くにさくロゴ
1988/02/15 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1988/02/15 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第5号

#1
第114回国会 本会議 第5号
平成元年二月十五日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  平成元年二月十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 昭和六十三年度の水田農業確立助成補助
  金についての所得税及び法人税の臨時特例に
  関する法律案(衆議院提出)
 第三 昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日
  とする法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 国民の祝日に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、新議員の紹介
 一、日程第二より第四まで
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。高桑栄松君。
   〔高桑栄松君登壇、拍手〕
#4
○高桑栄松君 私は、公明党・国民会議の立場から、さきの四演説につきまして総理並びに関係大臣に質問をさせていただきます。
 質問に先立ちまして、昭和天皇の崩御に対し、謹んで哀悼の意を表します。
 最初に、政治姿勢でありますが、総理にお伺いをいたします。
 まず、リクルート事件についてでありますけれども、これは、ついに来るものが来たということでありましょう。政官界への波及必至という見方の中で、国民は指揮権発動について権力者への疑いを深めております。いやしくも疑惑の解明が阻害され不徹底に終わることのないよう、総理は決意を表明していただきたいと思います。
 さて、参議院改革について伺います。
 最初に、議長には特に聞いていただきたいと思っております。
 私は常々、レーゾンデートル、存在理由ということをモットーにしてきました。参議院改革を論ずるに当たりまして、参議院の存在理由、そして参議院議員の存在理由を改めて考えてみる必要があろうかと思うのであります。
 参議院が衆議院のコピーであるならば参議院は無用である、これはしばしば言われてきたところであります。私たちは、参議院無用論に反論しなければなりません。参議院は、六年という任期の中で、中長期的展望に立った提案、審議が必要ではないか。また、採決に当たりまして、時に衆議院とは違う結果が出てもいいのではないか。しかし、議員が党議に一〇〇%拘束されるならば、それは衆議院のコピーにほかなりません。私は幸いにも公明党・国民会議に所属しておりますが、公明党は私たちには党議拘束をしないという公約をしております。実際、私たちは二、三の問題について党議とは明らかに違った行動をとりました。
 サッチャー英国首相は、死刑復活案を数次にわたり提出いたしましたが、与党の賛成が足りなくて否決されております。これは、議員の良心を根幹とする議会制民主主義の理念を示すよい例ではないかと私は思います。
 参議院がその存在理由を主張するのであれば、良心に問うて党議拘束を離れることもあり得るということを各政党間の了解事項とすべきではないかと私は思います。これは自民党総裁である竹下総理にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 次は政治姿勢についてでありますが、総理は、政治改革は最優先課題であるとして次の三点、政治倫理、選挙制度、政治資金規正法を挙げております。
 政治倫理については、政治家のモラルに帰着すると申しておられます。「心ですって?おかしくはございません?そんなものは権力を持たない人間が後生大事にしているものですわ」と、これは、三島由紀夫が戯曲「鹿鳴館」の中で政府の権力者影山の妻朝子にこう言わせております。権力のトップの座にある総理、私はあなたがこの三島由紀夫の質問にこたえていただきたいと思います。リクルート事件については、法に触れる触れないが問題なのではなくて、国民は政治家の金権体質を問題にしているのであります。
 次の選挙制度、政治資金規正法については、具体的な方策を示していただきたい。特に政治資金規正法については、国民の不信感を払拭するためにもこれは急がなければなりません。反省の言葉によく遺憾の意とか不徳のいたすところという言葉が使われます。総理も、大臣が引き続いて交代をいたしましたときに、不徳のいたすところと言っておられます。フトク要領な表現だけではイカンと私は思うのでありますが、任命権者としての総理、あなたの責任はどのようなものか、お答えをいただきたいと思います。
 次は、経済、財政について総理並びに大蔵大臣にお伺いをいたします。
 我が国は、経済大国と言われながら、実質的には生活小国と言わざるを得ません。対外経済不均衡は依然改善されておりませんし、これがさらに貿易摩擦を深刻化させるのではないかという懸念がございます。政治の重要な原則の一つは未来予測にあると思います。予算とは予測値であります。この考えに立って私は質問をいたします。
 今年度補正で三兆円の税の自然増が見込まれておりますが、実際には五兆円を上回るという大方の見方がございます。この数字は予測の一七〇%に当たりますが、一〇%以内の誤差は統計学的には単なるエラーとして認めることができるのでありますけれども、七〇%というのは大差でありまして、これは明らかに有意の差であります。これは、国民の反対する消費税を強行導入しようとするために意図的に用いられた数値ではないかと勘ぐられても仕方のないほどの数値ではないでしょうか。これについて説明をしていただきたいと思います。
 次は、経済構造の問題でありますが、地域間、業種間の不均衡などは一向に是正されておりません。内需拡大基調を一層確実なものにし、高齢化社会への対応に向けて経済構造の改革に果敢に取り組むべきであると思います。特に生活関連の社会資本整備を促進し、民間経済の一層の活性化を図るべきだと思いますが、御所見はいかがでしょうか。
 土地問題でありますが、これを解消するためには国土利用計画法の強化、融資の適正化などが挙げられます。また、良質低廉な住宅供給が問題でありますが、住宅取得促進税制による控除額の引き上げなど、金融、財政上の強力な助成措置を講ずべきであると思いますが、御見解を承りたい。消費税法は、国会審議を通して数々の重大欠陥が明らかになりました。私は消費税には強く反対するものでありますが、さきの福岡における参議院補欠選挙の結果は、リクルート事件の批判と消費税反対の表明であると思われるのであります。私は少なくとも四月実施を一年間凍結すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 消費税の逆進性の緩和策は歳出面で考慮すると言われましたが、小手先に終始したと言わざるを得ません。低所得層で自立の道を歩んでいる者に対する対策は皆無に等しいのであります。老齢福祉年金受給者などには、わずかの年金増額でお茶を濁しているではありませんか。逆進性等の数々の懸念について、これを解消するための具体的な手法を伺いたいと思います。
 なお、消費税の税率水準については、長期的な歯どめを法的に規制すべきであると思いますが、お考えを承りたい。
 なお、不公平税制の是正、キャピタルゲイン等を含めまして所得の総合課税を再検討すべきである、こう思います。税制に対しての御意見を承りたい。
 次は、外交、防衛についてでありますが、総理並びに外務大臣に伺います。
 総理は、去る二月二日ブッシュ大統領と会談をされましたが、この中で注目すべきことは、日本の経済援助が中南米、アフリカにまで拡大をされるということであります。経済力では対等のパートナーと言われ、バードソンェアリングという名のもとに米国の世界戦略への補完的役割が強まる懸念はないのかということについてお伺いをしたいと思います。
 次に、人口問題でありますけれども、トーマス・R・マルサスは、その人口原理の中で、人口の増加と食糧資源の不均衡が戦争や悪徳を引き起こすと述べております。公害問題も同じく人口増がもたらす悪徳、すなわち環境破壊にほかなりません。我が国は、敗戦後のあの厳しい人口問題を教育によりまして見事に克服いたしました。我が国のこの経験は、世界の人口問題、特に開発途上国に大いに役立つものと期待されます。
 ここでASEAN諸国の人口問題についてでありますが、私は人口・資源・開発に関するASEAN国会議員セミナーに毎年オブザーバーとして出席をさせていただきました一これに対してオーストラリアは一九八〇年以降総計八百万ドルに及ぶ援助をしておりますが、八七年六月に打ち切られまして、実際は困っているというのが現状であります。我が国は人口問題に対しては国連を経由いたしまして巨額の拠出をしておりますが、ASEANには直接拠出はしておりません。この際、我が国がこれを引き継いで、五年間で一千万ドルくらいを拠出できるならば非常に有意義でありますし、また、ASEAN外交にも大いに役に立つものと私は思います。
 一昨年十二月、総理はマニラで講演をされましたが、このときのことをこの国会議員セミナーの事務局長がこう言っております。総理の演説は経済援助優先であって人口問題解決への協力は示されていなかった、残念であった、こういうふうに言っております。総理は来る五月にASEAN諸国を訪問されるとのことでありますが、この機会に積極的に援助することをアピールされることを私は強く希望いたします。
 ハワイのイースト・ウエスト・センター、御承知かと思いますが、この東西センターに匹敵するような、例えば南北センターとも言うべき、南北問題や地球環境そしてアジアの人口問題等をテーマとする国際的スケールの研究施設を設立してはいかがかと私は考えております。提案させていただきます。
 次は、安全保障についてでありますが、近年緊張緩和が世界の趨勢になりつつあります。中距離核戦力全廃条約の発効、そして地域紛争の鎮静化、また、米ソ、中ソ等の対話の進展が伝えられております。このような情勢化で我が国の安全保障を考えてみますと、昨年末、安全保障会議で九一年度以降の防衛力整備計画の着手を決定いたしました。この次期防というものはいかなるものか伺いたいと思います。また、防衛大綱見直しの意図があるやに伝わってきておりますけれども、これについてのお考えはいかがでしょうか。
 次は、防衛費についてでありますが、ブッシュ大統領はその施政演説の中で国防費を据え置くことを明らかにしております。我が国の防衛予算は三年連続GNP比一%を突破しております。これについて政府部内で歯どめ論議はなかったのか、伺いたいと思います。
 このことは、世界のデタントの潮流に逆行するものではないであろうか。また、特に近隣諸国には、軍国日本復活という不安感を与えはしないかということを私は恐れます。専守防衛とは、何から、何を、どうして守ろうというのか、お伺いをしたいと思います。
 次は、医療、福祉について総理、大蔵大臣、厚生大臣にお伺いをいたします。
 消費税は、衣食住全生活を通して全国民がひとしく支払うという仕組みであります。したがいまして、還元対象は広く全国民でなければならないわけでありましょう。憲法第二十五条には、「国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。文化面については自助努力などでそれぞれ差異があろうかと思いますが、健康、すなわち医療については待ったなしでありますので自助努力はないわけであります。
 御承知のように、医療費は年々高騰しております。これは、医療技術の高度化、高齢化の進展、そして医療ニーズの多様化などによるものでありましょう。これに新たに消費税が加わるという仕掛けであります。医療費高騰に対して政府が従来とってきた政策は二つであります。一つは医療費の抑制であります。もう一つは保険料の引き上げであります。医療費の抑制は医療制限につながるおそれはないか。また、保険料の引き上げは、国民の健康を保障するという国の責任に反するおそれはないかということを私は思うのであります。
 厚生省試算によりますと、消費税の医療費へのはね返り分は一%としております。国民医療費を十九兆円といたしますと、その一%、千九百億円が患者負担にはね返るわけであります。七十歳以上の人口増を年四十万人、老人医療費を一人五十五万円といたしますと、その増加分は二千二百億円であります。この両者の合計は四千百億円でありますが、これは消費税総収入を五兆四千億円といたしますとその七・六%に当たります。この分を消費税の中からもし拠出できるならば、ある程度は医療費の高騰に対応できるのではないか、これが私の考えであります。つまり、百円の消費税の中の八円は自分の医療費に還元されるということでありますが、私は、この部分を仮に医療目的税と言わせていただきます。いかがでしょうか。
 次は、福祉であります。
 先進国では、年金制度は我が国に比べてより整備されておりますので、それだけ老後の生活が不安なく暮らせるというのが現状であります。我が国の年金水準は生活の基礎的部分をカバーするという思想でありますから、この中には文化とか教養は考慮されておりません。
 そこで、提案したいことがあります。年金受給者にシルバー割引というのはどうであろうか。つまり、文化、教養等の入場料を五〇%割引にするということであります。そういうことによりましてシルバーが文化、教養のアクティビティーに参加できる、そしてひいては内需拡大にも寄与できると思うのであります。
 次は、高齢化社会の医療でありますが、その重点は在宅介護に移りつつあります。在宅介護というのは、人の善意だけに頼れない、皆さん御承知のとおりであります。そこで、介護ボランティアにはアルバイト料だけではなくて、福祉切符を発行してはどうか。これは自分が介護を受けるときの、いわば保険という考え方でございます。いかがでしょうか。
 次は、教育について総理並びに文部大臣にお伺いをいたします。
 教育改革を目指して臨教審が設けられましたが、改革というのはラジカルチェンジということ、つまり根本的に変えるということでありますが、この意味では改革が行われる気配は見られないのであります。例えば文教予算を見てみましょう。前年比一・三四%、わずかの伸びでありますが、これで改革などできるわけがないではありませんか。
 ここで改革の具体的課題を私は挙げてみたいと思います。
 第一は、入試改革であります。
 最大の問題点は、共通一次による偏差値輪切りの解消であります。これまで入試方法は猫の目のように変わりました。しかし、どこを見ても一点を争うテストであることに変わりがありません。したがって、偏差値輪切りに変わりがないのであります。また、科目選択制が採用される限り、一点を争う入試において、選択科目による影響は極めて大きいのでありまして、これが当落の要因となり得ることは最初からわかり切ったことであります。
 ことしの共通一次で、生物、物理のかさ上げが問題になりました。このような修正によって当落が逆転する、計算すれば簡単にわかります、逆転することが起きたら怒るのは当たり前じゃありませんか。来年度実施される新テストというのもこの延長線上にありますので、一点を争うという原則が変わらない限り、改革は行われないと言わざるを得ないのであります。
 私は、四年ほど前からハードル論というものを提案して言いりました。それは、基礎学力をテストするための共通一次方式に第一ハードルを置くというものであります。このハードルを越えた人に大学独自の第二、第三、第四というハードルをセットする。(「余り変わらへんじゃないか」と呼ぶ者あり)変わります。これは点数加算方式をとらないということであります。ハードルです。したがって、かさ上げの必要はありません。一点を争う骨身を削るような入試がなくなる。時間がないから細かい説明は省略いたしますが、こういうことについて見解を伺いたい、何人かの大臣をなさったお方は賛成してくれておりますから。
 次は、入学は春か秋かということであります。
 アンケート結果を見ますと、不都合がなかったとか、桜咲く四月がいいというのが四月支持の主要な理由のようでありますが、アンケート対象が国際交流のなかった時代の人には不都合がないはずであります。また、桜咲く四月というのは、東京の人ということであります。北海道には雪があります。沖縄はとっくに花が散っています。国際化の中の子供の未来、そして十万人の留学生を受け入れようとすることを考えれば、世界的に採用されている秋こそ入学期でなければならない、こう私は思います。いかがでしょうか。
 次は、大学改革であります。
 大学紛争の折が最大の大学改革のチャンスだったと私は思います。しかし、鎮静化した後は何事もなかったかのように旧態依然であるのが大学でありましょう。この紛争鎮静化に威力を発揮したいわゆる大管法、大学運営臨時措置法、これは若い学生の批判精神を奪ってしまったのではないかと私は残念に思っております。ともあれ、この法律は時限立法であったはずでありますが、今もって生きているというのを聞いて私はびっくりしました。なぜ生きているのか、お伺いをしたいと思います。
 次は、文部省高官を巻き込んだリクルート事件でありますが、教育における信頼を著しく傷つけたものと思われます。人の心、行動は、その時代精神を反映するものであることを念頭に置くべきでありましょう。責任は重大であります。この教育への影響にどう対処されるのかお伺いをしたい。
 次は、我が国で開催される国際学会についてでありますが、円高のために外国人参加者が二の足を踏んでいるのが現状であります。外国人参加者に助成をするためには、国際学会への寄附金の免税措置規制を緩くする必要があると私は思います。いかがでしょうか。
 次は、農業について総理にお伺いをいたします。
 最近の農業をめぐる内外情勢は八方ふさがりの状態のように見受けられます。我が国農業の現状認識、あるべき姿をどのように描いておられるかお伺いしたいと思います。また、具体的諸問題についてでありますが、食糧自給率を高め、内外価格差を縮小することに努める情勢にあると思うのでありますが、その改善策はいかがでしょうか。
 それから米の自由化要求についてでありますが、米は古来より我が国の生命食糧と言われているわけであります。米国で昨年夏、干ばつのために農産物収穫が三〇%ダウンいたしました。この事実は、主たる食物を簡単に外国に依存するわけにはいかないということを示していると私は思うのであります。これに対する対応はどうなさるのか伺いたい。
 それから牛肉・オレンジでありますが、さきの国会で自由化対策二法が成立いたしました。牛肉については将来展望が不明確であって、畜産業者は大いに不安であると思います。また、オレンジについては、自由化により低落する価格補てんをどうするか、お伺いしたいと思うのであります。
 食管制度の改革、自主流通米市場、こういったことが出てきておりますが、どのように対応されるのでしょうか。そして、農産物価格引き下げを迫られている一方では消費税によるコストアップがあります。この矛盾はどう解消するのか、これも伺いたい。
 次は、科学研究について総理並びに文部大臣にお伺いをしたいと思います。
 科学研究は未来志向の分野であります。基本的な考え方としては、研究とは未知なるものへの挑戦であります。そして創造的研究環境が大切であります。これを育てるのに具体的な方策はいかがかということであります。また、文部省の科学研究費は実績主義をとっておりますが、実績というのは既に未知ではないということになりますので、応募規定の大幅変更が必要であると思います。いかがでしょうか。
 最新の科学技術白書には基礎研究水準の国際比較についてのアンケート結果がありますが、日米比較では日本が大きく劣っている。そして欧米では、基礎研究ただ乗り批判が上がっております。これに対しても我が国は基礎研究費の大幅引き上げが必要であります。いかがでしょうか。
 一九九〇年代の最大の国際プロジェクトに、国際宇宙基地というものがあります。米国の国防総省はこれを利用できることになっておりますが、我が国は平和目的が参加の大前提であります。その保証は得られるのでしょうか、お伺いをいたします。
 次は、環境問題について総理にお伺いをいたします。米誌タイムは、昨年末、恒例の「今年の人」に、人ではなくて「危機にさらされた地球」を選びました。地球環境は一たび対策がおくれますと取り返しがつきません。炭酸ガスによる地球の温暖化、フロンガスによるオゾン層の破壊、熱帯林の問題、砂漠化、酸性雨、いずれも生態系に重大な変化を及ぼして、人類の生存にかかわる今世紀最大の課題であると受けとめられております。ことし九月、東京で地球環境保全に関する国際会議の開催が予定されておりますが、我が国は具体的に何を提案しようとするのか、伺いたいと思います。今や行動のときでございます。
 代替フロンの開発については、私の案を申し上げますと、助成措置をしてでも早期実現を進めるべきだと思います。炭酸ガス対策としては、化石燃料の代替エネルギーの開発、エネルギー効率の向上、森林破壊を減らし造林をするなど対策が急務であります。地球環境を論議するのに必要なのはデータでありますが、環境測定には、開発途上国へ機材、技術を援助する、そして地球規模のモニタリング・ステーション・ネットワークを提案してはいかがかと思います。
 つい最近、マレーシアで、日系企業の公害輸出問題が裁判ざたになっております。開発途上国への開発援助及び進出には環境アセスメントとワンセットでやるということを法律で義務づけてはいかがでしょう。
 ここで国内に目を転じますと、かの環境アセスメント法案でありますが、第九十四国会に提出されて、流れ流れて今はお蔵入りであります。国内のアセスメントなしで地球環境を論ずるというのはまことにおこがましいのではないでしょうか、お考えを承りたい。
 次は、NOx対策を含めてでありますが、環境汚染の総量規制に準じて車の総量規制を検討するのも一つの手段ではないかと私は思います。
 終わりに、国際医療・産業複合都市構想について総理並びに厚生大臣に伺います。
 総理は、施政方針演説の中で、特に北海道の総合開発に触れておられます。これは北海道のアイデアによるものであります。私は、昨年三月予算委員会で質問をいたしましたが、関係大臣からはそれぞれ大変前向きの答弁をいただきました。
 私が指摘したいのは、国際高度医療センターの持つ中心的役割は重要であるということであります。特に、臓器移植が二十年以上もおくれている我が国の事情を考えますと、人工臓器開発にも期待をしたいと思うのであります。これは日本学術会議も勧告しているところであります。このセンター所長予定者は米国在住の日本人でありまして、米国政府の半永久的完全埋め込み型人工心臓開発計画のリーダーとも言うべき人で、牛を使って百九十六日の生存記録を達成しており、五年後の実現を期していると聞いております。これを早期実現をしていただいて、人類の夢を託するような研究の国際競争において我が国がテープを切るよう私は念願するものであります。
 以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(竹下登君) まず最初のお答えは、リクルート疑惑の徹底解明についてのことであります。
 リクルート問題に関する刑事上の問題、これにつきましては、従来とも、検察当局において厳正かつ適切に処理がなされるものと信頼しておる、このようなお答えをしてまいりました。このことは今日、強制捜査に及んで、厳正かつ適切な処理がなされつつあるものと確信をいたしておるところであります。
 さて次に、参議院の存在理由等の御意見がございました。
 確かに、古くて新しい問題、私も長い議会人としての経験に照らしてもいろいろ議論があったことは十分承知しております。参議院は、重要案件の国会におきますところの審議をより慎重ならしめて、また、より中長期的なかんずくむしろ長期的視点から、そしてただいまのお話のような専門的立場から、衆議院における審議を補完して正していくという考え方、現時点においてもその独自性を私は十分確保していらっしゃる、このように評価をするものの一人であります。
 ただ、政党色が強くなる現状、それを念頭に置いての御提案でございましたが、一つの見識であるものとは承知しておりますが、この問題は各党各会派の間で十分な議論が行われるべき問題であると思います。
 自由民主党の総裁であることは事実であります。しかし一方行政府の長であります以上、御提案に対する私の具体的見解をお答えすることはこの場では差し控えさせていただきたい、このように思います。
 次に、三島由紀夫の作品、これを御引用になってのお考えが述べられました。
 政治改革の要請は、政治家一人一人が政治倫理を守り得るような環境をどうして整備するか、このようなことであると思います。
 政治資金規正法にいたしましても、また選挙制度にいたしましても、どの程度環境を整備すれば、そしてどの程度違反に対する制裁を担保すれば政治倫理が守られることになるか、これはまさにそれぞれ議論のある問題であります。
 今引用されました戯曲の述べるごとく、権力者たる政治家はおよそモラルなどは持ち合わせていないと、いわば性悪説に立って議論を進めるべきであるという、私はそのように読んでみたことがございますが、いつもみずから考えますことは、若いころからでございますけれども、体制側にある者がむしろ性悪説に立ってみずからを律し、批判側にある人は性善説に立って御鞭撻いただいておる、こういう考え方で対応してこそ私は本来のあるべき姿ではないかと、このようにいつも思っておるところでございます。
 さて、次は政治改革委員会についての御意見がございました。
 今般の政治改革は、内閣総理大臣の私的懇談会でありますところの有識者会議を一つ設けました。そうして自由民主党内においては政治改革委員会、そうしていま一つは現在休眠状態にあります選挙制度審、これを復活して、そうしてその三機関の有機的連携のもとにその推進を図ったらと、こういう考えが私にあるわけでございます。理想と現実の調和をどのようにして図って実効あるものを出していくかということが大切であろうと思います。
 ただ、国会の各党各会派の御協議、これを絶えず念頭に置いて行政府としては対応しなければならないという一つのあるべき姿も十分承知しておるつもりでございます。
 選挙制度、政治資金について具体的にということでありました。
 公正で金のかからない選挙や政治活動の実現のため、各般にわたって改善に取り組まなきゃならぬ。
 今政治資金制度につきましては、附則第八条、この見直し規定も実際行われていないことを私も十分承知しております。
 パーティー収支の公開など当面急を要する事項は、現在自由民主党において見直し作業が行われておる。これはいずれ国会の問題にもなる。政府としても、それと平仄を合わせまして制度改善に心がけたいと思っております。
 次に、閣僚辞任の任命権者責任についてお触れになりました。
 閣僚の任免権は内閣総理大臣にあります。したがって、その識見を信頼して私が任命しましたので、このことは、これは幾ら言われてもみずからの不徳を痛感しなければならない課題だと思っております。そもそも、国会及び国民に対して連帯責任を負う内閣の長として、したがって、そのことも踏まえて責任を全うすべく決意を新たにしておる、このように申し上げるべきだと思います。
 さて、財政、経済について御意見を交えての御質疑がございました。これは大蔵大臣が御指名いただいておりますので、私と分担してお答えをいたします。
 私からは経済構造の改革への取り組みについてまず申し上げます。
 政府におきましては、昨年五月、中長期的な経済運営の指針として「世界とともに生きる日本経済運営五カ年計画」を閣議決定いたしました。
