類する措置を講じるべきである、こういう意見具申をちょうだいしたところでございます。
 その意見具申に基づきまして、政府といたしましては既に、旧島民の特別の心情に報いるための措置といたしまして見舞い金の支給を行っておるわけでございます。総額にいたしますと五億数千万の見舞い金の支給をいたしておるわけでございます。
 それから集団移転事業に類する措置につきましては、その具体化について、審議会に設置をいたしております硫黄島対策専門委員会というところで引き続き検討をお願いしておるところでございます。その具体策として、これまで、当面硫黄島には帰れないけれども父島、母島には帰っていただけるということで、一時宿泊所を設置いたしましたり、あるいは農業をおやりになる方のための農用適地の購入を行ったり、こういうことをいたしておるわけでございますし、さらにまた、東京都におきましては職業体験実習等を行いまして、言うなれば父島、母島への定住促進事業を促進しておる、こういう段階でございます。
 それから財産権の問題が一つあるわけでございますが、この問題につきましては、現在硫黄島対策専門委員会で引き続き御検討をお願いしておる、こういう段階でございます。
#65
○片上公人君 心情に報いるための措置として、旧島民一人当たり大体四十五万円ですか、見舞い金が支給されたとのことでございますけれども、この見舞い金は今回の措置で完了するのかどうか、伺いたいと思います。
#66
○政府委員(森繁一君) 昭和五十九年十二月の小笠原諸島振興審議会の意見具申の中で、「見舞金を支給すべきである。」と、こういう意見具申をちょうだいいたしておりますが、その際、あわせまして、「なお、旧島民に報いる措置は本見舞金支給をもって完了するものとする。」、こういう意見具申をちょうだいいたしておるわけでございます。私ども、先ほどお話しのように、旧島民一人当たり四十五万円、総額で五億六千余万円の見舞い金の支給を既にいたしておるところでございまして、これをもちまして旧島民に報いる措置につきましては完了をいたした、こういう理解をいたしております。
 なお、集団移転事業に類する措置につきましては、先ほど申しましたような形で今後引き続き検討を行ってまいりたい、かように考えております。
#67
○片上公人君 もう一方の柱であるところの集団移転事業に類する措置でございますが、特別措置法一条の目的でも、「帰島を希望する旧島民の帰島を促進し、」とされております。年々高齢化する旧島民の方々の希望にはもう早急に対応する必要があると思うのでありますけれども、現在帰島、移住希望者はどの程度いらっしゃるのか。政府はどう把握されておるのか。そしてまた、生まれ育った地に帰りたいという人がかなりいらっしゃると認識しますけれども、政府側では集団移転事業について硫黄島対策専門委員会で検討しているとのことでございますけれども、現在までの審議状況を示していただきたいと思います。
#68
○政府委員(森繁一君) 旧島民の帰島の希望者数でございますが、東京都が昭和六十一年に行いました調査がございます。初めアンケート調査を行いまして回答がありました六百九十二世帯の中で、父島、母島でもいいから帰りたい、こう答えられた方が八十二世帯アンケート調査ではいらっしゃいました。この八十二の世帯につきましてなお面接の調査をやっていただきましたところ、最終的に確認できましたのが三十八世帯、人数にいたしますと約百二十人になろうかと思います。こういう方々の希望者がいらっしゃるということを把握いたしております。
 これらの方々に対します集団移転事業に類する措置につきましては、硫黄島対策専門委員会でこれまで検討をいたしておるわけでございますが、そこでの検討内容につきましては、例えば住宅等の問題がございますので、その基礎条件の整備問題を一体どうやっていくか、あるいは資金の貸し付けをどういうふうに進めていくか、あるいは生業対策をどういうふうに進めていくか、こういう事柄につきましてのいわば総合的な検討を現在いただいておるところでございます。さらにまた、別途財産権等の問題につきましても検討をあわせてお願いをしておる、こういう状況でございます。
#69
○片上公人君 いずれにしましても、一時宿泊所の設置、また農用適地の購入等、父島、母島への定住促進事業を含めまして早急に具体策を講ずる必要があるわけですが、新計画上の位置づけを含めまして、集団移転事業に類する措置の今後の見通しを最後にお伺いして質問を終わります。
#70
○政府委員(森繁一君) 集団移転事業に類する措置の内容につきましては、ただいま先生がお話しのように、一時宿泊所の設置だとか農用適地の購入だとか、こういうことによりまして父島、母島への定住促進を進めておるところでございます。こういう具体的内容につきましては審議会等で今後なお御検討いただきたい、こう考えておりますが、策定を予定いたしております新しい計画の中におきましてもこの集団移転事業に類する措置を引き続き明確に位置づけてまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御了解いただきたいと存じます。
#71
○上田耕一郎君 五年前の改正のときに、私、小笠原諸島の振興問題で四つの問題を指摘しました。一つは一島一集落主義を改善すべきだと、二つは農業土地問題、三つ目は空港を早急にと、空港問題、四つ目はシーレーン問題ですね。今回の新しい振興開発計画で、父島の扇浦地域が加わるなど一の一島一集落の問題は改善されましたし、それから空港問題も東京都が兄島空港基本構想を決めましたので、この二つは前進したということで私も喜んでおります。
 実は五年前の六月に、私が団長になりまして、池山、秋田の二人の都会議員などと調査団をつくりて小笠原、硫黄島調査というので私も父島に行ってまいりました。支庁長や村議の方々あるいは農業セーターの方々等といろいろの調査をしたり懇談をしてきた。私、非常に現地へ行ってみて強い印象だったのは、小笠原問題というのは単に離島開発という以上に非常に国家的に重要で大きな可能性を持っているということを改めて教えられたんです。日本の最南端でしょう。亜熱帯農業なんですね。戦前は、冬でもカボチャができるというんで、新宿の三越のショーウインドーに座布団を敷いて小笠原のカボチャを並べたという話まで聞いて、大変豊かだったというんですね、今状況は違っておりますけれども。後で言いますけれども、非常な可能性が亜熱帯農業としてある。水産業についても日本の二百海里水域の四分の一があそこにあるんです。そういう点でも非常に大きな可能性があるのにまだくみ尽くされていません。
 それから観光としても、ハワイまで行かなくてもあそこは観光の開発可能性も非常に多いんですね。南島という鮫池のあるところへ私も行ってあそこで泳ぎましたけれども、本当にすばらしいところで、余り大勢来るとこれはもう破壊されちゃうんじゃないかという心配もありました。そういう可能性を豊かに持ったところで、ここは振興開発を本気でやる値打ちがあるということを強調したいと思います。
 ところが、一番の問題は、先ほどもお話があった非常な特殊な不幸な歴史を持っているために、二十三年空白だったためにまず人口がふえないんですね。戦前八千人いたんです。五年前私行ったときは千八百人定住人口が、ことしのデータを見ると千九百人で、五年間で百人しかふえてない。もう旧島民の帰島はほとんど頭打ちで、新島民が来始めているんだけれども、その新島民も頭打ちなんです。当面三千人にふやしたい、どうしてもあと千人の人口がほしい、そうでないと活力が出ないというのが支庁長を初め皆さんの一致した意見なんです。
 そこで、人口誘致――人口誘致といったら変だけれども、あそこに来ていただくためにはやっぱり若い労働力というかな、農業、水産業、観光を本気であそこでやりたい、新島民はあそこへ行ってみて非常に気に入って、つい来ちゃったとか、それから釣りで来て気に入って来たとかいう人なんかかなり多いんですね。土木作業で働きに行って気に入って来たとか、それから伊豆の中で利島から来た農民なんかにも会ったんですけれども、来てみると非常にすばらしいと言うんですよ。そのためには魅力を出さぬといかぬですね。
 僕は、企業誘致では非常に自治体は熱心で、税金をまけてあげたり、ただで土地を提供したり、いろいろやっているのに、そういう若いはつらつとした労働力を、労働力というと悪いけれども、誘致するためにやつ。はり本気でやる必要があると、そう思うんです。そのためには、今までの経過やなんかいろいろあるけれども、人口を当面三千人に、あと千人どうやればふやせるかということを国土庁としても真剣に考えていただきたい。そのためには、内海長官も局長も一度小笠原に行っていただきたいなと思うんです。
 ここで少し具体的にお伺いします。
 まず農業。農業はやっぱり果樹とそれから花卉、観葉植物、これに非常にいいんです。亜熱帯農業センターにも行きましたけれども、ミカンコミバエがほとんど根絶できたと。僕もパパイヤをごちそうになりました。大変おいしいです。それから花卉をやっている農園なんかを見たんですけれども、アレカヤシ、ガジュマルなど、日本であのぐらいこういう観葉植物をつくるのにすばらしい気候のところはない。もう八丈島なんかよりはるかにいいと言っている、温度から、それから風から。そういうことを言っていまして、非常に理想的だというんです。
 ところが一番の問題は土地です。いまだに農地法が施行されてない。未実施でしょう。不在地主ばっかり多い。それで七割が国有地なんです。一番望まれているのは、国有地、都有地を農業をやりたい人に安く払い下げてもらいたい、これが非常に希望が多い。あそこは資本が大分入って、西武資本だとかそれから東洋興発なんというのがかなり土地を買ったりしていることもあって、八丈島と比べると地価が二倍から五倍高いというんです。それで、何とか開発可能な国有地を安く払い下げてもらえないかと。ところが、振興法の国有地の低価格払い下げ、無償貸し付けの規定を見ますと、農道とか用排水路、いろいろありますけれども、農地は対象外になっているんです。ですから、いろいろ経過あるだろうと思うんだけれども、人口をふやすためにも、あそこの非常に有望な花卉あるいは果樹、パパイヤ、バナナ等々なんかもできるわけなので、そのために国有地を安く払い下げられるような政令の対象拡大、これを本気で検討していただけないかということが第一の質問です。
#72
○政府委員(森繁一君) 小笠原の言うなれば可能性につきまして、現地でのお話を含めまして大変御意見をいただきました。一月一日が海開きというところでございますので、そのすぐれた自然的条件を生かしましたいろんな施策を展開する必要があろう、こう考えているわけでございます。
 そのうち、農業につきましてもこれまでいろんな施策を講じておるわけでございますが、特に若い人を中心にいたしました中核的な農業経営者を定住させますためには農用地が要るということは当然のことであろうかと思います。一方では、父島、母島とも国有地の占めます面積が非常に大きゅうございまして、全体の約六割が国有地、こういうことになっております。そのために、その国有地の利用なくして小笠原諸島の振興開発というのは非常に難しいだろう、こういう理解をしているわけでございます。これまで復興事業、振興事業の実施に当たりまして、関係省庁の協力のもとに国有地の利用、活用を図ってまいってきておるわけでございますが、例えば昭和六十三年度で申し上げますと、母島の蝙蝠谷の林野庁所管の用地を購入いたしまして、都有地を含めまして今後農地への利用を予定いたしておるわけでございます。
 ただ、お話ございました小笠原諸島振興特別措置法の十三条に基づきます「国有財産の譲与等」の対象事業の拡大につきましては、そもそもこの規定が言うなれば公共の用に供する施設を中心にいたしまして物事を考えておるわけでございまして、その場合に無償だとか時価より低い価格で、蔵渡したり貸し付けたりすることができる、こういう規定でございます。これを言うなれば一般住民に対しまして同じレベルで適用できるかどうかといいますと、これは他の地域とのいろんな問題もあろうかと思います。今後他の制度とも比較を亜ねながら引き続き検討をいたしてまいりたい、かように考えております。
#73
○上田耕一郎君 ひとつ本気で検討してほしいと思うんです。
 それから二番目は水産業問題。
 東京都のこの文書、「小笠原諸島振興の課題と展望」を見ましても、水産業では、「新技術、新漁法への対応を欠くこととなった。資本不足のため漁船の大型化、装備の近代化が進まず、その結果、漁場が拡大されず、回遊魚等の資源の活用が不十分である。」となっている。
 私、菊池滋夫さんという漁協の組合長の方ともちょうど行きの船でも一緒だったんでいろいろ事情も聞いたんですけれども、底釣りで高級魚をどんどん内地に送っているということが主で、回遊魚までなかなか手が届かないと、日本の四分の一の二百海里水域を持っているのに。だから漁船の大型化をやりたいと言うんです。菊池さんのところも若い衆が十何人いるけれども、ほとんど新島民なんです。一番の問題は何かといいますと、当時のお金で十トンの船をつくるのに三千万円要る。旧島民の場合には、小笠原諸島沿岸漁業振興特別資金というのがありまして、個人で一千万円まで十年無利子で貸してもらえるんだと。ところが新島民はそれがないというわけです。だから、ぜひ新島民にもこういう旧島民と同じような条件で、本当に漁船をつくりたいという漁民にはやってもらいたいというのが菊池組合長の一番の希望でした。実際島へ行って聞いてみてもやっぱりそういう希望が多いんです。これを言うと必ず出てくるのは、これはもう二十三年間漁業権を行使できなかったからその見返りで旧島民にはこういうことをしているんで、新島民にはそういうことはできないという返事がいつも水産庁から返ってくるんです。
 水産庁お見えになっていますか。――だから僕は言いたいんだけれども、今までのいろんな経過やなんかはそれはありますよ。旧島民に二十三年の見返りをしているのに新島民にもやれるかという言葉が返ってくるかもしれないけれども、とにかく千人人口をふやすためにはそういうところで、だから僕は企業誘致のことを言ったんだけれども、若い人が本当に水産業に入ってこられるために、あそこは養殖もいろいろあるわけだから、ぜひここの資金の問題を、旧島民と全く同じということはできないにしても、新島民で漁業を一生懸命やりたいという方にこの特別資金をひとつ真剣に検討していただきたいというのが水産庁へのお願いなんですが、いかがでしょう。
#74
○説明員(前川豊志君) お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいました小笠原諸島沿岸漁業振興特別資金というのがございますが、これは御存じのとおり、小笠原諸島の復帰に伴いまして、その特殊性にかんがみ、本土との格差是正あるいは旧島民の帰島の促進あるいは帰島後の生活の安定というふうなことを目的といたしまして、無利子というほかにはほとんどない条件で貸し付ける、こういうことになっておりまして、この資金の性格からしてなかなか旧島民以外の新島民への拡大というのは難しいというふうに考えております。
