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1988/06/07 第114回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第114回国会 本会議 第18号
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1988/06/07 第114回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第114回国会 本会議 第18号

#1
第114回国会 本会議 第18号
平成元年六月七日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成元年六月七日
    午後一時開議
   一 国務大臣の演説に対する質疑
    …………………………………
 第 一 新技術開発事業団法の一部を改正する
     法律案(内閣提出)
 第 二 大気汚染防止法の一部を改正する法律
     案(内閣提出)
 第 三 雇用保険法及び労働保険の保険料の徴
     収等に関する法律の一部を改正する法
     律案(内閣提出)
 第 四 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関
     する法律の一部を改正する法律案(内
     閣提出)
 第 五 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部
     を改正する法律案(内閣提出)
 第 六 日本鉄道建設公団法及び新幹線鉄道保
     有機構法の一部を改正する法律案(内
     閣提出)
 第 七 特定農産加工業経営改善臨時措置法案
     (内閣提出)
 第 八 航空業務に関する日本国とオーストリ
     ア共和国との間の協定の締結について
     承認を求めるの件
 第 九 航空業務に関する日本国とトルコ共和
     国との間の協定の締結について承認を
     求めるの件
 第十  水資源開発公団法の一部を改正する法
     律案(内閣提出)
 第十一 民間都市開発の推進に関する特別措置
     法の一部を改正する法律案(内閣提出
     )
 第十二 国会議員の選挙等の執行経費の基準に
     関する法律の一部を改正する法律案
     (内閣提出)
 第十三 日本輸出入銀行法の一部を改正する法
     律案(内閣提出)
 第十四 日本開発銀行法の一部を改正する法律
     案(内閣提出)
 第十五 特定新規事業実施円滑化臨時措置法案
     (内閣提出)
 第十六 金融自由化対策資金の運用及び簡易保
     険郵便年金福祉事業団の業務の特例等
     に関する法律案(内閣提出)
 第十七 郵便貯金法の一部を改正する法律案
     (内閣提出)
 第十八 郵便為替法及び郵便振替法の一部を改
     正する法律案(内閣提出)
 第十九 放送法及び電波法の一部を改正する法
     律案(内閣提出)
 第二十 国立学校設置法の一部を改正する法律
     案(内閣提出)
 第二十一 恩給法等の一部を改正する法律案(
      内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
 内閣、地方行政、法務、外務、大蔵、文教、社
  会労働、商工、運輸、逓信、建設、科学技
  術、環境、予算、決算及び懲罰の各常任委員
  長辞任の件
内閣委員長外十五常任委員長の選挙
    午後一時二分開議
#2
○議長(田村元君) これより会議を開きます。
    ―――――――――――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(田村元君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
#4
○土井たか子君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、一昨日行われました宇野内閣総理大臣の所信表明に対して質問いたします。
 初めに、この壇上から新総理に対して御就任のお祝いを申し上げるのが礼儀でありましょうが、今回、私は、あえて失礼を顧みず、大変御苦労さまですと申し上げる以外にございません。今日日本の政治が全体として置かれました厳しい状況を思うとき、また、政府・自民党が前回総選挙で三百を超える議席を得て以来とってきた数々の国民をないがしろにしたやり方を振り返るとき、そして宇野新総理がそうした中曽根内閣、竹下内閣を踏襲されようとしておられることが明白であると考えられるとき、到底お祝いを申す気にはならないのであります。(拍手)
 宇野さん、あなた方の党と政府が長い間重ねてきた政治の腐敗はついに頂点に達して、まじめな国民のこれまでの努力に泥水を浴びせてしまいました。国民が勤勉と誠実で築いた国際的な信用は、今は、日本と商売するには幾らわいろを使えばいいのかといった軽べつと非難に取ってかわろうとしています。あなた方がリクルートゲートヘの国民の怒りから逃げ惑い、あるいは居直ってみせている間に、世界は米ソ関係を中心に深い対立から大きく転回し、二十世紀の歴史にエポックをつくろうとしています。あなた方が二言目には口にする大国日本は、人類の将来にとってのこの大事な時期に、国際政治の上で一体どのような貢献をしようとしているのか、さっぱりわかりません。これもあなた方の腐敗に伴う政治空白のなせるわざと言えましょう。
 思い起こせば、三年前の六月二日、くしくも、総理、あなたが首相に指名されたのと同じ日付の日に、あなたの派閥の領袖でもあった中曽根元総理は、当時よく言われたいわゆる死んだふりまでされたあげくに本院を解散し、同日選挙に打って出ました。そして、大型間接税はやらないという大うそによって国民の莫大な支持を獲得いたしました。
 それから三年間に、あなた方の党と政府は、国民のために一体何をしたのでしょうか。公約で否定した大型間接税を、売上税、消費税とし、手を変え品を変えして強引に押し通したことと、空前の政府・与党全体が汚濁にまみれていることを白日のもとにさらしたリクルート疑惑と、この二つ以外に一体何があったのでしょう。
 選挙を空約束で操作し、新しい税金を欺隔と力で押し通し、国民に謝りもしない。汚職の疑惑にはなるべくふたをし、潔白の証明はなおざりにし、政治浄化には抜け道を探す。国民はこんなことですべてを受け入れると思われているのでしょうか。まさに権力と数のおごりなのであります。(拍手)
 戦後、自民党政権のもとでさまざまな汚職が摘発されました。その都度、反省と政治倫理確立への決意が述べられましたが、過去のどの汚職事件をも上回るリクルート疑獄事件が起こったのであります。なぜこうしたことが繰り返されるのか。それはまさに自民党自身が言うけじめをつけないからであります。総理や大蔵大臣をやめれば、派閥の領袖を辞任し離党すれば、幹事長や政調会長などの自民党役員をやめればけじめがついたと言えるのでしょうか。
 政治家のけじめとは、検察の捜査報告でもなければ、立件不可能という刑事上の判断でもないはずでございます。政治家であるがゆえに、庶民には縁遠い巨額の不正なお金を懐に入れたんです。そのけじめたるや、公職である政治家を辞すること、みずからが議員としての出処進退を明らかにすることではないでしょうか。国会は四年前に与野党全会一致で政治倫理綱領を決定し、私たちは、疑惑を持たれた場合にはみずから真摯に解明し、その責任を明らかにしなければならないと誓約いたしました。国会で証言し、疑惑が払拭できないときは速やかに議員を辞職する、それが国民が要求しているけじめであります。
 宇野総理、あなたが、自民党総裁として、責任を持って、国会における少なくともロッキード事件並みの政治家にかけられた疑惑に関する捜査報告及び参議院における中曽根元総理の証人喚問を実現するか否か、それが第一歩として問われているんです。虚言と形式で国民をだまそうとする政治姿勢は今日許されないことを銘記すべきであります。
 総理、あなたは、宇野内閣ができたことによって一連の不祥事はけじめがついたと言われるのでしょうか。世論調査を見る限り、国民の八〇%は、けじめなどはついていないとはっきり言っています。伊東前総務会長は、表紙を変えても中身が変わらなければだめだと総理就任要請を固辞されたと伝えられています。結局、宇野さん、あなたは表紙が変わっただけで中身は変わっていないということなんでしょうか。この点、はっきりしていただきたいのであります。一昨日の所信表明では、けじめと政治改革を巧みにすりかえておられますが、まず、このけじめをはっきり御答弁いただきたいのであります。
 さて、あなたは政治改革を進めると言われる。自分の内閣は改革前進内閣だと言われます。しかし、国民から見れば、あなたにも政治改革を語る資格はないと見えましょう。議会制民主主義の危機を招いた自民党の後継総裁としてのあなたがまず第一番になすべきことは、解散・総選挙を実施し、国民の信を問うことであります。(拍手)すなわち、宇野内閣は、国民の支持とは全く関係なく、自民党の中にもあった批判の声を抑えて成立しているのであります。
 しかも、宇野さん、あなたは、三年前の選挙のとき、中曽根総理の派閥を代表する自民党幹事長代理でありました。うそで導き、うそで勝った選挙に直接かかわった中枢の人であり、中曽根さんのうそと責任を分け合わねばならない人であります。
 政治改革の第一歩は、今は亡き三木元総理が言われたように、民衆を恐れ、そして民衆を信頼することではないでしょうか。あなたをリリーフに立てた自民党は、民意におびえ、国民の審判を恐れているだけではありませんか。中曽根内閣は公約違反で倒れ、竹下内閣はリクルートで倒れ、二度にわたる政権たらい回しによって真実を糊塗するのではなく、ここにおいて今あなたのなすべきことは、解散・総選挙以外にないではありませんか。死んだふりではなく、正々堂々と解散に臨む、それ以外に国民の政治への信頼回復を図り、政治改革の第一歩をしるす道はないではありませんか。私は、宇野総理の決断を求めたいと思います。
 次に、あなたが最重要課題とされている政治改革について伺いたいと思います。
 考えてもみてください。リクルート事件は、額に汗してまじめに働く人々に対する勤労のとうとさを傷つけ、正直に誠実に生きることを子供たちに諭す教育の場に黒々とした影を落とし、あまっさえ日本のエリートたちの思想と行動が内外から厳しく問われ、国際的信用を失墜する結果を招いたのであります。まことにこの深刻さには慄然といたします。あなたは、このとき、自民党が決定した政治改革大綱を金科玉条のごとく評価なさいますが、果たしてこれによって国民が望んでいる政治改革ができるとお思いですか。とんでもございません。
 以下、ポイントを申し上げましょう。
 一つは、政治献金の公開基準を現行の百万円から六十万円に引き下げるといいますが、既にリクルート疑惑で明らかなように、皆多くの政治団体に分散し、法の網をくぐっているではありませんか。政治団体を三十、四十と持って資金を分散し、報告を免れて、政治資金規正法を守っていますという、この免れて恥なしの考え方が今問われているのです。一企業一年幾らかが問題なのではなく、企業からお金をもらえばそこに癒着が牛じ、常に汚職の原因が培養されることが問題なんです。なぜ企業献金の禁止を言わないのか、ほとぼりが冷めればとあなた方がたかをくくっているからにほかならないではありませんか。
 二つには、政治家のパーティー券の購入額のト限を一団体百五十万円に規制しようとするのも同様です。国民は、政治家が一晩のパーティーで三億、五億、十億と一般庶民が目をむくようなお余を集めることが異常だと怒っているのです。さらに、それには税金がかかりません。これでは国民が納得しないのは当然ではありませんか。
 三つは、政治家の資産公開もそうです。所得も資産もいつどのような手段で取得したのかが問題なのであり、例外なくあらゆる所得、資産を対象とすべきです。そうでなければ、政治献金やわいろで家を買っていたのか、秘書名義やトンネル会社名義で別荘を持っているのか、わからないではありませんか。
 四つ目は、冠婚葬祭などにおける寄附行為の禁止の強化にしても、抜け道ぽかりです。
 先般、中曽根元総理は、秘書が株の譲渡を受け、その売却益約四千万円は秘書が自分のつき合いで冠婚葬祭費などに使った、したがって、自分は一切関知せず潔白であると公言されました。最近、自民党の若手の方々が発表した一年間の政治活動費は、平均約一億数千万と言っておられます。それが選挙地盤の培養と言われるのですから、あきれ果てて物も言えません。このような国民から見れば非常識な抜け道だらけの自民党の政治改革大綱であることは明白であります。
 五つ目に、選挙制度に関する提案もございます。
 小選挙区制ならばお金がかからないかのように言っておられますが、これも噴飯物であります。派閥で議員獲得を競い合い、選挙で買収や供応を行い、日常、冠婚葬祭などのつき合いと称し地盤培養を行っているのは、主に自民党ではないですか。あなた方は、参議院の全国区を比例区にすればお金がかからないとしましたが、実態は、名簿の順位をえさに巨額の金と党員数を競わせているではないですか。
 私どもは、ただいま批判した点につきましても、その他につきましても、野党四党共同で、あるいは社会党として、御承知のとおり具体的な対案提起をいたしております。ビジョンも理念も反省もなく、ただただ時節柄政治改革を口にし、自民党が決めたその場しのぎの政治改革大綱を唱えていればよいという宇野総理の姿勢では、とても国民の求めているものにはなりません。この節、思い切った出直しの改革のために私どもは努力する決意をはっきり申し上げておきます。(拍手)
 ある新聞は、あなたを評して、言語明瞭・政策不明などと言っております。一昨日の所信表明を聞いておりますと、確かに、総理としてのあなた自身の識見も政策も、残念ながら何も見えませんでした。首班もかわり、閣僚の多くも交代しております。内閣がかわれば施政方針も変わるのは当然であり、ですから、私たちは、たらい回しはノー、解散・総選挙によって今の自民党の政治姿勢、政策の是非を国民に問い直すべきだと言っているのです。
 今回、竹下内閣は、国民の支持率の急落、すなわち実質上の不信任によって退陣したことは明白であります。政治的に失脚した内閣と新内閣が継続性を持ち、その路線をそのまま新内閣が継承するなどということは聞いたことがありません。あなたは竹下内閣の政策を継承する中継ぎなのか否か、まず明確にしていただきたいと存じます。
 竹下内閣の政策路線を継承するとおっしゃるなら、これはこれで重大な問題であると言わなければなりません。
 第一番に忘れてならないのは、消費税の問題です。宇野総理も、消費税が、大型間接税を導入しないとした国会決議、政府統一見解、自民党の選挙公約に反するものであることは、御承知だと思います。
 消費税はことし四月一日についに強行導入されました。竹下前総理は、九つの懸念を表明されたまま何も解決せず、導入だけして、やめてしまわれました。導入後二カ月で既に消費税が大変な悪税であることが立証されています。便乗値上げも含めて、物価は、政府の約束を大幅に超えて、前年比三%以上の上昇を示しています。ことしの賃上げの平均が、定期昇給を除けば三%台です。大企業に働く平均的サラリーマンでも、消費税によって可処分所得はマイナスとなるのです。低所得者や年金生活者などは、もう大赤字です。中小零細企業も大変です。政府は価格転嫁と言いますが、自治体や特殊法人だって転嫁できないのに、商店などがどうして転嫁できるでしょう。
