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1988/02/14 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第4号
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1988/02/14 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第4号

#1
第114回国会 本会議 第4号
平成元年二月十四日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  平成元年二月十四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小山一平君。
   〔小山一平君登壇、拍手〕
#4
○小山一平君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、主として竹下総理に質問をいたします。
 昨日、リクルート疑惑によって式場、長谷川NTT元取締役、江副前会長、ファーストファイナンス小林副社長が逮捕されました。なお拡大は必至であると思います。本論に入る前に、総理はこれをどう受けとめておられますか、率直な御感想を承っておきます。
 総理の施政方針演説は、美辞麗句でつづられ、総論あって各論なく、真実性と具体性に乏しいと言わざるを得ません。まず、政治姿勢、政治改革について伺います。
 竹下内閣が発足して一年有余になりますが、昨年は、消費税問題とリクルート疑惑に揺れ動いた異例、異常ずくめの一年でありました。その状況は今日もなお続いております。
 総理は昨年臨時国会を二回にわたって会期延長を強行し、延べ三百十三日という長期国会となったのは、税制改革の名のもとに、国会決議や選挙公約を踏みにじり、大型間接税である消費税を何が何でもけりをつけるという総理の決意と野望によるものでありました。また、リクルート疑惑は、政官財癒着による大がかりの構造汚職、金権腐敗の実態を暴露し、国会はもとより、国民の間にも大きな衝撃をもたらしたのであります。リクルート疑惑の徹底解明は緊急にして最も重要な政治課題であり、国民ひとしく期待しているにもかかわらず、総理は、一方ではリクルート隠しに終始し、一方では税制六法案の審議が極めて不十分な状況のもとにおいて、衆参両院の税制等調査特別委員会において自民党による一方的質疑打ち切り、単独採決を強行し、本会議においては巧みに自民党単独採決を回避する形をつくって成立を図ったのであります。
 総理が最も得意とする国会対策、舞台裏の工作や駆け引きを駆使して筋書きどおりに事を運ぶという手法は、したたかな竹下流国会運営術と言うべきであります。しかし、将来にわたって国民生活を支配する税制改革は、十分審議を尽くし、国民的合意の形成に努めるべきであります。
 総理、あなたの老猫な国会運営術や多数に物を言わせる強引なやり方は、国民の声に耳を傾けることを忘れた傲慢な姿勢であり、民意を反映することが基本である民主政治をじゅうりんするものであります。世論を無視した欠陥だらけの消費税の強行、リクルート疑惑、リクルート隠し、金権政治など、竹下内閣ばかりでなく政治全体に対する国民の批判と不信を招いた責任は重大であります。
 当然のことでありますが、竹下内閣の支持率は低下の一途をたどり、過去において時の内閣が退陣に追い込まれる末期的症状を思わせる最悪な状況を示しております。総理はどのように責任を感じ、またどのように反省しておられますか。
 その後、リクルート疑惑は、未公開株譲渡のほか、政治献金、パーティー券購入など次々に暴露されてとどまるところを知らず、泥沼の様相を呈しております。アリがみつに集まるように、我も我もとリクルートに群がりむさぼっているようなありさまに、国民は驚き、あきれているのであります。
 政治家で未公開株譲渡にかかわって名前が挙がっているのは、竹下総理、中曽根前総理を初め十人に及ぶ現、前、元の主要閣僚が名を連ね、いずれも竹下総理を支える要職にある人たちであります。また、労働省、文部省、NTTなど官界首脳部をも巻き込んでおり、今や官僚機構まで腐食しつつある姿を示していると思います。
 今回のリクルート疑惑は、ロッキード事件が田中元総理の個人犯罪であったのに対し、自民党首脳が総登場しているととが特徴であります。
 昨年十二月、宮澤前大蔵大臣がたび重なるうその発言によって辞任し、竹下内閣は昨年末の内閣改造でリクルート疑惑からの脱皮、政治の信頼回復を目指したはずであるにもかかわらず、長谷川法務大臣が、リクルートとの関係が明らかとなり、就任してわずか四日で辞任に追い込まれました。それから一カ月もたたないうちに、副総理格と言われる原田経企庁長官がこれまたリクルート問題で辞任いたしたのであります。
 その原田氏が衆議院のリクルート特別委員長として江副前会長の証人喚問などリクルート疑惑解明の国会審議の重責に当たっていたとは、人を食った話であります。その後任の愛野経企庁長官もまた、政治献金、パーティー券購入など、リクルート汚染が取りざたされております。さらに、国権の最高機関の長である原衆議院議長、山口議運委員長などのリクルート汚染が問題となっております。
 そろいもそろって政治倫理意識が麻痺し、いかに自浄能力を喪失しているかを物語っていると思います。
 竹下総理初め疑惑の渦中にある政治家は、秘書がやったことだ、親族がやったことだ、中には、経済行為だどこが悪いと居直っている者など、い
ずれも自分は潔白であると主張してまいりましたが、国民の中にそれを信用している者は一人もおりません。労せずしてぬれ手でアワの巨額の利益を何の権限もない秘書や親族にひそかに提供するような物好きな経済人がいるはずがないという社会常識を持っているからであります。不公正税制など不公正の是正も進まないのは、企業や業界に巨額な政治資金を求めているからだと見るのも国民的常識であります。
 総理、不徳のいたすところで済まされるような事態ではありません。どのように政治的責任をおとりになりますか。
 第一には、四月一日から実施しようとしている消費税は、国民の間に不安、疑問、不満がいっぱいある現状では、実施を強行すれば混乱は必至であります。メンツにこだわらず、撤回または実施時期を延ばすなどの措置をとるべきであります。
 第二には、政治家とリクルート社関係における未公開株譲渡のほか、政治献金、パーティー券購入など、そのすべてを調査解明し公表すべきだと思います。
 第三には、竹下内閣は総辞職して責任を明らかにするか、あるいは衆議院を解散し主権者である国民に信を問うべきであります。
 以上三点について総理の答弁を求めます。
 昨年来検察の捜査も進み、昨日は式場、長谷川元NTT取締役、リクルート社側から江副、小林両名が逮捕されました。逮捕の理由を明らかにしていただきたい。さらに徹底的政官界捜査と処断を国民は期待していることを申し上げておきます。
 かつて指揮権発動によって巨悪の汚職がやみに葬り去られたことがございました。検察のリクルート疑惑捜査の概要について法務大臣の答弁を願います。
 今日の政治不信を回復する道は、抜本的政治改革を断行し、政治倫理を確立することが緊急不可欠であることは明らかであります。総理は年頭において本年を政治改革元年にすると決意を述べ、施政方針においてもそれを強調されました。自民党内に政治改革委員会を、さらに諮問機関として賢人会議を設けて広く意見を聞くと言われておりますが、私は疑いと危惧の念を禁ずることができません。佐藤内閣の昭和四十一年、閣僚の政治姿勢や政治腐敗など積年の病弊が追及され、黒い霧解散と呼ばれる政変に追い込まれましたとき、政府は政治献金などについて審議会に諮問し立派な内容の答申が出されましたが、自民党内の抵抗によって日の目を見ることができなかったのであります。
 次には昭和四十九年、政府・自民党は田中金脈事件によって窮地に立ち、三木内閣によってその急場に対処いたしました。政治浄化を信条とされた三木さんによって、五十年にようやく政治資金規正法の一部改正が行われたのであります。
 さらに五十八年、ロッキード事件で田中元総理の一審有罪判決が出てまたまた窮地に立って、政治倫理綱領と行為規範が議決されました。昭和六十年のことであります。
 しかし、政治資金規正法附則第八条は改正後五年を経過した時点で企業献金を個人献金に切りかえることを検討すると規定しているにもかかわらず、五年はおろか十数年を経過した今日まで全く無視されてきているのであります。また、政治倫理綱領は「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」と規定しておりますが、昨年来のリクルート問題で疑惑を持たれている竹下総理を初め関係議員が、だれ一人疑惑を解明し、その真実を明らかにしていないではありませんか。国会決議である議員の定数是正も放置されてまいりました。
