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1947/11/19 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第4号
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1947/11/19 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第4号

#1
第001回国会 治安及び地方制度・司法連合委員会 第4号
  付託事件
○警察法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月十九日(水曜日)
   午前十一時四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○警察法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) これより会議を開くことにいたします。前回に引続きまして、警察法案の審議を続行いたすことにいたします。今日は逐條審議に移ることになつておりますので、先ず政府側の本法案に対する逐條的な説明を求めまして、然る後御質問があれば御質問をして頂くことにいたします。最初に警察法案の前文及び第一章の総則を議題といたしたいと思います。政府側の説明を求めます。
#3
○説明員(加藤陽三君) 前文はこの警察法制定の精神を謳つたものでございまして、先ずこの警察法は、憲法によつて保障されている國民の基本的な自由を保障するという精神に從つてやるものである。並びにこの警察法は、日本國憲法に規定してございます地方自治の眞義を推進するという観点から作るものである。同時にその二つの理想を掲げまして、警察本來の職能からいたしまして、秩序を維持し、法令の執行を強化し、而もこの権威は個人と社会の責任の自覚を通じてこの警察の権力の尊嚴が維持されるのである。そうしてそれによつて人間の尊嚴を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するようにしなければならない。ということを謳つておりまして、國民に属する民主的権威の組織として、警察を確立するという趣旨を明白にしているのでございます。
 第一章は総則でございまして、この法律の全部に共通する事項を掲げております。
 第一條は前文に謳いました警察の職務といたしますところを、法律の本文を以て規定しているのでありまして、「警察は、國民の生命、身体及び財体の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその債務とする。」
 第二項は、警察の活動はややもいたしますと從前は廣範囲に亙りまして、その外にも建築、衞生、消防、治療等の関係でありますとか、いろいろな範囲に亙つておりましたものを限定する趣旨と同時に、その警察の運営の方法におきまして、苟くも日本國憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉に亙る等のことがあつてはならない。從前の警察の弊害とするところをここで嚴格に制限するという趣旨を以て第二項は規定せられております。
 第二條は、この法律の中に出て参ります「行政管理」「と「運営管理」という字句の解釈でございます。この行政管理という字句の出て参りますのは第四條第二項第四号、三十一條にございます。運営管理という字句は第二十條及び三十一條に出て参ります。行政管理と申しますのは警察職員の人事、予算、組織等警察の作用の中で実際の執行面でない方面の作用を申すのでございます。運営管理と申しますのは、第二條の第二項の各号で掲げてございますが、「公共の秩序の維持、生命及び財産の保護、犯罪の予防及び鎭圧、犯罪の捜査及び被疑者の逮捕、交通の取締、逮捕状、勾留状の執行その他の裁判所、裁判官又は檢察官の命ずる事務で法律をもつて定めるもの」、こういうような警察の実際の執行部面の作用を運営管理と称することにいたしておるのであります。
 第三條は、警察関係の職員の行う職務の宣暫の中に「日本國憲法及び法律を擁護し支持する義務に関する事項をその内容に含むべきものとする。」と定めておるが、警察が地方に置かれまして地方公共團体の職員として市町村の警察吏員は職務をやるのでございますが、その場合におきましても、管理市町村の命令に従うのみならず、又憲法及び國の法律を擁護し支持する義務を明白に負うものであることを内容といたします。これらの規定に違反いたしまして、法律及び憲法の擁護支持に欠くるところがありましたならば、それは懲戒罷免等の原因となるというふうに解釈をいたします。