 あなたは、消費税は定着しつつあるなどとおっしゃっていますが、とんでもないことです。国民が泣いていることを定着と言うなら、テレビに出てくる悪代官も顔負けと言わねばなりません。私は全国を駆け回っておりますが、特に女性の三%への怒りはただごとではありません。毎日朝から晩まで税金を取られている気持ち、毎日が納税日という気持ちが総理におわかりになりますか。私は、消費税を撤廃し、不公平税制の徹底是正に取り組むべきだと思います。
 総理、あなたが継承すべきは、消費税ではなく、それを導入しないとした公約であるべきです。あなた方は、この評判の悪い消費税を手直しなどと言っておられますが、参議院選挙向けのやりもしない空約束ではありませんか。多くの国民は、消費税の手直してはなく、出直し、すなわち廃止を望んでいるのですよ。それができますか。明快な御答弁を求めます。(拍手)
 第二に、年金の問題です。
 竹下内閣が高齢化社会に備えるためと称し消費税を導入しながら、現在の年金六十歳支給開始を六十五歳に繰り延べよう、そうして保険料も大幅に引き上げようという提案を行い、国会に法案を提出していることは言語道断であります。あなたはこの年金改悪も継承されるのでしょうか。我が国は、一人当たりGNP世界第一位を誇っておりますが、年金などは極めて低水準にあり、最低年金を見ましてもスウェーデン、イギリス、カナダなどなどに比べはるかに低く、国民所得に対すろ社会保障給付費の割合も、アメリカ、西ドイツ、フランス、イギリスに大きなおくれをとっています。それをさらに後退、改悪しようとする竹下前内閣の政策をあなたは胸を張って継承すると言い切られるのか否か、お示しをいただきたいと存じます。
 そして第三に、農業問題であります。
 さきの新潟県知事選挙の結果からもわかるように、政府・自民党に対する不信感は、伝統的な保守地盤とも言われた農村部にも広がっておりすす。これは、政府・自民党による減反の強制、出産者米価引き下げ、十二品目及び牛肉・オレンジの自由化決定など、一連の農業切り捨て政策に対する農民の怒りの表明と言えましょう。
 総理は、外務大臣として、直接十二品目及び牛肉・オレンジの自由化決定に携わってこられました。また、ガットのウルグアイ・ラウンドにおける我が国の米問題にかかわる議論についても関出してこられました。この間の宇野外交は、譲歩に次ぐ譲歩の連続でありました。いいかげんに農業切り捨て政策を農業再建政策に切りかえるべきです。これ以上の市場開放は絶対に行わず、消費者の理解も得ながら、自給率向上と環境・国土保全を基本とした農林業政策を打ち立てるべきと考うますが、あなたは、国内の農林業再建には冷淡、農産物自由化は進めるという前政権の政策を継承なさるのでしょうか。
 第四に、外交、防衛問題です。
 宇野総理は、外務大臣時代のみずからの外交か自負されておりますが、あなたにも、日本のアメリカに対する軍事面における肩がわり、防衛関係費の突出に責任があることは明らかであります。あなたは、世界の軍縮の潮流に逆行し、軍備増強を続け、GNP一%枠突破を続けるというこれまでの自民党内閣の政策を継承されるおつもりですか。あなたは、世界の紛争国を訪問し、平和を訴えてこられたことを力説されますが、みずから日本がアジアの脅威となることには平然とされるのでしょうか。
 また、あなたは非核三原則の堅持を表明され印したが、アメリカの空母タイコンデロガが日本の近海で水爆を落とし、しかも国民は二十四年間この事実を知らされておらず、なおかつ、この空舟が二日後には数十個の核兵器を積んだまま横須曹に入港したと伝えられております。この事実に対して総理はどのように国民に御説明なさるのでしょうか。事前協議はないから核の持ち込みは丸いという何やらの一つ覚えのような御答弁では、もはや国民は信用いたしません。明確にお答えください。
 また、百億ドルを突破した日本の政府開発協力ですが、ひもつき、権力者の利権や基盤強化なりという批判に対して、なぜ謙虚に耳を傾けないのでしょうか。従来の自民党内閣同様、相変わらず被援助国の民衆からは日本の援助に対する返上論すら起きるような状態を放任し、戦略援助、す九わちアメリカの世界戦略を肩がわりする援助政策に腐心するのですか。
 私が一番心配しているのは、アジアにおける平和、人権、善隣関係の問題です。
 今、お隣の中国では大変な事態が起きております。銃弾によって数千人規模の市民、学生が死傷しており、日本の政府としても、隣国として、七人であるからこそ毅然たる態度で中国政府に臨む、へきであります。あなたは、この重大な事態に対して、その所信表明で一言も触れられなかったというのはどうしたことでしょう。軍隊が無事の市民を銃で弾圧し殺傷するようなことは絶対に許されることではなく、人命と人権の尊重について断固とした態度を示すべきであります。(拍手)
 総理、目前に迫ったパリ・サミットはいつもと違う意味を持っているように私は思います。ポスト冷戦と言われる時代を迎え、軍縮と平和共存をより確かなものとし、地球環境や発展途上国問題など、人類共通の課題の解決に向かって新しい一歩を踏み出すチャンスであります。今こそ、平和憲法の原点に立って、世界に貢献する言行一致の決意を示すべきときであります。サミットに御出席されるであろう総理にその御決意のほどを伺います。
 最後に、宇野総理、あなたの演説を伺っておりますと、立て板に水の弁舌でありますが、内容は空疎であります。竹下前総理は、我慢、忍の一字で政権に執着されました。国民はそれを許しませんでした。あなたも、多弁をもってこの日本の国にとっての危機を乗り切ろうとされているのかもしれませんが、私どもは大いなる危惧を感ずるのであります。まず民意に問う、あなたの内閣に課せられた使命はこれしかありません。(拍手)
 あなた方が宣伝するのとは異なって、私ども日本社会党は、野党共同で政権を担当する用意を持って今日の政局に臨んでおります。私たちは、必ず国民の負託にこたえ、国民の信頼を確立し、政治の浄化、消費税の廃止という課題を達成するため全力を挙げることを国民の皆さんにお誓いし、私は、再度、重大な決意を持ってあなたに解散・総選挙の実施を促し、総理の所信に対する質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宇野宗佑君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(宇野宗佑君) ただいまは、土井委員長の真摯なる御質問をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。私も誠意を持ってお答えいたしたいと思います。質問の内容を私もきちっと分析いたしましたので、その順序に従いまして御答弁申し上げたいと思います。
 まず、問い一でございますが、新内閣ができたことでけじめがついたと考えるかという御質問がございました。
 私の内閣は、御承知のとおり、若手を重視することにおいて清新強力な内閣をつくったと思います。そして、その課題は、あくまでも政治改革が最重要課題でございます。そうした決意で私たちは臨みたいと思います。ただ、申されましたとおり、内閣がかわっただけでけじめがついたと、そのようには考えておりません。
 次には、リクルート事件に関しまして、ひとつ衆議院を解散して国民の信を問うべきである、こういう御質問がしばしばございました。
 私たちは、リクルート事件は国民に大変な政治不信をまいたと思います。また同時に、官界あるいは財界、そして政界の癒着というものに対しましても相当な疑念が起こっておることも十分承知いたしております。当然こうした解明にはメスを入れていかなければなりません。そうしたことが私たちに課せられた政治改革の一番大きな使命であろう、私はかように考えております。したがいまして、この内閣が政治改革を最重要課題として不退転の決意で臨みました以上は、まずそのことをやらねばならないというのが私たちの最大の使命でございます。だから、現在といたしましては、解散は全く考えておりません。
 その次に、国民が求めているリクルート問題のけじめは、政治家を辞することではないか、このような御質問もございます。
 既に最高指導者としての竹下前総理がみずから責任をとって辞職もなさいましたし、同時に、その当時の総理大臣の元中曽根総理も党籍を離脱されましたことに対しましては、私たちは評価してよいと思っております。しかし、リクルート問題に関係する議員は、司法上の責任の有無にかかもらず、やはり議員としての名誉を重んじ、良識に基づいてみずから対処すべきである、かように款は考えております。具体的には、リクルートコスモス株の公開直前に取得されましたいわゆる売却利益の還元、さらには該当議員の一定期間の自足党役職等の辞任等、私はこのことを進めております。
 議員の辞職自身に関しましては、これは御承知のとおり議員自身が選挙区の方々と相談をして判断すべき問題である、このように私は考えております。
 なお、リクルート事件の捜査報告やいかん。既に中間報告がございましたから、国会の国政調査権に関しましては、法令の許す範囲内でできる限りの協力をすべきであると承知いたしております。したがいまして、国会から報告の要請があった場合には、その時点でその対応をやっていきたいと考えております。
 参議院の中曽根喚問の実現、これをぜひとも実現せよ。こういう御趣旨の質問もございましたが、行政府の長である私といたしましては、やはり院においてその意見が決められるべきである、院の意見によってそうしたことは決められるべきである、かように考えております。
 そこで、自民党の政治改革大綱は国民の求める政治改革ではないという、そうした御批判がございましたが、この点に関しましては若干具体的にお答え申し上げたいと思います。
 つまり、この改革に対しまして、一応有識者会議なるものがございました。この有識者会議の提言がございます。これが一つ。その提言をもとといたしまして、自民党におきましては政治改革大綱なるものを決定いたしました。これが一つでございます。したがいまして、この二つに関しまして、抜本的な改革が示されておりまするから、私はこれを高く評価いたしておりまするが、では、現在どのような課題がそこに提案され、なおかつそれがどのような状態にあるかということも大切でございますから申し述べたいと思います。
 まず、一、閣僚等の資産公開の改善・強化。二、閣僚等の株式取引の自粛。三、閣僚等の保有株式の信託。これが七つの提言のうちの三つでございます。このことに関しましては、既に閣議で申し合わせております。
 二番は、選挙制度、政治資金制度、二つございますが、このことに関しましては、長らく休眠汗態にありました選挙制度審議会をすぐにでも発見させて、ここで十二分に検討するよう、私は自治大臣に指示いたしました。やがてそのメンパーが発表され、またその仕事が進められると考えております。
 さらに、同じ公選法、政治資金規正法に関しましては、既に自由民主党からその改正案を国会に提出いたしております。ぜひともこれは今国会において成立するよう、各党各会派の御協力を私行お願いいたすものであります。
 また、国会議員の政治資金とその他の資金の明確化、政治資金の透明性の確保、さらにはパーティーの規制、さらには冠婚葬祭等への寄附規制の強化、さらには政治倫理綱領の実効性の確保、これがやはり有識者の提言の中にあり、また大網で示された問題でございますが、これらの問題に関しましても、私たちといたしましては、今申し上げました二つの法律の中に含めていろいろと具体化を図っておりますので、ぜひともその御審議の促進をお願いするととろでございます。国会議員等の資産公開につきましては、自民賞におきまして、政治倫理の確立のための国会議員等の資産公開に関する法律案、これを今国会に提出すべくただいま準備中でございます。
 さらに、自由民主党におきましては、政治改革推進本部を設置いたしまして、全党的に改革の推進に取り組む予定であります。本日、このことも、政府・党四役会議を開きまして確認をいたしております。
 派閥の弊害除去と解消の努力につきましても、閣僚は在任中派閥を離脱するととを申し合わせました。自民党におきましても、党四役は同様の決定をいたしております。
 つまり、自由民主党の政治改革大綱では国民の要望に合わない、こういうふうな御質問でございましたから、私は、このように合うべく努力している、既に実施しているということをただいまお答え申し上げたわけであります。(拍手)
 次に、国会改革もやはりこの際考えていただかなければならないと思います。
 このことに関しましては、やはり両院議長にお骨折りをいただき、与野党間で協議をして早急に推進されることを私といたしましては希望する次第でございます。
 次に、政治不信によって退陣した竹下内閣と新内閣が継続性を持つのは前代未間で、竹下内閣の政策を継承するのか、こういう御質問がございました。
 私は、はっきり申し上げますが、組閣も私自身の考え方で決行いたしましたし、同時に、全党的な見地から適材適所でその行政を進めたいと考えております。だから、継承と影響を受けて行政を行うというものは全く別物である、継承したから影響を受けるものではない、そのことを私ははっきり申し上げておきたいと思います。
 しかし、前内閣は大変な努力を傾注されまして、税制改革、ふるさと創生、行財政改革、立派な施策を樹立されました。私は、その成果の一層の進展のために努力をすることをここでお誓いしておきます。そのために、私は、スローガンといたしまして、「政府はスリムに、国民は豊かに」ということを申し述べておるような次第でございます。
 なお、公的違反の消費税は手直してはなく廃止すべきである、こういうふうな御発言でございます。
 昭和六十年二月六日の衆議院予算委員会におきまして、中曽根元総理の発言は、時の内閣の総理としての発言であり、その重みは十分認識いたしております。つまり、縦横十文字、大規模な投網にかけるようなことはいたしませんということを言っておられるわけであります。私たちも、今日、消費税に関しましては、そうしたことを十分考えてやっておるわけでございまして、その点を御理解賜りたいと思います。
 つまり、今回の消費税は、この元総理の発言という原点から出発しておりますが、その後のさまざまな経緯、論議等のすべてを踏まえ、国民各層の御理解を得られるように、衆知を集めて工夫した苦心の作であります。そのような消費税であるということを御理解賜りたいと思いますし、また、その創設の目的は言わずもがな、高齢化社会、国際化の進展、将来の展望を踏まえまして、税に対する不公平感をまず払拭すること、続いて所得、消費、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築すること、もって経済社会の活力を推進し、さらには豊かな長寿・福祉社会をつぐる、こういう目的でございます。したがいまして、私は、消費税は国会における論議を経て創設されたものでございますから、廃止する考えはございません。
 しかしながら、やはり初めての税でございますから、なじみも薄く、いろいろと国民の間におきましては声が持ち上がっております。私は、そうした国民の皆さんの声には謙虚に耳を傾けながら、消費税が国民生活に定着するよう、幅広い視野に立ちまして各般の努力を行ってまいる所存でございます。
 なお、消費税の見直しにつきましては、過般所信表明の中においても申し述べましたとおり、税制改革法に、納税者の事務負担、消費税の円滑かつ適正な転嫁の実現状況、納税者の税負担の公平の確保の必要性等を踏まえて見直しを行う旨規定されております。私たちは、この問題に関しましても、税制調査会においてその実情を十分勉強していただいて、適切に対処していきたい、かように考えております。
 厚生年金支給開始の年齢に関する御質問でございますが、人口の高齢化の急速な進展の中で、年金の給付水準を維持しながら後代の負担を適正なものとするためには、支給開始年齢の引き上げは避けて通れない課題である。これは来年からかというような方がいらっしゃいますが、さようにあらずして、平成二十二年から六十五歳、このようなことでございます。そこを誤っていただくと大変でございます。したがいまして、引き上げに当もりましては、できるだけ早目にスケジュールを国民の前に明らかにし、十分な準備期間を設けて段階的にその実施を図る、繰り上げ年金の措置もあわせて実施する、かように考えております。
