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1988/06/21 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 運輸委員会 第2号
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1988/06/21 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 運輸委員会 第2号

#1
第114回国会 運輸委員会 第2号
平成元年六月二十一日(水曜日)
   午後二時三十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         多田 省吾君
    理 事
                真鍋 賢二君
                松岡滿壽男君
                安恒 良一君
                及川 順郎君
    委 員
                伊江 朝雄君
                高平 公友君
                野沢 太三君
                二木 秀夫君
                森田 重郎君
                穐山  篤君
                小笠原貞子君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  山村新治郎君
   政府委員
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    丹羽  晟君
       運輸省運輸政策
       局長       塩田 澄夫君
       運輸省地域交通
       局長       阿部 雅昭君
       運輸省海上技術
       安全局長     石井 和也君
       建設省建設経済
       局長       望月 薫雄君
       自治大臣官房審
       議官       紀内 隆宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        長谷川光司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(多田省吾君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保有機構法の一部を改正する法律案並びに特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○安恒良一君 私は、きょうは主として、今読み上げられました法律とも関係ありますが、常磐新線の建設について関係大臣並びに関係の各省に質問をしたいと思います。
 本来でありますと、これは建設委員会と合同でやりたいなと思ったんですが、建設委員会の日程の都合で合同審査ができませんので、主として鉄道にかかわるところを中心にしながら、若干それ以外のことも聞かざるを得ませんので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、四全総では多極分散型国土形成、そして、その中における鉄道の持つ役割というのが非常に重要であるということが書いてあります。しかし、現実の事態は東京一極集中になって発展していまして、きのうも運輸一般の中で私ども同僚委員なり各委員が取り上げましたように、東京圏の交通は異常な混雑状態が続いています。そして、これを解消しようと思っても地価の異常な高騰、こういうことになりましてなかなか解消ができない。ですから、通勤地獄解消のための都市鉄道の役割というものを考えても、地価が異常に上がっていますからなかなかできない、いわゆる投資が非常に困難になっている。
 こういう状況の中で、私どもは六十一年の運輸委員会の中で、運賃先取りで建設費を積み立てる特定都市鉄道整備積立金制度、こういうのを本委員会で可決したところであります。それに基づいて民鉄の複々線化が今進みつつありまして、そのことが東京圏における混雑の緩和に将来役立っていくだろうということできのうのやりとりの中でも説明を受けたところです。しかし、鉄道用地の取得や建設資金を支援するという措置が抜本的にあの法律には入っておりませんでした。ですから、あの法律だけでは首都圏の交通混雑を解決するための鉄道建設がどんどん進展していくとは思われないのであります。
 そこで、建設省、運輸省、自治省共管で今度の法律を出されまして、すなわち大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法という法案を三省がお出しになったのでありますが、それに基づいて常磐新線が新しい発想としてここに登場してきていると思うんです。ですから、私は、これは首都圏なり鉄道整備の非常に困難な地域における一つの新しい試み、方法だ、こういうふうに考えますが、この法律をそのように受け取っていいのかどうか、考え方を大臣、お聞かせください。
#4
○政府委員(阿部雅昭君) ただいま先生御指摘のように、特に民間鉄道といいますか、私鉄の整備につきましてはいろいろ助成的な制度を設けてきたわけでございますが、このような常磐新線の構想は昭和六十年七月の運政審答申に盛られた極めて規模の大きい鉄道でございまして、その答申の中でもこの整備についていろいろ配慮すべきことがあろうという指摘もなされたわけでございます。そのようなことを踏まえまして、従来の私鉄の整備に一歩さらに支援する。土地の取得等につきましてもできるだけ土地価格を抑制するようなことを国土利用計画法を活用して行いますとか、駅用地その他線路用地の取得につきましては区画整理の特例を設けるとか、そういう意味での土地取得についての支援をさらにするといったような意味で民間鉄道の整備についての支援策を拡大する。そういう意味で先生御指摘のように、それらのものを補完する法律である、そのようなものとして我々理解いたしております。
#5
○安恒良一君 そういう意味で補完と言われておりますが、今まででやれなかったことをやる、交通混雑を緩和するための一つの新しい方式だというふうに私は思っているわけです。
 そこで、常磐新線の路線の経路の概要を簡単に。それから高架の区間、地下の部分、駅の数、買収用地の面積、それから総建設費は幾らになりますか。
 以上、お答えしてください。
#6
○政府委員(阿部雅昭君) 現在検討しております常磐新線の構想でございますが、六十年七月の運政審答申におきましては、東京−守谷間を整備の第一段階で行うということで答申をいただいておりましたが、その後の土地対策の観点から、筑波まで延ばすとともに、建設費の削減の観点から秋葉原を起点とするという方向での検討を現在検討委員会を設けていたしております。
 現在進めておりますルートの駅の位置等につきましては、地下あるいは高架の別という点を申し上げますと、この間は東京都、埼玉県、千葉県、茨城県の一都三県にまたがりますが、東京都の部分は一部、北千住−南千住間、これは現在の常磐線と並行して走ることを予定しております。その部分は地上でございますが、それ以外の部分は地下構造を予定しておりまして、埼玉県は原則地上構造、千葉県も地上高架、埼玉県も地上高架の構造で走ることが適当であろうと。千葉県につきましても武蔵野線との交差の部分は一部地下構造にする必要があるかと思いますが、それ以外は高架構造。茨城県につきましては今後開発されるべきところでございまして、切り取りあるいは盛り土といったようなことで地平を走るということでいけるんではないか。そのようなことで東京都内約十五キロ、埼玉県内七キロ、千葉県内十五キロ、茨城県内約二十三キロ、合計約六十キロの路線になることを想定いたしております。
 その間の駅の数といたしましては、今後一都三県等とよく調整していく必要があろうかと思いますが、現在検討しておりますおおよその数は約二十という駅数を予定いたしております。
 それから、用地の取得の必要な面積ということにつきましては、高架の部分は大体十メートルの幅の用地の取得が必要であろうということを想定いたしまして、その他駅用地等を含めまして約九十ヘクタールを用地として取得する必要があろう、そのようなものとして考えております。
 なお、これらに要する建設費は六十二年度価格、当時、六十二年度からスタートしておりまして、検討の過程におきましては約六千億という見積もりをいたしております。
#7
○安恒良一君 建設費を用地費、土木費、車両費等に区分するとどうなりますか。
#8
○政府委員(阿部雅昭君) 検討委員会での段階での数字を申し上げますと、用地費は全体の約三分の一の二千億円程度、土木費、これはトンネル、橋梁、高架橋等すべて含みますが、約二分の一で三千億程度、残りの約六分の一が一千億程度になりますが、これが軌道あるいは駅施設、駅設備としての電気、建築、機械等になるというような試算をいたしております。
#9
○安恒良一君 そこでお聞きしたいんですが、今言われた六千億程度ということでありますが、最近の物価の高騰なり用地の値上がりなり、いろんなことからいうと果たして六千億で落ちつくのか、一説によると八千億という説もあるぐらいですから。いずれにしても巨額な建設資金がかかるわけですが、この資金の調達が非常に問題になるわけです。本法案によって用地の取得がスムーズに行われたとしても、私はこの建設費というのは今後の大きな課題になるだろう、こう思います。
 そこで、本法案の二十条に国と地方公共団体の資金確保の義務が想定されていますね、この法律の二十条を見ましたら。具体的にはこれは二十条に基づいてどういうふうに今言われたことをするんですか。その点について、それぞれ関係各省からもおいで願っていますから、「資金の確保」ということで、第二十条「国及び関係地方公共団体は、承認特定鉄道の整備の円滑な実施のために必要な資金の確保に努めなければならない。」と、こう書いてありますね。そして、「地方公共団体の出資等」、こう書いてありますから、それぞれこの資金確保についてどのようなお考えをお持ちなのか聞かせてください。
#10
○政府委員(阿部雅昭君) 国の行います必要な資金の確保といたしましては、次のようなものを考えておるわけでございます。
 一つが、財投資金を活用いたしました日本鉄道建設公団の工事を行いますための財投資金、そのようなものの確保が一つでございます。
 また、政府系金融機関による出資、これは開銀からの出資ということも期待しておりまして、そのようなものも確保する資金の一つとして予定いたしておりますし、また必要に応じて開銀からの融資といったようなことも考えておるところでございます。
 関係地方公共団体におきましても、さらに次の条文で、鉄道整備の促進を図るため必要があると認めるときは、「鉄道事業者に対して補助、貸付けその他の助成を行う」というようなことを予定しておりまして、今後、事業の計画等が明確になる中で、これらの措置についてもよく自治省及び一都三県を中心としまして詰めていく必要があろうかというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、具体的な資金の手当てその他の額あるいは年度別の資金の必要額等につきましては、今後、鋭意関係者間で検討していくべき課題であるというふうに考えております。
#11
○安恒良一君 それじゃ、少し中身を具体的に伺っていきます。
 まず、出資金についてですが、常磐新線は整備の主体として第三セクターを設立して整備を進めるといっているんですが、第三セクターへの出資金は幾らになるんでしょうか。どのぐらいの出資金を考えられているんですか。
#12
○政府委員(阿部雅昭君) 第三セクターを設立する場合の具体的な出資規模や出資構成につきましては、いまだ検討段階ということでございまして、今後、関係者間で鋭意詰めていく予定にいたしておりますが、できるだけ事業の公益性なりそのプロジェクトの大きさということも考えまして、できる限り広い範囲からの出資の協力も得たいというふうに考えておるところでございます。
#13
○安恒良一君 新聞では、建設費が六千億から八千億、大体出資金というのは一割の八百億程度というふうにいろいろの新聞が報道しているんですが、あなたはそういうのはまだこれからだと言うんですが、少なくとも具体的にこれだけの法律を国会に審議してくれと持ってきている以上、ほぼ出資金は、勝手に絶対間違いないということじゃなく、幾らぐらいになるかぐらいの見当はつけられているんじゃないですか。でないと、法律を議論するときに、いや、出資金はあるんですがこれはこれからですなんてそんなことじゃ議論は進まないんじゃないですか。大体どのぐらいの見当ですかということを聞いているんです。
#14
○政府委員(阿部雅昭君) 総建設費を、先ほど申しました約六千億を前提といたしまして整備主体あるいは運営主体の収支試算その他を行いまして、所要資金の調達額等をいろいろ試算したものはございます。その中で、総事業費を六千億といたしますと、一割を超えた一割と二割の間ぐらいの出資は無利子の資金としてぜひ調達する必要があろう、また、そういうことを前提に各種の助成を講じていきたいということも考えまして、内々八百億円という試算をしたものはございます。
 これらにつきましては、その後の例えば土地の価格の変動等もございますし、現在そういうものも含めた見直しといったような作業も別途進めておりますので、見直しの過程の中で出資規模も決め、あるいは出資者ごとの負担金額といったものも今後詰めていくことにいたしたいと思っております。
