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1988/06/08 第114回国会 参議院 参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第13号
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1988/06/08 第114回国会 参議院

参議院会議録情報 第114回国会 本会議 第13号

#1
第114回国会 本会議 第13号
平成元年六月八日(木曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十三号
  平成元年六月八日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、衆議院議員春日一幸君逝去につき哀悼の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 服部安司君から海外旅行のため八日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(土屋義彦君) 衆議院議員春日一幸君は、去る五月二日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされました衆議院議員正三位勲一等春日一幸君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
#6
○議長(土屋義彦君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に金森久雄君を、
 運輸審議会委員に平四郎君を、
 科学技術会議議員に岡本道雄君及び佐波正一君を、
 社会保険審査会委員に藤田恒雄君を、
 また、日本放送協会経営委員会委員に浅尾宏君、岩村精一洋君、小林庄一郎君、冨谷晴一君及び福田百合子君をそれぞれ任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、中央社会保険医療協議会委員、社会保険審査会委員並びに日本放送協会経営委員会委員のうち冨谷晴一君及び福田百合子君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(土屋義彦君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
 次に、運輸審議会委員、科学技術会議議員のうち佐波正一君並びに日本放送協会経営委員会委員のうち浅尾宏君、岩村精一洋君及び小林庄一郎君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、科学技術会議議員のうち岡本道雄君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(土屋義彦君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。野田哲君。
   〔野田哲君登壇、拍手〕
#11
○野田哲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、宇野内閣総理大臣に対し、現在の内外の重要な課題に絞ってその所信を質問いたします。
 宇野さんとは、今まで外務大臣あるいは通産大臣、その前の行政管理庁長官当時から、その所管事項について予算委員会や関係委員会で論争をしたことは何回もありますが、宇野総理大臣に対して質問に立つことは全く予想もしておりませんでした。宇野総理には大変失礼ですが、全く突然のことでありますので質問のイメージがなかなかわいてこないのであります。私どもがそうでありますから、国民の皆さんはなおさら、宇野さんとはどんな総理なんだろうか、こういう気持ちを抱いておられると思います。そういう意味では、私の質問に対する答弁も、秘書官や担当の役所でつくった作文ではなくて、総理大臣の本音によって答えていただくことを希望いたします。
 昨年の夏以来の第百十三臨時国会、第百十四通常国会は異常な状態が続いています。そして政治に対する不信が今まで例を見ないほど大きく広がっています。
 その原因は、言うまでもなく、第一はリクルート疑獄による政官財の腐敗をできるだけ覆い隠して、その政治的、道義的責任を回避しようとした政府と自民党の態度によるものであります。
 第二には、選挙で国民に公約をしていないどころか、当時の中曽根総理大臣が導入を否定さえしている大型間接税である消費税を自民党単独で導入を強行し、しかもそれを強行した政府・自民党の最高幹部が多数リクルートの株や金で汚染をされており、汚れた手で国民に大きな負担を求める消費税を強行したことが国会の混乱と国民の政治小信に拍車をかけたものであります。
 このリクルート疑獄の構造は、中曽根内閣が金看板として進めてきた行政改革、教育改革、税制改革、国鉄、電電の民営化、民間活力の導入といり政府の政策とそれを決定するプロセスが投網を打つように工作の対象になっていたという驚くべき疑獄事件であります。このようなスケールの事件であるだけに、今、干野内閣の発足に当たって国民の多くが首をかしげているのは、リクルート事件で一番政治的、道義的に責任を負うべき立場にある中曽根元総理と一番長く政治行動をともにした側近である宇野さんがなぜ今総理にという思いであります。自民党に中からさえ中曽根亜流政権という声が出るのは当然のことであります。しかも、宇野自民党総裁、そして総理への道筋は竹下前総理がつけたと言われています。みずからのリクルート汚染によって総理・総裁の座をおりる者が意中の人を後がまに推す、こういうやり方が責任を感じたやり方と言えるでしょうか。宇野総理、世の中の常識には連帯責任という責任のとり方があります。中曽根政権時代にこれだけの事件が起こった、そして中曽根元総理はその責任をとって、十分とは言えませんが、自民党を離党した。それでもなお責任のとり方が不十分だと指摘する多くの声があるのであります。その中曽根元総理の側近で中曽根派のナンバーツーであれば、この際は指名があっても辞退されるのが世間の常識だと思うのですが、いかがでしょうか。それを二つ返事で引き受けた宇野総理は、リクルート事件の起こった政治構造の問題点、その政治的、道義的責任はだれにあると考えておられるのか、宇野総理の見解を示していただきたい。
 次に、リクルート事件のけじめのつけ方について宇野総理大臣の見解を伺います。
 総理は報道関係者との会見で、宇野内閣はリクルート事件にけじめをつけた内閣だと発言をされています。宇野総理が自民党内で選出されていく手順、字野内閣の閣僚が指名される際の条件、そして発足後の記者会見での総理の発言を注意深く検討すると、総理の念頭にあるけじめとは自民党内でつくられた基準がけじめの基本になっているようであります。自民党内でつくられたけじめの物差しは、リクルートからの株や献金、パーティー券の提供を受けた政府や党の幹部の影響下にある議員が集まって身内をかぼうためにつくった寛大な基準であって、国民は何ら関知していないものであります。
 最初に自民党内で総裁就任を要請された伊東正義さんは、リクルート事件の反省としてリクルート汚染議員の議員辞職を主張されていましたが、宇野総理は自民党総裁としてこのようなけじめについてみずからリーダーシップをとる考えはないのかどうか、伺いたいと思います。
 また、一国の総理として未曾有の政治不信を招いているリクルート事件についての政治的、道義的けじめを考える場合の最低の基準、よりどころは、政治倫理綱領を厳格に守ることではないでしょうか。
 昭和六十年十月十四日に議決した政治倫理綱領では第四項で次のように定めています。「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」。この趣旨に照らせば、竹下前総理、中曽根元総理、宮澤元大蔵大臣はもとより、政府・与党の要職にあった国会議員でリクルート社から未公開株、政治献金、パーティー券を本人あるいはその関係者が譲渡されていた場合は、みずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう、自民党の総裁である総理としてリーダーシップをとるべきではありませんか。
 とりわけ、中曽根元総理については、その総現在任中に起こった事件であり、しかも中曽根元総理の側近であり、総理の職務に直属する藤波元官房長官が起訴された現時点において、その全容解明のために中曽根元総理を証人として本院に出席を求めようとするのは、国政調査の任務を果たすために当然のことではありませんか。また、政治倫理綱領の趣旨に照らしても、本人は真摯な態度で進んで出席すべきであるにもかかわらず、自由民主党が多数の力をもってこの出席要求を拒否していることはまことに遺憾であります。宇野総理は、自民党総裁としてこのような与党の態度に対してどのような見解をお持ちであるのかつ総理がリクルート問題に関し政治的、道義的なけじめをつけると言われるのであれば、直ちに中曽根元総理の喚問要求に応じられるような政府・与党の最高責任者としての指導性を発揮すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 宇野総理、あなたの三年前の総選挙のときの選挙公報によると、政治倫理について、一切の不正と不道徳を許さない厳正な政治倫理の確立、こう約束されているのをお忘れではないでしょう。そうであるならば、自民党の決めたあいまいなけじめではなく、公約どおり、一切の不正と不道徳を許さない厳正なけじめをつけるべきでありましょう。総理、いかがでしょうか。
 次に、消費税について伺います。