 これでは、政府・自民党は汚職事件や不祥事件が暴露し国民の不信を招いて窮地に立たされるたびごとに政治改革を唱えてその場を糊塗し国民を欺いてきたと言われても仕方がありません。
 総理、政治資金規正法、政治倫理綱領、行為規範はすべて無視され、守られていないことは明白であります。竹下総理も、国民の不信を招いて今窮地に立たされ、これまた政治改革を唱え始めたのであります。今までの経緯を顧み、リクルート疑惑の解明をあいまいにしたまま政治改革を先行させようとするやり方は、リクルート隠し、消費税のごまかしてはないかと疑わざるを得ないのであります。総理、御所見を伺います。
 手続を踏んだ常識の範囲を超えない節度ある政治献金まで悪であるとは言いませんが、政治には金がかかると宣伝にこれ努め、法外かつ怪しげな企業献金を正当化しようとする発言は国民感情を逆なでするものであり、不謹慎と言わなければなりません。冠婚葬祭や接待にやたらと金をばらまき、驚くほど多数の地元秘書を抱えて選挙基盤の強化に狂奔するやり方はますますエスカレートする傾向にあります。こうして政治に巨額の金をかけているのは主として自民党の政治家であり、積年の病弊である金権体質は悪化の一途をたどってきたのであります。
 総理が唱える政治改革が本音であるならば、この現状認識と厳しい自己反省から出発すべきであります。総理の御見解を伺います。
 今日政治改革、政治倫理に求められているのは、権力の金権腐敗、そして政官財癒着構造をどう規制し改めるかに集約されると思います。総理の政治改革は、何をどう改革し、終局の目標はどこにあるのかはっきりさせていただきたいと思います。また、その手順を明らかにするとともに、決意についてもお答え願います。
 次に、衆議院定数是正について伺います。
 政治改革の一環として、今日まで放置してきた定数是正を急遽一議席減らすことでお茶を濁し、来年十一月をめどに四十議席削減し定数四百七十一議席とする構想を打ち出されました。僅少の議席減でさえ実現できずに来た経緯を思うと、その真意を疑わざるを得ません。それがリクルート疑惑から国民の目をそらすゼスチャーであり、参議院選対策の虚構であることは許されません。
 総理、これを国民に対する公約として実行すると約束できますか。また、この構想の背景に小選挙区制導入の意図があるとしたら、欺隔も甚だしいと言わなければなりません。総理の責任ある答弁を求めます。
 さらに、参議院選挙について伺います。
 六月あるいは七月に参議院選挙がございます。前回も前々回も政府・自民党は衆参同日選挙を強行いたしました。二院制をとっている基本的役割を無視した、参議院軽視の党利党略に基づくものであると思います。三回も続けてダブル選挙をやるような暴挙は避けるべきであります。総理の御見解を伺います。
 前回、参議院自民党は党に対しダブル選挙をやるように要請したと聞いておりますが、それは参議院軽視と無用論を助長するもので、自分の選挙だけを考えみずから墓穴を掘るに等しい行為であると思います。今回はそのようなことを繰り返さないよう要望いたしておきます。
 次に、外交、防衛について伺います。
 一昨年十二月、レーガン米国大統領とゴルバチョフ・ソ連書記長との間でINF全廃条約が調印され、戦略ミサイル五〇%削減交渉も進展しつつあります。さらに、ゴルバチョフ書記長は去る十二月、二年間に通常兵力五十万人を削減する構想を発表いたしました。これに対し、米国及びNATO諸国は歓迎する意向を示しております。また、東側ワルシャワ条約機構も西側に具体的軍縮の提案を行っております。核兵器の削減にとどまらず、通常戦力の軍縮・軍備管理が東西間で進展する可能性が高まりつつあります。
 ソ連のアフガニスタンからの撤兵、イラン・イラク戦争の停戦、中ソ関係の改善、朝鮮半島の南北対話の前進等々、国際的緊張緩和、軍縮促進の潮流はますます望ましい方向へ向かっていると思います。米ソ軍事超大国は、不毛の軍拡競争によって、ともに民生部門の不振、経済及び財政の悪化を招き、両国ともその立て直しを優先する政策に転じつつあると言えましょう。
 こうした国際情勢に対し、総理は積極的評価と認識を欠いていると思います。総理の国際情勢に対する評価と認識を明らかにしていただきたい。
 総理は「世界に貢献する日本」を強調されておりますが、米国の軍事面での要求にこたえることとODA予算の増額だけが世界に貢献する道であると考えているように見えてなりません。
 防衛費は明年度予算でGNP比一%を三年連続で突破させ、三兆九千百九十八億円と異常な伸びを示し、世界主要国の中で日本だけが猛烈な勢いで防衛費を増大して、日本は既に世界第三位の軍事大国になっております。口先だけで日本は軍事大国にならないと繰り返しても、こうした政策をとり続ける限り、国民も海外諸国も信用するはずがないのであります。
 日本の平和及び防衛政策は、日米安保体制のもとに米国の世界戦略、対ソ戦略に組み込まれ、日本は今日もなおソ連脅威に対する冷戦体制をいささかも変えようとしていないのであります。米国は自国の軍事費を日本に肩がわりさせようと強く迫っておりますが、一方では米国防総省の長期国防報告は、日本の軍事力の将来に対する懸念は今や世界の関心事となっていると書いているのであります。この矛盾は、米国の複雑な実態を示しているのであります。
 平和憲法を持つ経済大国日本が軍縮に対し積極的姿勢を示さず、軍縮促進について何一つしようとしていないことは実に遺憾と言うほかはありません。総理の外交、防衛に対する理念と基本姿勢を明らかにしていただきたい。
 九〇年代は国際的に軍事費の凍結あるいは削減の時代に入ることが予想されております。日本が手をこまねいていることは許されません。
 私は、次の措置を講ずべきだと思います。
 その第一は、日本の軍事力の増強、日米軍事協力の強化に歯どめをかけるようはっきりした方針を決定すること。第二に、中期防の期間の延長、さらに政府のもくろんでいる新防衛計画策定を凍結すること。以上、二点について総理の御見解を伺います。
 ODAについて伺います。
 総理は、今後五年間で五百億ドル以上にすると国際公約をされました。そして、明年度ODA予算案は七千五百五十七億円、事業予算ベースで約一兆四千億円を計上し、世界第一位となりました。日本はその経済力に見合った責任を果たすべきであるとの声にこたえたもので、評価いたします。
 ODAは、発展途上国の飢餓、貧困の克服、福祉の向上、経済的自立の促進、南北格差の解消などを通して世界の平和と安定に貢献しようとするものであります。しかし、古くはマルコスの不正蓄財に使われ、その後も不明朗な事件が続いており、最近新聞などに報じられたフィリピン航海訓練所のずさんな運営、通勤車両の雨ざらしを初め、パキスタンのマイクロ回線網増設事業をめぐる日本人軟禁事件、エジプトのオペラハウス、タイの文化センターの問題など、いずれも現地及び現地住民と遊離し、本来の目的にマッチしない結果となって相手国民の不信や不満を招いている事例であり、税金のむだ遣いでございます。
 その上、リクルート汚職に揺れる労働省でODA援助をめぐる官僚の利権あさりの疑惑も取りざたされております。総理はこの現状をどう理解されておりますか。
 国会においては、今申し上げたような事例が頻発する要因と思われる援助行政が多省庁にまたがり、その自由裁量にゆだねられ聖域化して、国会も会計検査院も関与、監督の外に置かれていることは問題であり、改善すべきであるとの論議が繰り返されてまいりました。参議院においては、世界第一位の援助大国となった我が国は経済協力の理念、目的、諸原則等を規定した経済協力基本法を制定する声が高まっております。
 この際、政府は基本法を制定するとともに、一元的運営、国会審議などを含む改革に踏み切るべきだと思いますが、総理の見解を伺います。
 竹下・ブッシュ会談で、従来アジア中心であった日本のODAを中東や中南米地域に拡大することが合意されたと報じられております。今後、米国の戦略援助の肩がわりを日本に要請されることが予想されます。その場合、政府がそれに追従し、経済援助が戦略援助となって国際紛争、地域紛争に手をかすようなことがあってはなりません。我が国の経済援助は戦略援助を断固排除する方針を確立すべきであります。総理の御答弁を求めます。
 次に総理の「ふるさと創生」について伺います。
 ひととき全国を風摩するように地方の時代が唱えられ、今は死語に等しくなってそれを口にする人もほとんどおりません。大平元総理の田園都市構想も、何一つ実績を残すことなく消えてしまいました。地方自治体や住民が地方の時代や田園都市構想に大きな期待を寄せたのは、衰退に悩む地方、地域が産業、経済、文化など新しい活力を取り戻し、それぞれの歴史と伝統を持つ地域社会の再構築と復権が国家的課題として推進されるという共通の認識を持ったからであります。
