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1987/08/26 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 科学技術特別委員会 第2号
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1987/08/26 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 科学技術特別委員会 第2号

#1
第109回国会 科学技術特別委員会 第2号
昭和六十二年八月二十六日(水曜日)
   午後一時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月九日
    辞任         補欠選任
     稲村 稔夫君     鈴木 和美君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     鈴木 和美君     稲村 稔夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         飯田 忠雄君
    理 事
                後藤 正夫君
                出口 廣光君
                伏見 康治君
    委 員
                岡野  裕君
                岡部 三郎君
                木宮 和彦君
                成相 善十君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                前島英三郎君
                松尾 官平君
                最上  進君
                稲村 稔夫君
                久保田真苗君
                松前 達郎君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        高橋 利彰君
   参考人
       科学技術庁金属
       材料技術研究所
       所長       中川 龍一君
       東京大学教授   笛木 和雄君
       新日本製鐵株式
       会社中央研究本
       部参与      南雲 道彦君
       松下電器産業株
       式会社専務取締
       役        早川  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (超電導に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(飯田忠雄君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月九日、稲村稔夫君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。
 また、七月十日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として稲村稔夫君が選任されました。
#3
○委員長(飯田忠雄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、超電導に関する件について、本日、科学技術庁金属材料技術研究所所長中川龍一君、東京大学教授笛木和雄君、新日本製鐵株式会社中央研究本部参与南雲道産君及び松下電器産業株式会社専務取締役早川茂君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(飯田忠雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(飯田忠雄君) 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、超電導に関する件を議題といたします。
 本日は、本件について参考人の方々から御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 中川参考人、笛木参考人、南雲参考人、早川参考人には御多忙中のところ貴重なお時間をお割きくださり、当委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。
 当委員会は、科学技術振興対策樹立に関する調査を進めているところでございますが、本日は超電導に関する件につきまして忌憚のない御意見を賜りまして、本調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。まず、参考人の方々からお一人三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に答えていただくというように取り運びたいと存じます。なお、その際、質疑されます方は便宜委員長から指名させていただきますので、挙手をお願いいたします。
 これより参考人の方々から御意見を承ります。
 まず、中川参考人にお願いいたします。中川参考人。
#6
○参考人(中川龍一君) 金属材料技術研究所の中川でございます。
 本日は、超電導材料の現状と課題ということで、まず私の方から超電導材料というものは一体どういうものかということをお話し申し上げたいと思います。たまたま私どもの研究所では、金属系の超電導材料でございますけれども、二十数年にわたって研究してまいっておりますものですから、主として金属系の超電導材料をもととしまして、超電導材料とはどういうものか、また今後どういう課題があるかということを御説明したいと思っております。
 まず、超電導材料とはどういうものかと申しますと、お手元に資科がお配りされていると思いますので、その資料に従いまして御説明したいと思います。
 まず、超電導といいますのは、ある種の物質を非常に低温に保持したときに電気抵抗が完全にゼロになる現象を超電導と言うわけでございます。この現象は、一九一一年にオランダのオンネスという人が初めて発見したわけでございますが、その前年に液体ヘリウムというものができるようになりまして、水銀でその次の年に発見したわけでございます。そのときのデータが、そこに図が書いてございますが、電気抵抗を縦軸に、絶対温度を横軸にとりまして、温度をどんどん下げていきますと超電導の臨界温度、Tcと書いてありますが、ここで電気抵抗がゼロになったわけでございます。
 こういう超電導の物質の例を大まかに私が分けてみますと、金属系と、それから最近非常にトピックスになりました酸化物系、まあセラミックス系とも言いますけれども、そういうものと、それから有機物系、大きくこの三つに分けられるかと思います。このそれぞれについて簡単に後で御説明いたしますが、その前にまず次の二ページ目でございますが、説明させていただきます。ここで、非常に基礎的なことですけれども、電気抵抗というものはどういうことかということから簡単に御説明いたしたいと思います。
 電気抵抗、上の方に「無限大」と書いてございますが、これは絶縁体、例えば瀬戸物とか碍子といったものでございまして、電流が全く流れないものでございます。
 金属は大体電気は流れるものでございますが、それにしても、金属の種類によりまして電気抵抗が大きいか小さいかの差がございます。電気抵抗が比較的大きいというものは、ここに書いてございますニクロム線でございまして、これは電気を流しますと熱を発する電熱器などに使われるものでございます。それから電気抵抗が比較的小さいというものは、例えば銅線がございます。これは電線とかあるいは高圧ケーブルなどに使われているものでございます。銅線が小さいと申しましても、例えば高圧電線に使われておるわけでございますが、この高圧電線でも電力が五ないし六%の電気ロスがあるというふうに言われております。この五ないし六%は熱になって逃げるわけでございますが、この五ないし六%は東京都の年間使用量の約半分、金額にして六千億、これが高圧送電でロスになっておるというふうに言われているわけでございまして、決してばかにならない量かと思います。
 一番下に「ゼロ」と書いてございますが、この電気抵抗ゼロということが超電導の材料ということになるかと思います。
 それから、よく温度で何々度Kとあらわします。これはその下に、参考2に摂氏の温度と絶対温度との比較が書いてございます。摂氏温度は御承知のように氷が解ける温度を零度Cとしておりまして、それから絶対温度といいますのは、物理的にこれ以上温度が下がらないという温度を零度Kとするわけでございます。これはちょうど摂氏の温度に換算しますとマイナス二百七十三度になるわけでございます。超電導は非常に極低温でやっと超電導になるものですから、よく何度Kという表示をするかと思います。摂氏とそこの絶対温度の何度Kというのはこういう関係にあるということを御承知おきいただきたいというふうに思っております。
 次に、三ページに参ります。では超電導というのはどんな条件でもなるかといいますと、決してそうではございませんで、いろんな条件が必要でございます。そこに大きな条件が三つ書いてございます。一番目は温度を上げると超電導が破れます。それから強い磁界をかける、磁場に置くと超電導が破れます。また、電気抵抗がゼロと申し上げましても、どれだけでも電流が流れるかといいますと、決してそうじゃございませんで、ある値以上の電流が流れると超電導状態がやはり破れます。そういうことで、温度を今までは非常に低く保たなければいけない、磁場は余りかけられない、それから電流にも制限があるという、非常に大きな三つの制約があったわけでございます。
 今まで金属系でたかだか二十度Kとか二十三度Kでやっと超電導になる研究を我々やっていたわけですが、最近それがもっともっと上がりまして、七十七度Kといいますとちょうど液体窒素の温度でございますが、それ以上の温度で超電導状態のものが得られたということで、非常にトピックスに、ニュースになったわけでございます。
 今申し上げました三つの条件を真ん中の図で示しております。これは立体図でございますが、電流密度、温度、磁界、それぞれ制限がございまして、これ以上に上がりますと超電導が破れるということを示したものでございまして、この三つの点で囲まれた立体の中でないと超電導状態が保てないということを示しておるところでございます。
 最近温度を上げることを非常に研究されておりますが、もう一つ大事なことは、その例の2のところに書いてございますが、例えば銅線とかあるいは金属系の超電導では一平方センチ当たり約一万アンペア以上の電流が流れて初めて実用になっていたわけでございます。ところが、まだ酸化物系に関しましては二けたほど低い値しか電流が流されない。それ以上電流を流されると超電導が破れるということで、こういう温度を上げること、それから電流を流せる物質を見つけようと今努力されているところでございます。
 超電導の限界はその程度にいたしまして、次のページに移りまして、超電導の特徴と応用分野を簡単に御説明いたしたいと思います。
 一番下の方に「超電導材料」と書いてございますが、その左右に「超電導線材」あるいは「超電導薄膜」、こういうふうに幾ら超電導になる物質が見つかっても、それを線材あるいは薄膜にしなければ使えないわけでございます。そういう線材あるいは薄膜にする研究がこれからの勝負になるかというふうに考えております。もしそういう線材、薄膜ができますと、この樹木図に書いてございますように、いろんな用途が開けるだろうというふうに考えているわけでございます。この詳しいことは恐らく後からの先生方がお話しになると思いますので、これで終わりにしたいと思います。
 五ページに移ります。それでは、現在の超電導材科とその特性・用途はどういうものがございますかといいますと、現在知られている超電導を示す物質としましては、主に金属系でございますが、数千種以上あると言われております。その中で現在実際に線材として使われているのは、そこに書いてございます三種類だけでございます。一つは、ニオブ、チタンの合金でございます。二番目は、ニオブ3スズ、ニオブの金属原子が三つ、スズの金属原子一つが結びついた化合物でございます。それから三番目がバナジウム3ガリウム、バナジウムという金属元素が三つ、ガリウムという金属元素が一つ結びついた金属間化合物でございます。この金属間化合物については後でちょっと御説明いたしたいと思います。
 そういうことで、表1に書いてございますように、開発フェーズのT、Uが実用線材として現在商品あるいは実験設備に使われている材料でございます。このフェーズVは現在まだ実用化の研究中でございまして、間もなく実用化されるだろうと思っております。
 まず、フェーズTのニオブ・チタン合金でございますが、これは原研などの核融合の実験装置にも使われておりますし、それからJRの磁気浮上列車に使われております。また、核磁気共鳴診断装置、これは人間の体をある強い磁場の中に入れて、人間の体を輪切りにして人間の体の状態を知るという診断装置でございますが、こういうものに現実に使われております。それからフェーズUに参りまして、バナジウム3ガリウム、V3ガリウムでございますが、これは実験用マグネットとして私どもの研究所に世界で最高のマグネットをつくってございます。それから、ニオブ3スズ、これは私どものところでその線材を開発しまして、ある会社がアメリカへ輸出したものがこのミラー型核融合試験装置でございまして、アメリカのローレンスリバモア研究所で実験装置に使われているというふうに聞いております。
 次に参りまして、では、今金属間化合物と申し上げましたが、六ページに合金と金属間化合物を簡単に説明する図がございます。
 合金といいますのは、例えばAという金属原子とBという金属原子が非常に不規則に並んで全体としてある結晶系をなしているもの、これを合金と言います。これはよく御存じだと思いますが、延性があって非常に加工しやすいのが普通でございます。ところが、金属間化合物というのは、金属原子Aと金属原子Bがそれぞれ規則正しい位置に配列しているものでございます。こういうものを金属間化合物と言っておりまして、これは特徴としまして、非常にかたくてもろいものでございます。どちらかというとセラミックスに近い金属の一つの合金と考えていただいていいかと思います。
 ただし、この金属間化合物には特異な性質、特異な機能をあらわすものが非常に多うございまして、この超電導材科、先ほど申し上げましたニオブ3スズとか、V3ガリウムといった金属間化合物は非常に起電導材料としてすぐれているものでございます。この金属問化合物はかたくてもろいということで、実際には加工できないわけでございますが、ではどうしてこれを線材化したかということを七ページ以降に書いてございますので、この図に従って説明してまいりたいと思います。
 まず、ブロンズ法、またの名を複合加工法とも言いますが、またもう一つの名前は、私どもの研究者がこれを発明したものですから、太刀川メソッドということで世界的に通用しております。一番上のところに銅とスズの合金がございます。これはいわゆるブロンズでございます。この銅とスズの合金の中にちょうどレンコンのように穴をあけまして、その中に金属ニオブの棒を差し込むわけでございます。これを上から二番目の図のように引き抜き加工をいたします。金属ニオブ、それから銅、スズの合金――ブロンズ、ともに金属の原子ですから非常に引き抜き加工がしやすいわけでございます。
 こういうものをどんどん引き抜き加工しまして細くいたします。そういうものをまた束にしまして、三番目の図でございますが、銅のパイプの中にこういうものを何十本、何百本と入れるわけでございます。それ全体を、鍾のパイプにそういう引き抜き加工したものを詰めたものを改めて一緒に線引き加工するわけでございます。これをどんどん細くしていわゆる線にまで引き抜くわけでございます。今までは金属ニオブ、銅・スズ合金ですからそういう線引き加工もできるわけでございまして、それの断面を拡大して見たのがそこに丸く書いてございます図でございまして、真ん中に小さい丸がございますが、これは金属ニオブのしんでございまして、残りは銅とスズの合金でございます。
 こういう細くなった線を熱処理いたします。これは七百度前後で二日から一週間ぐらい、長時間にわたってずっと熱処理しますと、この銅とスズの合金の中にあるスズだけがこの金属ニオブのところにしみ込んでいくわけでございます。これを拡散と私どもは言っておりますが、長時間温度を上げておきますと金属ニオブの中にスズが拡散していきます。
 そして、その一番下の図にありますように、真っ黒に塗ってあるところがニオブの中にスズが拡散してきたものでございます。拡散してきて、熱処理をずっと続けておきますとニオブとスズが結合しまして、ここで初めてニオブ3スズという金属間化合物ができるわけでございます。こういうことで初めてニオブ3スズの極細多しん線ができるわけでございます。
 この写真が八ページに示してございます。上には線材全体の断面が書いてございます。その黒くなったところが先ほども申し上げましたレンコン状のものの一つと考えていただいていいかと思います。その下の顕微鏡写真を見でいただきますと、真ん丸く黒くなって真ん中がちょっと白くなってございます。この黒い部分が超電導現象をあらわすニオブ3スズの金属間化合物でございます。
 こういう方法によりまして超電導の長い線材がつくれるということでございます。これがブロンズ法でございます。
 その次の九ページに参りまして、別の方法もございます。これはレーザービーム照射法ということでございます。ニオブ3アルミ、こういう金属間化合物の例でございます。これもやはり上の方から説明していきますと、ニオブのチューブの中にニオブの粉末とアルミニウムの粉末を封じ込めます。その封じ込めたものを圧延あるいは線引きして線にしていくわけでございます。
 これは、先ほど申し上げましたように、アルミの粉末、ニオブの粉末、ともに加工できますので、右上の方に拡大図が書いてございますが、ニオブの粉末、アルミの粉末がその中で繊維状に延びているのがわかるかと思いますが、そういうふうに粉末がそれぞれ延びるわけでございます。
