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1987/09/02 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第3号
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1987/09/02 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第3号

#1
第109回国会 環境特別委員会 第3号
昭和六十二年九月二日(水曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二十日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     森下  泰君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                石井 道子君
                曽根田郁夫君
                丸谷 金保君
                高桑 栄松君
    委 員
                青木 幹雄君
                石本  茂君
                梶木 又三君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                星  長治君
                宮崎 秀樹君
                小川 仁一君
                田渕 勲二君
                渡辺 四郎君
                広中和歌子君
                沓脱タケ子君
                近藤 忠孝君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        山内 豊徳君
       環境庁企画調整
       局長       加藤 陸美君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        菊池  守君
   説明員
       通商産業省機械
       情報産業局総務
       課長       渡辺  修君
       自治省行政局選
       挙部政治資金課
       長        中地  洌君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害健康被害補償法の一部を改正する法律案
 (第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院
 送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山東昭子君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 去る八月二十日、木宮和彦君が委員を辞任され、その補欠として森下泰君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(山東昭子君) それでは、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。稲村環境庁長官。
#4
○国務大臣(稲村利幸君) ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 公害健康被害補償制度は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響により健康が損なわれた人々に対して、その迅速かつ公正な保護を図るため、汚染原因者の負担に基づき各種補償給付の支給等を実施し、これにより公害健康被害者の救済に大きな役割を果たしてきたところであります。
 ところで、我が国の大気汚染の状況を見ると、硫黄酸化物による汚染は改善される一方、窒素酸化物及び大気中粒子状物質による汚染は、近年やや改善が見られるものの、長期的にはほぼ横ばいで推移するなど、その態様に変化が見られております。
 このため、中央公害対策審議会において、昭和五十八年十一月以来、近年の大気汚染の態様の変化、その健康への影響に関する科学的知見等を踏まえ検討が進められた結果、昨年十月、公害健康被害補償法の算一種地域のあり方について答申が取りまとめられたところであります。
 この答申は、現在の大気汚染の状況のもとでは、新規に患者を認定し、大気汚染の原因者の負担に基づき個人に対する補償を行うことは、民事責任を踏まえた本制度の趣旨を逸脱することとなるため、現行の第一種地域をすべて解除することが相当であり、今後は個人に対する個別の補償を行うのではなく、総合的な環境保健施策を推進することが適当であるとしております。
 今回の改正は、本制度をより公正で合理的なものとするため、中央公害対策審議会の答申を踏まえ、第一種地域の指定がすべて解除された場合に対応できるように所要の改正を行うものであります。
 次に、法律案の主要事項についてその概要を御説明申し上げます。
 第一は、法律の題名及び目的の改正であります。
 現行の法律は、大気の汚染または水質の汚濁の影響による健康被害についての補償を行い、被害者の迅速かつ公正な保護を図ることを目的としておりますが、今回新たに大気汚染の影響による健康被害の予防のために必要な事業を実施し、健康の確保を図ることとしているため、法律の題名を公害健康被害の補償等に関する法律に改め、あわせて目的について同様の趣旨をつけ加えております。保第二は、費用負担に関する規定の整備であります。
 これは、第一種地域の指定がすべて解除された場合においても、指定解除前に認定を受けた既被認定者に対する補償を継続することができるように、その費用負担の仕組みを汚染原因者負担の観点から整備するものであります。
 具体的には、第一種地域の指定解除前のばい煙発生施設等設置者から汚染負荷量賦課金を徴収することとし、賦課金の額については、指定解除前の排出量を基本に、指定解除後の排出量をも勘案して算定することとしております。
 第三は、公害健康被害補償協会の業務等に関する改正であります。
 現在の大気汚染の状況に応じて今後は総合的な環境保健施策を推進することとしておりますが、このため、公害健康被害補償協会の業務に、大気汚染の影響による健康被害の予防に関する調査研究等の実施及び地方公共団体に対する助成に関する業務を新たに加えております。あわせて、協会の名称も公害健康被害補償予防協会に改めることとしております。
 協会が助成する地方公共団体の事業としては、健康被害の予防に関する計画の作成、健康相談、健康診査、機能訓練、施設整備等を定めております。
 また、これらの事業に必要な費用をその運用によって賄うため、大気汚染の原因者等から拠出される拠出金を財源として基金を設けることとしております。
 なお、基金が積み上がるまでの間は、協会は、拠出金の一部を事業費に充てることができることとするとともに、政府は、協会に対して基金に関する財政上の措置を講ずることができることとしております。
 この法律案の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内の政令で定める日としております。
 なお、衆議院におきまして、水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する規定について所要の整備を行う等の修正がなされております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小川仁一君 私は比較的公害の少ない岩手県の出身でございます。しかし、この前にもこの委員会で自然保護問題を訴えました。岩手県の自然、特に葛根田のブナ林、そこにある天然記念物、非常に遺伝子的な要素を持つああいう森林、こういったようなものが一つの経済効率で破壊されようとしております。そのときも申し上げましたが、一つの種の絶滅が人間の絶滅を予感させるような行政になってはいかぬ、こう申し上げました。東京へ参りましたら、これはまた、岩手の自然を保護するというのではなくて、人間を保護しなきゃどうにもならぬじゃないかという実感を率直に感じております。この空気、こういったものの中で人間が生存し生きていくためには一体どうすればいいのかというふうなことを考えてみたいと思い、岩手の感覚でこういう問題を取り組んではいけないと思って、実は先日、東京都内新宿区を中心に測定しあるいは自分自身で路上に立ってみて、あるいは患者さんのお話を聞いて、体でもって今回のこの法案に対する一つの感じをつかみ、そして環境庁にお話をしたい、こういう気持ちでございます。
 短い時間ではありましたけれども、そういう私自身新宿区内を自分の体で体験した感じから言えば、この法案は当然撤回されるべきだと思います。環境庁長官、私と同じように新宿区内でもいい、どこでもいい、自分で三時間路上に立ってごらんなさい、どういうことになるか。そして患者さんのお話を聞いてごらんなさい、どういう気持ちになるか。私は、オーバーな言い方ですけれども、あそこの中で人間が存在するための条件というものを、あるいはそういう状況の中で病気になっておられる患者さんの状態というものを本当に知ったら、とてもこういう法案は出せないと思いますな。長官、自分で御体験になったことはありますか。御体験になり事実をごらんになった上でこの法案を提案しておられるのですか。私は、撤回を要求しながらこういうことをまず最初にお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(稲村利幸君) 小川先生の御質問でございますが、私も国民の健康を守る環境庁長官といたしまして、当然、大都会でのNOx等に関して、これでは早く改善をしなければという気持ちを日ごろ強く抱いておる一人でございます。
 しかし、今回の公健制度の見直しの基本的な考えとして、硫黄酸化物の著しい減少など大気汚染の状況の変化や、大気汚染と健康影響に関する科学的知見の進展を踏まえて、今後の第一種地域のあり方について中央公害対策審議会において三年にわたり慎重に御審議の上取りまとめられ、その答申に基づき制度を公正かつ合理的にしなければならない、こういう基本に立っての改正をお願いしておるものでございます。
 今回の制度改正により、今後は、これまでの公害患者に対する個別の補償から健康被害予防事業の実施等総合的な環境保健施策を積極的に推進することなどにより、地域住民を対象とする大気汚染による健康被害の未然防止に力を入れて国民の健康を守る、こういう基本的認識に立ってお願いをしておるわけでございます。
#8
○小川仁一君 私は、新宿の路上に私と同じように立ってみられた経験があるか、あるいはこれからそういう経験を、視察をおやりになる気があるかということもお聞きしたんです。
#9
○国務大臣(稲村利幸君) 長官に就任させていただいて以来すぐ、大臣視察として京浜地区のトラック団地等そういう排気ガスの意識的な調査に一度出かけさせていただきました。しかし、三時間もわざわざそのために立っているというようなことはしないで、トラックから出る排気ガス等々の視察には改めて意識して行かせていただいた経験がございます。
#10
○小川仁一君 大臣が御視察なさる場合はほかの御案内役もおつきになりますし、我々でも、お客さんが来ますと家の中で言えば一番いい部屋に通してと、こういうふうな日本人的習慣があるものですから、ほんの短時間で実態をお知りになるということはかなり難しいと思います。以下いろいろ御質問を申し上げながら私の撤回の考え方、意思というものをお伝えしてまいりたいと思います。
 先日の衆議院の議事録並びに参議院本会議におきます中曽根総理の発言の中で、指定地域解除後も大気汚染がひどければ科学的データに基づいて再指定もあり得る、こういう趣旨、ちょっと言葉は違うかもしれないですが御発言がありましたが、環境庁長官、総理の考え方と同じでございますか。それとも幾らかの違いがございますか。その点をお願いします。
#11
○国務大臣(稲村利幸君) お答え申し上げます。
 環境庁としてのまず第一の責務は、今先生の御質問のように著しい大気汚染が生じないようにさらに公害対策を推進し大気汚染の防止に万全を期していかなければならない、そういう今気持ちでこの法改正をお願いをすると同時に、万一かつてのような著しい大気汚染がという御質問に対しての中曽根総理の再指定を含めて適宜適切な措置をとるという御答弁、私も全く同じ気持ちでございます。
#12
○小川仁一君 私五時間ぐらい質問をさせていただきたいと思っていることを詰めて詰めてやっていますから、質問を申し上げた点を要点的にお答え願いたいと思います。
 同じ考え方だとして、このことについて具体的に総理はどう考えているかを含めてお伺いしますが、大気汚染がひどければというのは全国的な平均値という意味か、それとも今まであったような地域のことか、それとも局地的なことか、あるいは数人の感受性の強い集団という表現があったようでありますが、その集団に対してのことか。これも大臣からお願いします。
#13
○国務大臣(稲村利幸君) かつての四日市のような大気汚染があった場合のことを私は申し上げておるわけでございます。
#14
○小川仁一君 中曽根総理もそういうふうに四日市のような状況ということで大気汚染がひどければと、こう言っているのですか。
#15
○国務大臣(稲村利幸君) そう理解さしていただいております。
#16
○小川仁一君 そうするとあの場合は、非常に物すごい濃度と、裁判の中でも殺人的という表現さえある。特定地域にそういう状態がない限りは大気汚染がひどいというふうな認定はなさらない、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
#17
○政府委員(目黒克己君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたことにつきましては、日本全国考えまして、そしてまたNOx等も含めまして全体的に見て大気汚染の状況の変化があったというこ
とを申し上げているのでございます。しかしながら、当然専門委員会報告あるいは答申等にも触れておりますように、この沿道等の一部の地区の大気汚染の問題につきましてはいろいろ改善すべき、あるいは予防すべき、あるいは対応しなければいけないようなものがある、こういう趣旨のもとに大気汚染の状況を理解しているところでございます。
#18
○小川仁一君 私が質問したのは、また逆に言いますと、非常に感受性の強い集団があるということを専門委員会でもお話しになっておられましたが、実はそういう感受性の強い人たちの中から多数発生する場合もあり得るわけです。だから、感受性の強い集団に対して大気汚染が著しいときには再指定するのか。それから、今あなたがおっしゃったように幹線道路その他局地的な部分が非常に汚染が強い場合には再指定するのか。あるいはもっと大きな地域もひどければするのか。あるいは全国全体なのか。この四つに分けて質問をしています。目黒さんは御答弁が非常にお上手でいらっしゃって質問しない方向の方へ御答弁をなさる傾向がございますから、聞いたことに御返事を願いたいと思います。
#19
○政府委員(目黒克己君) 先生の御質問の御趣旨は、一つは感受性の高い集団というものについてというふうに受けとめております。それから二番目の問題については、この地域の再指定の可能性のあり得る状況についてということで四つの例を示されて御質問になったというふうに私ども受けとめておるのでございます。
 まず最初の感受性の高い集団についてでございます。これはもちろん、その周辺の地域の中で一つの対応ということの中の一つに専門委員会の中では留意事項として出ているものでございます。この感受性の高い集団と申しますものは、一つは、これは極めて学問的なレベルのものでございまして通常の疫学あるいは通常の調査等では把握できないものがある可能性がある。したがって、こういう感受性の高い集団については十分今後とも配慮しなければならないと、こういう趣旨の答申でございまして、私ども、この点につきましても今後の研究調査の中で対応してまいりたいと思っておるのでございます。
 それから二番目に、そういう感受性の高い集団を踏まえまして再指定の可能性についてでございますけれども、今の先生の御指摘のものを含めましてこの地域の指定を行います場合には、基本的には、将来大気汚染が激化して三十年代、四十年代のような激甚な状況になった場合に、その時点の科学的な知見というものに照らしまして一つの対応をしなければならない、このように考えているのでございます。またこういう状況は、先生御指摘のように具体的にどのような状況であるかを想定するということは、将来の万一の場合のことでもございますし、大気汚染の態様も変化しておりますので……。しかしながら私ども、全体として先生の御指摘のものを含めて理解をしているところでございます。
#20
○小川仁一君 答弁になっていない。きっちり聞いたことを、四つに分けたのだから、それを答弁しなさい。
#21
○政府委員(目黒克己君) 繰り返し申し上げますけれども、私どものこの再指定の一つの考え方は先ほど申し上げました趣旨に基づくものでございまして、この沿道等局地的なものあるいは大きい地域のもの、あるいは今後具体的な先生が御指摘になりましたそれぞれのものにつきましても、こうしたような状況があらわれた場合にはこれはすべてこの対応をする可能性があるということでお答えを申し上げたものでございます。
#22
○小川仁一君 そうすると可能性なんですね。総理がおっしゃったのは可能性をおっしゃったんですか、それとも決意をおっしゃったんですか。これは大臣。
#23
○国務大臣(稲村利幸君) 総理がお答え申し上げたのは可能性、あり得ることというふうに解釈を私はしております。
#24
○小川仁一君 あり得ると言ったから、可能性ありですね。このあり得るというのは科学的データに基づいてとあるわけです。じゃ、さっき四つの地域に分類をいたしましたが、このような地域にどのような科学的データを求めるための調査をやり研究をやるのか。これをお伺いします。
#25
○政府委員(目黒克己君) ただいまのような状況については再指定をいたしますためにどのような調査研究を進める必要があるのかと、こういう御趣旨に私ども受けとめましてお答えを申し上げますと、環境庁といたしましては、今後この調査研究を推進いたしまして、再指定というような事態を招く前に適宜適切な対策を講じて大気汚染によります健康被害を未然に防止するというまず基本的な考え方があるのでございます。また、大気汚染の健康影響に関します調査研究ということにつきましては、従来からさまざまな調査研究を私ども行ってまいってきたのでございまして、さらに今回の制度の見直しを契機といたしまして、環境庁におきましては、環境保健サーベイランス調査それから局地汚染の健康影響調査に着手をいたしたところでございます。
 またさらに、本法律案に織り込まれております健康被害予防事業の中でも大都市における気管支ぜんそく等に関する調査研究といったような調査を行ってまいるというふうに考えているところでございます。
 このような調査研究、特に長期に継続的に大気汚染と地域住民の健康状況を観察いたしますサーベイランス・システムの構築、冒頭に申し上げました私どもが考えております考え方によりますこのサーベイランスシステムといったようなもの、あるいは大都市におきます云々という調査研究等を重点的に私ども考えているのでございます。
#26
○小川仁一君 五百億の予算でできるかできないかはまた後で聞きますけれども、NOxとかSOxといったようなものの環境基準は今までと変わらないということでございましょうか。
#27
○政府委員(長谷川慧重君) 環境基準につきましては、現在の環境基準が必ずしも達成されておらないという状況は先生御案内のとおりでございまして、そういう面で環境基準を達成するために、特にNO2に関します環境基準の達成状況が悪いということで私どもはいろんな対策をそれぞれ講じておるところで。ございます。
 そういうことで、現在のNO2の環境基準につきましては、この基準を決めました経緯は御案内かと思いますけれども、五十三年におきます中公審答申におきます結論をいただきましてその環境基準を定めたものでございます。この環境基準につきましても、五十六年から五十九年かと思いますが、四、五年かけましてかなりの大がかりな調査をやりまして、現在のNO2の環境基準はこれで妥当であると、これで国民の健康を守れる基準であるというような判断をいたしたところでございますので、この環境基準を現在どうこうするという考えは持っておりません。
 しかしながら、引き続き私ども、こういう大気汚染の健康影響といいますものにつきましては、関連の文献あるいは必要な調査を行って今後とも科学的知見の収集に努めてまいりたいというように考えております。
#28
○小川仁一君 現在の環境基準はそのままでやっていくと。調査の中で現在の環境基準に達成をしていない地域がいっぱいございますね。そういう地域は、総理が言う科学的データに基づいて大気汚染が著しいというふうにとってよろしゅうございますか。これは中曽根総理がおっしゃったことなんですからやっぱり大臣がお答えになるのが至当と考えます。
#29
○国務大臣(稲村利幸君) この問題は専門的なことですので政府委員から答弁させます。
#30
○政府委員(長谷川慧重君) NO2に関します環境基準の考え方に関するお尋ねかと思いますけれども、NO2の環境基準につきましては先ほどもちょっと申し上げましたけれども、五十三年の中公審の答申を踏まえまして定めたものでございますが、そのときにはかなり大がかりな調査等をやりまして、ある程度人の健康の偏りも考慮しなが
らの基準を決めた。だから、この基準が守られれば人の健康を保護するに十分であるという基準でございます。いわゆる環境基準は、そういう面で人の健康を守るに必要な基準、しかもそれは、行政目標といいますか、望ましい基準という考え方でございまして、環境基準をオーバーしたからといって直ちに人が病気になるというレベルというぐあいには私ども考えてないところでございます。
#31
○小川仁一君 環境基準に達してない地帯、いわゆる環境基準で非常に地域にふってぐっと厳しいところがありますわね。そういうところはこの総理が言った言葉に当てはまるのか当てはまらないのかと聞いているんです。
#32
○政府委員(目黒克己君) 御質問の件についてでございますが、この指定地域の中で今大気局長から申し上げましたような考え方を私どもとっております。この公害健康被害補償法の考え方は、直ちに民事上の責任を踏まえまして補償するに合理性があるかどうかということが基本になっておりまして、したがいまして、そのような考え方等を踏まえますと、私どもこの御指摘の点につきましては、直ちに基準値をオーバーしているから即それをもって地域を指定するというようには考えていないのでございます。もちろん、科学的知見と申しますから、それ以外のさまざまな科学的なデータ等を当然参考にすることと、このように私ども理解をいたしているところでございます。
#33
○小川仁一君 あなた、中曽根さんとこんなお話なすったんですか。
#34
○政府委員(目黒克己君) 私中曽根総理とそのようなお話をしたことはないのでございますけれども、先般の委員会の席上におきまして総理の御答弁等を拝聴いたしまして、私ども事務当局としてはそのように考えているという考え方を申し上げた次第でございます。
#35
○小川仁一君 一国の総理が国民に対して言った言葉というのは非常な重みを持つわけですよ。それを官僚が勝手に解釈しちゃいかぬですよ。中曽根さんという人は公約とか言葉を守る人という申し上げ方は適切かどうかわかりませんけれども、やっぱり委員会とか本会議でおっしゃったその精神というものは、汚染地域が出てくれば、そのデータが出てくれば再指定があり得るんだという一般的国民にわかりやすい物の言い方でおっしゃったと、まあ、同年代の私としてはそう考えるんです。あなたお話したこともないのに得々として解釈をなすっても、これは中曽根総理の真意を伝えるとは思わない。
