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1987/07/23 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 予算委員会 第5号
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1987/07/23 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 予算委員会 第5号

#1
第109回国会 予算委員会 第5号
昭和六十二年七月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十二日
    辞任         補欠選任
     大塚清次郎君     上杉 光弘君
     鈴木 貞敏君     斎藤 文夫君
     野沢 太三君     本村 和喜君
     初村滝一郎君     北  修二君
     宮崎 秀樹君     坂元 親男君
     渡辺 四郎君     安恒 良一君
     吉岡 吉典君     内藤  功君
     勝木 健司君     抜山 映子君
 七月二十三日
    辞任         補欠選任
     秋山  肇君     野末 陳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                伊江 朝雄君
               大河原太一郎君
                林  ゆう君
                藤野 賢二君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                矢原 秀男君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                石本  茂君
                上杉 光弘君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                佐藤栄佐久君
                斎藤 文夫君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                下稲葉耕吉君
                杉元 恒雄君
                竹山  裕君
                中西 一郎君
                永田 良雄君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                本村 和喜君
                吉村 真事君
                粕谷 照美君
                菅野 久光君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                及川 順郎君
                広中和歌子君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                内藤  功君
                抜山 映子君
                野末 陳平君
                下村  泰君
                平野  清君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣  金丸  信君
       法 務 大 臣  遠藤  要君
       外 務 大 臣  倉成  正君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       文 部 大 臣  塩川正十郎君
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
       農林水産大臣   加藤 六月君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
       郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君
       労 働 大 臣  平井 卓志君
       建 設 大 臣  天野 光晴君
       自 治 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山下 徳夫君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  綿貫 民輔君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       近藤 鉄雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)      三ッ林弥太郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       総務庁長官官房
       審議官      新野  博君
       北方対策本部審
       議官       紀 嘉一郎君
       北海道開発庁総
       務監理官     中田 一男君
       北海道開発庁計
       画監理官     大串 国弘君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   児玉 良雄君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛庁長官官房
       長        依田 智治君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁経理局長  日吉  章君
       防衛庁装備局長  山本 雅司君
       防衛施設庁長官  友藤 一隆君
       防衛施設庁総務
       部長       弘法堂 忠君
       防衛施設庁施設
       部長       鈴木  杲君
       防衛施設方建設
       部長       田部井博文君
       経済企画庁調整
       局長       横溝 雅夫君
       経済企画庁物価
       局長       冨金原俊二君
       科学技術庁研究
       開発局長     川崎 雅弘君
       環境庁自然保護
       局長       古賀 章介君
       国土庁土地局長  片桐 久雄君
       国土庁地方振興
       局長       津田 秀男君
       外務大臣官房外
       務報道官     松田 慶文君
       外務省アジア局
       長        藤田 公郎君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    恩田  宗君
       外務省経済局長  渡辺 幸治君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       外務省情報調査
       局長       新井 弘一君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     長富祐一郎君
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局次
       長        藤田 弘志君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       国税庁次長    日向  隆君
       文部大臣官房長  古村 澄一君
       文部大臣官房総
       務審議官     川村 恒明君
       文部省初等中等
       教育局長     西崎 清久君
       文部省学術国際
       局長       植木  浩君
       文化庁次長    久保庭信一君
       厚生省社会局長  小林 功典君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  下村  健君
       厚生省援護局長  木戸  脩君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産省経済
       局長       眞木 秀郎君
       農林水産省構造
       改善局長     鴻巣 健治君
       食糧庁長官    後藤 康夫君
       林野庁長官    田中 宏尚君
       水産庁長官    佐竹 五六君
       通商産業大臣官
       房審議官     深沢  亘君
       通商産業省通商
       政策局長     村岡 茂生君
       通商産業省貿易
       局長       畠山  襄君
       通商産業省機械
       情報産業局長   児玉 幸治君
       資源エネルギー
       庁長官      浜岡 平一君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    林  淳司君
       運輸省地域交通
       局陸上技術安全
       部長       清水 達夫君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  野尻  豊君
       運輸省航空局長  山田 隆英君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労政局長  小粥 義朗君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設省建設経済
       局長       牧野  徹君
       建設省住宅局長  片山 正夫君
       自治大臣官房長  持永 堯民君
       自治省財政局長  矢野浩一郎君
       自治省税務局長  津田  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       日本銀行副総裁  三重野 康君
       日本赤十字社社
       長        山本 正淑君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)(
 内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 (内閣援出、衆議院送付)
○昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十二年度一般会計補正予算、昭和六十二年度特別会計補正予算、昭和六十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(原文兵衛君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十二年度補正予算三案審査のため、本日、日本銀行副総裁三重野康君、日本赤十字社社長山本正淑君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(原文兵衛君) それでは、これより質疑を行います。内藤功君。
#6
○内藤功君 SDI参加協定は、中曽根内閣ができて以来行ってきましたアメリカへの軍事技術提供がいよいよ核戦略に組み込まれるというところまで来たことを証明しておると思います。SDIが宇宙にまで核軍拡を広げて、ソ連の核ミサイルに対する防御網によって対ソ核優位というものを実現するということはワインバーガー長官の議会証言でも明らかであります。
 そこでお尋ねしますが、今回の協定は、研究参加のための協定とその実施のための取り決めというものが調印されたそうでありますが、具体的、実質的な内容を持っている実施取り決めが秘密、不公表になっている、これはなぜでありますか。
#7
○政府委員(藤井宏昭君) 今回SDIの参加につきまして協定が署名されたわけでございます。それは政府間の協定でございまして、それ以外に省庁岡の実施取り決めがございますが、それは不公表になっておるわけでございます。その理由でございますけれども、御存じのとおり、アメリカはSDIの協定につきましては現在まで四カ国と結んでおるわけでございます。この四カ国との協定はいずれも一切公表されておりません。ただ、日本といたしましては、日本が結ぶ政府間の協定取り決めにつきましてはこれを公表すべきであるということで、この交渉におきまして最も重点を置きましてアメリカ側と折衝してまいったわけでございます。その結果、この原則につきましては、大筋におきましてはすべてこれを公表するということに合意がつきまして、それが協定ということになったわけでございまして、その実施の細目につきましては残念ながら公表できない、こういうことでございます。
 アメリカがなぜそういう立場を強くとったかということは、いろいろございますけれども、安全保障に関する取り決めというものを公表しないということは欧米におきます一般的な常識であるということ以外に、今まで結びました四カ国の取り決めが一切公表されていないということから見ましても、その横並びということが当然あるのではないかというふうに推測するわけでございます。いずれにしましても、我が国のみがこの大筋につきましてこれを公表した、し得たということでございます。
#8
○内藤功君 実施取り決めが実は重要であります。そうすると、この実施取り決めを知り得るのは日米双方どういう範囲の方でありますか。
#9
○政府委員(藤井宏昭君) 実施取り決めの官庁は三つの官庁でございます。すなわち外務省、防衛庁それから通産省と、三省庁でございますが、もちろん政府最高首脳以下が御存じでございます。他方、できるだけ御説明できるものは国会等の場におきましてその実施取り決めの内容を御説明いたしたいと思います。
 いずれにしましても、先ほど申しましたように、実施取り決めというのはあくまで協定の実施の取り決めてございまして、協定に反するようなことあるいは協定以外の新しいことを書いておるわけではございません。さらに、関係の企業などがSDI参加に関心を持ちましていろいろと照会をしてきますれば、その範囲内でできる限りの開陳をいたしていきたい、こういうことでございます。
#10
○内藤功君 三省のどこまでがこれを知り得るんですか。
#11
○政府委員(藤井宏昭君) それはそれぞれの三省庁の内部のことでございますので、とこまでということを一般的には申し上げがたいと思います。
#12
○内藤功君 そうすると、日本の企業はこの実施取り決めをどのようにして知ることができるんですか。
#13
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほど申し上げましたように、実施取り決めの内容はできる限り今国会の場その他におきまして公にできるものはしていきたいということでございます。それが第一点でございます。
 それから第二点は、日本の企業がSDI参加に関心をお持ちになりましてアメリカ側といろいろ話を始めるとか、そんなようなことになりましたら、その段階に応じまして関係の省庁と連絡をとりましてその内容がさらに明確になるということかと思います。
#14
○内藤功君 この実施取り決めは一体幾つ調印したのか、単数か複数か。
#15
○政府委員(藤井宏昭君) 実施取り決めは不公表ということでございますので、幾つであるというようなことを申し上げるわけにはまいりません。
#16
○内藤功君 これは大変な秘密主義じゃないですか。一個か複数かも言えない。そんなことは言ったらいいじゃないですか。
#17
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほどから申し上げておりますように、SDI協定につきましてはほかの国は一切何も出でおらないわけでございます。日本はその大筋につきましてそれを協定という形で公表しておるわけでございます。秘密主義ということは当たりませんと思います。
#18
○内藤功君 公表された英文の協定によりますと、アレンジメンツ、複数になっています。そんなことも明らかにしないんですか。
#19
○政府委員(藤井宏昭君) 英語の話で恐縮でございますが、通常、取り決めというときにはアレンジメンツと複数にするということが普通でございます。
#20
○内藤功君 この第六条にちゃんと書いてある。こういう一つか二つかということも国会に明らかにしない。本当にけしからぬと思うんです。
 では、秘密の実施取り決めにはどういうことが書かれているか。
#21
○政府委員(藤井宏昭君) 実施取り決めにはこの協定の実施に要します細目が書かれておるわけでございます。
#22
○内藤功君 具体的に研究結果の所有権あるいは利用権、こういったものはどうですか。
#23
○政府委員(藤井宏昭君) 研究結果の利用権、所有権等につきましてアメリカの法制がございます。その法制を確認という形で書かれておるものもございます。この点につきましては、実施取り決めに書かれているかということとは別に、今回の協定の意味はどういうことであるかということはできる限り御説明してまいりたいというふうに存じております。
#24
○内藤功君 そう言われても、国会としては、何条に書いてあるのか、本当にそれが書いてあるのかどうかということが全くわからない。私は、関連条文がどこにあって表現がどうであるのか、本当にこれは秘密協定もいいところだと思いますね。
 今回のSDI協定は、武器輸出三原則あるいは宇宙の平和利用、こういう国会決議に抵触する問題だと思うんですね。本来なら国会に提案されて案件として審議されてしかるべきものだ。ところが国会には今のような答弁で通り抜けようとする。私はこれを国会に提出すべきだ、公表すべきだというふうに思います。いかがですか。
#25
○政府委員(斉藤邦彦君) 我が国が締結いたします国際約束のうちどのようなものを国会の承認をいただいた上で締結するかにつきましては、政府は一定の基準を持ちまして、それに従いまして処理をしております。
 今回のSDI研究参加に関する協定につきましては、従来より御説明しておりますとおり、現行の国内法及び日米間の取り決めの枠内で処理するとの方針に基づいて協定を締結したところでございます。本協定は、既に国会の御承認を得て成立いたしました国内法の範囲内で実施し得る内容を取り決めたものでございまして、いわゆる法律事項、財政事項を含む国際約束ではございませんし、また、国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味で政治的に重要な国際約束であって、それゆえに批准が発効の要件とされているものでもございませんので、いわゆる行政取り決めといたしまして、憲法第七十三条第二号に言います外交関係の処理の一環として行政府限りで締結し得るものでございます。
#26
○内藤功君 納得できませんね。重大な国会の審議権についての侵害だと言わざるを得ない。しかも重大なことは、公表された日米協定三条には、秘密の情報の保護についで「必要かつ適当な措置をとる。」と明記しております。これは一体どういうことでありますか。どういう措置をとるのでありますか。
#27
○政府委員(藤井宏昭君) 三項におきましては、我が国の国内法の範囲内でということを明記しております。現存の国内法の範囲内で必要かつ適当な措置をとるということでございまして、新たに法律を考えるとかそういうことは一切考えておりませんが、アメリカからSDI関連で秘密の情報が流れできます場合に、その秘密をどういうふうにグラシファイしてどういうふうに扱うかというようなことが取り決められておるわけでございます。
#28
○内藤功君 これは新しい秘密保護法、こういうものは一切考えていない、こういうふうに受け取ってよろしいですか。これは大臣。
#29
○国務大臣(倉成正君) そのとおりでございます。
#30
○内藤功君 通産省に伺いますが、参加企業と通産省との契約で秘密保護をどのように決めるというお考えですか。
#31
○政府委員(児玉幸治君) SDIに参加いたします企業につきまして必要な秘密の保護が行われなければならない場合があるわけでございます。その場合には、通産省といたしましては、参加企業との間で秘密の保護に関する契約を締結することを考えているところでございます。
#32
○内藤功君 どういう内容を考えていますか。
#33
○政府委員(児玉幸治君) その契約におきましては、例えば責任者の明確化、秘密の表示の明確化、厳重な保管方法等、企業におきまして秘密の保護のためにとるべき措置を誓約させることとする方針でございます。
#34
○内藤功君 その場合に、秘密の指定はだれが、どのように、いつやるんですか。
#35
○政府委員(児玉幸治君) この点につきましては、先ほど外務省の方からの御答弁もございますけれども、具体的に伝わってまいります情報の内容に応じまして適切な措置を講じてまいらなければならないと思っております。
#36
○内藤功君 秘密はだれが指定するんですか。
#37
○政府委員(藤井宏昭君) SDI研究は、アメリカの予算を使いまして、アメリカの計画でございます。その研究計画に日本の企業などが契約を結んで参加する、これがいわゆるSDIに対する参加でございます。したがいまして、当然のことでございますけれども、秘密を指定するのはアメリカ政府でございます。ただ、その指定の仕方につきまして、それが恣意的にならないようにあらかじめ成果につきましては当該契約者に明確に秘密指定をするということを伝えるとか、もしその秘密の指定について問題があれば日本政府はいつでもアメリカ政府に協議できるとか、そういうことがついております。
#38
○内藤功君 ココム事件の経過はそういうものが一切当てにならぬことを示しているんじゃないでしょうか。恣意的なものをどうやって抑えるんですか。
#39
○政府委員(藤井宏昭君) ココム事件と本件とは全く性格を異にすると思います。
 本件は、そのSDIの協定の意味は何かということでございますけれども、二つあると思います。一つは、これは累次政府が国会で答弁しておりますように、SDI研究計画に対して日本の企業は参加し得るわけでございますけれども、それを円滑にするためにこの取り決めを結んでいるにすぎないということでございまして、その円滑にするということの主なポイントは二つあると思います。
