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1987/08/19 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第2号
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1987/08/19 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第2号

#1
第109回国会 環境特別委員会 第2号
昭和六十二年八月十九日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月十九日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     木宮 和彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                石井 道子君
                曽根田郁夫君
                丸谷 金保君
                高桑 栄松君
    委 員
                青木 幹雄君
                石本  茂君
                梶木 又三君
                木宮 和彦君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                星  長治君
                宮崎 秀樹君
                小川 仁一君
                田渕 勲二君
                渡辺 四郎君
                広中和歌子君
                沓脱タケ子君
                近藤 忠孝君
                山田  勇君
   衆議院議員
       発  議  者  福島 譲二君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        山内 豊徳君
       環境庁企画調整
       局長       加藤 陸美君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長       古賀 章介君
       環境庁水質保全
       局長       渡辺  武君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        菊池  守君
   説明員
       総務庁行政管理
       局企画調整課長  陶山  晧君
       法務省民事局第
       三課長      永井 紀昭君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長  小林 孝男君
       厚生省生活衛生
       局食品保健課長  大澤  進君
       林野庁業務部経
       営企画課長    塚本 隆久君
       建設省河川局海
       岸課長      市原 四郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の
 一部を改正する法律案(衆議院提出)
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (公害及び環境保全対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山東昭子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 本日は、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、発議者衆議院議員福島譲二君から趣旨説明を聴取いたします。福島譲二君。
#3
○衆議院議員(福島譲二君) ただいま議題となりました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 水俣病対策は、環境行政の重要課題の一つであり、水俣病患者の迅速かつ公正な救済に当たっては、まず、その認定業務を促進することが求められております。
 このため、熊本県において検診・審査体制の充実強化等の措置が講じられてきたほか、昭和五十三年十月に本臨時措置法が制定され、翌五十四年二月十四日から施行されました。その後、昭和五十九年四月に認定の申請期限を昭和六十二年九月三十日まで延長する改正が行われ、現在に至っております。この法律においては、旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、いわゆる旧救済法により、昭和四十九年八月三十一日までに熊本県知事等に対し認定の申請をしていた者で認定に関する処分を受けていない者は、環境庁長官に対して認定の申請をすることができることとされております。
 本法施行以来の国及び県の努力の結果、旧救済法による申請者で認定に関する処分を受けていない者は残り少なくなっております。しかしながら、昭和四十九年九月一日から施行された公害健康被害補償法による申請者で認定に関する処分を受けていない者を含めますと、昭和六十二年三月末で五千五百人を超えている現状にあり、長期にわたる申請滞留者を速やかに解消することにより水俣病対策の推進に資するため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、法律案の内容を御説明申し上げます。
 第一は、認定の申請期限の三年間の延長であります。
 旧救済法による水俣病に係る申請者でいまだ認定に関する処分を受けていない者は、昭和六十五年九月三十日まで環境庁長官に対して認定の申請をすることができることといたしております。
 第二は、環境庁長官に対して認定の申請をすることができる者の範囲の拡大であります。
 従来の旧救済法による申請者に加え、新たに公害健康被害補償法施行後五年以内における同法による水俣病に係る申請者等でいまだ認定に関する処分を受けていない者は、昭和六十五年九月三十日まで環境庁長官に対して認定の申請をすることができることといたしております。
 以上のほか、環境庁長官が行う認定の効力に関する規定等の整備を行うことといたしております。
 なお、この法律案の施行期日は、昭和六十二年十月一日といたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(山東昭子君) 次に、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに公害及び環境保全対策樹立に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○渡辺四郎君 私は、本特別委員会で、水俣病問題では長年先輩の先生方の大変な努力によって、またきょう福島先生の提案趣旨の中にもありましたように、環境行政の重要な課題の一つとしてこの水俣病問題をとらえてまいってきたわけですが、今提案されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案が提案されましたので、この際、水俣病患者の救済の抜本的な解決をぜひ図っていただきたい、こういう立場からお願いをしながら、若干現状なりを述べて御見解をお伺いしたいと思います。以下、長官を初め環境庁の方にお尋ねをいたします。
 日本の三大公害と言われましたいわゆるスモン訴訟あるいはカネミ油症問題、そしてこの水俣病問題で、水俣病を除く二つの公害問題については、大変な患者の皆さんを初め関係団体の皆さん、そして特にカネミ問題では法務大臣を初め各大臣の大変な努力によって大筋解決を見たのでありますが、今議題になっておりますこの水俣病問題だけがいまだに残っておる。しかも水俣病が、発見されたのが歴史的にも一番古い公害病の一つとして問題になっておるわけです。
 既に御承知のとおり、水俣病が公式に発見されたのが昭和三十一年、その後四十年には新潟県の阿賀野川流域で第二の水俣病が発見をされ、それ以来三十年あるいは二十年以上の歳月が経過をしてまいりました。その間患者の皆さんあるいは家族の皆さんたちの強い要求にもかかわらずいまだ全面解決をしていないというのが水俣病の実態でもあります。経済大国と言われております日本で政治に参画する私一人としてもその責任の重大さを実は感じておるところです。
 そこで、私なりに調査をいたしましたので申し上げてみたいと思うんです。
 熊本、鹿児島両県だけの六十二年六月三十日現在の認定処分状況では、認定患者が二千百六十五名、うち亡くなった方が八百名、棄却をされた方が七千七百七名、保留が千三十七名、うち亡くなった方が百十五名、未審査が四千百六十三名、うち亡くなった方が三百九十七名、合計一万五千七十二名、うち亡くなった方が千三百十二名というふうに大変な多くの方が既にお亡くなりになっておるわけです。このように水俣病に侵されて苦しみ三十年以上経過をした。この中には生まれながらにして水俣病に侵された乳児の方も亡くなっておるわけです。
 そこでお尋ねをしたいのは、本年三月三十日の水俣病の熊本地裁での判決についてであります。私は、確かに日本では三審制があり、今国の方が控訴していることも知った上でお尋ねをするわけですが、この熊本地裁での判決の特徴というのですか、これほど国と県に対する行政責任が明確に問われた判決はなかったんではないか。
 要約してみますと、昭和二十九年の八月ごろから水銀化合物を含む工場排水で魚介類あるいは猫等の動物が狂い死にをして、また沿岸住民の中には原因不明の中枢神経系の患者が出現をしていたことを知っていたと判決の中で当時の状況を述べ、そのような中で行政庁は、一企業の行った加害行為及び被害の発生を適切な行政措置をもって防止する義務があり、国民の命と健康の安全確保の責任を負っていると行政の役割を明示をしながら、特に水俣の場合は既にわかっていたことで、規制権限を行使するしないの裁量の余地はなく、不行使は違法となるものと言わねばならぬと厳しく実は判決の中で述べていることは御承知だと思うんです。この判決の内容について、そのとおりであるかどうかお尋ねしたいと思います。
#7
○政府委員(目黒克己君) 先生が御指摘のとおりでございまして、その後、判決を機にいろいろ各関係方面からの御意見をいただいておるところでございます。
#8
○渡辺四郎君 そこで私は長官にお尋ねをしたいわけですが、水俣病患者の抜本的な解決を図るためにもう司法の判断を待たずに、この司法の一審の判断を厳粛に受けとめて現行の判断条件を改めて、例えば公害地域での公害患者認定条件、三条件がありますが、ああいう条件のように改正をして、さきにも申し上げましたが、経過からしても私は早期に全面的に解決すべきだというふうに思いますが、長官の御意見をお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(稲村利幸君) 環境庁といたしましては従来から、医学的判断に基づきまして救済すべきは救済するというこの基本的な姿勢を保ち水俣病対策に取り組んできております。現行の判断条件は現時点における医学的コンセンサスであると考えております。これを見直す考えはございません。
 水俣病問題は公害の原点であり、環境行政を進める上においても極めて重要なものであると考えております。また、複雑かつ経緯のあるものであり、関係する県や省庁とともに患者の立場に立って懸命に解決してまいる所存でございます。
#10
○渡辺四郎君 今認定条件を見直さないという長官のお話でございましたが、なぜ私が早期解決をお願いしておるのかということを若干申し上げてみたいと思うんです。
 今、水俣病患者の方々の中で認定を受けた以外の多くの患者の一番切実な要求とは一体何なのか。それは医療費の拡充を非常に強く要求しておるのが患者の皆さんたちの強い要求でもあるわけです。ここに新聞を持ってきておりますが、七月八日の熊本日日新聞には、熊本県からの強い要望があったにもかかわらず特別医療事業の拡大はしない。そしてその理由として、発足して一年も経過していないので事業効果が即断できない。二つ目が、支給対象者の受給率も五〇%程度で、患者側がそう望んでいない。こういうふうに報道されていますが、もしそのような判断だとすれば大変な事実の誤認がある、ぜひ実態を知ってほしいという立場から私は少し現状を申し上げてみたいと思うんです。
 その第一が、水俣病患者は非常に広範囲の地域に分散をし、しかも熊本を中心にたくさんの離島に患者の皆さんたちの相当数の方が実は生活をしておる。そして、水俣病の治療の大きなものとしてありますのが、はりあるいはきゅう、マッサージあるいはリハビリ、こういうものがありますが、これはもう御専門ですから私が言う必要はないと思うんですけれども、投薬と違いまして患者そのものが病院に行かなければ治療を受けられない、こういう性格の治療法なんです。ところが今、昨年からせっかく実施をしていただいておりますが、この中には、残念なことに交通費も含まれていない。そして、今申し上げましたはり、あるいはマッサージ、きゅう、これも補償されていない。受給者の五〇%を満たないという環境庁の方の御判断でございますが、私どもが調査をしたのでは、一つは、たくさんの交通費がかかるというのが第一点です。そして、はりにしろマッサージにしろ、あるいはおきゅうにしろ全部自己負担でやらなきゃいけない。非常に家庭生活を圧迫するから、ぜひこれに入って治療を受けたいという希望はあるけれども経済的な条件として受けられないというのが現地の患者の皆さんたちの実態のようです。
 ですから、先ほど長官は判断基準を変えないというふうにおっしゃったわけですが、司法の判断では、一審判決でもそうですが、たくさん認定をされたわけです。ところが、行政の判断ではいわゆる棄却をされておる、認定をされないでおる。やむなく再申請をして、一年間医療費を自己負担して治療を受けながらいわゆる治療研究事業の方を選んでおるというのが現在の実態であるわけです。このような患者の方々が熊本県だけでも、熊本県の発表によりますと六十一年度申請者五百五十三名中三百九十六名、七一%強の方です。あるいは未処分者の四千四百五十四名中千九百八十一名の方が再申請の道を選び、言葉は悪いわけですが、堂々めぐり的な道をとらざるを得ないというのが真実の現状であるわけです。
 私の分析ではこういう判断をしておりますが、環境庁がもしもこの新聞報道みたいな判断をされておるということになれば私自身大きな食い違いがある、基本的に間違っておるというふうに思うんですけれども、そこらについて環境庁の御判断
をお聞きしたいと思います。
#11
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点につきましては、この特別医療事業を発足するに至った経緯も含めて御説明を申し上げたいと思っております。
 これは先生御承知のように、熊本の第二次訴訟が六十年八月に判決が出まして、その結果専門家会議を招集いたしまして、この専門家の方々によりまして判断基準について御審議をいただいたのでございます。その結果、専門家会議といたしましては、おおよそ申し上げますと、この判断条件を変える必要はない、こういう趣旨の御意見を賜ったのでございます。
 ただ、その際に専門家会議といたしましては、なお水俣病と診断するには至らないが、医学的に判断が困難な事例があるということについて留意をする必要がある、こういうふうな意見が付記されておったのでございます。これをもとにいたしまして私ども環境庁内部でもいろいろ検討をいたしました結果この特別医療事業を発足する形になったわけでございます。
 しかしながら、この特別医療事業の目的と申しますものは、やはり私ども、この水俣病の認定申請を棄却された者の中から一定の要件を有する者に対して治療に要した経費の一部を助成する、そしてまた、その者の病状の経過を観察し原因を解明することによって、患者さんたちが水俣病ではないと判断されてはいるけれども、御本人たちがその病気は持っていることは事実でございますので、その病気についてこの原因を解明することが患者さんたちの精神的並びに身体的な負担の軽減になるといったようなことを目的として実施をしたものでございます。
 これは実際に実施をいたしましたのが六十一年の夏からでございまして、その後私ども、当委員会等におきまして、あるいは各関係の方々からもこの特別医療事業についてのいろいろな御意見を賜ったのでございますが、やはり現在の私どもの考え方といたしましては、発足して一年そこそこであるということがまず第一点でございます。もちろん、この新聞報道にございますような患者さんの来るか来ないかといったようなことについていろいろ御意見があることも事実でございますが、私どもは、この一年、二年というある程度の時期を見てこれについて検討を加えるべきであろう、やはり今しばらくは経過を見てまいりたい、このように考えているのでございます。
 また、この特別医療事業につきましては、これは私ども、この正確なデータということではございませんが、現地の県当局等からいろいろ聞くところによりますと評判が悪いものではない、先生も御指摘なさいましたように、ある意味ではこの特別医療事業についてはやはり歓迎――歓迎と私どもが言うのはなんでございますけれども、とにかく非難されるものではないというふうに受けとめておりまして、さらにこれを検討を行うに当たりましては慎重に行いたい、これにはもう少しお時間をかしていただきたい、このように考えているところなのでございまして、決して効果を一年未満のうちに云々をしてこれはしないということではないのでございます。
#12
○渡辺四郎君 昨年の夏につくったいわゆる特別医療事業の問題でお話があったわけですが、ここに先ほど中し上肝ました熊本の日日新聞を持っておりますが、熊本の知事にしろ公害部長も、事業拡大は環境庁の補助金を前提にしており、県独自で予算措置をするかどうかということはまだ決めてないけれども、六十二年度からは事業の拡大内容として県ではり、きゅう、マッサージ代の支給、通院費の負担を考えていた、しかし環境庁の方が考えてないということになれば、熊本県単独ではとても大変だと。そういうことは書いてないわけですけれども、そういう意味合いの報道がされているわけです。
 ですから私は、先ほど申し上げましたが、せっかく昨年から発足をして、確かに今おっしゃったようにまだ一年経過をしていないという問題等ありますが、実態として、離島が多く患者の皆さんの交通費がたくさんかかる、はりにしろ、おきゅうにしろ、マッサージにしろお金がかかるわけですから、せっかく制度をつくって救済をしてあげているわけですから、その部分だけはやはり特別医療事業の中に含んでいただいて、医療費なりを、今申し上げた四つの部分の補償をぜひともお願いをしたいと思うんですが、長官いかがでしょうか。せっかく昨年発足をして救済の道を開いたわけですから、該当県も非常に期待をしております、ぜひそこらの見解をお願いしたいと思うんです。
#13
○政府委員(目黒克己君) ちょっと長官の前に事務的に申し上げますと、本件につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもこの特別医療事業の充実強化ということについては考えてないということじゃないのでございまして、あくまでも私どもは経過を見守りながら慎重に対応したい、こういうことでございまして、特にそれほど評判の悪くないこの特別医療事業でございますので、私どもこれを今勉強中というのが実態でございます。したがいまして、もう少しお時間をいただきながら勉強してまいりたい、このように考えているところでございます。
#14
○国務大臣(稲村利幸君) 今部長の答弁のとおり、渡辺委員の熱心な御意見を参考に慎重に検討をさせていただきたいと思います。
#15
○渡辺四郎君 今前向きの方向の御見解を得たというふうに思いますが、私はぜひひとつ長官にお願いをしたいと思うんです。これは過日の新聞で、長官もお読みになったと思うんですが、歴代の環境庁の長官は自然保護関係については非常に地域の皆さんたちの御意見を耳にしていただく、そしてかなり現地の方も視察をしていただける。確かにそれも私重要なことであるしぜひ今後も実施をしていただきたいと思うんですが、この新聞の投書の内容を読んでみますと、公害地域の皆さんとかあるいは公害病患者の皆さんたちから、ぜひひとつ環境庁の長官に現地に来ていただきたい、あるいは患者の声を直接聞いていただきたいという御要望を再三申し上げるけれどもなかなか――今の長官と言っているわけじゃありませんが、歴代の長官ではなかなか、公害病患者の皆さんたちからの御意見を聞くとか、あるいは現地を視察するとかというのが非常に少ないというふうにこの投書では書いておりましたので、ぜひそこらはひとつ今後、大変御多忙とは思いますけれども、積極的に患者の皆さんたちの御意見を聞き、あるいは熊本県を初め関係の自治体の御意見等も現地に行って長官みずからがお聞きをしていただきたい。ぜひこれをお願いをし、長官の御見解を聞きたいと思います。
#16
○国務大臣(稲村利幸君) 私も先般来、この水俣病対策を推進する上で患者の皆さんまたその応援団の皆さんの代表と意見を交換させていただきました。機会があれば私もぜひ現地を訪問させていただきたい、こう思います。諸般の情勢を見きわめ、県の方ともよく意見の交換をさせていただきたい、こう思います。
#17
○渡辺四郎君 最後に、どうしても判断条件については非常に難しい、だから今後も変えるあれはないというお話でございましたが、これ先輩の皆さんからお聞きをしたわけですけれども、当初、例えば水俣病を判断する場合、亡くなれば死体を解剖して内臓の検査をして水俣病であったかどうかという、これも判断基準の中に入っておったというお話を聞くわけであります。私は、やっぱり行政ですから、政府としては人間の命を守るというのが大事であるわけですから、そういう点から見て、冒頭申し上げましたが、かなり前進はしてまいりましたけれどもまだまだ今の判断基準というのは大変な厳しい条件がある。そして、司法では、裁判の方では患者だという認定をしておる。それを行政の方では患者ではないというふうに認定をしない。なぜ司法で認定をされて行政の方で認定をされないのかというのも、やっぱり患者の皆さんたちあるいは国民の皆さんたちも私は大きな疑問に思っておるだろうと思うのです。そこらは私は、変えないということでなく、本当に患者
の皆さんたちを救うという立場から判断基準の問題についても積極的にアタックをしてもらいたいとお願いをしておきたいと思うんです。これは要望しておきます。最後に委員長にちょっとお願いをしておきたいと思うんです。ぜひひとつ理事会の方で御検討を願いたいと思うんですけれども、本委員会でこの水俣病の関係の現地調査団を派遣をしていただいて、現地の患者の皆さんあるいは熊本の知事を初め関係の皆さんたちから、ここにお呼びするというのは大変ですから私ども出向いていってでも実態の調査をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。以上で終わります。
#18
○委員長(山東昭子君) 改めて協議をしたいと思います。
#19
○丸谷金保君 最初に提案者の方にお伺いいたしたいと思いますが、この法案の提案理由の説明に、水俣病患者の迅速かつ公正な救済に当たるというふうな目的が述べられております。この法律が出てから大分なるんですが、実際にそんなような効果は上げてきておりますでしょうか。提案者の方として率直なひとつ見解をいただきたいと思います。
#20
○衆議院議員(福島譲二君) 率直に申し上げまして、当初五十四年に国の認定審査会を設置いたしましてからこのいわゆるバイパスを利用された申請者は百九人にとどまっております。私ども予想いたしましたよりも大変少ない数でございまして、その点この制度の提案者としては大変残念に思っておりますが、なお今後とも、この審査会についての理解を深めることによってより多くの方方にこの審査会を利用していただくことによって水俣病問題の解決を少しでも図っていくのに資していきたいと考えております。
 ただ一言申し添えたいと思いますのは、この国の認定審査会を設置いたします背景といたしましては、熊本県側におきまして認定審査業務についても国に応分の協力をぜひしてほしいという気持ちが大変強くございました。もともと認定審査業務は国から県に対する機関委任事務であるので、国が応分の協力をしないときにはその機関委任事務を返上してしまいたい、そこまで熊本県側の気持ちが大変高揚いたしております。その気持ちをいささかでもおさめていただきまして、従来に引き続いて県にもこの検診業務について協力をしていただくための一つの布石として国にも認定審査業務をお願いをしたいというのが当初からの私どもの気持ちでございました。その背景についてはいまだに変わっておりませんので今回も改めてこの延長をお願い申し上げた次第でございます。
#21
○丸谷金保君 実は福島先生、私同じことを昭和五十九年にもこの場で質問しているんですよ。今記録見ながらお話し聞いておりますと大体同じような御答弁なんです、前回と。毎回同じような答弁を繰り返さなきゃならないような法律で、実際に余り実効を上げていない。これは福島先生、率直に言って、申請者が少ないのはなぜだと思いますか。地元だと思うんでおわかりと思いますが、なぜでしょう。
#22
○衆議院議員(福島譲二君) 私の推測も入ることでございますが、一つには、県の審査会よりも国の審査会の方が厳しいのではなかろうかというような気持ちを申請者の皆様方がお持ちになったんではなかろうかなと思っております。しかし、現実にはその判断そのものがきつい緩いということは当然ないわけでございますが、結果的な係数を見ましても、県の方の認定率というものが今まで大体二五%程度でございましたが、国の方の審査会の方におきましては二七%程度になっておりまして、その数字から見ましても、申請者の皆様方が抱いておられるかもしれない国の方が大変厳しいんではないかということは決して当たらないのではないか。その辺の御理解も十分にいただきながら、もっと国の認定審査会をぜひ御利用いただいて少しでも解決への前進に資していきたいと考えております。
#23
○丸谷金保君 大臣にお伺いいたしますが、今もお話ございましたように地元では、例えば衆議院でも馬場先生も信頼感がないということを言っておりますわね。そういう感触を持って地元の人たちはいるということはこれはもう間違いないところだと思います。前からもう何遍もその問題言われておるんですが、これらの信頼感を取り戻すために国としてはどのような手だてをしていくべきだと思いますか。
#24
○国務大臣(稲村利幸君) 国としてもこれまで、公害健康被害補償法に基づき医学を基礎として救済すべきは救済するとの観点から水俣病患者の救済に努めてきておりますが、先生の御質問に率直に踏み込んで答えれば、やはり国と県が本当に意思の疎通を図っていく、少しでも患者の立場に理解を深く示す、そういう着実な努力が必要なんだろうと思います。
#25
○丸谷金保君 そういう着実な努力と同時に、再三問題になっている判断基準の見直し、今もお話しございましたが、これは環境庁も、今のところは医学的なコンセンサスによるものに基づいているので変更する意向はないと再三言っておりますわね。衆議院の方でもそういう答弁を再三しております。しかし、医学的コンセンサスというのは何なんですか、ここで言う医学的コンセンサスとは。馬場質問に対しては医学界のコンセンサスと言っていますね。一体医学界のコンセンサスって何なんですか。
#26
○政府委員(目黒克己君) やはりこの水俣病につきましては神経系疾患であるということ、それからそれに関連をいたします眼科とか耳鼻科とかいろいろあるわけでございますが、主たる原因は、もう先生御案内のように神経系の中毒であるということが一つございます。そのような病気の性格から申しまして、この神経の疾患にかかわります専門家を集め、あるいはまた、その現地で長年にわたって水俣病患者の診療に当たるとかあるいは認定業務に当たるといったような方々を含めて構成をしたものでございます。
 また、この考え方につきましては、これらの先生方は当然、神経内科学会という学会がございますけれども、そういう専門の学会の幹部クラスの先生方でございまして、私ども先生の御質問に対して医学的コンセンサスと言うのは、そういう医学会を含めたそういう方々の医学の面から見たコンセンサスというふうに理解をいたしておるのでございます。
#27
○丸谷金保君 これはたしか十名ですね。顔ぶれもわかっておりますが、地元ではこういう顔ぶれでもう結論がわかっていると、だから申請しないんだと、こういう空気が非常にあることも御存じですね。
#28
○政府委員(目黒克己君) この判断基準につきましてはいろいろ現地あるいは関係の各方面から先生が御指摘のような御意見があるのは事実でございます。しかしながら、そのよって来るゆえんから申し上げますと、やはり先ほど大臣からも申し上げましたが、この信頼感というものが一つあろうかと思います。それからもう一つはこの判断条件の問題でございますけれども、これは今までに裁判でも何度か取り上げられたものでございますが、この裁判におきましても、熊本の二次訴訟の判決あるいは抗告訴訟、熊本三次訴訟等々でそれぞれ幾つかの主なものがあるのでございますが、それにおきましても、二次の訴訟では神経系疾患だと言っても全身性の疾患説を退けるとか、あるいは抗告訴訟では全身性の疾患だと、こういうふうに言うとか、あるいは熊本の三次訴訟では全身性の疾患だというようにこれは判決の中でも揺れているので、いろいろなものがあるのでございます。
 しかしながら私どもは、そのようなものをやはり医学の一つの考え方ということでこの先生方にお願いをするしかないのではなかろうかと、このように考えて、かつまた、この認定の業務が適正にかつ公正に行われなければならない、こういうことがございますのでこのような構成で進めているのでございます。
#29
○丸谷金保君 今御答弁ございましたが、裁判の
こと、これ馬場さんにも同じようなことを答弁しておりますわね。私この答弁を見て、今それらの答弁をお伺いしていて、結局おたくは、裁判所の判断は揺れているんだからそんなものは参考にならないんで、我々が選んだ専門委員によって出てきた判断が一番正しいんだということを言っているわけですね。
#30
○政府委員(目黒克己君) この病気の原因とかあるいは判断基準につきましては各方面から御意見があるわけですが、その意見の一つの根拠といたしまして、今申し上げましたような裁判の判決がこう言っているから変えたらどうかとか、あるいはその判決の際のいろいろな裁判官が取り上げた医学的な考え方、そういうものについて正しいと思うかどうかといったような裁判を根拠として私どもに対して判断基準を変えたらどうかといったような御意見があったことも事実でございます。したがいまして私どもは、先生がおっしゃいましたように、単にこの裁判が揺れているからというのではございませんで、あくまでも私どもがお願いをしたこの病気の専門家の方々の御意見に従うと、こういうことでございます。
#31
○丸谷金保君 そうしますと、裁判でも二つの考え方が出ているが、専門家の御意見はこのうちどっちなんですか。神経疾患説と全身性の疾患説、この二つが出ていますね、専門家のコンセンサスはどっちなんですか、このうちの。
#32
○政府委員(目黒克己君) この有機メチル水銀の中毒というものに関しましては神経系疾患であると、全身性のものではないというのが医学界のコンセンサスと申しますか、考え方でございます。
#33
○丸谷金保君 そうしますと、熊本二次訴訟ではそういう立場に立って判決していますわね。その判決はあなたたち尊重しないんですか。
#34
○政府委員(目黒克己君) この二次訴訟の後を受けまして、先ほど来申し上げましたように私どもその後専門家による会議を開いたのでございまして、この専門家の会議のメンバーが先ほど先生から御指摘をいただいたものでございます。したがいまして私どもの方といたしましては、この二次訴訟の後、やはり神経系疾患であると、しかしながら、その中のさらに細かな判断基準についてはどうであろうかというようないろいろな各方面からの御意見等もございましたので、これを受けまして私どもこの専門家によります判断基準に関する会議を開きまして専門家の御意見をいただいた、こういう経緯でございます。
#35
○丸谷金保君 その専門家の御意見を伺う、そういう公的な機関というのはどういう機関なんですか。
#36
○政府委員(目黒克己君) 企画調整局長の私的な諮問委員会であるというふうに考えております。
#37
○丸谷金保君 私的な諮問機関、私も再三このことは他の委員会でも問題にしたんですが、私的な諮問機関の結論を国会答弁に使ってもらっちゃ困る、そんなもの私的なものじゃないかということを再三申し上げたんですがね。
 そこできょうは、総務庁から来てもらっておるんですが、六十一年の十月三十一日の閣議で総務庁長官が発言しておりますね。このことについては行政管理局長が参議院の内閣委員会で答弁しております。いわゆる中公審とかそういう公のものについては権威をもって構成されているものであるけれども、いわゆる私的諮問機関というような懇談会的なものは、そうした結論的なものを出す場でなくて、いわゆる意見交換の場だと、こういうことを言っておりますわね。このことはそれで間違いございませんか。
#38
○説明員(陶山晧君) いわゆる私的懇談会と国家行政組織法第八条に基づきます審議会とのいわば相違につきましては従来から政府として一定の考え方、方針を持っておるところでございまして、ただいま先生御指摘のような問題も、私どもの立場としては従来からの方針の中に含まれる問題であろうと考えております。
#39
○丸谷金保君 大臣、これは閣議でこういう発言があったんですから大臣はお聞きになっていると思うんです。六十一年の十月ですからまだ就任前でしたか、前任者ですかね。ここでいわゆる私的な諮問機関とそれから国家行政組織法によるところの機関というのはもう明確に分けて、いわゆる意見交換や懇談等の場として性格づけられているというんだ、私的な諮問機関というのは。それが何か、もうそこであれしたものが絶対なんだというふうなしばしば答弁をやっているんですがね。これはそんなものでないということは閣議でもって了解事項として総務庁長官から出ているんですね。しかも内閣委員会でこれは確認されているんです、いいですか。公的な機関はないんですか、こういう問題について審議する。ありますでしょう。