 なお、繰り上げ年金とは何かという、まだ御承知でない方もおられると思いますからあえて申し上げますならば、繰り上げ年金とは、六十五歳計であっても六十歳を超えたときには本人の選択外減額して支給する年金をいうことでございます。多くの国民の方々にもこのことを御説明申し上げておきます。
 なお、農林業の再建政策でございますが、我が国といたしましては、活力ある地域社会の維持と、国土・自然環境の保全など、農林業の持つ多面的な役割を十二分に踏まえながら、一層の生産性の向上を図っていきたいと存じます。したがいまして、供給体制を維持することも必要でございまするし、そうした供給に努めることを基本として、広く国民の理解と協力を得るよう今後も努力いたします。
 なお、軍縮の潮流と一%枠突破という問題でございます。
 幸い、米ソの対話の継続によりまして確かに一種の新しい潮流が流れ出しております。私は、対決よりも世界的に対話の時代になったことを歓迎するものであります。しかし、依然としてやはり力の均衡による抑止によって平和と安全が保たれておるという事実を無視するわけにもまいりません。
 我が国といたしましては、防衛費に関しましては、御承知のとおり「防衛計画の大綱」に従いまして、この水準を達成することを目的として中期坊の着実な実施に向かっております。中期防は十八兆四千億で、総額明示方式で、ここにも一つのはどめがあるわけでございます。このことも御理解賜りたいと思います。
 なおかつ、政府といたしましては、他国に脅威を与えるような軍事大国にはなりません。前総理も私も、各国に参りますたびに、経済大国日本は軍事大国にならず、このことをスピーチのまくら言葉として、世界に我が国の平和的存在を訴えておる次第でございます。したがいまして、今後ともそうした基本理念で節度のある防衛力の整備に私たちは努めたいと考えます。
 続いて、米艦船による日本への核持ち込みでございますが、先般、一つの事件が発生いたしました。すなわち、タイコンデロが号事件でございます。そのときも私ははっきりと、この件に関しましては日本政府は重要な関心を有すということをまず声明いたしました。
 同時に、それと前後いたしまして、五月九日、米国では、米国は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しておる、日米安保条約及び関連釣り決めのもとでの義務を誠実に遵守してきておるから、今後も引き続き遵守する、どういうふうに言ってくれております。つまり、核に対する我々日本人の特別の感情というものは米国はよく知っているはずでございます。
 したがいまして、その核の持ち込みに関しまては御承知の事前協議があるわけであり、我々は、それによって核の持ち込みが事前に相談にへけられました場合には、当然非核三原則によりましてこれを拒否します、こうした従来の姿勢とくく変わりはございません。
 続いて、アメリカ世界戦略の肩がわりをしておるのではないか、こういうことでございますが、我が国の外交はあくまでも自主的外交でございまして、少しも肩がわりをしているわけではございません。幾つもの問題がアメリカから提起されますが、私はその都度に、非軍事的面ならば日本は協力をいたしましょう、このように言ってまいりましたが、今後もその線は堅持するつもりでございます。
 なお、中国情勢と日本政府の対応でございます。これは非常に重要な問題でございますから、私から細かく御説明申し上げたいと思います。
 まず、中国と日本との関係、これは中国とアメリカとの関係とは全く違う、このことを自覚しなくちゃいけません。なぜかならば、我々はまず中国とはかつて戦争関係にあったという過去を持っております。この過去には十分反省をし、戦争を通じて中国国民に御迷惑をかけた、このことに対しましても日中平和友好条約で明らかにいたしております。
 したがいまして、中国の要人と出会いますと、にもかかわらず時折日本では、目の前で親を殺され子供を殺されたその悲惨な体験を受けた人たちの思い出を思い起こすような発言がある、これでは日中永遠の平和というものは保たれません、そうした発言なきように、私はこれは大切な言葉であると思っております。したがいまして、そうした感情から申し上げましても、今その中国において、例えば政府側、学生側あるいは軍隊側、いろいろと混乱を来しております。このときに、私はあえて黒白をつけたような発言をすることは避けなければならないと思います。しかし、銃口を国民に向けるということはゆゆしきことであるということを私たちは申し上げなければならない。それが私の言う憂慮すべきことである。だから一日も早く平静になってほしいと日本政府は希求する。特に中国には御承知のとおり八千三百名の在留邦人がおられます。本日、この人たちに対しまして退避勧告を出しました。もちろん必要な方は、残ってください、さにあらずんば退避なさい、こういう勧告を政府といたしましては出した次第です。そのためには、やはり飛行機もどんどん出さなくち争いけません。混乱した地に飛行機をおろすためには、やはり政府は政府としての慎重な態度が必要でございます。どなたを敵に回しましても、邦人の救済ができないということになれば大変でございます。
 だから、私はさような意味で過般の所信表明の冒頭においてもこのことにはあえて触れなかったわけでございますが、本日、土井委員長の質問でございます。私も当然言わねばならぬことでございましたから、中国の状況には憂慮する、特に銃口を国民に向けられるというようなことはあってはならないことである。しかし、私たちはなお一層その情勢を分析をして今後対処していきたい。さような意味で外務省にも特別検討本部をつくり、邦人保護対策の委員会をつくったような次第でございます。
 なお一方、本日、中国大使を外務省に招きまして、医療品等の緊急援助、このことに関しましても、隣国に対して日本としてはやらねばならぬことがあるから、そうしたことをしてもよいか、こういうことも本日問い合わせをしておる。こうやって、総合的に私たちは隣国のことを考えていかなければなりません。おおむねそのことで御理解を得たと私は思います。最後に、。ハリ・サミットでございますが、もちろん、先進七カ国が相寄りまして、平和と安全に関しましていろいろとお話を申し上げます。同時に、東西関係を初めとする国際情勢に進展が見られておる今日の状態を踏まえながら、さらに西側北進民主主義諸国、その国々におきまして連帯と協調を一層図っていこうではないか、こういうことがサミットの課題でございます。特に、最近七年間にわたりまして、世界の経済は非常によい状態にございます。しかしながら、インフレヘの懸念があるではないか、あるいは、なおかつ輸出入のインバランスの問題があるではないか、そのために保護主義が台頭しているではないか、特にアメリカのスーパー三〇一条のごときは保護主義の最たるものではないか、こういうような問題に関しましても、世界がマクロ経済政策によってこういう問題を調整するよう努力をしなければならない、それに日本としても積極的に参加する、このことを御理解願いたいと思います。そして自由貿易体制の維持、これが日本にとりまして大変必要なことでございます。
 さらに、それ以外にも、途上国の債務問題あるいはまた環境問題、こういう問題もいっぱいございますので、積極的にこうした問題の討議に参画をいたしまして、さらに世界の平和のために日本が努力することを国際場裏においても鮮明にしたい、かように思っておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(田村元君) 村田敬次郎君。
    〔村田敬次郎君登壇〕
#7
○村田敬次郎君 私は、自由民主党を代表して、宇野内閣総理大臣の所信表明に対し質問をするものであります。質問に先立ち、一年九カ月にわたり自民党総裁及び内閣総理大臣として内外の懸案に果敢に取り組まれ、このたび、政治不信に対する一つのけじめとして、かねてからの持論に基づき、もののふの進退について潔い決断を示された竹下前総理に対し、深甚なる敬意をあらわすとともに、御慰労を申し上げるものであります。(拍手)高齢化社会の到来と経済、社会の一層の国際化に対処して、長寿・福祉社会をより確実なものとして維持していくために不可欠な、十年来の懸案であった税制改革をなし遂げ、「世界に貢献する日本」としての国際協力構想を推進されるなど、内外の重要課題に示された数々の実績は、後世、必ずや評価されるものと確信するものであります。
 さて、現下の政治情勢は、リクルート問題に端を発する国民の政治不信は極めて深刻であり、議会制民主主義は重大な危機を迎えております。このようなときに内閣総理大臣に就任することは、恐らく我が国政治史上かつてないほど困難な任務の選択であると言っても過言ではありません。宇野総理はみずから新内閣を改革前進内閣と命名されたように、宇野総理に求められている第一は、政治改革を直ちに実行に移し、国民の政治に対する信頼を回復することであります。
 今日の国民の政治不信の主因は、政治家個々人の倫理性の欠如、多額の政治資金とその不透明さ、不合理な議員定数及び選挙制度、わかりにくい非能率な国会審議、派閥偏重の党運営などであります。中でも政治と金の問題は政治不信の最大の元凶であります。
 政治倫理は、第一義的には個人の自覚によるべきであり、みずからを厳しく律する姿勢の徹底を必要とするものであります。国民は正直であります。国民の信託によって国政を任されている政治家は、かりそめにも正直な国民の信頼にもとることのないよう努めることは言をまちません。そもそも、我々議員みずからが昭和六十年に決定した政治倫理綱領を守っていれば、今回のような政治不信は生じなかったはずであります。今改めて我々自身が政治倫理綱領の遵守をみずからに厳しくこれを課すべきであります。
 また、政治家が地位の利用や政治資金の私的流用による資産形成を行うようなことは決してあってはなりません。このため、我が党は、これまで総理及び閣僚が行ってきた資産公開の対象を、すべての国会議員に拡大する提案を行っています。今国会においてぜひ実現を期したいと考えております。
 一方、政治資金は、政治に携わる者にとって政治活動の自由が保障される大事な一要素であります。しかし、今日、政治資金は庶民感覚からかけ離れるほど肥大化し、その使途、収入も不透明なことから、本来の政策活動や政治活動に要する資金さえ国民から理解されない側面があります。そのために、政治活動にそぐわない支出を徹底的に抑制し、収入は公正明朗な資金とし、収支を公開して透明度を高め、政治資金の公正を確保することなど、政治資金についての新しいルールを確立すべきであると考えます。
 我が国憲政史上長い歴史を持つ衆議院中選挙区制は、これまで我が国の政治の安定に役立ってきました。すなわち、自民党が多数の議席を確保できる制度であると言っても過言ではありません。しかし、金のかかる選挙、政党間の政策競争の欠如を招くなど、政治のさまざまの面で問題を生んでいることも事実であります。さらに、議員総定数や選挙区間の定数の格差、衆議院と参議院の機能のあり方についても国民の間に強い批判があります。
 私は、今こそ選挙制度の抜本的な改革に取り組むべきであると考えます。
 その一つは、議員総定数を公職選挙法本則に定める四百七十一まで削減することであります。
 第二には、格差の是正であります。昭和六十一年五月の国会決議にあるとおり、選挙権の平等を確保するため、議員定数を適正に配分することであります。
 第三は、選挙区制の抜本改革であります。
 政治改革の課題の多くは、いずれも中選挙区制の見直しと分かちがたい関係があります。中選挙区制のもとにおいては、政党本位でなく個人中心の選挙となりがちであります。野党のように単独政党での政権担当の意思を持たない場合はいざ知らず、我が党のように常に責任ある政権政党を目指す限り、同じ選挙区で激しい仲間同士の競争は避けられません。このことは、ややもすると、日常の政治活動や選挙運動が、政策で競うのではなく、利益誘導の政治や後援会組織の維持、有権者へのサービス競争となって、多額の金がかかる選挙を生む原因となっています。
 選挙制度の抜本改革は、現行制度の中で長年過半数を制してきた我が党にとって大きな痛みを伴う大胆な改革でありますが、この際、あえて選挙制度の抜本改革に取り組むべきであると考えます。もとより、選挙制度の改革は、議員自身に直接かかわる問題であり、改革は容易ならざるものであります。しかし、改革による新しい選挙制度を具体的に決定し、実行に移すまで、ある程度の期間を設けることにより、実現への道を開けるものと確信するものであります。
 国民の政治不信の大きな原因の一つに、国会運営のわかりにくさ、審議の非能率ぶりがあることは否定できません。いわゆる国対政治の弊害をなくし、国会法の原則に立ち返り、委員会の独自性、自主性が発揮される、開かれた、国民にわかりやすい国会運営に改めるべきであります。(拍手)
 国会議員が、言論の府であり、かつ国権の最高機関にふさわしい国会議員同士の活発な政策論議を行える国会でなければなりません。また、議会制民主主義における多数決原理は、異なる意見の存在を認めることを前提に、討論を通じてそれぞれの見解を明らかにし、最後に多数決によって国家意思を決定することであります。このルールは、たとえ少数党であっても、審議の場において言論によって競い合い、その評価を国民に問い、選挙による審判を受け、多数党となる可能性を保障しているのであります。
 もちろん、多数党が審議を軽視して多数決を乱用することは厳に慎むべきでありますが、一方、ルールを無視した審議拒否や議会における実力行使に対しては厳重に対処するなど、毅然とした議会運営がなされるべきであります。いわんや、さきの国会での牛歩戦術等は全く論外なことであります。(拍手)さらに、予算委員会への全閣僚の出席等、時代にそぐわない慣例等を見直し、また押しボタン方式を採用するなど、能率的、合理的な国会運営を行うべきであります。
 これらは、やろうとすれば次の国会からでもやれることであります。要はどこまで本気でやるかということであります。我が党は、議長のもとに第三者による臨時の機関を設置し、その結論を最大限に尊重することも提案しています。
 また、我が党は、政治改革を確実に実現し、国民の信頼を取り戻すため、政治改革推進本部を設け、国民の共感を得つつ、国民とともに政治改革を進めることを決意しています。総理は、総理であると同時に我が党の総裁であります。政治改革推進本部の設置を総裁としてどのように受けとめておられますか。
 以上、私は、政治改革に向けて、政治倫理、政治資金、選挙制度、国会の運営等について申し述べましたが、一つ一つの課題について総理の御所見と決意を明確にお示しいただきたいと思います。
 最近の国際情勢は大きな転換期を迎えています。米ソ間あるいは東西の欧州諸国間では、軍事力の削減や軍備管理・軍縮についての努力がなされ、また、現在、欧州人権会議が開かれているなど、米ソ関係を初めとする東西関係は対話を基調とするようになりました。中ソ関係も、六〇年代以来の対立から正常化へと新しい動きを見せ、カンボジア問題など世界各地の地域紛争解決に向けての積極的な動きも出ております。
 このような動きは、対話を通じて国際情勢を安定化することを目指すものでありますが、同時に、他方で東西が対峙するという基本的枠組みには変化がないことも事実であります。最近、緊張緩和というような認識が一部に出ておりますが、私は、東西関係の基本的枠組みには変化はないという認識に立って国際関係の一層の安定化を目指していく必要があると思います。