 消費税が実施されてから早くも二カ月が過ぎました。政府や自民党からは、準備期間が少なかった割には混乱も少なく、順調に推移しているといったような声が聞かれますが、それは永田町のとらえた感触にほかならず、消費者も事業者も不満をうっせきさせているのが現状ではないでしょうか。既に消費税の構造的欠陥が露呈しており、物価上昇、便乗値上げ、下請いじめなど深刻な事態が生じているのであります。物価上昇は安定圏の域を突破して、それがために九年ぶりの公定歩合の引き上げが決定されるに至っており、物価上昇の基調が強まったわけではないとか、インフレの懸念はないなどと言っておれない状態なのではありませんか。総務庁の調査によれば、五月の東京都区部の消費者物価は、前月比で〇・六%、前年同月比で三・三%それぞれ上昇しており、消費税の転嫁が進んだため、四月の前年同月比上昇率二・七%より〇・六%高まったとされているのであります。また、四月の全国上昇率も、今年度政府経済見通しの二%を上回り、二・四%となっております。これも東京都区部の動向を見れば明らかなように、今後消費税転嫁の進展に伴ってさらに上昇していくことは間違いありません。円安傾向や原油高の影響だけが心配されるのではなく、何よりも消費税の影響が大きいのであります。こうした政府の数字以上に物価はもっと上がっている、便乗値上げが多いと実感している消費者か多いのであります。消費税カルテルに伴う便乗値上げでは、五月二十三日までに公正取引委員会も三十四の団体に警告を発し、十団体を注意処分にせざるを得なかったようであります。財政当局は、外税が多いため直接税を取られたような感覚が強まっていること、所得税や住民税の減税が理解されていないことからもそうした感覚が生じているとしておりますが、物品税の廃止などによって大型乗用自動車や貴金属などの高級品、奢侈品が安くなる一方、食料品など庶民の生活必需品が三%近く値上がりしているため、仮に平均的な物価上昇率が政府の数字に近いものだとしても、低所得者はど負担感は増しているのではないでしょうか。物品税の廃止に伴って高級品化の傾向が強まり、所得の多い人はそれなりに消費生活を享楽できるのとは対照的に、格差がますます拡大しているのであります。
 こうした消費者の不満を逆手にとって、消費税の実施それ自体が問題の原因であるにもかかわらず、中小企業の事務負担に配慮した簡易課税制度、免税点、限界控除制度などが殊さらに問題にされているような気がしてなりません。消費者が実際に負担した四千八百億円もの消費税が国庫に入らないというのでありますから特別措置が批判されるのは当然とも言えましょうが、しかしこのような制度が必要とされるのは消費税そのものに欠陥があるからであり、消費税の導入それ自体が問題にされなければならないのであります。中小業者が批判の矢面に立たされるのは本末転倒であります。経済摩擦の中で流通の合理化が迫られておりますが、消費税の実施、そして中小業者に対する特別措置の見直しがそのてことして使われようとしているのではないかと思われて仕方がありません。
 事実、消費税で窮地に立たされているのは中小業者、下請企業であります。中小業者の四割近くが消費税の転嫁ができないと答え、公正取引委員会の調査でも、親企業との取引で免税業者であることを理由にされたり、単価の引き下げを強要された後三%の上乗せが行われたりして、消費税を適正に転嫁できていない下請企業が出てきているのであります。
 消費税が実施されるや否や閣僚や自民党首脳からは見直し論が盛んに出されており、竹下前総理も、みずから示した九つの懸念に対応するため、消費税の実施が一巡した来年五月以降、帳簿方式、免税点や簡易課税などを中心に見直しを実施する考えを明らかにしておりますが、これは全く無責任な態度と言わなければなりません。
 大型間接税を導入しないとしてきた自民党の国民に対する公約を無視して消費税法を自民党単独の強行採決で成立させ、準備期間も不十分なままに実施したこと自体が徹底的に批判されなければならないのであります。消費税の基本的な欠陥は見直しで済むことではなく、実施直後に実施した当人から見直しが必要とされるような消費税は当然廃止されなければならないのではないでしょうか。
 政府・自民党は、消費税の廃止は非現実的、六兆円もの税収の穴を埋めるのは不可能と宣伝しているようでありますが、年度内減税を考慮すれば最近二年続けて当初見積もりを七兆円以上超える租税収入が得られている状況を意図的に無視した発言と言わなければなりません。この状況を一過性のものと断定するのも問題であります。そのほかにも、大蔵省が税制改革期間中に実施するとしていた引当金の圧縮や土地税制の是正など、直ちに実施できる不公平税制の是正も考えられ、創意工夫すればさはどの混乱もなしに消費税の廃止は十分可能なのであります。
 宇野内閣が、リクルートと消費税強行導入で汚れ、国民の政治不信を招いた中曽根、竹下政権との断絶、政治の革新を断行されるために登場したというのであれば、それを示すために消費税の廃止を行うのは当然のことと言わなければなりません。もしそれを実施せず、竹下前政権と同じように消費税の定着に執念を燃やし続け、消費税の廃止の声を封殺するならば、将来に重大な禍根を残すことは間違いありません。総理の消費税実施の現状認識と消費税の廃止に対する考え方をお聞かせいただきたい。
 次に、安全保障問題について所信を伺います。先日の総理の所信表明では、日米安全保障体制を堅持するとともに、憲法のもと、専守防衛に徹し、非核三原則と文民統制を堅持し、節度ある防衛力の整備を進めると、極めて抽象的な内容になつております。
 防衛問題で今一番伺いたいのは、日本が今後引き続いて軍拡の道を進むのか、それとも世界的な兵力削減の潮流に沿って軍縮の方向に進むのかという点であります。世界は明らかに軍縮、兵力削減の方向に進んでいます。米ソの軍縮交渉の進展、NATOと東欧諸国双方の兵力の削減、アジアにおいては中ソ首脳会談による緊張緩和とこれを背景にした極東ソ連軍の大幅削減の動き、このような国際情勢は、日本の軍事力の増強が全く無意味であることを示しています。現在計画策定中の次期防衛力整備計画を再検討し、防衛費はGNPの一%以内という従来の方針に返り、さらに漸減の方向に向かって進むべきであると考えますが一この点について総理の見解を伺います。
 また、日本の国是である非核三原則が事実上空洞化し、アメリカの核持ち込みがフリーパスになっている危惧がますます強くなってきています。先般ヘアメリカの資料によって明らかになったタイコンデロガの沖縄近海における事故の内容は、日本国内へ核が持ち込まれたことを明確に示しているではありませんか。この際、政府は、核兵器搭載の機能を持った艦船、航空機については日本の国内への立ち入りを断るべきであると考えますが、総理の見解を伺います。
 外交、防衛問題の最後に、現在の中国の問題について伺います。
 民主化を要求して素手で運動する人民に軍が銃口を突きつけて多数の死傷者を出す事態は、黙視することができません。中華人民共和国の混乱は、隣国として憂慮にたえないところであります。総理は、この中国の混乱についてどのような現状認識を持っておられるのか、また今後の対応策について総理の所信を伺います。
 次に、今後の農業政策について伺います。
 総理は、その所信の中で、農業を足腰の強い産業として農業経営の安定を確保しつつ我が国農業の未来を切り開いていくため、魅力ある農業の展開に向けた将来展望の確立、農山漁村の活性化に意を用いると述べておられます。この言葉は、農村のどこを見れば出てくるのでしょうか。現実の農業は、総理の所信とは全く逆の、農業は足腰の弱い産業として経営の不安定にさらされ、農業の未来は閉ざされ、農山漁村の活力は失われつつある、こう言わざるを得ないのであります。
 それは、具体的に次のような数字があらわれているのであります。一九八六年の例を挙げると、農業品目の輸入数量の増加によって、生産額は約六兆円、付加価値額約二兆五千億円の減少、就業者は四十四万人の余剰人員。こうした中で農業は、六百五十三億円もの生産額の減少、就業者も三万二千人の離農となっているのであります。日本の米輸入問題についても、一九九〇年を期限として現在進行中のガットの多角的貿易交渉で交渉することが合意されています。今後の日本の農産物輸入自由化問題は、品目としては米、交渉の場としてはガットの多角的貿易交渉が焦点になることは明らかであります。
 日本の農業の衰退に大きな影響を及ぼしている農産品目の自由化に対して、日本の農業を守るために今後どのような対応策をとるのか、食管制度は今後とも堅持されるのかどうか、米の減反政策は見直されるべきではないか、米の自由化圧力に対してガットの多角的貿易交渉の場でノーという態度が貫けるのか、ことしの生産者米価の要求にどうこたえるのか、このような切実な農業の課題、農家の要求に対して具体的な総理の見解を示していただきたい。
 政治改革について伺います。
 宇野総理は、先日の所信表明で、現内閣を「改革前進内閣」と命名し、政治改革を内閣の最重要課題として、いかなる試練に遭遇しようとも不退転の決意を持って取り組む覚悟であると述べられました。
 総理が一段と声を高くして「裂吊の気合い」、「清新、清例な政治の実現」、「不退転の決意」と美辞麗句を並べても、国民の皆さんの心にはむなしい思いしか残っていないのです。翌日の各新聞の社説や論評では、「首相演説はなぜ心に響かない」、「改革の気迫感じぬ首相演説」、「なぜ空虚なのか新首相の演説」、一様にこういう見出しが並んでいるのであります。
 なぜ国民の心に響かないのでしょうか。それは、今まで自民党が、政界上層部を巻き込んだ田中金脈事件、ロッキード事件、ダグラス・グラマン事件などスキャンダルのたびに、同じようなことを言っておきながら一向に改まったためしがないからであります。改まるどころか、ますます巧妙なやり口になってきているのであります。