 この計画では、計画期間を我が国が二十一世紀に向け発展していくための構造調整期と位置づけまして、我が国が直面します重点課題として、まず一つには対外不均衡の是正と世界への貢献、二つ目には豊かさを実感できる多様な国民生活、三つ目には産業構造調整の円滑化と地域経済社会の均衡ある発展、この三点を挙げまして、これらはまさに内需主導型経済構造への転換、定着を実現することによって同時に達成し得るものであると、このように考えております。
 したがって、政府としましては、本計画に沿って思い切った構造調整を推進し、内需主導型経済構造への転換、定着を図りますことによってこれらの達成を図ってまいりたい、このように思います。
 土地問題についての御言及がありました。
 今回の地価高騰に対しましては、今も御説にもございました。国土利用計画法によります監視区域制度の機動的な運用、あるいは不動産業、金融機関等に対する指導、これを徹底的に継続していく。そうして、税法上の措置等、さまざまな対策をこれまでも講じてまいりました。
 今後とも、引き続き政府一体となりまして、総合土地対策要綱に基づいて、監視区域制度の機動的な運用、諸機能の地方分散、これらを図るとともに、一方、住宅宅地の供給促進等、まさに各般の施策を推進してまいりたいと考えます。
 また、土地対策を強力に推進しますためには、土地の公共性を明確化して、土地についての共通の国民意識を確立する必要がある。それに基づいて各般の施策を総合的に実施する必要がある。したがって、かねて御提案がございましたが、本国会に政府としても土地基本法案を提出したい、このように考えておるところでございます。
 さて、消費税の一年凍結の問題でありますが、これは私からお答えをいたします。
 まさに経済社会の活力を維持して豊かな長寿・福祉社会をつくる礎となるものと確信をして消費税の創設をお願いしたわけでございます。そして、これは国会においての議論を経て決定したものでございます。したがって、これを凍結する考え方はございません。
 ただ、議論の段階におきまして不安とか懸念、これは私自身が申し上げました、不安とか懸念をなくしていこう。審議を通じ理解されたものもございましょう。そして、このたび提案いたしております予算案について御理解を賜れるものもございましょう。が、何としてもこれが暮らしの中に溶け込んで定着していくためには、それらの懸念なり不安なりを除去するため、円滑化推進本部を政府として設けまして、まさにきめ細かな実効ある説明、指導、助言、お手伝いをするつもりでこれに取り組んでおるところでございます。
 いずれ、かの時代、大幅減税とともに税制改革をしてよかったと言われることを心から期待と確信を持っておるところでございます。
 税率の歯どめ問題についてお触れになりました。
 施政方針演説で、竹下内閣において税率の引き上げを提案する考えのないことを明らかにいたしました。しかし、三%というのは、長い期間にわたります議論の末、コンセンサスの得られたものでございます。
 ただ、私は、いつも申しますのは、いわば国民のニーズというのはいろいろ変化がございます。議会制民主主義ですから、政権の移動も当然ございます。上げもあれば下げもございます。後世代までの手を縛ってしまうことだけは慎むというのが議会人としてのあり方である、このように思っております。
 さて、外交、防衛について言及されました。
 経済援助に関するブッシュ大統領との会談につきましては、これは我が国は相互依存と人道的考慮という基本的考え方に基づいて、開発途上国の経済社会開発あるいは民生の安定、福祉の向上に貢献することを目的として経済協力を実施してまいります。政府として、こうした我が国の経済協力に対する基本的考え方を踏まえて、平和国家として、そして今も指摘がありました自由世界第二位の経済力を有する国として、アジアを初め中南米、中東、アフリカ、この各地から我が国に寄せられる強い期待にこたえ、今後とも経済協力を拡充していく所存でございます。
 ただ、御指摘のように、実施に当たってはあくまでも我が国の自主的判断に基づいていくべきであるということは当然のことだと私も理解しております。
 次に、人口問題にお触れになりました。
 今、国際的に見ましても、あるいは学会、そしてまた政治ベースでは特にOBサミットに大きく端を発しまして、まさにどの国際会議に参りましても人口問題の意見が出てまいります。今のお話は専門的な見地からの御高説でありました。拝聴させていただきました。
 我が国は、人口問題に関して、従来からASEAN諸国に対しまして、人口計画分野におきます経済技術協力を行ってきておりますほか、御指摘のとおり、国連人口基金等のマルチの場におきまして資金拠出等の協力を行っております。したがって私どもは、今度の東京会議におきましても、学者を中心に、地味ではございましてもこのような議論が国際的に役立ち得るではないかということを期待しております。
 さらに、今後も、ASEAN諸国におきます人口計画の内容を見きわめながら、また具体的な要請も踏まえて、可能な範囲で協力をしてまいります。御提案の具体的諸問題については、私自身も勉強させていただきたいと思います。
 防衛問題にお触れになりました。
 平成三年度以降の防衛力整備につきましては、昨年十二月の安全保障会議におきまして、引き続き現行のような中期的な計画を策定する必要があるということで意見の一致を見たところでございます。したがって、かつてのような、いわゆる業務見積もりというようなものはとらないということであります。
 その内容につきましては、今後検討を進めていくこととしておりますが、いずれにいたしましても、昭和六十二年一月の閣議決定にもございますとおり、憲法、専守防衛、そうした基本的防衛政策のもとで、また昭和五十一年十一月の閣議決定の、節度ある防衛力の整備を行うという精神は引き続き尊重していくべきものであります。
 大綱につきましては、現時点において、その基本的な枠組みを見直さなければならないような諸情勢の基本的な変化はないではないかという認識がございます。こうした点を踏まえながら、今後の国際情勢、国内の諸情勢の推移を見きわめながらさらに検討を加えてまいります。
 そして、平成元年度の防衛予算の編成に当たりましても、中期防期間中の各年度の防衛関係経費についてはその計画に定められる所要の経費の枠内でこれを決定することといたしました。昭和六十二年一月の閣議決定を踏まえまして、まさに他の諸施策とのぎりぎりの調和を図りながら、着実に中期防の実施を図るため必要な経費を計上したものでございます。
 さて、専守防衛に徹する我が国は、国防の基本方針にありますように、我が国に対する侵略から、民主主義を基調とする我が国の独立と平和を守ることを国防の目的といたしておることは申すまでもありません。どのように守るかにつきましては、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、日米安保体制を堅持することによって侵略の未然防止を図る、これがあくまでも基本的な認識でございます。
 さて、医療、福祉問題等につきまして具体的なお尋ねがございました。これは厚生大臣に譲ることといたします。
 さらに教育問題にも、予算、入試、大学、入学時期等々お尋ねがありました。私からは国際学会に対する寄附金の免税問題についてのみお答えをいたします。
 国際学会への寄附金につきましては、指定寄附金の対象としております。現行制度において、これは具体的な手続等の煩雑な面は私も承知しております、しかし十分対応する措置は講じてきておると、このように私自身は考えております。
 次は、農業問題にお触れになりました。これは私に対する御質問でございます。
 我が国農業につきましては、土地利用型農業部門におきます経営規模拡大の停滞、または一部農産物の需給の不均衡、それから諸外国からの市場開放要求、こうしたものから厳しい情勢にあるということをまず基本的に認識をしております。
 このために、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給を基本として農業の長期的展望を確立しますとともに、構造政策等各般の施策を強力に推進して、需要の動向に応じた生産性の高い農業の確立に向けて努力してまいらなければならないと、このように考えます。
 そこで、米問題につきましては、まず国会における決議がございます、この趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
 また、牛肉・かんきつにもお触れになりました。
 牛肉の国内対策としては、畜産二法を制定しましたほか、当面の価格変動等に対処するため、肉用子牛の価格安定、肥育経営の安定、低コスト生産の推進、流通の合理化等の措置を講じてまいる所存であります。
 かんきつの国内対策としましては、かんきつ農業の体質強化に努めますとともに、ミカン園の再編対策、果汁原料用果実の価格差補てんの特別対策など所要の措置を進めることといたしております。
 食管制度につきましては、制度の基本はこれを堅持しつつ、事情の変化に即応して適切な運営改善を図る考えでありまして、なお、自主流通米については今後とも拡大の方向で努力をしたいと思います。
 消費税については、価格の上昇を通じて最終的には消費者に御負担をお願いすることを予定しておる税でございますから、農産物についても円滑かつ適正な転嫁が行われることはもとより必要なことであります。
 次に、創造的研究環境整備等にお触れになりました。
 時代を開くかぎの一つは科学技術の振興であります。我が国が二十一世紀に向けて発展していきますためには、創造的な基礎研究の推進が不可欠であります。このため、研究活動に従事いたします研究者が、その豊かな創造性を発揮して研究に専念できる研究環境の整備が極めて重要であると認識しております。このための具体的な方策として、独創的な研究者や若手研究者のすぐれた発想を生かして主体的研究活動が行えるような新たな施策を講じますなど、創造的研究環境の整備充実に努めておるところでありまして、今後とも引き続き努力してまいる考え方でございます。
 基礎研究費の大幅引き上げの必要性の指摘がございました。
 今後の我が国は、独創的な基礎的研究の強化を図ることによりまして科学技術面での国際貢献を果たしていくことが必要であります。平成元年度予算におきましても、厳しい財政事情の中ではございますが、基礎研究推進のための関係予算をこれは充実を図ることにいたしたところでございます。今後とも基礎研究の強化には全力を傾注してまいります。
 宇宙基地への参加について御言及がありました。
 この計画は、宇宙における人類の活動を飛躍的に拡大させるため有意義な国際協力プロジェクトであるという認識の上に立っております。我が国としても積極的に参加すべきものであるという認識の上に立っております。我が国としては、この計画については宇宙の平和利用に関する我が国の基本的立場を十分に踏まえて対処しております。今後ともこの方針で対応したいと存じます。
 さて、環境問題の答弁、これも総理大臣を御指名になりました。
 地球環境問題の重要性に関する御指摘は全く同感でございます。
 そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、九月の国際会議につきましては、現在、共催者の国連環境計画、いわゆるUNEPとも協議をしながら政府部内において鋭意準備作業を進めております。
 とかく各国ともいろいろな意見がございますが、今日UNEPそのものが必ずしも資金的な問題をも含め強い力を持っておるとは評価しない向きもございます。しかし、今までのUNEPのなされた実績は、私は評価すべき点が多々あると思います。したがって、あくまでもUNEPとの共催で、有識者を集めて地球環境問題に関する最新の科学的知見を集約いたしますとともに今後の対応のあり方について検討を行いまして、二十一世紀に向けて世界がとるべき行動について提言をまとめることを考えておりまして、学者の方を中心にした地道な成果が得られることを私は期待いたしておるところでございます。
 続いて、幾つかの問題の指摘がありました。
 これらの問題につきましては、炭酸ガス対策としては科学的知見の充実に努める、また、化石燃料にかわるエネルギーの開発、エネルギーの効率的使用、森林の保護、温暖化への適応技術の開発、各種対策を総合的に検討する必要がありまして、やはりUNEPを中心に現在行われておる検討作業に我が国も積極的に参加していこうという考え方でございます。
 国連を中心とする地球規模での情報収集に積極的に協力してまいりたい、このように考えます。
 さて、国内の環境アセスメントにつきましては、昭和五十九年八月の閣議決定に基づいてその円滑な実施に努めてきたところでございます。今後とも環境保全を図るため、開発を進めるに当たっては、環境への配慮を怠らず、環境汚染の未然防止に努めます。
 二酸化窒素による大気汚染、大都市を中心とする環境基準の達成がおくれておる。この対策の一層の充実強化が不可欠であると思います。このため、環境庁を中心として自動車排出ガス規制の強化を初め、自動車交通対策等の窒素酸化物低減方策について幅広い観点から検討をしてまいります。
 その他、専門家として数々の御意見をいただきましたことについては、十分検討の素材とさせていただく次第であります。
 最後に、北海道のアイデアに基づく医療・産業複合都市構想のお話がございました。これは御指名のありました閣僚の答弁にゆだねることにいたします。
 私に対する御質問、関係閣僚に対する御質問、ちゃんと丁寧に教えていただいております。それを正確に申し上げた次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(村山達雄君) 私に対する質問は五つあったと思います。
 一つは、税収見積もりが少し過小ではないか、こういうことでございます。一般論で申しますと、毎年度の税収見積もりにつきましては、見積もり時点における課税実績や政府経済見通しの各諸指標を基礎に税目ごとに積み上げ計算をやりておりますので、意図的にやることはありません。
 今おっしゃった六十三年度の自然増収が三兆円というのは少ないんじゃないか、五兆円じゃないか、こういうことでございますが、この点につきましては、昨年の抜本改正で約二兆円減収になっておる、だからそれを合わせれば約五兆円ぐらいの自然増収になっているということを御承知願いたいと思います。
 それから良質、低廉な住宅供給でございますが、もちろんもう政府も非常に重要な問題だと心得ております。
 御提言の住宅取得促進税制でございますが、これは創設以来逐次拡充してまいりまして、現在では恐らく最大限の配慮を払っていると存じております。
 それから消費税の逆進の緩和策としてどんなことをやったのかと、こういうことでございますが、一つは税率を三%に抑えたということ、それから非課税取引につきまして、医療や福祉というところはこれは非課税にしているわけでございます。それから最も大きな問題は、大幅な所得税、住民税の減税をやっております。そうしてまた、各種控除、人的控除をずっと上げております。それから所得税とか住民税のかからない方々、ここが非常に問題でございますが、これにつきましては、生活保護の基準を上げていくとか、あるいは今度の在宅三本柱をやっていくとか、あるいは補正予算で福祉給付金あるいは介護給付金を出した、こういうことで大体今対処しているわけでございます。
 それから所得税の不公平是正のために所得税を総合課税にしなさい、特にキャピタルゲインについて総合課税にしなさいと。
 我々も所得税というのは本来総合課税が理想である、こう思っております。ただ、執行体制ができないときには、かえって分離課税の方が結果において公平という場合もあるということはやむを得ないと思います。
 キャピタルゲインにつきましては、もう既に前国会で各党で話を詰めまして、今後四年ぐらいの間にその方向で持っていこうということで、政府の税制調査会でも小委員会をつくり、それを受け継ぎまして今鋭意検討しているところでございます。
 それから消費税の医療費にはね返る分、その分をひとつ目的税にしたらどうかということでございますが、もう既にこの消費税の使途は決まっているわけでございます。一般的に申しまして、やはり目的税のように収入の使途を特定の目的に限定するというのはいかがであろうか、資源の配分上いかがなものであろうか。あるいはまた、そういたしますと財政の硬直化がどうしても起きてくる。だから一般的に申しますと、一般収入としまして、そして税収は政策の優先順位に従って歳出で計上していくのが本筋ではないかと、このように考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(宇野宗佑君) ハワイの東西センターに匹敵する南北センター、それをぜひ設立せよという御趣旨の御質問でございます。その趣旨におきましては、私、認識を同じゅうしていると思います。
 アジアの人口は既に世界人口の六割をオーバーいたしました。アジアの一員の日本といたしましては、当然人口並びに環境、これらに対しましてもそれぞれやはり将来に備えるような努力をしなければならないと、かように考えております。
 既に総理もお話しになられましたが、国連の人口基金、これには日本は最大の拠出国として臨んでおりますが、国内におきましても、環境庁は国立公害研究所、あるいはまた通産省の工業技術院におきましては公害資源研究所、さらに厚生省は人口問題研究所、それぞれそういう機関がございます。鋭意研究をやっておりますが、やはり我が国がさらに国際貢献を推進せんがためにはなお一層の調査研究が必要である、かように私は考えております。
 外務省といたしましても、加うるに人材養成、そうしたことも目的といたしました国際開発大学、こうしたことの構想を持っておりますが、今の御意見も一つの有力な参考意見として念頭に置きながら、今後それらの問題につきましての努力をいたす所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(小泉純一郎君) 私に対する質問は四つだと思います。
 まず最初に、医療費の高騰とその対応策についてでありますが、医療費の財源は、保険料を基本として必要に応じて税財源を充てるのが適当と考えておりますが、消費税をその特定財源とすることは考えておりません。なお、国民の医療費負担が過大とならないためにも、良質な医療を効率的に供給する制度づくりを目指して努力していきたいと思います。
 次に、シルバー割引についての御質問でありますが、高齢者が社会の一員として生きがいを持って暮らせる仕組みについては社会全体で取り組んでいかなければなりませんが、御提案の文化、教養等に関する入場料の割引については、基本的には事業を行っている方々がそれぞれの立場から御判断されるべきことであると考えております。
 第三は、ボランティアに対する福祉切符の発行についての御質問であります。
 この試みは既に一部地域における相互扶助的住民組織において行われておりますが、将来介護を受ける立場になったときに確実に介護が受けられないという問題、あるいは転居した場合には福祉切符を生かせなくなる等の問題が指摘されており、これを制度化することは難しいと考えております。
 しかしながら、今後、在宅介護を推進することは重要な課題であると考えており、公的施策の一層の推進を図るとともに、地域の実情に応じ民間の創意工夫を生かした多様な形態のサービスを育成していきたいと思います。
 最後に、いわゆるHIMEX構想についての御質問であります。
 我が国の医学研究、医療技術等の振興を図り、病気に苦しむ方々に救いの手を差し伸べることは医療政策の基本と考えております。
 北海道において、人工臓器の研究開発を初めとする高度医療を中核とした国際医療・産業複合都市構想、いわゆるHIMEX構想が検討されていることは承知しており、厚生省としては、北海道が中心となって進めている推進会議に関係省庁とともに参画するなど、できる限りの協力を行っているところであります。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣西岡武夫君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(西岡武夫君) 高桑議員の御質問にお答えいたします。
 総論として、教育改革と予算の関係について御指摘がございましたが、現時点は教育改革についての準備期間、助走期間であると御理解いただければ幸いでございます。
 御質問の事項は五つございました。
 まず、大学入試についてお答えいたします。
 お答えいたしますに先立ちまして、本年の共通一次が受験生に大変多くの御迷惑をおかけしたことに対しまして、文部大臣として深くおわびをいたす次第でございます。
 来年度から国公私立大学を通じた大学入試センター試験の実施を予定いたしており、各大学においてこの試験を適切に利用することにより、多様な特色ある入学者選抜の実施が図られるよう期待するところでございます。
 御指摘のことにつきましては、一つの有力な御提案であると私は考えます。ただ、入試制度の改革につきましては、極めて大きな影響を与える事柄でございますので、今後とも、高校生に対する事前の周知期間の確保にも配慮しつつ、中長期の課題として検討していく必要があると考えております。
 次に、秋季入学制への移行につきましては、議員御指摘のとおり、臨時教育審議会の答申におきましても、国際化への対応の観点や夏休み期間中に子供を学校から解放する観点等から、将来、我が国の学校の入学時期を秋季に移行すべく関連する諸条件の整備に努めるべきとの提言が行われたところでございます。
 しかし、同答申も指摘いたしておりますとおり、秋季入学制への移行は国民生活全体に大きな影響を与えるものであるところから、国民各位の御理解と御協力を得ることが不可欠の条件であると考えます。
 文部省といたしましては、昨年九月に総理府が行った秋季入学に関する世論調査を参考としながら、秋季入学制への移行にかかわる教育上及び教育行財政上の諸問題について実務的な調査研究を進めるとともに、秋季入学制への移行は最終的には国民の選択と合意にゆだねるべきことにかんがみ、その結果を広く国民の皆様方の前に明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、大学の運営に関する臨時措置法につきましては、廃止の措置を講じていないので今日も法律として存続していることは御指摘のとおりであります。
 同法の扱いにつきましては、これまでも慎重に検討をしてきたところでありますが、この法律が果たしてきた紛争抑止機能を考慮いたしますと、対案なしには廃止しがたいものがあり、また同法にかわるべき措置については事の性質上慎重な対応が必要でございまして、大学の状況の推移その他諸般の情勢を見定めつつ今後とも慎重に検討してまいりたいと考えております。
 高桑議員御指摘のとおり、文部省前事務次官をめぐるリクルート問題が教育に与えた影響は極めて大きく、文部大臣として国民各位に深くおわびを申し上げる次第でございます。
 今後、文部省といたしましては、省内の綱紀の粛正に一層徹底を図るとともに、真に国民の期待にこたえる教育改革の実現に向けて全力を傾注して、この努力の中において文教行政に対する国民の信頼の回復に努めてまいる決意でございます。
 最後に、科学研究費についてお答えいたします。
 御指摘のとおり、学術研究は、未知なるものの探求という人間の基本的な知的な欲求に根差すものであり、国家社会のあらゆる分野の発展の重要な基礎をなすものであり、科学研究費補助金は、このような学術研究を格段に発展させることを目的とするいわば基幹的研究経費でございます。
 科学研究費補助金の配分に当たりましては、以前に若干その配分の基準等について議員御指摘のような誤解を招く点があったことを率直に認めるものでございますが、学問の全分野にわたり、研究者の申請をもとに、学術審議会における厳正な審査を通じて、すぐれた研究課題の採択に努めているところでございます。
 その審査に当たりましては、さまざまな仕組み、工夫を通じて、単に過去の研究業績にとらわれることなく、独創的、先駆的研究、さらにはその芽生えに当たる萌芽的段階にある研究課題を積極的に採択するよう配慮されていると承知いたしております。
 なお、今後とも真にこの補助金の趣旨にふさわしい研究課題の採択が確保されるよう、不断に制度、仕組みの見直し、改善に努めてまいる所存でございます。(拍手)
#10
○議長(土屋義彦君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#11
○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、竹下総理の施政方針演説に質問を行います。
 今日、とどまるところを知らないリクルート疑惑と金権政治による汚職は、我が国民主政治の根幹を揺るがす深刻な事態となっております。総理はこのリクルート疑惑の本質をどう認識し、さらに、それにかかわるみずからの責任をどう自覚しているのか、一国の宰相として今改めてこのことが厳しく問われているのであります。
 あなたは、リクルート問題が発覚したとき、経済取引だと開き直りましたが、今でも自分とリクルートとのさまざまな関係を単なる経済行為と考えているのですか。まず、この肝心な点についてしかと明確に答えていただきたいのであります。
 この事件の深刻さは、中曽根、竹下という二代にわたる総理大臣がリクルート疑惑の核心にあるということであります。総理、あなたの親戚名義で買い受け、売却して利益を得たリクルートコスモスの一万株が、実は江副氏の指示で当時幹事長であったあなたあてに譲渡されたものであるという疑惑がますます深まっています。総理、あなたが本当に疑惑解明の責任を果たすと考えているならば、国民の前に真実を明らかにすべきであります。
 具体的には、第一に、青木伊平秘書と、株売卸利益を得たと称している福田正両氏の国会証人喚問に同意すべきではありませんか。
 第二に、八七年五月二十一日、東京プリンスホテルで十一億円の収入と報告されている。パーティーなど、一番大がかりなパーティーをやってきたのはほかならぬ総理自身でありますが、このパーティーでリクルート社にパーティー券を買ってもらったんですか。買ってもらったなら一体何枚なんですか。
 第三に、国際産業構造研究会という総理の後援会にはリクルート社も入っており、八六年から二年間に二百四十万円の会費を受け取っているのは事実ではありませんか。
 以上の三点についてこの場で明確にしてもらいたいのであります。
 ところが、あなたは二月一日、政治献金に関する自民党見解なるものを発表し、企業からの政治献金は当然であり、リクルート問題についても昨年の夏発覚するまでの分は全く問題がないなどと開き直っております。
 総理、リクルート社の政界工作が発覚したのは確かに昨年の夏であります。しかし、その政界工作はそれ以前の中曽根内閣時代から始められ、一九八四年十二月には森元文相を含む七十六名に非公開株譲渡が行われていたではありませんか。にもかかわらずリクルート疑惑発覚前の政治献金やパーティー券購入をすべて正当化しようとすることは、金権政治擁護、疑惑隠しの暴論であります。
 宮澤、長谷川、原田各大臣も、また塚本民社党委員長も辞任となりました。国民は、あなたこそ辞任すべきだと要求しています。あなたは施政方針演説で、私を初め政治に責任を負う立場にある者は、自粛自戒し、みずからの姿勢を正すことが求められている、こう述べましたが、もしその言葉にうそがないならば、みずから辞任、総辞職し、国会を解散して国民の審判を仰ぐことこそあなたのとるべき唯一のあかしであると考えますが、総理の答弁を求めるものであります。
