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1988/06/21 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 外務委員会 第6号
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1988/06/21 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 外務委員会 第6号

#1
第114回国会 外務委員会 第6号
平成元年六月二十一日(水曜日)
   午後二時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     倉田 寛之君
     堀内 俊夫君     柳川 覺治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         堀江 正夫君
    理 事
                久世 公堯君
                森山 眞弓君
                矢田部 理君
                小西 博行君
    委 員
                大鷹 淑子君
                木宮 和彦君
                後藤 正夫君
                嶋崎  均君
                柳川 覺治君
                中村  哲君
                松前 達郎君
                広中和歌子君
                吉岡 吉典君
   国務大臣
       外 務 大 臣  三塚  博君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房審議官    中津川英雄君
       科学技術庁研究
       開発局長     吉村 晴光君
       外務大臣官房審
       議官       遠藤 哲也君
       外務大臣官房外
       務参事官     丹波  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   参考人
       宇宙開発事業団
       副理事長     園山 重道君
       中央学院大学地
       方自治資料セン
       ター助教授    龍澤 邦彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、
 運用及び利用における協力に関するアメリカ合
 衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国
 政府及びカナダ政府の間の協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(堀江正夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、上杉光弘君が委員を辞任され、その補欠として倉田寛之君が選任されました。
#3
○委員長(堀江正夫君) 常時有人の民生用宇宙基地の詳細設計、開発、運用及び利用における協力に関するアメリカ合衆国政府、欧州宇宙機関の加盟国政府、日本国政府及びカナダ政府の間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本日は、本件審査のため、参考人として、宇宙開発事業団副理事長園山重道君、中央学院大学地方自治資料センター助教授龍澤邦彦君のお二人の方に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。皆様方から忌憚のない御意見をいただきまして、今後の本件の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進行についてでございますが、お手元の名簿の順に従いましてお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、お二人の参考人から御意見を伺った後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じますので、御了承をいただきます。
 なお、御発言はお座りのままで結構でございますので御了承ください。
 それでは、これより各参考人に順次御意見をお述べいただきます。
 まず園山参考人にお願いいたします。
#4
○参考人(園山重道君) 宇宙開発事業団副理事長の園山でございます。
 宇宙基地関係につきまして、私からはまず宇宙開発全体の流れの中で宇宙基地というのがどういう位置づけにあるかというようなことを若干申し上げまして、それからこの宇宙基地の意義でありますとか、あるいは現在どういう状況にあるかというようなことにつきましてお話し申し上げたいと思っております。
 御高承のとおり、最初の人工衛星スプートニク一号というのが上がりましてからことしで間もなく三十二年になるわけでございますが、この間世界各国の宇宙開発は大変な努力で非常な発展を遂げておりまして、現在までに世界じゅうで約三千八百個ぐらいの人工衛星あるいは人工惑星と言われているものが打ち上げられております。たしかソ連が約二千五百個、アメリカが千百余りということでございまして、我が国は、後ほど申し上げますが、現在までに四十二個の衛星、惑星等を打ち上げておるところでございます。この宇宙開発によりまして非常に人類の知見が伸びてきたわけでございますけれども、単に知見を伸ばすだけではなくて実用分野につきましてもいろいろな成果が上がっておるところでございます。
 日本におきましては、昭和三十年、初めて、当時の東京大学生産技術研究所がペンシルロケットと言われております小さなロケットの実験に成功されまして、これが宇宙開発の日本における始まりと言われているわけでございますが、その後、東京大学から現在の文部省宇宙科学研究所になりまして、いわゆる科学衛星分野では十六個の科学衛星、それから例のハレーすい星の探査などをいたしました、いわゆるこれは人工惑星でございます、惑星探査機二個が上げられております。
 それから一方、私ども宇宙開発事業団は、いわゆる実用分野ということを目指しまして設立されましたのが昭和四十四年十月でございます。ことしの十月で二十周年を迎えるところでございますが、現在までに二十四個の人工衛星を打ち上げております。また、ことしの八月には気象衛星四号を種子島から打つ計画をいたしております。したがいまして、現在まで日本が打ち上げました科学、実用両分野での人工衛星、惑星、合計四十二個ということになるわけでございます。
 私ども宇宙開発事業団では、当初全くのいわゆる技術基盤のないところから始まりましたので、技術習得ということを主たる目的にいたしまして、NI計画と言っておりますが、これはNI型ロケットでいろいろな衛星を上げたわけでございまして、技術試験衛星「きく」のシリーズでありますとか、あるいは電離層観測衛星とか、あるいは実験用の通信衛星、合計七個の人工衛星をこのNI型ロケットというもので打ち上げて、いわゆる技術の習得を行ったわけでございます。ちなみ
に、このNI型ロケットと申しますのは、いわゆる静止衛星では約百三十キログラムの衛星を打ち上げる能力があったわけでございます。
 で、だんだんとこの実用分野の衛星が大きくなってまいりましたので、次にNU型というロケットを開発いたしました。このロケットは約三百五十キログラムの静止衛星を打ち上げる能力を持っておりましたが、これで気象衛星の「ひまわり」でありますとか、あるいは通信衛星のさくら二号とか、放送衛星のゆり二号、あるいは海洋観測衛星のもも一号といった、いわゆる実用分野の衛星の打ち上げをやってきたわけでございます。
 さらに、昭和六十一年から、ロケットも自主開発を中心にいたしまして、HI型ロケットと申しておりますが、これは現在使っておるわけでございますけれども、これで通信衛星のさくら三号a、bを打ち上げました。ことしの八月には、先ほど申し上げました気象衛星の四号を打つ予定にいたしております。
 現在、私どもの開発といたしましては、さらに大型のロケット、HU型ロケットと言っておりますが、これを開発をいたしておりまして、静止衛星にいたしまして約二トン余りのものが打ち上げられるロケットの開発をいたしておるところでございます。このHUロケットの開発に成功いたしますれば、将来世界と肩を並べていろいろ国際的にも貢献できるロケットと思っておるわけでございます。
 今申し上げましたような、いわゆるロケットで人工衛星を上げて、地球上からこの人工衛星を通信とか放送とかあるいは気象観測に使うというようなことがずっと続いたわけでございますけれども、これも御高承のとおり、アメリカのスペースシャトル、これが昭和五十六年に初飛行をいたしております。チャレンジャー事故がございましたけれども現在また飛行を再開いたしておりますが、このスペースシャトルが飛び始めまして、宇宙開発の態様、様子が大分変わってまいりました。つまり、それまでは、先ほど申し上げましたように、ロケットで人工衛星を上げまして地上からその衛星を使うということでございましたけれども、今度は、御承知のとおり、スペースシャトルというのは、人間が乗ってまいりまして、もちろん人工衛星も上げますけれども、宇宙空間で人間がいろんな実験その他の仕事をするということで、在来のロケット、人工衛星とは少し形の変わった新しい宇宙開発活動が始まったということでございます。
 特に、人間がスペースシャトルの中でいろんな実験をするということで非常に注目を浴びておりますのは、いわゆる無重力環境を利用したいろいろな新材料製造実験でありますとかライフサイエンス実験ということでございまして、まあ無重力と申しましても正確には完全なゼロではありませんので、微小重力(マイクログラビティー)というような言葉を使っておりますが、こういうシャトルを使った無重力実験というのが非常に盛んになってきたわけでございます。
 私ども宇宙開発事業団といたしましても、日本人を乗せまして、そして日本の研究者が出しましたいろんな実験テーマ、これは合計三十四ありますけれども、これを実験する第一次材料実験と称しておりますが、これを計画しているところでございます。本来、チャレンジャー事故がなければもう打ち上がっておったわけでございますが、チャレンジャー事故によって延びまして、再来年、平成三年六月に日本人が乗ったシャトルで材料実験をするという段階に来ているわけでございます。
 しかし、このスペースシャトルは、もともと宇宙への輸送手段として開発されたものでございますので、余り長いこと軌道上にとまっておることができません。まあ大体一週間とか十日とかいう間できるわけでございますが、それではなかなか本格的な、今申し上げました無重力の実験とかあるいは天体観測、地球観測というものには不十分であるということで出てまいりましたのがこの宇宙基地計画でございます。もちろん、この宇宙基地は今の無重力実験とか観測だけではなくて、将来人類が月、火星に行こうというようなときの中継基地にもなるわけでございまして、また、衛星打ち上げの中継基地にもなるわけでございます。非常にこれからの宇宙開発を大きく進めるために重要な位置を持っておるわけでございます。
 今回の計画では、御高承のとおり、アメリカ、ヨーロッパ、カナダと協力してやるわけでございますが、この中で日本人も常時一人の人間が宇宙基地上に常駐できる、もちろん六カ月ぐらいで交代はいたしますけれども、ということでございますので、日本の宇宙開発を非常に前進させるとともに、また青少年に対しても宇宙に行けるという夢を持たせることができるものと、このように考えているわけでございます。
 それでは、宇宙基地がどういう役に立つかということにつきまして、もう少し具体的に申し上げさしていただきたいと思いますが、大体四つの分野で役に立つと申しますか、意義があると考えております。
 一つは、今もちょっと申し上げましたが、この宇宙基地を利用していろんな実験、観測を行うことができます。先ほどから申し上げております無重力環境を利用した材料実験、これは簡単に申しますれば、地球上では重いものと軽いものは重力がありますからよくまざらない。これが無重力状態ではよくまざる、あるいは対流が起きないために非常にいい結晶ができるというようなことでございますけれども、こういうことで、純粋な物質の精製でありますとか、あるいはこれを医薬品の開発に使ってまいりますと、いろんな医薬品のいいものができるということがございます。それからまた、人間がいわゆる無重力状態の宇宙に長期間滞在するということによりまして、人間の宇宙医学と申しますか、宇宙で人間がどうなるかということから、これは地上のいろいろな医療技術の改善にも大きな役割を果たすものと考えられておるわけでございます。
 そのほか、もちろん天体観測、これは真空の宇宙空間での天体観測というのは非常に有効でございます。それから地球を観測する。この宇宙基地というのは赤道を中心にいたしまして南緯、北緯二十八・五度ぐらいの間を回りますので、いわゆる熱帯を中心に観測ができます。そういうことで、熱帯の降雨の問題でありますとかあるいは森林の問題、それから砂漠化の状況というようなことの観測ができるわけでございます。最近非常に問題になっておりますグローバルチェンジという地球の環境変化ということに対しましても有効なデータが得られるものと考えております。
 それからさらに、これは今すぐというわけではありませんが、この宇宙基地を基地にいたしまして壊れた衛星の回収でありますとか修理でありますとか、あるいは燃料の補給というようなこともやがてできるものと考えているわけでございます。
 このようないろんな機能を持っている宇宙基地を使うということがこの宇宙基地の効用の第一でございます。
 それから第二番目といたしましては、これまで日本ではいわゆる有人――人間が宇宙に行ってという経験は非常に少ないわけでございます。これをこういう国際協力計画の中で進めてまいりますことによりまして、宇宙飛行士の選抜、訓練、健康管理、そういった有人技術というものにつきましてその技術の基盤確立をすることができるだろう、これが二番目の意義でございます。
 それから三番目といたしましては、この宇宙基地は何分にも非常に大きなプロジェクトでございます。最先端技術をいろいろ使ってまいらなければなりませんので、我々これを開発いたします途中で得られるいろんな開発経験でありますとかあるいはその成果の波及効果ということは、我が国の科学技術全般に非常に有益な効果をもたらすのではないかと考えております。
 それから四番目には、この宇宙基地につきまして、従来の科学技術とは若干違ったと申しますか、先ほど申し上げましたように日本人搭乗員が
一人いつも乗っておるということで、特に青少年に対しまして、青少年が考えた実験テーマを持ってこれを宇宙基地上で行いまして、地上と連絡通信をやりながらそういう実験をするというようなことで、青少年の宇宙に対する関心、さらには科学技術そのものに対する青少年の能力の養成ということが非常に大きくできるのではないかと思っております。当然そういうことによりまして国民の方々全般の宇宙に対する御関心というものが強くなるでございましょうし、宇宙が身近なものになるということで、将来の宇宙開発利用の展開に大きな効果があるということも期待されます。
 また、いわゆる国際協力ということで、日米、ヨーロッパ、カナダ協力いたしましてこういう大きなプロジェクトをやるということで、それぞれ文化、社会あるいは技術の伝統といったようなものが違う国々が協力し合うということによりまして、お互いの刺激する効果あるいは仲よくなっていく効果というのは非常にあるのではないかと期待しているわけでございます。
 以上が、この宇宙基地に対しまして私どもが考えております四つの意義でございます。
 基本的に、宇宙は人類共通の財産でございます。この宇宙基地のような大きなプロジェクトを国際協力をしながら開発し利用していくということは、私ども宇宙開発事業団にとっても非常に重要な仕事と考えております。
