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1947/11/15 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第2号
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1947/11/15 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第2号

#1
第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第2号
  付託事件
○警察法案(内閣送付)
――――――――――――――――
昭和二十二年十一月十五日(土曜日)
   午後一時三十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○警察法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより治安及び地方制度委員会と司法委員会との連合委員会を開会いたします。昨日に引続きまして予備審査中の警察法案につきましての一般質疑を続行いたしたいと存じます。昨日岡本さんから御発言の御要求があつたと思いますが……。
#3
○岡本愛祐君 昨日総理大臣に対しまして私が質問いたしましたその中で、まだお答えを受けない点があります。それはこの警察法案によりますると、都市における治安の維持は国家警察として、國家の事務としてやるのでなくて、自治体の事務としてやつて行くということになつておりますから、それをその自治体固有の事務としてでなくて、公共の秩序を維持するという、國家事務をその自治体に委任した、つまり国家事務の自治体に対する委任ではないか。そういうふうに解釈をすることができないかということを御質問したのであります。この点に対しまして政府委員の御見解を承りたいと思います。
#4
○政府委員(久山秀雄君) 警察の事務は、少くとも現在におきましては、これを國家事務として取扱つておることは御承知の通りでありますが、今度の新らしい法律によりまして、地方自治体がそれぞれ自治体の区域内における警察の責任を持つ建前を取りましたと同時に、その自治体の區域内における警察につきましては、その自治体の公安委員が最高の責任者であるというふうな建前を取つて参つておりまする関係等からいたしまして、岡本さんが御質問になりましたような一定の條件のありまする場合に、これの間違いを正すための、地方自治法にありまするような措置が、果してこの自治体の警察に関しまする場合に、これを國家が委任をした事務としてそういう処置ができるか、或いはこの法律によつて、それは全く自治体固有の事務として、そういうことができないか、という問題につきましては、尚暫く御猶予を頂きまして、愼重に研究をいたしましてお答えを申上げたい、かように考えております。
#5
○岡本愛祐君 尚もう一つ総理大臣からはつきりしたお答えを得なかつたのでありますが、それは昨日最後に質問をいたしました點、つまり十月二十七日の朝日新聞に徐逸樵という中華民国の方の特別寄稿の中に、聯合國司令部のスポークスマンの話としてありましたそのヒドン・ガバーメント、これはどういうことを意味しておるのか。総理大臣はその點はつきりこういう事実を指したのであるという御答弁がなかつたのでありますが、お差支えなければ具体的に話して頂きたい。
#6
○政府委員(久山秀雄君) 岡本さんのお読上げになりました記事は、私は詳細に記憶いたしておりませんが、その当時一般に司令部の意向として、新聞に載つておりました記事として私共讀んで記憶しておりますることは、何と申しますか、封建的な一種の暴力團的な組織と政治を動かすものとの間に何らかの関聯がある、或いはその暴力團的な組織そのものが政治の裏面に活躍をいたしまして、日本の政治を蔭から動かしておるというふうなものが存在しておるのではないかというふうな記事が、暴力團といいますか、日本の社会の根本に集食つておりまする、そういう非常に非合法的な、非常に封建的な、暗黒的な組織があつて、それが一方で暴力團的な行爲や或いは闇行爲もやると同時に、それが一つの政治そのものを動かす力とも関連を持つておるというふうな意味合において、こういうものを一掃しなければ本当に民主的な明るい日本の政治はできないのであるといふうな意味合のことを、司令部のスポークスマンが語つておつたというのを新聞で読んだのでありまして、岡本さんが今御指摘になつたことも、或いはそういう記事に関連して、中國の何とかいう方がおつしやつたことではないかと思うのですが、勿論現実にそういうものが存在しておるかどうか。私共警察の立場といたしましては、要するにそれがこの社会の秩序を紊す、公共の平和を害するというような犯罪行爲に出でました場合に、これを検挙いたすのでありまして、現にそういうふうな觀点から、先般来相当多数のいわゆる暴力團と称されておりまする既成的な組織を一掃するために努力をいたしておるのでありまして、それが現実に政治の裏面とどういうふうに連絡を取り、どういうふうにいわゆるヒドン・ガバーメントというような役割をいたしておるかということは、私共まだよく承知をいたさないのでありますが、少くともそれが犯罪を構成いたしまして、実際の秩序を紊しておる限りにおきましては、峻嚴なる検挙取締りをいたし、以てそういうところの存在する余地のないように、警察としてはできるだけ努力をいたしておるつもりでありまして、これは将来ともそういう方針で取締りを続行して行きたい、かように考えておる次第であります。
