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1988/06/20 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 運輸委員会 第1号
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1988/06/20 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 運輸委員会 第1号

#1
第114回国会 運輸委員会 第1号
平成元年六月二十日(火沼目)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
    委員長         多田 省吾君
    理 事         真鍋 賢二君
    理 事         松岡満寿男君
    理 事         安恒 良一君
    理 事         及川 順郎君
                伊江 朝雄君
                木村 睦男君
                坂元 親男君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                森田 重郎君
                山崎 竜男君
                吉川 芳男君
                吉村 真事君
                穐山  篤君
                小山 一平君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     二木 秀夫君     堀内 俊夫君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     堀内 俊夫君     二木 秀夫君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     増岡 康治君
     吉村 真事君     沢田 一精君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     坂元 親男君
     二木 秀夫君     坪井 一宇君
     沢田 一精君     吉村 真事君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     坪井 一宇君     二木 秀夫君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
    坂元 親男君     大河原太一郎君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     野沢 太三君     西村 尚治君
     二木 秀夫君     成相 善十君
     吉川 芳男君     山本 富雄君
     穐山  篤君     松本 英一君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     成相 善十君     二木 秀夫君
     西村 尚治君     野沢 太三君
     小山 一平君     高杉 廸忠君
     松本 英一君     穐山  篤君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     高杉 廸忠君     小山 一平君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
    大河原太一郎君     坂元 親男君
     山本 富雄君     吉川 芳男君
 四月四日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     坪井 一宇君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     二木 秀夫君     山本 富雄君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     山本 富雄君     二木 秀夫君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     坪井 一宇君     坂元 親男君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     堀内 俊夫君
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     及川 順郎君     黒柳  明君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     堀内 俊夫君     坂元 親男君
     黒柳  明君     及川 順郎君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     小山 一平君     志苫  裕君
 五月十五日
  委員志苫裕君は公職選挙法第九十条により退
  職者となった。
 六月一日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     志村 愛子君
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     野沢 太三君     西村 尚治君
     田渕 勲二君     久保  亘君
     安恒 良一君     梶原 敬義君
     田渕 哲也君     山田  勇君
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     二木 秀夫君     杉元 恒雄君
     高平 公友君     石本  茂君
     西村 尚治君     野沢 太三君
     久保  亘君     田渕 勲二君
     梶原 敬義君     安恒 良一君
     山田  勇君     関  嘉彦君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     高平 公友君
     杉元 恒雄君     二木 秀夫君
     関  嘉彦君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         多田 省吾君
    理 事
                真鍋 賢二君
                松岡滿壽男君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
    委 員
                伊江 朝雄君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                森田 重郎君
                穐山  篤君
                田渕 勲二君
                小笠原貞子君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  山村新治郎君
   政府委員
       公正取引委員会
       事務局取引部長  土原 陽美君
       国税庁直税部長  岡本 吉司君
       運輸政務次官   森田  一君
       運輸大臣官房長  棚橋  泰君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    丹羽  晟君
       運輸省運輸政策
       局長       塩田 澄夫君
       運輸省地域交通
       局長       阿部 雅昭君
       運輸省貨物流通
       局長       大塚 秀夫君
       運輸省海上技術
       安全局長     石井 和也君
       運輸省港湾局長  奥山 文雄君
       運輸省航空局長  林  淳司君
       海上保安庁長官  山田 隆英君
       海上保安庁次長  野尻  豊君
       気象庁長官    菊池 幸雄君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
   説明員
       警察庁交通局交
       通規制課長    島田 尚武君
       警察庁交通局高
       速道路課長    小池 登一君
       総務庁人事局参
       事官       坂巻 三郎君
       法務大臣官房審
       議官       濱崎 恭生君
       労働省労政局労
       働法規課長    渡邊  信君
  参考人
       日本国有鉄道精
       算事業団理事長  杉浦 喬也君
       日本国有鉄道清
       算事業団理事   池神 重明君
       首都高速道路公
       団理事      佐藤本次郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (運輸行政の基本施策に関する件)
 (平成元年度運輸省関係予算に関する件)
○日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(多田省吾君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一日、坂元親男君が委員を辞任され、その補欠として志村愛子君が選任されました。
#3
○委員長(多田省吾君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に安恒良一君及び及川順郎君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(多田省吾君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は従来どおり運輸事情等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(多田省吾君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君、同理事池神重明君並びに首都高速道路公団理事佐藤本次郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(多田省吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(多田省吾君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 まず、運輸行政の基本施策に関し運輸大臣から所信を聴取いたします。山村運輸大臣。
#10
○国務大臣(山村新治郎君) 第百十四回国会に臨み、当面の運輸行政の諸問題に関し、所信を述べ、各位の御理解を賜りたいと思います。
 我が国の経済社会は、今日まで飛躍的な発展を遂げてまいりました。そして、平成の時代を迎え、我が国はその発展の成果をいかし、豊かさを実感できる国民生活の実現や国土の均衡ある発展を推進していくとともに、国際社会への応分の貢献を果たし、諸外国との調和ある発展を目指していくことが求められております。
 このような状況に的確に対応して豊かで活力ある社会を築き上げていくために、運輸の果たす役割はまことに大きいものがあります。私は、このような運輸の使命の重要性を認識し、また、運輸が地域地域の国民生活と深いかかわりを有することを踏まえ、新しい時代に対応した運輸行政を積極的に展開してまいります。これは前内閣が「ふるさと創生」という形で推進してきたものにも通ずるものでありますが、私としても全力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
 以上申し上げました基本的考え方にのっとり、運輸行政の当面する諸問題について、次に述べますとおり所要の施策を推進してまいる所存でございます。
 まず第一には、均衡のとれた豊かな国土と社会づくりについてであります。
 多極分散型国土の形成を図るためには、幹線交通体系の整備が不可欠であります。まず、航空につきましては、第五次空港整備五カ年計画に基づき、関西国際空港、新東京国際空港及び東京国際空港の整備並びに一般空港の整備を引き続き推進してまいります。特に、新東京国際空港につきましては、国際化の急速な進展に伴い、完全空港化が極めて重要かつ緊急の課題となっております。このため、平成二年度の概成を目指し、残る用地の取得について、農家等との話し合いをもとに、地元の協力も得つつ、解決に全力を尽くす所存であります。また、国内航空路線における複数社化を推進し、航空企業間の競争促進を通じた路線網の充実を図っていきたいと考えております。
 港湾につきましては、第七次港湾整備五カ年計画に基づき、コンテナ輸送の推進を初めとする物流の高度化等を進めるための港湾施設の整備を推進してまいります。
 鉄道につきましては、整備新幹線に関しまして、本年一月十七日の政府・与党申し合わせにおいて、建設費はJR、国及び地域が負担すること等の結論を得たところであり、平成元年度から北陸新幹線高崎―軽井沢間について本格的に着工することとし、このため、日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法の一部を改正する法律案を提出いたしているところであります。また、他の区間につきましては難工事推進事業、建設推進準備事業を着実に実施してまいる所存であります。なお、これにつきましては、いまだ途上にあります国鉄改革の趣旨を踏まえ、JR各社の経営に悪影響を及ぼさないことを前提といたしているところでございます。また、幹線鉄道の新幹線直通線化等を推進するとともに、磁気浮上方式鉄道につきましては、実験線に関する調査等を進めるとともに、実用化に向けた技術開発を推進することといたしております。
 さらに、高速バスにつきましても路線網の充実等サービスの向上を図ってまいります。
 次に、地域交通体系の整備に関しましては、長期的な展望に立った計画を踏まえ、地方公共団体と連携しながら都市鉄道の整備及び都市バスの活性化、地方の中小民鉄、地方バス及び離島航路に対する助成、特定地方交通線の代替輸送対策等を推進してまいります。さらに、コミューター空港の整備等に対しましても地域と連携して取り組んでまいります。
 地域振興の観点からは、観光が今後ますます重要な役割を果たすことが期待されております。このため、九〇年代観光振興行動計画に基づいて、中央及び各地方ごとに観光立県推進会議を開催し、観光に関する施策を総合的、計画的に推進してまいりたいと考えております。また、物流ネットワークシティー構想の推進、海上浮体施設の整備、沖合人工島の建設の推進等多様な地域振興手法の充実に努め、地域の活性化を図ってまいります。
 次に、良好な都市環境の形成を図るためには、通勤・通学輸送の改善を図ることが不可欠であります。東京圏を中心に現在、喫緊の課題となっている土地対策への対応という面からも、昨年六月に閣議決定した「総合土地対策要綱」等を踏まえ、宅地開発と一体となった鉄道の整備を図るため、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法案を提出いたしているところであります。また、大深度地下鉄道の建設推進のための法制の整備、新幹線通勤等の遠距離通勤者の負担軽減のための方策等を進めてまいります。また、昨年七月の政府の交通対策本部決定「大都市における道路交通円滑化対策」に基づき、道路交通の混雑解消のための施策を講じてまいりたいと思います。さらに、港湾や都市空間の高度利用を促進するとともに、居住空間やオフィス空間の有効活用のため、フレイトビラ構想の事業化等を推進してまいります。
 また、都市新バスシステムや深夜バス導入等の運輸サービスの向上、駅や空港における利用者利便のための情報化の推進、駅施設の改善等の交通弱者対策の充実も図ってまいります。
 国民生活の向上、自由時間の充実はゆとりある豊かな国民生活を実現する上で不可欠の課題でありますので、総合的に観光振興を図ることとし、大規模リゾート地域や家族旅行村の整備を推進してまいります。また、安全対策も含めた海洋性レクリエーションの総合的かつ計画的な振興等余暇活動の健全な育成に努めてまいります。
 第二に、国際的に調和のとれた産業構造への変革についてであります。
 我が国は、経済構造を内需主導型に変革することにより調和ある対外均衡を達成することを重要な政策目標としております。運輸の分野でもこうした経済構造調整に資するため、NTT無利子貸付金制度の活用を図りつつ、港湾・空港等の公共事業及びヨットの帆走等の研修を行うハーバーコミュニティーセンターを初めとする民活プロジェクトを推進し、内需の拡大を図ってまいります。あわせて、国際的な調和を図る見地から、外国企業の我が国への市場アクセスの改善に努める所存であります。
 また、技術開発の推進やニューサービスの育成等を図ることにより、新たな事業分野を開拓し、産業構造の変革に寄与してまいります。交通運輸関係の技術につきましては、磁気浮上方式鉄道、新形式超高速船、多目的衛星システム等重要な技術開発課題があり、これに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 規制の見直しにつきましては、特に物流の分野において、運輸政策審議金物流部会意見等に基づき、物流事業の活性化、輸送の安全の確保等を図るため、貨物自動車運送事業法案及び貨物運送取扱事業法案を提出いたしているところであります。
 このほか、物流事業につきましては、円高の進展、我が国の市場開放等に伴い急増している製品輸入、農産物輸入に対応するため港湾貨物流通システムを整備するとともに、消費者物流対策を推進してまいります。
 他方、運輸産業の中には、急激な円高等の国際状況の中で厳しい経営環境の中に置かれている分野もあります。
 まず、海運業につきましては、長期にわたった海運不況はようやく底を脱したものの、今後も厳しい状況が予想されるため、引き続き、外航船舶の整備に対する計画造船制度等により海運企業の経営安定化のための環境整備を図るとともに、関係者間の合意形成を促しつつ日本船の国際競争力を回復するための諸施策を推進してまいります。また、船員の雇用情勢も厳しくなってきており、海上職域の確保、陸上職域への転換等の船員雇用対策を強力に推進するとともに、船舶技術の革新に対応した船員制度の近代化を一層推進してまいります。
 造船業につきましては、次世代船舶技術開発を推進するため、特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法律案を提出いたしているところであります。その他、事業提携の発展・強化や国際協調などを推進するとともに、海上浮体施設の整備の促進等活力と魅力ある造船業を目指した施策を推進してまいります。
 また、運輸業は全般的に中小企業の構成比が高く、その経営の近代化・健全化は運輸サービスの向上に不可欠であります。このため、構造改善事業等、中小企業対策を推進いたします。
 第三に、国際社会への貢献についてであります。
 海外旅行倍増計画を引き続き推進するとともに、国際コンベンションの振興、国際観光モデル地区の整備等外客の受け入れ促進策を着実に実施し、地方の国際化も推進してまいります。また、新東京国際空港及び関西国際空港の整備とこれら空港へのアクセス整備の促進、地方空港国際化の推進等今後の国際航空の進展に対応した諸施策を推進してまいる所存であります。さらに、いわゆる国際航空運賃の方向別格差の一層の是正に努めるとともに、日本企業の複数社化等により航空路線網の充実を図ってまいります。このほか、航空貨物の取扱量の急増への対応策や外貿コンテナターミナルの整備等も推進してまいります。
 他方、我が国の国際的地位にふさわしい責務を果たしていくため、開発途上国の鉄道、港湾、空港等の整備とともに、観光開発や輸送安全対策の分野にも重点を置いた国際協力を推進してまいります。
 さらに、SAR条約の発効や国際的な新海洋秩序形成の動向に対応した広域哨戒体制の整備を推進してまいります。
 第四に、国鉄改革の推進・定着化についてであります。
 国鉄改革から二年余りが経過し、この間、国内の景気拡大にも支えられ、JR各社の事業運営は順調に推移してまいりましたが、今後とも国民の期待する安全で良好な輸送サービスを提供できるよう経営基盤の確立を図っていくことが必要であります。
 一方、国鉄改革には、長期債務等の処理と国鉄清算事業団職員の再就職という大きな課題が残されており、これらの円滑な処理なくして国鉄改革が成功したとは言えません。長期債務等につきましては、金利による債務の累増を解消し、確実な債務の償還を行っていくために用地の早期処分を推進する等昨年一月に閣議決定された基本方針に従い適切な処理を進めるとともに、再就職につきましては、広域再就職を促進するための施策を含め、きめ細かな施策を展開していく所存であります。
 なお、大幅な財政赤字が見込まれる日本鉄道共済年金問題については、その自助努力等と公的年金一元化へ向けての各年金制度間の負担の調整措置により対応することとし、関係の法律案を提出いたしているところであります。
 第五に、安全で良好な生活環境の確保についてであります。
 交通安全の確保はいつの時代でも運輸サービスの基本であり、運輸行政の要請でありますが、昨今におきましては、海上あるいは鉄道の重大事故が発生し、また、昨年の道路交通事故死者数も十三年ぶりに一万人を突破しております。運輸省においては、従来より運行管理体制の充実、交通安全施設の整備、輸送機器の安全確保等の施策を推進しておりますが、申し上げましたような事故の状況にかんがみまして、海上交通につきましては、政府の対策本部で決定された「船舶航行の安全に関する対策要綱」に基づき、ふくそう海域における船舶航行の安全のための施策等の充実に努めてまいります。鉄道につきましては、JR及び他の鉄道各社に対し安全対策に万全を期すよう強力に指導してまいります。また、道路交通につきましては、運行管理の強化、交通事故被害者の救済等の施策の充実に引き続き努めてまいります。繰り返しますが、安全は運輸行政の基本であります。交通にかかわるすべての人々の安全に対する自覚と責任を促しつつ、交通安全の確保に最善の努力を傾けてまいりたいと思います。
 次に、防災対策につきましては、第四次海岸事業五カ年計画に基づき計画的な海岸整備を推進し、安全で潤いのある海岸空間の創出に努めます。また、気象観測と予報、地震観測と予知及び火山観測の体制の充実強化を図るとともに、巡視船艇・航空機の整備等海上防災体制の充実強化を図り、災害の防止軽減に遺漏なきを期してまいります。
 さらに、暴走族による騒音の抑止を含め、交通公害対策の充実強化を図るとともに、海洋汚染防止対策や広域廃棄物処理場の整備を推進してまいります。また、地球の温暖化やオゾン層の破壊等の地球規模の環境問題につきましては、世界各国の社会経済に重大な影響を与えることにかんがみ、国際的に協力しつつ、観測と予測体制の充実に努めるとともに、交通運輸への影響の評価とその対策について検討を行ってまいります。
 なお、消費税が実施されて二カ月余りを経ましたところでありますが、今後とも、その円滑な実施を図るため、万全を期してまいる所存であります。
 以上のほかにも運輸行政をめぐる課題は数多くありますが、豊かで活力ある社会形成の担い手としての運輸の使命の重要性にかんがみ、これらの課題に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 また、行政の運営に当たっては、綱紀の保持を厳しく徹底し、あわせて、効率的な事務の執行に努めるとともに、行政に対する国民の期待に適合した組織のあり方を常に念頭に置いて、所要の体制整備を図り、国民から信頼される開かれた運輸行政の展開に努めてまいりたいと考えております。
 以上、運輸行政の当面する諸問題につき述べましたが、これらは申すまでもなく委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。
#11
○委員長(多田省吾君) 次に、平成元年度運輸省関係予算に関し、説明を聴取いたします。森田運輸政務次官。
#12
○政府委員(森田一君) 平成元年度の運輸省関係の予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 まず、一般会計につきまして申し上げますと、歳入予算総額は二十四億二千三百万円、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百七十九億五千二百万円を含め九千三百十五億二千九百万円をそれぞれ計上いたしております。
 次に、特別会計について申し上げます。
 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入予算額二兆六千二百六十一億五千万円、歳出予算額六千百九十四億八千万円、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額四千五十九億五千百万円、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入予算額四百二億六千二百万円、歳出予算額三百四十九億一千七百万円、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千四百九十九億四千八百万円をそれぞれ計上いたしております。
 なお、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計の歳出予算には、日本電信電話株式会社の株式(以下「NTT株」と言います。)売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額を計上しております。
 また、産業投資特別会計の歳出予算には、運輸省関係海岸事業及び新幹線鉄道整備事業に係るNTT株売り払い収入を活用した無利子貸付金の所要額が計上されております。
 また、平成元年度財政投融資計画中には、当省関係の公団等分として二兆三千百八十八億円が予定されております。
 このほか、民間事業者が実施する民間事業者の能力の活用による施設整備事業の一部貸し付けに要する資金のNTT株売り払い収入を活用した日本開発銀行等からの無利子貸し付けによる運輸関係社会資本の整備を図ることといたしております。
 運輸省といたしましては、以上の予算によりまして、国鉄改革の推進・定着化対策、空港、港湾、海岸、鉄道等運輸関係社会資本の整備、交通ネットワークの整備、造船・海運対策及び船員雇用対策、国際交流の推進・観光の振興、貨物流通対策、運輸関係の技術開発の推進、海上保安体制及び気象業務体制の充実強化、交通安全対策等各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。