 竹下総理と自民党は、国民の厳しい批判を逆手にとって、小選挙区制や政党法の導入など、自民党独裁の固定化を策動しています。しかし、今国民が望んでいるのは、政治資金について、企業、団体からの献金を一切禁止し、個人に限るという抜本措置をとることであります。もともと今日の社会での企業献金というものは、企業が営利団体である以上、わいろ性を持つことは不可避であります。すべての政党がまじめに政治の浄化を考えるならば、企業、団体からの政治献金を受け取らないということは今すぐにでもできることであり、やらなければなりません。
 もう一つは、国民の投票権の平等を保障すること、具体的には格差を一対二未満にする議員定数の是正であります。まず行うべきことは、八六年の衆議院本会議決議、「昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行う」、この決議に基づく定数の抜本是正であることは憲政の常道ではありませんか。
 以上、二点について明確な答弁を求めます。
 今、政府・自民党が打ち出している小選挙区制案は、比例代表制との組み合わせであるなどと宣伝をいたしております。しかし、七三年の田中内閣の小選挙区制案も比例代表を加味していたものであり、小選挙区部分と比例代表制部分の比率が六対四でありました。この事実には間違いがないでしょうね。総理に確認をいたしたい。
 リクルート事件のようなことが起こるのは、選挙に金がかかるためだなどといって、四割台の得票率で議席の約八割がとれるような選挙制度をつくろうとする。これは、民意がどうであろうと馬耳東風、じっと我慢と忍耐でひたすら三百議席だけは大事に大事に守り抜き、自民党独裁を固定化しようとする開き直りであり、まさに民主政治の否定ではありませんか。見解を伺いたい。
 次に、消費税問題と国民生活の問題でありますが、消費税が成立した途端、厚生年金等を六十歳支給から六十五歳支給へと段階的に五年間切り捨てる大改悪案を提案しようとしています。現行での年金の支給期間は平均約二十年、そのうちの五年分、すなわち四分の一を切り捨て、一人当たり一千万円分がカットされる。その上、厚生年金保険料も二・三%引き上げる。これが高齢化社会のためと説明してきた総理の国民に対する答えですか。年金支給五年間切り捨ては直ちに撤回することを要求し、明確な答弁を求めるものであります。
 年金や、来年予定している医療制度の改悪は取りやめ、お年寄りが健康で安心して老後の生活を送れるよう老人医療費の無料化、特別養護老人ホームの増設など、国の責任で福祉、医療制度の抜本的拡充をこそ進めるべきであると考えますが、総理いかがですか。
 さらに直接、消費税にかかわって聞きますが、自民党税制改革推進本部のパンフレットは、免税業者について、「計算も申告も不要です。消費税のことは忘れてください」、こう宣伝しております。しかし、免税業者といえども仕入れには消費税がかかるわけでありますから、これを転嫁できなければ身銭を切らざるを得ません。また、下請中小企業の場合、消費税分を親企業に転嫁するのは極めて困難です。これを認めさせるには、煩雑な計算や根拠を示したり、また交渉するなど大変な実務が伴います。総理はこういう実情を承知していますか。承知しているとすれば、どう対処するのか、お答え願いたい。
 消費税導入に伴って、四月から住宅、家賃、電話、電報、郵便料金、高速道路料金、私鉄運賃、銀行手数料等々相次ぐ値上げ計画がメジロ押し、便乗値上げも現実の問題となっております。かくのごとき国民いじめの消費税は、かつての取引高税同様廃止以外にない大悪税であります。重ねて廃止を要求し、総理の答弁を求めます。
 国民生活の身近な問題は無数にありますが、その一つとして、昨年の本院予算委員会で私が取り上げました駅にエスカレーターを設置する問題について伺いたい。その後、私どもの調査では、この一年間に全国十一都道府県の七十一の駅でエスカレーターの設置及び設置約束が進んでおります。一定の前進はあるものの、全体としてはまだおくれています。また、この事業は国民生活のための投資、内需拡大にも貢献するものであります。この問題での到達状況及び今後の対応について総理の所見を求めるものであります。
 昨年末、東中野駅での電車衝突事故を初め、JRの重大事故が相次いでおりますが、これと表裏一体の関係にある労働者に対する非人間的な抑圧、特に、国労、全勤労の組合員を徹底して差別し、ベテランの運転士や検修マンなどを本来の業務から排除する不当労働行為の問題があります。地労委や中労委に訴えられている件数は約百九十件、そのうち既に十二件に対して明白な不当労働行為として原職復帰の救済命令が相次いで出されています。国鉄の分割・民営の際、所属組合による差別はしないというのが、政府及び国鉄側の答弁であり、国会決議でもあります。したがって、JRはもちろん、政府の責任も重大であります。
 総理、JRに直ちに命令、勧告に従うよう指導すべきでありませんか。所存を伺います。
 さて、先般の日米首脳会談についてお聞きしたいのでありますが、この際、総理に言いたしておきたい。
 昨日の金子書記局長の質問に対して、あなたとは考えが違うと一度ならず答えられました。しかし、国会はもともと立場の違うそれぞれの政党政派が事実と道理に基づいて論議する場であります。それを考え方が違うなどと問題をそらすことは、まじめな答弁でないということを厳しく指摘しておきたいのであります。
 さて、竹下総理は、三日の記者会見で、ブッシュ大統領と合意した日本の責任分担強化は、軍事面の肩がわりは米国も期待していないと述べています。
 では伺いたい。アメリカの政策は変わったのですか。一九八八年三月、当時のカールッチ国防長官は、米議会への報告書で、国防長官として初めて日本の防衛長官に会ったとき、日本側が共同防衛分担のうち、より大きい分担をするよう要請したと述べているように、これまでもアメリカが日本の防衛分担強化、肩がわりを要請してきたことは公然たる事実であります。首脳会談でもブッシュ大統領は、目に見える形で安全保障の問題、援助の面でやれることを実行していけば日米関係はさらによくなるだろうと述べて日本の責任分担を迫ったのに対して、竹下総理は、全く同感だ、安保体制維持強化のため最大限の努力をしていきたいと答え、日本の日米軍事同盟の強化、軍事力の増強を改めて約束した、これが事実ではありませんか、伺いたいのであります。
 こうした相次ぐアメリカの圧力のもと、来年度予算案を見ると、福祉、教育、農業、中小企業など国民生活関連予算は冷酷に切り捨てられている中で、軍事費は五・九%増、米軍への思いやり予算は一八・三%増、ODAは七・八%増という異常突出となっております。このこと自体、消費税が実は軍拡のための財源づくりであったということを立証するものではありませんか。事実に即して答えていただきたいのであります。
 その結果、日本は今や世界第三位の軍事大国になっております。総理、あなたは施政方針演説で、軍事大国にはならない、こう述べていますが、防衛庁のいうNATOの一・二倍方式の計算によっても日本が防衛費において世界で第三位の軍事大国になるに至ったという事実を国民の前にここに率直に認めるべきではありませんか、いかがですか。
 軍縮、軍事費削減は世界の流れであり、日本国民の願いでもあります。国連総会はこの十年間、軍事費削減の決議を行い、日本もこれに賛成してまいりました。昨日総理は、この決議は超大国を対象にしたものだと、こう答えましたが、ごまかしてはなりません。決議は冒頭、「オール・ステーツ」、すなわちすべての国と明記しているではありませんか。国連決議に賛成してきた日本が、その実決議に反する大軍拡政策をとっていることを竹下内閣は世界と日本の国民にどう説明するんですか、伺いたいのであります。
 総理は、今回の首脳会談で一層の市場開放を約束しています。昨年の日米首脳会談や外相会談でも言質を与えたとも言われる米の自由化について、今回の首脳会談でどのように話し合われたのか。日本の農業を守り、安全な食糧の安定的供給を確保するため、特に米の自由化には絶対に応ずべきではないと考えますが、答弁を求めます。
 さらに、米国に約束した責件分担としてのODAの問題があります。本来人道的な立場から実施さるべき我が国のODAが、アメリカの世界戦略を維持、補完する立場から、アメリカの戦略重点国に向けられているのがその実態であります。例えばアメリカ下院軍事委員会責任分担公聴会において、ケリー会計検査院国家安全国際問題担当局次長は、アメリカに催促されて日本はトルコを初め戦略的に重要な国であるエジプト、。パキスタン、韓国、オーマンなどへの対外援助をふやしたと述べています。実際に我が国のODAの八七年度実績は、後発発展途上国四十一カ国に対してわずか一八・八%なのに、アメリカの戦略重点国へは四七・四%が供与されております。ODAは、こうしたアメリカの戦略援助の肩がわりではなく、飢えに苦しむアフリカなどの後発発展途上国を中心にした政策に転換すべきではありませんか。
 もう一つの問題は、ODAが被援助国の自立や国民生活の安定に役立つどころか、膨大なむだと利権、汚職腐敗の原因になっていることであります。
 フィリピンのマルコス腐敗政権との癒着、知らないですか、余りにも有名であります。最近ではリベリアで、テレビ受像機などほとんどなく、電線さえも十分配備されていない地域に、教育テレビ放送網拡充計画と称して送信設備だけを供与したなど、常識では考えられないような事態が頻発しております。総理はこうしたODAの実態をどう認識されているのか、明らかにしていただきたい。
 国民の貴重な税金から支出される経済援助が、かくもずさんでかくもむだになっているばかりでなく、我が国でもこれにかかわる関係者の利権の対象となり、汚職と腐敗の伏魔殿とされています。こうした状態が放置されている原因は、欧米諸国では考えられないような三無、三つがない、第一に経済援助に関する基本的な法律もない、第二にきちんと責任を持つ担当省庁もない、第三に経済援助に対する国会の発言権もないからであります。
 我々参議院の外交・総合安全保障に関する調査会は、昨年五月二十五日、ODAのあり方について本院が決議を行うこと及び立法化を進めることを全会一致で本会議に報告しております。政府としても経済協力の基本に関する法律を提案することは緊急の課題と考えるのでありますが、総理の答弁を求めます。
 最後にたださなげれぼならないのは、前天皇の死去を機に展開されている異様な一大キャンペーンについてであります。
 この問題は、天皇制の是非の問題ではなく、憲法に明記されている主権在民と恒久平和、基本的人権と政教分離などの諸原則、すなわち戦後政治の原点を守り抜くかどうかという重大な問題とかかわっております。
 あなたは昨日、天皇は国務大臣の補弼によって宣戦布告した、こう述べましたが、周知のように、戦前の日本では制度的にも国家権力のすべてが天皇に集中し、天皇だけが国務や統帥その他すべてについて旧憲法第四条に明記されているように総攬する立場にあったことは争いがたい事実であります。実際にも、事前の内麦や御質問等を通じて、さらには正式の御前会議や宣戦布告を含む詔勅等において、天皇が戦争開始や作戦等について最終的決断を下し、命令したことは多くの史料によって示されている歴史的事実ではありませんか。一体、総理は戦前の日本の国家体制と歴史について、いかなる認識に基づいて天皇に戦争責任なしとしたのか明確にされたいのであります。
 総理は昨日、かつての戦争が侵略戦争であったかどうかは後世の史家が決めることなどとまことに無責任きわまる答弁を行いましたが、我が国が受諾したポツダム宣言は、あの戦争を「無責任ナル軍国主義」が「日本国国民ヲ欺購シ之ヲシテ世界征服ノ挙二出ヅルノ過誤ヲ犯サシメタ」と断じているのであります。総理の答弁はあの侵略戦争への一片の反省すらもないものであり、国際的にも重大問題であるということを指摘するものであります。
 次に、天皇の代がわり儀式の問題でありますが、その内容は、天皇主権かつ祭政一致で皇室の特殊な宗教上の祭祀が国家的なものとされていた戦前の儀式を、ほとんどそのまま踏襲したものとなっております。特に、アマテラスオオミカミの子孫であることで天皇としての正統性を示す剣璽等承継の儀や、アマテラスオオミカミと一体化して天皇が現人神になるという大嘗祭などは、現行皇室典範では当然にも廃止された儀式であり、政府がこれらの儀式を国家的な行事として行うことは明らかに憲法に違反するものであります。
 さらに、大喪の礼の際に、天皇家の私的な宗教的儀式である葬場殿の儀を大喪の礼と一連のものとして行い、立法、行政、司法の三権の長がこれに参加することも、政教分離の原則に反する明白な違憲行為であります。
 総理は、この葬場殿の儀に参加する意向のようでありますが、国家機関の宗教的行事への参加を禁止した憲法の規定をあくまでも無視するつもりか、また衆参両院議長、最高裁長官にも出席を求めるつもりか、明確な答弁を求めます。
 「お心ならずも勃発した先の大戦」として天皇の責任を否定した竹下総理の謹話なるものが、国民の声を代表するものではなく極めて偏った見解にすぎないことは、あれだけの異常な天皇賛美の大キャンペーンがなされているにもかかわらず、ごく最近の世論調査でも、前天皇に戦争責任なしと明確に答えた人が三一%にとどまり、責任あると明確に回答した人が二五%を占め、どちらとも言えないという人が甚だ多いことからも明白であるということをここに指摘しておくものであります。
 今、広範な国民の間には、自民党・竹下内閣の軍拡と生活破壊、金権と腐敗の政治に対する怒りが広がり、国民主権と議会制民主主義を崩し憲法を骨抜きにしようとするたくらみに重大な不安が深まっています。同時に、こうした異常な状況に対して、今こそ政治の根本的転換のときであるという意識も高まっています。日本共産党は国民とともにその先頭に立って全力を尽くすことをここに表明し、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(竹下登君) ただいまの御質問は全部私を指名しての御質問でございますから、私一人でお答えをいたします。
 まず、いわゆるリクルート問題、これを単なる経済行為と考えておるかというお尋ねであります。
 一般論として、未公開株の譲渡は、これは一つの経済行為であることは事実であります。個別的、具体的取引について、譲渡人あるいは譲り受け人、それらがいかなる趣旨を持っておったかということを推測することは困難でございます。
 また、私に関連する二人の証人喚問のお話がありました。これは国会でお決めになることでございます。
 それから御指摘のパーティーは政治資金規正法により報告したものであって、細目を申し上げる考えはございません。
 それからお尋ねの研究会は、私の後援会でそのようなものはございませんので、お答えする立場にございません。
 それから施政方針演説にお触れになりましたが、政治不信の広がりが憂慮される事態にあればこそ行政府の長たる私の責任は逃れられません。したがって、逃れることなく政治改革の実現に全力を傾ける考えであります。
 次に、企業献金、団体献金についてお触れになりました。
 いつも答弁を申し上げておりますが、企業、団体とも一つの社会的存在であります。その献金がよくないと決めてかかることは問題があります。
 次に、衆議院議員の定数問題でございます。
 事柄の性格上、衆議院本会議の決議を踏まえて各党間で十分話し合っていただくことがまずは土台になるべきものでございます。政府といたしまして、その論議等を踏まえながら努力していくのは当然のことであります。
 次に、小選挙区制案にお触れになりました。
 私も共産党の主張していらっしゃる選挙制度の問題は承知しておりますが、昭和四十八年当時、衆議院議員の選挙制度として小選挙区と比例代表制を、この場合は並立てはなく、併用的な考え方で採用することについての論議がありました。その比率を六対四とする方向を検討しているということはあったようでございますが、政府として法案を閣議決定するには至らなかったというふうに調べてみました。
 それから厚生年金支給開始年齢のことでございます。
 人口の高齢化の急速な進展の中で年金の給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものにしていくためには、支給開始年齢の引き上げは避けて通れない課題であります。
 引き上げに当たりましては、できるだけ早目にスケジュールを国民の前に明らかにして、十分な準備期間を設けて、段階的にその実施を図ることが必要であると考えております。したがって、平成二十二年あるいは平成二十七年というところへ諸般の政策も合わせて行うべき課題であると存じております。
 老人医療費の無料化など福祉、医療制度の抜本的拡充をすべきとの御意見であります。
 老人医療費の一部負担につきましては、老人の健康に対する自覚、適切な受診、世代間の負担の公平という観点から必要なものと考えております。
 本格的な高齢社会の到来を控えまして、高齢者に対する保健、医療、福祉の各種施策を総合的に推進していくことが重要と考えております。
 そうした考え方に基づいて、寝たきり老人等に対する在宅サービスを拡充する、そして特別養護老人ホームや老人保健施設の整備を図る、これらは引き続き積極的に進めてまいります。
 さて、消費税の問題でございます。
 免税事業者につきましても、その仕入れには消費税額が含まれておりますことからして、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われることが必要であるということは何回も申し上げたことであります。
 消費税におきまして、売上税と異なりますのは、免税事業者からの仕入れにつきましても仕入れ税額控除を認めることとしておりますので、免税事業者が取引から排除されたり、転嫁を拒否されたり、そのおそれは格段に小さくなったものと思料しております。
 また、親企業に対する取引上弱い立場にある下請企業につきましても、消費税の円滑かつ適正な転嫁が重要という基本的認識をまず持っております。
 そこで、このため、円滑かつ適正な転嫁につきましては、先般設置いたしました推進本部を通じまして、関係省庁とも密接な連絡をとって、一つには積極的な広報、指導、相談、二番目には下請事業等に対する買いたたき等の防止、そして三番目には転嫁力強化のための中小企業対策等の予算措置、これらを広範かつきめ細かに対応していく考え方でございます。
 したがいまして、消費税の廃止というようなことは考えておりません。
 それからエスカレーター、エレベーターの設置促進の御指摘がありました。
 鉄道駅におきますエスカレーター等の設置につきましては、駅の新設時やあるいは駅施設の改良時等にあわせて従来とも整備を進めてきております。今後とも、利用者の利便を図る観点から一層整備を進めていく考えであります。
 JRの不当労働行為についてであります。
 一般論として、不当労働行為があってはならない、これは当然のことであります。労働委員会等に申し立てられている、おっしゃいましたJRに関する事案につきましては、現在係争中でございますので、政府としてのコメントは差し控えるのが適切だと思っております。
 それから次に、外交、防衛問題等にお触れになりましたが、私が昨日金子さんに、かなりお互いの考え方が違いますと、こう申しました。そのとおりでございます。私は共産党員でもございませんし共産主義者でもございません。したがいまして、著しく違いますだけに、答えが満足いただけるとは思いません。したがってむしろ親切にそのような前提を置いて申し上げたわけでございます。
 そこで、累次申し上げておりますとおり、我が国としては、平和憲法のもとで他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、こういう基本理念のもとで日米安保体制を堅持して、その円滑かつ効果的運用を図ってまいりますとともに、自主的に節度ある防衛力の整備に努めておるところでございまして、訪米の際、首脳会談においても、このような基本的考えに立っておることを申し述べておるわけであります。
 消費税が軍拡のための財源づくりなどということは、一度も考えたことはございません。
 それから防衛費の国際比較等についての御議論がございました。
 各国の防衛費の定義、範囲、それぞれ異なります。内訳は明らかではございません。御指摘の趣旨がどこまで正確かは私もつまびらかにいたしませんけれども、機械的にドル換算をした防衛費の額をとらえてどうのこうのと論ずるのは不適当であろうと思っております。
 要は、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、この基本理念こそ大切であると思うわけであります。
 それから国連軍事費削減決議と反するじゃないかということを、昨日の答弁を踏まえて、よくお読みになってまた御指摘がありました。
 御指摘の国連決議は、正確に申し上げましょう、すべての国、軍事超大国に対し、軍事費に関する自己抑制を行うことなどを要請するものであります。こうした趣旨は、各国の安全保障を損なうことなく軍備の水準を可能な限り引き下げるという我が国の従来からの主張、軍備管理・軍縮の考え方からいたしまして一致いたしますので賛成したものであります。
 他方、我が国の防衛力整備計画は、再三申し上げますように、憲法及び基本的防衛政策を踏まえて、我が国が平時から保有すべき防衛力を定めた防衛計画の大綱によるものでございます。国連決議と矛盾するものでは全くございません。
 次に、米の市場開放にお触れになりました。
 さきの日米首脳会談では、米の問題についてお互い話し合う機会はございませんでした。米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国の農業問題、制度について議論を行う段階において討議することが適切と考えております。
 米の問題は、我が国において国会における決議の趣旨を踏まえて対応するのは当然のことであります。
 それから援助政策に触れて、非戦略援助というようなことでございます。
 御指摘にもありましたが、我が国の経済協力は相互依存と人道的考慮というものを基本といたしております。したがって、あくまでも自主的な判断に基づくものであります。
 ODAの実態に対する認識、これについてはいろいろな議論があることはよく承知しております。今後とも効果的、効率的な実施について一層の努力を払うべきは当然であります。
 また、ODAの実施に当たりましては、これが適正に執行され、おっしゃいますような疑惑を招くようなことがあってはならぬのは当然であります。万全を期してまいります。
 さてそこで、基本法の問題を御議論になりました。
 従来から、実施に際しまして、国会に対しても、相手国の立場を配慮しながら随時所要の報告、資料の提出等を行っております。そうして、実施体制は全体として順調に機能しておると私は思います。したがって、今後その運用の改善を図らなければならない点はございます。援助基本法の制定、これは今考えておりません。
 最後に、これこそまた大変考え方の相違でございますが、お答えをいたします。
 私の謹話におきまして述べた部分をとらえていろいろ御意見がございました。
 さきの大戦が悲しむべきものであって、残念のきわみであるとの趣旨を述べたものであります。昭和天皇のいわゆる戦争責任の問題を念頭に置いたものではございません。
 旧憲法はいわゆる立憲君主制をとって、同憲法下におきましては天皇は統治権を総擁する地位にあられましたが、憲法上の慣行として国務大臣その他の機関の輔弼、補佐によって政治がなされ、天皇は輔弼、補佐機関の決定を拒否されることはなかったと言われているところであります。
 昭和天皇がひたすら世界の平和を祈念してこられ、さきの大戦に際しても回避するため全面的に努力され、また戦争終結の御英断を下されたことはよく知られておるところであります。
 さて、剣璽等承継の儀にもお触れになりました。
 憲法の趣旨に沿って、かつ皇室の伝統等を尊重して行われたものであります。憲法違反などでは全くありません。
 大喪の礼と政教の分離についてもお触れになりました。
 大喪の礼は、国の儀式として、憲法の趣旨に沿い皇室の伝統等を尊重して行われ、葬場殿の儀は、皇室の行事として、原則として皇室の伝統的方式に従って旧制を参酌して行われるものであります。両儀は法的にも実際上も明確に区別され、政教分離の原則を定めた憲法に違反するなどとは全く考えられません。
 そこで最後に、私が葬場殿の儀に公人の資格で参加すること、これに御言及になりました。憲法に違反するとは考えておりません。
 また、衆参両院議長、最高裁長官が葬場殿の儀に参列される場合、これを政府として御案内等を申し上げるのは当然のことであると思っております。(拍手)
#13
○議長(土屋義彦君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時五分休憩
     ─────・─────
   午後一時十四分開議
#14
○副議長(瀬谷英行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
#15
○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表し、竹下総理の施政方針演説に対して質問を行うものであります。
 まず、質問に先立ち、昭和天皇の崩御に対し、深く心より哀悼の意を表する次第であります。
 竹下総理、あなたは数字に強いことを自任しておられるようですが、現在、竹下内閣の支持率がどの程度低くなっているか御存じでしょうか。竹下改造内閣は、昨年暮れに成立してから法務大臣、経済企画庁長官と、わずか一カ月で二人の主要閣僚が辞任する異常事態となりました。しかも、検察当局によるリクルート疑惑の調査が山場に近づいている中で、法務大臣の補充を民間に求めざるを得なかったことは、自民党の中に法務大臣たるにふさわしいクリーンな議員がいなかったことを示す以外の何物でもありません。それほどリクルート問題は根が深いものになっています。総理はこのような事態についてどう認識しておられるかお伺いをいたします。
 今日政治に求められている緊急の課題は、政治への国民の信頼をどうして取り戻すかであります。そのため第一になすべきは、リクルート問題を徹底的に解明し、国民が抱いている疑念にこたえることであります。
 総理は二月四日のロサンゼルスにおける同行記者との懇談で、政治改革の第一の課題として衆議院議員の定数是正を挙げておられます。しかし、このことは、自民党内においてすら、政治改革の緊急課題は政治倫理の確立に向けての具体策を打ち出すことと、政治と金の問題を見直すことだとする発言があり、我々も衆議院の定数是正問題を先行させようとする竹下総理を、これはもうリクルート疑惑をかわすための策略だと受けとめざるを得ないのであります。
 贈収賄などの刑事事件は検察庁に譲るにしても、内閣、国会を挙げて政治問題としてのリクルート疑惑の徹底究明なくして国民から信頼を回復することはできません。また、今後の政治改革も期待できないのであります。秘書がやったから自分には関係ないではもう済まされないのです。そこで、リクルート疑惑解明について総理の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
 次は、政治改革の手順についてであります。
 現在、竹下総理のリーダーシップによって政府に有識者による賢人会議が設けられ、また自民党内では政治改革委員会がつくられ議論が行われているようでありますが、一体総理はそれらの機関をどう扱っていくつもりでしょうか。政治改革の議論を行うことは大切ですが、これまでの自民党の政治改革は、各論になると自分の都合のいいように次々と骨扱きにし、いざでき上がってみれば国民の期待から大きく後退してしまっているのが常であります。政治改革を唱えるのであれば、もっと公的で国民各層の声が反映できる機関で行うべきではないでしょうか。