 この宇宙基地計画につきまして、実際に実務を担当いたしますアメリカのNASA、ヨーロッパのESA、カナダのCSAというのがございますが、これと私ども宇宙開発事業団、NASDAと申しておりますが、これが実務機関として協力するわけでございますけれども、ほかの機関は非常に強力に今急速に仕事を進めておりますので、各機関からも私どものもっとピッチを上げろということを期待されております。今この協定につきまして今国会での御承認をいただけないというようなことがもしございますと、私どもといたしましては本格的な協力関係を進めることができないということになりまして、この宇宙基地の全体の設計あるいは開発に関する非常に重要な規格、基準の決定というようなことに十分参画することができません。そういたしますと、私どもの担当いたします日本の実験棟、JEMと申しておりますが、これを打ち上げるときの重量はどのくらいまで許されるかとか、あるいは中の艤装をどうするかとか、あるいは中に載せる装置の規格をどうするかというようなことを私ども日本抜きで決められてしまうおそれがございまして、結局、おくればせながら実際にやるようなときに外国の規格でやらなけりゃならぬというようなことになりまして、大変我が国にとっても損失ではないだろうか。また、開発スケジュールがおくれたりいたしましてはかの国の開発の足を引っ張るというようなことにもなりかねないと思っております。
 私どもとしては、もちろん初めての有人の基地、宇宙小体を開発するということでございますので、実際に物をつくるまでのリードタイムが非常に必要でございます。国際的にこれがみんな設計審査等が行われてまいりますと、今予定されております一九九七年の日本の実験棟の打ち上げということを考えますと、試作品の製作でありますとか試験、それを経ました本格的開発というものに一刻も早く着手いたしまして技術的なデータをそろえていかなければならぬということでございます。日本以外の各国は、既にメーカーに対しまして試作品の製作、試験等の発注を済ませておりましてどんどん作業が本格化しておりますので、私どもとの差がだんだんに広がりつつあります。ぜひひとつ、今国会におきましての御承認をいただいて、本格的開発に着手いたしたいと思っておりまして、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 宇宙基地を初めといたしまして、宇宙開発全般につきまして私ども宇宙開発事業団は非常に重要な使命を帯びておると自覚いたしておりますので、全般にわたって私ども微力ながら全力を挙げて進めていくつもりでございますので、よろしく御支援のほどをお願い申し上げます。
 以上、簡単でございますが、終わります。
#5
○委員長(堀江正夫君) ありがとうございました。
 次に、龍澤参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(龍澤邦彦君) この宇宙基地協定及び宇宙基地計画等を参照しますと、法律上問題になる点というのは二つの点がございます。
 一つは、宇宙ステーションの合法性という問題であります。
 もう一つは、宇宙ステーションに対する管轄権、管理権及び登録ということに関連する問題であります。
 本題に入ります前に一言申し上げたいと思いますのは、この宇宙基地協定自体は枠組み協定でありまして、この中で大筋、大綱を定めて、具体的な詳細なことはほとんど、例えば宇宙ステーションの乗員の行動規則などは後日の問題として残されていると思われます。
 まず、宇宙ステーションの合法性ということに関しまして、最初に問題になる点は、この宇宙ステーションのような宇宙構築物が恒常的に宇宙空間に位置させられているということが、宇宙空間の占有禁止の原則ということが宇宙条約の中にありまして、この原則に違反しないかどうかという問題が一つあります。この問題につきましては、次のように答えられると思います。
 宇宙条約は、宇宙空間での活動の自由を認めており、この活動の自由の原則という中には、宇宙空間を自由に利用する権利、自由に探査する権利、自由にアクセスする権利というのが含まれております。したがって、この原則の適用において合法性が保障されるのではないかということであります。
 ただし、先ほど申しましたように、この原則は、占有禁止、宇宙空間を占有してはならないという原則とつり合いをとらされております。したがって、こういった形で一定の軌道にあり続けることが占有禁止の原則に違反するかということが問題となりますが、このことについては次のように答えられると思います。
 占有禁止といいます場合のその占有の意味は、永続的で排他的に宇宙空間のある一定の位置を占めるという場合にこれを占有していると言うことができるのであって、このどちらかが欠ける場合には、占有に当たらないのではないかということであります。宇宙ステーションの場合に、国際協力という形でその計画への参加が公開されており、そして後のユーザーの利用ということにつきましても一応考慮がなされているということで、この点について排他的ではないということになると思います。したがって、確かに永続的に一定の空間を占め続けるのではありますが、排他性を持たないために、これは占有禁止の原則には当たらないということで宇宙空間自由の原則のみが考慮され、これ自体は宇宙空間の利用としまして合法性を有すると考えられます。
 それからもう一つの点は、宇宙ステーションが宇宙物体であるかどうかという点でございまして、これは宇宙物体というものの定義にもかかわってくる問題でございますが、現在のところ宇宙物体の明瞭な定義がございません。宇宙物体の明瞭な定義というのは宇宙空間の定義に連動するものでありまして、宇宙空間の定義が存在しない以上、宇宙物体の定義というのはなかなか定義づけが難しいということであります。
 ただし、学説及び各国での討議の状況を見ますと、一つのことが言えると思います。
 それはつまり、宇宙物体というのは、軌道上にあって、人工的ではなくて自然な形で地球を周回できるものであるということが一つ言えると思います。あるいはその軌道のかなたに行くものであるということがもう一つ挙げられます。そうしますと、この宇宙ステーションは自然の力によって、つまり人工的な力によってではなくて自然の力によって地球を周回するのでありますから、これは明らかに宇宙物体と考えて問題はないという結論に達すると思います。そういたしますと、ど
ういった問題が出ますかといいますと、宇宙物体である以上、宇宙物体登録条約の適用が問題になるわけでありまして、その登録につきましては、次の管轄権と登録の分野で説明いたしたいと思います。
 それからもう一つは、合法性の重要な問題としましては、平和利用の問題があると考えられます。
 この平和利用につきましても、国際レベルでの学説上の定説がございません。また、国内レベルでの議論におきましても、確かに日本では宇宙空間の平和利用に関する国会決議等が採択され、会議においてさまざまの討議がなされているにもかかわらず、平和利用に関する明瞭な定義が見当たりません。現在、主要な説としましては、非軍事説と非侵略説というのがございます。非軍事説といいますのは、軍事的な利用を排除する説であります。宇宙空間の平和利用を軍事を排した利用ということと考えるということであります。もう一つの説としましては、非侵略的利用という説がありまして、これは軍事的な活動であっても侵略的な活動、つまり国連総会の侵略に関する決議の中で定義されているようなものに当たらなければ、軍事活動であっても平和活動と認められるという説であります。これは政策的には、非侵略説はアメリカが主として主張し、非軍事説はソビエトが主張しております。日本の場合は、宇宙開発事業団法の作成の際に、非軍事説であると科学技術庁長官が述べております。
 ただ、この非軍事説ということに関しましては、若干のニュアンスを加えて考えざるを得ないと思います。つまり、宇宙開発の歴史の中において軍事要因というものが関与してきたという事実が一つあります。あるいは軍事機器が使用されてきたという事実があります。こうした事実のほかに平和的な利用、つまりそういったものを利用しない形の利用であっても決して平和とは言えない利用があったということが言われております。この点に関しましては、スティフェン・ゴローブ教授というアメリカの代表的な宇宙法学者でありますが、このような単純な二元論というものを排除して、より機能的な考え方に基づいて定義をしていこうではないかという考え方がございます。したがって、このピースフルユース、つまり平和的な利用ということは非常に問題となりますが、ただ、いろいろな要素を加味しますと、平和利用とは申しましても、必ずしも軍事的な利用、つまり軍が関与した利用を排除するものではないのではないかという見解に達すると思います。
 このことは例えば非軍事説を唱えるソビエトにおいても同じでありまして、ソビエトの見解と申しますのは、天体に関しては完全に軍事的なものを排除するということであります。ただし、天体以外の宇宙空間につきましては、軍事利用を非侵略的軍事利用とそれから侵略的軍事利用とに分けまして、この侵略的軍事利用というものの内容、それから非侵略的軍事利用というものの内容を明瞭にした上で、宇宙空間においては侵略的軍事利用は禁止されているが、非侵略的軍事利用は禁止されていないという見解を出しております。つまり、宇宙空間の利用からは軍事利用――軍事利用というよりも軍事的な勢力が関与した利用というものが完全に排除されていないというのが実定法上あるいは学説上の状況であると考えられます。
 ただ、ピースフルユース(平和的利用)で必ずしも軍に関係する利用が排除されていないとは申しましても、この宇宙基地協定の中にシビル・スペース・ステーション(民生用宇宙ステーション)という言葉が入っておりますが、このあたりがピースフルユースという言葉とつり合わされて解釈されるべきであると僕は考えております。つまり、たとえ軍関係の利用が排除されていないとしても、まず民生を優先させるということで解釈されるのではないかと思われます。
 それからもう一つの点は、管轄権と登録の問題になります。管轄権と登録の問題に関しましては、宇宙基地協定の第五条「登録、管轄権及び管理の権限」という中で、各モジュールがそれぞれを生産した国によって登録されるということが出ておりまして、そしてその当然の結果としまして、宇宙条約第八条というものが適用されます。これは宇宙空間にある宇宙物体及び乗員に対する管轄権及び管理権の登録国による保持を認めているものでありまして、それに従って宇宙ステーションのモジュールを登録した登録国が管轄権、管理権を保持するということになります。
 ただし、これは例外の規定がありまして、第二十二条に「刑事裁判権」の規定があります。刑事裁判権と申しますのは、不法なオーダーあるいは身体的な暴行その他が加えられたとき――そういったたぐいの刑事犯罪が行われました場合に、それに対する刑事裁判権をどこが持つかということに関する規定でありますが、この規定によりますと合衆国が刑事裁判権を持つことになります。
 ただし、合衆国がその刑事裁判権を行使する場合の条件としましては二つございまして、一つは、容疑者が自国民である参加国と訴追に対して訴追を行う双方の国がまず了解に達しなければならないということで、協議しなければならないという原則が一つ入れられております。
 それからもう一つは、訴追の継続について当該参加国の同意を得ているかどうかということであります。このことに関しましては、(2)に、その「同意が得られない場合には、合衆国による訴追の犯罪事実に相当する犯罪事実であって証拠に基づいたものによる当該自国民の訴追を意図するとの保証を当該参加国から得ることに失敗していなければならない。」ということであります。つまり、そういった同意が得られない場合において初めてアメリカが刑事裁判権を行使することになります。
 これは具体的にアメリカがどのような形でこの刑事裁判権を行使していくかは問題ですが、考えられますことは、既にアメリカはスペースシャトル計画を実施に移した際に、国内法の改正を行いまして刑法を宇宙物体に適用できるようにしております。それから、スペースシャトルの場合ですと、スペースシャトルの船長がこういった場合の管理権、船体及び乗員の安全を保障するための処置をとることができることになっておりますので、そうした手続が準用される可能性があると思います。
 それからもう一つの問題点としまして、この管轄権という言葉の意味でありますが、管轄権といいますのは主権ということとほぼ似た意味に通常とられておりまして、ただ主権と異なりますところは、管轄権というのは法律によって限定された権限であるということであります。法律によって限定された枠内で立法、司法、行政の活動を行うことができる権限であるとされております。そうしまして、管理権と申しますのはこの管轄権に附属の一部でありまして、実際のオペレーショナル、運用段階でのいろいろな、例えばスペースシャトルの場合ですとスペースシャトルをコントロールする権利とかそういったものを含むとされております。
 この管轄権、管理権に関しまして、この協定の中にはございませんが、現在学説上で問題になっているものとしましては、こういった宇宙構築物に伴ってその周囲に安全区域を設定することが可能であるかどうかということであります。これは結論から申しますと可能であります。こういった例は、例えば海洋法の人工島の例などに見られますが、ただしその際にも条件がございまして、安全区域の幅の設定に当たって適用可能な国際基準が考慮されているということと、それからもう一つは、海洋法の場合ですと安全区域が人工島、そういった設備及び構築物の性質と機能に合理的な関連性を有しているということでありまして、宇宙ステーションにこれが準用できると思います。つまり、宇宙ステーションの性質と機能に合理的な関連性を有しているということがこういった安全区域設定の条件として挙げられるのではないかと考えられます。
 管轄権の問題に関しましてもう一つ問題となりますのは、パテントの権利であります。パテントの権利につきましては、当初ヨーロッパの国籍に
基づいた規制の方法と、アメリカの疑似領土管轄権と申しますが、疑似領土性の原則と申しておりますが、船舶などに適用された原則でありまして、そういったものを自国の領土と考えて、その船舶あるいは航空機において行われたことを自国の領土上で行われたものとみなすという原則がございます。こういった形のものがアメリカが唱えました原則で、最終的にはこの宇宙基地協定の中では疑似領土性の原則がとられております。つまり、それぞれの国に登録されたモジュールの中では、そのモジュールがそれぞれの国の所有権法の適用上同一視されて領土とみなされまして、そしてその上でその領土に対して主権を持っている国が、つまりこの場合ですと管轄権を持っている国が自国の法律を適用するということになります。これに関しまして、アメリカでは既に一九八六年来パテント法の改正及びNASAアクトにこの宇宙物体を領土とみなしてアメリカのパテント法を適用しようとする法案が何回か提出されております。
 このパテントに関しましてもう一つの問題となりますのは、パテントが登録された国がそのパテントを他の国に登録することを差し控えさせるという原則がありまして、この原則が多分この中には適用されていくと思います。この点は重要な点になっていくのではないかと思います。いろいろな点で法的な複雑性を含んでいる原則でありますので、この点は問題になる可能性が十分あると思われます。
 最終的に管轄権と管理権そして登録の問題に関しまして言えることは、これは宇宙ステーションは一つの統一的な宇宙物体と考えられているかという点であります。これは、こういった分割登録方式と言われるものを採用している以上、一つの宇宙物体として認識するというのではなくて、幾つかの宇宙物体の集まりとして考えられていると思われます。この点は重要なことだと思います。
 それからもう一つ、登録の効果、それと並んで重要なものとしまして所有権ということがあります。この所有権は、結局どういう形で宇宙基地協定の中に採用されているかといいますと、登録を行う国が管轄権を有するわけですが、同時にそのモジュールを製作した国が所有権を有するということであります。これは日本については余り問題となりませんが、ヨーロッパの国は特にESAという形で参加しておりますので、ESAについて問題となります。これは、ESAの中ではモジュールの登録はESAが結局登録する。そしてその管轄権は、ESAのこの宇宙ステーション参加国の中の一国を選んでその管轄権、管理権を行使させるという方式になっているように思われます。ただし、その所有権につきましてはESAが所有するという形になると思われます。
 それからもう一つ重要な点としましては、要素と装置の所有権ということがございまして、この宇宙基地協定の中では、要素やさまざまな機器が結局ある国に登録されたモジュールの中にあるというそういうことによって、利用者がそれらの装置やまたは物質に対しての所有権ということに対しまして「当該装置又は物質が単に宇宙基地上にあることによっては影響を受けない」とされております。
 大体法律的に問題となる点を手短に申し上げますと、以上のようなことになるかと思われます。