#15
○安恒良一君 これは、あなたも言われたように一割から二割ということになると、新聞で報道されているように、八百億というのが一つの目安だと思うんです。
 そうすると、この常磐新線の営業の主体は大体どこがなるんでしょうか。どうも私が聞く限りにおいてはJR東日本がなるんじゃないかと。営業の主体ですよ。ところが、これはまたもう早々とJR東日本は出資に対して難色を示していますね。それはなぜかというと、出資のほかに、もしもここが営業の主体になるというと巨額な建設資金が要るわけですよ。ですから、出資金の問題もありますが、建設資金の調達はどこがやるんですか。第三セクターでやるんですか。
#16
○政府委員(阿部雅昭君) 検討委員会の検討の方向といたしましては、鉄道をつくる、いわゆる整備するものは第三セクターが行う。整備主体は第三セクターということで鉄道施設をつくり上げて、それにつきまして今度運営する、鉄道事業法では二種事業者という扱いになりますが、それはJR東日本にお願いするという方向で検討しようということでございます。
 したがいまして、建設資金については、先ほど申しました無利子の金などは一部出資等で賄い、それ以外のものについては、いわゆる民間鉄道の整備についての鉄道建設公団の活用ということを基本としまして、所要額は鉄道建設公団による財投資金等を中心とした資金の確保ということで鉄道をつくっていくということを基本に考えておるところでございます。
#17
○安恒良一君 そうしますと、第三セクターが中心になって建設資金を調達して、やり方はいろいろ今言われましたが、つくる。しかし、営業の主体はJR東日本がなる。こういうことになりますと、営業の主体であるJR東日本は、いよいよ鉄道ができ上がってそれの運営を任されるわけですから運営をする、経営をしながらリース料か何かでずっとその建設資金はJR東日本が支払いをしていく、こういうことに受け取っていいんですか。
#18
○政府委員(阿部雅昭君) 運営主体といたしましては、整備主体に対して決められた使用料を払っていくという形で運営がなされる。運賃収入というものはみずからの運営主体の収入になりますが、その中から使用料を払って事業を運営していくということを予定しておるわけでございます。
#19
○安恒良一君 結果的に、使用料を払っていって、それがゼロになるから、間接的に言うと最後はこれはJRがつくったことになりますね。使用料をどんどんどんどん払っていって、使用料はうんと大幅にまけてくれるわけじゃないんでしょう。建設費がかかったならば、それは何十年なら何十年、利子何ぼということで最終的にはJR東日本が払ってしまう、こういうふうに受け取っていいわけですか、今のところは。
#20
○政府委員(阿部雅昭君) 整備主体が建設いたしました鉄道施設を一定の年限、それぞれものによりまして償却年数その他が違いますが、そういうものを積み上げた整備主体としても採算がとれるような使用料を設定したいと。そういうことがまた必要でございますし、そのような形で整備主体がつくったものを借りてJR東日本が運営する。したがいまして、一応の前提としましては、使用料を払っていけばJRのものになるということではなしに、あくまで第三セクターがつくった鉄道は第三セクターが所有し、それに対してそれを借り受けて鉄道営業を行う、二種事業としての営業を行うということでございまして、あるいは長年たった後で、JRがその資産を全部買い取りたい、あるいは引き取りたいというような御希望が出ることも予想されるかと思いますが、当面は第三セクターが所有し、それを借り受けてJRが運営するという方向での鉄道営業、運営を考えておるところでございます。
#21
○安恒良一君 問題は、その上がってくる収入とリース料がどうなるかというのがまだわからないんです。私は、JR東日本は六十三年度において八百五十六億の経常利益を上げて順調に歩んだと言われています。そのことは知っています。ところが、今言ったように常磐新線地域の地価が上昇する、建設費も計画金額以上にはね上がる。一説によると一兆円以上になる大型プロジェクトになるとさえ言われています。その場合に、今言われたところのリース料というものを払っていくことがうまくいくのかどうか。それはなぜかというと、JR東日本がこれから負担するであろうというものをちょっと拾い上げてみますと、きょうの議題になっています整備新幹線の建設、それから鉄道共済年金の救済のための特別負担、それから固定資産税の軽減特例措置の廃止による負担増、こういうものがある。それに加えて、今回また出資なりリース料なり、こういうことをJR東日本はやらなきゃならぬことになるんです。そしてできるだけ早く株式も上場したい、こう言っているわけですね。果たしてこのような過大な投資に耐え得るというふうに考えられているのかどうか。
 というのは、余り投資を強要しますと、せっかく民営・分割をして軌道に乗ったところがまた第二の国鉄になってはいけないと思うんです。国鉄改革の精神は、このときに厳しくお互いに議論し合っているんですから、破ることになるんです。例えば、新聞で見る限りJR東日本は余り乗り気でない、こう言っている住田社長以下の談話がいろいろ新聞に載っているわけです。そうしますと、JR東日本が難しいということになると、その場合は営業主体は他にお任せになる考えがあるんですか、どうですか。
#22
○政府委員(阿部雅昭君) 常磐新線の計画は、先ほども申しましたように昭和六十年の運政審の答申の中に盛られておるわけですが、その中でも常磐新線の位置づけ、性格といたしまして、常磐線の混雑緩和を図ることを主目的として整備することが必要だという視点に立っておりますし、当時は、「国鉄がその建設・運営にあたるべきであると考えられるが、国鉄が置かれた現下の厳しい諸状況を考慮すれば、国鉄を事業主体とすることにはさまざまな困難も予想される。」というような記述もありまして、このような第三セクター構想が出ておるわけでございますが、やはり常磐線との関連等考えましたり、あるいはあの地域における例えば私鉄などでこういう規模の鉄道が運営できるかというようなことを考えますと、JRがやれないから、それではほかが引き受けられるかということにつきましては、それだけの能力がある鉄道会社はなかなかないんではないか、やはり基本的にJR東日本に運営していただくことを考えていかなければこの鉄道は実現が難しいのではないかというふうに考えております。
#23
○安恒良一君 そこで、そういうふうに見ていきますと、この法案の基本的な欠陥は、いわゆる首都圏なり近畿圏なり中部圏なりの鉄道建設の最大の隘路は何であるかというと資金調達なんですよ。それがための支援策が、この法案には積極性がないし、欠けていると思うんです。ですから、今おっしゃったように、JR東日本が二の足を踏めばほかのところも全部二の足を踏みますよ。とても、わかりました、やりましょうなんというのはない。ですから、この法案の欠陥というのは、土地の値上がり等によって鉄道建設に膨大な資金が要る、その資金調達に対する積極的な支援策というものがこの法律の中に欠けているのではないかというふうに私は思っているんです。
 そこで、後からそれに対する私は私なりの提案をしていきたいと思いますが、この出資割合で鉄道事業者の割合を低くしたと聞いていますが、具体的な出資割合はどういう考えをお持ちですか。地方自治体、財界、鉄道事業者等の出資割合はどのようにお考えですか。
#24
○政府委員(阿部雅昭君) 出資金の規模及び割合等につきましては、今後関係者間でさらに鋭意協議を詰めなければならないと思いますが、先ほど申しました一応の試算としての八百億円の資本金ということを想定しました際は、二分の一を地方公共団体で御負担いただく。残りの二分の一につきましては、さらにその二分の一、四分の一になりますが、それを鉄道関係。残りの四分の一、それを広く経済界に協力を求めるといったような方向での第三セクターの設立はできないかということを試算したわけでございます。
#25
○安恒良一君 自治省、建設省からもお見え願っていますが、出資割合は地方公共団体は五〇、財界は二五、鉄道事業者は二五。この法律は三省の共管になっていますが、自治省の場合には特に地方公共団体との関係がございますね。それから、建設省がいいのか、通産省がいいのかわかりませんけれども、通産は加わっていないから、財界のものは建設省と運輸省が財界に話をするんだろうと思いますが、この出資割合は五〇、二五、二五で大体いいのでしょうか、考えはどうですか。
#26
○政府委員(紀内隆宏君) ただいま運輸省からお答えいただきましたような案が内々検討されていることは事実でございまして、私どもとしても一つの相場であろうかというふうに考えております。
#27
○政府委員(望月薫雄君) 第三セクターに対する出資につきましては、率直に申しまして運輸省さんの方で、先ほど試算等のお話もありましたけれども、私どもその旨は一応承知いたしておりますけれども、これから具体的にどういうふうにいわゆる民間企業に対して働きかけていくかということについては、まずは運輸省さんが率先してやっていただくというふうに期待を申し上げている次第でございます。
#28
○安恒良一君 運輸省、民間企業に対する出資は。
#29
○政府委員(阿部雅昭君) 民間への出資協力依頼等につきましてはまだ正式な形でお願いしているという形ではございませんが、このようなプロジェクトは非常に効果が大きい。これは、運輸省がやっております関西空港のプロジェクトですとかあるいは建設省がお進めになっている東京湾の横断橋のプロジェクト、それらに準ずるようなものではないかということで、内々こういう計画について進める際には経済界の御協力をいただきたいというようなことを感触として打診いたしておりますが、前向きに検討したいという感触を得ておりまして、私どもこのような計画がうまく関係者の合意でまとまっていけば経済界もそれについて協力をいただけるものと、こういうふうに考えておるところでございます。
#30
○安恒良一君 新聞報道で見ますと、これもあくまでも新聞報道ですが、東武鉄道とか京成電鉄とか関東鉄道は出資をしてもいいという意向があるように言われていますが、これは事実ですか。また、それ以外に出資者の名のり上げはありませんか。それから、肝心のJR東日本の出資はどのようになる予定ですか。鉄道事業者二五%と言われていますから、既におれのところもと名のりを上げているところもあるようですが、委託をされて運営の主体になるJR東日本がどうもこのことに対してあれしているようですが、それらを含めて以上のことを聞かせてください。
#31
○政府委員(阿部雅昭君) 私鉄の関係でございますが、私どももこのような計画全般なりあるいは法律の話等は民鉄協会といった場で説明させていただいたりしております。しかし、個別の企業について正式にこれまた出資のお願いというところまではいたしておりません。例えばあの地域に隣接するといいますか、そういう地域で鉄道事業を運営しております東武鉄道につきましては、このような計画についてきのうもお話ございましたが、北千住あたりの混雑対策をさらに抜本的に解決するためには、直通で都心へ乗り入れられるような線路の増設といいますか、そのような形成も必要だという認識を持っておられまして、このような鉄道ができる際に、それにあわせて東武鉄道も直接乗り入れというような形での運営に参画できるなら、鉄道グループが負担するであろう出資金の一部については応分の負担をさせていただいてもいいというような感触を内々得ているところでございます。その他の鉄道会社については、一部新聞報道等もございますが、私どもまだ積極的に打診する段階ではないということで直接お話ししたものではございません。
#32
○安恒良一君 今言ったJR東日本は幾らぐらい出すと、どういう考えを持っているんですか。鉄道事業者として二五%の中でどうするという、それをほとんど全部持つと言っているんですか。
#33
○政府委員(阿部雅昭君) 先ほど、鉄道グループに持っていただきたいという数字を大体二百億と申しましたが、それの一部については東武鉄道などが持ってもいいという意向を内々示しておりますので、二百億の中でやはり基本的な部分はJRにお願いしたいというのが試算しております私どもの立場でございますが、JR自身、先ほど先生も御指摘になりましたいろんな問題を抱えておるということでございまして、まだこの出資について正式に決断をするといいますか、そういう点には至っておりません。率直に申しまして、ここら辺の計画が六千億でおさまるかどうかというようなことも含めて、ある程度また基本的に詰めていかなければならない部分が多いということで、そういうものの詰めを待たなければ、JRとしての出資を初めとする自分みずからの対応についてまだ正式に決められないというのが現時点の状況でございます。
#34
○安恒良一君 僕は、運営はJRにやってもらうということなんですから、やはり出資金にしろ何にしろJRの態度を何かさせなきゃだめだと思うんですよ。でなけりゃ、せっかく法律は通っても何のことはない、計画倒れになる、こういうことになる。それがためには今あなたもちょっとぱらっと言ったように、JRはやっぱり出資金と巨額な建設費ですね、これはリース料を払うにしても巨額な建設費との見合いで考えていると思うんです。だから、なかなか色よい返事が返ってこないと私は思うんです。