 また、リクルート問題や明電工事件など相次ぐ疑惑の根源には、自民党長期政権のもとで培われてきた政官財界の癒着があり、そして中央、地方を通じて公表された政治資金だけでも年間二千七百億円を要する金のかかる選挙、また補助金行政に代表されるばらまき行政など、積年の病弊があると言わなければなりません。政治腐敗の原因の一つは金のかかり過ぎる選挙にあることはだれしも指摘するところでありますが、清潔で金をかけない選挙の例は過去に幾つもあります。金がかかる金がかかると言っているのは主に保守系の議員の方に多いのではないでしょうか。冠婚葬祭に莫大な金がかかると外人記者クラブで発言した自民党の幹部の方もいましたが、清い一票を金で買うようにとられても仕方ありません。
 金がかからない選挙、金をかけなくてもできる選挙、そのためには選挙の公営拡大、政治家の寄附禁止、虚礼の廃止、政治資金の公開の徹底、政党法の検討など、総合的な改革を推進しなければなりません。総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 次に、税制改革について質問をいたします。
 竹下内閣は、我々の強い反対にもかかわらず、消費税導入を柱とする税制改革関連法の成立を強行いたしました。このことは、国民世論を裏切り、国の将来に大きな禍根を残したと言わざるを得ません。我々は、消費税導入による混乱を少しでも防止するため、半年間の弾力的運用や見直し規定の創設などを認めさせておりますが、それでもなお消費税には多くの矛盾と欠陥が満ち満ちており、国民生活はもとより、企業経営にも悪い影響を及ぼすおそれがあります。
 事業者の九七%近くが対象となるあいまいな簡易課税制度、三千万という免税点、不正確な帳簿方式、それにこの四月からという早急な導入時期、この消費税は実にわかりにくくて未成熟な点が多いのであります。下請や競争力の弱い業者は税金を転嫁できず、あげくの果ては倒産するのではないかといった心配も広がっているようです。
 一方、消費者側の不安も深刻であります。自分の払った税金が国に納付されず業者の懐に入ってしまうのではないか、また、消費税を口実にして便乗値上げが行われるのではないかなど、もろもろの不安材料が山積しています。消費税導入後に深刻な問題が派生した場合は、我々が法律に盛り込ませた見直し規定に沿って消費税の仕組みそのものを直ちに改めることは当然のことと考えていますが、竹下総理、この点をここで明確にお約束いただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
 また、消費税の税率が将来安易に引き上げられるのではないか、この点は国民の最も危惧するところでありますが、民社党と自民党の間で、行財政改革の強力な推進なくして税率を引き上げない旨の合意がなされておりますが、これを国会決議などにより具体化するとともに、竹下内閣以後の政権に引き継ぐ決意を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、国民のプライバシー保護と金融市場の安定化に十分配慮しつつ、納税者番号制度を導入し総合課税体制の整備を進めなければなりません。
 以上の諸点について、竹下内閣としてはどのような手順で取り組むのか、その決意と方策をお示しいただきたい。また、手つかずになっておりまする公益法人課税、みなし法人課税についてどう取り組むのか、この点もあわせてお答えを願いたいと思います。
 次に、本年の大きな政治課題であり、国民生活に直接かかわる年金、労働時間の短縮についてお尋ねをいたします。まず、厚生年金の六十五歳支給についてであります。
 政府は今国会において厚生年金の支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる法案を提出すると聞いておりますが、現在ようやく六十歳定年制が一般化されようとしている状況の中で、確かな雇用保障もないままにかかる提案をすることは、国として社会保障に対する責任を放棄すること以外の何物でもありません。国民の多くは、老後の生活の柱としての公的年金に対する期待は大きいのであります。したがって、高齢化社会が進行していく中で、果たして十分な年金給付が保障されるのか不安も抱いております。政府は基礎年金に対して国庫負担率を引き上げるなど、まず年金財政安定化の新たな対策を講ずべきだと考えますが、総理はどのようにお考えかお尋ねをいたします。あわせて厚生大臣の御所見もお聞かせ願いたいと思います。
 次に、労働時間の短縮でありますが、政府がみずから定めた労働時間短縮推進計画を達成するためには今後四年間で約三百時間も短縮しなければなりませんが、まず政府が率先して施策を進めることが肝要であります。
 第六次雇用対策基本計画でも触れられております四季折々の連続休暇を実現するため、まず五月一日のメーデーを祝日とし、四月二十九日のみどりの日から五月五日のこどもの日まで連続休暇とすることを実施してはいかがでしょうか。
 労働時間の短縮は経営基盤の弱い中小企業などでは進めにくい面もあると考えられますので、金融、税制面での助成措置を講じるなど政府の積極的な対応が望まれると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、教育問題についてでありますが、昨年十二月に発表された少年非行問題に関する世論調査によりますと、やはりいじめが最も深刻な問題となっています。その背景としては、受験中心の生活や学歴偏重の風潮が原因とされています。また、リクルート疑惑の政治腐敗に象徴される金銭万能の風潮も子供たちの心に悪影響を与えていることも十分考えられます。政治不信は子供の世界にも決して無関係ではありません。
 先日、山梨県の小学校で非常に残念なことが起こりました。
 子供たちが卒業の記念にプールの外壁にかいていた絵が教育委員会の指示で消されたことであります。文部省や会計検査院に注意されるのではないかと勝手に思い込んだ教育委員会が行き過ぎた判断を下したことに問題があったようです。施設の目的外の利用といっても、落書きを書いたわけではなく、六年間の思い出をつづった教育的にも大変意味のあるものでした。
 一方で、昨年、衆議院選挙に立候補を予定している文部省OBを励ます会のパーティー券が地方の教育委員会に組織的に流され、多くが購入したことが発覚しています。高級公務員が自己の立場や組織を利用して選挙運動を行うこと自体論外ですが、文部省の顔色ばかりを気遣い、子供の気持ちが軽視されたならば大変なことであります。
 教育改革は、教育の現場から政治的イデオロギーを取り除くとともに、このような縦割り的な教育行政の弊害を排除し、心豊かな子供たちを育てることにあると思います。今後の教育改革への取り組みについて総理の御所見と、また文部大臣の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、国土の均衡ある発展についてでありますが、議論は多くなされておりますが、一向に実行が伴っておりません。第四次全国総合開発計画によりますと、東京圏の人口はまだ三百万人もふえると見込まれています。過密都市東京に一たび大規模震災が発生した場合、甚大な被害が予想されるわけでありますが、政府の出した資料によりましても、南関東地震が起きればおよそ十五万人の人命が犠牲になると報告されています。また、日本経済の国際的な役割から見ましても、日本国内の機能が麻痺することによる国際的な影響は甚大なものになると考えられます。
 東京一極に集中した行政機関、業務機能などの移転分散について、今や議論の段階を脱却して具体的な施策を早急に推進すべきであります。また、中央政府に偏った行政権限を地方へ思い切って移譲すべきであります。さらに、地方自治体が自主的に持続的に創意工夫を持った地域社会づくり、また地方活性化のために、財源の地方移譲を積極的に進めるべきであります。
 今回、竹下総理がおやりになろうとしている全国市町村に対する交付金の一律一億円のばらまきは、継続性がなく、小手先だけの対策で、見直すべきだと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、関西の活性化についてお伺いいたします。
 今、関西圏では、関西新空港、関西文化学術研究都市、さらに来年は国際花と緑の博覧会といったプロジェクトやイベントを契機とした地域全体としての活性化を図ろうとしていますが、東京集中の是正、地方振興という視点からも関西圏の活性化は重要な課題と考えますが、政府として具体的にどのような支援策を講じようとするのか、その取り組みについてお伺いをします。
 次に、整備新幹線の問題でありますが、均衡ある国土発展のために意義あるものと考えますが、これが単に政治路線化し、JR各社の経営を圧迫したり、地方への過度な負担、また沿線地価の高騰など、取り組み方を間違えれば壮大なむだ遣いの投資になりかねません。また、将来の総合的な交通体系を考慮に入れた実益のあるものとしなければなりません。政府の真剣な取り組みが望まれるのでありますが、総理の御所見並びに運輸大臣の率直なお考えを示していただきたいと思います。
 次に、外交、防衛問題についてお伺いします。
 このところ国際情勢は、INF全廃条約の発効と米ソ間の対話の継続、中ソの和解の進展、さらにアフガニスタンや中東、ナミビア等での地域紛争解決の兆しなど、平和と緊張緩和に向けた動きが多くなっております。中でもソ連の平和攻勢が際立っていますが、つい四、五年前には予想もできなかったほど大きな変化であります。このようにソ連が変わってきた背景には、東西対立の中で西側諸国が団結し結束していたことと、ソ連や東欧各国で経済危機が深刻化したこと、それに、これまでのソ連指導者には見られなかったゴルバチョフ書記長の柔軟な姿勢が挙げられます。
 ところが、日本の周辺について見ますと、ゴルバチョフ外交を楽観的に評価するのにはまだ早過ぎるようにも思われます。それは、極東ソ連軍の動向がこれまでとほとんど変わっておらず、通常兵力の増強傾向もまだとまっていないからです。
 昨年十二月、ゴルバチョフ書記長はソ連軍の五十万人削減を発表しましたが、ヨーロッパでもまた極東でも、緊張緩和の動きを着実に進め、通常兵力の面でも軍縮を達成するためには、これまでどおり西側諸国が結束を維持していくことが不可欠ではないでしょうか。それと同時に、日ソ間でも緊張緩和のムードを促進するよう、人的交流や経済交流を一層拡大する努力を忘れてはなりません。
 また、両国間には、領土問題という未解決の大きな懸案を抱えています。先日私は、北方領土の日を祈念する大阪府民大会に出席し、北方領土返還に対する大阪府民の熱い願いと期待を目の当たりにしてきました。国民の悲願である北方領土返還のためにも、また、極東及び世界的な軍縮を進めるためにも、西側諸国の団結の維持とソ連との緊張緩和という二つの政策をあわせて行うことが大切だと思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 一方、日米関係は、今のところ差し迫った懸案もなく、先日の日米首脳会談は、ここ数年来の中で最も気楽な雰囲気で行われたと言えるのではないでしょうか。しかし、経済、貿易の面で見るならば、アメリカが依然として巨額の財政赤字や貿易赤字を抱えていることには変わりなく、日本に影響が強い包括貿易法も昨年成立し、いっ貿易摩擦が再燃するとも限りません。
 特に、これまでの日本政府は、問題が起こるとそれをできるだけ先送りすることばかり考え、時間切れのところで押し切られ、それから慌てて国内対策を立てるという受け身の姿勢に終始していた感があります。牛肉・オレンジ、半導体、すべてそうであります。
 日本としては、保護貿易主義が台頭しないようにウルグアイ・ラウンドの進展に努力する一方で、今のうちに次の国内的課題への対応の準備をすべきではないでしょうか。中でも、日本の農業に関して、長期的な展望に立ってその体質を強化し国際競争力を高めることは、生産者にとっても、また消費者にとっても重要なことであります。この点についての総理の御所見を伺います。
 最後に一言申し上げます。
 リクルート疑惑は、新たに四人の逮捕者を出し、刑事事件としての本格的な追及が始まりました。この問題は、単に国内にとどまらず、海外でも大きな関心を呼んでいるのであります。政治的にも先進国となり、総理のキャッチフレーズである「世界に貢献する日本」を推進するためにも、この事件に対する道義的、政治的責任を明らかにし、疑惑を一日も早く解消することが国の内外に対する竹下総理の責務であることを強調して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(竹下登君) まず、支持率低下の問題、これについてのお尋ねがありました。
 リクルート問題発生以降、政治不信の念が国民の間に広がって、これが支持率低下に厳しく響いておると、私自身もそのように受けとめております。したがいまして、我々政治家と一般国民の間の意識のずれ、これも素直に受けとめるべきであると思います。したがって、これから信頼回復のため各種の改革を行うとともに、いわば行政府の長として責任を避けることなく対応してまいりたいと思います。
 したがって、今度の徹底解明の問題につきましては、これは今も御意見にありました。捜査当局は厳正かつ適切に処理されるものと私はかねて答えてまいりましたが、さらに昨日以来今日、一層厳正、適切な対応がなされるものと確信をいたしております。
 さて、政治改革の手順、これらの御意見の中に定数問題も言及されました。
 これは、すりかえとかそういうことではなく、衆議院におけるいわば決議がございます。これに対応して取り組むべきものであります。
 そこで、政治改革を行うに当たりましては、これはとにかくいろいろな角度から意見を吸い上げなければならない。お説のとおりです。で、内閣に有識者会議を設けました。そして、自由民主党内においても政治改革委員会が設けられました。さらに、現在休眠中の選挙制度審議会を総理府内に復活させて、これらの三者が有機的連携のもとに、短期、中期、長期、これらは当然のこととして、国会の各会派の意見ももちろん広く聞きながら対応すべき問題であると考えております。
 選挙制度につきましては、政治への信頼を回復する上で大切なことは、金のかからない政治の実現、御指摘いただきましたとおりでございます。したがって、これらの問題につきましても、それこそ今おっしゃいました政党法を含む公営の拡大であるとか、寄附禁止とか、虚礼廃止とか、あるいは政治資金の公開、透明性の問題とか、これらの議論が当然大きな課題となると私も思っております。
 次は消費税についてでございます。
 この見直し規定ということでございます。そして、私もいわゆる公党間の申し合わせ等については十分承知いたしておるところでございます。まず、政府は円滑化推進本部を設置いたしまして、これが円滑な実施に向け実にきめ細かい実効ある総合的な対策に万全を期しております。したがって、見直しということになりますと、その具体的あり方はその時点でいろいろな各界の意見を十分伺いながら考えるべき課題であると思っております。
 税率の問題につきましては、これは私が施政方針演説でも申し上げました。税率問題は、竹下内閣において税率の引き上げを提案する考えのないことを明らかにしました。三%についてはこれだけ長期間にわたる議論の末コンセンサスが得られたものであります。安易に引き上げなどが考えられようはずはないと、このように思います。
 そして、簡易課税、免税点が持つ欠点についてもお触れになりました。今後ともこの税制定着のために努力をしてまいります。
 そしてまた、御指摘のありました行財政改革、これも決して怠ることなく進めてまいります。
 番号制度にもお触れになりました。この制度は、平成元年度の税制改正に関する答申におきまして、納税者番号制度の導入の問題については、その前提となる番号制度についての政府部内での検討、並びにプライバシーの問題及び適正公平な課税の実現のための負担に関する議論を通じた国民の合意形成の状況を見守りながらさらに検討していくことが適当であると、この指摘がなされました。この答申の線に沿って誠実に対応してまいります。
 それから昨年与野党協議の場においても御指摘のありました公益法人課税、みなし法人課税等いわゆる不公平税制是正の共同提案に対しましては、与党の考え方が示されております。公党間の協議の場において与党が回答したものは、その趣旨を踏まえて対応すべきは当然のことであります。今後ともこれは絶えず不公平の見直し、検討ということは各党間それぞれ行われていくべきものであると考えます。
 さて、社会保障問題に御言及がありました。これは厚生大臣も御指名があっておりますので、私は基礎年金問題についてのみお答えをいたします。
 基礎年金に対します国庫負担につきましては、先般の年金改革におきまして全国民を通じて負担の公平を期するため基礎年金の三分の一に集中することとしたところでありますので、現在これをまず進めていくということであります。
 さらに、五月一日のメーデーを祝日にしてはどうかと、この御提案でございます。
 五月一日を祝日とすることにつきまして、現在我が国の祝日は十二日となっておりまして、今回みどりの日を祝日とすることによりまして十三日になる、その数は先進国並みでございます。また、別に祝日の中に勤労感謝の日が設けられております。
 それはそれとして、連続七日以上の休日となりますと国民生活、経済活動、各方面に影響が大きいものと考えられます。これは為替市場などもその一つの例でございます。大きく影響があるだけに国民世論の動向を見定める必要があることなどなかなか私は難しい問題だと、率直にそのように考えを申し上げておきます。
 それから時短についてお触れになりました。
 中小企業における時短につきましては、基本的にはこれは企業の実情を踏まえて、労使間の自主的努力を通じて実施されるべきものであるということでございますが、政府においても、従来から中小企業そのものの経営基盤の強化とか生産性の向上を図りますためにいろいろな施策を講じておりますので、いわゆる時短のための環境が整備されることを期待し、これからもきめ細かな指導と援助等をやっていこうと思います。
 教育問題について御言及がありました。これは文部大臣を指名していただいておりますので、私からは教育改革への取り組みのみを申し上げます。
 我が国の教育が戦後急速に普及発展いたしました反面、おっしゃるとおり、いじめなどの青少年の非行、過度の受験競争など、さまざまな問題を抱えておることは御意見のとおりであります。政府としては、これらの問題に対処しますために臨時教育審議会を設置して、幅広い観点から各般の改革提言をいただいたと。既にこれまで同審議会の答申に基づいて積極的に教育改革に取り組んでおりますが、今後ともこの施策を着実に進めてまいります。
 一極集中から議論を広げていかれまして、ふるさと創生事業についてお尋ねがありました。
 いつも申しますように、地域づくりは地域の自主性、主体性のもとに推進されることが基本と考えます。ふるさと創生の起爆剤となるよう、みずから考えみずから行う地域づくり事業について地方交付税の措置をいたすことにしたわけであります。この事業を契機といたしまして、各地域において広く住民の参加を得て、未来につながります地域づくりが行われますことを期待いたしておるところであります。
 当面、広域圏の基金構想あるいはふるさと財団構想、インフラ整備等の単独事業等を手当ていたしますとともに、将来四全総の方向に従って、総合的な施策でもってそれを援助していくという姿勢であります。
 関西活性化のための議論がございました。
 関西国際空港は、空港整備の中でも主要なプロジェクトの一つとして、平成元年度予算においても措置をいたしております。
 関西文化学術研究都市につきましては、建設計画に基づきまして関連公共施設等の計画的な整備を促進しますとともに、開銀等の出資、融資、これらによって促進を図ります。
 花博、これにつきましては閣僚会議を設置いたしました。そして特別措置法を定めるなど、支援に全力を尽くしてまいります。
 整備新幹線等、運輸大臣も御指名になりましたので、お答えはそこに譲ることといたします。
 外交問題について、対ソ認識そして西側の結束、これらの御意見、おおむね等しくするものであります。
 最近の東西関係は、米ソ間の対話の定着、欧州の通常兵力交渉の開始などが見られますものの、基本的構造が変化したとは言えず、楽観を許さない、これは御説のとおりであります。
 現下の国際政治状況のもとにありましては、お説のとおり、我が国を含む西側諸国は団結を維持して、東西間の建設的な対話の促進を図らなければなりません。
 日ソ関係について一言申し上げるならば、今もお話がありました北方領土問題を解決して平和条約を締結するということによって真の相互理解に基づく安定的な関係を確立するということを何としても対ソ関係の基本方針として今後も堅持してまいりたいと考えます。
 農業、これについて足腰の強い産業として自立し得るよう、そしてまた消費者の納得し得る価格、そして今日、長期展望を確立するための構造政策等各般の努力をしてまいります。
 そして、通告にはありましたが時間上省略されましたODA問題については、これはやっぱり、いわばこの問題に効果をあらしめるという意見には率直に賛成でございます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(小泉純一郎君) まず、年金の支給開始年齢についての御質問でございますが、我が国は二十一世紀に入ると、現在六十五歳支給開始となっている欧米先進国よりも高齢化が進み、さらにこれらの国よりも平均寿命の伸長により受給期間も長くなることから、厚生年金を将来にわたって安定的に維持していくためには六十五歳支給開始年齢の引き上げは避けて通れない課題であると考えております。
 一方、御指摘の雇用の問題については、昭和六十一年に政府が決定した長寿社会対策大綱や昨年十月に厚生、労働両省で策定した「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」でも明らかにしたように、六十歳前半層の雇用確保に努めることとしており、厚生年金の支給開始年齢の引き上げも、平成二十二年度まで十分な準備期間を置いて対応していきたいと思います。
 なお、年金制度の上でも六十歳前半層の雇用の確保を図っていくため、いわゆる日本型部分年金部分就労としての六十歳からの繰り上げ減額年金制度を創設することとしているほか、つなぎ年金としての役割を持つ企業年金の一層の普及拡大を行うこととしているところであります。
 基礎年金の国庫負担率については先ほど総理が答弁されましたが、本格化する高齢化社会に向けて、国庫負担は年金のみならず医療あるいは福祉についてもその需要が増大してくるので、どの分野に重点的に配分していくかについては、今後、関係審議会等における十分な論議と国民の合意を要する問題であると考えております。(拍手)
   〔国務大臣西岡武夫君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(西岡武夫君) 山田勇議員の御質問にお答えいたします。
 教育の現状は、御指摘のとおりいじめなど青少年の問題行動や受験戦争の過熱化などさまざまな問題を抱えており、これらの諸問題への対処ということがこのたびの教育改革の契機の一つとなったものと認識いたしております。
 文部省といたしましては、教育の現状における諸問題を踏まえつつ、時代の変化に対応する教育の実現を目指して、初任者研修制度の創設や教員養成免許制度の改善など教員の資質向上、学習指導要領の改訂など教育内容の改善、生涯学習体制の整備など諸施策を推進しているところでございます。今後とも、次代の我が国社会を担うにふさわしい心豊かでたくましい青少年の育成を目指して、一層取り組みの強化を図ってまいる所存でございます。
 また、教育改革を推進するためには、国と地方、そうして学校とが一体となって取り組まなければその実効を期しがたいものでございます。今後、地方の教育委員会の活性化を図り、学校の創意ある教育活動が展開されるよう、真に国民の期待にこたえる教育改革の実現に向けて全力で取り組む所存でございます。
 このような教育改革の着実な推進こそ、このたびのリクルート問題がもたらした文教行政に対する不信から国民各位の信頼を回復する道であると信じ、努力を続ける決意でございます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤信二君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤信二君) 私に対する御質問は整備新幹線についてでございます。
 御案内のごとく、整備新幹線の取り扱いは、昨年の八月、政府・与党の間でもって東北、北陸そして九州新幹線着工の優先順位が決定されました。そして、本年の一月にはJR、国及び地域の負担の問題、財源、難工事の取り扱い等について決定があったわけでございます。
 御指摘の点に関しましては、JRの負担については、JR各社の経営判断を尊重しながら、その経営に悪影響を与えないということを大前提として検討を進めてまいりました。そういうわけで国鉄の改革の趣旨には反しないものと、かように考えております。
 さらには、今回の地域の負担につきましても、整備新幹線が地域の開発、発展に果たす役割等、これを考えると、まず適正なものと考えております。
 また、新幹線につきましては、多極分散型国土の形成、総合的な交通体系のあり方等を考慮しつつ、国鉄改革、行財政改革の趣旨に沿って適切に対応する所存でございます。(拍手)
#20
○副議長(瀬谷英行君) 小川仁一君。
   〔小川仁一君登壇、拍手〕
#21
○小川仁一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、竹下総理並びに関係大臣に対し、消費税問題と農業問題についてお伺いをいたします。
 本論に入る前に、リクルート疑惑と政治不信への信頼回復について総理の御見解をお伺いいたします。
 リクルート疑惑は、自民党政権の構造的事件であります。疑惑の解明を求める国民の声は、日に日に大きなうねりとなっています。値上がりが確実に予期できる未公開株の譲渡は、職務権限にかかわれば贈収賄、そうでなくても贈与になります。自民党安倍幹事長は、秘書への譲渡による利益を政治資金として処理したと言明されているようでありますが、竹下総理、あなたはどう処理されたのですか。自民党総裁としてあなた自身の事実関係を明確にすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 次いで、さきの国会において強行採決によって押し通した消費税、岩手ショックによって廃案となった売上税と同じ本質を持つ消費税の諸問題について質問いたします。
 第一に、なぜこの時期に公約違反の消費税導入なのかという点であります。
 中曽根前総理は、売上税導入の理由に財政の伸び悩みを挙げました。しかし、今日大きく事情が異なっています。特に、最近三カ年の年度内自然増収は政府の見通しを大幅に上回っています。にもかかわらず、政府は意図的に税収を過小見積もりするなどして増税の必要性を宣伝しています。我が党の指摘でその論拠が崩れると、高齢化社会の到来に籍口して福祉の財源として宣伝を行いました。しかし、竹下内閣は、高齢化社会の福祉ビジョンを国民の前に提示することなく、逆に年金受給年齢の引き上げなどに見られるように高齢者いじめの政策を打ち出しているのです。
 総理、私が指摘したように、消費税導入の根拠は破綻しています。改めて、なぜ今消費税なのか、国民に納得いくよう御説明ください。
 第二は、竹下総理が御自身で消費税の欠陥として認められた九つの懸念について伺います。