 一つは、成果の利用であるとかそういう権利を企業が勝手にアメリカ政府あるいは企業と交渉するのではなくて、最低限の権利を政府が取り決めてあげるということが一つでございます。それからもう一つは、その秘密の指定につきまして政府のチャネルを通じましてこれも一定の保護を与えるということでございます。
 ココムの場合と全く違いますのは、この秘密の取り扱いにつきまして日本とアメリカの政府の間で了解が存在している、そのプロシージャー等につきまして、ということでございまして、ココムの問題とは性質が全く違うというふうに存じます。
#40
○内藤功君 解釈が日米で違った場合にアメリカの解釈で押し切られるというおそれを私は強く持ちます。
 そこで、アメリカが決める、それじゃ国内法の枠内というのは、新たな国内法の措置を伴わない、新立法は伴わないということについて日米間で合意がありますかどうですか。そこまであるんですか。
#41
○政府委員(藤井宏昭君) SDI参加に当たりまして新たな国内法を考えないということは、昨年九月九日の官房長官談話以来政府が明確に表明していることでございまして、今次交渉におきましてもその点をアメリカ政府と交渉いたしまして貫いたわけでございます。その証拠といたしまして、協定の三項に明確に、「両政府は、それぞれの国の国内法及び日本国とアメリカ合衆国との間の協定の枠内において、すべての必要かつ適当な措置をとる。」ということを明記してあるわけでございます。
#42
○内藤功君 これは将来ずっとそういう約束であるということですか。
#43
○政府委員(藤井宏昭君) この協定は、いずれか一方の政府が終了の通告をした後六カ月で終了いたしますが、この協定を終了しない限りそういうことでございます。
#44
○内藤功君 今までの答弁は全く内容についてあいまいな点が多い。
 私は、東芝ココム違反事件とこの経過から見て、米側の解釈、何が秘密かという問題について結局押しまくられる事態が必ず起きるという憂いを深くいたしました。特に、結局国家機密法などの制定に道を開くことになるという危惧をぬぐい捨てることができません。そうでない保証が一体どこにあるか、くどいようですが、私は外務大臣、総理大臣に最後にこの点をお伺いしたいと思うんです。
#45
○国務大臣(倉成正君) 今回のSDIの研究参加の協定は国内法の枠内でやることでありまして、これとただいま先生のお話しになったようなこととは全然別問題でございます。
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIに関する取り決めは、今の政府委員の御答弁にもありますように、研究参加を円滑にし、かつ政府が企業の権利を援護する、そういう精神でこれは締結されておるんです。したがいまして、日本の企業が外国企業に対して劣勢であるとか、あるいは特許権やノーハウやそのほかについて確保に十分でないとか、そういうことがないように、外国の企業と少なくとも平等の立場、権利を確保する、そういう点についても日本政府の厳然たる立場は明確にしてあるのであります。そういう意味において何ら御心配はございません。
#47
○内藤功君 非核三原則にも反するし、国会の審議権も侵すし、内容も非常に重大な問題がある。強く私ども反対する意思表明をしまして、三宅島の問題に入ります。
 まず、世界文化遺産及び自然遺産の保護条約について、その条約の内容を御説明いただきたい。
#48
○政府委員(中平立君) この条約は、委員御存じのように、前文及び本文三十八条から成っているものでございまして、普遍的価値を有する文化遺産及び自然遺産を国際社会全体の遺産として保護するために、自国内に存在する対象物保護のための各締約国の努力義務を規定するものでございまして、顕著な普遍的価値を有すると認められる保護対象物をリストアップいたしまして、世界遺産基金を設けてこれらの世界的遺産の救済を図ること等について規定しているものでございます。
#49
○内藤功君 保護すべき自然遺産とは何ですか。
#50
○政府委員(中平立君) この条約の第二条におきまして自然遺産を次のように定義しているわけでございます。「無機的及び生物学的生成物又は生成物群から成る自然の記念物で、観賞上又は科学上顕著な普遍的価値を有するもの 地質学的及び地文学的生成物並びに脅威にさらされている動物及び植物の種の生息地及び自生地でありかつ明確に限定された区域で、科学上又は保存上顕著な普遍的価値を有するもの 自然地区又は明確に限定された自然の区域で、科学上、保存上若しくは自然の美観上顕著な普遍的価値を有するもの」でございます。
#51
○内藤功君 保護のためとるべき各国の措置はどのようなものですか。
#52
○政府委員(中平立君) この条約の第五条に措置が規定されておりますが、この条約は、各締約国は、自国に存する文化及び自然の遺産の保護のために、例えば次のような努力をすべき旨規定しているわけでございます。
 第一に、文化及び自然の遺産の保護を総合計画の中に組み入れるための一般的方針の採択。第二に、科学的及び技術的研究及び調査の発展。第三に、文化及び自然の遺産の認定、保護、保存等に必要な法的、科学的、技術的、行政的及び財政的措置をとるということでございます。
#53
○内藤功君 この採択と発効の年月日はいつですか。何年前ですか。
#54
○政府委員(中平立君) この条約は一九七二年十一月十六日、第十七回ユネスコ総会において採択されたわけでございまして、一九七五年十二月十七日に発効いたしました。
#55
○内藤功君 加入国数は今何カ国になっておりますか。
#56
○政府委員(中平立君) 本年三月現在のところ、締約国は九十三でございます。
#57
○内藤功君 日本は採択のときの議長国をやったんじゃないかな。この議長はだれですか。
#58
○政府委員(中平立君) 委員御指摘のとおり、一九七二年の総会議長国は我が国でございまして、そのときは亡くなられた萩原徹大使でございます。
#59
○内藤功君 いろいろ答えていただきましたが、議長国の日本が締結しないのは大変おかしいと思うんですね。私は速やかに締結をすべきだと思いますが、関係各省の御答弁をいただきたい。
#60
○国務大臣(稲村利幸君) この世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約につきまして、環境庁としては、その趣旨は望ましい、そういうことで今外務省及び文部省と協議しております。
#61
○国務大臣(倉成正君) 今環境庁長官からお答えしたとおりに、この趣旨はまことに望ましいものでございます。ただし、その内容については、文化財保護法など国内法との関連及び条約上締結国に求められる財政負担等について関係省庁と協議の上、締結について鋭意検討することにしておる次第でございます。
#62
○国務大臣(塩川正十郎君) 我が国では、もう既に文化財保護法によりましてそういう文化財等遺産として残すべきものは十分に保護されております。
 ところで、この条約で言いますところの文化遺産というものと文化財保護法で言いますところの文化財というものとの間に若干の相違もございますし、我が国の文化財保護法の方がよりこれに対して適応し得る措置がとられておるということ等もございまして、現在慎重に検討しておるところでございます。
#63
○内藤功君 これで速やかに締結すべき趣旨の条約であることがはっきりしたと私は思うんですね。
 ところで、三宅島は、鳥あるいは魚類、植物、サンゴというものが内外に非常に注目された貴重な自然の宝庫でありますが、環境庁の御認識を伺いたい。
#64
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の今の御意見のとおり、三宅島は傑出した自然景観や天然記念物であるアカコッコなど豊富な野生生物に恵まれており、すぐれた自然環境を持っていると認識しております。
#65
○内藤功君 もし条約が締結されれば、当然その自然遺産の有力候補になると思うのでありますが、いかがですか。
#66
○政府委員(古賀章介君) お答えいたします。
 本条約が批准されました場合には、我が国の自然のどの地域を自然遺産として保護対象とすることが適当であるかにつきましては、国内の専門家など関係方面とも相談しながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
#67
○内藤功君 三宅島はどうですか。
#68
○政府委員(古賀章介君) どこを保護対象とするか、三宅島も含めまして国立公園というのは全国に二十七カ所あるわけでございますから、その保護対象につきまして専門家の意見等を十分聞いて慎重に判断すべきものと考えております。
#69
○内藤功君 考え過ぎて舌足らず。
 これは、エジンバラ公が中曽根総理に手紙を出したでしょう。それから日本鳥学会大会、日本生態学会大会というところで三宅島の自然保護は決議をされておって、自然の宝庫三宅島を守れというのが今三宅島のNLP基地反対運動の大きな精神であります。
 防衛施設庁は気象観測柱の設置を行いましたが、その経過、実態を報告していただきたいんです。
#70
○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。
 気象観測についての調査の件でございますが、六十二年度に私ども三宅島について産戦機の着陸訓練場の候補地としての調査関係の予算を三億二千万ばかりいただいておりまして、その中の一環といたしまして気象観測等の調査を実施いたしたいということで手続を実施いたしたわけでございます。
 まず、六月十六日に、東京都を経由いたしまして環境庁に、観測柱を設置いたしますうちの二カ所について、自然公園法上の規制がございますので、それについての手続について協議をいたしまして、それの同意をいただきました上で島内三カ所について観測柱の設置工事を開始いたしましたわけでございます。二カ所につきましては十五日の着工と同時に大体完成を見たわけでございますけれども、一カ所につきましては、若干地元の反対の方々が予定地内に座り込まれたというような事態もございまして、平穏に事を運ぶという私どもの方針から現在工事を見合わせておる、こういう状況でございます。
#71
○内藤功君 島民は八五%以上がNLP練習場反対の意思を表明しておりますよ。これは住民の意思を無視するというやり方じゃないですか。
#72
○政府委員(友藤一隆君) 私どもは、NLPにつきましては現在厚木で実施いたしておるわけでございますが、地形的な面あるいは訓練環境等から、騒音の影響あるいは安全性等、もっとよい場所で訓練を実施していただく必要があるということでかねてから候補地を探しておりまして、三宅島がその点では立地条件等で一番適当であるということでございまして、設置につきましては地元の地方公共団体あるいは関係住民の皆様の御理解をいただいて実施したいということで、基本的にはそういう立場で説得の努力をいたしておるわけでございます。
 今回、気象観測等を実施いたしますのは、建設そのものではございませんで、必要な資料を事前に収集したいということで、私ども借り上げました土地の中で所定の手続を経て実施をしておるということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#73
○内藤功君 三宅島の住民の意思を無視することになりませんか。
#74
○政府委員(友藤一隆君) 本格的な建設そのものについては、三宅島の島民の皆さんの御理解をいただいていくということがぜひとも必要だと私どもも考えております。
 ただ、先ほど来申し上げでおりますように、今回の調査は、いろいろ島民の皆様に御説明するにいたしましても詳細なデータ等を持ち合わせておりませんので、そういった観点から所定の手続を経て調査をさせていただきたいということでございますので、御理解をいただきたいと思っております。
#75
○内藤功君 気象資料の収集は、まさに建設の第一歩、準備行為じゃないですか。不可分です。
#76
○政府委員(友藤一隆君) 先ほど来申し上げておりますように、こういったデータ等を収集いたしまして検討の上、さらに地元公共団体あるいは関係住民の方の御理解をいただいた上で決定をしてまいるということでございますので、これが直ちに建設そのものというわけではございません。
#77
○内藤功君 それは詭弁にすぎないと思いますね。
 三宅島はこれからが観光シーズンです。年間の半分を稼ぐと言われています。工事を強行するんですか。
#78
○政府委員(友藤一隆君) 私どもとしましては、調査関係の工事につきましては、観測柱を立てる場所の土地の権利者からは使用の権限をいただいて、しかも自然公園内では所定の手続を経て平穏に実施をしたいということで考えておりまして、特に強行というような性格のものではないわけでございます。
 ただ、周りにいろいろ、村民の方々が座り込みをされるとか、あるいは一部中に入られるという事態になりますと混乱を生ずる可能性があるということで、今差し控えておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、今後検討を進めてまいります上でもこういった資料の収集というのはぜひとも必要でございますので、何とか私どもとしては工事を完成させたいというふうに考えております。
#79
○内藤功君 村長から各政党、国会あるいは政府筋に対して陳情書が七月二十一日付で出ています。
  本島は、今まさに夏季観光シーズンを迎え、経済の最活動期であります。燃し、大多数の住民は稼業を投げうって、ふるさとの将来のために抵抗しております。
 このことは、島の活力を失わせ、住民の健康を担わせ、感情を硬化させ、三宅村という自治体そのものの存亡に係わってきております。
 住民、議会、行政の意思を無視し、ふみにじるかかる行為は断じて容認できません。
というのが出ております。防衛庁にも行っていると思うのです。これを踏みにじることになりませんか。それでも工事をやりますか。強行すると言うのですか。
#80
○政府委員(友藤一隆君) 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、自分の借りました土地の中で観測柱を立てて観測をしたいということでございますので、強行というのはいかがかと思うわけでございますし、時期につきましても、私ども当初十五日から取りかかったわけでございまして、特段の支障がなければ観光シーズンへの影響はほとんどないような時期でございました。
 ただ、現在そういう状況に相なっておりますことも一部事実でございますが、そこの辺は、昨日も村長がお見えになりましたが、ぜびこういった事業の性格等を御理解いただいて、スムーズに建設できますように私どももお願いもいたしたわけでございまして、決して当初から観光シーズンに入るのを前提にして計画を立てておるということではございません。
#81
○内藤功君 もう観光シーズンに入ったんですよ。ですから、強行するのかどうか。強行を断念されますか。
#82
○政府委員(友藤一隆君) 私どもとしましては、平穏裏に粛々とやりたいというふうに考えております。
#83
○内藤功君 やはりやるということですね、工事を。観光シーズン中でもやるということですね。どうなんですか。
#84
○政府委員(友藤一隆君) 状況を見ながら何とかやりたいというふうに考えております。
#85
○内藤功君 やりたいと。
 これはもう村長のこの文書に書いてあるように、村の活力を失わせ、商売、営業、村の経済を破壊させるものであります。私はもう断じて許せないと思うんです。百六十七年の歴史を持つ村の祭りも中止になりましたよ。一切もう政府を信用できないというのが島民の強い意思であります。
 どうしてこの三宅島のNLP、これだけの反対世論があるのにやろうとするのか、栗原長官どうですか。
#86
○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほどからの話を聞いていますと、非常におかしいと思うんですよ。
 私どもいわゆる観測的な施設をやろうというのは、いろいろの資料を集めるためにやるんだと。しかもこれは法的に許されておる。だから粛々と整々とやりたい。それに対して反対をもってとにかく阻止しようと。強行強行と言っているけれども、こちらは強行じゃなくて粛々とやりたい。それに対して反対がある。そういうことで非常に私は実態的におかしいと思うんです。
 それからいま一つは、私は前から言っているんだけれども、日米安保というのは、日本国民全体がその必要性の中でそれぞれ重荷をしょわなきゃいかぬ。だから、おれのところは嫌だ、そういうようなかたくななことではこれは困ります。ぜひお考えをいただきたい。
 もう一つは、私どもはいわゆる日米安保だけをかざしているんじゃない。島の将来のためにも政府としてお手伝いすることはいたしますから、それらについて我々のプログラムをお話ししますからぜひ聞いてくださいと言っているんです。ところが聞く耳を持たないということなんだ。そんなものは聞きたくないと。それじゃ話にならぬでしょう。そういう意味合いでよく話を聞いていただきたい。あなたにも再三言っておるけれども、話し合いでやるというのが一番いいんです。おれたちの言うことを聞かなかったら強行するのか、そういう言い方はよくないと思いますね。どうぞ共産党さんも島の人たちによく話ししてください。
#87
○内藤功君 今の御趣旨のお申し出はきっぱりお断りいたします、私の方は。
 この村長の文書に書いてあるとおりです。島の生活なんですね。村の方はイデオロギーじゃないんですよ、安保賛成の人の方が多いんだから、村の中には。その人がこのNLP反対に立ち上がっているんです。イデオロギーを言うのはあなたじゃないですか、安保。政府、栗原長官の方がイデオロギーなんだ。我々の方は生活なんです。で、どっちが多いかとやってみたら、反対の方が選挙で勝った。――ちょっと待ちなさいよ、私の発言中です。反対の方が勝った。そうしたら反対の住民の意思に従って断念するのが民主主義じゃないの、地方自治じゃないの。どうなんですか。
#88
○国務大臣(栗原祐幸君) 僕はあなたと余り荒っぽいことを言いたくないけれども、安全保障というのは、これはあなたはわかっているとおり、日本の基本的なスタンスです。これをイデオロギーだから反対だ、こういう言い方はよくないですよ。
#89
○内藤功君 そう言っているのはあなたです。こちらはイデオロギーじゃない。あなたがイデオロギーだ。
#90
○国務大臣(栗原祐幸君) いや、そうじゃないんだ。それからもう一つは、島の人たちは安保賛成というようなことを言ってこない。
#91
○内藤功君 安保賛成だけれども反対しているんだ、NLPを。
#92
○国務大臣(栗原祐幸君) そんなことはない。島の人たちというのは、きのうも言ったけれども、もう話し合いはすべきでない、そういうことで固められているんだ。それで特定の政党、もっと言うとあなたのところが組織的、継続的にやっているじゃないか、いろいろと宣伝も。
#93
○内藤功君 共産党だけで動きますか、あれだけの人が。
#94
○国務大臣(栗原祐幸君) いわゆるそういうことはあなたの方が上手じゃないんですか。
#95
○内藤功君 いいですか、あなたの方は安保のイデオロギーなんだよ。我々は生活なんですよ。どちらが多いか。選挙をやったら生活を守る人の方が多かった。それじゃそれに従って断念して、アメリカに向かってあなたがやめろと言いなさいよ。それが政府の責任じゃないか。
#96
○国務大臣(栗原祐幸君) 安保をイデオロギーという考え方が大体間違いなんだ。安保というのはどういうことかというと、日本国民の平和と安全、生活を守るんだよ、あなた。
#97
○内藤功君 それがイデオロギーじゃないか。
#98
○国務大臣(栗原祐幸君) 何がイデオロギーだ。これは日本の国の国是じゃないか。その国是を、それよりも生活の方が大切だという言い方の方がどうかしている。
#99
○内藤功君 これは重大発言です。生活の方が大事だというのは国民のみんなの常識ですよ。その立場に立っている。いよいよあなたの立場はイデオロギーだね。生活はどうでもいい、安保が大事だ。わかりましたよ、あなたの立場は。そうでしょう。
#100
○国務大臣(栗原祐幸君) いや、安保はイデオロギーで、生活の方が優先するみたいな話をするから……
#101
○内藤功君 当然じゃないですか。
#102
○国務大臣(栗原祐幸君) そうじゃなくて、日本の国の安全がなくてどうして生活炉できますか。そのことも考えなきゃいかぬ。
#103
○内藤功君 だから、そこで選挙をやったらNLP反対というのが多くなったんだから、多数なんだからそれに従えと言うんですよ。それにどうして従えないんですか。
#104
○国務大臣(栗原祐幸君) あなた、何%が反対反対と言うけれども、それはそのときの状況ですよ。その後どういうように変化があるか、その点については……
#105
○内藤功君 変化ない。
#106
○国務大臣(栗原祐幸君) 変化がないというのはあなたが言っているだけなんだ。
#107
○内藤功君 ないじゃないか。やってみろ。
#108
○国務大臣(栗原祐幸君) やってみるもやってみないもない。
#109
○委員長(原文兵衛君) 静かに応答してください。
#110
○国務大臣(栗原祐幸君) やってみるとは何事だ、やってみるとは。
#111
○内藤功君 投票をやってみなさい、世論調査を。
#112
○国務大臣(栗原祐幸君) やってみるとは何事だ。
#113
○内藤功君 やってみなさいよ。
#114
○国務大臣(栗原祐幸君) やってみる、やってみないのは、これは私が有権的に言うことじゃない。いわんやあなたも言うことじゃない。
#115
○内藤功君 これでいよいよはっきりしてきましたね。もうイデオロギーなんですよ、安保というイデオロギー。安保があれば基地は宿命だという考え方なんです。
 そこで、私は外務省に聞きます。
 外務省、アメリカがギリシャに航空母艦の母港の提供を申し入れた経緯を御説明願いたい。
#116
○政府委員(藤井宏昭君) 一九七三年のことでございますが、アメリカの第六艦隊の乗組員の一部をギリシャに居住させるということで、当時米国政府は空母一隻、駆逐艦六隻及び病院船一隻の乗組員計三千名の家族をギリシャに居住させるということで、ギリシャ政府と話し合いが一応ついたという状況がございます。ただ、その後、翌年の夏に政変がございまして、その政変の結果その話がさたやみになりまして、結局この家族の居住計画というものは実現しなかったわけでございます。
#117
○内藤功君 今の話のように、ギリシャは空母の母港化を断っているんですね。駆逐盾は一時入ったけれども空母はもう認めないんですよ。世界で十四隻の航空母唐を米海軍は持っておりますが、このうち海外の母港を持っているのは世界に日本ただ一つだけであります。それも首都圏の入り口横須賀で、そこから墜落と騒音の危険のあるNLPを周辺百八十キロメートル以内のところでやらせろという要求自体がどだい無理なんです。
 政府のやり方というのは、もう地元民の意思を尊重するんじゃなくて力でねじ伏せる。安保が大事だからと、こういうイデオロギーで住民の圧倒的多数をねじ伏せる。そうしてでもNLPをつくろうというのであります。これが安保条約上の義務だと考えている。これは地元住民の意思で決すべきなんです。一方はどうしても基地をつくりたい、一方は絶対嫌だというなら、これは多数で決めるしかない。そうしたら多数ははっきりしているんだから。変わると言ったけれども変わりゃしませんよ。ずっと今までの経過を見てごらんなさい。私はこのことを強く要求しておきたいと思うんです。