#4
○委員長(吉川末次郎君) 前文及び第一條乃至第三條までのところの説明に対しまして、御質疑がありましたら願います。
#5
○鈴木直人君 この前文に、「秩序を維持し」という言葉があります。第二條に運営管理の作用として、「公共の秩序の維持」という言葉があるわけであります。又第一條には「公安の維持」ということがあるのでありまするが、この公共の秩序ということについてもう少し具体的に御説明願いたいと思います。
#6
○説明員(加藤陽三君) ここで公共の秩序と申しますのは、我々の解釈いたしておりますところによりますと、法律及び社会慣習を以て確定せられておる社会公共の、何と申しますか、一定の秩序、例えば國家の政体のようなものから、日常の生活における交通上の一定の慣習化した道徳律、個人的な私生活に亘るものは勿論除きますが、法律を以て私有財産制が規定されておるようなこと、非常に廣汎な意味決池凡そ警察の対象となる一切の秩序を公共の秩序と考えておるのであります。
#7
○鈴木直人君 この警察法の組織の建前は、國家地方警察と自治体警察というふうな二本建てになつておりますがこの國家地方警察は相当全國的に一つの組織を持つた強い警察力を発揮し得るような組織になつております。勿論その末端におきましては、自治体警察を除くところの人口五千未満の町村にその足を伸しておるというような組織にはなつておるのでありまするが、併しながらこの警察力というものはやはり國家全体に組織網を持つたところの強い一つの組織体であるように考える從來の警察組織、或いは警察力というものは、往々にして公共の秩序を維持するというような漠然たる言葉の下に或いは國家の秩序を維持し、例えば資本主義制度を維持して行く、或いは國体を擁護して行くというような、いわゆる特高警察の役割のような行爲を警察力がやつて來ております。又自分の政府を維持して行く、現在の政府をどこまでも維持して行くために警察力を使つて、そうしてそれが維序の維持であるというような解釈の下に、強い警察力が持たれて來ております。政党政治華かな時代におきましては、特にこの警察力を使つておるのであります。この新らしい警察法が、今私が申上げましてような過去におけるところの、或いは高等警察或いは特高警察というような債務は與えられないというのが、この第一條の精神であるかと思うのでありますが、併しながら秩序を維持する、或いは公共の秩序を維持する公安の維持という漠然たる言葉によつて、將來政治的に警察力を維持して、自己の政治力を擁護して、新らしい政治力に対してこれを暴圧して行くというようなふうにこの警察力を使うことがないというわけに行かないと思います。そこでこの公共の秩序の維持ということはそういうものを含んでおるものであるかどうか。第一條の警察の責務の「公安の維持」という所にはそういうようなものは含まないものであると思うのでありますが、その点を一つはつきり御説明願いたいと思います。
#8
○説明員(加藤陽三君) 只今のお尋ねになりました秩序の維持……公安の維持ということも同樣の問題でございますが、政治的な意味で、現在の法律及び固定した社会慣習、と申しますか、で認められておる秩序を維持する以上の作用を警察に行わせるというようなことは、これは避けるべきである。この保障はあるかというお尋ねのように思いますが、政府を擁護すると申しましても、憲法で許されておりまする方法によりまして、合理的に政府を変えることをやりますようなことは、これは警察の管掌とはなりませんのでありますが、暴力を以て非合法的に政府を顛覆するというふうな運動は、やはり警察の対象になると思うのでございます。この保障は、警察の職務を限定いたしますことは、各國の例を見ましても、なかなかむづかしいのでありまして、どうしても最後には公安の維持とか公共の秩序の維持というふうな、規定内容の限定しにくいような字句が出て参ります。外の英米等の國におきましてはこれで支障なく参つておるようでございますが、日本におきましては只今御指摘になりましたような過去の事例もございますので、今回のこの法案におきましては、警察の運営の責任を委員会に委ねまして、その委員会は中央は五人、地方は三人でありますか、各党派から選ばれることもありましようし、そうでない場合は嚴正公平な他の者が委員に選ばれることもありましようし、この中央においては五人、地方においては三人が警察運用の責任者になられるわけでございますので、法律の上におきましては尚御疑問の点があるかも分りませんが、実際の執行の上におきましてはさような御疑念は今後はなくなるであろうということを確信いたしております。