 ただ、漁船等の建造につきましては、農林漁業金融公庫資金あるいは近代化資金等がございますし、あと特殊なものといたしまして沿岸漁業改善資金という非常に有利な制度もございます。こういうものの積極的な運営によりまして小笠原諸島におきます漁業の振興に寄与していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#75
○上田耕一郎君 すぐには返事が出ないでしょうけれども、ひとつ考えてほしい。
 それから、これは国土庁関係だと思うんだけれども、小笠原諸島生活再建資金というのがあるんです。漁業資金もある。これは無利子じゃなくて償還三年から十五年で金利が三・五%から五%というんです。漁船にも五トン以上で二千百万貸すとなっているんですけれども、これも新島民については三年以上住まなければ資格ができないんです。じゃその三年間どうするんだということになるわけです。だからやはり旧島民、新島民ある。旧島民の権利というのはあるんで、全部同じにしろとは言わないけれども、今の小笠原の状況、本当に新島民にもどんどん来てもらいたいという点を考えるならば、こういう制度を、先ほどは振興特別資金についても水産庁にお願いしたんだけれども、小笠原諸島生活再建資金についても新島民がもっと利用しやすいようなことを国土庁としても検討してほしいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
#76
○政府委員(森繁一君) これまでいろんな経緯がございまして、旧島民を中心にいたしました資金の貸付制度ができておるわけでございます。いろんな要望がありますれば、それらを総合的に勘案いたしまして、新島民につきましても、旧島民と同じようにとはなかなかまいらないと思いますが、いろんな資金の貸付制度等を充実いたしまして、こういう方々が地元に定着していただけるようなそういう工夫を今後とも検討いたしてまいりたい、かように考えております。
#77
○上田耕一郎君 今後とも検討というのを言葉だけにしないで、ぜひ本気でやってほしいと思うんです。
 もう時間がありませんので、最後に空港問題とシーレーン問題と重なった問題があるので、ひとつお伺いしたいんです。
 空港を兄島につくるという基本構想ができて、それで国でも第六次の計画の中へ入れることになるだろうと思うんですけれども、一つ問題が生まれているのは、兄島に防衛庁がOTHレーダーの送信所をつくろうという計画があるんですよね。OTHレーダーというのは大問題で、私どもも取り上げてきたんですが、防衛施設庁の今までの国会答弁ですと、受信所は硫黄島につくるというんです。受信所というのは幅二キロ、高さ十五メートル、物すごいものですが、送信所はどこかといいますと、六十二年五月二十七日に私どもの岡崎衆議院議員が防衛庁にこのOTHレーダー問題で中止しろというので申し入れた。そのとき西廣防衛局長はこう答えたんです。送信局は兄島がある、それは木々もなく、国有地でもあり適地だ、父島とか母島とか話がいろいろ出ているが、そういうところは必要ない、こう述べたんです。だから、兄島に送信所――送信所は幅八百メートルかかるんですが、そういう計画があるということを西廣防衛局長が二年前に答えているんです。なかなか公的には認めませんけれども、そうなっているんです。
 それで、兄島に千八百メートルの飛行場ができ、その兄島にそのOTHレーダーができると、OTHレーダーというのは強力な電波をソ連まで届かせるやつですから、これは飛行場とは両立しないんです。OTHレーダーの方も飛行機にぐるぐる飛ばれたら困る。妨害される。OTHレーダーというのは漁船の無線にまで響くんだから、飛行機側にも当然問題になるので、私はやっぱり、兄島に飛行場をつくろうということになったら、OTHレーダーはつくらせないということが必要になると思うんですね。防衛庁の方はOTHレーダー、軍事優先で飛行場反対というようなことを言うかもしれないけれども、離島の交通の便、特に観光問題あるいは農業、水産業の点からいっても、自然保護の問題も学者たちがいろいろ言っているので、これも気をつけなきゃならぬけれども、兄島に飛行場をつくるという島民の非常に切実な要望を入れるためには、防衛庁がもし兄島につくりたいと言っても、このOTHレーダーの児島設置は認めるべきでないという立場をおとりいただきたいと思いますが、これはひとつ長官にお伺いしたいと思います。
#78
○国務大臣(内海英男君) OTHレーダーの設置については、小笠原方面に設置をしたいという話は耳にいたしておりますけれども、必ずしも兄島にその設置を考えておるというところまで具体的には聞いておりません。せっかく島民の多年の希望でもあり、私も小笠原には返還二十周年で行ってまいりましてよく承知をいたしております。兄島が現在のところ空港の設置場所には適地であるというような東京都知事さん初め関係者の方々の御意見も承っております。したがいまして、先生の御指摘のようなお話が具体的に出てくるような状態になりますれば、関係省庁ともよく相談をいたしまして、島民の希望を失わせないような方向で協議を進めてまいりたい、こう思っております。
#79
○上田耕一郎君 終わります。
#80
○青木茂君 時間の関係で奄美に絞って二、三の御質問を申し上げます。
 この奄美群島、昭和二十年代の末期以来かなりな税金をつぎ込んできたわけですけれども、今まで伺っておりますと成果が必ずしも上がっておるとは言いがたいと。一体その基本的な原因というものは、自然その他の問題以外に人為的な問題として一体どこに原因があったんだろうかということについてはどういうふうにお考えでございますか。
#81
○政府委員(森繁一君) 奄美群島につきましては、復帰後特別措置を継続いたしまして今日まで至っておるわけでございますが、なおそれにもかかわらず所得水準が低い、高齢化も著しいということでございます。
 その原因が那辺にあるかということでございますが、一つは奄美群島の置かれております地理的、自然的条件に、宿命的なものであろうかと思いますが、あろうかと思います。台風常襲地帯、それから本土から離れておる外海離島、こういう条件が一つ制約としてあろうかと思います。それから他の一つは、奄美群島の経済を支えてまいりました産業といたしまして大島つむぎ、サトウキビというのが代表的なものとして挙げられるわけでありますが、これらの産業が概して低調であるために思うに任せない結果になっておるということであろうかと思います。
 こういう二つの点が大きな理由だと思いますが、前段の点につきましては、奄美の新空港等ができたわけでもございますし、ある利皮ネックが解消できる、そういう明るい見通しもあるわけであります。それから後段の点につきましては、これらの大島つむぎなりサトウキビにつきましては、いろんな施策を総合的に組み合わせて産業の振興を図り、こういう意味での原因を除去してまいりたい、こういうように考えております。
#82
○青木茂君 そういう方向に引っ張っていかれると。やや楽観論で、いいのかなという心配もございますけれども、いろいろな数字的な指標を見ますと、開発だとか復興だとか振興だとかそういう理由によって、何というんですか、道路工事というのかな、公共事業というのかな、そちらの方に少し資金投入のウエートがかかり過ぎているんじゃないか。道路改良率はまさに全国水準にきているんだから、何かそちらの方にかかり過ぎて、どの方向にこの奄美を引っ張って所期の目的を達するという何かビジョンみたいなものが何となく私ははっきりしないんですけれども、この点いかがでしょうか。
#83
○政府委員(森繁一君) 公共事業の問題につきましてはこれまで、お示しのような傾きがあったことは事実でございます。ただ、現実の問題といたしまして、奄美のいろんな道路、交通その他公共施設の整備水準というのはやはりまだおくれておる部面がございますし、特に、例えば本島の南部地域等につきましてはとにかく交通条件の整備が最優先の課題、こういう認識をされておる地域も非常に多いわけでございます。その意味で公共事業を縮小するとかセーブするとかいうことはなかなか難しいと思いますが、これまで以上に力を入れなければいけないというのは、いわゆる産業面を含めましたソフトの政策というのを今後積極的に考えていくことではなかろうかと思います。
 例えて申しますと、新空港ができましたためにフライト農業ができる、そのために航空輸送のネックが解消できる、そういたしますと消費流通システムが改善できる、そういたしますといろんな意味での地域の特性を生かした産業開発なりリゾートの振興ができよう、こういうふうにも思うわけであります。こういうソフト面の充実強化というのを中心にいたしました産業の振興施策というのを、公共事業に相並びましてと申しますか、公共事業にもなお増してこのソフトの施策というのを積極的に進めていくということが今後の大きな課題ではなかろうかと認識しておるわけでございます。
#84
○青木茂君 よくわかるんですけれども、どうも具体性というのかな、こういう産業をこの方向に持っていって何年計画でこういうふうにするんだというところがまだはっきりしないわけなんです。
 今度は出資という新しいものが入ったんですけれども、出資に値する産業、今値しなくてもこういうふうに持っていったら値するであろう、そこまで育成することができるであろうというその産業というのは一体何なのか。出資といってもこれは採算性はかなり度外視されているんじゃないか。補助金と大差のないものだと思いますよ。そうすると、出資に値するというものを何か特定しないとばらまきになってしまってその成果が上がらない、こういうことになるんじゃないかと思いますけれども、何かこれはという妙案ございますか、これでいくんだという。
#85
○政府委員(森繁一君) 今回の法律改正でお願いしております中に奄美群島振興開発基金に出資機能を創設したいということがございます。これは、これまでこの基金は融資機能と保証機能がございましたが出資機能はございませんでした。現在の奄美群島の経済の状況にかんがみまして、振興開発をさらに積極的に推進するために民間の資本投資、設備投資を積極的に誘導していこう、こういうためにこの出資の機能を付与しようというものでございます。
 お話しのように、出資先として当面ここだということをこの席で申し上げられる段階ではございませんが、例えば農林畜水産物の加工度の高い工業とかあるいは産業の振興開発に係る交通運輸業とか、こういうことを法律で出資先として定めておりますし、政令ではそれらに伴う例えば土地の造成事業というふうなものも対象にいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 ただ、出資の基本的な考え方というのは、あくまでも奄美の民間企業の自発的な創意によりまして産業の振興開発を進めていこう、こういうことを県も市町村もそれから基金も、ひいては国も一体となりましてプロジェクトを推進していこう、こういうことでございます。国や基金が先走って出資をしようと、こういうことではございませんで、民間の動きをできるだけ誘導、援助していこう、こういうものでございます。その際、その民間企業にとりましてもやはりある程度公益性があるものでないと、一般の企業ということではなかなか奄美の基金が、保証とか融資とかは別でありますけれども、出資するということにつきましては問題があろうかと思いますので、その辺は十分詰めて今後考えていきたい、こういうふうに考えております。
#86
○青木茂君 私は出資に値するという表現を使ったわけですけれども、値するというのは、私はこの奄美の置かれた状況からいうと雇用の創出だと思うんですね。これをやったら奄美の人たちの雇用がふえて所得も上がるというところにやはりぴたりと目標を定めるべきである。その目標さえ達成できるならば、私はある程度公共性が薄くても何があってももういいじゃないかという気がします。
 全体といたしまして奄美の事業所というのは本当に規模は小さいですね。従業員が一人から四人程度の一番小さい事業所は奄美全体の事業所の何用ぐらいになりますか。
#87
○政府委員(森繁一君) 従業員の規模で一人から四人までの事業所を見ますと、大体全体の八割程度、こういう御理解をしていただければいいかと思います。
#88
○青木茂君 商店の一番小さいのですね、本当に従業員一人か二人ぐらいのものはどれぐらいになりますか。
#89
○政府委員(森繁一君) 商店の従業員が一人から二人というごく零細な事業所、全体の中で占める比率が大体七割五分程度ぐらいではなかろうかと思っております。
#90
○青木茂君 そういう経済の中で本当に新しい雇用をつくり上げていく、島に活気を与えていくということは、これは言うは易しいが大変な課題だと思うんですよ。だからひとつここで何か思い切ったことをやらないとできないんじゃないか、過去の古い地場産業を育成というだけでは済まないんじゃないかという気がしてならないわけなんです。
 これはもう単なる例にすぎませんけれども、奄美群島に大学というのはありますか。
#91
○政府委員(森繁一君) 奄美群島には大学あるいはそれに類する機関というのはございません。
#92
○青木茂君 沖縄は七つか八つあると聞いていますよね、大学が。沖縄に七つか八つあって奄美に一つもない。この奄美のいろいろな、日本にない熱帯、亜熱帯の特殊な環境、いろいろなすぐれた条件、そういうものをいわゆる大学というものの中で吸収されて、本当にその大学へ来なければ学問ができないというような特殊性のある学校をつくったら、私は非常にこの奄美の発展に大きな効果があるんじゃないかと思っておるわけです。沖縄に七つも八つも大学があって、奄美に一つぐらいは極めて特殊性のあるやつがあってもいいんじゃないか、こういう気がいたします。
 それから、これはブラックユーモアで申し上げますから余り深く考えられると困るんですけれども、例えばかつて平清盛に俊寛僧都が流されたという鬼界が島がありますね。その鬼界が島にNTTとリクルートをワンセットで流してしまって、そうしたらこれは大きな産業ができるんじゃないか。これはブラックユーモアですけれども。そういう何か過去というものを踏まえてどうするということよりも、ここにひとつ奄美というものを中心にしてニューアイデアで新しい雇用創出の場をプロデュースしていくということが私は非常に大切なことではないかと思うわけなんですよ。
 人口が減っている。奄美の若い人たちは島に愛着があるんですよ。島に愛着があるんだけれども、島では生きていけないから外へ出ざるを得ない。だから私は、これからの奄美の振興計画というものを、若者に魅力があって安定的な雇用を伴うもの、そういうものがどうしても欲しい。そういう長期ビジョンをきちんと決めて、本当に国のお金をどれだけつぎ込んでもいいからそっちへばく進させるというような発想が必要なんじゃないか。つまり過去の延長だけでは所期の目的も過去の延長に過ぎず、大した達成力はないと思うんです。
 これはひとつ大臣の哲学をお聞かせ願いたいんです。
#93
○国務大臣(内海英男君) 青木先生のまことにうんちくのある、将来の展望を見通した奄美開発の構想を承らせていただきまして、大変私も同感しておるものでございます。