 大臣は、閣議等でこういうものを出したりお話をしておられるから一番そういう面でお話をしていると思うので、私が言うような気持ちで中曽根さんがおっしゃっているのか、それとも目黒さんですか、おっしゃっているような形でおっしゃっているのか、大臣の判断を聞きたい。
#36
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の今の御質問は、環境庁として十分検討し、それを踏まえて総理が御答弁くださった、こういうふうに理解させていただきます。
#37
○小川仁一君 総理に説明しましたか、そういうことを。
#38
○政府委員(目黒克己君) この辺の私どもの考え方につきましては総理の方に私どもの方から事務的に御説明を申し上げているところでございます。
#39
○小川仁一君 さっき何と言ったの。
#40
○政府委員(目黒克己君) 私個人というお話でございましたので。私は直接総理にお話をしたことはないのでございますが、環境庁全体といたしまして、事務局として総理の方へ御説明を申し上げているところでございます。
#41
○小川仁一君 そうするとだれがやったの。
#42
○政府委員(加藤陸美君) 企画調整局長として御説明並びに御答弁申し上げますが……
#43
○小川仁一君 だれがやったのと聞いているんです。
#44
○政府委員(加藤陸美君) 先生も十分御承知のところと存じますけれども、総理への日ごろの説明は、直接やる場合ももちろんございますけれども、秘書官を通じて詳細に説明をし、かつ必要な点があればさらに私どもが伺ったりいたすわけでございます。私もちょっと職務柄直接御説明申し上げたこともございます。
#45
○小川仁一君 そういう押し問答してもどうにもなりませんが、総理が言っている国民に対する言葉と環境庁がやっていることとは非常に心理的に離れている、精神的に離れている。環境庁はもう、公健法制定に至る、特に疑わしきは救済するといったような精神を捨ててしまわれたんではないですか。大きな政策の変更だというふうにこの法案を見て感ずるんですが、これはどうなんですか。
#46
○政府委員(目黒克己君) 環境庁に対しましてこの公害健康被害補償制度の改正案を提出することについてはという御質問でございますが、この件につきましては、私どもあくまでも、制度全体の合理性というもの、それから科学的な知見を踏まえるということ、慎重に検討するということ等の手続を経まして私どもこのような結論に到達し、かつ具体的には、地域指定を解除すると同時に新たに発生す合可能性のある被害に関する予防を行うといったような立場からこのような改正に踏み切ったものでございます。
#47
○小川仁一君 環境庁の理念を聞いているんです。
#48
○政府委員(目黒克己君) 当然、先ほど大臣の方から申し上げましたような国民の健康を保護するという観点等々といった先ほど申し上げました考え方に基づきまして私ども環境庁の理念といたしておるところでございます。
#49
○小川仁一君 何か非常にこの法案を見て感じさせられることは、今まで罹患をされたその地域の住民の人たちを切り捨ててしまう、新しく複合汚染で苦労をしておられる住民の方々に目をつぶっているということなんです。特に自動車公害なんというのは大変な健康被害が出ているわけなんです。今の被害はNO2といったようなものじゃなくて複合的なものなんです。一つ一つで物を決定できない複合汚染なんです、大気は。その複合汚染の結果というものが科学的データで出されるような調査というものを具体的に今の問題に関連してお知らせ願いたい。
#50
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の複合汚染と申しますか大気の状況につきましては、SOx、NOxそれからSPM、この三つのもの、現在の大気汚染にかかわります健康影響についてはこの三つで代表できると、このような御指摘が専門委員会からはあるのでございます。このような御指摘を踏まえまして私ども各種の研究調査等を行っているのでございまして、具体的に申しますと、大気汚染全体という観点から先ほど申し上げましたような調査あるいは研究、そのようなものを私ども行ってまいりたい、このように考えているところでございます。また過去におきましては、先般来お答え申し上げておりますように各種の調査も行ってまいったところでございます。
#51
○小川仁一君 私も、この委員会が審議に入りまして、専門委員会の報告書あるいは中央公害対策審議会の会議録、そして非常に多くの人たちからいろいろな資料をいただきました。それで専門委員会の方はわかりました。これは医学関係、疫学関係の専門の方がお集まりになってお出しになったような結論でございますが、日時的に見てみますと、五十六年に東京都が行った調査の中間解析というのが専門委員会において検討されたかどうかお聞きしたい。
#52
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の東京都の調査につきましては、私どものお願いしました専門委員の方々の中にもその調査に入っておられた方もおられるのでございます。
#53
○小川仁一君 また、六十年の三月に神奈川の医師会が第一回目の調査発表をいたしました。これは専門委員会でお使いになりましたかどうか。
#54
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の神奈川県の医師会の調査につきましては専門委員会におきましても取り上げられまして、そして先生方もこの調
査のことについては御存じでございました。専門委員会の中ではこれをどのように扱うかということを御審議した結果、正規の検討資料としては学術雑誌に掲載された論文等々というようなお考えがございまして、この専門委員会報告に直接活字として掲載されるには至らなかったものであるというふうに私ども理解をいたしているところでございます。
#55
○小川仁一君 これ専門委員会の文献には使用したとか検討したということは載っていません。文献の項目の中にありませんけれども、これは間違いなく検討の対象になったわけですね。
#56
○政府委員(目黒克己君) 私どもそのように理解をいたしているところでございます。
#57
○小川仁一君 専門委員会の方はいろいろ厚い資料をいただいたから苦労して読ましていただきました。この専門委員会が発表した報告書、これが中央公害対策審議会環境保健部会の作業小委員会によって答申のまとめをされたわけですが、そのとおりですか。
#58
○政府委員(目黒克己君) 専門委員会報告が出て以後の中公審の審議の状況、特に作業小委員会を中心にという御指摘でございますが、この点につきましては、まず最初に、専門委員会報告を環境保健部会に鈴木委員長が御報告されたのでございます。そしてその場で、作業小委員会に検討を部会としてお願いするということで作業小委員会ができて、この作業小委員会に専門委員会報告について等含めまして御検討をいただいた、こういう経過をたどってそして答申と、こういう手順を踏んだのでございます。
#59
○小川仁一君 作業小委員会が報告を出す前に、東京都衛生局の複合大気汚染に係る健康影響調査総合解析中間報告が出ておりますね。これは作業小委員会として検討なさいましたか。
#60
○政府委員(目黒克己君) この件につきましては作業小委員会の中でも御検討をいただいたのでございます。
#61
○小川仁一君 作業小委員会をめぐって非常に激しい論議があったやに一般的に伝えられておりますので、私もそれを入手しようと思っていろいろ苦労したんですが、作業小委員会の皆さん、法律学者の皆さんのようですが、検討した中身を手に入れることができませんが、これをひとつ資料としてお出しを願いたいと思います。
#62
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の資料の点でございますが、作業小委員会等含めまして、この審議会の内部の審議の経過につきましては当時も部会長と委員の先生方からもお話があった点でございますが、審議の経過は、非常にいろいろな意見があって、その中で少しずつ一つの方向へまとまっていくのであると、このようにおっしゃっておられたのでございます。そしてその経過の中では、仮に最初賛成をしておられたという方がおられても、あるいは最初反対しておられたという方がおられてもそれぞれ御意見が変わってくるという可能性もあったわけでございます。
 また、それぞれの細かな点につきましてもいろいろ御審議をいただき、いろいろこの審議会全体あるいは作業小委員会全体としてまとめていただきましたので、この全体の結果として答申のようなものが出てきたのでございまして、そのような内容については、審議会の先生方の間でこれは公表しないと、このようなことに取り決めになっているのでございます。
#63
○小川仁一君 国会があるいは官庁が任命した審議会のあり方については、私も内閣委員会におりましたからいろいろな方式で任命をしておられる、設置をしておられると思いますが、ここに皆さんの方でお選びになっている委員の方々というのは、例えばあなたがおっしゃるように、自分の意見が途中で変わったからといって――これは学問的、理論的に当然あり得ることです。だから私も撤回を要求しているわけだ、あなた方に、私らの話の中で。そういうことはあり得ることなんですから恥ずかしいことでも何でもないんですが、自分の意見をよそへ漏らすことができないような情けない人たちを選んだんですか。
#64
○政府委員(目黒克己君) 中央公害対策審議会の委員あるいは作業小委員会の委員、専門委員会の委員を含めまして、先生方はこの公害の分野での、それぞれの分野での学識経験を有する方々をお願いしたものでございます。また先ほど先生の御質問でございます御意見が、いろいろ細部にわたって意見があって、それで結果としてそういう方向がまとまったということも事実でございまして、この辺の審議会の内容につきましては、どのような内容であったか、どのような経緯をとったかということについては、先ほどお答え申し上げましたとおりの先生方の取り決めであるのでございます。
#65
○小川仁一君 記録はあるんですね。こういう種類のものは議事規則で残ることになっているから、そのものはあるんですね。
#66
○政府委員(目黒克己君) 記録はございます。
#67
○小川仁一君 事はやっぱり、この法律を審議するためには、私のような素人は疫学的な問題とかあるいはいろんな調査とか、作業小委員会というのは法律学者だけのようでありますが、いろいろ法律的な問題とか、そういう物の考え方、討論の仕方をする、そしてこういう場所で委員会として討議に参加できることが議員としての務めを果たすことになると私は信じております。
 この前電話したら、はい持ってまいりますと言うから持って来るかと思ったら、審議経過の一枚のプリントしか持ってこないで、議事録は出せない、こういうおっしゃり方です。物があっても出せない。何か国家秘密にでもなっているんですかね、こういうものは。それとも個人の名誉を著しく傷つける可能性があるんですか。この二つともなかったら国会に出さないという理由は正当化できないと思いますが、いかがですか。
#68
○政府委員(目黒克己君) この点につきましていろいろ御意見あるいは御検討を各方面でいただいたことも事実でございますが、この審議会の最終的なものは公表する、しかしながらこの経過等についてはこれは外へ出さない、こういうことでございます。また先生の御懸念の一つは、今のお話にございましたように作業小委員会に専門家が入っていない等々といったような御趣旨と私ども承っておるわけでございますが、この作業小委員会、専門委員会あるいはまた環境保健部会、特に環境保健部会には専門の委員会で専門委員会報告の作成に直接タッチされた方々も含めてこれを再度御検討いただいておるのでございまして、この審議の過程等について特に問題はない、公正に行われたと、このように私ども考えておるところでございます。
#69
○小川仁一君 私は、あなた方が問題がないということを聞いているんじゃなくて、私たち国会議員がこの法案を審議するために必要だから出してくれと言っているんです。国家秘密でもない、個人のプライバシーにも当たらないようなものかどうか、当たらなかったら出すのが当たり前じゃないですか。私たち法案審議しているんですよ。出してください。中公審の審議会の議事録を含めて御提出を願います。長官どうですか。
#70
○国務大臣(稲村利幸君) 中公審の議事録のことでの先生の御質問でございますが、この中公審への諮問、答申そのものは公表されます。そして答申取りまとめの経過に関する議事録等については中公審の決定を尊重する。中公審では、審議会での自由な討論を確保するという観点から会議は非公開を原則として、議事録は委員以外閲覧できない、こういうことになっております。
#71
○小川仁一君 それじゃ、その議事録というのは委員と事務局以外の人は知っていないと、こう考えてよろしゅうございますか、長官。
#72
○政府委員(目黒克己君) 私どもそのように理解をいたしておるところでございます。
#73
○小川仁一君 そうでない事態が起こったときの責任はだれがとりますか。
#74
○政府委員(目黒克己君) この点につきましては、やはり審議会の先生方各位はそれぞれの御信念、学識経験に基づきましてそのようなことがないんじゃないかというふうに私ども理解をいたし
ているところでございます。したがいまして、そのような状況になりましてこの責任云々というようなことについては、現在私ども何も考えていないのでございます。
#75
○小川仁一君 いろんな人たちが持っていますよ、これ。国会議員が法案を審議するときに、その法案のもとになった討議とかあるいは内容をあなた方からいただかないで、ほかのだれかからこうやって苦労して集めてきて審議をしなければならないという状態は、これ正常な状態と思えませんがね。私はやっぱり、別に国会議員の権威をかさに着て物を言うつもりはありませんよ。しかし手に入れようとすれば入れることができる。私以外の人だって持っている人がかなりある。いろんな人が持っていますよ。これはあえて、それを手に入れようかと思ったけれども、それでは、そのもの自体がどこかで改ざんした可能性もあるし、あるいはどこかの部分だけを引用しているという場合もあるので……。こういう状況で御質問を申し上げるということは非常に困る。こういうことで審議会の議事録を要求をいたします。
 そして、特にその中にはいろいろな話があるんですね。例えば何ら作業委員会の委員長でも副委員長でもない人、そういう人が総会に報告をした。なぜ権限のない人がそういう報告をするんだろうかと思ったり、いろいろな疑念がわきます。したがって私は、審議会の議事録をいただいて、自分の一方的な解釈によって審議に参加することではなくて、公正に審議を進めたいと思いますから要求をいたします。それがなければこれからの公正な審議というものは私はできないと思いますので、委員長、これ理事会に諮っていただきたいと思います。
#76
○政府委員(加藤陸美君) ただいまの先生の御質問並びに御意見でございますが、実は私どもは中央公害対策審議会の事務局であるわけでございまして、先生御理解賜りたいのでございますが、事務局には事務局としての限界と申しますか、責務と申しますか、あるわけでございます。先ほど環境庁長官の方から御答弁いたしましたように、中央公害対策審議会の決定として決められておりますことを私ども事務局は尊重をしなければならない立場にあるわけでございまして、その辺のところは御理解賜りたいと思うわけでございます。
#77
○小川仁一君 諮問の傾向が途中から変わったような感じさえするんです、審議会に対して。あなた方は事務局だから、私は環境委員として審議をするために必要な資料として要求しているんです。それだけです。国家秘密であるとか個人のプライバシーを侵害するのであればいただきません。そうでなきゃ、こういうものは関係する皆さんに公開されてしかるべき性格のものなんです、本来は。討議の過程でいろいろ面倒なことがあられるかどうかで非公開で討議をされたということを否定しているんじゃない。しかし、それは議事録があるはずだからそれを下さい、こう言っているだけです。
 私に、これからの中央公害対策審議会の中身に対しての質問を、だれかが流した資料によって質問をしろと、そういう環境庁の態度であれば、そうお答え願えればそちらによって質問をしますが、さっき言ったようにだれも漏らしたはずがないと、こう言っているんですから、そういう言い方はまさかなさらないと思いますから、審議会の議事録をお出し願いたい。出せないということはあり得ない。国会議員の環境委員の一人として絶対これ要求します。これが出ないうちは私は次の質問を行いませんので、留保しますので、ぜひ理事会で御検討を願いたい。
#78
○委員長(山東昭子君) ただいまの問題は理事会で協議をいたしますので、引き続き別の問題について御質疑をいただきたいと思います。
#79
○小川仁一君 進めませんよ。私は持っているんですが、これインチキかどうかわからぬのです。だから、これが質問をする順序でございますから、そしてこれを質問したから次の問題が出てくるわけでございますから、それが出なけりゃ私はとても質問を続けられません。ぜひ、暫時休憩してでもいいですから急いで決めてもちいたい。非常に大事なことです。これ国会議員の権限にもかかわることだ。
#80
○委員長(山東昭子君) それでは、環境庁として提出を希望したにもかかわらず、審議会の今までの取り決めで非公開という形になっているわけでございますので、新たに委員として……それでは暫時休憩をいたしましてこの問題を……休憩をさせていただきたいと思います。
   午前十一時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時二分開会
#81
○委員長(山東昭子君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 理事懇談会で協議いたしました結果、ただいま問題となりました資料に関しては、改めて環境庁に対し提出するよう要望いたします。
#82
○政府委員(加藤陸美君) 中公審会長に申し上げ、相談いたします。
#83
○委員長(山東昭子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#84
○委員長(山東昭子君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#85
○小川仁一君 先ほど中公審の議事録をお出しするようにお願いをし、理事会で要望されたところ、会長にお諮りになってという話がございました。直ちに御返事がないものだろうと考えまして、私はそれに対する質疑を一応保留して次の質疑に移らせていただきますが、きょう開会がおくれました分と、先ほどお願いしたことによって理事会で休憩になった分は会議録が出る出ないという御返答のあった後に回しまして、きょうは、当初理事会でお決めになったように四十分間だけ質問をさせていただきますが、よろしゅうございましょうか。――じゃ、委員長お願いします。
 先ほど、神奈川の医師会が六十年三月に発表した神奈川県下広域的気管支ぜん急患者実態調査というのを専門委員会で検討したと、こうおっしゃっておりますが、学術論文でないから文献には載せなかった、正規の扱いは余り本格的にはしなかったというふうに御答弁を聞きましたが、局長、間違いないでしょうね。
#86
○政府委員(長谷川慧重君) ただいまの先生のお尋ねの件に関しましては、私は大気の関係でございまして、公健法の関係は環境保健部長の方でやっておりますので、詳細につきましては存じていないところでございます。
#87
○小川仁一君 担当の局長はお見えになってないですか。部長さんがお見えになっているのはわかっていますよ。しかし、物の順序として局長が答えるのが普通の委員会の順序で、局長さんが答えないでさっきからずっと部長さんがお答えになっている。官僚の順序というものは部長の方が上かもしれませんけれども、何か局長の出番がないようなんですが、私は局長にお伺いしたんです。
#88
○政府委員(加藤陸美君) 局長のもとに環境保健部があるわけでございまして、統括者は私の方でございます。ただ、先生御承知と存じますが、所掌分担というものがございまして、それに従いましてまず担当の部長から御答弁申し上げておるわけでございます。
 ただいまのお話の資料の記載の内容につきましては部長が御答弁申し上げたとおりでございます。
#89
○小川仁一君 学術論文ではなかったから専門委員会の文献には載せなかったと言いますけれども、私この専門委員会の文献を見てみましたら、東京都の衛生局の中間報告は載せてある、またおたくでやっている中間報告も載せてある。しかし
神奈川のこの医師会の論文だけは載せていないということは、これは実際は検討しなかったということじゃないでしょうか。
#90
○政府委員(目黒克己君) 当時の専門委員会の御審議の過程の中で御指摘の点につきましては、正規の資料といたしましては、学術雑誌に掲載された論文及び国、自治体の行った調査を取り上げることとすると、このように専門委員会では決めたわけでございます。先ほど私は学術雑誌に掲載された論文等ということでお話し申し上げましたが、正確に申しますと国と自治体というものも入ってございます。しかしながら、この委員会の中でのお話し合いの結果この神奈川県医師会のは取り上げないことにしたと、このように私ども理解しているのでございます。
#91
○小川仁一君 それでは、その討議内容は後で会議録やその他が出たときにお聞きすることにして、同じく神奈川の医師会の調査で、六十一年の十月に調査が終了して六十二年の三月に発表されたものがありますが、これは全然審議の対象にはなっていないわけですね、これは。
#92
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の六十一年十月でございますかに調査をされましたものということでございますが、そのことにつきましては、私どもちょっと今正確には存じておりませんけれども、恐らく先ほど申し上げましたようなことから報告書の上に文献として掲載するには至らなかったのではなかろうか、このように理解しているところでございます。
#93
○小川仁一君 この調査を拝見をいたしましたが、非常に医師会の総力を挙げておつくりになった調査でございます。皆さんの方でごらんになっていないのであればいろいろ資料を申し上げても話がかみ合わないと思いますから、まあ、「解析のまとめ」という部分の一部を申し上げてみますと、例えば「年齢別では十五歳以下が全体の三八%を占めて本症の」、こういうふうを言い方をしたり、大気汚染との相関関係では、二酸化硫黄についてはこの神奈川地区では「日平均値の二%除外値と人口千人対患者数との相関は」云々として、「工場排煙を主要発生源とするSOxの及ぼす住民への健康被害の問題が終焉したことは言えない」、こういう言い方。それから窒素化合物については「移動発生源である自動車対策については、その排出ガスの環境大気濃度への寄与率の上昇も予想され」、さらに大気汚染その他を出しておられます。
 そしてこの表で今度は患者の発生率を見ますというと、例えば非常にSO2が少ないと思わる箱根・小田原地区、その地区の湯元の患者発生率が鶴見区と同じような患者発生率になっているんですね。あれは非常に低い場所でそして自動車の渋滞が大変多くて、こういうNOxについては非常に汚染度の高い地域で、鶴見区はもうおわかりのとおりの場所でございます。こういう同じような患者発生率があるということについて見ますというと、とても中公審が言っているように公害源が減ったとか、第一種指定地域に当たるような大気汚染の著しい地帯はなくなったとかというんじゃなくて、もう全地域に広がっている、こういう感じがしますが、おたくの調査ではこういったような地点についてはどのようになっているでしょうか。お知らせ願いたい。
#94