#40
○政府委員(目黒克己君) 中央公害対策審議会というものが公害全段のものにかかわります審議会としてはあるのでございます。それからまだ公害健康被害補償制度に基づきますもの等も、ここで検討をやられている部会というのもあるのでございます。しかしながら本件につきましては、常設をいたしまして継続的に専門家に審議をしてもらうということではございませんで、あるときにある時点でそのことについて審議していただいてその分野の専門家の御意見を賜るという問題でございますので、必要の都度この専門家の意見を私ども聞きまして、この専門家の意見をもとにいたしまして私ども環境庁として判断をいたしたものでございます。
#41
○丸谷金保君 その私的諮問機関ですが、どういうところでどのようにして決めてそういうものができ上がったんですか。
#42
○政府委員(目黒克己君) この委員会と限りませず、一般的なこともあろうかと思いますが、専門家を集めて専門家の御意見を聞くという場合には、私どもの環境保健部あるいは企画調整局という中で、この案件のものに関するどういう専門家がおられるかということについてそれぞれの部会なりあるいは関係者の方々の意見を聞きまして、その中から何人かの候補者を選び、かつまた、その時点でこの会議に参加することができるようなスケジュール、先生方の御都合等々いろいろ配慮をいたしまして、そして専門的な見地あるいは学識経験、あるいはその分野での専門性あるいは水俣病に関する経験といったようなものを配慮をいたしまして決めたものでございます。その決めました後これを庁内で判断をし、局長のところで判断をしたと、こういうような経緯に相なろうかと思うのでございます。
#43
○丸谷金保君 ちっともわからないんですがね、今言っていることは、聞いていて何言っているのか。私が聞いているのは、どういうところでどういうふうにして決めたか、だれが決めたんだと。だれがだれとだれをどういうふうにして選んで、こういう人はこういうことだからということで決めたんだと、そういう具体的な説明をしてもらいたいんです。
#44
○政府委員(目黒克己君) 具体的には、私ども環境保健部と、それから私どもの上に企画調整局長がおりまして、企画調整局長の私的な諮問機関ということでございますので最終的な判断は局長が行う、こういうことになります。その人を選ぶ場合には、私ども、私を含めまして何人かの者でそれぞれの専門家、これは神経内科学会というのがございますし、それから、熊本県に長くいろいろ認定業務あるいは認定審査会に実際に携わっている方々もいるわけでございますして、そういう神経内科学会の権威ある先生の中からお選びをしたわけでございます。特に、委員長を含めまして何人かのそういう学会の、例えばメンバー……
#45
○丸谷金保君 いいです、そこまでで。
 結局あなたたちが決めたんですね、この人、この人、この人と。そういうことでしょう、いろいろ言うけれども。どうなんですか。
#46
○政府委員(目黒克己君) 私どもが決めたのでございます。しかしながら、決める……
#47
○丸谷金保君 いい、しかしながらは要らない。
 それで、決めるときに、例えば神経学会に諮問してそして神経学会の学会の中で相談して選んでくれと言ったのか、あなたたちが神経学会の中の
こういう有名な先生たちがいるというふうにして自分たちで丸をつけたのか、どっちなんです。
#48
○政府委員(目黒克己君) 具体的にどなたにどうしたということはちょっと私今記憶が定かでございませんけれども、この水俣病に関します先生方、これは多くの、五、六人から十人ぐらいの先生方がおられるわけでございますが、いずれも教授クラス、あるいはそれ以外の方々の御意見をまず聞くわけでございます。どういう方々がよろしいかということをまず聞きまして、そして、その先生方の中でそれではこういう方がよろしいということ、それから後具体的に先生方の御都合を伺う、こういう手順を踏んだのでございます。
#49
○丸谷金保君 私の聞いているのは、いいですか、例えば神経学会なら神経学会にひとつ審査会の委員を推薦してくれと言って頼んで、向こうが選んで持ってきたのか。あなたたちはいろんなことを言っていますよ。教授の話聞いたか聞かないか、こんなもの確認してないんだから。それは聞くでしょう、電話で聞く方法もあるし、出かけて聞く方法もあるけれども、そういう個々の意見を聞いて最終的にあなたたちの判断で丸をつけたのか、どっちかということを聞いている。
#50
○政府委員(目黒克己君) 例えば審査会の代表者という形あるいは学会の代表者と、こういう形でお願いしたのではございません。私どもの方が個個の教授に先ほど申しましたように聞いて、そしてその中から適当と思われる方を判断をしてお願いしたのでございます。
#51
○丸谷金保君 大臣、問題はここなんですよ、信頼感が出ないというのは。結局は部の中の何人かで、いろんな人の意見はそれは聞くでしょう、いろんな意見があるでしょう、しかし最後には自分たちで丸をつけたんだよね、この人この人この人と。だから、集まってくるのは御用学者だなんという陰の声が聞こえてくるんです、大臣。そしてそこでできたものが、そこの結論が金科玉条として絶対的な権威を持って国会答弁で使われているんだよ。一方では閣議で、そんなものは意見交換や懇談の場だと、こういうことがはっきりしているのに、そんな私的機関で、自分たちで丸をつけて集めた連中の意見でそれが医学会のコンセンサスなんて言えますか、そんなもの。中公審の中に保健部会があるし、これはちゃんと制度的にも専門部会とかそういうものをつくることができるようになっているんですよ。なぜそういうところでやらないんです。だから信頼感が出ないんです。自分たちの都合のいい者だけに丸をつけたと思われたって仕方がないでしょう、今の答弁では。どうですか大臣。こんなところの審査会の結論で国会答弁されたら困る。そんなもの私的なものだし、意見交換や懇談の場でしょう。内閣ではっきりそういうふうに決めているんだから。いかがですか、大臣。
#52
○政府委員(目黒克己君) 私どもこの人を決めます場合には、私が恣意的に決めるとかそういうことではございませんで、神経内科学会の中心的な人物それから水俣病について理解のある人、それから審査会等公的な立場にある方々といったような方々の条件の中から勘案をしたのでございます。したがいまして私ども、そういう専門の分野のことでございますのでやはりこれは専門の方々にお願いするしかない。あるいは学会の代表とかそういう意味ではございませんで、やはりこれは医学の内容でございますので、その専門の方々が、これは学会の中で通っている考え方であるということであれば私どもはそれを受け入れていくと、こういう形になっているのでございます。
#53
○丸谷金保君 そんなことは聞いてないんだよ。そんなこといろいろ言ってみても結局あなたたちの都合のいい人だけ選んだんだよ。学会で通っている、有名な人だ、権威者だ、その判断はあなたたちがやったんでしょう。それじゃ信頼感が出ないんだよ。いいですか。それは恣意的に選んだんじゃないと言ったって世間ではそうは見ないんです。まして、患者は疑り深くもなっているし、いろんなことはもう当然のことなんだよ。正式な法に基づく機関があり、その中で専門部会というふうな方法もとれるのに、そんなあなた、部長がいろんな人の意見を聞いて、これとこれがいい、専門家だと。そんなことで大臣いいと思いますか。だから信頼がないんですよ。そういうところで決めたことで、いいと言ったからいいと言ったんだというふうなことに言われてもね。大臣いかがですか、これ。ここら辺なんですよ、一番の問題は。部長は言わないでもいいわ。これは大事なことなんだから、内閣の閣議に関係することなんだから大臣しっかりひとつ性根を据えて答弁してください。
#54
○国務大臣(稲村利幸君) 丸谷先生の御意見をよく承りまして、信頼の持たれる委員会、審議会に、権威というものを持ったそれにしなければならないなと、こう思います。
#55
○丸谷金保君 六十一年十月三十一日の閣議での総務庁長官の発言の要旨、この要旨に従った運営をやっていただけますか。
#56
○国務大臣(稲村利幸君) これはそのとおりしなければいけないと思います。
#57
○丸谷金保君 くどいようですが、そうすると、私的諮問機関でこういうふうになった、ああなったというふうなことがもう絶対的なものだとして通るということ自体がおかしいんですから。部長さんや担当の人たちがいろんな人の意見は聞いても、結局その人たちはあなたたちが決めるんだ、皆さんたちがね。決めた人たちの意見なんだよ。これでは信頼関係は出ませんよ。判断基準、これらの問題で同じ結論が出ても、信頼関係は違うんです。いいですか。ここのところをしっかり考えながら判断基準の問題はやっていただかないとね。ちゃんと専門部会というものが中公審の中にあるんですから、どうしてこういうものを使わないのか。これはやっぱり、みんなそれで信頼せいと言ったって信頼できるはずがないんですよ。自分たちの都合の悪い結論が出るかもしらぬから、そういう公のところでやればね。判断基準の問題についてはそういうことをしっかりやっていただきたいと思います。
 それからこの機会に、先ほどもはり、きゅうの問題が出ておりましたね。これは労働省の方では、私たちも振動病の問題その他でうるさく言って、労災認定された場合にははり、きゅうについても医師が同意すれば保険給付の対象になるんです。同じ国の中でどうして水俣病だけならないんですか。
#58
○政府委員(目黒克己君) 先ほどお答え申し上げましたように、先生は今はり、きゅう、マッサージの問題を取り上げられたわけでございますが、これは現行でもこの保険制度に乗るものについては、御案内のとおり、医師の同意のある今御指摘のものについては特別医療事業の対象にはもちろん既に一般の健康保険と同じようになっているのでございます。
 それで、この特別医療事業に関しまして私申し上げておりますのは、先ほど来の御指摘もございますけれども、この内容についての充実強化あるいは変更、あるいは新たな項目をつけ加えるといったようなことに関しましては私どももう少し経過を見てまいりたい、このように考えているところでございます。やはり制度発足当初このような形でスタートいたしたものでございますのでもう少し推移を見守りながらやってまいりたい、このように思っているのでございます。
#59
○丸谷金保君 経過を見ながらと。いつまで見るんですか、皆患者が死んでしまうまで見るんですか、経過を。そういう逃げの答弁はいけませんよ。それはやらないということを言っているんでしょう。経過を見ながらと。いつやるんです。そのうちに患者さんはどんどん年をとって死んじゃうんですよ。しかも保険の方で認めている、国も認めているんですよ。あなたが今言ったように一般の健康保険の扱いであればこれは当然なる。経過を見てこれも入ったんですよ、経過を見てね。そうすれば、同じような横並びの制度にできないことないでしょう、これ。何を経過を見ているんです。具体的にそれじゃどんな経過を見ていますか。
#60
○政府委員(目黒克己君) 先ほど来申し上げましたように、この特別医療事業の対象となりますのは、水俣病でないといって棄却をされた方々を対象にいたしまして、そしてその方々の持っておられる病気の原因究明ということで支給をしているものでございます。
 それでこれの神経系の治療等に関しましては、先ほど先生も御指摘いただきましたようにはり、きゅうについては通常の健保どおりすべて認めておるわけでございます。問題は、通常の健康保険で認めている以外にさらに上乗せの、はり、きゅうについて特別の現金給付をしてほしい、このような御要望があることは私ども承知をしているわけでございます。しかしながら、この特別医療事業発足当初私どもは原因究明ということでスタートをいたしました。そしてまた、この対象者数というものについてもまだはっきりしたことがわかっていない状況でスタートをしておったのでございます。それからまた、この特別医療事業そのものが果たして患者の皆さん方に受け入れられるかどうか、反対論があるんじゃないかといったようなこともいろいろ考えながらとにもかくにもスタートをしたのでございます。
 しかしながら、スタートをいたしました後大変いろいろな各方面から御要望も強く、またこの専門委員会の先生方も、先ほどの先生方も含めて、審査会の先生方を含めて大変この制度については皆様御関心があったと。そしてその中で、これについてはいろいろな角度からいろいろな御要望、はり、きゅう以外のことも含めましていろいろな要望があるのも事実でございます。
 私どもは、先般来の新聞報道にございますようにやらないと言っているわけではないのでございまして、この内容についていろいろ検討はしていかなければいけない、こういうことはもう重々考えているのでございます。いずれにいたしましても、先生がおっしゃるような、やらないという予定で延長しているということではございませんで、私どもといたしましては、この推移を見ながらできるだけ早い時期に結論を出したいなと、こういうふうに考えているところでございます。
#61
○丸谷金保君 その推移を見ながらというのはどんな推移を見ているんですかと聞いているんで、長々とあなたのその答弁は要らないんだよ。もう衆議院でも参議院でも随分何遍もやっているが、同じ答弁なんでね。私が聞いているのは、そこから踏み込んで、それじゃどんなふうに見ているんですかと、どういう患者、どういう人のはり、きゅうとかマッサージとかについてのいいとか悪いとかという推移を具体的に見ているのかということです。推移を見ていると言ったって、何もやっていなければ見ていることにならないんだよ、それを聞いている。やらないと言っているんじゃない、推移を見ているという答弁はもうたくさんあるんだ。馬場さんなんかにもしているし、村山さんにもそういう同じ答弁をしています。今、ここであなたが言っているのと同じ答弁なんだ。そういう答弁は聞かないでも記録を見ればわかるんだよ。だから、こちらの質問したことにだけぴしっと答えてください。
#62
○政府委員(目黒克己君) この特別医療事業で一番私どもが関心を持っておりましたのは、先生からも御指摘ありましたような、どんな病気に対してどのようにというこの医療内容に係ることももちろん一つございます。それからもう一つは、行政面から見ましなどのくらい定着するだろうかということでございます。その定着をする度合いで私ども推移を見ているのでございます。現在約五〇%の方々がこれに適用されているのでございますけれども、この適用でどのくらいの方々が、棄却された者でいわゆる有資格の方々の中でどのくらいの方々が定着してくるかということも私どもは一つの指標として見ているのでございます。これは六十一年の七月末スタート当初その適用率が三三%であったわけでございますが、それが徐々に今上がってきておりまして、間もなく五〇%になろうということ、五〇%を超えつつあるというのが今の現状なのでございます。
 私どもこれを見ておりまして、先ほど申し上げましたように五〇%以上の適用が出てきた場合にはいろいろ中身を検討しなければいけないなと思っておるところでございます。もう一年、やっと一年そこそこでこのような状況になってきたのでございますので、私ども検討はいたしておるのでございますけれども、いつどのような内容で何をするかということについてはもう少しお時間を賜りたいと、このように先ほど来申し上げているのでございます。
#63
○丸谷金保君 いつどのようなじゃないんだよ。私の聞いているのは、はり、きゅう、マッサージ等の要望のあるものをどうするかということを聞いているんだよ。そのことについてだけ答えればいいんだから。そして、推移を見ていると言うんだから、どこで見ているんだと、どういうふうにして推移を見ているんだと。いいですか、ちっともあなたはそれに答えてないんだ。委員長、こんなことではきょうこれ終わらぬぞこれ。冗談じゃないよあんたね、質問に何にも答えてないじゃないか。
#64
○政府委員(目黒克己君) 私どもが見ておりますというのは適用率のことでございまして、どのくらい定着していくかなというのを見ているということで先ほど御説明を申し上げたのでございます。
#65
○丸谷金保君 推移を見ているのは適用率を見ていると言うんなら、なぜ衆議院の質問のときでも今のようにちゃんと素直に言わないの。適用率が五〇%なら五〇%になったら考えようと思っていますとか、なぜそういう答弁ができないの。今ようやく……。結局は、はり、きゅうとかマッサージとかがいいとか悪いという推移を見ているのじゃなくて、適用率の人数の推移を見ているだけなんでしょう。
#66
○政府委員(目黒克己君) 適用率を見ている、いわゆるどのくらい定着するかということが一つ。それからもう一つは、やはり医療内容のことがもちろんあるのでございます。これにつきましては、このはり、きゅう、マッサージを含めまして新たに何か、リハビリとかいろいろあるわけでございますけれども、そういうようなものを行うに当たりましては、やはりそれを行う医療者の方々あるいは病院の状況、あるいは過去にいろいろ受診をしている状況あるいは医療内容等々も含めて今そういう点についても観察をしているのでございます。
#67
○丸谷金保君 ここで今すぐ言っても出てこないかしらぬけれども、どういうお医者さんとこの問題については相談をして、どういう意見を聞いて、どういう患者のはり、きゅうの状況がいいとか悪いかという医療内容の方ね、これ後で資料出していただけますね。
#68
○政府委員(目黒克己君) この件につきましては、この特定のお医者さんの名前を出す出さないということについてはちょっと私ども検討させていただきたいと思いますが、先生御指摘のような、仮にはり、きゅう、マッサージの医療の行われ方あるいはその効果、そういったようなものについては私ども当然研究の対象としてこれをチェックして結論を出したいと、このように考えているところでございます。
#69
○丸谷金保君 結局はやってないということでしょう、具体的に。
#70
○政府委員(目黒克己君) これは具体的には、特別な一つのレセプトを出しまして一その患者の診療報酬等に従いましてお医者さんからいろいろこれは何枚となく出てくるわけでございます。そのレセプトは当然私どもも、プライバシーの問題がございますから医療機関と患者の名前が出ないような形にいたしまして、そのような医療内容については、例えばどういう診断名でどういう治療が行われているとか、あるいは具体的に特別なものではなくて、例えば今の健保どおりの、特別な上乗せをしない普通のはり、きゅうをやっているのもある可能性あるわけでございますので、そういうふうなものも含めて、あるなしとか、あるいはほかのところで行ったそういう銭灸の状況等々
含めまして今、調査と申しましょうか、一つの検討をいたしておりますので、そういう中で私ども先生の御指摘のものについては、いろいろ医療内容についてできるだけ早く結論を出したいと、このように思っているところでございます。
#71
○丸谷金保君 具体的な名前を私要求しているわけじゃないんです。しかし適用していないんでしょう。適用していないところの患者さんたちが鍼灸をやるとは常識的には思えないんですよね、別にお金を出したりなかなか大変なんだからね。私の聞いているのは、例えばレセプトなりなんなり見て、ああこういうのやっているなと、例えばその中に鍼灸もやっている、マッサージもやっている、あるいはリハビリやっているというふうなことが出てきて、それらが相当の数になるまでというふうな医学的な見地からの判断をするとすると、なかなかそんなに多くはならないということなんです。わかりませんか。該当していないんだから通常その患者のお医者さんはそういうことは認めませんよ。そうでしょう。
 ですから、これはいろいろそういう問題もありますけれども、とにかく、個々の名前とかなんとかじゃなくて、具体的にAならA、BならBというお医者さんがCならCという患者に鍼灸なりマッサージをやって、こういうふうにやっていますと、その経過を見ているんですというふうな具体的なものはないんでしょう、いろいろ苦しい答弁しているけれども。それで逃げるような、やらないとは言っていません、経過を見てなんて言わないで、できるだけ早い機会に大臣これやってくださいよ。そんなね、やらないとは言わないなんて言っているけれども、やらないということを言っているんだよあれは、官僚答弁ではね。十分経過を見て、慎重に、検討していると。そのうちに患者みんな死んでしまいますよ、年をとってだんだんね。
 そういうことのないようにひとつ大臣しっかりお願いしたいと思います。問題はそういうところから不信感が出てくるんですから。今のような各弁では患者に聞かしたって何言っているかわかりませんよ。例えばここに傍聴に来たとしても、何言っているんだということになりますよ。要するに、はぐらかして時間稼ぎをするような答弁ばっかりやっていたんじゃ困るんですよ。以上御注意申し上げておきまして、まだ問題は裁判所の問題その他もありますけれども、水俣病の問題は焦点を絞って申し上げまして、一般質問に入ります。
 自然保護の問題について伺います。
 昭和四十八年の十月十九日に自然環境保全審議会の私自然公園部会長の談話が出ております。これは主として大雪山国立公園の問題等でございますが、この談話の趣旨は今でも生きておるんですか。
#72
○政府委員(古賀章介君) 審議会の御意向でございますし、現在におきましてもこの談話を踏まえまして対処をいたしております。しかしながら、談話以前に認可された道路につきましては適用されることはないということでございます。
#73
○丸谷金保君 これから私問題にしようとしている士幌高原道路は、もう既にその前に認可をされているのだからこの談話の適用外だというふうに解釈してよろしゅうございますか。
#74
○政府委員(古賀章介君) 今申し上げましたように、先生御指摘の審議会の部会長談話は昭和四十八年十月でございますから、それ以前に認可されました道路には適用されることはないということでございます。
#75
○丸谷金保君 これは、御承知のように正確に言うと道道士幌−然別湖線と言うんですがね、俗に高原道路というようなことで言っておりますが。この地域の自然公園内を通るものの認可されたのはいつなんですか。
#76
○政府委員(古賀章介君) 先生お尋ねの道路の建設につきましては、昭和四十年十月二十七日付で承認をいたしまして、その後若干の設計変更に伴い昭和四十二年六月六日付で変更承認をいたしております。
#77
○丸谷金保君 現場に行ってみますと、今未開削の二・五キロ、ここがもう木が伐採されているんですよ、ずっと道路方だけが。林野庁、これはいつおたくの方で木を切ってもいいという承認出したんですか。
#78
○説明員(塚本隆久君) 道道士幌−然別線道用地につきましては、昭和四十一年に約四・八キロメートルの建設用地に必要な国有林を道の方に貸し付けをいたしております。同時に、その上に立っております樹木等道路支障木につきましても道庁の方に売り払い処分を行っているところでございます。
#79
○丸谷金保君 実は、ここが自然保護というふうな観点で十五年間工事がストップしちゃっている。その間、そこまでの十四キロ区間はずっとのりづけだとかいろんなことで整備して、今度はいよいよ前に進むという段階に来ておるんです。
 それで文部省、天然記念物というのは、特に動物の場合にどういう基準で天然記念物を決めていくんですか。
#80
○説明員(小林孝男君) 文化財保護法におきましては、天然記念物の指定は、動物、植物、地質鉱物で我が国にとって学術上価値が高く、我が国の自然を記念するものにつきまして文部大臣が文化財保護審議会に諮って行う、こういうことになっておるところでございます。具体的に申し上げますと、我が国固有の動物でありますとか、外国から渡ってきた動物であっても非常に貴重で数が少なくなっておりますとか、いろいろの観点から指定をしているわけでございます。
#81
○丸谷金保君 実は、工事ストップの大きな原因があそこに天然記念物のナキウサギがいるということでストップになったんです。しかし私調べてみますと、どうも絶滅するようなものでない。大雪山系には至るところにいるんですよ。こんなものが一こんなものじゃない、貴重な動物ではありますよ、貴重な動物ではあるけれども、そこの二・五キロの道路をつけたら絶滅しちゃうというふうなことでも全くない。広大な大雪国立公園の中にたくさんいる。なぜそういうものが天然記念物になるのかなと疑問を持ったんですが、どういうわけなんですか。
#82
○説明員(小林孝男君) ナキウサギにつきましては、これは小型の体長十センチほどの小さなウサギ科に属する動物でございますが、これは現在のところ文化財保護法に基づきます天然記念物には指定になっておりません。このナキウサギにつきましては、今先生のお話にございましたように、北海道の大雪山系あるいは日高山系などかなり広い地域にわたって生息しておる状況でございます。
#83
○丸谷金保君 天然記念物じゃないと言うんですね。これはちょっとね、実は北海道にとっては大変なことなんですよ。北海道、地方紙ももちろんですがね、全部天然記念物と書いているんですよ。テレビのニュースなんかでも天然記念物のナキウサギがいるのでということになっている。これはもう営業新聞だけでないんですよ。政党の新聞の中でも天然記念物のナキウサギと。それじゃ、天然記念物じゃないということですか。それは確認してよろしいですね。
#84
○説明員(小林孝男君) 先ほど申し上げましたようにナキウサギは現在天然記念物に指定にはなっておりません。
#85
○丸谷金保君 これは大変なことなんで、一体すべての新聞がみんな天然記念物天然記念物と。政党の機関紙なんかでもそうです、天然記念物と出ています。これは環境庁、おたくの監視員もあそこにいるんですよね。みんな新聞読んでいるはずなんです。そうすると、これは天然記念物であるとかないとかいうふうなことを振り分けはできないんですか、監視員は。
#86
○政府委員(古賀章介君) 野生動物につきましていろいろな面からの規制が行われておるわけでありますけれども、天然記念物であるかどうかというのは文化庁の所管でございますので、私どもとしては、文化庁におかれまして一般の啓蒙などをすべきではないかというふうに考えます。
#87
○丸谷金保君 所管は文化庁でも国立公園の監視
をしているのは環境庁でしょう。そういう監視員が、これは天然記念物であるかないかというふうなくらいのものを持っていないとそれは困るんじゃないの。そんなこと全然関係ないですか。盗掘されるとかいろいろな問題もあったりしても、貴重な天然記念物だということの監視はより厳重にしなければならぬでしょう。そういうことはもう全然関係ないというか、監視をする環境庁としてはそんなことは全然あずかり知らぬと。自然保護ですよ。監視していくのにそういう区分けは全然わからないでもそれはいいんですかね。
#88
○政府委員(古賀章介君) 自然保護と申しますのは相当広い範囲を含むわけでございまして、これは環境庁だけではなくて、文化庁でありますとかそれから農林省その他の省庁においてもこれを所管しておるということでございますが、国立公園の中でございますからこれは私どもとしてはやはり関心を持っておるわけでございます。野生動植物につきましての規制というのは一つの法律だけではなくて幾つもの法律が競合して規制がかかるということもございますし、今申しましたように国立公園の中での問題でもございますから私どもとしては関心を持つことは当然でございます。そういう意味におきましては、所管は所管としましても、一般の自然教育、環境教育というような面からこういう問題を取り上げるということもまた必要ではないのかなというような感じがいたします。
#89
○丸谷金保君 実は、この道道士幌−然別湖線の士幌町というのは、観光開発をここを中心にやろうということで、山火事の跡に国有林を借りて植林したり、いろんな点で自然を保護しながら立派な牧場をつくって――がらがらな石山だったところを石を除去したりいろんなことをして、そのために当時の士幌の町長の飯島さんというのは、畑から砂れきの石やなんかをとるのを補助事業にすることのために一生懸命努力して、そして補助事業国のせることにして、そしてきれいにして、今は緑の美しい牧場になっているんです。
 いよいよ今度は観光開発ということで道路をつけ始めたら、天然記念物ナキウサギでストップしちゃったんです。それは憤死したと言ってもいいですよ、亡くなりましたが。もう死ぬまで残念がっていました、たったあと二・五キロが完成できなくて残念だと。だから、私たちもみんな天然記念物だとばっかり思っているんですよ。新聞もみんな書いています。道内の新聞はもちろん東京紙なんかもそういうふうに書いているんです。それが天然記念物でなかったなんて。じゃ、何で十五年ストップさせたんだと。これここで言ってもしようがないことですが。
 ここで改めて大臣、今お聞きのとおり、この道道士幌−然別湖線については、例えば、林発言というものの以前の問題だからこれ関係ないし、既に許可は出している、林野庁の方も道に貸し付けている、すべての条件がそろっているので、改めて自然保護で待ったを環境庁としてかけるということにはなりませんね。いかがですか。
#90
○政府委員(古賀章介君) まず承認の関係について申し上げますと、先ほど先生からお尋ねのありましたことでございますが、昭和四十年、四十二年に既に承認を下しておるわけでございます。この問題につきましては既に承認済みのものでありまして、その後この方針には変更はないということでございます。
#91
○丸谷金保君 大臣、自然保護というのは大事なことで我々も努力しなきゃならぬし、一生懸命努力もしております。そして、ナキウサギで一生懸命努力して立派なところにしている町村に対して画竜点睛を欠くようなことで十五年たってしまったり、まことにこのことは残念なんですが、その問題は今のお話でよくわかりました。地元へ帰ってよくその旨伝えるつもりですけれども、地元の監視員の方たちに対しても十分そういうことがわかるようにしていただきたいということが一つ。
 それから、前に戻りますが、水俣病の問題は、やはり国会のここだけで論議していてもなかなか医療行為にかかわることですからはっきりしない面もたくさんあります。判断基準の問題なんかも、もっと踏み込むという裁判所の意見に対しても、私は、今の目黒さんの答弁の頭はある意味では非常に不遜のそしりを免れないような司法判断に対する行政の意見だというふうに思います。しかし、そのためにはもう少し総合的に、水俣病というものは何なんだと、いろいろ意見も分かれておりますし、これをしっかりここら辺で、水俣病というのがもう世界の注目を浴びている公害の原点として総合的な調査機関、これは馬場さんも盛んに力説しておりますが、そういうものをぜひつくって徹底的に、名簿の中からお気に入りのに丸をつけて結論を出すようなことじゃなくて、もっと幅広く医学界なりあるいはその他、中公審の中で言えばいろんな学識経験者も入っていますわね、そういう点も含めての総合的なひとつ水俣病に対する調査研究、こういうものをぜひお願いいたしたい。このことを希望申し上げて、一言大臣からそのことで御答弁願いたい。
#92
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の御意見を無にしないように前向きで検討、努力いたします。
#93
○小川仁一君 水俣病関係のことにつきましては、ただいま丸谷委員の方からの今後の扱いについて長官の御答弁がございましたし、同時に渡辺委員の方から現地調査の要望も委員長に出されております。そういうものを踏まえまして私もやっぱり、患者と我々それを審議している者の信頼関係というものをきっちりつくり上げた中で次の方策ができ上がることが最大と、こう考えますので、改めて大臣の今の御答弁、それから現地調査をお願いをして、この問題は一応私はおきまして一般的な行政部分の質問に移らしていただきたいと思います。
 最初に、昨年の九月一日から三日まで参議院の環境特別委員会が秋田県の白神山地を調査なさいました。その特別委員会の報告書が六十一年の十一月二十六日付の会議録に出ております。この件についてお聞きをいたします。
 これによりますと、委員会の調査に参加した皆さんはこういう報告をしております。「このたびの視察を通じて、白神山地は後世に残すべき貴重な地域であることが実感されました。このような地域での林道建設については、」云々とこう書いて、「自然環境保全地域の指定につきましては、可及的速やかにその実現を図るべきであると感じた次第であります。」、こういう報告を出しておりますが、こういう報告が出された後、環境庁としてはどのような対策、内部検討をなされましたかお伺いしたいと思います。
#94
○政府委員(古賀章介君) 現在、先生がお述べになりました本委員会の報告書の内容は適切な御指摘であるというふうに私ども考えております。
 その後の環境庁の対応でございますけれども、環境庁としましては、かねてからこの地域の重要性を認識をいたしまして自然環境保全地域の検討対象地として作業を進めてきたところでございます。引き続き、関係地方公共団体、関係機関との調整を現在も進めておりますし、今後とも進めてまいりたいということでございます。
#95
○小川仁一君 その同じ文章に「林野庁は、環境庁から具体的協議があった段階で検討するとしております。」として、いわゆるこの一帯を自然環境保全地域に指定をするかどうかということについての環境庁の提案を待っている、協議を待っているという感じの文章がございます。林野庁の方にどのような提案をなさいましたか。
#96
○政府委員(古賀章介君) 具体的な内容につきましては現在林野庁と協議中でございますので、協議進行中の内容につきましての問題については答弁を控えさせていただきたいと思いますけれども、具体的な地域、それから特別地域、普通地域のそういう地種的な区分、そういうものもお示しをいたしまして林野庁と協議をいたしておるという状況にございます。
#97
○小川仁一君 もう一遍はっきり言ってください。どういう地域、どういう体制、どういう視点、こういうふうなものでいつから協議に入ったんですか。そしていつごろ内部検討の結果と林野
庁の協議が決まるんですか。
#98
○政府委員(古賀章介君) 今私が協議と申し上げましたのは事実上の下相談といいますか、そういう種類のものでございますので、いつからという具体的な日にちを明示することはなかなか難しゅうございます。既にそういう下相談をしていることは間違いない事実でございます。
 それからもう一つは具体的な内容いかんという御質問でございますけれども、これにつきましては、今申し上げましたようにそういう下相談の進行中でございますので今お話しすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#99