 しかし、現実の行政の責任をあずかる者といたしまして、自然的な条件あるいは現在の社会情勢、地理的状況、こう言いますと、なかなか先生がおっしゃっているような理想の奄美振興計画というものを具体的に進めるというのも現実的問題としては難しいのではないか。やはり将来の理想としてそういう目標に到達するように我々も努力しなければならないと思いますし、奄美群島に生活をしておる、将来奄美を担う若者たちにもそれだけの気概を持って郷土愛というものから取り組んでいただかなきゃならない。非常に大きな意味の構想を持って、奄美に愛着を持ちながら発展を図っていくというところに、地域住民また国も県もそういった考え方でこれを取り上げていけば先生のおっしゃるようなことに近づいていくんではないか。我々はその責任ある者としてそういう方向に指導し、そういうような気持ちにさせていく行政が必要である、そういうふうに考えておる次第でございます。
#94
○青木茂君 大臣は理想とおっしゃいましたけれども、腹の中では、あいつ何を空想的なことを言っているんだと言うかもしれませんけれども、現実の延長、つまり過去を引きずった施策の中では、私は過去数十年の歴史が示すように目的の達成は難しいと思います。だから、現実は現実として我々は尊重しなければならないけれども、ここでひとつ思い切った長期のビジョンと申しますか、その長期のビジョンも空想にならぬように、長期のビジョンを踏まえて中期の計画があり、中期の計画を踏まえて短期の政策があるというような、何か一貫した奄美群島の開発というものを、これはもうゆっくり、かつ急いでお考えを願いたいというお願いを申し上げまして質問を終わります。
 ありがとうございました。
#95
○委員長(稲村稔夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(稲村稔夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(稲村稔夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、赤桐君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐君。
#98
○赤桐操君 私は、ただいま可決されました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、奄美群島振興開発計画の改定及び小笠原諸島振興開発計画の策定に当たっては、地元市町村の意向を十分に尊重するとともに、振興開発事業については、沖縄との均衡をも考慮しつつ、補助率、補助採択基準等について十分配慮をすること。
 二、奄美群島の特性を生かした産業の振興を図るため、大島紬等地場産業の育成に努めるとともに、法改正の趣旨を踏まえ奄美群島振興開発基金の充実強化に努めること。
   また、農林水産業、観光・リゾート産業等の開発・推進及び流通の改善に資するよう農業基盤、交通基盤等の整備を強力に推進すること。
 三、小笠原諸島における産業の振興を図るため、交通施設、農漁業施設、観光施設等の整備促進に特段の配慮をすること。
   なお、小笠原空港の整備構想の推進に努めるとともに、自然環境の保全にも十分留意すること。
 四、硫黄島旧島民定住促進事業については、旧島民の心情に十分配慮するとともに、「集団移転事業に類する措置」について早期に結論をまとめること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#99
○委員長(稲村稔夫君) ただいま赤桐君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#100
○委員長(稲村稔夫君) 全会一致と認めます。よって、赤桐君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、内海国土庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。内海国土庁長官。
#101
○国務大臣(内海英男君) 本委員会におかれましては、本法案につきまして御熱心な御審議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に体して努力する所存でございます。
 ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対して深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 どうもありがとうございました。
#102
○委員長(稲村稔夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(稲村稔夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#104
○委員長(稲村稔夫君) ただいまから建設委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片上公人君が委員を辞任され、その補欠として馬場富君が選任されました。
#105
○委員長(稲村稔夫君) 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小此木建設大臣。
#106
○国務大臣(小此木彦三郎君) ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 住宅金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫は、かねてより国民の住宅建設に必要な資金を融通することにより、国民の住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図っていくためには、改善措置を講ずることが必要であると考えられます。
 この法律案は、以上のような観点から、今国会に提出された平成元年度予算案に盛り込まれている貸付制度の改善等につきまして、住宅金融公庫法、北海道防寒住宅建設等促進法、住宅融資保険法及び沖縄振興開発金融公庫法の改正を行おうとするものであります。
 次に、その要旨を申し上げます。
 第一に、世帯向けの良質な賃貸住宅の供給の促進を図るため、一括して借り上げが行われ、みずから居住するため住宅を必要とする者に転貸される賃貸住宅につきましても、その建設に必要な資金の貸し付けを行うこととしております。
 第二に、公庫融資に係る賃貸住宅の家賃限度額の算定方法の適正化を図るため、家賃限度額の算定に当たり、土地取得費の償却額にかえて、地代に相当する額を参酌することとしております。
 第三に、大都市圏における比較的小規模な敷地を有効活用するため、土地の合理的利用に寄与する低層耐火建築物等に対する貸付制度を創設することとしております。
 第四に、内需の持続的拡大を図るため、特別割増貸付制度の適用期限を平成三年三月三十一日まで延長することとしております。
 第五に、住宅融資保険制度の拡充を図るため、既存住宅の購入に必要な資金の貸し付けについて保険を行うことができるようにするとともに、契約金融機関の追加を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#107
○委員長(稲村稔夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#108
○青木薪次君 私は、まず第一に、住宅着工の現状と見通しについてお伺いいたしたいと思うのであります。
 昭和六十二年度の住宅着工の戸数は何と百七十二万戸にも達したのでありまして、空前の住宅建設ブームとなりました。このことが内需拡大に対する火つけ役になったというように考えておる次第であります。しかしながら、その後だんだんと住宅建設需要というものが下がってまいりまして、六十三年度の地価の高騰の影響を受けたといいますか、低迷を続けておるわけであります。百六十万戸時代に入ったと思うのでありまして、そういう現状というものを踏まえて、最近の住宅着工の戸数等の推移についてどんなふうにお考えになっておられるのかお伺いいたしたいと思います。
#109
○政府委員(伊藤茂史君) 先生今御指摘のとおり、六十二年度は百七十二万戸、六十三年度は百六十万戸台というようなことでございまして、戸数的には低落傾向にございます。
 私ども、この史上空前と先生おっしゃいました百七十二五尺その前の年が百四十万戸でございますが、この戸数についての評価でございますけれども、第五期の住宅建設五カ年計画では、六十一年度から六十五年度までの住宅の需要というものを六百七十万戸と見込んでおりますので、年間ベースに直しますと百三十万戸台の後半ぐらいになろうかと思います。その場合、いわゆる持ち家系でございますが、持ち家と分譲住宅の合計でございますけれども、これは年八十万戸台。それから貸し家系、これは賃貸住宅と給与住宅でございますが、これが五十万戸台というふうに需要推計をいたしてございます。
 この今申し上げました六十二年度、六十三年度の戸数は、これと比較しますと貸し家系が要するにこの需要を非常に大きく上回っております。六十一年度が七十五尺六十二年度が九十万戸、六十三年度は八十万戸台ということになろうかと思われます。したがいまして、三年度で大方もう五カ年計画に近い、五カ年の需要合計に近い数字に近寄ってございます。したがって、戸数的には完全に供給オーバーという形になっておりますので、今後はこの賃貸住宅を中心に需給の調整段階と申しましょうか、低落傾向が続くと思われます。ただ、持ち家分譲系は、この間を通じましてほぼ八十万戸台前後の供給建設戸数になっておりまして、依然として需要としては根強いものが続くというふうに考えますので、平成元年度はこれらを勘案しまして百五十万戸台になるのかな、こういうふうに考えております。
 現状を低迷かという御質問でございますが、そういうことで、需要から考えましたらまだまだ相当高い水準だというふうに言えると思います。ただ、経済に波及する効果から考えますと、やはり対前年度戸数が低落をし、賃貸住宅の場合には一戸当たりの規模が小そうございますので、投資額としてはその低落の度合いはそう大きゅうございませんけれども、ある程度これがきいてくるということになりますと、今まで経済のリード役を果たしていたものから下支え的な機能に落ちてくるということは十分考えられると考えております。
#110
○青木薪次君 今も局長のお話にありましたように、百七十二万戸が昭和六十二年、それから六十三年が百六十万、それから百五十万台というように順次着工戸数が減ってきているという傾向を示していると思うのであります。平成元年の住宅着工戸数が百五十万戸台になる、このことは依然として景気に対する下支えの役割を果たしている、こういうお話であるわけでありますが、問題は、住宅価格と勤労者の平均年収との格差が今年々拡大する一方で、東京圏ではマンションの価格が勤労者の平均年収の十倍にも達しておりまして、サラリーマンのマイホームの夢は完全に絶たれてしまった。さらに、この四月から消費税が導入されるということになりますと、建物部分の価格に三%上乗せされていくということになりまして、住宅価格は一段と高くなって、サラリーマンのマイホームの夢は完全に遠ざかったと言う人さえも実はあるわけでありますが、問題は建設省として消費税算入による住宅着工戸数への影響をどの程度考えておいでになるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
#111
○政府委員(伊藤茂史君) 最近の住宅価格の高騰は先生御指摘のとおりでございます。今先生十倍と言われましたのは、民間の調査によります実際の供給した住宅価格とそれから全国の勤労者の収入の平均をとったものでございます。これを首都圏全域について見ますと、四千八百万円という住宅価格になりまして、京浜地区の平均的サラリーマンの年収に対しましては六・九倍ということになります。いずれにしましても非常に取得しにくい住宅価格の高さになっておるわけでございます。これに平成元年度から消費税が課せられるわけでございますが、マンションの購入について考えますれば、分譲価格中の建物分につきまして、建物の価格について消費税が三%上乗せされるということに相なります。
 私ども、消費税という制度をつくるという過程におきまして、この住宅取得に対します影響というものを大変危惧いたしました。その際に財政当局といろんな相談をしたわけでございますが、とりました措置というのは、この消費税の施行に合わせまして、一つは住宅取得に対して課せられております不動産取得税の課税標準の特例というものを拡大いたしまして、現行の四百五十万円から一千万円に引き上げていただくということを実現いたしました。この考え方は、住宅取得という流通過程をとらえて、片側で消費税がかかり、片側で不動産取得税がかかるというのは実質的な重複になるんじゃないか、こういうことで、政策的な見地から不動産取得税の方は実質かからない形にしていただきたいということで実現したものでございます。
 それからもう一点は、今回の登録免許税は、土地の移転につきましては消費税はかかりませんし、それに加えて、今回の措置で登録免許税の課税標準を、固定資産税評価額の一・五倍という特例があったわけでございますけれども、これを廃止したということで、消費税導入と時期を合わせて二つの措置をいたしてございます。したがいまして、建設工事の最終段階あるいは販売の最終段階の消費税の課税分にほぼ相当するようなものがほぼこの減税によって埋められるという形に実質的になっておろうかと思われます。
 今後の見通しということでございますけれども、この消費税というのは将来にわたって三%ずっとかかっていくということでございますので、中長期的に言いますれば、住宅取得に対して、所得税減税もこれあり、非常に影響というものは少なかろうと思っております。ただ、消費税のかかっていない段階からかかる段階に移行する今の時点でございますけれども、若干建設需要に前倒し的な要素が働いて、その間、例えば六十三年度末の住宅建設あるいは供給に少しぶれが出てくるというようなことは影響が出てくるのではないかと思いますが、中長期的には平準化をしていくというふうに考えております。
#112
○青木薪次君 今のお話によりますと、消費税の住宅価格への影響というものについては、土地が非課税になる、それから不動産取得税の控除額が拡大された、こういうことについては非常によかったと思います。問題は、したがって丸々消費税の三%が上乗せにならないけれども、住宅が高価な商品であるだけに負担額は大きいのでありまして、今後住宅取得の負担軽減のためにも、今度は消費税導入による負担増加額に見合う住宅減税の増加を要求していくべきであったんではないだろうかというように考えているわけであります。
 平成元年度予算編成に当たりまして、大幅な住宅減税の実施を要求すべきであったけれども要求しなかったという点の理由について御説明願いたいと思います。
#113
