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1947/11/14 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第1号
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1947/11/14 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第1号

#1
第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第1号
  付託事件
○警察法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
 治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事      中井 光次君
   理事      鈴木 直人君
           羽生 三七君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           鬼丸 義齊君
           青山 正一君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           小野  哲君
           柏木 庫治君
           駒井 藤平君
           阿竹齋次郎君
           池田 恒雄君
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   理事      鈴木 安孝君
   理事      松井 道夫君
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          天野木秀次郎君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           鬼丸 義齊君
          前之園喜一郎君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           宮崎タマヨ君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
           西田 天香君
――――――――――――――――
昭和二十二年十一月十四日(金曜日)
   午前十時二十九分開会
  本日の会議に付した事件
○警察法案
   〔吉川末次郎君委員長席に着
く〕
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより治安及び地方制度委員会と司法委員会との連合委員会を開くことといたします。治安及び地方制度委員会に付託されております豫備審査のための議案であります。警察法案についての御審議を願うわけでございますが、治案及び地方制度委員会に付託されております関係上、治安及び地方制度委員会の委員長であります私が、この連合委員会の委員長の席を汚すことをお許しを願います。
 先ず最初に理事者の説明を願いたいと思うのでありますが、内務大臣が最初に出席いたしまして、提案理由の説明をいたす豫定になつておつたのでありますが、只今院内において閣議が開かれておりますので、暫く待つてくれということでありますので、それに先立ちまして内閣の曾禰官房次長から法案に関する経過についてお話を願うことにいたしたいと思いますが、暫く速記を止めて下さい。
   午前十時三十二分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時十二分速記開始
#3
○委員長(吉川末次郎君) それでは速記を始めて。早速木村内務大臣の提案理由の御説明を願いたいと存じます。
#4
○國務大臣(木村小左衞門君) 今囘政府より提出いたしました警察法案につきまして、その提案の理由及び本法案制定について政府の取りました根本の方針を理論明いたしたいと思います。
 最初に本法案提出の経緯について御説明いたします。警察制度の改革については、終戰後直ちにその必要を叫ばれまして、政府においては、関係方面と連絡の上、慎重調査に着手いたしたのでありまするが、事の重大性に鑑みまして、昨年十月閣議決定を以ちまして、内務省に警察制度審議会を設置し、両議院議員並びに関係官職の官吏及び学識経験者のお集りを願つて、憲法並びに地方制度の改正に伴う警察制度の政正に関しまして、調査審議を頂きまして、昨年末有益なる御意見の答申があつたのであります。
 又他面、本年初頭より四、五月にかけまして、新憲法の実施や地方自治法の施行等、特に行政組織及び運営に大なる變化がありまして、その際警察の根本的改革を実施いたしますことは、他の制度の切換えの円滑を妨げはしないかということを慮りまして、取敢えず従前のままの体制で、この轉換期を切抜けることとしまして、第九十二議会に、そのため必要なる規定を地方自治法の附則に設けて提出しますると共に、他面制度改革の具体的な研究を進めて参つたのであります。その後政府におきましては、内務省解体の方針を決定いたしましたが、当時は警察制度について根本的な改革方針が未だ決定するに至つておりませんでしたので、その際も、取敢えず地方警察機関はそのままといたしまして、ただ中央は総理廳の外局として公安廳を設置し、これを内閣総理大臣の所轄の下に、警察行政の中枢機関とすることといたしまして、これに関する法律案を先般國会に提出し、審議をお願い申上げたことは、御承知の通りであります。
 然るに、先般警察制度改革の根本方針が漸く決定するに至りましたので、ここに中央、地方を通ずる根本的な警察制度改革に関する本法案を提出する氣運に至つた次第であります。
 次に、今回この法案を制定するにつきましての、警察制度の根本方針に関して申述べたいと思ひます。今回の改革の方針といたしまするところは、日本國憲法の精神に則りまして、新たな民主的権威の下に民主的警察を確立せんとするものでありまして、その重点は、警察運営の民主化の徹底と地方分権の強化とに置いておりまするが、又同時に警察本来の使命である法律及び秩序の有効な執行という面にも考慮を拂つておるのであります。
 先ず第一の警察運営の民主化の徹底としては、警察を管理するために数人の委員による委員会制をとつたこと。警察の職務の範囲を限定して、これを警察固有の職務とも称すべき公安の維持、生命財産の保護、犯罪の捜査、犯人の逮捕に止めることといたしたことが挙げられるのであります。これによりまして警察が民主的機関として、その運営が、苟くも憲法の保障する基本的人権を侵害することがないと同時に、従来のように必要以上に國民生活に干渉するようなことがないことを期したのであります。
 第二の地方分権の強化としては、御承知のような現在の全國一体的な國家警察機構を改めまして、市及び人口五千人以上の市街的町村に、それぞれ自治体警察を認ゆることといたしたのであります。又この國家地方警察につきましても、都道府縣で実際に警察執行を行う職員は、身分は國家の警察職員でありますが、その運営は、知事が都道府縣議会の同意を経て任命するところの都道府際会安委員会の管理の下に置くことといたしたのであります。これによつで後に述べる特別の場合を除きましては、全國の警察の運営は、全く中央政府の手から離れまして、地方民の代表者の手によつて行われることになるのであります。
