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1988/02/14 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 内閣委員会 第3号
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1988/02/14 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 内閣委員会 第3号

#1
第114回国会 内閣委員会 第3号
平成元年二月十四日(火曜日)
   午後五時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     鳩山威一郎君     村上 正邦君
     亀長 友義君     木宮 和彦君
     峯山 昭範君     中野  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大城 眞順君
    理 事
                板垣  正君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                久保田真苗君
    委 員
                岩上 二郎君
                大島 友治君
                大浜 方栄君
                木宮 和彦君
                古賀雷四郎君
                桧垣徳太郎君
                村上 正邦君
                小川 仁一君
                野田  哲君
                飯田 忠雄君
                中野  明君
                峯山 昭範君
                吉川 春子君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 小渕 恵三君
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        的場 順三君
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣総理大臣官
       房審議官     稲橋 一正君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   井関 英男君
       法務大臣官房審
       議官       東條伸一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
 査並びに国の防衛に関する調査
 (委員派遣の報告)
 (今期国会における本委員会関係の内閣提出予
 定法律案に関する件)
○昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として村上正邦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大城眞順君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。板垣正君。
#4
○板垣正君 大城委員長、古賀委員、野田委員、飯田委員、吉川委員、柳澤委員並びに私の七名は、去る一月二十六日から二十八日までの三日間の日程で沖縄県に赴き、国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度の実情等について調査を行ってまいりました。
 第一日目は、航空自衛隊南西航空混成団、陸上自衛隊第一混成団及び海上自衛隊第五航空群を訪れ、それぞれ業務概況の説明を聴取するとともに、主要施設を視察いたしました。
 次いで、南部戦跡を訪れ、国立沖縄戦没者墓苑において献花・慰霊を行いました。
 第二日目は、沖縄開発庁沖縄総合事務局、総務庁沖縄行政監察事務所、防衛施設庁那覇防衛施設局及び人事院沖縄事務所からそれぞれ業務概況の説明を聴取いたしました。
 次いで、米軍キャンプ・コートニー、キャンプ・ハンセン及び嘉手納基地を訪れ、諸施設、航空機等を視察するほか、スミス在日米軍沖縄地域四軍調整官等と会見いたしました。
 以下、視察順に御報告申し上げます。
 最初に、航空自衛隊南西航空混成団でありますが、同混成団は、南西防衛区域における防空行動及び領空侵犯に対する措置を主な任務としており、南西航空混成団司令部、第八三航空隊、南西航空警戒管制隊、第五高射群、南西航空施設隊及び南西航空音楽隊で編成され、人員は約三千二百名であります。主力となる第八三航空隊は、F4EJ戦闘機を約二十機装備し、領空侵犯に対する措置等の任務を遂行しており、南西航空警戒管制隊は、沖縄本島及び周辺離島の四カ所にレーダーを配置し、二十四時間警戒監視を行っております。なお、同混成団は、昭和四十八年一月一日の対領空侵犯措置の開始以来、約千二百回のスクランブルを実施しているとのことであります。
 次に、陸上自衛隊第一混成団でありますが、同混成団は、沖縄県の防衛・警備及び災害派遣を主な任務としており、第一混成群、第六高射特科群、第一〇一飛行隊、第一〇一後方支援隊等で編成され、定員は約千八百名であります。特に、同混成団は、沖縄県の特性上、不発弾処理について特別の部隊を編成して実施しております。
 次に、海上自衛隊第五航空群でありますが、同航空群は、P2J対潜哨戒機等による周辺海域の防衛・警備並びに災害派遣、航空救難等を主な任務としており、第五航空群司令部、第五航空隊、第五支援整備隊及び那覇航空基地隊で編成され、人員は約五百五十名であります。なお、同航空群は、昭和四十七年の開隊以来、無事故飛行を継続しているとのことであります。
 以上の三部隊におきまして、P3C対潜哨戒機配備に伴う対潜作戦センターの関連施設に関する問題、弾薬庫にある弾薬の種類とその管理運用、最近におけるスクランブルの回数、単身赴任の隊員に対する生活上の配慮等について質疑を行いました。
 次に、沖縄開発庁沖縄総合事務局でありますが、同事務局は、沖縄開発庁の地方支分部局として那覇市に置かれ、沖縄の振興開発計画の作成のための調査や計画の実施に当たっているほか、公正取引委員会事務局の地方事務所、財務局、地方農政局等が行う事務を分掌しており、その定員は千五十七名であります。同事務局として、亜熱帯の自然環境を生かした沖縄開発に努力したいとのことでありました。
 同事務局におきましては、沖縄振興のあり方、高い失業率への対処方策、下水道整備の内容、ダム建設計画の現状、ウリミバエ等の絶滅計画等について質疑を行いました。
 次に、総務庁沖縄行政監察事務所でありますが、同事務所は、沖縄県における行政監察、行政相談、地方環境行政事務を所掌し、その定員は二十四名であります。管内の主な監察対象機関数は、国の機関、特殊法人、地方公共団体を合わせ百三十七機関に上っております。昭和六十二年四月以来実施している中央計画監察、地方監察は、合計十五件となっております。また、行政相談の処理実績は、昭和六十二年度において三千九百九十二件であり、その処理数は年々伸びてきているとのことでありました。
 同事務所におきましては、国と地方の権限移譲問題、行政相談の処理実績の内容等について質疑を行いました。
 次に、防衛施設庁那覇防衛施設局でありますが、同施設局は、沖縄県における自衛隊施設の取得・管理、駐留軍の使用に供する施設・区域の取得・提供・返還に関する事務、駐留軍事故の損害賠償請求の処理、防衛施設周辺の生活環境の整備、自衛隊及び駐留軍施設の建設工事等の業務を所掌しており、その定員は四百八十七名であります。同施設局としては、駐留軍施設・区域が沖縄に集中していることから多発する事件・事故の防止対策に一層努力したいとの発言がありました。
 同施設局におきましては、自衛隊員の宿舎建設の状況、米軍戦闘機ハリアーの離着陸場の建設問題、キャンプ・ハンセン周辺民間地域への流弾事件及びグリーンベレー用施設の建設状況、米軍基地の整理縮小、駐留軍従業員の労務問題等について質疑を行いました。
 次に、人事院沖縄事務所でありますが、同事務所は、沖縄県を管轄区域として、各種国家公務員の採用試験の実施、任用状況調査、民間給与実態調査、研修計画の策定・実施、給与簿監査、公平審査等の業務を所掌し、その職員数は十名であります。同事務所としては、離島等を含む広い沖縄県をカバーするため、職員が担当を超えて協力し合うなど努力しているとのことでありました。
 同事務所におきましては、不利益処分に対する不服申し立て係属事案の内容、国家公務員給与と沖縄の地方公務員給与との比較、調整手当見直しと那覇市の位置づけ等について質疑を行いました。
 次に、米軍関係でありますが、まず、第三海兵師団司令部のあるキャンプ・コートニーを訪れ、スミス在日米軍沖縄地域四軍調整官と会見し、在沖米軍に係る一連の事件・事故に対し遺憾の意を表し、善処方を要望いたしました。これに対し、四軍調整官から事件・事故については詳細に調査し、同様の事件・事故を起こさないよう努力したい旨の発言がありました。引き続き、米軍戦闘機ハリアーの離着陸場建設についての見解、キャンプ・ハンセン周辺民間地域への流弾事件、核及び生物・化学兵器訓練の有無等についてただしました。
 次に、演習場施設であるキャンプ・ハンセンを訪れ、演習場及び射撃訓練の概要説明を受けた後、民間地域への流弾事件の原因等をただしました。
 最後に、第三二二航空師団、第一八戦術戦闘航空団等が置かれている米空軍嘉手納基地を訪れ、第三二二航空師団副司令官及び嘉手納基地司令と会談し、核及び生物・化学兵器訓練の目的、FA18戦闘攻撃機等の訓練・移駐に関する問題、アジア・太平洋地域における米空軍基地の実態等についての質疑を行った後、同基地の主要施設、航空機等を視察いたしました。