 竹下総理はふるさと創生を最も重要な政策課題に据えて国民にアピールしております。しかし、
ふるさと創生の理念やビジョンは極めて不明瞭であり、地方の時代や田園都市構想と同じ結果に終わるように思えてなりません。
 どんな市町村にも一律一億円の交付税分配は、経済の好調、税収の過小見積もりなどによって膨らんだ財布から気前よく思いつきのばらまきをやろうとしているしか言いようがありません。ふるさと創生の理念とビジョンをお示し願いたいのであります。
 総理が国と地方の行財政制度の見直しを臨時行政改革推進審査会に諮問されたのは、「ふるさと創生」や四全総の多極分散型国土形成にとって地方制度の改革が不可欠の前提であるとの認識に立たれたのでありましょうか。総理の御見解を伺います。この問題については、昭和二十六年、地方行政調査委員会の貴重な答申、提言が出されており、また政府の諮問機関である地方制度調査会は昭和二十八年の第一次答申以来既に二十二回にわたる答申を行っていることを御承知でありますか。
 国税と地方税の割合は国七に対して地方三でありますが、歳出は逆に三対七の割合となっており、いかに中央集権構造になっているかを示しております。そして政権党もこれによって利益誘導型政治を形成してきたのであります。旧改革審の答申を含め、その共通点は一貫して中央集権から地方分権への改革であり、具体的には国の補助金の見直し、地方自主財源の強化、許認可権限の大幅地方移管などを内容とするもの資三十数年に及ぶ古くて新しい課題なのであります。政府はみずから諮問しておきながら、その答申を尊重せず、地方分権とは反対に中央集権を強化してきたのであります。明治以来百年にわたる中央集権的官僚機構とその体質はますます強固となって、その抵抗により制度改革に対する提言も無視され、歴代内閣による改革の試みも挫折してきたことを総理が知らないはずはありません。
 総理の認識とこの困難な改革に当たる決意とその手順についてお伺いいたします。
 最後に、総理に申し上げたいと思います。
 国民の声は天の声、国民の常識は天の理であると肝に銘すべきであります。福岡の参議院補欠選挙における自民党の惨敗は国民による天訣であると思い知るべきだと思います。また、権力は腐敗することも古今の歴史が教えております。戦後四十年政権を独占し、多数を擁した政府・自民党は、民主政治の原則及び歴史の教訓を忘れて、国民を侮り愚弄して、党利党略、私利私欲をほしいままにするに至ったことが今日の憂慮すべき政治状況を生んだのだと思います。今日まで政権交代の政治情勢をつくり得なかった野党に身を置く一人としてざんきの思いなしとしませんが、今日ほど我が国政治の浄化と健全な民主政治の確立が求められているときはありません。
 さらに、政治家の責任のとりょう、出処進退は難しいけれども、人間として、政治家として、後世までその人の真価を問われる最も大切なけじめであることを申し上げておきたいと思います。
 消費税問題、福祉年金政策、農業、教育関係等々については明日同僚議員から質問が行われることを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(竹下登君) まず最初、昨日逮捕者が出たことに対する私の感想をお求めになりました。
 かねてからリクルート問題について、証券取引法上の問題あるいは税法上の問題、刑法上の問題、政治倫理に基づく問題等について私は申し上げてまいりましたが、刑事上の問題、これは従来から捜査当局において厳正適切に処理していくべきものであろう、このように申し上げてまいりました。したがって、現在まさに捜査の過程にあることでもありますので、厳正かつ適切に処理されていくであろう、このように確信をいたしておるものであります。
 次の問題は、御意見をお述べになった上で、まず消費税の撤回等についてお答えをお求めになりました。
 今回の消費税の創設を含みます抜本的税制改革、これは我が国経済のまさに活力を維持しつつ、豊かな長寿・福祉社会をつくっていく礎ともなるべきものであります。
 消費税につきましては、国会における議論を経て創設され、今これが定着のために鋭意事を万全にしようと行っておるところでございます。したがって、撤回しようなどという考えは全くございません。
 さて、二番目はリクルート社の未公開株譲渡等についてのお尋ねでございました。
 国会の国政調査権に協力するというのは、いつも申し上げるごとく当然のことであります。行政府が個別の政治資金等について調査を行う、この立場にはありません。
 まずそこで、リクルート問題を契機として国民の間に政治に対する不信が広がってきている、このことは極めて憂慮すべき事態である、このように私も認識いたしております。だからこそ、今の発言にもございましたが、政治改革の実現が最大の課題であると思います。
 このような事態であればこそ、内閣総理大臣、言ってみれば行政府の長にある私の責任は、逃れることなく国民こぞって強く求めておる政治改革の具体的な実現にみずからのすべてをかけることであり、総辞職とか解散とかを考えることなく、忍耐強くその責任に当たっていく。各党各会派の御協力をお願いするものであります。
 さて、その政治改革についていろいろ御言及がありました。
 いわゆるリクルート問題は、今日までの状況において、証券取引上の問題、課税上の問題、刑事上の問題、それぞれ対応がなされ、またなされつつあります。
 したがって、その基本ともなる政治家とのかかわり合いの問題であります。
 これは私はいつも思うのでありますが、今も御指摘がありましたが、政治に金がかかり過ぎるという現実に身を任せてしまって、そこで安易な態度に私自身も含めなっておる傾向があると思います。したがって、今回の問題はまさに強い警報であり、ぬるま湯を出て真剣に政治改革に取り組まなければならない、このように考えておるものであります。
 したがって、そうなれば、政治資金、倫理あるいは選挙制度、これらの問題をも含め、改革の実現に全力を尽くす決意であります。
 次が、その政治改革の目標、手順いかんということでありました。
 現在、リクルート問題を契機としてこの政治不信、政治改革というものはまさに先ほども申し上げましたように最優先課題であります。各方面から厳しい批判を受けております。政治への信頼を回復しなければなりません。
 そこで、政治倫理につきましては、第一義的には政治にかかわる者一人一人のモラルに帰属する問題だと思います。政治家みずからが自己改革をして、政治倫理綱領を守って、国会の自浄能力を高めるための環境づくりを急がなければなりません。このために、金のかからない政治活動を確立して、さらにその基礎となります選挙そのもののあり方について改革する必要が生ずると思います。
 こうした考え方のもとにおいて、政治改革について各方面から御意見をちょうだいしようということで、政治改革に関する有識者会議を設けました。
 そして、これらの改革は国会の各党各会派の皆さんの御理解と協力があって初めてなし遂げられるものである、このようにも私は考えております。したがって地道にそれらを進めて、私のみずからのすべてをかけて実現に取り組む問題である、このように考えておるところであります。
 さて、衆議院の総定数、選挙区制についてのお尋ねがありました。
 衆議院議員の総定数のあり方につきましては、政治改革における一つの重要な課題として、これこそまず国会や各党を初め各方面において幅広く議論されることを期待すべき問題でございます。
 政府としても真剣に検討してまいるは当然のことであります。
 また、選挙区制の問題については、選挙の最も基本的なルールづくりの問題でありますので、余り予見というものを持つ、予断を持つということに行き過ぎることなく、国会初め各方面における論議の動向を見守りながら、おのずから決まっていく方向に従って努力すべきものであると思います。
 さらに、ダブル選挙についての御意見がございました。
 一般論として申しますならば、おっしゃいましたように、三年ごとの同時選が普遍的なものとして定着してしまうことは好ましいことではない、このように私も常日ごろ申しております。ただ、今までの事実も現実にございます。解散総選挙というものは、あくまでもそのときの政治状況等を勘案して内閣総理大臣が行う最高の政治判断でありますので、あらかじめ制約される性格のものではない、このように思っておるところであります。
 次に、外交問題についてお触れになりました。
 まず、国際情勢の認識であります。
