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1988/03/23 第114回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第114回国会 科学技術委員会 第2号
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1988/03/23 第114回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第114回国会 科学技術委員会 第2号

#1
第114回国会 科学技術委員会 第2号
平成元年三月二十三日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 中川 秀直君
  理事 小宮山重四郎君 理事 河野 洋平君
   理事 佐藤 敬夫君 理事 村井  仁君
   理事 若林 正俊君 理事 野坂 浩賢君
   理事 貝沼 次郎君 理事 和田 一仁君
      北村 直人君    古賀  誠君
      櫻内 義雄君    田村  元君
      中山 太郎君    箕輪  登君
      柳沢 伯夫君    山下 元利君
      井上 一成君    村山 喜一君
      近江巳記夫君    春田 重昭君
      矢島 恒夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      宮崎 茂一君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     見学 信敬君
        科学技術庁長官
        官房審議官   須田 忠義君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  石田 寛人君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  石塚  貢君
        科学技術庁原子
        力局長     平野 拓也君
        科学技術庁原子
        力安全局長   村上 健一君
 委員外の出席者
        原子力安全委員
        会委員長    内田 秀雄君
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     関根 芳郎君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       山本  晃君
        資源エネルギー
        庁長官官房原子 
        力産業課長   大宮  正君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  横江 信義君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     三角 逸郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電運転管
        理室長     今永  隆君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      福原 元一君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      橋本 好一君
        科学技術委員会
        調査室長    菊池 敬三君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  小渕 正義君     和田 一仁君
同月七日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     矢島 恒夫君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  栗原 祐幸君     柳沢 伯夫君
  箕輪  登君     北村 直人君
  宮澤 喜一君     古賀  誠君
同日
 辞任         補欠選任
  北村 直人君     箕輪  登君
  古賀  誠君     宮澤 喜一君
  柳沢 伯夫君     栗原 祐幸君
同日
 理事小渕正義君同月三日委員辞任につき、その
 補欠として和田一仁君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第八号)
     ――――◇―――――
#2
○中川委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に和田一仁君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○中川委員長 内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。宮崎国務大臣。
    ―――――――――――――
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正す
  る法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#5
○宮崎国務大臣 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 原子力の開発利用を進めるに当たりましては、安全の確保を図ることが大前提であることは申すまでもございませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を整備・充実し、被害者の保護に万全を期することにより国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発達に資することが必要であります。
 このような観点から、原子力損害の賠償に関する法律が昭和三十六年に制定され、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課すとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等の一連の制度を導入し、さらにその後の諸情勢の変化に対応して所要の法改正が行われてきたところであります。
 昭和五十四年の法改正以来九年を経過した現在、最近における原子力損害賠償制度に係る内外の状況の進展等にかんがみ、賠償措置額の引き上げを図ることにより被害者の保護に万全を期するとともに、原子力損害賠償補償契約及び国の援助に係る期限を延長する等の措置が不可欠であります。
 これら諸点につきましては、原子力委員会において鋭意検討が行われ、昨年十二月に本法の改正についての決定をいただいたところであり、これを受けて改正案を取りまとめまして、ここに提出した次第であります。
 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。
 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。
 第一に、現在の賠償措置額百億円につきまして、諸外国の例や民間責任保険の引受能力といった点を総合勘案し、三百億円に引き上げることといたしております。
 第二に、原子力損害賠償補償契約の締結及び国の援助に関する規定の適用を延長し、平成十一年十二月三十一日までに開始された原子炉の運転等に係る原子力損害について適用するものとしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#6
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○中川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事福原元一君及び同理事橋本好一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#9
○中川委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
#10
○村井委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました原子力損害賠償法の一部改正案について質問をいたします。
 初めに、原子力全般について政府の御見解を承りたいと思うわけでございますが、現在我が国で運転されている原子炉は三十六基、総発電電力量の約三割を賄うまでになっておりまして、今や我が国の国民生活を支える重要なエネルギー源として無視できない地位を占めており、今後の我が国が現在のような豊かな社会生活を維持し、さらに経済成長を図っていくためには、原子力発電は必要不可欠な存在となっていると思います。
 しかしながら、近年、石油需給の緩和に伴いまして、原子力をやめて石油に依存すればよいというような非常に安易な考え方が一部にありますのは非常に残念なことでございます。限られた化石エネルギー資源は、開発途上国やあるいは我々の子孫のためにも節約をしていくということが大切でございまして、また、原子力を含む代替エネルギーの比重の増加が原油価格の上昇を抑えてきた、これも一つの事実であろうと私は思うわけでございます。
 また、私の地元は実は長野県でございますけれども、全国有数の水力発電県でございまして、いわば電源地帯でございますが、もはや新たに水カの開発ができるような場所というものもほとんどないというのが実情でございます。さらに、二酸化炭素の濃度の上昇等による気候変動ですとか酸性雨ですとか、こういう地球規模での環境問題も考えてまいりますと、原子力の開発利用というものはどうしても進めなければならない、そういう問題だと思うわけでございます。
 そこで、原子力の開発利用につきましての政府の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
#11
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 エネルギーの問題あるいは原子力の役割といったことにつきましては、先生がただいま仰せになりましたのと私ども認識を全く一致いたしておるわけでございます。私どもは、原子力はやはり非常に高度なエネルギーでございますし、それを十分使いこなせるだけの技術と資本力が必要でございます。そういう前提に立ちまして安全性の確保を第一に考えまして、この原子力の利用を積極的に進めてまいりたいというのが私どもの基本的な考え方でございます。そういうことで原子力委員会が策定いたしました長期計画におきましても、これを我が国の基軸エネルギーとして進めていくということになっておりまして、今後とも安全性の一層の向上に努めながら種々の施策を講じてまいりたいというのが政府の基本的な考え方でございます。
#12
○村井委員 日本が原子力の開発利用に着手してから三十年余りがたつわけでございますが、これまで幸い原賠法が適用されるような原子力事故は一度も発生していない、こういうふうに私も理解しているわけでございますが、これは私は、我が国の原子力発電などの原子力開発利用が諸外国と比べても極めて高い技術水準に支えられておりまして、かつ原子炉等規制法に基づく厳格な規制や、あるいは原子力安全委員会によるダブルチェック、こういったことによりまして安全確保に万全が期されてきた、ここに大きな要因があると思うわけでございます。
 しかしながら、一方において、チェルノブイルの事故でございますとかによりまして、最近国民の中で原子力の安全性に対します不安が生じていることも事実でございます。そこで、原子力開発利用を進めるに当たって大前提でございます安全の確保につきまして、御見解をお伺いしたいと思います。
#13
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 原子力の研究開発を進めるに当たりましては安全性の確保に万全を期すことが大前提であることは御案内のとおりでございます。このため、原子力施設の設計、建設、運転等の各段階におきまして、原子炉等規制法等に基づきまして厳しい安全規制を実施しているところでございます。特にその設置等に当たりましては、まず行政庁でございます通商産業省や科学技術庁が安全審査を行い、その結果につきまして原子力安全委員会がさらにダブルチェックを実施することによって安全性の確保に万全を期しているところでございます。また、内外の原子力発電所の事故、故障等の経験を踏まえまして、安全対策には万全の措置を講じてきたところでございます。
 以上のことから、我が国の原子力施設の安全性は十分確保されているものと考えております。今後とも原子力の安全確保につきましては最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
#14
○村井委員 原子力の安全確保に万全を期している、こういうお話でございますが、そういう御見解にもかかわらず、先般、非常に残念なことでございますが、東京電力の福島原子力発電所の第二発電所三号炉で再循環ポンプの事故が起きまして、新聞などでもさまざま報道されております。国民、とりわけて地元の方々に非常な不安を与えておる。この事故につきまして、まずその概要、それから事故後の通産省の対応につきましてお伺いをしたいと思います。
#15
○三角説明員 今お尋ねの東京電力福島第二原子力発電所三号機の再循環ポンプの損傷の概要でございますが、本年の一月一日でございますが、原子炉再循環ポンプの振動が大きくなる、振動大の警報が発信いたしました。そのときは出力を下げることによりまして警報レベル以下に達したわけでございますが、不安定な状況がその後も若干継続した、こういう状況がございまして、さらに一月の六日に至りまして再び振動が増大したために、一月七日に原子炉を手動で停止してございます。
    〔委員長退席、若林委員長代理着席〕
 その後の調査の結果でございますが、同ポンプの中に水中軸受けというのがございますが、水中軸受け等の破損だとか金属小片、それから金属の摩耗粉、小さな粉でございますけれども、摩耗粉等が原子炉の圧力容器の中に流入していたことが判明いたしまして、現在東京電力では、未回収部品等の除去、それから原因の究明等を最大限の努力でやっておる、こういう状況になっておるところでございます。
 お尋ねの事故後の通産省の対応でございますが、当省といたしましては、今回の再循環ポンプの損傷に端を発する事象につきましては謙虚に受けとめまして、安全の確保のための徹底した事実関係の調査、それからあわせて原因の究明が必要である、こういう認識でございまして、本件についての東京電力に対する運転管理面とか、あと、先生から御指摘ございましたけれども、地元への説明においても適切さを欠く面があったもの、こういうふうに認識してございます。
 当省は、このようなことを受けまして、去る三月の一日でございますが、東京電力に対しまして、最高幹部を招致いたしまして、当方より、一つは未回収部品等の徹底的な除去、それから二つ目は、当然ですけれども、原因の究明、あわせて再発防止対策の確立、それから、この点は先ほどの話に関連するわけでございますが、地元の不安感の解消のための努力を指示いたしました。もちろん東京電力にそういう指示をするだけではございませんで、通産省といたしましても省内に本件を取り扱いますところのタスクフォース、これは作業グループでございますが、作業グループを設置いたしまして、事実関係等の調査を現在鋭意実施しているところでございます。
 なお、三月の十七日でございますが、原子炉の再循環ポンプの損傷状況を初めとするタスクフォースの中間的な取りまとめを公表してございますけれども、今後とも通産省といたしましては、現地調査を含めてタスクフォースによる調査を進める一方で、あわせて我が方に原子力発電技術顧問会というのがございますけれども、そこで福島第二原子力発電所の三号機に係りますところの調査特別委員会を設けまして、より専門的、技術的な立場からの詳細な御検討を願うといったようなことで対応してまいろうかと思ってございます。
 以上でございます。
#16
○村井委員 今の通産省の説明でございますが、非常にいろいろな意味で不安を与えておる重要な問題だと思いますので、ぜひひとつしっかり対処をしていただきたい。
 それから、内田先生がお見えでございますが、原子力安全委員会におかれましては、この件、どのように受けとめていらっしゃるか、御見解を承りたいと存じます。
#17
○内田説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの今回の事故は、原子炉の再循環系のポンプの破損に起因した重大な事故であると認識しておりますが、特に住民の方々に多大の不安を醸しましたことを非常に残念に思う次第でございます。
 原子力安全委員会は、今回の事故に関して行政庁から数度にわたる報告を受けてまいりまして、従来からどのようなトラブルに対しましても同様の事象の発生を二度と起こさないようにしなければならないと考えているところでございます。このため、今回の事故についても徹底した原因の究明が最重要と認識しておりまして、行政庁に対し破損部品の回収作業及び調査の徹底を要請しているところでございます。今後、原因の究明には時間がかかると思いますが、調査の最終結果の報告を待ちましてその原因を確定し、適切な対策を立てるよう行政庁を指導してまいりたいと思っております。
#18
○村井委員 こういった事故が起こりますと、いずれにしましても、これまで長い間培われてきた地元の自治体でございますとかあるいは住民などとの信頼関係、これが損なわれる、こういったことが起こらないように一層徹底した調査をやっていただいて、安全の確保に万全を期していただきたい。お願いをしておきます。
 ところで、最近、原子力の安全性につきまして、何らの科学的根拠もなく、いたずらに国民の不安感をあおるというような動きが見られるわけでございます。先ほどもちょっと触れましたように、将来我が国のエネルギーの中枢を担わざるを得ない原子力の開発利用を進めていきます上で国民の理解と協力を得るというのは、これは最も重要なことでございますが、このような最近の反対運動によりまして国民の間に非常に誤った情報が流布されている、これは非常に嘆かわしいことだと私思っておるわけでございます。
 私は、いわゆるパブリックアクセプタンスの増大のためには、私たち政治家も逃げることなく国民に、みずから理解しておること、またその所信を訴える、こういうことをするべきであると思っておるわけでございますが、それはそれとしまして、政府として、国民の理解と協力を得るためにどのような対策を講じているのか。それからまた、これは通産省の方かとも思いますが、直接原子炉を動かしておる電力会社、これなども各地に営業所があるわけでございますから、そういうところを通じて国民の正しい理解を得るような努力をするべきだと思うのでございますが、そのあたりどうなっておるか、御説明いただきたい。
#19
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 最近、先生のただいまの御指摘のように、非常に誤った知識のもとに、原子力に対して非常に不安を抱かれる方がふえてきていることは、私ども大変残念に考えている次第でございます。これに対応いたしまして、私ども政府、科学技術庁、通産省あるいは厚生省等も含みますが、そういうところが相協力いたしまして、できるだけ正しい知識をわかりやすく普及啓発するという活動を続けてまいっておるところでございます。これにつきましては、電力事業者も大変努力いたしておると承知しておりますし、私ども、政府関係機関のみならず、関係の財団法人といったような団体も含めまして、相互に連携をとりながらこのパブリックアクセプタンス対策を続けているところでございます。
 具体的に申し上げますと、科学技術庁といたしまして、従来からもいわゆるマスメディアを使いましたパブリックアクセプタンス活動ということは続けておるわけでございますが、これも来年度、より充実をいたしたいと考えております。
 それから、昨年度から新しい試みといたしまして、直接一般の市民の方々と対話というような形で話し合いをするという機会を持ちたいということでございまして、昨年の秋から講師派遣制度といったようなものをやっておりまして、これは、立場、考え方が違いましてもお話をちゃんと聞いてくださるというところに対しましては、私どもの職員あるいは関係の研究機関等の職員を派遣いたしまして、直接いろいろな話し合いをするというふうなことをもう既に三十数回やっておりまして、比較的好意を持って受け入れていただいておるというふうに私どもは認識をいたしております。こういうことも来年度以降も引き続きより積極的に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#20
○横江説明員 先生から、電力会社のPAの活動についていかにやっているかというお問い合わせだったと思います。私ども、昨年の半ばと暮れに二回にわたりまして、各社からPA活動についてヒアリングをさしていただきましたが、その二度を比べて目立ちますことは、やはり六月時点に比しまして昨年の暮れになりますと、電力各社とも、先生冒頭おっしゃいました原子力発電の社会的意義なり安全性についての一般の方々の理解を深める必要をより一層痛感をいたしまして、まず第一には、各社とも専任の広報担当の組織を設けまして活動を強めたところでございます。
 先生おっしゃいましたように、電力会社の営業所が各地に散在しております。そういうところでお客様と接触をする機会が多うございますが、その折々に、一人一人が広報マンという意識でもって活動しようということでほぼ各社足並みをそろえて現在一生懸命努力を続けているところでございます。
#21
○村井委員 ひとつぜひそういうことでしっかりやっていただきたいと思うわけでございますが、さて、これまで申し上げてまいりましたように、安全の確保というのは、原子力の開発利用を進めていく上で大前提でございます。原子力事故があってはならないというのは言うまでもないことでございますけれども、他方におきまして、万一事故が起きました場合の被害者の保護に万全を期する、このための制度を整備しておくということも同様に重要なことでございます。
 今回政府から提案されております原子力損害賠償法の改正法案は、賠償措置額を大幅に引き上げる、また、国の援助等の期限を延長しようとするということでございまして、被害者保護という観点から賠償制度を一層充実しようということで、私ども賛成でございます。
 そういう観点で基本的なことをまとめて、時間の関係もございますので、お伺いをしたいと思います。
 第一点は、我が国の原子力賠償法の基本的な枠組みと特色、さらに原賠法の適用例、こういったことについて御説明をいただきたい、これが一つ。
 それから、賠償措置額が今度三百億円ということになるわけでございますが、それにする根拠につきまして、諸外国の例も含めて少しく具体的に御説明をお伺いしたい。
 さらに、政府補償契約、それから国の援助の存続についての考え方の御説明を伺いたいと思います。
#22
○平野政府委員 まず第一点の基本的な枠組みでございます。
 この賠償法につきましては、昭和三十六年に制定されたものでございまして、その目的は、原子力損害が発生した場合の被害者の保護ということ、それから原子力事業の健全な発達に資する、この二つの目的を持って制定されたものでございます。
 この法律の目的を達成するために、まず原子力の事業者の損害賠償責任につきましては、無過失責任というものを課しております。それからその責任の限度につきましては、これは無限という、そういう特色を持っているわけでございます。
    〔若林委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、その不可抗力性の特に強い格別の場合、非常に巨大な天災といったようなそういう特別な場合を除きまして、いかなる場合におきましても賠償請求を可能たらしめるということ、その責任を原子力事業者に集中しているということもこの特色でございます。
 それから被害者に対する賠償を迅速かつ的確に行わしむる、こういうために具体的に資金が必要でぐざいますが、そのための賠償措置を講ずることを強制しております。
 それからこの賠償措置額を超える損害につきまして、原子力事業者に対しまして必要に応じて国が援助をすることができる、そういうことによりまして賠償履行を確実に担保するという内容も持っております。
 それから、実際賠償をするに当たりまして紛争処理のための特別の機関を設置するといったことも、我が国の原賠法の一つの特色になっておるわけでございます。
 これの適用例でございますが、約三十年ばかり前からこの法律が施行されておりますが、現在まで幸いにいたしまして一件もこの適用例はございません。
 それから第二点の、今度賠償措置額を三百億に引き上げる根拠いかんということでございます。
 この措置額を引き上げるにつきましては、原子力委員会で専門家によります検討をお願いしたわけでございまして、その基本的な考え方と申しますのは、国際的な水準ということをまず念頭に置いたわけでございます。具体的には、我が国と同じように無限責任を課しております西ドイツあるいはスイス、この辺が、西ドイツにつきましては約三百六十億、それからスイスについては約三百四十億程度の措置額をとっておるわけでございまして、そういうことを参考にしたということが第一点と、それから、この保険につきましては、国内だけじゃなくて、海外の保険プールと再保険を行っておりまして、そういう引受能力ということが大事でございます。そういうものを総合的に勘案いたしまして三百億が適当であるという御答申を得たわけでございまして、それに基づきまして三百億という枠を定めたということでございます。
 それから第三点でございますが、政府補償契約とそれから国の援助につきまして、この期間を延長する、存続についての考え方いかんということでございますが、この政府補償契約は、保険におきまして海外で再保険を引き受けてくれないといったような事情がございまして、民間の保険では担保できない、そういうものにつきましても、被害者を保護するという観点から、これは政府の補償契約でこれを補償する、こういう考え方をとっておるわけでございまして、やはり今後もこれを継続することが不可欠であるというふうな考え方に立ちまして存続をいたしたいと考えておるわけでございます。
 それから国の援助につきましても、万一の場合の備えといたしまして、こういう規定を置いておくということが非常に重要でございますし、諸外国の立法例におきましても、国の救済措置ということが規定されているのが通例でございます。それから、こういう規定があるということによりまして、原子力開発に対する国民の皆様の不安が少しでも解消できるという意味もある、こういうふうな考え方に基づきまして、これを延長するということをお願いしているということでございます。
#23
○村井委員 無限責任とそれから無過失損害賠償責任、責任の集中、こういった非常に特色のある制度でございまして、これで、原子力事故が起きた場合の補償措置ということでは、非常にきちんとした制度ができているということはよく理解できました。
 そこで、最後に大臣にお伺いしたいわけでございますが、被害者の保護とそれから原子力事業の健全な発展を図ることを目的としておりますこの原子力損害賠償法、これは安全確保を大前提とした上で原子力の開発利用の進展を図るという観点から大変重要な制度でございまして、今後とも適宜その制度の充実強化ということを図っていくことが必要だと思うわけでございます。
 そういう観点から、締めくくりに大臣の御所信をお伺いをいたしまして、私の質問を終えたいと存じます。
#24
○宮崎国務大臣 お話しのように、原子力の開発利用ということは、その安全性を大前提にして、そして国民の理解と協力を得ながら進めていく、こういうことが一番大事でございます。
 しかしながら、万々一の際の被害者の保護に万全を期する、そしてまた、原子力産業がそういったものによって危ういことのないように原子力産業自体を健全に発達させていく、そういう基盤をつくることが重要であります。この今提案をいたしております法律案はそういう面を十分考慮してございますので、委員のおっしゃるように、これからも充実強化を図ってまいる所存でございます。
#25
○村井委員 終わります。どうもありがとうございました。
#26
○中川委員長 野坂浩賢君。
#27
○野坂委員 先ほども同僚の村井さんからこの法案について質疑がありました。特に安全性の問題について、政治家は前面に立って、各省庁も積極的にこのPR対策をやるべきだ、またやっておるという答弁もあったわけでありますが、大臣も、国民の理解と協力を得ながら政治家としても積極的にPR対策に力を入れるという意味の御発言がありました。
 そこで、私は、まず冒頭に大臣に聞きたいと思うのでありますが、今国民の理解と納得を得る政治が行われておるのかどうかという点に関連をして、その内容を聞きたい、こういうふうに思うのであります。
 今、リクルートの問題というのがありますね。消費税の問題があります。したがって、これらの動向を見て、国民の、あなたを含めた内閣の支持率はまさに一五%、調査の方法によりますと一三・五という支持率の実績も出ておるわけであります。政治献金なりリクルートの株をもらっている人たちは合わせて四十二名とも言われておりますが、信頼する宮崎長官は、献金なりあるいは株なりあるいはパーティー券の購入は、調べたところないように思いますが、あなたの身辺はきれいなのかどうかということが一つ。
 二つ目は、竹下内閣の一員として、今の政治状況をどうお考えになるのか。これから積極的に政治家は前に出て、これらの原子力問題等のPRをして、国民の理解と納得を得るという、あなたはどのように今の政治情勢を認識していらっしゃるか。
 また、三点目は、どのようにしてけじめをつけられるべきと考えておられるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
#28
○宮崎国務大臣 現在の政治不信に対する御質問でございまして、野坂委員は予算委員会で総理にこの点を御質問なさって、私も聞いておりました。
 私のような者にこの席でと思いましたけれども、ひとつ私個人の見解を言えということだろうと思いますので、お答え申し上げたいと思うわけでございますが、私自身につきましては、この前何か調査がございまして、今のお話の株とかリクルートからの献金とかいろいろ内閣の方で調査がございまして、私の秘書に聞きましたら、何にもございません、こういうことでございましたので、その点については御理解を賜りたい。
 それから、今の政治不信の問題は、お話しのように政治家が政治資金を入れるのに国民の方が非常に不信を持っているという問題でございまして、これは、私ども本当に真剣に受け入れて襟を正さなければならぬと思っております。
 総理も言いました、今ちょうど司直の手が、検察庁の方でどんどん事件の解明をしつつあります。つまり、刑事事件としてこれは取り上げられつつあるわけでございますので、刑事事件というものが大体全貌がわかってきますれば、一番大きな、その次には政治不信、政治家としてどうけじめをつけるか、政治不信の問題だと私は思っております。これは、やはり自由民主党もまた政府も真剣に受けとめてけじめをつけなければならぬ。やはりみずからに厳しくやらなければならぬ。そうしなければ、あいまいなやり方、微温的なやり方ではなかなか国民の信頼が得られないのじゃないか。来るべき選挙には、これは大変なことになるのじゃないかと私自身は考えております。ですから、やはり我が自由民主党といたしましては、私を含めまして、こういった政治資金についてはみずからを強く戒めて、国民にひとつおわびをするなり、いろいろなけじめというものが必要である。そのけじめというものは、私は、刑事事件のある程度の決着後に政治的な判断をし、そしてまた、政治家としてこれからもきれいに、クリーンにやっていくということを天下に声明しなければならないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
 私見を申し上げて、お答えにかえさせていただきます。
#29
○野坂委員 宮崎さんは清廉潔白である。ここにお座りの皆さんも余り陰のない方ばかりでありますから、この際、お尋ねをしておきたいと思うのですが、刑事事件の推移を見てけじめをつけるというお話ですが、予算の総括でも、宮崎さんもお聞きになっておりましたように、まず今、国民生活に重大な予算を控えておる。
 そういう意味で具体的にお尋ねをしますが、この段階で竹下総理の三点セット、中曽根さんの喚問、こういうことを実現して、みずからの手でその霧を払う、そして政治不信を払拭するということが国会としては毅然たる態度で、けじめ論の一つだ、こういうふうに考えておりますが、それに対する御感想はいかがですか。
#30
○宮崎国務大臣 私は実は科学技術の方の分担をしておりまして、こういった方面は、今の御質問のような点は余り詳しくございませんが、総理も前向きに考える、こういうような話でございましたので、そういう野坂さんの御意見、非常に貴重な意見だと思って承っていきたいと思います。
#31
○野坂委員 このぐらいで……。ぜひ政治不信を取り返し、つかさつかさでやっておるから科学技術問題については十分責任を負うけれども、そのほかについては総理の積極的態度を今後も鞭撻をするというふうな意味に理解をして、次の質問に入りたいと思うのです。