 以上、今回の調査の概要について御報告申し上げます。
#5
○委員長(大城眞順君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(大城眞順君) 次に、内閣官房長官から今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案についての説明を聴取いたします。小渕内閣官房長官。
#7
○国務大臣(小渕恵三君) 今期国会の内閣提出予定法律案は、二月十四日現在、総件数七十七件であり、うち予算関係法律案は三十八件であります。
 これら内閣提出法律案のうち、昨日参議院内閣委員会に付託されたものが二件、今後付託が予想されます法律案は三件であります。なお、この三件はすべて予算関係法律案でございます。
 これらの法律案の件名及び要旨はお手元の資料のとおりであります。
 なお、委員会の付託は議院において決定される問題でありますので、若干の変更もあろうかと存じます。
#8
○委員長(大城眞順君) 以上で本委員会関係の内閣提出予定法律案の説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(大城眞順君) 昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案及び国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小渕内閣官房長官。
#10
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま議題となりました昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案及び国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案でございますが、昭和天皇の大喪の礼は、国事行為として、平成元年二月二十四日に行われますが、この大喪の礼に際しましては、六十有余年に及ぶ昭和天皇の御在位における御遺徳をしのび、国民こぞって弔意を表するため、この日を休日とするものであります。
 なお、附則において、この法律に規定する日は、休日を定める他の法令の規定の適用については、当該法令に定める休日とみなす旨を規定しております。
 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案についてでございます。
 第一に、国民の祝日に関する法律は、国民の祝日である天皇誕生日を昭和天皇の誕生日である四月二十九日と定めておりますので、このたびの皇位の継承に伴い、これを、今上天皇の誕生日である十二月二十三日に改めることとしております。
 第二に、現行の国民の祝日に、四月二十九日を新たに「みどりの日」として加えることとしております。
 飛躍的な経済成長の結果、我が国の国民生活は、物質的にはほぼ満足し得る水準に達したものと考えられますが、これからは、これまでにも増して、心の潤いやゆとりといった心の豊かさを涵養することが求められております。我が国は緑豊かな自然を持った国であることにかんがみ、この自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむことを願い、「みどりの日」として国民の祝日とするものであります。
 また、この日を四月二十九日にするのは、この時期が新緑の季節として緑豊かな自然に親しむ上で最もふさわしい時期であり、同日が六十有余年にわたり天皇誕生日であり、ゴールデンウィークのいわば始まりの休日として国民の間に定着しているからであります。
 以上が両法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
#11
○委員長(大城眞順君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○久保田真苗君 大喪の礼の行われる日を休日とする法律案に関連しまして伺いたいと思います。
 政府は、この日の葬場殿の儀というのと大喪の礼を一連のものと言っておいでになったんですけれども、当初から比べますと、次第にそれを一体化するということを印象づけようとしておられるのではないかという経過がございます。
 私どもは大喪の礼には出席を原則としておるわけでございますけれども、やはり、この葬場殿の儀というのは宗教的な色彩の強いものでもございますし、政教分離という立場からしっかりとそこのところを分けていただきたいということを主張してまいったわけです。
 また、外国の使節の中にも、かつて日本が占領した地域で、神社を建て、鳥居をつくり、礼拝を強制するというようなことから、やはり、この葬場殿の儀というものには参加しにくいという人もあるのではないかということも考えられるわけでございます。
 それで、このお話し合いは次第に進んでいるのではございますけれども、私は、この際、誠意をもって政府が葬場殿の儀と大喪の礼とを分けて考え、大喪の礼のみに参加することを可能にするような便宜を、はっきりとした意思表明をしていただきたい、こう思っておるわけでございます。
 官房長官、この辺はどういうふうにお答えになりますでしょうか。
#13
○国務大臣(小渕恵三君) 大喪の礼は、国の儀式として憲法の趣旨に沿い皇室の伝統等を尊重して行われ、葬場殿の儀は、皇室の行事として原則として皇室の伝統的方式に従い旧制を参酌して行われるので、両儀は法的に明確に区分されるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、両儀が一連の流れの中で厳粛のうちにスムーズに執行されることが望ましいと考えておりますので、政府といたしましては、この両儀が一連のものとして流れる姿の中で行いたい、このように考えておるところでございます。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(大城眞順君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として中野明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#15
○久保田真苗君 一連の流れということですけれども、出席者の側からしますと、そこをはっきり分けて、片方に出るためには片方にもいなければならないというようなそういう混乱の起こらないようにお願いしたいと思いますし、また、政教分離の憲法の趣旨にはっきりと沿った運営をぜひお願いしておきたいと思います。
 次に、今回、この大喪の礼及び陵の営建のために必要な費用は国費で支弁するということを内閣で閣議決定されたわけでございます。そして百億円に近いお金が支出されるのでございますけれども、国会でその当否を含めての審議を経るというような手続がなかったわけでございます。私どもの立場からしますと、憲法の趣旨に沿った運営が行われる、したがって、予算につきましてもそれがどのような項目の中でどのように計上されあるいは支出されるのか、こういうことをしっかり見守る必要があるわけでございます。
 それで、今後、当分の間このような行事が続くと思われるわけで、今後、特に即位の礼に備えまして、内閣としても委員会を設置していろいろ必要な国費を決定なさるのでございましょうけれども、大喪の礼についてもまた今後の即位の礼等のそのような行事につきましても、これは国会の審議を経るということをぜひとも明らかにしていただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。
#16
○国務大臣(小渕恵三君) 大喪の礼に必要な経費につきましては、一月十日の閣議をもって予備費の使用につきましてこれを決定し、法的な措置を講じておるわけでございます。
 今、先生お尋ねの即位の礼につきましては、現在まだ全く白紙の状態でございますが、いずれにいたしましても、法的なしかるべき措置をもって対処するということは言うまでもないことだろうと存じております。
#17
○久保田真苗君 これは社会党の立場からしますと大変大事なことなんです。
 やっぱり、憲法の原則にきちんとのっとったそういうやり方をしていただきたいと思いますから、どういうやり方をするかということの当否、それからどういう項目から出すかというようなことも含めまして、できるだけ国会の審議にかけるように運営していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
#18
○国務大臣(小渕恵三君) 即位の礼は大喪の礼からほぼ一年後の時期に従前行われたように、私、承知をいたしておるところでございます。
 その即位の礼の方法等につきましては現在まだ白紙の状態でございますし、また必要とする経費につきましても、今般の大喪の礼で申し上げれば、内閣総理大臣を委員長とした大喪の礼委員会が設置されてその委員会において決定して費用その他につきましても支出することにいたしておるわけでございますので、恐らく即位の礼におきましても同様の手続を経るのではないかというふうに想定をいたしております。
#19
○久保田真苗君 同様の取り扱いというのはいささか困るんです。
 今回のことにつきましては時間的な問題というものもあるかと思うんですけれども、しかし、事柄の内容からしまして内閣でもって専権的にお決めになる事柄じゃないと思うんですよ。
 私が申し上げたいのは、国会での審議が行われるように。ですから、内容がどうか伺っているんじゃなくて、国会で審議ができるような状態に持っていっていただきたいということをお願いしたいわけです。
#20
○国務大臣(小渕恵三君) 即位の礼につきましては、ただいま申し上げましたようにまだ全く白紙の状態でございまして、皇室におかれましても恐らく服喪の期間が終了いたしませんとそのような礼を行うということにならないかと思います。
 いずれにいたしましても、どのような形で行うかまたその費用をどうするかということは現時点では白紙でございますけれども、せっかくの先生の御意見でございますので十分承っておかせていただきたいと存じます。