#9
○小野哲君 私は前文に関聯いたしまして二、三の事項を伺いたいと思います。前文の中に今回の警察法の精神、狙いを明らかに書かれておるのでありますが、その中で個人と社会の責任の自覚を通じて、國民に属する民主的権威の組織を確立する云々とある、これを目的としておるということが明らかに定められておるのでありますが、今回の警察制度を通観いたしますると、國家地方警察と自治体警察とに分れておる。尚又國家非常事態の発生を見ました場合におきましては、特別措置として内閣総理大臣の下に統制される、こういうふうなことになつておるのであります。これらの点を彼此勘案してみますと、今回の警察制度を新たに樹立する場合において、終局の責任がどこに帰属するか、勿論先程政府委員の説明にありましたように、公安委員会が運営管理に関する責任をとるというふうな御説明でありますが、一時的ではあつても、内閣総理大臣がその責任をとるかのごとき制度がここに樹立されようといたしておりますので、今回の警察制度の根本の公安の維持その他の責任を一体誰がとるか。同時に内閣との関聯においてこの責任をいかに解釈していいかという点について、政府委員の御所見を承りたいと思います。
#10
○説明員(加藤陽三君) 只今のお尋ねの点は、私共も非常にこの法案の作成の過程におきまして論議をし、意見も関係の向きに申した点でございます。結局私はかような法案ができました以上は、こういう解釈をとりたいと思うのであります。即ち國の治安を維持する最高の責任は内閣総理大臣にある。ただ実際平常の場合におきましては、國家非常事態の時にのみその権限を留保いたしまして、その他の場合においては國家公安委員会及び都道府縣、市町村の公安委員会に運営を委任しておる、任したのだ、最後に秩序が乱れようとする場合でありますから、内閣総理大臣が出て参る。そのことと、この前文に謳つております「個人と社会の責任の自覚を通じて」云々の文句の関係でございますが、これは今までの日本の警察が、上から一方的に強いられた権威を以て臨んだ警察であるということの代りに、今度は個人及びその個人の集團でありますところの社会が、自分たちのお互いの仕事として、自分たちに由來する権威を以て、自分たちがその警察の仕事をやるのだというような観念で、この警察法を運営すべきものであるということを述べておるのでありまして、現在の政府が民主的な権威の上に成立しておりますことと、大体同様な趣旨を以ちまして、この前文の規定はできておる、こういうふうな解釈でございます。
#11
○小野哲君 只今伺いますと、窮極の責任は内閣総理大臣にある、そういう点を留保いたしまして、この警察法ができ上つておる、こういうようなお話でありますが、さようになりますと自治体警察における警察権というものは、これは本來終極の責任者である内閣総理大臣の権限を委譲されたものであるか、或いは原始的に自治体警察の場合において、公安委員会なるものがその警察権を持つておるものであるか、この考え方如何によりましては、これに附帯いたしました諸般の警察制度の問題にもいろいろと影響があるのではないか。即ちもう一度繰返して申しますと、警察権が、特に自治体警察の場合におきまして原始的なりや、或いは委譲を受けたものであるか、この点についての御解釈を承りたいと思います。
#12
○説明員(加藤陽三君) この自治体警察の警察権の根源の問題でございますが、これは自治体の仕事として自治体のものが行うという意味においては、固より自治体の仕事でありますが、國家の権限の…警察というものを國家の権限といたしまして、これを委譲したと解すべきものかどうか、私はこの法律を以て、この法律そのものが建て方といたしまして治安の維持は國の仕事である、併しこの法律を以て自治体の仕事としたのだ、それをその自治体の根源的の仕事と考えるかどうかということになりますと、やはりこれはこの法律を以て國の事務を市町村に委任したというふうに考えたいと思いますが、この点は尚関係の方面とも或いは論議を闘わして見なければならないかと思いますが、一應留保しながら以上の御答辞を申上げます。
#13