○政府委員(目黒克己君) 私ども環境庁で行いましたのは二種類ございまして、一つは、三十三万五千人ほどを対象といたしました五十五年から五十九年度まで実施したもの、それからもう一つは、五十六年から五十八年度まで実施いたしました十二万人余りを対象としたものでございます。この二つの調査とも、それぞれの地区に現在の大気汚染の中で汚染濃度が最も高いと思われる地域も選びましてその調査の中で判断をしているものでございます。したがいまして、先生御指摘の非常に高い地点というものも私どもの方の調査の地点、地区の中には、例えば小田原がそのまま入っているかと申しますとそういうことではございませんけれども、大都市の高い地域のものについても入っているのでございます。
#95
○小川仁一君 このように医師会という民間団体が患者さんとの接触の中で大変良心的に、しかもこの神奈川の場合はほとんどの病院が参加して調査をしておられる大変貴重な資料だと私考えて拝見をいたしたわけでありますが、しかし発表されたのが六十二年の三月、いわゆる閣議決定後、法案ができてからでございました。ただ、こういう場合におたくでは、第一回目の調査が五十八年十月調査したのを六十一年三月に報告をし、それを専門委員会が使っているという事実、当然それは第二回目をやることが計画されておりましたし、こういう民間団体の非常に良心的な調査を待ってからこういう法案をつくってもよかったのではないかと思いますが、調査の資料不足あるいは科学的知見とおっしゃいますか、そういったようなものの不足を逆にいいことにしてどんどんどんどん、そういう調査があっても投げて進んでいったような感じがするんですが、この辺どうなんです。
#96
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点ではございますけれども、私どもの調査、それからそれ以外のいろいろな報告等ございますけれども、専門委員会では多数のその時点での集め得ることができる最もいいものを集めたものでございます。
 御指摘の調査等につきましても、私どもの疫学調査の問題につきましては私どもが行いました非常に大きな調査でございますが、この調査の中にほぼ結論としては含まれ得る、専門委員会がそのように御判断をしておられたのではないかというふうに私ども理解をしているのでございます。
#97
○小川仁一君 この最終調査は間に合わなかったから検討してないでしょう。
#98
○政府委員(目黒克己君) 類似の調査につきましてはいろいろなものがあるわけでございますが、その中でも代表的なものとして委員会は幾つかのものを取り上げられたのであろうというふうに考えておるわけでございまして、私、先生がおっしゃっておられる調査も恐らくこれ最初に申し上げました医師会の調査と同じものではないかなとは思いますけれども、延長線上の調査であるかとか、ちょっとその辺つまびらかではございませんけれども、その辺のことにつきましては、当然専門委員会の先生方も御承知の上でそのような判断に立たれたものというふうに私ども理解をしているのでございます。
#99
○小川仁一君 私の言い方が悪かったかもしれませんが、神奈川の医師会の第一回の調査は六十年の三月に発表されておりますし、最終調査は六十二年の八月におたくの方へ出されておりますから、私は八月の方は専門委員会で調査の対象にはならなかっただろうとは思います。
 それで私が言いたいのは、一回目の調査があって、続いて二回目の調査もやりますよという計画があったんだから、これは第一種地域を切り捨てるというふうな法案を、お考えを出そうとするならば、そういう調査もあるということを前提にしてもうちょっと時間かけていろんな資料を集めて討議してもよかったんではないか、こういう感じで申し上げたんです。それは東京都の場合もそうなんです。何か衆議院の議事録を見ますと、岩垂さんが言っておりますが、東京都の衛生局の調査、これは三月にできたのを環境庁が圧力をかけて五月まで発表を延ばさせたのではないかというような言い方をしておられます。調べてみましたら、なるほど東京都の衛生局の奥付には三月の発行になっているんですね。だから、もう三月時点にはこれは発行されたものと考えるのが常識で、これは当然作業小委員会等では対象になったと思いますが、いかがでございますか。
#100
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の東京都の調査につきましては、この作業小委員会等含めまして専門委員会報告が出た後に、やはりそのものも御検討をいただきまして、そして答申の中にも東京都調査に関することについての記載があるわけでございます。
#101
○小川仁一君 この中身はまた後の問題にいたします。
 それで、実はどういう形でSOxとかNOxをお
はかりになっているかと考えて先日、測定局をいろいろお聞きをしてみました。あれ測定局というのは、環境庁の前のところでお聞きするところによると、やっぱり風向きにも影響される、曜日によっても濃度が違う、あるいは時間によっても違うというふうな御説明がありました。したがって、平均値で環境基準を達成しているかどうかということを出すことは大変間違いではないか。これは、その測定局の最高が幾ら、まあ、平均出してもいいですが、最低が幾ら、最高でそれがどれくらいの高い水準で何時間あったか、こういうふうなデータを出される方がいわゆる高濃度に対する暴露といいますか影響がわかると思うんですが、こういう分析はしておられますか。
#102
○政府委員(長谷川慧重君) 大気に含まれておりますNOx、SOx、浮遊粒子状物質につきましては、先生からお話ございましたようにいろいろな条件によって刻々数値は変わってまいっております。そういうことで、それらの物質につきましては自動計測等によりまして毎時はかっているわけでございますが、例えばNOxで申し上げますと、いわゆるデータとしましては一時間一時間置きの単位の数値が把握されておりますので、それを一日二十四時間で一日平均値という形で出しております。それからその三百六十五日分のを年平均値という形で出しております。そういうものにつきまして評価をする場合に、先生お話しのように個別の評価という方法もあるわけでございますが、NOx、NO2といいますのが慢性影響を及ぼすような物質であるというような観点から、その数値の評価に当たりましては一年じゅうの九八%値、これが環境基準を満たしているかどうかというところで判断をいたしているところでございます。
 それ以外にSO2に関しましては、先生お話しのように非常に短期的な影響もあるというようなことで、長期的な評価それから短期的な評価という二つの見方で環境基準が決められてござい良して、そういう面での評価をいたしておるということでございます。したがいまして、物質によりまして評価の仕方を多少変えておるという状況でございます。
#103
○政府委員(目黒克己君) 先生の先ほどの御質問に追加をさせていただきますと、各地の疫学の判断あるいは疫学調査の結論を出すときに、ただいま局長がお答え申し上げましたような考え方を基礎にいたしまして判断し一つの結論を出したものと、このように私ども理解をいたしておるところでございます。
#104
○小川仁一君 環境庁の前の測定局も見せていただきましたし、それから私は自分の足で新宿区内の幾つか測定局を見て歩きました。あれ空気を吸入する部分がありますね。あれの高さというのは路面上から何メーターぐらいを一番適当と考えておるか、それから道路からの距離はどのくらいを基準にしているか、お答え願いたい。
#105
○政府委員(長谷川慧重君) まず空気を吸い込みます高さの問題でございますが、大体人間の高さというようなところで一・五メーターぐらいが一番よい形じゃなかろうか。それから道路の端からの距離でございますが、一応現在ありますのは大体二十メーター以内が全体の自排局の九割を占めておるという状況にございます。
#106
○小川仁一君 国でやっている分はほとんど一・五メーターでございますか。環境庁の前は何メーターございますか。
#107
○政府委員(長谷川慧重君) 先生ごらんいただきました霞が関にあります自排局の採気口の高さは二メーターでございまして、道路の端からは五メーターの距離にございます。
#108
○小川仁一君 新宿御苑の中にもありますね。あれは甲州街道だったかな、新宿南口から行っている通りです。その二つを国でつくったのを見ましたが、どちらも植え込みの中に吸入口がある。あたりによく木を植えておられる。あれで、意地悪な言い方をすれば、樹木あるいは植え込みから出てくる空気と外から来る空気を中和させて吸い込ましているというふうな見方もできるわけなんですが、何であれ植え込みの中へ置くんですか。植え込みの中へ置いたら影響はありませんか、道路面との影響というのは。
#109
○政府委員(長谷川慧重君) 先生の御指摘は、NOxに関しましては植物による大気浄化作用があるというようなことから、植え込みといいますか、木の陰にあれば多少減るんじゃないかというような御疑問を持たれたんだろうというぐあいに思うわけでございますが、個々の測定点がそういう面では必ずしも完全であるということについては私もそこまで強く申し上げられませんけれども、場所場所によりまして、例えば霞が関のところでございますと、植え込みとはいいながらも多少それより高いところに採取口をとっておる、それから新宿の方は木の方から少し離れたところにつくってあるというようなことで、先生のおっしゃるような御疑念を完全に否定するものじゃございませんけれども、そういう面で、ある程度そういう実際の空気の状況を把握できるような形でそれぞれの採取口を設けておるということでひとつ御理解いただきたいと思っております。
#110
○小川仁一君 専門家じゃないから、そういう場所にあるのがどれほどマイナス影響があるか、あるいは測定値に狂いが出てくるかということはわかりませんけれども、環境庁の前の整備されている植え込みの中だの、それから新宿御苑の中の方で空気が取り入れるようになっておりますと、環境庁の入口から冷房が夏は出てくるだろうし、冬は暖房のあれが出てくるだろうしと思ったり、新宿御苑の中を吹いてくる風が非常に影響するだろうと思ったり我々素人はするんです。影響ありませんか。幾らかやっぱり影響あるでしょう。そういうことを頭の中で考えて設置したんですか。どうなんでしょうか。
#111
○政府委員(長谷川慧重君) 先生おっしゃられるように建物の関係あるいは公園の中の空気の関係等もございますが、その測定点は、それぞれ道路を走っております車の影響を見たいということでございまして、車の通行量は、それぞれの道路が二万台とか二万五千台というぐあいにかなりの量の車が走っておるものでございますから、そういう面で車の排ガス量を測定するにはそう問題のない場所というぐあいに理解いたしております。
#112
○小川仁一君 植物は空気の浄化作用を持っていると思っているんです。ただ、SOxとかNOxとかをどの程度浄化するかということは私も科学的にはわかりません。しかし一般的には、あんなところで空気を吸い込んで測定されて、そして達成しているのしていないのと言われたらかなわぬという気持ち、これは庶民の感情です。これはおわかりになると思う。やっぱり一番測定地が、例えば一メーター五十というのは子供の身長に合わせてかとも考えてみたんです、気管支ぜんそくの子供が非常に多いからね。そういうことで考えてはみたんですが。
 それだけ配慮している中に、例えば新宿で柳町というところがございます。ここは前に鉛公害で大騒ぎになったところでございます。道路は、一つは大久保通り、一つは外苑通りの交差点、牛込柳町、ここは低くなっているんですね、行ってみますと。両側が斜面になって高くなっている。ここは一番ひどいところだからといって行ってみましたら、ありましな。その交差点から百メーターぐらい離れている。そしてその道路から二十メーター離れている。高さ三メーター五十、これが斜面でまた高くなっていますからね。こういうので出した数値でさえこの地区は大変な高さなんです。これをあの一番問題になった交差点の角へ置いたらどういう数値が出てくるだろうかということを私疑問に感じましたが、こういう数値でも出された数値は御信用なさいますか。
#113
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お話しございました牛込弁天町にございます測定点は、先生お話しのとおり交差点から少し離れているところにございます。これをまずなぜそこへつくったのかというお尋ねになるわけでございますが、いろいろな条件、状況等がございましてここにつくっておるわけでございますが、一つは、NOxの採取口からそれを分析するところまでの距離が長くなりま
すとNOxなりNO2との関係が必ずしも正確に得られないというような点もございます。余り採取口からはかるところまでの距離が長いと困るというような問題等もございまして現在のところにそういう自排局の定点を設けておるということでございまして、そこの数値は、先生お話しのとおり、環境基準を九八%としてかなりオーバーしているところでも。ございます。
 それからさらに、その交差点のところはどうかというお尋ねになりますと、交差点のところはそれ以外に道路が交差しているわけでございますからさらに車の交通量が多いだろうというぐあいに思われますので、そういう面では、その点におきますNOxあるいはNO2のレベルといいますのは少し高くなるんじゃなかろうかなというぐあいに推測いたしております。
#114
○小川仁一君 地形はこの交差点が一番低いんです。鉛公害で問題になったから場所はおわかりだと思う。それから百メーターほど離れている。高さが三メーター五十ぐらいである。その上にもまた斜面で三メーターもある。それでこの下のNOxやなんかの汚染状態を見るということはほとんど不可能ですから、私は、やっぱり人間が歩いてくる同じ平面といいますか、そしてそこから一・五メーターなら一・五メーターという高さで出された数字というものを非常に大事にして今後の公害対策に当たってほしいと思います。幹線道路じゃないんですよ、いわゆる何号線何号線という。普通の市内の道路でもこういう状況があるということです。それを言い抜けをしようとしてやったわけじゃないだろうが、えらい高いところへつくっちゃって、ここじゃ余り悪い空気が入りませんからね。NOxというのは重いんでしょう、どっちかというと下に下がる傾向がある。こういうところで空気をとってはかっちゃったと。科学的なんというものじゃないですよ、これは。恣意的と申し上げる、あえて。こういう状態は、国のものも含め、我々が日常生活しているものをそのままはかれるという状況に直してもらいたい。そうすれば数値が必ず変わってくる。そうでなきゃこんな大勢の患者さんが出ないんです。非常にそこに問題があるのでこの点をもう一度お考えをお聞きしたいと思います。
#115
○政府委員(長谷川慧重君) 私どもは自排局の設置に当たりましては、先生のお話にございましたように人が住むところ、しかも道路の影響のかなり強いところというようなことから、道路からのそういう定点を置く場所までの距離につきましては、先ほどもお話し申し上げましたように二十メーター以内が大体九割ぐらいというところにそういう定点を設けておる。高さにつきましても一・五メートル、二メートル、三メートルというぐあいにそれぞればらつきはございますけれども、全体から申し上げますと大体八割が道路から十メーター以内のところに定点を設けておるというようなことでございます。
 御指摘の定点を申し上げますと、確かにちょっと、もう少しもっとよりよい場所といいますか、正確にはかれるところの方がいいのではないかという御指摘の点があるのかもしれませんが、全般的にはそういう道路の距離あるいは高さといいますのが大体の幅におさまっているというぐあいに思っているところでございまして、そういう面では、全国的にはかなりそういう道路の、特に自動車の影響を把握する自排局といいますものは大体いい形に存在しておるというぐあいに理解いたしております。
#116
○小川仁一君 この付近に小学校がいっぱいあるんです。牛込仲之小学校とか余丁町小学校とかというふうにあるんですね。子供たちに気管支ぜんそくの非常に罹患率が多い、患者が多い、こういうことを考えてみますと、学校の付近にそういうものを設置して、子供のことを考えて測定してみられるというお考えはありませんか。
#117
○政府委員(長谷川慧重君) 必ずしも正確に数を押さえておるわけじゃございませんけれども、測定点と申しますのは大体公共の土地等に多く設けていることから申し上げますと、役所とかあるいは学校というふうなところに測定点が設けられておるということになるというぐあいに理解いたしております。
#118
○小川仁一君 私が言っているのは子供たちにぜんそく患者やなんかが多いからと。公共施設に設けるなんて言ってるんじゃない。子供たちをみんな親御さんたちが大事にしているから、学校のそばに今度新しく設けてみる気はございませんかとお聞きしているだけであってね、今のような御答弁を期待しておりませんでしたが、予定の時間来ましたので、あと先ほどお約束したような質疑の継続をしたいと思いますから、きょうはこれで終わります。
#119
○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきます。
 私は、一昨日のこの法案に対する趣旨説明がありました際に本会議で質問をさせていただいたのでありますが、あのときにお話ししたのは十分間でございましたので、もう少し詳しく質問をさせていただきたいと思っているんです。
 まず私は、その冒頭に述べましたけれども、現状において地域指定の全面解除は時期尚早であり、私は反対であると。しかし、環境条件が改善されつつあるということを前提にすれば見直しということはあり得るだろう。しかし、見直し即全面解除ではない。つまり、地域別に診断をして治癒したかどうかということがあるのであって、地域別の診断をしないで全部治っちゃったということは病気の世界では考えられないわけでございます。そういう意味で私は、地域指定の解除に関連しまして次のことを質問したいと思います。
 まず、中公審の答申によりますと「一定の地域を指定地域として指定し、補償給付を行うことが合理的であるためには、」というので二つの条件がついているわけですね。その二つをひとつ挙げていただきたいと思います。
#120
○政府委員(目黒克己君) この二つの条件と申しますのは、一つは、「人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断でき、」ということが一つ、それから二つ目が、「その影響が、個々の地域について、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすことに合理性があると考えられる程度にあること」、この二つのものでございます。
#121
○高桑栄松君 今のお話の一番目というのは、人口集団に対して定量的にその影響が出てくると。これは疫学的な調査研究でそのデータを得ることができると思いますし、そういったデータに基づいてこういう提案が出ているんだと私は理解いたします。普通我々が考える疫学的なデータですよね。しかし二番目の、患者をすべて大気汚染によるものとみなす合理性というのは、まず大気汚染健康障害というのは非特異的症状である、非特異的症状というのは因果関係が特定できないという前提があるので、だから、この中公審答申における合理性というのは何を言っているんだろうかと。これは中公審のメンバーでないからお答えが面倒かもしれませんけれども、どう思いますか。
#122
○政府委員(目黒克己君) この合理性云々の問題でございますが、これは、この合理性があると考えられる程度ということになろうかと思うのでございますが、先生が今おっしゃいましたように他の原因、これは気管支ぜんそく等の大気系の病気につきましてはいろんな原因があるわけでございまして、その原因が明らかに大気汚染によるものと言える程度になるようなものというようなものと理解をしているわけでございます。したがいまして、地域の患者の全員を補償の対象とすることが妥当と考えられるような場合といいますのは、先ほど申し上げましたようにこの大気汚染によるものというふうに言えるというところが一つのポイントでございます。したがいまして例えば、大気汚染による影響がぜんそく等の原因の過半以上を占めている、そういうふうにみなせる程度でないといけない、こういうことになっておるのでございます。
 したがいまして、大気汚染がぜんそく等の主たる原因であると考え得る状況下においては、四十
九年度答申にございますように、疫学調査とかあるいは医学的な調査というものによりまして地域の有症率がある程度、先生の御指摘のような定量的なものに、自然有症率の二倍以上となっているような場合がこれに当たると四十九年当時は考えたのでございまして、そのようなものと差がある、こういうような意味でその定量ということについて答申は触れておるというふうに私どもは理解をしているのでございます。
#123
○高桑栄松君 定量的というのは、さっき申し上げたように私は疫学的にデータがとれるものだと思うんです、大気汚染の濃度の多い少ないとか、患者の発生率というか、有症者の率ということで。その患者が大気汚染による症状を示しているというのは、何かラベルをつけて入れているわけじゃありませんのでとてもこれは言えない。これは目黒先生もドクターでおられるので答えにくい部分だろうと思うんですが、医者としては先生もよくおわかりのとおりだと思うんです。だから、非特異性であるというところがこの患者認定を非常に左右する大事なポイントではあると私は思うんです。
 そこで、去る二月の東京高裁におけるNO2訴訟での前公衆衛生院院長の鈴木武夫先生の証言というのが載っていた雑誌を見てなるほどとよくわかったんですけれども、鈴木先生が証言の中で言っておられるのは、中公審答申で地域全面解除のところで条件を二つ入れているのはこれは明らかに病気を知らない人の言葉ではないか、そしてこれは、もし起きるとすればアクシデント以外にはないと、こう言っているわけですね。一〇〇%これを満たす条件というのは確かにアクシデント以外にはないのではないかと。オール・オア・ナッシングみたいにどこかではっちり切るというのが法律のようでありまして、医者の世界で健康者と病人とを区分けするのと違うようでありますけれども、しかし対象が患者、人間でございますので、この辺はやっぱり若干あいまいではあっても考え方がなければなるまいと思うんです。
 そこで今の鈴木先生の証言について、二つあったわけですね、要するに病気の現実を知らない人の頭で考えた文章じゃないんでしょうかということと、事故以外にはあり得ないということなんですが、コメントはいただけますか。
#124
○政府委員(目黒克己君) 事故以外にはあり得ないという点でございますが、少なくともこの制度発足当初の昭和三十年代、四十年代の状況においてはそのようなことがあったことは事実でございまして、その当時はある程度そのようなことが言える状態であったことは事実でございます。
 それからこの医学的な面につきまして鈴木先生がそのようにおっしゃったということについては私どもも十分聞いておるのでございますが、この医学的な面については、先ほど先生からも御指摘がございましたように、ぜんそく等の疾患は大気汚染以外の原因でも起こり得るということが一つございまして、この医学的な面というものと、それから低濃度の中においてどこまで言えるかといったようなもの等を含めまして主として医学的な面で先生はおっしゃっておられる、このように理解をしておるのでございます。
 先生御承知のように公害健康被害補償制度は、そういう医学的な知見とそれからもう一つ、大気汚染による患者に対して汚染原因者の負担によって補償を行うという一つの割り切りを行っているという面がございまして、その割り切りを行うという面とこの定量的な面云々、合理性云々という先般来の御議論いただいているところがその辺のところに当たるのではなかろうかと、このように考えておるのでございまして、鈴木先生のおっしゃっているのは、私どもの答申の中の医学面ということについて、先生は医者でございますのでおっしゃっておられるのではなかろうかと、このように私ども受けとめているのでございます。
#125
