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1987/09/18 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第9号
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1987/09/18 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 環境特別委員会 第9号

#1
第109回国会 環境特別委員会 第9号
昭和六十二年九月十八日(金曜日)
   午前十時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十七日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     寺内 弘子君
 九月十八日
    辞任         補欠選任
     宮崎 秀樹君     木宮 和彦君
     原 文兵衛君     鈴木 貞敏君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松尾 官平君
    理 事
                石井 道子君
                曽根田郁夫君
                丸谷 金保君
                高桑 栄松君
    委 員
                青木 幹雄君
                石本  茂君
                浦田  勝君
                梶木 又三君
                木宮 和彦君
                鈴木 貞敏君
                寺内 弘子君
                原 文兵衛君
                星  長治君
                小川 仁一君
                田渕 勲二君
                渡辺 四郎君
                広中和歌子君
                沓脱タケ子君
                近藤 忠孝君
                山田  勇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       内閣法制局第二
       部長       大森 政輔君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       環境庁長官官房
       長        山内 豊徳君
       環境庁企画調整
       局長       加藤 陸美君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長       古賀 章介君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
       法務大臣官房審
       議官       稲葉 威雄君
       外務省経済協力
       局長       英  正道君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       通商産業省立地
       公害局長     安楽 隆二君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局公
       務員部長     柳  克樹君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        菊池  守君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害健康被害補償法の一部を改正する法律案
 (第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院
 送付)
○公害指定地域の全面解除反対、公害健康被害補
 僚制度の改善・拡充に関する請願(第七三号外
 八五件)
○公害健康被害補償法改悪反対に関する請願(第
 六三六号)
○公害指定地域の解除反対等に関する請願(第一
 七一〇号外四件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十七日、中曽根弘文君が委員を辞任され、その補欠として寺内弘子君が選任されました。
 また、本日、宮崎秀樹君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松尾官平君) 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○渡辺四郎君 まず私は長官に冒頭お尋ねをし、見解をお伺いしたい。きょうまで先輩委員の先生方からたくさんの本改正案についての問題点なりあるいは疑問点なり質問等が出されておりまして、長官初め政府からいろいろ御答弁もあっておりますが、どうしても私自身頭が悪いか知りませんが理解しにくくて、意地悪く聞こえるかもしれませんが、そういう気持ちでなくて端的にお尋ねしたいと思います。
 長官として、今SOxもまだ残っておる、確かに努力の結果減少はしてきたが大気の中には残っておる、それにプラスのいわゆる自動車の排ガスを中心に複合汚染が大変な問題になっておるんだといういろいろの学者の見解等も出ておりますが、もう今後日本の国内では大気汚染による公害患者というのは出ないというふうに長官はお考えになっているのかどうか冒頭にお尋ねしたい。
#5
○国務大臣(稲村利幸君) 渡辺先生が硫黄酸化物、SOxの減少を言われました。当時この制定のときから比べれば十分の一以下になっていることも事実でございますが、今後公害患者は出ないかという御質問に関しましては、専門委員会報告にあるとおり現状の大気汚染でもぜんそく等に何らかの影響の可能性があり、患者への影響は絶無とは言えません。今後とも公害患者が出る可能性はもちろんあると考えられると思います。
#6
○渡辺四郎君 私が理解しにくいというのはそこなんです。いわゆる答申の中にもそういうふうに人体に影響があるんだ、患者が出る可能性はあり得るんだと。ところが、患者として新しく認定をする場合には地域指定をしなければ患者認定ができないという今の法律の仕組みなんです。それを全部地域指定を解除してしまうもんですから、地域指定がなければ患者の認定はない、だから、もうこれから後は複合汚染を含めて大気汚染による新しい患者の発生はないんですかというふうに聞いたわけです。ちょっと回りくどく言いましたからわかりにくかったと思うんですが。今長官のおっしゃったようにやっぱりあり得るんだと、じゃ、あり得た場合にはどうして認定をするのか、そこを事務局で結構ですからお聞きしたいと思います。
#7
○政府委員(加藤陸美君) 先生のただいまのお尋ね、いわゆる患者という言葉で言っておられますが、公害健康被害補償制度で物を考えておるわけでございますので、法律の関連から申し上げますと民事上の責任の立場を踏まえて患者が認定されるということになるわけでございます。したがいまして、民事上の責任を踏まえた制度としては解除された後はそれはあり得ないことになるわけでございます。
#8
○渡辺四郎君 今最初から本論に入ってきつつあるのですけれども。今局長がおっしゃったように民事上の責任としては確かに公害健康被害補償法の原則はそうなっておりますが、そうすれば、今さっき長官がお答えになったように今後も新しい患者が出る可能性があるんだといった場合に、民事上の責任でやらなければそれじゃ行政としてやるのか、そこらが明確でないものですから大変皆さん方が心配なさっておるわけです。そこをもう一回お聞きしたい。
#9
○政府委員(加藤陸美君) 先生のおっしゃっておる趣旨を踏まえて、さらに先ほど申し上げたお答えのつけ加えになる形でございますが、私は法律の関係で認定する部分だけ申し上げたわけでございます。
 先生が患者とおっしゃいます中に、いわゆるお医者さんの診られた患者という意味合いになるわけでございますが、例えばぜんそくという患者は、医学的といいますか臨床的には確かに出得ると。ただそれを、公害との因果関係の問題はいろいろな議論があるところだと思いますけれども、それにつきましては解除が公正、合理的と考えておるわけでございますが、その地域指定が解除された後、今先生がおっしゃいましたような、私も御答弁申し上げましたような方々を念頭に置いて大気汚染防止対策は他方やっていくことは当然でございますが、それとは別に、今私が申し上げたような方々を対象にして新しい事業としての基金を中心にして予防に万全を期すということでございます。
 基金事業の中身については、もし必要でございますればさらに詳しくまた御説明申し上げます。
#10
○渡辺四郎君 大変政府の答弁も私は苦しい答弁をされておると思うんですよ。私が今申し上げておるのは、いわゆる先生方の診断によって明らかにやっぱり公害患者だというふうに認定されても、地域指定が解除になっておれば補償の道はないわけですから――これから後の事業の問題はこれは一般的な問題です。新しく発生する個々の患者の皆さんたちに対しては一切今後補償はないんじゃないかと。だから、長官がおっしゃったように今後も出る可能性はあるんだ、しかし可能性はあっても補償はしませんよというのが今度の法律案ではないんですか、私はこう言っているんです。
#11
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますが、まず第一点の発病するかもしれない個々の患者さんのことでございますが、医学的に臨床的に申しますれば、個々の患者さんがおいでになって、その患者さんが大気汚染のものであるかどうかという原因については現在の科学的知見あるいは現在の医学の中では診断が非常に困難でございます。したがいまして、先生から御指摘がありましたように当初は制度として割り切りまして、一定の地域にある人については大気汚染の患者とみなす、こういう大前提があるわけでございますが、今後は、先生が御指摘になりますような患者さんが参ったとしても、この患者さんがいわゆる大気汚染によるものであるか否かということについては個別の患者さんについてはこれはすることができないのでございます。私ども法案として提出しております根拠の趣旨は、地域全体として見ますとそのように割り切ることが非常にもう困難だ、公正にやることができないと。このような当委員会で御説明申し上げてきた趣旨でこの地域指定の解除ということを申し上げているのでございます。
 したがいましてこれらの方々につきましては、御指摘のような従来の認定患者に対するような個別の補償ということについては公正に制度を運用するという建前からはできない。しかしながら、その個別の方々を集めた集団である一つの地域集団全体については予防事業、あるいは新事業と通称いたしておりますけれども、このような形の中で対応してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
#12
○渡辺四郎君 私は医学的にも素人であるからよくわからないわけですけれども。高桑先生の方からも専門的な知見に基づいていろいろ御質問もあったわけであります。今大気そのものの中にもうSOxがゼロだというんであれば別ですよ。確かに減少はしてきたと。ところが、残っておるということが専門委員会の報告の中にもあるわけです。それにプラスの車の排気ガスを含めた複合汚染が今問題になっておる。今厚生省の方ではそういう因果関係の問題については明確な調査の結果が出てない。しかし、多くの科学者あるいは東京都の調査なんかではそこらについては明確に出ておる。だから、高桑先生もおっしゃったけれども、将来的な問題として私はやっぱり患者は出てくると。そうすれば、その新しい患者に対してどういう個人的な補償をしていくかというのも同時にやっぱり法改正の中で提案をすべきではないか、そういう点を実は私は考えておったわけですが、もうそれはその程度にしますけれども。
 問題は、こういうふうに議論してみますと、今までの議論の結果、どうしてもやっぱり部会の報告書なり会議録なりがなければわからないわけです。ここに日本科学者会議の声明が出ておりますが、これは二月の十九日に出されておるわけです。この中には例えば「答申を審議した中公審臨時総会では、全面解除の答申案に五人の委員が反対意見を表明し、六、七人の委員が賛成意見を表明し、のこり八割近くは黙っていた。」、こういうふうなことを科学者会議の声明の中で私は知るわけです。会議録があれば中を読ましていただければわかるわけですが。きのうも各委員からいろいろその提出の要望があったわけですが、そこでお聞きをしたいのは、会議録というのは秘密文書かどうかということです。
#13
○政府委員(加藤陸美君) 中央公害対策審議会の会議録とおっしゃいました。議事録という御趣旨と、同議とここでは理解いたしますが、これは結論から申し上げますと秘密に当たります。
 それは中公審におきまして、その法令により中公審に属せしめられた議事運営方法決定の権限に基づいて議事や議事録を非公開としている以上、議事の内容のいかんを問わずこれは秘密になるわけでございます。もう少し詳しく申し上げますと、中公審でだれがどのような発言をしたかというような議事を非公開にした目的、これは自由な討論の確保でございますが、目的に係る事項は守秘義務を課せられる秘密でございますので、議事録は秘密に当たります。
#14
○渡辺四郎君 それは大変な問題の見解を出したわけですから、これは今後徹底して議論しなければいけないと思うんです。
 私らも審議会の委員になったことがあるんです。審議の過程のでは、場合によっては利害関係が対立することがあるかもしれない、だから結論の出るまでは秘密にしておくが、例えば答申等が出された後は議事録は要望があれば公開するのが当然のことなんです。そうしますと環境庁では、今度の中公審の議事録は永久に秘密書類として保存するわけですか。
#15
○政府委員(加藤陸美君) そのようになります。
#16
○渡辺四郎君 今全国の各自治体で情報公開条例なんかがたくさん施行されて、いわゆる開かれた行政、行政に秘密があっちゃいけないというのが基本原則だし、理念なんです。そうしますと、今この委員会で審議をしておるのは法律改正問題について国会で立法府の立場で審議をしておるわけですね。その基礎となる審議会の議事録が秘密で、法律改正だけひとつこの結論に基づいてやってくださいというのは、考えてみれば国会の審議権そのものを制限することじゃないか。長官にお尋ねしたいんですけれども、政治、行政に秘密があっちゃいかぬということについて大臣に見解をいただきたいと思うんです。
#17
○国務大臣(稲村利幸君) 渡辺先生の御質問はこの中公審の審議会でのことに触れられてのことじゃないんですか。
#18
○渡辺四郎君 一般的なことです。
#19
○国務大臣(稲村利幸君) これは私は、突然の御質問ですが、ケース・バイ・ケースで違うと、こう考えます。
#20
○渡辺四郎君 ちょっと失礼しました。私が一般論ということでお断りをしなかったわけですから、大変長官には失礼したわけですけれども。
 私言いましたように地方自治体で今情報公開条例が制定をされておる。これは政治あるいは行政に秘密があっちゃならないというのが基本原則なんです、理念なんです。そういう一般論からいって、大臣は政治に秘密があっちゃいけないというふうに思うかどうかということをお聞きをしておるわけです。
#21
○政府委員(加藤陸美君) 先生が地方自治体の関係、御経験を踏まえて、文書その他のいわゆる情報公開と申しますか、そのベースでおっしゃったものとまず承りましたけれども、そこでは公開原則という考え方がうたわれており、またそれが一般化しておるというふうに承知いたします。ただ、公開原則でございまして、守るべき秘密と公開、これはもう十分御承知の上でおっしゃっておると思いますが、そういう前提での公開原則というふうに承っております。
#22
○渡辺四郎君 情報公開条例というのは、住民の皆さんがこのことを知りたい、例えば中公審の審議の内容を知りたいという請求があれば、どうしても秘密でなきゃいけないという以外の部分については公開をするというのが原則なんですね。そういうふうな中で私自身が思っておるのが、政治、行政に対しては秘密があっちゃいけないというのが原則ではないか。そういう立場から立法府である国会で請求をして、中公審の議事録を出してくださいとちゃんと委員長からもそういう指示があったにもかかわらず出てこないものですから、どうしても私らは憶測なりほかからいただいた資料をもとに質問をしなきゃいけない。そういう関係で、なかなか質問と答弁とがどうも行き違いがあって本当に審議が進まないというやっぱり一つの混乱の要因にもなったんではないか。これが非常に残念だから実はお聞きをしたわけです。
 今加藤局長の見解も出ましたけれども、これはやっぱり国会の審議権の問題として徹底して今後議論をしていかなければ――今多くの国会議員の中にも、中曽根総理になってたくさんの審議会なりがつくられた、そこで全部おぜん立てをしてしまって、あとは国会に提供をするだけだ、国会で一体何を審議するのか中身がわからないという意見だってたくさんの与野党の先生を含めてあるわけです。ですから、さっきから言いますように国会というのは立法府であるわけですから、行政でやった問題を法律改正で提案をしてくるといった場合には、その資料というのはやっぱり法律改正の基礎になる資料でありますから全部出してそして議論してもらうのが私は議会制民主主義のルールだと思うんです。そこは意見として申し上げておきたい。
 そこで、今度の法律改正に至るまでの経過、きょうまでの議論の経過をずっとお聞きをしておりますと、五月十一日の西日本新聞に「忘れるな人間救済」という記事が出ております。西日本新聞というのは福岡のローカル新聞です。その「公害はまだ終わらぬ」という中で「環境庁は四十六年、公害の防止、自然保護、被害者の救済を行政の三本柱に掲げて発足、人間の健康を守り、自然を保護する官庁として国民の期待を担ってきた。これ以上、自然保護に偏重し、健康保護を軽視した行政姿勢を進めると、それこそ環境庁の不要論さえ強まりかねない。」、こういう西日本新聞の論評もあるわけです。環境庁の歴代の長官が、水俣のときも私小し申し上げたんですけれども、自然保護関係の部分についてはかなり現地調査をなさっておる。私は自然保護も大事だと思うんです。ところが、公害患者の皆さんたちあるいは公害現地の調査については非常にやっぱり足が重いんじゃないかということがここに書いてあります用意識的にはそういうことはなかったと思うんですが。
 こういう点から見て、今度の改正案の提起をするまでの経過を私調べてみましたのでお聞きをしますが、ここに六十二年二月の「中公審答申「公害健康被害補償法第一種地域のあり方等について」に対する意見書」ということで日本弁護士連合会が出されたバンフを私いただいておりますが、これ環境庁御承知でしょうか。
#23
○政府委員(目黒克己君) その御指摘の点については承知をいたしております。
#24
○渡辺四郎君 そうしますと、これから整理をして事態をたどっていきますと、この間の本委員会での質問の中にもありましたが、環境庁の者が経団連の皆さんあるいは企業団体の皆さんと年一回か二回かお会いをしながらいろいろディスカッションをやるということもあっておるという話を聞いております。もちろん患者団体の皆さんとも会われておる。私は行政というのはスクラップ・アンド・ビルドだと。どう新しい住民のニーズにこたえてビルドの部分に向かってスクラップの部分を制御していくか、そしてやっていきながら新しいニーズに対応するというのがやっぱり行政の基本だというように思うわけです。
 そういう点では、環境庁が五十八年に中公審にいわゆる公害健康被害補償法の二条の一項に基づく地域指定のあり方あるいは補償のあり方等について諮問をするのは当然の任務でもあるし、あるいは行政としての役割でもあると思う。あるいはさっき言いましたように企業団体の皆さんあるいは患者の皆さんと会っていろいろお話をし合うというのも当然の役割だと思う。そのことについて否定はしていないわけです、当然やってほしいというふうには思うんですが、どうもやっぱり、歴史的な経過から見てもきょうまでの審議の経過から見ても、経団連の要望が非常に強く通って、そして患者団体なりあるいは国民なり、あるいは弁護士連合会あるいは保険医師連合会とか科学者の皆さんたちの意見等は全く取り入れられていない。そういう点を思うと余りに偏った行政のやり方ではないかという気がするわけですが、いかがでしょうか。
#25
○政府委員(目黒克己君) 先生の御指摘の第一点は、中公審への諮問の経緯あるいはその理由といったようなことでございますが、まず第一に我が国の大気汚染の状況、先ほど先生からも御指摘がございましたような硫黄酸化物による汚染は著しく改善される、あるいはしかし窒素酸化物等の浮遊粒子状物質についての汚染はほほ横ばいに推移するといったような大気汚染の状況の変化というのがまず一つの諮問の際の経緯の大きな問題でございます。
 それから第二番目は、やはり環境庁といたしましては、大気汚染の態様の変化を踏まえまして大気汚染と健康被害との関係を検討するために各種の調査を実施いたしてきたのでございます。当委員会等でも御質疑いただいたATS調査等のいろいろ研究調査等をいたしてまいってきたのでございます。五十八年十一月にこれらの調査の結果を中公審に報告をいたしますと同時に、我が国におきます大気汚染の態様の変化を踏まえて今後における第一種地域のあり方について御審議をいただく、こういうことになったわけでございます。したがいまして、私どもがこの諮問をいたします経緯の第一番目はやはり大気汚染の変化、それからいろいろさまざまの調査結果がまとめられたということでこの諮問をお願いをいたしましたのでございまして、産業界等からの御指摘のような働きかけによるというものではないのでございます。
 また御指摘のようにさまざまの団体等から御意見がございまして、この諮問以後も患者団体の方々あるいは今お話がございました日弁連等の方々等関係の方々とは私ども環境庁がお会いをいたしますと同時に、また審議会におきましても、この審議の過程におきまして負担者側あるいは患者団体の方々からの御意見を伺うといったような経過もとり、またその審議会の経過の間にはもちろん各市町村の方々からの御意見もございましたし、あるいはまた患者団体の方々にもいろいろ御意見をいただきました。そのような中で意見を承りながらこのような答申にこぎつけたというのが一つの経過でございます。そしてこの答申に当たりましては、今先生おっしゃいましたような地域指定のあり方ということで、るる先日来申し上げましたような形の答申案になってまいったのでございます。経緯と申しましてはそのようなことでございますし、関係団体との折衝の過程というのはそのようなものでございます。
 私どもそういうものを総合いたしまして、できるだけ関係団体の御意見を承りつつこの答申をいただき、かつ環境庁といたしましても、このような法律改正をお願いする、あるいは地域指定の解除を含めまして既存の患者さんの補償を続けるといったような、先般来申し上げましたような経緯のもとに判断をいたし今回の法案改正に至ったということでございます。
#26
○渡辺四郎君 さっきお認めいただいた日弁連の意見書の中にも、この間ほかの委員からも質問されておりましたが、六ページの三の(二)にこう書いてあります。
 産業界はそのころからいわゆる五十年代ですけれども、「公害は終わった」という強力なキャンペーンを展開するようになった。経団連は早くも昭和五十年十二月には環境庁担当官を招いた懇談会の席上、公害指定地域の解除を行政目標とするという約束を環境庁からとりつけ、昭和五十一年七月には特別措置法時代に財界が組織した自主的拠出機関「財団法人公害対策協力財団」が産業界の「公害対策調査機関」として改組され、そして五十二年以降調査を重点的に学者、研究者に委託をしてきたと。
 そこでいろいろ私らが疑問に思うのは、五十年十二月に、環境庁担当官を招いて財界との約束の上で公害指定地域の解除を行政目標とするという約束がされておったというふうに書かれておることです。そこを基本に据えながら段取りをしてきたんではないかと。これが間違いであれば間違いで雲と――私は日弁連の皆さんですから言いう意見書の中に余りうそはないと思うんですけれどもね、そこらをちょっとお聞きしたい。
#27
○政府委員(加藤陸美君) 経過につきましては部長の方から説明させていただいてありますが、そのとおりでございまして、その内容、その経過は私ももちろん承知しておるわけでございます。先生のただいまの御質問は、その日本弁護士会の意見を紹介する形でおっしゃいましたものでございますが、それは一つの見方というものを言っておられるんだと思いますけれども、何かそんなころから伏線があってというような事実関係は、部長から御答弁申し上げた経過から見ても考えられないところでございますし、私もそう信じていただきたいと思います。ただ、日弁連がおっしゃっているから本当らしいというふうにおっしゃられたら、私はいやそうじゃありませんと明確に申し上げます。
#28
○渡辺四郎君 それじゃ、日弁連がこういう意見書を提出をしたとき、いやそういう事実はありませんというふうに環境庁の方がおっしゃったことがありますか。
#29
○政府委員(加藤陸美君) 日弁連とは、これはまた随分昔からでございますが、あるいは環境庁発足以前からと申し上げるべきかもしれませんが、法律関係についてはいろいろなことを両方、私どもの方としても勉強させていただきたいことも多いし、また日弁連側でもそういう機会をということで、年に一回だったと思いますが、ずっと定期的にお会いもしてきておるような関係でございますのでいろんな意見があればおっしゃっていただける場はございますし、いろいろ意見を交換したこともございますけれども、今おっしゃった点について、こういうことではないかということを聞かれたことはございません。もし聞かれたとすれば、今私がここでお答えしておりますのと同じように明快にお話ができたと思います。
#30
○渡辺四郎君 いや、日弁連の皆さんから聞かれたということじゃなくて、この意見書に文書として出ておるわけですね、そういうことについて環境庁として日弁連の皆さんに、いやそういう事実はありませんというようなことをお話したことがありますかと言うんです。
#31
○政府委員(加藤陸美君) 特にその項目について、ほかの項目についても全部一々意見具申し上げていないと思いますけれども。それはもちろん承りましたが、これは違います、これは違いますというのを明確に例えば文書で申し上げたことはございません。
#32
○渡辺四郎君 だから、さっきから言いますように水かけ論みたいなことになるんですね。私らはどうしても資料がないものですから、日弁連の皆さんがこうしてまとめていただいた意見書なりあるいは科学者の皆さんがまとめていただいた資料なり、そういうものを自分で集めながら審議の過程についてお聞きをするわけです。
 あの四十年代、私も福岡ですから北九州を通りますと、新日鉄を中心とした煙突で太陽が黄色くなって光線が地上まで来ないという時代もありました。ですから、これはやっぱり国民的な運動、もちろん患者団体の皆さんもあるいは環境庁も企業も大変な努力をしてSOxについては七分の一程度に減ってきた。七分の一程度に減りましたがまだゼロじゃないですよ、こういうのが専門委員会の報告の中に出ておるわけですが、しかしそういう努力は努力としてやっぱりお互いに評価をしなきゃいけない。
 合いわゆる拠出をしておる企業の皆さんたちがおっしゃっているのは、こんなに努力をしながらなおかつ年々患者が新たにふえていく、拠出金もどんどんどんどんウナギ登りにふえていく、これはやっぱり何とかしてもらわなければと。SOxを減らすことについては大変な努力をしてきた、しかし東京都の調査の結果でもSOx以外に今大気の複合汚染によっての新たな患者も出てきておる、それなのに何で昔の固定発生源の企業だけの負担で補償しなきゃいけないのかと。当然企業だってそういう問題提起をするのは当たり前だと思うんです。
 ですから私は、この時点で、例えば拠出金の負担の割合とかあるいはほかに補償するための資金をどこからか見つけ出すとか、そういうことについては環境庁としては全然議論されていないのかどうかお聞きしたいんです。
#33
○政府委員(加藤陸美君) 負担の割合というお話と、それからほかに補償のお金を集める道というふうに今おっしゃったように承りましたが、まず負担の割合の問題でございます。
 多分これは、公健法の中の現在八対二とされております件でございますね。――この件につきましては、実は八対二とされましたのが昭和四十九年ごろでございますか、その時期の中央公害対策審議会において検討をいたされまして、ちょっと詳しく申し上げますと、固定発生源のSOx、NOxの総排出量と移動発生源のSOx、NOxの総排出量の比率を調べまして、その比率を基礎にいたしまして、それがあるパーセンテージを示すわけでございますが、今正確には覚えておりませんけれども、ある時期に固定発生源が八二%それから移動発生源が一八%という状況でありまして、それによって八対二としてきたわけでございます。その後の今のような同じ考え方の固定発生源と移動発生源の排出量の推移を見ても負担割合を変更すべき新たな事情は認められていないわけでございます。したがってこの点につきましては、毎回毎回というわけでもございませんが、機会あるごとに検討はいたしておるというお答えになると思います。検討といいますか点検もして、その結果割合を変更すべき新たな事情は認められていないということになります。
 それからほかに補償の道というのは、これは、現在の制度はいつも申し上げますように制度としてはある割り切りの上に成り立っております。そこで補償に要する費用というのは義務的なものでございます。これを法律の規定に基づいて賦課金として徴収しておるわけでございます。ほかにだれかというのはなかなか、そうあいまいに言える問題ではございませんので非常に慎重にお答えしておるわけでございますけれども、そちらの方々の検討というのは、具体的に何かこういうことをやったというものはございません。
#34
○渡辺四郎君 私頭が悪いのかどうか、よくわからぬわけです。今まで固定発生源から、例えば八対二でも結構ですが拠出をしてもらっておった。ところが、それがどんどんどんどんウナギ登りになっていく、企業努力あるいは全体的な国民の運動によって問題になっておったSOxは減って七分の一ぐらいになった、そういう努力をしながらもなおかつ負担金がふえていくじゃないかというのが企業側の言い分ですよ。そういう努力を評価をしながらも今の公害患者が年間九千人ふえておる、そういう部分について補償のあり方として、補償するための資金の捻出の方法として議論したことがあるかどうか。
 八対二でスタートしましたけれども、例えば今自動車関係の方が若干ふえてきておるというようなお話も聞いておりますが、この割合を検討したころと今とではかなり自動車の台数だって排ガスの量だって違っておると思うんですよ。そういう問題もあるんじゃないか。あるいは行政としても、今皆さんたちは民事によるその責任の部分については全部なくそうというわけでありますから、そうすれば、これから先の部分の補償については行政だって政治として金を出してもいいんじゃないか。そういう部分を検討したことがありますかというふうに聞いておるわけです。
#35
○政府委員(加藤陸美君) まず八対二の現状のことでございますが、これは、現在でいいますと結論としては八対二に落ちついてしまうわけでございます。同じように固定発生源、移動発生源の総排出量を対比いたしますと、自動車は確かに全国的にもふえておりますけれども、二三、四%対七六、七%というような比率になってきております。結論からいうとやはり八対二ということになりますが、その辺は検討はいつもしてきておるということでございます。
 それから先生お話しになりました、SOxの排出は関係者の努力もあって減少してきているのに補償費がふえていくと。これは、この制度が法律制度として確立されておりますので、法律上対象として補償をいたすべき方々の人数がふえれば当然に義務費として出さなければならないという仕組みからくる当然の帰結になっておるわけでございまして、そういうことはいたし方がないところだと存じます。ただ、費用をどこからどういうふうに取るかという問題を先生おっしゃっておりますけれども、現在の大気汚染の状況下ではいわゆる公害健康被害補償法による補償は適当ではないというふうに申し上げておるところでございます。
#36
○渡辺四郎君 私は今の法律を前提にお話を申し上げておるわけで、当然発生源が費用負担をするというのは今の法律の建前になっておるわけです。これは裁判でもそういうふうに企業の民事責任ということで幾つも判決が出たわけです。しかし、さっきから言いますように国民の運動もあり、行政も努力したでしょう、企業も努力をしてきた。そしてその当時から見ればSOxは七分の一ぐらいに減った。しかしなおかつ年々九千名ばかり新しい患者がふえておる。そうすれば固定発生源の企業としては、おれたちばっかりの責任じゃないんじゃないか、どこかに新たに公害をまき散らす企業なりあるいは要素があるんじゃないか、だから何で自分たちばっかりが負担をしなきゃいけないのか、仕切りを断ちつつあるじゃないかと。こういうのが五十年ごろから出てきたいきさつですよ。だから地域指定を解除してもらいたいというふうな企業がやっぱり出てきたと思うんですよ。
 そういう状況の中で、指定地域だけで現に九千名年間ふえておるというそういう新たな患者の方々に対する補償は、企業がそう言うならば別な公害をまき散らした企業はあるかもしれない、あるいは車の台数もふえた、あるいは行政府としても手当てをしなきゃいけないんじゃないかと。それは今の被害補償法とは違いますよ。今の被害補償法というのは、その発生源が明確であったから民事責任がとれたわけです。ところが、今みたいに例えば自動車の排ガスなんかになりますとなかなか難しさがある。そうすれば、自動車産業に求めるのか、この間も山田先生も言っておりましたけれども、ガソリン、燃料に求めるのか、そういう部分についても検討したことがありますかというふうに聞いているんです。
#37
○政府委員(加藤陸美君) まず経団連が意見を出しておるという点について簡潔に一言申し上げさせていただきますが、経団連が公健制度改正について意見書を出しておられることは事実でございます。しかしそれによって制度改正をするものではございません。
 それから今の費用のお話でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この費用をどこからどういうふうに取るかということ以前に、現在の大気汚染の状況下では公健法による補償は適当ではないということからこの改正案に至っておるわけでございますので、特に先生おっしゃるようなことの検討はいたしておりませんとお答えせざるを得ません。ちょっと趣旨が、その辺は勉強しておるかとかそういうようなお話も含めておっしゃっておられるように思われますけれども、まず特段のそういう検討はいたしておりません。
#38
○渡辺四郎君 いや私は、行政府として、環境庁として、さっきから言いますように経団連の方からもそういう問題が出てきておる、あるいは指定を打ち切ってもらいたいという要望だって出てきておる。しかし現に九千名新しい認定患者はふえておるんじゃないか、もしも指定地域を打ち切った場合にこの新しい患者の皆さんたちに対する補償は一体どうするのかと。だから今のこの補償法とは違いますよね、指定地域を打ち切った後ですから。だから、民事責任でない部分でそれじゃどういうふうな補償の仕方があるのか、そういう部分を検討されたことがありますか、その部分の費用は一体どこから捻出するのかという点だって議論されたことありますかと言っているんです。
#39
○政府委員(加藤陸美君) 私は公害健康被害補償法の法律制度の世界で受けとめておりましたのでちょっと御趣旨が……。今趣旨がよくわかってまいりましたが、そういう検討は、補償という言葉が難しゅうございますけれども、中央公害対策審議会において最終答申に相当詳細に述べられておりますところを初めとしていろいろな勉強はいたしておりますし、これはもっと幅広く環境庁以外も含めて、衛生関係の問題もございますからいろいろな勉強はいたしております。
 中公審の答申関係で申し上げますれば、指定解除後の新たな患者さんに対しましては基金による事業、具体的に言えば、ぜんそくなどの原因究明や予防法に関する調査研究、あるいは乳児に対する健康診査であるとか、あるいは患者の健康回復のための医療体制の整備とか保健所における相談であるとか、あるいはぜんそくキャンプや水泳訓練等のリハビリテーションであるとかいうようなもの、さらには、特にぜんそくでございますので、窒素酸化物の汚染が懸念される大都市を中心にいたしましてその地域の新たな発症者をぜんそくなどの臨床診断を経まして対象者として、その居住環境の調査であるとかあるいは呼吸機能に関する医学的な検査であるとかリハビリなどを実施して原因究明及び健康回復を図る等知恵を絞りましていろんな対応を考えてまいりたい。こういうような分はおっしゃるとおりございます。
#40
○渡辺四郎君 今後の問題をたくさん言われたわけですね。それやったって医療の補償もなければ生活の補償もないわけです。皆さんたちはもう公害はないと言っておるが、これから公害によってまたぜんそくになった、例えば今の補償法で言う一級ぐらいの重病になられたというような方についてもないわけでしょう、医療費の補償もないし生活費の補償もないわけです。これは国民に対しては大変な思い切った切り捨ての法案なんです。こういうものを出す場合にはやっぱり激変緩和なんかの措置をとらなければ混乱なり不満が出てくるのは当然のことだと私は思うんです。
 今までといにかけて流れておった水が一挙にこれによってせっきってしまうわけでしょう。年間九千人新たにふえておる認定患者をここで打ち切ってしまうわけですからね。そうすると、これから先に発生する新しい患者の皆さんというのは何の補償もない。仕事につけないでも医療の補償もないし生活の補償もない。そういう部分については、そういう打ち切り方でなくて激変緩和なんかをやりながら、もう少し国民全体とお話をしていきながら改正をするべきじゃないか。そのことを特に僕は強く感ずるわけですが、そういう点については全然議論されなかったのかどうなのかお聞きをしてみたいと思います。
#41
○政府委員(目黒克己君) この費用の負担の財源等々に関することについては局長がお答え申し上げたとおりでございますし、また補足をさしていただきますが、とりあえず今の先生の前段のお話で、九千人新規患者が出る、それから六千人治癒する、こうして三千人ずつが自然に増加してくるという現在のような状況がございまして、そのような状況の中で新たな九千人の方々に対する補償をいかにというような御質問でございますが、再々申し上げてございますように大気汚染が主たる原因ではない、したがって補償制度の補償ができない、公正的に扱えない、こういうことから公健法上の民事を踏まえた補償というものについてはできないということの議論を私どもした結果出てきたものでございます。当然先生の御指摘のものも私ども議論をいたしております。
 その中で私どもお答え申し上げたいことの第一は、これらの方々に対する民事上の補償ということでは、公害健康被害補償法という面からのみ見れば確かにそのような観点はございますが、しかしながら厚生、福祉等全般的なその他の医療制度、各種の保障制度があるわけでございまして、そういう形の中でやってまいりたいと。この一般的な医療制度あるいは福祉制度、これは主として厚生省あるいは労働省等いろいろな他省庁の所管のものがございます。そのほかに、特に個別に補償をすることはできないけれども、その部分については予防事業という中で個別の対応を含めてやってまいりたい。ただし一人一人の補償給付、年金的なものとかそういうものにつきましては、障害年金等々いろいろな制度がございます、そういう制度の中で一般的に扱っていただくと。この公害健康被害補償法の中では私どもは、個別の補償という先生の御指摘についてはこれはこの予防事業という中で対応してまいりたいと。そういうことで、御指摘の議論については私ども環境庁内部でも当然いたしたのでございます。
#42