#21
○久保田真苗君 国会で審議できるようにお願いいたします。
 それから、宮内庁、おいでになりますよね。
 天皇陵の問題なのですけれども、今回、閣議決定で天皇陵の営建に必要な費用を国費で支弁するということなんですけれども、この際ちょっと伺っておきたいのは、天皇の御陵は天皇家のものなのか国のものなのか、そのことを伺っておきたいのです。
#22
○政府委員(宮尾盤君) 御陵につきましては、これは、国が営建をし国が管理をするというものでございます。
#23
○久保田真苗君 現在のものはそうなんですが、歴史をさかのぼりまして、いわゆる天皇陵というものについて、宮内庁は、それは天皇家の私的なものだという御発言をしばしばなさることがあるのですが、これは違いますよね。
 国のものだというふうに見てよろしいわけでしょう。
#24
○政府委員(宮尾盤君) 御陵の中に埋葬されております副葬品等を含めまして、埋葬されておりますものについては、これは皇室のものである、ただ、営建をいたしてあります御陵そのものあるいはそれを含む周辺の地域はあくまでも国の財産であり国が管理すべきものであるというふうに考えております。
#25
○久保田真苗君 埋葬されてあるということなんですが、例えば御遺体ですね。こういうものは、憲法上の地位から見て当然みんなに所属するというふうに考えてよろしいのじゃないでしょうか。
#26
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど申し上げましたように、陵墓の土地とかあるいは建物、工作物、こういったものは皇室の用に供する国有財産であるわけでございますが、そこに埋葬されております御遺骸とかあるいは副葬品などにつきましては、これは当然皇室のものであると、こういうふうに考えております。
#27
○久保田真苗君 それについてはもう一度やりたいと思います。
 恩赦に移ります。
 政府は、今回、大喪の礼にあわせて大赦、復権、特別恩赦を行うことを決定されたわけです。今回の恩赦で一つ注目されるのが公職選挙法違反者に対する復権です。これによって約一万五千人が対象になるわけですし、また特別恩赦によりまして、中央更生保護審査会が個々の審査をするということですけれども相当数の方が対象となると言われております。
 この事実についてお伺いいたします。
#28
○政府委員(東條伸一郎君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、今回、大喪の礼に際しまして復権令を政令で定めたわけでございまして、その中で、公職選挙法違反の罪を犯した者も他の犯罪を犯した者と同様、復権令の対象とすることといたしております。
 その人数につきましては、ただいま先生から一万五千人という数字を御指摘になりましたが、実は、これは基準日が五月の二十三日まで延長されるということもございますので必ずしも絶対的に確実な数字を私どもで現在把握しているわけではございませんが、復権令による対象人員中、公職選挙法違反の罪を犯した者の数は、現在、今御指摘の大体一万四千名ないし一万五千名ぐらいであろう、このように見込んでおります。
#29
○久保田真苗君 なぜ私がこのことを申し上げるかといいますと、これから先、選挙の季節になります。都議選もございます。そして参議院選挙がございます。それから、来年七月までの任期である衆議院につきましても、来年七月までの間に総選挙がございます。
 そういたしますと、来年の秋に即位の礼が予想されていて、そのときに恩赦が行われるということがもううわさに立っているわけなんです。私は、こういうことが前に予測されているような状態で選挙戦というものが行われますと、非常に厳しい荒い選挙運動の中でこれにかかわる方たちが、どうせそういうふうになるんだからという、何といいますか、一つのやむにやまれぬものに押される、そういう呼び水になりはしないか。今回の状況を見ておりまして、また次にそういう機会があるんだ、すぐにそれは消えてしまうのだというようなことでは選挙関連者のためにならないだろうと思うんです。
 私、この際、即位の礼では恩赦は行わないとかあるいは少なくとも公選法の違反は対象にしないといったようなことを今から明らかにしておいていただいた方がお互いのためじゃないかと思うんですが、官房長官、どうお考えになりますでしょうか。
#30
○国務大臣(小渕恵三君) 即位の礼に際して政令恩赦を行うかどうかにつきましては全く白紙の状態でございまして、このたびの昭和天皇の崩御に際しての恩赦につきましては既に閣議決定をさせていただいておりますけれども、即位の礼につきましてはその時点における内閣の考え方によることでございまして、現時点では全く白紙の状態でございます。
 なお、大変恐縮でございますが、先ほど委員から即位の礼につきましての国会での御議論のお話がございました。誤解があってはいけないかと思いますが、即位の礼そのものは国事行為でございますのでこれは内閣の責任で決定させていただきますが、仮に行うときのその費用につきましては、今般のように予測せざる崩御というような状態の中での大喪の礼の場合には予備費をもってその経費に充てさせていただきましたが、予測される事態の中で即位の礼が行われるということでありますればこれはあらかじめ予算に計上するというようなことは当然のことだろうと思います。そういった意味で国会での御審議をいろいろ仰ぐということはこれまた当然のことではなかろうかというふうに考えておりますので、念のため追加させていただきました。
#31
○久保田真苗君 先のことはまだ決まっていないんですけれども、私は、これは特に政令恩赦というようなことで、三権分立という見地から見ましても、内閣がこういうものを専権として非常に強く打ち出していくというようなことでは国民感情が納得できないと思うんです。特に、今非常に厳しい政治状況の中で十分慎重に、そしてそういう期待から罪にならないでいい人がなるというようなそういうことは厳に慎んでいただきたい、こう思いますのでよろしくお願いいたします。
 次に、皇室典範の問題なんです。
 先ごろ剣璽等承継の儀というのを私もテレビで拝見しました。大変短い時間だったのですけれども非常に異様な感じを受けたのですね。例えば、細長い箱を額のところに押しいただいてそして男性ばっかりが黙々として流れていくという、女性を徹底的に排除したあの儀式のあり方というものは、やはり、今の天皇の地位というもの、あるいは国の象徴としてのあるいは国民統合の象徴としての天皇のあり方についての大きな欠陥を物語っていると思うのです。
 それは、これまでも国会でたびたび論議になったことなのですけれども、憲法の中で象徴の地位というものは明記されております。しかし、その象徴が女性を排除した姿であるということに私は非常に疑問を持つわけです。八五年の予算委員会で私はこれを取り上げたのですが、それは女性差別撤廃条約との関連で取り上げました。しかし、今こうして目の前にいろいろな儀式というものが目に映ってまいりますと、やはり、これは考え直すべきなんじゃないかということを私は強く思うのです。折しも折、その儀式の前に首相の謹話というのがありまして、そこで日本国民統合の象徴である天皇陛下というようなお言葉があったわけですね。それとその儀式の姿とダブって映りまして、これは日本国民の半分の象徴であるというふうに私には思えたわけです。
 昭和生まれの官房長官はどういう感想をお持ちでしょうか。
#32
○政府委員(宮尾盤君) 剣璽等承継の儀は、御承知のように、先帝崩御後早々の間に行われた儀式でございまして、これは皇室の伝統的なやり方にのっとりまして儀式が行われたわけでございます。
 そういう意味におきましてこの儀式には、ただいまお話がございましたように、女性の方の御出席はそういう早々の間でございますからお願いをしなかったわけでございますが、崩御後三日目に行われました朝見の儀におきましては、これは時間的なゆとりもあり、女性の方々にも御出席を願って朝見の儀が行われたわけでございます。
 いずれにいたしましても、ただいま御説明いたしましたように、剣璽等承継の儀に女性の御出席がなかったということは、非常に早々の間の伝統的な儀式である、こういうことで御出席をいただかなかったわけでございます。
#33
○久保田真苗君 これは時間がなかった問題じゃないんですね。        
 そもそも皇室典範の中に、皇位の継承権を男系男子に限るとしていることから起こっていることなんです。日本国憲法の中では天皇の世襲を認めておりますけれども、しかし、その内容は皇室典範に譲られ、そして国民の総意に基づいてその地位があるわけでございますね。ところが、憲法自体は男女の別というようなことは一切言っていないわけです。これを、男系男子に限ると明治憲法と実質的に全く変わらないものにして、憲法十四条の法のもとでの平等という新しい憲法の趣旨に全く沿わないような皇室典範の規定が当時もそのまま残されそして四十年以上も全く顧みられることがなかったということが、今日この儀式を見ておりますと、新天皇のお言葉にあった「皆さんとともに日本国憲法を守り、」というお言葉と全く乖離した姿になっているんだろうと思うんです。
 私が問題にしているのは、たまたまそこに出席者がいたかいなかったかではなくて、こういう象徴のあり方について官房長官はどういうふうにお考えになりますか。
#34
○国務大臣(小渕恵三君) 委員の御指摘の点につきましては、一つのお考え方として当然存在すると私も承知をいたしておりますが、この皇位の継承に当たりましては、現在現実に男系の男子であります皇太子がおられたわけでございますので、当然のことながら皇位を継承されるものだというふうに受けとめまして、私自身といたしましては、あえて女帝も考えなければならないという時点ではないと考えまして、ごく自然に受けとめさせていただいたわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、従来からそういった議論の存しましたことは承知をいたしておりますので、さらに勉強もさせていただきたいと存じます。