○高桑栄松君 私がこういう場に立たさしていただけるようになってから一貫して申し上げているのは、やはり私は、医学者の立場で物事を見てそれで私なりの結論を出したいということなので、加害者負担の原則で幾ら出すかというのは、患者さん側になれば多い方がいい、出す方にすれば少ない方がいいという何か商売のバランスみたいなもので、論理的な根拠というのはやや薄いんじゃないか。ですから私の論議にはこれなじまないんですね。ですからそこの部分は私はおいておいて、やはり医学的な知見ということがどれくらいこの中で重みを出していくかと。ただ、医学的な知見といっても、水俣病のときもそうでありましたが、一〇〇%確定的なことはできないんですね。どんな場合でもできない。だから、その辺にあいまいな部分が残るので、私はこのあいまいな部分をどうするのかなと。
 一つは研究ですよね。研究を進めていくというのは、不確定要素を次第に確率を高めて確定要素に変えていくというのが研究なんですから、だから、研究が大変進みますと、余計な話になっちゃいましたけれども、医者が要らなくなるだろうと思うんです。症状が、非常にたくさん情報が入って、コンピューターに入れるともうぱっと出てくる。医者の免許証要らなくなる。今幸い通用しておりますので、私も免許証を持っておりますので失職したらまた働かしてもらえるかと思っているわけでありますけれども。
 まあ、そういうことで、今お話しのところが私にとっては非常に大事なポイントなんです。昭和三十年代、四十年代とおっしゃったわけですが、それから四十年から五十年代にかけて見ると全国的に気管支ぜんそく患者は増加している、それから被認定患者、つまりぜんそく患者ですね、これも同じ水準であると、こういうことが載せられているんですが、これは何を意味しようとしたんでしょうか。伺いたいと思います。
#126
○政府委員(目黒克己君) この点につきましては先ほど来申し上げておりますように、認定患者というものは医学的に申し上げますれば他原因によって起こってくると、こういうことでございまして、少なくとも大気汚染を原因とするもの以外のものについても当然これは大気汚染によるものと、こういうふうに私ども当初からみなしてこの制度をスタートさしているのでございます。
 したがいましてこの点につきましては、やはり認定患者がふえるからといって直ちにこれをもってして大気汚染と言うことはできないだろう、あるいはまた、全体的にそのほかの地域についてもぜんそく患者が非常に大都市を中心としてふえてきているという現状にあるのもこれまた先生の御指摘のとおり事実でございますが、こういう全般的な小児を中心といたしました大都市におけるぜんそくがふえてくるという問題につきましては、これには国民生活の変化あるいは食生活の変化あるいは住居環境の変化等々といったいろんな原因が入ってまいりますし、直接大気汚染以外に例えばダニ、カビ等によりまずアレルギー質とか、いろいろな要因が加わりまして起こってきているものと、このように私ども理解をしているのでございます。
#127
○高桑栄松君 あの文章を黙って読むと、認定された患者の増加と全国的なぜんそく患者の増加が同じだからもはや大気汚染地区だけが問題なのではないと、こう言っているように私は見えたわけです。
 それで、昭和五十九年の厚生省の患者調査結果というのがありましたのでそれを私なりに分析をしてみたんです。その中で、全国都道府県の中で十都府県が指定地域を含んでいると。この十都府県のぜんそく患者と全国四十七都道府県のぜんそく患者とがどうなっているかというのを見てみたわけです。人口比でいきますと、十都府県で五千六百万人なんです。一億二千万の人口で割ってみますと四七%なんですね。ところが、指定地域を含む十都府県ですと患者が七万二千人なんです。細かく言うと七万二千百人。それから全国のぜんそく患者が十三万八千六百人という推定になっております。いずれも推定に近いものですけれども、これは患者比は五二%なんです。もし全国と指定地域とが同じ患者であれば全国分の人口比は
全国分の患者比とほぼ同じでなければならないという一つの仮説で言いますと、ここに五%の差が出てくるんですね。人口比が四七%、患者比が五二%なんです。私はこれの標準偏差を計算をしてみました。そうすると非常に標準偏差が小さいので、この両者の五%差というのは明らかに有意の差なんですよね。ですから、指定地域を含む十都府県の患者発生率は明らかに全国に比べると人口比のとおりではないということになる。これは指定地域のことを言っているのでありますが、これについてどうお考えになるでしょうか。
#128
○政府委員(目黒克己君) この先生御指摘の先生のなさいました分析につきましては私どもも今後ともさらによく勉強してみたいと思っておるのでございますが、同じようなことでございますけれども、これは環境庁で行いましたATS調査の結果からも御指摘のような大都市でぜんそくが多いということが推測としては出ておるのでございます。同じような結果がやはり出ておるのでございます。
 問題となりますのは、この大気汚染以外の原因でも発症いたしますぜんそく等の疾患が大気汚染によるものか否かというところが一つのポイントになってくるわけでございまして、繰り返し申し上げませんけれども、これにつきまして専門委員会の報告では、現在の知見では原因の主たるものではないというような趣旨で先般来御説明申し上げておりますように、大気汚染等によるものとは、主たるものとしては考えられないという趣旨の答申になっているのでございます。この大気汚染がぜんそく等の主たる原因と言えない、あるいは定量的なものの示し得ないような状況にあるということでございますので、結局私どもの方としては、単に患者が増加しているという事実だけで先ほど申し上げましたような大気汚染との関係だけを評価するというふうに即断はできない、こういうことが一つございます。
 それからまた先生がおっしゃいました人口比の問題もございますけれども、これはやはり他原因ということから参酌いたしますと今後の研究すべき一つの課題であろうかというふうに私どもは受けとめておりまして、少なくとも現在のこの公健法の審議におきまして、補償するか否かあるいは因果関係がありやなしやといったような観点からはなかなか直結しないんではなかろうかと、このように私ども受けとめているところなのでございます。
#129
○高桑栄松君 今環境庁の調査によりましてもとおっしゃったところ、私ちょうど質問をしようかと思っていたところなんです。
 今の中公審の答申では、専門委員会による大気汚染と健康被害の因果関係の評価というための基礎資料が二つあった。一九八六年のaとbですね、この二つあったわけです。この両方の調査でも、幾つかの症状について一%または五%以下の危険率で大気汚染の濃度と有症者の傘との間には相関関係があるというのがちゃんと出ているんです。ですからやっぱりこれは、他原因とは言うけれども確かにそれだけではないのかもしらぬなと思います。今の大気汚染の度合いと有症率との間に有意の相関があるということを普通に考えると、やはり大気汚染が問題で有症者がふえているということになろうかと思うんです。ただ問題は、大気汚染をSO2に限っていないということであります。ですから、少なくとも今の環境庁調査によっても有意の相関が出ているんだから大気汚染を無視するわけにはやっぱりいかないんじゃないのかなと思うんですが、どうお考えでしょうか。
#130
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘のとおりに、大気汚染との関連ということについてもこれは疫学調査でも出ているところでございます。専門委員会の報告では、疫学調査それから動物実験あるいは人への実験的な負荷研究とかあるいは臨床医学的な知見といったようなもの、総合的な判断に基づきましていわゆる因果関係について判断をいたしておるところでございます。
 したがいまして先生御指摘のような、疫学調査の中でも一つの推測し得る関連といったようなものについては当然この専門委員会報告の中でも指摘しているところでございます。しかしながら、それをもってすべて大気汚染の原因によるという、主たる原因ということで因果関係に結びつけるまでには至っていない、このように私ども理解をいたしているのでございます。
#131
○高桑栄松君 もう一つ伺いますけれども、その基礎資料となった今の環境庁の調査の調査対象者はどういう人だったんでしたか。
#132
○政府委員(目黒克己君) 環境庁の調査では二つの調査がございまして、一つは環境保健部調査と通称いたしておるものでございます。それからもう一つは大気保全局調査と通称いたしておりまして、これはそれぞれの部局が行った調査でございます。環境保健部の調査におきましては調査対象は三十三の地域において十二万二千人余り、それから大気保全局の調査におきましては五十一地域において三十三万五千人という数でございまして、両調査を合わせて四十五万人を超える回答数を得たというような対象の調査でございます。
 さらにこれを若干詳しく申し上げますと、これを児童それから成人といったように分けているのでございまして、環境保健部調査におきましては児童が延べ七万四千人余り、成人が四万八千人余りということでございます。それから大気保全局の調査におきましては児童が十二万六千人、それから大人が二十万八千人、こういうような対象のとり方をいたしております。
#133
○高桑栄松君 小学校児童は年齢はほぼわかるわけですが、親というのは大体年齢がちゃんと書いてあったと思うんですが、どうでしょうか。
#134
○政府委員(目黒克己君) やはり書いてございます。小学生を子供に持つ世帯ということになりますので親の年齢も当然その世代ということになるのでございます。
#135
○高桑栄松君 三十から四十九歳と書いてあったんですけれども、三十から四十九歳というのは非常に言うなれば健康な人が多いわけですね、丈夫な人というか。要するに、我々動物実験をして何か影響が出るか出ないかを見るときに幼弱ラットを用いるのが普通なんです。子供を使う。子供を使うと言うと実験のような言い方で失礼なんですけれども、子供が対象ですとその差が割合に出てくる。大人の場合で三十から四十九歳というと非常に抵抗力も強い。もっと年とってくると今度は気管支が弱くなってくる。先ほど質問にありました特定な感受性集団とは別なんですけれども、我々が疫学で言っている普通の意味の感受性集団というのは幼弱な子供とか老人です。こういった人たちを感受性集団というか弱者というふうに考えておるわけです。
 今の調査というのは丈夫な人を対象にしていると私は思うんですが、その成人でも幾つかの項目で非常に有意の相関が出ているわけです。ですから本当は、普通の調査で人口のいわゆる無作為のランダムサンプリングでやればもっと差が出るんじゃなかろうか。再び申し上げると、そういうデータが出ているのを基礎にしながら全面解除というのはやっぱり私には納得できないところなんですが、いかがですか。
#136
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の年齢階層別の問題でございますが、今の環境庁が行いましたものの中でも、先ほど申し上げましたように小学生と老人、特に老人の問題につきましては小学生とその同居する両親、祖父母も入れているのでございます。成人の中でも三十歳代から四十歳代が割合が非常に高い。それから五十歳以上は相対的には少ないのではございますけれども、五十歳以上のデータもまとめて報告には載せておるのでございます。それにつきましても御検討をいただいたことは事実でございます。
#137
○高桑栄松君 そこで、中公審答申による専門委員会の因果関係の評価を踏まえてと、こういうことの中で、一つは、さっき言われましたけれども、昔と比べて大気汚染が慢性閉塞性肺疾患の主たる原因ではなくなってきたという判断が一つある。もう一つは、しかし依然として大気汚染の健康影
響への可能性は否定できないという二つがあるんですね。全面解除というのをこの二つにあわせますと、慢性閉塞性肺疾患の主たる原因ではないということを全面的に取り上げている。もう一つは、健康影響の可能性は否定できないというのに否定してしまっている。私は、その最初の方は肯定し後の方は否定すると全面解除ということになるんだと思うんです。いかがですか。
#138
○政府委員(目黒克己君) 中公審の答申におきましては、先生御指摘のような否定をしているということではございませんで、前段の主たる原因ではないということによりまして、先ほど来申し上げておりますような民事を踏まえたこの制度におきます補償それから給付を受けるあるいは費用を負担する、この二つの面からいってこの指定地域の見直し、細かいことは申し上げませんけれども、制度を保つ合理性がなくなったためにこのような結論になったというふうに理解をし、またそのように中公審は判断しておるのでございます。
 それから後段のことにつきましては、とはいっても、そういう大気汚染と健康影響に対する懸念というものにつきましてやはり中公審でも触れておりまして、これにつきましてははっきり因果関係は言えないと。しかしながら、その予防事業と申しますか、これから公害が出てこないようにする、あるいはぜんそく等の予防を徹底する、あるいはまた医療機関の整備を行うとか、あるいは調査を行うといったような方向でその点についても十分にやるようにというように答申に述べておるのでございまして、私どもそれを入れた趣旨のものでこの改正案を行ったのでございます。
#139
○高桑栄松君 これは一昨日の本会議での質疑の中で、大気汚染の健康影響への可能性は否定できないということは患者の発生を予測しているということであると私申し上げたんですけれども、私はやっぱり全面解除という前提は、最初の前段が肯定されて、後段の方、つまり健康影響は否定できないというところを否定してしまったのではないか、それ以外は全面という言葉が出るはずがないと。それが私の全面解除の時期尚早の反対理由で非常に大きなポイントなんです。少なくともSO2に関しては環境が十年前ごろから非常に改善されたことは私もよく承知しています。ですから、これ一つ取り上げれば見直しをするということも一つたな、私はその段階にあると考えることに決して反対はいたしません。しかしNOxがほとんど改善されていない。大気汚染影響がSOxだけであればそれでいいです。しかしNOxというものが改善されていないわけだ。しかも、自動車がふえることによって自動車排気ガスのNOxだけでなくて浮遊粒子状物質もどんどんふえてきているとちょっと申し上げましたけれども、これが花粉アレルギーの増強剤になってはいないか。実験を見ますと、ディーゼル排気の粒子をつかまえてそれに花粉を吸着さして動物に植えると、IgEですね、免疫グロブリンEが増強する、つまりアレルギーが高まるということが学会に出ていますから、私はこれを踏まえて、どうも東京の人が少し花粉症がふえてきたと言っているのはおかしいなと、何でだろうと思ったんですよね。やっぱりそれが一つの原因かと思うんです。
 自分のことで恐縮ですけれども、私は春花粉症なんですよ。アカシア・アレルギーというので、札幌のアカシアで本当に困っていたんです。ところが、三年ぐらい前から何か鼻風邪みたいになって、今ちょっとそうなんですが、鼻風邪だと思っておったんですよ。もうことして三年目です。あっと気がついたら私は秋に新しくアレルギーに。鼻の花粉アレルギーで、せっかくの美声だと思ったら鼻声になっちゃいまして。鼻風邪じゃないんです、これ。これはディーゼルエンジンがいけないのではないかと私は訴訟を起こしたいなと思っているわけでございますけれども、これは冗談でありますが。
 そういったことがあるわけで、私は、環境改善が行われているんだから、環境改善の条件を考慮するならば地域別の指定解除はあってもいいんではないかと。例えばNOxが余り多くないところで、SOxがもう半分以下なんだから、それならばというのはあると思うんです。しかしNOxは依然としてハイレベルにあり、SOxだけが下がっていった。これなら果たしていいのか悪いのか。私後で複合汚染の環境基準を申し上げたいと思いますがね。例えば暫定的に点数をつけて、SOxについては四分の三になったら何点、二分の一になったら何点、四分の一になったら何点と。それからNOxについても同じようなことでその点数を足して、これ以下になったら暫定処置としてこう考えるなんということをやっぱり考えてもらわぬと、全面解除というのは余りにも非科学的だろうと私は思うんです。ですから、その意味では地域別の指定とか解除とかなら私は賛成です。全面というところにどうしても私はこだわっているんです。
 まあ、これはお返事もらうこと難しいかな。何か言ってみてください、コメントを。
#140
○政府委員(目黒克己君) 一つの地域をある場所は残しある場所は解除するといったような、全面解除ではなくてという御指摘でございますが、やはり地域の指定というものにつきましては、先ほど来申し上げておりますようないろんな調査とかいろんな科学的な方法から、一つの大気汚染が主たる原因と言えないということから指定地域を継続することが制度の合理性を保つことができない、こういう面から特定の地域だけを例外的に認めたり解除することはできないのでございます。
 また、この審議会でも御懸念をいただいておりますものにつきましては、特にNOxの問題等も含めまして個人の補償から地域住民へといったようなことで、個別の補償というものについてはやはりなかなか難しいと、そういう趣旨の御指摘が中公審の方でもあるわけでございます。まあ、道路といいましても技術上それを指定するということはなかなか難しい面がいろいろございます。それで個別に一人ずつ因果関係ということで補償することはできないということを先ほど来申し上げているのでございまして、やはり特定の地域だけあるいは特定の地区だけを残すというようなことは極めて技術的にも困難でございますし、また全体的にも合理性を欠くと、このような観点からそのようなことはできないと考えているのでございます。
#141
○高桑栄松君 これ学会じゃございませんから余り論争ばかりもしていられないかと思います。
 次に進みますと、認定患者がもう毎年ふえていく一方離脱者がある。それで離脱者の内訳とかというのは出ているようでありますが、もう国としても相当な費用も投入して患者をカバーするということをせっかくやってきているんですから、いずれにしても診断等についてのデータを集めていくということは常に必要だと思うんです。これは水俣病のときにも、十年たっても新知見が加わらないというのはおかしいではないかと申し上げたんですが、大気汚染の方は非特異的疾患ですから何か新しい指標が発見される必要があると思いますよ。例えばHOPとかいうのがありますね、窒素酸化物による腕組織の損傷をあらわすんじゃないかと。まあ、本当かどうか知りません、私は研究してみないとわからないですけれども。そういうことが言われているわけで、そういった指標を例えばもうちょっと検討の対象にしてどんどん使ってみるというようなこともあるでしょう。
 それからそのほかに、認定をされた人たちが後離脱をするまで知らぬ顔をしてあるわけだし、離脱をした後どうなるのかもわからないわけで、本来それもフォローすれば、それなりにその認定がよかったか悪かったかとか、それから治癒したとすれば、どういう治療を行いどういう環境で治っていったんだろうかとか、それは大気汚染の問題だけじゃなくて、さっき言われているような都会のいろんなストレス条件なんかが入ってくるかもしれないので、そういう参考というか非常に重要なデータになるんじゃないかなと思うんですよね。だから、金だけ出せばいいんじゃなくて、つまり、認定患者をフォローしてそのデータを何とか将来利用できないかということに用いるような
努力が欲しいと思うんです。私知らないで言っているんですが、やっているんでしょうか、これはいかがでしょうか。
#142
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の、認定患者さん方の認定時の検査データとかあるいはその制度から離脱するときのデータ、そういうふうなものにつきましては、あくまでも指定地域内にあるということと、指定疾病にかかっているか否かと、それから暴露要件、この三つにあるかどうかということを決めるためのデータでございますので、御指摘のようなことにつきましては、さらにこの解析をすることによってこの原因等ということについて今後どこまでできるか、これはやはり今後の検討課題の一つではあろうかと思っております。
 しかしながら、またこのほかに私ども、大都市におきます気管支ぜんそく等に関する研究調査ということで、この指定地域を解除した後に発病いたします方々、こういう方々を研究調査することによりまして、原因究明にかかわるような治療方法あるいは回復促進、そういうふうなものに資するようなデータになるのではなかろうか、このように考えてこの研究調査も行っているところでございます。
 また私どもは、そのほかの点につきましては今後の検討課題として、サーベイランスとかあるいは沿道の研究等々というものは現在その方法論等を含めて検討をいただいているところでございます。
#143
○高桑栄松君 そうですね。今のは私多分無理なのを承知で申し上げたので、厚生省ですと保健所という手足がありますが、環境庁は持ってないから、私が言ったのが即できるわけじゃないと思うし、医師会の協力とかいろんなのを得たにしても大変面倒くさいことかもしれません。しかし、その姿勢でサンプリング調査とか何かやっぱり考えていただきたいと思ったわけです。
 次は、先ほど小川委員も質問されて一応承ったんですが、もう一度私も承りたいんです。一昨日、中曽根総理は私の質問に対して、著しく限度を超すという段階になったら新しく認定する、将来そういうふうにすべきだと思っていると。これは会議録がないのでよくわからないんですが、たしかそういうことのようでしたが、これは新しく認定というのは、まず患者なのか地域なのか。認定というんだから患者がなと思ったんですが、地域については指定というふうにおっしゃっているようだから。でも、私は言葉にこだわっていませんから、どっちなのかというつもりで聞いているんです。総理もそこまでわかって言ったのか、使い分けたかわかりませんからね。それから限度を超す、限度って何だろうかなと、こう思うんで、この二点について伺いたい。総理大臣に聞かないんでお困りかもしれませんけれども、どうかなという程度ですが。
#144
○政府委員(目黒克己君) この地域を指定するということによって結果的には個々の患者さん方の認定ということになる、このように理解をいたしているところでございます。あくまでも地域の指定ということでお答えがあったと、こういうふうに私ども理解をしているところでございます。
 それから限度を超すという問題でございますけれども、基本的には、今回の答申で示してございますように、地域指定を行います場合には、将来大気汚染が激化する、先ほど来申し上げておりますように三十年代、四十年代のような激甚な状況になった場合に、その時点の科学的な知見に照らして、先ほど来申し上げたような二条件、そういったようなものを満たすようなもの、またこうした状況があると判断された場合、このように私ども理解をしておるのでございます。
 この状況とはそれでは具体的にどのような状況かを想定するということについては私どもまだちょっと、万一の場合ということでもございますし、大気汚染の態様も変化していることでございますので現時点では直接どうこうというふうには私ちょっとお答えしかねるような、非常に難しいんでございますけれども、おおよそさっき申し上げましたような二条件と、三十年代、四十年代のような激甚な状況というふうに御理解をいただければと思っておるのでございます。
#145
○高桑栄松君 限度というところが、SOxに限ればもう上がることはないと思いますよ。しかしNOxは依然としてあるわけですから、だからNOxがあるところでは基準値を超えているわけですよね。例えば幹線道路の沿線などではほとんど基準値の上限をオーバーしています。ですから、そういう意味では今でも指定しなければならない条件ではないのかと私は思うんです。でも、そこの議論はまた次にして、複合汚染というのを私質問に挙げてありますのでそれを伺うことにいたします。