○政府委員(伊藤茂史君) 住宅取得減税につきましては、ここ三年間にわたりまして非常に大幅な拡大が行われております。その一つの要因は、やはり内需拡大の柱として住宅対策を進めたいということにあったかと思いますが、最後の住宅取得促進税制の改革、つまり公庫の資金分まで民間資金と同じように一%を掛けて取得税額から控除をするという制度でございますが、ここに至りました経緯は、やはり売上税、当時は売上税でございましたけれども、導入その他、いろんな住宅についての税負担がふえることこれありということで、内需拡大とあわせて考えられたものでございました。
 したがいまして、まだ住宅取得促進税制の期限切れでない時点でもあったこともございまして、平成元年度につきましては住宅促進税制の拡充は行いませんでした。ただ、今後平成二年度に向けましては、これは期限が切れる話になるわけでございまして、改めて住宅促進税制のあり方につきまして検討を加えたいというふうに考えております。
#114
○青木薪次君 平成元年度の国の住宅関係予算は、公的住宅の建設戸数も前年度並みに抑えられておりまして増加していないのであります。また、住宅減税や公庫融資についても特に目新しいものがなくて、国として本格的に住宅問題の解決に取り組んでいるのか疑問に思う点があるのであります。
 大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、大臣は横浜の出身であって、いわば首都圏出身の大臣であります。住宅対策に対する関心も強いと聞いております。したがって、大都市の住宅問題解決のために積極的に取り組んでいただくという意味において、大臣の御所見をひとつ伺っておきたいと思います。
#115
○国務大臣(小此木彦三郎君) 東京等の大都市における住宅問題を解決するということは住宅政策の中で一番重大な問題であることは言うまでもございません。このために、住宅金融公庫の融資の拡充あるいは住宅税制の活用等によりまして住宅取得の促進や公共賃貸住宅の供給の促進を図るほかに、私は特に建設省の皆さんに、まず土地というものをいかにして供給するか、そのためには、大都市の中にもまだ利用されていないような土地があるではないか、これらの土地をどういうふうに活用するかということがまず第一である。
 と同時に、大都市の中には昭和三十年前後における中高層の建物があるけれども、非常にもう古くなって、いわば老朽したビルやアパートがたくさんあるではないか。これら、難しい問題はあるけれども、建てかえということをひとつ知恵を出して進めていって、それらが大都市の中に今よりも三倍も四倍も住宅というものを確保できれば非常に好都合ではないか。
 また第三番目には、そのような大都市の中での住宅というものは三倍、四倍確保できてもそれなりの限度がある。限度がある場合にはどうしても宅地あるいは住宅を供給するためには郊外にうちを求めなければならない。とすれば通勤等の短縮のためにはどうしても足を確保しなければならない。交通手段をどうするかというような問題が出てくるであろう。とすればJRなり私鉄等の連携協力、それをもって十分な足を確保しなければならない。
 大体この三つを指示して、今後住宅政策、住宅対策を積極的に行っていくという考え方でございます。
#116
○青木薪次君 平成元年度は、六十一年度からスタートした第五期住宅建設五カ年計画の四年度目に当たるわけであります。その進捗状況は一体どうなっておるだろうかという点が非常に関心の高い点であります。したがって、公営と公庫とそして公団別に説明をしていただきたいと思います。
#117
○政府委員(伊藤茂史君) 現行の第五期住宅建設五カ年計画は、五カ年間で調整戸数を含めまして公的資金住宅三百三十万戸という計画になっております。六十一年度、六十二年度はほぼ実績が出ておりますが、六十三年度とそれから平成元年度予算でお願いしてございます計画戸数を加えまして四カ年分の合計戸数を申し上げますと、この三百三十万戸に対しまして二百五十八万九千と相なります。したがいまして全体の数字は、進捗率は七八・四%とほぼ順調な数字になってございます。
 先生お尋ねの公営住宅はどうかということでございますが、公営住宅等では二十八万戸の計画に対しまして二十万五千ということで七三・三%の進捗率。公庫住宅につきましては、二百二十五万戸の計画に対しまして百九十五万八千戸で八七%の進捗率。公団住宅につきましては、十三万戸の計画に対しまして九万二千戸ということで七〇・六%。こういう進捗になってございます。
#118
○青木薪次君 今の説明で公庫住宅が進捗率が平成元年度で八七%、計画を上回っているというお話であります。公営、公団住宅はいずれも計画を下回っている。特に大都市地域における勤労者の住宅を供給する公団住宅の建設が伸び悩んでいることは問題だと思います。
 今申し上げたような東京圏の民間マンションの価格が勤労者の平均年収の、私の計算では十倍、標準からいうならば六・八倍ですか、今説明があったわけでありますが。今日大都市の勤労者に対する公団の賃貸住宅の大幅な供給増加が必要ではないかと思うのであります。住宅対策の重点を公団の賃貸住宅の建設に置くべきではないかと思うのでありますが、この点いかがですか。
#119
○政府委員(伊藤茂史君) 御指摘のとおり、住宅価格と勤労者の所得の乖離が広がっております。そういうことで、本来であれば持ち家でありますとかマンションを取得しまして住みかえる層が実際になかなか持てないという状況になっていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、一方で公団、公社の分譲住宅の供給を進めますと同時に、やはり賃貸住宅というものに対する需要というものが今まで以上に大きくなっているだろうということも十分認識をいたしております。したがいまして、私どもは、現行の五カ年計画で定められました公団住宅、公営住宅、そういった賃貸住宅の計画戸数をまず達成するということが一番肝心であって、それ以上の仕事ができるようになればそれはもちろんふやすことはやぶさかではございませんが、まずは五カ年計画に課せられましたノルマを達成したいということで努力をいたしておるところでございます。
 予算的に申し上げますと、公営住宅につきましても公団住宅につきましても、五カ年で達成すべき全計画戸数を五で割って年ベースに直しまして、ほぼその達成できる戸数を毎年計上いたしておるわけでございますけれども、何分用地取得難その他がございまして、その予算で組みました、計画しました戸数を達成できないでいるというのが現状でございます。
 公団住宅について見ますと、最近はここ六十年、六十一年、六十二年と次第に建設戸数の実績は上がっておりまして二万戸台に達し、さらにふえております。六十三年度の実績見込みも、六十二年度よりもさらにふえまして二万二千戸ぐらいになるのではないかというふうに思いますので、それなりの努力を一生懸命公団もやっていただいているというふうに考えております。
#120
○青木薪次君 私は、地価が非常に高騰した大都市圏で公団住宅の供給を増加させるためには、今局長が言ったように公営住宅の目標を達成するのが第一。これは達成されるという前提に立って、さらに公団住宅の問題が一番関心の高い点でありますから、問題は供給の体制をどうするかということが必要だと思うのです。
 そこで、国鉄用地の関係等についても、土地の値上がりで市場価格に合わせて、清算事業団は赤字を解消させるためになるべく高く売りたい、しかし高く売るためにかえって土地を今度は高騰させる、こういうようなために東京都との間なんかにおきましてもいろいろ問題を起こしているわけでありますが、今は凍結状態になっております。しかしながら、やはり地方公共団体とかあるいは公的団体等に対して随契でもってなるべく安い用地を取得してもらうということは必要なことでありますから、旧国鉄用地の公団への払い下げや国公有地の活用が急務となっているわけであります。私は、これは建設大臣が大いに閣議で頑張ってもらうということで、国公有地等の住宅用地への払い下げについてひとつ努力してもらいたいし、そういう意味で供給体制というものを強化していくという点について今後どのような対策をお立てになっておられるか、その考え方を聞いておきたい。
#121
○政府委員(伊藤茂史君) 今先生御指摘のJRの跡地、国公有地の活用というのは、私ども公団事業を行っていく際に非常に重要なポイントだと前々から考えております。特にJRの跡地につきましては利用の持って行き方というのが、システムが決まってございます。
 と申しますのは、地方公共団体とJR側がいろいろ話をして、そのそれぞれのJR跡地の土地利用計画というものを決めていく、こういうのが基本になってございます。汐留とかそういう大きいところは国土庁とか建設省とかいろいろ関係の省庁が入りまして、関係の公共団体が入りまして土地利用の基本的な方針を決めるというようなことで協議会方式が整っておりますが、それ以外の土地につきましては基本的には公共団体とJRの話し合いで、しかも土地利用についての審議会を経てということになってございます。したがいまして、公団の事業として活用しようと思う場合には、公団としましてはJRの方にいろいろお話を持っていくと同時に、公共団体にそこを住宅用地として活用してもらうということをまず思っていただくことが非常に大事でございます。
 そういうことで、具体に住宅供給に適したJRの跡地につきましては、公団の方で積極的に公共団体の方に話を持っていきまして、そして公共団体の住宅供給としてそこを使っていただくような考え方に変えていただいて、そして最終的に土地利用の審議会でそういう方向に持っていっていただくというようなことを一生懸命精力的にやってございます。平成元年度の予算の中にも数カ所そういう新しいJR跡地を活用しました再開発、広い意味の再開発でございますが、公団住宅を建てる再開発の土地が出てまいっておりますので、そういう努力を今後とも続けてまいりたいというふうに考えております。
 それから国有地につきましては、例えば研究機関の跡地をまとまって利用するというようなことが起きますれば、これは当然にその土地を住宅として使い得るかどうかというようなことを私ども検討さしていただいて、必要とあらば跡地利用について申し込みいたしたいというふうに思っておりますが、通常の場合にはなかなかまとまって出るということはございません。したがいまして、そういういろんな諸機関の移転とかそういう機会をとらえて努力をしてみたいと考えております。
#122
○青木薪次君 大体今の実情からいってよくわかるわけでありますが、私も実はJRの遊休地と言われるようないろんなところを重点的に調べてみました。あちらこちらにあるんですね。宿舎の跡とか研究機関の跡とか、あるいはまた寮とか、いろいろそういう跡地があるわけでありまして、これを公団住宅に活用したらいいなと思うところがたくさんございます。そういうところは別に売買価格、市場価格でもってその土地を払い下げなきゃならぬということはないわけでありますから、そういう意味ではこの辺は非常に魅力となる点である。しかも国有地の関係等においては、病院が廃止統合されたとかあるいはまた研究機関が統合されたとか、いろんなところがあるわけであります。旧軍隊の跡地もあるわけです。そういったようなところをまとめてなるべく低廉にして良質な住宅を提供するということが必要であるわけであります。
 問題は、東京都のようなこういう大都市における住宅供給ということは、これは深刻な問題だというように考えているわけであります。第五期住宅建設五カ年計画では最低居住水準四人世帯で五十平米、余り広くはないわけであります。これより以下の住宅を解消することを目標にしていたはずでありまするけれども、現在なお最低居住水準以下の住宅が相当数残っていると言われているのでございます。この点についてはどの程度残っているだろうか、また五期五カ年計画中に最低居住水準以下の住宅を解消することができるかどうか、こういう点についてお伺いいたしたいと思います。
#123
○政府委員(伊藤茂史君) 御指摘のとおり、現行の五カ年計画では最低居住水準未満をできるだけ早く解消しようということになっております。
 この最低居住水準の統計でございますが、五十八年に行われました住宅統計調査が今現在一番詳しい数字でございます。全国で三百九十五万世帯、全世帯数の一一・四%残存ということになっております。この最低居住水準未満の住宅に住んではならないと禁止的な制度にはもちろんなっていないわけでございますので、これが全くゼロになるということはとても考えられないわけでございますが、今後の見通しとしてどういう状況かというお尋ねでございます。
 私ども府県別、地域別等のいろんな統計を見てみますと、住宅居住水準の状況が非常によろしい中国地方でありますとか北陸地方でありますとか、そういうところでも一けた台の下の方が一番低いところでございます。だからそれ以上に低くするということは非常に難しかろうと思います。したがって、今現在大都市圏の方は十数%の率になっておりますから、これをなるべく早い時期に一けたにするというようなことがまずは実現できればというようなことが考えられます。この次の統計は六十三年の十月一日現在の調査ということで、もう既に調査が行われておりまして、今現在集計中でございます。いずれその現状を見た上で改めて最低居住水準についての考え方をまとめてみたいというふうに考えております。
#124
○青木薪次君 住宅宅地審議会では小委員会を設置いたしまして、地価が高騰した大都市地域での住宅供給策について検討していく予定であると聞いているわけでありますが、大都市地域で世帯向け賃貸住宅を適正な家賃でどのような方策で供給していくのか。具体策を示しながら検討されることを希望いたしたいわけでありますが、工場跡地の活用とか、あるいはまた容積率の割増制度の活用とか、この点については地方の都市計画、審議会なんかについても、規制緩和といいますか、指導いたしてもらいたいと思うのであります。密集地帯、市街地の再開発の促進をするとか、社宅制度の創設などいろいろ報じられているわけでありますが、大都市の供給は今申し上げたように緊急課題になっているわけでありまして、できるだけ早く具体策を示すべきであると考えますけれども、この辺についてはいかがでございますか。
#125
○政府委員(伊藤茂史君) 先生のお話のように、第六期の住宅建設五カ年計画の策定に向けまして住宅宅地審議会の方に政策の基本的な柱の見直しをお願いしてございます。諮問の中身は、「経済社会の発展に対応したゆとりある住生活を実現するための住宅・宅地政策はいかにあるべきか」ということでございます。この諮問を昨年九月にいたしまして、始まったばかりでございます。通常五カ年計画の前に答申をいただいておるわけでございますが、したがいまして、通常のペースでございますと来年の夏ごろに最終の答申をいただくことになろうかと思います。
 今お話しの大都市の住宅対策は緊急を要するではないかという点でございますが、先ほど大臣答弁にもございましたように、大臣の御指示ございまして、私ども大都市の住宅対策、できるだけ早い時期に市街地住宅の供給促進策を見出したいというふうに考えております。したがいまして、この住宅宅地審議会の審議の中でもそれは大きな柱として検討いたしたいということでございます。できますれば、来年の八月末ごろというようなことを言わずに、ことしじゅうにでもその部分については中間的な考え方でも示していただければというふうに考えておりまして、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。