#35
○久保田真苗君 今や昭和も古くなりにけりなんですね。
 私も、この際少し過去のいきさつをいろいろと勉強いたしました。結局、問題は、単に女帝を認めないというだけではなくて、さらに男系だということにおいてその中間に女帝があってもその先はだめだという徹底的に女性を排除した姿なんですね。これは昔よりも悪いんです。これは明治憲法のなせるわざなんですね。
 官房長官に勉強していただくのはありがたいんですけれども、今までの審議に当たっての状況をちょっと御説明して、何か個人で勉強なさるという枠からもう一歩踏み出していただきたいと思うんです。
 それは、今までもこの女帝論というのが相当有力で、今の皇室典範が昭和二十一年に国会で審議されましたときに、衆議院におきましても、当時の貴族院におきましても、女帝を認めるという論が相当有力、むしろかなり支配的であったと私は聞いているわけです。どうも当時の政府は、女帝を認めるということの利害長短を考慮して女帝を認めなかったわけではないんですね。女帝を認めるべきかどうかについて、現在なお慎重に研究すべき事項が多くて今直ちに従来の原則を変更するのは早過ぎるという理由で、これを将来に留保するという態度をとったわけだということでございます。
 当時の状況を振り返ってみますと、昭和二十一年十一月三日に新しい憲法が公布され、そして二十二年の五月三日から施行されることが決まっていたわけです。それに合わせて諸法令の改正が非常に急がれた時期なんですね。
 この皇室典範もその一つでして、大変なスピード審議ぶりなんですね。昭和二十一年十二月五日、本会議提案理由説明、同じく十二月七日、委員会で提案理由説明、そして一週間後の十二月十四日にはもう本会議で委員長報告、可決という猛スピードぶりだったわけです。
 それで、当時の金森国務大臣の答弁がございます。これは松本七郎議員に対して答えておられるわけですけれども、こんなふうに言っていらっしゃる。
 女帝を認めるか否かについては種々研究しなければならない点を挙げた上で「よほど根本的なる研究をしなければなりません、今日五月三日までにぜひとも」法令をという意味でしょう。「完備いたしまする立場から言うと、これは将来の問題に残して、万遺漏なき制度を立てることが、われわれの行くべき道」である。
 そしてまた、松本議員が、検討の結果、男系に限る必要がないとなれば改正してもよいと考えるかという問いに対しては「もとより十分なる研究をいたしまして、正しい結論が出ますれば、それに従うべきことは言うまでも」ありませんとこう答えているわけですね。
 それで、その後、政府の立場でこの研究をなすったことがあるのかどうか、それを伺いたいと思うんです。
#36
○政府委員(宮尾盤君) ただいま先生が御指摘になりました昭和二十一年十二月ころの皇室典範の御審議を願った当時の議事録につきましては、私も拝見をいたしております。今お話のありましたようないろいろな議論がその際なされておるということも承知をいたしております。
 ただ、そのときにさらにもう少し研究をしたいというようなことについて研究をしたか、こういうことでございますけれども、私どもそういう当時の議論等も振り返りながら研究はいろいろいたしてはおりますが、現在の状況といいますか状態を考えた場合に、女帝というものについて直ちに何らかの考え方というものをしなければならないという事情はないというふうに考えておりまして、そういう意味では、研究はいたしますけれどもまだ具体的な検討を詰めていくという段階ではないというふうに考えておるわけでございます。
#37
○久保田真苗君 官房長官も宮内庁も、今、そういう差し迫った状況じゃないからということをおっしゃるんですね。もしそういう該当の方があらわれてそしてそれをどっちかにしなきゃならないというような状態になったときはこういう制度の研究というのはむしろできませんですよね。そういう状態にないときにやるべきだろうと思うんです。
 私が問題にしたいのは、どなたが皇位を継承するかということじゃなくて、この制度そのもののあり方が象徴としての天皇にまことにふさわしくないということを言っているんです。このような男女差別のシンボルであるような象徴があるということは、女性の立場からしましたら、これが与える大きい影響というものは到底無視できないんです。私は、こういうことは国として研究すべきことだからということで少なくとも研究会なり審議会なりそういったものを本格的に発足させておいていただきたいんです。検討しているという姿勢を示さないで、これでいいのだというような姿勢では、これはちょっと私には受け入れがたいんです。
 官房長官、いかがでしょうか。
#38
○政府委員(宮尾盤君) この問題につきましてはたびたび御議論をいただいておることは十分私ども承知をいたしておるわけでございますが、現在の皇室典範で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」こういうふうに定めておることにつきましては、当時の皇室典範を制定する際の御議論等を伺いましても、いろいろな御議論はもちろんありましたけれども、日本の皇室制度におきましては男系の男子が皇位を継がれるのが我が国の古来の伝統でありまして、もちろん若干の例外はございました。それも十代八方の女帝という例外はございましたけれども、いずれもこれは当時の皇子の方が御幼少であるとかあるいはその他特別な事情があった場合に、いわば俗な言葉で申し上げますと中継ぎ的な意味で皇位におつきになったわけでございまして、その場合におきましても全体としましては男系ということを外れたことは一つもないわけでございます。
 憲法におきまして皇位は世襲ということが定められておりますけれども、そういう伝統的、歴史的なものに基づく制度をとっております以上、我が国の古来の伝統というものに基づいてこのような皇室典範の規定が定められているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 そういう意味で、いろいろ御議論は承っておりますけれども、現在直ちに憲法あるいは皇室典範が定めておるところにつきまして何らかの早急な検討をしなければならないという事情にはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#39
○久保田真苗君 それはあなたのお考えなんですよね。
 私は、あなたのお考えを聞く必要はないんです。これは宮内庁の問題じゃないんです。これは憲法上の問題なんです。憲法の趣旨からしてどうかということを申し上げているし、世界的な潮流の男女平等という立場からしてこういう象徴のあり方が適当かどうかということを伺っているわけなんです。
 官房長官、今、官房長官がどう考えるかということはいいとしましても、ともかく問題があることは事実なんですよね、半分の象徴でしかないんですから。そうなりますと、確かにそれは憲法の趣旨からしたら、二条は十四条に対する特別規定だというような解釈を前に宮内庁がしておいでになるんですけれども、これは特別規定というふうな強い内容じゃないんです。ただ皇室典範に譲っているだけの話ですから、だからそういう象徴のあり方が本当に私ども女性の立場からしてもふさわしいものかどうか、そういうことを一遍考えていただく。そこには半分女性を入れてそういう審議会を設けるなりして。
 ともかく、これは、金森国務大臣が、研究の結果そういうふうになればというふうに言っておられてからもう四十年たっていますので、そういう場を内閣につくって研究なすったらどうかと思うんですけれども、これはどうですか。
#40
○国務大臣(小渕恵三君) つまるところは、典範も法律として定められておることにかんがみますれば国民の考え方で決することでありますし、また、国民を代表する議員としてのただいまの久保田委員の御意見もその意見の一つとしてお聞きをさせていただいておるわけでございます。
 そこで、金森国務大臣のこの答弁も、先ほど御紹介がありました。私も読ませていただきましたが、大体それに基づきまして三十九年のときに憲法調査会で女帝の制度の問題につきまして御審議されたようでございますが、そのときには比較すれば極めて少数意見としてこの制度の創設といいますか、そういうことがなされておったように資料として残されておりますので、金森大臣の今後にゆだねるということにつきましては、その後憲法調査会におきましてもお勉強された結果でありまして、その以降の資料がございませんので、現在、私、承知いたしておりませんけれども、そのような経過の中でこの問題は一応の結論がそれなりに出ておるものではないかというふうに考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、結論は国民の判断することでございますが、現時点で直ちに審議会を設けてこの問題についての結論を得るかどうかについての差し迫った状況とは率直に申し上げて今考えておらないことでございます。
 しかし、いずれにしても重要な問題であることは承知をいたしております。
#41
○久保田真苗君 三十九年の段階で国会で論戦がありまして、稻村隆一委員、茜ケ久保委員、こういう方が非常に懸命にやっていらっしゃるわけですね。
 この先達の言葉からして、今私どもが全く黙っているということは、やはり、象徴であるからには国民全般の人間関係、男女の関係あるいは平等の関係、こういうものに影響するところが大きいんですね。何と申しましても、やはり、古い意味で家の制度とかそれから女性の地位の低さ、女性が排除されているということ、皇族費の面でも半分でしかないという差別を受けているということ、こういったことが一つ一つ全部ここから発生しているわけでございますから、研究、検討する事項がたくさんあるんですね。
 ぜひ官房長官のお立場で一遍御研究いただいた上で、広く国民の意見を聞き、特に女性の意見も聞くというそういう立場で事をお進めいただくことをお願いして、きょうはこれで質問を終わります。