 もう一つ気になりましたのは、今、集団が問題で個人補償はということを――私も疫学をやってきた人間なので物事の考え方で疫学的集団把握的な考えは私自身もあるわけです。当然あるわけです。しかし、これはエイズのときも申し上げたんですけれども、エイズの感染率が非常に低いとか感染の可能性が非常に低くても、ゼロでない限りかかるとこの人が死ぬんですよと、ですから、被害を受けるという個人と集団とは違うんだという話を僕はしてあるんですよ。これは思い出して申し上げているんです。被害を考えるときには、今の感受性の高い人たちというふうな、少数でも間違いなく因果関係があるという人は救わねばならぬ、統計的に非常に少ないから無視してしまえと、こうはいかないということなんです。エイズに今ははっきりしています。エイズは見殺しということになる。死んでしまうわけなんだ、かかったら。だから、百万分の一の可能性でうつるかもしれないということはだめなわけです。うつったら百万遍に一遍でもその人はいかれるわけです。
 ですから、先ほどからお話を承っていると、集団が対象であってもう個人補償は見限りだというのは本当は違うんじゃないかと思うんです。法律上お困りなのかもしらぬ。それは医学の立場で私が今文句をつけているんではなくて、やっぱり基本的精神は弱者――弱者という意味は、力が弱いんじゃなくて、アレルギーがあってどうしてもこれに弱い人、そういう人がいたら何とか救ってやるという、この精神は要るんです。
 そうすると、これをどう鑑別していくかというのが問題なわけだ。最初に申し上げたけれども、もともとこの法律をつくるときに、非特異的症状で因果関係が特定されないことを承知の上で入れちゃったわけだ。そこがやっぱり問題なんで、法律はそのしりぬぐいもしてもらわなければ困るんじゃないか。自分で最初のときに因果関係がわからないのを承知の上で入れておいて、今度は因果関係、合理性がはっきりしないから切り捨てることにすると。私はそれが非常にだめなんで、反対なんです。
 そこで、先ほど来私は地域別指定のお話を一ついたしましたけれども、もう一つは、今度は患者の立場で考えますと、しばしば申し上げましたが、これは病気でありこれは健康であるというはっきりした境界というのは病気と健康の間にはないわけです。がんでさえも前がん状態みたいなことを、ごまかしだか本当だか知りませんが言っているわけだ。そういう前疾病状態だってあるわけだから、法律が決めたので、きょうまでは患者が六千人もいたがあすからゼロですというのは医学的論理には合わないと思う。そういう疾病と健康との間というのは断絶したものじゃなくて連続したものだ、そういうスペクトラムなんだから、一挙にここから断崖でゼロに行くんじゃなくて、もし指定解除を考えるのであれば、少なくとも患者の取り扱いについては中間措置が要るのではないかというふうなことを私申し上げたわけです。
 それで、これも私も自分で詰めたわけじゃないんで、思いつきみたいなものだと思って聞いてもらいたいんですが。環境庁は環境基準が改善されたということで解除をしようと思っているんだと私は思っているんです。そうすると、改善がどの時点でされたかというそこが一つのクリニカルポ
インド、境界線になると思うんですよね。それを環境基準の二分の一にとるのか三分の一にとるのかそのとり方は知りませんけれども、そういう大丈夫だというポイントに下がってから何年かたった。そうすると、ここまででもう居住歴三年以上いた人は患者として救済されているんだが、今度いよいよ解除しようというときに、こっち側に住んでいた人がもっと濃度の高いときに住んでいて、そして症状が出そうで出ないような状態で来ていたんだが、とうとう出たというのがあったとしますと――こういうのがあるのかなと今考えているんですけれども、しかしこれはあるかもしれないと思うんですよ、アレルギー性のものですから。私みたいに東京に住んだら鼻のアレルギーが九月になって始まったというのが新しい発見でございますから。だからそういうこともあるわけで、やっぱりアレルギー症状というのは何年かたってひょっとしたら起きるかもしらぬと私考えるんです。アレルギー学者は反対するかなと思っているけれども、わからない。アレルギーというのはわからないときにアレルギーと使うようですから。
 そういうことで来ていると。私は、例えば七年なら七年この方環境基準は半分以下になった、それなら、その先に住んでいた人が同じような症状を持ってきたときには患者として扱ってはどうだ。そしてそれから後は、こっちは延ばさないんだからだんだんだんだん年限が延びていきますよね、ここから先は。そうすると患者というのはやっぱり、七年も出なかったのに出たという人は少ないとするとだんだんもっと減ってくるということにはなるだろうなと。こんなことも一つの患者対策として考えてはみたんです。しかしこれには、SOxだけ今言っているんで、NOxが入ってくると条件は別かなと思いますけれども。
 例えばそういう中間的なステップ、段階的な患者に対する救済態度というものはこれは行政的にも考えてしかるべきものじゃないかな。行政はやっぱり、一遍に切る、全面的に断崖から突き落とすような切り方というのは薄情だと思うんですよ。ですからそういう意味で、医学的というよりも行政的な温情という意味で何か中間ステップを考えないんですか、こう私は申し上げたいんです。いかがでしょうか。
#146
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますけれども、やはりこれは、制度自体が持っております一つの割り切りと申しましょうか、先生が再々御指摘のものが一つのもとになっていると申しますか、一つの原因といいますか、そういうふうな結果としてできている、こういうふうに私ども考えております。これは、制度発足当初に地域の線引きをするというときにもやっぱり一つの割り切りをせざるを得なかった、こういうような時代もあるのでございます。また現在、今度はある時点をもってそしてこの前後に、不公平というような御指摘がありましたけれども、補償するしないという一つの割り切りのポイントというのが出てくる、これも事実でございます。この辺につきましては、やはりこの制度の持っております一つの補償という性格、だれかが費用を負担してそしてこれを補償しなければならない、原因者とそれからその補償を受ける者、この二つの関係から申しますとどうしてもそのような面で一つの割り切りが出てくるということについては御理解を賜りたいと思っているのでございます。
 御指摘の点は、そういうような考え方を含めまして私ども一つの考え方としては、まず遷延性のものと申しましょうか、何年かたってまた発病するかどうかという面についてもいろいろ御検討をいただいたわけでございます。その結果、現在の定説としてはそのようなものはないだろう、こういうように審議会では御判断になっているというような趣旨で私ども理解をいたしております。
 それから行政的なと申しましょうか一つの判断につきましては、これは中間といいますか、一つのステップといたしまして既存の患者さん方についてはこれはもうずっと認めていく、これまでどおりの補償を続けていく、こういうことについては今までどおりのやり方をとっていきたいということが一つございます。
 それからもう一つは、特に主として一番問題になっております大都市を中心といたしまして、ある時点で、解除の時点で当然認定されるかもしれないような方々、そういうような病気の方々に対しては、先ほど来申し上げておりますような一つの大都市におきます気管支ぜんそく等に関する研究ということで、その方々についていろいろ、病状とか発症原因とかあるいはそういう調査といったようなものを配慮いたしまして、これらの方々が十分健康が回復できるように、それに資するような研究を進めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
 またこのほかに、先ほど来申し上げましたようになかなか個別の補償の合理性というものがないといったような観点から、今までのような形の補償というのではなくて、一つの地域全体に医療体制を整備するとか、あるいは予防体制を整備するとか、あるいは病気になった場合にどういうふうなところへ行ったらいいかとかいうような体制を整備するといった方向を私ども新しく今度の事業で法改正の中に考えておるのでございまして、こういう趣旨の点を含めて私ども考えておるのでございます。
 お答えになったかどうか……。私どもの考え方としてはこのような形で、必ずしも一気にというようなことではございませんで、種々いろいろなことを考えた上での私どもの方針というように御理解を賜ればと思っておるところでございます。
#147
○高桑栄松君 今のちょっとはっきりわからぬところもあったんですけれども、例えば個別にも希望があれば健康診断、健康相談等にも応ずるということですか。
#148
○政府委員(目黒克己君) これは、新しい事業の中に医師、保健婦等によります相談事業というものもございまして、ここでは、発病する前の相談、予防的な相談もあれば、あるいは発病されたときにおいでになればこういう方向でといったようないろいろ御相談に乗るような相談システムというものも当然私どもその中に入れているという意味でございます。
#149
○高桑栄松君 そういうときに費用はどうなりますかね。
#150
○政府委員(目黒克己君) 私どもはこの事業を基金事業として行うわけでございますが、私ども、実費程度のものとして負担を当然一つの基金事業の中で負担をしていくというように考えているところでございます。
#151
○高桑栄松君 ここで政治家稲村大臣にひとつ伺いたいんですけれども、この中間ステップにつきましては、この前の予算委員会のときに総理大臣が私に一つの見識であると言われたが、この言葉はおもしろいですね。うまくとれば褒めたように聞こえるし、うまくとらなければそういうお考えですかというふうにも聞こえるんですが、稲村大臣は、今の私が申し上げた患者の面に立って中間ステップという私の主帳には、環境庁だとお答えはわかっていますけれども、政治家としてはどんなふうなフィーリングでおられるのかな。ちょっと伺いたいと思うんです。
#152
○国務大臣(稲村利幸君) 高桑先生から私も予算委員会のときに拝聴させていただきました。総理が確かに一つの見識であると言われて、そのときからこの全地域改正でなく中間ステップという言葉がマスコミに載るようになりまして、私もそれなりに目黒部長やその関係者から非常にわかりやすく解説してくれということでいろいろ学はされたわけでございます、先生の御意見を外しまして。
 そういった場合に、科学的にも行政的にも政治的にも、幹線沿道沿いだけは云々といってもなかなかここだけという指定を示す根拠が難しくて具体的に例示できない。そこでこれはもう割り切りでこの際全指定地域を解除する。かわりに、今目黒部長のおっしゃったとおりこの予防に重点を置いていく。今までの患者は従来どおり責任を持ってやらなければならないし、この辺で割り切りで
やらなければならないのかなという私自身もそういう気持ちになっておるわけでございます。
#153
○高桑栄松君 やはりこういう主張というのはしつこく申し上げておくとだんだん頭に入れていただけて。長官最初のときからそういうようなお考えだったと私思っておりましたけれども、きょうは公式にそういうお話を承って、やはりそういう立場が、単に法的な割り切りだけではなくてやはりお考えいただく必要があるんじゃないかと、こんなふうに私思っているわけです。
 それでは複合汚染の問題を聞きたいと思うんです。複合汚染については、特にこれはNOx対策なんですが、昭和四十八年から六十年に至る衆参両院のこれに関する附帯決議が十三回出ているんですけれども、いずれにもNOxのことが載っている。これを一体環境庁はどう受けとめてどう対応されたのかなと思うんですが、いかがでございましょうか。
#154
○政府委員(長谷川慧重君) 附帯決議につきましては私どもいろんなところでいろんな対策を講じているわけでございますけれども、先生おっしゃる複合汚染のお話でございますと、前々のこの委員会でも先生と御議論したことがあるわけでございますが、現在のそれぞれの環境基準といいますものが、大気に含まれております物質のそれぞれにつきまして、もう何回もお話しして恐縮でございますけれども、実験室なりあるいはボランティアなりあるいは疫学的研究といいますものを踏まえまして単体ごとの基準が決められております。その基準を決める過程におきましては、特に疫学となりますと、当然いろんな物質が複合しておる状況におきます疫学的な人間の状況をつかまえたものが疫学のデータでございますから、そういうのを踏まえながらも個々の物質ごとに基準を決めておるということでございますので、おっしゃられる意味での複合指標的なものについては今のところ考えていないという状況にございます。
#155
○高桑栄松君 今申し上げたのは特にNOxなんですけれども、複合といっても、SO2の方は非常によくなってきたので、複合の中の今主役になってきつつあるのがNOxと浮遊物質なわけで、そのNO業は空気中に窒素がある限り燃焼があればどうしても出るわけです。それに固定発生源なら脱硝装置という方法があるが、移動発生源の自動車はどうしても垂れ流しなわけですものね。ですからこれ大変困るわけだけれども、それなりに自動車の排気ガスというものは国が力を入れて改善を業界に命ずるとちゃんとできていくわけです。ですから、これについてはどうして一体今日まで十年たっても何にも改善しないのかなという気がしているわけです。
 これは通産省にお願いをしたいと思うんですが、この排気ガス対策については今までどういうことをやってきたのか、そしてこれからはどういうことをやろうとしているか。一昨日の通産大臣の御答弁は、研究を一生懸命やりますと。これは私に対する答弁じゃないと思っています。私は、少なくとも科学的にどういう方法を研究の手段としているかというのを聞きたいわけです。そしてめども、できないかもしれないけれどもめどが欲しいわけです。その点、ここにおられます石本元長官は、かつて非常に大変率直にNOx対策の目標の期限が明示できなくて残念であるとおっしゃっています。私そのとおりだと思うんです。しかしそれでいいから、それでいいというのはよくないですけれども、仕方がないと思うんです。研究というものはめどを立ててやってもできないことはあり得るわけです。もっと早いかもしれない。ですから私は、研究はどういう手段でどれくらいのめどで何を考えているのかということを、通産省の今までの実績をむしろ伺いたいと思うんです。
#156
○説明員(渡辺修君) 自動車の特にNOx関係を中心にいたしました規制に関します過去の我々の研究開発あるいは今後の見通し等に関する御質問でございますが、通産省といたしましてはNOx対策につきましては前々から大変重要視をいたしてきておりまして、ガソリン車はもちろんでございますが、御指摘のディーゼル車を中心にいたしますNOx問題を最近特に力を入れてやってきておるわけでございます。
 具体的には昭和六十一年度から、基盤技術の応用基礎技術研究開発というのをつかさどります基盤技術研究促進センターというセンターがございまして、そこから出資をいたしまして、ディーゼル関係十二社、メーカーも入りました新燃焼システム研究所という株式会社を設立いたしまして、ここで向こう七年間をかけましてNOxを排除するための抜本的な技術研究開発を行う、こういうことで六十一年度からスタートしておるわけでございます。さらにこれ以外にも、以前から通産省は排ガス対策に大変力を入れてやってまいったわけでございまして、具体的に例を挙げますと、まず、昭和四十六年度から六年間にわたりまして電気自動車の研究開発というのを、特に工業技術院の大型プロジェクトを通じまして着手いたしまして一応大型プロジェクトの研究開発をやりました。その後現在、実用化を目指しまして各種の商品化の段階のフォローアップの研究開発を続けておる、こういう状況でございます。
 それからもう一つ、これも先生よく御承知でございますが、メタノール車、これは公害の出ない自動車ということで大変注目されておるわけでございますが、これも昭和六十年度から自動車用メタノール燃料の利用に関するフィージビリティー調査ということで六年計画で現在着手をいたしております。
 このように各種の技術研究開発を従来からもやっており、また今後もやってまいるわけでございますが、特にディーゼルのNOx対策につきましては、先ほど申し上げました新燃焼システム研究所におきます向こう七年間の技術開発ということでここで思い切って大幅にNOxの排除に全力を尽くしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#157
○高桑栄松君 何だか七年というのは長いですね。もっと縮めるといったってこれだめなのかもしらぬが、そんなに難しいのかなと思うんですが、業界に対して気兼ねをしているということはございませんか。
#158
○説明員(渡辺修君) 我々は大気汚染を防止するということは大変重要なことと考えておりまして、気兼ねをしておるつもりは全くございません。
 具体的に申し上げますと、現在NOxの規制基準をより強めていくために行っておりますのが、主としてディーゼルの場合には軽油を圧縮して吹き込んでそれで処理していくわけでございますので、それに伴います着火温度を低くすることによってNOxを出ないようにしようということ、それから燃焼室の形態、燃える室の形態でございますけれども、そこの改良を図るというこの二つで現在低減化の研究を続けておりまして、これによりまして六十三年、四年、五年というところの第一次強化についてはもう十分対処できる、こういうめどを持っておるわけでございます。先ほど申し上げましたのは、より抜本的に触媒等をうまく使いましてNOxをより大幅に排除する、こういう研究で七年目標で全力を尽くしておる、こういうところでございます。
#159
○高桑栄松君 まあ、なるべくスピードアップをしていただきたいですね。もたもたしていると、燃料が枯渇して別な燃料に変わってからエンジンが改良されてもだめでございますから、ぜひひとつスピードアップしてください。
 次に、もう一つのポイントである調査研究について質問をさせていただいて、終わりに長官の御意見を承りたいなと思います。
 まず、これは前に申し上げでありますが、SOxが環境基準の半分になったと、大変立派な成績を上げたと思っておられると思うのでそれなりに評価いたしますが、しかしそのまま依然としてとどまっているということはあるわけです。ですから、そのほかのものを考えなくてもSOxについては低濃度長期暴露ということがあるわけで、特にアレルギー、敏感な人たちにとってはこれが問
題である。それから若年齢、老齢の方という弱者、いわゆる抵抗力の弱い人を除いた特別な集団があるというのが記載されていますね。こういう集団というのはひょっとしたら低濃度長期暴露にも反応がある程度敏感なのかもしれないと思うんです。ともあれ、低濃度でとどまっている限りやっぱり長期慢性の健康影響は考えられるわけですが、これについての研究というのには着手しておられますか。それとも着手する予定を立てておられますか。
#160
○政府委員(加藤陸美君) これは特に研究関係のお話でございますので私の方から、この関係の研究は国立公害研究所が特に中心でございますので、もちろん関係の各国立研究機関を初め国公立の研究機関、さらには他の大学におきましてもやっておられますけれども、状況をお話し申し上げておきたいと思います。
 先生ただいま御指摘になりました特にNOxの問題につきましては、その必要性にかんがみましてかねてから国立公害研究所を初めとして関係研究機関における研究に鋭意努力してきておるわけでございまするる申し上げると長くなりますのでここでは国公研でやってきた代表的なものを一、二申し上げますと、もう古く昭和五十二年度からNO2またはオゾンの単一暴露の研究を開始しております。それからそれに引き続きましてNO2とオゾンの複合暴露の研究をいたしております。さらにその後、現在もこれは引き続きやっておりますが、NO2と浮遊粒子状物質の暴露による影響研究を行っておるわけでございます。そのほか国立公衆衛生院とかあるいは関係の研究機関におきまして、これは長い名前で恐縮でございますが、国立機関公害防止等試験研究費というものがございまして、これの中で各種の研究を、関係省庁を通じまして関係の機関に研究をお願いしているところでございます。
 これはもう先刻御承知のことかと思いますが、今後ともおっしゃいますような問題点、特に低濃度における状況というのは、私も専門ではございませんが、これまた非常に難しい問題も含まれておるかと存じますけれども、これらにつきましてもさらに一層の研究を進めるべくまた努力を加えていくべきだと考えております。
#161
○高桑栄松君 もう一つ伺いたいんですけれども、先ほど来複合汚染の話をしばしばいたしましたが、暫定的にSOx、NOxパーティクルでというお話をしましたが、そういった意味の複合汚染環境基準というのは今必要な段階になっていると私は思っていますが、どう思っておられますか。これに取り組む気はありませんか。私の言うのは、学術的なデータをもとにしていくというと大変だから、今までの単体であった基準に対して点数を与えていって、足してどうなったかという程度でもいいから、暫定的に何かつくる気はありませんか。いかがでしょう。
#162
○政府委員(長谷川慧重君) 環境基準の達成に関するお尋ねでございますが、先生御案内のとおりSO2に関しましては大体達成である、NO2と浮遊粒子状物質が未達成ということでございますので、私どもとしましてはこの環境基準を何らかの方法で早く達成したいということで、先ほど通産省の方からもお話がございましたようにディーゼルエンジン、あるいはそういうもろもろの自動車に関する単体規制をさらに強化を進めるとか、あるいは道路沿道の話であるとか、固定発生源の話であるとかいろいろな諸対策につきましては、そういう環境基準を達成するために従前以上にいろいろ努力をしていかなきゃならないというぐあいに考えているところでございまして、お話のような総合的な暫定基準云々ということを考える前に、まず現在の環境基準を達成するための具体策をどんどんやるべきであるというぐあいに理解いたしておりまして、そういう面で努力をいたしておるということで御理解いただきたいと思います。
#163
○高桑栄松君 それじゃ最後に長官にお伺いをいたしますが、今の複合汚染の環境基準にしても、第一線の環境庁としては単体における環境基準を一日も早く達成したいと、確かにごもっともだと思いますが、しかしできてから複合では遅いと思うので、政治はやっぱり未来を予測してやっていくことが大事だと思うんです。殊に、環境庁の仕事は現場に即していればいいんじゃなくて未来予測が必要なんで、いかにも学問の場だと思うんです、ここは。未来予測なんですね。ほかのところは現場ですよ。だからその意味では、長官、こういうことに対してはまず研究に着手してもらいたいと思うんです。いや、しているのもありますよ。
 NOxなんかのお話があった国立公害研究所の一部は、私が国公研の副所長をしておったときにやっておった仕事でもうよく承知しております。ですからそういったことで、やっぱりまず必要なのはアイデア、テーマが要る。それが一つですね。それからもう一つは、それに対応してやっぱりお金を出すということです。日本のようなけちけちしたお金じゃなくて、アイデアがあったら出してやる、実績が少しぐらい足りなくてもアイデアがあったら出す。これがアメリカの研究の発達した理由ですから。日本は、何かデータを持ってないと時その上の積み上げなんです。ですから、そういう意味でやっぱりアイデアを引き出すための研究費を取ってもらいたい。
 それで、前に申し上げましたが、科学研究費、文部省の科研費で環境科学特別研究が、私もその審査委員とか評価委員をやったのでよく知っているんですが、約十億でしたね、年間。それが六十一年かな、落ちましてね、何か重点領域研究だったかなんかで六億円ぐらいに下がったんです。四億の減でございますね。だから、これは長官ね、大蔵から取るのはきっと面倒なんでしょう、何か基金とかいうのをいろいろ考えているんでしょうが、予防医学予防医学とおっしゃいますけれども、予防医学というのは、ただ何か、スポーツ何とか、ああいうところに金を出せばいいというんじゃなくて、やっぱり研究に出す金というのは非常に意味があると思うんです。