 こういうものを、一番右下の図に書いてございますが、こういうふうなニオブ管の中にニオブの粉末、アルミの粉末の延びた繊維状になったものがあるわけでございますが、それをレーザービームあるいはエレクトロンビームなどで急速に溶解していくわけでございます。ニオブ3アルミというのはそのとき溶解してできるわけでございますが、これのメルティングポイントが、溶融温度が約二千二百度から二千三百度でございますので、レーザービームで簡単に、ニオブは溶けませんけれども、中の繊維状になったニオブの繊維、アルミの繊維が溶け合って、結合してニオブ3アルミの超電導材科ができる、こういうことでフープがまたつくれるわけでございます。
 それから三番目のつくる方法でございますが、これはニオブ3ゲルマニウムの例をここに書いてございます。上の方から塩素ガスと一緒に金属ニオブあるいは金属ゲルマニウムの粉末を落としていきまして、塩化炉というふうに書いてございますが、その中で塩素ガスとそれぞれニオブ、ゲルマニウムの金属を反応させまして、金属ニオブ、金属ゲルマニウムがそれぞれ塩化物になります。と同時に、ガス化されるわけでございます。
 そして、ガス化された塩化ニオブ、塩化ゲルマニウムが下の方へ行きまして、反応炉と書いてございますが、その左の方から水素ガスを送り込みまして、塩化ニオブ、塩化ゲルマニウムを反応させまして、ニオブ3ゲルマニウムという金属間化合物の蒸気を反応炉でつくるわけでございます。
 そういう蒸気を、下の方にフープが右から左へ曲がっている図が書いてございますが、これはハステロイというニッケル合金か、あるいはニオブのテープ状のものでございますが、その上に今申し上げましたニオブ3ゲルマニウムの蒸気を蒸着させるわけでございます。そういうことによってニオブ3ゲルマニウムのフープがつくれるわけでございます。
 今、三種類の方法を簡単に御説明いたしましたが、金属系の方はこういうことで超電導の線材あるいはフープがつくれるようになっておりまして、だんだんこれが実用化されたということはただいま申し上げたとおりでございます。
 次に、十一ページに参りまして、そこに超電導臨界温度、これは他と書いてございますが、その歴史的変遷といいますとちょっとオーバーでございますが、時間的にどういうふうに今まで研究開発により上昇してきたかということを示したものでございます。横軸に年号、縦軸に絶対温度、右の方には摂氏温度が書いてございます。
 こういうことで、下の方に丸で書いてございますのが合金あるいは金属間化合物等の超電導になる温度を書いてございます。相当、七、八十年前から余り上がっておりませんで、先ほど申し上げました、たかだか二十度、二十三度Kで終わっているわけでございます。ところが、昨年の末ごろから、そこの三角で記した線が垂直に立っております。金属酸化物系で超電導開始温度がすばらしく上昇してきたということがおわかりになっていただけるかと思います。現在まだこの温度が上昇してきているかと思いますし、特に上の方に簡と書いてございますが、実は、最近室温でも超電導になるという発表をあちこちで聞かされております。まだ再現性がございませんので、これはまだ確認はとれておりませんが、そこに書いてあります。アメリカのECD社、あるいは私どもの研究所で発見した温度が大体今のところ認められている最高の温度ではないかというふうに考えております。
 これは後で表でもお示ししたいと思いますが、参考までに十二ページに私どもの研究所でことしの三月三日に発表したデータでございますが、イットリウム・バリウム・銅・酸素系でやった実験のデータでございます。右の方から、そういう物質をどんどん冷やしていきますと百二十三度Kで超電導が開始された気配がおわかりになっていただけるかと思います。それで、ずっと温度を下げますと急に電気抵抗が下がりまして、九十三度Kで完全超電導になったわけでございます。この超電導開始温度は、よく発表されておりますが、この百二十三度Kというのは部分的に超電導になったんじゃないかということが考えられます。そういうことで、今後研究することによりましてこの百二十三度Kで完全に超電導になるということがあるいは実証できるんじゃないかというふうに考えておりまして、この超電導開始温度も非常に私ども研究者にとっては貴重なデータになっていると考えております。
 次に、十三ページに参りまして、先ほど図で研究の年代と温度を書いてございましたが、ここにもう少し詳しく発見年月日、発見者、それから超電導臨界温度、これには超電導開始温度と完全に超電導になった温度と両方書いてございます。それから物質名を書いてございます。
 後でお話があると思いますが、昨年、六十一年の四月十七日にスイスのチューリヒのIBM研究所のベドノーツさんが三十度Kで超電導が開始するということを初めて見つけられたわけでございます。これは金属系でも得られなかったデータでございまして、昨年の末それを知ったときには私どもちょっとショックを受けたわけでございまして、特に我々はそういう酸化物系というものはどちらかといいますと絶縁物というふうに考えておりまして、そういう絶縁物が超電導になるということで、研究者としては非常にショックを受けたわけでございます。日本も、私どもの研究所もそうでございますが、直ちに研究を始めだというのが実情でございます。その下の方にずっと、どこのだれがどういうデータを出したかというのを日を追って、もうこれは年じゃございませんで、日を追って見つけられた状態がおわかりになっていただけるかというふうに思います。
 十四ページに参りまして、では今後の展開はどうであろうかということを申し上げたいと思います。
 まず、金属系の研究はもちろんでございますが、まず最初に新超電導材料、いわゆる酸化物系の超電導材料のインパクトというものを考えたいと思います。今まで金属系では少なくとも液体ヘリウム、これは先ほど申し上げましたように四度Kでございます。そういう高価な液体ヘリウムが絶対必要だったわけでございます。この液体ヘリウムといいますのは一リッター当たり約二千円以上でございまして、資源的にもほとんどアメリカに偏在しておりまして、我が国も一〇〇%アメリカから輸入しているわけでございます。それから製造にも特殊な技術が必要でございます。そういうことで、残念ながら金属系でやっている限り絶対この液体ヘリウムで冷やしてやらなければ超電導にならないし、また使えもしなかったわけでございます。
 ところが、新超電導材料になりますと、それが液体窒素、これは七十七度Kでございますが、七十七度K以上であれば液体窒素でも超電導になるということで、液体窒素が使えるということで非常に大きな問題になったわけでございます。液体窒素というのは非常に安いわけでございます。そこに一リッター当たり百円以下と書いてございますが、大量に買えば五十円以下でも買えるというふうに聞いております。それから取り扱いが容易、製造が容易、それから何にしても窒素は空気中に無限に存在しまして、空気の約八割は窒素でございますので、それを液化すればいいわけでございますので、非常に扱いも資源的にも問題ないということで、この液体窒素で使えるか使えないかというのが非常に大きな問題になったわけでございます。
 その次に参りまして、二番目に、十五ページでございますが、それでは技術的課題としてどういう問題があるだろうかということを申し上げたいと思います。
 これは金属系、酸化物系についてでございますが、まず一番目に、さらに高い臨界温度の追求が必要かと思います。これは金属系にしても酸化物系にしても同様のことが申し上げられると思います。現在、先ほど申し上げました金属系では二十三度K、配化物系では九十五度KのTcを持つ材科が発表されております。実用化するには高いほど都合がいいのは当然でございます。この新しい材料の探索が必要かというふうに考えております。もちろん液体窒素じゃなしに室温で使えればもっともっといいわけでございますので、目標は少なくとも室温で使えるところに目標を置きたいというふうに考えております。
 それと二番目に、温度は幾ら高いものができても電流が流せなければ余り実用化されませんので、十分な電流が流せる線材の製造技術の開発研究が今後とも必要かと思われます。先ほど来申し上げましたが、電気抵抗ゼロで流せる電流というのは少なくとも一平方センチ当たり一万アンペア以上が必要かというふうに考えております。酸化物系では今のところまだ残念ながら最大でも一千アンペア流せるか流せないかという非常に小さいものでございます。これは電流の流れ方が従来の金属系と異なるためでございまして、特に酸化物系でその機構解明を行いまして、酸化物系に適した線材の製造技術の開発が非常に大事になるかというふうに考えております。
 三番目に、それと同時に薄膜とか単結晶の作製の技術の開発研究も非常に大事なものでございまして、例えば線材はそういうふうに送電線とかあるいはコイルに使って超電導磁石なんかをつくるわけですが、薄膜あるいは単結品にできますと、エレクトロニクス材料の部品として使用されるわけでございますので、そういう薄膜、単結品の作製技術の研究も今後とも非常に重要になるかと思います。こういう線材あるいは薄膜の技術が今盛んに研究されておりますけれども、少なくとも金属系ではああいう加工できないものが線にできるという技術が開発されておりますので、その延長線上には必ずしもないとは思いますけれども、そういう知識、ノーハウを使ってこういう酸化物系の線材の研究にも努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 十六ページに参りまして、今後の発展の方向でございますが、まず第一番目に金属系の超電導の材料開発でございます。酸化物系の非常に高温で使える超電導材料が開発されたからといって必ずしも金属系の超電導材料の研究をやめなければいかぬということではございませんで、今後ともその研究をやって初めてまた酸化物系の進歩にも役立つかもしれませんし、あるいは加工の易しさからあるいはそういう金属系の超電導材科も今後とも使われていくかもしれません。そういうことで、金属系の超電導材料の研究も今後とも続けていかなければならないというふうに考えております。特に先ほど申し上げました、「第三世代(フェーズV)」と書いてございますが、あの材科は、温度は二十三度Kぐらいかもしれませんけれども、非常に強い磁場にも超電導が壊れないという非常にいい特徴を持っております。今後、超電導を使いました強力なマグネットを使うとき、どうしても強磁場にさらさなければいけませんので、あるいはこういう金属系の超強磁場にも強い材料も必要かと思いますので、ますます金属系の超電導材料の研究もやっていかなければいけないというふうに考えております。
 二番目に、酸化物系の超電導材料の開発でございますが、新しい理論の解明がどうしても必要になります。現在まだどうして超電導になるかということは残念ながらわかっておりませんので、そういう機構の解明が必要かと思います。そういう機構の解明ができて初めて、その二番目に書いてありますが、今ランタン系、イットリウム系の酸化物の超電導材料が発表されておりますが、新たにそういう機構解明によって新物質の探索も進むかというふうに考えております。また、そういう物質が探索ができても、それを薄膜化、テープ化あるいは線材化ということはまた金属系の超電導材料とは違った意味で非常に難しい技術的な問題があるかと思います。そういう実用化のために、その材料化技術というものが非常に大事になってくるかというふうに考えております。
 次に、特性解析評価技術でございます。ここに書いてございますが、低温強磁界中での超電導特性の測定、解析、評価技術、これはまだまだ確定、確保されておりません。特に、室温超電導材料が発表されてまだそれが確認されてないというのは、まだまだそういう測定技術とか解析技術に問題があるからではないかというふうに私は考えております。そういうことで、こういう測定、解析、評価技術を研究しまして、これがひいては機構の解明にも当たるわけでございますので、こういう研究も必要かというふうに考えております。
 三番目に、以上のような研究を進めていくに当たりまして、特に留意すべき事項としましては、基礎的な研究の一層の充実が大事だというふうに考えております。そういう意味で、私ども温度温度ということに踊らされることなく、もう少し基礎に戻った研究を続けていきたいというふうに考えております。
 また同時に、国際協力の推進がございます。この新超電導材料というものは、私は人類共通の財産というふうに考えておりますので、国際協力が絶対に必要かというふうに考えております。ちなみに、ベルサイユ・サミットの結果、新材料と標準というのがございます。通称VAMASと言っておりますが、そういうVAMASという共同開発で材科研究を行う組織が現在走っております。その中でテーマが幾つかございますが、日本でその議長国を務めているものの唯一のものがこの超電導材科でございます。そういう意味でも、材料開発の研究には私ども先頭に立って頑張ってまいりたいというふうに考えております。どうか先生方も何分の御援助をお願いしたいと考えております。どうもありがとうございました。
#7
○委員長(飯田忠雄君) どうもありがとうございました。
 次に、笛木参考人にお願いいたします。笛木参考人。
#8
○参考人(笛木和雄君) 東京大学の笛木でございます。
 きょうは、昨今話題になっております高温酸化物超電導体の発見と、その後の研究の発展の状況についてお話ししたいと思います。袋の中に十数枚の資料がございますので、ごらんいただきたいと存じます。
 超電導と申しますのは、今お話のありましたように電気抵抗がゼロになる現象でございます。普通の場合には金属といえどもある抵抗を持っておりまして、その抵抗のところを電流を流すためには電圧が必要でありまして、また、その抵抗のためにジュール熱というものを発生いたします。これを超電導に対応いたしまして常電導と申しておるわけでありますが、このジュール熱が発生するということは、結局電気エネルギーが熱エネルギーに変わるわけでありまして、電力の損失であります。また同時に、こういう機器、デバイスから熱が出てくるとそれを除去するという大きな問題もまたあるわけであります。
 その現象は、分子、原子のレベルで見てみますと、図(a)、(b)のようになります。すなわち、電流を流さないときには、金属の構造というのはそこにございますように、金属イオンプラスがありまして、それから電子マイナス、これが自由に連動をしておる状態になっております。これが電流を流さないときであります。電流を流しますと、電子は電場の方向に動き出すわけでありまして、回のようになります。すなわち、電場によって加速を受けまして、その結果運動エネルギーが増加いたします。ところが、そういうイオン等に衝突を起こしますと、その運動エネルギーを失います。格子と申しますが、それに与えるわけでありまして、それが熱エネルギーになる、こういうことになります。
 それでは、超電導というのはどういうことか、すなわち抵抗がゼロの現象でございます。このときは電力損失は当然ございませんし、熱が発生しませんから熱の除去の必要もございません。この大変不思議な現象は長い間わからなかったわけでありますが、BCSの理論というのが出されまして、その機構の説明をいたしました。それによりますと、こういう超電導の状態におきましては電子一つ一つがばらばらで運動しているのではなく、二個の電子が手をつないでいる、それをクーパー対というふうに申します。電子同士はマイナスの電荷を持っておりますから反発するわけでありますが、手をつなぐということは何かその間に仲人があるわけであります。それがこの場合に金属の格子、要するに金属イオンの並んだ状態でございます。その様子を右側に示してございます。
 この図で大きな丸が金属のイオンをあらわしております。まず2の電子を考えないでいただきまして、電子の1というのが2の位置にあったと考えていただきます。電子がそこにありますと、電子はマイナス、格子のイオンがプラスでありますから、引き合いまして、実線のような位置にあったのが点線の位置までイオンがずれてくるわけであります。ところが、電子は非常に質量が小さくて動きやすいものですから、例えば1の状態まで移動したといたします。そうしますと、格子としては点線の状態にひずんだままになりまして、そこへ2の電子が来てその相互作用を受ける。要するに、こういうふうな形で1と2の間に相互作用が生まれてクーパー対と呼ばれるものができ上がるわけであります。
 こういうふうな二電子の分子の状態のものができ上がりますと、これはばらばらのときと非常に異なった性質を示すようになります。それで電子がぱらぱらのときではできなかった状態が出てまいりまして、例えば三番目に書いてありますように、全体が系として最低のエネルギー状態に全部同じ状態まで来てしまう。それから電子対全体が集団としてまとまった連動をするというふうな非常に協同部な現象を起こすようになります。これが結局実は障害を乗り越えて電気抵抗がゼロになるような運動となるわけであります。結局そういうことで、クーパー対ができているということが超電導の原因でございますから、もしそれが壊れれば超電導ではなくなります。温度を高くしていくとき壊れるわけですが、その境界の温度が臨界。温度ということになるわけであります。
 こういう電気抵抗ゼロ以外に、超電導というのは二、三のおもしろい性質がございます。
 一つは、三ページにございます永久電流ということでありまして、抵抗のあるときには電源をつないでおきませんと電流は流れておりません。電源を切りますと電流はとまってしまいます。ところが、超電導になりますと電流はずっと流れ続けるというわけであります。例えばそこにありますように、超電導コイルをつくりまして、超電導のスイッチをつくりまして直流電源をつないでおきます。まずスイッチを切っておきますと直流電源から超電導コイルの中に直流が流れるわけであります。ある程度流れてから永久電流スイッチを閉じますと、そこのところに閉回路ができ上がりますが、このままどんどん電流は流れ続けるということであります。結局、電気抵抗ゼロでありますから一たん流れたらずっと流れ続ける、これが永久電流であります。
 それから、しばしばこのごろ超電導の試料で磁石が浮いたり、またその逆になったりというデモンストレーションがございます。これがマイスナー効果と呼ばれている現象であります。これはどういうことかと申しますと、その下にございますように、超電導の物質がございます。円柱と書いてございます。そこに外部から磁場をかけてやります。多くの場合、こういう物質の中には磁場による磁束と同じ向きに磁束が生ずることが多いわけでありますけれども、実は超電導のときはそれとは必ず反対にできるという性質がございます。ですから、その上の両方の外部の磁束とそれから超電導体の中に生じました磁束とを合成いたしますと、一番下のようになりまして超電導体の中には磁束は通らない、外側だけ通る、こういう形になります。これを磁束の排除と申しまして、これをマイスナー効果とも呼ぶわけであります。こういうふうに反対方向に磁束を生ずるというのは、その右側に書いてございますように、超電導体の表面にちょうどこういう磁束を生ずる向きに超電導の電流が流れる結果であります。