 そこで、問題は常磐新線をあなたで言うと鉄建公団が建設をして、そして建設資金、税制面等の新しい財政措置を、あなたは新しいとおっしゃいませんでしたが、鉄建公団につくらせると、こういうことですが、私これも新聞ちょっと読んだのですが、鉄建公団につくらせて、建設資金や税制面で新しい助成策を行うと、こういう報道が一部出ています。この中身はこういうことなんでしょうか、鉄建公団の建設線とする、それから、完成後第三セクターが四十年間の長期年賦で譲り受ける。この譲渡の際には、金利は現行は五%を超えるということでやっていますが、これでは実効がないから、今回は譲渡の際には金利四%を超える金利については国と地方の折半の利子補給をやっていく。
 それから、固定資産税は五年までは通常の四分の一、次は二分の一にする等々の処置をやる考えをお持ちですか、どうですか、お聞かせください。これは関係各省もありますから、各省からもお聞かせください。
#35
○政府委員(阿部雅昭君) 鉄道建設公団は現在民鉄線の工事についても重要な役割を果たしていただいておりまして、民鉄線の例えば複々線化の工事を鉄建公団にやっていただく。その際にはつくり上げた鉄道施設を民鉄の事業者は二十五年間の分割払いでお払いする、また鉄建公団に対する利子負担も多くなりますので、五%分は自己の負担、五%を超えるものにつきましては国と関係の地方公共団体が半分ずつ負担するというような制度で行われているわけでございます。
 しかし、現在のこのような民鉄線はかなり混雑率も高いといいますか、相当ふくそうした地域で採算的にもそういう意味ではいい路線でございますが、常磐新線のような大規模な、また開発型の鉄道につきましては、それと同じ条件ではなかなか困難ではないかということから、その譲渡します価格の支払い期限も四十年というようなことで考えて少しでも負担を軽くしたらどうか、また金利の負担等についても、先生御指摘のような線で一応試算し、財政当局にもそういう形での助成をお願いするというようなことを内々いたしております。
 また税制面につきましても、一般的に私鉄事業についても若干の特例措置が設けられておりますが、それらについてもやはりもう一段上乗せしていくようなお願いも自治省と鋭意いたしまして、法律の附則で固定資産税の特例も御指摘のような形で盛られることになったということでこの法案を提出さしていただいているわけでございます。
#36
○安恒良一君 そうすると自治省、固定資産税は五年まで通常の四分の一、次は二分の一とするというような税制上のことをお考えでしょうか、どうでしょうか。
 それから、金利の補給というのは最終的には大蔵省を説得しなきゃなりませんが、建設省それから運輸省、自治省、三省共管でお出しになっていますから、現行の五%を超えるでは今言ったような理由で実質的効果がありませんから、四%を超える分については国と地方自治体の折半。ですから、これは自治省にも関係あるんですが、そういうようなことについては、今私がこの質問をし、ほぼ私の質問に肯定するように阿部地域交通局長は答弁をしたんですが、建設省も自治省も一体となって地方自治体に対してもそういう話をするし、国に対して利子補給ということになると、最終的には大蔵との関係も出てくるわけですから、それは今言われたことはこれでいいわけですね、両方からお見えの方のお考えを聞かしてください。
#37
○政府委員(紀内隆宏君) お話しの従前のP線補助的なものに厚みを加えていくというお話でございますが、従来のP線補助につきましては、実は制度上何ら地方公共団体の意向が反映しないという仕組みになっておりまして、私ども実際に地方公共団体が対応しておりましても、これに格別の財源措置を講じているわけではございません。仕組みにつきましては、改善方を運輸省にかねてお願いしているところでございます。
 ただ、今回のこの法案が適用される鉄道の整備に当たりましては、基本計画の作成であるとか、あるいは出資による経営の参画という形で地方公共団体の意向が反映する仕組みとなってございます。したがって、この法案に基づく鉄道建設にかかるP線補助につきましては、従前のものとは違ったものがあるというふうに考えて現在検討しているところでございます。
#38
○政府委員(望月薫雄君) 第三セクターに対する直接の財政援助措置については、率直に言いまして運輸省、自治省のサイドでいろいろと御検討を賜っておるところでございますが、建設省も一緒にこの法案を提出している立場として、私どもの観点からむしろ土地の確保あるいは提供、こういったことについての全面的な協力といいましょうか、可能な限りの協力体制ということで一体的な整備につなげていきたい、こういう姿勢でございます。
#39
○安恒良一君 今、関係各省の責任者の御意見を聞いて、確かに、現在鉄建公団が民鉄線の補助、P線補助とわかりやすく私たちは言っていますが、それよりもやや改善された前向きの考えをお持ちだということを三省から聞きました。しかし、ニュータウン鉄道への補助や公営地下鉄の補助に比べますと、今お聞きをしました範囲でもまだ私は負担は過重だなと、今かなり前向きな御答弁をいただいたんですが、思います。ですから、私は今一つの例を挙げましたように、地下高速鉄道の建設の補助、それからニュータウン鉄道の建設の補助、公営に対して等々を考えると、私はもっと条件を厚くすることが必要ではないかと考えますが、この点運輸大臣はどうお考えですか、これは政策的なことですから大臣のお考えをお聞かせください。
#40
○政府委員(阿部雅昭君) 地下鉄補助制度及びニュータウン鉄道補助制度という制度で地下鉄の建設につきましても現在建設費の約九割分をさらに自治省にお願いし、残りは国がやるというようなことで、三五%ずつ十年間にわたって補助するという制度がございます。ニュータウン鉄道につきましては、補助対象建設費の三六%を六年間にわたって、やはり二分の一は国、二分の一地方という形でお願いしておりますが、これらの制度のバランスを見た場合に、先ほど申し上げましたように、都内については大体地下鉄という形で鉄道が整備される。それからまた、筑波へ向けてはニュータウン的な色彩の鉄道という形の整備が行われるというふうに考えまして、その二つの補助を実質的に組み合わせたような補助制度に最低したいということで、先ほど申しましたような鉄建公団を使っての助成制度を考えたわけでございまして、この二つの組み合わせとほぼバランスがとれているものというふうに私ども考え、これらについて財政当局と最終的にこんな方向でのセットをぜひしたいというふうに考えておるわけでございます。
#41
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま政府委員の方から申し上げましたが、現実的に鉄道の整備とそして宅地の確保、これを実際どのような形でやってまいるのかという場合に、その資金の確保そのほかにつきましてはこれが今の段階では一番いい方法じゃないかということでこのようなことになったと、そういうぐあいに考えております。
#42
○安恒良一君 それじゃわかりました。どうも地下鉄に該当するところは、地下建設するところは地下高速鉄道建設補助金のこういう制度を適用していきたい、それから、ニュータウン鉄道に該当する地域についてはニュータウン鉄道建設補助制度というのが現在ございますが、そういうものを組み合わして最大限鉄道がつくりやすいようにすると、こういうふうにここは承りました。ぜひそういう点を私はやってほしいなと、こう思います。
 そこで、いま一つ。これはもう少し論議を進めていきたいんですが、今回鉄道建設をすることによって沿線の開発が非常に進みます。なぜ開発利益を還元することをこの法案の中に織り込まなかったのか。これだけの常磐新線をつくりますと地域の開発が非常に進む。開発が進めば開発利益というのが非常に出てくるわけなんですが、常磐新線の宅地開発に当たっての開発利益をどうして取り込まなかったのかと。これまた新聞を見ます限りにおいて、それはいろいろ運輸省は運輸省なりの見解、建設省は建設省なりの見解等々がふくそうしていろんな試算がありますが、例えば開発利益を二十一兆円というふうに試算をして、五%還元されてもかなり鉄道整備には大きな役割を果たすことになると思うんですが、三省共管でお出しになったのに開発利益を還元するということをなぜこの法律の中に盛り込まなかったのか。私は盛り込むべきだと思うんですが、その点について考えを聞かしてください。
#43
○政府委員(阿部雅昭君) 本件のような、特に長大、広大な鉄道につきましては、それに伴います開発利益というものはその沿線の土地に対して利便性が増すとか、非常に評価が、一般的に地価上昇という形で上がる。それらがその土地所有者に帰属する。そういうものが開発利益というふうに考えられると思いますけれども、特にこのような鉄道の沿線というのは極めて広域にわたっておりまして、それらが広域的に発生する。しかも、その程度が極めて特定しにくいというものでございます。また、それらを吸収するとした場合に、負担すべき所有者の範囲が、またどの範囲でおさめるべきかといった点も極めて難しい問題でございますし、また、開発利益が発生する時点と申しますのも、現実には鉄道が開業しなければならない。
 また、開業した時点で開発利益が発生するという考え方になりますと、事前にそういうものを吸収してどんどん鉄道整備に充てるというような仕組みはなかなか困難である。現実には、その開発利益の評価なりあるいはそういうものを吸収する具体的な手法といったものが現時点ではなかなか確立しにくいということからいろいろ検討したわけでございますが、この法律の中に盛り込むというところには至らなかったというのが経過でございます。
 しかし、先ほど申しましたように、関係地方公共団体が鉄道事業者に対して出資あるいは補助、貸し付けその他の助成をしていただく、あるいは鉄道の用地についても先行取得といったような形での御協力をいただく、と申しますのは、やはり鉄道整備に対して究極的にはそういう土地の評価というようなことで固定資産税を初めとする税収が地方公共団体に帰属する、そういう広い意味での開発利益といったものが地方公共団体を経由して鉄道整備にも回っていく、そういう考え方で地方公共団体にもお願いするということにいたしましたし、またこの制度がこのような形で法制化されたのは、そのような意識のもとで地方の関与が行われることになったというふうに私ども考えておるわけでございます。
#44
○政府委員(望月薫雄君) 基本的には、阿部局長から御答弁申し上げたことと私ども全く同じスタンスでおります。
 今、先生の御指摘のように、経過として運輸省と建設省が大分違う意見だというふうな報道も確かにあったように私も記憶いたしておりますが、率直に申しまして、この問題は極めて技術的な側面が、難しい問題があるわけでございまして、ちなみに建設省所管の関係法令を見ましても、いわゆる受益者負担金等の制度が制度的には大分完備されているんですけれども、現実には今阿部局長からお話がありましたようないろいろな面で確定する手法などが確立していない。また、それをあえてやることによって、逆に一般的な利用価値が上がることに対してある部分だけを恣意的にとるというようなことによって非常に不公平な問題も出てくるなどのようなことから、今阿部局長の御答弁と同じようなスタンスで私どもも今回は適切でないと考えたわけでございます。
#45
○安恒良一君 それじゃ、ちょっと中身を聞きましょう。
 常磐新線の宅地開発面積は幾らぐらいになりまして、大体どのくらいの戸数が建設できると思われていますか。どのくらいができる予定でしょうか。それから開発利益、まあ二十一兆円という試算がございますが、この試算についてどうお考えでしょうか。建設省、考えを聞かしてみてください。
#46
○政府委員(望月薫雄君) まず、基本的な構えを一言だけ申し上げさしていただきますと、この常磐新線の沿線地域というのは宅地供給のサイドでも東京圏では非常に着目する地域であるわけでして、私ども建設省といたしましても、東京圏の宅地対策、住宅対策を考える上で、言うなれば中堅勤労者向けに夢の持てる住宅、宅地を供給しようということで非常に貴重な空間だと、こういう認識で今回の法案を御提案さしていただいているわけでございます。今の御質問の、どのくらいの供給ができるかということにつきましては、形式的にはまた実態的にも法律に基づきます基本計画を公共団体が詰める中で決まってくるわけでございます。
 そうはいいましても、私どもこの法案を御提案申し上げるからには、先ほど申したような基本的な政策目標というものを踏まえまして関係公共団体、一都三県でございますが、いろいろとヒアリングを積み重ねております。その中におきましては、おおむね七、八千ヘクタールという供給が可能適地として浮き彫りになっています。これは参考までに言うと多摩ニュータウン、大体これが三千ヘクタールでございますので二つ半前後の規模と、こういうことになるわけです。
 それについてどのくらいの戸数かということでございますが、これは正直言いまして東京都、埼玉、千葉、茨城とそれぞれの宅地、住宅の供給のタイプもいろいろと変わってまいろうと思います。中堅勤労者向けに考えたときに、必ずしも全部庭付二戸建てというわけにもいかないわけでございまして、そういった意味で住宅のタイプ等ございますが、一応茨城県等広大な地域を中心に考えますと、低層住宅を頭に置いて考えるということを軸にしますと十五万戸程度はかたいだろう、人口にして五十万ないし六十万人、こんなふうに想定している次第でございます。
#47
○安恒良一君 開発利益は。
#48