 運輸省関係予算の詳細につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。
 以上をもちまして、平成元年度運輸省関係の予算につきましての説明を終わります。
#13
○委員長(多田省吾君) 以上で大臣の所信並びに予算説明の聴取は終わりました。
 これより運輸行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○穐山篤君 大臣、大変御苦労さんです。今、運輸行政各般にわたるお話がありましたが、全力を挙げて取り組んでほしいと思います。
 ただ、今予算の概況を説明されましたが、平成元年度の予算というのは、御案内のとおり一般消費税を含む予算でありまして、予算の成立についても異常な状況で成立をしたものです。したがいまして、これから予算の執行を行う場面場面で私ども意見なり注文を申し上げますので、その点あらかじめお含みをいただきたいと思います。
 きょう、私は旧国鉄ないしはJR関係の懸案の問題について質問をさしていただきます。
 まず最初に、これは運輸省、清算事業団どちらでも結構でありますが、昭和六十三年度の決算はまだ出ておりません、予算だけですね。それから平成元年度の収支予算という資料をいただきましたが、ことしの清算事業団の予算の特徴点あるいは問題意識というもの、その点を最初にお答えいただきたいと思います。
#15
○政府委員(丹羽晟君) お答え申し上げます。
 清算事業団の本年度の予算の関係の私どもの一番の問題意識は、国鉄改革時に考えておりました国鉄の長期債務の処理をいかに一生懸命やっていかなければならないかというところでございます。
 それは具体的に申し上げますと、国鉄改革時の昭和六十二年度の首に国鉄事業団が処理すべきものとされた債務は二十五兆五千億でございました。それがその後毎年一兆円を超える金利などが発生いたしますのに対しまして、地価対策、そういったようなものとの関係で土地売却収入が不足したこともあって、国鉄事業団債務は平成元年度末には二十七兆円を超えるということが見込まれております。私どもといたしましては、まずは長期債務の現状につきまして国民負担をできるだけ減少する方向での最大限の努力を清算事業団と私ども共通に進めていきたいと考えております。それが最大の問題点でございます。
 なお、清算事業団が今行っております清算事業団職員の再就職対策につきましても、今年度が特別措置法で決められたぎりぎりの期限でございます。それで現在のところ約二千六百人の方々が再就職先が未定のままで残っているわけでございますので、その方々に今年度中に全員再就職していただく、こういうことで清算事業団を初め私ども一生懸命取り組んでいるところでございます。
 以上でございます。
#16
○穐山篤君 問題意識はわかりました。
 さてそこで、先日、閣議で繰り上げ償還のための施行令の一部、政令の改正を行いましたね。これは七千二百億というふうに聞いているわけですが、こういう方法というのは今後も継続をするつもりですか。重ねてお伺いします。
#17
○政府委員(丹羽晟君) ただいま先生御指摘の七千二百億というのは、国鉄改革時に清算事業団の本格的な財源措置をとるまでの、その間の私どもが考えておりました一定の考え方の中に、当初の三年間で土地売却収入を考えていたわけですが、それが七千二百億、三年間で累計した場合に売却収入不足が生ずる、こういう見通しが出てまいりました。それで、それに対しまして清算事業団が借入金でしのぐという話にいたしますとまたその金利がふえるということでございますので、その七千二百億につきましては、新幹線保有機構から別途毎年度約二千三百億ずつ債務を償還してもらっている関係がございます。その債務の一部を早期償還していただいてそこの金利負担をふやさない、こういう形を考えたわけでございます。
 したがいまして、この問題につきましては、今回緊急に考えた措置でございますので、今後は、本筋は土地の売却の収入をもっとふやしていくとか、それからその他の自主財源であるJRの株、そういったようなものの売却をできるだけ早目に適切にやっていくとか、そういったようなことを中心に、私どもの対策はそちらを重点的にやっていきたい、かように考えております。
#18
○穐山篤君 それから、昭和六十二年度の決算でいきますと、土地資産の売却は当初予算三千億円であったわけですが、決算から見ますとその半分も処理がいっていない。それから六十三年度は、まだ決算の公式の報告がないんですが、見通しからいってみても三千億の当初予算を全部消化し切る、あるいは売却が完了できるという見通しでもなさそうだと思うんですが、この資産売却によります収入の今後の見通しをひとつ伺っておきたいと思います。どういう計画を立てられているんでしょうか。
#19
○参考人(杉浦喬也君) ただいま運輸省から御答弁いただきましたように、今までは土地対策という政府の方の御方針に沿った形で売却が思うようにいっておりませんが、先般、一部条件つきではございますが土地売却の凍結の解除が行われておりますので、これからはできるだけ地元ともよく相談しながら土地の売却に大いに力を入れていきたい。
 それから、土地のストレートな売却という方法以外に、余り地価に響かないような、いわゆる非顕在化の方法と言っておりますが、こういう方法によりましても処分を進めていきたいというふうに思っておりますので、土地の売却による収入を着実にふやしていきたいというふうに考えておるところでございまして、本年度は三千五百億、それから来年度はもう少しそれに上乗せをいたしまして、今検討中でございますが、引き続き土地売却収入の増加に努めていきたいというふうに思っております。
#20
○穐山篤君 それから、決算書、予算書で見ますと大きなボリュームになっておりますのは共済年金などの負担金であります。改革法の当時の議論としては、おおむね今後追加費用などで四兆八千億ないし五兆円という答弁があったわけですが、今後の抜本的な年金法の改正の話は別にして、共済年金の負担金の今後の見通しについてはおおむね五兆円程度というふうな認識でよろしゅうございますか。
#21
○政府委員(丹羽晟君) 国鉄改革時に清算事業団が処理することとされておりました年金負担額というのは、追加費用が四兆七千六百億、それから公経済負担が千六百億、それから恩給負担金が八百億、計五兆円と、こういうことを考えておりました。このうち現在までの間に公経済負担につきましては六十二年度中に処理を終了いたしまして、その他六十二年度以降費用負担してきたことによりまして、今年度末には追加費用が四兆一千億円、恩給負担金が七百億円の計四兆二千億円になる見込みということで一応計算いたしております。
 それで、今の年金関係につきましての新しい措置につきましては、先生の御指摘のとおり、法律案が提出されている段階でございますので、今の計算の中には入っておりません。
#22
○穐山篤君 さてそこで、改革法のときに長期債務は幾らであるか、それからそれの中身は何なのか、それから長期債務を支払う清算事業団の枠はこれだけ、旅客鉄道会社などがこれだけというふうに、総枠は三十七兆一千億円と目されます負担金を振り分けたわけですね。その後若干返済もあるわけですから数字は違うと思いますが、大筋としてその債務の再確認を数字的にしたいんですが、数字をお持ちでしょうか。項目別にひとつ、総枠と清算事業団のもの、清算事業団の中のそれぞれのもの、旅客会社のものあるいは貨物会社の負債という数字をひとつ明示してください。
#23
○政府委員(丹羽晟君) 詳細の数字、ちょっと今手元の資料を探しておりますが、国鉄改革時の六十二年四月一日は先生今御指摘のとおり総額三十七兆一千億でございました。それを新事業体の方で十一兆六千億、それから清算事業団が二十五兆五千億、こういう形で当時清算事業団が引き継いできたわけでございます。それで、この清算事業団の二十五兆五千億を、新幹線保有機構がさらに二兆九千億負担し、土地売却収入は七兆七千億と考え、それから株式等の売却収入というのがその当時からJR株の額面の計算だけを入れたものと営団地下鉄の持ち分ということで一兆二千億、そういうことで差し引き計算いたしますと、国民負担が十三兆八千億残る、こういうことで考えてきたわけでございます。
 それで、先ほど一番最初に申し上げました問題意識でございますけれども、今の二十五兆五千億という金額が今年度末になりますと約二十七兆一千億になる、こういうことでございます。
#24
○穐山篤君 年々歳々の処理を予算どおり執行しない、できない事情も若干あるわけですけれども、借金がふえ、また金利もふえていくということになりますと、清算事業団の負担にしましても、国民の負担にしてみても、大変問題があると思います。
 そこで、改革法のときには同僚議員の質問に答えて、発足後三年を経過したら返済の問題について国会に報告を申し上げます、こういう約束になっていたはずなんですが、そこで、今年度の予算の執行を一応想定してみて、償還の計画、国民にわかるような方向を明示しなきゃならぬということです。債務償還についての考え方をあらかじめ明らかにしてもらいたいと思います。
#25
○政府委員(丹羽晟君) 国鉄改革時からこの問題の考え方は同じことでございますが、最近のそこのあたりの考え方を示しましたものといたしまして、六十三年一月二十六日に償還基本方針を閣議決定いたしました。その償還基本方針の中では、長期債務の「本格的な処理のために必要な「新たな財源・措置」については、雇用対策、土地の処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する。」、こういうことで閣議決定いたしておるわけでございます。これは、先ほども申し上げましたように、国鉄改革のときの六十二年四月一日のころから考え方としては全く同じでございまして、国会にもそのような考え方として御説明申し上げたわけでございます。
 それで、今申し上げましたその考え方の中に雇用対策ということが一つあるわけでございまして、雇用対策につきましては、国鉄改革後三年を経過する平成二年四月一日をもって終了するということなので、平成二年度は一つの節目でありまして、本格的な処理のあり方についても検討する必要があると考えております。
 ただ、先ほど来若干御説明を申し上げておりますように、土地を初めJR株式の処分時期、そういったようなものにつきましては大きな流動要素がまだ残っておりますので、本格的な処理方針を具体的に決めますのにはもう少し時間がかかるのではないかと考えております。
#26
○穐山篤君 それで、債務の返済について当時の議論としてはおおむね三十年間というスパンを示されたんですが、今日でもその考え方については変更はないんでしょうか。
#27
○政府委員(丹羽晟君) 長期債務の返済の期間につきましては、約定に従いまして償還しているわけでございます。私は今手元にそれが何年先かという明確な資料を持っておりませんが、基本的に三十年とか何十年という長期債務でございますから、その約定に従って返していくとある程度の長期の時間になる、こういうことを御説明したと考えております。
#28
○穐山篤君 先ほどの大臣の所信表明の中にも、JRの方はなかなか評判もよいし、経営の内容もいい。膨大な借金、債務を全部移しかえて随分スリムになっているわけですから、それは十分考えられることなんです。問題は、清算事業団の方の負担というのが非常に重いし、それから時間をかければかけるほど、ざっくばらんに言いますと負債の額がふえてくる、その可能性を持っているわけですね。きょうは前向に聞いたわけですが、十分要員対策も含めて、来年度には、国会でもよくわかるし、あるいは国民の負担がどうなるか、言いかえてみれば、国鉄改革というものはどういうものであったかということをもう一遍検証するチャンスが来ると思います。そういう意味で十分にひとつ研究をしてもらいたいと思っております。
 さてその次に、今お話のありました清算事業団の雇用の問題についてお話を承りたいと思います。
 一応の資料をいただいてはおりますけれども、平成元年度、四月ないし一番新しいのは六月のようでありますが、雇用対策関係の職員の推移について現状をちょっと御報告いただきたいと思うんです。
#29
○参考人(杉浦喬也君) 事業団発足は一昨年の四月でございますが、そのときに再就職先がまだ決まっておりません職員が七千六百二十八人ございました。この再就職というものが我々の非常に重要な責務でございましたので、この二年二カ月の間に大ざっぱに言いまして約三分の二に相当する職員の再就職先を決定いたしました。人数としましては、平成元年六月一日で締め切りますと五千十人の再就職先を決めた次第でございます。現在人員はその裏返しの三分の二の二千六百十八名に相なっておるところでございます。
 それからもう一つ、再就職先が内定して就職決定を待っておる、主として公的部門に内定した職員が発足時におきましては一万一千二百四十九名でスタートいたしました。その後、各国家公務員、地方公務員を通じまして、それぞれのお役所の御努力によりまして着実に正式採用がされてまいりました結果、六月一日現在におきましては二千十四名というふうに減少いたしておるわけでございまして、発足当時の一八%ということに相なっております。
 残りの人数をすべて解決したいというのがこれからの課題でございます。
#30
○穐山篤君 今それぞれ言われました数字の中はいわゆる管理職、それから一般職員の両方含まれた数字ですね。
#31
○参考人(杉浦喬也君) 管理職も含んでの全体の数字であります。
#32
○穐山篤君 私も全国的に職場を歩かしていただきまして、その内容についてはまた別の機会にお話を申し上げたいと思っております。
 さてそこで、法律的に言えば来年四月一日までに雇用を完了する、こういうことになっているわけです。当時、中曽根総理大臣あるいは橋本運輸大臣、その他の方々からも一人たりといえども路頭に迷わさない、こういう政治的な公約があったわけですが、法的に言いますと、再就職促進に関する特別措置法の第十四条三項に「移行日から三年内にすべての清算事業団職員の再就職が達成されるような内容ものとして定めなければならない。」、こういうふうになっているわけであります。そうなりますと、今年度の再就職促進実施計画というものがそれを証明する具体的な中身だと思います。私も資料をいただいて一応読んではおりますけれども、来年三月三十一日までに間違いなく一人も漏らさず雇用ができる、雇用させるという自信に満ちたものがないものですから、私の疑問にひとつお答えをいただきたいと思うんですが、平成二年度は再就職の実施計画表というのは作成されないわけです。したがって、今年度のこの実施計画ですべて法律で定めるように全員を雇用しなければならぬ、こうなっておるわけですね。
 そこで、いただきました実施計画の一ページの2の「清算事業団職員の再就職の機会の確保の措置」というものについて、具体的に説明をいただきたいと思うんです。
#33
○参考人(杉浦喬也君) 残すところ一年もないのでありますが、この一年間で最大限の努力をしてまいりたいというふうに思うところでございます。
 いろんな問題がございますが、一つはやはり九割以上の職員が北海道、九州に偏在している、この問題をどう考えるかということ。それから、今先生ちょっとおっしゃいましたように、雇用のいわば受け皿、これを求人側に極力これからも最大限の努力をいたしまして受け皿をしっかりと確保していくということ。そうしたようなことによりまして職員と求人側とをうまくマッチさせながら、全員を再就職させていきたいというのが私どもの本年度の実施のスタンスでございます。
#34
○穐山篤君 そこでこれを見ますと、第一は「承継法人に対する要請」。ことしの春先に広域配転に伴う採用がありましたが、この計画でいきますと平成元年度も承継法人、JR各社に採用をお願いをする、こういうふうに見るわけですが、そういうことでよろしゅうございますか。
#35
○参考人(杉浦喬也君) JR各社の採用状況は、非常に努力をしていただきまして、現在までに総合計二千二百七十一名の職員がJR各社に採用になっております。
 最近の時点では、今おっしゃいましたようにいわゆる本州、JR東日本等の職場に対しましていわゆる広域採用、広域追加採用第二回目を実施いたしました。一生懸命やりましたが、結論的には六百四十一名ということでなかなか思うような数字になっておりません。かつまた、当初合格いたしました人が思い直して二百名が辞退したというような大変残念なことも含めまして、数字が思うようになっておりません。
 私ども、第二回をお願いするに当たりましては、職員に対しまして、今回が追加採用の最後のチャンスであるということで、十分に自分自身あるいは家族の人と将来につきましてよく話をしながら決定をしてくださいということを再三職員には申し上げた次第でございます。その結果が辞退を含めまして六百四十一名ということに相なりましたので、本年度第三回目をやるということは私ども考えておりません。
#36
○穐山篤君 これをよく読んでみると、JR各社が新たに労働者を雇うような場合には清算事業団の職員を優先して要請する、こういうふうに内容が一般的でなくて特別に注文がついているわけです。そうなりますと、これは清算事業団だけでは話がつかない。運輸省としてはこの承継法人、JR各社に対して再度要請をする計画をお持ちなんでしょうか、お持ちでないのでしょうか。
#37
○政府委員(丹羽晟君) ただいま清算事業団の杉浦理事長から御説明がございましたように、今年の四月一日の採用という形になりました広域追加採用のその場面におきましても、採用が内定した方々は八百四十一名いらしたわけでございますが、そのうち二百名の辞退の方が出た、そういうことで先ほどの六百四十一名というのが採用された方々になるわけでございます。こういうところで清算事業団といたしましても、JR各社といたしましても精いっぱい努力していたところでございますので、私どもといたしましても、こういう現状でございますれば、今清算事業団の理事長が申し上げたとおりの感じでございます。
#38
○穐山篤君 総務庁に伺います。
 通称再就職云々という法律があるわけですが、この第十六条、第十七条、第十八条、第十九条、これは「国による採用」、「特殊法人等による採用」、「地方公共団体による採用」、さらに「国による事業主団体に対する協力の要請」、そういう法律であります。
 法律を通読してみますと、これは来年四月一日まで有効である、法律はそういう中身になっていますが、その点の確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。
#39
○説明員(坂巻三郎君) お答えをいたします。
 私ども、清算事業団職員の再就職対策につきましては国鉄改革の最重要課題の一つであるという認識を持ちまして、これまでも全力を挙げてその推進に取り組んでまいったところでありますが、もちろん法律の規定あるいは閣議決定等に基づきまして最大限の努力を続けてまいりましたし、今後も続けてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#40
○穐山篤君 私の聞いたのは、この法律は来年四月一日まで有効である、言いかえてみれば、国あるいは特殊法人、地方公共団体その他について政府は責任を負っているということです。法律が有効であるということは、国あるいはそれぞれのところが責任を負うという意味にとらなければこの法律は有効だということにはならないと思う。
 そこで、閣議に報告された計画表の二ページの第二、第三を読んでみますと、具体的に例えば国は今年度最後だからこれをやりますとか、あるいは地方公共団体はこうやりますとか、公社・公団に対してこうやりますということは全然この中には出ていないんです。これは要請をしたわけです、清算事業団。閣議がこれを了承したわけですから、少なくとも法律的に有効な来年四月一日まで国は何をやります、だからこういうふうに応じてほしいとか、あるいは準備体制を整えてくれというふうに言わなければ法律は有効だというふうにはみなされないんです。その点どうですか。
#41
○説明員(坂巻三郎君) お答えをいたします。
 総務庁におきましては公的部門のうち、地方公共団体は自治省の方の所管でございますので、地方公共団体を除きます国、特殊法人における受け入れの調整を担当してまいってきているところであります。私どもは、六十二年の六月に閣議決定をされました再就職促進基本計画、この中には国、特殊法人等の責務ということで規定がございまして、その中には、国の場合には国鉄改革を前にしました昭和六十一年度に明年四月までの採用分も含めまして一括採用、前倒しの採用内定ということをやってまいったわけでありますけれども、既にそういった形で内定をしております方々については着実に公務部門への受け入れ、正式採用をしていただくということと、その時点で内定をされなかった、就職先の未定の方々につきましても、事業団から御要望がありますれば実情に応じて協力をするということが書いてありまして、それに基づいて着実に施策を進めておるわけでございます。
 先生おっしゃいますように、平成元年度は実質的に再就職対策の最終年度であるということでございますので、もちろん閣議決定の趣旨を踏まえてではございますけれども、平成元年度は最終年度である、後がないということを踏まえまして、内定をされている方々は現在約五百六十名ほどありますけれども、一人も残らず着実に採用されるように、またそれ以外の方々につきましても、もちろん希望候補者と職種の適性を十分勘案した上でのことでございますけれども、ケース・バイ・ケースで御要望に応じるように努力をしていくということでございます。
#42
○穐山篤君 経過はよくわかっています。
 そこで、具体的にできる話とできない話があろうと思いますが、清算事業団を通じて今までに内定した人は間違いなく採用してもらうとして、余すところ来年三月三十一日までに国の方としては、例えば運輸省の海運関係の、例えば大阪に二名ぐらい三十五歳以内の若い人ならば受け入れ体制がありますというような具体的な話を持ち込んで、清算事業団が職員の方々にこういうところがあるよ、資格要件はこういうものだよということを明示しなければこれは具体的な話にならぬと思うんです。私は議論をするつもりはありませんが、それをやってもらう。法律の趣旨がそうなっているわけですから、本人から申し出があるまでなんていえば話はまとまるものじゃないと思う。ですから積極的な姿勢を示してもらいたい。その点どうですか。
#43
○説明員(坂巻三郎君) お答えいたします。
 私の言葉足らず、舌足らずのことがあったかと思いますけれども、清算事業団からの御要望に応じてという趣旨は、具体的にはやはり公務部門の中でこれこれの職種、こういうところにいかがでしょうかという形を清算事業団の方にお話を持ち込みまして、それに適する方、希望する方、そういうちょっと横文字で恐縮ですがマッチングをするということになっておりますので、先生御指摘のような趣旨でやっているというふうに理解していただけるのではないかというふうに私は思います。
#44
○穐山篤君 今までのお話は非常に重要ですから、大臣十分に確認をしておいていただきたいと思います。
 一人も残らず、路頭に迷わすようなことはいたしません、政治的な政府の公約です。法律的にはすべての雇用をいたしますというふうに法律上規定をしています。さらに来年四月一日までにそれぞれが最高の努力をして目標を達成するようにいたしますと、気持ちの上でみんなそろっているわけです。したがって、問題は政府並びにJR、清算事業団挙げて間違いなく完了するという具体的なプログラムをつくることが大切だと思います。そのプログラムができないままに来年三月三十一日が来たけれども、人が残ったという話ではこれは国の責任も果たせないし、また議会としての共同責任もあると思うんです。その点について大臣の決意を伺っておきたいと思います。
#45
○国務大臣(山村新治郎君) 清算事業団、そして運輸省、もちろん私も先頭に立ちまして全力を尽くしてやってまいります。
#46
○穐山篤君 その次に、JRが発足をしましたのは昭和六十二年の四月一日であります。発足に当たりましては、手順として、その年の二月の十二日に旧国鉄から上申されました名簿に基づいて設立委員が新事業体、JRの職員の採用を決めた、こういうことになっているわけです。その採用に当たりまして不当労働行為があった、そのために私はJR北海道に採用されませんでした、あるいは西日本に採用されませんでした、そういう問題で裁判が行われました。俗に言う地労委で審査が行われたわけです。
 それから、四月一日以降、新装スタートしましたJRの中において労組法第七条にかかわります不当労働行為があって大変な不利益を受けた、それは経済的にも精神的にも不利益を受けたし、そもそも不当労働行為があってはならない。そういう意味で御案内のように改革法にかかわるものとJRスタート後に相当の労使紛争がありました。全部を言う時間はありませんけれども。
 そこで、労働省に伺いますが、今日現在地労委で紛争になっている案件、どういう傾向のものがどのくらい、それから既に中労委に出ているもの、あるいはそのほか行政訴訟になっているものもあるわけですが、その数字の概況をひとつ説明してください。
#47
○説明員(渡邊信君) JR関係の不当労働行為事件についての御質問でございますが、地方労働委員会に現在までに二百二十九件の申し立てがなされております。一つの事件で幾つかの事項にまたがるものがありますので、私どもで便宜内容について分類をさせていただきますと、その内訳は、職員の採用に関するものが二十四件、配属や配転に関するものが百二件、出向に関するものが四十件、その他団交の拒否等に関するものが四十件となっておりまして、なお申し立てをされた後に取り下げのあったものは二十三件というふうになっております。
 また、これらの地方労働委員会への申し立てに対しまして、昨日現在で地方労働委員会から三十二件の救済命令が出されております。このうち二十六件につきまして中央労働委員会に対して再審査の請求がなされておりまして、この中労委への申し立て件数の内訳でございますが、職員の採用に関するものが十二件、配属や配転に関するものが九件、出向に関するものが五件となっております。
 なお、地労委の命令に対しまして取り消し訴訟が裁判所に提起をされておりますものが四件、うち一件は和解で解決をしております。
 なお、中労委で既に一件の救済命令が出されておりますが、これにつきましても現在東京地裁に係属中、こういうふうなことになっております。
#48
○穐山篤君 運輸大臣、専門外ではあろうと思いますけれども、今言われたような数字、私の数字と多少の違いはありますけれども、非常に広範多岐にわたりまして紛争、トラブルが現実に係属されているわけです。
 私は、改革法の審議の際に、きょうおいでの杉浦理事長が当時国鉄総裁のときに不当労働行為問題というのを取り上げました。そのときに杉浦総裁は、最初は多少否定をされておりましたけれども、管理者の中にはたくさん人がいるものだから間々あったかもしらぬけれどもこれはよくないと思う、今後一切そういうことはいたしませんと。と同時に、この点は労働大臣、運輸大臣もそれを補足して答弁なされた。まあ少なくとも責任ある方々の答弁であるから部下職員がそれを越えてまでも不当なことはやるまいということで政府、国鉄当局の誠意を私は期待しておったわけです。