#126
○青木薪次君 総理府の住宅統計調査の結果はいつごろわかるだろうか。六期の五カ年計画の基礎となるわけでありますが、ちょっと遅いじゃないかというように考えているわけでありますが、速報値を早く出してもらいたいということについていかがですか。
#127
○政府委員(伊藤茂史君) ことしの春に速報値が出るということで聞いております。
#128
○青木薪次君 かねてから我が党が要求している住宅基本法、これは国の責務、住宅の最低基準、資金の国からの援助対策というようなことを基本につくっているわけでありますが、この制定については、毎国会建設省の提出予定法案にリストアップされてきたけれども、最近では提出予定法案の中にも上がっていない。これはまことに遺憾なことであるというように考えているわけでありますが、建設省としては住宅基本法の制定について完全にあきらめたのかどうなのか、平成三年度から発足する第六期五カ年計画に合わせて制定する気持ちはあるかないか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#129
○政府委員(伊藤茂史君) 住宅基本法、毎国会各先生方からいろんな御意見をいただいております。私どもそのたびにお答えしていますことは、住宅政策の目標でありますとか、国、地方公共団体の責務の中身でありますとか、住居費負担の取り扱いでありますとか、居住水準のあり方でございますとか、住宅基本法の根幹となるはずのいろんな項目がございますが、こういう項目について、いまだ各政党間あるいは国民の間で、これならば皆さん納得して進めようではないかというようなコンセンサスがいまだ形成されていないのではないかというふうに考えます。したがいまして、社会党、公明党その他の政党、いろいろと住宅基本法関連の提案もございますので、そういうものの議論をぜひともお願いをして、コンセンサスを得た暁には私どもそれをまとめて提案さしていただくというようなことではいかがかと考えております。
 とりあえずは、四十年、四十一年から始まっております五カ年計画の根拠法でございます住宅建設計画法というのがございますので、これに基づく五カ年計画を策定し、その策定をする前に住宅宅地審議会でいろいろ御議論いただくというようなことで住宅対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#130
○青木薪次君 私どもも社会党だけでもってこの方針を貫こうなんて決してけちな考えは持っておりません。今度の土地基本法のように、この高騰する土地の値段を何とかして抑えて下げていくということのために土地基本法を野党でつくりました。いろいろと相談もいたしてまいりました。大体コンセンサスができつつあるわけでありますが、こういうような立場に立って住宅基本法もつくっていきたいというように考えているわけでありますので、この問題については前向きにひとつ検討をしていただきたいというように思います。
 それから公庫融資の利用状況と基準見直しについてお伺いいたしたいと思うのでありますが、首都圏での公庫の個人向け融資が大幅に落ち込んでおります。特に大都市の東京都、神奈川県では前年度に比べまして主ないし五割下回っていると報じられているわけでありますが、最近の首都圏における融資申込受理件数はどのような状況になっているだろうか。最近の貸付申し込みの推移を報告されたいと思うのでありますが、これらはいずれも高騰する土地の値上がりというものが原因だと思っておりまするけれども、その点も説明していただきたいと思います。
#131
○政府委員(伊藤茂史君) 御指摘のとおり、首都圏、東京都と神奈川県だけを引いておりますので、ちょっと首都圏というのは当たらないかとも思いますが、東京都と神奈川県だけを取り上げますと、六十年度、六十一年度は、一般住宅、マンション、建て売り住宅等の申し込みの件数は大体四万戸ベースでございましたものが、六十三年度は二万戸ベースに落ちるというようなことに相なろうとしております。
 それでこの中身でございますが、一般住宅、つまり土地の手当てができておりまして、あるいは古い住宅を持っておって建てかえるというような、土地を持った人たちに貸し付けられます一般住宅につきましては二万戸台で、落ちておりません。したがいまして、その落ち込みました最大の原因は、やはりマンションと建て売り住宅、つまり、土地と建物とを一緒に購入する、取得するというケースにつきまして、御案内のとおり住宅価格が非常に上がったというようなことが最大の原因で落ちたのではないかと思っております。
#132
○青木薪次君 全般的に住宅建設が好調であった中で公庫融資の利用状況が低迷しているということは、公庫の融資基準にも問題があるのではないかと思うんです。思い切った見直しが必要だと思うけれども、どんなものだろうかと思います。公庫融資については、住宅建設費と貸付限度額との間の差が開き過ぎている。土地代を含め貸付限度額の大幅引き上げを行うべきであると思うのでありますが、この点いかがですか。
#133
○政府委員(伊藤茂史君) 毎国会同じ問題の御指摘ございます。私どもは、今申し上げますと、六十二年度から六十三年度に具体的に建築費がどういうふうに上がったか、土地費がどういうふうに上がったかというようなことの実績を押さえながら、申し上げました標準建設費でありますとか土地費の単価の是正を毎年大蔵省にお願いし、フォローをしてきてございます。例えば平成元年度について申し上げますと、建築費につきましては一律三十万円、それから団地住宅とか中古住宅とかの購入資金につきましては八十万円の引き上げをいたしてございます。これはほぼ現状の取得能力を、現状では瞬間的には維持をするという形で手当てをいたしております。
 それから、今回の法律改正でお願いしてございます特別割増貸付制度の延長、これによりまして東京都の場合にはマンションの購入につきましては二千二百四十万円まで公庫融資が可能となっております。したがいまして、この借り入れ可能な限度としては、ほぼ公庫融資で普通の勤労者の場合にはもう目いっぱい公庫融資が活用できるという状況に既になってきております。したがって、これをさらに拡大するということは、まず借入金の能力からして天井があるのではないかというふうにも考えますので、借入枠としては相当なところまでいっていると思います。しかし、先生御指摘のとおり、住宅価格の上昇を勘案した場合にはなかなかこれでは十分とは言えません。したがいまして、住宅の価格の安定、所得の上昇等を待ちながら、この公庫融資の拡充ということを今後とも引き続き努力をしていかなきゃならないというふうに考えております。
#134
○青木薪次君 首都圏における標準建築費とか土地購入単価について実情に合ったものに改めるべきである。これはもう私が言うまでもないと思うのであります。この点を特にひとつ留意してもらいたいと思います。
 それから、一括借り上げ方式の導入が改正案の問題点となっておりますけれども、最近、賃貸住宅経営者の中には、賃貸住宅を借り上げ業者に一括して賃貸する方式が民間で普及してきている。地主が入居者までどんどん当たってやるというのはなかなか大変だ、管理も大変だという点についてよくわかるわけでありますが、入居希望者がどこにいるだろうかというようなこともなかなか大変なことだと思います。そこで入居者の募集とか、管理の難しい世帯向けの賃貸住宅での普及率が高いと言われました。そうした状況を踏まえて、今回賃貸住宅の建設資金の貸付制度に一括借り上げ方式が導入されたと考えられるわけでありますが、一括借り上げ方式による賃貸住宅の普及状況、これは一体どれくらいを見通しているだろうかということをお伺いいたしたい。
#135
○政府委員(伊藤茂史君) 現状での普及の状況でございますが、私どもの調査によりますと、一括借り上げは、これはサンプル調査でございますけれども、一割、一〇%程度となっております。一方、不動産業者に業者委託というのは八四%というような比率になっておりますので、それに比べればまだまだ低うございますが、先生おっしゃいましたようないろんなメリットがございますので、これから伸びるであろうというふうに予測をしております。
#136
○青木薪次君 お話しの一〇%では決して熟度が高いという方ではないと思うのでありますが、世帯向けの賃貸住宅の供給増に少しでもプラスになるのであれば結構なことであると思っております。
 公庫融資の導入でどの程度の供給増加が見込まれるだろうか、この点についてはいかがですか。
#137
○政府委員(伊藤茂史君) 御指摘のとおり、公庫融資がつけられるということになりますと、それでは公庫融資の条件に従ってより広い規模の賃貸住宅を延ててみるかということになるわけでございます。そういう公庫融資はメリットがあるわけでございますが、したがいまして、今まではこの一括借り上げ方式が組み込まれた賃貸住宅に対しては公庫融資の対象になっていなかったわけでございますので、今回公庫融資の対象にすることによりまして、それでは公庫の言うとおりに広い住宅を建ててみようか、こういうふうになってくると思うわけでございます。
 したがって、現在の民間資金の賃貸住宅の中からこの一括借り上げ方式と公庫融資のタイアップによりましてどのくらいの転換があるだろうかということをいろいろとマクロ的な計算をしてみたわけでございますが、平年度におきまして二、三千戸ぐらいは当面出るんではないかな、こういうふうに思います。したがって、小さな賃貸住宅を建てていた民間市場から公庫融資の方に二、三千戸移ってくる、こういうふうに考えますと、その質向上に対する影型というのは大きいのではないかと思います。
 今後は、この公庫融資と一括借り上げのタイアップでございますので、これをメリットとして地主さんに対していろいろと賃貸住宅の建設を勧めることが行われるようになりましょうと思いますので、これからはこの一〇%という数字ではなくてどんどんとふえていくというふうに考えております。
#138
○青木薪次君 公庫が地主に貸せる、しかし、その中に業者が入って、業者は入居者に貸せる、こういうことになるわけでありますが、間に一括借り上げ事業者が介在することによって末端の家賃が上がることになるのではないか。この業者の中に悪徳なのがおって家賃を上げるということになる心配がないだろうかということを危惧いたします。
 公庫が融資するに当たって一体どのような条件をこの地主に課していくことになるだろうか。また、この一括借り上げ事業者が介在することによって、公庫が融資している家主と、一括事業者から転貸を受ける借り主との関係が不安定になってくることはないだろうか。さっき言った家賃との関係もあります。貸付条件、管理上の問題、いろいろあるわけでありますが、地主は貸付対象であるこの入居者との関係は全くなくなる。その中に業者が介在する。これは専門家だ。良心的な人だったらこれは非常によろしいが、逆に悪徳不動座業者のような人だったら大変な問題が起きる。この辺は非常に難しい点でありますけれども、この点をどういうように考えておりますか。
#139
○政府委員(伊藤茂史君) 今現在、公庫融資を受けました賃貸住宅、土地担保賃貸住宅というのが一番戸数の多いものでございますが、これにつきましては、公募によりまして入居者を募集しなさい、あるいは家賃限度額の規制、きょう公庫法の改正の中に入ってございますが、そういう限度額の範囲内で家賃を設定しなさい、あるいは、敷金は取ってもよろしゅうございますが、礼金とかそういった家賃まがいの他の負担はしてはなりません、こういったいろんな規制がございます。これは、今、公庫法の中で賃貸住、宅を建てます地主さんに対して規制がかかっておりまして、それによりまして入居者が保護されるということになっております。
 この保護の中身につきましては、今回は賃貸住宅の所有者、もとの地主さんでございますが、それから一括借り上げ者、先生業者とおっしゃいましたが、その業者でございますが、この間の契約の中でこの一括借り上げ者がこれらの内容を遵守していきます、そして入居者にちゃんと貸し付けますということをきちっと契約に盛り込むということを公庫法の三十五条に基づきます省令で規定することを予定しております。
 今度は、この賃貸住宅の所有者と一括借り上げ者の間に、これは期間が当然ついてございましょうし、あるいは一括借り上げ者がいろいろと契約違反をしたときに契約を解除するというような問題がございましょうが、そういうことで終了した場合にはこの賃貸住宅所有者と入居者の双方の地位が、特に入居者の地位が保全されるように賃貸住宅所有者と入居者との直接の関係に戻る、こういうことで入居者を保護したいということで、これもそういう制度に特約を締結させるということで万全を図ってまいりたいと思っております。
 それから、このような規定に違反した場合に今賃貸住宅所有者に対しまして何ができるかということでございますが、公庫法あるいは公庫との金銭消費貸借契約の中で違反した場合には、今現在繰り上げ償還あるいは罰則というような規定がございますので、こういうものがパックにありますので、違反した場合にはそういう繰り上げ償還や罰則が行われますよということで、それに至らない間に指導をして入居者の保護が図られるように努力をしたいというふうに考えております。
 それからストックの維持管理、これも非常に重要でございます。特に修繕費の負担をどういうふうにするのかというあたりは一番キーポイントであろうかと思いますが、賃貸住宅の所有者と一括借り上げ者の間の修繕等に関する責任の所在を契約書で守備範囲をはっきりしておくということでございます。
 それから賃貸住宅所有者と一括借り上げ者の間の責任の分担につきましても、モデル契約書なんかの中できちっとその守備範囲を決めて指導したいということで考えております。
 それから業者がよければ非常にいい制度だというふうに御指摘でございましたが、どういう業者が一括借り上げ者として入っておればこの融資を認めるかというようなことでございます。そこで、一括借り上げ者は十分な資力、信用を有する事業者でなきゃならないとか、貸し家経営の十分な経験、能力を有してなきゃならないというようなことを省令で根拠を置きまして、具体的には具体の事案で公庫が審査できるようにするということで信頼に足るものを選定してまいりたいということで考えております。
#140
○青木薪次君 家賃限度額に関する規定の制度について質問いたしたいと思うのでありますが、全国に約十三万戸あると言われている地方住宅供給公社の賃貸住宅の家賃限度額は建設大臣が定めることになっているわけでありますが、今回の改正で、土地の取得造成費の償却額を基礎にして算出する方法から、土地の再評価額をもとにいたしまして決まる地代相当額を基礎にして算定するというこの方法が採用されるということになったわけでありますが、このような地代相当額を基礎に算出する方法に定めた理由について、時間がありませんから簡単にちょっと説明してください。
#141