 ですから、例えば不足分の四億を基金から出させるのか、私はそんなけちなことを言わぬで、やっぱり十億ぐらいはと思いますよ。大蔵から取れなければ取れないでいい、考えていただいて。今度何か基金をいろいろと考えておられるから、その基金から十億ぐらいはちゃんと出ないかということです。予防費なんだから、予防医学と一緒ですし、それから慢性の影響とか、こういう非常に鑑別の難しい病気を扱おうとしていますからやっぱり研究費を十分に出していただきたい。そこは私長官の腕前だと思うんです。何だか基金から、基金からと言うと全面解除の前提になっちゃったみたいで少しうまくないんですけれども、そうではなくて、基金は基金であるはずですから、そちらからひとつ頑張っていただけないか。ちょうど時間になりましたので、長官の御意見承って終わりたいと思います。
#164
○国務大臣(稲村利幸君) ただいま高桑先生から、国民の健康を守る上において、また大気汚染を防ぐ意味から本当に参考になる御意見を拝聴させていただきまして、環境庁として国民の健康保護に万全を期する立場から、国公研を初め大気汚染の健康影響に関する調査研究をさらに積極的に推進するとともに、今言われた新たな健康被害予防事業においても調査研究等を推進していく、いわゆる基金、この辺でも頑張りたいし、御意見を参考にさせていただきながら創意工夫、積極的に研究者への費用をふやすような努力をさせていただきたいと思います。
#165
○沓脱タケ子君 本題に入る前に一言申し上げたいと思います。
 今、傍聴者で北九州市からおいでの被害者の方がぜんそくの発作を起こされてそちらで休養をしておられるようです。私は、公害の被害者、患者の皆さん方がこれだけ困難を押してでも、命綱を切られるか切られないかだという大変な思いで運動を進め、まようもたくさんの傍聴の方々がおいでをいただいておるというのが本法案の重要性だと思うわけでございます。
 けさも委員長から冒頭でごあいさつがありまし
たけれども、一昨日、本法案が本会議に上程をされ、そして趣旨説明に対する各党質問のありました本会議に環境特別委員会の委員長である山東議員が、委員長が御欠席になったという点、これは非常に残念だと思います。なぜかというと、国民、被害者、患者の皆さん方は命がけなんです。ところが、委員長が重責を担いながら本会議を御欠席になって、そしてテレビの番組のゴルフに出ておられたなどということがきょうの新聞等では報道されておりますけれども、本当に一体、国会議員としてあるいは環境特別委員長として国民や被害者、公害環境の問題について考えておられるのか。私は山東委員長のおとりになった態度は極めて遺憾だと思いますし、強く抗議を申し上げておきたいと思うんです。
 それで本題に入りますが、この公害指定地域の全面解除そして新規患者の打ち切り、これを行うということを前提にいたしました本法案の一部改正が上程をされておりますけれども、これはどんなふうに見ましても何とも言えない暴挙としか考えられないというふうに思うわけです。今までの御質疑の中でも、何しろ十把一からげで一括全面解除などということは本当に無謀だという御意見というのが出てきているとおりでございます。
 まず最初に長官にお聞きをしたいんですが、この補償法ができてきたいきさつ、そしてその補償法の今日までの果たしてきた役割、意義、そういったものをどういうふうにお考えになっているのか、簡潔にお伺いをしたいと思います。
#166
○国務大臣(稲村利幸君) 公健法の果たしてきた役割についての御質問でございますが、公健法は我が国の公害対策に多大な貢献をしてきたという認識を持っております。そして公害健康被害者の救済、また、他の諸施策と相まって負荷対象物質であるSOxの減少をもたらした、こういう認識を持っております。
#167
○沓脱タケ子君 確かにそのとおりなんですが、四十年代の初めに、まさに列島騒然と言うんですか、パニック状態と言われるような公害問題、各種の公害の激発で全国至るところで国民の公害闘争というのはほうはいとして起こりました。昭和四十六年の公害基本法の改定で、経済との調和条項などといって公害まき散らしをやるその加害企業のことを考えることに重点を置いたのでは公害対策というのはまともにいかない、そういう点で経済との調和条項というのが取り除かれて公害行政の基本が確立をしたんですよね。
 そういった中で公害の四大裁判が闘われて、四日市判決を機会に、これはやっぱり民事責任を踏まえて補償法をつくって、短期にせめて被害者の皆さんの救済をしなければということになって成立をした。不十分さはあっても確かに患者さんや被害者の皆さんにとっては、働くこともできない、そして死の恐怖にさらされながら暮らしもまともにやっていけない、しかし、今日ではそれが命綱になっているというのが今日までの状況なんです、確かに論議の中でSOxは減ったと。これも、そういった激しい国民的な運動と闘いの中で公害基本法が改められそうして補償法が制定をされ、そういった国民的な強い世論と運動の中でやっと今日の水準に来たんです。
 私はあの当時を知っていますけれども、SOxの削減をやれと加害企業に対して言いに行ったら、技術開発ができていない、そんなことを言ってまき散らしを平気でやっていたという過去の歴史を知っています。しかし、本当にやらなきゃならぬということで政府が公害基本法を改め、そして補償法をつくりちゃんとやれということになった。もう今はSOxは問題がないんだと言われるほど、あなた方が問題がないんだと言うほど軽減をされた。これだって生易しく企業が軽減をしてきたものではないんだということです。
 したがって私は、法の一部改正をするというのであれば、法成立当初から問題になっていたSOxだけではなしに、NOxや浮遊粒子状物質を指定物質にして補償法の制度というものを今日の情勢に合うように拡充をする、そのことが大事であって、十把一からげに指定地域全面解除の方針などというものは全く理解できない。これはそうなんです、いきさつから見たら。どうですか。
#168
○政府委員(目黒克己君) 先般来この委員会でも御審議をいただいておりますようにこの基本的な問題は、先生が御指摘になりましたように大気汚染の状況の変化というのがあるわけでございますが、やはり基本的にございますのは、この制度発足当初からございました一つの割り切りと申しますか、補償する、あるいは費用を負担して補償するというこの民事上の責任を踏まえた一つの制度の考え方から申しまして、中公審の答申あるいは各方面の御意見等々を参酌いたしまして、制度を合理的に保つ、こういう考え方から今回の改正案を含めて私ども進めていく方針を決めたのでございます。
#169
○沓脱タケ子君 本法成立当初、指定物質をSOxに限らずNOxを入れるべきだというのが大きな問題であった。それは御承知でしょう。当時の橋本道夫審議官は、NOxについては測定体制が不十分だ、弱いので、それが整い次第にこれは対応するということを法律制度の当時に言っておられたんです。これは私参考にと思って当時の議事録を出してみました。昭和四十八年九月十九日の当時の特別委員会ですが、そこで私の質問に答えてそう言ってますよ。そうして「ここ一、二年の間に早急に窒素酸化物を積極的に取り入れるという観点で、指定地域の基準を新たにそういう観点から洗い直していくということでございます。SOxが低くても窒素酸化物の高いところはどういうぐあいにしていくかということで私どもは対応いたしていきたいと思っております。」というところまで言われておったわけでございます。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
 ですから今度の、NOxの問題については度外視をしまして全面解除などというこんな十把一からげな措置というのは、当初をずっと見てまいりました我々にとってはよくもこんなことができるなというふうに本当に思うんです。これをあえて割り切り割り切りとおっしゃっていますけれども、制度を割り切るのかしらぬけれども、患者はそう簡単に割り切れませんよ。こんなことを割り切ってまで一足飛びに割り切ろうというんであれば、これはやっぱり何らかの意図的な結論だとしか考えられないですよ。どうですか。
#170
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますが、制度発足当初から、NOx等を指標といたします指定等の要件を明確にするということにつきましてはこの制度の運用上の大きな問題であったのでございます。私ども環境庁といたしましても、当然それに対しましてこの諸般の調査研究等を進めてまいってきたのでございます。
 また、先ほど御説明申し上げましたが、この専門委員会報告の中におきましても一つの考え方といたしまして、SOxとNOxそれから浮遊粒子状物質SPMを含めまして、この三つが現在の大気汚染の健康影響に対する主たる影響の大きなものだということでこの三つにとりあえず絞ろうと。かつ、絞った上でこの総体としての大気汚染がやはり主たる影響ではない、ぜんそく等の主たる原因とはならない、こういうような御結論のもとに参ったのでございまして、私どもNOxについてこれを切り捨てて進めてきたということではないのでございます。やはり、この問題についても当然私ども一つの大きな課題ということで進めてまいってきた上でのこの専門委員会の報告の結論なのでございます。
#171
○沓脱タケ子君 長いこと言ってもらってもさっぱり話にならぬので。SOxは改善をされたから見直すんだと。しかし、当初あのSOxを指定物質に入れたときからNOxは入れなきゃならぬということが問題になっていたんです。測定条件が不安定だとか、まだはっきり安定してないから二、三年様子を見てということになっていたわけなんで、ですから、今この全面指定をやめるというのはSOxがようなっているからやめるんやと言っている。しかし、空気はそない分けて我々吸うわけにいかぬのですわ、そうでしょうがな。環境庁はSOxだけや言うけれども分けて吸うことでき
ますか。これはできない。この辺は、私どもやはり生きた人間としてまともに生きていくために空気は吸わなきゃならないんで非常に大事な点なんで、先ほど高桑先生からも複合汚染についての環境基準などは決めるべき段階へ来ているんじゃないかというふうな御指摘がございましたけれども、非常に傾聴すべき御意見だと思うんですよ。
 時間の都合がありますから次へ行きますが、私はこれほど単純でだれでもわかることがなかなかやられないというのはやはりどうも意図的だなと思うんです。今度の指定地域全面解除、新規患者の打ち切りを前提とするこの法律の一部改正というのは、やっぱり歴史的に見たら、この法律ができてからすぐに加害企業、金を出しておる汚染企業からはこの補償法は目のかたきにされて、随分執拗な巻き返しがやられてきた歴史を持っていますよね。
 多くを申し上げる必要もないかと思いますが、経過を見てみますと、この法律が成立をしましたのが一九七三年の九月でございまして、翌年の九月に施行されたんですけれども、
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
もう既にその年の暮れから翌年の一九七五年あたりは猛然と巻き返しが、文芸春秋を初めあらゆる出版物、衆参両院でいろいろとやられたということを私どもよく存じております。これは環境庁御当局もよく御承知のとおりだと思うんです。
 そして、いろいろ並べていったら歴史はありますけれども、大きな節を考えてみますと、例えば自動車排ガス五十一年規制の問題をめぐって見てみますと、このときも自動車の排ガスを大変厳しく規制しようと言っておった。ところがこのときも、中公審の大気部会と自動車公害専門委員会の審議内容というのが、随分結論が中途半端なことになって二年延びた。一体どうなっているんやということで国会で随分論議になりましたが、何とその審議内容は、きょうも問題になったように国民や国会には議事録はさっぱり公表されないのに、あの五十一年規制のときには自動車工業会に加盟をしている各社に全部この中公審や自動車公害専門委員会の審議の内容が配られていた、筒抜けだったということが明らかになったのであります。これは当時我が党の書記局長だったんですが、不破委員長が昭和五十年の一月三十一日の予算委員会でこのことを御指摘を申し上げました。二年延期になったというのは御承知ですね。
#172
○政府委員(長谷川慧重君) 乗用車から排出されますNOxのいわゆる昭和五十一年規制にかかわります目標値の時期の変更の問題でございますが、先生御案内のことと思いますけれども、昭和四十七年に当時開発が進められておりました触媒方式の採用によりまして低減が可能として五十一年度規制が定められたものでございますが、触媒の耐女性等技術開発の動向にかんがみまして四十九年に再度中央公害対策審議会におきまして検討されました結果、当初の目標時期より二年後の五十三年度より規制を実施することが適当であるという結論が得られたということで二年間延長したということでございます。
#173
○沓脱タケ子君 とにかく二年延ばしたんですね。
 もう一つ大きな節というのは、やはりNO2の環境基準の緩和のときでございました。これも御承知のとおり、これは私も当時国会で随分いろいろと御質疑を申し上げましたからよく覚えておりますが、やっぱり中公審やそれぞれの委員会に鉄鋼連盟の方だとか自動車工業会の代表が入ってやられていた。そして環境基準の指針値が上限三倍、下限二倍に緩和をされるという道を開いたんですね。これは事実でしょう。
#174
○政府委員(長谷川慧重君) ただいま先生からお話ございましたように、五十三年の三月に中央公害対策審議会から最近の科学的知見に基づきまして新たな判定条件についての指針が示された、答申されたということは事実でございます。
#175
○沓脱タケ子君 そして今度の指定地域全面解除というくだりになるんですがね。私がここで言いたいのは、自動車排ガス五十一年規制の延期のときにもそうだったし、そしてNO2の環境基準緩和のときもそうなんですが、大体、自動車排ガスの規制を決めようかという中公審の中に自動車工業会の代表を入れてやるというのはちょっと考えられぬですね、実際。自動車工業会の代表とか自動車を走らせる石油連盟の代表が入っている。しかし、被害を受ける国民の代表は入っていない、被害者の代表は。NO2の基準緩和のときもそうなんですよ。やっぱり経団連の副会長だとか鉄鋼連盟の立地公害委員長だとか自動車工業会の豊田英二、これはトヨタ自動車の会長ですよ、こういう人が参加をしている。これはちょっとひどいことになっておったんです。
 しかもそのたびに、政治献金を調べてみたら、自民党の政治献金を受ける団体である国民協会に、排ガス規制のときは二十六億三千八百万円、自民党の各派には七千三百九十五万円というふうな資金が出ている。これは民社党にもこのとき出ていますな、一億九千七百万円。それからNO2の基準緩和のときにも自動車工業会から国民協会に四億五千万円。こういう金がずっとやはりついて回っているわけです。余り細かく言っていると時間がなくなるので、こういう歴史があるわけです。
 今度の指定地域全面解除の答申、この中公審の答申をめぐって今も同じように随分問題になってきています。これ一連の歴史的に見たら、五十一年排ガス規制のときもNO2の基準緩和のときも今度の指定地域全面解除のときも、全部中公審の答申あるいは指針値というようなことで、これを隠れみのにして汚染大企業やあるいは財界の意図をずっと許してきたという姿になっているわけです。これは政府が制度として許してきたわけです。私は、それをやられるたびに環境庁の環境行政というのが、一つ一つ重要なところが骨抜きにされてきているなと思うんですが、これはどうですか。
#176
○政府委員(長谷川慧重君) ただいま五十一年、五十三年の自動車排ガスあるいはNOxの環境基準の改正についての経緯についてお尋ね、御意見でございますが、私ども自動車の単体規制につきましては、当時の自動車の触媒の技術の問題等がございまして五十一年からはなかなか自動車に持っていくわけにいかない、触媒等の技術の開発にもう少し時間を要するということで二年を延ばしたという、あくまで技術的な状況の判断に基づきまして二年延ばしたというぐあいに受けとめておるところでございます。
 それからNO2の環境基準の問題につきましては、五十二年の当時におきます科学的知見が相当に集まったということで、そういう科学的知見を踏まえまして人間の健康の保護に必要な環境基準がいかにあるべきかということを、まさに専門の先生方のお集まりをいただきました専門委員会の場において判定条件を示されましたので、それに基づいて環境基準を改正したということでございまして、先生のおっしゃるような社会的ないろんな状況等については必ずしも詳細に存じておりませんけれども、私どもは、あくまでその時点その時点におきます科学技術、そういうものの状況に応じて所要の是正をやってまいったというぐあいに理解いたしております。
#177
○国務大臣(稲村利幸君) 局長から専門的なことを答弁されましたが、私からは、財界の圧力とかそういう言葉がございましたが、財界の圧力のもとに今回の改正が進められるということはこれは決してありません。
#178
○沓脱タケ子君 それだけ言ってくれるなら何も必要ないんでね。
 あのね、大気保全局長、私細かいことを言うのは面倒くさいんだけれども、面倒くさいというより時間がもったいないんだけれども、自動車排ガスのときだって環境庁は科学的知見に基づいて云々だけれども、当時は会議録、議事録が出なくてなかなかわからなかったんだけれども、自動車工業会へばらまかれている議事録がたまたま私どもの手に入って見た。そうしたらあのときに、〇・九グラムと〇・八グラムを足して二で割る〇・八
五というのはちょっとぐあいが悪いけれどもと言ってあのとき〇・八五グラムになったんや。そこまで明らかになっているんです。それは環境庁はそういった背景について公然と認めたり言うたりできないと私は思うんだけれども、そういうことがあるたびに一つずつ環境行政の骨が抜かれていっている。これは見ちゃおれぬなというふうに率直に思うのでこう申し上げておるんです。
 公害健康被害補償法が成立して以降の財界の巻き返し、加害企業の巻き返しというのが非常に系統的にやられてきているということを私自身は歴史的にずっと経過を見て感じておりますので、たまたま、お金の動きは一体どうなっているかなと思って見てみたんです。今部分的に申し上げましたが、実は、政治資金が自治省の公表される制度になってから、昭和五十一年から六十年までの加害企業の重鎮であります鉄鋼業界とか自動車工業界とか石油業界とか、残念ながら電気事業連合会はつかめませんけれども、その他石油化学業界、セメント業界などこの五つの政治献金団体が、財団法人国民政治協会という自民党の政治団体ですが、とりわけここへの政治献金を調べてみた。
 鉄鋼業界は五十一年から六十年までの間に、細かいのは省きますが、資料は後でお配りをいたしますが、五十九億三千三百七十六万円ですね。自動車工業界はこの間に三十八億五千九百十四万、石油業界はこの間に十六億二千二百十万円、石油化学業界は九億五千九百三十八万円、セメント業界が七億七千六百二十八万円。この間のこの加害企業全体の国民政治協会への政治資金の総計は百三十一億五千六十六万円なんです。まさに、公害をどんどんまき散らす加害企業が金で買収しているみたいな、お金で環境行政をゆがめて、そして規制を緩めさせて、言うたら自由に垂れ流しがしやすいようにしてきたというふうなことが絵にかいたように出てきているわけです。
 自治省の方、今私政治献金の金額を申し上げましたが、おおむね間違っておりませんか。
#179
○説明員(中地洌君) ただいま御指摘の数値でございますけれども、「その他十五社」だとかそういう社の数が多いのについて私たちちょっと確認できませんが、鉄鋼連盟だとか鋼材倶楽部等については確認しているわけでございます。いただきました資料につきましては、そういう部分については間違いないと数値を確認しているんでございますけれども、合計についてはちょっとまだ調べてございません。
#180
○沓脱タケ子君 鉄鋼業界、自動車工業界、石油業界等は確認できるんですね。
#181
○説明員(中地洌君) 鉄鋼業界のうちの日本鉄鋼連盟、鋼材倶楽部、それから自動車工業界におきましては日本自動車工業会、それから石油業界におきましては石油連盟、石油鉱業連盟、全国石油政治連盟、それから石油化学業界におきましては石油化学工業協会、それからセメント業界におきましてはセメント協会につきましては確認してまいったわけでございます。
#182
○沓脱タケ子君 自治省でも政治資金収支報告書で確認をされていると思いますので、確認できていないというのは小さくてまだ確認できないというだけでございますので、その資料をぜひ参考にいただきたいと思います。
 こういう金の流れと環境行政というのが、これは考えたくもないんですけれども、そう見ざるを得ない。そういう点でこれは非常に重要な問題だと思っているんですね。特に環境庁長官にお願いをしたいのは、財界の圧力などはありませんと、言葉だけではあかんと思うんですよね。やっぱり客観的にこの十数年見たらその都度都度環境行政の骨が抜かれてきている。これはほかの問題も出せばもっとわかるんですが、そういうことにさらに一足飛びにひどいことになるのが今度の指定地域全面解除だというふうに私は思うので、とりわけ長官に強い注意を喚起したいと思うんですが、いかがですか。
#183
○国務大臣(稲村利幸君) 沓脱先生から、財界云々との歴史があってここで改正されるという、注意を私に喚起をすると言われましたが、私どもは、この制度を今より合理的な公正なものにしたいな、この本心から出ているものですので御理解をいただけたらありがたいと思います。
#184
○沓脱タケ子君 それでは少し具体的なところへ質問を向けたいと思います。
 一つは、汚染の実態がどうなっているかというのはいろいろの経験もありいろいろ知見も出ておるわけですが、六十一年度環境白書でも「自動車排出ガス測定局について一日平均値の年間九八%値が〇・〇六ppmを超える測定局は六十五測定局であり、東京都、大阪府、神奈川県等の大都市部に集中している。」、二酸化窒素の環境基準のオーバーしているのがこういうふうになっているというのが書かれておりますし、専門委員会報告でも、我が国最近の大気汚染はNO2、粒子状物質であるというのが書かれておりますね。
 私、出身地の大阪府の状況を見て少々驚いているんですね。というのは、大阪市の所管をするN〇、一般測定局の六十年度の日平均値を見てみますと、十二局中四局がオーバーして、八局が基準内だと、八局が。それで、それはちっとよくなっているのかと思って中身を見てびっくりしたのは、オーバーをしている四局というのは〇・〇六三とか〇・〇六九とか六七とかになっているんですが、この基準内だと言われているのが何ぼになっているのかと思ったら、〇・〇五七、〇・〇五八、〇・〇五九、〇・〇六〇、幾らも変わらぬのですね。こういうひどい状態になっております。さらに自動車排ガス測定局、これは同じく大阪市を調べてデータを見てみたら、十一局全部そろいもそろって〇・〇六の環境基準を突破をいたしております。どの程度かといいますと、これは西淀川の出来島小学校、四十三号線に面したところですが、〇・〇八一ppmです。それから海老江西小学校、これは国道二号線ですが、〇・〇八一ppmです。それで十一局の平均値が何と〇・○七六ppm、恐るべき高さになっておりますが、間違いございませんか。
#185
○政府委員(長谷川慧重君) 大阪市におきますNO2の環境基準の状況でございますけれども、自排局あるいは一般測定局も大体先生のおっしゃるとおりでございます。
#186
○沓脱タケ子君 こういう状態は人間が住むのに快適でしょうか、生きていくのに快適でしょうか。
#187
○政府委員(長谷川慧重君) 環境基準は年間九八%値をもって評価するわけでございますが、それは〇・〇六以内という形になっているわけでございますので、そういう面では一般局あるいは自排局の道路周辺の方々につきましては環境基準が未達成であるということで非常に残念に思っておりまして、従前からも大阪市ともいろいろ協議をしながら環境基準の達成のために努力いたしておるところでございます。