#7
○委員長(吉川末次郎君) この機会に企画課長が説明をしましたことを多少訂正したいというお申出がありますから発言を許可いたします。
#8
○説明員(加藤陽三君) 昨日羽生委員からお尋ねになりました公安委員の不当な職権の行使に対して、人民の監視弾劾の方法とか、それを停止する機関がないか、この法律案はどうなつておるかという点につきましては、私は全く勘違いをいたしまして、申訳ないことでありますが、法案は規定してないというお答えをしたのでありますが、併しこの法案の十五條、地方自治法の改正によりまして、市町村の公安委員につきましては、選挙管理委員などと同様に、解職に関する事項を規定してございまする都道府縣公安委員の方は、これは國家地方警察の事務を担当いたしますものでございまして、国家地方警察の監督の仕方に従い監督せられるもの、直接國会に監督を受けるということになるわけでございます。私はその点を勘違いいたしまして、市町村の公安委員も同様であるもののごとく申上げまして誠に申訳ないのであります。市町村の公安委員の方は、本日お手許に差上げました警察法案に関係ある法律の改正條文新旧対照を御覧頂きますと分るのでございますが、地方自治法の第十三條の第二項に、改正の所は細かい字で書いてございます。「選挙管理委員又は監査委員」とあります所を、「選挙管理委員若しくは監査委員又は市町村公安委員会の委員の解職を請求する。」、かように改めることになつておるのでございます。
 尚この際合せまして、地方自治法の改正中の重要なる事項を一應説明さして頂きたいと思います。
 第二十一條の改正は、被選挙権の制限に関する改正でございまして、只今第二十一條第二項によりますと、在職の検察官、警察官及び収税官吏は、選挙権を有しないことになつておりますのを改めまして、在職の検察官、警察官及び收税官吏の外、普通地方公共團体における公安委員会の委員及び警察吏員も同様な制限を附せしめたい、こういう考えで改正してあるのであります。第八十六條は第十三條に規定してあります解職のやり方であります。第八十八條は右の場合と同様の趣旨におきまして、就職の日から一年間は解職の請求はできないということを規定したものでございます。第百二十一條は、市町村の公安委員会の委員は議場に出て説明ができるということ。第百二十五條の改正は、市町村會におきまして採択しました請願等を、警察に関するものは市町村公安委員の方に処理せしめるべく送付し、経過及び結果の報告を請求するということに関する改正でございまして、第百三十條は、普通地方公共團体の議会におきまする議場におきまして、傍聽人を制止せしめるために必要なる場合、從前は「警察官」とありましたものを「当該警察官又は、警察吏員」に引渡すという規定であります。第百五十八條は、現在の地方自治法によりますと、都道府縣に警察部を置くということになつておりますが、今後は都道府縣には警察部と指稱する所はなくなるのでありまして、都道府縣公安委員会も都道府縣廳の組織としてやるのではございませんで、これを削除いたしました。第百六十條は、第二項の改正でありまして、非常災害の場合に、警察が、市町村の區域内の住民をして防禦に從事せしむるとありますが、「警察官吏」を「警察官有若しくは警察吏員」と改めたのであります。第百七十三條は、普通公共團体におきまする吏員の差別が事務吏県、技術吏員、教育吏員及び警察吏員となつておりましたものを、警察吏員を削除いたしました。それ以外大体同様なものでございます。誠に申訳ないことを申上げまして恐縮でございます。何卒御勘弁をねがいます。
#9
○羽生三七君 只今の御説明で、地方自治、特に市町村等における罷免の規定はよく分つたのでありますが、若し國家の公安委員会が、昨日申上げたように、不当な權限の行使をしたり、或いはボスと結託したりしたような場合においては、この法案の規定では、内閣総理大臣が國会の、特に両院の同意を経てこれを罷免することになつておりますが、この場合には、例えば特定の政党というようなものが絶対多数を占めておる場合、或いは國会の承認を経た場合等においては、それが民主主義的に多数を制しでおる場合には、それでよろしいという解釈であるかどうか、この辺はどなたでもよろしいですから御説明を願ひます。……もう一度はつきり申上げます。今申上げたことをもう一回補足いたしますが、つまり國の公安委員が特定のこの職能を超えた範囲にまで權限を拡大したり、或いはボスと結託をして非常に不当な権限を行使すると思考されるような場合が起つた場合に、内閣総理大臣は、両院の同意を経てこれを罷免することができるとは思いますけれども、そうでなしに、單に内閣総理大臣だけではなく、人民が何らかの形で監視をしたり、或いは弾劾をしたりするような規定というものはこの中にはないけれども、そういうものがないという場合に、この解釈を、民主主義的な選挙制度に基いておる当議会が承認をしたものであるならば、それが人民の監視機関とと同一の性質を持つものと解釈していいのかどうか、その辺を承りたいと思います。