 一応、以上のような形で終わります。
#7
○委員長(堀江正夫君) ありがとうございます。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(堀江正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、堀内俊夫君が委員を辞任され、その補欠として柳川覺治君が選任されました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(堀江正夫君) これより質疑に入ります。
 なお、参考人の皆様に申し上げます。
 各委員の質疑時間が極めて限られておりますので、恐れ入りますがお答えはできるだけ簡潔にお願いいたしたいと存じます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○矢田部理君 参考人の先生方、大変御苦労さまです。
 龍澤参考人にまずお尋ねをしたいと思いますが、平和利用に関して非軍事説と非侵略説、大別して二つあるということでありますが、この協定ではそのいずれをとるかは「当該要素を提供している参加主体が決定する」という規定になっておりますから、それぞれの国の判断でいずれの立場をもとり得るということになろうかと思うのですが、そうなると、アメリカの立場と日本の立場は違ったものになってくる。つまり、アメリカは非侵略説をとるということになるわけですが、その問題点とあわせてもう一つ、ヨーロッパ諸国ですね、ESAですか、これはどういう立場、考え方に立っておるのでしょうか。
#11
○参考人(龍澤邦彦君) まずアメリカの平和利用という形、これは第九条の利用に関する二つの制限の中の一つでありまして、二つの制限と申しますのは、非参加国または民間団体により提案された利用は他のパートナーに通告されるということ、もう一つが、要素を提供するパートナー、つまり参加国は提案された利用が平和目的か否かを決定するというこの二つの制限が利用について課されているわけでありますが、結局平和目的の利用ということの意味を決定するのはモジュールを登録している国でありまして、アメリカの場合ですと当然非侵略説が適用されることになります。
 ヨーロッパの場合ですと、これは非常にニュアンスを帯びておりまして、具体的なものとしましてはケース・バイ・ケースでその機能、つまりその活動の目的によって処置していくというようなことであるように思われます。この大要はESA(ヨーロッパ宇宙機関)の法務局長のラフェランドリ博士が書きました論文の中に出ておりますが、そういった機能的な形での処置をとっているように思われます。
#12
○矢田部理君 アメリカと日本との関係で言うと、やや中間的な立場とか、ケース・バイ・ケースというふうに私も聞いておるんですが、もう一つ、パテントに関連してどういうふうに考えたらいいのかという頭の整理の問題なんですが、たしかアメリカは先発明主義、発見主義というのか発明主義というのか、日本の場合は先願主義ですよね。そういう制度上の違いがある結果、何か混乱したり問題になるようなことはありませんか。その辺のちょっと説明を整理していただければありがたいと思うんです。
#13
○参考人(龍澤邦彦君) アメリカではこの先発明主義といいますものにつきまして一つの条件がございまして、アメリカ以外の場所で行われた発明は、その発明の実際に行われた時期を確立しなければならないという原則がございまして、これが宇宙ステーションに適用されますと多少の混乱が予想されることは確かであります。
 この点は、具体的にどんな問題が出てくるかと申しますと、例えばアメリカにおいては、発明に対して何らかのファーストステップをとった者がやはり有利な立場に立ってしまうというようなことが生ずる可能性は十分にあります。
#14
○矢田部理君 例えば、日本のモジュールの中でアメリカもいろんな実験とか活動ができるわけですね。その場合に、日本にパテントを登録することもできるし、それからアメリカ人ですから恐らくアメリカにもできるのではないかとも思われるのですが、そういう場合、両制度上の違いで混乱なり問題が生ずることはありませんか。
#15
○参考人(龍澤邦彦君) 多少は生ずると思いますが、その場合には国際私法上の原則が適用されて、ある場合においては、反致といいまして登録に関する法規の適用を例えばアメリカにする場合もあり得ると思われます。それは国際私法上の原則の適用によってある程度カバーできるかと思われます。
#16
○矢田部理君 これは私ももう少し勉強してみたいと思います。
 それから冒頭に、今度出された協定はいわば枠組み協定であって、必ずしも細目までは決まっていない。事実、何取り決めでしたかな、あれは細目取り決めですか、それがまだ提出されていないわけですが、したがって残された部分も相当多いように思われますが、残された問題としてはどんなことが考えられますか。
#17
○参考人(龍澤邦彦君) やはり一番問題になるのは行動規則の作成の問題であると思われます。結局この場合になりますと、宇宙ステーションの中で法律的なモザイクの状態が生じます。刑事裁判権、つまり一般刑法上の犯罪に対する管轄権を除いては、この中にも書かれておりますような制限はございましても、それは一応アメリカが原則としてその刑事裁判権を持つから、それにつきましては問題がないと思います。
 これは国際協力によってつくられた宇宙ステーションを考える場合に、どこかの国が最低限その刑事裁判権を統一的に掌握しなければならないことは当然のことでありまして、この点には問題がないと思われますが、問題は、それ以外の事項につきましてそれぞれのモジュール登録国が国内法を適用していくことになりますから、まずその国内法の整備の段階で問題になり、さらにその国内法を適用する段階で法律的なモザイクの状態があらわれてくると思われます。つまり、法律問題が多分に複雑化するおそれがあります。
#18
○矢田部理君 宇宙法と言われる分野はまだ生成過程にあるというように受けとめられるのですが、宇宙に基地をつくるといった場合に、協定上いろんな取り決めはありますが、今後まだ未解明の分野とか非常に不安定な問題とか、法制的に見てどんな点が残されており、またどんな方向で議論がされているかというようなことがありましたら御説明いただきたいと思います。一般的な質問で恐縮ですが。
#19
○参考人(龍澤邦彦君) 特にアメリカについて問題が生じると思います。これは国内問題ですが、アメリカに関しましては州法と連邦法というものが競合しておりまして、この間をアメリカがどのように解決していくかが恐らく問題となっていくのではないかと思われます。それが一つの点。
 それからもう一つの点は、やはり行動規則をどのようにするか。どのように具体的に行動規則を作成するにしても、何を一体その範にとるか、モデルにとるかということが重要な問題になるんじゃないかと思われます。最終的には、先ほども申し上げましたように、宇宙ステーションの大枠というものはもう既にこの中に入っておりますが、いわゆる宇宙ステーションの中で結局日常生活が行われるわけですから、その日常生活の中で生起する事項を一々どのように具体的に規定していくかがまさに行動規則の問題になっていくわけで、そういった行動規則をどのように作成するかが一番重要なことではないかと思います。
 それからもう一つは、この宇宙ステーションのいろんな実験棟を利用する民間ユーザーの利益をどのように確保するかが問題であると思われます。アメリカではこの交渉の途中で国会の中にポーランド委員会という委員会ができまして、この委員会で若干の勧告が行われております。この宇宙ステーション交渉を進める上での勧告ですが、その中に、アメリカは八〇%以上の出資をする、したがってそれだけの利益を必ず得るようにしなければいけないというようなことが一つ出ていまして、当然アメリカはそういった自国及び自国企業の利用を最大限に確保しようといたします。このようなことは、アメリカの民間企業の法務顧問でありますデュラ博士という人がおりますが、既にこのデュラ博士の著書の中に出ております。したがって、そういったアメリカの動きに対して、どのように日本の民間ユーザーの利用の可能性を最大限に確保していくかという問題が一番重要な問題になっていくのではないかと思います。
#20
○矢田部理君 最後に一、二、園山参考人に伺っておきたいと思います。
 今、日本における民間ユーザーの活用、利用というようなことが言われておりますし、また協定を読んでみますと、「宇宙空間の科学的、技術的及び商業的利用を促進する」というようなことも言われておるわけですが、日本ではこの面で具体的に予定なり構想なりはございますか。
#21
○参考人(園山重道君) 宇宙基地をどう使うかということにつきましては、現段階におきましてもいろんな各方面からの御意見をいただいております。このためにいろいろ会議を催しまして、フォーラムとかシンポジウムとかいう形で各界から広く御参加いただきましていろいろなアイデアをいただいております。
 ただ、これは今の段階では、日本の実験棟をどう設計していくかというときに、一体どういう御要望があるかということを私ども実際に設計開発に当たる者として把握しておるわけでございまして、これが実際に宇宙基地ができ上がりますころに、どういうふうな使い方をしていくかという具体的な中身につきましては私どもが勝手に決めるということではございませんで、これは御承知の宇宙開発委員会に現在も宇宙基地特別部会というのがございますけれども、そういう場で各方面からの御要望等を聞きまして、そこでどういうことをやっていくか、どういう分野のことをどれぐらいの比率でやっていくかというようなことが決められていくものと理解しております。
#22
○矢田部理君 もう一点で終わりますが、関連して、協定そのものも平和利用になっており、日本の平和目的、平和利用というのは非軍事説に立っているということからいたしますれば、自衛隊がこれを利用するというようなことは当然考えられないし、また排除すべきものだと思いますが、その立場は事業団としてもよろしゅうございますね。
#23
○参考人(園山重道君) 今まだそういう具体的な計画というのは何も聞いておりませんし、今申し上げましたように、どう使っていくかということにつきましては私どもが勝手に決めるということではございませんので、これはやっぱり政府あるいは宇宙開発委員会におかれてその使い方の方向を決められる。私どもはそれに従ってその実務をやっていくという立場かと思っております。
#24
○矢田部理君 そう言われるとあれですが、方針としては平和目的、しかも民生用と協定そのものがなっているわけだから、当然のことながら非軍事的に利用する、平和目的で平和的に利用するというふうに考えるのが筋で、言われるままにやるというのもいかがかと思いますが、どうですか。
#25
○参考人(園山重道君) もちろん、私ども宇宙開発事業団法におきまして「平和の目的に限り」ということが規定されておりますので、その趣旨に従ってやっていくものと私どもは考えておりますけれども、具体的なその選定、どこがどうかというようなことにつきましては、私どもの判断というよりもやはり政府の方で御判断いただくことではないか、こう思っておるわけでございます。
#26
○中村哲君 私は、いきなりそんな話を聞いただけですけれども、今宇宙法の問題があって、日本では学会までできようとしている。それで、いろんな問題がそこで出てくると思います。私なんかはほとんど問題意識がないけれども、ただ、いわゆる国際法と違う点は、領海とか公海ということの例をとっただけでも、宇宙の次元では全部が公の空でもあるし、そして軌道を回ったりなんかしている中で日本の上にその宇宙基地が来れば、それは日本の領空的な問題が実際は出てくると思うんです。だから、確かにそういう問題はちょっと今までの国際法で言えないところがあります。
 にもかかわらず、あなたの説明だけ聞いていても主権という概念とか管轄権とかいう言葉が出てくる。この主権という概念自身が国際法上の主権と、国内法で言っている、憲法なんかで言っている主権の問題があるんですけれども、主権というのは大体管轄権的なものとしての独占的なことを言おうとしていると思うけれども、また一方領土に近い問題があって、相手が――基地は物体ですから、その基地の機構自身はアメリカが強く発言し得るようなアメリカの部分だとか、日本側が参加すると横のところだけ日本がつくったりするん
じゃないですか、そうするとその部分が領土権的に発言されたりすると、つまり領土権とか管轄権とか主権とかいうような問題は、法の概念としてもアメリカ法だとか、それから従来の大陸法だとかいろんな考え方があるんですけれども、ただアメリカだけに進んでいって問題が済むかどうかというような問題があって、これはちょっと簡単じゃないですね。
#27
○参考人(龍澤邦彦君) その点に関しまして宇宙法といいますのは、宇宙条約というのが一応大原則として定められております。これは一九六七年に制定されたものであります。その他に宇宙救助返還協定というのが一つございまして、それからもう一つが宇宙物体によって引き起こされた損害に対する責任の条約というものがございます。それからもう一つは宇宙物体登録条約と呼ばれているものがありまして、それからもう一つは、月協定という一九七九年にできましたが、八一年でしたか最近発効しましたものがあります。
 こういった基本の条約がございまして、例えば宇宙条約第三条によりますと、月及び他の天体を含む宇宙空間の探査、利用に関する条約当事国の活動は、国際平和と安全を維持し、国際間の協力と理解を容易にするために、国連憲章を含む国際法に従って行わねばならないというふうになっておりますが、この中で言われているいわゆる国際法の適用ということでありますけれども、当然宇宙空間で行われる活動と地球上での活動というのは性質的に違いがありますし、また宇宙空間と地球上という形での両空間の性質の相違というものもございまして、当然に国際法のすべての規定が、あるいは国連憲章のすべての規定が宇宙空間の活動に適用されるものではないというのが大方の学説の定説であります。したがって、宇宙法と呼ばれている分野が徐々に成立しつつありますが、これはその宇宙空間での活動の非常に特殊な活動というものを想定した規則も当然多々含まれております。したがいまして、先生が最初におっしゃられたような形での当然の国際法の適用ということは行われません。
 それから、最近ではアメリカにおきましてアストロローという、これは宇宙私法とも言うべきものですが、一九五八年にアメリカでは国家航空宇宙法というのが成立しまして、これは何回も改正されておりますが、その他に八四年には商業宇宙打ち上げ法、それからリモートセンシング商業化法といったような法律がどんどんできております。そして、他の分野でのパテント法の改正、それから刑法を宇宙物体における刑事事件に適用するための改正、その他さまざまな改正が行われてそういった法体系が現在成立しつつあり、アメリカではこれがスペースロー、いわゆる宇宙法と並んでアストロローという形で講座を置いている大学が多くなっております。
#28
○中村哲君 それで、国際私法と言われましたけれども、大体主体は国家ですよね。
#29
○参考人(龍澤邦彦君) はい。
#30
○中村哲君 国家ですから、国家間のトラブルがある場合に、しかしそれは国際私法的に取り扱うという式のような発言なので、国際私法という概念がそこに入ってくるんですかね。
#31
○参考人(龍澤邦彦君) 可能性は多々ございまして、例えば宇宙空間での製造物責任というものがございます。宇宙空間で製造したものにつきまして、例えばそれを地球上に持ってきて何らかの損害を引き起こした場合に、これにどんな法律を適用するかはやはり国際私法上の協定、条約があります。今の例をとりますと、その損害、製造物責任に関するハーグ国際条約というのがございまして、こういった形で、これは連結点といいますが、事故とそれからその損害を起こしたものと、それから損害をこうむったものとの間のいろんなリンクを考えまして、その組み合わせによってそれぞれどの国の法を適用するかを規定している条約でありまして、こういったものが適用される可能性は十分あると思われます。学説上もこういった考え方はもう既に国際学会のレベルで十分協議されております。
 それともう一つ。さっきのことで言い忘れまして付言したいと思いますが、アメリカではこの宇宙基地協定の素案が出ましたころから、エイムス・リサーチ・センターというところと、西部海岸の諸大学が特別なジョイントベンチャーを組みまして、このジョイントベンチャーの中で三つの重要なプロジェクトが行われました。