 第三に、かかる制度の下において、國内治安確保のための措置として先ず國家の職員として三万人の國家地方警察除を置き、全体の警察官吏の定数を、現在の九万三千九百三十五人から十二万五千人にまで増加すると共に、國家非常事態に関する特別措置を認め、治安維持のため特に必要の場合は、内閣総理大臣が国家及び自治体の両方の警察を一括して、その統制下に置くことができる途を設けたのであります。
 以上が本法案制定に当つて取りました根本の方針であります。
 この法案は警察の民主化を急速に実現するために、その全規定を法律の成立後九十日以内に施行することといたしております。申上げまするまでもなく、この法案は、国家秩序の保持に任ずる警察の制度に関する重大なものでありまして、同町に我が國の民主化を促推する上にも重要な意義を持つものであります。何卒愼重に御審議の上、速かに御決議あらんことを希望いたします次第であります。
#5
○委員長(吉川末次郎君) それでは警保局長が今衆議院の委員会に行つておりますので、代つて説明員の企画課長から警保局長の存すべき説明をして貰うことといたします。
#6
○説明員(加藤陽三君) 警察法案の制定の根本の方針につきましては、只今内務大臣から御説明がありましたので、この法案の内容についてその重要なる事項を中心といたしまして順次御説明をいたしたいと存じます。
 先ずこの法案は前文及び八章六十八ヶ條の本文、及び附則並びに別表から成り立つております。
 前文は、この警察法を制定する、趣旨を誕つたものでありまして、それは日本國憲法の精神及び自治法の原則に従いまして、國民の権利と自由を保護し、民主的な権威の組織を確立するためにこの法律を制定する旨を述べてあるのでございます。
 法案の第一章は総則でございまして、警察の責務及びその運営の精神を規定いたしました外、警察職員の宣誓や字句の解釈について必要な規定を設けております。警察の責務は先程大臣もお述べになりましたごとく、國民の生命、身体、財産の保護、犯罪の捜査、犯人の逮捕及び公安の維持に限定し、而もその運営は憲法の保障する人権保護の範囲を超えてはならない旨を嚴格に宣言しておるのでございます。
 法案の第二章は國家地方警察に関する事項でございまして、第四條において内閣総理大臣の所轄の下に、國家公安委員会及び三万人以内の警察官より成る國家地方警察除を置くことを規定いたしております。國家公安委員会は、國家地方警察の人事、組織、予算等の行政的管理事務を掌ります外、犯罪統計、犯罪鑑織に関する事務、又後に述べます國家非常事態に処する警察の統合計画、皇宮警察に関する事務、中央重要官衞の警備等の事務を掌ります。その委員は五人、委員の任期は五年でございまして、前に大臣よりお述べになりました根本の方針に従いまして、一定の資格要件を持ち、且つ警察職員、又は官公廳の職業的公務員の前歴のない者の中から、國会の同意を得て内閣総理大臣が任命することに相成つております。委員についてはその外に第六條乃至第十條に必要な規定を設けておりますが、これらの規定は概ね國家公務員法の人事委員の例に倣つたものでございます。
 次に國家公安委員会の事務部局といたしまして、中央に國家地方警察本部を設けます。又全國を六つの警察管区に分ちまして、その各々の地方事務部局として札幌、仙台、東京、大阪、廣島及び福岡に警察管区本部を置くことといたしております。第十一條乃至第十九條はこれに関する規定でありまして、これらの各本部にはそれぞれ必要な部課や職員を置く外、警察学校その他の教養施設、又は犯罪鑑識に関する機関等を設置いたします。
 第二章の第三節の規定は都道府縣公安委員会に関するものでありまして、概ね國家公安委員会の規定に準じて設けられておりますが、察員の数は三人、その任期は三年と相成つております。この委員会は都道府縣国家警察除の運営の管理に任ずるものでありますことは、大臣から一言御説明になつたところであります。
 第二十七條乃至第三十九條に亘つております第四節は、都道府縣国家地方警察に関する規定であります。都道府縣國家地方警察は、その都道府縣の区域内におきまして自治体警察の管轄いたします区域以外の区域、これは主として村落部の区域であります。これを管轄区域といたしまして、その区域内における警察事務を行うものであります。その本部は都道府縣所在地に置き、必要な地に支所及び現在とほぼ同様な形の警察署、駐在所、派出所を置くことになつております。ただ北海道の地域はその廣大なる特殊事情を考えまして、その支聽の行政区域によりまして、十四以内の國家地方警察の本部を置き得る特例を認めております。その本部の一つは道縣所在地である札幌に置くことになつております。
 第三章は自治体警察に関する規定であります。その第一節は総則で、國家地方警察と相並立いたします、自治体警察は、市及び人口五千人以上州市街的町村に認めることにいたしております。この市街的町村は具体的には政令を以て一々決定し、告示いたします。この市町村の警察に関する權限は完全なものでありまして、國家警察から何らの干渉をも受けず、行政的にも運営的にも自主権を持つものでございます。從つてその経費も原則として当該市町村が負担すべきは当然でありますが、ただ当分の間地方自治財政の確立いたしますまでは、現在通り國庫及び都道府縣の負担としております。
 この市町村において警察に関する事務を処理いたしますのは、市町村長の所轄の下に設けられまするところの市村町公安委員会でありまして、この公安委員会の組織、運営等の事項は、前に申述べました都道府縣公安委員会に準ずることとしております。
 第三章の第三節は、市町村の警察署、警察長その他の警察職員等に関する規定であります。市町村警察吏員の定数は総計九万五千人でありますが、地方自治財政が確立し、市町村がみずから警察費を賄うに至りまするまでは、別に政令を以てその基準を定めることにいたしております。市町村警察長は市町村公安委員会がこれを任免し、その他の警察職員は市町村公安委員会の承認を受けまして、警察長が任免することに相成つております。
 自治体警察のうち特別區につきましては特例を認めております。即ち特別区の存ずる区域においては、その実体に適應いたしまして警察の機能の発揮に遺憾なきを期しますために、特別区が連合して單一の組織で警察の責に任ずることとし、その公安委員会は都知事の所轄の下に置きまして、委員の任命は都知事が都の議会の同意を経て行うことに相成つております。その他の事項につきましては、特別区の存する区域を以て一つの市とみなしまして、市町村警察に関する事項を準用するのでございます。
 第四章は國家地方警察と自治体警察相互間の関係を規定しております。前に申述べましたがごとく、これらの警察は全く対等でありますが、警察事務の執行については相互に協力する義務を負い、又特に國家地方警察は、市町村警察から要求がありましたときは、その区域に援助のために出動することができるものとしております。
 第五十七條及び第五十九條に及びます第五章は、警察職務の必要に適應せしむるために、國家地方警察、自治体警察のおのおのがその本來の管轄区域以外の区域において権限を行い得る場合を定めたものでありまして、その境界外五百メートル以内の区域、及びその市町村の施設が他の区域内にあつた場合、その施設内においては犯罪捜査等の権限をおのおのが行うことができるようにいたしておりますし、又それぞれの管轄区域内に起りました事件、或いはそれぞれの管轄区域内に関係のありました事件については、それぞれの警察が國家地方警察、自治体警察のそれぞれが、その本來の管轄区域以外においてもその権限を行うことができる旨を定めておりまして、警察の細分によるところの犯罪捜査上の不便を補わんとしておるものでございます。
 第六章は、犯罪統計及び犯罪鑑識施設に関する規定でありまして、この二つの事項につきましては、警察全般の能率を向上させるという見地から、例外的に自治体警察に対しまして國家地方警察に報告する義務を規定しておるのでございます。