 この損害賠償の補償法についてでありますが、今も長官や局長からもお話がありましたように、この目的は被害者の保護だ、原子力の健全な発展だという御答弁がありました。したがって、保険でありますから、国民に大きな損害を与えた場合、被曝の状況というものがあった場合、それらについての損害賠償をする、しかも無過失責任で、無限責任である、こういうふうに理解したらいいわけですね。
#32
○平野政府委員 仰せのとおりでございます。
#33
○野坂委員 そうすると、昭和三十六年でしたか五十億円、それから四十四年でしたか四十六年でしたか六十億、百億、今度三百億となっておりますね。無限に責任を負うし、その損害に対する保険ということでありますから、どの程度の損害額というものが無限責任で無過失の場合には想定されますか。例えば、チェルノブイリのような災害が起きた場合はどの程度の金額だったでしょうか。
#34
○平野政府委員 今度の賠償措置の決定でございますが、その措置額の決定に当たりまして事故想定ということは私どもは行っておりません。と申しますのは、これは先生もおっしゃいましたように無限責任ということでございますので、特にこの措置額を決定するに当たりまして事故の想定をする必要がないということでございます。これは我が国のみならず、西ドイツ等無限責任をとっている国がこういう額を決定するに当たっても同様なことであろうというふうに私どもは理解しておるわけでございます。したがいまして、いかなる損害が発生いたしましても、我が国の場合は被害者救済には遺漏はないというふうに考えておるわけでございます。
 それからチェルノブイルにつきましては、これは詳しい発表等はソ連側からないわけでございますが、昨年あたりにタス通信が報道したところによりますと、内容は明らかではございませんけれども、事故対策費その他も含めて、日本円にいたしまして約一兆八千億ぐらいの被害が出たというふうな、その程度の報道はなされたということぐらいしか今のところ具体的な内容は我々把握しておらないというのが実情でございます。
#35
○野坂委員 昭和三十六年でありますか、一番初め、五十億円という保険額を決定したときに委員会でいろいろ議論があって、当時で相当の被害というのは三兆七千億円程度の被害が最大の場合想定される、そういうふうな発言が有沢広巳さんから出ておりますね。これらについての考え方。例えば、これは単純計算で、そうはならぬと思いますが、五十億円を三百億ということにすれば、今の場合は二十二兆円ということになりますね、当時の三兆七千億というのが一つの標準であれば。それらについての損害額というものは、起きた場合には国が責任を持ってやるということになるわけですか。
#36
○平野政府委員 制定当時におきまして、科学技術庁から原子力産業会議に事故想定の委託をしたことがございます。結果的には、これはこの法律の立案には直接は役立たせたわけではございません。と申しますのは、当初は責任を有限責任にするか無限責任にするかという議論がございまして、有限責任という立場をとればやはりその想定ということが非常に重要な意味を持つわけでございますが、結果的に無限責任ということをとったものでございますから、こういう調査につきましても、一応調査をしたということでございます。
 その調査の際におきまして、当時のあれで約一兆円ぐらいの被害が出ることもあり得べしというようなことが出ておりますけれども、これはまだ原子力の研究開発利用が揺籃期にあったものでございますから、これを検討します前提等につきましても、言うなれば非常に粗い前提でやっておるというようなことでございまして、これが今日的にどういう意味があるかということにつきましては、私どもこういう資料を現在行政的には全く使用していないというのが現状でございます。
 それから、被害が出た場合、これは無限責任ということでございますから、基本的には事業者が全額負担する、賠償するというのが原則でございますけれども、事業者のいろいろな経済状態その他ございまして、そういうものが支払い切れないといった場合には国が援助をするという規定が働いてまいるわけでございまして、この場合は国が必ずそういう救済措置を講ずることになっているということでございます。
#37
○野坂委員 そうすると、局長さん、こういうことになりますか。被害というものは無限だからそれはやるとして、保険の三百億というのは、例えば国際水準で無限責任をとっておる西ドイツなりスイス、これが三百億円から三百五十億円、これに合わせておる。ただ、アメリカは有限責任ですけれども、九千億円というのが現実に出ておりますね。これらについては標準にはなり得ないものなのかどうか。再保険はどの程度までやるのか。八〇%なのか七三%なのか。その辺も明確にしてもらいたい。
#38
○平野政府委員 アメリカの場合はちょっと特殊なやり方でございまして、有限責任をとっておりますし、かつ、事業者間の相互援助というような形で、これも最終的にはアメリカの政府の裏づけがあるわけでございますけれども、そういう日本とは全く違う制度でございますので、直接は参考にならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#39
○野坂委員 集約をすると、被害に対する責任は持つけれども、保険の額というものについては国際水準を眺めてやっておるというふうに理解しないわけにはいかぬと思うのですが、その辺が一点。
 それから、この保険の掛け方ですけれども、この間もTBSのテレビニュースで、これについては公取法違反になるのではないかという疑問が投げかけられておりますね。言うなれば、除外規定の中でも、料率については除外規定にはないよ、こういうことが取引法に明確にされている、保険業法にもちゃんと書いてある。したがって、これらの点について、公取はこの保険のあり方については違反であるかないか、その点を公取の方おいでになっておると思いますが、明確にしてもらいたい。
#40
○関根説明員 お答えいたします。
 先生御案内のとおり、原子力保険に関しましては、保険あるいは再保険の数量なんかにつきましては独禁法の適用除外という制度があるわけでございますが、保険料率については適用除外ということにはなっておりませんので、独占禁止法が適用されるということになっております。そうしまして、原子力保険の料率決定に当たりましては、その算定方法につきまして大蔵省の認可が必要である。そのため、各保険会社は個別に大蔵省に認可を申請いたしまして、認可を受けて、その内容が各社とも実態としてはほぼ同じようになっておるというふうに聞いております。
 このように原子力保険において各社の保険料率がほぼ同一になっておるということにつきましては、保険会社間でカルテルということで話し合って決めておるというようなことではなくして、各社の個別の認可申請、それを大蔵省が認可するというようなことで、その認可の結果としてそういうようになっておるというふうに考えておりまして、料率が同じであるということの実態をもちまして、それで直ちに独占禁止法に違反するというようなことではなくて、やはりそこに業者間でカルテルという話し合いを通じてそういう結果をもたらすということであれば独禁法違反でございますが、本件につきましてはそういうような実態にはないというふうに私ども考えておるわけでございます。
#41
○野坂委員 非常に微妙な言い回しで、独禁法に抵触するか抵触しないか、ぎりぎりのところですね。言うなれば、みんなが話し合いをしてカルテルを結んでおるということではない、一つ一つ出すけれども、結果的には同じことになるということを述べられたわけですね。
 そこでこの保険についてお尋ねをしますけれども、この保険は日本原子力ブールを窓口にして保険契約をする、こういうことになりますか。
#42
○平野政府委員 保険プールが窓口になりまして、いろいろな事務を行っているというふうに承知しております。
#43
○野坂委員 そうすると、この日本原子力ブールというのは三十三者入っておって、二十一社が共同元受けとなっておりますね。それは引受能力のある会社それぞれに出すわけですね。みんな保険料というものは決まって契約をされる。そのときに一万分の一というのもある、一万分の二という入札もある、一万分の三もある。しかし、例えば東京海上火災が三百億全部引き受けるということにはならぬ一元受けのプールのところの窓口になると、それは平等に分けている。こういうことになると、取引法違反の疑いも出てくるということになるだろうと思います。
 そこで、大蔵省としてはこれらのあり方について認可をするということになっていますね、行政指導をするということになっていますね。それは、大体各会社はこの原子力損害保険について何万分の一を保険料として設定されておるのか。皆同じなのか違うのか、その点を明らかにしてもらいたい。
#44
○山本説明員 お答えいたします。
 野坂委員から今、原子力保険プールに関連する諸問題につきましてお尋ねがあったわけでございます。原子力保険と申しますものは、事故の発生率というものは極めてわずかと考えられるわけでございますが、万々が一事故が起きますと巨額の損害が発生する、こういう性格を持っているわけでございます。こういうような保険につきましては、通常の保険のように大数の法則というものが働きまして料率を決定するということが非常に難しいわけでございます。また、引き受ける保険会社の方も、リスクを分散するために広く薄く共同で引き受ける。また、こういった引き受けを、巨額の引き受けになるものですから、日本だけで引き受けるということが難しいことから、大半を海外に再保険に出しているわけでございます。先ほど先生の御質問の中でも七割から八割というお話がございましたが、約八割弱を出再をしているわけでございます。そういう特殊性を有する保険でございます。したがいまして、電力会社と各保険会社との間の保険料率というものは海外の再保険市場での再保険料率に基づいて算出せざるを得ない、こういう面を強く有しておりまして、海外再保険市場では、主力再保険者であります英国の原子力保険プールの再保険料率動向に大きく依存をしているわけでございます。その際の再保険料率の決定といいますものは、一般的には各原子力発電所のサイトごとに料率をどうするかというのを決めていくということが一般的なようでございます。このためサイトごとに見ますと、同一サイトについて見れば、結果的に我が国各保険会社の保険料率が同じ水準となりがちであるというのが実態であるというのは先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、電力会社と元受け保険会社間の料率は海外再保険市場の再保険料率に依存して決定をされているわけでございますが、その際、原子力保険プールは、海外再保険市場への窓口として、料率面につきましては情報収集に当たっているだけでございまして、各保険会社はこれらの情報に基づきまして各保険会社の判断で料率を決定しておりまして、プールが料率を決定しているわけではございません。
#45
○野坂委員 そうすると、各保険会社の判断で料率を決めるということになる。それは国際再保険の料率を眺めながら、こういうことになるわけですね。そうすると、概して大蔵省は幾らだという認可をしておるのではなしに、それぞれ勝手気ままに、失礼、勝手気ままというのは取り消しますが、十分慎重に検討して、やる料率は三十三社一緒なものだ、こういうふうに理解していいわけですか。
#46
○山本説明員 私ども、各保険会社が同一でやるようにというようなことは指示はしてはおりません。原子力保険の料率につきましては、委員御案内のように大蔵大臣の認可となっているわけでございますが、昭和三十五年のこの原子力保険がスタートいたしました当時は、先ほども御説明いたしましたように、この保険が大数の法則に乗りがたいものであるということ、また当時はまだ海外の原子力保険に関する再保険市場というものが未発達であった、また原子力発電施設の数も少なかつたということから、この料率につきましては個別認可とされていたわけでございます。その後、この原子力保険の料率につきましては、先ほども御説明いたしましたように、海外で再保険市場が発達をして、その動向に大きく依存せざるを得ないということ、また原子力発電施設の数も多くなってきたということから、昭和四十六年から、料率の認可方式を個別認可から契約者間で弾力的に対応できる標準料率方式に改められて今日に至っているわけでございます。
 この標準料率方式と申しますものは、抽象的な方法で包括的に認可をしているものでございまして、実質的には海外再保険市場の再保険料率に依存して料率を定めてもよいというふうにしたものでございまして、各保険会社は各サイトごとに個別認可を要せずに、いわば料率を実質的に自由といたしまして、海外再保険市場の動向に基づいて、現実に合わせまして弾力的に対応できるようにしたものでございます。
#47
○野坂委員 公取にお尋ねをしますが、今お話があったように、原子力保険というのは大数方式はなかなか難しい、したがって個別認可をやめて標準方式、包括認可という方向でやるわけであります。包括認可ということになると標準的に、大まかにということですね。その場合は、公正取引法に基づいて、これは非常に微妙ですが、公取法違反にはならないというふうな御認識ですか、今の御答弁を聞いて。
#48
○関根説明員 お答えいたします。
 認可につきまして、今大蔵省の方から包括的な内容の認可というようなお話がございまして、個々の事業者がそれぞれどういう形で認可申請をするかということで、自由度を持ってそれぞれ行うということになりますれば、それについて大蔵省の方で特に認可方針というのがなくて、それに基づいて申請に対応して認可するということになっておりますれば、それによって結果的に料率が一致することもありますし、場合によっては一致しない場合もあるということではなかろうかと考えております。
 制度的に、そういう認可方針に基づいて一致するということになっておらなくて、個々の事業者の申請で、その結果として申請の内容が一致しておるということでありますれば、あとそれの申請の段階でいろいろ話し合いが行われているということになりますれば独禁法の対象としても考え得るということでございます。
#49
○野坂委員 時間がありませんから、公取は十分にこれらの内容を検討して、誤りのないように措置をしてもらいたいということを要望しておきます。
 次に、三百億円の保険は事故があった場合は支払われるわけですが、無限でありますから、その足らざるところは政府が見るということになりますね。先ほどは援助をするという言葉を使われたわけですけれども、三百億円以上は国が損害額をすべて補償する、そういうふうに理解していいのかということが一つ。
 それから、きょう東京電力その他の方々を参考人としてということを私はお願いしておったのですけれども、理事会が開かれないままに民間の場合はちょっとぐあいが悪いということになりまして、あなたにお尋ねをしますが、例えば東電は今まで限度額で被害住民の場合は百億円、東電の施設には九百億円掛けていますね、現実の問題として。そうすると、いわゆる原子力のそういう問題があった。今は法律が百億ですから百億。しかし、我が家の施設についてはちゃんと九百億円の損害保険に入っておる。ということになると、国民の側から見ると、命と物という感覚で非常に不信感を持つのじゃないのか。もう一つは、三百億円以上被害があってもそれは国が見るのだ、それはおれたちの税金か、こういうふうな見方が強まっておるというのが現状ですね。それらについての解明をしてもらいたい。
#50
○平野政府委員 お答えを申し上げます。
 三百億の賠償措置額を超えた部分につきましては、直ちに国がその援助をするということではございません。あくまでも補償の主体と申しますか責任は事業者そのものにございますから、事業者が無限の責任を負うわけでございますから、事業者が支払える限度というのは当然ありますけれども、その限度までは当然事業者の努力でこれを支払うということになるわけでございます。ただ、こういうことは恐らくないと思いますけれども、万一被害が、そういう事業者の資力をもって支払い切れないといった場合には、被害者を保護する、救済するという趣旨で国が事業者に対して援助をするという規定があるわけでございますので、この場合は被害者救済の観点から国は必ず援助をするという立て方になっているわけでございます。
 それから、財産保険で東京電力が九百億、これは具体的に九百億かどうか私もつまびらかにいたしておりませんけれども、財産保険は通常の火災保険などと同じように一般の保険会社の営業品目の一つであるということでございまして、それぞれの事業者がみずからの経営判断でこれを導入するものでございます。したがいまして、事の性質上、例えば原子力発電所のような非常に巨額な建設費を要するものにつきましてはそれ相応の額を掛けるということは、そういう保険の性格からいって当然のことであろうと思うわけでございまして、一概にこの措置額と財産保険というものを金額で比較するというのは、実際上の当を得ていないのじゃないかと私どもは考えておるわけでございます。
#51
○野坂委員 金額で決めるというわけではないけれども、一般的に見て人命は百億で建物は九百億というのは何か割り切れないものを一般的なアマチュアの皆さんはお考えになる、こういうふうに指摘をするわけであります。
 無限責任でありますから、政府はその場合は直接被害者の皆さん方の救済ということではなしに、無限責任であるその電力会社といいますか原子力を持つ会社に補助をし、援助をし、住民が納得のできるような措置をする、こういうことになるわけですか。
#52
○平野政府委員 仰せのとおりでございまして、実際の援助の方法につきましては、その事業者の経理状態その他を判断して一番適切な方法をその時点において選択するということでございますが、事業者に対して援助をするという方法をとることになっておるわけでございます。
#53
○野坂委員 次に、せっかく参考人としておいでいただいております福原さんと橋本さん、大変御苦労をおかけいたします。
 私は、昨年の十一月二十二日だったと思いますが、この委員会で人形峠の問題についてお尋ねをしました。特に、昭和三十年代に被曝をされたといいますか影響を受けたと思われる人の健康診断の問題や残土の処理の問題について前向きに善処するというお言葉をちょうだいして、特に東郷町の方面は非常に高い山でありますから、それについて残土の全面撤去方を強く要請して、その後も積極的に御努力をお願いしておりましたが、十六日に我が鳥取県でそれらの問題についてはいろいろ話し合っていただきまして、方面地区は全量撤去に踏み切る、やるということに決めたという報告をちょうだいをしておりますが、これは検討するのではなしに撤去する、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
#54
○福原参考人 方面地区の堆積場の修復につきましては、地元の方々と、県の御指導をいただきながらお話し合いをしてまいりました。一部地権者の方の同意を得られないままに今日に至っておりますが、私どもといたしましては一日も早く御同意をいただきまして工事に入りたい、このように考えております。地元の方々とのお話し合いは鋭意進めてまいりました。方面地区につきましては、もと一時貯鉱場として置いておりました場所につきましては全面撤去いたします。それから、方面堆積場につきましては、急傾斜、非常に不安定なところもございますので、これも全面的に見直しまして修復いたすということで、現在ほぼお話がつきそうな状態にございます。
#55
○野坂委員 話がつきそうであるということですけれども、つくもつかないもない、あなたのところが撤去すれば、それで終わりですから。
 私のところは、この間も歩いてみると、二十世紀ナシとか米の収穫とかそういうもので、販売の面で、要らざることが出れば非常に迷惑をするというのが大部分の声でありますから、これが撤去されれば、そういうことの引き合いは全くない。別に方面地区の米だけを積んでおくという必要もないわけですから、これについては全量撤去していただいて、将来とも二十世紀ナシの畑や稲作の田んぼに鉱害があるということは完全になくなるわけですから、それは完全に撤去してもらうということを、この際、この皆さんの委員会で確認しておきたいと思うのです。その点についてはいいわけですね。
#56
○福原参考人 堆積場の現在ございます放射線の線量につきましては、私ども詳細に再測定、再々測定をいたしております。高いところにつきましては、もちろん全量撤去いたします。ただ、堆積場そのものを全部ということになりますと、地形その他からかえって危険なところがございますので、高いところはもちろん全部撤去いたしますが、と申しますことは、結局堆積場そのものを全面的に修復して見直す、そして一定の線量以下に抑えて御安心いただくということにいたしたい、このように考えております。
#57
○野坂委員 わかりました。ここにも「方面地区は全量撤去」と書いてありますから、そのとおりにやってもらえば、これからの不安なり問題はないだろうと思いますから、ぜひ措置をしていただくように強くお願いをしておきます。
 それから、これは科学技術庁でも動燃でも結構ですが、「原子力発電所からの使用済燃料はこれを再処理し、回収された高レベル放射性物質をガラス固化し、数十年間貯蔵した後、深地層に処分するとの基本方針を明らかにしているが、高レベル放射性物質の対策は長い時間を要し、自然環境に依存する度合も大きいところから柔軟な対応をはかることが重要である。」こういうふうに産業会議が指摘をしておるわけです。そして「地域との共存」とか「自然と時間」とか「原子力平和利用」という項目別に分かれて提起をされておりますが、「高レベル放射性固化体地層施設が単なる埋設所であるとすれば、下水の処理場やゴミ焼却場等と同様、地域の積極的な受け入れば期待し難いと考えられる。したがって地層施設及び関連施設の建設・操業が地域自体の振興努力と呼応して地域振興を更に促進させる可能性を生み出し得るような開発を進めることが重要である。」こういうふうに提言があります。
 これについて、この使用済み燃料の再処理後、いわゆる高レベルの放射性物質は今後どのような措置をしようとお考えになっておるのか、お聞きしたい。
#58
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 使用済み燃料を再処理いたしまして出てまいります高レベル廃棄物、廃液の形で出てまいるわけでございますが、これをガラスの固化体にして最終的に処分に持っていくということは、原子力委員会の長期計画等におきましても、その方針は明確にいたしておるわけでございます。
 具体的には、ガラス固化体に加工いたしまして三十年から五十年間、冷やすといいますか冷却期間を置きまして、その後地下数百メートル以下の地層に処分するということに相なるわけでございます。現在はそういうふうな基本的な方針のもとにいろいろな技術開発あるいは調査を続けているという段階でございまして、具体的にどこでどういうふうに処分するかということを決めますにはまだ相当な時間がございますし、さらに、そういう地層の研究とかあるいは処分方法の研究とかといったような研究開発課題がたくさんあるわけでございますから、それを一つ一つ解決しながら最終的な処分地の選定といったような方向を目指して検討を進めていくというのが、現在の私どもの立場でございます。
#59
○野坂委員 おたくの立場はわかったのですが、これは具体的に地下五百メーターぐらいで横穴をつくって、そこに置いておって、だんだん年数がたつに従ってこの放射能というものが少なくなって自然化する、こういうふうになるだろうと思うのですが、今から用意をされておるわけですか。
#60
○平野政府委員 これは準備といいますか、現在日本におきましても動燃事業団の東海再処理工場で廃液をタンクに入れて保管をしておるわけでございますが、これをガラス固化体にするためのプラントの建設を現在進めておるという段階でございまして、そういう意味では、いろいろな準備を進めているという段階でございます。
#61
○野坂委員 ガラス固化体にするというのが進められておる。その地域の中の五百メーター地下のところに縦横に穴を掘ってそこに寝かせるというその地域については、具体的には考えておられませんか。今から考えなければならぬのじゃないですか。
#62
○平野政府委員 これは当然考えなければならぬわけでございますし、いろいろ勉強はいたしておりますけれども、具体的に処分をするということは、ガラス固化体が実際できまして、それから三十年ないし五十年保管をしまして、冷却期間を置きまして、その後のことでございますから、まだ相当な年月を経てからということでございますので、私どもはその前の準備段階としましていろいろな勉強をしているというのが現状でございます。
#63
○野坂委員 その地域の地底に埋めるという場所は、大体いつごろ当たられますか。何にもしておられませんか。
#64
○平野政府委員 原子力委員会で決めましたところの方針にのっとりまして、今技術開発あるいはその処分地はどういう地層がいいかといったような研究調査ということをやっておるわけでございます。具体的にどこを処分地にするかということにつきましては現在まだ白紙でございますけれども、今後やはり十年とかそれぐらいの間には具体的に決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#65
○野坂委員 「地層処分に関する社会・経済的評価調査研究(動力炉・核燃料開発事業団委託研究成果報告書)」というのがありますね。これは我々に公表してもらってもいいのだろうと思いますが、出していただけますか。
#66
○橋本参考人 お答えいたします。
 先生の御指摘のとおり、地層処分の計画を進めるに当たりましては、地元住民はもとより広く国民の理解を得ることが不可欠だと思っております。そういう中で私どもといたしましては、今御指摘のとおり原子力産業会議にある調査をお願いしたわけでございますが、それは地層処分研究開発を今後どう進めていくかということでございます。処分研究の進め方とか処分の具体的なイメージ、それから、そこへ行きますプロセスをどう組むか、また社会的な受容をいただくためにはどういうシナリオで皆さん方に御説明していくか、こういうことが非常に重要な課題でございます。この点につきまして、先ほど平野局長からも御説明ございましたとおり、実際に処分がなされますのは三十年、五十年先のことでございまして、まだそこに至るまでの間いろいろな技術開発をしていくこととしております。この辺につきまして前向きに、また幅広いお考えをまとめていただきたいということで委託をいたしまして、本委託の成果、考え方もそういうふうに幅広い視野に立った長期にわたる研究課題の一つといたしまして、今後私どもとしては参考にさせていただきたいと思っております。
#67
○野坂委員 わかりました。
 私は結論を申し上げますが、この報告書は我々にお示しをいただけますか、いただけませんか。
#68
○橋本参考人 今申し上げましたような立場で報告書をいただいておりまして、これにつきましては目下社内で検討をいたしております。これは十分参考にしながら進めたいと思っておりまして、現時点では報告書そのものにつきましては、これを検討いたしました結果、いろいろな工業所有権等の発生等も見込まれるものもございますし、そういう観点では本報告書そのものは開示制限という形をとっております。しかしながら、その考え方の体系的なものにつきましては概要として取りまとめておりまして、これは御提示できるというふうに考えております。
#69
○野坂委員 概要はもらっています。しかし、報告書は出さない。先ほど宮崎大臣も、原子力問題については広く国民に訴えなければ不安感や不信感の払拭ができない、だからあるものは出しますよ。何でこれは部外秘なんですか。出せないのですか。検討してチェックをしない限りは外には出せない。日本原子力産業会議というのは、また動燃も国の機関ですよ。国の税金を払って出しておるのに、国会議員にこういう書面が出せないというのは解しがたい。だから、どうしても出してもらわなければならぬ。なぜ出せないか、出せない理由。検討するということですけれども、広く我々も、科学技術委員会等はそれに対してのある程度のプロですから、十分検討させてもらいたい。それなのに出せないというのはおかしいじゃないか。国の税金をあなたのところは使っておるんだ。我々の国政調査権を発動すれば当然出すべきだと思いますが、出してもらいたい。それについては長官も、今のような御答弁ですが、あなたはどうお考えになるのかお聞きをしたい。どっちが先でも結構ですから、御答弁をしてもらいたい。これははっきりしてもらいたい。出さぬなんということは許さぬ。
#70
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、私ども報告書をいただきまして詳しい内容について検討中でございまして、現時点ではまだ内部資料という形をとっております。いずれ適切な時期を見まして、方法等を考えながら、内容を取りまとめまして出したいというふうに考えております。そういう意味では、先生御指摘のとおり国民の皆さん方に幅広くそういう材料を提供するということは大事なことかというふうに考えておりまして、また時期を見てやりたいというふうに考えております。
#71
○野坂委員 ちょっと納得ができませんね。
 この提出については、概要を我々に提示をするのなら検討が済んでおるわけですね、整理されてあるわけですから。だから生の報告書を出しなさい。そのくらいのことは科学技術庁としても当然指導すべきだと私たちは考えますが、適当な時期に提出をするということは大体いつごろまでなのか、いつ提出をするのか、そういう点を明らかにしてもらいたい。
#72
○橋本参考人 先生御指摘のとおり今すぐ時期を明示するというのは非常に難しいことでございます。と申しますのは、その報告書の中身につきましては、今後方法等につきましていろいろな検証をした上でないと、果たしてこのとおりいくかという実証がなされていない段階にございます。一つの考え方をお示しいただいたという状況でございまして、これを本当に技術的にできるのかということは、これからのいろいろな室内研究、それから実際の地下研究施設等を今後つくりまして実施をした上でないと確認できないというふうに思っております。その辺の技術的な担保ができました折には出していきたいというふうに思います。
#73
○野坂委員 原子力産業会議は一つの案といいますか考え方を出しておるわけですから、それらについては我々も検討し、あなた方もこれで固まらなければ出さぬというのではなしに、皆さんが議論をしてこれは面倒じゃないか、無理じゃないかということになれば没になるわけですから、あなたのところの中に隠しておいて、そしてそれを検討して、いかにも機密書類という格好がますます深くなってくるわけですよ。広く原子力の問題を国民の前に出して討論をさして安全な方向をとるというようなことは当然ではないのですか。私はその時期を明示してもらわなければならぬ。それでなければ生で出せということを申し上げたいと思うわけでありますが、もうあなたはいいから、長官にそれについての考え方を述べてもらいたい。
#74
○平野政府委員 今動燃事業団から御説明申し上げましたように、原産会議の学識経験者によりましていろいろなアイデアといいますか考え方が提示されたということでございます。これを動燃事業団の責任で公開するということになりますと、動燃事業団は技術者集団でございますから、やはり技術的な十分な自信のあるものをお示ししたいという気持ちがあるというふうに私どもも理解しておりまして、私どもその考え方については十分理解できるところでございます。
 ただ、仰せのように、原子力につきましてはできるだけ広く国民の皆様に知っていただくということが大事でございますから、ただいま動燃が申し上げましたように、適当な時期に自信のある形で公開するということを申しておるわけでございますので、ぜひその時期にはこれを皆様にお示しするということを私どもとしても動燃に対して指導していきたいと考えておるわけでございます。
#75
○野坂委員 速やかに提出をされますように要望しておきます。
 そこで、人形峠等から採掘をされましたウラン鉱、これは採算ベースには乗らない、したがってすべて廃鉱である、現在のウランはカナダその他からの輸入品をもって製作をしておるというのが現状でありますね。そのとおりですか。
#76
○平野政府委員 我が国でも動燃事業団を中心に過去探鉱活動を行いまして、相当量のウランについては確認はいたしておりますけれども、残念ながら、仰せのように、コスト的に現在の国際的なウラン価格から見れば割高になるであろうということでございまして、現実には日本のウランというのは、すべてと言っていいわけでございますが、海外から輸入しているというのが現状でございます。
#77
○野坂委員 したがって、三十四年ごろにすべて廃鉱になっておるわけですね。人形峠はそれまでしかやっていない。今度は動燃は鉱業権の設定をまたしておるわけですね。例えば青谷町とか東郷町は昭和五十八年十一月四日に設定届を出しておる。これは鉱種名は金、銀、銅、亜鉛、タングステン、モリブデン、一番最後に小さな字でトリウム、ウランと書いてありますね。青谷町でも同じようなんですね、珪石と長石、それから硫化鉄。今あるところに全部、青谷町の場合は五十九年一月五日、青谷町、東郷町は六十一年十二月八日、みんな動燃ですよね。そして六十三年十一月二十八日、三朝町。最近とみにこの鉱業権の設定をされておる。全部やめたと言いながら、新たに設定をされておるという理由が我々にはよくわかりません。今も局長がお話しになったように、国内は全部ペケにしておる、しかし鉱業権の設定は全部しておる、こういうのは一体どういうわけだろうかというふうに思うわけであります。