○政府委員(阿部雅昭君) 開発利益の見込み二十一兆と先生の御指摘でございましたが、実は、私ども運輸経済研究センターに常磐新線を整備したということの前提として、例えば開発利益がどの程度出るかということについての調査会を設けまして検討をいたしました。その結果が、いろいろ土地の価格がどういうようなファクターで構成されているかということの分析の上でサンプル調査等もいたしまして、荒川以北の常磐新線が通るであろう予定の地域というものをある程度想定いたしましてその地価がどうなるであろうかという試算をいたしたわけでございますが、六十年現在の地価総額というものが四十一兆円であるということに対しまして、鉄道がない場合の総額見込みが四十七兆円、それから鉄道が整備されたということで、その開発がほぼ計画どおり完了したというような時点を想定いたしますとその金額は六十八兆円になろうかということで、六十八兆円と四十七兆円の差し引きその土地の評価といったものが二十一兆円になり、これがほぼ開発利益というような形で理解していい数字ではなかろうかというようなものでございまして、運輸経済研究センターにおける調査会での一応の試算がそのようになっているということでございます。
#49
○安恒良一君 今言われたように、常磐新線の宅地開発面積は七千ないし八千ヘクタールで多摩ニュータウンの倍以上、大体十五万世帯ぐらいの住宅ができるだろう。それから、開発の利益は二十一兆円という試算がある。そうしますと、この二十一兆円の五%の還元でも鉄道はできるんですよ、大臣。なぜ導入しないのか。というのは、鉄道などの公共施設が整備されますと土地の効用の増大として象徴的な問題として地価が上がることは間違いないんですよ。ですから、土地の所有者は膨大な利益を得るわけです。
 ですから、この利益を定量的に把握をして、そして先行的な公共施設の整備の財源に充てるという試みは欧米では幾らでもやられているんですよ、大臣、欧米では。何で日本でやらぬのか。開発利益を取り込むことについて今答弁を聞いておりますと、一つは開発利益の範囲を定めることが困難である、膨大な地域であるからとか、それから今答弁で言われませんですが、私が新聞で拝見する限り、固定資産税の増加という形で還元するのが素直であると建設省が言っている、こう書いてあるんですよ、うそか本当か知りませんけれども。そういう消極的なことではなくして、欧米先進諸国ではこの種のものは大胆にやっているんですね。
 私は、これはもう一遍運輸大臣、あなたはなかなか昔から男気があるということで有名でありまして、ですから一遍この問題を関係大臣とさらに総理を含めて、ぜひ開発利益を定めてそこから取るということ、これは日本の大きい問題なんです。例えば、土地を持った人と持っていない人の富の格差という問題もいろいろ今出ていますね。しかし、せめてこういうような鉄道がつくられる、道がつくられる、そのことによって沿線の土地の値段が大きく上がって所有者は膨大な利益を得るというときに、この開発利益を一部還元させるということについて、諸外国でやれている制度が日本でやれないというのは私は不思議でならないんです。
 これは、今までは実験的な議論ではなかなか難しかったと思いますが、今回はたまたまいわゆる常磐新幹線をつくる。そして宅地開発面積が建設省もおっしゃったように七千から八千ヘクタールもできる。また、住宅も十五万世帯住宅化できる。こういうようなことでありますから、私はこの問題について大臣、勇気を持ってひとつ今後やると。やれないやれないとこう言っておったら、難しい難しいと言っておったらいつまでも解決できない。きのうから同僚委員が言っているようないわゆる大都市における混雑緩和というのはできないんですよ。ピーク時には二〇〇%も三〇〇%も混んで走っているという鉄道をどう解決していくかというためには、やはり開発利益の範囲を定めてそこから一定の利益を取る、こういう方向でぜひおやりになるべきだと思いますが、大臣、これは政策的なことでございますから、あなたのこの問題に対する考えを聞かしてください。答弁は官僚ではだめであります。
#50
○国務大臣(山村新治郎君) 今回の土地基本法、国会提出してございますが、これにも開発利益の還元というのが明記されておるようでございます。
 いずれにしましても、開発利益の還元、これは今後政府全体として検討していくべき重大な問題であるというぐあいに認識しております。
#51
○安恒良一君 重大な御認識をお持ちということでありますが、認識だけじゃ困りますから、具体的な解決のためにあなた自身が御努力をされないと、あなたがせっかく所信の中で大都市周辺における交通混雑の緩和ということを書かれておっても絵にかいたもちになるんですから、これはひとつ交通を担当される大臣としては積極的に、今申しました開発利益を還元させるという方向についてぜひ御努力を願いたいと思います。
 そこで、自治省に聞きたいんですが、宅地開発税という制度がありましたね。これは何年に宅地開発税というものをつくられて、創立年度は何年でしたでしょうか、それから実施状況はどういうふうになっていますか。
#52
○政府委員(紀内隆宏君) 宅地開発税は昭和四十四年度に創設されております。残念ながら今日まで宅地開発税を設けた市町村はございません。
#53
○安恒良一君 昭和四十四年につくったけれども、創立以来採用した団体はないということ。
 それじゃ、宅地開発税が実際あるのに採用されてない、その理由は何でしょうか。
#54
○政府委員(紀内隆宏君) 宅地開発税を設けた市町村がない理由として考えられますことは、宅地開発に伴う公共施設の整備等で財政需要が増大するような市町村の場合には、従来から宅地開発指導要綱、宅開要綱などと呼んでおりますが、これによって寄附金等を求めておりまして、あえてこの税を採用するメリットがなかったということであろうかと思います。
 また、宅地開発税におきましては、当然のことでございますけれども、税率とか、目的税でございますのでその使途とか、あるいは整備計画の義務づけ等の制約がございまして、要綱による寄附金等に比べますと運用において弾力性を欠くところがございます。この辺がその理由ではないかというふうに考えております。
#55
○安恒良一君 運輸大臣、これもひとつ自治大臣と御相談願いたいんですが、昭和四十四年に宅地開発税というのをつくっておって、創立以来全然不採用なんですね。で、理由は今言われたとおりなんです。理由は何かあったらこう言う。しかし、鉄道施設というのは立派な公共施設なんですよね。ですから私は、いろんな理由があっても、問題があるんならこれを現状に合わせて導入するというのも一つの方法だと思う。大臣やはりそういう意味の決断をお持ちになりませんか。せっかく法律はつくってそのままにしておるんですから、法律全然活用しなけりゃ、これはもうペケにするというんならまだあれですけれども、昭和四十四年以来つくってずっと今日までやっていない。しかし、この使用の目的は立派な公共施設であればできるわけですから、そうするど、鉄道というのは立派な公共施設なんですから、さしずめこの宅地開発税をつくって相当たっていますから、若干手直しするところが必要ならば手直しをしてでもとりあえず今回これに適用するというのも私は一つの方法だと思いますが、大臣、お考えありませんか。
#56
○政府委員(紀内隆宏君) 現行制度との関連もございますので、大臣のお答えに先立ってちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 現在の行われております宅地開発税は、その使途につきましては道路とか排水路とか公園等に限定されておりまして、鉄道整備の費用に充当することはできないようになっております。もちろん立法論としては宅地開発税の使途を拡大するということは考えられないわけではございませんが、現在のこの宅地開発税の性格というものは、宅地の開発に伴って身の回りの施設を整備するための目的税という位置づけがなされておりまして、鉄道整備の受益者負担のあり方等と総合的に勘案する中で検討しなければいけない事柄であると思いますし、市町村の目的税という枠組みの中で、おっしゃる開発利益の吸収というものですべてが果たし得るものであるかどうかはなお考えでいく必要があろうかというふうに存じております。
#57
○安恒良一君 いや、道路とかなんとかかんとかはいいと思うけれども、鉄道もいわゆるこの立法の趣旨からいう公共施設じゃないですか、あなた。道路と同じように、それより以上に効率的な公共施設じゃないですか。ですから私はこう言ったんですよ。大臣に聞いているのは、現状に合わないところがあるならば法律を若干手直ししても、立法の基本精神と全く一致するわけですから、その意味からいうと、この際宅地開発税というものを取り入れるということを大臣としては英断をもって、これは自治大臣とも関係がありますから、自治大臣とも十分お話をされたらこれは一つの方法じゃないか。ですから、今の法律はこれに若干なじまないことは知っていますが、立法の精神からいうと鉄道というものは道以上に立派な公共施設であることは間違いありませんから、その意味からいうと、この宅地開発税というものを適用するというのは一つのやり方だと私は思う。ですから、大臣のお考えを聞かせてください。
#58
○国務大臣(山村新治郎君) いずれにいたしましても、いわゆる開発利益の還元ということで、これは政府全体として取り組んでいかなければならない問題でございますし、自治大臣、建設大臣を初めとする関係の皆さんとも相談して、前向きに取り組んでまいります。
#59
○安恒良一君 私は、こんな案を実は考えているんですがね。約八千ヘクタールということですから、これを坪に換算いたしますと二千四百二十四万坪です。そこで、坪当たり建設負担として、例えば四千円負担をしてもらうとすると約一千億円のお金が入ります。常磐新線の用地費は二千億というふうに言われていますから、これで負担が半分軽くなるわけですね。これはまあ私の一つの試案であります。やり方はいろいろあると思います。そして、負担をしてくれた地主等に対しては、例えばJR東日本がやるとすれば、そういう方々に対する運賃の割引制度であるとか、イベントに対する招待であるとか、いろんなJR自体のサービスを行うというやり方もあるでありましょうし、それからいま一つは、宅地開発をした地域に進出する企業に一定の債券を――宅地開発ができますと住宅だけじゃなくて企業も進出してきますから、これに対する一定の債券の引き受けを義務づける、こんなやり方も、これは私の試案ですがいろいろあるんですよ。
 そこで、大臣どうでしょうか、常磐新線を一つのスタートとして開発利益の還元策の導入をまず決断する。そうでないとなかなか問題は進まない。この常磐新線すら、第三セクターをいつつくって、いつごろ開業なんて言っていますけれども、今きょうずっと時間をかけてお聞きをしてきた限りにおいての施策では、せっかく法律を出して常磐新線をつくっていこう、と同時に、宅地開発をやろうというこの法律が仏つくって魂入れずになるんじゃないか、こんな感じがしてなりません。
 そこで、どうしても私は、常磐新線を一つのスタートとして開発利益の還元策を導入する、このことをぜひ考えに入れて、これはとても運輸大臣だけじゃ決まらぬということでありますから、閣議なら閣議で関係閣僚との間で十分に相談をしていただきたい。でないと、せっかく立派な構想も絵にかいたもちになるとか、もしくは実施の年限がさらに非常に長期になる。そうすると、どうしても今の常磐線ではだめだと、第二常磐線も要ると、でないと首都圏の混雑緩和というこの大命題がさらにさらに向こうに延びていくことになると思います。欧米先進諸国では大胆に取り入れているいわゆる開発がもたらすところの利益を還元させる、こういうことにお考えを持っていただきたいと思いますが、大臣、最後にその点についてお考えをお聞かせください。
#60
○国務大臣(山村新治郎君) いろいろな御指摘ありがとうございます。
 ただいままで申し上げましたように、具体的にどのようなぐあいにしたらいいのかひとつ前向きに検討してまいりたいと思います。
#61
○安恒良一君 それでは、その点を十分にひとつやっていただきたいと思います。
 実は、運賃の割引制度について少しお聞きをしたいと思っておったんですが、十分しかありませんから途中までになるかもわかりません。さらにあしたも質問時間ございますから、そこでお聞きしたい。
 まず第一に聞きたいのは、小笠原先生その他いろんな先生からも指摘されたんですが、私たち運輸委員会は、百四国会、百九国会、それからずっと百十二、百十三ということで、いわゆる身体障害者に対する運輸行政の改善ということで、わかりやすく言うと内部身体障害者の運賃割引を求める請願が出されまして、運輸委員会ではこれを全会一致で決議して内閣に送付していますが、どうも私が見ると、門前払いで具体的に一つも進んでいない、何回国会で決議しても。百四国会では車いす重度身体障害者の運輸行政の改善、第百九国会では、鉄道・航空運賃の身体障害者割引制度等々たくさんしていますが、こういう請願に対して、請願の趣旨を踏まえて努力しますと大臣は答弁するんですよ。答弁しているけれども、一つも進んでいないんですから、どうなっているかひとつ聞かせてください。
#62
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま御指摘がございました請願に対する政府の見解でございますが、三つの理由から、これを実施することは非常に困難だということでございます。
 まず、現在の身体障害者に対する運賃割引制度は、割引による減収を一般的に他の利用者の負担によって賄うことによって実施されておりますが、公共的政策の遂行のための費用を現状以上に他の利用者に負担させることは、利用者負担の公平等の観点から問題があると考えられること、これが第一点でございます。
   〔委員長退席、理事及川順郎君着席〕