#10
○説明員(加藤陽三君) 只今の問題は非常に私は重大な問題であると思うのでありますが、一應この法案におきましては、國会が全國民の代表である、從つて國会が同意しなければ罷免はできないということに相成つておるのでございます。
#11
○委員長(吉川末次郎君) 他に御質疑ございませんか。
#12
○鈴木直人君 岡本さんの質問に関連するのでありますが、國家地方警察というものと、自治体警察というものとの意義についてでありますが、私は実は岡本さんの考え方と違つた考え方を持つておつたのであります。岡本さんの質問によつては、その点はつきりしないのでありまするが、警察は國家で持たない、それで府縣の自治体、市町村の自治体、國家自治体の固有事務に警察はなつておる、こういうふうに考えたわけであります。即ち警察というものは国家事務である、それを府縣市町村に対して委任をして行わしめるものである。こういう考え方でなく、警察は府縣市町村自治体固有の事務である、こういうふうに実は考えておつたわけなのであります。そこで元來は市町村公安委員会が警察事務を行なつて、行くという考え方、とろこが事実において五千以下におけるところの町村においては、みずから行うことが困難な事態にある。原則としては全國の市町村は固有の警察事務をみづから行なつて行くのであるが、五千以下の小さい所ではそれをやることが困難な事態にある。そこで五千以上の市町村におきましてはみずから警察を行なつて行くのでありますが、それ以下の町村においては止むを得ず府縣という自治体が代つて警察をやつて行くというような仕組になつておるものである。まあそういうふうに考えた場合に、この府縣のやつておるものも元來は自治体警察であつて國家地方警察ではない。然るにここに何故國家地方警察という言葉を使つたかということに実は疑問を持つたのであります。勿論第四條におきましては内閣総理大臣の所轄の下に定員三万人を超えない國家地方警察隊を置く。ということになつておりまするというと、人口五千未満の市町村に対するところの警察というものは、これは自治体警察でなくて国家警察なんだ、こういう考え方である。從つてそれを官吏にする。五千以上のものだけを自治体の警察にして置いて、それを吏員にして置く、こういうふうに分れておるものであるかどうか。町は大体地方警察というものはその内容においては村落警察というふうに考えて実はおつたのでありますが、岡本さんの質問によりまして考えて見ますというと或いは警察は國家事務なんだ、そうしてみずからやるものは五千以下のものについてはやるが、その他の五千以上のものについては、自治体に委任してやらしておるのだと、こういふうに解釈すべきものであるかどうか。私は国家地方警察という言葉自身が非常に間違つた考え方である、やはり自治体警察ではないかというふうに実は考えておつたわけなんです。で、何故國家地方警察というものを置いて、そうしでそれを官吏にし、それから五千以上の市町村においては自治警察という名前を附けて吏員にするという建前を取つたものであるかどうかという点について御説明願いたいと思います。
#13
○政府委員(久山秀雄君) 警察という 仕事が自治体の固有の事務か、或いはこれが國の事務であつて、自治体に委任された形において自治体が責任を以上それをやるのか、という点につきましては、先程お答えいたしましたように尚若干……と申しまするのは、地方自治法の百四十六條のような規定の適用という点から具体的に考えて見まして、尚若干の疑問がありますので、慎重に研究いたしました上で後刻お答えを申上げたいと申上げたのでありますが、併しこれを自治体の固有の事務と見るか國の事務と見るかはつきりしていない点もあるのでありまして、治安という問題が、勿論自治体が自分の区域内における警察を自治体としてこれを処理して行くという限りにおいて、これが自治体の固有の事務であるという観念と、同時に治安というような問題は直ちにこれが國全体の治安に直接の影響を非常に持つ関係から、警察という事務はそれは國の事務であるけれども、自治の本旨に從うと申しまするか、自治体をしてその区域内における治安の維持について一應の責任を持たせるというふうにしたものか、それは非常事態等の場合に総理大臣が全部指揮できるというようなことから考えましても、固有の事務であると同時に國の事務でもあるというような考え方もできるわけでありましてはその点につきましては尚暫く御猶予を頂きたいと思うのであります。