 総理、最後にいかがですか、この点。
#118
○国務大臣(中曽根康弘君) こういう議論は余り興奮しない方がいいと思います。冷静にお話し合いをしましょう。やっぱり話し合いをするということが一番大事なんで、それには相手の言うことにもよく耳を傾ける、お互いがそういう話し合いで進んでいきたいと思う次第です。
#119
○内藤功君 長官にも言ってください。これはまず、防衛庁長官のきのうの答弁なんか見てこらんなさい、向こうに注意してもらいたいですね。
 それじゃ次に移ります。
 労働省に伺いたいんですが、労働委員会の不当労働行為救済制度は、労働者に対する不当労働行為の迅速なる救済のための制度である。その他趣旨があると思いますが、どのように理解したらよろしいか。
#120
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のとおり、不当労働行為救済制度、労働組合法に規定をされておりまして、例えば労働組合活動をしたことを理由とする不利益処分であるとか、団体交渉の拒否であるとか、あるいは組合の運営に対する使用者の支配、介入といったことを禁ずると同時に、労働委員会にその救済の仕事をさせるという仕組みになっておりまして、その趣旨は、労働者についで適切な救済が簡易かつ迅速に与えられるようにする趣旨であるというふうに承知しております。
#121
○内藤功君 労働委員会規則三十七条の二によりまして、実効確保の勧告というのがありますが、これはどういう手続でやるんですか。
#122
○政府委員(小粥義朗君) 実効確保の措置の勧告は、労働委員会規則の三十七条の二に規定をしているものでございまして、不当労働行為の審査継続中に、経済的その他の原因のために、そのまま放置すれば労働者の救済の実効が阻害されたり、あるいは困難となるような事態が生ずるおそれがある場合がないとは言えないといったことから、これを避けるために規則で設けられたものでございます。
 手続としては、労働委員会は当事者から申し立てがあったとき、または会長が必要であると認めるときは、公益委員会議の決定によりまして、当事者に対し審査中であっても審査の実効を確保するため必要な措置をとることを勧告することができるという趣旨のものでございます。
#123
○内藤功君 次に、この法的効力でありますが、法的効力はどういうふうに考えておりますか。
#124
○政府委員(小粥義朗君) これは、先ほど御説明いたしましたように、労働委員会規則で設けられております仕組みでございます。したがって、勧告それ自体に強制力を持つものではございません。しかし、この勧告が履行されたり、あるいはこの勧告を契機として和解が進むといったような実際的な効果が期待できるというふうにも考えておりまして、そういう意味では、法律的な効果という意味では必ずしも強制力を持つものではございませんが、実際的な効果を期待できるというふうに考えております。
#125
○内藤功君 元都労委会長で最高裁判所の判事をやった塚本重頼さんも、「むげに拒否しかねるという道義的な圧力によって、当事者の遵守を期待している」と書いていますが、局長の答弁と同じようなことを言っておられると私は理解をいたします。
 ところで、中曽根内閣が国鉄の分割・民営を実施して四カ月になる。その大きなねらいの一つと思われる国鉄労組、全勤労等の特定の組合に対する差別が後を絶ちません。現在は出向を強行している。出向者の七〇%が国労の組合員である。私は差別意思が極めて顕著に推定されると思います。
 質問ですが、JR東日本が六月から行った関連会社等への出向の目的及び出向先での業務内容を説明していただきたい。
#126
○政府委員(林淳司君) お答えいたします。
 東日本会社を初めとします新会社におきまして、本来の適正要員規模を超える姿で発足したという、そういう背景がございまして、そこで関連企業との連携の強化とか、あるいは民間会社の職員にふさわしい人材育成といったことを目的といたしまして職員の出向を進めておるというふうに聞いております。
 そこで、出向先での業務内容でございますが、これはいろいろ多岐にわたっておりますけれども、主な出向先の例といたしましては、サービス業とかあるいは建設業とか、あるいは鉄道車両の整備業といったようなものが挙げられておるということでございます。
#127
○内藤功君 人材育成とか多岐にわたるとかいうものの実態がどういうものかというのを、後で事実を私は示したいと思うんです。大変なことが行われています。本務から優秀なる要員を外してほかのところに行かせておる。JR東日本での出向に関して不当労働行為救済の申し立てを受けた東京、神奈川、埼玉、栃木、千葉、新潟、群馬、愛知の各労働委員会でとりあえず出向命令実施を留保しろという勧告を発したところでありますが、その内容を運輸省から伺いたい。
#128
○政府委員(林淳司君) 東日本会社の職員の出向問題に関しまして、地労委で係争中の事件につきまして、申立人から審査の実効確保の措置勧告というものを求める申し立てが行われたところ、地方労働委員会より、結論を得るまでの間、出向命令の実施に慎重を期することといったような内容の勧告あるいは要望、こういうものが出されたというふうに聞いております。
 具体的に申し上げますと、栃木県、千葉県、群馬県それから埼玉県、茨城県の各地労委からは、出向命令の実施につきまして慎重を期することといった内容の勧告が出されております。また、神奈川県の地労委からは、出向命令の実施を留保することという内容の勧告。それから東京都、新潟県の各地労委からは、出向命令の実施につきまして慎重に対処すること、こういう要望が出されたというふうに聞いております。
#129
○内藤功君 関連十三の労働委員会のうち八つで既に出ているんですね。これは重大な問題ですよ。
 神奈川地労委の命令、これをちょっと正確に紹介してくれませんか、六月十九日の。
#130
○政府委員(林淳司君) 六月十九日に神奈川地労委から出された、これは命令ではございませんで勧告でございますが、地労委における審査が終了するまで実施を留保し、また命令に従わないゆえをもって組合員に不利益を課してはならない、こういう勧告が出されているわけでございます。
#131
○内藤功君 その前のところ、調査の結果。
#132
○政府委員(林淳司君) 十九日の勧告でございますね。ただいま申し上げたとおりでございます。
#133
○内藤功君 いや、その前がある。
#134
○政府委員(林淳司君) その前と言われると、その文章の前のところでございますか。
#135
○内藤功君 その前の文章のところ、あなた後ろの方しか読まない。
#136
○政府委員(林淳司君) それちょっと今現在手持ちございませんので、後ほどまた調べまして……
 ただいま私は、今結論だけ申し上げているわけでございます。したがいまして、これにつきましては私はその全文は承知しておりませんので、それは差し控えさしていただきます。
#137
○内藤功君 それじゃ、そういうことなら私が読みます。「調査の結果、出向先での業務内容、労働条件等が不明確なまま出向命令が実施されようとしていることが判明した。」、これが大事なところなんですね。ところがJR東日本は勧告を尊重しましたか、従いましたか。
#138
○政府委員(林淳司君) JR東日本でございますが、出向につきまして地労委から、慎重に対処すべきこと、こういうことを内容とする勧告とかあるいは要望が出されているのはただいま申し上げたとおりでございます。
 東日本会社といたしましては、これら勧告等の趣旨を踏まえまして慎重な検討を重ねた結果、出向の必要性、それから緊急性といったほか、その受け入れ先との信義上の問題といったことも勘案いたしまして、予定どおり出向発令を行うということが今後の会社にとっていいのではないか、そういうことで、そういう判断のもとに出向命令を行ったというふうに聞いております。
#139
○内藤功君 まことに労働委員会制度を軽視して、労働法規を軽視したやり方であります。法に基づく公的機関である労働委員会ですね。その実効確保の勧告が一たん出された場合、神奈川地労委の事務局の調査したデータを見ますと、七〇%の民間経営者はこれに従っているんですね。
 総理に伺いますが、政府出資一〇〇%のJRでのこういう法や労働委員会というのを軽視する態度というのは好ましくないと思いますが、総理いかがですか。
#140
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員よく御理解をいただいておることと存じますけれども、私どもが国鉄改革に踏み切りました目的の一つは、労働問題も含めまして会社経営の自主性をできる限り確立することにありました。そして、会社の経営についていたずらに行政が介入することは適当ではないと考えております。いずれにいたしましても、今御指摘の労働委員会の勧告あるいは要望にかかわる個別具体的な事案につきましては、現に労働委員会の場において関係当事者が争っておられるところでありまして、現時点でこれらの事案について運輸省がコメントをすること自体が好ましいことではないと考えております。
#141
○内藤功君 先ほど労働省の局長の言ったように、これはもう勧告というのは出された以上は尊重する。最終命令じゃないんですよ、最終命令の前の勧告ですからね。私は、有数の大企業、政府一〇〇%出資の企業において行われたことは、全くこれは法の軽視で遺憾なことだと思います。
 ところで、労働者の同意なしに出向を命令されていろんな問題が起きています。運輸省に伺いますが、山形の二月に倒産した、全員解雇された電機メーカーのコスミック、その再建会社サンエイ工業と山形ミツミ、そこにJRから出向させた、この経過を詳しく説明していただきたい。
#142
○政府委員(林淳司君) ただいま御指摘の点でございますが、JR東日本の秋田支店におきまして、職員の出向の推進のために地元企業に対しまして精力的に出向の受け入れを要請しているところでございますが、御指摘のその会社から出向の受け入れの申し出がございました。そこで、その会社と受け入れにつきましていろいろな協議を進めまして、一定の手続に従って職員に対しまして出向の事前通知を行ったわけでございます。ところが、事前通知を行った直後でございますが、出向先の当該会社から出向の受け入れが困難になったという連絡を受けたわけでございまして、そこで会社側といたしましては、当該職員に対しましてその出向の事前通知というものを撤回いたしまして、結果的に出向発令は行わなかった、こういう経緯でございます。
#143
○内藤功君 今の説明で明らかなように、もう倒産した会社に出向きしている。偽装倒産をして首を切られた元従業員十一名は、地位保全仮処分申請をして争っているんですよ。その会社にJRから十五人、この中には国労の人もかなりいます、出向させよう。そして事前通知を出した。慌てて取り消しをしたんですけれども、事前の調査を全くしなかった。ただどこにでも人間をそれこそ簡単に押し込めるというやり方だ。出向に出される人、労働者、長年国鉄で働いてきた人たちにしてみれば、人生を左右する大問題ですよ、これは。私は許せないと思います。さっき言った出向目的の、人材育成を図るとか、民間で勉強してもらうという実態も、こういうものがあるということを私は指摘しておきたいと思うんです。
 ところで、次に伺いたいのは、このような出向が合法とされるためには、私はいろんな、こういう場合でなきゃならぬ、こういう場合でなきゃならぬという労働法規その他の法令上の限界があると思うんです。同意の問題、それから家庭事情、通勤事情、職務内容はどうなるか、業務上のどうしても出向させなきゃならぬ必要性があるか、それらの点について労働省はどのように考えておられますか。
#144
○政府委員(平賀俊行君) 出向に関しまして、そのこと自体を労働法規の中に規定をしたものはございません。ただ、出向について争いがある場合に裁判所でこれに対して結論を出し、判例の中にその出向させる場合にどういうことが必要であるかということを判断したケースが幾つかございます。
 それらを見ますと、何らかのやはり労働者の同意が必要である。ただ、その同意の場合に、労働者個々の同意が必要であるという判例と、それから就業規則等について定めがあれば包括的な同意があったとみなされるというものがございまして、五十年代になってからのケースでは後者の場合が多いというふうに承知をしております。
#145
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。近藤忠孝君。
#146
○近藤忠孝君 今答弁がありました出向に関する判例、そのリーディングケースとなっておりますのが昭和四十一年の日立電子事件であります。これは、出向命令が法的根拠を持つためには労働組合の同意だけでは足りない。今も指摘がありましたように、出向命令を受けた労働者本人の同意が必要である。その根拠は、労務給仕義務は一身専属的であるという点にありますが、そういうことですな。
#147
○政府委員(平賀俊行君) 御指摘のケースは、結論として労働者の承諾、その他これを法律上正当づける特段の根拠がなくて労働者に出向を命ずることはできないと判示したものというふうに承知しております。
#148
○近藤忠孝君 その特段の根拠も、本人の同意に匹敵するものだということは明らかであります。この事件で勝訴して、出向拒否の解雇が無効となった原告の代理人の弁護士は近藤忠孝、私であります。で、これが出向に関する判例、学説の支配的な見解の基礎をなしている。これは私が言うんじゃなくて、どの論文にも書いてあります。
 そこで問題は、今も局長から答弁があったように、同意の内容です。事前の包括的同意、特に就業規則の出向義務づけ規定がこれに当たるかどうか。今も答弁のとおり、判例は分かれています。しかし、学説、学者は、就業規則だけでできるという見解はほとんど見当たらない。これは、生存権原理を貫くとすれば、使用者が一方的に作成する就業規則上の出向制度によって労働契約の最も基本的な内容の変更を認めることはできないというのが主な理由でありますが、これが、学説の大勢である。これは承知しているでしょう。
#149
○政府委員(平賀俊行君) 私もずっとこの問題を専門にやっているわけではございませんので、そういう意味では非常に勉強が足りないということは反省をしておりますけれども、この御質問が出るということで調べたところによりますと、確かに学説の中に個別の同意が必要であるというものがある。同時に、就業規則等での定めがあればこれが可能である、認めるという見解も二、三ございました。
#150
○近藤忠孝君 それは二、三の例外的な学者が言っているのであって、ほとんどの有力な学者は、学説としては、これは就業規則じゃ認めないというのが大勢であることは、もう論文に全部これは書いてあるのであります。
 そこで、出向の名による雇用調整、大量人員整理が進められておりますが、そこで労働大臣、大臣の出向に関する認識を聞きたいんです。
 まず第一は、出向は、同じ企業内の異動であるのは配転ですが、これとは根本的に違うというこういう認識があるかどうか。
 第二点。これは、従前の雇用契約が残りながらも、契約の相手方がかわります。それから労務提供をし、指揮命令に服する相手方がかわる、これが出向ですが、これがもし労働者本人の意思に関係なく一方的に決められる、これが是認されるとしたらば、それは当事者対等の近代法原理に反することになるんじゃないか。どの企業に就職するのかは、これは労働者の生涯をかけた選択なんですが、そういう御認識があるかどうか、お答えいただきたい。大臣どうですか。
#151
○政府委員(平賀俊行君) 出向は一般的に、最近の雇用情勢その他から見て、民間に多く行われております。その場合に配転と違いまして、もとの事業主との労働関係を持ちながら出向先との間に新しい労働関係ができる、そういう意味では指揮命令は出向先の事業主から受けるということでございます。その出向につきましては、確かに同意の形態というか、それはいろいろ判例によって分かれておりますけれども、いずれにしても何らかの同意が必要であるということで行われているというふうに理解をしております。
#152
○近藤忠孝君 ですから、一方的にこれが強行されますと、まさしくこれは人権問題であります。こういう出向制度の性格にかんがみ、本人が拒否する場合にはこれは一方的に、また大量の出向を強行するようなことを労働省としては放置してはならないということを申し上げて、関連質問を終わります。
#153
○内藤功君 今の論争でもありましたように、出向の同意は重要な問題です。JR西日本の岡山支社なんかでは、組合との間で強制、強要にわたる募集はしない、あくまで本人の希望であることを確認しております。一方的な強行は私は断じてよくないと思います。
 最後に、総理にこの雇用問題で伺いたいんですが、労働者の雇用安定、特にこの一〇〇%国の出資にかかるJRの、しかも国民の足であるJRの労働者の雇用安定は私は内政上の重要課題の一つだと思います。昨年、参議院での附帯決議も明確にしておりますし、私はいかなる差別も、組合間差別というのは許されないと思いますが、総理のお考えはどうなんですか。
#154
○国務大臣(中曽根康弘君) 国鉄民営・分割化のときに我々政府のとった政策にかんがみ、その考えに従って経営者は経営しておられると確信しております。差別は行われていないと思います。
#155
○内藤功君 実態は行われているんですね。総理が今の言葉に責任を持って進まれることを強く要求いたします。
 次に、厚生省にお伺いしたいんです。
 この中曽根内閣五年の政治は、福祉や社会保障の分野で一連の改悪が実行されたという特徴がある内閣だったと思います。一々言いませんが、老人医療の有料化から始まって雇用保険、健康保険、年金制度、老人保健の再改悪と、国民の負担は一層強化されて、地方行革の名による補助率の切り下げが行われた。そして、保険科が相次いで値上げをされた。低所得者や中小零細業者の国保被保険者の中に、保険料未納を理由とした保険証未交付という事態が今全国的に起こっております。
 そこで伺いますが、年間の滞納額が二分の一以上あれば保険証は交付しないというような方針をとっているんですか。
#156
○政府委員(下村健君) 昨年の国民健康保険法の改正によりまして、国民健康保険の保険科あるいは保険税の滞納者に対する措置を実施いたしたわけでございますが、その際の私どもの考え方といたしましては、今回の措置が設けられた趣旨にかんがみまして、相当程度以上の滞納をしている者についてその対象にする。それから、納付相談でありますとか指導を通じてもなかなか対応していただけないというふうな場合に今回の措置の対象にするということでありまして、単に滞納額が二分の一以上とか、それだけで保険証を取り上げるというふうなことにはしないという考え方で整理をいたしております。
#157
○内藤功君 それでは、実際に支払いたくとも経済事情等で支払えないという人に対しては、保険証を交付するんですか、しないんですか。
#158
○政府委員(下村健君) 実際に支払いたくてもという点についての、事情の確認をさしていただきたいというふうに考えております。
#159
○内藤功君 分納する意思を表明した人に保険証は交付するんですか、しないんですか。
#160
○政府委員(下村健君) 分納をお約束されて、それがそのとおり実行されておれば交付をしないということはないと考えております。
#161
○内藤功君 分納する意思を申し出た、そういう人についてはどうかという質問です。
#162
○政府委員(下村健君) 単純にそれだけでお尋ねをいただきましても、具体的な事例に即してみないとなかなか断定できませんが、常識的に考えてみますと、分納が誠実に実行されるというふうなことが確認できれば保険証は交付できると思います。
#163
○内藤功君 国民を基本的に信用なさらないのじゃないかと思いますね。分納するという申し出をしているだけでそれは交付するのが当たり前じゃないかと思うんですが、これは非常に不思議です。
 ところで、悪質の滞納者という言葉がありますが、これはどういうことを考えておられるのですか。
#164
○政府委員(下村健君) 悪質滞納者としてはいろんな例が考えられるわけでございますが、窓口においでいただくように何回か通知を差し上げても全く連絡をとっていただけない、あるいは故意にそれを避ける、あるいは滞納処分等の措置を避けるために財産をほかの名義に移す、いろんな事例が考えられるわけでございます。
#165
○内藤功君 昨年十月二十八日、衆議院の社労、地行の連合審査で、経塚議員の質問に当時保険局長が、「低所得というよりは、かなりの所得がありまして、しかも保険料を納めない、医療給付を受けてないから払いたくない、あるいは財産処分は回避をするというふうなことで、明らかに」「納める意思がないというふうな者を対象といたしますので」「運用面で心配はない」という答弁がありますが、これは今も生きておりますか。
#166
○政府委員(下村健君) お答えいたします。
 ただいまお話に出ましたのは典型的な悪質の事例ということで私が答えたものでございます。
#167
○内藤功君 ところが、実際の問題として非常にたくさん起きているんです。
 東京のこれは北区というところですが、六十一年分九万二千円滞納したと。窓口で毎月二万円ずつ分納を申し出たんだけれども、分納の申し出だけで保険証が交付してもらえなかった。これは私は非常におかしいと思うんです、さっきの問題ですね。これはどうですか、こういうのが実際行われているんです。たくさん例がありますが、その一つです。
#168
○政府委員(下村健君) 恐らくそれまでのいろんな経緯もあったことと思いますので、お話の事例についてどうかということは判断を差し控えたいと思いますが、実際にいろいろ市町村の話を聞いておりますと、分納の約束をしてもなかなかそれを実行していただけないというふうな事例も多いようでございます。
 したがって、東京都の問題について言いますと、都市の場合には被保険者の方となかなかお話し合いができないというのが実は国民健康保険の運営上の非常に大きな問題でございまして、被保険者証の更新の際に、それまで滞納しておられる方に対して、ぜひ窓口にお越しいただきたいというふうな通知をして、話し合いの機会を求めているというのが実情ではないかというふうに理解をいたしております。
#169
○内藤功君 たくさん例があるんですが、同じく三十三歳で運送労働者の方です。妻と子供二人、それで非課税世帯だ、生活が苦しくて払いたくても払えない、三年分十三万円ですけれども、この人は滞納した。ところが、全額払わないと保険証をもらえないというふうに悩んでおりましたが、病気になって、この七月五日に――ごく新しい例ですが、重体で救急車で入院するという事態が起きているんです。再起が危ぶまれております。悪質滞納者に限ると言いながら、実際はこういう方の例も起きている。全国的にも、保険証がもらえないで加療が手おくれで重症、死亡というような痛ましい事態が数多く今生まれてきておりますね。
 総理、厚生大臣、こういう事態は放置されていいんですか、建前と違うんですね。
