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1987/08/21 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 外交・総合安全保障に関する調査会国際経済・社会小委員会 第1号
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1987/08/21 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 外交・総合安全保障に関する調査会国際経済・社会小委員会 第1号

#1
第109回国会 外交・総合安全保障に関する調査会国際経済・社会小委員会 第1号
昭和六十二年八月二十一日(金曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
昭和六十二年七月六日外交・総合安全保障に関す
る調査会長において本小委員を左のとおり指名し
た。
                大木  浩君
                下稲葉耕吉君
                中西 一郎君
                鳩山威一郎君
                真鍋 賢二君
                志苫  裕君
                矢田部 理君
                中西 珠子君
                上田耕一郎君
                関  嘉彦君
                青島 幸男君
同日外交・総合安全保障に関する調査会長は左の
者を小委員長に指名した。
                志苫  裕君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        志苫  裕君
    小委員
                下稲葉耕吉君
                真鍋 賢二君
                矢田部 理君
                中西 珠子君
                上田耕一郎君
                関  嘉彦君
                青島 幸男君
    小委員外委員
                山内 一郎君
                田  英夫君
   事務局側
       第一特別調査室
       長        荻本 雄三君
   説明員
       外務省経済協力
       局政策課長    林   暘君
   参考人
       国際協力事業団
       理事       川村 知也君
       東和大学国際教
       育研究所教授   室   靖君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国際経済・社会問題に関する件
 (開発途上国に対する経済協力のあり方につい
 て)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(志苫裕君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会国際経済・社会小委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本日の国際経済・社会問題に関する件の調査のため、国際協力事業団理事川村知也君、東和大学国際教育研究所教授室靖君、以上二名の方々の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小委員長(志苫裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○小委員長(志苫裕君) それでは、国際経済・社会問題に関する件を議題とし、開発途上国に対する経済協力のあり方について政府から説明を聴取し、参考人の方々から意見を聴取いたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、本小委員会に御出席いただきましてまことにありがとうございました。
 開発途上国に対する経済協力のあり方について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にしたいと存じます。
 本日の議事の進め方といたしまして、まず外務省から二十分程度、その後川村参考人から二十分程度、室参考人から四十分程度それぞれ御意見をお述べいただきまして、その後、小委員の質疑にお答えをいただく方法で進めたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず外務省から説明を聴取いたします。
#5
○説明員(林暘君) 外務省の経済協力局の政策課長をしております林でございます。
 「我が国経済協力の現状」という四枚ほどの紙をお手元に配付してあると思いますので、それに基づいて簡単に現在の我が国の経済協力の現状及びそこにおける問題点等について御説明を申し上げたいと思います。
 委員の方々は経済協力に大変造詣の深い方々でございますので、ほとんどのことについては十分御承知おきのことかもしれませんけれども、一通り御説明をさせていただきたいと思います。
 まず我が国の援助でございますが、御承知のように、約十年前に第一次の中期目標というのを作成いたしまして、それに引き続きまして二次、そして現在実行中の三次の中期目標を策定いたしまして、それに基づきまして援助量の増大に努力してきたわけでございます。その結果、ここに表が出ておりますように、第一次中期目標の基準年は昭和五十二年、一九七七年でございましたわけでございますが、一九七七年から昨年の八六年、一番最近の実績値でございますが、それが出ました間にドルベースで約四倍、十四億ドルから五十六億ドルに伸びております。もちろんその間いろいろの円ドルレートの変更がございましたので、円建てで計算いたしますと三千八百二十五億円から九千四百九十五億円ということで、約二・五倍になっているわけでございます。そういうことで量的にはこの十年間にかなりの増大が見られたという状況でございます。
 それでは他の主要国がその間どういうような実績を上げてきたかというのがAのところに表で出ております。米国、英国、西独、フランスということで主要な援助国の実績がそこにドル建てで掲げてございます。同じく十年間の増加率を見ますと、一番最後のところに書いてございますように、アメリカについては二・一倍、イギリスについては一・六倍、西ドイツ、フランスについてはそれぞれ二・三倍ということで、まあ西ドイツ、フランスについては円建ての我が方の増加とほぼ同じ伸びになっておりますが、このフランス、西ドイツにつきましても、この表でおわかりいただけますように、最後の八六年にかなり伸びております。これはドルの低下が影響しておりますので、その点はこれはドル建てでございますので差し引いて考えていただかなければいけないかなというふうに思っております。
 こういう結果、四枚目に一応各国の援助を棒グラフで比較した表がございますが、それの一番左の端、これが絶対量でございますけれども、ここに掲げられておりますように、八六年につきましては日本は五十六億ドルということで、下の方にあります米国の約九十八億ドルに次いで二位になっておる。三位はフランスで五十一億ドルでございますが、ここに星印がついておりますように、
フランスの場合にはみずからの海外領土、海外県に対する協力分も含まれておりますので、それを含みませんと約三十五億ドルというのが絶対量の国際比較になっているわけでございます。
 そういうことでODAというのは全体として非常に、世界全体として目覚ましい伸びではございませんが、着実にこの十年間伸びてきておるわけでございます。
 ここの資料にちょっとございませんが、開発途上国に流れます資金は、御承知のように、ODAだけではございませんで、民間の資金その他が流れておるわけでございますが、ちょっとここの資料に掲げてございませんが、民間の資金というのは八一年以降かなり毎年減ってきております。その結果、例えば一九八一年には民間すべての資金を合わせました開発途上国に対する資金の流れは約千三百九十億ドルになっていたわけでございますが、それが八五年には八百二十三億ドルまで減ってきておる。それのほとんどの減ったものは民間の資金の流れであるというのが現状になっているわけでございます。その結果、例えば八〇年に全体の資金の流れのうちの約三〇%がODAだったんですが、八五年については四五%、八六年については約五二%がODAとなっているというようなことで、全体の開発途上国に対する資金の流れのうちに占めるODAの役割が非常に重要になってきているというのが現状でございます。
 その次に「対GNP比」という項目がございますが、御承知のように、援助の絶対量は今御説明申し上げましたように世界で第二位になっておるわけでございますが、例えばアメリカの行います援助の量とノルウェーの行います量を絶対量を比較しても余り意味のある比較ができませんものですから、援助供与国の間では、その国が行うODAがその国のGNPにどのくらいの比率を占めるかというのが一つの比較の指標になっておるわけでございます。それによりますと、我が国の八六年のODAの対GNP比は〇・二九%ということで、DAC――OECDの中にあります開発援助委員会でございますが、DACの諸国の中で第十四位、平均が〇・三六%でございますから、それよりかなり低いという状況になっております。
 これも四枚目の棒グラフでごらんいただきますと、これはGNP比の順番で上から国が並んでおりますのでその順番になりますが、その意味で一番成績のいいのはノルウェーで、対GNP比は一・二%になっておる。それからずっとおりてきて日本が十四位である。一番援助量の多い米国は〇・二三%ということで下から二番目にありますけれども、こういうのが現状になっておるわけでございます。
 それで、ここでもおわかりいただけますように、GNPの大きい国にとりましてはそのGNP比を上げるということはかなり難しいことであるわけでございます。その結果、アメリカは九十八億ドルのODAをやっておっても、GNP比は〇・二三%ということでほぼ最下位にいるという状況があるわけでございますが、我が国の今の状況については、このDAC、開発援助委員会等で対日審査等も行われますが、そういった機会に他の援助国からは、先ほど御説明申し上げましたような量の増大についての日本の努力というものについての評価はございますが、他方、今御説明申し上げましたGNP比がやはり低い、これを上げるべきであるという要望が非常に強いわけでございます。それから、これは新聞紙上にもちょっと出ておりましたが、先般のベニス・サミットの場においても、フランスのミッテラン大統領から国連で採択されました〇・七%という目標についての若干の指摘があったというのは御承知のとおりであるわけでございます。
 それから三番目でございますが、そういう日本の援助が、特に二国間の援助でございますが、どういう地域的な配分になっているかということが3に書いてございます。ここの3に表がありますように、これは日本とそれからDAC全体との比較でございますが、地域別でこの表をごらんいただきますとすぐわかりますように、日本の援助の特徴はアジア中心である。全体の約七割がアジア向けになっておる。それに対してDAC全体として見た場合にはアフリカ、サハラ以南のアフリカに一番高い比重がいっておるということでございます。
 この地域配分について一言御説明申し上げますが、これは我が国で外務省等が分類しております分類ではなくて、DACの分類でパーセンテージを計算してございますので、外務省等が従来御説明しておりますアジアの比率は六七%でございますが、それがDACとの比較をするためにDACの分類をとっておりますので、ちょっとその点細かい数字が異なっております。
 そういうような状況にございますので、他の援助供与国からは日本に対して、日本がアジアの国であるので、アジアに対する援助量が多いのはわかるけれども、アジア以外、特に貧しい国々が集中しておるサハラ以南のアフリカ及び南アジア、そういったところにもっと援助を振り向けるべきではないか、振り向けていただければありがたいと、それがグローバルな責任を有する日本としての援助面でとるべき道ではないだろうかというような指摘がなされているのが現状でございます。
 それから4で、その他の特徴でございますが、これも諸先生御承知のとおり、我が国の援助の中で、ここに「贈与比率、グラント・エレメント」と書いてございますが、贈与比率というのは、御承知のとおり、援助の中でどれだけ返してもらわなくていいお金、贈与が占めているかという単純な比率が贈与比率でございます。グラントエレメントと申しますのは、詳細な説明は省略いたしますが、借款、いわゆるお金を貸しつけるのもいろいろ援助条件が違いますものですから、そこを一定の数式でよりソフトな、より譲許性のあるもの、譲許性のないものというものを数字であらわす、数式にのっとって計算したものでございます。それによりますと、日本は贈与比率で四七・五%、DAC平均が八〇・八%で、日本はかなりというか、非常に悪い数字でございます。グラントエレメントの方につきましては、日本が七三・六%でDAC平均は九一・四%というふうになっております。
 これも先ほどの四枚目の棒グラフをごらんいただきますと、これの右から三番目、二番目の欄に贈与比率とグラントエレメントが掲げてございますが、日本はいずれにおいても最下位になっておるわけでございます。贈与比率について見ますと、日本は今申し上げましたように四七・五%でございますが、その上にいる、つまり十七位に当たる国は西ドイツでございまして、七六・九%ということで、約三〇%ポイントばかり我々より上におるわけでございますし、グラントエレメントにつきましては、七三・六%でこれも最下位でございますが、その上におりますのは八九・一というのが二カ国ございます。西ドイツとフランスだと思いますが、これもほぼ九〇%に近いわけでございますが、言いかえますと、ほとんどの国は九〇%以上であるというのが状況であるわけでございます。
 それから、またもとに戻らしていただきまして、これはどういうことかと申し上げますと、もう簡単な話でございまして、日本の場合には他の国に比べて借款が多い。つまり円借款が我が国の場合約半分を占めておりますけれども、ほかの国の場合にはほとんどが贈与であって、借款はごく一部分しか占めていないというのが状況でございます。
 それから、もう一つの特色として技術協力の比率が低いということが次に掲げてございます。これも先ほどの表の一番右の欄に書いてございますように、これについては日本よりも低い国がございますが、日本の一一・一%というのはDACの平均の約二〇%に比べればかなりまだ低い。特に技術協力につきましては、近時ハードだけでなくてソフトについても協力が非常に求められている状況でございますので、技術協力というものの重要性がいよいよ増してきているというような状況にあるかというに思っております。
 それから、次に援助実施体制が弱いということで、これは端的に言いますと、援助にかかずらわっておる人数が日本の場合には少ない、援助量に比べて少ないということでございまして、ここに表を、簡単な比較を書いてございますが、これは援助に携っている者、日本の場合には中央政府で経済協力関係をやっている者プラスJICA、それから海外経済協力基金の人数をとってございますが、その一人当たりがどれだけの金額を処理していることになるかという単純なこれは割り算でございますが、これでやりますと、日本は一人当たり約三百万ドル、他の米国、英国、西独、カナダに比べますとかなりな多額なものになっておるというのが現状でございまして、この辺につきましては、先ほどちょっと申し上げましたDACの対日審査等でも懸念が表明されておるというのが状況でございます。
 次のページでございますが、「最近の経済協力の動向」ということで二、三の点をここに掲げてございますが、第一番目の「ノン・プロジェクト援助の重視」という、これは後ほどちょっと簡単に御説明申し上げます緊急経済対策のフォローアップの件とも関係するのでございますが、御承知のように、最近開発途上国の経済状況が非常にここ数年悪くなってきております。これはもろもろの原因によって悪くなっているわけでございますが、その結果として開発途上国の財政状況が悪い。したがって、彼らの開発予算が削減されるというような状況下で、いわゆる新しい大きなプロジェクトを実施するという状況が非常に少なくなってきておる。そういう状況下で開発途上国としてはある大きなプロジェクトを実施するよりも、例えば国際収支支援であるとか、場合によっては財政支援であるとか、ないしはそういった形のいわゆるプロジェクト型でない援助を欲しいという要請が非常に高まっておるわけでございまして、そういった点について現下の状況下においてそういった開発途上国の要請に応じていく必要があろうという状況が生じてきております。
 それから第二番目の「援助の計画化」の問題につきましては、せんだっての当委員会においてもかなり御議論がなされており、御承知のことと思いますので特に説明は省かせていただきます。
 それから三番目の「国際開発大学設立構想」、これは外務大臣の私的な勉強会ということで一年間にわたってほほ検討してきて、いわゆる日本において開発の専門家というものを養成する場がないということで、国際開発大学のようなものをつくったらどうかという構想について有識者の方々にいろいろ御意見を伺った、その結果の報告書が提出されたものでございますから、それを踏まえて我々としては今後検討していきたいというふうに思っている事柄でございます。
 それから、その次の「ODA一般会計予算伸びの推移」と書いてございますが、これも御承知のように先月末八八年度予算、六十三年度予算の概算要求基準が決定をされました。ここに数字が載っておりますように、ODAについては八・六%ということで概算要求基準が決定されたわけでございますが、これは御承知のようにODA一般会計予算のうちに一二、三%外貨関連の経費が含まれてございますので、その外貨関連の部分が円高――八八年については現在百四十五円で要求する予定になっておりますので、その円高分を今申し上げました外貨分に勘案いたしますと、八・六%の伸びというのは実質のベースで考えますと約一〇%近い、一〇%ほどの伸びになりますので、従来どおりほほ二けたの伸びについてのシーリングが確保されたというふうに考えております。
 それから最後に、最近の経済協力の動きということで、一番最後の紙にこの春に決定されました緊急経済対策、そこには御承知のとおり「国際社会への貢献」ということで四つの事項が掲げられておりましたが、その四つについて具体的にフォローアップとしてどういうことが行われているか、ないしは中身はどういうことになっているかということをごく簡単に御説明をさせていただきたいと思います。
 まず第一番目は、「ODA七年倍増目標の二年繰り上げ」ということで、御承知のように、第三次中期目標の倍増目標は、ここにありますように八五年の実績を一九九二年に倍増するということであったわけでございますが、それを二年繰り上げて九〇年に倍増を達成しようという点が盛り込まれております。これは八六年、先ほど御説明申し上げました昨年の実績値五十六億ドルをベースにいたしますと、あとドル建てで考えますと八%弱の伸びを要するわけでございますが、それをやっていこうということでございます。具体的には補正予算でODAについて約百五十億円弱の追加手当てが行われましたほか、今御説明申し上げましたように、来年度の予算についてはシーリングとして八・六%増ということを確保いたしたわけでございます。
 二番目には、「二百億ドル以上の資金還流計画」ということが打ち出されたわけでございます。これにつきましては、関係の国際開発金融機関との話し合いないしは二国間での話し合いを踏まえて、それぞれの要請に見合った形で実施をしていきたいというふうに思っておりますが、二百億ドルの資金還流計画の大体の内訳としては、ここにございますように、いわゆる世銀特別ファンド方式といいますか、無償の拠出金と起債とを組み合わせた官民の資金協力ということで約八十億ドル程度、それから海外経済協力基金、輸銀、民間銀行による世銀等国際開発金融機関との協調融資及び基金が二国間で途上国の経済政策支援のために行う円借款、合わせまして九十億ドル以上、それと三番目に輸銀のいわゆる八号ローンといいますアンタイドの直接融資約三十億ドル程度ということで考えておりまして、一部についてはもう既に実施をされているものもございます。