 國家地方警察と自治体警察というものの二つの建前を取りましたわけは、勿論この警察というものを民主的に運営し、これを自治の本旨に従いまして、地方分權を強化して行くという建前かち、できるだけ、自治体が自分の責任において、自分の區域内の治安の責に任ずるという建前を取つたのでありますけれども、同時に國家というものはやはりそれ自身が直接動かすことのできるみずからの警察というものを持たなければ、全部これが自治体というもののみが責任を持ちまして、國はこれに対して何らの責任がない。直接の警察を持たないということでは、國家全体の法律の執行なり、治安の確保に遺憾の點があるという根本の考え方からいたしまして、先ずみずからの力で一應自分の區域内における治安の維持ができる実力を持つ自治体というものを、人口五千以上の市街的町村、市は勿論でありますが、そういうところにそれを認める。併しそれが果して自治体の力のみによつて自治体内の治安の維持が完全にできるかどうか、それのみに委せておいて国家の治安というものが維持できるかどうか、非常に心配せられる点も多々あるわけでありまするので、それ以外の地域、その管轄は勿論そういうわけでありますから、村落の地域になるのでありますけれども、それを管轄いたしまする一つの國家警察というものを國が直接持つておる。そうしてそれは非常の場合に全体を統合して行くことのできる一つの中心になると同時に、平素におきましても、自治体の警察の方から援助の要求がありました場合には、いつでも援助に出掛けまして、自治体警察をして完全に自治体内の治安維持に当らせるための、全体に通ずる援助的な性質を持つておるというような、二つの性質を持つた國家警察というものをどうしても國が直接握つておる必要がある。こういう建前から二つに区分をいたしたのであります。從いまし國家警察は國が直接握つておりまする関係上、これは國の公務員になり、自治体の職員は自治体の吏員になる。こういうように身分の関係も分れて来るのでありまして、そういうようなこの二つの要求を勘案いたしまして、國家警察と自治体警察というような二本建てになつておるので、ありまして、村落地域を管轄いたしまする警察は、やはり自治体警察でないかというお尋ねでありましたが、府縣という自治体には固有の警察は認めておらんのでありまして、人口五千以上の市街的町村というもの以外はすべてこれは國家警察ということの建前を取つておるのでありまして、ただ府縣内におきまする運営につきまして、府縣の公安委員会がこれを管理する、こういうことにいたしておるのであします。
#14
○鈴木直人君 只今の御説明でありますが、國家が公安を維持する場合に、是非必要な場合のためにみずから国家地方警察体を採つて置く必要がある、これは分るのでありますが、それならばなぜ五千未満の町村にだけ警察を採る必要があるか。國家自体が自分の公を維持するために必要であるならば、むしろ五千以上の市町村という所に幾らかの国家地方警察を配置して置くことが必要ではないか。ところがこの建前はそうではありませんので、比較的、公安に必要のない五千未満の部落、村落に国家地方警察を置くということになつておる。こういう建前を考えて見ると、今警保局長の御説明のような国家自体の公安を擁護する意味における國家地方警察体ではなくて、これは一つの自治体警察の性格を持つておるものである。併しながら五千未満程度の町村はみずから持つことができないから、國家が止むを得ず持つておるのだという、その自治体警察ということを根本に置いて、そうして止むを得ず、いざという場合は、これは自治体警察を内閣総理大臣は指揮統轄することができるというふうな形に置かれるものではないか。どこまでも國家自体が警察権を持つのだ、こういう考え方の下に國家地方警察体というものは置かれておるものではない、若しそうであるとするならば、先程申上げましたように、むしろ東京とか、或いは大阪とか、あるいは数万の人口を持つておる所に、自治体警察の外に國家警察体というものを幾らか配置して置くという必要があるじやないか。而も自治体警察と國家警察の間は対等なもであつて、一つの町村におけるところの権限というものは他の市町村に及ぼすことができないというようなことになつておるのであつて、いざという場合には村落に配置しておつたところ警察官が都会にやつて来て公安を維持するのだという、その建前というもは少し建前として違うような感じがするのでありますが、どこまでもやはり、これは自治体に警察権を附興するのだという考え方の下に行つて、そうして止むを得ず暫定的に國家地方警察というものを、國家が便宜上代つて持つて行くものである。こういうような考え方の方が正しいような感じがするのでありますが、どうでありますか。
#15