 そして、総理自身が今回のリクルート事件の政治的、道義的責任の一番重い中曽根元総理の側近であったこと、あわせて、事もあろうに、リクルート事件の責任をとって辞任した竹下前総理の推挙によってその地位についた総理、これでは、自民党の伊東前総務会長が言うところの本の中身を変えずに表紙だけ変えたことにもならない、表紙のカバーだけをかけかえたとしか思えないのではないでしょうか。
 今、政治改革で第一番にやるべきことは、衆議院を解散して総選挙によって国民の皆さんによる政治の選択の機会をつくることであります。三年前の衆議院、参議院同時選挙の際に、宇野宗佑さんが自民党総裁となり、内閣総理大臣として政権を担当することを想定して投票に参加した人は、恐らく本人も含めて一人もいないはずであります。一回の総選挙の間に三人も総理大臣がかわるたらい回しは、主権者である国民が政治を選択する権利を奪うものであります。議会制民主主義のもとでは、議会は常に民意の分布状況を正しく反映する構成を持っていなければならないことが原則であって、この保障を欠くことは壊れた鏡であります。
 宇野総理が「裂吊の気合い」、「不退転の決意」で政治改革に取り組むと言うのであれば、その「裂吊の気合い」や「不退転の決意」は、自民党の保身のための「政治改革大綱」に百万遍の言葉を費やすよりも、直ちに衆議院を解散されることであります。
 この点について宇野総理の所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(宇野宗佑君) ただいまは野田議員より真摯な御質問をちょうだいいたしました。私も誠意を持ってお答え申し上げたいと思います。
 まず、リクルート事件の発生についてでございますが、これはもう申すまでもなく不愉快な事件であり、また、これほど政界を不信に導いた事件はありません。したがいまして、国民の政界に対する信頼を回復するためにも、私たちは謙虚にこの事件を反省しながら、政治改革を最重要課題としてやっていかなければならない、それが今日の私の気持ちでございます。確かに一般的に申すのならば、リクルート事件によりまして政財官のいわゆる構造的癒着というものもあらわになったことも事実でございましょう。こうした面にメスを入れることが必要であることは申すまでもありません。その根源は、確かに、我々といたしましても政治に余りにも金がかかり過ぎる。だから、そうした面におけるところの問題を解決するためにも今その根源である政治改革が大切であり、具体的には公選法をどうするか、政治資金規正法をどうするか等々の問題に関しましても、我々といたしましては真剣に取り組んでいきたいと、かように考えておる次第でございます。
 特に、けじめをつけよという問題に関しましては、この事件が発生いたしまして、どうすればよいか、こうしたことで、前内閣のもとではございましたが、民間の有識者を集めました有識者会議が持たれました。その提案がございます。その提案を私たちは具体的に実施していかなければならない。もちろんその先頭に立ってみずから実施していかなければならない、こうしたことを私は申し上げたいと思います。
 その中には、既に政府、党としてやることもございますし、あるいはまた法の改正にまたなければならないことも多々ございます。そうした問題に関しましては、既に与党からは選挙法の改正並びに政治資金規正法の改正、二法が議員立法として衆議院に出されております。今国会の会期もあとわずかでございますから、ぜひとも、この二法なりとも、国民のそうした政治不信を払拭するためにも御審議賜りまして、今国会で成立を願いたい、これが私といたしましてのお願いでございます。
 次に、中曽根亜流ではないかというお話がございますが、決して亜流ではございません。確かに私と中曽根元総理との関係は久しきにわたっておりますが、常に考え方あるいは政策、いろいろとお互いに議論をしておるのであります。したがいまして、亜流とはそっくりそのまま、そっくりさんということになれば、絶対私はさようでないということをここに明言いたしておきたいと存じます。
 また、元内閣のもとにおいてこの事件が起こったということに対しましては、私も中曽根派であったという甘貝として、十分そうした意味の責任はございましょう。しかし、リクルート事件には全く関係がないということで私は後継総裁に党員多くの支持を得て就任したわけでございますので、さような意味におきましても私ははっきりした態度で臨みたい、かように考えておる次第でございます。
 また、竹下前総理がつくられた総理だからあるいは竹下前総理の影が濃いのではないか、こういうようなことが一般に院政といって言われております。
 内閣は継承性を大切にいたします。だから、内政の面におきましても外交の面におきましても、我々自由民主党として、国民政党として考えました政策は、やはりいかなる内閣にありましてもこれを国民のために還元していかなくちゃなりません。私は、そういう意味で継承は大切にしなければならないと思いますが、継承することと影響を受けることは全く別である、こういうふうにひとつけじめをつけておきたいと思います。また、前総理も院政をしくような人ではありません。私も院政を受けるような男ではございません。
 その次に、私は、さような意味で、この内閣を御承知のとおり改革前進内閣と名づけたゆえんでございます。
 一番最後に解散の問題も出されておりますが、そうした意味で、私たちはこの政治改革を最大重要課題として出発した内閣でございますから、まずそれに没頭をする、そうして没頭することにおいてその成果を上げる、これが私たちの使命でございますから、今のところ私は解散は全く考えておりません。
 次に、自民党議員がみずから疑惑を解消し責任を明らかにするよう総裁としてリーダーシップを発揮せよ、こういうふうなお話でございます。
 仰せのとおり、倫理綱領には私たちが遵守しなければならないことがいっぱい書かれております。まさにもう説明の要らない倫理綱領の内容でございます。したがいまして、私は、リクルート問題に関係する議員は、司法上の責任の有無にかかわりなく、議員としての名誉を重んじて良識に基づいてみずから対処すべきである、このことを申し添えておきます。また、参議院での中曽根喚問の実現、このこともお話がございましたが、私は行政府の長でございますので、立法府のことは立法府でひとついろいろとこれは御勘案賜り、その方針をお立て賜ればよいと考えております。
 次には、三年前の私の選挙公報で一切の不正と不道徳を許さない厳正な政治倫理の確立をうたっておるからそれに基づいて頑張れということでございますが、当然私もそうしたことを久しきにわたる政治信条として今日まで政治生活を続けてまいりました。政治倫理綱領の遵守こそ政治家としての資格の第一義である、私はかように考えております。みずからも厳しくその政治倫理綱領を重んじ、またこの趣旨によって党員の方々にもそれぞれの責任を果たしていただきたいと思う次第でございます。
 消費税の実施状況の現状いかん並びにこれと物価との関連いかん、またその物価引き上げには便乗値上げ等々が影響しておるのではないか、こういうようなお尋ねでございます。
 政府といたしましては、消費税がまだ始まって二カ月余でございますが、国民各位の御協力によりましておおむね円滑に実施されていると思いますけれども、この種の税は我が国になじみが薄い税でございますから消費者や事業者の中には大変戸惑いや不安を感じておられる面も少なくない、このことは重々私たちはやはり認識しなければならないと思います。したがいまして、国民の方々の声に謙虚に耳を傾けなくちゃいけない、また便乗値上げの防止や円滑、適正な転嫁の実現への取り組みを初めといたしまして、消費税が国民生活の中に定着するよう幅広い視野で各般の努力をしなければならないと思っております。したがいまして、消費税は国会における議論を経て創設されたものでございますから、今日撤廃する考え方はございません。
 しかしながら、御指摘の免税点制度の見直し、こうしたことはそもそも税制改革法に規定されております。したがいまして、全納税者の申告が一巡する来年五月末までには定着状況を見守る必要がございますから、見直しの内容や時期を申し上げられる段階にはありませんけれども、やはり私は謙虚に消費者並びに事業者の声に耳を傾けるとするのならば、ぜひともこのことに関しましては早目に勉強を始めなければなりません。その勉強は当然政府税調においてやってもらいたい、そのことを大蔵省に既にして命じてございます。
 また、物価との関連でございますが、消費税が普及された場合には、一応政府としては物価上昇率一・二ということを予定いたしておりました。確かに五月の東京都区部の物価は三・三、また四月の全国は二・四でございます。それまでの日本の物価はおおむね一・一、これが三月でございますから、政府の一・二という見通しは大体誤っていないのではないかと思いますが、物価はやはり上昇することを常に我々といたしましては防がなければなりません。したがいまして、当然御指摘の原油問題等々もございましょう。今後私たちはそうしたことに十分関心を持ちまして、物価上昇を招かないようにいたしたいと思います。今日日本は米、西独、英並びにフランス等々先進諸国と比ぶるに、一番最低の物価基準をもって臨んでおるということもこの際私は申し上げておきますが、さらにそれを私たちは守っていきたいと思う次第であります。
 次に、緊張緩和にもかかわらず、防衛費、そうした面において、やはり軍縮の方向をたどるべきである、こういう御指摘でございます。
 確かに、米ソのINFのグローバル・ゼロを契機といたしまして大きな対決時代は対話時代へと変わったことは、野田議員のおっしゃるとおりでございます。また、そうした流れを我々といたしましても尊重しながら、やはり東西の壁がおいおい低くなることを望むということも大切でございます。