 それから、三番目が「専門家派遣事業等技術協力の拡充」ということでございまして、これにつきましては、今ちょっと御説明申し上げました補正予算で二つの事柄が手当てをされております。
 一つは、JICAと労働省とが協力して行います技術者、技能者の派遣、これが約七十人分で二・八億円、それから通産省が海外貿易開発協会を通じて民間ベースで行っております専門家派遣事業の拡充のために二百名を追加ということで五・三億円、この二つが補正予算で手当てをされているわけでございます。
 それから最後に、四番目でございますが、アフリカ等後発開発途上国、いわゆる最も貧しい国々でございますが、それらの国々等に三年間で約五億ドルのノンプロジェクトの、これは借款ではございませんで、無償資金協力をやろうという計画でございまして、これにつきましても今年度の先般成立しました補正予算で百四十五億円、一億ドルでございますが、これを手当てをしたということでございます。
 簡単ではございますが、以上御説明させていただきました。
#6
○小委員長(志苫裕君) ありがとうございました。
 それでは次に、川村参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(川村知也君) 国際協力事業団といたしましては、本小委員会の前回の御討議、調査におきましてやはり出席の機会を与えられまして、本日二度目になるわけでございますけれども、このような御調査の場で援助の実施機関、特にその一翼を担います政府ペースの技術協力を一元的に実施している機関といたしまして大変ありがたく、光栄に思っております。
 前回の出席者からはJICAの行っている事業の概要につきましてまず御説明した次第でございますが、それにつきましては、配付いたしました資料の一ページに念のため項目とそれから現在の実績だけを書いてございます。これはもちろんこの場で御説明するつもりはございませんが、やはり前回の出席者が申しましたとおり、JICA、国際協力事業団というところは本来技術協力の実施を担当しているところでございますけれども、特に近年非常に幅広い、必ずしも在来の技術協力
ということではない新しい分野も手がけるようになったということもございまして、これから述べさせていただきます当事業団が当面している問題に関連しましても、常にこういったような事業をかなり間口の広いことをやっているんだということを念頭に置いていただいて御検討いただきたいということで、あえてこの資料をお配りしたわけでございます。
 ただ、細かいことを申し上げますと、前回お配りしましたのは、事業実績につきましては、この数字は六十年度しか出ておりませんでしたので、今回は一番新しい六十一年度の事業実績をここに掲げております。
 それから、さらにそれに加えまして、我が国の政府ベースの技術協力の全貌といいますか、六十一年度末までの累計、これはさかのぼりますと実は昭和二十九年、日本がコロンボプランに加盟した年から小規模ながら技術協力というのは始まっているわけですけれども、大体の項目におきまして二十九年以来の累計というものも御参考までにつけ加えさせていただきました。
 それから、前回の出席者からは、この事業団の事業概要の説明に引き続きまして、事業団の当面する課題ということで幾つかの点を御説明申し上げましたわけでございますが、これにつきましてももちろんここで重複をして説明するつもりはございませんが、二ページ目にお配りした資料、これも実は前回にお配りした資料とほぼ同じでございまして、違うところといえば、最後の六十二年度の、これは推計でございますが、六十二年度の予算が前回の会合当時はまだ正式に成立しておりませんでしたのでそれが出ておりませんが、今日六十二年度予算が成立済みでございますので、それを入れたということでございます。
 実は前回の御説明のときにも事業団が当面する課題の第一として申し上げたことは、実施体制を整備する問題であるということを申し上げた次第でございますが、このグラフでわかるとおり、金額的には技術協力のこの黒いところだけでもJICAが設立されました十三年前と比べて約四倍、それから近年JICAとして担当しております無償資金協力の仕事、これをつけ加えますと実に九倍ということになっているわけでございますけれども、JICAの方の定員、これは逆にごく最近まで実は減っておったということで、大変人員不足ということを、逼迫を感じておる次第でございます。幸いにしてここ一両年からはわずかでございますけれども純増ということを認めていただいておりますけれども、依然として定員の絶対数は設立当時よりもまだ少ないということでございます。
 それから、先ほど外務省の御説明にもありましたように、ODAというのは大方の世論あるいは国会からも増大が必要だという認識は得ており、量的には着実に一応ふえていると、JICA、当事業団につきましても予算的には一応伸びを確保さしていただいているということが言えますけれども、それであるからにはさらに人数的な手当て、定員上の実際の仕事の担い手の手当てということがさらに必要なわけでございますけれども、この面ではまだ十分でないということが非常に日々痛感されるわけでございます。先ほどの外務省の御説明ではたしか我が国の援助実施体制が非常に弱いというのが、これは国際的にも指摘されているというお話がございましたけれども、我々実際に技術協力を担当する実施機関といたしましてまさにそれを非常に身をもって感じておるところでございまして、先ほど職員一人当たりODA実績何ドルということもございましたけれども、これは私どもでもいろいろ国際比較やったことがございますけれども、どんな比較をしましても、やはり我が国の場合非常に一人当たりのロードというのが目立って高いということで、私どもやはり事業団が当面する最大の問題の少なくとも一つはこのやはり実施体制の強化、具体的には人員の強化ということであるということを、これは前回の説明でも申し上げた次第でございますけれども、一言だけ繰り返させていただきたいということでございます。
 それから三枚目に参らしていただきまして、「「改善推進委員会」による主要改善項目」という表題の一枚紙をお配りしてございますけれども、これは先ほど申しましたように、前回のお話では事業団の事業概要、それから当面する課題ということをお話ししたわけでございますけれども、その当面する課題の一つとして、実はまことに申しわけない不祥事件が昨年当事業団において生じたということを背景といたしまして、そういうような不祥事の再発防止はもとよりでございますけれども、さらにそれを契機として、たとえ事件が起ころうと起こらなくても、本来技術協力を担当する立場からやらなければならないいろいろな改善の課題というものはあったわけでございますけれども、そういうのをその機会にまとめて改めて取り組もうということでこの改善推進委員会というものができて検討中であるということを御報告したわけでございますけれども、その結果がいずれは出るということで、前回の会議の時点ではそういう状況だったと思いますけれども、そのときのお話のとおり、最近におきましてこの推進委員会なるものの一応の結論が出ましたので、本日それを前回の続きといたしましてその大まかな結論というものの概要を御説明させていただいたらと存じ上げる次第でございます。
 ただこの問題は、推進委員会の対象とすることはもちろん事業団の事業全般にかかわることでして、また率直に申しまして非常に技術的細部にかかわる問題が多い。それから項目も非常に多岐にわたっているということでございますので、もちろん重要なこと、それから特に私どもといたしまして小委員会の当面の御調査に比較的関連する度合いが大きいであろうというふうに考えましたことを選びましてごく簡単に御説明させていただきたいと思います。
 選びましたのは、ここに紙に書いてございますとおり、大きく言って四項目について御説明したいと思います。
 一つは、「大事に関すること」。これは内部の問題でございますけれども、一つは、当然のことながら「職員の服務規律の維持」。これは実はここで具体的に検討いたしました内容は職員の研修の問題、特に管理職の立場にある職員を対象とする、部下を管理したり指導したりあるいは綱紀の厳正な保持ということに関する研修を、これは従来もやっておりましたけれども、ああいう事件を契機としてこういう点必ずしも十分じゃなかったという反省のもとに、そういう研修を強化しようということでございます。
 それから二番目の口の「職員の育成及び研修計画」。これは当然事業団といたしましては職員の育成方針というものは一応ございますけれども、これはやはり援助の重点、いろいろなときどきの事業のニーズに従っていかなる職員をどういうふうに育成していかなくちゃならないかというのを常に見直していかなくちゃならないことだと思いますが、こういう点でもう少し具体的にはっきりした形でやはりこういう計画というものをつくる必要があるだろうという認識に基づいてこれは今後こういう計画をつくっていこうということでございますけれども、とりあえず一番基本的に言えますことは、我々事業団の職員というのは国の事業をする一種の準公務員ということで、ですから、そういう組織に属する者としての責任感と使命感が必要である。それからまた、これは外国を相手にする仕事でございますので、国際社会において十分に活躍ができるような人材でなければならない、こういうことが基本的に言えるんだろうと思いますので、こういう必要性に即した具体的な研修ということをさらに強化していこうということでございます。職員を海外に長期に研修に出したりする制度もございますけれども、こういうものも実施のやり方を今言ったような観点からさらに見直すとが、あるいは私どもが持っております海外事務所、これの要員を特に対象とするような研修というものも考えたい、それから専門職というような制度もいずれ考えていきたい、こうい
うことでございます。
 それから「大事に関すること」の最後のハでございますけれども、「関係機関との人事交流」。これは必ずしも事件と直接に関係ございませんけれども、やはり援助の内容が多様化あるいは高度化してくる状況のもとで、いろいろな援助機関との人事交流を初めいろいろな提携の必要性がさらに強まっているということでございますので、これは従来も国際機関なりあるいは国内の関係省庁とはもちろんでございますけれども、国際機関あるいは開発途上国といったところと、あるいは開発途上国ないしは先進国、援助を供与している立場の国も含めて交流というのをやっておりますけれども、例えば国連の開発計画、UNDPと言っておりますけれども、これはJICAと同じように技術協力の国際機関でございますけれども、そういうところとできれば人事交流を図ろうということでございます。ただ、これも先ほど申しましたように、定員上の制約がございますので、現在はやはり定員というものを計画的に増大していただかないとなかなかできないという面がございます。
 二番目の「組織運営に関すること」でございますが、一つは在外事務所の強化。これは私ども事業団には開発途上国を主として四十七カ所在外の事務所がございます。これはちょうど外交活動でいいますと大使館なり領事館なりそういう在外機関、在外公館の役割をすべきところでございますが、現実は、これは人手不足ということもございまして、必ずしも援助国についての情報収集とか実際の事業というようなことまではなかなか手が回っていない。実際には本部から行ったいろいろな連絡をただ中継ぎ的に受けるというような、いわば受動的な連絡所というようなのが今までの実態だと率直に申し上げて言えると思うんですけれども、これを能動的な機能を有する事務所に発展させていこうということでございまして、例えば具体的には、この間もたしか出たと思いますけれども、いまだに一人事務所というのがかなりな数に上っておりますので、こういうことでは十分な仕事ができないということで、一人事務所をできるだけ早く解消していこう。あるいは例えば今本部でいろいろな調査団を出しておりますけれども、こういうものもあるものによっては在外事務所でもって調査事項を手がける、そういうことも考えていいんじゃないかということで、これは具体的にはいろいろございますけれども、そういう趣旨のもとにおける項目でございます。
 それから、「国別地域別アプローチの強化」と申しますのは、これは先ほど冒頭にも触れましたとおり、JICAの組織あるいは仕事のやり方というのは、分野別、すなわち農業であるとか工業であるとか社会開発であるとか、そういう分野別、または事業形態といいますか、例えば研修員を受け入れる仕事あるいは日本の専門家を外国に送り出す仕事、そういう事業形態別、いわば縦割りの体制になっております。これはそれなりのメリットが当然あるわけでございますし、そういう専門のノーハウがそういう専門部局に蓄積されて事業が拡大していくということでございますけれども、やはりこれと並んで必要なことは、当然相手の特定の具体的な国全体として眺めて、その国としてどういうニーズがあるか、それに対してどういう協力をしていかなくちゃならないか、そういう観点が必要なわけでございます。これはもちろん従来からもそういう問題意識のもとにいろいろ整備はしておりますけれども、まだ十分でないという意識のもとに、この点をいろいろな面から改善していこうということでございます。
 それから三番目の「業務実施に関すること」でございますが、最初に国別・分野別研究会、これはただいま申し上げた国別地域別アプローチと思想というのは同じでございますけれども、ここでとらえておりますのは、事業のやり方ということではなくて、むしろその基本になる国別の研究、つまり経済あるいは技術協力というものは、当然のことでございますけれども、その援助受け入れ国の真の開発ニーズに沿ったものかつ効果的であり効率的なものでなければならない、それからまた計画的にやらなければいかぬということでございますけれども、そのためにはその国を対象とした援助計画というものを持つ必要があるという問題意識から国別にそういう計画を検討していこうということでございまして、これは前回のときにもお話が出たとおり、外部の有識者、これはJICAとしての見解ということではなくて、外部の有識者なり専門家なりにお願いしてその国について援助の取り超み方というふうなことを取りまとめていただくという作業でございまして、六十一年度には、既に御存じのとおり、フィリピンを取り上げまして、この五月ごろですか、一応作業結果を得たということでございます。これは今年度以降も主要国につきましては順次取り上げていこうという考えでございまして、例えば今年度につきましてはタイ、インドというふうなところをとりあえず手がけようかということで今準備を進めております。
 それから分野別ということもございますが、これはまだ実際には手をつけておりませんけれども、当然分野別の研究ということも必要でございますので、これも検討課題として今後引き続き取り上げていきたいということでございます。
 それから業務の外部委託、これは先ほど言ったように、事業団は大変な間口の広い仕事、それから人員不足ということもあるので外部委託ということはかなりやっておりますけれども、まだ十分でない。まだ外部委託をする余地があるであろう。それからその方がまた仕事の質というか、そういうものの向上にも資するし、それから予算の効率的な使用という観点からも外部委託が望ましいということでございますので、一体どういう範囲の外部委託ができるか。これは国際協力事業団法という法律がございますけれども、それに外部委託についての若干の規定がございますので、そういうものとのもちろん整合性を図らなくちゃいけないので、そういう点をはっきり考え方を整理する。それから実際にどういうような事業を外部委託していくか。それからさらには、当然なことながら、具体的には委託先の開発ということが必要でございますので、こういうものをもう少し組織的に進めていこうということでございます。
 それから「専門家リクルート方法の改善」。これは、御承知のように、専門家を海外に出すということは技術協力の重要な柱の一つでございますけれども、現状はJICA自体の専門家というのはまだ非常に少ない。したがいまして、従来からそれぞれ専門の関係官庁に推薦をお願いして専門家を出していただくということが大体のやり方でございます。しかしながら、絶対的な援助の量というものはふえていきますし、何回も申し上げているとおり、援助の内容が多様化するあるいは高度化するということで、現状の体制をただ続けていくということにはやはり限りがあるのではないかということで、もう少しJICA自体としても専門家をいろいろな官庁、あるいは官庁の御推薦だけじゃなくて、広く民間とかあるいは地方公共団体というようなところにもリクルートのソースを広げていきたい。そのためにもいろいろなことが必要なので、例えば専門家の待遇改善というふうなことも必要でございますけれども、そういういろいろな具体的な手を打っていきたいということでございます。
 その一つとして考えておりますのは、今海外で技術協力に行かれる専門家の方、これはもちろん国内的に何も資格がないわけでございます。資格というか、海外技術協力についての資格認定というふうなものは我が国として行われていない、外国にはある程度ある国もあるんじゃないかと思いますけれども。行く行くは、これは理想論を言いますと、法律をつくっていただいて、例えば海外技術協力士法みたいなものをつくっていただいて、国家試験をやっていただいて、その検定に合格した者にそういう資格を与えるというようなことが考えられるのでございますけれども、とりあえずはJICA自体でそういうような試験を行って、語学の点、それからもちろん専門技術の面、
あらゆる面から見て海外技術協力の担い手として適格だという人に何か資格を与える、そういう方に優先してJICAの仕事をやっていただくというようなことも考えられるのじゃないかということで検討を進めたいということでございます。
 それからコンサルタントの活用、これは前回も既に触れられましたので、かつ内容は非常に複雑でございますので簡単に申しますと、一つは、やはりコンサルタントの選定に関しまして、これをできるだけ客観的に行うという観点が必要であるという反省のもとに、これは具体的には従来各技術協力の事業をやる部局がそのコンサルタントとの契約の事務を実際に扱っていたという面がございますけれども、これを、調達部というところがございますが、そこに契約課という課を新設いたしまして契約事務を一元的に扱うという体制が一つ。
 それから、実際にコンサルタントを選ぶ場合の手続というか審査、そこでは実際にそのコンサルタントを使う立場にある事業部はもちろんでございますけれども、それだけではなくて、契約の面を担当している調達部というところ、あるいはさらにより第三者的な立場で物を見られるという企画部というところがございますので、こういうところの人も実際にその委員会に入ってもらって審査を進めていく、そういう体制にしたいということで、これはそういうように措置をしたわけでございます。それが一つ。
 それから、これはたしか前回にも申し上げましたけれども、不幸にして万一実際に使いましたコンサルタントが不適切な業務等を行った場合にどういう措置をとるか。これは従来からもそういうことが起こった場合には対応しておりましたけれども、それは個々に起こったときに対応するということでございましたけれども、これをやはりどういう場合にどんな措置がとられるべきかという基準を明確にいたしまして、かつ実際に起こったときには、この案件はどういうふうに措置すべきかということを検討するためのいわば常設の組織――措置委員会と呼んでおりますけれども、そういうものもつくって対応しているということでございます。
 最後に、情報の公開ということでございますが、これについては二点要約して申し上げたいと思います。