 最近の国際情勢は、安定化に向けての新しい動き、米ソ間の対話の定着、欧州通常兵力交渉の開始など東西関係の進展、世界各地の地域紛争の解決に向けての具体的話し合いが活発化しております。
 しかし、東西関係の基本的構造が根本的に変化したとは言えません。また、世界各地には依然として不安定要因が存在しておりまして、国際情勢の将来は手放しで楽観をするという状態にはありません。
 我が国としては、国際情勢の一層の安定化に向けて今後も努力をささげてまいります。
 さて、我が国の外交の基本姿勢についてお尋ねがありました。
 国際社会の平和と繁栄は日本の生存と発展の基礎であります。我が国は、今や国際秩序の主要な担い手の一人として、我が国の豊かさを世界の平和と繁栄のため率先して生かしていくことが何よりも肝要であります。
 我が国としては、西側先進民主主義諸国の一員であります、そして一方アジア・太平洋地域の一国であるという我が国外交の基本的立場を踏まえました上で、「世界に貢献する日本」を実現することが必要であると思います。
 そのため、いわゆる三本柱、平和のための協力、ODAの拡充、そうして国際文化交流の強化、この三本柱から成ります国際協力構想の一層の具体化を図りますとともに、今後はこれを拡大的に適用いたしまして、環境問題など地球的規模の問題にも積極的に対応してまいる所存であります。
 次に、防衛問題に移ります。我が国は、みずから適切な規模の防衛力を保持いたしますとともに、日米安保体制を堅持することにより、我が国に対する侵略を未然に防止することを防衛の基本としておるということは申すまでもないことであります。もとより、これを進めていくに当たりましては、憲法及び基本的防衛政策に従っていくことは当然であります。
 そこで、軍事力増強の歯どめということについてのお尋ねがありました。
 我が国の防衛力整備につきましては、ただいまも申しましたように、憲法及び基本的防衛政策を踏まえまして、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を定めましたいわゆる防衛計画の大綱、これに従いまして、この水準の達成を図ることを目標とします中期防の着実な実施に今日まで努めてきておるところであります。
 その際、もとより昭和六十二年一月閣議決定いたしましたとおり、節度ある防衛力の整備、これに努めていくのは当然のことであります。
 さて、我が国としてやはりこの問題につきまして、されば今後新防衛計画等はどうなるかというお尋ねがありました。
 確かに、基本的に小山議員と考え方の異なった点がございます。
 平成三年度以降の防衛力整備につきましては、去年の十二月の安全保障会議におきまして、引き続き現行のような中期的な計画を策定する必要があるということで意見の一致を見たところであります。その内容については今後検討を進めていく、こういう考え方であります。
 ODA問題につきましてお答えをします。
 我が国ODAの拡充に伴いまして、効果的、効率的実施につき一層の努力を払うべきだと、これは当然のことであります。そういう考え方に基づいて種々の対策を講じておるところであります。
 また、ODAの実施に当たりましては、申されたように、これが適正に執行され、いやしくも疑惑を招くようなことがあってはならぬ、これも当然のことであります。
 そこで、今日まで我が国は、相互依存と人道的考慮に基づきまして、開発途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上に貢献することを目的として経済協力を実施してまいりました。
 この実施に際しましては、国会に対しましても、相手国の立場も配慮しつつ随時所要の報告あるいは資料の提出などを行ってまいりますとともに、情報の公開にも努めてきておりまして、援助に対し国民の一層の理解を得るべく努力して今日に至っております。
 我が国経済協力の実施体制は全体として順調に機能しておると考えております。なお一層改善すべきところもございましょう。経済協力のなお一層の効果的、効率的実施のためには、現行の関係法令等の枠内において運用の改善を図ってまいりたい。いわゆる援助基本法の制定というところは今日考えておりません。
 そこで、戦略援助を排除すべきだという御指摘がありました。
 我が国の経済協力に関する基本的考え方につきましては、先ほども申し上げてきたところでございますが、そういう考え方に立って、平和国家として、また自由世界第二位の経済力を有する国として、アジアを初め中南米、中東、アフリカの各地域から我が国に寄せられております強い期待があります、これらにもこたえつつ、今後とも経済協力を拡充していく所存であります。しかし、その実施はあくまでも我が国の主体的判断によるものである、これは当然のことであります。
 さて、「ふるさと創生」についてお尋ねがありました。
 ふるざと創生とは、日本人一人一人がみずから住むその地域を「ふるさと」と感ずることができるような充実した生活と活動の基盤をつくって、真の豊かさを目指すものであります。
 ふるさと創生のためには、これまでの発想を転換して、地域が自主性と責任を持っておのおのの知恵と情熱を生かして、小さな村も大きな町もこぞって地域づくりをみずから考えみずから実践していくことがまず基本にあります一この自立の精神によって、誇りと活力に満ち、しかも文化の薫り豊かなふるさとを築くことができると信じております。各地域で、人間味あふれたふるさと像を描いて、その実現に向けて努力していただきたい。
 政府においては、全国各地で見られますこうした動き、自主的、主体的な村づくり、町づくりにこたえることのできるよう積極的な支援を行ってまいりたい、このように考えております。
 さて、新行革審等についての御意見がございました。
 日本人一人一人がみずからの住む地域を「ふるさと」と感ずることができるような充実した生活と活動の基盤をつくって、真の豊かさを目指す、こうした考え方を基本に置きまして、そして地域が自主性と責任を持って知恵と情熱を生かし、その地域の歴史とか文化とか伝統とか産業とか、そのような基盤に立ちながらみずから考えみずから実践していく。これは第四次全国総合開発計画、これの多極分散型国土の形成とも私は合致するものであると考えます。
 そこで、やはり地方の活性化というものを図るためには、また別の角度として国、地方にわたります行政改革を行わなければなりません。それによって地方自治の体制を築き上げるところに自主的、自立的なふるさとづくりも期待できるわけであります。去年の十二月、新行革審に対しまして、国と地方の行政の役割や機能分担、費用分担など、幅広い問題について掘り下げた検討をお願いしたいと、このように申したところであります。
 地方制度のあり方を検討する機関としては確かに地方制度調査会がございます。御指摘のとおり、二十二次にわたります答申がなされておることも承知いたしております。これらの答申をも踏まえてさらに幅広い角度から国と地方とのあり方を見直していこうというのが新行革審の役割である、このように位置づけております。
 本年内に予定されます新行革審の答申をまちまして、積極的に改革に取り組んでまいりたいと思います。
 最後に、国民の声、国民の常識、そして天の声、天の理、私に対する御忠告の言葉をいただきました。感謝を申し上げます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣高辻正己君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(高辻正己君) 御質問の第一点は、昨日夕刻行われましたいわゆるリクルート疑惑事件関係者の逮捕について、その理由を明らかにせよということでございました。
 逮捕は、NTTの式場英元通信システム事業部長及び長谷川寿彦元データ通信事業本部長につきましては、いずれも日本電信電話株式会社法上の収賄の事実によるものでありますし、元リクルート社の江副浩正及びファーストファイナンス社の小林宏元社長につきましては、いずれも同法上の贈賄罪の事実によるものでございます。
 次に、御質問の第二点は、検察庁におけるリクルート疑惑事件捜査に対する姿勢を明らかにせよということでございました。
 検察当局は、昨年来、多数の検察官を投入いたしましてリクルートコスモス社の非公開株の譲渡関係を中心に事案の解明のため鋭意努力してきたところでありまして、昨日はいわゆるリクルート疑惑事件関係者を逮捕し、これらの者の自宅等を捜索し、さらに引き続き所要の捜査を行っているところでございます。検察庁においては、今後さらに証拠を収集し、事実関係の解明に努め、厳正公平な立場で適宜適切に対処していくものと確信されている次第でございます。
 以上、二問についてお答え申し上げました。(拍手)
#7
○議長(土屋義彦君) 西村尚治君。
   〔西村尚治君登壇、拍手〕