○委員長(吉川末次郎君) 重要な御質問であると思いますので、この次に内務大臣或いはその他の政府委員の方から、もう一度御答弁願うようにいたしたらいかがでしようか。
#14
○小野哲君 それで結構でございます。
#15
○鈴木直人君 先程の私の質問の、秩序の維持というような警察の責務の中には、從來高等警察或いは特高警察が持つていたような意味におけるところの公安の維持という作用を含むか含まないかということにつきましても、一つ内務大臣の責任ある答弁を後日得たいと思います。
#16
○委員長(吉川末次郎君) ではそのように企画課長から、本省へお帰りになつてお打合せをお願いいたします。他に御質疑ございませんか。御質疑がなければ、その次へ移りたいと思います。第二章へ移りまして、先ず第一節を議題にいたしたいと存じます。第一節、國家公安委員会について、説明員の説明を求めます。
#17
○説明員(加藤陽三君) 第二章の前編は、國家地方警察のことを規定いたしておるのでありまして、國家地方警察の機関といたしましては、中央に内閣総理大臣の所轄の下に國家公安委員会を置きます。その事務部局として、本章第二節は、國家地方警察本部及び警察管区本部を設けることの規定であります。第三節といたしましては、都道府縣の警察に関しましては、公安委員会というものを、市町村と同じような恰好で作りまして、運営の管理をやらせる。本章の第四節は、実際に働きます都道府縣の警察のことを規定しておるのであります。
 第一節は、國家地方警察の方の國家公安委員会に関する規定でございます。第四條は、只今申しました通り「内閣総理大臣の所轄の下に、國家公安委員会及び定員三万人を超えない國家地方警察隊を置く。」定員三万人を超えない國家地方警察隊でありまして、この定員三万人と申しますのは、警察官の意味であります。警察官の定員三万人を超えない國家地方警察隊であります。この外に國家地方警察に必要な職員を置くことは固よりであります。國家地方警察でありますので、建前といたしまして、その経費は國庫が負担する、こういうことになつております。
 第四條の第二項は、國家公安委員会の事務といたしまして、第一は、警察通信施設、これは全國を通じまして、建前といたしまして、國家公安委員会が維持管理をいたします。但し自治体警察の本部から管下の下部組織に通ずるもの、例えて申しますと、大阪市の警察部から市内の各警察署に通ずるもの、警察署から又協出所に通ずるものというふうなものは、大阪市が維持いたします。その他の東京と大阪を通じ大阪と下関を通じというような全國的な警察通信施設というものは、國家公安委員会の方で維持管理するというのが第一号。第二号は犯罪鑑識施設、これも後に出て参りますが、國家地方警察本部と、都道府縣警察隊に犯罪鑑識施設を置くことになつております。これを國家公安委員会がやる。第三は警察教養施設、これも他の條文に出て参りますが、警察大学校、管区警察学校、都道府縣警察学校というような警察教養施設を維持管理いたします。この犯罪鑑識施設と警察教養施設は固より國家公安委員会以外に、自治体警察が自体でやつてはいけないという趣旨のものではないのであります。第四号は「その他國家地方警察の行政管理に関する事項」、例えば國家地方警察官の人事だとか予算というようなものは國家公安委員会で所掌いたします。第五号は「犯罪鑑識及び犯罪統計に関する事項」、これは第六章の第六十條に出て参りますが、犯罪統計と犯罪鑑識に関しましては、自治体警察は國家地方警察の方に報告をする義務を負つておるのでありまして、この第五号は單に國家地方警察のみならず、全國を通じて警察の能力の向上のために、國家公安委員会が、國家地方警察と自治体警察と合せて所掌する、こういうことになつておるのであります。第六号は、これも後に出て参りまする第七章の、國家非常事態におきましては内閣総理大臣が布告をいたしまして、國家地方警察、自治体警察の双方を統制する、こういうことになつておりますので、予めその場合いかなる部署の計画を樹てるということを考え、又その実施について必要な事項を担当するという事項を第六号で規定いたしております。第七号は、現在でも皇宮警察に関しましては、皇宮警察部というものが警視廳に所属いたしておりまして、皇室の警衞警備のことを司つておりますが、これは自治体警察に委すべきものでなしに、國家公安委員会の方で直接所掌することが適当であろうということ、並びに東京都内における國会、内閣、各省、会計檢査院、最高裁判所は國の重要な施設でございますので、この建物及び施設に関しまする警察の事項は、一應は自治体警察に委せましても、最後の保障、保護は國家の機関によつて行うべきものであるという趣旨からいたしまして、この第七号が規定されております。但しこれは当該機関の要求があつた場合に限るという前提を附けました。以上が國家公安委員会の任務でございます。