○小川仁一君 この委員会に報告されないような何か重大なことがあるんですか。
#100
○政府委員(古賀章介君) 今は関係行政機関としての林野庁を特に例として申し上げたわけですけれども、地元とのいろいろな調整もあるわけでございます。関係地方公共団体との調整等もございますから、そういうことが現在進行中であるということでございます。
#101
○小川仁一君 何か、聞いていると何もやっていないというふうな感じが私の方へ伝わってくるような御答弁でございます。下相談というもの、何か相談しているように聞こえますけれども、ちょっと廊下で会って、ああ、あの話頼むよというのも下相談のうちに入るだろうし、一つの文書の中にまとめてこれ見てくれやというのも下相談に入るだろうから、どの程度の下相談ですか。
#102
○政府委員(古賀章介君) 具体的なゾーニングをお示しをした上での下相談でございます。相当具体的な内容であるということは言えるかと思います。
#103
○小川仁一君 岩手県の葛根田のブナ林も同じ問題を抱えておりますから、ある程度の具体性を持った中身をお示し願いたいと思うのですが、ここで今言えなければ後で資料、文書として御提示いただいても結構ですが、いかがですか。
#104
○政府委員(古賀章介君) 鋭意その下相談をやっておることは間違いない事実でございますが、まだ機が熟しておらない。その熟度がまだお示しをする段階にまでなっておらないということでございますので御容赦をいただきたいということでございます。
#105
○小川仁一君 これ一年たっているんです。一年たって熟成しないなんというものは世の中にめったにないんです。何年たったら熟成しますか。
#106
○政府委員(古賀章介君) これはできるだけ早く努力をするということ以外にはないのでございます。私ども最善の努力をいたしておるということは間違いございません。
#107
○小川仁一君 じゃ、最善の努力というのを期待をしております。
 それは決して白神山地だけの問題ではなくて、岩手の葛根田を含め多くのブナ林、特に生態系を原生林的に持っているブナ林全体にかかわる問題だと思いますからなるべく早く本相談に移っていただきたいし、資料は後で請求をいたします。
 ことしの五月二十三日、環境庁長官が所信を申し述べられております。この中の第四に非常にすばらしいことをおっしゃっておるわけです。「野生生物の保護等自然環境の保全であります。」とこう述べて、さらに「また、自然に関する調査研究を進め、生態系保全の観点に立って体系的な自然環境の保全に努めるとともに、自然公園等の施設整備を推進することとしております」、こういうふうにおっしゃっておりますし、林政審もまたこの自然保護という問題について非常にはっきりした態度をとっておられます。さっきからのあなたの事務局のお話を聞いていながらせっかくこういう話をしても何か話が空虚に聞こえるような感じがいたします。そういう気持ちは長官にはないと思いますので、どうかひとつここで長官、もう一度この自然保護問題に対する特に野生生物の保護等にかかわる考え方について基本的なお立場、それからこれからの推進の方向についてお話をいただければありがたいと思います。
#108
○国務大臣(稲村利幸君) 私がこの五月に申し述べた基本方針、間違いなくその方向で私なりに情熱を傾け、今後の政治家としても情熱をさらに傾けて頑張りたいという気持ちに間違いございません。現実にワシントン条約の整備等も進めたり国内法も整備させましたし、いろんな意味で野生生物の保護対策をやっております。
#109
○小川仁一君 それでは大臣の情熱に期待をいたします。それらを含めてまた後で幾つかの具体的な問題はお考えをお聞きすることにいたします。
 今原生林を守ろうという運動が全国的に起きております。それに逆行するような状況がそちこちで出ています。岩手県に葛根田地域というのがありますが、ここは白神山地と同じような原始林に入りませんけれども原生林、しかもここにはクマゲラ等も発見をされ、これに対して非常に県内の世論が盛り上がり、岩手県からもこの施業についていろいろ慎重な要望がされております。
 そこで、まず最初に天然記念物クマゲラについて文化庁の方に御質問をいたしますが、クマゲラはこの地域に何つがいぐらいあるいは何羽ぐらいいると推定しておられますか。
#110
○説明員(小林孝男君) ことしの六月に葛根田で、ことし伐採対象予定地、約四・八ヘクタールほどの広さのところでございますが、そこにつきまして岩手県がクマゲラの生息確認調査をしたということで、その際に古い、これは約十年ほど前くらいのものだと思われます営巣木それからねぐら木を各一本発見した、それから比較的新しい食痕が残っている木を二本発見した、こういうようなことで岩手県の調査団としてはこれらの地域がクマゲラの行動域に含まれていると推定される、こういうような結論を出しておる、こういうことでございます。
#111
○小川仁一君 私、クマゲラがいるという食痕の跡あるいは営巣木、ねぐら跡の写真を撮ってかなり調査をしてきましたが、文化庁としては現地に入って御調査なさったということはありますか。
#112
○説明員(小林孝男君) 文化庁からはまだ担当が現地に入ったことはございませんけれども、地元では岩手県の教育委員会の担当者がこの調査に参加している、このように聞いております。
#113
○小川仁一君 今お届けした写真によって、クマゲラの古い食痕もありますが、新しい食痕の写真その他、私も現地に入って見てきたわけです。しかし、現地全部は見ておりません。多分岩手県の調査というのはこの写真の撮られたいわゆる林道の付近、新しく伐採された付近だけだと思うんです。奥地へ入ってまで検査をしたという報告はございませんか、岩手県の教育委員会から。
#114
○説明員(小林孝男君) ことしの六月に調査したのは、ことし伐採予定地内に限っての調査というぐあいに聞いております。
#115
○小川仁一君 伐採地域ですから約五ヘクタール部分だけで、残り全体で約六千ヘクタールぐらいあるが、その部分については全然手が入ってない、調査をしてない。それで、その五ヘクタールの中にある食痕その他から何羽ぐらいいると推定されておりますか。
#116
○説明員(小林孝男君) このクマゲラにつきましては、一つがいの行動範囲がおおよそ二百ヘクタール前後、かなり広い地域で一つがいが生活するというようなことを聞いておりますが、具体的にこの地域に何羽おるかということについては実態を把握しておらないところでございます。
#117
○小川仁一君 岩手県の日本自然保護協会のクマゲラ調査委員である藤井忠志という中学校の先生がおりますが、この人の調査と推定によれば大体四、五羽のクマゲラが食痕その他から推定される、こういうふうに言っておりますが、この推定はどうでございましょうか。
#118
○説明員(小林孝男君) クマゲラの実態はなかなかよくまだつかめておりませんので、そういう推定の仕方もあろうかと思いますけれども、これが正しいかどうかということについては私ども確認するちょっと今手段がない、こういう状況でございます。
#119
○小川仁一君 そういうことになると、次々と木を切っていった後から、あっ、ここの木を切った後にも、林道の中にも食痕がある、また次に林道
を延ばして木切ったらここには営巣木があったなんという格好になって、伐採が先行しなければ天然記念物のクマゲラの数の把握とか推定とかができないことになるような気がしますが、どうでしょうか。そういう形で天然記念物というものが保護されていいんでしょうか。
#120
○説明員(小林孝男君) 私ども、天然記念物、全部で約千種類近く指定してございますが、その一一についてすべて実態をとらまえているというようなところまで実は参っておりませんので、少ない予算の中から毎年数種ずつ取り上げて実態調査をしているというような状況でございます。
#121
○小川仁一君 先ほど一つがいで二百ヘクタールとか言っておりましたが、クマゲラの生息には大体三百ヘクタールぐらい要るだろうし、それから鳥ですから飛びますから、そしてまた生息地というのは、生息する地域性といいますか食物といいますか、そういうものがなくなると次の場所へ移る、こういう性格も持つわけなんです。だから、今いるところが仮に二百ヘクタール、私は三百ヘクタールと言いますが、だとしても、翌年は違った場所に移るかもしれない、あるいは翌々年はまた違った場所に移るかもしれない、こういう可能性をお認めになりますか。
#122
○説明員(小林孝男君) 鳥でございますからその周囲の環境によってあちこち移動する可能性があるということはあると思います。
#123
○小川仁一君 そうしますと、もう一つ天然記念物のことについて聞きたいんですが、天然記念物は個体を中心にして鳥ならクマゲラならクマゲラと、こういうのを指定している。ところが、国宝及び重要文化財指定基準並びに特別史跡名勝天然記念物及び史跡名勝天然記念物指定基準という長いのがございますが、これは文化庁が出したんですが、この中に「天然記念物 左に掲げる動物植物及び地質鉱物のうち学術上貴重で、わが国の自然を記念するもの」として「動物。日本特有の動物で著名なもの及びその棲息地」と書いてある。この動物を前提にお話し申し上げると、その生息地がなぜ天然記念物の対象にならないんですか。
#124
○説明員(小林孝男君) 今お話しの天然記念物持に動物の指定のやり方といたしましては、動物の個体そのものを指定する方式と、もう一つはその個体そのものとその生息地もあわせて指定する、こういう二つのやり方がございます。特に鳥類の場合には生息地ということで区域を限定するということが非常に難しゅうございますので、ほとんどはいわゆる個体指定となっているのが現状でございます。
#125
○小川仁一君 午前中十二時までだそうでございますから、ちょっとここで質問を終わります。
#126
○委員長(山東昭子君) それでは午前の質疑はこの程度にとどめまして、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#127
○委員長(山東昭子君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案並びに公害及び環境保全対策樹立に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#128
○小川仁一君 文化庁に申し上げますが、鳥の類、特に絶滅に瀕しそうな鳥の類、これ個体だけを天然記念物にいたしますと新潟のトキと同じになりますよ、本当に哀れなほどの数しかないようなクマゲラというのを個体だけを天然記念物にして生息地を天然記念物にしないと。あなた方のやり方はクマゲラもトキと同じ状態をつくり出すという結果にしかなりませんから、生息地もあわせて天然記念物にするということについての明確な検討なり御返事をいただきたいと思います。
#129
○説明員(小林孝男君) 鳥類を区域を限って生息地に指定するということにつきましては、特定の種類の場合にはそれが可能かと思います。例えば八代に渡ってまいりますツル及びその渡来地、あるいは青森県の小湊のハクチョウ及びその渡来地、そういうぐあいな指定の仕方があるわけでございますが、これは鳥の種類に応じて個々に判断をしていかなければならない事柄ではないかと思っております。クマゲラの場合には、集団をつくって一定の地域に生息するというような状況ではございませんのでなかなか地域を限定して生息地に指定するというのは現時点では難しいのではないか、このように考えております。
#130
○小川仁一君 しかし、クマゲラの生息する地帯というのは日本の国内では限られています。白神山地と八幡平国立公園の中の安比方面とここの葛根田のブナ林とあと知床です。それだったらその一定地域に限られているんです。そこから平地へ飛んでいくわけでもない、山の上に飛んでいくわけでもない。三百ヘクタールぐらいの生息地があればすめるということなら国立公園法を含めて検討をしていただきたいと思います。このことについては、検討の結果は後日お聞きすることにして、以上クマゲラ問題を終わります。
 続いて林野庁にお伺いしますが、国立公園地帯の伐採、特にブナ林の伐採をやる際に環境庁とどういう御相談をなさいましたか。
#131
○説明員(塚本隆久君) 国有林の伐採につきましては地域施業計画に基づいて行っているわけでございまして、地域施業計画樹立の段階で国立公園に関連するものにつきましては環境庁の方に御相談をいたしております。
#132
○小川仁一君 相談した中身を言ってください。
#133
○説明員(塚本隆久君) 第三種特別地域につきましては従来からそれぞれの取り扱いの方針が決まっておりますので、その方針に基づいてやるということを申し上げておるのでございます。
#134
○小川仁一君 その前に、あの地域がブナの原生林であり、貴重な植物や今言ったクマゲラがいるといったようなことについてのブナ林の特異性とか特殊性みたいなものを調査して伐採する計画をつくったんですか。
#135
○説明員(塚本隆久君) 地域施業計画を樹立する際には必要な調査は行っております。
#136
○小川仁一君 必要な調査という言い方をしてはいけませんよ。私が聞いたことを答えてください。
#137
○説明員(塚本隆久君) 伐採箇所の林相等については調査をいたしております。
#138
○小川仁一君 そこに貴重な動植物がいるかどうかということを調査した上で伐採計画をつくったんですか。
#139
○説明員(塚本隆久君) 天然林でございますのでそこにどのような動物がいるかということは一応念頭に入れて計画をつくっております。
#140
○小川仁一君 そうすると、検討としてはクマゲラはいないということで伐採計画をつくったんですか。
#141
○説明員(塚本隆久君) 伐採計画をつくる時点ではクマゲラがいるということは確認できておりませんでした。
#142
○小川仁一君 伐採する前に林道をつくりましたね。
#143
○説明員(塚本隆久君) 林道はつけております。
#144
○小川仁一君 あの営巣木でもねぐらでも食痕の跡でも林道のそばじゃないですか。林道をつくっている過程でわかったんじゃないですか。わからなきゃ目がどうかしていた。すぐそばですよ、さっきの写真を見ますけれども。最初のこの古い食痕、鏡がついて注意というふうな棒を立てておられる、こういう林道のすぐそばなんです。これがわからなかったの。
#145
○説明員(塚本隆久君) 伐採計画を立てる段階では林道もついておりませんし、その場所を伐採するということで計画をしたところでございます。
#146
○小川仁一君 いや、私は林道をつくる過程でわからなかったかと聞いている。
#147
○説明員(塚本隆久君) 先生のおっしゃるとおりであれば、林道を開設した時点では食痕等の存在が確認できたと思います。
#148
○小川仁一君 そうすると、伐採計画のときはい
ないと思ってやった。そしていよいよ林道をつくった。林道の方が先ですからね、伐採より。そうしたらクマゲラの食痕があった。これはクマゲラがいるかもしれないとわかった。そうなったときどういう態度をとりましたか。
#149
○説明員(塚本隆久君) 林道をつけた後に売り払いを行っておりまして、その売り払いを行った後でクマゲラの存在が確認されましたため、現在伐採をストップいたしましてその売り払った箇所の取り扱いについて検討を行っているところでございます。
#150
○小川仁一君 林道が先ですか、売り払いが先ですか。
#151
○説明員(塚本隆久君) 売り払った後にクマゲラの跡を発見したということでございます。
#152
○小川仁一君 聞いているのは、林道を先につくってから売り払ったか、売り払ってから林道をつくったかということを聞いている。どっちが先かということです。
#153
○説明員(塚本隆久君) 林道をつけてから売り払っております。
#154
○小川仁一君 林道をつけてから売り払っているでしょう。林道をつくった時点でクマゲラの食痕が見つかったでしょう。林道のすぐそばですよ、私が写真を撮ってきた営巣木でもねぐら木の跡でも。何も山の中に分け入らなくたっていいんです、道路から見えるんです、こういう木は。だから、林道をつくった時点でもうクマゲラがいるということはわかったはずなんです。それを伐採するために売り払ったというのはどういうわけですか。
#155
○説明員(塚本隆久君) そこはちょっと、現地の事情を詳細に掌握しておりませんので後ほど調べましてお答えいたしたいと思います。
 ただ結論としまして、その食痕をこちらとして見つける前に売り払っているということだけ申し上げておきたいと思います。
#156
○小川仁一君 そういう言いわけしなくていいんだな。道路をつくった、道路のそばには食痕もある、営巣木もある、ねぐら木の穴もある。林道のそばですよ。林道は先につくった、それから売ったと言ったでしょう。だから、だれが考えたって林道をつくる過程でクマゲラがいることがわかったんだ。それを売ったんだ。ということは、騒がれなきゃ口つぐんでほっかぶりして逃げようという根性があったんじゃないかと。これは私の邪推だから大変失礼になりますけれども、そんなふうな気さえする。それが地元の自然保護団体や岩手県から要請書や要望書が出たから慌てて切るのをやめて中止をした、そして十月九日まで搬出するのをとめた、これが事実じゃありませんか。
#157
○説明員(塚本隆久君) クマゲラの食痕が見つかったためにいろいろと自然保護団体等から問題を提起され、それを契機としてその地域の取り扱いについて検討を始めたということは事実でございます。
#158
○小川仁一君 そうすると、ここではっきり確認しておきますがね、林道をつくってクマゲラの巣の存在が確定された後に売り払って、切り始めて、自然保護団体や岩手県から県議会で問題になって騒がれたから伐採を中止した、この順序間違いありませんね。
#159
○説明員(塚本隆久君) この地域の……
#160
○小川仁一君 いや、私の言った順序に間違いがあるかないかだけ聞いているんです。
#161
○説明員(塚本隆久君) 売り払いは昨年の六月でございます。それからクマゲラについて問題になりましたのはことしに入ってからでございます。したがいまして、売り払った時点ではクマゲラについて私どもとしましては承知していなかったということでございます。
#162
○小川仁一君 どうしてそう頑張るかな。じゃ、林道つくったのはいつですか。
#163
○説明員(塚本隆久君) 林道は昨年の売り払う時点の以前でございます。
#164
○小川仁一君 林道つくったらクマゲラのものがあったということはわかったでしょう、それから売ったんでしょう。売る前に林道をつくっていても、すぐそばにあるクマゲラのねぐら木とか食痕がわからなかったと言うんですか、あなたは。
#165
○説明員(塚本隆久君) それは先ほど申し上げましたように、問い合わせた上でお答えいたしたいと思いますが、はっきりクマゲラの食痕があったということをわかりながら売ったかどうか、そこらについてはもう少し調べさしていただきたいと思います。
#166
○小川仁一君 そうならそう言ってもらえばね。
 ただ、一般的には私たちの常識では、林道を通ればすぐわかる場所にクマゲラの営巣木でも食痕でもあるのだから、それから売ったということだけはここではっきりしておきます。
 さて、売った木の切り方は、あれは皆伐ですか漸伐ですか択伐ですか。どういうふうな売り方をしたんですか。
#167
○説明員(塚本隆久君) 処分箇所につきましては択伐という、いわゆる抜き切りが主でございますが、場所によりましては皆伐をいたしまして、その後に母樹を残す皆伐母樹残施業というものを行っております。
#168
○小川仁一君 今まで切った分はほとんど皆伐に近い乱暴な切り方ですね、母樹を残すと言うけれども、母樹というのはブナのうちでは何年ぐらいのやつが一番適当なんですか。
#169
○説明員(塚本隆久君) 場所によりますが、大体三十センチから五十センチぐらいのものを残すようにいたしております。
#170
○小川仁一君 私が行ってみましたが、一定の地域は完全に皆伐ですよ。そして、ササにササを枯らす薬をまいていますね、薬剤を。どうも林野庁というのは不思議にどういうわけか薬を使いたがる、何かわけがあるか知りませんが。それは別として、ササがすっかり枯れていましたよ。全然今あなたが言ったような木が残っていませんよ。
 それからもう一つ、これから切る予定地のところに行ってみました。一番母樹として適当な、あなたがおっしゃったような木は切られる木の対象になっておりまして、残す木の対象というのが、もう腐りかけて倒れそうな、木にコケが生えているような木が残っている。あんなの母樹になりますか。
#171
○説明員(塚本隆久君) 現地を確認しておりませんので確定的なことは申し上げられませんが、一応実のなる木でありますれば母樹としての役割は果たすものと思われます。
#172
○小川仁一君 現地を確認してないから、お話し合いしても今の問題はなかなか現実の話として状況認識が合わないかもしれません。ただ私は、こんなことを言うと私的なことになりますが、山には非常にかかわりがある男でございまして、山歩きも好きだが製材その他のことにもかかわりがあった男ですが、ああいう切り方というのはないですね。ああいうほとんど皆伐をして、その上に薬品で草を枯らして、そこから自然更新ができるだろうかという疑問を率直に感じました。どうしてああいうふうに薬品を使ってササを枯らすんですか。
#173
○説明員(塚本隆久君) ブナの更新につきましては、下に生えておりますササを枯らしまして地面を露出させることが一つの大きな手段となっております。こういうことで除草剤を散布いたしまして、そこに種を落とす、そういう目的で除草剤を使用しているということでございます。
#174
○小川仁一君 ブナの木から種の飛ぶ範囲というのはどれくらいの面積を持っているんですか。
#175
○説明員(塚本隆久君) 一般的な三十センチ程度の木でございますれば、枝張りがございますが、その枝張りの外側五メーターぐらいまで飛ぶというふうに考えております。
#176
○小川仁一君 まあ、いずれ現地を見てもらえばわかりますが、とてもじゃないけれども、種なんか、その薬品をまいてササを枯らした場所に自生する方向が今のお話だと出てこないと思います。
 それで、十月九日まで搬出を抑えていますが、十月七日まで搬出を抑えたその僕どうする予定ですか。
#177
○説明員(塚本隆久君) 現在、この売り払った森
林の取り扱いについて関係者いろいろ話し合いをいたしているところでございますが、買い受け人であります地元の国有林材生産協同組合の仕事のことでありますとか、あるいは資金事情からいたしましても十月以降にまで延ばして取り扱いを検討するというわけにはまいらない状態でございます。したがいまして、十月以前に大方の了解が得られるような方向でその取り扱いについて決着を見たい、このように考えて今鋭意努力いたしておるところでございます。
#178
○小川仁一君 あそこは十カ年計画ですからかなり広い面積です。これを処理方法として二つに考えて処理する方法はないでしょうか。一つは、売り払った地帯、もう一つは、全然売り払いもせず伐採もしてない地帯、こう分けて処理する方向で物を考えたらどうかということを青森の営林局と会ったときも言っておきましたが、どうですか。
#179
○説明員(塚本隆久君) 既に売り払ったものにつきましては、契約上の問題等もあり、今後売り払うべきものとはいろいろと取り扱い上において違った取り扱いをしなければならないと思っておりますので、具体的にどうするかということはこれから考えることでございますが、考え方といたしましては、二つに分けて考えていくことについては私どももそのように思います。
#180
○小川仁一君 じゃ、そういう立場で私の方から提案をしながらひとつ考えていただきたいと思います。
 まず、まだ子もつかない、林道も十分延びてない地帯、いわゆる伐採していない地帯について当分の間伐採計画、施業計画を実施しない。その理由は、一つは、今おたくの方でやっている仕事で、正式には何て言いましたかな、生物遺伝資源保存地域でしたか。
#181
○説明員(塚本隆久君) 生物遺伝資源保存林でございます。
#182
○小川仁一君 そういうものの検討をしておられるようですね。この検討ができて、どういうものがその遺伝資源保存林になるかどうかが決まるまであの地帯に手をつけない、こういうことは考えられませんか。
#183
○説明員(塚本隆久君) 生物遺伝資源保存林につきましては、原生的な自然が残されている千ヘクタール以上の地域を対象として設定したいということで現在いろいろ検討いたしておるところでございます。当然この葛根田地域につきましてもその対象地域として検討されるわけでございますが、事業については、一方いろいろ地域の雇用の場として実施をしていかなければならぬ面もございますので、それは現在のところ別々に考えたいと思っております。
#184
○小川仁一君 この遺伝資源保存林の指定要綱みたいなものがありましたらお知らせ願いたい。
#185
○説明員(塚本隆久君) 概略申し上げますと、名称は生物遺伝資源保存林ということでございまして、第一種保存林と第二種保存林に分かれております。
 第一種保存林と申しますのは、主として林木の遺伝資源を対象として保存するものでございまして、大体五ヘクタール以上の地域を頭の中に置いて指定をいたしたいと思っておりまして、これは既に各地で指定を行っております。
 それから第二種保存林の方は、我が国の自然生態系を代表するような自然というものを千ヘクタール以上保存するということで、これについては現在中央においていろいろと基本的な指定の考え方等について検討を行っておる段階でございまして、先ほど申し上げましたように、六十二年度、六十三年度、二年をかけまして全国に指定をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#186
○小川仁一君 じゃ、後で指定要綱、文書になったものをいただけますか。
#187
○説明員(塚本隆久君) 後でお届けいたします。
#188
○小川仁一君 ブナの原生林というのは多くの学者から遺伝子の宝庫だとさえ言われています。今ブナ原生林というのは日本の国内でそう多くはない。全然人手が入らないという原始林はありませんけれどもね。そのことはわかっていますけれども、そういう立場からいって葛根田地域というのは検討の対象になりますか、なりませんか。
#189
○説明員(塚本隆久君) 林野庁といたしましてもブナの良好な天然林については今後いろいろな形で保存をしていきたいというふうに考えております。
 その方法としましては、ただいま申し上げました生物遺伝資源保存林という形での保存あるいは学術参考林としての保存等々いろいろあるわけでございますが、この蔦桜田地域につきましても、いろいろと保存について要請のある地域でございますので何らかの形で保存するように前向きの形で検討はしてまいりたいと思っております。
#190
○小川仁一君 ブナの手つかずとも言えるような原生的自然域というのは日本全土で二一%、岩手県で森林七八%のうちの一二%ぐらい、こんなふうなんです。
 で、先日の皆さんの売り払った地域の切り方を見ますというと、天然更新で朽ちて使い物にならないものを先に手を入れて切って若いのを伸ばしてやるというのじゃなくて、もう朽ちて木材として使い物にならないのは構わない、一番伸び盛りのいい木を切ろうとしている。それは切る木に印がついているからわかります。こうやって切ってまいりますと、今の十年計画を実施していきますと大体五十年でブナはなくなってしまいます。そしてそのブナが自然更新でブナ林を形成するには何百年かかると思いますか。
#191
○説明員(塚本隆久君) ブナの更新につきましてはやはり百年単位の年数が必要でございますので、少なくとも現在切っておるものは三百年ぐらいのものじゃないか、あるいはそれ以上のものじゃないかと思っておりますが、かなりの年月がかかることは私どもも承知いたしております。
#192
○小川仁一君 五十年で切ってしまう。自然更新ができるのに三百年も五百年もかかるというふうな、そういう自然林を切るということは間違いじゃないかと思うんですがね。営林署の独立採算の苦しさを知らないで物を言っているつもりはありませんよ。苦しさはまた後で言いますけれども、何とかこれを残す方法がないだろうかと考えているんです。
 環境庁にお伺いしますけれども、国立公園内に一種、二種、三種の特別区域がございます。自然公園ですから当然景観ということも中心になるでしょうが、一種というのは山の尾根だけだ。ハイマツとササしか生えてない。あそこは木は切っちゃいけないと言ったって木はないんだから、ハイマツ切ったってどうにもならぬから初めから尾根だけは切らないようにする。その次のいわゆる深い山の様相を示す千メーターから八百メーター地帯のブナ林を二種、三種にして切れるようにしてある。そしてさっきのお話でも、営林署、林野庁の方がこれを切る計画を出すと、学術的な調査もそこにどのような貴重な動植物があるかも考えないでオーケー与えて切らせている。これどうしたことなんです。オーケーを与えた理由と二種、三種をつくり出した理由を御説明願いたい。
#193
○政府委員(古賀章介君) 昭和六十一年の一月に林野庁から、十和田八幡平国立公園蔦桜田地域の国有林の施業につきまして自然公園法に基づく協議がございました。その内容について審査したところ、第三種地域でありますし、同国立公園の保護上支障がないというふうに判断をいたしまして何年三月に同意をしたということでございます。
 それから二種、三種それからさらに一種の区分でございますけれども、先生御指摘のように国立公園の中には特別地域というのがございます。それは特別保護地区、第一種、第二種、第三種とこういうことでございますけれども、第一種の特別地域というのは「特別地域のうちでは風致を維持する必要性が最も高い地域であって、現在の景観を極力保護することが必要な地域」というのが第一種、第二種は「農林漁業活動についてはっとめて調整を図ることが必要な地域」、第三種は「通常の農林漁業活動については原則として風致の維持に影響を及ぼすおそれが少ない地域」ということ
になっておりまして、当該地域の風致、景観の特質などを考慮いたしまして、特に農林漁業活動との調整を図りながら、関係行政機関との協議を経た上で自然環境保然審議会の意見を聞いて決定をするという手続をとったわけでございます。
#194
○小川仁一君 山というのは、一種の一番尾根の部分というのはほとんど何も生えてないんですよ。山というのを全体的に見るときには、自然景観というのはその山の懐の深さあるいは山全体をかたどっている森林の様相、そういったようなものを含めて山のよさがわかり、同時にそれが自然公園として制定される趣旨だと思うんですよ。だったら、もっと一種というものを自然景観が保たれるところまでぐっと思い切って高度を下げてきて、二種、三種というものを狭めていく、こういうことに努力をしたことがございますか。
#195
○政府委員(古賀章介君) 特別地域の一種、二種、三種のいわゆる地種区分につきましては公園計画というもので定められておるわけでありますけれども、これが一たび決められましてその後不変のものであるというわけではございませんで、その後の社会経済的な条件の変化と申しますか、社会条件の変化に基づきましてその見直しをしておるわけでございます。その見直しの中におきまして、二種から三種というよりもむしろ二種から一種、一種から特別保護地区というような格上げをするというようなことが間々あるわけでございます。三種から二種、二種から一種という事例は幾らでもございます。
#196
○小川仁一君 私は、こういった自然公園は伐採不可能にしてそれを保護することが非常に大事だと考えているんです。そういうことを前提にして、今回第三種だから伐採を林野庁にオーケーしたという場合に、環境庁自身が環境庁の立場で伐採地域の学術的あるいは生態学的、いろんな立場からの調査をなさいましたか。
#197
○政府委員(古賀章介君) これは公園を指定いたしますときとか、それから自然環境保全基礎調査、ことしで第三回目を終えて六十三年度から第四回目に入るわけでありますけれども、そういうような調査をいたしてはおります。しかしながら、特定地域の特定事業のための調査というようなことはいたしておりません。
#198
○小川仁一君 ここは国立公園の場所で、おたくの方でも非常に大事な場所として何か指定をしておりますね、あの一帯を。何でしたか、それは。
#199
○政府委員(古賀章介君) 昭和五十三年でございますが、今申し上げました自然環境保全基礎調査におきまして特定植物群落としてブナ林五千ヘクタールを選定いたしております。
#200
○小川仁一君 そういう地帯は伐採してもいいわけですか、伐採の対象になるんですか。
#201
○政府委員(古賀章介君) 特定植物群落として選定したことがその伐採をできなくすると申しますか、その伐採を抑制するというようなことではございませんで、あくまでも、自然公園法上は特別保護地区でありますとか特一種特別地域というようなところは原則禁伐でございますし、そういう自然公園法上の地種区分によって伐採の仕方というものが決められておるということでございます。
#202
○小川仁一君 特定植物群落に指定はした、切るのは勝手だと、こうなったら、どういう内容とどういう意味をもってそういう指定をなさったのか。格好をつけただけですか。本来、そういうふうな特定の植物群落として指定するんだったら、そこへは手を入れさせない、あるいは林野庁が切ろうとしたときはこういう地帯だからちょっと切るのは遠慮してくれ、あるいは択伐程度にしてくれ、こういった話し合いがあってもいいと思うんですが、あなたの方が指定した場所なんだから。それについてはどうでした。
#203
○政府委員(古賀章介君) これは特定植物群落として指定ということではございませんで、特定植物群落として選定をいたしたということでございます。それはやはり学術的に意味のある植物群落であるということのための選定でございまして、しかし、その選定をしたからといって伐採が一切禁止されるというような法律上の根拠はない、あくまでも行政上の措置であるということでございます。
#204
○小川仁一君 何かこういろいろな名前をつけてその地域を特定したり、あるいは指定と言ったら、指定じゃなくて選定だと言うんですが、選定と指定はどのくらい違うかよくわかりませんけれども、そんな形はつけているけれども、実質はどんどんどんどん林野庁の言いなりになっている。環境庁というのは本来日本全体の環境をあらゆる分野から見る大所高所に立つ役所なんだ。林野庁に言われれば、自分たちがそういう地域を指定してもぐうの音も出ないではいと黙って聞いてしまう。そんなに林野庁が怖いの、環境庁は。長官どうなの。
#205