二番目に、電力、ガス、電話など他の民間事業者の公共料金には、交通のような身体障害者に対する料金割引制度は設けられておりません。三番目に、交通機関が負担することになる場合には、交通機関の経営に悪影響を及ぼすおそれがある。
 このような理由から、公共割引を政策的な措置なくしてこれ以上拡大するということは非常に困難であるという考え方になっております。
#63
○安恒良一君 請願は採択されて、採択されるときは、御趣旨を踏まえて努力しますと言っておきながら、今になったら、いやそんなもの請願採択されてもだめなんだと。それじゃあなた、請願を採択したとき、大臣の、その当時の国会の議事録みんなこれ引っ張り出して、できませんできませんと言ったのかということを見なきゃいかぬけれども、そんなことにはなっていませんよ。
 それで、あなたは今、いやこれはそれぞれの割引をしているところに持たしているんだから、これより以上持たせることは困難だからだめだ、こう言われますけれども、この点はきのう小笠原さんが議論をされていますから省略したいんですけれども、例えばJRは今度やってもいいと、こう言い出しているというんですね。それから、きのうの質問の中で、ではJRがやると言ったときは、運輸省は認可するのかどうか。それから、JRがやってもいいと言っていることだから、ほかの航空会社や民鉄にもやらしたらどうだ、こういう発想が出てくるんです。今回のJRがやっていいと言っているのはJR自身でお考えになったことだろうと思いますが、そこまで言われると、運輸省は認可するのかどうか。
 それから、認可するとしたら、今度は運輸省は指導としてJRだけやればいいということじゃないんですから、JRも民間ですから、他の民間の私鉄にもやらせるのか。それから、航空会社にもやらせるのか。今のような答弁だったらこういうふうに議論が発展していかざるを得ないんですが、そこはどうするんですか。
#64
○政府委員(塩田澄夫君) ただいま先生が御指摘になりましたような問題点につきましては、私どもこれから検討しなければならないと思っております。
#65
○安恒良一君 いやいや、検討しなきゃならぬというのは、検討という言葉は非常に便利ですが、私たちは、当運輸委員会としては今、回数を上げたように、中身を付して政府はこれを実施しなさいとこう言って採択しているわけですね。そうすると、そのときは、御議決されました趣旨を体して努力をいたします、こう言っているんですから、検討しなきゃならぬということじゃないんですよ。実施をするためにどうするかということです。何かあなたの話を聞いているとやるのかやらぬのかわからぬような話になるんだ。それでは何のために私たちが、しかもこれは満場一致で決めるんですから、これはどこかの党が反対と言ったら決まらぬのですよ。与野党満場一致で決めたことができないということについては、どうも今の答弁では私は理解できない。
 そこで、もう時間がありませんから、大臣にも論議を進めるためにあれしておきたいんですが、今のところは公共交通による身体障害者の運賃割引は、各社が割り引くことによって減収しています。それを今、局長が言ったように、他の利用者の負担で賄っているわけです。ここに一つのネックがあるということを彼は言うわけです。私も本来、これは福祉対策について国や自治体が補助金を出すなどして公的補助をするのが本筋だと思います。この点について大臣、どういう見解をお持ちでしょうか、お聞かせください。
#66
○政府委員(塩田澄夫君) 大臣がお答えになります前に事実の関係を申し上げますと、運輸省といたしましては御承知のように運輸政策の観点からこの問題に取り組むわけでございますが、先生が御指摘の公共的な立場から公共団体等の身体障害者に対する援助というのはもう少し交通の枠を越えておりまして、もう少し一般的な社会政策的な制度なんだろうというふうに考えます。
 そういう点につきましては、直接運輸省の所管でございませんで、他の省庁の所管だと思いますが、その点についての他の省庁の判断は、現在の制度で適切であるという考え方であろうと思います。
 そこで、運輸政策に限ってこの問題について取り組みますと、先ほど申し上げましたように、なかなかさうきの原則から先へ進みにくいということが今までの状況でございました。ただ、先生が御指摘のいろんな問題につきまして、私どももこれからも引き続き検討はしなければならないと考えている次第でございます。
#67
○安恒良一君 運輸大臣、答弁される前にもう一遍整理しておきたいと思いますのは、身体障害者やさらに内部身体障害者や精神薄弱者を含めて、これらの皆さんにも健常者と同じように交通の機関が利用できるためにはこの割引制度をやりなさい、これは国会の総意なんですよね。そしてそれを毎回私たちは決めている。
   〔理事及川順郎君退席、委員長着席〕
ところが、それをそれぞれの会社に持たせることにいろいろ問題がある、これより以上広げていくことは問題があると、こうおっしゃるから、そうでしようと、私たち社会党は本来からそんなもの会社に持たせろといって主張したことはないんですよ。それは福祉対策として国とか地方自治体が補助金を出して公的助成をすればそれで片づけられるじゃないかと。だから、その方向に大臣前向きにいくお考えはお持ちですかどうですかということを大臣に聞いているのでありまして、局長にそんなことを答弁をしてもらう気はない。大臣。
#68
○国務大臣(山村新治郎君) これは他の省庁にわたることでもございますし、御存じのとおりの苦しい財政事情でもございますので、今御指摘の問題、これはよく検討させていただきまして、他の省庁のことまで私がどうこう言うのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
#69
○安恒良一君 大臣も運輸大臣になられたばっかりだから、男山村新治郎さんも何かえらい控え目の後ろ向きの答弁ばっかりしているけれども、私が言っていることは他の省庁に関するんだが、やっぱり交通関係は運輸大臣の所管だからそれにかかる割引ぐらいはどうだ、厚生省に関するものは持ったらどうだ、自治省どうだと、こんな話をして、大蔵省を含めてあなたがやる気にならないと、他省にかかわることでございますのでなんて言っておったらこれは進まないんですよ。この話はきのうきょう出したんじゃないんですから、もうずっと前から運輸委員会だけじゃなくて予算委員会でも議論をしてもらっていますからね。
 しかし、どんどんどんどん国民の総意として請願が来て、その請願をここで話し合いをしたときは満場一致、ひとつ割引制度については要求しようじゃないかということで出る。そして要求書を出したら、いやそんなことを言ったって、これより以上民間の各社に持たせられぬ、こう言うんだから、持たせられぬよと言うなら、後どうするかというのはヨーロッパの実例に倣ってやるしかないんですよ。
 そこで、ちょっと一つお聞きしたいんですが、欧米先進諸国において公共交通における障害福祉対策はどのようになっていますか。各交通機関は自助努力だけでやっていますか。我が国に比べて欧米先進諸国のとっている施策について伺いたいと思います。
 それから、西ドイツで重度障害者法というのがありますが、この中身はどういうふうになっていますか。以上のことについて聞かせてください。
#70
○政府委員(塩田澄夫君) まず、欧米の中でヨーロッパの主要国につきまして概略申し上げますと、身体障害者に対する運賃割引がある場合がございますが、これにつきましては公的な補助が行われているのが通例でございます。
 なお、西ドイツの今、委員が御指摘になりました制度につきましては、ちょっと手持ちの資料がございませんので、後ほどまた御説明させていただきたいと思います。
#71
○安恒良一君 それでは、私の方から西ドイツの制度についてちょっとお話ししましょう。
 西ドイツの重度障害者法は、「運動能力の障害のため道路交通に著しく支障をきたしている重度障害者は、」パス、鉄道、フェリーなど「公的旅客輸送に従事する事業者により」介護者、手荷物、盲導犬を含めて「無賃輸送を受けることができる。」とし、無料運賃によって生ずる損失は連邦で補償する、こういうふうに西ドイツでは規定してあるんです。これは西ドイツの現行法です。これから比べますと、日本は身体障害者対策が余りにもおくれているんじゃないですか。国の予算もだんだん立ち直ってきていますね。そして、世界で日本は一番金持ちの国だといって、ヨーロッパヘ行って城まで買っている人があるぐらいですからね。そんな時代に、西ドイツでは、今私が申し上げた重度障害者法というのがございまして、そういう規定がございます。余りにも日本はこういう面では立ちおくれていると思います。
 そこで、もう時間が来ましたから、どうか大臣、ひとつ大臣の一つの重要なテーマとして、今まで何回も私たちは採択をしてあれをしていますから、この大臣の時代にこのことについてぐっと前向きに進めてもらいたい。幸いJRは、おれのところで負担してもと、こう言い出しているわけですから。例えば航空会社なんか最近もうものすごい利潤を上げています。これは日航を民営にするときに十カ年計画を出してもらいました。それに比べるとはるかな利益を日本航空は上げていますし、ほかの航空会社も上げています。ですから、国の施策と相まって各航空会社なり交通会社も一端を担うということは、しかし、それを全部そこに担わせるということになるといろいろな問題が出る。本来私は国や地方自治体が積極的にやるべき施策だと思いますので、そういうことについて前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、最後に大臣の所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#72
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま御指摘の問題点を踏まえ、十分に検討させていただきたいと思います。
#73
○及川順郎君 私は、特定船舶製造業安定事業協会法にかかわる問題に絞りまして、時間の許す間質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、今回法律の題名を造船業基盤整備事業協会法に改めた理由でございますけれども、既にその趣旨の中に述べられておりますように、五千トン以上の製造施設を有する事業者だけを対象としておりましたこれまでの内容を拡大するという点と、民間における研究機関の内容を促進するための業務、この二つが強調されて記されておるわけでございますが、このことも含めまして、もしそのほかに現在の造船業界万般にわたる活性化なりあるいは改善等、法律の題名を変えた理由づけがございましたらまず冒頭承りたい。
#74
○政府委員(石井和也君) 我が国の造船業は、二度にわたります石油危機、それから産業構造の変化等による需要環境の変化に対応いたしまして、設備処理、集約化等の措置を講じてきたところでございます。この結果、海運市況の改善等と相まって、昨年後半から受注量、船価ともに回復に転じ、ようやく最悪の状況を脱しつつあります。しかしながら、長期にわたります不況によりまして、業績が低迷、それから大幅な合理化の実施等によって、研究開発投資が停滞する、それから技術者の高齢化や造船離れ等の問題が発生しておりまして、将来の活力の低下が懸念されるような状況になっております。
 このために、従来からの経営安定対策に加えまして技術開発の促進を中心とした造船業の活性化対策を早急に講ずることといたしまして、技術開発の促進にかかわる所要の体制の整備等を図るために、特定船舶製造業に限らず、小型造船所、舶用機器メーカー等をも含みます造船業全体の技術の高度化と活性化をねらいといたしまして、これにかなった名称であります造船業基盤整備事業協会法に改めることとしたものでございます。
#75
○及川順郎君 造船業の現状等につきまして、政府は造船対策としまして設備処理、集約化、需要創出及び操業調整等を実施してきております。その内容につきまして、現状をどのように認識されておられるのか。例えば、第一次設備処理の実施あるいは第二次設備処理、集約化の実施、船舶解撤促進助成金制度の創設、さらに需要創出の実績等を含めまして、現状についての概要の御説明をまずお願いしたいと思います。
#76
○政府委員(石井和也君) 我が国の造船業は、第一次石油危機以降極めて長期にわたります構造不況に見舞われましたために、それからの脱却を図るべく設備処理、集約化、需要創出などの所要の対策を講じております。
 まず、設備処理につきましては、造船業における需要のインバランスを解消すべく、昭和五十四年度及び昭和六十二年度の二次にわたり実施をいたしました。その結果、昭和五十四年度の第一次設備処理実施前の時点において九百六十万CGTありました総トン数五千トン以上の船舶の建造設備は現在四百六十万CGTまで削減されております。また六十二年度には集約化もあわせて実施されまして、第一次設備処理実施前の時点で六十一社ありました事業者数も二十六社八グループに縮小、集約化されました。また、需要創出対策といたしましては、官公庁船の建造促進、船舶整備公団の船舶建造資金の確保などを行ってきましたほか、造船事業者が行う船舶解撤事業に対しまして船舶解撤促進助成金を交付する船舶解撤促進助成制度を昭和五十三年度に創設いたしまして、本年三月末時点までに二百七十五隻、四百五十二万総トンの船舶解撤に対し助成を行ってきております。また、地域の活性化及び新たな海洋事業分野への事業転換を図るべく造船業の技術を活用した海上浮体施設整備事業に対しましてNTT株式売却収入を活用いたしました日本開発銀行からの無利子貸し付け等を行っております。