 第五條以上は國家公安委員会の組織運営についての規定でございます。第五條は、國家公安委員会は五人の委員を以てこれを組織いたします。この委員は警察職員又は官公廳における職業的公務員後で申しまする例外がございまするが―の前歴のない者の中から両議院の同意を経て内閣総理大臣がこれを任命するということになつております。官公廳における職業的公務員と申しますのは、國発又は地方公團体から俸給を受け、その事務に從事する公務員でありまして、支も國家又は地方公共團体に、特に與えられている特別な権限を以て、一般國民に対する仕事をやる官廳に從事する者、職業的公務員と申しますと、國家公務員法の規定に即して御説明申上げますと、一般職の者は全部入りますし、特別職の者の中でも、各省次官、建設院の長及び終戰連終中央事務局の長、宮内府の長官、侍從長及び侍從並びに法律又は人事委員会規則で指定する宮内府のその他の職員、裁判官並びに裁判所調査官、國会職員というようなものはこの職業的公務員の中に入るという解釈を取つております。この第五條の第二項は、第一項でその任命につきましては、両議院の同意を経るということになつておりますので、國家公務員法の人事院の選任の例に倣いまして、衆議院が同意して参議院が同意しない場合においては、日本國憲法第六十七條第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て両議院の同意とするというようにしたのであります。第四項は委員の欠格條項に関する規定でございまして、特別のものを除きまして人事院の欠格條項に倣つております。第五項は委員は五人でありますので、その中の三人以上の者が同一の政党に属することになりますと、最初にお尋ねがありました通り、警察の運営が一党一派に偏するというような虞れが生じますので、さようなことのないように、「その中の三人以上が、同一政党に属する者となることとなつてはならない。」という規定を設けてあるのでございます。
 第六條は委員の服務に関する規定でございます。委員は國家公務員法によりまして、特別職の公務員となるのでありますが、その服務につきましては、原則といたしまして、一服職に関する服務の規定をこれに準用するということにいたしました。同じくその二項におきまして、國家公務員法の第百一條の第三項の法律又は人事委員会の規則で定めた職員は、政党その他の政治的團体の役員となることができないということに倣いまして、法律を以て指定する意味を以ちまして、委員は、政党その他の政治的團体の役員となることができないものといたしました。いづれも職務執行の適正を期せんがためであります。
 第七條は委員の任期に関する規定でございます。これは別段に説明の必要もないものと思います。
 第八條は委員の退職、罷免等に関する規定でございます。第一項におきましては、委員が欠格條項に該当するに至りました場合には、当然退職するということを規定してあります。第二項は委員の罷免の場合でございまして、委員の罷免の場合の第一の場合でありまして、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を経て内閣総理大臣がこれを罷免することができることになつております。次は委員の罷免の場合の第二の場合でありまして、第五條の第五項に対應ずるものであります。即ち第一号は同一政党に三人以上属さないようにする委員の罷免でありまして、委員中何人も所属していなかつた同一の政党に新たに三人以上の委員が所属するに至つた場合は、二人を除きまして、その以上の者を罷免する。第二号は、委員中一人がすでに所属している政党に新たに二人以上の委員が所属するに至つた場合は、その一人を超える者を罷免する、こういう規定でございます。その次の項はその罷免の場合におきましての、両院の同意の得方の規定でありまして、任命の場合と同樣でございます。その次の規定は、委員の罷免の場合におきまして、三人以上同一致党に所属することになつてはならないことにいたしましたために、前々項によりまして、こういう場合には何人の委員を罷免するということが書いてありますが、そのどういう委員を罷免するかという場合、委員の二人がすでに所属しておる政党に新たに一人又は二人の委員が所属するに至つたという場合には、前の二人の者には変動を加えないので、後から入つた人は、これは両議院の同意を経ないで直ちに罷免するということであります。その次の項は以上述べました場合を除きましては、委員はその意に反して罷免されることがないという規定でありまして、これも委員の身分を或程度安定いたしまして、職務に公正な態度を以て專念することができるようにせんがための規定でございます。