 私自身も常に軍縮を叫んでおります。軍縮会議におきましても、幾つかの会議がございましたが、すなわち戦争を未然に防がんがためには抑止、そうした力が必要である、抑止によるバランスが必要である、そのバランスは高次元でなく低次元においてもできるはずである、それに努めるべきであるというのが日本の主張でございます。したがいまして、私たちといたしましてもそういう方向で今後我が国の防衛体制も十分考えなくちやなりません。
 しかしながら、既に御承知のとおり、日米安保条約が円滑に、また円満に運営されておりますし、我々といたしましても、日米を基軸といたしまして今日外交を展開いたしておりまするが、やはりみずから適切な規模の防衛力を持つということは大切でございます。そうして、安保体制を堅持することによって我が国民の安全を図るということも一番大切でございます。
 中期防が終了いたしました後の防衛力整備につきましても、今私が申し上げましたような考え方で行われることは当然でございますが、昨年十二月の安全保障会議において意見の一致を見ましたとおり、憲法及び専守防衛等の基本的な防衛政策のもとで国際情勢及び経済情勢等を勘案しながら、昭和五十一年十一月の閣議、あの閣議の決定の節度ある防衛力の整備という精神を引き続き尊重していきたい、かように存じておる次第でございます。
 核搭載可能の米艦船、航空機の出入り、どうしておるかというお話でございますが、もちろん核を搭載した艦船が我が国に入国する際には、地位協定の規定に従いまして、米国みずから事前協議を発議しなければならないことになっております。したがいまして、発議がない限り、私たちは核持ち込みがないことについては何らの疑念を有せず、これが私たちの考え方でございます。過般の問題に関しましても、我々は重大な関心を持って、その経緯に関し米国には十分な照会をいたしておるところでございます。
 次に、中国の混乱の現状認識及び今後の対応いかんということでございます。
 非常に政府の対応が鈍かったのではないか、こういう御指摘もございますし、あるいは私の所信表明にそのことが盛り込まれなかったのは遺憾という御指摘もございます。しかし、中国は大切な隣国でございます。特に、昨年、日中平和友好条約十周年を迎えましたそのときにも、やはり中国の首脳は、いろいろ日本の要人が発言されますと、どうか戦争時代を思い出さすような発言はしてほしくないというのが中国首脳の言葉でございます。私もこれは大切だと思うわけであります。
 我々といたしましては、あの戦争を行いました。だから、目の前で親が殺され、子供が殺されたその悲劇を持っている方々が非常に多い。それを心なき日本の発言によってまた思い出せば、日中平和友好条約、この精神は生きるであろうかというのが、中国要人の心配であり、また私たちの心配でなければなりません。そういう隣国でございますから、やはりアメリカと中国との関係とはまた違う、欧州と中国との関係ともまた違う、こういう考え方で常に私は慎重に対処いたしております。
 しかしながら、確かに野田議員がおっしゃいましたとおり、国民の生命、財産を守るべき軍隊がその国民に銃口を向けたということは、私はゆゆしきことであると。したがいまして、日本政府といたしましても、この問題に関しましては、昨日政府見解として、人道上の見地から容認し得るものでないということを外務省を通じ駐日中国大使にお伝え申し上げたという経緯もございます。しかしながら、私たちは一日も早くこの混乱から立ち直ってくれることを本当に心からお祈りするものでございます。特に、中国の現状に関しまして、やはり在留邦人が八千百人おられます。この生命も政府といたしましては守らなくちゃなりません。だから、中にはもっと勇敢な発言をせよとかいろいろおっしゃいますが、私は慎むべきである。やはり慎重に発言しなければならないと考えておるし、感情をあらわにするようなことがあってはならない。八千百名の中でやはり必要な人はお残り願うだろうが、一日も速やかに祖国に帰りたいとこいねがう人たちが多い。そのとき私たちの不用意な発言がどうなるかということもやはり考えておかなければなりません。これは政府として当然のことでございますので、さようなことで私は、慎重だと言っておられますが、今申し上げましたようなことを中国に対しましても我々の気持ちを伝えることにおいて、なお今後の推移を見守りたいと思います。
 そこで、臨時便は六日に二便、七日に四便、八日も四便。その結果、北京に三千名ほどおられました邦人が一千名以下になられますけれども、北京以外にもまたたくさんおられますから、これは速やかに帰還意思のあるお方は帰っていただかなくてはなりません。また、中国のああした内乱におきましていろいろと負傷を受けられた方がございましょう。――内乱は取り消します。中国のああした国内の騒動におきまして、みずからの銃砲の前に倒られた方々あるいは傷つけられた方々、そうした方々に対しましては、私は医薬品等の緊急援助を行う用意をいたしております。さらには、今後は食糧等の救援物資に関しましても、隣国として、また邦人のためにも、中国の人たちのためにも考えなければならない段階にあるのではないか、こういうふうなことも十分慎重に対処をしていきたいと思います。
 その次に、農業問題でございますが、確かにいろいろと自由化に伴うところの問題があったことは事実でございます。したがいまして、国内対策といたしましては、農業の存立を守りその体質強化を図るために、牛肉・かんきつ等各品目の需給、生産等の実態を踏まえまして、生産、流通の各般にわたる対策の実施に万全を期しております。これはもう御承知のとおり十分国内措置もやっておりますし、国境措置もやっております。国境措置は関税を順次引き下げますが、関税によって直接的な生の影響を極力薄くする、そうした緩衝政策をとりながら、そしてその関税収入はそうした産業界、業界の保護のために充てなければならない、こういうふうな施策もとっておる次第でございますので、今後とも遺憾なきを期してやっていきたいと思います。
 食管制度に関しましては、米を政府が責任を持って管理することによって、生産者に対してはその生産性を確保し、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという制度の基本は今後とも堅持しながら、農政審議会の小委員会報告の方向に沿って適切な運営改善を図る考えであります。
 米の生産調整に関しましても御発議がございましたが、今後とも大幅な米の過剰基調が見込まれる中で、需給、価格の安定を図るために必要だとは存じます。それらは農政審議会の報告に従ってやっていきたいと存じます。
 今後の生産調整の進め方につきましては、これまた農政審議会の報告で指摘されました諸点を踏まえながら、生産者、生産者団体の主体的努力のもとに、地域の実情に即しまして足腰の強い水田農業を実現していく観点から所要の改善を検討する所存でございます。
 米の貿易問題に関しましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて、つまりマルチ、多数国の場におきまして、各国の農業制度等につきまして私たちもその議論をしよう、これはずっと言い続けていることでございますが、その方が適切であります。だから、日米間、二国間におけるところの米の問題はこれはもうやめだということは、前内閣の外相時代にシュルツ国務長官との間でもお話し合いが済んでおりまするし、その当時の農林大臣とUSTRの代表との間においても話が済んでいることは御承知のところであると思います。
 そこで、米問題に関しましては、稲作の格別の重要性にかんがみまして国会決議がございます。この国会決議の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するという基本的な方針で対処してまいる所存でございます。
 本年度の生産者米価につきましてまだ何も決めておりません。いずれにせよ、生産者米価につきましても、稲作の一層の生産性の向上を図り、農業経営の安定を確保しつつ、国民の納得し得る価格での安定供給を行うという観点で適正に決定してまいる所存でございます。
 一番最後に再び政治改革のお話がございました。また解散のお話がございましたが、この点に関しましては先ほど私がお答え申し上げたとおりでございます。我々の内閣も改革前進内閣と名づけました以上は、表紙も変わったが、中身も変えて進みたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(土屋義彦君) 原文兵衛君。
   〔原文兵衛君登壇、拍手〕
#14
○原文兵衛君 私は、自由民主党を代表して、当面の重要課題である政治改革及び税制問題を中心に、宇野総理ほか関係閣僚に質問を行うものでありますが、重点を絞って率直にお伺いしますので、率直にお答え願いたいと存じます。
 我が自由民主党は、立党以来三十有余年一貫して政権を担当してまいりました。この間、多くの苦難に遭遇しながらも、単なる保守といった硬直した姿勢をとることなく、自由主義、自由経済の基本を維持、発展させながら、絶えず柔軟な気持ちで国民の価値観の変化や時代の流れに即応して内外政策を果敢に展開し、今日に見る国力の充実発展、民生の安定、国際的地位の向上に寄与してまいったのであります。
 しかし、そうしたさなか今我が国の政治は大きな試練に直面しています。リクルート疑惑を契機として政治家の倫理、道義を指弾する声は大きな高まりを見せ、政治に対する国民の不信感はその頂点にあると言っても過言ではありません。特に、政権与党である我が党に対する国民の批判はまことに厳しいものがあり、まさに危急存亡の危機に立たされています。
 我々はこうした政治不信を引き起こした責任を謙虚に反省し、二度と繰り返さぬためにあらゆる痛み、犠牲を克服して、徹底した自己改革を行う決意であります。この決意は、ひとり国会議員レベルだけでなく、我が東京の都議会自民党においても、政治倫理確立の建白書を提出し、政治改革断行に敢然と立ち向かっております。その他各都道府県連の方々も全く同じ思いであると思います。