 これが大体超電導の基礎的な話でございますけれども、今まで超電導体と申しますのはほとんど金属で発見されておりましたし、実用化してまいりましたのも金属によってであります。ところが、最近のは酸化物であります。そこで、ここで金属と酸化物の比較をいたしまして、どういうところが違うか、それではどうすれば酸化物が超電導体になっていくかという話をさせていただきます。
 金属の構造につきましては、四ページの上の方にございますように、金属イオンのつくる格子の間を電子が自由に動き回っているわけであります。いわば金属イオンを電子という接着剤でくっつけた形になっているわけです。このような結合を金属結合というふうに申すわけでありますが、こういうふうな結合の結果といたしまして、(1)に書きましたように、金属というのは機械的な力を加えますと延びる性質がございます。展性、延性と申します。こういう性質を使って金属を管にしたり板にしたり線にしたりすることができるわけです。もう一つ、自由に動ける電子がたくさんございますので、電気導電性も大変良好であるということになるわけであります。
 ところが、酸化物というのは一般にどうであろうかと申しますと、これは金属と酸素の結合したものであります。金属というのは電子を失いやすい性質がありますし、酸素はとりやすい性質がありますから、金属の方から酸素の方へ電子が移りまして、金属の方は陽イオンになる、それから酸素の方は酸素イオンというマイナスのイオンになりまして、一たんそうやって陽イオンと陰イオンができて、それがクーロン的な力によって結びついてでき上がっていく、これをイオン結合と申します。こういうふうな形になって、球が、要するにプラスとマイナスの電気の相互作用で結び合わせているという形なものですから、大変性質的には、機械的にはもろいわけでありまして、瀬戸物を思い浮かべていただければわかると思います。同時にまた、電子がイオンに固定された形になっているために、絶縁体が非常に多いわけです。導電性があったとしてもせいぜい半導体という程度になっているわけです。それでは、こういう電気の通りにくい酸化物というものに電気を通して、さらに超電導まで持っていくのにはどうしたらいいかということを次に申し述べます。それが五ページでございます。
 五ページの上の方は、これはどう言うゲームか、ちょっと名前は知らないんですけれども、「並べ替えゲーム」と仮につけておりますが、こういう四角のところに駒を十六ぴったりと入れておいて、これをいろいろ並べかえようとしますと、十六ぴったりと入れたら当然のことですけれども動きません。そこでbのように一つ駒をあけておきます。駒をあけておきますと、このすきを、空き間を使いまして駒をいろいろ動かすことができて並べかえができるわけであります。要するにすき間をつくると動きが生ずる、こういうことになります。
 実際そういうことが原子、分子の世界でもやられているわけでありまして、今半導体の中心になっておりますシリコンでそういうことがやられております。シリコンの結合というのは、下の左側の方に書きましたように、シリコンは一つ一つが四個の電子を持っております。隣と結びつくときに電子をそれぞれ一つずつ出し合ってそれで結びついているわけでありまして、こういう結合を共有結合というふうに申しております。この場合には、左側の方では全部二個ずつぴったりと出し合っておりまして、電子の動きができない状態になっています。ですから、こういうふうに非常に純粋なシリコンでは電気は非常に通りにくい状態になっておる。
 そこで、電子を通しやすい状態にするにはどうするかといいますと、シリコンの一部を砒素、右側にありますように、Bと書きました、ボロンというもので置きかえてやります。ここで、ちょっと申しわけございません、このBの下に二つ小さい丸を、電子の丸をつけていただきたいと思います。これが抜けておりました。硼素という元素は電子がシリコンより一つ少ないのであります。その結果としまして、結合をつくりますと、ここにありますように一つの部分だけどうしても電子が足らなくなります。先ほど申しましたすき間ができたわけです。そのすき間を使って、例えばこの矢印で書きましたように、隣の電子がそこのすき間へ移ってくる、またそこへすき間ができるから隣から移ってくるというぐあいに、電子の動きが生じて電気導電性が生じてくる、こういうことになります。酸化物でも同じようなことをしますと電気導電性が生まれてまいります。
 六ページに参ります。その代表的なものがペロブスカイト構造という酸化物、よくこのごろ出てまいりますものでございますけれども、これはABO3というふうに、これはAというのは金属でありまして、Bも金属、ここに酸素が三つある、こういう構造です。その並び方といたしまして、この立方体の角に八個Aという金属が参ります。それからこの真ん中にBという金属が来るわけです。酸素はこの面の中央に六個並びまして八面体をつくる、こういう構造になっている。これがペロブスカイト構造と申します。このペロブスカイト構造というのは大変こういう作業をするのには便利な酸化物でございます。
 今、その一つとしてAの位置にランタン、それからBの位置にコバルトという金属を入れたものでその電導性をどうやって出すかということをやります。そうすると、真ん中のところにございますように、今の構造のところは酸素を介してコバルトとコバルトというのが結合しておりますが、例えばこのコバルトのところの右側がWとローマ数字で書いてあります。左側のコバルトはVになっています。このままのランタン・コバルトというこの格好ですとコバルトは三価なんですけれども、何かの方法でここに書いてありますように四という状態、これは四価という意味ですが、要するに電子を一つコバルトから取り去って電子の抜け穴をつくってやります。そうしますとここに導伝性、電気を伝える性質が出てまいります。
 それで、実際にどういうことをやるかというと、例えばLaCoO3というものは半導体です。そのランタンの一部をストロンチウムという金属で置きかえてやります。そうしますと、ランタンのときにプラス三価であった電価がストロンチウムではプラス二価になってプラスの電気が価数が減ってまいります。すると結晶全体では中性にならなければいけないものですから、コバルトが少しプラスをふやしてくる。要するに、言いかえれば抜け穴ができてくる、こういうことになりまして、電導性が生まれてくるわけです。
 そこで、普通こういうペロブスカイトの場合には、真ん中のBのところに複数の原予価を持つ金属イオンを置くことを行います。それを遷移金属イオンと申しまして、ここのところに下に幾つか例を挙げました。現在問題になっておりますのがこの最後に書いてあります銅なんです。銅をBの位置に持ってきたものが問題になっているわけであります。
 では七ページに参りたいと思います。こういうふうな銅系のペロブスカイト型酸化物の研究は、フランスの大学で大変それまで丁寧に研究されていたということを一つ最初にお話ししておきたいと思います。この基礎研究が実は大変その次のチューリヒの研究所の研究に役に立ったわけだと私は思っております。一九八六年の四月にIBMのチューリヒの研究所でベドノーツ、ミューラー両博士が――現在日本に来ておられますけれども、論文を出されまして、ここで研究しましたことは、ここにございますAサイトにランタンとバリウム、それからBサイトに銅を入れたペロブスカイト型酸化物をつくった。それで、その特性を調べたところ、その下の図にございますように、横軸に温度、縦軸に抵抗率がとってございますけれども、三十度Kのあたりで急に抵抗が落ち始めております。十度Kぐらいのところで完全に抵抗がゼロになっております。こういう結果を出されまして、今までは最高が臨界温度は二十二度という報告でしたけれども、ここでは三十度になっている。ですから、ここに高温超電導体が存在するのではないかという示唆をされたわけであります。この仕事は当時は認められておりませんでした。これがペロブスカイト、先ほどのもう一度もう少し数をふやして書いたものでございます。
 九ページに参りたいと思います。その論文に注目して追認の実験をされたのが東大の田中教授のグループでありまして、昨年の十一月から十二月にかけてでございます。物質系としましてはベドノーツ、ミューラーの両博士のものを使いました。ただ、仕事といたしましては導電率だけでなくて、先ほどお話ししました超電導の特別の現象とみなされておりますマイスナー効果によってそれを確認いたしました。そして非常に丁寧な研究をされた結果、開始温度三十二度K、完全に超電導になるのには二十二度Kという結果を出されたわけであります。さらにこの超電導を示す物質を確認したわけであります。その確認した物質がここにございますこの構造のものであります。これだということを言われたわけです。これは実は先ほどのこの構造のペロブスカイト構造ではございませんでした。ございませんでしたけれども、これと大変似た構造である、要するに仲間であるということがはっきりいたしました。続きまして昨年の十二月の末に私たちのグループで、バリウムのかわりにストロンチウムを置きかえましたランタン・ストロンチウム・銅・酸素という系です、この構造のものです。この構造のものでこの位置の一部にストロンチウムを入れましたもの、合成しました結果、超電導の開始温度三十七度、それから完全に電気抵抗ゼロになる温度が三十三度という結果を見出したわけであります。それで引き続き国内外で一斉にたくさんのデータが発表され、先ほど中川参考人からお話しのございましたように臨界温度の上昇の競争が始まったというわけであります。
 非常に大きな発見は、十一ページに参りまして、この前のものでは臨界温度四十度Kぐらいでございますけれども、それを一挙に五十度Kぐらい上がる九十度K級の超電導体が発見が報告されたのがことしの二月の十六日でございまして、ヒューストン大学とアラバマ大学共同研究で出されました。特にヒューストン大学のチュー博士、これも現在日本に来ておられますけれども、チュー博士が発見されたわけであります。この超電導の開始温度が九十八度K、それから完全超電導になる温度が八十度Kという話であります。これは寒剤といたしまして液体ヘリウムでなく非常に安い液体窒素が使えるという点で大変注目をされて、ここで一挙にこの時点から超電導の実用性が非常に高まったということが言えるわけであります。
 日本におきましては谷ところで一斉にほとんどこれを、少しおくれて同じ系を発見しております。これは実はイットリウム・バリウム・銅・酸素系というものでございます、次に図がございますけれども。それで最初に日本で発見されたのは東大教養学部の氷上助教授、鹿児島助教授でございます。引き続きまして中国科学院の物理研究所とそれから中川所長のおられる金材研、それから各大学、私たち等も含めまして各大学の研究者が独立に発表しまして、三月三日ぐらいの時点でほとんどそういう一斉の報告が出ている、非常に研究が早く行われたということが言えると思います。
 そのものの構造の解析もずく行われまして、三月の時点ではアメリカのATTのベル研究所、それから日本の無機材研それからNTTの研究所などでございます。それからさらに中性子線回折という装置を使いまして、方法を使いまして構造の確定がすぐ四月には行われております。日本の無機材研、それからアルゴンヌ国立研究所等であります。
 それで、その決まった構造というのが、非常に図がわかりにくいんですけれども、この図であります。結局、この物質につきましては、十二ページに図がありますが、これと同じものでございますけれども、上の方に書いてありますように見つかった組成というのが、イットリウム一、バリウムが二、銅が三、酸素が七より欠けているというそういう組成でありました。ペロブスカイトでありますと、これが本当ならばイットリウムとバリウムがAサイトに入りますので、これが足して三でありまして、銅が三、酸素が九ということにならなければならないんですけれども、酸素が七あるいはそれ以下ということですから、大変ペロブスカイトの構造から酸素が欠けている。例えばペロブスカイト、先ほどお見せしましたこの構造に比べまして酸素が非常に欠けておりまして、こういうところが抜けているとか、こういうところが抜けているとか、そんなふうに抜けている非常に変わった構造でありますけれども、ペロブスカイトの仲間であることには変わりはございません。
 さて、発見されました、今お話ししました九十ケルビン級のイットリウム・バリウム・銅・酸素系、この超電導体の性質でありますけれども、まず最初に臨界温度でどうかということをお話しいたします。大体九十ケルビンであります。百にはちょっと足らないということであります。それから第二には、酸素が先ほど欠けていると申しましたけれども、酸素の欠けた量によって非常に臨界温度が違うということで、ここに図で掲げましたように、酸素の欠け方が非常に少ない。上に欠けた量が書いてありますが、七からどれだけ欠けているかという欠けた量、そうしますと、ほとんど欠けてないとき臨界温度は九十度Kでありますが、少し欠けますとだんだん減ってきて六十度Kぐらいで一定になりまして、また欠けてきて〇・五から〇・六より以上になりますと超電導を示さなくなります。こういうことから、この物質は大変変わっておりまして、酸素処理が必要で、酸素をたくさん食べさせてやらないと超電導にならない、あるいは超電導の性質が悪い、そういうことになります。
 それから第二の特性といたしまして、臨界磁場、それがどのくらいの大きさかと申しますと、これは温度によって違いますけれども、絶対零度のときに、はかり方にもよるんですけれども、数十テスラという値が言われておりまして、これは大変金属に比べても高い値であります。二倍ぐらいにはなっているんではないかと思います。
 それから三番目に臨界電流密度、これはどんなふうにわかっているかと申しますと、単結品の薄膜でありますと十の六乗アンペア・パー・スクエアセンチを超えます。最近ではもう十の七乗に近いという報告もございます。ただ、それは非常に特殊な条件でつくられたものでありまして、粉を焼き固めてつくった状態にいたしますとこれは大変小さくて、大きいときに数千アンペア・パー・スクエアセンチという程度であります。ましてパイプの状態にいたしますと千アンペア・パー・スクエアセンチと、大変落ちてまいります。それ以外に結晶の構造から見ていただきますように、大変方向によって電流の流れ方が違うという異方性というものもあります。それから磁場をかけると臨界電流密度が大変落ちてしまうというような困った性質も今報告されているということであります。こういった点は今後研究、改良していく必要のあることと存じます。
 さて、今はイットリウム・バリウム・銅・酸素系でお話をいたしましたけれども、それ以外に九十度K級にどんな他の酸化物があるか。現在発見されておりますのは、イットリウムのかわりに、これは希土類と申す元素の一つでありますけれども、他の希土類を置きかえてやります。そうすると、四角で囲ったものがやはり九十度K級の臨界温度を示す超電導体であるということが見つかっております。
 十四ページに参ります。それでは、イットリウム・バリウム・銅・酸素系の代表的な製法を御説明いたしますと、普通はこれは粉末混合法という方法でつくっております。よくテレビなどで乳鉢で一生懸命粉をすっているあの方法であります。
 あれはどういう方法でやるかと申しますと、イットリウムの酸化物Y2O3というのがあります。それから炭酸バリウムBaCO3、それから銅の酸化物。CuO、これをイットリウムが一、バリウムが二、銅が三になるように配合をいたしまして、それをよくまぜ合わせまして、それをボートに乗せまして仮焼きをいたします。温度は九百度から九百五十度ぐらいで半日ぐらい炉の中で焼くわけです。そうすると、ここにイットリウム、バリウム二、銅三、酸素七という組成のいわゆるイットリウム・バリウム系の超電導体の酸化物が、粉ができるわけですが、これを粉砕と書きましたように少しもう一度砕きまして、細かい粉にいたしまして、それから型に入れまして、圧力をかけてプレス成形をいたします。そしてそれを焼き固め保ます。九百五十度から千度で酸素中で焼き固める。それからずっと五百五十度ぐらいまでに冷やしまして、その五百五十度の温度に長い間保持いたします。これは、先ほど申しましたように、このものは酸素をたくさん吸わせるほどいいというので、ちょうどこの条件で酸素を十分に吸わせるのが一番いいということがわかっております。それから室温まで冷却していく。こういうふうにしてつくり上げるわけであります。
 それ以外の方法としましては、もっと均一にものをつくるというときには共沈法という十五ページに示した方法によってつくります。これはバリウム、イットリウム、銅を含む硝酸溶液にトリエチルアミン、飽和蓚酸溶液というものの溶液を入れまして沈殿をつくりまして、沈殿をろ過して乾燥して五百度で仮焼きして九百度ぐらいで焼く、そうしますと粉ができ上がるというわけであります。こんなふうな方法でございます。
 それから、あと膜をつくる方法としましては、ここに書きましたようないろいろな方法が提案されております。それぞれ特徴のある方法でございます。
 甚だ申しわけございませんが、最後のページを一枚差しかえていただいておりますが、現在はそういう研究の状況になっておりまして、今後の研究の課題であります。それは第一番に、より高い臨界温度を持つ新物質の探索を引き続き続ける必要があるし、また現に続けられております。というのは、今の九十ケルビンでもよろしい、ある程度の実用性はあるわけですけれども、もっと高いものができればますますよろしいということでございまして、そういう探索をやるということが必要です。それから第二番目が現在見つかったものの性質を明らかにするということ、そしてそれが同時に制の学問的な意味での超電導機構の解明につながってまいります。それから(2)の物性の解明ということは、同時にまた実用的にも大変重要なことで、基礎の性質がわからないと、ものは応用はできないわけでして、そういう意味で(2)の研究はしっかりやる必要があると思います。今、現にたくさんの研究者がそういう方向で研究をやっております。それから最後は酸化物超電導に適した加工、プロセス技術の開発ということがまた重要であります。とにかくこのものは酸化物でもろい性質がありますから、それをいかに膜にしたりあるいは線材にしたりということは非常に難しい問題を含んでおります。そういうことをしっかりやる必要があろうというふうに思います。要するに、ここしばらくはそういう基礎的なところに力を注いで、この非常に魅力的な技術的にインパクトの大きい新しい物質をはっきりさせるということが非常に必要でありますし、そのための研究開発体制の整備が必要と思います。