#8
○西村尚治君 私は、自由民主党を代表して、当面する内外の重要課題について、総理ほか関係閣僚に対し若干の質問を行うものでございます。
 質問に入る前に一言申し上げます。
 昭和天皇には、御快癒を願う国民の切なる願いもむなしく崩御せられました。まことに哀悼のきわみであります。
 六十二年間の長きにわたる御在位において、常に国民の心の支柱として内外の試練にたえられ、日本国の平和と繁栄のために心を砕いてこられました。
 ここに謹んでその御聖徳をしのび、衷心より哀悼の意を表します。
 私たちは、この深い悲しみの中から新しい平成の時代を迎えました。平成の時代が真に平和で豊かな、幸せに満ちた時代となることを願い、国民の皆さんと力を合わせて一層の努力を傾けてまいりたいものと考えます。
 さて、総理は平成元年に当たっての施政の方針を明らかにされたのでありますが、それにつきまして数項目にわたってお尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一は、政治改革についてであります。
 リクルート問題を契機として、今政治に対する不信感が国内にみなぎっております。総理は、内閣の最優先課題として政治改革に真剣に取り組むとの決意を表明されました。既に総理の意を受けて各機関で検討が進められておるようでありまして、その成果を期待するものでありますが、私は、政治改革の基本は政治倫理の確立にあると思うのであります。
 金のかからぬ選挙や政治ができるように選挙法や政治資金規正法等の抜本的改革が必要であることはもちろんですけれども、まずその前提として政治倫理の確立が肝要でありまして、それは、先ほども総理が述べられましたように、政治にかかわる者一人一人の自覚にまたなければならぬことは言うまでもありません。
 その一人一人の自覚を促す一助として、先年,衆参両院において政治倫理綱領が決議されました。それを見てみますると、例えば第一項には、「われわれは、国民の信頼に値するより高い倫理的義務に徹し、政治不信を招く公私混淆を断ち、清廉を持し、かりそめにも国民の非難を受けないよう政治腐敗の根絶と政治倫理の向上に努めなければならない。」。以下四項目にわたりましてまことに立派な議員のモラルの規範が示されておるのでございます。各人がこれを遵守しておれば政治が国民の不信を招くはずはないと思うのでありますけれども、残念ながら現実はそうなっておりません。ここに問題があると思うのであります。
 そこで、みんながこの倫理綱領を拳々服膺しながら国会の自浄能力を高めていく、それを助ける手段として、例えば政治倫理法のごときものを制定してはどうか。あわせて、国会に政治倫理特別委員会を設置して、その遵守励行をチェックする仕組みを考えていってはどうか。議員としてこのような提案をすることは残念なことではありまするけれども、かつて我々が尊敬する先輩もこのような考えを持つ人がございました。
 選挙法や政治資金規正法の抜本的な改革はもちろん必要です。必ず断行してもらいたいのでありまするけれども、この際、まず、この政治倫理の確立を目指して政治倫理法を制定することが緊要であると考えるものでありますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、外交問題についてであります。
 お話にもありましたように、最近の国際情勢には新しい流れ、新しい動きが見られます。米ソ首脳の対話を初めとして中ソ間にも正常化の動きがありまするし、アジア・太平洋諸地域に対するソ連の接近も目立ちます。
 この際、我が国としても当然積極的な自主外交を展開する必要があるわけでありまして、竹下内閣発足以来既に数度にわたって諸外国を訪問されていることはそのあらわれにほかならぬと思うのでありまするが、先般、総理はアメリカでブッシュ大統領と会談されました。その際、両国が相携えて世界の平和と繁栄のために貢献すべく政策協調と共同作業を一層進めることを確認したとの報告がございました。日米関係の強化は我が国外交の基軸でありまするから、そのような確認と合意がなされたことは歓迎すべきことだと思います。
 ただ、ここで一つお伺いしたいと思いますることは、最近アメリカ国内において、日本を経済的脅威としてだけでなく、いろいろな意味での脅威になると誤解して警戒心を強め、日本と対抗するためにソ連と手を結ぶべきだという日本脅威論、対ソ提携論がインテリ層の間にかなり出てきておると聞いております。さらに、それと関連いたしまして技術ナショナリズムの主張が台頭しておる、すなわち、技術を開放することはアメリカの優位性と競争力を失うとの懸念から開放をやめようとする動きがあるようでありまして、このたびのFSXの共同開発に対しアメリカ内部で異論が出ていることもその一つと思うのであります。
 もちろん、日本脅威論といい技術ナショナリズムといい、我が国としても反省すべき点があるかと思いまするけれども、このような考えや動きが増幅することは、緊密であるべき日米関係に亀裂をもたらすことになりかねはしないかと思うのでありまするが、総理はこうした動きをどのように受けとめられておるかお聞かせ願いたいと思います。
 次に、ソ連との関係でありますが、昨年十二月、シェワルナゼ外相を迎えてほぼ三年ぶりに日ソ外相間定期協議が持たれました。平和条約締結交渉も行われて、外務次官レベルの常設作業グループが設置されたということであります。
 確かに一つの前進だったと思いまするし、両国の関係の改善は私どもも心から望むものでありまするけれども、ただ、平和条約の締結は北方領土の返還がその前提でなければならぬごとは言うまでもないところであります。
 ソ連側はこの領土問題に対して依然としてかたくなな態度を捨てていないようでありまするけれども、そもそも北方領土は我々の祖先が血のにじむような努力を傾けて開拓した我が国固有の領土であるわけであります。このことは一点の疑いもない事実であるにかかわらず、ソ連が不法にこれを占拠して自国領だと主張して譲らず、あまつさえそこに軍事基地を構築して多大の兵力を配備し、長年にわたって我が方ににらみをきかしているという事実、これをそのままにして平和条約を結ぶなどということは我が民族にとってとても耐えられないところだと思うのであります。
 この北方の四島一括返還は我が国民の年来の非願であります。もちろんこのことはよくおわかりの上で御尽力願っているわけでありまするけれども、くれぐれもこのことを銘記されまして不退転の決意を持って粘り強く交渉されまするよう、国民の声を代表して外務大臣に強く要望いたしておきます。
 次に、経済問題についてでありますが、このところ我が国経済は極めて好調に推移しております。民間設備投資と個人消費が牽引力となって、内需主導型の好もしい経済パターンのもとに景気の拡大が続いていることは心強い限りだと思います。人によっては昭和四十年代前半のイザナギ景気の再現を予測する向きもありまするけれども、今後とも現在のようなインフレなき経済の持続的成長を確保するためにいかなる政策運営を行うつもりか、その基本方針を伺います。
 ところで、こうした順調な経済成長の結果、我が国の国民総生産は昭和六十三年度で三百七十兆円余に達し、世界経済の一五%を占めるに至りました。また、世界一の債権国ともなっておるわけでありますが、反面、国民生活の実態から見ますると国の経済力に見合った豊かさを実感している人が少ない。先般の政府の世論調査によりましても、それはわずか二〇%程度にすぎません。なぜか。その原因としてはいろいろありましょう。
 まず、大都市周辺の土地や住宅が高騰しておること、また一般に居住水準が低いこと、社会資本の投下が十分でないことなどが指摘されておりまして、これについては抜本的な対策を早期に講じてもらいたいわけでありますが、私はもう一つ、この豊かさの実感を妨げている原因として物価高を指摘せざるを得ないのであります。もちろん物価の騰貴率の方は諸外国に比べて最も安定した状態にあるわけですけれども、物やサービスの値段そのものが高い。これが大きな原因になっておると思うのであります。
 経済企画庁の調査によれば、食料品の価格はアメリカの約二倍であり、ガソリンは三倍であるなど割高なものが多く、全体を平均しましても日本の物価水準はアメリカの一・五倍と推定されております。今後、時短や週休二日制の普及などからやたらに賃金を上げることができない状況にありましては、物の値段を下げ、実質所得を引き上げて生活を改善していくことが必要だと思うのであります。