○渡辺四郎君 残念なことですが、そういう議論をした結果として打ち切るんだ。それは厚生省なり労働省の関係の部分だって、例えば発生企業の中に働いておってそして病気になったと、場合によっては職業病が適用されるかもしれない。しかし地域に住んでおる方はそういう適用もないわけです。厚生省のやる仕事の中で何が該当しますか。予防事業、保健事業の中で面倒見てもらえる部分はあるでしょう。しかし、私がさっきから言いますように医療費なり生活補償という補償費はないわけでしょう、補償は。働けなければ生活保護費を受給する以外ないわけですからね。しかし生活保護費を受けながらも医療費は払わなきゃいけないわけでしょう。そういう問題等がありますが、そこらはその程度にしておきます。
 もう一回さきにさかのぼりますけれども、手続の問題で日弁連の皆さんが非常に問題があると。これは環境庁の方にもきょうまで何回も私はお話をしてきました。だから勉強されておると思うんですが、もう一度正確にお聞きをします。五十八年に長官名で中公審に諮問をなさったのは公害健康補害補償法の二条一項に基づく地域の指定のあり方を含めた諮問と思いますが、そうですか。
#43
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘のとおりの諮問を行ったのでございます。
#44
○渡辺四郎君 そうしますと、二年数カ月専門委員会まで設置をして大変な議論をされ研究をされて、そして中公審の作業部会の方で最終的にまとめて答申としてまとまってきた。そこで私が問題にしお聞きをしたいのは、中公審答申そのものが環境庁長官の諮問の域を超えた答申になっておるんではないかと。そこらについてはどういうようにお考えでしょうか。
#45
○政府委員(加藤陸美君) 先ほども先生おっしゃいましたいわゆる中公審への五十八年の諮問事項は、公害健康被害補償法第一種地域のあり方についてでございまして、指定地域の解除が相当と答申をいただいたわけでございますが、これは逸脱ではございません。この中公審は、公害対策基本法にもちろんその職務事項の権限が規定されておる審議会でございます。
#46
○渡辺四郎君 そういう見解を出されるから、何のために二条の一項から四項までわざわざ法律を分けながら、これこれについては環境庁長官の諮問事項だ、このことについては内閣総理大臣の諮問事項だとなっているのか。だから私が冒頭申し上げましたように、環境庁としてもいろいろ公害の被害者補償の問題について議論をし、またたくさんの皆さんから意見が来る、そういう中で議論をしていきながら二条一項に基づいて長官が諮問をしたのではないかと。
 ところが、今局長がおっしゃるように中公審の答申というのは二条の四項に該当する内容の答申になったのではないか。その諮問以上の答申ということで出てきたんではないかというふうに聞いておるわけです。
#47
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のこの環境庁長官の諮問の趣旨、これが、指定地域の全面解除を答申しておるわけでございますけれども、諮問の内容を逸脱しているんじゃないかと、こういうふうな御趣旨というふうに私受けとめますが、五十八年十一月にこの諮問をいたしました当時には、環境庁といたしましては、この制度発足当時にはもう知見が十分になかった二酸化窒素とか浮遊粒子状の物質といったようなものを含めました大気の汚染と健康被害との科学的な評価というものを行ってまいったのでございまして、これを踏まえまして諮問当時の大気汚染の状況に対応した指定の要件とか解除の要件等を示していただきたいと、このように諮問の当時は考えておったわけでございます。
 しかしながらこの尋問委員会の報告から申し上げますと、この現在の大気汚染の状況下では、この諮問の当初の私どもの考えの中では、やはり地域の有症率を決定するさまざまな要因の中で主たる原因をなすものとは考えられないという御判断が審議会の中にございまして、人口集団に対する大気汚染の影響の程度を判断できない云々という当委員会で答弁申し上げたようなことがございまして、審議会では、このような状況のもとでは新たにこの指定要件とか解除要件等を含めまして適切に設定することはできないんじゃないか。しかしもはや、民事責任を踏まえた制度として大気汚染物質の排出原因者の負担において損害の補てんを行うことは適当でないから指定地域をすべて解除することが妥当云々と、こういう判断をしたのでございます。
 そういたしますと、一番前に戻りましてこの五十八年十一月の諮問でございますけれども、これはあくまでも公害健康被害補償法の第一種地域のあり方ということについて諮問をいたしましたのでございまして、それに関して、指定の要件、解除要件等は示していないという点では私ども当初の環境庁の考え方とは違っている点もございますけれども、しかしながら中央公害対策審議会では、科学的に十分に検討を行いました上で指定地域の今後のあり方ということでこの解除相当云々という結論を示したのでございます。
 したがいまして中公審の権限の範囲内で行われたものでございます。
 また御指摘の二条四項に基づく答申、それからそれ以前の、今回諮問をし答申をいただきましたものとの関連につきましては、先ほど局長の方からお答え申し上げたとおりでございますが、いずれにいたしましても、この中公審の今回私どもが諮問をいたしましてそしていただきました答申、この内容等につきましては中央公害対策審議会の権限の範囲内で行われたというふうに私ども受けとめているのでございます。したがいまして中公審の答申は諮問の範囲を逸脱してはいないと、こういうふうに私ども判断をいたしているところでございます。
#48
○渡辺四郎君 その五十八年の十一月に諮問をした、それで中央公害対策審議会は二十七条に基づいてやってこられたわけですが、その二十七条の二項の一は「内閣総理大臣の諮問に応じ、公害対策に関する基本的事項を調査審議すること。」、これが総理の諮問に対する審議会の役割なんです。それから二が「環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じ、公害対策に関する重要事項を調査審議すること。」、ですから、違いというのは「基本的事項」と「重要事項」ということになっておるわけです。
 それで地域の指定解除というのは公害基本法に言う基本の問題だというふうに法律は位置づけしておるわけです。それを、環境庁長官の二条一項に基づく諮問に対して中公審は、いわゆる四項による内閣総理大臣の諮問権まで、諮問を受けてないまま答申をしてきた。そこが問題として日弁連の皆さんも、越権行為という言葉はないわけですけれども、権限をオーバーしたのではないか、こういう指摘もあるわけです。そこらについてひとつお聞きしたい。
#49
○政府委員(加藤陸美君) ただいま先生、中央公害対策審議会に関する公害対策基本法第二十七条を引用してお聞きになりました。この中には一号、二号、三号とございますが、その一号の方ではないか、というふうにおっしゃったように伺いましたけれども、この種の諮問と申しますか、大気汚染の変化とかあるいは指定地域の解除の問題も同様でございますが、これは二号の「公害対策に関する重要事項」に当たるものでございますし、そのような運用に従来からなっております。ですから――よろしゅうございましょうか。
#50
○渡辺四郎君 目黒部長、その点いいですか。
#51
○政府委員(加藤陸美君) 一号に当たるものをあわせて申し上げました方がよろしいかと思いますので。一号で言う「基本的事項」とは政府全般に通ずる公害対策に関する基本的事項、例えば公害に関する科学技術の振興方策の基本方針や公害の発生原因者の責任のあり方、こういう問題でございます。
#52
○渡辺四郎君 そこは僕は見解の相違ということで片づけたくないと思うんです。公害基本法の第一章総則の「目的」第一条は「この法律は、国民の健康で文化的な生活を確保するうえにおいて公害の防止がきわめて重要であることにかんがみ、事業者、国及び地方公共団体の公害の防止に関する責務を明らかにし」たものである、いわゆる憲法二十五条に言う生存権を基本にした公害基本法だというふうに僕らはとっておるわけです。地域指定を取り消せば新しい患者の認定はないという今度の改正案ですからね、あの法律の中でも行ったり来たりすると思うんですけれども、公害健康被害補償法の地域指定は、公害基本法の第一条の目的「国民の健康で文化的な生活を確保する」、いわゆる憲法二十五条の生存権を基本とした公害基本法に基づく地域指定ですからね、だから僕は基本だというふうに言っておるんです。重要事項じゃない、地域の指定解除というのは基本的な事項だ。だから公害健康被害補償法の中の二条の中にも、わざわざ四項として内閣総理大臣の諮問事項だというふうになっておるわけです。そこをもう一回お聞きしたい。
#53
○政府委員(加藤陸美君) まず基本的事項が一号か二号がという点でございますが、端的に申し上げた方が御理解いただきやすいかと思いますが、この公害健康被害補償法を制定いたしましたときの諮問がまさにこの二号によって諮問され、答申を受け公害健康被害補償法を制定しておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
つまり、事柄の性格は一号と二号というのはそういう違いがございます。これが本当のいろんな意味で大事とか大事でないとかいうことではなく、いずれも大事なことでございます。いずれも大事なことでございますが、そういう整理といいますか仕分けになっておるという意味で申し上げておるわけでございます。
 さらに、地域指定の問題というのは確かに重要でございますが、これは、その公害健康被害補償法の中の運用の一つがいかなる地域を指定しいかなる疾病を対象にするかという問題でございますので、この点はその範囲の中であるということを御理解賜りたいと思うわけでございます。したがいまして、この地域の指定あるいは解除というときには公健法の二条四項の規定によって中公審に諮問することは当然でございまして、指定なり解除なりの政令を制定する前に中公審の御意見をいただいて、この場合は内閣総理大臣からとなっていくわけでございますが、それは当然いただいてからそれらの政令の制定、改廃を行うべきものでございまして、それはそういうつもりを当然いたしております。
#54
○渡辺四郎君 だからこれは、六十年の三月二十五日の衆議院の環境委員会の中でも、今言ったように基本か原則がということでなくて、環境庁の長官名で諮問をしたのはいわゆる指定要件あるいは解除要件の明確化であるというふうに答弁しておるわけですよ。いわゆる物差しをつくってください、見出してくださいという諮問の内容ではなかったのか。それに対して、はいそうですという国会答弁もされておるわけです。そういう諮問に対して中公審が、これは中公審がどういう議論をしょうとそれは今おっしゃったように権限があるかもしれません。しかし二条一項に基づく諮問以上の四項、内閣総理大臣の諮問に関するようなことまで、地域を取り消しなさいと言うことについては行き過ぎではないか。
 逆にお聞きをしますが、この作業小委員会なんかの中で例えば答申案がまとまっていった段階で、行政の立場、事務局の立場から、その部分についてはちょっと行き過ぎになるんじゃないですかというふうなことを注文したことがありますか、作業小委員会に向かって。
#55
○政府委員(目黒克己君) まず第一点でございますけれども、まず諮問の内容は、再々申し上げておりますように第一種の指定地域のあり方ということについて諮問をいたしたのでございます。先ほど私がるる申し上げましたように、諮問をいたしました当時の大気汚染の状況におきましてはこの指定の要件といったようなものが出るのではなかろうかということのもとにスタートしたことは事実でございます。
 しかしながらその審議会の御答申の過程の中で、結論といたしまして一つは、現在の大気汚染がぜんそく等の被害の主たる原因とは考えられないということでございまして、そのことから定量的にはっきり要件をつくることができない、こういう状況にまずなったのでございます。しかしながらさらにその結論に加えまして、やはりこの大気汚染が何らかの影響はあるかもしれないという可能性についてのくだりがございました。この辺を受けまして、やはりこれに対しては新たな事業を含めました提言等も必要であろう、こういうようなことで審議会の中でそれを決められたのでございます。
 したがいまして、この審議の過程の中で先生御指摘のような私どもの方からどうこうと、こういうことはなかったのでございます。専門委員会の報告あるいは作業小委員会の中で専門委員会の報告を受けていろいろ御審議の結果そのような答申になったのでございまして、私どもは、当然この審議会の中での審議の内容等につきましては審議会の権限の範囲内のものと理解している、このように先ほど来申し上げておるところでございます。これはやはり権限を逸脱していないし、またそのようなことを私どもの方から審議会の方へ注文をつけたというようなことはないのでございます。
   〔理事曽根田郁夫君退席、理事石井道子君着席〕
#56
○渡辺四郎君 それだったら衆議院での答弁と変わらないと思うんです。
 そうしますと、答申が出た後、指定地域の関係自治体の長に対していわゆる二条四項に基づいて意見を聴取したわけですね。
#57
○政府委員(加藤陸美君) そのとおりでございます。
#58
○渡辺四郎君 意見を聴取する場合、何か環境庁としての主観なんかを入れて意見の聴取をするのが環境庁の一般的なやり方ですか。わかりやすく言えば、この二条四項に基づいた総理の意見聴取に対して環境庁はコメントをつけて出している。そういうことを一般的に環境庁としてはやるのだろうか。
#59
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘のとおり、この中公審の答申を踏まえまして環境庁といたしまして、この四十一指定地域を解除する、あるいは既存患者の補償は継続する、あるいはこの予防事業を行う等々といった判断をまずいたしまして、その判断を添えて地方公共団体にその意見を問うたのでございます。
   〔理事石井道子君退席、委員長着席〕
そのときに、先生御承知と思いますが、地方公共団体と私どもとは、常日ごろ環境行政の中のいろいろな面で、またいろいろな事業の中で密接な連絡をとりつつ相協力して環境行政全般を進めているところでございますが、その中でも私どもは、この総理によります二条四項に基づきます意見を聴取するということに当たりましては、環境庁の態度はこうである、しかしながらこの意見についてはどうであろうかということを一緒に添付いたしまして意見を問うたのでございます。
#60
○渡辺四郎君 二条四項に基づいて意見を問うたと。二条四項というのは、概略申し上げますが、内閣総理大臣は、いわゆる指定地域解除については中央公害対策審議会並びに関係自治体の長の意見を聞かなければならないと。これが二条四項です。その中で、今目黒部長がおっしゃったように、私は一つは親切味でそういうことをやることだってあると思うんです。環境庁としては地域指定を解除するのが基本方針だ、だからそれについて意見を聞かせてくださいという考え方については、考えようによっては親切かもしれません。ところが二条四項は、中央公害対策審議会並びに関係自治体の長の意見を聞かなければならないと。意見を聞く前から環境庁としては地域指定を解除するのが基本方針だと。そこが私はちょっと問題があるんじゃないかと思う。そこをもう少し詳しく説明してください。
#61
○政府委員(目黒克己君) ただいまの御指摘の点でございますが、二条四項は「内閣総理大臣は、前三項の規定に基づく政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、中央公害対策審議会並びに関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。」、こういうふうになっているわけでございます。しかしながら私どもはこのように考えている、政令の改廃を考えているということをまず第一に示しまして、それに対する意見を聴取する、これは当然のことと私どもは考えておるのでございます。
 そのときに、判断をまずして、そしてこの手続に準じて進めていった、こういうことでございます。まず私どもはこの判断をいたしまして、それに従いましてこういう改廃を行う、これについては各地方自治体の御意見はどうであろうかという二条四項に基づく手続を進めていった、こういうことでございます。その手続の過程の中には当然その政令の改廃を行うという内容を示すわけでございますので、それにつきまして私どもはこの判断を添えたのでございます。
#62
○渡辺四郎君 そういう立場で環境庁の基本方針を一応提示して関係自治体から意見を聞いたと。それじゃ、関係自治体から出された意見についてはどういうふうな取り扱いをされたんですか。まだ明確に言われていないわけですが、具体的に四十一指定地域の関係自治体の反対、慎重論、四日市を含めてやむを得ないというような自治体の数をちょっと言ってみてくれませんか。
#63
○政府委員(目黒克己君) 自治体についてでございますけれども、まず第一に大都市の地方公共団体を中心といたしまして、大気汚染についてはなお改善を要する状況にある、あるいは窒素酸化物等の健康影響についての科学的な解明が十分ではないといったような理由から指定地域の解除に対して非常に慎重な対応を求める意見が多く見られたのでございます。また、今後の新たな健康被害予防事業及び大気汚染防止対策等について強い要望が寄せられておったのでございます。
 先ほど来申し上げております自治体から意見を聴取いたします趣旨と申しますのは、単純に自治体の賛否を問いましてそして多数決によって物事を決するというような性格のものではないのでございまして、関係自治体の意見を参考にいたしましてこの公害健康被害補償制度の運営の適正を期するということにある、このように私どもはこの趣旨を理解しているのでございます。したがいまして私ども環境庁といたしましては、広範な内容を有します自治体の意見についても、その結論のみならずその背景となっておりました理由とか状況、そういったようなものも含めまして十分検討をいたしてきたのでございます。
 なおまた私どもは、この地方自治体からの御意見につきましては、今後の対策として環境政策全体として極めて重要な指摘であるというように受けとめておるのでございまして、健康被害予防事業の実施等の総合的な対策を推進するということとともに大気汚染の防止対策を一層強化するということで万全を期してまいりたい、このように考えておるのでございます。
 私ども環境庁といたしましては、以上の地方公共団体の意見を十分尊重いたしました上でこの法案を国会に提出いたしたのでございます。
#64
○渡辺四郎君 ここに二月三日の朝日新聞の「初めに結論があってよいのか」という論説を持っておりますが、ここで「関係自治体の首長に意見を求めた。解除してしまえば、その後は大気汚染による新たな公害患者は出ないことになる。回答提出は一月末に締め切られたが、同庁はその内容を全く明らかにしないまま、「全面解除してはいかんという意見があるとは受けとっていない。全面解除の方向は変わらない」」と目黒さんがおっしゃったというふうに書いてある。また「法律的には、かりに自治体の同意が得られなくても、国の判断と権限で全面解除できる」、そのあと「幹線道路沿いの局地的汚染を考慮することなく、指定を一律に削除するのは適当でない」という鈴木知事さんの言葉も載っております。
 だから私は、この朝日新聞を見たものですからさっきあなたにお聞きをした。僕は親切味で、環境庁の基本方針としては指定を解除するんですよ、だからそれに対して自治体の長の意見を上げてください、そういうふうに実は受け取りたかったわけですけれども、環境庁の方は、いやそうじゃありませんと。新聞の限りではあなた自身は、法律的には、仮に自治体の同意が得られなくても、国の判断と権限で全面解除するんだということを言われたと載っておるものですから、だからそこらがどうも、私らが知る範囲、国会の審議の中で答弁いただいておりますけれども、余りに違いがあるんじゃないか。
 このいただきました、各自治体に対して出されました環境庁の文書なんかも「公害健康被害補償制度(第一種地域)のあり方等に関する基本方針」として現行四十一指定地域の指定の解除ということが基本方針だと、こうなっておるわけです。だから、そういうことを先に示してとるというのは少し――特に自治体の場合弱いわけです。その弱い自治体に対して国の方の基本方針はこうだと。そして新聞の限りによれば、いや君らがどう言おうと国で決めてしまうんだと。そういう動きの中で今度の改正法案が出されておるというふうに僕らとらざるを得ぬものですから、資料がないから。だからお聞きをしておるわけです。
#65
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の点については二つの部分があろうかと思います。まず第一点は、この十二月に私ども、二条四項に基づきまして総理大臣の名前におきまして各地方自治体の御意見を聴取したわけでございます。それからもう一つは、先生が御指摘になりました結果云々という新聞の報道は、これは私の記憶でございますけれども、これは地方自治体の御意見を一月いっぱいに受けとめたわけでございますが、その時点でのいろいろな記者会見でのやりとりの一部がそういう形で、その時点での感想ということで求められた中の一部がそのような形で載っていたというふうに私日時の関係では記憶をいたしておるのでございます。したがいまして、まず地方自治体の意見がどうであったかということについていろいろ感想を求められたときの私の考え方でございました。
 ところが、前段の先生がおっしゃっておられますのは、その諮問をする前にこのような私どもの考え方を出すということはいかがなものかというような御趣旨の御指摘でございますけれども、これにつきましては、やはり私ども密接な連携を持ち、しかも極めて地方自治にのっとった協力をし合いながらやっていっております地方自治体、この地方自治体に御意見を聞く場合には、先ほど申し上げましたようにどういうような政令の改廃をしようとしているのかということをまずお示ししなければならないわけでございます。したがいましてそれに基づいてまず地方自治体に御意見を聞いたということで、まあ、前段の先生のお言葉をかりますれば、私ども親切心と申しますか、あるいは地方自治体との従来の関係の中でやはりそういうものをはっきり出して、何で意見を聞くのか、何について意見を聞くのか、これについてはまずはっきり聞かせなければいけない、こういうことでまず第一に私どもの考え方を示したのでございます。
 それから後段のことにつきましては、それが到着いたしました時点で記者会見の席上いろいろな御質問等がございまして、その中の感想の中の一部として出たのではなかろうかというように私記憶をいたしておるのでございます。
#66
○渡辺四郎君 ですから、今部長がおっしゃるように現場で仕事をしておるというのは自治体なんです。だから自治体の意見を聞けというのが二条四項に総理の諮問事項としてあるんです。やっぱりその指定地域の解除あるいは指定する場合には自治体の意見は非常に大きいんだということが法律の趣旨だと思う。これは新聞の限りでは「全面解除に賛成したのは三カ所に過ぎず、慎重論が十五あり、反対はそれを上回って十九にも達している。」と。そういう慎重論なり反対論がある中で前国会にもこの法案は準備をされたわけです、答申を受けて非常に短期間の間にこれは準備をされてきた。確かに専門委員会の皆さんは二年八カ月近く大変な議論をやってきております。中公審がら答申を受けて、これから先の予防対策まで含めた、五百億の基金も含めて、そういう部分まで含めて非常に準備がスピーディーにされて前国会にこの法案が提出をされてきた。
 そうしますと、法律的には地方自治体の長の意見を聞かなきゃならないとなっておるけれども、これも新聞も言っておりますが、これはただ形式を踏んだだけで終わっておるんじゃないか、こういう言い方だってしておるわけです。先ほど私も申し上げました、この社説の中にも出ておりますけれども、「大気汚染の主役が、煙突に象徴される硫黄酸化物から、自動車排ガスによる窒素酸化物に変わり、公害病との因果関係も以前ほどはっきりしなくなった。」、これは今皆さんたちがおっしゃったとおり。「産業界の論理にも耳を傾けるべき部分がないわけではない」、これは私も言いましたよ。「しかし、一挙に全面解除してよいほど、その主張が説得力を持つかどうかは疑問だ。」というふうにマスコミ直言っております。窒素酸化物を中心とする複合汚染がなお進行しておる。そういう中で自治体の皆さんから、圧倒的多数が反対だ、慎重にやってくれという意見が総理のいわゆる諮問に基づいて返ってきたわけです。それを何で生かされなかったのかお聞きをしたい。
#67
○政府委員(目黒克己君) この地方自治体の御意見は非常に長文にわたるものでございました。そして、それぞれの自治体ごとにそれぞれの自治体の御事情に応じましてさまざまな理由、先ほど申し上げましたような窒素酸化物の健康影響についての科学的影響が十分でないとかあるいは改善を要するとか、あるいは大気汚染の状況等についてあるいはNOxの問題等々について御意見があったことは事実でございます。そのいろいろな御意見の中で、例えば慎重にとかというような御意見に至るまでの理由と申しましょうかその事情等をるる各地方自治体は述べておられるのでございます。
 私ども、その背景となっております地方自治体の実情というものを酌み取りましてこのような判断に至ったのでございまして、特に、私ども再々申しております基金によります予防事業とかあるいは新たな大気汚染の防止対策とか、こういったようなものにつきましてはそういう地方自治体の御意見を十分酌み取りながら私ども組み立ててまいっているものでございます。したがいまして御指摘のようなことということではなく、私ども自治体の意見を十分受けとめまして、また各自治体の状況等も十分伺いましてこのような判断に到達をいたしているのでございまして、十分この地方自治体の意見を踏まえてこのような見解に到達したと、このように考えているところでございます。
#68
○委員長(松尾官平君) ここで休んでいいですか。若干締めくくりますか。
#69
○渡辺四郎君 それじゃ、ちょっと一言だけで締めたいと思います。
 確かに自治体の意見を非常に聞いていただいて結論はこうなった。それはどんなに力説しようと、また午後から申し上げますけれども、そうすればやむを得ないという自治体がふえなきゃいけないわけでしょう、結論が出た後。ところがなおかつ、やっぱり自治体としては全面指定解除については慎重にやってくれ、反対だと。答申が出た後も逆にふえてきたわけでしょう。だから、あなた方がおっしゃる努力にもかかわらず自治体の意見がやっぱり答申には反映をされてないというふうにどうしても私は受け取らざるを得ぬのです。
 午前はこれで打ち切ってまた午後お尋ねしたいと思います。
#70
○委員長(松尾官平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#71
○委員長(松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#72
○渡辺四郎君 午前中時間が来ましたので途中でやめましたが、先ほどもお尋ねをいたしましたいわゆる二条四項に基づく総理の諮問によって関係自治体の意見を聴取した、その内容も大変長文にわたって内容が掲載をされておるというようなお話等もありましたが、今後二条四項に基づいて審議会等にいわゆる政令に基づく地域指定の解除等を諮問すると思うんですが、それと並行してもう一度自治体に意見を聞くお考えがあるかどうかお聞きをしたいと思います。
#73
○政府委員(加藤陸美君) 既に地方自治体の意見を伺っておりますのでもう一度御意見を伺うつもりはございません。
#74
○渡辺四郎君 環境庁あるいは中公審の方のその意見のとり方の問題として、大変いろいろ各自治体の首長からもあるいは日弁連を含めた多くの皆さん方からも意見が出されておるわけですから、こういう大変な重要法案ですから、そこらについてはもう一度、文書だけの意見聴取でなくて地域ごとに出向いていってでも意見を聞くべきではないか、私はそういう気がいたしますが、いま一度その問題について御回答願いたいと思います。
#75
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたとおり、既に地方自治体の非常に詳しい御意見をいただいておりますので重ねて御意見をいただくつもりはございません。
#76
○丸谷金保君 ちょっと関連質問。
#77
○委員長(松尾官平君) 丸谷金保君。
#78
○丸谷金保君 地方自治法では、地方公共団体の長は、その地域に関係する問題等についてはもちろんですが、その他各省庁に対して随時意見を述べることができるというふうになっていますよ。意見を聞かないというのは、意見があった場合には聞かざるを得ない法律になっているのを御存じないの、あなた。
#79
○政府委員(加藤陸美君) 私の申し上げ方が言葉が不正確で申しわけございません。公健法第二条四項の規定による意見を聞く予定はございませんということでございまして、丸谷先生の御指摘の地方自治法の規定に基づく意見等につきましては私申し上げたつもりではございませんでした。大変申しわけございません。
#80
○渡辺四郎君 それで、先ほども日本科学者会議の声明について申し上げましたが、具体的な委員会に参加をされております先生方の中で、かなり多くの先生方がその後の裁判の証人等に立たれて、特に専門委員会の結論と答申とに大きな食い違いがあるということをたくさんの裁判で指摘されておりますが、御存じですか。
#81
○政府委員(目黒克己君) 専門委員会の先生方の中で御指摘のような裁判等において御発言があったということについては私ども承知をいたしております。
#82
○渡辺四郎君 香川先生は専門委員会のメンバーに入っておられましたか。
#83
○政府委員(目黒克己君) 香川先生は専門委員会の委員であり、同時に中央公害対策審議会の環境保健部会の委員でもございます。
#84
○渡辺四郎君 香川先生が五月二十八日の島公害裁判で特に企業側の証人として証言をされていること御存じですか。
#85
○政府委員(目黒克己君) 先生が御質問のような裁判にお立ちになったということについては承知いたしておりますけれども、どのような御発言、どのようなことがあったかという詳細については私承知をいたしておりません。
#86
○渡辺四郎君 そこでこういう証言がされております。
 現在の大気汚染が慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できない。しかしながらということで要約しますと、昭和三十年から四十年代と現在の影響は同様のものとは考えられなかったという大変有名になっている文言がありますね。このことについて香川先生は、はい。これは専門委員会の報告の部分ですが、その次に、
 今の昭和三十年から四十年代と同様のものとは考えられなかったという点でございますが、報告書の中に昭和三十年から四十年代の知見についての記述はございませんね。そうしたら香川先生は、
 はい。
その次の質問で、
 専門委員会自体の中でも補償法施行前、つまり昭和三十年から四十年代の知見について、具体的に検討したということはございませんね。
これにも、
 はい。
という御返事。その次が、
 昭和三十年から四十年代の知見を具体的に持って来て、その知見と最近の疫学調査の知見を比較対比をしたというふうな具体的な検討も行われておりませんね。
これについても、
 はい。
 そういたしますと、このまとめの部分のいわゆる答申のまとめの部分ですが、
 しかしという以降は、具体的には専門委員会の中で、具体的な科学的な検討は加えられていないというふうに伺ってよろしいですね。
これも、
はい。
こういう裁判での証言です。
 そういう点から見れば、いわゆる地域指定を解除するとかあるいは指定をするといった場合にはやはりその地域ごとに本当に科学的な分析をやりながら、ここの地域は解除してもよい、この地域は継続しなきゃいけない、あるいはこの地域は新たに指定をしなければいけないというのが私は公害健康被害補償法の立法の趣旨であったというふうに思うんです。そこらについてはどうでしょうか。
#87
○政府委員(目黒克己君) 御質問の件でございますが、この専門委員会の先生方は十二名ほどおられるわけでございますが、この先生方の中に、昭和三十年代、四十年代にかけまして、例の四日市の裁判等々にかかわりますあのころの状況の中で第一線の科学者としてあるいは専門家としてさまざまな調査や研究に携っておられた方がおられるのも事実でございます。それからまたその当時の学会報告等の中で、一般的な常識的な定説と申しましょうか、考え方の中に、昭和三十年代、四十年代のSOxがあのように高いような状況の中で大気汚染と健康被害との因果関係があると言えるほどにひどいということについての調査研究等があったことも事実でございます。このような中でこの先生方がこの文章を書かれるときには、この先生方皆さん公害の面での専門家でいらっしゃいますので当然、三十年代、四十年代のそのような知見については、学者としてあるいは専門家としての常識として持っておられた上で、特に教科書のいろはといったような感じで御議論することなくこの結論を出されたものと考えておるのでございます。
 また第二段目の御指摘でございますこの一つ一つの地域のことについて調べないで云々というお話でございますが、この点につきましてはこの専門委員会の報告では、当時の日本の全地域の中で大気汚染が最も甚だしい地域あるいは低い地域等を含めましてその地域を比較しつつこのような結論を出されたわけでございまして、総体四十一地域を含みます今の日本の大気汚染の状況の中では今の大気汚染が総体としてぜんそく等の主たる原因とは言えない、こういう結論に到達されたのでございます。もちろんそれには、前段階といたしましてこの影響の可能性は否定できないということも言っておられるわけでございまして、その二つの結論に到達されたと、このように考えて受けとめておるのでございます。
#88
○渡辺四郎君 今の最後におっしゃった、何らかの影響については否定できないという点、環境庁もそうお考えになっておりますか。
#89
○政府委員(目黒克己君) あの答申の中にあります文章の中での、云々とございまして、何らかの影響は否定できないということにつきましては、その可能性について私どもも十分懸念をいたしており、それをまた検討の上予防事業等の事業を実施すると、こういうふうに踏み切ったわけでございます。
#90
○渡辺四郎君 今の目黒部長のおっしゃった内容というのは、先ほど申し上げました香川委員と、それから二月五日の東京のNO2の裁判でも、専門委員会の委員長である鈴木委員も同じようなやっぱり証言をされているわけですね。今申し上げたのは専門委員のお二方の証言を申し上げたわけですが、何らかの影響は否定できないと環境庁もそう感じております、がしかし、あとは予防事業でやっていきますと。そこが、私は午前中激変緩和という言葉を使いましたけれども、ここで一回打ち切ってしまう、そういうことにはならないんじゃないか、ここはどうしても私はやっぱり理解しにくい問題であるわけです。
 それでいま一つ、五月の五日の日に鈴木委員長が、やはりこれも裁判の証言の中で、
 公害健康被害保健制度について「一定の地域を指定地域として指定し、補償給付を行うことが合理的であるためには、@人口集団に対する大気汚染の影響の程度を定量的に判断でき、Aその上で、その影響が、個々の地域について、地域の患者をすべて大気汚染によるものとみなすことに合理性があると考えられる程度にあること、が必要である。」と、こういうふうに二つの条件が書いてあるんですけれども、こういう二つの条件を満たすような病気がありますか。
こういう質問に対して専門委員会の鈴木委員長は、
 私はこれをお書きになった人に逆にそれを質問したいです。大気汚染以外の病気、疾病のことを付け変えても結構です。それから疾病というものをこういう表現で表現できるかどうか、この原文をお書きになった人に質問しだいです。これは事故以外はあり得ないです。
こういう証言をされている。それについてまた、
 事故以外はあり得ないので非常に。現実を御存じない方が頭の中でお考えになったことでしょう。いわゆる作業小委員会の皆さんたちを指しておると思うんですけれども。だから医学的真実に反する文章ということになりますね。
それに対して鈴木専門委員長は、
 私はそう思います。
こういうふうに言われているわけです。ですから、二年八カ月近くいわゆる医学的な専門家の先生方が調査をされ専門委員会の報告書をまとめた。その報告書に基づいて作業小委員会が作業をしていってこういう答申の原文ができ上がった。そのことに対して、専門委員会の委員長である鈴木先生が今申し上げたようなことを裁判の場で証言をしておるわけです。そこらについて、これ議事録がないからわかりませんけれども、議事録があれば私もやっぱりわかると思うんです。
 そういうことについて一緒に参画をされた事務局として、いわゆる作業小委員会の皆さんというのは法律家であり、医学的な専門家の皆さんをのけたところで作業小委員会が答申案をつくられたわけですから、特に目黒部長は医者でもありますしそういう方面の権威者でもありますから、何かそういう立場から物を言われたことがありますか。
#91
○政府委員(目黒克己君) まず前段の非常に急激な四十一地域全部の解除云々に対するという点でございますが、先般来申し上げておりますように個人に対して個別に補償を行うのは適当ではないけれども、何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないということから予防事業が入ってきた、また同時に既存の患者さん方もこれについては補償を続けるといったようなことを含めましたことを考えているということでございます。
 それから第二点目の鈴木先生の御指摘の点でございます。鈴木先生がこの中公審の答申に言及されたということについては私どもも聞いております。鈴木先生の御発言につきましては、これは一言で申しますれば医学的な面について述べられたものと理解をいたしているのでございまして、この中公審の総意として取りまとめられました答申の内容を否定されたものではないと、このように私ども受けとめておるのでございます。またさらに具体的に二条件云々ということがあったわけでございますが、この二つの御指摘の二条件というものは、医学的なものと申しますよりはむしろ制度の割り切りとかみなしについて述べたものなのでございます。
 と申しますのは、定量的に判断できる状況にあるかどうかと。定量的に判断できるかどうかということにつきましては、そもそもこの制度発足当初から一定の条件で割り切ってスタートをいたしたのでございまして、この割り切った時点について言及をしておられるのでございます。鈴木先生は、医学者の立場として医学的に見るといろいろな問題があるという指摘をされたのでございますけれども、今申し上げました二つの条件の制度の運用上の割り切りということにつきましては妥当なものであり、これまでの公健法の運用とも合致した合理的なものだというふうに私どもは受けとめておるのでございまして、鈴木先生は医学面の一つの側面について御論議をいただいた、あるいは御発言があったものと思われるのでございます。しかしながらその点につきましては、鈴木先生はやはりこの答申案に総意として御参加をされておるのでございます。
 それからまた三番目に御指摘のこの報告書に至るまでの経緯についてのことでございますけれども、この作業小委員会には医師が二名入ってございます。それからまた環境保健部会の中にもこの専門委員会の委員である医学の専門家が入っておるのでございます。そうしてこの作業小委員会では、この専門委員会報告につきまして長時間をかけまして鈴木先生からこの御報告の内容、疑義に至る点についていろいろ御質疑をいただいたということも事実でございます。このような経過を踏まえました上でこの答申に到達した。この答申案につきましても、先ほど申し上げましたような専門委員会の先生方を含めて御議論をいただいた上で総意としてこのような答申ができたのでございます。
 そしてまた最後の、私がどのようなということでございますけれども、私はあくまでも事務局でもございますし環境庁でもございますので、私の方から特にどうこうというふうなことを委員会に対して申し上げたことはないのでございます。ただ、長い経過の中におきまして環境特別委員会等から、国会からこのようなことについて作業小委員会あるいは専門委員会等に伝えよという御指摘等をいただいておりますので、これらの点につきましてはその都度専門委員会あるいは作業小委員会、環境保健部会等には伝達はいたしております。それ以外特に私の方からどうこうというふうなことを申し上げたことはない、こういうことでございます。