    ―――――――――――――
#42
○委員長(大城眞順君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、亀長友義君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#43
○委員長(大城眞順君) 質疑を続けます。
#44
○飯田忠雄君 まず、本日の法令の名前につきましてお教えを願いたいと思います。
 といいますのは、「昭和天皇の大喪の礼の行われる日」とこうありますが、これはタイソウと呼ぶのが正しいのかあるいはタイモと呼ぶのが正しいのかという疑問が生ずるのであります。
 といいますのは、字引を引いてみますと、大喪という言葉にタイソウと仮名がつけてありまして、それは天皇、皇后、皇太后の崩御を言うと書いてあります。お亡くなりになることを大喪と言うとこう書いてあるんですね。そうして、これはどういうところから出たかわかりませんが、喪服という言葉の場合はモと読みますし、喪主という言葉の場合はモと読むんですが、この場合の喪というのは葬式のことを意味しておりますね。
 そこで、疑問が生じてまいりますのは、今、昭和天皇の大喪の礼とこういうふうに普通呼ばれておりますが、こういう呼び方について確信を持ってこれでいいと御判断になったそのいわれを拝承いたしたいのです。
 お願いいたします。
#45
○政府委員(宮尾盤君) 私もそういう意味では専門家でございませんので的確なお答えになるかどうかはわかりませんが、喪という字は、それだけで読めば音読みがソウであり、訓読みをすればモということであります。喪服とか喪主とかという場合にはそういう訓読みのモという言葉を使っておりますが、一般的に我々は通常タイソウというふうに申し上げております。
 天皇の御喪儀に関係をいたしましたこの法令につきましては、どちらが正しいかと言われますとちょっと確たる自信はありませんけれども、タイソウというふうに私ども一般的に呼んでおりまして、それで間違いであるというふうには考えておらない次第でございます。
#46
○飯田忠雄君 わかりました。
 それでは次に参りますが、本日私が御質問を申し上げたいと思うことは四点でございます。
 第一は、この法律は昭和天皇がどういうお方であるかということを根拠に置いてのものでありますので、現在、天皇は戦犯であるとかないとかということがよく言われております。そこで、天皇は、法律上、戦犯であり得るかという問題についてお尋ねをいたします。
 それから、第二は、葬式は宗教かという問題をお尋ねいたしたいんです。葬式は、一体、宗教なのかということ。これは、宗教学、憲法学両方の面から、私は自分ながらの研究もしておりますのでお尋ねをいたします。
 それから、その次が宗教の法律上の意味と憲法二十条との関係、つまり憲法二十条が政教分離の規定を設けた本来の憲法上の趣旨はどこにあるのかという問題ですね。つまり、法律というものは、元来、あることを禁止したりする場合には必ずその事態に危険性が存在するからでありまして、危険性が存在しない場合に法律でこれを禁止したりするということはあり得ないはずであります。そこで、憲法二十条に言う政教分離はどういう危険性に備えての問題かという点をお尋ねをするわけであります。これは憲法上の問題です。
 それから、第四番目の点は、国民の祝日を一年を通じてバランスをとる必要はないか、こういう問題であります。
 この四点についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 そこで、まず第一点の、天皇は法律上戦犯かという問題につきまして私の意見をこれから憲法学の立場から述べますので、間違っておればおまえの言うことは間違っておると御指摘を願いたいのであります。
 時間の関係でこうするのですからよろしくお願いいたします。
 もし天皇が戦犯であれば、昭和天皇の大喪の礼の行われる法律をつくること自体がおかしいわけです。で、私は憲法を調べてみました。大日本帝国憲法を見ますと、第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」こういう規定がございます。「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」という規定は、憲法学者のほとんど一致した見解では無答責の規定であると言われております。つまり、責任を一切免除した規定である。言いかえれば、天皇には政治上道義上あらゆる意味における責任を問うような行為を行わせてはいけないのだというのが、これが憲法第三条の意味であったはずであります。
 そこで、それならば責任はだれがとるかという問題におきまして、憲法は五十五条をもうけまして、国務大臣の輔弼責任の規定をもうけました。つまり、言いかえれば、政治上の問題は国務大臣が計画を立てこれを実行するのであって、この場合、天皇はそれに対して法律上責任を負うような口を挟むことは許さない、これが前の憲法の趣旨であったはずであります。したがいまして、天皇は統治権を総攬する。これは第四条に書いてありますが、「統治権ヲ総攬シ」ということは、統治権を実行するということではない。ただ上からつかんで見ておるというだけの問題でありまして、統治権の実行は国務大臣にあったのであります。これは五十五条に明確に決めてあるわけであります。
 したがいまして、戦争を引き起こした責任は、憲法上は、これは輔弼の責任を持っておった国務大臣にあるわけでありまして天皇にはないはずであります。
 そう言うけれども天皇は終戦のときに、戦争をやめるときに口を出されたではないか、よくこういうことをおっしゃる人がおります。
 これは、憲法上からいいますと、当時の総理大臣である鈴木総理大臣が自分の意見を、内閣の意見を述べないで天皇にどうお考えになるかを確かめまして、その上で内閣の決意をするために行った行為であります。輔弼責任を負う大臣が天皇の言葉だけで国政をとるということはありません。それは終戦がよろしいという外務大臣の意見がよろしいという御意見、これを鈴木総理が採用をいたしまして鈴木総理の責任において終戦事務をとつたはずであります。そうでなければ憲法違反です。憲法違反を行うはずはないのですから、あの場合でもその責任は当時の内閣にあるわけでありまして、そういう点からいきまして大日本帝国憲法上は天皇は犯罪行為能力がない、犯罪行為を行う能力がない、そういう地位におられたと言わざるを得ないわけです。
 そうしますと、やはり、国内法上責任はないということになります。
 しからば、国際法上はどうかという問題が起こります。
 国際法上の問題は詳しく述べればたくさん時間を要しますが、簡単に申しますと、その結論を出したのは東京裁判であります。東京裁判が戦犯というものの範囲を決めまして、昭和天皇に対して戦犯として起訴をしなかった。これは、国内法上、犯罪能力のない者を起訴すること自体が法律上おかしい。ですから、そういう観点から起訴はしなかったのであります。そして、その結果、あの極東国際軍事裁判所におきまして、天皇については一切戦犯としての審理を行わなかったのであります。これは国際法上の問題です。
 この場合、当時の天皇は、全然権力も何もない、連合軍の管理下に置かれた地位でありまして、そういう立場においてなお連合軍はこれに対して戦犯の判決をしなかったということは、国際法上も犯罪でないからだとこう言わざるを得ないわけであります。
 もちろん道義上責任があるではないかという議論がございますが、国内法上犯罪行為能力のない者に道義的に犯罪を犯し得る力もあり得るはずがないと私は考えます。
 これが国内法上あるいは国際法上から見て天皇に戦犯の罪はないという論拠でありまして、もし私の論拠が間違っておれば、天皇は戦犯だということであればこの法律自体を撤回していただかねばならない。戦犯に対して大喪の礼をもって行うということはとんでもないことだということになるからであります。こういう見解を私は持つんですが、この点について政府の御見解を、いいならいい、悪いなら悪い、ただそれだけおっしゃっていただきたい。間違っておれば、どの点がおまえは間違っていると御見解をお述べ願いたいのであります。
 この問題を解決せずして本日の法律案を審議することはできないから申し上げるわけであります。
#47
○政府委員(味村治君) さきの大戦につきましての天皇の法的な責任のみについて申し上げます。
 先ほど委員が御指摘になられましたように、旧憲法下におきましては天皇は統治権の総攬者でございまして、戦いいわゆる宣戦の機能をお持ちになっておられましたが、国務大臣がそれにつきましては天皇を輔弼しまして一切の責任を負う、こういうことになっておりまして、天皇は神聖不可侵であるという規定が旧憲法の三条にあったわけでございます。この神聖不可侵ということの意味の一つといたしまして、天皇は先ほどおっしゃいましたように無答責である、責任を負わないんだということに、この解釈は恐らく争いがなかったことであると思います。したがいまして、天皇は旧憲法下におきまして国内法上一切の法的責任を負うことはないと、このようにされておりました。当時の憲法において一切の法的責任を負うことがないとされております以上は、その旧憲法当時の行為につきまして後になって法的責任があると言うわけにはまいりませんので、国内法上は昭和天皇には戦争についての法的責任がないと考えてございます。
 さらに、国際法の問題について御議論がございましたが、これは、先生の御指摘のとおり、昭和天皇の戦争責任の問題につきましては極東国際軍事裁判において検討がなされましたが、連合国が昭和天皇に対して訴追を行わなかったということは御指摘のとおりでございまして、昭和天皇の国際法上の戦争責任の問題は既に決着した問題であるというふうに考えております。
#48
○飯田忠雄君 では次に、葬式は宗教かという問題についてお尋ねをします。
 なぜこういう質問をいたしますかといいますと、葬場殿の儀につきまして、これは政教分離か政教一致かということが争われておりますので、したがいまして、まずこの葬場殿の儀は葬式であるのか葬式でないのかということを明確にする必要がございます。