 その中でも最大の問題は税の逆進性であります。付加価値税を導入している多くの国々が食料品等の生活必需品や教育、医療、福祉を非課税にしていますが、政府はごく一部を非課税にするにとどめました。この結果、所得税の課税最低限の引き上げ等の減税による中和策も効果なく、年金生活者や給与所得者の多くが増税になります。来年度予算で福祉関係をほんの少し改善したように見せかけていますが、逆進性の懸念は厳然として存在しています。どのようにして解消なされるのでしょうか。
 また、消費税は確実に物価を上昇させます。政府は消費税による物価の上昇率は一・一%程度と言っていますが、国民はだれも信用していません。例えばお米です。消費者米価を四月から新米で一・五%引き下げるとしていますが、消費税がかかるので逆に一・五%の値上がりになります。また、生活必需品等は単価が低いので、端数切り上げなどによる便乗値上げが行われることは必然的と思われます。
 さらに、転嫁の問題があります。ある新聞の調査によれば、メーカーでさえ完全転嫁できるとしているのは四割しかなく、平均転嫁率は二%ぐらいで、中規模以下のお店では転嫁は難しいという調査結果が出ています。転嫁不可能な場合はメーカーやお店の負担になります。第二法人税となります。この問題は流通業界に激しい変化をもたらすことになるおそれがあります。
 農民はもっと大変です。農水省は競り価格に三%を別枠で上乗せするとしていますが、この措置は三%の消費税だけは間違いなく国が手に入れるということであって、競り価格は需給に左右されるものだけに、農民の消費税によるコストアップ分が保証されるわけではありません。また、競り価格を不当に押し下げる形で消費税分を農家の負担とさせられるおそれもあります。総理がみずから申された九つの懸念が解消、中和されたというならば、この際、その一つ一つについて国民が納得できるよう御自身でお答えいただきたいと存じます。
 第三は、消費税の構造的欠陥についてであります。
 売上税の失敗に懲りて、事業者にのみ配慮した消費者不在の消費税であります。業者の事務負担増の解消策として帳簿方式、簡易課税制度、納税回数の緩和措置等をとった結果は、事業者は消費者から徴収した消費税の一部を利潤とすることができるし、大企業は徴収した巨額の税金を納税日までの間運用して利益を上げることができます。国民の納めた税金が企業の利益を増大するような税制は本質的に間違っております。許されるべきことではありません。
 また、消費税を転嫁させるためにカルテル行為が是認された結果、転嫁カルテルだけではなく価格カルテルも容認することになり、過剰転嫁の可能性が強くなり便乗値上げが起きることが考えられます。これらの欠陥にどう対処されるか、総理のお考えを伺います。
 消費者が負担する税でありながらその納税者に何ら配慮のない税では、四月からの導入は行うべきではありません。今、各地で消費税の説明会が行われていますが、税務関係者すら十分な説明ができず、業者も不安で騒然としています。また、福岡の参議院補欠選挙には私も応援に参り、県民の皆様とお話し合いをいたしました。多くの方々が竹下政権に鋭い批判を浴びせていました。結果は御承知のとおりです。大型間接税は導入しないとした公約に違反する消費税でもあります。四月実施はやめるべきと思いますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、農業問題、林業、水産業についてお伺いいたします。
 牛肉・オレンジ等の自由化決定、米の市場開放問題の深刻化等々の中で農林水産業の体質強化が急務となっております。しかるに、来年度予算において一般歳出が三・三%の高い伸び率を示しているのに、農林水産予算は〇・四%のマイナスになっています。竹下内閣は、世界の流れに逆行して防衛費を突出させながら、このような農林水産の予算を提案したことは基本的な間違いを犯しており、総理の言う「ふるさと創生」は望むべくもありません。なぜ減額予算になったのか、お伺いいたします。
 第二に、米の市場開放についてですが、稲作農家は、厳しい減反、生産者米価の引き下げなどで苦しんでおり、米づくりをするなということかと怒っております。我が国の基礎的食糧である米の市場開放は、農民だけではなく国民の大多数が反対しています。総理、この際、さきの衆参両院の米の自由化反対に関する決議を遵守し、米の市場開放は将来にわたって一切行わないという決意をお聞かせください。
 また、農業、稲作は、水資源の酒養、洪水調節、大気の浄化など、国土の保全、環境の維持に大きな役割を果たしています。総理や関係大臣はこれらのことについてどのような認識を持っておられるか、御説明願います。
 第三に、食糧管理制度について。今農政審議会で米の全量管理、本制度の中期的なあり方などを検討しているとのことですが、食管制度の根幹はこれを堅持する姿勢に変わりがないか、お伺いいたします。
 また、減反政策は、多収穫米や飼料米、アルコール米などの多目的利用の開発、米の備蓄制度の確立を通じて見直すべきと思いますが、お考えをお聞かせください。
 第四に、農家負債についてですが、負債の生じた原因の大部分は政府の施策によるものであります。負債を返せずに農地を手放す農家が増加しています。私は、農家負債を解消するために、無利子、長期の借りかえ融資制度などの対策を急ぐべきと思いますが、お考えを伺います。
 第五に、農産物の輸入自由化、特に牛肉の輸入自由化についてお伺いいたします。
 岩手県は肉牛の生産県で、肥育農家は非常な不安を持っています。また、牛肉の自由化によって豚肉などへの悪影響も心配されています。子牛の再生産を確保できるような不足払いの水準や肥育農家の所得保障などの施策が必要と思われます。生産者の不安を取り除くため、政府の対策をお聞かせください。
 第六に、林業の現状と今後の課題についてお伺いします。
 近年、世界各国において森林の持つ重要な役割について認識が深まり、我が国においても自然環境の保護の認識が広がる中で、現在危機的状況にある林業生産活動をどのように振興していくか、方策をお聞かせください。
 また、国有林野事業は、政府が独立採算制を掲げて、事業拡大、土地売却、定員削減を行っていますが、収支は赤字になっています。自然保護、国土保全、林業の振興、それぞれが十分に配慮されるためには独算制は不適当であります。長期的観点に立った国の重要政策として林業政策を見直す時期と考えますが、お考えをお伺いします。
 次に、水産業関係です。
 去る一月九日に米国最高裁は米国二百海里水域内での日本漁船のサケ・マス漁を認めるよう求めた米国政府の上告を却下しました。このため、同水域に漁獲量の七割を依存してきた母船式サケ・マス漁業は大打撃を受けています。これは我が国外交の失敗であり、政府の責任は極めて大きいものであります。今後の交渉と関係漁業者の救済をどのように考えておられますか。
 また、アメリカは、我が国北洋漁業にとって貴重な漁場であるべーリング公海にも規制を加えようとしています。しかるに政府は、このようなアメリカの理不尽な要求や行動に有効な対処を行っていません。政府は、農業、漁業においてアメリカの言いなりだと農漁民は怒っています。今後どのように対処するのか、お聞かせください。
 沿岸・沖合漁業は、多くの重要漁種の資源減少、就業者の高齢化と減少、他産業との所得格差の拡大等数多くの問題を抱えています。これらの解決には、思い切った助成策が抜本的に行われ、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の推進などが必要です。政府の対策をお伺いします。
 次に、整備新幹線に関連してお伺いします。
 整備新幹線の着工に当たって、特に並行在来線の廃止が問題になっています。政府・自民党は、北陸新幹線の着工に伴い横川−軽井沢間の在来線の廃止を沿線地域住民の強い反対を押し切って決定しました。岩手県では沼宮内−八戸間の在来線の廃止が予想されます。
 沿線の二戸町の例を挙げれば、二口、小鳥谷、小繋、奥中山の四駅があり、三千七百人以上の人たちが利用しています。在来線の廃止は、この地域の住民の生活、産業、経済を衰退させることになります。住民が強く反対していることは御承知と思います。新幹線整備と並行在来線とは、全く別の問題として考えるべきことであります。総理の「ふるさと創生」が悲しみの涙で曇らないよう、総理並びに運輸大臣のお考えをお聞きします。
 最後になりますが、アララギ派の歌人小市氏の歌に「上にゆるく下には重くひびく仕組富国強兵の死語がちらつく」という一首がありました。消費税の本質をずばり言い切った歌です。逆進性をつき、軍備増強を批判する国民の心を詠み上げた歌と思いますが、総理の御所見、御感想を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(竹下登君) 私のほか農水大臣、運輸大臣を御指名でございます。その三人の答弁で今のそれぞれをカバーしたいと考えております。
 まず私に、私の周辺で関連した二人の株取引の問題についてお尋ねがありました。これは、譲渡益はもとより各人に帰属しておる問題でございます。
 それから次は、税収の伸び、税収の用途、そういうことが不明のままなぜ消費税を導入するのか、こういう考え方でございます。
 今回の税制改革は、現行の税制が著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じる事態に対処して、将来の展望を踏まえながら、国民の税に対する不公平感を払拭いたしますとともに、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることによって均衡がとれた税体系を構築する、これが喫緊の課題であるという認識に基づいて行ったものでございます。したがいまして、これらはいろいろな問題があるわけでございます。
 事実また、この今の自然増収があるとはいえ、元来、財政論から申しますならば、自然増収は極力公債の減額に充てられる、これが一般論として言うべきことであろうと思うのでございます。
 そこで、御意見を交えてのお尋ねの中で、九つの懸念の一つ一つについて解消策を正確に言えと、どういうことでございます。
 確かに私はこの問題、衆参を通じまして最初は六つの懸念を申し上げました。それは、税を納めていらっしゃらない方あるいは極めて少額納めていらっしゃる方、あるいは中堅の給与所得者の方、これらの総体的に持つ逆進性の問題についての懸念であります。そして、今度はインフレになりはしないかという懸念。さらに税率が安易にいじられるではないかという懸念。さらにそれに加えて手続が面倒ではないかと。そうして、七つ目の懸念として、転嫁ができるかどうか。そうして、八つ目の懸念として、いわゆる地方財政は大丈夫なのか。九つ目の懸念としく本来免税点がありそして簡易課税制度がある限りにおいては問題のある点についての九つ目の懸念とでも申しましょうか、これを本院における委員会等でもいろいろ議論をさせていただいたわけでございます。したがって、これにつきましては税制全体の中において対応すべきもの、歳出で対応すべきもの、種々ございますということを申し上げてまいりました。
 そもそも、これらの点につきましては、あるいは課税最低限を上げてまいりますとか、そうしてまた中堅の方々には、いわゆる割り増し控除制度を設けておりますとか、そうして、言ってみれば課税最低限と生活保護の間にいらっしゃる方々、これらに対しては、先ほどもごく少額という御指摘がございましたが、歳出でもってこれを中和さす努力をいたしましょうと、このように申しました。
 そして、インフレになりはしないかという懸念については、元来一遍限りのものであるということからして、それのおよその推定額についても申し上げてまいりました。
 それから税率につきましては、きょうもたびたび御質問がありましたように、竹下内閣でこれを持ち出す考えはございませんと申しました。ただし、税率の上げ下げ、税のいろいろな変更、改革というようなことを後世代まで手を縛るべきでないというのは私がいつも申し上げておるところでございます。
 それから転嫁の問題につきましては、今最大の努力を行ってきておるところでございます。これらにつきまして、まさに推進本部をつくりまして、今率直に御指摘がございました、説明会を行うたびごとに大変困難しておる。大変説明会に多数の皆さん方がお集まりになりまして、理解するよりに熱心に努力していらっしゃるという姿も私なりには見せていただいておるところでございます。
 そうして、地方の問題につきましては、これは譲与税の問題と交付税の対象としておる問題で、御説明を理解していただいておるところでございます。
 それからいわゆる九つ目の懸念というようなものにつきまして、私はこれは中小事業者の多い納税者の事務負担に配慮したものでございまして、消費税が新税であることを考えてみますと、私は今日なじみの薄い我が国の現状を考えれば、妥当な措置として御理解が賜れるものではなかろうかなどなど極めて具体的に申し上げておるところでございますので、そこで可能な限り早く国民の暮らしの中に定着しまして、税制改革をしてよかったと喜んでいただけることを期待しながら、私はできるだけ早くなじんでいただくためにも、一生懸念これから相談相手になる姿勢で事を進めていきたい。したがって中止する考えは、せっかくの御提言でございますが、全く考えておりません。
 さて、次は農水大臣等が主としてお答えするのが、具体的な問題でありますだけに質問の御趣旨にかなうことだと思います。
 私から申し上げますのは、米の市場開放について申し上げます。
 米の貿易問題につきましては、ウルグアイ・ラウンドにおきまして各国の農業問題、制度について議論を行う段階において討議することが適切と、かねてからそのように考えております。
 米問題につきましては、我が国におきます米及び稲作の格別の重要性にかんがみまして、特に国会において決議がございます、したがってこの決議の趣旨を体して、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる、これが当然のことであろうと思います。
 また、運輸大臣からもそれぞれお答えがございます。
 最後に、アララギの歌につきましてのお話がございました。
 小市巳世司先生、二松学舎大学の講師で立派な方だそうでございます。「上にゆるく下には重く」これが「富国強兵の死語」というところまで、私にはそのような、まさにそれは死語ではないか、こう思っておりますが、ただ、文化人の小川さんに対しまして、私、文化的な教養はかなり差が開いておりますので、歌でもっての御論評を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(羽田孜君) 小川議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、競り取引での消費税の転嫁方法についてであります。
 卸売市場における競り取引での消費税の転嫁の方法については、競り取引では売り手が買い手に対して直接転嫁について交渉を行う機会がないこと等の事情を考慮し、競り価格に税額の三%を外枠で上乗せする方式を採用するよう、卸売市場の開設者等に指導したところであります。
 消費税は、事業者に負担を求めるのではなく、事業者が販売する商品の価格に上乗せされ転嫁されるべきものでありますので、市場取引についても円滑な転嫁が図られるよう、市場関係者に対して適切に指導してまいりたいと考えております。
 競りでございますから、まさに需給関係が反映されるということで、価格を不当に押し下げるという恣意的なものは入り得ないというふうに私は信じております。しかし、消費税分も農家の負担になってしまうのじゃないかという御心配があるわけでございまして、この点につきまして私どもも十分これからも注意を払ってまいりたいと考えます。
 次に、平成元年度農林水産予算につきましては、総額で六十三年度当初予算に比べ百二十九億円、御指摘のとおり、〇・四%減の三兆一千五百八十九億円となっております。この減額の主な原因は、NTT・Aタイプ事業費につきまして、収益をもって償還する公共事業という性格上、農業関係で実施可能な事業が少なくなったために八十二億円の減額となっております。また、食糧管理費につきまして、米麦の買い入れ数量の減少や政府管理費の節減等によりまして二百九十九億円の減額となっております。こういったことによりまして減額となったわけです。
 しかしながら、基本的には、経営規模拡大対策の充実等構造政策の一層の推進を基軸とする農林水産業の体質強化や、農産物輸入自由化に適切に対処するための国内対策への重点配分を行うなど、予算の重点的、効率的配分を行ったところでございまして、厳しい環境の中でございますけれども、将来展望の持てる農林水産政策の展開を図り得る予算内容であるというふうに考えております。次に、農業の持つ多面的な役割、機能についてでございます。
 農業、農村は、国民の財産たる緑豊かな自然環境、景観及び水、大気を保持、培養するとともに、土砂流出、土壌浸食の防止、洪水調節等の国土保全機能を有しております。さらには自然との触れ合いを通じた望ましい青少年教育、伝統文化の継承などに資するという面でも重要な役割を果たしていると考えております。各地域におきまして各人がふるさとと感じることのできるような社会的、文化的、経済的な基盤を築きながら国土の均衡ある発展を図っていくことが緊要であります。
 こうした中で、農業、農村の持つ多面的な役割、機能に対する国民的要請は今後ますます高まるものと見られております。国民各界各層の御理解を得つつ、これらの農業、農村の持つ機能が十分に発揮されるよう今後とも各般にわたる施策の充実に努めてまいります。
 次に、食糧管理制度につきましてでございますけれども、米の需給均衡化のための生産者、生産者団体の主体的取り組みを促進しつつ、生産性向上などを反映した米麦価の決定、米の流通改善など運営改善を進めてまいりましたが、社会経済情勢の変化に応じて種々の問題が生じており、今後とも制度の基本は維持しつつ、広く国民各界各層の理解と協力が得られるよう適切な運営改善を図ってまいりたいと考えております。
 なお、中長期的な問題でございますけれども、この問題につきましては、市場原理の一層の導入を図るなどの観点に立って現在農政審議会に検討していただいておりますけれども、遠からず報告をいただけるものと考えております。その上で、私どもまたさらに議論を詰めていきたいと思います。
 次に、水田農業確立対策についてであります。
 米消費の減退、単収の増加等により米の需給ギャップは引き続き拡大していくことが見込まれております。したがって、需要に応じた米の計画的生産を図っていくことは、米需給の安定の観点から今後とも必要であるというふうに考えております。
 また、米の備蓄につきましては、米の安定供給の確保と三度目の過剰の回避の双方の考え方に立ちますときに、政府が適正な持ち越し在庫を持ち、これを計画的売却により回転操作していくことが適当であるという考え方に立って転作等の目標面積の設定を行っておるところでございます。
 なお、御指摘がありました飼料用米等の他用途米についてでございますけれども、今現在、アルコール用米ですとかあるいは飼料米につきましては、何県かで実は実験をいたしましたけれども、六十二年に比べて六十三年は少し減っているという実は状況がございます。しかし、やはり転作に対しての、いわゆる減反、これについての限界感というものがあること、これは私どもよく承知をいたしております。そういうことで、さらに関係者の皆さんとも、あるいはそれぞれの皆様方に御研究をいただきながら新しい他用途の開発、これを積極的に進め、少しでも減反を少なくしながら効率性のある農業、稲作というものを営んでいただけるような体制をつくるために、私どもざらに努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
 次に、農家の負債対策についてでございますけれども、厳しい農業情勢のもとで農家の負債対策が農政の重要な課題となっていることは十分認識をいたしております。このため従来から、畜産ですとか酪農につきまして負債整理、こういった資金の準備をしたことがございます。そのような実情に応じてやってきました。そういうことを踏まえまして、償還条件の緩和や各種資金の融通等にさらに努めていきたいと思っております。
 とりわけ最近の農業事情の著しい変動のもとで、既往借入金の償還負担の軽減が緊急の課題となっておることにかんがみまして、制度資金等の改善や土地改良負担金の償還金を長期、低利で融通する制度を創設する等、対策の充実を今度の予算の中で図ったところであります。
 なお、小川議員の岩手県が短角牛の生産の地であるということをよく承知しており、またそういった皆様方がこの自由化に対していろいろな不安を持たれておるということも認識しております。
 牛肉の輸入自由化等に伴う国内対策といたしましては、我が国畜産の存立を守り、その体質強化を図るという基本的考え方にのっとりまして諸施策を展開してまいる考えであります。
 まず、中長期対策として、平成三年度からの牛肉の輸入数量制限の撤廃に備え、肉用子牛の価格低落時において肉用子牛の生産者に補給金を交付することなどを内容とする新制度を平成二年度から発足させるとともに、特にこれらの財源として牛肉等の関税収入相当額を充当することとし、前国会においていわゆる畜産二法の制定により所要の立法措置が講ぜられたところであります。
 また、当面の価格変動等に対応ふる緊急対策といたしましては、現行の肉用子牛価格安定制度の拡充を強化するとか、あるいは肥育経営等の安定対策の拡充強化を進めること、また低コスト生産の推進あるいは流通の合理化等、きめの細かい措置を講ずることといたしまして、昭和六十三年度補正予算及び平成元年度予算並びに畜産振興事業団の指定助成対象事業を通じ必要な財源を確保し、迅速かつ効果的な施策を展開して十分この問題について対処していかなければいけないと思っております。
 なお、林業振興のための施策につきましてでございますけれども、我が国の林業は、内需の拡大ですとかあるいは関係者の皆様方の御努力によりまして、木材に対する関心、これが大変に高まってきており、明るみが見えてきた一面がございます。しかし、御案内のとおり、住宅着工の増加基調、これに多少陰りが見えてきております。また、円高によりますところの国産材と外材との競合が非常に激しくなってきておるということで、厳しさも増しておるということを認識しております。そういう意味で、林産業の一層の体質強化、活性化を図ることが求められておるというふうに思います。
 また、我が国社会の成熟化に伴いまして、森林に対する国民の要請は高度化、多様化する状況にあります。このため、農林水産省といたしましては、木材需要の一層の拡大のための施策ですとか、あるいは売れる材、こういったものの開発あるいは技術開発、こういうことを進めたり、あるいはコストを低減するために造林ですとか林道等の林業生産基盤の整備、これらをさらに進めていきます。
 森林の総合的利用の促進と山村の振興など各般の施策を既に進めておりますけれども、平成元年度の予算案についてもこれらについて所要の予算の確保に配慮しているところであります。今後とも金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進してまいりたいと考えます。
 なお、国有林野事業は、昭和二十二年以降特別会計事業として独立採算制のもとに企業的に運営しているところでございます。独立採算制につきまして御指摘があったわけでありますけれども、これは六十一年十二月の林政審議会答申におきましてもこれを維持することが求められておりまして、農林水産省といたしましては、六十二年七月改定した国有林野事業の改善計画に基づき最大限の自主的改善努力の一層の徹底を図りながら、その課せられた重要な使命を十分に果たしていかなければいけないと考えております。
 なお、国有林野事業につきましては、現下の厳しい経営状況にかんがみまして、これまでに造林、林道、治山等について所要の財政措置を講じ、逐次その充実を図ってきておるところであります。
 次に、水産についてお答えをいたします。
 これは、北洋を含みますところの遠洋漁業につきましては、二百海里あるいは母川国主義、こういったものが定着してきたこと、あるいは各国が魚のたんぱくについてこれを評価するようになったこと、そしてまたこれによって業が成り立つんだということをみんなが知ってきたこと、こういう新しい動向の中で遠洋漁業というものが御指摘のとおり非常に厳しい環境の中にあるというふうに私ども認識をいたしております。
 その中におきます母船式サケ・マス漁業につきましては、昨年米国におげる海産哺乳動物混獲許可をめぐる訴訟の結果、米国二百海里水域内での操業が不可能となり、このため漁業休業を余儀なくされた漁業者に対しては低利資金の融通等の措置を講じたところであります。
 今漁期以降の米国二百海里水域内のサケ・マス漁業の確保のためこれまで米、加等と交渉を重ねてまいりましたけれども、米国におきましては、現在のところ立法的な救済も行われていないことなどから極めて厳しい状況にあります。
 我が国北洋サケ・マス漁業につきましては、今後日米加及び日ソ間で協議が予定されており、これらの場におきまして引き続き粘り強く交渉を行い、安定的な操業の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、べーリング公海での漁業規制問題についてでございますけれども、我が国としては、べーリング公海漁業につきまして、同海域の最大の漁業国としての立場から、資源状況の調査研究、秩序正しい操業の徹底等に努めるとともに、関係漁業国及び沿岸国から成る国際機関を設立し、資源の調査研究を実施することを呼びかけてきたところであります。今後ともこうした立場に立ってべーリング公海漁業問題に対処してまいる所存であります。
 終わりに、沿岸・沖合漁業の振興のための施策につきましてお答えを申し上げます。
 二百海里体制の定着に伴い国際規制が一層強化される中で、我が国二百海里内を主な漁場とする沿岸・沖合漁業の振興を図ることがますます重要となってきております。
 このため、漁業を取り巻く厳しい状況を踏まえ、漁港を初めとする生産、流通基盤等の整備とつくり育てる漁業の推進、資源水準に見合った漁業生産体制への再編整備等、沿岸・沖合漁業及び関連産業に携わる皆様の働く場の整備、消費者ニーズにおこたえし得る水産物の供給体制の整備等に努めてまいりたい、新たな決意で臨んでまいりたいと考えております。
 大変長くなりましたけれども、終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤信二君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(佐藤信二君) 私に対する小川議員の御質問は、新幹線の着工と在来線の廃止との関連性でございます。
 整備新幹線の建設に当たって大事なことは、国鉄改革の趣旨からいって、新生JRに新幹線開業によって著しく輸送需要が減少する並行在来線維持という過重な負担を負わせていいかという問題でございます。
 このため、信越本線の横川−軽井沢間、あそこの問題でございますが、維持した場合には年間でもって十億円以上の赤字を生ずるということがJR東日本の意見でございましたので、そういうことで、平成元年度予算編成の際に政府・与党の申し合わせとして、並行在来線横川−軽井沢間については適切な代替交通機関を検討し、その導入を図った上で開業時に廃止することとし、そのため関係者、すなわち運輸省とJR東日本と群馬県と長野県の四者間で協議する、かように決定したわけでございます。
 東北ルート等、今の高崎−軽井沢間以外のルートの並行在来線の取り扱いにつきましては、このような考え方に沿って適切な結論を得る必要があろうか、かように考えております。以上です。(拍手)
#25
○副議長(瀬谷英行君) 岩崎純三君。
   〔岩崎純三君登壇、拍手〕