 この答申案ができたいきさつ、経過等はそういう状況でございますので御理解を賜ればと、このように思っておる次第でございます。
#92
○渡辺四郎君 担当の部長としてまとめるのに大変な御苦労があって、ここでいやそれは間違いでありましたということはこれは逆立ちしても言えないと思うんです。
 少なくとも専門委員会の委員長である鈴木先生が裁判の証言として「原文をお書きになった人に質問したいです。」、「現実を御存じない方が頭の中でお考えになったことでしょう。」、こういうことまで具体的におっしゃっているわけです。
 それ以外に全国保険医師連合会、略称保団連といいますが、開業医医師、歯科医師の皆さんを含めて五万六千名の先生方で会がつくられておりますが、この連合会の方々の調査の結果も、現行指定地域の大気汚染は依然深刻である、それは専門的立場からの各種疫学調査、日常診療における臨床的見地からも明らかだ、大気汚染と健康影響との因果関係であれば全国から二千七百の臨床報告症例もあると。また神奈川県の保団連の病院、診療所の全部の先生方が総力を挙げて取り組んで広域的な気管支ぜんそく患者の実態調査をまとめております。これらのことは御存じでしょうか。
#93
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の先生方がそのような調査をされているということについては私ども承知をいたしております。
#94
○渡辺四郎君 これは六十二年の三月に神奈川県の医師会の皆さん方が調査をしてまとめた中で、こういうふうに書かれております。
  この調査は、十数年前から実施している川崎市や、足柄上部、津久井郡、湘南、厚木、相模原等で、一カ月間に受診した患者を対象に調査したもの。これによると、SOx濃度と患者数とが明らかに比例しているだけでなく、環境基準以下でも高い相関が認められる。NOxについては、さらに相関が高く、工場地帯ではより高い相関度を示している。また大型自動車の走行台数と患者数にも明らかに相関関係が認められる。
 この調査は、回収率ぽぼ一〇〇%であるだけでなく、データを正確にとるため、学会の診断基準にもとづいて行っており学問的にも正確なものである。
こういうふうに神奈川県の医師会の皆さんがまとめておるわけです。
 それから二つ目に保団連の住宅環境調査の臨床報告症例からも、
 保団連の会員である開業医の間で、病気と住宅・環境との関係を指摘する声が高まり、国際居住年の今年金国の会員に呼び掛けて実施した。レポート形式のものが全体で二千七百症例集まり、住宅問題の研究者も加わり現在分析中。
寄せられた症例を紹介すると、
 一 家の近くに高速道路が通って騒音もひどく、鼻血、幻聴もある
 二 気管支ぜんそくで昭和五十七年公害認定、居住地は工場地帯で幹線道路の大気汚染もある。五十九年に結婚し転居したら発作はほとんど出なくなった。但し元の家に来て一泊すると必ず発作が起こる
 三 それぞれ五歳、四歳の男子でともに気管支ぜんそく
 四 マンションが国道沿いまたは工場地のそばにあり、ぜんそく発作頻繁道路や工場が近く、大気汚染や日当りが悪いと呼吸器や皮膚の病気にかかりやすくなる事例が多数寄せられている。
こういうふうに臨床報告の中から具体的な症例が出ておるわけです。それから東京都もその後出されておりまして、多くの委員から直言われましたように因果関係はあるんだと。そうすれば、局地的な部分についてはどう対応していくのか。本委員会は九月七日の日にあの板橋区の大和の測定所に行きました。私らが行ったのが午後二時だったです。あのときでNO2が〇・〇八四ppm、正午の記録は〇・〇八五ppmというふうに出ておったわけです。これはやっぱり環境基準をはるかに上回っておる。そうしますと、くどいようですが、ああいう局地的な大気汚染の地域を今から分析するんでなくて、東京都も分析をしておるわけですから、新たに出てくる患者については、今の補償法でできないというんであれば国が補償すべきじゃないかというのだって当然出てくる声だと私は思うんです。そこらについてもう一度お聞きをしてみたいと思います。
#95
○政府委員(目黒克己君) 御指摘のさまざまの論文とか考え方とかあるいは学会の報告等はあるわけでございます。しかしながら一般的に申し上げますと、一番最初に申し上げましたように前提条件といたしまして、やはり現在の科学では、この個々の患者さんが大気汚染だけの原因であるかどうか、あるいはほかのダニ、カビ等が原因であるのか、あるいはアレルギー等の体質であるのかどうかといったようなことではっきりとこれを診断できない、困難であるということがまず第一の前提としてございます。
 それから第二番目の前提といたしまして、いろいろな調査、これは私どもが行いましたATSの調査もそうでございますし、それから東京都の調査あるいは各種のいろんな疫学的な調査のデータはございます。しかしながらそのデータの本質となりますものが、あくまでもこの大気の汚染との関連ということについては確かにある、しかしながら因果関係としてはっきりそれを結びつけることはできないというのが第二番目の前提としてあるわけでございます。
 第三番目の前提といたしまして、この制度は補償制度でございますので、この加害者と申しますか、費用を負担する原因者というものと、それから被害を受けた方々に補償するという、この補償するあるいは原因者として費用を出す、負担する、この三つの面があるわけでございます。このようなものを勘案をいたしまして、また中公審の答申等にもございますし、先ほど来の御意見、御指摘のとおり私どももこの影響は、可能性はこれはもうあるということを認めておるわけでございまして、このようなものに対しまして個別に補償するということについては、先ほど申し上げました三つの前提条件等から見て極めて難しいと。
 しかしながら、一人一人に対して個別の補償をするということではなくして集団として一つの地域全体に予防事業を行いたい。その予防事業の内容としては、先ほども若干申し上げましたが、大まかに申しまして予防的なものとか発症後のものといったようなことで十分にそのような対応ができるように努力してまいりたい、そういうことで予防措置を講じていくと、こういう考え方でございますのでその辺を御理解をいただければと思っているところでございます。
#96
○渡辺四郎君 私がなぜこういうことをくどく申し上げるかと言うと、この間本委員会で水俣病の認定基準の問題についていろいろ質問を申し上げましたが、あの問題でも、疫学的な調査あるいは医学的な調査に時間がかかって、その方が亡くなった後死体を解剖した結果水銀に汚染されておって水俣病が原因だというふうにわかった。亡くなった後公害患者に認定されてもだれも喜ぶ人間はおらぬと私は思う。
 先ほど公害基本法のことを申し上げましたけれども、憲法二十五条の生存権を保障するという立場でこの公害基本法はつくられたんではないか。だから、確かに今の状況の中で直接因果関係があるかどうかということについては非常に難しいと、これはわからぬことはないわけです。しかしここで打ち切ってしまえば、予防事業はありますけれども、何回も言いますようにこれから後新しい患者の皆さんたちには生活の補償もなければ医療の補償もないんじゃないか。それで、今から因果関係を調べていくには、医学的な分析をやって調査をやっていくには何年かかるかわからない。
 甘い期待感だけは持たせながら調査費が足りないとかいうようなことでどんどんどんどん延びていくかもしれない。その期間新しい患者の皆さんたちを一体どうするのかというのを私は改正案と同時に出されるべきではなかったかと。ここが非常に残念でならないわけです。ここを一緒に同時に提案をされておれば、新しい法律でも結構ですが提案をされておれば、こんなにまで日弁連の皆さんあるいは科学者の皆さん、患者団体の皆さんあるいは指定地域の自治体の首長だって反対はしないと思うんです。
 そこらはどうしても水かけ論になるでしょうけれども、私はそこを大臣何としてやっぱり救っていただきたい。だから、これをどうしても通すというふうに今政府は思っておるでしょうけれども、通った後その後の部分をどうするかという部分については、もう物の一カ月もしないうちにでも直ちにつくるというようなことがなければどうしても私はこの法案に理解ができないわけです。いま一度ひとつお考えをお聞かせ願いたい。
#97
○政府委員(目黒克己君) 先ほど来申し上げている点でもございますが、私ども、公害健康被害補償法という面から申しますれば、新しく発病するという方々に対しましては、予防事業におきまして相談指導とかあるいは治療体制を充実するといったような病気を直すという方向への体制を充実することが大事ではなかろうかと考えているのでございます。御指摘の点ではございますけれども、この個別の方々の補償という点につきましては、現在医療保障あるいは生活保障制度等国の全般的な保障制度はあるわけでございまして、そういう面に頼って私どもは行政を進めておるわけでございます。
 また公健法の立場からの補償ということにつきましては、民事を踏まえたものにつきましては予防事業で対応してまいりたいと、このような形で私ども考えてこの改正案を出したということでございますので御理解を賜ればと思っているところでございます。
#98
○渡辺四郎君 この間九月七日の日に板橋区に現地調査に行きましたが、その段階で、ああ、これは公害はない、こういう状況なら患者も出ないというふうに思われた先生方は一人もいないと思うんです。私自身も、太宰府の出身ですが、八月十七日からずっと東京におりまして、きのうも熱を出しましたけれども、のどが痛くて。確かに悪いんです。それが直接原因かどうかわかりませんよ。しかし、板橋区に行ってあそこでものの一時間程度おりましたけれども、私はとてもあそこには長くおれないという感じを受けておったんです。
 現にああいう局地的な部分があるんじゃないですか。今から産声を上げて生まれてくる赤ちゃんは認定せぬわけでしょう、あるいはよそから転居してくる方は今の補償法では認定されないわけです。今の法律と予防法との関係でいろいろ目黒部長はおっしゃっておりますけれども、国民は補償してもらうのにどこから金が来ようとこれは別なんです。今の部分は民事の責任でやってもらっておる。しかし病気は一緒なんですから、そうすればやっぱり国の制度としても私は補償すべきじゃないかということをくどくど実は申し上げてきたわけです。そこは最後に大臣からお聞きをしたいと思うんです。
 それじゃ、関連をしますから予防事業についてお尋ねをしていきたいと思うんですが、数人の先生方からも質問されておりましたから簡単に聞きますけれども、五百億の基金をためるまでに今まで七年とか八年とかいろいろ出ておりましたが、具体的に初年度に何十億ためていくのか、具体的な数字、目標があればお知らせ願いたい。
#99
○政府委員(加藤陸美君) 先般来お答え申し上げておりますように、先生が今おっしゃっております諸事業を行うための事業費には基金の運用益を充てるということでございます。基金の総金額は毎々申し上げますように五百億円程度ということでございますが、それの拠出金の初年度ということでございましょうか、それとも事業費でございますと……
#100
○渡辺四郎君 拠出金の初年度。金額を含めて年次計画を言いなさい。五百億の基金をためます、事業はその果実によって実施をしますというのが法律の内容なんです。事業内容はもう熟知をしておりますから省略をいたしますが、五百億に達するまでの間、例えば初年度は五十億ためるのかあるいは百億ためるのか。七年かかるのか八年かかるのかわかりませんと言っておったから、恐らくそういう計算をされておると思いますから、初年度が五十億で例えば三年目から百億だ、そういう計算がされておりますかというふうにお聞きしたんです。
#101
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 まず前提といたしまして、いつの時期からかによりましていわゆる正確な意味での初年度はなかなか難しゅうございます。それから、先生もともと全体は御理解いただいておりますのでお考えの中に入っておるかと思いますが、拠出額の総額は年々徐々に多くなっていくことを予定いたしております。第一年度が幾らになるかは私どもいろんな形で前提を置きませんと積算が正確にできないわけでございますが、いつから実施をさせていただけるかの関係がありましてちょっと今直ちに幾らというのが出し得ないわけでございますけれども、オーダーで申し上げますが、第一年度は大まかに言って十億前後の額しか期待できないと思います。
#102
○渡辺四郎君 いつからスタートするかわからないから初年度についてはわかりませんというお話です。そういうことで私はだまされない。いつからスタートしようと準備としては、初年度は幾らためます、拠出金を幾ら持っていきますという計画はあるはずです。だから、それを積み上げていって五百億になるのに七年かかるか八年かかるかと。それはわからなければそれで結構です。
 そうしますと今、八対二の部分を入れて約一千億程度の補償額が必要だと言われておりますが、約十万人というふうにこの間山田先生もおっしゃっておりましたけれども、そうすると一人年間百万円の補償だ。そこでお聞きをしますが、それじゃ、現在の認定患者の皆さんたちがこれから治癒なりして一年間にどのくらい離脱をしていくというふうに計算されておりますか。
#103
○政府委員(目黒克己君) ここ二、三年来の傾向から申しますと、毎年新規の患者さん方が九千人、それから治癒したりあるいは亡くなられたりということで制度を離脱される方が六千人ということで、差し引き三千人程度が今までふえているところでございます。言いかえますれば、本年度をゼロ点といたしますと毎年三千人ずつトータルの患者数が増加をしていくということになるのでございます。つまり九千人ずつ新しく患者が発生する、六千人ずつ治っていく、そうするとその差の三千人が毎年ふえていく、こういう形になっているのでございます。これは現在の統計数字でございます。
 したがいまして、三千人ずつふえていく分、これにつきましてそれを根拠といたしまして基金の積算ということに――いや、失礼しました。基金につきましては別でございます。失礼しました。訂正いたします。
 患者の数につきましては三千人ずつ増加をしていくということが予想されるのでございます。したがいまして、それを逆にとりますと、ある時点で新規の患者がなくなりますと離脱患者が六千人ずつと、こういうことに相なるわけでございます。大変失礼いたしました。ちょっと勘違いいたしました。六千人ずつ離脱していく、こういうことでございます。
#104
○渡辺四郎君 私の資料の見違いだったかもしれぬけれども、私は、九千人新しい患者が現在認定をされる、そのうちに離脱をされる方が三千人、六千人が新しい患者としてふえておるというふうに資料で見たつもりがあります。それは私の勘違いですね。
#105
○政府委員(目黒克己君) 九千人ずつ新規に出まして、六千人ずつ離脱をいたします。したがって純増三千人ということでございます。
#106
○渡辺四郎君 そうしますと、年間六千人ずつ離脱をしていく、一人百万円であれば六十億円ですね。そうすると、例えば十万人から六千人減ったと仮定をしますと九万四千人になる。初年度に九万四千人の方についての医療費のアップ、補償費のアップは何%になるんですか。
#107
○政府委員(目黒克己君) これは医療費とそれから補償的なものと二つございますけれども、補償的なもの等については毎年、前々年度の国民のいろんな所得あるいはそのアップ率、労働者の所得アップ率等々を掛けたもので積算をいたしますけれども、おおむね二%前後の増加というのが最近の傾向でございます。大体二%程度トータルとしてアップをしていくというような単価のアップがあるわけでございます。
#108
○渡辺四郎君 それは医療費をのけた以外で二%ですか。そうすれば医療費のアップは何%ですか。
#109
○政府委員(目黒克己君) 失礼いたしました。今のは単価ではございません、総体の二%でございまして、医療費は単価のアップはございませんけれども、総体として自然増がございますので、そういうものを入れまして両方合わせて二%程度でございます。
#110
○渡辺四郎君 私はほかの委員会でも、この間本会議でも代表質問で言いましたけれども、国民健康保険の問題を取り上げてやったんです。そうすると、医療費の改定がなくても国民健保関係でも年間八%から九%の医療費のアップがあるんです。前々年度のいわゆるベースアップの分をスライドしてその八割を保障費の中に入れていく。それにプラスの医療費のアップ。医療費の改定がなくても八%から九%上がるものを、今部長がおっしゃったのはそうでなくて、一方の方の補償費と医療費のアップを入れて二%だと。それはいつごろからの統計でそういう数字が出てきたんですか。
#111
○政府委員(加藤陸美君) ちょっと御説明申し上げたいと思います。
 先生もう重々御承知のとおり、補償費、つまり年金的な感じのものと申し上げた方がいいかもしれませんが、生活費的な部分とそれから医療費とあるのは御承知のとおりでございます。それで実は医療費の方につきましては、先生は国民健康保険の例にお詳しい先生でいらっしゃいますからそれをすぐ連想いただいたんだと思いますが、国民健康保険の場合はこれは全医療でございます。ところが、私どもの方のこの制度の医療費はちょっと性格が違うという点をひとつ……。それから生活の方は、これは世の中の賃金の動向をもちろんにらみまして、これは各制度横並びと私ども申しておりますが、それによってスライドと申しますかアップはいたしていっております。これは、補償を受けられる方々の年齢構成なりあるいはその男女別の問題なりそういう構成の変化等もございますので、実績といたしましては全国民の傾向がそのままに当てはまるというわけにはなかなかまいりません。
 ただいま目黒部長がお答え申し上げましたのは現実のここ数年間の実績をもってお答え申し上げているものでございまして、まあ、ある部分の実績でございますので、また時期によりましてはえらく伸びた時期もあったわけでございますのでその辺は御理解いただきたいと思います。
#112
○渡辺四郎君 そうしますと、わかりやすくトータル的に申し上げますが、結局一年間六千人現在の認定患者さんの皆さんが減ってくる。一人百万円であれば六十億円。そうしますと、十万人と仮定をすると残りの九万四千人、二%アップをすれば二十億円が逆に言ったら今の補償にプラスになってくる。そうしますと差し引き四十億ありますよ。そうですね。認定患者の皆さんが六千人減る、一人百万であれば六十億円だと。そうするとあとの、現在の認定患者の皆さんが十万人おって六千人減れば九万四千人ですから、百万円であれば十八億八千万円、その部分患者さんの皆さんたちの補償費は上がります。だから、二十億とすると四十億円これから後は浮いてくる。例えば初年度はですね。そういう部分で五百億の基金をためていきますね。それにプラスの金利があるでしょう。そうしますと、その七年か八年というふうに予防事業をやるまでに期間がありますが、その四十億残れば、さっきから私が言いますように局地的な部分の新しい患者の皆さんに対する補償だってできないことはないと思う。
 だから、確かに予防事業はやっていただきたい。しかしこれは何も公害発生源企業に求める必要はないと思うんですよ、大気を守るというのは国の政策ですから。それまで公害発生源企業に求めておるものだから企業団体の皆さんからもやっぱり、何でおれたちばかりでそういうことをせにゃいかぬのだと。北海道の企業だって沖縄の企業だって全然関係はないわけでしょう。東京の空をよくするために神奈川の空をよくするためにということで北海道、沖縄の企業の皆さんたちからも拠出金を取っておる。そうすればやっぱり企業の皆さんだって問題提起をするのは当たり前ですよ。私は、大気の汚染をなくす、空気の浄化をするというのはやっぱり国の仕事だと思うんです。大気は国民全体の財産ですから、何も企業だけに頼るのでなくて、国費を出して、それで企業の皆さんはやっぱり今まであったような民事責任に基づいた患者の皆さんたちの補償をやっていく、そういう政策をとるべきではないか。
 世界でも例のない今の日本の法律でしょう、公害健康被害補償法というのは。世界からも非常に注目をされている立派な法律なんです。その法律を崩してしまうわけですから、だから私は、環境保全事業をこれから予防事業を含めてやっていくということであれば、これは国土庁にも問題がありましょうし建設省にも問題がありましょうし、国の施策としてそれはやっぱり進めるべきだと思うんです。それを企業の拠出金によって、そして患者が減っていく部分だけの金を浮かしていってその利ざやの二十五億程度の仕事をしていくということであれば、これはいつまでたっても空気の浄化はできないと思う。この法律が制定をされたときの本来の目的が今変な方向に変えられつつあるんじゃないか。何も排出企業を固定して、その排出企業の皆さんが大気汚染の浄化のための予防事業までしなさいというように法律はなってないわけでしょう。そこらはやっぱりけじめをつけて私はやるべきじゃないかと思うんです。
 最後に長官、時間になりましたからもう一度申し上げますが、私はこの間東京の板橋を見せてもらいました。あそこに行っただけでやっぱりもう確かに大気は汚れておると。わずか一時間半ぐらいしかおらなかったんですけれども舌の中にがさがさ何かたまったような気がして。小川委員も近所のお弁当屋さんへ行きましたし食堂にも行きました。全部閉店してしまっておるわけです。人も寄りつかないし出したって売れない。そういう局地的な汚染の部分については何らかの手を打たなければ、今から生まれてくる子供だって、あるいは空気のいいところから転居してくるでしょう、そういう方たちが大気汚染によってぜんそくにかかるとか、そういう人たちに対する救済措置は是が非でもやっぱり私たちはつくっていただきたい。そして、今のあの認定患者の皆さんたちも場合によっては転勤があるかもしれません。よそに行けば、太宰府に来ればよくなるかもしれません、空気がいいから。ところがまたもとの職場に帰らなきゃいけない、そうした場合に再発した場合はやはり直ちに認定をする、そういう補償をぜひ私は残しておいてもらいたい、あるいは確立をしておいてもらいたいことを申し上げて、最後に長官の御意見を承りたいと思います。
#113
○国務大臣(稲村利幸君) 渡辺先生の公害に対する本当に御熱心な御意見を拝聴いたしまして、私も本当に幾点か共鳴する部分がございます。幹線沿道の大気汚染対策、NOx対策、これからはこの公健制度にかかわらず国策として取り組まなければならない、ごもっともだと私も思います。
 また今回の法改正は、私ども再三申し上げていますとおり、公害問題に関しての大変な知識のある先生方が三年にわたり審議をされまして、その答申を受けて制度を公正、合理的なものにしょうということでございまして、この意気込みを御理解いただけたらありがたいと。また私どもは今後は、先生のそうした御意見も踏まえて、個々にではなく地域の予防という点に一生懸命取り組んでいくことを御理解いただけたらありがたいなと思います。
#114
○広中和歌子君 既に多くの同僚委員が御質問になりましたのでかなりの重なりがあると思いますけれども、質問させていただきます。
 大気汚染に関しましては、確かにSOxの対策が進展いたしまして汚染度は昭和四十二年をピークといたしまして現在は非常に下がっている、このことは非常に評価いたしますけれども、こうした実績を上げるためにどのような対策がとられ、どのくうい予算が計上され研究が行われたか伺いたいわけでございます。
#115
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 二酸化硫黄に関します大気汚染の改善状況は、先生のお話にございますように四十二年ごろをピークといたしまして年々減少いたしております。このためにどういうことをやったかというお尋ねでございますが、従前から、特定地域を対象にいたしましたばい煙防止の法律がございましてそれぞれの地域におきまして対策を講じておったわけでございますが、特に現在の大防法になりましてからは、全国一律に最低限の定値規制といいますかSO2に関します排出の濃度規制を行ってございます。そういうことで全国一律に濃度規制を行いまして全国的にSO2の排出量を抑える、それからさらに地域におきましては、それにもかかわらずかなり排出量の多い地域におきましては、その地域の条例等におきましてさらにそれを厳しくするいわゆる上乗せ的な規制を加えてあるわけでございますが、そういうような対策を講じましてそれぞれの地域におきまして大気改善の施策を進めてまいったわけでございます。
 さらに特定の地域におきましては、従前の対策といいますのはいわゆる濃度の規制でございますから、硫黄を薄くしてたくさん出せばいわゆる規制には適合するような形になっているわけでございますので、それではなかなか改善が進まないというようなことから、排出総量につきましての工場の割り当て等をやりまして総量を抑えるというような総量規制等も講じましてこのSO2の改善事業をやってまいっているわけでございます。それ以外に、科学技術の進歩等もございまして、いわゆる脱硝装置等を工場につけることによりまして工場からの排出量が減らされてくるというような面も非常に多くあるわけでございますが、ただ、一つには現在御審議いただいております公健法によります賦課の問題等も絡みまして、そのようないろんなものが絡んでいるわけでございますが、そのような施策をいろいろ講じてまいっていくことによりましてSO2に関します環境基準が現在のような形に改善されておるというぐあいに理解いたしております。
 なお、お尋ねの予算等につきましては、直接の御質問とは異なるかもしれませんが、ただいま六十一年度の公害対策にかかわります各省庁それぞれの予算を持っておるわけでございますが、公害対策にかかわります総予算額が九千八百四十八億という形になっています。この中にはSO2以外のいろんな公害対策も含まれてございますが、全体的な予算といたしましては九千八百億余のお金が国全体で使われておるという状況にございます。
#116
○広中和歌子君 一方、NOx対策においてSOx対策と同様の熱意を持った政策、予算が組まれたのかどうかお伺いしたいんでございます。
 確かに乗用車については厳しい規制がとられたんでございますけれども、これはマスキー法など外圧によるものも大であったと。それからSOxに関しましてはいろいろそのための拠出金なんかもあったというようなことで、ある種の罰則というかそういったものもあったんじゃないかと思いますけれども、乗用車及びディーゼル車については余り効果があらわれていないような感じを受けるわけでございます。その点について、特にディーゼル車対策のおくれにつきまして御説明いただきたいと思います。
#117
○政府委員(長谷川慧重君) 自動車ガスにかかわります規制に関するお尋ねでございますが、自動車にかかわります排出規制につきましては何回かにわたりまして技術の進歩を待ちながら規制を行ってまいっているところでございます。
 お尋ねの自動車の種別によりまして相当に異なるわけでございますが、例えばガソリンの乗用車につきましては規制前に比べますと現在の排出量は八%ぐらいに抑えられているということでございますし、トラック等につきましては規制前と比べますと、現在考えられております数値は、ディーゼルのトラック、バスの副室式で一・七トン以下のものにつきましては規制前と比べますと三六%ぐらい、あるいは一番重い二・五トンを超える直接噴射式につきましては規制前と比べますと四二%ぐらいということで、車の種別によりまして規制前と比べますとその程度は違ってはおりますけれども、それぞれ車に対しましていろいろ技術開発を促進し、その結果を待ちまして適宜規制を加えておるという状況にございます。
#118
○広中和歌子君 ということは、ディーゼルの大型車の大気汚染寄与度というのは非常に高いということになろうと思います。物流が鉄道から大型車輸送へと移り変わっていく中でディーゼル車対策というものはもう本当に急務だと思うんでございますけれども、具体的に何をこれから行っていくつもりなのか。例えば大型トラックによる輸送を低減するための政策などがあるんじゃないかと思います。例えば鉄道によるコンテナ輸送の改良とか、あるいはディーゼル車用の軽油に公害対策用の目的税をかけるなど。それは一種のパニッシュメントというんでしょうか、賦課金の働きをするんではないかと思いますが。
#119
○政府委員(長谷川慧重君) 大きなディーゼルトラックから排出されます排ガス量は、御指摘のとおり環境に与える影響は他の車と比べますと大きいというのも事実でございます。そういうことでこの大型のトラックに対して今後どうするかというお尋ねでございますが、私ども、やはり大型ディーゼルトラックが一番そういう面での環境負荷が大きいわけでございますから、特に大型トラックにつきましては技術の進歩を待ちましてできるだけ早く排出量についての規制を今後とも強化をしてまいりたいというのは基本にあるわけでございます。それ以外にも、先生のお話にございましたようにトラック等によります物流につきましては、できるだけそれを協同輸送なりあるいは都市部を通り抜けるようなことがないように、不必要な通過量を減らすように、例えばバイパスをつくるとか外側に道路をつくるというようなことで全体のトラックの交通量そのものにつきましての軽減策を図るなり、あるいはできるだけ外側を通っていって町の中を走らないような対策を講ずるなりというようなことをいろいろ考えているところでございます。
 先生お話しのございました鉄道によるコンテナという問題につきましては、実は昨年も研究を行ったところでございますが、これは鉄道ではございませんけれども、海上輸送による方策についてもいろいろ検討をやってまいっておるわけでございますが、先般発表いたしましたようになかなかいろんな条件等が整わず非常に現実問題としては難しい要素を含んでおるわけでございますので、今後ともお話しの鉄道輸送あるいは海上輸送につきましてもいろいろ検討してまいりたいと思っております。
 それからもう一つは目的税のお話でございますが、目的税につきましては税体系そのものの持っているいろんな問題等もございますので、一概に目的税創設といいますか検討をすることについてはなかなかいろんな問題があるということでございまして、問題意識は持っておるわけでございますけれども、今これについて検討しておるという段階ではなくていろいろ勉強をさせてもらっておるという状況にございます。
#120
○広中和歌子君 九月八日の新聞によりますと、東京都の環境保全局は都内での大気汚染状況を発表し、その結果は前回よりも大気汚染は進んでいるということでありますけれども、昨日の都議会定例会におきまして鈴木知事は、都の大気汚染の状況は都市型複合汚染へ変化してきており、今回の公健法の改正はこうした大気汚染の現状に適合したものとは思えないと同改正案に反対の立場を表明なさり、さらに真に実効ある公害対策の推進を国に対して強く働きかけていきたい、そういうことを述べていらっしゃいます。さらに、都独自で今後も公害患者への医療費助成を実施していく考えも明らかになさっているわけですが、地方自治体の九割が都と同様の公健法一部改正に反対の立場をとっていらっしゃる。国としてはこの点をどういうふうに受けとめていらっしゃるのでしょうか。特に医療費助成に関してお伺いいたします。
#121
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお尋ねで、最初に都市におきます複合汚染が進行しておるというようなお話がございましたが、東京都におきます大気汚染の六十一年度の測定結果が九月七日に発表されたのでございますが、これを読みますと、御指摘のように数字的に見ますと二酸化窒素の環境基準がやや悪化しておる、あるいは二酸化窒素と浮遊粒子状物質の年平均値が悪化しておるというようなものがございますけれども、これは主として一月から三月におきます気象条件が前年に比べて悪かったというようなことが原因だというように私ども聞いておるところでございます。東京都の総合的な評価におきましても特に都市の大気汚染の状況が悪化しておるということじゃなくて、多少の気候変動によりましてでこぼこはあるにしても全体的には横ばいあるいは多少よくなってきたという程度と東京都の方からも聞いておるところでございますので念のために述べさせていただきます。
#122
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の医療費の点について私の方からお答え申し上げます。
 関係自治体の御意見等々を踏まえてこの予防事業あるいは大気汚染防止事業等々について実施していくということは先ほど申し上げたとおりでございますので反復はいたしませんけれども、私ども、大気汚染がまだ可能性がある、強い懸念があるという云々のところを受けまして今後予防事業等をやってまいりたいと考えておるところでございます。
 それから御指摘の医療費の点でございますけれども、東京都におきましては、私記憶が定かではございませんが、たしか、十八歳未満の子供さんについて医療費の国民健康保険等の保険の差額の自己負担分について東京都全域について出しておられる、こういうふうに私ども承知をいたしております。たしかこれはそのとおりだろうと思うんでございます。私どもの方は、公害医療費につきましては現在は、普通の健康診療報酬体系によりますもののいろいろな項目の中で、平均しまして健康保険の技術料等につきましては約一・五倍というふうなものを考えておるのでございます、医療費の単価といたしまして。そうして公害独自の特掲医療費といったようなものも設けておりまして、これらにつきましては協会から出します医療費で全額見ている、こういう形に現在なっているのでございます。
 したがいまして、今助成費云々についてどう考えるかという御指摘でございましたけれども、東京都のことについてどう考えるかというふうに受けとめますと、私ども、東京都のこの医療費の助成の考え方についてはこれはあくまでも東京都知事のお考えに基づくものというふうに受けとめているわけでございます。私どもの方が現在まで行っております公害健康被害補償法に基づきます医療費につきましては全額費用負担者の負担によりまして、ほぼ一・四倍ないし一・五倍といったようないろいろな単価がございますけれども、そういうふうな形の医療費を全額患者さんに出しているというのが今の医療費の状況でございます。したがいまして私ども、特に医療費の助成、地方自治体についてのそれ以外の公的な医療費の助成等々ということについては現在の時点では公健法としては考えてないのでございます。
#123
○広中和歌子君 それは今までの既に認められた患者さんに関してはそうだろうと思いますけれども、今度の公健法の改正で指定地域を全面解除をされるというようなことが起こりましたときに、今まで汚染されてきた地域また今後汚染される可能性のある地域の住民の新たな健康破壊にどのように対応なさるおつもりか。それは非常にお金のかかることだろうと思いますけれども、厚生省とのお話し合いというのはついているんでございましょうか。それとも今後基金の中からお払いになるのに十分な予算をお持ちなんでしょうか。
#124
○政府委員(目黒克己君) 私ども、基金によりまして行います予防事業の中で各種の相談事業とか保健事業あるいは健診事業あるいは医療体制の整備といったようなことを計画をいたしておるわけでございます。これらにつきましてはそれぞれの地区、地域におきまして既に、例えば、今お話しございましたが、保健所とかあるいは医療機関あるいは通常の厚生省所管のそれぞれの制度、例えば老人保健法とか母子保健法とかございますが、それぞれに準じてそれぞれ健診とか相談とか行っているわけでございます。私ども、そういうものに上乗せと申しますわけでございますが、一緒になってこの公害健康被害にかかわるものについて相談の項目を追加するとか、あるいは例えば三歳児健診のときにその項目を追加してやる、こういうようなことを考えておりまして、この件については既に厚生省とも十分連絡をいたしているところでございますし、また実態といたしまして各地方自治体は既にいろんな各省庁からのいろんな助成といいますか、いろんな法に基づくものをすべて一つに受けとめましてそれぞれ運用しておられます。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
 したがいまして、私どものこの予防事業に基づいて行います各種の相談事業等、今例えとして申し上げたのでございますけれども、そういうものはそういう形で上乗せをすると。このためだけに新たにシステム、体制、組織をつくるということではなくて、従来の地域一般の保健対策の中にこれを加えていくと、こういう形に相なろうかと思っております。そういう意味では厚生省とは既に連絡をいたしているところでございます。
#125
○広中和歌子君 そうすると、気管支関係の病気になりました場合に、因果関係とは別に必ず、患者の負担なく何らかの方法で医療費は負担していただける、最終的には環境庁が面倒を見てくださる、そういうことなんでございますか。
#126
○政府委員(目黒克己君) たしか、私の記憶によりますれば現行法でも厚生省等の制度の中に患者の医療費の自己負担分についてはそれぞれ補てんする制度がいろいろな形でございます。そういう一般的な制度について私どもお任せをすると。公害健康被害補償法としては、先ほどるる申し上げておりますように個々の方々に対する医療費の補償といったようなことは新しく出る患者さんには考えてないのでございます。つまり、自己負担分等というふうなお話だと思うんでございますけれども、そういうことについては公健法の予防事業の中でこれから行うということは考えておらないのでございまして、あくまでも、今の厚生省を中心といたします一般的な国全体の保健医療対策の中の各種の保障でやっていただくと。公健法としては特別にその部分について医療補償を個々の方々に行うということは考えておらないのでございます。むしろ、医療補償というのではなくて全体的に医療機関を整備するとか、集団として対応を整えるような形の補助はしていきたいと思っておりますが、個々の方々のそういうものは考えてないと、こういうことでございます。
#127
○広中和歌子君 くどいようでございますけれども、ともかく、長期に病気になった場合に医療費の上乗せ分、いわゆる健康保険が払わない分を負担し切れない患者さんに関しましては福祉その他で見ていただけるということは厚生省とのお話し合いでできていると、そう理解してよろしゅうございますか。
#128
○政府委員(目黒克己君) この件は話し合わないということではございませんで、すべて日本国民である以上厚生省の医療、福祉の制度がございます。その各種の制度の適用によりましてそれぞれ医療なり福祉の保障をやっているわけでございます。そういうことは私ども福祉としての制度にお任せをする、民事上の責任という形で補償をするということについてはいたさないと、こういう意味で申し上げたのでございまして、その不足分について公害健康被害補償法の代替として厚生省が特別にやる、こういうことではございません。今の現行制度一般をそのまま適用する、こういう意味でお答え申し上げたのでございます。
#129
○広中和歌子君 きのうノルウェーから都市環境委員会のメンバーの方がおいでになったわけですけれども、そのとき伺いましたらば、ノルウェーの委員会では、単に公害といったような環境だけじゃなくて住宅とか道路とかいろいろな分野を含んだ非常に包括的な委員会であるということを伺いまして大変に感銘を受けたわけでございます。都市公害というようなものは単に局部的に対策を講じるというだけではだめでございまして、もちろん、環境庁のお役目といたしましては総合的なお立場からなさろうとしていらっしゃるのではなかろうかと期待はしているわけでございますけれども、本当にトータルな対策が必要ではないか。特に現在問題になっております自動車公害に関しましては、道路公害としてきっちり沿道対策を立てていくべきではないかと思うんでございますが、環境庁長官にお伺いいたします。
#130
○政府委員(長谷川慧重君) 大臣がお答えになる前に事務的なところについてちょっとお答えを申し上げたいと思います。