 ところが、六十二年の二月十二日を境にして、今労働省からも発表があったようにもうあちこちで労働委員会の議論が続いている。件数も二百件近いですね。こんなことは日本広しといえども少ない事例だと思います。私どもの知っている範囲で、一企業で例えば不当労働行為であるとか、あるいは賃金カットであるとかいろんな紛争があったにしてみても最高で二十ぐらいですよ。しかし、この二百件近いというのは異常だというふうに私は思うんですけれども、大臣の印象はどうでしたか。
#49
○政府委員(丹羽晟君) ただいま労働省から御説明しましたように、件数につきましては先生御指摘のそのとおりでございます。この件数につきましてはJR発足直後のいろいろな提起が中心でございまして、最近はその件数自体も当時ほどではないということではないかと考えております。
 しかし、いずれにしましても私どもといたしましては、あらゆる機会に御答弁申し上げているように、この問題につきましては今、当事者双方の関係のことで係争されておりますものですから、その内容につきまして私どもがいろいろと申し上げるべきではない、こう考えております。
#50
○穐山篤君 私はまだ中身は一つも言ってないんですよ。中身は全然言ってないわけで、大臣の印象を聞いているわけです。大変なことでしょう、異常なことでしようと。あってはならぬことだと思うという感想はないんですか。
#51
○国務大臣(山村新治郎君) 確かに、件数からいいますと異常だというぐあいに言えますが、何にしても大改革の後でのことでございますし、一応三年間、いわゆる春闘についても自主解決してきたというようなこともございますし、今政府委員の方から答弁しましたとおり係争中のことでもございますので、コメントは差し控えさしていただいて、推移を見守っていきたいというぐあいに考えます。
#52
○穐山篤君 認識としては異常な状況であるというふうに判断をされたのは、私はごく良識的だと思うんです。いや、これが正常でございますというように開き直られますと、私どもの方も言わなきゃいかぬわけですが、そうじゃないんです。大臣は非常に良識的ですよ、異常な状態だと。中身は係争中ですから十分勉強してもらいたいと思うんです。
 そこで、今労働省から言われますように、スタイルを整理整とんしてみますと、私は北海道のJRに行きたいと意思表示をした。だけれども、おまえさんはだめだ、理由を言われずにだめだという結果になる。こういう採用差別。それから配属差別、転勤など転勤差別。それから出向差別。組合を脱退しろ、脱退強要事件。それから賃金差別。それから組合バッジだとか掲示板とかというのもありましたけれども、きょうは個々の問題を全部御紹介するわけにいきませんけれども、きちっとしなければなりませんのは、改革法であれだけ議論をして一切不当労働行為はいたしません、それから採用についても客観的な、公平な基準をお示しいたします、こういうことになっているわけですね。そういう答弁を総理大臣以下全員からいただいているわけです。その結果が採用差別ということで組合側の方から地方労働委員会に申請をされたわけです。
 この採用差別について幾つかあるわけですけれども、今まで出ている地労委の裁定というのは、組合側ないしは組合員の主張が一〇〇%認められているわけです。例えば、百の事件のうち一つだけ認めてあとはだめだ、地労委も国鉄があるいは設立委員のやったことを正当と認めたという話ならばたまたま一つあったというふうに言うことできると思うんです。申請をしましたものがことごとく一〇〇%組合の主張を入れて、昭和六十二年四月一日にさかのぼって元の職場に採用しなさい、経済的な損失についても補償しなさい、それから陳謝の意を表明しなさい、大綱的にはそうなっているわけですね。
 運輸大臣、もう既にいろいろ勉強されているわけですから、次にお伺いしますのは、ことごとく一〇〇%組合側の主張が通った。反面言えば不当労働行為があったということが証明をされたわけですね。このことについては具体的な事案を私は言っているわけではありません、全体の傾向として運輸大臣の感想はいかがですか。
#53
○国務大臣(山村新治郎君) 中央労働委員会、今係争中ということでございますので、これについてのコメントはひとつ差し控えさしていただきたいと思います。
#54
○穐山篤君 係争中ですからね、その結論を待ちたいというのは、その気持ちはわかります。しかし、組合側が申請した事案が一〇〇%地方労働委員会によって証明された。それは労使の争いですから、事実関係の認定にそごがあれば、あるものは認めるけれども、あるものは却下されるということがあってもしかるべきだと思うんです。しかし、そうでなくて事実の審査、確認を含めて行われました地方労働委員会の結論がそうなっているわけです。ですから、常識的に言えば、困った事件だけれども、こうなったこういう傾向というのはしようがないなという気持ちになりませんか。いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(山村新治郎君) 重ねて申し上げますが、運輸大臣として、係争中のことでもございますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#56
○穐山篤君 具体的に一、二参考までに聞いておいてください。
 これは最近の事件です。地労委とか中労委とかという裁判とはちょっと関係がありませんけれども、状況を認識してもらう意味で私が申し上げるわけです。
 昨年のことです。場所は九州。清算事業団の職員が再就職を希望しているわけですね。おれは何になりたい、どこへ行きたい。たまたまある私立学校の運転手に応募したわけです。枠が二名あったということで二名が応募したわけです。本人たちは条件がそろうならば一刻も早くそこに就職したいなと、これも当然だと思うんです。ところが、そこの学校の理事長さんから条件が出た。まず国鉄労働組合を脱退してこい、二つ目には労働金庫の借金を返してこい、三番目には鉄道の宿舎から出てこい、四番目には上も下も第一軍装でネクタイを締めてこい、この条件がついたわけです。
 受け入れ側の理事長さんは一般論として国労ということはわかっているかもしれない。自分のところが採用すれば鉄道の宿舎を出るということもわかるだろうし、学校お抱えの運転手ということになればある程度身なりもしっかりしなきゃならぬ、これはごく常識的だと思うんです。しかし、国鉄労働組合を脱退してこなければ雇いませんよというのは理事長の個人的な発想じゃないですね。言いかえてみれば、清算事業団の人が就職あっせんでいろいろ御苦労されておりますけれども、そういうところまでも不当労働行為的な話を持ち込む。清算事業団をやめてもしそこの私立学校の運転手になれば、当然のこと国鉄労働組合とは縁が切れるわけですよ。そこの教職員組合に入るか入らないかは個人の意思なんですよ。そういう事件があった。
 理事長はちょっと高いところにいるから具体的なこと、報告がされていないと思いますので、いまだにそういうことが続いているという現実を私は認識してもらいたいと思う。そのために、清算事業団の職員が暗い気持ちで不安の中で生活をしている。新しい第二の職場に行こうというその気合いもそこでくじけてしまう。一生この国鉄労働組合という名称がついて回っている。本人はそれなりの決意をしているからどうということはないと思います。あげくの果てにおまえさんは雇うわけにいきません。理由は何ですかと言ったら、わかりません。これも随分いいかげんな話だと思うんです。
 ですから、運輸大臣、今政治的な発言をするとそれは大変なことになるという意味で、係争中である、勉強します、しかし、異常な状況であることは認識をしたというところまではいったわけです。
 そこで、今後の問題の扱いなんですけれども、きょう私はお答えは要りませんけれども、少なくとも地労委、中労委に係っている問題について、新しい宇野内閣がその裁判の、全部を読むということは難しいと思いますが、典型的なひな形ですね、七つか八つあります、代表的な判決文、命令を全部一度読んでいただきたい。
 それから二番目には、こういう状況が三年も五年も十年も百年も続くようなことは、改革法の精神からいってみても適当なことではないと思う。したがって、できる限り早く問題の解決を図るために政府として努力をしてもらう。この政府の努力というのを、おれは新しい大臣になったから知りませんよというわけじゃないんですよ。きょう私は改革法も議事録も持ってきておりますけれども、総理にしろ橋本運輸大臣、平井労働大臣を含めて皆さん方の方が一切不当労働行為はやりません、労働組合別に差別、選別はいたしませんという約束をしているわけです。その約束に照らして、今まで出ております事案というものが果たして適切であるかないかということを調べてもらう。そうしませんと問題の解決にはならないと思う。物の考え方というのは、あの改革法のときの議論と附帯決議に対してまじめに執行されたかどうかという意味で点検をしてもらう。
 以上を考えてみますと、私どもできるだけ早く全面的な解決を図ってほしい、解決することが必要だと思う。そうしませんと一丁前のJRに、いずれ株の公開という話になると思うんです。我々も協力しなければならぬ場面も出てくると思う。安全の問題についてもそうだと思う。しかし、そういうことがことごとく障害に残るおそれがあると思うものですから私はあえて大臣に御努力をお願いしたわけですが、今お願いをし要請をした中身は、運輸大臣に対して要請したことであると同時に、宇野内閣全体に要請をされたというふうに受けとめていただきたい。それが第一。
 第二は、私が先ほどから言っておりますように、それぞれの問題について、もう国会も二十二日で終わりますから、それまでの間に答弁をもらうというのは無理だと思います。したがって、十分に命令内容を考えていただいて、政府の政治的な責任というものをどう果たさなければならないかという意味で宇野内閣の統一見解を次回には示してもらいたい、こういうように要請しますけれども、いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(山村新治郎君) 今の御質問の趣旨に十分対応してまいりたいと思います。
#58
○穐山篤君 終わります。
#59
○安恒良一君 私は、持ち時間の範囲で少しお聞きしたいんですが、まず、大臣の所信表明の四ページに、「高速バスにつきましても路線網の充実等サービスの向上を図ってまいります。」ということをここにうたわれているわけです。まことに結構なことです。それはなぜかというと、今や我が国の高速自動車道が一応北海道から九州まででき上がって、縦ができ上がったので、今度は横にいわゆる高速自動車道ができている、こういう状況に今なっています。そういうものを受けて、大臣が所信表明の中で高速バスにつき路線網の充実、サービス向上を図りたいということ。
 そこで、ぜひ検討して大臣に実現に御努力願いたいと思いますのは、今長距離高速バスというのはほとんどが東京、大阪を目指して各地から来ている。ところが、そのターミナルは例えば池袋がターミナルになったり新宿がターミナルになったり、もしくは品川から出るということで、利用するお客さんは非常に不便なんです。しかも、お客さんからこういう声があります。東京なら東京に大体早朝着くわけです。着いたら、できればシャワーぐらいかかりたいなとか、モーニングコーヒーぐらい飲みたいな、こんな希望もあるわけです。
 そうしますと、東京の各所にそういうターミナルを全部つくるわけにいきませんから、東京は広うございますから、例えば東京のどこか一カ所か二カ所そういうターミナルをつくる。そして、そこからバスは発着するし、着たお客さんは例えば朝着けばそこで朝食なりモーニングコーヒーなんか飲めたり、場合によれば希望があればシャワーができる。それから、従事している運転手さんとかそういう方々の休憩所もつくる。そういういわゆる長距離高速バスのターミナルを東京、大阪に国、地方自治体それからもちろんこれを利用する各バス会社等々がお金を出し合ってつくる、そういうもう時代に来ているんじゃないか。
 そのことが成功すれば、東京、大阪からほかの例えば政令都市に広げていく。というのは、今やJRが国鉄で運ぶと同時に、今言ったような都市間輸送はいわゆる高速バスで運ぶという時代にどんどんどんどん変わりつつありますから、そういう乗客の利便、さらにそこで働いている人も十分そこで休憩がとれる。というのは、大体東京、大阪だったら向こうを深夜出て朝着いて、そしてまたその日の夕方出て福岡に朝着く、こういう路線になっているわけですから、その間休憩が要るわけです。それから、一番乗客が言っているのは、そこに行けば日本全国、東京から自分の希望する高速バスが出ているということになれば非常に便利になるという声等がありますから、こういう点についてひとつぜひその方面の取り組みを運輸省としては始めてもらいたい、研究してもらいたい。
 もちろん、財政が要ることですから、国、地方自治体それから乗り入れしているバス会社、受け入れる方のバス会社もみんなお金を出し合って、必要なら第三セクターというものをつくってもいいし、それから貨物ほどお金はありませんが、軽油引取税をそれに充てるとかいろんな知恵を働かして、とりあえず大都市に今言ったような高速バスの受け入れのためのターミナルセンターというものをつくったらどうかと考えますが、この点についての考えをお聞かせください。
#60
○政府委員(阿部雅昭君) 現在、東京都をとってみますと、長距離高速バスを中心に利用されている発着ターミナルは東京駅、池袋、新宿、渋谷、品川、浜松町と六カ所ございます。これらはいずれも鉄道駅からのアクセスのよさと、それから利用者の利便、また、バス会社の営業所との近接性等を考慮いたしまして、各バス会社が自主的にみずから既存のバスターミナルの活用という形で使っているものでございます。
 先生御指摘のように、深夜早朝発着の夜行便を初めとしまして、高速バス路線網がますます拡充されていくという現状から見まして、これらの高速バス発着ターミナルを都心の各地に分散しておくよりは一カ所にまとめた方が利用者に利便ではないかという御指摘があること、また、深夜早朝発着に適した旅客サービスや乗務員の休憩機能を備えたバスターミナルが十分ではないといった指摘があることも私ども十分承知しております。
 今後の課題としまして、ターミナルを集約させるという方向で考えていきたいと思いますが、ただ、このための相当の用地なり空間の確保の問題、あるいはこのための資金の手当てをどうするかといった問題。また、一カ所に集めることが都市内の混雑に巻き込まれて、かえって高速道へのアクセスとしては十分ではない、不十分になるんではないかといったような指摘もあることを踏まえまして、ただいま御指摘いただきました各種の関係者、それといろんな財源的な措置を考えまして今後私ども取り組んでいきたいというふうに考えております。
#61
○安恒良一君 大臣、今答弁を聞かれたんです。だから、国、地方自治体、それからバス会社等々関係者で第三セクターでもつくってやれば、土地の問題なりそれから財政問題なり、私は何も全部一カ所に集めると言っていないんですが、大体そこに行けば高速バスは皆乗れる。今あるターミナルでは、着いてふろに入るとかシャワーにかかるとか、ほとんどそんなことになってないんですよ。だから、やっぱり問題が出ていますから、そういう意味からいうと大臣自身も、高速バスにつき路線網の充実、サービスの向上を図ってまいりますと書いてあるのだから、それのやっぱり発着点というのを、これは一遍にできませんから、モデルケース的に東京に二カ所なら二カ所とか、大阪に一カ所つくって、その運営が第三セクターで非常にうまくいくということであればさらに広げていけばいいことですから、大臣の一つの重要な仕事として、ぜひこれは研究に、関係省もあることなんですから、率直に言って建設省との関係も出てきますし、警察庁との関係も出てくるでしょうし、それから財政ということになれば大蔵の関係も出てきますから、私は問題点をやはり運輸省が中心となって関係各省と連絡をとる。
 というのは、今民活法によって地域においては乗客ターミナルというのをつくるわけですね、あの民活法の中には旅客ターミナルというのがあるわけですから。そうするとこれだけ都市間輸送、高速バスの時代になったときに、そういうターミナルをつくることに運輸省が前向きになって関係各省と話し合いをするというのが私は当然だと思うんですが、大臣、そこはどうですか。これは大臣の方で一言。
#62
○国務大臣(山村新治郎君) 運輸のまず第一は安全でございます。そして、続いてサービスという面でおっしゃられるのはもっともでございます。
 しかし、いろいろ交通事情、また、先ほど申しました財政事情いろいろございますが、何にしても安全とそしてサービスの向上につきましては、できるものからひとつやっていきたいというぐあいに考えます。
#63
○安恒良一君 重ねて言っておきますけれども、運輸省というのは政策省に変わったのですから、高速バス時代になったら高速バス時代に必要な施設をつくるということを前向きに考えなきゃだめなんですよ。そうでないと政策省じゃないんですよ。
 今や、都市間高速輸送というのはわずかの路線じゃないんです。どんどんどんどん申請がたくさん出ているじゃないですか。そうすると、やはり安全の観点からいっても十分に従業員が休養できる施設というのがあってしかるべきだし、また、利用者の快適な旅行のために、深夜から早朝にかけて着いたときに一汗ぐらい流して、朝食ぐらい食べて東京都内の仕事に行けるというそういうサービスを国と地方自治体とバス会社が全体でやるということは当然なことだ。それは今や高速バス時代に変わりつつありますからね。そこのところはぜひひとつ前向きに大臣、取り組んでもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#64
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほど申しましたように、実情を見た上で前向きに取り組んでまいります。
#65
○安恒良一君 次に、佐川急便問題について取り上げてみたいと思います。
 私は、昭和六十二年の橋本運輸大臣のときに、佐川急便が余りにも労働基準法違反、道交法違反等々があるということで問題を指摘しました。そのときには、おいでの委員皆さんに資料を配って問題を指摘しました。当時皆さん驚かれまして、橋本運輸大臣が関係大臣と連絡をとって厳重に調査するという約束をしていただきました。異例のことでありますが、佐川急便の会社八十一社のうち八十社までを特別監査されまして、その結果いわゆる法律違反ということで使用停止七十六社、延べ四千九百三十五日車両、警告四社、監査継続というのは警察当局が九州へ入りまして処分等、さらに労働省は労働基準法違反において処分をしたのであります。と同時に、清和商事という会社がその佐川急便全体のグループにありますから、やはりそこに警告をしなきゃならぬ。これは運送会社じゃないんであります。そういうことで、代表取締役社長の佐川正明氏を運輸省の貨物流通局長が呼んで、佐川急便の事態の改善にはどうしてもその基幹会社であるところの清和商事自体をやらなきゃだめだということの、いわゆるその改善方についての申し入れをしてもらったのであります。
 そこで、その後全体がよくなったかどうかということで注目をして見ておりましたら、率直に言って、これだけの処分を受けたんでありますから一部の地域において、例えば東京なら東京の地域においてかなりの改善がされたことは認めますが、中京、九州、四国その他全国的には実はますます逆にひどくなっているということで私のところにいろいろな投書がたくさん来ている。それは、そこで働いている運転手さん、またいわゆる店長それから課長、係長等からたくさんの投書が来ている。大変実は遺憾に思うわけです。
 そこで、皆さんに正確に理解していただくために、佐川急便という会社についての実態を簡単に説明してください。どういうふうになっているのか。それから論争したい。
#66
○政府委員(大塚秀夫君) いわゆる佐川急便グループにつきましては、フランチャイズチェーンの本部のような形で清和商事株式会社というのがありまして、これを統括本部と呼んでおりますが、この清和商事が出資しております佐川急便株式会社というのが全国に十二ございます。ブロックごとに一ございまして、それぞれ北海道佐川急便とか東京佐川急便というふうに地名を冠しております。この十二の子会社を主幹店と称しているようでございますが、主幹店の下にさらに系列の事業者が数多く所属しております。全体を通じまして合併したりしておりますのでそのときどきで会社数が違いますが、六十三年度末現在で佐川急便グループとしては七十八社ございます。トラックの保有台数がグループ全体で一万二千六百七十三両、売上実績が六十二年度のトラック事業収入として三千百五億円、これはトラック事業者の中では売り上げの量だけからいきますと日本通運に次ぐものでございます。従業員は、積み上げておりませんので概数でございますが、グループ全体で約一万八千人と理解しております。
#67
○安恒良一君 そこで大臣、正確に知ってもらうために申し上げますが、まず、佐川急便は今主要幹店が私の調査では全国で十三社あります。そして、それぞれに社長もおって取締役会があるわけでございます。ですから、商法上の社長は全部で十三人おるわけであります。本来ならばこれが人事権それから経営権を持つはずですね。というのはなぜかというと、清和商事というのはいわゆる運送会社としての運輸省の認可を受けているわけでも何でもないんですね。こういう大変奇妙な会社になっておる。そして株は佐川さんが全部持っているところもありますが、一番大きい東京を調べてみましたら、東京は佐川さんじゃない他の方が三四%持っている。残りを佐川清氏、清和商事、佐川ファイナンスで持っているわけですね、こういう状況であります。
 そして、六十三年度の売り上げは、私が読んでいるのは佐川の出した本ですから、これで見ますと四千百四十一億佐川グループで売り上げがある。対前年で一七・三%伸びています。関連企業が別にありますが、これは省略します。そうすると、佐川急便の利益は幾らあるかというと三百八十一億で、対前年で六二・六%も伸びているわけであります。しかも大変奇妙でなりませんのは、この清和商事という会社が今言った商法上においては何らあれがないのに、個々の人事権、経営権、一切握っておるというのがもう不思議でならぬのですね。商法上でいうと社長がおり取締役がちゃんと十三の会社にいるわけですから、そこでいろんなことを決めると。
 ですから、きょうは公取から法務省から全部来てもらっているのは、そういう実態を明らかにした上で、というのは、いわゆる清和商事の佐川清氏が会長で、息子の正明君が社長、こういうようです。そしてどういうことになっているかというと、これから問題にしていきますが、まず佐川清氏の月給、調べましたら大体一カ月に八千万円、月給ですよ、一カ月ですから、年じゃありませんから、間違いなく。約八千万円。それから自分の持っている株を経営のいいところから株の配当を三〇%取っている。そうでないところから一〇%取っている。これも膨大な金であります。
 例えば、私は東京だけでちょっと計算してみましたら、昨年の東京の佐川急便の佐川グループが受け取った配当は二千四百七十八万円ぐらいですね。じゃあ非常勤取締役になっているが月給幾らもらっているかと調べたら月給は二千四百万円取っています。月給二千四百万円を非常勤取締役で取って、しかも配当は年間でこれだけ受けている。そしてさらに問題になるのは、株主の配当と月給を取ったほかに今言った各主幹店から総売り上げの一〇%を全部佐川は吸い上げている。こういう我々からいうと全然考えられない会社になっている。それが何を起こしているかということについてこれから、大変なことを、労働基準法違反、それからいわゆる道路運送法違反ということを起こしていくことになるわけです。まず実態を頭に入れて、そんな会社であるということを頭に入れていただいて、それから。
 それはなぜかというと、一番問題になっているのは、長時間労働、道交法違反をなす一番大きなもとは何かというと、給料がオール歩合制になっている。すなわち運転手の給料を決めて、運転手の給料を決めた上のそれの何十%ということで、事務員の給料も主任の給料も店長の給料も全部決めていくわけですね。これは佐川グループ全部を決めるわけです。そしてそのやり方は、年に二回運転手の一人当たりの取り高を基準にして、おまえの方は幾らだ幾らだと、こう決めちゃうんです。それを年に二回やるんですからね。そのたびに給料が上がったり下がったり大変な混乱が起きるわけです。大変な混乱が起きる。これは私は、オール歩合制というのはよくない、特に公共事業である運送事業においてオール歩合制というのはいろんなもとになるということをこの前も橋本運輸大臣にも指摘し、労働省にも指摘をしてそういうことを直すようにと、こう言っておったんですが、全然直らぬでかえってひどくなった。
 そこで、ひどくなっているという実態を、今大臣のお手元に資料を差し上げてありますからこの資料で。というのは、本来ならば先生方全体にも私は資料をリコピーをして差し上げて見てもらいながらやりたいと思いました。ところが、前回私がやったら早速だれが私に通報したかということで大変な騒動になった。いわゆる赤狩りといいますかな、だれがしゃべったかということで。
 そこで、今大臣に一部差し上げていますのは、それぞれもうみんなコードナンバーが全部振ってありまして、だれが私のところに投書をしたかというのがわかるような仕組みになっている。ですから、大臣のところだけ一部お渡しをしておりますが、どういうことになっているかというと、これはことしの三月の売り上げを基準にして給料を決めたんです。四月からこれでやりなさいと、ツルの一声で全佐川急便の各支店に、この給料を守りなさいということで出したものであります。
 まず、運転手の給料ダウンがあった支店、会社が十三あります。運転手の給料が十三会社が挙げられています。これはこの資料を見ていただくとわかる。それから、運転手の給料がちょっと下がりますと、次は大変な、いわゆる店長以下係長とか課長の給料が下がるわけです。私は何も店長や課長、係長の味方して言っているわけじゃない。これが下がると、後から言いますが店長や係長、課長は自分の身に振りかかってきますから、今度は必要な運転手の数を減らしたり、車両を減らしたり、そして長時間労働をさせて、今そこにあります一人当たりの取上高をふやそうとするわけです。でなければ自分の身が守れないということであります。
 端的な例を一つ挙げますが、まず一ページを見ていただきますと、福岡の飯塚の運転手の取上高がそこに書いてあります。ドライバーの給料は、この三月査定されるまで六十六万だったのが、ここは六十八万に二万円上がったんです。ドライバーの給料が上がったから店長の給料も上がるだろうと思ったら、店長の給料は百三十万円の給料が九十八万円にがばっと下がっているわけですね。その次のページを見ていただきますと、今度はここの一番下の沖縄。ドライバーの給料が五十六万が五十二万に四万下がりました。そうしたら今度は店長の給料は九十五万が七十五万に下がる、こういうやり方ですね。その次のページでは、津山を例に挙げておきましたが、今度はドライバーは六十万だったのが六十二万に二万上がったにもかかわらず、店長は百万が七十七万に二十三万下がっています等々、もう全くこれは根拠もないわけです。
 これが年に二回、オーナーである佐川氏の恣意によってばんばんばんばん決められていって、結局どうなっているかというと、ことしの四月一日以降のやつは、ドライバーを基礎にしなさい、事務職の補助は三五%、一般事務は五〇%ですよ、現場事務は八〇%ですよということで、六十三年の十月に給与を査定して、今度また直すところで、結局いわゆるこの事務補助者もみんな給料が下げられる、こういう形態がこれまかり通っているわけであります。私は、こんなことを許していいのかどうかということについて、これからお聞きをしたいのであります。
