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1947/09/20 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法・治安及び地方制度連合委員会 第1号
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1947/09/20 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法・治安及び地方制度連合委員会 第1号

#1
第001回国会 司法・治安及び地方制度連合委員会 第1号
  付託事件
○經濟査察官の臨檢檢査等に關する法
 律案(内閣送付)
○經濟査察官の臨檢檢査等に關する法
 律案に關する小委員の選定
――――――――――――――――
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   理事      鈴木 安孝君
   理事      松井 道夫君
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          大野木秀次郎君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           鬼丸 義齊君
           鈴木 順一君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           宮城タマヨ君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
           西田 天香君
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事      中井 光次君
   理事      鈴木 直人君
           羽生 三七君
           濱田 寅藏君
           村尾 重雄君
           奧 主一郎君
           大隅 憲二君
           草葉 隆圓君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           鬼丸 義齊君
           青山 正一君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
           柏木 庫治君
           駒井 藤平君
           佐佐 弘雄君
           阿竹齋次郎君
           池田 恒雄君
――――――――――――――――
昭和二十二年九月二十日(土曜日)
   午後一時三十一分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○經濟査察官の臨檢檢査等に關する法
 律案
○經濟査察官の臨檢檢査等に閲する法
 律案に關する小委員の選定
  ―――――――――――――
   〔司法委員長伊藤修君委員長席に着く〕
#2
○委員長(伊藤修君) それではこれより司法、治安及び地方制度連合委員會を開會いたします。議會運營委員會の決定に基きまして議案の附託されたるところの司法委員會におきまして、暫く委員長の席を汚さしていただきます。本日は經濟査察官の臨檢檢査等に關する法律案を上提いたしまして、先ず政府委員の本案に對する提案理由竝に各條の説明をお伺いすることにいたします。

#3
○政府委員(田中己代治君) 經濟査察官の臨檢檢査等に關する法律案の提案理由を御説明申上げたいと思います。先程お手許にお配り申上げました法案説明にもございます通り、政府は本年五月一日經濟安定本部令を改正いたしまして、經濟安定本部に監査局を置き、又各地方經濟安定局にそれぞれ監査部を新設いたしまして、經濟安定の緊急施策の實施に當る行政各廳及び公團等の指定團體の監査、竝にこれに關聯する經濟統制の勵行に關する事務、或いは隱退藏物資の調査及び供出の促進に關する事務を掌らしめることにいたしまして、又かような事務の執行に當らせますために、相當數の經濟査察官を置くことにいたした次第であります。併しながら經濟安定本部の監察部局におきまして、その職務を公正的確迅速に行いますためには、緊急施策の實施に當る行政各廳や指定團體に對してばかりでなく、施策の對象となつておる關係者に對しましても、監査に必要な報告を求めたり、或いは經濟査察官をして關係者の業務に關係ある場所に臨檢をさせまして、施策の實施に關係ある物件の檢査をさせ、以て施策の末端への侵透状況を判断する必要があると考えるのであります。然るに現在の臨時物資需給調整法、或いは食糧管理法におきましては、統制の實施に當る主務大臣には右申したような報告を求める權限、及び關係官吏を派遣して臨檢檢査をさせる權限が明示されておるのでありますが、經濟安定本部總務部長官にはかような權限がございませんがために、職務の執行上非常に支障がありまするので、この法律を提案した次第でございます。
 詳細のことは只今のプリントにもございますが、只今申上げましたのがこの法律を提案した理由であります。
 更に詳細の點まで申上げることにいたしますが、かようなわけでございまして、經濟査察官の本來の職務といたしましては、經濟安定本部令の十一條によりまして、司令第一條の經濟緊急施設の實施に關する監査及びこれに關聯する經濟統制の詩sに關する事務を取扱うということに相成つておるのでございます。併しながらその點につきまして、經濟査察官は經濟統制に關する犯罪につきまして、刑事訴訟法の二百四十八條に規定する司法警察官の職務を行うものということになつているのでございまするが、これは元來犯罪捜査が目的ではなくして、經濟行政の監査、それから引退藏物費等の調査竝びにその供出の促進を主たる目的としております關係上、これら監査又は調査の結果といたしまして、發覺した經濟統制犯罪の處理に當る程度のものでございます。ただ安定本部の監査部局におきまして、先程も申した通り、職務を迅速に行うためには、かような監査をする必要上報告を求め、或いは臨檢檢査をする必要があると考えてるのでございまするが、經濟査察官といたしましては、今までのところは臨檢檢査の權限がございませんために、すべて相手方の承諾を前提とした檢査を行なつて參つたわけでございます。そのために、特に隠退藏物資等の調査に當りましては、相手方の方からこれらの調査を理由なく拒絶されるようなこともございまするが、かような場合には、どうにも手の著けようがない、又一面におきまして査察官に何らの權限がございませんがために、警察官署の立會を求めましても、これを無權限の故を以て断られるというようなことがございまして、みすみす手を空しうして歸るというような例もあるのでございます。從つてさような關係からも非常にそういう臨檢檢査權を必要と考えておるのでございますが、この臨檢檢査と申しましても、これは刑事訴訟法上の臨檢捜査とは別個の性質のものでございまして、これは單に臨檢檢査を拒絶されましても、これを實力を以て排除して臨檢檢査を強行するということはできないわけなのでございまして、ただこの法案にございますような罰則の適用を受けるということによりまして、これらの妨害をなさしめないという監査強制の效果を持つに過ぎないわけなのでございます。