 それから、葬式であるならば、葬式というものは一体宗教かという問題であります。
 私は宗教の問題はもう五十年間研究してきておりますが、葬式を宗教だとする定義を見たことがありません。ただ、葬式の中で宗教的な行為が行われる、宗教行事をもって葬式を行うということはございます。
 簡単に申しますと、最高裁の見解は津の地鎮祭の件で示されております。あの場合、地鎮祭というのは、神主さんが来ておはらいをするけれども、そんなことは問題ではないので、地鎮祭そのものは昔からの習俗、ならわしである、こういう判断を示しておりますが、葬式もまた同じではないか。
 葬式は、人類が存在する限り、いかなるところに参りましても、死にましたときにはとり行うところの一つの慣習であります。その方法にはいろいろの方法がある。しかし、今ここでは述べませんが。
 その葬式というものは、宗教性は本来はないので、習俗なんです。ただそこで、やり方、つまりお祭りの仕方に宗教を持ち込んできておるやり方はあることはあります。しかし、今日、私どもが葬式に参る、会葬をするという場合に、宗教を考えて会葬をしておるわけではありません。香典を出す場合に、宗教に香典を出しておるわけじゃないのです。亡くなった人を弔うためにそこへ香典を出している。花輪を出すのも同じことなんですね。
 そういう点を考えますと、今日でも葬式自体は習俗であって宗教ではないと言わざるを得ないのです。そういう意味で、葬式につきましては津の地鎮祭の最高裁の判例が妥当すると私は考えるわけであります。
 この点について政府はどのようにお考えになるのか、御答弁願います。
#49
○政府委員(味村治君) 宗教の定義というのはなかなか難しいわけでございまして、私、ここで申し上げる資格がないわけでございますが、ただ、おっしゃいますように、葬式というのは、人を葬送するというその一点にとどめるのであればこれは宗教でないと言えるかもしれません。
 しかし、人を葬送する儀式というのは、通常は一定の宗教の方式に従って行われているわけでございます。仏式とか神式とかキリスト教とか、そういったいろいろな宗教儀式によって人を葬送申し上げているというのが普通の姿でございまして、そういう葬送の儀式自体が宗教儀式に該当するとこういう場合はあるのではないか、というよりはむしろそれが一般ではなかろうかと、このように考えます。
#50
○飯田忠雄君 どうも御答弁がちょっとわかりかねるんですが。
 宗教と申しますのは、皆さんも御存じと思いますが、みんな教主があるんです。宗教は、宗たる教え、自分が主としておる教え、これが宗教なんです。だから教えが宗教の中心なんです。それで、教えが中心ということは、もちろん教主がなければならぬ。教える教主がおりましてそれが教えまして、教えた内容がある。そして、その教えられた人たちが団体を組みまして、教団をつくる。そして、その教えを正しいとして布教を行う。この四つの条件をそろえたものが、元来、宗教であります。宗教と習俗との違いはその点にあると私は信ずるものであります。
 津のいわゆる地鎮祭において、神主が来ておはらいごとをすること自体は、そのことだけでは別に宗教ではない。おはらいをすることにどこに教えがあるのか、どこに教団があるのかという問題が起こってきますと、そのこと自体はそうではありませんが、それがうちに帰りまして神社神道という団体に入りますとその神社神道が宗教になるんです。それが行っておる一つの行為そのものは宗教とは言えない。宗教で行うところの一つの行為だというだけにすぎないわけでありまして、そういう点を明確にいたしませんと国葬ができないことになります。
 国葬というのは、国の費用を出して国が葬式を行うんです。葬式がもし宗教であるならば、こういうことは憲法上許されないことであります。葬式は宗教でないから国の費用で行ってもよろしいというわけですね。そういう点は明確にしておくことが必要であります。
 私はいろんな人の葬式に出ておりますが、どの葬式に行きましても皆花輪が出されます。国会議員の名前で花輪を出します。国会議員というのは、これは国家機関です。国家機関の名前で大抵のところは花輪が出ている。そうすると、これは国家機関が宗教に関与したことかとこういうことになるでしょう。私は、葬式は宗教じゃない、葬式は学問上宗教であり得ないと思いますので、国会議員が花輪を出しても憲法違反だとは思いません。葬式に大臣が参列しても憲法違反だとは私は思いません。そういう問題は明確にしておくことが必要であります。
 例えば、仏式で行われる葬式の場合に、参会者に対してその仏式の方法を強要するならばこれは憲法違反です。そういうことはないはずであります。しかし、私はそういうふうに細かくきちっと明確にしておくということが必要であるし、そうであらねばならぬと思うわけです。
 私は宗教に対して今日まで余りにも冒涜がひど過ぎると思います。私は、もう小さいときから宗教は学問的に勉強してきておりますが、今日皆さん方が宗教と呼ばれておるものは宗教でないというものが多過ぎる、余りにも宗教を侮べつすることが多いと思います。
 それでお尋ねするわけですが、葬式というものに大臣が出席することは憲法違反かという問題について、今私が申しましたことを根底にして御答弁を願いたいのであります。
#51
○政府委員(味村治君) お葬式自体ということを先ほども申し上げましたが、例えば、お葬式というものが故人に対して哀悼の意を表して御冥福をお祈りするという人間全部に通じる心情をそこであらわすというだけでございますれば、これは宗教とは言わないのかもしれないと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、お葬式は、現在、神式、仏式、キリスト教式といったような宗教儀式によって行われている、これが普通でございますので、そういったようなお葬式はやはりすべて宗教上の儀式だというように考えるわけでございます。
 今回の御大喪は、言ってみますればお葬式でございますけれども、これは無宗教の方式でございますので宗教儀式ではないということはたびたび申し上げているところでございます。
 さて、仮に宗教儀式によりましてお葬式が行われます場合に、公務員が公人の資格と申しますか公務員の資格でそこに出席して、仏式でございますればお焼香するというようなことは、これは憲法二十条違反になるかどうか、こういう問題があるわけでございます。
 その点につきましては、私は飯田委員と同意見でございまして、日本の例でございますれば、例えは悪いんですが、仮に仏教の信者でございまして別の宗派のお葬式に行って、そしてその宗派のお経を聞いて、そしてそこで参列をなすってお焼香をするということには全然これは違和感を感じていないわけでございます。そういうところに出席して参列したからといってその行われているお葬式である宗教上の儀式のその宗教に帰依したとかその信仰を抱いたとかそういうふうに見る方はいない、それがまあ社会通念であろうかと思うわけでございます。
 そういう意味で、宗教上の儀式であるお葬式に公務員が公務員としての資格で出席いたしましても、これは宗教上の意義、その宗教の特定の宗派を援助助長するとかそういうような意味は持っておりませんし、そういう効果も持っておりません。
 そういう意味で、先ほど御引用になりました地鎮祭の判決の趣旨に従えば、そのような公務員の公務員資格による出席も憲法二十条三項に違反することはない、このように考えている次第でございます。
#52
○飯田忠雄君 時間が来てしまいましたのであれなんですが、もう一つ確かめておきます。
 私どもが葬式に行きました場合に、その葬式がある宗教の方式で行われるとしても、その宗教に帰依するために行くんじゃないんです。その宗教上の行為をしたりするために行くのでもない。私どもが行くのは死者を弔うために行くのであって、会葬者、皆、そういう気持ちなんです。主観的に宗教ではなくて、明らかに会葬者は死者を弔うということであるわけですね。客観的に見ましてもそこで行われておるところの死者を弔う礼のために、いろいろな葬式の儀式がございますがそれは宗教ではないんです。ある宗教家がやってきて一つの行為をするだけの話であって、そこで伝道もしなければそこでその宗教の勧誘もいたしません。そういうものではない。それは、来て死者を慰めるための儀式をやるだけであって、そのことは宗教そのものではないのであります。宗教において行われる儀式の一つの様式をとったというだけのことであります。
 そういう点は、これは法律上明確にしておいていただかないと私どもは大変困るわけです。いろいろの宗教のところの葬式に私どもは参りますから、そこへ香典を持っていくたびに一々検討されたのでは困ると思います。葬式は宗教ではないという見解になるようにひとつ御研究をお願いいたしたいのであります。
 それから、最後にちょっとお伺いします。
 憲法二十条の問題は、時間がないからもうやめます。
 国民の祝日を一年を通じてバランスをとる必要はないかという問題について、これは内閣において御検討になりましたかどうか。
#53
○政府委員(的場順三君) 今回のこの国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律の提案は、御承知のとおり、今般の皇位の継承に伴いまして、昭和天皇のお誕生日である四月二十九日が今上陛下の誕生日である十二月二十三日に変わるということに伴います必要最小限の改正をお願いしているのでございまして、委員御指摘の国民の祝日全体を一体どう考えるかというようなことは、全体としての労働政策あるいは祝日以外の休日等を含めて全体として考えるべき問題ではないかと思っております。今般出しております法律は、先ほど申し上げましたように、そういう必要最小限の手直しであるということで、そこまで検討しておりません。