 そこで、こういうふうに広島通商産業局長の分を一つ一つとってみると、やはりそのとおりやっておるということでありますが、この意味をお伺いをして、明らかにしてもらいたい。
#78
○橋本参考人 今、先生の御指摘の中で御訂正をお願いしたいと思いますのは、三十四年で廃鉱になったという御指摘があったわけですが、廃鉱にはしておりません。実は、六十三年、今年度まで国内におきます探鉱はずっと続けてまいっておりました。そして、御指摘になりました人形峠におきましては、採鉱の試験、また製錬の試験等を実施しておりまして、人形峠で発見され把握されましたウラン鉱床の一部については、核燃料サイクルの確立といいますか、研究開発のために採鉱、製錬の面での活用を図ってまいりました。
 それから、鉱業権の設定につきましては、先ほど触れましたように、六十三年まで探鉱を実施しておりまして、これに必要な措置といたしまして鉱業権の設定をやってまいりました。現時点では、約百六十程度の鉱区が全国に設定または出願中でございます。
 それからもう一点は、私ども、三十一年に原子燃料公社が設立されまして探鉱を国内で始めたわけでございますが、これは、当然のこととして鉱業権を設定しながら進めてまいります。これの法的な更新といいますか、そういうものがございます。今、先生御指摘の鉱区につきましては、当初三十年代に設定されたものが期限が参りまして、すべて更新の手続をやっているという状況にございます。
#79
○野坂委員 これは一応、今どこへ行ってみても、だれも人影もないし、坑道というものは埋まっておるわけですけれども、あれは今採鉱し、探鉱しておるわけですね。これからもウランを掘るわけですか。我が県にも十何カ所ありますが、岡山県にも非常に多い。これはどうなんですか。
#80
○橋本参考人 鉱床の採掘につきましては、実施いたしましたのは人形峠でございます。ですから先生御指摘のように、すべての鉱区で採掘をしたということではございません。
 しかしながら、探鉱の結果といたしまして、いろいろな箇所でウランの露頭、これは地表に出ている状況を申しますが、こういうものがかなり多く発見されました。そういたしますと、それは地下に向かって広がっている可能性があるということで探鉱をするわけでございまして、そのためには、鉱区を設定しながらボーリングをやったり、そういう探鉱をやるわけでございます。そのための鉱業権の設定でございます。
#81
○野坂委員 時間がありませんけれども、申し上げます。
 市町村名では、番号は二二九八番で青谷町、東郷町が五十八年十一月四日。二三〇二番で青谷町が五十八年十一月四日。二三〇六番で青谷町が五十九年一月五日。二三一〇番で青谷町、東郷町が六十一年十二月八日。二三一五番、青谷町、三朝町で六十三年十一月二十八日。二三一一番、青谷町、六十二年十一月四日。二三一三番、青谷町、六十三年四月二十五日。二二九九番、東郷町、五十八年十一月四日。以下五、六件ございますが、それは十分御承知だと思うのであります。
 これらのところについてはこれからも探鉱し、採鉱し、研究をする、掘ることは掘っておるというふうに理解していいわけですか。僕はもうやらないと思っておったら、これはやるのですね。
#82
○橋本参考人 鉱業権の設定につきましては、先ほどから申し上げておりますように、探鉱上必要な措置としてやっておるわけでございまして、今御指摘いただきました東郷町、青谷町等の鉱区につきましては、三十一年ごろから、主として三十年代に鉱区の出願をいたし許可を受けた、そしてまた、その後期限が参りまして鉱区の更新をしてまいったというところでございます。
 これらの鉱区につきましては、既に先ほど申し上げましたように、露頭等の発見がなされております。一部にはウランの鉱化作用が確認されておりまして、これらの把握されましたウランについては、権利の保全ということで鉱区を維持しているわけでございます。御指摘のような、採掘をここでこれから改めてやるという状況ではございません。
#83
○野坂委員 これはだんだんわかってきたのですが、結局、今まで鉱業権の設定をして、やめて人にとられては困るから、まあ一応確保だけはしておこう、こういうことなのかというふうに考えられるわけですけれども、もっと具体的に、とりあえず権益確保だけだ、こういうことなのかどうなのかということが一つと、あなたのところの仕事は金、銀、銅やそういうものを掘るという任務があるのかどうかというのが、私は納得できませんね。
 例えば、動力炉・核燃料開発事業団のあなたのところの法律を見ると、「業務の範囲」の二十三条というのがありますね。核原料物質の探鉱と採鉱及び選鉱しかないじゃないですか。何でその金、銀、銅とかあるいはタングステンとか珪石とか長石とか硫化鉄を掘らなきゃならぬのですか。あなたのところは業務違反をやっておるということになるんじゃないですか。どうです。
#84
○橋本参考人 先生御指摘のとおり、一部の鉱業権につきましては、金、銀、銅、鉛、亜鉛等の随伴鉱物の権利も設定してございます。これは先生御高承だと思いますが、あの地区でウランが最初に見つかりましたのは小鴨の金山でございました。これは花崗岩の中の鉱脈型の鉱床でございます。それで、岡山県、鳥取県及び鹿児島県等これら特定地区では、ウラン鉱床が今申し上げましたように鉱脈型とかもう一つは熱水型というふうに分類しておりますが、こういうタイプの特徴を有しております。そのために、これは金、銀等と同時に産出することが多うございます。そういうこともございまして、これらのウラン以外の金属も含めまして鉱業権の出願を行っているわけでございます。これは鉱業法第七条に基づきまして鉱業における通常の措置をとっているというふうに私どもは理解しておりまして、あくまでも動燃のウラン探鉱活動を円滑に推進するということが目的でございます。
 ちょっと蛇足でございますが、実際にウランと金や銀、これが一緒にございまして、ウランだけをとってこいと言われましてもこれは非常に難しいことでございまして、掘る以上は一緒にどうしても出てまいります。そういうことで、鉱業法等の趣旨を踏まえまして、ほかの金属についてもお願いしているという状況でございます。
#85
○野坂委員 それだったらウランということを目的にして鉱区の設定をして、出たときにそうやらなければ、初めから金、銀、銅、その他タングステン等が一番前に出て、特にそのウランなんかは一番後に書いておるということで、我々は何かあるな、こういうふうに思わざるを得ぬわけですよね。だから、それについては非常に不明朗ですが、業務違反にはならぬわけですか。あなたのところでは、金、銀、銅が出たらどうするんですか。それは売って政府に納めるんですか。リクルートみたいなことをするのですか。どういうことですか。
#86
○橋本参考人 やはり私どもは、先ほど先生御指摘のとおり、団法に示されておりますように核原料物質の探鉱、そして製錬ということでございますが、今御指摘のようにほかの金属が出てきたときにどうするかということでございますが、これはその時期にまた関係機関と御相談するということでございます。もちろん製錬の過程でそういうものが分離されますと、それはそれなりの処置をすることになっていくと思います。ただ、その随伴鉱物を目的に採鉱、製錬を実施するということではございません。これはもう間違いなくそのとおりやっておるつもりでございます。ただし、量的に申し上げますとやはりウラン鉱床を私ども探しておりますので、あくまでも金、銀、銅、鉛、亜鉛というのは随伴鉱物でございまして、非常に微量な量でございます。
#87
○野坂委員 それでは、鉱区の設定をされたところをこういうふうに出されておりますね。例えば岡山県に印をつけられております。こういうふうなのがおたくにあるはずですから、中国五県のものを、ほかのところはまたほかから言われるでしょうから、それを一応全部提出してください。いいですか。いいですね。あなた、何でもかんでも出さぬなんて言ったらいけませんよ。
#88
○橋本参考人 一応そういうものは私どもといたしましては企業秘密的に扱っておりますけれども、お調べいただくとすればできないことではございませんし、非常に難しい御注文なのですが……(野坂委員「勝手に調べろなんということで、あなた、調べておったら提出したらいいじゃないですか」と呼ぶ)鉱区図につきましては、わかりました、提出をさせていただきます。出します。
#89
○野坂委員 必ず出してもらいます。しそれでは、時間が余りありませんが、先ほどもお話がありました福島の原発三号機の問題についてお尋ねをしたい。
 もう結構ですから、どうもありがとうございました。言いにくいことを言いました。
 前段の方はすべて御存じですから、ずばりお話を聞きたいと思いますが、三号機で八つのボルトのうち五つが落ちましたね。これが一月一日から六日まで稼働しておった、そして七日にとまったということになっていますね。大臣が御存じのとおりに、一月一日にとめるべきであったと通産大臣も原子力委員長もお述べになった。しかし、現実には何も行われなかった。
 そこで、あのときにもし、さらに運転を強行して残りの三本のボルトも外れてしまった場合一体どうなるだろうかということ。希望的な観測ではなしに、三百九十キロの軸受け本体が落下してしまったということになるわけですから、その場合は一体どうなるか。あらゆる可能性を考えて、極めてさめた目で第三者的に、これについてはどうなるだろうかということをお伺いをしたいと思う、これが一点。
 それから、振動と破損物体による衝撃でポンプや配管が破損して、冷却材の喪失から炉心のメルトダウンに進展するおそれが全くなかったのか、そういう場合があり得るかということが二点目。
 そして、ジェットポンプのノズルに幾多の破片等が発見されましたが、詰まりかかった金属片が砕けてノズルから先に流れた瞬間に再循環の流量が上がって反応度が急上昇して暴走事故に進展するおそれが全くなかっただろうか。例えば我々がちょうだいした東京電力の資料によりますと、再循環系流量が三%増加するだけで核分裂反応は一八%も増加するわけですね。これは資料によって明らかです。その瞬間にもしスクラム系が故障して作動しなかったら一体どうなるだろうか、あの事故から見てどういうふうになるだろうかということを心配をするわけですが、局長はこれらをどのように分析をしておられるのかお聞きしたいと思うのです。
#90
○三角説明員 お答え申し上げます。
 先生から三点ほど御指摘がございました。それぞれこれからの調査にまっところが多いわけでございますけれども、現状をもう先生御案内で繰り返すこともあれなんでございますが、我々、一月一日に原子炉の再循環ポンプの微小な振動が起きた、その後一月六日にさらに振動が起きた、こういうことでございますけれども、そういう事実関係の把握、具体的な事実関係をきちっと把握して、あわせて今後それをどう原因究明に結びつけるかということを今まさにやっておるわけでございます。そういう観点で、三点の御指摘につきましても我々としては可能性を初めから捨象することなく、この十七日にそれぞれの中間的な取りまとめというのは先生にも御提出申し上げましたけれども、そういう中の素材、材料を十分客観的、科学的に吟味をいたしまして、あらゆる局面から検討を加えるという姿勢でまいりたいと思ってございます。
 具体的には、我々、タスクフォース、作業グループの知恵が足らざるところもあろうかと思います。そういうことで、先般申してございますが、原子力発電の顧問会の中に福島第二原子力発電所三号機の調査特別委員会を設けて、これは東京大学の秋山先生に委員長をお願いしてございますけれども、そういう方々の幅広い知見と御指導もこれから仰ぎながら、今言った御指摘等にきちっとこたえられる形での検討を今後十分に進めていきたい、こういうふうに了解してございます。
 以上でございます。
#91
○野坂委員 中間的な報告で、私が言ったように、五本外れたものですからがたびしがたびしして、そして八本全部落ちてしまうということになれば、軸受けが落ちたりあるいは冷却材が出て口が開く、そして出ていくということになると大事故になったのではないのかというふうに素人考えながら私は思うわけですね。そういう場合が想定されたのではなかろうかと思いますが、そういう事故は絶対にありませんか、安全ですか、その点を明確にしておいてください。
#92
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先生御指摘のようなことが絶対になかったのか、こういうことでございますが、我々、原子力発電所が持ってございます基本的な設計の応用面から申しまして、御案内のようなことはまず考えられないだろうという立場に立ちながらも、なお広い意味で、先生御指摘の三点、具体的にはボルトがあと三本壊れたら一体どうなったのだろうか、あわせてポンプが大破損をすることはなかったのだろうか、はたまたジェットポンプに詰まりましたくずのごときもの、金属片でございますが、そういうものが取れたときに、実は反応度が加わるというようなことが仮にあれば問題はなかったか、その三点の御指摘も、これは論理を次々に展開していけばない話ではないと思いますけれども、基本的には、私が申しましたように、絶対という言葉は使いたくないのでございますけれども、謙虚に幅広く検討するという意味で御理解願いたいと思います。
 以上でございます。
#93
○野坂委員 十分検討していただきたいと思うのです。
 私たちも、富岡町ですか、あそこに行っていろいろ話を聞いたり見たりしたのですね。県に東京電力が資料として提出をしておりますね。ここは、ごらんいただきますように、図面は同じものですね。そうですね、委員長。ところが、県に提出をされたものについては、こういうところは全部かじり傷と書いてあるのです。我々に出されるのは接触跡、こういうふうに名前を変えて出されている。いかにも東電らしい、いかにも科学技術庁なり通産省らしくて、なるべくわからぬように、かじりといったってよくわからぬですね、があっとかじったのかどうか。接触跡、ちょっとぶつかった程度、こういうような書き方ですね。常識はかじり傷と言われておるのですね。それを接触跡とか、みんなそういうふうにして、何かわかったようなわからぬようなふうに切りかえる。何でこんな,ふうに違うわけですか。
#94
○三角説明員 御説明申し上げます。
 私ども、三月十七日に本件のポンプの損傷につきまして、中間的に事実関係の調査、それから原因の究明等の中で明らかになってきた再循環ポンプの損傷状況等々につきまして公にしたわけでございます。先生御指摘の点は、その中にございます相当程度の資料を公にして御議論に供しているわけでございますが、そのうちの資料の二にございます「福島第二原子力発電所3号機原子炉再循環ポンプの損傷状況」という資料を御指摘のことではなかろうかと思います。
 この中に、ちょっと細かくなって恐縮でございますが、御指摘でございますので御説明申し上げますが、例えば、六ページあたりのことで、私どもは接触跡ということでございますが、どこと申しますか、実は私、手元に別途参照されている資料がございませんのですが、おっしゃっている趣旨から申し上げれば、我々はこのような損傷のぐあいにつきまして、よりわかりやすい、かじり、言葉で恐縮でございますけれども、かじりというようなことではなくて、事柄をやみくもに小さく見せようという趣旨ではございません。平明でわかりやすい言葉としての接触という言葉を使ったわけでございまして、そういう観点でぜひ御容赦いただきたいと思います。
 以上でございます。
#95
○野坂委員 我々はかじり傷の方がよくわかるのですが、ボルトでも異常なほどの曲がりですね。かじり傷といいますか、えぐられたようになっておりますね。そういうことから一つ一つ考えてみますと、たくさん問題があるわけです。
 例えば、このポンプの振動の推移をごらんいただいても、二十四時間を四つで割っておりますから、六時間の平均を出すというと、波動性というものが非常に平面化しておるわけですね。だから大したことないなというふうに見えるかもしれませんけれども、一時間ごとにきちっと波動状況というものを見れば、やはり大きな問題点があるのではないだろうか。
 そのために、私はこの際お願いをしておきたいと思うのですが、十二月三日、十二日、一月一日から一月六日まで、中性子束の記録、再循環ポンプの振動の記録、再循環ポンプの各流量の記録と全制御棒の位置と作動の記録、こういうものをやはり提出してもらわなければ、この手書きでは非常に我々にはわかりにくいですね。あなた方も親切にと思われますけれども、写真でなければなかなか見にくいですね。納得しにくい点がたくさんありますので、今私が申し上げました資料の要求を申し上げておきますので、委員長の方で善処してもらいたい、こう思うわけであります。事は重大でありますから、それらの点についても十分御配意をちょうだいをいたしたい、まずその点を確認していただきたい、こう思います。
 それで、あの三号機の原子炉の底部、林立する制御棒案内管等の間にたまった金属片や案内管の内部に入った金属片は完全に取り除けるであろうかどうか、その取り除く方法について伺いたい。今まで、去年の十二月のときには、東京電力としては、これは取りかえた、作業した、すぐあしたから運転開始だということになりましたが、きのう、東京電力の社長はみずから出て、徹底的にその原因調査をする、それまではやらない、こういう記者会見もありましたが、それを信頼して、それを完全に取り除けるかどうかという点を明確にする、その場合に、取りかえるのかということについてもあわせてお聞きしたい。
 科学技術庁の原子力局は、これらの資料を取り寄せてみずから検討されておるのかどうか。東電に任せっ放しなのか。資源エネルギー庁に頼むということだけなのか、みずから検討して、科学技術庁のそういう地位を高めるという意味でも重要なことではないのか、検討しているかしていないか。そして、していないとすれば、ダブルチェックの役割を果たしていないのではないのか、こういうことが言えるわけですが、その辺を明らかにしてもらいたい。
#96
○三角説明員 御説明申し上げます。
 今般公にいたしました資料の三部作でございますが、そのうちの資料の三に今回の「金属片等の探査・回収状況」という資料をお示しの上での御質問も二つ目にあったわけでございますが、その前に資料の提出等につきまして御見解を承りました。
 我々は、先生の御指摘をまつまでもなく、原子力の安全に関するいろいろな資料、データにつきましては、原子力発電を理解の上で、安全についてもきちっと理解していただいた上で進める、こういう本旨にのっとって基本的に出していく、お示ししていく、こういうことは常々いろいろな場で申し上げているわけでございますが、今お申し出のありました各種の中性子束の分布等々も含めた資料につきましては、その一件一件につきまして技術的な意味内容等も含めて、先生の御趣旨を体しながら、どういう形でやっていけるのかというのを考えたいと思います。
 背景といたしましては、これはまことに恐縮でございますけれども、今現在、調査がまさに進行中ということもございます。資料も必要に応じて、手元にあるもの、ないものいろいろございます。もちろん我々としては、全きを期すまで調査には万全を尽くす、その過程で必要な書類等はしかるべく収集、検討することになりますが、その資料の性格、その資料の具体的な意味合い等々も十分考えまして、一般原則にどう当てはめていくかということをケース・バイ・ケースでよく考えていきたいと思います。それが第一点。
 それから、第二点の御指摘でございますが、探査、回収状況を相当細かに、報告書では十六日までの報告でございますが、ここにございます羽根車欠損部、それぞれの部品名に対しまして発見場所、回収状況、それから回収品の形状等々をつまびらかに公にしてございます。一部は形状等々もつけまして御理解に供するということで、最大限データとして供し得る形にはなっておりますけれども、今後このような、例えば御指摘の金属小片等につきましても圧力容器の下部から完全に取り除く、徹底的に時間と労力を惜しますに安全上十分な確認ができるまで規制当局としてはやらせる、こういう立場で厳しく当たりたい、臨みたいと思ってございます。
 どういう方法でやるか、もしくはどういう手法で取れるのか等々のお尋ねもあったわけでございますけれども、これは探査、回収につきましても、もちろん一部技術的な要素があろうかと思いますが、そういう観点も含めて、繰り返しになりますけれども、時間と労力をいとわずに電力にはやらせるし、我々としても技術を全きにしてやっていかせる、こういう立場で厳粛に臨みたいと思っておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
#97
○村上政府委員 お答えします。
 通産省の安全規制をダブルチェックしております原子力安全委員会の事務局としての考えを申し述べますが、まず第一点の資料の点につきましては、原子力安全委員会が判断をするに必要な資料はこれまでも十分に通産省から入手しておりまして、判断に支障を来すことはございませんが、本件それから今後につきまして、もし支障を来すようなことがあります場合には、必要な資料を通産省もしくは直接電力会社からも入手して、万全、遺漏のないようにやりたいと思っております。
 それから、先ほど御懸念のございました再循環系が切れて大事故になるようなことはどうだという御質問につきましては、少なくとも本発電所の安全審査のダブルチェックの過程におきます事故想定の一つとして、現在までのところ、専門家の判断では、パイプが切れるようなことはまずない、こういうのが皆さんの一致した意見でございますけれども、先ほど三角課長も言っておりましたように絶対ということはございませんので、そのチェックは今後も進めてまいりますが、許可をおろしますときのダブルチェックの内容としましては、理由を問わないで、この配管が完全に破断しても周辺の住民に有意な影響を与えることはないという事故評価は既にして許可をおろしてあるということをつけ加えておきます。
#98
○野坂委員 今回の事故は沸騰水型の原発の構造的欠陥ではなかろうかというふうに世上言われておるわけであります。したがって、この福島原発の三号機と同じような型については十分な点検をして、このような事故がないように措置をしてもらわなければ、先ほども自民党から質問があったように、国民の皆さん方は不安感を増大する、こういうことでありますから、一月一日にとめるべきものを一月七日にとめる、こういうようなことが再びないように厳重に注意してもらわなければならぬと思うわけであります。
 そういう意味で、最後に、これらに対する対処、対応を明確にするという意味で長官の御所見を承って、終わりたいと思います。
#99
○宮崎国務大臣 申し上げるまでもなく原子力の開発につきましては民主、自主、公開というのが原則でございまして、こういった事故に対しましては十分に理解のいくようにひとつ技術的に解明をいたして、それがまた今後のほかの原子力発電所の参考になるように、安全性の上からも大丈夫なように努力をいたしたいと思っております。そしてまた、今私どもの方から話がございましたように、安全委員会でダブルチェックの機能を果たすように一生懸命努力をしておるわけでございますから、私からもこういったような故障、事故がないようにひとつ注意を喚起し、そしてまた安全性というものが原子力発電、原子力開発の大前提であるということに思いをいたして精進をしてまいりたいと思っております。
#100
○野坂委員 以上で終わりますが、科学技術庁は資料等を十分に手に入れてダブルチェックをしていただきますように、長官が今お話しになったとおりでありますから、十分御配意をいただきますよう要望して、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#101
○中川委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十分開議
#102
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。村山喜一君。
#103
○村山(喜)委員 本日は原子力損害賠償の問題を中心に、今国民が大変不安に感じておりますいろいろな問題点がございますので、その点を明らかにしてまいりたいと考えております。
 まず第一は、昨年の十二月二十九日に青森県の農協・農業者代表者大会におきまして、六ケ所村の核燃サイクル施設に反対をする決議が八十五対四十八で、白紙は六でございますが、決定をいたしました。これは青森県が核のごみだめになるのじゃないか、新幹線の問題についての不満やあるいは農業政策に対する、政治論は別といたしまして、やはりこの問題に対する当事者間の不信感、特に原燃サービスや原燃産業に対する不満の声が結集したのではなかろうかと考えているわけでございます。
    〔委員長退席、佐藤(敬夫)委員長代理着席〕
 私たちも過去二回ほど、この原燃サービス、原燃産業が受け持っております三点セットの問題について調査に参りました。しかし、どうもこの会社側の姿勢というのは、自主、民主、公開という原子力基本法の考え方に対する理解が不十分であります。具体的には後ほど申し上げてまいりますが、そういう会社側の対応の仕方が県民の気持ちを逆なでしたのじゃないかということが第一に言われるわけでございます。
 再処理施設の直下には二本の断層がある。地震の多発地帯でもございますから、これのボーリングコアを我々も参りまして見せてもらいたいという要請をしましたが、本社の承認を得なければ現場としては見せるわけにいかぬ、そのコアはどこにあるのか、いや、この地下に貯蔵してあります、見るだけだったら別に減るわけでもないのだから見せろと言いましても、頑として見せないのでございます。帰りましてから本社に参りまして、なぜ見せないのかという追及をいたしましたが、要領を得ません。そういうような中で、派生断層の有無を確認をするための試掘坑の掘削をやるべきであるということが公の立場からの係官によって表明をされたにもかかわらず、これも無視して通してきた。そういうような原燃サービスの姿勢というものに対する県民の不安、そして当該地区の青森県のその地域の人たちのせつない気持ちがそういうような声としてあらわれたのじゃないかと我々は見ているのでございます。
 そこでもう一つの問題点は、県の姿勢に対する県民の失望と不信があったのだというとらえ方をしなければならないと思うのでありますが、どうも原燃二社は、国の安全審査さえパスすればどうでもいいという、やはり見下した態度というものが見えるのでございます。県は情報公開の窓口にもなれないような状態の中であったのじゃないか。そういうような中で県民は、安全審査に書類審査だけでパスして、これで安全でございますというような、そういうお墨つきをもらうことで安心するのじゃなくて、やはり稼働中の安全を求めて、考えられない事故が発生をするのではないかということを心配をしているわけでございますから、そういうようなのに対して、どうも態度がきっちりいたしません。
 私も調査団を代表して副知事にお会いをしたこともございました。開発の責任者にも県庁で会ったことがございます。しかし、どうもやはりそういうような、もうできるだけそんなことは表には出さない、出さないようにした方がスムーズにいくのだということで隠して隠して隠し通していけば事がおさまるというとらえ方、そういう感じをとってきているのでございます。
 そこで私は、この問題について国と県はどのような対応をしているのであろうかということについて、予算の上からまずお尋ねをいたしてまいりたいと思います。
 電源開発促進対策特別会計、この中に電源開発促進税は二千六百二十八億円、昨年よりも百七十五億円ふえております。そして、二つの勘定会計の中でそれぞれ対応しているわけでございますが、この中でお尋ねしてまいりたいのは、風評基金というものを県が出した。これは一体財源はどこから出ているのであろうか。
 それから、今再処理の問題につきましてはまだ具体的な申請を出していないようでございますが、燃料サイクルの問題につきましては既に事業認可の許可を得ている。低レベル放射性廃棄物貯蔵施設許可申請書は昨年の五月に提出をされたが、現在はこれを審査中である、こういうふうに聞いているのでございますが、それについては事実でありましょうか。
 そしてまた、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の許可申請、これがパスしなければ、現在の予算に盛られている、まだ平成元年度の予算の審議も本格的な審議は行われていないわけでございますから、もちろん予算も成立をしておりませんが、その予算の中にどれだけそういうような低レベル貯蔵施設のための予算的な措置ができているのであろうかということについて説明を願いたいのでございます。
#104
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 風評の基金の問題でございます。これは基本的には県とそれから民間の二社との間の問題でございますけれども、最近、財団法人のむつ小川原地域・産業振興財団というものを創設するということで両者が合意したということでございまして、この財産は、県が一千万円を出措いたしまして、それから電気事業者が五十億円を拠出する、それから財団が別途五十億円を借り入れまして、その利子相当額は電気事業者の方で負担するというふうな内容であるというふうに聞いております。
#105
○大宮説明員 今、先生から御質問のありました予算の件でございますが、平成元年度予算にはサイクル関係の電源立地交付金が約四億円、これは全体、交付金が一本になっておりますけれども、その内訳として四億円計上してございます。
#106
○平野政府委員 それから、低レベル関係の予算でございますが、これは動燃あるいは原研分も含みまして本年度、六十三年度は約百二十二億円、それから来年度、元年度の政府原案におきましては約百二十億円というものを計上いたしております。
#107
○村山(喜)委員 風評基金の問題はさておきまして、私はやはりここできちっとしておかなければならない問題点は、今低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設許可については、その申請に基づいて審査をしている、こういう段階にございますね。そうなると、科学技術庁なり通産省で予算化されている低レベル廃棄物の処置に関する国の助成金等は、これは執行についてはどういうふうにお考えになっておるのですか。
#108
○平野政府委員 当庁関係の低レベル関係というのは、主として研究開発関係が主でございます。それから規制に係るいろいろな研究あるいは調査といったようなものでございます。そういうことでございますので、執行につきましては特別の支障がないというふうに考えておるわけでございます。
#109
○大宮説明員 恐縮でございますが、ちょっと先ほどの数字を訂正させていただきますが、四億円と申し上げたのは六十三年度の予算でございます。平成元年度は先ほどの関係で電源交付金は八億円が計上されております。
 それからちょっと電源交付金について御説明いたしますと、これはサイクル施設については低レベル、濃縮の関係で政府が交付をすることになっておりますが、これは通達によりまして、必要な場合には二年前倒しという制度がございまして、そういう格好で交付を行うことを決定しております。
#110
○村山(喜)委員 そこなんですよ、問題点は。まだ審査をやっている。ところが、補助金だけは実施する二年間前から支給ができる。こういうようなことをやっておるところに、問題の取り組みの姿勢がおかしいんじゃないかと我々は言うのであります。
 そこで、じゃその内容が、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設の中身は、我々が指摘をしているのは、非常に重大な問題でありますのは、どうも地下水が高いものですから、初めに電気事業連合会がPRの資料としてくれたのを見ますと、この内容はめちゃくちゃでございまして、ここに資料も持ってきておりますが、地下水は、人工バリアで対処しました貯蔵物のはるか下の方に地下水があるように図面ができている。ところが、掘ってみると、一メートルくらいでもう水がぽかぽか出てくる、こういうような状況の中にあるということがわかってまいりました。そうなると、一体地下水でじゃぶじゃぶ水がかかるようなところに廃棄物を捨てるということになるのかどうか。いろいろ調べてみると、地表から掘っていくと、水がない通気層という地層があって、その下に地下水があるという構造になるわけでございますが、どうも現地の状況はそうじゃなくて、通気層がなくていきなり地下水が浮かび上がってくるというようなところだ。いろいろ海外の事情等も聞いてみると、アメリカの低レベルの廃棄物の処理場でも、水問題で失敗をしたところが二カ所あるというようなことも聞いておりますし、そうなると、地下水が汚染をするおそれがある。幾ら人工バリアをつくりましてコンクリートのもちをよくしてみましても、数百年もあるいは数千年も半減期がかかるようなものを残しておかなければならないことを考えると、そういうところにつくること自体がおかしいんじゃないか。
 私は、昨年の五月に出された申請書は今どのような安全審査の状況にあるのかわかりませんが、そういうような基本的な問題が現実に審査されているんじゃないだろうか。やはりそれをクリアしなければそこに施設をつくるということは非常に問題がある、こういうように思っていればこそ、もう何か、九カ月ですか、約一年近くにもなるんだが、結論を出すことができないでおるというのが実情じゃないですか。そのことを考えますと、それに対して補助金等は、交付金等は前倒しで二年前から出せますよ、こういう今の政治、行政の仕組みが、原子力発電所あるいはそれの関連の施設等に対して不信の目で見る第一の問題点ではなかろうかと思っておりますが、私が指摘をした点はどうなっておるんでしょう。