 先生のお話しの都市対策全般の問題は別にいたしまして、自動車にかかわります道路の対策に関するお尋ねでございますが、これは先生も御案内のとおりそれぞれの省庁におきましていろんな対策等を講じているところでございます。環境庁といたしましては、特に道路を使っておる物流なり人流の合理化、効率化というようなことをやることによりまして自動車の交通総量の抑制なり分散などが図られるだろうというようなことで、そのための計画づくりを京浜・阪神地域において作成いたしているところでございます。六十二年度中にその取りまとめを行いまして今後の対策の推進を図ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
 そういう計画を実効あるものとするためには、関係省庁の間の閣僚レベルによります公害対策会議で承認されます公害対策基本法に基づきます公害防止計画というものがあるわけでございますが、そこにその内容を盛り込むことによりまして各省、政府一体となって交通公害対策の推進を図っていくことが当面やれることでもあり現実的な方策ではないかなと実は思っているわけでございます。そのようなことでそれぞれ各省庁それぞれの対策を講じているところでございますが、私どもは、そういうソフト面での計画をつくりまして、それをきちんとした形のものにして各省協調して推進してまいりたいと考えているところでございます。
#131
○国務大臣(稲村利幸君) 広中先生からノルウェーの議員との懇談会でのお話で、御指摘のありましたように環境問題への取り組みはまさに総合的なものでなくてはならないと。今環境庁が総合調整機関の役目をしていますが、実際に牽引車の役になれないということで私もそういう点を強く意識して取り組んでおるところでございます。今局長の答弁のとおり交通総量の抑制、交通流の分散、排ガス規制等々もありますが、ノルウェーでもオランダでも建設省、国土庁、環境庁が一つのものとして環境庁長官であるという、こういうような方向にいけば日本もすばらしい環境行政になるんだと、先生の御指摘のとおりだと思い、そう心がけねばならないと思います。
#132
○広中和歌子君 ただいまの大気汚染の元凶でありますところの移動発生源の自動車公害に関しまして、自動車公害対策基本法みたいなものをおつくりになるおつもりはございますか。最後にそのことを質問して終わります。
#133
○政府委員(長谷川慧重君) 先生の御指摘の自動車公害法でございますが、各方面でいろんな御意見等が出ておるということは私ども聞いておりますし、先生の御提言も非常に検討しなきゃならない問題であろうとは思うわけでございますが、いろんな方のいろんな御意見で、例えば交通総量を直接的に規制をするというようなことであればなかなか法律でこれを強制的にやるということは非常に難しいし、なじまないのじゃないかなとも考えられますし、また先ほど申し上げました交通公害対策の事業を実施するということであれば、事務的に考えますと必ずしも法律でなくても、先ほど申し上げたような形で各省とも連携をとりながら私どもそれぞれの対策を講じているところでございますので、私どもは、こういう着実な対策をそれぞれまず進めることが先決ではないかなというぐあいに事務的には考えております。
#134
○高桑栄松君 それでは、私も再々質問させていただいておりますので重複するところがあるかもしれませんが、少し詳しくまた伺ってみたいと思う点もありますのでこれから質問させていただきます。
 この前にもちょっと申し上げたんですけれども、中公審の専門委員会報告の第五章、つまり一番終わりのところに幾つかの提案があります。これは大変貴重な非常に大事な提案だと私は思っておりますが、まずその提案全体についての取り組み方はどんなふうにお考えでしょうか。
#135
○政府委員(目黒克己君) 専門委員会報告の第五章の一番終わりの方に六ページほど費やしまして今の御指摘の幾つかの項目があるわけでございます。すべてでおおよそ八点ぐういの項目が先生御指摘のとおりございます。専門委員会といたしましてはいろいろな考え方、基本的な結論といったようなものを四章までにまとめておられたわけでございますが、この第五章以下は今後の課題として強くこの辺について御提言になったという意味で私ども受けとめているのでございます。したがいまして、これらの項目は今後の研究に待つ部分がほとんど大部分であろうかというふうに私ども受けとめているのでございます。したがいましてこの一から八項目等につきましては私ども、今後の予防研究事業あるいは私どもの環境庁の予算等を含めまして研究ということでもって対応していこう、このように包括的に考えているところでございます。
#136
○高桑栄松君 この間も申し上げましたが、環境庁というのはむしろ実施官庁というよりは政策的に指導する、調整するというか、そういう立場ですのでそれだけ政策に対する理論的な根拠が必要だと思うんです。私は、この第五章に出てくるのはもう本当に今後非常に重要な問題を幾つか持っていると。ですからこれはやっぱり大事に扱っていただいて検討していただきたいと思うんです。
 そこで一つ伺いますのは、五番目のところですが、今までは個別的な代表的な汚染というものについて一つずつ検討を加えてきた、しかしこれからは総合的に大気汚染影響を把握する必要があると、こういうふうなことが出されているわけです。この総合的な把握ということについて現時点でどんなことをお考えになっているのか伺いたいと思います。
#137
○政府委員(目黒克己君) 総合的なその影響を把握するための科学というようなものでございましょうが、大気汚染物質の暴露レベルの評価につきましては、今先生もおっしゃいましたしあるいは専門委員会報告にもございますけれども、現時点では代表的な汚染物質に着目をして考えざるを得ないということでございますが、現実の大気汚染は多くの汚染物質が混合したものであるのでございます。総合的に大気汚染の影響を把握する必要性はこれはもう高い、これは第五項目で御指摘のとおり私ども素直に受けとめているわけでございます。
 こういうことをするためにしからばどのような対応をしなければいけないんだろうかということになりますといろいろなものが考えられるわけでございますが、私どもの方といたしましては一つは、このサーベイランス・システムといったような形のようなもの、一つの大気汚染の状況とそれからその健康に与える影響というものをさまざまな角度から、動物実験もあろうかと思いますし疫学的な手法もあろうかと思いますが、それらの総合的な動物実験、疫学的な手法あるいは臨床的な各種の知見等々を集めながら総合的な影響を総合的に調べていかざるを得ないんじゃないだろうか。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
なかなかNOxだけとかあるいはSOxだけというふうに現実の大気汚染ではできませんので、その辺のことにつきましては今後の大きな研究課題の一つであろう、このように考えておりまして、その方法論も含めてやはり大変大事な点であろうというふうに思っておるところでございます。
#138
○高桑栄松君 例えば観測局を一つ取り上げてみますと、ここにも観測局データというのが書いてあるわけですが、日本じゅうをカバーするというのは大変だと思いますから、サンプリングというかな、ある特定地域に重点的に何カ所かモデルをつくってやってみるというようなことも要るだろうと思うんです。観測局そのものも今のままでは決して万全ではないんじゃないかと思うので、観測局をふやすとすると、今はモニタリングは必ずしも人間を配置しなくてもいいわけだから、これはこれでいいかな、予算さえあればやれるのかなとは思いますし。またこの間私たちは板橋の大和町を見たわけですが、あそこも観測ステーションのあるところは何か谷間みたいなところでしたものね。道路が三重になってありまして谷間みたいなところで、ある意味では風通しが悪い。だから、あるものはそのままたまるかもしらぬし、あるものはたまらないでどこかへ軽いものならとっとといなくなっているのかもしれないということで、観測局そのものもよく考えて配置する必要があるのではないか、こんなふうに思うんです。
 また七項目のところを見ますと個人ということが出ておる。これは、局地汚染の非常に程度の高いところですとやはり個人がどれぐらい何に暴露されたかという個人の総暴露量の把握、そういったことが要ると思うんですが、これについてはアイデアがありますか。
#139
○政府委員(目黒克己君) 先ほどの御質問とやはり関連はいたしてこようかと思いますが、これどちらにいたしましてもサーベイランス・システムの構築ということに相なってこようかと思うわけでございます。一つの人口集団というものに対しまして汚染物質の暴露レベルを評価するというのにどうしたらいいかということで、普通は、今先生からも一部御指摘ございましたが、一定の地域の中の大気汚染局のデータから判断をしているわけでございますが、また汚染物質というものにつきましては環境の大気以外にも室内の汚染というものによる暴露レベルのものもあるわけでございます。また特に局地的な汚染の健康影響調査のように比較的少数の人口集団を対象とした疫学調査を行うという場合には、人数が少ないかわりに個々の対象者について暴露量を正確に把握するということが必要でもあろうし、またそのような方法もあり得るわけでございます。このような点を総括をいたしまして、環境庁におきましては特に局地的汚染の健康影響調査について個人の暴露量の測定法ということにつきましても現在検討中でございます。
 この御指摘の問題については、たまたま先生環七の御視察の例を出されたわけでございますけれども、やはり個人の暴露量を正確に、屋外の大気汚染一般それから屋内の大気汚染あるいはその他の影響等々を考えながらやっていくやり方というのもなかなか難しい、しかしながら、できればパイロット地区と申しましょうか、若干の調査地区等をつくりながら少人数のものについて特定の地点を中心にやってみたい、こういう方向で現在研究プロジェクトを組んで御検討をいただいているところでございます。
#140
○高桑栄松君 今の特に個人暴露量ということになりますと、幹線道路の沿線といったところは、私の見た調査研究報告では五十メーター以内とか以外とか、あるいは百五十メーターとった場合とかとやっているわけですが、本来ああいうのは個人的なものの方が大きいだろうと思うんです。労働衛生ですと個人サンプラーというものを使っていますよね、あれは八時間労働でもありますけれども。これは二十四時間のサンプリングになるので大変でしょうが、個人サンプラーというものは今どんなぐあいになっているか御存じですか。わかってなきゃいいんですよ。わかっていたらひとつ言ってもらいたい。
#141
○政府委員(目黒克己君) 先生御指摘の労働環境の問題につきましては非常に精密など申しましょうかいろいろな方法、手段があるわけでございますが、私ども大気汚染の全般的なものにつきましては、NOxについてはあるのでございますけれども、浮遊粉じんと申しましょうか、その他のものにつきましてはなかなかそういう個人サンプラー的なもの、いわゆる方法論的なものについてはまだまだ今後の研究調査を要する、こういうような状況であるというふうに私把握をいたしておるのでございます。
#142
○高桑栄松君 今のような問題、長官にこの間研究費のことで申し上げましたが、そういう研究費というのは非常に大事な基本的なものですから、そういうのはどんどん出して大学なりあるいはそういうことを専門に研究しているところに頼むなり、国立公害研究所も対応してくれるんじゃないかと思うんです。まあそれはよろしゅうございますが。
 もう一つ。この間、肺がんに注目すべきだと。未来予測ということは非常に重要で、低濃度化するからもういいんだということでなくて、恐らく肺がんへの何らかの寄与、関連が出てくるんではないか。この前千葉県のがんセンターの調査をお話をいたしましたが、やはり居住環境の方が肺がんとの相関が高い。相関イコール原因であるとは言えないんでしょうけれども、しかし相関が高いというのは疑っていいわけです。
 ですから、そういうのはデータが出てから対応するんじゃなくて、データを積み重ねていって途中でどうであるかということで対応するならしていくという体制が要るんだろうと思うんです。これはがんということになると大変な問題ですから、今からきっちり取り組んでもらいたいと思うんですが、この間五年ぐらいの話あったけれども、そんなのではとてもがんの方は頑として出てこないということでございますが、どうですか。もうちょっと、もうちょっとというか、何かお考えございますか。
#143
○政府委員(長谷川慧重君) 前回の先生の御質問に対しまして私の方で、文献レビューをいろいろやっております、それからあわせまして、大きな地域とは言えませんけれども、ある程度の地域を決めまして、過去にそういう地域の状況をまず把握をして、それから追跡調査を五年ぐらいをめどとしてというお答えを申し上げたわけでございますが、研究の進行に合わせまして、ある程度進んだ時点でその研究を引き続き続けるかどうかについてはまた判断してみたい。今のところ五年で打ち切るという意味ではございませんけれども、一応五年をめどにしてせっかくつくった地域についてはフォローしていきたいということでひとつ御理解いただきたいと思っております。
#144
○高桑栄松君 再度申し上げますけれども、やっぱり五年ではもうだめなんですね。もっと御念を入れて研究をしていただきたいということでございます。
 サーベイランス・システムの構築というのは大変耳ざわりのいい対策だと思うんですが、この目的、組織はどんなふうなことをお考えでしょうか。
#145
○政府委員(目黒克己君) このサーベイランス・システムの目的と申しましょうか、これは一つの地域集団単位の健康状態、人口集団の健康状態というものが一つのファクターで、それに大気汚染という二つ目のファクターがございまして、この二つの、大気汚染と地域の人口集団の健康状態、この関係を定期的にしかも継続的に観察をいたしまして所要の措置を早期に講ずるためのシステム、こういうようなものを目的として私ども構築をしているのでございます。この点につきましても委員会報告でも早急な構築が要請されているところでございます。
#146
○高桑栄松君 組織はどんなことをお考えですか。
#147
○政府委員(目黒克己君) この点につきましては、既に六十二年度から環境庁の中に設けられました環境保健総合検討会におきましてこのサーベイランスの具体的なシステムの設計に着手をいたしますとともに、このパイロットの調査というのを地区を選んで行いたいと思っているのでございます。何分にも新たな視点に立ちました総合的な調査研究システムでございますために、この方法論を確立いたしますためにはなかなか難しい面があるのは事実でございます。もう既に確立をされて実行できるというところまでまだ至っていないのでございますが、慎重な検討を必要といたしますけれども、答申等の御指摘の重要性にかんがみまして数年以内に本格的なシステムが構築できるように努力をいたしたい、こういうふうに考えているのでございます。
 御指摘の具体的なということが果たして将来そのままいくかどうかということについてはまだ何とも申し上げられないんでございますが、今パイロット事業として一応考えているものということでございますが、六十二年度におきましては予算措置として九千七百万円ほどを計上いたしておりまして、サーベイランス・システムの構成要素でございます大気汚染とそれから健康影響の二つのモニタリングということをやろう、こういうことでモデル地区を今検討中なのでございます。
 それで実際には、この具体的な内容、実施する地域ということになりますといろいろ地方公共団体等の御協力が必要でございます。したがいまして、まず地方公共団体と綿密に計画を練って協議してまいりたいというのがまず第一点でございます。
 それから当然モニタリングということになりますと、既存の大気汚染のいろいろな観測点がございますけれども、そういう大気汚染のモニタリングのできるものを幾つどういうふうに選ぶか、これをまず一つ決めるわけでございます。それから健康のモニタリングということになりますと、各地域に健診等々の一般的な組織があるわけでございますけれども、そういう組織を利用いたしまして健康状態を把握する手段を探してまいりたい。そのためには、具体的に申しますと例えば死亡原因というようなこともあろうかもしれませんし、あるいは小児科等でやっております各種の病気のサーベイランスみたいなものもございます。そういったものを加えて具体的な形でやってまいりたい、このように考えているところでございます。
#148
○高桑栄松君 サーベイランスとは違うんですけれども、私が国立公害研究所におりましたときに都道府県と政令都市で合わせて六十の公害研究所または公害センターがあったんです。所長さんにはドクターもたくさんおられまして、私は日本列島縦断のシステマチックな公害研究に取り組もうとしておったんです。そのためには予算も私の場合さらえるという話でありましたんでそういう気になっておったわけですけれども。そのときに国のお金を地方自治体にやるのが難しいとかいろんな金のこともかかわっておったんですけれども、その辺はやりようでやれると思うんです。ですから、この際都道府県のあるいは政令都市の公害研究所、公害センターにしっかり協力してもらうためには、やっぱりここがまた長官なんですね、費用が要るんです。研究費をぱっちり出せば、それはやっぱり相手方はやりたいと思っていますから喜んでやってくれるんです。私の場合そうでした。私には、僕が指揮をとるんなら先生協力するよと言ってくれていました。それはお金のことは言っていませんけれども、要るんですね。
 地方の公害研究所は行政的な対応だけに今追われているんですよね。研究の望みというか楽しみがなければ研究者としてはまあ役割の半分果たしてないわけです。ですから、研究の喜び楽しみというものを持てるようにやってもらい、かつ行政に対応してもらう。そのためにはやっぱり研究費が要るんです。ですからそういうことで検討してもらいたいと思うんですね。サーベイランスシステムというのとは限りませんが、これやってもらいたい。これ答弁は要りません。これ私がいたらやっていたはずです。それを思って今申し上げたんです。お金もそのつもりで何かうまくやってもらうことになっていましたけれどもね。だから、これはひとつお願いです、やってもらいたいということです。
 次は、これもしばしば申し上げましたが、疾病と健康というのは一つの断崖があってはっきり分かれるものじゃない。継続的、連続的なものであってオール・オア・ナンということはないんだということであります。地域指定の全面解除ということが今前面に出てきたわけでありまして、これに私が反対している大きな理由の一つは、突然にオール・オア・ナッシングということはないんだと。だからこれに対しては何としても一つの対応が欲しい、私はそういうことを申し上げておったんです。私前にも申し上げたんですけれども、例えば環境基準をSO2がクリアしてきたからいいんだじゃなくて、もう片方にNOxがあり浮遊粒子状物質があるんだから、大気公害健康被害というのはSO2被害じゃなく大気汚染被害なんだから、そういう意味でどうしても中間的な措置を考慮してほしいということを私は主張してきたわけです。
 ですから、まあ仮に今の基準をクリアしたということを考慮しても、そのほかの条件を考え、また低濃度長期慢性暴露ということも考えますと、例えば今の認定患者の居住年限が条件の一つであったとすれば、環境基準が半分になった、それまでの期間が、それから現在まで仮に八年であれば、八年を居住期間の中に今度条件として加えて新しい患者発生に対応する、こういった新しい条件、クライテリアを加えて中間的な措置を講ずることが必要なんではないだろうか。これは私が常々申し上げておったことでありますが、これに対してどんなふうにお考えでしょうか。
#149
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 前々からいろいろとお教えをいただいておる点でございます。三つのことを申し上げたいと思いますけれども、まず、現在の認定患者の方々はもちろん補償を継続いたします。
 それから次に、今回の制度改正の実施は環境庁としては十月を考えてまいりましたが、円滑な施行のためその準備に若干の期間を置くことが適当ではないかとも思っており、結果的には激変を緩和するなだらかな実施ということになるのではないかと存じます。
 それから三つ目でございますが、地域指定解除後の新規患者さん方に対しては、医療給付の支給等の個人に対する補償は行いませんが、新規の患者の発症予防と発症後の健康回復を図るために新たに地域全体を対象として基金事業を行います。
 その内容は、一つは発症予防のための調査研究、乳児の健康診査などでございますし、二番月には、患者の方々の健康回復のために例えば保健所におけるぜんそく等の健康相談とか、ぜんそくキャンプや水泳訓練等のリハビリテーションその他がございますし、特にNOxのお話もございましたが、窒素酸化物汚染が懸念される大都市を中心にいたしまして大都市におけるぜんそく等に関する調査研究を実施してまいりたい。その中で、その地域の新たな発症者、患者さんを対象に居住環境の調査であるとか必要な医学的検査であるとか指導であるとか、保健婦さんの保健指導であるとかリハビリテーションであるとか等を実施しまして原因の究明及び健康回復を図る特別の事業を実施していきたい。
 ちょっと長くなりましたが、お答え申し上げました。
#150
○高桑栄松君 私は医者の立場で、今のお話の中で二つのポイントが印象に残りましたんで一応確認というか復唱いたしますと、施行の期日はもうちょっと先に行くかもしらぬというふうに私受け取ったわけですね。それ一つの方法論がな。なだらかな実施と今おっしゃったが、私が中間措置をというのはもっと別な考えですけれども、対応の一つとしてお話しになったんだろうと。これが一つ。
 もう一つは健康診断の件です。医療費は引き受けられないが健康診断についてはとおっしゃったのは、乳幼児だけではないんですね、一般の方についても健康診断については引き受けるんですね。どうでしょうか。
#151
○政府委員(加藤陸美君) 先生のおっしゃる前段の方の御理解はそのとおりでございます。
 それから後段の方は大都市におけるぜんそく等に関する調査研究を中心におっしゃったんだと思いますが、健康診査は言ってみれば医療費とは違うわけでございますが、医療費で対象にならないような検査もあるわけでございますし、御専門の先生に恐縮でございますが、あるいはさらに、呼吸器疾患にかかわるもう少し深いトレース検査と申しますかそういうようなもの、それから、そこからお医者さんの判断に基づく保健婦さんによる保健指導というようなものが必然的に出てくるケースと、いやそれも要しないというケースももちろんあると思いますけれども、そういうようなものもあわせて実施しながら片や研究にも役立ててまいりたいという趣旨のものでございます。
#152
○高桑栄松君 そうすると研究体制の一環として健康診断を続けていくというお話ですね。私は甚だ不満ではありますけれども、一つの対応の仕方を環境庁は示したんだなと、こう思って承っておきます。
 さて、最後にひとつ長官に承りたいんですけれども、先ほどの目黒部長の御答弁にもありましたが、専門委員会報告の中の五番のところに総合的な大気汚染対策が要るということが出ているという答弁、総合的ということはとりもなおさずSO2だけではないということでありまして、だからSO2をクリアしたからいいというんじゃない。公害健康被害というのはSO2、NOx、SPMという一応代表的なこの三つの総合的な影響による健康被害なわけですから、私はその対策を進めようというときには何らかの基準がなければ目安がつかないと思うんです。それがなければ対策したくない人は基準がないからといって知らぬ顔できるわけだ。ところが、非常に良心的な自治体なりなんかはそれがなくてもやろうとするわけだ、しかしある目安となるガイドラインが私は要ると言うんです。
 この間複合汚染の暫定基準と申し上げましたけれども、複合汚染の暫定基準と言うと非常に環境庁も敏感になり過ぎてアレルギーを起こすようですからちょっと表現を変えさせていただきますと、複合汚染が明らかにある。これはもうだれでもそう思っています。皆さんもそうだと思うんです。そのときに複合汚染の対策は、何かがはっきり出るまでほうっておくんじゃないと、我が環境庁はもう一歩でも二歩でも少しでも先に走って予防には力を尽くしたいと。そういうためには対策の目安となるガイドラインが要るんです。だからそのガイドラインを、法律ではなくてガイドラインとして私はつくってほしいと言っているんです。私が言っても私の影響下にあるところだけがうんと言うだけですね。国が一つのガイドラインを出せば、それのよしあしの批判があったってガイドラインなんだからいいわけです。私はそれが要ると思う。だから、複合汚染に対して環境庁の取り組む姿勢、その一つとして私は環境複合汚染基準のガイドラインというのが要りますよと。長官の御答弁を承ってきょうの私の質問を終わろうと思います。
#153
○国務大臣(稲村利幸君) 大変な先生の御見識を拝聴させていただきまして、複合大気汚染のわかりやすい目安をつくるべきである、政策の目安のガイドラインをつくるための研究が必要となってくるわけなんだろうと思いますので、今の先生の御指摘を生かせるような方向で環境庁もこれに取り組むよう私からも指令をいたさせていただきます。
#154
○近藤忠孝君 私はこの委員会で一貫してこういう主張をしてまいりました。この法案を審査し真相を明らかにする上で必要な中公審資料が提出されるべきだ、しかもそれは当委員会としての正式の要求でありますが、それを拒否してきた状況と申しますのは国会が国権の最高機関であることの否定であり、そしてこれを放置してきた委員長の態度は国会の自殺行為をあえて行っている、こういったことも申し上げてまいったのであります。そうである以上、この重要な問題についての資料が出てこない以上はこの委員会は開かれるべきでない、このことも一貫して主張してまいったところであります。しかし我が党の反対を押し切って開会を強行しております。そうである以上私は、資料提出がこの法案の審議に不可欠のものであるということ、もう一つは中公審がその提出を拒む理由がないこと、この二点を明確にするというその範囲でこれから質問をしたいと思います。
 まず、私の質問に対して加藤局長は、国会法第百四条に基づく要求というふうに承知していないと、こういう答弁がございました。これはとんでもない答弁です。ただそれは私が判断した、こういう答弁もいたしました。そこで質問いたしますが、この中公審の資料の所持者はあなたですか。
#155
○政府委員(加藤陸美君) 事務局ではございますが、所持者といいますか管理責任者と申しますか、それを預かっておる立場にはございますけれども、それを左右するといいますか、それは私ではございません。
#156
○近藤忠孝君 要するに、どうするかその処分権限のないあなたが、預かっておるというだけでその要求の意味をあなた自身で勝手に判断をしてしまったと。元来、委員会からの要求を受けとめて、それがどういう性格のものであるかを判断するのは私は中公審会長だと思うんです。まあ、中公審会長にお会いになったということをけさ理事会で言っておりました。しかし中公審会長は、どういう性格の要求であるかこれは全く御判断にならなかったんです。あなたが判断したんだから。あなたは全くの越権行為をやった。そうじゃありませんか。
#157
○政府委員(加藤陸美君) 私は当日、九月の二日の当委員会でございますが、委員会において要望を受けまして、そのとき、中公審会長にお伝えし相談いたしますとお答えしている時点でどう受けとめたのか、どう承知したのかという趣旨で先般御答弁申し上げたわけでございますので、それを伝える役目は私でございますので、その伝える内容としての理解が、先般も御答弁申し上げましたようなものとして承知してお伝えしたということでございます。
#158
○近藤忠孝君 それは伝えるのは当たり前の話で、伝えなかったらそれこそ大変ですわ。まあ一応伝えたという前提で質問しているんですが。しかし中公審会長、要するにこの文書の処分権限者は、この資料要求が国会法第百四条に基づくものかどうかについては全く判断しなかった、こう聞いてよろしいですな。そうなるんじゃないですか。ほかに答えようがないでしょう。
#159
○政府委員(加藤陸美君) いや、会長が判断する材料というものは私がお伝えし御相談するわけでございまして、私がこういう委員会の状況でございましてということをきちんと御説明した上でお考えいただいたわけでございますから、それを中公審会長がどういうふうに考えたかは、そういう確かめ方というのはいたしませんけれども、もう伝えた中身で御理解されておるに違いないと存じます。
#160
○近藤忠孝君 あなたは、それを伝えた場合に、どういう性格の要求であるか、これは話さなかったでしょう、あなた自身判断しちゃったんだから。
 そこであなたの私に対する答弁の中では、もしこれが百四条に基づく要求であればこれは提出すべきものでありますと。だから中公審会長が、あなたの説明によってこれが百四条に基づくものだともし判断されれば出すという判断をしたかもしれないじゃないですか。あなたは何も伝えずにあなたが勝手に判断しちゃって、ただ要求来ましたよと、それだけで中公審会長に全く判断させないままあなたの段階で拒否をしている、これはもう明らかです。委員長、そこで改めて――まだ何も言一でないのに首を振ることないでしょう。委員長、何で首振っているんですか。
#161
○委員長(松尾官平君) 関係ないでしょう。
#162
○近藤忠孝君 ありますよ。委員長にこれから申し上げるんです。
#163
○委員長(松尾官平君) 私がこうすればしかられるんですか。何を言っているんですか。質問しなさいよ。私が首を少しぐらい振ろうが何しようが関係ないでしょう。
#164
○近藤忠孝君 拒否じゃないのはわかった。
 そこで委員長ね、今の回答どおり、この文書の所持者でありそして処分権限を持っている中公審会長はこの要求の意味について何も判断していない。もしこれが委員会からの要求である、国会法百四条に基づく要求であると判断すれば、これはどうも仕方がない、内輪の取り決めはここではもう、それを超える国会の要求があった、こう判断すれば出したかもしれません。
 そこで委員長に要求することは、改めて中公審会長の判断を求めるよう要求いただきたい。どうですか。
#165
○委員長(松尾官平君) そのつもりはございません。
#166
○近藤忠孝君 なぜそのつもりはないのでしょう。お答えいただきたい。
#167
○委員長(松尾官平君) 大切な時間ですから本来の質疑に入ってもらいたいんですが、あえて質問でありますから答えますけれども、けさの理事会でも私の所信を表明して、中身の質問に入っていただきたいということで理事会は終わっております。
#168
○近藤忠孝君 そのことと私の今の質問は関係ないでしょう。何しろ中公審会長は判断していないということが明らかになったんですから、そこで私は新しく中公審会長の判断を求めることを委員長に求めたんです。それを拒否されたその理由を私はお聞きしているんだけれども、何も答えられない。お答えいただきたいと思います。これは大事な問題ですよ。
#169
○委員長(松尾官平君) 答えたと思うんですけれども。あなたがそこまで入ってくるとまたもとの論議に入らなきゃならない。速記録には、理事懇の協議の結果これこれこれこれによって要望すると山東委員長が申し渡し、それに対して加藤企画調整局長は相談いたしますと答弁して終わっているわけですから、その時点で各委員が国会法百四条に基づく資料提出要求だと理解したかどうかは大いに問題あるところだと。ですから、そのことを理事会で協議をし、理事懇でも協議をいたしました。自民党の理事の方々は提出努力をするよう要望するという意味に聞き取ったとおっしゃるし、あなた方はそうではないとおっしゃるし、議が調わないままこの審議期間中ずっと進んできたと思います。
 その結果、この問題については、国会の国政調査権あるいは百四条の問題あるいは守秘義務、いろんな問題が絡んでいるので、今度、後日時間をつくって参議院の権威のために、国会の権威のために協議の場を持ちたいという社会党理事からの提案があり、私もそれはごもっともであると。だから本日は審議に入ってください、わかりましたと言って社会党から入っているわけですよ。それを何で今ここでまた持ち出して蒸し返して、あなたが足りない足りないと言う質疑時間を浪費するんですか。
#170
○近藤忠孝君 委員長の意思はわかりました。
 今の発言にもありましたように極めて国政の根本にかかわる重大問題だという御認識はあるようです。となれば、それは後日じゃなくて、今まさしくこの法案のこの審議の前にそれを片づけるべきです。それをあえて放置した委員長の責任は極めて重大である、このことを申し上げて、これ以上委員長と論争しても仕方ないから次に移らしていただきます。
#171
○委員長(松尾官平君) 幾らでも論争してもいいんですけれども、時間がもったいない。
#172
○近藤忠孝君 この中公審の委員は各地でいろんな発言をしている。これは例えば雑誌などの問題について指摘がありました。それが守秘義務に反するかどうかは微妙だという答弁もありました。私はその答弁に納得できません。それでは聞きますが、中公審の各委員が自分の出身団体、例えば財界なら財界、医師会なら医師会、そういう場所へ審議が終わった後戻って、いろんな性格の会合ありますが、そこで中公審の審議の状況をありのままに報告する、これは守秘義務違反に明らかになるんじゃないですか。
 要するに雑誌などに書くのはその学者の意見を書いたんだと、だから微妙だという答弁でしたが、そんな自分の学者の意見じゃない、中公審のありのままを全部しゃべっちゃうんだから筒抜けですわ。これはどうですか。
#173
○政府委員(加藤陸美君) 御質問の中でおっしゃいました事柄の事実がどういう事実であるか私承知をいたしておりませんので、それがどうだと言われても今直ちにお答えすることは難しゅうございます。
#174
○近藤忠孝君 私が指摘した事実があるかないかはこれは別の問題です、次の次元の問題ですね。
 私が今言ったのは、中公審の委員である者が審議した内容を自分の出身団体へ行って、はっきり言えば、例えば医師会でもいいですし自動車工業会でもよろしいわ、その団体の場所で審議状況を話したと、要するに審議会の模様が全部筒抜けになる状況、これが一つです。それから会議録が配付されますわね、その会議録をその自分の団体に全部配っちゃう。これ一つの具体的例ですが、これはどうなんですか。まさしく守秘義務違反ですよ。これに対して先ほどの答弁じゃこれは困りますね。どうですか。――相談の時間はちょっと時間から抜いてほしいね、貴重な時間なんだから。
#175
○委員長(松尾官平君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#176
○委員長(松尾官平君) 速記を起こして。
#177
○政府委員(加藤陸美君) 非常に難しい御質問でございます。これは先生御専門家でいらっしゃいますが、法律の解釈、適用の問題にもつながってくるものでございますのでなかなか判断できなくて申しわけございませんが、最後におっしゃいました配るというような事例でございますね、その配るというのは配る態様にもよりまして、ケースケースで一つの仮定のお話になりますのでそれがそうなるというわけにはなかなかまいりませんけれども、だれが何を言ったかという問題を一つ考えてみますと、個人名でというのはどうかなという感じはいたしますけれども。それが直ちに……、そのケースケースによりますので、例えば出席者がだれであったかという話はまた別でございますので一概には言えませんが、少なくとも慎んでいただかないとなかなかこれ、問題を惹起するんではないかなというふうに思います。
#178
○近藤忠孝君 ただ発言すればいいというものではなくて、もうちょっと短く言ってください。それぐらいのことはそんな難しい質問じゃないんだからね。
 じゃ、具体的に申しましょう。これは私も前回の委員会で意見を述べたときに具体的に申しましたから調査しているかと思いますけれども。医師会です。医師会の常任理事会の議事録を見てみますと、例えば六十一年十一月四日、瀬尾さんという人は中公審の委員ですね、いろいろしゃべっています。たくさん議事録がありますが、全部述べている時間がない。例えば六十一年六月十日のは、特に商工会議所の代表あるいは鉄鋼連盟の代表からこれこれしかじかの発言がありました、また岐阜大学の館教授かれこれこれしかじかの発言がございましたと。まさしく個人名。これはすぐわかりますわね、個人名を述べているんです。さらに別の議事録によりますと、環境保健部長がこういうことをしゃべり云々と。しゃべった人の順番から中身まで全部しゃべっています。議事録に載っていますよ。これは明らかに中公審がもう自分たちの団体に全部ばらしているわけで、これはやっぱりいかぬでしょう。
#179
○政府委員(加藤陸美君) 中公審の委員は、先生御承知のとおり非常勤の国家公務員として国家公務員法百条の職員に該当するわけでございます。中公審が、法令によって中公審に属せしめられた議事運営方法を受けての権限に基づいて議事や議事録を非公開としております以上、議事の内容のいかんを問わず、中公審でだれがどのような発言をしたかというような議事を非公開にした目的、自由な討論の確保のためでございますが、非公開にした目的にかかる事項は、守秘義務と申しますか、守るべきでございますので、これに当たるかどうかは個別のケースで判断していただかなければなりませんが、これは注意を喚起すべき少なくとも問題がなと事務局としては思います。
#180
○近藤忠孝君 これ注意を喚起する程度の問題なんですか。
#181
○政府委員(加藤陸美君) いやそこは……
#182
○近藤忠孝君 「いやそこは」と言わず答えてください、質問しているんだから。
#183
○政府委員(加藤陸美君) 問題になるおそれがあるのではないかという趣旨を申し上げたわけでございますが、その上でいかなる措置が最も適当かはまたその態様、程度等具体的事例に即して考えなければならぬところと存じます。
#184
○近藤忠孝君 そんな問題じゃないんですよね、もう堂々と全部出ちゃったんだから。出さぬのは国会だけですよ。国権の最高機関の国会が要求したって出さぬのだから。
 まだたくさんあります。経団連週報というのがありますね。これ見ましたか。これ見ておれば大体みんな漏らしているのすぐわかるんだけれども、どうですか。
#185
○政府委員(加藤陸美君) 私週報があることはもちろん承知いたしておりますが、それを子細に毎回見ておるわけではございません。
#186
○近藤忠孝君 職務怠慢ですね。見ておればみんなばらしておるのわかるんだから。
 私はそのうち幾つかだけ、しかも重要な時期に相応する会議での漏らし方をここで紹介します。
 例えば八六年四月八日、中公審環境保健部会へ専門委員会報告が出されたときです。ここで、これも問題になっている鈴木委員長の報告書の説明を受けて部会で審議した。その後の四月二十一日、経団連環境安全委員会で「公害健康被害補償制度の早期改正を要望する」見解を取りまとめております。「経団連週報」によりますと、四月八日の環境保健部会に制度見直しの前提として専門委員会報告が出されたことから、当会としても再度意見を取りまとめるべく、環境安全委員会を中心に検討を進めてきたと。要するに全部漏れて、ここで出てきたものを前提に検討を進めたんです。その後四月二十二日、経団連の第四百六十四回定例理事会議事要録です。提案説明者の岩村環境安全委員長――これ中公審委員です。この人から「公害健康被害補償制度の改善に関する見解(案)」を取りまとめるに至った経過並びに同内容について説明があった後、本件は了承されたと。要するに、もう中公審の模様が全部漏れて、それを前提に議論がされている状況です。
 六月十日、これは内田常務理事から「公害健康被害補償制度改正をめぐる最近の動きについて」という報告があったと。これも明らかに中公審の内容が漏れて報告されている。そしてさらに十月三日、これまた大事な時期です。環境保健部会作業小委員会で報告案をまとめたとき。これはその直前になりますが、やはり岩村環境安全委員長から説明があったということであります。そして、そこで九月八日の正副会長会議で四百億円の基金財源拠出で一致、九月十六日までに環境庁に同意の回答と。この辺の話がどんどん具体的に進んでおります。八六年十月六日、環境保健部会への作業小委員会報告が行われ、審議がされた。その後の十四日、やはり岩村環境安全委員長から、現在中公審において検討されている公害健康被害補償制度の改善についての問題並びにこれへの当会としての対応方針について説明があったと。さらに十月三十日、これは中公審総会です。また中公審委員である岩村環境安全委員長から、去る十月三十日に中央公害対策審議会総会でまとめられた公害健康被害補償制度の改革に関する答申の内容と今後の当会の取り組みの方針について説明があったと。