 今言ったように、年に二回、ドライバーの一人の取上高によって、それを基準にして賃金がばんばんばんばん決まっていく。それはなぜかというと、まず会社の決算は非常にいいんです、売り上げが一五%ずつ伸びていますから。ところが、会社の決算とは全く関係なく査定をする、一、二カ月の実績、これは取上高と称していますが、それで年二回オール歩合方式でアップダウンが繰り返される。そうすると、当然店長やいわゆる職制の諸君は自分の給料ががぼっと下がりますから、下がらせないために何をするかというと、いわゆる安全を無視した労働強化、そして過労、多発事故、こういうのが起きるわけですね。しかも、ここのところが非常に不思議でならぬのは、法的には全く別法人格の、運送会社でも何でもない、大株主にすぎない佐川氏が一方的にツルの一声ですべての運送会社グループの賃金体系を決める。そしてそこで働いている人の既得権を奪う。そんなことが許されていいんだろうか。運送会社じゃない清和商事というのは全然別個な会社なんです。それなのにツルの一声で全部賃金を決めている。
 それから、第二番目にお聞きしたいことは、運送会社として公共性を考えているときに、賃金体系がこのようなオール歩合制というものでいいんだろうかどうだろりか。こういう点について、まず賃金の問題について。それはなぜかというと、ドライバーについてもこれだけ競争が激しくなり、運送事業が自由化の方向にいきますと、これから一人一カ月の売上高というのがそう年々ふえていくことはない。むしろ、一人当たりの売上高は減っていくことになりはしないか。この方式でやりますと、もうばんばんばんぱん佐川氏が一人で全国の給料を通達一本で決めちゃうんですから、そして、それに従わなかったらどうするかというと、後で、人事権で言いますが、全部やめさせる。辞令は、退職の願いがあったから退職を認めたと。後で具体的な例を挙げますがね。気に入らぬやつは全部片っ端から首を切っている、こういう不法がまかり通っている。
 以上のことについてお答えください。
#68
○政府委員(大塚秀夫君) 賃金体系につきましては、基本的には労働関係の諸法令の規制のもとに、労使間の交渉により定められるべきものであると考えられますけれども、この賃金体系が著しく刺激的な歩合制等である場合におきましては、運転者の過重労働をもたらし、トラック事故の発生の誘引となるケースも予想されますので、安全確保の見地から道路運送法上の措置を講ずる必要もあると存じます。
 佐川急便グループの賃金体系につきましては、現在のところ私どもつまびらかにしておりませんが、十分調査の上、必要となれば所要の措置を講じていきたいと考えております。
#69
○安恒良一君 労働省来ていますか。――今のようなオール歩合制ということ、しかも、各会社にはちゃんと社長以下取締役があって、それが人事権を商法上で当然持つべきなのに、その上にあるいわゆる佐川会長以下の清和商事がツルの一声でまず運転手の賃金をオール歩合制で決めて、従業員はそれによって点数をつけてばっと決める。私は運送会社の公共性から考えて、労働省が言っている二七通達や二・九通達等、さらに三六協定が守られると考えているのかどうか、こういう点について。しかも年に二回査定するというんですね。いわゆる商法による各会社の社長から重役のおるところ、これらの連中、全然おまえたちは関係ないんだ、おれが株主だ。おれが株主なんだからおれの一声でみんな賃金をばあっと年に二回大改定している、こういうやり方について労働省はどう思いますか。
#70
○政府委員(野崎和昭君) 佐川急便の賃金体系につきまして、ただいま先生から詳細御指摘がございましたけれども、そのような賃金体系につきましては、業績向上の点について、特に運転者を強く刺激するおそれもございまして、問題はないとは言えないというふうに思います。したがいまして、御指摘の点十分念頭に置きまして、労働時間面その他で問題が生じていないかどうか、適切に監督、指導してまいりたいと思います。
#71
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりですから、ぜひ労働大臣とも連絡をとられまして、橋本運輸大臣がやられたように全面的にもう一遍査察をしてもらいたい。でないと、結局、今何が起こっているかということを調べましたら、去年の六月から佐川会長は役所に対して、また自治体に対しておれのところは完全週休二日を実施するんだ、こう言っているんですよ。いいことなんだ。ところが、肝心の三六協定、二・九通達、二七通達は全く守られていない。休みさえ与えれば、おれのところは運転手さんの賃金高いんだから、五十万も六十万も払っているから長時間働くのは当たり前だと、こうくるわけですよね。そして、私が指摘をしたときに、一部中京その他に労働省や運輸省が調査に入ったときは帳簿をみんなうまくつくりかえてうまくいかない、こういうことです。ですから、現場の労働者は、調査に入った運輸省、労働省までがぐるじゃないかといって心配しておるわけです。私はそんなことはないと思いますけれども、行ったときはちゃんと帳簿をつくりかえておるわけです。そういうことで、橋本さんもあきれ返って、特別査察をしてあれだけの勧告をしたにもかかわらず、依然としてこんなことが佐川ではまかり通っている。
 まかり通っている要因の一つは、何といっても本来賃金を決めるべき権限のない佐川氏が一人で賃金を決めて全社に押しつける。商法上からいってそんなことはない。私から言わせると、株式会社があって、そこに社長がおって、そして重役がおる。佐川氏は株主にしかすぎない。もしくは非常勤の重役にしかすぎない。それが全国の佐川の二万に及ぶ従業員の賃金を一人で決めるという、そんなことが法治国家において許されてしかるべきか。私は間違いだと思う。オーナーであることは事実。しかし、本来的な株主配当は配当でちゃんと取りよる。給料も非常勤でありながら月に八千万も取りよる。そんなことは私は普通の常識では全然考えられないと思います。
 こういう点について、大臣ぜひひとつ労働大臣と連絡をとっていただいて、徹底的に今言った点を、これは労働基準法違反、道交法違反、それから今言ったようなオール歩合制の賃金、しかもその賃金は運転手の賃金を査定して、それの何割ということではんばん変えていくというやり方、しかも下げ方が何十万と一遍に下がるのですから、三十万とか五十万とか下がるのですから。そんなことをされたら、店長であろうと課長であろうと係長であろうと、ましてやドライバーであろうとみんな生活設計できないですよ。しかも、利益が上がっていないというのなら別ですよ。今さっき私が読み上げたように、利益は、いわゆる売上高は前年比一七・三%ふえている。経常利益も、前年比佐川急便に関する限り六二・六%ふえていると。これは六十三年の実績ですよ。これは会社が出している本を私手に入れたんですが、こういうむちゃくちゃなもうけを取っていながらそういうことを繰り返すということは私はいけないことだと思いますが、この点について大臣はどういうふうに思われますか。
#72
○国務大臣(山村新治郎君) 佐川急便の問題につきましては、橋本大臣当時、安恒委員からの指摘を受けまして全国的な監査を実施した結果、事業の一部停止を含めまして厳しい処分を行いました。そして一応の成果は得たものと考えております。しかし、今回の御指摘については、早速事務当局に調査を指示し、安全確保上問題を生じていると認められる場合には関係省庁と連絡をとりながら所要の措置を講じていきたいというぐあいに考えます。
#73
○安恒良一君 結局、こうした締めつけでグループ内で何が起きているかというと、まずドライバー、事務職を極力減らして一人当たりの取上高を上げるようにするわけですね。それから、荷物がふえておっても増車をしないんです。増車を必要とするのに増車もしないで一人当たりの売り上げをふやそうとする。それから、ドライバーの欠員の補充は一人当たりの売り上げを上げるためやらない。そこで三六協定も二・九通達も全く守られない。そうしてそのことが事故につながっている。これが今の佐川の実態です。これは明らかにそれぞれ関係法に違反をしています。運輸省、労働省、今言ったようなことについてもう一遍全国的に特に悪いところを指摘しておきますと、中京佐川、九州、中・四国、これが特に悪い。私のところに投書が来ておるのは、特にこの前査察を受けた後も依然として直らないでかえってひどくなっておる。こういう点についてひとつあれをしていただきたい。
 それからその次に、会社の大事については運輸省、労働省はくちばしは入れられぬということを言われるかもわかりませんが、大事についても非常にむちゃくちゃな人事が行われているということ、そのことが職場不安を起こし、事故その他につながっておるということを申し上げておきたい。
 これは、私が一番新しい資料として入手した六月十七日付の佐川の人事異動発令を見ましたら、郡山の支店長の中村君というのが、退職を承認すると書いてある。原町の支店長の小松君も退職を承認する、水戸の支店長も大船渡の支店長も皆退職。何で退職を承認するかと聞いてみたら、まず郡山の支店長は、お客さんの日本生命のコンペがあった、お客さんだからこれは行かなければということで行ったところ、平日に店長がコンペに行ったのはけしからぬということで即日解雇になった。それから、あとの三人は、佐川会長が週休二日をやれということだから、週休二日をとるためにはどうしても増車と人をふやさなきゃいかぬということで、増車と人をふやしたというんです。そうしたら、一人当たりの取上高が減ったんです。そこで、三月の取上高が減ったものだから、おまえたちはやめろということで、三人は全くはめられた。週休二日をやれというから、おれたちは週休二日をとるためには人も車も要ると思ってやったら、その結果その店の一人当たりが減るのは事実です。そうしたら、減ったからおまえたちは首だ、こう言っておる。
 しかも、そういうやつを私は何通も持っていますが、一本の辞令で全国の店長のところに命令がばんと行くんです、人事異動通知で。中には気骨のあるやつは、裁判で争っておるのもいますよ。しかし、ほとんどの人がこんなところにおってもしようがないといってやめていっちゃうんです。私のところに辞令だけでもうんと来ておるんです。週休二日をとるようにおまえせいというから、はい、わかりましたということで、じゃ週休二日をとるためには人もふやさなきゃならぬ、車もふやさなきゃならぬということでやったら、一人当たりの取上高が減った途端におまえは首だということで、辞令一本でやられる。こんなばかげたことが通っているということについて大臣のお耳に入れておきますから、こういうことについてもひとつ調査をしてもらいたい。
 最後に、精算金をめぐる問題。これは公取、法務省、それから各省の意見も聞きたいんですが、佐川急便は、今言ったようなほかに、各店の売り上げを次のようなことでやっておるわけです。というのは、精算金の支払いについていろいろ問題があるということを私は申し上げたい。今申し上げたように、佐川急便というのは、全国九つのグループに分かれて、それぞれの会社があって、そこに社長、重役がおる。その上にあるにすぎないんです。にもかかわらず、まず精算金という名目で、六十三年十月までは統括手数料の名目で総取上高の三%を取った。このときは法的にはいろいろ問題があるだろうが、佐川が全国的な統括とか調整を行う、例えば佐川のところで全部を計算して、おまえのところはこうなっている、こうなっているとするから若干手数料は要るだろうということで各社もみんな三%はしようがないといって泣いておった。
 ところが、去年の十二月にそれを今度は五%に上げた。そうして何で五%に上げたかということも言わない。これはいわゆる小会社からの吸い上げです。そうして今度はそれを一二%に上げる。いや、それは高過ぎると騒いだら今一〇%に落ちついておりますね、一〇%ですよ。こういうことがやられていいんだろうか。今言ったように、会長の給料は一カ月八千万も取って、株主配当は取っておって、あと総売上高の一〇%ずつ各店から吸い上げるというんですね。ですから、私が計算したら年間四百億になります。総売上高というのがここに四千百四十一億と会社が出していますから、これの一〇%で計算すりゃ四百億。この金がどこへ行ってどう使われているんだろうか、大変問題があるというふうに思います。
 そこで、まず私は国税庁に聞きたいんですが、今言ったような金の流れについて、佐川さんが多額納税者であることは私も知っていますよ。知っていますが、今言った売上精算金一〇%ずつ取る。今までは三%とか五%になっていますが、これが清和商事に入ったときの税法上の取り扱いその他については調査をしたことがありますかどうか。清和商事にだあっと、私から言うとピンはねだと思う。ピンはねですから、そういうものは税法上どういう扱いになっていますか。調査したことがありますかどうか、聞かしてください。
#74
○政府委員(岡本吉司君) まず仕組みの方、どういう取り扱いになるかということからお答えさせていただきたいと思っております。
 法人税法上、株式会社などがほかのものから収入した金額につきましては、原則、法人の収益ということになるわけでございます。借入金とか、あるいは資本の払込金みたいな収益にならないものは別でございますが、そういったものを除きましてすべて原則といたしまして法人の収益として上げなくちゃいけない、こういうことになっております。したがって、それが収益として計上されれば、そこから経費を引いたところが法人税の課税の対象になる、こういう仕組みでございます。
   〔委員長退席、理事及川順郎君着席〕
 次に、調査しているかどうかということでございますけれども、我々常に納税者の適正な課税実現ということから、あらゆる機会を通じまして有効な資料を収集して、必要があれば実地調査、会社等に行きまして調査等を行っているところでございます。そういったことを通じまして適正な課税に努めているところでございますけれども、お尋ねの件につきましてはやや個別にわたる事柄でございますので、事柄の性格上ちょっと御答弁を差し控えさしていただければありがたいと思っております。
#75
○安恒良一君 いや、私が聞いているのは、いいですか、佐川さんが個人的に給料を取ったり株主配当、これはもう税法上きちっと処理されておると思いますよ。ところが、清和商事に佐川グループから入ってくる金が、この計算でいきますと一〇%というんですから年間四百億入ってくることになる。例えば去年一年に東京なら東京の佐川が、いわゆる精算金で取られた金額が幾らあるかということで、私は私なりに調査をしてみましたら三億二千八百万上納しているわけですよ。それから、一月、二月しか実績ありませんから二月の実績調べたら十一億一千三百万清和商事に上納として入ってくるわけです。
 そうすると今度は、清和商事がその金を――清和商事はやはり税法上の適用を受ける会社でしょう。そのときにきちっと税法上で、清和商事はもちろん経費として落とさなきゃならぬものがありますね、当所二、三%ぐらいはしようがないとみんな言っておったんだから。ところが、一〇%は不当だと、こう言っているんだ、各店長がとんでもないと、こう言っているわけです。何でおれたち一〇%取られるのかと、こう言っている。これは不当利益なんだ。清和商事にそれが入っていることは間違いないんだから、それが税法上の問題としてあなたの方は調査当然すべきじゃないですか。
 今言ったように、清和商事に一〇%入ってくることはもう間違いないんだから、これは私、全部各支店別に何%ずつ納めたかというふうに調べたら、もうことしの二月から一斉にとりあえず一二%にした。ところが、それじゃ高過ぎるということになって、最近になってそれでも一〇%ずつ全店から取り上げるんですからね。それは利益があるなしにかかわらず総売上高に応じてこれ取りよるんですからね。わかりやすい言葉で私は総収入だと思いますね。売り上げですよ。それの一〇%ずつを全国から吸い上げているんですから。これはぜひ税法上私は調査してもらいたい。
 私は、きょうはあれですが、この次のときは、その結果はどうなったか、脱税があったかないのか、それとも正しく処理されているなら正しく処理されているということは言ってもらえるわけだ。個々の細かい内容に入る必要はないが、その点についてはぜひ国税庁部長としても、私が問題点を提起したんだから、調査したり、公の席上で言わなくて結構ですから、私のところに、先生から指摘されたやつは調べた結果こういうふうにちゃんと処理しておりますとか、脱税がありましたとか脱税がなかったとか、これは言ってもらわにやならぬ。そんなものを答弁差し控えさしてくれと言ったって差し控えるわけにはいかぬ。ここで今答弁せいとは言わぬ。私は問題点を提起したんだから、そういう売上高の一〇%も取りよるというんだから、そんなばかなことが……。
 私は、運送会社というのは利益率は非常に低い会社だと思っているんですよ。それなのにこんな金が出てくるというと、貨物局長に聞かないけれども、運賃は適正に決めているかという話になるよ。運賃原価主義、適正利潤というのが入って決めている。今、運賃は適正に決めているのかと。いわゆる運送会社の上の会社があって、そこが総売上高の一〇%ずつばんばん持っていって、みんな会社がやれるかということですよ。それがやれるんだったら運賃自身が高いということになるんだよ、逆に私から言わしてもらったら。そういうことになるから、ぜひそこのところの税務調査はしてもらいたい、こう言っているんです。調査をするかしないか、言ってください。
#76
○政府委員(岡本吉司君) 先生から今年に入ってからのお話も含めて御指摘ございましたけれども、ちなみにこの清和商事の決算期は八月でございまして、最近の申告は六十三年八月期が一番新しゅうございます。御参考までに、その申告所得金額は七十億でございます。したがいまして、申告納税制度でございますので、いずれまたしかるべき時期に当然申告は出てまいると思っております。
 国税庁といたしましても、そういった個々の話を申し上げるわけではございませんけれども、一般的に適正に処理に努めたい、こう思っております。
#77
○安恒良一君 時間があんまりなくなったから、そこで次は労働省と運輸省に。
 私は、これは労働基準法違反じゃないかと思う。労働基準法の第六条に、中間搾取の排除というのが書いてある。「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」と。もちろんこれは個人の労働を対象とされていることはよくわかりますが、会社が小会社から利益を吸い上げる形の搾取は、結果的にその小会社にとっては個々の労働者からの搾取につながっていきます。ですから、私はこれは労働基準法違反じゃないかと思うし、そして労働基準法の百十八条で、上の違反をした場合には罰則と書いてありますから、こういう点について労働省はどういうふうに考えるか、これが一つ。
 次は、運輸省。運輸省も、道路運送法第八条と関係があると。なぜかというと、二項に、「運輸大臣は、前項の認可をしようとするときは、左の基準によって、これをしなければならない。」、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」。この規定からいうと、精算金が一〇%も取られるということは適正な利潤の中に入らぬ、一〇%も上納を取るというのは適正な利潤の中に入らぬ、こういうふうに私は思いますし、道路運送法上に問題がありはしないか、この二つについてそれぞれ労働省、運輸省の見解を聞かしてください。
#78
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のとおり、労働基準法六条に中間搾取の禁止の規定があるわけでございますけれども、これは具体的な労働関係、個別の使用者と個別の労働者の間の労働関係の開始あるいは存続につきまして第三者が関与をして利益を得ることを禁止している場合でございます。したがいまして、ただいま御指摘のケースのようなものはこれには当たらないかと思いますけれども、これも先生御指摘のとおり、御指摘の企業につきましてはかつていろいろと問題がございまして、その後も重点的、計画的に監督、指導に努めているところでございますので、そういった監督、指導に当たりまして十分念頭に置いて対応させていただきたいと思います。
#79
○安恒良一君 労働省、もう一遍よく法律を勉強して調査してもらいたいと思うのは、親会社が子会社から利益を吸い上げる、その形が、後から運輸省に答えさせますけれども、そんな利潤のある会社じゃないんだ、運送会社というのは。それなのに一〇%も吸い上げて、その結果、今度はそこの会社は経営がなっていけないから個々の労働者の労働強化や賃下げにつながっていくんですよ。
   〔理事及川順郎君退席、委員長着席〕
だから、私から言わせると、このようないわゆる佐川急便の上に商事会社があって上納金一〇%持ってこい、総売り上げの一〇%持ってこい、こういうことが許されるということはいかがか、労働省としてもそこを調査してもらいたい。いいですね、調査。
#80
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、そういう形が経営を圧迫し、労働条件面に影響が出ていないかどうか、十分注意して監督、指導に当たりたいと思います。
#81
○政府委員(大塚秀夫君) 道路運送法第八条には、ただいま先生御指摘のとおりの基準がございます。ただ、この規定というのはトラック事業者が利用者である荷主から収受する運賃及び料金について規制を加えているものでございまして、収受した運賃及び料金の具体的使途まで規律しているものではございませんので、精算金の徴収が直ちにこの八条の規定に違反することにはならないと存じますけれども、現在のところ、御指摘の精算金の性格等について私ども十分詳細に承知しておりませんので、その内容について調査の上、過労運転との因果関係がある等、問題がありましたら所要の措置を講じていきたいと考えております。
#82
○安恒良一君 私は、精算金について、適正な利潤の中に入ってないと思う。というのは、運賃を決めるときには、第二項の第一号に「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものである」、こういうふうに書いてあるんですね。そうすると、運送会社の運賃の中から一〇%も全然やってない人に支払われるということが適正な運賃と考えられるかというと、私は考えられぬ、そんなものは。使途は書いてないからどう使ってもいいんだということじゃないんだよ。株主だったら株主配当がちゃんと行けばいいんだ。社長だったら社長の給料をもらえばいいんであって、全国のこれだけ多くあるところから総売上高の一〇%ずつ毎月上納しろ、それが年間四百億も出てくるというような、そんなことをほっといてはいけません。私がここで指摘したんですから、運輸省としては調査し、釈明を求められてしかるべきじゃないですか。でなければ、これから貨物運賃全体を決めるときに問題になりますよ、こんなことがまかり通るようだったら、率直に言って。
 例えば、道路運送法の九条に、「荷主に対し、収受した運賃又は料金の割戻をしてはならない。」という条項もあるんですからね。だから、道路運送法の八条、それから道路運送法の九条に対して、この精算金の中身について当然あなたたちは佐川の会長やら社長を呼んで、それから関係会社を呼んで、関係会社は皆泣いているんですよ、取られる方は。彼が株を一〇〇%持っておるからやむを得ず、泣く子と地頭には勝てないということで泣く泣く出して、その分はそこで働いている従業員にどんどんしわ寄せをしているだけなんだ。そんな、だれが考えても一〇%というピンはねが正当とあなた思えますか。売り上げの一〇%を全部ピンはねていく。そんな運営が、配当はもらい、給料をもらって、しかも非常勤ですよ。おれはオーナーだから、そこの総売上高の一〇%を毎月おれのところの本部に納入しろと言うんだから。そんなこと運送会社で認められたらたまったものじゃないですよ、法治国家で。大臣どうですか、そういう点について。
#83
○政府委員(大塚秀夫君) ただいま先生御指摘の点を十分念頭に置きつつ、この精算金の実態について調査していきたいと考えております。
#84
○安恒良一君 次は公取。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の中のいわゆる独禁法の第十九条に、「不公正な取引方法の禁止」という条項、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」と規定し、この規定は一見非常に漠然としているように見えますが、公正取引委員会が強制捜査を行う場合にはこの規定が最も多く適用され、使用されていると思います。
 そこで、今、私と関係省との議論を聞いていただいておったと思いますが、精算金については完全に当条項の違反と見られると私は思いますが、さらに、この十九条をめぐる問題はフランチャイズの契約において生ずることが多く、具体的な事例としては、本部が一方的に加盟者の事業上の不利益を課しているかどうか、または加盟者がその状況から離脱することが著しく困難かどうか、これがフランチャイズ制の、公取がお調べになるときの一番問題点だと思う。そうしますと、今言われたところのこの佐川グループに対する清和商事のやり方はこの条項に該当する、私はこう思うが、公取としての御見解をお聞かせください。
#85
○政府委員(土原陽美君) 独占禁止法では不公正な取引方法を禁止しております。「不公正な取引方法」については、公取の方で十六の行為を具体的に指定しております。その中の一つに、取引上優越した地位を利用して、取引の相手方に対し、不当に不利益を与える行為というものを指定しておりまして、これに該当すれば不公正な取引方法に当たるわけでございます。
 ただ、今委員からお話ありましたように、この精算金というものが親会社として子会社から徴収するということになりますと、今申しました条項にはちょっと当たらないのではないか。おっしゃるような内容の行為については独占禁止法の問題にはなりがたいと考えられます。
#86
○安恒良一君 なりがたいじゃない。私はあなたのところへ要求しておきますから調査してもらいたい。なぜかというと、親会社といっても、佐川グループというのはもともと全部運輸省の認可を取った運送会社なんですよ。清和商事というのは全然違うんですよ。それが上にちょこつと乗っかっているんです。そして佐川グループの各社から毎月毎月売上高の一〇%をむしり取る。親会社といっても同じ系列企業じゃない、性格は全然違うんです、清和商事というのは。佐川急便というのは運送トラックで、運輸大臣の認可を得て、認可運賃に基づいてトラック運送事業をやっておる会社です。そこから、おれの方は統括しているから総収入の一〇%は毎月よこせ。それが子会社から言わせると何のために一〇%要るのかわからぬ。その一〇%が何に使われているのかわからぬ。一、二%は全国プール計算するとかなんとかいうことで事務手数料としてはわかるが一〇%にもなったらもうとんでもない、こう子会社は言っているわけですから、そういう訴えがあるわけですからね。そのことで私のところへ来るから私はそれを取り上げてここで言っているわけです。公取としては問題を提起しておきますからぜひ調査をしてください。あなたがしないというなら今度は梅澤君を呼ばないといかぬわな。公取の委員長をこの次呼ぶわな、調査してもらわぬと。あなたの見解で、私のことをちょこつと聞いたぐらいで簡単に公取にはなじみませんじゃ困るんだよ。調査はしてください。どうですか。