 第六十二條から第六十六條に亘ります第七章は、前に一言いたしました國家非常事態の特別措置に関する規定であります。國家非常事態に際しまして、治安維持のため特に必要であると認めますときは、国家公安委員会が勸告をいたしまして、その勸告に基いて、内閣総理大臣が、全國又は一部の区域について國家非常事態の布告を発します。そうしてその布告に指定しました区域丙の國家警察、自治体警察、すべての警察を統制し、必要な場合はその布告に記載した以外の区域からも警察官吏の鷹援派遣を命じて、当該事態の解決に当らしめるものとしておるのであります。固よりこれは中央政府が自治体警察をも統制する異例の措置でありますから、二十日以内に國会の承認を求めることにいたしますと共に、内閣総理大臣も、布告を廃しました後におきまして、最早その必要がなくなつたと認めたときは、速かに廃止の手続を取るべきものと存じておるのであります。
 第八章は雜則的の規定でありまして第六十七條において警察関係機関と検察官との関係については、別に法律で定める旨を記載し、又第六十八條におきましては、市町村の廃置分合等のありました場合の自治体警察に関する措置について必要な規定を設けております。
 附則におきましては、その法律の施行について必要な事項を定めておりますが、主な點は、第一にこの法律は両院を通過成立いたしましてのち九十日以内に完全に施行されることといたしております。第二に最初に任命された國家公安委員会、都道府縣、市町村公安委員会、おのおのの公安委員会の通常の任期に拘わらず毎年一名づつ交代するものといたしております。第三に警察職員の任免等の人事については國家公務員法を、この法律の適用に必要な範囲で施行されたものとみなし、必要な規則の制定等の準備を進めておりますが、それができますまでは從前の例によるものと存じております。第四に費用の負担についても、税制改革その他の措置によりまして、地方財政が確立いたしますまでは、警察費の負担は当分従前の例によるものといたしております。第五は現在使用中のいろいろな警察の施設の処置は基幹的なものを除きまして、自治体警察に譲渡するという規定、最後に地方自治法の改正その他に関する補足的な規定、総計十九ヶ條の規定をそこに置いてあります。
 以上本法案の内容について主要な事項の概略を説明申上げました。
#7
○委員長(吉川末次郎君) それでは只今の説明に対する御質疑がありましたら御開陳を願います。
#8
○羽生三七君 この警察法案が提案になるまでの経緯を先程承つて当局の御苦心はよく察したわけであります。そこで私のお伺いしたいことは、新憲法による日本の民主化が促進されることになりまして、而も特に地方自治法を中心として強大な権限が地方自治体に賦與されるということは極めて慶賀すべきであります。併しアメリカのごとく、或いは諸外囲のごとく民主主義的な訓練を十分経ていない我が國におきまして、この法案施行の際に想定される二、三の問題をここで挙げて見たいと思うのであります。
 第一番には、公安委員を通じまして警察署長が任命される場合、この場合に罷免権は固よりこの法案に規定されておりますけれども、併し若し特定の政党、或いは非常にボス的な人間が強力なる警察力を持つようになつて、その場合に不当な警察力の行使が行われるようになつた場合に、人民がこれを監視するというような、或いはこれを弾劾するというような規定がこの法案には全然ないのであります。他の諸法案につきましては概ねこの規定というものが挿入されておるのでありますが、本法案には殆んどこれが欠けておる。縫つて私は固より罷免権によりまして或る程度この法案の不備を補うことができるとは思いますけれども、併し何らかの形による人民の監視機関の設置が必要になるのではないかということを特に痛切に感じておる一人であります。この點について当局はどういうふうに考えられておるか、この点を承つて置きたいと存じます。
 それから第二には、警察の持つ職分についての規定が大体できて、本來の警察職務だけに限定すべきものであるということになるわけでありますが、それ以外今日まで警察が握つておつた職務というものはどういう形でどういうところに移行されるのであるか。その辺についてまだ明白になつていませんので、この辺を承つて置きたいと思つております。尚細かいことは又後に述べたいと思います。
#9
○説明員(加藤陽三君) 只今のお尋ねの第一点の公安委員の不当な権限の行使に対して、人民の監視機関を設けたらどうかという御意見でありますが、只今の我々の考えといたしましては、人民が市町村長を通じてこれを弾劾し、これを監視するということで一應足りると思つております。
 第二の現在警察が持つております職務を他の方に委譲いたします仕事でございますが、只今具体的に他の法律につきまして検討を加えておりますが、大体消防は悪らく今議会に追つかけて、この措置は警察から切離しましてどういうふうに行うかということの具体案が提出できる見込で進んでおります。その他残つております仕事といたしましては、古物商、質屋の取締、営業免許でありますとか……
#10
○羽生三七君 衛生関係はどうなりますか。
#11
○説明員(加藤陽三君) 衛生関係は、許可認可の処分の関係はすでに他に移しておりまして、現在警察が持つておりますものは傳染病が発生いたしました場合におきまして、警察官吏が報告を受け、必要なところに通告するというような権限、それから家畜博染病予防法の関係におきまして狂犬の屠殺というような仕事、これらは警察以外のいかなる機関にやらしたらいいかということにつきまして研究はいたしておりますが、決定はいたしておりません、大体許可認可等の行政処分に関する権限は、終戰以來連合軍同令部の方の指導によりまして大多数のものは移管済みに相成つておると考えております。
#12
○羽生三七君 重ねてちよつと簡単にお尋ねいたしますが、例えばお話の公安委員等が、或いは警察署長が不当な権力を行使した場合の弾劾権について、それについては当該地方自治体の首長を弾劾する他の規定によつてこれを行えばよいのではないかというお話でありますが、仮りにその地方自治体の首長に指定された弾劾法によりまして地方自治体の首長が罷免された場合にでも、警察署長は或いは公安委員会には何らの関連はないと私は考えますが、その辺はいかがですか。
#13
○説明員(加藤陽三君) 市長村長は、この警察法案の規定によりまして公安委員を罷免することができることにたつております。その規定によりまして、公安委員の方は処置する途があるのであります。又警察署長はこの法律案の規定によりまして公安委員会がこれを罷免することができるようになつておるのであります。
#14
○岡元義人君 企画課長にお伺いして置きたいのでおりますが、この法案が成立後九十日以内に施行期日を定めるということになるようでありますが、現在の警察官吏が、國家警察の方が大体三万ということになりますと、当然地方自治体警察の方へ異動が計画されなければならないと思います。この異動と実際の設備及びそういうような宿舎とかいろいろな問題が沢山附随して起きて來るのでありますが、これらについてもう少しどういうような方法を以てやるかということを具体的に御説明を願いたいと思います。
#15