#111
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の低レベル放射性廃棄物埋設事業に伴いまして、日本原燃産業株式会社が低レベル放射性廃棄物埋設施設を昨年四月二十七日に申請いたしました。科学技術庁で原子炉等規制法の規定に基づきまして現在安全審査を実施しているところでございます。
 この安全審査に当たりましては、規制法の諸規定及び原子力安全委員会が決定いたしました基本的考え方等に従いまして、施設の基本設計等が安全を確保する上で支障がないか否かについて慎重に安全審査を実施してきているところでございます。
 申請されています低レベル放射性廃棄物埋設施設は、廃棄物をセメント等でドラム缶に固型化しまして、コンクリートピットに収納した上で、すき間にモルタル等のセメント系充てん材を充てんされることになっておりまして、地下水が施設に浸入し、ドラム缶が容易に腐食するおそれのないような構造となっております。これは申請書の内容でございます。
 私どもといたしましては、先生御指摘のような御懸念があるということも重々承知いたしておりまして、現在敷地における地下水の状況や廃棄物埋設施設の設計等を十分チェックしながら、本施設が設けられる場合における一般公衆の被曝線量について安全確保上支障がないか否かを慎重に審査をしているところでございまして、昨年四月申請を受け付けて以来、御指摘のとおり十一カ月に入ったところでございますが、行政庁の安全審査を終わりました場合は、御承知のとおり、本件については安全委員会のダブルチェックを受けることになっておりますので、実際のダブルチェックを含めましての審査が終了しますのは、いましばらく時間がかかるわけでございます。
 以上が現状でございます。
#112
○村山(喜)委員 私はやはり水の問題だけでなしに、ここは地震対策の問題を考えておかなければならない地域だと思う。青森県の東部地域は地震の危険地域に入っている。一九六八年と言えば昭和四十三年でございますが、十勝沖地震のときにはマグニチュード七・九であります。気象庁の発表では震度は五だ。県の調査によりますと、地域によっては六というところもあるようでございます。ところが、原燃産業では、ここを震度四ということで見立てて設計をしているのではないか。そこに耐震設計というものが果たして大丈夫であろうかどうかということが疑われているわけでございますが、地盤は鷹架層という新第三紀層に属する地盤だと聞いております。原燃サービスの内部資料によりますると、岩盤は軟岩という、かたい岩やらいろいろ表現の内容でございますが、かたい岩盤だと説明はしているけれども、内部資料では、いわゆる岩相の分類によると軟岩に属するのではないかというような分析もあるようでございます。それではN値はどういうふうになっているのかということを要求いたしましても、これは発表しておりませんね。皆さんのところにはもう資料はちゃんと来ているのだろうと思うのですが、我々がN値はどうかと言ってもはっきりした答えをしないのでございます。サンドイッチ地盤になっていないかどうか、地すべりはないのか。盛り土をいたすわけでございますが、その部分は普通、かたい、削らないもとの岩盤に比べると一ぐらい弱くなるわけでございますから、そういうような盛り土のところは大丈夫かというような基本的な、いわゆる地質、地盤に関する問題についての理解が得られていないところに無理やりにつくろうとしているのではないだろうかと私たちは見ているのでございます。
 したがいまして、その地質、地盤の問題についてはどの程度までクリアしているのか。既に濃縮プラントについては皆さん方の方で許可をされたわけでございまして、再処理の問題と低レベルの問題がこれからの課題だと言われている中にありまして、果たして、許可をした濃縮プラントのところも同じようなところでございますから、一体それは大丈夫なのだろうかというようなことを考えますと、その点もあわせて心配をいたしているわけでございますが、これに対するお答えがございましょうか。
#113
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 地盤、地質の問題につきましても、水の問題と同様に諸般の御懸念があることも承知の上、慎重に審査を続けているところでございます。
 御案内のとおり、核燃料サイクル施設につきましては、施設ごとにそれぞれ耐震設計の基本的な考え方というものがございまして、そういったものも十分踏まえまして慎重に審査を行っているところでございます。
#114
○村山(喜)委員 私は、やはりここの地域は、まあどこでもいいんだという考え方で初めに出発をして、そうして選んだところは最悪の条件のところを選んでしまったのじゃないだろうか、こう思っているのでございます。それは地下水汚染の問題、それから活断層の地震多発地域であるという問題、そして近くには三沢の米軍基地がございます。それのいわゆる爆撃機の事故の問題、想定をされるのはそういうような問題がございます。そういうような状態の中にあり、しかも地層、その地下水の水位等を見てみますると、最悪の事態のところにこの原燃サービス、原燃産業は立地をして、これからそういうような状態をつくり上げていこうとするからこそ、やはり権力的な発想で抑えていくということをやらなければその任務の遂行ができないということになっているのではないだろうか。
 というのは、核燃工場の起工式は抜き打ち的にやりました。県民の人も市民の人もほとんど知らない中で抜き打ち的に行われました。それから市民運動グループの皆さん方が全国から、核を許すなということで青森にやってきた。青森県庁に行こうとして県庁の方に近づいていくと、ロープを張って、警官がそのロープを持つて規制をして、おまえたちは近づくなという規制をやっている。今度四月の八日、九日ですね、また青森やあるいは現地で一万人ぐらいの集会がございます。そういうようなのに対して、同じような行為をこれからも続けていくとするならば、これは国民の理解を得られるような行為ではないと私たちは思っているのでございますが、そういうような県なりあるいは原燃産業なり原燃サービスの姿勢に対しまして、これはどこが責任を持ってやるんですかね、通産省ですか、科学技術庁ですか。
#115
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 原燃産業あるいは原燃サービス、この両社とも県民の方々の理解を得るべく大変努力をしているというふうに私は考えているわけでございますが、やはり両社ともまだ新しい会社でございますし、いろいろふなれな点もありまして、若干の不手際もあったのではないかと思いますけれども、最近、やはりより地元に溶け込みたいという姿勢で、本社も、青森にも合同本社をつくるといったようなことも考えており、実際、近々それが発足するというふうに聞いておりますけれども、そういうふうな努力も続けているわけでございます。
 それから、警備の問題につきましては、これは私どもがそのやり方等について云々申し上げる立場にないわけでございますけれども、それは警備当局がその事態を判断して適切にやっておられるというふうに理解しておるということでございます。
#116
○村山(喜)委員 そういうような民主的な運動を権力を用いて、あるいは理不尽な行為を加えることによって抑えつけよう、力によって抑えつけようとしたって、これはおさまるものではないのでございますから、特に監督官庁になります科学技術庁やあるいは通産省、そういうような対応については、我々が調査に参りましても、資料もくれないで対応するというような政治の姿勢、ようやく県議会は、コアを見ることには、県が立ち会いの上で会社側も了解をして見に行ったようでございますが、やはり科学的に処理をするという基本的な姿勢が失われておると、そこにはそういうようなものは育っていかないと思います。
 それで長官、今度も農協大会でそういうようなことが決議されたから、初めて県は、これじゃいかぬ、知事もそういうように思いついたのじゃないでしょうか。そして、ようやく前向きの対応の姿勢を示そうとしてきた。私は、やはりそういうような民主主義というものの取り入れがどうもおくれているのじゃないだろうか。そうして、金さえあれば、権力さえあれば、おれたちの言うとおりになるのだ、そういう思い上がりが今日デッドロックに乗り上げている姿じゃないだろうかということを思いますので、その点については、長官を初め特に監督官庁の立場にある皆さん方に要請を申し上げておきたいと思います。別にお答えを聞こうとは思いませんが、私の要請として申し上げておきます。
 そこで、先ほどから福島第二原発の三号炉の問題について、我が党としても、現地にも参りましたし、あるいは東京電力あるいは通産省あるいは科学技術庁それぞれ担当者に来ていただきまして、そして追及をしてまいりました。その結果、東京電力の責任ある立場の人も、二度とこういうような、一月一日に振動が発生をしたのを、いわゆるマニュアルの内容によって、そのレベルを下げて運転を継続したけれども、もうそういうような操作はやりません、やはりそのときにはきちっととめるようにいたしますという答弁もいたしたのでございますが、その問題の中で、先ほど同僚の野坂議員の方からもお話がございましたが、私はその点についてもう少し質問を続けてみたいと思います。
 これは三月十八日の毎日新聞でございますが、「炉心流入金属片は30キロ 再循環ポンプボルトに欠陥? ほとんどが未回収」、エネ庁は調査特別委員会を設置したというのが出ております。私は、これは大変重要な事故でございますから、そういうような対応をしてもらいたいという気持ちでいっぱいでございますが、一体この事実関係はいつの時点において判明をしたのであろうかというので、私たちがずっと調査をし、お聞きをしている中では、ごく最近になりましてからエネ庁の方から三月十七日付の書類をいただいたのでございますが、それを受けて十八日のこの記事になったのだろうと想定をいたします。ということは、現在の状況はどこまでその点検ができているのかということをこの委員会の席を通じて国民の前に明らかにする必要があるであろうと思いますので、内容の説明を願いたい。
#117
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先生御指摘の三月十七日付のお手元にある資料、これは「東京電力(株)福島第二原子力発電所3号機の原子炉再循環ポンプの損傷について」と称する点検状況を取りまとめ、公にしたものでございます。これは、先般来申してございますけれども、福島第二原子力発電所の三号機における原子炉再循環ポンプの損傷につきましては、通産省といたしましても、三月の一日だと思いましたけれども、タスクフォース、作業グループを設置いたしまして、まず第一に事実関係の調査把握、原因の究明、それから対策の検討等を実施してきたわけでございますが、先生今御指摘のように、三月十七日に再循環ポンプの損傷状況等を中心といたしましてお手元の資料のような取りまとめでもって公にさしていただいたものでございます。
 御説明は、実はその資料の二にございます。資料の二が「再循環ポンプの損傷状況」ということでございますが、この中にいろいろな図面、スケッチ、構造図がございます。特に、今御指摘の十八日付の毎日新聞といったようなことも念頭に置きまして若干御説明を加えれば、再循環ポンプの中には各種の部品、部材がございます。水中軸受けの本体、水中軸受けの本体につながる溶接されたリング、それから先般来御指摘のありますところの取りつけボルト等がございます。
 特に、御指摘のこの資料の中で取りまとまっておる中での新しいと申しますか、推定を含めまして公にできるといったようなことになりましたのは、羽根車の資料でございます。この羽根車の資料につきましては先生のお手元の六枚目にあろうかと思うのですが、羽根車の上面には全面的な摩耗がございまして、羽根車の外周の近傍でございますが、そこでは全周にわたります貫通溝が認められてございます。あわせて言えば、羽根車の上面の外周の一部には欠陥部、欠損部が認められました。
 このようなことを累次調査を進めてまいりまして、現時点で、なお若干の推量は含むものの、羽根車等今申し上げましたところの貫通溝、それから全面的な上面の摩耗といったようなところを発生の源とする、量としては、仮に今の段階であえて推量すれば二十数キログラムかなといったようなことを御報告、公にさしていただいたところでございます。
 なお、先生御指摘のように、今後調査検討といったようなことを、現実の事実、データに即しながら、慎重にかつ科学的な立場でやっていきたい、かように考えてございます。
 以上でございます。
#118
○村山(喜)委員 御説明をいただいたのですが、私たちが東京電力からもらった資料ではかじり傷というのが、今度は接触跡というふうに変わってきている。今も説明がありましたように、羽根車の上面が全面的に摩耗をして、そしてその外周近辺では全周にわたる貫通溝が認められた。しかもそれは二十何キロか三十キロ近くのいわゆる金属片が炉心に流入をしているというような、もうかつて見られないような大事故であるだけに、タスクフォースを設置して原因追求をされておるわけでございますが、これから調査の進展、進捗に従いまして、この委員会等を通じてあるいはマスコミを通じてその実情の報告は詳しく国民の前に明らかにされるものだと思うし、また、そのような回収が行われ、事故の原因がはっきりし、そしてそれに基づいて補修の処置がとられない限りは、東京電力等はこの運転を再開をしてはならないという基本的な指導指針はお持ちであろうと思うのですが、その点について確認をしておきたい。
#119
○三角説明員 御説明申し上げます。
 ただいま先生から二点ほど御指摘がございました。
 調査、これはタスクフォース、作業グループの調査でございますが、調査の進展に応じて公に国民の前に明らかにするようにということでございます。我々といたしましても、基本的な安全に関するデータ、この意味、内容とするところはいろいろございますけれども、基本的に安全性に関する事柄につきましては理解をぜひ得たいということで、今後の調査の進展に応じまして適宜、いろいろな場を通じまして公にしていきたい、かように考えてございます。
 それから先生御指摘の第二点でございますが、運転再開の件についての御指摘がございました。
 私どもの基本的な今の立場を申しますと、まさにこれから原因を究明し、かつ損傷状況を固定し、あわせて回収、探査といったような局面でございます。いささか運転再開ということに言及するのはいかがかと思いますが、いずれにしても、まず第一には徹底的な探査、それから異物の除去等を東京電力にはきちっと言ってございますし、またあわせて通産省といたしましても、最終的にどのような時間と労力をかけようとも、特に地元の方々の御理解を得るようにやってくれということは厳しく言っておるところでございます。あわせて規制当局といたしましてもこの事象を十分解明、将来の再発防止対策に生かすのはもちろんのことながら、安全性に関する各般の検討を行いまして、十分その安全性が確認されるまでは、これは当然のことでございますけれども運転再開には至らないということに御理解をいただければと思います。
 以上でございます。
#120
○村山(喜)委員 厳しい態度で臨んでいただきたいと思うのですが、やはり科学技術委員会といたしましてはこの事故は極めて大きな事故だという判断をすべきであると考えますので、どのような傷がついているかということは写真で見る以外には正確にはわからないわけでございまして、ポンプのケーシングにも傷がついたようでもありますが、ポンプの傷、すべての部分の傷を写した写真を提出を願いまして、そしてきちっと対応すべきではないかというのが第一点でございます。
 それから第二点は、再循環系の配管内にどのような傷がついたかということについては、何によって調べていけばいいんだろうか。それは羽根車の破片やボルト等が流れたり、勢いよく当たったり、がたがたしているときに少しも傷がつかないなどということは予想できないわけでございますから、ファイバースコープとかあるいはエックス線の検査であれ、それを写した写真をもとにして我々にも理解をさしてもらいたいと思うのであります。その資料を提出を願いたいと思います。
 それから、ポンプのケーシングや配管に傷がついていても、つくりかえることもなくて、軸受けや羽根車を取りかえるだけで運転再開というわけにはいかぬのじゃないか。もしそんなことを強行した場合には、将来冷却材喪失事故というものを起こす確率は高くなるということにつながっているわけでございますから、この点についてはきちっと対応してもらいたいということでございます。
 それからなお、三月三日の予算委員会で我が党の辻委員が要求をいたしました資料に関しまして、鎌田資源エネルギー庁長官は前向きに積極的に取り組みますということを答弁をしているわけでございますが、まだ実際には何も提出をされていないというふうに承っておりますので、そういうような問題についてもきちっと対応をしてもらいたい。さっき野坂委員の方から中性子東の問題等についての資料要求はいたしたところでございますので、今の問題につきましてどのようにお答えをいただけるか、回答願いたいと思います。
#121
○三角説明員 御説明申し上げます。
 四点にわたっての御指摘でございます。
 まず最初に先生にぜひ御理解いただきたいのは、繰り返しになって恐縮でございますけれども、今までどうにか取りまとめて御報告できる、公にされるということで、「点検状況」ということで過日、三月十七日に、お手元にも届くようなことでやらしていただきました。この資料は実は三部、資料、資料二、資料三ということで成り立ってございまして、一つは再循環ポンプ損傷に至った経緯がございます。その経緯の中には、これは若干御不満もあろうかと思うのですが、「事象の経緯」、一月一日の午後七時二分に、出力百三万キロワットで運転中に再循環ポンプモーターBの振動大の警報が出ましたということから、その後の事象を追って、最終的に、一月七日でございましょうか、原子炉の停止に至るまでの経緯が書いてある資料。それから、発電機がそのときどんな出力状態にあったのかという推移を示す出力・時間カーブをお出ししてございます。それからあわせて、警報が実は発生したわけでございますが、再循環ポンプモーターBの振動大の警報の発生状況。それとあともう一点、先ほど来御指摘ございましたが、原子炉再循環ポンプBの振動の記録、これは縦軸が揺れのミクロンでございますか、横が若干目盛りはともかくとして時間軸になってございます。
 このようなことを内容とする、いわゆるクロノロジー、経緯を御報告しておるのと、それから、先ほど来御説明申し上げましたので繰り返しになりますからやめますが、損傷状況の詳細な、これは御指摘のように写真ではございませんけれども、スケッチをしたもの、そういうことでできるだけわかりやすい形でお示ししたのが、今現在でわかってございますところの再循環ポンプの損傷、傷ついたぐあいでございます。
 そして最後に、金属片等が今どのくらい探査が進み、どのくらい回収されたかということを資料三としてお示ししておるわけでございます。
 この中で、最新の探査、回収状況でございますが、この表の中にございますところの燃料集合体というのが入ってございます。その下部を調査中でございますけれども、燃料集合体全体で七百六十四体ございますが、きょうまでのところ一通りの調査を終えてございます。うち百二十二体の燃料集合体の下部に異物を確認してございます。こういう新しい回収状況の進展もあわせて随時御報告したいと思いますが、そういう意味合いで、我々今るる御説明しておりますように、現実、調査がまさに進行中であるということに御理解をいただきたいのと、あと、我々としては、安全性を確認する過程で必要なデータ、必要な資料というのは当然にして、あるものは現物で確認し、あるものはそれをわかりやすい形で提出していただいて、それを理解に資するといった考え方でいくわけでございますが、そういうことの中で、写真が持っている情報量とそれをスケッチしたものについては若干の差異があることは認めますけれども、それは個々のデータの安全性との関係、それから報告書に盛り込むべき意味、内容との関係で、個々具体的に若干の検討の時間をいただきたいというのが第一点でございます。
 それから第二点は、配管中の傷の件でございました。これは今まで既に一部は調査が進んでございますけれども、今後ファイバースコープそれから非破壊検査等の手法でぜひ全きを期したいと思ってございます。
 それから、ポンプをつくりかえるようなことまで考えるかというお話でございますが、これにつきましては、調査の状況、原因の分析、再発防止対策等々のことで万遺漏なきを期したい、こういうふうに思ってございます。
 いずれにいたしましても、資料につきましては、きょうお手元にございますようなそれなりの資料も含めて、前向きかつ積極的にという基本的な精神のもとで個別具体的に検討を進めてまいりたい、かように考えてございます。
 以上でございます。
    〔佐藤(敬夫)委員長代理退席、委員長着席〕
#122
○村山(喜)委員 図面だけでなくてやはり写真まで提出をせしめ、エネ庁でも検査をすると同時に、国会の方にもそういう状況についての提供を願いたいということを要請いたしておきたいと思います。
 そこで、具体的な問題をもう一つだけ。
 これは、宮崎長官も、長官になられてわざわざ現地を視察なさったところでございますが、川内原発の二号機が定検中に弁が開かないで一次冷却浄化系の弁棒が折れておる、原因解明までは運転再開を延期するんだ、こういうことでございます。きのう九州電力の東京支社長と次長にもおいでをいただいて、この内容について聞きました。ケミカル・ボリューム・システムというのでしょうか、そういうようなボロンを、硼素濃度を調整をするためのシステムの一つが壊れたわけですが、運転中はあけてあるわけで、それがいよいよ運転を再開をする前の準備作業をやっておったところが弁棒が折れておった。これはまだ今度で四年目ぐらいですか、点検は三回目の点検でトラブルが起こった。古いものじゃないのですよね、新しいのです。一号機じゃなくて二号機に起こったというところに非常に心配をいたしておるわけでございます。これは科学技術庁の所管じゃなくて、商業炉として既に動いているのですからエネ庁の所管になりますが、しかし、大臣も就任をされてわざわざここを見に行かれたのですから、これに対する所見は大臣の方から一言だけはお聞きしておいた方がよかろうと思いますので、お答えをいただきたい。
#123
○宮崎国務大臣 川内原発は御承知のように村山委員の選挙区でございまして、非常に御心配だろうと思うわけでございますが、この問題、今のようないろいろ御疑問があると思いまして、早速今調査中でございます。私が今聞いております範囲では、このトラブルはそう大したことじゃないというふうに聞いておりますけれども、徹底的にひとつ原因究明をいたしまして、安全に運転できるようにこれからも注意して慎重にやらせたいと思っております。どうぞ御理解を賜りたいと思います。
#124
○村山(喜)委員 時間があとわずかになりまして、本題に入ります。
 今度賠償措置額を百億から三百億に引き上げる、結構でございます。しかし、そのほかに電力会社はいわゆる財産保険として、平均で千三百億ぐらいだと聞いておりますが、それを任意加入の形で任意保険としてやっている。こっちの方は強制保険だ。上げることによりまして、今度はそれを再保険をするところがなければならぬわけでございますから、じゃそっちの方のなには、その任意保険の財産保険の方も上げたいのだと思っても、そんなには円高の中で補償はできませんよ、こういうふうに言われると、三百億に引き上げても余りメリットがないんじゃないだろうかという気がいたしますと同時に、私はおととしの夏にソビエトのチェルノブイリの現地を見に参りまして、そして現地の損害のひどさに胸を痛めた一人でございますが、その後の調査を見てまいりますと、直接の被害額が約一兆円でございます。関連をする被害額が約一兆円、合わせて二兆円ですね。そういうような原子力史上例を見ない大災害でございますが、そのような状況の中にありまして、三百億に引き上げることで一体大丈夫なのか、また、三百億を超える被害というものが想定をされていた場合には一体どういうような核種のものが外部に放出をされることを考えているのか。これは事故評価というので、昔、これぐらいの損害が出ますよというようなことを事故評価したのがたしかございました。その後余りないのですが、そういうような事故評価等については核種ごとに研究をされているのであろうかどうか。
 それから、今チェルノブイリの場合は十キロ圏はもう人間が住めない、強制立ち退き地域でございまして、三十キロ圏の外に一般の住家はつくる。十キロ圏が予備役の軍隊が動員をされまして参加をして、そして放射能の除去に当たっているわけでございますが、そういうようなことを考えてまいりますと、日本で定めました原発周辺の八キロから十キロというような範囲の問題は、この際やはり、百億を三百億に改めるときでもございますので、見直してはどうであろうということを考えてみたのでございますが、これに対するお答えをいただきたいと思います。
#125
○平野政府委員 前半の御質問につきまして私からお答え申し上げますが、御案内のとおり今回賠償措置額を三百億に引き上げるということは、これは事業者の無限責任ということを前提にいたしまして、万一原子力損害が発生した場合に責任を直ちに履行できる、そのために流動性の高い資金というものをあらかじめ事業者に準備をさせる、こういう趣旨でございます。したがいまして、損害が実際発生した場合において、それが賠償額が三百億で頭打ちになるというものでは当然ございませんので、それ以上、それを超える場合につきましても事業者が責任を負うということでございます。ただし、事業者の経営状態その他によりましてそれが履行できないというような事態が仮に起こりましたときには、国がその事業者に対しましてしかるべき援助を行うというのが、この法の建前でございます。
 それから、三百億とその財産保険でございます。これは財産保険につきましては、御案内のとおり事業者がみずからの経営判断で保険会社との間で契約するものでございますけれども、これはその事柄の性質上、非常に多額の投資を要します原子力施設につきましてはそれ相応の額を掛けるということが、当然といいますか、そういう性格のものでございますので、この強制保険の一種でございます三百億円の賠償措置額と財産保険というものは同列に比べるものではないのじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#126
○村山(喜)委員 大蔵省の山本保険第二課長、この問題はTBSのテレビ報道の中で独禁法に違反するのではないかという指摘がありましたが、取り扱いについて認可をするのは大蔵省だと聞いておりますので、その独禁法に違反をする疑いはないかどうか、お答えをいただきたい。
#127
○山本説明員 村山委員御質問の独禁法違反の問題でございますが、原子力保険と申しますものは、非常に通常の保険の場合と違いまして大数の法則が働かないものでございます。また、引き受ける保険会社もリスク分散のために広く薄く共同で引き受ける。また、日本だけでリスクの引き受けが難しいということから、大半を海外に再保険に出している、そういう特殊性を有しているわけでございます。したがいまして、電力会社と各保険会社との間の保険料率は海外の再保険市場での再保険料率に基づきまして算出せざるを得ない面を有しておりまして、この海外再保険市場では主力再保険者である英国の原子力保険プールの再保険料率動向に大きく依存をしております。その結果、結果的に見ますと我が国の各保険会社の保険料率が同じ水準となりがちであるというのは実態としてあるわけでございます。
 しかしながら、この電力会社と元受け保険会社の間の料率は、今申し上げましたように海外再保険市場の再保険料率に依存して決定されているわけでございますが、その際、この原子力保険プールは海外再保険市場への窓口として情報収集に当たっているだけでございまして、各保険会社はこういった情報に基づいて各保険会社の判断で料率を決定をしておりまして、プールが料率を決定しているわけではございません。
 以上でございます。
#128
○村山(喜)委員 終わります。
#129
○中川委員長 近江巳記夫君。
#130
○近江委員 まず、百億から三百億、このように引き上げられたわけでございますけれども、スイス、西ドイツ等のそうした外国のそういうことも参考にされておる、こういうことでございますが、三百億に設定されたその理由につきまして、もう一度お聞きしたいと思います。
#131
○平野政府委員 三百億に設定いたしましたことにつきましては、まず日本と同じような制度を持っております西ドイツあるいはスイス等の賠償措置額が大体三百数十億ということになっております。それが一番の高水準でございます。できるだけそれに合わせたいということが一つございました。それからもう一つは保険の引受能力でございまして、これは先ほどから再三御説明申し上げておりますように、内外の保険プールの引受能力というものを考慮いたしまして、その限度いっぱいといいますか、最大限の能力が大体三百億程度であるということで、その両方を判断いたしまして三百億という措置額にいたしたということでございます。
#132
○近江委員 念のためにお伺いしておきたいと思いますが、西ドイツ、スイスの現在稼働中の原発は何基あるのですか。
#133
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 まず西ドイツでございますけれども、運転中が二十基ございます。それからスイスにつきましては運転中が五基でございます。
#134
○近江委員 この制度が発足しましたのが昭和三十六年ですね。ちょうどこのとき五十億の賠償措置額というのが設定されておるわけでございます。このときのGNPというのは二十兆一千三百億ですね。六十一年のこのデータで見ますと我が国のGNPは三百三十四兆六千五百億と、約十六倍ということでございます。この単純計算ということでいきますと、十六倍ですから八百億、こういうふうになるわけですね。西ドイツは今お聞きしましたように稼働中が二十基、スイスが五基。西ドイツの人口は六千百万、スイスが六百五十四万、こういう数値です。我が国の人口は御承知のように昭和六十一年現在で一億二千百六十万、こうなっていますね。
 こういうもろもろのバックグラウンドといいますか、そういうものがあるわけですね。確かにこういう国際的な引受能力というものもそれはあるかもわかりませんが、この法律改正でやるわけでございますから、今やこれだけの経済大国、言うならば大変な日本になってきておりますし、またこれだけの大きな原発が稼働しておるわけでございます。そういういろいろな背景を勘案したときに、こういう三百億でいいのかどうかということ、そういうことは十分背景としていろいろと考えられたのですか。ただ西ドイツやスイスがこうだから、引受能力がこうですからと、非常に甘いと私は思うのですね。いかがですか。
#135
○平野政府委員 GNPの比較とか人口、いろいろなお考え方、それはお考え方としてそういうことがあろうかと思いますけれども、私ども必ずしもそういう考え方をとっているわけではございません。ちなみに同じ西欧諸国におきましても、例えばイギリスあたりでは四十五億程度、フランスは十億程度、スウェーデンが百六十五億というような数値もございますし、国によっていろいろな考え方があろうかと思います。
 私どもの考え方といたしましては、こういう流動性の高い資金というものは多ければ多いほどそれは安心ということもございますけれども、片ややはりそれに伴ういろいろな負担と実効性、そういったことも考慮しなければならない、そういう判断の上に立っての最高限度、現在考えられている限度といいますか目いっぱいのところが三百億ということで、今回はそういうふうにいたしたいと考えている次第でございます。
#136
○近江委員 いずれにしましても、この額の引き上げにつきましては今後の課題として十分検討していただきたい、このように思います。いかがですか。
#137
○平野政府委員 この点につきましては、過去からこの法律の改正の都度この制度全体について検討して改善を図ってきておるところでございますし、今後ともそのような努力は続ける所存でございます。
#138
○近江委員 先ほどから引受能力ということが盛んに言われておるわけでございますが、この再保険の現況ですね。それからまた、非常に円高になってきております。そういうことでこの再保険を掛ける場合非常に負担増になっておるということを聞いておるわけでございますが、今保険会社がどういう対応をしておるのか、その状況につきましてお伺いしたいと思います。
#139
○平野政府委員 私ども損害保険の業界のことについてはさほど詳しくないわけでございますが、私ども知るところによりますと、保険プールが元受け二十一社、それを受けまして国内で保留するものを除いたもの、これはケース・バイ・ケースのようでございますが、大体七割から八割程度を海外の保険プールに再保険に出すということでございまして、世界には二十五カ国で二十六の保険プールがございまして、傘下の保険会社の数にいたしますと数百社があると聞いておりますが、そういうところに再保険に出すというのが現状であるということでございます。
#140
○近江委員 チェルノブイリの事故については先ほどから答弁がございまして、一兆八千億とか、また同僚委員からは約二兆円以上だというようなお話も出ておるわけでございます。スリーマイルのときにはどれだけの保険が支払われたのですか。