#87
○政府委員(土原陽美君) 独占禁止法は、現に取引があるというものを対象にしているわけでございまして、おっしゃるお気持ちはわかりますけれどもなかなか独禁法には乗らないんではないかと思っております。その辺はさらに検討させていただきたいと思います。
#88
○安恒良一君 あなたの個人的な見解を、乗る、乗らぬと聞いているんじゃないの。問題点を指摘しているから持って帰って梅澤君以下偉い人によく相談をして調べるものは調べてくれ、こう言っているんだよ。その結果、安恒先生の指摘についてはこうこうこういうふうに調べた結果これは独禁法違反には当たりませんなら当たりませんとか、やっぱりあなたのおっしゃったとおり問題がありますと、こうなるかということを聞いているのです。ここであなたに結論を聞いているんじゃないんだ。きょうは問題点を提起して、調べるものは調べて正確に返事をよこしなさい。
 そうじゃないと、あなたは個々の細かいことはわからぬでしょう。佐川の細かいことをあなたはきょう全部承知して出てきたの、佐川の経営実態について。例えば売上金なら売上金、精算率というのはどこがどうなってどうなっているという細かい表も全部あなた承知して答えているの。私の聞いた範囲で答えているの、それともあなた自身が、私が質問通告したから細かく佐川の実態と佐川の各社の実態と清和商事の関係を調査した上であなたは答弁しているんですか。どうですか。
#89
○政府委員(土原陽美君) 委員のお話を伺って回答したわけでございます。
 その辺さらに、独禁法上対象になり得るかどうか検討させていただきたいと思います。
#90
○安恒良一君 ぜひ、今申し上げたことについてあれをしてもらいたい。
 次は法務省。実は、これ商法上の問題で、商法二百五十四条の三に取締役の忠実義務、それから商法二百六十条は取締役会の権限、それから商法の二百六十条の二には取締役会の決議の方法、それから商法の二百六十五条は取締役と会社の利益相反の取引、こういうことがいろいろ書いてある。
 そうすると、佐川の実態は、私が冒頭申し上げたように、佐川というのは全国でそれぞれ会社が十八でしたか十九でしたかその会社があって、そこに社長もおれば取締役もおるわけですね。それから株主は、全体の株は佐川さんが持っておる。しかし、この人は商法上の社長でもなければ代表権を持った取締役でもない。それから、ある会社の場合には株は佐川さんだけじゃなくて、佐川さんも七〇%近く持っているが、まだ別に三〇%を上回っている大株主もおるわけです。そういうところに頭から、おまえのところは今度は売り上げの一〇%は納めろということの通知一本が来て、それぞれの佐川の各社がこの商法の条項からいうと縛られるものになるかどうかです。
 少なくとも、それぞれの株式会社があって株式会社の社長以下取締役があれば、そういう佐川の意向については各社が十分取締役会にかけて、それじゃ精算金について出しましょうと、こうしなけりゃ。結局各社の重役から言わせると、私たちは商法違反をあえてしなきゃならぬことになる。社長とかは重役おるけれども、その人たちは全然関係なくて、何月分からは精算金というのはこれだけにするよと言ったら、ツルの一声で全部従うということはどうも商法上でも問題があるというふうに各社の方は言っているんだが、そこはどういうふうに解釈しますか。
#91
○説明員(濱崎恭生君) 基幹会社、各運送会社との間いろいろさまざまな形態の関連があるようでございますが、いずれにいたしましても民事法上から申しますと、それぞれの法人はそれぞれ独立した法人でございますから、その間の契約関係によって今御指摘の精算金をどうするかということが決まってくることになるのではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、基幹会社の方から一方的に通告されたからそれに従ってそれを変えなければならないという性質のものではないわけでございまして、それを承諾するかどうかということはそれぞれの会社で判断して決めるということになるわけでございまして、その際には御指摘のように商法の諸規定によって、重要な事項でございますと取締役会の決議に基づいて意思決定をするということになりますし、その各社の取締役は会社に対し、要するに、自分の会社に対して善良なる管理者の注意義務を持って職務を遂行する必要がありますし、忠実にその職務を執行する義務があるということになるわけでございます。その際に、取締役としては経営判断としてそういう申し出に応じた方がいいのかどうかということはそういう忠実義務、善管義務に従って判断する、こういう関係になろうかと思います。
#92
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりなんですよね。今言ったように、商法上から言うと主幹会社が今十三ありまして、そこに社長以下取締役がおる。そうすると、佐川からそういう申し入れがあれば十分そこの社長以下取締役会にかけて決めるべきで、それを会社として負担にたえ得るかどうか。ところが、それを全く許さないんですよ。もう通達一本ですから。悪けりゃ社長も首切るんですから。東京以外は自分が全部株も持っているからおれが切れる、こう言うのですね。だから、社長以下もう泣きながら結局何をやるかと言うと、法律を守れぬでむちゃくちゃに稼ぎまくれ、こうなるんです。ですから、全国の佐川を見てごらんなさい、時間に追われるから、交通渋滞になるようなところでももうばんととめてやっているのが幾らでもある。
 私の時間がもうなくなりましたから、大臣、これは関係大臣と相談をして、今私が言った実態は全く問題がある。そして、集められた金がどこに使われるかということでいろいろ週刊雑誌が書いています。佐川さんが自分の収入でやられることはそれは自由です。しかし、週刊雑誌で新しく相撲部屋をつくるためにぽんと金を出したとか、それから、野球のあれまで、米国の大リーグを買うバックになっているよとか、橋幸夫にレコード会社をつくらしたとか、それから「座頭市」のときに一億円ぐらい切符を買ってやったとか、これはもう週刊雑誌にこういうふうにいろいろ書いてある。これは週刊雑誌が書いていることだから。それはもうむちゃくちゃに御本人は金をお使いになっている。そうして、その金はどうしてなのかというと今私が言ったようなやり方になっている。そして、それが日通に次ぐ二番目に大きい運送会社になっている。
 そして、今申し上げたような三六協定の無視、それから二七、二・九通達の無視、そして気に入らなければ片っ端から、労働組合もないものですから片っ端から解雇していく、上から下まで気に入らぬやつは辞令一本で解雇していく、こういうことがまかり通っている。橋本元運輸大臣も当時驚かれて、全国を調べて、直ったと思ったらとんでもない。私のところに、先生が取り上げられたときはしばらくよかったけれども、今やかえってひどくなりましたという投書が何ぼでも、しかもそれは、係長一同とか課長一同とか従業員一同とかいろんなところから投書が物すごく来るんです。ぜひこの無法地帯を国会で直してくれ、佐川で働いている人はこう言っているわけです。
 この点最後に、大臣、ぜひ関係大臣と十分連絡をとって、今言ったようにこれは国税庁にも関係します、公取も関係します、労働大臣にも関係あります。そして、あなた自体の所管事項として重大な問題がありますから、そういうものについては徹底的な調査をしていただく、そして是正のために努力するということをひとつお約束を願いたい。
#93
○国務大臣(山村新治郎君) ただいまの委員の御指摘につきましては、関係省庁と十分連絡をとりまして、そして所要の措置を講じていく、そういうようなことでやってまいりたい、そういうように考えます。
#94
○委員長(多田省吾君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十七分開会
#95
○委員長(多田省吾君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、運輸行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#96
○及川順郎君 まず、消費税の導入からちょうど二カ月と二十日過ぎたわけですけれども、この導入による各種の料金体系の変化、それから利用者の苦情、こういうもの等を含めて現状はどういう状況になっているのか、この点に対する所見を伺いたいと思います。
#97
○政府委員(塩田澄夫君) 消費税につきましては、消費一般に広く負担を求めるというものでございまして、消費者がその最終的な負担者となることが予定されている間接税でありますので、消費税を運賃、料金に転嫁する場合は利用者にできる限り公平に負担をしていただくということが基本でございます。このような観点から、運輸省におきましては事業者の申請に応じまして、便乗値上げが行われることがないよう配慮しながら、できる限り機械的、画一的に三%の増収の範囲内で運賃、料金の改定を行ってきたところでございます。このような改定によりまして、運輸事業では消費税はおおむね円滑に転嫁され、実施されているものと考えております。
 なお、四月一日以降本省及び地方の運輸局に設けました消費税の相談窓口に運賃、料金の改定につきまして利用者から種々問い合わせ等があったところでございますが、これらに対しましては利用者の納得を得られるよう運賃、料金の改定についての考え方を十分説明してきたところでございまして、基本的には利用者の理解をいただいてきているものと考えております。
#98
○及川順郎君 消費税の具体的な上乗せの状況をJR、私鉄、タクシー、バス、貨物、地方鉄道、その実態に基づいてデータがありましたら述べていただきたいと思います。
#99
○政府委員(塩田澄夫君) 旅客と貨物に分けまして申し上げますと、旅客につきましては確定額の運賃になっておりますので、JRにしましても私鉄にしましても航空にしましても、それぞれ現行運賃に対しまして一・〇三を掛けまして、それで出てまいりました数字を十円単位で四捨五入する、航空につきましては五十円単位で四捨五入するという機械的な計算方式で出したものになっております。なお、航空につきましては同時に通行税の廃止がございましたので、この分は当然差し引いてございます。
 貨物につきましては現行の賃率がございますが、この賃率を基本にいたしまして、これに一・〇三を掛けたものを上乗せとして料金に加算する、このような認可をしたところでございます。
#100
○及川順郎君 具体的事例を挙げていただいて聞きたかったんですけれども、その事例がないならば、料金の中で消費税転嫁の見送りにしたところ、そういう具体的事例がありますか。
#101
○政府委員(塩田澄夫君) 運輸事業関係はかなり円滑に運賃改定が行われたと思っておりますが、運賃改定がまだ行われていないものの代表的なものとしましては、地方の公営事業であります鉄道につきましては、地方議会の手続の関係等でまだ申請がないものがございます。
#102
○及川順郎君 見送りをしている状況のところへ運輸省として転嫁を強制したり、あるいは行政指導に名をかりてその推進方を高圧的にやっているという事例はありませんですね。
#103
○政府委員(塩田澄夫君) 冒頭お答えを申し上げましたとおり、消費税は基本的には消費者に転嫁をすべきものでございますので、消費税の導入に伴いまして運賃、料金についてその改定があるのは当然だというふうに考えております。運輸省といたしましては、先ほど申しましたような趣旨で申請があればこれを認めるという考え方でございます。
 あと、今申し上げました公営事業等につきましては、申請者側の事由で申請がないというふうに私どもは認識しております。
#104
○及川順郎君 そういう現場の実情に対して、選択をしたのに対して省として高圧的にペナルティーをつけたり、あるいは高圧的な指導をしたりはあくまでもしない、あくまでも現場の実情を尊重してというぐあいに確認をさせていただきます。
 それから、遠距離運賃の場合、今までJRの方が航空機より安かったが、消費税導入により逆に航空機の方が安くなったというところがある、こういう実情について掌握してございますか。
#105
○政府委員(塩田澄夫君) 例外的に一部の路線、例えば大阪−福岡のケースだったと思いますが、鉄道の方が航空よりも運賃が高くなったというケースがございました。これは機械的に計算をした結果でございまして、航空につきましては通行税分が安くなったというようなことでこのような事態が生じましたが、この点につきましてはJRサイドの判断で若干運賃を下げることによって逆転が生じないようにしたケースはございます。
#106
○及川順郎君 細かいですけれども、大阪−高松では航空機の方がJRより百円安い。大阪−高知は二百二十円安い。大阪−熊本間で二百五十円安い。このような運賃の逆転現象が乗客に対してどういう影響を与えているか、あるいはまた、具体的な利用者に変化があったかなかったか、この点のデータについてはこの4月以降の流れの中で調査をなさっておりますか。
#107
○政府委員(塩田澄夫君) 運輸関係の統計はおおむね一、二カ月おくれた形で統計の結果が出てまいりますので、まだ明確なデータが手元にございませんが、速報的なものとしましては余り大きな影響は出ていないというふうに認識しております。ただ、いずれにしても正確なデータはまだ手元にございません。
#108
○及川順郎君 実態掌握を、現場の実情というものをクールにもう少しよく吸い上げる努力をぜひしていただきたいと私は思うんです。
 それで、消費税導入によって便乗値上げあるいは便乗値上げと受けとめられるような事態が新聞の投書であるわけでございますけれども、これ一つ紹介いたしますと、宅配便につきまして、消費税がかかるので千二百四十円と運送業界から話があった。それまでは、三月までは一個当たり千百円というパンフレットをもらって、それで送っていたと。それが千百円が千二百四十円になる。そうしますと、三%ではなくてこれは一三%だと。しかも、一個の重量は前の三分の二になるという。そのために重量によっては一個で送れたものが二個にしなければならぬ。そういう事態になりますと、二個になった場合を想定して計算すると、千二百円で送れたものが二千四百八十円、二・三倍にもなる。しかも、その業界の人たちのこうした状況に対する弁明は、消費税導入のところに原因があるという弁明がなされていると。これは消費税導入に体をかりた一つの便乗値上げ、しかも、消費税導入ということを一つの風よけにしてこういう理由にしているということは許されないことだ、こういう趣旨の新聞の投書があるわけですね。
 値上げの時期と一緒になったという、こういう状況も場合によってはあるかもしれない。こういう事態に対してやはりきめ細かな、こういう税制改革、しかも、国民の大多数が反対をしたがそれを強行して実施したという背景を考えますと、便乗値上げや、あわせてそれにおっかぶせるようなこういう値上げの実態というものは厳に運輸省としてチェックをしていくべきじゃないか、このように思うんですけれども、いかがですか。
#109
○政府委員(塩田澄夫君) 御指摘まことにごもっともな点があると思います。
 この問題につきましては、宅配便が現在、全国で三十九ございますんですが、この三十九のうちの三十八につきましてはただいま先生の御指摘のような問題はございませんで、機械的に三%の転嫁をしたものにとどまったわけでございます。ただ、三十九のうち一つだけの事業者につきましては、宅配便の制度改正と消費税転嫁を同時に行うということをしたために御指摘のような事態が生じたものでございまして、この内容につきましては私ども妥当であると考えておりますが、同時に、そういう改定を行いましたために消費者の誤解を受けたことは遺憾であったというふうに考えております。
 運輸省としましては、この会社に対しまして、従業員、取次店に対する指導と利用者に対する周知広報を十分行うように指導をいたしまして、今後そのようなトラブルがないように指導をしているところでございます。
#110
○及川順郎君 しっかり指導体制をお願いします。
 東京の物価、これは世界一高いということが経企庁の調査報告にございましたけれども、その中でニューヨークと西ドイツのハンブルクと東京との交通費の比較で、やはり東京が非常に高い。タクシー代を比較いたしますと一・七倍、地下鉄運賃は十二倍、国内航空運賃は一・二倍、ハンブルクでは高速道料金は無料。こういう状況の中で、東京を中心に考えますと、まさに高速道路なんというのは停速道路、まさに自動車置き場なんというような悪評があるような状況でございまして、このような状況の中で五百円から六百円という上乗せ、しかも消費税を上乗せするという事態に対して大変な不満がある。場合によっては不払いというような事態も新聞で一部報道された出来事がございましたけれども、こういう事態に対してどのようにお受けとめになっておられるんですか。これを伺いたいと思います。
#111
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま御指摘の点は、首都高速道路の渋滞が慢性化しているということに対しまして、その解消のためにどのような努力をしているかという御質問かと思いますが、首都高速道路の渋滞緩和のための高速道路網の整備につきましては、都心部を通過する自動車交通を排除するための環状道路の整備が重要であるというふうに私ども考えております。そういう観点から首都高速道路中央環状線、東京外郭環状道路、首都圏中央連絡自動車道の整備を促進する必要があると考えておりまして、建設省にもそのようなことを要請している状況でございます。
#112
○及川順郎君 いずれにしましても、各地の現場の声を聞きますと、消費税導入によりまして交通料金に対するはね返りが安定的に理解をされ定着をしているというが、ほかのものもそうなんですけれども、政府の認識と最前線の民意、利用者の意識というものに非常にギャップがあり過ぎる。私は予算委員会等で、現実に世論調査のデータを踏まえて大蔵大臣等にも申し上げた経緯がございますけれども、運輸関係でもそういう現象が見られるわけですね。そういう意味におきましては、そういうことを解消しようとして努力をしているところに国の方から圧力をかけたりするようなことは絶対ないと、これは繰り返すようですけれども、この点はしかと意識におさめておいていただきたいと思います。
 今ちょうど高速道の渋滞問題が出ましたので、東京を中心にします首都圏の交通事情の悪化に焦点を絞りまして少し質疑を続けさせていただきたいと思うんです。
 まず、東京を中心とする首都圏の交通事情の悪化はいろんな形で取り上げられているんですけれども、一向に改善されていない。非常に憂うべき事態に傾斜していっている。こういう状況を私どもは大変危惧するわけでございます。言うなれば、首都圏における陸海空の総合的な交通体系の整備、この悪化する交通事情に対する対応、この点に対しての考え方、現状をどのように分析されて、そして将来的にはどのような解決策を描いているか、これをまず伺っておきたいと思います。
#113
○政府委員(塩田澄夫君) 大都市におきます道路交通混雑は、国民生活や産業活動に深刻な影響を与えていると認識しておりまして、交通の円滑化対策は大きな課題であると考えております。運輸省といたしましては、従来から鉄道、バスなどの公共交通機関の整備を通じまして道路の交通渋滞の解消に努力をしてきたところでございますが、昨年七月に政府の交通対策本部におきまして決定されました大都市における道路交通円滑化対策を受けまして、これらの措置に加えまして、今申し上げました公共交通機関の整備に加えまして、建設省の協力を得ながら混雑緩和に資するような環状道路の早期整備、ただいま申し上げました点でございます、それから、踏切対策などの道路容量の増大対策、あるいは貨物輸送の合理化などの道路交通需要の軽減対策を推進しているところでございます。
#114
○及川順郎君 大臣、全国的な交通状況も極めて大事でございますけれども、首都圏の交通事情はただいま御説明をいただきましたけれども、これは非常に重大な問題であるという認識を私ども持っているんですが、大臣の所感はいかがですか。
#115
○国務大臣(山村新治郎君) 確かに、おっしゃられるとおり大変な混雑状況でございます。この解決に当たっては、我が省でできることはできるだけやりますし、また建設省の方とも連絡を密にして、解決のできるものから乗り出していきたいというぐあいに考えます。
#116
○及川順郎君 運輸大臣所管の関係だけではこれはどうにもいたし方ない、進まない部分がある。そこで、首都圏の現状に対してもう一回横の連携のたがを締め直して、各省がかかわり合いのあるところを全部まとめて、首都圏に対する対応をがっちりおやりになるというこの辺の決意のほどを伺っておきたいと思います。もう一回御答弁願います。
#117
○国務大臣(山村新治郎君) 今おっしゃられましたとおり、首都圏の混雑緩和というものにつきましては、関係各省横の連絡もこれからより一層密にして、解消に向けて努力してまいりたいと思います。
#118
○及川順郎君 次に、個々の問題で伺ってまいりたいと思いますけれども、午前中の大臣の所信でも触れておられましたけれども、第五次空港整備五カ年計画の問題であります。この進行状況と、これらが完結したときに、空港の需要、供給のバランスからいって需要に十分対応できるという具体的な見通しについて、試算等のデータがありましたら当局より伺いたいと思います。
#119
○政府委員(林淳司君) まず、第五次の空港整備五カ年計画の進捗状況でありますけれども、この計画は、昭和六十一年度から平成二年度までを計画期間といたしまして、調整費の千二百億円を含めて総事業費は一兆九千二百億円になっております。それで、その総事業費に対する六十三年度末、昨年度末までの実績見込み額は一兆一千四百四十八億円でございまして、進捗率は五九・六%でございます。これに対しまして、さらに平成元年度、今年度の政府予算を含めますと一兆五千八百四十九億円ということで、進捗率は八二・五%ということでございまして、五年間のうちの四年間、平成元年度までの四年度分でございますが、これで八二・五%の進捗率ということになる見込みでございます。
 あと、平成二年度を残すのみでございますが、最終年度の額についてはこれからの予算の問題でございますけれども、五カ年計画そのもので見る限り当初計画した事業規模の達成は可能である、十分達成できるというふうに考えているわけでございます。
 そこで、お尋ねの首都圏等に関連するプロジェクトとしましては、一つは成田空港がございます。それからもう一つは、羽田の沖合展開がございます。
 羽田の沖合展開については、最終的に完成いたしますのが平成七年ごろということでございますので、平成二年度の現在進めておる第五次の五カ年計画ではまだ整備途中ということで、需要増は直ちには出てこないということでございます。
 成田につきましては、この五カ年計画の最終年度であります平成二年度概成ということに向けて今鋭意努力をしておるわけでございまして、この概成ができますとほどなく能力の向上が図れるということになるわけであります。その辺のところは、五カ年計画の達成によって定量的にどうなるかということについてはまだ十分詰めておりませんけれども、今のプロジェクトに関する限りはそのような状況になるということでございます。
#120
○及川順郎君 ちょっと今聞き取れなかったんですけれども、利用者の増大の推移、この見通しの上に立った統計的な立場からの需要に対する対応、これは十分であるという認識というぐあいにただいまお答えになりましたですか。
#121
○政府委員(林淳司君) 首都圏の航空事情から見ますと、現在進めております第五次五カ年計画の達成によって需要が十分に賄えるという状態には必ずしもならないわけでございます。と申しますのは、先ほど申しましたように、羽田については昨年の七月に第一期工事が完成しまして、これで一日二十五便程度の増便が可能になったわけでございますが、これで需要がすべて賄えるということでは必ずしもありませんで、それをむしろ上回る需要がある。したがって、引き続き第二期、第三期の工事を次の第六次計画で進めていかなきゃならぬということになるわけでございます。
#122
○及川順郎君 今、確認をさしていただいたのは、利用者の増大に追いついていかないんじゃないかという関係者の御意見や、私自身も個人的にはそういうことをずっと非常に危惧している一人でございます。いつもイタチごっこという状況ではならないわけでございまして、長期的見通しに立った抜本策といいますか、青写真を持っておられるのかどうなのか、また、それに対して持とうと今しておられるのかどうなのか、どの時点までいけば今の利用者の増大の推移から計算して大丈夫だろうという見通しは立てられませんか。その点もう一回確認。
#123
○政府委員(林淳司君) 首都圏の関係で申し上げますと、現在、国内線につきましては東京及び大阪に需要が非常に集中しておる。国際線も同様でございます。そういう観点からいいますど、首都圏の空港の能力というものを大幅にふやさないと需要に対応できないということになるわけでありまして、そのために現在、成田空港につきましては第二期の工事を鋭意進めておるわけでございます。これが完成いたしますと、現在、年間十一万回程度の能力が約倍の二十二万回程度になるということで相当大幅な需要に対応できるということでございます。それから国内線について申し上げますと、羽田は現在、年間十八万回の発着能力でございますが、第三期のいわゆる羽田の沖合展開がすべて完了いたしますとこれが二十三万回ということで、現状より年間約五万回能力がふえるということで相当大幅な需要増に対応できる、そういう計画を持ちながら現在私ども進めております。
 ただ、その完成年次が、成田については平成二年度概成ということでございますが、国内線対応の羽田につきましては平成七年ごろにならないと最終的な能力増にならない、こういうことでございます。いずれにしましても、今後の需要増というものに対応した整備は現在鋭意計画を立てながら順次それを実施しておるということでございます。
#124
○及川順郎君 はっきりした青写真というものが、ここまでいけば十分対応できる、こういうことがなかなか言いにくい状況もあろうかと思いますが、その方向に向けて努力をしている。
 関係者の皆さんとお話をしていく中で、結局用地にもう限りがある、こういうことを考えますと、やっぱり将来は海に浮かぶ空港を考えなければならぬだろう、こういうような意見もよく耳にするわけでございますか、この辺に対する研究等について現在着手をしたり、あるいはまた検討の対象にされておられるんでしょうか。
#125
○政府委員(林淳司君) いわゆる浮体工法によりますところの空港整備という御質問かと思いますけれども、もう既に相当前からそういう構想がございまして、関係の方面ではいろんな研究等が行われておるわけでございますけれども、現在、浮体工法によって空港を現実に整備するだけの技術的な水準までまだ達してないわけでございます。
 ただ、私どもとしましても、海上に浮かぶ、そういう空港というものの必要性というものは十分認識いたしておりまして、まずできるものからということで、例えばヘリポート等につきましては現実に即した可能性というものはあるわけでございますので、私どもは昨年以来とりあえずヘリポートを対象にした浮体工法による空港整備というものについてかなり本格的な調査研究をしておるということでございます。
#126