 一つはNASAのエイムス・リサーチ・センターのためのマニュアル作成であります。もう一つは、法律情報検索システムというものであります。それともう一つは、宇宙空間における法の適用のための基本研究というものであります。
 具体的には第一番目に、アメリカのいろいろな州法、連邦法をとりまして、その中で宇宙空間に適用可能なものを拾い上げまして、それの中から特にエイムス・リサーチ・センターのマニュアルをつくる。マニュアルに入れないものにつきましては、法律情報システムというコンピューターの一つのシステムを創設しました。
 その次の宇宙基礎研究といいますのは、具体的に宇宙空間でのいろいろな活動が、例えばそこに長時間滞在していろいろな作業をするとか、そういった形になった場合に一体どういうふうな問題が起こるか、そしてそれをどう法律的に処理できるかということを研究したものであります。今若干のものを持っておりますが、その中の一つにスペースステーションのコマンダーの権限ということについての研究がございます。これはまさに、宇宙協定の中に出てくるような形でのものについての具体的な研究の結果をまとめたものであります。
 その他にもさまざまな研究が行われておりますが、アメリカがこの協定をつくるに際して、そういったものを参考にしたことは十分考えられると思います。
#32
○中村哲君 ですから、その基地の中で起こるような……
#33
○委員長(堀江正夫君) 中村君、もう社会党の持ち時間は過ぎましたので、それだけで終わってください。
#34
○矢田部理君 一点だけ。
 アメリカではいろいろな法制の研究が行われているわけですが、この協定を日本的に動かしていくに当たって、日本の国内法で不十分なところ、何か法制的に検討しなきゃならぬというようなことは考えられますか。
#35
○参考人(龍澤邦彦君) 当然国内法の整備が必要になると思われます。少なくとも宇宙に関する基本法、つまりどこが登録するか、それから宇宙活動に対するライセンスをどこが発給するか、それからその際、ライセンスに反した場合の責任をどうするかとか、そういった問題についての具体的な、詳細な規定は既に必要であると思われます。例えば、最近民間宇宙活動が盛んになりまして、衛星の打ち上げなんかが起こっておりますが、こういったものを今現在日本では恐らく規制する法律がないと思われますが、最近では国内法でこうした整備が進んでおりまして、例えば一九八六年の英国宇宙法、それからスウェーデンでもたしか八七年だと思いましたが、宇宙法を既に制定しております。
#36
○矢田部理君 ありがとうございました。
#37
○久世公堯君 参考人のお二人の先生、本当にきょうは御苦労さまでございました。急にお願いを申し上げまして、お出ましをいただきましたことを感謝いたしております。
 まず園山先生にお尋ねしたいと思うわけでございますが、先ほど宇宙開発の歴史あるいはその流れの中における宇宙ステーションの意義というものについて詳しくお話を承ったわけでございますが、今までの宇宙開発、特にロケットなりあるいは人工衛星なり、そういうようなものを通じまして、私はやはり日本の産業の中で、例えばエンジンの部門でございますとか、エレクトロニクスでございますとか、あるいは新しい素材産業とか、そういう面でこの宇宙開発というものがいろいろ寄与した面が大きいだろうと思うわけでございます。
 この宇宙開発の問題だけではなくて、我が国のこういう産業に対する波及効果というようなことを考えますと、従来は例えば日本の場合におきましては余り部品産業もございませんし、またソフトの面も非常におくれていたと思うわけでございます。したがいまして、衛星なんかでも例えばかなりのものをヒューズとかフォードとかGEとか、そういうものから随分買っている面もあったろうと思うわけでございますが、そこで今宇宙ステーションの時代を迎えて、この宇宙ステーション計画というものに参加することによって、それ自身の問題もさることながら、そういう日本の先端技術産業というものに対してどういう影響があるか、そういうことについて承りたいと思います。
#38
○参考人(園山重道君) 先生おっしゃいますとおり、この宇宙ステーション計画は、先ほどもちょっと申し上げましたが、非常に広い分野の技術を集めなければならぬものでございますので、それぞれの分野につきまして技術を高めるための効果があると思います。これはステーションだけでなくて宇宙技術全般で前からよく言われていることでございますが、一番基本的にはいわゆるシステム技術ということでございまして、そういういろんな技術を集めまして、非常にいわゆるシステム的なものであります宇宙空間に飛ばす、宇宙空間で活動させるというものをつくるためのシステム技術というのがまず基本的に一番、これは日本だけじゃなくて世界的にも、この技術の進歩に寄与したということが言われております。
 それから、もちろんこのロケット衛星という技術も、これは全部ステーションに使われるわけでございますけれども、この宇宙ステーションが特に人間を乗せるということで非常に安全性、信頼性を要求されまして、かつ、しかもそれが長期間にわたって機能しなけりゃいかぬということでございますので、特にその信頼性管理、安全性管理ということにつきましては私どもも非常に意を用いているところでございます。したがって、そういうものが全体の技術としては進歩していくだろうと思っております。
 それからまた、先生もちょっとお触れになりましたが、いわゆる高信頼性の部品、これは宇宙部品というのは、特に余り大量に使われないけれども、非常に信頼性を要求されるというようなことで、日本でもなかなか立ち上がりが遅かったのでございますけれども、最近だんだんそれが出てまいってきておりますので、これがまた宇宙ステーションで非常に進歩するだろうということを期待しております。
 そのほか、私どもの日本の実験棟は、これはいわゆる常圧――一気圧を保つ与圧部分と暴露部分というのがございますが、暴露部分でいろいろな作業をいたしますためにロボットアームを使いますけれども、こういったロボット技術、しかもこれが宇宙空間の真空の中でうまく働くというようなこと、これは真空の中ですと特に潤滑関係が非常に重要になってまいります。そういう技術というようなものは、特に日本の現在一般的に得意としておりますロボット技術と結びつきましていい成果を上げてくるんじゃないかというようなところがあるかと思っております。
#39
○久世公堯君 ただいま先生が、宇宙開発についてはアメリカ等に比べて立ちおくれはあったけれども、というふうにおっしゃいましたけれども、一般の衛星やロケットについてもそういうことが言えるかもしれませんが、特にこの宇宙ステーションの場合におきましては、宇宙環境の利用でございますとか、あるいは有人宇宙活動、そういうような面につきましては、日本の場合は非常に経験がないんだろうと思いますね。いわば一足飛びに高度な技術を必要といたしますこの宇宙基地計画に参加する、こういうことになろうと思うわけでございますが、そのあたりはどうお考えでございましょうか。
#40
○参考人(園山重道君) 今お話しになりました、一つは有人の問題、もう一つは環境利用の問題かと思いますけれども、有人の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、今まで全然経験がございません。しかし、これもちょっと申し上げました再来年にFMPT(第一次材料実験)と称しまして、シャトルに日本人を乗せて実験をいたしますのでそこである種の経験は積めると、こう思っております。
 それからまた、ステーションそのものにつきましては、やはり今日本でステーション全体をすぐつくれるかといいますと、これはちょっと難しいかと思いますけれども、今回の宇宙基地につきましても人間が住む部分、居住部分というのはアメリカが担当しております。日本の実験棟というのはまさに実験場でございますのでその間接続してやるわけでございますが、こういう実験棟を分担いたしまして、アメリカ、ヨーロッパと協力してやるということで、やはり学ぶべきものはどんどん学んでいくということでございまして、現在いきなり取りかかって大丈夫かという不安は余り持っておらないところでございます。
 それから、もう一つの環境利用につきましては、これも今申し上げました再来年の第一次材料実験というのは、中で主として環境利用、無重力、マイクログラビティー利用の実験をやるわけでございますので、これで相当な経験が積めると思いますし、それからいわゆる無重力利用の実験につきましては、簡単な手段としては飛行機を使ったり小型ロケットを使ったりして、これはまあ短時間でございますけれども、ごく何秒とか何分とかいう程度のものは小型ロケットや飛行機でできまして、現在までに既に何回かこういう実験をやっておりますし、また環境利用のためのロケットというのを今開発しておりまして、再来年あたりからこれも打ち上げ始めますので、そういういろんな手段を講じて、無重力環境利用の技術というものの基礎を固めましてこの宇宙基地に臨みたい、こう思っておるところでございます。
#41
○久世公堯君 今のに関連をいたしまして、アメリカとの間でかなりそういう面の技術格差があるだろうと思うわけでございますが、そうなりますと、例えば日本のモジュールの中における通信関係でございますとか、エレクトロニクスのコンピューター関係でございますとか、そういうことは日本の技術というのはかなり進んでいると思うわけでございますが、やはり全体としての一体性でございますとか、特に有人宇宙飛行という面における安全性という面では日本のそういう面の技術というのはまだまだだろうと思いますので、そうなりますと、どうしてもアメリカの規格でございますとかアメリカの仕様でございますとか、そういうようなものが押しつけられるとまで言わないまでも、その安全性の確保から例えばNASAの安全基準を絶対守ってもらいたいと。そのために日本のせっかくの技術というものが制約される、そういう面はないのでございましょうか。
#42
○参考人(園山重道君) やはり全体的には、今の日本の実験棟という構想は私どもで立てまして設計をしていくわけでございます。ただ、御指摘のように、安全性問題というのは、これはやはり国際協力でやるわけでございますからアメリカも非常に神経質と申しますか、になるのは当然でございまして、そういうために、例えば実験棟と本体をつなぐ部分の結合装置といったものはアメリカがつくって供給したいとかという意向もあります。したがいましてその辺は、私どもも日本の実験棟は全部日本でということで頑張るつもりではございませんで、必要なところはやはり向こうのものを使い、しかし全体としての設計は日本の主体性でやっていくという考えでおります。
#43
○久世公堯君 有人宇宙飛行、宇宙ステーションということになりますと、やはり宇宙飛行士と申しますか、これは計画上は大体わかっておりますけれども、一人乗せるに当たって予備的にも訓練をしておかなきゃいけないとか、何交代でしなきゃいけないとか、そういうことを考えますと、これからこの宇宙ステーション計画に参加するに当たって、そういう飛行士の訓練というのは今はみんなかなりアメリカに依存している面があろうかと思いますけれども、そのあたりが一体どうなの
か。
 私はかつてジョンソン基地における宇宙飛行士の訓練センターを見たことがございますが、大型のプールを初めとしてかなりのものがありますし、またそのための医療センターと申しますか、そういう健康管理の面も全部完璧にやっている。しかもアメリカの場合は、例えばマクダネル・ダグラス社なんかでは、一企業でありながらやはり同じような宇宙訓練士の施設をつくっているのを見たことがございますけれども、そのあたりのところは、これから宇宙ステーション計画が始まり日本もそういう分野に大きく出ていくときに、どのようにお考えでございましょうか。
#44
○参考人(園山重道君) この点につきましても、先ほどから申しております再来年の第一次材料実験のために私どもは宇宙飛行士と申しますか、正確にはペイロードスペシャリストと申します、これを三人採用いたしまして、国内での訓練それからアメリカに出しての訓練を今やっております。したがって、そこである種の経験は積むことができるわけでございますが、先生御指摘のように、やはり宇宙ステーション時代になりまして、これが半年で交代ということになりますとやはり相当なバックアップのクルーを持っていなきゃいかぬということでございまして、これに対する訓練それから健康維持の施設というのは相当やらなければいかぬと思っております。また、お話にございましたような宇宙空間での外に出て作業をする訓練のための大きなプールとか、そういうことも一応私ども計画はいたしておりまして、そういうステーション用の搭乗員の採用から選抜、訓練のための施設というのはこれから取りかかっていくわけでございます。
 ただ、全部これも国内だけでということではございませんで、ステーションのクルーの訓練というのは米国で共同してやるものも非常にございますので、そういうところでいろいろ知見を得ながら国内の体制、施設というものを整備していきたい、こう考えております。
#45
○久世公堯君 幾つかの点を今まで伺いましたけれども、宇宙開発の分野、特に宇宙ステーションにこれから参加するに当たって、日本の技術的な実力と申しますか、そういうものは一体アメリカやヨーロッパと比べてどの程度だと先生はお考えでございましょうか。また、それは日本の場合においては、もう随分伸びてきたとはいってもまだ宇宙関係の予算というのは私は非常に少ないと思うわけでございますが、予算があったらできることと、なかなかそのレベルにまで達していないことがあろうかと思いますが、その辺も含めてお答えいただきたいと思います。
#46
○参考人(園山重道君) 実力の比較というのは大変難しいことでございますけれども、まず宇宙技術といたしましては大きく分けまして、ロケットなどのいわゆる宇宙輸送手段、スペースビークルとかスペース・トランスポーテーション・システムと言っておりますが、現在ではロケットが日本では主でございますが、こういうものと、それから衛星あるいはステーションのような宇宙空間で機能いたします宇宙小体とか、スペースクラフトと言っているものと大きく分けられると思います。
 宇宙輸送手段につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、今開発しておりますHU型ロケットというのが開発を終わりますと、地上から宇宙空間に打ち上げる技術というものは相当世界と肩が並べられるというところに来るかと思います。
 ただ、宇宙輸送手段にはもう一つ、宇宙から地上に回収するという手段が必要でございます。これはりエントリーと申しまして、真空のところから空気中に入ってくるときに非常に多くの問題がございまして、これはまだ私ども経験がございません。今回の宇宙基地に対しましても、日本のHU型ロケットを使って宇宙基地に物を運んだり、あるいは宇宙基地から物を持って帰るということについてアメリカ側の期待もございまして、そういう研究開発の計画もいたしておりますが、自由に宇宙空間を往復するという技術につきましては、アメリカとはやはりまだ相当差はある。ヨーロッパにつきましては、ヨーロッパも宇宙から物を回収するという経験はありませんので日本と大体似たような、と言っては若干失礼に当たるかもしれませんが、宇宙輸送手段としてはそういう段階ではないかと思っております。
 人工衛星に関しまして、先ほど先生のお話にもございましたように、当初私どももアメリカからの輸入とか技術導入を盛んにやってきたわけでございますが、HU型で打ち上げます最初の技術試験衛星Y型、これも開発をいたしておりまして、これは約二トン余りの静止衛星でございますが、これを首尾よく開発してまいりますと、いわゆる無人の衛星技術というのは相当いいところまでいくと思っておりますが、有人につきましては、先ほど申し上げましたように、まだいろいろ学ばなければならぬところもあるわけでございます。
 予算の問題でのお尋ねもございました。これは、今アメリカ、ヨーロッパあたりとの技術の差というのは、どうしたらいいかわからないということがあるわけではございません。やはり予算を使って相当な経験を積み重ねていくその実績が非常に大きく効きますので、その辺ではやっぱり私どもとしても、今投資を十分しておけば将来の日本の伸びは非常にうまくいくだろう、こう思っておるわけでございます。やはり基盤段階での投資というものが非常に重要かと思っておるところでございます。
 そんなところでよろしゅうございましょうか。
#47
○久世公堯君 龍澤先生に一点お聞きいたしたいと思うわけでございますが、先ほど矢田部先生や中村先生がお尋ねしたことと同じようなことなんですが、私も過去に多少法律をやった人間でございますが、先ほどのお話を承っておりまして、宇宙法というものの位置づけというのがなかなか難しいような気がするわけでございます。