 JICAというところは、これはほかの実施機関あるいは官庁でもそうでございますけれども、JICAもかなりな年数の海外技術協力の経験というものを持っておりまして、それに伴って各開発途上国についてあるいはその技術協力のやり方ということにつきまして相当な情報の蓄積があるということを申し上げられると思うんです。それにつきましては、恐らく相当の部分が実はもう公開になっておるわけです。別に秘扱いということではないんですけれども、これは例えば図書館というものがございまして、そこにはいろんな資料を備えております。ですから、外来の方がそこに来れば、公開されている資料は当然見られることになっておりますけれども、現状は図書館のスペースが非常に狭いとか、あるいは事業団でも十分にそういうことについて一般的な啓発を行っていないということから、公開されている情報も十分にまだ利用されていないという面がございます。そこで、今度はスペース的には新たな建物を今建設中でございまして、国際協力センター、これは仮の名でございますけれども、そういう国際協力総合研修所というような機関あるいはほかの研修施設というものを入れる新しい建物を建設中でございます。それは恐らくことしの十一月ごろには完工する予定でございますけれども、そこに図書館あるいはその資料の蓄積の場所を移しましてよりその資料の活用ができやすくするということも一つ考えております。
 それから、これはすぐにはできることではないんですけれども、現在あります。そういういろんな資料をただ単に見に来ればわかるというのではなくて、システム化というか、情報化いたしまして、例えば必要なところには全部端末機を置いてオンラインで結んで資料がすぐに出てくる、それらを活用できるというような体制もできるだけ早く確立したいということでございます。これが第一点でございます。
 それから、確かにその蓄積された情報が全部公開されているということではございませんで、いろいろな事情から、これは当然な面もあるのでございますけれども、公開されていないあるいは公開されるにしても若干時期を置いて扱っているというものもございます。そこで私ども事業団としては、やはりこれはもうできるだけ国民一般にそういう援助にかかわる情報というものを公開するということは原則的に一般論としてよろしいことだし、それからJICA自体としても何か開かれたJICAというものをつくっていく上での一つの有力な要素だということで、原則として今後事業団が作成するいろんな報告書その他いろんな資料がございますけれども、こういうものを公開したいというふうに考えております。
 この原則的と申しますのは、これはやはりいろんな制約が当然ありまして、例えば一番すぐに考えられるものは、これは外国政府を相手にする事業をやっておりますことですから、その当該相手国政府がいろんな事情で公開は困るということがやはりあるわけでございます。特に開発途上国でございますので、そういったような事情が間々あるというか、がなり頻繁にあるということもやむを得ないと思います。こういう場合にはどうしてもしょうがないということがあり得る。もちろんそういう例外というものはございますけれども、できるだけ公開していこうということでございまして、これはもちろん監督官庁によく御検討いただく必要があるので、そういった過程を経て、できれば公開の原則というものをはっきりさせたいというふうに思っております。
 以上で改善推進委員会というものの説明を終わらせていただきますけれども、これは恐らく内容をお聞きになっておわかりになるかと思いますけれども、何が何でもすぐに一遍にできるということではございませんで、いろいろさらに検討していく、実施済みのものもございますけれども、さらに検討しなければならない事項というものがかなりございますので、我々としてはこの改善推進委員会なるものもすぐにここで解散するというようなことではなくて、むしろ半ば常設的に継続して随時これらの進捗状況というものを見ていくということが必要だと思って、そのようなつもりでおります。また、これは当然のことながら、JICAだけでできる、すべてがそういうことではございませんで、監督官庁あるいは関係官庁のいろいろな御協力あるいは理解というものも必要な面がたくさんございますので、そういう点も訴えつつ、できるだけここに取りまとめられた線で早急に成果が出るように今後とも努力したいというふうに思っております。
 どうもありがとうございました。
#8
○小委員長(志苫裕君) ありがとうございました。
 次に、室参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(室靖君) まず、参議院の国際経済・社会小委員会に参考人として呼ばれましたことにつきましてありがたいことだと思っております。私はきょうはかなり率直に日本の援助について感想を述べさせていただきたいと思います。
 最初に、日本の援助について論ずる前に、若干時間をとらせていただきましていわゆるODAの国際的なレビューをいたしてみたいと思います。
 大体第三世界といいますか、発展途上諸国というか、そういう国々の開発というものにはいろいろな関係、いろいろな手段方法がございますけれども、その中でODAが占める役割というのは実はそれほど大きなものではないというのが私の考え方でございます。そのことを承知の上できようはODAに絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 御承知のように、いわゆる政府開発援助、それぞれの国の国民の税金で援助をやるということが始まりましたのは国際的には一九五〇年代のこと
でありますけれども、以来少なくとも三十五年以上たっていると思うんです。その歴史を簡単に見てみますと、結局これは試行錯誤の連続であったというふうに思います、日本を含めまして、ほかの国の場合でも。これは無理のないことでございまして、援助なんという発想あるいは物の考え方というものは第二次大戦以前には全く地球上になかったわけでございますから、人類社会の新しい実験ですから、新しいものはどうしても試行錯誤を繰り返すより仕方がないと思うわけです。
 国際的に私どもは見まして、じゃなぜ援助をするのかという援助の動機といいますか、援助の理念といいますか、援助を正当化する考え方というものは国際的には大体三つあると思われます。
 一つは、これはアメリカがよい例でございますけれども、政治戦略的な意味で援助をする。つまりもっとざっくばらんに言えば、発展途上国の共産化を防ぐためのてこ入れとしての援助というのがまず一つあると思います。これはアメリカは初めから終わりまで、今日まで一向にその考え方から脱却をしておらないと私は思っております。
 それから二番目の動機というのが、これは動機というよりもむしろそういう方向というのは、自分の国の、つまり援助する側の、協力側の経済的国益というものに常に結びつけながら援助を拡大していこうという、そういう流れというか傾向がこれは多かれ少なかれどの援助供与国にも見られると思います。ただ、その中でもその傾向が非常に希薄な国と、それからかなり濃厚な国とははっきり分かれておると思います。濃厚な国は、率直に申し上げて、その筆頭になるのは私は日本、それから最近のイギリスあるいはフランスというところではないかと思います。
 それから三番目の動機というか援助をジャスティファイする考え方としては、よく言われる人道主義的な援助だろうと思います。これはある意味ではやはり一種の国益に基づいている。ただし、その場合の国益は、先ほど二番目に申し上げました目の前の国益ではなくて、かなり長期的にしてかつ次元の高い国益を追求する。それが一種の人道主義の援助と重なっておるというように思います。つまり世界に南北の非常な格差がある、そういう世界、あるいはいわゆる発展途上諸国の中に、その国の中にまた非常に大きな経済的格差があるという、そういう現在の世界というものがやはり国際平和を維持する上で非常に好ましくない状況である。それを解決する一つの方法として豊かな国が貧しい国を援助する、そういう理念というのが確立している国がございます。具体的に挙げますと、材課長が示された表にも出ておりますけれども、たまたまというか、あるいは決して偶然じゃなくて必然かもしれませんけれども、GNPに対するODAの比率が〇・七%を超えている国がすべてそれに当たるわけでございます。具体的に言うと、ノルウェー、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ここらは、私の分析によると、非常に人道主義的あるいは高次元の国益を追求するエンライトンされた哲学で援助をやっているというように思われます。ほかの国々は皆そのどれかの中間にあるわけでございます。そういうことをまず整理して申し上げたいと思います。
 ところが、私最初に申し上げましたように、援助というものは、先進諸国あるいは国連機関を加えてもそうですけれども、試行錯誤の歴史であったということを反映すると私は思うんですけれども、一九八〇年代になりましてから主要な先進諸国で、援助諸国で援助の考え方、援助のやり方、援助の効率というものを見直そうとする委員会が次々とできておるわけです。
 そのレポートなんというのはかなり知られておるわけです。例えばアメリカでは前の国防次官で現在たしか安全保障の補佐官になっているカールッチという人が委員長になってカールッチ委員会というのがあって、そこでアメリカの援助を徹底的に見直したレポートが出ておる。それからイギリスには、これは政府じゃなくて、民間の非常に尊敬されている識者が六人でつくりましたインデペンデント・グループ・オン・ブリティッシュ・エードという一つのアドホックの委員会がございますが、そこが一九八二年と八四年にそれぞれすばらしいレポートを出しております。それからオーストラリアでは、ジャクソンという人が委員長になりまして、やはりオーストラリアの援助を一回見直そうということで、これはもう既に一九八四年にその報告書が出ております。それから日本の場合は、これも材課長が言われたように、小倉武一元農林次官を長とするODA効率化のための委員会というのが、これはもう既に報告が出されておるわけでございます。
 またほかの国にもそういう見直しが今次々と行われてきておる。ということ自体は非常に私は興味があることだと思います。つまり、いろいろやってきたけれども、どうも歯がゆい、援助というものが余りうまくいかないのではないかという反省が期せずして各国で出てきているということのあらわれであろうかと思うわけです。中には、これはもうかつてなかったことでございますけれども、八〇年代になりましてから援助無用論あるいは援助有害論というのをあからさまに口にする相当の権威者がヨーロッパに出ております。ドイツ人とかあるいはイギリス人の中にそういう否定論を堂々と言っておるのもあるわけです。それに対してそれを真っ向から、あなた方の考えは間違っている、援助というものは有効なんである、やりようによっては非常によいことであるということを主張している人々も、この方はかなりあるわけです。代表的なのは今オックスフォード大学の大学院の一つでありますクイーンエリザベス・ハウスというところの代表になっておりますけれども、ロバート・カッセンという博士がおりますが、彼が編集しました「タズ・エード・ワーク?」――援助というものは一体作用するか、という本がございますが、これなどは肯定論を述べておるように私には思われるわけです。
 以上のように、国際的に見ましても、ここ三十年来、日本の場合は三十年ぐらいだと思いますが、ヨーロッパの場合、アメリカの場合なんか四十年近く援助をやっておるわけですけれども、そうやってきたことが、つまりODAがどうも思うようにいかないということに対する一種のフラストレーションが出ておるというのが私どもの観測でございます。それを国際的な一つの最近の動向として御紹介をさせていただくわけでございます。
 時間も限られておりますので、今度は日本のODAに話を絞って申し上げたいと思います。
 皆さん委員の先生方も十分御承知のことばかりでございますけれども、日本の場合は、アメリカそれからヨーロッパの国々に比べていわゆるODAを本格的に始めたのが少しおくれたわけです、これは日本自身が非常に貧しかったということもあるわけですけれども。しかもそれが賠償という形で始まったというようなこともありまして、ほかの国と若干違った条件でこれまでやってきたように思われます。
 そのような中で、これは多分に日本政府の積極的な意図と、それから諸外国、特にほかの援助供与国側からの暗黙といいますか、時には明白な不満というか、もっとやれというようなことの声、つまり内外の動きにこたえるために、御承知のように、我が国では先ほど材課長の言われたように、一九七八年からだと思いますが、三年間で第一次ODA倍増計画、その次に一九八一年から八五年まで、一昨年までにやっぱり援助倍増論、ちょっと複雑なんですけれども。
 それで、第一次中期計画は、これは少なくとも数字的にはうまくいったんです。私の分析ではその間に円がドルに強くなったということがかなり作用したと思うんです。第二次計画はちょっと思ったとおりにいかなかった。これもやはりドルとの関係がそのときにたまたま悪かったと思うんです。そこで第三次というのを、七年倍増計画というのを出されて、そして最近の日本の国際収支の黒字というようなことを反映しまして、政府では七年を五年に前倒しで二年間短くしてやろうということをやっておられるわけです。そういう結
果につきましては、材課長の用意された表に出ておるように、現在日本は少なくとも金額的にはアメリカに次いでODA額が二番になるというような現状でございます。これは繰り返しません。
 さて、これはいささか材課長の前で申し上げるのにはちゅうちょするんですけれども、勇気を奮って申し上げますと、日本のODAにはどうも余り明確な理念がなかったのではないか。今はあるようですけれども、なかったと思うんです。非常に雑な言葉で言いますと、げすの言葉で言いますと、よその国がやっているから我が国もやらないかぬというようなことで始まったような気が非常にするわけです。我が国の公的な、つまり政府の方々が、我が国はこういう理念で援助をやるんだということを口にされるようになり、書かれるようになったのはここ十年ぐらい前のことであって、それ以前はそういうものさえ少なくとも私はお目にかかったことはなかったわけです。
 その日本の理念を見ますと、言葉で書かれたあるいは口で言われている理念は非常に納得のいくことなんです。まず人道的な配慮ということが言ってあるわけです。それから、相互依存の世界で総合的な安全保障というようなこと直言っておられるわけです。そういうものを強化するために我が国は援助をやるんだということを言っておられるわけです。私はそれはそれなりに評価をさせていただいているんですが、そういう理念というのは関係のお役所の方が言われているのであって、私はその理念を国会で議論されて、国会の名において発表されたというようには思っておらないわけです。私はそういうのはやっぱり国民の代表、納税者の代表である国会がそういう理念を明確化して、そして国民に納得のいく、国民がそれならやれということになるように、援助の理念を国会レベルにおいてもひとつ御検討いただきたいというのが本日私が申し上げたいことの一つでございます。
 さて、私は言葉の上では日本の理念は立派だと申し上げましたけれども、これは日本の文化というか、日本の社会の固有の現象だと思うんですが、建前本音論というのがあるわけです。例えば人道的配慮に基づく援助というようなことの中は、これは建前としては非常によくわかるし、一見そう言っておられるんですけれども、それでは果たしてそれが本音であり、また実態であるかというと、これは必ずしも私は信頼できない点があるわけです。それは単なる抽象的な議論じゃございませんで、実は数量的、数字的に出て立証されているわけです。
 きょう材課長がお持ちになった表には載っておりませんけれども、大変読みづろうございますけれども、私がハンドライトでつくりました表1というのがございますが、その(A)(B)(C)は、これは材課長のお出しになったデータと全く同じ――根拠が同じですから同じである方が当たり前なんですが、(D)がちょっとなかったと思います。(D)というのは、いわゆるLLDCと言われている国々を対象にして行われるODA額がGNPの中に占める比率というのがここに出ているわけでございます。データは、これは一九八四−八五年の平均で出ておるのでございますけれども、この比率というのは、一九八一年のパリの国連会議の際に、これからLLDCに対してもう少し援助を強化しようという合意が行われて、そのときの合意で、援助供与先進諸国はGNPの〇・一五%のODAをLLDCに向けて供与しようという一つの合意が出ているわけでございます。その点で見ますと、先ほど私が申し上げました四つの国、ノルウェーから始まってオランダ、それからデンマーク、スウェーデン、これらの国々の数値を(D)の欄を縦に見ていただきますと、例えばデンマークは〇・一五じゃなくて、その二倍の〇・三%、それからずっと下がりましてオランダが〇・二八、それからノルウェーが〇・三三、スウェーデンが〇・二二ど、いずれも〇・一五%をはるかに突破している。言いかえれば、これらの国々のODAというものはLLDCにかなり焦点を合わせてやっているということが数字の上で出ているわけでございます。
 これに対しまして、〇・一五%という一種の国際的な基準といいますかノルマにはるかに到達していない国が二つございまして――実は三つあるわけでございますが、その一つが日本でございます。日本は〇・〇六%。このことはつまり少なくともLLDCを我が国のODAは余り重視していないということを数字的に示しているように私は思うわけです。もちろんLLDCと人道主義援助とはそのままぴたり重なるとは思いませんけれども、ある程度そこに相関関係はあるというように思っているわけでございます。
 さて、時間も限られておりますが、次に進ませていただきます。
 実は極めて最近もうこちらにおじゃまをすることを予定されていた後の偶然の出来事なんでございますが、オーストラリアのいわゆる援助局、これは外務省の中にある局でございますが、ちょうど日本の経済協力局みたいなものでございます。ただし、日本の経済協力局とオーストラリアの援助局との違いは、オーストラリアには援助官庁はそれしかないわけです。日本は、御承知のように、四省庁があったり、十五省庁がいわゆるODA予算を配分しているというようなことがありますから、オーストラリアの援助局と日本の経済協力局はちょっと性格が違うわけですが、そこが発行いたしました「日本の援助プログラム」、「ジャパンズ・エード・プログラム」というパンフレットといいますか、資料を向こうから私個人に送ってきたわけです。つまり日本の援助というのをオーストラリアの連中が書いているわけなんです。それを急いで読んだわけでございます、こちらに参るために。読んだら、なるほどこういう見方もあるのかと思うことが非常にあった。大体全体を通じて書いてあることは、私が本日申し上げていることとほとんど符合しておるわけです。一致しておるわけでございますが、あれ、こういう見方があるのかなと私がちょっと驚いたのは、日本で経済協力という言葉を使っておられるわけですね。この小委員会もまさにそういう言葉を使っておられる。ところが、オーストラリアの連中から見ますと、経済協力ということは、結局与えながらもらう、つまり双方交通だ、正面交通なんだと。それをいみじくも日本の場合にはエコノミックコーポレーションという名前で言っている。まさに日本はそうなんだと、そう言っておるわけですね。つまり援助よりも、何か向こうにやってあげるけれども、同時にそれから得るという文字どおりの協力なんだと、日本は。ということを見まして、なるほど外国人、英語国民から見るとそういうように解釈されるのかと、経済協力が、ということを私はちょっとある意味じゃ驚いたわけなんです。そのことは、しかし内容的にはまさに日本の援助のあり方というものをよく知っているということになるかと思っております。
 そこにも、私が常々申し上げている、これはまあ雑誌などで申し上げていることが大体ほとんど漏れなくその文書にも出てくるわけです。例えば日本には援助行政が一本化していないではないか、これはなぜそうなんだろうというように向こうの人は言っておるわけです。あるいはいわゆる理念が法律という形で出てないではないかと、そういうようなことがその文書に出てきておりました。
 これは私が常に日本の援助を見まして、できたら改善を一日も早くしていただきたいことだと思うので非常に割り切って三つだけ申し上げますと、一つは援助行政の一本化、行政官庁を一つにすると、そこにすべての援助を集約するということをした方があらゆる点で効率的であろうし、またいわゆるプロが育つ、援助プロが育つということにつながろうかと思います。
 もう一つは、援助理念を明確化した立法措置が必要であろう。既に外務省ではその援助理念をいろいろと言っておられますけれども、これは国民の合意を得た上でというよりも、いわばお役所でよいと思われることを言っておられるわけです。私はやっぱり国民の税金を使ってやるんですか