 以上のような構造対策及び需要創出対策を実施いたしましても需給ギャップはなお存在いたしますために、これによる過当競争を抑制する観点から造船法によります運輸大臣の勧告、不況カルテル等による操業調整を実施してきており、平成元年度につきましては、昭和六十二年度から引き続き一万総トン以上の事業者について不況カルテルによる操業調整が実施されております。これらの対策の効果に加えまして、最近の海運市況の改善等によりまして昭和六十三年度におきましては新造船受注実績が四年ぶりに増加に転じ、船価も上昇傾向を示すなど、一応不況の底は打ったものと考えております。
#77
○及川順郎君 もう一つ、船舶解撤コストの国際比較でございますけれども、これは我が国の場合どういう状況になっておりますか。
#78
○政府委員(石井和也君) 現在、日本以外で船舶の解撤を行っております主要国といたしましては、韓国、中国、インド、パキスタンなどがございます。船舶の解撤コストは人件費、施設・材料費等で構成されておりますが、そのうち人件費が大きなウエートを占めておりますために、人件費の高い水準にある我が国としてはこれらの諸国と比較するとコスト高にならざるを得ないというのが現実でございます。
#79
○及川順郎君 もう一つは、我が国の現在の船腹需要の動向でございますけれども、新造船の受注量の推移等を含めまして今底を打って少し上向きというお話がございましたけれども、将来見通し等につきましてはどういう見通しをお持ちになつておられますか。
#80
○政府委員(石井和也君) 運輸省の建造許可実績によりますと、昭和六十三年度の我が国造船業の新造船受注実績は四百八十五万総トンと、前年度実績を一〇%程度上回っております。昭和六十年度以降三年間連続した減少傾向から四年ぶりに増加に転じたということでございます。また、今年度に入りましても輸出船を中心に新造船の受注量は堅調に推移しておりまして、一応不況の底は脱したものと考えております。
 しかしながら、一方では船舶の使用期間が延びている等の要因もありまして、当面大幅な需要の増加は期待できる状況にはないものと考えております。
 昨年夏にまとめられました海造審の意見書におきましても、今後の我が国の造船業の外航船建造需要は、当面標準貨物船換算トン数で二百五十万トン程度で推移をいたしまして、本格的な需要の回復は一九九〇年代後半になるものと予想されております。この九〇年代後半には大体この予想では四百七十万CGTが予想されております。
#81
○及川順郎君 造船業界の経営状況なんですが、国内の受注、それから海外からの受注、この比率はどのぐらいになっておりますか。そして、その傾向はどういう傾向を示しておられますでしょうか。
#82
○政府委員(石井和也君) 手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんけれども、最近の傾向を見ますと、フラッギングアウトの傾向が非常に強いわけでございまして、日本船主が支配する便宜置籍船という外国船が多くなっておるわけでございまして、日本船の率は非常に下がっております。
#83
○及川順郎君 もう一つ、現状把握の上で、造船業の研究開発の投資ですね、これは我が国の実態、また諸外国と比べてどの辺のレベルにあるか、これの具体的な資料がございましたら、もしなければ傾向だけでもお示しいただけませんか。
#84
○政府委員(石井和也君) 諸外国の資料を持ち合わせておりませんので、国内の傾向を御説明申し上げます。
 大手七社におきます最近五年間の造船、造機、海洋開発に関する研究開発費は、昭和五十八年から昭和六十年までは大体百七十億円、それから昭和六十一年では約百六十億円、昭和六十二年では約百十億円で、最近は減少傾向にございます。研究費を昭和五十年度を一〇〇とした指数で見ますと、昭和六十二年度において全製造業で三九三であるのに対しまして造船業大手七社では一三一というように低迷しております。伸び率が非常に低いということでございます。
 また、昭和六十年に千人を超えていました船舶関係の研究者の数も現在五百人程度まで減少しておりまして、現状のままで放置すれば、将来産業の活力を喪失する事態も予測される状況となっております。
#85
○及川順郎君 現状を承ってまいりましたけれども、現場で私たちが聞く状況と大体合っておりますね。やはり造船業界、現地の人たちの意向を聞いてみますと、明るい話題が返ってこない、こういう状況でございます。
 私は、今回のこの特定船舶の法律は、今回初めてじゃなくて継続性を持っております状況から、今回の内容の充実によって現状どういう効果が期待できるのかということを担当局から伺いたいと思いますけれども、大臣ですね、日本は海洋国日本、これはもう四万海に囲まれた海洋国日本、こういう状況の中で海洋の一番花形と言われる、あるいは大事なポイントを占める造船関係がこういう低迷をしてきている。国際的な中におきましても、我が国の造船業界を中心としたこの業種の位置づけをどのようにお考えになっておられるのか、また今後どのような方向でリードすべきか、これに対する大臣の所見を伺いたいと思います。両方お願いします。
#86
○政府委員(石井和也君) 日本の造船業は、世界の新造船需要が減っておりますけれども、その中でやはり世界の新造船の四割を建造いたしております世界一の造船国でございます。また、日本は船舶の技術の面におきましても世界をリードいたしております。そういう状況できたわけでございますけれども、最近の先ほど御説明しましたような問題点、雇用の問題とか、あるいは技術開発費が低迷しておるというような問題がございますので、ぜひとも世界に貢献できる造船業とするためには、技術開発を促進して優秀な日本の技術を温存し、世界に貢献していく必要があるかと考えております。
#87
○国務大臣(山村新治郎君) ただいま政府委員からお答え申し上げましたが、今回の造船業基盤整備事業協会法、これも実はその造船業のこれからの、幸い少しずつ上向いてはまいりましたが、将来にわたっての日本の造船業の地位を築くための法律でございますので、よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。
#88
○及川順郎君 やはり法改正そのものが業界活性化のインパクトになるように積極的にむしろ生かしていかなければならない、こういう立場からそうした一層の努力を私は期待しておるわけでございまして、ぜひその方向で努力を積み上げていただきたい、こう思うんですね。
 次に、協会の事業内容について若干伺いたいんでございますが、これまで行いました特定船舶事業に供する設備、土地の買収の実績ですが、第一次、第二次分、これらのうちの土地の譲渡方法について御説明をいただきたいことと、現在未譲渡の土地の管理運用はどのようになさっておられるのか、この点を伺いたいと思います。
#89
○政府委員(石井和也君) 特定船舶製造業安定事業協会は、深刻な造船不況に対処しまして五十四年度に実施されました過剰設備の処理を円滑に進めるために昭和五十三年十二月に設立されたものでございます。同協会では、自力では設備処理を実施できない事業者から設備や土地を買収するとともに、これらの譲渡、残存事業者からの納付金の徴収等により、買収のために借り入れた資金の償還を行っております。同協会は、昭和五十四年度に九造船所を三百六十八億円で買収したのに続き、昭和六十二年度に五つの造船所を百七億円で買収しております。買収にかかわる事務手続につきましては、設備及び土地の買収は事業者の申請に基づいて行い、買収した後は地方公共団体等の協力を得ながら随時にその譲渡を進めておるところでございます。また、土地の管理でございますが、未譲渡の間につきましては、協会が責任を持ってこれらの資産の管理を適切に行っておるところでございます。
#90
○及川順郎君 法の性格からいいまして、土地譲渡につきましては、一部個々の問題では買収価格を下回るような事態もあり得るんじゃないか。しかし、そういう状況がありましても、全体的に穴があいたままでいいのか、あるいはまた、全体として上回るような状況を目的となさっているのか。この点の経営に対する基本的な姿勢を伺っておきたいわけでございますが、あわせて最近の収入、支出の決算、経営概要につきましても御説明いただきたい。
#91
○政府委員(石井和也君) 設備及び土地の買収に当たりましては、設備については簿価、土地については時価で買い上げておりますが、設備の大半は廃棄されることから、これらの譲渡収入だけでは買収の際に借り入れた資金の元利を償還することは困難であります。譲渡収入に加えて残存事業者からの納付金及び政府補給金により借入金の償還を行っております。このように、土地の一部が高く売れたといたしましても、全体としては利益が生ずるようなことはないことになっております。
#92
○及川順郎君 今の利益という問題を、性格から言いましてこれを追求するという考え方が持てない、こういう認識なのか。だけれども、無制限にそういう事態が拡大していっていいという考え方はないだろうと思うんですが、その辺のところの目安はどのようにお考えになっているわけですか。
#93
○政府委員(石井和也君) 造船所の跡地というものは、非常にへんぴなところにありまして、必ずしも値上がりするようなものではございませんし、また売るのに非常に長時間かかるというようなものもあるわけでございますが、これらを買収いたしまして、その資金は借り入れによって賄っておるわけでございますし、また、設備等廃却するものが非常に多いわけですから、これらを残存者の納付金で賄うということになっております。しかし、これら納付金の負担をなるべく軽くするということから、買収いたしました土地については、なるべく早い時期に譲渡していくというような努力をいたしております。ほぼ買収価格あるいはそれ以上で売れているところが大部分だというふうに考えております。
#94
○及川順郎君 それではもう一点、法案の内容につきまして関連のところを伺いたいわけですが、高度船舶技術の開発という問題につきまして、高度船舶技術そのものの定義をどのようにお考えになっておられますか。
#95
○政府委員(石井和也君) 高度船舶技術の定義につきましては、本法案の第二条三項によりまして「船舶、船舶用機関及び船舶用品の製造及び修繕に関する技術であって、それらの性能又は品質の著しい向上に資するものその他の造船に関する事業における経営の安定及び技術の高度化に相当程度寄与するもの」というふうに規定をされております。高度技術というのは、船舶性能を著しく向上させ、海運業そのものの効率化につながるというふうなものを考えておりまして、大きなものは今回補助金で行いますような新形式超高速船あるいは高信頼度舶用推進プラントというようなものもございますけれども、それ以外の小さなものであっても非常に効果のあるものであればこれを支援していくということでございます。
#96
○及川順郎君 そのような定義に基づいて船舶技術者の技術水準の向上、要員の確保、特にこの要員の確保ですね、これについてはどのような見通しをお持ちでしょうか。
#97
○政府委員(石井和也君) 現在、造船業が抱えております問題点は、先ほども御説明申し上げましたけれども、技術者の高齢化が進んでおるということ、それから若い優秀な技術者が造船離れをしておるということで、最近の大学の造船科を卒業した学生も造船所にはなかなか来ないというような状況になっておるわけでございます。したがいまして、これらの若い技術者にとっても魅力のある造船業にしていくためには、やはり彼らにアピールするような技術開発を進めていく、さらには、それを通じて造船所の収益性を上げ、経営を安定させていくということが非常に重要であるというふうに考えております。
#98
○及川順郎君 かつては、海にあこがれるというのは一つの夢とロマンがあるという状況があったんですが、今はそれが、姿にかげりが出てきている、こういう状況の中で次世代の人たちを引きつける魅力がなくなってきている。これを若い人たちがその技術にどう情熱を燃やせるようになるか、この辺にやはり心を砕く必要があるんではないか。そういう意味で今回のこの法律の中で研究開発に対してかかわりを持つことになるわけでございますが、この研究開発を通して本当にこのことはぜひ成功させたい、こういうような青写真は現在のところお持ちでしょうか。
#99
○政府委員(石井和也君) 平成元年度から予算が認められております今回の協会を通じて補助金を出すことになる新形式超高速船につきましては、まず技術者の夢と申しますか、一番技術者が考えますことは、より速くより信頼性高く物を運んでいくというものをつくっていくということであろうかと思います。その夢にかなうテーマではなかろうかというふうに考えておりまして、こういうものを進めることによって魅力ある産業に再生していくことができるんではなかろうかというふうに考えております。
#100
○及川順郎君 もう一点。このような特殊法人である協会が民間で行われる試験研究に対して助成制度を創設するというこの試みですが、諸外国にはこういう例はございますでしょうか。そしてまた、諸外国でこれによって大幅に成功したというような例はございますか。
#101
○政府委員(石井和也君) ただいま資料を持ち合わせておりませんけれども、米国では政府が補助を行って技術開発を進めているという例があるそうでございます。後ほど資料がありましたらお届けいたします。
#102