 委員長、お聞きになっていただいたと思いますけれども、これが実態なんです。委員長はこの資料問題について先ほども態度を示されたけれども、そのようにほかへは全部漏れてしまっている。全部筒抜けになって、それを前提に議論が進められているんです。これが大胆にもれっきとした経団連週報に載っているんです。これはもう当たり前の状況なんですよ。それが、この国会だけが全くこういう資料も出ないまま議論が進むなんということは、先ほど委員長の立場からいうといろんな意見があるということはさておきまして、委員長の立場に立ったとしても、ほかにこんなに漏れているのにここだけが出ないなんということはこれは松尾委員長の権威にかかわると思うんですが、どうですか。とばっちりがそっちに行ってしまったけれども、ちょっとお聞かせいただきたいんです。
#187
○委員長(松尾官平君) また私に質問ですか。
 私は不勉強にして今お示しがあったものを見たことはございませんので何とも言えませんけれども、近ごろのいろいろなマスコミの中には必ずしも真実を書いていないものがたくさんありますので、現物を見ない以上は、そしてまた中身を精査しない以上はわかりません。(「経団連週報を知らぬ言うたらそれは認識不足だよ」と呼ぶ者あり)
   〔近藤忠孝君資料を手渡す〕
#188
○委員長(松尾官平君) 後で勉強させてもらいます。
#189
○近藤忠孝君 私も弁護士ですからやはり証拠でいつもやる癖がついていますので証拠をお示ししているんですがね。経団連週報というのはれっきとした経団連の資料ですね。
#190
○委員長(松尾官平君) そうはおっしゃいますけれども、大新聞の中でも間違いを書いているときはたまにありますよ。
#191
○近藤忠孝君 新聞と違って団体が自分に不利なことを書くはずがないんだから。……
#192
○委員長(松尾官平君) 大変貴重な資料をありがとうございました。後で勉強します。
#193
○近藤忠孝君 終わってからでは遅いので、ひとつ法案の審議の前に御検討をいただきたいと思います。
 ですから私は、こういう状況を明らかにした上でまた改めて資料提出要求を重ねていたすものであります。
 次に、今まではもうあなた方は拒否の理由がないという事実を具体的に申し上げたんです。今度は私は、なぜこの審議にこの資料が必要かということについて質問をしたいと思います。
 まず専門委員会の結論の中心部分。これは「現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないと考える。」、これが結論部分です。その後に「しかしながら、昭和三十から四十年代においては、我が国の一部地域において」云々という部分が入りましたね。この「しかしながら」以下が後でまた作業小委員会でねじ曲げられている、そういうものなんです。ところが、この部分について中公審総会で――それは限りなく事実に近いと言うんですからこれは答弁いただけると思いますけれども、その中で加藤徹夫委員が、三十九ページですが、こういう発言をしております。「専門委員会の最初の文書報告にはこういう文書」、要するに「しかしながら」以下の文書です。「こういう文書はなかったのではないかという指摘があるが」云々という指摘があります。こういった発言があったことはまさしく真実です。
 そこで質問は、最初の報告文書、要するに、専門委員会の最後に出たものでなくて最初の報告文書にはその「しかしながら」以下の文章はあったのかなかったのか。どうですか。
#194
○政府委員(目黒克己君) ここにございますこの専門委員会報告、これがその結論として出たものでございまして、この専門委員会報告が出るまでの過程では、御指摘のようにいろいろな段階で科学的な知見を踏まえまして御議論をしながらでき上がったものでございます。したがいまして、このページの一ページ一ページそれぞれ御議論をいただきながらつくり上げたものでございます。それでこれを公表したのでございます。委員の先生方の中ではいろいろこの中で議論があったことは事実でございますが、そのいろんな事実は、前回も申し上げましたように科学的な知見に関する議論でございますので、最初賛成と言っておられた方も学者の議論の中で変わってくるというような揺り返し、いろんな議論の果てに最終的に委員全員の総意をもってこの結論が出て公表いたしたものでございます。したがいまして、最初のとか最後のということはございませんで、最初にも最後にもこの専門委員会報告はこれ一つなのでございます。申し上げたいことは、当然議論の過程で資料としていろんな資料が出て、その中で議論されておられますが、しかしそれはそれとして、この専門委員会報告はこれ一つでございます。
#195
○近藤忠孝君 その最終のものができる前の段階があったんです。少なくとも専門委員の先生の手に成る段階ではその「しかしながら」以下は存在しなかった。後から環境庁なり事務局の方で追加されたのではないかという情報が入っているが、真偽のほどを明らかにせよと、これは先ほどの加藤委員が言っておりますが、その点、そういう発言があったでしょう。
#196
○政府委員(目黒克己君) お答え申し上げます。
 今の具体的な先生の御発言あるなしはともかく、この事実についていろいろな場で今の御指摘のようないろいろな御質問があったことは事実でございます。つまり、事務局がつくったのじゃないかということはいろいろな場面で私もこの質問を受けております。そのたびに私はお答え申しておりますけれども、そのようなことはございません。これはすべての委員がその中で議論をしながらつくっていくものでございまして、私ども環境庁の職員が筆を加えるということはございません。すべて専門委員の先生方の学識経験から出た結論でございます。
#197
○近藤忠孝君 それがなぜ問題になるかと申しますと、専門委員会報告の文書のどこを読んでもこういう「しかしながら」以下のようなことが出てくる資料は何もないんですよ。だから問題にされているんです。それでこの総会のときにも加藤さんの質問に対して館さんが答えていますね。館さんもそういう立場はないと言うんだけれども、館さんは環境保健部会の立場からだからこれは立場が違いますよ。
 そこで問題は、専門委員であった香川さんが法廷の中で述べている。その事実は御存じですか、どういうことを述べているか。
#198
○政府委員(目黒克己君) 先ほどお答え申し上げましたように私は、そういうことがあったということは聞いておりますが、中身については承知をいたしておりません。
#199
○近藤忠孝君 香川さんは法廷でこう答えております。「そういたしますと、このまとめの部分の「しかしながら」という以降は、具体的には専門委員会の中で、具体的な科学的な検討は加えられていないというふうに伺ってよろしいですね。」という質問に対して「はい。」と。そうだということですが、これはそのとおりですか。
#200
○政府委員(目黒克己君) お答え申し上げます。イエス、ノーということで先生の御質問について申し上げますことは誤解を招くことになりますので御説明をちょっと短時間させていただきます。
 今の香川先生のおっしゃる節のことにつきましてはこれもやはり各方面から御意見がございました。また私も御指摘を受けております。これは要は、この「しかしながら」以下の三十年代、四十年代についての文献がこの専門委員会報告の中に文章としてないではないか、だからここを捏造したんではないか、こういう御意見であるというふうに私承って、その上でお返事を申し上げております。それはこのように申し上げているのでございます。
 この中に入っております十三人の先生方の中には、三十年代、四十年代に既に第一線の学者あるいは現場の先生方として調査研究に携っていた先生がおられます。それからまた当時の学会あるいは報告等の中に、そのような当時のSOxの激甚な状況の中においてはそのような状況があったということは先生方の定説、常識ということで入っているのでございます。それを皆さん方踏まえた上でこのような結論を出されたものと、このように私ども受けとめておるのでございます。
#201
○近藤忠孝君 いかに弁解されようとも、少なくとも専門委員の先生方の手にはこの文章はなかった。ということは、六十一年九月十二日、全国公害患者の会連合会などと中公審事務局、あなた方との間で専門委員会報告の勉強会が行われました。ここには柳沢保健業務課長などが出で、そしてその中でその事実を認めている。要するに環境庁の事務局が入れたんだと。ない知恵を絞ったとまで言ったそうです。そのことは、この席でも患者代表の神戸さんがこのテープにおさまっていますと言っていますからそういう発言をしたんでしょう。どうですか。柳沢さんいるんでしょう。どうですか。
#202
○政府委員(目黒克己君) そのような事実はございません。一部の言葉じりをとらえまして全体的にそのようにとられたというふうなことを後で私お聞きしたことはございます、団体の方から。しかしながら、私どもは断じてそのような捏造をしたという、あるいは苦心をして云々といったようなことでこの文章のこの結論の部分をそのように申し上げたことはございません。
#203
○近藤忠孝君 捏造だったら大変です。そうでしょう。捏造だったら公文書偽造ですよ。それは刑務所へ行ってもらわなければいけない。私が言ったのは、どういう状況か知らぬけれども、ともかく事務局が書き加えたものだ、ない知恵を絞って。それに対して言葉じりをとらえてとは何ですか。テープあるんですよ。
 委員長、テープ間こうじゃありませんか。これはまた証拠だよ、証拠物件。どうです、ちょっと休憩してこのテープ聞きましょう、今の答弁が合っているのかどうか、言葉じりをとらえてと言うんだから。言葉じりじゃないんです、ちゃんとれっきとした事実があるんです。委員長、どうです。これ聞いてみるとこれきちんとわかるんです。(「議事進行」と呼ぶ者あり)議事進行ということはこれを聞くことです、ちゃんと。
#204
○政府委員(目黒克己君) 私が先生に先ほどお答え申し上げましたことは、この先生方が、この主文の結論部分を苦心をして我々がつくり変えたと、こういうふうにとったということでございます。そのようなことは私どもはないと申し上げているのでございます。
#205
○近藤忠孝君 どのように言おうと、今言葉じりをとらえてと言ったことは、言葉があったんでしょう。ですから委員長、これ聞いてみましょうよ、私の言っているのが正しいのか彼が言っているのが正しいのか。――私はそれ以上部長に聞く必要はない、そんな変なことばかり言っているんだから。
 問題は、今のやりとりでもおわかりのようにその可能性が十分ある。専門委員会の先生方のお書きになった文でなくて、ない知恵を絞って書き加えたということなんです。後で慌てていろいろ取り消して言葉じりなんて言っていますけれどもね。となれば、さて大事なこと、ひとつこのテープをぜひ速やかに今からでも聞いていただきたいということと、もう一つは、これは一番結論部分、一番大事な部分です、因果関係があるのかないのか、それをどのように評価するのかという。しかもそれが作業小委員会では、この「しかしながら」以下の字句が大きな問題になって逆に打っちゃったんです。となれば、一番中心部分でこの点を見過ごしたままいきますと、松尾委員長のもとに真実に目をつぶってこの委員会が突進したということにこれなるんです。ですから一つは、ぜひ私が持っているこのテープをきちっと聞くこと、もう一つは、だからこそ私が何度も言っている専門委員会の資料を全部見ようじゃありませんか。そうすれば、まさしく真相がわかるし、そうなれば名委員長ということになるんですが、どうですか。
#206
○委員長(松尾官平君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#207
○委員長(松尾官平君) 速記を起こして。
#208
○近藤忠孝君 少なくと至言葉じりということからいいますと、その趣旨の発言があったことは事実です。今部長の立場とおっしゃった。私がこれ示して言っていることは、私参議院議員近藤忠孝がこれを示して言っている。となれば少なくとも同じ立場です。あるいはそれ以上、国民の代表として言っているんだからね。それを委員長が先ほどのような、これはちょっと議事録に載っていなかったかもしれぬけれども、要するにああいう立場で言ったんだから云々という話は私はいただけないと思います。ですから、私は改めてテープを聞くことと資料要求を求めます。これはひとつ理事会で協議していただけませんか。これは大事な問題ですよ。
#209
○委員長(松尾官平君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#210
○委員長(松尾官平君) 速記を起こして。
 質疑を続行してください。
#211
○近藤忠孝君 今の問題について委員長がそういう態度をとったということはよく記憶をして、次の質問に入ります。
 これは専門委員会のまとめの中のこれまた中心部分です。現在の大気汚染が疾患に影響を与えている可能性は否定できないという表現ですね、この表現は因果関係ありという意味ではないか、こう思うんですが、どうですか。
#212
○政府委員(目黒克己君) この大気汚染が疾病に影響を及ぼしている可能性は否定できないというこの文章につきましては専門委員会の先生方等の御意見等では、これは因果関係ということではなくて関連があると、こういうことに疫学その他の先生方はおっしゃいます。また私どもも関連がないとは申し上げてないわけでございます。しかしながら、はっきりした因果関係があるというふうには私ども受けとめてないということでございます。
#213
○近藤忠孝君 関連ありということはこれは因果関係ありということじゃないですか。
#214
○政府委員(目黒克己君) 今申し上げましたのは私どもは因果関係がないということでございますが、この文章のとおりにこの先生方は、この一部だけじゃなくて、主たる原因等々を含めて、前後の文章を含めてこの十三人の先生方がこの結論に到達されたのでございます。
#215
○近藤忠孝君 主たる原因その他の問題はこれは法的因果関係の問題ですよ。私が聞いているのは疫学としての因果関係として、今指摘した可能性は否定できないというのはこれは因果関係ありという趣旨でしょうと。質問わかりますか。あなたちょっと法的な関係と疫学的な因果関係をごっちゃにしていませんか。
#216
○政府委員(目黒克己君) 私が申し上げましたのは、この文章につきましては全体として私どもは判断をしているという意味で最初に申し上げたので、まぜて言ったということではございません。
 それから第二番日の御質問、はっきり申し上げますと、この大気汚染が疾病に影響を及ぼしている可能性は否定できないというこの部分につきましては、通例の疫学の定説からいえば、疫学の段階からいえばこれは因果関係をあらわすものではないと、このように私ども受けとめております。
#217
○近藤忠孝君 これは中公審答申の方でこの経過はずっと説明しています。こう言ってますね。「専門委員会は、ここで」というのは今指摘した問題です。「ここで大気汚染の慢性閉塞性肺疾愚の自然史への影響の有無及び程度について評価している。」、ここの「有無及び程度」のまず有無につきまして「影響の有無については、何らかの影響の可能性は否定できない」、だからあるということです。次いで「影響の程度」、この「影響の程度」というのはこれは主たる原因かどうかという問題ですよね。少なくとも因果関係そのものとしてはまずあると別の部分では判断し、そして程度は云々と。あなたの答弁とこれ違うんじゃないですか。
#218
○政府委員(目黒克己君) 「影響の程度」ということでございますけれども、それは影響という非常に漠然とした一つの概念でお話しを申し上げているわけでございます。また委員の先生方もそのように使っておられるわけでございます。しかしながもその影響があるということの中には、これは先生の御専門の言葉の論理と申しましょうか、それかもしれませんけれども、科学の場合に、やはりはっきりした因果関係あるなしというのもこれは一つございましょう。しかしまたこの「影響の程度」というものの中には、これははっきりした関連があるというふうにと、いろいろとり方があるわけでございますけれども、この中の文章で言っております「影響」ということはイコール因果関係ではないと、このように私どもとっているわけでございます。
#219
○近藤忠孝君 それはあなたの判断ですか。
#220
○政府委員(目黒克己君) 専門委員会報告のこの部分の受けとめ方につきましては、……
#221
○近藤忠孝君 いや、あなたの判断が。
#222
○政府委員(目黒克己君) いや、よろしゅうございますか。今申し上げました答えに関連をいたしまして、イエス、ノーで答えるということではなく一、二ちょっと簡単につけ加えさせてもらいます、簡単に。
 専門委員会報告のこの部分のとり方は人によって違いがある、こういうことは先生も今おっしゃいましたし、そういうことがあるんでございますけれども、あくまでも因果関係とはっきりこの文章の中では言っているのではないのでございます。十三人の先生が合意をいたしましたのは、この文章ではっきり因果関係ありというふうに言ったということではなくてこの文章どおりに合意をされたのでございまして、私どもその文章のとおり素直に受けとめているのでございます。
 それから第二段目の答えは、私はそのように判断をいたしておりますとともに、多くの方々がそういう判断をいたしておるということも事実でございます。
#223
○近藤忠孝君 これは、当委員会に参考人として出てきた塚谷さんが、明確に疫学では因果関係ありと見るべきだと。その理由としては、疫学というのはまず否定から始まって仮説を立て、それが否定されたときにそのことの否定が立証されるということですよね。したがって、存在関係ありという場合にはこういう表現以外にないんだと、こう言ったんですが、まさにこれ疫学でしょう。どうですか。
#224
○政府委員(目黒克己君) この疫学の論理の展開の仕方につきましては確かに先日塚谷先生も一つの御意見としておっしゃっておられます。しかしながら疫学の一つのデータの判断の仕方の中には、必ずしも前回の参考人の先生方の意見が定説であるかどうか、あるいはもっとほかのとり方もあるかどうか、その辺については私ども定かではございません。私どもあくまでも先ほどから申し上げておりますのは、この十二人の先生方が、この因果関係ありということでなくてこの文章のとおりにこれを書かれたと、そしてこれに合意をされたと。いろいろ議論はありました。その議論の中で合意をされた、そしてその結果この文章としてこれを世間に公表をすることを御決断されたと、これがこの専門委員会報告の内容でございます。これはお答えになったかどうかわかりませんけれども、そういうことであるということで御理解を賜りたい、このように思っております。
#225
○近藤忠孝君 答えになっていないんです。じゃ、別の例で聞きましょう。
 親子関係で血液鑑定しますよね。その場合に親子関係の存在の血液鑑定というのはこれはできないんでしょう。まず否定から始まっていって、その中で初めて、ないことが否定されていく過程で可能性として親子関展が決まってくる、これは医学の基礎でしょう。
#226
○政府委員(目黒克己君) そういうアプローチもございますが、風邪を引いた場合に、まずこれがインフルエンザかどうかを固定して、そしてインフルエンザであればインフルエンザと、こういう逆の行き方も医学の中では当然とるのでございます。それが、その疫学の中でいろいろな考え方のもとにいろいろな御意見の中で御結論を出す方がおられる、これは事実でございます。私はそれを否定しているのではないのでございまして、さまざまの意見の出し方があるということを申し上げたのでございます。
#227
○近藤忠孝君 あなたの答弁聞いていますと、今言った可能性は否定できないという部分とそれからあと主たる原因かどうかという問題を全部ごちゃごちゃにしまして因果関係はない、こう言ってますよね。特にきょうずっと言ってきたし、衆議院でも言ってきたことはこういうことですよ。主たる原因でないから因果関係はないんだと。要するにあなた方としては総合的に判断すると。私が今言ったように、これは中公審のまとめの中でも、まず因果関係の有無、あとは影響の程度と、二つに分けて考えるのがこれ筋なんだけれども、あなたはごちゃごちゃにして、影響の程度も含めて因果関係があるかないか、こういう判断をして、主たる原因でないので因果関係はない、こういう答弁をずっと繰り返していますね。そういう点どうですか。
#228
○政府委員(目黒克己君) 私どもが現在の大気汚染ではこの健康被害の主たる原因ではないというその部分につきましては、これは公健法という一つの割り切りをしたものの中で、先生が法律の立場と申されましたけれども、そういうもの等を含めて判断をしたものでございます。したがいまして私どもは、主たる原因ではないということであれば、これは公健法の世界の中で、割り切りの中で主たる原因でないものに対してこれをすべて補償するということについては合理的ではないという後段の判断になったという趣旨で申し上げているのでございます。前段の、先生ごちゃまぜにするとおっしゃいますけれども、そこの二つの文章につきましては、前段については、これは影響あるのだからこの影響は、因果関係ということではっきり補償することはできないけれども、それについてはまず予防事業等をやって予防をし、あるいは治療云々という先般来申し上げた対策を行う、こういうことで申し上げたということでございます。
#229
○近藤忠孝君 制度の趣旨との関係で因果関係問題をあなた述べられた。しかし、因果関係はあるが制度の趣旨を考えて補償しないということと因果関係はないから補償しないということは違うでしょう。あなたはずっと衆議院以来因果関係はないから補償しないんだと、こう言っていますよね。私は明確に言えば、本当に実際因果関係がないならばそれは補償を打ち切られても仕方ないことです。しかし因果関係があるけれども補償しないということでこれは今問題になっておるんです。そうするとあなたがずっと答弁してきたことは、主たる原因云々も含めて因果関係はないからこれ解除するんだ、こういうことですよね、そういう趣旨でしょう。
#230
○政府委員(加藤陸美君) 医学専門家の言われる疫学における因果関係のお話の中に今度は補償の前提となる要件としてのいろいろなものというのが、いろいろ混乱する可能性もあるわけでございますけれども、ただいま近藤先生がおっしゃいますのは、今度は補償の必要があるかないかというお話でございますね。これは民事責任を踏まえた制度でございますので、そういう意味の補償をすべきほどにというのか、するのが合理的なほどに原因といいますか因果関係があるかという問題をおっしゃっておると思います。
 それについては確かに程度の問題も同時に判断の材料にしなければならないということになるかと思います。世の中の諸事象、森羅万象あるわけでございますけれども、それはそれぞれ、極端な言い方を申し上げますと何らかの関係での因果関係というものは持ち得るものであると存ずるわけでございます。
 ここできっちり過去の極端な例で申し上げた方がいいかと思いますが、四日市の磯津地区の状況、あそこの大気汚染の状況というのは補償の必要がある程度の、因果関係と言うべきかどうか、ここはもう法律の専門家でいらっしゃる先生に申しわけございませんのでるる申し上げませんけれども、少なくとも補償の必要があるものと、それから何らかの因果関係、これは今部長と先生と質疑を交わしておられましたその事項だけを言っておるんではございませんでもっとほかの一般論も含めてお答え申し上げておるんでございますが、何らかの関係はあるけれどもそれに基づいて民事上の損害賠償を踏まえた補償というものをするべきかどうか、それが合理性があるかどうかという判断は、それはケースケースによって判断があってしかるべきものではないかと存じます。
#231
○近藤忠孝君 そうすると加藤局長の答弁によりますと、少なくとも疫学的因果関係としては先ほどの関連性は否定できない、この規定は疫学的には因果関係ありと見るべきでしょう、否定できないんだから。そうでしょう。どうですか。
#232
○政府委員(加藤陸美君) それで、冒頭のところで因果関係という言葉を特に疫学、私疫学専門でございませんけれども、疫学の専門の先生方が、これ自身言葉の使い方というものはいろいろ難しい問題があるように存じますけれども、お考え方によってはどういうふうに使われるかという問題がありますので私一概には言い切れませんけれども、疫学における因果関係という言葉の意味と、私がこの補償の必要がある前提となる意味での因果関係――因果関係にも相当因果関係とか、これは先生専門家でいらっしゃいますが、どの程度の因果関係であるかという判断の問題に使います、私も事務屋でございますので、事務屋として事務官として普通使っております因果関係という言葉の意味とは全く一緒か違うのか。同じ因果関係という言葉でございますけれども、そのままの言葉でつなげていくのはいかがかと思いますが、だからそれを、疫学の方の因果関係のことを私は先ほど御答弁申し上げたわけではございません。補償の前提となる因果関係のことを申し上げたわけでございます。
#233
○近藤忠孝君 そんなことにあなたそんな長い時間かけて答弁しないでください。
 私がなぜこんなことを言うかといいますと、少なくとも中公審の答申を見た限りでは、主たる原因でないから因果関係はないという規定はないんです。あなたの答弁で初めて出てくるんだ、主たる原因でないから法的に関係はありませんというのは。そうでしょう。だから聞いておるんです。あなたは疫学的な関係と法的な関係ごちゃごちゃにしてそう言っているんじゃないか。少なくとも疫学的には因果関係があるんだ、否定できないということはあるんですよ。ただあなたは制度全体考えると合理的じゃないと。合理的じゃないということはこれは中公審も言っています。ただ中公審は、主たる原因でないから因果関係はないとは言ってないんです。なぜあなたのところで因果関係がなくなってしまうのか、ないという断定になるのか。そこを聞いているんです。
#234
○政府委員(目黒克己君) 私が因果関係云々について論じました、あるいは先生の御質問にお答えしたといったような場合には、常にその前段に、今の主たる原因ではないが云々も含めまして制度全体のものと、それからもう一つは、この疫学の因果関係のとり方を制度当初、三十年代、四十年代の当初は疫学から見てこの因果関係をとることが類推できた、割り切ることができたような制度だとみなしたんだと、それに対応して現在はそれが因果関係が見られなくなったと、こういう趣旨で申し上げているのでございまして、単純にその文章だけの中で因果関係がイコールないと、こういう趣旨で申し上げているのではございません。
 それからもう一つは、先生が私に御指摘いただきましたけれども、制度全体ということも含めて同時にお答えを申し上げておりますので、その辺は先生のそのようなおとり方があったかもしれませんけれども、私の考え方は、当初からの制度全体としての合理性がなくなったということが一つ、それからもう一つは、疫学的な因果関係というものが三十年代、四十年代でははっきり言えたけれども、今の大気汚染の状況の中ではその因果関係というものが言えなくなったと、こういう趣旨のことを申し上げている中で先生がそのようにおとりになったと、このように私は理解をしておりますので、私の申し上げております趣旨を御理解賜ればと、このように思っているところでございます。
#235
○近藤忠孝君 これは驚いたね、あの規定から疫学的因果関係否定したんだから。あなたの言い方は何でも否定になっちゃうね。
 そこで、これは「公害健康被害補償法に関する制度の仕組み」という環境庁でつくった自治体への説明でしょう。その五ページに、三十年代から四十年代にかけては他原因があって、主たる原因が大気汚染、こうなってます。ところが最近、現在ですね、「他原因」「大気汚染」「他原因」とほぼ同じになっている、こう絵にかいてあるんですね。前の場合、他原因は原因でなかったのか。現段階ではみんな同じ原因じゃないですか。因果関係あるんじゃないですか、環境庁の文書から見て。あなたは文章云々じゃないと言うけれども、この絵から見ればあるんですよ。あると書いてある。「他原因」、原因なんです。やっぱりあるんじゃないですか。ただそれを法的にどう評価するかは別ですよ。しかし疫学的にはあるんだから。これを否定するんですか。
#236
○政府委員(目黒克己君) 先生のお手元のもの、この同じ絵だと思うんでございますが、これは私ども、この専門委員会の報告の内容それから今、特にここで先生と極めて難しい御質疑を、御質問を先生からいただきながら私もお答え申し上げているわけでございますけれども、非常にわかりにくいような表現のこの文章あるいはこの考え方というものを理解をしていただくためにこのような形をとったということがまず一つでございます。
 それから先生最後に、これは法律的なものは別ですよとおっしゃいましたけれども、そうではございませんで、私ども、公害健康被害補償法の関連でこの法律の改正あるいはこの考え方を簡便にあらわすためにこのように、昔は大気汚染がちょうど富士山のようにほんと出ておってはっきりわかっておりましたよ、今は同じような原因でわからなくなっちゃっています、こういうことを比喩として申し上げるために、説明のためにかいた絵でございます。したがいまして、先生最後に法律的なことを除いてとおっしゃいますけれども、これはすべてをひっくるめて私ども地方公共団体の皆様方に御理解を賜るために、このような絵をもって一つの例えとして説明文として配ったものの一部でございます。
#237
○近藤忠孝君 これは環境庁だけではなくて経団連の資料によっても全部わあっとみんなあります。喫煙から大気汚染から遺伝からアレルギー、家庭のしつけまで入っているけれども、ただどれが主たる原因か、これは時によって違ってくる。しかしこれは、主たる原因でなければ因果関係はないんですか。――じゃ、一つの例でいきましょう、交通事故。たまたまぶつかって九割の過失のある方が大けがをした、一割の過失の人は全くぴんぴんしておった、この場合どうしますか。因果関係はある。そしてあとは補償の比較の問題ですよ。だから加害者の方は一割負担すればいい。
 だから私は、本法案に関して言いますと、いろんな原因がある、そしてしかもそれは因果関係あるんです、全部、もう見たって全部わかるんだから。ただ程度はわからない、これが実態でしょう。程度がわからない場合にはあとは補償の中身で、補償の金額その他で……。だから例えば過失があれば、喫煙を例えば過失とすればその分差し引けばいいだけの話です、今の交通事故のように自分の過失をね。そこをあなた方は全く一緒にしちゃってそれで因果関係まで否定しちゃうんです。どうしてあなたは、中公審ですら言ってなかった、主な原因でないから因果関係はない、こんな割り切りをしちゃうんですか。あなたよく割り切り割り切りと言うけれども、割り切り過ぎちゃっている。その点答弁してください。
#238
○政府委員(目黒克己君) 一つ先生の御指摘の中で、この絵のもと、この絵をなぜ書かなきゃいけなかったかという原因は、このぜんそく等が制度発足当初から非特異的な疾患で原因がたくさんあるんですね。今の先生のおっしゃった交通事故は自動車という一つの原因だけですね。それが多原因であるというところにこの制度の割り切りの難しさがあるという前提だと思うんです。それで、この制度発足当初のSOxの多いころは大気汚染が非常に大きな原因としてつかめたと。しかしながら今は、ダニとかカビとかいろいろな原因が多くてどっちかわからない、はっきり言えませんよと、こういう意味をあらわすための絵として取り上げたものでございます。
 なお、私小し舌足らずかもしれませんので局長の方からまた少し補足をしていただきたいと思います。
#239
○近藤忠孝君 時間が長くなってしまって。どっちみちあなた方は余り大した答弁しないんでしょうが、私がここで指摘したいのは、主たる原因かどうかということ、これはまさしく量の問題ですよね。実際量の程度は立証できませんわ、現状では。あらゆる判例、しかも確定した判例のほとんどは主たる原因でなくてもよろしいと言っています。
 じゃ加藤さん、あなた法律の方お得意のようだから一つお聞きしますと、甲府の天神川汚染事件というのがあります。これには原因として疑われたのが二つあります、甲府パルプ工業と三協パルプ工業。原因の大半は――だから主な原因ですね、これは甲府パルプ工業にあり、三協パルプ工業はまだ創業後日も浅く廃液も少なかった。判決は「同社のパルプ廃液が、本件鯉の斃死と全く無関係であるとは考えられない」として損害賠償を求めたんですね。それが法的な関係。疫学も含めてですけれどもね、疫学はその前提にあるわけであります。これをあなた方は全く否定しちゃうんだから。しかも、中公審に出てないことをどうしてあなたあんな割り切りをするのか、これは全くはっきりしませんよ。大体中公審にそんな議論あったんですか、主たる原因でなければ因果関係は認められないなんて。そんな、ずっと衆議院以来答弁してきたことは全く飛躍しているんです。そういう意味でうその答弁をしてきたと、こう思わざるを得ない。だから、そういう意味で今までの答弁では全く納得できません。
 そこで委員長に求めますけれども、また改めてこの全文を明らかにする資料が必要です。こういう状況では私は、ああいう答弁を繰り返しているんじゃこれ以上質問できません。
#240
○政府委員(加藤陸美君) お答えいたします。
 ただいま先生が事例に挙げられた判例の件については、私その件を直接は詳細にわたって存じておるわけじゃございませんのでこれは別といたしまして、先生が先ほど例に挙げられました交通事故の損害賠償の例で、何割過失があり、それと負傷の程度がどうであるというような例でちょっとお話がありました。これは個々の損害賠償につながる民事責任の例をおっしゃったんだと存します。ただ私どもの方でよく考えておかなければならぬことは、この公害健康被害補償制度としては、制度をつくるところで一つの、まあ、目黒部長の言葉そのままにすれば割り切りということになりますが、一言足させていただければ、それはもう個々の因果関係を一つ一つ説明を要することなく、ある地域においてある事象、四疾病にかかり、居住期間が二年、疾病によって三年というその三要件を満たしたならば、その一々の証明とか何か関係なしにすべてをこの制度で補償をしていくという一つの制度、これを俗に割り切り割り切りと言っておるわけでございます。法律的に言えば、正確に言うとそういうことになると思いますが、こういう制度をつくるのが合理的か妥当かという問題のところでの判断がここでの一番大事な法の判断だと存じます。
 個々の損害賠償の事例としていろいろな例があり、それらも専門でいらっしゃいます先生から教えていただきましたけれども、私どもこの制度の運用をどうしていくかという際に判断すべき事項は、先ほど申し上げました四日市の例というのが事例としてあるかと存じますけれども、そのような物の考え方、判断、合理性、これをもととして現在のような方針をとっておるわけでございます。
#241
○近藤忠孝君 今議論を聞いていただいておわかりのとおり、因果関係があるが補償しないという問題と因果関係はないから補償しないというのは全然違うんですよ。ところが、今ずっと答弁を聞いていますと因果関係はないとずっと言ってきているんです。そんなものは中公審の段階で出てないんだから。ということは、環境庁が飛躍して、因果関係はないから補償しない、仕方ないからあきらめろ、こういったことで説明してきたとしか考えられませんよ。それに対して何ら答弁が明確に出てないんですよ。これはこの問題を明らかにする一番基本ですから、この問題を明らかにしてもらわない限りは私は質問できませんわ。質問を保留します。ひとつ理事会で御協議いただきたい。
#242
○委員長(松尾官平君) そっちへ質問しなさい。
#243
○近藤忠孝君 いや、今理事会で協議していただくことを提案します、これは一番基本的な問題なんだから。(「当然だ」「肝心のところがやっぱり答えにならないんだから」と呼ぶ者あり)
#244
○委員長(松尾官平君) 答弁を求めるときは座ってください。発言中だと思ってだれも答弁できないでしょう。
#245
○政府委員(目黒克己君) まず先生のおっしゃっている、因果関係が私があるとかないとかと、こういう点についてでございますが、この答申案ではそのような表現はしていないのでございます。しかしながら、先生のおっしゃるようにあるとも言ってないのでございます。そしてまた、この制度の合理性とか公平さということを私どもが説明をする場合に先生にいつも短くせよ、こう御指示が非常にありますものですから、御質問をいただいたときの前段の中にあれこれの趣旨を入れまして、そのような趣旨を踏まえてこの因果関係のあるなしということだけからいえば、制度の合理性あるいは公正さということがないんだということの一つの考え方として因果関係がないと、こういう表現を使うのでございます。したがいまして、私どもがこの因果関係があるないという文言を使っております場合には、先生最初に御指摘いただいたように、常にこの制度の合理性がない、こういうことの点でお話を申し上げているのでございます。
 私は、先生がおっしゃいますように、この制度の合理性があるないということが私どもが主張をいたしておりますこの審議会の答申の考え方を歪曲しているとかいうようには考えておらないのでございます。あくまでも制度が公正ではないということをはっきり審議会では言っておるわけでございますから合理性を保てないと。そしてさらにその中で申し上げましたように、疫学的な手法がいつも論点になります。それで、疫学的な手法の中であったのかないのか、そういうことだけに限定した御質問をいただきますれば、疫学では四十年代にはこの因果関係があると判断できる、因果関係ありとみなした、しかし今の大気汚染の状況ではみなせなくなった、私はそういう趣旨でいつも申し上げているのでございます。したがいまして私ども、この中公審の答申、またこの考え方に沿っているのでございまして、少しも私どもの考え方はこの中公審を歪曲をしたとかいうような感じのものではないと思います。私どもはあくまでもこの考え方に忠実に沿って、制度の合理性が保てなくなったということでお答えを申し上げたというふうに私考えているのでございますので先生その辺は御理解を賜りたいと思っているのでございます。
#246
○近藤忠孝君 中公審もこれは法的判断を下したんですから、もとよりこれは間違った法律家が判断を下したんだけれども、それをさらに飛躍していると。それに対しては明確な答弁がない。大変これは私は遺憾だと思います。この問題はこれからも議論を深めなきゃいけない。そういう意味では議事録その他をもっと精査してこの問題を検討しなきゃいかぬということを私は申し上げておきます。
 あと、なぜこんなねじ曲がった結論になるのかということについて、先日沓脱委員から森嶌さんについて金が回っている話がありました。再度私は、結局経団連が自分の都合でどんどん委員さえ差しかえしている。――これも経団連週報です。経団連週報によりますとこう言っていますね。
 中央公害対策審議会大気部会の窒素酸化物等に係る環境基準についての専門委員会
これは鈴木委員長ですが、
 では、環境庁の依頼を受けて窒素酸化物の環境基準について検討を進めてきたが、二酸化窒素の判定基準として一時間値の二十四時間平均値
云々、という極めて厳しい結論をとりまとめ、六月二十日、大気部会に報告を行なった。
 当会環境改善委員会
というのはこれは経団連です。
 ではこれに先だって、六月九日、関係業界の専門家の方々にお集まり願い、取扱い方について協議した。そして、六月二十日の部会の席上、川又克二、安西浩、瀧口丈夫、河内武雄氏等からデータが不十分
というような意見が出たというんです。
 その結果、環境庁としては、当初、同専門委員会の報告をそのまま受けて、早速環境基準の起草作業に取りかかる方針で、大気部会内に起草小委員会を設けることを考えていたが、起草小委員会という形ではなく、窒素酸化物等小委員会を設けて専門委員会の報告内容につき、あらためて検討し、その結果によっては、環境基準の起草をも行なうこととなった。
要するに、これは経団連がこの中公審の制度にまで注文をつけてそういうふうにさしちゃったんです。
 なお、この小委員会のメンバーには、環境庁原案では、産業界代表が一人も入っていなかったが、これはおかしいということで、瀧口丈夫