 一方、国民の祝日自体を今後ふやしていくかどうかという話につきましては、国民の祝日自体今般の改正で十三日になりますし、それから、祝日法の規定にございますように、五月三日と五月五日に挟まれた五月の四日は休日という規定もございますし、それから、事実上、正月の二日、三日というのは休んでおります。そういうことを考えますと、祝日をふやすということについては、中小企業等のお立場もございますし、慎重にならざるを得ない面があるのではないかというふうに考えております。
#54
○飯田忠雄君 終わります。
#55
○吉川春子君 政府は、国事に関する行為としての儀式は、憲法の趣旨に沿いかつ皇室の伝統を尊重して行うとしています。しかし、皇室の伝統を尊重すると言いながら、実際には憲法を逸脱しているわけです。この点について順次伺っていきます。
 まず、宮内庁にお尋ねいたしますが、葬場殿の儀は皇室の私的行事として行われるんでしょうか。
 また、それは皇室神道にのっとって行われるんでしょうか。
#56
○政府委員(宮尾盤君) 葬場殿の儀につきましては、これは皇室の、私的ではなくて、皇室の行事として行うわけでございます。
 それから、皇室神道にのっとってということでございますが、皇室神道というものはどういうものであるかということについてはいろいろな御議論があろうと思いますが、私どもは、皇室の伝統に従って行われるというふうに申し上げておるわけでございます。
#57
○吉川春子君 皇室の行事というのは、国の公的な行事という意味ですか。
#58
○政府委員(宮尾盤君) 皇室のいわば私的ではなくて公的な行事だというふうに考えているわけでございます。公的性格を持った皇室の行事であるというふうに考えております。
#59
○吉川春子君 国から見れば、それは皇室の私的な行事なのか、それとも国としても公的な行事としてとらえられるべきものなんですか。
#60
○政府委員(宮尾盤君) 今回の葬場殿の儀は、天皇は御承知のように日本国の象徴であり日本国民統合の象徴である、こういう地位にあられるわけでございまして、そういう意味では、この御喪儀は皇室の伝統的な方式に従って行われるわけでございますけれども、国民的に敬弔、謹んでお弔いを申し上げる、そういう対象として公的な性格を有する、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味で、いわゆる皇室の私的な行事だというふうには私どもは考えておらないわけでございます。
#61
○吉川春子君 神道、皇室神道の定義が難しいとおっしゃいましたけれども、神道でいろいろ用いられるセレモニーがかなりそれにのっとってやられているわけですよね。
#62
○政府委員(宮尾盤君) 宗教についてのいろいろな定義というのはなかなか難しいことであろうと思いますし、ましてそれぞれの宗教上の宗派とかそういうものについての定義というのはなかなか難しいだろうというふうに考えております。私自身もそういう点についての専門家ではございません。
 今、神道と言われましたが、神道の定義に皇室の伝統的なものが入ってくるのかこないのかということについてもいろいろな考え方があろうというふうに思われるわけでございます。皇室が行われます伝統的な方式というのは、皇室が長い間積み重ねてまいりましたやり方によって行われるわけでございますが、それがいわゆる皇室神道、神道という概念に入るか入らないのか、それはどういうものであるのかということを学問的に定義をすることは非常に難しいというふうに考えておるわけでございます。
#63
○吉川春子君 神道のセレモニーは全く排除されていると、こういうふうに言っていいんですか。一言で答えてください。
#64
○政府委員(宮尾盤君) 葬場殿の儀におきましては、祭官がそれに参加をいたしますとかそのほか、いわゆる真榊が上げられるとかそういった形のものはあるわけでございます。
 これをいわゆる神道という中でとらえるのかどうかということについては、先ほどから申し上げましたように、いろいろ正確な定義は難しいわけでございますが、今のお尋ねの中身につきましては、少なくとも祭官がこれの全体の進行を取り仕切り祭詞を述べる、大真榊あるいは鳥居というようなものが建てられる、こういう形で行われるわけでございます。
#65
○吉川春子君 官房長官にお伺いいたします。
 葬場殿の儀というのは、どうも皇室の私的な行事ではなくて、国として見ても公的な行事のようですね。国事行為である大喪の礼、そして皇室の行事である葬場殿の儀、これを一連の行為として時間的にも連続性を持たせて場所も同じところで行うというのは、テレビに映し出されるのを見ている国民からもあるいは諸外国の代表からも当然一つのものとして映るわけです。かつて吉田総理の葬儀が国葬として行われた際に、カトリック教会で個人の宗教によって私的に葬儀を行って、そして一週間後に東京の武道館で宗教色を排除して国葬が行われています。
 今度、こういう天皇の葬儀についても、憲法の政教分離を厳密に貫くべきでありますから、そういうような配慮をどうしてなさらなかったんですか。
#66
○国務大臣(小渕恵三君) 吉田元首相の例をお挙げになられましたが、立派な方だと尊敬はいたしておりますが、天皇陛下におかれては憲法第一条に規定をされた我が国の象徴、国民統合の象徴でございますので、同じような考え方に存するものではない、このように考えております。
#67
○吉川春子君 そうしますと、宗教色を排してやるというようなことではなくて全部一つとして、それは天皇の葬儀として連続して行われて、宗教色の盛り込まれているものも交互にあるわけですけれどもそういうものでやっても天皇の場合は差し支えないんだ、これが政府のお考えですか。
#68
○国務大臣(小渕恵三君) 国民の間にいろんな御意見のあることも政府としては承知をしなければならない立場でございますので、種々検討いたしました結果、大喪の礼の御式は国の儀式として行われ、葬場殿の儀は皇室の行事として行われるもので、両儀は法的に明確に区別されるのみならず、実際上も大喪の礼御式においては開式を告げること、祭官は退席すること、鳥居は撤去すること、大真榊は撤去すること等とされており、両儀ははっきり区別をされた形で行われるということで大喪の礼委員会で決定いたした次第でございます。
#69
○吉川春子君 大喪の礼もそれから葬場殿の儀も儀式の内容というのは旧皇室喪儀令で定められているものとほとんど違わないわけですね。こういうものを部分的に取り出してここだけは国事行為だといっても、憲法の政教分離の規定はクリアできないと思うんです。憲法二十条というのはまさにそういう儀式を行うこと自体を禁止しているわけです。
 政府は、大喪の礼のみではなくて葬場殿の儀にも出席を要請して、節目節目には一同に起立を求める方針だと、こういうふうに言われています。これは宗教行事への参加ではないですか。
 そこには、先ほども話がありましたけれども、神道の象徴である鳥居が建てられている。大真榊が置かれる。
 広辞苑によると、鳥居というのは神域、神の領域を示すものであると言われています。これをくぐることは神社への崇敬の念を示すことになるわけです。榊は神のよりしろとして枝に白幣をつけて神霊の象徴として祭礼が行われるわけですね。
 こういうような宗教儀式に総理が出席されるというのは、これはまさに憲法違反じゃないですか。
#70
○政府委員(味村治君) 国事行為として行われます大喪の礼は、ただいま官房長官が申されましたとおり、皇室行事であります葬場殿の儀とははっきり区別をされているわけでございます。
 国事行為たる大喪の礼は、祭官は退席し、鳥居を撤去し、大真榊は撤去されておりまして宗教色はないわけでございまして、国事行為たる大喪の礼が宗教儀式に該当ししたがって憲法二十条第三項によって国またはその機関が行うことを禁止されている宗教的活動に該当するという疑いは全くございません。まずそのことを申し上げておきます。
 その前に葬場殿の儀が行われるわけでございまして、これは皇室の行事として行われるわけでございます。これにつきましてはいろいろ宗教的な色彩があるということは否定ができないわけでございます。しかしながら、そこに総理が総理たる資格で御出席になりましても、それは先ほど飯田委員との論議の中で申し上げたのと似たようなことになるわけでございますが、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であられます亡き昭和天皇に対する哀悼の意を表し、また、御遺族と申し上げるのは失礼かと思うんですが、御遺族であられます現天皇に対してお悔やみの意をあらわす、こういう意味でそういういろんな儀礼を尽くすというような意味で出席されるわけでございまして、特定の宗教を助長するとか援助するとかそういうようなことで出席されるわけでないということは、これは明らかなわけでございますから、したがって、内閣総理大臣が総理大臣としての資格で皇室行事たる葬場殿の儀に御出席になってもそれは憲法二十条三項の禁止する宗教的活動には該当しない、このように理解をしているわけでございます。
#71
○吉川春子君 個人的にいろんな宗教によって行われる葬儀に参列する場合と、行政府の長たる総理大臣の資格としてそういう宗教のセレモニーに参加する。参加するといったって実際は内閣がお金を出してやっていることでしょう。そんなことを一緒にすることはできないわけです。
 もう一つ伺いますけれども、外国の代表にも葬場殿の儀への参加を求めるというふうに言うわけですけれども、とりわけアジアの代表は、鳥居というのは侵略のシンボルであったわけですね。満州国の至るところに鳥居を建てたわけでしょう。シンガポール、南洋の島、そういうところまで鳥居を建てたわけです。そういうことを、新聞の最近の報道を見ても、諸外国の人たちは忘れていないわけですよね。そういうところに参加させるというやり方はいかにも無神経ではないか、こういうふうに思うわけです。
 時間の関係でもう一つ伺いますが、法制局長官は、先週の衆議院の内閣委員会で浦井議員の質問に対する答弁に際して、新憲法によって宮務令の存在が許されなくなった結果廃止されたんだけれども旧皇室令の内容が新憲法に違反しているから廃止されたんじゃない、こういうふうに答えているわけです。