○政府委員(伊藤茂史君) 公社住宅に限って具体的な説明を申し上げた方がわかりやすいと思いますが、公社は、東京都の住宅公社を初めとしまして昭和二十年代後半から公社の具体的な賃貸住宅の建設が始まっております。したがいまして、例えば二十五年としますと四十年近い年月がたっておるわけでございます。したがってその間に住宅そのものは相当老朽化をしておりますが、家賃そのものにつきましては、現行の制度が立地的な利便性といいますか、そういうものを勘案する地代相当額というものが入っておらないということもこれあり、非常に古い賃貸住宅がその老朽さを勘案する以上に非常に家賃の水準が低く抑えられてきております。その結果、公団住宅でありますとか公営住宅でありますとか、そういった公共賃貸住宅全体の比較体系ということから考えますと、そこだけがいびつな形になっておるという現状にございます。
 したがいまして、公営住宅あるいは公団住宅につきましてはもう既に今回御提案申し上げましたような地代相当額を入れた家賃の限度額あるいは家賃の基準額の算定方式は確立いたしてございますので、公社につきましてもその点を改正いたしまして公共賃貸住宅全体として適正な家賃体系に持りていきたいというふうに考えて今回の改正をお願いしたわけでございます。ただ、公社賃貸の場合には限度額方式でございますのでこれは天井を規定いたします。したがって、具体の家賃の決定は各事業体でございます公社、それから認可権を持っております知事がいたすわけでございまして、限度額を上げましてその家賃体系としては整備いたしますが、具体の値上げは今後の問題、具体の決定は今後の問題になるということでございます。
#142
○青木薪次君 そうしますと、高騰する地価がそのまま家賃限度額に反映されて、家賃限度額は大幅に引き上げられることになるという心配をいたしているわけでありますが、地価の上昇率と家賃限度額、引き上げ額との関係についてどのようになっていますか。
#143
○政府委員(伊藤茂史君) あくまでもその賃貸住宅のサービスの対価としてどういうふうにしてはじくかということで、現在の公共賃貸住宅の家賃体系は、その立地をしております土地の価格、これは固定資産税評価額を公営住宅の場合も公団住宅の場合も使っておりますが、それによりましてその立地の条件というもの、利便性というものをある程度反映させながら家賃に組み込んでいこう、こういうシステムであろうかと思います。
 そこで、今回の公社の限度額を決めましても、直ちにその地価の上昇分をそのまま転嫁していくというものではございませんで、そういうことで計算をしました天井をもとにしまして、公社賃貸住宅の政策目的から考えて過重な負担にならないように、家賃限度額が非常に古いものは上がってまいりますが、そういう上昇したものにつきましても大幅な引き上げとなるようなことがないように激変緩和措置を配慮した家賃改定を行うべきではないかというふうに考えております。
#144
○青木薪次君 そういたしますと、家賃限度額を地代相当額を基礎に算定する方式に改めても、固定資産税評価額の上昇率以上に引き上げられない、こういうように理解してよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
#145
○政府委員(伊藤茂史君) あくまでも限度額で、今私が申しました天井でございますけれども、天井は、一たん今回限度額が定まりますればそれ以後は固定資産税評価額以上には上がらないということになります。ただ、先ほど申しましたように、昭和二十年代の後半から約四十年にわたってそこは固定されておりますので、今回の限度額の引き上げは相当な引き上げになるということは、四十年間の社会経済情勢の変化を織り込みますので相当なものになるということは御理解いただきたいと存じます。
#146
○青木薪次君 対象となる公社住宅の家賃は建設大臣の定める家賃限度額の範囲内で決定されることになるから、家賃限度額の引き上げ額がそのまま家賃の引き上げ額とならないが、それでも相当の値上がりになると思うんです。建設省は具体的にどの程度の家賃値上がりになると予測しているかという点について、余り大幅な家賃の値上がりは居住者に過大な負担を課すことになるので、その点について家賃の値上げを抑制していくべきじゃないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
#147
○政府委員(伊藤茂史君) 具体的にどのくらい上がるかという数字は、その家賃値上げそのものを各事業主体が、公社が行いますのでわからないわけでございますが、家賃限度額が現行の制度のもとと新しい制度のもとでどのくらい上がるかと申し上げますと、東京都の公社の場合の限度額が、今現在、平均で二万三千九百七十三円でございますが、これが今回の地代相当額を入れたことによりまして三万六千六十六円となります。上昇額は一万二千九十三円でございまして、平均的には五〇%ほど上がります。一般的に家賃の値上がり率として五〇%というのは、今の消費者物価の上昇、所得の上昇あるいは家賃の上昇から見ましても相当高い数字であろうかと思います。
 私どもは、先ほども申しましたけれども、公社賃貸住宅が中堅所得者層を対象としますという政策目的にかんがみまして、過重な負担にならないように家賃の決定を行ってほしいと思いますので、大幅な引き上げになることがないように激変緩和に配慮した家賃改定を行ってほしい、こういうことでございます。
 その場合に、既に公社の場合にも五十七年の改正以降二回引き上げたところもございますし、一回しか引き上げていないところもあるわけでございますが、既に公社の方も過去に数度家賃引き上げを行ったところが多うございます。そういう経験、あるいは公営や公団も家賃改定の実績がございます。したがって、公共賃貸住宅の場合には何年ぐらい間を置いて、どういう状況であればどのくらい引き上げられるというような実績が積み上がってきております。そういうことで、そういう公共賃貸住宅全体の引き上げの実績を踏まえて、大幅な引き上げにならないように公社を指導していきたいと思っております。
#148
○青木薪次君 衆議院の建設委員会の附帯決議を見ました。「家賃の急激な値上がりにならないよう配慮するとともに、」という要望をいたしております。具体的にどのような家賃変動の激変緩和措置を講ずるのか。そのことの説明と、同じく衆議院建設委員会の附帯決議の中で、今回の改正に伴う家賃値上げによる「増収分については極力修繕等の促進に使用するよう指導すること。」も要望いたしておりますが、私はここに重点を置くべきであるというように考えておりますけれども、どの程度修繕引当金に充てることになるのか。どのような方法で、地方の公社を指導するというけれども、指導することになるのか。時間がありませんから簡潔に結論だけ御答弁ください。
#149
○政府委員(伊藤茂史君) 私どもは、この法案改正ができますれば、五十七年の例によりますれば、局長の運用通達というものを公庫あるいは公社、知事に対しまして行いまして、具体の家賃決定に際してその通達に従ってほしいということでお願いをしたいと思っております。その場合に、先ほど言いましたように、激変緩和措置といいますか、そういうものが一点ございます。それを配慮した家賃改定をしなさいというのが一点と、それから衆議院の附帯決議にございましたが、家賃の収入は極力維持修繕費に充てる、こういうことでございます。したがいまして、この点も五十七年の時点でも同じような通達をいたしてございますが、今回も同様にいたしたいというふうに考えております。
 公団住宅の場合には、七割を維持修繕に使いまして、三割を新規の抑制に使っているのが現状でございますが、公社の場合には、今現在の家賃水準から考えましてまだまだその新規の抑制に使うというような段階にはないのではないかと思います、したがいまして、収入は極力維持修繕の費用として使い、あるいは団地の居住環境の整備に使い、そういうものに充ててほしい‘こういうことで通達をいたしたいと考えております。
#150
○青木薪次君 家賃限度額の改正は四月から実施されることになるわけでありますが、地方の公社が具体的に家賃の値上げを実施するのはいつごろになると見込んでおいでになるのかという点についてはいかがですか。
#151
○政府委員(伊藤茂史君) 具体のその家賃の改定の実施時期でございますが、これは、今後公庫法の体系とか公社法の体系が定めるところによりまして、各公社が地域の住宅事情、施策対象層の家賃負担能力等を勘案しながら、過去の家賃をいつ上げてきたか、それから今回の消費税に対する対応の問題がございますので、そういうものを各公社がそれぞれ判断をして、定期的な家賃の見直しの一環として家賃の見直しを行っていくのではないか。そして必要とあらば家賃の変更が行われるということになろうかと考えております。
#152
○青木薪次君 公社が具体的に家賃値上げを実施するに当たっては、事前に居住者に十分な説明を行うべきであると思います。また協議の機関等を設置すべきだと考えます。居住者に対する説明や協議をどのようにするか、説明をしていただきたいと思います。
#153
○政府委員(伊藤茂史君) これも先ほど申しました通達で趣旨を徹底いたしたいと考えておりますが、建設省におきましては、家賃改定が居住者の理解を得ながら円滑に行われるように従来から指導してきております。
 五十七年の改正以降、一度ないしは二度家賃の改定が行われてございますが、その際にも五十七年の法改正を受けて通達を出したわけでございますけれども、それぞれの公社におきまして、まずは説明会を行うということで、値上げを行う場合にはその趣旨を十分に周知徹底させる。同時に、家賃の算定方式あるいは決定に際しまして、居住者代表も含めた各界の代表者により構成されます家賃審議会を設置してやっているところもございますし、それから、名称はいろいろございますが、調査会でありますとか協議会というようなこともございますが、いずれにしましても、居住者からの意見を公の場で聞くというようなことを最低限度としましていろんな措置が行われてございます。したがいまして、これはまた各公社公社で事情がございますので一律にどうこうしろということはなかなか申し上げられませんが、私どもは家賃値上げの趣旨が住民の皆様によく受け入れられるように、徹底するようにという趣旨から、こういうものを大いに活用しまして努めてほしいということで公社を指導してまいりたいと考えております。
#154
○青木薪次君 最後に、私は今度の限度額の変更で非常に公社住宅にお住まいの皆さん不安におののいていらっしゃるんじゃないかと思うのでありますが、そのことを十分に考えて、今局長が最後に言った皆さんの納得と了解ということを前提にするような努力というものに十分配慮してこの問題に対応することを最後に要望いたしまして、私の発言を終わります。
#155
○上田耕一郎君 住宅金融公庫法の一部改正の問題で、私、質問時間が十七分ですので、今青木委員も取り上げられました供給公社の家賃限度額の不当な引き上げ問題、これに絞って質問したいと思います。
 八二年に推定再建築費導入、それを大幅に引き上げる公庫法改正が行われて、このときは公社自治協代表もここにお見えになって二日間審議したんですね、参考人を呼んで。ところが今度は、特別割増制度の継続を口実にして日切れ法案扱いにして、こういう重大な改悪を入れ込んで、十分な審議もしないでやろうと。火事場泥棒的なやり方だ、非常に言語道断だと思うんです。このことをまず指摘しておきたい。
 さらに、非常に私不当だと思いますのは、八二年の改悪のときに私取り上げたのは八一年八月の住宅審の答申がある。この住宅審答申にまことに誤った文章で、公社賃貸住宅の家賃がおかしい、だから改定が必悪だということを書いてあるんですね。読んでみますと、まず公営、公団のこと書いておいて、「これに対し、公社賃貸住宅については、一般的な変更規定がなく、住宅の維持管理上必要あるときに、維持修繕費のみ物価スライドすることができることとなっている(住宅金融公庫法施行規則第十一条)。」となっています。私はこんなことはない。「のみ」と書いてあるけれどもといってこの施行規則を取り出して、修繕費どころか、「のみ」どころじゃなくて管理費も公租公課も保険料もちゃんと書いてある。これはスライドになるじゃないかということを質問しましたら、当時の豊蔵住宅局長も「この点につきましては、表現が厳密に言えば正確でないところがございます。」と認めざるを得なかったんですね。
 この家賃改定の改定意見の前提そのものが間違っているんですよ。修繕費のみスライドになる、そんなことないんですよ。住宅局長でさえ認めるような全く誤った前提で答申が書いてあって、それで家賃改定を言っているので、これはけしからぬということを私が指摘した。ところが、今度の住宅審の答申、六十年六月ですよね、これで公社住宅の家賃改定問題が出て、土地の再評価をやれというふうになった。ところが、私が指摘して、建設委員会でも住宅局長でさえ認めたような事実認識の家賃改定の根拠にすべき前提そのものに誤ったことが了いてあった。そういう経過に一切触れてない。それでいきなりこういう家賃限度額の大幅な引き上げを提案してくる。僕は無責任きわまりないと思うんです。まじめにやってないですよ、住宅審は。それを建設省もそのまま受けて日切れ法案に入れ込んで持ち出してくる。これでは公社にお住まいの住民の方々、また家賃問題に非常な関心を持っている国民の期待にこたえられない。
 それで、地価上昇をこれに入れて計算するという不当性はもうこの建設委員会でも何回となく議論している。今度の東京中心の地価高騰は、前の建設大臣の天野さんが中曽根首相の失政だとこの建設委員会で何度も言ったんです。それで民間活力導入政策でリクルートコスモス絡みという問題まで引き起こした。世界で東京しか上がらなかった非常に大変な問題です。その地価高騰の罰を中曽根前首相がとるんじゃなくて、公社住宅にお住まいの皆さんにかぶせようということについては、今度は二重、三重に不当だと思うんですね。
 こういうことを論じていると時間が幾らあっても足りませんので、具体的な質問に入りますが、今局長は限度額上昇は平均五〇・四%だと言われた。ここに建設省からいただいた試算があります。確かに昭和二十五年から四十五年までの平均をとると五〇・四%ですけれども、昭和二十五年、一番最初の事業年度の公社について言いますと、現行一万九千七百五十四円が改正後四万七千八十円に限度額が上がる。二・三八倍になるんですよ。二・四倍です。平均五〇%さえ今月長はちょっと高いんだということを認めましたよね。二・四倍ということになると一体これどういうことになるか。非常に大変なことになるんです。これは昭和二十五年度の六百六十五戸の平均ですから、個別の団地でいくと恐らくもっと高いものも生まれるだろうと思うんですね。
 それで、いただいた試算を見ますと、今度の地代を入れていきますと、大体古いものは割に立地条件のいいところ、都心のところが多いもので、古ければ古いほど家賃限度額が高くなることになるんですよ。昭和二十五年度は最高家賃限度額四万七千八十円でしょう。昭和四十五年は三万八千七百十一円で、古ければ古いほど家賃限度額が絶対額で高くなっちゃう。
 局長、どうですか、こういうのは余りに不当な結果だということをお認めになりませんか。
#156
○政府委員(伊藤茂史君) まず、平均値五〇%のお話でございますが、先ほど申しましたように、家賃の値上げの率として個々の住宅の家賃が五〇%も平均値で上がる、こういうことは家賃の値上げとしては余り考えられないことだということで申し上げましたのでございます。