 総理は現下の世界情勢をどう認識されておられるのか、その上で、我が国の外交をいかに進めていこうとされているのか、お伺いしたいと思います。
 去る五月二十五日、米国通商代表部は、包括貿易法のいわゆるスーパー三〇一条に基づき、日本がスーパーコンピューター、衛星及び林産物の三項目につき問題を有する優先国である旨認定いたしました。我が国をあたかも不公正貿易国と認定するこのような一方的な認定は、日米間での話し合いを通じた問題解決を無視し、いたずらに両国間の対立をあおりかねないと懸念いたしております。こうしたいわゆる一国独断主義は、現在ガットのウルグアイ・ラウンドにおいて行われている多角的自由貿易体制推進に向けての各国の努力を著しく損なう危険を有していると考えます。
 貿易摩擦の再燃及びスーパー三〇一条に基づく認定に対して、これにいかに対応しようとされるのか、総理のお考えをお伺いいたします。
 我が国と中国は一衣帯水、善隣友好の関係にあります。その中国において、学生の民主化要求運動が市民の支持、参加も得て長期化し、ついに先月二十日には北京において戒厳令がしかれるという事態にまで発展しました。そして、六月三日深夜、戒厳当局が戦車など大規模な部隊を出動させて、実力行使により学生を強制排除するという事態に立ち至りました。報道によれば、その際、無差別発砲により無辜の一般市民をも巻き込み、多数の死者を出すという大惨事となったとのことであります。
 中国情勢がかかる事態に至ったことに対し、政府としてはいかなる認識を持っておられるのか。また、今回の事態により、中国の改革・開放の政策が停滞するのではないかとの観測もありますが、政府はどのような見通しであるのか、お尋ねいたします。
 なお、現在北京には約三千百名、中国全土では約八千百名の邦人が滞在していると承知しておりますが、その安全確保には最大限の努力が払われているものと思います。これまでのところ邦人の被害は僅少であると聞いていますが、事態は極めて流動的であります。邦人の安全確保のためいかに対応されるのか、あわせてお尋ねいたします。
 我が国の安全と繁栄を確保するためにも、世界最大の債権国、黒字国としての国際責任の観点からも、我が国は国際社会に対し応分の貢献をしていく必要があります。その意味で、昨年、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化を三本柱とする国際協力構想を打ち出したことは、内外の要請にこたえた時宜を得たものであったと思います。また、本年は、環境等の地球的規模の問題解決にも積極的な対応をとることを明確にされました。
 七月はアルシュ・サミットが開催されますが、総理は、「世界に貢献する日本」の実現に向けて、国際協力構想や地球環境問題にいかに取り組んでいかれる所存か、お伺いをいたします。
 最近の我が国経済を見ますと、国内需要が堅調に推移し、企業収益は一段と増加しており、雇用情勢も引き続き改善するなど、景気拡大が続いており、その期間も、昭和四十年代前半のイザナギ景気以降では最も長期に及んでいるところであります。
 このような中にあって、我が国経済運営の基本は、まず豊かさを実感できる活力に満ちた社会の実現であります。また、自由世界第二位の経済力を有する国として、世界経済の発展へ貢献を果たしていくことが求められております。このため、今後とも内需主導型の経済成長を持続させるとともに、対外不均衡の改善、国際社会と調和した経済構造の実現に向け、一層の構造調整を進めることが肝要と考えます。今後の経済運営の基本と見通しについて、総理のお考えをお伺いいたします。
 ここ数年、消費者物価、卸売物価とも落ちついた動きを続けてまいりました。しかし、最近は、急激な円安や原油価格の上昇など、我が国の物価を取り巻く環境は従来ほど順調なものであるとは言えなくなってきています。本年度に入ってからの消費者物価の動向を見ましても、例えば五月の東京都区部では、昨年と比べ上昇率が三%を超えるなど、かなり高くなっています。インフレこそ最大の増税であります。こうした状況のもとで、インフレを未然に防止しつつ健全な経済運営を進めるためには、特に財政金融政策の機動的運営が重要であろうかと思います。総理の御見解をお尋ねいたします。
 さて、先月二十八日に平成元年度予算が成立いたしましたが、長年にわたる財政改革努力の結果、平成二年度特例公債脱却は達成可能と思われます。しかしながら、過去の財政赤字のツケである公債残高は、平成元年度末には実に百六十兆円を上回る見込みであり、その利払い等のための国債費が歳出全体の約二割を占め、政策的な経費を著しく圧迫している状況に変わりはありません。このような点を考慮いたしますと、特例公債脱却を達成すべき平成二年度はもとより、特例公債から脱却した後も引き続き財政改革を推進していく必要があると考えます。総理の財政改革についての新たな目標とその決意をお聞かせいただきたいと思います。
 今回の税制改革は、今までの税制が今日の経済社会の現状に十分適応できない状態にあったため、これを抜本的に見直し、高齢化の進展等将来の展望を踏まえ、国民が納得のできる公平で簡素な新しい税制の確立を目指したものであります。具体的には、所得税、住民税、相続税、法人税など、直接税の大幅な減税を行うとともに、間接税については、物品税の廃止など従来の個別間接税制度を抜本的に改め、消費一般に薄く広く負担を求める消費税を創設することにより、直接税と間接税がそれぞれの長所を生かし短所を補い合うような、バランスのとれた税体系をつくり上げたのであります。しかし、残念ながら、こうした税制改革の趣旨や全体の姿、特に、消費税負担分を差し引いても所得税、住民税を中心に二兆六千億円の大減税が行われていることについて、国民の十分な御理解がまだ得られていないように思います。政府においては、今回の税制改革について国民に正しく理解していただけるようなお一層努力すべきではないかと考えますが、総理の見解をお聞かせください。
 特に、消費税は、スタートして二カ月余を経過した今日まで、幸いにして国民の皆様の冷静な対応のおかげで大きな混乱もなく、全体としておおむね順調に実施されていると思われます。しかし一方で、消費者サイドから見て、事業者免税点制度や簡易課税制度などの中小事業者のための措置が不公平であるとの御指摘があり、これについての見直しの声があります。しかし、私は、何よりもまず消費税の実施の状況を的確に見きわめ、今問題と言われているものが本当に手直しを要するものかどうか、もし手直しするとすれば、どのように行えば事業者にも消費者にも納得していただけるのか、把握する必要があると存じます。
 また、宇野総理は、所信表明の中で、新内閣としては税率の引き上げを提案しないとはっきり言われていますが、国民の間にはなお税率引き上げを懸念する声があります。この点を再度確認するとともに、消費税に対する総理のお考えをお伺いいたします。
 最近の農村は、農産物十二品目、牛肉・かんきつの自由化、さらには日本農業の基本とも言うべき米についても、三割にも及ぶ生産調整の実施や二年連続しての米価引き下げという厳しい状況にあり、農業の将来について非常な不安を抱いております。こうした中で、農家は、次は米の自由化があるのではないかという心配をしております。我が党は、国民の基礎食糧としての米については、自給方針を堅持し、将来とも自由化すべきでないという態度で臨んでおりますが、総理に改めてこのことを確認しておきたいと思います。
 また、農林水産業は、国民生活に最も重要な食糧を初め、活力ある地域社会の形成、国土・自然環境の保全という大切な役割を果たしております。これからは、長期展望のもとに、適地適産と生産性の向上による体質の強化を図ることを基本にし、意欲と能力を持った担い手に焦点を当てた構造政策の推進など、積極的な施策の展開が必要であると考えます。総理の御所見を伺います。
 地価の高騰は、国民の住宅取得を困難にするばかりでなく、資産格差の拡大による新たな不公平を増大しています。また、社会資本の整備や良好な都市環境づくりにも大きな支障を及ぼすなど、土地問題は今最も重要な政治の課題の一つであります。
 ここで、私は、我が国の土地の価格がいかに高いか、具体的な数字でお示しいたしましょう。
 昭和六十二年末における東京、千葉、埼玉、神奈川の一都三県の土地価格は八百七十六兆円、全国では一千六百三十八兆円と言われています。一方、アメリカは、日本の約二十五倍の国土でありますが、その土地の価格は四百三兆円であります。一都三県でアメリカの二倍、日本全国ではアメリカの四倍という計算になります。実に驚くべき土地の価格です。
 土地対策を強力に推進していくためには、これまで以上に土地の公共性を明確化し、土地についての共通の国民意識を確立するとともに、政府の土地対策について国民の理解と協力を求めていくことがぜひとも必要であると考えます。(拍手)
 政府は土地基本法を今国会に提出されておりますが、総理はこの基本法を初めとして土地政策を具体的にどのように展開されていくのか、お伺いいたします。
 土地問題に関連して首都機能の移転も重要な問題です。東京に人口や物や情報や諸機能が過度に集中し、土地、住宅、交通、さらには大災害発生の危険性など、深刻な問題が発生しております。他方、地方においては、産業構造の急速な転換の過程で大きな影響を受けた地域もあり、東京と地方との格差はますます拡大しております。このような東京一極集中を是正し、国土の均衡ある発展を図るためには、地方の振興策を推進することはもちろん、東京からの諸機能の分散を積極的に進めていくための思い切った施策の展開が不可欠であります。
 現在、政府が取り組んでいる国の行政機関等の移転については、民間部門の地方移転の先駆けをなすものとして重要な施策であり、その着実な推進が必要であると考えます。さらに、国土の均衡ある発展を実現し、安全で美しい国土を二十一世紀の国民に引き継ぐための抜本的な対策として、首都機能の移転問題について、目標、時期を定めた具体的な検討を行うことが必要ではないかと考えております。第四次全国総合開発計画においても、国民的規模での議論を踏まえ、検討していくこととされているところですが、この問題についてどのように取り組んでいくお考えか、総理にお伺いいたします。
 首都機能の移転とあわせ、地方自治の強化と地域の活性化を進めることは、国・地方を通ずる重要課題の一つであります。幸いにも、現在、全国の各地域において「自ら考え自ら行う地域づくり」事業等を契機として、地域の特色を生かした個性豊かな地域づくりへの取り組みが行われつつあります。地方自治を強化する観点に立って、地方公共団体への権限移譲などと地方財源の充実強化を図ることが必要であると考えます。また、ふるさと創生や地域の活性化に資する各種支援策を一層積極的に講じていくことも必要があります。総理の御見解をお伺いいたします。
 総理は、所信表明において、民心が求める倫理の確立を図り、未来に思いをはせ、裂帛の気合いを持って、清新、清冽な政治の実現を目指すと述べられました。私も同感であります。
 率直に言って、今国民の心は国会から離れたところにあります。政治は愛であります。ふるさとに対する愛、祖国日本に対する愛、人類に対する愛こそ政治の要請であると思います。心の触れ合いのない政治であっては、どんな政策も真の血の通ったぬくもりのあるものとはなりません。(拍手)
 今政治に対する信頼を取り戻すために我々は何をなさなければならないのか。それは、我々は過去の業績に甘えることなく、今日我々が犯した過ちに対して厳しい反省をみずからに加え、謙虚な気持ちで、政治不信を招いたことに対して国民に深くおわびすることから始めなければなりません。厳しい反省と謙虚な姿勢なくして国民の心は戻らず、政治の正義は生かされるものではありません。
 この反省は、責任の重い地位にある者ほどより重く、より深く、真剣に考えなければならない政治的義務であると思います。そして、今政治家として最高峰に立たれた宇野総理は、この難局の中にあって、最も深く、最も真剣に、いかにして政治への信頼を回復し、いかにして政治的責任を果たすか、就任以来苦悩の連続であろうと拝察いたします。
 我々は挙党一致政治改革に取り組む決意であります。宇野総理の新たな決意と勇断に心から期待をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宇野宗佑君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(宇野宗佑君) 村田さんの広範にわたる御質問に対しましてお答え申し上げたいと思います。
 最初に、政治改革に対する所見、決意やいかんということでございますが、これは我が内閣の最大の重要課題であるということは、所信表明においても私は申し述べました。不退転の決意でぜひとも政治改革を行いたい、かように考えております。そして、国民の信頼を回復し、また政治倫理の確立を図る、そうした意味で、私たちは、選挙法の改正と政治資金の改正、この二つに関しましては、既に我が党におきましてもその結論を出しまして、国会において御審議を煩わすという段階になっております。ぜひとも、そうした意味では、我が党のみならず、政府のみならず、野党諸公の御協力のほども、私は衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
 特に、幾つもの政治改革大綱の課題が並べ立てられておりますが、既にしてその間の三つは実施しております。すなわち、閣僚の資産公開の改善・強化、閣僚等の株式取引の自粛、さらには閣僚等の保有株式の信託、これにつきましては、閣議でその実施を申し合わせました。
 だから、残り四つがございますが、これは法律改正によって実施すべき事項である。その一つは、国会議員の政治資金とその他の資金の明確化、政治資金の透明性の確保という一項目であります。二番目は、パーティーの規制でございます。先ほど土井委員長からもいろいろ御意見がありましたが、そうしたパーティーに対する自粛自制がここには込められております。三番目は、我々の選挙に関しましても、やはり冠婚葬祭等への寄附の規制の強化、これはぜひとも国民の御理解も仰ぎつつ実施をしなければならない問題でございます。四番目には、政治倫理綱領の実効性の確保。こうした四つの問題に関しましては、先ほど申し述べましたとおり、既に議員立法として自民党からは二つの法律案が出されております。速やかなる御審議を私はお願いを申し上げ、ぜひとも今国会で、国民が政治改革を望んでいらっしゃるのですから、こうした二つの改正に関しましては、与野党一致でこの国会でこの改正案が通過することを私は切にお望みするものでございます。(拍手)
 その次に、自民党自身の政治改革大綱におきましても、幾つもの旧弊を取り除こうということが決意されております。このことは、派閥の弊害除去と解消への努力が具体的に取り上げられ、閣僚懇談会におきましては、閣僚は在職中派閥関係か離脱するということを申し合わせましたし、また同時に、自由民主党の党役員も派閥離脱を決定いたしております。私自身も既に離脱をいたしました。
 さらに、選挙制度や政治資金制度に関する問題でございます。これは、私、非常に大切な問題かと思います。いやしくも選挙制度審議会において、このことを公正に、ひとつ速やかに議論をしていただきたいと私は思います。よく政治はしょせん権力闘争にすぎないと言われますが、この言葉は余りにもはかない、ここには国民不在というそうした問題がございます。やはり国民に対して、私たちは政策を立案し、それを予算化し、法律化し、そしてそのことについて討議をし、やがて与党も野党も歯車がかみ合うようにして、その利益を国民に還元していく、これが議会制民主主義でございます。したがいまして、今日までの空転が、今後、政治改革を唱える以上、あってはならないと私は考えます。そういうふうな我々の子の母体が選挙制度でございます。したがいまして、いろいろ議論はございましょうが、そうした選挙制度、なかんずく選挙区に関しましては、大がいいのか、中がいいのか、小がいいのか、私は、これはひとつ公正に選挙制度審議会において議論を賜りたい、かように考えておる次第でございます。