#141
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 スリーマイルにつきましては、チェルノブイルのように大量の放射能が放出されたということではないわけでございますけれども、あの事態のときにいろいろな情報等の行き違い等がありまして非常に大量の人が避難されたというようなことでございまして、そういう避難費用等につきまして損害賠償を求める訴訟が提起されたということでございます。その結果、和解によりまして和解金というようなものが払われたというふうに私ども聞いておりまして、それが約五十億円程度は支払われた模様でございます。なお、まだ係争中のものがございますから、全体の額につきましてはまだつまびらかにいたしておりませんけれども、おおよそそういうふうな状態であるというふうに聞いております。
#142
○近江委員 それから、小規模の原子炉の二十億、それから核燃料物質の加工等二億円、これは第七条第一項の政令で賠償措置額というのを定めておるわけでございますが、今回の改定によって、当然これは政令ということになろうかと思いますが、今後どのぐらいの線で考えておられるのか、それについてお伺いしたいと思います。
#143
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 小規模の原子炉等、仰せのとおり、物によりまして二十億あるいは二億という特例額があるわけでございます。これにつきましても、先般の原子力委員会の専門部会の報告によりまして適当な水準に引き上げるべしというふうな御指摘がございまして、それに基づきまして科学技術庁の庁内におきまして、どの程度の引き上げを行うかということにつきまして現在検討しておるわけでございます。
 これは政令事項でございますから、実際の政令案につきましては、関係方面と十分打ち合わせをいたしてから申し上げるべきところでございますけれども、現在私ども部内限りでの、まあ素案ということで申し上げますならば、法定措置額が大体三倍に伸びておるわけでございます。そういうバランスということを一つ考える。それから諸外国、特にパリ条約というOECDを中心といたしました条約がございますが、それ等の国際水準というようなことがございますので、私どもの現時点における考え方としましては、二十億の特例につきましては六十億、それから二億につきましては十億程度に引き上げたいということで内部的に検討を進めているという段階でございます。
#144
○近江委員 その中で、特にプルトニウムに関するところでございますが、これはそういう三倍とか五倍というオーダーでいいのですか。
#145
○平野政府委員 プルトニウムの輸送の問題でございます。これは、現在は輸送の単位等も非常に小そうございますから、二億円ということになっておるわけでございますが、今後その輸送単位等が大きくなるというふうなことも配慮いたしまして、特別に考えるべきであるということも原子力委員会の専門部会で御指摘をいただいておりますので、これにつきましては六十億の特例額に引き上げたいというふうに今部内的に考えておるわけでございます。
#146
○近江委員 それから、原子力の財産保険の問題でございますが、同僚委員からもこれは出ておりますけれども、発電所の建設費の高騰ですね、それと補てん限度額の乖離というものが、一つの建設所で建設をしますと三千億から三千五百億ですか、どのぐらいの実態になっておるか私はちょっとわかりませんけれども、大体そのぐらいと聞いております。それで千二、三百億”と、非常に乖離が目立つわけでございます。円高の問題であるとか、先ほども外国のそういう補償の機能低下ということがあるわけでございますが、こういう乖離をそのまま放置しておいていいのかどうかということなんです。これにつきましてはどのようにお考えですか。
#147
○平野政府委員 財産保険につきましては、これは通常の、一般のいわゆる火災保険などと同じようなものでございまして、事業者がみずからの経営判断でこれを掛けるという性格のものでございます。したがいまして、仰せのとおり、原子力発電所ですと三千億とか四千億とかという建設費がかかるわけでございますから、そういう財産に対してふさわしい額を掛けるというところで初めて保険の意味が出てくるということでございますので、保険業界におきましてもその程度の額を引き受けるということになっているというふうに私どもは承知しております。
 それから、乖離とおっしゃいますのは、その三百億との乖離という意味であろうと思いますけれども、これは一種の強制保険でございまして、万一の場合に備えまして流動性の高い資金をあらかじめプール、確保しておく、こういう趣旨でございますから、それでもって補償が打ち切りになるという性格のものではない。一たん事が起こりますれば事業者は全額を補償するということ、その一部といいますか、それを迅速にするためのファンドをあらかじめ用意する、そういう趣旨でございまして、財産保険と性格が全く違うものであろうということでございますので、その両者を比べて乖離がある、なしという議論はちょっとふさわしからぬ議論ではなかろうかと私は考えておるわけでございます。
#148
○近江委員 それはあなたの質問の取り違えだ。私はそういう意味で言っているのと違う。建設費が三千五百億とか、保険額が千二、三百億、そういう非常に離れがあるじゃないかということを言っておるので、あなたが質問を取り違えておるということを申し上げておきます。
#149
○平野政府委員 申しわけありません。ちょっと御趣旨を取り違えて失礼いたしました。
 その辺のもの、これは私の方、そういう保険のやり方というのは詳しくないものでございますから的確なお答えができるかどうかわかりませんが、損害保険、必ずしも建設費といいますか、本来の、当初の価値丸々掛けるというケースもあるかもしれませんが、大体それよりも低い、しかもそういうもの、資産はやはり償却していくものでございますから、火災保険の例を見ましても、建設費を丸々保険にするというよりも、むしろある程度の、それよりも低い額で保険金を決めるというような例が多いのじゃなかろうかと思っておりますので、多分この場合もそういうふうな観点であろうかと思っております。
#150
○山本説明員 原子力財産保険についてのお尋ねでございます。
 この原子力財産保険につきましても、今議論になっております賠償責任保険と同様でございまして、大数の法則に非常に乗りがたいというようなことがございます。一たん、万々が一事故が生じた場合にはその損害額が巨大になるということから、今先生御指摘のように、国際的に見ましても必ずしも全額を補てんできるような状況にはなっていないわけでございます。今、我が国の原子力発電所の財産保険の引受限度額というものは、最高限が一千三百億円ということになっているわけでございまして、先生御指摘のように全額を負うものではございませんが、この千三百億円という水準自体は、海外で行われております財産保険の引受水準とほぼ同水準にあるというふうに聞いております。
#151
○近江委員 ここで、いわゆる国境を越えた問題なんですね。チェルノブイリの事故のときも、御承知のように放射能が、微量であったにしろ、我が国にやはり降り注いできた、こういうような問題があるわけでございます。
 そこでお聞きしたいと思うのですが、特に東アジアですね、中国あるいは韓国、台湾、ソ連等々我が国の近隣諸国があるのですが、こういう国々において、各国どのくらいの発電所が稼働しておるのか、また近々稼働するのか、その状況についてまずお伺いしたいと思います。
#152
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 東アジア地域でございますが、まず中国でございますけれども、発電所として運転しておるものは現在ございません。建設中のものが三基ございます。なお、計画中のものが二基というふうに聞いております。それから韓国につきましては、運転中のものが八基でございます。それから建設中のものが三基、計画中のものが六基ということでございます。それから台湾でございますが、台湾は運転中のものが六基、それから計画中のものが四基ということでございます。それからソ連でございますが、これは非常に小さいものでございますけれども、カムチャツカ半島のさらに北極寄りでございますが、これは主として暖房等の熱利用に使っているというふうに聞いておりますけれども、小型のものが四基あるというのが現状でございます。
#153
○近江委員 こうして近隣諸国もそういう原発の実用化、稼働が非常に盛んになってきておるわけでございますけれども、万一のそういう事故発生時の我が国への影響というものにつきましては、どのように政府は考えておりますか。
#154
○平野政府委員 そういう万一の際の事故の態様等によりまして我が国に対する影響というものが変わってくるものであろうと思いますが、いずれにしろ、そのときの事故の態様あるいは気象条件といったもろもろの条件がございますから一概には申せませんけれども、近隣諸国に起こった場合には何らかの影響が我が国にも及ぶであろうということは予想できるわけでございます。
#155
○近江委員 これはこんな近くですから、影響が十分考えられるわけです。そうなった場合、補償の問題はどのように対応するのですか。また、逆に我が国の事故が他国に及ぼす場合、どうなさるのですか。
#156
○平野政府委員 まず、我が国で万一そういう事故が起こってそれが他国に影響を及ぼしたという場合でございますが、これは国際私法の原則によりまして我が国の法令が適用されるということになりました場合には、この原賠法によりまして被害を与えた諸国の方々に補償をするということに相なるわけでございます。
 それから、他国で事故が起こって我が国が被害を受けたという場合につきましては、その事故を起こした国の法律で処理されるということになりますれば、それぞれの国の事業者等に対しまして損害賠償を請求するわけでございます。これは被害者がするという建前になるわけでございますけれども、実際上は、やはり国際間の問題でもございますので、政府が外交交渉でその補償の請求の手助けをするといったような対応は考えられると思います。
#157
○近江委員 いずれにしても、こういう事故はあってはならぬことでございます。特にこういう近隣諸国のお互いの安全対策上のそういう意見交換であるとか、そういうコミュニケーションというものはやっておられるのですか。
#158
○平野政府委員 私ども、原子力の安全性というものは国際的な問題であるという認識のもとにいろいろなコミュニケーションをやっております。科学技術庁で考えてみますれば、まず第一に人の交流ということでございます。そのために近隣諸国から専門家を招いたり、あるいは我が国の専門家を派遣するといったようなことをやっておるわけでございます。
 それから、電気事業者につきましても、これは世界的なものでございますが、WANOといいますか、そういう発電事業者の世界の組織というものができておりまして、最近はこのアジアのセンターが東京に開設されるということになっておりまして、そういうところからもいろいろな情報の交換をやるということでございまして、こういう点につきましては着々と進展しているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#159
○近江委員 避難費用の問題でございますが、原子力施設におきまして異常事態が発生する、この周辺住民が避難した場合に生じる避難費用については、米国のプライス・アンダーソン法におきましてはこれは法律上明示されることになったのですね。我が国としてはどういうように対処されるのですか。
#160
○平野政府委員 避難費用の問題につきましては、我が国の賠償法に規定しております原子力損害と申しますのは、直接放射線等の作用によりまして生じた直接的な損害のみならず、こういう原子力事故等と相当因果関係がある限りにおきまして間接的な損害というものも当然含まれるわけでございます。したがいまして、原子力施設の異常事態によりまして周辺住民が避難しなければならないといった場合につきましては、この避難費用につきましては、こういった放射線等の作用と相当因果関係があると認められる限りは、他の損害と同様に原子力損害といたしまして賠償法が適用されるわけでございます。
 具体的事例によりましては、避難費用が原子力損害に該当するかどうかという限界的な問題も生ずる可能性もあるわけでございますが、かような場合には、原賠法に基づいて設置されます原子力損害賠償紛争審査会、これは科学技術庁の附属機関として設置することになっているわけでございますが、それが損害の調査とかあるいは評価を行う等によりまして、被害者に対して賠償の円滑でかつ適切な処理を図ることができると私どもは考えているわけでございます。
 アメリカの場合は、プライス・アンダーソン法で仰せのようにこれは明記されたわけでございますが、日本の場合は、これを明記すべきかどうかということにつきましては原子力委員会の専門部会においても議論があったところでございますけれども、格別明記せずとも現在の法律で十分これは対応できるという結論が出たということでございます。
#161
○近江委員 そうしたことと同時に、防災計画また避難訓練等の充実強化ということ、これは大事なことでございますので申し上げておきたいと思います。
 それから、福島原発の問題に入りたいと思いますが、先ほどから同僚委員の質疑もあったわけでございますが、まず、私は長官にお伺いしたいと思うのです。
 私も長年この科技委でいろいろとお世話になっておるわけでございますけれども、私の知る限りでは、今回のこの事故は今までのいわゆる原発が実用化された中で最大の事故である、こう思うのです。この認識について、長官はどのように受けとめておられますか。
#162
○村上政府委員 長官の御発言の前に、安全委員会としてどのような認識でいられるかということをお答え申し上げたいと思います。
 最大かどうかという認識につきましては、機器の損害の大きさ、すなわち経済的なダメージといいますか、それから地元住民の皆様に与えました不安の大きさから見て、異例と言っていいほどの事象だということで、けさほども安全委員長の方から重大な事故だと認識しているというふうに御発言がございました。
 他方、通常、原子力災害といいますか原子力事故の場合には、やはり何といいましても放射能の放出がどうであったかという問題が一番大きな問題でございますけれども、今回の場合は、そういう意味におきましては放射能が何ら環境に放出されたものではないということで、必ずしも大きな事故ではなかったというふうにも考えられます。
 いずれにいたしましても、周辺の住民に対する安全確保という安全規制の目的から考えまして、どの程度の事故が重大であるかどうかということは大事なことであることは申し上げるまでもないことでございますけれども、現在進捗中の調査の結果が得られるまで、その点についての最終的な判断は今のところ差し控えさせていただきたいと思っております。
#163
○宮崎国務大臣 技術的には、今、安全局長が言ったとおりだと思います。しかし、この問題、予算委員会でもやりまして、安全委員会の委員長が一月一日に、あのときにとめるべきであった、それをあと六日間やって、損害が、内部の故障がうんと大きくなったんだという話もございますし、あるいはまた東電の方でも大したことはないと言って、この次にはまた、いや、これはもう徹底的にやりますと。いろいろなそういった技術的な問題以外のことを考えますと、相当注意すべき大きな故障、事故であった、技術的な問題を離れまして、そういうふうに政治としては関心を持つべき問題だ、私はかように考えております。
#164
○近江委員 放射能が漏れるということになれば、これは大変なことでございますね。そういう重大事故につながる引き金としてのそういうトラブルというか事故というか、そういう点からいきましても、これは今まで始まって以来の最大の事故である、こう私は見ておるのです。
 もう一遍重ねて聞きますが、どうですか、放射能はまだ漏れるところまではいってないにしても、引き金となる事故としては最大の事故だった、こう認識していますが、いかがですか。
#165
○村上政府委員 実際の引き金の程度の問題はあるかと思いますが、そのように御認識されることは適当だと思います。
#166
○近江委員 適当であるということは、政府のお考えも一致したということですね。それほどのこれは重大事故であります。
 そこで、もう一度確認しておきますが、もう一度経過を追って言ってもらいたいのですが、今まで調査されて、約二十数キロ、三十キロと言われておりますけれども、そういう異常な金属片というものが発見されておるわけですね。ここに至るまでの経過、どういう形でそういうことになったのか、今認識されておられる、つかんでおられるその点につきまして、簡潔にお伺いしたいと思います。
#167
○三角説明員 御説明申し上げます。
 今回のポンプ損傷の経緯でございますが、一月一日の時点で、これは午後七時二分でございますが、運転中に振動大の警報が出ました。それで同七時二分から三十四分までの間でございますけれども、出力を下げました。そうしますと、出力の降下、具体的にはポンプの回転数を下げたことによりまして振動が警報のレベル以下になったわけでございます。その後の判断の是非はともかくといたしまして、事実関係といたしましては、その後運転を東京電力は継続したわけでございまして、次の時点、つまり一月六日の午前四時二十分でございますが、その時点で再び運転中に再循環ポンプモーターBの振動大の警報が出てございます。そういうことでございましたので、認識といたしましては、その後も出力を下げる、つまりポンプの回転数を落とすという措置をとったわけでございますけれども、その時点では、基本的には警報がこういうことでございますので、最終的にプラント停止の操作に入ってございまして、プラントは停止されたわけでございます。その過程ではポンプも停止してございます。これが一月六日の十八時五十五分、午後六時五十五分でございました。
 その過程で起こったことを今いろいろ申し上げることは、まだ十分な調査が、先ほど来申してございますように、言いがたいところもあるのでございますけれども、この損傷状況、資料の二でつまびらかにしてございますところの損傷状況から見る限り、いずれにしても水中にこのポンプの軸を支える水中軸受けというのがございます。その水中軸受けに取りつけられてございますところのリング、水中軸受けのリングがございますが、相当な重さのものでございますけれども、何らかの原因、これはまた詳細調査が必要でございますけれども、脱落をしたのかなということで、もちろん先ほど来御指摘のございますところのボルト等との関係、これも順序関係はまだ一概に申せませんこれからの詳細な調査にまつところが多うございますけれども、何らかのそのあたりの引き金が、再循環ポンプの内部の破損のイニシエーションとなったのかな、こういうことでございまして、その結果、内部にございます種々の機器、これはそれぞれ羽根車等回転機器もございますし、それをとめてございますボルトのたぐいもございますが、そういうことに累が及びまして、現在ここで報告されてございますように、これは金属の小さな片、小片等を中心といたしまして、一部は粉体になっているものもございますが、それが圧力容器の中まで、ジェットポンプを通してだと思いますが流入したというようなところまでは調査が進みつつあるということでございますけれども、今後これをいかに評価するかということにつきましては、これから先、先ほど来申してございますこの関係の専門家等の知見、知恵も得ながら、我々としては慎重かつ科学的な立場で事案を考えていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
 以上でございます。
#168
○近江委員 今まで調査された認識としては、まずポンプ内の水中軸受けについているリング状の円板が溶接不良で落下した、これが主で、そのほかにボルトが脱落した、それは従の考え方になっていると思うのです、今のお話では。ところがこれは、専門家の話をいろいろ聞きますと、取りつけボルト数本が運転中に緩んで落下し、振動が起きてくる、長時間の振動で円板の溶接不良部分が壊れ、運転停止間際に円板が落下、羽根車は破損と考えるのが合理的である、こういう考えが非常に出てきているんですね。それは、そういう考え方について政府の方ではどう認識しているのですか。
#169
○三角説明員 今、先生御指摘の話、私どももそういうことが報道等でされていることは承知してございます。そういう可能性と申しましょうか、そういうことも、今の段階では我々としては一概に否定せずに、広い立場でこれから精力的かつ慎重に進められるところの現実の事実関係の調査、事実関係の調査と申しますのは、もちろんその事実そのものも含めまして、順番だとか順序、序列、クロノロジー等のことも含めまして、そういうことの中で今後検討をまさにしていきたい、こう思っているわけでございます。
 以上でございます。
#170
○近江委員 このボルトの問題につきましては、八本のうち五本が脱落した。三本で辛うじてとまっていた。あと一本でも抜けておれば大変なことになっておった。もう一本ボルトが外れれば、回転軸と軸受けが鋭角にこすり合って、ポンプを大破させるおそれもあった。これは重大事故に、危機一髪のところであったわけです。背筋が寒くなる重大事故であります。これを甘く考え、とらえておったら大変なことになりますよ。特にあの地域は、これはもう福井県を抜きまして日本一の集積地域でしょう。これは国会でも、そういう集中はできるだけ避けなさいということをたびたび我々としては附帯決議をつけてきた。あの地域は十基そのように設置しておるわけです。しかも、先ほどからも話がございましたけれども、そういう振動があった、振動計自体が今までよく誤差があって、今回も間違いだろうという認識もあった、そんな頼りないことでどうしますか。そうでしょう。計器自体本当にしっかりしたものを取りつけもする、そうして少しでもそういう異常が発見されたならば直ちに停止する。やはり安全第一主義でいかないところに問題があるのですよ。定期検査が来るまで待てばいいわ、これはまさに経済主義ですよ。安全主義、安全主義と口ばかりで言っておりますけれども、具体化を、実践しなければだめでしょう。それが、六日間という期間、こういう危機一髪のところまで追い込んでしまった。これに対して安全局はどう思いますか、こういう電力会社の態度について。
#171
○村上政府委員 お答えします。
 その点につきましては、予算委員会及びけさほども安全委員長が申し上げましたように、一月一日の時点でとめておくべきであったという認識に立っております。
#172
○近江委員 それからまた、一日の、もっとさかのぼれば、第二原発の一号機で昨年の七月、定期点検中軸受けの輪にひび割れが見つかった。溶接方法に問題があるということで、同型の三基は、定期点検の際でもあったわけでございますけれども、全部取りかえておる。ですから、そういうときに異常が見つかったならばほかの原発もおかしいと、当然それを調べなければならぬ。一月一日の問題じゃない。さかのぼった問題についてはどう思いますか。
#173
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先生の御指摘、二、三ございました。技術論として申しますれば、第一の先生の御指摘、振動計の信頼性についての御指摘がございました。我々はもちろんそれについても調査、事情の把握をしているわけでございますけれども、これはまだ当然いろいろ調査特別委員会の先生方の御議論もいただきますが、今先生が御指摘のような意味での、いかにも信頼性がない、これは言葉が悪うございますけれども、常に誤報が出るといったようなそういう性格のものではない、要するに信頼性についてはそう劣ったものではないと我々理解してございます。
 それが第一点と、あと後半で御指摘の水中軸受けのトラブル、破損というのは、先生御指摘のように六十三年の七月にも福島第二原子力発電所一号機にございました。そのときの判断というのは、あれは、水中軸受け部とそれをつなぐリングの部分は隅肉溶接という手法でなされてございます。そのときの溶接方法、これは一概には不適格とは言えないという判断でございましたけれども、いわゆる設計上の十分な余裕がないので溶接施工等に適切さを欠くような場合には破損、問題に至ることがあるだろう、そういう認識で、我々といたしましては同型の水中軸受けを有するプラントにつきましては点検等を行うということをもちろんやってございます。ただ、遺憾ながら先生御指摘のように、第二原子力発電所三号機につきましては同様の事例が惹起されたというようなことでございます。
 以上でございます。
#174
○近江委員 これは原発とは違いますけれども、航空機なんかでも金属疲労ということで非常にいろいろな事故が起きているわけですね。したがいまして、この原発につきましても、これはもう九〇年代に入ってきますと、原発の老人問題というのが起きてくるのですよ、溶接部分であるとか。そういうところが大きな引き金になってくる。したがいまして、口では安全性、安全性と言っておりますけれども、これは本当に、定期点検は言うに及ばず、徹底した安全対策というものを実行させていかなければいけない、このように私は思うわけです。各電力会社に対しては、今回のこの東電事故は自分の会社の出来事と受け取ってもらわなければいかぬと思うのです。これに対して政府は、各電力会社に対して今後どういう指導監督をしていくのですか。
#175
○三角説明員 御説明申し上げます。
 このようなトラブル、故障、事故、通産省の、規制当局の基本的な考えというのは先生と全く同様でございまして、基本的に原因を十分に究明してその再発防止を図る、その中から教訓を酌み取る、我々はそういう努力をそれなりにやっておるわけでございますけれども、そういう中で日本の原子力発電所の安全性を、先生御指摘のように教訓を血とし、肉としてより一層高めるということかと思います。
 御指摘の福島第二原子力発電所三号機の損傷に端を発する今回の事象につきましては、我々もこれを謙虚、かつ重大なものと厳しく受けとめてございます。そのことにつきましては、ただ単に電力をしかると申しますか、そういうこともさることながら、我々としては、これは異例のことでございますけれども、我々だけの知恵で足りないところは、先ほど来御指摘のようないろいろな可能性も含めて、先生方のお知恵をいただきながら一つ一つ解きほぐしていこうという対応、立場で進めてございますが、一体電力に対する政府としての、もしくは通産省としての対応はどうなんだと申しますと、これは三月一日にさかのぼりますが、もちろんこれは東京電力に対してが主眼ではございますけれども、東京電力の最高首脳を招致いたしまして四点ほどの指示を我が庁の幹部から話しております。
 一つは、福島第二原子力発電所三号機で発生した原子炉再循環ポンプの損傷事象に関しましては、その時点で新たに金属小片が炉内等で発見をされたといったようなこともございまして、従来から議論されてございました不明の座金の回収はもちろんでございますけれども、今回新たに発見された金属の小さな小片から摩耗の粉等につきましても徹底回収を指示したところが第一点。それから損傷原因、金属小片の発生の原因等につきましては、もちろん上記回収作業と並行しつつ徹底した原因究明を行うことといったようなことで二点目の指示をしてございますとともに、同様な発生を防止するという対策を確立するための方策を二番と並行してやるようにということでございます。四点目は、先生先ほど来御指摘のように、今回のトラブルはその発生後の対応、処置の中で、技術的な議論はもちろん厳粛かつ厳しく受けとめてはおるわけでございますけれども、原子力を進めていく上での地元県民等の間に原子力発電に対する不信感が惹起されたといったようなこともございますので、地元の方々に十分納得のいくようなことを、今後とも理解を進めていくように、こういう指示をしたところでございます。
 もちろんこのようなことがありますと、我々は一般的にその形態に応じまして他電力、具体的には今回はBWRでございますので、記憶に間違いなければその電力会社は五つあろうかと思うのですが、その電力会社に対しましても今回の事例、もちろん電気事業者の横断的な組織でございますところのいろいろな場、技術者のグループ、それからエグゼクティブのレベル、それぞれ十分に意思を疎通し合うようにということを指示してございますとともに、今後の情報、今後の調査の進展等につきましても、いやしくも電力の間で情報が偏ることのないように万遺漏なきを期してやっていきたいというふうに思ってございます。
 以上でございます。
#176
○近江委員 もう時間がありませんので終わりますが、原子力広報費というのは昨年の二倍近い二十八億九千万円、科学技術庁も前年比五倍の九億六千五百万円充てているのですね。そういう安全をPRばかりする前に、もっともっと徹底した安全対策、真剣な取り組みがないと、幾らPRをしたってだめだと私は思うのです。
 最後に原子力安全委員長さんとそれから大臣、一言ずつ決意をお伺いして終わりたいと思います。
#177
○宮崎国務大臣 近江委員の原子力の安全性についての御忠告、そのとおりだと思っております。また、他の委員の方々の御意見もこの後で会議録に載りますから、原子力安全委員長もここへちょうど参っておりますから、真剣に受けとめてこれからひとつ安全確保のためにやってくださる。私自身もそういう安全確保のために努力をいたしたいと考えている次第であります。
#178
○内田説明員 原子力の安全の確保には予防、保全が大事であると考えておりますので、そのように行政庁の指導をしていきたいと思っております。
#179
○近江委員 終わります。
#180
○中川委員長 貝沼次郎君。
#181
○貝沼委員 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきまして若干の質問をいたします。
 初めに、この法律案資料をいただきましたが、この中に「内外の状況の進展等にかんがみ、」という言葉がございます。これはどういうことを意味しておるのか、ここのところをちょっと御説明いただきたいと思います。
#182
○平野政府委員 昨年原子力委員会のもとで専門部会が開かれまして本法案の改正につきまして御審議をいただいたわけでございます。その際におきまして、御指摘の「内外の状況の進展」という点につきまして、それを踏まえての御審議をいただいたということでございますが、具体的には我が国における原子力の開発利用の進展といったこと、それから責任保険の引受能力の拡大といった我が国の民間損害保険の動向、それから諸外国における賠償措置額の引き上げといったような実態、それからさらに原子力損害にかかわる国際機関を中心としたいろいろな議論、こういった前回の改正以降の内外の状況の変化といったものを踏まえての御審議をいただいた、こういうことでございます。
#183
○貝沼委員 それからもう一つは、この法律の第一条のところに「被害者の保護を図り、」これはわかります。「及び原子力事業の健全な発達に資することを目的とする。」こうありますが、「原子力事業の健全な発達」というのはどういう内容になりますか。
#184
○平野政府委員 御指摘のこの法律の第一条に「原子力事業の健全な発達」ということが「被害者の保護」と並んで本法の目的というふうになっておるわけでございます。この二つの目的は、被害者の保護を図るために原子力事業者に非常に重い賠償責任を課しているわけでございます。こういうことによりまして事業経営上過度の負担になるということになりますと、原子力事業の健全な発達を阻害するということになりますし、また、原子力の事業の健全な発達がなければ十分な賠償措置も講じられないというようなこともございます。そういう意味で、本法の二つの根幹をなすものを目的として並列に書いてあるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、原賠法上の被害者保護の観点から損害賠償措置の強制といった規定を設けておるわけでございますけれども、これらの規定は、反面原子力事業の健全な発達の観点についても考慮されているわけでございまして、例えば損害賠償措置につきまして、万一の場合の原子力の損害の発生に伴う偶発的な支出というものを経常的な経費に転化するということによりまして、原子力事業の合理的な経営に役立つというふうなことが考えられるわけでございます。
 それからまた、責任の集中ということにつきましては、これは下請あるいは納入業者、そういったものの原子力関連産業との取引の安定に資するといいますか、そういう下請等が安心してその取引ができる、こういった観点から見れば、まさに原子力事業の健全な発達という点についても配慮されたものであるというふうなことでございます。
#185
○貝沼委員 これは原子力基本法との関係においてはどうなりますか。
#186
○平野政府委員 原子力基本法の大きな目的は、原子力の平和利用を進めるということでございますし、それからもう一つは、安全を大前提にこれを進めるということでございますから、そういう意味で原子力事業というものが健全に発達するということは、原子力利用を円滑に進めるという意味で大変意味があるということでございますので、原子力基本法の趣旨にかなうものであると考えておるわけでございます。
#187
○貝沼委員 それで原子力基本法第二条ですね、先ほど大臣も自主、民主、公開という答弁をされておりましたが、私は、この自主、民主、公開ということがまた新たに問われなければならないときに来ておるのではないかという感じがいたします。