 併しながら關係者に對しまして一般的にかような報告義務を課したり、經濟査察官に臨檢檢査權を廣範囲に認めるということに相成りますると、新憲法下の國民の基本的人權侵害というような憂いもございまするので、本法では第一條のように、査察官の權限を必要の最少限度に制限いたしまして、一般國民の私生活、又は私經濟に對する權利を擁護いたすことにいたした次第でございます。
 第一條の一號及び二號に舉げておりまする法律は、結局第一號は「臨時物資調査法第一條の規定に基く命令により指定せられた物資」とございまして、これは一つは指定生産資材、第二は指定配給物資を指しておるのでございまして、指定生産資材の方の關係法令といたしましては、本年一月二十四日の閣令第一號の指定生産資材割當規則をいうのでございまして、この第一條における商工、農林兩大臣の指定物費を指しておるわけなのでございます。それから次の指定配給物資と申しまするのは、本年内閣訓令の第三號の指定配給物資配給手續規程によりまする農林省令、これは四つございまして、鮮魚介配給規則、肥料配給規則、加工水産物配給規則、青果物及び漬物配給規則、かような規則の中に指定されておる指定配給物資を申すのであります。
 二號の「食糧管理法第二條に規定する主要食糧」と申しまするのは、これは来、麥、その他雑穀、これに列擧された物資なのでございます。
 それから第一條の第二項の「隱匿物資等緊急措置令第一條第一項に規定する調査物資」、これはやはり隱匿物資等緊急措置令にそれぞれ規定されておる物資を言うのでございまして、「第三條第一項」と申しまするのも、指定物資として同様に明定されておる物資なのであります。それから「指定生産資材在庫調整規則第一條に規定する物資」これも本年一月二十五日の商工農林省令第二號、指定生産資材在庫調整規則というのがございまして、その第一條に基きまする物資でございます。これもそれぞれ非常に多数ございますがその規則の中に規定されてあるのでございます。
 かように、この法案におきましては物資を制限いたしまして、廣範囲に亙ることを避けておる次第なのでございます。
 更に第二條におきましては、臨檢檢査をするに當りましては、命令に定められた證票を携帶いたしまして、必ず關係者にこれを示さなければならんことといたしました。相手方の信用を博しますると共に、他の第三者による詐欺、恐喝等の犯罪を防止せんとしたのでありまする。
 第三條はこれに關聯しまして、この證票を示さないで、臨檢檢査に著手しようとした場合、これを拒絶せられ、或いは妨害されたどいたしましても、これは第三條の罰則は適用のないという趣旨の下に、この證票を示してなす臨檢檢査に對する妨害云々ということを規定したわけでございます。
 第四條は、これは經濟事犯の罰則の例によつたものでございますして、いわゆる兩罰規定というわけでございます。
 以上簡單でございまするが、本案の御説明を終ります。
#4
○委員長(伊藤修君) これより質疑に入ります。御質疑の方は……。
#5
○齋武雄君 私は第一にこの法案に憲法に牴觸する疑いがあるのではないか、こういうふうに考えるのであります。憲法第三十五條には「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押收を受けることのない權利は、第三十三條の場合を除いては、正當な理由に基いて發せられ、且つ捜索する場所及び押收する物を明示する令状がなければ侵されない。捜索又は押收は、權限を有する司法官憲が發する各別の令状に上り、これを行ふ。」こういうふうになつておるのでありまして、捜索或いは臨檢するには、必ず司法官憲が各別に發する令状がなければ行うことができないのであります。然るに本法案の第一條には、經濟査察官は、その事務所、營業所、工場、事業場、倉庫その他の場所に臨檢する、そうして檢査することができる、こういう規定になつておりますが、經濟査察官は勿論司法官憲でないことは疑いないのであります。先程政府委員は刑事訴訟法のいわゆる捜索臨檢とは違うのである、強制力を持たないのである、こういうことをおつしやいましたが、強力を持たないならば規定す必要はないいじやないか、そういうふうにも考えますが、若し強制力を持つならば、憲法違に反する疑いがあるのじやないか、こういうふうに考えるのであります。又強制力はないのだということを言われましたが、私は法案自體によつて強制力があると考えるのである。それは第三條において「第一條の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は前條の規定による證票を示してなす檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一萬圓以下の罰金に處する。」拒んだ場合において一萬圓以下の罰金に處されるのであるから、この點において強制力があるのである、拒むことはできないという解釋になる、こういう強制力があると考えるのであります。それでありますから、強制力がこの臨檢或いは檢査をなすということが憲法第五十五條の司法官憲のみが各別に發する令状によつて行われなければならんというのに牴觸しないかどうか。政府はこれについていかなるお考えであるかということを先ず第一にお伺いしたいのであります。
#6
○政府委員(田中己代治君) 只今御説明申し上げました中に、強制力があるなしにつきましては、これは強制力が全然ないと申上げたのではないのでありまして、かような罰則規定がある故を以ちまして監察、強制の效力がある、かように申上げたつもりでございます。又この捜査臨檢檢査權が憲法第三十三條に牴觸しやしないかというお尋ねでございまするが、憲法三十五條の規定といたしましては、犯罪捜査のために令状がなくて家宅に侵入したり、捜索押收をするということはいけないと規定しておるのでありまして、これは犯罪捜査の目的を以てする場合を言うのだと考えるのであります。經濟査察官は刑事訴訟法の司法警察官の職務を行う者として、經濟事犯に限つて捜査をすることができることに相成つておりまして、この資格に基いて事犯を捜査いたすという時におきましては、飽くまでも憲法の制限に從いまして、判事の令状を受けましてそうして家宅に立入るなり、押收、捜査をするということになるのでありまして、この度提案をいたしておりまする法律に上る臨檢檢査權はこれを用いないという建前でございます。本件の臨檢檢査權を行使する場合におきましては、犯罪の捜査の目的ではなくして、行政監査の目的のためにやる、從いまして憲法の違反ということには相成らんものと考えておるのでございます。