 第九條は委員の報酬であります。大体これは仕事の内容等から考えまして檢事総長の俸給に準ずる報酬を受けるものといたしたのであります。
 第十條は委員会の運営に関する事柄でありまして、委員の互選によつて委員長を置きます。委員長の任期は一年でありますが、再任することができます。但し委員長は委員長として他の委員よりも特別の権能を持つことになるのではないのでありまして、この國家公安委員会の事務を処理する権限のみを與えられることになるのでございます。これに規定いたしました以外の委員会の運営方法につきましては、委員会においてお決め願うという方針で動いております。
#18
○委員長(吉川末次郎君) 只今までの説明に対していろいろ御質疑もあるかと思いますが、本日は政府委員が出席いたしておりませんので、引続きまして第二節の説明を説明員に願うことにいたしたいと思います。どうぞ。
#19
○説明員(加藤陽三君) 第二節は只今申しました國家公安委員会の事務部局に対するものでございまして、國家公安委員会には事務部局がありまして、國家地方警察本部、六つの管区警察本部を置くということにいたしております。
 第十一條は國家地方警察本部は國家公安委員会の権限に属する事項に関する事務を処理するために、國家公安委員会に事務部局として置かれるものであるということを明らかにしております。
 第十二條は國家警察本部の長官の規定でありまして、この長官は國家公務員法の規定に基きまして、試驗又は選考によつて任用されるのでございますが、この場合におきまする任命権者は國家公安委員会であるということを明らかにいたしております。罷免の場合の事由も國家公務員法の定めるところによるのであります。
 第十三條は、國家地方警察本部長官の権限を書いたものでございまして、これは國家公安委員会の指揮監督を受けて本部の部務を掌理するということに相成つております。
 第十四條は國家地方警察本部の機構でございまして、國家地方警察本部に総務部、これは主に人事とか予算、会計というふうなものをやる所でございます。それから警務部、これは警察官の服制或いは資材の斡旋或いは通信というふうなものを処掌いたします。刑事部、これは犯罪の捜査、鑑識とかいうふうな事柄を処掌することに相成りますが、この三つの部を含む五以内の部を置く、これ以上に更に又もう二部を置くことができるようになつておりまして、具体的なことは目下研究中でございます。本部の機構ではございませんが、國家地方警察本部に警察大学校を附置するということにいたしております。警察大学校は本來は國家地方警察の新認及び現在の警察職員を訓練することが目的でございますが、併せて要求がありました場合におきましては、自治体警察の警察職員をも訓練するということになつております。大体これは現在中央警察学校を拡張し向上するもので、警察大学校とすることになろうと思うのでありまして、現在地方警察学校は各縣の警察官の中で警察補又は警部の優秀なる者を集めまして、概ね半年ずつの講習をいたしております。これを更に長期に亙り、而も優秀な、もう少し程度の高い教養施設にいたすことになろうと思います。
 第十五條は國家地方警察本部の職員及び機関に関する規定でありまして、國家公安委員会の定めるところによりまして、次長二人、部長五人以内及びその他所要の所属職員及び機関を置く。機関と申しますと、犯罪の科学研究所とか、そういうふうなものを考えております。これらの職員は同じく國家公務員法に規定いたします一般公務員といたしまして、その任命、罷免につきまして、國家公務員法の適用を受けるのでございますが、この任免権者は國家地方警察本部長官ということになつております。