先ほど指摘した、これは石連会長です。
 が産業界を代表して委員に加えられた。
おかしいのは、なぜこの委員の欠員があったのか、この情報が漏れたか。と同時にそれを経団連が自分たちの都合で差しかえしちゃったんです。なぜ任命できたのか。まさしく経団連の思いのままに委員が任命され差しかえされているじゃないですか。だからこそこういう結論が出てくるんですよ。しかも資料が全部漏れたんだから。
 だから私は、こういう事実についての答弁をいただくと同時に、委員長、先ほど来私はたくさんの資料を要求したけれども全然出てこない。これじゃ本当に審議が十分できない。私はまだ時間が十分あると思うんだけれども、今の答弁を聞いて、あとは質問を留保します。
#247
○委員長(松尾官平君) 時間でございますので答弁は簡明にまとめてください。
#248
○政府委員(加藤陸美君) ただいま御質問で具体的な事例並びに状況をるる述べられましたけれども、私今この場で直ちにつまびらかにできることでもございませんが、ただ一つ申し上げておきますことは、中公審の委員というのはきちんとした任命行為と選任手続を踏むものでございまして、ある団体の、あるいは団体だけとは限りませんが、外のいろいろなことでそれを左右する、あるいはされるべきものではございません。これだけは明らかに御答弁申し上げたいと思います。
#249
○委員長(松尾官平君) 時間でございますので。
#250
○近藤忠孝君 いやまだ、さっき随分中断をして大分質問を……
#251
○委員長(松尾官平君) ちゃんとはかって言っているんです、委員長は。時間です。
#252
○近藤忠孝君 今のような答弁じゃ納得できません。私は質問を留保します。
#253
○委員長(松尾官平君) 時間でございますので、次の方に移ります。
#254
○山田勇君 御承知のように公健法が誕生した背景には、当時の激甚な大気汚染と疾病の多発といった非常に深刻な社会問題があったわけであります。この公健法につきましていろいろと制度上の問題点など指摘をされてきましたが、被害者救済には大きく貢献してきたことも事実であります。
 そこで、これまでの認定患者数は延べどのぐらいになりますか、また、延べ総補償費用はどのぐらいになっておりますか。
#255
○政府委員(目黒克己君) 昭和四十九年の制度創設以来六十二年三月までの累積の認定患者数は延べ約十五万九千人でございます。それから補償給付費の総額は約七千八百億円でございました。
#256
○山田勇君 我が国としては大変な被害、犠牲を経験してきたのでありますが、これをきっちり総括して新しい時代に即した環境保健施策の構築を目指さなければなりません。大気は全般に改善されたとはいえ、大都市や幹線道路の沿道などのNOxの問題はなお深刻なものがあります。科学物質の問題、また酸性雨など新しい課題も生じてきております。このような我が国の公害に関する経緯、現状を踏まえて今後の環境保健、大気保全政策について基本的な御答弁をいただきたいと思います。
#257
○国務大臣(稲村利幸君) 山田先生にお答え申し上げます。
 環境行政は国民の健康の保護を使命とするものでございます。今後の環境保健、大気保全施策には、激甚な大気汚染、疾病の多発といった過去の苦い経験は二度と繰り返さないよう心がけねばなりません。また、科学物質など新しい問題についても未然防止に徹しなければならないという考え方を基本に進めていかなければならないと考えております。さらに今後の環境保健施策は、改正法案に盛り込まれている健康被害予防事業の実施やサーベーランス・システムの構築等により総合的な施策を積極的に進めてまいる考えでございます。また大気保全施策としては、工場、事業場や自動車一台一台に対する規制を一層強化するとともに、輸送の協同化など交通の抑制、分散、低公害車の普及などの諸対策を講じるほか、技術革新等に伴う科学物質等による汚染の未然防止を図るなど大気汚染の防止を強力に進めてまいる所存でございます。
#258
○山田勇君 私は、新しい技術を活用して積極的な環境保全対策、NOx対策を進めるべきだと考えます。例えば最近盛んに行われる再開発に際しては、地域冷暖房システムを導入し、小さな低い煙突から大気汚染物質などが出ないような工夫も必要ではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#259
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 都市部のNOx汚染によります影響につきましてはいろいろなファクターがあるわけでございますが、先生のお話にございましたように中小ビル等の群小発生源の割合は少なからずあるわけでございまして、地域冷暖房などの導入によります窒素酸化物の削減効果も相当期待できるものと考えております。そういうことで群小発生源対策としては、環境保全の観点からも地域冷暖房が積極的に導入されることが望ましいものと考えております。先生も御案内のとおり東京都におきましては、既に公害防止条例に地域冷暖房の推進方策が位置づけられておりまして、都内の地域開発に当たっては地域冷暖房システムが導入される状況にございます。環境庁におきましては、昨年度大阪府におきまして地域暖房の導入可能性等につきまして基礎的な調査を行っておるところでございますが、この結果を踏まえまして今後、大都市の再開発に当たって地域冷暖房システムが積極的に導入されるよう関係自治体、各省庁とも相談して進めてまいりたいと考えております。
#260
○山田勇君 最近運送業者の間においては、コンピューター等の最新情報技術を活用し協同の荷受けを行ったり輸送の協同化、さらには原材料の工場への搬入から製品の消費者への納入まで一括受注するといった動きがあります。こうしたことは、空身のトラックの連行というむだを省き交通流の合理化や抑制に役立つわけですし、ひいてはNOx対策にも資すると考えるのですが、環境庁はこの点どうお考えになっておりますか。もし法改正がされ基金を運用する場合、こうした事業者の動きを助成するのではないでしょうか。
#261
○政府委員(長谷川慧重君) 大都市におきます窒素酸化物対策という観点からは先生お話しのように、自動車一台一台からの排出ガスの規制に加えまして自動車の交通量を抑制するための協同輸配送など自動車交通対策を推進することが重要であると考えております。協同輸配送につきましては、現在関係省庁、地方自治体の協力を得まして環境庁で検討委員会を開きまして、京浜・阪神地域におきます自動車交通対策につきましての計画の中で、先生からお話ございましたような最新の情報技術の活用を含めましてその具体的な推進方策について検討を行っておるところでございます。
 なお、現在御審議いただいております法案が成立した場合におきましては、新たに設けられることになっております基金を活用いたしまして協同輸配送の推進を図ってまいりたいと考えております。その際、先生からいろいろ御指摘がございました各種事業につきましてもできる限り助成対象という方向で検討してまいりたいというぐあいに思っております。
#262
○山田勇君 今自動車の問題等また交通流の問題等お話しましたし、また基金の運用ということの中には、この資料にもありますとおり、補償予防協会が地方公共団体等の行う事業に関する助成の中に低公害車の普及だとか協同輸送配送の推進とか、いわゆる一つの交通量の流れを変えていくということがあります。
 例えば先日皆様委員と参りました板橋の大和町の交通量を見ますと本当に極限に達したような交通量でございます。パイパスをつけることによって若干大気汚染が緩和されたという面もありますが、しかしあのバイパスのつけ方一つ見ても少し配慮が足りない面があるわけですね。勾配をきつくとっておるものですから、左右坂道で来るものですからどうしてもエンジンを吹かしてしまいます。だから、そういうバイパスをもう少し勾配を緩くするとそう吹かさなくて通過できる、それだけNOxの排出量が減るんですね。
 また、信号を私ずうっと交差点で見せていただいたんですが、信号の流れ一つとってもちょっと工夫がまだない面がございました。右回りで全部つかえてしまうものですから、そこでブッブッブッと吹かして待っている。それは大きな本線との合流でありますからどうしてもウェーティングの時間が長い。長いとその分だけディーゼルエンジンを吹かしながら待っているという形になるわけでございます。そうしますとどうしても、特に交通量の激しいところはああいう形の中でいわゆる排出するNOxの量が多くなってくるのではないか。だからそういう意味で、交通体系といいましょうかそういうものをひとつこれからお考えをいただきたいということです。
 まあ、おほれる者わらをもつかむの例えで、私はそういう知識が余りございませんので高桑先生にこのとおりちょっと絵をかいてもらって、沿道にファンか何かで吸い上げるようなことはできないのかと。高桑先生はそれはちょっと無理だろうと、そういう効果はないというお話を承ったり、またトンネルの場合はそういう酸化物をファンによって吸い上げる、それは入口と出口はっきりしているという、筒状であるというようなお話を賜ったりしております。ですが、これからの大きな工夫の中で、例えば大阪の大日交差点というのは板橋の大和町に匹敵する交通量の一番多いところですが、何かその交差点の下に網状のもので下からファンで吸い取るような、待っている間吸い込むような措置ができないものだろうとかいろんなことを考えているわけでございます。そういう意味で今後基金の助成金の中であっても、そういうディーゼルエンジンの根元をまず断つということが大切ですから、通産省、建設省そして環境庁、少なくとも三省庁が交流を深め横の連絡をとりながらこういう体系をぜひ示していっていただきたいと思います。
 さて、我が国は戦後大きな経済発展をなし遂げてきたわけでありますが、また一方では社会にいろんなひずみが生じてきたことを見逃すわけにはまいりません。公害健康被害者の多発といった大変厳しい状況もその一つであります。さらに環境問題は今や国際的なスケールで問題になっております。先日もノルウェー環境委員長以下十六名の委員がお見えになりまして、ここでこれからの環境対策はいわゆる地球全体として考えをとらえていかなければならないというノルウェーの委員長の発言もございました。発展途上国では、経済発展に力を注ぐ余りややもすれば環境の保全がおろそかになるおそれもあります。不幸な患者さんを途上国でも発生させないために我が国の技術や経験をそれぞれの国に積極的に移転していくことも考えるべきだと思います。
 最後に、これは環境庁長官のまた御決意をいただき、また皆さん方の御決意をいただきまして私の質問を終わります。
 多少時間を早目に終わりますが、私の余った時間は社会党の丸谷先生に譲りたいと思います。
#263
○委員長(松尾官平君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 ただいま、原文兵衛君が委員を辞任され、その補欠として鈴木貞敏君が選任されました。
#264
○国務大臣(稲村利幸君) 今山田先生御指摘のとおり、環境に関する国際協力を強化していくことは先進国、開発途上国を問わず地球環境保全の上から極めて重要でございます。環境庁としては、開発途上国との協力の推進、オゾン層条約議定書策定会議への参加など各種の国際協力を実施してきたところでございます。本年四月に公表された環境と開発に関する世界委員会の報告も踏まえ、今後とも環境協力に一層積極的に取り組んでいく所存でございます。
#265
○丸谷金保君 どうも山田先生……。
 ずうっと二日からの論議を聞いておりましてやはり一番問題になるのは、環境庁が何としても資料を提出しない、特に十月六日の答申案作成の委員会問題だったろうと思います。それでこれをずっと系統的に流して見ますと、六十一年四月八日に中公審の専門委員会の報告が午前中に行われました。で、午後に今度は環境保健部会が直ちに招集されてそこで専門委員会の委員長の鈴木先生が報告をされた。特にこの報告の中で局地汚染の問題と弱者の問題を強く取り上げたのであります。そして今度、それを受けまして作業小委員会ができましてこれが中公審の答申案の原案づくりの作業に入った。ここまでの経緯は間違いございませんですね、環境庁。
#266
○政府委員(目黒克己君) 間違いございません。
#267
○丸谷金保君 ここまでは問題なかったんですが、この作業小委員会、本来は金沢委員長。ところがこの方が老齢であるし肺気腫。その後亡くなりました。病気のためにたった一回出て、後は森嶌さんが代行されたというところから実は問題が始まり、疑惑が深まってきたということになってくるんではないかと思います。
 で、森嶌代行のもとで行われた原案づくりの作業小委員会には法律学者と経済学者と行政経験者、こういうふうな人たちで、いわゆる医学の関係者が一人も入っていない。この作業小委員会の中に、特に名前は今申しませんが、いろいろ説明受けたけれどもよくわからなかったと言う学者もいるんです。これは専門でないからわからなかった。こういうところでいわゆる原案がまとめられたところに私は一番の一つのまず問題があったと思う。
 それからもう一つ、疑惑の二は、森嶌代行というのがそもそもどういう人か。これは経団連の中に事務所があって、経団連の資金援助で行っておる公害対策協力財団から研究費をもらっている、こういう関係にある人なんです。この人が代行で取りまとめにかかったところに二つ目の疑点が生まれてます。これは同僚議員がいろいろ御指摘したとおりです。
 そしてその段階では鈴木先生は、しばしば呼んで鈴木先生の意見を聞くと言いながらたった一回しかお呼びになってなかった。これも事実ですね。
#268
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の点順次お答え申し上げます。
 まず……
#269
○丸谷金保君 簡単でいい。
#270
○政府委員(目黒克己君) まず鈴木先生の御出席の点でございますが、一日一回、第一回目をかけまして鈴木先生からゆっくり専門委員会報告の概要について作業小委員会で聞きました。これは正確に申し上げますと二回目になるわけでございます。と申しますのは、専門部会で一回やっていただいてその上にさらに同じメンバーの先生が二回聞いたということでございます。
 それからわからないとおっしゃるその代行の問題でございますけれども、先生おっしゃるとおり金沢先生が御病気のために森嶌先生が代行としておやりになっていたのでございます。その間、鈴木先生を初めといたしまして、作業小委員会の中で専門委員会の委員の先生方といろいろな立場で御議論あるいは問い合わせ等をされながら作業を進めていたというふうに私ども理解をいたしておるところでございます。
#271
○丸谷金保君 ところがその後、鈴木先生は十月六日の作業小委員会に四月以降初めて出席している。その間ずうっと出ていないんです。いいですか。これ御当人が言っているんだから間違いございません。そして出てみて、最初に委員会が報告した案である局地汚染やそれから弱者の問題、これらが全く答申の原案に、趣旨がですよ、盛り込まれていないので大変ここで激怒されて、約三時間半のこの委員会で半分くらいをほとんどお使いになっていろいろ説明されたと、これじゃ困るということで。これも答申の中で反対の意見があったというふうなことからも事実でございますね。
#272
○政府委員(目黒克己君) 恐縮でございますが、激怒された云々というようなことを除きまして、鈴木先生が極めて強い御意見を出されたことは事実でございます。
 またその事実の中で、御意見、留意されている点を、鈴木先生の御意見を踏まえまして作業小委員会がつくりました答申原案が修正をされたのも事実でございます、
#273
○丸谷金保君 ところが、いいですか、十月六日の資料がどうしても出せない理由として巷間伝わっているのによれば、鈴木先生が非常に激怒されて、これは記録には激怒した顔色なんか出てこないと思いますけれども、長々と意見を申し上げたのに対して、法律は冷たいもんだと、もともと冷たいもんだと、あるいはあなたは偏向しているというふうなことを森嶌さんが言われたと。ここいら辺が出ているので十月六日の記録はなかなか出せないんじゃないかと。なぜならば、これだけたくさんの委員が記録を出せ出せ、出せ出せと言って出せない理由がそこにあるんではないかということは、昭和五十年の九月四日の総合部会の決定で、中公審の会議は「非公開を原則とし、当該会議が必要と認めた場合は公開とする。」、要するに記録もそうですわね。非公開のものは出さない、しかし、会議がこういう資料を公開してもいいということになれば公開できるような規則になっているんです。
 したがって先日来問題になっているようなことについては、本来は、局長が会長と相談した結果やはり出せないということになりましたということよりも、手続上はですよ、国会からの要求があって、少なくても委員長が要望したこういう重大な案件は、そこまでいった場合には、出すべきか出すべきでないかということはこの規則からいうと会議にかけなければならないものだと。しかし、いわゆるこういう隠れた部分で現在の提案されている法案に重大な影響を及ぼすようなことが出ている記録だから出せないんだ、こういうふうにみんな疑っているんです。いいですか。このことをまず申し上げておきます。疑っているんです。この出せる出せないの問題については改めて当委員会は一日かけてじっくり、法制局その他を呼んで、きょうも実はいろいろ呼んでいるんですが、時間の都合で各省庁お帰り願わなきゃならないところも出てまいりますが、そういうことであったということをまず申し上げておきます。
 この問題で一番特に今の公害病患者の会の方たちが心配していることは、認定患者が再発した場合にどういう措置をとるのかということなんで、この点ひとつしっかり御答弁願いたいと思います。
#274
○政府委員(目黒克己君) 認定患者が再発した場合にどのような措置をとるかということについてでございますが、健康を回復されました方々につきましては基金の事業で発症の予防や健康回復の措置をとっていくということにいたしておるのでございます。また特にこの回復後の健康確保あるいは発症予防に万全を期すために回復者フォローアップ事業等を行うこととしているのでございまして、この事業では、回復した方々に対しまして医師、保健婦によります定期的な訪問指導、健康診査、問診指導等を行うことといたしているのでございます。なお、万一発症いたしました場合にも、この回復者フォローアップ事業によりまして得られたデータによりまして的確な治療、訓練、指導が可能となる、このように私ども考えているところでございます。
#275
○丸谷金保君 発症後の健康回復者に対するアフターケアはどういうふうでしょうか。
#276
○政府委員(目黒克己君) 発症後の健康回復のフォローアップの事業の具体的なものでございますが、まず医療体制の整備による専門的な治療、保健所等におきますぜんそく健康相談それからぜんそくキャンプや水泳訓練等のリハビリテーション等も総合的に行ってまいる所存でございます。
#277
○丸谷金保君 随分盛りだくさんなようですがね。大臣、こういうことを今基金でやると言っていますが、こういう基金が足りなくなった場合にはどうするつもりですか。
#278
○政府委員(加藤陸美君) 基金の事業の実施に当たりましては事業費が不足することのないよう計画的に実施していく所存でございます。万一不足する場合には、基金への充当その他いろいろの工夫を講じて事業の万全を期するよう努めてまいります。
#279
○丸谷金保君 これはお金のことなので大臣に聞いたんですが、大臣、それでよろしゅうございますね。
#280
○国務大臣(稲村利幸君) 今企調局長の答弁のとおりしっかりやるつもりでございます。
#281
○丸谷金保君 それからもう一つ。先ほども出ておりましたけれども、患者の人たちの非常な不満の一つになかなか民の声が聞こえないというふうなことがあります。それで特にこの際、地域指定の解除を行うことになっておりますけれども、今後関係地方自治体の長が公聴会を開催するなど広く住民の意見を聞くこと、これは差し支えございませんね。
#282
○国務大臣(稲村利幸君) 改正法の実施の諸準備のため関係自治体で民意を反映するような手続をとることは差し支えございません。
#283
○丸谷金保君 総理がおいでになったんで総理に伺います。
 総理、昨日ノルウェーの国会議員さんたちがおいでになって、この環境関係の議員さんたちと懇談をしたときに、ノルウェーというのはもともと公害が非常に少ない国だと。もちろんそうですわね。ただし、それでも我々は大気汚染というのをグローバルな面で心配していますと。いわゆる地球規模で大気汚染ということを非常に心配していると。特に原発の問題がございましたし、それから砂漠化が進んでいる熱帯林の問題、こういうふうなことについて直接的に余り公害問題のない国の国会議員が心配しているということに私は大変敬意を表したのですが、総理も同様のお考えと思いますが、いかがでしょうか。
#284
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近の産業やら文明の進展に沿いまして公害が地球的規模で蔓延しつつある情勢はまことに憂慮すべきでございます。大気汚染の問題でも最近はフロンガスの問題が提起されてまいりました。それからノルウェーやスカンジナビアからドイツ、ソ連にかけて、あるいは北米、カナダにかけましても最近は酸性雨の被害がかなり出てきまして、これは森林に対するのみならず生物にもあるいは湖沼の中にあるプランクトンにも影響する、こういう状況のようでございます。また南の方では熱帯林が砂漠化していくという問題等もございます。海水の汚濁の問題も我々は注意しなければならぬところでございます。そういう意味におきまして、かけがえのない地球を全世界、全人類で大事にし合うということにさらに各国政府ともども協力し合って励行してまいりたいと思う次第でございます。
#285
○丸谷金保君 そういうお考えを持っている総理に、実は先年総理がパプアニューギニア、豪州等を訪問されたときに、パプアニューギニアで約六十億の経済援助で道路をつくると。これが日本の新聞にも当時出ていたのですが、日本の新聞では大変に歓迎されたような記事が出ている。しかし現地の新聞をとってみますと、外務省を通じて翻訳頼んでありますのでお手元に行っていると思いますが、中の記事によりますと、極めて形式的な歓迎ではあったけれども熱狂的なものではなかったというような記事も出ております。それはなぜかと。要するに、この道路に借款はしたけれども、その先で日本の企業が材木の切り出しをやっておって、その都合のための道路だというふうなことに対する冷ややかな現地の国民の印象があったのではないかというふうに思われてならないんです。
 日本の企業が今どんどん出ていって熱帯雨林を伐採している。こういうことに対して環境庁の方は、まあ、それでも最近の環境庁は、日本としてもそういう対外援助に関しては何とかしなきゃならぬというふうな開発援助における環境配慮の基本的な方向というものの検討を始めました。しかし、環境庁がこういう検討を始めていても総理のそういうスタンスではやはり問題があると思うんです。いかがでしょうか。
#286
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題は、当時のニューギニア政府から長年の懸案をぜひ解決してくれという強い要望がありましてそれにおこたえしたものなのであります。当時の政権はソマーレ政権で私も昔からよく知っておる方でございます。日本にも知己が非常に多いのです。ソマーレさんは太平洋戦争中はラバウルにおりまして、彼は私に英文の自伝をくれましたのでそれを読んでみますというと、当時ラバウルにあった日本軍にかわいがられたとかいろいろなヒストリーが書いてありました。非常な親日家であります。
 それでこのソマーレ政府は、ニューギニアというところはごらんのように真ん中に脊梁山脈のいわゆるスタンレー山脈が走って、約三千メートルから四千メートルぐらいの赤道の下でも雪があるところです。真ん中にこのスタンレー山脈があるがために北と南に全く分離してしまってそしてまるで別の国みたいになっている。種族間の交流もうまくいかない。そういう意味で飛行機は通っているけれどもどうしても道路が欲しい、国家の統一を完成するためには道路が基本なのだと、そういう切々としてそういうことを我々にも訴えたものでございます。我々も、環境問題というものは日本でもいろいろ注意しているところでございますから環境問題等にも注意をしながらそれでは長年の悲願におこたえいたしましょうというのでそのような借款をやったわけでございます。非常に歓迎されまして、当時のニューギニアの与野党ともに我々に対して感謝をしてくれたのでございます。その後政権が交代いたしましてソマーレ政権は倒れました。政局がかなり複雑な面もあるようでございます。私はパプアニューギニアが独立国家として一体感を持つために今でも皆さんはそれを欲しているだろう、そう思うのでございます。
 したがいまして新聞には多少いろんな、私まだ読んでないからわかりませんが、出ているかもしれませんが、やはり道路をつくって国が一体感を持つということはどの国でも欲しているんではないだろうか。我が国のように四通八達道路が発達している国でも代議士諸公は自分の国の道路をよくしようと思って懸命の努力をしておる。そのこと自体を考えてみてもニューギニアのような場合にはもっと切実ではないかと、そう思うのであります。
#287
○丸谷金保君 開発途上国に対してせっかく環境庁いろいろ考え方も持ってやっているようですから、総理喜ばれることは結構ですけれども水を差さないようにお願いしたいと思います。
 ところで、なぜパプアニューギニアのこういう新聞を私が持っているか。これは実は平和相互銀行問題なんです。平和相互銀行問題のときにとかくの話がございました。総理が行ったそのパプアニューギニアで平和相互銀行関連の事業が森林の伐採をやっておりましたね。それとの関連で私は実はあのとき調べたんです。しかしきょうはそういう方の関係の問題でないんで一つだけ申し上げておきます。
 昨年の五月の十六日の参議院の決算委員会で私の質問に対して総理は、平和相互銀行の関連企業から献金を受けたかというのに対して「私の後援団体の問題で大変恐縮でございましたが、赤字会社から政治資金が来ているという御指摘を受けまして、調べまして、三件御指摘をいただいたんですが、」というふうなことで、しかしこれは返したと、こういうふうにおっしゃっているんです。このとき初めて、不相関連の会社から総理の関係する政治団体が献金を受けていたということを総理の口から、それまではとかくのうわさはあったけれども、総理の口から出たのは初めてだということで当時の新聞でニュースになったことは御承知だと思うんです。それはお返しした、こういうことです。
 そこで、そういう場合にお返しすればいいんであれば、私は山東さんもここで謝ったんだからあれでよかったんじゃないかなと、こういうふうに実は思うんです。お返しして済むことであるならあれもついうっかりしたんだからと。やはりそうならないのが政治の世界です。山東委員長の問題のときに私はいろんな新聞からコメントを受けましたが、これは一応特別委員会だから委員会の互選ということになっている、今までの話し合いによってそれぞれの党が枠の中で選んできた人を互選することになっているので、それは自民党さんが出してきたんだから、自民党さんの問題だからコメントを差し控えるということでコメントしませんでした。
 そこで自民党の総理・総裁としての中曽根さんにお聞きするんですが、あれはお返しした、謝ったということだけは自民党内でやっぱり済ます問題ではなかったということですか。
#288
○国務大臣(中曽根康弘君) 昭和五十九年のお話のようで、丸谷さんが御質問になりましてお答えしたとおりでございまして、赤字会社であったというのは後でわかったわけです。黒字か赤字かというのはよくわからなかったんだが、赤字会社であるということがわかりましたのでそれはお返しをした、そういうことは御答弁申し上げたとおりです。しかし、いやしくも赤字会社からもらってはならぬというのにうかつにもそれを受領したということは落ち度でございますから、以後そういうことが起きないように戒めておる次第でございます。
#289
○丸谷金保君 それで山東さんの問題は、形は御自身がおやめになりました。しかしあれはそういうことでいいんでしょうかと聞いておるんです。自民党の総裁として、赤字に気がついてお返ししたから、それは明らかに公職選挙法には抵触するけれども返したからそれでいいんでないかと。同じようなスタンスなんですよ。いかがですか。そのことについての見解をお伺いしたいと思います。
#290
○国務大臣(中曽根康弘君) 山東さんは山東さん、中曽根は中曽根、別個の人格であります。事件もケースもまるっきり違うケースであります。私に関する限りは、先ほど申し上げましたように落ち度でございますから遺憾の意を表して戒めておる、そう申し上げたわけなのであります。
#291
○丸谷金保君 総理ね、総裁ですから山東さんは山東さんというわけにはいかないですよ、それは。それはちょっと総理・総裁としての御答弁としては受け取りかねるが、いかがですか。それでよろしいんですか。
#292
○国務大臣(中曽根康弘君) 山東さんは責任を感ぜられて委員長を辞されました。私は進退としては適切な進退であったと思います。みずからそれをおやりになったということはやっぱり政治家として処置を誤っていなかった、そう思います。山東さんは山東さん、中曽根は中曽根であります。
#293
○丸谷金保君 総理ね、上手に御答弁なさいますけれども、私の聞いているのは、自民党が推薦してきた候補としてここで互選したんです。いいですか。自民党の総裁として、それについて世間に対しては、山東さんは山東さんということだけでなく、私はコメント差し控えましたが、しかし、ここで総理はそのことについて何らかのコメントをしていただきたい。
#294
○国務大臣(中曽根康弘君) こういうことが起きたことは遺憾でございます。
#295
○丸谷金保君 すぐそう言っていただければこんなに回りくどい質問をしなくていいんです。それは自民党として遺憾なことだと、総理・総裁としても不徳のいたすところでしょう、そういう人を我々に出してきて。
 そこで総理、法文の中で、これは衆議院の岩垂議員の質問で、一番またみんなも心配しておることなんですが、再び著しい大気汚染が引き起こされた場合の再指定はどのように考えるのかというのに対する答弁があるんです。その後同僚議員はここでも再指定の問題をいろいろ聞きましたが、お役人さんの答弁は総理のようにすきっとした答弁でなくて酢だ、コンニャクだがつくんです。だんだん聞いていると、原発事故でもない限りないような万が一のそんなことだと。ところが聞いている方は、SOx、NOx、いろんな問題について、特にNOxがうんとひどくなったときどうかというふうな聞き方をしたんで、もう一度衆議院の答弁を総理の口から参議院でもお聞かせいただきたい。
#296
○国務大臣(中曽根康弘君) 科学的調査をやりまして、その結果事態が著しく悪化しまして憂慮すべきこういうような事態になった場合には再指定を行うということも辞するものではない、そういうように申し上げる次第でございます。
#297
○小川仁一君 中曽根総理、環境委員会に御出席、御苦労さまでございます。国会は十九日と、こういうことになっておりますが、国連総会へ御出席だそうでございますから。そして国会も終末へ着きましたから、衆議院では何回か御質問申し上げましたが、参議院へ参りましたのでこれが最初にして最後の御質問になるかもしれません。そういう意味でぜひ私の申し上げることにお答えを願いたいと思います。
 ただいま同僚丸谷議員からお話がありました。総理がこの前衆議院で、非常に憂慮すべき状態があったときは再指定その他を考える、こういうお言葉がございました。私はいろいろな関係から当初、科学的調査とかあるいは統計的な数字、こういったようなものが出た場合にお考えになるのかなという考えを持ちながらいろいろ考えておりましたら、これは私のあさはかな考えではなかったかと。非常に人間愛に富んでおられる総理は、人命は地球よりも重いというあの言葉にあるようなお考えの持ち主であろうと。日本国民の一人でも健康を損ない、あるいは命を失うという状況になったことを著しい大気汚染の状態とおっしゃっているのではないか、これこそが政治家として国民に対する深い愛情の表現であったんではないかと実は私思い直したんです。そうでなければ、一つの調査の結果が出るまでの間国民はNOxやSOxを含む大気汚染の中に暴露されて、著しい数字が出るまでの間人体実験をされることになってしまうんです。
 そうなりますと総理のお考えと事違うのではないか、そう考えて私は、最初に一つは、総理の深いお考えというのは、著しい結果というのは人命を損なうような結果、そういう状態をおっしゃっていたのではないかと考えたわけでございます。そしてもう一つは、このような大気汚染の中九千人の新しい患者があります。それが法律が出たからゼロになるという状況はあり得ない。法律は病気を九千からゼロにするなんという作用を持たない。むしろこの法律は非常に悪い政治の見本、悪い法律の見本だと思うんです。総理はこれからこの日本に新しい公害患者が一人も生じないというふうにお考えになってはいないと思います。環境庁長官も一人も生まれないということは否定なさいましたが、総理もそうお考えになっているとすれば、当然のことながらそういう患者に対して、今までの企業負担という形と変わった形で国が、政治が手を差し伸べるような行政措置をおとりになる、こういうお考えがあるのではないかと私はあの言葉の中から感じたのでありますが、お考えをお伺いします。
#298
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の法案の趣旨は、これからは特に予防と健康管理というものに重点を移行すべきときに来た、したがって予防、健康管理の方面についていろいろ新しい施策も展開をしていくと。それと同時に調査は引き続いて必要な地点については続行していく。その調査の中にはNOxはもとよりSO2も入るでしょうし、全般的に公害全体をにらむ、公衆衛生的観点も入りますし医学的なあるいは疫学的な観点も入るでしょう。そういうような面から調査を続けてそしてそのデータを常によくにらんでいく、そういうような総合的な結果をよく判定をした上で考えていく、そういうことになると思うのでございます。したがいまして予防と健康管理を中心に移行する時代に入った、そういうような考えでやるし、今まで迷惑を受けて、認定されてそれぞれの処理を受けておられた方々は引き続いてその処理を受けられる、そういうような考えに立って進めていこうとしておる次第なのでございます。
#299
○小川仁一君 私のあさはかな考えだったようでございますな。著しい状況の変化というのは人命を損なうような場合というふうに人間愛に燃える総理はお考えになっているのではないかと私は思ったんですが。この点もう一度御答弁願いたいと思います。
#300
○国務大臣(中曽根康弘君) データに基づいて、そしていろいろ先ほど申し上げたような観点からこれを調査をした上で、その上でこれは相当な障害でありかつまたこれは処置しなきゃならぬ、そういうふうに考えたときにそういう処理をすると。人命を損なうというようなときはもうもちろんやらなきゃならぬところであって、健康を維持していく上においてお医者さんが判定してみてこれはもうひどい、ほうっておいてはいかぬ、そういう健康管理上の観点からこれはやるべきで、人命云々というようなことはもとよりそれは考えなけりゃならぬし、その以前にこういう処理を行うべきものであるということは当然のことなのであります。
#301
○小川仁一君 そうすると、人命を損なうような事態があれば即刻政治が手を出す、こういうふうに私は理解をいたしまして、ぜひそのような状況を今後の環境行政の中でつくり出していただきたいと思います。
 もう一つお伺いしますが、去る二月の国連環境特別委員会東京会議で総理は大変すばらしい環境行政に対するお考えを述べられました。感服をして聞いておりました。同時に、日本の環境という課題を考えてまいりますと、この狭い日本の国土の中に原始的な自然林といったようなものは非常に数少なくなってまいりました。林野庁の独立採算がこの自然林を今切り倒すということで各地域で問題になっております。岩手県でも約五ヘクタールのところを六百万かで売ってブナ林が切り倒されております。知床もそして各地にあるわけです。
 この日本人が前から守ってきたいわゆる自然林、そこには貴重な動植物があります。天然記念物等によって保護されている部分もあります。それだけではありません。現在の遺伝子研究の専門家の人たちは、こういう原始林的なものには非常に豊富な遺伝子があってそれを守っていかなきゃならない、こういうふうにもおっしゃっているわけなんです。私これは自然林を守る多くの人たちの気持ちを代弁して申しますが、どうかせめで国立公園内だけは自然林を残していただきたい。総理のお答えを伺いたいと思います。
#302
○国務大臣(中曽根康弘君) 原生林の保護の重要性については全く私も同感でございます。ブナの原生林の保護の問題が各地で起こっておるようでございますが、やはり貴重な資源あるいは生態系の保持という面からも、ブナの問題だけではなくして全体の生態系というものにかかわるという観点にも立って大事にしていかなきゃならぬと思います。どの地点をどうするかということは、もちろん国立公園法の適用区域ということも頭に置きながらその場所その場所によって判定していくべきであると考えます。
#303
○小川仁一君 最後に、中曽根流と言われる政治、いわゆる審議会方式でございますが、これは国会の審議にとってはまことに困ったものでございました。審議会の会議録が出されないためにこの委員会でも再三紛糾したところでございます。こういったような専門家を集めて審議をなさることを我々は否定はいたしませんけれども、どうかそういう資料をぜひ国会議員に公開をしていただいて、立法府の一員としての責任を果たさすようなこれからの審議会その他の進め方をお願いをしておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#304
○国務大臣(中曽根康弘君) 審議会につきましてもいろいろな性格のものがあると思います。私が私の私的な研究団体、機関としてつくったものもございますし、法律に基づくいわゆる八条機関といわれる正規の審議会もございます。おのおのそれぞれの性格に従って適正に運用さるべきものであると思います。法律に従ってできましたものは国会の御賛成、御承認を得てできているもので、それはそれらの法律の趣旨に従って審議さるべきものであると思います。
 しかし、そういう審議会におきましては議事規則というようなものは審議会みずからがお決めになるのが例でございます。外から審議の方式まで拘束するということは越権のさたであります。したがいまして、審議会の皆さん方が一致してお決めになったルールは政府としても尊重せざるを得ない。大体審議会の皆さんのお答えを聞きますというと、諮問とかあるいは結果というものは必ず公表される。しかしその経過中の途中のいろいろな議論、個人的な議論というものは、それが途中で知られたり何かするというと、あるいは結果的にもたれが何を言ったというようなことが知られるというと実は審議の公正を害する、あるいは自由を害することも多い。そういうような点からそれは不公表というふうにしているのが通例でございます。しかしいずれにせよそれは審議会みずからがお決めになることであって、我々はそのルールは守っていかなければならぬ、政府としてはそういう立場をとらざるを得ないのだということを申し上げる次第でございます。
#305
○高桑栄松君 総理に質問をさせていただきます。総理は大変科学に強い、科学への認識が非常に深いと私は大変敬意を払うものでございます。ほかの委員も質問されたことでございますけれども、私も私の立場でもう一度質問をしたいんです。
 公健法の一部改正の趣旨説明の折に私が質疑をいたしましたときの総理の答弁は、科学的データに基づいて著しく限度を超すという段階になれば新しく認定することもあり得る、多分こうだったと思うんです。その場合の「著しく限度を超す」というのは患者のことを言っておられるのか、それとも環境条件のことを言っておられるのか、この辺をちょっと伺いたいと思うんです。
#306