 そこでひとつ、国際法ないし国際私法というものと宇宙法の位置づけというのがどういうことになるのかということをお教えいただきたいのと、それからそういう宇宙法という従来余り手を染めていない分野については、一体だれがそういう宇宙法というものをつくっていくのかという問題もあろうと思いますが、例えば国際法上におけるところの国際連合というような機関が宇宙法のこれからの体系の中においてはどういうものとして位置づけられるのか、そのあたりのところをちょっとお聞かせいただくとありがたいと思うわけでございます。
#48
○参考人(龍澤邦彦君) まず第一点としまして、国際私法、国際商法も含めまして幅広い意味での国際法、トランスナショナルローと言った方がいいかもしれませんが、宇宙法の位置づけということでありますが、いわゆる宇宙法といいましても、日本語で言えば一言で宇宙法と言っておりますが、宇宙法という中にはいろいろな意味がありまして、例えばその用語自体もまだどれを使うかということで国際的な一致というのは、学会ではありますが、一般的に公式なレベルでのものはありません。例えば、一般に使われるのはスペースローあるいはインターナショナル・スペース・ローとも言いまして、ソビエトではまずこれが通常であります。メジュドナロードナゴー・カスミチスカゴ・プラバ、これは全く直訳しますと国際宇宙法であります。つまり、ソビエトのような東側諸国は、これを国際法の一分野である、もうそれ以外のものではないとして位置づけ、それ以外のもの、宇宙でのものがあったとしても、それは国内法であるとしております。ところが、アメリカの場合をとりますと、宇宙法というものは現在のところ三つに大別できると思います。
 つまり、先ほど申しましたように、まずスペースローといいまして、これはいわゆる国際宇宙法であります。国連が採択しました基本条約を中心としまして、その他の国際機関が採択した、例えがITUなんかが採択したRR(電波規則)とかそういったものを含めたものであります。
 もう一つはアストロローというものでありま
す。最近アメリカではアストロ・ロー・アソシエーションというのができておりまして、代表的な学者なんかが参加しておりますが、これは国内法の中で特に宇宙関係の法律を集めてそれを相関的に研究していこうという分野だと思われます。これは現在かなりなところまで研究が進んでおりまして、先ほど申しましたように、例えばカリフォルニア大学とかヒューストン大学の中にこういった講座がございます。
 もう一つはMETAローと言われるものでして、これは電波天文学の発達によって生じてきた分野でありまして、いわゆるETI(地球外知的生命体)の探査という電波天文学上のいろいろなプロジェクトの発展とともに、その間の情報交換システムを確立しようじゃないかというそういったことに関する規則をつくろうとする研究であります。
 大体その三種が挙げられますが、国際私法の分野としましては、特にアストロローの分野で研究が進められているのが現状ではないかと思います。
#49
○久世公堯君 終わります。
#50
○広中和歌子君 時間が限られておりますので、まず龍澤先生にお伺いいたします。
 平和利用の定義につきまして、非軍事、非侵略という言葉をお使いになりましたけれども、もうちょっと詳しく非軍事、非侵略の違い、そして軍人、軍属の参加ということも平和利用という定義の中で許されるというような言い方をなさったと思うんですが、それについても言及していただきたい。
 ついでに伺いますと、それぞれの宇宙ステーションというのはそれぞれの参加国で独自につくると思うんですが、お互いの施設なり持ち込みに関して、例えば相互監視をするのか、また了解を求めるというようなことがあり得るのか。例えば、ちょっとSF的になりますけれども、何か武器を持ち込むなんというようなことも想像してみたりするんですが、そこの点についての何か取り決めがあるのかどうか伺います。
#51
○参考人(龍澤邦彦君) 非侵略説といいますのは、これはアメリカが最初に提唱し始めた理論でありまして、一番最初に見えますのは、例えばドクター・ジョン・A・ジョンソンという人が最初にこういったノンアグレッシブとノンミリタリーという考え方を出してきたわけですが、このアメリカの場合の非侵略説の侵略の意味に関しましては、なかなか従来内容が不明瞭なようなところがあったようですが、最近、国連総会決議三千三百十四というものの中で侵略の定義というのが出ました。一応この侵略の定義ということを参考にした上でこの侵略の定義に当たらないものを非侵略であると考えるというような、最近ではそういった見解が出てきております。
 それから、宇宙条約の制定に当たったゴア上院議員が議会で述べていることは、アメリカの見解としましては、宇宙は平和目的にのみ利用されるべきである、平和目的というのはつまり非侵略的で、ノンアグレッシブでベネフィシャルな目的であるということを言っております。
 ところが、宇宙条約の中に規定がありまして、宇宙条約の中では軍事要員とか軍事機器を利用することが禁止されてはおりません。ただし、それは民生用だと思うんですが、平和的探査のために必要な科学的調査のような活動につきましては、たとえ軍人によって行われるとかあるいは軍事機器的なものによって行われても、平和的な探査のための必要な科学的調査であれば問題ないという規定がありまして、もう一つは、そうかといいましても、その活動自体が非侵略的な性質のものである、例えば軍事基地とか軍事施設とか要塞の設置とか、何らかのタイプの武器のテストとか軍事演習を行うといったような、これは非侵略的な性質だとアメリカでは言うわけですが、こういったものであっても、現実としてこれは禁止されていない。そうすると、そういった中の区別というのが非常にあいまいであって、どこまでが軍事でどこまでが非軍事かという、そういうものができないと。ヨーロッパなんかはその見解に立って、活動の目的自体が、例えば相手を殺すとか直接的に戦闘に使うとかそういったものでないものであればいいんじゃないかというようなことも最近言われ始めまして、ケース・バイ・ケースで目的をその都度その都度検討して決めていこうではないかというような見解も出ていると聞きます。
 ソビエトは先ほど言いましたように非軍事説を最初に提唱した国であります。ソビエトにおきましては、非軍事というのはあくまでも天体であると、ソビエトは非常にそういう点、実定法にのっとっていまして、ただし、宇宙空間については軍事というものを、先ほど申しましたように、侵略的な軍事とそれから非侵略的な軍事と二つに分けて、侵略的な軍事は宇宙空間では適用できない、ただし非侵略的な軍事活動であれば問題はないと。
 そのようなものとして若干のものを挙げているわけですが、ソビエトの見解ですと、すべての宇宙活動が平和と非軍事に分けられる。軍事の中には非侵略と侵略とがある。軍事的な宇宙活動というのは、例えば宇宙空間からのスパイ行為、それから宇宙物体をいわゆる紛争状態における侵略国の軍事的な支援に使うということ、並びに国際的に禁止されている武器の宇宙空間でのテスト、こういったものが軍事的な侵略活動であると。
 非侵略的な軍事活動というのはどういうのかといいますと、例えば侵略に対する報復としてのミサイルの利用とか、それからさまざまな宇宙物体の利用、例えば航行通信衛星とかそれから気象衛星の利用、それを軍事演習のために利用するとか、それから平和時にはいわゆる侵略行為としてはカテゴライズされないいろいろな分野での武力の力による活動というもの、並びに国際法によって禁止されていない武器のテストのための宇宙物体の利用、こういったものが非侵略的軍事利用としてこれは宇宙空間では禁止されていないという見解をソビエトが出しております。ソビエトの言う非軍事というのはこういった形でとらえるのが適当ではないかと思われます。
 だから、ソビエトの非軍事とアメリカの非侵略の意見の食い違いというのはまさに天体の非軍事をどう見るかということの一点でありまして、宇宙空間については大体似たような見解ではないかと思われます。
#52
○広中和歌子君 研究成果でございますけれども、これは協定ではGOJ(ガバメント・オブ・ジャパン)ですか、それに帰属するんですか。それとも、そこで実験されるときに、政府というか何というんでしょうか、各研究者はどういうところから派遣されるのか、具体的には企業がかかわると思うんですけれども、企業の出資とかそれからその出資に見合う研究成果の配分とかそういうものについて、どちらに伺ったらいいかわからないんですけれども、どこに帰属するのかということです。
   〔委員長退席、理事森山眞弓君着席〕
#53
○参考人(龍澤邦彦君) パテントの問題に関しますと、やはり実質的にパテントの所有ということはちょっとこれは非常に複雑なものでありまして、アメリカでは、このパテントの所有に関しまして現在問題になっておりますのはNASAアクトの中のセクション三〇五だったと思いますが、それが一番中心になりまして、ただこれはアメリカ政府が支援するプロジェクトについては、簡単に言ってしまうと、政府が所有する。政府は――具体的にはNASAですけれども、NASA長官はそれに対して放棄する権利も持っている。
   〔理事森山眞弓君退席、委員長着席〕
それから、その他スペースシャトルなんかを使う場合には費用償還政策というのがありまして、今はもちろん民生用には余り出てきませんけれども、もとの状態ですと、スペースシャトルを使った場合にスペースシャトルを使った費用を償還した場合には発明は行った者の利益になる。
 それからもう一つは、ジョイント・エンディバー・アグリーメントというのがあるんですが、これは共同作業協定というんでしょうか、結局NA
SAが打ち上げてやって、それで中で企業が実験を行う。それぞれが出資し合って現物出資でやり合うという協定なんですけれども、それに関しましてはいろいろな規定がジョイント・エンディバー・アグリーメントごとにその中に挿入されます。一応モデル規定はあるわけですが、それによりますと、企業のパテントに対する公表からの保護とか、そういったものについてはかなりな程度に企業が譲歩しているようなものに思われます。
 そういったものが、宇宙空間で現在行われている宇宙活動に対する知的所有権の問題として、国内法で取り扱われているものの中心的な考え方が宇宙空間の宇宙ステーションに具体的に何らかの形で移されていく可能性は十分あると思われます。例えば、特に企業が行った場合の発明の利用に関するものとか、それからパテントの公表からの保護とかそういったことに関しましては、やはり企業にとって完全にその企業を保護する立場で法を適用していくかどうか一つ問題として若干残ると思うんです。
 ただ、これは先ほども言いましたように、疑似領土性の原則をとっておりますので、モジュールを登録している国で行われたものは、具体的にその国の法律に従ってパテントを登録できますから、それについては問題はないと思います。
#54
○広中和歌子君 短くお答えいただきたいんですけれども、これは本当に国際協力という理想主義で始まったものだと思いますけれども、アメリカの費用分担なんかは非常に大きいし、そしてまた技術の面でも非常に先を行っていた。そういう中で日本が後発で参加し、しかも現在の段階では三千億円という非常に少ない出資額から始まるわけですけれども、将来、費用分担とか技術摩擦、そういうものが起こる可能性があるのではないか。つまり、レーガン大統領がこれをプロポーズなさった七、八年前と現在の政治情勢というのはかなり違いがある。科学者の間には国境がないと言いながら、どうでございましょうか、最後に園山参考人の御意見を伺って、質問を終わります。
#55
○参考人(園山重道君) 先生御指摘のように、非常にアメリカの負担している度合いは多いわけでございますし、アメリカとしてはやはりアメリカの利益を擁護するという考えは十分強くあるんだろうと思います。ただ、まさに国際協力でこういう宇宙で一つのステーションを共同で開発して使うという非常に特殊な計画でございますから、やはりいろんな問題というのは、これからお互いにいろいろネゴをしながら何とかうまい方向を生み出していくというものだろうと思っておりまして、当然そういう基本的な協定なり何なりのネゴというのは政府レベルで行われるわけでございますが、私ども実務分野におきましても、その辺は国際協力の実を上げながらやはり日本の国益はできるだけ守るということで進めていくべきものかなと、こう思っております。
#56
○広中和歌子君 どうもありがとうございました。
#57
○吉岡吉典君 両参考人、大変勉強になるお話ありがとうございました。
 時間の関係で端的にお伺いしますけれども、まず龍澤先生に。
 お話を聞いていますと、協定に「平和的目的」ということが書いてありますけれども、この「平和的目的」という言葉は、各国によって全部とり方が違うということになると、実態的には余り意味のない言葉のような感じがするんですけれども、それはどういうふうにお考えになりますか。
#58
○参考人(龍澤邦彦君) 僕はこの協定を読んでおりまして一つ気になったことがございます。
 それは、この協定の英文の中にはフォーピースフルパーパシーズとだけ出ておりまして、イクスクルーシブリーという言葉に欠けているということであります。宇宙条約の場合ですと、これはイクスクルーシブリーフォーピースフルパーパシーズという規定になっているはずなんですが、その点がちょっと違うようで、僕はその一点が気にかかるのです。
 そして、フォーピースフルパーパシーズとしながら、なおかつ、それは何がピースフルパーパシーズであるかは、それぞれの国の決定に任せるということになっているわけです。そして、その決定されたことを妨げるために、例えば電力の供給をとめるとか、そういうことはだめだということが出ております。そしてさらに、どれが平和的利用かというのを決定した際にそれを文書によって相互通告する、そういう文言も出てきます。それとつり合わせる形でシビル・スペース・ステーションということが明確にうたわれております。
 そうしますと、これはまさに、ここでこんなことを言ったらいいのかどうかあれですけれども、妥協の産物である、そういう形に私はとるんですけれども。つまり、ある程度ピースフルパーパシーズという言葉によって平和目標というものを明確にしながら、その了解はそれぞれの国にやってくれと。ただし、この宇宙ステーションはあくまでもシビル・スペース・ステーションだということを言っているわけです。
 僕は、ここで問題にすべきは、ピースフルパーパシーズがどうかということではないと考えます。つまり、ピースフルパーパシーズというのは、これはもう何百万遍議論しても結論の出ない問題でありまして、このためにもう何世紀もかかつてこの言葉を追求して、最近では平和学会というものもできているようですが、それでもなおかつ答えがない。こういったことをやるよりは、むしろシビル・スペース・ステーションという方に重点を置いて、民生利用が最優先するのであるということを確保することが大事だと思われます。
#59
○吉岡吉典君 今の問題と関連して、非軍事的利用という場合、龍澤先生にですけれども、軍事利用というのはもちろん非侵略的軍事利用ですけれども、その中身は、それはこのステーションを直接例えば軍事的な攻撃とか軍事的な補給等に使うことを言うのか。ここでの技術的な研究成果を軍が利用する場合も非侵略的な軍事利用の中に入るのかどうなのか。それはどういうふうにお考えですか。
#60
○参考人(龍澤邦彦君) 独断と偏見に基づいて申し上げますと、最悪とあえて申し上げますが、これを非軍事ではないというような見解をとったとします、ノンアグレッシブはそれほど悪いことではないと思うんですが、たとえノンアグシブという形で通ったとしましても、これはノンアグレッシブの意味の中には攻撃をしかけるとかそういったことは含まれておりません。したがって、そういう仮定はちょっとどう考えてもあり得ません。むしろ問題は、このピースフルパーパシーズという字句の解釈にこだわることよりは、均衡として与えられているシビルという言葉の方にこだわって、民間利用、これをとにかく最大限に確保することであると思われます。その方が実質的だと自分の見解では思います。
#61
○吉岡吉典君 私もその点は同感ですけれども、ただ往復書簡等を見ますと、安全保障上の利用という問題もあるわけでして、その安全保障上の利用というのは、直接の軍事攻撃に使わないんだというだけならこれは当たり前のことで、また実際上使いようがないと私も思いますけれども、ここの技術的な新しい研究成果を軍が使うということは起こり得るんじゃないかと思いますので、それは軍事利用になるのかならないのかというのを伺いたい。
#62