#170
○政府委員(下村健君) ただいまお話に出ました例で言いますと、六十年度の保険料額が三万六千円、月額三千円でございます。これを年度内に納めなかった。六十一年には四万八千円、これも同じく年度内に納付がなかったわけでございます。それから六十二年度も四万八千円ということでございますが、納期が来ても払わない。この合計の滞納額がお話しのとおり十三万二千円になるわけでございますが、六十年には一度窓口においでになって五十九年分の五月から七月分の滞納を納付した。それからそれ以降の滞納分を分納するということで、六十一年の三月までには滞納を解消するということを約束して帰られたわけでございます。しかし、その後約束の納期が来ても納付がないので、電話によって催促をするということを繰り返したと。あるいはぜひ一度窓口においでくださいということをやっていたのでありますけれども、ずっとそのまま接触がないままで、病気になられるまではついに接触がなかった。病気になって入院をされた後で滞納額を全部納めて保険証を交付されたという格好でございます。
 したがって、私どもの方から見ますと、病気になってから保険料を払うというのはおかしいので、病気になる前にぜひとも保険料を納めていただきたい、このように考えておるわけでございます。
#171
○内藤功君 今の経過は私の調査と非常に違いますが、これを論争しても時間がもうありません。ただ、現実にそういう事態で重態で入院して再起が危ぶまれているという、こういうケースが起きてきているんですね。その根本を今のような形式一論じゃなくして考えなくちゃいかぬ。
 この北区では未交付状態が三千世帯、東京の二十三区全体では三万六千世帯、約十万人が今保険証が交付されていないという事態であります。国保というのは国民皆保険の原則、憲法の生存権の原則というものから生まれて、資格を有する世帯に保険証の交付はまず何をおいてもやらなくちゃいかぬ。国と自治体、保険者の義務だと思います。国保法や施行規則を見ても明白なんですから。もう明白な悪質という人以外はやはり当面直ちに保険証が手に渡るよう自治体を指導するという温かさがあっていいと私は思うんです。こういう混乱が今窓口で起きている原因は、私は去年の十二月二十七日付の厚生省の通知だと思いますよ。特に措置の対象の目安を年額保険料の二分の一程度の滞納額というふうにしている点を私は改めるべきだ、これが問題だというふうに指摘をしたいんですが、いかがですか。
#172
○政府委員(下村健君) ただいま申し上げました事例でもおわかりいただけると思うのでございますが、ためておくとどうしても、月額千円、二千円というふうな保険料でも十何万というふうにたまってしまうわけでございます。したがって、余りたまらないうちに措置の対象にする。措置の対象にするというのは、この場合は相談、指導をやれということをまず言っておるわけでございますから、いきなり保険証を取り上げるというふうなことではありませんので、二分の一というふうなところでそういう相談とか指導の対象にしていくということは適当ではないかと私どもは考えております。
#173
○内藤功君 局長はさっきのこの社労、地行の連合審査の議事録でも、悪質滞納者を対象にしたもので、納める意思があって納められない、今の人はまさにそうだと思うんですよ、事情の者は対象とすることは絶対にないと答弁しておられます。その局長の答弁は私は理解できる。それと去年十二月二十七日の通達のこの非常に形式的な冷たいものとの間は矛盾していると、私はそこを言っているんですよ。どうですか。
#174
○政府委員(下村健君) 私が昨年お答えいたしましたのは、保険証を交付しないという措置の対象にする場合は悪質な者に限るように厳重に指導いたしますと、こう申し上げたわけでございます。で、十二月の国民健康保険課長の通知で書いてありますのは、その措置の前提といたしまして、十分に保険科納付の相談とか指導を前提としてやるようにと、そういう相談とか指導をやりなさい、こういうことが書いてあるわけでございます。その場合に、一体どの辺のところから相談、指導の対象にしていくかということの一応の目安といたしまして、年間の半年分、二分の一程度の保険科がたまったらその段階で相談とか指導をやってはどうか、こういうことを申しているわけでございます。したがって、その間に矛盾はないと思いますが。
#175
○内藤功君 私は、いずれにしてもこの通達の今の部分が混乱の一番大きな原因になっていると、いろいろ調べて思います。
 最後に、全国市長会からも保険料負担の困難な低所得者に対する抜本対策を要望書で出してきております。国保科の現在の滞納者増大の根本原因をもっと探れば、特に今の不況下で低所得者に国保制度への国庫補助率、これを四五から三八・五%に削減して、保険料の値上げを押しつけてきている。日々の生活に本当に追われている人が業者の中にも勤労者の中にも多いのです。それが圧倒的多数だと私は思います。国庫補助を増額して低所得者層の負担を軽減するということが喫緊の任務だということを私は指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 土地問題であります。最近の地価高騰の状況は御案内のとおり。卑近な例で恐縮ですが、私のおります東京都文京区では、例えば小石川三丁目二十四番地、八千平方メートル、これはもう居住地帯です。これをフジタ工業関係の藤和不動産というところが底地を買って、路線価価格が二倍になっているんです。小石川一丁目九番地から十一番地、ここはアーバンエステートというところが二千八百五十四平方メートルまとめて買って、商店街がみんな軒並みくしの歯を引くようになっていますよ。一例を挙げさせていただきましたが、建設大臣は上田耕一郎議員の質問に対して、これは内閣の責任だと、こういうふうにおっしゃった。私も五月十六日の当委員会一般質疑で宮澤大蔵大臣、綿貫国土庁長官に対して、特に銀行等金融機関の融資規制の強化ということを申し上げたわけでございます。大蔵大臣、この私の質問以降今日までにこの面でどういう措置をおとりになっていただいたか、ここでお話しいただきたい。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) 最近の銀行に対する特別ヒアリングにつきましては、先般大河原委員の御質問にこの席で申し上げましたので詳しくは省略いたしますが、従来のような一般的な年二回の報告、ヒアリングということからさらに進めまして、地価高騰地域を限り、また特に不動産関連の融資残高の多いと思われます金融機関に対して特別のヒアリングを行うということを決定いたしまして、間もなくこれを開始いたします。それによりまして、もし銀行局長通達に反しますような不適当なあるいは投機的な融資がございました場合には、その事実を私どもとしても把握しなければならないと思っておるわけでございます。
 同時に、そのような世論の動向をも受けまして、各金融機関の団体が自分でいろいろこの問題について対処しようという動きを次々にいたしておりまして、信託協会、銀行協会等におきましてはもう既にそういう決定がなされたと承知しておりますが、その場合の考え方は、大体支店の窓口で不動産融資をしようとするときに当然審査がございますが、さらにそれを本店が審査する。二重のチェックをいたしまして大丈夫だという場合にも、しかしそれが事実どのように融資が運用されたか、後その不動産がどうなったかというようなことは、将来のその後の状況についての追跡調査をしておこう、こういうことの銀行協会、信託協会、次に生保、損保、相互銀行、信用金庫おのおのの業界で次々そういう自粛措置を、自粛並びに自分での審査体制でございますが、そういうことになってまいりまして、かなりこれはこの問題について有効な貢献をすることになるであろうと考えております。
#177
○内藤功君 まあいろいろおやりになっているということのお話がございました。これはもうやらないよりは万々いいんですが、果たしてこれでどのくらいの実効が上がるものか。特に、企業名の公表を含めたやはり社会的責任をはっきりさせる必要があるんじゃないか。今さっき私学げました小石川一丁目、三丁目の人たちなんかは、もう何十年住んでいる人が立ち退きを求められる。この大もとは銀行がこんなところに融資する、人の住んでいるところを明け渡すために融資する。銀行の融資したものを撤回させるというところまでできないんですかと、そこまで私に直接聞かれるんです。
 私は今、ヒアリングというものはどのくらい効果があるかわかりません。わかりませんが、それでいいのか。企業名公表を含めた対応をお考えいただく必要がやっぱりあるんじゃないかと私は申し上げたいんですが、大臣、再度いかがでございましょう。
#178
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたような金融機関はすべて免許事業、許認可事業でございますから、それだけ社会的責任も重いということは各金融機関がよく承知をしておられることと思います。したがいまして、このような高まる世評の中で一層重い社会的責任を遂行しなければならないということは、各金融機関がよく承知をしておられるところであると思います。
#179
○内藤功君 これはやはり根本をつかなくちゃいけませんね。国土利用計画法の強力な運用、それから狂乱地価前の地価、大体四年ぐらい前でしょうか、その地価を基準価格として、基準価格による凍結を行う必要があるんじゃないか、さらに首都改造計画、四全総構想、この東京一点集中というのを本当に改める必要があるんじゃないかという、時間がありませんが、私はそういうことを提起したいと思うんです。
 次に、これは国税庁に伺いたいんですが、相続税、固定資産税、大変な問題なんです。例えば、一つの試算をしていただきたいんですが、東京文京区内でも百万を超えるところがふえてきています、路線価。路線価が一平方メートル百万円の住宅用地百平米とした場合、子供さんは二人、配偶者なし、こういう前提で相続するとした場合に、相続税の総額は幾らですか、僕の計算もありますが、ちょっと専門家の方で教えてください。
#180
○政府委員(日向隆君) 御指摘のような条件で具体的に宅地の位置、形状による若干の調整を捨象し、かつ小規模の居住用宅地についての特例を適用してこれを計算いたしますれば、御指摘のケースの場合には相続税額は九百五十万円になろうかと思います。
#181
○内藤功君 この四年間で、東京二十三区内の税務署の発表した路線価によりますと、最高四・九倍ですよ。平均三・五倍です。
 そこで、平均値をとって三倍に上がったとして、平米三百万円、百平方メートルになったとした場合は幾らになりますか。
#182
○政府委員(日向隆君) ただいま私が申し上げましたような条件を前提にして委員御指摘のケースを計算いたしますと、七千五十万円に相なると思います。
#183
○内藤功君 私の計算とぴったり合いました。
 七千万円の相続税はとても普通の人に払える金額じゃありません。政府税調は一体どのような軽減策を相続税について出しておるんですか。
#184
○政府委員(水野勝君) 六十一年十月の抜本改革に関しますところの答申におきましては、昭和五十年以来負担水準が据え置かれているところから、課税最低限の引き上げ、税率構造、各種控除の見直し等所要の見直しを行うことが適当であると答申をされております。また、昭和六十一年十二月の昭和六十二年度の税制改正に関する答申におきましては、相続税の見直しについては、今後引き続きその具体的実施について検討することが適当である旨答申されているところでございます。
#185
○内藤功君 それだけでは私はだめだと思うんです。
 六月十八日の新聞によりますと、これは読売新聞ですが、「国公有地の民間への高値売りが、大都市の狂乱地価を招く大きな原因をつくった。国が地価を勝手につり上げ、それで増税」ということ「では、この税の仕組みに疑問を持つのも当然ではないか。」と指摘しております。政府は固定資産税や相続税を引き上げて庶民を東京など大都会から追い出そうとするのか。もしそうでないというなら、少なくとも一定規模以下の住宅用地、それと不可分の事務所店舗用地などの相続税、固定資産税については思い切った税負担の軽減、さらに非課税をも今真剣にやはり検討すべき時期だと思います。これらの税金の負担のために自分が生きるために必要な土地を売り渡さなければならぬという状況を抑えることを、私は政府の責任によって真剣に検討してもらいたい。
 この質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。御答弁を願いたい。
#186
○国務大臣(宮澤喜一君) 相続税について申し上げますならば、大都会におけるただいま御指摘のような事情は私どもも実はよく気がついておりまして、できるだけ早くやはり対策を考えなければならないと思っております。
#187
○委員長(原文兵衛君) 以上で内藤功君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#188
○委員長(原文兵衛君) 次に、菅野久光君の質疑を行います。菅野久光君。
#189
○菅野久光君 時間の関係がございますので、細切れになりますが、初めにSDIの問題についてお伺いをいたしますが、それに先立ちまして、けさの読売新聞、総理お読みになったというふうに思いますが、ちょうどアメリカとSDIの協定を結んでいると同じころに、
 ソ連のゴルバチョフ共産党書記長は二十一日、インドネシアの有力紙「ムルデカ」編集長シアハ氏との単独インタビューで、ソ連が中距離核戦力(INF)の「全地球的規模での全廃(グローバル・ゼロ)」に応ずる用意があることを初めて言明、「日本、韓国、フィリピンの核」撤去という従来の前提条件と連結させない、との方針を明らかにした。ソ連はこれまで、欧州でのINF全廃後も「日本、韓国、フィリピンの核」がある限り、アジア地域に百発のINF弾頭を残したいとし、これにからんでアメリカのINFアラスカ配備問題が、INF削減交渉の重大な障害となっていた。
というような記事が出ておりますが、この記事を読まれて、従来からINFグローバルゼロということでアラスカへのINF百発配備を提案している日本国の首相としての中曽根総理の所感をひとつお伺いいたしたいと思います。
#190
○国務大臣(中曽根康弘君) けさの読売新聞を私も拝読いたしました。正確な確認した記事でありませんし、まだ新聞だけの情報でございますから、政府として公式に言明するのは早過ぎると思いますが、もしその新聞記事が正確であると仮定するならば、私は、それは歓迎すべき政策である、そう考えております。その中でもゴルバチョフ書記長が言われておるのは、アメリカが同じょうにやるならばシベリアにおいて百はやめてもいいと。つまり、アメリカがアラスカを含む領土内に百やめるならばという条件つきであります。
 しかし、これをごらんになってもわかりますように、核軍縮というものが同じカテゴリーの中でそして相対的に進められているということはおわかりだろうと思います。したがって、アメリカというものを常に頭に置いて、そしてアメリカの百というものとの見合いでやめるということは、私がここで何回も御説明申し上げましたように、ジュネーブ交渉のその交渉の進めぐあいというものが今まで我々が想定したラインで進められているということなのでありまして、軍縮のそういうパターン、つまり均衡によるレベルダウン、そういう軍縮のパターンというものをここでもう一回再認識する必要があると思うんです。
 もう一つ大事な点は、そのムルデカとのインタビューにおきまして、今までゴルバチョフ書記長は、ウラジオストク演説におきましても、日本に核があるということは言わないで、運搬手段という言葉を使ったことがある。それから、ベトナムのリン第一書記がモスクワへ訪問したときの言明では、日本に核があるというような言明をした。今回のムルデカの記事によりますというと、日本は挙げていない。ディエゴガルシアとかフィリピン、朝鮮半島、それを挙げておるので、日本は挙げていない。こういうふうに先方の認識と表現というものは非常に揺れておる。そういう面から見るというと、なぜそう揺れておるのであろうか。正確な認識なくしてそれが言われておるのか、そのときの宣伝的要素を含めてそういう言明がなされておるのか、その辺はもう少し冷静に客観的に正確にとらえる必要がある、そういうふうに考えております。
#191
○菅野久光君 この読売新聞では、今総理がいろいろ言われましたが、これまでの「「日本、韓国、フィリピンの核」撤去という従来の前提条件と連結させない、との方針を明らかにした。」ということで出ているわけです。したがいまして、今総理が、今までソ連が従来主張していたこととは違う形でゴルバチョフ書記長が記者会見に応じているという点が、今までとは違うところではないかというふうに思うんです。そこのところは正確なあれはまだわからないということですから、ここのところについてはいずれこのことが正確に何らかの形で出てくるというふうに思いますが、極めて重要な提案であるというふうに私どもは認識をしておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#192
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ正確な確認した情報で言っているのでないのですから、今の新聞を読んでという仮定で申し上げておるんです。しかし、先ほど来申し上げておりますように、野党の中の御質問の中には、シベリアにソ連が配置しようとしていた戸とそれから日本にあると称せられる、あるいはほかの国々にあると称せられる、そういう核兵器と言われているものと見合ってシベリアの百というものを対比しておったのを、今度はそれをやめて、そういうほかの国にあるものは問題にしない、アメリカのパージングUの展開を問題にして、ほかのことは問題にしないと、そう言明しておる、それが本筋の話なんですよ。その本筋の話に戻さなければいかぬと私は何回もここで言ってきて、ゴルバチョフ書記長はその本筋の話に戻ったということはそれは当然のことであって、我々の判断が正しいと、そう考えておる次第なのであります。
#193
○菅野久光君 これはきょうの主題ではございませんので、SDIのことに戻らさせていただきます。
 昨日もこの協定を結んだということに絡んでいろいろな新聞報道が出されておりますが、その中で、いろいろ心配されていることが出されております。既に持っている技術が米国から秘密指定の網をかぶせられたり、研究成果の使用権に制約を受けるおそれがあるとか、あるいは政府間協定では秘密の範囲がはっきりせず、開発した技術の民間部門への転用が簡単にはできないおそれがある、こういう懸念を表明している企業あるいは学者の方たちがおられるわけですけれども、こういったようなことについて政府としてはどのようにお考えでしょうか。
#194
○国務大臣(倉成正君) 我が国のSDI研究参加に関する日米政府間の協定では、日米両国の参加者は生み出した情報については米国の法令に従って平等の取り扱いを受けることが原則でございます。
 それから第二に、具体的な権利がどのようなものになるかは個々の契約で定められることになりますが、最低限の使用権が与えられることが米側との間で確認されております。
 なお、SD1研究の成果として生み出された情報は、そのすべてが秘密情報に指定されるわけではございません。また、米国政府からあらかじめ参加企業に示される基準に従って秘密情報の指定がなされる次第でございます。したがって、研究実施者の知らないところで、生み出された情報が秘密情報に指定されることはありません。あらかじめ基準が決まっておるわけでございます。
 なお、参加企業等がSDI契約締結前から有していた情報が秘密指定の対象とならないことは言うまでもないことでございます。
 いずれにしましても、参加するか否か、一番大事なことでございますが、これは企業の自由でございまして、企業の自主的な意思によって参加するかあるいはしないかということを決めるわけでございます。
#195
○菅野久光君 それでは、今回のSDI研究参加協定の第一項で「日本国の参加者」というふうにありますが、これはどういう範囲が含まれるのか。民間企業とか公立の研究機関、大学、防衛庁などすべてが対象でしょうか。
#196
○政府委員(藤井宏昭君) 「日本国の参加者」と申しますのは、一つは我が国の企業、それから公益法人あるいは政府研究機関などを包含するというふうに考えます。
#197
○菅野久光君 第三項で、秘密保護は国内法と日米間の協定の枠内でやると言うが、適用され得る国内法と日米協定の名称とか条項ですね、これはどんなものがあるのでしょうか。
#198
○政府委員(藤井宏昭君) 国内法といたしましては、まず国家公務員法百条がございます。それから自衛隊につきましては、自衛隊法五十九条でございます。それから外務公務員につきましては、外務公務員法三条、四条がございます。さらに、MDA秘密保護法第一条三の二がございます。さらに、日米間の協定といたしましてはMDA協定、これは該当のところは第三条一項及び附属書Bでございます。
#199
○菅野久光君 それでは、SDI関連の技術情報の秘密のランク分け、これはどうなるのか。また、それぞれの扱いはどのように異なるのか。これについて協定に明示されていないのはなぜでしょうか。
#200
○政府委員(藤井宏昭君) 秘密のランクと申しますか、秘密の分類でございますけれども、アメリカの国内法によりますと、機密、それから極秘、秘という三段階に分かれているものと承知しております。
 いずれにしましても、このあたりは特に実施にかかわることでございまして、基本的な考え方と申しますか、という問題ではないということもございまして、協定の中には含まれておりません。
#201
○菅野久光君 SDIの中で核爆発を利用するものについては、これは無条件に不参加であるべきだというふうに思いますが、その辺は確認できますか。
#202
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま御指摘の核爆発を利用するものと申しますのは、多分エックス線レーザーのことかと思いますが、エックス線レーザーと申しますのはSDI研究の非常に大きな研究の中の一部でございまして、極めて限られた一部でございます。さらに、この一年ぐらいの進展を見ますと、アメリカ政府もその趣旨を述べておりますけれども、SDI研究の中でも特に物理的エネルギーの研究が進んでおりまして、エックス線レーザーの研究というものは非常に限られているというふうに存じております。そのような研究に日本の企業が参加するということは想定は全くされないというふうに考えます。
#203
○菅野久光君 考えられるということでは困るんで、不参加、無条件で不参加だというふうに確認をしたいというふうに思うんですが、それはそういうことで確認できますね。
#204
○政府委員(藤井宏昭君) 我が国におきましては核に関する知識というものがそもそもないわけでございますので、そのエックス線レーザーというものは核爆発を一つのそれを励起といたしましてそれを利用するという面があるようでございますけれども、それも現在原理的研究が行われているということでございますが、いずれにしましても、我が国にそのような知識が存在しない以上、そのような研究に対して我が国の企業が参加するということは想定されないわけでございます。