○及川順郎君 今の浮かぶ空港の問題ですが、一つは、技術的に研究されているということは私もよく伺っておりますけれども、技術的には大丈夫という見通しをきちっと立てておくということが非常に大事だと思うんですね。と申しますのは、さあいよいよ必要になって、二、三年でぱっとできる、あるいはまた一、二年でそれがすぐ具体化できるというものじゃございませんので、先ほど来からしつこいように長期見通しということを強調しているのはその点にあるわけでございまして、技術的には大丈夫、こういう見通しはもうお持ちになっているというぐあいに理解してよろしいんですか。
#127
○政府委員(林淳司君) ただいま申し上げましたように、本格的な空港を浮体工法によって整備するというところについて、これは単に浮体構造物の技術だけではございませんで、航空機が離発着するわけでございますから、いろんな航空保安施設の精度、いろんな問題がございます。そういうことを含めた空港としての、実際に適用可能であるというところまではまだ技術開発は進んでいないというのが実態でございます。
 したがいまして、当初からそういう大きな大空港を目指すんではなくて、まず手始めに、例えばヘリポートというようなものから、着実に技術的な問題を解決しながらヘリポートあたりから始めるのが現実的であろう、こういうことで昨年来かなり本格的にその方面の調査に取り組んでおるということでございます。
#128
○及川順郎君 ぜひこれはもっと充実していただきたいと思うんです。首都圏に対する土地は、これはもう限界点で限りがございますから、この点についてはぜひ充実する方向で取り組みを強化する、こういうことを強く要望しておきたいと思います。
 ただいま出ましたヘリコプターの輸送の問題でございますけれども、ヘリコプター輸送の現状につきまして概括的で結構でございますけれども、まず御説明を賜りたいと思います。
#129
○政府委員(林淳司君) ヘリコプターによる旅客輸送、二地点間の旅客輸送あるいはヘリコプターを使いましていろんないわゆる航空活動を行う。これは例えば農薬散布でありますとか、あるいは送電線の見回りでありますとか、あるいは緊急医療対応とかいろいろあるわけでございますけれども、ヘリコプターによる活動はここ数年来非常に活発になってきております。今そういう事業活動全体について数字的にこれを表現するのは非常に難しいわけでございますけれども、二地点間輸送については、これはいろいろ珠算等の問題がありまして、必ずしも旅客輸送という方面については急激な伸びというのはないわけでございますけれども、ヘリコプター活動全体をとらえてみると、ヘリコプター活動というものは非常に活発になってきておるというのが現状でございます。
#130
○及川順郎君 ヘリコプター輸送で東京首都圏を考えますと、その中の交通事情が非常に厳しくなってきている、込みぐあい、渋滞状況。そのために首都圏まで集まってきた人たちを一つの中継うな、そういう意見を私たちたびたび現場で聞くわけでございますけれども、こういう中長期的な輸送計画等の策定、あるいはまたそれに対する見通し、こういうものがございましたら承っておきたいと思います。
#131
○政府委員(林淳司君) 私ども政府側といたしましては、先ほど申しましたようなヘリコプターによる航空事業活動というものの活発化ということに対応しましてできるだけそれを助成していく、支援していくという方向で考えております。
 例えば、一昨年から公共用のヘリポートについては三〇%の補助制度を創設いたしましたし、それから、さらに昨年の十二月、ことしの二月にかけましてヘリポートの設置基準等について相当大幅な規制緩和も行っております。そういう形でヘリコプター活動についての援助あるいは助成というものを私どもとしては相当力を入れてやっております。
 その結果、首都圏におきましてもぼつぼつヘリポートの整備が進みつつありまして、例えば、首都圏の周辺部で言いますと群馬でありますとか栃木とか、そういうところにヘリポートを現にもう既にかなり設置したところもございますし、現在設置が進みつつあるところもある。同時にまた、都心部にその受け皿としてのヘリコプターの受け入れ基地が必要だということになるわけでありますが、これについては現在、本格的なものは東京ヘリポートしかございませんけれども、現実には成田空港あるいは羽田空港でも受け入れ可能でございます。さらにまた、現在調布の飛行場についてもいろいろと東京都と調整を進めておる。さらに、東京都の方では都心部のヘリポートの設置について現在かなり本格的な調査研究を始めておるということで、首都圏全体としてヘリコプター輸送基地としてのヘリポートの整備は逐次進みつつあるというのが現状でございます。
#132
○及川順郎君 これは、都心部の混雑緩和にいささかなりとも役立てる、こういう意味でぜひ充実をしていただきたい、このことを強く要望さしていただきたいと思います。
 次に、これも先ほどの所信の中で触れられておりましたが、国内航空路線における会社を複雑化して、企業間の競争原理を生かそうというお考えがあるようですが、航空事業というのは安全性のチェックが大変重要なポイントになるわけでございまして、間違っても粗製乱造になってもいけないし、安全性等を含めたチェック体制がトンネルになってもいけない、このようなことを強く考えるわけでございます。複数の会社を入れて競争原理を働かす、それでサービスの向上、そして運賃の安い航空輸送を提供するということがねらいだろうと思うわけでございますが、安全性その他のチェック体制についてはどのようなお考えで対応しようとなさっておられるか、この点も承りたいと思います。
#133
○政府委員(林淳司君) 私ども、航空行政をとり行うに当たりまして、安全の問題というのはもうすべてに優先する最重要課題というふうに常に認識をいたしております。したがいまして、現在、いわば航空企業の活性化を通じて利用者の利便の向上を図るために競争促進政策をとっているわけでございますが、その場合でも安全という問題については絶対に手抜きがない、むしろそういう競争促進政策の中でより一層安全というものについての配慮を十分していただく、こういう方向で、航空法にのっとっての機材あるいは乗員についてのいろんなチェックの制度がございますけれども、私どもとしましては厳重にこれを実施しておるというのが現状でございます。
#134
○及川順郎君 一度滑り出しますと、事故が起きてから申しわけありませんでしたでは済みませんものですから、これはぜひひとつ厳格な上にも厳格をきわめてお願いしたいと思うわけでございます。
 次に、鉄道輸送の関連につきまして、細かな問題もございますけれども、何点か質問をさせていただきたいと思います。
 現在、東京首都圏の鉄道網につきまして、JRそれから私鉄、地下鉄、この総合的な整備状況をどのように踏まえて、将来の新線計画等も含めまして、在来線の改善等もあわせて、現在のこの混雑緩和に対する青写真がございましたならば、総合的な対応策をまず承りたいと思います。
#135
○国務大臣(山村新治郎君) 首都圏を中心とする大都市圏では、居住地の外延化等により通勤、通学に要する時間が増加するとともに、都心部へ乗り入れる鉄道は依然として著しい混雑状況にあり、その改善が急務であると考えております。なお、首都圏における混雑率は、昭和六十二年度で大手私鉄一九一%、地下鉄二〇六%、JR二三〇%となっております。
 運輸省といたしましては、このような状況にかんがみ、東京圏においては昭和六十年七月の運輸政策審議会答申による高速鉄道網等の整備計画に基づき、今後とも鉄道新線の建設、複々線化などを進めてまいりたいとしております。運輸政策審議会の答申では、西暦二〇〇〇年、平成十二年を目標に約五百三十キロに及ぶ新線建設や複々線化等が計画されており、現在まで約百七キロが開業し、約百三十四キロについて工事中であります。進捗率は約四五%ということでございます。
 今後とも、私鉄、地下鉄、JRの全体の鉄道網の整備についで所要の助成措置等を講ずるとともに、地元自治体等と連携を強化しながらその促進を図ってまいりたいと思います。
#136
○及川順郎君 今のこの混雑率でございますが、いただきました資料を見てみますと、旧国鉄、民営化になってJR、それから営団、都営地下鉄、私鉄、これを見ますと混雑率の多いところでは二七〇%、二五〇%以上のところが軒並みですね。この首都圏の状況だけを、重立ったところをぱっと見てみましても、二〇〇%以上のところが半分以上を占めている。
 この混雑率は、大体どのぐらいを許容とするというぐあいに運輸省としては試算なさっているんでしょうか。
#137
○政府委員(阿部雅昭君) 先ほど大臣から申し上げました運政審の答申の中では、先ほどのような整備が進められるとおおよそ混雑率は約一八〇%程度になろうということが記述されておりまして、首都圏の場合は一八〇%。先般大阪圏について答申をいただきましたが、大阪圏については一五〇%程度になろうというような見通しを立てておりまして、それぞれ地域の置かれた状況にもよりますけれども、ほぼそのようなことを私ども目標といいますか、念頭に置きながら鉄道整備を進めたいというふうに考えております。
#138
○及川順郎君 私が伺いたいのは、大体そこまで行くということではなくて――現実に通勤なさっておられますか。あの押し合いへし合いの状況の中で一五〇%だとどのぐらいの状況になるのか、あるいは二〇〇%だとどのぐらいの状況になるのか、一回関係者の方で調査をして、人間の生態的な状況から考えるとこのぐらいは、まあ少し混んで立つという状況があっても耐えられる、生理的にも人間工学的にも耐えられる、こういう状況を混雑率何パーセントぐらいに大体踏んでおられるのか、この辺を医学的見地も含めてやはり関係当局としてはきちっと試算をし、見通しを立てて、そういう状況を踏まえてここまでは努力しようという、こういう計画目標というものがなければ計画にならないじゃないですか。
 ここまで行けば何パーセントになる、ここまで行けば何パーセントになる、こういう状況では、これはもう成り行きですよ。成り行きでは本当の行政施策、政策ということにおいてはいささか現場の人たちから批判をされてもその批判は免れないんじゃないか、こういう感じを強くするわけでございまして、大体人体に与える影響等を踏まえてこのぐらいのパーセントまでいけば大丈夫だ、そのためにこういう努力をしている、こういう答弁はできませんですか。
#139
○政府委員(阿部雅昭君) 混雑率の数字でございますが、一八〇%程度の混雑率と申しますと、体は触れ合うが、新聞は読めるという程度でございビス改善も鋭意いたしておりますので、この程度ならば、快適とは申せないかもわかりませんけれども、まあ許容の範囲内での通勤状況ではなかろうかというふうに考えるところでございます。
#140
○及川順郎君 今の状況でよくわかります。言葉だけではなくて本当に快適と感ずる、そういうところまで努力をするという意味ではやはりそういうことを事前によく調査をしていただいて、そこに向けて現在の交通状況を改善していくにはどうしたらいいか、こういう発想にもう一回戻りましてぜひ見直しをしていただきたい。非常に難しい面もありますけれども、これは強く要望したいところでございまして、私は申し添えておきたいと存じます。
 細かな問題になりますけれども、混雑状況を緩和するためにスピードというのは大変重要な役割を持ってくるわけでございまして、JR東日本で東京から大体七十キロ地域を一時間通勤圏とするためにカーブの速度制限を緩和するという努力を試みている。これはある意味では非常にいい試みだろうとは思うわけでございますが、またあわせて、車両でそういう努力をしている反面、古い車両と新しい車両を交互に走らせているために、せっかく内容を改善した新しい車両の性能が生かされない、こういう問題点も見られている。こういういろんなさまざまな問題があるわけですけれども、適正速度、安全性、カーブとかそれから古い車両、新しい車両、こういう技術開発の問題を含めまして、スピードの問題に対してどのような改善点を現在考えておられるか、この点をまず伺っておきたいと思います。
#141
○政府委員(丹羽晟君) ただいまのスピードアップの問題でございますけれども、列車の到達時分の短縮、スピードアップを図るには、今三つほど考えられております。第一は、カーブがございますと、そのカーブによって速度が落ちてしまうというところがありますから、その曲線の改良、そういうことが一点でございます。それから、スター車両がすぐスピードが出せるような形になるとか、そういうことでその性能のよい新型車両を導入する。それから、若干の駅をスキップする形の快速運転というのがございますが、その快速運転の導入、その三つぐらいを中心にいろいろな手法の組み合わせを考えているわけでございます。首都圏におきますJR東日本の到達時分の短縮の問題につきましても、今のような考え方をできるだけ具体的な線区に適切に合わした、特性に合わした形で進めていくというふうに聞いております。
 それで、具体的な例で御説明いたしますと、常盤線とか横浜線につきましては高性能車、車両の性能のいいのを導入してスピードアップをしている。それから、横須賀線につきましては曲線の線路改良を行って速度向上を行いました。それから、横浜線、京浜東北線につきましては、快速運転の導入、そういったようなことをやっております。
#142
○及川順郎君 先ほどちょっと触れましたけれども、混雑率の状況の中で、私鉄とJRを比べてみまずとやはりJRの方がどらかというと深刻なデータが出ておりますね。今限られた状況の中でこの混雑緩和をどうするかという一つの考え方としまして、貨物線の旅客転用をやるべきだという意見がありますね。例えば東北貨物線の大宮−田端間、それから東海道貨物線の小田原−汐留間、武蔵野南線の府中本町−新鶴見聞、これを軌道強化して、そして時速も百キロを超える鉄道輸送として使えるんじゃないか、新線を計画してそれを具体化するのに比べますとお金も非常に少なくて済むんじゃないかという意見があるわけでございます。
 この点になってまいりますと、所管大臣であります運輸大臣のリーダーシップが大変物を言うと思うのでございます。大臣、この点に対する考え方はいかがでしょうか。
#143
○政府委員(丹羽晟君) ただいま先生御指摘の貨物線の旅客線化という問題につきましては、JR東日本も検討を進めているところでございます政策審議会の答申の中で山手貨物線の池袋−大崎、それから武蔵野南線は府中本町から川崎、その旅客線化が答申されているところでございます。東日本は、このうち山手貨物線の問題につきましては六十一年の三月に池袋−新宿間に埼京線の乗り入れを行うということをいたしました。それから六十三年三月のダイヤ改正時に一部旅客線化いたしまして東北線と高崎線を池袋まで乗り入れる、そういうようなことを行っております。それから武蔵野南線につきましては、これはほとんど地下化されておりますので、駅の新設とか他線の取りつけ、そういったようなものの技術的な課題がまだ残されているというふうに伺っております。
 私どもといたしましても、東日本会社に対してできるだけ輸送力増強の方向での検討を進めていくように指導してまいりたいと思っております。
#144
○及川順郎君 大臣、所見はいかがですか。
#145
○国務大臣(山村新治郎君) 実情を十分調査していただきまして、そして各社に対しても輸送力増強という線で御協力いただくように指導してまいりたいと思います。
#146
○及川順郎君 これは、お役所でおやりになっている既定のスケジュールに置くのではなくて、現状の首都圏の厳しい交通事情を勘案いたしまして、むしろ一日も早く具体化、実現できるように推進方をお願いいたしたいと存じます。
 このほかに、混雑緩和のために複々線化あるいはまた列車を長編成化をしたり、それから昼間のフリー・クェント・サービスの推進等が具体策として挙げられておるわけでございます。あわせて乗りかえを少なくするということも非常に大事な要素でございまして、この点に対しての改善を現在具体化している状況がございましたら、まずその状況を御説明いただきたいと思います。
#147
○政府委員(塩田澄夫君) 乗りかえの便利さを向上するような措置につきましては、先ほど来六十年の運輸政策審議会の答申に沿いまして相互乗り入れ等を逐次進めておりますが、ただいま委員が御指摘になりました快適通勤という観点から、今あります既存の設備を最新の技術を利用することによってもっと最大限に活用して、ゆったりした通勤やスピーディーな通勤を実現するための方策についてもあわせて検討をしております。
 このためには、信号、保安施設の改良が必要になります場合もありますし、また、ラッシュ時の混雑状況に合わせた車両、そのような構造の車両の導入とか、ピーク時の輸送需要を分散させるということのために運賃格差の設定をインセンティブとして使うというようなことが考えられております。これらの改善方策の実務的な問題点がいろいろあると思いますので、これらにつきましてこれから検討を進めまして、採用できるところから一つ一つ着実に前進を図ってまいりたいと考えております。
#148
○及川順郎君 ちょっと細かな問題が続きますけれども、地下鉄と民鉄の相互乗り入れの状況や、そういう状況の中でよく問題になる北千住駅のホーム、これはちょうど東武から地下鉄への乗りかえになるところですけれども、乗りかえ客がホームにたまって大変危険であるという指摘を現場から私たちよく聞くわけです。こういう点への改善は非常に大事ではないか、私はこう思うんです。
 それから、現在まで鉄道、地下鉄の建設方式、オープンカット方式、これが大変費用がかさむという状況でございましたが、むしろ地価高騰の中で地下鉄の方が、しかもシールド工法で潜ってつくった方が安上がりになるというような、こういう時勢を反映して地下鉄線の充実等も改めてまた意見が強くなっていることも意識するわけでございますが、こうした乗り入れ、乗りかえの改善点、それから地下鉄の新線計画等も含めましての鉄道網の整備、具体的に青写真がありましたらこれを伺っておきたいと思います。
#149
○政府委員(阿部雅昭君) 初めに、北千住の問題について、具体的な御指摘ございましたのでその点からお答え申し上げます。
 東武鉄道の北千住駅のホームの混雑、これは大変なことは先生御指摘のとおりでございまして、その緩和策としましては営団日比谷線と東武伊勢崎線をホームの立体化により分離することということで、昭和六十三年十二月に同駅改良工事と竹の塚−北越谷間の複々線化工事、これをあわせまして特定都市鉄道整備準備金制度の対象といたしまして認定し、現在、工事の実施に向けて関係者間で鋭意調整関係の努力をいたしておるところでございます。
 今後、同工事の実施について積極的な支援を私どもしてまいりたいと考えておりますが、その間につきましては、当面の対策としてこれまでもすべてのドアにおける要員の配置ということで秩序立ててうまく乗っていただく、あるいは階段の規制、乗車待ち客の整理方法の工夫等を実施しておりましてかなりの効果を上げており、また、昨年十一月からは営団の定期利用者の浅草駅経由の迂回乗車を認めることというような方策も講じまして、北千住駅での乗りかえ客を減少させるための方策を鋭意やっているところでございます。
 なお、地下鉄の整備の問題につきましては、現在営団及び都営地下鉄両方ございますが、営団の場合は七号線及び蠣殻町へのさらに延伸の工事を鋭意進めているところでございますし、都営につきましては先般、本八幡への延長が済みましたけれども、現在十二号線の免許を得てこれに取り組む、あるいは六号線を目黒に向かって営団と共同で七号線につなげるといったような工事に鋭意取り組んでいくところでございます。
#150
○及川順郎君 都心部から放射線状に行くという考え方はあるわけですけれども、この放射線状を結ぶ交通網が非常に急がれる、全体の構造として見えるわけですけれども、この点に対する問題意識はどのようにお持ちになっておられるか、改めて伺いたいと思います。
 それから、十二号線のお話が出ましたけれども、現在の進捗状況と大体いつごろ完成の見通しか、現在の見通しを伺っておきたいと思います。
#151
○政府委員(阿部雅昭君) 放射線状の交通につきましてはやはり地下鉄と私鉄が相互に乗り入れるということが基本で、その間をうまくやって乗りかえを少なくして進めるということが基本であり、従来そのような線が進められてきておりますし、今後もそのような観点からの整備を進めていくことが基本だと思っております。
 十二号線につきましては、まず環状部につきましては先般免許されたところでございまして、着工はこれからということでございますが、枝の部分につきまして、十二号線の現在工事をしております区間は練馬−光が丘間が工事中でございまして、練馬から新宿へ向けては現在工事施行認可をとる段取りになっております。これはリニア地下鉄という形で小型の地下鉄という形での構想として進められております。
#152
○及川順郎君 住宅地域から十二号線で新宿に入る線ですね、これは地元からも非常に強い要望がございますので、鋭意促進をするということをあえて強く要請いたしておきます。
 次に、鉄道料金について私は伺いたいんですが、JR、私鉄、地下鉄の料金比較を見てみました。と申しますのは、JRが高くて私鉄が非常に安いという声がございまして、少し駅が遠くても私鉄のところまで行って定期を買わなきゃならぬという声をよく聞くんですね。
 今、具体例を伺いたいんですが、小田原まで行くのにJRの東海道線で行くのと、新宿から小田急で小田原まで行くのと値段が現実にどのぐらいかということをお示しいただけますか。それから、中央線が同じような距離で走っているわけですが、例えば新宿から八王子までJRで行くのと京土線で行くのと値段がどういう状況であるか、ちょっとお示しをいただけませんでしょうか。
#153
○政府委員(丹羽晟君) まず、東京−小田原と新宿−小田原の関係でございますが、JRで東京から小田原まで参りますと普通運賃千四百二十円でございます。小田急で新宿から行きますと六百三十円でございます。それから、中央線の関係の方でございますが、JRの新宿−八王子間四百五十円、それから京王帝都で参りますと新宿−京王八王子まで三百十円、こういう関係でございます。
#154
○及川順郎君 ことしの四月現在の料金比較表を私手にしておるわけでございますが、大変なんですね。今の小田急線との比較で見てみますと、今答弁いただいたので見ますと六百三十円、千四百二十円、二・二倍ですよ。通勤定期で比較いたしますと小田急の新宿−小田原間で見ますと九千百七十円、片っ方が三万七千五百円、四倍ですよ。通学定期を比較いたしますと、東京−小田原間では小田急の方は四千百二十円、JRの方が一万八千九百六十円、四・六倍です。押しなべて東武鉄道と比較したり、西武鉄道と比較したり、京成電鉄と比較したり、京王帝都と比較したり、小田急は今申し上げました、東京急行電鉄と比較したり、京浜急行電鉄と比較しますと軒並みJRの方が高いわけです。
 同じ距離で、建設から今日までの営業の過程の中での歴史的な経緯もあると思いますけれども、サービスで三倍も四倍も違いがあるとは思えませんものですから、この原因をどのように分析なさっておられるのか、この点をまず伺いたいと思いますが、いかがですか。
#155
○政府委員(丹羽晟君) 確かに、先生御指摘のとおり、JRの方が大手民鉄に比べまして運賃上の割高感というのがございます。これは、国鉄再建のときからのJRの収入増加を図ってきたその結果という歴史的な問題もございますが、JRの場合は大手私鉄と違いまして、大手私鉄は基本的に、今比較している対象のところは優良路線を持っているという形であろうかと思いますが、JRはそういうところばかりではなくて多数の地方路線も抱えているわけでございまして、ここで生じる赤子につきましてそれを補てんするというそういう構造にもなっておりますものですから、その辺のこころがある程度内部補助関係上、今までそういうような運賃体系をとってきたのではないかと考えております。
#156
○及川順郎君 私、先ほど申し上げましたけれども、今までの経営の過去の経緯、これが原因にあるということは私たちはよくわかるんです。しかし、やはり利用者の心情から考えますと、ほかのところも大体二倍ないし三倍、少ないところでも倍近くの差が出ているということは、利用者の心情から見ますと一々JRに対する同情だとか過去の経営の経過等の理解を得るというのは私は難しいと思うんですね。結局私鉄は安い、JRは高い。高いか安いかというこの心情だけ残る。しかも、そのために、自分たちの生活の知恵ですけれども多少遠くても私鉄の駅まで行こう、こういう状況が出てきている。これはやはり改革をしなければならない大事な要素ではないか。鉄道交通は公的機関の性格が非常に強い状況から考えますと、国鉄当時からの経緯がありましても、利用者に対するサービスというのは私鉄に負けないような努力をしていくべきではないか。多少、ちょっとぐらい高いというんならまだわかりますけれども、ひどいものになりますと二倍から四倍以上の差があるというのは余りにあり過ぎるんではないか、こういう感じを強くするわけでございます。
 今後、利用者の立場に立った料金に対する改善、これを私は強く利用者の立場に立って要望せざるを得ない。これにつきましては、当局と大臣の所見を含めた将来に対する決意のほどを私は伺っておきたいと思います。
#157
○政府委員(丹羽晟君) 先ほど申し上げましたように、JRは大手私鉄と並行区間の一部につきましては確かに割高になっております。それで、現在国鉄改革を進行中の段階でございまして、幸いにして、JR各社はここ二年間黒字経営を確保することができるようになりました。ただ、まだ国鉄のいわゆる長期債務につきましての対処することが残っておりますので、そういう意味ではJRの株式が長期債務の返済の一つの大きな要素でございますので、そのための会社の内部留保というんでしょうか、そういったような方向のこともぜひ考えていかなければならない、そういうところでございます。
 それで、そういう意味では運賃の下げる方向の話の前に、サービス改善の方策といたしましては、設備投資の面で輸送力増強といったようなことをまずは図りながら行っていくのが、国鉄改革の途上のJRとしては精いっぱいのところではないかと考えております。
#158
○国務大臣(山村新治郎君) おっしゃられる趣旨、よくわかります。特に運輸の問題につきましては安全第一、そしてサービスということでございますので、その趣旨を頭に入れながら今後も指導してまいります。
#159
○及川順郎君 当面はサービスの充実に力をというただいまの答弁は、利用者の感情には、すとんと胸に落ちないと私は思うんですね。考え方として、A地点からB地点に行くのに幾らかかるか、これが基本です。ましてや通勤、通学なんというのは、その間にどういうサービスを受けるか。長距離の場合には別です、一晩かけて移動するとか、こういうときにはそれは多少の状況があるかもしれません。しかし、三十分あるいは小一時間の間にA地点からB地点へ移動するのみということを考えますと、しかも座れる人はごくわずか、ほとんど立ちん坊。こういう状況の中から考えますと、やはり料金を安くする、ここから出発をしないと利用者の理解が得られないんじゃないか。これは運輸関係として、利用者の気持ちに立って物事を考えるという点から考えますと、やはりそういう発想に立つということが私は一番大事じゃないかと思うんです。