 総理、この重大な危局にあなたは政権を担当することになったわけであります。総理が担うべき責務は、まずはこの失われた政治に対する国民の信頼の回復であり、さらには消費税の問題や農政批判への対応、経済摩擦の解消など山積する内外の重要政策の適切な展開であります。まさに、これまでの我が国議会政治史の上で最も厳しい時期に、困難な任務を背負ってのスタートであろうかと存じます。
 総理は、党総裁就任に当たって、みずから心を磨き、清新自民党として再生するために私を捨て情熱をささげると申されておられるとともに、所信表明演説では、この内閣を「改革前進内閣」と自信を持って命名されています。我々としては全幅の信頼と期待をしているわけでありますが、改めて、今日の政治の危機をどのように認識し、どのような政権担当の決意であるのか、伺っておきたいのであります。
 今回のリクルート事件は、そもそもリクルートコスモス社の未公開株を縁故者にばらまいたことが発端であります。一般の投資家が入手困難な未公開株を一部の政治家等が譲り受け、公開後売却して多大の利益を得た、いわゆるぬれ手でアワの不当利益が国民のひんしゅくを買い、これが政治不信を大きく惹起したものであります。さらに調査が進むにつれ、多額の政治献金、パーティー券購入などさまざまな政治資金がぼらまかれている事実が判明し、今やこの事件は構造的汚職であると同時に、我が国政治の金権的体質を露呈したものと言われています。
 我々は、こうした事態を厳しく受けとめ、二度とかかる不祥事が生ぜぬよう、さきに決定した政治改革大綱において、一つ、多額の政治資金の調達を強いられる選挙制度を抜本的に見直す。二つ、政治資金について公私を峻別するとともに、その透明性を制度的に裏づけることなどによって政治倫理の向上を期す。三つ、国会運営、党運営についても十分に国民の負託にこたえられる政治環境を整えることを党議決定し、政治は国民のものと宣言した立党の原点に返り、党の再生をなし遂げる決意をいたしております。
 また、リクルート事件に対する責任、けじめを明確にすべく、竹下前総裁・総理は内閣を総辞職したほか、中曽根元総裁・総理も最高顧問の辞任と党籍を離脱いたしました。その他党幹部もこれに準じた措置をとったほか、いわゆるリクルート関係議員の一定期間の党の役職等の辞退、利得金銭の社会公共への還元等を講ずることにいたしております。宇野総理も、今回の事件による政治不信を極めて深刻に認識し、政治改革を最重要課題として不退転の決意で取り組む旨表明されていますが、政府としてリクルート事件をどう反省し、どうけじめをつけるのか、改めて政治改革に対処する姿勢をお伺いいたします。
 次いで、具体的な政治改革の手順であります。
 一口に政治改革といっても、パーティー規制など当面の課題から、衆参両院の定数、選挙制度、政治献金、政党法のあり方など中長期的課題も多くあって、ここでそのすべてについて議論することはできませんので、以下、当面する数点について政府の方針を伺いたい。
 まず、政治倫理の問題であります。
 今回の政治腐敗は、昭和六十年に国会で議決した政治倫理綱領を守ってさえおれば恐らく生じなかったであろうと思います。我が参議院自民党は、この綱領の厳守こそ政治家の要請であるとの観点から、改めて、去る五月十六日の議員総会において決議し、この遵守を誓っておるのであります。
 そこで、今回まとまった我が党の案を見ますと、行為規範違反者に対して、政治倫理審査会が機能を発揮し、自浄能力を高めるために審査要件の弾力化、公開案件の緩和を行うとともに、国会議員に証人として証言を求めることができるようにするほか、議員に釈明の機会の道を開くこととしています。さらに、国会議員など地位の利用や政治資金の私的流用による資産形成を厳しく監視するため、資産公開法の制定を提案しています。
 およそ政治腐敗は、つまるところ政治家の政治倫理の欠如に起因するだけに、金のかからない、かけない政治の実現には、まずもって徹底した政治倫理の確立が必須の前提であると考えます。総理はこれらについていかがお考えでございましょうか。
 これとあわせ、国民の側においても、政治家に金品などを求めないように心がけるとともに、企業等の側においてもその倫理に徹すべきは当然のことであります。さらに公務員等についても、公私をわきまえぬ、倫理にもとる行為がありましたので、この際、管理監督の幹部職員に対する綱紀粛正の通達だけでなく、全公務員等に対しその徹底を図るため、公務員倫理綱領を制定するなどの措置を講ずべきではありませんか。
 第二は、政治資金について、国民にわかりやすい新しい秩序を確立することが必要であります。今日、政治資金は一部に、いわゆる一年生議員でも年間一億円以上かかると言われるように、およそ庶民感覚からかけ離れるほど肥大化し、使途、収入が不透明なことから、多くの国民から疑念を持たれています。
 このため我が党は、政治資金の支出を抑制する、収入は公正明朗な資金による、透明度を高め収支を公開するを基本原則として、出の抑制の面では、冠婚葬祭などへの寄附禁止を強化する。その際、罰則の対象範囲を拡大するほか、ポスターなどの規制を強化することにいたしております。また、入りの改革の面では、政治資金による株取引の規制、パーティの自粛と新たな規制、政党への寄附の集中と議員活動への援助、国会議員への公的援助の拡大、政治資金の公開性の徹底を期するものであります。
 これらのうち、法改正を必要とする事項について、我が党より公職選挙法及び政治資金規正法の改正案が提案され、資産公開法とあわせこの早期成立が求められております。あと二週間という会期の中でこれら二法の成立はなかなか困難さが予想されますが、二度と不祥事を起こさないためにも、ここに提示されている改革案は急を要するものばかりであります。何とぞ各党の賛同を得て、まずできるものから実施していくべきであると考えます。これに臨む決意と、残された政治改革の具体的措置を今後どう講ずるのか、総理にお伺いいたします。
 私は、政治に金がかかるその最たるものは、現在の衆議院の中選挙区制度にあると思います。本来、選挙は、議員が国民に対し政策の是非を問う性質のものであります。しかしながら、同一政党の者が同一選挙区で複数当選できる可能性のある現在の選挙制度のもとでは、政策の争いではなく、それ以外の争い、情実や利益誘導の争いとなりがちでございます。これが金集めが必要となる原因にもなっていると思います。やはり選挙は正々堂々と政策で争い、金集めなどを必要としない選挙制度が望ましい。それには、小選挙区制に比例代表制を加味した制度がベターであると思いますが、総理、いかがお考えでございましょうか。
 次は、参議院改革の問題であります。
 昭和四十六年の河野謙三議長以来、歴代議長は参議院改革に熱心に取り組まれ、数々の実績を上げておられます。その代表的なものを私なりに三つ挙げれば、その一つは常会の一月召集であり、その二は総予算の各省庁別委嘱審査であり、その三は外交・総合安全保障、国民生活、産業・資源エネルギーの三調査会の設置であります。
 一月召集の問題は、昭和六十年四月、当時の木村議長より衆議院側に申し入れをいたしておりますが、全然進展していません。委嘱審査も、今年度、一昨年度は行われません。野党の一部からはやめたいとの動きさえ出ております。三つの調査会についても、調査会創設の趣旨がよく理解されておらず、当初の期待が必ずしも十分には達成されていないのではなかろうか。
 一方、国会審議についても、衆議院がとまれば連動して参議院もとまることが多い。本日で会期百六十一日目を迎えましたが、この間、本会議は本日を含めて十三回、予算委員会は十一回、決算委員会はわずか二回、大蔵委員会は七回、運輸委員会に至ってはゼロ、調査会も二回から四回であります。先議案件も、やっと九木配分したにもかかわらず、成立はいまだ一件もなし。立法府として、国会の審議の非能率、怠慢ぶりは国民の政治不信の大きな原因となっているのではないでしょうか。
 お互い議員として深く反省すべきであると思いますが、二院制の独自性と補完の機能は一体どこへ行ったのかと国民も強いいら立ちを覚えていると思います。総理は、党総裁として二院制度のあり方についてどのような所見をお持ちでしょうか。また、国会審議の活性化、効率化についてどのような認識をお持ちであるか、お伺いいたしたいと存じます。
 さらに、私が関心を持つものに政党法の制定があります。現在、政党は法的には私的団体にすぎませんが、憲法の定める議会制民主主義のもとにおいて政党が果たす役割は極めて重要であり、今後とも政党の公的役割の増大が予想されております。国庫補助を内容とする政党法の検討は必定のことと考えます。総理の所見を求めたいと思います。
 いずれにしても、思い切った政治改革は今まさにその緒にっかんとするところであります。この緊要な国民的課題に内閣を挙げて取り組まれ、実りある健全な議会制民主主義、政党政治の再構築ができるだけ早く達成されることを願ってやみません。私どもも国民の負託を厳粛に受けとめ、政治に対する信頼回復に身命を賭して頑張る決意であります。
 続いて、財政、税制問題に移ります。
 平成元年度予算は、三十五年ぶりという芳しからざる事態の中で自然成立いたしましたが、竹下前内閣の精力的な取り組みにより、内需の持続的拡大に配慮しつつ財政改革を強力に推進し、平成二年度の赤字公債からの脱却を確実なものにしております。
 しかしながら、公債残高は平成元年度末においては百六十二兆円に達する見込みで、依然として厳しい状態にあって、国債の利払い費は十一兆五千百二十億円、毎分二千百万円という予算額全体の二割にも達しており、一般の政策的経費を著しく圧迫しております。また、この他にも厚生年金の国庫負担金の繰り入れの特例や国債償還財源の定率繰り入れの停止など、いわゆる隠れ赤字公債とも言うべきものが二十六兆円にも達するということであります。今後、急速に迫りくる高齢化社会への対応や国際的な要請である内需の持続、国際社会における責任を考えるならば、財政の対応力を回復することは急務であります。