○政府委員(久山秀雄君) 鈴木さんがおつしやられますような考え方も勿論成り立つのでありますけれども、私共この法案を作りました精神は、警察をみずから持つてないから持たせないのだというのではありませんので、やはり最初から國家が直接握るべき警察と、自治体がみずから運営する警察と、この二本建で行つておるのであります。從いましてそういうことからいえば、警察上、最も事故の多い、警察力の必要な大都市などに国家警察においても相当の警察官を持つておることが必要ではないか、こういう御疑問が出るわけなのでありましようけれども、そこはそういうような所では、やはり相当の警察力を自治体自身が持つておるのでありまするし、一應平素の状態におきましては、自治体の警察力によつて十分自治体の治安維持ができるというわけでありまするので、強いてそこに又重ねて國家警察を置くという必要もないと考えておるのでありまして、やはり國家警察というのは、そういうみずからの力でやつて行ける力のある大きな自治体のものとして一應自治体に委せまして、それ以外の地域においてみずから管轄すると同時に、應援等の必要のありました場合にはいつでも出掛けて行くだけの用意と警察力を維持しておる、こういう二本建でできておるのでありまして、鈴木さんのお考えのように、一應全部自治体に委せるべきであり、又それが本当であるけれども、小さい所では持てないから、止むを得ず國が代つて持つてやるのであるというふうな考え方ではなく、法案におきまして國家警察と自治体警察というものを分けておるように私共は考えてこの案を作つておるのであります。
#16
○齋武雄君 私は公安委員の選任のことについて、お伺いするのであります。法案によりますと、國家公安委員は内閣総理大臣が両院の同意を得て任命するということになつておりまして、都道府縣の公安委員は府縣の長官が府縣会の同意を得て任命する、自治体公安委員会は府縣の公安委員に準じて選任する、こういうことになつておるのでありますが、國家公安委員の場合は別として、縣の場合とか自治体の場合において、若し長官とか村長とか町長とか、人を得なかつたならば、これはボス警察になるのではないか、こういう疑いを抱くのであります。或いはその縣会の分野とか町村会の分野等によつて相当左右されるものである、こういうふうに考えるのであります。弊害が多く生ずるのではないか。それでこの原案を作るに当つて、公安委員の選任方法についてどういうことをお考えになつておるか、最初からこの本で來ておるのであるか、或いは公選の方法ということも考えられたでしようか、その点の経過についてお伺いしたいのすであります。
#17
○政府委員(久山秀雄君) 公安委員の任命につきましては、最初からこの法案に書いてありまするように、府縣知事なり市町村長がそれぞれの議会の議決を経て三名を任命するということにいたしておるのであります。その委員にどういう人が出て参りまするか、それはそれぞれの自治体の事情によりまして、いろいろな人が選任されて参るでありましようが、事実そういう委員として適当でないと思われまする欠格條項につきましては、法律に書いてありますると同時に、そこが民主的な自治体警察の本旨と申しまするか、その自治体の住民が多数で選びましたその自治体の長である市町村長及びその市町村政の運営に当る市町村会議員というものをすでに選挙いたしておるのでありまするから、その自治体内における警察の運営につきましては、その選挙せられました市町村長が市町村会の同意を得て適当なる人を任命いたすということが、最も公安委員として適当な人が得られる方法であると、かように考えておるのでありましてこの点は法案を作成いたしまする最初から少しも変更なく、それが最も公安委員に人を得るに適切なる方法であると、かように私共は考えておるのであります。
#18
○齋武雄君 國民の意思を尊重するとすれば、特別に公選という方法が一番正しいと思うのでありますが、そういう議論はなかつたかどうか、お考えはなかつたかどうか。又公選にするならば、こういう弊害があつてできないのであるというお考えもあるでしようが、公選ということはお考えなかつたかどうか、お聞きしたいのであります。
#19
○政府委員(久山秀雄君) 公選という考え方は、実は考えてはいなかつたのでありまして、こういう公安委員というような性質の委員を選びます場合に、果して公選ということによつてより立派な人が得られるかどうか。いろいろの政策を立てて、國民にその信任を問うというふうなことでありませんで、とにかく警察というものを、非常に眞面目に厳正に執行して行くにふさわしい人ということになりますと、公選よりも、やはりこの法案に書いてありますように、その自治体の住民を代表いたしまする人々が、眞にこの警察の運営に適正なる人を選んで、それにお願いをするということがやはり一番いいのではないか。公選ということになりますと、俺はどういうふうに警察を運営する、俺の主義、政策はこうであるというふうなことで、いろいろ選挙をするというようなことは、必らずしも警察の運営に当りまする公安委員会の性質には適さないのではないか。要するに眞面目に厳正に警察の運営に当る人を得るという方法としては、この法案にありまするような考え方が一番いいのではないか、最初からそういうふうに考えておるのであります。
#20
○阿竹齋次郎君 只今の鈴木さんの質問に関連して、私ちよつと聞きたくなつたのですが、政府委員の御説明のように、國家警察と地方警察との成り立ちが幾らか違うようなことであるならば、今後いよいよ実行当つて、一本建ての連絡統制の上において困難なことが起りはせんかという心配が起る。で、國家警察は地方警察よりも優越感を持つて來るようなことになりはしませんでしようか。
 それから、特に人間というものは繩張り根性があるのですが、こういうことが強くなつて來やせんかと思うのです。治安の上に最も大切な犯罪捜査の上において、不徹底なことが起りはせんかと、こういうことを心配いたしますので一應お尋ねいたします。