 又實際の運用におきましても、經濟査察官は、行政監査を主としていたすのでございまして、若しこの監査事務に關連いたしまして、經濟違反が發覺した場合におきましては、原則として檢査當局、警察當局にこれを移して、自分で自ら捜査をするということはしない方針になつております。すでに私共におきましても、經濟査察官の執務要領というようなものを作つております。これらによりまして、それぞれの方針を明定しておる次第であります。この臨檢檢査權を濫用して、犯罪捜査の手段に使うということは絶對にいたさん考えでございまして、更に十分な監督をいたす方針でございます。
#7
○齋武雄君 憲法三十五條は、犯罪捜査に限られた規定であるという御意見でありますが、これは見解の相違でありまして、これ以上申上げても仕様がないと思いますが、私は犯罪捜査に限れるものでないと考えておるのであります。犯罪捜査であつても、司法官憲が格別の令状によつて發するものでなければいかん、こういうように非常に愼重に規定をしておるのでありまして、犯罪捜査以外のものは無論できないのだ、こういうふうにも解されるのであります。これは若しこの法案が通りまして、そういうことになつた場合において、憲法違反にでもなるということでありますれば、重大問題でありまして、この點についても、これは犯罪捜査のみに規定されたものであつて、それ以外に捜査してはいかんのだ、こういう單純な御説明でなく、何かそこに犯罪捜査以外には適用はないのだという根據はどこから來ておるのであるか、その點を御説明頂きたいと思います。
#8
○政府委員(田中己代治君) 憲法三十三條との關聯上三十五條をかように解釋いたしておる次第でございます。
#9
○山下義信君 私も憲法との關係につきましては疑點がございますが、これは他日に讓ることにいたしまして、この機會に極く大體なことを一二伺つておきたいと思います。
 私共の考えでは、この法案は非常に重大な法案と考えております。それはいろいろな意味でございますが、殊に政治的にこれは重大な法案であると考えて愼重に取扱いたいと思うのでございます。我々參議院といたしまして、隱退藏物資に關しまする問題の調査、審議ということは豫てからいたしたいという希望を持つておりまして、すでに衆議院においてこのことに御著手になりまする前に、本院におきまして式の席でこれに關する發言があつたのであります。併しながらその問題がいわゆる世耕事件というものによつて表現をせられておりまして、私共から見ますると、非常に政治的な色彩が濃厚であると考えましたので、暫く事を衆議院のお取扱いにお任せ申上げて、我我參議院といたしましては、あわてず、騒がず、落着いてこの隱退藏物資に關しまする考え方をいたしたい、こう考えておつたのでございます。たまたま安本の經濟査察官に關しまする本法案が御提出に相成りましたるを機會といたしまして、私共はこの隱退藏物資を繞りましてのあらゆる角度からの檢討を參議院といたしまして加える時期が到來したのではないかということを思うのでございます。
 申すまでもなく、私共のその問題に對しまする態度は、徒らにジヤーナリズムに乗るといつたようなものでなくいたしまして、實質的に、尚建設的にこの問題を取扱つて行きたい、こういう考え方もあるのでございます。
 本日は合同委員會でもございまするし、且つ又只今御提案に相成りましたので、詳細なことは他の機會に讓るといたしまして、私どもの考えておりまする一端をここで申上げて置くのであります。その意味で伺いたいと思うのでございますが、安本は、これからこの法案によりましていよいよ隱退藏物資の正式な大掛りな御調査をなさろうとなさるのである。今までは安本以外のものがいろいろやつたでしようが、これからは機構を整えて、安本が、主力となつておやりにならうとなさるわけである。そこで安本の中に監査局が置かれて、その監査局のお往事は、隱退藏物資に関する摘發が主たる任務ではないようであります。それは極く一部分であるように、配付の資料を見ましても、安本の組織を伺つても、そう思うのであります。併しながら實際はそこに主力を置いてなさろうとする、すでに監査局が設けられて、監査局長が任命せられまして相當の日數が經つております。且つ問題が國會に取上げられて今日までに相當の日數が經つております。そこで私が伺いたいのは、隱退藏物資に關しまする今日までのいろいろな調査、御資料というようなものを、安本御當局ではすでによく御承知に相成つておりますかどうか、こういうことを伺いたいのでございます。それを伺いまして、關聯して一二お尋ね申上げたいと思います。
#10
○政府委員(田中己代治君) 安定本部の監査局におきましては、經濟行政の監査ということと併せて、隱退藏物資の調査、供出の促進ということを仕事にしておるのでありまして、いわば仕事の一部ということに相成つておりまするが、現在早急にこれを調査、處理いたす必要がございますので、相當の精力をこれに割きまして努力しておる次第であります。從いまして安定本部の監査局が本年六月に發足いたしたのでありますが、それ以後におきまする隱退藏物資摘發に關する資料は相當に集まつておるわけで、あります。その以前の、いわゆる世耕委員會と申しまするか、隱退藏物資處理委員會というのがございましたのですが、その當時の資料も若干はございます。御必要がございますれば十分に提供いたす考えでございます。
#11
○山下義信君 資料も頂戴いたしたいと考えます。
#12
○委員長(伊藤修君) 資料の提出を要求されますか。
#13
○山下義信君 そうでございます。つきましてはこの世耕問題、即ち世耕指令書というものでございます。私共は公平な見地から見まして、この世耕指令書即ち世耕情報と稱しておりまするあの事柄が、合法性がありますのかどうか、甚だ了解いたし兼ねております。この世耕指令書というものによりまして、或いは相當の隱退藏物資の摘發もありましたでしよう。貢獻するところもございましたでせう。尚今日國會に取上げられまして以後又々貢獻するところもございましよう。併しながら又半面におきましては、この情報を中心といたしまして國内騒然といたしまして、到るところに奇怪千萬なる事件が續出をいたしまして、そうして多數の犯罪と申しますか、各種の忌わしい事件が續出いたしましたということは、これは極めて顕著なる事柄でございます。
 そこで功績がありますれば、その世耕情報、世耕指令書の事柄には相成りましようが、併しながらそれが本になりまして、多數の事件が湧き起こるということに關しましても、これ又責任がなくちやならんと考えるのでございます。それらの責任は一體この世耕指令書を出しまするところの、その委員會というものにありまするのか、或いは世耕その人にその責任がありまするのか、これはここに明白にいたして置かなくちやならんと私は思うのでございます。それは合法性のない、正式でないということを、當時の政務次官でありました者がいわゆる副委員長の資格を濫用いたしてかくのごときことをいたしたということになりますれば、そこに當然何らかの責任があるのではないかと考えるのであります。若し正式なる根據によりまして、さようなこと行はれたということになりまするというと、その委員會、又それを監督いたしておりましたる安本長官、それらに當然又責任があるのではないかということを考えるのでございます。その世耕指令書というものの合法性、それらの責任の歸趨するところ、それはどこにあるのでございまするか、明快なる御答辯が願いたいと思うのでございます。