ら、国民が納得のできるような、なぜ援助をするんだということが大多数の国民がわかり、かつ支持するような、そういう援助の理念を法律で明確化していただきたいというのが、これが前から申し上げていることの一つなんでございます。
 それから三つ目は、これは簡単なことのようですが実は大事なことなんですが、ほかの援助協力国には南北問題ないしは開発援助についてのシンクタンクが非常に確立をしておるわけですね。あるいは大学の中の研究機関であったりあるいは独立の研究機関であったりするものがたくさんございます。あるいは政府がつくったものもあるし、あるいは民間であるものもあります。そういうものが日本に全くないわけではないんですけれども、それと援助行政とは直接のパイプがない。例えば具体的に言いますと、アジア経済研究所なんかはそういうところだと思いますけれども、そのシンクタンクを一日も早くつくっていただきたいというのが私のお願いなんです。
 それは、たまたま材課長のペーパーにもございますように、このたび国際大学という形で日の目を見るような気がいたしてほっとしているところでございます。願わくはその国際大学が本当の意味でシンクタンクであっていただきたい。そしてそこでひとつぜひやっていただきたいことは、ほかの先進諸国がやっている援助と常に十分に調査、研究をして、それとの照らし合わせの中で日本の援助というものを検討、研究をしていただきたい。
 それをなぜ私が申し上げるかというと、大体ODAというものは、事柄の性質からいって国内ではどこで何がどう使われているかのわかりにくい予算項目でございます。ところが同時に、あるいは反対に国際的にはODAぐらいぎゃあぎゃあ国際比較の対象になるものは予算項目の中にないと思うんです。日本のいろんな予算項目ございますが、ODAぐらい国際比較の対象になるものはないわけなんです。そのためにOECDなどという政府間機関もあり、その中にDACというものがあって各国の援助を審査などしておるんですから、このODAぐらいほかから見たら比較される対象になる項目はない。
 そういうことを考えますと、常に我々は、あるいは日本は諸外国の先進国の援助の動向とか、理念の移り変わりとか、ストラテジーというか、戦略の進展とかというものを常に研究しておくべきであろうということを特に国際大学にお願いをしたいと思っておるわけでございます。
 それで、私はできるだけ時間を節約するために、まず前半には大体ODAなるものの国際的な歴史というか沿革というものを簡単にレビューして、今やODAというものはもう一回見直し、レビュー、かなり批判的な意味でもレビューされるような時代になっているということ、そのことを申し上げて、それから二番目に日本のODAというものについて幾つかの、私見でございますけれども、私がもう少し改善をしていただきたいということを申し上げたわけです。その改善というのは、今川村参考人が言われたような具体的なことだけじゃなくて、援助の仕組み、構造というものから始まった見直し、例えば行政の一本化とかというようなことですね、それについて一口極めて具体的なことを申し上げますと、例えば川村参考人がお述べになったことの中に国別あるいは分野別あるいは地域別の調査、研究をこれからやる、既にやっておられるところもありますけれども、やろうとしておられる。私はそのことは非常に結構だと思う。非常にいいことだし、逆に言えば今までそれをなぜやらなかったかということさえ申し上げたいんです。
 しかしながら、なぜJICAだけがそれをおやりになるのか。例えば一つの地域別、国別の調査、研究であるなら、なぜOECF、海外経済協力基金と一緒にそれをやれないのか。それもやはり私は援助行政の一つの機構上の日本的欠陥が反映されていると思うんです。国によりましてお金を貸す、借款を主として業務としているエージェンシーと、それから技術協力を中心としているエージェンシーとが別々に行われている国は日本だけではございません。ほかにもあります。ありますが、その場合にはその両者を統合する上にいわゆるエードエーシェンシー、援助官庁があるわけなんです、一つの官庁が。そこで統合できているわけです。ところが日本は、御承知のように、例えばJICAは外務省の管轄下にある、OECFは、私がもし間違っていなければ経済企画庁のもとにある。そういう縦割り行政のために、両者の間の連携というか、統合的な研究がどうしても行われないのではないか。ここらに私はやっぱり機構上の問題が背景に存在しているように思うわけでございます。
 そういうことなどを私どもは、私というか全く民間、在野の一研究者が考えておるということをきょう先生方に御披露させていただきましたことを小委員長を初め全小委員会の方々に深く感謝を申し上げます。
 少し時間を短くいたしましたので、恐らくこれで全体のバランスがとれたのではないかと思っておるわけでございます。
#10
○小委員長(志苫裕君) ありがとうございました。
 以上で政府からの説明聴取、参考人の方々の意見聴取を終わります。
 それではこれより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○下稲葉耕吉君 下稲葉でございますが、今三人の方々から大変有益なお話を伺いまして、まず御礼申し上げます。
 そこで外務省の方からは、現在までのODAの現状、それから全体の流れというふうなものを説明いただきました。ただ、やはり何といっても基本的にここで取り上げて、委員会としての一つの方向なり何なり出たらすばらしいなと思うんですが、室参考人からお話がございましたように、開発援助の理念と申しますか、目的といいますか、そういうふうなものについて少し真剣に議論し、討論する必要があるんじゃないだろうかと思います。
 戦時賠償で始まりました日本のODAですが、今御説明がございましたようないろいろな経緯をたどって今日に来ているわけでございます。ちょうど私は今そういうふうなODAの問題について過去の実績を見詰めつつ新しい方向を展望して切り開いていかなければならない一番大事な時期に来ているんじゃないだろうか。と申しますのは、何とはなしにやってきたのかどうかわかりませんけれども、実績を重ねてきたODAが世界の中でも量的には二番目に達している。しかも援助案件というのはどんどんふえている。項目もふえているし、対象国もふえている。そういうふうな際に、では世界の人々のためにどういうふうな理念で日本のODAを今後やっていかなければならないかというふうなことではっきり基本的な考え方を決めて、そしてそれについて国民が納得し、そして十五省庁の関係省庁の人たちがそういうふうな考え方に基づいてODAの仕事をされるというふうなことが今一番大事な時期に来ているんじゃないかと思うんです。十五省庁の方々とお会いしていろいろお話を聞いてみますと、皆さんそれぞれ熱心におやりになっているのがよくわかるんです。本当によくわかるんです。しかし、その根っこが何かこうはっきりすれば、さらにそういうふうな具体的なODAの中身が質的にも厚くなってくるんじゃないだろうかというふうな気がするんです。
 そこで、一番新しいODAについての考え方ということで、ことしの五月十五日に対外経済協力審議会、これは総理の諮問機関でございますが、答申を出しておるんです。その中に、今室先生がおっしゃいましたように、経済協力という言葉自身私もちょっと引っかかるんですけれども、「開発途上国の貧困、飢餓等の諸困難を看過し得ないという人道的・道義的考慮、さらに、開発途上国の安定と発展が世界全体の平和と繁栄にとって不可欠という意味での国際社会の相互依存性の認識等に立って行われるものである。」、私はこれでい
いと思うんです。ですから、こういうふうなことで、ひとつ意思の統一を図って、それから具体的な実施に入るべきじゃないだろうかなというような感じがするんですが、その辺のところについて御意見があれば承りたいということが一つ。
 それから、援助行政の一元化の問題につきましては、この委員会でも大変議論されましたし、この前は中西先生が予算委員会で総理大臣、大蔵大臣、それから外務大臣、次々に御質問なさった。答弁はやはり現在政府の責任者の方々でございますので、それははっきり方向が決まっておればともかく、率直に言って余り歯切れのいい答弁ではなかったんですけれども、それにしても、やはり何かその辺のところでいろんな問題があるということはわかるんです。十五省庁ございまして、それぞれ縦割りで仕事をやっているんです。この援助行政というのは、どっちかというと横糸の関係だと思うんです。横糸の関係のところを抽出してやらなくちゃならぬというような格好になるものですから、大変困難な面があるということはわかりますけれども、国際社会における日本の将来というものを考えていきますと、何とかそういうふうな困難を克服してでもやっていかなくちゃいけないんじゃないかなというふうな感じがするんです。
 そこで、いろいろ調べてみますと、昭和四十六年に先ほど申し上げました対外経済協力審議会の答申が総理大臣になされておるということで、そういうふうな内容を見ますと、これはもう皆様御承知だと思いますが、もちろん対外開発協力基本法の制定の問題だとか、いろいろありますけれども、やはり省ないし庁を設けろとかいうふうなことが答申の中で出ているわけです。それがずっとそのままになっちゃっているわけですね。それから、閣僚協議会を設けなさいというふうなことも出ているんですが、それもそのままになっちゃっている。あるいは若干落ちまして、総理大臣を長とする推進本部を設けなさいという答申が、これは最終答申の四十六年の十月ですかね、出ているわけなんです。
 ですから、十何年前に既に総理に対してそういうふうな答申が出されているんですけれども、そのままになっちゃっている。閣僚協議会一つ設けられていない。私は今一つの大きな流れの中でここがその節目に当たるだろう、そういうふうな感じがいたしますので、大体室先生のお話を承って、そのとおりだなというふうなことで意を強くしたわけでございます。これは御感想がございましたらお伺いいたしたいと思います。
 それから、援助体制の強化の問題でJICAのことがいろいろお話しされているものですから、JICAの川村参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、ほとんどJICAの要員というのは変わっていない。それから、先ほど外務省からもお話がございましたように、一人当たりの負担というのはもうどんどんどんどんふえているというふうな実績でございますね。そこで、しかも援助体制の強化ということ、これも調べてみますと、もう大分前からいろいろ言われています。先ほどお話がございましたように、NGO研究会ですか、外務省で、小倉さんが委員長ですね、ああいうふうな中にも出ておりますし、そういうことなんですが、具体的にどういうふうに努力してこられたのか。我々の責任でもあるんですけれども、例えば少なくともODAの三次中期目標なら七年間で、今後は五年間で倍増だというふうな目標が出ているんですが、そういうふうなものに対応して具体的に事務量なり何なりどれだけふえていくか。だから、何名の者を何カ年計画ぐらいで増員を要求したりとか、そういうふうな計画があるのかないのか。そして具体的にどういうふうな努力をなさっているのかどうか。もう予算の時期ですし、増員要求なり何なりというのはなさっておられると思うんですけれども、なかなか厳しい中ですけれども、我々も一生懸命お手伝いしたいと思うんですけれども、果たしてどれぐらいの、何といいますか、ウエートでおやりになっているものですか、その辺についてお伺いいたします。
 それからもう一つお伺いしたいのは、これはちょっとあれですけれども、外務省の資料でことしのシーリングでODA八・六%増と、こういうふうに出ていますね。そうすると、八・六%というのはわかるんですが、これはトータルとして八・六%だというふうに理解しますと、十五省庁にはそれはどういうふうになっているのだろうか。十五省庁にはどういうふうな形で、各役所は独立しておやりになって、そのトータルが八・六になれはいいのかどうか。それから、各省は各省でシーリングがございましょう、外務省は外務省、大蔵省は大蔵省。そうすると、八・六%というのはシーリングの別枠なのか中なのか。中だとすればほかのところに食い込んでいくわけですわね。それだけにODAに対する力が入らないんじゃないかというふうな気がしないでもない。防衛予算は防衛庁一本ですから、何%伸びるということになったらそうなんですけれども、その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
#12
○参考人(室靖君) 下稲葉先生がおっしゃったのは、私が申し上げたこと大体側賛同いただいたというふうな気が、御発言があったと思うんで、私の方からあえて質問を受けましたことというのは、恐れ入りますが、明確に言ってどの点でございましたか。
#13
○下稲葉耕吉君 援助行政、援助理念の明確化という点で二つ申し上げましたが、その辺のところでいいですか。
#14
○参考人(室靖君) 私は、いわゆる対外経済協力審議会ですか、総理大臣の諮問機関だと思うんでございますが、そこでお出しになった理念は全く賛成でございます。
 それから、ついででございますけれども、省庁行政の問題でございますけれども、これは先ほど時間の関係で私がちょっとネグったことであると思いますが、一つの例を申し上げたいと思います。
 どこの国でも援助行政は外交の一環の中には入っているわけでございます。しかし、一つの非常におもしろい例は、オランダなんでございますが、先ほどの優等生の一つの国でございますが、オランダの場合には外務大臣とそれから開発協力大臣という二人が一つの省におるわけですね。そこで外務省の中でありながら独立した一つのオートノミーを持った事実上の省ができている。この体制というのは、これはオランダの場合ですけれども、ベルギーも大体そういう体制でございます。そういうような体制になれば、私は外務省、外交というものから切り離さないで、しかも行政が一本化できるのではないかというように思うわけです。ただし、もちろん私も日本人でございますから日本のことはある程度知っておりまして、そういう話になったら、現在援助にかかわっているいろいろの省庁から大変な抵抗があるんじゃないかとは思いますけれども、理想を言えば、私はそういう形が日本の場合にもあり得るのではないかということを、これはお答えになるかどうかわかりませんけれども、ちょっと補足的に申し上げたいと思います。
#15
○参考人(川村知也君) 下稲葉先生、特にJICAの要員の点について非常に御理解ある御発言をいただきまして大変ありがたいと思っております。
 具体的にはその整備、実施機構の強化についてどういうような努力をしたかということかと思いますけれども、私どもの立場としては、御承知のとおり、特殊法人としての立場から、いわば独自に予算要求ということはしない立場になっております。必ず監督官庁の方にお願いしてやっていただくということでございますけれども、当然そういう直接的な訴えというものほかねてからやっておりますし、また最近においてもますますそういう点の必要性を訴えております。
 それから、とはいっても、やはり国民一般にJICAならJICAのやっている仕事をさらによりよく理解していただくということもいろいろな意味で必要で、今の人手が足りないというようなことについても、やはり一般の御支援を得るとい
う意味から、さらにJICAの広報あるいは啓発というものも必要だろうと思いまして、そういう観点からも特に近年広報というようなものも強化しております。
 それから、今下稲葉先生、定員が変わってないとおっしゃったんですが、実は正確に申し上げますと、何回も申し上げているとおり実は減っている。減ったわけでございます、長い間。ようやく最近になって少しずつ純増、ネットふえ出したということでございます。
 そこで、そういう現実のもとで我々自身としてできること、これはもうやっております。それはどういうことかと申しますと、御承知のとおり、現在の国際協力事業団というのは昭和四十九年に発足いたしましたけれども、主として当時の海外移住事業団と前の海外技術協力事業団が合体してできた組織でございます。移住事業の面というのは、御承知のとおり、政府事業として直接移住振興を図るという業務は漸減しておりましたわけでございますので、これはいわば幸いにそういう移住部門の事業というもので余裕ができたところ、これをもう極力技術協力部門、あるいは最近で言いますと無償協力部門というものもございますけれども、そういう移住以外の部門に配転をする。具体的に申しますと、事業団が発足当時、海外移住部門というのは四百二十一名おりましたけれども、これを漸次今のような配転をいたしまして、既に移住部門ではこれが百七十三名に、移住部門から見ますと減っております。その分だけ技術協力部門あるいは協力隊、それから無償協力部門というものに振りかえて、そういうことで対応しております。
 それから、その人員の配転に伴いましてやはり機構ですね、例えば移住部門においていろいろな事業がございましたけれども、そういうのも極力整理をして、さらにより必要な技術協力部門であるとかあるいは無償資金協力部門というものを強化して体制を整えていく。あるいはJICAには国内支部もございますけれども、これはもともとやはり海外移住事業団の組織でございましたけれども、こういうものも、今地方の国際化というようなことが叫ばれておりますけれども、移住以外の技術協力部門あるいは海外協力隊の事業というものも所掌するように組織がえをする、整理統廃合を行うということで、いわばこれは自助努力というか、内部努力と申しますか、そういうできることは極力やっておるつもりでございます。
 しかしながら、こういう自前の努力というのは恐らくもうほぼ限界に来たということだと思います。ですから、やはり再々申し上げているように、今後はできるだけ人数をふやしていただく。これは予算要求上見ますと、例えば今年度予算で四十二人お願いしておりますけれども、これは御承知のとおり、政府全体で行政改革の観点から定員削減というものがございますから、実際には相当のものが引かれてしまう。ですから、あくまでもネットで少しでもふやしていただく。少しでもじゃなくて大いにふやしていただきたいんです。できる限りふやしていく、こういうことに頼らざるを得ないと思います。
 それから、ついででございますから、これは私見ではございますけれども、同じ援助機関といっても、これは資金協力を扱う援助機関と、それから私どものように技術協力を扱う機関と一人一人の職員ないしは担当官にかかるロードというのは違うと思うんですね。端的に言いますと、例えば日本の経済協力の中で国際金融機関にお金を出す、これは相当な金額になりますけれども、これは単純化してみますと職員は余り要らない、人手はかからない。それから日本がやっている二国間の資金協力、借款というようなものも、大規模プロジェクトですけれども、恐らく人数的には、これは工事をしたり物をつくったりする話ですから、政府ないしは実施機関の職員という面では比較的軽い面がある。ところが、技術協力というのは御承知のとおり直接的に人間を相手にするので、これは金額的にはそれほどまとまらない援助の形態なんですけれども、その割に非常に手間暇がかかる。それから、資金協力でも私どもが担当させていただいている無債資金協力、これもまた一件一件は比較的小さいんですけれども、相手国の事情もございますし、無債協力がいくような国というのはLLDCというか貧困国が多いわけですから、そういうこともあってやはり手間暇がかかる。こういう面でも、同じ援助機関でも技術協力を担当している実施機関というのはやはりそれだけ手間暇がかかる。それだけに私どもの状況というのは非常に逼迫しているということが言えるかと思います。
 どうもありがとうございました。
#16
○小委員長(志苫裕君) 材課長、シーリングの件。
#17
○説明員(林暘君) 予算の件でございますが、非常に複雑な点がございますけれども、簡単に御説明申し上げますと、下稲葉先生御指摘のとおり、一般会計のODA予算につきましては十五省庁にODA予算が計上をされております。大きなところは外務省、大蔵省でございますが、本年度、六十二年度で一番少ない環境庁の千七百万円に至るまで十五省庁にODA予算があるわけでございます。これはあるODA予算という一つのまとまったものがあって、それを各省に配分しているということではございませんで、ODAというのは、DACの定義がございますが、開発途上国の経済開発、福祉の向上のための政府のお金の流れということで定義をされておりますので、例えばある省庁が開発途上国から人を呼んでくるという事業をやっているということがあるとすれば、それがODAの定義に該当すれば、それはODAの予算と認めるということになっているものでございますから、そういう意味で各省それぞれがやっておられる事業、それをODA予算と認定してODA予算の範疇に入るという形になっているのでそういうことになっているわけでございます。