 政府では既に平成二年度の予算のシーリングの作成作業に入っていると思いますが、どういう方針のもとで赤字国債依存体質からの脱却を図るのか、また建設国債をいつまで発行するのか、今後の財政改革をどう進めるのか、大蔵大臣の決意を伺います。
 さて、懸案の税制改革が実施されて二カ月を過ぎました。
 もとより、今次の税制改革の趣旨は、シャウプ以来の古い税制を今日の時代に適応できるよう抜本的に見直し、国民が納得できる公平で簡素な新しい税制の構築を目指したものであります。
 具体的には、累計五兆五千億円に上る所得税と住民税の大減税を断行するとともに、間接税については、従来の個別間接税制度を抜本的に改め、消費一般に広く薄く負担を求める消費税を創設し実施に移しているところであります。ところが、この消費税は何分にも我が国にはなじみの薄い新しい税制であるだけに、消費者や事業者の方々の中には、この税制に対して不安や戸惑い、さらには不満を感じられている方も少なくありません。この税は十分な準備期間がないまま実施されたうらみがあるだけに、国民の間で理解され定着するためには、私どもももちろんでありますが、政府は引き続き真摯な説明、親切な対応をいたすべきであります。
 それと、昨今の税制論議は専ら消費税ばかりに集中して、史上最高の所得減税が忘れ去られた感があります。政府は、サラリーマンの九割が所得税の最低税率一〇%で済むこと、また今回の思い切った減税内容についてわかりやすい説明をもっとPRし、新税制への理解を深めるべきではありませんか。
 なお、五月三十一日の大蔵省の発表では、昨今の景気拡大を背景に企業収益などが伸び、六十三年度補正予算後の見積もりを上回る二兆八千億円前後の自然増収が確実視されています。さきに公定歩合を引き上げ、財政運営は景気の過熱感を抑制している最中にあることは重々承知してはいますが、この剰余金については、消費税負担を考慮し、さらなる減税を行うべしとする国民的要請が強くあります。政府はいかが考えるのでしょうか。
 以上の点について御答弁願います。
 さて、消費税の実施に当たって重要なことは、税の適正な転嫁が行われているかどうかであります。
 大手の百貨店やスーパーでは外税方式の採用により順調な転嫁が行われているようでありますが、中小零細業者や免税事業者の小売店では必ずしも転嫁がスムーズに行われていない面も少なくないようであります。これらの転嫁状況を政府はどう把握し、今後適正に転嫁できるようにどう対応していくのか、通産大臣にお伺いいたします。
 消費税の実施により私が心を痛める問題があります。
 それは、いわゆる逆進性の問題であります。この税が老若男女を問わず社会共通の費用を皆で負担し合うものであるだけに、生活保護者、老人、身体障害者等にとってはかなりその負担感、痛税感が伴います。六十三年度補正予算及び平成元年度予算においては、激変緩和のため、我が党はこれら社会的弱者と言われる方々に対し歳出面で配慮いたしました。すなわち、老齢福祉年金の受給者等には一万円、在宅寝たきり老人等に対しては五万円、生活扶助基準の四・二%引き上げ、年金、援護年金、手当額の改善を行っております。しかし私は、これら社会的弱者に対しては、これらの措置が一年限りで終わるのではなく当面財政的配慮を継続し、政治が引き続き愛の手をささげるべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 さらに重要なことは、中小企業者のための事業者免税点制度や簡易課税制度などにより消費者が負担した税が納税されないことになるのではないかという意見があります。
 確かに、税の公平を確保する上から厳密に考えれば、これらの制度については制度の精緻さという点を若干損なう要素があることは否定できません。しかしながら、どんな零細な事業者にも大企業と同じ税額計算の正確さを求めることが公正なのか、中小事業者の納税事務負担に何らかの配慮をすることも必要ではないのか。この問題は、制度の正確性と中小事業者への配慮をどうバランスさせるか、制度の公平と簡素ということをどう調整するかという政策判断の問題であろうと存じます。まずは、その実施状況を十分見きわめる必要があります。
 村山大蔵大臣は、さきの記者会見において、消費税の仕組みに問題点が出されている、問題点を検討し、見直し規定に沿った対応をとると述べられました。私は、国民サイドに立った見直しを政権与党である自民党と政府が率先して大胆に速やかに行うことがぜひ必要であると思います。総理及び大蔵大臣の所見を改めて求めるものであります。
 次に、パリ近郊のアルシュにおける七月のサミットについてお伺いいたします。
 今、世界経済は順調な発展を続け、世界貿易も拡大を続けていますが、その一方で、最近の米国のスーパー三〇一条の発動に見られるような保護主義圧力の増大、一部諸国におけるインフレ懸念の高まり、さらには一兆ドルをはるかに超える途上国の累積債務問題といった、今後の先行きにとって大きな不安材料を抱えています。また、国際政治の面においても東西関係の進展等の注目すべき動きが見られます。
 このような状況のもとで本年七月フランスにおいてサミットが開催されるわけでありますが、日米欧の首脳が一堂に会するこの機会に、主要先進国首脳がこれらの課題への対応につき明確な姿勢を示していくことがぜひとも必要であります。総理としても、我が国の国際社会における地位の大きさを十分認識し、サミットの成功に向け関係各国との協力を積極的に推し進めるべきと考えますが、総理の決意はいかがでありましょうか。
 あわせて、本サミットにおいて地球的規模の環境問題が主要議題として取り上げられると聞いています。
 自己宣伝のようになって恐縮でございますけれども、実は七年前、私が環境庁長官のとき、UNEPの特別総会で、地球環境を保全するため二十一世紀に向けて世界の国々は何をなすべきかの戦略を討議し樹立するための国連特別委員会の設置を提案し、現在のノルウェー首相ブルントラント女史を委員長とする環境と開発に関する世界委員会が設けられたのでありますが、本年は地球環境元年と言われ、環境問題をテーマとする国際会議がメジロ押しであり、我が国もこの九月には地球環境保全に関する東京会議の開催を予定しております。
 今や地球環境問題は国境を超えた世界的な課題であり、我が国は公害対策の先進国として、率先これが解決に向けて技術の面でも資金の面でも積極的に貢献すべきであると思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 最後に、北京の惨劇についてお尋ねいたします。
 私は、中華人民共和国は実力者と言われるケ小平氏の指導で経済の近代化、開放政策が進み、民主化、自由化の方向にあると思い、期待しておりました。ところが、民主化を求める学生、市民に対して軍隊による戦車の出動、機銃掃射などすさまじい実力行使で、おびただしい死傷者が出ていると報ぜられています。私は慄然としてそら恐ろしいものを感じますが、これは一体どう解釈したらよろしいのでしょうか。一般の在留邦人の被害はまだ報ぜられていないようでありますが、その安全はどうなっていますか。また、我が国の経済協力、企業の進出などは今後どうなるのでしょうか。総理及び外務大臣にお答え願います。
 終わりに、重ねて一言。論語に「信なくんぼ立たず」とあります。まさに政治の原点は国民の信頼にあります。それゆえにこそ政治は最高の道徳と言われます。しかるに我々は、つい長期にわたる政権担当の惰性に流され、日々の自己革新を忘れていたことを強く反省するものであります。私どもはこれを機に政治倫理の貫徹、思い切った政治改革と頼もしい新生参議院の構築を目指して一層研さんし、政治と国民との間の不信を埋め、議会制民主主義と自由社会、自由経済を守り発展させることに不断の努力を傾注することを国民の皆さんに誓い、私の代表質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣宇野宗佑君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(宇野宗佑君) まず第一番目に、今日の政治危機の認識、政権担当者の決意、これに関しまして御質問がございましたが、リクルート事件が今日の政治不信を招きました最大の原因であったということにつきまして、やはり私たちは深い反省をして臨まなければならないと思っております。そして、国民の政治への信頼を回復するためには、何はさておき政治の大改革をやりたい、それが私の気持ちでございます。そのために不退転の決意を持って臨んでいきたいと思う次第でございます。
 特にリクルート問題は、国民の政治不信を招いただけではなく、議会制民主主義にも大変な危機を与えております。これは我々といたしましても本当に大切なことであると思いまして、その改革は一日を争わなければならない、そして着実に行わなければならない、かように考えておる次第でございます。そのためにも、今御指摘がございましたとおりに、政治の金権体質、そうしたものも当然私たちは反省し、改めていくことが必要であろうと思います。
 先ほどの御質問にも答えましたが、政官財が余りにも今日そうした悪い面がむき出されてしまったということも、我々といたしましては謙虚にこの問題に対しまして冷静な判断を下し、またメスを入れていくことは当然必要でございます。お互いに、政官財ともにきれいな立場で相互信頼をしていくのは当然でございますが、このようにへんてこな考え方で見られては大変である。そこには構造的癒着があったのではないか、こういうふうな御指摘もございます。これらに関しましても私たちは、この際にその根源をどこに求めるべきかということにつきまして最大の努力を払わなければならないと思いますが、やはり私といたしましては、そうした面におきましても有識者会議の御提言を忠実にまず実現していきたいものである、かように考えておる次第でございます。