#26
○岩崎純三君 私は、自由民主党を代表して、先般の施政方針演説に対し、我が国が当面する重要政策について総理及び関係閣僚に質問を行うものであります。
 質問に先立ちまして、昭和天皇の御崩御に対し、国民の皆さん方とともに哀悼の誠をささげる次第でございます。
 さて、現下の我が国が当面する課題は、対外的には、国際情勢が二極から多極分散化時代へ推移する中で、国力にふさわしい国際社会への貢献であり、貿易不均衡を是正して調和ある対外経済関係の確立であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
また、内にあっては、内需を中心とした景気の持続的拡大を図るとともに、行財政改革の推進、新税制の定着、高齢化への対応及び地域経済発展につながるふるさと創生など幾多の課題を抱えております。
 総理は、就任以来一年有余、この間、懸案の税制改革を初め数々の重要課題を処理されており、私はその政治及び行政手腕を高く評価するものでありますが、新しい平成時代の幕あけに当たって、今後これら内外の課題にいかに対処されるのか、まず政権担当の基本姿勢についてお伺いをいたします。
 中でも、総理が提唱されている「ふるさと創生」は、従来の発想を抜本的に塗りかえた、地元みずからの考えに基づいた、すなわち手づくりのふるさと、それをつくろうとするものであり、新しいふるさとづくりとして大いに共鳴するものであります。申すまでもなく、各地域にはそれぞれ古くからの文化や伝統、そして産業や自然があり、これらの特色に新しい地元のアイデアを生かした個性豊かな町づくりを行うとするふるさと創生は、まさしく現在国が行っている第四次全国総合開発計画の趣旨に適合するものであり、これらが両々相まって個性あるロマンと活力に満ちた地域社会が形成されていくものと考えられます。
 今般、政府は全国の各市町村へ一億円ずつの財政措置を計上されておりますが、これが契機となってそれぞれの独創性に基づいた多様な地域づくりが展開されることになり、新しい地方の時代の幕あけが期待されるのであります。総理みずからの政権構想であるこのふるさと創生に具体的に何を求め、期待しているのか。当面のプランを経てやがて事業が実施されますることとなりますると、それが真に地方の時代にふさわしい地域づくりと振興に役立つものであるならば、一過性に終わるものもありましょうが、事業内容によっては引き続き政府としても対応すべきであり、これらについてどう考えておられるか、お尋ねいたします。
 また、これとあわせ重要なことは、国と地方との関係を改めることであります。それぞれの地方の特色を生かし、個性のある活力に富んだ地域づくりを行うためには、地方みずからが主体的な行政を行い得るよう国の関与、規制を緩め、権限の移譲と財源配分の見直しが必要であります。総理は新行革審の答申を得て検討したい旨きのう御答弁をなされましたが、かつて地方行政に取り組まれた経験を踏まえての総理の御所見を承りたいのであります。
 次に、教育改革であります。
 教育は国家百年の大計と申されるように、次代の青少年を育て、民族悠久の生命をはぐくみ、我が国が二十一世紀へ向けて創造的で活力ある文化国家として発展し、世界に貢献していく基盤を築くために全力で取り組むべき国政の重要課題であります。今日ある我が国の発展は、まさに明治以来、先達のこの教育に対する熱情のたまものであり、すぐれた教育制度の成果によるものでありましょう。
 総理は、施政方針演説において、国際社会の中でたくましく活躍できる個性豊かな青少年の育成を図る旨、教育改革へ臨む決意を示されております。教育改革は今や論議の段階から実行の段階に移っています。今後とも国民各位の理解と協力のもとに推進していかなければならない息の長い課題ではありますが、総理の積極的な取り組みを期待したいのであります。総理の決意を承りたいと存じます。
 さて、かねてより先導試行してまいりました初任者研修が新年度より小学校から実施されます。
 私は、この制度は、初任の教員にとって教育者としての深い愛情と使命感、そして実務的な能力を養う観点から大いにその効果を期待しており、今後どのように定着していくのか国民的関心が持たれているところであろうと存じます。要は、実施に当たって必要なことは、中央から多くのことを画一的に押しつけるのではなく、教育現場の現状を十分踏まえ、教育指導内容は真に必要なものに絞り、そして重点を教育者としてのあるべき心構え、子供たちとの交わり方の修得に置くべきと思います。
 この制度について、一部の教職員団体は、国定の教師づくりをねらっているとか、組合切り崩しであるとして反対いたしているようでありますが、もとよりこの制度は教師としての資質の向上を目指したものであるだけに、イデオロギーや狭い了見での反対運動は慎むべきであります。当局として断固たる姿勢で臨まれたいのであります。
 教育現場での実施状況はどうなっているのか、試行の全体的な成果についてどう認識をしているのか、また指導教員の配置は十分なのかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
 次いで、生涯教育の問題であります。
 産業構造の変化、情報化社会、高齢化社会の進展に伴って、新しい知識や技術の修得について多くの国民より生涯を通じて学習できる場が強く望まれております。これからの生涯学習は、従来の学校教育中心の考え方を改めて、学歴社会の弊害を是正し、国民の生涯における学習の成果が適正に評価される社会の形成を図るべきであります。そのためには、学校教育だけで事足れりとしたこれまでの発想を一新させ、社会教育、労働からライフスタイルまでの幅広い生涯における多様な学習課題に対処しなければなりません。
 政府は、国民の要請の強い自主的な学習活動をどう援助し、新しい生涯学習の時代に対応をされていくのか、文部大臣のお考え方を承りたい。
 総理の「世界に貢献する日本」の役割として、平成元年度予算案ではODA関係費は対前年度比七・八%増となっておりますが、その中には、海外への直接的な援助ばかりではなく、日本国内にいる海外からの留学生への援助も含まれております。我が国は従来より、二十一世紀初頭に十万人の留学生受け入れを標榜しておりますが、現在その五分の一の状況でありながら、彼らへの援助は十分とは言えず、みすみす反日感情を持たせたまま帰国するケースも多いのではないかと憂慮されています。このような留学生問題に対してどのように考え、どう対処されようとしておられるのかお伺いをいたします。
 次に、文部省ではかねてより検討中でありました学習指導要領の改訂案がまとまり、来月には正式に告示されることになりましたが、改訂のねらいは何か、また心の教育やみずからの国に誇りを持つため重要な道徳教育及び国旗、国歌の扱い方は具体的にどう改善されるのか、文部大臣より説明をされたいのであります。
 次に、中小企業問題についてお伺いいたします。
 申すまでもなく、中小企業は我が国経済の活力であり、中小企業の健全な発展なくして我が国経済全体の発展は不可能であります。そうした国の命運を中小企業は担っているわけでありますが、農業と同様に概して市場競争力が弱く、基盤が脆弱であります。そして、新興経済国の追い上げや、円高で影響を最もこうむりやすい事業であります。今こそ内需主導型経済に向かって産業構造の転換を図り、その企業体質を強化しなければならないときと存じます。政府は、これら中小企業の環境変化にどう対処してその育成強化を図っていくのか、その方針を承りたいのであります。
 昨年は中小企業異業種間融合化法が制定されたところでございますが、その成果と今後の対応についてお聞かせを願います。
 なお、当面中小企業にとって関心の深い問題は、新しく導入が予定されている消費税の影響がどうなるのか、特に、転嫁、記帳納税事務負担について懸念を持っております。
 今、中小企業は過当競争の中で消費者と直面いたしています。中小小売業者は価格転嫁の最前線に立っており、下請中小企業は親企業に対して価格交渉力で弱い立場にあり、繊維事業者は途上国からの輸入急増、追い上げに直面しているなど厳しい立場にあります。これら中小企業に対しては消費税導入が円滑に行われねばなりませんが、転嫁が具体的問題になりますると、総理のつじ説法にもかかわらず理解しにくい部分が多く、不安と戸惑いを抱いているのが現状であります。製造業、卸、小売、サービス、建設業等各業種ごとに全国の税務署単位で、さらに商工会議所、商工会あるいはテレビを通し業種ごとにシリーズで一層のPRが必要かと思われます。すべての国民にかかわる問題でありますので、気配りの竹下内閣として消費税PRを積極的に展開すべきでありましょう。御意見をお伺いいたします。
 また、中小企業の記帳納税事務についても、その負担の軽減合理化を図るべきと考えます。政府といたしまして、いかなる財政、金融及び税制上の措置を講ぜられるのか、通商産業大臣よりその御方針をお伺いいたします。
 次に、社会保障についてお伺いいたします。
 我が国におきましては、国民の生活水準や公衆衛生水準の飛躍的な向上、医療技術の進歩、国民皆保険の実現などが相まって、人類が長年待ち望んでいた長寿が既に現実のものとなり、さらに二十一世紀には四人に一人が六十五歳以上の高齢者という我々がかつて経験したことのない高齢化社会を迎えることになります。こうした中で、我が国にふさわしい明るく活力に満ちた長寿・福祉社会をつくり上げていくためには、人口の高齢化の進展に伴い、我が国の経済社会のシステム全体を従来の人生五十年時代のものから人生八十年時代にふさわしいものへと転換を求めていくことが国民的な課題であります。
 中でも、年金、医療、福祉など国民生活の基盤となる社会保障について、年金受給者の増加や医療費の増大といった状況が避けて通れない中で、国民が将来にわたって安心して頼ることのできる公平で安定した制度を確立していくことが不可欠であり、二十一世紀に至るこれからの十数年は極めて重要な時期であると申さなければなりません。この機会に、国民の信頼にこたえるとともに、社会保障制度をどのように構築をされていくのか、総理の御所見を承りたいのであります。
 特に、老後生活を支える公的年金に対する国民の期待は高まっています。現在、年金は若い人六人でお年寄り一人を支えているわけでありますが、十一年後の平成十二年、すなわち西暦二〇〇〇年には若い人約四人でお年寄り一人を支えることになり、さらに三十数年後には若い人二・三人でお年寄り一人を支えなければならないことになります。これは年金運営上大変な状態になることは申し上げるまでもないところであります。
 こうしたことを考えるならば、被用者年金の支給開始年齢の引き上げや、同一給付同一保険料率による各制度共通の給付を保障する公的年金制度の一元化などの問題は、二十一世紀においても年金制度を安定した揺るぎないものとするため避けて通れない問題であると思います。厚生大臣はこれらの点、どのようにお考えでございましょうかお伺いをいたします。
 次は、土地対策について伺います。
 先年来の土地の異常高騰に対処して、我が党は緊急土地問題協議会を設置して、緊急土地対策を取りまとめるとともに、政府においても総合土地対策要綱を策定し、土地の需給両面にわたる総合対策が講ぜられてまいりました。
 これら対策の中に盛られている国土利用計画法に基づく監視区域制度の機動的運用、金融機関に対する指導の強化、短期譲渡課税の強化などの措置により、東京都などにおいてはようやく地価の下落傾向があらわれていますが、周辺の各県、さらには地方の主要都市等においては、依然として騰勢含みで、今後とも十分な監視が必要であります。
 申すまでもなく、土地は限られた資源であり、豊かな国民生活を実現するためには地価の安定は必須の要件であります。今日のように高値安定では、土地を持てる者と持たざる者との不公平は社会の安定にとって好ましいものではありません。東京圏のサラリーマンは家を持てないという事態は、残念ながらまさに働く者の夢を踏みにじる絶望の社会と言えましょう。
 もとより、土地問題にはいろいろな権利が入り組み、立場の相違があって、その解決にはかなりの困難を伴いましょうが、それだけに早急な解決は政治に課せられた責務であります。今こそ、土地は単なる一般の商品とは異なるものであるとの認識のもとに、投機性を排し、また所有しているだけでもうかるという土地神話を切り崩して、土地は公共財として公共優先で利用すべきであるとともに、開発利益は社会に還元するという国民意識を確立することが肝要であると思います。
 総理は、就任直後、この土地問題については、みずから土地対策閣僚協議会の座長につかれるなど、率先してこれに取り組まれ、その熱意を評価するものでありますが、土地対策は今や決断のときと存じます。総理の御決意を賜りたいのであります。
 今日、政治に求められている最大の課題は、残念ながら政策以前の政治改革であります。昨年来のリクルート問題は政治に対する国民の信頼を大きく傷つけました。申すまでもなく、政治は国民のものであります。断じて政治家のための政治であってはなりません。それゆえに、政治は最高の道徳でなければならないのであります。国民より選ばれた政治家に不信、疑惑があっては国民の理解と協力を得ることはできません。信なくば立たずであります。
 我が党はこれまで党員一人一人が党倫理憲章を遵守し、政治に臨む姿勢を厳しく戒めてきたところでありますが、これを契機に一層政治倫理に徹して、国民の信頼を回復し、公職選挙法、政治資金規正法等について必要な改正を行い、もって、金のかからない政治の実現が求められておりますが、本件について総理は本年を政治改革元年とするとの強い決意を表明されましたが、改めて政治改革に臨む総理の基本姿勢をお伺いいたします。
 終わりに、戦後の政治史を顧みるとき、我が党が政権のほとんどを担当してまいりましたが、その過程においてロッキード事件やリクルート問題等国民の怒りを買う政治不信についての試練がありましたが、戦後一貫して、平和を基本に今日の自由で豊かな、しかも「世界に貢献する日本」にまで発展をいたしました。このことは、国民皆さん方の英知と努力、そして我が党の政策に誤りがなかったからではないでしょうか。ただ、我が党は国民の政治不信に対しては、時にみずからを切り刻み、反省と自戒のもと政界浄化に取り組んできたところであります。それゆえにこそ、長きにわたり国民の支持を得、政権担当の責めを果たすことができたのであります。
#27
○議長(土屋義彦君) 岩崎君、時間が超過しております。簡単に願います。
#28
○岩崎純三君(続) 我々は今回のリクルート問題を重視し、政治改革に精魂を傾け、金のかかる政治を根絶して、政治に対する国民の信頼関係を不動のものにするため勇気と謙虚さを失わず前進する決意を申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(竹下登君) まず最初に、政権担当についての決意を問うとのことであります。
 一昨年十一月、内閣総理大臣に就任いたしまして以来、私は一日一日を大切にしながら謙虚に身を律しつつ、外に対しては首脳外交を展開し、内にありましては税制改革に全力を尽くしてまいりました。各位の温かい御理解と御支援によりまして、「世界に貢献する日本」との我が国外交の姿勢は各国首脳の理解と賛同を得て着実に浸透いたしております。また、内政問題の税制改革もさきの国会で十年の私の体験からして実現をさしていただきました。感謝にたえません。
 私は、今後ともこうした実績をより確実なものにしなければなりません。諸外国との協調のもとに世界の平和と繁栄に貢献してまいりますとともに、内にあっては新税制が円滑に実施されていくようにきめ細かな配慮をして、後世の方が大幅減税とともに税制改革をしてよかったと実感していただけることを確信しながら、謙虚に邁進してまいります。
 さて、いま一方、平成の幕あけに当たり、私がかねて唱えておりますふるさと創生についてのお尋ねがありました。
 日本人一人一人がみずからの住んでおります地域を「ふるさと」と感ずることができるような充実した生活と活動の基盤をつくり上げて、真の豊かさを目指すものであります。
 ふるさと創生のためには、確かに今までも新産業都市構想でございますとかもろもろの構想がありました、これをいわば中央がメニューを示して地方に選択をゆだねるということではなくして、まさに発想を転換して、地域が自主性と責任を持っておのおのの知恵と情熱を生かし、小さな村も大きな町もこぞって地域づくりをみずから考えみずから実践していく、これが私の唱える「ふるさと」の中心のまず基本的な考え方であります。この自立的な精神にのっとりまして、誇りと活力に満ちた、しかもそれぞれの地域の文化、伝統、薫り豊かなふるさとを築くことができる、このように確信をいたします。
 人間味あふれたふるさと像を描いて、今手づくりのふるさとという御発言がございました、本当に自主的、主体的な村づくり、町づくりにこたえることができるよう、地域の活性化の具体化に向けて今後とも総合的にこたえなければならないと確信をいたしております。
 さて、一億円構想後の国の支援策の問題でございます。
 この事業は、これは昭和六十三年度から平成元年度までのものでありまして、交付税の措置でございます。国といたしましてはこれをまず起爆剤としてやっていこう。そして、今広域市町村圏の基金構想でございますとか、あるいは新たなる雇用の場を創出するためのふるさと財団の構想でございますとか、またそれぞれのインフラ整備等単独事業の充実等の問題が既に予算化され、制度化されております。これらを活用し、そして、さらには第四次全国総合開発計画そのものの中で組み込まれました、いわばとかく縦割り行政だと言われる国もあるいは都道府県もそれぞれが協議体をつくりながら、それらのふるさとの青写真を実行に移すためのインフラ整備等、具体的に総合的に対応していこうというのが今後の考え方の基本であります。
 それには、お説のとおり、やはり何としても国と地方の間の役割分担と費用負担のあり方について幅広く検討を行うことが必要であります。まさに三千三百十五自治体、あるいは三千二百四十五市町村、これらが財源の点においても必ずしも均一的でないことはだれしも承知いたしております。したがって、少なくとも本年内に予定される行革審の答申を待ちまして、この費用負担のあり方とか機能分担のあり方とか、これらを見直して、その自主性というものが一層発揮できるような環境の整備に努めなければならないと存じております。
 さて、教育改革に関するお尋ねがありました。
 画一的押しつけであってはならない、そのとおりであります。具体的には文部大臣からお答えをすることといたします。
 しかし、既に今日まで初任者研修制度の創設、教員免許制度の改善等が実施されてまいりました。これからも生涯学習体制の整備、教育内容の改善など所要の施策を着実に進めてまいるべきものであると考えます。
 留学生問題に対する取り組みは、二十一世紀十万人というようなことを言っておりましたが、もう今のペースで進みますならば、これは容易に可能性のある数字でございます。まさに近年急増しております。
 帰国後我が国とのかけ橋となって活躍する人たちであらなければなりません。留学生交流は相互理解、友好を深める上でも極めて重要な政策課題であります。御指摘のように、いやしくも反日思想的なものをお持ち帰りになるようなことがあってはなりません。幸いASEANでも我が国への留学生の中から閣僚が誕生いたしました。
 政府としては、かねてから関係閣僚懇談会等を設けておりますが、国費留学生の数の着実な拡充、そして学習奨励費の大幅な増額、それに私費留学生への援助の拡充、特に産業界等が社員寮の提供促進などをしていただいております。こうした関連施策の総合的推進を図っていかなければならない、このように考える次第であります。
 社会保障の将来像についてお触れになりました。
 御意見のとおりであります。我が国の経済社会システムをまさに人生八十年時代にふさわしいものにしていく必要があります。一方、社会保障においては、高齢者の社会参加を図るための条件整備や在宅サービスの拡充、これらに努めることはもとよりでございます。そして年金、医療保険等の制度を揺るぎなく安定したものにしていかなければならぬ。それによって世代間、制度間の公平を念頭に置いて給付、負担の均衡を図っていくという具体案を進めていかなければならないと存じます。
 土地対策にお触れになりました。
 本院に一昨年土地対策特別委員会ができました。私は、土地基本法制定に至る経過を見ますとき、この土地対策特別委員会におけるいろいろな議論、御叱正、御鞭撻、これが大いに役立ったものと信じております。
 何としても土地の公共性を明確化して、土地についての国民共通の意識を確立しなければなりません。その共通の意識があって初めて各般の施策を総合的に実施することができます。したがって、その共通の意識確立のための土地基本法案を政府として提出していきたいと考えております。
 御指摘もありました、土地対策要綱におきましても、土地の利用に当たっては公共の福祉が優先すること、そして、開発利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すべきであるとされておるところでございます。これらを基本として、法案の可能な限り早い機会の提出を考えて作業を進めておるところであります。
 最後に、政治改革に対する決意についてお触れになりました。
 現在、リクルート問題等を契機としまして、国民の皆様方の間に政治に対する不信感が広がっております。したがって政治改革というものは、これは竹下内閣にとって最優先の課題であります。各方面からの厳しい批判を受けとめまして、どうしても政治への信頼の回復の緒につけなければなりません。
 政治倫理、これはいつも申し上げますように、第一義的には政治にかかわる者一人一人のモラルに帰着する問題であります。政治家みずからが自己改革をして、政治倫理綱領を拳々服膺しこれを守っていく、国会がそうした自浄能力を高めるための環境づくり、これをまた急がなければなりません。粗っぽい、いわば議論だけで解決するとは思いません。したがって、これについては国民の皆さん方と、選挙制度だ政治資金だと、今日の問題とのいわばギャップが感じられておると私も思います。しかし、そのギャップを埋めていくためには、現実的にやはり選挙制度にしても政治資金規正法にしても、これは共通の課題として取り組まなければならないわけであります。
 私は、これがためにはそれこそ、国会においても、各党各会派の御協力も得ながら、これに向けてみずからの責任というものを果たすために渾身の努力をすることをお誓いいたします。(拍手)
   〔国務大臣西岡武夫君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(西岡武夫君) 岩崎純三議員の御質問にお答えいたします。
 まず、教員の初任者研修制度でございますが、昭和六十三年度は、全都道府県、指定都市において三千六百二十三名の初任者を対象に初任者研修の試行を実施しており、いずれの県市におきましても順調に行われていると承知いたしております。
 初任者研修の試行につきましては、初任者の資質能力の向上が著しく、学校の活性化も図られた等の成果が指摘されているところでございます。
 平成元年度におきまして、小学校について初任者研修を本格実施することといたしましたが、指導教員を配置することができるようにするため、初任者が配置された学校に教員定数または非常勤講師を措置することといたしております。
 次に、生涯学習の時代への対応についてお答えいたします。
 我が国が二十一世紀に向かい、情報化、国際化などの社会の変化に主体的に対応し、豊かで活力ある社会を築いていくためには、学校中心の考え方をこの際改め、生涯にわたる学習活動の成果が適正に評価される生涯学習体系への移行を図るとともに、所得水準の向上、自由時間の増大や高齢化等に伴う人々の多様な学習需要にこたえることが重要であります。
 このため文部省といたしましては、国、地方における生涯学習推進体制の整備を進めるとともに、多様な学習情報の提供、放送大学の整備、専修学校教育の振興など国民各層に対する学習機会の提供に努めるほか、地域における社会的教育活動の拠点となる施設の整備、社会教育指導者の養成確保を図ることといたしております。
 次に、学習指導要領の改訂についてお答えいたします。
 今回の学習指導要領の改訂におきましては、二十一世紀を目指し、社会の変化にみずから対応できる心豊かな人間の育成を図ることを基本的なねらいとして、教育内容を改善いたしております。
 道徳につきましては、道徳教育の指導内容を再構成するとともに、児童生徒の発達段階に応じて教育内容の重点化を図ることといたしました。
 最後に、国旗、国歌に関する指導につきましては、その意義を理解させる指導を行うとともに、入学式、卒業式における取り扱いを明確化いたしたところでございます。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(三塚博君) 中小企業対策全般についての御質問にお答えを申し上げます。
 岩崎議員御指摘のとおり、中小企業は我が国の宝であります。同時に我が国経済の活力の源泉でもございます。よって、中小企業の健全な発展を図りますことが、我が国経済全体の発展につながるという意味で極めて重要であり、通商産業省の最重要政策課題ということでございます。
 まず第一問でございますが、産業構造の環境の変化にどう対処して中小企業の育成強化を図るのかという御質問であります。
 近年、中小企業は、円高の定着あるいは技術革新の進展、国民のニーズの多様化など構造的な経済環境変化に直面をいたし苦悩いたしておりますことは御指摘のとおりであります。
 我が国経済の安定的な発展のために、前段申し上げましたとおり、中小企業がこれらの環境変化に的確に対応しながら今後とも健全に発展を遂げてまいりますことが肝要であり、そのために通商産業省挙げて本問題に対応していかなければなりませんし、政府全体の重要課題であると認識をいたしておるところであります。
 さような観点から、地域経済の活性化に資する中小企業の育成の支援であります。すなわち、ただいま総理からふるさと創生の基本的哲学についてお話がございました。私どももふるさと創造産業の育成、その地域に密着をいたした形のもの、その地域のノーハウとその地域の情熱、文化的伝統というものがマッチして行われる産業ということでこの際本問題に適応してまいらなければならぬと思っております。
 また、融合化の促進、下請中小企業対策による中小企業の構造転換を果敢に進めてまいります。
 さらに、金融制度の充実や中小企業大学校の地方校の整備、これは逐年確実に進めてまいってきておるところでありますが、人材育成の推進による中小企業の経営基盤の充実を図っていかなければなりません。
 さらに、小規模企業対策や中小流通業対策の積極的推進などの中小企業施策を総合的に講じてまいってきておるところであります。
 さらに、中小企業異業種間融合化法の成果と今後の進め方いかんということでございますが、この法律は本院の賛成を得て昨年成立をいたしたものでございます。四月施行されましたいわゆる融合化法を核といたしまして、中小企業融合化促進施策の実施とともに、異分野の中小企業が交流をし、互いの技術力や市場開拓力等を活用することにより新たな事業分野の開拓を行ういわゆる融合化の動きが活発化いたしてきましたことは同法のおかげであります。こうした動きを中小企業の今後の円滑な構造転換のかぎといたしたいと存じ、昭和六十三年度予算におきましては五十組合、ただいま四十五程度でありますが年度内には五十に相なります、これを的確に進めてまいるつもりであります。
 さらに、本組合に対する補助、異分野の中小企業の交流を促進するための技術・市場交流プラザの開催等を行いましてこの種の理解を広めていかなければなりませんし、事業化に必要な資金負担を軽減するための金融、税制上の措置も講じておるところであります。