 なおかつ、その議論が出ますことは、ひとつ平年の十一月の国会開設百周年の時点までに、今申し上げました幾つかの改革が逐次実現すること々私は心から期待するものでございます。
 なおかつ、選挙制度審議会、今申し上げましたが、速やかにメンバーも決めまして、そしてその活動を起こしてくださいということは、既に自治大臣に指示いたしてございます。
 なお、村田議員から答弁を求められました、自民党にも政治改革推進本部を設置しなさい、伝統的な取り組みによって改革の推進をしなさい、ごもっともだと存じますので、本日、党の役員とこのことに関しましてその組織についての合意を得ました。強力なメンバーを配置することにおいてぜひともこれは推進いたしたいと考えております。
 また、国会改革につきましては、これは行政府と立法府の問題でございますから、私は希望だけを申し上げますが、両院議長にお骨折りをいただきまして与野党間で国会改革に関する協議を進めていただきたい、このことをお願いする次第でございます。
 いずれにいたしましても、今申し上げました問題は、短期、中期、長期、いろいろございましょうが、すべて我々は誠意を持って取り組んでいく所存であり、また、その決意をここに新たにいたしておきたいと存じます。
 次に、最近の国際情勢に関しましてでございますが、これは米ソ等の東西関係は大きく変化しつつあり、対話が定着いたしております。恐らく一昨年十二月のあのINFのグローバル・ゼロというものが大きな弾みになったことは事実でございますが、これをもって世界じゅうがすべて今や緊張緩和に向かったかといえば、まだまだ私はわきの下を緩めてはならない。なぜかならば、率直にゴルバチョフ書記長にも申し上げましたが、やはり我が国の周辺におけるソ連軍の存在は不安の材料ですから、どうぞその不安を除去してください、そうした上でさらに我が国との国交正常化のお話、平和条約締結の話もいたしましょう、こういうふうに申しておりますから、私はそうしたことをソ連にもお願いをしつつ、また要請をしつつ、世界の平和に我々みずからも貢献をしていかなければならないと考えております。(拍手)
 スーパー三〇一条に関しましては、日米両国は相互依存関係を一段と深めておりますが、やはり貿易上のインバランスという問題が大きく根っこに横たわっております。私は、米国の代表にも先般申し上げました。昨年、我が国が米国からの輸入をいたしました分は、実は百億ドル輸入額でプラスでございます、黒字は五十億ドルマイナスになりました、百億ドルと申しますと、フランスが米国から一年に輸入される分ですよ、その分日本は努力したんですよ、そうしたことを忘れて、お互いが友好国であるにもかかわらず、これは不正慣行の国なりと名指しされたことは甚だもって遺憾である、これが私たちの主張でございます。
 そして、そういう問題に関しましては、やはり竹下総理時代に、お互いに諸問題があろうが、両国の政策協調、両国の共同作業、これによりまして、話が小さくならないよう、均衡がとれましても、縮小均衡ではだめである、拡大均衡で、お互いの繁栄が世界の繁栄につながるようにいたしましょう、私はこういう線は守らなくちゃいけないと思います。そうした外交路線というものは、しっかりと今後も打ち立てまして、米国と十分話し合うつもりでございます。(拍手)
 なおかつ、両国は、やはりサミット等におきましても、主要なる役割を果たさなければならないという責任、その責任も私たちは忘れてはならないと考えております。
 次に、中国情勢でございますが、甚だ遺憾な情勢が続いております。
 先ほど申し述べましたとおり、日本と中国の間には、戦争という大変我々としても反省しなければならないような事態がございました。自後四十三年目でございます。まだその遺児等々たくさんいらっしゃるでございましょう。だから、我々としても、大切な友国、隣国といたしまして、非常に慎重に対処してまいりました。しかしながら、軍隊が国民に銃口を向けるということは、私はこれは甚だ遺憾な話である、こういうふうに申し上げておきます。まさに憂慮すべき事態である。したがって、速やかに平静になるよう隣国としてはお祈り申し上げます。だから、多くの傷ついた人たちがいらっしゃるだろうから、ぜひとも救護班、医療組織等々を派遣したい、いかがでございますか、このことも本日中国大使にお伝えしているところでございます。
 そして、八千人に及ぶ我が国邦人の引き揚げ、この生命をやはり大切にしなくちゃなりません。いかにして帰りたいという人を祖国へ帰ってもらうか、このことに政府はやはり努力をしなくちゃなりません。さような意味で、私たちは慎重なほど慎重であったことも事実でございますが、山村運輸大臣が非常に早くこうした問題にも手をつけていただきまして、昨日二便飛びました。しかし、二便ではやはり微々たるものでございます。今後も、そういうふうな手続に関しまして、外務省では対策本部を立てて速やかに邦人をお守りする、このことは政府の最大の任務であろうと私は考えております。
 「世界に貢献する日本」は、既に申し上げましたとおり、私も外務大臣当時から、平和のための協力とODAの拡充と並びに文化交流の強化、このことを申し上げてまいりましたので、これを三本柱といたしまして今後も努力をいたしていきます。
 地球環境問題でございますが、確かに最近二つの大きな問題があります。それは、炭酸ガスによって地球が温暖化されておるが大丈夫か、また、フロンガスが充満してオゾン層を破壊しておるが大丈夫か、こういう問題でございます。これは人類共通の問題でございますから、日本といたしましては、二国間の協力や国連環境協力を通じまして、国際協力、調査研究の推進に当たってまいります。サミットにおきましても、この問題は大きな問題となるでございましょう。幸い、今年九月、前内閣の提唱によりまして世界を代表する有識者による地球環境保全に関する国際会議を東京において開催する予定でございます。こうした意味でも、日本は地球環境問題において先駆けとその使命を果たしたい、どういう決意であります。
 経済運営に関しましては、我が国はいろいろな面におきましてよい環境に整えられております。また、我が国の経済は、個人消費やそして設備投資を中心に内需が順調に推移しておりますが、先ほどもお答えいたしましたように、やはりインフレ懸念、こうしたものをどうするか、インバランスという問題をどうするか、保護主義に対する圧力、これに対してどのように対処していくか、いろいろございます。とりあえず、我々といたしましては、サミットにおきまして、やはり外需に頼らない内需の大きな国としてその約束を果たしていきたい、かように思っておりますので、インフレなき持続的経済成長、これが我が国の一つの大きな目標であるということを御確認賜りたいと思います。
 また、インフレの未然防止でございますが、最近の為替レートや原油価格の動向を注視しながら、これに対しましては対処していかなければなりません。四月、五月の物価等々を眺めますと、一応、消費税を実施した場合にはどれだけそれが物価に影響するか、政府といたしましては一・二という数字をはじいておりました。これが五月の東京都区部、ここにおける物価といたしましては三・三となっておりますが、四月の全国では二・四でございます。こうした面におきましても、一応政府の予測とやや近い観点においてそうした問題が定着しつつあるということをうかがえますが、しかし、やはりインフレ対策というものは十二分に考えておかなければならないということでございます。
 続きまして、我が国財政につきましては、平成元年度末には百六十兆円を上回る、それほどの大きな、巨額の国債残高があるが、さて平成二年度にはどうなるであろうか、このときには必ずや特例公債依存体質から脱却せよ、こういうお話でございましたが、その目標達成に向けまして全力を傾けてまいりたいと考えております。しかし、仮に平成二年にそうした脱却が達成されましても、それをもってこれで財政は健全だと言うわけにはまいりません。今申しましたとおりに百六十兆円を上回るものが残っておりまするし、当然繰り延べ措置が残っておりますので、その解消が必要でございます。したがいまして、今後の高齢化社会の進展等に適切に対処していくためには、なお私たちは財政改革を引き続き強力に推進しなければならない、これが内閣の今日の考え方でございます。
 税制改革の広報に関して、もっとPRをしなさいということでございますが、確かに消費税のみがいろいろ議論されまして、肝心かなめの所得減税、法人税の減税、さらには不公平きわまりなかった物品税の廃止、こうしたことが国民の方々には余り理解されておりません。ぜひともこの面にも理解をいただきまして、増税、減税差し引き二兆六千億円の減税だということも、国民の方々には知っていただきたいと思います。こうしたことに関しましても、今後説明会等を通じまして十二分に広報活動を行いたいと考えております。
 消費税の見直しの問題でございますが、免税点制度等の見直しは、そもそも税制改革法に規定されております。したがいまして、全納税者の申告が一巡する来年五月までは定着状況を見守る必要があります。したがいまして、まだ見直しの内容、時期は申し上げるわけにはまいりませんが、私は政府税調にお願いをいたしまして、いろいろと国民の声に耳を傾けてください、そして耳を傾けてその点検をしてください、そして来年五月を待たず早目に勉強を始めてはどうか、こういうふうに私は政府税調に今そのことを勧めているところでございます。
 また、消費税の税率に関しましては、私の在任中におきましては税率の引き上げをいたしません。当然のことでございます。
 米の自由化に関してでございますが、これは既に、二国間では話はしない、ウルグアイ・ラウンド等多国間において話をしようということで、先般の国際会議におきましてもそのことが確認されました。
 なおかつ、長期の問題として、米そのもの、これは我が国の基礎食糧であるということが第一点。また、米を初め我が国の独得の農業は、これはやはり国家の安全保障に関する問題である、こうしたことが第二点。安いお米が入ってきて我が国の米作が衰えて、それを耕作する人がなくなって農業技術が失われたらどうなるのか、こういうふうなこと等を考えた場合、当然これは安全保障の問題である。したがいまして、長期の問題として、日本はそういう立場で九十五カ国の参加国がいろんな問題を議論されるときにお米の問題も議論いたしましょう、こういうふうなことで先般の国際会議は終了いたしております。
 したがいまして、そういうような立場でございますから、政府といたしましては、稲作の格別の重要性にかんがみ、国会における決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいる所存でございます。
 農林水産行政の基本方針やいかんということでございましたが、このことに関しましては、最も基礎的な食糧等の安定供給、さらに活力ある地域社会の維持、国土・自然環境の保全、これは我が国の経済社会と国民生活の土台を支える重大な役割を果たしていると認識いたしております。今後の農政の推進に当たりましては、このような農林水産業というものの役割を十二分に政府は踏まえまして、一層の生産性の向上を図ること、農業経営の安定を確保すること、国民の納得し得る価格での食糧の安定供給に努めること、こうしたことを基本といたしまして、農業者が将来を見通しながら営農が展開できるよう、新たな農産物の需要と生産の長期見通しの作成、構造政策の推進、農山漁村地域の活性化、技術の開発普及等諸般の施策を強力に展開してまいりたいと思っております。
 首都機能の移転につきましては、ただいま申されましたとおりでございますから、いろいろな提案がなされております。これは国土政策の観点だけでは決定しがたい問題でございますが、東京一極集中是正への基本的対応としては重要であると私たちは認識いたしております。したがいまして、政治・行政機能と経済機能の相互関係を含めまして、国民的規模での議論を踏まえ、幅広い観点から引き続き検討していきたいと考えております。
 地方公共団体への権限移譲でございますが、国と地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点から、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体で処理できるよう、そのことをするのが必要であろうと思っております。政府は、従来から、臨調あるいはまた行革審の答申を踏まえまして、機関委任事務の整理合理化等を推進してまいりました。平成元年の行政改革では、去る一月二十四日でございますが、閣議で同様のことを行革審に審議を求めておりますから、今年度中に予定される答申が出されると思います。したがいまして、その答申を待ちまして、一層積極的に乗り出したいと考えております。
 地方財源の充実強化を図るべきではないか。
 確かに、四全総でも、地域の特性を生かした魅力的な地域づくりということがうたわれております。地方はさまざまでございます。したがいまして、いろいろな計画をなし、政策を推進するためには、やはり多様な財政の需要の増大が見られるかもしれません。それに対しましては、皆御面倒見ますよということではありませんが、機能分担のあり方等を十二分に検討しまして、そしてそうした増大に対しましても、地方財源の確保そして安定のために適切な処置をとってまいりたい、かように考えております。
 ふるさと創生、地域の活性化に資する支援策やいかにということでございますが、地域が主体性と責任を持って地域づくりに取り組んでおられるということがこの基本でございますから、この基本に基づきまして、我々といたしましても、やはり日本国がそれぞれの地域においてみずから考えみずから行う地域づくり、こうした未来につながる地域づくりが行われるように政府は期待いたしております。したがいまして、今後も地域主導の地域づくりのための諸施策を総合的に展開して支援を行ってまいる所存でございます。
 今後の土地対策でございますが、総合土地対策要綱に基づきまして、監視区域制度の積極的な活用を初め、諸機能の地方分散、住宅宅地等の供給促進、これによって地価の安定に全力を挙げることは当然でございます。
 同時に、土地対策といたしましては、土地の公共性、これを明確化いたしまして、土地についての共通の国民の認識を持っていただかなければならない。そういう共通認識のためにも我々は努力をしなければならない。そうしたことで今国会に土地基本法案を提出いたしておりますので、ひとつ議会におかれましても早期の成立をお願いを申し上げます。
 その次に、政治改革に対する決意でございます。
 これは先ほど来何度も申してまいりました。
 同時に、私は、先ほど申し上げました政治改革と同時に、もう一つ忘れてはならないことがある。それは、政治に対する信頼の回復のためには、政治の有効性回復がかぎであるということであります。政治は、その時代時代の社会の課題を実際に解決をして、成果を国民に還元して初めてその有効性を示すことができると思います。例えば、国民は現在、生活の改善、土地やマイホーム、物価や流通の問題、自分に成果が返ってくる政治をしてほしいと望んでおられます。まだまだ土地の問題が、今申し上げたとおりにございましょう。さらには住宅・都市問題、過疎過密の問題、農業の問題、医療の問題、教育問題、多くの分野で今日の政治は多くの課題を持っております。だから、政治改革のねらいの一つは、これらの課題を有効に解決できる政治の仕組みをつくることもまた大きな意味の政治改革である、これを私は申し添えておきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(安井吉典君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#10