○政府委員(古賀章介君) 特別地域の第一種から第三種までの地種区分にいたしましても、その線引きなどを変更いたす場合には三つのことをやらなければいけないということでございます。一つは公益との調整を図るということ、それから関係行政機関との協議を行うということ、それからもう一つは自然環境保全審議会の承認をとるということでございます。そういうように、関係行政機関との協議でございますとか公益との調整、公益の中には当然農林業が入っておるわけでございまして、それとの調整を図るということが法律上明記されておるわけでございます。そういう生活といいますか、人の営みというものも自然公園法上の線引きについては考慮をするということに法律上なっておりますので、それは関係方面と調整を図りながら、できる限り自然保護を図るための努力を環境庁はいたしておるということでございます。
#206
○小川仁一君 私が聞かないことを答弁しているね。
 それで、自然環境保全法というのがあるね。第三章に原生自然環境保全地域の指定、第四章には自然環境保全地域の指定というのがありますが、この葛根田のブナ地帯はこのいずれかの対象になりませんか。
#207
○政府委員(古賀章介君) 自然環境保全法の原生自然環境保全地域と申しますのは、第十四条に指定の要件が明記されておりますけれども、「自然環境が人の活動によって影響を受けることなく原生の状態を維持しており」ということが要件になっております。この地域につきましては、相当人為が加えられておりますから、この原生自然環境保全地域の要件を満たすことはできないというふうに考えております。
 しからば、その次のランクの自然環境保全地域についてはどうかということでございますけれども、これにつきましては、昭和四十八年の十月に閣議決定が行われておりまして自然環境保全基本方針というのが決められております。この基本方針におきましては、自然環境保全地域は現に国立・国定公園として指定されている区域の外において指定するということになっておりますので、現在この葛根田地域というのは十和田八幡平国立公園の中でございますから、自然環境保全地域に指定することもこれは難しいということでございます。
#208
○小川仁一君 そうすると国立公園の中はやり次第ということになるね、二種、三種だとね、どんな貴重なものでも。矛盾を感じませんか。
#209
○政府委員(古賀章介君) 先ほど申し上げましたように公益との調整を図るということが一つの問題でございます。そういうことでございますから、自然環境の保全、自然の保護という点から見ますれば、その特別保護地区それから第一種ということであればそれは禁伐なり原則禁伐ということになるわけであります。しかし、第二種、第三種ということになりますればそれが択伐なり条件が緩やかになるということは先生御指摘のとおりでございます。
 私どもとしては、そういう公益との調整を図りながら、しかも関係行政機関との協議を経ながらできる限りその貴重な森林というものを守っていきたい、自然公園の中の特に国立公園の中での貴
重な森林を守っていきたいという考え方でございます。
#210
○小川仁一君 葛根田地域はさっきはクマゲラを申し上げましたが、植物で言いますとトガクシソウ、これは雪解けごろに淡紅色の小さな花を吹かせる草で、大体日本の北限ぐらいなんです。これはブナ林にしかない花ですし、日本にしかない。フガクスズムシソウというランの一種もこれは大体北限で存在します。そしてそのほかにシラネアオイ、オサバグサといったようなブナ林に生きている植物があります。こういったものに今言ったクマゲラを含めた一つの大きな生態系があの地域に存在するんです。そこを伐採するということは、私は、国内に残っている最後の自然形態を破壊してしまう結果になるような感じがしてどうしても納得できないんです。一つの種が絶滅するということは、人類も同じような種の一つとして将来の絶滅を予見されるような感じさえするんです。
 こういった地域に対して、今度は長官、あなたは、さっき私が申し上げたところで、情熱的に自然保護に取り組むと言う。これだけの自然のブナ林に情熱的に取り組んで、あるいは原生資源保護法でもいいし、林野庁の言う遺伝子資源保存林でもいい、そういうものの対象にしてこの自然を残すという気はありませんか。
#211
○国務大臣(稲村利幸君) 特定区域ということで、私は今この地域についての勉強が足りませんが、私自身、この美しい緑を守る、自然を保護する、こういう強い気持ちは持ち続けていきたいと、またかくあらねばならないと、こういうふうに思っております。
#212
○小川仁一君 重ねて、ブナ林というのは遺伝子の宝庫だと言われております。そして例えば京都大学の梅原先生は、ブナ文化は日本の深層文化だと言われている。ブナ、今なぜブナかという問題へお答えを出しておられる。この生態学的な自然と遺伝子の宝庫と言われるブナ林を、私が幾つかさっきから挙げてきた原生資源あるいは原生自然保護林、あるいは遺伝子資源保全林ですか、そういったような何かの形で残すことに積極的に御努力願えますか、どうですか。
#213
○国務大臣(稲村利幸君) この国立公園内の重要なブナ林については、その保護のために懸命な努力を払わなければならないと思います。
#214
○小川仁一君 ぜひお願いをしておきます。
 林野庁さん、さっき二つの方法で、一つは、まだ伐採してない部分には手をつけるなど言ったが、今売り払った部分、あれ幾らで売ったんですか、何ヘクタールを幾らで。
#215
○説明員(塚本隆久君) 現在伐採をストップして検討いたしております地域につきましては五ヘクタール、約六百万でございます。
#216
○小川仁一君 一アール約一万円ですね。買い戻したらどうですか。クマゲラがいる、今環境庁長官が言ったように保護しなきゃならない自然が存在する、それをこれ以上切るということは岩手県の県民の感情を逆なですることになります。買い戻していただけませんか。六百万でしょう、丸々払ったって。できませんか。
#217
○説明員(塚本隆久君) 私ども伐採をいたしておりますのは、もちろん特別会計といたしまして収入を得るためでもありますが、やはり地域住民に働く場所を提供する、あるいはその伐採した材を地域の製材業あるいは木材産業が利用して仕事をする、そういう関連効果まで含めての伐採を行っておるというふうに考えております。現在検討中のこの地域をどうするかということにつきましては、もう少し時間をかけさせていただきまして、大方の納得がいくような方法で解決をするように努力いたしたいと思っております。
#218
○小川仁一君 クマゲラがいるということははっきりしているんだからこれ以上は切りませんね。切るということはクマゲラを絶滅させるということになりますが、その点はどうですか。
#219
○説明員(塚本隆久君) ここを全面的に切らない箇所とするか、あるいはクマゲラがいる箇所をかなり除いて他の地域について伐採を認めるか、そこら辺につきましては今後専門家の意見も聞きながら検討してまいりたいと思っております。
#220
○小川仁一君 本当にクマゲラがいるかどうかの調査は大変なことですよ。十月九日までに間に合いませんよ。六百万の金ですわ。幾らか搬出した分もあるでしょうが、私は、六百万の金出して、契約を破棄して、そしてあそこをこれ以上荒らさないでほしいということなんです。林野庁がそれができなかったら環境庁買えませんか。どっちからも返事を聞きたい。
#221
○政府委員(古賀章介君) 国有地でございますからこれは私どもが買うというようなことはできないわけでございます。
#222
○小川仁一君 林野庁は。
#223
○説明員(塚本隆久君) 林野庁が買い戻しをするということでございますか。
#224
○小川仁一君 はい。
#225
○説明員(塚本隆久君) 現在のところそのようなことは考えておりません。
#226
○小川仁一君 買い戻しをしなきゃ切るしかないでしょう。切ったらあのブナ林というものを荒らしてしまうでしょう、天然記念物も絶滅させるでしょう。それをわかって切るというの。
#227
○説明員(塚本隆久君) 先ほど申し上げましたように、現在この五ヘクタールの取り扱いについては関係者を含めて検討いたしております。部分的に残す、つまり食痕木の見つかっておるところを相当程度残して伐採をする方法もありましょうし、また全面的に何らかの形でそこを切らないで保存していくという方法もあるでしょうし、そこらについてはもう少し時間をかけて検討いたしたいと思っております。
#228
○小川仁一君 食痕木がある部分だけ残したってしょうがないわな。だから、最初に申し上げた鳥ですよ。この一定地帯に生息しておっても、その次はこっちの地帯に移るかもしれません。今住んでいるところだけ一定の広さを残してしまったら、そこに食べ物がなくなり、あるいは条件が変わったら絶滅するんです。ですから、かなり広い地域を残さなきゃならない、生息地以外に。それだけに私は、独立採算で苦しいだろうが、六百万の金をその売り払った先に返して、もうこれ以上切らないということをお決めになるのが最も賢明な態度だと思うし、六百万の金が林野庁にないというんだったら岩手県に言ってください。みんなでお金を出し合っても林野庁を助けるかもしれない。こういう方向での検討方向はありますか、ありませんか。
#229
○説明員(塚本隆久君) 都道府県から六百万円を出していただくという方法はございません。
#230
○小川仁一君 都道府県じゃないんだよ。その自然を愛する人たちが、自然保護団体の人たちが六百万ぐらい寄附してでもあの木を買い戻す、それぐらい岩手県の人たちはブナ林について、クマゲラについて非常に大事に考えているんです。
 それからもう一つ非常に大事な問題があるんです。あそこは水源涵養林になっています。非常に急斜面です。ブナだから保水している。あれを切ってしまったらえらい土砂崩れや鉄砲水が出ますよ。既にことしの雪解けごろ、あそこに地熱発電所がありますが、地熱発電所のパイプを沢の土砂流が打ち壊してしまったという事態がある。現地をごらんにならないからわからないかもしれませんが、土地はもろいんです。ブナだから地下五メートルぐらいまで根張ってあの土を押さえている。あれ切ってしまったら物すごい鉄砲水が出てくる。こういう水害あるいは崩壊、こういう危険性がある地帯だということはおわかりでしょうか。
#231
○説明員(塚本隆久君) まず、最初のお話にございました国有林野が金がない、赤字だから六百万の本を売るというわけではございません。これは、その地域の住民がこれまで生業としておりました林業、こういうものをどのような形で維持するかということを中心に検討していかなければならないということを申し上げたのでございます。
 それからこの地域につきましては、先ほどお話のございましたように、集中豪雨によりまして地
熱発電所付近で崩壊がありましたことは承知をいたしております。また、この地域は地形、地質等から崩れやすい地域であるということも承知いたしております。したがいまして私どもとしましては、今後の施業については択伐を中心とした施業というものを行いまして、自然環境の保全等について留意をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
#232
○小川仁一君 そうでしたらさっきのやつはちょっと……。
 そうすると、地域の人たちの仕事を求めて伐採をするというのですね。あのね、それ以外の山仕事いっぱいあるんですよ。あなただってわかっているでしょう。あれだけ広い面積に除草剤をまいてササを枯らした。あれ、地元の人を雇って刈ってごらんなさい、薬害も残らないし、水質汚濁にもならない。そういうふうな仕事がいっぱいある。ブナ林の中だって全然手をつけないという状況ではなくて、やっぱり倒れる木、倒れそうになったような木は手をつけることも可能です。また、あの地帯全体にまだまだ荒れた国有林がいっぱいありますよ。何なら私が御案内してもいい、あなたがおいでになるなら。山の仕事はいっぱいあるんです。ないような話をして、その人たちの生活に籍口して切ることの正当化というのは間違いです。もしあなたが御希望なら私が、あの辺小さいときから山歩きして庭みたいに歩いている場所ですから、この国有林だって仕事があるじゃないか、こういう仕事があるじゃないか、具体的に一々して歩きますから、そういう何か生活にかかわるというふうな人助けみたいな形で物を言うのだけはやめてください。そういうのを言い逃れというんです。そうじゃなくて、あの自然を守るために何とかとめる方法がないかという角度からの検討をしてください、こういう意味です。
 そしてまた土砂問題ですが、ちょうどきょうの新聞に載っていましたが、北上水系、物すごい冠水、浸水です。あれは西側に奥羽山脈があって、東に北上山系があって真ん中の北上に集まってくるために、ダムが五、六カ所ありますけれども、どうにもならなくて毎年ああしている。そして木を切ったら確実に水害が出てくる。一番端的なのは戦争直後のアイオン台風です。早池峰山ろくの木をみんな切ってしまったから物すごい水害が出たというふうに、木と森そして水害、水という問題は絶えずついて回る。ですから、あそこは水害予防のためにも、そして、あなたがおっしゃったとおり非常に急峻でもろい土である、現に土砂崩れが起こったという事態もあったということを含めてぜひ切ることをおやめ願いたい、こういうのが私の趣旨です。
 同時に、あそこには地熱発電所があります。ちょっと水が出たりちょっと土石流が出たらあの日本で有数の地熱発電所が直ちに操業停止になる。あれは川岸につくっていますからね。現地をごらんいただけばわかると思います。こういう産業問題に対する影響力もあるんです、その水害は。
 そういう立場から何とかここは二つに分けて、一つはしばらく、いろいろなブナの状況の中でブナ林の遺伝子とか生態系を保護する方法を考える間は手をつけない、そしてもう一つは、売ってしまった約五ヘクタール、四・六ヘクタールですか、あれはもう一度買い戻す、このことをぜひあなた帰って長官と相談してください。あなたにここで買い戻せと言ってもそれはあなたの立場上言えないでしょうからね。いろいろ申し上げたことをぜひ御理解をいただいて長官に報告をして、また後でお話をしたい、こういう気持ちですが、長官に報告をして御検討いただけるでしょうか。
#233
○説明員(塚本隆久君) 今後そのような方向で検討いたしたいと思います。
#234
○小川仁一君 環境庁の方も、さっき長官からお話を聞きました。ブナというのは、さっきも京大の梅原先生のお話をしましたけれども、例えば岩手県で言えば、宮沢賢治という詩人、童話作家がいます。あの人の非常に心豊かな作品の背景にはブナの幻想があるんです。ブナが持つ文化性といいますか、自然林が持つ人間の心に与える非常に大きな影響力、こういう問題をぜひ考えて原生林の維持に当たってほしいと思います。これはこういう形で引用することが大変失礼になるかもしれませんが、ことしの歌会始で、亡くなられた高松宮様がこういう歌を詠んでおられます。「ブナの樹は歳経ていよよ枝ひろげ根張り雄々しく立ちそそるなり」。宮様はスキーがお好きで岩手へ何遍もおいでになりました。やっぱりブナというものの魅力にとらわれておいでのようでした。
 こういったようなことを考えると、今一番大事なことは、ブナ林を中心にする生態系保護、遺伝子の宝庫と言われるこのブナ林をどう保護するかということが最大の課題ではないか、私はそう思います。ぜひその点をお考え願いたいし、また同時に、元環境庁長官で大石武一さんという方がいましたが、この方が緑のシンポジウムの席上でこう発言しておられます。これは知床が問題になったわけですが、国民のほとんどが知床の木を切ってはならないと考えている。何のために伐採するかわからない。貴重な国有林を守るためには、林野庁の特別会計をやめて一般会計に戻したらどうか、こう話をしておられます。これは私はやはり卓見だと思います。
 林野庁が非常に苦労して答弁しているのも実は独立採算のためなんです。自然を守るなんということは独立採算じゃできないんです。どう考えたって一般会計でなきゃできないんです。まあ、長官は死じゃないからなかなか言いにくいけれども、元になったらあなたもこんなふうにおっしゃるかもしれないんですよ、あるいは前になったら。こんな気持ちがありませんか。こんなみんなの気持ちというものにこたえるための方式というのをぜひお考え願いたいものだ、そう思います。岩手の県民は、もし十月九日に伐採を開始したら本当に怒るであろうということを前提にしながらお話をしました。
 最後に、国有林内の林野庁の土地を環境庁の所有に、移してしまう、こういう抜本的な方法を考えたらこれから自然公園の緑も何も守れます。独立採算だから売らなきゃならないといったって、一アール一万円ぐらいですから環境庁が買って買えないわけはないですよ。思い切ってこの辺でこういう行政システムを変えていかないと日本の自然は守れません。林野庁だけ責めていたってこれは無理なんです。独立採算で、ブナが一番高く売れることはわかっている、わかっているけれども残したい。そうなれば環境庁長官、大勇猛心を奮って閣議の中で、林野庁の自然公園の一種、二種、三種地域、特別地域は全部環境庁の所管にし、環境庁がその部分に関しては十分な措置をして自然を守っていく、こういう決意を持って臨んでいただきたいと思いますが、御所見がありましたら伺って、終わりにしたいと思います。
#235
○国務大臣(稲村利幸君) 林野庁の独立採算制のあり方につきましての今小川先生の大変な御見識、私も同感をする部分があります。そして、現に政治家としてそういう意見を持っている方が多くなってきていることも私は肌で最近感じます。日本が先進国として、経済大国だけでなく、本当に心豊かな文明国としての価値を世に問う場合には、やはりそういう行政の仕組み、今触れられた林野行政のあり方等にまで及ばなければならないというふうに政治家として私自身正直幾たびか考えたこともございます。
 知床の昨年の問題も、加藤農林大臣、中曽根総理とも個々に協議して、それぞれの御理解があってこそああいうありがたい、一たん切ると決めたものを反省をして国民の期待にこたえた。そういういろんな意味で、自然保護なり環境問題というものが大きな前進を遂げる過程として、一人一人の心構え、行政官、政治家、文化人それぞれが本当の国益に立って努力しなければならないという気持ちを一層新たにさせられました。先生の御意見を参考にして頑張りたいと思います。
#236
○小川仁一君 終わります。
#237
○広中和歌子君 御質問させていただきます。
 水俣病の認定基準に関しましては午前中社会党の渡辺、丸谷の両委員の質問があり、基準がまず
厳し過ぎるということ、そして国が依頼した専門医師集団への不信感があるという二つの点から、せっかく国の研究センターがありながら利用者が非常に少ないということが指摘されたわけでございますが、私は水俣問題に関しましては素人であり、まして医学の分野では全くの門外漢でございますが、素人としての素朴な質問をさせていただきたいと思っております。
 死亡後水俣病と認定された者の数についてお伺いしたいのでございますが。
#238
○政府委員(目黒克己君) 死亡者の数でございますが、全体的な数から申し上げますと、死亡者の統計は、未処分の死亡者が五百二十一名、それから処分済みの死亡者というものが六百四十三名ございます。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
そして、処分が済んだ死亡者六百四十三名の内訳が、解剖した者が三百五十七名、解剖していない者が二百八十六名、こういう状況になっているのでございます。
#239
○広中和歌子君 解剖した者、解剖しない者ということでございますけれども、解剖はどのような理由でなさいまして、解剖しなかった場合はどのような理由でございましょうか。これは要請によるものですか。
#240
○政府委員(目黒克己君) 解剖する場合でございますけれども、申請をされている方々が亡くなられました場合には、まず、この遺族の方々が解剖を希望する場合には県の検診センターあるいは県そのものに連絡をいただきまして、原則として熊本大学で解剖を行うことになっているのでございます。その費用につきましては、熊本県が負担をしている、こういう状況でございます。
 そしてまた、水俣病であるか否かというような判断は、認定審査会がございますが、そこで高度の学識と豊富な経験に基づきまして、解剖で得られました病理的な所見を加えて総合的に判断をする、このような手順を踏んで認定あるいは棄却といったようなところにいくのでございます。
#241
○広中和歌子君 解剖の結果三百五十七人中百六十六人が新たに認定され、また、解剖しなくても認定された人が二百八十六人中七十人ということでございますけれども、解剖せずに認定されたという場合はどういう場合なんでしょうか。
#242
○政府委員(目黒克己君) これにつきましては、生前の病院の調査等を総合的に勘案をいたしまして決めているものでございます。
#243
○広中和歌子君 このうち解剖された人、ともかく審査された人でございますけれども、申請し棄却された者の数はどのくらいあるんでございましょうか。
#244
○政府委員(目黒克己君) 先ほど未処分の死亡者が五百二十一名、処分済みの死亡者が六百四十三名と申し上げましたが、その六百四十三名のうちの認定した者が二百三十六名、それから棄却した者が四百七名でございます。
#245
○広中和歌子君 もう一度確かめさせていただきます。
 四百七名というのは、一たん棄却されてそして再申請した者ということでございますか。
#246
○政府委員(目黒克己君) 六百四十三名のうち棄却というふうに判断をしたものでございます。すべて棄却した者が四百七名でございます。
#247
○広中和歌子君 そのうち、亡くなってそして解剖を依頼したりまたは審査を依頼されて、そして百六十六名解剖で認定され、そして七十名解剖しなくても認定されたと、そういうことでございますか。
#248
○政府委員(目黒克己君) そのとおりでございます。
#249
○広中和歌子君 ということですと、これからどのような結論が導かれるんでございましょうか。私は差し控えますけれども、御専門の立場からお伺いいたします。
#250
○政府委員(目黒克己君) 私どもの方といたしましては、基本的な問題といたしまして、現在までに申請者が一万六千名余り、未処分者が五千五百名余りいるわけでございますが、この未処分者のグループというものの中に未処分のまま死亡される方が入っているというふうなこともございますので、この五千五百四十五人の未処分者の認定・棄却の処分というものを促進する認定業務の促進というふうなことをまず第一番目に行いたいと、このように思っておるのでございます。
 それから二番目には、やはり亡くなられた後その手続等を十分にPRしながら解剖するというふうなことも大変望ましいわけでございますし、あるいはまた調査等を含めながらできるだけ処分を急ぎたいと、このようなふうに考えているのでございます。
#251
○広中和歌子君 ごく素人考えでございましても、申請して棄却され、そして解剖の結果または死後の診断の結果再び認定された人がかなり多くいるということは、認定そのものにある種の疑問を感ぜざるを得ないわけでございますけれども、その点についてはいかがでございましょうか。
#252
○政府委員(目黒克己君) 先ほど申し上げましたように、先生がおっしゃるような死亡後認定になった方がおられるのは事実でございます。これらの方は、寝たきりでございましたり、あるいは病院や施設に入所したりして十分な所見がとれないとか、あるいは長期にわたって保留になっていたために、これが死後得られた所見が加わることによって初めて認定になったというふうに、死亡後の認定患者が出てくるというのはそういう一つの理由が根っこにあるわけでございまして、その後、今先生の御指摘になりましたような臨床的な所見それから解剖の所見が食い違ってきたと、こういうことでございます。
 これは、一般的に臨床全体から申し上げますと、やはりこの辺は、臨床的な診断とそれからその解剖した場合との間では若干の食い違いがあるということは医学上あることでございます。しかしながら、もちろん私どもはこのようなものがないようにしていくわけでございますけれども、やはり臨床所見というものはある程度の限界がございますので、そういう限界の中で私ども公正にかつ厳正にということで判断を進めているのでございます。
#253
○広中和歌子君 こう言ってはお医者様に失礼でございますけれども、やはり医者にも限界があるということは理解できるわけでございますけれども、しかしこの場合にいたしますと、やはりこのような非常にギャップがあるということは、死亡前の病状の洗い直しを、この解剖結果または死後の結果からもう一度見直すということ、そして現在存在する患者さん、申請者、そういうような人たちとの対比をして新たな基準というものを考え直す必要があるんではないか、そのように思われるんでございますけれども、いかがでございましょうか。
#254
○政府委員(目黒克己君) 一般的に一つの病気がございました場合に、この方々が病気で亡くなられた場合にその原因究明を行うためには解剖するということが一番望ましいわけでございます。そういうことによって、この臨床症状とそれから解剖所見の食い違いといったようなものがあればその調整をしていくというのがごくごく一般的に行われていることでございます。
 先生が御指摘になりましたその差というものは今の場合とは逆の、棄却された方々の中の解剖ということでございますけれども、もちろんそういうことにおきましても、この棄却された方々が棄却という一つの判断との食い違いがなくなるためには、先生御指摘のようなこの病理解剖とそれからその方々の生前の症状との食い違いがどういうために出てきたのかというふうなことについては、現在でも一部の方々に研究をいただいておりますけれども、なおその辺を含めて今後も一つの研究・検討課題だろうというふうに私ども理解をいたしておるのでございます。
#255
○広中和歌子君 これは私が議員になります前に質問されたことでございますけれども、共産党の藤田スミ議員が、死亡前の病状の洗い直しと現在生きている人との対比の必要性を訴えられ、そしてそのお答えとしては検討いたしますということ
だったと伺っておりますが、結果は、どのような形で検討されそして認定基準の改定につながったんでございましょうか。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
#256
○政府委員(目黒克己君) ただいまの先生の御指摘の問題でございますけれども、私ども研究班がございまして、そこでその辺の問題についても、特に解剖所見の問題についてはこの御検討をいただいているところでございます。なかなか数がそろわないとか、あるいはやはり解剖するということ自体がなかなか御理解が得られないような一般的な感情と申しましょうかお気持ちがある場合もあるのでございまして、その辺を含みながら私ども地道に努力を重ねてまいりたい、このように考えているところでございまして、御指摘のようなことについては今も引き続き行っているところでございます。
#257
○広中和歌子君 しかしそれが、認定基準が厳しいという批判のある中でそれを和らげる、そのような方向にはまだ至っていないわけでございますか。
#258
○政府委員(目黒克己君) これは認定審査会の方での判断に当たってのいろいろな問題点でございますので私の方で余り具体的に申し上げるのはいかがかと思うんでございますけれども、具体的に申しますと、審査会でこの認定とか棄却とかの判断をいたします場合に、一つは御指摘の判断基準の問題がございます。それからもう一つは、直接その検診をされた方々の中での検診の結果の、何といいましょうか、とり方の違いというものがもう一つあるわけでございます。それからもう一つは、とった結果について、判断基準に照らしてはおるんだけれども意見が食い違うところがあるのでございます。特にこの辺の問題につきましては、旧来の劇症患者の場合にはこの辺は大変はっきり出ておったわけでございますけれども、軽症の場合になってまいりますとなかなかその辺は、他の一般の病気と同じようにやはり難しい面も当然出てはまいりますけれども、その中で今、判断基準は判断基準、それから認定に当たっての検診の先生方の精度を高めると申しますか、ちょっと語弊がありますが、表現はともかく、そういう精度を高めるような公正な検診が行われるような努力を今しているところでございます。
#259
○広中和歌子君 その点につきよろしくお願いしたいわけでございますが、ともかく、判断基準それから信頼に値するかどうかはさておきまして、現実に水俣病の認定を求める申請者の数が累積して、累計すると非常に多いわけでございますけれども、これは地域住民の何%に当たっているのか、そして地域住民の一般の健康診断、そういうものが国の手でなされたのかどうか、その点についてお伺いしたいのでございます。
#260
○政府委員(目黒克己君) 今数字についてはちょっと手元にございませんが、今調べております。
 それからこの健康診断の問題でございますけれども、この水俣地方の地方公共団体におきましては、一般的な厚生省所管にかかわります老人保健に関する健診とかあるいは子供、児童の、三歳児等々といったような母子の方の健診とか、あるいは学校の児童の健診とか一般的なものは当然行われているわけでございますが、問題になりますのは神経系の、この水俣病かどうかというものに近いものでございますけれども、この点につきましては現在、どのような調査を行ったらいいかどうかということを、先般もこの委員会であるいはお答えしたかもしれませんが、総合的な調査をどういうふうに行ったらいいかというその方法論を御検討を今いただいているというところでございます。
#261
○広中和歌子君 本当にこの水俣病というのは大変に残念なことでございまして、もう起こってしまったことなので、いかに患者を救いそして同時に再発が防げるか、そういうようなことで貢献もできるのではないかと思います。つまり、国の責任が一部問われているわけでございますのでぜひこの患者の調査そして一般の人との対比、神経系統と限らず、ほかの症状なんかもあるかもしれない、そういう客観的な調査をするということは、これは医学界への貢献だけじゃなくて、世界で水銀による公害というものが結構起こっているものでございますから、そういう点でもともかく、因果関係とかそういうことも同時に大切ですけれども、それを離れてももっと客観的な形で調査をぜひしていただきたいと思うんでございますが。
#262
○政府委員(目黒克己君) 先ほどちょっと御説明が足りなかったのですが、この健康調査につきましては、その都度必要な住民健康調査というのは過去においては行われておったのでございます。また、先生の御指摘にありますような一般的な健康調査の必要性につきましても今総合的な調査の方法論というものをやっておりますので、その結果がわかり次第私ども検討したいと思っております。また、この研究班でのこの結果をできるだけ早く出していただくように研究班の方に今お願いをしておるところでございます。
#263
○広中和歌子君 そういう中での特別医療事業の目的というのは、先ほどちょっと触れられたのでございますけれども、どういうものなんでございましょうか。
#264
○政府委員(目黒克己君) 特別医療事業の目的は、認定審査で棄却された者がその神経症状について原因の解明を非常に求めておられるというふうに考えておりますので、その棄却した方々の病状の経過を観察してその原因を解明することが精神的にも身体的にもその負担の軽減につながる、こういうこの原因の究明ということのためにこの特別医療事業を行っているのでございます。
#265
○広中和歌子君 先ほどの答弁ではむしろ、原因はともかくそういう神経症の患者さんを救うという目的であるというふうに伺ったんでございますけれども、違いましたでしょうか。
#266
○政府委員(目黒克己君) 当然そうでございます。そういう原因を一人一人の方々について明らかにしてあげることによって負担を軽減し、そして、その神経症状を持っておられる方々にそういうことによって安心をいただく、あるいは適切な治療が受けられるようになるといったようなことを目的としているのでございまして、結果的には先生のおっしゃるとおり、先ほど申し上げたとおりでございます。
#267
○広中和歌子君 時間も限られておりますので。ともかく、水俣病が公式に発見された昭和三十一年からもう既に三十年たっているわけですね。もちろん、直接苦しまれた患者の方のお苦しみというのはもう本当に大変なものでございますけれども、地元全体の苦悩というものも非常に大変なものだろうと思うんでございます。ですから、本当に前向きに地域発展のためにもこの特別医療事業を拡充させ、ともかく再開発という観点からもぜひぜひお力を入れていただきたいと要望したいわけでございますけれども、環境庁長官、一言お言葉を添えていただきたいわけでございますが。
#268
○国務大臣(稲村利幸君) 今部長が答えをいたしましたが、先生の御意見を体して努力をさしていただきたいと思います。
#269
○広中和歌子君 水俣病に関しましてはこれくらいで、次の問題に移らせていただきたいと思います。夏休みの休暇明けの委員会でございますのでそれにちなんで質問させていただきます。
 富士山はお登りになったことございますか、長官。
#270
○国務大臣(稲村利幸君) 私はまだありません。
#271
○広中和歌子君 日本のシンボルで日本人であれば一度は登りたい出なんでございまして、私もまだ登ってないんでございますけれども、訪れる外人にいたしましても思いは同じなようでございまして、最近私の友人が登りましたが、その結果ごみの山であった、もう二度と登りたい山ではないなんて言われてしまったわけですけれども、富士山の清掃についてはだれが責任を持ち、そしてどのような形で清掃が行われているかお伺いいたします。
#272
○政府委員(古賀章介君) どこの役所が最終的な責任官庁なのかというのはこれは必ずしも明確ではないかと思います。場合によっては廃棄物処理
を担当する厚生省かもしれませんが、環境庁としてはどういうことをやってきたかということをお話し申し上げたいと思うんでございます。環境庁では、富士山の周辺の清掃活動を実施いたします二つの民間団体、これは山梨県と静岡県にそれぞれ一つずつございますが、それに補助金を交付いたしまして、これは合わせて年間六百四十万円でございますけれどもその事業を実施しているところでございます。また、広く国民の美化意識の高揚を図るために自然公園クリーンデーやごみ持ち帰り運動を提唱いたしまして、ボランティアによる清掃活動などを呼びかけておるというのが環境庁のやっておる富士山の美化清掃に関する事業の内容でございます。
#273