 そのためにはまず円高差益の還元を図ることが考えられるのですけれども、必ずしもまだそれが十分とは申せません。そういうことからも、例えばもっと並行輸入を強化する、流通の合理化を促進する、さらに規制を緩和して競争条件の整備を図るなど、打つべき手が多々あると思います。特に、経済企画庁の調査によりますると、政府の規制のあるものほど国内物価は高どまりしておるということであります。しかも、こうした政府の許可、認可などの件数は昨年三月末で一万件を超えたと言われているのでありますが、こうした規制を今後緩和する方向で検討すべきではないかと思うのでありますが、政府の所見をお伺いいたします。
 次に、財政問題についてでありますが、平成元年度予算案は、ここ数年続いた厳しい歳出削減方式を踏まえつつも、最近の経済財政状態を勘案しながら国民の需要、要望によく対応しようと努めたこと、さらに公約である財政再建を強力に進めて平成二年度の赤字公債からの脱却を確実にしたという点で、はぼ満足すべき内容のものと言ってよいと思います。
 ただ、ここで一つの大きな課題と考えられまするのは、財政再建達成後の新たな財政改革目標の設定についてであります。
 予算編成において赤字公債を大幅に減額したことで、平成元年度の赤字公債発行額は一兆三千三百十億円となり、平成二年度を目標とする財政再建の達成はほぼ確実になりました。しかし、国債発行というフローの面では大幅な改善が進められたものの、累年発行されて根雪となったストックとも言うべき国債残高は、来年度において百六十二兆円に達し、国民総生産に占める割合は四二%。アメリカでは、財政赤字、双子の赤字ということがやかましく言われておりまするけれども、そのアメリカに比較してもかなり高い比率を占めております。それに要する利払い費は約十一兆一千億円、予算全体の一八%で依然高水準にあります。さらに、昭和五十七年度以降、苦しい財政事情のもとで後年度に負担を繰り延べてきた借入金も約十兆円に上っております。
 平成二年度で赤字公債からの脱却が実現した暁には、財政のこうしたストック面の処理を含め、今後どのような新たな財政改革の目標を設定されようとしておるのか、大蔵大臣の御見解を伺います。
 財政の第二の課題は、消費税の定着についてであります。
 十数年来の懸案でありました税制改革が、昨年末の国会で実現することになりました。これに対してはいろいろな批判があり、また反対もありまするけれども、公平に見て、これは竹下内閣のやり遂げた大きな業績であると言っていいと思うのであります。国税、地方税合わせて実に五兆六千億に及ぶ大型減税を断行して、勤労者などの負担の軽減を図ったのみでなく、二十一世紀の長寿社会に備えて福祉制度の充実、社会資本の整備等のための財源の確保を図ったという点からも、後世の史家は必ずや高くこれを評価するものと私は確信いたします。
 ただ、新税には当初いつも懸念がつきまといます。特に、今回の消費税のように、すべての段階に一律に課税して消費者がこれを負担する仕組みの税金は初めての経験であります。それだけに国民は不安を抱いております。だからこそ総理は、国民の持つ懸念を八つに整理してそれぞれにふさわしい対応策を示されたわけで、このことは国民の合意形成や不安解消にかなり役立ったものと思います。
 今後は、四月一日から始まる課税の執行段階においてこの税をいかに定着させるかが大事なかぎとなるわけでありますが、そのためには、税を負担する消費者と税を預かる納税義務者の双方の信頼を得る税務行政でなければなりません。
 その観点から二つの点についてお尋ねしますけれども、その第一は、納税義務者にとって最大の問題は、消費税をいかにしたら円滑に適正に転嫁できるかであります。このためカルテル行為が認められることになっておりまするけれども、競争の特に激しい分野や下請企業などにとっては必ずしも十分な転嫁ができるか保証の限りでありません。その一方、消費者にとっては過剰転嫁、いわゆる便乗値上げが起こるのではないかとの不信感があります。これら双方の不安と不信をどのようになくしていくつもりか、政府の方針と対策を伺います。
 第二は、消費税の導入に際し帳簿方式などの制度的なさまざまの事務負担の軽減措置を講じましたけれども、事務費の負担増は避けられません。その上、ふなれも手伝って、時として帳簿記入の漏れや計算ミス、あるいは手違いなどが生じるおそれがあります。このため一層税務当局による監視が厳しくなるのではないか、さらに重課されるのではないかなどのさまざまな懸念を抱く中小企業が多いのであります。六カ月間の弾力的運営のことは承知しておりますけれども、こうした関係者には懇切丁寧に指導して、この税があくまで円滑に円満に実施されるよう格段の配慮をお願いしたいと思います。
 次に、「ふるさと創生」についてお尋ねいたします。
 ふるさと創生は、竹下総理がかねてから掲げられてきた大きな旗印であります。総理の意図を体して平成元年度予算には「ふるさと」絡みの予算が各省軒並みと言ってよいほど出ておりまするけれども、その中で注目されるのはふるさと創生資金の配分であります。一律一億円の配分を受けることになって、地方自治団体は大いにやる気になっております。
 これまでの地方振興は、概して国や県が計画を立て、市町村はお仕着せでその恩恵に浴するといりパターンが多かったわけでありまするけれども、今回の資金配分は、それから見まするとまことに画期的な新鮮味のある施策でありましく必ずや各地方自治団体とも総知を絞って、それぞれの伝統と特性を生かした地方振興策を案出するもりと考えます。この中で大いに見るべき施策や計画がありますれば、引き続き次年度以降も実施、失行できるよう政府としての援助をお願いしておきます。
 これと関連をして、この際特に政府に要望したいと思いますることは、ふるさと創生を支援するものとして、全国的な交通網と情報通信網の整備を促進されたいことであります。昨年制定された多極分散型国土形成促進法を受けて、政府は全国一日交通圏の構築など交流ネットワーク構想を打ち出しております。これとタイアッブする形で高規格幹線道路一万四千キロを建設するという壮大な計画ができておるのでありますが、実際問題として、これがすべて全部完成するには三十年はおろか四十年はかかるであろうというのが専門家の見方であります。これでは絵にかいたもちになりかねません。そこで、一万四千キロのうちせめて九千キロは、これを二十一世紀初頭までに完成させようという方針だと聞いております。このこと自体はまことに結構ですけれども、ぜひやってもらいたいところですけれども、ただ従来の手法を見ておりますると、交通量が多くて採算上有利な路線が優先されてしからざる地域はいつも後回しにされる。高速道のついた地方は大いに発展するけれども、後に残された地域はますます立ちおくれが目立ってくる。これでは全国土にわたっての均衡のとれた開発、発展は到底望めません。
 そこで、今後九千キロの路線決定に当たっては、地方の拠点都市を、それも全部とは申しません、少なくとも県庁の所在地である地方振興拠点都市をつなぐ路線については、重点的にぜひその枠に組み入れるよう政府の特段の配慮を願いたいのであります。
 ふるさと創生資金の配分をきっかけとして、地方はソフト面ではかなり活気づいてくるものと思います。その上に交通網、情報通信網などのハード面の整備が伴うならば、そこに相乗的効果があらわれて活力に満ちた本当のふるさと創生が実現すること間違いありません。これこそが総理の提唱されるふるさと創生に真にかなう道だと考えるのでありますが、建設大臣の前向きの勇気ある答弁を期待いたします。
 最後に、農業問題についてお尋ねいたしますが、近年我が国農業を取り巻く環境はまことに厳しいものがあります。毎年大幅の減反政策がとられるのに加えて、国が関与する農産品価格は次々に低下する、外国からは農産物輸入自由化の圧力がかかる、これからの農業は一体どうなるのか、将来に望みが持てなくて農業から離れる若者が多く、放置しておいては農村は衰微するほかないという声を聞くのでありますが、もちろんこれは大問題でありまして、古くから農は国の基本だと言われておりまするように、農業は、国民の命を支える大事な食糧を供給するという使命を担っているばかりでなく、国土の保全、自然環境の維持という点でも大きな役割を担っておる、国の大事な基幹産業であるわけであります。
 だからこそ、政府にあっても農業の生産性の向上や後継者づくり、あるいは牛肉・オレンジ等の輸入自由化に対する対応策等々、このたびの補正予算においても、また新年度予算についてもいろいろと措置を講じられておることは私も承知しておるのでありまするけれども、この際、我が国農業の今後あるべき姿、将来展望について、農村の人々が安心して仕事に精出せるよう、農政通として定評のある羽田農林水産大臣からわかりやすく方向を明示してもらえたら幸いと思います。