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの総理演説に対し、重点事項に絞って質問を行うものであります。
 質問の冒頭に、中国の天安門で発生した流血事件について伺いたい。
 幾多の学生、市民が戦車と銃口によって倒れるという恐るべき惨事を伝えるテレビや新聞報道に心を痛めない日本人は一人としておりません。いかなる理由にせよ、人民解放軍が学生や市民に銃口を向け、流血に至ったことは、極めて異常な事態であり、私は偶然たる思いがいたします。これは、人道的立場から見ても、断じて正当化できるものではありません。
 一昨日の所信表明演説で、総理はこの中国問題について一言も触れなかったのは、一国の責任者として極めて遺憾であります。反省を込め、との問題の基本的見解並びに在留邦人の安全対策などの御所見を承りたいと存じます。
 また、北京及び上海などの空港には脱出帰国しようとする邦人が殺到しており、便数不足の訴えが多く寄せられています。至急対処されることを要望をいたしたいと存じます。
 さて、未曾有の難局に政権を担当された総理、あなたの内閣に課せられた使命は、政治の出直し的改革以外にないと断言して過言ではありません。それだけに、国民の多くの皆さんは強い関心を持って一昨日の所信表明演説に耳を傾けたのであります。ところが、政治改革の具体策に欠け、美辞麗句の羅列と感じたのは、私一人ではなかったと思います。
 大変に失礼ながら、宇野総理誕生の経緯からして、大胆な外科手術を必要とする我が国政治の改革に総理が国民の側に立った取り組みができるかどうか、国民はあなたの手腕に重大な疑問を抱いているのであります。
 過日のNHKテレビにおける政治改革論戦でも示されたように、自民党流のけじめでは承服できないというのが圧倒的な国民世論であります。国会は解散して出直すべきであると国民の大多数がこれほどまでに明確に意思表示したことは過去の歴史にありません。主権者の厳正な審判を仰ぐために、直ちに衆議院を解散すべきであります。国民の声を無視して政治は存在し得ません。解散によってリクルート事件の総括を国民の手にゆだねるべきであると私は強く主張するものであります。(拍手)
 もしも、解散をためらうのであれば、総理は政治改革に対しいかなる姿勢、どのような決意で臨まれるのか、これから申し上げる質問に真正面からお答えをいただきたいと存じます。
 まず、宇野新内閣の発足と同時に、内閣のかなめである官房長官ら四閣僚がリクルート社から献金を受けていた事実が明らかにされました。清新と出直し的改革を看板に掲げた総理は、この事実をどうされますか。不問にされるのか、何らかの対処をされるのか、しかと伺いたいと存じます。
 自民党が発表したリクルート事件のけじめ的措置では、離党勧告など国民からすれぼ当たり前と思われる措置が見送られ、株売却益の社会還元や一定期間の役職等の辞退といった具体的な責任のとり方についても個々人の自主的判断に任されており、国民を納得させるにはほど遠い措置と言わざるを得ません。総理は、伊東前総務会長の示したけじめ論、すなわち、一つにはリクルート事件に関係した人物の議員辞職、二つには派閥解消について、どのような気持ちで受けとめられておるのか、また実行する決意があるのか、しかと承りたいと存じます。
 リクルート事件は中曽根政権の中枢に的を絞った構造汚職にもかかわらず、特に政治家に関しては、結局二人の在宅起訴のみという検察当局の捜査結果に終わりました。リクルートコスモス社の未公開株を譲渡されたり、献金及びパーティー券購入等によって資金供与を受けた政治家が四十人にも上ったにもかかわらず、それら国会議員の政治的道義的責任は自主的判断にゆだねられているのであります しかも 谷川法務大臣は、六月二日の記者会見で、最終報告での立件見送りの政治家の公表については消極的な姿勢を示されました。極めて遺憾であります。総理は、公表を指示されるのか、公表は必要がないとされるのか、そのいずれであるのかを明確にしていただきたいと存じます。
 我々公明党は、リクルート事件の性格から見て、政府が刑事訴訟法の第四十七条ただし書きと国会法の第百四条の法の定めに基づいて積極的に捜査の全容を国会に報告し、いわゆる灰色議員の氏名公表により政治的道義的責任を明らかにすべきことを強く要求をいたします。(拍手)
 総理は、所信表明で、自民党が決めた政治改革大綱を実行すると述べられました。しかし、自民党の政治改革案は余りにも不十分であり、国民の政治不信の原因である不透明な政治献金の実態を改革できるものとは思われません。
 第一に、政官財が癒着している構造を根本から断ち切らなければ本当の政治改革ではありません。そのためには、政治献金は個人に限り、癒着と腐敗の温床となっている企業並びに団体からの献金を禁止することです。との決断が政治改革の第一歩であると私は思います。もし、ここまで行くに時間がかかるというのであれば、少なくとも政治資金について総量規制の思い切った改正、強化が必要であると思います。政治に金をかけ過ぎているという国民の批判にこたえるためにも、政治資金の総量の規制は絶対に不可欠であります。現在の法律では、一つの企業の寄附は年間で最高一億五千万、個人では年間三千万であります。しかも、との枠外にさらにパーティー券があるのは極めて異常であります。これは大幅に引き下げるべきであります。どのように対処されますか。
 第二には、政治資金集めの政治団体が一人の議員のもとに十、二十とつくられてもよしとする自民党案では、実効ある政治改革ではありません。政治資金を扱う政治団体は一つか二つぐらいに制限し、かつ、だれの政治団体であるかを明確にして、寄附金の公表基準を思い切って引き下げるなど、政治資金の出と入りを明確にする措置を講じて抜け道を閉ざし、ガラス張りにする改革でなければなりません。どのように対処されるでしょうか。
 第三には、事実上野放しになっている政治。パーティーについてでありますが、自民党案によれば、これを特定パーティーと名づけ、政治資金規正法の枠外に位置づけようとしております。このような総量規制を骨抜きにする案では、改正ではなく、企業献金の奨励案でしかありません。これがどうして改革などと言えるでしょうか。お答えをいただきたいと存じます。
 第四には、政治資金規正法を実効あらしめるため、違反に対する罰則の強化や、政治家と秘書並びに政治団体の会計責任者等との連座制を設ける措置を講じなければなりません。また、ごれまでにも、公職選挙法で禁止されているものの、抜け穴や罰則がないことから野放しである冠婚葬祭や旅行に名をかりた地盤養成の行為を例外なく禁止し、公民権停止などを含めた罰則を強化すべきであります。
 第五には、政治倫理法制定の問題であります。現在の政治倫理綱領、行動規範を法制化し、全国会議員の資産の公開を同居家族も含め法的に義務づける制度を創設することであります。これを実効あるものにするため、国会に倫理委員会を設置すべきであります。しかしながら、自民党案ではまだかなり中途半端にすぎないと思わざるを得ません。
 第六には、小選挙区制を云々する前に、国会決議に基づいた議員定数の是正を実施することであります。昭和六十一年五月に衆議院において定数是正の決議が行われているにもかかわらず、今日まで何ら前進がありません。国会決議すら守れずしてどうして国民の信頼を回復することができましょうか。国民が求めているのは、一票の格差を二倍以内に抑える議員定数の抜本改正であります。この際に、公職選挙法の本則である四百七十一議席に戻して是正すべきであると思います。総理にその決意がおありでしょうか。
 また、政治改革は国民的重要課題であることから、政府や国会のみならず、広く国民の間から英知を結集して行うべきであると考えるものであります。したがって、政治改革の具体案づくりは、国民各層各界の知識を結集するために、公正な第三者機関を設置して行うべきものであると考えます。
 さらに、国民の行政と政治への不信を解決するためにも、立法府のもとに国民が国会を通じて行政を監視するオンブズマン制度の導入を図るべきであります。
 これらについて納得のいく答弁をしかと承りたいと存じます。
 さて、竹下前総理が退陣を余儀なくされたのは、直接的にはリクルート事件による政治不信の拡大と竹下前総理自身への疑惑でありました。しかし、竹下内閣の支持率を一けた台まで落ち込ませた国民の怒りの背景には、さらに多くの要因があります。
 そこで、私は、リクルート事件と同様に多くの国民が不満を抱いている消費税について質問をいたします。
 政府・自民党は、昨年十二月に消費税法案を強引に成立させ、わずか三カ月という準備期間のまま、四月から実施を強行いたしました。国民合意を得ないまま何ゆえにこれほどまでに消費税の導入を急がねばならなかったのか、いまだに理解に苦しむわけであります。
 総理、消費税は国民生活にじわじわと影響を及ぼし始めております。生活保護世帯や年金生活者など社会的に弱い立場の人たちは、毎日毎日重なる負担に悲鳴を上げ、中小の流通業者は、消費税をどのように転嫁しようかといまだに悩み続けております。まさに竹下前総理が指摘した九つの懸念がそのまま暗く重くのしかかっているのであります。
 政府は、消費税は定着しつつあるというふうに言われているようでありますが、とんでもありません。強制的に取られているのでありまして、無理やり定着させられようとしている、このように私は思います。これを弱い者いじめと言わずして何と言いましょうか。この九つの懸念は消費税の構造的な欠陥でありまして、この是正は小手先では不可能であります。
 また、このことに加えて、六十二年度には減税の財源を差し引いてなお三兆七千億という巨額な税の自然増収が発生し、六十三年度も当初予算に比べて六兆円近い額が見込まれておるのであります。このような巨額な自然増収の発生は、逆に政府の税の見積もりの失敗を意味するもので、税の見積もりが的確に行われているならば、少なくとも平成元年度には消費税を導入する必要は全くなかったと思います。私は消費税の撤廃を強く要求いたします。(拍手)
 公明党は、今日まで、消費税の導入に強く反対する一方で、国民合意の税制改革を行うべきであると主張し、税制改革の趣旨、基本方針、具体的な手順を定める税制改革基本法の制定を提案してまいりました。それは、まず第一段階で不公平税制の是正を徹底し、その第二段階で、国民合意のもとに、直間比率の見直しを含めて、所得と資産とサービスの課税を適切に組み合わせたバランスのとれた税体系をつくり上げるというものでありました。私は、税制改革基本法を制定して、改めて、税制改革をやり直すことを強く要求をいたしたいと存じます。
 政治家、官僚など、一部が特権を利用した未公開株の譲渡によって労せず巨額の利益を得ていたというリクルート事件を総括するときに、私は、そのような事件とは対照的に、国民の大多数、サラリーマンや主婦の方々が、額に汗してこつこつと働き、その家計の中からまじめに税金を払っている姿に目が向かわざるを得ません。我が国は経済大国になり、豊かな国と言われる中で、サラリーマンなどはその実感を持つことができません。この事実は、経済大国になることと一人一人の国民生活が豊かになることとは必ずしも結びついていないことを端的に物語るものであると思うのであります。
 経済成長の成果を多くの国民に生活の豊かさ乏して還元していくためには、これまで物的豊かさを求めて欧米へのキャッチアップをひたすら求めてきた発想を大きく転換をして、一人一人の個性や生き方、価値観、人生観を最大に尊重し、まさしく多種多様な人生を選択できる社会の仕組みを確立していかなければなりません。公明党が提案した「二十一世紀トータルプラン」は、こうした発想に立ったものであります。
 最近、西欧諸国の東京特派員が、日本について、巨額な貿易黒字や強い円など対外的な経済大国化は、国内政策の失敗、すなわちサラリーマンの犠牲の上に成り立っているにすぎないという手厳しい指摘がなされていることを見過ごしにはできません。
 そこで、緊急的な課題に絞って、次の三点について質問します。
 第一には、住宅問題であります。
 首都圏の住宅価格は、中進国並みの水準の住宅さえ年収の八倍、十倍。サラリーマンは、大学を出て二十年間も働き続けても、マイホームの夢は絶望的であります。加えて、首都圏の賃貸住宅の家賃も著しく高く、職住接近はかけ声倒れ、毎日超満員の電車で一時間半も二時間も通勤をしなければならないという事態になっております。
 都心の人口減少もまた深刻であります。東京の下谷の小学校では、四月の新入生がわずかに十三人。金の力で人間が都心から追い出されており、人は都心に住むべきでないという思想が定着しつつあることは、極めて私は恐ろしい現象だと思います。これらの現象にどう対処されるのか、確たる方針を承りたいと存じます。
 住宅問題のネックは、言うまでもなく地価対世であります。私は、土地基本法の制定、国土利用計画法の強化とともに、土地の有効利用を図るために、一定規模以上の都市を対象とした地区詳細計画制度の導入や低層制限地区の指定の拡大、さらに住宅基本法の制定を主張いたします。通勤地獄の解消にももちろん取り組まなければなりませんが、あわせてお答えをいただきたいと存じます。
 第二には、労働時間の短縮と高齢者の雇用機会の拡大、働く女性の地位の向上についてであります。
 いまだに年間の総実労働時間は二千時間を超え、フランスや西ドイツに比べると、年間二百時間から五百時間、労働日数に換算して二十五日から六十日も余計に働いています。これでゆとりや潤いのある生活などが送れるはずはありません。
 高齢化社会を迎えるに当たって、高齢者の雇用機会の拡大が急務であり、働く女性の地位の向上もおくれています。昇進などについては女性への差別が依然として残り、育児休業などもまだわずかな職場でしか実施されておりません。ハート労働者の雇用条件は極めて劣悪なままに放置されています。
 これらの問題について、総理の対策を伺うものであります。
 第三には、急速に迫る高齢化社会への対応についてでありますが、何をお考えであるか、しかと承ってまいりたいと思います。
 サラリーマンの多くは、自分の老後について、定年の後、働き続ける職場があるのだろうか、生活に必要なだけの年金を受け取ることができるだろうか、病気になったときに一体だれに世話をしてもらうことができるのか、これらの問題に大きな不安を持っています。このうち最も深刻な問題が、寝たきりになっている場合の介護であります。公明党は、大きな社会問題となりつつある介護問題に党を挙げて取り組んでまいりました。介護問題に対する総理の基本的な考えをお示しをいただきたいと思います。
 以上、私は、日本の深刻な政治改革、税制改革についてお伺いをいたしましたが、さらに、基本的な、より深刻な問題を指摘せざるを得ないのであります。
 それは、国内政治の大混乱によって複雑化し増幅された国際的課題の発生であります。外には貿易摩擦、内にはリクルート事件、この双方に共通するものは経済主義、利益や金を優先してきた日本人の生きざまの問題であり、この点が内外から厳しく問われているのであります。
 海外投資を初め企業の自由な発想は尊重されて当然であります。しかし、経済活動の目的は人間の生活を前進充実させるためにこそあらねばならないと私は考えるのであります。地球は一家族という理想、国際社会の平等互恵の原則などを考えるならば、みずからの繁栄を主張する前に、等しからざるを憂うる立場を明らかにして、世界に奉仕する精神に立つべきであります。総理はどんな形で世界に貢献されようとするのか、伺いたいと存じます。
 私は、日本外交が目指すべきものとして三つの主張をいたします。
 第一には、平和の方針を明確にすべきであります。