#188
○沓脱タケ子君 いや、大体人間が生きていくのに快適かと聞いたんですけれども。私大阪だからよく知っているんですが、これは〇・〇七を超したような地域で、例えばその沿道で二十分立ってごらんなさい、これは気分が悪いですよ。バスを待っているお客さんたちがおりますが、一緒に二十分立って待ったら気分が悪くなります。その沿道に住んでいる人たちがこれでどうして被害がないと言われるんだろうかと思いますよ。そういう実態は、これは現実だからお認めでございますね。
#189
○政府委員(長谷川慧重君) 五十三年の環境基準をつくったときの経緯をよく読んでおるわけでございますが、そのときには健康からの偏りも考慮しながら判断条件を示したということでございますので、〇・〇六を満たしておりますれば人の健康を保護するということで十分な数値であるというぐあいに思うわけでございます。それを、先生お話しのように〇・〇一超えて〇・〇七になったときには快適かと言われますと、そう快適であるとは言いづらいのでございますが、それだからといって病気になるか、健康影響があるかということになりますと、なかなか一概に私どもでは判断できないというぐあいに思っておるところでござ
います。
#190
○沓脱タケ子君 そういうところに人が住んでいるんですよ。これを黙って見過ごしますか。今度の法律は指定物質がSOx、SO2だからということでそっぽを向いていられますか、これ。〇・〇八ppmなんてどんな状態が、それは行ってみたらわかりますわ。だから環境庁長官にも四十三号線見にきたらどうですか言うたけれども、来なかったね、ついに。そういう汚染の状況というのは被害者の実態がどうなっているかということにあらわれていると思うんですね。これは前回、去年の十二月の質疑でも私触れたんですが、公害患者で特にぜんそくの患者、二十歳そこそこの若い人たちの窒息死というのが次々と後を絶たないというのをこの前にも申し上げました。やっぱりそういう事態というのが続いていますよ。
 具体的にちょっと申し上げておきますが、これは二十二歳の女性なんですが、亡くなったんです。この人は子供のころからぜんそくがあって、四十九年のいわゆる本制度ができたときの第一回のサマーキャンプに参加をしていた人です。一時はよくなっていたのが、ついにまた発作が起こり出しまして通院をしていたのです。ところが、昨年の九月二十二日の朝八時十分、ぜんそく発作のためにその近くの民間病院に行きました。で、点滴をしてもおさまらないで、夜の十時までいろいろと手当てをして、少し楽になったからと言って帰った。ところが、翌朝午前五時二十五分に再び重積発作、重篤な発作が起こって、来院したときには呼吸停止、心停止が起こっていた。急いで蘇生の処置をやって、一遍は蘇生をしたんですが、九日目の十月一日についに亡くなってしまった。
 これは私驚いたんですが、こういうひどい発作に悩まされる方々というのは本当に苦しいんですね。だから、亡くなった後で点検をすると舌をかみ切っているというんです。何回も舌をかんでいる。だから舌に穴があいておるという患者さんがいるというんです。いかに苦しいかということのあらわれですよ。
 それからまた別の例ですがね、発作が起こったら救急車を頼んで病院へ運んでもらわなくちゃならない。救急車の出動を毎度毎度お世話になるので、二階に寝ていたけれどもせめて下までおりようと思って階段をおりる途中で発作がひどくなって息が絶えてしまった。こういう事実があるんですよ。
 それから、家族に迷惑をかけてはならぬと被害者の患者の皆さんは非常に心配なさっている、毎度毎度だからね。一人の方はこういうことです。夜中にあんまり家族を起こしては済まないと思って一人で吸入器の置いてあるところへのそのそ行って、そしてスイッチを入れる寸前に息が絶えた。
 こういう患者さんたち、これはこんな実例を申し上げれば幾らでもありますがね。これほどひどい状況まで被害者がきているということはひとつ環境庁としても御理解をいただきたいと思うんですよ。
 こういう個々の例はともかくといたしまして、例えばどういうことになっているかなあということで、ある民間病院の診療日誌をずっと調べさせたんです。そうしたら、診察時間以外の時間、いわゆる日直とか当直帯になるこの時間、つまり夜の八時から翌日の朝の九時までの間に、その病院には一カ月に延べ外来患者が七百四十七人来ているんですが、そのうち四百十七人がぜんそく発作の患者である。五六%がぜん息発作なんです。だから、診療時間でないときに門をたたいて飛んでくるといったらかなりひどい発作なんで、そうでなかったら遠慮して来ませんよ。それが五六%もそういう状況になっているということなんです。
 ついでに皆言っておきますがね、もう一つは自殺者です。公害患者の中にみずから命を断つということが随分起こっております。しかし、全国的に被害者の中で自殺をされた方を統計をとっている自治体は、とっているかもわからぬけれども、発表されていないんでわからないんですが、たまたま尼崎では、お亡くなりになった方千四百七十人の中で自殺をされた方は三十二人です。どんな自殺の仕方をしておられるかというと、一つは首つりです。それから、寒い最中に発作が苦しくて汚いどぶ川へ飛び込んでいるんです。もっと何とも言えない思いがしたのは、酸素のボンベを背負ったままで鉄道へ飛び込み自殺している。そんな事例まで出てきているんです。
 ですから、私は先ほどからの論議を聞いていて、長官も部長も制度を割り切るんや割り切るんやいっておっしゃるけれども、これらの公害の被害者というのは、健康を奪われ生活を奪われ働く能力を奪われ、最後には今まで奪われているんです。こういう被害者の実情と被害者の心情というものをしっかりと踏まえて対応をしなきゃならないと思うんです。長官どうですか。
#191
○国務大臣(稲村利幸君) 沓脱先生から今お地元の大阪での患者のお苦しみについて訴えられましたが、私、どうですかと聞かれて、正直大変お気の毒に思います、本当にお気の毒だなと。一日も早い治癒を祈ります。
 しかし今回の改正で、既に認定をされておられる患者の皆様には従来どおり手抜かりのないような方向で補償給付を支給してまいりますし、その保護に欠けることのないように配慮を今後ともしてまいりたい、そういう気持ちでおるわけでございます。
#192
○沓脱タケ子君 認定患者にはそういう配慮をしていきたいと、そのお気持ちはわかりました。
 ところが、今度の一部改正では新規患者は打ち切りというんでしょう。その新規患者の打ち切りの科学的根拠は何ですかね。さっきも高桑先生おっしゃったけれども、今認定している人は本当に気の妻や、早う治るようにちゃんと十分したい、しかしあしたからの人は知りませんと、そんな断崖から突き落とすような行政というのはないですよね。一体どういうことですか、これは。
#193
○政府委員(目黒克己君) この科学的な根拠でございますが、先般来申し上げておりますように、現在の我が国のいろいろ含めました総合的な一般の環境、大気中に見られます最高濃度レベルの大気汚染の影響も含めて、四十一の指定地域を全部含めた我が国の大気汚染と健康被害者との関係、これについて評価をしなのがこの中公審の答申でございます。したがいましてこの根拠につきましては、先ほど来申し上げておりますような動物実験を初めといたします総合的な知見の中にこれが示されているのでございます。
 打ち切りというお言葉でもございますけれども、私どもは、新たに解除後にぜんそく等の病気になられる方々に対しましては、先ほど来申し上げておりますように、中公審の答申にもございましたが、個別の補償ということではございませんで、強いて個別と申し上げれば、予防という観点も含めまして健康相談を行うとか、あるいはその地域の医療体制を充実させるとか、あるいは大気汚染の予防といったような観点からのさまざまの事業を考えているのでございます。
#194
○沓脱タケ子君 さっぱりようわからぬですねで予防するや相談するや言ってくれたって、ぜんそくの発作を起こして発病している患者に予防するってどないするんですか。ちょっと理解できへんから聞いている。どないするんですか。病気にかかってない人を予防する対策をとるというんやったら話わかるんです。
#195
○政府委員(目黒克己君) 後段で申し上げましたように、病気になった方々には適切な医療保護が行われますように御相談をしていただく、あるいは医療体制を充実をする、そういう形で対応をいたしたいと、このように考えているのでございます。
 いずれにいたしましても、この因果関係というものがはっきりしないというような状況のもとに個別の補償というものは現在の総合的な大気の汚染の中ではできない、日本全体の空気、いろんなものを含めた空気の中でできない、こういう趣旨のことでございます。やはり合理性に欠けるという点で先ほど来申し上げたような趣旨でございます。
#196
○沓脱タケ子君 じゃ、そういう人には医療体制
を整備するって、新たに医療体制をつくるんですか。ちょっと初耳なんではっきり教えてください。
#197
○政府委員(目黒克己君) これは、新たに私どもが基金の事業として行います予防事業の中にその一つとして取り上げているものでございます。ぜんそく等の者はやはりそれぞれの外来あるいは医療機関で治療しているわけでございます。非常に通っておられる方が多いんですけれども、そういうような医療機関の体制を整備する、充実する。今もそれぞれあるわけでございますが、それをさらに専門的な見地から医療を行えるように充実するような方向のものを考えてまいりたい、こういうことで一つの、それがすべてと申すんではないんですが、一つの例ということで申し上げた次第でございます。
#198
○沓脱タケ子君 医療体制の整備というのは医療機関、診療機関を整備すると言うんだね。医療制度はどうなんですか。病院は何ぼでもある。そこへ行ったら医療費はどうなるんですか。その分を含めて医療体制を整備しようと言うんですか。それは大事な点なんです。どうなんです。
#199
○政府委員(目黒克己君) あくまでも、個々の患者さんに対しまして、おいでになった専門の医療機関が十分に対応できるように一つ一つの施設を充実するようにしたい、こういうことでございます。
 それで、御指摘の個々の補償といいますか、今行われております補償ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように制度の合理性ということでございまして、この費用負担者あるいは民事上の責任を有する人と補償を受ける患者さん方、そういう者との関係からやはり合理的にこの制度を維持することが困難であると。したがいまして私どもは、個々のそういう形のものではなくて、制度として医療機関の整備というふうな形で充実強化に努めてまいりたい、このような意味で申し上げたのでございます。
#200
○沓脱タケ子君 さっぱりようわからぬのですが、病院をつくるというわけですか。病院つくったらいろいろ、つくらぬよりいいのかどうか知りませんが、病院つくってくれても金がかかったら行けないんですよ。それはどうなんですか。そこが問題なんです、患者にとっては。それはどうするんですか。金出すんやったらどこにでも病院はあるんです。
#201
○政府委員(目黒克己君) これは私どもの所管にかかわることではございませんけれども、厚生省全体の問題であろうかとは思いますが、やはり現行健康保険制度を含めまして、医療制度あるいは生活保護の制度等々を含めましたものの中で対応をしていくのであろうというふうに考えているのでございます。したがいまして、特別に補償という形でそれを担保するようなことではないということで御理解をいただきたいと思っております。
#202
○沓脱タケ子君 何やえらいややこしいことを言うたけれども、結局は何にもないというわけですね。わずかな財源だからそんなことやれるはずないなとは思ったけれども。
 新規患者を打ち切ると言うんだけれども、具体的にこんな場合はどうするんですか。例えば、さっきも事例を言いましたが、子供のときにかかっていても、御承知のように、ちょうど中学校を卒業するころになったらよくなりますね。それでまた発作が起こるということで再発というような患者さんがいますね。そういう再発の場合はどうするんですか。それも法律、もしこれ適用されるということになったらアウトですか。そんなのはどうですか。
#203
○政府委員(目黒克己君) この補償制度で割り切っておりますので、例えば現在でも、北海道で発病した方が指定地域へ移動すればこれは認定患者ということで認定するといったような一つの例がございますが、そういうふうなことをとっておるわけでございます。同じように、地域としての割り切りを行っているということを先ほど申し上げたのでございますが、今度はタイムスパンということで、一つの時期を境にいたしまして、この制度の合理性を保つためにはやはり一つの割り切りというものが必要であろうかと思っているのでございます。
 したがいまして、そのような方につきましては、解除の時点で認定患者でない方々については補償はいたさないということになろうかと思います。一般的な制度の中で運用していく、かように考えておるのでございます。
#204
○沓脱タケ子君 一人の人が公害被害者で発病して、一たん治癒をして、治癒というか、まあ、転地でもしたら発作は起こらなくなる人がたくさんありますからね。それでまた発作がぶり返しても、制度ができてしもたらもう認定しまへんのか。そんな道理に合わぬ話ないんだけれども、そうなんですか。はっきり言ってください。
#205
○政府委員(目黒克己君) そのとおりでございます。
#206
○沓脱タケ子君 それはもうだれが考えたって筋通りませんよ。そんな制度ありますかな。再発しても、いや、もう制度の割り切りでございますので再発する方が悪いんです、それは知りませんて、そんなばかな話ないです。長官どうですか。そんなむちゃなこと考え直さなきゃ大変ですよ。
 それからもう一つ、これはいろいろあるんですよ。これは企業に勤めている人です。これは前にも私事例を出しましたけれども、例えば、公害認定地域へ昭和二十年からずっと仕事に来ていて昭和五十年にぜんそく発作を起こしているんです。遅発性があるとかないとかいうようなことをおっしゃるけれども、二十年、三十年暴露されていて、そして昭和五十年になってぜんそくが発病していると。年に一回、二回入院を繰り返していたけれども、健康保険の本人だからそれに頼って認定などは要求しなかった。ところが、健康保険制度が変わりまして一割自己負担ということになって、年に三回も四回も入院しなくちゃならないということになって負担に耐えかねて、これはことしの二月でしたか、もうこれはたまらぬということで認定手続をされた方がいました。ところが、二月に認定手続をして手帳もらう前の三月十五日に発作のためにおうちで亡くなっている。こういうような事例、これはこの前ちょっと言いましたね。こういう方というのはあるんですよ、いっぱいいろいろあるんです。
 例えば倉敷の川鉄の団地なんというのは、もうあの地域だけ指定地域なのに格段に低いです、認定患者が。企業がお金出す企業だからぜんそくでも言うたら申しわけないと思うんでしょう、認定を申請していない。そういう人たちがお仕事やめたら、これはもうたまらぬから認定してほしいということになりますわな。そういうその他の制度で何とかやっておったという、しかし公害健康被害には未申請だったという人たちというのはこれはどうします、制度発足したらどうしますか。
#207
○政府委員(目黒克己君) 先生から御指摘をいただきましたようなぜんそく等の患者さんにつきましては、これは現在でも指定地域外を含めまして全国に大勢おいでになるわけでございます。その方々につきまして現行制度においても一つの割り切りということで、この指定地域ということで制度の中で割り切っているのでございます。したがいまして、制度解除後につきましては、これまで申し上げましたように、今までの現行制度でも割り切っておったわけでございますが、制度の合理性、それから補償を行う、あるいは費用を負担する、民事上の責任を持つ、こういうような民事上の責任を踏まえるというふうな観点保から見まして、合理性を保つという点から見まして、やはりこのような方々については今の指定地域外におられるぜんそくの患者さん方と同じような扱いになろうかと、このように思っておるのでございます。
#208
○沓脱タケ子君 指定地域内におる人ではどうですか。今指定地域外の話をした。指定地域内はどうなんですか。
#209
○政府委員(目黒克己君) 指定地域内におられる方々が指定地域解除後もやはり現行の指定地域外においでになる患者さん方と同じような扱いにな
ると、こういう意味で申し上げたのでございます。
#210
○沓脱タケ子君 それなら、指定地域の中におろうが外におろうが一切認定は受け付けません、申請は受け付けませんということなんですね。何も分けて言う必要はなかった。これは私ちょっと了承しがたい。これはぜひ検討してもらわなくちゃいけない。そんな指定地域で十年、二十年生活していて、三年が暴露期間だからといって、三年たって発病せんかったけれども十年たってから発病したら、これは遅発性が保証されてないとかなんとか言って認定しないというのは何ぼ考えたっておかしいですよ。こんなことを認めないのは、これは割り切り割り切りと言うけれども、科学的に根拠ありますか。こんなむちゃなこと。
 これはどうですか長官ね、一遍もうちょっと検討してみてください。何もかもあかんのやというような話じゃあかんですよ。今の部長の答弁ではとてもじゃないけれども、納得しがたい。一遍よく御検討いただきたいと思うんですよ。そんな長官の手押さえぬでもよろしいがな。口を封じるんかいな。あかんですよ、そんな。何てことするんですか。長官、本当に一遍検討してみてください。こんな理不尽なことはないです。どっちが大事なんや。
#211
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、審議会の答申等々を踏まえました形で制度の合理性を保つということで行っているものでございます。また、今の先生御指摘の遷延性の発病のものについては、これは定説ではないということでこれを否定しているのが今の答申の内容でございまして、私どもそれを踏まえて、今の指定地域を解除いたしました場合に、その後指定地域内で発病した方々につきましても今指定地域外で発病しておられます患者さん方と同じような扱いになろうということでお答え申し上げたところでございます。
#212
○沓脱タケ子君 過去の暴露の影響というものは答申にはもう余り尊重されていないんだということをあなた盛んに言うんだけれども、大気保全局の報告にはちゃんと書いてあるんです。そういうこの打ち切りに都合のいいところだけつかまえて答弁に使うという手法はやめなきゃやっぱり科学的、医学的あるいは政治的に妥当だと思うような論議にならないですよ。これはもう極めて残念ですね、こういうやり方は。
 そんな冷たいやり方するんだったらこれは大変なんでちょっとついでに聞きますが、新たにつくる基金の問題、ちょっと一辺聞かしておいてもらわぬとこれ危ないですね。中公審の審議中に長官が経団連へひそかに行って相談して問題になったという基金の五百億、私はおめでたいんでしょうか、この五百億は経団連からもろうてくるのかなと思っていた。この基金というのは財界、加害企業から拠出を求めるんじゃないんですか。
#213
○政府委員(加藤陸美君) お尋ねの御趣旨が経団連が出すのではないのかというお尋ねだったと思いますが……
#214
○沓脱タケ子君 いや、汚染加害企業や、汚染企業。
#215
○政府委員(加藤陸美君) はい、そうでございました。
 お答えいたしますが、基金への拠出金は、汚染原因者並びに関連のある事業活動を行う者というふうに法律上も定められておるわけでございまして、いわゆる企業体の方からの拠出ということでございます。
#216
○沓脱タケ子君 私これ質問通告してなかった、実は。質問をするつもりじゃなかったんです。しかし、新規患者の打ち切りについての余りにも血も涙もない御答弁を聞いてこれはほうっておけないなと思うんで一言聞きたい。汚染原因者と汚染関係者からお金を出してもらうというんで、私は五百億の基金いうから五百億をその企業からもろうてきて積み上げるのかと思っていた。違うんですね。もろうてきて積むんですか。
#217
○政府委員(加藤陸美君) もらってきてという表現は必ずしも私きっちり理解し切らぬ面もございますが……
#218
○沓脱タケ子君 出してもらってや。
#219
○政府委員(加藤陸美君) はい、そうです。
#220
○沓脱タケ子君 出してもらうのに、基金という名前のお金を五百億出してもらって積み上げるのかと思っていたら、違うんですね。六十二年度の八百七十億を五年間ずっと、来年も再来年も八百七十億出してもらって、新規患者の切り捨てをして、ことしと同じだけお金が要らぬで余る分を五百億の基金に積み上げていくというんでしょう。そういう制度になるらしいですね。違いますか。
#221
○政府委員(加藤陸美君) 五百億円の基金を積み上げる積み上げ方はいろいろな手法があり得るわけでございます。必要な金額を確保することはまずこれはそういう方向で決まっております。積み上げ方の具体的な仕方は、先生おっしゃるような形という考え方もそれは確かに一つの割合わかりやすい方法ではあると思いますが、少なくともそれが、これ表現の仕方かと思いますけれども、切り捨てた分を積むということとは直接の関係はないと存じます。
#222
○沓脱タケ子君 非常に大事やと思っているんですよ。一つの考え方といっても、そのとおりでしはう。そうであるようでないような答弁の仕方はせんといてください。
 それで、ことしも来年も再来年も汚染企業から同じだけのお金を出してもらって――大体同じだけでしょう、ちょっと減りますか、新規患者を打ち切るからその分の九千人。治った人やら死んだ人のを含めて三千人。六千人の分が余りますやろ。そのお金を基金に積み上げていくというんですね。ところが、新規患者打ち切りでも減らなくてお金が五百億になかなか積もらぬいうことになったら何するんやいったら、結局心配なのは、現在の認定患者の救済は続けます、断じて続けますと言っているけれども、もし五百億の基金がなかなかたまらぬということになったら、早くためようと思ったら、現行の患者さんの打ち切りだとかランクの切り下げだとかいってお金を減らして、そして五百億へ早く積み上げるというようなことになりはしないか。これは絶対にあってはならぬと思うんですけれども、仕組みからいったらそういうことになっているように思うんですが、その点はどうですか。
#223
○政府委員(加藤陸美君) 最初に結論の方を申し上げますが、既被認定患者の切り捨てとかそのようなことはあってはなりませんし、あり得ないことと存じます。なお、積み上げを早くするとか遅くするとかというそういうつながりのお話は直接には関係がないということで申し上げておるわけでございまして、所要の額は積み上げるようにしてまいりたいと考えております。
#224
○沓脱タケ子君 それ以上言いませんから、絶対に基金をつくるためにということで認定患者の打ち切りやランクの切り下げ、こういう血も涙もないことは絶対にやらないということをはっきりしてもらいたい。これ長官、はっきりしてください。
#225
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の御意見どおりで、従前どおり間違いなくやらしていただきます。
#226
○沓脱タケ子君 私大分横道にそれてしまいまして。だから、今の新規患者の打ち切りという非常に血も涙もないやり方、これが裏腹に基金制度になってあらわれてきたらもう公害被害者の患者さんの皆さん方の救済というのはちゃちゃむちゃになるなというふうに思うんです。非常に心配なんで。今長官間違いなくそういうことはやらないということをおっしゃったけれども、間違いありませんな。もう一遍聞いておこう。
#227
○国務大臣(稲村利幸君) 法改正に当たりましても既存の患者に対しては従来どおりやらしていただくと。先生の御心配の点は大丈夫でございます。
#228