 ですから、もう一つの例としては、国際機関に対する分担金、拠出金についてもこれはDACで統一的なルールがございますが、何でもよろしゅうございますが、例えばUPUという郵便の連合に対する分担金があった場合、そのうちの何%はODAとカウントしてよろしいですというルールがあるものですから、それをもともと持っておった郵政省の予算のうちのその部分はODA予算になっているという形になっておるわけでございます。ですから、各省庁に予算を配分する、分配するということではなくて、各省庁が持っておられる予算のうちのどれがODAに当たるか当たらないかというふうになって決まっておるということでございます。
 それから二番目にシーリングとの関係でございますが、ODAについての今回決まりました例えば八・六%のシーリングは各省庁の非ODA予算のシーリングとは別でございます。ですから、例えばある省庁が一〇〇の予算を持っておって、そのうちの二〇がODAで八〇が非ODAの予算であったということを仮定いたしますと、ODAだけの関係から申し上げますと、八〇については通常のゼロシーリングであればゼロシーリングがかかりまして、それのうちの二〇についてだけ八・六%のシーリング枠がつくということになっております。
 以上でございます。
#18
○矢田部理君 各参考人から大変貴重な御意見ありがとうございました。
 外務省から最初に伺いますが、他の機会にもお聞きできますので極めて簡単で結構ですが、外務省なり日本政府がODAの予算について倍増計画など立てて年々増額をしてきた、量的拡大をしてきた点は歩といたしますが、同時に問われてきた質の問題、先ほどから幾つか指摘があるわけですが、例えば贈与比率が極めて低い、あるいはLLDC諸国に対する援助比率が非常に低い、こういう質の低さ、悪さについてはどう認識をされ、今後どうこれを打開していくのかというプランなどがありましたら、まず説明をいただきたいと思います。
#19
○説明員(林暘君) 今御指摘いただきました点に
ついては、先ほども御説明いたしましたように、確かに我が国の贈与比率、援助の中に占めるただのお金の比率というのが非常に少ないということは、そのとおりでございます。これを高めるべく鋭意我々としても努力をいたしておるわけでございますが、御承知のように、予算上の手当てからいたしますと、ただで上げるお金と貸すお金であれば、ある一定金額を途上国にやる場合に、ただのお金の方が丸々一般会計の予算の手当てをしなくちゃならないのに対して、借款についてはそのうちのいわば結果的に利子補給的な作用を及ぼす部分で、あとは例えば資金運用部からの借り入れで済むというようなこともございまして、財政状況が非常に悪い現下の状況で、我々実施当局として望むほどの一般会計のお金の増加がなかなかできないということによって、贈与比率の改善というのが非常に遅々として進まないというのが現状でございますが、これについては先生方の御理解を得つつ鋭意努力をいたしたいというふうに思っております。
 それから、LLDCに対する一つの人道的な考慮の証左として室先生から御指摘のあった点でございますが、事実問題としてはそのとおりでございます。これは種々の理由がございます。ただ、後で申し上げますが、これを改善するための努力は、先ほど申し上げましたように、例えば五億ドル三年間でアフリカ等のLLDC諸国にノンプロジェクト援助を出すということは、まさに御指摘のあった点を改善すべく努力する一つの方法として今度やり出したことでございます。
 理由でございますが、これは幾つかございますが、簡単に申し上げますと、一つは、今申し上げました日本のODAに占める借款の度合いが大きい。言いかえますと、非常に貧しい国はなかなか借款を受け入れる余裕がない。贈与であれば、もちろんただのお金でございますからいいんですが、返すお金ということであるプロジェクトをやるということについては困難が伴うという点がまず一つございます。その結果LLDCに円借款はなかなか出さない、その結果援助量が少なくなっているというのが第一点。
 それから第二点は、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、日本の援助はアジアが歴史的に中心になっております。御承知のとおり、LLDCは、日本の分類でいきますと、アジアはバングラデシュ、ブータン、ラオス、ネパールと、この辺の国しかございません、大きな国はバングラデシュでございますが。LLDCが八六年末で四十カ国あるわけでございますが、そのうちの二十七カ国はアフリカにあるという状況でございますので、地域的な配分としてアジアに比重が置かれていたということが、裏返して言うと、LLDC向けの援助が割合に少なかったということになろうかと思います。
 そういうことで、繰り返しになりますが、そういった点の反省も踏まえまして、アフリカに向けて無償の資金をふやしていこうということでことしから始めたわけでございますけれども、御指摘のように、LLDCに対する援助をふやすということは我々として最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。
#20
○矢田部理君 重ねて伺いますが、ODAの全体の予算額は何年間で倍増していこうという計画があるわけですが、贈与比率等については何年間で何%まで引き上げていこう、こういう具体的なプランはないんでしょうか。
#21
○説明員(林暘君) 今のところございません。
#22
○矢田部理君 ただ努力していると言われても少し寂しい感じがするわけですが、きょうはその程度の伺い方にしておきましょう。
 それから、今度JICAの方に伺いたいと思うんですが、フィリピンを対象にして先般報告書が出されましたね。これは一つの前進だと思うのですが、中身を見てみますと、いささかどうかなと思う点も前進面とあわせてあるわけです。例えばフィリピンのアキノ大統領のもとで中期開発計画というのを立てました。これを勉強してこれに見合った援助なり協力の体制ということは一つわからないわけではないんですが、率直に申し上げると、この計画もかなり大味なものだと私は思っているんです。例えば成長率なんていうのもこんなふうに見ていいんだろうかと。フィリピン国内にもいろんな議論があります。それから、膨大な対外債務を抱えているわけですね。他方では農地改革が依然として進まない。アキノ大統領は、率直に言うと、自分では投げ出して憲法と議会にお預けしたというのが実態だろうと思うんですね。こういう状況下でどういう協力が可能なのか、いいのかということになりますと、もう少しこの根本にさかのぼって考えてみませんと、従来のマルコス型のものではいかぬということはわかるわけですが、だからといって即アキノに乗りかえるということだけでいいのかどうかということになりますと、まだまだ考えなきゃならぬ点が多くあるのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#23
○参考人(川村知也君) 一つ最初に申し上げたいのは、この国別の研究というのは、先ほど申しましたように、JICA自体の立場を反映してはおりません。あくまでもその筋の権威の方、特に学識者、有識者の方あるいは実務家でもフィリピンに従来からかかわりのある専門家あるいは実務家もおります。例えば海外経済協力基金でフィリピンのことを手がけられた方というようなものもたしかあると、今後ともそういうふうにしたいと思いますけれども、そういうことでございまして、これはJICAとしての考え方そのものではございません。
 それから、今先生おっしゃられたようなフィリピンの現在の見方、それから、それに基づいて今後日本の援助のかり方はどうすべきかということについては、これが唯一の考え方ではないということは当然あり得ると思います。いろんな見方が当然あって不思議はないと思いますが、私自身は専門家でございませんので、申しわけないんですけれども、フィリピン自体についての見方を今ここで何か意見を申し上げる能力がないんでございますけれども、今おっしゃられたような、先生のような御批判あるいはその見るべき角度、そういうものもあると思いますので、そういうものはできるだけ率直にやはり取り入れていくべきだと。これはそのための研究でございますから、一冊フィリピンのあれができたから、これが永久に権威を持って、これに従ってすべてやるということではないと思います。当然いろんな御批判あるいはいろんな意見というものが、こういう成果品が出た反応として当然また来てしかるべきだし、あるいはまたいろんな情勢の変動というものも当然ございましょうから、そういうものに合わせて随時また常に見直していくということは当然必要だと思います。研究というのはまさにそういうことだと思うので、いろいろな御意見を常に聞かせていただいて、それに対応していきたいというふうに、当然すべきだろうというふうに考えております。
#24
○矢田部理君 フィリピンだけではなくて、これを手始めにインドとかタイとかということを次は予定をされているようですが、室先生率直に、これ読まれたと思うんですが、どんなふうに評価をされますか。
#25
○参考人(室靖君) 余り率直に申し上げたくないんですけれども、そこでも、私は今御指摘の点に関係があると思うんですが、私が申し上げたことに戻ってくるわけです。例えばフィリピンの農地改革を向こう政府が本気でやるとすれば、それを支援することは非常に私は健全な援助方法だと思うんです。ところが、その場合、JICAがそれにどうかかわるかということになりますと、全く関係ないとは申し上げませんが、向こうの政府が恐らく一番欲しがっているのは、農地改革を実施するための、つまり地主から買い上げるときの資金でございますね、それが非常にないから、それをひとつ日本が何とか面倒見てくれないかということではなかろうかと私は想像しているわけです。
 そうなりますと、これは借款にしかならないわ
けですね。そんな巨大なものを無債で供与するほど我が国は余裕はないと思うんです。そうすると、借款となると、これはもうJICAだけで幾ら研究してみたってしようがないことなんです、これは。OECFと一緒になって研究して、それではひとつ対フィリピンでは仮に農地改革を推進することを支援するのが我が国の援助の非常に大事なことだということで合意があるなら、その上で両者が研究をすべきではなかろうか。
 そして、私ついでに申し上げますが、それじゃJICAの役割がないかというと、ないとは思っておりません。その途中で、実際やるときの業務の途中で、ソフトの面で援助をする技術協力は十分あり得ると思いますし、実施された後もいろいろとトラブルが起きるのはわかっておりますから、そのトラブルをスムーズに解決するためには、広い意味での技術協力が大きな役割を持っていると思います。
 しかし、何といっても一番大きなものは金ですから、そうなると、私はJICAが幾ら農地改革を論じてみても、これは少し身の丈に合わない意見ではないかという感じはいたします。
#26
○矢田部理君 外務省からも意見を聞きたいと思うんですが、これは恐らく外務省の要請に基づいてJICAが主体になり、かつそこで何人かの有識者を組織してつくられた報告書だと思うんですが、今室先生から指摘があったように、一JICAだけでなしに、もっと大がかりな各国の流れとしても出てきておりますように、全体的な援助体制のあり方なり、理念なり、それから方法なり等々について根本的に見直す作業が政府全体としてやっぱり必要なんじゃないかという感じ、印象を強くするんです。
 それにしても、例えばマルコス疑惑で問題になった企業名の公表すら大変に戸惑っているというか、はっきりしないという状況下では大変外務省に対する期待が薄いのでありますが、一言だけ触れておきますと、企業名の公表には踏み切ったんでしょうか。いつからやることになったんでしょうか。
#27
○説明員(林暘君) 企業名の公表の話と今のフィリピンの話と二点ちょっとお答えを申し上げたいと思うんですが、企業名の公表につきましては発表することにいたしました。新たに行うものについてはそういう事態が生じた後、といいますのは、援助資金を使ってそれを実施する企業が決まった後その企業名については発表するということにいたしました。資金協力についてでございます。
 それから、フィリピンのことについて室先生からも今御意見があったんですが、二点ばかりちょっと誤解がある点もあると思いますので申し上げたいと思います。
 まず一点は、JICAで研究会を組織して研究をいたしましたのは、まさにカントリースタディーといいますか、その国に対する研究かつその国がどういう援助ニーズがあるだろうかということを有識者の方々に集まって研究をしていただいたものでございまして、どういう援助政策をとるかということをJICAで研究してもらったわけではないわけでございます。ですから、そういう研究成果に従って関係の省庁でそういうことを一つの参考資料としてフィリピンに対してどういう援助をしていくか。今御指摘のあった農地、土地改革についての補償というのはちょっと問題で、これは今のところやるつもりはございませんが、農地改革についてどういう援助をするかということについては、この研究会の報告書も参考にして政府として決めていきたいというふうに考えておりますので、計画そのもの、政策そのものをJICAでやってもらっているわけではないということが第一点。
 それから第二点は、これもOECFと共同してやったらいいじゃないかという点、それは御意見として理解するわけでございますが、この研究会も、先ほど川村理事から申し上げましたとおり、JICAの者だけでやったんではございませんで、アジ研の方にも参加していただいておりますし、輸出入銀行にも参加していただいておりますし、かつ海外経済協力基金にも参加していただいて、そういう少なくともフィリピンに対する援助という関係、それから学識面、これは農業、工業その他を含めてでございますが、そういう方々を我々の立場から網羅して研究会を組織したということでございますので、単に省庁間の縦割りの悪弊で外務省ないしはJICAだけでやってということではございませんので、その点だけはちょっと弁解をさせておいていただきたいと思います。
#28
○矢田部理君 室先生に最後にお願いしたいと思います。
 当小委員会としては、各党間の意見を持ち寄っていずれ援助基本法、経済協力基本法みたいなものを当小委員会としてまとめられないかということが一つの考え方の基礎にあるわけですが、つきましては各国の状況、先生いろいろ勉強されていると思うんですが、それぞれの国々で援助基本法あるいは援助法みたいなものを持っているのかどうか。いるとすればどんな内容、少なくともこんな点は各国で共通に考えられているテーマとして条項に盛られているとかというようなことで、各国の立法例を御紹介をいただきながら、日本で立法するに当たっては少なくともこういう点には留意をしなきゃならぬというようなことで示唆がいただければ大変ありがたいと思っておりますので、最後によろしくお願いしたいと思います。
#29
○参考人(室靖君) いわゆるDACほかの諸国がすべていわゆる基本法といいますか、援助法というものを持っているとは思いません。私どもが調べました範囲では、概算でございますけれども、半数ぐらいは持っているけれども、持っていないところもございます。ただ、持っていない国には必ず援助専門の省ないし庁が設置されているわけです。したがって、それを設置するときの法律がある意味では基本法に当たる援助理念とか政策を規制しているということがございますので、実質的には独立専門のエードエージェンシーもなければ法律もないというのは、私の知る限り日本だけのように思います。
 以上でございます。
#30
○参考人(川村知也君) 申しわけございません。よろしゅうございますか、一言だけ。
 私、室先生の先ほどの御発言でJICAのような機関がフィリピンに対する国別計画も手がける、そういう研究を手がけるということに若干釈然とされていないというふうに受け取ったんでございますけれども、それについて余り釈然としていないのは、もし、JICAというのは技術協力の機関で資金協力をやるところではない。そういうそもそもやる立場にないところが例えば農地改革のような問題を対象に手がけても意味ないじゃないかということであるならば、たとえ技術協力という一つの援助の面を取り扱う機関であっても、できるだけやはりフィリピン全体の必要性は何かというそういう全体像というものがあった上で、そういうもののできるだけ正しい認識を踏まえた上で、たとえそれがどんな小さな援助でもやるべきだと思うのです。これはなかなかそう口で言うほどたやすくはないことだと思いますけれども、少なくとも援助担当機関の心構えとしてはそういうことなんで、技術協力を担当する機関だから技術協力だけの例えば研究なら研究をやればいいじゃないかというのであれば、多分そういう御趣旨じゃないと思いますけれども、そのようにも聞こえたので、念のためその点だけ申し上げたいと思います。
 それから、それじゃJICAじゃなくて、例えば海外経済協力基金のようなところともやったらいいじゃないかと。これは私はそのとおりで、どこがやろうともあるいは合同でやろうとも、そういう場合に例えばJICAも若干なりのお役に立てばそういうところにもちろん参画いたしたいし、それはもうこういう研究というのはいろいろなところでやられて私は差し支えないというか、むしろ当然やっていいと思うんでございますが、それだからといってJICAはやらなくてもいいということではないので、もしできるということ
であれば、こういうものも、いろいろ内容的には御批判もあるかと思いますけれども、そういう御批判を引き出すためにもむしろこういうものはいろんなところでやった方がいい、JICAもそういう一環として決して意味ないことじゃないというふうに存じております。
#31
○中西珠子君 本日はお三方の先生方大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
 まず、外務省の材課長に伺いますけれども、一九八六年のODAの実績の表などをちょうだいしましたが、量的にはアメリカの次というふうなことでございますけれども、対GNP比は非常に低い。これはGNPそのものが高いから、なかなかGNP比を上げることは難しいということでございますし、先ほど矢田部委員からのグラントエレメントと贈与比率を高める努力はどのようなめどを持っているかということについては、ちょっと今のところそのめどがないというお話でしたけれども、技術協力の比率、これがDAC平均二〇・四%の半分しかない、一一・一%ぐらいだということですね。この技術協力、いわゆるソフトの面、これに日本は非常に弱いと言われているんですが、この技術協力の比率を高めるためにはどういう努力を外務省としてはされていますか。また、どのような方向で努力をしょうとしていらっしゃるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
#32
○説明員(林暘君) 技術協力の比率の改善でございますが、中西先生御承知のとおり、分類でいいますと、技術協力というのはいろんなものが実は入っておるわけでございますが、我が国の技術協力の大宗を占めておりますのはJICAでございますので、基本的にはJICAの事業を拡充するということでこの技術協力の比率を高めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
   〔小委員長退席、矢田部理君着席〕
 ただ、一言だけ申し上げますと、DACの中で技術協力の比率が極めて高いのはフランスでございますが、フランスが三八%という比率を有しておりますのは、実はフランス語教育、旧植民地等を含めまして、フランス語地域等を含めましてフランス語教育をやっている費用、先生を派遣したりすることによるアリアンスフランセーズをつくるとか、そういった事業がここにかなり含まれておりますので、フランスが非常に高い比率になっておりますが、それにしても、御指摘のように、DACの平均よりは日本はかなり低いものでございますから、基本的にはJICAの事業を拡充すること、それからJICA以外に関係の各省でやっておられる技術協力もございますが、そういったことも拡充するということで技術協力の比率を高めたいというふうには思っております。
#33