○広中和歌子君 その御努力の結果があらわれていないことが事実らしいんでございますけれども、次の打つ手はどのようなものだと思われますか。
#274
○政府委員(古賀章介君) やはり、従来の清掃活動実施団体への助成でありますとかそれからボランティア活動の呼びかけなどに今後とも努力をしていくということでございますけれども、ただ行政的な面だけでこの問題が解決するかというと必ずしもそうではないのではないかと。やはり国民一人一人のモラルでありますとか、それから美化意識といいますか、そういう国民一人一人の自覚というものもこれもまた必要なのではないかというような考え方を持っておるわけでございます。しかしながら、行政としては最善の努力はいたしておるということでございます。
#275
○広中和歌子君 確かに今おっしゃられた点も非常に大切だと思うわけでございますけれども、現実にそれが十分でないといったようなことで、私は原宿の表参道沿いに住んでいるわけでございますけれども、例えば日曜日に歩行者天国になりますと物が散らかります。しかし、夕方になってそれが終わりになるときにはばあっとだれかが来て掃除していくんですね。あれは恐らくボランティアじゃなくてお金を払ってのことだろうと思うんでございますけれども、あの立派な富士山に六百四十万円で十分なんでございましょうかね。私どもにとっては日本のシンボル、心のふるさとでありすべてなんですけれども、ちょっとお金のかけ方が少ないんではないかと思うんでございますが、いかがでしょうか。
#276
○政府委員(古賀章介君) これは厳しい財政事情の中で努力をしておるということの一語に尽きるわけでございます。繰り返すようでございますけれども、民間団体への助成ということも大切でありますけれども、やはり、その関係団体の自主的な活動それから登山者の個々一人一人の自覚、そういうものにも広く訴えていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
#277
○広中和歌子君 日本というのはこれまで農業立国、工業立国、そしてこれからは本当に観光立国というふうに言われてもいいような時代に入っていくんではないかと思うわけでございます。日本というのは大変に狭い国なわけでございますが、同時に、最も美しくそして非常に長い、世界の中でも十指に入るような美しい海岸線を持っているわけでございます。それに山と海岸線。今まで海岸線というのは工場に彩られ、そして海水浴などをいたしますと汚染、それは先ほどの水俣のあれと違いまして目に見える汚さでございます。ごみとそれから油で、海水浴場で砂浜に入りますと油がべったりついたりいたします。それから建物、まあ、工場は今まで日本をこんなに豊かにしてくれたものでございますから悪口を言っては申しわけないんですけれども、そういったことを含めましてウオーターフロント、臨海部にもっと日を向けた美しい開発ということを含んだ環境行政というものを新たにお考えいただきたいということを要請したいんでございますけれども、いかがでございましょうか。
#278
○国務大臣(稲村利幸君) 我が国の大変すぐれた風光明媚な、先生が先ほどから御指摘のとおりのこの恵まれた条件を内外に広く理解していただいて、観光立国としてのこれからの日本の行くべき道をさらに強く推進できたらと私も思います。
#279
○広中和歌子君 先ほどの富士山のこともそうでございますし、単に富士山に限らず国立公園、国定公園そして海岸線でございますけれども、さまざまなボランティアというようなこともございますが、だれが責任を持つかというその責任の所在がはっきりしてないということも問題なんではなかろうかと思うんです。例えば海岸線、ビーチ、あれはだれが――波打ち際というのは国の所有なんでございますか。プライベートビーチという考え方もあるんでございますか。
#280
○説明員(市原四郎君) 海岸線は国有地でございまして、特定法に基づきますそれぞれの省庁で管理しているところと、一般海岸として国有財産として管理しているところとあるわけでございます。
 プライベートビーチでございますけれども、いわゆる浜が民地になっているところもあるかもわかりませんけれども、その辺につきましてはどの程度の数がということは十分掌握してございません。
#281
○広中和歌子君 今まで、国有地でありますところの海岸線に関しまして清掃のためにどのような施策をとられ、そしてどのような予算を使われたかお伺いいたします。
#282
○説明員(市原四郎君) 建設省といたしましては、建設省所管の海岸の海岸管理者でございます都道府県とか市町村に対しまして海岸が非常に良好な状態になるような指導をしているところでございます。特に、建設省におきましては毎年七月一日から七月三十一日までの一カ月間を海岸愛護月間ということに定めまして、そして建設省、都道府県それから市町村が中心になりまして、海岸環境の保持を図るための海岸の美化清掃だとかそれから国民の皆様方に美化思想を根強く植えつけていただくような啓蒙普及に努めておるわけでございます。例えば具体的に申し上げますと、不法投棄を禁止するような立て看板を立てるとかパトロールを強化して取り締まるとか、それからチラシだとかごみ袋、こういったものを住民の皆さんにお渡ししてごみの清掃に努めていただくとか、こういったことを強力にやっておるところでございます。
#283
○広中和歌子君 夏場でございますとビーチハウスとかなんとかが出ていて、結構プライベートな人たち、いわゆる民間の人も清掃に協力するということもあると思うのでございますけれども、特に私がひどいと思いましたのは冬場でございますね。あの打ち上げられるごみ、茅ケ崎の海岸べりに一年間住んでいたことがあるんですけれども、本当に散歩していても憂うつになって帰ってくるような状況なんでございます。もう少しこういうような方面にも日を向けていただきまして、単に行政指導だけではなくて、積極的に予算をつけるような方向にぜひ向かっていただきたいと思うのでございますけれども。
#284
○説明員(市原四郎君) 先生御指摘のように確かに美しい海岸線を保つということは国民すべての願望であろうかと思います。しかしながら、海岸線というのは全国ぐるっと海道三万キロと言われるくらい長いわけでございましてなかなか大変でございます。海岸の美化を図る一番有効な対策というのは清掃を強化していくということじゃないかと思いまして、現在は、町内会だとか自治会だとかいった方々を中心とした住民の団体の方々に懸命にやっていただいておるという実態でございます。それでもまだたまったごみとなりますと、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりまして市町村が処理する、こういうことになっておるわけでございます。財政制約の厳しい折から、本来海岸管理者というのは都道府県等でございますので、公物管理の基本的な考え方として管理者の方がみずからの負担で管理していく、清掃をしていくという考え方で、現在のところ国といたしまして、国といいますか、建設省の海岸という立場から海岸管理者に清掃の助成をするということは考えていないわけでございます。
#285
○広中和歌子君 それでは、せめて強力なるお力
を発揮されてPRにも努められますように、この場でお願いいたしまして質問を終わらせていただきたいと思います。
#286
○高桑栄松君 水俣病というのは我が国の公害の象徴的なというか、代表的な出来事だと私は思っておりまして、医学部で私は講義をしておりましたが、公害のところで水俣病をいつも一応取り上げることにしておったわけです。私は公害責任論というのを展開をするんですが、そのときに私は、因果関係が未知な場合にはこれはどうしようもない、責任を食えと言っても未知のものはしようがないと。ところが、それが既知、既にわかった段階でこれを無視していると、これは健康にかかわる場合には犯罪である。もう一つ無知というのがあるんですけれども、無知はもうこれはしようがないんで、幾らむちでひっぱたいてもこれはどうしようもないということでありますが、これは既知であったのを隠したのではないかというかつてうわさというか、そんなことが言われたことがありまして、この問題もう三十年たったんでどうこうということではありませんけれども、そういったことがあってはならないという意味で私は公害責任論というのをいつも展開をしているわけです。
 そこで思い出しますと、まだ水俣病の原因が未知な時代、既知になりかけていた昭和三十年ごろだったと思うんですが、熊本大学の医学部の衛生の喜田村教授が実験をしているのを私は大学で見せてもらいました。初めて見てびっくりしたんです。魚を食べさせて飼育をした猫がテーブルの上からひょっと落とすともうひっくり返るんですね。つまり、小脳性の運動失調と平衡機能の障害が起きていてひっくり返って落ちてしまう、そういうのを見たわけです。ですから、これは中枢性の運動失調であるということはそのときわかったわけですね。それから多分一年間ぐらいで原因がはっきり明快に有機水銀ということになったはずだったと思うんですが、そのときのことを私はいつも思い出すんです。それからもう三十年たったのか、非常に長いなと思いますね。
 だから、先ほど来裁判の問題でも出ておったんですが、私は中毒学的にはやっぱり中枢神経系統の疾患であると私は思います。今もそう思っておりますけれども。ただ、これだけ年代を経ますと、病気というものは心身症みたいなものがあるわけで、だから、直接の原因でないのに次第に全身性の何か、これは老化ということもあるかもしれませんし、いろんなことがあって全身症状ということは因果関係とは別に起こるかもしらぬなという、私は医師としてそういう気がするわけです。だからどうこうというわけには、いよいよ責任論になると難しいことになると思うんです。
 しかし。そういうことを踏まえまして今の臨時措置法というのは、私は初めわからなかったんですが、なるほどバイパスというのはあった方がないよりはいいんじゃないか、本線が込んでいたときはバイパスを通った方が早いということかなと思ったら、案外早くないんですね。資料いただいて見ますと、過去三年間で十一例の申請があって、未処分九、認定一、棄却一。これは何でだろうかと思ったんです。先ほど目黒部長の御答弁の中でも五千五百が保留または未処分でしたか、これは非常に多いわけですよね。全申請者の累計でいって四分の一がな。ですから、それが未処分、保留であるということは私にはやっぱり、判断基準というものが示されておってそのよしあしを論じているのが裁判のようでございましたが、それは医学的な立場で私は言うことはないんで、いや、ないというよりありますけれども、医学は医学だと思っていますから。
 だけれども、なぜそんなにたくさん保留のままで推移しているのかなと。その中で一体未処分、保留のままで一番長いので何年くらいの方がいるんだろうか。その辺ちょっと解析されたものがあったら教えていただきたい。
#287
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の未処分の中でのどのくらい前からということでございますが、未処分者の中で最も古い者は昭和四十七年に申請した者でございまして、昭和四十七年には五百人が申請をいたしておるわけでございます。そのうち処分が四百九十七件行われておりまして、未処分が三十五件でございます。いずれのケースも、申請後審査会で経過を観察する必要があるといったような理由等で保留とされ、また、その後検診をもう一回受けるようにということで呼びかけたりしたにもかかわらず応じていただけなかったというふうなことで処分ができないでいるというふうな者でございます。いずれにいたしましても一番古いのがそういう年次の者なのでございます。
#288
○高桑栄松君 患者さんが、申請者が来ないからしようがないというお話みたいに聞こえてしまったんですが、まあ、多分そうなんでしょう。十数年も未処分といって経過を観察というのは言葉であって、経過は観察ではないわけで、ただ経過していったということになるんですよね。それがうまくないんじゃないかなと思うんです。何かそこにやっぱりちゃんと受けてもらって――確かに経過観察は、十数年は少し長過ぎるとしましても若干期間は要るんでしょうね、病状というものは変動するでしょうから。しかし数年を経たら、どういう状況か知りませんが固定しますよね。逆に言うと、十数年たって新しい昔の水銀中毒の症状が出るということはないと思うんです。
 だから、経過観察というのはそんなに長くやる意味が本来ないわけです。水銀が細胞にくっついてしまってもそれの半減期というのがあるわけでしょう。無機水銀ならどんどん出てしまいますね、三日ぐらいしたらぐっと減りますけれども、有機水銀は長いんでしょうけれどもね。ですから、そうやって大脳細胞に変化が起きてしまえばこれはもう治らないわけです。いつまでもいつまでも水銀が残っているわけもないんで――半減期って御存じてしたか。よく覚えてないんですが。
#289
○政府委員(目黒克己君) メチル水銀の半減期はたしか七十日だったと思います。
#290
○高桑栄松君 そうすると七十日だては半分、百四十日たてば四分の一かな、そんなような格好でずっとなくなっていくわけで、一年もすればまずまず適当になくなるんでしょうかね。しかし、その症状というものは多分不安定でしょうから若干の変動があると思うんです。だけれども、くどいけれども、数年間もペンディングで症状が変動するということは私はやっぱり常識的には考えられないと思うんですね。だから、未処分ということがあるということが何か数字だけ見ると不信なんですけれども。
 話を伺えば何か理由があるようですが、やっぱり未処分がないように努力をするのがね。せっかくこの臨時措置法というバイパスをつくられてもそれを通らないんなら意味がないんで、しかも、その未処分がやっぱり十一名中九名というのは何となく多いですね。少なくとも、一年後ぐらいかどうかしりませんが、積極的に来ていただくなりこっちから出かけていって診てあげるなりということがあってしかるべきじゃないだろうかと私は思うんです。返事があってもまあ同じかもしれませんが。
#291
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のこの未処分者の問題でございますけれども、この臨時措置法を離れまして全体というふうなお話というふうに承ったんでございますけれども、全体的に未処分者が非常にふえている原因として私どもの間でも県当局とも話し合っている、一般的に言われていることでございますが、一つは申請者がある時点で非常にふえたということがございます。それから、この未処分者が非常に滞留したわけでございますが、一つはこの多数の再申請者、つまり棄却をされてもすぐまた再申請される、こういうふうな再申請者のパーセントが非常に上がってきているということが二番目に言われているわけでございます。それから三番目には、私どもの努力も足りないわけでございますけれども、かつて一部の申請者等の団体の中で検診拒否的な運動というものがございました。検診に応じない、こういうようなことがあったわけでございます。
 そのほかいろいろ原因あろうかと思いますが、少なくともそんなようなこと等がありまして申請者が約五千人余りあるわけでございます。この理由といたしましては先ほど挙げたようなものでございますが、ただ私どもは、これをもう少し促進しなければいけない、こういう考え方で現在二百五十人の検診を毎月行い、二百人の審査をするというような体制を昨年からとり出しまして、大変効果を少しずつ上げているというような状況であるのでございまして、私どももいろいろな形で認定業務の推進に努力をしているという状況でございます。
#292
○高桑栄松君 そういう審査をされるのはデータが上がってきたときに審査会に渡すわけですね。それまでの実際の実務の現場の先生は熊大とか鹿児島大の医局の先生に頼んでいるんですか。いかがでしょう。
#293
○政府委員(目黒克己君) この水俣病の審査会として非常に適切な方々を、熊大の方もおられますし、鹿児島大学の方もおられますし、そのほか九州大学等といったような、要するに距離等の関係から結果として近い大学の方が多くなるわけでございますけれども、そういう方々を審査会の先生にお願いしているのでございます。
#294
○高桑栄松君 ところで、認定基準の問題が話に上がってきていたんで私もこれについて少し聞きたいと思っていたわけです。認定基準というものができるときの検討会というのかな、それからまた十年ぐらいたってから専門家会議とかいうのがあったわけですが、その辺の経緯を簡単に説明していただけませんか。
#295
○政府委員(目黒克己君) この認定基準を作成いたしました経緯は、昭和四十六年の事務次官の通知におきまして、この経口摂取をいたしました有機水銀の影響によるものであることを否定し得ないような場合には水俣病として救済するとされているが、その具体的な事例というものを挙げるということで、臨床、疫学両側面から具体的な判断条件の整理を行うことを目的といたしまして昭和五十年の五月に水俣病の専門家からなります水俣病の認定検討会というものを設置したのでございます。この座長は椿先生でございますが、同年六月以降検討会におきまして検討を進めました結果を踏まえまして、昭和五十二年の七月に環境保健部長通知を出して現在の判断条件ができた、こういうことになるわけでございます。
 その後、先ほど御説明を申し上げましたけれども、六十年の八月の第二次訴訟の結果、私ども再び専門の先生方を呼びましてこの専門の御意見を伺いました。その結果、この判断条件については現状のままでいくが、ただし、附帯事項と申しますか、そのほかに、水俣病ではないけれども、同じような病気がある者について配慮しなければいけないという趣旨の御意見もあわせていただいておりまして、そういうようなものを総合いたしまして、環境庁として現行判断条件はそのままでいいというふうに判断をいたしまして今に至っているというのが経過でございます。
#296
○高桑栄松君 一つは、専門家会議が十年前の判断基準に対してこれを妥当だと認めたということでしたね。私がちょっと気になっているのは、十年間たって新しい何か知見が加わっていなかったということなんですが、そのとおりですか。
#297
○政府委員(目黒克己君) これは専門的なことになるのでございますけれども、専門家会議におきましては、水俣病とは何かということを六十年の段階での科学的な知見に基づいて一応御判断をいただき、文章化をいただております。それから、水俣病におきます特に感覚障害の問題、この解釈が非常に問題になっておりましたので、その解釈についても一つの御意見をいただいて、最後に、それを総合して判断条件については現行でいいという趣旨の御判断をいただいた、こういうふうな形になっております。
#298
○高桑栄松君 もう一つ伺いますけれども、これは、あそこに出ている部長通達でしたか、先生のポストの通達かな、前の。それは、専門家会議及び検討会のときもそうですが、そのとおりなんですか、それとも行政側で手を加えているんですか、その文章ですけれども。文章といってもてにをはじゃありませんよ、条件等々ですね。
#299
○政府委員(目黒克己君) 五十二年のことについては私もはっきりわかりませんけれども、私が聞いておるところによりますれば、基本的な考え方は、やはり医学を基礎としておりますのでこの検討会の御意見を全面的に採用したというふうに聞いております。
 それから六十年の専門家の会議で行いましたときは、これは私が聞いたわけでございますけれども、その専門家会議の御意見をそのまま私どもの方としては受け入れたわけでございます。したがいまして、この判断条件についても同じような御意見を賜りましたし、さらにこの附則的につけられましたことにつきましても検討しなきゃいけないということで、結果としてそういうふうに特別医療事業として具体化したと、こういうふうになっておるのでございまして、いずれも趣旨あるいは骨子というものを全面的に取り入れているのでございます。
#300
○高桑栄松君 もう一つ伺いたいのは、前の中公審では委員の中でかなり異論が出て大分議論があったというふうに新聞等にまで出ておったわけですが、この専門化会議及び認定検討会では約十人ぐらいの方々が委員のようでありますが、これ。は、ディスカッションは別としまして、最終的には意見一致したんでしょうか。それとも異論が、少数意見とかがあったとかということはございますか。
#301
○政府委員(目黒克己君) 総体として意見が一致されたわけでございます。
#302
○高桑栄松君 私はさっき、十年間たって新知見がないのではないかということを申し上げたんですけれども、確かに医学的な判断というのは非常に確率論的に出てきているわけですよね。もちろんはっきりする場合もあるけれども、特に神経系統の病気というのは、もし程度が薄いと確率論で論ずることになるわけで、ウイルスがあって病気があるなんという因果関係の明快なのとはまた違いますので確かにプロバビリティーを上げていくというための努力は、もっとも、その診断のあいまいさをプロバビリティーを上げていくということによって医学の進歩があったわけです。診断がつかなければ治療が、言うなれば原因療法がありませんのでやっぱりそれはそういうことなわけで、私は新知見が必要だと思っているんです。それで、十年間何にもなかったのかなというのが私はいささか不満なんですけれどもね、やってもだめだったのかもしれませんがね。
 現在の認定条件というのは臨床所見の複数組み合わせですね、それだけですね。どうですか。
#303
○政府委員(目黒克己君) 今の先生のおっしゃったようなものに加えまして疫学条件、暴露状況といいますか暴露条件を加えてそうして総合的に判断する、こういうことでございます。
#304
○高桑栄松君 そうですね、それは疫学的な条件がなければしようがないわけでしょうが。ただ、先ほども広中委員の質問で剖検のことが出ておったわけですけれども、目黒先生も医学部で勉強されたので私と同じような経過をとって医師免許証をお取りになったと思うんですけれども、我々のころは特に病理解剖というのは非常に重要であった。有名な東大の内科の沖中先生が定年退職のときに、私の誤診率は、一七%でしたかな、パーセントは今忘れましたが、一七%であると。どうして一七%が出たか。これは解剖ですよね。病理解剖をして、その結果自分の診断がはっきり間違ったのが一七%あったと。東大の日本内科学の第一人者がそうおっしゃっているわけです。だから、医学の診断というのがその辺が最高レベルであったわけですね。
 そういうことでございまして、私はこういうものは特に病理解剖の知見というのは重要だと思うんですよ川俣だから、こんな症状があった、あった、あった、しかし中枢神経系に何らの変動もなかったとなればこれはアウトになるわけですね、そうでしょう。そういうわけなんだから、その症
状とこれとの確率論というかな、関連性というものは絶対必要なわけですよ。ですから、先ほど来の解剖と非解剖でありますが、未処分で死亡された方の解剖例が約半分であったと、そして解剖例の中の認定者がかなりあったということなんですけれども、私は、そういう知見というのをできるだけ多く積み上げて新しい診断に対する、つまり、判断基準の厳しい、緩いじゃないんですね、条件がぎっちり、医学的にプロバビリティーを上げることができるものが出てきたんですからそれは何か指数を掛けてもいいと思うんだ。〇・三なら〇・三を入れてやるというような考え方でこれはやるべきであると思うんです。
 ですから、解剖に付される方はというのがあったんですが、これ先生も御承知のように、我が国は患者さんが亡くなったときになかなか病理解剖に賛成してくれないのが多いんです。我々のときもそうだったし、今もそうだと思うんですが、欧米なんかですとむしろ解剖をまずしてもらうのが主で、せめて最後に自分の体が将来の人類の健康の方面に、医学に役立つようにと、はっきりわかり切っていてもやってみるわけだ。それがはっきりすればいいわけだから。何か別なものがあったらそれ診ればいいわけだ。ひょっとすると、我が国は今肺がんがだんだんふえてきたと言うけれども、昔も肺がんがあったのに肺結核で隠されていて、解剖したらわかったかもしらぬのに解剖しなかったおかげで皆肺結核で死んでいる。あけてみたら本来肺がんもあったかもしれない。
 だから、そういう意味でどうしても私は解剖を積極的に進めてもらいたいと思うんです。そのためのお金は用意したらいいですよ。本来、病理解剖に付すのにお金を上げるという手はありません、これは。ないけれども、まあ必要があればね。知りませんけれどもね。これは本当にやっぱり患者さん自身も、お医者さんにお世話になった一つの最後の決着というかな、そういうこともあるわけだし、そういう知見がもっともっと積み上げられていたら――まず剖検例から新しい知見が少し加わってもいいと思うんですね。だから、剖検例が足りなかったんじゃないかと、私そういう気がしながら広中委員の質問を聞いておって、まあいろいろあると思いました。
 しかし、それはやっぱり環境庁サイドもあるいは熊本県も、世界に希有なというか、知られた、ベリー・フェイマスなそういう病気なんだから、我が国の独力である程度のその前進を期待したいと思うんですよ。それが恐らく今の申請者が願っていることだと思うんです。うっかりすればあいまいさの中で棄却されるんじゃないかという心配ですね、それは棄却する理由もあるし、されない理由もあるんでね。しかし私は医学者ですから、科学的なというか医学的な判断で確率を高めてもらいたい、こう私は思うんで、まず剖検に対して力を入れてもらいたいと思うんですが、先生のお考えはいかがですか。
#305
○政府委員(目黒克己君) この剖検に関しては、先生もお話しになりましたように、国民感情と申しますか、住民感情と申しますか、その地方地方によりましてまたあるいはそのお家によりましてやはりいろんなお気持ちがあるわけでございまして、なかなか解剖を画一的に進めるということも難しいのでございます。それからまた、この解剖した結果は、御指摘のように、現在でも研究班等の中で解剖をさしていただいたケースにつきましては十分に積み上げて一つの資料として蓄積をしているところではございます。そのほかに積極的に私どもが解剖に対して取り組むかどうかと。もちろん私どもも一つの考え方としてそういうのはあるわけでございますけれども、今申し上げましたような国民感情の問題がございますのでこの辺は極めて慎重に配慮してまいりたい、このように思っておるのでございまして、先生の御指摘も一つの貴重な御意見として承って今後の参考にさしていただきたい、このように思っているところでございます。
#306
○高桑栄松君 もう一つ、国立水俣病研究センターも私国立公害研究所にいたときに行って見せていただきました。あの明水園というところも私は見てまいりました。私が研究センタ上を見て思ったのは、ちょっと生理学的な機能検査の手段が足りないんでないのかなということなんです。あれから数年たちましたのでどうなっているか、後でこれはまた質問の中でも聞きたいと思って今いるんですけれども。
 例えば小脳性の運動失調、平衡機能喪失みたいなのが相当な有力な手段ですね。振戦だとか起きるわけです。そういうときの小脳の脳波を誘導する技術があるのかないのか。私は今脳波のことはわからないのですけれども、例えば、本当に小脳性の失調がはっきりしているんであれば脳波を誘導できる方法というのが何か、これだけコンピューター等々が発達したんだからいろんな雑音を排除しながらそこだけ引っ張り出すという方法も開発できるんではないのかなと。そうすると、小脳性の失調であるかどうかがわかれば一発ですよね。これは単独症状でもやれるわけだ。そういう研究というものが僕はあってもいいと思うんです。
 それから、ちょっと私のPRみたいになりますけれども、私疲労研究をやってましたが、私のユニークなアイデアという集中維持機能というのがあるわけです。集中力が落ちれば疲労だと、疲労の場合集中ができなくなるというのをやったんです。これはウィーンで大学で集まってもらって僕講演したときに言われたんですが、すぐ言ったのは、これは産業医学をやっていた男なんだけれども、先生のは水銀中毒の診断に使えないかと言うんですね。なるほど、僕は気がつかなかったが振戦が入ると思うんです。ですから、ははあ、そうだなと。しかし、私は疲労研究が主だったんで知らぬ顔して今日に至ったわけですが。まあ、私のを使えと言っているんじゃありません、集中維持機能という。「テクノストレスとメンタルヘルス」の本の中にちゃんと載っているんですけれども。例えば新しいアイデアで生理学的な機能検査があって、まあ、臨床症状も大事ですよ、それは、それから出発するんですからね、痛いとかかゆいとかというところから始まって、ふらふらするところから始まってお医者さんに行くんだから。そのときに生理学的な検査による決め手というのもあってもいいと思うんですね。
 そのために金を突っ込んでくださいよ、金なしでやれというのは無理ですから。例えば私のなんというのは大したことはないですけれども、そういった役に立つか立たぬかわからなくてもそれぐらいのお金を突っ込んでやってみるということが私は要るんじゃないかと思うんですよね。だから、十年たっても新知見がない、そして未処分、保留者だけの数がふえているんじゃ患者さんもぐあいが悪いんじゃないかな、確かに。それが全身症状に向かって新しい症状が展開されてくるのかなという、私はそんな気がしないではないということでありますが、目黒先生はいかがでしょうか。
#307
○政府委員(目黒克己君) 現在でもこの水俣病研究センターでは不十分であろうかとも思いますけれども、やはり与えられた条件の中で大変頑張っていただいていることは事実でございます。また、このほかにこの水俣病の基礎的な部分の研究についてもかなり熱心にこの研究センターでは行っていただいております。御指摘のものは私たしかなかったかと思いますけれども、そのようなものにつきましても今後センターと連絡をとりまして十分その辺の検討をしてまいりたいと思っているところでございます。いずれにいたしましても、この研究についてはこれまでも進めておるわけでございますけれども、今後とも努力してまいりたい、このように考えております。
#308
○高桑栄松君 今の、私は現在の判断条件等々の問題についてはこういったことで新知見を加えることを期待しているわけですが、これに対する研究を進めてほしいということについて大臣のコメントをいただきたいと思います。
#309
○国務大臣(稲村利幸君) いつも高桑先生から教えられるのみで大変恐れ入りますが、そういう学
術研究に本当に費用を投資してその内容の充実を図れたらと、私も国民の一人として希望しております。
#310
○高桑栄松君 それでは水俣湾の埋め立ての問題を聞きたいと思いますけれども、私は水俣湾の埋め立てのところを、これも昔ですけれどもちょっとのぞいてみたことがあるんです。それで一つ気になっていたのは、あの湾の出入り口のところに網が張ってあるという話ではありましたけれども、あそこは船が通るんだから、船よりも小さい魚は通るんじゃないのかなと思うんでありますが、いかがでしょうか。
#311
○政府委員(渡辺武君) 水俣湾につきましては、先生先刻御承知のとおりヘドロの処理事業というのを現在も進めておるわけでございますが、その事業の一環といたしましてこの工事水域の境界に沿いまして、その外側の一般の水域といいますか、この間に仕切り網を設置しておるわけでございます。しかしまた、中に港があるわけでございますので、全面的に仕切ってまいりますと船が出入りできないということでございますので、一部分、二百二十メートルの幅の部分につきまして船の出入りのために網が開放されております。しかし、魚を出さないための網でございまして、そこの部分が開放されておりますと魚が出ると困るものですから、その航路に当たります部分につきましては底の方に、底刺し網というんでございましょうか、下の方から網を、水面まではいきませんけれども張ってありますし、また、その部分につきまして超音波を出しておりましてそこから魚が出入りすることがないよう恒措置をしてあるわけでございます。以上が現状でございます。
#312
○高桑栄松君 超音波というのは二十四時間出しっ放しでしょうか。
#313
○政府委員(渡辺武君) 二十四時間出しっ放しのようでございます。
#314
○高桑栄松君 それで、埋め立てをされたところはもう利用しつつあるのか、それとも将来利用計画はどうなのか。ヘドロで埋めるわけですね、ヘドロをしゅんせつして。それをちょっと伺いたい。
#315
○政府委員(加藤陸美君) 私の方からお答えさせていただきますが、水俣湾の埋立地は、現在としては水俣湾公害防止事業全体は進行中でございまして、大きく分けまして第一工区と第二工区というふうに分けておるわけでございますが、そのうちの第一工区分、面積にしまして四・五ヘクタール程度でございます。全体の埋め立ての予定面積は五十八ヘクタールぐらいでございますので部分としては非常に一部でございますが、これにつきましては、先生御指摘ございましたとおり五十九年の十月に竣功認可がなされております。ただ、これは埋め立てでございますので、沈下といいますか固まりといいますか、その時期がしばらく必要でございますし、今後とも若干はそういう可能性はもちろん含みにしつつでございましょうが、その中のまた一部、二ヘクタール程度でございますが、これが六十年になりましてから、いわゆる野積み場というんでしょうか、港湾の諸施設とかあるいは諸物品とか、これが一つの港湾施設になるわけでございますが、野積み場などの港湾施設として供用を開始いたしております。
#316
○高桑栄松君 これは私何遍か環境の委員会でもお話をしたんですが、土地の利用につきまして、アメリカの例のラブキャナル事件というのを覚えておられるかと思いますし、私もたびたび言いましたけれども、これは、一九四二年に化学会社の廃棄物を埋め立てた場所を十年後の一九五三年には住宅用地として市に売り渡した。そこへ住宅が建ったわけだ。それから二十五年たって一九七八年に事件が起きたわけです。健康障害事件ですね。全村立ち退きという事件を起こしているわけです。アメリカですから全村買い取ったようですけれども、そういうことが起きているんです。事件が起きたのは埋め立てをしてから三十五年後ですね。ですから、ここだって同じこと起きると僕は思うからお話を聞いているんです。やっぱり今この土地はどういうなりわいか、土地台帳ですね、僕はそれを法務省には三遍ぐらい言っていますけれども、何払いというのか知らないけれども、いつもぱんと払われているわけです。水銀の乾電池を埋めるだけでもあれ問題になったですよね。乾電池処理場というのをわざわざ、例えば北海道のイトムカ鉱業所に持っていってそこで乾電池を処理するようにして乾電池をそのまま埋めないようにしていたわけだ。このごろやめてしまったようですね、環境庁。私なんか気が小さいものだから捨てられないと思っていつも持って帰ってきては秘書に渡してこいつどこかへと言うと、秘書がやるところがなくてどこかに落としてくるんじゃないかと思うんですが。昔はちゃんと乾電池を入れる場所はとこにでもあったんですね。このごろ全然相手にしないですよね。