#14
○政府委員(田中己代治君) 世耕指令書と申しまするものは、これは從來からも、しばしば世間で言われております通り、この隱退藏物資處理委員會の副委員長名義で世耕氏が發したものでございまするが、これは全く私共といたしましては私文書に過ぎないと考えておるのでございます。
 それからこの責任の所在でございまするが、これは只今檢察廳におきましてもそれぞれ取調べ中でございますので、その方の處理を完結するまで申上げ兼ねるのでございます。
   〔「もう少し大きい聲で願います。聞えません」と呼ぶ者あり〕
#15
○政府委員(田中己代治君) 世耕指令書は私共としましては、世耕氏個人の私文書である、かように考えております。
 それから責任の所在については、今檢察廳で事件を取調べ中でございます。その結果を俟たなければちよいと申上げ兼ねる、かように考えるのであります。
#16
○山下義信君 極めて明白なる御答辯を頂きまして了承いたしました。これは私文書であるということでございます。政務次官であり。副委員長であるというような地位の者が正式なることをいたさないで、私文書を濫發いたしまして天下を騒がしたということは、私はこれは實に由々しきことであると考えております。それが只今司直の手によりまして、その責任の歸趨するところをお取調べ中でありまするということでありますから、私はその結果を相待つことにいたしたいと存じます。
 そこで、今日までの大體隱退藏物資に関しまする材料をほぼお持ちになつておるということでございますから伺うのでございますが、當局のお見込ではまだまだ國内に隱匿物資竝に隱退藏物資、そういうものが多數に存在しておるというお見込でございましようか、どうでございましようか、その點を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(田中己代治君) これから調査いたして見なければ判然としたことは申上げ兼ねるのでございますが、從來の實績によりますとまだ相當量の物があると考えております。
#18
○山下義信君 これは見込でございますからやつて見ないと分らん點でございますが、固より相當あるというお見込がなければこういう法案をお出しになり、憲法違反の虞れのある、かのごとき從來ないところの、私共から考えて見ますと、これは惡法であると考えております、こういう法案をお作りになつてまでもなさろうとするには、餘程尨大なる隱退藏物資があるお見込であろうと私共考えております。只今當局では相當あるというお見込であると承りましたが、そこでその摘發をなさり、それからのことをお運びに相成りますのに、承りますというと内閣にそれらの委員會ができたということでございますが、この度内閣に作られました委員會とこの安定本部の監査局及び經濟査察官を使つてなさろうとするお仕事との關係はどういうふうに相成るのでございますか承りたいと思います。
#19
○政府委員(田中己代治君) 先頃物資活用委員會と申しまする隱退藏物資若しくは遊休物資を活用する機能を營むところの委員會を作つたのでございます。この委員會は一部官吏と多數の民間人を入れまして構成しておるのでございます。これは只今のところといたしましては、安定本部に中央物資委員會、各地方經濟安定局に地方物資活用委員會というものを作ることに相成つております。中央の物資委員會はすでに発足いたしまして二囘程會合をいたしました。この性格は只今のところは安定本部に附屬といいますか、安定本部の諮問機關乃至はそれ以上の力を持つ委員會ということになつております。隱退藏物資その他遊休物資の調査審議をいたし必要があれば内閣總理大臣に建議をすることができるという建前になつておるのであります。御承知の通り安定本部の總裁は内閣總理大臣ということになつておりまして、只今の内閣總理大臣に建議すると申しましたのも、これは詳しく申上げますれば、安定本部の總裁に建議をする、かように相成つておるのでございます。諮問機關以上の委員會であると御承知願いたいと思います。
 それから事務局といたしましては、安定本部の監査局が中央委員會の事務を扱います。それから各地方物資活用委員會の事務は各地方安定局の監査部において扱うということになつております。
 申し落としましたが、この委員會は只今申上げました通り、調査摘發の直接の權限としてはないわけなんでございまするが、委員の一部の方は實際の現地の調査摘發にも立會うことができまするし、要するに安定本部の監査局、若しくは監査部において調査摘發を行う際には、この査察官がいたし、これに委員會の委員が参加することができる、かような建前になつております。
#20
○山下義信君 活用委員會と監査局との關係でございますが、これは上下の關係もないのでございまするし、諮問機關であるとおつしやるが、諮問機關のみでもないようでありまして、その委員會がみずから摘發もでき、或いは處理要綱を伺いまするというと、これは新聞紙で伺うのでありますから、まだ只今政府から伺うのではございませんけれども、民間人を參加させる、都合によつたら民間人にも摘發をさせることもおやりになるように見えておりますが、或いは新聞紙の報道が間違いかも分りませんが、これは二本建になるのでございますか。この監査局のお仕事との連關性というのは二本建になるのでございますか。そこはどういうふうに相成りまするのか、もう一度明瞭にお答えを願いたいと思います。
#21
○政府委員(田中己代治君) その點につきましては、飽くまで調査摘發は安定本部の役人がいたすのでございます。それに對しまして公正を期し、或いはその他必要と認めまする場合におきましては、この委員の方を立會わせるということもあるかと存じます。そういうことが委員會の規定にも一應謳つてあるわけであります。
#22
○山下義信君 明瞭に相成りました。活用委員會の方で、民間人を嘱託いたしましても、それらは決して摘發するということはない、ただ謂わば立會うのである、こういう御答辯でございまして了承いたしました。つきましては安定本部の方でいわゆるこの摘發のお仕事をなさります上に、民間の情報をお採入れに相成りまする、これはいわゆる世耕情報のやり來りましたるところの亞流でございまして、やはり民間情報をお採入れになり、それに對しまして申告の褒賞というものをお與えになる、あのやり方を御採用に相成りまするお考えでございましよう、いかがでございましようか。
#23