 なお、米についての輸入自由化の問題でありますが、一般的に市場の開放は時代の流れであり、世界の趨勢でありまして、国際社会の有力な一員としての我が国も最大限これに協力すべきことはこれは当然と思いまするけれども、しかも、米だけは別だという根強い考えがあるのでありまして、国民の主食でありまた我が国農業の基幹作物でありまする米についてはやはり別だと。しかも我が国は食糧の自給率、特に穀物の自給率はわずか三一%、どこの先進国に比べても一番低いという点も考え、食糧の安全保障ということからしてとてもこれは認めるわけにはいかないと私どもも考えておるのであります。
 この問題については、既に衆参両院においても反対の決議をしておることは御承知のとおりであります。先般のカナダのモントリオールにおけるガットの会議では幸い事なきを得たようでありまするけれども、四月にはジュネーブで高級事務レべルの会議が開かれると聞いております。そこで米の問題が取り上げられるかどうかまだ決まっていないようでありまするけれども、いつどこにおいても常に毅然たる態度でこの主張を貫いていただきたいと思います。
 農林水産大臣の御答弁をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(竹下登君) まず、政治倫理の確立こそ先決である、このように断定されての政治改革に対する御質問であります。
 現在、リクルート問題等を契機としまして国民の間に政治に対する不信感、これが広がっております。政治改革は、まさに竹下内閣にとって最優先の課題であります。各方面からの厳しい批判を謙虚に受けとめて、政治への信頼を回復する、これがために精いっぱい努力をいたしてまいります。
 もとより、第一義的には政治にかかわる者一人一人のモラルに帰着すると、このように御指摘がありました。政治家みずからが自己改革をして、政治倫理綱領を守って、国会の自浄能力を高めるための環境づくりを急ぐべきであるとも思います。したがって、やはり基礎をなします選挙そのもののあり方、政治活動そのものの確立、それに改革の一点を当てるべきものであると思います。
 こうした考え方のもとに、今、各方面から意見をちょうだいしようというので、政治改革に関する有識者会議を開催いたしております。
 これらの改革というものは、これは政府だけでできるものではありません。国会、各党各会派の皆様の御理解と御協力によって初めてなし遂げられるものであります。私自身は、すべてをかけてこれが実現のために尽くしたい、このように考えるところであります。
 具体的な提案として、政治倫理法等の問題にお触れになりました。
 政治倫理の問題は、やはり政治家一人一人の自覚と日々の努力によって確立されるものであるということは申すまでもありません。しかし、それだけに頼ることなく、政治倫理綱領を遵守しやすいような環境をつくっていこう、その整備はこれまた不可欠でありますので、御提案の構想というのも私は一つの方法であろうと、このように考えておるところであります。
 さて、米国における日本観の変化にお触れになりました。
 日米関係が今日のように緊密かつ深いものとなりますならば、これだけ幅広い関係になれば、時として問題が生ずるというようなことはこれは極めて自然なことであるとも言えます。日米関係の基礎は、まさに強固にして健全であると私は思っております。日米両国は、二国間の関係を静かな対話によって物事を解決するという能力を時間をかけて築き上げてまいりました。
 今次の訪米に当たりましても、米国の対日重視姿勢あるいは対日期待、これを改めて認識したところであります。今後、米国との間で緊密な政策協調と共同作業を進めながら、二国間の諸問題、そしてそれは単なる二国間にとどまらず、世界的に共通の課題であるという認識のもとに対応してまいりたいと思っております。
 次の問題は、経済運営であります。
 御指摘にもありました。最近の我が国経済は、個人消費、設備投資、これを中心にいたしまして、まさに内需が堅調に推移しております。そして、それもまた拡大局面にある、このように考えられる状況であります。
 平成元年度におきましても、外需が引き続きマイナスに寄与する一方で、個人消費、設備投資など、内需を中心とした着実な成長が持続するものと見込んでおるわけであります。
 政府としては今後とも、御指摘にありましたように、インフレなき持続的経済成長と対外不均衡の一層の是正を図りますために、引き続き適切、機動的経済運営、これに努めてまいりたい、このように考えます。
 そうして、経済大国となったが、豊かさの実感、これについて具体的に土地、住宅物価等に、お触れになりました。
 経済大国としての我が国の経済力に見合った豊かさを実感できる多様な国民生活を実現することは、今後の基本的な目標の一つである、このように認識いたしております。
 そこで、今後とも、土地問題については総合土地対策要綱の推進を図りますとともに、本国会へ土地基本法案の提出を予定しておるという今日であります。
 住宅問題については、良質な住宅ストック及び良好な住環境の形成を基本目標としました住宅対策の推進を図ってまいります。
 一億二千万、最終的にはすべて消費者であります。したがって、物価問題、この安定と、御指摘にありました内外価格差の縮小を目指していく、これが物価問題に取り組んでいく姿勢であらなければならないわけであります。
 そこに具体的には円高差益問題等も出てまいります。
 円高差益につきましては、累次にわたります対策等によって還元策を講じて、かなり浸透してきておるものと思われます。ただ、国民生活の実感は、円の対外価値の上昇に必ずしも伴っていない面は率直にあると思います。
 したがって、今後とも、為替レートの動向等を踏まえ、円高メリットの一層の浸透に努めていきますとともに、御意見にもありました並行輸入、これらについては不当に阻害する行為がとられないように努める。そして、流通の合理化につきましては、今後とも情報化あるいは物流の合理化、中小企業の近代化等の施策を推進してまいります。また規制緩和、この問題は、昨年末閣議決定いたしました規制緩和推進要綱に基づいて最大限の努力を傾注してまいります。そういうことを通じて、内外価格差の是正、縮小を図っていくことが大切であると考えておるところであります。
 さて、ふるさと創生問題であります。
 この事業は、御指摘がありましたように、昭和六十三年度から平成元年度までのものでありますが、この事業を契機として、各地域において広く住民の参加を得て、未来につながります地域づくりが行われますよう、その起爆源となることも期待をしておるところであります。
 そして、国は、それぞれの取り組みに応じまして、あるいは広域市町村圏の基金構想問題でありますとか、あるいはインフラ整備等の単独事業の活用でありますとか、そしてまたふるさと財団の活用、そういうものをまさに総合的に展開して、これを支援し実効を上げていかなきゃならぬ、このように考えておるととろであります。
 御指摘になりました対ソ問題あるいは財政問題、道路問題、農業問題等、それぞれ担当大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(宇野宗佑君) 北方領土問題に関しまして、その交渉に対し御激励を賜り、御礼を申し上げます。
 仰せのとおり、我が国の不動の方針は、まず北方四島一括返還をなすこと、それに次いで平和条約を結ぶこと、そして日ソ間において安定的な信頼関係を構築すること、これはもう今申しましたとおり不動の方針でございます。したがいまして、十二月の日ソ外相会談におきましてもまたバリの外相会談におきましても、私はその主張をしてまいりました。また同時に、お互いが北方四島に関する歴史的な見解を述べ合ったということも一つの新しい展開ではございましたが、しかし、ソ連の立場はいささかも変わらず、極めて厳しいものがございます。
 しかしながら、この北方問題について、平和条約交渉という一つのテーマのもとに、両国においては事務次官レベルのワーキンググループ、これを常設することに同意いたしました。三月末にこの交渉が行われます。五月には私が訪ソいたします。そうしたものを通じまして、北方四島一括返還の実現のためさらに粘り強く努力をいたします。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(村山達雄君) 私に対する御質問は、次の三点でございました。一つは、赤字公債脱却後の財政再建目標をどういうふうにやるか。もう一つは、今度の消費税の円滑な定着についてどのような施策を講ずるのか。第三番目は、いわゆる弾力的運用、この法制的措置はわかっているけれども運用面でどういうことを考えているのか。この三点でございました。
 まず赤字公債脱却後の問題でございますが、やはり、来年でございますが、経済はしょっちゅう変わるわけでございます。税収は今好調でございますけれども、これは極めてまた不透明でございますので、まず第一に、やはり来年度の脱却の問題に最重点を置いて考えたいと思っております。