○参考人(龍澤邦彦君) それは軍がここで研究された民生の成果を利用するということの意味ですか。それとも……
#63
○吉岡吉典君 そういうことです。それが軍事利用の中に入るのか入らないのか。
#64
○参考人(龍澤邦彦君) それは通常での民間企業が行った研究成果を使う、これはもう一般に公開されているわけですから、使われている例は多々地上でもありますし、そういう点を考えますと余り意味がないように思われます。
 むしろ僕が一番重要視するのは、軍がたとえ使ったとしましても、例えばもちろん殺傷目的やなんかの研究はこれはもう論外でそういったものは問題になりませんが、一般的な目的で利用され得
る技術というものの研究を行った場合、これを僕が一番問題とするのは、その技術のデータを出さないという方がむしろ問題じゃないか。
 共同利益の原則というのがございまして、この宇宙空間における共同利益の原則といいますのは、宇宙空間の利用が経済的な開発の状態やその他にかかわらず、とにかく公平に差別なく全人類の利益のために利用されねばならないという原則なんですが、先ほども一番冒頭に申し上げましたように、これは宇宙活動ですからこの原則が当然適用されるわけです。そうしますと、例えばそういった研究成果を出さない、一般的な目的で当然行われるものであっても、その研究成果を出さないで隠ぺいしてしまうというような場合には、これは若干共同利益の原則に抵触する場合が出てくるのではないかという疑念があるんです。ただその場合でも、長期的に見て何らかの形でそれが人間の生活の向上とか社会の福祉に貢献していくのであれば、まだ許容可能であるということになります。
#65
○吉岡吉典君 私はずっとこれまでの話を聞いていまして感じたことの一つですけれども、先生のお話にもありましたが、これは統一体ではなくて各国の寄せ集めだということからくることだと思いますけれども、本来、平和的目的とか民生用とかいうふうなものは、やっぱり協定参加国の統一解釈がきちんとあって利用されていくのが望ましいというふうに思いますけれども、その点は先生がごらんになってもそういうふうに思われますか。妥協の産物だという言葉もありましたけれども。
#66
○参考人(龍澤邦彦君) そういったものがあるのは当然でありますし、一応、施行細則といいますか、実施規則みたいな形としてMOUというようなものがあると思うんですが、ただ、こういった個々の用語に対して具体的にどこまで合意に達するかという難点があると思われます。そういったところから共通の合意をここで引き出そうとすると、この協定の交渉には恐らくもっと時間がかかったのではないか。といいますのは、ESAが大分ごねていたようですし、そういったことを考え合わせると、やっぱり現実的にはちょっとどうかなという気がします。
 ただ、一言付言させていただきますと、例えば国会決議における平和利用、むしろああいったもので国内の明瞭な定義で始末できるならば、それで始末するのが一番最良ではないか。なぜかといいますのは、例えば平和目的に例をとりますと、その意味はそれぞれの国家が解釈するとなっておりますから、日本には幸いにしてそういう決議があるわけですから、その決議の意味を明瞭にするという形で、具体的には本来の理想的な意味での平和利用というものの確保で一致することは可能であると思います。
#67
○吉岡吉典君 園山先生にお伺いしたいんですが、冒頭にこのステーションの位置づけもありましたけれども、大変素人でイロハの質問になるわけですけれども、ステーションと同時に、いろいろな日本独自の宇宙研究もございますわけですね。
#68
○参考人(園山重道君) 冒頭申し上げましたように、例えば私どもの事業団の大きな開発プロジェクトといたしますと、このステーションのほかに日本のロケットの開発、衛星の開発あるいはこういうものを使う技術の開発というのがございまして、その中で宇宙ステーションは一番大型でございます。また、これからの中心になってくる可能性が非常に強いものだと思っております。
#69
○吉岡吉典君 例えば、これは園山参考人からもお話がありましたが、再来年HUロケットの打ち上げ、その次の年には宇宙観測フリーフライヤーですか、そういう計画もちゃんとあるわけなんですね。
#70
○参考人(園山重道君) 今おっしゃったフリーフライヤーは、これは文部省の宇宙科学研究所と通産省と私どもの方とで共同開発をいたしておるものでございます。
#71
○吉岡吉典君 私がそれをお伺いしましたのは、私もいろいろな専門家の方に聞いて歩いたら、ある専門家の方は、この宇宙ステーションでやれる程度の実験、観測なら、九二年に打ち上げることになっているさっきおっしゃったフリーフライヤーですか、これででもできるんだという説を説かれる専門家もおありのようですので、これはどういう関係になるのか、ちょっとお伺いしておきたいんです。
#72
○参考人(園山重道君) フリーフライヤーと申すのは、もちろん人間が乗っておらないわけでございまして、ロケットで上げまして宇宙空間にある期間出しまして、最後にスペースシャトルで回収するという計画でございますので、人間がいないということで相当制限される点がございます。それから、人間が宇宙に出て働くという、いわゆる有人技術というものは全く含んでおりません。それからまた、そういうことで規模が小そうございますので、使える電力等も制限されますので、宇宙基地でやるような種類のものをこのフリーフライヤーでもできるということはあると思いますけれども、その自由度とか規模というのは非常に制限されるものだと思っております。
#73
○吉岡吉典君 それから、これも全く素人の質問ですけれども、産業用の開発、医療とか新しいいろいろな実験、研究ができるというお話ですけれども、宇宙でなければできない実験のものが、仮に宇宙では成功しても、それが地上で実際に使用できるものか。例えばそこでできた新しい素材、そういうふうなものが産業用に使用できるのか。地球で使えるものなら地球の実験でもできるのじゃないかというふうに私は素人ですから思えるんですけれども、それはどういうふうになるんですか。
#74
○参考人(園山重道君) 二種類あると思います。一つは、宇宙のいわゆる無重力環境の中ででもできないものというのがあるかと思います。したがいまして、これは宇宙空間でつくって地上に持ち帰って使うというものでございます。それからもう一つは、宇宙空間の無重力状態でいろいろ材料をつくる実験をいたしますと、その材料ができていく過程にどういう現象が起こるかということが地上の重力のあるところよりももっとはっきりわかりまして、したがってそのプロセスを地上での材料生成に応用するということも可能でございます。そういう二種類のものが期待できるんじゃないか、こう思っております。
#75
○吉岡吉典君 時間が来たようですから。
#76
○委員長(堀江正夫君) 以上をもちまして、参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の皆様に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、本日は、御多忙の中を、しかも急なお願いでございましたが、快く御出席いただき、長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。本委員会の審査に十分活用させていただく所存でございます。
 委員会を代表し厚く御礼を申し上げます。
 引き続き、本件について質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#77
○久世公堯君 宇宙基地の問題につきまして、最初に外務大臣に基本的な事項についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 大臣、今横浜で横浜博というのをやっておりますが、大臣はごらんになりましたでしょうか。
#78
○国務大臣(三塚博君) まだ見ておりません。
#79
○久世公堯君 ただいま横浜で「宇宙と子供たち」というテーマのもとに横浜博が開かれているわけでございますが、私もちょっとのぞいた程度でございますが、そこには宇宙人とかいろいろの天体とかあるいは惑星の宇宙旅行とか、そういう展示がいろいろされておりまして趣向を凝らしたものなんですが、どう見ましてもSF小説並みのような宇宙のとらえ方だという感じを私は抱いたわけでございます。
 子供でございますから、それなりに意味があろうかと思いますが、私はたまたまことしの二月の下旬にワシントンで開かれました全米知事会議と
いうものに出席をいたしました。その五十州の知事の集まった前夜祭におきまして、ワシントンのスミソニアン博物館の航空宇宙館におきまして前夜祭が行われたわけでございます。その前夜祭でまず「ザ ドリーム イズ アライブ」夢は生きているとでも訳しましょうか、そういう映画が三十分行われたわけでございます。それはまさにシャトルで宇宙に行く宇宙ステーションというものを前提として、宇宙から見た地球、そして地球の資源の探査とか、あるいは海洋開発とか気象条件、あるいは最近問題になっておりますところの地球観測、そういうようなまさにこの宇宙ステーションにいよいよ乗り出す年に当たっての映像だったと思うわけでございます。そしてさらに、そこにおきまして全米知事会長のパライレスという知事、それからこのスミソニアンインスチチュートの所長でございますか、それがこのような話をいたしておりました。
 それは、このスミソニアンの航空宇宙博物館は毎年一千万人の見学者がいる。航空宇宙の分野というものはアメリカが最も世界に誇れる分野である。ブッシュ政権になりまして連邦赤字というものがかなり大きくなっているけれども、宇宙分野におきましては予算を減らすということはよくない。まさに宇宙ステーションの時代に米国は入ったわけである。したがって、これからはスペースプログラムというものが必要だ。そこで開発される技術というものはまさにアメリカの社会全体にとって大きな利益をもたらす。アメリカは宇宙分野で世界に、そして国民に大きく貢献すべきであると、五十人の知事の前でそういう話があったわけでございます。私はそれを聞いておりまして、この宇宙ステーションの時代、宇宙開発というものはまさに国民生活にとって切っても切れない関係に立っているのではなかろうかと、こういう印象を強くしたわけでございます。
 ただいまこの外務委員会におきましても、園山参考人から宇宙ステーションに至るまでの宇宙開発の歴史を今承ったところでございます。簡単に申しまして、宇宙開発にも第一世代と第二世代があるのではなかろうか。第一世代は、衛星なりロケットなりの今までの時代とすれば、それによって気象観測なり通信なりあるいは放送衛星なりあるいは資源探査というようなものが、私どもの国民生活に非常に身近なものとして開発をされてきたのが第一世代かと思うわけでございます。それに対して、まさに宇宙ステーションの時代というのは、真空、無重力の中において、新しい環境で、しかも有人宇宙飛行というものを前提として、そして技術というものをどんどん開発をしていく、これが第二世代かと思うわけでございます。私は、この第二世代の宇宙ステーションというのは、まさに地球の上では実現できない無限の可能性を持った空間においていろいろの科学技術に取りかからなければいけない、こういう時代に入ったと思うわけでございます。
 大臣は、通産大臣を経て、今外務大臣になられたわけでございますが、技術大国日本といいながら、実は日本の宇宙レベルの技術というものは、特に基礎技術の面におきまして、まだまだアメリカあるいはヨーロッパとの間で格差があると思うわけでございます。一方、宇野総理も就任に当たっての施政方針演説の中に「世界に貢献する日本」ということで、積極的に世界に貢献する日本の位置づけというものをうたわれたわけでございまして、もちろんODAでございますとか、文化交流でございますとか、いろんな面において世界に貢献をしているわけでございますが、先進諸国に対しても我が国というものはこれから貢献していかなければいけない。それに当たって、この宇宙ステーションの位置づけというのも私は評価すべきものではなかろうかと思うわけでございます。
 そのような経済大国なり技術大国という見地、技術というような面と、それから「世界に貢献する日本」というような視点から、この宇宙ステーションに我が国が参加をする意義というものについて基本的にどのようにお考えか、大臣の御所見を承りたいと思う次第でございます。
#80
○国務大臣(三塚博君) ただいま久世委員御指摘のように、第二世代という御紹介をいただきましたが、なるほどなというふうに今非常に感銘深く聞いておったところでございます。
 まさに宇宙基地は、御指摘のように天体及び地球の効率的な観測並びに低重力、真空等でありまして、これらの宇宙環境を利用して地上では行い得ない数々の実験を可能にするというふうに思います。その分野は、我が人類の二十一世紀以降の未来にわたる豊かな人類社会、それはすべての病を克服するでありましょうし、それからその実験から、そこに想像のでき得ない空間が、あるいはその他のものがあらわれてくるでありましょうし、そういうことでありますと、産業、医療の広範な分野が今の困難を乗り切って展望が開けていくという意味で技術進歩の機会が、その目的とした分野だけではなく、広がっていくのかなというふうに思います。
 そういう点で、今次法案におきまして我が国の宇宙基地協力への参加というものは、ハイテク国家と言われておりますのにもかかわりませず、まさに我が国として実績のない有人宇宙活動に関する技術基盤の確立に資するということを期すことができ得ます。
 さらに、そのことによりまして、我が国における科学技術一般の発展及び宇宙環境を利用した産業活動という、この分野にまで活動が展開されていくということを促すことも期待されるというふうに思います。
 さような意味におきまして、二十一世紀にかけて人類の進歩に資する本件協力への積極的な貢献を通じまして、国際社会の我が国に対する期待にこたえていくという上におきましても極めて重要かなと、こんなふうに認識をいたしておるところであります。
#81
○久世公堯君 私は、先ほど横浜博の例を出したわけでございますが、日本においてはまだ宇宙というとドリームの段階じゃなかろうかと思うのに対して、ぜひこの宇宙ステーションというものを契機にいたしまして「ドリーム イズ アライブ」という段階にまでなってほしいと思うわけでございます。
 なお、今大臣おっしゃいましたように、私は、この宇宙ステーションにおけるいろいろな技術開発なりというものは、今後我が国におきます先端技術産業の面においてすそ野を広くしていかなければいけない、このように考えておるわけでございます。
 そこで、次にお尋ねいたしたいのは、この宇宙基地の利用の考え方なりその体制なり、そういうことについて幾つか承りたいと思うわけでございます。
 まず今も申し上げましたように、私は、日本の宇宙開発の技術というものは、アメリカやヨーロッパに比べてかなりおくれているんではなかろうかと思っている次第でございます。と申しますのは、日本は、技術大国でもございますし、エレクトロニクスを初め非常に技術分野において進んでいる面はあまたあるわけでございますが、事、宇宙開発という面になりますと、アメリカやヨーロッパと比較をいたしましてかなりのおくれがあると思うわけでございます。
 私は、昨年でございましたか、ジョンソン基地に参りまして、この宇宙基地のモックアップモデルを実は見てきたわけでございますが、同じものは筑波のNASDA(宇宙開発事業団)にも飾られておりますけれども、二つを見ました場合、片方はもう宇宙基地が目の前にできるんじゃなかろうかという印象を持つのに対して、日本にありますものは本当におもちゃのようなモックアップモデルなんでございます。したがいまして、それはたまたまそのモデルの例でございますけれども、有人宇宙活動なりあるいは宇宙環境利用というような面になりますと、かなり技術の立ちおくれがあるかと思うわけでございます。
 そこで、やはりこの技術の立ちおくれというものを埋める、技術的なギャップを乗り越えること
が必要でございまして、そのためには、我が国の産学官の総力を結集してこれに当たることが必要と考えられますけれども、我が国におきまして宇宙基地建設の体制というものをどのようにお考えになっておられるか、承りたいと思います。
#82
○政府委員(中津川英雄君) 我が国の宇宙開発は、従来から宇宙開発委員会の調整のもとに、宇宙開発事業団が中心になりまして関係機関と協力しながら進めてきているわけでございます。