○政府委員(田中己代治君) 安定本部の只今の方針といたしましては、隱退藏物資の調査摘發供出の促進等は組織的又繼續的に獨自の立場からでも、いたしまするし、又この民間情報におきましても、確實と思われるものはこれを選擇いたしまして、調査の資料にいたす、かように從來もいたしておつたようなわけであります。將來もさようにいたして參る考えでございます。褒賞金の支出の點につきましては、これは先般支給率を定めまして、七月の新物價體系以前と以後とに分けまして、以前の分につきましては、公定價格で買上げた金額の二割以内を褒賞金として支給する、それからその後の七月以後におきましては、公定價格で買上げた金額が昔と違いまして非常に高くなる關係からこれを一割以内ということに定めまして、これはその率で支給する筈でございます。但しそれにはいろいろ細かい段階がございまして、一千萬圓若しくは二千萬圓というふうな段階に上りまして率が遞減して行くことになつております。それから無償で取得した物資を摘發買上げといいますか、産業復興公團に引渡した場合におきましては、褒賞金を出さないという建前を採つておるのであります。
#24
○山下義信君 重ねてその點を伺いたいと思います。この世耕事件によりまして、あのような忌わしい事件が續出いたしましたるその根本原因は、この情報提供者に對しまして、いわゆるその何割かという褒賞金を與えるということが、實はあらゆる詐欺事件の勃發しました原因でありますることは、識者の等しく認むるところでございます。言換えまするというと、この申告者に二割與えるということが、實に面白くない制度である。これは全國到る處心ある者はそれを叫んでおるのでございまして、殊に檢察當局の職に在る各位のごときは、實にひそかにその點を憤慨しておられる方も澤山あります。かような惡制度、これを尚安定本部がお採入れになりますということは甚だ私共面白くないことに思うのでございますが、從来は二割或は今囘減ぜられましても一割というがごとき褒美制度をお採りになりますることにつきましては、その弊害というものにつきまして、當局はどういうふうにお考えになつておられますか、その點をいま一度承りたいと存じます。
#25
○政府委員(田中己代治君) 褒賞金の支給が幾多の弊害を生んでおりますることは、政府といたしましても十分認めておるのでございまして、これは只今のような隱退藏物資摘發處理の情勢上、現實上暫定的に必要であるという見地から、かようにいたしておるのでありまして、誠に止むを得ない處置と思つておるのでございます。
#26
○山下義信君 私は本日はこの點に止めて置きまして、他の同僚諸君の御質疑に讓りたいと思いますが、最後に伺いたいと思いますことは、いずれ具體的なことや詳細は他日の機會に讓りますが、この下部組織として地方安定局というものをお設けになります。これは私思いまするのに、恐らく從來ございましたあの行政協議會というもの、これを大體そのまま地方安定局にお變えになつたものではないかと思うのであります。その行政協議會というのは、管轄の府縣の轉用物資を主として監督をいたし、取扱つておつたことがありまする。その行政協議會の主たる官吏がそのまま地方安定局の官職員になつておるのではないかと思われるのでございますが、その點を伺いまして、私の質疑は、今日はこれに止めて置きたいと思います。
#27
○政府委員(田中己代治君) 只今のお尋ねにありまする行政協議會の官吏が、地方安定局にも一部入つておることは事実でございまするが、この地方安定局と申しまするものが、行政協議會の變身であるというわけでは決してないのでございまして、これは只今全國に八つございまするが、これの組織は、調整部と監査部と二つございまして、監査部の方はいわゆる經濟行政の監督及び在庫品、只今の隱退藏物資等の調査供出促進というような事務を扱つております。調整部の方は、各地方各廳の行政の實施の状況の綜合調整というようなことを扱つておるのでありまして、全然行政協議會とは違つておるものでございます。
#28
○小川友三君 本案につきましてちよつとお伺いしたいのであります。經濟査察官は司法警察官の職務を行うのである、こう理由に書いてありますが、これは今までの司法警察官が信用がなくて止むを得ないからこういう經濟査察官を作つたのであるかどうかということを一つお伺い申上げます。これは憲法三十五條で護られておる國民の居住及び生活安定の規定を非常に傷けるような感じがするのでありますが、今までの司法警察官吏で十分であると本員は信じておるのであります。何故ならば、司法省があつて、司法大臣があつて立派にやつて來たのに、又ここに安本長官が司法警察官の資格を取つてもう一つ司法省ができるというような感じが十分深いのであります。これ實にもう二重監督の甚しきものであると私は斷ぜざるを得ないのでありまして、本案は必要があつた場合には司法省と連絡を取つて檢擧させるという方法がよろしいのでありまして、別に經濟査察官に司法警察官の資格を與えないでいいと思いますが、ちよつとお伺いして置きます。
#29
○政府委員(田中己代治君) この經濟査察官は司法警察官吏そのものではないのでございまして、行政官吏の一でございますが、これに對して例の刑事訴訟法の規定によります司法警察官と申しますか、司法警察官吏の職務を行う者ということにいたしたわけでございます。例えば鐵道司法警察官、或いは森林の警察官と同様なわけでございまして、從つて別に一般の司法警察官の信用がないがために、かような資格を經濟査察官に與えるというわけではございません、又一般の司法警察官だけで十分ではないかというお尋ねでございまするが、この點につきましては勿論普通の犯罪も、經濟犯罪につきましても最初から分つておれば司法警察官に通知して捜査をさせるのでございまするが、行政監査の半ばにおきましていろいろの犯罪を發見するというような場合におきましては、經濟犯罪を發見するような場合におきまして、これを放置するならば、證據を湮滅せられる虞れもあるというようなこともございますし、その他いろいろな必要もあると考えたので、特にこの司法警察官吏の職場を行うようにするということにして置いた次第でございます。
#30
○小川友三君 政府委員の御答辯でありますと、つまり司法警察官の資格を同じに考えるというような形でありますが、そうして薩摩芋の蔓の粉、桑の葉、どん栗海藻等粉食に供せられる物を取締ることになるのでありますが、これは何ということでありましようか、どん栗まで取締るには、少くとも五十萬人くらいの經濟査察官がなければ取締ることができないのであつて有名無實な經濟査察官ができるのではないかと思いますが、いかがでございましようか。何十萬人くらいの經濟査察官をお置きになるおつもりでございましようか。
#31
○政府委員(田中己代治君) 定員といたしましては、經濟査察官は八百名ということになつておるのでございまするが現在三百三十三名を暫定的に置いておる次第でございまして、これも本月中に増員して、又更に殘りの者を充員することにしております。
#32