○沓脱タケ子君 私実は、こういう具体的な問題をお伺いをした後、どうしてもこの法改正は認めることができないという理由として、法律的な手続上の不当性、そして科学的、医学的な不当性と
いうのが解明をされなかったらこんなものまともに認めるわけにいかないというふうに思いますので、こういう点で質問をしたいと思って準備をしてまいりました。しかし、私の持ち時間終わりのようなんできょうはこの辺でやめますけれども、これは先ほど午前中も御指摘がありまして、あれは資料の要求は委員会資料ですね、委員会資料要求になったんでしょうか。私ちょっとそれが気になって、私もこの科学的、医学的な不当性の問題というか、これについての解明には、実はこの中公審の会議録等についてぜひ提出をお願いをして、それをもとにしてさらにお聞きをしたいと思っておるんです。それで、出していただくまでの内容については御質疑を申し上げておこうと思ったんですが、きょうちょっと持ち時間がありませんが、その点はどうですか、出してもらえるんですね。
#229
○委員長(山東昭子君) 理事懇の協議の結果、委員長から環境庁に対してその資料の要請をしたわけでございます。それに対して返事待ちということでございます。
#230
○沓脱タケ子君 時間が限度が来ましたのできょうはこの程度にいたしますけれども、今まで申し上げました点でも随分問題があるわけです。私はやっぱりこれだけ国民の命と暮らしにかかわりの深い、しかも客観的には、患者さんだけではなくて日本医師会だとかあるいは日本弁護士会だとか環境会議だとか労働組合とか、あらゆる層からこれはおかしいということで疑義が投げられているというふうなままでこの法案というのは論議をされてはならないので、これは、法律上の不当な手続上の問題だとか医学的、科学的にいろいろと批判を受けている不当性の問題、そういう疑いのある問題、そういう点をきちんと解明をする必要があろうと思います。
 そのことが解明をしなかったら、これは中公審の答申でございますから云々とおっしゃってもそのままいただけないと思うんで、その点の解明をしてもう一遍やはり諮問をし直していただいて、だれが考えてもまともやなと思えるような結論をぜひ出していただきたいと思うわけでございます。きょうは質問はこの程度にいたしますが、長官、最後にそのことをお願いをしておきたいと思いますが、いかがですか。
#231
○国務大臣(稲村利幸君) 先生から再三御指摘の制度改正ということでございますが、今回の制度の改正は、やはりこの中公審の答申に基づいて制度を公正かつ合理的なものとしよう、こういうことでございますので、私どもの提案理由を改正の方向で御理解いただきたいと思います。
#232
○沓脱タケ子君 きょうはこれで一応終わります。
#233
○山田勇君 昭和四十九年九月に現在の公害健康被害補償制度が成立、施行されて以来、公害による健康被害の患者さんの救済についてこの制度の果たしてきた役割は一応の成果をおさめてきたと思います。また、現在企業などの事業者が努力して硫黄酸化物の環境基準がクリアされ改善されてきたことも事実であると考えます。しかし、これらのことは国民の健康を守り福祉の向上という観点からすれば当然のことで、より一層の努力は必要であることは言うまでもありません。
 さて、今回政府が公害健康被害補償法の改正案を提出してきた背景には、国として、国民の生命、健康を守るための努力を財源面も含めて完全に果たしていくといった約束のようなものが込められていると考えますが、制度改正の背景のねらいといったところをまず長官にお尋ねをしておきたいと思います。
#234
○国務大臣(稲村利幸君) 今回の公健制度の見直しは、硫黄酸化物の著しい減少など大気汚染の状況の変化や大気汚染と健康影響に関する科学的知見の進展を踏まえ、今後の第一種地域のあり方について中公審において三年にわたり慎重に御審議の上取りまとめられた答申に基づき制度を公正かつ合理的なものとするものでございます。さらに、今回の制度改正により、今後はこれまでの公害患者に対する個別の補償から健康被害予防事業の実施等総合的な環境保健施策を積極的に推進することなどにより、地域住民を対象とする大気汚染による健康被害の未然防止に力を入れてまいりたい、こういうふうに考えております。
#235
○山田勇君 昨年十月の中央公害対策審議会の答申を受けて今回の公害健康被害補償法改正案を提出することになったと理解しているわけですが、この中公審の答申について何点かお尋ねをしておきたいと思います。
 この中公審の答申では地域指定の解除が適当であると述べられておりますが、これらの具体的な根拠は、また基準は示されておりますか。
 また、地域指定の基準について四十九年答申以後科学的な知見が進んだと考えますか。その意味で、新たに地域指定の判断基準は示されましたか。新たな地域指定の判断が示されてないとするならば、今後公害がひどくなり大気汚染が一層深刻になったとき、ひいては公害患者が増大するという事態が発生したとき、その後でデータなどを整えて地域指定をする、このようなことでは後追い行政のそしりは免れません。衆議院における委員会で中曽根総理は、今後の状況によっては新たに地域指定、患者さんの認定を行うと明確に答弁をされておりますが、この点について具体的にどう取り組むのかをわかりやすくお聞かせをいただきたいと思います。
#236
○政府委員(目黒克己君) まず第一点でございますが、中公審の答申の中で指定地域の解除が相当であるという根拠、基準という点でございます。これは昭和三十年代あるいは四十年代当時は、先ほど来御議論いただいておりますように、硫黄酸化物等による大気汚染が非常に甚しく、そして大気汚染が一部の地域のぜんそく等の主たる原因と考えることができたのでございます。しかしながら、今のような現在の改善された大気の状況のもとでは、当時とは違ってまいりまして大気汚染がぜんそく等の主たる原因とは考えられなくなってきたのでございます。大気汚染の健康に対する影響の程度を疫学調査等で定量的に把握するというふうなことが困難になったのでございます。したがいましてこのために、現在の大気汚染の状況に即しました解除要件を設定するということができなかったのでございます。今回の解除の根拠は、大気汚染がぜんそく等の主たる原因ではない、大気汚染の影響が定量的に把握できない状況であるということである以上、ぜんそく等の患者さんをすべて大気汚染が原因であるとみなして補償を行うことは合理性に欠けるということにあるのでございます。したがいまして、解除要件を待つまでもなく、このような定量的な判断ができない、このような状況のもとでは現行の指定地域をすべて解除することが適当と考えたのでございます。
 それから第二点の、四十九年度の答申以降の指定地域の指定基準に関する科学的な知見は進んだのか、あるいは新たな基準が示されたのかという御質問でございますが、四十九年以降環境庁におきましてはNOx、窒素酸化物等の健康影響の解明に努めてまいりまして、いわゆる国民健康保険のレセプトの調査、あるいは疫学調査でございますがATS調査等諸般の調査を行ってまいったのでございます。また、環境庁以外におきましてもさまざまな調査研究が実施されまして、NOx等に関します知見が格段の進歩を見たのでございます。このように新しい内外の知見がございますが、これらを中公審におきまして検討をいたしましたところ、現在の大気汚染は、先ほど申し上げましたような総体としてぜんそく等の主たる原因とは言えない、あるいはその影響の程度を定量的に示すことができないといったような評価でございまして、このような状況の中では、昭和四十九年制度発足当初の中公審答申のように特定の物質について何ppmといったような形で指定や解除の基準を示すことができないというように審議会が判断したのでございます。
 さらに、新たな基準ができないとすれば、衆議院の審議の際の総理の、新たな指定もあり得る云々ということに関します点、どのようにこれを措置していくのかという点についてでございます
が、現在の大気汚染の状況のもとにおきましてはやはり公健法によります地域指定を行うことが合理的であるような実態にない、このようなことから基準を作成するに至らなかったわけでございます。
 これは先ほど述べたとおりでございますが、万一将来、大気汚染が悪化いたしまして公害健康被害補償法によります地域指定を考えるような事態になりますれば、その時点での科学的知見あるいはデータに基づいて適切に判断をしてまいりたい。例えば、まず万一あり得ないということではありますが、硫黄酸化物の濃度がかつて地域指定を行った当時のように現在の数倍の程度になったときには再指定が考えられるのでございますし、また窒素酸化物等につきましては、それによります健康被害についての科学的知見が得られ、公害健康被害補償法によります指定が適当であるというふうに考えられるような事態に至りますれば、その時点での科学的知見に照らしまして再指定を行うことになろうと、こういうように理解をしているところでございます。
#237
○山田勇君 中公審の指定解除の結論はNOx、窒素酸化物の健康に対する影響について十分な解明をしないままに出されたのではないかと思われるんですが、この点はいかがでしょうか。
#238
○政府委員(目黒克己君) 中公審の結論としてNOxの健康影響は未解明かという点についてでございますが、この専門委員会の報告におきましては、現在の総体としての大気汚染とそれから健康被害との関係についてさまざまな角度から評価を行ったのでございます。NO2によります影響も含めて現在の大気汚染総体として結論を出したわけでございまして、その結果、現在の大気汚染は総体といいたしましてぜんそく等の主たる原因とは言えない等の評価が行われたのでございます。
#239
○山田勇君 NO2及びSPMの環境基準が未達成でなお改善を要するのではないかと思いますが、この点、環境基準が達成されるのを待ってから解除の措置を行っても遅くはないという考え方もありますが、その点はいかがでしょうか。
#240
○政府委員(目黒克己君) NO2とかあるいはSPMにかかわります環境基準が達成されてから解除を行うことが妥当でないのかという御質問でございますが、まず環境基準の考え方でございます。が、先ほど大気局長の方からもお答え申し上げましたとおり、健康で快適な生活のため維持達成されることが望ましい基準というのが環境基準でございまして、その環境基準を超えたらば直ちに病気になるというものではないのでございます。
 それでまた、第二点の点でございますが、専門委員会の報告では、先ほども申し上げましたが、現在の大気汚染は健康に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないが、しかしぜんそく等の主原因とは考えられない、こういう専門委員会の報告があるわけでございます。したがいまして、これを踏まえまして、これまでのようにぜんそく等の患者をすべて大気汚染によるものということでみなしまして補償を行うということは合理的ではないということから中央公害対策審議会は地域指定の解除という結論に至ったものと、このように私ども理解をしているところでございます。
#241
○山田勇君 NOx等について、幹線道路沿いなどの局地的汚染による健康影響について解明されていない点が私は残っていると考えますが、その点はいかがでしょうか。
#242
○政府委員(目黒克己君) 幹線道路の沿道とかあるいは局地汚染の影響についてでございますが、中央公害対策審議会におきましては、一般環境よりも汚染レベルの非常に高い一部の幹線道路の沿道といったようなものを含めましてそれを検討しまして、そして得られました科学的知見によった。わけでございますが、その知見等によりますれば、先ほど申し上げましたように民事上のものを踏まえて地域指定を行いまして補償を行うということは合理的ではない、こういう考えから幹線道路沿道等を含めまして現行の指定地域のすべてを解除する、このような結論に到達したのでございます。特に、中公審のもう一つの結論でございます今後とも大気汚染の健康影響等の解明、こういうことにつきましては調査研究を一層今後とも推進をしていくということでございますが、特に、新たにサーベイランス・システムを早急に構築をいたしまして一層これらのことに努力を払ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
 このサーベイランス・システムと申しますのは、継続的に大気の状況とそれから一定の地域の住民の健康というものに関する各種の指標を取り寄せまして、この二つを関連させながら大気汚染の健康に対する影響の程度というものを永続的にかつ継続的にとっていく、こういうようなシステムでございまして、これらのシステムにつきましてはまだまだ検討をしなければならない多くの点があるのでございまして、このような点を現在既に六十二年度の予算の中で御検討をいただいておるのでございます。
#243
○山田勇君 新しい測定的なものすべてジョイントしながらこういうのを監視していくということですが、新しい測定器みたいなものでございましょうか。
#244
○政府委員(目黒克己君) もちろん現在の時点で各種の大気汚染の状況等については把握をいたしておるのでございます。それらの既存のそういう機器を使って行っていくというのが一つの前提でございます。もちろん、新しい形のものがさらに開発され、それを現実的に使うようなことになればそれはまたそのときの対応であろうと思いますが、少なくとも現在の機器の中で行っていく。
 それから患者さんの方につきましても、やはり健康の指標としてとりますものには御指摘のようにいろいろなものがございます。現在までとってまいりましたのは、先ほど来御説明申し上げました一つの疫学的な調査の手法とか、あるいはさらに個々の患者さんをどのように把握をしていくかとか、あるいは健康状態を地域全体としてどういうふうにとらえていくかという方法、これがもし、新しい診断法と申しますか、新しい検査の方法等確立されればそれはそれでまたその時点のものというふうに考えておるのでございます。いずれにいたしましても、大気汚染の状況とそれから健康の状況、この二つのものを並べまして、そして総合的にこの大気汚染の健康影響を継続的にとらえていこうというのがこのサーベイランス・システムの考え方でございます。
#245
○山田勇君 この地域指定解除をする際の事務的な手続について既に相当各先生方質問をなされておりますが、確認をする意味でお聞きをしておきます。
 公健法に基づく大気汚染地域の指定解除は、総理大臣としては中公審と地方公共団体から意見を聞かなければならないとなっております。地方公共団体の方からは昭和六十一年十二月二十日付でと聞いています。昨年十月の中公審の答申は、五十八年十一月、当時の環境庁長官が公害対策基本法に基づいて出した諮問に対するもので、この公健法の規定では、同法の第一種地域の指定解除をする場合は内閣総理大臣が中公審の意見を聞かなければならないとなっておりますが、この点はどのようになっておりますか。
#246
○政府委員(目黒克己君) 現在答申として出ておりますものは、これは公害対策基本法によります一つの基本的な重要事項ということでこの指定地域のあり方について諮問をしておりまして、その結果このような答申を得たという経過でございます。
 御指摘の公害健康被害補償法の第二条四項に基づきます中央公害対策審議会に対します諮問の手続といたしましては、この二条四項と申しますものは、指定地域の指定と解除に関します政令の制定とかあるいは改廃の立案をしようというときには、内閣総理大臣は中央公害対策審議会及び関係の地方自治体の長の意見を聞かなければならない、こういうことで、私どもそういう根拠に基づいて聞くわけでございます。したがいまして手続といたしましては、この指定地域の解除に関する
政令を立案いたしますまでに中央公害対策審議会及び関係地方公共団体の長の意見を聞くという手続を尽くすということを決めておるのでございます。それで、地方公共団体のこの意見につきましては既にこれを聞いておるわけでございますが、中公審への諮問といたしましては、政令立案までに、この指定解除にかかわることといたしまして中公審へ諮問を行いましてそして答申をいただくということにいたしておるのでございまして、これから二条四項に基づきます中公審に対する諮問というものを行うということになる、こういう手順になっているのでございます。
#247
○山田勇君 地方自治体の意見書の中でNOxの影響について触れていますが、専門委員会報告を見ましても、窒素酸化物の高濃度地域は東京、神奈川、大阪といった大都市になっておりますが、この地域の環境改善策についてはどのような取り組みをいたしますか。
#248
○政府委員(長谷川慧重君) 大都市におきます窒素酸化物対策のお尋ねでございますが、御案内のとおり従前からやっておりますのは三本の柱ということでやっているわけでございます。一つ目は、自動車一台一台から排出されます排出ガスの削減のための規制の強化、それから最新規制適合車への代替促進。二番目が、交通の抑制、分散を図るための交通対策の推進。三番目が、固定発生源の規制の徹底と規制対象施設の拡大という三つの柱を進めてまいっているわけでございます。
 もう少し詳しく御説明申し上げますと、まず自動車一台ごとの対策でございますが、これまでも数回の規制強化を加えてまいっておりますけれども、本年一月に、ディーゼルトラック等の窒素酸化物排出量の大幅削減を内容といたします自動車排出ガスの許容限度の改正を行ったところでございます。現在、中公審におきましては引き続き窒素酸化物の一層の低減等についての検討を進めていただいているところでございまして、この結果を待ちましてさらに規制の強化等所要の施策を進めてまいりたいと思っております。それ以外に、最新規制適合車に対します税制上の優遇措置などを講じましてできるだけ早い切りかえを推進いたしているところでございます。
 次に交通対策でございますが、現在京浜、阪神地区を中心といたしまして、輸送の共同化や道路の立体交差化などの自動車交通の抑制、分散等を図るための各種の対策を総合的に実施するために、学識経験者、関係省庁、地方公共団体等によって構成されております検討会を設けまして検討を進めておる段階でございまして、本年度中には計画という形で取りまとめをいたしたいというぐあいに考えているところでございます。それ以降計画を随時推進してまいりたいというぐあいに思っております。さらに、メタノール車とか電気自動車等の低公害車の普及につきましてもいろいろ積極的な対策を講じてまいりたいというぐあいに考えております。
 それから三番目の固定発生源対策でございますが、六十年三月に既設の工場、事業場に対します総量規制基準の適用を行ったところでございますし、六十年の九月には小型ボイラーの規制対象施設への追加などの対策を進めてまいっているところでございます。今後ともこれらの規制の円滑な施行及び規制の遵守徹底を図りますとともに、未規制施設や小規模施設にかかわります対策にも取り組んでまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
 以上申し上げましたような対策を総合的に推進することによりまして大都市地域におきますNOxの低減を図ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
#249
○山田勇君 各年度において既存認定患者の方々の指定疾病を種別ごとに見ますと気管支ぜんそくの患者の増加が著しいのですが、この原因はどこにあると考えておりますか。気管支ぜんそくの病気の原因解明、その治療の確立については厚生省などと連携のもとその救済に全力を尽くすべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。また、既存認定患者についての補償については、現在の認定制度はそのまま継続されるのは当然として、認定の更新の際にも不利益にならないような措置を考えなければならないと考えますが、この二点について具体的にどうお考えになっているのかお聞かせいただきまして、私の質疑を終わります。
#250
○政府委員(目黒克己君) 指定疾病の中で特に気管支ぜんそくの増加が著しい、この点についてどのように認識しているのか、あるいはこの疾病の原因解明、治療方法開発、こういうことについてということでございますが、現在の被認定者の数は、昭和五十年代の後半から毎年新規の認定患者数が約九千人、それから制度を離脱していきます離脱者数が約六千人、それから現存の被認定者数の増が結局差し引き三千人という水準で推移をいたしてきております。指定疾病で見ますと、気管支ぜんそくの患者の増加が著しいのでございまして、これが被認定者数の増となっているのでございます。このように毎年九千人の新規の認定者が存在するということをもちまして現在の大気汚染の状況下においても疾病が多発しているとする考え方もあるのでございますが、しかしながら、ぜんそく等の疾患と申しますものは非特異的疾患でございまして、大気汚染以外の原因によっても発症する、こういうことなのでございます。
 したがいまして、この大気汚染の程度にかかわりなく患者がさまざまの原因で発生するのは当然のことというふうに私ども受けとめているわけでございまして、この大気の汚染と健康被害との関係ということについての検討をいたしたのでございますが、この大気汚染による患者の発生の過剰が意味を持つということ、そしてこのような点に留意していない数字自体をもって評価されるというようなものではないと。すなわち、この大気汚染による患者の発生というものが被認定者数の増加ということとイコールではないという点が私ども考えている大きな点でございます。
 そういたしますと、最後の御質問で、なぜ気管支ぜんそく等の患者が増加してくるのかということになるのでございますが、この気管支ぜんそく等の患者につきましてはこの十年間全国的に増加の傾向にあるのでございます。その増加率でございますけれども、昭和五十年代後半以降の認定者のうちの気管支ぜんそくの患者の増加率というものを調べてみますと、また比べてみますとほぼ同じような水準で増加をいたしてきているのでございます。そうしますと、全国的に気管支ぜんそくが増加傾向にあるということはどういうことかということになるのでございますが、これにつきましては、国民の健康に対する意識とかあるいは医療水準が非常に向上してきたとか、あるいはアレルギー素因者が増加してきたとか、都市的な生活様式が拡大したことによります食生活とか住環境等の変化とか、高齢化の進展等の原因も考えられているわけなのでございます。いずれにいたしましても、明確な科学的に証明、解明をされているのではないのでございます。
 私どもこの点につきましてはどのように対応するかという点でございますけれども、先ほども申し上げましたが、新たに基金を財源として行います事業の中で、この予防的な観点あるいは健康回復の観点等からこの病気の原因の究明、治療方法の開発というふうなことで対応いたしたいと、このように考えておるのでございます。また御指摘の、これらの事業を行うに当たりましては、厚生省等含めまして関係の省庁とも十分に連絡をとりながら効果的に進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
#251
○国務大臣(稲村利幸君) 山田先生から、既存認定患者の補償及び保護について十分留意をするようにという改めての御指摘でございます。この改正において指定解除が行われた場合に、既に認定を受けた患者に対しては当然従前どおり補償給付の支給を行い、その保護に欠けることのないよう配慮してまいりたい、また、健康被害を生じさせないことが環境行政を進める上で最も大切なことであり、今後は、健康被害予防事業の実施等総合
的な環境保健施策を推進し、大気汚染による健康被害の予防に万全を期していきたいと、こう考えております。
#252
○委員長(山東昭子君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#253
○委員長(山東昭子君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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