 それから武器の技術に関しますSDIの研究につきましては、一武器技術の取り決めがございます。その取り決めにのっとりまして日本政府の承認を得ましてアメリカに武器の技術が輸出されるということでございますので、その面でのチェックということも十分あるわけでございます。
#205
○菅野久光君 今の件については、まだ相当突っ込んだ論議をしなきゃならぬと思います。
 次に、レーガン政権は九〇年代の初めから半ばにはこのSDIの実戦配備を始める方向を打ち出しております。研究と配備は別だというふうに説明をされてきたわけでありますが、配備計画に含まれる部分については研究参加はしないということは約束できますか。
#206
○政府委員(藤井宏昭君) レーガン政権は、SDIは研究計画であって一九九〇年代の初めにその実現が可能であるかどうかを見きわめるための研究計画であるという方針は変わっておりません。一部世上に早期配備云々ということがございましたけれども、その意味するところは一九九〇年代の初めに配備ということに仮になった際にどういう段階で配備していくかという話でございまして、それを直ちに配備していくということではございません。
 ただいまの御質問の点でございますけれども、この協定は非常に明確に、このタイトルを見ましても戦略防衛構想における研究ということを明確にしております。従来政府が答弁しておりますように、SDIすなわち戦略防衛構想は研究計画であるという認識は全く変わっておりませんが、さらにその中で研究に参加するんだということをさらに念を押して明確にするために、この取り決めは戦略防衛構想における研究ということで一貫して貫いておるわけでございます。すなわち、日本が参加いたしますのは研究計画であるということを明確にしておるわけでございます。
#207
○委員長(原文兵衛君) 菅野久光君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#208
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、菅野久光君の質疑を行います。菅野久光君。
#209
○菅野久光君 それでは、北海道への航空運賃の格差是正の問題についてお伺いをいたします。
 今お手元に配付いたしましたように、「東京を起点とする南北航空運賃の比較」の表のように、類似キロ数であっても北海道と九州とでは一キロメートル当たりの運賃が大変に違います。なぜこのように違うのか。まず、料金の認可官庁であります運輸省の説明をお願いいたしたいと思います。
#210
○国務大臣(橋本龍太郎君) これはもう委員が御承知のとおり、航空運賃というものはキロ当たりの運賃率により一律に定められているものではありませんで、輸送量の多い幹線では相対的に運賃が安くなる。また、遠距離逓減の内容となっておりますことから、できるだけコストを反映するような路線別の運賃になっております。
 北海道方面につきましては、一般的に需要量が必ずしも多いとは言えない、また季節の変動が非常に大きいといった要因がありますために、他方面に比べまして多少割高になることはやむを得ない面もあるわけでありますけれども、これに加えまして、たしか五十九年の七月であったと思いますが、北海道に参ります航空路、飛行ルートを変更いたしまして距離が短縮をされましたために、割高感が増幅されている面もこれはあることを否定できないと思います。
#211
○菅野久光君 利用率の問題ということを言われましたが、それでは東京から札幌、それから東京から福岡間の利用者の故はどのようになっておりますか。
#212
○政府委員(山田隆英君) お答えいたします。
 札幌−東京の場合、利用者は四百九十八万七千人でございます。これは六十一年度の旅客数でございます。それから東京−福岡の場合は、同じ期間をとりますと三百六十五万二千人でございます。
#213
○菅野久光君 今のように、東京−札幌間、東京−福岡間では利用者ははるかに札幌の方が多いんですよ。多いにもかかわらず、札幌の一キロメートル当たりの運賃は二十八・四円、そして福岡は二十六・九円。先ほどの大臣の御答弁とはちょっと実態が違うのではないか。しかも利用者の関係、これは北海道新聞ですが、ことし上半期、千歳空港の旅客数は過去最高の四百四十八万人で、ことしじゅうには九百万というような予測が出ている。そういう点からもこれは非常に問題があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#214
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が先ほど認めざるを得ませんという言葉をつけましたとおり、五十九年の七月一日に飛行ルートを変更いたします前には実は東京−札幌間も二十六円九十銭でありました。そして東京−福岡間と実は同じ状況にあったわけであります。それだけにその割高感は私も否定できないと申し上げました。東京−札幌あるいは東京−福岡だけを対比されますと、委員の御質問のようなことも私自身がある程度認めなければならぬと申し上げております。
 ただ、その他の空港を調べてみますと、やはり利用客は相対的に少ないということは事実でありますし、また季節的に非常に数字の踊りが大きいということもこれはやはり私は否定ができない部分ではなかろうか。ただ、確かに飛行ルートの変更によりまして距離が短縮した分についての割高感というものは私も否定できません。
#215
○菅野久光君 大臣、先ほどからもおっしゃられていますように、五十九年の七月一日に自衛隊の訓練空域の関係で距離が短くなったんですね。短くなったにもかかわらず航空運賃はそのまま据え置いているわけなんですね。ですから一キロメートル当たりの運賃が高くなっている。五年間も据え置く。これは相当な差別ではないかというふうに思うので、その辺を踏まえて先ほど大臣が認めざるを得ないというふうに答弁なさったんだろうというふうに思います。
 それから、それでもまだ札幌−東京間は割と一キロメートル当たりの運賃にすれば安い。他の空港に行きますともっと割高なわけですね。ですから、せっかく空港をつくっても、JRにすれば多少このことによって潤っているのかもしれませんが、わざわざ千歳まで来て、そして千歳から乗ってくるという部分もあるわけですね。そのことがまた千歳の空港の混雑というものを一層厳しくしているというような状況などもあるわけです。
 この航空運賃の問題については、実はもう相当前から、これは五十七年から、何とかしてくれということで知事やいろんな団体が運輸大臣あるいは北海道開発庁長官等に要請したのを皮切りにこれは毎年やっているわけですが、一向に改まらない。いつまでたっても見直そうとしないことに道民は本当に強い憤りを持っています。なぜ北海道だけがこうされなきゃならぬのか。これは国鉄問題のときにも、北海道の国鉄が、本州で使い古した客車を持ってきて、そして高い運賃で乗せて、どうして北海道をこんなに差別しなきゃならぬのだということを私は申し上げましたが、これは鉄道だけじゃなくて飛行機もそういう状況になっておるわけです。
 こんなことから、「「空の北海道価格」を是正せよ」ということで、これは地元紙であります北海道新聞がシリーズで「航空運賃はなぜ高い」、こういったようなことで「北海道価格」と題して七回、それから二部として「ゆがみの構造」を六回連載でキャンペーンをしております。今このことは北海道にとってもう大変な問題であります。
 これは、北海道開発庁長官の諮問機関でもあります北海道を考える懇談会、瀬島龍三さんを座長にして、どうやったら北海道を活性化させることができるのかということで、本当に綿貫長官には大変な御努力をいただいて、この懇談会の中でも、北海道の航空運賃を是正しなければ産業の活性化だとかあるいは観光、文化、学術、そういった面にも大きな影響がある、こんなことが言われております。
 そこで、七月の十六日に、北海道消費者協会はこの問題について運輸省に申し入れたということでありますが、その内容は、報道によれば、まず、九州路線に比べ一キロ当たり平均三円七十銭割高な北海道路線運賃の是正、二番目として航空運賃の円高差益の還元、三つ目として五十九年の東京間路線距離短縮に伴う運賃是正、四番目として通行税の廃止、五番目として国際線利用でのコモンレート適用、このようになっておりますが、ひとつこの機会に、結論を得ているものはその結論、そうでないものは考え方をお聞かせいだだきたいというふうに思います。
#216
○国務大臣(橋本龍太郎君) 実は北海道を考える懇談会から明日私は申し入れをちょうだいすることになっておりまして、この懇談会の方の御意見はまだ私は正式に拝聴いたしておりません。ただ、七月十六日に北海道消費者協会からちょうだいをいたしました御要望は、ただいま委員が申された五点でございます。
 これにつきまして、私どもといたしましては、北海道方面について運航ルートなどが運賃の設定後変化してきている事実もございますので、今後の運賃改定に関してこのような点も考慮してまいりたい、これはそのとおり考えております。
 また、円高の差益還元という御要望につきましては、五十七年一月以降国内運賃を据え置いてまいりましたことによりまして、むしろ航空会社の経営状況というものが相当厳しくなってまいりました。殊にダブルトラック、トリプルトラックを実施して競争が激化しておるという事情もございましょう。しかし、そうした中でも、この差益還元ということから、割引の拡充でありますとか新規路線の展開、増便といった形で利用者の利便向上に私どもは資してまいりました。これから先の差益還元ということにつきましては、為替あるいは原油価格の動向といったものを、また企業の経営状態というものも見きわめつつ検討してまいりたいと考えております。
 通行税の廃止という御要望は、これは運輸省自身が年来こうした希望を持っておりまして、そういう方向でまいりましたものが税制改正の御審議の余波を受けまして実現に至らなかった過程でありまして、今後におきましても私どももこの方向で努力をしてまいりたいと考えております。ちなみに、多少の弁解をさせていただきますと、その飛行ルートの短縮による料金改定の問題は、通行税の廃止が行われました時点でいずれにしても料金を改定する必要があると私どもは考えておりました。できるならばその時期に合わせてということを考えておりましたのが一つ作業のおくれの原因であることも御理解をいただきたいと思います。
 ただ、御要望の中で一つだけちょっとなかなかいいお返事のしづらい問題がありますのは、コモンレートの設定についてでありまして、これは、目的地への運航経路あるいは当該空港発着の国際線の規模などに関連をいたしますし、また国際的な調整を必要とするものでありますだけに、慎重な検討をさせていただかなければならないと考えております。
 私ども、北海道のお立場が決してわからぬわけではございませんし、こうした点について今後努力をいたしていくということは申し上げておきたいと思います。
#217
○菅野久光君 北海道はいろいろな面で不況が非常に深いんですね。本当に札幌周辺だけで、あとは農業も漁業も、御承知のように石炭も鉄鋼も造船もということで大変な状況にありますが、そうした中でこの航空運賃の格差というものが経済活性化の一つのネックになっていることは間違いがありません。
 そんな意味では、緊急経済対策の一環としてでもとにかく北海道としては早急にこれはやってもらわなきゃいけないわけですが、航空運賃問題懇談会、ここで何か答申を得るように努力されているように聞いておりますが、いつごろをめどに答申を得られようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#218
○政府委員(山田隆英君) 航空運賃問題懇談会は、昨年の十一月以来、航空局にいろんな専門家の方々にお集まりいただきまして御審議いただいております。私どもの考え方といたしましては、諮問、答申ということではなくて、そこで御議論されたことの報告を取りまとめていただこうということでございまして、今いつごろということをはっきり申し上げる状況ではまだございませんが、大体秋ごろには何らかの取りまとめが行われるのではないかというふうに考えております。
#219
○菅野久光君 秋というのは非常に幅がありまして、北海道の秋と本州の秋とは大分違うんですが、その秋といつでも大体いつごろになるのか、目安をひとつ示してください。
#220
○政府委員(山田隆英君) 大体九月か十月というふうに考えております。
#221
○菅野久光君 わかりました。なるべく八月か九月の一何でも緊急なんですから、緊急経済対策も緊急ですが、これも北海道としてはやっぱり急を要する問題ですから、大臣、何とか八月中にこれは答申を得られるような運輸省としての努力、それを大臣の決意でひとつやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#222
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員のお気持ちはよく理解をいたします。ですから、本州の秋を北海道の秋にできるだけさや寄せするようにお願いをいたします。
#223
○菅野久光君 また、このことにかかわりまして、先ごろ公表された国土庁の第四次全国総合開発試案では、人口、企業などの多極分散をうたっておりますが、北海道への航空運賃を見直すことによってそれを実現することへの近道になるのではないかというふうに思います。
 綿貫北海道開発庁長官の諮問機関でもあります先ほど申し上げました北海道を考える懇談会、瀬島龍三さんが座長でありますが、あす何か運輸大臣の方に要請を出されるということでございますので、この産業活性化のネックとされる航空運賃の価格是正についてもその中に大きく取り上げられておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。とりわけこの北海道の問題について、本当にこのような懇談会などもつくっていろいろ心配してくださっております綿貫北海道開発庁長官は国土庁の長官でもありますので、四全総とのかかわりも含めて、運輸大臣が先ほど決意を申してくれましたので、そういった意味でもひとつ、しり押しといいますか、一層このことが実現されますように協力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#224
○国務大臣(綿貫民輔君) 北海道−東京の旅客の皆様はほとんどの方が航空機を利用されておるわけでございまして、北海道にとって航空運賃というものは極めて重要な問題であるということはよく認識しておるわけでございます。
 今御指摘のように、昨日、北海道を考える懇談会から答申をいただきまして、その中でも運賃の格差是正ということを強く打ち出していただいておるわけでございます。先ほど来橋本運輸大臣も極めて理解のある御発言をされております。私どもも、各関係方面にぜひ一日も早く運賃格差が是正されるように働きかけてまいりたいと考えております。
#225
○菅野久光君 それでは次の問題に移らさせていただきます。
 本年度の生産者米価の問題でありますが、これは三十一年ぶりに五・九五%、一俵千百十一円引き下げて一万七千五百五十七円とすることに決めました。そしてまた、水田農業確立対策によってこれも補助金が削られるということで、北海道だけで見れば農家の収入は粗収入で五百億円ぐらい減額になるということで、このことは農業を基幹産業としている町村にとっては大変な状況になっております。今回の米価決定に当たりまして、各団体や関係機関の要望を踏まえて種々の関連対策をやることになっているようでありますが、特に稲作のコスト対策ですね、この中で農業基盤整備事業についてどうもいま一つはっきりしないものがありますので、この機会にひとつ明確に示していただきたいというふうに思います。
 経済的な工法の開発だとかあるいは工期の短縮、地域の条件に応じた経済的な施工、設備の内容について、土地改良区等の選択がより可能になるメニュー方式の導入等の推進、そしてまた、金利問題等により農家負担金が過重となっているものについて、その実態を踏まえ適切な対策を講ずることなどについてどのようなことを考えておられるのか、ひとつ具体的に示していただきたいと思います。
#226
○政府委員(鴻巣健治君) 今回の補正予算案では、稲作の生産性の向上を図るために、五反、今は五十アールと言いますが、五十アール以上の区画の大区画圃場の機械化とか、あるいは規模の拡大になりますので、そういう五反歩以上の区画の大区画圃場をできるだけつくるという、そういった大区画圃場の整備など圃場整備事業にまず重点を置いています。したがいまして、六十二年の補正予算額では四百八十九億円を計上しています。圃場整備は、六十二年当初予算額が千七百五十四億円ですから、両方合わせますと、圃場整備関係は当初と補正を合わせまして二千二百四十三億円計上いたしておりまして、前の年に比べますと一二三%アップという形にしてあります。
 それから農村の活性化を図るために、さきの国会で成立いたしました集落地域整備法の趣旨を生かしまして、農業集落排水の整備を初めとします集落整備関係の事業を促進いたしておりまして、六十二年の補正予算額は二百億円を計上いたしておりまして、当初予算では七百三億円でございますから、合わせまして九百三億円、対前年比で一二八・一%というようにいたしております。
 全体で、つまり農業基盤整備関係の全体の補正予算の額は千六百九十五億円でございまして、六十二年度の当初予算を合わせますと一兆二百億円になります。したがいまして、六十一年度、つまり対前年比で一一五%、これを補正前の当初予算で見ますと九五、九%と前の年よりは落ち込んでおったんですが、補正後は一一五%というように格段の拡充を図っております。
 それから、お尋ねの土地改良事業の農家負担の軽減につきましては、例えば圃場整備事業をやります場合に、農道とか用排水路を舗装するかしないかでは大分コストが違います。反当の事業費も、現在の利率で、ピーク時に一年間で、例えば基幹農道もそれから基幹用排水路も舗装すると大体反当二万円台。ただし道路もそれから用排水路も非常に簡易な、例えば舗装しないとか、せいぜいやっても砂利程度にしますとその半分ぐらい、一万円強というように変わりますので、そこはそれぞれの地元が自分のところの実情あるいは懐ぐあい、あるいは兼業化とか老齢化が進んでいて水管理がなかなかできないかどうかというようなことの事情をそれぞれ判断して、どの程度の整備水準を選択するかというのは地元の土地改良区の選択にゆだねるということで、できるだけ安上がりの土地改良事業をやりたいと考えまして、このことは米価決定の直後の七月の十日付で構造改善局長名で都道府県等に指示をいたしたところでございます。
#227
○菅野久光君 負債対策の問題は。
#228
○政府委員(鴻巣健治君) 土地改良事業の負担金については、ごく最近に財投の借入金利とかあるいは農林漁業金融公庫の補助残融資の金利の引き下げをやったのでございまして、五月三十日に財投からの借入金利は五・二%から年四・六%、それから補助残融資につきましては、六月十六日で一応県営補助残については五・二%から四・七五%、団体の補助残については四・七%から四・二%にそれぞれ引き下げまして、農家負担の軽減に努めております。
 それから土地改良事業を既に実施した地区で負担が重いとかというような御批判があることは私ども十分伺っております。ただ、これはなかなか借りかえといってもそう簡単にはいかないので、極めて重くなっているものにつきましては、現在その実態を洗っておりまして、その実態を見きわめながら今後検討していきたいと考えております。
#229
○菅野久光君 その実態を見きわめてということですが、それは大体時期的にいつごろを考えておりますか。
#230
○政府委員(鴻巣健治君) 六十三年度予算の編成と絡めて検討したいと思っております。
#231
○菅野久光君 稲作のコスト軽減対策の問題については、米価を引き下げたということに対応してこれはやられるわけですから、本当にひとつ真剣に取り組んでいただきたい。そのことを要望しておきます。
 余り時間がございませんので、はしょって申し上げますが、次にちょっと林業の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 林業が公益的機能を含めて人間の生存に欠くべからざるものだということで、その重要なことはだれしもが認めるわけでありますけれども、しかし現在の林業の状況を考えたときに、本当に危機的な状況にあるのではないかというふうに思わざるを得ません。昨年五月に衆参本会議で決議をいたしましたが、それを踏まえて森林林業、国有林野事業の再建、これは句としても果たさなければならない。それが今に生きる私どもの、そして政治家としての責任ではないかというふうに思うんですが、これについての総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#232
○国務大臣(中曽根康弘君) 林業の振興は日本の国土の保全という観点からも大きな大事な政策でございます。政府も五カ年計画、新計画等を立てまして鋭意努力してきておるところでございますが、これは長年、時間のかかる仕事でございます。したがいまして、この年度計画を忠実に充実して実行していく、その積み重ねによりましてこれを最終的には期待どおり仕上げていく、こういう努力をやってまいりたいと思っております。
#233
○菅野久光君 先ほども申し上げましたが、林業の問題について本当に重要でないと言う人は一人もいないわけでありますが、財政の問題を含めてなかなか遅々として進んでいかないというのが現在の状況であります。いろいろ話の中では、山村に住む人の数が少ないから選挙のときに云々なんというような話もないわけではありませんが、しかし、それではやはり我々の果たすべき責務ということから考えて、何をやっていたのかということになりますので、そんなことにはならないように私どもとしてもこれから十分に努力をしていかなければならないというふうに思っております。
 そこで、今の林業振興の問題について、社会資本である森林の育成ですね、これについてはやっ
ぱり抜本的な考え方というものが必要じゃないかというふうに思います。これが育成するためには大体二分の一世紀ぐらいかかるわけでありますから、木材についての価格保証制度が検討されてしかるべきだというふうに考えますが、現時点においては難しい。そうすれば、価格保証制度にかわるものとして林道網の整備、それから造林などの生産基盤整備に対して思い切った国の助成を行うべきであるというふうに思います。
 まず、林道網の整備状況について見ますと、森林資源に関する基本計画によりますと、昭和百一年度までに、林道密度を一ヘクタール当たり民有林では十・六メートル、国有林では十二・三メートル、林道延長は民有林で十八万四千キロ、国有林九万一千キロとする目標を掲げていますが、昭和六十年度までの既設の林道密度はこの四〇%程度にとどまっています。したがって、今国産材は、あと十五年から二十年ぐらいすれば国産材の時代が来ると言われておりますから、この林道の整備を昭和百一年という五十年もかけてやるということではなくて、これを二十年ぐらいの間に前倒しをして実行すべきだというふうに考えますが、農林大臣の見解を伺いたいと思います。