○小川友三君 三百三十三名ぐらいでどん栗の粉から桑の葉から薩摩芋の蔓の粉まで取締るということは、これは私不可能だと思います。これは有名無實に近い經濟査察官であつて、いつそ撤囘して司法官にやらしたらいかがかと思いますが……。
#33
○阿竹齋次郎君 惡人が榮えますから、隱退藏物資の摘發は結構でありますが、そこでこの法律を見ますと、行政執行機關であるところの内閣の外に安本という執行機關ができることになつておるのであります。これは齋さんの質問の趣旨と同じであります。憲法の趣旨に違反しやしないかということをお尋ねいたします。それから「罰金に處する、」こういうことになつておりますが、憲法において定めたる司法官憲のみに限られたものであつて、行政機關にはこれを許していないと思いますが、これも憲法に禁じておると思います。そこで、要するに經濟安定本部の本來の使命は、今日の緊急經濟對策の實行機關であつて、これは内閣に歸屬する一分體であると考えておるのでありますが、かくのごとき結果になることは、立法、行政、司法の三權を行うことになるので、誤りになると思うのであります。政府御當局はどうお考えでいらつしやいますか、お考えを伺いたいと思います。
#34
○政府委員(田中己代治君) 只今の御質問の點は、安定本部が企畫官廳であるに拘わりませず、かような實施面まで伸ばしておるが、その點については三權分立の根本を亂すものではないかというようなふうに伺つたのでございまするが、この安定本部が企畫官廳でありますることは、これはお説の通りなのでございまするが、この統制に關する企畫立案ということがとかく机上の空論になり易いのでありまして、その實施の結果を絶えず見て反省を加えるということが、必要であろうと考えるのでございます。この企畫立案すること自體が、企畫立案した事項につきまして、各行政官廳でいかように實施されておるかということを観察することによりまして、その企畫の缺陷を發見する、これを改善することができる、こう考えるのでございまして、又統制の勵行を缺くということにつきましても、これは檢察當局による經濟事犯の檢擧取締だけでは、尚その目的を十分に達し得ないのでありまして、行政官廳による適正妥當な行政施策、それから關係業者に對する違反防止ということを監督することが必要でありまして、これなど從来の實情に見ますると、どうも不十分であつたようでありました。そこで安定本部内に相當力の強い監査機構を設けまして、第三者の立場から各行政各廳の行政の實施振りを監査する、これによりまして、その不完全とか、不十分の點も發見し、改善せしめることができるし、又統制の勵行もその效力を上げることができるだろうということから、かような制度を設けたという次第なのでございまして、これは司法を扱うことが建前でなし、又司法權と行政權が相紛淆するものとも考えない次第なのでございます。又この罰金刑を科るということも、これは罰金刑に處するということだけでございまして、罰金を科することは勿論裁判所がいたすのでございまして、安定本部が幾らの罰金にするということを決めるわけではない次第なのでございます。この點一つ御了承を頂きたいと思います。
#35
○阿竹齋次郎君 私の質問に對する御答辯では、これはやや意見の相違になつて來るのであります。私の聽くところは、それは憲法に背いておるのではないかということで、少し違うのではないかというのでありますが、當局が、そうでいいとおつしやればもう意見の相違であります。
#36
○大野幸一君 この法律が施行された結果、従来臨時物資需給調整法、或いは隱退物資等緊急措置令により、各主務大臣、例えば商工大臣とか農林大臣とかの、今までの法律による權限と、この法律の安本總裁の權限とはどうなるのでしようか。例えば今までの主務大臣の權限はなくなつて、この安本總裁一本に收まるのか、今までの主務大臣の外にこの安本總裁の權限がこれだけ又擴張されて行くのか、別個に行動するのであるか、統一するのか、その點をお伺いしたいと思うのであります。
#37
○政府委員(田中己代治君) お尋ねの點につきましては、これは前の農林、商工大臣等の權限は依然として残つておるのでありまして、これは別個に行動するわけでございます。
#38
○小川友三君 今の大野議員の質問に對しましてお答えがありましたが、それでは二つ司法大臣ができるようなものでありまして、前の大臣の方で、いわゆる安本がやるならやり給え、俺の方は摘發をしておつて、見送つてやろうというのでは、犯罪は殖えてしまいます。片方が何萬人の官吏を推してサポタージユをやり、片方は僅かに三百三十三人という少數を率いて檢擧に當れば、これは却つて犯罪が殖えて能率が擧らないと思います。そこで安本はいさぎよく本案を撤回して、前の司法省官吏に全部讓つて、激勵をする方の立場に立つ、その方が非常に大きい立場になり能率が擧ると思つておりますが、政府委員の明確なる御答辯を要求いたします。
#39
○政府委員(田中己代治君) 經濟査察官の本來の職務は、先程申上げました通り經濟行政の監査、隱退藏物資の調査、供出の促進ということにあるのでありまして、司法警察の諸君は、これはほんの第二次的のことなのでございます。その點御了承願いたと存じます。
#40
○小川友三君 第二次的であるという伏線を引きまして、果してこれが發展をしまして……物すごい發展をするんじやないかという見通しを持つものがあるのでありまして、その點によりまして、いわゆる冒頭に申上げた司法省が二つできたんじやないかという解釋を申上げたのでありますが、大きくなりそうもないというお話でありますから……。
#41
○松井道夫君 私實は外に委員會がありまして遲れましたので、或いは重複いたすかも知れませんけれども、一點お尋ねいたします。この法律案によりますと、今の臨時物資需給調整法、食糧管理法、隱匿物資等緊急措置令におきまして、すでに當該官吏による臨檢とか檢査とか、場合によつては、報告といつたような規定がございまして、そのおのおのの法律による、當該官吏によるさような權限が行使できるのでございますから、今の經濟査察官においてその必要ありと認めれば、その當該官吏をしてそういう職權を發動させて、その結果を調べるというようなことで事足りはしないかと存ぜられるのでありますが、何故に當該官吏以外に、更に經濟査察官がかような臨檢捜査、臨檢檢査をしなければならないか、これは根本的に先程から問題になつておるらしく見えまするところの企畫官廳ではないかという根本的の建前からいいまして、すでに多少の役人によりましてこういうことができるのでありまするからして、更にそれに附け加えて、このような安本の方でそれを掴んでやるということは、確かに行き過ぎではないかという見解が生ずるのは無理がないように思うのでありますが、その點の御見解を一つお尋ねいたします。
#42
○政府委員(田中己代治君) お答えいたします。いわる臨時物資需給調整法、その他食糧管理法等におきましては、當該官吏をして臨檢、檢査をさせることができると申しますのは、これはちよと本法案の臨檢檢査の趣旨とは違うのでございまして、この經濟査察官の、臨檢、檢査と申しますのは、何と申しますか、普通の臨檢、檢査のみならず、各經濟行政の監査のために臨檢、檢査ということになつておるのでございまして、かような關係から當該官吏が臨檢、檢査した結果も或いは見る必要があるかも知れないのでございまして、それこれによりまして趣旨が違う次第でございます。この點御了承を願いたいと思います。