 ここにおられる皆さんだってみんな通っておるわけですよ。利用しているわけです。JRをお使いになってかあるいは私鉄を使っておられるか、状況はわかりませんけれども、心の中で利用者の側に立てば、やはり安く速く、しかも安全にと、こういう状況が利用者の気持ちでございまして、その発想に立って料金体系も考え直す、そして将来に対しての計画を持ってこれに取り組んでいくという姿勢をぜひ運輸省としては持っていただきたい。私はこのことを強く要求しておきたいと思っております。
 次に、今まで鉄道関係について見てまいりましたけれども、バス輸送についても若干伺っておきたいと思いますが、バス輸送の現状、利用の状況や混雑の状況についてはどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。
#160
○政府委員(阿部雅昭君) バスの、特に先生御指摘の点は路線バスの問題かと思いますけれども、路線バス、一時は一年間で百億人を超える輸送需要があった時代もございますが、最近は七十億人を割るところまで来ております。これは、都市部、地方部それぞれ理由があるかと思いますが、都市部におきましては、やはりバスが渋滞等に巻き込まれて定時性が守れない等のことから、信頼性が失われて需要が減っている。地方につきましては、いわゆる地方の過疎化というようなことから利用客が減っている。それぞれ裏にはモータリゼーションの進展、自家用車の増加ということがあるかと思いますが、そのようなことで都市部におきましても地方部におきましても苦しい経営を強いられており、先ほど鉄道で言いましたような混雑率で大変だというような状況とは逆な状況になっているのがバスの実情かと思います。
#161
○及川順郎君 今、地方のお話ではなくて、東京、首都圏の状況に絞りまして、どういう分析をなさっておられるのか、どういう受けとめをしているのか、それを伺いたい。
#162
○政府委員(阿部雅昭君) 首都圏におきまして、また都内におきまして、それぞれ民営、都営のバスがございますが、通勤、通学輸送に鋭意重要な役割を果たしていることは事実でございます。ただ、表定速度その他が混雑のために守られにくいといったようなことから利用者の減を若干招いてきている、毎年招いているということは事実でございますが、私どもそのための改善策としまして都市バスの改善対策にいろいろ補助金も交付することにいたしまして、信頼性を回復するような措置を運輸省としては努力しておりますし、また警察の方にも優先レーン、専用レーンといったものの指定あるいは優先信号といったようなシステムの採用とか、都市バスが十分機能していく環境づくりについては別途いろいろ努力しているところでございます。
#163
○及川順郎君 今、バス専用・優先レーンのお話が出ましたけれども、首都圏の一般道の混雑の要素の中で、例えば路肩のところに一時停止をして荷をおろしたり積んだりしている、それから、バスの停留所のためにこれがとられている、何車線もありましても一車線もしくは二車線はつぶれている。こういう状況の中で、それは自動車交通の一般道における渋滞の要因にもなっている。これは私は事実だろうと思います。
 こういう問題に対して運輸行政の側の見地と、それから、そういう交通ルールを守ってきちっと規制する警察の側から見た論理があると思うんですが、この問題に対する道路利用について、まず運輸省と警察、両方から交通関係についての所見を求めておきたいと思います。
#164
○政府委員(塩田澄夫君) 運輸省側といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたが、鉄道やバスなどの公共交通機関の整備を通じまして、間接的に道路交通渋滞の解消に努力をするということに今まで全力を傾注してきたわけでございます。
 なお、昨年七月に交通対策本部におきまして大都市における道路交通円滑化対策がまとまりましたので、これらの措置につきまして、関係省庁と協力しながら道路の混雑の緩和のための努力もしているところでございます。
#165
○説明員(島田尚武君) 都市における渋滞の問題、基本的にはるる御質問があったように、道路の整備であるとか、あるいは都市機能の分散化とか鉄道の整備とか総合的な中で考えていかなければいけない問題だと思います。
 警察の当面の問題ということで考えるならば、公共輸送機関と同時に、マイカーを含めた全体の問題として考えていかなければいけないと思います。今、例えば都内の一日の交通量というのはおよそ八百万台から九百万台あるわけです。そのうち貨物等が三割ぐらい、その他が七割、こういうふうな道路交通があるわけでありますが、そういう中でいずれも非常に重要な役割を担っているわけで、もちろんバス専用あるいは優先レーンということも鋭意都内においても実施しておるわけでありますが、私ども総合的に見ますと、やはり各道路における交通量を正しくキャッチして、そしてこの限られた空間を交通管制センターでコンピューター制御をして信号調整等をして最も有効に使う、こういうことがまず第一であろうと思います。
 同時に、先ほど荷物の積みおろしのような問題、これは駐車問題全体にも関係してくる問題でありますが、トラック等の荷物の積みおろしについてはやむを得ないものについては必要な措置をとり、あるいは工場、工事現場内、路外に出せるようなところは鋭意そうい方向でやるように業界指導等に努めているというのが現状でございます。
 さらに、最終的に私どもこの渋滞の問題を警察としてどういうことができるかというふうに考えた場合には、運輸省等々と十分連携しながら交通渋滞あるいは工事、事故、こういった情報を丁寧にドライバーや、あるいは家庭を出る前の車利用者等に伝えて有効な交通手段の選択、交通配分ができるような社会システムを情報の高度化の中で進めていくことが我々の任務ではないか、こういうふうに考えているところであります。
#166
○及川順郎君 ちょっと耳の痛いお話になるかもしれませんが、数日前に私は車に乗せていただいて通っていたときに、五十ccのバイクを警察の方がつかまえている、まあ小さな子供です。その周辺には違法駐車がぞろっとある。そのときのイメージというのは、あんな子供をやっているよりもこの違法駐車を何とかしてもらった方が交通の渋滞という点から考えるとそちらの仕事の方が大事じゃないか、車の中でそういう話題になったわけです。
 素朴な、それはたまたまそういうところに出会わしたという状況かもしれませんけれども、やはり専用レーンが必要であるにもかかわらず、また、積み荷の積んだりおろしたりという必要性の状況もあるかもしれませんが、違法駐車が多過ぎるし、違法駐車が交通混雑の大きな要因になっている、これはもう私は否めない事実だと思うんです。こういう点に対する取り締まり指導を警察としてはきちっとやっていただきたい、こういう声が非常に強いわけですけれども、この点に対する所見を伺っておきたいと思います。
#167
○説明員(島田尚武君) 東京都内で瞬間の路上の違法駐車というのを調べてみますとおよそ二十万台という数字があります。一方、都内において路外でそういう車がとまれる場所というのは、私、今正確な数字を持っておりませんが、二万弱であったと思います。これは大変大きな乖離があります。警視庁およそ四万の警察官でありますが、特にこういう渋滞の問題が大きいのは朝の通勤、通学時間帯あるいは夕方のラッシュ時、こういうようなことで集中してまいります。青梅街道等でも朝の七時ごろには交通量が一挙に十倍ぐらいにふえる、こういう状況であります。
 そういうような中で、昭和六十一年の第百四回国会において駐車対策等を中心に道交法の改正が行われました。特に、渋滞の大きな原因になる交差点周辺等、こういったところでの駐車についてはその余の駐車に比較して罰則等も重くされたところでありまして、限られた警察力でありますが、機能的に運用して交通の障害の大きいところから集中的な取り締まりに努めている、こういうところであります。
 また、路外に駐車場がなくてやむを得ない場合ということもあるわけでありまして、その場合には路上であっても迷惑性の少ない場所に短時間の駐車スペースを整備する、こういうことも一方でしながら少しでも駐車による渋滞の発生を減らすように第一線の警察官総力を挙げて頑張っている、そういう認識であります。
#168
○及川順郎君 極端な例を申し上げて嫌な思いをされたと思いますけれども、私の本意は、むしろ今いみじくもおっしゃられたように、二十万台に対してとめられるところは二万台。都市そのものに問題が出てきている、車社会の中で都市づくりそのものに問題が出てきている、この点なんですよ。ですから運輸大臣、建設省、関係省庁とよくこういう問題をきちっと踏まえて、少なくとも現場においてやる気持ちがあってもそれができない、こういう状況を勘案しますと、首都圏における町づくり、車社会における町づくりのあり方このもの自体にメスを入れるという考え方を持ちませんと、抜本的な解決策にはならないということをぜひ深く認識をしておいていただきたいと私は思うわけでございます。
 バス輸送に関しまして、運輸省でも深夜バスの採算がとれるという地域のデータを試算したということが先日の報道にございました。深夜バスの運行状況等、あわせまして現状、それから今後の充実等につきまして考え方がございましたら運輸省のお考えを伺いたいと思います。
#169
○政府委員(阿部雅昭君) 先般、四全総で提案されました都市活動の二十四時間化に対応した効率的移動手段の確保の必要性といったことをテーマにいたしまして、四全総推進調査費によりまして大都市における深夜輸送量確保のための調査を実施いたしました。その結果によりますと、終電後に都心から郊外へ向かう深夜帰宅輸送のニーズにこたえる効率的な輸送手段として、鉄道代替的な深夜バスの運行が考えられるということで、ケーススタディーとしましても都心から郊外への七路線について需要予測を行いました結果、採算ラインを満たす需要が見込まれるという結論になったわけでございます。この調査委員会には深夜輸送を検討しているバス事業者も参画してもらっておりますし、事業者の意向は十分踏まえた調査結果になっているものと考えております。
 運輸省としましては、この調査結果を踏まえまして鉄道代替的な深夜バスの導入、拡充をバス事業者に指導してまいりたいと考えておりますし、既に一部の事業者におきましては来月早々にこのような運行を開始するという予定となっているところもございます。今後も深夜輸送力の確保に向けて路線の拡充に努めてまいりたいと思っております。
 現在のところ、深夜バスという形で運行しておりますのは首都圏、東京、神奈川、千葉、埼玉におきまして二十事業者二百十一系統、延べ四百六十三の運行回数が行われておる状況でございます。
#170
○及川順郎君 時間がなくなってまいりましたので簡潔にあと一、二点お願いしたいんです。
 深夜バスの採算というのは、人数的にいいますと最低でも二十五人から三十人の利用者が必要である、そういう点からこの乗り合いタクシーが非常に重宝がられている、こういう状況もあるわけでございますが、この乗り合いタクシーについての考え方、あるいはまたハイヤー並みに乗り合いタクシーの運用と、それから料金等も含めまして現在考えがありましたならばその件についてのお考えを伺いたいと思います。
#171
○政府委員(阿部雅昭君) 乗り合いタクシーにつきましては、既に昭和四十八年ごろから始まっておりますが、当時はバスが早く終わるということで鉄道の終電に間に合うような形での輸送力をどうするかということから乗り合いタクシーが導入された経過がございます。そのようなものが現在では東京、神奈川、千葉、埼玉という主な駅に、大体駅から団地を行き来するというような運行形態になっておりますが、三十三系統が運行されておるということでございます。しかし、最近では深夜の輸送需要が非常にふえているということで深夜バスがむしろ大量の輸送に適するという形で導入されてきているという方向にございまして、これらが若干競合関係にはございますが、それぞれ適宜需要に対応した形で運行されるのが望ましいと私ども考えておりまして、今後、乗り合いタクシーなどは深夜における都心−市街地の近距離移動客の利便といったことにももっと活用できるんではないか、そんな方向でも検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから、ハイヤー運賃についての弾力化の御指摘がございましたが、ハイヤー運賃につきましても需要に応じて弾力化していく。また、そのようなことによって需要を喚起する必要があろうということから、長距離逓減制あるいは閑散期の割引制、ハイグレード車両を使用する場合の割り増し運賃といったようなことを弾力的に導入できるというような制度を設けたところでございます。タクシー運賃につきましてもできるだけそのような趣旨に沿って対応することが妥当であろうということで、昨年の五月以降特定大型の車両運賃を導入いたしますとか、観光地における名所旧跡をめぐるルート別運賃というようなことを設定して、利用者にわかりやすく利用していただけるようにするとかというようなことを工夫しておりますが、このようなサービスに応じました適当な運賃設定が今後も必要であろうと思いますし、十分事業者の意見等も聞きながらそのような方向での努力をいたしたいと考えております。
#172
○及川順郎君 私は、このほかに首都高速道路の慢性的な渋滞、さらには、通勤地獄の改善策に対して等幾つか質問を用意してまいりましたけれども、時間が参りましたので、最後に、首都高速道路というのは高速ではないんじゃないか。高速ではなくて料金だけ取られている、こういう思い、利用者の心情というものはもう限界に来ているんじゃないか、この渋滞状況を警察は交通機関としてどのように状況分析をされているのか、この事態をどう改善しようとしているのか、これは公団側の意見を伺いたいと思うんです。あわせまして、東京湾横断道の建設等も含めまして道路交通網の整備等今取り組んでいる問題がございますが、おしなべて首都圏における交通渋滞の解消、これに向けての大臣の決意のほどを最後に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#173
○説明員(小池登一君) お答え申し上げます、
 首都高速道路における慢性的な交通渋滞の発生は、道路の交通容量を超える過度の交通量の集中が大きな原因であるということは先生御承知のとおりでありまして、ちなみに、昭和六十三年中の首都高速の一日の平均交通量は約八十四万台でございます。これに対しまして交通容量は約五十万台である、したがって、ラッシュ時等には恒常的な交通渋滞が発生している状況でございます。
 数値的なデータでございますけれども、これは首都高速道路公団の資料によりますと、昭和六十三年度中の渋滞状況、この渋滞の定義でございますけれども、時速が二十キロ以下、車列の延長が一・五キロメーター以上、かつまた、そうした状態が三十分以上継続した場合を申しますけれども、この渋滞状況が一万六千七百八十九回、一日平均四十六回、延べ渋滞時間が三万七千六百九十五時間、一日平均二時間十五分、延べ渋滞距離が六万三千六百八十七キロ、一日平均三・八キロとなっております。これを六十二年度に比べますと、回数では二千五百五十六回の増加、一日平均七・一回の増加、延べの渋滞距離で七千二百五キロの増加、一日平均〇・二キロ増と渋滞状況は悪化しておる状況でございます。さらに、昭和六十三年度における料金所の閉鎖回数は三万二千十七回ということでございまして、延べ時間二万四千六百十七時間ということでございまして、六十二年度に比べまして回数にして六千三百六十二回の増加、延べ時間は九千八百四十九時間の増加ということになっております。
 こういった状況を踏まえまして、警察が具体的にどういう施策をとっておるかということでございますけれども、我々としましても首都高速道路の適正な交通状態を確保して高速道路としての機能を維持する、このことについては極めて重大なことであると認識しております。このため、現場を担当する警察といたしましては、利用者に対しては積極的な交通情報の提供、都市高速道路への流入制限、入路閉鎖、流出指導、こういった交通管制を適時適切に実施いたす。同時にまた、関係機関との連携も大変大事だと思っております。そういったことを通じまして、交通渋滞の原因となる交通事故の抑止、事故発生時の迅速な処理、故障車両の早期排除、運転者の遵守事項違反等々の指導、取り締まりを推進することが必要であると考えております。
 特に申し添えますが、首都高におきましても、道路工事に起因する工事渋滞というものも激しくなっております。したがいまして、警察といたしましても、その工事渋滞を緩和する一方策としまして、首都高速道路公団に申し入れをいたしまして、工事施行期間、曜日、あるいは時間の指定、あるいはまた通行路を確保して集中工事を採用する、そして、工事日数を減らすというようなことを申し入れておりまして、これを昨年度から採用していただきまして交通渋滞の軽減に何がしかの成果を上げたということでございます。
 今後とも、交通渋滞の緩和を図るために、関係機関と連携を図りまして高速道路の円滑化対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
#174
○国務大臣(山村新治郎君) 運輸省といたしましては、従来から鉄道、バスなどの公共事業機関の整備を通じて、道路交通渋滞の解消に努力をしてきたところでございます。しかし、これは一運輸省だけで解決できる問題ではございません。建設省を初めとする各省庁と綿密な連絡をとりながら、今後とも努力してまいります。
#175
○小笠原貞子君 まず最初に、航空運賃の南北格差の問題についてお伺いしたいと思います。
 せんだっても山村運輸大臣のところへお伺いいたしまして、いろいろお願いも申し上げましたが、この席でまた改めて申し上げたいと思います。
 この問題、私、大臣がおかわりになるたびにお願いをしてまいりまして、ちょっと記憶をたどってみても、五十九年の四月、細田運輸大臣のときでございました。それから三塚運輸大臣、橋本、石原、いずれの運輸大臣もこの問題については大変御理解をいただきまして、前向きに検討しましょうと。格差は問題であり、バランスも失っている、是正したいと、こういうふうにおっしゃってくださいまして、それじゃいつやっていただけるんですかと申し上げましたら、その時期については運賃改正のときというふうにお約束などもいただきまして、山村運輸大臣でちょうど五人目になりますので、もうこの辺でこの問題についての決着をつけていただきたい、そう思うわけでございます。
 幸い、今、JALにしてもANAにしても決算を前に控えまして、史上最高の好景気などということが出ております。また、前の大臣のときに、ちょっと問題のネックだと言われたのが日本エアシステムだったわけですけれども、その日本エアシステムの社長も是正を前向きに対応していきたいと、こういうふうにおっしゃっておりますので、条件はもう熟してきたという中でございますので、ぜひ善処していただきたいということで大臣の御所見をまず伺いたいと思います。
#176
○国務大臣(山村新治郎君) 御存じのとおりに、昨年十二月、道東四路線につきまして、経路変更に係るコスト軽減分ということで千円値下げしました。あと、歴代の運輸大臣それぞれお答えがあったようでございますが、私としましては、六十三年度の決算の状況、燃油費等の今後の費用の動向、全国的な路線ごとの費用構成等の分析を十分に行った上で、できるだけ早い機会に、可能な範囲内での所要の調整を行うことを検討してまいります。
#177
○小笠原貞子君 できるだけ早い時期に改善したいとおっしゃっていただいて、何かちょっとほっとしたような気がいたします。
 エアシステムの社長も、今年の秋までにはというふうなことをおっしゃっていましたし、いろいろ御検討いただいて、できるだけ早い時期というのは秋のその辺だろうなと私も思っておりますので、そういう意味でも御努力を、御検討いただきたいと、重ねてお願い申し上げます。
#178
○国務大臣(山村新治郎君) 今申しましたように、六十三年度の決算、そのほか所要の条件をいろいろ検討した上で、できるだけ早い機会にやるということでございます。
#179
○小笠原貞子君 それじゃ次に、内部障害者の交通割引の問題についてお伺いいたします。
 この問題につきましても、私調べてみましたら、一九七二年の六月、つまり十七年前だったんですね。私この問題を社労で取り上げまして、御承知のように外部障害者の方も大変だけれども、内部といいますと心臓とか、低肺だとか、本当にもう外部障害者には考えられないような、また大変なハンディを持っていらっしゃいますので、私はもう身にしみましてこのことをずっと十七年前からお願いをしてまいりました。幸い、国会におきましても、百九国会以来三回ですか、この請願を採択いたしました。そして、これも時期が熟したと申しましょうか、JRもこれに対応する動きというのが出てきておりますね、活発にと言いたいところなんです。仮にこの割引を導入いたしますと、どれぐらいの負担になるというふうに見ていらっしゃいますか、お伺いいたします。
#180
○政府委員(塩田澄夫君) 現行の身体障害者割引制度の適用範囲を内部障害者へ拡大した場合の減収額でございますが、JRにつきましてはおおむね十億円程度と推計されるところでございます。
#181
○小笠原貞子君 橋本前運輸大臣のときにお願いに参りましたときに、JR東日本はいいんだけれども、経営の弱い北海道などと調整しなければということが問題だと言われたわけでございます。その後、実はJR北海道は私の地元でございまして、何回も伺いました。先月の六月五日にもお伺いいたしまして、JR北海道としてぜひお願いしたいと申し上げましたら、ここでも年内に実現する方向でJR六社グループが調整を進めているという大変に好意的な御回答をいただきました。また、六月十七日にもJR東日本に伺いまして、そこでも現在詰めの段階にあり、できるだけ早く要望にこたえたいということをお答えいただきましので、ぜひこういうJR東日本も、それから北海道もというふうに機が熟してきてたりますときてございますので、ぜひ大臣、この問題についても前向きに御検討いただきたいということでお願いをしたいと思います。いかがでございましょうか。
#182
○国務大臣(山村新治郎君) 東日本でそのようなお話があったのは聞いております。しかし、まだ運輸省へは正式には参っておりません。
 ただ、一つございますのは、このような運賃割引制度の拡大適用というものが、内部障害者だけでなく、精神薄弱者や難病患者からも要求されており、内部障害者の問題にとどまるものではないということもお考えいただきたいと思います。そしてまた、電気やガス、そのほか電話もございますが、交通の割引のようなものはありませんので、そこらも十分考え、いろいろな面で検討した上で慎重に対処していきたいと思います。
#183
○小笠原貞子君 慎重に対処していただくのは結構でございますけれども、内部障害者の方たちが本当に命をかけての毎日の中での切実な要望でございますので、ぜひ本当の前向きで検討していただきたいということと、そしてJR東日本もそういう意向でございましたし、北海道もそういう意向でしたし、この問題はJR六社が検討するという段階になっておりますし、まだそちらの方には申請は上がっていないということでございましょうが、申請が上がった場合には、当然それはJR自身がやるという気になっているんだから、その申請上がったときに、おまえはもうちょっと待ってろというような、そういう俗な言葉で言えばブレーキをかけちゃうなどということはなさらないと思いますが、大臣として御意見いかがでございましょうか。
#184
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほど申しました諸問題についても十分検討の上慎重に対処さしていただきたいと思います。
#185
○小笠原貞子君 十分検討の上慎重に前向きにというのは、大変抽象的で私の方はそれでは大変困るわけなんでございます。具体的に心配なさるのはいろいろな範囲が広がっていくじゃないかとかいう問題ですよね。だけれども、JR自身がそれについてうちの方ではやりたいと申請してきたときに、これをしてはいけないと抑える理由は何にもございませんね。そういう場合には大臣いかが、常識的に。横から余り変な入れ知恵しないでよ。
#186
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほど来申しておりますように、諸問題について十分検討の上慎重に対処さしていただきたいと思います。
#187
○小笠原貞子君 ちょっとしつこいようですけれども、大臣それはそうなの、十分検討しなきゃ、軽々しくやられたんじゃ困るの。だけれども、その検討はおたくが検討するという段階じゃなくて、JR自身がこうこうこうでやりたいというときに検討しなきゃならないからといって抑えられるということはまさかないと、私は善意に思うんですけれどもね。
#188
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほど来申し上げておりますように、いろんな問題点について十分検討の上慎重に対処さしていただきます。
#189
○小笠原貞子君 大臣なんだから、もうちょっと歯切れよくはっきり考えていることおっしゃっていただきたいと思いますよ。これ繰り返しになっても時間がもったいないから……。
 先ほど十億円とおっしゃいましたよね、これにかかる費用というのが。確かにそういう計算が出ると思うんですよ。だけど、言わせていただければ、食べるものではなくて、何が食べれば十億円の支出になるかもしれないけれども、汽車があいていて空気を運んでいるというようなことも言われるときもあるわけなんだから、これで十億円の計算が全部出費、減収ということには、計算では出ると思うけれども、むしろ今まで旅行ができなかった人たちが補助の割引してもらってそして乗ることができるということになれば、減収じゃなくて乗ってくれるんだからプラスになる、増収になるという考え方にもなるわけですよね。
 そういうことからも、繰り返しのお答えになりそうでございますけれども、内部障害者の状態というものを考えたら、これは本当に同情すべき点があると、ハンディを。これはちゃんと保障してあげなきゃならないということと、JR自身が申し込んできたときにも十分な検討をしてからということで抑えるんじゃなくて、JR東日本、北海道が申請してきたら、その検討という中身はほかの六社についてもしっかり一緒にやりなさいよという前向きの検討であるべきであって、これはまだだめというような、ゆめゆめブレーキの役割を果たさないでいただきたい。運輸大臣としての本当の意味の検討ということについて私は期待したいと思いますからよろしくお願いします。1同じお答えだからね。その問題は期待しておりますのでよろしく本当の御検討をお願いしたいと思います。
 次は、JRの不当労働行為の問題について伺いたいと思います。
 国鉄の分割・民営に伴い、決してあってはならない特定組合に対する差別が行われたということで、JRに対する不当労働行為事件が約百六十件に及び、既に三十二件命令が出され、すべて組合側の主張どおり救済命令が出されております。ところが、JRはいまだにこの命令に従おうとしておりません。まず、労組法二十七条五項では、中労委に申し立て結論の出るまではその地労委の命令は効力を持つ、すなわち地労委の命令に従う義務があるということになるわけでございますが、JRは違法行為を続けていると言わざるを得ないんでございますが、大臣どのように考えられるか。
 そして、この問題について労働省としての見解をお伺いしたいと思います。
#190