 そして限度額、これは天井でございますけれども、天井としては、今回公共賃貸住宅全体の家賃体系の最終的な手直しということになろうかと思いますが、公社を加えまして、公営、公団、公社というのが同じ考え方で家賃体系が組まれることになりますが、その際の限度額につきましては、昭和二十五年ぐらいに建てられましたものが、それからずっと土地代につきまして、土地代といいますか、土地の償却費というものを固定して家賃を計算しておりますので、それが四十年後の今現在の固定資産税評価額に直したとしても、それは二十数年間の社会経済情勢の変化を一挙に回復するような話になりますので、限度額そのものは相当上がるだろうということでございます。
 御指摘のとおり平均で一三八%に相なります。しかし、それはあくまでも限度額でございますので、家賃の値上げというものはそのとおり上げろということではございませんで、その天井の範囲内で、先ほど申しましたように、施策対象層の負担、あるいは個々の家賃の値上がり率として借家法に規定されておりますような相当なものであるかどうかというような判断、社会経済情勢の変化、そういったようないろいろな要因で各公社が決めますので、その一三八%、二・三八倍に一挙に上がるということにはこれはならないものと考えております。
#157
○上田耕一郎君 じゃ、この二十五年のようなものは、大体最高何倍ぐらいまでに、激変緩和した結果このぐらい以下に抑えたいというふうなめどは、局長、どうお考えになっていますか。
#158
○政府委員(伊藤茂史君) これも、激変緩和措置につきましては、五十七年の法改正のときには、その法改正後の第一回の家賃値上げの際に、とりあえず暫定的な限度額と申しましょうか、そういうものを決めまして、それ以下であってほしい、以下にしなさい、こういう通達を出しましたことは事実でございます。しかし、今回は、その後いろんな具体の家賃の値上げが行われておりますが、これは完全に各公社が足並みをそろえて現行の家賃限度額目いっぱいのところまで全部上げちゃった、こういう状況ではございませんで、非常に足並みがばらばらでございます。一回しか上げていないところもあれば二回上げたところもありますし、上げ幅も一〇%ぐらいのところから三十数%のところまでいろいろあるわけでございます。
 したがって、今回は、激変緩和措置を講じようということでいろいろ検討してみたのでございますが、五十七年のような形での激変緩和措置はとても難しい。つまり、屋根を上げますと、個々の公社にとってみれば、屋根までの高さが非常に幅が、変化があり過ぎる、こういうことになりましたものですから、一律の暫定の限度額方式はちょっととり得ないだろう。そこで、激変緩和措置につきましては、過去の各公社の家賃値上げの実績がございますし、公団も家賃の値上げを三回やってございます。それから公営も五十年以降各公共団体で定期的な家賃値上げの実績がございます。そういうものを当然踏まえながら、各公社で激変緩和に配慮した家賃値上げをしてほしい、こういうことで通達を出しますれば、各公社の判断でそれぞれの過去の家賃値上げの実情を踏まえて、その通達に沿った家賃値上げが行われるのではないかということで、五十七年と同じような激変緩和措置は今回はちょっととり得ないということで判断をいたしております。
#159
○上田耕一郎君 あのときの通達はここにありますけれども、「当該家賃限度額の四〇%に相当する額又は七千円のいずれか低い額を」と、これ以内にということだったんですね。非常に具体的だったんです。今なかなか条件が違うので難しいと言われたけれども、古い年度のものは最高限度額と実質の家賃とほとんど接近しているとこうが多いんですね。それが最高限度額が二倍半ぐらいにぱっと上がるとどういうことになるかということで、やっぱり建設省としても、激変緩和策で、抽象的な言葉でわかりにくいものではなくて、ただ過去の各公社の実情を踏まえてとかいうんじゃなくて、もうちょっと指導的なものを出していただきたい。
 というのは、ここに自治協がおつくりになった中野の広町住宅に関する調査があるんですよ。どういう方々がどういう条件で住んでおられるか。この広町住宅というのは昭和三十年度に建てられたものなんです。
 このアンケートを見ますと、ここは二人世帯が一番多いんです。それで、何と三三%、三分の一が第一分位、第二分位なんです、所得が。すると、六十二年の数字で見ますと、大体年収三百万円、四百万円、こういう方々が三分の一いらっしゃる。二人住宅、一人住宅が多いということは、つまり高齢者の、年金生活者の方が非常に多いということをここでは示している。アンケートによりますと、一人から二人の老齢者世帯は、値上げの我慢の限度は二千円だと書いてある。そういう答えです。四千円は到底できない。せいぜい二千円が我慢の限度額というのがこういうお年寄り世帯なんですね。都心でかなり便利なところだから、二万円の家賃は安いから上げていいじゃないかと思うのは、やっぱり上から見た、外から見た感じで、お住まいの年金生活をしておられる方にとってはもう本当に二千円が限度だと。いつまでもここに住みたいという方々が非常に多いんですよ。
 私は、そういう数字でただ見るんじゃなくて、それぞれの住宅で人間がどういう気持ちで、どういう状況でお住まいになっているか、生活実態も見て、いよいよ四月一日からは今度消費税が三%もかかるときでもあるので、建設省としてはこの激変緩和の通達の内容を、単に事業主体、公社、知事、これが責任を持ってやるんだということに任せないで、居住者の方々が本当に話し合いの結果納得のいく範囲で受け入れられるようなそういう激変緩和措置、実際の家賃改定額ですね、それが出るような工夫をぜひお願いしたい。これは大臣、ぜひ御指導いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#160
○国務大臣(小此木彦三郎君) 確かに単純な算術計算をいたしますと委員のおっしゃるようなびっくりするような家賃の改定額になるでありましょう。しかし、住宅局長もたびたび申し上げておりますように、これまでの公営、公団、公社等の家賃改定の例を参考にしなければならないことは言うまでもございません。ですからこれは参考にいたします。と同時に、やはりそれぞれの部署にある人たちの話し合いも行われるでありましょう。したがって、大幅な引き上げ額、いわゆる激変を緩和する措置を私ども十分するわけでございまして、委員のおっしゃる考え方も生かして今後やっていきたいと思っております。
#161
○上田耕一郎君 先ほどの局長の答弁で、値上げ増収分については新規家賃の抑制には回す段階じゃない、そう言われた。前回はこの建設委員会の附帯決議でこうなっているんです。「値上げ増収分は既存住宅の修繕、設備改善等の費用に充当し、原則として新規家賃の抑制に用いないよう指導すること。」というふうになっておりますし、先ほどの局長の答弁もあるので、新規家賃の抑制には回す段階ではない、修繕並びに設備改善、こういうものに回せるということに受け取っておきたいと思うんです。局長、それでいいでしょうね。
#162
○政府委員(伊藤茂史君) 衆議院の附帯決議では、「増収分については極力修繕等の促進に使用するよう指導すること。」というふうになっておりますので、この附帯決議の線に沿って指導いたしたいというふうに考えております。
#163
○上田耕一郎君 最後ですけれども、先ほど大臣も居住者との話し合いのことも言われました。局長も先ほど言われました。それで、審議会や調査会もあると言われたんですが、東京都の場合は、八二年の法改正後一回審議会ができたんだが、八五年の答申後審議会が廃止されて、その後公社賃貸住宅管理問題調査会というのが設けられた。ここには公社、自治協の代表も入っておりますけれども、中身は、聞いてみますと、開かれたのはたった三回です。空家割増制度の導入、建増制度、いずれも公社側の説明があって意見表明を求められるだけと。意見表明をして議論をしたり、また調査会としての何か答申、結論をまとめるようなものじゃなくて全く聞きっ放しでという状況なんですね。
 こういう運営では、激変緩和あるいは家賃改定問題について居住者、特に居住者の代表の自治協の代表との本当に民主主義的な話し合いということにやっぱりなっておりませんので、この点についてもぜひ各都道府県、公社をよく指導して、本当の話し合いができるような運営になるような措置を建設省としても責任を持ってとっていただきたいと思いますが、その点答弁を求めて質問を終わります。
#164
○政府委員(伊藤茂史君) 公営とか公団とかの賃貸住宅を値上げする際に、各公共団体が居住者の意見を吸収するシステムをいろいろ持っておりますので、そういうものを今後とも活用して住民の意見を聴取するような方向で行っていただきたいということで指導をいたしたいと考えております。
#165
○上田耕一郎君 終わります。
#166
○青木茂君 こういう今提出された法案の賛否を我々が決めなきゃならぬ場合において非常にこれは苦慮するんですよ。苦慮するということは、逆に言うとこの提出の仕方は私はかなりずるいと思うんです。というのは、いわゆる日切れと言われる適用期限の延長問題、これについては賛成だの反対だのの余地はない。もう完全に賛成ですよ。ところがそれに突っ込んできているわけなんですね。かなりのこれは家賃の値上げ内容じゃないか、もっと慎重に審議して決めなきゃならぬという部分を突っ込んできている。だから、日切れ部分にウエートを置けば賛成ですよ。後から突っ込んできた部分にウエートを置けばこれは反対。ところが我々は分割して賛成、反対言えないんです。全体として出されたものについて賛成、反対を言うわけですから、これはある意味においては賛成、ある意味においては反対、一体どっちに決めていいのか非常にこれは苦慮する法律の提案の仕方ですね。
 だから、私はこういうやり方はずるい、分離して出すべきだと思いましたのですけれども、まずその点どうなんですか。
#167
○政府委員(伊藤茂史君) 今回お願いしてございます改正案でございますが、平成元年度の予算の中で措置されたもので、金融公庫法の改正が要るものということで幾つか賃貸住宅関係の制度の改善がございます。それから特別割増貸付制度は、御案内のとおり適用の期限が切れますので、これはもう二年延長をし、現行五カ年計画が終わります年度に合わせてその時点でまた考えよう、こういう建前になっております。
 そこで、賃貸住宅についていろんな制度の改善が行われますので、先ほどいろんな御質問の中にございましたように、昭和五十七年度の改正、これはその前の五十六年の家賃の答申というのがございまして、それ以来の大きな流れの中のワンステップだったわけでございますが、そういうことで懸案事項が一つございました。それから融資保険制度の改善も、これも中古住宅を保険の対象にしようということでございますが、社会経済情勢からいきますとそういうものはもっと昔にそういう手当てをしておかなきゃならなかったものでございますが、なかなか法律改正として取り上げる段階に至らなかったというものでございます。
 そういうものを今回賃貸住宅制度の改善をするということで家賃制度を加え、それから融資保険もこの際改善をしようということで、いろんなお願い一本にしたわけでございます。したがいまして、相当中身のある改正になったかと思います。この法案が予算関連であることは間違いございませんので、予算関連法案ということで私ども国会の方にお願いをしたということでございます。
 あと、日切れになったのは、これは国会全体、運営の中でお決めいただいたことで、その後でございます。したがって、先生おっしゃいますように当初から日切れになることを予定をし、一つの法律を二つに分けて提案をするというようなことはかつて例がないと思いますし、日切れとかなんとか関係なしにでも同じ法案を二つに割って御審議いただくというようなことはちょっと私の記憶ではございませんので、そういうことはちょっとできないのではないかと思います。
#168
○青木茂君 形式的な説明はそうかもしれないんですけれども、やっぱり我々は日切れと言われれば急いでやらなきゃならない。だから、審議時間、私のところは十七分ですから、そこら辺のところは大変困るんですよ。とにかく借り主、貸し主の間に業者が入るとか、土地取得の所要額にかえて地代相当額を入れるとか、あるいは消費税の問題、全部これは値上げ要因ですからね。もっと僕は時間を本当は割いて慎重にやるべきだと思いますね。
 今、御承知のように、消費税問題をめぐりまして貸し主と借り主がごたごたしておるわけなんですけれども、公団は何か上積みをぽんとするようですけれども、公営住宅の方はどうなんですか。
#169
○政府委員(伊藤茂史君) 公営住宅に関します消費税導入の状況はどうかというお尋ねでございますが、消費税は御案内のとおり負担を最終的には消費者に転嫁するということを予定している税制でございます。したがいまして、公営住宅家賃につきましても消費税の円滑かつ適正な転嫁がなされる必要があるというのが基本的な考え方でございます。
 私ども、この消費税の転嫁につきまして、各公共団体に対しまして通達を出しました。その中で申し上げましたことは、確かに三%値上げをする必要があるわけでございますけれども、公営住宅の家賃決定というのは、公営住宅というのが公営住宅法の趣旨に沿いまして低額所得者に対する賃貸住宅の供給ということになっておりますので、その政策の目的をたがえないようにする必要があるということで、一月三十一日に通達を出しました。
 その考え方というのは、特にこの通達の中でも申し上げておりますが、家賃の減免等の措置というのは、これは公営住宅法の中でできることになっておりますので、家賃の減免等の措置を講ずる必要がある。特に、これはさらに、非常に低額所得者あるいは生活保護を受けているとか、老人を負って非常に家計が大変であるとか、いろいろなケースがございまして、個々のきちっとした決めを公共団体で決めております。そういった方々に対しましてどうしても減免措置の必要がある場合には、所要の措置を現行制度の中でできる範囲内ですることを検討しなさいというような通達を出したわけでございます。
 その後、公共団体は、これを受けまして、当然に消費税の転嫁をすべく公共団体としては事業主体が処理をいたしてございます。ただ、通常の値上げと一緒になって、例えば審議会にかけなきやならないとか条例の改正が要るとか、これは公共団体によっていろいろばらばらでございますが、そういう手続を要する場合がある。それから、収入として予算の中に組み込んでおりますので、予算が議会で通るとかどうとか、議会情勢にもよりまして、私どもが考えていますように、一律に四月一日から全部転嫁されるという状況には至ってございません。四十七都道府県と十政令都市を合わせました五十七団体の現状は、四月一日に転嫁されるものが二十九団体、五一%、それから四月一日は無理なので若干おくらせる、後で考えますというのが二十八団体、四九%という報告を現在受けておるところでございます。
#170
○青木茂君 後で乗せるのか、乗せないのか、対応がばらばらでさっぱりわからないんですよね。ということは、実は僕は消費税の内容そのものが不明確だからこういうことになるんじゃないかと思うんです。