 この宇宙基地の建設に当たりましても、この宇宙基地といいますのは、我が国にとって有人基地として初めてのものでございますので、極めて安全性の高いもの、信頼性の高いものが要求されるわけでございます。我々といたしましては、宇宙基地に対して予備設計というのを既にやってございますけれども、そのときも、宇宙開発事業団を中心にいたしまして、関係の有識者、専門家等結集をいたしまして設計をやりました。その結果を踏まえまして、これならば開発に着手できるだろうという見通しを得ましてこの協定に入るということを決めたわけでございますけれども、これからも宇宙開発事業団を中心にいたしまして、各機関の専門家、それからメーカーも大分力をつけてまいりましたので、多くのメーカーの力を結集いたしまして、我が国としてやるべき実験棟の建設に邁進してまいりたいというふうに考えております。
#83
○久世公堯君 ただいまの産学官の協同の問題でございますが、我が国では最近至るところでこの産学官ということが盛んに言われるわけでございますが、本当の意味で産学官の協調体制になっているのかということについて、特にこの宇宙開発の面では若干疑問を前から私は抱いておるわけでございます。産学官と言わないまでも、官の中においてもいろいろ問題があるんじゃなかろうかと思います。
 そこで、先ほど園山参考人がこの宇宙開発の歴史についていろいろとお話しになったわけでございますが、その中で、かつて東京大学の宇宙航空研究所、今はたしか文部省にそれは移管されておると思いますが、そこにおいてかなりの期間、国産技術によるところのロケットなりあるいは衛星の開発が行われたというお話を承りました。そして現在、たしか文部省の方の宇宙科学研究所は、日本の宇宙開発全体の予算から見れば一割にも満たないぐらいの予算じゃなかったかと思いますけれども、しかしそれなりに果たした役割は大きかったし、また現にやっているわけでございますけれども、片や科学技術庁なりあるいは宇宙開発事業団、これは日本なりにはかなりの予算で今いろいろとやっておられるわけでございます。文部省、科学技術庁、さらに通商産業省におきましても資源探査衛星と申しますか、たしかJAROSという機関だったと思いますが、そこでもそういう研究開発というものをやっている。
 あらゆることについて、日本の場合においては縦割り行政というものが目立つわけでございますが、産学官、特にこれからはもっと、日本の民間企業の中に宇宙開発についてはかなりの技術を持ったところがあると思うわけでございますが、それも全部動員をしてこの宇宙ステーションに取り組まなければいけないという時代において、ひとつ大臣から、この縦割りと申しますか、非常に部門がまたがっておって必ずしも十分な調整がとれていないのではないかという点について、どういうお考えを持っておられるか、ちょっと承りたいと思うわけでございます。
#84
○国務大臣(三塚博君) いろいろ御指摘がございました。特にこういう新しい分野の研究開発ということになりますと、我が国の政府機関の対応からいいますと、科学技術庁あり、文部省は宇宙科学研究所でありますとかそういうところもありますれば、あるいは郵政省もその分野のまた先駆者としての研究所を持ち、それぞれおやりをいただいております。また、通商産業省が主管する産業界ではハイテク日本のハイテク産業、世界に名立たる会社がたくさんあるわけであります。その分野の研究等々一々申し上げませんが、こういう問題で新しい分野の提唱をいたしますと、ライフサイエンスにいたしましても、各省全部挙手をして立候補をいたすわけであります。そういう中で、これをどうきちっと効率的に効果的に取り組めるかというのが政府の調整作業であり、重要なポイントに相なる。本件につきましては、宇宙開発委員会が総理大臣の諮問機関として設置をされて、統一的な形における有効的なその取り組みということをやられておるわけでございますが、久世委員は、必ずしもそれが機能しておらないのではないかと、一言あるような気がいたすわけであります。
 私もその点、胸を張って当委員会において、すべてが賄われて予算的措置も対外問題もやっておりますよ、と言うだけの自信がございませんけれども、新しい分野でありますから、ただいまの御指摘を踏まえながら、私自身もそう考えておる分野がございますものですから、宇宙開発委員会が強力に本分野につきましてお取り組みいただけますように完全サポートをしていかなければならないのかなと、こんなふうに考えておるところであります。
#85
○政府委員(吉村晴光君) ただいまの大臣の御答弁を補足をさせていただきますと、私どもの宇宙開発というのは、宇宙開発委員会が、予算の見積もりを含めまして、各省の活動すべてにつきまして総合的な調整をやっておるわけでございます。先生御指摘のように、文部省の宇宙科学研究所、または通産省の資源探査衛星といった活動がいろいろ新聞に報道されますので、全体として整合性がとれていないのではないかという御疑問もあろうかと思いますが、宇宙科学研究所の予算も含めまして、また通商産業省の予算も含めまして、宇宙開発委員会で毎年概算要求の内容についての議論を十分いたしてございます。
 そういった意味で、私どもとしては十分整合性がとれた形で進んでおるというふうに思っておるわけでございますが、御指摘でございますので、今後ともそういったことにつきまして、逆の方向に走ることがないように十分注意をしてまいりたいと思います。
#86
○久世公堯君 先ほど宇宙基地計画への参加の意義について御答弁をいただいたわけでございますが、もう少し具体的に掘り下げる必要があろうかと思うわけです。
 我が国におきましても、先般三人の宇宙飛行士候補が日本に帰ってきまして、今たしか筑波かどこかでやっておられると思いますが、いわゆる第一次材料実験と呼ばれている宇宙実験計画に進んでおるかと思いますけれども、先ほど申しましたように、アメリカやヨーロッパに比べてかなりおくれていることは事実だろうと思うわけでございます。
 そこで、今次の宇宙基地計画への参加を通じまして、我が国も宇宙実験の機会を飛躍的に拡大することが可能となるわけでございまして、その有効利用のために、単に設備を整備するだけではなくて、そこでどんな実験を行い、どのように利用していくかということを検討していくことがこれから必要だろうかとも思うわけでございます。実際の利用計画を立てるのはまだまだ先のことであろうかと思いますが、今の時点においてもしかるべき検討がなされているものと思われるわけでございます。
 そこで、宇宙基地において我が国がどのような先端的な実験を行うのか、現時点におけるアイデアを承りたいと思います。
#87
○政府委員(吉村晴光君) 御指摘のように、宇宙実験そのものは宇宙基地ができた段階でございますが、実験棟をつくりますに当たりましては、そこにどういった設備を用意すべきかということが問題になるわけでございまして、私どもも将来その日本の実験棟で日本の研究者の方々がどんな実験をしたいかということにつきまして十分意見を聞いて、それを踏まえて実験棟の整備を図る必要があると考えておるわけでございまして、そういったことの一環といたしまして、私どもこの宇宙開発委員会におきまして宇宙実験棟の内容の検討
をいたしましたとき《広く国内の研究者からアイデアを募集をいたしました。その結果、出てまいりましたのが、約三百数十に及ぶ実験のテーマが出てきたわけでございます。
 具体的な内容を御紹介すると大変長くなりますので、一つ、二つどんなものがあるかということを御紹介をさせていただきます。
 例えば、ライフサイエンスの分野におきまして、地上では得にくいような大型の結晶を持ったたんぱく質をつくりその構造を解析するというテーマがございますが、こういった実験によりまして、例えばエイズの原因となりますウイルスの構造とその性質との関係といったことを突きとめることができるのではないかと考えられます。
 また、DNA組みかえ技術によります有用物質の生産技術の実用化という点に関しまして、熱による対流のない微小重力環境のもとでは、分離の純度が飛躍的に向上するといったことが考えられるわけでございまして、そういうことで医薬品の開発に大きく寄与するのではないかというふうに考えております。
 また、材料の分野では、無重力を利用しまして極めて均質な結晶をつくることができる。そういたしますと、極めて動作速度の速い半導体をつくることができるのではないか。スーパーコンピューターなどの性能をさらに大幅に向上できる点が期待をされるわけでございます。
 以上は、実験室の中でどんなことがアイデアとして考えられているかということでございますが、そのほかにも、地上に比べまして大気などの影響がない利点を活用した太陽活動の観測といったことについても、非常に意義があるといった御提案をいただいておるわけでございまして、そういった日本の中のいろんな研究者からのアイデアを募集いたしまして、そのアイデアを実際に実験ができるように実験棟の設計、製作を進めたいということで進めておるわけでございます。
 具体的な実験そのものは、先ほどもお話しございましたように、実際に実験をやりますときに、広く日本の中の研究者に機会を与えるようなシステムをつくりまして、科学技術の進歩に役立てていただきたいと考えている次第でございます。
#88
○久世公堯君 次に、我が国の宇宙基地の建設のスケジュールについて承りたいと思います。
 この宇宙基地協力は、予備的な設計が昭和六十年から開始されて既に四年が経過をいたしております。たしか、我が国以外の参加十一カ国のすべては、昨年の九月から本格的な設計を開始していると承っております。
 これから、一九九五年から宇宙基地の打ち上げが開始せられ、日本の製作するところのモジュールも一九九七年には打ち上げられる。そうして、宇宙基地が一九九九年に完成をして、そして今世紀最大のプロジェクトと言われるこの宇宙ステーションが完成をして二十一世紀というものを迎えると承っております。
 このような大規模な国際的なプロジェクトにおいて、各国が歩調を合わせ、緊密な連絡をとって作業を進めていくということが肝要であると思われるわけでございますが、我が国がおくれていることで各国に迷惑をかけることがあってはならないことはもちろんのことでございますが、日本の場合には手続ばかりに時間がかかって行動が遅いというようなことで、国際的な非難を浴びることがもし仮にあるとするならば、これは逆に我が国にとって大きな損失だと思うわけでございます。我が国がいささかおくれていることにつきまして、国際的な面において不都合が生じているのかどうか、そのあたりについて承りたいと思います。
#89
○政府委員(遠藤哲也君) 先生今御指摘のとおり、去年の九月二十九日、たまたま再開シャトルのディスカバリーが宇宙に上がった日でございますけれども、この日に協定が署名されまして、今先生御指摘のとおり、全部で十二カ国のうち十一カ国、つまりヨーロッパとそれからアメリカとカナダは、この協定を直ちに暫定適用するというふうな措置をとりまして、この協定の実施に入っております。
 で、ちょっと話がそれるかもわかりませんけれども、現在のいわゆるシステム工学でございますと、プロジェクトをつくっていきます場合に、その段階をABCDEと五段階に分けるのが通常でございますけれども、その中の我が国を除きます十一カ国はCという段階、つまり本格設計という段階に既に入っておるわけでございます。ところが我が国は、今の段階ではいわゆるB、つまり予備設計という段階でございまして、したがいまして既に各国と我が国とのいわゆる宇宙基地発足に向けての過程は若干おくれておる現状にございます。
 しからば、今何か非常に不都合が生じておるかという点でございますけれども、我が国を除きますほかの十一カ国も九月の末でございますからちょうど半年を過ぎたところでございまして、我が国も何とかさほど迷惑をかけない、あるいはくっついていっているというか、我が国にとってもマイナスのないような状態にあるわけでございますが、しかしこういうような状況が万が一にも今後続きますと、これ我が国を含めて一緒に国際協力でやっていくプロジェクトでございますから、どうしてもほかの国の足を引っ張るということは、これはもう当然というか、当たり前でございます。
 他方、日本にとりましても、やはり仮に後から本格設計に参加するにしましても、ほかの国が決めてくる設計なり仕様なり、例えば細かい話でも、この宇宙基地の電力を百十ボルトにするか二百ボルトにするか、あるいはセンチメーターを使うかあるいはインチを使うか、そういったようなことも含めまして、ほかの国が決めました仕様を日本もいや応なしに採択せざるを得ないという、我が国にとってもマイナス面があり得るわけで、ほかの国への迷惑それから我が国にとってのマイナスと両方から考えましても、何とか早く日本の場合この協定の御承認をいただいて早速にもいわゆるフェーズ。という本格設計の段階に追っつきたい、こういうことでございます。
#90
○久世公堯君 この各参加国と申しますか、十一カ国は昨年九月の協定の署名を境にしていわばこの協定に沿った協力を既に開始をしている、暫定協定という段階を経たというお話でございますが、我が国の場合におきましてはこの協定は国会承認を条件にしているということで、今明日でこれを何とか議了したいと思っているわけでございますが、各国では昨年九月までに国会の審議を終えたということはなかなか考えがたいと思うわけでございます。
 この本件のような迅速な対応というものが要求されております国際プロジェクトにつきましては、各国は特別のやり方でとりあえず参加を確保するというような方法をとっているのではないんでしょうか。各国におきまして昨年九月にどのようにして本格的な協力を開始したのか、そのあたりをもう少し御説明を賜りたいと思います。
#91
○政府委員(丹波實君) まず第一に、先ほどの遠藤科学審議官の御説明にもございましたけれども、日本を除きます関係各国は、本協定に署名したその日に別途取り決めを交わしましてこの協定を事実上発効させ、協力を進め得る態勢をとったわけです。
 この協定自体の正式な発効の問題でございますけれども、これは協定第二十五条に規定されていますが、一言で申し上げますと、アメリカがまず第一に批准しなければいけない。アメリカのほかに、日本またはカナダまたはヨーロッパが一つのグループとして用意ができたときに、つまりアメリカともう一つのグループが用意ができたときに発効するという規定になっております。各国は協定を自国に持ち帰りまして、それぞれの国の議会手続を現在行っておるわけですが、現時点ではそういう意味で国内手続を了した国はヨーロッパのノルウェー一国でございます。アメリカにつきましては、昨年十月にこの協定自体につきましてはアメリカ議会の承認を得ておりますけれども、この協定の実効上必要になります特許関係の法律と
いうものがまだアメリカ議会の承認を得ていないということで、全体としてはアメリカももうちょっと時間がかかるという状況です。
 しかしながら、繰り返しますと、いずれにしても事実上ほかの国は協力を始め得る法的な体制になっておるものですから、日本といたしましてはできるだけ早く今国会で御承認をいただきまして、日本としてもこの協定を対外的に発効させ得るんだという、そういう状況に持っていきたいというのが現在の状況でございます。
#92
○久世公堯君 今お話がございましたけれども、我が国だけがこの協定を締結しても協定は発効しない。協定を審議するに当たりましては、国会が協定を承認したらどのような法的な効果が発生するのかということを承知しておく必要があると思うわけでございます。そこで、我が国以外の参加国の協定の締結、それから協定の発効の見通しにつきまして承りたいと思います。
#93
○政府委員(丹波實君) 先生の御指摘極めてごもっともな問題意識と考えます。
 先はどのような状況でございますので、この協定が第二十五条によりまして公式に効力発生までまだなお若干の時間がかかるのではないか。他方、日本の国会がこの協定を承認して、日本が協定批准あるいは加入書の寄託の用意ができても、ほかの国との関係で全体として協定が発効し得ない状況のときに日本はどうするかというのが先生の御質問のポイントだろうと思うんですけれども、非常に率直に申し上げまして私たちはこの協定を国会承認いただくということに今日まで全力を挙げておりまして、その後の状況につきましてどう対応するかということは、実は頭がそこまでいってないのでございますけれども、国会承認を得た後で、全体の状況を見てどう対応するかということを考えてまいりたいと考えております。
#94
○久世公堯君 先ほどこの宇宙ステーションの体制についてお話を承ったわけでございますが、いよいよ有人の宇宙飛行、そしてそこにおけるいろいろの実験ということになりますと、この宇宙飛行士というものがある程度数が必要だろうと思うわけでございます。