 でも、これは有機水銀ですから。乾電池は無機水銀ですからさっき言った半減期、体に入ったときの半減期は三日くらいだったと思います。三日ぐらいで半分ぐらいになって、一週間後にはゼロになるんでしたか、有機水銀の半減期は七十日ですからね。ですから、アルキル水銀のようなものがヘドロの中に入って、三十年後にさらに湾が埋められて住宅地になったりしたらやっぱりそれなりの有害が考えられるわけだ。私は土地台帳を法務省には主張しているわけです。これはヘドロ埋め立て地だけじゃないです。研究所跡、会社の工場跡地等々すべて台帳があって、どういう土地をどういうふうに売ったかということがわかるものがあってもいいと思うんですが、いかがでしょう、法務省。
#317
○説明員(永井紀昭君) 先生からたびたびこの御質問をいただいておりますが、私どもの答えもいつも決まっているわけでございまして。と申しますのは、不動産登記といいますものは制度上実は、そういういわば先生のよくおっしゃいます土地の履歴というものは必ずしも正確にあらわすものではございません。そういう行政情報とか、あるいはどういうことに使われていたとか、どういう埋め立てをしたかということについては何ら表示するという建前になっておりません。その仕組みが根本的に違うわけでございます。土地登記簿で申しますと、表題部に地目という欄がございます。その地目は田、畑、宅地、雑種地その他いろいろ十数日あるわけでございますが、これはあくまで現在利用している状況あるいは利用目的というところからきます種別にすぎないわけでございます。
 例えば、先生おっしゃいましたように水俣湾を埋め立てて土地にしたという場合には、これは初めて土地が発生するわけでございますから登記をするわけでございます。そのときには例えば雑種地として地目を登記しまして、公有水面の埋め立てという原因は書くわけでございますが、ただその原因につきまして、この下にはヘドロがあるかもしれないとか、どういう土砂を持ってきたかとか、そういうことは書くという原則には全くなっておりません。だから、いわゆる履歴といいますか病歴といいますか、そういったたぐいのものを書く仕組みになっていないわけでございまして、これは必ずしもそういう埋め立ての問題だけではなくて、例えば市街化調整区域でございますとかいろんなそういう行政規制につきましても登記簿上は書くことになっておりません。したがいまして、直ちに登記の仕組みの上でそういった病歴もちゃんと書きなさい、あるいは履歴も書きなさいということは、地目の点あるいはなぜ土地が発生したかというところで書く以外にはわからないという仕組みになっております。
#318
○高桑栄松君 そういう御答弁を何遍もいただきました。しかし、これでやめるとわかったと思われるといけませんので何遍でも私は反対だと申し上げているわけです。反対の根拠は、もし間違っていたら規則は直せるんですよね。規則が直せないというんなら明治の太政官以来変わらなければいいのに、しょっちゅう変わっているじゃないか。道路なんというのは、きのうまでの対面交通がきょうから一方交通になったりするんだから。
きのうのとおりやらなきゃだめだというんだったら議会要らないんですよね。議会というのは法律をつくる場所なんだけれども、私ひとりでつくるわけにいかないので皆さんの御賛同を得ればという話なんですが。
 もう一つ環境庁に聞きたいのは、公害というものに環境基準というのを全部設定していながら、土壌には環境基準がないわけだ。そうですね。農用地には暫定基準がある。なぜ土壌につくらぬのか。つくると戸籍に入れさせることができるかもしれない。規則なんというものは変えましょうよ。いかがでしょう、環境庁。
#319
○説明員(永井紀昭君) 環境庁へのお尋ねでございますが、基本は登記簿の話から始まっておりますので一言釈明させていただきます。
 実は登記はあくまで技術的な問題でして、先生の御指摘のとおり実体法を変えていただければ登記に反映する法はあるわけでございます。これはどういうことかといいますと、例えば農地ですと、これは地目にも田、畑というのが表示されております。田、畑の場合は都道府県知事の許可がないと勝手に移動できないという政策的な法律になっているわけです。そうしますと、これは所有権を移転するときに必ず許可書がないと移動できない。そういう場合には登記簿に反映がちゃんとできるわけです。ところが例えば、埋立地について環境庁なりあるいは都道府県なりが所有権の移転を制限するとか、あるいは私法上の取引をしてはいけないというそういう法律が実体的にできましたならば、それぞれの所管官庁から我々登記所に通知が来ますと、あるいは嘱託が参りますとそれはきちっと表示ができるわけです。だから、そういう実体法をつくることがいいかどうかというのが実は本質的な問題ではないだろうか。登記はあくまでそれの反映の仕方でございますから、これはそういう問題が背景にあるのではないか、こういうように思っております。
#320
○政府委員(渡辺武君) 私にお答えする能力があるかどうか甚だ疑問なわけでございますが、実は私たちの局で所管しております仕事の中から申し上げますと、このような埋め立ての場合もそうでありますけれども、最近私たち困っておりますのは廃棄物処理場の跡地の問題でございます。廃棄物処理場として使われてしまいますとその後は法規制がかからなくなっておりまして、時間がたつにつれましてそれが意識から薄れていく。そこへ住宅がだんだんと建っていく。ひどいときにはその土に住宅が建つ、こんなようなことがありまして、そこで土壌汚染といったようなことがその後明らかになってくるというようなことがあるわけでございます。
 私たちといたしましては、廃棄物処理場の場合は厚生省でございますけれども、その後のことにつきましては厚生省は権限を持っておらないようでございまして、したがいまして、そのような問題を起こした土地がどんな土地であったかというのを後追い的に調べて対策を立てる場合のマニュアルづくり等に私たち励んでおるということであります。しかしながら、できるだけやはり事前にそれがおかるようになるようにということでの希望は強く持っておるわけでございますけれども、いかんせんなかなか思うようにはならないという状況でございます。
 先生の御指摘それなりの貴重な御意見と承るわけでございますけれども、やはり法制度上それをどのように仕組むかということは非常に問題が多いことだと思っておりまして、私たちといたしましてはそれを探し出していっている。そしてそれを、履歴書じゃございませんけれども、何かリストアップしたものをつくりまして土壌汚染等の防止あるいは対策の場合の根拠にしていきたいというような作業を予算的に始めかけておるというような状況でございます。今後そのようなことではなまぬるい、もっとしっかりした制度をというような点に先生の御指摘は及ぶのかと思いますけれども、いずれにいたしましても、非常に難しい話でございますのでちょっといろいろ検討させていただければというようにも思っておる次第であります。
#321
○高桑栄松君 大変最大限に前向きのお話だったかと思うので、法務省の方もひとつ、どっちが主なのかわかりませんけれども、やっぱり相談に乗ってあげてくださいよね。いいことはやりましょう、やっぱり。ところで、あと時間がなくなってきましたので国立水俣病研究センターについて、あそこの所長さんの黒子先生とは昔私は同僚でございましたから、国立公害研究所当時環境庁関係で、それでよく存じ上げているんですが、あそこの研究所も大変眺めはいいけれども、人里離れたようなところにあって人がなかなか行きにくい場所がなと思っているんです。それでも大分人が来るようになったと、スタッフですね、先生は先生なりに愚痴を言わないで言っておられましたので私よかったと思っているんです。しかし、定員が充足されていない。ただ、さっきもちょっと指摘しましたが、水俣病ももう三十年たっているわけでしょう。ですから、患者さんもどんどん高齢化していくから病気自身も老人性疾患が合併症として入ってくるということが一つありますね。それから、やっぱりどうしても老化現象に伴ってリハビリが要るわけだ。だから、そういうことであそこの研究センターもそういったことへの診療というか、治療というか研究というか、そういうことを開始する必要があると私も思うし、黒子先生もそう思っておられたようであります。
 これと、時間がないから続けてもう一つ言っておきますが、先ほど来申し上げましたけれども、本来は研究センターでありまして、動物実験室は私が見たときにはちゃちなものであったが、最近は随分改善されたというふうに聞いておりますが、そういったのを含めまして研究機器についてはこの際、何というかな内需拡大の折からでもございますし、できるだけやっぱり研究施設設備を充実するということ。それからスタッフは、特に医療系ですね、ドクターを中心とする医療系のスタッフを何とか集めてもらいたい。私は具体的には、やっぱり鹿児島大学、熊本大学、九州大学の応援を得て、ローテーションでもいいから来てもらった方がいいんじゃないのかなと、どんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
#322
○政府委員(目黒克己君) 国立水俣病研究センターの状況でございますけれども、五十三年十月に二部一課で八名でスタートをいたしましたものが、今設立から八年を経まして、先生御指摘のように順次組織を充実いたしまして、現在三部一課十一室二十七名、うち医療職が九名という研究体制を組んでいるところでございます。臨床医学、基礎医学それから疫学と各分野にわたる研究を進めておるのでございます。
 それから経費の面につきましては、六十二年度国立水俣病研究センターにかかわります総予算が三億八千九百七十六万円ということで、そのうち純粋の運営費と申しますか、研究に使っているものが人件費等を除いて一億五千八百三十一万円余りといったような現状でございます。この点につきましては、現在特に人の交流ということが大変大事だということで、先生御指摘のように、国立熊本大学それから鹿児島大学、このそれぞれの大学のそれぞれの診療科あるいは基礎の方の教室と連絡をとりまして、随時ローテーションで今人を送ってもらっていただいているという状況でございます。特に臨床系の人々は、都会地でないと患者さんの治療等々数が少ないといったこと、あるいは設備の問題等々ございましてなかなか来手がなかったのでございますけれども、近年は臨床の方々の方も充実をされてまいりまして、以前に比べますとかなり充実をしてまいったということで、今後ともこの傾向を維持すべく私ども努力を重ねてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#323
○高桑栄松君 ところで、このセンターはWHOの協力センターについ最近なったということでありますが、その役割、予算関係はどうなっているんでしょうか。
#324
○政府委員(目黒克己君) 国立の水俣病研究セン
ターのWHOの協力センターの指定は六十一年の九月に受けたわけでございます。このセンターの最大の任務は、このセンターとWHOそれから諸外国の研究機関と研究体制を確立いたしまして、研究者の国際交流とか情報の交換等を推進いたしまして有機水銀の健康影響の解明に努める、そういうことでセンターの役割を持っているものでございます。この必要な予算につきましては、WHOを含めまして関係当局の理解を得てこれから確保していきたい、こういうことで今努力中ということでございます。
#325
○高桑栄松君 後で大臣のコメントをいただきますから、この点についても。
 一つは、今の有機水銀中毒で日本が指導的役割をと言うと立派に聞こえるけれども、公害大国でもあるというふうに思うわけで、ある意味では非常に残念であるし、ある意味ではしかしその役割を果たす必要があるんじゃないか。今でもアクシデンタルに欧米あるいはインドでしたか、その辺でも起きているわけですから、やはりその意味では予防ないし治療というか、そういった面での役割があると思うんです。
 それで、何か創立されて十周年があるので水俣病国際セミナーをこの際企画をしたいとかというふうに聞いておるんですが、この点と、もう一つは、WHOからの依頼ですか、環境汚染物質に関する研修コースを持ってくれとか持つとかというのが話として僕は聞いておるんですが、この二点についてどうお考えであるのか。それから、予算をそれは計上してあるのかどうかですね。つまり六十三年度でしょう、十年というとね。いかがでしょうかね。
#326
○政府委員(目黒克己君) このWHOとの研究関係でございますが、これはあくまでもWHOの方の予算のものがございますので、この点については現在WHOの方でいろいろ御高配をいただいているところでございます。特に先生御指摘のセミナーの方につきましては、九月にWHOの担当部局と具体的な打ち合わせを黒子所長が行うということで準備を進めているところでございます。具体的に申し上げますと、直接セミナーの予算はWHOが全部負担をするということになっているのでございます。WHOの予算で全額負担をするという形になっております。もちろん、施設を提供するとかそういうものはございますけれども、原則として主なものはWHOが負担をするということでございます。
 それから、トレーニングコースにつきましては今後これから検討する課題だろうということで、具体的なものが詰まり次第私どもそれに対してこれから検討に入ろうと思っておりますが、具体的なことをもう少し詰めたいと思っておるところでございます。
#327
○高桑栄松君 ちょうどもう時間でございますので最後に大臣のコメントをもらいたいと思うんですけれども、特に国外のWHO関係の協力センターになったというのは、我が国が水俣病という重金属中毒の環境汚染のたまたま出来事があっただけではなくて、それなりに我が国の医学レベルがやはり信頼されているレベルにあるということだろうと私は思うんです。だから、それにこたえるのには、いつでもWHOの予算の範囲でやるというだけではなくて、それはそれ、プラス自前でなきゃやはり大きな顔できませんよ。やはり自前の予算をつけていく。経済大国と言われながら自前は出さないというのではこれはだめですものね。だから研修コースも、基礎的な費用は仮にWHOが組んでも、それに上積みをしてさらに何人かを呼んでやるということが要ると思うんです。
 それから、施設のことは今目黒さんが言われましたけれども、あそこは小さな研究所で、講堂だとか何かそういうレクチャールームみたいなものがどうもないと思うな。あれではね。そのことについて、自前のプログラムを進めてほしいという意味を含めて大臣のコメントをいただきたいと思います。
#328
○国務大臣(稲村利幸君) WHOにおきましては、国際的研究協力を推進するために、今先生お触れになった研究施設の規模、研究業績等を評価して、各国の研究施設からすぐれた施設を選んでWHO協力センターを設けておるところでございます。国立水俣病研究センターは六十一年九月にWHOの協力センターに指定されたものであり、私といたしましても、国際協力の実が上がりますよう国立水俣病研究センターの一層の研究体制の充実に努めてまいりたいと思います。
#329
○沓脱タケ子君 それでは、水俣病認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の審議に当たりまして質問を行いたいと思います。
 公害の原点と言われた水俣病は、公式に発見をされましてから三十一年、いまだに数万の被害者、未処分者は五千五百を超すというまさに泥沼のような状況が今なお未解決のままになっているという大変悲惨な状況であります。しかも、去る三月三十日の水俣病の第三次訴訟の判決ではチッソとともに国と熊本県の責任というものが明確に認めた、こういう画期的な新たな判決がなされたのであります。私は、環境行政に責任を持つ環境庁長官として、今回の熊本地裁の判決を受けて国の責任についてどのように受けとめておられるか、まず最初に御所見をお伺いをしたい。
#330
○国務大臣(稲村利幸君) 水俣病は申し上げるまでもなく本当にお気の毒な病気である。これはもう私自身も強く認識しております。こうした公害が再び起こってはならないし、起こしてはならない、そういう気持ちで万全を期さねばならない、行政としてもそう取り組まねばならないと改めてその裁判の結果感じました。
 ただ、水俣病の発生、拡大に関して国家賠償法に基づく国の責任が認められたことにつきましてはさらに上級審の判断を仰ぐことが適切であると関係省庁と考えた結果控訴した次第でございます。
#331
○沓脱タケ子君 真摯に受けとめて対策をしていきたいと思っておられるけれども控訴をした。大変矛盾しているんですね。これは、今は正確な表現をお使いにならなかったんですが、衆議院での論議の中で長官は、行政としての責任は感じておりますということをたびたび御答弁になっているんですね。私それを拝見していて思ったんですが、行政の責任を感じていると言われるのは一体何なのか。これは、この悲惨な被害の発生、拡大を食いとめることができなかったという、こういう点の行政の責任なのか。あるいは被害者をまともに救済することがこの長い間にできなかったということについて行政責任を感じておられるのか。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
あるいはその他何かあるのか。それを一遍聞いておきたいと思っております。――いや違う、部長じゃない。これは長官のお言葉でございますから長官に御答弁いただきたい。
#332
○国務大臣(稲村利幸君) 法律的には国の責任はない、こういう判断でございますが、国に対する損害賠償を求める第三次訴訟は現在福岡高裁で係争中であります。行政としての責任は感じておると私が申しておりますのは、国民の健康を守れず水俣病が発生したことは遺憾である、水俣病の認定業務の促進に一生懸命努めねばならない、そういうことでございます。
#333
○沓脱タケ子君 確かに国民の健康を守れなかったし、認定業務も大変なひどい状況になっている、こういう点に行政責任をお感じになっておられると。
 そこで私、控訴をされたということを承知の上で聞きますが、まず、判決で国と同様に責任を問われましたチッソの社長それから熊本の県知事のそれぞれ、チッソの社長というのは率直に責任を感じて謝罪していますね。これは珍しいですね。この問題を一日も早く解決することは当社の希望でもありますと。それは最初から加害者ですからそう言うのは無理ないけれども、しかし十数年ぶりに被害者の前にあらわれて謝罪をしておるわけです。それから熊本県知事も、全面解決に向けて最大限の努力を払うということを被害者との話し合いの中で明確に述べておられるわけです。
 そういうふうに責任を問われているところがそれぞれ被害者に対して謝罪をし、そして早急に解決をしたい、そのための努力は払うというふうに言っておられるんですが、同じように責任を指摘されている国も、率直に責任を認めて被害者に謝罪をして、全面解決早期実現のために腹を決めて対処する、そういうことぐらいは言えないんだろうか。これはやらぬのですか、その辺はどうです。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
#334
○政府委員(目黒克己君) 先生の……
#335
○沓脱タケ子君 大事なことになったら長官言わないな。一番大事なところを聞いているんです。
#336
○政府委員(目黒克己君) 私の方が先に事務的に御説明を申し上げます。
 水俣病の問題が公式に発見されて以来三十年ということで、御指摘のようなことがあったわけでございますが、この問題につきましては大変複雑な経緯もございますし、多くの問題点も抱えてきたことも事実でございます。また、私どももできる限りの努力をいたしまして認定業務の促進、それから、医学を基礎として救済すべきは救済するという立場から努力をしてきたわけでございますが、先ほど来御議論にありますように、残念ながらこの未処分者が多い、あるいは認定業務が進まないということもあるわけでございますが、私ども現在もさらに努力を続けているということでございます。なお、この今のような状況が私はいいとは思っていないわけでございまして、極めて残念であるというふうには思っておるのでございますが、なお私どもこの状況を踏まえて努力をしてまいりたい、このように感じておる次第でございます。
#337
○沓脱タケ子君 それはいろいろおっしゃるけれども、私が国会へ来てこの問題論議を始めてからでももう十数年になります。これは、きのうかおととい起こったことやったらこれから努力をいたしますと言うたら大体済むんですわ。私が知っているだけでも十四、五年。長官、こんな、公式に発見されてから三十年も過ぎて数万の被害者が出ておって、なお認定業務の中で申請滞留者が五千五百を超すというふうなことが今なお続いているという、こんな姿というのは行政上当たり前の姿だと思いますか。私はこれは大変なことだと思うんだけれども、どうですか。
#338
○国務大臣(稲村利幸君) それは先生の御意見のとおり当たり前の姿ではありません。これは大変気の毒な状態で、行政もできる限り早く未処分の患者の認定を進めなければならない、関係県、自治体、省庁と本当に今一生懸命協議中でございますが、先生の長過ぎるという御指摘も十分踏まえて努力をさしていただきたいと思います。
#339
○沓脱タケ子君 それは同じことを何千言うとってもあかぬ、私はそんな感じがするんです。というのは、これ、こんなにひどいことにしないことはできたんです、行政権限をもってすればね。私はそのときの言いわけをいろいろ聞こうと思っていない。
 しかし、歴史の現実を見てごらんなさい。昭和二十年代の後半には猫が狂い死にをするというところから始まって、魚が浮くというところから始まって、三十一年には公式に発見をされた。三十四年には食品衛生調査会が原因は有機水銀化合物だということを厚生大臣に答申をした。そのころは環境庁なかったから厚生大臣に答申をしている。少なくともこの時点で工場排水をとめ、そうして汚染された魚をとらせない、食べさせないということをきちんとやれば今日のこの被害の広がり、深刻な状況というものはもっと未然に食いとめることができたはずですわ。とりわけ、その後昭和四十年に公式発表されました新潟の第二水俣病、この発生だって起こらなかった、防げたはずです。第三、第四の水俣問題も防げたはずです。
 これはもう今日では、その時点のあれこれいろいろ言いわけをなさってもこれは厳然たる歴史の事実になっていますよ、明確ですよ。したがって私は、行政として犯した誤りというのは、誤りは大変なことだけれども、しかし、犯した誤りを行政の責任として後始末をするというのは当たり前だと思うんです。とりわけ人間の命と健康、生活、もう町まで破壊するという事態になっているんですからね。こんなことは、判決をいただくまでもなく、少なくともこの歴史的な事実を見たら環境庁としては独自に積極的な対応をしなくちゃならない、そういうときだと思うんですけれども、どうですか。
#340
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点、私どももこの認定業務が進まないということについては、先ほど大臣からも申し上げておりますが、大変残念なことであるわけでございますけれども、私どもこの認定業務の推進についてはさまざまな形から努力をしているところでございます。
 特に、一昨年あたりから、二百五十人・二百人の体制と通称申し上げておりますけれども、二百五十人毎月検診をし、二百人の審査ができるような体制を組んで処分の推進ができるようにするというふうなことで努力をいたしております。またそのほかに、御所浦に新たに検診センターを予算化して六十一年度から始めたわけでございます。またそのほかに、この水俣病の研究センターを充実する等々のことをやりまして、現在では相当数の処分を行うことが可能になっておりまして、今推進をされているところでございます。
 しかしながら、御指摘のようなことにつきましては、先ほど未処分者が多いという理由についてお話はいたしましたけれども、幾つかの要件がございまして、その多くのものはだんだんと解消されているわけでございます。一つは申請者が多いということ、もう一つは再申請者が多いということ、それからもう一つは、今はほとんどなくなりつつあるわけでございますけれども、私どものPRあるいは信頼感等の点ございましたけれども検診拒否の問題があったということ等々がございましたが、今そういうものが取り除かれつつありますので、今後私ども努力をいたしていくことによりまして一日でも早く解決ができるのではなかろうかと、このように考えているところでございます。
#341
○沓脱タケ子君 その処分のスピードを速める条件ができたということと被害者の救済が被害者の要求にこたえて実現していけるというのは違うんですよ。処分早うするようになりましてたくさん棄却しました、保留しました、皆該当せぬように処理しましたと、これやったらあかんですね。棄却された人は、やっぱり私は水俣病やと何遍でも繰り返し繰り返し申請するのは当たり前ですよ。その事態を解決しなきゃならない、そのことを私は申し上げているんですよ。スピード速うなったから何とか片がつきますと。片のつき方が問題なんだ。これは時間の都合があるから余り立ち入って言いませんが、そこは非常に大事な問題です。だから、速うスピードを上げられるようになりましたからまあしばらく見てくださいではあかん。その点だけは申し上げておきます。
 とりわけ私責任の感じ方というのが極めて弱いんじゃないかなと思うのは、これは通産行政だとか、当時の経済企画庁などの工場排水の規制の問題です。ちゃんと規制しなかった、あるいはわざわざ排水口をかえて漁民をごまかすようなあほなことして余計汚染を広げるというようなこともやってますよね。これは私も現地を見て知っています。そういうことについても責任を感じなきゃいかぬ。
 厚生省だってそうですわ。食品衛生行政だって随分これひどいなと私思うんですよ、歴史的に見たら。その時点時点ではいろいろ言い分はあるかもしれませんが、歴史的に見たら、三十一年の五月に水俣病が公式発見されたでしょう。三十二年の二月に熊大研究班の報告で水俣湾内の漁獲禁止が必要だという結論が出て、その同じ年の八月に県は食品衛生法の適用が必要だということで厚生省へ要請に行っているんです。ところが、何と驚いたことに、厚生省は適用はできないといって拒否回答をしておる。魚を食べないようにしたらよいというんですよ。しかし、水銀に汚染された魚に色でもついてたらこれはあかんな、色がついて
ないがらこれは大丈夫やなど一般の国民は選別できますわ。しかし色もにおいも何にもついてないんです。そんなもの食べないようにしなさいと言って、とるのは御自由、販売も禁止もしない、これはひどいなと思います。しかも、三十四年の十一月には食品衛生調査会が水俣病の原因は有機水銀化合物だと大臣に答申をしているのに、その調査会の水俣食中毒特別部会を翌日どんな事情か知らぬけれども解散さした。
 いろいろとあると思います。これ細かいこと聞こうと思ってないんですが、こういう経過というのは今日のこの重大な事態を起こしてきた責任だと思うんです。これも厚生省は、これは大臣と違うから気の毒だけれども、それは判決で言われるまでもなく、歴史的経過を見たら責任の重大さ感じて対応するべきだと思うんですよ。どうなんですか、厚生省。
#342
○説明員(大澤進君) この水俣病につきましては、私ども大変患者さんはお気の毒な状態にあるというふうに認識しております。
 当時、私どもも水俣病の原因究明に全力を挙げて取り組んでいた状態でございまして、当時確かに先生御指摘のように県から照会もあったわけでございますが、食品衛生法を直ちに適用できないと、こういう判断をしたわけでございます。こういう当時の点につきましては法的にいろいろ議論が、議論というか裁判の上ではいろいろな考え方があるわけでございますが、私どもの考えといたしましてはそれは法的には適用はできないと。例えば、魚をとるとかあるいは農作物を収穫する、こういう漁業とか農業というのは一般に食品衛生法の営業の対象になっておりません。そういう意味でこの適用はできないということ。
 あるいは無自体も有毒有害ということをはっきり特定したり、あるいはそのレベルがどの程度あるということも、当時もちろん原因物質もわからないという状態であって食品衛生法そのものを発動したり適用するという状況になかったと。しかし、障害のある方が出ておるというようなことで魚の関係が当時疑われておったわけでございますから、県に対しては、接触しないよう行政指導をするように指示をしたところでございます。
 いずれにしましても、この裁判の結果につきましては、私どもも検討した上で、やはり判決そのものにつきまして事実認定なり法令の解釈上私どもとしては納得しがたい、こういうことで控訴しているところでございます。
#343
○沓脱タケ子君 詳しく言う時間もないからあれなんだけれども、今日こういうことが歴史的に明らかになってくれば、だれでもわかるんだから責任を感じるということがあって当たり前なんですね。それは裁判で争うんで控訴はしていると。しかし、少なくともあのときにこうすればよかった――確かにこれは後の祭りだけれども。今日の段階でなすべきことがありはしないか。今だって有機水銀の量が基準以上の魚は大分出ているでしょう。これはデータでは出ていますわ。それでも自由にしておるわけですね、締め切り網か何やらしてあるから。ヘドロのあれは大丈夫や言うけれども。私もあの締め切り網というのを見にいったけれども、魚はやっぱり自由に出入りしますが、網の目から。それで船の通る二百メートルぐらいかあけていますわな。ここだけはお魚はお通りになりませんということにはならぬ。自由に通っている。
 その点ではこれは私ども民間の医療機関の熱心な医師が調べていますわ、十年の経過を見て。やっぱり微量水銀の汚染がどんどん蓄積をしてきているというデータが出ていますよ。そういうことがわかれば私は厚生省はなすべきことがあるのではないかと思うので、その点についてはぜひ責任を感じたら感じたように対応をしてもらいたい。そのことを要請したい。それは御答弁できますか。できたらしてください。
#344
○説明員(大澤進君) 魚は自由にもちろん泳いでいるわけでございますが、この事件が起こった後、正確には私も年次を覚えておりませんが、魚の水銀に対する基準も設定いたしまして、市場に出回る魚については定期的に調査して、基準を仮にオーバーしていればそれは市場に出回ることを禁止する、回収するあるいは廃棄する、こういう指導をしているわけでございます。私ども直接にその魚については所管はしておりませんので細かく具体的に申し上げられませんが、毎年の定期的な調査では、格別に市場に出回っているものについては超えているものがあるというぐあいには承知しておりません。今後ともこの体制というものは引き続き取り続けて、市場にそういう基準を超えるものが出ないよう努力してまいりたい、かように考えております。
#345
○沓脱タケ子君 それで責任の問題というのは、責任を感じて対処するということが大事なんですね。この悲惨な実態の問題なんですが、私これはやっぱりひどいなあと思うので、さっき長官は当たり前の姿やとは思わぬとおっしゃっておりましたが、これが当たり前の姿だと思わぬということであれば、何でこういう悲惨な事態が起こってきているのか、行政の責任として少なくともやっぱり考えなきゃならぬ段階に来ているんじゃないですか。だって長過ぎますものね。
 それで、私は幾つかを指摘しておきたいと思うんですが、ぜひ考えてもらいたいと思うんです。
 一つは、裁判の判決でたびたび判断基準が狭過ぎると指摘を受けているでしょう。しかもこの間の判決では、行政認定では棄却をされた人が判決で認定をされている。特に第三次訴訟では七十人が全員認定されていますね。行政処分ではそのうち三十人は棄却されている。そういう矛盾というのが現実に出てきているという問題ね。こんなことは行政の側として恥ずかしいことと違うんかなあと思うんですよ。
 もう一つは、申請中に亡くなった方が千二百五十四人かな、いただいた資料だから間違いないでしょう。それで死亡後認定が二百三十六人ですね。そのうち病理解剖の結果認定をされたのが、元ほどのお話にもありましたが百六十六人。その病理解剖の結果認定をされた百六十六人のうち棄却経験のある人、再申請者ですね、この人が二十一人おるようですね。これやっぱり、いろいろ論議されましたから私多くを申し上げませんが、被害者が認定申請をしている間に、何年も待って死んでしまう。生きている間に処分してあけられないで死んでしまう。亡くなって病理解剖をやって、脳やら臓器を切り刻んでそしてやっと認定をするというようなことをせないかぬというのは、よほどこの認定業務の行政水準というのがひどいことになっているなということを典型的に示しておると思うんですけれども、どうですか。私はそう思う。
 もう一つは、私はこれはえらいことになってきたなあと思うのは、だから、行政認定に期待を住民、被害者が持てなくなってきてどんどん訴訟に踏み切られる方がふえてきているということですね。今訴訟に踏み切っておられる方が千三百人超していますね。
 私、たまたま三つの例を挙げましたけれども、このどれを見ても、環境行政に責任を持つ環境庁としてはみずからの無能、無力ぶりを露呈しているということを感じないですか、本当の話。これは実に残念だと私は思うんですよ。少なくともここまで状況が追い込まれてきたら、やはり被害者の全面解決への抜本策を本腰を据えて本気で取り組まなきゃならない段階へ来ているんだと思いますが、いかがですか。
#346
○政府委員(目黒克己君) 死亡後の認定、解剖によって初めてわかるという前段のことに関してでございますが、先ほど来御議論いただき御審議いただきましたように、なかなかこの解剖ということについては難しい問題もございます。それから……
#347
○沓脱タケ子君 そんなこと聞いてないんや。私の問いに答えてください。もうそんなのは要らぬねん。
#348
○政府委員(目黒克己君) それで、それと、二番目が司法と行政の認定の差についてでございましたが、この司法と行政の認定の差と申しますもの
については、これはやはりそれぞれの判断のもとに行われているものでございまして、私どもの方といたしましてはやはり行政側が慎重に対応していたということでございます。また、司法の方の御判断は御判断としてあるわけでございまして、この点につきましては今後の裁判の推移を見ながら判断してまいりたい、このように思っているのでございます。