 我が国の防衛費はGNP比一%を超える状態が続くならば、九〇年代の初めには米ソに次ぐ第三の巨大な軍事国家となるのは必至であります。先ほども総理は、軍事大国にならずとこのように答弁をされたのでございますが、しかしながら、今日の方針をそのまま堅持していくならば、日本のGNPの大きさから見て、このGNPの成長とともに日本が軍事大国化へと進行していくことは、物理的にも数理的にも明らかだと私は思うわけでございまして、これは、現在の世界の一般軍縮の流れまで立ち至った状況の中で、余りにも異常な姿と言うほかありません。
 我が国は、核軍縮や一般軍縮、化学兵器の禁止、地下核実験の禁止を世界に強く叫び続けることが本来あるべき姿だと私は信じます。そして、防衛費をGNPの〇・九へ、〇・八へと計画的にダウンさせる方向転換こそがこれからの日本のとるべき選択である、このように私は主張をするわけであります。そして、日本は防衛費の縮小とODA予算の拡大という新しい世界の潮流をつくる先頭に立つべきであると申し上げたい。所見を承りたいと存じます。
 また、指摘されているODA問題解決のために、衆参両院にODA対策の常任委員会を設置し、ODA関係の法案審議は参議院先議として、各層各界の代表が集まっている参議院の見識を十二分に生かすべきであると思いますが、あわせてこれに対する答弁をいただきたいと存じます。(拍手)
 第二には、日本が世界に貢献すべき役割についてであります。
 米ソ、米中、中ソの首脳会談が相次いで行われ、世界的な国家関係の枠組みが大きく変動しようとしております。その中にあって、日本は世界平和のために何かをなさねばなりません。我が国はこれまで世界の平和に寄与すること少なくして経済一筋に進んできた、このような批判さえございます。しかし、政治と経済の分離が許されない時代がやってきたことを私たちは自覚をすべきであり、もうこの辺で経済主義の偏重から抜け出していかなければなりません。
 総理は、竹下さんに続いて世界に貢献すると語られましたが、その中身は、世界の富を集めることではなく、平和と友情の国際的な目標を掲げて、各国の内政の安定に寄与するためのあらゆる努力が行われるべきであります。そういった意味で、世界の病気と飢餓を克服するために、そして地球規模の環境保全のために、日本が積極果敢な役割を果たし、貢献していくべきではありませんか。そういう用意がございましょうか。サミットに臨む基本姿勢とともに明快な答弁を求めるものであります。
 第三に、日米関係について若干触れたいと思います。
 アメリカは、保護貿易主義につながりかねない包括通商法スーパー三〇一条に基づく対日適用を発表いたしました。これは自由貿易主義の根幹を揺るがすものとして極めて遺憾であります。
 しかし、その背景にある我が国の巨額な貿易黒字体質、年間五百億ドルを超えると言われる対米黒字の存在を無視したままでこの事態を解決できないこともまた明らかであります。したがって、アメリカの要求に一つ一つこたえるだけではなく、自由貿易体制堅持を図るためにも、合わせて世界のGNPの三五%を占めるという日米両国が、その共存のためにも、金融面や貿易体制の改革を図りつつ安定した協調体制をつくり上げる作業は、まことに重大であります。総理の所信表明は、この点についていま一つ明らかでない点がございます。この点についての御答弁をお願いをいたしたい。
 最後に、政治改革について重ねて申し上げます。
 総理、国民の皆さんは総理に多くを望んではおりません。断固たる政治改革の断行を総理に望んでおるのでありまして、これ以外にないと言っても過言でありません。同時に、現在の日本の状況を考えてみたときに、この日本の政治刷新のために、国会を解散して選挙で出直すことを私は強く要求をいたしたいと存じます。
 衆議院の解散を重ねて強く要求して、私の代表質問を終わりとさせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宇野宗佑君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(宇野宗佑君) まず、石田新委員長に対しまして、諸般の問題に御質問を賜り、ありがとうございました。
 最初に、私の所信表明に中国問題がなくて遺憾だという御指摘がございました。確かにそうであるかもしれませんが、その点は、先ほど各党の御意見にお答えいたしましたとおり、慎重な配慮が必要な時点でございましたので、御理解を賜りたいと思います。
 もちろん、邦人が八千名以上いらっしゃるわけですから、速やかに用事のないお方は帰っていただきたい、このことを既に申し述べた次第でございますが、そのためには、やはり航空便、これを急増しなければなりません。六日は千名近くの邦人が無事帰国されました。七日、八日も定期便のほかに臨時便二便を運航する予定でございます。仰せのとおり、大切な問題は、政府といたしまして努力をして、そして万遺憾なきを期したい、かように存じておる次第でございます。
 したがいまして、中国情勢と日本政府の対応という問題に関しましては、私は、中国の人民解放軍の銃先が同じ国の国民に向けられたということは非常に遺憾なことである、これは申さなければなりません。そうしたことを憂慮いたしておりますが、一日も速やかなる平静化をお願いする、それが隣人としての中国に対する心である、私はさように存じております。
 その次に、一番最後にも、解散のお話がございました。
 何といたしましても、私は、政治改革を最大の重要課題とするということでこの内閣を発足せしめましたので、そのことをまずやってのけたい、かように考えております。もちろん、リクルート事件が国民に大変な政治不信を招き、また、そうしたために政治空白が続いたということにつきましては、私たちは反省しなければならないと思います。したがいまして、そうした問題に関しましても、先ほど来るる申し述べましたとおり、私たちといたしましては、もちろん行政あるいは立法あるいは各政党等におきましていろいろな改革があろうかと思いますが、まず隗より始めよでございます。与党といたしましては、その点、政治改革の対策、そうした本部等も設けまして、今後さらに強力にこの問題の推進に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
 次に、我々といたしましては、政治改革において、役職を辞職したり、派閥を解消したり、いろいろな問題があるがどうだというお話がございました。
 それぞれの辞職問題に関しましては、先ほど、これは議員並びに選挙区の問題であろう、いかに総理・総裁といいましても、これをしなさいというふうなことはどうであろうかと私は思います。したがいまして、政治倫理綱領にもありまするとおり、それはそれぞれの議員の道義的責任によって自分で御判断賜りたい、こうしたことを私としてはお勧め申し上げたいと思います。
 なお、派閥解消という問題も提案されました。いずれの社会にも派閥はございましょう。しかしながら、派閥が存するがゆえにいろいろな弊害が出たという御指摘も私たちは一応うべなわなくてはならない、かように考えております。したがいまして、私も各閣僚も、また党四役も派閥を離脱いたしました。そして将来、派閥解消に向けましていろいろと党内の検討を進めていかなければなりません。確かに、我々といたしましては、そのためには選挙法との関係も重大でございます。だから、選挙法の改革等々も詰めまして、同時にこの問題は並行して相互が検討しなければならない問題である、私はかように考えております。
 次に、四閣僚のリ社の献金問題があるがそれはどうなっておるかというお話でございます。
 もちろん、リクルート問題に端を発しまして、そして新しい内閣が誕生したわけでございますから、リクルートに一応関係があるかないか、これは閣僚人選に当たりましての一番大切な問題でございました。私は次のように考えました。
 それは、前内閣のときにも、また党本部におきましても、一応リクルート事件が発覚した時点以大臣の演説に対する石田幸四郎君の質疑降なおかつ献金あるいはパーティー券等を買ってもらうがごときは、まさに政治家としての倫理にもとる、だからこの人は当然対象としない。しかし、それ以前のにとについてはいろいろ問題が承る。例えばいろいろな言論機関におきましても、リクルート社から広告をもらっていらっしゃいます。しかしながら、この事件が発覚した後は、いろいろな言論機関も、もうあの会社の広告は掲載しません、こういうふうなきっぱりした態度をとられました。
 それと同じように、我々といたしましても、発覚後と発覚前を一応考えました。しかし、発覚前といえども多額の献金を受けておられては大変だ。多額の献金を受けておられては大変だ。また、その献金が職務に関係するようなことがあっては大変だ。どういうふうに、私はきちっと幾つものことを考えまして、そして、私が望む人を望む閣僚のポストにつけたい、しかしその場合に、あなたは今私の申し上げたようなことに関して、もしあらば自己申告してください、言うならぼ。自主申告してください。そうしたことで、あの記者会見のときに自主申告をされたわけであります。もちろん私に対しましても、かくかくしかじかで発覚以前にこのような献金を受けております、これは職務にも関係ありません、また多額の問題でもありません、こういうことでございますから、私は、そうしたことを一つのいわば閣僚選考の基準といたしまして選考いたした次第でございます。その点も御理解賜りたいと存じます。
 その次に、伊東前総務会長のけじめ論を受けた、そして、やらないかというお話でございます。
 伊東総務会長は、自分の責任上いろいろなすげらしい御提言をなさっておられます。我々は、党員の先輩といたしまして十分総務会長のそうしかお考え方をも拝聴しながら、今後のいろいろな対策に当たっていきたいと思う次第でございます。
 その次に、リクルートコスモス社の未公開株の譲渡等により資金提供を受けた政治家の政治的着義的責任はどうか、こういうものでございますが、既に最高指導者として竹下前総理がみずから責任をとって退陣され、また、中曽根元総理も学籍を離脱されましたことは大いに評価しなけれげなりません。しかし、リクルート問題に関する議員は、司法上の責任の有無にかかわりなく、議員としての名誉を重んじ、良識に基づいてみずから対処してほしい、これが私の気持ちでございます。
    〔副議長退席、議長着席〕
 また、具体的には、リクルートコスモス株の公開直前に取得した未公開株の売却利益の還元でございますが、これはただいま自民党本部において受け取っております。また、該当議員の一定期間の自民党役職等の辞任、これも我々といたしましては実施いたしております。そして、このような事件が二度と起こらないように、私たちは先ほど来具体的に申し述べてまいりました政治の改革をいたしたい、これが私たちの使命であると考えておる次第でございます。
 なおかつ、リクルート事件捜査の全容報告、そうしたことはしないのかというお話でございます。
 国会の国政調査権に対しては、法令の許す範囲内でできる限りの協力をしなければならない、かように私は承知いたしております。したがいまして、国会から報告の要請がありました場合に、その時点でその対応を検討する所存でございます。
 企業献金の禁止と総量規制、こうした御意見もございました。企業献金、また団体からの政治献金、これを禁止しなさい、そして個人献金に限れ、こういうような御提案でございます。
 今のところ、我々といたしましては、企業などの団体も一つの社会的存在である、それらが行う政治資金の寄附がよくないと決めてかかるのはいかがかと思料いたします。
 政治資金のあり方につきましても、金のかからない政治の実現を目指しながら、選挙制度との関連、政党の役割等も考慮しながら、政治改革全般の中で検討しなければならない、かように考えております。
 政治団体の数の制限でございますが、数の問題につきましては、政治家のよって立つ基盤が異なります。衆議院と参議院、参議院におきましても、全国区、いわゆる比例代表区制、政治活動もさまざまでございますから、結社の自由という関係があるため、今回自民党では、この問題に対する現実的な対応といたしまして、政治家の関係政治団体の公表措置、これを講ずることといたしておる、このように承知いたしております。こうしたことも早急にやっていかなければならないと思います。
 なお、政治活動に関する寄附の公開基準の引き下げやパーティー収支の公開、これなんかもやはり改正案としてもう既に出しております。出しておりますから、ぜひともこの審議をお進め賜りたいと私は思います。
 政治資金パーティーに関しましても、批判の中心は行き過ぎだということにあると思いますので、今回の自民党が既に国会に出しております改正案は、パーティーの収支を明確化すること、大口のパーティー券購入の規制、多額購入者の公表などを行うものでございまして、総量規制の骨抜きあるいは企業献金の奨励、そのような指摘は当たらないと思っております。
 次に、政治資金規正法等の罰則強化でございますが、政治資金規正法違反に関する連座制についての御指摘でございます。法律違反を犯した者以外の者に刑事責任を問うことにつきましては、慎重な検討が必要であろうと思います。
 選挙区内での冠婚葬祭等に関する寄附に関しましては、罰則をもって寄附禁止の徹底を図るために、自民党におきましては、公職選挙法の一部改正法案を今さっきも申しましたとおり国会に提出いたしております。この罰則が適用されますと、公民権停止でございます。このような厳しいものを出しておりますから、ぜひとも審議を促進願いたい、かように私は前から申し上げておるのであります。
 政治倫理法の制定、全国会議員の資産公開、こういう問題の義務づけ、これに関しまして、かつて衆参両院におきまして政治倫理綱領の遵守が政治家としての資格の第一義であると示されておることは承知いたしております。自民党は、政治改革大綱で、さきに両院で決めていただきました行為規範、その内容を充実するとともに、両院に置かれております政治倫理審査会、その審査会の機能が十二分に発揮する所要の改正を行いたい、このように思っておりまするし、また、資産公開に関しましても、すべての国会議員に広げ、毎年資産及び所得報告を義務づける資産公開に関する法律を制定することといたしております。私も、早急にこれらが国会で審議され、実現することを心から期待するものでございます。
 衆議院の定数改正、総定数に関しまして申し上げます。
 衆議院議員の定数是正問題に関しましては、事柄の性格上、衆議院の本会議の決議が六十一年五月二十一日になされております。これを踏まえまして、各党間で十分議論していただくことが私は重要であろうと思います。衆議院議員の総定数のあり方につきましても当然真剣に検討さるべきであろうと考えております。政府といたしましても、国会初め各方面の論議を踏まえるように努力をいたしたいと存じます。
 政治改革の具体案づくりは公正な第三者機関で行うべきではないか、こういうふうな御提言でございます。
 これに関しましても、既に党におきましては、公正、公明な政治の実現と選挙制度の改革を柱とした政治改革大綱の実行を決定しまして、諸改革を、来年、国会開設百年に当たりますから、明年十一月までを目途に実現、このために、党に政治改革推進本部を置きます。そして、重厚なる強力なるスタッフを配置いたしまして、各界各層の意見を十分に聞いて、全党一丸となって改革の実現を図りたいと思います。
 選挙区制の抜本改革は、権威のある専門家による政府の第三者機関に諮問いたしております。これは国会のことですから、我々行政府が介入するわけでございませんが、国会改革につきましては、与野党の合意を得て両院議長が諮問する第三者機関の設置を検討してはどうか、このように思っております。
 以上の改革により、二十一世紀に向けましての自由と民主主義に基づく議会制民主主義の確立に資したいと思います。
 今、党はどこかとおっしゃいましたが、推進本部を設けるのは当然与党でございます。そこまで与党はやっておるというお話を申し上げたわけであります。(拍手)
 立法府にオンブズマン制度の導入を図るべきだというお話がございます。