○説明員(加藤陽三君) 今お尋ねになりました問題は、我々といたしまして一番頭を悩ましておる問題でありまして、これを九十日以内にやり途げるということは並大抵の仕事ではないと思いますが、止むを得ざる事情によりまして、いつでも、やらなければならない覚悟をいたしております。実施の順序といたしましては、先ず自治体警察を持つことができる市町村を決定いたしまして、その市町村で公安委員を選んで頂きましてその公安委員が警察長を選任するということになります。その警察長が選任されますと、それと現在の都道府縣の警察部長と相談いたしまして人員をどう分けるかという手筈をするようになります。大体我々といたしましては、これを円滑に推進いたしますために、成るべく事前に警察官の配置替えを行いまして、警察官の中で自分の郷里に飾りたいと思つておるような者はその方へ轉任させるようにしてみたいと実は考えております。警察の配置が決まりますと、次に設備をどう分けるかという問題になりますが、それもその市町村の公安委員及び警察署長と道府縣の警察部との間で具体的に協議いたしまして、逐一配置いたして行きたいと思つております。考えますといろいろむずかしいことがございますが、若し今月中にでもこれが成立いたしますと、今から準備を整えて置きまして、二月一ぱいには少くとも何とかそういう手筈で進めて行けばできるのじやないかと思つております。
#16
○岡元義人君 建築物、そういうものはできるだけ既設設備のものを利用して行かれるというようなことにお考えになつておると思いますが、実際問題におきまして相当な異動がある。これらの宿舎というようなものが三ケ月くらいで十分にできるか。もう一つはこの予算でありますが、そういう面において相当な紛争が起きやしないかという懸念があるのですが、これに対しては企画課長は相当見通しがあるのでありますか、伺いたいと思います。
#17
○説明員(加藤陽三君) 設備の点でございますが、これは当分は今の設備を使つて行く以外にないのでありまして、例えば警察署は國家地方警察署の警察とその市の警察、或いは町の警察が大体同じ場所に同居して当分の間やつて行く以外にはないのではないかと考えております。住宅などは現在定員として九万三千九百からの警察官がおりますが、これは直ぐ増加するわけではないのでありますから、その点は勿論個々の場合につきましては問題があるのでありますが、さほど問題もないのじやないかと思つております。
 予算の点につきまして、先ず國家地方警察本部が六つの警察管区本部の予算を新たに追加して頂かなければならないのでありますが、附則八條を御覧願いますと、都道府縣警察、國家地方警察に要する費用は当分の問從前通り國庫及び都道府縣が負担するということになつております。人員も急激に増加するわけではないのでありますから、この経過的な措置によりまして混乱なしに行くのではないかと思つております、将来は非常に警察に関する費用は増加するであろう。これは現在のような物價及び地方財政の下において、果して賄えるかどうかという点については余ほど心配をいたしております。
#18
○大隅憲二君 これは午後一時からの治安及び地方制度の委員会にはやはり政府委員が出て頂いて質問ができますか。
#19
○委員長(吉川末次郎君) 合同委員会で審議することになつておりますから、この警察法に関しましては……。
#20
○大隅憲二君 午後には質疑はできましようか。
#21
○委員長(吉川末次郎君) 質疑は先ず初めに一般的な質疑をやりまして、それが終りましてから、逐條的に詳しくやらなければならんと思つておりますが、質疑はまだ相当長時間要るかと思つております。それでは今日は……
#22
○岡本愛祐君 この警察法案は非常に重要な法案ですから、一つ内務大臣の出席を求めまして、そうして根本問題から一つ質問をいたしたいと思います。
#23
○委員長(吉川末次郎君) それでは本日の午前中の議事はこれで一先ず終りまして、そうして二時間休憩いたしまして、二時から片山総理大臣が出席しまして、更に皆さんに本案について申上げたいことがあるそうであります。特に総理大臣は本日午後は参衆両予算委員会に出席を要求されております関係上、時間の励行を願いたいということでありますので、遅刻することなく、正二時に開会いたしたいと思いますから、速記者の諸君も必ずその時刻までにこの会場へ用意して頂く、皆さんも同様御遅刻なく御列席願うように特にお願い申上げて置きたい。
 それから本日の公報に、事務当局で少し廣告の仕方を間違えておつたのでありますが、引続き只今申上げました午後二時からの会合は連合委員会が開かれますから、どうぞ司法委員の方も御列席願うようにお願い申上げて置きます。それから治安及び地方制度委員の方だけちよつと暫くお残り願います。それではこれで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時九分開会
#24
○委員長(吉川末次郎君) これより午前に引続きまして、治安及び地方制度並びに司法委員会の連会委員会を開会いたします。特に片山首相より御要求がありましたので、この機会に御発言を願いたいと思います。
#25
○國務大臣(片山哲君) 諸君によつて御審議を願いまする警察制度に関する改革案でありますが、今回提出いたしましたる警察法案は再期的のものでありまして、敗戦後の我が國における警察制度をいかなる建前でこの機構を作るべきかということにつきましては政府におきましても愼重検討いたしたのであります。結局におきまして警察力が國家の政治問題と絡んで、一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去いたしまして、警察は眞に國家の治安を維持するものである。又國民生活の幸福を守る制度でなければならない、こういう建前に基本を置いたのであります。
 更に又我が國の諸制度を民主化しなければならない建前から、とかく今日まで警察制度は官僚の代表である、走狗である、こういう印象を強く與えておりましたのを拂拭いたしまして、眞に警察制度の民主化を図つて、その民主的徹底に盡したい、かように考えたのであります。
 更に又内務省の解体に伴いまして、自治制度の基本的改革が行われるのでありましてその関連におきまして、警察制度の自治化と申しますか、自治制度に警察権を與えまして、国家警察と二つの建前にしまして、地方自治体の運営を力あらしめるというような建前で進んで行かなければならない、かような根本的見地に立ちまして、警察制度の根本的改革を企図いたしました次第であります。
 これにつきましては我が國の今後における治安上の影響等を考えまして、実際の運営上誤りなからしめなければならないのであります。新らしい制度に慣れないために、いろいろの不安を起し、且つ又治安維持に欠くるところあつては甚だ國家政治の上においても、或いは自治制度運営におきましても、将來非常に禍根を残すこととなりまするので、その題をも考えまして、非常に愼重を期した次第であります。この点につきましては政府におきましても非常な努力をいたしまして、その趣旨の徹底を図りたいと考え、地方自治制度運営と並んで、自治警察制度の運営につきましても十分注意いたしたいと考えておるのでありまするが、一面國民側におきましても、みずからの自治制度はみずからの組織力を以てその安を守る、自治制度廃達に大いに貢献するという心構えを求めて止まないのであります。両々相俟つて國家法案に関する努力と又國民の自治制度を確立して自治体の治安を國民みずから擁護する、こういう建前に立つて、両方面から我が國全般の治安問題に関して國民生活に万遺憾なきを期したいと考えておるような次第であります。すでにその要綱及び今日までの本案を提出するに至りました経過等につきましては説明いたしたと思うのであります。どうか各位におかれましては、この趣旨を体せられまして、この新時代に副うべき民主的警察制度に対しまして、何卒十分なる御審議の上速かに御協賛願いたいと存ずる次第であります。
#26
○委員長(吉川末次郎君) 首相は両院の予算委員会に出席せられる関係上、時間が余りないと思いますので、それとも相俟ちまして、内務省の諸君で十分答弁が得られますことは他日に譲つて頂きまして、特に片山首相に対しまして、この警察法案の審議について、只今の御発言に対し御質問がありましたらば、この機会に御開陳願いたいと思います。