#9
○委員長(飯田忠雄君) どうもありがとうございました。
 次に、南雲参考人にお願いをいたします。南雲参考人。
#10
○参考人(南雲道彦君) 新日鐵の南雲でございます。本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。
 液体窒素温度あるいは常温で超電導になる材料が見つかったということで、最近いろいろバラ色の世界が描かれておりますけれども、その実用化にはまだまだ多くの課題がございます。本日は、研究開発の実態を先生方に正確に認識していただきたいということで、これからどういう研究をやらなくちゃいかぬかということをお考えいただくために、若干細かいことに入るかもしれませんが、御説明申し上げたいと思います。お手元の資料で御説明申し上げたいと思います。
 まず第一ページ目でございますが、超電導材料がどういうところに使われるかということは、今までもお話がございましたけれども、いわゆるエネルギー関係、運輸・交通、情報・通信、医療、研究機器、産業設備、いろいろございます。
 超電導がアカデミックな研究対象から実用化に進みましたのは、いわゆる一九五〇年代に、ニオブ・チタンとか、あるいはニオブ3スズというような強い磁場で使える、いわゆる第二世代と呼んでいますが、第二世代の超電導体が発見されまして、次いで一九六〇年代に入りましてからこれらの加工技術が開発された、それが契機になっております。特に加工技術に関しましては、先ほどの金属材料技術研究所の太刀川グループが非常に大きな寄与をしております。
 それがきっかけになりまして、現在既に例えば医療用のNMR−CTですとかあるいは研究用の強力磁石とか、そういうものが実用になっておりますし、あるいは鉄道総合技研の磁気浮上列車ですとかあるいは神戸商船大学でやっております磁力推進船とかあるいは超電導発電機とか、小型機で超電導を使った技術というものは実際に使えるんだということが実証されておるわけでございます。
 さらに八〇年代になりましてから、例えば電力貯蔵プラントですとか大型の粒子の加速器ですとか、そういった設計がなされておりまして、ちょうど超電導のいろんな応用が具体的に検討されてきた、そのタイミングに今回もっと高い温度で使えるもっといいものがあるぞということになったわけでありまして、非常にそういう意味では時宜を得た研究の開発のテンポになったというふうに考えております。そういう意味でございますから、超電導というのは必ずしも降ってわいた話ではございませんけれども、そこに二つの例を示してございます。
 一つは磁気浮上列車でございますが、これは五月の二十六日の衆議院の科学技術委員会で、テクノバの京谷さんが詳しく述べておられますので省略いたしますけれども、連結二両のMLU001というタイプでございますが、これで時速四百キロメーターを記録しております。これにはニオブ、チタンの合金が使われておりまして、これを冷やすためのヘリウムの冷凍機がこの列車の中に積まれておるわけでございます。
 それから右の電力貯蔵プラントでございますが、これは超電導エネルギー貯蔵研究会というのが設計したものでございます。現在例えば夏と冬と、あるいは昼間と夜ということで電力消費量が大幅に違っております。ピークになりますと言力が足らないということになるわけですが、それに対応するためには発電設備というのはピークに合わせてつくることになります。当然使わない時間が出てまいりますので、例えば西暦二〇〇〇年には電源設備の負荷率が六〇%以下になるんではないかというような予想もございます。
 そこで、電力消費を平均化、負荷を平均化するために電力貯蔵が考えられておるわけでございますが、なかなかいいものがございません。揚水発電所というのがございます。これは夜間電力で水を上のダムに上げて昼間発電しようという方式ですが、これですと貯蔵効率が六五から七〇%ぐらいと言われております。それに対しましてこの超電導を利用した方法、これは永久電流を使って電流をぐるぐる回してためておいて必要なときに取り出すという方式でございますが、これですと、冷やしたりするための電力を入れても九〇%以上の貯蔵効率が見込まれておるわけでございます。技術的にも、これは設計段階でございますが、かなり確かな技術になっていると思います。
 ただ問題は、いろいろな応用が考えられるわけでございますけれども、建計とかあるいは運転にかかるコストということで、やはりヘリウムで冷やすというのは非常に大変なことになるわけでございます。それに対しまして今回液体窒素あるいは常温で超電導が使えるということになりますので、そういった障害が取り除かれるということで、非常に経済的に有利な見通しになってまいるわけでございます。
 例えば先ほどの磁気浮上列車でございますけれども、住友電工の中原副社長の御試算がございますが、五百キロメーターの線路で走らせますと設備費と運転費の軽減で例えば年間二百二十億のメリットが出てくるというようなこともございまして、いろいろな応用を考えましても、確かに高い温度で使える超電導ができるということは非常に超電導の夢を現実にしてくれるものでございます。ただ、今まではいわゆる臨界温度が高いということだけでよく議論されているわけでございますけれども、実際にこういった用途に使っていくというためには非常に難しい問題が多々ございますので、それをきょうは御説明申し上げていきたいというふうに思います。
 次のページになりますが、超電導をいろいろな用途に使っていく原理は大きく分けて二つございます。一つは電気抵抗がゼロだということ、つまり電流が流れるときのエネルギー損失がないということを利用するものでございます。もう一つは、少し難しくなりますけれども、超電導現象が物理の量子力学の法則に起因するということから生ずる特異な現象を利用するものでございます。
 電流のエネルギー損失をゼロにするという用途では、右に書きましたような磁場をつくるとか、永久電流を持続させるとか、薄膜、エレクトロニクスになりますが、信号伝送を高速化するとか、こういった用途でございますが、大体超電導の形としては線とかテープという形にして使ってまいります。それに対しまして超電導の量子効果を利用するということでは主にエレクトロニクスの分野になりまして、いわゆるジョセフソン素子を使って信号処理を高速化するとか、あるいは非常に微弱な磁場を検出するというそういったものでございますが、主に薄膜にして使われてまいります。用途によって違いますけれども、ただ材科ができたというだけでは済みませんで、こういった形にして初めて使い物になるわけでございます。
 下の方に電力貯蔵プラントに使う超電導コイルの設計の一例を、ちょっと細かくなっておりますけれども、お示ししてございます。超電導の線、これは先ほど中川所長のお話にございましたように、もともとの線は直径が五ミクロンという非常に細い線でございますが、これを二万七千本束ねたもの、これが一つの素線になります。これをさらに九本束ねて一つのコイルにいたします。そのコイルが全部で百五十ターン、直径五メートルに巻いてそこに電流を流してためようというのが今設計しておりますこのモデルプラントの例でございます。
 このような線にするのは、さっき中川所長からお話ありましたように非常に難しい高度の技術を使うわけでございますが、酸化物の超電導体を使うといたしますと、これは窒素温度で使いますから当然ヘリウム温度で使うニオブ3スズとは若干設計が異なってくるかと思いますけれども、やはり細くしたりあるいは曲げたりというような、かなり加工しなければならないということになってまいりまして、金属系とは違ったセラミックスの材料をどうやってこのような形に仕上げていくかという非常に難しい問題が出てくるわけでございます。
 次のページでございますが、現在使われておりますいわゆる第二世代の金属系の超電導材料、例えばニオブ3スズとそれから最近の新超電導材料、セラミックス系のものとを比べてみたのがその表でございますが、臨界温度、要するに超電導が壊れないぎりぎりの温度という意味ではセラミックス系の超電導体は非常に高い値を示しております。それから、Jcといいますのが流し得る電流の値でございますが、大体現在便われております強力な磁石では平方センチメートル当たり大体数十万アンペアぐらいの電流を流します。ところが現在のセラミックス系では、先ほど来お話がございますように、せいぜい数百から千アンペアぐらいということで、まだまだギャップが多うございます。それから、どのくらいの高い磁場を出せるかということでは、これは案外セラミックス系の超電導体は有利でございまして、まあまあ実用と考えられるものは出せるんではないかというふうに思われておりますけれども、いずれにせよ、現在ではこの比といいます電流密度が一番大きな課題でございます。
 それから、ここには書いてございませんが、実用化いたします場合には、先ほどの電力貯蔵プラントもそうでございますが、非常に大きな力が働きます。大電流を流して高い磁場が作用しますので、コイルに非常に強い磁場が働く、あるいは液体窒素とかヘリウムで冷やしてまいりますので当然熱収縮がございます。そういう力に対してコイルあるいは超電導材料がひずんでまいりますので、そういうひずみに対してどうなるかというそういった難しい問題がございます。これはまだほとんど十分なデータがない状態でございますが、単に焼き固めた小さなサンプルではかるだけではなくて、一つの構造物としての検討をしていくということが応用の上では大きな宿題になるわけでございます。
 若干基礎的な問題になりますが、次のページの超電導材料の基本的な特性をお話し申し上げたいというふうに思います。
 先ほど来お話がございますように、超電導を特徴づけますのは温度と電流と磁場との三つでございまして、それぞれに超電導を特徴づける限界の値、臨界値がございます。実用的には、使用温度、例えば液体ヘリウムですとかあるいは液体窒素ですとかそういう温度で流すことのできる言流が幾らなのか、あるいはつくれる磁場の値が幾らなのかというそれが大事になるわけでございます。非常に重要なことは、例えば臨界温度が今九十Kとか百Kとか言いまして、液体窒素温度に比べますと非常に高い値なんですけれども、磁場がかかるとそれがすとんと落ちてしまう。実用する場合には磁場をつくりたいわけですから、当然磁場が働くわけですが、そうしますと臨界温度も下がってしまって、せっかく液体窒素温度で使えると思っていたものが実はだめだったということが起こりかねないわけでございます。その例を下にグラフに示してございます。
 左の図は電総研、電子技術総合研究所でおとりになったデータでございますが、抵抗の温度変化を示してございます。少し小さいんですが、磁場がない場合には一番右の点線でございまして、これは臨界温度がこの場合は八十四度か五度ぐらいで超電導になってございます。ところが磁場をかけますと、例えば〇・五Tというのは〇・五テスラでございますが、それだけの磁場をかけますと抵抗が出てまいりまして、液体窒素温度が七十七度でございますけれども、その温度ではまだ超電導にならない。やっと七十度を切った六十数度で超電導になる。さらに磁場を強くいたしますと、その臨界温度がどんどん下がって五十度台まで落ちてしまうという、こういったデータでございます。
 それから右の図でございますが、これは電流密度がやはり磁場をかけたときに下がってくるというデータでございまして、東芝でおとりになったデータでございますが、例えば横軸が磁場の強さでございますが、これがゼロ、つまり磁場がない場合には千アンペア近くの数百アンペアの電流が流れております。ところが磁場をかけますと、例えば一テスラの磁場をかけますと、その限界電流密度が何と数アンペアにまで落ちてしまうということになるわけでございまして、とても強い磁場は実際にはつくれないということになってまいります。このような特性を改善していかなければいけないというのが現在の状態でございます。これがいろいろな原因で出てまいりますけれども、それはまた後ほど御説明するといたしまして、次のページが先ほど笛木先生がお話になりました酸化物超電導体の構造と、それから特性との結びつきを示したものでございます。
 いわゆる製造技術によって改良される部分と、それから材科そのものがどうしても抱えている本質的な問題と二つございます。現在は必ずしもその二つが分離されておりませんけれども、やはり材料そのものがどんな性質を持っているのかということは十分認識する必要があるかと思います。
 その一つといたしまして、この酸化物超電導材料は先ほどの三層ペロブスカイト構造というものでございますので、いわゆる異方性というのを持っております。異方性と申しますのは、その材料の特性が結晶の方向によって変わるという性質でございます。この左の図で、これはペロブスカイトの結晶構造でございますが、縦方向を一応C軸ということに呼びますが、実際の超電導の電流はこのC軸に直角な面、a、b面と呼んでいますが、この面に電流が非常に流れやすい、このC軸に沿った、つまり縦方向には非常に電流が流れにくいという、そういった異方性を持っております。実際の粉を焼き固めて材料にいたしますと、これは多結晶でございますから、それぞれの結晶の向きはぱらぱらでございます。ぱらぱらのものが入ってしまいますと、どうしても悪い方の性質が全体を引っ張ってしまうということで、いい方の性質だけを取り出すというわけにはまいりませんのです。そういう意味で、悪い方の性質がどこまでなのかということをよく認識する必要があるかと思います。
 右の、少し小そうございますけれども、グラフがその異方性を示した例でございます。これも電気抵抗の温度変化を示したものでございますが、いろいろな磁場をかけてその電気抵抗の温度変化を見たものでございます。上の図が磁場をC軸に直角にかけた場合、それから下がC軸に沿って磁場をかけた場合でございます。ごらんのように、下の方でございますが、磁場をこのC軸、縦方向の軸に平行にかけますと、電気抵抗をはかってまいりますと抵抗がゼロになる温度、つまり臨界温度がどんどん下がってまいりまして、非常に超電導は得られにくくなってくるということが出てまいります。こういった特徴を持っている、異方性を持っているのだということをよく認識する必要があるわけでございまして、例えば薄膜にいたします場合でも、薄膜の面で、広い面積でこういう結晶方位をきちっとそろえておきませんと場所によって特性が違ってくるということになります。そういう意味で技術的にもかなり難しい問題が出てまいります。
 それから、もう一つのペロブスカイトの構造の問題は、先ほど笛木先生がおっしゃいましたように、非常に酸素に対してデリケートな物質でございまして、ちょっとしたつくり方の違いでもって特性が変わってくるということが出てまいります。これは主に酸素を媒介として出てくるわけでございます。これに関してはまた後ほど申し上げたいと思います。一応基本的な特徴はそういうところにあるんだということを、材料そのものの特徴はそこにあるんだということを御認識いただきまして、あとはつくり方に関連した問題点を申し上げたいと思います。
 六ページ目が超電導材料の製造法でございまして、先ほど笛木先生から御説明がありましたので詳しくは省略いたしますが、一がいわゆる粉末をコリコリと乳鉢でこすってという方法でございます。
 真ん中が共沈法ということで、いろんな方法がございますけれども、この場合には蓚酸で沈殿させる方法でございます。水溶液から沈殿させますから非常に均一のものが出そうでございますけれども、実際は、イットリウムとかバリウムとか銅とかというこの三つを一緒に全部を落とすということはかなり難しい技術でございまして、いろいろと技術的な困難がございます。実はスイスのチューリヒのIBMの方々が最初にやられたのは共沈法でございますけれども、そのときのデータは必ずしも余りいいデータではございませんでした。いろいろ技術的な改善が必要な分野でございます。
 それからさらに、一番下のゾル・ゲル法というのがございますが、これはさらに細かくいわゆる分子オーダーでこの三つの元素をまぜ合わせる方法でございます。これはセラミックスの一つの加工技術として現在注目されている方法でございますが、イットリウムとかバリウムとかという元素のアルコキシドでございますが、これを有機溶媒に溶かして、それに水を入れて加水分解させてやる。そこでゾルとかゲルとか非常に微細に分散した状態になります。ゲルというのは、例えばお豆腐がゲルでございますが、ああいう形になりますと成形できますから、つまり初めから自分の好きな形にできますから、実用という面では非常に有利になってまいります。ただ、これも均一なゾル、ゲルにするとか、あるいはそれを乾かしていくときにひびが入らないようにするとかという点ではいろいろな難しい技術がございます。いずれにせよ、いろいろな方法があり得るわけでございますけれども、将来の工業化を見通した場合にはやはり均一な、材料が大量につくった場合にどれをとっても均一であるということとか、あるいは大量生産ができなくてはいけないということに適合する必要がありますから、そういう意味で、いい特性を出すと同時に工業化ということを考えた製造技術を開発していく必要があるというのが一つの問題でございます。
 次のページに、これは本論になってくるわけでございますが、まだまだ超電導材料としての特性を上げていかなくてはいけない、その場合に研究者はどんなことをやろうとしておるのかということをお話ししたいと思います。
 先ほど来申し上げていますように、まず臨界温度、Tcを上げていく必要がございます。現在例えば九十度Kで臨界温度が得られるのであれば、液体窒素は七十七度ですからもう十分じゃないかというふうになりますけれども、やはりマージンといいますか、上乗せが必要でございます。じゃどのくらいのマージンが必要かということは、どういう条件で使うか、つまり磁場の強さが幾らになるか、あるいは電流をどのくらい流すのかとか、あるいはどんな構造にするのかとかという、そういったことで決まるわけでございます。できれば常温までもっていきたいわけでございますけれども、実は、残念ながら臨界温度を上げていくための指導原理といいますか、そういうものが現在ない状態でございます。BCS理論というのが一つの指針でございますけれども、必ずしもそれに当てはまるかどうかというのははっきりしておりませんし、この新しい材料についての基礎理論というものがそういう方法を考えていく上でぜひ待たれる段階でございます。