 平成元年度においても、開発段階における組合に対する補助の拡充、融合化成果の市場での流通促進等のための調査研究事業の創設など、施策の積極的な展開を図り、本年は七十組合を目標といたし、これを消化いたしてまいりたいと存じます。
 岩崎議員から最後に、消費税の導入、このことにつきまして最大の努力をするようにということの御提言でございます。
 中小企業がこの分野においていわゆる第二法人税あるいは消費税でピンチに追い込まれることがあってはなりませんということで、総理から御答弁がありましたとおり、内閣におきましては推進本部、総理が本部長、私ども、大蔵大臣五閣僚が副本部長として本問題の的確な理解を深めるべく行ってきておるところであります。
 まさに消費税は円滑な導入がその基本であります。よって、通産大臣といたしましても就任以来、流通業界、中小企業四団体、また専門店会それぞれの各産業の各位と懇談をすることにより、メーカー及び産業に対しましては適正なこれの導入ができ得ますように、例えば下請等に対しましても買いたたきゃ値切ることなく転嫁を正確に受けとめて進んでいただきますように御要請を申し上げておりますし、中小四団体及び流通団体の皆様に対しましては本問題施行に伴う諸問題の提示をいただいてまいりました。こういう問題について大蔵大臣とも相談を申し上げ、また各関係閣僚との連携を密にいたすことにより、円滑な転嫁が行われ得ますように努力をいたしておるところであります。
 さらに、地方通商産業局に相談窓口を開設いたし、各位にそれぞれの御勉強をいただき、また実態の御研究をいただく。ただいまも触れられましたとおり、四十七都道府県におきまして本問題の的確な御理解をいただきますための講習会を開かさしていただいております。各紙報道のとおり、入り切れないほどの事業者の皆さんが、また消費者の皆さんが御参加をいただき、非常に盛大の中に静粛にとり行われておりますことは、国民各位の本税に対する理解の深まりかと私どもは考えております。不安の解消のために誠心誠意努力をしてまいりますので、御注意がございましたらよろしくお願いを申し上げるわけでございます。
 さらに、御指摘のように、消費税の導入に際してはその仕組みにおいて簡素化のための一連の工夫が必要であります。いわゆる記帳納税事務負担の影響の大きい中小企業については、特に記帳の代行や機械化の促進についてきめ細かい相談指導体制の整備をいたしました。
 本実施につきましては、予算措置はもちろん、金融上の措置また税制上の措置も十二分に講じ、不安がありませんように対応をしてまいってきておるところでありますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(小泉純一郎君) 年金問題についての御質問でありますが、公的年金は国民の老後生活の支柱としての役割が期待されており、そのためには必要な給付水準の確保と制度の長期的安定を図っていくことが何よりも大切であると考えております。
 このような観点から、厚生年金については、給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものとしていくためには、十分な準備期間を置いた段階的な支給開始年齢の引き上げは避けて通れないと考えております。また、産業構造や就業構造の変化に耐え得る安定した制度とするためには、岩崎議員御指摘のとおり、公的年金の一元化はぜひともなし遂げなければならない課題と考えております。
 以上の観点から、これらの点に対応するための所要の改正法案を今国会に提出したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
#33
○議長(土屋義彦君) 糸久八重子君。
   〔糸久八重子君登壇、拍手〕
#34
○糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、女性の社会参加、社会保障、そして教育問題につきまして御質問をさせていただきます。
 総理、あなたが就任以来唱えていらっしゃる「ふるさと創生」でも、また「世界とともに生きる日本」、新経済五カ年計画の中でも、男性中心の社会、伝統的な性別役割分業論が今なお根強い中で、女性の置かれている困難な状況改善についてはほとんど触れられていないのであります。これは一体どうしたことでしょうか。
 改善を求める女性の声があなたには聞こえないのですか。女性があらゆる分野で生き生きと活動できない社会は、豊かさを実感できる多様な国民生活が実現された社会とは言えません。今女性が直面しているさまざまな困難をどう認識されていらっしゃるのか、これを解決するためどのような施策を講じようとなさるのか、総理、基本的なお考えをまず明らかにしていただきたいと思います。
 以下、女性の社会参加問題について具体的に質問をいたします。
 第一は、女性の政策決定への参加についてであります。
 我が国においてはこれが最もおくれた分野であります。戦後、大臣に任命された女性は三名いらっしゃいますが、皮肉なことに、女子差別撤廃条約批准以降は一人もいないという状況であり、極めて遺憾であります。
 政府はかつて、一九八五年までに国の審議会等の女性委員を一〇%にすると決めましたが、昨年四月時点でわずか六・六%であり、二〇〇〇年までに一五%を目標としているようですが、それを確実なものにするためには、この際、諸外国で実施しているように一定割合以上を女性とするなどの積極的特別措置を講ずる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
 さて第一だ、働く女性関連の施策についてお尋ねいたします。
 その一つは、雇用の分野における男女平等問題です。労働団体、野党の要求を無視し、政府・与党が強行した男女雇用機会均等法が施行されて三年、どのくらいの成果が上がったでしょうか。
 ある新聞社が昨年四月に実施した調査によれば、女性であるということで不利に扱われた者が、賃金で八七%に達するのを初め、昇進昇格、募集、採用、定年、退職等々、いずれの面でも四年前の同社の調査と比べて際立った変化は見られていません。むしろ、日弁連の調査によれば、都内などの銀行、商社、保険会社などで働く主に既婚の女性の場合、コース別雇用制度によって、一般職の女性はやる気をなくし、総合職の女性は男性並みに家庭を顧みないで働く重圧に悩んでいるというのが実態であります。
 均等法は施行後適当な時期に見直しを行うことになっておりますが、三年が経過している今日、この状況を十分点検し、実効性のある法律に改める必要があると思うのですが、労働大臣いかがでしようか。
 その二つは、育児休業の法制化問題であります。
 EC諸国のほとんどが導入している育児休業制度について、今やその早期法制化は男女全労働者の切実な願いであります。四野党は、労働団体の統一要請を受けて、本院に育児休業法案を共同提出しておりますし、労働団体も昨年末、一千万署名運動に取り組んでおります。政府・自民党としても、この際、四党共同法案を十分検討し、その早期実現に努力すべきだと思うのですが、総理並びに労働大臣の前向きの御答弁をお願いいたします。
 これに関連して、介護休暇についても触れたいと思います。
 我が国は、急速に高齢化社会に移行しつつあるわけですが、寝たきり老人の八割が家庭で介護されており、その介護のほとんどが女性により行われているのが現状であります。女性は育児ばかりでなくしばしばこのようなお年寄りの介護のためにも退職したりパートタイム労働にかわることを余儀なくされています。このような状況のもとにあって、男女ともに利用できる介護休暇の法制化が必要になってきていると思いますが、労働、厚生両大臣の御所見をお伺いいたします。
 その三つは、パートタイム労働者の保護の問題であります。
 女性労働者の四〇%はパート労働者であり、これらパート労働者は、正規社員と比べ差別的な取り扱いを受けている場合がほとんどと言ってよいでありましょう。ILO百六十五号勧告もパート労働者の保護の必要を強調しており、我が国においてもパート保護法の制定を急ぐべきであります。また、パートタイム雇用とフルタイム雇用との転換制度についても、これを推進しなければならないと考えますが、労働大臣の御意見を聞かせてください。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 消費税法によれば授業料と入学検定料は非課税とされているにもかかわらず、来年度教育予算案においては、国立大学が購入する物資に消費税がかかるからといって、その分をこれらに転嫁し、授業料と入学検定料を大幅に引き上げる姿勢を示したことは到底納得できるものではありません。しかも、課税対象となっている入学金については、何と一四%強の引き上げを行い、十八万円から二十万六千円となるのであります。国立大学に関するこのような措置が私立学校や公立高校にも波及することは必至でありましょう。このように、政府みずから進んで消費税の便乗値上げをするのは一体どういうわけなのでしょうか、総理の御答弁をいただきたいのであります。
 ところで、異常に肥大化したガチョウの肝臓はフォアグラと呼ばれ、珍味としてもてはやされています。ガチョウの口に次から次と無理やりにトウモロコシを押し込み、運動させないでおく。フォアグラは、人間の身勝手な産物とも言えます。
 学校で何をどう教えていくか。新しい指導要領案が十日発表されました。「自ら学ぶ意欲」、「個性を生かす教育」など、響きのよい言葉がちりばめられていますが、これを見て、子供たちのフォアグラ化ではないかと思いました。子供の身になることを考えず、大人が勝手に勉強というトウモロコシをこじあけた子供の口に押し込もうとする、少なくともそんなふうに見えるのは私ばかりではないと思うのです。
 以下、問題点を指摘します。
 その第一は、愛国心、天皇への敬愛、日の丸、君が代の強制など国家主義的な徳目や、日本人としての自覚、伝統文化の尊重を強調していることです。国際人になるためにそれが必要としていますが、外国理解を後回しにして日本の伝統に傾斜し過ぎると、国際化を掲げても実は国粋主義の教育に陥る危険がありはしないでしょうか。総理の御所見をお伺いいたします。
 第二は、中学校での習熟度別指導と選択教科の拡大、高校でのアラカルト履修なと思い切った多様化路線が採用されたことです。これによって、できる子できない子の選別が一層進み、学校内や学校間の格差が広がるおそれがあるのではないでしょうか。
 加えて、現在ですら中学校の選択教科は教員数や施設の問題で十分に用意されていない状況の中で、教える側の人員、施設の不十分さをどう補っていくのですか。八九年度の予算を見ても、国民的要求となっている四十人学級の実施は十年目にして六〇%強の進捗率にとどまっていますし、定数改善でも、初任者研修のための定数を配置改善にしわ寄せした結果、障害児教育や複式学級の解消が犠牲にされ、養護・栄養・事務職員の改善についても見送られたではありませんか。さきの百十二国会で強行された初任者研修制度は、教員の質の向上がふれ込みですが、そもそも教員が配置されていないところに向上も何もないものです。政府の発想が逆立ちしていることを指摘せざるを得ません。防衛費、政府開発援助費などの伸びに比べ教育予算の伸びが著しく鈍い中で、定数増はどこまで可能になるのでしょうか。
 第三は、学習負担の増加であります。
 小学校から高校まで一貫性を強めて整理したため、密度が非常に濃くなっております。精選をうたいながら、多様化でメニューが増すばかり、まさにフォアグラ化であります。これを行う前になすべきことは、選抜制度を抜本的に改めることなのではないでしょうか。十五の春を泣かせぬために、中学校生活を伸び伸びと楽しいものにするために、高校への進学は原則的に入試を廃止し、高校準義務化にすべきでありましょう。文部大臣、いかがでしょうか。
 さて、指導要領は教科書をつくるための基準という意味が非常に強く、指導要領を根拠にして国が教科書と教師の授業を統制すること自体問題がありはしないでしょうか。本来、指導要領の内容は、国民的な英知、教育現場の意見などによって試案ないし手引として作成し、これをどう生かすかについては子供たちと学校生活をともにしている教師の創意と努力に任せることが必要なのではないでしょうか。この意味からいっても教科書検定制度の廃止、教師の教科書採択権を回復すべきであると思うのですが、文部大臣の御答弁をお願いいたします。
 さて、昨年のソウル・オリンピックのヨットレースで、二番目を走っていたカナダの選手が、荒波の中に落ちておぼれかかっているシンガポールの選手を助けるために最下位に近い二十数位になってしまったという事件がありました。審判団は翌日になって彼に二位をプレゼントすることとしたためまたまた話題となりましたが、もし日本の選手がこのような場面に遭遇したときに、カナダの選手と同じ行動がとれるかどうか極めて疑わしいと感じたのは私だけではないと思います。なぜなら、日本にあっては、幼いときから進学や就職のための競争に駆り立てられ、社会人になってからも異常なほどの長時間労働に耐えなければならず、人助けをするなどのゆとりはなかなかつくれないからです。
 海外のマスコミからも物は豊かでも心貧しい国とさえ言われている状態、そして、国民世論の大多数が豊かさを実感できないと答えるこの状況は、どこに原因があり、どのように対応すべきと考えるか、竹下総理にぜひお尋ねしたいのであります。
 さきの税制国会に提出された政府のいわゆる社会保障ビジョンによりますと、国民の基礎的ニーズは公的施策で対応するとされています。その趣旨は、せめてこれだけは国の責任でいわばナショナルミニマムとして整備するから安心してほしいと言えるようにすること、総理、そのような意味と理解してよろしいでしょうか。
 ひとまずそうであるとするならば、老後の生活設計について、政府は少なくとも次の点についてこの際明確にしていただきたいのであります。
 その一つは、老齢年金の支給開始年齢とは何を意味するかであります。
 それは現在の働き手から引退する年齢のことなのでしょうか。もしそうであるならば、支給開始年齢前の定年退職制をなくさなければなりません。しかも引退してからは年金だけで一応暮らせるようにしなければなりません。しかし、厚生年金の平均給付額、月額十三万といった制度の現状はこれと矛盾し、支給開始年齢を六十五歳におくらせるという政府案はますますその矛盾を拡大するものではありませんか。
 そもそも老齢年金の支給開始年齢とは、現役からの引退年齢ではなく、また年金だけでひっそりと暮らし始める年齢なのでもありません。それは、ようやくマイペースで働いて暮らせるようになる年齢であり、そのために収入の減った分は後ろ支えがあるという部分年金部分就労型の生活開始年齢のことを言うのであります。特に日本のような超過密競争社会にあっては、こうしたゆとりのある現役生活を始める時期をできるだけ早めなければなりません。私ども社会党は、このような立場からサラリーマンの年金支給開始年齢六十歳を守れと主張しているのでありますが、部分年金部分就労という方向に関する政府の御見解を聞かせてください。
 次にお伺いしたいのは、必要なときすぐ利用できる介護サービスシステムをいつつくるかという問題であります。
 政府の八九年度予算案では、ホームヘルパーを四千三百人増員して三万一千四百人とするようですが、これでは利用者が必要なときすぐ来てくれる状態ではなく、週一回二、三時間だけであり、訪問看護は月一、二回家族に看護方法を指導するのが目的です。せめて重介護を必要とする者とその家族が電話一本でいつでも来てもらえるような公的な介護サービスシステムを目標とし、それに向けて着実に予算や人をふやしていくというように計画的に取り組むべきだと考えますが、厚生大臣の御見解をお聞かせください。
 最後に、地下水汚染問題についてお伺いいたします。
 地下水は地球上における水の存在形態であり、自然環境の重要な一部をなすとともに、従来から貴重な水資源として利用されています。ところが最近、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物による地下水汚染が広範囲にわたって発見され、日本全土総汚染の様相を呈しています。千葉県でもトリクロロエチレンによる高濃度汚染の実態が明らかとなり、住民不安が高まっています。これに対し、環境庁を初めとする国の対応は極めて不十分であり、汚染防止のための既成の法制度は全く不備であると言わざるを得ません。環境庁長官は本問題についてどのようにお考えでしょうか。少なくとも次の事項についての法整備を強く要求するものです。
 その第一は、当面、トリクロロエチレン等三物質を水質汚濁防止法の規制対象物質に加えるとともに、地下水を公共用水域に指定し、その規制を徹底すること。
 第二に、全国常時監視体制を含めた総合的な地下水保全法を早急に制定すること。
 第三に、水濁法にも大気汚染防止法並みの事故時の措置を規定すること。
 第四は、これらの物質は最終的には産業廃棄物として処理されるため、廃棄物処理法に基づく有害物質に指定すること。
 第五は、汚染の根源を絶つために、トリクロロエチレン等を第一種特定化学物質に指定し、製造、輸入及び使用を禁止すること。
 第六は、ゴルフ場に使用される農薬による地下水等の汚染防止のために水濁法による水質基準を設けること。
 以上、地下水汚染は国民の命と健康にかかわる重大な問題であり、国の責任において住民不安を解消する万全の対策を早急に講ずべき問題であります。総理並びに環境庁長官、厚生大臣の明確なる答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(竹下登君) ただいまのお尋ねは、私、文部大臣、厚生大臣、労働大臣、環境庁長官、それぞれで総合してお答えをすることといたします。
 まず、私に対しては、婦人問題解決のための基本的考え方についてであります。
 二十一世紀に向けて、婦人の果たすべき役割はますます大きなものとなってきております。婦人の意欲、能力の十分な発揮が重要な課願であることと認識をいたしております。
 今後、制度上のみならず、実際上の婦人の地位向上を図って、婦人が男性と等しく能力を発揮して、男女がともに社会の発展に寄与できるような男女共同参加型社会、これの形成を目指して昭和六十二年五月に策定したのが「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」、これであります。その着実な推進に今後とも鋭意努力してまいりたいと思います。
 この計画において最も重要な課題の一つは、政策決定過程への婦人参加の促進があることであるということは承知をいたしております。その一環として、審議会等への婦人委員の登用につきましては、各省庁とも鋭意努めてきております。今後とも政府全体として目標達成に向けて一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
 次の問題は、育児休業法等の早期実現の問題であります。
 育児休業制度につきましては、現段階の普及状況にかんがみまして、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」をお出しいたしておりますが、その趣旨に沿って一層の普及促進に努めます。
 次に、教育問題をお述べになりました。
 まず、国立大学の入学料、授業料等についての問題でありました。
 国立大学の入学料、授業料等につきましては、従来から私学との均衡等を考慮するなど諸般の情勢を総合的に勘案しながら逐次改定を行ってきたところであります。
 平成元年度予算におきましては、従来の方針に加えまして、四月一日からの消費税の実施に対応するため、課税対象であります入学料については三%相当額を含めることといたしますとともに、授業料及び入学検定料についても、国立大学全体の歳出において消費税の実施による運営費の上昇が見込まれますことから、その一部について適正な転嫁を行うこととしているところでございます。
 それから新学習指導要領案の、国粋主義とのおそれという御意見を交えたお考えをお述べになりました。
 新学習指導要領案におきましては、これからの国際社会の中において生きる日本人としての資質を養いますため、日本人としての自覚を持って我が国の文化と伝統を尊重しますと同時に、御意見にもありました諸外国の歴史や文化に対する理解を深めることを重視しております。したがって、御指摘のような国粋主義の教育に陥るおそれは全くない、このように理解をいたしております。
 それから次に、社会福祉関係をお述べになりました。
 物は豊かでも心貧しい国、こうしたお言葉もありました。豊かさを実感できる多様な国民生活の実現に向けまして、土地対策の推進、それから住生活の充実、労働時間の短縮、それと同時に自由時間の充実、そうして物価構造の是正と消費生活の充実、これらは具体的に取り組むべき課願であります。同時に、経済的欲望の充足に追われるばかりでなく、また、みずからを卑下するようなことがあってはいけません。一人一人の価値観、人生観を持って心のゆとりがある生活が営まれることが私は大切なことであるというふうに承知いたしております。
 社会保障における国の役割について言及なさいました。
 確かに、国民の多様かつ高度な要求がございます。そこで、個人及び民間の活力の活用を図ることは当然のことでございますが、国民福祉の基盤となる部分は公的施策で対応する所存でありまして、その具体的なあり方は各施策の上で明らかにしていく問題であるというふうに考えております。
 地下水汚染問題について、最後のお尋ねがございました。
 この問題は、中央公害対策審議会の答申を踏まえて、法改正を含め適切に対処していく所存でありますが、具体的には環境庁長官からお答えすることが適切かと思います。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣丹羽兵助君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(丹羽兵助君) 先生からお尋ねがあった問題について項目を追ってお答えをさせていただきます。
 まず第一に、均等法についてのお尋ねでございますが、均等法の施行を契機として男女の雇用機会の均等という法の趣旨は着実に浸透していると考えておるのでありまするが、なお現段階では法の一層の定着を図ることが最も重要であると考えております。
 次に、育児休暇制度についてのお尋ねでございます。
 御意見の中にもありましたように、女子労働者が職業生活と家庭生活との調和が図れるよう環境条件を整備することは重要な課題と受けとめているのであります。育児休業制度については、育児休業奨励金等を活用し、同制度の一層の普及促進に努める考えでございます。
 次に、介護休暇制度についてのお尋ねでございますが、介護休暇制度については、実態把握に努めるとともに、今後の課題として十分検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(小泉純一郎君) 私に対する御質問は、まず介護休暇の制度化の問題ですが、基本的には担当省庁で検討いただくことだと考えておりますが、寝たきり老人の介護体制の充実は重要な問題だと認識しており、私としても老人福祉の向上を図る観点から努力したいと思います。
 次に、年金支給開始年齢の問題ですが、人口の高齢化が今後急速に進展していく中で必要な給付水準を維持しつつ後代の負担を適正なものとしていくためには、支給開始年齢を段階的に引き上げていくことが必要であると思います。
 この支給開始年齢の引き上げに当たっては、御指摘のとおり、六十歳代前半の方がマイペースで暮らしていけるよう、いわゆる日本型部分就労部分年金として、六十歳代前半の方々の生活実態にできるだけ即応するような弾力的な繰り上げ減額年金制度の創設を用意しようとしているところであります。
 続きまして、介護サービスシステムについての御質問ですが、これにつきましては、必要に応じて迅速に適切なサービスを提供することが重要であるという観点に立って、市町村における利用手続の簡略化等に努めながら、家庭奉仕員派遣事業を初めとする各種在宅福祉施策を一層拡充していきたいと思います。
 次に、トリクロロエチレン等についての御指摘ですが、これらの物質を含む廃棄物については、現在、廃棄物処理法に基づき、廃油等としてその処理につき必要な規制が行われているところでありますが、必要に応じ、トリクロロエチレン等を人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質としてその管理を強化することも含め、対応策を検討しているところであります。
 また、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについては、蓄積性は低いが難分解性で慢性毒性を有する疑いがあるため、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき指定化学物質に指定し、必要な規制を行ってきたところであります。
 今後、さらに、これらの物質による環境汚染の状況等を踏まえつつ、必要に応じ第二種特定化学物質に指定する等、化審法に基づきこれらの物質の安全対策の推進に一層努めていきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣西岡武夫君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(西岡武夫君) 糸久八重子議員の御質問にお答えいたします。
 まず、学習指導要領の改訂に関して、中学校、高等学校についてお答えいたします。
 今回の改訂におきましては、生涯学習の基盤を培うという観点に立ち、国民として必要とされる基礎的、基本的な内容を重視し、個性を生かす教育の一層の充実を図ることを基本的なねらいといたしております。
 このため、教育内容の精選を行うとともに、各学校が学校や生徒の実態等に応じた教育課程が編成できるよう、中学校においては選択履修の幅の拡大、高等学校におきましては多様な教科、科目の開設ができるようにいたしております。また、生徒が学習内容を確実に身につけるよう、習熟の程度に応じた指導を行うなどの工夫改善に努めるよう示しているところでございます。
 文部省は、教育の現場がガチョウの肝臓とならないように努力をいたしているところでございます。
 次に、中学校の選択教科の拡大に関してお答えいたします。
 新しい中学校学習指導要領につきましては、告示後移行措置の期間を経て平成五年度から全面実施することとなります。中学校における選択教科の拡大につきましては、学校運営上の工夫などにより基本的には現在の教職員定数及び学校施設で対応できるものと考えますが、御指摘の問題につきましては、今後の状況を見ながら必要があればその対策を検討いたす考えでございます。
 次に、四十人学級についてお答えいたします。
 第五次教職員定数改善計画の進捗率は、平成元年度の改善によって四十人学級につきましては六〇・五%、配置率の改善につきましては五〇%、全体で五五一四%となっております。今後とも文部省といたしましては引き続き目標に向けて努力を続けてまいる所存でございます。
 次に、高等学校の入試等につきましてお答えを申し上げます。
 高等学校段階の青少年は能力、適性等が多様化いたしており、高等学校においてこれらの青少年にその能力、適性に応じた効果的な教育を行うためにも入学者選抜を行うことが必要であると考えております。
 文部省といたしましては、過熱した受験競争を緩和するため、昭和五十九年、都道府県教育委員会に対し、複数の受験機会を用意するなどの工夫を行う等、高等学校入学者選抜方法の改善について指導してまいったところでございます。現在、各都道府県教育委員会におきまして、改善のための取り組みが進められているところでございます。今後とも、高等学校入学者選抜方法の改善について引き続き指導してまいりたいと考えております。最後に、教科書検定制度についてお答えいたします。