#21
○政府委員(久山秀雄君) この一つの組織ありまする警察が、いろいろの自治体と國家警察とに分れますることから起ります犯罪捜査等におきまする不便というふうなことにつきましては、これはもう十分注意をいたしまして、お互いの連絡ということを現在以上に緊密にやる。そうしてその効果を擧げるために、絶えず連絡会議を開くなり、具体的な檢擧の方策等につきましても、平素から十分なる打合せをいたして置くというふうなことが絶対に必要であり、それはもう是非やらなくてはならんと思うのでありまするけれども、国家警察の方が自治体警察よりも上であるとか下であるとかいうようなことは、これはもう全然ないのでありまするけれども、何と申しましても治安というものが、情勢によりましては國家そのものの安危に関係するというようなことがありまするので、殊に多数の自治体がここに存在しておりまする関係上、そこに一体としての相当な力のある國家警察というものがありまして、自治体などから應援の請求がありまする場合などにおきましては、いつでもそれに出掛けて行つて援助をする、そうして自治体自身の治安は勿諭、それによつて國家全体の治安の維持を全うするという考え方であります。併し應援に行く方が上であるとか、自治体の方が下であるとかいうことは、それはもうこの民主主義的な法制の根本観念としてはないのでありますが、仕事の性質上、國家警察は絶えずそういう自治体警察の請求によつて援助をする義務を持つておるというふうな建前になつておるのであります。勿論自治体同士におきましても、絶えずそれはお互いに協力して治安維持の任を全うする任務は法律上持つておるのでありますけれども、恐らく援助をする機会等は、國家警察が自治体警察に対して行う場合が非常に多いと思うのであります。そこで、このお互いの間に優越感とか、或いは劣等感と申しますか、そういうふうな考え方の相違が起るというふうなことは、この法律を作りました根本の趣旨に反することでありまして、おのおの任務違いまするが、それぞれ治安を維持する警察官として平等であり、それぞれが自治体及び國家警察の職員としての誇りを持つように、それぞれがそういう氣持でこれを指導し運営して行くということにならねばならんのでありまして、二つに分れておりまする結果から、特にそういつたような一方が上とか下とかいう観念は、恐らくこれからは出て來ないのではないか、又そういうことが本当のこの民主的な制度の運営の基本的な考えでなければならん、かように考えております。
#22
○阿竹齋次郎君 当局の只今の御説明によつて、この上私が問うて行くと議論になるのですから、もうそれ以上は出られませんが、ただそういう御心配のないという御意見には、私共は現在の普通の人間では余程むずかしいことだと思います。
#23
○鈴木直人君 先程の私の質問に対する御答弁と、阿竹さんの質問もあつたのでありまするが、自治体警察は、いわゆる自治体の公僕であるという建前でやつておる。ところが五千未満の町村においては、國家が直接これを官吏たる警察官をしてやらせる、こういうふうな考え方になりますと、その國家警察を持つておる町村におる警察官というものは、公僕という感じが非常に薄くなりはしないか。自分は國家警察官である、國家警察のことをやるために仕事をしておるのだと、建前がそうなんだから、建前から自然そうならざるを得ないところが、五千以上におけるところの警察官は、これは自治体の警察なんだから、結局自治体の民衆と共に自分たちはあるのだという本当の民主的警察の建前になつておりまして、その建前の上においてそういう考え方が持ち得るわけである。ところが、五千未満の町村におきましては、町村自身は警察を持つことはできないのである。町村の警察じやなく國家の警察だ、こういう建前で行きますから、而も官吏でありますから、結局やはり官僚的な考え方になつてしまうのじやないか。そこでやはり町村はいかに小さい村でも、同じように警察権を自分の村が持つのだ。併しながら予算とかいろいろな関係で持つわけに行かないから、それで便宜的に官吏である警察官が来て、そうして同じ公僕で行つておるのであつて、官吏だけれども、五千人以上の公吏たる警察官と性質、性格、建前においてはちつとも違わないのだ。ただ便宜上そういうふうに行くのであつて、実際は皆公吏で、その村の警察をやつて行くのが本当なんだ、こういうような建前でありますので、先程阿竹さんの心配されたようなことは建前の上においてはできない。それでも一方は官吏であり一方は公吏であるから、その資格において、警察官の資格において、すでに一方は官僚的であり、一方は民主的であるという感じを持つのでありますから、そういう建前だということになりますと、非常に村落警察の官僚化という点において憂うべき点が多いように感じますが、その点をどういうふうにお考えになりますか、それが一点です。