○中西珠子君 技術協力に従事する専門家の育成とか、そういうことは考えていないんですか。JICAは、今ライフワーク専門家というのを一生懸命、毎年少しずつですけれども、育成していらっしゃるわけですね。そういうこと以外には考えていらっしゃらないんですか。
#34
○説明員(林暘君) これはある程度長期的な話になろうかと思いますが、一つ外務省としてやりたいと思っておりますのは、先ほどちょっと一言だけ申し上げました国際開発大学という構想を御説明申し上げましたが、開発問題、それから開発途上国に対する協力についてのいわゆる専門家を育成するための教育機関というものが諸外国にはいろいろな形であるわけでございますが、日本の場合にはそれがきちんとしたものとしてはないということも現実でございますので、これはもろもろの困難があることは我々十分承知しております、財政的な問題を含めて。それから、これは大学院大学を考えておりますが、そういったものを設立することに伴う難しさというのは十分承知しておりますけれども、こういったものをつくっていわゆる専門家を育成する方途というのを開きたいというふうには思っております。
#35
○中西珠子君 大学院大学のようなものをつくって、そして専門家の育成に当たるというのは非常に結構なことだと思うんですよ。ただその場合、さっき室先生がおっしゃったようなシンクタンクですか、ああいった情報の収集分析をやって、そしてレトリーバルがすぐできるという、開発援助そのものの長い流れの中でいろいろ蓄積してきたそういったものがしょっちゅうアベイラブルでないと、本当の意味での研修とか研究ができないと思うんですね。そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。ただ、大学院大学だけをぽんとつくってということでは私は余り意味がないと思うんですよね。
#36
○説明員(林暘君) 大学院大学をつくるという構想そのものは、どちらかと申し上げますと、専門家を育成するという、具体的にこれがどういう形になるか今後の問題でございますから不明でございますが、専門家を育成するということを重点に置いたことで考えておるわけでございます。
 他方、今中西先生御指摘の情報の集中及びそれの検索を可能にする方途というのはおっしゃるとおりでございまして、現在その関係で情報をいろいろ持っておるところ、JICAにしてもOECFにしてもアジア経済研究所にしても、はたまた中央官庁、ある意味ではばらばらに情報が蓄積されて、それを統合して集中的に検索して利用するということが率直に申し上げて非常に難しい状況にございます。
 これは私見でございますが、やはりその辺は関係のところで工夫をして、それが集中的にうまく検索ができるような形に、情報を使える形にするという必要はあろうと思っておりますが、具体的に今どう考えているのかという御指摘が次にあろうかと思いますけれども、具体的なところまでまだいっておりません。
#37
○中西珠子君 私は、絶対に今分散されて保存されているらしい情報を集めて、そして必ずコンピューター化してレトリーバルができるようにしておく必要があると思うんです。これからますますODAが大きくなっていって、いろんな分野でやらなくちゃいけない、多様化するという時代にあって、これはもう絶対必要ですし、ぜひやっていただきたいと思っております。
 それからもう一つ、どんどんODA倍増計画、これも七年の計画が五年に二年繰り上げになって非常なスピードでふえているわけですけれども、それは量的には非常に結構なことだと思いますよ。しかし、質的に考えてみたときに、本当にいいプロジェクトがそれを吸収するだけあるかどうかという面が大変心配なんですけれどもね。いろんな人からいろんな話を聞きますと、先ほどもちょっと統計が出ていましたけれども、実施援助体制が非常に弱いと。一人がハンドルするプロジェクトの額というものは日本が一番多いわけですね。今度はどんどん額がふえていくと、新しいプロジェクトを考えて、そしてどんどんその額がふえた予算を消化していかなくちゃいけないということがあって、それに追われてしまって、事前の本当に徹底した調査もしないでやってしまうという危険もないわけではないと思うんですね。それから実施の面においても、なかなか人手が足らなくて手が回らなくてうまくいかなかったというふうなこともあり得るかもしれない、こういう危険が非常にあるわけなんですけれども、そういった場合、もし日本で人手が足らなければ、国際機関の専門性とか政治的な中立性というものをもっと活用するとか、それから日本の民間非営利団体、NGOをもっと活用するとか、そういったことは外務省としてお考えになっていないんですか。もちろんこの二百億ドルの資金還流計画の中でいろいろ世銀その他に特別基金をつくるとか考えてはいらっしゃいますね。ですから、国際機関を考えてないとは言いませんよ。しかし、国際機関の中でも資金がとってもなくてこのプロジェクトがあるんだから、これに対して日本が資金を出していただいてこれをデポジットする形、トラストファンドとしてデポジットして国際機関の専門性を使ってやらしていただきたいと。もちろん日本はそれに対して御注文をおつけになってくださって結構だし、また実施の面においても目を光らしていただいて結構ですし、評価の面においても、どう
ぞどのようにでも評価していただきたいと、こういうことを申し出ている国際機関というのはたくさんあると思うんですよ。例えばハビタット、ILO、ユネスコ、いろいろありますね。私も長い間国際機関で働いたし、あっちこっちの国際会議にも顔を出させていただいておりますので、そういう話を聞きまして、日本政府はどうもそういうことをやっていただけなくて困りますと、こういうふうに言う国際機関の代表者がいるんですね。それからまたNGOの方でも、もう少し資金面で、コファイナンシングとまでいかなくても、自主性を保ちながら資金を出してあげるという、そういったやり方で民間のNGOに働いてもらうということはもっとできないものでしょうか。
 とにかくお役所だけでやろうとなさると大変人手が不足で、DACからも指摘されてますね、援助管理体制がやはり弱いということ直言われているし、今JICAの方も御自分でもおっしゃったし、外務省でもそれをお認めになっていると思うんだけれども、そういう少し新しい方向で日本の援助資金の増大を消化していくということは考えられないことでしょうか。
   〔小委員長代理矢田部理君退席、小委員長
   着席〕
#38
○説明員(林暘君) まず、援助の実施面で国際機関を活用できないかという御指摘でございますが、そういった点も我々は考えております。ごく最近の例を申し上げますと、六十二年度予算でUNDPに南太平洋諸国向けのトラストファンド二百万ドルを計上いたしました。
 これはどうしてそういう形をとったかということを若干御説明申し上げますと、御承知のように、南太平洋には小さな島々による島興国が九カ国ぐらいあったと思いますが、一番大きいのがパプアニューギニアでございますが、小さいのはツバルのような一万人程度の人口しかないところまであるわけでございまして、現在の日本の例えばJICAを含めまして世界無償資金協力、我々がやっております実施体制ではとてもうまく面倒を、言葉は悪いですけれども、面倒を見切れないということがございましたものですから、片やそういう南太平洋の島々からは援助をもっと欲しいという要請がございますので、それの一つの解決策として先ほど申し上げました六十二年度予算で二百万ドルのトラストファンドをUNDPに置きまして、UNDPのノーハウ及び労力を使ってそれらの島々に協力をするという方法をやり始めました。
 これは一つの例でございますが、そういったようなことで国際機関を使うということは十分考えたいというふうに思っております。
 それからNGOの点でございますが、これも同様でございますが、まさに御指摘のとおり、NGOをそういう形で使うというところについては、まだ今申し上げました国際機関までのところまでも行っておりません。我が国のODA予算のごく少額の部分が日本のNGOに流れておりますが、実際に外国に出ていってオペレーションをやっておるというようなことで流れておりますのは御承知のOISCAというところに補助金が流れておりますし、OISCAと若干協力してバングラデシュに婦人研修センターかなんかをODAの方でつくってOISCAの方の技術協力をやってもらうというプロジェクトを実施中でございますけれども、そういう形で我々としてもNGOを通じる協力というのがある意味で途上国のグラスルーツにより届く援助実施ができるというふうに考えておりますので、すぐに急激に予算額を伸ばすということについてはいろいろの困難があろうかと思いますけれども、方向としてはNGOを活用するという方向で考えていきたいというふうに思っております。
#39
○中西珠子君 大いに検討していただきまして、NGOを活用する面でもまた国際機関の専門性を活用すると。どうも日本では、国際機関に出してやると日本がやったという名前が出なくて困る、こういう考え方の方が多いんだけれども、でも北欧諸国でも、カナダでも、きちっとトラストファンドとして国際機関にデポジットをしましてもやはり国名がはっきりと出ているんだし、この国から援助してもらった資金でやったということははっきり明記されているし、受け入れ側の、援助される側の国々や地域においてもそれがはっきりわかるわけですから、ぜひその点は外務省で大いにお考えいただきたいと思うわけでございます。
 それから室先生にお聞きしたいんでございますけれども、とにかく国会の場で援助の基本理念がはっきりされないといけない、何らかの法律の形をとってやることが一番望ましいということはもう全く同感でございますし、それから援助行政の一元化、それからシックタンクの問題――シンクタンクの問題につきましては、先ほど申し上げた研究と研修とインフォメーションのレトリーバルというものは、蓄積とレトリーバルというものは一緒にならなくちゃいけないということは考えているわけでございます。私どもは一応国際開発協力基本法というものの法案を外務委員会にこの前の国会の最終段階で提言いたしまして、そしてこれが一応継続審議にしていただいているわけでございますが、私どもの力だけではこれはもちろん実現できないことでございますし、この外交・総合安全保障の調査会の中の経済・社会小委員会ができればまとまった提案をすることができまして、そして法案の提案権というものがあるそうでございますので、そういう形に持っていけたらと望んでいるわけでございます。もちろんODAは外交と非常に関係があると思っているので私はこれを離したくないわけですね。ただ、ODAが余りにも大きくなっていくし、日本の国際的な地位を考えたときのODAの重要性というものを考えると、やはりODA全体を統括する、そして総合調整をする大臣が必要だと思うんですね。で、外務省に開発協力庁というものを置くと、そこの長官は大臣にはなれないと法制局から盛んに言われまして、そこのところが最も悩んだところなんでございますけれども、オランダあたりは今室先生が大臣が二人いるということでございましたけれども、外務省どうなんですか、やはり序となると長官であって、外務大臣の下にくるということになるわけですね。外務省、法制局じゃないから余りおっしゃれないかもしれませんけれども。
#40
○説明員(林暘君) 行政組織の問題であろうかと思いますが、現在の国家行政組織法に書いてありますのか内閣法に書いてあるのかちょっと私承知しておりませんけれども、内閣総理大臣のもとに総理府の外局としていろいろな庁が置かれて、そこに国務大臣が就任されるというのはあることでございますが、ある特定の省のもとに庁があって、そこの長が国務大臣であるということは確かに現在ございませんが、法律的にできないかどうか、ちょっと私専門的知識がございませんが、ないことは事実でございます。
#41
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
 それで、どうしても大臣を置きたいときには、総理府の方に持ってきて外務省の経済協力局がそっくり移ってきていただきたいと、こういうふうに思ったわけなんですね。それで、ほかの省庁のODA関係の人もみんな移ってきていただいて、それで大臣を置くというふうにね。それで、現在余り必要と思われない省庁はやめていただく、総理府に附属している中でですよ。そうすると、行政改革の精神には反しないだろうと、こういうことなんですけれども、とにかく私は今十五省庁に予算が分かれていて、そして総合調整を外務省がやっているとおっしゃっても、いや、自分のところがやっていますと経済企画庁の長官が言うんですね。それから今度は、私はこれは前の予算委員会で聞いたんですよ、そうすると、大蔵省が、いや、自分のところがやっぱり予算的には全部見ていると、こうおっしゃるし、なかなかそれぞれの省庁のライバルリーというものがあって難しいんですね。だから、同じレベルではだめで、また外務省の下のレベルではやっぱりだめな人じゃないか。ここのところが一番難しいところですね。
 そういうことで、私どもはまた一生懸命考えますので……。
#42
○参考人(室靖君) 今の大臣と、それから独立の省庁との関係でちょっと言わしていただきたいんですが、外務省の方、材課長を初めとして、私は外務省の人々から見たらうるさい、好ましからざる人物に映るかと思うんですけれども、実は私は、この省庁問題については外務省につけるということの支持者で、それを非常に支持しておるわけです。そうすると、今の法制局の解釈では、その場合には庁が仮にできても、そこの長官は国務大臣になれないというように伺ったんですけれども、そのことで思い出しますのは、先年、国務大臣で対外経済担当大臣というので亡くなられた牛場元大使がおなりになったと思うんですね。ああいう立場で無任所国務大臣で、それで援助のことを専門にやるという制度であれば、私は外務省に付設しても可能ではなかろうかという気がいたしますので、ちょっと発言させていただきました。
#43
○上田耕一郎君 三人の参考人の方々どうもありがとうございます。
 初めに川村参考人にお伺いしたいんですが、この前中村理事がおいでくださってJICAのあの不祥事件ですね、そのことについて幾つかお伺いしたんですが、あのとき私は具体的に問題の起きることを二つ挙げたんですが、一つは向こう側からの要請主義でしょう、向こう側が援助を要請してくると。プロジェクトファインディングというのをやると。それで、一人事務所の話もありましたけれども、そうJICAも人がいるわけじゃないから、結局民間コンサルタントが行って、相手の国もそれほど知識、調査が行き届いているわけではないので、民間のコンサルタントが行って発掘してくるんだと。そのことをJICAの農林水産計画調査部の土屋部長も、民間のコンサルタント協会などの助成による発掘作業に任せていると、私どもの部独自でプロファイはやっていないということを新聞で語っておられたんですね。そこに一つやっぱりいろいろ腐敗の生まれ得るまず最初の土壌があるということが一つ。
 それから、それでプロファイである候補が挙がってフィージビリティースタディーになると。フィージビリティースタディーのケースも結局民間活力に依存せざるを得ないと、専門家は民間企業が持っているわけだから。それで、中村理事ももちろん民間のノーハウを得ることは必要だと。こういう調査に当たっては、JICAの職員ということではなくて、事業団から委嘱して実際の調査に当たってもらうのが実情だと。委嘱してフィージビリティースタディーやってもらうと。しかし、やった人、やったところを企業が取っちゃうんじゃまずいので、慣例として出したところの企業にはその仕事を任せないようにしているのが、これが内規じゃなくて慣例だというお話があったんですね。あのときも中村理事はきょうお話しのような方向で、選定その他第三者も入れて厳密にやりたいということを述べておられたんですが、きょうお聞きしたこの改善推進委員会の主要改善項目の中でそこに関連するところでは、「専門家リクルート方法の改善」でJICAとして資格試験、資格授与ですね、これをおやりになるということと、コンサルタントの活用、選定を客観的に第三者も入れてやると。それから、事故が起きた場合に、措置委員会を常設して基準を明確化するというお話があったんですが、いろいろシステムとしてしっかりやっても、例えばダムをどこかでやるという場合、このフィージビリティースタディーをやれる技術者というのはそう多くいないですよね。やっぱりダムの経験もあり知識もある人がやるしかないので、やはり何らかの形で民間企業とのつながりが生まれるんだろうと思うのですけれども、中村理事が認められたようなこのフィージビリティースタディーの調査団に民間活力のノーハウを使うということで委嘱してやるということがやっぱり続くんですか。それの選定を厳密にやるということなんですか。また、このプロファイ問題について、ああいう事故が起きることを予防することが今度のシステムでどの程度可能なんだろうか。実情がよくわからないんですけれども、説明をお聞きした限りではちょっとまだ疑問と不安が残るんですが、お聞きしたいと思います。
#44
○参考人(川村知也君) プロファイの点あるいは要請主義とのかかわりの点でございますけれども、上田先生御存じのように、プロファイということは、これは政府もそうだと思いますけれども、我々実施機関としても非常に重視しているわけでございます。日本の援助は要請主義ということで、これは大原則でございますけれども、これも常に言われるように、要請主義というのは何も受け身の立場で要請が出てくるのを待っていることではないので、やはり積極的にこちらから出向いて、どういうニーズがあるかということを調べてくるということが非常に大切なわけでございます。
 そういう意味で、私はプロファイ自体というのは援助を進めていく上で大変な意義のあることあるいは必要なことでして、これはもうJICAもそうですし、どこの政府あるいはほかの援助機関でもそうだと思います。その際に、最近では政府当局でもそうですし、私どもでもプロファイあるいはそれに類した例えば何か候補案件になるようなものがあっても、それを援助ができるように仕上げていく必要があるわけでございますね、いろいろ援助案件として組み立てていくという、そういう活動にできるだけ力を注いでいくと。例えば、これはJICAばかりではございませんけれども、政府としてある国にある適当な時点で年次協議ミッションというものを出す、それはJICAも参画いたしますけれども。そうすると、その国が当面どういう援助を必要としているか。それから特にその年度なりあるいは近い将来にどういう援助をやったらいいかというようなことを調べにまいるわけです。これはまさに広い意味でプロファイだと思うのでございますね。こういうことを政府としてもやっておるし、JICAとしてもそういう面で参画しております。したがいまして、私勉強不足で申しわけないのですけれども、今先生の御引用になった新聞ですか、JICAの部長が、プロファイはやっておらない、全く民間任せであるというふうにもし言ったとすれば、それは非常に限られた分野か何かの話で、JICA全体としてもそうですし、あるいは政府の援助全体もそうですが、プロファイは一切民間だということはないのじゃないかと私は認識しております。
 じゃ民間はどうなのかというと、もちろん民間の方もいろいろな動機からそういうプロファイにつながるような活動をやっておられることは事実で、それはもし優良な援助プロジェクトというものにつながるものであれば、それは当然現在までも取り上げられておるでしょうし、そういう面での民間の活用ということはあってよろしいのじゃないかと思います。
 ただ、民間に任せておって、任せっきりだというのはどういう文脈でおっしゃられたのかちょっとわかりませんが……
#45
○上田耕一郎君 東京新聞の去年の八月十五日号の記事の中にあるんですよ、引用で、談話でちゃんと載っている。
#46
○参考人(川村知也君) それはちょっと事実に基づいて私今発言できる立場にございませんけれども、またさらに調査させていただいて、何かございましたら連絡をさせていただきたいと思います。
#47
○上田耕一郎君 そのときのフィージビリティースタディーの方はどうですか。
#48
○参考人(川村知也君) フィージビリティースタディーの方は、申しわけないのですけれども、問題をまだよくのみ込めないのでございますが、一つははっきりしていますことは、JICAというのは、これは大体JICAのあらゆる事業について言えることでございますけれども、JICAの職員自体が、JICAそのものの人間が技術協力の実際を手がけるということは余りございません。もちろんそういうことはやはり手当てをしなくちゃいけないという問題意識はもう前からございまして、先ほど中西先生もちょっとお触れにな