 それから、生存時に棄却になってそして認定された者、この問題については先ほど来申し上げたとおりでございます。やはりできるだけ早く処分をすることが肝要であろうということでございまして、先ほどの処分を早めることだけじゃないというお話、おっしゃるとおりでございます。処分を早めることだけじゃないが、しかし早く処分してほしい、この両方の面がございますので、その辺を随時努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから、行政認定の裁判の問題でございますけれども、やはりこれにつきましても、係争中の問題等もございますし、私どもの方としては今の行政認定を着実に進めていくという方向をとっていくということでございます。
#349
○沓脱タケ子君 私ね、その一つ一つに答弁してもらおうと思って言うたんじゃないんです。こういうふうな状況が各分野から出てきている。これは環境庁自身の能力が問われている。もっと端的に言うと、恥ずかしいことやないかなと思うんですよ。目黒部長はお医者さんでしょう。私も医者の端くれだけれども、こんなことが出てきて恥ずかしくないかなと思いますよ。そういう大変な無力ぶりをいろんな形で、司法の面から、住民の告発から、あるいは亡くなった方々の解剖による認定からというような、本当に血の出るような姿でどんどん無能ぶりを突き上げられている。本当に環境庁としては恥ずかしくないかと言いたいですよ。そのことを言っている。だから、そういう点ではぜひ、冒頭に申し上げたように本当に裁判のいかんにかかわらず、本来この事態を解決をして、全面解決の道を行政の責任としてやるべき段階へ来ている。その点の決意があるかどうかというのを長官から聞きたい。決意だけでよろしい。
#350
○国務大臣(稲村利幸君) 水俣病につきましては今なお解決するに至っていないことはまことに遺憾でございます。しかしながら、水俣病問題は複雑かつ経緯のある問題でございまして、多くの問題を含んでおるだけになかなかすっきりいけないという苦しい状態に置かれておりますが、今後とも、関係する県や省庁と一生懸命この問題に取り組んで解決の方向で努力していかなければならないと思います。
#351
○沓脱タケ子君 もうほんまにお経読むみたいに言ってくれているんじゃ頼りになりませんがな、実際。だから、この調子ではすぐに片がつくように腹が決まるとも思わぬのですが、しかし早うやらぬとあかんですよ。被害者は高齢化しています、被害者は全面解決を一日も早いことを望んでおられます、切実に望んでいます。同時に、肉体的苦痛というのにもう毎日毎日さいなまれている。したがって、その苦しみから少しでも逃がれたいということで医療要求が大変強いわけですね。せめて安心して医療が受けられるようになりたいというのが一番強い御要望なんです。これを強化する体制がとりわけ今日では必要だと思います。
 時間がもうなくなってきたので詳しくお聞きできませんが、既に同僚委員からも御質疑がありました特別医療事業、これはいろいろ矛盾もあるように思いますけれども、しかし、被害者の要求にはこたえられる部分があるわけだから、私は、この特別医療事業というものを少しでも充実をする、拡充をするということが大事だなと思うんです。多くを申しません。
 ところが、はり、きゅう、マッサージというのが除外されているというのが大問題になっているんですね。朝から答弁聞いていてようわかっておるんだけれども、いや経過見ているとか、まだ始めて一年やとかといっておっしゃる。私、目黒さん、やっぱりあなた医者なんやからね、ちょっと考えてほしいと思うんです。何でいったら、水俣病は治療方法が確立されていない。そうでしょう。治療法が確立されていないときに医療を施す場合に対症療法は必要なんです。はり、きゅう、マッサージなどというのは対症療法として患者から歓迎されているわけでしょう、実際には。だから、本当に被害者の要望を入れて少しでも対応しようというんだったら、この要求にこたえるということは大事だと思います。同僚議員の御質疑に対しても、積極的にということやったかどうかしれぬけれども、前向きな御答弁になっておられますがね。あなた医者の立場で判断をしたら、これは何としてもやったらにゃいかぬというふうになってもらわにゃいかぬと思うんですが、いかがですか。
#352
○政府委員(目黒克己君) 特別医療事業の特にこの拡充の中でマッサージ、はり、きゅうの問題については再々御議論をいただいたわけでございます。簡単に申し上げますけれども、これについては、通常の健康保険の範囲内のものについてはもう今でも私どもの特別医療事業の中で認めているわけでございます。ただ、御指摘のものについては、さらに健保の点数にがさ上げした、特別のはり、きゅう、マッサージについて上乗せをしてほしいと、こういう御要望が非常に強いわけでございます。これはむしろ、はり、きゅう自体が効く効かないということよりもその上積みをするかどうかというところに焦点があるのでございます。
 したがいましてこの辺につきましても、先ほどお返事申し上げましたようにこの推移を見ると。おしかりを受けるかもしれませんが、まだ一年でございますので推移を見ると同時に、熊本県等の意向も聞きながらこれ慎重に対応したいと、こういうふうに考えているのでございます。現在の時点ではそのように考えておるのでございます。
#353
○沓脱タケ子君 熊本県の意向を考えるといっても、熊本県は国が腹決めてくれるならいつでも充実したいと言っているんです。だから、これちょうどいいんですわ、概算要求の時期でもありますしね。環境庁が概算要求でだっと踏み切るということにしてもろたらいいわけです。これはもう熊本県は喜んで同調しますからね。ぜひそうしてもらいたいと思いますが、いかがですか。新聞によると概算要求では要求せぬというようなことが書いてあるけれども、状況変わっているでしょう、だからぜひそうしてほしい。
#354
○政府委員(目黒克己君) この件につきましても現在の時点では私どももう少し見守ってまいりたいと、このように考えておるところでございまして、私ども、この重要性とか必要性それから関係者の方々のお考え等々も十分受けとめておるのでございますが、いかんせん、現在の時点ではもう少しお時間をいただきたいというところでございます。
#355
○沓脱タケ子君 それで、もういよいよ私の持ち時間なくなってきたんで最後に一つ聞いておきたいと思いますが、実は、去る七月に大阪で県外居住者の被害者の検診がなされたということが報道されましたね。八十二名受診をされて五十三名が水俣病と診断をされた。九人は水俣病の疑いがあるというふうになったそうですね。これはやはり専門医が来てやったそうですわ。特に水俣で長い間水俣病患者の診療に当たってこられた先生方が御参加をされてやられたもののようでございます。
 私ここできっちり聞きたいと思ったけれども、この県外移住者の被害者対策というのは非常に大事だと思うんです。なぜかといいますと、これはあなたのところでつかんでいたらお教えいただいたらいいんだが、私どもの聞いておるのでは県外移住者というのは、水俣病の最盛期から二十数年の間に約五万人ぐらいは流出しているであろうと。まあ、出ていかにゃしょうがないんだな。もう体の調子が悪くなって漁師はできない、だから大阪や東京やあるいは名古屋というふうに出ていって何とか生活をする、こういうふうなことがどんどん出て流出したと。
 その県外移住者の中で八百二十六人が申請をしているようですが、私が県外移住者対策が非常に大事だと思うのは――これまた水俣での非常に高濃度汚染地域のデータを調べたのがございますが、これを見ますと、県外移住者とそこの町、例えば水俣の津奈木町赤崎にお住まいの人と申請者の率がどうなっているかというのを全部追跡調査をしているんですね。そうすると、これは高濃度汚染地域ですが、十年間居住を続けている人のデータを見ますと、申請が六〇%ですが、他県へ転出をした人の申請は三三%、特に二十歳未満の人の調査を見ますと申請者はわずか二%。もう一つの茂道というところの調査もありますが、引き続き居住している者は七二%が申請をしておる。ところが、転出者の申請というのは一六%です。
 この数字を見ましても、これは明らかに県外居住者の申請というのが格段に低いということ、それが放置されているに近い。したがって、こういう被害者に対しての対策というのが極めて重要だと思いますが、これは単に大阪と東京と名古屋で病院を指定してありますからというようなそんなことでは片がつかぬと思いますので、そういう点について御見解を伺いたいと思うんです。
#356
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の人数については、どのくらいの方が市外県外へ出ておられるかについては把握をしておらないのでございますけれども、おおよそこの二十数年間、三十年間にかなりの方が流出されたというふうに聞いておりますが、いずれにいたしましても私ども、この県外に居住している水俣市の御出身の方、あるいはその周辺を含めましてこの方々についてはできるだけの機会を通じてPRをしてきたつもりでございます。残念ながらその辺PRが行き届いていないという御指摘かもしれませんが、私どもとしてはPRをしているということでございまして、この申請をする機会と申しましょうか、そういうものについては私どもも前向きに取り組んできたつもりでございますし、今後も取り組んでいくつもりでございます。
 しかしながら、これは申請される方々のお考えと申しましょうか、これはもっと便利にというふうなお話があれば、またいろいろ御意見もあろうかと思いますが、私どもの方としてはPRに全力を注ぎながら、かつこの窓口と申しましょうか、そういう申請の窓口を広げるということでこの臨時措置法等も含めまして従来から来ているわけでございますので、その辺を御理解いただきながら私どもも努力してまいりたいと思っている点を御理解賜ればと思っております。
#357
○沓脱タケ子君 この県外居住者の問題は、私は行政としても実態把握に努めて対策を強化するということが望まれるということを特に言っておきます。
 最後に言いたいのは、これ環境庁どうなるのやろなあと心配するんです。水の汚染の最大量悪の事態の水俣病、これは長官自身がこんな状態は当たり前やないといってお認めになるような実態、えらいことですがな、水質汚染の後始末対策。片や大気汚染の方はどうやいったら、これは四十一地域の指定は解除するというようなことでもう衆議院ではその法案審議が始まっている。私は環境庁が水と大気の汚染対策をちゃんとするということ、被害者はちゃんと救済するというようなことができぬようでは存在価値なくなると。環境庁の設置法には何と書いてあるか。設置法に言う任務から言っても、その一番大事なところがもうどないも格好つかぬというような状況まで追い込んでいくようでは私は環境庁の存立の価値が疑われると思うので、そういうことにならないようにひとつ決意を固めてやってもらいたいと思いますが、長官、最後に一言。それで終わります。
#358
○国務大臣(稲村利幸君) この患者に対しましては、これはもう救済すべきは救済するというこの基本方針を守って頑張りたいし、公害を防止する、健康を大切に守る環境庁の使命に徹していきたいと思います。
#359
○近藤忠孝君 今この委員会では、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法とそれから一般質疑が並行して行われております。私は、水俣問題が極めて重大課題をたくさん持っているときに、それを一日だけの審議で済ますこと自身が大変な問題であると思いますし、それでは国会の責務を果たせない、ましてや一般質疑もあわせますことはとんでもないことだということを委員長並びに各理事に申し上げたわけです。だからといって質問をしないわけにいきませんし、質問しないと喜ぶのは向こうの方ですから、仕方なしに一般質疑と水俣関係の両方をやります。
 まず一般質疑の関係では、先ほども小川議員から指摘があったブナ原生林であります。当委員会でも昨年の今ごろ白神山地に行きましたし、私もその後今度は青森側から見てきましたし、それからことしの七月七日に葛根田、それからつい最近に長野の鍋倉山に行ってまいりました。というのは、ブナ林がどんどん切られて大変無残な状況になっておってあと本当に残り少ない状況なので、そこで大変だということが起きている、これが現状だと思います。
 そこで、時間ないんで端的に申し上げますので端的にお答えいただきたいんですが、この葛根田の第五次地域施業計画では二百五十ヘクタールの漸伐とされています。これは地域施業計画書の七十七ページによりますと、この「漸伐」というのは「従前、皆伐天然下種更新として実行してきたところであるが、」「ブナ皆伐天然下種更新の実際は、母樹保残による主伐と更新完了後の母樹の収去とによる伐採が二回に行われるのが大宗である。」「従って、皆伐作業というよりも、主伐を数回に分けて行う漸代作業の範ちゅうに入るものと考えられるので、今後の取り扱いは、ブナ広瀬伐天然下種更新とする。」と。要するに皆伐だと余り名前が格好よくないんで漸伐とするというようなことだと思うわけですね。私も今言ったとおり七月七日に葛根田の現場を見てきましたけれども、これは先ほども指摘もありましたけれども、これ、百七十三村班のブナ八〇%その他広葉樹一〇〇%、皆伐のところですが、平均八二・三%という伐採率ということなんです。
 しかし、見てきましたが、ここに写真もありますけれども、どこにも母樹がないんです、はるか向こうにはあるけれども。要するに母樹があって、その周りに落っこちてそれで生えてくるというんですが、一体母樹はどこにあるのかと聞いたら、確かにないんで、そこの営林署長もここは刈り過ぎたと、全部このように見られたんじゃ困ると言うんですがね。実際、今までだれの目も届かないところでこういう刈り過ぎが行われてまいったと思うんです。私は、こういう状況が進みますと、今二百五十ヘクタールですが、全部で一千百十ヘクタール、ここに伐採ののこが入ると、大体標高千メートル以下のところはこの場合は原生林としては完全消滅してしまうんではないかと思うんですが、その辺どうですか。
#360
○説明員(塚本隆久君) 御指摘にございましたように、この地域の更新につきましては皆伐母樹保残木施業を行っておるわけですが、一部につきまして、例えば集材架線の下でありますとか、あるいはこれを張りかえる際に移動した場所等につきましては母樹が存在しない地域があることは御指摘のとおりでございます。私どもも、今後このような状態にならないように母樹の保残等について十分注意しますとともに、標高等につきましてもそれなりの考慮を払いまして跡地の更新について適切に実施をしてまいりたいと考えています。
#361
○近藤忠孝君 母樹がなければ結局天然更新はしないんですからね。そういう刈り方だったわけで、大変これ大事なことだと思います。
 それから、林野庁はよく経済性、経営の問題を言うんですが、しかし、採算面でどうなのかというんでここをちょっと計算をしてみますと、現地でも聞いたことですが、林道開設に要する費用は一キロ当たり大体二千五百万円から三千万円、十三キロですから三億五千万円、その他含めて約四億ぐらいかかるんですね。それからブナ材の販売価格は、さっきも話あったけれども、一立米当たり八千円から一万円ですから、七万四千立米伐採
するとして約六億からうまく売れても七億ちょっとですね。このほかにこれの集材費とか運搬費、あるいは治山ダム、これ一基やりますね、これを見込みますと、大体収入の四分の一程度しか残らないんです。二億そこそこですわね。要するに四分の三が経費に消えちゃう。
 言いかえますと、まさしく日本で言えば二番目に大きな原生的ブナ林でしょう。残り少ないものですね。それが全部消えちゃって、わずか二億です、残るのが三億といえばその辺の土地一坪か二坪分ですわ。こんな非経済的、またそのブナ林を刈ってしまえば、保水の面とか災害の対策、その他の建設省から出る金は大変なものですよ。こんなことを本当にやっていいのかどうか、経営の問題を言うんだったらね。どうですか。
#362
○説明員(塚本隆久君) この地域につきましては、択伐を主体といたしましてブナ林を再びブナ林として育成していく、その中で収穫を得ていくということを基本といたしまして施業をいたしておるわけでございます。収入の面からすれば、今御指摘にありましたようにそれほど多額の金額にはならないわけでございますが、この材を伐採することによりまする地元の就業を通じての各種経済効果、あるいはこの材を製材をするあるいはさらにそれを加工するといった波及効果等を考えますれば、当該地域の伐採によって地域が受ける経済的効率というものはそれをかなり上回るものがあろう、このように考えております。
#363
○近藤忠孝君 じゃ、要するに伐採をする仕事を確保するために木を切っちゃうということじゃないですか。そういう点ではそのこと自身が独立採算制に問題があるんですがね、林野行政の。そのことも含めて抜本的に考え直すべき時期だと、こう思います。そういう考えで進んだらそれこそ取り返しのつかないことになるということを指摘しておきたいと思います。
 それからこの地域は、特定植物の問題あるいは天然記念物等々大変大事な場所であることも指摘もありましたし、それから土質が大変弱いですから、そういう意味の保水の面でも大事だということも指摘されたんで、これは省略します。そこで質問は、この葛根田ブナ林の生態系の全体を対象とした科学的、総合的な学術調査を実施すべきじゃないかということであります。その際、これは知床でも問題になりまして、伐採を合理化するのに役立つような調査で、調査団の人も大体初めから結論がわかるような人々を集めているとか、そんなようなことで批判を浴びてきましたけれども、私はそうじゃなくて、本当に客観的、科学的な評価が出るようなそういう調査をすべきではないかと思いますが、その点。
 そして、岩手県知事が青森営林局長あてに「葛根田川流域国有林の森林施業について」という文書を出しまして、ともかくきっぱりと、しっかりした調査をせよということを指摘し、そして伐採箇所等を見直すべきだと、こういう指摘もしておりますね。県知事たる者がこういった大変厳しい態度を示されたということは私は林野庁にとっても大変重いことだと、大変重みを感じているんじゃないかと思うんです。そういうしっかりした調査をせよという指摘がありますが、その点についての林野庁の見解を聞きたいと思います。
#364
○説明員(塚本隆久君) 岩手県知事からは、六十二年六月二十九日付をもちまして、葛根田流域の森林施業に当たっては、必要な調査を実施するなどして伐採箇所及び伐採方法を見直すなどよりきめ細かい森林の取り扱いを行ってほしいという旨の要望書が提出されております。私どもとしましては、この要望書の趣旨についてはできるだけ尊重してまいりたいと考えておりますが、林野庁独自でこの調査を行うかどうかにつきましてはもう少し検討さしていただきたいと考えております。
#365
○近藤忠孝君 これは本当に前向きに検討しないと大変な、国全体の財産がなくなることだと思います。
 それから、先ほども指摘がありましたこの地元の国有林材生産協同組合、略して国生協と申しますが、ここに売却した立木の問題です。先ほど指摘もありましたけれども、私たちこの協同組合の幹部に会っていろいろ話をしてみたんでず。そうすると、確かに仕事がそこではできないということは大変残念がってはいるんだけれども、しかし、じゃ、買ったこの土地のこの木を切りたいのかと言ったら、そうじゃないと言うんですよ。別にそこの木じゃなくてもどこでも、ほかで仕事があればよろしいと、だから、地元の皆さんはちゃんと仕事があれば何もこんなブナ林、これほど今問題になっているブナ林を切ろうなんということは一つも思ってないし、逆に言っていました、営林署の役人はすぐかわっちゃうんだと、我々はずっと地元にいるんでやっぱりいい森林残したいと。これが本音だと思いますね。
 となりますと、この問題、私は何もここを切らなくたって問題は解決すると思うんで、地元の皆さんの仕事をさっき言ったとおり確保することが大事ですからそういう意味で確保するが、この問題と地元の仕事の問題とは分けてひとつ対処してほしいと思うんですが、どうですか。
#366
○説明員(塚本隆久君) この葛根田流域につきましては、これまで林業を通じまして地元の雇用創出等に役立ってきたわけでありますが、また一方ではブナ林の保全等に対して強い要請もある地域でございます。こういった中でどういう形で地元の雇用というものを維持していくかということは非常に難しい問題でありますが、先生御指摘の点も踏まえまして今後いろいろ知恵を出してまいりたいと考えております。
#367
○近藤忠孝君 ぜひ地元の皆さんのためにも考えてほしいと思います。
 それから次、環境庁ですが、この伐採予定地域は十和田八幡平国立公園の第三種特別地域に指定されて、第二回自然環境保全基礎調査でもこの地域のブナそれからチシマザサ群落については大変原生性の高いという評価をしておるわけです。やっぱりこれを保全することが環境庁の仕事だと思いますが、環境庁長官は、農水省に対して伐採それから林道開設計画の中止を申し入れるべきじゃないかというのが一つ。
 それから、第三種だからどんどんやられちゃうんですが、これを少なくとも第一種特別地域に格上げするよう林野庁と協議をすべきではないか。
 それともう一つは、長官自身が知床行ったんですから、ここはもうちょっと近いですから、まだ任期ももう少しありますのでひとつ行って、この重要性をしっかり自覚され、そして次に引き継いてほしいと思うんですが、この三点についてお聞きしたいと思います。
#368
○政府委員(古賀章介君) 第一点の中止の申し入れでございますけれども、これにつきましては、自然公園法上許容される範囲内のものにつきましては許されるということでございますから今直ちに中止というのはいかがなものかというふうに思うわけでございます。
 それから第二点の格上げの問題でありますけれども、公園計画の見直しにつきましては現在地元におきまして関係機関と調整中でございます。今後もよく相談したいと考えておりますけれども、地種区分の変更などの公園計画の変更につきましては、これも午前中に御答弁申し上げましたが、他の公益との調整、関係行政機関との協議が必要でございますのでいろいろ難しい問題があることをぜひ御理解をいただきたいというふうに考えております。
#369
○近藤忠孝君 格上げについては検討するということでしょう。難しい問題はあるけれどもそれを乗り越えて検討するということでしょう。この間言ったのは大体そんなような回答だったんじゃないですか。
#370
○政府委員(古賀章介君) これは見直しの作業の中におきましていろいろ御相談を関係行政機関とするわけでございますけれども、今申し上げましたように三種から一種への格上げというのはなかなか難しいのではないかという考え方を私どもは持っております。
#371
○近藤忠孝君 それは難しい問題はあるけれども、だから長官ね、二種にとどめるところを一種
にすべきかどうか、やっぱり現地に行って見てほしいと思います。要望しておきます。
 あと残された時間水俣の問題に入りますが、先ほど渡辺議員から要望があったように、やはり水俣の現地へ当委員会として行くことを私も強く要望しておきます。
 それから、まず提案者の福島議員に質問いたしますが、先ほどからのこの臨時措置法の実効性がないという点、これは衆議院の質疑以来ずっと指摘をされてまいりました。いろいろお答えもあって、その理由についても回答があったんですが、衆議院でこういう指摘がありました。
 要するに、これは趣旨が徹底していないからじゃなくて、患者の皆さんが制度をよく知っているから逆に申請しなくて実効性が上がらないんだと。大変厳しい批判ですね。これについては提案者としてどうお考えですか。
#372
○衆議院議員(福島譲二君) 先ほども当委員会で御質問があったわけでございますが、やはり地域住民の皆様方としては、一番生活に密着しておる市町村あるいは県、国、そういう順番で縁の遠い存在になっておるんではなかろうかと思っております。であるがゆえに公健法でも認定審査会は県の業務といたしておるわけで、そういう意味で、どうしても何となく国の認定審査会というものは県の認定審査会に比べて縁遠い存在である。あるいは場合によっては認定審査そのものが大変厳しいんではないかなと、こういうような御懸念をお持ちになったのもまた自然の人情ではなかろうかなと思っております。
 ただ結果的には、先ほどもお答え申し上げましたように国の方が厳しいというそういうことでは決してないわけでございまして、その辺も十分に御理解をいただき、あるいは御理解をいただくだけの国、県としての努力もいただきながら、今回お願いを申し上げましたこの国の認定審査会も十分に御活用をいただくように提案者としては希望いたしておる次第でございます。
#373
○近藤忠孝君 これは単に、実効性がないだけではなくて、認定をむしろ切り捨てていくものだと、そのための対策の一つだという立場から一貫して反対してきたということを私はこの際申し上げたいと思います。
 次に、司法認定と行政認定の問題でありますが、今まで裁判三つありまして、第二次訴訟控訴審判決で認められた者四、しかし行政認定はだめと。それから水俣認定申請棄却処分取り消し訴訟判決でやはり四人患者が認められていますが、これも行政認定ではだめと。第三次判決では七十、しかしそのうち行政認定わずか五で、棄却は三十、未処分三十五というこういう状況で、行政認定と司法認定の間に大変な乖離があるわけですね。この食い違いをどうするのかという問題です。
 衆議院での目黒部長の答弁は、これは個別問題だから個別の問題として県と相談して検討していると言うんですが、これはどういう検討をしているのか、検討の中身をお示しいただきたいと思います。
#374
○政府委員(目黒克己君) これはやはり裁判にかかわりますものでございますので個別にいろいろ争点となったところがあるわけでございます。基本的に申し上げますと、全身病であるかどうかとか、それから神経疾患であるかどうかとかいう基本的な物の考え方から、さらに病状の判断の仕方とかそれから個別の審査の状況とかいろいろあるわけでございます。また、裁判の方でどうしてそういうふうな判断に至ったかという経過もございます。そういうふうなものを個別のものにつきまして私ども現在検討をいたしておるところでございます。
#375
○近藤忠孝君 個別に検討していると言うが、実際検討しているんですか。実際これ再申請しなきゃ検討しようがないでしょう、行政として。どうなんですか。
#376
○政府委員(目黒克己君) 特にその中で、裁判に出たものでございますので、そういう個々のものにつきましては私どももそれなりに、裁判の結果を受けとめながらその個々の事例について私どもの立場として検討いたしておるのでございます。これは御指摘のように、申請をしたものはもうこれはデータが入りますから、これは私どもの方のデータもあるわけでございますからそういうものについては容易にいろいろ検討が可能でございますが、私どもの方のデータがなくて裁判の方だけということになりますと、この裁判の方で主張し取り入れたものについて私どももやはり私どもの観点からこれに取り組んでいく、こういうことを申し上げたのでございます。
#377
○近藤忠孝君 これは再申請していない者についても現実に検討している、こう聞いていいんですか。そして問題は、検討した結果やっぱり行政の方が間違っておったという場合には再申請しなくても患者に認めてもらえるんですか。あるいはその場合には再申請もそちらから促してそして認定をするのか。そこはしっかり答弁しないと困るんですよ、今の制度上は再申請しなきゃやっぱり行政にのらないんだから。しかし、衆議院の答弁では堂々と個別の問題として県と相談して検討していると言うんだからむしろやっていなきゃうそなんですよ。どうですか。
#378
○政府委員(目黒克己君) 二つのケースがあろうかと思います。一つは、申請をしている者とそれから全然してない者とございまして、前者のしている者についてはもう当然私どももデータを持っておりますからやっております。それからそうでない者につきましては、これはやはり裁判として私ども係争中のものでございますからそれなりに裁判の係争の手続の中で、当然私ども裁判の中で個々に主張しているものもあれば主張してないものもございますですね、いろいろな病状、個々に出したものもあれば出してないものもある、いろいろなケースがございます。そういうものを中心に私どもはそれを検討しているのは、私ども裁判というものを抱えております性質上やっているという趣旨で申し上げたものでございます。その中に県とかかわりあるものもあれば県とかかわりないものがあるといったようなことで御返事を申し上げた次第でございます。
#379
○近藤忠孝君 再申請してない者については要するに裁判対策として検討しているにすぎないんじゃないですか、どうやって棄却させようかと。そうでしょう。裁判に勝つための検討であってね。衆議院の答弁では、いかにも患者のためを思うように行政認定と司法認定が違う場合には個別の問題として検討していますと、そういうふうにいかにも助けてあげるかのような答弁だけれども。裁判対策ということはあなた方は勝つためですね、そうじゃないですか。そんなのは検討にならないですよ。はっきり答えてほしい。
#380
○政府委員(目黒克己君) 一番私ども検討にウエートを置いておりますのは、申請をしていただいておる者についてはやはり私どもが何がしかのいろんな判断をしなければいけない状況も起こり得るし、また起こっているものもあるというふうなことから、やはりこれは私ども慎重に対応してやっております。
 御指摘の方の点につきましても、私どもはもちろん裁判に勝つためにやるということではございますけれども、それはあくまでも公正な立場を考えているわけでございまして、明らかに私どもの方が間違っているようなものであればそれは当然裁判の判決の方でまたそれなりの御判断が出ようかと思っておりますが、いずれにいたしましても私どもは、初めからすべてを棄却するということだけでやっているのではございませんで、真相と申しますか、この争っているものの真相はどういうことだということも含めましてそれなりの検討をいたしているということで申し上げているのでございます。
#381
○近藤忠孝君 再申請があった者についてそういう形で検討することは当たり前のことなんですね。問題は、再申請ない者について、公正にと言いましても、今までチッソに対する判決があった場合には、それは国に対する判決ではないからというんで全く無視ですね。今度は国に対して判決
があったら、行政判断と司法判断は違うというんでまた争っている。そういう行政ではなかなか信用できないじゃないかということだけ申し上げておきます。
 今度は、今後裁判認定がふえ続けます、続々と。もう行政は信頼できないから裁判に参加する人がふえていますね。今の司法の流れは、やっぱりそれに対して原告勝訴の判決を下す可能性は極めて強いと思うんです。何しろ一人、二人の裁判官じゃなくて、多くの関与した裁判官が全部環境庁の判断条件は狭過ぎるという立場ですからそういうことになると思いますね。判断としては、やっぱり裁判所の判断があって、患者となった者が多数存在する、それは行政は放置しないと。これでこのままどんどん司法認定がふえ続けた場合に放置するんですか、どうしますか。
#382
○政府委員(目黒克己君) 司法の判断と私どもの行政の判断というふうなことで分けておるわけでございますが、この大きな相違点はもとがあるわけでございます。その最大のもとは、全身性の疾患だという立場に立ってそういう仮説を肯定してあらゆる病気を診る場合と、それから私どものように全身性の疾患ではない、神経系の疾患だと限定して私ども診ているわけでございますが、その根拠等につきましては先ほど来御審議をいただきましたので省略いたしますけれども、この全身性の疾患があるいは神経系の疾患かと、この二つの争点がもう初めから分かれているわけでございますから、そこでやはりいろいろな問題が起こってくるということでございます。
 その点につきましては、私ども基本の問題といたしまして、この個々のケース以前の問題といたしましてこの点については十分私どもの主張をしていかなければいけないんじゃないかと、このように思っているわけでございます。その結果御指摘のようなことが出たといたしましても、これにつきましては、係争中の問題でもございますので私どもはこの裁判の結果というものを見てまいりたい、こういうふうなことを申し上げるということで御理解を賜りたいと思っております。
#383
○近藤忠孝君 いかにあなた方が言い分があったとしても、司法認定が重なっていくということは、しかも国が被告として重なっていくということは――法治国というのは行政は司法の判断に従うんでしょう。今のを聞いていると、いろいろ言い分があるのはわかりますよ、中身は間違っているけれども。しかし、どんな争いがあっても、腹の中は別として、司法判断が加わればそれに対して服すると、これで初めて法治国家は成り立つんです。しかもこれは行政認定はわずかで、どんどん司法認定がふえていく。これからこれは四けた単位にふえていきます。その場合に、それを放置することになりますわね、今の答弁では。それからそれ自身が大変な社会問題また政治問題、またよく言う行政の責任自身が果たせない、そういうことになりますが、それでいいのか、それともほうっておくのか。それをお答えいただきたいと思います。
#384
○政府委員(目黒克己君) これは大臣からもきょうずっと申し上げておりますように、やはり信頼関係を保つために努力をするということは私どもも今後も続けていかなければいけないと思っております。というのは、先般来御審議いただいておりますように、この基本は不信感があるから行政認定の方へ申請してこないんだと、こういうふうなお話に相なろうかと思いますので、やはりその点についてはできるだけないように努力をしていきたいと思っております。
 それから、両方申請しながらという方もそれは当然おられるわけでございますけれども、それはまた裁判所の認定の仕方の中に、これは私こういう発言を裁判の中に立ち入ってすることが妥当かどうかわかりませんですけれども、例えばの話としてお聞きいただきたいと思うんでございますが、例えば、この一人一人の患者さんの診断といいますか、そういうものをやることなしに画一的にこれは全身性の疾患だからということで、これはもう環境庁の判断がおかしいというふうな結論が仮に、そういうことがあったかどうかは別といたしまして、そういうようなものが仮にあったというような場合には私どもはやはりこれは主張をしていかなければいけないといったような一つの仮の例えで申し上げたのでございますが、そのような形でもって裁判の判決であっても、その点は私どもが見て不公正だ、あるいはどうも納得できないというふうなことであればやはり控訴をする等のことをして主張していかなければならないんじゃなかろうか、そういうふうに思っております。