#234
○政府委員(田中宏尚君) 林道網の整備につきましては、ただいま先生から御指摘ありましたように、到来が予想されております国産材時代、これを控えまして、何とかコスト低減のためにも大切でございますし、それから地域振興のためにも大切な施設でございます。
 しかし、財政上なりあるいは立地上の制約というものもいろいろございますし、それから二〇〇〇年の計画というのも、その時点での伐出であるとか、あるいは現在いろいろと森林施業の中身を変えておりまして、複層林の造成でございますとか、その時点での林業情勢に合わせた整備水準というものを考えておるわけでございまして、現時点で必要なものにつきましては、先生御承知のとおり、全力を挙げて取り組んでおります。それから特にことしは補正予算という形で、NTT関連の補正を含めまして相当程度の補正というものを組めましたので、これで相当進度が進むものと思っておりますし、来年度以降につきましても全力の努力を傾注してまいりたいと思っております。
#235
○菅野久光君 時間がありませんから、また別の機会にこの問題については申し上げたいと思います。
 次に、人工林の間伐の問題でありますが、これは間伐をする適期を逃がすと全く役に立たないとは申し上げないまでも、材そのものはいい材ができないわけですね。そこで、間伐を必要とする対象林分が四百三十二万ヘクタール、そのうち緊急間伐を必要とする森林は百九十万ヘクタールと言われています。これを五年間でやるというんですね。一年にしますと三十八万ヘクタールですが、これは六十二年度はたしか二十五万ヘクタールだと思います。そうしますと、これが残って次からまた間伐も緊急間伐をしなきゃならないものがふえてくるということで、いつまでたってもイタチごっこということになりますから、これもぜひ将来の国産材ということを見越して、三カ年ぐらいで実行することにしてはどうか。
 しかも、その間伐を実施することは、森林に活力を与えると同時に雇用の創出にもなる。一ヘクタール当たり大体十五人ぐらいですから、これを三年間ぐらいでやるとすれば、一カ年約一千万人に及ぶ雇用の創出ということになりますし、日本の将来にとっても大変重要なことだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#236
○政府委員(田中宏尚君) 間伐につきましては、必要性が言われていながら、先生からお話のありましたように、実施率という点では若干おくれているわけでございます。しかし、先ほど総理からもお話がありましたように、五カ年計画という形で毎年着実に進めでまいりまして、特に六十二年度には間伐関係全体で言いますと、前年に比べまして八〇%近い予算枠の増ということをやっておりまして、取りおくれておりました、従来二十六万とか二十五万ヘクタールでございますけれども、六十一年度、六十二年度には相当数の間伐面積の拡大というものが実現できると思っております。
 それから間伐を進める場合に、何といいましても間伐で搬出いたしました材を円滑に使っていただく、あるいは売れるということが必要でございますので、間伐材の需要拡大ということにも並行して取り組みまして、何とか、立てました五カ年計画の着実な実施ということを通じまして間伐の円滑化を図ってまいりたいと思っております。
#237
○菅野久光君 先ほども申し上げましたように、緊急経済対策、内需拡大ということを含めて、この問題は本当に私は大事な問題だと思いますから、来年度以降大蔵大臣も心して予算づけについてはひとつ特段のお考えをいただきたいというふうに思います。
 国有林野事業の再建の問題でありますが、これも前国会の特措法の改正によって一般会計からの繰り入れの額を拡大したとはいえ、まだ六十二年度予算での繰入額は百二十九億円と、国有林野特別会計予算規模に対してわずかに二%にしかすぎないわけですね。これでは毎年の累積債務はふえ続けて資金難による森林づくりの後退、手抜きは避けがたい、このように思います。そういった意味では、一般会計からの全面的な繰り入れ、長期借入金の償還期間及び据置期間の延長だとか利子補給について、民有林に準じて改善するようにしなければ国有林野の財政再建はできないというふうに思うんですが、これは農水大臣に初めにお伺いをし、後大蔵大臣にお願いいたしたいと思います。
#238
○国務大臣(加藤六月君) 国有林野事業につきましては、昭和五十九年六月に策定されました現行改善計画に基づき経営改善のための努力を尽くしているところでございますけれども、木材価格の低迷等により、その経営を取り巻く状況は従来以上に厳しさを増しております。
 御存じのように、去る七月二十一日に現行改善計画の改定強化につきまして林政審から答申をいただいたところでございます。これによりますと、業務運営の一層の改善、合理化、要員規模の適正化、自己財源の確保等、最大限の自主的改善努力を尽くして国有林野事業の経営の健全性の確立に努めてまいる考えでございます。
 また、六十二年度におきましては、これらの自主的改善努力を前提としながら、百八国会で御審議いただき改正されました国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、従来の財政措置に加え新たに、償還金の財源に充てるための借り入れ、すなわち借りかえでありますが、これにかかる利子補給及び保安林等の保全管理に必要な経費に対する一般会計からの繰り入れを行うほか、退職手当の借り入れ制度の拡充を図るようにしたところでございます。
#239
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来独立採算ということが建前の特別会計でございますけれども、おっしゃいますような事情でそうばかりもまいらないことはわかっておりまして、昭和六十二年度におきましても、造林、林道それから新たに保安林等の保全管理でございますか、かなりの一般会計からの繰り入れを林野事業勘定へいたしておりますし、治山勘定へも繰り入れをいたしております。
 いろいろ農林大臣の言われましたように御努力でございますが、一般会計としてもできるだけの御援助はするということをいたしておりますが、業務の運営の改善あるいは将来にわたりましての要員の規模の適正化等々、いろいろ特別会計においても御努力をお願いしたいと思っております。
#240
○菅野久光君 時間がございませんので、まだ申し上げたいことはありますが、対韓二百海里の問題についてちょっとお伺いをいたします。
 七月の十五、十六日に行われました日韓漁業協議のことについてかいつまんでひとつ報告をいただきたいと思います。
#241
○政府委員(佐竹五六君) 今回の協議におきましては、我が国は現行協定の枠組みの改正が必要であるとの立場を改めて主張いたしました。さらに、その枠組み改正の内容を具体的に説明したわけでございます。また、同様な立場から、五月協議の際に韓国側からありました提案について、当方の意見を申し述べたわけでございます。しかしながら、韓国側は現行枠組みのもとで問題のある海域ごとに実態問題を解決すればいいという態度を基本的に変えなかったわけでございまして、特に取り締まり権の問題につきましては、この問題の経緯等から見て、現在の旗国主義を変えることには絶対反対であるというような主張を操り返したわけでございまして、双方の主張には遺憾ながら現在でも大きな隔たりがあるということでございます。
#242
○菅野久光君 十月末が期限切れでありますからあと三カ月しかないわけですけれども、このことについて決着をつける見通しがありますかどうかお伺いいたします。
#243
○政府委員(佐竹五六君) 大変隔たりは大きいわけでございますけれども、ただ一点私ども希望が持てますのは、韓国側もまたこの問題を放置できない、さような認識だけは一致しているわけでございまして、残された期間は御指摘のように大変短うございますが、精力的に交渉を詰めてまいりたい、かように考えております。
#244
○菅野久光君 現在の日韓漁業の枠組み改定という日本側の提案をめぐって、両国間の歩み寄りの見通しがなかなか立たないように私は感ぜざるを得ません。それで具体的にどのような対応を考えておられるのか。仮に現行の自主規制、北海道と済州島でありますが、これの手直しという現実的問題の処理で解決を図ろうとするのであれば、昨年、最長一年を限度として延長する際に安易な妥協はしないと確約をしたわけでありますが、安易な妥協をすることにほかならないのではないかというふうに思います。北海道の関係漁民あるいは関係する西日本漁民の説得ができるのか、ひとつ明快な見解を伺いたいと思います。
#245
○政府委員(佐竹五六君) 私どもは、枠組みの変更が必要である、この基本的立場は変えておらないわけでございまして、特に取り締まり権の問題につきましては、これは枠組みを変えない限りは解決はできないわけでございます。したがいまして、残された期間は短いわけでございますが、ぎりぎりの妥協点が何かないか、とにかく精力的にできるだけ交渉の頻度を高めまして何とか打開の道を探したい、かように考えているわけでございます。
#246
○菅野久光君 昭和五十二年からの二百海里時代、今もうどんどん二百海里時代に入りまして、我が国の主権であります二百海里内の海域についでそれさえも行使できないようでは、漁民の政府に対する信頼というものはなくなってくるのではないかというふうに思いますし、二百海里をまず引く、その中から対韓国との問題の解決に当たるように強く要望いたします。
 また、北海道の漁民、北海道だけじゃなくて全国の多くの漁民の人たちがそういう思いでいるということを踏まえて、残された期間ひとつ全力を挙げて頑張っていただきたい。このことを要望いたしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#247
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど水産庁長官が申し上げましたような漁業交渉の経過であります。政府としては全力を挙げて取り組んでまいり、何らかの結論を出したい、強く外務省とも協力してやっていく決意を持っておるところでございます。
#248
○菅野久光君 外務大臣いいですか。
#249
○国務大臣(倉成正君) ただいま水産庁長官また農水大臣が申したとおりでございますが、御案内のとおり、相手国、韓国側も二百海里を引くということになりますとその影響するところは極めて大きいわけでございますから、総合的に判断して、どういう形をとったら我が国の国益に合するかという観点でこの問題は検討すべきものということで、鋭意枠組みの見直し、そして漁業の実態に即するように今交渉中でございます。私も閣僚会議の席においても外相会議の席においてもこの問題を提起しておるところでございます。
#250
○菅野久光君 時間がございませんので、最後に捕鯨の問題を一点だけ聞きたいと思います。
 IWCの第三十九同年次総会、これは本当に残念な結果であったというふうに思います。全く無法な、国際会議の体をなしていないのではないかという報道もあります。私も内容をいろいろ聞きまして、本当にそのように思います。
 条約上の解釈でありますが、国際捕鯨取締条約第八条の第一項、これをどのように解釈されておるか、それだけをお聞きしたいと思います。
#251
○政府委員(斉藤邦彦君) 国際捕鯨取締条約第八条一項は、科学的研究のための鯨の捕獲等は締約国政府の判断で実施し得る旨規定するとともに、この捕獲等も同条約の適用から除外する旨を定めております。
#252
○菅野久光君 そのとおりに解釈するということですか。
#253
○政府委員(斉藤邦彦君) そのとおりでございます。
#254
○委員長(原文兵衛君) 以上で菅野久光君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#255
○委員長(原文兵衛君) 次に、及川順郎君の質疑を行います。及川順郎君。
#256
○及川順郎君 公明党の及川でございます。
 まず初めに総理にお伺いしたいわけでございますけれども、国連安保理事会がイラン・イラク戦争の即時停戦を要求する決議を行ったことが報じられております。従わない場合はこれは強制措置の含みとありますけれども、この強制的措置の内容についてはいま一歩明らかにされていない部分もございまして、一方におきましてはイランは否定の方向ということも伝えられておるわけでございますが、イランと外交ルートを持つ我が国政府としまして事態をどのようにごらんになっておられるか。
#257
○国務大臣(中曽根康弘君) イラン・イラク戦争に関する国連安保理事会の決議は満場一致で行われまして、常任理事国、非常任理事国ともにあの決議に賛同した次第でございます。したがいまして、この決議の重さというものをわきまえられて関係当該国においではこれを受諾されて、そして平和を取り戻すことを強く期待しておりますし、今でもその希望を持っておる次第でございます。
 これ以後のいかなる処置をとるかというような問題については政府委員から答弁させますが、日本といたしましても、従来イラン、イラク双方と友好関係を維持し、また交渉ないし協議を行ってきた関係にありますので、今後とも、この紛争の早期解決に向かつて我が国の持っておる今までの蓄積というものを活用して努力し続けてまいりたいと思っております。
 強制行為その他の問題については政府委員より答弁させます。
#258
○政府委員(中平立君) 当事国がこの決議に従わなかった場合にどうするかにつきましては、今後の決議の実施を見た上で安保理が必要に応じて再度会合して検討するということになっておるわけでございまして、この月曜日、二十日に採択されました決議の中におきましては、制裁については言及されておりません。また、安保理の審議におきましても制裁措置については具体的に議論はなされておりません。
#259
○及川順郎君 総理はこれまでの予算質疑の中で、政治は世界、文化、人類に奉仕しなければならないという御発言がございました。私としては共感を深くいたしました。そこで、特にこの中における文化に奉仕するという視点から、総理になられましてから今日まで、みずから自負できると思われる主な成果と申しますか、そういう点をお述べいただきたいと思います。
#260
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治権力というものは、政治権力自体のためにあるのではないので、何か目的を持ってその権力というものは存在すべきである。では何が目的であるかと考えますと、やはり文化に奉仕する、そういう考え方が正しいと思っております。そういう意味におきまして、予算の編成とかあるいはいろいろな行政の展開等につきましても、文化問題、それは国際及び国内における文化的問題について常に政治は関心を持って、その環境の中で許す限り最大限の力を発揮するのが正しい、そう考えておるわけでございます。
 私、着任以来そういう考えを持ちましていろいろ努力もしてまいりましたけれども、やはり文化というようなものは、上の方からのお仕着せでできるものではないので、民間の中から自分の力で出てくるところに文化というものがありますし、また、既にできたもの自体はもうこれは過去のものなのであって、それをつくっていく創造力、それが文化それ自体である。活字にせよ映像にせよ、あるいは絵にせよ音楽にせよ、できたものはもはや過去のものであって、つくられたものになってしまう。そのつくられたものをつくる力、それがやっぱり文化の力だろうと思うので、そのつくる力をいかに培養していくかということが文化政策の中心であり、そしてそれがまた世界に対して大きな力を、意義を持ってくるだろうと思うのであります。
 そういう面から、教育の面におきましても、臨教審というものをつくりまして、自由なすがすがしい、そういう教育体系に変えて、子供の創造力、そういうものを培養していくとかあるいは国際性を持った国にして、日本が世界の文化ともっと接触して交流できるようにするというようなこととか、あるいは日本は文化の輸入量は非常に多いけれども輸出量は極めて少ない、そういう意味で日本を発信基地とする文化政策というものをもっと我々は推進しなければならぬ。
 そういう意味におきましても、日本のアイデンティティー等々も検討するための国際日本文化研究所をつくるとか、あるいは先ほど申し上げましたような、この交流の一環として、西ベルリンの旧日本大使館を日本ドイツ文化センターとしまして東西交流の文化の一つの中心にしたいと思って、これはことしの秋に竣工式が行われますし、次いでフランスのパリに同じような文化センターとしての日本館を建設しよう、こういうことで、幸いにフランス側から土地の提供がありましたから、いよいよ来年は設計に着手しまして、国際コンペでその建築を募集しようかと思って、来年はそれ相応の予算を計上したい、そう思っておるわけでございます。
 そのほか、外務省の機関等を通じまして、日本の歌舞伎をこの間もモスクワ、レニングラード等を巡回させまして、もう大変な評判で、圧倒的な何といいますか感銘を与えたようであります。
 そういうようないろんなことをこれからも積極的に努力してまいりたいと思う次第でございます。
#261
○及川順郎君 今臨教審のお話が出ましたけれども、当委員会におきまして、今まで取り組んでまいりましたけれども、教育問題と土地問題は道半ばという御発言をされておりましたけれども、特にこの教育問題につきまして、臨教審の最終答申はともあれ、総理として一番教育の面で改革したかった点ほどの点にあったかお答えいただきたいと思います。
#262
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、戦後四十年、新しい教育体系のもとに六三三四制をやってまいりまして、それに対する反省として、日本の教育をどう展開していくか、非常によく伸びたいい点もございますけれども、欠陥も露呈してきていることは皆さん御存じのとおりでございます。そういう意味において、いいところを伸ばして、また欠陥を是正して、二十一世紀に耐え得るような立派なものにしたいというので行われているわけでございます。
 私は、やはり一つは、教育の理念、あるいは教師のあり方あるいは生涯教育の問題、そういうような基本的な大黒柱を立てることが大事ではないか。それからあとは、大学の改革であるとか初市の改革であるとか試験の改革であるとか、いろんな問題ございますが、しかし、一番基本的に私は期待しているのは、そういう基本的な問題についてこの段階において見解を示していただきたい、そういう熱望を持っておる次第なのです。
#263
○及川順郎君 一昨日の同僚議員の質疑で洋上学校の構想問題が取り上げられましたけれども、その席で総理は、大変予算措置を含めて前向きの御発言をされました。今後、この洋上学校を自治体や教育委員会に任せるのでなくて、国としてパイロット事業、パイロットスクールなどとして積極的に推進をする、こういうお考えについてはいかがでしょうか。
#264
○国務大臣(塩川正十郎君) 洋上研修の件につきまして一昨日も御質問がございまして、そのときにもお答え申し上げたのでございますが、これはあくまでも試行に入っておる段階でございます。したがいまして、これは府県教育委員会がやはり県下の学校と協議して実施をそれぞれ研究されるのが一番基本的だろうと実は思っておりまして、それに対して国が何らかの、国というか、文部省が何らかの助成をしていく、そういう形で進めていくべきだろうと思っております。
 御承知のように、滋賀県が第一回やっておりますので、そういう結果等を十分に検討いたしたいと思っております。
#265
○及川順郎君 具体的な問題で、この洋上学校、既に自治体で実験的にやってみようという広がりが出だしておるわけでございますけれども、今まで文部省が出しました、修学旅行等の船中泊を控えるようにという通達が出ている。現場としては、この洋上学校の実施を具体化するに当たりまして、この文部省通達による指導方針に抵触するんじゃないか、こういう心配も出ているわけです。こういう現場の戸惑いに対しまして、今後行政指導上の問題も含めまして、当然これは安全性も含めて、しっかり計画した洋上学校等につきましては、船中泊については厳しく規制するということはしないというような、こういう考え方についで今後行っていただけるというような考えはございますでしょうか。
#266
○政府委員(西崎清久君) 先生御指摘の修学旅行に関する指導通達でございますが、これは先生御案内のとおり、昭和三十年でございましたか、紫雲丸事件等ございまして、百名を超える児童生徒が亡くなったケースがございまして、その後修学旅行に関しましては、やはり車中泊、船中泊、安全とか健康の問題等十分留意するようにという通知を入れておるわけでございます。この修学旅行に関する通知自体は、修学旅行として目的地に着くその手段として車中泊、船中泊の問題でございます。
 先生御提案のその洋上研修というのは、船に乗ること自体が目的、こういうふうに思いますので、直接この指導通達とのかかわりはないわけでございますが、ただいま大臣から申し上げましたように、やはり船中泊の問題は管理、健康、いろいろ問題ございますので、実施例なども含めまして、私ども今後いろいろと調査検討させていただいた上で扱いにつきましての指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#267
○及川順郎君 きのう同僚議員の質問で、二十一世紀まで十万人の留学生受け入れの問題が出ましたけれども、この十万人の受け入れ構想につきまして再度ちょっと確認をさせていただきたいんですが、この社会的論拠といいますか、また具体的なプロセスを現在どのような形で描いておられるのか、文部省に伺いたいと思います。
#268
○政府委員(植木浩君) 十万人の根拠という御覧間でございますけれども、学識経験者の方に総理からの御指示によりまして二十一世紀の留学生政策をいろいろと御議論していただきましたときに、日本の留学生の数が諸先進国よりも余りに少ない。アメリカの三十数万、フランスの十数万、それからドイツとかイギリスでも四、五、六万、そのとき日本は一万ぐらいということでございました。それで、アメリカを目標にするわけにはちょっと急にはいかないので、せめてフランス並みの十数万ということで、十万ということを大きなターゲットにして留学生政策を太いものにしたらどうか、こういう学識経験者の御提案に基づきまして現在政策を進めているわけでございます。
#269
○及川順郎君 受け入れ態勢につきましては種々取り組んでおられるという状況は聞いているんですけれども、今後かなり力を入れていかなければならない、こういう感じがするわけでございます。
 特に日本での留学生の受け入れにつきましては、日本語教育に始まって日本語教育に終わるというぐらい非常に留学生にとって日本語教育というのは重要であり、苦労するところ、こう言われているわけです。現在この日本語教育をめぐって、日本語学校等、これが余り簡単にどんどんできてくる、こういう状況から、あるいはまた短期に日本にいるという状況、これがさまざまな社会的問題まで惹起している、こういう状況がございますけれども、この点に対する現状をどう認識されているのか。その対策について文部省、取り組みをお伺いしたいと思います。