りましたけれども、ライフワーク専門家というのは、まさにこれはJICAの人間で実際にそういうものをやる、技術協力の事業自体を担当するという人間も育てるというふうにしております。
 しかし、現状は開発途上国に行っていただく専門家あるいはフィージビリティースタディーをやっていただくコンサルタント、こういうものはJICAの人間自体がやることは大方はできませんで、官庁は当然でございますけれども、関係官庁あるいは民間の方、場合によっては地方公共団体、まあコンサルタントは大体反間企業でございますけれども、それにお願いして、先ほど委嘱ということをおっしゃいましたけれども、委嘱というのもあるかと思いますが、普通相手が会社ですとJICAと契約して一定の業務を委託してやっていただく、それに対して対価を支払う、こういうことになっております。
 ですから、これはある意味で民間活力活用とまさに言えると思いますけれども、そういうことよりも、むしろJICA自体がやるべき、これは政府ベースの技術協力で、政府同士で合意した技術協力を実施することでございますから、その場合にフィージビリティースタディーであれば、あるいはフィージビリティースタディーに準ずるいろいろな調査活動がございますけれども、そういうものについては、普通の場合は日本の民間のコンサルタント会社と契約してやっていただくというのが普通の姿でございます。
 それから、恐らく調査活動――開発調査と言っておりますけれども、フィージビリティースタディーとかあるいはマスタープランをつくるとか、実勢とかいろいろございますが、そういう開発調査事業、これにつきましては普通の場合事前調査というのがございまして、これは政府ベースでいわばJICAが直営の形で、民間の方も委嘱いたしますけれども、プロジェクトになる前、正式に本格的な開発調査、FS事業としての形をなす前に、一体どんな規模で例えば経費がどのぐらいかかるとか、どういうような趣旨で調査が行われるかというようなことを把握する必要がございます。これは、いきなり民間に何か開発途上国から要請が来たからやれということではとても形にならないわけでございまして、そういうプロジェクト――どういう本格調査をやるかということに伴ってそれの事前の調査というものが必ず必要になってくる。しかし、それは民間の方をお願いすることもございますけれども、形としてはこれはJICAが自分でやる。つまり民間の方が入る場合も、それは先ほど先生おっしゃったように、まさに委嘱してJICAが出すミッションのメンバーとして加わっていただくわけでございますね。ところが、開発調査の場合には、そうやって入っていただいたコンサルタント企業の方、例えばAという企業がございますとすれば、その会社は、事前調査に代表されたコンサルタントの企業は本格調査には普通は入ることを差し控えてもらうというのが普通のやり方でございます。
#49
○上田耕一郎君 わかりました。
 室先生にお伺いしたいんですが、今のようなJICAの問題が起きるのも、室先生が言われた経済的国益を一番主にしてやっているのが日本だというような大きな状況の中で生まれるんだと思うんですけれども、きょう室先生がおっしゃったお話、それから三つの提案は私も全部賛成なんですけれども、きょう材課長を含めてお三人のお話の中で出てこなかった問題、余り強調されなかった問題の一つに、日本のODAが商業主義というか、経済的国益が主になっているというか、そういうゆがみが非常に強かったということに加えて、もう一つ、いわゆる戦略援助ですね、特にアメリカの要請に基づく戦略援助、この性格が七〇年代からあったんですけれども、八〇年代に入ってから非常に強くなってきているという問題が大きいと思うんですね。八一年の鈴木・レーガン声明で平和と安全に役立つ地域へのODA援助というものが共同声明でうたわれて、それから日米経済諮問委員会の報告書が出るし、それから八五年の中曽根・レーガン共同声明で日米経済諮問委員会に乗っている戦略的なODA援助、これの一層の具体化と、そのために日米の協議機関をつくるということなどが決まって、八〇年代に入ってから非常にそういう点が強くなってきていると思うんです。
 先ほど材課長が南太平洋の島々への援助を述べられましたけれども、僕は新聞をちょっと系統的に調べてみますと、去年の十月に外務省は、パプアニューギニア、フィジーなど南太平洋の諸国へのODA援助をふやすと。これは外務省幹部によると、「米国を側面援助し「ソ連の進出にクサビを入れる」」ためだと、こういう新聞記事になっているんですね。それから、一月に倉成さんがフィジーに行って、同地域へのソ連の進出に歯どめをかける趣旨の演説をされて「対ソけん制が狙い」というふうに一般の新聞も見出しをつけていますよね。それから、アメリカのアマコスト国務次官らが四月に日米政務担当次官級協議で来ると、外務省で村田外務審議官などと協議をして、ODAについて「援助対象国を中米など非アジア地域に広げるとともに、援助量の増大、援助条件の緩和をはかってほしい」という要望をしているわけですね。
 南太平洋、それから特に中米ですね、こういうものに対するODAをふやそうというアメリカからの要請がずっと強まっており、外務省もその方向で動き始めているという問題が非常に具体的に出ていると思うんですね。これはやっぱりかなり大きな問題で、先ほど材課長は、アジア地域以外にもっとふやしてくれという声が国際的に強いと。サハラ以南のアフリカ、もう一つアジア南部と言われたけれども、アジア南部というのはどこのことなんですか、南太平洋のことなんですか、南アジアと言われたけれども。
#50
○説明員(林暘君) 南アジアという意味は南西アジアという意味です。インドとかバングラデシュとか、あの地域でございます。
#51
○上田耕一郎君 ここら辺の問題はやっぱりこのODA問題を考えるときにかなり大きい問題で、特に日米の多国籍企業が非常に相互浸透していまして、ブレジンスキー氏なんかはアメリッポン構想というようなことを言い出している。ブレジンスキー氏や、それからアメリカの上院のナン軍事委員長なんかは、日本の防衛費と、それからこのODAをプラスしてGNP四%というのをお二人ともそう言っていましてね。だから、アメリカが今債務国に転落して日本は最大の債権国になったんだけれども、かなり構造的に癒着した日米の多国籍企業体というのが非常に発展しておる中で、二十一世紀に向かってアメリカのそういう軍事援助を補完するようなODAの経済援助、事実上実際に戦略援助の意味を持つようなものがますます大きくなるんじゃないか。二十一世紀になると大変なことになるんじゃないかという気がしているんですけれども、アメリカは純債務高が一兆ドルになり、日本は債権が六千億ドルになるんじゃないかということまで試算されておるような状況の中なんで、ODA問題を考えるときに、おっしゃった三つの提案にもう一つやっぱりこういう総合安全保障という名で実際上は緊張を激化させるような軍事的、戦略的意味を持つような援助、これは国会でそういう決議をやったことがあるんですよね、七八年ですかな、この原則はひとつ通すことが非常に大事なんじゃないかというふうに思うんですけれども、室先生の「世界」の論文にも若干そういうことを書かれておられますけれども、お考えを最近の動きに照らしてお聞きしたいと思います。
#52
○参考人(室靖君) 上田先生が御指摘になりましたいわゆる戦略的な援助が最近日本で目につくようになってきたということは、これは客観的事実でございまして、全くそのとおりだと思います。
 で、事柄のよしあしということになりますと、これは私見でございますけれども、私は、これは本当に夢のような話でございますが、援助というものは、先ほど私が三つの哲学があると言った最後の、つまり長期的な啓発されたる国益を追求するということで、人道的な立場の援助哲学をはっ
きり持つことが一番理想であろうと思うんです。言いかえれば、これは国際的にも非常に悪名高い日本のコマーシャライズド・エードといいますか、援助の商業化ですね、これから一日も早く脱却をする。それと同時に、戦略援助、特にアメリカの肩がわりというか、お手伝いをするというような戦略援助は、私個人は今申し上げたような根拠で全く賛成いたしません。そのことについて私が特に申し上げたいことは、アメリカは第二次大戦後最初から援助を始めた国ですね、一番初めから始めた。初めは非常に大きな援助をしていたわけです。その援助のやり方は、今日まで見てみますと、対外援助という名前で言っておりますね、フォーリンアシスタント。その内容は、完全に軍事援助とそれからいわゆる経済援助との組み合わせで対外援助と称している。その結果どうなったかというと、これは私はアメリカの人に本当に率直に時々言うんですけれども、あなた方がそういう援助をやればやるほど結局目的とそぐわない、目的に背反するような結果が出ているではないかと。つまりアメリカが反共的な政権を何とかして維持しようとして軍事援助と経済援助とをつぎ込んだ国の中に、その後そこで政変が起きて、その結果反米政権が生まれた国というのが、私が数えただけでも七つ八つあるわけです。だから、そういう意味でアメリカの戦略的な援助というものはまことに愚かであって効果が上がらなかったと、これは私はしばしば申し上げているところです。
 もう一方、これはたまたま先ほど要請主義とそれから経済商業主義とのあれがあったわけですが、ちょっとそれだけこの際申し上げさしていただきたいんですが、私も要請主義という言葉はそれ自身が悪いとは必ずしも思っていないわけです。主権国家に対しての援助でございますから、これは向こうの要請があってやるということは理論的には正しいと私は思っておるんです。ところが、最近十年ほどになりますけれども、いわゆる純粋な要請主義で援助をやっている国はどんどん減ってきているわけですね。そのかわりに何が出てきたかというと、政策対話、ポリシーダイアローグということです。受け入れ国側と協力側との間で初めから開発についての政策対話というのが非常に主流を占めるようになってきた。このことは、先ほどの戦略援助や何かに絡めて、私は今後もう少しまじめに我が国はやるべきではないかと。
 で、私は非常にこれは言いにくいんですけれども、要請主義というのは、一見向こうの主権を認めて、向こうの主権に基づいて援助をするんだという建前、これまた建前なんです。ところが、実質を見ますと、例えばプロジェクトファインディング、プロファイというような言葉が現にあるように、実質的にはこちらが行って、これはおたくの国のためによい開発のプロジェクトでございますよということをこっちで見つけてあげて、それを向こうに要請をさせるというような状態が今日までたくさんあったわけです。しかも、そのプロジェクトファインディングにしばしば日本の民間企業が主導権をとって、それによって要請をさせる。それを受けつけて、いやこれは要請があったから援助をするんだというのがこれまでの日本のやり方の主流であったと私は思っているんです。これは私はある意味では要請主義と言いながら内政干渉であったと思っているわけです。むしろ、それならば初めから向こうの政府とこちらの政府とがその国の開発にはどういう方がいいのかをお互いに率直に対話をして、そしてその結果、それではこういうことを援助しましょうと両方が合意するいわゆる政策対話主義というのを日本も早く採用する時期が来ているように私は思っております。
#53
○上田耕一郎君 時間が来ましたから一つ材課長に。
 中西さんも言われた開発援助に対する基本法ですね、この小委員会もみんなで努力しようということになっているんだけれども、外務省としてはそういう法律がないのは先進諸国で日本だけだという状況の中で、この問題についてはどういう態度おんですか。つくられると困るとかいうことあるんですか、それ一問で終わります。
#54
○説明員(林暘君) 外務省としての立場がどうかというのは非常にお答えしにくいあれなんでございますが、援助の基本法がいいとか悪いとかいうことではなくて、基本法の中に何を書くかということなんだろうと思います。先ほど来御議論がありました援助の理念で、例えば人道主義、相互依存という、室先生も賛成であると言われた二つの理念、これは我々も常日ごろそういうことを申し上げているわけでございまして、日本の援助というのがそういう理念に基づいてやるものであるということを基本法に書くのはどうかという御質問であれば、我々反対することは全くないわけでございます。恐らくその基本法というものについて政府が今まで余り積極的な対応をしてないという御指摘が先ほどございましたけれども、それはなぜかと申しますと、基本法という問題になった場合に、どうしてもその中に恐らく従来いろいろの御議論をいただいておりましたもの、それから中西先生、古くは田先生がお出しになった法案等を拝見した場合に入ってくる二つの事柄があるものでそういうことになっているんだろうと思いますが、一つは先ほど来ちょっと御議論がある援助庁、援助庁がどういう性格になるかにもよりますけれども、そういう行政の組織の一本化の問題と、それから年度別の計画というものを国会の承認にかからしめるという二点だろうと思うのでございます。その二点についての政府の立場はどうかということであれば、従来総理初物が御答弁申し上げているように、現在のやり方でうまくいっているじゃないかというのが基本的に政府の考えでございます。
#55
○上田耕一郎君 終わります。
#56
○関嘉彦君 どうも御三人お忙しいところありがとうございました。
 いろいろ質問考えていたんですけれども、大分ダブっている点もありますので、ダブっている点は全部省略いたしまして、ただ、今矢田部委員の質問に関連してちょっと思い出したことがあるので、それを質問させていただきたいと思います。
 それはフィリピンの問題ですけれども、土地制度の改革、これがやはり私は、フィリピンの今度のアキノ政権が改革に成功するかどうかのかぎは土地問題の改革に成功するかどうかにあるんじゃないかと思います。私ちょうど一月に行ったんですけれども、そのころはまだアキノ政権の周辺の人たちは割に意気軒高としていたときで、やはりこの問題を取り上げ解決しなくちゃいけないと。学者の人たちもそういうふうな意見。その場合に、日本の協力をお願いしたいというふうなことを言っていました。しかし、どうも最近ではちょっとその熱が冷めてきたような気もするんですけれども。
 それで外務省にわ伺いしたいんですが、やはり土地問題の解決についてはかなりの資本、金が必要だと。それはやはりどこか外国から融資してもらわなくてはいけない。その場合にマニラの日本大使館あたりに、そういう問題について日本あたりから援助してくれるかどうか、その問題についで援助してくれるかどうかについてのサウンドみたいなものはありましたか、今まで。
#57
○説明員(林暘君) フィリピンの農地改革を進めるに当たって、それに必要な資金を援助してほしいという話は従来からございます。アキノ政権として農地改革というのが最も重要な政策であり、それに伴って膨大な資金が必要ですし、技術的にもいろいろな問題が出てくるかもしれないので、それについての援助を欲しいという要請は一般的にはございます。これは日本に限らずほかの主要援助国、世銀等に対してもあると承知しております。
#58
○関嘉彦君 それは一般的なサウンドで、まだ特定のプロジェクトというところまではいっていないわけですね。
#59
○説明員(林暘君) 先日アキノ大統領が大統領令ですか出しましたが、フィリピン側としても具体
的な計画というものがきちんと煮詰まっておりませんので、その限りにおいてきちんとした形での要請はございません。
#60
○関嘉彦君 やはり同じくフィリピンの問題ですけれども、マルコス疑惑のときに外務省の方にいろいろこの場でも質問しましたし、それから外務委員会でもいろいろ質問したんですけれども、あのときは企業名の公表もできない、それは外交儀礼に反するからということだったんですが、そのときに交換公文の中に初めからこうこうこういうことは公表するんだということを書き込んでおいたらどうかと。別にこちらからどうか援助を受け取ってくれといって頼んで援助しているわけではないので、向こうからの援助要請があるから援助するのである以上は、そのくらいのことはちゃんと交換公文の中に書いておくべきじゃないか、こうこうこういうことは公表するんだと、そういうふうな意見を述べたんですが、外務省としてはネガティブな御返事だったんですけれども、その態度は現在も変わりませんか。
#61
○説明員(林暘君) 先ほど矢田部先生の御質問でお答えいたしましたように、日本の援助の実施にかかわってどこのどういう企業がそれを実施しておるかといういわゆる企業名の公表につきましては、関係の相手国と協議をいたしまして、基本的にほとんどの国から異存がないという了解を取りつけましたので公表することにいたしました。
#62
○関嘉彦君 企業名だけではなしに、国会からこうこうこういう例えば条件なんかについての要請があった場合には公表するんだというふうなことについての了解は求めておられますか。
#63
○説明員(林暘君) 今我々が考えておりますのは、基本的にその企業の名前と、それからそのプロジェクトが終わったときに最終的にどれだけの金額が相手国に支出されたかということについては外にお出しできるような形にしたいと思っておりますが、それ以外の個々の契約の内容にかかわることについては、我が方――我が方といいますのは日本国政府として公表することは考えておりません。
#64
○関嘉彦君 その点後でまた私らの委員会の中で十分検討したいと思います。
 それから、今の上田委員の質問に関連するんですけれども、室参考人にお伺いしたいと思いますけれども、つまり事前調査なんかのコンサルタントを使う問題ですね。私の記憶に間違いなければ今から五、六年ぐらい前かと思うんですが、パプアニューギニアで何か日本のプロジェクトで融資するということが、融資じゃなしに無償援助でしたか、ほとんど決まりかけていたんだけれども、事前調査に日本のコンサルタントを使うということを日本の方は主張して、パプアニューギニアの方は日本人以外のコンサルタントを使うんだと。それで、結局その話はおじゃんになってだめになった。どうもそれは後から聞いてみますと、オーストラリアがくちばしを入れて、自分の国のコンサルタントを使えというふうなことを圧力をかけたらしくて、それでだめになったんだというふうな話を聞きました。あるいは私の記憶が正確じゃないかもしれませんけれども。
 それで、室参考人にお伺いしたいんですけれども、そういった外国の例、長くJICAの実際の業務をしておられたと思いますので、あるいは川村参考人の隣でおっしゃりにくいことがあるかもしれないと思うんですけれども、外国のそういった同種の援助と比較しまして、そういった例えばコンサルタントは自分の国のコンサルタントを使わなければならないとか、あるいはそういった援助の方法について日本だけの特色といいますか、外国と比べてそういった点について何かお気づきの点がございますればおっしゃっていただきたいと思うんですけれども。
#65
○参考人(室靖君) 先ほど私がちょっと言及いたしましたオーストラリアの援助局が出しました「日本の援助計画」という文書の中に今のお話の点が出てくるわけなんです。つまり日本は自分のところのひもつき援助をとかくやりたがってきた。その結果、同じ金額の援助が、その本によりますと、二〇%ぐらい実質的に低下する、効果が。つまり日本のものを使うためにすべて高いものになるんだと、こういう点を批判しておったのを今思い出すわけです。ただし、これは一番初めに申し上げましたように、自国経済、特に国益主義ですね、自国経済のための国益主義というのはどこの国でも多かれ少なかれあるわけでございまして、それが非常にないのは先ほど言った四つの国、北欧の四つの国なんかほとんどないと言っていいと思うんですが、その中で最近保守政権のできた国ですね、具体的に言いますと、典型的なのが西ドイツ、それからイギリスでございますね、保守政権ができたそういう政府のある国はいわゆるひもつきというか、自分のところの輸出振興とかあるいは失業救済のための仕事をしたがるという傾向が非常に強くなってきたことは、これは客観的に私は認めなければいけないと思うんです、日本だけではないという意味で、その一番具体的でこれは新聞記事にもよく出たんですが、トルコのボスポラスの橋ですか、あれでサッチャーが日本に負けたというのでえらいヒステリックに怒ったというふうなことがあったぐらいで、あれはやっぱりイギリスの国益主義があるわけですね。そういうことは多かれ少なかれどこにもあるので、日本が特にあるとは思わないんです。ただ日本の場合は、これは残念なことなんですけれども、公の機関、これは外務省も含めまして、あるいはJICAにしてもOECFにしても、これまでのところ援助のプロが比較的育っていなかった。そのためにその弱みにある意味では、言葉が悪いんですけれども、それにつけ込んで民間の企業が援助を自分たちの企業利益追求の手段にしてきたという点では一番日本がぎらついているということは申し上げられるかと思うんです。具体的には、一々の案件を挙げるというほど私は情報を確認しているわけじゃございませんので、御勘弁をいただきたいと思います。