 そこで、大蔵省さんいらっしゃいますか――ちょっと伺いたいんですけれども、消費税の納税義務者というのはだれなんですか。
#171
○説明員(薄井信明君) 消費税の納税義務者は、消費税法上、第五条に規定されておりまして、「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある。」と規定されておりますので、事業者ということになります。この事業者はまた、定義の中におきまして、個人事業者とそれから法人というように書かれておりますので、御指摘の納税義務者というのは、個人事業者と法人ということになります。
#172
○青木茂君 事業者が納税義務者であるとすると、消費者は納税義務者じゃないわけですね。つまり、税金を払わぬでもいいと、こういうことになりませんか。
#173
○説明員(薄井信明君) 現在も、例えばお酒の税金、これはお酒を買います、ビール一本三百十円でございますが、買いに行ったときにその消費者は納税義務者ではございません。ビールを工場から出したビールの製造工場が納税義務者になります。このような形で税金を納めていただく税法もあるということでございます。
#174
○青木茂君 そうすると、実質的に言えば、事業者は納税義務者とはいうものの、徴収義務者じゃないんですか。
#175
○説明員(薄井信明君) この見方でございますが、御存じのように料飲税という地方の税金がございます。この場合には、確かに最後に消費された、例えばレストランに入られた方が納税義務者でございまして、レストランは特別徴収義務者というような位置づけになっておりますが、この消費税あるいは物品税、酒税といった間接税におきましては、納税義務者は事業者であるということで規定されておりますので、法律上は消費者は納税義務者ではございません。
#176
○青木茂君 そうすると、消費者が納税義務者でなくて税金は消費者が負担する。よくわからないんですよね。そこら辺のところがさっぱりわからないんだけれども。
#177
○説明員(薄井信明君) 最初に申し上げましたように、間接税という税金はそのような仕組みを持っている税制でございまして、これはヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましてもそのような形をとっております。特にヨーロッパの付加価値税はほぼこの消費税と同じ形をとっておりまして、特異な税制ではないと考えております。
#178
○青木茂君 それでしたら、事業者の会計経理は、消費税込みのものを売り上げに計上しておいて、そして消費税分を租税公課で落ときにゃおかしいわけですよ、物品税と同じならばね。ところが他面において、外税方式のときは預かり金として経理して払ったものは仮払い金として経理しろ、こういう指導になっているわけなんですよ。だから、物品税とか何かとおっしゃるけれども、経理の仕方というのは物品税法でいう経理の仕方と違うんですよ。そこのところどうなんだということですね。
#179
○説明員(薄井信明君) 委員御指摘のように、経理の問題、これは企業経理、それから法人税とか所得税の所得課税におきます所得計算の方法としまして、これは消費税の世界とはまた離れますけれども、売り上げの中に消費税が入り込みますので、あるいは仕入れの中に消費税が入り込みますので、この消費税分をどのように経理処理したらいいかという問題がございます。
 この点につきましては、税金を預かり金、仮払い金として処理する方法も、公認会計士の方々、これもいいのではないか、それから一緒に込めて税込みで計算していただいてもいい。その場合には、差額分は損金といいますか控除項目として処理するということで、いずれにせよ、この消費税が影響しないように処理することが認められているということでございまして、委員御指摘のとおり両面がある、また両方どちらをとっても構わないという考え方をとっております。
#180
○青木茂君 十七分過ぎつつあるので、後から最後に大臣に御感想を伺いますから、そのおつもりでおっていただきたいと思います。
 そうすると、事業者がとにかく納税義務者であるということは法律上間違いないわけですね。そうすれば、その事業者が転嫁を、いわゆる前転、消費者に向けて転嫁するのか、仕入れ先に向けて転嫁するのか、あるいは自転ということで自分が負担するのか。それは自由ということになるわけですか。
#181
○説明員(薄井信明君) この種の間接税の考え方としては、消費者に負担していただくことを期待する税として構成してございまして、通常の場合ですと、その法律自体にはそのことまでは書かないのが普通でございますが、今回は税制改革法という別途の法律がございまして、この中で転嫁するべき税金です、してほしい税金ですというその趣旨を明らかにしているところでございます。
#182
○青木茂君 消費税法の上位置念であるところの税軍法において、転嫁について努力するということから、転嫁するものとするというふうに変わってきましたね。そうすると、これは事業者は消費者に対して転嫁義務があると見ていいんですか。
#183
○説明員(薄井信明君) 法律の読み方としては、いわゆる法律上の義務があるということは読めないと思いますが、転嫁することを要請している、期待しているということははっきり規定していると受けとめております。
#184
○青木茂君 転嫁する義務があるとは読めないけれども期待するというようなあいまいなことを法律で決めちゃっていいのかということなんですがね。
#185
○説明員(薄井信明君) 間接税の特性だと思いますが、物の値段が上がることによって御負担いだだく。まさに委員御指摘のとおり、消費者は負担をするのであって、納税は事業者がするわけでございます。そこにワンクッションあるわけでございますが、そのような形で間接税というものは構成されているものですし、他国においてもこの種の例は多いわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
#186
○青木茂君 理解したい、こう私も努力しているんですけれども、法律の規定、特に税法の規定というものはもう少しはっきりするというのか、明確でなければ納税者はちょっと納得できないのではないかと思います。
 そうすると、消費者から見た消費税というのは、政府公認の物価値上げと考えていいわけですか。
#187
○説明員(薄井信明君) 基本的には三%でございますが、その限りにおいて物価、価格が上がっていくということはこの税の仕組みから当然に帰結されるところでございまして、現象としては、消費者の皆さんにとっては物の値段が三%上がるというように受けとめていただきたい。であるがゆえに、消費者の方々にのみこの負担がしわ寄せされることのないように減税なり他の施策と組み合わせて今回この改革をさせていただいたということでもございます。
#188
○青木茂君 そうすると、消費者は税法的な意味の権利者、義務者ということでなしに、企業の価格政策の中で物価が上がるか上がらぬか、買うか買わぬか、そういうものにすぎないんだ、これでいいんですね、そういう理解で。
#189
○説明員(薄井信明君) そういうものにすぎないという言葉にまでは私ども同意しにくいんですが、確かに機能的には、物の値段が上がるという形で御負担いだだく税の仕組み、間接税の一つの典型的な例であるというふうに考えます。
#190
○青木茂君 時間が参りましたから最後に大臣に伺いますけれども、とにかく初めての税制ですから、納める方も払う方もというのか、納税義務者も、あるいは負担義務者というのか、それも法律的に明確な内容でなければ、本当に理解が得られずに私は四月一日から大混乱になるんではないかという心配があるんですよ。
 今までの私どもの一問一答を聞いていらっしゃって、どうもここら辺のところが明確さを欠くというふうにお感じになりませんでしたか。
#191
○国務大臣(小此木彦三郎君) 建設省として、家賃の改定に当たっては消費税三%を転嫁するという指導方針には変わりはございません。
 感想を言えということになりますと、大蔵省もっとしっかりしろということになりますが、建設省の指導方針は前段申し上げたとおりでございます。
#192
○青木茂君 終わります。
#193
○委員長(稲村稔夫君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#194
○委員長(稲村稔夫君) それでは速記を起こしてください。
 馬場君がまだ到着をしておりませんので、このままの状態で暫時休憩にさせていただきます。
   午後三時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十九分開会
#195
○委員長(稲村稔夫君) それでは再開をさせていただきます。
 他に御発言もないようでありますので、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#196
○委員長(稲村稔夫君) 御異議ないと認めます。
 本案の修正について上田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。上田君。
#197
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、お手元に配付してあります住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行います。
 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案は、一括借り上げ賃貸住宅の建設資金貸付制度の創設、公庫融資に係る賃貸住宅の家賃限度額算定方式の変更、小規模敷地活用型賃貸住宅貸付制度の創設、特別割増貸付制度の延長、既存住宅購入資金貸し付けに対する住宅融資保険事業の適用、住宅融資保険の契約金融機関の拡大などを内容とするものです。このうち、家賃限度額算定方式の変更以外はおおむね国民の利益にかなったものであります。
 家賃限度額の算定方式の変更は、公庫融資を受けて建設される地方住宅供給公社住宅等の家賃の限度額の算定について、新たに地代相当額を参酌することができるようにするものです。これは、一九八二年に行われた推定再建築費方式の導入に加え、さらに地価の高騰分まで居住者に負担させようとするものです。これにより家賃の限度額は、現行の二倍から三倍にもなり、都心の公社住宅から高齢者などの低所得者を追い出す極めて不当なものであります。
 政府は、公共住宅相互間のバランスなどを口実としていますが、昨今の地価狂乱の折には、公共住宅の家賃には高騰している地価を反映させないよう、公団住宅、公営住宅の家賃算定方式を改めることこそ住宅政策として必要なことです。まして、このような重大な内容を特別割増貸付制度の延長などと一つの法案とし、日切れ法案と称して極めて不十分な審議で強行することは、議会制民主主義をも踏みにじるものと言わざるを得ません。
 このような家賃限度額算定方式の変更は中止し、現行制度を維持することが必要であります。
 以上が、本修正案を提出する理由であります。
 次に、本修正案の概要を説明いたします。修正案は、政府提出の住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案のうち、家賃限度額算定方式に係る改正規定を削除するものです。
 以上が、本修正案を提出する理由及び修正案の概要です。
 何とぞ慎重審議の上、速やかに可決されるようお願いいたしまして、修正案の趣旨説明を終わります。
#198
○委員長(稲村稔夫君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。――別に御発言もないようですから、これより直ちに住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、上田君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(稲村稔夫君) 少数と認めます。よって、上田君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#200
○委員長(稲村稔夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
   〔上田耕一郎君「ちょっと済みませんが、反対に訂正させていただきます」と述ぶ〕
#201
○委員長(稲村稔夫君) 採決は行いましたので、全会一致ということで確認をさせていただきます。
 この際、赤桐君から発言を求められておりますので、これを許します。赤桐君。
#202
○赤桐操君 私は、ただいま可決されました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、地価の高騰等により、住宅問題が深刻化している現状にかんがみ、国民が適正な価格で良質な住宅を取得することが可能となるよう、住宅・宅地対策を積極的かつ強力に推進すること。
 二、立ち遅れている居住環境及び居住水準の整備・向上に積極的に取り組むとともに、特に大都市圏の良質な賃貸住宅の供給促進に努めること。
 三、住宅金融公庫融資については、融資限度額等貸付条件の充実に引き続き努め、公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の配慮を払うこと。
 四、住宅金融公庫融資に係る公社賃貸住宅の家賃限度額の改正については、家賃の急激な値上がりにならないよう配慮するとともに、増収分については極力修繕等の促進に使用するよう指導すること。
 五、国民の住居費負担の軽減を図るため、引き続き、住宅減税の拡充に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#203
○委員長(稲村稔夫君) ただいま赤桐君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#204
○委員長(稲村稔夫君) 全会一致と認めます。よって、赤桐君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小此木建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小此木建設大臣。
#205
○国務大臣(小此木彦三郎君) 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力する所存でございます。
 ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
 どうもありがとうございました。
#206
○委員長(稲村稔夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#207
○委員長(稲村稔夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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