#27
○岡本愛祐君 新憲法の精神に則つて、民主的警察を確立するために、警察運営の民主化の徹底と地方分権強化することに重点を置かれまして、この警察法案を提出いたされました政府の多大なる御苦心に対しましては、私は深く敬意を表する者であります。そこで我が國は新憲法によりまして、戦争を永久に放棄いたしました。陸海空軍その他の武力はこれを保持しないことになつたのであります。軍隊のない後におきましては、この公安の維持の重責は即ち専ら警察にあるのであります。新警察法案第一條におきましても、「警察は、國民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。」、公安の維持に当ることは即ち警察の主たる職務でございます。而して國の政治はこの安定した秩序の上に行われることは当然でありまして、この治安の維持は國家存立の基本に関する問題でありますから、重要な国家事務でなければならないと私は思うのであります。即ち本來からいえば、公安の維持は、重大なる國家事務として、國家の警察の責務としなければならないと私は考えるのであります。然るにこの新警察法案によりますと、公安維持の責務は東京都を初め都会地においては、その自治体の責務とせられておる。國家警察は平時は村落地における公安の維持にしかその責務がないというふうになつておるように私はこれを見るのであります。尤もこの法案の第七章國家非常事態の特別措置によりまして、國家非常事態に対しましては、内閣総理大臣は一時的に警察の統制を行うことができまして、この場合において自治体警察も國家警察の統制に服することになつております。併し同法案によりますと、平時においでは国家警察なるものは、國家地方警察以外に存在する余地がないように見えるのであります。國家警察なるものは國家地方警察だけしかやらないのだと、こういうふうに見えるのであります。言葉を換えていいますと、都会地における公安の維持である。私からしますれば、國家事務であるべき、この公定の維持が、新警察法案によつては否認せられておりまして、本来的に自治体警察の事務とせられておるように解せられるのであります。そういたしますと、國政の運行、國家の存立上に欠くべからざる公安の維持というこの重責は、平時においては國家の事務にあらずという極めて不用解な事納になつて参ります。この不用解な理論の上にこの警察法案が組み立てられておるように私には思われるので、いかにもその点がすつきり理解ができないのであります。この点に対しまして総理大臣の御見解を承わりたい。
#28
○國務大臣(片山哲君) 只今御指摘の点が本案の極めて重要なる点になつておるのであります。今迄は余りに中央集権的であつた、余りに国家政治というものと警察機構というものとが一緒になりまして、それが官僚的政治となり、それが独裁政治の傾きに堕した、こういう弊害が日本を誤つに至つたという見地から、今度の警察法におきましては、國家警察と自治警察とを分つということに基本観念を置いておるのであります。自治体は、自治人においてこれを守るのである。自治の生活は、その財政におきましても又一般の自治政治におきましても、且つ又治安の維持におきましても、自治人がみずから選んだこの組織を権威あらしめ、その選ん委だ員会に警察権を委ねだそうしてみずからの安寧をみずからの力で守つて行く、こういう自治警察の観念を新警察法に浸透せしめなければならないと考えておるのであります。これが日本を民主化する上における一つの使命となつてお参るのであります。政治上における民主主義の徹底をこの方面にまで行き亘らしめなければならないということに、私共は強く考えておるのでありまして、只今御指摘のような考えは、今までのやり方であつて、それが余りに弊害がありましたので、今回は自治を尊重し、地方分権の建前に立ちまして、かような法案を提出するに至つたのでありまして、どうか國民代表としての各位におかれまししも、自治精神の高揚と自治治安の維持ということを自治人みずから握るという、こういう大きな使命を十分に御考慮願いたいと存ずるのであります。
#29
○岡本愛祐君 総理大臣から御答弁を頂きましたが、私が只今御質問いたしましたように、この都会地における治安の維持、つまり治安の維持といえば、都会地の自治体だけの治安の維持ではありませんので、東京都という自治体の治安の維持というのでなくて、東京都並びにそれを中心とした関東地方で、えらい治安が乱れそうな状況況があるというようなことになるならば、これは國家の公安の維持に関係のあることになつて來るので、その点に対しまして、自治体の警察が任に当つて、國家警察が当らないということは、いかにもおかしいと、こういうふうに私は思うのであります。この自治体警察によつて、今までの行き方と違つて、そういうものは皆当つて行くのてというこの組立て方は分かる、政府の御苦心は分かりますけれども、どうもその点が工合が悪いと思うのであります。それで、私はこの法案をよく読んで、又私が納得するように考えて見たのでありますが、これは間違つた考えでありましようか、許されない考え方でありましなうか、それに連関してお伺いいたしたいと思います。私はこの法案によつて見ましても、公安の維持は、平時においても國家事務である、こう考えまして、これがこの法案によりまして自治体警察にその國家事務が委任されておるのだと、こういうふうに考えております。そうして治安の維持という國家警察事務を自治体に委任したと解しますれば、その範囲内においては、國家警察は國家機関としての市町村長を指揮監督ができるのではないか、こういうふうに考えるのであります。そうすれば、今度御提出になりました他の法案の、地方自治法の一部を改正する法律案の百四十六條というものが動いて参りまして、そうしてその國の機関としての都知事や、それから國の機関としての市町村長に対しまして、指揮をし、それが聞かれなければ、所要の手続を経まして、そうしてこれを強制しましたり、又彈劾したり、解職したりすることができるという規定が動き得るのではないかと思いますが、そういう考え方は許されないものであろうかどうか、それを伺います。
 又非常に心配いたしますことは、この法案によりまして國家から委譲されました警察の中で、犯罪の捜査、これは段々犯罪が全國的に組織活動を持つようなものが多くなつて行く傾向があるように見られますが、こういう國家的の捜査連絡を必要としまするものに対しまして、國家警察によつて緊密な相互連絡を図ることができないとすれば、これがうまく行かないのじやないかということを非常に心配するのであります。
 それから先程総理大臣がおつしやいましたが、この自治体警察の拡充ということによつて公安の維持をうまくやつて行くことができる、こういうお話でございましたが、フランスなんかの例を見ますと、政府のよつて立つ政党と、それから自治体によつて立つ政党と違つておりますときに、非合法な行爲によつて中央政府を覆させようとしたりする動きにこの自治体警察が巻き込まれまして、そうして治安が乱れるようなことがフランスの例ではありました。そういうようになる虞れが多分にありはしないか。又仮りにそういうふうに政府のよつて立つ政党と地方自治体の長の属する政党と対立しておりますときに、その中央政府に忠誠を誓わないところの自治体警察の者が、政府及びその閣僚等の保護に十分に專心することができるかどうか、この点非常に虞れるのであります。こういう点に対して総理大臣の所感を承りたいと思います。
#30
○國務大臣(片山哲君) 國家警察と地方自治警察との法的関係がどういうふうになるかというような問題につきましては、政府委員からその根拠を御説明申上げることになると思います。