 そこで、この自主、民主、公開ですけれども、原子力基本法は議員立法でできておるわけですね。したがって院における解釈、これが生きておると私は思います。これは行政府が勝手に解釈するものとちょっと違いますね。そういうことを考えたときに自主、民主、公開というのはどうなっておるのかということでございます。
 そこで、まず民主からいきましょう。民主というのはどういうふうに解釈したらいいんですか。
#188
○平野政府委員 お答え申し上げます。
 まず民主の原則でございますが、これは原子力の平和利用を担保するために、我が国における原子力の研究開発及び利用が民主的な運営のもとに進められなければならない、こういう趣旨を定めたものであるというふうに解しておりまして、したがいまして、その具体的な最も重要な施策としましては、原子力委員会及び原子力安全委員会を設けているわけでございまして、これらの委員の任命につきましては国会の御承認を得るといったような配慮もなされているということでございます。
#189
○貝沼委員 そうなんですね。ですから原子力委員会、要するに科学技術庁長官が決めるのではなくて、原子力委員長が決めるというところに民主があるわけですね。それから、安全委員会が設置されておるところが民主になると思います。ところが、最近それを無視するようなことがありましたね、この前ちょっと。ですから、そういうことのないように、また安全委員会の権威というものを上げていかなければならないということがあると思いますので、ここで今申し上げたわけでございます。
 じゃ、自主というのは、これはどういうふうに解釈しますか。
#190
○平野政府委員 自主の原則でございますが、我が国の原子力の研究、開発、利用が他国からの干渉によってゆがめられるといったようなことがあったり、あるいは支配を受けるといったようなことがないように、自主的にみずからのことはみずから決めていく、そういう態度でなければならないというふうな観点から、こういう原則を定められたものであるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。
#191
○貝沼委員 この自主の問題も、例えば諸外国においては、当時軍事優先でありました。それに対して我が国の場合は、平和の目的のため、こういうふうになっておりますから、よそのまねをするのではなく、我が国独自のものをやっていかなければならない。最近は自主技術という方がどうも先行しておるように思われますので、技術だけに限った言葉ではなく、これは主体性を持った、しかも平和に徹した、そういう自主である、こういうことを確認したいと思って質問しておるわけでありますが、間違いありませんか。
#192
○平野政府委員 委員仰せのとおりでございます。
#193
○貝沼委員 次に、公開の問題。これはどういうふうに解釈されますか。
#194
○平野政府委員 公開の原則でございますけれども、原子力の研究、開発、利用に係る成果を公開する、そういうことによりまして原子力の平和利用を確保するということでございます。それとあわせて原子力の安全性につきましても、国民の皆様方の理解を深めて、原子力の研究、開発、利用が円滑に進むようにという配慮のもとにかかる規定が盛り込まれたものというふうに解釈をしております。
#195
○貝沼委員 この公開もこの委員会でしょっちゅう議論されますけれども、どうも決め手がない。そこで私は、きょう質問いたしまして、当局に対して、意見をまとめてこの委員会に報告していただきたいという立場から申し上げるわけでございます。
 例えば、この公開というのはだれがすることになるわけですか。
#196
○平野政府委員 だれがするかということでございますが、それぞれ原子力の研究、開発、利用に携わる者がしかるべき時期にしかるべき方法で公開するというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#197
○貝沼委員 ここは国会ですから、私どもは国民の代表として質問をする。それに対して当局、つまり行政府はいろいろなことを知っておるわけですね。それを公開できるかできないかということに集約されるんじゃないかと思いますね。そういたしますと、皆さんの知り得たものの中から、どの部分は出せるのか、どの部分は出せないのかということをきちっと検討しておかないと、ただ、出せ、出さない、出せ、出さないだけでは話が進みません。
 例えば、皆さんは官吏としていろいろなことを知るわけでございます。しかし、それならばそれをすべて出していいかというと、そうではないでしょう。例えばそこには守秘義務的な部分がございますね。その中にさらに、例えばマル秘であるとか秘密指定とかというふうに、いわゆる機密取り扱いあるいは注意というような部分がまたあると思いますね、大ざっぱな話ですよ。それからもうちょっとその中を見ていきますと、いわゆる刑罰とかそういう判例上問題になる部分がやはりあると思いますね。大きくそれくらい分けられるのではないか。さらに今度は、我が国の国家秘密とかそういう国家存亡にかかわるような問題もまたそれとは別にあるだろうと思いますね。ところが、かつてはそういう極秘の部分であったものでも、時がたつに従って、これは例えば公知した、周知したという問題で既に発表してもいいものもあるはずですね。したがって、今私どもが言う公開というのは、どこまでが公開なのか、どこができないのかというようなことは整理されておるのでしょうか、どうでしょうか。
#198
○平野政府委員 ただいま先生が整理して仰せになりましたこと、私どももそういうふうな観点が大いにあると思います。何をどこまでやるべきかということは、具体的なケースに従って判断すべきものであろうかと思いますけれども、今おっしゃったこと以外に、例えば外交上の問題で、相手方があることでございますから、私どもは知り得ておりましても公開できないこともあるわけでございます。それから、原子力に特有なものでございますけれども、核物質防護とかあるいは核不拡散といった観点から、機微な技術情報につきまして公開することは、世界の核不拡散あるいはそういった世界の安全という意味から公開するのはいかがかと思われるものもあるわけでございます。それから私どもは、職務上知り得るということで企業機密のようなものあるいはそのノーハウとかそういったものにも触れる場合もございますから、こういうものはいわゆる職務上知り得た秘密というようなことで、むやみに我々が勝手に公開するというわけにはまいらないような性格であろうかと思います。
 そういうふうにいろいろ類型的に考えますと、一応基準らしきものは考えられないことはないわけでございますが、いずれにいたしましても、非常に広範な幅の広い諸般の事項を含む原子力の問題につきまして一律に基準を引いて申し上げるのはなかなか難しゅうございますけれども、先生の御指摘でもございますので、私どもはそういうことにつきましてまた十分勉強をしていきたいと考えております。
#199
○貝沼委員 ぜひ勉強していただきたいと思いますが、一度まとめて当委員会に一つの考え方をお示し願いたいと思います。いかがですか。
#200
○平野政府委員 十分勉強いたしまして、成果がまとまりますれば御指摘のような措置をさせていただきたいと考えております。
#201
○貝沼委員 それで、第二条の「平和の目的に限り、」というところでございますが、これはどういう解釈になっておりますか。
#202
○平野政府委員 原子力基本法の「平和の目的に限り、」という解釈でございますが、これは昭和四十年に当時の愛知科学技術庁長官が政府統一見解として国会におきまして見解を表明いたしております。それを簡単に申し上げますと、「原子力基本法第二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り……」と規定されており、わが国における原子力の利用が平和の目的に限られていることは明らかである。」という前提を置きまして、「したがって、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いる、いわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところである。」というのが基本答弁になっておるわけでございまして、私どもも、そういう見解は現在においても変わりはないというふうに考えておるわけでございます。
#203
○貝沼委員 これは原子力基本法を国会で議決したときの提案理由でございます。これは中曽根さんがやっておるわけですね。そのときには「平和目的に限るということ」「つまり軍事的利用は絶対禁止するという意思であると同時に、」云々とこうあるわけですね。絶対禁止する、軍事的利用は禁止する。それから、そのときの質疑がなされております。兵器その他軍事目的に使用しないことは明らかであるがというふうに言っていますね。これは先ほど申し上げましたように議員立法ですから、このときの議事録は非常に重大であり、行政府が勝手に変えることはできないものですね。軍事目的で絶対使わない、こうなっております。ところが、今の愛知さんの答弁は殺傷力とか核兵器というふうに矮小化しています。
 原子力潜水艦は、これは軍事兵器ですか、それとも何ですか。
#204
○平野政府委員 愛知長官の発表されました統一見解によりますればこういうふうに後半がございまして、「また、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考える。」というふうな趣旨のことを申しておられるわけでございます。
#205
○貝沼委員 それはちょっと曲がっているのですよね、解釈が。潜水艦はある、ところがその動力として原子炉を使うような場合、これは認めないとは言わないで、それがいわゆる汎用技術としてほかの船舶でどんどん使うようになったときなら使ってよろしいという言い方をしておるわけでしょう、その意味するところは。ということは、初めから否定はしていないのですよ。ところがこの基本法ができるときはそうじゃないのです。したがって、私はこの辺をもう少し原点に戻ってやらないと大変ぐあいの悪いことが起こってくる。例えばこれから宇宙時代に入ってくる。そうするとまた原子炉を積んだ衛星という問題が出てくるし、いろいろな面で出てくるわけです。
 したがって、「平和の目的に限り、」というのは、この平和の解釈は日本と諸外国は違うわけですから、我が国の「平和の目的に限り、」というこの解釈を明確にしておかないと、これは大変不幸なことが起こると私は思いますので、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
#206
○平野政府委員 私どもの現在の平和の解釈は、先ほどの愛知答弁の線を守っておるということでございますが、なお、その昭和三十年当時の中曽根議員の答弁の中にも、例えば原子力の軍事的利用というのは、我々の解釈では、原子燃料を使ってこれを人の殺傷をするために使う、そういう兵器、武器である、こういう概念を立てておりますということで、したがって云々という、また例を挙げていらっしゃいますが、したがって、やはり言い回し方はいろいろございますけれども、当時の中曽根議員の趣旨もやはり直接破壊力、殺傷力といったものを念頭に置いてこういうふうな御発言をなさったのじゃないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#207
○貝沼委員 それは、これを全部読めぱそうでないということが明らかになりますから、私はここで今押し問答する気はありませんけれども、要するにそういう少しずつ変わっていくような解釈はやらないでいただきたい。これは非軍事であるということを明確にしておきたいと思いますが、大臣、これは非軍事じゃないのでしょうか、はっきりしてください。
#208
○宮崎国務大臣 今、潜水艦の推進力の方に原子力を使うのは軍事か非軍事かという具体的な話がございました。「平和の目的に限り、」ということは、私どももそういうふうに信じておりますから、今の局長との間の問答については十分研究させていただきたいと思います。
#209
○貝沼委員 時間がありませんから、では次の問題、一般的な問題でお伺いいたします。
 大臣、まだ所信を私は伺っていないわけでございますけれども、我が国の原子力政策の方向性、それからエネルギー政策上の位置づけ、これは午前中ちょっとございましたけれども、今までと変わるところがあるのかないのかですね。もしあるとすれば、どういう点が違うのか、その点をお伺いしたいと思います。
#210
○宮崎国務大臣 今回の国会は少し変則と申しますか、きょうは日切れ法案だけということで、私、最初に所信表明をいたしたかったのでございますけれども、国会の御命令によりましてまだやっておりません。非常に申しわけないと思っておりますが、その点は御容赦願いたいと思います。
 ただいま原子力政策についてどうだ、抱負はどうだというお話でございました。従来と変わっているかどうか。私、従来どういう答弁をしておったのかわかりませんが、原子力の我が国の開発利用というのは、今いろいろと御議論がございましたように、原子力基本法に基づいておるという点、そしてまた平和の目的に限ってやるのだ、それからまた、これは安全確保が大前提だ、こういうふうに確信をいたしております。
 それと、原子力の方は、最近では発電所の方は総発電量の三割程度のシェアを占めております。したがいまして、今まで二十年間運転してまいりましたが、安定した実績がございますし、日本の基軸エネルギーとして確立をいたしておりますし、世界的にも高い水準、高い信頼性を実現をいたしております。そして、国民生活あるいはまた産業活動に必要不可欠なエネルギーとなっておるわけでございます。また、他のエネルギー源と比較いたしまして、経済性でありますとかあるいはまた供給についての安定性でありますとか、環境への影響でありますとか、そういった面においてすぐれた性格を持っております。日本のエネルギーの供給構造というのは、御承知のように資源の少ない日本でございます。石油も石炭もほとんど輸入いたしておりますので、そういうエネルギー供給構造は脆弱性がございますので、それを克服するためには必要なエネルギー源であるというふうに考えておりますし、最初に申し上げました点に留意しながら慎重にその開発利用を進めてまいりたい、かように考えております。
#211
○貝沼委員 それからもう一点。今原子力発電は世界規模になりました。よくても悪くてもいろいろな影響がございます。そこで、日本だけで何かを考えるということはもう不可能だと思います。日本だけが安全であればいいということもありません。特に、世界の中でもアジア・ブロックにおけるお互いの関心は高くなければならぬと考えております。こういうところから、我が国の国際的な協力、例えば経済協力とか技術協力とかこういうものがどうなっておるのか、これが一点。
 それから先般、三月十四日ですか、民間ベースでWANOが動き出したようでございますけれども、これはどういう意味があるのか、それに対して政府としては指導なり方向性を示しておるのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#212
○平野政府委員 原子力の開発利用といったもの、これは世界的、国際的視野に立って進めるべきだということは仰せのとおりでございます。原子力基本法におきましても、進んで国際協力をするという趣旨の条項が入っておりますし、それから原子力委員会が定められました長期計画におきましても、国際的な貢献を積極的になすということが基本になっております。
 そういう観点から、私どもといたしましては、原子力の協力につきましては、いわゆる先進国との協力というものは、これは二国間あるいはIAEAのような国際機関との協力をより一層密接に行うということをいたしておりますし、特に最近に至りましては近隣諸国、特にアジアとの人的交流を盛んにするということで、要員の招聘制度をつくったり、あるいはこちらから専門家を派遣するといったようなことを積極的に行っておるところでございまして、現に最近におきましても東南アジアの原子力責任者等が私どもの招聘に応じて国内の施設を視察するといったようなことが頻繁に行われているところでございます。
 それから、民間のWANOでございますが、これは民間の電力事業者の世界的な団体でございまして、そのアジアの中核はやはりどうしても日本でございますから、日本の電力事業者はこれを積極的に進めるということで事務所も東京に設けまして、積極的に原子力発電の情報の交流に努めているというふうに聞いております。政府といたしましても、こういう活動は非常に結構なことでございますから、できるだけこれは支援していくべきものであろうと考えておるわけでございます。
#213
○貝沼委員 私の考えは、例えば環太平洋でもいいのですけれども、世界の中のアジア・ブロック、ここでそういう技術の交流のデータベースをつくるべきだというのが私の考えなんですけれども、それをつくれと言ったら今金がないと言うかもしれませんので、それは聞きません。しかし、民間ベースでWANOができたらそういういろいろな情報が交換できるのでしょうから、そういうのをやはり育てていった方がお互いにいいのではないか、こう思って今質問をしたわけでございます。
 それから、先ほどから事故の問題で姿勢が問われておるわけでございますが、事故は東電だけでなく関電の方もあるわけでございまして、例えば関電関係では大飯の発電所一号機、これが簡単な事故を起こしておりましたが、これは簡単にどういう事故でございますか。
#214
○三角説明員 御説明申し上げます。
 今先生から御指摘の関西電力大飯の発電所の一号機の故障について概要を御報告いたしますと、これは昭和六十三年十月、去年の秋口でございますけれども、十月二十七日、運転中でございましたが、蒸気発生器の伝熱管でございます。そこからごくわずかの漏えいが生じているのが推定されるような事象が起こりました。それで、日本の原子力発電所につきましてはPWR、蒸気発生器からのリークというのは運転を認めてございません。原子炉を手動停止したということでございます。
 その後調査を進めましたけれども、大飯発電所には蒸気発生器がA、B、C、Dと四個ございますが、そのうちのDの蒸気発生器の伝熱管一本に漏えいが認められてございます。先生御指摘のように、この漏えいの原因を究明したところ、これは製作時に拡管工具でもって拡管をしたところでございましたが、その工具のふぐあいによりまして残留応力と運転中の内圧応力が重畳をいたしまして、これは高圧側の管板の拡管境界部でございますが、周方向の応力腐食割れを生じておったということでございます。対策は当然とってございますけれども、そういう事例が関西電力でもございました。
 以上、御報告をいたします。
#215
○貝沼委員 言葉が難しいのでわかりにくいのですが、要するに伝熱管がこうあるわけですね。それを支えておる金属があるわけです。この間にすき間があるわけですね。それをいっぱいにするために中から広げるわけですね。そこのところにひびがいった。ですから、それにひびがいきますとそこから放射能が出る、こういうことです。なぜこういうことが起こったのかというと、本当ならこのパイプは伸ばしてつくるわけですから、したがって縦にひびがいく場合があっても横にいくことはちょっとないのですね。それが横にひびがいった、これは非常に異例である、今のはこういう説明ですね。
 そういうことを考えますと、これは原子力の物すごく高度な技術ではないのですね。そういう広げる機械的な技術によって傷がついておったりしたものが結局そういうひびになっておる、こういう事例でございます。それから、先ほどの東電の場合も、突き詰めていけば溶接が悪いということなんですね。今度溶接の仕方を変えるということのようですが、いろいろな原因があるでしょうけれども溶接。私が言いたいのは、すごく高度な技術はお互いに目を光らせてクリアしておるけれども、極めて初歩的なそういう溶接であるとかあるいはパイプを広げるための道具でもって傷つけてあったとかというようなことが見落とされておるのではないか。つまり大きな事故というのはそういうところから起こるのではないのかということに対するこれは大きな教訓ではないか、こう思いますので、これをわざわざ取り上げておるわけでございます。したがいまして、この点につきまして安全委員長さんの御見解があればお聞かせ願いたいと思います。
#216
○内田説明員 今、先生御指摘のとおりと私も理解しておるところでございまして、原子力の安全の確保には施設の設計、建設、製造、検査、運転管理全体につきまして、それぞれの立場の人が細心な注意をもって安全第一に施策を推進すること、通称セーフティーカルチャーといいますか安全意識の慣行でございます。したがいまして、今お話しのように非常に小さな問題まで十分目を光らせて予防、保全に意を尽くすことが安全確保の一番大事なことではないかと思っております。
#217
○貝沼委員 それで、運転管理の面でいきますと、これはちょっと東電の場合に話を持っていきますが、運転管理専門官制度というものがありますね。これはスリーマイルアイランドのときの教訓としてできたものでございます。この人はたしか全国に三十名ぐらいおりまして、福島には五名の人がおるはずでございます。何をするのかというと、いろいろと運転管理に目を光らす、嫌なことも言う、こういうことでございます。その中に、「事故、故障の通報を原子力発電所から受けた場合、又は原子炉施設の巡視等において異常を発見した場合は、本庁と連絡をとりつつ、原子力発電所に対し指導を行う。」こういうふうになっております。
 私が今お尋ねしたいのは、東電の場合、一月一日十九時二分に異常が発生をした。このときに、この専門官からは連絡があったのかなかったのか。さらに、それに対して当局はどういう指示をしたのか、ここを聞きたいと思います。
#218
○三角説明員 先生御指摘のように、我々原子力のサイト、発電所に運転管理専門官を派遣してございます。おっしゃいましたように、福島については五人駐在しておる、こういう状況でございます。
 御指摘の一月一日午後七時二分でございますか、勤務形態が、警察、消防等ではございませんで、国家公務員並みでございます。そういう意味で、その限りでは、要するにお正月であったということではございますが、なお申せば、もちろん危急のとき、必要があるときには、当たり前の話でございますけれども、お正月であろうと盆であろうと、電力会社は一定のトラブル等を察知した場合には連絡が来るようになってございます。ただ、遺憾ながら、この一月一日の午後七時でございますが、その時点では我々は連絡を受けてございません。それにつきましては、担当室長より厳しく注意してございますが、正月明けの時点で、もちろん早急に報告はございましたけれども、一月一日にこういうことがございましたというのは休み明けの連絡でございました。その件については、我々としても今後そういうことがないようにというふうに注意してございますが、実態は以上のようなことでございました。
#219
○貝沼委員 その辺が問題なのですね。
 さらに、これは通産省ですか、この報告書によりますと、「一月一日午後七時二分、出力百三万キロワットで運転中のところ、二台の原子炉再循環ポンプのうち一台の振動値が上昇し、警報が発生しました。このため、ポンプの回転数をわずかに低下させたところ、ほぼ通常の振動レベルに戻りましたので、出力百万キロワットで運転を継続しました。」こうなっておるわけですよ。そうすると、これは通産省がそうしなさいと指示したわけではないということですね。
#220
○三角説明員 御説明申し上げます。
 今、先生お読みになったものについては、恐縮でございますけれども、実は、私どもの文書と申しますか、タスクフォースで発表と申しますか公にいたしましたものではございません。それは、我々としては、動かしなさいとかそういう指示をしたことではございませんで、連絡を受け、かつ、その時点での判断というのは、先ほどのとおりでございます。
#221
○貝沼委員 時間が迫ってまいりました。結論を申し上げます。運転管理専門官制度がせっかくあるわけでありますから、これが生きるようにひとつ御検討いただきたいということでございます。
 それから、先ほどから事故、トラブル、故障、いろいろな言葉が使われておりますが、これは定義はおのおのあるのでしょうか、ないのでしょうか。
#222
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 結論から申し上げますと、原子炉等規制法には定義はございません。ただ、法文上いろいろなところに事故、故障、修理、復旧といったような言葉が使ってございまして、それに基づく類推から私どもは使用しているところでございます。例えば、一例で申し上げますと、非常にわかりやすい事故の類推定義は、人身事故という用語が使ってございます。
#223
○貝沼委員 それだけたくさんあるとかえってわかりにくいのですね。
 そこで、これを明確にしてもらいたい。例えば、事故といっても業界別に全部違います。この前の委員会でも申し上げましたが、電力会社の事故といえば、電力の安定供給ができない場合が事故です。したがって、そういう原子炉の事故だとかトラブルだとか、全然意味の違うものでございます。こういうようなところから、各業界別に、部門別というのですか、そういう範囲で定義を明確にしていただきたい。特に私どもが最も関心のあるのは、人身に対する事故なのか事故でないのか、ここが一番問題ではありますけれども、いろいろな業界分野からそういう言葉が出てきますので、それははっきりしていただきたい。そういう意味におきまして、その分野別の事故なら事故、トラブルでもいいのですけれども、その度合いですね。例えば地震でいうならば、五とか三とか二とかいうふうな度合いがありますけれども、そういう度合いを示す指標というものを考えるべきであるということを私は主張してまいりましたが、これについて通産省はお考えのようですから、それを御説明いただきたいと思います。
#224
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先生御指摘の原子力発電所の故障、トラブルもしくは事故等、言葉の定義それから使われる局面、関係される分野の方々、なかなかいろいろでございます。御指摘のとおりでございます。我々は、現に起こります故障、トラブル等を立場上御説明する機会が多いわけでございますけれども、その都度、原因だとか対策等を公表し、かつ内容についての国民の理解を求めてきたわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、なかなか言葉も難しいところもございますけれども、一方では、原子力発電についての国民的な関心が高まりつつございます。一方ではまた、御指摘のような原子力のトラブルに関する情報等についても従来以上にお示ししていこうといったようなことを我々としては勘案しまして、原子力発電の安全上どのような意味を、現に起こってございますところのトラブル、故障、事故が持っておるのかといったようなことを説明できる指標、尺度と申しますか、そういうことがあれば、具体的に情報が出る原子力発電所もしくは規制当局と、それを理解したい、もしくは理解する国民の側の一層のコミュニケーションの増進と申しましょうか、そういうことのために一つの役立つツールになるのじゃなかろうかということで勉強を進めてきておるということでございます。現状、関係の各専門家から、いろいろ難しい局面はございますけれども、意見等を徴しながら考え方を取りまとめておる、こういう状況でございまして、今、先生御指摘の放射性物質の放出の局面だとか、一方では人身、作業者のいわゆる被曝といったようなこと、一方では原子力発電所のハード面での機能の低下等々を考えながら検討を進めている、以上でございます。
#225
○貝沼委員 それでは、最後に安全委員長さんに御意見を伺いたいと思います。
 私は、トラブル度指数と言っておりますが、こういったものをつくることについての所感ですね。もう一つは、このランクを決めますと、どうしても下の方のランク、これが、隠すためにランクをつくるのではないかというような意見が出てまいりますので、私はその辺の刻みを細かくする必要があるのではないかという感じを持っております。
 もう一点は、先ほどの例から、この運転手引の基準、ここをもう一度見直す必要があるのではないかというふうに考えておるのでありますけれども、安全委員長の御所見を伺いまして、終わりたいと思います。
#226
○内田説明員 今、先生のおっしゃるように通称事故、故障、トラブルと言っておる問題の中身でございますが、私は原子力発電所に限りますと、原子力発電所の、先ほど先生がおっしゃいました電力安定供給の見地からいいます信頼ある運転という問題と放射能の放出という結びつきにあります本来の原子力の安全という問題とが、別の問題でありますけれども、信頼性ある運転を高めることによって安全運転も高められることでございまして、裏腹の問題でございます。その辺のところをもう少し明確にといいますか、一般の人にわかりやすい方法で区分けしたらよいのではないかということは、私も個人的に思っている次第でございます。
 例えば、放射能の放出があるかないかの区分けあるいはそれのレベルの問題とか、作業者に対する放射能、放射線の影響があるかないかのような問題、それから原子力施設としての健全性から見てどのような影響があるかというような問題、そのような三本柱を立てまして、さらにそれを細かくレベル分けにすればもう少し現在よりはわかりやすいのではないかと思っておりますが、これもいろいろの事象について試行錯誤してみませんと明確なことにはならないと思いますが、今その方向で検討していただけたらと思っております。
 それから、運転のマニュアルの問題でございますが、これは安全委員会としますと中身を存じておりません。詳しい内容は存じておりませんで、これは電力会社が発電所ごとに自主的につくっているものであると思っております。
#227
○中川委員長 和田一仁君。
#228
○和田委員 原賠法の審議に当たりまして、大臣には大変申しわけございませんけれども、民社党として、審議の冒頭に政府の原子力発電開発推進に対する基本的なお考えをお伺いしてから質問をしたいと思いますので、御見解をひとつお示しいただきたいと思います。
#229
○宮崎国務大臣 御承知のように、日本の原子力開発は原子力基本法がございまして、それに基づきましてやるということ、それから平和の目的に限って開発をしていこう、いま一つは、もう言うまでもなく安全確保を大前提にして推進をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 今、原子力発電所は三十六基ございまして、全体の電力量の三〇%を保有いたしております。したがいまして、今まで二十年間商業運転をしてまいりましたけれども、安全に世界的にも非常に高い水準の信憑性を得ておりますので、かつまたそれが国民生活あるいは産業活動に不可欠なエネルギーとして定着していると考えておるわけでございます。また、御存じのように、ほかにも、石油でありますとか、石炭でありますとか、LNGでありますとか、あるいは水力でありますとか、いろいろエネルギーの供給源がございますけれども、これに比べまして経済性や供給に関する安定性あるいはまた大気汚染とかそういう環境に対する影響の問題、そういった面を考えてみますと、原子力はすぐれたエネルギーであると考えております。特に、日本のような石炭や石油といった資源のない国におきましては、そういったものを補完するために必要な基軸エネルギーである、かように考えているわけでございます。
 したがいまして、最初申し上げました三原則でございますが、基本法にのっとり、安全を大前提にし、そしていま一つ、平和目的、この三原則に従いまして着実に開発利用をしてまいりたいと考えているわけでございます。
 以上でございます。
#230
○和田委員 原子力開発というのは科学技術の最先端の集約されたものであろうと思うわけですが、原子力に限らず科学技術全般についても、科学技術の発展というのはもろ刃の剣のような面がございます。これは、今三原則を申されましたが、その中の一つの平和利用ということに限る、私もそのとおりだと思います。人類の英知によって人類の福祉のために有効、安全に使いこなしていくということが科学技術の一番の基本になければいけない、こう考えておるわけでございます。ですから、もろ刃の剣のような、反面、非常に危険な利用法というものがあってもまた危険な現象が起きる、そういうものを十分踏まえながら科学技術の発展には対応していかなければならないと思うわけです。ですから、危険な面を無視してはいけない。平和な人類福祉の方向に使う反面にある危険性を無視してはいけない。ただその危険性については、やはり科学技術という学問的な立場からこれがどう使われたらどのような危険を生ずるのか、そのこともきちっと両方あわせてこういった開発のときには考えて、そしてまた利用する一般の人々にもその点をはっきりさせていくということが非常に大事だ、こう考えております。
 そういう中で我が国の原子力発電、今大臣はいろいろな点を挙げられましたが、二十年間商業運転をしながら安全度は国際レベルの中でも非常に高いというような御見解がございました。そういう意味で、また原子力発電というものは、いろいろなエネルギー資源の中でも我が国にとっては欠かすことのできない一つのエネルギー源である、こういう御理解もあったと思います。そういう中で現実に今運転されている日本の原子力発電の安全性、これはやはり日本の国民生活あるいは経済活動の一番大事な面を支えているわけでございますから、電力供給というものは原子力発電を含めて安全に、そして安定的に良質な製品が供給されなければならない、こういうことであろうと思います。安全に安定的に運転を継続して良質な商品を供給するという点について、我が国のレベルはどの辺にあるのかをお示しいただきたいと思います。