○国務大臣(中曽根康弘君) これは高桑先生の御専門の領域で、私から御答弁申し上げるのも僭越でございますけれども、今後も調査を必要な地点については続ける、それでそのデータを参考にして判定をしていく。しかしデータというのは、数字だけじゃなくして公衆衛生の両全体、その地域の状況というものもやはり考うべきものではないんでしょうか。あるいは患者個人個人の皆さんの症状はもとよりそうでありますけれども、やはりNOxのような場合、特に自動車による排気ガスというような問題についてはその状況全般を把握するということも大事ではないかと私は思っております。
#307
○高桑栄松君 もう一つ、「著しく限度を超す」と、限度というのは科学的データで言うと何か条件なわけです。これは今までの環境基準のことをお考えなのかどうかということをもう一度承りたいんです。
#308
○政府委員(山内豊徳君) 総理がお答えになった場合のは必ずしも環境基準そのものをおっしゃっているものじゃないと私どもは理解しております。
#309
○高桑栄松君 そうするとこれは大変あいまいなことになっちゃうんですよね。やっぱり一つの目安としては例えば環境基準が再びオーバーしたとおっしゃろうとしているのか、何かなければ、著しく限度を超えるというのをだれがどのように判断するかという場合に困るわけです。現在は判断の基準として環境基準というものがあって、SO2の環境基準をクリアしている、しかもその半分ぐらいになって十年ぐらい継続しているからというのが非常に大きな理由だったと思うんですが、この場合はどうなのかというのをやっぱりちょっと伺いたいですね。
#310
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり主観的な恣意的な判定というものを排除するために、継続的にやられておる科学的データというものが一つの重要な判定資料になるであろうということは申し上げるまでもないと思うんです。
#311
○高桑栄松君 きょうは時間も節約しないといけませんのでその次に行きたいと思います。
 このときの再指定というか再認定、私はこれは恐らく同じような意味で地域の再指定そして再認定ということかなあと思いながらこれ総理の答弁を承ったんですが、それは自治体からの申請によるのか、患者の申請によるんでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。
#312
○政府委員(山内豊徳君) 総理が言っておられますのは、そういう具体的な制度そのものを想定しておっしゃったよりも、憂慮すべき事態になればそれ相応の対応をするということに重きを置いて御答弁いただいたものと私理解しております。
#313
○高桑栄松君 だから憂慮すべき事態の条件を本当は私知りたかったんですけれども、時間の都合もありますので先に行きたいと思います。
 ただいま小川委員の質問に対する総理の御答弁は、私も予防医学を専攻した人間でございますが、予防と健康管理に重点を移すと。私はこれはもう本当に大事だと思っているんです。これは地域指定解除とは別個なんですね、そのかわりにやるのではなくて、それはそれ、これはこれなんです。ですから常に予防そして健康管理に重点を置いていただきたいと。これはもう常にということであります。
 このところで総理がおっしゃったのをもう一度言わせていただきますと、SO2のことはおっしゃらなかったけれども、これは半分ぐらいになったんだということだと思うんです。今やNOxとそれから浮遊粒子状物質という大気汚染の段階に入ってきたんで総合的対策が必要だと、これもそのとおりだと思います。これに対して私は異議を申し立てているわけじゃなくて、それは明らかにそうであるし、中公審も専門委員会報告も、あるいは東京都の調査も公衆衛生関係の学者のリポートもすべて今都市型大気汚染がNOxそれから浮遊粒子状物質を含む総合的な複合汚染に移ってきたと。
 そこで私が力説をしたいのは、今の大気汚染は単体で考えているわけですね、汚染の物質の一つ一つで。しかし、今総理も認識されたようにそのとおりだと思うんですが、複合汚染の時代でございます。そういう新しい都市型汚染に入ってきた。そうすると私は、それの予防それの対策ということになると、一つの目安としてはやっぱり複合汚染の暫定的な基準を考えるガイドラインの設定がなければならぬと。それがなければ自由勝手にそうである、ないというだけになりますから、一つのガイドラインが要るはずだ。ですから例えば、総理にも初めて伺う点なんですが、SO2の環境基準があります、その二分の一になったら〇・五とする、NOxが二割減ったら〇・八とする、それから環境基準に対して浮遊粒子状物質が〇・七になったら〇・三と。全部足すと、〇・五と〇・八と〇・三なら一・六になると。三つならば一・五以上であれば一応オーバーしたんだとかですね。これは私の勝手に今申し上げたのは私の勝手な暫定的なガイドラインなんですが、これは法律でというのは大変面倒だと思うんですが、少なくとも対策のための目安としてのガイドラインを今もたなければ複合汚染に対する対応ができないんじゃないかと私は思います。いかがでしょうか。
#314
○政府委員(山内豊徳君) この点につきましてはかねがね従来の附帯決議の実施状況に絡んで御質問ございましたが、現行の環境基準そのものが実は現実の複合大気汚染の状況を前提にして決めていると、このことを私ども前提にするものですから、それぞれの環境基準を達成することで国民の健康保護を図ることができるという発想をとっておるわけでございます。しかし、確かに先生のおっしゃるようにすべての汚染物質についてこれを総合し引っくるめたガイドラインがあるかといえば、そこはなお今後私どもにもあるいは学界にも研究する余地はあるだろうと思いますが、現在の環境基準をそれぞれのものとして設定しているという前提を御理解いただければ、そこは一応私どもは環境基準という一つのガイドラインを持っていると御理解いただけるんじゃないかと思っております。
#315
○高桑栄松君 今の御説明について私は異議を申し立てたいと思います。複合汚染を前提にして単体を決めていない。あれはみんな単体単体で動物実験もやっているんですから。複合は偶然あるかもしれませんが、それは考慮に入っていません。今のは間違いですよ。学問的に今申し上げたんですけれどもね。それはやっぱり違います。
 そこで、全面指定解除というのは私は時期尚早であると。これは医学的立場から考えて疑問であるということを申し上げてあります。一つは、地域の環境汚染、つまり複合汚染なんですが、その条件を全く考えないでSO2だけで全面解除ということは明らかに間違いなわけですね、総合対策なんですから。大気汚染の公害健康被害というのはSO2健康被害ではございませんので、そういう意味では個別的に条件を検討して解除についての検討をすべきだ、当然そういうことはあり得ると私は思っております。ですから全面解除ではない、個別的な検討による個別解除を検討すべきであると思いますが、総理大臣いかがでしょうか。
#316
○政府委員(山内豊徳君) このことは私どももるる答弁しておりますように、中公審の答申は、現在の大気汚染の状況のもとではすべての指定地域を解除することがかえって制度を公正かつ合理的に運営するという判断を示しておられまして、我々もそれに従って法案を出している面がございます。今後は、もちろんこの大気汚染の防止対策とか健康被害予防のための事業を推進して先生の御指摘の点にも配慮した展開を図っていきたいというのが私どもの考えでございます。
#317
○高桑栄松君 実は今申し上げたのが、さっきの複合汚染のガイドラインというのが要るのではないかというのが個別的な解除のときに非常に一つのラインになるわけですね、だからそうでなければならぬのだと思います。
 そこでもう一つ。疾病と健康の関係というのは連続的なスペクトラムにあると。これはもう総理にも二度くらいかな申し上げてありますからよく御存じだと思うんです。小川委員もそんな質問をされておったわけですが、今まであった患者が突然ゼロになるということはないんです。それはもうだれでもそう思いますがね。したがって私は、これを法律によって全面解除することによってすべての新しい患者を否定してしまうということは医学的には考えられないということでありまして、その中間措置が要るのではないかと。だから、新しい患者に対して新しいカテゴリーを、そういう何か項目を入れて、例えば居住年数を三年であったのを何年かに長期の暴露を考えるとか、何かそういうことがあってもいいんではないかと思うんですね。総理大臣いかがでしょうか。
#318
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府としては、必要な地点に引き続いて継続的な科学的調査を続行していく、その結果を見つつ特に健康管理あるいは予防に対する対策を強化していくと。それらの濃度は状況により場所によっても違うだろうと思います、そういう意味におきまして機宜に応じた対策を特に予防や健康管理の面で行うと、そういうふうに考えてまいりたいと思うのであります。
#319
○広中和歌子君 総理に質問させていただきます。時間が限られておりますのでまとめて質問させていただきますが、総理は、本会議における公健法の一部を改正する法律案への高桑委員の反対質問に対しまして、現在の大気汚染はNOxや浮遊物が主体であり、自動車やバス、トラックなどの移動発生源によるものであると述べられましたが、こうした新たな状況に対して新たな大気汚染対策が立てられ、かつその費用の分担も見直されなければならないと思いますが、こうした考えに対してはどう思われますか。
 次に、車の排気ガスによる大気汚染を防止するための費用は、利用者、受益者が、つまり国民全体が負担すべきだという考え方に同意なさいますか。
 車を保有するに当たりまして我々は既に重量税だとかガソリン税などさまざまな形で国や地方自治体に税を払っておりますけれども、その大きな部分が公害予防対策あるいは被害者補償に利用されるべきだと思いますが、現在それが十分になされていると思われますか。
 そして最後に、公害寄与度の高い軽油に、つまりディーゼルエンジンを使う車ですけれども、そういう軽油に対して公害防止目的税をかけ、緩衝用緑地とか公害のひどい沿線住民を移動させるとかいったような費用に充てる、そのような考え方、つまり公害防止目的税をかけることについてどう思われますか。その四つの点についてお伺いいたします。
#320
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、公害対策に要する費用というものは汚染者が負担する、いわゆるPPPと前に申しましたが、それがまず大原則であります。自動車について見ますと、それについては排ガス処理装置などを装着することによって公害費用はある程度負担はしております。しかし最近の情勢を見ますと、自動車所有者の側からは非常なクレームがありまして、自動車重量税とか自動車の税金が余りに多過ぎる、もう少し自動車にかけないでほかのものから取れないものか、そういう苦情が非常にあります。確かに、柳町の辺とかを見ますと自動車にもうちょっと考えてもらっていいのかなという気もしないことはありませんが、しかし実際問題として、今の状況から見ると自動車に対するそういう負担というものは非常に高い、きつい程度で日本の場合は来ているように思うのであります。汚染者の負担が実態に応じて今後一層適切なものにするようにすることはやはり大事であると思いますから、今後ともその問題は検討し続けてまいりたいと思っております。
#321
○沓脱タケ子君 それでは総理にお伺いをいたします。
 御承知のように十万近い大気汚染の公害被害者の皆さん方が、この命綱の本法律がどうなるのかということで体の悪いところを押して連日連夜こうして傍聴にたくさんおいでになっておられるわけでございますが、この審議の過程を通じまして、四十一の指定地域全面解除、新規患者打ち切りをするのが妥当であるのか妥当でないのかという判断をする上で資料問題が今回の委員会審議の中で最大の問題点になりました。各委員からもいろいろと繰り返し繰り返し要求をしてまいったところでございます。
 そこでまず最初にこの問題について総理の御意見をお伺いしたいと思います。国会法第百四条におきましては「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は記録の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない。」という規定があります。国会が資料の提出を求めたときには行政府はその求めに応じるようにこの国会法には義務づけられておりますが、総理は、行政府の責任者としてこれを誠実に守っていただく意思がおありかどうか。まずそれを伺いたい。
#322
○国務大臣(中曽根康弘君) 国政調査権の発動の問題というものはよく今までも議論になったものでございます。いわゆる国会法百四条に基づく国政調査権の発動であるのかないのか、まずその認定の問題がございます。それから第二に、その発動があるかないかというような点も国会が御判断をなさることがまず最初でしょう。そういう意味におきましてこれは国会の問題でもある、そう感じております。
#323
○沓脱タケ子君 国会の意思であれば当然出すのが当たり前でしょう。そのことが大事なんです、一般論として。
#324
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、先ほど申し上げましたように審議会のルールという面がございまして、やはり政府としましては審議会のルールというものを尊重しなければならない。さもないと審議会自体が将来構成されないという危険性も出てくるわけであります。
#325
○沓脱タケ子君 私は時間がありませんからこの問題でるるやるわけにはいきませんけれども、御承知のように参議院の委員会の先例録二七五号にはちゃんと「内閣、官公署に対し報告又は記録の提出を求めるには、理事会の決定による場合又は委員会において委員の要求がありこれに別段異議もない場合は、成規の手続を省略して、委員長から直接これを行うのを例とする」というふうに明確にしてあるわけでございまして、本委員会では、去る九月二日に前委員長の山東昭子さんが委員会の冒頭でこの要求をお述べになったわけでございますから国会法百四条に基づく要求であるということは明らかでございます。
 ところが、こういう資料要求に対して環境庁は、中公審の取次役であるにもかかわらず中公審の意思だといって提出を拒否し続けているという状態になっています。これはもう大変ひどいことなので私はきのうも質問をしたら、加藤局長いわく、私は国会法百四条の要求と思わなかった、勝手に判断したなどと言っているんですが、これは勝手に一局長が判断すべき筋合いのものではないと思うんです。こういうことは侮辱だと思いますよ。そういう国会を侮辱するような態度をやめて当然賢科は提出をしていただきたいと思うのです。国政の最高議決機関であるこの国会の審議権と、さっきも総理は委員会あるいは審議会の御意思を尊重するとおっしゃったけれども、審議会の取り決めと国会法による決定とどちらが優先するのですか。私は、国会法に基づいて資料を提出していただくべきだと思いますが、御意見を賜りたいと思います。
#326
○政府委員(山内豊徳君) これは経緯がございますので、加藤局長もおりますが、私から答弁させていただきます。
 先ほど総理からも御答弁がございましたように、非公開を申し合わせている事態を尊重していただきたいということと、それから私どもそういう申し合わされたものを預かる者としてはやはりこれは国家公務員法上の守秘義務に係る点もございますので、その点をひたすら御理解いただきたいということで重ね重ね答弁しておるわけでございまして、その基本的な問題に私どもが意見を言うという立場にない段階、あるいはその段階でないというふうに理解しておりますので何とぞ御理解いただきたいと思います。
#327
○沓脱タケ子君 わずかな時間ですからまとめてお聞きしたいんですが、これほどこの委員会の審議を通じて各委員から資料要求、会議録の要求を繰り返し繰り返しやっておるのに、しかも、先ほど申し上げたように国会法第百四条に基づく要求になっているんですね。さっき先例録を読みましたけれども「理事会の決定による場合又は委員会において委員の要求がありこれに別段異議もない場合は、成規の手続を省略して、委員長から直接これを行うのを例とする」というんです。ちゃんとその先例に適合する形で要求をしてあるわけでございますが、言を左右にしてこの資料、会議録を出さないというのは一体何なのか。会議録を出したら四十一地域の指定解除あるいは新規患者の認定打ち切りということの結論がひっくり返るおそれがあるから出さないんだということしか考えられないじゃないですか。黒を白として振りかえているから資料が出せないんだということにしかならないんです。そうでないなら堂々とこの会議録を提出して堂々と審議に付すべきです。
#328
○国務大臣(中曽根康弘君) 委員会のことは各党の理事が御協議になりまして理事会でいろいろ運営のことをお願いしておるわけでございまして、理事会の御意見というものがどういうものでございますか、我々が聞いておる範囲内におきましては政府が答弁したような考えに立っておるわけでございます。
#329
○沓脱タケ子君 もう時間がありませんから総理にお聞きしますが、これだけ各委員が要求をし、しかも委員長を通して成規に要求する会議録さえ出さないということは、黒が白にすりかえられているんだなという重大な問題点を提起する結果になるんですよ。その点をひとつはっきりさせなきゃならないと思うんです。しかもその上に、こういうことのすりかえがやられて出せないというのにはそれなりの理由があるんだろうと。審議会の構成の不公正という点もさんざん問題になりましたね。極めて重要なんですよ、これは。
 御承知のように審議会の構成メンバーの中には患者代表だとか被害者の推薦する代表というのは頑として入れないんですね。ところが、加害企業の代表者である川鉄の会長の岩村さんが堂々と入っている。公正中立と称している学者の中にも、昨日の審議で私が指摘したように財界から金をもらっている御用学者の方がちゃんと入って、しかも答申のまとめ役の中心になっている。だから結論がひっくり返るんじゃないかという疑惑が出ているんです。
 私がこの問題について総理にお聞きをしたいのは、この審議会の委員については公害対策基本法二十八条二項で総理が任命をしておられるわけですね。だから、極めてこの不公正なやり方については総理に責任があると思うので特にお聞きをしたいんです。こういう不公正な構成のままで、しかも先ほどから申し上げているように黒か白かの結論が明らかになるであろうという会議録は出さない。そのままで十万人あるいはそれ以上のたくさんの公害被害者が打ち切られたら、命を断ち切られたらたまらないと思うからこそ総理の責任ある御意見をお聞きしたいわけでございます。
#330
○国務大臣(中曽根康弘君) 中公審の委員はいずれも公害対策に関する学識経験者の中から選任しております。私の記憶では専門家の中にはお医者さんがたしか九人入っていたと思います。そのような学識経験者によって患者さんの実態あるいは環境の状況等も踏まえて慎重に審議が行われたものでありまして、今後とも公正な審議が行われるものと考えておるわけでございます。
#331
○沓脱タケ子君 時間がありませんから最後にしたいと思いますけれども、こういうやり方で四十一地域の指定解除がやられ新規患者の認定が打ち切られるというふうな本当に非情なやり方がやられたら一体どうなるだろうかと私は思います。今こうして審議している中でもぜんそく発作を起こして苦痛にあえいでいる被害者がたくさんいるんです。そして私たちが審議をしているこの期間中にも何人もの患者さんが窒息死という苦しみを味わって亡くなっているんです。この法律をつくることによって明くる日から患者さんがなくなる、被害者がなくなるというふうなこんな大根を切るようなことにならないということはもうだれも周知です、よく知っておられます。私は医者の立場としてもそのことはよく知っています。
 しかし環境庁は、今までの答弁を聞いておりますと、いわく、割り切りでございます。机の上で割り切って絵を書くのは簡単ですよ。命を割り切られるわけにはいかぬのです。ですから、この被害地域に長年暴露されて苦労してきておられる被害者の方、再発の方そして発病のおくれた方、そして現在なお発病しているけれどもいろいろなことで申請を、認定を受けていらっしゃらない方、また申請主義だから制度を知らなくて今なお苦しんでいる方々、こういう方々をどうしたって救済しないわけにはいかない。法律が施行されたからあしたから患者さんがなくなるということは絶対にないんですから。
 その点についてはこれはひどいなと思ったのは、朝日新聞に出ておりましたけれども、倉敷では、認定患者だけれども、認定を受けたということを会社へ言うたら首になるかもしれない、あるいは認定を申請したいけれども、通勤証明を要求したら、何に使うんだと言われて、このために使うと言ったら、そんなことしたらあなたはもう会社へ来れなくなるよと言われて、まだ認定申請さえ受けていない人さえいる。こういうひどい実態の中で新しい患者は打ち切るという制度、こういう非人道的なやり方というのは断じて許すことはできないと思うのです。そういう点で同僚議員からもいろいろと御質疑が出ております。しかし頑としてやらないというのが今までの環境庁の態度です。やはり筋道の通ることは筋道を通すように対応するべきだと思うんです。
 私が総理にその点について最後にお伺いしたいと思うのは、よく調査をして、悪くなったらもう一遍再指定を考えてもいいというような御意見も出ているんだから、それなら今の被害者については筋の通るような対応をぜひやってもらいたいと思いますが、御見解を伺いたい。
#332
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の改正におきましても、既に認定を受けておられる患者さんの方々には従前どおり補償を行うということは前から申し上げているとおりです。それと同時に、健康被害を生じさせないように予防あるいは健康管理という点に重点を入れて今度はやるのだと申し上げているので、そういう患者さんを出さないように、仮にもそういう方が出てくるというような場合には十分健康管理を行うなり調査を行う、そして予防に万全を期する、そういう態度で臨んでまいりたいと思っておる次第なのでございます。
#333
○沓脱タケ子君 全然わからない。終わります。
#334
○山田勇君 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対して中曽根総理に何点かをお尋ねをいたします。
 まず第一点は、本法律の改正に当たって政府、環境庁の対応が画一的に過ぎたといいますか、関係地方自治体や患者の方々また地域住民に対しての十分な説明なり行き届いた対応がなされていなかったのではないかと思うのであります。本法律の改正、制度の見直しを必要と考えた時点からきちんとした対応を重ねてくるべきであったと考えます。政府の責任者として反省すべき点もあると思いますが、総理の御所見を伺っておきたいと思います。
#335
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の制度改正に当たりましては、改正の趣旨、内容について関係地方自治体を初め関係者にできるだけ説明を行いまして理解を得られるように努力してきた次第でございます。改正法案が成立した後におきましても、その施行に関して関係者に対する説明等を行うなど制度改正が円滑に実施できるよう今後とも最大限の努力をしてまいりたいと思います。
#336
○山田勇君 次に、今回の制度が見直されることによって新しく健康被害防止事業が行われるわけですが、その基金についてお尋ねをいたします。今後、公害から国民の生命、健康を守るため被害を予防するということがますます重要な課題になると考えます。ところが、その財源規模すなわち基金を見ますと、おおむね五百億円をめどとし、その運用益のおおよそ二十五億円を財源とする考えのようですが、事業内容を充実強化するため、また政府としての責任を明らかにするためにも国は財源面でももっと積極的な役割を果たすよう、総理は総理としてのリーダーシップを発揮すべきではないかと考えますが、この点はいかがでしょうか。
#337
○国務大臣(中曽根康弘君) 今お話しのように約五百億円、そのうち毎年二十五億円というものを使ってやろうとしておるわけでございますが、この基金による事業は大気汚染による健康被害を予防する上で重要な役割を果たすものと認識しております。この事業は環境庁長官の監督のもとに行われることとなりますが、基金事業が実効あるものとなるよう政府としても最大限の努力を行う所存でございます。
#338
○山田勇君 窒素酸化物の人体に与える影響については今後とも一層調査を充実強化させなければなりません。これに基づいて得られた科学的知見によって大気汚染による健康被害の状況がはっきりすれば、改めてその患者の認定また地域指定を行うと総理は約束をされておりますが、この点は大丈夫でしょうね。先ほど来各委員のお話を承っておってそういう点確認をしたと思います。また、環境庁が具体的に対応できるようきちんと指示をしていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
#339
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院で答弁しましたとおり政府としては公害問題に関する調査はこれを続け、その結果を見て必要に応じて適切な対応を行う所存であります。科学的調査の結果により非常に憂慮すべき状態が出てくれば当然再び指定することも含まれていると考えております。この点については環境庁長官にも十分よく指示しておるところでございます。
#340
○山田勇君 最後になりますが、中曽根総理も五年にわたって長期間政権を担ってきたわけであります。私などは昭和四十三年の議員ですが、総理は通産大臣そして防衛庁長官などいろんな大臣につかれました。その中で狂乱物価のときに私は、これから上がっていく物価についての見通しということで、総理が通産大臣のとき二十七品目にわたってパネルをつくって予算委員会に挑みました。総理は親切に、この二十七品目を山田さん全部答えるんですかという形の中で大変誠意ある御答弁をいただいた。またいろんな思い出が今あります。感慨ひとしおでございます。今後とも一層の御奮闘を祈ってやみません。
 そこで、総理御存じのとおりこの環境庁の予算というのは、国民の生命、健康を守るという国にとってはまさに基幹的な行政を担当している割には余りにも少ないんではないでしょうか。しかも、少額の調査研究という項目は多数ある割に具体的な対策のための予算が充実されていません。もちろん調査研究は必要でありますが、具体策にもっと力点を置くべきだと思います。また現在環境行政の後退を指摘する声も多いと聞いております。昭和四十年代前半私が初めて国政に携わったころは公害の発生状況は余りにもひどい状況であり、私も何度か現地を見て歩きました。現在は改善されたとはいえ、複合汚染、科学技術の発達に伴う新たな公害の発生などの対策や、また諸外国と協力して解決をしなければならない問題などで環境行政はますます重要になると考えます。
 この点、戦後政治の総決算を掲げられて総理になられた中曽根総理は、環境行政についても今後一層充実強化することを約束をされ、次の内閣にも明確に引き継ぎされるよう強く要望して私の質問を終わります。
#341
○国務大臣(中曽根康弘君) 環境行政は非常に重要な国務であると思っております用地味な行政でございますけれども、しかし人間の生命や地球の環境保持という面から考えてみますとゆるがせにできないほど重要な行政であると考えております。御趣旨に沿いまして今後とも環境庁を大事にし、環境行政を重視してまいりたいと思っています。特に環境汚染の未然防止あるいはさらに地球的規模の環境問題への挑戦、貢献を行うべきことは非常に多いのでございまして、御趣旨に沿って努力いたしたいと考えます。
 山田委員がお触れになりましたが、あなたからPCBについて非常に執拗なかっ適切な御質問をいただいたことをよく記憶しております。いろいろ御鞭撻をありがとうございました。
#342
○委員長(松尾官平君) 総理、御苦労さまでした。
#343
○丸谷金保君 実は総理の答弁が終わったら終結だというふうな話もありますけれども、そういう前例だということがありますけれども、前例というのは壊すためにあるんで、今までの答弁のうちで全然質問に対する答弁のないのがたくさんあるんです。これはもうこのままで終わらすわけにはいかないんです。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
それで特にその点について改めて問い直します。
 例えば我が党の小川委員が二日の日、中公審の議事録を公開しないのは国家秘密だからか、プライバシーの問題があるからかということで法的根拠について質問したのに対して、これに対する答弁はなかった。これはどういうわけですか。
#344
○政府委員(山内豊徳君) 当該審議会が公開しないことを申し合わせられてあることを前提に私ども申し上げておりますが、これは国家機密であるとかプライバシーというよりも、そういう秘密を申し合わされたものを事務局である我々公務員が守らなきゃいけないという点ではやはり守秘義務に係る秘密であるということで、それが私どもが出せない法的根拠になろうかと考えております。
#345
○丸谷金保君 そういう答弁漏れがたくさんあるんだ、こんなにあるんだよ。確認していかなきゃならぬ。
 それじゃね、中公審の議事録が非公開、法的根拠が守秘義務というならば、これを外部に漏らした場合の責任はだれが負うのかというのに対して、委員を尊重してそのような事態は考えたことがないと言うが、現にたくさん出ているじゃないの。それは犯人探しはだれがやるの。
#346
○政府委員(山内豊徳君) 今私は事務局である公務員の守秘義務を申し上げましたが、委員にもおっしゃるように非常勤の公務員としての守秘義務が係ります。ただし、これはどのような経緯で漏らされどのような意味で外部に出されたかを我々が突き詰め切れないことと、それからそれらの評価をどうするかについては確かに微妙な問題がございます。ただし、私ども事務局には公務員法上守秘義務が保ってくることは間違いございません。
#347
○丸谷金保君 それは特別職の公務員でも一般の公務員でも、守秘義務という法的根拠があればこれに違反した場合には罰則があるんだよ。そうでしょう。尊重して、そのような事態は考えたことがないと。現にあるのに考えたことがないってどういうことです。そういう場合があればやっぱり主務官庁としてはちゃんと調べてこれは報告してください。わからないとすれば大臣のあなたの責任だよ。守秘義務のある書類がどんどん出回っていて、だれが出したか責任者もわからないということになったら大臣の監督不行き届きだよ。
#348
○政府委員(山内豊徳君) そういうことがないように委員御自身にも注意していただくことを今後とも努力いたしたいと思います。確かに純粋の法律論としては非常勤の公務員として守秘義務がございますけれども、それを告発の手続をとるとか、あるいは被害を受けたと称する人が民事上の訴えを起こすかはこれまたそれなりの法的評価の問題はあろうと思っております。
#349
○丸谷金保君 それから同じく小川委員から、大気汚染測定器の設置場所は適切かということで新宿御苑それから牛込柳町の交差点を具体的に挙げたのに対して、これ答弁ないんだよ。全体として八割程度は適切であるという答弁なんだ。これ聞いたことに対する答弁になっていないでしょう。どうなんですか。
#350
○政府委員(山内豊徳君) ただいまの新宿御苑及び柳町交差点につきまして、八割程度は適当であるという答弁の中にやはり私ども入れて考えていたことは率直に認めます。
#351
○理事(曽根田郁夫君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#352
○理事(曽根田郁夫君) 速記起こして。
#353
○丸谷金保君 八割程度というのはこの二カ所の地点が八割程度効いているということかい。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
#354
○政府委員(山内豊徳君) 全体として八割程度は適切であると考えて答弁したはずでございますが、実はこの二カ所も適切と考えている方の八割のグループに入っておると考えております。
#355
○丸谷金保君 NOxの複合汚染に係る附帯決議の実施状況はどうかという小川委員の質問に対してはこれ答弁がないんだ。どういうわけですか。
#356
○政府委員(山内豊徳君) これは先ほど高桑先生の御質問に答えたことにも絡むのでございますが、現在の環境基準は複合汚染の問題を全然抜きにしてはいないということを私ども考えております。もちろんその附帯決議の趣旨に即してなおそれをきわめる責任はあろうかと思いますが、今の環境基準で私どもは対応できている面もあるという考え方をとっているということで答弁したつもりでおります。
#357
○丸谷金保君 ちょっとそれじゃ答弁にならないんだけれどもね。具体的にどうだということを聞いているんで、どこまでやった、どういうことをやったということを質問者は聞いているんだよね。そういう抽象的な答弁じゃ答弁にならぬじゃないか。
#358
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 複合汚染にかかわる附帯決議の実施状況でございますが、複合汚染と申しますのは恐らくSO2それからNOx、SPMの三つの物質についての汚染の状況に対する対策というお尋ねかと思っております。そういう面で私どもとしては、NOx対策につきまして簡単に申し上げますと、単体対策あるいは固定発生源対策それから流通対策という形で御説明を申し上げたつもりでございます。それからSPM、浮遊粒子状物質につきましては、ばい煙発生施設、粉じんそれから自動車対策というようなことで概略その中身につきましての御説明を申し上げたつもりでございましたが、そういう面での説明が舌足らずであったことについてはおわび申し上げます。
#359
○丸谷金保君 同じく、これたくさんあるんだよね、小川委員の。
 主要幹線道路沿道に二十分もいれば気分が悪くなる。これは実際にあそこへ行ってみてそうなんです。この間現地調査もしてみていろいろそういう意見を聞きました。これに対して、快適とは言えないが直ちに病気になるわけではない、こう答弁していますね。間違いないですね。
#360
○政府委員(長谷川慧重君) 正確な表現は議事録を見ませんとわかりませんけれども、私が申し上げました意味は、環境基準を超えているからといって直ちに病気になることはありませんと。環境基準を超えている場所では望ましい環境の状況でないとは承知いたしておりますが、それがどの程度健康影響があるかについてはなかなか答えが難しゅうございますと。いずれにしましても、できるだけ早期に環境基準が達成されるよう努力をしてまいりたいというぐあいに申し上げたつもりでございます。
#361
○丸谷金保君 質問者は、具体的に主要幹線道路のああいうところに二十分もいれば気分が悪くなる、こういう表現をしているんです。気分が悪くなる、これは病気なのか。環境基準がどうだこうだからそれは直ちに病気になるというわけではないということじゃないの。いいですか、二十分もいたら気分が悪くなると、NOx、複合汚染がひどくてね。これは病気でないのかと。そうしたら、直ちに病気だとは言えないと言っていますわね。
 それで厚生省ね、五年くらい前かの予算委員会で私は、当時の鈴木総理それから渡辺大蔵大臣、河本経企庁長官がちょうど三人並んでいたから聞いたことがあるんです。二日酔いは病気かと。鈴木総理はこれは病気でないだろうと。夏ばては病気かと。これは病気でないと。こういうふうに例示を挙げていったの。そうしたらみんな病気でないと言うんだよ、これ。ところが厚生大臣は後ろからメモをもらって、二日酔いというのは急性肝臓何とかかんとか病だと、こう言うんだよ。総理の言うのと違うんだよ。
 だから、ここでもう気分が悪くなったら病気でしょう、厚生省で言えば。どうですか。
#362
○政府委員(竹中浩治君) 病気という言葉あるいは疾病という言葉がございますが、なかなかその定義というのは難しい点がございます。健康状態から著しく異なった状態が持続することというのが一般的な定義でございます。したがいまして今お話しの場合に、著しく異なった状態かあるいはまた継続した状態かということになるわけでございまして、最終的にはやはり個々の患者さんを個別に判断せざるを得ない、一般論ではなかなか難しいと思っております。
#363
○丸谷金保君 そのときには個別に判断しないで慌てて厚生大臣が病気だと言ったんだよ。いいですか、二日酔いなんというのは何日も続きますか。続かないでしょう、普通の個人では。継続的ではないんだよ。どうですか。これは今のあなたの答弁からいくと病気でないという環境庁の答弁に限りなく近い答弁なんだ。
#364
○政府委員(竹中浩治君) 二日酔い、夏はての例が出ておりますが、これも今定義のところで申し上げましたように状況が著しく悪いかあるいは非常に軽いか、それから継続、持続という問題がございますけれども、これも一日単位で考えるということかあるいはまた何時間ということかいろいろあろうかと思います。したがいまして二日酔い、夏はてについて申し上げますと、非常に重症と申しますか非常にその状態が強いという場合にはやはり病気と考えて、例えば私どもで言えば健康保険の対象になってくるし、それが非常に軽く短時間でもとに戻ってしまったというような場合には病気あるいは疾病とは考える必要はないんではなかろうかと思っております。
#365
○丸谷金保君 病気は病気と早く認めなさいよ、そうすれば先へ進めるのに。あなたね、鈴木総理は二日酔いなんか病気でないと、こう言ったんだよ。すぐ治っちゃうんだよ、昼ぐらいになりゃ、大体朝頭が痛くても。夏はてなんというのでも梅酒でも飲めばよくなるというふうな調子でふっと吹っ切れる。こういう細かいものも全部病気だと。
 例えば具体的に、NOxのひどいところにいて急にのどが痛くなったと、これはやっぱり病気でないの、のどが痛くなるのは。
#366
○政府委員(竹中浩治君) これもなかなか一言でお答えしにくいわけでございますが、通例のどが痛いというような場合には一般的にその症状が持続をすると思います。
#367
○丸谷金保君 二日酔いは通常的に続かないから二日酔いと言うんだよ。続けば慢性の肝臓病だよ。今私がここで特にこれを問題にするのは、直ちに病気になるわけでなくてもそのときにもう体は悪くなっているんだ、ちょっとでも。そうして病気になって治って病気になって治っての繰り返しの中で公害病患者というのは本物の病気と認定されるようになるんだけれども、厚生省の考えで言えばちょっとでも悪けりゃそれは病気と言うんだよ。今度国会記録もう一遍読んでごらんなさい。おたくの厚生大臣が、慌てて事務方からもらったやつを見てそれは病気ですとやったんだから。食い違いの答弁やったの。いいですか。だから僕は、こういう直ちに病気になるわけでないなんという考え方を厚生省が持っていたらとんでもないということなんです。繰り返してもしようがないから先へ進みます。
 それから今度は、十六日の小川さんの分だけ先にまずやっちゃいたいと思いますけれども、今後一人の公害患者も発生しないと考えるのかというのに対して、大気汚染が原因であるかどうかは定かでないが公害患者は出る可能性があるという長官は答弁をしているんです。そうすると長官ね、大気汚染を問題にしているときに大気汚染かどうかわからない公害患者というのはどういうのがいるんですか。出る可能性はあると言うんだから、じゃ別な公害患者はどんなのですか。
#368
○政府委員(目黒克己君) 今の御質問のものは直ちに公害かどうか――この第一種指定地域の病気は多原因でございますので、先ほど絵等で御説明申し上げましたとおり、いろいろな原因があるという趣旨の中でその原因のことを明らかに否定できないものもあるというような審議会の答申の中にあることを受けまして、私どもそのようなものの可能性も否定できない、こういう趣旨で申し上げたと私理解しているのでございます。
#369
○国務大臣(稲村利幸君) 丸谷先生の今の御質問は私に対して再度ですが、今部長が答弁したように大気だけでなく多原因があるというつもりで答弁をさせていただきました。
#370
○丸谷金保君 だからその多原因というのは何だと聞いているんです。
#371
○国務大臣(稲村利幸君) 最近言われているところのダニとかカビとかでもそういうふうな病気になるという調査を頭に置いて言いました。
#372