 私は、國家公安の維持ということが根本であるのでありまするが、その土台となつておる地方自治公安というものも、今回は重要に取上げて、その独立性を尊重して、その治安は自治体によつて守つて貰わなければならない。その公安と國家公安との関連は極めて円滑に、且つ又機敏に取扱わせるようにして行かなければならない。こういう建前で本案はできておるのであります。それでありまするから、この建前といたしましては決して矛盾しないのでありまして、地方治安の維持ということが独立して、國家に全然協力をしない、全然反対の方向に向う。只今御指摘のような一朝事あつた場合における問題につきましては、そういう憂いを断つために特に條項を置きまして、國会がこの問題に対して活動して貰わなければならないことになつておるのであります。たしか國会の要請によりまして、という文字を使つておるかと思いますが、内閣総理大臣が自治警察に協力を求めて、國家治安に対して遺憾なきを期すも方法を講ずることができる、そういうことにもなつておりまするし、又國家警察と自治警察との関連につきましても、科学的な研究でありまするとか、或いは犯罪問題に対しましても、極めて有機的な関係を持つてその効果を挙げるようにしたい。こういう點についても本法案は留意いたしておる筈であります。
 尚犯罪問題につきまして、自治警察同士が縄張りを作つて、その犯罪について協力をしない。こういう場合についての御心配に言及されましたけれども、これにつきましてはお互いに協力しなければならないという條項を設けておる筈であります。で、それも政府委員から、そういう場合においてはどういうふうに協力の形を取るかと場いうことについては後で御説明することにいたしたいと思います。そういう訳合いで、一朝事ある場合においては万遺憾なきを期しておる次第であります。理論的に、どうしても日本民主化のために、又自治制度の根本的確立とその実力を與えなければならないという建前から、在來の封建的、官僚的やり方を一掃しなければならないという大きな目的のために、ここに分離いたしました次第でありまして、連営上においては警察官には十分に教育いたしまと、國家治安と自治治安との間で、我れ関せず薦というようなことのなきことを期したいと考えておるのであります。その意味において、本法の実施に当りましては、十分その趣旨の徹底、及び教育、訓練等については、十分に努力いたしたいと考えておりまする
#31
○岡本愛祐君 もう一つだけ総理大臣にお尋ねいたしたいと思います。それはこの警察法に大いに関係があるのでございますが、十月二十七日の朝日新聞に、亜東協会常務理事の徐逸樵という人が「中日関係の将来について」という特別寄稿をいたしておるのであります。その中に連合國総司令部のスポークスマンガ、十月七日に、極めて卒直に次のごとく日本人に警告した。こういうことで、その大意は、日本には現在多くの自称何々組とかいうものがあつて、旧外交官、國会議員、実業家等と結託し、舞台裏から政治を操つている、この潜伏政府、ヒドン・ガバーメントの黒幕の後には日本政府の最有力な領袖たちが隠れて、現在日本のいかなる政党も、すべてこれら隠れた領袖たちから援助を受けておる。このような状況は、丁度以前の軍人團体が政党を支持し、且つ支配したと同じものである。こういうふうにスポークスマンが言つたとしまして、このような恐るべき事実は日本人には極めて明白なことであろう。このことは中國人にも分らない筈はないのである。連合國が日本を管理してから僅かに二年である。日本の潜伏政治の力が斯くも大きいのであつては、若し日本の賢明な人工が自ら悟らず、連合國の監視も疎略で、大まかであつたならば、日本政治のいわゆる奇蹟が起らない限り、我々は日本の軍國主義の幽霊が、屍体を借りて魂を呼び戻す可能性がないとは信じられない。こういうふうなことを書いております。この疑念はひとりこの人だけでなくて、廣く外國人に行われておるということを聞いておるのであります。私は同氏が日本の人には極めて明白なことであると言つておりますが、私には極めて不明白なのであります。而も國際上この誤つた、誤つたのであろうと思いますが、誤つてないにしても誇張しておると思いますが、そういうことが廣く行われておるということは、非常に日本のために歎かわしいことであると思います。併しこの警察法の改正によりまして、自治体というものがボス政治というものと密接な関係ができて参りまして、警察がその傀儡になるというようなことは往々にししあるものでありますから、この点を非常に憂えております。総理大臣はそういうことは決してないように、十分な御用意はおありになろと存じますが、こういうふうな記事は、どういう間違いであるか、この際お尋ねいたします。
#32
○國務大臣(片山哲君) 只今御指摘の点につきましては、在來いろいろなる流説がありまして、私共も心配いたしておるのでありまするが、これからは国民の監視が十分に中央政治及び地方政治の上に現われて來ることを望んでおるのであります。それが本当の民主主義の政治でありまするから、國政については國会が國民代表として十分監視して、さような黒幕が操るということのなきように願わなければならないし、地方自治政治におきましても、に自治体の本旨に鑑みまして、選ばれたる諸君が政治をする、自治政治の衝に当つて、治安問題から、自治の根本問題から、又地方財の問題につきましても、國民監視の間に立つて、公明な政治をして貰うことを心より希望いたしておる次第であります。政府といたしましてはその問題に最大の注意を拂いまして、に今までのような、後ろ暗い政治のなきように努力するつもりであります。陣頭に立ちまして、政府が努力いたしまする建前といたしましては、警察官というのが本当に國民の公僕である、國民幸福のために仕事をしなければならないということに徹底させるつもりであります。今までのように権力をかさに着て、黒幕の操りに踊るというようなことは、今後の警察法においては跡を断ち得るように努力いたしたいのであります。
 なお本法によりまして私の考えでありまするが、十分に自治政治の徹底を図つて、警察におきましても不安なく公安が保たれるということに対しましては、政府は最大の努力を拂つております。警察制度を変えましたために自治制度或いは國家治安に動揺を來すというようなことがありましたのでは、時局を預つております政府といたしましては誠に申訳ないのでありまして、その点につきましては本法制定に当りまして十分なる信念を持ち、十分なる用意をし、万遺憾なきを期したいと考えておるのでありまするから、御心配のような黒幕政治を一掃することが、この機会に最もなすべきことであろうと存じております。
#33
○羽生三七君 質疑は後に譲りまして、私は簡單にこの際首相に御注文申上げて置きたいと思うのであります。それはこの法案を運営するに当りまして、先程他の委員からお話がありまたように、國家警察と自治体警察との関連性、或いは治安上の問題についていろいろの御心配があるようでありますが、今朝來御説明を承りまして、この法案が出來上るまでの経過を知つた際、そう簡單に我々の希望通りにこれが修正されるとは考えておりません。從つて私共はこの法案によつて日本の治安を維持して行くという場合に、ややもすれば陥り勝ちの我々の欠陥は、警察力を強化することだけに囚われる形勢が非常にあるのであります。今日この程度の法案でも治安に欠けることのないということを考える場合におきましては、少くとも日本の最近の犯罪の多いことは職事の結果であります。そうでありますから、私はこの程度の法案でも十分の治安が保たれるということを確実ならしめるためには、結局現内閣が強力に民生問題にあらゆる施策をなして、犯罪を未然に防止するという観點の上に立たねば、ただ單に警察力の強化の点だけを唱えておつても始まらないと思うのであります。我々はこの治安を維持するためには万全の策を講じなければなりませんが、同時にこの法案を暫くの間は運営して行くのでありますが、暫くというか、当然これで行くのでありますから、この法案でも可能な程度でこの治安を維持して行くという場合におきましては、当然私は民生の安定ということが根本的な考え方にならなければいけないと思うのであります。その意味におきまして、首相は勇敢に、今日の日本の治安を阻害しておるような問題に対して、断乎たる施策をお取り下さることを私は希望いたして置きます。これは希望意見であります。