○及川順郎君 ただいま資料を持ち合わせておられないようですから、もし外国にそういう成功例がありましたらこれはやはりどんどん取り入れまして、そしてただ法律ができればいいということではなくて、法律の趣旨に基づいてそれが効果あるように、しかも、造船業界にかかわりを持つ現在働いている人たち、それから次の世代を担っていく人たちが誇りと夢を持って集まってくる、それが全体の活力源になっていく、こういうふうな方向にしていくためにも、国際的な情報収集の中でぜひ取り組みをお願いしたい、このように思います。
 今、アメリカの話が出ましたが、先日の新聞に米国の包括通商法三〇一条の対象として今回のこの造船問題も提訴されたということが報道されておりました。この問題に対してどのような認識をお持ちでいらっしゃいますか。
#103
○政府委員(石井和也君) 日本時間の九日、米国の造船業協会が日本と韓国、西ドイツ、ノルウェーの造船助成が通商法の三〇一条に規定いたします不公正な貿易慣行であるということで提訴をいたしました。中身につきましては実質的に十項目程度ございます。
 その中身を見ますと、我が国は、世界の造船国といたしましてOECD等でいろいろな政府助成についての削減についての取り決めがございますけれども、その中で基準を厳重に守ってやっておりますし、原則的には問題がないものというふうに考えておりますけれども、そういうようにOECDの取り決めの中で行われておるものも含まれておる、また事実誤認のものもございます。それからさらには、もう既にやっていない制度についても指摘をしております。さらには造船業の再編合理化政策等についてもこれは助成に当たるのではないかというようなことを言っておりますが、これは見解の相違ということになるわけでございまして、そういう提訴の中身につきましては十分中身を調査いたしまして、米国の真意をはっきり把握するとともに、今後、外交ルートを通じまして関係方面に説明をしてまいりたいというように考えております。
#104
○及川順郎君 今回の米国の措置は、米国の造船業界が軍事費削減等によりまして非常にピンチに陥っている、そうした米国内の造船業界の立ち直りを図るための苦肉の策じゃないか、こういう見方もあるわけですね。しかし、我が国の国内でも造船業は手厚い保護を受けているということも事実なんですね。国からの補助につきましては、今後も海外からこのような不公正な慣行という指摘が行われる可能性というのはやはりあると見なくちゃならぬと思うんですね。その認識が政府にあるのかどうなのか、あわせて、今回の法改正についても提訴される可能性はあると見ているのかないと見ているのか、この点をもう一回伺いたいと思います。
#105
○政府委員(石井和也君) 我が国は世界の中で造船第一位の国でございまして、そういう自覚に基づきまして国際的な取り決めを守ってきているところでございます。そういう観点から申し上げますと、今回の提訴については非常に心外であるというふうに考えております。見解の相違等がございまして誤解等があればこれを解いていかなければいけないというふうに考えております。
 それから、今回の技術開発につきましては、提訴の中にも技術開発という項目がございますけれども、従来民間がやっておりました技術開発の支援につきましてこれを政府がやっているという誤認をしたような指摘、それから今回の超高速船の開発をごちゃまぜにしたような指摘というようなものもございます。しかしながら、世界の状況を見ましてもこういう先進的な技術につきましては何らかの形で国が支援をいたしておりますし、こういう先端的な技術開発につきましては長期にわたる研究が必要でありますし、またリスクも非常に大きいということ、それから今回の研究を例にとりますと基礎的なまた応用的な研究でございまして、これが直ちに造船市況を乱すような影響を与えるようなものとは考えておりません。したがいまして、今回の技術開発につきましては、私どもはそういう指摘を受けることはないというふうに考えております。
#106
○及川順郎君 ないという……。国際的なこの動きの中で判断の甘さがあると取り返しがっかなくなるという状況があるわけでございまして、アメリカから誤解を受けないためにも納付金の返済義務規定を明確にしておく必要があるんじゃないかという一つの指摘があるわけですけれども、この点に対する、是非に対する所見はいかがですか。
#107
○政府委員(石井和也君) 今回の法律の中に、補助金を受けて技術開発を行った場合、その成果により将来利益が生じた場合にその利益の一部を納付金として本協会に納めるという決まりがございます。これを協会にプールいたしまして、さらにこれをもとにいたしまして補助を行っていこうというシステムでございます。また、国がまるまるその補助金で技術開発をする人たちに恩恵を与えているということではなくて、それを回収しているという効果もあると思います。
#108
○及川順郎君 今伺った感じでは、国際化の中における各国間の摩擦、これに対する受けとめが、もう一歩やはりきちっと受けとめる必要があるんではないか。これは常に最悪事態を考えてそれに対応できるような万全の体制をとるというのがあるべき姿であるわけでございまして、ぜひこの点は甘く見ずに、対応措置をきちっと考えていくべきである、このように私は主張申し上げたいわけでございます。
 大臣、今の三〇一条で提訴されるという問題等も含めまして、ここになってきますと国際間における摩擦問題にも触れてくるわけでございまして、現在の我が国における造船業界の実態、今回の法改正によってさらにそれを充実する、しかも研究開発をやる、非常に高度な研究をしていく。その研究開発の中身というものは、当然最先端をいくアメリカの技術開発ともこれは競合する、そういう状況になっていくと思いますので、この点に対しての運輸担当省の統轄者としてかじ取りの方法に対する決意、所見、これを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#109
○国務大臣(山村新治郎君) 我が国は不公正貿易の対象とされる理由はないというぐあいに考えておりますが、アメリカにはアメリカの考え方もあろうと思われますので、今後、提訴の内容など十分検討して、相手側の真意を確かめながら適切に対処してまいりたいと思います。
 また、本法案につきましても誤解を受けることのないように、よく諸外国にも説明しながらやってまいりたいと思います。
#110
○小笠原貞子君 最初に、特定船舶製造業安定事業協会法の一部を改正する法案の中の質問をさせていただきます。
 まず最初に、具体的な問題で伺いますけれども、協会が第一次で買い上げました函館どっくの跡地を、どこに幾らで、どういう目的で売られましたか。
#111
○政府委員(石井和也君) 函館ドックの跡地につきましては、本年五月三十一日に同協会から北海道振興株式会社に譲渡されております。
 跡地の利用でございますが、レジャー施設として利用すべく同社と地元の函館市との間で連携を図りつつ検討が進められておるというふうに聞いております。私どもといたしましては、跡地の利用が適切に進むことを期待いたしております。
#112
○小笠原貞子君 お幾ら。
#113
○政府委員(石井和也君) 譲渡価格は、土地及び現有設備一式で三十億円でございます。
#114
○小笠原貞子君 どうもありがとうございました。そういうわけでございます。
 そこで、今、函館の市民の方が大変心配していらっしゃるということはお聞き及びかと思いますけれども、本当はこの目的のとおりに市民が利用できるレジャー施設になってほしいということを願っていたわけなんだけれども、ある一部の声としまして、一部の声としてももう活字になったりしているんだけれども、海上自衛隊基地をそこに持ってくるというような話が出てきているわけなんです。ただでさえ来てもらったら困るのに、まして楽しいレジャー施設ということのお約束だったのに、そこに海上自衛隊などが来られたら困るということで私のところに問題が持ち込まれております。今の売られた経過から考えて、普通で考えればこんなことはあり得ないことじゃないかと、それじゃ私が伺ってみようということで伺うわけなんでございますが、それについてどういうふうな情報を持っていらっしゃるか、それについてどうお考えになっているかという点について聞かせてください。
#115
○政府委員(石井和也君) 今委員がお話しになりましたようなことにつきましては、私どもはまだ聞いておりません。
#116
○小笠原貞子君 聞いていませんか。
#117
○政府委員(石井和也君) はい。
#118
○小笠原貞子君 お聞きになっていない、聞いていらっしゃらないということはわかりました。
 もしそういうことがあるとしたら、これはどういうふうに考えられたらいいでしょうか。自衛隊が入ってくるよというような問題が起きました。そのお考えはどうですか。
#119
○政府委員(石井和也君) 特定船舶製造安定事業協会がもう既に北海道振興株式会社に函館ドックの跡地を譲渡いたしておりますので、その後の使い道については市当局等と会社が十分協議しつつ利用を図っていかれるというように考えております。
#120
○小笠原貞子君 市当局と会社が……。
#121
○政府委員(石井和也君) はい。土地の利用計画等が市にございましたら、それに沿った形で市当局が御指導をしていかれるのではないかというふうに考えております。
#122
○小笠原貞子君 ちょっと私、自分で大きい声を出すものだから小さい声聞こえないのよね。大臣ぐらいの歯切れのいい大きな声で言ってくださいな、半分眠いのにもってきて小さい声だと。市当局と会社とが話し合って、その後どうなるの。
#123
○政府委員(石井和也君) 跡地の利用につきましては、もう既に協会の手を離れておりますので、後の利用につきましては新しい所有者と市当局とが十分打ち合わせをしながら活用されていくものというふうに考えております。
#124
○小笠原貞子君 その大事なところ、もし聞き漏らしていたら私大変だったのよね。
 確かに、協会側は売ったんだから手が離れているという形にはなるけれども、大体この土地というのは国の金でもって協会が売っているわけでしょう、北海道振興という会社に。不動産屋が買ったのを売ったと。そこでどういうふうに使われようが知らないという一般の不動産屋の立場とは違うと思うのね。初めに国がかんでの払い下げ、買ってという形になるからね。だから、その辺のところはもう協会から手が離れましたので、それについては目的がマリンパワーでなくてもどこでも何に使われようとしようがないんだということだとちょっと問題があると思うんだけれども、どうなんでしょうね。
#125
○政府委員(石井和也君) 譲渡をいたしますときに、譲渡をする相手がどう使うかということは協会として把握をいたしておりますし、また地元の土地利用計画等がある場合には、それに沿った形で使われるということが望ましいわけでございますので、市当局とは十分打ち合わせをしているわけでございますが、それ以後につきましては協会としては何も条件をつけておりません。
#126
○小笠原貞子君 そうしたら、極端に言ったら、買うときには、地域のためになるような施設をつくりますよと、こういうふうないろんな理屈をつけて買う。買って手が切れたら後は何に使ってもいいんだよという結果になるわけね、わかりやすく言ったら。大臣、そんなことあっていいだろうか。譲り受けたときは、こういうことでございますからといって譲り受けておいて、後は何にしようがいいやなんということになったら、みんなあなたうまいことを言って安く買って好きなことをやったら、これは土地転がしと同じじゃないの。ちょっとこれおかしいね。常識だとおかしいと思うんだけれども、大臣、常識の頭でどういうふうに考えられますか。
#127
○国務大臣(山村新治郎君) ただ、土地を売った買ったですが、その間にいろいろな条件等をつけてあればというようなことなんですが、どのような契約になっているかわかりませんので、私としてはちょっとこれはお答えできないと思います。
#128
○小笠原貞子君 まだ言いたいことがあるから、ちょっとわかりやすく言ってよ、おかしいよ。
#129
○政府委員(石井和也君) 委員御承知のように、造身所の跡地というものは非常にへんぴなところにございまして、土地転がしをやってもうかるようなものではございません。
#130
○小笠原貞子君 へんぴだなんて、へんぴじゃないよあなた、狭い函館の。
#131
○政府委員(石井和也君) 函館の例を申し上げましても、協会がこれを買い取りましてから譲渡するまでの間十年もかかっているような状況でございまして、協会といたしましては、造船所を買い上げまして、なるべく早い期間にこれを譲渡いたしまして資金を回収して銀行に返さなきゃいかぬ。そういたしませんと、残存者の納付金というのがどんどんふえてくるということでございますので、そういう義務があるわけでございます。そういうことで努力をいたしましてもかなり長期間かかるような土地が多いわけでございます。したがいまして、土地転がしの対象になるようなものではないということでございます。
#132
○小笠原貞子君 時間を長くとり過ぎちゃったからあと急がなきゃならない、困っちゃったんだけれども。
 そういうところに自衛隊の基地なんかを持っていかれたら困るという市民の感情は当然だと思うし、レジャーの目的で譲り受けた土地なんだから、それはいろいろ返さなきゃならないとかお金のやりくりがあるからかもしれないけれども、それが自衛隊基地になるというのは好ましいとは言えないと思うのね。後はもうどうなってもいいんだよという無責任な立場ではなくて、お返事を聞いてまた繰り返しで時間をとられるのは私もったいないからやめるけれども、協会の手から離れたんだから何になってもいいですよというんじゃなくて、目的はレジャーとしてやったんだからというので、その辺のところは国がかんでのことなんだから、そう突っ張らして無責任な態度じゃなくて、これお聞きになっていないということだったけれども、お調べになって、そしてそのお考えをまた私聞きたいと思いますので、どういう状態か調べておいていただきたいと思います。