 もちろん、既に三名の宇宙飛行士が今アメリカを中心にして訓練を受けているわけでございますが、私は、昨年でございましたか、ジョンソン基地でこの宇宙飛行士の訓練というものを目の当たりに見たことがございます。大きなプールでトレーニングをやっております。ただそれだけではなくて、宇宙飛行士はいろんな意味で体力というものを必要とするということで体力のモニター施設もございましたし、また非常に大きい医療関係、医学関係の施設がございまして、そこで医学のスタッフというものが綿密に宇宙飛行士の健康状態そのほか体力、そういうものをチェックをしているシステムを見たわけでございます。
 これはNASAのような大きな機関だけではなくて、現に宇宙開発関係をやっている一般の民間企業、例えばロスにございますところのマクダネル・ダグラス社におきましても同じような大きなプールというものをつくって宇宙飛行士の訓練をやっている。また、医学的なチェックをやっている。そういうのを見たわけでございますけれども、日本においていよいよこの有人宇宙ということになりますと、そういうような宇宙飛行士の選抜の手続なり訓練なりあるいは医療のチェックなり、そういうことについてどのようにお考えでございましょうか。
#95
○政府委員(吉村晴光君) 宇宙基地の運用時には平均いたしまして搭乗員が八名乗ることが想定をされておるわけでございます。その場合には我が国から常時一名を提供するということに相なります。年間を通じて一名を搭乗させるというふうな前提を置きますと、搭乗員の搭乗周期、バックアップ要員、待機期間といったものを考慮いたしまして、十数名程度の宇宙基地搭乗員を常時プールしておく必要があるであろうと考えております。
 我が国の搭乗員の第一回目の搭乗予定は一九九七年でございまして、訓練期間は約五年間ということになっておりますので、一九九二年ごろには選抜を終えておく必要があると考えておるわけでございます。これに合わせまして、具体的な搭乗員の募集選抜手続を今後検討していくことになるわけでございますが、ただいま御指摘のございました訓練施設、宇宙医学等につきましてもそういった検討の中で具体的に日本としてどういう設備を用意し、どういうスタッフを用意していくかということもあわせて検討をしていきたいというふうに考えております。
#96
○久世公堯君 日本のこのモジュールの開発のために三千億円の巨費を投じて我が国の最先端の技術を結集するということになっているそうでございますが、あくまでも私はこの政策のみならず、今後におきまして我が国の自主的な計画に基づいて行うべきであると思うわけでございます。かりそめにも、我が国の意に反して行われるようなことは回避しなければならないと思います。しかしながら、この宇宙開発についての技術の面を見ますと、例えば日本のモジュールに積まれるところのコンピューターでございますとかあるいは通信、そういうエレクトロニクスの系統あるいは新素材の面におきましては日本も技術水準がかなり高いと思うわけでございますが、例えば通信面におきましてもその他の面におきましてもアメリカの規格とか仕様に沿わなければいけない。日本の場合有人飛行というのは初めてでございますので、安全基準といいますか、安全性という面におきましてはいろいろ技術的にも問題だろうと思うわけでございます。
 そこで、このNASAの安全基準というものを絶対守らなきゃいけない、そういうことについていろいろとアメリカがいろんなことを注文をしてくるのじゃなかろうかと思います。そういう面において我が国の自主性というものがどのように発揮されるのか。また、我が国といえども三千億円の巨費を投じているわけでございますが、一方、アメリカにおきましても三兆円に近いお金を負担している。そういうような関係におきまして我が国の自主性をどのようにして確保していくか、承りたいと思います。
#97
○政府委員(吉村晴光君) 宇宙基地の建設は、基本的に各国がつくりましたそれぞれのモジュールを宇宙で組み立てるという形ででき上がっておるわけでございまして、私どもがっくります実験棟につきましては、我が国の技術の粋を集めてつくりたいというふうに考えておるわけでございます。
 先ほど御指摘ございましたような通信とかエレクトロニクスの最先端の技術、非常に日本は技術力があるわけでございますが、そういったものの技術がこの経験を踏まえてなお一層進むような、先ほどの参考人の意見陳述にもございましたように、こういった実験棟の開発の経験を踏むことによって、日本のいろんな産業の分野におきます大きな波及効果が出るような形で開発を進めたいというふうに思っておるわけでございますが、私ども残念なことにまだ有人の経験がないわけでございまして、そういった面から有人の問題、また、それにかかわる安全性の問題につきましては、やはりNASAと十分協力をして、先方の安全性についての確認をしていただくといったようなことも必要になろうかと思いますが、基本的な考え方としては我が国の自主性を確保するという考え方で進めさしていただきたいと考えております。
#98
○久世公堯君 今三千億円というのは我が国の予算規模から見ますと大変大きな額でございますが、たしか今年度の我が国宇宙関係予算は千五百五十億円と承っております。これもアメリカのNASAの予算に比べますと十分の一程度ではなかろうかと思いますし、アメリカの場合におきましては、宇宙開発といいますか、宇宙関係で軍事を入れますればもっとはるかに多額の予算になっているかと思うわけでございます。このような予算額で現在もHUロケットの開発とかあるいは気象衛星や観測衛星などのいろんな開発、重要なプロジェクトというものを実施している状況だと思うわけでございますが、冒頭に申し上げましたように、これからの宇宙開発ないしは宇宙というもの
と国民生活というものが極めて密接であり、国民生活に大きく貢献するのがこれからの宇宙の開発の問題であろうかと思うわけでございます。
 しかも、この宇宙ステーションの問題は、今までに日本が経験したことのない新しい分野に第一歩を踏み出すわけでございますので、この直接のモジュールのための三千億円というのは巨額でございますけれども、やはりこれからはもう少し宇宙開発予算というものを根本的に見直していくべきではなかろうか、こういう気がしてしようがないわけでございます。
 そのあたりのところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#99
○政府委員(吉村晴光君) この宇宙基地計画への参加につきまして、政府部内でもいろいろ議論をしたわけでございますが、やはりそのときの最大のポイントはこれに参加をすることの意義、緊要性、それから後年度負担ということでございまして、今御指摘の三千億円という非常に巨額の金を、現在の宇宙開発予算千五百五十億円の規模ということを考えて、やり切れるのかという点につきましては、私どもも非常に慎重な議論をしたわけでございます。
 ただ、私どもの結論といたしましては、千五百五十億円の規模がございます、三千億円と申しましてもかなり十年近い年月をかけて開発をするものでございますので、今後所要の資金確保に格段の努力を払っていくということによりまして、先ほどいろんな衛星につきましてのお話もございましたが、他の計画とのバランスをとりながら本計画を進めていくことは十分に可能であるというふうに考えて、宇宙基地計画への参加を提案しておるというところでございます。
#100
○久世公堯君 宇宙基地の平和利用につきまして、大臣のお考えを承りたいと思います。
 宇宙分野における技術の進歩というものは日進月歩でございまして、かつてはドリームだとしか思われておりませんでしたのが今や夢物語ではなくて、現実に実現の可能なものとして語られるようになったわけでございます。この宇宙ステーションの問題もまたその一つだと思います。こういうような最先端の分野におきましては、いわゆる民生用の技術と軍用の技術というものの差は非常に縮小いたしまして、なかなか私ども素人にとっては理解しがたいものも少なくないと思うわけでございます。こういうような状況の中で、私どもは二十年前の国会において行われました宇宙の平和利用に関する決議というものを絶えず銘記すべきだと思うわけでございます。我が国における宇宙の開発及び利用は平和の目的に限り、かつ、自主、民主、公開、国際協力の原則のもとにこれを行うべきであるというあの決議というものを銘記すべきだと思うわけでございます。
 そこで、この宇宙ステーション計画に我が国が参加するに当たりまして、宇宙開発事業団が日本のモジュールになる設備を開発、提供するということになるわけでございますが、平和利用が確保されるべきことは、このモジュールが日本の最先端の技術を結集するものであることからいっても極めて重要なことだろうと思うわけでございます。大臣のこの点についての見解をお伺いいたしたいと思います。
#101
○国務大臣(三塚博君) ただいま平和利用という問題につきまして国会決議の御指摘もあり御質疑をいただいたわけでございますが、御指摘のとおり、私どもは遵守していかなければならぬものだと基本的に思っております。まさに、宇宙は全人類の幸せのために利用されるべきものでございまして、宇宙に戦争を持ち込むようなことは、人類の英知を結集して厳に回避しなければならないと考えております。
 我が国の宇宙基地計画への参加に当たりましては、宇宙開発事業団による日本実験棟の開発、利用を予定いたしておるところでございますが、宇宙開発事業団の活動は、宇宙開発事業団法に従ってなされますことは当然でございます。日本実験棟の開発、利用が同法第一条の平和の目的以外の目的で行われることはないということでございます。
 また、我が国における宇宙の開発、利用の基本に関するただいま御指摘の国会決議につきましては、同決議の有権的な解釈はもとより国会においてなされるべきと理解をいたしておるのでありますが、ただいま申し上げました次第から見まして、そもそも同決議との関係で問題となる事態が生ずることはないと考えておるところであります。
#102
○久世公堯君 いろいろと宇宙ステーションの問題についてお話を承ったわけでございますが、最後に大臣に、むしろ国務大臣という立場から、これからの宇宙教育と申しますか、青少年に対して文字どおりのドリームを与えるというような見地から、宇宙教育の重要性についてお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 私はここに角田ロケット開発センターというパンフレットを持っています。これはどうも場所を見ますと宮城県の角田市でございますので大臣の地元ではなかろうかと思うわけでございますが、私も今まで宇宙開発事業団の施設はいろいろ見せていただきましたが、これはまだ見たことがございません。どうしてこの場所が選ばれたのか。あるいは、申しわけないながら多少過疎地であるから選ばれたのではなかろうかという気もしないわけではございません。そして、この空中写真を見ますと、ここに果たしてどういう施設があるんだろうか、本当に素人が見てもわからないような施設だけではなかろうか、こういう気がしてならないわけでございます。
 私は冒頭ワシントンのスミソニアン航空宇宙博物館のことを申し上げたわけでございます。御承知のとおり、あのスミソニアンの航空宇宙博物館はいつ行きましてもたくさんの青少年が見ているわけでございます。入場料ももちろん無料でございます。私は、日本の科学博物館やあるいは科学技術センターというのはまだよく見たことがないんでございますが、恐らく天と地の開きがあるんじゃなかろうかという気がいたす次第でございます。
 私は、昨年でございましたか、ロサンゼルスにございますところのNASAのJPL、ジェット推進研究所と一般には訳されておりますが、カリフォルニア工科大学のそばにございますこの施設を見たことがございます。御承知のごとく、アメリカが既に二十年ぐらい前からボイジャー計画を初めとしてあの惑星探査の計画を進めておりますが、その基地がこのJPLのジェット推進研究所でございます。私はその施設を見まして、宇宙からの映像が手にとるようにテレビの画面を通じて見えるわけでございまして、たしかもう天王星から冥王星まであれが行っているんじゃなかろうかと思います。天王星や冥王星の山がどうなっており、表面がどうなっているかということが目の前で見えるようになっております。しかも、こういうNASAのような公共的な専門的な機関に青少年が来ているわけでございます。私が見ました後にはたくさんの高等学校の生徒がおりまして、その高校生にわかりやすいように宇宙の問題、惑星の問題、それを説明をいたしておりました。しかも、完全な専門機関でございまして、普通じゃちょっとわからないのにそれを親切に説明しているのがその実態でございました。
 私は「ドリームイズアライブ」というあの映画を見まして、青少年に対して宇宙の開発に対して夢を与えるということは、彼らの人格形成に非常に重要な意味を持っているのではなかろうかと日ごろから思っておりました。先ほど園山参考人は、この宇宙ステーションの四つの意義というものを御指摘になったのでございますが、その最後の四番目に、青少年あるいは国民に対して宇宙に対する夢、宇宙というものに対する理解、その意義が非常に大きいということを御指摘になった点にも符合するわけでございます。私は、できればこの角田のロケット開発センターにも青少年に夢を与えるようなものがもしあれば、もっとどしどしこの過疎の都市に訪れるんじゃなかろうか、こういう気もするわけでございますが、ひとつこの
宇宙教育と申しましょうか、青少年に夢を与えるというような意味において、国務大臣としての大臣の御所見を承れればありがたいと思います。
#103
○国務大臣(三塚博君) たまたま私の選挙区に角田市というのがございまして、そこにロケット開発センターが建設をされましたのが昭和五十四年スタート、こういうことになるわけでございまして、県挙げて誘致運動をいたしたわけであります。まさに、科学は人類に大きな幸せをもたらす。ただいま御指摘のように、青少年の夢という、そのことについての御指摘も、御指摘をいただいてみますればなるほどそのとおりであるなと、このように思うわけでございます。
 宇宙は、人類の未来に対しまして無限の可能性を差し伸べておりまして、いわば人類共通の新大陸であるとも言われております。このような未知の世界に対する挑戦は、子供たちにも、自分も科学者として人類のため世界のためにということに教育がリンクしてまいりますならば、すばらしい夢とともに子供たちが成人するにつれて、その分野に貢献をしていく科学者としてあるいは全般の学者として人類にも貢献するであろうという意味でもありましょうし、最先端の科学技術を結集するという意味におきましても大変すばらしいことであり、また子供たちの純粋な好奇心、未知の世界へのあこがれ、そこから扉を開いてみたいというこの好奇心が育てられていきますならば、ノーベル化学賞、ノーベル物理学賞、ノーベル科学ハイテク賞というようなのはないようでありますけれども、そういうものもやがてつくられることを考えてみますれば、まさに基礎研究というのは極めて重要な問題でありまして、損得勘定をいたしておりますと、基礎研究の分野は育たないと私ども考えておりまして、これを超えた姿勢というものが政治、行政に必要でありましょうし、そのことの態勢ができて初めて久世委員御指摘の成果が出てくるであろう。
 すなわち、青少年の宇宙に対する夢を育てますことは、めぐりめぐって我が国の科学技術の未来に対し大いなる夢を与えることでありましょうし、そのことを通じて世界にも貢献をしてまいるすばらしい日本に相なるだろうとも思いますし、我が国の教育界の諸兄各位におかれましてもこの点に留意をいただきながら、ややもいたしますと地域偏重になりがちな昨今の風潮に押し流されることなく、ロマンを抱くことが大切だということで子供たちに伝わるように努力していただければと思います。
 また、御指摘のようになかなか壮大なことではありますが、角田ロケット開発センターという、これは燃焼実験をやっておりまして、非常に成果を上げておると聞いております。HUロケットという分野であるわけでございますが、そういう中で子供たちが見学をし、そこで夢を育てられますような施設ができる、まさにそれは県であり自治体の連合の中で、まずそういうものにスタートを切る、これを政府がサポートしていく。こういうことで、せっかくの御指摘でありますので、早速私からもこの立体的な夢を育てる、活用という意味で県の方にも申し添えながら進めてみたいなと、こんなふうにただいま感じたところでございます。
#104
○久世公堯君 終わります。
#105
○委員長(堀江正夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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