#270
○政府委員(植木浩君) いわゆる留学生に対します日本語教育につきましては、大学での日本語教育コースあるいは留学生のための日本語教育の学校で留学生が日本語を習得しておるわけでございます。また、大学に入学した後も日本語、日本事情の科目などを設けまして日本語教育の授業の充実を図っております。
 文部省といたしましても、これらの日本語教育コースの整備充実であるとか、大学におきます日本語教育教官の配置、あるいは日本語学校の質の向上等を図っておるわけでございます。
 今先生の御質問の後段の方で、いわゆる一般の日本語学校について文部省はどういうことをやっておるかということでございますが、これは最近特に数がだんだんふえてまいりまして、私どもといたしましては、やはりそういうところで日本語を教える教員の養成が大事であるということで、大学等に日本語教員養成学科を年々増設を始めております。それから、日本語の教育内容、方法とか教材の開発、これが大切でございますので、文部省の方で日本語教育研究協力校というものを指定いたしまして、各種学校等のそういった教育内容等の向上を図るほか、日本語教育の研究協議会を開催したり、また今年度から、そういったところで日本語教育に従事します日本語教員の検定制度を実施することを予定いたしております。
#271
○及川順郎君 留学生受け入れでホームステイのあり方も非常に重要な問題になっております。一昨年の九月ごろだったと思いますが、総理はホームステイ減税について検討を指示しておるわけでございますが、その後この具体化に当たってどのような検討をされ、いつ実施されておられるか、内容を御説明いただきたいと思います。
#272
○政府委員(日向隆君) 御指摘のホームステイの減税の措置は、六十一年四月一日以降から実施されました心法人、個人が謝礼金の原資に充てるため国際交流基金に寄附した場合には、法人にありましては試験研究法人等に対する寄附金として取り扱い、また個人につきましては寄附金控除を認めまして、その範囲で非課税にするとともに、受け入れ家庭が国際交流基金から実施団体を通じて交付される謝礼金、これは、一泊当たり五千円以内で、一家庭当たり年間三カ月滞在する場合の額四十五万円が限度でございますけれども、につきましては所得税を課税しないということにしております。
 以上でございます。
#273
○及川順郎君 六十一年四月ということであればもう一年半近くを経過しているわけでございますが、これまで国際交流基金の原資としてどのぐらいの寄附金が集まっているか、また、この制度によりまして減税措置を受けたホームステイが何件あったか伺いたいと思います。
#274
○政府委員(松田慶文君) 昨年の制度創設以来、市町村、ホームステイ実施団体その他から多々お問い合わせ、御相談はございましたが、現時点でこれが実行、実現された事例の報告はございません。
#275
○及川順郎君 せっかく総理が外国人を招き入れた家庭に費用を税額控除するという国際協力減税を提唱した趣旨が生かされていないと思いますが、この点の原因についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、関係された省庁からお伺いしたいと思います。
#276
○政府委員(松田慶文君) 一つには、昨年制度が創設されてまだ時日が十分たっておらず、その趣旨等についての周知徹底がいま一つ十分でないという点があろうかと思います。
 現在まで国際交流基金には地方公共団体から十六件、ホームステイ実施団体から十六件、その他個人等々から三十四件、計六十六件の具体的な御相談が来ている次第でございますが、このホームステイということそれ自身が個別の御家庭の創意、善意で組み立てられるものでございまして、なかなか制度的に広く積み上がっていくものでないために自発的な盛り上がりを待つという状況のもとで遺憾ながらまだ実現を見ておりませんが、さらにこの制度の各団体への周知徹底につきましてはなお一層努力を傾けたいと考えております。
#277
○及川順郎君 この国際交流基金は、みずから原資調達の具体的な事業といいますか、努力をなさっているんでしょうか。また、できるかできないかという、この点も含めてちょっとお伺いしたいと思います。
#278
○政府委員(松田慶文君) この制度の具体的な実施につきましては、都道府県、市町村等の地方公共団体の御尽力にまつところが大と考えまして、それら諸機関には制度の創設時点におきまして御案内申し上げ、お勧め申し上げている次第でございます。それを受けて地方団体では県下市町村等々へのお働きかけをしていただいておりますが、実際のホームステイをやっていただくのは、例えばロータリーとかライオンズとか商工会議所とか多々民間諸団体がございますので、これからはそちらの方向へ十分働きかけを展開していきたいと考えております。
#279
○及川順郎君 今の御説明で、みずから原資調達の寄附を集める連動といいますか、こういうものはおやりになっているんですか。できないんですか。
#280
○政府委員(松田慶文君) 国際交流基金は、政府出資と民間出資、そしてまた民間各位からの善意の御寄附をちょうだいする仕組みになっておりまして、その拡充強化につきましては、このホームステイ原資のみならず一般に広くお願いしている状況でございますが、率直なところ、その集まりぐあい、応募ぐあいというのは遺憾ながらはかばかしくございません。
#281
○及川順郎君 やはり総理の提言の趣旨を生かすためには、一つは、ホームステイの促進を目的とした財団法人等、仮称ですが、これを設立いたしまして寄附を集める業務をきちっとした方がいいのではないか。
 また、ホームステイを実際にやっている御家庭に聞きますと、そういう税額控除の問題について御検討いただくならば、扶養控除扱いに税制措置をしてもらった方がいいという意見があるわけでございます。またもう一方では、将来的にはこうした教育事業を含めまして内外にこの運動が今後広がっていくだろうという、こういう期待感を含めまして、国際文化交流事業を例えばイギリスのブリティッシュカウンシルのような一元化した民間機関として発展させるべきではないか、こういう御意見もあるわけですが、提言の趣旨を生かす意味で、この点につきましては総理の御所見を承りたいと思います。
#282
○国務大臣(塩川正十郎君) 御提案を私どもお聞きしておって、なかなかいいところをついておられて参考になると思っております。
 実は既に国際文化交流基金とそれから国際教育協会というのがございまして、国際教育協会の方でそういう仕事を一元的にやることになっておりますが、今スタッフが足りませんでそういうことが余りなかなか手広うまいっておりません。御説ございましたように、基金集め等はとても今手についておらない。私は、こういうようなせっかくできておる制度をもっと活用するために、みずから汗をかいてそういう勧誘に歩いてみたらどうだと、こう言っておるのです。それから奨学資金として基金が今六十三団体ほど実はございまして、それの活用も一元化して有機的にこれを利用さしてもらうということも考えたらどうだろうと、こういうことを考えていろいろ検討しております。
 要するに、今までの留学生政策というのはボランティアに乗っかってやってきたのであって、そうではなくして、これからは国の重要な政策としてやらなきゃならぬ。政策としてやるとするならば、そこに、行政とは申しませんが、事務的に進めていくスタッフをきちっとやっぱり用意しなきゃならぬと思っておるのでございまして、とりあえず、今文部省が所管しております国際教育協会の方のスタッフを強化いたしまして、そういう問題点をずっと事務ベースに乗せて活発化していきたい、こう思っておるところでございます。
#283
○国務大臣(倉成正君) 今ブリティッシュカウンシルの話がございましたが、これは一九三四年にできまして、総職員が四千二百三十人、海外拠点が八十四カ国、そして技術協力もこの中に含んでいるわけでございます。
 一方、我が国の国際交流事業を実施する特殊法人として国際文化交流基金、これは四十七年にできまして、年々充実してまいりましたけれども、今日我が国の政治、経済、この国際的な地位を考えると、まだまだこれを充実していかなきゃならないと思うわけでございますので、今後とも努力をしてまいりたいと思います。
#284
○及川順郎君 それではココム問題に入ります。
 当委員会におきましても毎回のように取り上げられておるわけでございまして、若干重複する点があると思いますけれども、結局罰則強化で再発防止が前面に押し出された形ですけれども、このような結果が、外為法第一条の目的条項の中で、「必要最小限の管理又は調整」「経済の健全な発展」というその趣旨に結果的には逆行する方向へと傾斜していくのではないかという危惧があるわけですけれども、この点に対する御所見を承りたいと思います。
#285
○国務大臣(田村元君) 現在検討中の外為法の改正は、現在におきましても規制対象となっておりますココム関連物資の違法輸出について罰則及び行政制裁の強化、これに伴う時効の延長を行うことを主たる内容とするものでございまして、現在の外為法の原則自由という基本的枠組みを変更する考えはございません。
#286
○及川順郎君 ココムと日米安保のかかわり、こういうものが深まってきておるわけですが、関連の中で当委員会において通産大臣、外務大臣等の発言で、事前協議と協議事項とをめぐって若干きしみが見られるわけです。こういう状況は国全体から見て私は好ましい姿ではないと思いますが、この安全保障条項の盛り込みという問題につきまして、先日の政府答弁でもその方向を検討ということが明らかになってきておるわけです。
 本来、企業の自主性にゆだねるべき貿易に政治の規制が強化されるということは自由主義経済のもとでは好ましくないのではないか、こういう感じがいたしますけれども、この点に対する御所見を承りたいと思います。
#287
○政府委員(畠山襄君) 現在検討中でございます外為法の改正は、現在でも規制対象となっておりますココム関連貨物の違法輸出についての罰則あるいは行政制裁の強化ということが検討の方向でございます。
 今は、貿易の健全な発展という一つの言葉でココム以外の貨物の輸出とそれからココムの貨物の輸出と両方を規制しておりますが、これは罰則が同じでございますからそういう一つの言葉でくくれるわけでございますけれども、今度ココムの貨物だけを取り出すとなりますると、今御指摘の安全保障条項という言葉がいいかどうかは別にいたしまして、国際的な平和及び安全の維持の妨げになるようなそういう貨物というような表現を用いてココムの貨物であることを表現する必要があるわけでございます。そういうことで条項が入ってくるわけでございまして、今御指摘のような企業の自主性が損なわれるとか、そういうことについての懸念は余りないんだろうというふうに考えております。
#288
○及川順郎君 現実には業界の中では、今回の事件をきっかけにしてアメリカの日本のハイテク産業たたきが広がるのではないかという、こういう不安感があるわけです。自由貿易を基本とした今後の国際的な企業活動に不安が残るという問題、やはりこの不安を取り除くということに対してはこれは政府の大きな責任があると思いますけれども、この点に対する御所見を承りたいと思います。
#289
○政府委員(畠山襄君) 確かに委員御指摘でございますように、原則として自由貿易というところは変えてはならない基本原則であるというふうに私ども考えております。ただ、今回の事件は、アメリカ側は非常に深刻にとらえておりますけれども、これは一応意識としては貿易摩擦の問題とは切り離して、アメリカ、西側の安全保障の問題あるいはむしろ日本自体の安全保障の問題、そういった観点から懸念を表明しているということでございまして、日本たたきのような様相を確かに呈してはおりますけれども、一応安全保障ということで、貿易摩擦の問題とは一線を画してやっておるものと思っております。
 今回の事件のために私どもの原則自由という貿易の原則が変わらない範囲で外為法の改正をさせていただこうというふうに考えているわけでございます。
#290
○及川順郎君 もう一点。今回の事件で対共産圏向けの輸出の承認や通関手続が慎重審議を理由に大幅におくれている。中小の専門業者にとってはこれは死活問題だということが報道されているわけですけれども、こうした事態に対する通産省の対応を伺いたいと思います。
#291
○政府委員(畠山襄君) 確かに今回の事件が企業の虚偽の申請というものに基づいておったということでございますので、御指摘のように、ちょっと今審査を非常に慎重にやり出しておるという実情がございます。
 具体的には、通常の審査手続に加えまして、重点的な品目につきましては、第一回貿易局の審議官をヘッドといたします審査委員会をつくりまして、そこへ上げて審査をするというようなことにもなってまいりましたものですから、少し事務が停滞というか、従来に比べて審査期間が長くなっておりまして、平均三カ月ぐらいになってしまっておるというようなことで、この点私ども、一面慎重な審査と他面事務の停滞をもたらしてはいけないという二つの要請をどうバランスをとっていくかということを今後よく考えてみたいと思っております。七月の十日から人数も、省内の定員振りかたで従来の四十名ぐらいを六十名というオーダーにふやしてまいりましたので、そういったことを通じて三カ月というようなことのないように、もう少し短縮をしてまいりたいと思っているわけでございます。
#292
○及川順郎君 SDI研究参加も含めまして、今回の事件が二重、三重の形で日米一体化での軍事技術研究へと深みを増すのではないか、こういう見方があるわけですが、そうした動きの中で、研究参加の名のもとに日本の先端産業の能力、技術などが吸収されるのではないか、あるいはまたアメリカにもそういう意図があるのではないか。さらにはまた、将来的には日米軍事技術製品の日本への大量輸出戦略といいますか、表現が適当でないかもしれませんけれども、アメリカのそうした意図も見え隠れするという点が指摘されておるわけでございますが、こうした懸念に対する御所見を承りたいと思います。
#293
○国務大臣(倉成正君) SDI参加というのは、企業がSDI研究に、計画に参加する場合に企業が参加しやすいようにするわけでございまして、これへ参加するかしないかは企業の自由でございます。参加する場合に、一定のルールを決めておかないとなかなかいろいろな面倒くさい問題が起こるから、それをひとつあらかじめ決めておこうということでございますから、これによって我が国の先端技術が先方に流れる、またその戦略がアメリカ側にあるからそういうことであるという御
指摘は当たらないと思います。
#294
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。和田教美君。
#295
○和田教美君 きのう調印されましたSDI研究参加に関する日米政府間協定についてお尋ねします。
 公表された協定第三項では、研究作業実施のため提供された秘密の情報及び研究の過程で創出された秘密情報は、それぞれの国内法及び日米の協定の枠内で秘密保護のための措置をとるというふうになっております。そこで、日本の場合には、この国内法とは、先ほどの答弁で、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法や国家公務員法などを指すと言われました。ところが、この日米秘密保護法の対象となっておる防衛秘密は、同法第一条でアメリカから供与された情報であります。したがって、SDI研究の過程で新たに創出された秘密情報はこれによってカバーするということはできないのではないかと思います。その他、現行国内法でなかなかカバーできないというふうな秘密情報というものがかなり起こってくるのではないかというふうに思います。
 そういう点について政府の見解は、それは通産省とSDI参加企業の秘密保護に関する契約でカバーするから新たな国内立法を必要としないというわけでございますけれども、しかし仮に参加企業がこの契約を守らなかった、例えばこの東芝機械の事件のようなことが起こるというふうなことになってくるとアメリカが黙っているかどうか。そして、結局大問題になって政府は新たな秘密保護法の制定を迫られる事態が起こり得るのではないかというふうに思うわけです。
 特に、SDI日米協定の不公表の実施取り決め、これは了解覚書ですね。これは一部の新聞の報道ですけれども、その中で、日米両政府は機微な技術移転の禁じられた地域へのSDI技術移転を阻止する措置を講じると決めておると。これは日米両国が強い調子でココム規制遵守を確認したものというふうに報道されております。そうなると余計そういう心配があるということでございますが、こういう報道が事実かどうか。もし事実ということであれば、政府はSDIとココムは関係ないと言っておりますけれども、そういう答弁はうそになりますけれども、その点はどうかということと、当然こういうことで国会の承認を必要とするのではないか、こういう点について御答弁を願いたいと思います。
#296
○国務大臣(倉成正君) この協定があるかどうかといういかんにかかわらず、我が国は我が国の法令に従って輸出管理を行っておる次第でございます。したがって、SDI研究に参加すると否とにかかわらず、ココムという国際的な申し合わせを遵守する行動をとることは当然のことと考えておる次第でございます。
#297
○和田教美君 次に、官房長官にお聞きしますけれども、これも報道ですけれども、米国防総省の高官によれば、日本は政府内にSDI関係の秘密保持のための新しい組織をつくるというふうに言っておるということですが、こういうことは公表されない了解覚書の中にあるのかどうか。あるいはまた、各省の動きを見るとそれらしい動きも感じられるわけですけれども、政府全体としてどういう新しいシステムを考えているのかお答え願いたい。
#298
○国著大臣(後藤田正晴君) 初めてお伺いをいたしましたが、さようなことはございません。
#299
○和田教美君 次に、ココム規制違反再発防止の一環として進められている外為法改正問題について総理の御見解を聞きたいんですけれども、外為法の建前は、先ほどからの質問にもありますように、第一条にも明らかなように、対外貿易は自由というのが大原則だと思います。そして、これはまた日本の経済政策の大原則でもあるとも思うんです。ところが、ココム規制強化によって安保条項が入ってくるとか、罰則、行政処分の強化が行われるというふうなことになってくると、この経済の原則というのが大きく阻害される危険性があるというふうに思うわけです。
 特に、アメリカが今ねらっているココム規制強化というものは主にハイテク技術ですね。ところが、ハイテクの技術というのは、軍事用と民事用が非常にこんがらがっておって、両方使えるという汎用の技術が多くなってきているというのが傾向です。そこで、この安保優先というものを余りに推し進めるということになると、産業界が東側との貿易に非常に二の足を踏むという可能性が出てくるのではないか。財界にもこの安保条項による過剰規制を警戒する声が出ているということはそのことだと思うんですが。
 そこで総理は、この経済と安全保障とのバランス、均衡という問題をどこに求められるのか、それとも当面は経済を犠牲にしても安保重視ということでいかざるを得ないと考えておられるのか、その点をお聞きしたいわけでございます。
#300
○国務大臣(中曽根康弘君) 今法文の改正については研究中でございますから、いわゆる安保条項というものが入るか入らないかまだ確定したわけではございません。今一生懸命法制局等の意見も聞いて検討しておる最中でございます。
 それから貿易は原則自由というこの大方針はいささかも変わりはありません。しかし、原則自由といっても、完全に何でもかんでも放らつに自由であるかというと、これは国際社会に生きている限りそういうことは許されない。例えば我が国は、平和国家としての国是というものから武器技術の輸出禁止ということもやっております。これは自由に対する一つの制限であります。特に、国際紛争の地域その他に対して特に我々は考慮しておるはずです。
 それと同じように、我が国自体の安全保障のため、あるいは我々が話し合っている国際関係を通じてやはり安全保障というものを確保していく、そういう必要性、あるいは国際社会に生きていくためにも我々としてはやらなきゃならぬ場面が出てくるものでございます。遺憾ながら、世界は今そういう状況にあるということを認識せざるを得ないんです。そういうようなことから、限定的にやはりそういうものは認めざるを得ない、そういう意味において今法文をどういうふうにするかということで検討しておる最中でございます。
#301
○及川順郎君 オートマチック車の事故が続出して、その対策が望まれておるわけでございます。衆議院の予算委員会質疑でも同僚委員がこれを取り上げておりますが、これまでの事故を教訓にしまして、続発している急発進事故防止のために、オートマチック車のシフトロック装置を義務づけるということはできないか、こういう声があるわけでございますが、運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
#302
○国務大臣(橋本龍太郎君) オートマチック車の事故の多発につきましては、先日衆議院の方でも御審議がございました。その際に出ていなかった問題の一つに、今御指摘のシフトロック装置の問題がございます。私どもは、今このシフトロック装置を全車両に強制的につけさせるという考え方は持っておりません。なぜなら、これが急発進時のみに事故が限定をされておるとすれば、確かに私どももそのシフトロック装置によってこの事故というものがほとんど防げるであろうとは思います。しかし、調べてみますと、実は走行中に急加速して事故が発生したとか、さまざまなケースがありまして、そうしたケースにはこれはシフトロック装置のみでは対応ができません。
 そこで今、急発進、急加速の原因究明につきまして、日本自動車工業会に対して調査を指示をいたしますと同時に、中立公正な立場からの原因究明を図るために、運輸省附属の交通安全公害研究所に対しても車両構造上の原因究明についての試験調査を依頼いたしております。また、急発進あるいは急加速の防止のための車両構造上の対策につきましても、先般日本自動車工業会に対して検討を指示いたしたところでありまして、そうしたものの調査の結果等を見ながらなお安全対策については考えてまいりたい、そのように考えております。
#303
○及川順郎君 同装置が完全な安全装置、そしてまた事故の様相からその因果関係、それだけでは決めかねるというそういう考え方もわかりますけれども、現に年間四十人以上の事故が出ている。人命尊重の立場から、やはり現時点における最も有効な手だての一つであることは間違いない。義務づけるということはできなくても、運輸省として指導体制を強化するということはできるのではないか、こういう感じを強くするわけでございますが、この点に対しての御見解と、あわせまして、これは別問題になりますが、日本のリコール制度、アメリカと違いましてオートマチック車の構造上の欠陥が明確でないと申請できない仕組みになっておるわけなんで、これをアメリカ並みに少なくともして安全対策を強化すべきではないか、こういう考え方も持てるわけでございます。