 それからもう一つは、國家警察がみずからやらないで、そうして自治体警察にやらせるか、或いは自治体警察の本來の事務としてやらせるかということは、今後御調査の結果になるわけでありましようが、とにかく五千以上の町村においてはみずから、やれるという見通しから、自治体警察を置くということになるということでありますが、私は五千くらいの小さいものでは、実際みずからは困難で、みずからやるということであるならば、やはり一万くらいの所が限度じやないかというふうにも考えます。そこで一万がいいか五千がいいかということは勿論別でありますが、これを一万以上というくらいに引上げるというようなことは、いろいろな関係は別といたしましても、考え方としてはどつちが実際の運営上いいものと思つておられますか、その点をお聞きしたいと思います。
#24
○政府委員(久山秀雄君) 國家の職員と自治体の職員と、自治体の職員の方が民主的で、國家の方が民主的でないというふうな考え方は、やはりこれは少くとも今までの考え方でありまして、こういう例を申上げてどうかと思いますけれども、自治体である区役所とか市役所という方の事務の扱い方が官僚的でなくて、國家の施設の方が官僚的だということもないのでありまして、要するにそれは運営に当る人の心掛け、及びそれを指導監督する者の指導方針というふうなことに関係を持つのでありまして、自治体の公僕であり、國の官吏は國家の公僕であるわけでありまして、おのおのその地位においてそれぞれが誇りを持ち責任を持つということで、事実上は國家の職員であるから、村の方の巡査が非常な官僚的になるというふうなことは恐らくはなくて、却つてそういうことが眞面目に職務を執行する上にいい面も考えられるのでありまして、要はその人の心掛けなり、それを教育し監督する者の考え方でありまして、繰返し申しますように、大きく建前を國家治安を維持するために國家が直接持つ警察と、自治体が自らの警察を持つものとに分けた関係上、そういうふうに身分的にも相違が出て参つたのでありますけれども、その任務を盡す心掛けには毫も変りはあるわけではないのでありますから、御心配のようなことはないように、これは一つ國家警察の方におきましても十分そういう点に注意をいたしますと共に、自治体の方におきましても、却つて民主的であるが故に何か非常に卑屈な、弱いような警察にならないように、これはもうそれぞれが警察の本務から考えまして、一つ立派な警察を造り上げるように将來努力をする以外に方法はないのではないかと思うのであります。
 独立の警察を持ちまする自治体の程度をどこに置くことが最も適切であるかということは、これは実はいろいろ議論があることでありまして、果して五千以上にいたしましたことが現実にぴつたり合つておるかどうか、お話のように一万なり、二万なり、或いは三万というふうな所に限界を置いてやることが実状に合つておるか、これは恐らくいろいろ意見があろうと思いまするわけでありますけれども、いろいろの点から研究いたしまして、先ず人口五千ということによつて通常まあ町というふうなことになることが普通でありまするので、そういう程度の自治体におきまして、而もそれが市街的な状態を形成しておるということになりますと、やはり独自の警察を持つてやつて行くことが一番適当であるというふうに考えておるのでありますけれども、これは現実に実施をいたしました上で、或いはその程度の所では独自の警察を持つことが適当でないというふうなことになりますれば、これは、或いは後日適当の機会にその状態の変更を考えて頂くことになろうと思うのでありまするが、一應今のところでは先ず五千以上、普通村が町というふうなことになりまする程度の所に限界を置いて、責任を持つて貰うこととすれば一番適当ではないか。と同時に大きく國家警察と自治体警察との警察官の総数というものが、一定の枠に入れられておりまする関係等もありまして、先ず両々見合わせまして、この程度の所が考えられる最も適当な点ではなかろうか、こういう結果から五千という数字が出て参つたのでありまして、これは恐らくお話のように或いはこの程度の所では不十分であるかも知れんのでありますが、それは一つ実施をいたしました上で、どうもうまく行きませんようでありますれば第二段の措置として考える。こういうことにいたしたらいかがかと思うわけであります。
#25
○鈴木直人君 もう一つお伺いして置きたいと思います。それは国家警察の警察官と自治体警察警の警察官とが身分が違う。併しながら今までは全部同じ身分によつて警察官が動いて来ておる、進んで来ておるわけであります。それで一方は官吏でありますから、國家公務員法の適用によりまして、國家公務員法に基くところの職階制なり、その規定に從つて運用して行くのであります。一方自治体警察の方は国家公務員でありませんからその適用は勿論ない。ところが、まだ自治体公務員法が、制定されておらないというふうな関係でありまして、自治体警察となるたるための資格はありましても、やはり官吏との間において異つたようなものになつて來ると思うのです。そこで私はこう考えます。