 ただ、経験的にはどんなものがこのTcに作用するのかということは若干わかっております。一つは成分系でございます。例えばイットリウム系でございますが、これをほかの希土類元素に置きかえていくということが、我々もしておりますが、いろいろなされております。それからバリウムというアルカリ土層、これもほかのものに置きかえたらどうかとか、あるいは銅をやはりほかの遷移金属にかえたらどうかとか、いろんなやり方がございます。こういった組み合わせを、いわゆる組成比、量まで含めて組み合わせを考えますとこれは無限に近い条件が出てまいります。いわゆる人海戦術でいっぱい人が並んで乳鉢をコリコリという風景も出てくるわけでございますけれども、なかなか難しい状態でございます。
 右の図は、イットリウムをランタンで置きかえた場合でございまして、少量の置きかえですと非常に特性が悪くなるんでございますけれども、一〇〇%置きかえてしまうとまたよくなるということでございます。いわゆる資源的にはイットリウムよりランタンの方が値段も安いし大量にあるということで、このようなデータは実用的な意味では役に立つんではないかというふうに思っております。
 それから第二番目の問題としましては、組織の均一性がございます。これは若干後で触れたいと思いますけれども、こういった組成にしたいということで、原科の粉をはかっていろいろ焼結するわけでございますけれども、思ったとおりの材料になっているかどうかということの保証はないわけでございます。例えば反応しないで残ったり、あるいは沈殿させようと思っても沈殿しないで液の中に残ったりというようなことがございまして、そういった均一な組織にしていくという技術が一つの大きな課題でございます。
 それからもう一つは、熱処理条件の最適化ということでございます。先ほどペロブスカイト構造が酸素に敏感だということを申し上げましたけれども、右の図に示してございますけれども、例えば九百五十度ぐらいで焼結いたしましてそれを冷やしていく場合に、すぐに急冷いたしますと、一番右にございますが、絶縁物になってしまいまして超電導ではなくなります。それから、炉から出しまして空気中で冷やしますと超電導にはなりますけれども、臨界温度は五十度Kぐらいである。ところが炉に入れたままで炉の電源を切ってゆっくり冷やしてやると九十度ぐらいの特性が得られるということになります。これは主に酸素の量ですとか入る位置によりまして、同じ組成の同じ物質であってもこのような熱処理の条件とか雰囲気とかそういうものによって特性が大幅に変わってくるということでございます。特に大量にものをつくっていくという意味では注意しなくてはならないところでございます。以上が臨界温度でございまして、次のページに臨界電流について若干触れてあります。
 これは今のセラミックス系の超電導材料の一番の弱点と申し上げてよろしいんですが、何がきいているかと申しますと、まず密度がございます。材料の電流密度というのはトータルの電流値を断面積で割った値でございますから、試料の中に気孔が残っていますと電流の流れる道が狭くなるということで、実質的には電流密度が小さくなってしまいます。セラミックスの宿命といたしまして、まず原料の粉を混合いたします。そのときに均一にまざってくれるといいんですが、どうしてもまだらにしか入らないということがございます。それを今度は焼結して反応させて一つのものにしていくわけですが、もともとの状態が粉だということのために、焼結していくときにどうしても中に気孔が残ります。そういった穴が残ってしまうこととか、あるいは入れた原科が完全に反応してくれないとかいうようなことがございまして、結局でき上がったものが不均一な状態になってしまうという問題がございます。
 それから、その下にございますのが組成の均一化ということでございますが、先ほど臨界温度Tcのところでも申し上げましたけれども、せっかく入れた材料がちゃんと反応してくれたかどうかという問題がございます。
 左の図は、先ほどの酸化物混練法という名前にしていますが、原料の酸化物を乳鉢でこすり合わせましてそれを焼いたものでございます。この写真は一種の顕微鏡写真でございまして、コンピューターで処理して、元素ごとにあるいは濃度ごとに分布状態をカラー表示することができるものでございまして、私どもで開発しました手法でございますが、この写真は、赤い部分が銅、それから青い部分がバリウム、それから緑の部分がイットリウムという状態でございます。ごらんのように左の写真では、せっかく入れたものが反応しないで、銅は銅のまま、バリウムは青のままということで固まって残っておりまして、当然その部分は超電導ではございませんから、全体の中で超電導が占める比率は非常に小さくなってしまうということでございます。その結果といたしまして、電流密度は単位平方センチメーター当たり六アンペアしか得られておりません。
 それに対しまして、右側の化学的合成法と書きましたのは、私どもで共沈法を少し改良いたしましてつくったものでございますけれども、これですとかなり均一になりまして、電流密度も三百五十アンペアまで上がったということでございます。これでもまだ完全には均一でございませんので、非常に均一に原科がまざるような技術を開発すればJcの改善はよくなるだろうというふうに考えております。
 それから、さらに話が細かくなりますけれども、次のページにミクロの話が書いてございます。例えば粉を焼き固めた場合には、多結晶といいまして、ここに写真がございますように、一つ一つが数ミクロンから十ミクロンぐらいの結晶の固まりになっているわけですが、例えば、それぞれの結晶の境界、結晶粒界と言ってもいいんですが、そこが非常にJcの電流密度の低い部分であった、極端な話、絶縁体であったといたしますと、そこに壁がございますから電流は流れられなくなるわけでございます。そういう意味で、非常にわずかな層でございますけれども、例えば結晶粒界にそんなものができると非常に特性が悪くなる。事実こういった、これはたまたま結晶粒界に層ができた状態でございますけれども、電流密度は非常に低い状態になっております。
 右の図は、それを割ってその破面を電子顕微鏡で見たものでございますけれども、やはり非常に細かいぼちぼちした層が出てくるということでございます。これもやはり熱処理のやり方、つくり方の技術によってこういった状態が出てまいりますので、この辺の安定した製造技術というものが入ってまいります。この辺は、その技術が改良されますとだんだんよくなってくるというふうに思いますけれども、その真ん中の下に書いてございます結晶の方位の異方性の問題がございます。
 これは、先ほど申し上げましたが、やはり電流の流れ方にいたしましても異方性はございまして、例えばC面に垂直、つまりC軸に沿って電流を流そうと思いますと、これはヘリウム温度ですけれども、これは薄膜でのデータで直接の測定ではございませんが、四十二万アンペアでございますが、C面に平行、つまりC軸に垂直な面ではかりますと非常に大電流が得られまして、約三百万アンペアぐらいの電流が得られる。つまり電流の流す面によって電流値が大幅に異なる、一けたから二けたぐらい違うということになってまいります。ですから、一番最適な条件でどこまでの電流が流れるのか、あるいはそのように結晶の方位をそろえてやるということが大きな技術的な課題でございます。あるいはそれが場合によってはこの材料の限界特性を支配するということになってまいります。
 それから、五番目が材料のミクロ不均一性ということでございますが、これは現在までほとんどまだ研究もございませんし、詳しいことは申し上げられませんが、例えばニオブ・チタンですとか、ニオブ3スズというような金属系の超電導材料では、この材料のミクロ不均一性というものをうまく使いまして特性を上げることがなされております。ミクロ不均一性は何かといいますと、例えば不純物元素だとか、あるいは先ほどの非常に細かい析出物だとか、あるいは結晶の構造が乱れてくるそういう不完全性だとか、原子オーダーの話でございますけれども、それを上手にコントロールいたしますと、例えば火、電流値ですとかあるいは磁場の値とかいうものがよくなる可能性がある。これは非常に夢のある話でして、ぜひ取り組んでいきたいというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、まだまだここまで立ち入った研究はなされていないというのが実態でございます。
 以上がいわゆる素材としての研究の状況でございますが、次のページにそれを線材にしていく上での話を若干書いてございます。酸化物の超電導材料といいますのは、セラミックスでございますから、一たん焼き固めた後、それを曲げたりあるいは細い線にしたりするという加工は極めて国難でございます。したがいまして、最後に焼き固める前に成形するという方法になります。
 そこに漫画でかきましたのは私どもがやっている方法でございますが、私どもは、フラックス入りの溶接棒というのがございまして、溶接棒をつくるときにやはり酸化物を中に詰め込んでいく技術を持ってございます。それを超電導材料に適用しているわけでございますが、図にございますように、一番右にアンコイラーというふうにありますけれども、幅の狭い金属のリボン、テープを使います。それを丸めてまいりまして、そこに酸化物の粉を入れます。それをさらに丸めて溶接し圧延して巻き取り、あるいはさらにそれを伸線するという方法で線にするわけでございます。線にした後それを熱処理いたしまして、反応させて超電導状態にするという、そういった方法をとります。
 問題は、先ほど来申しておりますように、いい特性を与えるためには十分な密度を与えないといけませんがら、いかにしてそういった圧縮を与えるかという問題がございます。それから、後で反応させるときに周りを囲んでおります金属と中の酸化物とが反応いたしましてどうも酸素が足りなくなってしまうということで、反応のしにくい材料を選ぶということがございます。さらに熱処理するときに酸素を十分吸わせるというような、そういった技術が必要になってまいります。
 右の写真に示してございますけれども、この場合には一番外側に銅を使い、市側にステンレスを使い、一番中に超電導材料を詰め込んだというものでございまして、超電導状態は得られますけれども、特性はやはりただ焼結したものと比べますと若干落ちるというのが実態でございます。
 線とかテープのつくり方としましては、それ以外に、下にございますように、例えばゾル・ゲルみたいなものを基板の上に塗って乾燥して焼きつける方法とか、プラズマで粉を吹きつけるとか、あるいは中川先生からお話しございましたように、電子ビームとかレーザーで照射するとかいろいろな方法がございまして、それぞれにこれからの展開があろうかと思います。ただ、こういった加工技術と申しますのはいずれもファインセラミックス分野で直面している技術課題でございまして、そこで抱えている大きな問題を超電導の分野でも克服していかなければいけない、あるいはさらに難しい条件でそれを克服していかなければならないという課題でございます。
 最後に、これからどんなことをしなければいけないかということを若干述べてございます。
 最初に申し上げたいことは、今回の超電導材料といいますのは総合技術であるということでございます。これはいわゆる物理の基礎原理ということに立ち返って考えなければいけない問題だということがまず第一にございますし、それが従来培われてきた金属系の超電導材料と比較した上でセラミックスの技術をフルに活用しなくちゃいけないということがございます。さらに加工技術ですとか周辺技術、周辺技術の中には例えば微細加工の技術ですとか、あるいは構造材をどう組み合わせるとかいったそういうメカニカルな問題も入ってまいります。ですから、こういう総合技術を発展させるためにはやはり多分野の有機的な協力が必要になるわけでございまして、従来の一つの専門分野だけではとても発展が期待できないというふうに考えております。またさらに、いろいろ申し上げましたけれども、技術的な努力の積み重ねで一部は解決されるというふうに思いますけれども、やはり新たなブレークスルーというものがどうしても必要じゃないかなという予感がしておりまして、やはり基礎研究の強化というものが必要だというふうに思っております。
 それから二番目が安全性、信頼性の問題でございますが、特にこの用途が例えばエネルギー産業ですとか運輸、交通とか、非常に産業の根幹にかかわるようなものになればなるほどその信頼性というものが非常に重要になってくるわけでございます。そういう意味で、材料をどう評価するか、あるいはそれをどう規格化していくかということについては万全の検討が必要ではないかというふうに思っております。
 それから最後に、「新産業革命ともいうべき社会的インパクト」と書きましたけれども、これが、大勢の人が予想しておりますような世界が実際に実現いたしますれば、まさに産業革命に匹敵する技術になります。そうなった場合に、これは非常に人類の全体の問題にかかわるわけでございますから、一体特許というものをどう扱っていくのか、ごく一部の人の独占に任せていいものかどうかというような問題もございます。それから、当然非常に大きな広がりを持った研究になってまいりますから、やはり巨大科学技術という性格を持ってくるというふうに思います。そういう意味でのできれば国際的な共同プロジェクトというものを推進していく必要があるんじゃないか。当然民間もそれに参画するわけでございますけれども、規模からいって非常に大きな規模になってくるだろう、一つの民間企業としてこれにたえ得るだろうかというような問題も実は考えております。そういう意味で、大きな社会的インパクトをもたらすようなものをどのように総合的に一つの研究開発として組織していくかということをやはり考えていかなければいけないんじゃないかと思います。
 最後に、特に日米関係などでいろいろ批判がございますけれども、こういう画期的な技術は、やはり基本というのは大きな人類の歴史の流れの中でイノベーション、単に応用技術ということじゃなくて、イノベーションで世界に貢献していくということが不可欠なことでございまして、その基本に立っていろいろ国際的な問題にも対処していくべきじゃないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#11
○委員長(飯田忠雄君) どうもありがとうございました。
 次に、早川参考人にお願いをいたします。早川参考人。
#12
○参考人(早川茂君) 早川でございます。このような説明の機会を与えていただきまして、非常に感謝しております。資料は私どもの方の会社の封筒の中に入っております。この資料に基づきまして説明をさせていただきます。
 私に与えられました演題は、エレクトロニクスへの応用と課題ということでございます。先ほどからいろいろ各参考人の方々からお話がありましたように、超電導現象というのはまず金属材科で開けてまいっております。したがって金属材科についての応用というものが従来考えられたわけであります。それに対しまして、最近酸化物系のセラミックの超電導材料というものが脚光を浴びてまいりました。これは臨界温度が非常に高い温度が期待できる、あるいは室温も期待できるのではないかということが言われるようになりました。またその可能性もあるのではないかということで、そうなりますとこれは非常に大きなインパクトを社会に与えることが考えられます。新しい超電導社会というものが実現する可能性もあるわけでございます。その高温の超電導材料がどういうふうにエレクトロニクスの分野に応用されるのかということにつきまして、与えられた時間に、簡単な話になると思いますけれども、説明をさせていただきたいと思います。多少夢も含めてお話をさせていただきたいというふうに思います。
 一枚目をめくっていただきますと、エレクトロニクスの分野で、まずホームエレクトロニクス、それから情報通信、この二つの分野に応用が考えられます。このそれぞれにつきましてまた詳しくお話をいたしますけれども、ホームエレクトロニクスの分野で申しますと、例えば大型のディスプレー、現在液晶のディスプレーが平面ディスプレーとして、フラットなディスプレーとして実用されておりますけれども、これは余り面積が大きくとれない。これはどうしてかと申しますと、配線の抵抗がありますので、それで信号が減衰をいたします。ところが、超電導配線というものが可能になりますと、そういう配線による信号の減衰というものがなくなりますので、大きな液晶のディスプレーができるということが言えます。
 それから、高密度の記録素子のことでございますけれども、現在VTRなどでは磁気ヘッドと申しますものでテープの信号を読み出しておるわけでありますが、このヘッドの部分に超電導材料を使いますと出力にしまして約十倍の出力がとれるわけでございます。そうしますと、VTRの画質などは飛躍的にいい画質のものが得られるということになるわけであります。
 それからまた、超電導ではボルテックスメモリーというものが考えられておりますが、これは超電導の渦電流を利用するメモリーであります。このメモリーを使いますと、現在の例えば先ほど申しましたVTRのテープの記録に比べまして約一万倍記録密度が上がります。そうしますと、単純な比較でありますけれども、現在二時間のビデオを録画いたしますのに二百メーターのテープが要るわけですが、一万倍ということになりますと、いろいろそれ以外の付随的な技術ももちろん当然必要になりますけれども、二センチで二時間が記録できるということになるわけであります。
 それから、超電導材科でモーターをつくりますと、これは巻き線を超電導材料を使うわけですが、サイズは現在の約五分の一程度に小さくなります。それから、これは先ほども何回もお話がありましたように抵抗がゼロでございますので、損失がゼロであるということになるわけであります。
 それから、超電導材料を使いましたセンサーというものが考えられます。これは後で少し説明いたしますけれども、ジョセフソン素子を利用いたしました磁気センサーというものができます。どのくらいの感度のセンサーかということを比較してみますと、現在地磁気が一ガウス程度の磁場を出しておりますけれども、これの約十億分の一の磁場がはかれるということになります。したがいまして、例えば人間の脳が出しておる磁場あるいは心臓が出しておる磁場というものが全部計測できるわけであります。しかも非常に簡単な装置で計測できるということになりますので、現在は脳の機能というものが非常にわかりにくいわけでありますけれども、この脳の機能とかあるいは心臓の機能というものがわかるということになるわけであります。
 次の情報通信の分野に移りまして、高速のLSIというものが考えられます。現在LSIは非常に広くエレクトロニクスの分野に使われておりますけれども、これの大きな問題点は、LSIの配線をいたします、この配線で抵抗があるものですから信号が減衰する。先ほどの大型ディスプレーと同じような信号の減衰が起こります。そうすることによりまして余り高密度にできないという面がございますが、この超電導の配線を現在のLSIの配線に使いますとそういうことが解決するということで、現在大体一メガとかあるいは四メガのDRAM、ダイナミックRAMが使われておりますけれども、それをさらに高集積化することが容易になるということが言えます。
 それから、ジョセフソン素子を使いました超電導コンピューターというものが考えられます。これはスピードとかあるいは損失とかいうものが現在のコンピューターに比べますと非常に早く、また損失が少なくなるものですから、一般の家庭でも実用できるような、取り扱いの非常に簡単なホームコンピューター、しかも非常に機能の高いコンピューターがつくれるようになるわけでございます。そういうコンピューターには高速の超電導トランジスタが使われるということになるわけであります。
 それから通信の分野でありますけれども、現在衛星通信が十二ギガから十四ギガあるいは二十ギガヘルツの波長を使っておりますけれども、これがさらに細かい百ギガあるいは二百ギガということになってまいりますと、このあたりから光通信の波長の部分まで、これは電波の暗黒地帯と言われておりまして、電波を発信したりあるいは受信したりする装置がございません、超電導材料を使いますと、この電波の暗黒地帯の受信、送信ができますので、電波の利用が格段に飛躍的に広がるということが考えられるわけであります。
 そこで、各それぞれにつきまして簡単に説明を続けていきますが、次のページ、お願いします。これは先ほど申しました超電導トランジスタ、あるいは現在のLSIの配線部を超電導材料にした高速のLSI、高密度のLSI、それから高周波の通信あるいは超電導トランジスタというものがあるわけでございます。
 次は、これは特に通信の中でも衛星通信について述べておりますが、衛星通信で現在も一部実用はされておりますけれども、特に家庭で衛星通信を受信するということになりますと、アンテナが一番大きな問題になるわけです。ところが、アンテナの受信部の素子の感度が悪いものですから、現在何十センチというようなおわんのようなアンテナが要るわけですけれども、この受信素子として超電導材科を使いますと非常に感度が上がります。したがって、超電導素子を使った受信素子で受信をいたしますと、アンテナは現在の十分の一ぐらいの径で十分実用になるということになります。
 次は、四枚目ですけれども、これはジョセフソン素子の説明をしております。ジョセフソン素子と申しますのは、超電導状態とそれから常電導状態の間でスイッチをする素子でありまして、その下に現在の半導体素子と比較をしておりますが、スイッチの速度が約百倍になります。それから消費電力は約百分の一になります。したがいまして、そのようなジョセフソン素子を使いますと、非常に高速でしかも消費電力の少ない機器がつくれるということになるわけであります。
 次、五枚目は超電導トランジスタでありますけれども、この表の上の側にありますように、半導体材料というのは現在シリコンとかガリウム砒素が使われておりますが、まず二端子のダイオードから三端子のトランジスタ、さらにトランジスタがいろいろ集積されましてLSIというふうに発展してきたわけであります。それに対しまして超電導材科の場合には、ジョセフソン素子はこれは二端子であります。この下の左側の図にありますように二個の超電導材料、二枚の超電導材料を非常に薄い絶縁膜で接合しておる。そういう形になっておるのがジョセフソン素子で、これは二端子でありますが、これを三端子にいたしまして超電導トランジスタ、右側にありますが、そういうものをつくります。そうしますと、シリコンのトランジスタに相当する機能が実現するわけでありまして、このようなトランジスタをもとにして超電導LSIというものが将来実現される可能性があるわけであります。
 次の六枚目は、これは現在広く使われておりますLSIの銅線の部分、リード線の部分を超電導材料にした場合にどういう効果があるかということであります。この銅線の部分が抵抗を持つものでありますから、したがって信号の減衰あるいは信号のおくれというものが出てまいるわけでありますが、これが超電導材料に置きかわりますと信号のおくれが約半分になります。したがいまして、非常に高速のLSI、現在のシリコンのLSIでも非常に高速になるということが言えるわけであります。
 このグラフはMOSのダイナミックRAM、メモリーの予測でありまして、現在が一メガであります。一番左の端であります。一九九五年ごろには六十四メガ、二〇〇〇年には一ギガというものが実現するわけであります。例えば六十四メガのDRAMというものがLSIで実現いたしますと、もう可動部のない、動くところのないテープレコーダーというものが実現いたしますし、一ギガのDRAMが実現いたしますと、これは動くところのないVTRが実現するわけであります。完全にソリッドステート化したVTRができるわけであります。
 次はコンピューターですが、これは計算用のコンピューターでありまして、現在のコンピューターの最高のコンピューターは大体一秒間に十億回の計算をいたします。現在国家の大きなプロジェクトとして数十億回のコンピューターというものが計画されておりますけれども、超電導コンピューターを使いますとそれの約百倍から千倍の演算回数を実現することができて、しかも大きさが十分の一ぐらいの大きさになるということが言えるわけであります。
 それから、次の八枚目ですが、超高周波通信の話でございまして、先ほどお話しいたしましたように、ミリ波のところから近赤外のあたりまで、このあたりは暗黒地帯と言われております。いわゆる受信あるいは送信するデバイスがない部分であります。ところが超電導材料のデバイスを使いますと、この部分の受信、送信が可能になります。したがって、この部分が実用になるわけであります。そうしますと、例えば百ギガなどということになりますと、最近のHD、ハイディフィニションテレビ信号ですと優に百チャンネルは送れることになるわけであります。
 次の九枚目でありますが、これは先ほど申しました超電導の磁気センサーでありまして、その図にありますように二つのジョセフソン素子をリング状につないでおります。このリングの間に磁束が入りますと電流が流れるわけであります。しかも、その磁束は単位磁束を検出することができます。単位磁束というのは地磁気の約百億分の一ぐらいになりますか、そのくらいの小さな磁力線が入っても検出することができるわけであります。したがいまして、人間の脳の磁束というのは大体十億分の一ぐらいですから、これを簡単に検出することができるわけであります。それから心臓の出しておる磁界は一千万分の一ぐらいの磁束でありますから、これも簡単に検出することができる。したがって、心臓とかあるいは脳の機能をいろいろ調べることができるわけであります。もちろん、このSQUIDという磁気センサーは現在液体ヘリウムを使いまして大がかりな装置で実用されておりますけれども、液体窒素とかあるいは室温ということになりますと、小型で簡単な装置で測定がができるということになるわけであります。
 次は、ちょっと漫画でホームエレクトロニクス、家庭のエレクトロニクスにどういう効用があるかということを示しております。
 例えば、衛星通信は簡単に小さなアンテナで受けることができますし、あるいは大型のディスプレーを使うこともできますし、あるいはモーターが、先ほどもお話がありましたように抵抗がゼロでありますから非常に小さくなりまして、損失もゼロになって、これは広く家庭の機器に使われるようになります。いわば現在家庭の中で電線を巻いて使っておるものはすべて相当大幅に小型化するということが言えるわけであります。例えば電磁調理器とかあるいは電子レンジというようなものも非常に小型軽量になるということが言えます。
 それから、コンピューターが非常に機能が上がりまして、しかも小型になります。したがって、現在のコンピューターというのはキーボードで動作をさせますけれども、これは、キーボードで動作をさせるということは、コンピューターの内部に使っておりますLSIの力が余りない。コンピューターの力が余りないからあのキーボードが要るようになるわけでございまして、コンピューターの方の機能が上がっていきますとそういうものはどんどんハード化することができますので、非常に簡単な操作でコンピューターが使えるというふうになるわけであります
 以上で応用を終わりまして、最後に、私は薄膜について少し述べろというお話でございましたので、薄膜について少し述べさせていただきます。本日サンプルを持ってきております。(資料を示す)
 セラミックスは、先ほど何回もお話がありましたように、原料の粉末を焼き固めて、そしてセラミックスにつくり上げます。セラミックスというのは、これはいわば小さな微結晶の固まりであります。したがって、これは粒界がありますし、あるいは組成が不均一になるおそれもあるわけであります。セラミックスにつきましては、したがいましてこの原料粉末を細かくする。例えば先ほど話にありましたゲル・ゾル法を使いまして原料粉末を原子状に細かくする。そうすることによって焼き固めたセラミックスを均質にするという方向が一つ考えられなければならないわけであります。
 一方、薄膜でございますけれども、薄膜は、これは元来、原子状にしました原子を飛ばせまして基板の上に――今回しておりますサンプルは、これはシリコンの単結晶の上に薄膜をつくったわけでありますけれども、積み上げていくという方法でございますので、比較的均質な膜ができるということであります。
 次の十二枚目に写真がございまして、これは先ほど南雲参考人がお見せになりました写真とよく似ておりますけれども、上側がセラミックスの写真であります。下側は薄膜の表面写真であります。セラミックスはこういう小さな微結晶が焼き固まっておりますので、均質性あるいは粒界の問題というふうなものがあるわけであります。
 以上で私の説明を終わらせていただきまして、最後にまとめといたしまして、先ほどから各参考人が述べておられますように、超電導研究というのは、これは最近の世界の研究の中では一つの大きな事柄であると思うのです。したがいまして、国際協調というものが非常に大事であると思います。と同時に、超電導は、私が今お話ししましたようなエレクトロニクスの応用というものが考えられますけれども、まだまだこの応用が実現するためには多くの研究あるいは期間を要すると思います。特に基礎研究がまず第一に大事ではないかというふうに思います。超電導のメカニズムもはっきりわかっておらないという状況でございますので、これがまず大事であると思います。半導体が今のような大きな産業へのインパクトを与えておりますけれども、この半導体の大きなインパクトのもとは非常に長い間の基礎研究の成果でありまして、そういう意味でも超電導についての基礎研究というものが超電導の応用というものを大きく、また新しく展開していく可能性もあるのではないか。特にエレクトロニクスに使いますデバイスの研究の場合には、この基礎研究から新しいまたデバイスが生まれるということも期待できるということを考えます。
 以上であります。
#13
○委員長(飯田忠雄君) どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は挙手を願います。
#14
○岡部三郎君 笛木先生にちょっとお伺いをしたいのですが、今早川先生からも非常に夢のあるお話がありまして、国民の期待も非常に高いものがあると思うのですが、一方で、一昨日でしたか、NHKの番組で東大の田中先生の、今いろいろ言われておる高温超電導物質はもうそのほとんどが再現性がないんだというお話を聞いたんですけれども、どうも我々素人は、成分もわかっており、あるいは構造もある程度わかっておる、あるいはその条件も全部わかっておるにもかかわらず再現性がないということは一体どういうことなのか。また、その再現性がないということになれば、これは実際にそういう現象が起きたということの証明もできないわけですね。これは一体どういうふうに考えたらいいのか、ちょっとその辺を教えていただきたいと思います。
#15
○参考人(笛木和雄君) 実は、今室温超電導体と言われているものですけれども、やはり本人がやって、たくさんサンプルをつくって何回でも同じことが出るのなら再現性があるというわけですけれども、自分自身でつくっても、どうもそういう意味では再現性がない。それから、ましてその同じ条件で他人がそれを追試しても出ないというようなことで、要するに、現象としてはそういう兆候がうかがわれるけれどもまだ再現性がなく、それから物質の確認ももちろんなされておりません。結局まだはっきり言ってよくわからない。
 例えば一つの考え方として、あるいは粒界あたりのところに不安定な一時的な層ができて、そのときに例えば導電率ゼロというような現象が観測されて、そして、そのうちにそれは不安定層なものですからそのほかの層に変わってしまって、もう一度しばらくしてからはかるとそういう性質がなくなってしまっている、こんなような状態に今あるんではないかというふうに思われます。世界で七つか八つの場所から発表がございますけれども、大体似たような今状態でございまして、室温超電導と言われていることにつきましてはまだまだもっと研究をやらないと、確認するような作業をやっていかないといけないのだろう、そういうふうに思います。
#16
○岡部三郎君 今、室温超電導とおっしゃいましたけれども、高温超電導でもそういうことがあるんじゃないでしょうか、金属材料なんかはある程度確認されておっても。
#17
○参考人(笛木和雄君) 高温超電導という意味は、初めのころは金属の一番最高のが二十三ケルビンということだったものですから、それより高いという意味で高温という表現を使っておりました。今のところそういう意味で、それより高い意味で再現性のあるというふうにだれもが認めているのは今のイットリウム・バリウム系、あるいはイットリウムをほかの希土類元素で置きかえた、大体臨界温度にして百度よりちょっと下ぐらいのところ、これは認められております。それ以上のデータにつきましては今のところみんなが認めているという形ではない、そういうふうに思います。
#18
○前島英三郎君 今、大変夢のお話を伺ったんですけれども、いわば今世紀の産業革命的な様相をも感ずるんですけれども、そういう意味においてこれからのやはり国際社会の協調ということが非常にこの超電導の開発の場合には重要だと思いますが、それに伴う先進国と途上国とのこうした意味での産業的格差みたいなものがさらに著しく進展するおそれもあるように思いますが、そういう意味で、これからの国際協調という点でどういう点に留意しつつこの研究に踏み込んでいくべきかというふうな御示唆があれば伺いたいと思います。どなたでも結構でございます。
#19
○参考人(笛木和雄君) まず基礎研究の部分につきましては、これはできるだけ情報をお互いに交換するような、しかも、それがなるべく研究の初期の段階からそういうことができれば非常によろしいかと思います。言いかえれば、日本側からもあるいは外国の方からも日本へ来てオープンにそういうことが話し合える空気、あるいは協定というようなものができればまずいいかと思います。
 ただ、これが産業的な問題になりますと、その辺のところはある程度の競争関係も当然あると思いますので、どのくらいオープンにできるかはむしろ企業の方のお考えかと思います。そんなふうに考えています。
#20
○稲村稔夫君 順番も一定しませんし、大変夢もあるけれども、しかし非常に難しいという感じで今いろいろとお話を伺ったわけであります。
 まず一つは、笛木参考人にお伺いしたいんでありますが、この間京都の国際会議があったということで新聞等でもいろいろと報ぜられております。しかし、これは断片的に新聞等で報ぜられている中で私どもは見るだけでありますけれども、笛木先生は、国際会議が三月、四月にアメリカで行われたときは何か物すごいフィーバーぶりであったというお話も伺っておりますけれども、それだけに今回の国際会議はどういう意味があっただろうかというようなこと、先生がお感じになっておられるものがあったらお聞かせいただきたいと思います。
 中川参考人には、これから実用化への問題というのでやはり克服しなければならない陸路というのがいろいろあるということになると思うのでありますけれども、最大の隘路というのはどんなところにあるということになるでしょうか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
 それから、早川参考人から大変夢のあるお話を伺ったんでありますが、これはそれこそホームエレクトロニクスということになりますと、もういわゆるここで言われている高温ではなくて、いわゆる普通の用語で言う常温、高温の関係に耐え得る超電導材料というものが生まれてこなければならないようなものなんだと思いますけれども、それに向かっていく中で、いろいろ夢のあるお話がありましたが、それだけに確かに信号の速度だとか効率だとかというようなものについては非常に今までかかっておるコストが減るということになるんでしょうが、しかし今度こういう高温にすごく耐えられる、例えば我が国ですと、夏になれば東京でも三十何度という室温になるというようなときに使わなきゃならないいろいろのもの、それこそホームエレクトロニクス関係だということになりますと、それに伴ってむしろ逆にコストが相当かかるようなことが考えられるんではないだろうかというようなこともちょっと感じたものですから、その辺のところ、コスト計算などを大まかにされたことがあるんでしょうか。それをどんなふうに考えたらいいでしょうかというようなことをもしお聞かせいただければと、こんなふうに思います。
 それから、南雲参考人、早川参考人ともにあれですけれども、こういうものが開発されていきますとやはり秘密の関係というのが、現在でもいろんなあれの中ではブラックボックスになっている部分というのが、それぞれの企業の技術開発していったものはみんな持っているわけですね。そういう企業の秘密の関係というのが今後どういうふうになるだろうか、これも一つ大きな心配になることでありますし、それからさらにもっと大きく言いますと、今度は国家的な秘密というそういう問題が出てくるんではないだろうか。特に超電導がかなり実用化できるというようなことになってきた途端に軍事機密とのかかわりなんというようなことが起こってくる可能性があるんじゃないだろうか。その辺のところもちょっと気になりますので、お考えがあったらお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 以上であります。
#21
○参考人(中川龍一君) 先生から実用化の問題、最大の隘路は何かという御質問でございますが、私ども研究者としましては、今まで一時フィーバーといいますか、高温高温と騒いでおりましたですけれども、それは一時よりも終わったんじゃないか。この間の国際会議、私出席もしませんでしたけれども、うちの若い連中が出席した結果によりますと何かそんな雰囲気を感じたようです。それで、酸化物超電導体でどうしてそういうものがなったのか、そういう理論の方に今後進んでいくんじゃないかというふうに考えております。
 そういうことで、私どもの研究所だけ申し上げて申しわけありませんけれども、そういう高温化ということは今後もうそう力を入れないでおこう、それよりももっと前に戻って今申し上げました基礎的な研究、なぜなるのかというようなところに力を入れていきたいというふうに考えております。
 そこで、最大の陸路といいますと、基礎研究というのは何か実用化の研究よりも金がかからないように思われているんでございますけれども、基礎研究というのはなお金が実はかかるわけでございます。先ほど評価とかいろんなことを申し上げましたけれども、その評価一つ調べるにしても、例えば相当強い強磁場での性質がどうなるかということも調べなければいけない。ところが、その強磁場の磁石一つつくるにしても何億円という金がかかるわけでございます。そういう基礎的な研究にもう一度立ち返ってスタートし直さなければいけないんじゃないか。といいますのは、ここに笛木先生がおいでになってなんですが、まだその理論的な、なぜかということがはっきりわかってないということが一番の僕は隘路だろうというように考えております。
 そういうなぜなるかという理論がわかって初めてその実用化――今までは物質なわけでございます。物質そのままじゃ使えませんで、それを材料にして初めて使える。その材料というのは例えば薄膜であり単結晶であり、あるいは線材なわけです。そういうことで、私どものところでは線材はつくりましたけれども、それはそういう基礎的な研究があって初めて、じゃこういうことだから、こういう線材をこういう方法でつくれるだろうということでやっと線材をつくってきたわけでございます。そういう実用化のための線材、薄膜、結晶化、そういうこともすべてもう一度基礎に立ち戻ってスタートしないとできないんじゃないかというふうに考えております。
#22
○参考人(笛木和雄君) 国際会議の三月、四月ぐらいの時点と現在の時点とについての感想というお話でございましたけれども、三月、四月の時点におきましては、まだそういう研究をやっていたグループが世界でも非常に数が少なくて持っている情報が非常に限られていた。しかも、今まで常識的にはもう超電導というのは非常な極低温しかあらわれない現象であった。にもかかわらずそれが非常に高い温度が出てきた。さらにはBCS理論で理論の壁というものがあったけれども、それも破ってしまった。一体なぜなんだろう。しかし情報はほとんどない。そういう時点でだれしもが新しいことを、そういうことを知りたいんだ、そういう非常な知識の意欲を持ったりした方が非常に集まって、それでああいうフィーバーぶりになったんだろうと思います。
 しかし、その後、この物質というものが大変民主的な材料でだれでもできる、例えば週刊誌によりますと五万円でつくれる、そういう種類の非常に民主的な物質でございましたために、だれでもがすぐやれた。そして、やってみるとある程度のことがみんなわかってきた。わかってきて、そういう状態でその次のステップでどういうことが出てくるんだろうというそういう関心を持って多分今の時点に来ているんだろうと思います。ちょうど私もいろいろありまして、私の研究室の若い連中は出ていたんですけれども、私は出られませんでしたが、帰ってきて話を聞きますとやはりそういうふうな印象を受けました。いわば一時のフィーバーぶりから正常化してきたというふうに言った方がよろしいんじゃないかと思います。
#23
○参考人(南雲道彦君) 企業秘密の問題でございますけれども、私どもの新しい技術といいますのは特許という形で権利化してまいります。これは二つの意味がございまして、一つは、もちろんせっかく自分たちがつくった技術は自分たちで使いたいということがございますが、もう一つは、やはり防衛的な意味がございまして、一つの技術分野でやはり徒手空拳ではいけない、やはり対等につき合うためには自分たちも何がしかの技術をちゃんと認められたものとして持たなくてはいけないという、この二つの性格がございます。
 ただ、今回の場合にはその特許をどう行使するか。特許を取るということと、それをどう行使するかということとは別問題だというふうに思います。これは相手があることですから一方的にどうこうということは申し上げられませんけれども、例えば今回のようなものが非常に大きな社会的インパクトを持つ、産業革命に匹敵するものだと申しますと、当然それはごく少数のグループで独占したのではそれは進まないというような性格を持つと思います。現に、非常にいい発明だったんだけれども、その発明者がそれに固執したために逆に進歩がおくれた、そういった実例もございます。
 ですから、ギブ・アンド・テークの原則というのが成り立つかと思いますが、国際的な問題においてもやはりお互いが、いろんな国がギブ・アンド・テークで交流し、技術を交換し合うという形で全体で進められていくのが一番望ましい方向ではないかというふうに考えております。
#24
○参考人(早川茂君) ホームエレクトロニクスの実用においてコストの問題がどうかという御質問でございますが、室温超電導が実現したということを前提にして、しかも、それが現在研究されておるような材料で実現したということを前提にしますと、コストはそんなに上がらない。材料のコストというものはそんなに高い材料が多量に使われておるわけではありませんので、コスト面では大して上がらないであろうというふうに考えます。
 先ほども御指摘がありましたように、プロセスの問題が非常に大きな問題でありますけれども、プロセスの問題というのはこれはいわば装置の問題でありまして、装置はこれは装置化することによって解決していくわけであります。しかも、超電導材料を使うことによって小型軽量になるということになりますと、大体、物の値段は我々のエレクトロニクスの分野におきましても重さに比例いたしますので、軽くなるということは安くなるということであるというふうに考えていただいて大して間違いはないのではないかというふうに思います。
 それから企業秘密の問題でございますけれども、我々は、一応特許は公開するという立場に立っております。まず特許というのは、権利は確保するけれども、その特許は万人が使えるようにするというのが特許の精神であるというふうに我々は解釈しております。したがいまして、企業の秘密は特許を特許の精神に基づいて運営する限りにおいては確保されるのではないかというふうに考えます。
 それから、軍事機密との関係でありますけれども、コンシューマーとかあるいはインダストリー関係の分野で早く実用化してしまいますとこれは軍事機密とならないわけでございまして、そういう意味でも我々コンシューマーメーカーといたしましてはできるだけ早く物にしていかなければならぬというふうに考えておる次第であります。
 以上であります。
#25
○伏見康治君 高温超電導がいつごろ実用化されるようになるであろうかという時間的判断を少し伺いたいと思うのでございますが、それを特に伺う理由は、私の知っている幾つかのプロジェクトが、例えば核融合装置のプロジェクトとかあるいは加速器のプロジェクト、例えばことしの一月レーガンが認めたというアメリカのSSC、スーパーコンダクティブ・スーパー・コライダーという装置のようなものが、名前どおりに超高温コイルを大量に使うことを前提としているプロジェクトですね、そういうプロジェクトがまさにスタートしようとするときに新しい安い超電導体が発見されるとなりますと、旧来の超電導コイルで出発した方がいいのか、しばらく待って安いスーパーコンダクターに移り変わる方がいいのかというところで非常にジレンマが起こるわけですが、なかなか物にならないというのならば現在の技術でスタートしてしまうでしょうし、数年待てば何とかなるというなら待つことになる。それで、一体どのくらいの程度で実用化されるであろうかという見通しをぜひ伺いたいと思うのでございますが、これは南雲さんに伺いましょう。
#26
○参考人(南雲道彦君) 先のことを予測するというのは非常に難しいことでございますが、私はこう考えておりました。いわゆる産業の道具として、特に発電とかエネルギーとか、そういう分野に実用化されるのはかなり後であろう。それはなぜかと申しますと、材料ができたとしても、それが確かに安全である、信頼性にたえるということを実証するためにはかなりの時間がかかる。現に金属系の超電導材料でもう小型機では実証されている超電導発電機、これの実用、少し規模を大きくしょうということでムーンライト計画の案が出ておりますけれども、既に基本原理は確認された技術でありながら、さらに十数年の期間を見込んで開発しようという、そういうプログラムが出ておるわけでございます。そういうことから見ましても、仮に材料はできたとしても、それの実用化にはかなり時間がかかるだろうというふうに思います。
 では、材料としてはどのくらいの期間でできるか、そういう信頼性の評価とかなんとか抜きにしてどのくらいかかるかということですが、先ほど申し上げましたように、かなり原理的な問題点がこの材科には残っているように思います。ですから、今軽々しくは申し上げられませんが、少なくとも数年間は、おもちゃとか何かは別ですけれども、実際に大事な道具として使うためにはやはり数年間は材料開発には必要だろうというふうに思っております。さらにプラスそれを評価していくという、信頼性を評価し耐女性を評価するというのがこれは五年かかるか十年かかるかわかりませんが、それぐらいの期間は見込む必要があるのではないかというふうに考えております。
#27
○伏見康治君 早川さんに伺いたいんですが、お話、非常に夢に満ちていて非常におもしろく拝聴いたしましたが、ホームエレクトロニクスとか情報通信といったようなことのお話に関する限りは要するに超電導でありさえすればいいので、磁界が強くて壊れてしまうといったような条件というようなものは余り心配しなくて済むような分野のように思われるんですが、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#28
○参考人(早川茂君) そのとおりです。
#29
○伏見康治君 そうすると、すぐにでも何か実用化が始まりそうな感じがいたしますが。
#30
○参考人(早川茂君) これは前提が家庭で使いますものですから、室温で超電導でなければならぬということがまず前提でございます。これを液体窒素で冷やすとかいうことになりますとこれは恐らく大変なことになりますので、そういう意味で室温超電導材料ができますと、先ほど南雲参考人のおっしゃいましたようなそういう応用ではございませんので、ある程度の信頼性が確保できる範囲において実用性は出てくるというふうに考えております。
#31
○伏見康治君 次に、笛木先生にお伺いいたしますが、京都の国際会議に来たBCSのシュリーファーさんがテレビで話しておられるのを聞くと、まだ理論的にちゃんとするのは何年も先の話だというようなお話があるんですが、先生の解説を伺った限りではもう大体わかってしまったような感じもするんでございますが、理論的にわかるというのにはいろいろな段階がもちろんあると思いますけれども、そのわかる段階は、どういう段階はどういうというその見通しをひとつ拝聴させていただきたいと思います。
#32
○参考人(笛木和雄君) 私化学屋なものですから、物理の方の理論は実はよくわからないので非常に浅い理解しかございませんが、今のところは私が伺っている範囲では、とにかくやはりクーパー対のような対がないと要するに超電導の現象が起こらないということはどうも皆さん一致した御意見のようでございます。ただ、問題のクーパー対に相当するものをつくる力が何であるかがいろいろの説があって、今までの、必ずしもフォノンを媒介とする相互作用以外のいろいろな可能性が、エキシトンとかプラズモンとかいろいろなあれがあるようでして、そういうもののどれかはまだ決まっていない、いろいろな説がある、こういう段階だろうと思います。それから先どういうステップを踏むか、私素人なものですからちょっとわかりかねます。
#33
○伏見康治君 ありがとうございました。
#34
○佐藤昭夫君 どうもきょうはいろいろ勉強させていただきましてありがとうございました。
 各参考人の方もみんな共通して基礎研究との関係、かかわりといいますか、この間に至る経過も、それから今後さらに発展をつくり出していく上でも、もっともっと基礎研究の分野で解明しなくてはならぬ問題があるというふうに言われている。まさにそのとおりだと思うのですが、一九一一年でしたか、オランダのオンネスの水銀による最初の超電導現象の発見から、昨年のチューリヒのIBM研究所での金属酸化物による新たな超電導現象の発見、ここに至る間、約数十年基礎研究の分野で関係研究者の方々のいろいろな苦闘があったかと思うのですけれども、金属酸化物によるそういう超電導現象が新たに発見をされた。それは決して突如として出てきたということでもない、いろいろな基礎研究の積み重ね、総合、それが底にあったんじゃないか。一般的には、近年著しく発展してきましたセラミックの研究開発とかあるいは半導体の研究開発、そこでの基礎研究や技術、これが金属酸化物のそういう発見の基礎、背景になってくるというふうには思うのですけれども。
 笛木先生に、こんなふうな基礎研究が実はそのチューリヒでの、そこに始まるここ二、三年来の集中的な高温のもとにおける超電導現象の相次ぐ発見というところへ進んでくる、どんな基礎研究がそういうふうになってきたのかというそこらをもう少しお教えをいただけたらというふうに思います。
 それからもう一つは、そういう基礎研究の大事さ、今も中川参考人も触れられましたけれども、むしろ金属材料技術研究所としてもそこの分野にこれから力を入れていきたいとおっしゃるほどでありますけれども、そういった点で、最近一部の人たちというか、一部の風潮といいますか、学術研究の評価システムをつくれとか、こういう説があるんですね。私は、学術研究というものは、ある時期に目の前に出ているその姿形だけでその研究が値打ちがあるのかどうかというようなことは単純に言えるものじゃない、もっと長い目で、それが何とつながりどういうふうに発展していくかという、そういう歴史的に見なくちゃならぬというふうに思うのですけれども、そうした点で、例えばこの超電導研究という分野に即して見た場合の、別にそういうことでなくてもいいんですけれども、その研究の分野で御苦労なさっている笛木先生の御意見があれば、そういう学術研究の評価なるものについてこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。
#35
○参考人(笛木和雄君) まず、今回の高温酸化物超電導体の発見の経緯と申しますか、そのときにどういう基礎研究がなされていたんだろうかということの御質問だったと思いますけれども、今度の高温超電導体というのは、ちょうど考え方によりますと物理と化学の境目に出てきたような話のように私は感じております。
 それで、物理的な研究の方から申しますと、超電導体は長い間金属でございましたけれども、酸化物の超電導体が、しかもペロブスカイト型で一九七〇年代にアメリカの方から発表がございまして、それはBPBOと申しまして、バリウム、それから鉛、ビスマスの酸化物系統のものです。やはりこれはペロブスカイトでございまして、それはまあ十五ケルビンぐらい、Tc、臨界温度が十五ケルビンぐらい、そう高いものではございませんでした。しかし、それにつきまして東大の田中教授は十年間ぐらい非常に基礎研究をずっとやっておられたということであります。
 それからもう一つ、化学的な研究の方では、先ほどちょっと御紹介申し上げましたけれども、フランスのカーン大学のラボー教授のところで実は今度の超電導体になったその基礎となる同型のペロブスカイト型酸化物の非常に詳細な研究をずっともう長い間やっておられまして、しかも、その導電率の測定も七十七度Kまで、温度もそこまでやっておるわけです。しかし、このKは実は後で四十度Kの超電導体であるということが発見されましたから、もう少し温度を下げれば恐らくもう四年ぐらい、三年ぐらい前には発見されていたんであろうかというふうに思われます。そういうふうに、非常にヨーロッパではこの種の酸化物、しかも電導性を持つ酸化物の基礎研究というのはかなり昔から非常に伝統のある研究が行われておりまして、それがIBMの研究のときにも相当生かされていたと思います。
 ですから、そういう意味から申しますと、今度の場合、IBMでやられた結果がすぐどういう意味を持つかということが田中教授のところではわかって、すぐやられ、追試をされた。こういうふうないろんな偶然といいますか、いろんな背後には潮流がありまして、それが結びついて今回のような形に生まれてきたんだろうと思います。ですから、目的的な研究以外にやはり一つの体系的な研究というのは常になされていないといけないのだろう、そういうふうに感じます。ヨーロッパは非常にそれが伝統があるというふうに感じております。
 それで、あと私のところも実は、自分のところを申して恐縮でございますけれども、ペロブスカイトの研究をやはり化学的な立場から十年間ほどやっておりましたので、新しいものをつくるときに多分役に立ったんだろうというふうに思っております。そういうことです。
 それから、学術研究の評価システムという話でございますけれども、これは大変難しい問題でございます。今申しましたように、非常に短期間で何か効果が出るような研究というのは非常に評価しやすいと思います。しかし、これは研究者自体の本来は問題で、自分の研究について自分で本来は評価すべき、基礎研究についてはそういう問題だと思います。ほかの方から余りある枠をはめて評価するのはよくない。やはり創造性とか、そういう種類の話というのは本人の問題に多分によることなんだと思いますので、これは大変難しい話だと思います。ただ、それは全体的にその一つの国なり何なりの学問のレベルが上がってくればひとりでに評価システムもしっかりしたものができ上がって、ほかの人からの評価が出てきますから、それを自分のところへ取り入れてより高度の創造性のある研究に向かっていけばいいんだろう、そういうふうに私は考えております。
#36
○佐藤昭夫君 ありがとうございました。
#37
○後藤正夫君 幾つかのことについて伺いたいと思います。
 まず、私はレーザー光線が出たときにはもう当分こういう新しいものは出てこないんじゃないかというふうに思っておりましたところが、突然超電導というようなものが急に大きな形であらわれてきたということで、大変それに対して関心を持つと同時に驚いている次第でございます。それで、幾つか伺いたいと思ったことのかなりの部分は既にほかの委員から質問されましたので、私から伺いたいと思いますことが二つほどございます。
 それは、例えば笛木参考人は研究者のお立場から、それから南雲参考人、早川参考人は企業としてのお立場、お立場が違うと思いますけれども、それぞれこの新しい超電導の研究開発あるいは企業、事業化というような問題について国としてどういった対応をすることを望んでおられるかということを伺いたいと思います。
 それからもう一つは、現在、きょうの御説明をいろいろ承っておりましても、出てくるいろいろな金属の元素、材料というものはある範囲に限られているようで、例えばイットリウムとかランタンとかネオビウムとかゲルマニウムとかいうもので、今後またさらにいろんなものが出てくるんだろうと思いますけれども、日本は比較的金属資源、そういう資源には恵まれていない国でございますので、京都の今度の会議にも中国から何か相当の材料を運んできて、これは商売という点からかもしれませんけれども、持ってきているというようなことを聞いておりますけれども、今後のその資源ということから、この超電導の材料についてどういうことを考える必要があるかということを伺いたいと思います。
 それから、先ほど早川参考人から特許についての、これはフィロンフィーのようなお話をちょっと伺いましたが、超電導に関する特許の出願の件数というのは非常に多いというふうに聞いております。もちろん、これは他よりも優先的に工業所有権を確保するという問題、あるいはこの技術は既に自分のところで開発したんだという優先権を主張するために必要であるということが考えられますが、同時に特許を出願するということはこういう技術があるんだということをある意味では公開するということにもなるんで、プラスの面とマイナスの面と両方あると思いますが、そういう点について御意見を伺いたいと思います。
 以上でございます。
#38
○参考人(笛木和雄君) お答えいたします。
 まず国の施策でございますけれども、私、大学におりますので、その立場から申し上げさせていただきたいと思います。
 実際、今度の仕事を乱やりました経験で、やはり研究費が非常に不足しているということをつくづく感じまして、実は今度のように非常に事態が速く進展する場合は早く手を打たないと、する仕事する仕事が後手後手に回るものですから、それを大変心配しておりまして、早く手を打ちたい、しかし、その多くの場合が研究費による部分がかなり多くあって、こういう場合に特別のそういう迅速な対応ができるような制度があったら非常にありがたかったなというふうに思います。
 それからまた、この仕事は先ほどからも話が出ておりますように多分に非常にインパクトの大きなものを持っておりますので、やはり国際化ということは非常に必要だと思います。特に日本の場合には今までいわゆる科学技術というものが導入技術主体型であって、早く自主技術をつくらなければという声は前からございまして、逆に言えば自主技術をつくるということは基礎の部分に非常に力を注ぐ、その中には当然非常に今までの経済効果から言えば効果でないような、そういうふうな部分を多分に含む、要するにむだになる部分が非常に多いわけです。そこにたくさんの労力を投じ、お金を投じるということ、これがまた世界の中の一員として日本のとるべき時代に来ているんだろうと思います。そういう意味で、国際化の推進ということで、そういう面におきましてもいろいろな御配慮をしていただけると日本の研究者の立場というものが一層よくなるんではないかというふうに思います。
#39
○参考人(早川茂君) 超電導の研究につきましては、特に先ほど私はエレクトロニクスの応用ということで室温超電導を期待していろいろのお話を申し上げたわけですけれども、それを実現するためには一層の基礎研究が必要であるというふうに思います。そういう基礎研究を推進していくためには、官学産の一体の取り組みというものが基礎研究の場合には僕は可能であるというふうに思うわけであります。したがって、そういう仕組みをつくっていただくということを特にお願いしておきたいと思います。
 それから同時に、今もお話がありましたけれども、国際的な共同研究というものを進めなければならないと思いますけれども、そのためにはギブ・アンド・テークということが前提になります。そういう意味でも、先ほど申しました官学産での一体の基礎研究への取り組みの仕組みをまず日本として確立しなければならないんじゃないかというふうに考える次第であります。
 それから、特許の二面性でありますけれども、まことにおっしゃるとおり特許には二面性がございます。秘密を明かすということでデメリットもあるわけですけれども、大体日本の企業に共通するところは、できるだけ技術は権利化するということで特許に公開するということを前提にしておるようであります。我が社もそのような方針で現在進めております。
 以上であります。
#40
○参考人(南雲道彦君) 御質問ございました資源問題に一言触れたいと思いますが、このイットリウムはいわゆる希土類元素でございまして、現在一番たくさんありますところは中国でございます。それからカナダとかインドとかソ連とかがございます。埋蔵量自体はこれはかなりあると言われておりまして、例えば中国なんかは、まだこれから開発されるのでよくわかりませんが、例えば一千万トン以上というようなことでございまして、全世界では恐らく数千万トンという埋蔵量が予想されております。ですから、トータルとしてはそれほど悲観的ではございませんけれども、ただ、現在の段階ではそれが採掘可能あるいは製錬可能になっているキャパシティーはわずかである。
 日本の場合には、希土類元素の輸入がたしか年間数千トンじゃないかと思いますが、イットリウムは年間二百五十トンというふうに聞いていますけれども、その程度の量でしかございません。ですから、これが超電導に大量に使われるということになりますと、それなりの現実の問題としての対応の課題というのは出てくるかというふうに思います。ただ、この希土類元素は超電導だけではございませんで、既にテレビの蛍光体なんかにも使われておりますし、それから最近の永久磁石でございますね、サマリウム・コバルトとか、あるいはネオジウム・鉄・ボロンとか、そういうものにも使われて、いわゆる機能性の原科としては非常に重要なものでございますので、地球全体としては資源があるとはいうものの、やはりこれに対する日本の対応というのは十分に検討する必要があるというふうに思っております。
#41
○小西博行君 時間もかなり経過しましたので、二点だけちょっとお伺いしたいんですが、まず一点は、どうもこの研究についてはアメリカと日本が先行して先頭争いをしているというふうによく書かれております。どうも最近ではアメリカも大きなプロジェクトを組んで大変大きな予算をとって活発にやっておられるというように聞いております。この間の国際会議でもいろんな国が出ておられたと思うのですが、その辺の実態について笛木参考人の方からお伺いできたらと思います。
 それからもう一点は、やはりこの基礎研究というもの、今も随分出てまいりました。科学技術関係の予算というのは日本も既に八兆円近いということで、政府の方もかなり金を出しているというような意識が強いと思うのです。ところが、現実になりますと、さっき中川参考人がおっしゃいましたように、基本研究といいますか、基礎研究ほど実験の設備その他で大変金がかかる、その設備が買えないばかりに研究がおくれてしまう、そういう面も多分にあるんじゃないか。そういう意味で、この流動研究システムというのはいろんな専門の人間が集まって今やっていただいておるんだと思うのですが、私は、この設備の関係ですね、実験の設備、こういうものがお互いの大学であるとかあるいは研究所の関係で、共同購入といいますか、お互いに使えないものかというようなことをいつも思うのですが、その辺の協力体制というものはどのようになっているのか。そのことが恐らく、研究の勝敗を決めるといったらおかしいんですけれども、進展の度合いに大きく影響しているんだやないか、このように思いますので、その点、中川参考人からお願いしたいと思います。
 この二点です。
#42
○参考人(笛木和雄君) 日米の研究状況でございますが、確かに今の感じから申しますと日本と米国が世界の中では先頭を切っている、そしてそれに中国もある程度加わってきている、こういう感じだろうと思います。ヨーロッパはどうも少しおくれてゆっくりとという感じでございます。
 米国の場合には、実は基礎研究では大変私は自信がおありなんだろうというふうに思っております。ただ、それを技術移転、技術にもっていくときにやはり日本の方がすぐれているんではないかという、そういう種類の感じをお持ちのようでして、特に大統領の演説の中の基礎となった部分には、多分にそういう一種の焦りと申しますか、それがちょっと感ぜられるわけでして、ですから、あの中には非常に技術に早くもっていく、それから技術の保護をするというような考え方が非常に強く出ているんだと思います。この辺はちょっと私には、むしろ会社の方の方が技術の問題についてはよく御存じだろうと思いますが、ただ、少なくとも受けている感じはそういう感じでございます。
#43
○参考人(中川龍一君) 基礎研究に設備が非常に要るからそれをどうしたらいいか、あるいは共同で購入したらどうかという御指摘だと思いますが、その時点でできるだけのことは私どもはやっているつもりでございます。
 といいますのは、例を申し上げますと、現在三つの大学、それから約十社とこの新超電導材料についての共同研究を進めております。それで、お互いの設備をできるだけ有効に使い、または使わせてもらうという形で現実に共同研究は走っております。それから科学技術庁の中で、来年度マルチコアプロジェクトといいまして、科学技術庁でそれぞれ特徴のある研究をやっておりますから、それをコアにしまして、そしてまた、その中にも産業界の方、大学の方に入っていただいて、全体として大きなプロジェクトとしてこういう研究に進んでいこうという計画を実は来年度持っております。
 それでもなおかつ非常に大きな設備が実はどうしても欲しいわけでございます。そういうのを共同で各社金を出し合って買うのか。それとも政府から金をいただいてそれを共同施設としてどこかに置くのか。それは私どもは後者をできたらとっていただきたいというふうに今のところお願いしているところでございます。
 そういうことで、できるだけそれぞれ持っている設備、大学では大学でいい設備を持っている、会社では会社で持っている、その設備の有効活用をするための共同研究をやっております。
#44
○久保田真苗君 大変話題になっていますこと、短い時間で少しわかったような気がします。ありがとうございました。
 それで、一つお伺いしたいのは、中川参考人は先ほど、高圧線の場合五、六%のロスがあるけれども、そういうものがゼロになると言われました。それから早川参考人は、非常に速度を増す、そして消費電力量が、これは電力が百分の一と言われましたですか、効率が数百倍になるというふうに言われたと思います。それで実際に超電導が実用化されますと、そういう意味でのエネルギーについてどれだけの革命が起こってくるのかわかりたいなと思うのです。
 それからもう一つは、エネルギー損失がゼロだという効力が一つと、それから先生方のお話で素粒子効果というものがあって、それが速度を増し高感度の効果を持っているということなんでございます。その二つが今ねらわれている、非常に騒がれてねらわれていることなのか。南雲参考人が言われました産業革命にも匹敵するというような効果は、非常に大きいインパクトだといわれるそのことはその二つを指しているのかどうか。一体どういう変化をお考えになっていらっしゃるのか。そんなことを伺わせていただきたいと思います。
#45
○参考人(中川龍一君) 私が申し上げましたのは、一つの例えば高圧電線で現在銅線を使って電力を送っている、それが大体五ないし六%の電力ロスがあるようです、それが相当の金額になりますということを申し上げました。それで、もしそれが室温での超電導材料でそういう高圧送電ができれば、そのロスはゼロになります。それで東京都の年間の使用量の半分、約六千億ぐらいと言われておりますけれども、それのロスがなくなるでしょうということを参考までに申し上げただけでございます。
#46
○参考人(南雲道彦君) いわゆる社会的インパクトがエネルギー分野でどれだけの大きさになるかということは非常に難しい数字でございますけれども、今電力が実際に使われないで、途中執とかほかの形で失われていくのが実は七〇%ぐらいございまして、最終的に我々が利用しているのは二十何%しかないというふうに言えます。その一番大きなのは、実は石油とか石炭という一次エネルギーを電力にするときに失われていくものでございまして、そこの効率を上げていくことが必要でございます。そのために例えばMHD発電ですとか核融合というようなことがあるわけですけれども、超電導が使われまして非常に強い磁場が発生する、それが経済的に可能だということになりますと、こういった新しいエネルギー源というものが可能になってくると思います。
 そこで、変換効率がどのくらいよくなるかということはちょっと一概には申せませんが、恐らく現在一次変換効率で失われているもののまず一割以上はさらによくなるだろうというふうに思います。それから送電に失われるものについては中川参考人がおっしゃったとおりでございます。
 産業革命と私が申しましたのは、まずエネルギーという面で見た場合に、例えば現在のいわゆる化石燃料、石油とか原子力に大量に依存しているというそのエネルギー消費が非常に大幅に減ってくるということで、やはりエネルギーというのは社会の一番基本でございますから、そういう意味でエネルギー資源が変わり、あるいはそれに使われる何といいますか、財産といいますか、が軽減できるということは、社会の宮ということに対して非常に影響を持つだろうということが一つでございます。
 それから、もう一つの産業革命と申しましたのは、早川参考人がおっしゃいましたように、我々の家庭生活なりあるいは社会での例えば交通システムとか通信システムとか、そういうインフラストラクチャーと言うのが適切かどうかわかりませんが、そういった我々がふだんに使う道具というものが大幅に変わってくる。それによって新しい文化ができてくる。そういう意味での一種の革命というものが予想されるのではないか。その二つの意味で申し上げました。
#47
○参考人(早川茂君) 超電導材料の大きなインパクトというのは、いわゆる電気を伝える道における抵抗がといいますか、損失がなくなるということでありまして、その電気を何らかの形で使わなければいけないわけですから、電気を使うということが全然なくなるということではないわけでありまして、そういう意味で、今南雲参考人が言われたように、大ざっぱなエスティメートとしまして大体一割から二割ぐらいエネルギー消費が減っていくんじゃないかということが言えると思います。
 以上です。
#48
○出口廣光君 どなたでも教えていただきたいんですが、室温での超電導というものが実現するまでの間は大変低い温度だとか強い磁界で研究、実験というものが行われていくと思いますけれども、そういった超低温あるいは強い磁場で作業、研究に従事される方に人体にいろんな影響がないだろうか、悪い影響がないだろうか。もしありとすればその安全対策と申しますか、防護対策というようなものが今講ぜられておるのか。また将来どう展開されようとしておるのか。さらに、国の施策としてそういう安全対策というものを考えなくていいものなのかどうか。そういった点について御教示をいただきたいと思います。
#49
○参考人(笛木和雄君) 私、人体に対する影響については素人であれなんですけれども、実は、先日医学関係の方にちょっとお話を伺ったことがございますが、その方のお話ですと、非常に強い磁場のもとで人体に対してどういう影響があるかは、まだ医学の方ではわかっておらないことであるというふうにおっしゃっておられました。そういうことから言いますと、私は、非常に強い磁場を使う可能性があるとすれば、やはりこの問題を早い時期に取り上げて検討はしておく必要があるんだろうというふうに思います。
 それからもう一つ、これは超電導を使いますと実は磁気遮へいという、さっさもありましたけれども、磁気を遮へいすることが逆に超電導を使うとできるわけなので、非常に強い磁場がもし影響があるというようなことになれば、そういうふうな磁気的な遮へい、シールドということも技術的にはできることになろうかと思います。
#50
○参考人(中川龍一君) 私も、うちで相当な強磁場の磁石を持っておりますので、その強い磁場の人体への影響ということを内々友だちの医者に聞いたんですが、それはまだわかってない、例えば超電導の、さっき申し上げました磁気診断装置がございますが、あれでも大した影響ないんだから大丈夫だろうという内々の返事を受けているわけです。ただ、磁場の近くへ寄りますと、ちょっと金属の何かを持っているとそれと一緒に吸いつけられて手を挟んでけがをしたということがございますので、せいぜいそばへ寄らないように冊をつくっているという程度でございます。
 どの程度人体に強い磁場をかけたら悪いか、いいこともあるのかもしれませんが、それはまだわかってないようでございます。だから、それは医学界の方でできるだけ早く調べていただきたいなというふうに考えております。
#51
○委員長(飯田忠雄君) 他に御発言もないようですので、質疑はこの程度にとどめます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり当委員会のために貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 なお、本日参考人の方々から御提出いただきました参考資料につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(飯田忠雄君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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