○政府委員(丹羽晟君) 今、先生御指摘のJRの採用をめぐりますいわゆる不当労働行為事案ということで、地方労働委員会からJRに対し救済命令が出ているということは十分承知しております。
 同時に、JR各社がそれぞれ中央労働委員会に対して再審査の申し立てをしている、そういうことも承知しておりますので、これらの事案につきましては、今後中央労働委員会で審理が進められるということになるので、当事者間で係争中の問題でございますので、私ども行政が何らかの形でそれに対してどうこうという話にせずに、今後の推移を見守ることが一番のこの際の適当なことではないかと考えております。
#191
○説明員(渡邊信君) 先生おっしゃいますように、労働組合法の二十七条では地労委の命令に不服ある場合には中労委に再審査申し立てをできる。ただし、その場合に当該命令の効力は停止しないというふうに労働組合法で規定してあります。したがいまして、使用者には地労委命令に従う公法上の義務があるかというふうに考えております。
 ただ、一方で地労委命令に対しまして不服がある場合には中労委に再審査申し立てができる、あるいは裁判所に訴えを提起できる、こういうふうなことになっておりまして、裁判に訴えた場合には強制力のあるいわゆる緊急命令の制度もある、こういったことを総合的に考えますと、この地労委命令の効力を停止しないという規定は使用者の任意の履行に任されている、こういった義務である、こういうふうに従来から私どもは解しております。
#192
○小笠原貞子君 それじゃ、つまり従うのも従わないのも任意である、従わなければならないというのではなくて、ということになるわけよね、今のお答えでは。だけれども、地労委の命令というのは一般的に言って従う義務があるわけでしょう、中労委に申請しようが裁判の、それが変更にならない限り、そうですね。従う義務がまずあると、地労委命令は、ということはそのとおりに理解してよろしいですね。その問題だけについて。
#193
○説明員(渡邊信君) 先ほど申し上げましたように、労働組合法の二十七条では、再審査申し立てをしましても地労委命令の効力は停止しないというふうに規定しております。
#194
○小笠原貞子君 つまり、地労委の命令は中労委に申請しても、命令としては従わなければならないというのは一つにあるわけですよね、これ中労委でひっくり返されない限りは。それでいて同時に、従うも従わないも任意であるという解釈もできるというふうになるわけですよね。ここのところでまことに矛盾した見解というのが出てくるわけですよね。
 私もその辺がややこしいので、従う義務があると言われるから、一体義務とは何であるかというので、机の上に広辞苑というのがあったので、ちょっと義務とは何だと聞いてみたら、「好悪にかかわりなく当然なすべきこと。」、「法律上課せられている拘束。」であると、こういうふうに書かれているわけですよ。だから、そのことを考えるとやっぱり従うということが一般的に言っても当たり前の常識だと、そういうふうに言わざるを得ないんだけれども、その辺については大臣どういうふうに考えられますか。やっぱり地労委命令というのは中労委に申請してひっくり返るまでは効力は生きていると、命令に従う義務があるという解釈なんですがね。
#195
○政府委員(丹羽晟君) 先ほど来の労働省の御見解も含めまして、先ほど来のお話のように、地労委の救済命令が有効であるということは法律上そういう形であると思います。
 しかし、同時に法律上当事者としては上級の中労委ないしあるいは司法裁判所なりへのいろいろな問題提起ができるわけでございますので、現在当事者の方がそういうような措置をとっており、あるいはとろうとしているという段階でございますので、これはまさに係争中の話になるんではないかと思います。したがいまして、私どもの方としては、当事者が法律上認められている手続を進行中の段階で、私どもがとかく申し上げるということではないんではないかと思っております。
#196
○小笠原貞子君 そこで、労組法の二十七条五項という規定でございますね。これは昭和二十四年、労組法の改正により労働者の保護を図り、迅速に原状回復をするという目的でつくられたものでございます。それは御承知だろうと思います。
 その当時の議事録を調べてみました。そうしたら、ここにこう書いてあるんです。「再審査の申立てをしたからといって、地方労働委員会の命令がすでに効力を停止するのでは、労働者保護に欠けるおそれがありますから、中央労働委員会がその命令につき不当その他の疑いがあって、事件を取上げる価値があるとして、再審査を開始する決定をするまでは、完全にその効力を保つものといたしまして」と、こういうふうに議事録でお答えになっていらっしゃいますね。そのときの事情というのは御承知でいらっしゃいましょう。この二十七条の五項というのがいつ、どういう意味を持ってここに盛り込まれたかといういきさつについては御存じでいらっしゃいましょうね。
#197
○政府委員(丹羽晟君) 基本的にはこの法律の所管は労働省でございますものですから、そういう意味では私ども詳しくは存じ上げません。
#198
○小笠原貞子君 今も申し上げましたように、中労委に申し立てしたからといってこれが無視されるようでは労働者を守ることができないということから、労働者を守るという立場に立った保護規定として、このときに盛り込まれたものなんでございます。
 それから大臣、先ほどから中労委に行っているからちょっとコメントしにくいといろいろおっしゃいまして、私もその立場は十分わかるわけでございますけれども、まあこの問題がなぜ起こったか、どこで起こったかといいますと、一般の会社で起きた問題ではなくて、国の施策によって分割・民営ということが行われたその途上での問題でございます。そしてまた、株主は一〇〇%清算事業団、いわゆる政府の企業と言ってもいいと思うんです。そして、JR職員は法律でいいますと準公務員、こういう形になりますよね。そうすると、率先して法に従う義務がある、こういうふうに解釈はもうきちっと出てくるわけですよね。そうしますと、こういうふうに義務をどっちでもいいやというようなこの態度は好ましいとおっしゃれますかね。
 竹下さんの、好ましくないわなという言葉が私頭に残りますけれども、きっと大臣もそういう状態で好ましくないわなとお思いになっていらっしゃると思うんですけれども、単なる民間企業とは違うんだということね、私が言いたいことは。国の政策でもって、そして分割・民営化の中で行われたと。株主一〇〇%事業団、そして準公務員の立場にあるということなので、これは決して好ましいとはおっしゃれないと思うんですが、いかがでございましょうか。
#199
○国務大臣(山村新治郎君) 国鉄の大改革ということで、いろいろな問題が複雑に絡んでおると思います。運輸省といたしましては、係争中の事件でもございますし、とかくのことを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
#200
○小笠原貞子君 それじゃ、一般の会社でこういうことが起こったら、やっぱりこれは好ましくないとはっきりおっしやれるわけですね。今おっしゃった、運輸省としては、この間に起こったことだからおっしゃれない、こういうわけだけれども、一般の労使関係でこういう問題が地労委から出されたという場合のことを考えれば、好ましくないと言わなければならないと、一般論で言ったら。
 一般論までも否定なさいますか。
#201
○国務大臣(山村新治郎君) 係争中でございますので、差し控えさしていただきます。
#202
○小笠原貞子君 だから、係争中の問題じゃなくて、一般の場合で考えたらどうなんだと聞いているの。
#203
○国務大臣(山村新治郎君) 先ほど来申しておりますように、国鉄の大改革ということで、その過程においていろいろ種々複雑な問題もございましょう。そしてその上に、係争中ということでございますので、運輸省としてはとかく申し上げるのは差し控えます。
#204
○小笠原貞子君 どうもかみ合わないね。運輸省として係争中だというのわかるの。だからそれを切り離して私は聞いたの。一般の場合だったらどうなんですか。一般の場合にも言えない、一般の場合にも大臣見解は出せない、言えないと、こういうことですか。
#205
○政府委員(丹羽晟君) 私どもは、今、目の前にあります具体的な係争事案のことにつきまして申し上げておるんでございまして、その一般的な会社云々ということにつきましても、具体的な話でないと対応しにくいということでございます。
#206
○小笠原貞子君 言えないという言葉の中でその考え方がわかりましたので、次に進みます。
 次は、杉浦さん来ていらっしゃいますので、清算事業団職員の雇用対策という問題で伺いますが、もう来年三月、残り約十カ月と、これも午前中同僚議員から質問がありましたけれども、政府、国会の約束は、一人も路頭に迷わせないということだと。この約束は確固として果たせるのかどうかということなんですね。いろいろその間の事情だとか現状だとかは午前中伺いましたので、その約束を確固として果たせるというふうに考えていらっしゃるかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#207
○参考人(杉浦喬也君) 今、先生がおっしゃいましたように残りわずかになりました。私は今までも全力を挙げまして全員の再就職に向けて一生懸命やってまいりました。これからもより一層全力を傾注いたしまして全員が再就職をされる、また、諸般の情勢を見ますると、どうも昨年あたりまではなかなか、特に北海道、九州、雇用情勢が非常に悪い状態でございまして、民間採用が思うように進んでおらなかったわけでございますが、昨今の一般的な経済情勢に伴いまする雇用情勢が、若干明るい兆しが北海道、九州等においても見られます。一番問題なその両地域におきまする雇用情勢の好転というものも考え、また、私どもの誠心誠意の最大限の努力ということを傾注し、そしてまた、それに職員が十分に対応していただく、こういうことでございますれば全員の再就職は可能であるというふうに私は確信をしておるところでございます。
#208
○小笠原貞子君 御努力なすっていらっしゃること本当に御苦労だと思います。そしてまた、確信を持っているとおっしゃいましたけれども、本当に腹の底から確信ありますかと私は聞きたいのね。確信ないとはおっしゃれないからね。だから、確信ありますとおっしゃるけれども、それこそ客観的な情勢から考えますと、やっぱり決してそんな生易しい問題じゃないと思うんですね。努力して解決するんだったら今までだって解決しているはずなんです。
 そこで、私が申し上げたいのは、本当に確信を持って解決できるということをするためにも、そのためにも先ほどから論議しております不当労働行為問題の解決を抜きにして雇用対策ということは考えられないと言わざるを得ないんです。その地労委の命令でも、現にJR北海道、九州への現状回復という労働委員会の救済命令が出されているわけですよね。だから、ここのところを無視して一般の需要が少し伸びてきたからなどというのはちょっと考え方がそれていると思うんです。本当に根本的な解決をするためには、説得力のある命令が出されていることを考えれば、命令を実行していくという中でなければ本当の解決ということが不可能だということになってくるわけなんです。それに対していろいろ交渉したりお話をしたりしておりますと、地労委命令に対して過大な期待をされると困るというふうなことを言われて、そして普通の民間への就職というふうなことを言われていることもございます。
 そういうことをおっしゃるということは、すなわちあの地労委の命令というのは当てにならないんだよということにつながるわけでございまして、こんなことは労組法上許されないことだと言わざるを得ないわけなんです。本当に御努力なすっていらっしゃるということを私は否定はいたしません。本当に御苦労なさっていらっしゃると思いますが、幾ら言葉で努力をするとおっしゃっても、あと十カ月で期限というものがあるわけでございますから、たくさんの職員が残ってしまうということになったらどういうことになるんだろうか。その辺のところはもう絶対心配しなくてもいいというお答えなのか、そういう心配もある、そのときはどうすべきであると考えるというふうに考えていらっしゃるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#209
○参考人(杉浦喬也君) 再就職の促進法が来年の三月でその効力を失うということでございまして、これはもう目の前にだんだん迫ってまいっております。それに向かいまして、私ども先ほども申し上げましたように一段と努力を傾注いたしまして、最終段階ではとにかく全員に再就職をしてもらう、こういうことでやっていくということ以外に、今のところはそれ以上のことを申し上げることはできないと思うんです。私どもの努力を十分に見守っていただきたいというふうに思います。
#210
○小笠原貞子君 本当に見守って、成功してもらいたいと思うからこそ私としてもいろいろなことを申し上げなければならなくなるわけなんです。
 こんなことがあったら困るんだけれども、客観的に見てもう十カ月後には期限が来てしまう、そして残されたら一体この人たちはどうなるんだということなんですね。そこで、残ったらどうなるんですか。済みません、ちょっと教えてください。
#211
○参考人(杉浦喬也君) 残ったらどうかということを今考えることはいたしておりませんで、全員が残らないということで一生懸命努力をしたいと思います。
#212
○小笠原貞子君 残らないように全員きちっと再就職を保証するということですよね。そういうことをこの委員会でおっしゃったからには、残った場合の責任はどなたがどういう形でおとりになるんですか。
#213
○参考人(杉浦喬也君) たびたび申し上げますように、残ったらどうかということを今考えておりません。残さないように一生懸命頑張っていくということでございます。
#214
○小笠原貞子君 あのね、無責任なのよね、考え方が。あなたは残らないのよ。残る人たちが今真剣に考えているんでしょう、清算事業団の中で。来年の三月で期限が来るよと、おれたちは地労委の命令が出たと、それに頼って何とか善処してほしいと言うけれども、これには善処するという姿勢がないと。そして言えばそういうことはあり得ないとおっしゃる。それじゃ補償がどうなんだと言ったら、そんなことは考えておりません。あなたの立場はそれで済むかもしれないけれども、清算事業団に置かれて毎日苦しんで自分の将来の生活をどうだと考えている人たちに対して、責任持てない、そういう言葉ではまことに残念なことをおっしゃると私は思います。
 それで大臣、これは真剣な質問なんですけれども、さっきも所信表明の中でおっしゃっていましたよね。「再就職という大きな課題が残されており、これらの円滑な処理なくして国鉄改革が成功したとは言えません。」と。私はそのとおりだと思うんですよ。本当に五人や十人残っているんじゃないでしょう、この人たちを十カ月のあと余裕でもって一体どうなるんだと、これ素朴な質問なんですよ。いや、任せておいてくれとこうおっしゃるけれども、任せます、任せますから任せたことの責任においてそれが現実にできなかった場合の責任はだれがどういうふうにとってくれるのか。清算事業団は解散しちゃいまして杉浦さん全然知りません、運輸大臣が全部、男山村新治郎しょってくれるとおっしゃっていただけるんなら私これでおとなしく下がるんですけれども、そう辺のところ私本当にもうこの問題質問するたんびに胸が痛むんです。家族から何から本当にどんな気持ちで今いるかと思いますので、その辺のところいかがですか。
#215
○政府委員(丹羽晟君) 先ほど来杉浦理事長がるる御説明申し上げてますとおり、残されたこの十カ月で清算事業団としては最大限の努力を今やっているところでございます。
 私ども運輸省の方といたしましても、その努力のサポートをできるだけする、そして残された再就職の未定の方々に全員再就職していただく、そういう努力を一生懸命進めていく、こういうことであります。
#216
○小笠原貞子君 一生懸命やるのは当たり前のことなのよね。だから当たり前のことを何ぼ繰り返されたって解決にならないわけですよ。これが普通のところから出たんじゃなくて、さっきも言ったように国の政策として民営・分割という中から起きた問題でしょう。そうすると、ノーコメントだというそういう立場では私はひきょうだと思うのね。
 運輸省としても、そういう国の施策として出た問題でありますから、私が責任を持ちますとおっしゃってくださるのが当たり前なんだけれども、そっちはノーコメント、一生懸命努力していますということだけでは、私はそんなものかと、もう本当に失望、政治に対する失望、政府に対する失望、そして口でうまいこと言ったって何のことない、おれたちはそのときが来ておっぽり出されたら何の補償もないということをみすみす私は見たくないから、だから中労委で命令が出た、その命令に対して、そこに大きな解決策があるんだから、それに対してああだのこうだのノーコメントというのは、逆に言えばその命令に対する介入だと言わざるを得ないわけですよね。すべて命令については本当に真剣にそこでどうするかということを考えてもらいたいんだということなんです。
 私は、もうこれ最後にしますけれども、胸を張って杉浦さんおっしゃった、そして皆さんも一生懸命努力するとおっしゃった、信じましょう。信じるけれども、そこのところで、これはできなかったときの労働者に対してどういうふうなことになるのか。それは仮定のことだから言えないと、あくまでそうおっしゃるのか、その辺は労働者に対してどういう責任をおとりになるのか、最後です、もう一度大臣きちっと。はい、杉浦さんも。
#217
○参考人(杉浦喬也君) 私どもの現在の最大の責任の遂行は一生懸命再就職のための努力を傾注する、この一言に尽きると思います。
#218
○国務大臣(山村新治郎君) 清算事業団とも十分相談いたしまして、運輸省としてできることは全力を尽くして全員就職すべく努力してまいります。
#219
○小笠原貞子君 労使の安定というのは確かに必要な問題ですよね、解決するために。問題はその労使の安定ということを具体的にどのような考え方でそれを求め、指導してこられたかということが問題になると思うんです。本当に具体的に労使の安定に役に立っているかどうかということなんです。
 ここで一つ申し上げたいのは、JR東日本の住田社長なんです。六十二年八月六日の東鉄労大会でこう言っていらっしゃるんですね。民営・分割反対している時代錯誤の組合と言い、東鉄労が当社の一企業一組合になるよう援助を求めているということなんです。住田さんの発言が出ているんですが、この中には、「今なお民営・分割反対を叫んでいる時代錯誤の組合もあります。」云々、「このような人たちがまだ残っているということは、会社の将来にとって非常に残念なことですが、この人たちはいわば迷える小羊」、だから助けてやれと、こういうふうにおっしゃっているんですね。「時代錯誤の組合」。そして終わりで、「名実共に東鉄労が当社における一企業一組合になるようご援助頂くことを期待」している、こういうことを言っていらっしゃる。これはまさに国労や全勤労組合に対する不法な介入を公然とやっているということですね。労使安定どころか特定組合の排除、攻撃をやっているということは真の労使安定の立場には立っていない、私はますますこじらしていくと思うんですね、こういうことでは。こういうことをなくして本当の意味の労使安定ができるためにどうしたらいいかということも考えていただかなければならないと思うんですね。
 こういう住田さんというのは大したものね。この前、委員会で私が言ったら、中野の事件のときに、裁判でどういう判決が出てもそんなことは守らなくていいみたいなこと、議事録今持っていないから正確に言えないけれども、とんでもないこともおっしゃるしね。こういう労使介入、不当な介入やるというようなことが行われないように本当の労使の安定のために、大臣、こういうことがないように気をつけていただきたいし、ますますこじらせるようなことはしないでいただきたい。特定の組合を排除するなんということは労組法からいっても安定どころかとんでもないことになるということで、きちっとした姿勢で御指導、本当の意味の労使安定のためにやっていただきたいということを申し上げて終わりにしたいと思います。
#220
○政府委員(丹羽晟君) ただいま先生御指摘のJR東日本の関係の事実につきましては、私ども承知いたしておりませんので、そのことにつきましては何とも申し上げられませんが、一般論といたしまして会社の事業が円滑に行われるためには民間会社、民営会社にふさわしい自主的な労使関係が確立されていくということが大事なことではないかと考えております。私どもも折に触れそういう方向での指導をいたしているところでございます。
#221
○小笠原貞子君 ちょっと一分あるから言います。
 一本になってほしいというのは希望としてはそうだろうと思いますよ。だけど、自分たちに都合のいい一本になれというのは労働組合に対する不当な介入だと言わなきゃならない。だから、一つの組合であろうと二つの組合であろうと、そこのところで安定的な労使の関係をつくるということにしてもらわなきゃ、会社としては一本であってほしいから余計なものは抑えちゃうよと、一本だけだよということではこれは間違いだから、その辺のところは重々考えて、本当の意味の労使安定ということをやってくださいね。
#222
○政府委員(丹羽晟君) 先ほども御答弁申し上げましたように、先生御指摘の東日本の事実関係につきまして私ども承知しておりませんものですから、それについて申し上げているわけではございません。それとは別に一般論の話として先はどのようなことを申し上げたわけでございます。
#223
○小笠原貞子君 今言ったから、こういうのが事実として出ているんだからちょっと読んでやってちょうだい。
#224
○委員長(多田省吾君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#225
○委員長(多田省吾君) この際、日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。山村運輸大臣。
#226
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 新幹線鉄道につきましては、国土の総合的かつ普遍的開発に重要な役割を果たすものとしてその整備が進められてきたところであり、現在、整備計画が定められております整備新幹線につきましても、国土の均衡ある発展、地域の振興開発等に資するものとして、沿線地域の強い要望があったところであります。
 他方、この整備新幹線の計画につきましては、多額の投資を必要とすること等にかんがみ、国鉄改革及び行財政改革の趣旨を踏まえて、財源問題等について慎重に検討の上その取り扱いを決定することとされていたところであります。
 このような状況のもとに、幹線鉄道の高速化の必要性並びに国鉄改革及び行財政改革の趣旨を踏まえ、「第二の国鉄」は絶対につくらないということを大前提として検討を進めてまいりましたが、今般、北陸新幹線高崎―軽井沢間につきまして、平成元年度から、その建設に本格的に着工すること、また、財源問題につきましても、建設費は旅客鉄道株式会社、国及び地域が負担すること等の結論を得たところであります。このため、この結論に従い、新幹線鉄道の建設に必要な資金を確保するための所要の措置を講じ、もって当該建設に関する事業の円骨な実施に資することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、新幹線鉄道の建設に要する費用に充てる資金の一部につきまして、国が日本鉄道建設公団に対して日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入を原資とする無利子貸付金を貸し付けることができることといたしております。
 第二に、新幹線鉄道の建設に要する費用に充てる資金の一部につきまして、新幹線鉄道保有機構が日本鉄道建設公団に対して交付金を交付することができることといたしております。
 第三に、日本鉄道建設公団に対する交付金の財源を確保するとともに、整備新幹線の営業主体となる旅客鉄道株式会社の負担力を確保するため、新幹線鉄道保有機構における既設新幹線の貸付料の概算総計年額及び各社ごとの年額の基準につきまして特例を設けることといたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#227
○委員長(多田省吾君) 次に、特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。山村運輸大臣。
#228
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま議題となりました特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 我が国造船業は、第一次石油危機以降、長期にわたる構造不況に見舞われ、この間二度にわたる過剰設備の処理、企業の集約等の措置を講ずることによりその不況の克服及び経営の安定を図ってまいりました。しかし、その一方で、船舶技術の高度化を促進するための研究開発投資が停滞したため、将来における我が国造船業の活力の低下が強く懸念される状況ともなっております。したがってこのような中で我が国造船業が、今後とも基幹的な産業として健全な発展を遂げていくためには、その経営の安定とともに船舶技術の高度化を図っていくことが重要な課題となっております。また、船舶技術の高度化は、多様化、高度化しつつある輸送ニーズにこたえることにより海上輸送の高度化にも大きく寄与することが期待されるものであります。
 一方、これら船舶技術の高度化のための研究開発は、多額の資金を必要としますが、研究開発に伴う多大のリスクの負担、長期にわたる不況の影響による経営状況の悪化等を考慮いたしますと、民間の自主努力だけではその円滑な推進が困難な状況となっております。
 本法律案は、以上のような情勢を踏まえ、特定船舶製造業安定事業協会の業務に、新たに、民間において行われる船舶、船舶用機関等に関する技術開発を促進するための業務等を追加することにより、造船業における経営の安定と技術の高度化のための基盤の整備を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、協会の名称を「造船業基盤整備事業協会」に改めるとともに、法の目的を「造船に関する事業における経営の安定及び技術の高度化のための基盤の整備を図ること」に改めることとしております。
 第二に、協会の業務として、新たに民間が行う船舶、船舶用機関及び船舶用品の製造及び修繕に関する技術のうち、造船に関する事業における経営の安定及び技術の高度化に寄与する試験研究につき、それに必要な資金の助成及び当該資金の借り入れに係る債務の保証等の業務を追加することとしております。
 以上が、この法律案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#229
○委員長(多田省吾君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 なお、両案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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