#43
○松井道夫君 趣旨が違うと仰せられますけれども、結局主として民間の工場でありますとか、倉庫でありますとか、事業場でありますとか、さような所でいろいろと捜査し檢査するその行為の形式は少しも變らないのでございます。而もこの提出の理由には、今の各法の當該官吏に含まれないから、必要な場所に臨檢し、檢査する權限がなく、職務執行上支障がある云々とありますが、結局同じ趣旨でなければこういうことが言える筈もないのであります。成る程他の各省の當該官吏の檢査、その他それ自身をも監査しなくてはいかんということもございましようけれども、その根本はやはり經濟統制の今の企畫の末端まで出して御覧になるということを監査するのが、今の監察官の職務なのでありますから、今の監察關係の當該官吏の監察の結果も、監査するということはおのずから外の方法もございましよう、二度その檢査を要求して立合うのも結構でございましようし、幾らでも方法があるのでございまして、いずれにいたしましても今の當該官吏にその權限がある、各該當官吏に權限があるのに、更に重ねて査察官にその權限を與えなければならんという根據がどうもはつきりいたさんように思うのでありますが、先程の御答辯以外に、何かしつかりした根據でも若しございましたら御答辯願いたいということならば、要するに當該官吏の臨檢檢査の結果が正當であるかどうかということを檢査いたす必要がありますために、この法律を提出したものであるというように私は伺うことになります。それでよろしいのでしたら結構でございます。
#44
○政府委員(田中己代治君) 只今のお尋ねにつきましては、これはさように狭いわけではないのでございまして、要するにこの經濟査察官は、役所の仕事振りがうまく行つておるか否かということも調べ、それからその施策の末端までの浸透状況がどうであるかということを調べて、何といいますか、緊急經濟施策の改善すべき點がないかどうかとうことも見るわけなのでございまして、ただに只今仰せられたような、他の當該官吏の臨檢檢査を行なつたあとを見るということばかりに限らないのでございます。その點御了承願いたいと思います。
#45
○鬼丸義齊君 この提案に係りまする臨檢竝びに檢査に對しまする行爲について、經濟安定本部の査察官が、經濟統制に關する犯罪について司法警察官の職務を行うのであるということに提案理由がなつております。ところが、憲法の規定に從いまして、現行犯を除きまするの外は、すべて裁判所の發しまする令状によるにあらざれば犯罪捜査……一般犯罪捜査すらできないのであります。然るに査察官はその一般犯罪より、又更にそれ以上の大きな力を持つて經濟統制の違反を捜査をする、いわゆる臨檢檢査をするというふうなことに、この法案の提案がなるのでありまするが、當初この法案を立てまする場合に、憲法と査察官の臨檢檢査に對しまする點について、司法處分以外に格段なる根據があつて、こうした法案を提案することになつたのであるかどうか、その點を伺いたいのであります。
 司法警察官の職務を行うといたしても、司法警察官は、やはり憲法の規定に基きましてすべて裁判所の發しまする令状によらなければならん、この場合には令状なくしてただその證票でありまするか、證票を示して、そうして臨檢檢査をなし得るというようなことは、私共どうしても考え得ないのであります。先程來からの御答辯を拜聽しておりますると、どうしても質問者と答辯者との間において隔靴掻痒の感がありまして、私共は到底納得できないのであります。
 でありますから、先ず根本の立案の根據をいずれに置いたかということについて、更に又いわゆる權限を査察官に與えることは、憲法の上においてどういうような關係になるのであるか。參考書によつて出されました食糧管理法におきましても、或いは退藏物資の規定におきましても、臨時物資調整法の規定におきましても、これ自體は私共が憲法との關係においても甚だ怪しく思つておるのであります。若しすでにこうした先例があるから、これによつて査察官も臨檢檢査の權限を持つてもよろしいというふうな簡單なる考えの下にこの法案ができるに至つたのではないかと思います。かたかた先程來の御答辯を拜聽しておりますると、どうしても私共は納得が行かない、質問者と答辯の節が何だが物足らないものばかりと思います。根抵を一つ明確にして頂きたいと思います。
#46
○政府委員(田中己代治君) 先ず法律案の末尾についておる提案理由でございまするが、この中に、經濟統制に關する犯罪につき司法警察官の職務を行うことになつたと書いてございますが、これは抹消する筈だつたのでございます。それを抹消せず、そのまま出ておりましたようなわけらしいのでありますが、その點抹消をお願いしたいと思います。
#47
○委員長(伊藤修君) 二行目の「經濟統制に關する犯罪につき司法警察官の」……。
#48
○政府委員(田中己代治君) 「犯罪につき司法警察官の職務を行う」とある點を、「ものであるが、」ということにいたす筈だつたのであります。
#49
○委員長(伊藤修君) 安本のお考えは、こういうお考えで出たのじやありませんか。
#50
○政府委員(田中己代治君) そういうわけでもありませんが、そこで……。
#51
○小川友三君 安本が、國を占領しちや困る。
#52
○鬼丸義齊君 ちよつと……。
#53
○政府委員(田中己代治君) この法案の立案をした根據といたしましては、只今お話のようなわけではないのでありまして、全く經濟安定の緊急施策に關する監査や、これに關するいろいろな隱退藏物資處理、その他經濟統制の勵行等に關して必要であると考えて、かように立案した次第なんであります。憲法に違反するか否かというお尋ねにつきましては、先程も申上げました通り、私共といたしましては、目的は決して犯罪捜査のためではないのでありまして、違憲ではないと信じておる次第であります。御了承を願います。
#54
○鬼丸義齊君 只今の答辯によりますと、犯罪捜査ではないから憲法には抵觸しないという御答辯でありましたが、私は犯罪捜査とか何とかそういうことでなくして、すでに憲法において我々の住居は保障されておる、その住居に臨檢をし、更に物に對しまする檢査をいたしまするについてはそれぞれ憲法によつて保障されておりまするものに對して強制力を加えるのでありますから、それが即ち憲法に違背するのじやないか、これを言うのである。犯罪であるから、犯罪でないからということを申上げるよりも、もう一つその根本であります住居にいわゆる臨檢すること自體憲法に牴觸しないか、それを伺います。
 それから尚只今犯罪に關するのでないという御答辯でございましたけれども、先程からの御答辯の中にはしばしばその種に屬する御答辯があつた。要しまするに、私は先程來いろいろ質問に對する政府の御答辯、全部拜聽しておりますと、ちよつと勉強が足らんと思います。もう少し本當に根抵的に勉強して頂いて、我々の納得の行く御答辯を伺いたいのであります。