#66
○関嘉彦君 室さん青年海外協力隊のことにも関係しておられたようにこの「世界」の論文の履歴で拝見したんですけれども、私も外国に行くついでがあるときはできるだけ青年海外協力隊の現場に行って、若い人たちが一生懸命やっているのを激励してくるようにしているんですが、全般的に言って私は日本の青年協力隊の人たちは非常によくやっているんじゃないか。非常に条件の悪いところで、気候なんかも非常に悪いところで、治安の悪いようなところで非常によくやっておられるんじゃないかと思いますけれども、あなたから見られて、日本の青年海外協力隊と外国のそれと比較しまして、どういう点に日本の特色、長所なり短所があるというふうにお考えですか。
#67
○参考人(室靖君) 青年海外協力隊には宿命といいますか、運命のいたずらで私はみずからその中にいたことがございます。かなり長いことおりました。当時のことは私がなりよく知っているわけです。また、当時私は、日本の青年海外協力隊に当たる、それに相当する他の先進諸国の同業者といいますか、要するに同業者ですね、その調査は恐らく私だけがやったんじゃないかと思うんです、当時。それで比較を幾つかすることができたわけですが、幾つか今思い出して日本の長短を申し上げたいと思うんです。
 日本の場合は、御承知のように、イギリスやアメリカ、フランスのボランティア、俗に言うボランティアと違いまして、母国語、自分の国の言葉で働くということが海外でできないわけですね。言いかえれば、日本の協力隊員は言葉のハンディキャップが初めからあるわけです。実はそのハンディキャップがあるからこそ日本の協力隊は、設立以来、技術を持った人を出すという方針を一貫してとってきたと思うんです。その結果どうなったかというと、私は、それは相手の受け入れ国側にとって非常に都合がよかったと思うんです。まず第一に、言葉が下手ですから、その国のいろんな至らないところ、腹の立つことを余りしゃべれないんですね、英語で。これはアメリカの平和部隊員なんかはしょっちゅうやるわけです。彼らは率直ですから、相手の国の政府ややることを一々
批判するわけです。そうすると嫌がられるわけです。日本はそういう点で嫌がられる要素がまずない。しかもよく働きます、日本人はほかの国の人に比べて。そして技術を持っているわけです。受け入れ国側では一般的に大変評判がいいということは認めております。認めるというか、評価しております。
 しかし、それでは日本の協力隊に何か問題点はないかというと、これはODAの一環でございますから、協力隊というものは、そのODAとしての若干の限界はある。つまり先ほどの要請主義に基づいて、向こうが要請しなきゃ出せないわけです。ところが、今の発展途上国の政府というのは、自分の国の草の根の貧しい民衆のための政治よりも、しばしば自分たちエリートのための政治を、開発を考える性格が非常に強うございますから、そうすると、協力隊に対する要請の中に、こちら私のような者から見たら、こんなことで要請するよりもっとほかに要請したらいいんじゃないのというような、そういうプロジェクト要請が多いわけですね。その点では、ODAである限りにおいては向こうの政府の要請によらざるを得ないんですから、その点の限界は若干ある。
 もう一点は、これはある意味ではかなり哲学的な大事な問題だと思うんですけれども、日本の協力隊員が海外及び国内で受け取ります手当額というのは、今では国連ボランティアを除いて世界で一番高いですね。これについて私非常になるほどと思ったことが一つあるんです。それはアメリカの平和部隊が、これは今でも圧倒的多数、数の上では非常に多く出しておるわけです、アメリカの平和部隊というのは。平和部隊は、アメリカの平和部隊員が国内にいて得る収入、国内にいて職業について得る収入よりも、向こうでボランティアサービスをして得る手当の額が大きくならないと。つまりあくまで国内で働いて得る収入よりも少ない手当で送り出すということをはっきりと明言しているわけなんです。これはやっぱりボランティアリズムというものに対するアメリカの考え方が一つあると思うんです。
 私は、日本の協力隊員はいい点がたくさんあると思いますが、もう一つだけちょっと気になることは、我々の海外ボランティアサービス業界、国際的な業界の中の一つのジャーゴンでございますが、ナンバーゲームというのがあるんです。つまり数主義というのがあるわけです。つまりたくさん出すことがいいんだという、そういうテンパーゲームがあるわけです。このテンパーゲームに非常に興味があるのが実は日本なんです。日本はとにかくたくさん出すことが目的になっているわけです。本当にそのことが向こうのためになるかどうかということを考える前に、まず外務省からいただいた予算をいかに消化して年内にできるだけたくさん出そうかということに事務局は精力を集中しているというのがあるわけです。これは実はある意味では非常に危険なことなんですね。つまりそのことは同時に、相手の国に既に日本の協力隊員と同じ程度あるいはそれ以上の技術的な資質を持っている人が育っている場合でも、日本は喜んでそういう国に出すわけです、同じフィールドで。つまりナンバーゲームに忠実ですから、とにかく出すわけです。そのことは、言いかえれば、先方の自立を妨げることではないかというのが、私のこれは対協力隊批判の一つの種です。これは向こうから見れば、日本人はどうせよく働くだろうと、しかもコストは事実上ほとんどかからないわけです、向こうの政府にとっては、全部日本が持ってくれるわけですから。そうすると、どうしても目の前のあれで、来てくれと、こういうことになる。しかし、そのことは同時に、そこの国で既に育っている人の顕在的ないしは潜在的に失業をふやすことになるんですね。それはある意味では自立を妨げることになるというのが私の考え方です。
 その点でちょっと申し上げたいのは、アングロサクソン系の四つの国がございます、いわゆる協力隊の同業者を出している。まずイギリス、それからカナダ、ニュージーランド、オーストラリアですね。ここらの連中は、向こうでの生活手当を本国政府が払わないわけです。向こう政府に払わせるわけです。そうしますと、本当に要る人でないと要求しないわけです。その点では私は日本も少し、ここまで来たら相手の国のためを考えて、ナンバーゲームに走ることをちょっと立ちどまって考えて、本当に向こうの国のためになるような協力隊員の出し方が欲しいと思います。
 というのは、これは非常に結論めいたことでございますが、私は、援助の最大の、最終の目的は、援助を必要としない状態をつくることだと思うんです。それは現に、少なくともJOCV、協力隊に関する限りは、どうもそういう考え方よりも、今隊員をたくさん出すことに少し傾き過ぎている。ただし、最後に一つだけお願いします。幸いなことに協力隊は、協力隊だけはと言ってもいいと思うんですが、日本のODAの中で、上田先生やほかの先生方もおっしゃいました商業的援助でないと、汚職につながらないということだけは一つの特色であると、そういうようにかなりいい点も悪い点も申し上げたつもりでございます。
 どうも時間をとりまして済みませんでした。
#68
○小委員長(志苫裕君) よろしいですか。
#69
○関嘉彦君 もう少しいいですか。
#70
○小委員長(志苫裕君) どうぞどうぞ。簡単にひとつ。
#71
○関嘉彦君 一番最後に言われた、つまりアングロサクソン流に向こうから金を出させるということですね、これはやはり被援助国の発展段階によってやっぱり違っていくべきで、一律にすべきじゃないということですね。そういうふうに理解していいですね。
 もう少しいいですか。
#72
○小委員長(志苫裕君) 簡潔にどうぞ。一問だけ。
#73
○関嘉彦君 余り簡潔な問題でもないんだけれども。
 「世界」に書かれました論文を私非常に興味深く拝見しました、「「開発援助」はなぜ失敗してきたか」。ほとんど全部賛成なんですけれども、ただ、一つだけちょっと引っかかるところがあるんですけれども、「過去の開発援助の失敗の原因の一つは、「開発」をもっぱら経済と技術の視点から肥えていた思想に見出される。」、これは私もそのとおりだと思いますが、つまり被援助国が自分の国の民度であるとか教育程度ということを考慮せずに、いきなり高度の製鉄所をつくるとか、そういったふうな工業化を目指してきた、これが一つの失敗した原因である。そのことは私よくわかるんですが、おっしゃっている意味は、結局その工業化自体が悪いという意味ではなしに、そのインフラストラクチャーをつくれということなんですね。それで、インフラストラクチャーをつくるためには、一つはソフトとして教育であるとか、医療であるとか、そういうふうなことが必要である。しかし同時に、ハードの面としてやはり道路をつくるとか、港湾をつくるとか、これはやはり産業の発展のために私は必要じゃないか。何かちょっとこれを拝見しますと、ソフトの方だけを非常に強調しておられて、何かハードの方は余り必要ないというふうに私受け取れたものですから、それは私ちょっと同意しかねると思ってお伺いしたわけなんですけれども。
#74
○参考人(室靖君) 文章が下手なもんですから、先生に誤解を招くような書き方をしたことはおわびいたします。
#75
○関嘉彦君 はい、結構です。
#76
○青島幸男君 お三方とも大変貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 お話通じて伺っておりまして私なりの理解をしたんですけれども、歴史的な経過を見まして、人から援助を受けているような状態だった我が国が急速に経済発展しまして、それで理念もノーハウも確立しないままに、もうにわか成金がつかみ金をやるようにやってきたということが疑惑を生んだり、あるいは相手国に最も必要な時期に必要なものを必要なだけというふうなことよりも、対外的に見えを張って、ほかの国もやっているんだか
らうちもしようがない出そうかというんで、お祭りの寄附みたいに無目的と言ってはなにですけれども、そういった部分もあったんじゃないか。それがまた多くの疑惑を呼んだり、相手国に迷惑をかけたり逆にしている部分もあったんじゃないかということもお話でよくわかったんですけれども、この表を拝見しまして、ノルウェー、オランダ、デンマーク、スウェーデンという国々と我が国との比較において余りにも差があり過ぎますね、それにしても。あるいは戦略的な、あるいは経済的な意味も含めて援助しているにもかかわらず、GNPから見るとうんと低い比率になっている。ということは、ノルウェー、オランダ、デンマーク、スウェーデンという国々を見ましても、よその国を援助しなければ金が余ってしまうというような状態ではないだろうし、それぞれの国がそれぞれの事情を抱えてやりくりも大変だろうと思うわけですね。また、その国民性からいって全員が非常に崇高な博愛心に満ちていてどうしても海外援助しなければならないんだという総意に基づいてやっているともちょっと信じがたい。してみると、この数字の上での余り大きな差は、これは単に国民性とかそういうことではなくて、何かほかにファクターがあるんじゃないかというような気がして、それは一体何なんだろうか、何がこれだけ大きな差を生んでいるんだろうかということで大変疑問に思っているので、この一点だけ室先生にお伺いしたいと思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
#77
○参考人(室靖君) 私向こうの人ではございませんし、要するに書かれたものを通して理解するより仕方がないわけでございますけれども、どうも私はやっぱり、先ほどちょっと申し上げましたように、彼らの考える国益というのはかなり次元が高くて長期的であるという、そういう援助をやることについて国民がよく理解をしているということはどうも事実のように思われるわけです。それ以外に、なぜそれじゃ〇・七%で世間が納得するのに、一・二%とか一%出しているなんてどこに理由があるんだと言われましても、私本当にお答えのしようがない、先ほど申し上げたこと以外にはお答えのしょうがございません。
#78
○青島幸男君 何となく我が国の民度の低さというのを実感したような気がして、いち早く手を打って、このままいきまして諸外国から笑い物になるような結果を招くようなことになっては仕方がございませんし、国民の方々も御不満が募るばかりですので、何とか早急に明確な理念も打ち立て、あるいは手だても一元化するなり何なりの方法を考えて、どなたからも理解をいただけるようなふうにしていかなきゃならないというふうに改めて私は深く感じた次第です。ありがとうございました。
 終わります。
#79
○小委員長(志苫裕君) どうしても聞き漏らしたのでこれ聞いておかぬとどうも寝つけないという方がございましたら御発言若干してもらっても結構ですが。
#80
○関嘉彦君 それじゃもう一つだけ。
 室さんの論文、先ほど申しましたように、私非常に賛成するところ多かったんですけれども、ただ貿易の問題で、やはり自立していくためには国内の民度を上げるということはもちろん必要ですけれども、やはり何か輸出志向の商品をつくらなくてはいけない。しかし、そういった国においては、大体において第一次産品だと思いますけれども、その第一次産品の価格の変動が非常に甚しいわけですね。これ具体的な方法はわからないんですけれども、何らかの形でその価格を安定させるような方法を考えないと、そういうふうな国の自立ということはなかなかできないんではないかと思うんですけれども、何かそれについてお考えありますか。
#81
○小委員長(志苫裕君) 続けて質問があるそうですから、どうぞ。
#82
○上田耕一郎君 「世界」に書かれたこの「「援助基本法」を提言する」の中に、先ほど中西さんもちょっと触れられたけれども、NGOに対しODA費の一部を供与するコファイナンシング、このことを提言されていますわね。それで、室さんの書かれたこの「援助基本法」の中身の中に「わが国のNGOに対し、」「供与することができる。」となっているんですけれども、この前も星野さんというボランティアセンターの事務局長の方がいらしていろいろ大変生々しいお話聞いておもしろかったんですけれども、日本はこのNGOの運動も少ないわけでしょう。そうすると、我が国がNGOに対して金出すといっても、NGOの運動そのものが弱いわけなんだけれども、我が国だけじゃなくて、国際的に国を問わずこのNGOの活動に日本がODAの費用の一部を渡す、そういうふうなことは考えられないんでしょうか。その一点です。
#83
○参考人(室靖君) 順序に従いまして関先生のお話にお答えさせていただきたいと思います。
 最初に、私の話の冒頭に、ODAが第三世界の国々の開発に持っている役割というものは実はそんなに大きなものではない、限られていると申し上げました。まさに今おっしゃられました一次産品の価格の下落なんということは、これはそのことのためにアフリカを中心としていかに多くの国々が前よりもむしろ貧しくなっているかという現象が出てきた。これはもう私は国際経済全体の大きな枠組みの中で考えることであって、これはODAではどうにもならないことだと思うんです。そのことを思い出したわけです。それで、それじゃ一次産品の価格安定政策といいますか、協定といいますか、そういうものについてはこれはODAとは必ずしも言えない、言わないわけでございます。非ODAの要するに援助になると思うんですが、それにつきましてはヨーロッパ共同体、ECですね、ECが、ACPと言っているんですが、アフリカ、カリブ海及び太平洋、この地域の発展途上国を対象にしてロメコンペンション、ロメ協定というのを持っているわけです。そのロメ協定の中ではそれらの国が出す一次産品の価格を安定させるための機構というか、メカニズムを持っております。たしか名前はSTABEXと言ったと思いますが、そういう制度がございます。それに似たようなことは国際社会の中では、例えばバナナの値段とか、特にココアの値段、コーヒーの値段なんということで、何とかしてある程度下がらぬようにする、それからやたら上がったら今度は下げるようにするという意味で、バッファーの、緩衝のための資金をつくっていこうという動きはありますし、現にそういうのが幾つかできておりますが、どうも見ていますとうまく機能してないんですね。やっぱりどんどん値段が下がっている。特に一番劇的に下がったのは砂糖でございますね。砂糖の値段が下がったために、一番日本人がよく知っているのはフィリピンのネグロス島で非常なる飢餓が起きて、本当に悲惨な飢餓が起きたというのは完全なる砂糖価格の下落でございますが、どうもそういう一次産品の価格安定というのは、資本主義のメカニズムで動いている国際経済の中ではうまく機能しないというように私は理解をいたしております。
 それから、続きまして上田先生の御指摘でございますが、NGOに対する政府からの日本語で言えば補助金になるわけですけれども、国際的にはこれをコファイナンシングと呼んでおるわけですが、これは非常に今先進諸国でだんだん広がっております。一番早く始めたのは西ドイツでございまして、一九六一年に既にそれを始めているわけです。今それを制度としてはっきり打ち出してないのは先進諸国の中では日本とイタリーだけですね。ただし、イタリーの場合はECに加盟しておりますから、自分の政府からのコファイナンシングはございませんけれども、ECのコファィナンシングがイタリーのNGOに対してあるわけです。そうすると、公的な資金を受けないでNGO活動をしなきゃならぬのは実は日本だけになってしまっている。これも正確に言いますとOISCAなんかある意味ではコファイナンシングに似たような制度で外務省から補助金をもらっていますけれども、NGO一般としてはそれがまだないわ
けです。これを何とか早くやっていただきたいというのが、これまた私の年来の対政府要求項目の一つでございます。
 それを、日本のNGOが余り育ってないんだから海外のNGOに出したらどうかというのは、これは星野君がそう言ったとすれば、星野君は実は私のすぐそばにいつもいてしょっちゅう話をしているんですが、これはある意味じゃ一つの先見の明があるんですけれども、私、日本の場合、日本のNGOにさえ金を出さない、コファイナンシングしない状態でよその国のNGOに出すということは、まず当分というかあり得ないだろうと思います。
 ついでに参考までに申し上げますと、発展途上国の中のNGO、自分たちの草の根の農村開発をやっているNGOというのは今物すごくふえてきているわけですね。これは今から十五年、二十年前と全く違った現象なんです。そういう草の根の民衆のためにODAを先進国が直接流す、あるいは自分の国のNGOを通じて流すという制度がここ四、五年非常に出てまいりまして、アメリカの場合は法律、対外援助法の中にわざわざ新しい修正をいたしまして、ODAの少なくとも一二%をNGOに供与するということが書いてございます。その場合のNGOというのは、アメリカのNGOも入りますけれども、同時にフィリピンのNGOであったり、タイのNGOであったりするわけです。その制度に似たようなことは、今ではオランダも、西ドイツも、それからベルギーも始めております。御参考までに。
 ですから、日本にそれがすぐできるかというと、先ほど申したような理由で、まずその前に日本のNGOにコファイナンシングをするということの方が先ではなかろうかというのが私の意見でございます。
 どうもありがとうございました。
#84
○小委員長(志苫裕君) 以上で質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 多忙な中を長時間御出席いただきまして貴重な御意見を拝聴できましたことに対し、本小委員会を代表して厚く御礼申し上げます。
 また、拝聴しました御意見は今後の調査の参考にいたす所存でございます。
 本日はありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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