 御質問はその後のストックの問題でございますが、仮に平成二年度にこれを脱却したときにどんな問題があるか。西村議員が御指摘のように、百六十二兆という大きな残高、二〇%に上る利払いがあるわけでございます。そのほか、恐らく建設国債だけで言いましても、公債依存度はやはり世界でもう非常に高い方になるということは当然のことでございます。そういうことを考えますと、この問題はやはり平成三年度以降においても真剣に考えねばならぬと思います。恐らくこれらの問題について各方面からいろいろな議論が出ると私は予定しているわけでございますが、そういう議論を踏まえながら、また平成二年、三年度の情勢を見ながら、ただいま議員から御示唆をいただきました再建方策を勉強したいと思っております。
 ただ言えますことは、そのほかにも、これだけの赤字公債を脱却するためにも、実は定率繰り入れを停止して達成しているわけでございます。これはNTTの株の売却収入があるということでございます。これはやがてなくなるわけでございますから、さあ二兆から三兆の繰り入れをまずどうするのかという問題があります。また、厚生年金への繰り入れ、ずっとあるわけでございますが、繰り入れを繰り延べているわけでございます。こういう問題を控えておりますので、いずれいろいろな御意見を拝聴してつくりたいとは思いますけれども、厳しい財政運営になるということは避けられないであろうと、このように考えているところでございます。
 それから第二点の、消費税の定着という問題でございます。
 御承知のように、この問題は非常に大きな問題であり、日本としては初めての税でございますので、今我が政府では、総理大臣を本部長とする新税制実施円滑化推進本部というものをつくりまして、そして、おっしゃるような定着に全力を挙げているところでございます。
 一つは、適正転嫁という問題でございます。適正転嫁に関する税革法の十一条という法文、これは日本の税制では初めて入れられた法文でございます。事業者は適正転嫁をするものとする、また、国と地方もそれを踏まえて大いに国民にPRしなさい、こういう規定がございます。この精神に従いまして今やっているわけでございます。
 そして、適正転嫁のための一つの法律的の改正手段といたしましては、独占禁止法に関する例外規定を二年間もうけたのでございます。御案内のように、中小企業者については価格の転嫁について共同作業ができる、それから大企業については表示の方法について共同作業ができる、こういうことになっております。現在、これに基づきましてそれぞれの業界の方々が、こういう方法ではどうですかこういう方法ではどうですかということをどんどん今進めておりまして、もう漸次具体化しておるところでございます。
 もう一つは、経済的弱者に対して買いたたきがないか、この問題でございますが、これも下請代金支払遅延等防止法、こういったものの具体的の適用例について業界に今どんどん示しておるところでございます。ですから、こういうことをやるといかぬのだなということはだんだんわかってきております。
 それから第三番目は、便乗値上げの問題でございますが、これとあわせて既存間接税の廃止に伴う価格の低下があるわけでございますが、今この両方を含めてモニター制度の倍増を図っておりまして、監視しているところでございます。
 それから最後の弾力的運営の問題でございますが、制度的の問題は租税特別措置法あるいは消費税施行令で定めております。基本的な運営につきましても、同じような広報面あるいは相談面、指導面、これを通じまして、推進本部を中心として関係省庁一緒になりまして今推進しているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小此木彦三郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(小此木彦三郎君) 「ふるさと創生」を支援するために全国的な交通網を整備促進すべきである等のお尋ねでございます。
 二十一世紀に向けまして多極分散型の国土を形成し、魅力あるふるさとの創生を図るために、高規格幹線道路網一万四千キロメートルの形成が必要であることは言うまでもございません。このため国土開発幹線自動車道建設審議会を去る一月三十一日に開催いたしまして、県庁所在都市等地方の重要拠点との連絡を考慮しまして、国土開発幹線自動車道の新たな基本計画、整備計画等を策定したところでございます。
 今後とも、高規格幹線道路網の計画的な整備の推進に大いに努めてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(羽田孜君) 西村議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、我が国農業の将来についてでありますけれども、今日の我が国の農業は、土地利用型農業部門における経営規模がいまだ小さいこと、また一部農産物の需給が不均衡であること、諸外国からの市場開放要求が今なお寄せられていることなど、厳しい情勢にあると認識しております。
 しかし一方では、バイオテクノロジー等の技術革新もございますし、また農地の賃貸ですとかあるいは作業の受委託、またそういったことを進めるための集団化、こういったことも実は進められ
ております。また、消費者の皆さんは非常にニーズが多様化いたしております。そういう中でお年寄りの方などによる有機農法ですとかあるいは低農薬農法、こういうものも進められておるように存じております。また最近では、地域の特産物を輸出しようというようなことで、ナシですとかあるいはミカン、リンゴ、キウイフルーツ、そのほかエノキダケ、こんなものがもう既に輸出をされておりますけれども、いずれにいたしましても、農業者の創意と工夫によりまして地域の特性を生かしつつ農業を魅力ある産業とすること、これは私は十分可能であると思いますし、またその支援体制というものを十分組んでいかなければいけないと思っております。
 このような状況も踏まえまして、農政審議会報告などで示された方向に沿って、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給をすることを基本として、農業の生産性向上を図るとともに、農業者が将来に希望を持って農業にいそしめるよう、魅力ある農業の確立に向けての農業構造の改善、農村地域の活性化等の諸般の支援策を一層強力に推進してまいりたいと考えております。
 また、農業者が将来を見通しつつ営農を展開する、これが実は今一番大事であろう。今西村議員の方からのお話がございましたのも、やはりそれに不安を持っておるということであろうと思っております。そういうことで、自由化後の需給の動向ですとか、あるいは日本型食生活というもの、こういうものを進めたらどうだろうか、こういったことも織り込みまして、新たな「農産物の需要と生産の長期見通し」、これを策定することといたしております。
 なお、牛肉・かんきつ等の輸入自由化関連対策につきましては、昨年十二月に成立を見ました畜産二法や、昭和六十三年度補正予算案及び平成元年度予算案において計上しておりますそれぞれのきめの細かい措置により万全を期してまいりたいと考えております。国際化時代が進む時代でありますけれども、食糧安定供給、また自然の保全など農業というものがやはり国の政策の基本であるという、これは変わらざる価値としての基本的な考え方に立ってこれから農政をさらに強力に進めていかなければならないと思っております。
 なお、米の自由化についての御指摘でございますけれども、米の貿易問題につきましての我が国の立場は、現在進行中のウルグアイ・ラウンドの場で各国が抱える農業問題及び制度について持っておるところのハードな問題について議論を行う段階になれば、米の問題を含むあらゆる農業問題を討議することにやぶさかでない、今日までの基本的な考え方というものに変わりはございません。
 なお、一億二千万人の主食でございます米、また水の酒養ですとかあるいは土砂流出、こういった国土保全機能という輸入の不可能な多面的な機能というものを農業は実は持っておるところでございます。そういった米ですとかあるいは稲作、この格別の重要性にかんがみまして、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国際的な理解を得ながら、国内で自給するんだ、国産で自給するんだという基本的な方針で私どもは強力に対処してまいりたい、かように考えております。
 以上であります。(拍手)
#14
○議長(土屋義彦君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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