#231
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 我が国の原子力発電の安定的、信頼的運転の世界的レベルにつきましては、例えば一年間に発生いたします原子力発電所一発電所当たりの故障の割合、それから計画外で停止する場合は、これはやはり故障などがあった場合が多いわけでございますが、そういった数字を比較いたしましても、世界的に見て遜色ない、一級品のところまで到達しているというふうに考えております。
#232
○和田委員 いわゆるスクラム発生率というようなものも非常に少ない、こういうことでございますが、そういうレベルにある我が国の原子力発電の実態であるにもかかわらず、最近原発は要らないという運動が非常にほうはいとして起こっているという感じがしてなりません。推進している政府の立場から、こういう反原発運動に対する基本的な取り組みはどういう取り組みをなさっているのか。私は新聞等で拝見して実はびっくりしておりますが、脱原発法成立のための署名をやろうという運動が今始まっているようですが、今我々が審議しているこういう原発は要らないという法律、一千万署名をやろう、一千万署名を目標にこの運動を展開しようというような報道がございました。これは去年の北海道泊原発運転の反対の署名運動をやったところが百万名の署名ができたので、これを全国規模に拡大すれば一千万名署名は可能であるという目安でやっているんだというような談話も新聞で読みました。
 私はこれは大変な動きだと思うのです。我が国は政府が音頭をとって北方領土返還運動をやっても五千万署名にまだ達してない。四千九百万、何年かかってここまで来ているか。そういう署名運動一つをやるに政府があれだけ費用をかけ、国民的な運動としてやっている北方領土返還ですら一千万署名に最初に達するときには大変な日時がかかりました。それが今、原発は要らないというその一声で、日本から原発というものは要らなくしていこう、反原発法を成立させるための請願署名をやろうと言って、一千万可能だ、こういうことでこの運動がほうはいとして起こりつつあるということを、長官、どんなふうに受けとめておられますか。
#233
○宮崎国務大臣 最近そういった動きが、署名運動が非常に盛んになっておりまして、私は原発に対する反対運動というものはやはり謙虚に受けとめて、まずどういう意味の反対なのか。
 今までは地域の方々が、原発がおれのところに来るのは嫌だという、地域の方々だけの反対でございました。あるいはまた反対の中にもいろいろと、安全性が問題だから反対だとか、あるいは技術的にどうだといろいろ反対があると思います。そういったことにつきましては、国民の理解を得るために私ども科学技術庁といたしましても、あるいは電力関係者といたしましてもいろいろ御説明をして、安全性について御理解を賜るように説明をいたしたいと思っております。
 一方、最近の反対運動というのは、聞くところによりますと、そういった科学的な理解、そうではなくて、一種のブームみたいというのですか、主婦の方とかそういう方々が野菜に対して危険があるとか、そういうことでございまして、この前私も青森に行ってまいりましたら、農協の人が反対しているというのは、野菜が売れなくなるのではないか、東京の問屋から、原発がそこへできると野菜を買わないぞというような話もある、こういうので、一応全般的にやはりPRが不足しているのか、いろいろな関係から、ムードとしても反対、こういうようなムード的な問題が、反対運動が非常に来ているように感ずるわけでございまして、これに対しては非常に頭を悩ましていると申しますか、対応の仕方が非常に難しいなと考えております。
 しかしながら、地道にひとつ関係者も、安全性あるいはまた必要性、日本におけるエネルギー確保の問題について我々としては説明をしていかなければならないのかな。あるいはまた反対運動の中に、要らないというのじゃなくて、安全性に疑問があるからというような反対であれば、もっともっと私どもは安全性についても努力をしていかなければならないのじゃないか。
 いずれにいたしましても国民の声でございますから、謙虚に受けとめて対応することを考えなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
#234
○和田委員 今の大臣の御見解は、一つは、原子力発電の安全性に対する危惧、こういうものがチェルノブイリの事故以来主婦層にも非常に広がった。非常に素朴な、危ないのではないか、何か事故が起きたときに非常に危ないのではないかという安全性への危惧に対する不安が一つ。それからもう一つは、要らないのではないか、原子力発電などという発電は要らないのではないかという、エネルギーの需給の関係から日本は原子力発電に頼らなくてもいいんだ、それで足らない分は我慢するのだというような発想も中にあるように私は思ったわけなんですが、そうなると、一体長期、中期のエネルギー需給について政府としてはどんな見通しを持っておられるのか。今これより経済成長をしていく中で、電力需要というものはどういう動向を持っていくか。むしろ原子力発電の開発は足踏みしてでもいいんだ、あるいはなくなっていってもほかのもので代替できるんだという見解に立っておられるかどうか。逆に、私は今の需給関係は予想以上に上方修正をしないといけないのではないかなという感じを持っているのですが、いかがでしょうか。
#235
○宮崎国務大臣 エネルギー源にはいろいろな問題がございます。先ほど申し上げましたいわゆる化石燃料につきましては、供給が不安定だということと、最近ではまた大気汚染の問題、あるいはまたCO2が地球の周りに集積して温暖化がどうだといったような問題がございます。ですから、化石燃料のシェアをふやすというのはなかなか難しい。それからまた水力とか潮力、あるいは風力、地熱、太陽熱とかいろいろなクリーンエネルギーがございます。これは一応研究をしながらやっておりますけれども、なかなか大きなシェアを占めるに至りません。したがいまして、どうしても現状におきましては、私ども政府といたしましては二十一世紀くらいまでは原子力をふやしていかなければならないのじゃないかな。そうしますと、やはり好むと好まざるとにかかわらず需要がふえてまいります。多分二、三%、ことしは六%くらいふえましたが、二、三%は平均してふえるわけですから、この需要は何とか消化するだけの供給をしなければならぬ。そうなりますと、計算をいたしますと十年間くらいで原子力が四〇%くらいになるのではないかという計算を実はいたしております。
 そういうことで、ウランの有効利用ということも考えて六ケ所村にいわゆる核燃料サイクルをこれから建設しよう、あるいはまたことしから高温工学試験研究炉をつくろう、「もんじゅ」とかそういった高速増殖炉もまだ建設の段階でございますけれども、そういった一連の研究開発体制をつくっていこう、そして最終的には御存じのように各国と協力して核融合という問題を研究いたしておりまして、全体的に永久のエネルギーというものを確保しなければならないのじゃないか、そういう方向にいくんじゃないかな、かように考えております。もちろん水力でありますとかこういったクリーンエネルギーはこれからも研究して、コスト的に非常に有利であれば採用していかなければならぬのじゃないかという考えは持っております。
#236
○和田委員 今三十六基、三〇%という冒頭のお話がございました。大臣は、ことしは六%くらい需要は伸びるだろうという見通しの中で、将来は四〇%くらいの原発依存度にならざるを得ない、こういうお話が今ございました。とにかく石油火力はIEAでもう新しくつくるわけにはいかないということで、老朽施設を設備更新するかどうか、そんな程度のことしかできませんけれども、そうなるとやはり私は、原子力発電に対してもう要らないと言っている人たちに、安全ではないから、怖いから要らないんだという面の人にはそうでないことを周知徹底させるということが大事だと思うのですね。電力供給はどうあろうとも原発そのものは私は嫌なんだ、だからそれに頼るのはやめてしまえという人にはまた別の説明をしなければなりません。しかし、怖いんだ、安全性に疑問があるから原子力発電はやめてほしいという人には、やはり科学的、学術的にそうでないことを実証していかなければいけないと思うのですね。そのことについて、推進して四〇%まで原発に頼って日本の経済を支えていこうという政府として、一体どういう広報活動をなさっているのか、それをお尋ねしたいと思います。
#237
○平野政府委員 先生仰せのとおり、広報活動を一生懸命やらなければならないということで、私ども科学技術庁あるいは通産省、政府全体を含めまして努力をいたしておりますし、電気事業者あるいは関係の外郭団体等も含めまして連絡をとりながら、必要性あるいは安全性につきまして広報をいたしておるところでございます。
 必要性の問題につきましては、これは日本のエネルギーだけの観点というよりもむしろ世界人類、これから人口も爆発的にふえていくということが予測されておるわけでございますから、人類全体のエネルギーの問題でそれぞれの国がどういうふうな方向で進むべきかということを踏まえまして進めなければならない問題でございます。そういうことも含めまして必要性ということにつきましては十分御説明するということで、本年度も続けておりますけれども、来年度さらに、幸いにして予算的な手当てもついておりますので、新しい知恵を出しながら積極的な広報活動を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#238
○和田委員 抽象的にはそういう広報活動をなさっているのはいいのですが、具体的に今いろいろと問題が出てきて、特にさっきからいろいろ質問が重なっておりますけれども、福島の第二原発の三号機の事故ですか、故障ですか、こういったことがさらに今大きく輪をかけていると思うのですね。
 私は、民主、自主、公開というような原則で、こういう情報の公開が非常に進んでいるということはわかります。ですから、いろいろな法律に基づいて小さなトラブルもどんどん公開をされておるわけですね。それが報道される。それを読んだ、受けとめた国民にとっては、皆さん方ほどは専門知識がございませんから、一体どの程度の危険度があるのかの判定がなかなか難しい。事故というこの文字一つで、先ほどの御質問のように非常に怖がるわけですね。ですから、その事故の内容について明確な指針、指標、尺度が横にあって、それに照らし合わせて、ああ今度のトラブルはこの程度のものなのかというような判断ができるようなものが欲しい。これはもう当然だと思うのですね。地震の場合も震度四とか五とか六とか、激震とか強震とかあります。マグニチュード幾つというそのエネルギーを示す数値もあります。そういうものが片一方にあって、それで国民はきのうの地震は震度三か、なるほどな、こう思うわけですね。これも本当言うと、あれは別に計器ではかって震度幾つと言っているんじゃない。何か、経験したそういうお役人さんの体感震度がそのまま震度幾つという数字になっているというような、随分科学的じゃないなと思うのですが、少なくともこういう原子力サイトにおけるトラブルについては、そういう感じでではなくて、やはりつの基準をきちっとつくって、それに照らし合わせてこのトラブルはどれくらいのものである、こういう基準づくりをやっていただかないと、ただ、今のように公開の原則でどんどん出てくる情報で毎日毎日、新聞のどこかに、やれ、きょうは川内の原子力発電、いや、今度はどこだというふうに出てくると、これはもう原子力全体が本当に毎日危ない綱の上を渡っているのかなという感じをどうしても持ちます。―
 ですから、そういう意味でもう少しこれを科学的に判断できるような材料づくりを、基準づくりを検討していただきたい。フランスには既にそういったものがあって、それぞれ当てはめて国民に示しているというふうに聞いておりますが、外国の例も含めて、今どのような状態にあるかをひとつお答えいただきたいと思います。
#239
○三角説明員 御説明申し上げます。
 ただいまの先生の御指摘の事故、故障、トラブル等について公表をするときに、その安全に関する意味合いみたいなこともあわせ、よくわかるようにするべきであるという御指摘でございます。我々は、原子力発電所の故障、トラブル等につきましては、先生御指摘のように従来の範囲以上に公にしていこう、それを通して一方では理解を深めていこうといったようなことではございますけれども、まさに先生の御指摘のような意味合いで、このトラブルがどのくらいのものであるかということがわからずに、件数だけ何かふえているといったような印象があるやの御指摘かと思います。旧年中からではございますけれども、今言ったような問題意識で、発表なりなんなりをするときに、原子力発電の現場で起こっているトラブルのたぐいについてどのくらいのものなのかといったような程度を、先ほどと同じお答えで恐縮なんでございますけれども、今原子力の専門家の御協力を得ましてつくりつつあるということでございます。
 それから、御指摘のフランスの例でございます。我々日本における故障、トラブルのいわゆる評価尺度を研究、検討する過程でフランスの東情についてもいろいろ調べ、研究の過程で消化してまいりましたけれども、フランスにおきましては、私の理解するところでは、先生御指摘のように震度といったような呼び方もしている向きもございますけれども、一応その尺度でチェルノブイル・クラスと申しましょうか、それから下まで大体六つのクラスに分けていて、あわせてビロースケールと称するような区分も設けつつ、フランスで発生してございますところのトラブル、故障発表の際には参照しながらやっているやの話でございます。いろいろな情報、いろいろな関係方面の御注意、それから御指摘等を受けながら、先生御指摘のようなことをも含めて今後ともこの件については進めてまいりたい、こういうふうに思ってございます。
 以上でございます。
#240
○和田委員 資源エネルギー庁が中心になって原子力専門家を入れてそういった区分について検討されている、こういうことでございますか。いわゆるこういった基準が、さっきもちょっと指摘されておりましたけれども、年間幾つかあるそういったトラブルがどこへ入るかということなんであって、基準はつくってみた、そうしたら今まで発表していたのはほとんど入らなかったというようなことの基準でありますと、かえってそれはない方がいいというようなことにもなりかねません。したがって、こういうものをつくる際のいわゆる原発PAといいますか、そういうようなものをどのように踏まえて今検討されているのか、もうちょっと御説明いただきたいのです。
#241
○三角説明員 御説明いたします。
 どうも失礼いたしました。もうちょっと詳しく検討状況を御紹介いたしたいと思います。
 第一点のエネルギー庁でやっているのかなといった御指摘でございます。これは最初に、何分事柄が極めて技術的、専門的であろうということで、むしろ規制当局というよりも、我々が第三者機関で持ってございます中立の学術研究団体と申しますか、そういう場で、これは原子力工学試験センターというのがございますけれども、そこの場で東京大学の近藤先生等のお力を得ながら関係各分野の先生方、これは放射線の先生もございますし、もちろんシステムの先生もございます。そういう方々のお知恵をかりながら、その場で議論を進めてございます。
 今の先生の御指摘に沿って若干敷衍して御説明するならば、その際評価尺度というのはどういう要件が求められているのかなということがございます。これは評価尺度でございますので、一つは簡明であるべきであろうといったような議論もございます。
 それからもう一つは、これは原子力の安全についての言ってみれば国民とのコミュニケーションのツールとでも申すべきものでございますので、国民の関心が反映されていなくちゃいけないんじゃないか。具体的には原子力発電所で何かあったときに周辺の方々が一番関心を持つのは、これは一つは放射性物質が環境に出たか出ないかというようなことがありましょうし、また一方では、サイトのと申しますか、発電所の中で従事者の方に何か計画以外の不慮の被曝があったんじゃないかといったような切り口もありましょうし、また一方では、原子力発電所が本来備えておきますいわゆる深層防護的な壁がございますが、その壁がどのくらい破られたのかなといったような観点もございますでしょう。そういう評価尺度に求められている要件みたいなものを若干整理していただきまして、その評価尺度に用いる要件との関係で、どのような基準があるのかなといったような議論を実はしてございます。
 今後具体的に、過去に起こった事柄、これはそれぞれ、もちろんわずかな事象から始まってあらゆるスペクトラムのトラブルが日本では現に起こってございますが、そういう百件、数百件にも及ぶものを分析をいたしまして、それぞれのスケールの中でどういうふうに入るのか、これはもちろん試み、試行錯誤がいろいろあると思います。ただ、我々としては基本的には原子力の安全規制の側で、原子力発電所の現場で起こっているトラブルなるものを正しく、我々が言っていることを技術的、科学的に理解してもらう一助としまして、この尺度を発表する際に何らかの形で使えるようにしてみたらどうだろうかといったような試行錯誤の過程で、結果としてこのような努力が、原子力発電所で現実に起こっているトラブルの理解と申しましょうか、ありようの周辺の方々の理解の増進に役立てば、反射的には非常にありがたいことだ、こういうような考え方、心持ちでやっておるわけでございます。
 以上でございます。
#242
○和田委員 またちょっと重ねてお伺いしますけれども、一応いつごろまでのめどでそういうものの基準づくりを終わるのか。それから今検討されている中で、今回の福島第二原発三号炉のこのトラブルはどれくらいのランクづけになるのか。フランスでは六段階ということで、チェルノブイリはその一番重い段階の事故にランクされるようですが、それと同じ基準ではないとは思いますけれども、今検討されている中で何段階になるかわかりません。が、しかし、今回の福島原発の事故というかトラブルはどれくらいのランクづけになりそうなのか、ちょっと教えていただきたい。
#243
○三角説明員 御説明申し上げます。
 ただいま先生からなかなか難しい質問でございます。先ほど来御説明申し上げておりますように、スケール全体の枠組みを技術的、専門的な見地からどうにか取りまとめられつつあって、それに対して関係各方面の御意見等を聞きつつ今後どうしていこうかなと考えている段階でございます。
 そういう意味で、例えば日本におきますところのトラブル、故障が相対的に、まあ規模的にと申しましょうか、スケール的には小そうございますので、むしろスケール的に下の方を少し厚くしたらいいんじゃないかとか、一次元的にやるのがいいのか、むしろ多次元的にやるのがいいのか、いろいろな議論がございます。
 そういう観点で、今回福島第二原子力発電所の三号機で起こってございます損傷事象が、具体的な検討の過程で今後、まだ原因究明、あわせて言えばそのことの緒についたばかりといったような状態でございますので、我々としては、スケールの枠のとり方、それから事象の今後の究明といったような両様が不透明なものでございますので、具体的にどのくらいのランクに当たるのかというのは、まことに恐縮でございますけれども、御容赦願いたいと思います。
#244
○和田委員 まだできていないのですから当てはめろと言っても無理なんですけれども、それじゃ、もう一つ伺います。
 原賠法適用になるようなそういうランクを、そのランクの中に入れる気はありますか。いかがですか。
#245
○三角説明員 重ねてのお尋ねでございますが、その点に関して御説明いたしたいと思います。
 起こり得るあらゆる事象を一応スコープに置きまして、その中でそれをどんなふうに、どういう切り口で、どういう基準でもって区分けるかといったようなことを考えた場合には、極めて大きないわゆる事故のスコープまで視野に入れて議論するといったようなことが必要でございましょうし、また一方では、現実にそういうものが起こるとは思いませんけれども、万々が一起こったときに、これがスケールの六であるとか七であるとかいっても、現実問題としては実は何の意味もないんじゃないかといったような議論も中ではございます。現実にそういうことが起これば、万々一のことでございますので、そのときのスケールの意味合いというのは想像してもおわかりのとおり余り有効じゃないんじゃないか。そういうことで、いろんな各般の事情を考えながら、どこら辺までカバーするかということで考えてございまして、今その意味では確たることは申し上げられないということで事情を御了解いただきたいと思います。
#246
○和田委員 先ほど申し上げたように、事故という表現で出てくるものですから、国民は非常に不安に思っている。私ら一般の国民から見ますと、長官、事故というのは早い話が故障とは違うと思っているのですね。故障というのは、例えば一番身近な例で言えば、車を運転していてエンジントラブルがあって何か動かなくなったとか、それからウインカーが出っ放しで消えなくなったからちょっととめなければならないとか、そういうのは、これは本当に故障、トラブルですね。しかし、その同じ故障でも、フットブレーキが全くきかなくなっちゃって、これは故障ですが、その故障をほっておけないので、サイドブレーキを一生懸命引いたり、エンジンを切ったりしてとまったというのは、これは本当に事故につながる故障ですね。国民はそれが知りたいんですよ。それを事故という表現でどんどん報道されますと、全部そういうものにつながっているんじゃないかなという危険が非常に出てくる、こう考えるものですから、こういう基準づくりについてできるだけ、簡明というようなことをさっきおっしゃいましたけれども、国民が見ていてもわかるような、そういう尺度をつくっていただきたいな、こういうことなので、これはひとつ至急に御検討いただきたいと思うんです。
 それで、情報化の時代ですから、いろいろなものが非常にたくさん国民の目に情報源として触れております。私はその中で今特に一つ気になっているものがございます。大変よく売れている週刊誌の最新号にびっくりするような記事が出ておりました。もし福島原発が、国民は知らないでしょうけれども、あれがあのままで済まなかったならば、一億二千万国民が避難しなければならないぞという記事が最近の週刊誌にありました。「福島原発事故の驚くべき真相」「「一億二千万人国外脱出」の危機だった!」こういうのですね。これが非常によく売れている週刊誌の中にある。ですから、多くの国民がこれを読んでおります。お読みになりましたか、長官。まだですか。どなたかお読みになりましたか。私、これを読んで、どういうふうに理解したらいいのか、ちょっと教えていただきたいのです。
#247
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 私も残念ながら買いまして読みました。若干表現に注意を払わなくちゃいけないだろうとは思うのですが、これをお書きになった方は、御承知のとおりサイエンスのバックグラウンドをお持ちの方でございますけれども、全くそういうふうに思えないというのが第一の印象でございます。以前お書きになったものも相当いろんなことがありまして、ある公益法人の方で分析をして、はっきり間違っているところは間違ったという指摘をしたこともございましたが、これは、今通産省の方でおやりになっている事故分類が幾つになるのか知りませんが、分類をしますと、それを何けたも上回るように、ちょっとひどいなというのが第一印象でございます。
 例えば水蒸気爆発が起こって、メルトダウンが起こってというような話で、冒頭に申しましたようにサイエンスのバックグラウンドをお持ちになった方がお書きになったものとは到底信用できない、そういう認識を今持っておりまして、私ども安全規制を担当しておりますものでございますので、PRをすることは必要ないかと思っておりますけれども、こういうものに対してどう対応すべきか。例えば福島原子力発電所に仮に人格があったとしたら、恐らくその人格はこの記事に対して何か訴えるというか、反論をする必要があるようなふうに表現されている記事だというのが感想でございます。
#248
○和田委員 今、素人の私にもわかるように、水蒸気爆発が起こるというようなことはないという御見解で安心いたしました。
 しかしもう一つ、再循環ポンプ、二つある再循環ポンプの一つが壊れた場合に「核分裂の反応が左右でアンバランスになる。その時に、局部的に出力の急上昇が起こる危険性がある。対称的な反応でなくなって、はげしく波打ってくる。チェルノブイリの事故というのは、いわば、その波の一個がドーンといったものでした。」そこになるよ、こういう表現ですね。これはそのとおりでしょうか。
#249
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 この表現につきましても、ある一つの小さな部分的な事実に近いことを応用拡大いたしまして別の結論をつくり出すという、ある一種の手法の一つを使われたというふうに私は理解しておりますが、けさほども御説明申し上げましたとおり、この循環系は、最大口径のものが破断いたしましても周辺の環境に有意な差をもたらすようなことは起こらないということを、安全審査、ダブルチェックをいたしまして許可されていることからも、そういうことが起こらないということは自明の理でございます。
#250
○和田委員 まさに起こらないことを前提にして、結論的には、「日本人は1月6日、昭和天皇が死ぬより早く全員葬式を出していたかもしれないのですよ。」こういう記事が、非常によく売れる週刊誌の記事として国民は読むわけですね。これに対して、さっき申し上げたように、一体これに対応できるようなどういう広報活動を考えておられるのか。これはぜひ検討いただきたいと思います。それから、危険性の問題はそういうことで、国民がこういうものを目にいたしますから、そうではないということをはっきり表明していただきたい。
 それからもう一つは、需給の見通しで、長官、先行き需要は、ことし六%とおっしゃったけれども、伸びるという御見解でしたから、そうなると我が国のエネルギー政策の中で、最初に長官の表現で言うと高度なエネルギー、こういうお言葉がちょっとさっき記憶に残っていたのですが、高度のエネルギーという意味合いは基幹エネルギーという意味かなとも思います。確かに先般のトロント・サミットの後専門家会議が開かれて、地球環境の問題は大きくいわゆるサミットの検討課題に上がってきているわけですね。そういう中でエネルギーを非常にたくさん使っている日本として、こういう化石燃料にこれからシフトし直すということは、これはこういう影響があるんだ、そして国際的にも日本はできないんだという点をもう少しはっきり、原発、原子力ではなくてほかのエネルギーに頼ればいいという見解の人にも示していただかなければいかぬ、こう思うわけなんですが、いかがでしょう。
#251
○平野政府委員 仰せのとおりであろうと思います。
 それから、さっき前段のお話でございますけれども、その週刊誌に出ておられる方がかつて有名な本をお書きになったということで、その内容については余りにも科学的に誤りが多いということで、私どもの外郭団体が原子力の専門家に委嘱いたしまして、その方の著書の誤り箇所を一々摘出いたしまして誤りを正して、それを関係方面、特にマスコミの方々等に提起を申し上げているというようなこともございます。したがいまして、今度の記事等につきましても、いずれ何らかの形でそういうふうな具体的に誤りがどうだというようなことを正すというような必要があろうかと思います。いずれにいたしましても、そういうふうに誤った知識のもとに原子力が非常に恐ろしいものだというような認識が広まらないような措置を一生懸命私どもはやっていきたいと思っておるわけでございます。
 それから、エネルギーの問題でございますが、これは先ほどから長官が申しておりますとおりでございまして、今後需要が伸びるということは、その程度の予測というのはいろいろございますけれども、まず生活が向上するということで間違いないところでございますし、世界全体のエネルギーが人口の増加に伴いましてふえるということも、これまた自明の理でございます。その中におきまして、原子力の開発利用の技術につきましては世界的な水準に達しております我が国が、さらに安全性に留意いたしまして積極的にこれを活用していくということは、この地球環境問題も含めまして世界の人類のエネルギー問題の解決に役に立つというふうに私どもは信じておりますので、今後ともそういうふうな方針で積極的に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#252
○和田委員 各原発サイトに運転管理専門官が派遣されておりますね。先ほどの御質問聞きました。正月休みだったというお話でございました。これからも正月、盆はお休みですか。
#253
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先ほど来そのようなことを申し上げました。実際の勤務体制についてはそうでございますが、我々はもちろんでございますけれども、運転管理専門官につきましても具体的に連絡方法の確保、これは夜であろうと二十四時間連絡がつく、もしくは電気事業者のサイトの方で何かあった場合には連絡をするようにしておりますし、東京の運転管理のオフィスでは具体的にポケットベル等を持っておりまして、情報を、もちろんその電力会社が報告をあしたにしようというようなことでシフトさせますと問題でございますけれども、レシーブする側の体制については問題がなきものだ、こういうふうに思ってございます。
#254
○和田委員 私は、この専門官の仕事、任務をもう一回見直していただきたい。企業側から報告を受けてそれを伝達するだけではなくて、やはり運転管理の専門官という名前が示すような任務をきちっと自覚していただいた方がいいのじゃないか。それによって、例えば当日いて、一日の日にいてそういう報告を受けて、自分が監視していてそういう現象を見たときに、どういう措置をとられるのか。そのことがはっきりしないから、報告だけで終わっているというような感じがしてなりません。この点については、これからも二十四時間運転しているのですから、一日一刻も休みなく電力は送っていかなければ意味がないのですから、そういう体制に対して、運転管理をする専門官というのも同じような体制をとってこそ初めてその存在意義があるのじゃないかと思いますので、その点はぜひもう一回きちっと検討し直していただきたい、御要望いたしておきます。
 それから、時間がありませんのでもう一つだけ聞かせていただきますけれども、長官、この少資源の日本がこういった核エネルギーを使っていく上で核燃料サイクル、これは非常に大事だと思うのです。当面はプルトニウムをよその国へ持っていって処理してもらわなければいけませんが、その輸送方法についてどういう安全をお考えになっているのか、輸送手段。これは予算委員会でも我が党の質問の中にありましたけれども、海上保安庁の巡視船でこの輸送の安全を確保できるというような考えのようですが、長官それで大丈夫でしょうか。
#255
○平野政府委員 この問題につきましては、まず我が国がイギリス及びフランスに再処理を委託しておりますプルトニウムを我が国に持ち帰る際に、航空輸送にするか海上輸送にするか、こういう問題がございます。昨年発効いたしました日米の原子力協定によりまして、基本的には航空輸送で我が国に運ぶということでございますが、これにつきましては、それの前提となります輸送容器といったものを開発しなければならないということでございます。ただ、アメリカの議会におきましていわゆるマコウスキー条項ということで、現在のアメリカの規制当局の基準よりもさらに厳しい基準といったものが課せられるということでございまして、その技術的なめどというものがまだ十分ついておらないということでございます。
 もう一つの方法の海上輸送というものにつきましては、これは船でヨーロッパから日本へ持ってくる。その間相当な距離もございますし、やはり核ジャック等の危険性があるということで、これにつきましては護衛船をつけるということが条件になっておるわけでございます。このことにつきましては、日米間におきまして海上保安庁の巡視船で護衛するということでこれは十分対処できるという共通の認識があるということでございます。この点につきまして、先般の予算委員会におきまして永末委員長の御質問に対しまして竹下総理からお答え申し上げましたように、我が国政府といたしましては、これはもし海上輸送する場合には、その警備は海上保安庁の巡視船でこれを行うということが政府の方針としてただいま決定しているということでございます。
#256
○和田委員 もう少し詰めてお聞きしたい点もあります。
 公海上はそれでよろしいかもしれませんけれども、他国の領海内では日本の海上保安庁には全く警察権がないということも考えると、これは大変不安があるわけで、これはまた別の機会に質問させていただきます。
 時間が参りましたので終わりますけれども、科学技術の進展というものは、これは我が国のこれからの発展にとって大変大事な分野だと思いますし、また、大きくひいてはこれは世界の福祉増大のためにも必要なことであって、科学技術というものは人類共通の財産として人類福祉向上のために使っていかなければならない。冒頭申し上げましたように、しかし同時にこれはもろ刃の剣、両方に刃がある剣と同じような危険性もあるということを私は考えておるわけでございまして、そういう意味で、我が国の科学技術の振興発展のために置かれている科学技術庁の長官として、責任官庁の長官として科学技術の振興を図られると同時に、安全性の面についても十分御指導いただいて、我が国の科学技術が世界の人類に貢献するような方向で御推進いただきますよう要望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#257