 オンブズマン制度に関しましては、臨調、行革審の答申におきまして、既存の行政監視、救済制度との連携の上に立って、既存の制度では十分になし得ない役割を担当する制度の導入の検討、これが指摘されております。言うならばそれがよく言われますオンブズマン制度だと思います。政府といたしましても、その検討方について閣議決定を行っておりまするし、現在、既存苦情救済制度との関係等諸種の問題について具体的に研究をしたい、かように思っております。
 消費税の撤廃そして自然増収、この問題でございますが、これも各党のいろいろな御質問にお答えいたしましたが、改めてお答え申し上げますと、この種の税は我が国になじみの薄い税であるため、消費者や事業者が戸惑いや不安を感じておられることは事実である。また、前総理がいわゆる九つの懸念について申されました。この御見解にもあるように、総じてみれば現時点までに大方の御理解が得られたのではないかと思われる反面、なお引き続き努力を要する面があることも事実でございます。
 したがいまして、政府といたしましては、私の所信表明でも明らかにいたしましたとおり、消費者の方は消費者の声、事業者は事業者の声いろいろな声がございます。そうした声に謙虚に私は耳を傾けなければならないと思っておる。そして、便乗値上げの防止や円滑かつ適正な転嫁の実現への取り組みを初めとして、消費税が国民生活に定着するよう、幅広い視野に立って各般の努力を行っていく所存であります。だから、これは将来に向けての高齢化社会のための、あるいは国際化日本のための重要な基盤でございますので、撤廃する考えはございません。
 並びに、先ほど申し上げましたとおり、そうした国民の声に耳を傾けまして、直すべき点は十二分に考えなければならない。だから、既に大蔵省に命じまして、この問題に関しましても、早速作業を始めるよう、勉強を始めるようと、私は指令を発したところでございます。
 税収見積もりに関しましては、六十三年度の年度を通した税収見込みでは、収納状況等を見る限りある程度の自然増収が期待できる、このように思われます。それは、ただいま委員長が申されたとおりでございます。しかしながら、ある程度の自然増収が期待できるけれども、三月期決算法人の申告が判明していない現在では確たることは言いがたい、このように申し上げておきたいと思います。
 さらに、公明党が提案される、税制改革基本法を制定し税制改革をやり直せという御提案でございます。
 今次の税制改革の基本的理念、手順等につきましては、税制改革法に既にしてそのことが明らかにされております。また、税調におきましても、二十五回の地方公聴会を含む精力的な審議を得ておりまするし、また、昨年四月には税制改革についての中間答申、六月には税制改革についての答申が取りまとめられ、昨年の十二月に成立したような次第でございます。
 政府は、新税制の円滑な実施を図るために、内閣に新税制実施円滑化推進本部、これを置いて、関係行政機関相互の緊密な連絡をただいま確保して、国民の御理解を深めていきたい、かようにやっております。そうしたことがございますので、そうした点からも御理解賜りたいと思います。
 次に、住宅政策でございますが、おっしゃるとおり大切な問題でございます。したがいまして、都市環境等に配慮しつつ住宅需要等に適切に対処するためには、土地の適正な有効高度利用を図ることは必要でございます。そのために、再開発の計画的な実施、さらに土地利用計画を内容とする地区計画等の積極的活用、これらは十二分に私たちといたしましても進めていかなければなりません。
 さらに、住宅基本法につきましては、住宅政策の目標、国等の責務、住居費負担の取り扱い、これらに関しまして国民及び各政党間のコンセンサスがまだできておりません。何とぞこういう面におきましても、やはり国会といたしまして与野党を超越していろいろとコンセンサスを得るよう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
 政府といたしましては、国民の居住水準の向上のために、住宅建設計画法に基づきまして住宅建設五カ年計画を策定、その達成に努力をいたしております。
 住宅問題のその根源は地価にあり、また土地にあり、そういうようなことでございました。
 我々といたしましても、先ほども申し述べましたが、監視区域制度の機動的運用を図って、不動産業者やあるいは金融機関がむやみやたらといろいろな面で節度のない融資等々があってはいけないから、それらの指導を十二分に継続していくことと、税制上の措置の対策を講じてまいりました。今後とも、引き続き政府一体となりまして、総合土地対策要綱に基づきまして監視区域制度の積極的な活用をいたしたいと思います。また、諸機能の地方分散あるいは住宅宅地、これらを供給を促進することにいたしまして、地価の安定に全力を挙げていかなければならない、かように考えております。
 また、地価問題の対応策としての土地基本法の制定、これに関しましては、今国会に土地基本法を提出いたしております。これらによりまして、ぜひとも御趣旨に沿いたいと思っておりまするので、よろしく御審議のほどをお願いを申し上げます。また、投機的土地取引の抑制等を図るために、国土利用計画法の一部を改正する法律案をこれまた今国会に提出いたしております。両法案ともどもに、大切な法案でございますので、ぜひとも成立いたしますように御協力をお願いを申し上げます。
 また、通勤混雑の解消をどうするのか。確かに都心へ乗り入れる鉄道は依然として混雑状態にございます。複々線化をするとか、あるいは常磐線のごとく建設をするとか、そういうふうな積極的な問題も既にいろいろと議論されております。そうしたことで我々は、所要の助成措置等を講ずることにおいて、今後とも通勤混雑解消策の一環としての鉄道網に関しましては格段の努力をしていきたい、かように考えております。
 労働時間の短縮に関しまして、昭和六十三年四月の改正労働基準法の施行後、労働時間は着実に減少いたしてまいりました。政府の経済計画が目標といたしておりますのは、年間総実労働時間千八百時間程度に向けてできるだけ短縮するよう、そのために、完全週休二日制の普及促進を基本に、労使の自主的努力に対する指導、援助、国民的コンセンサスの形成などに政府は全力を傾注いたしたいと思います。
 高齢者雇用対策も同様でございまして、長寿社会雇用ビジョンの策定等を通じまして、労使の社会的合意を図りながら、高年齢者の雇用機会の確保に努めてまいる所存でございます。
 女子労働者対策につきましても、既に男女雇用機会均等法が制定されております。この定着に我々は努力をしなければなりません。育児休業制度に関しましても、一層の普及促進に努める所存でございます。パートタイム労働対策につきましては、雇用保険の適用拡大、労働条件の改善等のための対策を総合的に推進いたしたいと考えております。
 また、老人介護問題に関しましては、高齢化社会で大切な問題でございますから、寝たきり老人等の介護の問題に関しましては、家庭奉仕員の派遣事業、在宅老人短期保護事業、デイサービス事業を大幅に緊急整備いたしたいと思いますし、家庭での介護が困難なる方につきましては、施設において適切なサービスが与えられるように考えたいと思います。そのために、特別養護老人ホームや老人保健施設の拡充をあわせて進めることが肝要と存じます。
 その次は、「世界に貢献する日本」。石田委員長は、これに関しまして、まず平和であるということを明確化せよとおっしゃいました。また、経済重視主義であってはいけない、こういうような御指摘もございました。
 私も同感でございます。やはり、戦後大きくなりました日本には、今日に至るまで、諸外国の資源提供やあるいは友情、協力等によりまして私たちは今日の経済繁栄を得るに至ったのでございますから、謙虚な気持ちにおいて世界に御奉仕申し上げなければならない、これが今日の日本の一番大切な面であろうと私は考えております。そのためには、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化、この三本柱が国際的に大切なことは論をまちません。
 続いて、核軍縮等の呼びかけでございます。去る1月にパリで化学兵器禁止国際会議が開かれました。そして四月に京都で国連軍縮京都会議が開かれました。私はそれぞれの会議に出席いたしまして、今問題なのはやはり軍縮である。核については究極的に廃絶である。また、軍備というものは、たとえそれが一つの戦争に対する制御であり、バランスをとることも必要であろう。しかしながら、それらは低レベルでも達成可能である。高レベルをやめて低レベルにすべきである。これが日本の主張でございます。そうした主張を申し述べてまいったわけでございます。
 では、日本の防衛費やいかん、こういう御指摘もございました。
 現在、我々といたしましては、既に御承知のとおり十八兆四千億という総額明示方式がございます。これによりましてきちっと歯どめをかけまして、その中期防を推進して防衛大綱の水準に達するよう節度のある防衛費の編成に努めておる、このこともひとつ御理解賜りたいと思います。
 そして、経済大国日本は軍事大国にならず、ましてや他国に軍事的な脅威を与える国にはならない、こういう決意を私たちといたしましても再度明らかにいたしておきたいと存じます。
 ODAの予算の拡大に関しましてでございますが、先ほども日米間における貿易問題が一応議論の対象となりました。昨年は輸入が百億ドルふえて黒字が五十億ドル減ったということを私は申し上げましたが、ことしはやや輸出が増大ぎみである。これは大変なことであります。インバランスの問題が当然出てまいります。
 したがいまして、私たちは、黒字というものは貿易面でもいろいろ考えなければならないが、私たちはその黒字を世界に還元いたしておりますよ、それはすなわちODAである、政府直接援助である、こういうふうに心得まして、ことしはODAの額をふやすことに努力をいたしました。したがいまして、前年度の六・五%を上回る率で本年度のODAは七・八%の伸びを確保したということも、言うならば、私たちが謙虚に世界の国々に対しまして日本のあり方をそうした面できちっと理解をしていただくための措置であった、このようにひとつ御理解を賜りたいと思います。(拍手)
 なおかつ、参議院にひとつODA対策の常任委員会を設置してそれの先議をしてはどうかという御提案でございますが、これは立法府たる国会の運営の問題であると考えておりますので、その点も御理解賜りたいと思います。
 また、地球規模の環境保全、これは経済偏重であってはいけない、平和と友情をもっと明らかにせよという委員長の御指摘で、私はもうもっと本なことであると考えております。
 特に環境問題は大変でございまして、人類共通の問題でございます。フロンガスによりましてオゾン層が破壊される、大丈夫か、炭酸ガスが充満して、そしてやがては地球は熱帯化して温暖化していく、大丈夫か、これはもうどの会議でもいろいろと議論されております。したがいまして、サミットでもこの問題が出てくるでございましょう。当然、我々は九月に東京でこの環境会議も開きたいと思っております。そうしたときに、日本といたしまして平和に貢献する具体策として、二国間の問題に関しましても協力をし、あるいは国連の機関を通じましての環境問題の大いなる協力もいたしたい、これが政府の考え方でございます。
 最後に、サミットについての基本姿勢に関しましてお尋ねがございました。
 七月の十四日、十五日、十六日と、パリにおいて三日間サミットが開かれます。これは当然世界の平和と安全に貢献をしようというのでずっと開かれてまいりました先進諸国の会議でございまして、世界の注視を浴びております。それだけに私たちは、やはりいろいろな問題で世界に貢献をしなければならないというので、出席者は大変な意気込みを持って出席しております。そして、西側先進民主主義諸国間の連帯と協調を一層図っていこうではないか、こういうふうに出席者は常に考えて議論をいたしております。
 我々といたしましても、世界的な協調路線というものが必要である、それは東西の対立においても、その対立が対話になるように私たちは努力をしなくちゃいかぬ、各地域の紛争、これが平和に解決されるよう私たちは努力しなければいかぬ、そういう多くの問題も抱えておりますので、鋭意、日本といたしましても世界の平和に貢献するという立場におきまして努力をいたしたい、かように思っております。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 常任委員長辞任の件
#12
○議長(田村元君) 常任委員長辞任の件につきお諮りいたします。
 内閣委員長玉生孝久君、地方行政委員長西田司君、法務委員長友納武人君、外務委員長浜野剛君、大蔵委員長中村正三郎君、文教委員長工藤巌君、社会労働委員長津島雄二君、商工委員長田原隆君、運輸委員長小里貞利君、逓信委員長畑英次郎君、建設委員長野呂田芳成君、科学技術委員長中川秀直君、環境委員長菊池福治郎君、予算委員長大野明君、決算委員長官下創平君及び懲罰委員長林大幹君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(田村元君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 常任委員長の選挙
#14
○議長(田村元君) つきましては、これより各常任委員長の選挙を行います。
#15
○金子原二郎君 各常任委員長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
#16
○議長(田村元君) 金子原二郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(田村元君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。議長は、各常任委員長を指名いたします。
         内閣委員長  吹田  ナ君
    〔拍手〕
        地方行政委員長 小澤  潔君
    〔拍手〕
          法務委員長 戸塚 進也君
    〔拍手〕
          外務委員長 相沢 英之君
    〔拍手〕
          大蔵委員長 中西 啓介君
    〔拍手〕
          文教委員長 鳩山 邦夫君
    〔拍手〕
        社会労働委員長 丹羽 雄哉君
    〔拍手〕
          商工委員長 与謝野 馨君
    〔拍手〕
          運輸委員長 島村 宜伸君
    〔拍手〕
          逓信委員長 田名部匡省君
    〔拍手〕
          建設委員長 東家 嘉幸君
    〔拍手〕
        科学技術委員長 北口  博君
    〔拍手〕
          環境委員長 熊川 次男君
    〔拍手〕
          予算委員長 中尾 栄一君
    〔拍手〕
          決算委員長 中村  靖君
    〔拍手〕
          懲罰委員長 松野 幸泰君
    〔拍手〕
     ――――◇―――――
#18
○金子原二郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は、他の日程とともにこれを延期し、明八日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#19
○議長(田村元君) 金子原二郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○議長(田村元君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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