○丸谷金保君 そうしますと、これはきのうの読売の夕刊ですが、有害物質は家庭も発生源だ、こういう新しいアメリカの一つのデータが出てきました。そうするとこういうものも公害というふうにみなしていいんですか、ダニだとかそういうことを言うと。これはみんな公害なんですか、家庭内のたばこ、塗料、洗剤や建築材料というふうなもの。そうするとダニもそういう家庭内で出る公害ですか。公害じゃないでしょう、家庭内のダニというやつは。ここでは公害患者のことを言ってるんでしょう。
#373
○政府委員(目黒克己君) 先ほど来御説明申し上げておりますように公害健康被害補償法に基づきます公害患者というものにつきましては、一定の要件でもって指定地域におる者についてはこれは公害患者である、こういうふうに決めておるのでございます。したがいまして、幾つかの原因がありましてもその指定地域にある限りはいろいろな原因の中でそれを公害患者と認めでおったのでございます。そういう意味から申し上げますならば、仮にたとえ、わかりませんけれども、仮に今先生御指摘の家庭内の、NOxは家庭内で火をたけばすぐ出てまいりますから、NOxのようなものがあったといたしましても、あるいはカビ等があったといたしましても、ぜんそく等の認定の病気になればこれはすべて公害患者、こういうことで公害健康被害補償法では認定している、こういう趣旨でお答え申し上げたつもりでございます。
#374
○丸谷金保君 あのね、もう少しちゃんと聞いてやってください。今後一人の公害患者も発生しないと考えるかというのは、この法案が通って地域指定が外れたときのことを聞いているんだよ。いいですか。あなたの答弁というのはまだこれから今の法律が続く答弁でしょう。そんなもの答弁になっているかい。
#375
○政府委員(山内豊徳君) 確かに、先生御指摘の長官の答弁は公害患者という言葉を広く使っておられると思います。したがいまして、今の部長の答弁ちょっと先生の御指摘の点にずれている点は私も率直に認めますが、しかし、絶対に出る可能性はないかという点についての強いお尋ねがあったので、それはないように万全を期したいけれども、可能性をここで否定してしまうわけにいかないという気持ちを込めて長官は答弁しておりますこともあわせて御理解いただきたいと思います。
#376
○丸谷金保君 だからダニとかそんなことでごまかしたってだめよ。聞いている質問者の趣旨というのは違うんだから。いいですか。それで具体的な可能性はあるかと聞いたんだよ。具体的な可能性はあると言うんだから。
 それからこれなんかもそうなんだ。中公審の委員が審議の内容をジュリスト八百七十七号に発言したことは守秘義務違反に当たるかということで質問が出ている。ケース・バイ・ケースだという答弁です。ケース・バイ・ケースって、これはちゃんとジュリストの八百七十七号で発言したのはどうかと聞いているんだから、この場合にはケース・バイ・ケースはないんだよ。これはどうなんだということを聞いているのにケース・バイ・ケースだと言うんだから、答弁になっていないじゃないか。
#377
○政府委員(山内豊徳君) 確かにこのときの答弁は私も聞いておりましたが、局長が一般的な意味でケース・バイ・ケースと申し上げたのはそのとおりでございますが、これは私先ほどもちょっと申し上げましたように、我々一般公務員の場合、守秘義務にかかわることは形式的に一般にかかわるんですが、それを漏えいしたことになるかならぬかとか、あるいは漏らした場合にどのような利益の侵害があったかということで、場合によっては、先生先ほどおっしゃいましたように罰則に係る、告発手続の要るような場合もございます。あるいはそれによってみだりに自分の利益を損なわれたと思う者が民法上の訴訟を起こすこともあるわけでございますから、加藤局長の答弁は、その守秘義務違反になるかならぬかは、確かに形式論も必要かもしれないけれども、そういった法益のバランスでどうしてもケース・バイ・ケースで判断をせざるを得なくなるんじゃないかというつもりで申し上げたので御理解いただきたいと思います。
#378
○丸谷金保君 具体的な質問をして、これはどうなんだと聞いたのに対してケース・バイ・ケースということはないんだよ。いいですか。それは答弁になってないでしょう。これはどうなんだと聞いたんだよ、具体的な問題で。ジュリストの八百七十七号、これはどうなんだと。そうしたら、これは守秘義務違反になるかならぬかどっちかですよ、現物見て。どっちかでしょう。ケース・バイ・ケースというのは、いろんなことがあった場合に、なる場合もある、ならない場合もあるということなんですね。そうしたらちゃんと答えなさいよ。
#379
○政府委員(山内豊徳君) 私も法律学を修めておるんでございますが、私ども行政当局が、今確かに御指摘なさったのはジュリストの具体的な号のことでございますが、このくだりはなる、これはならないということを最終的に判断するのは、やはり立場といいますか能力というか、権限がない面もございますので、やはり、そのことによって侵害された利益について訴えがあった場合に判断をするということになるんじゃないかと。そこは、私もあの座談会全部読んでおるんでございますが、あれから直ちに非常勤一般公務員の守秘義務違反を通じるという論理をすることはちょっと私自身自信を持てない点もございます。
#380
○丸谷金保君 最初から自信がないんだからそう答えてくれればいいのに、ケース・パイ・ケースでございますなんと言うのはごまかしなんだよ。最終的な判断は裁判所がやるんだから、それをあなたたちはいかにも自分たちのところで……。それは私たちにはとても手に負えませんと言えばいいんだよ。それをごまかしてケース・バイ・ケースなんてうまいことを言って逃げようとするから答弁にならないの。今のようにあっさり頭を下げればわかるのよ。そうなんだから、あなたたちが決められるわけないでしょう。
 それから今度は一井委員の、大気汚染に強い年齢層と弱い年齢層があるのかどうか、環境庁は調査したことがあるのかというのに対して、環境庁の調査には老人も入っていると答えているんですね。これは強い年齢層と弱い年齢層と言っているんでね、老人について調査したことがあるのかという質問でないんです。老人も入っていると。こういうのはやっぱりすりかえ答弁というんだよ。もう一回質問に対して答えてください。
#381
○政府委員(山内豊徳君) 御指摘のとおりのような答弁をしております。それは通常弱い層ではないかと思われる老人、そのほか若年層も入っておりますが、入っておるということで答弁は済ましておるわけでございますが、先生御指摘のようにそういう年齢層があるかどうかについての、それをテーマにする調査をしたのかという御質問に対しては、そのことだけを目的にした調査はやっぱりやっていないと答えるべきであったと思っております。
#382
○丸谷金保君 老人というのは環境庁では何歳からですか。
#383
○政府委員(山内豊徳君) 環境庁は老人一般を定義しておりませんが、この調査では六十五歳以上の調査対象者を老人として答弁したつもりでございます。
#384
○丸谷金保君 ようやく正解だわ。老齢者という場合には六十以上だよね、厚生省の方の表現ではね。やっぱりこういう言葉はきちっと使わないとね。そうするとこれは六十五歳以上の調査はしておりますというふうに言った方がもっと親切だし、それから若年、弱い年齢層というのは子供も入るんですが、子供についてはどうなんですか。
#385
○政府委員(目黒克己君) 学童期の者については入れているのでございます。
#386
○丸谷金保君 乳幼児は。
#387
○政府委員(目黒克己君) 乳幼児については入ってないのでございます。
#388
○丸谷金保君 それが先ほど指摘した鈴木さんの弱者の問題なんです。いいですか。やっぱり小さい子供なんかとうんとお年寄りが一番SOx、NOx、複合汚染というふうな関係で一番問題なのに、それが指摘されているように入ってない、調査はしているけれども。実際にはそこのところは、もうごくわずかの何か百万人に数人くらいしかないような病気のあれをとってきて、アルファ・ワン・アンチトリプシンですか、こんな外国にはあるが日本にはほとんどないようなこういうのがあるからということで、それで鈴木先生は怒ったというんだよ。こういう記録も、ちょっと時間が長くなるから言わないけれども。いろいろ問題まだあるんです。
 それから同じく一井委員の、中公審答申に言う地域指定が合理的であるための二要件はどこから出てきたものか論拠を示せと。これに対しては、専門委員会報告を踏まえて出したと、こういう答弁がありますね。ところが、専門委員会報告には二要件の論議は記載されていないでしょう。知らないと思ってこういううその答弁しちゃいけないですよ。どうなんですか。
#389
○政府委員(山内豊徳君) ただいまの点、二要件については制度発足当時から議論されていたことをこの審議会の場でまとめたものでありまして、専門委員会の報告の中身でそれが触れられたものではないことは御指摘のとおりでございます。
#390
○丸谷金保君 じゃ、どうして専門委員会の報告を踏まえてになるの。踏まえてないんじゃないか。中に入ってないんだもの、踏まえようがないんじゃないか。
#391
○政府委員(山内豊徳君) その点、私先ほどいただきまして議事録をまだ精査しておりませんが、答申全体の合理性を言うために、恐らくこれは部長答弁だと思うんでございますが、全体のことを説明する過程で専門委員会報告を踏まえてそういうことになったと申し上げたんだと思います。そこは私が先ほど確認しましたら、この二要件というのは、制度発足当時から一般的に関係者の間で議論されていたことを文章でまとめただけであると言っております。
#392
○丸谷金保君 今のあれでよくわかりましたけれども、踏まえてじゃないんだね。これは前の答弁間違いですな。
 それからこれは広中委員の、集合住宅に空気浄化装置は義務づけられているのかというのに対して建設省答弁してないんだ、建設省どうして答弁しなかったのか。建設省来ているでしょう。この種質問をするということを言ってあったんだから、だれだれだれだれにと。そして建設省も呼んであったはずなんだが。――それじゃかわって……。
#393
○政府委員(山内豊徳君) これは通告あったかどうか、ちょっと私の答弁の限りじゃございませんが。
 私の知っております知識で申し上げたいんでございますが、すべての集合住宅に空気浄化装置の義務づけはないと思いますが、厚生省の所管する法令でビル管理法というものがございます。多数の者が居住したり通勤する場所にはある種の空気の基準はございますので、相当大きなものであれば浄化装置を義務づけられている面がございます。
#394
○丸谷金保君 わかりました。
 これは田渕委員の質問、一気に全面解除はむちゃではないかと。朝日新聞の水島コンビナートにおける隠れ患者の事例を示してこれを言ったんです。これに対して答弁は、中公審で三年余の審議を経た答申に基づく割り切りであって、ベストとは言えないがベターだと思うと。これは長官の答弁ですね。私も聞いていました。ベターだと言いましたね。じゃ、ベストはどういう施策を言うのか。これは明らかになっていない。まことにさわやかにベストではないけれどもベターだと。何となくなるほどという感じはするけれども、具体的な事例を示して聞いたんだからやっぱりベストというのはどういうのだということを言ってくれないと。
#395
○国務大臣(稲村利幸君) 私が言わんとしたそのベストというのは、理想的、完璧とまではいかないがと、こう言おうとしたのでございます。
#396
○丸谷金保君 ベストというのはどういうのだと聞いているんですよ。具体的にこういうのをベストと言いますというんでないとね。
#397
○政府委員(山内豊徳君) お許しいただければ……。この答弁を私そばで聞いておりましたが、今大臣申しましたように理想的、完璧ということをベストとすればそれはなかなか、やはり目に示して口で言えないところに完璧、理想たるゆえんもあるわけでございますから、あくまで中公審で三年余にわたって御審議をいただいてベターなものということをこのときに答弁しておられるわけでございます。そういう意味で、これがベストでこれがベターだということを手の上に載せて見せることはできないまあ理想、完璧なものというおつもりでおっしゃったと。今も大臣が言っておりますので御理解いただけないかと思います。
#398
○丸谷金保君 まあ、御理解いただけないけれども、今度は、人のばっかりじゃなく自分のもやらなければならないんで。
 先ほども、十月六日の作業小委員会の中で森嶌さんは経団連のまさに代弁のような発言をずっとやっているんですが、この中で、私は法律は冷えたものだということ、鈴木さんの答弁に対してそういう茶々を入れたのと、先生の発言はバイアスがかかっていると。バイアスというのは偏向ということだね。患者側に偏向しているというふうなこと至言っているというふうに伺っているんですが、これは記録そのものかどうかではなくても、答弁の中では正確に答弁するとなっているんですよね。こういうことは言ってるんですか言ってないんですか。これが何かもやもやとなって。ここら辺が一番のポイントなんで。
#399
○政府委員(目黒克己君) 御指摘の名前を挙げたことに対する御答弁ということについてはなかなか私も直接申し上げられない面があったのでございますけれども、法的な問題と医学の問題については先生のおっしゃった御趣旨の質疑があったのでございます。
#400
○丸谷金保君 先生のおっしゃった御趣旨ってね、これ禅問答みたいなことになっちゃってね。あったのかなかったのかということを聞いたら、それは人の名前を挙げたら言えないと。こういうところにやっぱり部会の資料を出さなければ進まないという一番のポイントがあるんだよ。いいですか。もう一回言ってください。
#401
○政府委員(山内豊徳君) 今部長が答弁しましたのは、先生がそのとき、また今も読み上げられたような趣旨の議論があったことは認めざるを得ないという答弁をしておるわけでございます。
#402
○丸谷金保君 認めざるを得ないというのならわかりました。それならわかるんです。認めざるを得ないという日本語はそのまま受け取ればそれは認めたということなんです。そうなんですよ。
 これらはまだいろいろ問題を残しておりますけれども、以上、そういう点を明らかにして一応私の補足質問を終わらせていただきます。
#403
○委員長(松尾官平君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。(「反対、委員長不信任の動議を提出します」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
 御静粛に願います。
 御異議があるようですから、これより挙手により採決を行います。
 本案に対する質疑を終局することに賛成の方の挙手を願います。(「反対だ、横暴だ」と呼ぶ者あり)
   〔賛成者挙手〕
#404
○委員長(松尾官平君) 多数と認めます。よって、本案に対する質疑は終局することに決定いたしました。
 本案の修正について曽根田君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。曽根田君。(発言する者あり)
#405
○曽根田郁夫君 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となっております公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその内容について御説明申し上げます。(発言する者あり)
 本法律案の実施については、その準備期間の必要性を考慮して、公布の日から起算して三月を超え六月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することにしております。
 以上が本修正案を提出する理由と内容であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をいただくようお願いいたします。
#406
○委員長(松尾官平君) ただいまの曽根田君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。稲村環境庁長官。(発言する者あり)
 御静粛に願わなければ退場を命ずることになります。(「委員長、ちょっと待ってくれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)衛視、傍聴人を退場。
#407
○国務大臣(稲村利幸君) 公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する自由民主党提出の修正案については、政府としてはやむを得ないものと考えます。
#408
○委員長(松尾官平君) それでは、ただいまの修正案に対し、丸谷君から質疑の通告がございますので、これを許します。丸谷君。
#409
○丸谷金保君 今緊急動議が出ているということですが、この緊急動議は成立しているのかどうか、事務局の方でひとつ精査してください。これが成立しているかどうかということをちょっと聞かしてください。(「不信任動議が出ているんだから委員長おかわりなさい」「動議が出たらすぐ取り上げるのが議事規則なんだ」と呼ぶ者あり)
#410
○委員長(松尾官平君) 御静粛に。
 ただいまの動議のようなものはあらかじめ文書で提出していただくことになっております。予定した議事を続けます。
 それでは、ただいまの修正案に対し、丸谷君から質疑の通告がございますので、これを許します。丸谷君。
#411
○丸谷金保君 修正条文について質問いたします。
 「三月を超え六月を超えない範囲内で政令で定める日から施行する」と修正案ではなっているが、事務的準備その他で三月では無理だと思うので、五月を超え六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すると理解してよいか。
#412
○国務大臣(稲村利幸君) そのとおりであります。
#413
○委員長(松尾官平君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。(発言する者あり)
 渡辺君、ちょっとお待ち願います。
 衛視、傍聴席を整理して。発言をしている方は退場させてください。(発言する者あり)
 議事を進行します。渡辺四郎君。
#414
○渡辺四郎君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、今議題となっております公害健康被害補償法改正案に対し……(発言する者あり)
#415
○委員長(松尾官平君) 静粛に願います。
#416
○渡辺四郎君 反対の立場で今からその理由を申し上げます。今日まで議論してまいりましたが、本改正案に対して私は、議会制民主主義のルールを知りながらあえて今採決で決めることにまず反対です。以下その理由を申し上げます。
 その第一は、本改正案審議に際し、その議論の経過を知るために会議録あるいは議事録の提出を再三にわたり要求し、国会法第百四条に基づく国会調査権まで議論しながら求めたにもかかわらず本日まで提出をされなかったわけです。そのことが原因で委員の質問と政府側の答弁で一致点を見出すことができず、法案審議の前よりもより不信が増してきたことを私は非常に実は残念でなりません。立法府である国会審議に法律改正の基本ともなる審議の経過あるいは専門的な知見を含めた研究の討議の議事録、会議録が提出をされなければ、国会は、結論として準備をされた法律案のみによって審議をする以外にないわけです。そのことはやはり国会審議権すら制限をする行為と言わざるを得ません。このことをまず強く私は指摘をしておきたい。
 私は質問の中でも申し上げてまいりましたが、公的機関である審議会は公開が原則であり、議事録等は何も秘密事項であってはならない。このことは先ほど総理も、前置きはありましたが、いわゆる審議会そのもので議論はするけれども、審議の過程の中では場合によっては出せないことがあるかもしれないと。私も質問の中で、利害関係があるかもしれないから審議の途中では公開できなくとも、結論としてまとまった後はやはり出すべきだということを再三にわたって申し上げてまいりました。そういう中でやはり政治というのは公開であることが原則だということも強く指摘してまいりました。この議事録自身が何も秘密書類でないということを私は明らかにしておきたい。今後、国会の重要問題ですからこの部分については徹底して議論をしていかなければ日本の議会制民主主義そのものが危機にさらされてくるんではないか、そういう危惧すら実はしておるところです。(発言する者あり)
#417
○委員長(松尾官平君) 御静粛に願います。
#418
○渡辺四郎君 今国民が政治に何を求めておるのか、この視点からも大きな問題を残したということをあえて申し上げておきたいというふうに思っております。
 次に、本日まで多くの委員から改正案について問題点が指摘をされました。その中で、政府からの答弁でどうしても私自身理解に苦しむことは、現状の大気汚染の中には、減少はしたとはいえSOxそのものは依然として残っておる。そのほか、かなり以前から車の排ガスを含めた複合汚染で年約九千人の新認定患者がふえておる。このような大気複合汚染の現状にありながら本改正案がもし通過をすれば、現在の四十一地域指定は全面解除され、再指定のない限り新患者の認定はない。また患者に対する補償は一切しない。政府は、この個人的患者補償を打ち切るかわりとして予防事業で補おうとしています。現行の民事責任による発生企業の拠出金で公害患者を補償するとして実施してまいりました世界でもすぐれたこの現行法律が改正をされ、現認定患者の離脱により浮かした拠出金を目的外の予防事業に振り向けようとしておる。このことは基本的に間違っておるということを私は二つ目に指摘をしておきたい。
 そして私は環境庁の役割というのは、現状の大気複合汚染の実態から国民の命と健康を守るために国全体の政策、事業として実施するよう求めることにあると思うんです。我が党は、現に局地的汚染地域について調査研究を進めることは当然でありますが、自動車排ガスだと言われておるが因果関係は明らかでないというふうに政府は言っておりますが、患者は既に九千名も発生をしておる。そういう実態に立ってこの患者の方々にせめて従来どおりの補償をし、最低でも医療費の補償をすべきではないかということも申し上げてまいりました。公害健康被害補償法の二条一項に基づく指定解除について審議会で答申をするならば、局地的な汚染地域の新しい患者に対しての補償措置をなぜ同時に提案をしなかったのか、あるいは準備をしなかったのか。そこが、皆さんに環境庁そのものが指摘をされておるように、どうも一部の企業の言い分を中心に生かした今度の改正案ではないかというふうに言われてもいたし方ないところだと思います。
 私は、これほど多くの問題が残され、そして多くの委員から指摘されました本改正案については、いま少し時間をかけて国民の疑問に答えるべきではないか、あるいは疑問を解明すべきではないか、そのためにもやはりこの改正案の採決を見送るべきであるということを申し上げまして反対の討論とします。
#419
○石井道子君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について賛成の討論を行います。
 御承知のように、公害健康被害補償制度が発足して以来我が国の大気汚染の状況は硫黄酸化物を中心に著しく改善されました。一方、窒素酸化物及び大気中粒子状物質による汚染は横ばいでありますが、その健康への影響に関する中公審の科学的知見を踏まえますと、もはや、個人に対する個別の補償を行うよりはむしろ総合的な環境保健に関する施策を推進することがより適切な措置であり、多くの国民の要請でもあるものと確信するものであります。……
#420
○委員長(松尾官平君) 御静粛に願います。あなた方は聞きに来ているんでしょう。どなりに来ているんじゃないでしょう。
#421
○石井道子君 本法律案は、以上の立場に立って、第一種地域の指定がすべて解除された場合においても、指定解除前に認定を受けた者に対する補償については指定解除後も継続してこれを行うこととしたことは妥当な措置と考えるのであります。
 また、公害健康被害補償協会を公害健康被害補償予防協会に改め、大気汚染の影響による健康被害の予防に関する調査研究等の実施及び地方公共団体に対する助成に関する業務、例えば健康被害の予防に関する計画の作成、健康相談、健康診査、機能訓練等を定めたことは、守りから攻めの大気汚染対策の姿勢に転換するものとして極めて高く評価するものであります。
 これらの事業につきましては基金を設けることとしておりますが、基金の財政基盤を確立し、我が国の大気汚染対策に万全の体制で臨まれるよう要望して、賛成するものであります。
 また自民党提案の修正案に対しましては、法改正案の成立が当初の予定よりおくれた事情を勘案いたしまして若干の準備期間を設けるための必要な措置と考え、賛成するものであります。
 以上、自民党修正案及び自民党の修正部分を除く原案に賛成を申し上げまして討論を終わります。
#422
○高桑栄松君 私は、ただいまの法案に対しまして反対の意見を申し上げたいと思います。
 まず、現状における大気汚染は、SO2主役からNOxそれから浮遊粒子状物質に主役が変わってまいりました。つまり都市型大気汚染の特徴が変わってきたということであります。公害健康被害補償という意味の公害は決してSO2ということではありません。したがいまして複合汚染に対する健康被害に視点を移すべき段階であると思います。そこで私は、現状における地域指定の全面解除には医学的に疑問がありますので時期尚早であると考え、反対をするものであります。
 また、地域指定解除について地方自治体から意見を聴取しておられますが、そのデータは九割が反対であるという意味で、疑わしきは救済するという基本理念にかんがみても民意は尊重されなければならないと思います。
 それから都市型大気汚染、つまりNO2とそれから浮遊粒子状物質が主役になってまいりましたが、このNO2それから粒子状物質というのは抹消気道部に入るということが実験的にも確かめられている。それからNO2の存在のもとで芳香族多環炭化水素が発がん性物質に変わる可能性があるということが言われているのでありまして、今後、長期慢性影響つまり肺がんに注目をすべきであると思います。という意味でその対策はやはり急がなければならないということを私は申し上げたいと思います。
 次に、私が私の対案として申し上げたいのは、大気汚染物質の一部つまりSO2が改善をされた。しかし一方、NOxと浮遊粒子状物質という新しい汚染物質による大気汚染の進行が見られているこの段階において、私は、次のような条件を考えて地域指定解除の個別的再検討は考えることもあり得るのではないかと思います。条件は次のとおりです。
 一つはまず、複合大気汚染の対策の目安としての複合汚染環境基準のガイドラインをつくるべきである。これがなければ対策は進まないということであります。
 二番目は、地域の汚染の特性、つまり複合汚染状態に応じて個別的に地域解除の条件を検討すべきである。つまり全面解除には反対であるということであります。
 三番目に、疾病と健康の関係は連続的なスペクトラムとも言うべきものでありますから一挙にオール・オア・ナンということはあり得ない。これはたびたび申し上げてあります。
 したがいまして、新患者に対しては経過措置あるいは認定条件等を新しく考えて中間措置をとるべきであるということを私の提案として申し上げて、この法案には反対である旨を主張して私の反対討論とさせていただきます。ありがとうございました。
#423
○近藤忠孝君 私は、議事規則に基づきまして口頭及び書面をもって委員長不信任案を提案いたします。この動議はすべての議事に優先すべきものであります。私は直ちにこれを取り上げることを要求いたします。
 委員長は事前に出せと、事前に出てないからというんで今までこれを全く無視してまいりました。一体いつ質疑を打ち切るかだれがこれを知り得るのか。知らない者がどうしてあらかじめ提出できるのか。委員長、答弁されたい。事情は全く合意されておりません。合意されてないものを、全く抜き打ち、これは強行だよ。ですから直ちに私のこの動議を取り上げ、委員長はその委員長席をといて、これを直ちに議論することを求めます。やってほしい。もう一遍理事会でもやりなさい。こんなめちゃくちゃないよ。
#424
○委員長(松尾官平君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#425
○委員長(松尾官平君) 速記を起こしてください。
    ―――――――――――――
#426
○委員長(松尾官平君) ただいま近藤君から不信任案が提出されましたので、席を曽根田理事に譲ります。(「当然だ」と呼ぶ者あり)
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
#427
○理事(曽根田郁夫君) 静粛に願います。
 松尾委員長不信任案を議題とし、本案を採決いたします。(「委員長、案文の朗読をしなきゃいけない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#428
○理事(曽根田郁夫君) 本案に賛成の方の挙手を願います。(発言する者あり)
   〔賛成者挙手〕
#429
○理事(曽根田郁夫君) 少数と認めます。よって、本案は否決されました。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
    ―――――――――――――
#430
○委員長(松尾官平君) 近藤忠孝君、討論を続けてください。
#431
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、公害健康被害補償法の一部を改正する法律案並びにその修正案に対し反対の討論を行います。
 本法案に断固反対する理由の第一は、本法案が硫黄酸化物の改善だけを口実にして、公害は終わった、指定地域解除を叫び立て、みずからの加害者としての責任逃れに躍起になっている財界の要求に沿って指定地域を全面解除し、新規の公害患者の認定を打ち切ることを前提にしているからであります。本法案は、まさに公害患者にとって命綱となっている補償制度を抜本的に改悪し、制度の事実上の縮小、廃止に大きく道を開くものであり、絶対に認められないのであります。今環境庁に求められているのは、現在の複合大気汚染の中心をなす窒素酸化物、浮遊粒子状物質を地域指定の要件物質に加え、幹線自動車道沿道はもちろんのこと、指定地域を拡大し、制度の一層の充実強化を図ることではありませんか。にもかかわらず、毎年九千人に上る新規認定患者が出ているのに今後一切その救済の道を閉ざしてしまうこの大改悪は血も涙もない非人道的な許せない暴挙であります。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)
 第二は、本法案の根拠となっている中公審答申が、中公審の審議とは別のところで、環境庁幹部と経団連などが談合し、指定地域を全面解除するかわりに財界が五百億円の基金を拠出するという取引を行い、まさに初めに結論ありきで、しかる後にこの結論に沿って書かれた疑いが濃厚であります。このため、中公審答申は、専門委員会報告の結論部分の、現在の大気汚染が総体として何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないとの疫学的表現を逆手にとったり、局地的汚染の影響及び感受性の高い人口集団への影響に留意せよという専門委員会報告を意図的にねじ曲げ、あるいはすりかえ、幹線道路沿道など窒素酸化物を中心とした複合汚染の健康影響を解明した東京都の複合大気汚染健康影響調査総合解析報告書をも無視し去ったのであります。このような驚くべきねじ曲げを基礎として、しかも、この指定地域の指定または解除の要件の明確化という諮問内容さえ公然と逸脱し、肝心の物差しとなる解除要件は何も定めず、個々の指定地域の大気汚染及び有症率がどうなっているかの実態調査も全く行わずにいきなり指定地域全面解除を打ち出すというとんでもない答申であります。
 中公審答申が打ち出した指定地域全面解除のこの二つの判断条件は、現代の科学水準では不可能だとされている公害病にかかる際のいろいろな要因が働く中での大気汚染の寄与度を分別し、その定量的な判断をせよというものであり、全く非現実的なものであります。このような考え方は、本制度発足以来の中公審の考え方とも異なり、判例、学説において定着してきた疫学的ないし法的因果関係の考え方を抹殺するものであります。このような非科学的、非現実的な答申の因果関係論が通るなら公害患者の救済の道は完全に閉ざされてしまうことは明らかであります。
 第三は、作業小委員会における専門委員会報告の結論のねじ曲げの背景には、加害者たる財界から研究助成金を受けていた人物が作業小委員長代行の任務についているなど重大な疑惑が浮かび上がっていることであります。このため本委員会において、これらのねじ曲げがどうして起きたのか、数々の疑惑を解明する目的で審議経過や内容について精査検討するため、理事懇談会の協議の合意に基づいて中公審の議事録を提出するよう委員長から環境庁に対し特に要請があったにもかかわらず、これを国会法第百四条に基づく資料要求とは受けとめていない、中公審会長が提出できないと言っているなどと言を左右にし中公審議事録の国会提出をいまだに拒否し続けていることは極めて重大であります。環境庁の答弁は、国権の最高機関たる国会の要請を踏みにじり、国会よりも中公審を上に置くものであり、その傲慢不遜な態度は断じて許せないのであります。このような中公審の非公開、密室審議こそ、公害患者と国民の命と健康を左右する重要問題で財界の要望、趣旨に沿った科学のねじ曲げが起こる根本であると言わなければなりません。
 私は、命がけで本委員会の審議を傍聴するため駆けつけてきている多数の公害患者の気持ちをも酌み上げずに、改めて国政調査権に基づく資料要求も拒否し、重大な疑惑が未解明なままの状況で議了に持ち込み、採決を強行する無謀なやり方に断固抗議するものであります。
 修正案は何らこの法案の基本を変えるものでなく、反対であります。公害患者はもとより地方自治体、医療団体、弁護士会などの広範囲な国民世論を無視し、指定地域全面解除を強行する本法案の廃案をあくまで要求し、私の反対討論を終わります。
#432
○委員長(松尾官平君) 以上で討論は終局をしました。
 それでは、これより公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、曽根田君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#433
○委員長(松尾官平君) 多数と認めます。よって、曽根田君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#434
○委員長(松尾官平君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 丸谷君から発言を求められておりますので、これを許します。丸谷君。
 御静粛に願います。
#435
○丸谷金保君 私は、ただいま可決されました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    公害健康被害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講すべきである。
 一、我が国の最近の大気汚染は、二酸化窒素と大気中粒子状物質が特に注目される汚染物質であることにかんがみ、二酸化硫黄のみならず、これらの物質を大気汚染の要素として認め、対策を一層推進すること。
 二、第一種地域の指定を解除する場合には、指定地域の市区町村からの意見があった場合はその意見を聴くとともに、未申請者にも配慮して十分な周知期間を置くこと。
 三、既被認定患者に対する認定更新等に当たっては、その保護に欠くことのないよう配慮するとともに、治癒によって制度を離脱した者についても、フォローアップに努めること。
 また、患者の健康回復を図るための公害保健福祉事業を一層充実させるとともに、国公立医療機関に、公害患者のための相談窓口設置に努めること。
 四、主要幹線道路沿道等の局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知見が十分でない現状にかんがみ、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて必要に応じ被害者認定の要件を明確にするなど、被害救済の方途を検討すること。
 五、大気汚染による健康影響については、国立公害研究所等において総合的な調査研究を推進するとともに、環境保健サーベイランス・システムを早急に構築し、複合大気汚染による健康影響の調査研究を推進すること。
 六、大気汚染による健康被害を予防し、健康を回復するための健康被害防止事業については、新たに発症する慢性閉塞性肺疾患患者に配慮するとともに、予防医学等の知見を踏まえて効果的に実施すること。
 七、健康被害防止事業を行うに必要な基金の創設に当たっては、大気汚染の原因者その他人気汚染に関連のある事業活動を行う者に、その社会的責任を踏まえて基金への拠出を確実に行わせるよう、適切な措置を講ずること。
 八、大気汚染の発生源対策については、ディーゼル車・大型車を中心とした自動車排ガス等の規制を一層強化するとともに、ガス・タービン等の固定発生源からのばい煙に対する規制等の対策についても強化すること。
 九、窒素酸化物等の大気汚染対策については、早急に環境基準の達成を図るため、電気自動車、メタノール自動車等低公害車の普及の促進並びに輸送の共同化の促進、立体交差化等環境保全に配慮した交通体系の整備など、交通公害対策の総合的推進を図ること。
 右決議する。
 以上でございます。
 皆様の御賛同をお願いいたします。
#436
○委員長(松尾官平君) ただいま丸谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#437
○委員長(松尾官平君) 全会一致と認めます。よって、丸谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、稲村環境庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。稲村環境庁長官。
#438
○国務大臣(稲村利幸君) ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#439
○委員長(松尾官平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#440
○委員長(松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後七時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時三十分開会
#441
○委員長(松尾官平君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。
 まず、請願の審査を行います。
 第七三号公害指定地域の全面解除反対、公害健康被害補償制度の改善・拡充に関する請願外九十一件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#442
○委員長(松尾官平君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#443
○委員長(松尾官平君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#444
○委員長(松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#445
○委員長(松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#446
○委員長(松尾官平君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#447
○委員長(松尾官平君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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