#34
○岡元義人君 総理大臣に二点だけ簡單にお伺いして置きたいのですが、將來の日本、いわゆる独立した日本として、この法案の中に盛られておりますところの員数を以て十分にこれから先治安を確保されるという確信を総理大臣はお持ちであるか。
 第二点は、日本の民族の一つの習慣といたしまして、地方末端におきましては、一つの警察官というものは、教育者であり、最も身近かな指導者である、そういうような観点に立ちまして、この法案が成立すると同時に、今までのような警察官吏というものではなくして、特來文化國家として立たなければならん日本の將來において、相当人格と識見というものをば警察官が持つていなければならんということが大事だと思うのでありますが、この点について簡単にお伺いしたいと思います。
#35
○國務大臣(片山哲君) 治安については十分に信念を持つております。この信心を以て本案を諸君の前に提出いたしたような次第でありまして、政府といたしましては十分なる用意と十分なる信念を持つてこの警察制度で守り得ると考えておるのであります。但し、一朝事ある場合においては、先程申しましたように、全警察力を挙げて、國民の幸福のために、國家安寧のために協力する態勢を持たなければならないし、且つそれについては十分教育をし、又國民の理解を求めなければならないと存じております。
 第二の、今までの警察官に対しては、國民の感情から申しましても、認識から申しましても、甚だしつくり行つていなかつたのでありまするが、これからは本当に警察官は國民を守る國家の官吏である、こういう意味に徹するために、警察教育につきましても、又警察官の養成につきましても、十分に用意をいたしたい考えでありまして、この意味において地方自治警察にも非常な期待を掛けておるのであります、特に弱き者の保護、又先程羽生君が申されました國民生活の安定政策と相俟つて、警察官教育については十分努力する考えであります。
#36
○山下義信君 一二伺いたいと思うのでありますが、この警察制度の改革が段々と傳りまして、現在の警察官吏が相当動揺しておるのではないかと思うのであります。或いは政府の方で何かそれとなしに御通知でもお出しになつたことがございますか。例えば今の警察官で辞めたいと思う者があるならこの際申出ろ、今辞めればどうしてやるとか、こういう取扱いをしてやるとかいうようなことの御通知でも出ましたでしようか。下々の、殊に地方の警察官がいろいろと將來の自分たちの身の上で動揺しておる、辞めるなら今だというようなことを申しておる警察官があります。これは巡査階級などに殊に多いように見受けるのであります。それで現在の警察官が、この警察制度が変りましても、それぞれ政府の方で新たなる警察署その他への任命といいますか、そういう点について今の警察官が不安に駆られないようなふうの何かお考えでもございますか。この法案によりますと、署長のごときは皆公安委員会で任命することになります。そうするしと、現在の警部級、警部補の署長もありますが、それ以上のものは場合によつてはもう壽命が短かい、そういうようなふうで現在の署長級も不安に駆られております。従いまして下の警察官などもどうなるのか、自分たちは國家警察の方の巡査になるのか、地方自治体の方の巡査になるのかというようなことでありまして、非常に不安に駆られておるような点がございます。それで現在の警察官の身の上につきまして不安のないような、何か政府に御方針がそういう人事の面におありでありましようかどうか。
 それからいわゆるもうあと短かいのだというようなことで、行き掛けの駄賃のようなふうで、相当警察官で悪事をする者があります。それで過渡的な場合におきまして、そういうことのないように、これは一層厳重にこの警察というものの綱紀粛正ということに御注意をお拂いになつておるかどうか。こういうことを先ず一つ伺います。
 それからいかに制度を変えましても、いわゆる治安の維持、これは私共も先程の御質問と同感でございまして、この点は同僚諸君が最早尋ねましたから省略いたしますが、いわゆる進駐軍のMPというようなものが帰る時があつたらば、日本國内の治安は恐らく保てないだろう。どんどんと暴力というものが、テロ行爲というものも行われるだろうというようなことを一部危惧しておる。只今の御質問では、その点この制度陣容で大丈夫という見通しがあるかという御質問がありましたが、私も同感で同憂しておりましたが、政府の方では大丈夫だというお考えのようでありますが、いかに制度が変りましても、結局は私は警察官が安心して働けるようにしなければこれはいかん。たとえ國家、地方自治体いずれを問わずであります。それで警察官の身分というものに安心して働けるような特別の何かお考えを持つておいでになりますか。即ち警察官は言うまでもなく、一命を投げ棄ててやらなければなりません仕事でございますので、彼らの安心して働けるような身分の保障についてお考えがあるか。同時に警察官の待遇の向上ということは、これをやらなければ何もなりませんので、警察官の待遇向上ということに、この制度の切り換えのときに、特にお考えなさつておいでになるところがあるかどうか。この点をお伺いたします。
 最後にこの警察官の階級、警視とか、警部とか、警部補とかいうようなものをお定めになりますあの階級の間に、やはりこの服従的な階級制度をお用いになりまするか。ただあれは職分であつて、その間には階級というものを、服従的な階級制度をお認めになりませんか。どういう御方針か承りたいと思います。若し階級の、この上下の服從系統をお認めになるならば、國家地方の巡査も自治体警察の警部との間の上下の関係を、お作りになりまするか。これも一層向うの署長とこちらの巡査は身分の上でちつとも関係のないようになさいまするか。いわゆる礎來にありましたる警察のあの秩序というものを立て、國家と地方自治体と変りましても、警察官同士の間の階級度制というものをお認めになりますか。これはすつかり撤廃なさいまするかどうか。
 それからそれに関連しまして、自治体警察と國家地方警察との間の人事の交流というものをお認めになるか。これは截然としてその間には何ら人事交流的の関係のないようになさいます御方針か。
 以上の点を伺いたいと思います。総理大臣でお答え下さいまする範囲のことをお答え下さいまして、若し、要すれば政府委員から答えて、頂きましてもよろしうございます。
#37
○國務大臣(片山哲君) 現在の警察官に動揺を起すような事納を、政府でやつたようなことはありません。落着いて新らしい制度に移行するまでは、職務に忠実に治安維持の大きな仕事に精励して行かなければならないということを言渡しておるほどであまりして、今お話のような行き掛けにいろいろなことをするとか、腰が浮いておるとか、そういうようなことを刺戟するような処置は少しもしておりません。本当に任務に忠実であつて、又今まで我が國の警察官は、特に上官の命令を忠実に実行して、治安維持のために薄給で奮属した、傳統もあることでありまするから、この点については間違いはないと思つております。ただ綱紀粛正の問題については、多勢のことでありまするから、ときに新聞に出るようなことがありまするが、大体に驚いては綱紀は保たれておつたと思うのであります。改府といたしましては間違いのないように、位置或いは機構の変化によつて浮腰にならないように嚴に注意をいたしておるような次第であります。なほ今後の警察官の待遇につきましては、財力の関係と睨み合せて行かなければならないし、國家警察と自治警察とり二つの建前となりましたものでありまするから、これらの問題については十分に検討したければならない問題でありまするが、國家警察につきましては十分にその点に注意いたしたいと思つておりまするし、自治警察につきましても政府の意あるところを十分に示すつもりであります。