 第十六條は警察管区の規定でございまして、全國を別表に掲げてございます通り、六つの警察管区に分ちます。一つは北海道、第二は東北六縣を一つのブロツクとしたもの、第三は関東地方及び長野、靜岡、新潟という所まで入れたものであります。第四のブロツクは近畿地方に愛知、富山、福井、石川という北陸地方を加え、それに三重、岐阜を加えまして、第四ブロツクを作ります。第五ブロツクは中國、四國、第六ブロツクは九州全域を一体といたしまして、それぞれ札幌、仙台、東京、大阪、廣島、福岡の各都市に本部を置くことにいたしております。本部は第十六條に書いてあります通り、管区本部は國家地方警察の地方事務部局といたしまして、國家地方警察本部の事務を分掌することになるのであります。國家地方警察本部の事務と申しますと、第十一條に書いてある國家公安案員会の権限に属する事項に関する事務でございます。この分掌は主として地域的な分掌に相成るのでありますが、詳細な規定は國家地方警察の行政管理といたしまして、國家公安委員会がこれを決めるということに相成ると思います。
 第十七條は警察管区本部の職員、機関等の規定でございまして、これも國家公安委員会が詳細な内容を定めることになつておりまして、「本部長その他所要の職員、及び機関を置く。その組織は、國家地方警察の例による。」ということになつております。これらの職員も國家地方警察本部の職員と同じく一般公務員といたしまして國家公務員法の適用を受けますが、この場合の任免権者は國家地方警察本部長官ということにいたしたのであります。
 第十八條は警察管区本部長の権限、責任関係を規定したものでございまして、警察管区本部長は國家地方警察本部長官の指揮監督を受けまして、警察管区本部の事務を処理する。警察管区本部の事務と申しますと、第十六條によつてその分掌が決められるということになります。その管轄区域内の都道府縣國家地方警察の行政的調整及びその均齊を図るということになつております。この意味は、都道府縣國家地方警察の運営管理は都道府縣の公安委員会が二十條によつてやることになつておりますので、警察管区本部の方で扱いますのは、行政管理でございます。而もその行政管理の調査及び均齊を行うということでありまして、各府縣のやります行政管理事務が凸凹があつた場合にそれを調整し、相互に連絡を図り、成るべくこれが均一な準基を以て進んで行く。それから俸給等の調整、人事の調整、後に出て参りまする都道府縣國家地方警察の人事などは、都道府縣の警察廳でやることになつておりますので、人事の場合によりますと、交流でありますとか、俸給の平均でありますとか、教養訓練の基準を合せまして、歩調も合せて同じような仕事をやるというようなことを主として任務といたします。この第二項は警察管区本部長及び都道府縣公安委員会の関係でありまして、管区本部長と都道府縣の公安委員会が行政管理をやり、都道府縣公安委員会の方は都道府縣國家地方警察の運営管理をやるのでありますから、両方が相当緊密なる連絡を保ちまして初めて完全なる運営ができるということに相成りますので、その趣旨を以ちまして、緊密な連絡を以て警察の連絡に関する事項について適当に協力するという規定であります。
 第十九條は各警察管区本部に管区警察学校を附置する。大体國家地方警察本部に警察大学校を附置すると同樣な趣旨を以ちまして管区警察学校を附置することに相成つておりますものであります。都道府縣警察学校の中間に位する施設でございまして、中級の幹部をここで養成訓練するという任務を担当いたしております。管区警察学校は國家地方警察の新任及び現任の警察職員及び要求のあつたときは自治体警察の新任及び現任の警察職員を訓練するという任務を担当いたします。これは第十四條と重複しておるようでありますが、これは國家地方警察が維持運営の責に任ずるということに相成ると思います。
#20
○委員長(吉川末次郎君) 本日はこれを以て散会することにいたします。
   午前十一時五十三分散会
 出席者は左の通り。
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事
           中井 光次君
           鈴木 直人君
   委員
           羽生 三七君
           濱田 寅藏君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           青山 正一君
           岡本 愛祐君
           岡元 義人君
           小野  哲君
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
  説明員
   内務事務官
   (警保局企画課
   長)      加藤 俊一君
ソース: 国立国会図書館
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