 有識者会議の提言は四月二十七日になされておりまするが、御承知のとおり、政府において実施する事項と法律改正によって実施する事項に分かたれております。おおむね七項目ございます。そのうちの三項目は政府に関する事項でございますので、これらに関しましては新内閣は既にその体制を整え、その実施をいたしております。すなわち、閣僚等の資産公開の改善・強化をすべし、かようなことでございますので、就任並びに辞任後にはその公開をするという新しい申し合わせを私たちはいたしました。この中には政務次官も含まれます。同時に、閣僚だけではなくして、配偶者並びに扶養親族に関しましてもその資産を公開すべしという内容になっておりますので、これも私たちは実施いたしたいと思います。閣僚等の株式取引の自粛、三番目は閣僚等の保有株式の信託、これらも実施をいたしてまいります。
 さすれば、法律改正によって実施すべき事項が残るわけでございます。
 これは、一つには国会議員の政治資金とその他の資金の明確化、政治資金の透明性の確保、こうしたことでございます。さらに二番目には、パーティーの規制であります。三番目には、冠婚葬祭等への寄附規制の強化でございます。四番目は、政治倫理綱領の実効性の確保でございます。これが有識者会議における法律改正によって実施すべき事項でございます。
 こうした問題に関しましては、御高承のとおり、既に自由民主党から公職選挙法の一部を改正する法律案並びに政治資金規正法の一部を改正する法律案といたしまして、議員立法として国会に提出をいたしております。今、国民の声はほうはいとしてこうしたものにメスを入れよ、改善せよ、こういうことでございますから、国民の負託を受けました院といたされましても、我々政府といたしましても、これに忠実でなければならないと存じます。この会期も余すところわずかではございますが、ぜひともこの内容に関しまして与党野党を問わず真剣な御討議を賜りまして、この国会中にこの二つの法案なりとも成立することによって国民にお報いいたしたい、これが私の皆様方に期待するところでございます。政治の方はしっかりやっていきますから、政府の方は。その点もひとつ御理解を賜りたいと存じます。
 なお、政治倫理の確立のための国会議員等の資産等の公開に関する法律案を、現在は自民党におきましても国会に提案すべく取りまとめをなさっておるということを承知いたしております。このことに関しましても大切でございますから、国会において速やかな御審議と早期成立をお願いするところでございます。
 また、我々与党として何をなすべきかということもきちっとしておかなくちゃなりません。我々与党は、先ほど申し上げました有識者提言を基礎として、それを政治改革大綱として決定いたしました。ここにおいては、派閥の弊害除去と解消への努力が取り上げられております。閣僚懇談会におきまして、閣僚は在任中派閥を離脱すべし、このことも既に決定いたしましたし、我が党の四役もその線に乗って離脱をしておられます。もちろん私も既に離脱をいたしました。
 中長期の課題といたしましては、選挙制度や政治資金規正法に関する問題、できるだけ早い機会に選挙制度審議会を発足させまして、これの審議をお願いいたしたいと存じております。これに関しましては既に自治大臣にその旨指示をいたしておきました。
 こうして着々として私たちは進めておるわけでございます。その点も、何もせずにただ挟手傍観である、そんな態度であってはいけません。進めておることをひとつ御理解賜りたいと存じます。
 また、これにこたえまして、与党には政治改革推進本部を設置いたします。全党的な取り組みによって改革の推進を図りたい、このことも昨日、私とそして与党の四役との間の約束が交わされました。強力なスタッフを配置いたしまして私たちは国民の期待におこたえしたいと考えております。
 国会改革のお話も出ましたが、これは我々から申し上げる問題ではございません。しかし、両院議長にお骨折りをいただきまして、与野党間で協議を進めていただきまして、早急に推進されることを期待いたしておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、中長期的課題につきましては、明年の十一月の国会開設百周年、そうした記念がございますから、この時点までにこれらの改革を逐次実現していくことを私は期待いたしたい。内閣はこの問題に不退転の決意を持って臨みたい、かようにお答え申し上げます。
 次に、政治倫理の確立についての所見やいかにということでございますが、もちろん政治倫理綱領は既に定められております。また、行為規範、政治倫理審査会もあります。そうした内容をより充実するため、与党におきましては改正を検討中であるということも承知いたしております。政治家としての資格の第一義、みずからに厳しくこれを課す決意を新たにいたしまして、政治倫理綱領の遵守をお互いにやっていきたい、それが大切であると私は考えております。
 続きまして、公務員の倫理綱領を制定しというお話もございました。政府は既に官庁綱紀の粛正に重要課題として取り組んでおります。昨年十二月の閣議におきましても綱紀粛正策の基本的大綱を決定いたしまして、内閣官房長官通知によって趣旨の徹底を図りました。これは綱紀の永続的な保持を図るためでございますから、本年四月には、綱紀粛正の徹底状況を継続、反復して点検、調査する、これが必要だということで、恒常的な仕組みを設けることにいたしました。今後はその仕組みを十分に機能させて綱紀粛正を真に実効あるものにせしめたい、かように考えております。先ほど、自民党提案の公選法の改正案等の早期成立に向けた内容も、またその決意も私は申し述べたものでございますが、なかんずく比例代表制を加味した小選挙区等々の御発議もございました。およそ選挙制度というものは私たち政治家が選ばれる母体でございます。よく、政治はしょせん権力闘争だと言う人がいますが、これは私は国民不在の言葉であると思います。あくまでも国民のサイドから私たちは政治を考え、また政治家の任務を果たすべきである。かく考えました場合には、我々は政策を立て、それを予算化し法律化し、お互いに与野党間において討議をし、その討議の歯車がかみ合うように持っていく、その努力をする、その結果を国民に還元する。言うならば、これが議会制民主主義であろうと私は思います。したがいまして、そういう立派な民主主義の基本理念に立って、果たしてそれらを生み出す母体が、つまり公選法あるいは政治資金規正法等々がいかなる姿であるか、これに対しましては当然選挙制度審議会におきまして公正な御判断を仰ぎたい、私はかように考えておる次第でございます。
 また、二院制度のあり方につきましてもお話がございましたが、行政府の長といたしましては二院制度のあり方等について意見を申し述べる立場にはございません。しかし、参議院改革、国会の活性化等いろいろと検討がされておるということに関しましては十分承知いたしておるものでございます。
 また、政党法のこともお触れになられました。有識者提言におきましても、中長期の検討課題として「政党法、政党への公的助成の在り方」を掲げております。自民党の政治改革大綱におきましては、「主として国庫補助を内容とする政党法の検討にはいる。」、このようにしておりますが、との問題に関しましては国会初め各方面における論議を私は必要とする。したがいまして、そういう御論議の動向等々を十分に見守りたい、かように考えておる次第でございます。
 消費税の見直しに関しましても、先ほど来私はお答え申し上げておきましたが、将来の見直しに備えた各層の意見聴取、実施状況等の把握、問題点整理は必要であります。政府税調に実施状況等を把握する場を設けまして、来年五月を待たず早目に勉強を始めてはどうですか、始めてくださいということを私は先般大蔵大臣にも指示いたしたところでございます。当然国民のいろいろな声を耳にすることは必要でございます。仰せのとおりなじみの薄い税制でございますから、いろいろな混乱やいろいろなことが生じておることも私たちは重々承知をいたしております。そうしたことにひとつ耳をかしていただきまして政府税調におかれましても勉強会を始めていただきたいものである、私はそのことを期待するものでございます。
 最後に、サミットに臨む基本姿勢がございましたが、サミットは七月に行われまして、世界の平和と安全に積極的に我が国は参加したいと思っております。同時に、昨年のサミット以来、東西関係を初めといたします国際情勢に進展が見られております。だから、そうした新しい流れ、新しいよい傾向への流れというものを踏まえながら、西側先進諸国間におけるなお一層の連帯と協調を強めていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
 もちろんその中には、御指摘がありました米国のスーパー三〇一条発動に見られるような保護主義の高まり、これに対処いたしましても保護主義の高まりを我々は防がなければならない、そういう気持ちでございます。そのためには、サミット参加国はマクロ的視点においてその政策協調を行い、また共同作業を行うべきである、これが私たちの考え方でございます。もちろん、多角的自由貿易体制は守っていかなければなりません。いずれにいたしましても、債務問題もございますし、環境問題もございます。これらはすべて我が国といたしましても国際社会に貢献するというのが大きな外交の柱でございますので、その柱を充実し、また実施いたすように努力をしたいと思います。
 特に、地球環境問題の取り組みにつきましてもお話がございました。