 教科書は教科の主たる教材として学校教育において重要な役割を果たしており、その内容については学習指導要領に基づき適切に著作、編集されるべきものであります。したがって、今後の検定は新しい学習指導要領に即したものとなるよう適切に行われるべきであると考えており、検定制度を廃止する考えはございません。
 市町村立の義務教育諸学校で使用される教科書につきましては、市町村教育委員会が共同して適切な教科書を採択することとされており、教師の意見につきましても現行の採択制度のもとにおいて十分反映される仕組みになっているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣青木正久君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(青木正久君) 糸久議員にお答え申し上げます。
 まず、地下水汚染に関連した法整備についての御質問でございますけれども、この点につきましては、まず申し上げたいことは、地下水汚染の未然防止を図り、また有害物質の流出事故による環境汚染の拡大の防止を図ることはいずれも重要であると考えているということでございます。
 このため、昨年十一月、中央公害対策審議会に対しまして、地下水質保全対策のあり方及び事故時の措置について諮問をしたところでございます。同審議会の答申がたまたま本日予定されておりますので、これを踏まえまして環境庁といたしましては、関係省庁とも連携をとりつつ、水質汚濁防止法の改正をも含め、所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
 なお、トリクロロエチレン等を有害物質に指定すること及び廃棄物処分のあり方につきましては、中央公害対策審議会の御意見を聞きながら適切に対処してまいりたいと考えております。
 次に、ゴルフ場で使用される農薬による地下水等の汚染についての御質問でございますけれども、これにつきましては、何よりも農薬取締法により安全性が確認され登録された農薬が適正に使用されることが基本でございます。このため、環境庁といたしましても、その適正使用が図られるよう関係省とも十分連携をとるなど現在適切に対処しているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
#40
○議長(土屋義彦君) 矢原秀男君。
   〔矢原秀男君登壇、拍手〕
#41
○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表し、総理の施政方針演説に対して質問をいたします。
 質問に先立ちまして、昭和天皇の崩御に対し、謹んで哀悼の意を表します。
 まず、リクルート疑惑の徹底解明について伺います。
 今、我が国の最も憂うべき事態は、国民の政治不信であります。そして、今国会の最大の課題は、政治不信増大の引き金となったリクルート疑惑の徹底解明であります。本院においても、公明党の主張により、リクルート問題調査特別委員会が設置をされました。リクルート社江副前会長等六人の贈収賄容疑による逮捕という経過を踏まえ、我が党も徹底解明に総力を挙げてまいります。
 さて、竹下内閣においては、前蔵相の辞任に始まり、内閣改造後も既に二人の閣僚がリクルート問題で辞任をいたしました。まさに戦後の歴代内閣に類を見ない不祥事であります。任命者である総理の責任は極めて重大であります。どのような責任をとるのか明確にすべきであります。
 総理、あなたが内閣の旗印に政治改革を挙げるのであれば、戦後最大の疑獄事件と言われたロッキード事件のさらに数倍のスケールであり、政界、官界、財界をも巻き込んだ一大構造汚職の様相を見せるこのリクルート疑惑の徹底解明をなすべきであります。総理のその決意を伺いたい。
 次に、衆議院の定数是正問題についてであります。
 国会は、昭和六十一年五月に、二人区、六人区の解消と速やかな抜本改正を明確に決議いたしました。国政の最高議決機関である国会のこの決議が定数是正の大前提であり、国民への公約であります。自民党が二人区の解消をあいまいにしたまま、定数是正に名をかりて小選挙区制の導入を図ることは間違いでございます。
 我が党は、一に、各選挙区定数は三人以上五人以下の中選挙区制の維持、二に、格差は二倍未満、三に、都道府県の定数枠は総定数の人口比例、の三点を主張いたしております。
 六十一年国会決議に基づく定数の抜本改革を総理はこの国会において実行するのか、明確なる答弁を伺いたいのであります。
 あわせて、参議院の定数是正について。昨年九月の選挙人名簿登録によれば、参議院選挙区の投票価値の最大格差は既に六倍を超え、さらに選挙区間では、有権者数に対する定数の極端な逆転現象も存在しております。この著しい不均衡の放置は、憲法の要請する国民の平等権に違反することは明らかであり、参議院の定数是正にも取り組むべきでございます。総理の御所見を伺います。
 次に、「ふるさと創生」について伺います。
 全国の市町村に交付する一律一億円の財源も、過去二年間の地方交付税の精算分と自然増収見込みの一部で賄うものであります。
 今日、地方財政は、財源不足への対策や国庫補助負担率の引き続くカットによって、その借入残高は六十六兆円にも達しております。長期的な地方財政の健全化のためには、地方交付金制度の抜本的な見直しにより、地方財政のより自主的な運営こそ肝要であります。昨年五月に地方制度調査会が十六項目の許認可事項の地方移譲、国の関与の廃止を緊急提言しており、各省の反対で実現の方向さえ見えないのが実情であります。地方に充実した財政と権限の大幅な移譲を行ってこそ真の地方の活性化ができるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
 次に、国民生活の当面する問題。まず土地対策について。
 繁栄する経済の裏側で、個人の努力に無関係な社会の仕組みや構造によって、持てる者はより豊かに、持たざる者は貧しくという資産の格差が拡大されつつあります。その代表は、庶民の夢であるマイホームの取得を不可能にするような地価の異常な高騰であります。地価の高騰は、現在全国の地方都市に波及しつつあります。政府はこの国会に私権制限の強化を目指した土地基本法の提出を考えているようでありますが、総理の土地対策に対する考えを伺いたいのであります。
 次に、消費税の導入について伺います。
 税制改革は、国民の合意を大前提に出発したはずでございます。しかし、資産課税その他の優遇税制の改革が骨抜きにされ、不公平が放置されたまま、さきの国会では自民党によって消費税法案の強行採決が図られたのであります。総理は国民の合意が得られたとお考えでありましょうか。そもそも、自民党の多数議席自体が大型間接税を導入しないと選挙の公約をして獲得したものであり、まさに国民への背信行為であります。
 さて、その消費税によって交通料金、公団、公営住宅家賃を初めとする公共料金の軒並みな値上げ、家計の大きな負担である教育費の値上げ、その他家庭生活に不可欠な生活物資の値上げ、また価格転嫁時の便乗値上げの懸念等、物価の上昇とインフレの要素があり、消費税が庶民生活を襲おうとしているのであります。消費税は多くの矛盾を抱えており、また今日国民の大多数はその内容さえ十分に把握していないのが実態であります。消費税は断固凍結すべきであります。強引な四月実施は国政に対する国民の抜きがたい不信を招くものである。総理の見解を伺いたいのであります。
 次に、雇用問題について伺います。
 初めに、パート労働についてであります。
 今日、働く婦人の三分の一に当たる五百万人以上の方がパート労働に従事をしております。新規求人の伸びは毎年四十万人ペースで増加し、パート労働は今や日本経済になくてはならない巨大な存在に成長しつつあります。
 公明党では、昨年夏に全国の六千人の未組織パート労働者に対して対面聞き取り方式による実態調査を行い、極めて不十分な労働環境の実態が明確になったのであります。一つ、健康保険等の各種社会保障制度の適用は全体の二〇%、二番目に、契約時に労働条件の提示のないものが約五〇%、三つには、最低賃金法で定める時間給を下回る賃金、等の実態であります。政府は実態に即したパート労働法の制定に早々に着手すべきであります。
 第二に、依然雇用環境の厳しい高齢者及び障害者の雇用について伺います。
 労働省の調査によれば、経済的な理由から高齢者の就業希望が極めて高いことが明らかになっております。六十歳定年の採用企業が全体の六〇%にとどまり、また多くの企業が定年の延長に消極的である現状を考えれば、高齢者の雇用環境は今後ますます厳しいものになります。定年年齢の延長や健康的なフレックスタイム型就労など、雇用機会の確保に政府が具体的に取り組むべき時期に来ておりますけれども、総理の見解はどうなのか伺います。
 また、障害者雇用促進法が実施されて二十年たちました。昨年は法定雇用率引き上げの法改正も行われましたが、民間企業における障害者雇用は、残念ながら法定雇用率にほど遠いのみならず、法律施行の二十年前と同じ水準であります。政府は一層の努力をすべきでありますが、総理の御所見を伺います。
 次に、今国会の大きな争点であります年金法改正問題について伺います。
 去る三日に、年金審議会に対して厚生年金、国民年金の制度改正が諮問をされました。諮問の中で、公明党が従前より主張していた、一、国民基礎年金の二階部分に相当する国民年金基金の創設、二、年金の完全物価スライド制、三、厚生年金基金積立金の運用幅拡大等の点が含まれていることは評価をするものでございます。問題は、保険料率の引き上げと厚生年金支払い開始年齢の六十五歳への引き上げであります。
 まず、保険料率の安易な引き上げは、将来の高負担を招くものであり、公明党は反対であります。政府は最大限の努力をして現状を維持すべきであります。
 さらに、支払い開始年齢の引き上げは、雇用環境の未整備、また人生八十年時代と言われながらも社会のシステムや国民の生涯設計がまだ十分に八十年のライフサイクルに適応できていない現状から考えても、時期尚早であります。
 厚生省の調査によれば、高齢者世帯の九四%は年金や恩給を受給され、四〇%は老後の所得を公的年金制度等に依存されておられるのであります。政府の支給開始年齢の強引な引き上げは、公的年金制度の将来にわたる信用にかかわる重要な問題であると指摘をしたいのであります。
 安心な老後生活を保障することは、高齢化社会を迎える我が国の最重要課題であります。年金財政の確立は、広く財政全般の見直しの中で進めるべきであります。加入者への安易な負担転嫁は避けるべきであります。保険料率と支給年齢の引き上げは今回の法改正に含むべきではない。総理の御所見を伺いたいのであります。
 次に、長寿社会への政策と財政の展望について伺います。
 公明党は、寝たきり老人の介護が深刻な社会問題になりつつあるとの認識から、十二年計画であった政府の在宅福祉目標を今後三年間で前倒し実施するよう申し入れました。その結果、一、ホームヘルパーを現在の二倍の五万人にする、二、入浴や給食などを行うデイサービスの施設を四倍増の二千五百カ所にする、三、短期に介護老人を預かるショートステイの施設を四倍増の一万ベッドとする、等在宅福祉の分野で大きな前進が図られました。この公明党の努力に対し国民の皆様から多大の評価をいただいているところであります。しかしながら、政府の長寿社会に対するビジョンと財政全体の展望はありません。
 政府は、五十七年度の予算シーリングの設定以来、健康保険の一割負担導入の改悪、公的年金や自治体に対する補助率カット、老人保健制度の改悪等、社会保障支出の抑制と国民への負担転嫁を重ねてまいりましたが、長寿社会への入り口に立つ現在、抑制一本やりの政策を転換し、長寿・福祉社会を展望した財政と政策の新しい展開をすべきであります。総理の御所見を伺います。
 長寿社会に関連して、医療、リハビリテーションの問題について伺います。
 高齢化や不慮の事故によっての難聴や脳血管障害等による言語障害者は、現在約八十万人とも言われております。学説によれば、潜在的に人口の五%にも及ぶとされております。これらの障害者に対して専門的な治療、リハビリテーションを行う言語聴覚療法士が我が国にはまだ千人しか存在しないのであります。しかも、国家資格がないために、この分野での行政の対応が著しくおくれております。資格の法制化問題は二十年来の懸案事項であり、不安な立場に置かれた患者の叫びは悲痛であります。早急な法制定をすべきであります。総理の御見解を伺います。
 次に、ボランティアについて伺います。
 私も地元で、慈善団体の一員として十数年にわたり交通遺児の街頭募金に立っております。各地域で私心を捨てて美しい清らかな生命で社会的に弱い方々のために真心の活動を行っていらっしゃるボランティアの皆さんには、ただただ頭の下がる思いでございます。
 今後の長寿社会を展望するとき、地域における民間ボランティア活動はますます重要になります。現在、各地で市民参加による活動が活発となり、ボランティア人口は四百万人を超えるとも言われております。しかし、資金や時間の制約から、活動の持続や拡大が難しいのが実情であります。活動中に事故に遭われたときの補償制度や、寄附金控除等の税制上の優遇措置、助成金の拡充等、政府において総合的なボランティア育成策を検討すべきであると思うが、総理の御所見を伺うものでございます。
 次に、リニアモーターカーについて伺います。
 時速五百キロの超特急で東京−大阪を一時間で結ぶという二十一世紀の夢の鉄道であるリニアモーターカーの新実験線の調査費が平成元年度予算に初めて計上され、実用化に向けて大きく踏み出しました。古くからリニアによる中央整備新幹線構想が検討されてきておりますが、私は、多極分散型の国土形成のためにも、東京−大阪という従来のパターンを乗り越え、兵庫県からさらに西日本への延伸を考えていくべきではないかと思います。総理の見解を伺うものでございます。
 最後に、我が国の世界への貢献に関連して、地球環境の問題について伺います。
 近年、地球環境をめぐり各国の危機意識が高まっております。かけがえのない地球を守るため、今こそ国際社会の連帯と実行力のある計画の策定が求められているのであります。公明党は、本年を地球環境保全元年と位置づけるように主張をいたしております。私も、少年時代長崎原爆を受け、放射能を浴びた一人として、地球環境を守る思いは人一倍強いのであります。
 我が国が世界への貢献をうたうのであれば、さらに積極的な働きかけをしていくべきであります。私は、地球環境を守るため世界の人が行動を起こす「地球の日」の設定を提案したいのであります。世界の人が意識を持つ一月一日が望ましいと思います。
 さらに今日、地球を取り巻く放射能汚染、温暖化、砂漠化、海洋汚染、酸性雨による森林破壊等の個別の問題に対して各国がこぞって取り組む「地球月間」を設定してはどうかと思います。加速度的な地球破壊の現状にかんがみさらに積極的な運動を起こす意味からも、国連中心に世界に呼びかけていくべきではないかと思いますが、総理の御所見を伺うのであります。
 終わりに当たり、政府は、一、政治不信の最たる元凶であるリクルート疑惑の徹底解明をすること、二、国民生活を破壊する消費税の導入は断固凍結すべきであることを厳しく要請して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(竹下登君) まず最初のお尋ねは、リクルート問題の徹底解明の問題であります。
 従来とも、刑事上の問題につきましては捜査当局において厳正かつ適切に処理がなされるものと信頼をしておると、このように申してまいりました。昨日、本日、新たに捜査そのものが進展しております。私は、検察当局そのものが厳正適切に対処していくであろうことを確信いたしております。
 さて、衆参両院の定数是正にお触れになりました。
 衆議院の定数是正の問題は、事柄の性質上、衆議院本会議の決議を踏まえて各党間で十分論議していただくことがまず必要でございます。私どもといたしましてもいろいろ意見はございますが、政府としてもその論議等を踏まえて努力すべき課題であると思います。
 参議院議員の定数是正問題、これも重要な課題でありますことは十分認識いたしておりますが、いわゆる半数改選制、そして各選挙区の地域代表的性格、これらをどう考えるか、こうした選挙制度の基本にかかわる問題がございますので、まさに本院初め各方面の論議を踏まえなければならない課題であると考えております。
 さて、国、地方にわたる行革についての所見をお述べになりました。
 国、地方を通じます行政の簡素効率化及び地方自治尊重の観点、また一方多極分散型国土形成の観点、これらの観点から、よく申します、身近なことは身近なところで。これがやはり私は原則であると思います。したがって、国、地方間の役割分担と費用の負担のあり方、これを原則に検討を行う必要があると思っております。
 先般の平成元年度行革大綱におきましても、この関係については、行革審の審議を求めながら、幅広い見地から国と地方とのまさに機能分担のあり方を見直しますとともに、これにあわせて費用負担について検討するなどを決定したところでございます。今年内に予定される答申を待って、なお一層積極的に改革を進めてまいる考え方であります。次に、土地問題にお触れになりました。
 一昨年、本院に土地対策特別委員会ができました。これらの議論を通じて、具体的な対策といたしましては、国土利用計画法によります監視区域の制度の機動的な運用でありますとか、あるいは業界、金融機関等に対する指導の継続、そうして税制、これらの改善策を講じながら今日参っております。今後とも、政府一体となって、監視区域制度とか、あるいは諸機能の地方分散、住宅宅地の供給促進等各般の施策を総合的に推進していかなければなりません。
 やはり、それらを強力に進めるためには、土地の公共性を明確化して、土地についての共通の国民意識を確立することが大切であります。今国会に土地基本法案を提出したい、このように考えておるところであります。
 消費税にお触れになりました。
 これはまさに長い期間をかけて検討してまいりました。そして、本院において昨年十二月二十四日議了をしていただき、成立した法案であります。本当に、これが可能な限り早く国民の暮らしの中に溶け込むことによって、私は新税制が後世必ず評価されるであろうことを確信し、これが定着のために精いっぱい努力をいたしますので、凍結などは考えておりません。
 次に、パートタイムについて、また身障者問題についての雇用対策の御質疑がありました。
 パートタイム労働者の問題につきましては、雇用保険の適用拡大等の対策を総合的に推進してまいる所存であります。
 高年齢者の雇用については、六十歳定年の定着を図りますとともに、その多様な就業ニーズに対応しながら、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保に努めてまいる所存であります。
 障害者の雇用対策につきましては、障害の種類、程度に応じたきめ細かな対策を講じますとともに、雇用率が未達成の企業に対する強力な指導を行います等、一層積極的に推進してまいります。
 それから、保険料率と支給開始年齢の引き上げ、公的年金の問題であります。
 公的年金制度は、社会保険方式によって運営されております。年金額の改善、受給者の増大、そうして平均寿命の伸び、これに伴う受給期間の長期化に適切に対応していくためには、保険料の引き上げはぜひとも必要なものであります。これは長期的に見て安定した仕組みをつくる必要があります。
 給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものとしていくためには、十分な準備期間を置いた段階的な支給開始年齢の引き上げ、これもまた避けて通れない課題であります。
 長寿・福祉社会を展望した財政と政策の新しい展開について御議論がございました。
 今もお話にありましたように、二十一世紀トータルプランあるいは終局的福祉とでも申しましょうか、この考え方は絶えずお伺いいたしております。来るべき高齢化社会を展望しますならば、財政の対応力を回復いたしますことがこれはぜひとも必要なことであります。このため財政改革のために全力を傾注してまいりました。
 こうした中で、社会保障につきましては、各施策が安定的にかつ有効に機能するよう長期的視野に立った制度の見直しを行って、そして真に必要な施策については重点的な配慮を行いながら今日まで至ってきたところであります。
 今後とも、来るべき高齢化社会で財政がその対応力を発揮できるよう財政改革を推進しますとともに、社会保障については、お示しいたしております長寿社会対策大綱や、昨年十月に国会に提出いたしました「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、これについて不十分だという御指摘は十分承知いたしておりますが、これを指針として着実な実現に向けて努力してまいります。
 言語聴覚療法士の法制化の問題であります。
 医学的リハビリテーションを行う医療言語聴覚士の重要性、これは十分認識しております。これには何としても資格法制化のため、関係団体の動向の帰趨を見詰めなければなりません。
 ことしになりましてからもいろいろ、一月十三日、日本医師会、日本歯科医師会を初めとする関係医学会等から厚生大臣に対して資格の早期実現要望が出されております。したがって、関係団体間の合意形成のため今調整が行われておると、このように理解しておるところであります。
 それからやはり基本的には、二十一世紀福祉のトータルプランを下敷きにした総合的なボランティア育成策について言及がありました。
 活力ある福祉社会を築くためにもボランティア活動の振興は重要な課題である、これは考えを同じくしております。このため、福祉ボランティアのまちづくり事業、それから学童生徒のボランティア活動普及事業、これらによりましてボランティア活動が地域社会で永続的かつ自主的に展開できますようなその基盤整備を図ってきたところでありまして、来年度におきましてもその拡充強化を図ることといたしております。
 今後ともボランティア活動の振興に当たってはこれらの施策の一層の充実が必要であって、それらをもとに総合的に推進していくという考え方であります。
 それからリニアについてお触れになりました。
 いわゆる超電導磁気浮上式リニアモーターカー、これにつきましては、今後の技術開発の進め方の検討とあわせて、新たなる実験線に関する調査を実施しているところであります。今の広大な構想は私自身にもよくわかる話でございますが、今はいわゆる実験線に関する調査を実施している段階でございます。
 それから「地球の日」、「地球月間」についての御意見がありました。
 地球環境の保全が極めて重要な課題でありますことは御指摘のとおりであります。したがって、御指摘のように、今国際的にも大変、先進国はもとよりのこと、国際世論が盛り上がっております。我が国においても、九月、国際会議をUNEPと共催で開きたいと思っておるところであります。
 そこで、「地球の日」、「地球月間」についての御提案がありましたが、昭和四十七年に開催された国連人間環境会議の勧告を受けたあの同じ年の国連総会で、六月五日を世界環境デーとする決議が採択され、現在、この日に国連及び各国政府が環境問題についての諸行事を実施しております。我が国でも四十八年より、世界環境デーを初日とする一週間を環境週間とし、こういう普及啓蒙活動を実施しておるところでございます。これらの活動を充実さしていきたい、このように考えておるところであります。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
#43
○議長(土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#44
○議長(土屋義彦君) この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百五十八番、選挙区選出議員、福岡県選出、渕上貞雄君。
   〔渕上貞雄君起立、拍手〕
#45
○議長(土屋義彦君) 議長は、本院規則第三十条により、渕上貞雄君を地方行政委員に指名いたします。
     ─────・─────
#46
○議長(土屋義彦君) 日程第二 昭和六十三年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長梶原清君。
   〔梶原清君登壇、拍手〕
#47
○梶原清君 ただいま議題となりました昭和六十三年度の水田農業確立助成補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、昭和六十三年度に政府等から交付される水田農業確立助成補助金について、個人が交付を受けるものはこれを一時所得とみなし、農業生産法人が交付を受けるものは、交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には圧縮記帳の特例を認めることにより、それぞれ税負担の軽減を図ろうとするものであります。
 なお、本法律施行に伴う昭和六十三年度の租税の減収額は約六億円と見込まれております。
 委員会におきましては、水田農業確立対策終了後を目標とする奨励金依存体質からの脱却の可能性、米の消費拡大のための具体的施策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#48
○議長(土屋義彦君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#49
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ─────・─────
#50
○議長(土屋義彦君) 日程第三 昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案
 日程第四 国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長大城眞順君。
   〔大城眞順君登壇、拍手〕
#51
○大城眞順君 ただいま議題となりました二件の法律案につきまして、御報告申し上げます。
 まず、昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律案は、昭和天皇の大喪の礼が国の儀式として平成元年二月二十四日に行われますが、この大喪の礼に際しまして、国民こぞって弔意を表するため、この日を休日としようとするものであります。
 次に、国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案は、このたびの皇位継承に伴いまして、天皇誕生日を十二月二十三日に改めますとともに、四月二十九日を新たに「みどりの日」として国民の祝日に加えようとするものであります。
 委員会におきましては、両案について一括して質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、採決の結果、両案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#52
○議長(土屋義彦君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#53
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。本日はこれにて散会いたします。
  午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト