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1987/09/02 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1987/09/02 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第109回国会 科学技術特別委員会 第3号
昭和六十二年九月二日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         飯田 忠雄君
    理 事
                後藤 正夫君
                出口 廣光君
                伏見 康治君
    委 員
                岡野  裕君
                岡部 三郎君
                木宮 和彦君
                成相 善十君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                前島英三郎君
                松尾 官平君
                稲村 稔夫君
                久保田真苗君
                松前 達郎君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)      三ツ林弥太郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      見学 信敬君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   加藤 昭六君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   吉村 晴光君
       科学技術庁研究
       開発局長     川崎 雅弘君
       科学技術庁原子
       力局長      松井  隆君
       科学技術庁原子
       力安全局長    石塚  貢君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        高橋 利彰君
   説明員
       警察庁警備局公
       安第三課長    伊藤 一実君
       環境庁大気保全
       局企画課長    奥村 明雄君
       厚生大臣官房ラ
       イフサイエンス
       室長       澤  宏紀君
       厚生省生活衛生
       局食品保健課長  大澤  進君
       厚生省生活衛生
       局食品化学課長  内山 壽紀君
       厚生省社会局更
       正課長     戸口田三千尋君
       農林水産技術会
       議事務局研究開
       発課長      稲垣 春郎君
       農林水産技術会
       議事務局バイオ
       テクノロジー課
       長        上原 達雄君
       通商産業省通商
       政策局国際経済
       部国際経済課長  細川  恒君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       政策課長     新  欣樹君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器課長     本田 幸雄君
       工業技術院総務
       部研究業務課長  山浦 時生君
       工業技術院総務
       部次世代産業技  根津利三郎君
       術企画官
       工業技術院総務
       部研究開発官   中山 真一君
       気象庁地震火山
       部地震火山業務
       課長       鈴置 哲朗君
       郵政省電気通信
       局電気通信事業
       部データ通信課
       長        高田 昭義君
       郵政省電気通信
       局電波部基幹通
       信課長      長谷川憲正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術会議の意見・答申に関する件)
 (老化のメカニズム研究に関する件)
 (障害者の情報電子機器の利用に関する件)
 (第五世代コンピューターの将来見通しに関す
 る件)
 (原子力船の現況と将来の方針に関する件)
 (宇宙開発等への取組みに関する件)
 (原子力開発利用長期計画に関する件)
 (大型放射光(SOR)の施設計画の推進に関
 する件)
 (超電導に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(飯田忠雄君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○前島英三郎君 我が国の宇宙開発が着実に前進を見ておりますことは私にとりましても大変うれしい限りなんですが、特に今回のHIロケットは我が国独自の技術ということで、一つの新しい歴史的な飛躍であるというふうに高く評価されると思うのです。とはいいましても、米国のNASAの歴史に比べますとまだまだ遠く、及ぶべくものもありませんし、予算も規模も歴史も比較すること自体が無理というのが正直なところの現状ではないかというふうに思います。
 しかし、そこから多くのことを学ぶことはできると思うのですね。技術的なこともさることながら、研究体制とかあるいは研究姿勢とか世論の支持とか多角的に学ぶことができると思うのです。むしろまた、それを学んでいくことが日本のこれからの道ではないかというふうに思うのですが、長官はことし一月にNASAを訪問されたということを伺っておるんですけれども、その印象などを率直にもしお聞かせいただければと思うのでございますが。
#4
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 私は、本年一月に米国の航空宇宙局、NASAを訪問いたしました。昨年一月のチャレンジャー事故等により相当の影響を受けているのではと心配をしておりましたが、実際訪問してみますと、事故を乗り越え、世界の宇宙開発のリーダーとして再び力強く活動しており、深く感動いたしました。また、ジョンソン宇宙センター及びケネディ宇宙センターにおける極めて水準の高い研究開発活動及び最先端の施設設備とともに、意欲的なスタッフの姿に宇宙大国としての自負と将来に対する意気込みを感じ、深く感銘をいたしました。私といたしましても、我が国の宇宙開発についてこの視察を参考として一層強力に推進してまいるよう決意を新たにした次第であります。
#5
○前島英三郎君 長官も一月の訪米で大変印象を強く持たれたというお話を伺ったんですけれども、NASAがというよりも、人類が初めて月に人間を送り込むことに成功したのが一九六九年でございますので、それからもう十八年がたちまして、昨年一月のスペースシャトルの事故もありましたが、この偉業の輝きは失われることはないと思います。
 月に人間を送るというこの偉大な成果をおさめたNASA、米航空宇宙局が老人や障害者の自立と福祉に大きな貢献をしているということは余り知られていないんですね。実は私もいろいろと調べてみますと、NASAの研究の成果が実は障害者やあるいは老人の生活のためにいろいろと科学的に役立っているということの報告があります。
 例えば、一つは心臓のペースメーカーというのも、これもNASAで研究をしたんですね。これはむしろ宇宙船における飛行士の生体機能を遠隔監視する生物測定装置という形でやっているNASA技術をそのままやっているということや、それからまた、例えば高血圧にかかっている人、この高血圧というのは非常に症状がないだけに大多数が高血圧を自覚していないわけですけれども、それでも簡単に操作できる血圧測定器が実は宇宙で飛行士をモニターするためにNASAの技術の直接の副産物としてこういうものもできている。
 それから、月面の重力シミュレーターがありますけれども、今、足の不自由な人たちが水治療していますけれども、それはいわば自分の肉体を足が支えられないということで、実は月の重力は六分の一ということですから、その中で順番にそのシミュレーターを使った形の今医学的な使われ方が実は行われているという体重軽減歩行練習機というのがあります。これもやはりNASAのそうした月での一つの体験をもとに開発をされている。
 声で制御される車いすなんというのもありまして、これは四肢が麻痺した人のために考案された、NASAの開発で声でコントロールされる車いすとその操縦器というのがつくられた。つまり、無重力の状態というのは完全に宇宙飛行士も四肢麻痺になるんだそうですね。四肢麻痺になってしまうものですから、それを実際に開発をすることによって、いわば民間とNASAとが共同開発のような形でできているというようなこととか、あるいは人工股関節とか、あるいはニッケル・亜鉛電池とか、それからまたスピーチオートキュアーなんというようなものもあったり、液体冷却衣なんていうのがあるんです。これは月面での活動をするために直射日光に当たるので体を冷やすために宇宙服の下に着用するもの。実は、これは非常に何といいますか日常生活の中でいろいろと体を冷やさなければ外出できない、特に暑いところでの生活ができない、発汗作用のない人たちのためにこれもNASAのそうした宇宙服が現実には使われている。筋肉性脳性麻痺症にかかった人のためにこれは大変な貢献をしている。
 それから失禁患者補助具というのがありまして、これは障害や病気によりまして排せつ機能の自制を失うことが多くある。私たちのような脊損なんかはこういう症状になっていくんですけれども、こういう人たちとか、パーキンソン氏病とか、あるいは脳血管障害の人とか、糖尿病患者の人たち、こういう人たちはもう日本でも百五十万人ぐらいいるんですけれども、こういうような人たちが尿をどのように採取するか、つまり宇宙はトイレがないわけですから、どのように排せつをするのかというようなことをやっている。この装具はおもしろいことにNASAに対して逆副産物となりまして、女性のためにもこれが使われるようになって、実は新しく生まれた女性飛行士のために今度は逆利用されるようになっていったというような官民共同の一つのそうした形があるとか、例を挙げますと本当に数限りなくあります。
 中には、おもしろいのは老人のための食事、つまり、これはどういうことかというと、NASAは飛行士に簡単につくれる栄養価の高い食事を供給しなければならぬわけですね。そのためにジョンソン宇宙センターの管理で老人のための食事を実は開発する。非常にわずかで、それから高たんぱくで、そして安易につくれるというふうな、一人暮らしの老人のためのこうした食事なども実はNASAが研究をしているということで、大変私もびっくりしたんですけれども、そういう意味では、これからの宇宙飛行士の生命維持のための技術というものがこうした形で生み出される。
 考えてみると、やはり宇宙船の中というのは、強烈な加速度に耐える宇宙飛行士の状態というのはまさに四肢麻痺の状態でありまして、大気のない月世界や宇宙空間においては人間は弱者そのものであるということが言えると思うのです。そうした状況の宇宙飛行士の命を守る、必要な行動ができるようにする技術がこの地上において実は老人や障害者のための技術としてそっくり活用できる、こういうことなんですが、こうしたことにつきまして、今後日本もますます宇宙開発というのが盛んになっていくのですけれども、こういうことを念頭に置きつつ今後やっていただきたいという気持ちが大変私たちにあるわけですが、その辺はどのようにお考えになっておられるか、長官、もしお答えできれば。
#6
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 先生からNASAにおきまする例を挙げられまして、私も今感じたところでございますけれども、御指摘の障害者の意見を十分取り入れてやるべきではないか、こういうふうな御質問でございますが、全般的といいますか、昨年三月に閣議決定した科学技術政策大綱におきましても、科学技術の振興に当たっては「人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間そのものに対する理解を深めながらこれと調和ある科学技術の発展を図ること」の重要性を指摘をされております。したがって、科学技術の研究開発の推進及び成果の活用に当たりましては、先生御指摘のように広く関係各界の意見を十分にくみ上げ、総合的観点から施策の推進を図ることが必要であると考えております。
#7
○前島英三郎君 これはNASAに限ったものじゃありませんで、不便さを便利に変えるのが科学技術であるというのが私の口癖なんですけれども、宇宙飛行士のように選び抜かれ鍛え抜かれた人々であっても、ある条件のもとでは障害者以上に不便になってしまうということですから、これからもぜひひとつ長官、そういう発想のもとに推進をしていただきたいと思うのです。
 科学技術会議が昨年五月に「長寿社会対応科学技術推進の基本方策に関する意見」というのを具申いたしました。これは時代の要請を受けた重要なものであると考えるんですけれども、これを受けて、さてどのように対応していったらいいのか、また対応するのか。読ませていただいたんですけれども、メニューはたくさんあるんですが、私の印象としてはいま一つ何かしんが欠けているように思えてならぬわけですけれども、この意見具申に対するこれからの取り組みなどを例えたらお伺いしておきたいと思います。
#8
○政府委員(加藤昭六君) 先生御指摘の長寿社会対応科学技術の推進の基本方策、これは昨年の五月に内閣総理大臣に意見具申したところでございます。
 まず、その内容でございますが、長寿社会対応科学技術に関しましての重要研究開発目標を体系的に整理したというのが特色でございます。具体的には、今後十年程度を展望いたしまして、まず第一に生理的老化機構、第二に看護・リハビリテーション、第三に介護機器などに関します研究を重要な研究目標と取り上げているところでございます。
 こうした研究開発の推進方策でございますが、特に基礎的研究を推進するため体制の整備、これは非常に重要でございますが、これを指摘しております。また、実験動物、実験用細胞の安定的な供給、これも必ずしも十分でございません。それから福祉機器などの研究開発費の充実でございます。それから若手研究者などの人材の育成確保、これも今後重点を置いていかなければならないわけでございます。
 こうしたことを重要であると指摘しているわけでございまして、今後各省におきましては、この意見を踏まえまして適切な施策を講じていくことを期待しているところでございます。
#9
○前島英三郎君 ことしの五月、予算委員会でちょっと関連質問させていただきまして、その中で申し上げたことは、昔からの夢である不老長寿をもうすぐ実現できるところまで日本は来ているというように思うのです。現在問題なのは、長寿社会にはなってきたんですけれども、不老という部分が達成されていないわけで、これから社会保障費全般を含めますと今三十五兆円と言われておりますから、ますますこの辺は膨らんでいく。後二十年もすると痴呆性寝たきり老人というような人たちも百八十万人ぐらいになるだろうというような予測もあるんですけれども、不老長寿社会というものがやはり人類の夢だと思うのですね。そのためにも老化のメカニズムの解明に全力を挙げるべきということをそのとき私も提言させてもらったんですけれども、それに対しまして中曽根総理は、積極的に進めると極めて前向きの姿勢を示されたんです。
 そこで、研究の現状を確認しておきたいと思うのですけれども、科学技術庁の取り組みもさることながら、きょうは厚生省にも来てもらっておるんですけれども、両方から、厚生省から概略を例えればというように思います。
#10
○政府委員(川崎雅弘君) まず、科学技術庁の方からお答えを申し上げます。
 ただいまの老化問題についての研究開発の現状でございますが、科学技術庁といたしましては、一つは中心となる研究機関として理化学研究所の中においてかねてから進めておりましたが、これにつきましては、特に今政策局長の方から答弁のありましたフロンティア研究の中の生体ホメオスタシスという大きい研究範囲の中で老化の問題というのも一つの要素として研究を進めていくということにしております。これにつきましても、明年度も研究の充実を図るべく実験棟の整備等の所要の予算措置を講じようとしているところでございます。
 それからもう一つ、これは当庁の傘下研究機関だけではございませんで、東京都の老人総合研究所であるとか三菱化成の生命科学研究所、あるいは厚生省の国立栄養所といったような関係いたします機関を総合的に集約をいたしまして、昭和五十八年度から老化因子の探索に関する研究というのを続けております。
 これは、第一期が外的な要素あるいは内的な要素という要因の区分けを行うような研究をそれぞれの分担に応じて行ってまいりまして、第一期が五十八年から六十年度までの三カ年続けてまいりました。第二期が六十一年度からちょうど本年度いっぱいということで、以上第一期と二期をもちまして第一段階としての老化因子の探索に関する研究は一応成功裏に終了する見込みというふうに評価を現在されているところでございます。
 なお、御指摘のように本分野の研究はアルツハイマー病などいろいろの社会的不安要因のもとにもなる重要なことでもあろうと思っておりますので、私どもといたしましては、関係省庁と力を合わせまして、科学技術振異調整費の本来の趣旨にもかんがみまして、科学技術会議等の意見を十分踏まえまして、今後とも第二段階、第三段階というような形でこういう老化問題に総合的に取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
#11
○説明員(澤宏紀君) 厚生省におきます老化の研究の状況でございますが、ライフサイクルの長期化に対応し、生き生きとした高齢化社会を目指すためには、高齢者が健やかに自立し、社会生活に適応し続けるためのシステムや技術の開発が不可欠であると考えるわけでございます。
 そこで、厚生省として本年度から厚生科学研究費補助金によりまして、医学を初め関連諸科学を動員して高齢者の心身の健康を確保し、生活の質的向上を図るための長寿社会対応科学技術、私どもこれをシルバーサイエンスというふうに称しまして、シルバーサイエンスに関する研究開発に着手したところでございまして、その中で老化メカニズムの解明も重要な研究のテーマの一つとして位置づけておるわけでございます。
 また、厚生省の附属試験研究機関、研究所、例えば国立がんセンター、また先ほど科学技術庁の方から御答弁もございましたが、国立栄養研究所、動脈硬化と栄養は非常に関係が深うございますが、国立栄養研究所において従来から老化メカニズムの解明に関する研究等を行ってきておるところでございます。
 以上でございます。
#12
○前島英三郎君 この問題もまたアメリカと比較するのもどうかと思うのですけれども、先進諸国の中でもアメリカにおけるこの分野の研究状況というのは大変なものであるということを聞いております。日本健康クラブの仲野好雄さんという先生がおられますが、この先生もたびたびNIH、NIAの方を訪問されて、とにかく行くたびにびっくりするということです。
 日米共同体という形の中におけるいろんな意味での共同体がありますが、これからこうした老化のメカニズムについての共同研究ということは大変重要だというふうに思うのですが、厚生省はアメリカの状況をどんなふうに受けとめておられるか。
#13
○説明員(澤宏紀君) アメリカにおきます老化関係の研究の状況でございますけれども、アメリカでは国立保健研究所、いわゆるNIHの中に国立老化研究所、NIAがあるわけでございますけれども、アメリカ全土の研究組織と連携をとりつつ総合的に老化の研究を行っており、アメリカにおける老化の研究は世界のトップクラスにあると認識しておるわけでございます。
#14
○前島英三郎君 ここに、ある週刊誌の記事のコピーを持ってきたんです。これは科学評論家の柳田邦男さんのコラムなんですが、日米の研究体制の格差につきましていろいろと指摘しておりまして、先ごろ出された厚生科学会議の中間報告に対して「行政のダイナミックな対応を期待したい。」こう結んでおられるんですが、やはり厚生科学会議の報告だけでなくて、科学技術会議の意見具申も含めてこういうものはやっていかなくてはならぬというふうに思うのです。
 そこで、「予算も規模も桁違い=vというようなことが書いてありまして、「聞くところによれば、NIHへの日本人の研究留学は一九五〇年代から始まり、その後次第に増えて、今年六月一日現在の日本人在籍数は三百二十七人、また、これまでの日本人研究留学者総数は一千五百人以上に上るという。」ということなんですね。
 予算規模が年間約一兆円であるというようなことですから、老化のメカニズム、老化の研究ということに一兆円なんという、数字聞いただけでもちょっとぶったまげてしまうんですが、そういう意味でも、日本も結構このNIAにはお世話になっているし、それからまた日米の老化の研究というようなこと、エイズも含めていろんな意味での研究交流というものはこれから活発になっていくと思うのですが、この辺の日米の協力体制はどのようにこれから対応していくお考えなのか。科学技術庁でももしお答えがあれば、あるいは厚生省でも結構ですが、伺いたいと思います。
#15
○説明員(澤宏紀君) 老化の研究分野におきます国際協力、中でも日米協力についての御質問でございますが、アメリカ等老化研究の先進諸国との適切な共同研究は極めて有意義であると考えておるわけでございます。そこで、来年度、六十三年度概算要求の中で厚生省といたしまして新たにアルツハイマー病等の痴呆疾患に関する国際研究協力、特に日米協力でございますが、そのための経費を計上したところでございます。
 また、厚生省におきましては、従来日米医学協力ということでいろんな疾患の研究協力をやっているところでございますけれども、老化のメカニズムを取り上げることについては、現在進行中のプロジェクトとの兼ね合いやアメリカ側の意向もあり、直ちに実施することについてはいろいろ難しい問題もあると考えられますので、さらに検討してまいりたいということでございます。
#16
○政府委員(川崎雅弘君) 科学技術庁といたしましては、先ほど申し上げました理化学研究所の生体ホメオスタシスというのは、その名のとおり国際フロンティアという大きい研究領域の中の一つでございますので、当然のことながら他の分野と同様に日米を初めとする国際協力を積極的に取り入れて、本分野の推進に今後も努力をしていきたいというふうに思っております。
#17
○前島英三郎君 厚生省もやる、科学技術庁もやる。余り何といいますか、ばらばらでやっても効果が半減するような気がいたしますから、研究交流促進法というようなものも先国会で通過しておりますので、これからやはり日本から単にNIAやNASAに学びに行く、学んで帰ってくるんじゃなくて、彼らにも積極的に日本に来てもらう。そういう受け入れ体制というようなことも今後は科学技術庁でも重要に考えていかなくてはならぬと思うのです。
 来年度はそういう意味での受け入れ体制の予算なんかも計上してあるやに聞くんですけれども、いわゆる研究交流のための、これは老化のメカニズムに限らず、いろんなあらゆる分野においての国際交流にかかわる一つの取り組みというようなものは、科学技術庁どんなものがあるでしょうか。
#18
○政府委員(吉村晴光君) 先生御指摘のとおり、国際的に交流をしながら研究を進めることは大変大事なことでございまして、お互いに分担をするということもございますが、研究者同士が行き来をして共同研究をするということも非常に大事になっておりまして、私どもといたしましては研究者の交流の促進を従来から図っておるところでございます。来年度の予算におきましても研究者の受け入れの数をできるだけふやしたいということを考えておるわけでございます。
 ただ、研究者交流の場合に、従来から各方面からいろんな御指摘がございますものの中に、受け入れ枠だけの問題ではなくて、受け入れた研究者の生活環境の整備が非常に大事だという御指摘が前々からあるわけでございます。そういった点についても力を入れたいということで、本年度から、ささやかでございますが筑波の国の研究所に受け入れる研究者のために宿舎を整備するということをやっておりまして、間もなく入っていただけるような段取りになっておることでございます。
 来年度もこういった点を拡充するということも考えておりますし、それから筑波で生活をされますのにいささかのお役にも立てはということで、日常生活上の日本語の研修をやるとかオリエンテーションをやるとかいったことも考えておりますし、それから、外国から日本に来られる方は、遠く離れますと、日本の研究機関はどんなところがあって一体どういう場所にそういう外国人の研究者を受け入れる制度があるのかといったことも余り情報が入らないという御指摘もございますので、そういった情報提供につきましても始めたいということでいろいろ施策を検討しておるという状況でございます。
#19
○前島英三郎君 三十分ですからもう最後になると思うのですけれども、もう一つ、アメリカの動きに関連するんですが、アメリカの法律にリハビリテーション法という一九七三年につくられたものがあるんですが、これは障害者のリハビリテーションに関する総合的かつ基本的な法律なんですね。この法律に昨年新たに電子機器へのアクセシビリティーという条項が追加されまして、これは五〇八条であります。五〇八条は、連邦政府の各機関が購入またはレンタルする電子機器は、障害を持った人、それから老人に使えるものでなければならないという内容で、現在そのガイドラインが検討されておりまして、ことし十月には決まるんです。
 実は、私たちは今、日米障害者協議会というのを始めておりまして、この十月にアメリカでアメリカの障害者の代表たちと第二回目の会議をするんです。その会議の議長が今リハビリテーション長官をしておりますジャスティン・ダートという男なんですが、彼らが本当に連邦政府の職員として障害者自身が働きつついろんな法律改正をしているんですが、こうしたことが来年の九月三十日以降にはこのガイドラインに沿って公布されるというような情報を得ているわけです。
 実にすばらしいし、かつ壮大なんですけれども、こうしたことを含めて、やはり日本は輸出大国でありますから、今後いろんな意味でのこうしたすり合わせもしていかなくてはならぬだろうと予測はするんですが、そこで障害者の電子機器利用に関し実情はどのようになっているのか。障害者の電子機器利用に関しこれからどのような対策を講じていくのか。今後十分努力をしていただくのはもちろんでありますけれども、どんな施策が考えられるのか。厚生省並びに通産省、そしてまた科学技術庁に具体的にすぐできることという例で科学技術情報センターでアクセシビリティーを実現させるというような、こういうふうな実行をする一つの意思があるかどうか最後にお伺いをいたしまして、私時間になりましたので質問を終わらせていただこうと思います。
#20
○説明員(戸口田三千尋君) 御指摘のとおり、アメリカにおけるリハ法の昨年の改正では電子機器に関する障害者のアクセスの問題を取り入れることにいたしております。これはアメリカが科学技術の応用をリハビリテーションのテーマの一つとして取り入れたということで、我々関係者は強い関心を抱いております。今後我が国における障害対策の発展のためにも、アメリカを初め諸外国のこのようなリハビリテーションに関する情報、あるいはそういう要請の分析につきまして十分留意をしてまいりたいと思っております。
#21
○説明員(本田幸雄君) 先生御指摘の、アメリカにおいてこのような条項が追加されましたことは身障者の電子機器利用の円滑化を通じて社会参加を支援するものとして示唆に富むものでありまして、検討に値する方策であると考えております。通産省としましても、電子機器が社会生活の中でますます比重を高めている中で、これら海外における施策の動向をも参考にしまして今後とも身障者福祉の向上に資する施策に一層力を注いでまいる考えでございます。
 現在どんなことをやっておるかということでございますが、現在は研究開発の面でいろいろとやっておりますが、通産省としましては、五十一年度から安全性、利便性にすぐれる先駆的な医療・福祉機器の研究開発を行っておりまして、福祉機器については既に六機種が製品化されております。また、現在さらに五機種の研究開発を行っているところでございます。今後もこのような研究開発を十分進めていきたいと思っておりますが、引き続き身障者のニーズを把握いたしまして、このような研究開発の面でさらに所要の施策を推進していきたいというふうに思っております。簡単でございますが。
#22
○政府委員(吉村晴光君) 先生御指摘のとおり、障害を持つ方々が日本科学技術情報センターのオンラインサービスなどを障害を持たない方と同様に利用できるようにするということは大変大事なことであるというふうに思いますが、実際のところ、今までそこまで手が回ってないというのが実情でございます。
 障害を持った方々が同センターのサービスを利用される場合も障害の種類によってどういった御要望があるかということはいろいろ変わってくるかというふうに思いますので、どのような御要望を持たれているかという実態把握がまず大事であるというふうに考えます。先生の御指摘もございましたので、同センターでこのような点について調査をするようにさせたいというふうに思います。
#23
○木宮和彦君 それでは、私から御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に長官にお尋ねいたしたいのですが、御存じのように最近科学技術の進歩というものが非常に顕著でございます。日進月歩といいますか、あるいは時間単位で大変な発展をしていることは、これは皆様方もよく御存じのことだと思いますが、ややもしますと科学技術の推進といいますか、そういうことだけが頭に残って、むしろその科学技術が発展することによって人間が受ける害と言うと大げさですが、言ってみれば思い上がり
といいますか、人間の科学というものが一体どの辺まで研究したらいいのか。あるいはその研究した成果を我々の実生活においてどのくらいそれを利用したらいいのか。特にバイオテクノロジーという高度の新しい学問ができてからというものは、私は大変これを今疑問に思っている一人でございます。
 大変難しい質問だとは思いますが、人間が踏み込んでいいという、それは個々によってケース・バイ・ケースだとは思いますけれども、しかし大綱として日本の将来の科学においてこうあるべきだというモラルといいますか心構えといいますか、そういうものについてまず長官にお尋ねしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#24
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 御説のように日進月歩の科学技術の進展でございますので、産業や個人の生活、社会生活はもとより人間の生き方、考え方にまで大きな影響を与えていくものと予想を実はいたしております。したがって、今後の科学技術政策の展開に当たりましては、昨年の三片に科学技術政策大綱をお決めいただきまして、それに従って進めているわけでございますけれども、人間及び社会のための科学技術という原点に沿いまして人間そのものに対する理解を深めながら、これと調和ある科学技術の発展を図ることが極めて重要であると考えております。
#25
○木宮和彦君 ただいま長官からお答えがありましたが、ついこの間、科学技術会議というのがございます、この議長が総理大臣である、ちょっとおかしいんですけれども、科学技術会議から内閣総理大臣に対して「脳・神経系科学技術推進の基本方策に関する意見」それからなお「免疫系科学技術推進の基本方策に関する意見」こういう基本方針が提出をされました。これには私もさっと目を通しましたところが七つの基本方針がございまするけれども、これにつきまして、その内容の骨子並びにその基本方針を内閣が受けてそれを具体的にこれからどうするのか、その辺につきまして科学技術庁のひとつ御見解をお願いいたしたいと思います。
#26
○政府委員(加藤昭六君) 先生御指摘の脳・神経系科学技術及び免疫系科学技術の推進に関しまして、この意見具申は八月二十八日、先週の金曜日に行われたばかりでございます。
 この意見具申の骨子は大きく二つに分かれておりまして、研究開発目標、それから研究活動の推進方策でございます。
 研究開発目標につきましては、十年程度を展望いたしまして大きく四つの分野についての目標を設定しております。一つが脳・神経及び免疫機能の解明でございます。二つ目に老年期痴呆、エイズなど、脳、免疫に係ります各種疾患の原因解明、予防、診断、治療法の開発でございます。それから第三に新しい原理に基づきます情報処理システムの開発、工学への応用技術の開発でございます。それから第四が、それらを通じまして共通基盤、支援技術の開発でございます。以上が研究開発目標の主なところでございます。
 そうした研究開発の推進方策でございますが、特に基礎的研究を推進することが重要でございます。このための体制の整備をまず指摘しております。なかなかこうした問題について専門的にしっかりやっていくところが十分でないと、体制の整備をまず指摘しております。それから実験動物や実験材料の安定的な供給、それから若手研究者の人材の育成確保、これは若手研究者、なかなか日本においては欧米諸国に比べると格段の差がございます。例えばアメリカにおきましては八千人と聞いております。日本は三千人と推定されております。こういう状況でございますので、若手研究者の人材の育成確保、こうしたところが重要であると指摘しておるものでございまして、今後この意見具申を受けまして、各省庁におきまして適切な施策を講じていくことを期待しておるのでございます。
#27
○木宮和彦君 ただいま大体基本方針が述べられましたけれども、その最後の方に、七つ目に、今お話がありましたが、免疫にいたしましてもあるいは神経系の方もそうですが、こういうことが書いてございます。研究の推進に当たっては倫理的、社会的影響や動物愛護に十分配慮することが必要である、こう書いてあります。倫理的、社会的影響というものがここに登場してくるわけです。実は私も、科学技術が進歩することは非常に結構でございますけれども、また推進することも大事だと思いますが、しかし科学者というものは、やはり自分の分野だけを見て、少しでも人より負けまいとして先へ先へと、後ろを顧みる暇もないというのが私は現状だろうと思うのです。
 ですから、そういう意味で、ライフサイエンスと申しますか、今私非常に心配していますのは、既に産児制限、バースコントロールというものも大分、これはいい意味で私は大変結構だと思うのですが、臓器の移植にいたしましても、手や足をかえるのは結構だと思いますが、そのうちに脳みそまで人のものとかえてしまうということができてしまったり、あるいは人工受精の問題あるいは男女を産み分けることができるような技術ができできますと、人間が男と女のバランスがとれなくなった場合どうするのか。
 あるいはもっと恐ろしい話では、精子をもう保存できる。永久とは言わなくても、百年も保存できるとしますと、これは優秀な精子だから、中曽根さんのはこれは百年とっておいてまたもどそうなんということになりますと、一体今の民法というものは根本的に考え直さなければ、父親の責任なんていったって、そんなものはとっくのとうにあの世に行ってしまったというのでは困るんでして、そういう冗談で済まされる間はいいんですが、これからの科学技術で何が起こってくるか、ちょっと何というか小説まがいになりますけれども、やはり前段の論議をよくしておかなければいかぬじゃないか。
 それからまた、これは将来の話だと思いますが、科学者だけではなくて、宗教家であるとか教育者であるとか、あるいは哲学者であるとか政治家とか、いわゆる世をリードしていく方々、広い層の方々に集まっていただいて、そしてその倫理機構といいますか倫理機関と申しますか、そういうものを今から準備する時代じゃないか、政府の責任で。それはどこが音頭取るか私は知りませんけれども、その辺大変難しい話と言えば難しい話で、しかし避けることのできない問題だと私は思っておるんですが、その辺につきまして科学技術庁の御所見をひとつ詳しくお話しいただきたい、こう思います。
#28
○政府委員(加藤昭六君) 先生御指摘のように、ライフサイエンスの今後の進展、これは大変に人間、社会に大きな影響を及ぼしていくと思います。特に人間に大きな影響を及ぼしていくものと考えております。これは既に科学技術政策大綱におきましても、人間及び社会のための科学技術という原点に立ちまして、人間そのものに対する理解を深めながら、これと調和ある科学技術の発展を図ることというふうに指摘されているところでございます。
 最近のいろいろな先生御指摘のような倫理問題についての取り組みの状況を見てみますと、国際的には既に御案内の五十八年五月にウィリアムズバーグ・サミットにおきまして、あるいはジョンズ・ホプキンズ大学高等国際問題研究所におきまして中曽根総理が生命科学と人間の会議の必要性を提唱されました。これを受けまして第一回会合が開かれ、引き続き毎年パリ、西ドイツ、オタワで開催されております。
 これは先生御指摘のような非常に各界の権威者を集めたものでございまして、神学者、哲学者、生物学者、教育学者などの各国の賢人の参加を得て、まず第一回は五十九年三月に東京において開催されております。このときの主要議論は、生命科学の現状と将来、生命科学の社会にとっての意味、生命科学の個人にとっての意味、生命科学研究に関する国際協力についてというふうな議論が行われたわけでございまして、先ほど申し上げましたように現在までに既に四回毎年議論されておるところでございます。
 また、国内に目を転じますと、科学技術会議ライフサイエンス部会におきましても、昭和六十年の七月にこの種の懇談会を設けておりまして、やはり哲学、宗教、文学、法律、歴史、非常に多方面の有識者を募りまして、ライフサイエンスと人間の尊厳の問題についての議論を重ねております。これは二カ月に一遍ずつ御議論を重ねておりまして、既に八回行っているところでございます。今後さらにこうした場での議論を重ねまして、先生御指摘のような人文・社会科学的観点も含めまして、総合的視点に立ったライフサイエンス科学技術の振興を図っていきたいというふうに考えております。
#29
○木宮和彦君 バイオのことはそのくらいにいたしまして、次に、電子技術総合研究所というのがたしか筑波にあると思います。俗称が電総研、最近本も出まして大変脚光を浴びております。日本のコンピューター、あるいはこの間勉強させていただきました超電導なども大変よく研究されているようでございますが、その電総研が最初に始めたと思うのですけれども、昭和五十七年から十年計画で第五世代コンピューター、現在は電総研じゃなくて財団法人新世代コンピュータ技術開発機構というところに委託されて今研究されていらっしゃるようでございますけれども、その第五世代のコンピューターが日本の技術史上世界に対して最大の創造的貢献というぐあいに褒められている、そういう見込みになると言われておりますが、果たしてこれが実現可能なのか。それからまた、これがもしも可能で実現された場合には革命的な実用化ができるということを聞いております。
 今までのコンピューターのシステムと全然違って新しいコンピューターでありますから、私どもは全く不勉強でございますし、また専門外でございますので詳しいことは本当にわかりません。どうぞひとつ皆様方、担当の方、国民がある程度わかるようにそしゃくしてお話しいただければ大変ありがたいと思います。特に、今までの方式が何かノイマン型という、今度は非ノイマン型という新しい方式だというふうに私も知っておるんですが、ひとつお教えいただきたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。
#30
○説明員(新欣樹君) 先生御高承のとおり、これからの日本は高度情報化社会というものを迎えることになるわけでございますけれども、この高度情報化社会の最も基本的なニーズの一つとして、人間の知能なり頭脳といったものにより近い情報処理をコンピューターで行う技術、つまり知識情報処理技術といったものによりまして人間の知的生産活動を向上させること、これがニーズとして指摘されておるわけでございます。
 第五世代コンピューターの研究開発は、従来のノイマン型のコンピューター、こういったものと方式を異にいたしますいわゆる非ノイマン型コンピューターというものを世界に先駆けて研究開発することによりまして、知識情報処理技術の研究開発に挑戦をしようという課題であるわけでございます。つまり、従来のコンピューターはプログラムを一つ一つ逐次処理していく方式というものであるわけでございますけれども、これに対しまして第五世代コンピューターは、知識ベースと推論機能というものをもとにいたしまして並列処理により高速で情報処理をする、こういうコンピューターを開発しようというものでございます。
 若干不正確な面がありますけれども、このイメージを御理解いただくために例えのような格好で御説明申し上げますと、例えば近所の花屋でバラの花を買うという課題がある場合に、従来のノイマン型のコンピューターの場合には、花屋に行きますまでの道筋、花の買い方、花屋から帰る道筋といったものをすべてプログラムによって命令といいますか指示する必要がある仕組みになっておるわけでございますけれども、第五世代コンピューターで目指しておりますものは、知識ベースというものの中に例えばその近所の地図というものを入れておくということによりまして、単に近所の花屋でバラの花を買うことというだけで、あとはコンピューター自身が最適の道筋を見つけ、バラの花を買って戻ってくる、若干人間と同じような推論を働かせながら機能をする、こういう情報処理というもので御理解いただけるかと思います。
 こういったような第五世代コンピューターが実用化された暁には、従来数値計算でございますとか事務処理を中心に利用されておりましたコンピューターが、人間の意思決定の支援あるいは自動翻訳などの人間の知的活動のツールとして活用されることになるものと思われております。
 現在の研究開発の進捗状況についてちょっと御説明させていただきます。
 この第五世代コンピューターの研究開発は、御指摘のように昭和五十七年から十年間を予定しておりまして、前期三年、中期四年、後期三年の三つの研究段階に分けて行うことにしております。開発体制といたしましては、現在財団法人新世代コンピュータ技術開発機構に委託をしまして、産官学の英知を結集して研究開発に当たっているところでございます。
 前期は五十九年度末に終了いたしましたけれども、ここでその研究成果は高い評価を得ておりまして、特に、五十九年十一月に国際シンポジウムを開催した折には世界二十九カ国から千百名が参加をしたというようなことでございます。現在は中期計画、本年度は三年目に当たりますけれども、この中期計画では前期で得られました要素技術の研究成果を統合いたしまして、第五世代コンピューターの中枢部分の設計、試作を行っておるところでございます。来年度までに中期の目標を達成いたしまして、六十四年度からの後期のプロトタイプシステムの試作につなげることを目標といたしております。
 以上申し上げましたように、第五世代コンピューター開発につきましてはこれまで順調に成果を上げておるところでございますが、今後とも一層の努力を傾注してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#31
○木宮和彦君 そうしますと、十年計画がかなり順調に事が運んでいると理解してもいいわけですね。
 なお、この研究は、私の聞くところですと、日本人の創造的科学の一番のメーンといいますか、今まで日本という国はとかく欧米の創造したものをまねるという機会が多かったように聞いておりますが、そういう意味でこの研究につきましては広く世界にも開かれているのかどうか。また将来は、今のお話を聞きますと大変バラ色といいますか、日本人は語学が下手でございますから、そういう意味で通訳の機械が非常に簡便に正確なものができる可能性がありや、その辺もついでにお伺いしたいと思います。
#32
○説明員(新欣樹君) まず、世界に開かれておるかということでございますけれども、日本が第五世代コンピューターの研究開発をするということを世界に向かって叫んだわけでありますけれども、諸外国におきましてもその後同じように新世代コンピューター開発の重要性というものの認識が高まっておりまして、特に政府が中心となってかなりの多額の資金を投入して、ちょうど我が国の第五世代コンピュータープロジェクトに相当するようなプロジェクトというものをスタートさせてございます。
 例えばアメリカでございますと、国防総省が中心になりまして、ストラテジック・コンピューティング・プロジェクトというもの、あるいはイギリスは貿易産業省が高度情報技術開発計画、いわゆるアルビープロジェクトというものでございます。また、ECにおきましてはエスプリ計画というようなものによりましてかなりピッチを上げて日本を追いかけてきておる、こういうことかと思います。
 国際交流という意味におきましては、私ども世界にも開かれた研究開発を行おうということでございまして、いろいろなまだ例があるわけでございますけれども、例えばアメリカとの国際交流の例といたしましては、実施主体、開発主体でございます新世代コンピュータ技術開発機構にアメリカの国立科学財団、NSFから研究者を派遣したいという申し出がありましたものですから、それを受け入れるということで、ことしの九月ごろから最初の研究者が派遣されてくる予定になっております。また、フランスとかスウェーデンとか等と研究交流というものを行っておるところでございます。
 それから、自動翻訳が可能かということでございますが、この後期のプロトタイプのコンピューターというものが開発された暁にいろいろの知識ベースと推論機能というものが駆使されて、また並列処理というようなものも完成されるというようなことになりましたら、そういった自動翻訳ということは十分可能になるんではないかと大いに我々も期待しておるということでございます。
#33
○木宮和彦君 大変バラ色の話で、私なんか語学が下手くそですからなるべく早くやっていただきたい、こう思います。しかし、バラ色ばかりじゃなくて、やはり先端技術というものはだんだん進歩して、しかもそれが一般に普及していきますと弊害がまた出てくるわけでございます、またデメリットの話で恐縮でございますけれども。
 最近、ついこの間、御存じのように一部過激派が神田の神保町から迫撃砲みたいなので宮城に向けて撃った。幸い余り実効がなくてよかったと思いますが、しかし考えてみますと、最初は火炎瓶ですからかわいいものですが、火炎瓶が終わったと思ったら今度は自民党の裏の駐車場へ来てばかっと至近距離でやりました。これは防げますわな。この間はたしか矢来町かどこかのアパートから迎賓館へ向けてやった。今度は神保町から。だんだん距離も遠くなるし命中度もだんだん高くなってきているような気がしてならないわけです。これは恐らく過激派の連中も必死になって研究して、何とかしてしとめようという気持ちでやっているんじゃないかと思います。
 今、日本が一番いい国だなというのは、たくさんあると思いますけれども、一番大事なことは、一つ、やはり日本は国民がアメリカのように武器を持たない、ピストルを持たない、そういう凶器を持たないということが日本の治安に非常に私は大きな貢献をしていると私は思うのです。
 ですから、今、日本で凶器を持っていればすぐ逮捕されますけれども、この武器ですね、これは簡単な武器ですが、しかし、だんだんそのうちに群馬県やあるいは伊豆半島から、百キロ圏内ぐらいだったら命中してしまうなんというものがもし彼らの手で開発されたりしましたらこれは大変なことになるんじゃないか。今、日本の象徴は富士山と天皇陛下なので、この二つは守らねばいかぬ我々は義務があると思うのです。そういう意味で、犯人は発見しなくてはならぬですけれども、何かそういう先端の科学技術が、先方が過激派だからしようがないといえばしようがないですけれども、何かどこかで歯どめができるような方策があるものか、あるいはそういうことは考えられないものなのか、その辺何とか今のうちに、大事に至らないうちに方策を立てなくてはならぬ、私はそう思うのですが、政府としてはいかがでございますか。
#34
○説明員(伊藤一実君) お答えいたします。
 極左暴力集団は、かねてから大変御指摘のとおり凶悪なテロ、ゲリラを敢行しておりまして、最近は、ただいま委員からも御指摘ありましたとおり、去る八月二十七日でございますけれども、都内で発生いたしました爆発物発射事件に見られますように、彼らはICといったような大変高度の科学技術を駆使するなど、その悪質、巧妙化の傾向をますます強めている、社会に大変大きな被害を及ぼしているという状況でございます。
 警察といたしましては、こうした凶悪な犯行を繰り返す極左暴力集団をその根底から壊滅するために、ただいま全国都道府県警察が一体となりまして、警察の総合力を挙げた取り組みをしているところでございます。特に現在科学的装備資機材の整備充実、あるいは極左暴力集団が爆発物等の凶器を製造しております非公然のアジトあるいは地下工場の発見、あるいはこの摘発に向けての活動、さらには極左暴力集団の根絶に向けましての広報対策、こういったところに重点的に取り組んでいるところでございます。警察といたしましては、今後とも国民の方々の理解と協力を得ながら、こうした凶悪なテロ、ゲリラの根絶に向けまして全力を挙げて対処してまいる所存でございます。
#35
○木宮和彦君 警察だけにお願いするのでは申しわけないんで、やはり国民全体がそういうことがないようにお互いに自覚していかねばならない時期に来ているような私は気がいたします。どうぞこれからも速い犯人の逮捕に向かって全力を挙げていただきますようによろしくお願いいたします。
 次に、これもまた新しい話でございますけれども、社会問題ですが、ついこの間富士山頂で直下型の地震が起こって、寝ておったら観測所の人が飛び起きたという。すぐ気象庁あるいは科学技術庁からも地震計を持って、そうしたらその後三回あった、合計四回直下地震があったというふうに伝えられております。
 これは富士山の頂上だけで観測されたんで、ほかはなかったということで、恐らくこれは火山とは連動しないで、地下でもって大きな岩か何かぼこっと落ちたんじゃないかというような意見もあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、日本の天皇陛下と富士山だけはこれは象徴でございます。私も静岡県の者でございますので、富士山がすっ飛んじゃったなんということはどうしても想像ができないので、もしものことがあったんじゃいけない。そうかといって科学技術庁で何とかしろと言ったってそれは無理な話でございますけれども。何とか富士山についてもう少し調査研究していただいて、ひとつ予見――予見したところで防止はできませんけれども、何か対策的なもの、あるいは我々が安心できるような情報があれは教えていただきたい。大島の例もありますので、大丈夫だと言っていてやられてしまったから当てになりませんけれども、ぜひひとつ富士山につきましては格別の調査、測候をお願いしたい。その体制はどうなっておりますか、ひとつお伺いをしたいと思います。
#36
○説明員(鈴置哲朗君) 富士山の現状と現在とられております対策等について御説明申し上げます。
 まず地震の状況でございますが、ただいま先生お話しのとおり、八月の二十日、二十三日、二十四日、それにちょっと間を置きまして二十七日と、それぞれ一回ずつ山頂の測候所で有感となる地震がございました。以後現在まで有感地震は山頂では起きておりません。
 これに対する対応でございますが、気象庁は火山機動観測班を直ちに派遣いたしまして山頂付近の調査をいたしますとともに、二十五日には山頂にあります冨士山測候所に地震計を、さらに二十七日にはふもとの御殿場にございます富士山測候所基地事務所、ここに地震計を設置して観測を開始しております。その設置した地震計を含めました観測の結果でございますが、現在までのところ、これらの地震計にも、あるいは山頂の状況につきましても噴火に直接結びつくような異常な現象というものは観測されておりません。
 今後の問題でございますが、富士山周辺には気象庁を初めといたしまして、大学あるいは国立の研究機関等の地震計等各種の計器がかなり多数配置されております。これらの観測状況につきまして、関係の機関とも連絡を密接にとらせていただきながら今後注意深く観測を続けてまいりまして推移を的確に把握してまいりたい、こういうふうに考えております。
 以上でございます。
#37
○政府委員(川崎雅弘君) ただいま先生の方からも御紹介がございましたが、私どもも気象庁ともども富士山の観測、現在二十二カ所の観測点を持っておりますが、八月二十八日に富士山の北側のふもとの二合目付近に新しく一台の地震計を設置いたしました。
 なお、二十日から二十七日にかけましての気象庁の山頂付近での震動の観測につきましては、二十二カ所の防災センターで保有しております地震計では、下部、鹿留、都留、山北、南足柄、檜原といった六カ所の地震計がやはり微細な震動を記録しております。今後とも気象庁ともども富士山の観測につきまして積極的に努力をしてまいりたい、かように考えております。
#38
○木宮和彦君 ぜひひとつ富士山だけは目を離さないように、くれぐれもお願いを申し上げます。
 次に、今度は大分深刻な話になりますけれども、原子力船「むつ」、ついこの間テレビを見ておりましたら、大湊港から関根浜へ行っていよいよこれから炉を暖めてあるいは航海をやるというふうに報道をされておりました。たしか昭和五十七年ですか、最初の「むつ」のあれは、随分もめましたけれども。それから大分話題にもなりませんで、じっと息を潜めていたというような気がいたしますが、やっとここへ来て原子力船「むつ」が、今までにどのくらいお金を使われたか私も知りませんが、ひとつそれも教えていただきたいと思いますが、これからどういう御計画でどういうふうな実験をして、せっかくこれだけたくさんの国費を使ったので、いずれは廃船になることはわかっていますけれども、いずれというのはどの船だってそうですけれども、人間が死ぬのと同じですから。ただしかし、せっかく生まれた船がそれだけの任務を終えられてそして廃船になることを国民もひとしく願っている、私もそう思います。これは大事な血税でできた船でございますので、そういう意味で大変私は注目していると思います。科学技術庁は原子炉とそれから特に原子力船、あるいは核の発電についてはやはり一番のリーダーシップをとっていらっしゃる役所だと思いますので、その経過なり将来のことなり、あるいはまとめて原子力船そのものについての、反省というと大げさですけれども、御感想をぜひひとつお述べいただきたいと思います。どなたでも結構でございます。
#39
○政府委員(松井隆君) 原子力船につきましては、日本も中長期的にはやはり石油の需要の非常に逼迫するであろうということが考えられること。それから、原子力船ができれば恐らくかなり高出力の長期運航可能とか、そういった特色もあるわけでございまして、いずれにせよ、日本として現在経済的にすぐ実用化するという見通しはございませんけれども、中長期的にはやはりそういう時代に備えて舶用炉の開発ということは着実に進めることが必要であろうというふうに考えている次第でございます。
 それで、その一つのあれとして原子力船「むつ」があるわけでございますけれども、原子力船「むつ」につきましては、現在の計画は昭和六十二年度いっぱいで現在大湊港にある原子力船「むつ」を関根浜という新定係港に回しまして、そこでいろいろ所要の試験を経た上、出力上昇試験を行い、昭和六十五年には約一年ほどの実験航海を行うということにして、そこで原子力船は廃船する、こういう計画が昭和六十年にできました政府の計画でございます。
 それで、最近の少し新聞の話題になりました点につきましては、原子力船「むつ」をそういった計画で物事を進めるためには、現在大湊港におるわけでございますけれども、大湊港においてもやはり所要のある程度のことをしないと、その六十五年に実験航海を行うという計画を全うできないのではないだろうかという心配が出まして、実は大湊港におきまして現在原子炉はとめたままでございます。大湊港でとめたままでございますけれども、大湊港で原子炉の水の温度を、圧力を上げまして、そこで所要の予備点検をさせていただきたい。あるいは「むつ」の中にたまっております放射性廃棄物を陸揚げさせていただきたい。そういった項目を含めた七項目につきまして、ぜひ大湊港にいる間にやらせていただきたいというお話を地元の方といたしました。幸い地元の方々の非常に御理解が得られまして、その七項目についてはやってよろしいというお話を、八月二十四日、三ツ林大臣に青森県に行っていただきまして、青森県の三者の方からそういうお話をいただいた次第でございます。
 したがいまして、私どもとしてはあくまで安全を期して、慎重を期してこの作業を進めます。さらに、その作業をした上で関根浜新定係港に船を六十二年度いっぱいに回航いたしまして、そこでさらに所要のテストを行い、六十五年の実験航海に向けて全力を尽くしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 なお、先ほど先生が挙げられた経費の件でございますけれども、昭和六十年までの経費とこれからの経費を平たく簡単に申し上げますと、六十五年に実験航海を終了するまでの経費といたしまして現在私どもの見積もっている額は一千百十四億でございます。既に六十年までに七百三十七億を投入してございまして、あと六十一年からいろいろと経費が多少かかります。例えば港湾建設もございます。ほとんど終わりましたけれども、あとそれに伴う附帯の陸上施設の建設も多少ございまして、そういうものも含めまして一千百十四億という形で六十五年度の実験航海までを終了させたいというふうに考えておる次第でございます。
#40
○木宮和彦君 ただいまのお話を聞いて私も大変安心いたしましたが、ぜひ長官にお答えいただきたいのですが、六十年の三月三十一日に内閣総理大臣、運輸大臣が「むつ」の基本計画というものを発表しておりますね。その中に「当面、原子力船「むつ」により海上における実験データ、知見を得るとともに、その成果を十分活用しつつ舶用炉の改良研究を進める。」と書いてあります。それから、その次に研究開発業務の大綱の中に「安全性に十分配慮しつつ、技術的に万全の体制で臨むものとする。」こう書いてある。その前に、「推進に当たっては、地元関係者の理解を得るよう努めるとともに、」こううたってございます。この間、八月二十四日に調印なさったそうでございますけれども、そのときの御事情と、それから長官として今後のひとつ決意をお述べいただきたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。
#41
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 「むつ」による研究開発は陸上試験では得がたい貴重なデータを取得できるものでありまして、今後の船舶用炉の研究開発の重要な柱でございます。政府といたしましては、日本原子力研究所の原子力船の開発のために必要な研究に関する基本計画、お話しのように六十年三月策定に基づきその推進を図っていくことといたしております。
 具体的には、先ほど局長から申し上げましたように、昭和六十二年度末までには原子力船「むつ」を大湊定係港から関根浜新定係港に回航いたしまして、昭和六十四年度に出力上昇試験及び海上試験、海上試運転を実施いたしまして、昭和六十五年度からおおむね一年を目途とする実験航海を行うというスケジュールに沿って研究を進めてまいりたいと思っています。なお、お話しのように安全を大前提にいたしまして努めてまいりたいと思っております。
#42
○木宮和彦君 地元の関係者の理解は現在の時点では得られておるんですね。長官、そのとおりに承っていいわけですね。
#43
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 得られておると思って感謝をいたしております。
#44
○木宮和彦君 はい、ありがとうございます。
 ぜひひとつ地元の皆様方とも今の関係を持続しながら所期の目的が達せられますように格段の御努力をお願い申し上げたいと思います。
 次に、今度はまた一転いたしまして、大変どうも気が多いものですからあっちへ行ったりこっちへ行ったりで申しわけございませんが、最近、先ほど富士山のところでちょっと出ましたけれども、大地震が予想されるということでございますが、なかんずく私が今一番心配していますのは地震によります災害でございます。水がだめだとか、あるいは電気がだめだとか、あるいはその他いろんな我々の生活にかかわり合うことの被害が多いと思いますが、中でも最近非常に発達しておりますコンピューターですね、VAN。
 コンピューターも、これはもう私が言わなくても御存じだと思いますが、汎用コンピューターは今全国で二十四万四千百四十八台あるそうです。これは六十一年の三月の末の話ですが、そのうち東京に集中するのが八万五千で、大阪が三万三千、愛知が一万三千で、大体半分以上がこの三都府県に集まっているわけです。ですから、もし東京の近辺で大きな地震がありますとこのコンピューターがとまってしまいます。自分だけのコンピューターだったら影響は少ないんでございますけれども、あれは昭和五十何年でしたか新しい法律ができまして、いわゆるVANという事業が許されるようになりまして、最近は例によりましてそれが非常にすごい勢いでもってがんがんふえてきていると思います。
 しかも、そのVANのやっている仕事の内容というものはデータ処理とかデータ通信でございますが、特に受注の処理とか在庫の管理であるとか、あるいは会社とかその他の経営、財務の管理、あるいはクレジットの与信のチェック、それから運送会社の運送管理、自治体の給与の計算あるいは事務の計算あるいは住民情報の検索、選挙権などもこのコンピューターに全部入っていると思います。
 そういうことを考えますと、自治体とか大きなところは大きな会社でやっていますから、ある程度の安全性とそれから二元性はできていると思いますが、小さなところはそうはいかぬです。特に最近では流通グループとか、それから系列の百貨店もそうだし、あるいはスーパー、コンビニエンスストア、クレジットの会社、運送会社、これらは全部地方にあるのと東京とがつながっておりますから、東京が仮にやられますと全部麻痺してしまうという結果になると思います。特にVAN企業の中の八〇%は従業員が二百人以下の小さな会社が多くて、いわゆる財政的な力がございませんから、本来は安全性を十分二重性を持っていなくてはいけないんですが、セキュリティーができておらない。
 特に、何といいますかVANのセンター、コンピューターのセンターのデュアルシステム化の実施が今おくれております。なぜかというと、これをつくるには約十億ぐらいの金がかかるようでございます。ですから、もし大地震が発生いたしますと、さあ復旧できない。それがまず第一点です。
 第二点は、通信回路が二重化してあればいいんですけれども、その二重化にはやはり莫大な金がかかりますから小さなところではできません。大きなところは電電公社を使って大丈夫なんですが、そうでないところはそれができておらないということになると、自分で二重化しなくてはならぬ。最も確実なのは、二重通信の方は通信衛星を使えば地震には全く関係ないわけです、そこの場面では。ですから、そういう意味で何とか通信衛星を将来ぜひVANにも使われるようにひとつお願いしたいということ。それは一体できるのかできないのかとか、あるいはそれに対してどういうふうにバックアップできるのか。これはぜひひとつ、コンピューターセキュリティーということにつきまして緊急の課題、特に最近大地震が起こると言われて久しいんですが、まだ幸い起こっていませんが、だんだんだんだん先に行けば行くほどなくなるんじゃなくて、だんだんその危険性が濃密になるわけでございますので、何とかこのコンピューター社会に対応できる科学技術庁としての対策ありや、その辺につきまして御所見をひとつお述べいただきたい、こう思うわけでございます。
#45
○説明員(高田昭義君) 先生御指摘のとおり、六十年の四月に通信の自由化をいたしまして以降、いわゆるVANシステムあるいはデータ通信システムというのが特に産業経済を中心に非常に広く使われてきておりまして、現在全国で四百社を超えますVAN事業者というのがこれらのVAN。サービスを提供しております。だんだんVANサービスが普及をいたしますと、当然のことながらユーザーからもシステムの安全性、信頼性対策の充実強化ということが非常に強く要請をされるようになっておりまして、郵政省といたしましても、各VAN事業者に対しまして、それぞれ回線の二重化あるいはデュアルシステムの構築等につきまして指導をしてまいっておりますが、先生御指摘のとおり、一部の大規模なVANシステムを除きまして、大地震等が起きた場合に、中枢センターの機能が破壊されたときに、それをバックアップするような別のセンターを設置して完全なデュアルシステムを構築するというVAN事業者はまだ非常に少ないというのが現状でございます。
 その背景といたしましては、センターを二重化をいたしますと大変な投資を要するということもさることながら、その投資が直接企業収益に結びつかないために、大変中小企業の多いVAN業界で経営的にその導入が困難であるということであろうかというふうに考えております。
 郵政省といたしましては、そういう事情にある中で、何とかデータ通信システムの安全・信頼性を向上させたいということで、実は昭和五十七年度から五年間にわたりましてデータ通信総合安全対策システムの開発調査を行っているわけでございまして、その結果得られました結論は、個別の事業者がそれぞれデュアルシステムを構築するよりも、資金力の少ない中小VAN事業者が共同でバックアップセンターをつくりまして、それを大災害のときにお互いに利用するということが経済的にも望ましいという結論を得ております。
 その結果を得まして、来年度の予算要求の一環といたしまして、共同バックアップセンターをつくろうという事業者に対しまして、特に日本開発銀行等によります特利の融資を現在要求しております。また、新しいセンター設備に対する初期投資の負担を軽減するために税制上の優遇措置も講じまして、何とか災害時に備えたバックアップセンターがつくれるような環境をつくってまいりたいということで努力をしておるところでございます。
#46
○説明員(長谷川憲正君) 私からは衛星通信回線の利用につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 現在、地震等の災害に対しましては、主としてNTTの回線の中での話でございますけれども、地上系の有線の回線、これを二ルート化する、一本の回線が切れましてももう一つのルートを通って回線がつながるという形の二ルート化を行っております。さらには、有線の回線が二つ切れましたときにも無線を通じて回線がつながるという意味での無線によります多ルート化も行っているところでございますが、先生御指摘のとおりに、災害時における衛星通信の利用というのは非常に効果が大きゅうございますので、現在通信衛星二号、いわゆるCS2を使いまして衛星通信回線の確保等も行っているところでございます。最近の事例ですと、日航機の墜落の事故あるいは三原山の噴火の際にも活躍をしておるところでございます。
 今後でございますが、来年の二月に通信衛星の三号、CS3が上がってまいります。また、再来年以降は民間の衛星通信サービスを提供する新規の会社が出てまいります。これらが出てまいりますと、先生御指摘のとおりに、直接会社の本社から支店へというような形で衛星にアクセスするネットワークづくりというものが可能になるわけでございまして、特に地震等の災害に強い回線ということで、通信衛星の利用というものを郵政省としても今後大いに拡充強化してまいりたいと考えているところでございます。
#47
○木宮和彦君 大体今のとおり、特に先ほど申し上げましたバックアップセンターが早期に実現できるようにぜひ御努力のほどをお願いいたします。これにつきまして何か科学技術庁からございませんか。
#48
○政府委員(川崎雅弘君) 私の方は、現在宇宙開発利用の一環といたしまして、ロケットと並んで衛星の開発を進めておりますが、今郵政省の方から御答弁がありましたように、通信衛星につきましても、現在種々の高度化ということでの研究を進めておりまして、明年二月のさくらの三号a、bというのを上げる予定にしております。さらに、それに引き続きますさくらの四号というようなものについては、昭和六十七年を目途に今考えてお
ります技術試験衛星のY型といったような新しいマルチビーム方式の衛星通信が可能になるような人工衛星を現在開発しておるところでございまして、これらの高度な新しいタイプの通信衛星を確保することによりまして、現在よりもより経済的で、かつ信頼性の高い人工衛星あるいはそれによる通信というものの確保に協力をさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
#49
○木宮和彦君 ぜひひとつ早期に災害に対しまして、災害はしようがないんですから、その後のフォローができますように格段の御尽力をお願いいたします。
 時間も大分迫ってまいりましたが、あとバイオテクノロジーにつきまして二、三お聞きしたいんですが、五年ほど前に筑波の農水省の生物研究所ですか、正確なことは私存じませんが、連続電気細胞融合器という、細胞と細胞を、電気のショックでもって異質の細胞を一緒にしてしまう技術が開発されて既にそれが一般に市販されているというふうに聞いております。二、三日前のテレビにも、NHKかどうか知りませんが、たしかあったようでございますが、大変な画期的な、バイオテクノロジーにとりましては、人工的に融合して、それがどういう結果になるか知りませんが、いいものも悪いものも融合されるんでしょうけれども、いずれにしても融合のなかなかできないものができるような筋道といいますか、そういうものができたようでございます。これからも遺伝子工学がどんどん発展すると思いますけれども、日本人にとって非常に一番得意とする分野ではないか、器用でございますから。そういう意味で、これから将来、バイオテクノロジー全体、それから核が融合することがどのくらいのインパクトになるのか、その辺をひとつお教えいただきたい、こう思います。
#50
○説明員(上原達雄君) 細胞融合技術でございますけれども、植物の場合で申し上げますと、細胞同士の融合によりまして普通の交配ではつくれないような雑種などをつくる技術でございまして、各種のバイオ技術の中でも特に先端的なものの一つでございます。農林水産分野においても画期的な新品種育成の手段として今後大いに期待している技術でございます。
 先生御指摘のこの装置でございますけれども、これは細胞融合を行うものでございまして、当省の農業生物資源研究所が民間との共同研究によって開発したものでございます。一般に細胞融合というものは化学物質を使って少量ずつ起こっているんでございますけれども、今回開発した装置は電気の刺激によって異なった種の細胞を連続的に一分間に十万個と極めて高速大量に融合させることを可能とするもので、世界で初めてのものでございます。これにより細胞融合の効率が大幅に向上し、研究が一段と前進する予定で、極めてすぐれた成果として高く評価してございます。今後は関連する技術の開発等と相まって新品種の育成などに大きく貢献していくものと期待しております。引き続き積極的な研究開発を推進してまいりたいと考えている次第でございます。
#51
○木宮和彦君 筑波を舞台にしまして通産省、農林省、科学技術庁それぞれ立派な成果を上げている一端をお述べいただきまして、本当に頼もしく思います。ひとつこれからも大いに努力していい成果が得られますように一段の御努力をお願いいたしたいと思います。
 最後になりますが、これは大変な問題でして、そう簡単にはお答えできないんじゃないかと思いますが、がんにつきまして、我々日本人も多いんですが、ともかく現在医学がこれだけ発達いたしましたけれども、事がんに関する限りはどうもまだまだ解明が非常に少ないし、また原因も十分わかっていないようでございます。そのがんの現状と将来の見通しにつきまして、これは大変な問題で、そう一言で言えないと思いますが、一番国民が何といいますか期待しているところでございますので、ぜひひとつよろしくお願いいたします。
 それで、なお日本人で成人不細胞白血病が、熊本大学医学部の高月という先生が、熊本の方が多いそうですね、九州に非常に多いそうですが、日沼、高月、三好、吉田という四人の先生の連携でもって、その原因がビールスであるということがごく最近発見されたということを聞いておるんですが、本当にがんがビールスなのかそうでないのかということも定かでないんですが、そういう情報があるんでございますけれども、がんについての原因、今までの現況並びに将来にわたっていつごろがんが解明されて治療ができる見通し、二十一世紀なのか、もうだめなのか、その辺はどんなものでございますか。大変難しい問題だとは思いますけれども、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#52
○政府委員(川崎雅弘君) 大変難しい御質問でございます。しかし、先生御高承のとおり昭和五十九年の五月に対がん関係閣僚会議というのが内閣に設けられまして、そこで対がん十カ年総合戦略というのが定められております。その戦略の中の一つに、三ないし五年を経過した時点でそれまで進めてきた戦略の妥当性等について評価をしながらまだ後期に向けて努力をしていこうという趣旨のことが入っておりますが、この専門家を含めましての総合的な評価がまだ行われていないという点で御質問の後半の部分についてはなかなか難しいところがあろうかと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 ただ、対がん十カ年総合戦略の中では、今御指摘のがんの本態を究明するという観点から大きくは三つの課題がございまして、一つは、そもそも正常な人間の中のヒトの遺伝子の中に発がん遺伝子が組み込まれている、そういうヒトの発がん遺伝子をどのように見つけ出すか、そういう点が第一。
 それから、先生が後ほど触れられました成人不細胞白血病のウイルスあるいは微生物が生産しますたんぱく質に起因する発がんというような発がんのメカニズム、さらに、その発がんが何によっていわゆるがん化するといいましょうか促進されるか、あるいはそれの抑制がどうかというがんの本態とメカニズムという三つの大きい課題を掲げて進めてきております。
 これまでのところ、そういう意味でヒト発がん遺伝子という点については、胃であるとか肝臓であるとか幾つかのがんの類型に従いまして遺伝子の発見がなされておりますし、それに伴いますがん遺伝子のアミノ酸とか塩基の配列といったようなものについても研究のメスがようやく手が届くようになっております。それから、一部ではございますが、がん遺伝子が発現し、さらにがん化する、抑制機能が働かなくなる状況でございますが、そういうメカニズムの一部についても研究の糸口が開けてきているというふうな評価を受けておりまして、これらの点は我が国のこれまでの努力が国際的にも評価されているというふうに私どもは承知をしているわけでございます。
 しからば、がんはいつごろ見込みがつくか、こういうことでございますが、厚生省あるいは文部省、それに私どもいろいろ努力をいたしておりますが、がんの治療というような点からは最近の種々の診断技術の向上というのがこの間にございまして、それに伴いまして早期発見が比較的従来に比べれば、もちろんがんのタイプにもよりますが、容易になってきております。そういう意味で、がんに対する現在の治癒という観点からの対応は格段の進歩をしているということになりますが、がんの本態を見きわめて適切に対症療法ではなくて原因にさかのぼっての治療というところまで話が進めるということについてはまだ全く見通しはついておりません。ただ、科学技術庁で行っております技術の未来予測というアンケート調査をベースとします技術予測の中では、有識者の方々の見通しては二十一世紀初頭にはめどがつくのではなかろうかというような予測もありますが、あくまでこれはまだ予測でございまして、なおこれから一層従前にも増して努力を続けていかなければならないと思っております。その意味で厚生省、文部省あるいは科学技術庁三省庁がこの対がん十カ年総合戦略の中核部隊として現在努力をしてお
るわけでございますので、何とぞ御支援を賜りたい、かように考えております。
 それからもう一つ、成人不細胞白血病の問題でございますが、先生御指摘のとおり、これは日本の南西地域で多発をしております白血病でございますが、今先生がおっしゃいましたように、高月先生とか日沼先生、三好先生といったような日本の学者のグループによってこれがウイルスによるものであるということでウイルスが一応確定をされておりまして、そのウイルスの名称も国際的に既に確定をいたしております。
 そういう意味で、ウイルスであることはどうも間違いはない。しかし、遺憾ながらこのウイルスの遺伝子構造がどのようになっているかとか、あるいはそのウイルスが入った場合にどうして実際的にこの白血病が生じてくるのかという発症といいましょうか、発病のメカニズムというような点についてはまだまだ研究に手が届いた段階でございまして、有効な治療法というのは、極めて残念ではございますが、まだ発見されていないという状況でございます。
 本件につきましては、科学技術庁におきましても理化学研究所を中心といたしまして一歩でもその発病のメカニズムといいますか、発症のメカニズムが解明できるように現在努力をしようということで、これは振興調整費をいただきまして共同研究で現在取り組もうとしている段階でございます。
 以上でございます。
#53
○木宮和彦君 それでは本当の最後に、長官にお願いやら一言賜りたいのですが、今のがんのこともそうですが、日沼、高月、三好、吉田、それぞれ専門分野が違うようでございますけれども、グルントとか臨床とかあるいは細胞とかあるんですが、四人がいいチームプレーでもってそのウイルスの発見がなされたというふうに聞いております。いずれにいたしましても、科学の研究というものはやはり相互に、お互いに連係プレーができないといい成果が上がっていかないと思います。
 それから、同時にまた必要なところへ必要な経費を投入することがやはり必要だと思います。今、日本の科学技術の官民合わせますと三光超えて三兆一千億とも言われております。そのうち政府の支出しているのはアバウトに言えば大体八千億くらいじゃないかと思います。そのうちの科学技術庁は約四千億くらいだと思いますが、これから日本が世界に嫌われないためにも、創造的な科学を発見するということは非常に必須なことだと私は思います。
 来年度の予算を控えまして、科学技術庁長官、ひとつぜひ一円でも多く予算化して、しかもそれを有効に、ただとるだけじゃだめなんで、とってそれを有効に、どこに必要であるかということを、これが一番科学技術庁の役目だ、いいかげんなところをやったんじゃやらない方がいいですから、ぜひひとつそういう点で最後に長官の御決意を承って私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
#54
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) きょうは先生から科学技術の諸問題につきまして御指導と例示教をいただいたようなわけでございますが、科学技術庁、昨年の三月に科学技術政策大綱を決定していただきましたので、その線に従って努力をいたしておるところでございます。
 特に、きょうのがんの関係等につきましては、がんの撲滅ということで対がん十カ年計画ということでございまして、これにつきましては、ただいまの意見等も踏まえまして、厚生省、関係省庁と科学技術庁も一体となりましてこれらに当たっていきたいというふうに考えておるわけでございます。科学技術政策大綱におきましても、特に外国から技術をまねたんじゃないかとかいろいろございますけれども、我が国といたしましても基礎研究を充実いたしまして、世界に貢献できるような科学技術政策を展開してまいりたいというふうに考えております。
#55
○委員長(飯田忠雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#56
○委員長(飯田忠雄君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#57
○松前達郎君 きょうは全般的な問題についてお伺いしたいと思いますが、今日の科学技術があらゆる面で人間社会に非常に大きな影響を及ぼすような時代になったわけなんです。しかも科学技術の領域といいますと非常に多様化しまして、また幅が広い、そういうふうな状況になってまいりました。一例を挙げますと、例えばバイオテクノロジーの分野ですね。この分野では医学だとかあるいは農学あるいは薬学、水産学、こういった各学問領域に関連するようになってきたと思うのです。そのほかにもあるかもしれません。
 これらの各分野の取り扱いなんですが、我が国の行政組織から見ますと、厚生省、農水省、科学技術庁あるいは文部省、こういった各省庁にまたがるような分野ということになってきたわけなんです。今日の行政システムでいきますと、各官庁の受け持ち範囲ですね、悪く言えば縄張りと言いますか、そういう面から総合的にこういう問題に取り組むということが非常にやりにくくなっているんじゃないか、困難になっているんじゃないか、こういうふうに私は判断をしておるわけなんです。科学技術庁がその中心となるべきであることは間違いないんですが、こういった行政の問題、これにつきましてどうお考えになっておられるのか、まず長官からお伺いいたしたいと思います。
#58
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 先生御指摘のとおりに、今日の科学技術の関係は、総合的に取り組むということはもちろんそのとおりでございます。経済や社会、生活、文化の科学技術との相互関係は極めて深く、科学技術におきましては、経済、生活、文化との関係で多面的、総合的にとらえていくことの重要性が増しているものと認識をいたしております。
 このような認識のもとに、私といたしましては、二十一世紀を目前にした現在、二十一世紀にふさわしい新しい文化と文明を求め、科学技術の振興を図る必要があると考えておりますが、その振興に当たっては、社会の諸問題の解決を目指すことはもとより、人間の尊厳、心及び生命を基本として地球的かつ宇宙的視野に立ち、人類の平和と繁栄に向かって安定、充実した未来を創造していくことを基本理念としてこれを推進する必要があると考えているところであります。
 科学技術政策の衝に当たる私といたしましては、このような認識を踏まえて、第一番目に創造性豊かな科学技術の振興、二番目、人間及び社会との調和ある科学技術の振興、三番目、国際性を重視した科学技術の展開の三点を基軸として科学技術政策の積極的な推進を図ってまいる所存でございます。
#59
○松前達郎君 今、御答弁いただいたわけなんですが、久しぶりに科学技術庁設置法というのを引っ張り出して読んでみたんですけれども、第三条に、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」こういうふうになっているんですね。ですから、これから先の新しい時代に対応するその中心的な役割を持っているべきである、私はそういうふうに思っておるわけであります。
 もう一つ例を挙げますと、例えば地球科学技術ですね。最近地球が非常にいろんな問題、環境問題その他を含めて、あるいは災害問題もありましょう、いろいろな問題について地球科学が担当する責任というのは多いと思うのですが、この地球科学技術の調査研究について、これも非常に広い関係省庁に広がっておるわけですね。これは科学技術庁はもとよりなんですが、環境庁、文部省、農水省、通産省、気象庁あるいは郵政省、建設省、海上保安庁、こういった分野にそれぞれの内容に応じてでしょうが、またがっているということになると思うのですが、さっき第三条のところで「総合的に推進する」と設置法の中に書いてあるわけですから、こういったようなものをやはり中心となって科学技術庁がまとめていく、そういう役割もあるのではないか。そのまとめるためには何が必要か。これは行政的なすり合わせとか、そういうものも必要でしょうが、それ以外に科学技術に関する調査、データとか、そういうものをやはりデータベースとして科学技術庁が持っているということも非常に重要だ。もちろん、ある程度皆さんおやりになっておられると思いますが、そういったようなことも考えなければいけないだろう。一言で言えば、いわゆる調整のための省庁なのか。もっと積極的に新しい時代に対応するような科学技術の発展のために努力する、そういう省庁なのか。そういった大きな目標ですね、これについてどういうふうにお考えか、長官にお伺いしたいと思います。
#60
○政府委員(加藤昭六君) 先生御指摘の科学技術政策の総合的推進体制の方でございますが、これにつきましては、昭和六十年の七月に行革審で、行政改革の推進方策に関します答申、その中で科学技術に関して総合的推進体制の整備の必要性が指摘されています。これを受けまして、その具体的事項の実現は昭和六十年の九月、当面の行政改革の推進方策ということで閣議決定がなされております。こうしたことを踏まえまして、まず科学技術政策大綱を六十一年三月に閣議決定をいたしております。また科学技術会議の強化を図っております。また科学技術庁の、先ほど御指摘の内部部局の再編成等も昨年の七月行ったところでございます。
 こうしたことで総合的推進体制の整備を逐次行っておりますが、先生御指摘の調査、企画的な機能のさらに充実のために政策分析や評価機能を専門的に担当いたしますシンクタンク的組織につきまして現在設立の準備中、鋭意検討中というふうなことでございます。
#61
○松前達郎君 シンクタンクももちろん非常に重要な役割を負うものとして設置するということですから、これも推進していただきたいんですが、科学技術庁が行うべき役割、これは長い間私もいろいろと状況を見てまいりましたけれども、どうも何かすっきりしない。一つぽっと中心となるような哲学がどうも見つからないで、私もその辺解釈に苦しんでいるわけなんです。
 行政改革が、これは以前にも申し上げたことなんですが、人減らしばかりですね、今の行政改革は。とにかく公務員の数を減らせばいいんだ、あるいはそれに付随するもろもろの機関を整理すればいいんだ。例えば、恐らく今後は技術士の認定といいますか、国家資格といいますか、そういうものも対象になってくるでしょう。こういった小さな政府という考え、これはもちろん経済的な面からいえば当然そういう発想が中心になるんでしょうが、私はやはり必要なものはもっと充実していくべきじゃないか、これを前から申し上げていたわけなんです。
 科学技術庁という名前でいますと全く総理府の中での調整役といったような感じに受け取られてしまう。それよりももう一つランクを上げて科学技術省みたいなものにして、もっと強力な推進対策、科学技術の振興対策が打ち出せるようなそういうものにするべきだ、もうそういう時期に来ているんじゃないかと私は思うのです。ここで所感をおっしゃったからそうなるかどうか、これは別としまして、長官ひとつその点どういうふうにお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 先生の方から、科学技術庁の設置法の内容に触れまして、国民経済の発展とそれから総合的なことに触れられて進めるということの話がありましたけれども、今科学技術庁では、調整の方をやるのか、総合的に推進すべきかというような課題がございますが、現在は各省庁を総合的に調整して、特に推進すべき分野の振興、両方バランスをとりながら今進めているようなところでございます。
 したがいまして、今のように非常に科学技術の大切な時代になってまいりましたので、先生の言われるように格上げといいますか、科学技術省にしていくことが私も大臣としては望ましいというふうに個人的には考えておる次第でございます。
#63
○松前達郎君 当面、現在の状況のもとでの話ですが、科学技術庁としてこれから先重点的に取り組むもの、これは一体どういうところに重点を置かれていくのか。たまたまもう予算要求の時期になっておるわけでありますが、その中でも特に重点を置いて要求をされようとしているもの、こういう分野がございましたら説明していただきたいのです。
#64
○政府委員(加藤昭六君) 先生御案内の科学技術政策大綱にそうしたことが指摘されておりますが、特に、これから重点的に進めていく分野として大きく分けまして、「新しい発展が期待される基礎的・先導的科学技術の推進」というふうなところ、それから「経済の活性化のための科学技術の推進」、それから第三に「社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進」、この三つの大きな分野に分けて今後の科学技術の推進を強力に行えという指摘がございます。
 特に、この中でも最初に掲げました「新しい発展が期待される基礎的・先導的科学技術の推進」に重点を置き、適切な評価のもとに効果的に実施せよというふうな指摘が科学技術政策大綱においてなされております。我々もそうした方向に従って進めていきたいと考えております。
#65
○松前達郎君 今、今後の推進の中心的な目標というものをおっしゃったわけです。二十一世紀の文明を支配するであろう科学技術、これは一体どういうものが中心となるか、これはいろいろと議論がありますでしょう。一体その主流となるのはエレクトロニクスのさらなる発展なのか、あるいはインテリジェンスマテリアルなのか、また宇宙時代の到来という問題なのか、またあるいは先ほど申し上げたバイオテクノロジーですね、こういった分野なのか。これはどれが一つ欠けてもバランスのとれた科学技術の発展にはつながっていかないと思うのです。もう一つ、我々が今までやってきた科学技術の発展に基づくいろいろなその利用といいますか、そういったものの結果として反省しなければならない点もたくさんあると思うのです。
 科学技術というと、人間にプラスになるように使うのが我々の役割なんですが、使い方を間違えると逆になってしまう。ですから、あるいは今申し上げたもの以外に、二十世紀の人類、我々が今世紀で取り入れました科学技術あるいは工業化社会の進展等に伴って出てくる後遺症、こういったものの後始末が必要なのか。いろんな問題が提起をされてくると思うのですが、これがバランスがとれてすべての面で発展をしていくというのが望ましいんだろうと思います。しかし、科学技術庁としては、例えば後遺症の問題、後遺症と言っていいかどうかわかりませんが、後始末の問題として一つ挙げれば、例えば原子力発電における廃棄物の処理あるいは処分の問題、こういう問題もあるんですね。
 これはまた後ほどいろいろとお伺いいたしたいと思いますが、幾つかのそういった課題が広がってきておるわけなんで、今後科学技術庁として総合的という意味も含めてひとつ御努力をいただきたいと思うのですけれども、全般的な問題についてはそのぐらいにしたいので、その項での最後にひとつ長官の御意見をお伺いしたい。
#66
○政府委員(加藤昭六君) 先生御指摘のように、非常に科学技術につきましては人間あるいは社会、環境に対してのいろいろな問題がますます今後大きくなってくるというふうに考えておりますので、そうした後始末のような面につきましても十分に目を配りながら、かつ、新しい時代、次の時代の技術をはぐくむような革新的な科学技術の開発というものに取り組んでいくというふうに考えております。
 以上のようなことは科学技術政策大綱にも述べられておりますが、私ども個々の科学技術の分野につきましての研究開発を進める場合に基本計画をそれぞれ策定しておりますが、そうした基本計画の中にも十分に反映させていきたいというふうに考えております。
#67
○松前達郎君 幾つかの面について具体的な対象を挙げながらこれから質問させていただきたいんですが、現在の科学技術の分野、開発も含めた分野として特に注目されているものとして挙げられるのが新エネルギー開発ですね、これは原子力も含めてですが。それとさらに宇宙開発あるいは海洋開発。また、もっと違った見方をしますと新素材、さっき申し上げたバイオテクノロジー等を含んだそういう分野の開発、こういうものが現在注目の的になっているということだろうと私は思うのですが、これらの各分野につきまして科学技術庁の取り組みをお伺いしたいと思うのです。
 まず最初が宇宙開発なんですが、宇宙開発というのは平和の目的であるべきである、これはだれしも日本国民であればそういうふうに考えるのは当然だと思っておるわけですが、我々の宇宙開発の目的というのは平和目的であるということが基本的態度であるべきであろう。この平和目的のためには、やはり宇宙を通じて科学的データを収集するとか、あるいは地球環境の変化の調査、あるいは通信ですとか放送ですとかいろんな分野が挙げられるし、また、当然もっと地球から離れた宇宙の分野では各種の計測等観測、こういったようなものも今行われているわけなんですが、こういった技術の結果としてやはり人間の豊かな生活環境あるいは人間活動への貢献というものが行われなければこれは意味がないことでありまして、科学の発展も含めてそういった平和の方に向かって我々は今後努力すべきだ、こう思うのです。
 その中でとりわけ今人工衛星が大きな役割を果たしておるわけなんですが、この人工衛星一つ挙げましても、平和目的の衛星といわゆる軍事目的の衛星、こういった大きく二つに分けられる衛星の使い方があるわけなんですけれども、どうでしょうか、今軍事目的の衛星というのは一体どのくらいのパーセンテージになるんでしょうか。これ、おおよそで結構ですが、お答えいただければと思います。
#68
○政府委員(川崎雅弘君) 大変難しい御質問でございますが、今手元に正確な数は持っておりませんが、国連に宇宙飛行物体ということで登録をいたすことになっておりますが、その登録されております物体の総数は大体二千数百個という状態でございます。この中には、日本が打ち上げました科学衛星あるいは通信衛星等三十八個の衛星もその中に含まれているわけでございますが、その中に科学実験衛星という項がございまして、例えばその中でソビエトが上げておりますのが大体千二百個程度という数字が挙げられていたかと思います。
 その国連の登録にはすべての人工衛星が登録されるわけでございますけれども、今先生御指摘のような軍事衛星という名前のカテゴリーがないわけでございまして、察するところ、通信衛星というのはそういうジャンルがあるわけで、はっきりいたすわけですが、その他の科学衛星と言われるようなものの中に御指摘のような衛星があるのではないかというふうに推察をしているにすぎないということでございます。
#69
○松前達郎君 平和目的か軍事目的かというのの区別の仕方はちょっとはっきりしないとおっしゃったんですが、まさにそのとおりだと思うのですけれども、一言で言ってしまえば、衛星によって得た情報が公開であるか非公開であるかというのではっきりしてしまうのじゃないかと思います。通信衛星にしましても、特定のものだけしか使えないようなシステムになっている衛星は軍事目的であろう。放送というのは、これは完全なブロードキャスティングですから、だれでもその情報が手にとるようにわかるという、これは恐らくそういう意味では平和目的である。そういうふうに分けられると思うのですが、大体今おっしゃった衛星の中で私自身八〇%ぐらいはどうやら軍事目的ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけなんです。
 我が国として、軍事目的のための衛星計画、あるいは他国の衛星計画に加担をする、そういうふうなことになっては困ると私は思っております。平和目的に徹していくべきだと最初に申し上げたんですが、その辺の基本的な姿勢というのは一体どうでしょうか。
#70
○政府委員(川崎雅弘君) 既に諸先生方御案内のとおり、私どもの宇宙開発利用の進め方につきましては、昭和四十四年の衆参両院におきます国会の決議というものがございますし、実用衛星関係及びロケットの開発に従事しております宇宙開発事業団については、宇宙開発事業団法の第一条において、先生御指摘のように我が国における宇宙開発利用は平和の目的に限りこれを行うということが明記されておるわけでございまして、私どもとしましては、これに沿ってといいますか、これを踏まえて、これを前提として従前からも宇宙開発利用を進めてまいりましたし、今後も進めてまいるつもりで現在種々の計画を練っておるところでございます。
#71
○松前達郎君 そこで、最近外務省がアメリカと締結をいたしましたSDI研究参加、これは外務委員会でも問題になったわけなんですが、このSDI構想というのに研究参加をする、研究だからいいんだとか、そういうようなことを言っているようでありますが、研究参加と言いながらも、このSDIというのは直接戦闘の目的を持つ武器システム、あるいはミサイル破壊システムの開発ということでありますから、これはもう完全な軍事目的であることはもうもちろんですが、いわゆる戦闘システムの開発である、こういうことになろうと思うのです。
 SDIというタイトルを表題とした経過もあるようですが、研究参加はそれ自身が平和目的である、こういうふうに政府の皆さんおっしゃっておられます。そしてしかも一方では、核によるバランスが維持されるということ、核による均衡が維持されて平和が成り立っていくんだ、こういうこともおっしゃっているんですけれども、SDIというのはどうも核による均衡といいますか、力の均衡を破壊するシステムなんですね。ですから、逆にこれがうまくもしも機能するようになるとすれば今までの政府が言っておられた力の均衡というのは崩れてしまうわけなんで、どうもその辺が私はまだのみ込めないわけなんですけれども、SDIというのは、一方の国家が優位に立つということになるその目的そのものでこの開発をしようということですから、力の均衡を破壊するもの以外の何物でもない、こういうふうに私は解釈いたしております。
 この参加につきましても、研究参加であるからそれじゃ民間企業が参加するかどうか、手を挙げた企業は通産省と話し合いをして、秘密条項が一体どういうものであるかを口で説明しながら参加するかどうかを決めてもらうんだ。一たんそれに参加したとなると、それに関連する新しく開発された技術そのものも場合によってはいわゆる秘密の対象となって公表できなくなってしまうんだ。これは外務省の委員会における説明でありますけれども、こういったようなことで果たしていいのかどうか。
 この辺、科学技術庁の皆さん直接担当ではないかもしれませんのでお答えにくいかもしれませんが、私は、今の米国との取り決め等は、取り決めてしまったんですから、これは厳然としてあるわけですから、それを今から撤回しろとは言いませんけれども、これは民間、官を通じてこの取り決めができればただの文章だけに終わってしまうように願ってやまないわけなんです。その点いかがでしょうか。ちょっと筋違いの質問かもしれませんが。
#72
○政府委員(川崎雅弘君) お答え申し上げます。
 御案内のとおり、SDIにつきましては先般政府間での取り決めが交わされました。その限りにおきましては、科学技術庁も関係省庁の一人ということで政府内部での種々の協議に参加をしてまいりました。しかしながら、実際的にそのSDIの協力計画を実施するに当たっての権限を有する官庁という立場からは科学技術庁は外れております。
 そういう意味で、詳細な内容については存じておりませんが、少なくとも政府間取り決めにおいて公にされている限りにおいて、いわゆる個別の契約に基づいて日本の企業との間での種々の作業があるいは協力事業が進められ、その過程において日本側の参加企業によってつくられた新しい情報あるいは新しい技術成果というようなものについては、公正かつ平等といいましょうか、イコールな対応が日米双方の企業に対して与えられるということは大まかなところで確認がされておるというふうに思っておるわけでございます。
#73
○松前達郎君 あの取り決めはごく大ざっぱな取り決めでして、どうも裏の方では、例えば実際の取り決めの段階に入った場合には、民間の場合ですと通産省がその担当になるんじゃないかと思うのです。では一体その担当の通産省と研究参加をする企業がどういう取り決めをするかというのはまだ決まってないですね。公表もできない。そういうことなんで、非常に研究開発に対してはある意味ではマイナスの面も出てくる可能性があるんですね。その企業そのものはプラスになっても、全般的なもっと大きな目で見た研究開発、科学技術の振興の問題からいくと私はそんなにプラスにならないんじゃないか、そういうふうに思うのです。
 その問題はそれぐらいにいたしまして、次に宇宙開発に関して、平和目的で宇宙開発を推進する、これは国会の決議にもありますけれども、そのとおりやっていかれるということですから。そういう場合に最も重要な分野の一つにリモートセンシングの分野があるんですね。これ例えばアジア・太平洋沿岸諸国からは大気ですとかあるいは気象、あるいは海洋の状況、あるいは植生、最近植生についても、日本の乱伐といいますか、熱帯雨林をどんどん切ってしまうとかいろいろ問題があるんですが、これも恐らくリモートセンシングで大まかにつかめる問題だろうと思うのですが、それからあるいは環境の問題、環境保全の問題あるいは環境管理の問題、汚染とかそういうものを含めた問題、こういったような観測、さらに災害の面でも、例えば長崎の大水害が起こる可能性があるというような予測もある程度できるんですね。また同時に、火山爆発等の情報の問題、こういったいろんなものを対象にこれは活用できるだろうと私は思っております。
 さっき申し上げたアジア・太平洋諸国からもそういった要望が出ていると私は思うのですが、これらについて各国が共同して研究を行う、あるいは共同して観測を行う、こういうことを恐らくアジア・太平洋沿岸諸国は望んでいるだろう。恐らくその中で日本は最もこの分野では技術的にも進んでいる。こういったような問題について科学技術庁としてどういうふうに今後対応されていくのか。それをまずお伺いしたいのです。
#74
○政府委員(川崎雅弘君) 大変重要な点について御指摘をいただいたと思っております。私どもも、衛星を利用しましての地球観測ということは、我々に新しい目を地球観測について与えてくれたものだと理解しておりまして、将来どういうふうに我が国が進めるべきかという点、特に国際的な分担というのも含めまして重要だと思っております。
 その意味で、ことしの五月に出されました宇宙開発委員会の長期政策懇談会報告においても、これは国が中心となって進めていくべき一つの衛星の分野であるというふうな認識をいただいておりますし、さらに私どもの部内に非公式に設けております私的な懇談会でリモートセンシング推進会議、これは今先生が挙げられました応用分野、農林水産業、あるいは国土計画管理、あるいは海洋といったような種々の利用官庁というところもお加わりいただきまして、専門家同士で御議論をいただきましたが、その中でもやはり重要な点は、進んだセンシングをする、いわゆるセンサーと言われる目の精度を上げる技術、さらに大事なことは、一回こっきりでは意味がないわけで、いかに継続的に観測をするかという点が重要である。あわせて御指摘のような東南アジア等を中心としての太平洋域での各国のニーズにこたえることというような点の御指摘をいただいております。
 これらを踏まえまして、幸いにことしの二月に上げましたもも一号という我が国初の、これは海洋観測でございますが、実はリモートセンシングの衛星の第一号でございます。それに引き続きまして、私どもは明年度からもも二号というものを継続するものとして開発に入らせていただきたいというふうに考えておりますし、さらに一段と進んだ積極的な、いわゆる能動的な、雲があっても下が見えるようなアクティブセンサーと言っておりますが、それを搭載しました地球資源観測衛星というのを、これは通産省と共同で六十六年に上げるというようなことを考えております。さらに引き続いて、それらに続くものとして、よりたくさんの目を持ちました大型の地球観測衛星計画ということで、我々愛称ADEOSと呼んでおりますが、アドバンスド・アース・オブザベーション・サテライトの略でございますが、そういうようなものの構想を進めさせていただこうと考えているわけでございます。
 それから、御指摘のありました国際協力の現状でございますが、御案内のとおり、気象衛星につきましては我が国の「ひまわり」を受信しておる国は、オーストラリア、ニュージーランドあるいはタイ等を初めこちらの南太平洋地域十二カ国が既に受信をしておりますが、「ひまわり」自身も国際的には世界気象機構の中の一つの重要なエレメントという形で運用をされておりますので、引き続き計画をこういう国際協調の枠の中で続けなければならないと考えております。
 それから、もも一号につきましても、衛星から見ましたものと現実との相違というのをいわゆるグランドツルースと言っておりますが、検証をする計画がないとデータの正確な解析ができません。そのようなことも含めまして無慮十数カ国と検証計画というのを実施するような取り決めができておりますし、直接的な映像の受信という点につきましてはタイ国に受信局を設けまして、そこで受信をしていただくということにしております。なお、もも一号の場合にはいわゆる記録計といいましょうか、テープレコーダーを積んでおりませんので、頭上に来たときに見た写真をそこでおろすということになっておりますので、東南アジアのタイに置いた受信局ではその一帯をカバーした映像が来る。そんなような状況で国際協力についても着々と分相応な形で進めさせていただきたい、かように考えておるところでございます。
#75
○松前達郎君 今の計画は積極的に推進していただきたいと思うのですけれども、やはり日本の場合は技術的にはもう完全にアジアの中では先進国になってきているわけですね、今のリモートセンシングのテクノロジーは。しかも、リモートセンシングテクノロジーがあらゆる国の新しい計画に、例えば農業計画ですとか、あるいは水のかんがい計画とかいろいろな計画がありますが、そういうものに非常に大きな役割を果たすのはもう当然の話でありますから、各国が非常に注目しながらその技術の開発及び彼らの言っていることを言いますとデータですね、このデータを何とか分けてほしい、分析技術はそれなりに協力してやろうじゃないか、いろいろとそういった提案が来ているわけなんです。この辺もあわせてひとつ検討していただいて推進をするようにお願いしたいんです。
 とりわけ日本の海外援助のやり方というのは、とにかくお金を出せばそれで終わりだというので、その後のフォローが余りないんですね。これ、研究にしろ教育にしろ、どんどん推進してその後のフォローをしながらせっかく投入したものが効果的に使えるようにしてあげるのが我々の役割だと思うのです。金さえ出せばいいというんじゃなくて、やはり今おっしゃったようなことをもっと積極的にやっていくべきじゃないか、こういうふうに思っておるわけなんです。
 さっき情報が公開されているものは平和目的だと私申し上げたんですけれども、まさにそうなんで、例えばランドサットなども、お金は要るかもしれませんが、一応だれでも手に入れることができる。特に秘密の情報ではないわけです。そういうことで、我々の協力体制の中で、今おっしゃったような体制の中でもしも新しい分野を開く衛星が打ち上げられた場合、その情報をやはり公開していく、皆さんに使っていただく、こういうことがやはり非常に大きな意義を持ってくるんだろう、それをやりませんと何のために上げるかわからないし、それをやることによって次の衛星計画がまた進展していくわけなんです。その辺をひとつ、もう十分おわかりのことだと思いますけれども、積極的に推進をしていただければと思っております。
 それから衛星を打ち上げる技術ですね。衛星の保守の技術は今いろいろと内容はおっしゃいましたが、打ち上げ技術の場合、ロケット開発というのが問題になってくるわけですが、これもHTロケット、さらに、つい最近また新しい三段式のロケットが成功したわけですが、HI、HU、これらの計画というのは順調に進んでいるように私は感じているわけなんですが、全般的に我が国の宇宙技術といいますか、このレベルが先進諸国に比べて一体どのような地位を現在占めているのか。何も外国と競争して自分の国だけがそれを追い抜いていこうということじゃなくて、現状として一体どの程度の技術レベルがあるのかという問題、また、こういった打ち上げも含めた宇宙開発に関する共同研究、これはSDI以外ですが、そういった面で米国とかあるいは欧州もいろいろやっていますから、欧州諸国との間に一体どういう共同研究体制が今あるのか、その辺を教えていただきたいのです。
#76
○政府委員(川崎雅弘君) お答え申し上げます。
 ロケットにつきましては、現在のHTロケットは、二段式及び三段式を含めてですが、第一段目がアメリカからの技術導入をいたしましたデルタの一段目を使っております。そういう意味では、技術導入、ライセンス生産によりますが、二段目の液体酸素と液体水素を使いますいわゆるクライオゼニックエンジンと言われるもの及びガイダンスコントロールシステム、それに今回上げました第三段目の固体ロケット、さらにアポジモーターといったようなものについては国産化が進んでおりまして、押しなべて言いますと、そういう意味ではおよそ八割方が我が国の技術であると思いますが、打ち上げる能力が静止衛星軌道用で三段で五百五十キログラムでございますので、現在国際的にいわゆる応用衛星と言われているものの通信衛星等の規模が七百ないし八百キログラムの重さのものでございますから、まだ若干打ち上げ能力そのものにはやや劣る点はある。
 ただし、現在開発を進めておりますHUになりますと一〇〇%国産で、しかも液体水素・液体酸素のエンジンを二段式で上げるということにしております。そうなりますと、静止衛星軌道上に約二トンのペイロードを上げることができるということで、この段階で現在のアリアン等に肩を並べることになるんではないかと思います。
 ただ、スペースシャトルとかソ連で開発が進められておりますエネルギアといったいわゆる二十トンというようなものを打ち上げる能力があるような大型の宇宙往還輸送システムという点についてはようやく研究が端緒に入っている、そんなような段階でございます。
 さらに、国際協力の現状でございますが、日米につきましては、いわゆる高級宇宙担当連絡者会議という一つの場が設けられておりまして、SSLGと申しておりますが、その傘下で主として研究者のフォーラムというような形で十八の研究課題が現在進行中でございます。この中の一つは、先ほど先生から御指摘がありました熱帯雨林問題との関連で、熱帯地域での雨量観測をどうやって衛星を使って進めようかということのフィージビリティー調査というのが入っておりますし、あるいは宇宙でのライフサイエンス分野の研究であるとか、そういう情報交換を行っております。
 それから、日本とヨーロッパとの関係は、ヨーロッパの宇宙機関、ESAという機関がございますが、定期的な毎年一回相互に開きます行政官担当会議というのを持っております。この中で具体的には五つの分野に分か札でいろいろ作業を進めておりますが、おのおのの開発したロケットなり衛星の部品の相互供給というようなことを可能にするための信頼性検査であるとか、あるいは安全基準とかいったようなものについてのそういう受け入れ企画的なものについてのすり合わせといいましょうか、そういうような具体的なのもございますし、あるいはHVロケットというのは、ちょうどアリアン5というロケットとほぼ均衡するものでございますが、政策的な論点も含めての意見交換を設けるというような形で具体的に進んでおります。
 さらに、より具体的なものとして、ヨーロッパではちょうど我が国と同じ時期に地球観測衛星を上げることになっております。ERSという略号は同じでございますが、これについての相互情報のデータの交換、あるいは現在上がっておりますもも一号のデータをヨーロッパで受信して相互検証をやるというようなことも具体的に進んでおります。
 さらに、個別の国といたしましては、このほかフランスあるいは西ドイツ、カナダ、オーストラリアといった国々とやっておりますが、ドイツとフランスについては、特に現在あります科学技術協力協定の枠組みの中で、宇宙での種々の材料実験等をやりますいわゆる宇宙実験分野での協力の可能性を探るための専門家会合をことしの秋にでも開こうというような段取りで話し合いを進めているといったようなのが現状でございます。
#77
○松前達郎君 宇宙開発についてもう一つお伺いしておきたいんですが、数年前ですか、アメリカのNASAの長官が来られて、宇宙ステーションの計画でしたか、これに何とか日本も参加してくれというふうな、たしかそういう要望があったような記憶があるんですが、この宇宙ステーションについて我が国として今後参加していくのかどうか。この宇宙ステーションというのは何だかまだはっきりしないんで、これは使い方によってはさっきの平和目的以外に十分使えるわけですから、その辺はいかがでしょうか。
#78
○政府委員(川崎雅弘君) 御案内のとおり、昭和五十九年にレーガン大統領のユニオンメッセージといいましょうか年頭教書の中で宇宙ステーションの計画が発表されて、国際協力が呼びかけられまして、その後いろいろ話し合いを行いました結果、宇宙ステーションというのはシビルのプログラムであって、平和目的に即して、しかも友好精神にのっとった国際協力として進めようというようなことで、まず六十年度、六十一年度と二年度にわたりまして概念を固めるための一種の予備設計段階といいますか、そういう段階の協力が一応実施取り決めという形で日本とアメリカ、さらにアメリカとヨーロッパ、それからアメリカとカナダとの間に結ばれました。国の数にいたしますと、アメリカ以外でヨーロッパが十三カ国でございますので、十六カ国の多国間の協力になるということでなっております。
 現在、その進めておりました予備設計はほぼ順調に固まりました。しかし、途中アメリカの内部において予算的な制約等から、当初考えておりました宇宙ステーションよりもやや規模を縮小した形で全体の構成が固まってまいりました。
 すなわち、宇宙ステーションというのは高度約四百九十から五百キロのところに常時浮かぶ空中の実験室でございます。その実験室は四つ今考えておりますが、二つはアメリカがつくります。一つはヨーロッパ、もう一つを日本がつくりまして、その四つがドッキングをしておる。その実験室を働かせるための電力であるとか、あるいはコントロールするための通信回線等の施設設備を持った例えて申し上げますと浮き島の実験所をつくったというような内容のものでございます。
 現在、それを予備設計の方針に従いましていかにして開発を進め、いかにして運用をするかということについて、実は昨年の六月来、日米あるいは欧・米、欧州の間で取り決めについての話し合いを進めておるわけでございますが、取り決めの内容についてはまだ協議が残念ながら相調っておりません。我々としては、年内を目途に取り決めの内容を固めたいというふうに考えておりまして、毎月協議をするというような密度で鋭意進めているところでございます。
#79
○松前達郎君 宇宙の問題はそのぐらいにいたしまして、今度は海の方にまいりたいのですが、海洋科学、これは宇宙に比べると少しおくれているような気がするんです。海洋というのは宇宙と逆の条件だというふうな、酸素がないとかそういう問題は別として、これについて、やはり我が国の場合には周りが海洋でありますから、当然我が国が一番これに重点的な研究調査等を行うべきである、こう思っておるんですけれども、これについていろいろとフランスとかその他の国では潜水艇まで動員して駿河湾の調査をやったり、目と鼻の先をフランスがやっているというような状況です。日本でも「しんかい」等でいろいろとやっておられるようです。今後これらについての取り組み、どういうふうに展開していこうとお考えなのか、それを簡単に御説明いただきたいと思います。
#80
○政府委員(川崎雅弘君) 海洋開発というのは非常に幅広いジャンルでございまして、午前中の御審議でもありましたように、非常に関係する省庁も多うございます。
 科学技術庁としましては、二つの側面、一つはいわゆる海洋工学とでもいいましょうか、海洋におけるいろいろの構築物等をつくっていく、そういうのに必要となるような技術基盤を確立していく、そういう意味で潜水技術というようなのが代表的な例だと思います。さらにもう一つは、今先生御指摘のような、海洋を一つの自然科学の対象といいましょうか、地球科学の対象の一つとしてとらえました資源を含めての種々の調査活動をどのように進めるか、そのような調査活動に必要な調査手段をどのように考えるか、そういう二つの面から現在重要性を認識しておりまして、傘下にございます海洋科学技術センターを通じまして現在鋭意努力をしております。
 幸いに予算的な配慮もいただきまして、アメリカ、これはアルビンと言っておりますが、あるいはフランスのノーチールと言っている、こういう六千メートル級の深海調査船に相当する我が国の六千メートル級の深海調査船の建造も予算的な措置が講じられておりますので、我々としましては、このしんかい六〇〇〇級を含めまして、これまで装備しましたしんかい二〇〇〇等とあわせて、より地球科学技術的な視点からの調査活動に重点を置いた展開をこれから図っていくべきではないか。
 先ほど御指摘のリモートセンシング衛星というようなものも含めますと、地球科学技術的な観測に必要な道具立てが逐次整備されつつある。そういうことを踏まえて地球科学技術全体の振興のための調査活動を活発化する、そのような趣旨で科学技術庁長官のもとにあります航空・電子等技術審議会の中に特に地球科学技術部会というものを設けていただきまして、今後の研究方向について、関係省庁も含めましてどう取り組むべきかということについて今御審議を願っておるという状況でございます。
#81
○松前達郎君 次に、災害の問題なんですが、特に、災害でも最近は地震が非常に国民の心配の種になっているんです。富士山の頂上で地震が幾つか観測されたとかいろいろ報道があるわけなんです。
 災害予知技術の開発なんですが、これも各部署それぞれいろいろとやっておられるようですね。例えば地震予知に関しての関連組織という表を見ますと、地震予知推進本部、これは科学技術庁の事務局としてあるわけですね。その下の方に通産、運輸、建設、自治省、文部省まで入っている。そういったような、それぞれ得意得意があるんでしょうが、それぞれ各省庁が分担していろいろと検討をしておられるようにこの表によるとなっているわけなんですが、これもやはりそれぞれの省庁にまたがっていますから非常にまとめるというのも大変かもしれないんですが、自然災害の予知技術の開発というのはこれは非常に重要だと私は思うのです。これについて、やはりまとめ役であるべき科学技術庁として今後一体どういうふうにこれを推進しようとするのか。
 例えばいろんなのがありますね。ちょっと笑い話かもしれませんが、ナマズが騒ぐとか、あるいは木が特定の地電流に感じるとか、あるいは三メガ前後の電波が異常な雑音を発生するとか、場合によってはちょっと変わった雲が出るとか、いろんなことが言われているんですね、昔から。これは根拠が全然ないわけではないと私は思うのですが、残念ながらこういうものが統合されてないもんですから、時間軸で全部整理がついてない。ばらぱらにみんなそういう記録が恐らくあるんじゃないかと思うのですね。ですから、こういった面を一遍全体を見ながらまとめ上げてみるというのも重要な仕事だろうと私は思っておるわけなんです。地震計ではかるというだけじゃこれ話にならない。
 また同時に、もっと基本的な面でいうと、いわゆる地殻の変動についての科学的な推論といいますか、そういうものもあわせて総合的にこれやっていかないと地震の予知なんていうのはとてもできない話だと私は思うのです。災害に対しては、これは起こった後どういうふうに対応するかですから、これはある程度対応の仕方があると思う。防災センターなどでおやりになっていますね。
 この予知に関する技術、これについて特に科学技術庁で何かお取り上げになったようなことがございますか。その点ひとつお願いします。
#82
○政府委員(川崎雅弘君) 予知技術というのは大変難しゅうございますが、特に自然災害に対する予測、予知、これは分野によってかなり濃淡があろうかと思います。今御指摘の地震につきましても、ある程度予知が可能かと見られているのは東海地区というふうに限られた地区でございます。ここでは多数の観測点を擁し、種々の項目、百三十三項目というような種々のデータをインディケーターにとらえて、ようやくありそうであるという程度の予知ができるという程度に学問のレベルが進んでおるわけでございます。
 一方気象になりますと、いわゆる風水害の予報ですが、そのような問題については幾つか予報技術が気象庁を中心に行われておるわけでございます。
 そういう意味で、自然災害押しなべて予知技術というのは非常に難しいわけでございますが、いろいろの分野にわたっておりますので、特に科学技術会議の中に設けられました部会においていろいろ御審議を賜りました結果、現在防災に関する研究開発基本計画というのが昭和五十六年の七月に内閣総理大臣決定をされております。これに従いまして関係各省がそれぞれ持ち分に応じた努力を現在続けている状態でございまして、私どもの国立防災科学技術センターにおきましては、その中で地震の予知、特に東海・関東地区及び火山噴火予知といったような点での観測網の整備、あるいは風水害それから雪害といったようなものについての研究、これは災害の規模等の予測ということで、予知とはちょっと離れますが、そういう研究を進めているわけであります。
 何分大変な難しい、しかも多分野にまたがる問題でもありますので、かつ国民生活に最も重要な影響を与える分野でもあると思っておりますので、これからも基本計画にのっとりまして当庁としてもできる限りの努力を続けていきたい、かように思っております。
#83
○松前達郎君 災害の予知というのは大変だということはわかります。しかし、できるだけとおっしゃったのは、考えられる手段すべて使って総合的にそのシステムをつくり上げるということですね。これが私一番重要だと思うので、ひとつその辺も推進していただければと思います。
 大体、気象庁というのは天気予報とか気象状況の発表だけやるかと思ったら、何でこの地震をやるんだなんという疑問も、これはいきさつ上そうなっているんだと思うのですね、歴史上。火山爆発が何で気象庁なんだろうかなんというのを言う人もあるんです、これは担当がそういうふうに今なっている歴史がおるからそうなっているんだと思うのですけれども。しかし、いずれにしても総合的な問題だということで推進をお願いできればと思うのです。
 次に、今度エネルギー開発の問題でございますが、かねがね新しいエネルギーとして太陽とか風力、海洋、これは波浪それから温度差があると思います。潮力もあると思うのですね、潮力というか干満の差を使うとか、そういったようなものがある。あるいは地熱、また原子力、水素、バイオマス、その他たくさんあるんですね。一時油の値段が非常に上がっていた時期、いわゆるオイルショックのころには、これは全く毎日のごとく新エネルギー開発というのが話題となっていたわけなんです。最近になるとどうやらだんだんどこかへ行ってしまったような感じなんですね。その中で、今残っているので一番中心となっているのが原子力ということになろうと思うのです。
 これにつきましても、最近電源開発調整審議会が昭和七十一年度の電力の総需要量として七千四百九十二億キロワットという数字を出していて、以前に予測していた数字より大分下方修正をしてきたわけです。しかもそこへもってきて、これは当委員会でも参考人の御意見を伺ったんですが、例えば超電導なんというのが近い将来実現するというか、超電導そのものは今あるわけですが、経済的に非常に有効な手段として利用できるようになっていく。そうすると電力の蓄積の問題がある程度解決できますね。そうなりますと、使用効率その他も全部ひっくるめて、どうも電力というのは今の程度で十分なんじゃないかということも起こってくるわけなんです。
 ただ問題は、電力を生産するそのもととなる燃料とかそういうものは海外から輸入せざるを得ない、こういう日本の現状でありますから、安全保障的に考えますと、エネルギーの分散生産といいますか、そういう面から考えれば原子力もある程度やむを得ないだろう。しかし、その問題一つ挙げても、さっきちょっと申し上げたようにまだまだ未解決問題がたくさんあるんじゃないだろうか。原子力発電のいわゆる標準化といいますか、設備その他の標準化というのはある程度できたかもしれませんが、あるいは個々の技術についてはある程度信頼性が高くなったと思うのですが、問題はその廃棄物というのがあるんですね、放射性廃棄物。
 これを一体どうするのか、これがどうも決定的な手段がまだ全然見つからない。お金をかけて半減期の短いものに変換していくというのも、まだまだそういうこともできない。そういうふうな状況の中でやはりここで我々が考えなければいけないのは、さっき冒頭に申し上げた二十世紀の後始末というんですか、その辺にやはり相当力を入れていきませんと、問題解決ができたとは決して言えないわけだと私は思うのです、
 最近、西ドイツがたしか中国と協定か何かを結んだのじゃないですか、放射性廃棄物の処理の問題で、あるいは処分でしたか。処分とすれば、ゴビ砂漠みたいなところに埋めてしまえば人間がほとんどいないから大丈夫だろうなんという考えも出るかもしれませんが、各国とも恐らくこの問題については頭の痛いところじゃないかと思うのですけれども、この放射性廃棄物、これは高レベル、低レベル含めてですが、この処理の問題、これをさらに研究開発する必要があろうと思うのです。その点いかがでしょうか。
#84
○政府委員(松井隆君) ただいま先生御指摘の放射性廃棄物の処理処分の問題でございますけれども、現在廃棄物につきましては二つ、いわゆる低レベルと高レベル、こういうふうになってございまして、低いレベルの方の放射性廃棄物につきましては、おかげさまで原子炉等規制法の改正も通していただきまして、原子力発電所から出ます低レベル放射性廃棄物につきましては青森県六ケ所村に埋設の施設をつくりまして、そこで処分をさせていくという計画になっているわけでございます。もちろん、これにつきましては今後それを行う事業者の方から事業許可申請が出てまいります。そういう段階で極めて厳重にその安全審査を行って、安全であるということを判断した上でその仕事をさせるということになろうと思います。
 問題は高レベル放射性廃棄物の方かと思っております。これにつきましては、基本的に、原子力委員会の場でいろいろと議論がありまして検討を進めた結果、まずこれは固化するべきであろう。つまり、ガラスの中に固化する。その固化したガラスをキャニスターと称するステンレス製の筒の中に入れる。これを三十年から五十年ぐらい冷却する。冷却することによって放射能がディケーしまして中の温度が冷えできます。そうすると、大体百度ぐらいになればそれを深い地層の中に入れても恐らく岩盤に影響を与えずにうまく処分できるのではないだろうか、こういう線で話を今進めておる次第でございます。
 それで、ガラスに固化する技術につきましては、動燃事業団あるいは原子力研究所等のいろいろな研究がございます。またさらに、昭和五十三年かと記憶していますけれども、フランスにおいてはもう既にそういう固化プラントのあれができておりまして、約千四、五百本のそういうものができております。ほかの国でもそういう仕事を進めておりまして、そういう意味ではいわゆるそのガラスに固めてキャニスターに入れるという技術はほぼ確立されつつあるんではないだろうかと存じます。
 問題は、それを今後地層の中に入れた場合にどうなるかという地層への影響、そういう問題がまだあろうかと思いまして、これにつきましてはこれから鋭意やはり研究を進めなくてはいけない問題があろうかと思います。
 以上のような状況でございます。
#85
○松前達郎君 それについて国際的な協力体制とか研究開発に関する協力、そういったものは今行われていますか。
#86
○政府委員(松井隆君) この分野の国際協力も非常に進んでございます。例えばまず一つは、OECDに原子力機関、NEAと称する機関がございますけれども、そういう場で先進各国が集まりましていろんな相談も進めております。
 それから、日本といたしましても、具体的には例えば日本とアメリカ、あるいは日本とオーストラリア、日本とフランスでございますか、等々のいろいろと先進諸国との共同部な国際協力、そういうものも行われているわけでございまして、お互いに知識を共通にして、全体としてやはり安全にうまく処理するべく関係各国が鋭意努力をしているという段階でございます。
#87
○松前達郎君 技術的なことはもうわかっているんですけれども、処分ですね、埋めてしまうとか、一時は海へ捨ててしまうなんてありましたね、ロンドン条約か何かを盾にとって。その辺の問題、そういった処分をする以外にもう手はないのかどうか。ほかには全然考えられないのかどうか。それしか考えられないのなら、それを一体どういうふうに国際的に協力していくか、こういう問題をちょっとお伺いしたわけなんで、技術的にガラス固化がうまくいっているとか、そういうことはもうわかっていますから、そのことをお伺いしたのしゃないのです。どうでしょうか。
#88
○政府委員(松井隆君) 高レベルの放射性廃棄物につきましては先ほど申しましたような考えで今進んでいるわけでございますけれども、それ以外の、まだ基礎的な段階でございますけれども、御案内のとおり、高レベル放射性廃棄物の中には非常に放射能が強いけれども比較的半減期が短いもの、それからもう一つは、比較的放射能は弱いけれども半減期の非常に長いもの、こういった種類がごっちゃに入っているわけでございます。
 考え方としては、そういうものを分けまして、その分けたものについて、例えば非常に放射能が強いけれども半減期が短いものはそれなりに貯蔵しておけばその半減期が早くなる。長いものについては核種を変換して、違った核種に変えることによってもっと短い核種にできないだろうか、これは群分離あるいは消滅処理、こういうふうに言っておりますけれども、こういった研究も基礎研究としては動燃事業団あるいは日本原子力研究所――日本原子力研究所では昭和四十何年からもう始めておりますけれども、そういった基礎的な研究も進めておるという状況でございます。
#89
○松前達郎君 処分の問題ですね、一番重要な問題は。何か新しい別の発想があって、新しい方途でも開発されればそれにまた一つの活路が見出せる、こう思うのです。
 それからもう一つ、原子炉の中に原子番号九十ですか、トリウムを使って中性子によって核分裂を起こしてエネルギーを出そう、そういういわゆるトリウム燃料炉というのがありますね、日本では最近はじき飛ばされて全然問題にされてないようですが。これは資源量も非常にウランに匹敵するほど多いというふうに、また中性子効率も非常にいいんだ、こういうふうに聞いているんです。溶融塩燃料の増殖炉について、これはアメリカではどうも研究をやっているんじゃないかと思うのですが、日本の場合どうも余り相手にされない。ここら辺についてどうなんですか、これは多少特徴のある炉だと思うのですけれども、研究開発というのは、そっちの方向にもある程度やるつもりがおありなのか、あるいはもうこんなのはほうっておけというのか、その辺どうでしょう。
#90
○政府委員(松井隆君) 原子炉にウランではなくてトリウムを燃やしてそのエネルギーを利用したらどうかというアイデアは昔からございました。それで、確かにアメリカでは溶融塩炉という一つのアイデアで、オークリッジ研究所でかなりいい研究をしたという実績もございます。また日本原子力研究所におきましても、これは昔でございますけれども、そういった新しい炉のアイデアというものを出しまして、ある程度の研究開発をした経験はございます。また、現在トリウム利用につきましては、日本原子力研究所において非常にベーシックな研究でございますけれども、行っている状況でございます。
 したがいまして、トリウムにつきましても、ウラン以外にこういった核分裂を起こして利用できるという資源であることは間違いないわけでございます。ただ、現在私どもとして、やはりウランサイクルによってこれをいかにちゃんとうまくやるかということがまず第一義だと思っておりまして、そういう意味では、トリウム利用につきましては基礎的研究という段階に位置づけて進めておる次第でございます。
#91
○松前達郎君 原子力関係もう一つだけ。
 原子力船「むつ」ですね、「さまよえるオランダ人」というんですか、この問題、最近いろいろまた新聞にも報道されているわけなんですけれども、これは途中で組織を移しましたね、その段階以降順調に計画が進んでいるのかどうか。そして将来それでずっとやっていくのか、最終的にどうするのか、その辺ひとつ説明してください。
#92
○政府委員(松井隆君) 原子力船「むつ」につきましては、昭和六十年でございますけれども、政府といたしまして計画を改めてつくったわけでございます。その計画では、昭和六十五年度に実験航海を約一年ぐらい行う、「むつ」はそこで解役にするというのが計画でございます。そのためのステップとしてまず一つは、大湊港に今定係中でございますけれども、それを移すべく関根浜に新しい新定係港をつくる。そこにまた必要な附帯施設をつくる。それで関根浜に移してから出力上昇試験を行う等々の諸試験を行いまして最終的に六十五年度の実験航海を行う、こういう昭和六十年度の計画がございます。
 それで、その計画等、そのとおりにいっているかというお話でございますけれども、ほぼ順調に進んでいるというふうに私は理解しています。ほぼと申しますのは、一つは関根浜新定係港の建設が当初の予定より少しおくれました。当初は六十一年九月までに完成してそこに原子力船「むつ」を移すという計画でございましたけれども、港の建設が少しおくれまして、現在は六十二年度いっぱいに「むつ」を移すということになってございます。また、それは確実にできるというふうに判断している次第でございます。それで、無事それができますならば、現在の計画では、多少スケジュールはきついとしても、六十五年に実験航海を終えてそこで解役にするということは可能と考えております。
#93
○松前達郎君 原子力についてはまだいろいろありますけれども、また次の機会に譲りたいと思うのです。
 最後に、一つ提案を含めて質問させていただきたいのは、科学技術会議の答申がこれ出たわけで、いただいたんですけれども、「物質・材料系科学技術に関する研究開発基本計画について」、それからもう一つが「国立試験研究機関の中長期的あり方について」です。
 この後から申し上げた「国立試験研究機関の中長期的あり方について」、これ中を拝見いたしますと、研究交流が不足しているという問題、それから人材確保が非常に困難になりつつあるということですね。それからさらに、機関運営についての柔軟性が確保されるべきである、こういったような幾つかの問題が挙がっておるわけなんですが、諮問答申でありますから、これを参考に今後科学技術庁としても考えていかれるんじゃないかと思うのですが、問題はやはり研究交流の不足とか人材確保の困難性、柔軟性の確保、これほとんど一つのブロックの中に入る問題なんです。
 それで、例えば大学などでは若い研究者あるいは研究者たらんとする若い人たちが一生懸命努力をしているわけなんですけれども、この研究者との交流等を含めて、あるいは柔軟性の確保ということに関連あるかもしれませんが、大学における大学院の研究活動ですね、これはテーマによっていろいろもう決まった分野がそれぞれあるわけなんですが、それをうまくすり合わせしながら大学院の研究活動と国立研究機関との幅広い交流というものを考えていったらいいんじゃないか、これ文部省とも関係あるかもしれませんけれども。やはり若い人材を確保するということと、それから研究者の老齢化を更新していって防いでいくというふうな問題、そういうものとすべてリンクしてくる問題だと思うのです。あるいは若い人材養成、こういった問題も含めて大学の大学院との交流、具体的にどうするか。
 これは、今ここで私自身も細かいやり方についてはまだ考えてもいないんですけれども、そういったものもひとつ考えていただいて、大いに、これは大学と言っても官もあれば氏もありますから、そういうところを総合してできるようなシステムというものをつくっていったらどうなんだろうか。私はこれを読んで、日ごろそういうことを考えておったものですからひとつ意見として申し上げまして、それについて何かコメントございましたらいただきまして、質問を終わります、
#94
○政府委員(加藤昭六君) 先生の御指摘の点も十分踏まえまして、国研の活性化に今後とも努めていきたいと考えております。
#95
○松前達郎君 終わります。
#96
○稲村稔夫君 ただいまの松前委員の最後の質問についてのお答えは、何かコメントというふうにあれしたら極めて簡潔過ぎるような御答弁でありまして、きょう私が伺うこともそれと随分関係があるわけなんでありますけれども、今、急のことですからあるいはなかったのかもしれませんけれども、もう少し考え方をきちっと整備をしていただかなければ、そのとおりでございますとなかなか言えない分だって中にはあるんじゃないかというふうに思いますので、その辺はひとつ特にお願いをしておきたいと思います。
 そこで、私時間の関係もございますので、通告をしておりました項目すべてをあるいはお聞きできないかもしれません。順序もその時間の推移によって飛ばしたり不同になったりするという部分も出てくると思いますけれども、それはひとつお許しをいただきたいと思います。
 いつもですと原発、そして今もいろいろと質問のありました放射性廃棄物の問題等、私の当委員会でのライフワークみたいになってきている面がないわけでもありませんけれども、きょうはそのことは省きまして、今話題にありました八月二十八日に出された科学技術会議の幾つかの答申のうち特に諮問第十二号に対する答申、つまり「国立試験研究機関の中長期的あり方について」の答申の内容についてというか、内容をどういうふうにとらえていくかということ、そういうことについて伺っていきたいと思います。
 まず最初に、この中で基礎的・先導的研究の高まりということをいろいろと書かれておりまして、そのことを重視されておりますけれども、この先導的研究と言われるものにつきましても基礎的研究というのが非常に重要な意味を持っているということは、これは先日の超電導に関する参考人の先生方の御意見にも共通をしていた問題だったと思います。それだけに、基礎的研究というのは非常に重要な意味があるとするならば、科学技術庁としてはこうした基礎的研究に今後どのように資金投入を考えていかれるのか、まずそのことをお伺いしたいというふうに思っております。
 聞きます理由は、私のかねがね持っております科学技術庁の予算に対する不満がございまして、原子力・宇宙庁ではない、もっともっと他の分野にも予算を獲得していただいて、本当に名実ともに日本の科学技術全般にわたっての、省庁間の調整というよりも言ってみれば指導的な役割を果たせるくらいのものになっていただきたい、こういう願いがありますので、まずその辺から伺っておきたいと思います。
#97
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 私の方でお答え申し上げたいのは、先ほど松前先生の御提言で、稲村先生の方から付言されておりますので、御提言につきましては、大学、大学院との研究活動、国立研究所との交流の問題でございますが、これは大学当局に聞きましても、また研究所等におきましてもそういう要望が非常に強いわけでありますので、私もそういうふうな話はよく聞いておりますので、そういうふうに実現できたら非常によろしいなというふうに私も考えておるところでございます。また、文部省とも相談をいたしまして、先生の御提言がうまくできるように努力してみたいと思っております。
#98
○政府委員(加藤昭六君) まず、国研の基礎研究の現状からお答え申し上げますが、総務庁の調査でございますが、昭和六十年度に国立試験研究機関が使用しました研究費の中で基礎研究につきましては六百十五億円というふうになっております。実は基礎研究、応用開発研究の区分というのはなかなか統計的にきちんとしたものがございませんで、総務庁の方で各試験研究機関に特にそういうふうな分けた形でデータを出してもらって集計した数字でございます。それによりますと、六十年度は六百十五億ということでございまして、全体の研究費の中で基礎研究費の占める割合は三一%というふうな状況になっております。
#99
○政府委員(見学信敬君) ただいま御質問の中で、科学技術庁がそれを予算としてどう考えているか、どう取り組んでいくかということにつきまして私からお答え申し上げます。
 御案内のとおり、我が国の経済社会の発展、二十一世紀に向けて発展していくためには、政策大綱にもうたわれておりますように、基礎的なあるいは先導的なあるいは創造的な技術が大切であるということは言うまでもございません。このような考え方を踏まえまして、六十二年度、今年度の予算につきましても基礎的なあるいは創造的な研究の推進につきましてかなり重点的に私ども配慮しております。
 具体的には、科学技術振興調整費の拡充を図りました。いわゆる重点基礎研究につきましては引き続きこれを推進するとともに、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの調査を初めとしまして幾つかの基礎的な創造的な研究について拡充を図っております。また国際フロンティア研究システムという制度を発足させておりまして、継続二分野でございますが、六十二年度その研究の充実を図っております。また創造科学技術推進制度の拡充というようなことで新規三課題の研究に六十二年度着手いたしているわけでございます。そのほか、当庁の附属研究機関等におきまして、ライフサイエンスあるいは物質・材料系の科学技術等を初めとします基礎的なあるいは創造的研究を推進してきているところでございます。
 ちょうど来年度に向かっての概算要求を大蔵省に提出するタイミングになりまして、来年度に向けまして私どもとしましては、今の中でさらに敷衍して申し上げますと、科学技術振興調整費のうち特に国際流動基礎研究制度という新制度を要求させていただいております。諸外国の方々とも共同しつつ、あるいはそれぞれの国研の枠を超えて、あるいは省際的な意味での共同研究もしていただこう、こういった基礎的な研究テーマをつくっていこうという考えがございます。
 また、国際フロンティア研究システムにつきましても新たに一分野研究に着手したいと思っておりますし、創造科学技術推進制度も、今年度三つふやしましたけれども、来年度についても三テーマほどできればと思って概算要求に織り込まさせていただいております。かくかくいろいろな形で拡充を回らせていただきたいと思っている次第でございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、科学技術庁の予算の中に占める原子力であるとかあるいは宇宙であるとか、ありていに言いますと大型プロジェクト的な予算が中心であって、基礎的な分野についての予算が足りないではないかという御指摘は私どもいただいているところでございますが、ちなみに、そういった観点から数字を追ってみますと、原子力と宇宙と海洋と、この大きな三つを外してみてその他の予算がどんなふうになっているかということを申し上げますと、六十一年度で四百九十四億円、いずれも予算ベースでございますが、一二・八%の伸びを確保しました。全体の構成が一四・九%でございまして、六十二年度では五百二十六億円、六・五%の伸びでございました。全体が一%の伸びでございましたから相対的に大きいことはおわかりになると思いますが、一五・八%のシェアになっております。
 さらに六十三年度の、今度の要求、これは仕上がってみませんと比較の対象にならないわけでございますが、五百六十九億円の要求をさせていただいておりまして、八・二%の伸び率の要求をさせていただいております。この結果、構成比は仮にこのままつきますと一六・五%ということになりまして、まだまだ少ないということは御指摘のとおりだと思いますが、少しでも、一歩でも増加させていこうと思っております。
 以上でございます。
#100
○稲村稔夫君 今、一生懸命努力をしておられる話が出ましたけれども、先日の超電導のときの参考人の御意見の中でも、基礎研究には設備であるとかいろいろとかなり大きな経費がかかるというようなことも問題として提起をされておりました。要するに、すぐに目の前ではね返ってくるというものではないだけにこれはかなり思い切った投資をしていかなければならない、そういう問題だと思うのです。そういう意味では、私は今具体的に、また予算がどういうふうになったとかなんとかと議論することは別にありますから、きょうはそのことは余り申しませんけれども、要するに、基礎研究を大きくさらに育てていくためにも、発展をさせていくためにもひとつ特段の努力を技術庁にはお願いをしたい、こんなふうに思います。
 次に、そうした基礎研究にとっても非常に重要な技術というのがいろいろとあります。そういうものが国の試験研究機関等で開発をされた場合、これはもう大いに活用してそうした研究が進むような総合的な体制をつくっていくということは大いに大事なことなんではないかというふうに思うわけです。
 たまたまきょう午前中に木宮議員から出ておりましたが、農林水産省でやりました電気パルスによる細胞融合の装置の開発、これは遺伝子工学にとっては極めて画期的なものにもなるという可能性を持っているわけでありますけれども、まずこうした研究には、これは農林水産省に本来だと農林水産委員会で聞かなくてはならないことかもしれませんが、農林水産省ではどのくらいの予算をつけて今までやってきたんだろう、こういうこともございますし、こういう技術が開発をされたということになりますと、これを国立研究機関の中で遺伝子工学分野で大いに活用していくようなそういう総合的調整、これを科学技術庁はおやりになるおつもりかどうか、そんなこともお伺いをしたいと思います。
#101
○政府委員(川崎雅弘君) 先生御高承のとおり、組みかえDNA技術を使いましたいわゆるジーンエンジニアリングと言っております遺伝子工学関係につきましては、大体スタートを切りまして我が国でちょうど十年ほどたったところでございます。これにつきましては、かねてから科学技術会議でも意を払っておられまして、昭和五十九年にライフサイエンスの中の特に先導的・基盤的な分野だということから五十九年に研究開発の基本計画というのを定めてございます。それに従いまして現在農林省を初め厚生省あるいは通産省といったような各省の各研究機関において、それぞれの応用分野といいましょうか、をねらいながらいろいろな研究を現在まで続けてきておるわけでございます。その中に、特に育種に関連いたします形で農林省、あるいは鉱物のリーチングといいましょうか、鉱物を選鉱するに必要な細菌を増殖させるというか、そういうような分野まで入ってまいりますし、あるいは疾病治療、あるいはワクチンの製造といったような、非常に利用分野が違いますのでいろいろ各省に分かれておりますが、この基本計画に従って進められている。さらに総合的に進めるべき重要な課題については当庁でお預かりをしております科学技術振興調整費によりまして共同研究プロジェクトを組んで進めさせていただくといったような状況でございます。
#102
○稲村稔夫君 農水省来ていますか。――これはどこの予算で、どの程度の予算でやられたということになりますか。
#103
○説明員(稲垣春郎君) お答え申し上げます。
 基礎研究は私どもといたしましても大変重要視いたしておりまして、その基礎研究の一つとしてバイオテクノロジーの研究もいろいろ多面的に実施いたしております。この中で、電気パルスによります細胞融合装置の開発ということにつきましては、昭和五十九年から六十年にかけまして「細胞融合・核移植による新生物資源の開発」と題しましたプロジェクト研究の中で、また六十一年度には、ハイテク育種と申しておりますが、ハイテク育種に関する総合研究というプロジェクト研究の中で当省の農業生物資源研究所が担当いたしまして開発に取り組みました。六十一年度には民間との共同研究によりまして実用的な装置として開発いたしたわけであります。この装置の開発に投じました予算の総額は約二千万円でございます。
 この装置は、御存じのとおり電気刺激によりまして毎分十万個の融合細胞を得るという非常に画期的な、世界で初めてという装置でございまして、これからの細胞融合の大幅な効率の向上につながるものということで大変私どもも期待しているものであります。こういった装置の開発も含めまして、私どもといたしましては、今後ともバイオテクノロジーを含みます基礎的そして先導的な研究に強力に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#104
○稲村稔夫君 時間の関係がありますからこれ以上余りお聞きはできないのが残念でありますけれども、研究費二千万円でもって上げたということになりますと、これは随分安く極めて効率的な研究成果であった、こういうことにもなるわけでありますが、たまたまそういうこともあるでしょうが、やはり基礎研究にはかなり大きな経費がかかるということでありますので、それぞれの各省庁から積極的に基礎研究に投資をしてもらうように、これはもうやはり科学技術庁としてはそういう面でも各省庁に働きかけていくことも一つのお仕事ではないだろうか、そんなふうにも思いますので、その辺はひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、この答申の中で国立試験研究機関の役割についていろいろと述べられているところがございますけれども、その中で、市場原理になじまない分野や食糧、エネルギー資源確保等行政上の必要性や国民のニーズを十分踏まえるべきだ、こういうふうに述べられている部分があります。
 そこで、国民のニーズを踏まえるということ、国民のニーズというのをどう判断するかというのはなかなか面倒なところがありますけれども、前向きの夢につながっていくお話がいろいろとあった中で、今度は余りおもしろくない方の聞き方をして恐縮なんでありますけれども、国民に将来大きな影響をもたらすかもしれないということが予見できるあるいは心配される、そういうようなことも科学技術の進歩に伴っていろいろと出てきているわけであります。もちろん先ほど話題にも出ました放射性廃棄物の問題等もその一つでありましょう。しかし、そればかりではなくてそのほかにもいろいろとこういうものはあるわけでありまして、そういうことについての研究というようなことは、これまさに市場原理になじまない、そういうものが大半じゃないだろうか、こんなふうに思うわけです。
 そこで、少し具体的にそれぞれのことを伺ってみたいと思うのでありますけれども、まず、環境庁お見えになっていますか。――昔の八月二十九日の新聞に共同の記事としてフロンガスのオゾン層破壊のことが取り上げられまして、オゾン層保護の国際条約の議定書を締結しようということで今国際的にいろいろと相談をしておる、こういうことが報じられております。ただ、ここでちょっと気になりますのは、その中でどうも日本はこのことに対して消極的であるというふうなことが書かれておりました。事前のお話でいろいろと伺いましたところが、必ずしもそうではないんだ、こういうことでもありましたが、この際その辺をひとつはっきりとさせていただきたい、こういうことが一つ。
 それから、これは科技庁の方にもお伺いしたいのですが、このフロンガスとオゾン層保護との因果関係、この研究はどの程度されているのでありましょうか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
#105
○説明員(奥村明雄君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のフロンガスの問題でございますが、これは地球的規模の環境問題の一つということで、大変私どもとしても重要な問題だというふうに考えておる次第でございます。
 環境庁におきましては、この問題の科学的知見などを整理いたしまして、その評価をしていただくために専門家から成ります成層圏オゾン層保護に関する検討会を設置しましていろいろ御意見等を伺ってまいったわけでございますが、先般その中間報告といたしまして、国際的な協力のもとにフロンガスの生産量の凍結、削減を行うということが一点。
 それから代替品の開発等、あるいは先生御指摘の因果関係等についての科学的知見をさらに究明していくというような点を指摘された中間報告をいただいておるところでございまして、環境庁といたしましても、この報告の線に沿って努力をいたしておるところでございます。
 また、先生御指摘の近くモントリオールで開かれます国際的なこの問題に関する議定書の会議におきましても、関係各省庁と連携を密にしながら、国際協調の線に沿って実り多い成果が上げられるよう環境庁としても努力をいたしておるところでございます。
 それからもう一点、因果関係に関する研究の点でございますが、先ほど申し上げましたように、検討会においていろいろな現在時点における評価をしていただいておるところでございますが、これまでの知見を整理いたしますとともに、さらに、まだ未解明な点も残されておるわけでございますので、来年度予算におきましても、私どもとしては国立公害研究所におきまして、因果関係の問題、その他の問題につきまして総合的に研究を進めていきたいということで検討をいたしておるところでございます。
#106
○政府委員(川崎雅弘君) 科学技術庁としても、こういう問題が現在起こっておって、かなり深刻な問題を与えるのではないかと憂慮されているという実態は認識をしておりますし、かつて資源調査会等の報告で、炭酸ガスの増加に伴う異常気象の問題とあわせて、ここから報告が出されております報告を整理したこともございますが、遺憾ながらまだ実際の研究に着手するというような段階には至っておりません。
 今後、環境庁等とも協力をさせていただきまして、地球科学全体をどうこれから伸ばしていくかという大きい視点に立ってぜひ種々の研究を進めるべきだと考えておりますので、今後ともよろしく御指導のほどをお願いしたいと思います。
#107
○稲村稔夫君 これは私も例えば伺いたいところはいっぱいあるんでありますけれども、これは本当に重大な問題を含んでおりますので、例えば現在我々の周りでフロンガスというのはまさにはんらんをしているわけです。このフロンガスが使えないということになりますと、それはそれこそ産業界にもう重大な混乱が起こるという可能性も持っております。しかし、本当にこれ因果関係が明確であってということになってまいりますと、そうは言っていられないわけですね。地球的な規模で人類のためにということになってまいりますので、これは極めて重大な問題だということにもなりますから、私は、科学技術庁、やはり積極的にこういう研究については旗を振っていただいて、そして少なくとも原因が明確にされてきて、対策が立てられるようにというような対応をしていただきたい、そう思います。
 次に、これも新聞記事で恐縮でありますけれども、八月二十七日の朝日新聞の夕刊で、こういう随分写真だけセンセーショナルに大きく出ておりますが、「子ザルは何を訴える」ということで淡路島のモンキーセンターの猿の奇形児の出産を伝えております。これは極めて重大な問題として何回ももう言われてきているんですが、しかし、この中で一つ重要なことが言われているのは、まだこれが環境由来なのか農薬由来なのか、そういうことがみんなわかっておらないようなふうに報じられております。
 これは霊長類ということで、我々に一番近いところの生物の受ける影響なわけでありますから、これは検出されてはいけない有機塩素系の農薬が解剖の結果がなり多量に出てきているというような事実もあるわけでありまして、人間の将来というものに極めて重大につながってくる、そういうものでもあるんですけれども、厚生省としてはこうした問題にどのようなお取り組みをしておられるか、それをまずお聞きしておきたいと思います。
#108
○説明員(内山壽紀君) 猿の奇形発生との因果関係についての議論がございますアルドリンとかディルドリン、それからヘプタクロル、DDT等の有機塩素系の物質につきましては、環境汚染上の観点から既に十年以上も前に農薬取締法上の登録は取り消されておりまして、また化学物質審査規制法の第一種特定化学物質として指定することによりましてその使用が全面的に禁止されております。したがいまして、現在の食品からの摂取を通じての国民の健康を害するものはないという考えでございます。
 なお、御指摘の有機塩素系の環境汚染物質につきましては、我が国では先ほど申し上げましたように既に農薬取締法に基づく登録が抹消されまして、農薬としての製造、流通は全面的に禁止されております。
#109
○稲村稔夫君 私が伺っているのは、私も農水の委員ですから禁止をされていることはもう十分承知をした上で伺っているんです。使用禁止になっているものが、それが何で今こういうふうな問題に、これ、猿が死んだ話というのは、つい生後十日目だというんです。五月からの出産時期で生後十日目というと、ことしの話が載っているんですよ。使用してはならないものが、それが解剖すると死体から検出をされる。そして、それは何もこれだけの話ではなくて、ほかの衛生試験場であるとか何かのいろんな研究の検査の中でも本当はないはずの、使ってないんだからもうなくなっていうはずのものが結構検出されているんですよ。
 これは、一つは行政上の問題としてなぜこういうものが検出されるのかということをきちっとしなければならぬという大きな問題がありますけれども、同時に、そうするとこれはかなりのものが残っているということを意味しているわけでしょう。どこかに残っている、残ってなかったらこれ出てこないんだ、生まれた子供から。だから、そういうことを私はやはり重視をして研究というものはもっと積極的にとらえてもらわなければならぬのではないだろうか。こういう観点がありまして、残留農薬を問題にしておられる、チェックをしておられる厚生省としてはその辺のところはもう積極的に警告をしていくことが必要なんじゃないか、そんなふうに思うのですけれども、それはどうですか。
#110
○説明員(内山壽紀君) 先ほどお答えしましたように、この有機塩素系につきましては、分解がなかなかしがたいものであって蓄積性が強いものという物質でございまして、かつ、これについて毒性があったということで、現在は、厚生省としましては化学物質として規制し得る最大限の対応を図っているということでございます。
 それからなお、こういうようなものにつきましての安全性の確保ということにつきましては、現在の状況ということもございますものですから、私どもとしましては、現在どのような形で摂取されているか、摂取状況等についても把握しているところでございます。
#111
○稲村稔夫君 これはまた改めていろいろと伺わなくてはならない部分でありますから、私が今申し上げましたように、問題は、検出されてはならないものが検出をされるような状況、それを重視しながら、やはり厚生省の行政も残留農薬チェックあるいは環境への残留、そういうもの、例えばこれが細菌や何かであればすぐに消毒体制をとるとかいろいろなこともやるわけなんですけれども、そういうもの、簡単に対応できる、やれるようなことじゃないですけれども、そういうときどうするかというような問題などもいろいろと出てくると思うのですよ。そういうことをやはりいろいろと対応を考えていただきたい、こんなことを要望いたしまして、この項も終わっておきたいと思います。
 次に、食糧の放射能汚染が、これが将来の人体のDNAにどういう影響を与えるだろうか、これも非常に大きな心配事になるわけであります。特にチェルノブイルの事故のためにヨーロッパだとか中近東から輸入される農産物についてはかなり放射能汚染の事実が幾つもあるし、そしてまた、これからも心配があるということになるわけであります。
 ここで私が伺いたいのは、そういう放射能汚染というものを食糧にやっているときに、そういう放射線が人体に蓄積をされたりしてDNAにどういう影響が出てくるかというような研究をどこがやっておられて、その辺はどういう合成果になっているだろうか、こういうことが一つ。それからもう一つは、これは国によって許容基準がどうも違うようでありまして、我が国と例えばよその国とで許容放射能の量が違うというようなことがあるようでありますけれども、その辺は我が国は緩い方ですか、厳しい方ですか、こんなこともあわせて伺いたいと思います。
#112
○政府委員(松井隆君) まず、先生の御指摘のそういった放射線あるいは放射能を人体が摂取した場合にどういう影響があるかという研究はどこでやっているかという御質問でございますけれども、これにつきましては、私どもの所管するところでは放射線医学総合研究所、もちろん大学等でもやられておりますけれども、放射線医学総合研究所でやっております。
 放射線医学総合研究所は、御案内のとおり昭和三十三年か四年にできた研究機関でございますけれども、一つは、そういった放射線が人体にどういう影響があるかということを見きわめるための研究をやる機関、それからもう一つは、放射線を人体にむしろ有効利用する、具体的にはつまり医学利用が中心となりますけれども、医学利用のどういう手法があるかという開発、それからあと、そういった研究者、技術者の養成訓練、こういったようなことが主な目的でできた機関でございまして、その第一点の放射線の人体に対する影響研究、これはもう設立当初からいろいろと始めでございます。
 具体的には、それぞれいろいろな中身があるわけでございますけれども、一つは、例えば原子力発電所でも結構です、あるいはチェルノブイルでもいいんですけれども、そういった出された放射性物質が一体どういう経路を経て人間の体内に摂取されるんだろうか、そういうものをやはり定量的に把握しなくちゃいけない。それから、その摂取された物質が人間の体内でどうなるか。つまり、すぐ出てしまうのかあるいはどこかの臓器に蓄積されるのかというような研究。それから例えばその蓄積された放射性物質がどの程度の放射線を出し、これが人体にどういう影響を与えるか。こういった多様な範囲にわたっている研究があるわけでございます。
 具体的にはそういったもので、DNAレベルの研究もやっております。それから染色体レベルの研究もございます。細胞レベルの研究もございます。さらに、そういうのをまとめて個体レベルと申しますか、ラットとかマウスとか、あるいは大きなものはビーグル犬という犬でございますけれども、そういうものを使った研究等々を行っておりまして、そういうデータを今蓄積しているという段階でございます。
#113
○稲村稔夫君 外国との違いは。
#114
○説明員(大澤進君) 私の方からは、先生の御指摘の食品の放射能汚染が問題になっているが、各国によって許容量といいますか基準に差があるではないか、しかもそれは我が国の場合、他の国と比較して厳しいのかあるいは緩やかであるのか、こういう御質問かと思いますのでお答えいたします。
 私ども逐一各国の判断された根拠等を把握しているわけではございませんが、一般に私どもなりに把握した範囲で申し上げれば、御承知かと思いますが、国際的には国際放射線防護委員会、ICRPという略称になっておりますが、そこの公衆に対する勧告の線量限度というのがございます。恐らくそういう限度によって、それに基づき各国がその国における食品の摂取状況とか、あるいはその国における外からの食品つまり輸入食品の割合とか、その他自然環境等のその国特有の放射能汚染に対する特別な事情があれば、そういうことを勘案した上で食品に対する基準が決められると考えております。
 ちなみに、私ども、我が国におきましては、この基準を決める場合には、今回たまたまソ連の原発事故があって特別な放射性降下物が日本にも降ったわけでございますが、この爆発地域並びに近隣諸国というものは特に強く汚染されたわけでございますが、そういう放射性降下物の核種の実態といいますか、割合、どういう種類のものがどの程度あるかというようなこと、それから、もちろん日本人の食品の摂取量、その食品の中に占める輸入食品の割合、こういうもの等々を含めて、しかも先ほど申しました国際放射線防護委員会の勧告の線量限度を十分に下回るように、そういうレベルで輸入食品中の放射能の濃度の限度を設定したわけでございまして、セシウム脳及びセシウム137の放射能濃度として食品一キログラム当たり三百七十ベクレル以下、こういうぐあいに我が国は設定しております。
 そこで、ほかの国、欧米諸国等を若干御紹介いたますが、アメリカでは一般の食品は、セシウム134及び137としての数字でございますが、我が国と同じく三百七十ベクレル。それからヨーロッパ共同体でございますが、これはミルク及び乳幼児食品については三百七十ベクレル、それ以外の食品につきましては六百ベクレル。カナダは、やはり一般の食品につきましては四百五十ベクレル。スウェーデンもこれは全食品について四百五十ベクレル。
 東南アジアになりますが、タイでは、これはかなり低いレベルでございますが、幾つかに分けておりますが、いわゆる一般的な食品については六ベクレル、あるいは一部の食品では二十一ベクレル。フィリピンにつきましては、やはり穀類等については六ベクレル。その他幾つかこれも細かく分けておりますが、フィリピンは、低いものでは六ベクレルから高いものでは三十三ベクレル、この範囲におさまっておりまして、我が国はどちらかというと欧米諸国と大体同じレベルに設定されている、こういうことになります。
#115
○稲村稔夫君 もう時間がなくなりましたので、私は、あと本当は熱帯雨林の乱伐と世界気象との影響についても伺いたいと思っておりましたけれども、せっかく準備をしてきていただいた農水省等にはおわびを申し上げますけれども、時間がなくなりました。その点は割愛をさせていただきまして、最後に長官にお伺いをしたいわけであります。
 今いろいろと挙げてまいりましたものは、どちらかといえば科学技術の進歩に伴って出てくるマイナス的な要因というものであって、それが国民の今後のことに大きな影響を与えるかもしれないということが心配されるものなわけでありますが、これ以外にも、国民のニーズとそして行政上の必要性ということとが場合によっては対立をするようなことがあり得るわけであります。こうした国民のニーズと行政上の必要性がたまたまうまくかみ合わない、対立をする、こういったような場合には、この答申をそのまま文字のとおり率直に読ませていただけば、国民のニーズというものをまず尊重をしていくということになるのではないだろうか、こんなふうにも思うのでありますけれども、その辺のところをどうお考えになっているかお伺いをして私の質問を終わりたいと思います。
#116
○政府委員(加藤昭六君) 長官の前に、具体的に私の方からお答えいたします。
 国民のニーズの点でございますが、科学技術政策大綱におきましても、二十一世紀に向けまして非常に国民生活の多様なニーズに対して的確な対応を図れというふうな指摘がなされております。
 それで、この中身でございますが、先ほどから御指摘がありましたように、前向きなニーズと、それから後追い的なニーズと二つあろうかと思います。この政策大綱におきましても後追い的なニーズにつきましても非常に大きく指摘しております。三番目の項でございますが、「社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進」という項目の中で、安全な社会の形成あるいは人間環境の改善というものを従来以上に重視して振興を図れというふうに指摘しております。
 それで、先生の御質問の、この答申の中の行政上のニーズと国民のニーズとの関連でございますが、私どもといたしましては、国民のニーズが行政上の必要性と対立することがあってはならないものというふうに考えております。
#117
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) たびたび申し上げてきておりますが、科学技術政策大綱にもありますように、科学技術の発展はあくまでも人間や社会との調和の上に成り立つべきものと考えております。したがいまして、本来行政は経済社会の発展、国民生活の向上等を図っていくために各般の施策を講ずるものでありまして、あくまで行政は国民のニーズを踏まえて行われるものと理解をいたしております。
#118
○伏見康治君 私の前の稲村君の放射能に関する質問についてのお答えの中にICRPという言葉が出てきましたので、まずそのことに関連した質問からいたしたいと思います。
 今、お役人の御答弁にもありましたように、ICRPというのは放射能がどういう影響を人体に与えるかの基準を考えているところで、そういうものを考えているいつも出発点になる極めて大事なものであろうと思っております。ところが、私、昨日たまたま原子力安全委員である田島英三さんと話をしたんでありますが、田島さんはICRPの何とかいうメンバーになられまして、そちらへお出かけになる御準備中でございましたが、田島さんがICRPの組織の中に入り込んでみてびっくり仰天したことがあるというお話でございました。
 それは、日本政府がこのICRPの財政的なことに対する何の援助もしてこなかったということであります、過去において。つまり、これだけICRPのデータを基礎にして原子力の問題をさんざん議論しておきながら、その基礎になるものに対するコントリビューションを何にもしていないということを田島先生が発見なさって本当にびっくり仰天なさった。多少民間のお金を出してもらったりしたということはあるでしょうけれども、日本政府として何にもしていなかったというのは私はいささか恥ずかしい問題だと思うのです。
 一つの言いわけがあるんでして、つまりお役所が金を出すと科学的客観性のある結論が出せなくなるおそれがあるという意味で遠慮したという面はあるのかもしれませんのですが、田島先生のお話によりますと、アメリカのDOEのようなところはやはりちゃんと出しているそうでございまして、アメリカのお役所が出したお金は客観性を損なわなくて日本のお役所が出すと客観性を損なうということもおかしな話だと思うのです。
 それで、長官に伺いたいんですけれども、日本としては田島先生のような有力な方をそこへ派遣なさる機会に、ひとつICRPの基礎に対して、専ら日本はただ乗り論とばかり言われているわけですが、少しただ乗りでない仕方でもって国際的な機関に対処するということが必要だと思うのですが、それについて長官の御意見を伺いたい。
#119
○政府委員(石塚貢君) お答えいたします。
 国際放射線防護委員会、いわゆるICRPは御案内のとおり放射線障害の防止を図るための基本原則を検討する唯一の国際的な学術機関であるわけでございまして、民間学術組織としての同委員会の性格によりまして、同委員会の運営経費といったものにつきまして国として財政的な義務を負っているものではないというふうに承知をいたしております。
 というわけで、国としての財政的な負担を行っていないということは事実でございますけれども、同委員会の活動につきましての我が国の寄与というものがないというわけでは決してございません。ただいま先生御指摘のとおり、同委員会のメンバーに我が国の専門家が参加している、あるいは唯一の被爆国としての放射線防護基準策定のために必要な重要なデータといったものが日本から提供されている、あるいは民間篤志団体からの寄付等、有形無形の寄与というものがこれまでなされているというふうに承知しているわけでございます。今後とも同委員会の円滑な活動というもののためには、このような寄与というものが行われていくことは極めて重要なことであるというふうに考えております。
#120
○伏見康治君 結局、国としてはどういうことをするのですか。国の金を直接出さなくても、何か日本が金銭的にコントリビューションするのにはどうしたらいいかという方途を考えていただきたいということなんです。
#121
○政府委員(石塚貢君) ICRPの活動のためにどのような寄与ができるか、いろいろな対応があり得ると考えられますので、そのあり方につきましては研究をしてまいりたいというふうに考えます。
#122
○伏見康治君 ICRPに関連してもう一つ御質問申し上げたいことがございますが、それは、ICRPは各国から出ている放射線障害に関する論文を丁寧に検討して、それでこういう数値が正しいというデータを絶えず何年か置きぐらいに改定版を出して決めているわけです。その改定に従って日本のいろいろな行政上の措置に対してもその結果が反映してくるんだと思っておるのですが、そのスピードが少し遅過ぎるんではないかというわけなんです。
 現在、僕の伺ったところでは、一九七七年に改定されたものを消化すべく努力しているというお話なんですが、そうなんでしょうか。
#123
○政府委員(石塚貢君) 一九七七年勧告、いわゆるパブリケーション二十六、これを国内制度にどのように取り入れるかということにつきましては、勧告のございました同年以降直ちに放射線審議会におきまして検討が開始されたところでございます。その後幾度か補足的な勧告も出されているということがございまして、そういった問題も含めて放射線審議会では慎重な審議を続けられてきたわけでございますが、昨年の七月に至りましてようやく考え方がまとまりまして関係省庁に意見具申がなされたという経緯になっております。
 科学技術庁といたしましては、この意見具申を受けまして、関係省庁との調整を現在図りながら関係省令等の改正作業を現在進めているところでございます。近く関係省令等の改正案といったものを放射線審議会に諮問することとしておりまして、放射線審議会の答申を受けた後、速やかにこの改正省令等を公布いたしたいというふうに考えている次第でございます。
#124
○伏見康治君 放射能に関連して我々の記憶に極めて鮮やかなのは昨年度のチェルノブイルの大事故であろうと思います。この事故と比べてみますというと、日本で原子力の初期のころに新聞記者諸君が騒ぎ立てた放射能の量というものと余りにけたが違うというか、雲泥の差という言葉がありますけれども、日本の事故ではピコキュリーというようなものが何か問題になり、そういう単位ではかられる放射能が大問題になったことがあるんですが、チェルノブイルで放出された放射能というのは何兆キュリーだと言われているわけです。上の方へいくけたと下の方へいくけたと正反対で、まさに天文学的数字の差なんですが、日本のジャーナリストがその天文学的数字の差ということを本当に承知しているのかどうかという感じを受けるわけです。
 つまり、日本の原子炉が何か粗相をしたということはもちろんあると思いますが、その粗相の程度というものとソビエトの原子炉がやった事故というものは本当に雲泥の差でございまして、したがって、それに対する我々の態度というものも随分違ってこなければならないはずだと思うのです。それに比べればずっと程度が少ないんですけれども、八年前のアメリカのTMIの事故というものも、これもコンテナの中はひどいことになっているわけでして、全く言語道断の放射能、外へ出なかったのがまことに結構でございましたけれども、中は大変なことになっています。
 そこで伺いたいのは、チェルノブイルからまだ一年しかたっておりませんが、TMIの方はもう八年たちました。それの技術的評価というものはもうほとんど完全に行われているはずだと思うのですが、そういう事故の解析からどういういわば結論が出ているのか。日本としては原子炉は安全であると考えるのか不安全であると考えるのか、どういう結論を出しているのかということを伺いたいと思います。
#125
○政府委員(石塚貢君) お答えいたします。
 TMIの事故が発生いたしました後は慎重な審議を原子力安全委員会において行いまして、その結果我が国として教訓とすべき事項五十二項目といったものを摘出いたしまして、その後着実にその改善といいますか、そういったものが取り入れられてきているということでございます。
 そのやさきに起こりましたチェルノブイルの事故につきましても、この事故が非常に大きかったということを厳粛に原子力安全委員会では受けとめまして、日本として教訓として取り入れるべきものがあるかどうかというような観点から、ソ連原子力発電所事故調査特別委員会というものを安全委員会の中に組織いたしまして検討を続けてまいったわけでございます。
 その結果、本年の五月二十八日に至りましてその最終報告書といったものがまとめられまして原子力安全委員会の方に報告され、原子力安全委員会としてはその内容については妥当であるという決定を行っておりますが、その中で示されました原子力安全委員会の考え方は、今回のソ連の事故の原因といたしまして、やはりその設計上非常に脆弱な点があった。いわゆる多重防護といったものの設計思想といいますか、そういった面に非常な脆弱性が認められる。
 例えば固有の安全性といったものが、この原子炉では、特にその低出力領域では正の反応度係数といったものが非常に大きな値として設計上認めておったにもかかわらず、人為的なミスというものを未然に防ぐフェールセーフあるいはインターロックといったものの設計上の配慮も極めて弱い点が見られるというようなこと、そういった設計上の問題点があったということを背景にいたしまして、そこに考えられないような人為ミス、あるいはこれは規則違反と言っていいものでございますが、しかも意図的な規則違反が数多く重なった結果生じた事故である。
 したがいまして、こういった事故の実態を評価いたしました結果、そういったことは日本では極めて考えにくいことである。そしてこれを契機に日本の設計の実情あるいは運転管理の実情といったものを十分に分析、評価いたしました結果、日本では今回のようなソ連の事故からは特に学ぶべきものが見当たらないという結論を出したわけでございます。
 しかしながら、これまで我が国がいろいろと安全性の確保の観点からこれまでもいろいろやってきたことではあるが、この際改めて心に銘じて、さらにそれをよりよく、より念を入れてやっていこうという趣旨で七項目の心に銘すべき点というものが指摘されておりまして、それにつきまして今後私ども行政機関あるいは建設、運転に携わる者、関係者一同その七項目の実現に向けて努力をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#126
○伏見康治君 ソビエトの原子炉の事故からは余り学ぶべきものがなかったという結論はいささか不満なんですが、少なくとも私自身は、とにかく原子炉の中には何兆キュリーという放射能が元来含まれているんだということを、計算の上では知っていましたけれども現実的に肌身に感じて覚えたわけでして、それを逸失するようなことがあっては大変だということを改めて認識したという意味においては、私は大きな評価を少なくとも得ているわけです。
 また、細かい点で言えばいろいろあります。例えば、放射能というものはただ空を飛んでいるときには落ちてこないで雨が降るときに落ちてくるということも僕にとっては随分大きな発見なんです。というのは、昔原子炉の立地条件を決めるというときに、放射能が風に乗ってどう運ばれていくかという計算を拡散方程式なるものを使っていろいろ計算した覚えがあるんですが、そういう拡散方程式で計算した結果は雨のことをちっとも考えていない。少なくともあのときの立地条件を決めたときの議論というものはもう一遍書き直す必要があると私は考えているわけです。
 そのほか、細かい点で言いますと学ぶべきことが私はたくさんあったはずだと思うのですが、日本の原子炉が危険だということを言いたくないために関係がないということを言いたいんでしょうけれども、それはそれとして、承りたいのは、今度出た長期計画の中に何らかの意味において原子炉の安全性に関する、つまりTMIやチェルノブイルを反映した何か計画が載っているかどうかということを伺いたいわけです。
#127
○政府委員(松井隆君) 先生ただいま御指摘の原子力委員会の長計、これは去る六月二十二日に発表されたものでございますけれども、御案内のとおり、原子力委員会の長計というのは五年に一遍すずつローリングプランと申しますか、レビューをしてやるという形でやっておりますけれども、今回は特に原子力開発利用を始めてから三十年たつということ、そういう一つの節目であるということ。
 それからもう一つ、やはり原子力をめぐる時代環境が多くに変化しているんではないだろうかという認識でいろいろと検討したわけです。具体的には、一つは我が国の経済がいわゆる国際協調と申しますか、そういう依存体質になっている。したがって、やはりそういう中でのエネルギーの確保をどうするかという問題も考えなくてはいけない。それが一点。
 それからもう一つは、エネルギーの需要が当時考えていたよりもかなり鈍化してきている、そういう情勢も踏まえていかなくちゃいけない。
 それからもう一つ大きな点が、先ほど先生の御指摘がありましたソ連で発生したチェルノブイル事故という問題がございまして、そういう意味で原子力施設の安全確保が非常に重要であるということがさらに再認識されたというようなことで、常に安全優先を、高い意識を持った人間と、強固な技術基盤と申しますか、そういうものでいわば原子力安全文化を築き上げるということによって、そういう努力によりまして原子力に関する国民の信頼というものを初めて取り戻すことができるんではないだろうか。そういった大きな三つの認識が長期計画を検討する一つのベースになっているわけでございます。
 それで、具体的には、先生特に新たなものという御指摘でございますけれども、従来の線のものを強化しようということが大部分でございますけれども、強いて申し上げますならば、現在比較的今までは疎外されたいわゆる炉につきましては、中、小型の安全炉の概念、こういうものを基礎研究としてしっかりやるべきではないかというお話、それから、先ほど私稲村先生でございましたかお答えしましたけれども、高レベル放射性廃棄物の群分離とか消滅処理とかそういったもの、あるいは放射線リスクの評価、そういうものの低減化とかそういった技術、そういう新しい安全面について、従来もやっているわけでございますけれども、それをもう少し強化して基礎研究としてしっかりやるべきではないかというようなことが強いて言えば新たなことではないかというふうに考えております。
#128
○伏見康治君 中、小型の安全な原子炉という言葉が出てきましたので、もう一つ伺いたいのは、TMI事故、それからオイルショックがなくなったことなどの影響を受けてアメリカの原子力事業界というものは壊滅的なことになっていると思うのです。原子炉に対する新規注文がほとんどなくなってしまった、契約途中のものも全部キャンセルさせたといったようなことでほとんど壊滅的な状態になっている。何事もアメリカのまねをしている日本が、原子力をやる方は大いにまねをしたんだけれども、ひどいことになっているという方は全然無視していて本当にいいんだろうかという感じを受けるんですが、アメリカの原子方事情というものをどういうふうに理解しているのか伺いたい。
#129
○政府委員(松井隆君) 先生の御質問の趣旨は、一つはチェルノブイルの影響でどういう影響がアメリカの原子力の政策にあったかというふうに理解いたしますと、アメリカにおけるチェルノブイルの影響につきましては、原子力政策には本質的には大きな変化がないというふうに理解しています。むしろ、それより以前からアメリカにおきましては、炉の建設に時間がかかるとか、あるいはTMIの事故にありますように割合とトラブルが発生する等々のことから、アメリカの電気事業者が原子力発電所をつくるということにつきまして少し従来よりも熱意を失ってきておるという点はあろうかと思いますけれども、これはあくまでやはりアメリカの置かれましたエネルギー事情、そういうものも反映していることであろうかというふうに今理解している次第でございます。
#130
○伏見康治君 アメリカもそうですが、ヨーロッパでも同じことだと思うのですが、先ほど出てきました中、小型の安全な原子炉というものに対する研究がヨーロッパでもアメリカでも相当程度進行していると思うのです。つまり、ああいうTMIのような大きなエラーを犯しますというと今の原子炉のままでいいんだろうかという反省が当然技術者の間に出てくるはずであって、したがって、より安全なる原子炉を求めるというのが自然な発想だと思うのですね。そういう発想のもとに何か仕事を始めなければ、日本の原子炉の安全性というのは、これは日本人が非常にきめ細かな、物事をきちんとやる性格に依存してできていることであって、原子炉の構造そのものはアメリカのまねをしているんですから本質的には違わないわけです。本質的な意味で細かい設計の細部に至ってはもちろん違うでしょうけれども、本質的には違わないものなんです。
 従来の原子炉というものは、もう少しさかのぼって申し上げますと、リリエンソールという初代原子力委員会委員長がおりまして、TMI事故の直後に「アトミックエナジー・ニュー・スタート」という本を書いているわけですが、とにかくアメリカの原子力事業というものを健全に成長させるためにはもっと安全な原子炉をつくらなければだめだ、そういう意見を抱いてそれを宣伝する本を書かれているわけですが、私はその趣旨には大賛成なので、皆さんの意見をぜひ伺っておきたいんです。殊に長官の意見を一遍伺っておきたいと思うのですが、現在の日本の原子炉が安全であるということは私も保証していいと思うのです。ですが、それは日本人が営々たる努力をやって安全にしているんだと思うのですね。本来的に安全なものでなくて安全にしているんだと思うのです。
 そのことはリリエンソールも指摘していることなんですが、もともと水型、殊にPWRというのは原子力潜水艦に据えつけてあった原子炉を陸に揚げたものでございまして、最初は要するに兵器の一部分であったわけですね。それを陸に揚げて商業用に転用なさったわけですから安全第一主義の設計にはなっていないわけです。
 したがって、その後、今はNRCという組織になっておりますが、初期のころには原子力委員会が同時にやっていたと思うのですが、原子炉の安全を守るためのアメリカの組織というものは、その原子力潜水艦から揚げた原子炉を安全に使えるために後から後から安全装置をくっつけていったわけです。長官ももちろんよく御承知だと思いますが、ECCSというのがございます。それは万一原子炉が温まりだして手がつけられなくなったときに大急ぎで水を後からひっかける、そういう全く後始末的な安全装置ですね、そういうものが後から後からついていったわけでして、つまり本来的に安全な仕組みでつくられたものでなくて、陸に揚げてから市民生活に影響を与えてはぐあいが悪いということで後から安全性を補充していった、そういう成り立ちのものだと思うのです。
 この辺で想を新たにして、出発点から安全な原子炉をつくるという形で原子炉を設計すべきものだと私は考えるわけなんです。リリエンソールもそういう考え方なんです。そういう考え方は僕はあり得ると思うのです。それで長期計画にも書いてあると思うのですが、そういうふうに理解してよろしいのですか。
#131
○政府委員(松井隆君) 先生のおっしゃるとおり、原子炉の安全確保というのは非常に重要な話でございますので、常にやはり最新の技術、知見を取り入れて原子炉の設計、あるいは製作、あるいはその運転等もございますけれども、常にやはり反映させていくということが重要かというふうに今認識しておるわけでございます。そういう意味で、御案内のとおり、この軽水炉の例えば安全研究とか改良研究とかいろいろと政府も金を投資してやっている次第でございまして、それは常にやはり安全を目指すという気持ちからやっている次第でございます。
 ただ、今回の長計で新たに出てきた固有安全炉という概念につきましては、これはやはり現在の軽水炉そのものは問題ないけれども、しかし、より安全なものというものを少し検討した方がいいだろうという形で、現在そろそろ日本原子力研究所等におきまして大学とも共同研究しながら新しい炉のアイデアとかあるいはその概念、そういうものの計算、あるいはそういう研究を始めているわけでございます。
 もう一つは、高温ガス炉でございますが、そういった炉についてもこれは前々から計画があるものでございますけれども、やはり固有安全性が高いというふうに言われている炉でございますものですから、これも将来この技術が確立し、かつまた経済性が非常にいいという見通しが立った場合には将来有効利用が図られるのではないだろうかという視点から、高温工学試験研究炉という基礎研究の炉として鋭意これから物をつくって研究を進めていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#132
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 局長の方からお答え申し上げましたけれども、私の方からもお答え申し上げたいと存じます。
 我が国としては、原子炉の安全確保には常に最新の科学技術的知見を原子炉の設計、製作等に反映させていくことが必要であると認識をしておりまして、今後とも安全性の一層の向上に資するため研究を積極的に推進してまいる所存でございます。
#133
○伏見康治君 長官、ありがとうございました。
 それで、さらに突っ込んでお伺いしたいんですが、この固有安全炉の発想というものもスウェーデンとかドイツとかいうところで行われているもので、やはりヨーロッパ、アメリカの方が先輩なんですね。それで日本で研究する際ももちろんそういう先輩からいろんなことを教わるんでしょうが、この際日本としてはそういうものを国際的な共同事業としてやったらいかがかなという感じを受けるわけなんです。というのは、スウェーデンでもそれから西独でもこの固有安全炉の研究はあるところまで進んでいるんですが、どこも実は途中で息が切れているというか、そういう感じが濃厚なわけです。この際元気をつけるために日本がイニシアチブをとって国際的にそういうものの研究をするといったようなお考えはございませんでしょうか。
#134
○政府委員(松井隆君) その辺につきましては、日本の力あるいは各国の力を合わせることも重要かと思います。
 それで、現在まだ日本としては基礎研究段階、そういう意味では先生のおっしゃるとおり、ほかのスウェーデンとかあるいはアメリカが日本より進んでおるということは事実だと思いますので、その辺、私ども単に教わるだけではなくて貢献することも大事なものでございますから、日本としても着実にまずそういうことをやるということが重要かというふうに思っております。
#135
○伏見康治君 これを申し上げていいかどうかわからぬのですが、元京都大学原子炉実験所の所長だった柴田さんが定年退職後、前からやっていたことの続きですけれども、アメリカと日本とで共同で原子炉をつくろうではないか、特にアメリカにつくろうではないかという発想で非常に奔走して尽力されているということは御承知だろうと思うのですが、それをお役人方の方ではどういうふうに見通しておられるか、伺いたいと思います。
#136
○政府委員(松井隆君) 現在近畿大学の教授で、元京都大学教授の柴田先生が、そういったアメリカと、新しい研究炉でございますけれども、ハイフラックスリアクターと申しておる炉について共同してやろうじゃないかということで非常に御熱心なことは私ども承知しております。
 それで、確かに原子力というのは基礎研究もまた重要なものでございますものですから、そういう新しい炉ができるということは日米双方、あるいは世界にとっても非常に意味がある仕事であろうと思います。そういう意味合いから、アメリカも要するにまだ研究に着手する段階という程度の金がついているわけでございまして、当面まず日米双方で研究者を出し合って、共同して少し設計、研究をやろうじゃないか、まだこのフェーズであるというふうに承知しております。そういう意味合いで私どもも、大学の先生も行かれておりますし、日本原子力研究所からもやはり研究者を本年
の十月ごろからそのプロジェクトに派遣して、少し共同して物事に当たらせたいというふうに考えております。
 それで、今後の問題でございますけれども、建設段階の参加ということにつきましては、まだアメリカの動向を見なければわかりませんものでございますから、本契約の進捗状況を十分に把握して、その段階で参加の意義等を十分に考慮の上決めたいというふうに考えている次第でございます。
#137
○伏見康治君 何事も国際場面で物事をやるといいうことがこれからのあらゆる場面で必要になってきている時勢だと思うのです。今までは日本は欧米諸国におくれるな、おくれるなというわけで、それと独立して、早く独立に日本もそこの地位まで上がりたいということで夢中でやってきたと思うのですけれども、これから先はそういう姿勢は実は不要になったというか、むしろ邪魔になる。高温超電導の事件なんか、レーガン大統領が高温超電導でまた日本に負けるなというわけで、何か政府直属の組織をおつくりになるようなことを新聞で読みましたんですが、何をしても日本人は嫌われる時代になっているわけですね。ひとつ国際協力という面を忘れずにいろんなことをお考え願いたいと私は思っております。
 その柴田さんのことについて、これは通告していないので松井さん困るかもしれないんですが、ちょっと伺いたいんです。柴田さんが日米共同で原子炉をつくりたいということを言い出した根本的な理由は、熊取でそういう炉がつくれなかったということにあるわけです。つまり熊取の地方の方々を説得することがついにできなかったということによると思うのです、私は。そういうときにもう少しお役所は柴田さんの加勢をしてやることができなかったかどうかということを伺いたい。言えなかったらいいですけれども。
#138
○政府委員(松井隆君) もう過去の話でございますので、そのころの事情をつぶさに知っておりませんけれども、確かに私どももそういう状況でできれば大いにやるべきであったというふうには考えておる次第でございます。
#139
○伏見康治君 チェルノブイルの話をちょっと続けたいんですが、チェルノブイルの後始末というのは、特に放射能をまき散らして非常にたくさんの方々が人体に放射能を浴びられたわけでして、その放射能の人体に対する影響を調べている科学者たちにとっては、非人間的な言い方で申しわけないんですが、非常に学問的に価値のある資料がたくさん出てきたわけです。それで、長らく広島で、昔ABCCと言って、今放射線影響研究所というところでやってきた、その広島、長崎における放射線が人体にどういう影響を及ぼしたかという事後追跡の事業というものに比べますと、はるかにしっかりしたデータになるはずなんです。人数も多いでしょうし捕捉できていると思うのです、どれだけの放射能を浴びたかというようなことが。
 日本の場合には、どれだけの放射能を浴びたかということは、非常に間接なことによって推測しているだけなものですから、努力しても非常に歯がゆいデータでしかないわけなんですけれども、チェルノブイルの場合にはその点は非常に貴重なデータをたくさん提供していると思うので、この貴重なデータをソビエトから何とか引っ張り出す、言い方が悪いんですが、国際協力の場に持ち出していただいて何とかすべきだと思うのですが、そういうことに対して日本政府は何か努力されているかどうかを伺いたい。
#140
○政府委員(松井隆君) 昨年でございますけれども、九月にちょうど日ソ科学技術協力委員会が開かれました。その前に先生からもそういう御指摘、御意見も承っておりまして、非常に私も結構なお話だと思ったものでございますから、一応その場でもって日本の方から、そういったものについてもどうだろうか、日本も協力するから、日本も原爆の被爆体験とかあるいはその他放影研等の研究等もあるから協力しようじゃないかという話を提案した記憶がございます。ただ、それにつきましては持って帰って検討ということになりまして、まだ何の話もないというふうに記憶している次第でございます。
#141
○伏見康治君 一度何か言っただけでもってあとレスポンスがないというのはいささか心細いと思うのですが、続けて何とか貴重なデータを国際的に措置するという方へひとつ努力していただきたいとお願いしておきます。
 次に、SOR、放射光実験施設についての問題を少し伺ってみたいと思うのですが、SORというのが筑波の高エネルギー物理学研究所にフォトンファクトリーという名前でできまして、それができた当時は少なくとも世界で一番エネルギーが大きくてそして非常に貴重な役に立つ道具であるということがわかりまして、世界じゅうでそれをまねるという風潮が生まれてきているわけです。もちろん筑波のものよりもっと高いエネルギーのもので凌駕しようというお話がヨーロッパでもアメリカでもございます。それで日本でももっと大きなものをつくろうという意気込みになられているのも無理はないと思うのですけれども、いろんなところでこういうはやりのものは、ちょうど高温超電導と同じで一種のフィーバーになっておりますので、いろんな競争があってそれの調整というものが難しいと思うのですが、科学技術庁としてはこのSORをどういう計画で日本の中に定着させていくおつもりであるのか、その計画を伺わせていただきたい。
#142
○政府委員(吉村晴光君) SOR、いわゆる大型放射光施設は、物質・材料系の科学技術とかライフサイエンス、情報・電子系の科学技術を初め広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすというふうに期待をされておるものでございまして、こういった大型の施設を中心にいたしまして産学官で国際的な研究交流が図れるというふうに理解をいたしております。
 我が国におきましては、高エネルギー物理学研究所の今御指摘ございましたフォトンファクトリーがあるわけでございますが、二十五億電子ボルトのものでございまして、今後の基礎的研究を進めるにはもっとエネルギーの高いものが必要であるということが研究者の間で言われておりました。欧米におきましても、もっとエネルギーの高い、六十とか八十億電子ボルトの大型放射光施設の設置計画が進められておりまして、世界に伍してこの分野での基礎研究を進めるためには、我が国としてもこういった施設が必要であるというふうに認識をしておるわけでございます。
 大型放射光の施設は産学官の皆さんに利用していただくべき共同の利用施設であるということでございますので、産学官の幅広い分野の専門家の御参加を得まして現在大型放射光施設整備連絡協議会といったようなものを開いておりまして、そこで、どういった放射光が必要であるのか、それからそういうもののためにどういった機械、機器が必要になるのか、そういった機器をつくるにはどういった研究開発課題があるのかといった点の検討を行っておるところでございます。
 また、これと並行いたしまして、理化学研究所におきまして大型放射光施設の要素技術につきまして研究開発を行っておりまして、今後こういった研究開発の成果を踏まえつつ、また、日本国内、産学官の関係者の意見を集約しつつ、我が国としても欧米諸国から余りおくれることのない時期にこういった施設を国際的な共同利用施設として日本に設置ができるように計画の推進を図ってまいりたいというふうに考えておる次境でございます。
#143
○伏見康治君 実は、SORの長い歴史に私自身が多少かかわりを持ってきたものですから、その過去にさかのぼって少しお役人たちに物を言いたいわけなんですが、今から二十年ぐらい前に田無にある原子核研究所にエレクトロンシンクロトロンがございました。それは原子核物理学者がつくったもので原子核にだけ利用していたものなんですが、それを、アメリカを見てきた人がそのシンクロトロンから出る電子を利用して放射光をつくろうではないかというお話になりました。
 日本の学界というものは案外難しいものでして、原子核物理学研究所というのは原子核研究のためにつくったものである、したがってそこの機械から出てくる電子をそれ以外の目的に使ってはいけないという話がありまして、それを説得するのに随分暇がかかったんですが、不思議なことになっているのは、あの原子核研究所にあるSORというのは物性研究所のものなんですね。それが原子核研究肝のエレクトロンシンクロトロンからエレクトロンをもらってぐるぐる回している、そういう仕組みになっていて、おもしろい経過であったと思うのですが、それがもう二十何年も前の話なんです。
 その二十何年前というのも実はもちろんアメリカのまねなんでして、アメリカのいろんなところで、その当時からも複数のところでやっておりましたけれども、一番大事なのは、実はナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズがやっていたわけです。大学でなくてナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズがやっていたということが私は特に注目に値すると思って申し上げるわけなんです。ナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズがなぜそのSORを使ったかというと、これはナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズの仕事の立場からいうと非常にごもっともな話で、要するに標準光源、スタンダードライトソースが欲しいからなんですね。
 SORというのは、電子を全くはっきりした円軌道の上を走らせてそこから出てくる光を光源として使おうというわけですから、理論的にもう非常にはっきりしているわけです。その強度といい、それがどのくらいポーラライズしているかといい、どのくらい真っすぐに進むかというふうな、そういうような点が完全に理論的に把握できている全く標準光源として立派なものであるというところに目をつけてナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズがおつくりになったわけです。
 それで、私の質問はどういうことかと申しますと、日本も恐らくナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズに相当するお役所があり研究所があったはずだと思うのですが、そういうところがなぜいち早くまねをしなかったかということを伺いたい。
#144
○説明員(山浦時生君) NBSは、標準問題を含めまして大変広範な科学あるいは産業の研究及び技術のサービスといったことで非常に幅広い業務を行っているわけでございますが、日本でそのNBSに相当する研究所というのはどうも一つではカバーし切れないわけでございます。標準という面からいいますと工業技術院の計量研究所、これは長さあるいは重さ、力、こういうようなものの標準をやっているわけでございますが、それから光とかあるいは放射線、電気、こういった標準関係は同じ工業技術院の電子技術総合研究所が扱っているわけでございます。その他の化学標準でございますが、これは化学技術研究所。その他の非常に幅広い研究をNBSはやっておりますので、例えば建設省あるいは科学技術庁の研究所、そういったものを含めましてNBSの業務に相当するというふうに考えております。
 それで、先ほどのお話のSORでございますが、電子技術総合研究所が昭和五十四年に筑波に移転したわけでございますが、移転したときから建設を始めまして、八百メガエレクトロンボルト、八億エレクトロンボルトでございますが、それを建設いたしまして光標準の研究を現在やっているところでございます。
#145
○伏見康治君 それはもちろん承知していることなんですが、私の質問は、日本にナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズに相当する役所があるのかないのか。役所があったとすればどうしてもっと早目にSORを取り上げなかったかという質問なんです。それに対するお答えはなかったようなんですが、やってくださいますか。
#146
○説明員(山浦時生君) 標準ということからいいますと、ただいま申し上げましたように計量研究所あるいは電子技術総合研究所というところで研究をしているわけでございまして、それがNBSに標準という意味では相当するというふうに考えております。
 それで、その標準問題につきましては、従来から国際度量衡委員会に参画いたしまして基準となる物理量の設定あるいはそれのさらなる改善、そういった研究をしつつ国際的な貢献をしておるというのが現状でございます。
#147
○伏見康治君 何も標準光源ばかりでなくてNBSはいろんなことをしていると思うのですが、例えば標準物質協議会というのがあってそこから資料をもらいましたんですが、そこにはNBSの紹介がありまして、標準物質を非常に組織的に提供している。こういう仕事を基盤科学というのか基盤技術というのか、要するに、ほかの研究者が派手なことをしているときに、非常に縁の下の力持ち的な基礎的な事業をするという人がないと私は一つの国としての科学組織というものは成立しないと思うのです。
 もう大分前の話になって今ではまた変わっているかもしれませんが、中国の北京の近くにある原子核研究所を訪問したときに日本の研究所との違いをまざまざと見てきたんですが、そのときに彼らは、こういう測定器をみんな手製でつくりましたと言う。その当時いろいろな新しい放射線計測器ができつつある時代でしたが、そういうのを机の上にたくさん並べて、これをみんな自分でつくりましたというお話だったわけです。日本の同じときの同じ原子核研究所でございますと、そういう測定器はみんなメーカーがつくってくれるもので、研究者はみずからそういうものをつくらない時代になっているわけです。そういう意味から申しますと、中国の原子核物理学者の能率と日本の原子核物理学者の能率とはまるで違っていたはずなんです。
 つまり、日本の科学研究の実験的な体制から申しますと非常にインフラストラクチャーが立派にでき上がっている、だから先端的な仕事も易しくできる。このインフラストラクチャーをどういうふうにちゃんと整えておくかということは、僕はお役所の非常に大きな任務だと思うのですがね。上の先端的な方は、高温超電導なんというのはお役所が今さらやらなくたってメーカーの方が夢中になってさっさとやってくれますよ。そういう派手な仕事は民間にお任せになって、お役所は本当にベーシックな、縁の下の力持ち的な仕事にもっと力を入れるべきだ、こう私は思うのですが、どうお考えになりますか。
#148
○説明員(山浦時生君) 先ほど標準物質のお話とそれからインフラストラクチャーのお話ございましたので、二つ分けてちょっと御説明させていただきたいと思います。
 標準物質につきましては、現在日本で標準物質を提供するオーソライズされた機関というものが法的にはまだなくて、現在模索中でございます。それで、例えば標準ガスが最初に出てきたわけでございますが、特に公害計測の標準ガスでございますが、この辺につきましては化学技術研究所の方で一次標準をつくりまして、さらに民間機関で二次標準をつくって試薬メーカー等がつくる。それから試薬、いわゆる液体系のものでございますが、これにつきましても徐々にJIS規格等をつくりまして標準の供給の体制というものを整えつつある。これを全般的に組織的にやるというのはまだ少し時間がかかるという状況でございます。
 それから、インフラストラクチャーの整備ということでございますが、先ほど申し上げました計量研究所は明治年間に設立されまして、それ以降非常にこつこつと地味な、みずから手づくりでやるということもやってきておりまして、もちろん最近メーカーの力がといいますか、物をつくる精度というものが増しておりますので、そういったものの力も利用しているわけでございますけれども一従来から非常に地味な手づくりのものをつくってきておる。
 例えば最近の例で言いますと、長さ標準、これは光の速度を現在、これは昭和五十八年に度量衡総会で取り上げたわけでございますが、これはネオンとヘリウムのレーザーを標準を実現するための手段として使うわけでございますが、これの周波数の安定というのは非常に難しい問題でございます。この辺はいろいろと手づくりで工夫をいたしまして国際度量衡委員会の中でも貢献をしておる。
 それから、もう一つ最近の例を申しますと、昭和六十年に高温の温度標準ということで白金温度計を使う、高温といいますといろいろ範囲がございますが、六百四十度から九百六十度まで、従来六百四十度以上は熱電対を使ったわけでございますが、これは精度が余りよくないということで白金温度計をつくった。これが現在その領域の温度標準として取り上げられた。こういうように手づくりの貢献をしている。これ一例でございますけれども、非常に地味な仕事でございまして余り目立たないわけでございますけれども、いろいろと努力しておるということでございます。
#149
○伏見康治君 今、るるお話がございまして、日本でもインフラストラクチャー的な縁の下サービスはちゃんとやっておりますという意味だったと思うのですが、しかし私は、明治から大正の終わりあるいは昭和の初めごろまでは、まさに欧米の、まねをいたしましてそういうビューロー・オブ・スタンダーズ的な組織をつくってこられたと思うのですよ。今電総研というのは昔は電気試験所と言っていたわけで、つまり研究所じゃなくて試験所であったわけです。つまり、スタンダードをつくるということの方が主なお仕事であったわけです。それが、世の中が先端的研究でにぎやかになりまして、皆さんそちらの方に魅力を感じられたんでしょうか、スタンダード的な、縁の下の力持ち的研究をやるべきところがみんな先端的研究をやるようになってしまったんじゃないかと思うのです。
 それで、本当の意味のサービス事業というのが明治時代の伝統をもし伸ばしていたらもっと日本では盛んになっていたであろうのに、途中で方針が変更されていささか低調になってしまったんではなかろうかというのが私の印象なんですけれども、そうは思いませんか。
#150
○説明員(山浦時生君) 国立研究所に対するニーズといたしまして、安全あるいは標準にかかわる研究、これは社会の基盤をなす研究でございまして極めて重要であるわけですが、最近の科学技術会議の答申等で基礎的あるいは先導的な技術の開発というこの二面性を今要求されているわけでございまして、いずれに力を入れるかというところは非常に難しいわけでございますが、いずれもゆるがせにできないということで、先端的な技術も追求しつつ標準あるいはそういった計量標準と安全といった技術についても力を入れているわけでございます。
 ちなみに、工業技術院におきます特別研究というのがあるのでございますが、これは大体年間百四十テーマほど研究しているわけでございますが、例えば最近の材料とかバイオニクスとかの先端的な部分の比率、それから工業標準化、安全技術、こういったところを見ますと、百四十テーマのうち例えば材料が二十四テーマほどございます。それから工業標準化あるいは標準とか検査技術、安全、こういったものを見ますと、二十五テーマ少なくともやっております。それからさらに、基盤的な技術といいますか、いわゆる機械工業とかあるいはエレクトロニクス、そういったものを支えるもとのもとになる技術、そういったものもかなり多くやっておりまして、十テーマ程度やっております。
 そういった意味で、バランスをとりつつ研究を進めているというのが現状でございます。
#151
○伏見康治君 今のお話で、決して日本はそういう基盤的技術の縁の下の力持ち的仕事を怠っているわけではないと、今後もその方面に大いに力を注いでいただきたいという希望も述べたいんですが、一つは、日本は至るところでただ乗り論を言われてたたかれているわけです。
 それで、そのたたかれるときの主な観点というものは、基礎研究をやっておらぬ、応用研究ばかりやってもうけることばかりやっているという意味のたたかれ方が非常に多いんですが、私は本当に先端的な基礎研究も大事だと思うのですけれども、そういう研究に対する国内ばかりでなくて国際的なサービスという面、ナショナル・ビューロー・オブ・スタンダーズというのは国際的にも非常にサービスをしていると思うのですよ。
 例えば無重力でもって宇宙でつくった何か物質の材料を国際的に分けているわけです。無重力というものがどんなにありがたいものかということを宣伝するためかもしれませんけれども、そういうサービスも国際的にやっているわけです。日本の国もそういうサービスをもっともっとやりましたならば日本たたきというのが少しは緩和されるんではないかと私は思うので、この点、最後に長官のお考えを伺いたい。
 基礎研究も非常に大事で、今度の八月二十八日の報告書でもいろいろなことが書いてあると思うのですが、その中でやはりどうも先端的基礎研究ということの方に重点があって縁の下の力持ち的な方面でのウエートが何か足りないように思うのですが、その辺も大いにやっていただけるものと期待しておりますが、長官いかがでしょうか。
#152
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 基盤整備ばかりじゃなく、国際的にサービスをというふうなお話でございますが、もちろん、去年の三月に科学技術政策大綱をつくりまして、その中に、特に基礎的科学技術の展開ということと、国際的に貢献できるような科学技術政策をやるというような事柄がございますので、殊にまた科学技術会議におきましても、この基盤整備につきましてはこれから検討させるということに相なっておりますので、そういうふうに努力してまいりたいと思っております。
#153
○伏見康治君 終わります。
#154
○佐藤昭夫君 今も伏見委員から若干質問があったところでありますが、私も、六月二十二日原子力委員会が発表した原子力開発利用長期計画に関連をして質問いたします。
 この長期計画によると、今後の原子力発電の開発規模の見通しとして、西暦二〇〇〇年までに少なくとも五千三百万キロワット、全体の電力需要の約四〇%、二〇三〇年には一億キロワット以上、全体の約六〇%になると述べているわけでありますが、この平均的な原子力発電、その規模を百十万キロワットだとして、長期計画どおりに進んでいくとすれば、二〇〇〇年までの十三年後、さらには二〇三〇年の四十三年後にはそれぞれ何基の原子力発電が日本列島に立ち並ぶということになるのですかね。
#155
○政府委員(松井隆君) 現在、原子力発電規模は三十五基でございまして、二千七百八十八万キロワットというのが現状でございます。それで、御指摘の原子力開発利用長期計画におきまして、一つの見通しを示しております。それは、二〇〇〇年において少なくとも五千三百万キロワット程度の設備容量ということが一つと、それからもう一つは、二〇三〇年に一億キロワットぐらいというのを目指しているわけでございます。
 それで、何基かというお話でございまして、これにつきまして、いろいろ基数につきましては、どの程度の出力にするかという前提条件を置かないと出てこないということでございますけれども、私どもの試算で申し上げますと、まず現在建設中のものは計画されている出力といたしまして、一九九五年までの建設中あるいは建設準備中のプラント以外は一九九五年までについては一応千百万キロワット、それから一九九六年から二〇〇五年までは同じくやはり百十万キロ、それから二〇〇六年以降二〇三〇年につきましては平均百三十万キロワットという想定で計算いたしますと、まず二〇〇〇年におきましては大体六十基程度になるというふうに考えております。さらに二〇三〇年につきましては、大体八十から九十基程度の幅、多少幅はありますけれども、ぐらいのものというふうに考えている次第でございます。
#156
○佐藤昭夫君 そうすると、西暦二〇〇〇年までに、そういう仮定つきの計算ですけれども、現在の三十五基が六十基動くということになるだろう、それから二〇三〇年にはそれの三倍に近いといいますか、八十ないし九十基ぐらいになるということでありますが、一方、原子炉の運転寿命は三十年ないし四十年と言われていますけれども、現在運転中のものもそういった寿命からいって更新をしなくてはならない、そうした配慮を含めますと、二〇〇〇年まで、さらには二〇三〇年までにはどれだけの原子力発電が今現在の三十五基に比べてふえなくてはならぬということになるんでしょうか。
#157
○政府委員(松井隆君) おっしゃいますとおり廃炉というファクターが入ってまいるわけでございます。つまり寿命を終わった原子炉につきましては、それを解体、撤去するとかそういうことが入ってまいりまして、問題はそうすると一体どのくらい原子力発電所を使えるというふうに仮定するかということかと思っております。
 それで、恐らくそれにつきましては個々の原子炉の稼働状況あるいは供用年数、それぞれまだ変わり得るということは考えておりますけれども、そういう意味では具体的な数字を挙げるということは多少困難がありますけれども、一応仮定といたしまして、例えば供用年数をもし三十年というふうに仮定いたします、そういった前提で計算いたしますと今後二〇三〇年までには大体約百十基程度の建設が必要になろうか、こういうふうに計算できる次第でございます。
#158
○佐藤昭夫君 いろいろ仮定つきの計算ですから、いずれにしても大ざっぱな話ですけれども、西暦二〇〇〇年までには現在の約倍ぐらい、それから二〇三〇年には百十基ということでありますから約三倍、これくらいの原子力発電所をふやさなくてはならぬ、大ざっぱなところそういうことになるだろうということですね。
 ところが、こういう計画というのは、今世界の大勢と比べてみてどうなんだろうかということでありますが、先ほどもありましたソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故、それに先立つアメリカのスリーマイル島の事故、こういうものの教訓から、今世界的に原子力発電の安全性が大きく問われている。
 ソ連では、この事故を起こしたいわゆる黒鉛チャンネル型のあの炉について計画中の七基の建設を中止したと伝えられているわけであります。アメリカは三基の建設計画をキャンセルした。アメリカの場合はさまざまな事情があるというさっきの話ですけれども、いずれにしても三基の建設計画をキャンセルした。中国は二基の建設の無期延期。フィリピンは一基を凍結。オランダ、ユーゴスラビアは新規計画の取りやめ。また、スウェーデンでは二〇三〇年までは既存の原子力発電の廃棄、これを決めてきておったんですけれども、それをさらに早めようという方向であります。国民投票で原発の凍結を決めているオーストラリアは解体するかとも伝えられている。
 こういう世界の趨勢と比べて、先ほどの長期計画に基づく我が国の原子力開発計画というか、原子力発電所増設計画というのはこの世界の趨勢に全く逆行するものじゃないかというふうに言わざるを得ないのですが、どうですか。
#159
○政府委員(松井隆君) 原子力発電所をどういうふうに建設していくかという計画につきましては、それぞれの国の置かれたエネルギー事情、そういうものを如実に反映している次第だと思っております。例えば、御案内のとおり日本と非常に似たエネルギーの状況の国であるフランスにつきましては、やはり従来どおりの方針で進めるということになってございます。
 それから、チェルノブイリの影響で西ドイツにつきましてもそういう議論はございましたけれども、与党でありますコール政権につきましては、やはりそれを続けるという方針をとっています。
 同じくイギリスについても同じでございまして、そういう意味では、それぞれのエネルギーの置かれた事情、そういうものを反映してやはり原子力発電所を進めるという政策には私はそう大幅な変更はないのではないか、こういうふうに理解しております。
#160
○佐藤昭夫君 西ドイツ、イギリスについては、あなたが言われるような、そんな断定的に言われるような日本と同じような方向に向いて進んでおるということじゃありません。大体増設計画をどんどんやっておるというのは日本とフランスぐらいじゃないですか、今。
 こういう世界の趨勢に一体この日本の姿でいいのかという問題でありますが、もうちょっと角度を変えて申し上げますけれども、ことしの二月に東京で国連の環境特別委員会、環境と開発に関する世界委員会というものが開かれました。この委員会は、そもそも一九八二年の五月、ナイロビで開かれた国連環境計画創設十周年の特別会議、ここで日本政府を代表して当時の環境庁長官が、世界の環境危機を回避するため国際的な特別委員会をつくろう、こう提案をして設立されたものであります。また、そうした事情から、日本政府はこの委員会の予算の約三分の一、およそ三億円を拠出しているわけでありまして、こうした日本政府の積極的なイニシアチブで発足をしました委員会がことしの四月に最終報告を出して、その翻訳「地球の未来を守るために」、こういうかなり大部の本も出ているわけでありますけれども、当然、長官、政府閣僚の一員としてこの報告はよく尊重していこう、基本姿勢はそういうことでありましょうね。
#161
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 国連の環境特別委員会は、環境問題に関する専門家が長期的な環境保全について個人の資格で審議したものであります。この委員会において、原子力について安全性の問題などにつき賛否両論の議論が行われ、最終報告書が原子力について必ずしも無条件に積極的に推進すべきとの方向にはなっていないということは承知をいたしております。
 しかしながら、国際原子力機関、IAEA等の場においては、原子力が今後増大することが予想される世界のエネルギー需要に対応し得る重要なエネルギー源であると国際的に位置づけられておりましたり、また、今日酸性雨等の地球的規模での環境問題が議論されているが、原子力開発利用長期計画におきましても指摘されているとおり、原子力発電は環境影響が少なく、大気汚染物質の総量を軽減するというすぐれた特徴も有しております。このため、国内エネルギー資源に乏しい我が国といたしましては、原子力をエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する基軸エネルギーとして位置づけ、安全性の確保に万全を期しつつ、その研究開発利用に積極的に取り組んでいくことが必要であると存じます。
#162
○佐藤昭夫君 個人によってつくられておる委員会の報告書だと言いつつ、国連のもとに設置をされた委員会、そして、かつては外務大臣も務められたような大来さんが日本代表ということで参加をしているんですから、単に全く個人的グループの有志が集まって、何かわあわあしゃべってまとめた、そういう軽いものじゃないわけです、
 そこで、この報告書の中で、原子力エネルギー、原子力発電政策について、今後のあり方についてはどんなふうに書いていますか。
#163
○政府委員(松井隆君) 要点を申し上げます。
 原子力は現在世界の電力の一五%程度を占めるまで実用化しているということが書いてございます。そういうことによって核拡散問題、経済性、安全性、廃棄物処分等の面で問題点も明らかになってきつつある、こういう書き方をしております。
 それで、原子力に対して各国政府は、一つは原子力に頼らずに他のエネルギー源を開発するというポジションをとる国、あるいは他のより安全なエネルギーが実用化するまでの限定的なエネルギーに位置づけるという考え方の国、それから問題点の解決は可能と確信を持って利用開発を進めるという三つの立場をとっている国がそれぞれございます。委員会における議論もその三つの立場を反映したものとなったというふうに書いてございます。
 それで、上記問題点の解決のために幾つかの国際的合意がなされねばならないということが書いてございます。それからもう一つは、これら問題点の確固たる解決策が存在する場合にのみ原子力発電は正当化される。最優先順位が原子力安全の向上策と同様に環境に好ましく経済的な他のエネルギー源の研究開発に置かれるべきである等々の規定がポイントとしてあるというように承知しております。
#164
○佐藤昭夫君 今あなたの言われたように、この報告の結論と勧告ということで大きく三つ、その第一に原子力以外のエネルギー源を風発すること、第二に、より安全な代替エネルギーに移行するまでの一定期間は云々、こういうことで、あなたも今引用されたような、要するに安全性確保のためのいろいろな方策が十分全うされなくてはならぬ、それが前提だということで書いているわけです。
 そこで、この間の六月の長期計画がこういった国連の特別委員会の報告、ここにもあるような原子力以外のエネルギー源、ここにこそ将来方向の中心を求めるべきじゃないかというこの点と反するものだとは思いませんか。
#165
○政府委員(松井隆君) この特別委員会でのいろいろの御議論、日本からは大来佐武郎先生が出られたわけでございますけれども、後で聞いたところによりますと、いろいろな中での議論があったというふうに聞いております。もちろん十数人の識者が集まった会議でございますから、最終的にそういう形でコンセンサスという形でまとめたというような大分苦慮なさったという話も聞いております。
 それで、その報告書の扱いでございますけれども、政府といたしましては、いわゆるこれは賢人会合でございますものですから、その賢人会合の結論を受けまして、では国連としてどう扱うかという議論になるわけでございます。国連の環境計画管理理事会というところで議論されたというふうに承知しております。
 政府といたしましては、日本だけではございません、西側各国でございますけれども、やはりその報告書の内容に受け入れがたい部分が少なくない旨皆さん表明してございます。日本政府といたしましては、上記の決議採択に当たりまして、我が国代表からは特にエネルギー問題、それからもう一つは捕鯨問題、この二つについては意見を異にするという旨を発言し、それが議事録に記録されているというふうに承知しております。
#166
○佐藤昭夫君 いかにもこうした報告書に出ているような方向が必ずしも世界の世論でないと言わんばかりの言い方でありますけれども、これは国民のいわゆる世論調査という点でも最近は非常に明確になってきているのじゃないですか。
 例えば、朝日新聞社が昨年八月に全国で行った原子力発電に関する意識調査、それが本にまとまって、こんな本に、「地球被曝 チェルノブイリ事故と日本」という形で出ていますけれども、原子力発電の推進に賛成する人が三四%、反対が四一%、一九七八年から同じ質問で始まった調査で、今回初めて反対が賛成を上回った。日本の原子力発電でも大事故が起こるとの不安を七割近くの人が感じている。さらに自分の住んでいる近くに原子力発電が建設されることには七五%の人が反対と答えているというこの数字はこれまでの調査での最高の数字だ、こういう世論調査の数字になっているということを科技庁長官御存じですか。
#167
○政府委員(松井隆君) 先生の御指摘の朝日新聞の世論調査につきましては私どもも承知しております。これは朝日新聞、毎日新聞が、確かにチェルノブイリの事故があった直後でございます、毎日新聞が六十一年六月、朝日新聞が六十一年八月というふうに理解、記憶してございますけれども、そこでそういう結果が出ているということは事実だと思います。
 それで、私どものこの解釈といたしまして、これは事故があって事故原因がまだ明らかになっておらないということで、そういう意味では我が国でも同様な事故が起こるのではないか、こういう不安の念があったかというふうに推測できるわけでございます。そういう意味では確かにこの事故が我が国国民に与えた非常に不安感というのですか、そういうものは大きなものであったというふうに承知しております。そういう意味で私どももこういうことは、こういう事実は謙虚に受けとめておる次第でございます。
 それで、本年五月でございますけれども、原子力安全委員会が約一年間ばかり調査検討した結果、この事故についての調査解析の結果がレポートされてございます。そこの結論は、従来の安全規制、防災対策を早急に改める必要性は見出されない、こう結論づけている次第でございます。しかし、いずれにしろ私どもとしては、そういった事実、これについてはやはり謙虚に踏まえまして今後とも我が国の安全ということには念には念を入れて進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#168
○佐藤昭夫君 謙虚に受けとめたい、こう言いながら、しかし実際にやっていることは馬耳東風のごとく、いや、チェルノブイル事故が起ころうとも日本の原発は安全だということでどんどん一路邁進増設をしていこうというやり方になっているじゃないかと言わざるを得ないような今度の長期計画になっていると私は見るのです。
 そこで、これは事実の問題をはっきりするためにちょっと、いろいろ外交ルート等々を通して調べればはっきりすることですから、現在の原子力発電保有国の今後の計画がどういうことになっているのか。私がマスコミ報道やらいろんな本で、出版物で出たものやらずっと見る限り、こんなに日本ほどどんどんと一路増設をしていこうという国はほかに例を見ないというふうに思うのだけれども、一遍それをきちっと調べでできるだけ早い時期に当委員会に参考資料として出してもらえませんか。
#169
○政府委員(松井隆君) 現在、私ども今その先生の御指摘の資料手元にはないものでございますから、それについて答える立場でございませんけれども、本件につきましては、この委員会でそういう結論が出ますれば私どもも調べてまだ御返答するというふうにいたしていただきたいと思っています。
 ただ、一つ述べたいことは、この原子力発電が必要かどうかという問題は、やはりその国の置かれた国のエネルギー事情、そういうものを反映して決まっているもめであろうというふうに承知しておりますものですから、その点についてだけ申し述べさせていただきたいと思います。
#170
○佐藤昭夫君 それでは扱いを理事会で御検討いただきたい。
#171
○委員長(飯田忠雄君) ただいまの問題につきましては、後刻理事会で協議いたします。
#172
○佐藤昭夫君 この問題を指摘しました六月の原子力委員会の長期計画、その前提になっているのが我が国の原子力施設については安全だという立場、いささかの教訓もこれらの事故から酌み取ろうとしないという態度になっているわけでありますし、この防災対策についても特に「変更すべき必要性は見出されない」、こういう内容になっております。
 こうした原子力委員会の態度と相関連をして見逃すことができないのは、八六年の四月に開かれた原子力産業会議の年次大会、ここで有澤廣巳会長が、設備利用率を八五%に上げるためには定期検査期間を従来の三カ月から二カ月に短縮して運転継続期間を従来の目標十二カ月を十五カ月から十八カ月ぐらいに延長すべきだとか、我が国の軽水炉技術は既に成熱をした。安全確保に役立ってない過重な附属設備を除去すべきだ。例えば、話がありましたECCSなどのデザイン、こういうものはオーバーデザイン、過重設計だ。配管の瞬時破断などは実際にあり得ない。こういうことを原産会議の大会で発言をしておられる、こういう風潮に拍車をかけるような今度の長期計画の思想じゃないかということを私は非常に恐れるわけです。
 そこで、長官にお尋ねしますけれども、要するに、定期検査の期間を短縮した方がいい。運転期間を延長したらいいとか、ECCS、そんなものは不必要だ、こういうのが原子力委員会というか、科学技術庁責任者としての御意見でしょうか。
#173
○政府委員(松井隆君) 先生御指摘の有澤原産会長の昨年でございますか、春の所信表明の中にある事項でございますけれども、精密に読みますと決して、必ずしも私はそういうふうに理解すべきではないというふうにとってございます。
 つまり、一つは軽水炉技術が大変日本が成熟したということをおっしゃっておりますけれども、その「成熟したしたということは、次の大きな飛躍の機会でもあります。」ということを述べておりまして、「あらゆる新技術がそうであるように、その初期段階は、未解決の問題を最悪のケースで考え、一歩一歩全体系をつくりあげるわけですが、その結果出来上がったものは、全体からみれば非経済的で、安全上もバランスのないものになっているケースもあります。つまり、そのバランスを検討しないで最初につくられたものを安易に継承し、積み重ねて、全体系をつくり上げることになりがちですが、この点を改めなければいけません。」さらに、「これは安全性の確保を軽視するというのではなく、安全確保に役立っていない過重な附属設備を除去しようというものです。」こういった思想でおっしゃっているというふうに私どもは理解しております。
 したがいまして、そういった考え方は妥当なものと思っておりますし、原子力委員会の長計でもあくまでそういった物の考え方、やはり安全というのは非常に大事であるということで、そういう面から物事をしっかり考えていこう、ただ、従来の必ずしもその殼にとらわれる必要はないんじゃないか、こういう考え方は必要かというふうに思っております。
#174
○佐藤昭夫君 有澤発言をどういうふうに解釈、理解をするかということは、こういう私も現物を持っていますから、そこはさまざまあってもそれはいいでしょう。問題は、有澤さんが言うた言わぬにかかわらず、定期検査期間は短縮すべきだ、ECCSなんというものは不必要だ、こういう考え方ではまさかないでしょうね。
#175
○政府委員(松井隆君) これは、原子力施設につきましてはやはり安全第一でございます。そういう意味では、やはり安全第一という点からそういうものが妥当かどうかということを判断すべきかと思っております。
#176
○佐藤昭夫君 判断してどういう結論になるの。長官もうずばり答えてください。
#177
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 安全性を犠牲にすることがあってはならないことは言うまでもありません。
#178
○佐藤昭夫君 だから、安全性が犠牲にされることがあってはならない、したがって定期検査期間を短縮した方がよろしいとかECCSはなくした方がよろしいとか、こういうことではないというふうに理解していいですね。
#179
○政府委員(松井隆君) これはあくまでやはり安全第一という考え方で、そういうものが合理的、妥当性があり、かつまた安全を損なわないということになった場合には、新たな事態にどう対応するかということはやはりその時点で判断をすべき事項というふうに考えております。
#180
○佐藤昭夫君 最後に結論的なことを長官にお尋ねします。
 一つは、私ども共産党は、御存じと思いますが、原子力の平和利用にいささかも反対をする立場はとっていませんが、その原子力の平和利用の安全な発展の前提としては、一つは何よりも核兵器の廃絶、これが重要だ。さらに、核兵器廃絶以前においても原子力の軍事利用の危険、これを防止することがどうしても大切なんだという考えでありますけれども、この点についての大臣の基本的な政治的見解を、これは局長ではいかぬですよ、大臣にお尋ねしたいことが一つ。
 それからもう一つは、チェルノブイルの事故以降、さっき言いましたように、諸外国のいろんな趨勢、こういったものによく目を向けて我が国の政策樹立を図る。それから既設の原子力発電所の総点検をして一段と既設の発電所の安全体制それから防災避難対策、こういうものの一層の充実のための検討をすべきだと思いますが、この二つの結論的問題について大臣お答えください。
#181
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 今の御質問でございますが、原子力基本法にのっとりまして、平和利用また安全を大前提としてやっていきたいと思います。
#182
○小西博行君 時間が余りございませんので、きょうは最近世界じゅうがフィーバーしております超電導についてお尋ねしたいと思います。なぜ超電導の問題をお尋ねするかといいますと、研究開発ということになりますと、何も超電導だけじゃなくて、先ほど同僚議員の方からもいろいろお話がございましたように、いろんな金属材料の開発であるとかその他たくさんの問題がございますので、しかも短期間で開発して物にしようということでは大変いいモデルじゃないか、そのように思いまして、幾つかの問題点を質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、先日当委員会で参考人のそれぞれの先生方においでいただいて、そして勉強会をやらせていただきました。あの中でたくさんの課題を皆さん、それぞれの参考人の方からおっしゃっておりますので、その問題をまずお話したいと思います。
 まず一点は、国際協力の推進ということをやはり強くおっしゃっておられました。それから二番目は産官学の役割の分担、そして次は基礎研究の強化体制をぜひつくっていきたい、あるいは特許の問題をどう扱ったらいいのか、それから安全性とか信頼性の確立、民間への研究助成、従来技術の応用、日本で今まで培われたいろんな従来の技術をどう応用していくか。こういう問題についてぜひともこれから失政府の皆さん方にもお願いしたい、自分たちでも大いにやっていきたい、このような趣旨のことが実はございました。
 そこで、最近のアメリカの情勢なんですが、超電導開発について大変積極的に取り組んでおられます。これは二十一世紀の戦略技術というふうにはっきりと位置づけいたしまして、各省庁、つまりエネルギー省あるいは商務省、国防総省、NASA、それぞれの省庁が役割分担をして、そして思い切った予算をとって研究をしよう、そういう動きが実はあるわけです。
 日本の場合はそういうような具体的なはっきりした命題はないわけでありますが、それでもとにかく研究開発を、まず第一線でいいものを開発していきたい、こういうような動きがございますが、日本の場合の各省庁のそういう協力体制といいましょうか、あるいはそれと予算との関係というのも大いにあると思うのですが、その辺の仕事の分担の業務内容あるいは協力体制、こういう問題についてまずお伺いしたいと思うのです、
#183
○政府委員(川崎雅弘君) ただいまの重要なポイントについての御質問でございますが、まず現在の超電導、特に従来型ではありませんで、昨年来顕著に進展を遂げております金属酸化物を中心とするいわゆる新超電導物質という点に限って申し上げますと、現在の研究の段階はいわゆる基礎的な研究、具体的に言えば構造理論を解明するとか超電導現象が起こるメカニズムを確認する。あるいはその中に現在銅と関連いたしまして酸素原子がいろいろ介在をして、結果として構造が不安定になって、一時的に超電導現象があらわれても直ちにそれがひずんでだめになる、そういうような状況にあるので、そういう基礎的な研究をしなければいけないというのが一つの認識でございます。
 しかしながら、先般の二十八日の科学技術会議から出されました第十四号答申の物質・材料系科学技術ということについての基本計画が示されておりますが、この超電導というものの応用分野を考えますと極めて多岐にわたります。一番端的なのはモーターのコイル線から始まりまして、いわゆる無限にエネルギーを蓄えるといいましょうか、電気のエネルギーを貯蔵できるといったようなことに至るまで、あるいはリニアモーターカーの運航、そういう意味で現在の高温での超電導現象が起こり得る新超電導物質については大きい期待がかかっております。
 そういう意味で、この応用分野もしかも多方面である。そういうようなものについては、この二十八日に出された基本計画においてもそれぞれの分野で多様な研究をまず進める必要がある。しかしながら、全体が一つの有機的なつながりでもって総合化された形で進められるべきだというふうに考えられるので、そういう意味でのプロジェクト的に研究を進めるということも必要だというような指摘がされております。まさに現在の新超電導物質はそういう段階ではないだろうかと私どもは考えております。
 現在各省、特に主なところは私ども科学技術庁、それに学術的な研究をやっております文部省、さらに主たる応用分野ということで通産省、それに運輸省、一部郵政省といったような五つの省庁が本分野の研究に意を注ごうということで明年度にかけて努力をいたしておるわけでございます。
 内容的にかいつまんで私どもの方で把握しておるところを申し上げますと、科学技術庁の方は共通基盤的な超電導現象の解明に必要な大型の研究設備、例えば現在ありません。オングストロームまで解析可能な電子顕微鏡を備えるとか、それから強力な磁場の中では超電導現象がたちまちに消滅してしまいますが、いわゆる臨界磁界と言っておるわけですが、そういう意味での強力な磁場を発生するような装置といったようなものを中心として幾つかの研究コアをその中に設けていく、それについて。そこのコアには省庁を問わず、あるいは内外を問わず研究者に来ていただいて利用しながら相互に情報交換をしながら研究を進める。そういうマルチコアというような考え方の一種の姿なき総合研究所というようなものを今考えて施策を進めようとしておるところでございます。
 一方文部省の方は、これは大学の先生を中心に研究者の個人の自由な発想を重視していわゆるアイデア合戦をするというようなたぐいの基礎的な研究を進めるということと同時に、例えば、大学の現在附置研でございます金属材料研究所というのが東北大学にあると聞いておりますが、そういうところを大学の共通の総合的な研究ができるような場に衣がえをするというような計画を進められるやに聞いております。
 それから通産省においては、特に従来から進めておりますいわゆるムーンライトと言われている省エネルギー技術研究開発の一環として応用分野の開拓をやる。これは超電導発電機といったようなものとか、あるいは電気貯蔵技術といったようなものとか、あるいは超電導現象を利用しての新しいコンピュータ素子の開発あるいは情報処理機器の開発といったようなものを指向した研究を進められているというふうに聞いております。
 運輸省は、かねてから旧国鉄を中心にやっておりましたリニアモーターカー、これは磁気浮上型で、現在ヘリウムを使っての極低温技術を利用しての超電導でございますが、これへのレベルアップといいましょうか、そういう点の研究をやろう。
 郵政省は、先ほどの情報処理と若干関連がございますが、超高速高性能の通信技術への利用、そういうようなそれぞれの目的に応じました分野での研究を進めるというふうに私どもは承知いたしております、
#184
○説明員(根津利三郎君) 通産省工業技術院でございます。
 今、既に科学技術庁の方から御説明がございましたが、私どもの方もこの超電導の技術、大変新しい技術ではありますけれども、可能性の広い、夢のある技術ではないかというふうに思っておるわけでございます。そういった考え方をベースに置きまして、既に御指摘がございましたが、電力分野への応用の問題、あるいは素子という格好でコンピューターなりそれに近いいろいろな技術への応用ということを念頭に置きつつ今後とも技術開発に努めていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、そういった応用技術を研究するにいたしましても、基礎的な勉強というものを忘れていくわけにはいかないわけでございまして、その辺もあわせて並行してやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#185
○小西博行君 とにかく超電導というものを現実のものにしていかなければいけないというのが一つの大きな課題だと思うのです。その場合に、文献によりますとやはり三段階というのが実際にある。そのまず一つは超電導体の研究、つまり先ほどおっしゃった構造の決定だとか、そういう基礎的な研究というのがまず何よりも先行しなければいけない、この間の参考人の方々もそのように一様におっしゃっておられました。それから二番目は、それが解明されて今度は超電導材料の研究をやらなければいけない。そして最後は応用。この三段階が非常に私大切だと思うのです。
 省庁ではそれぞれの分野でそれぞれのことをやっていらっしゃると思うのですが、少なくとも応用とかあるいはそういう材料の開発、特に世界の中を見ますと線材をつくる技術なんというのは日本がやはりナンバーワンだというふうにも言われておりますので、もちろん構造の決定というのは大切な大変大きな問題だと思うのですが、そういう分野についても各省庁の研究機関は今から対応していかなければいけない。そういうことについてお伺いしたいと思います。
#186
○政府委員(川崎雅弘君) お答えを申し上げますが、御指摘のとおり、現在のいわゆる新超電導物質については理論あるいは構造理論の確立というのが何よりも大事だというのは、実は再現性がない、そういうところにポイントがあるわけで、ある研究者が出した物質はその場限りでそれはいい。しかし、もう一度同じものをつくろうとするときにまた同じものにはなかなかならない。あるいは超電導現象自身が同じ物質を使ってやるとまた出てこない。そういう不安定な要素、そのためにどうしても理論、構造の解析というのが急務だということになっております。
 一方、しかしそれができましても、実際に応用する場合には、リボンであるとか線材化であるとか薄膜化というようないわゆる材料化という過程のプロセス技術を含めたものが重要になりますが、この段階になりますと既に一部ニオブ3スズという、これはまだ極低温領域の金属系の金属間化合物でございますが、これも大変柔軟性に富まない物質でございますので線材化は難しいわけですが、私どもの金属材料技術研究所の開発しました方法と、それから民間の共同で現在ニオブ3スズについてはいわゆる工業レベルでの線材化というのが実現しておりますので、そういう民間との共同というような形態をとりながら国立研究所でそれぞれやられた研究成果をより一層発展させていくというふうな形をとる必要があると思っております。
 さらに、先生の御指摘の点は、産学官の間でのそういう技術が移り変わるとか、あるいは協同をどうするかというポイントになるかと思いますが、やはり組織的な、あるいは制度的な形の支えというのも極めて重要ではありますが、研究者同士が、お互いどのところがこの人は専門かというのを知り合うということが非常に大事なんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、ことしの二月にそういうようなことで、現在民間の企業では百三十社、研究者個人では百人、それに外国の機関からも参加をしました一種の研究フォーラムというようなものが、新超電導研究会と言っておりますが、二月に自律的に発足をいたしておりまして、既に外国からの関係者も呼びながら研究者レベルでの相互の研さんと情報交換の場が国内にも育ってきております。
 これらを科学技術庁としては応援をし、新しい共同研究の場なり種をその研究者間の中から見つけていく。あわせて科学技術庁のもう一つの任務でございます総合調整といいましょうか、そういう観点から国全体として各省と協力し合いながら効率的にこの超電導問題にも取り組んでいきたいというふうに今思っておるところでございます。
#187
○小西博行君 先ほど答弁をしていただきましたが、ことしの概算要求ですね、私はどの程度要求されているのかなと思っていろいろお聞きしましたら、科学技術庁の方はこれに対して大体三十五億円ぐらいですか、通産も大体そのくらい。
 ところが、先ほどの協力体制の中でお答えいただきましたように、顕微鏡の問題とかあるいは強力な磁場がどうしても必要なんだ。磁場だけで何かお話聞きますと大体八十億前後するんですか、それぐらい大きなものだというふうに聞いているわけですが、しかし、それを三年とか四年で完成するというのではいかにも遅いような気もいたしまして、何とかこれを思い切って、これは日本じゅうにまだないわけですから、そういうものをとにかく完成して、そしていろんな関連の研究者がお互いにそれを共有するといいますか、共同で利用できるような、せめてそういうような体制だけは必要なんじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
#188
○政府委員(川崎雅弘君) 先生の最初の御質問にも若干お答えをしたので、繰り返しに一部なるかと思いますが、私どもの方の確かに最大型、これは磁場の力で八十テスラぐらいのものでございますが、そのほかに中規模ぐらいの四十テスラというようなものを考えておりまして、この八十テスラの方は三年ほどかかる予定でございますが、中規模のものについてはかなり短い期間、一年半とかというような形で実用といいましょうか、使える状況になります。
 したがいまして、これは私どもの金材技研がお預かりをしている共用の施設の一つだというような形で利用をしていただきたいというふうに考えておりますので、そういう意味で私どもは姿なき研究所的な形でのマルチコアというような思想をお話し申し上げたわけでございますが、ぜひ私どももこれの実現に努力をいたしますが、そういう意味で一つの新しいタイプの総合的な共同研究の場がこれらを期してできていくというようなことをまた一方では期待をしておるという状況でございます。
#189
○小西博行君 もう一点は、電力の貯蔵システムというのが最近えらい言われておるんですが、これができますと非常に効率的だと思うのです。この間の停電のようなことはまずないだろうと思いますので、この貯蔵システムがどこまでどういう形で今進んでいるかという点と、それからもう一つ、同じように発電機の研究開発というのがこれも相当進んでおるようなんで、その辺のめどづけといいますか、その辺あわせてお聞きしたいと思います。
#190
○説明員(中山真一君) ただいまの先生の御質問二点あると思いますが、電力貯蔵システムにつきましては、現在工業技術院長の私的諮問機関でございます超電導産業技術開発懇談会において、超電導電力応用機器の検討の一環として超電導電力貯蔵に関して技術的な検討を行ってきております。それで、六十三年度につきましては現在新規施策として超電導の電力分野への応用に関する技術開発等を予算要求をしておりますが、この一環として超電導電力貯蔵についてもフィージビリティー調査等を計画しております。
 次の超電導発電機についてでございますが、工業技術院では昭和六十年度以来、超電導発電関連機器材料技術のフィージビリティースタディーを民間の研究機関に委託しまして、学識経験者、メーカー等の専門家の協力を得て、六十一年度につきましては酸化物系の新材料の線材化の研究課題の摘出等を行ってきておる次第でございますが、昭和六十三年度からは超電導発電機の研究開発を中心として、超電導電力応用技術の大型省エネルギー技術開発プロジェクトに着手することにしたいと思っており、国立研究所、民間企業のポテンシャルを結集した体制で開発を進めてまいりたいと思っております。
 このような研究開発によりまして、おおよそ二〇〇〇年ごろには超電導発電機が実用化されるものと見込まれております。
#191
○小西博行君 次に、アメリカでは超電導開発加速計画というのが具体的に打ち出されておりまして、特にレーガン大統領がこれに大変熱心だということも伺っております。当然日本に対してぜひ協力をしてくれというような呼びかけが実はあるわけですね。そういう中身についてちょっとお伺いしたいと思いますが、どのように対応しておられますか。
#192
○政府委員(川崎雅弘君) まず、先生の御指摘になりましたアメリカの政策は、多分先般開かれましたレーガン大統領が出席しましたイニシアチブを言っておられるんだと思いますが、その十一番目の項だったかと思いますが、その中に、日本が政策的に進める超電導研究にもアメリカとしてもこれに加わっていきたいという希望が述べられております。
 具体的にそれではどのようにするかという点でございますが、現在のところ、アメリカから直接に私どもにこれこれのプロジェクト研究に参加したいという要請はまだ来ておりませんが、私どもの方には既に、先ほど来申しましたマルチコア研究の中で現在話が具体的に進んでおるものとしましては、カリフォルニア大学のバークレー校を卒業してドクターを取りたての方が金材技研の構造制御のところのコアの一人として、研究交流促進法に基づきまして金材技研の職員として採用してほしいという動きが具体的には出てきております。
 ただ、いわゆる共同研究プロジェクトという形で日米合作といいましょうか、合体しました形のプロジェクトはまだできておりませんが、まずは研究者レベルでこういうような話が具体的なフィールドから出てくるのが妥当だろうと思っておりますので、なお私どもとしては、国際的なシンポジウムであるとかあるいはフォーラムといったようなものを来年度あるいは今年度、これは民間の力もかりながら関係省庁とも協力し合いながら国内で開き、そういう新しい共同研究の種を見出すような場所を研究者各人に提供していきたいというふうに考えております。
#193
○小西博行君 そういうことがどんどん進みまして、お互いにお互いの国においていろんなテーマを持って共同研究するという場合には当然特許の問題がまた出てくるんじゃないか。どの研究も、超電導だけじゃなくて特許の扱いというのは大体そのフォームが決まっておるようですね。例えば政府間のいろんなお互いの協力体制とかあるいは個人と個人の関係とか、いろんなことでこれからは頻繁にこの特許の問題が、ひょっとするとまた大きな摩擦になりかねないような問題があるわけです。
 きょうの昼のテレビをちょっと見ておりますと、何か日本の方から政府の代表行かれて、アメリカでそういう特許の問題についていろんな調整をするんだというのが昼のニュースでちょっと出ておりましたので、これは通産の方でしょうか、もしそういうことについて具体的なものがわかればちょっと教えていただきたいと思います。きょう昼間のニュースでやっていました。
#194
○説明員(根津利三郎君) 今、御指摘がございましたように新しい技術でございますので、恐らくは大変多くの特許の出願というものがなされているのではなかろうかというふうに思われるわけでございます。これは我が国の場合、特許の出願が行われてから通常一年半というものは、特許の内容は一年半たったところで公開されるというのが通常の仕組みでございまして、アメリカの場合には特許が成立するまでは公開されないというような制度になっておるわけでございます。
 それで、こういったような制度の違いについてもう少しすり合わせをするべきじゃないだろうかというような考え方は従来からあったわけでございまして、専門家の間ではハーモナイゼーションというような言い方もされておるようでございます。これは超電導に限らず、あくまで一般の話でございますが、あるいはきょう先生が昼間のニュースでお聞きになられた点はそのことを指しておるのかもしれませんが、具体的には超電導との関係で私ちょっと正確にその話を存じてないわけでございます。
 ただ、一般的に申し上げますと、そういったことで特許の問題というのは将来問題の起こる可能性はなきにしもあらずでございますので、私どもとしましては、今後特許の出願の内容が明らかになるに従いまして、その辺の動向をよく見守りまして、必要に応じて適宜に対応してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
#195
○小西博行君 いや、今申し上げたのは超電導の特許についてという意味じゃなくて、いろんな研究をお互いに協力でやっているものですから、そういう調整をしに日本の政府からアメリカへ行かれるというようなことがきょうありましたから、これは超電導だけじゃないわけでして、超電導は特にエキサイトしておりますから恐らくたくさんの特許も既に出願されているというように聞いておりますので、その辺を一回調べていただきたいというように。思います。
 それからもう一点は、これもアメリカの方なんですが、関税法三三七条というのがございまして、この改正をぜひやりたい。これはもちろん外国からの輸入製品が特許の一部をなすような製品は輸入を差しとめよというようなかなりきつい方向で検討中だということなんです。つまり、製品の中にはいろんな部品が入っておりまして、それぞれにやはり何らかの特許というのが当然あると思うのです。そういうものが製品として入った場合に、これはもう入れない、輸入しないという非常に強力なアメリカ側の御意見でそういう検討がなされるんじゃないか、改正されるんじゃないか、こういう問題がございますんですが、そういう情報はつかんでいらっしゃいますか。
#196
○説明員(細川恒君) 今、先生御指摘の点でございますが、特許権を含みます知的所有権の侵害行為でございますけれども、これは本来規制の対象とすべきものでございまして、国際条約でございますガットでございますが、そのガットの規定におきましても、特許権などを侵害する商品、それは輸入を制限してよろしいという特例が認められておるわけでございます。
 御指摘の米国関税法三三七条でございますが、これは特許権などの侵害品の輸入を禁止することを目的としたものでございまして、先ほど申し上げましたガットの考え方と同一の考え方に立っておるわけでございます。ただ、そのアメリカの現行三三七条でございますが、これに問題はないわけじゃございませんで、一、二例を挙げたいと思うのですが、一つは、その審査期間が短いといったようなことから、提訴をされた人間、提訴された者が手続に従って皮論をするということをいたしましても、与えられた時間が短いということから十分なる準備ができないということ、そういう事情から非常に不利益な状態に置かれがちであるというようなことも挙げられておりますし、あるいはまた、その特許権が侵害されておるということで一時通関が停止をされる、その後にクロと一度判断されたものがシロということで侵害なしということに判定がされかえた場合でも、提訴を受けた者の救済措置がないということのために輸入の停止によってこうむった損害というのが、補てんをされない、こういうような制度上の問題が三三七条上あるわけでございます。
 御指摘の今回の改正でございますが、それはいわゆる包括貿易法案の一環としてその中に盛られるべきものとして検討されておるものでございまして、内容につきましては、三三七条で輸入禁止の措置の発動の要件として現行法の中にございますのは、アメリカの国内の産業が現に被害をこうむっておる、侵害しているかどうかということに加えてもう一つそういう条件が加わっておるわけでございますが、その産業被害要件と言っております要件を削除しようといったような内容を改正案の中に盛っております。
 こういう改正が仮に立法化されますと、いわば乱訴といいますか、提訴が非常に多くなるという懸念を私どもかねてから持っておるわけでございますが、私どもは、あらゆる機会を通じましてアメリカ政府関係者などに対しましてその改正の問題点というのを指摘をしてきておりますけれども、引き続き全力で努めたいと思っております。
#197
○小西博行君 時間が参りましたから最後に大臣の決意をお伺いしたいと思いますが、午前中からも同僚議員の方からいろいろ質問の形でございました。とにかく日本は技術立国を目指さなければいけない、基本研究というんですか、前々からそういう問題があります。特に今後の超電導というのは、そういう意味では一番そのターゲットとしてはおもしろい材料じゃないか、そういうふうに思いまして、特に予算折衝ですね、いよいよこれからやられるわけですが、やはり将来の日本の科学技術はこうあるべきだ、そのためにはどうしてもこれだけの予算が必要なんだという自信と強い姿勢で折衝にぜひ当たっていただきたい。
 私も七年ほど科学技術の皆さんとおつき合いさせていただいておりますけれども、何かしらもう少しエネルギーを蓄えてぶち当たるだけのそういう気力がなければこれはぐあいが悪いなという、恐らく皆さんもそのようにお考えだと思いますので、大いに応援させていただきますので、頑張っていただきたい、そのことを私は申し上げますが、大臣、その決意の一端をぜひお願いしたいと思います。
#198
○国務大臣(三ツ林弥太郎君) 近年の我が国の科学技術の水準の向上だとか国際社会における役割の増大等、今後我が国が二十一世紀に向けて発展していくとともに、科学技術面の国際貢献を果たしていくためには、創造性豊かな科学技術の振興、特に独創的な基礎的研究の強化が必要不可欠であります。
 とりわけ、国立試験研究機関におきましては、基礎的研究の推進が期待されておりまして、その期待にこたえるためにはそれにふさわしい研究者の充実を図ることが重要な課題と考えております。科学技術会議第十三号答申には、国立試験研究機関の研究者の充実に関し、優秀な人材の確保策、研究者の適性に応じた人事配置等が指摘されているところでありまして、本答申の趣旨を踏まえてその充実に努めてまいる所存であります。
 また、先生から超電導に対する御指摘等がございまして、国際協力、産学官、特許の関係、安全性、また信頼性、そういうふうなことも踏まえてさらに予算折衝におきましては予算の獲得等施策の充実に最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
#199
○小西博行君 頑張ってください。
 終わります。
#200
○委員長(飯田忠雄君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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