 それで、法の改正の内容というのを見ますと、大手造船企業を対象として研究開発の五〇%を国が補助し、その上全体の五〇%を無利子で融資してもらう、まことに優遇措置だということが言えるわけですよね。その一方では、国民生活にかかわる予算が縮小されているというのは皆さんも御承知のとおりなんです。五年間で補助は幾らになるんですか。それから、利子補給は幾らになっているんですか。
 それから次に、この研究開発によって利益を上げた場合、収益納付金というものはあるのか。そして、どういう納付基準に基づくのかということを伺わせてください。
#133
○政府委員(石井和也君) 今回つくります技術開発促進の制度でございますが、大手だけを対象にしたものではございません。
 国の一般会計から補助金をこの協会を通じて助成金として出すこと以外に、開銀からの融資に対します利子補給をするとかあるいは市中銀行から研究開発費を借り入れる場合には債務保証をするとか、あるいは協会の業務として開発研究を行う者に対しまして国の研究機関との共同研究がしたいという場合にはそれをあっせんするとか、非常にきめ細かい制度になっております。また、法律で対象としております業種も従来の買い上げ業務とは異なりまして、五千トン未満の小さい造船所に対しても、またエンジンメーカーあるいは機器をつくる会社あるいは船用品をつくるようなもの、すなわち中小企業に対しましても、いい技術開発のテーマがありましたらこういう制度を通じて支援できるようになっておるわけです。
 しかし、御指摘のように、平成元年度の予算では非常に先端的な技術開発をねらっておりますために、大手企業が参加した超高速船の開発あるいは高信頼度推進プラントの開発というのがテーマになっております。
 それで、平成元年度につきましては、この二つを合わせまして七億四千六百万の補助金が出ることになっておりまして、補助率は直接研究費に対して五〇%ということになりますので、直接研究費についてはその残りの五〇%を研究に参加する企業が出さなきゃいかぬということと、それに附帯する人件費等々ございます。したがいまして、研究を担当するところの負担は相当多くなるということでございます。五年計画で実施いたしまして、超高速船の例をとりますと研究総額が約百億円ぐらいかかるというふうに考えております。
#134
○小笠原貞子君 それで、利益納付義務というのがあるわけでしょう。それはどういう納付基準に基づくのかということはどうなんでしょうか。
#135
○政府委員(石井和也君) 納付の基準でございますが、その研究成果を利用して得られた利益の程度、それから成果の中身等によって決まってくるものだと思います。
 具体的には、運輸大臣が認可をいたします協会の業務方法書においてこの納付金につきましてもその基準を明記することといたしております。
 中身につきましては、現在検討中で、詳細な御説明がちょっとできかねるわけであります。
#136
○小笠原貞子君 その業務方法書で五年の後に決める、こういうことになっていますんでしょう。この事業をずっと研究を進めていって、そして五年と期限があって、その五年後に今言ったどれくらいの利益が上がったかというようなのを計算して、業務方法書でやるということですよね。そうすると、その業務方法書というものがどういう中身になるのかということについて、国民の貴重な財源を出すわけですから、約四十億からというようなお話も聞いたし、利子も加われば相当な額になるからね、そういうものについて還元するということになって、業務方法書というものも当然国会に出していただくということが私必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#137
○政府委員(石井和也君) ただいまのお話の中で、五年後から納付が始まるというふうにおっしゃいましたけれども、実際問題といたしまして、この研究が成功いたしましてその成果が利益につながる、商品あるいは特許等につながりまして、それを利用することによって利益が生まれたときにその利益の一部を納付金として納めていただくということでございまして、限度としては国が補助いたしました金額の範囲内ということになると思います。
 また、業務方法書につきましては、運輸大臣が認可をすることになっておりまして、中身につきましてはそうおかしなものにはなりません。
#138
○小笠原貞子君 おかしなもの出されたら困りますよ。
 それじゃ、五年たって利益が上がってどうなんだというようなことになってみなけりゃわからないし、それはおかしなものにはならないよということなんだけれども、こっちもそんな人よくしていられないんで、きちっとしたものを当然私たちにも出していただきたいと思ったんです。
 次に、研究開発による成果、今おっしゃったように成果が上がったと、そしてもうけも上がるようになったと。そうしたらその特許はどこに属しますか。
#139
○政府委員(石井和也君) 国が補助金を出して研究開発を行った場合、研究主体の方に特許の権限があるということになります。研究主体、研究を行う者にございます。
#140
○小笠原貞子君 研究した主体に特許の帰属権というのがある、こういうわけですね。
 そうしたら、スーパーライナーというのだったら、中小にもできるようなといったってなかなかできないということになって、大きなところが結局入ってくると思うんだけれども、どんな企業がどこでその特許が取れそうだというふうに見ていらっしゃいますか。スーパーライナーとかエンジンなんかの場合。
#141
○政府委員(石井和也君) テクノスーパーライナーにつきましては、大手七社が構成する研究組合、鉱工業技術研究組合法で設立されます研究組合で行うわけでございます。したがいまして、そこに特許が所属するということになります。
 高信頼度推進プラントにつきましては、大手の三社が中心になりまして、開発会社をつくりまして実施するということになっております。
#142
○小笠原貞子君 それで、初めはこれは大手だけじゃない、中小でもいろいろな研究を持っていけばこの対象になるよとおっしゃったけれども、具体的に言えば、今言われたようにスーパーライナーは大手七社、エンジンの場合だと三社ということになりますよね。
 そうすると、今本当に造船の中で一番苦しいのは中小だと思うんですね。そういう中小なんかの造船には何か恩恵があるんですか。こういうことで国からのお金で研究した、もうけがあったよと、それが困っている中小なんかに何か波及して、いいことが何かあるんですか。
#143
○政府委員(石井和也君) この研究テーマ二つにつきましては、非常に最先端の技術でございます。したがいまして、技術開発能力があり、資金力があるところがこれを進めざるを得ないわけでございまして、こういう非常に最新の技術開発、しかも格好いいものを開発いたしますことは造船業全体の活性化につながるということでございます。また、これは海運そのものの効率化にもつながりまして、造船業の評価も高くなるということで、そういう意味で中小造船所も含めまして造船業の大きなイメージアップになるものというふうに考えております。
#144
○小笠原貞子君 何か、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな、そういうふうなことにしかならないような気がしますが、その辺のところがちょっと問題だなと。大手に国のお金でもって援助してやるというそこのところで大手は助けるけれども、本当に困っている全体の造船業界にということから考えればやはりひとつ問題があるなと言わざるを得ないわけなんです。
 もう時間になりましたので、それはそれとしまして、次に、常磐新幹線の問題をちょっと一言伺わせていただきたいと思います。
 この法律で、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、大都市の近郊と都市の区域を連絡するものとして新たに整備される大規模な鉄道ということで、これはどんどんそこら辺のところに住まなければならないというようなことから住民の要求というのは非常に大きいですね。私はその住民の要求というのは取り上げなければならないと思うんですよね。取り上げなければならないんだけれども、それは当然国として責任をしっかりしていかなければならない、そう思うわけなんですよ。東京を初め大都市へ集中させた、そしてそこの地価が高騰したなんというのは、働いている人や住んでいる人の責任じゃなくて、一つの自民党の政策から出てきたことですから、それらの人たちに対して要求にこたえて鉄道を敷くというのは、やっぱり私はまず第一に政府の責任と考えていただきたいということが第一点ですね。その辺のところをどう考えていらっしゃるかということなんです。
 先ほどおっしゃいましたけれども、今考えていらっしゃる、当面常磐新線ということ、これは八五年七月十一日の運政審答申で、もともと旧国鉄が行うことを予定していたものなわけですよね。そういうことを考えると、やっぱり国の責任というものを私はしっかりと腹に据えて対策を立ててもらわなければならない、そう思うわけなんです。
 ところが、この法律をどういうふうに読んでいっても、国は資金の確保をするということは書いてあるんだけれども、あとは関係自治体などの出資とか補助、貸し付け、土地取得のあっせんということだけなんですよね。つまり、国の責任と私が強く言っているんだけれども、国の責任は外しちゃって、そして地方自治体などでやらせるという結果になってくるということはちょっとおかしいと思うんですよね。住民の要求をとらえる。それはもう当然のこと。つけてもらうのは賛成なんだけれども、全部国の責任を外しちゃってほかに押しつけているというところが私は一つの大きな問題だと思うので、その辺のところを国としてもうちょっと責任を持った態度、施策ということを考えていただけないかということが一つですね。
 それからもう一つの問題としては、先ほどから言われていますように、六千億などと言われているけれども、どんどん地価は上がっているわけでしょう。場所によってはもう五〇%以上六十二年度から上がっているというところもありますよね。平均して三〇%上がっているとすると、それだけで千八百億というのがどんとふえてくるわけですし、これは過去にもこういうことがございまして、上越とか東北新幹線の例を見ましても、工事費が倍どころか三倍、四倍というふうになっちゃったということがございますでしょう。そういうようなときの損失だとか何かあったときのそのリスクは一体どこが負うんだと。JR東日本も消極的だということが出ておりますけれども、そういうリスクを考えたときにこれは消極的にならざるを得ない。今言ったような工事費がうんと上がっちゃったとか、それから何か事故があってまたそれで費用がかかったというようなリスクの負担分は一体どこが負担するのかという点ですね。
 この二つの点、聞かせてください。
#145
○政府委員(阿部雅昭君) 鉄道整備についての国の責任ということについての考えが第一点だったかと思いますけれども、やはり常磐新線というような重要でありかつつくるに困難な鉄道、これを何とかつくる方向での支援をするという観点からこの法律を提出したわけでございまして、土地の価格の抑制を従来の国土利用計画法を拡大してしようとか、区画整理の特例を設けて鉄道にできるだけ土地がうまく提供できるようにしようとか、このような制度づくりそのものは国としてやっているわけでございまして、鉄道に対する国の責任ということについてはこのような制度をつくること一つがまず責任を果たしていることだと思います。
 さらに、資金の確保につきましても、二十条で国、関係地方公共団体と並べておりますが、やはり国としても資金の確保に努めるということでございまして、鉄道建設公団を使ってつくるにつきましては、財政投融資資金も大量に投入することが必要となりましょうし、それに対するまた利子補給というようなことも国の予算措置でやっていこうということは考えられておるわけでございます。ただ、地方に対する開発のメリットというものもいろいろございますので、地方の応分の負担というものを前提としながら、国が協力していくということだというふうに考えております。
 地価高騰問題、その他のリスクの負担の問題についての御指摘でございますが、これは確かにこういう大きなプロジェクトを進めるに際しての非常に大きい問題だと思います。これについてだれが全部をしょえという形では問題は解決しないんで、やはりそれに関係する方々が協議を重ね、またそれについての負担のルールづくりといいますか、そういうことをやっていかなければならないというふうに考えておりまして、今も関係者の協議会等でそのようなことについての議論をしておるところでございます。何とかそういうことについての関係者の合意ができるだけ早くでき、こういうプロジェクトについてもそのような負担というものがある程度それぞれの覚悟の上でいくような方向で努力したいというふうに考えております。
#146
○小笠原貞子君 まことにおおらかな計画だというのがわかりました。
#147
○委員長(多田省吾君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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