現在地方自治法におきまして自治体公務員法を來年の三月末までですか、四月一日から発足するような自治体公務員法を作らねばならないというような附則になつておるが、これは恐らく通過すると思いますが、この四月から発足するところの日治体公務員法の内容をできるだけこの國家公務員法の内容と同じにしまして、そうして自治体警察から国家警察に仮りにいろいろな関係で変つた場合に、或いは國家警察から自治体警察に変る場合においても、俸給或いは資格等におきましても同じである、資格的に融通できる、人事関係は対等であるから別としましても、どつちに変りましても同じだというようにすることが、警察官のために必要だと考えておるわけです。尚恩給につきましても、自治体の方から國家の方に変つても、國家から自治体に変り、又自治体から國家に変るというようなことがありましても、恩給は継続するというような形が望ましいというふうに考えておるわけでありまして、私は先般熊本に帰りまして警察署長会議がありまして、いろいろ聞きまましたのでありますが、そういうようなことで非常に強く全警察官とも考えておるようであります。これにつきまして御所見を伺わして頂きたいと思います。
#26
○政府委員(久山秀雄君) 今の御質問の点は私共も全く同感に考える点が多いのでありまして、現在各地方の状況などを聞きましても、謂わば非常に希望をもつて警察に職を奉じたというやうな警察官諸君は非常にこの小さな数人の警察官しか持たない自治体の警察として配置をせられまして、而もそれが、絶対に他に移動ができない、更にそれには恩給というふうな建前におきましても全然別個であるというふうなことになりますと、非常にその点不安でありまして、少くとも現在の警察官をこの過渡期において自治体に配置いたしまする場合におきましては非常に困難を感じておる、そういつたような点が或る程度解決されますれば、安心して立派な優秀な将來に希望を持つた警察官も喜んでいかなる自治体警察にも行くというふうなことに、いろいろ各地方から傳えらておりまして、そのことを地方の警察部長といたしましても一番不安に考ておるようなところでありますので、何とかして、そういう点に法律上の一定の安定を與えて、少くともこの過度期は……將來こういう制度が本当に習熟いたしまして、皆がこの制度に慣れて、その上で皆安心して、それぞれの警察に立派な人が得られるようになりまするまでは、何とかしてそういつた方法を講じまして、優秀な人も小さい自治体に職を俸ずる。そしてそれがその人の働きなりいろいろの点において、更に大きな所にも交流して行くことができる。この恩給等につきましてもそれが継続して行くとふうなことになりますことを、私共も実際の省察官の氣持を段々聞くにつけましても、何とかそういうふうなことができればというふうなことで、実はいろいろ私共といたしましても、この新らしい切替えの時期におきまする警察官の配置等につきましても非常に心配をいたしておるのであります。この法律によりますると、地方自治体はそれぞれ國家公務員法の精神に則りまして、それぞれの條例で任免とか、給與とかそういうことを決めることになつておるのでありまして、精神に則るのでありますけれども、それぞれ事情が非常に異なる自治体のことでありまするから、それぞれの自治体の條例等によりましてはそういつたような人事の交流なり、或いは恩給などというふうな関係におきまして必ずしもうまく運営ができにくい点が出て参ることと想像されるのでありまして、そういうことを承知の上で、その自治体を守るためにその自治体の人が警察官を志願して、そこにその自治体は自治体なりに、それに、ふさわしい警察官がそこに入るというふうな時期が参りまするまでは、只今鈴木さんがおつしやいましたような、何か過渡期にも安心して警察官がやれるというふうなことになりますことを希望し、今いろいろそういう点につきまして考えておるのでありまして、その点につきまして今後一つ私共といたしましてもいろいろ考慮をいたしたいのでありますが、委員の方におかれましても一つそういう点につきまして、この條文等につきましてもいろいろ、お考えを頂いてよろしいのではないか、かように考えております。
#27
○委員長(吉川末次郎君) それでは本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十九分散会
 出席者は左の通り。
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           黒川 武雄君
           鬼丸 義齊君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           小野  哲君
           駒井 藤平君
           阿竹齋次郎君
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
          前之園喜一郎君
           岡部  常君
           宮城タマヨ君
  政府委員
   内務事務官
   (警保局長)  久山 秀雄君
  説明員
   内務事務官
   (警保企画課
   長)      加藤 陽三君
ソース: 国立国会図書館
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