 それでは伺いますけれども、皇室喪儀令には、例えば第十条「大行天皇太皇太后皇太后皇后ノ靈代八之ヲ権殿ニ奉安シ一周年祭ヲ訖リタル後之ヲ皇靈殿に奉遷ス」とこういうふうにあるわけですけれども、これはまさに宮中三殿を中心とする皇室行事で天皇の神格性の象徴であるわけですね。
 こういうような内容も今の憲法と矛盾しないと、そういうふうにおっしゃるんですか。端的でいいですよ、時間がないから。
#72
○国務大臣(小渕恵三君) 第一のお尋ねにつきましては、葬場殿の儀に外国の元首等が参列されるかどうか、またその参列を受け入れるかどうかは外国及び皇室がどのように考えるかが問題でございまして、昭和天皇の葬場殿の儀に際しては多数の外国の元首等が参列を望まれており、しかも皇室においてこれを受け入れるという意向と承っておることから、葬場殿の儀が国民的敬弔の対象であるという公的性格にかんがみ、政府が外国の元首等の参列についてお世話することは当然である、このように考えております。
#73
○政府委員(味村治君) 旧憲法当時におきましては、憲法とそれから皇室典範とは同等の効力を持っておりました。そして、憲法に基づく法令というのがあり、皇室典範に基づく法令というのがあったわけでございます。ところが、新憲法になりましてそのような法体系というのは許されなくなったわけでございます。旧憲法と同じような同等の効力を持つ皇室典範というのは許されない、こういうことになりまして、現在ではまあ法律であるわけでございますが、そういたしますと、そういった現憲法におきましては許されないような旧憲法下の法体系というものは当然に廃止しなければならない、そういう法形式の面からそれを廃止する、こういうふうになったわけでございまして、その場合、その内容が現行憲法の規定に違反するものであるかどうかにかかわりはなく旧皇室令は一律に廃止されたものでございます。
 したがいまして、旧皇室典範とか旧皇室令に規定されております内容がすべて現行憲法に違反するというわけではございませんで、現行憲法に違反しているかどうかということは、これは内容ごとに具体的に個別に判断をしなければならない、このように考えております。
#74
○吉川春子君 私は討論にかわる主張を述べます。
 いかに弁解されようとも、大喪の礼、葬場殿の儀は一連の儀式として行われるもので、国の宗教的活動を禁じた憲法二十条三項その他に違反するわけですね。さらに、これに総理などが参列することは公務員の憲法遵守義務を規定した九十九条にも反し、主権在民、政教分離の憲法原則に反した儀式はやめるべきだと主張します。
 このような大喪の礼の行われる日を休日とする法案は、昭和天皇の大喪の日を特別扱いにして国民すべてに弔意を強要するものであり、主権在民、政教分離の原則に反するとともに、国民の思想及び良心の自由を侵すものであり反対です。
 さらに、国民の祝日に関する法律案についてですが、主権在民、法のもとの平等をうたう憲法のもとで天皇誕生日を祝日とすべきではありません。
 昭和天皇の誕生日をみどりの日として残すことも同様の理由から反対であることを述べまして、私の質問を終わります。
#75
○柳澤錬造君 私は、この法案、二本とも賛成です。
 これから極めて単純で易しい質問をしますから、明確にお答えをいただきたいんです。余り回りくどいことは言わないで。
 一つは、四月二十九日がみどりの日とこうなっているわけです。先ほど官房長官の趣旨説明を聞いておっても、ちょうどこの時期は新緑の季節でゴールデンウイークのスタートですと。そういうことが目的なのか。それとも、これだけの六十有余年にわたった昭和天皇の言うならば御遺徳をしのんで、もう昭和というのはなくなっちゃったんですから、せめて昭和天皇の御遺徳をしのんでここに祝日として残しておこうではないかと。もしそういうことだったならば、何ではっきり昭和の日としないんですか。
 何事についてもそうだけれども、今の政府のこういうあいまいもことした態度というものが余計な誤解を生むんです。私は、だから何で明確に昭和の日にしなかったのか。それとも、ここになにしているように新緑の季節ということが目的なんですか。はっきりしてください。
#76
○政府委員(的場順三君) 柳澤委員の御意見、一つの大変立派な御意見であろうと思います。
 先ほども申し上げましたように、六十有余年にわたってなれ親しみました四月二十九日が、昭和天皇の崩御ということで十二月二十三日に変わる、しからば四月二十九日を平日に戻していいかということから事柄は出発したのでございまして、そこのところについてそれじゃ政府だけで判断していいかどうかということもございまして各界各層の人を急遽集めまして、事は緊急を要したわけでございますので官房長官に御意見を伺っていただきました。
 その過程では、四月二十九日は六十年余にわたってなれ親しんだ祝日であったのだからぜひ祝日として残すべきであるという意見がございまして、二士五人の方の意見を伺いましたが、中小企業の方の立場も考えろよという附帯条件をつけて賛成と言われた方が一人ございましたけれども、全員が賛成でございます。
 しからば名称をどうするかということにつきましては、確かに昭和の日というふうに明言するようにという御意見もございました。けれども、例えば、明治天皇のお誕生日であったのは十一月でございますけれども現在は文化の日になっている等々の祝日法の建前から考えまして、大方の意見がみどりの日ということで、ちょうど新緑の時期でもあるからみどりの日という祝日を設けるのが一番妥当であるということにしてみどりの日にした次第でございます。
#77
○柳澤錬造君 官房長官、都合が悪いものだから黙っているんだけれども、それで私の質問に対して答弁したと思っているの。
 よく今のを思い出してください。二十五人の有識者を集めて懇談会を持とうがその人たちの意見を聞こうが何をしようが、法案として出した以上はこれは政府の責任でしょう。今のあなたの答弁というのは、二十五人のその懇談会で御意見を官房長官が聞いたら、いろいろな意見があって、その中でみどりの日が一番多かったと。その人たちに責任をなすりつけることはない。
 きちんと政府が責任を持って昭和天皇の御遺徳をしのぶんですということだったら、それにふさわしい名前をきちんとつけたらいい。そして、これから昭和という言葉を使うことはないんですからせめて一年に一遍ぐらい昭和の日といって昭和天皇の御遺徳をしのぼうというようなことだったらすっきりするし、国民はわかると思う。いいかげんな逃げ口上を使ったり、二十五人の懇談会を持ってやったらその人たちはこれこれしかじかでありました、だからこうしたんですと。そんなもの、だめです。法案として出した以上は、これは政府の責任。
 もう一回やり直し。
#78
○国務大臣(小渕恵三君) 柳澤委員御指摘のように、政府で御提案申し上げておりますことは、政府の責任で御審議をちょうだいしこの日を設定をいたしたいという趣旨であることは言うまでもないことでございます。
 そこで、四月二十九日が昭和天皇の誕生日でありますことは、これもまた紛れもない事実でございます。六十有余年にわたってこの日を祝日として、国民はひとしくこの日を天皇誕生日としてお祝いをしてきたわけでございます。したがって、この日をみどりの日ということで提案をいたしており、またこれがその日としてお認めをいただくということになりますれば、それぞれ国民の皆さんのお気持ちとしてそのことをしのばれるということは私はたっといものだと思います。
 政府といたしましては、先ほど審議室長が申されましたように、十一月三日も祝日としては文化の日という形で、明治天皇の御誕生日は現祝日法によれば文化の日として国民の中で定着をしておることにかんがみましてこの四月二十九日もいろいろネーミングを考えましたけれども、最終的にはみどりの日としということでお願いをしている、こういうことでございます。
#79
○柳澤錬造君 官房長官、今、私も言おうと思うのは、文化の日もそうだ。今の若い人たちがあの文化の日が明治天皇の誕生日だとだれが知っていますか。もう今は文化の日になっちゃった。あれはあの戦後の混乱期のときに祝日をつくろうといっていろいろ適当に分けてやっただけのことなんです。今はもう時代が変わったわけでしょう。昭和天皇の遺徳をというならば、せめて昭和という言葉ぐらい残しておいたらいい。しかし、これ以上はもう言わない。
 それで、ついでに私が申し上げたいのは、みどりの日ということについて別にけちをつけるわけじゃないけれども、そういうことをやるならば何で海の記念日をつくってくれないんですか、海洋国家日本として。
 これこそもう何十年になるだろうか、四、五十年になる。それで、海の記念日の前夜祭になると運輸大臣が来て、海の記念日を祝日にしなきゃいけませんとあそこで演説している。私も毎年行くからよく覚えている。この海の記念日の方はもう四、五十年になる。そういう点からいくならば、みどりの日どころじゃない、海洋国家日本が何で海の記念日の七月二十日をきちんとやらないのかと私は言うの。
 だからこれ以上、官房長官、責めないから、そこら辺についての政府の見解を多少答弁してください。それで私、終わりますから。
#80
○国務大臣(小渕恵三君) 謹聴して拝聴いたしました。
#81
○委員長(大城眞順君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認めます。
 討論につきましては、理事会の協議により行わないことといたしましたので、これより両案について採決に入ります。
 まず、昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#83
○委員長(大城眞順君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(大城眞順君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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