○中川委員長 矢島恒夫君。
#258
○矢島委員 けさから当委員会で問題になっております福島第二原発三号機の事故について最初にお伺いしたいと思います。
 この事故につきましては、我が党も極めて重大な事故だという認識に立って、去る二月二十三日に私も含めまして国会議員団の現地調査を行いました。また、三月七日には宮崎長官にもお会いいたしましたし、三塚通産大臣にもお会いいたしまして申し入れを行ったところでございます。
 今回の事故は、先ほど来いろいろと質疑されておりますように、人間でいえば心臓だと言われている再循環ポンプの破損事故という重大な事故だ。
 原子力安全委員長、先ほど来御答弁なされておりますけれども、今度のこの事故はどういう性格の事故とお考えになっているか、これを最初にお伺いしたい。
#259
○内田説明員 今回の事故は、原子炉の重大な系統であります再循環系のポンプの破損に伴う事故でありまして、放射能の放出は伴いませんでしたけれども、重大な事故と認識しております。特に、住民の方々に大変な不安を醸し出しましたことを非常に残念に思う次第でございます。
 原子力安全委員会は、今回の事故に関しまして行政庁から数回にわたり報告を受けておりましたが、従来からどのようなトラブルに対しましても、同様の事象の再び起こらないようにしなければならないと考えておるところでございます。このため、今回の事故につきましても徹底した原因の究明が最重要でございまして、行政庁に対し破損部品の回収と原因の調査究明の徹底を要請しているところでございます。今後、原因の究明が行われました暁には、調査の結果報告を受けましてその原因を確定し、適切な対策を立てるよう行政庁を指導する所存でございます。
#260
○矢島委員 宮崎長官にお伺いいたしますけれども、今度の事故で金属片が炉心に入っていったり、あるいは燃料集合体にまで入るというような新たな事態もあります。一つ間違えば重大な事態を招きかねない、こういうような事故だったと思いますけれども、今の安全委員長と同じ質問になりますが、この事故の性格、どんなふうにお考えか。
#261
○宮崎国務大臣 今、原子力安全委員長の御答弁のように、非常に重要な事故だ、そして今通産省あるいは電力会社に対していろいろな資料を出させて原因を調査中だということでございますので、私といたしましては安全第一ということで、絶対に安全になるようにお願いをし、そしてまた関係者もそのつもりできちっと回収するまでは再開しない、この前通産大臣もそのように予算委員会で言っておりましたし、そういうことで安全委員会の方でもお取り計らい願うものだと考えておるわけでございます。
#262
○矢島委員 資源エネルギー庁の方は、同じことですけれども、どのようにとらえているか。
#263
○三角説明員 御説明申し上げます。
 通産省の本件の認識でございますが、今回の福島第二原子力発電所の三号機の再循環ポンプの損傷事象、これは極めて重く受けとめてございます。今後の安全の確保のために、先ほど来申してございますけれども、この機会に原因の究明、もちろんその前に事実の固定、教訓の反映等納得のいくまでやりたい。御案内のように、我々タスクフォースをつくっただけではございませんで、学識経験者のお知恵もかりながら原因の究明等もあわせ、万遺漏なきを期したい、こういう気持ちでございます。
 以上でございます。
#264
○矢島委員 確かに今三人の方がそれぞれ答弁されたように、非常に重大な事故であるということと同時に、もう一つ、通産省の方はこういうことについて既に御承知かどうかちょっとお聞きしたいのです。
 東京電力は現在遊休している千葉と品川の火力発電を動かす準備をしている、その計画発表は四月上旬だと言われており、今後五年間運転する予定だということを聞いておるのですが、そういうことについては通産省御承知でしょうか。
#265
○三角説明員 御説明申し上げます。
 ただいまの先生の御質問でございますが、私、原子力の安全管理の規制を担当してございます。そのようなことがあるやもしれませんけれども、私としてはつまびらかには承知してございません。
#266
○矢島委員 今回の事故が、そういうようないわゆるいろいろな被害という関係での重要な問題もあるけれども、同時に電力の安定供給という面で重大な影響を及ぼす事故だということが、この東京電力の四月上旬に発表するであろう計画の中でも、夏場の時期に向けて安定供給できない事態が起きている、これまた重大な問題であると思うのです。こういうことが、一月一日の異常振動、さらには一月六日の異常振動、その後も運転を一月一日以来強行し、一月六日の時点でも警報、アラームが鳴る中での運転、こういうようなことからもたらされたものなわけですが、これについてエネルギー庁の方はどういうふうにお考えですか。
#267
○三角説明員 御説明いたします。
 先生から、一月一日以降の原子炉再循環ポンプの振動が起きておるのにそのまま運転を継続したのは問題ではないか、あわせて一月六日にも振動が発生したのに長い間運転を継続したのはいかぬ、こういう御指摘でございます。通産省の認識といたしましては、以下のように考えてございます。
 一月一日、東京電力は、御指摘のように再循環ポンプBの振動が一時的に上昇したわけでございますけれども、ここで出力を低下、つまりポンプの回転数を下げたということがございます。その結果、振動のレベル、これは一定の警報レベルがございますけれども、それがレベルとしては警報値以下に戻ったという認識でございまして、監視の強化を図りながら運転を継続したものというふうに我々は聞いてございます。もとより通産省といたしましては、原子力発電の安全確保のためには、先生の御指摘をまつまでもなく、慎重の上にも慎重であるべきという観点は、私ども原子力の規制に携わる者はもちろんでございますけれども、そういう気持ちでございます。そういう観点からいたしますと、先生御指摘のような事態、つまり東京電力の今回の措置というのは極めて適切さを欠いたものであるというふうに私としては言わざるを得ないということで、このことにつきましては、過日御質問いただきました予算委員会の場でも表明したところでございます。
 それから後半でございますが、また一月六日の振動の再発後の措置、これは発生した後、基本的にはプラントを停止するという方向で措置が始まったわけでございますけれども、その間、繰り返しになりますけれども、どのような対応をするかという背景が、安全確保、安全文化と申しますか、そういうのが仮に電力会社にあれば、慎重の上にも慎重を期するという観点からすれば、同様に適切さを欠いたものではなかろうか、そういうふうに言わざるを得ないのじゃなかろうかということでございますが、なお、その一月六日のプラントの停止に至る時間的な経過だとか、そのときの判断の根拠等々も含めまして、今これ以上のことを言うのは、まだ今後の調査にもまちたいということでございます。
 以上でございます。
#268
○矢島委員 続いて通産に聞きます。
 この事故の原因の究明と対策ということで調査特別委員会というのを設置することに決めましたが、もう既に発足しているのですか。そして委員長はどなたに決定しているのか、あるいはまだこれから決めようとしているのか、その辺。
#269
○三角説明員 御説明いたします。
 今回の事象につきましては、通産省といたしましては、作業グループのみならず、先ほど申しました福島第二原子力発電所三号機の調査特別委員会というのをつくるということで、十七日にその旨を表明したわけでございます。委員長はどなたかということでございますが、我が方に原子力発電技術顧問会というのがございまして、各方面の方がいらっしゃいますけれども、その委員でもございますが、原子力の安全の権威、システム設計、安全設計の権威でございます東京大学工学部原子力工学科の秋山教授に委員長をお願いするということで、今回の事故の事実の究明、あわせて、もちろん原因の究明、事実の把握、各般の技術分野があると思います。それで、先生を中心として委員の早急な人選と申しましょうか、今その経過にあるということでございます。
 以上です。
    〔委員長退席、若林委員長代理着席〕
#270
○矢島委員 続いて聞きますが、その秋山守さんですか、この秋山さんは、安全委員会の専門部会はどんなところに所属しているかおわかりでしょうか。
#271
○村上政府委員 お答えします。
 ただいま三角課長から御説明がありましたように、秋山先生は通商産業省の、行政庁の顧問でございますので、安全委員会の審査会の方のメンバーではございません。所属しておられません。
#272
○矢島委員 秋山さんは、安全委員会の中の原子炉安全基準専門部会にはいらしたことがあるということですか。
#273
○村上政府委員 お答え申し上げます。
 安全基準専門部会には所属しておられます。
#274
○矢島委員 ついでに聞きますが、秋山さんはもう一つ専門部会の方に所属していらっしゃると思うのですが。
#275
○村上政府委員 ただいま調査いたしますが、今のところちょっとわかりません。
#276
○矢島委員 いずれにしろ、わかった時点で教えていただきたいと思うのですけれども、その間、別の質問の方に入っていきたいと思います。
 エネルギー庁に聞きたいのですが、この一F六の問題なんですが、福島第一原発六号機の問題ですが、これは三号機と同じ形の再循環ポンプを使っている。現在も運転中ということで、福島県もまた県民もこのことに大変不安を持っているという状況にあるわけですが、この一F六は運転を停止して点検に入るべきだと思うのですが、その点についてどのようにお考えなんでしょうか。
#277
○三角説明員 御説明申し上げます。
 先生御指摘のように、福島第一原子力発電所六号機につきましては、同型の水中軸受けリングでございますけれども、これはもう既に十年近く運転を行ってございます。今回の原因の究明との関係でいえば、まだ推測ではございますが、なお念のためということでございまして、点検を昭和五十九年、六十年度でございますが、やってございます。それぞれのポンプの分解点検を実施してその健全性を確認しておることから、我々といたしましては、直ちに、今すぐでございますが、直ちにプラントを停止してまで点検を行う必要はないのかなというふうに考えてございますけれども、私どもの理解では、先般、これはきのうでございましょうか、東京電力におきましては四月の中旬でございましょうか、福島第一原子力発電所六号機の、これは夏場の前の中間点検というのが予定されているやに聞いてございますけれども、その機会を利用しまして、若干期間を延長し、水中軸受けについても点検、取りかえを実施するといったようなことを私としては聞いてございます。
 以上でございます。
#278
○矢島委員 東京電力がどういうふうに対応するかはまた別として、エネ庁が特にこの第一原発六号機については直ちに点検に入る必要なしということについて、これは重大な問題じゃないかという点を指摘したいと思うのです。
 といいますのは、現在二F三というのは原因究明中である、何が原因でそうなったか、このような事故になったかということについては今解明中で追求中である、これは再三の答弁でそういう答弁がなされているわけです。そうしますと、この事故がなぜ起きたかということについては、これからの問題になっているわけですね。これからの問題が起こっておる状況の中で、なぜこの一六だけは安全だ、安全だ、いわゆる事故の原因そのものについてまだ明確にされてないわけです。
 ただ、私たちは、この問題で特に安全委員長にお願いしたいのですが、今度の事故の原因というのは、当初、東京電力の説明によれば、溶接ミス、いわゆる水中軸受けの円板部分の溶接に問題があった。こういうことで円板が脱落した。振動が激しくなってボルトが落ちた。この問題については、先ほど同僚の委員からもいろいろと指摘があったわけですけれども、そうではなくて、現在の質疑のやりとりの中で、三角課長も広い範囲で原因究明というものを考えていくという答弁がありましたけれども、ボルトの破損状況、とりわけ軸受けリングと羽根車の表面に摩耗による円周状の溝ができたということを考えると、これはボルトが先に落ちていて、そこへこの円板が落ちて、間に挟まって、回転している中でそのような破損が起きた、こう考えるのが極めて常識的といいますか、理論的だ。しかし、そのことについて、エネ庁の方が否定したわけではありませんが、その部分についても広く考えながらというのは、まだ、なぜこういう事故が起きたかという原因そのものを今究明しているさなかなのですね。それと同じ再循環ポンプを使っている一F六の方について、国民の不安が今非常にあるわけです。エネ庁としては今すぐとめて点検する必要は感じていないということですけれども、安全委員長として、事故を起こした第二原発の三号機と同じ再循環ポンプを使っている福島第一原発の六号機につきましても、とめて点検しろという勧告をする、こういうおつもりはございませんか。
    〔若林委員長代理退席、委員長着席〕
#279
○内田説明員 お答え申し上げます。
 まず、最初の問題でありますが、ボルトが先に脱落したのではないかという危惧について、私の全く個人的な見解でございますが、仮に水中軸受けのリングが健全であった場合に、ボルトが緩んで脱落するということは、やはり大きな異常振動がなければボルトは緩まないと思っております。仮に何らかの原因でボルトが水中軸受けのリングの脱落前に落ちたといたしましても、水中軸受けのリングの外周とケーシングとの間のすき間からボルトが抜けて下に落ちるということは、構造上まず考えられないと思っております。でありますので、やはり今回の問題は、水中軸受けのリングが脱落するような異常振動が起こり、あるいは脱落することによる異常振動によって、それが落ち、ボルトが緩んだのであろう、これは全く私の推測でございます。
 それから、同様の構造を持っておりますF一の六号についてでありますが、幸い柏崎一号も同じような構造と溶接を持っておりまして、それを最近分解点検したことは御承知かと思いますが、その結果では、溶接の異常もなかったし、構造の異常もなかったという報告を受けております。そのようなことを考えまして、またさらに監視体制を強化する指示を通産省も出しておりますし、東電ももちろん出していると思いますが、これはポンプの異常振動が起こったならば、直ちにそれを検知し確定した時点においてとめるという指示であろうと思いますが、そういう監視体制の強化がなされておりますし、柏崎の検討からも福島第二の第三号はやはり特定な溶接上の欠陥がその大きな原因なのではないかという推測はございますが、やはりこの際、福一の六号につきましても同様の構造でございますので、電力の安定供給に支障がない範囲では、なるべく早目にとめて中を点検して、新しい構造のものに取りかえた方がよいのではないかということは行政庁に申しておる次第でございます。
#280
○矢島委員 私たちは二月二十三日に現地調査に入ったのですが、そのときに初めて一月一日の異常振動が明らかになったわけですけれども、東京電力は、いろいろとこの間の状況について、事故隠しというように思われかねない事態もその後の発表の中で出てきているというような問題もあるわけですね。
 そういう問題の中で幾つか質問をしていきたいわけですけれども、まず、一月二十二日に再循環ポンプの分解点検を行った。その状況は通産省にも二月一日に報告されているわけです。先ほど申しましたように、私たちが二十三日に現地調査に入ったときも、二月三日のプレス発表と同じ内容のことを説明しておりました。その説明というのは、破損部分はすべて回収いたしました、特にすべてというところで摩耗等の質問をしたわけですけれども、その部分についてはすべて回収したんだ、摩耗現象については今調べているというような答弁でした。それから、ボルトの損傷について質問したところ、ボルトについては損傷はない。それから、炉心内に金属片が入っているのじゃないか、こういう質問に対しても、その心配はない。二月三日のときと同じようなことを繰り返しておりました。違う点といえば、一月一日の異常振動があったということと、それから座金の一部と見られる縦一センチ、横三センチ、厚さ一ミリの金属片が見つかっている、そういうようなことでした。損傷の状況から見まして、円板あるいは羽根車自身は摩耗していたのを、一月二十三日の再循環ポンプを分解点検した時点で東京電力は知っていたんだ。知っていながら、この三日あるいは我々が現地調査に入った二十三日、依然としてその部分を隠し通している。
 事故の原因の徹底究明と対策が必要なことは言うまでもありませんが、その前提として、こうした東京電力の姿勢というものについて、これは改めさせなければいけないのではないか、こう思うわけなんです。資源エネルギー庁、どうでしょうか。
#281
○三角説明員 今、先生から、二月二十三日先生方が現地福島にお入りになって種々東京電力から説明を受けた、そのときの言いぶりと、後日、タイミング的に事故の中身が故意に隠されていたのではないかというような御趣旨の御質問でございます。
 一つは、その中で三点ほど先生の方からは挙げられまして、摩耗粉は全部回収しただとか、ボルトに損傷はないだとか、炉心内に金属片は入ってないだとか、そういう御説明を受けたというお話がございました。
 私の今の感じと申しますのは、東京電力が、先生方がお入りになったときに、これは二月の二十三日の時点だということでございましたけれども、その時点で先生方にどのような説明を行って、今の先生の御発言になったかについては、東京電力がやった説明ぶりをしかと承知してございませんので、何分のコメントは御容赦願いたいのですが、ただ私思いまするに、その前後の新聞報道等を我々もそれなりに読んでございます。そういう報道等によれば、例えば当初の時点で未回収のものというのは座金が二個でございますか、そういうことだけであるやの印象を与えるような説明が仮にあったのかどうか。新聞にはそんなふうなニュアンスのこともございましたし、ルースパーツにつきましてはジェットポンプとの口径の関係で、いろいろ技術的に難しい、今そのときの判断をどうこうするのは酷かとも思いますけれども、ルースパーツが炉内に入って、炉内の容器内へ流入しないがごとき印象を与えるような発言が多分あったのかな、これは印象でございますが、そういうことが伝えられてございます。これは先生の御指摘がもしそういうことであれば、極めて適切さを欠くといったようなことで、我々としてもある点につきましては、その都度、報告の若干のおくれ等も含めて我々よりそれなりに注意をしていた、こういう事情にございます。
 以上でございます。
#282
○村上政府委員 秋山先生の所属を申し上げますと、原子炉安全基準専門部会、それから原子炉施設解体安全専門部会、この二つに所属しておられます。安全審査会には所属しておられません。
#283
○矢島委員 その解体の問題についてお伺いしようかなとは思ったのですが、時間の関係がありますのでまた後ほどということで、今の質問の続きになるわけですが、そういう状況でどうも東京電力の対応というのは、国民への新聞発表と事実が発見された時点との食い違いがあったり、時間的なずれがあったりするという状況で、今資源エネルギー庁の方等の見解は聞いたのですが、科学技術庁長官といたしまして、こういう東京電力の態度というのはまず改めさせて、そして本当に事故の究明と対策を進めなければならないのじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#284
○宮崎国務大臣 原子力の安全性を考えますと、事故の詳細な資料、こういったものが非常に役立つわけでございますから、十分にひとつありのままを報告していただきたいと思いますが、私からも通産大臣にきょうのあなたからの御意見を伝えたいと思っております。
#285
○矢島委員 続いてまたエネ庁に聞きますけれども、東京電力から一月一日の事故について聞いたのは一月の五日だと聞いておりますが、そうでしょうか。
#286
○三角説明員 先生の御指摘のとおりでございます。
#287
○矢島委員 そこで、先ほど来運転管理専門官のことの質問が出ているわけですけれども、そうしますと、この運転管理専門官は一月の五日に福島の第二原発に入って、そしてそのとき一月一日の状況について把握し、あるいは東京電力から説明を受けた、こういう経過になりますか。
#288
○今永説明員 お答えいたします。
 運転管理専門官はサイトのそばに事務所を持っておりますが、通常事務所勤務と、それからサイト内の点検のためのサイトヘの駐在を繰り返しているわけでございまして、実際にサイトで報告を受けましたのは一月五日の時点でございます。
#289
○矢島委員 そうしますと、この一月五日の時点で一月一日の異常振動が生じた状況について聞いたわけですが、そのときエネ庁の方にも報告はあったのでしょうか。
#290
○今永説明員 一月五日の時点で東京電力の本社からの連絡がありますと同時に、運転管理専門官からも本省に対して連絡がございました。
#291
○矢島委員 そのときエネ庁としてはその報告を受けて、その事故についてどういう受けとめ方をしたのですか。
#292
○今永説明員 既に資料で御承知だと思いますが、一月五日の時点では一たん既に一月一日の振動が終息をいたしておりまして、特に五日の日は非常に振動のない状態でございました。しかしながら、こういった振動が出たということ自体については早急にその原因を調査する必要があるという認識を持っておりまして、関連パラメーターその他詳細な調査を、専門官にも点検を行うよう指示するとともに、私どもも調査を始めたところでございました。
#293
○矢島委員 そうしますと、一月一日の状況については一月五日の時点で既に知っていた。ところで、一月六日の警報は、四時二十分にアラームが鳴りました。それから延々と六時五十五分まで鳴っている。このときに運転管理専門官はどこにいたわけですか。
#294
○今永説明員  一月六日の時点、アラームが初めて鳴りましたのは午前四時でございますので、その時点ではまだ運転管理専門官は自宅におったわけでございます。
 それから、六日の振動が出たことについて、実はこれも東京電力からの報告、通報におくれがございまして、六日の午前十時に運転管理専門官並びに私ども資源エネルギー庁の方に連絡が入った次第でございます。
#295
○矢島委員 そうしますと、運転管理専門官はその事故の、警報アラームが鳴った時点にはいなかったけれども、やがてサイトに来るだろうと思うのですが、そのときにどういう措置をとるように専門官はしたのですか。
#296
○今永説明員 一月六日の時点で、午前四時二十分にアラームが発信いたしました後、東京電力では直ちに出力の低下を行っておりまして、午前七時までに約七十四万キロワットまで出力を下げてございます。私どもが報告を受けました午前十時現在では、東京電力は社内での連絡をとった上で原子炉の停止を行うことを決定いたしておりまして、その旨私どもに伝えてまいりました。
#297
○矢島委員 結局、運転停止へ向かうまでの間、つまり六日に異常が発生して、そして警報器がずっと午後の六時五十五分までですか、鳴り続けるという事態の中で、十時になってやっと報告が通産省に来た。そして実際にとめ始める。この間非常に時間がかかっているわけですね。つまり、こういう事態が生じたのですから、直ちにとめなきゃならないわけです。ところが、それまでに入る時間というのが極めて長時間にわたっている。エネ庁はこれを知っていて黙認し続けたのですか。
#298
○今永説明員 一月六日の時点で警報が出ました後、一月一日と違って基本的には東京電力は原子炉の出力低下等の措置をとって、振動の状況を見ながら対応しておったわけでございます。私どもも、事実を知りました午前十時以降の段階においては、原子炉を、今度はプラント全体を停止するということで、そのための準備作業に入っておりましたので、その段階以降の措置は、基本的には段階を追って操作が行われたものと理解しております。
 ただしかしながら、午前四時以降、最終的にポンプを停止するまでに相当時間がかかったことは事実でございまして、この点について果たして十分な措置、対応がとられたかどうか、そういったことについては今後の原因調査等も踏まえながら、そういった調査の中で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#299
○矢島委員 先ほどの質問にちょっと戻るわけですが、といいますのは、一月二十三日に分解して点検を行った、その時点でいわゆる異物という形で回収された金属片がある、これは二月一日に報告を受けているのですか。
#300
○今永説明員 二月一日の時点では、一月二十三日のポンプの分解を進めてきて、その結果について基本的には報告を受けております。その後、実際に私ども発表を行ったのが二月三日なわけでございますが、その二月一日から二日あるいは三日にかけて逐次、遺失物といいますか、ルースパーツになった部分が回収されてきまして、一つ一つが何時だったかということを今記憶しておりませんけれども、そういった状況でございました。
#301
○矢島委員 その二月一日以降の中で異物が存在する、つまりこのときで非常に重要な問題は、座金が二つどこかへ行っている、見つからないということが中心的に報道されたり、また注目を受けていたわけですね。その異物というのが座金の一部と思われるわけですが、その報告はいつ受けて、どんな内容だったかわかりますか。
#302
○今永説明員 若干いろいろ話がまじっているような気がするわけでございますが、一つは、二月三日に発表した時点で主要なルースパーツになっていたもの、これは一つには羽根車の破片と、あとボルト、座金でございますが、大半が回収されまして、二月三日の時点で、主要なものとしては座金あと二個がまだ見つかっていない、そういう状況でございました。それからあと、座金と思われる金属片、座金の三分の一相当の大きさの金属片が実はポンプの中で最初の分解点検時に見つかっておったわけでございますが、これについての報告が二月二十日までなされておりませんでした。これについては国、県ともども報告を受けていなかったために、東京電力に対して厳重注意をいたしております。
#303
○矢島委員 事ごとそういうように後からいろいろ問題が出てきているわけですが、ボルトの損傷報告はその時点で受けましたか。
#304
○今永説明員 ボルトの損傷とおっしゃる意味が若干わからないのですが、三月十七日に発表しました資料にもございますとおり、ボルトは一部ねじれたり、あるいは押しつぶされた形のものもございますが、基本的にはねじ山等も残っておりまして、かなり健全な状態に近いものであったと認識しております。
#305
○矢島委員 原子力安全委員長に聞きますが、今回の事故についてエネ庁から三回状況を聞いた、一月十二日、二月二日、三月二日と。この二月二日にボルトの損傷について報告を受けていますね。
#306
○内田説明員 二月二日の時点で、水中軸受け取りつけボルト八本のうち五本が欠損しているという報告は受けております。
#307
○矢島委員 欠損、いわゆるボルトそのものがねじれたり、一部ねじ山がすり切れていたりという報告は受けていますか。
#308
○内田説明員 五本のボルトの欠損の状況は、今のお話のように一部雄ねじがつぶれていることも受けております。
#309
○矢島委員 時間が相当差し迫った問題ですが、三月十五日に原子力安全局の名前で「ポンプの損傷について」というのが出ておりまして、三回にわたり金属片の状況、原因の調査状況について詳しい報告を受けている、その詳しい報告が今おっしゃられたような内容だ、こういうふうに理解してよろしいですか。
#310
○内田説明員 はい、そのとおりでございます。
#311
○矢島委員 このボルトの損傷から、金属破片が炉心内に入っていることを既にその時点で判断しているわけだと思うのですよ。ところが、この金属破片が炉心内に入っているということが発表されたのは二月二十八日なんですね。このことを安全委員会は三月二日に聞いたという報告があるわけです。
 科学技術庁長官にお聞きしたいのですが、今までずっとやってきましたように、東京電力の発表とそのときの事故の把握の状況と次の展開とが、いろいろと国民に疑惑を持たせるような状況でずっときているのですね。ですから、事故の真相を明確にして、国民に明らかにする、こういうのは政府としても当然の責任だと思うのですが、長官、いかがお考えですか。
#312
○宮崎国務大臣 ただいまのエネ庁の課長さん方とあなたの対話を聞いておりますと、やはりそうかなというような感じがいたします。また、事故に際して本当の真実をどんどん出してもらって対策を進めていく、もちろんそう外部に発表しなくてもいいものもあるでしょうし、原子力安全委員会がございますから、安全委員会の方もいつでも開いてやっておりますから、今後はそういうことのないようにひとつ関係行政庁も、そしてまた電力会社の方も十分に気をつけてやっていただきたいと考えておる次第であります。
#313
○矢島委員 最後の質問になると思いますが、この問題ではまだまだ明らかにしなければならないことがたくさんあるわけですが、時間が切迫しましたので、最後に、私たち、三月七日に宮崎科学技術庁長官に四項目にわたって申し入れを行いました。
 一、事故を起こした再循環ポンプの構造の再検討を含め、徹底した事故原因の究明、万全な措置と対策を行うこと。
 二、福島第二原発3号機の核然料棒の徹底精査を行うこと。
 三、福島第二原発3号機の運転記録をはじめ、事故に係わる一連のデーターを公開すること。
 四、事故のあった福島第二原発3号機と同型の再循環ポンプを使用している福島第一原発6号機についても、直ちに原子炉を停止して点検を行うこと。
 この中での資料提出については先ほど来同僚委員からもありましたが、私どももその資料の要求を申し上げますと同時に、長官がこのときに私たちに会いまして、行政庁としては安全第一を鉄則に進める、すべてのデータを公開することが国民の信頼を得ることにつながる、こういうお話を申し入れのときに伺ったのですが、その気持ちは変わらないということでよろしいですか。
#314
○宮崎国務大臣 そういう基本的な方針でやってまいります。
#315
○矢島委員 終わります。
#316
○中川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
#317
○中川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#318
○中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
#319
○中川委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、若林正俊君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。若林正俊君。
#320
○若林委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  
  政府は本法施行にあたり、原子力施設における安全の確保に万全を期するとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 賠償措置額については、今後とも国際水準等を勘案しつつ、引上げに努めること。
 二 不測の事態に対処するため、防災計画、避難訓練のより一層の充実強化を図ること。
 三 原子力発電施設の大型化、稼働期間の長期化、最近の事故等にかんがみ、運転及び点検体制の充実を図るなど一層適切な運転と厳格な点検、補修を実施するよう指導すること。
 四 低レベル放射線の人体に対する影響に関する研究を一層推進すること。
 五 原子力事業従事者の被曝線量の低減と健康管理の一層の充実に努めること。
以上であります。
 各事項の内容、趣旨につきましては、案文及び委員会審議を通じ、十分御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#321
○中川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 若林正俊君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#322
○中川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、宮崎国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮崎国務大臣。
#323
○宮崎国務大臣 ただいま原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。
 私といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重し、安全確保を大前提に原子力開発利用を進めるとともに、原子力損害賠償制度の整備・充実に努めてまいる所存でございます。
 何とぞよろしくお願い申し上げます。
#324
○中川委員長 お諮りいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#325
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。〔報告書は附録に掲載〕
#326
○中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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