 私どもももちろん信頼関係を保つために努力はする一方、認定業務の促進にも努めてまいります。このような問題が起こってまいりました最大の根っこというものは、この水俣病が発生当初の劇症のものから次第に軽症のものが多くなってきたというところに争点が多くなってきたという一つの原因を指摘しておられる方も中にはおられるわけでございますね。そういうようなもろもろのことも考えまして、私ども今の対策を二百を基礎として救済すべきは救済するという、この一言で申し上げておりましたものを今後も努力してまいりたい、このように思っているところでございます。
#385
○近藤忠孝君 そんな信頼関係聞いてないんでね。聞いたことは、私が示したのは全部同一人物について司法判断、行政判断両方あって、司法判断では認定されたけれども行政はだめというものばかりですよね。そういうものについても司法判断には従わない、判決が確定しても従わない、こういうことになるんですか。そう聞いていいんですか。
#386
○政府委員(目黒克己君) これは例えばと申しますか一つの予測と申しますか、これは最高裁あるいはいろいろな道があるわけでございますから、最終的にこの判断が出たということになればそれは私どもは司法の考え方に従わざるを得ないということはこれは当然のことでございます。しかしながら、現在係争中のものでございますしまた個別事例の問題でもございますので、先ほど来申し上げていることで御理解を賜りたい、このように考えているものでございます。
#387
○近藤忠孝君 そうすると、裁判が確定すれば仕方がない、まあ司法判断に従って行政も同じ対応をするというぐあいに聞いていいですね。そうなるんでしょう、今の答弁。となりますと、既に熊本第二次訴訟控訴審判決、これは確定しています。それからもう一つ、認定棄却処分取り消し訴訟判決、これは係争中ですね。少なくとも四件のものについては確定しているんですよ。それに対しては答弁はわかっているんだ。それはあくまでもチッソに対する判決で行政に対する判決じゃないから従わないというんだろうけれども、確定しちゃったんだから、患者であるということについては。確定した判決には従うというあなたの答弁からいけば、これはもう当然患者と認めないことを撤回しなきゃいけませんな。
#388
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の六十年の八月の第二次訴訟で確定したものの中に四名の方がおられるということについては、この方々の判決の中での、何といいますか、金額は私ちょっと失念いたしましたけれども、チッソの協定よりもかなり少ない額で判決が出ているわけです。それに両者が服したわけでございます。この判決を踏まえまして、この金額が何を意味しているかということで私どもそれぞれの検討をしておるところでございまして、この辺は大変重大な問題でもございますので慎重に今検討いたしております。そういう形で、個別の検討と先ほど申し上げたのはそういうものも含めてという意味でございます。
#389
○近藤忠孝君 慎重に検討した結果やっぱり判決に従うんでしょう、その患者という認定について。従わないとなるとこれは大変ですよ。これは三権分立の憲法違反だわ。
#390
○政府委員(目黒克己君) あくまでも判決は判決でございますのでそれでございますけれども、判決の意味するものの方が私どもにとっては大事なことなのでございます。例えて申し上
げますれ
ば、私どもが棄却をしたけれども、しかしながらその裁判でもって認めたという方があるわけでございますね。そういった場合に、その方が今の通例から申し上げますれば、公健法で認定をいたしました者は即イコールすべて協定によりましてチッソから千七百万というような一時金を含めた終身的な補償が出る、こういうことになっておりますが、裁判で確定をいたしましたものはそれよりはるかに少ない金額で確定をいたしておるわけでございます。そういうものが一体どういうふうな意味を持つのか、こういう点につきましては私ども慎重に――何百万というこの金額については私どもそれは認めているわけでございます、判決でございますので。しかしながら、その点につきましては私ども慎重に、どういうことを意味しているかということを含めて今検討いたしておりますのでお時間をいただきたい、どうぞ御理解をいただきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#391
○近藤忠孝君 確定してから随分たちますけれどもね。
 まあ、時間がないんで、私は、やはり司法の判断が行政の判断を上回るんだ、この立場で臨むべきだということを申し上げ、今金額の問題ありましたけれども、そういう問題じゃなくて、やっぱり基本的には行政の判断は司法の判断に従えということを申し上げて、次に進みます。
 次に特別医療事業ですが、六十一年六月から六十二年三月までのこの推移の資料をもらいました。この間棄却されたのが千二百六十、そのうち生存者千二百四、感覚障害保有者、要するにこの特別医療事業対象該当者が八百四十四、そしてそのうち実質対象者、要するに手帳の交付を受ける者四百五十三、所要金額八百十六万円です。お聞きしたいのは、八百四十四分の四百五十三、要するに該当者の中で実際受けている者、これは先ほども答弁あったけれども五三・六七%なんですね。大変多い。ということは、あとの四六%ばかりは対象になっていないと。これはなぜこういう数字が出てくるんですか。
#392
○政府委員(目黒克己君) これは先ほど来御説明申し上げておりますように、特別医療事業の対象要件にまず該当するかどうかということが一つございますが、該当しても御本人がこれを希望してくるかどうかという点に一つはかかってくるわけでございます。これが先ほど来私定着するまでというふうに申し上げましたことの一つに、御本人の意思でこれを受けるか受けないかを決めてくるわけでございますので、その点についてすべての方々がもろ手を上げるということじゃないということを含めまして私どももう少しお時間をいただきたい、こういうことで先ほど来お答え申し上げているところでございます。
#393
○近藤忠孝君 そうすると、ここでせっかくこういう制度がありながら、私はこの制度は一歩前進だと思っていますが、極めて不十分なものだと思うけれどもね。その制度が実際に半分近くの人には利用されていないということ、その理由はなぜか、つかんでいませんか。
#394
○政府委員(目黒克己君) この辺のことについてはまだ今の時点では詳細をつかんでおらないのでございます。今後できるだけそのようなことも含めましてこの特別医療事業に関しては検討、研究を続けていきたい、このように思っております。
#395
○近藤忠孝君 それじゃ参考までに申しますと、一つは、この制度が周知徹底していないということだからもっともっと宣伝を私はすべきだと思いますね。それから三年で打ち切られるんじゃないかという問題が一つあるのと、それからやっぱり問題は、内容がよろしくないんだ、内容が、かねて問題になっているとおり。内容を充実させ周知徹底するということでせっかくある制度を活用する方向に大いに努力すべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、この特別医療事業の制度の趣旨ですが、これは衆議院またここの答弁でも、要するに水俣病ではないが、しかし何らかの原因があるという人々にその原因を究明する目的で出したんだということですね。となりますと、やっぱりこれは棄却された人々の原因究明が制度の一番中心的な任務になります。今までどういう努力をされてきましたか。先ほどの答弁でいろいろありましたわね。今は経過を見守っていると。見守っているんじゃ対策に全然ならないんでね。原因究明というあなた方が言う制度の趣旨からどんなことを行ってきたんですか。
#396
○政府委員(目黒克己君) これは、やはり先ほど申し上げましたように一枚一枚レセプトでもっていろいろな状況等もある程度わかるわけでございます。したがいまして、できるだけの医療機関あるいは受診者双方の御協力を得ながらこの内容等も含めて研究を現在も続けているわけでございます。その中身と申しますと、先ほど申し上げましたように医療内容の問題もございますれば、あるいは診断名それから症状、あるいはどういう給付をしているか、あるいはどういう患者さんであるかといったようなことを含めまして一定の形で検討を行っているのでございまして、これをさらに進めてまいりたい、このように思っております。
#397
○近藤忠孝君 しかし、これは棄却された人々の症状の原因究明という角度から実際やっているんですか。いつどんな作業をしたのですか。実際やってないんじゃないですか。現地ではそんなものは全然やってないと言うんです。それはしっかりした答弁をしてもらいたいと思いますね。
#398
○政府委員(目黒克己君) 現在、先ほど申し上げましたように.ある一定数の、約五百名弱の方々、今ふえつつあるわけですけれども、そういう方々がおるわけでございますが、ある一定度の、いろいろな診断名があろうかと思いますが、いろいろあるその一定のものがたまってくるのを待ちまして、やはりこれは統計的な処理もございましょうし、それからその内容等を含めて専門家の中でいろいろ御検討もいただかなければいけないだろう、こういうふうに思っておりますが、それはもう既に今私ども、いろいろな角度の中で認定促進を含めましたいろいろな研究、検討をあらゆる機会に行っておるのでございまして、そういう中で検討するということで、今そのデザイン等を含めまして、ある程度の数を含めましてその上で持っていきたいということで今その研究、検討ということについては行っているところでございます。
#399
○近藤忠孝君 じゃ、まだデザインの段階ですかね。これは実際原因がわかっているんでしょう。だって。大体棄却者のうち本来対象となるべき人は熊本、鹿児島平均して七〇%ですからね。地域にすればかなりこれは人口比は高いものですよ。しかもみんな水銀の汚染地域の人々、暴露されている人々ですね。元来これは原因がわかっているんじゃないですか、腹の中では。ここで言うとその制度の趣旨がちょっと崩れちゃうからなかなか言えないかもしれぬけれども、あなた自身は原因がわかっているんじゃないですか。
#400
○政府委員(目黒克己君) この特別医療事業の対象とされておられます方々は、制度発足当初からはっきり水俣病ではないと、それははっきりしているけれども、いろいろ難しい問題がある人たちだということでスタートをいたしておるのでございます。したがいまして、やはり一番とらえるべきは、病状とか診断名とか合併症とか、どういう治療を受けているかとか症状の経過とかといったようなことがやはり一番大きな問題であろうかと思っております。また医療内容につきましても、どういう医療内容でいっておられるかということについても当然これは検討していかなければいけないということを含めまして現在そのデザインをやっているのでございまして、先生がおっしゃるようなことはございませんで、私どもそのままの考え方でいっているのでございます。
#401
○近藤忠孝君 「水俣病の判断条件に関する医学専門家会議の意見」、六十年十月十五日。その一番最後のところに「なお、水俣病と診断するには至らないが、医学的に判断困難な事例があることについて留意する必要があるとの意見があった。」と。こんなのが私はこの制度の一つの発足の経過だと思いますね。現にあなたの衆議院の答弁で、
この事業は専門家会議の結論の一部からこういう考えが出てきたと。要するに、これは井形教授の言うボーダーライン層でしょう、そしてボーダーライン層の救済ということ。ということは、決して水俣病は否定されてないということです、あなた否定されたと言うけれどもね。
 それからもう一つ、ボーダーライン層としての救済の場合とそれから水俣病でない症状の原因究明とあなた二つ答弁しているんだ。このようにボーダーライン層の救済というのは水俣病が十分疑われるということで、片方は違うという。全く違うものをもしこれやるとなれば、目的も方法も違ってくるんでしょう、事業としては。どうしてこれごちゃごちゃにしているんですか。これは完全な矛盾でしょう。だから原因はわかっているんじゃないかと。要するにボーダーライン層ですよ。そうでしょう。
#402
○政府委員(目黒克己君) 今先生が御指摘になりましたこの専門家の会議が留意事項として出した項目でございますが、これにつきましては、井形先生は個人の御意見としてボーダーライン層ということを新聞にもいろいろお書きになった、そういうふうなことがあったわけでございますけれども、この専門家会議全体といたしましてはボーダーライン層の存在そのものについてもやはりいろいろ御議論があるのは当然でございますので、そういう中で、専門家会議全体といたしましてはこのボーダーラインという考え方ではないということに私どもとっておるのでございます。
 先ほど先生の方からのボーダーライン層の対応とそれから原因究明と二つあるからそこに矛盾があるんではなかろうかという御指摘に対しましては、やはり私どもボーダーライン層ということを考えてないのでございます。したがいまして、先ほどの先生のお言葉でございますけれども、私どもの方は原因究明という素直な気持ちでこの研究調査を行っているのでございますので、御理解を賜ればと思っておるのでございます。
#403
○近藤忠孝君 時間が来たので最後にまとめにしますけれども、水俣病じゃないというのは決して素直な見方じゃないんですよ。同じ家族の中に認定患者とこの特別事業の対象者がいて、全然原因が違うはずないんだから。判決で何度も何度も否定されている。これはあなた方の基準によれば水俣病でないというにすぎないんです。原因はやっぱり不知火海に居住し水銀を摂取したからですね。私はこれがまさに素直な見方だと思うんです。
 そこで長官、まあ、それで今までの経過上なかなかそういう態度とれないんで、また大蔵省から金引き出す関係があるのかもしれませんけれども、私はそうじゃなくて、もっと本当に素直な立場に立つことが一つと、それから、今まさにこの医療救済が本当に今求められていますから、その中身の充実も含め、それから今これは法制度じゃないですね、事実やっているにすぎないけれども、それをもっとしっかりした法制度にしていくということが、私は実態から見てもまた患者救済という面から見ても大変大事なことだと思うんですが、これに対する答弁をお願いしたいと思います。
#404
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の今の御意見を拝聴して、水俣の患者の皆さんの御苦労を察して、この環境行政を進める上においても一生懸命取り組んでまいりたい、救済すべきは救済するという基本に立って頑張りたいと思います。
#405
○近藤忠孝君 まあ、答弁になってないけれども、時間が来たので終わります。
#406
○山田勇君 戦後経済の発展に伴っていろいろな公害もまた住民の上に大きくのしかかってきました。昭和四十三年私が初めて参議院に立候補したころも、関西では尼崎の大気汚染や河川の汚濁が大きな社会問題としてクローズアップされておりました。水俣問題はそれよりも十年以上も前から社会的に問題となっております。一日も早く解決することが望ましいことは言うまでもありません。
 そこで、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について何点かお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、認定業務の現状についてお尋ねをいたしますが、現在の申請者の数はどのようになっておりますか、これが第一点。
 それから、臨時措置法が成立をして以来の国に対しての申請者の数は今までにどれほどになっておりますか。この二点についてお尋ねをいたします。
#407
○政府委員(目黒克己君) まず全体的なものでございますが、昭和六十二年三月末現在、三県一市合計で申請件数が一万六千九百十九件、それからそのうち認定をいたしました件数が二千八百四十八件、それから棄却をいたしました件数が八千五百二十六件でございます。また未処分の件数は五千五百四十五件。この五千五百四十五件のうちの内訳でございますが、保留者が千二十八名、こういう状況になっておるのでございます。
#408
○山田勇君 申請者の数が国の場合は極端に少ないわけですが、一部患者団体では、本制度が患者さんの切り捨てを促進させるためのものであるということから反対をしているとも聞いておりますが、この点はどのように認識をなさっておられるでしょうか。
#409
○政府委員(目黒克己君) 臨時措置法によります申請者が非常に少ないということでございますが、先ほど福島先生の方からもお答えがあったわけでございますが、この臨時措置法に申請がえをするかどうかということについては本人の選択に任されているということが一つございます。したがいまして国におきましては従来から、臨時措置法の対象者に対しましてはPRをいたしましてこういう道があるということについて呼びかけを行ってきたんでございますが、法の趣旨が十分に理解されないということでこれまでの件数が先ほど来申し上げておりますように百九件にとどまっていると、こういう状況にあるのでございます。私どもの方といたしましては今後一層の周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるのでございます。
#410
○山田勇君 国への申請者が少ないということは、やはり患者さんの中に認定業務に対して不信感を持っているためだと思いますが、不信感の解消ということについて今後どのような努力がなされていきますか。
#411
○政府委員(目黒克己君) やはり患者さんたちとの信頼関係ということは一番大事な問題でございますので、その理解を得るということが一番大切でございます。したがいまして、この信頼関係を高めるために検診とか審査体制、これをいつまでも得たしておく、宙ぶらりんと言うと非常に語弊がございますけれども、やはり処分をしないような状況に置いておくということについてはこれはよくないという考え方でございますので、この検診・審査体制を充実するとかあるいは治療研究事業を着実に実施するとか、あるいは患者の方々にお会いをして声を聞く機会をできるだけ設けるといったようなことを含めまして、国と県と一体になりましていろいろな各般の対策をやってまいりたいと、このように考えているところでございます。
 また、審査会というのがございましてそこで認定をするわけでございますが、審査会の先生方は、これ一番信頼性云々については問題になるのでございますので、この辺につきましては、水俣病にかかわる高度の学識と豊富な経験を持っておいでになる方々を任命いたしまして公正な審査をお願いしてまいったのでございますし、今後もそのように進めてまいりたいと、このように考えておるのでございます。
#412
○山田勇君 県の処分と国の処分とではどちらの方が認定率が高くなっておりますか。
#413
○政府委員(目黒克己君) この認定率でございますが、国と県の処分のどちらの認定率が高いかということについてはちょっと数の問題もございまして一概に言えないのでございます。
#414
○山田勇君 認定審査に際しましては、水俣病の患者さんたちのだれもが一人残らず正しく救われ
るような審査が行われなければなりませんが、今回の法改正がなされても臨時措置法の申請者はふえないんではないか、したがって認定業務の促進には何の効果もないんではないかという懸念もあるわけですが、その点はいかがでしょうか。
#415
○政府委員(目黒克己君) 先ほどちょっと失礼しました。認定率でございますが、一概に言えないということでございますが、ほぼ二五%と二七%という数字は一応はございますが、これは母数が非常に異なるということが、片や百九分の幾つ、片や一万六千分の幾つというようなことがございますので、やはりこの辺については一つの問題点かということで申し上げたわけでございます。
 それから今の御質問の効果でございますが、やはりこの臨時措置法につきましてはいろんな形から私ども努力をしていかなければならないのでございますが、特に現在未処分者については二百名を切るまでには一応なっているのでございまして、これまで二百名に減ってきたということで一応の役割は果たしてきたのではなかろうかというふうに私ども現在考えているのでございます。今度の改正によりましてさらに対象者の枠が拡大されるわけでございます。これは先ほど提案理由の中で御説明申し上げたとおりでございますが、そういう対象者の枠が拡大されるということから認定業務の促進に非常に役に立つのではなかろうかと、このように考えているのでございます。
 いずれにいたしましても、法の趣旨が対象となる方々に十分理解されまして本制度が活用されるようにPRあるいは信頼性を回復するといったような努力をこれからもしていかなければならないのではないかというふうに考えております。
#416
○山田勇君 先ほど同僚議員の方から鍼灸についてお尋ねがあって、いま少し時間をかしてほしいということでございますが、大変乱ごとの話になりますが、私の友人の母が腰の辺にできたがんでかなり苦痛を伴うということで、実は韓国のお医者さんで、はりて医療しながらかなり回復率の高いお医者さんがいるということで、先日韓国政府にお願いをいたしまして、そのお医者さんに日本に来てもらって今治療を受けているんですが、かなり痛んでいた腰の激痛がとまって小康状態を保っているというようなこと。現代医学の中にありまして東洋医学というのはなかなか御承知のとおり今までは認めにくいというような状態もございました。しかし、特にこういう苦痛を伴う患者さんに対しては、健康保険上いろんな問題があることはよく承知しておりますが、患者さんの希望、五十名なら五十名、三十名なら三十名で結構でございます、そういう人たちの希望を募りながら鍼灸の治療を並行して行うと。その臨床をやってその効果がないと健康保険上も認めにくいところもありましょうが、何か格段なるそういうようなお願いをいたしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#417
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますが、そのとおりでございます。それで念のために申し添えますと、やはり現行の保険制度でも銭灸は認めておるわけでございます。その医師の処方によりまして特定の施設で行うものについては今も健康保険で認めておるわけでございまして、そういうものについては私どもも、その差額ですね、自己負担分を補てんするという形では特別医療事業の中でも鍼灸は取り入れているのでございます。
 ただ、一番の御要望は、鍼灸の施術に当たりまして、健康保険に上乗せと言うとちょっと言葉が悪いのでございますけれども、そのほかの特別な手当を上乗せをすることによってさらに効果ある治療をしてもらいたいというお考えがあるわけでございまして、この辺がやはり治療効果ということ以外に一つの制度上の問題として出てきているものでございますので、いましばらくお時間をいただきたいというのが先ほど来申し上げていることでございまして、御理解を賜りたいところでございます。
#418
○山田勇君 最後に長官にお尋ねをいたしますが、この水俣病問題の解決については、何と申しましても患者さんたちとの信頼関係が基本にならなければならないと考えます。問題解決に向けての長官の取り組む姿勢並びに今後の方針をお聞かせいただいて、この公害問題についての質問は終わります。
#419
○国務大臣(稲村利幸君) 水俣病患者の方々の経験されている大変な苦しみにつき心から御同情申し上げると同時に、水俣病問題は公害の原点でございますから、環境行政を進める上においても親切に、そして重要なものと受けとめて、関係省庁、県との連絡を密にして私どもも一生懸命頑張っていかなければならない、こう考えております。
#420
○山田勇君 次に、一般質疑の問題といたしまして関西国際空港の建設に関連して環境面から何点かを質問さしていただきます。
 大阪湾において既に関西国際空港建設のための埋立工事が実施されておりますが、まず、環境庁はこの空港建設事業に対してどのように対応したのかお伺いをしておきたいと思います。
#421
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 御案内のとおり、関西国際空港は大阪湾の泉州沖に埋め立てて建設されるものでございます。したがいまして、公有水面埋立法に基づきまして建設大臣から環境庁長官に対して環境保全上の意見を求められまして、本来の一月でございますが、所要の意見を申し述べたところでございます。
#422
○山田勇君 公有水面の埋立法に基づき環境庁の意見を述べたと開いておりますが、これはどのような意見をお述べになったかお聞かせをいただきたいと思います。
#423
○政府委員(加藤陸美君) 御説明申し上げます。
 環境庁長官としては、本埋立事業を実施するに際しまして環境保全上特に留意すべき点といたしまして六点ほどございますが、簡単に申し上げます。
 現在の伊丹空港の騒音問題解決のための努力をすること、それから燐及び窒素を含めた最高水準の排水処理施設を導入すること、飛行機の飛ぶコースの遵守による航空機騒音問題の防止を徹底すること、アクセス交通に係る環境保全に留意すること、それから五番目に、埋立地の造成に要する土砂採取に係る環境保全に留意すること、六番目に、環境監視の実施について万全を期すこと。以上の意見を申し述べております。
#424
○山田勇君 空港の建設工事中はもちろん、供用時期における環境保全のためには環境監視の実施が特に重要と考えておりますが、関西国際空港に関する環境監視の大別はどのようになっているのかお聞かせをいただきたいと思います。
#425
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 大阪府の知事を初めといたしまして地元の市長及び町長から成ります関西国際空港環境監視機構が設立されております。関西国際空港株式会社が行う環境監視につきましてそのデータの検討が行われるとともに、必要に応じて対策の要請、勧告等が行われる仕組みになっております。
#426
○山田勇君 関西国際空港の環境保全を図っていくため環境監視を含めいろいろな対策はとられることと考えられますが、万一この環境保全上の問題が生じた場合には環境庁としてはどのような対応をするのか、その点を伺っておきたいと思います。
#427
○政府委員(加藤陸美君) 先ほども幾つかお答え申し上げました中にございましたが、環境庁といたしましては環境監視の実施あるいは公有水面埋立法に基づく環境庁長官の意見を申し述べておりますが、こういう意見を踏まえた環境保全対策の適切な実施によりまして、この工事に当たりまして環境保全上の問題は生じないようにということをまず前提といたしておりますけれども、万一問題が生じるような事態になれば、これはそのケースケースによりますけれども、必要に応じまして、関係機関いろいろございますが、関係機関とも連絡をとりつつ最も適切な対処をとってまいりたいと思っております。
#428
○山田勇君 一部反対する団体の中にありましては、まだ夜間飛行うスト、騒音テストが行われて
いないというのが一番大きな反対理由として取り上げられております。建設の途上におきまして、これからの飛行コース等、夜間飛行うスト、騒音テスト等をぜひ実施していっていただきたいと思います。
 最後に環境庁長官にお尋ねをしておきます。
 関西新空港は、関西の将来の発展はもとより日本全体にとっても重要なものであります。しかしながら、一方では環境保全についても十分な配慮がなされなければならないということは言うまでもありません。大規模な事業である関西国際空港に関しまして、環境保全上の問題を生じさせないための環境庁としての決意を伺って、私の質問を終わります、
#429
○国務大臣(稲村利幸君) 関西空港建設事業につきまして、公有水面埋立法に基づき環境庁長官の意見を述べたところでございますが、先生再三にわたって環境保全を強調されつつ御質問されましたが、今後とも十分この点を留意して私どもも立派な空港をつくり上げたい、こう考えております。
    ―――――――――――――
#430
○委員長(山東昭子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#431
○委員長(山東昭子君) ただいま議題となっております案件のうち、公害及び環境保全対策樹立に関する調査は本印はこの程度にとどめ、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#432
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#433
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、衆議院送付、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本臨時措置法は、不作為の違法とされた認定申請者の長期大量滞留及びチッソの経営危機という事態を患者切り捨てという方向で打開するため、昭和五十三年十一月、それまでの認定基準(旧事務次官通知)を大幅に改悪する新事務次官通知とセットで出されたものであります。この新事務次官通知が出た昭和五十二年を境とし、それ以前の四十六年から五十一年までは、認定件数が千五百九十七、棄却数千二十五と、認定が棄却の一・五倍であったのに対し、五十二年から六十一年は、認定件数が千二十五、棄却件数が七千四百九十六と逆に棄却が認定の七倍に増加したことに端的にあらわれているように、新事務次官通知がいかに患者切り捨てに役立ってきたのがが明らかであります。
 本改正案は、依然として悪名高い新事務次官通知とセットである点に変わりがないのであります。第三次訴訟判決で「狭さに失し」、あるいは「厳格に過ぎ」など、現在の慢性型水俣病を把握し得ないと批判された現行判断条件を何ら改めることなく本臨時措置法を改正延長しても、患者救済にはほとんど役立たないばかりでなく、むしろ患者切り捨ての促進につながるものであります。
 第二は、本臨時措置法施行後の約八年間の実績は、認定申請百九件、処分九十九件、うち認定二十七、棄却七十二、未処分十といったありさまで、年間平均十件強の審査しかしておらず、ほとんどないに等しいのであります。
 第三は、認定業務は自治体の事務であるという公害健康被害補償制度の大原則を崩したものであること。
 第四は、国の認定審査会で棄却された場合、環境庁長官への異議申し立てが却下された後は行政不服審査の道が閉ざされていること。
 第五は、今回の再延長措置は、国や県の怠慢による認定業務のおくれを不作為の違法とした判決など一連の裁判対策と、県や患者に対し国も努力しているとの体裁を繕うためのものでしかなく、環境庁もシンボル的なものと言っているではありませんか。
 したがって、このような真の患者救済には実効性が乏しい臨時措置法を制定することよりも、今国が緊急にやらなければならないことは、第三次訴訟判決を厳粛に受けとめ、みずからの水俣病の発生、拡大の責任を自覚してすべての被害者の早期全面救済の立場に立つこと、そして被害者救済の立場に立った認定基準の抜本的な改善、有機水銀汚染地域の住民健康調査の実施、水俣病被害者へのはり、きゅう、マッサージなどを含んだ恒久的な特別法に基づく医療の即時全面的な保障などの措置をとることであります。
 環境庁がこれらのことを速やかに実施することを強く要請して、本法案に対する反対討論を終わります。
#434
○委員長(山東昭子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#435
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#436
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 丸谷君から発言を求められておりますので、これを許します。丸谷金保君。
#437
○丸谷金保君 私は、ただいま可決されました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    水俣病の認定業務の促進に関する臨時措
    置法の一部を改正する法律案に対する附
    帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項につ
 いて適切な措置を講すべきである。
 一、法の救済の精神を尊重して、患者との信頼
  回復に努めるとともに、昭和五十一年十二月
  の熊本地裁の確定判決の趣旨を踏まえ、認定
  業務の不作為違法状態を速やかに解消するこ
  と。
 二、水俣病の判断条件については一層の検討を
  行うとともに、水俣病患者が一人でも見落と
  されることのないように、全員が正しく救わ
  れるような精神にのっとって認定審査を行う
  こと。
 三、水俣病問題の重要性にかんがみ、住民の健
  康の状態、水質の汚濁の状態等について、速
  やかに総合的な調査を実施するとともに、地
  域の実情に応じ、健康被害の予防を目的とし
  たサーベイランス体制を確立する等の適切な
  水俣病対策を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
#438
○委員長(山東昭子君) ただいま丸谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#439
○委員長(山東昭子君) 全会一致と認めます。よって、丸谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、稲村環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村環境庁長官。
#440
○国務大臣(稲村利幸君) ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#441
○委員長(山東昭子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#442
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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