 階級の問題でありまするが、やはり迅速果敢に活動しなければならない建前から申しますると、一つの警察の中には、それぞれ命令系統ならざる、今までのようなやかましい階級はどうかと思いますけれども、やはり一つの系統立つた統制のある活動組織体というものが必要と思つております。
 自治体と國家警察との間における交流関係等は、今の公安委員会で任命するというような建前になつておりまするから、別にこれは禁止もせず、又そうしなければならないというようなこともないと思いまするが、これらの細目については政府委員からお答えすることにいたしたいと思います。そういう問題につきましても特に注意をいたしまして、更に落着いて沈着なる態度を以て最後まで仕事に当つて、機構の改革によつて動揺しないように一段と注意いたしたい考えであります。
#38
○委員長(吉川末次郎君) 片山総理大臣に対する質疑の機会はまだ次にもあると存じまするので、参衆両院の予算委員会で、首相の出席を先程来数回督促して参つておるそうで、御要求がありますから、これで首相には御退席を今日は願うようにしたいと思うのですが、よろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(吉川末次郎君) それでは只今までの御質疑について、内務当局から御答弁を願うことにいたします。
#40
○山下義信君 総理の今の御答弁に補足して、丁度政府委員が見えておりますので伺いたいのですが、階級の制度を保存するかどうかという点でありますが、その階級の問の全体的な服従的なあれを、今の警察のあの階級的制度のところを全体的に残して行くかどうかという点。これは、今の警察制度の悪いところは別として、良い所は、打つて一丸となつて團結しておるところに、私は警察の機能がよく発揮されて、且つ又、只今仰せになりましたが、警察官が薄給でも尚且つ任務に邁進しておるということは、從來の、悪くいえば警察官僚でございますけれども、警察組織と申しますか、警察官の組織の中に、言うに言えん階級的秩序と温い團結があつたということは、日本の警察の美点として私は否めないと思う。それが今度は全然なくなつてずたずたに切られて、村々町々別個に任命者が、違つて来て、その全体としての警察官に流れるものが何もないことになつて來ると、果して從來のような、好き成績を挙げたこの日本の警察の特長というものが発揮できるか。これは数が少々、三万、二万殖えたからといつて、恐らく今のような治安の維持すらも不可能になるのではないかというような点も考えられまするので、今の警察制度の持つておりまするような、悪くいえば軍隊的でありまするけれども、秩序と繋がりというものをどこかの面に残して行くかどうかということを實は伺つたのでありますが、お答えがなかつたのであります。
#41
○政府委員(久山秀雄君) 警察官の階級につきましては、この法律にも、現在と同じ階級を踏襲いたしまして、まあ警察長の外に、警視以下巡査まで同じ階級で、同じような仕事の上におきまする指揮命令の関係においてこれを維持して行くことに、法律にも載つておるのであります。自治体の方につきましては、その警察官の階級を、國家警察が採りましたのと同じ階級をそのまま維持しなければならないという規定はないのでありますけれども、自治体におきましても、警察署長は警部補以上の警察官を以てこれに当てるということを躯つておるのでありまして、或いは非常に大きな都市、或いは東京都の二十三区の区域にできまする自治体警察のように非常に大きな所、及び数名の警察官を持つておりまする自治体の警察というような、自治体の非常な相違によりまして、警部補以上の階級につきまして、それぞれ自治体の條例を以ちまして、或いは警視の上に特別のものを作る、まあ東京で申しますれば、今の警視統監に当る名前を、何と申しますか、警察局長と申しまするか、そういうものの下に、或いは然るべき名前の今の部長に当るような人を置くか、それから警視、警部と、こういうふうに行くようにいたしまするか、或いは小さい所では、勿論最高を或いは警部補ということにいたしまするか、それはその自治体の警察官の数、大きさによりまして、自治体一の規定に任しておるのでありますが、大体は恐らく今國家警察が規定しておりまするような、現状のような階級制度になることと考えておるのであります。
 それからもう一つ、先程お話がありましたが、人事の交流という問題は、こういうふうな建前になりますと、絶えず全体を見ておりまして、自由に適当な場所に動かすということはできるものではないのでありまするから、今までのような意味合における人事の交流というものは一應なくなるのであります。併しいろいろ本人の希望なり、或いは自治体の公安委員会なり何なりが、お互いに話をし合りなり、或いは國家警察との間におきましても、まあ上実上の話合いによつて交流は勿論行われるわけでありますけれども、今までやつておりましたような意味の人事の交流というものは、これはまあできなくなる。従いまして、余り人事の交流というものは頻繁に行われない。或る意味におきまして、いわば一生そこで落着いてそこの警察官として終始するという面から、よいことも大いに期待されるのであります。これは建前上そういうふうになるのでありまして、実際の運営に当りましては、少くともこれが運営に馴れまして、すべての警察官が、小さい自治体におきましても、喜んでそこで一生警察の職に奉ずるというような気運が出て参りますまでにおきましては、事実上の連絡によりまして、相当人事の交流というようなことも考えないとうまく行かない面があるのではないか、そういうふうに考えております。
#42
○委員長(吉川末次郎君) 今日はこの位で終りたいと思つておるのですが、いかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(吉川末次郎君) それでは明日本会議散会後更に一般質疑を続行いたしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時七分散会
 出席者は左の通り。
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中川 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           鬼丸 義齊君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           小野  哲君
           阿竹齋次郎君
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   委員
           齋  武雄君
          前之園喜一郎君
           岡部  常君
           山下 義信君
           西田 天香君
  國務大臣
   内閣総理大臣  片山  哲君
  内 務 大 臣 木村小左衞門君
  政府委員
   内閣官房次長  曾祢  益君
   内務事務官
   (警保局長)  久山 秀雄君
  説明員
   内務事務官
   (警保局企画課
   長)      加藤 陽三君
ソース: 国立国会図書館
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