#55
○松村眞一郎君 今司法警察官の職務を行わないと言われましたが、先程の説明の中に、臨檢するときに犯罰を發見することがあると言われたじやありませんか。そのときに司法警察官の處分を行う必要があるということを言われたのであります。そう言つて置いて、今司法警察官の職務を行わないということは矛盾したことであります。矛盾した答辯を聞く必要はないと思う。司法警察官の職務を行うつもりであるからそう答辯して來ておる。今になつてないということで、それを削るなんということを言つても私は承諾できません。(「同感」と呼ぶ者あり)先程明瞭に言われました。職務を行なつてる間に犯罪を發見することがあるということを言われた。それ即ち司法警察官の職務を行うのじやありませんか。第一私はこの安定本部の條例を見ますと、施策の實施に關する監査ということが書いてありますが、その監査は法人その他の團體の監査ということに十二條は限つてあるのであります。ところがこれは限つてない。初めの第二條を見ますと、法人の事務所とか營業所というものは書いてない。個人の所に入つてもいい。その點において自己のなすべき權限を超過することになる。その制限を法律で脱落しておるのである。うつかりするわけに行かない。それのみならず、元来隱匿物資というような問題と、それから統制經濟とか、緊急施策を作るという立案の問題とは全然違う問題であります。隱匿物資の緊急措置は幾らか或る色眼鏡を以て見るところの行政である。政府の働らきである。それはそれでお考えになつて、それに對しての臨檢とか何とかいうことが場合によつては起こつて來る。併しながら普通の場合の緊急の企畫か立案というものは。それぞれ役所から資料を取ればいい、安本は役所の監督をすればいいのである。安定本部の第一條には、各省の事務の綜合調整、いろいろの經濟の統制の畫策をするとあるのですから、各省から材料を取ればいい。安定本部は何も實務を知らない役所である。實務を知らないものは實務の分つておる所から取立てればいい。隱匿物資の摘發ということは普通の役所ではおやりになりません。安定本部がおやりになつていいでしよう。元來そういうことを一緒に書くということは間違つておる、説明を聽いても甚だ矛盾しておりますから、もう少しはつきりした答辯を用意して來られることを望みます、その意味において本日はこれでやめたらいいと思います。政府の答辯の不備なるが故に止めて貰いたい。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#56
○委員長(伊藤修君) 本日はこの程度で質疑を打切りまして、他は後日に讓りたいと思います。この際お諮り申上げて置きます。尚お安定本部に對して提出を要求すべき書類の御希望がありましたら、お申出で頂きます。
#57
○山下義信君 いろいろ資料を提出願いたいと思うことがあるのでございますが、次の機會に纏めて申上げたいと思う。ただこの際私がお願いしたいと思いますことは、先程の御答辯を承りますと、大體のことは今までの行き掛りから、なにから引繼いで、資料は大體あるというお答えでございました。そこで私はその御調査の御資料の一端を頂戴したいと思いまするのは、全國各府縣廳が特殊物件の取扱いをいたしたのでございますが、その特殊物件或いはいわゆる隱退藏物資というようなものを繞りまして、それぞれの事務官に對しまして、これが拂下げの運動或いはいろいろ要望をするものの中で、帝國議會に議席を有しましたる者、或いは現に國會議員の職に在りまする者、そういう者がこの問題に關聯いたしておりますることが分つておりまするならば、その氏名を御報告願いたいと思うのでございます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(伊藤修君) 先程の今日までの隱退藏物資に關する、安本において調査せられた書類を御提出願うことと、關係の法令の御提出と、安本の機構及び外に對するいろいろな法令を御提出願いたいと思います。
#59
○村尾重雄君 隱退藏物資の拂下運動をした議員の氏名……
   〔「そうそう」と呼ぶ者あり〕
#60
○大野木秀次郎君 それに關聯して調べたい……。
#61
○委員長(伊藤修君) 尚お諮り申上げることがありますが、この本案の審議に際しましてこれをどういうふうに扱かうかということにつきまして、本案の重要性に鑑みまして、この連合委員會におきまして、小委員會を設けたいと存ずるのでありまするが、御異議ございませんか。
   〔「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#62
○委員長(伊藤修君) さよう決定さして頂きます。尚小委員の數は十二名といたし、その氏名は委員長に御一任を願えるかどうでしようか。
   〔「異議なし」「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(伊藤修君) さよう取計らいます。小委員の氏名を申上げます。
   齋  武雄君 大野木秀次郎君
   鬼丸 義齊君  岡部  常君
   山下 義信君  岡田喜久治君
   小野  哲君  岡本 愛祐君
   村尾 重雄君  奧 主一郎君
   吉川末次郎君  伊藤  修君
以上の十二名を以て小委員と決定いたしまして今後の法案の審議を進めたいと存じます。尚小委員會は本委員會に差支えのないようにお開きを願いたいと存じます。
 それでは本日はこれを以て散會いたします。
   午後二時五十七分散會
 出席者は左の通り。
  司法委員
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          大野木秀次郎君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           宮城タマヨ君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
  治安及び地方制度委員
   委員長     吉川末次郎君
   理事      中井 光次君
   委員
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           岡田喜久治君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
  國務大臣
   國 務 大 臣 和田 博雄君
  政府委員
   經濟安定本部副
   長官
   (第四副長官) 田中己代治君
   總理廳事務官
   (經濟安定本部
   監査局長)   國鹽耕一郎君
ソース: 国立国会図書館
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