 たしかCO2、これを原因とするところの地球の温暖化であるとか、フロンガスに基づく地球のオゾン層、これの破壊であるとか、こうした問題が今あらゆる環境会議において議論されております。我が国といたしましては、二国間におきましても協力を惜しみませんし、また今申されましたUNEP、こうした国際機関におきましても私たちは前線に立ちまして努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 特に、東京においてこの九月に、世界を代表する有識者によって地球環境保全に関する東京会議が開催されることは実に重要でございます。これは日本政府の提案によって、またUNEPの協力によってなされるものでございますから、そうした会議等々につきましても環境問題に対する日本としての責任と貢献、こうしたものを明らかにいたさなければならないと思っております。
 中国情勢は、先ほど来申し上げましたとおり大切な隣国でございます。それだけに私たちも今、中国のこのいろいろな騒乱に関しましては深い関心と憂慮の念を持っております。特に軍隊の銃口がその国民に向けられたということはゆゆしき問題でございますから、人道的見地からも容認し得るものでないという政府の見解も既に明らかにいたした次第でございます。我々といたしましては、医療制度等麦を通じましてこうした負傷者に対しましても、何らかの方策がもし必要ならばいつでも日本は出動いたしましょう、そうしたことも申し添えておるわけでございます。ひとつ隣国が平静にこの問題を解決せりれますことを十二分にお祈りいたす次第でございます。しかしながら、今般邦人が一時引き揚げを行うことによりまして、日中間にはね返りが生じることが当然予想されます。政府といたしましては、開放改革政策の行方を含めまして、中国情勢の帰趨についてさらに慎重な分析を行っていきたいと弔えております。以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(村山達雄君) 原議員にお答えいたします。
 私に対する御質問は四つだろうと思います。一つは、来年度のシーリングと赤字国債脱却との関係をどう見るか、建設国債についてはどんな考えで進めるのか、それから今後の財政改革についてどういうふうに取り組むか、これが一つの問題でございます。二つ目は、新税制について見ると、消費税ばかり宣伝されているが全体像をもっとやったらどうか、それから消費税についても親切にやはり相談に応じたらどうであろうか、こういうこと。それから三番目は、自然増収が少し出そうだが、追加減税する意思はないか。四番目は、弱者救済のために消費税に関連して歳出で措置をしたらこれを継続するつもりはないか、この四つだろうと思います。順次お答えいたします。
 先ほど原議員が詳細に御自身で述べられたような財政状況でございまして、なかなか今緩めるという状況にはございません。したがいまして、平成二年度にはぜひ赤字公債を脱却させたい、これは約十年かかるわけでございますが、そのために従来どおりやはり緩めない厳しいシーリングで臨みたいと思っております。
 建設国債でございますが、これも利払いを要するという点ではもう赤字公債と同様でございます。累積赤字が百六十二兆、利払いが予算の約二割と、こういう隠れ公債がたくさんある、こういう状況でございますので、やはり依存度もできるだけ下げたい、こういうふうに考えております。
 今後の財革の見通しでございますが、これは平成二年度以降になりますけれども、皆様の御意見を承って、そしてどういう方向でどういう目標でやったらいいか、これを今財政審にかけておるわけでございまして、今年末か来年の初めに答申をいただきたいと思っております。
 それから新税制、おっしゃるとおりでございまして、消費税の方に本当にもう議論が偏ってしまいまして、今度の抜本改正、これは六十二年の九月に所得税、住民税二兆二千億、それから去年の暮れに所得税、住民税三兆三千億、合わせて五兆五千億の大減税をやったということが全然ほとんどわかっていないということでございまして、極めて残念でございます。したがいまして、事業者あるいは消費者に対しまして、消費税についても御質問にどんどん応じていく、また積極的にPRしていく、また業界を通じて指導していくことはもちろんでございますけれども、この今後の四十年ぶりの税制改革の全体像をぜひ知ってもらいたい、こう思って、推進本部を中心にいたしまして今後盛んにPRしてまいりたい、ぜひ御理解いただきたいと思っております。
 それから、今自然増収があるようだが追加減税はどうかということでございますが、一つは、自然増収は何はどか確かに出そうでございます。ただ、整理期間中の赤字公債の発行をやめます。これは八千億ぐらいやめるだろうと思います。それから、自然増収が出ますとまだ、三税でございますから、その三二%は地方の交付税に差し上げなければなりません。そして、残ったネット剰余金の二分の一は国債整理基金特別会計に繰り入れることになっておりますから、実際使い得るものというものは意外に小さいものであるということをひとつ御理解いただきたい。
 それから今度の既にもう実施いたしました税制改正というのは、単に二度に分けて五兆五千億というその規模だけではなくて、シャウプ以来の改正が持っておるひずみ、そういうものをできるだけ直したつもりでございます。政府の税調、党の税調におきまして長年研究いたしまして、従来の懸案をほとんど直してしまった。だから税率も、所得税で言いますと十五段階から五段階、それから住民税も十四段階から三段階に、最高税率は、かつての八八%から両方合わせて六五%、そしてフラット化いたしまして、ほとんどのサラリーマンの方の九割は大体退職されるまで一〇%で所得税は済む、そういうようなこと、あるいはいわゆる事業者とサラリーマンのバランスの関係で、配偶者特別控除を設けるということ、あるいは割り増しの扶養控除を老人の扶養家族あるいは若い教育適齢者の人に設けるとか、あるいはいろいろな年金課税を根本的に改正したとか、いろいろなことをやっているわけでございます。したがいまして、今までの問題はほぼ私は片づいたと思っておりますので、今特に追加減税という考えを持っておりません。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣梶山静六君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(梶山静六君) このたび通商産業大臣を拝命いたしました梶山静六です。よろしくお願いをいたします。
 お答えをいたします。
 通産省で消費税導入の状況について調査をいたしましたところ、立地条件、取扱品目などにより差異はあるものの、総じて商店街等の中小小売店の多くは消費税を転嫁したとしております。また、消費者から苦情を受けた中小小売店も見られたものの、苦情の件数は減少してきており、売り場での大きな混乱はない模様であります。通産省としては、今後とも国民、事業者等に対する親切な相談、適切な指導、要請等を実施する方針であり、これとあわせて、商店街が行う各種のイベントや主要中小企業関係団体などが小売店に対して行うきめ細かい指導体制の整備への助成を行うなど、財政、金融、税制面にわたる施策を総合的に展開して、商店街における消費税の円滑な定着に努めてまいる所存であります。以上です。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(三塚博君) 外務大臣を拝命いたしました三塚であります。通産大臣として本院から大変な御鞭撻をちょうだいしてまいりました。相変わりませずの御叱正と御鞭撻、御指導をお願い申し上げさせていただきます。ただいま原議員から日中問題の現況、中国の現況その他邦人等の問題について御質問がございました。
 総理からは基本的な我が国の方針について丁重な御答弁がございました。世界史の中におきまして日中関係はまさに最大のかかわり合いの中で深い重層的な関係を有し、今日にまで参りました。さようなことから、中国問題につきましては慎重な上にも慎重を期して実態を見きわめてまいらなければならぬというのが総理が言われました基本的な方針でありますことを御理解いただきたいど存じます。
 かかる観点から状況について答弁を申し上げますが、中国におきまして、御案内のとおり民主化を要求する学生、市民による運動が長期化いたしてまいりまして戒厳令がしかれるという状況のもと、四日未明から軍の実力行使によりまして多くの人命が失われましたという痛ましい事態に至りましたことはまことに遺憾でございます。
 政府といたしましては、今回の事態を我が国としては、政治社会体制を異にし、価値観においても異なるところのあります中国の国内問題として最大限抑制をした態度をとってまいっておるのでありますが、民主化を求める学生、市民に対しまして軍隊が銃口を向けて発砲するがごとき行為は人道の見地から容認し得るものではなく、昨日、外務事務次官より在京中国大使に対しまして、このような我が国政府の立場を伝達するとともに、中国政府の自制方を求めたところでございます。
 いずれにせよ、政府としては事態がこれ以上悪化しないことを強く希望いたしておりまして、中国の情勢が一日も早く正常に復することを期待いたしておるところであります。
 また第二点は、一般在留邦人の帰国について、また我が国の経済協力、企業の進出などの展望についての御質問でございました。
 今次事態により、中国の国際的イメージが大きく傷つけられたことは否めません。また、今般邦人が一時引き揚げを行い、経済協力につきましても、近く予定されておりました調査団等の派遣を延期せざるを得ないような状況に立ち至っておりますことから、経済関係を含め、日中関係にも影響が出ることも予想されるところでありますが、今後、一刻も早く事態が平静に復し、今後とも改革開放路線が維持されることを願っておる次第であります。
 以上でございます。(拍手)
#19
○議長(土屋義彦君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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