 以上二点につきまして再度お願いしたいと思います。
#304
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、今委員が御指摘になりましたように、アメリカのリコール制度につきましては、いわゆる安全性上の欠陥に対応するものばかりではなくて、日本でありますと通常商品性の範疇に入るようなものまでがその中に取り込まれておる制度になっております。
 ただ、私どもの立場から申しますと、日本のリコール制度は、明確に自動車の保安基準に抵触するものを対象としておりますけれども、そのほかに、自動車の保安基準には抵触をいたしませんけれども、商品としてふぐあいがあると思われるものにつきまして改善対策制度を設けておりまして、自動車のユーザー保護という視点から見れば、これを双方あわせて機能させることによって同等の効力を発揮すると考えております。
 自動車の構造上の安全性について問題が生じました場合には、いずれにいたしましても速やかに原因究明を行うと同時に、早期にそれに対しての対応をするように自動車メーカーを指導しながら、リコール及び改善対策制度の徹底を図るようにしてまいりたい、今私どもはそのように考えております。
#305
○及川順郎君 土地問題につきましてはきのうも同僚委員が取り上げておりましたが、もう少し別な角度で私も触れてみたいと思います。
 まず国土庁にお願いしたいのですが、中曽根内閣発足当時、つまり、五十七年四月の国土庁の地価公示価格の対前年比の上昇率はどのぐらいであったでしょうか。全国平均で結構でございます。
#306
○政府委員(片桐久雄君) 地価公示価格は毎年一月一日現在のものを四月一日に公表いたしておりますけれども、五十七年からの上昇率を読み上げますと、全用途の全国平均の上昇率でございますけれども、五十七年が七・四%、五十八年が四・七%、五十九年が三・〇%、六十年が二・四%、六十一年が二・六%、それから六十二年が七・七%というふうになっております。
#307
○及川順郎君 今の数字でわかりますように、五十七年から六十年までは全国平均の地価公示価格は対前年比で下がり続けておるわけです。ところが、六十一年どことしの四月は一転して増加になっている。これは全国平均だけを見ますと数値が小さいわけでございますが、これを、特に今問題になっております東京に絞りまして、同じように商業地を例にとって数字を述べていただきたいと思うんです。
#308
○政府委員(片桐久雄君) 用途としては商業地に絞りまして、それから地域といたしましては東京圏に絞りまして申し上げますと、五十七年が五・七%、五十八年が四・二%、五十九年が五・五%、六十年が七・二%、六十一年が一二・五%、それから六十二年が四八・二%というふうになっております。
#309
○及川順郎君 今の数字で明らかなように、全国平均の六十一年より二年早く、つまり五十九年四月時点で既に前年の四・二%を上回る五・五%と上昇に転じておるわけです。やはりこの五十九年というのが一つの危険信号であったのではないか、こういう感じがするわけでございます。
 私も資料を取り寄せまして見てまいりましたら、六十一年にはこうした急上昇の状況が住宅、工業地、準工業地と拡大しているわけですね。ことしに入りますと、これが東京、大阪、名古屋、この三大都市圏全域に広がっている。先ほど商業地で四八%台と本年度の状況を示されましたけれども、今日では軒並み二〇%、三〇%台の上昇が続いておるわけですね。これはまさに手のつけられないような土地高踏の実態というものがもう数字の上で明確になっておると思うわけでございますが、改めて、この土地高騰の要因を政府としてはどのように受けとめて、そしてどのように分析をされておられるか、伺いたいと思います。
#310
○国務大臣(綿貫民輔君) ただいまのデータが示しておりますように、東京の国際化、ソフト化、情報化、こういうことでビル需要が急激にふえたということが一つの大きな原因になっておるわけでございまして、ビル用地の需要供給のバランスが崩れた、さらに金余り現象を背景にする投機的な動きがこれに加わりまして土地の高騰が発生したわけであります。
 先ほどからのデータにもありますように、本年の地価公示を見ましても、東京を除く地域の土地の上昇率は二・六%でございますが、東京のみは五〇・五%、こういうことでありまして、東京の土地対策につきましては、従来東京都ともいろいろと対策を協議してまいりました。中でも国土利用計画法の十二条の適用につきましても、いわゆる土地の凍結、つまりある程度の規制区域をつくりまして、その中のものはすべて許可制というところまでも協議をしてまいったわけでございますが、とりあえず監視区域のような小規模の取引をチェックすることによって土地の高騰の鎮静化に努めようということで先般条例の改正をいたしたわけでありますが、それが五百平方メートルという規模ではさらに捕捉率が非常に低いということで、ただいま三百平方メートルということで対策が講ぜられております。
 これの実績を見ますと、指導率と申しまして、地価の高踏に対するいろいろの行政指導をしたものが二九%、指導率二九%ということでございまして、五百平方メートルで二九%ですから、これが三百平方メートルになりますとさらにこれを捕捉し指導することによって鎮静化が図られるものだと思っております。
 なお、その他土地の供給を促進するための税制、また転がしを規制するための税制、御存じの超短期の見直しとか超重課制度の法律を先国会に提出したわけでありますが、廃案になりました。これのためにさらに地価の高騰が再燃したと言われておるわけでありまして、今回はこれらを通していただきまして、なおこれらを見ながら、土地の高騰がおさまらない場合には、先ほど検討してまいりましたような国土利用計画法の強権発動ということも考えなければならない事態があるかもしれないと思っております。
#311
○及川順郎君 さまざまな要因はあると思いますが、五十九年の四月を一つの起点として考えた場合に、しばしば指摘されておりますが、国公有地の売却がやはり土地高騰のこの拡大状況に投射してみるとどうしても無関係ではないのではないか、こういう意見が出てくるわけでございますが、今後、この国公有地の売却凍結を含めて、まずこの点につきましては大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
#312
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は昨日もう申し上げたところで、どうもどういうふうに扱ってよろしいか非常に苦しんでおる問題でございますが、昨日申し上げましたように、東京都の中央部の一番値上がりの大きい五つの区について見ますと、国有地の売却というのは昨年も一昨年も三件ぐらいしかないわけでございます。そういう意味では、それが数千件ございます土地取引の価格上昇の誘因になったと、経済的にはそういうことは私はないと申してよろしいんだと思いますけれども、ただ、話題になりやすいといったような要素はこれはあるいは否定できないかと思いますが、実際はそのくらいの数しかございません。
 ただ、そういう場合でも、国有地でございますから、基本的にはまず公用、次に公共用、そうでない場合に一般入札、競争入札でございますが、競争入札の部分は、やはり会計法の規定によりまして一番公平であるはずの競争入札、しかも国民の財産でございますので、ということをなかなか外すわけにはまいらないということはございます。したがって、買われた方は東京でございますと十年間転売は許さないというようなことは十分にいたしておりますが、そういうことでぎりぎり両方の問題の接点を求めておるというのが実は実情でございます。
#313
○及川順郎君 ともかく土地問題につきましては建設省、国土庁等で真剣に取り組んできた、こういう経緯はわかりますが、総理は新行革審に諮問する、こういう事態になりまして、今土地対策の決め手、攻めあぐんでいるという状況があるわけでございますけれども、もうここまで来ましたならば、やっぱりもう少し発想を変えまして、一般の自由な発想に耳を傾けることも大事ではないか、こういう感じがするわけです。そうした観点から、ある学者の意見を私は紹介してみたいと思うんです。
 それは、一定規模以上の土地を有している者に対して、例えば二千平方メートル以上の土地、六百坪になりますか、そういう広大な土地を有している人には富裕税的な税を新たにかける。これには宅地や農地を問わない。しかし、これを面積だけを対象とすれば全国の農地、山林などがこれに該当するので、価格の面から条件を付して、地価総額四億円未満の土地は課税の対象から外すという、こういう意見なんです。そうしますと、課税対象地域は神奈川、埼玉を含めた東京、大阪、名古屋やあるいは札幌、福岡などのごく一部の個人に限られるという、こういうシミュレーションが出てくるということなんです。固定資産税としてやると地方の不況地域にもかかるし、また普通のサラリーマン家庭にもやはり響きますから、国税として導入してみる。仮に税率を五%として、年間に換算して二、三兆円にもなるから、所得税減税にも充てられるんではないか。
 東京都に限って地価総額が四億円を超える二千平方メートル以上の土地を持っている人は、六十年現在で二十三区また市部を合わせまして四万二千五百人いるという。この人は明らかにしているわけですね。土地を手放すときには特例として譲渡所得税の軽減を行えば土地の供給がなされるということであるわけです。大蔵大臣、この狭い国土の日本で、多くの人がマイホームが持てなくて困っている一方で、個人として必要以上の土地を有しているこういう人たちに土地供給に協力をしてもらう、こういう意見なんです。
 あわせまして、もう一つの具体的な提言でございますが、農地の宅地並み課税についてでありますが、この点につきましては現行実態を十分調査する必要があるのではないか。こういうことは十分考えられますけれども、そうした上に立ちまして、基本的には現行制度を見直して、農家が納税申告をする場合に、生産した農産物の収入が一定額以上なければ宅地並み課税を厳しく行う、そういうことによって土地の供給を促すという、こういう方法なんですね。
 こうした二つの意見につきまして大蔵大臣としての御所見を承りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#314
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のようなお話はいろいろ問題があることを承知の上での提言でございますから、あれだこれだ申し上げるのも余り気のきかないことだと私は思いますけれども、実は保有ということになりますと固定資産税がありますし、特別保有税がございます。
 それで、富裕税という観点でございますが、これはシャウプ勧告にも御記憶のようにございまして、昭和二十年代の中期に三年ほどやったことがございますが、結果としてはうまくいかなかった。うまくいかなかった理由は、やはり外見的にわかります土地とか家屋だけが課税の対象になって、それ以外の財産はほとんど逃げてしまったということであったのでございますが、今度の場合にも、もし富裕税という観点でいたしますと、どうして土地を持っている人だけがそういう課税を受けなきゃならないかということの答えは、地価対策としてと言えばこれは大変にわかりやすいんですが、それだけではどうも税の公平というようなことから申しますと説得力がないような心配がございます。
 もしそういう人の保有にある程度課税をするのならば、特別保有税というようなことじゃないかということに戻ってしまうということがございます。そういうことは恐らく提案者はおわかりの上でおっしゃるのでございましょうから、こんなことを申し上げるのも気のきかぬことですけれども、やはり国税として富裕税というようなことでいたしますと、一番気になりますのはその他の財産との関連ではないか、公平というようなことに関することではないかと思います。
#315
○国務大臣(葉梨信行君) 特定市街化区域内の農地の宅地並み課税につきましては、十数年来議論が行われ、いろいろな経過があったわけでございます。
 先生今おっしゃいましたような一定額以上の生産額がない場合には宅地並み課税にせよという御意見も一つの御意見であろうと思います。ただ、その一定の畑で自家消費も含めてどれぐらい生産額が一年間にあったか、どうやってそれを評定するかという問題であるとか、このごろは果樹を植えている農地がありますが、果樹というのは生産までに何年かかかるというような問題がある。
   〔委員長退席、理事林道君着席〕
あるいは野菜でございますと年度年度で非常に変動が多い。こういうようなこともございまして、一つの御意見ではございますが、税制上仕組むということはなかなか難しいのではないだろうか、このように考えるわけでございます。
 昨日も御答弁申し上げましたように、宅地並み課税の問題につきましては、市街化区域の中で、しかも農業をぜひこれからもやっていきたいという農家の方々についての配慮もしなければならないであろう。あるいは土地利用のあり方、あるいはまた住宅供給を促進するという観点からの検討、その他都市内の緑地を確保するという問題とか、都市施設の整備をどう考えでいくかというような問題を広く含んだ広い見地からの検討をしながら考えていかなければならないであろう、このように考える次第でございます。
#316
○及川順郎君 総理は税の不公正実態を強調する表現としてクロヨンという言葉を当委員会において使われておるわけでございますけれども、最近では、農家と規定される家庭に限って見ますと、農業所得の納税実態がほぼ事業所得者と同じ程度になっている、つまりクロヨンという言葉が通常言われているような状況の実態にはなってきていない、変わってきている、こういう専門家の指摘があるわけでございます。
 歴代の大臣の御発言をずっと振り返ってみますと、この点につきましてはかなり慎重な言い回しをしてきておるわけでございますが、このクロヨンという表現に対する認識につきましてこの際農林水産大臣の御意見を伺いたいと思っております。これは総理も発言しておりますから、総理からひとつお願いします。
#317
○政府委員(日向隆君) 農林水産大臣についてお尋ねでありますけれども、クロヨンは主として国税庁の税務執行上の所得種類間における把握の差についてのお尋ねでございますので、私から一言お答えさせていただきたいと思います。
 申告納税制度下における個人の所得の所得種類間における把握につきましては、現在クロヨンと言われるほどの格差があるかどうか、私ども国税庁としては一概に言えないというふうに考えておりますが、事業所得につきましては、営庶業所得の納税者に対する連年にわたる税務調査の結果で見ますと、その所得の申告漏れ割合は二〇%程度で推移している事実から、給与所得に比べましてその所得の把握に差があることは否定できないところでございます。
 また、御指摘の農業所得につきましては、その大部分が、第一に、適正に作成された農業所得標準に基づいていること、第二に、収入のほぼ一定している水稲等については面積課税方式、収入が変動する果樹、高級野菜等につきましては収入金課税方式を採用していること、第三に、課税の基本となる作付面積や収入金額等の把握が必要な資料、情報に基づき地方税当局の協力のもとに適切に行われていること等からして、一般的には多額の申告漏れが生じているとは考えておりません。
 最後に言われました数字につきましては、私どもここ数年における税務の調査及び指導の結果で見ますと、委員の御指摘のとおりかと思います。
#318
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど国税庁からお答えいたさせましたが、クロヨンという言葉は大変間違った言葉であって、そういうことはないと私は考えております。こういう言葉が使われ出してもう何十年になるのでありますが、我が国の職業の自由は確保されております。農業関係者がそんなに捕捉率が少なく、税を納めてないなら、農業へ農業へと行かなくてはなりません。それが逆に、農業を離れ離れ、都会へ行っておるというところに経済の原理、あるいはこれに伴う税捕捉の原理が働いておる。我が国はそういう原理が働いておる国である。したがって、農業に対する変な誤解というのは、農林水産大臣としては何としてもこれを解明していかなくてはならぬ、こう思っておるところでございます。
 国税庁の言うとおりでございますが、ちなみに当省の農家経済調査と総務庁の家計調査の六十年度の調査結果によりますと、一世帯当たりの納税額は、農家世帯で五十四万円、勤労者世帯で五十万円となっておりまして、租税負担についてさほどの差があるとは考えられない、こう思っておるところでございます。
#319
○及川順郎君 経済の動向につきまして二点お伺いします。
 内需振興の時期であって、また円の為替レートの安定が必要なときということから、現在の金融緩和政策を引き締めに転換できないという大変難しい局面であると思いますけれども、今後の金融政策のかじ取りにつきまして日銀はどうお考えになっておられるか、お伺いします。
#320
○参考人(三重野康君) お答えします。
 先生御案内のとおり、金融政策と申しますのは為替レート、景気、物価あるいは金融の情勢等の総合的な判断ということに相なりますが、それぞれについてごく簡単に現在の判断を申し上げます。
 為替レートでございますが、これは一時に比べますと比較的やや落ちついた動きをいたしております。今週に入りましても大体百五十二円、きょうも百五十二円を挟んだような小動きでございます。こういうふうに為替レートが一時に比べてやや落ちついてまいりましたのは、何と申しましても、これ以上のドル安は困るという世界的なコンセンサスがG7あるいはサミットを経ましてでき上がってきたということではないかと思います。特にアメリカが、これ以上のドル安になった場合には物価あるいは自国の景気について悪影響が出るということで、アメリカの当局がドル安については非常に困るという態度をはっきりさしてきたこと、これが非常に大きいかと思います。
 そういったことを背景にいたしまして、一時は下火になっておりました米国に対する債券投資がごく最近はまた再びかなり大きなものが活発になってきている。こういったことがレートを比較的落ちつかせている大きな原因だと思いますが、そうは申しましても、多少の改善の兆しは見えましても、日本の大きな黒字、アメリカの大きな赤字は残っているわけでございますので、今後ともなかなか目は離せないというふうに考えます。
 景気、これはようやくここへきて底固めから、条件つきではございますが先行きに明るい展望を期待し得る状態になってきているのではないかというふうに考えております。と申しますのは、ずっと景気の足を引っ張っておりました在庫調整がほとんど終わり、それから企業の収益、これがようやくにして最悪期を脱して、ことしの秋以降はやや明るさを展望し得ることになってきた。第三番目は、先日政府が発表されました緊急経済対策、これが実施に移されますとかなりの景気浮揚効果があるのではないかというふうに考えております。
 したがいまして、景気の二面性とかあるいは雇用の問題とか、まだ数多くの問題は残しておりますが、もし為替の安定がある程度続くならば、ようやくにして将来の明るさを展望し得る状態になっているのではないかというふうに判断いたしております。
 金融。私どもはことしに入ってからのマネーサプライの非常な急激な増加に注目を払っております。M2プラスCDは、昨年の第四・四半期が前年比八・三でございましたけれども、現在は一〇%と二けたになっておりまして、それを背景にしまして、先生先ほど御指摘のとおりに土地の値段の値上がり、あるいは一高一低ではございますが株だとか債券のスペキュラチブな動き、こういったものについては引き続き注目してまいりたいと思っております。
 ただ、マネーサプライはふえてきておりますが、物価の安定基調がすぐに損なわれるというふうには私どもは考えておりません。しかしながら、今まで日本の物価を非常に支えてというか、低く抑えておりました円高、あるいは石油を初めとする国際商品市況の低迷というのがやや違った動きをしてきております。先ほど申しましたように円高はここに来てとまってきておりますし、石油は反騰します、非鉄もかなりの、国内物価につきましても一部ではございますが建設資材に強含みの傾向が出ておりますので、先行きについては目を凝らしていきたいというふうに考えております。
 あれこれ申し上げましたが、現在私どもといたしましては、引き続き現在の金融緩和基調を維持してまいる、これが基本的なスタンスではございますが、今ところどころで申しました金融緩和の行き過ぎが大きくならないように目を凝らして、慎重な政策運営をいたしてまいりたい、かように考えております。
#321
○及川順郎君 原油価格について伺います。
 政府の当初経済見通しては原油価格は一バレル十七ドルでございましたが、現在は既に二十ドルを突破している、こういう状況でございますが、これが物価や国際収支にどう影響するか、経済企画庁長官、お願いします。
#322
○国務大臣(近藤鉄雄君) 原油価格の値上がりが物価にどういう影響をするかということでございますが、これは、それが生産流通過程にどういうふうに展開されるかということを需給関係等々ございますのでいろいろ配慮をする必要がございますけれども、経済企画庁が産業連関表を使って計算をいたしますと、一%上がれば卸売物価が〇・○七%、消費物価が〇・〇三%でございます。そこで六月、大体平均でバレル当たり十八ドルちょっとでございますので、先生二十ドルとおっしゃいましたから約一割ですね。そういたしますと、これもまあそうしたコストアップ分がストレートに全面的、即時に国内物価に反映する、こういう前提の計算でございますけれども、大体卸売物価で〇・七%、消費物価で〇・三%のアップ、こういうふうに機械的な計算でございますがなります。
 国際収支でございますけれども、これは大体一バレル一ドル上がりますと、六十一年度の原油輸入量十二億バレルでございますから、単純に計算いたしますと、一ドル上がって十二億ドル、したがって十八ドルから二十ドルにバレル当たり上がりますと、今度二倍でございますので二十四億ドル上がる、二十四億ドル国際収支がいわゆる改善をする、こういうことになるわけでございます――改善といいますか、受け取りが減る、こういうことでございます。
#323
○及川順郎君 今回の補正予算の位置づけ、予算配分の重点、予算執行の波及効果に関して、改めて総理、大蔵大臣に御所見を承りたい一と思います。
#324
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のような目的を持ちまして補正予算の御審議をお願いいたしておるわけでございますが、中心になりますのはやはり公共投資でございます。今回の場合、公共投資にいわゆるNTTの売却代金を援軍として加えさしていただくという発想を取り入れて法律の御審議をお願いしょうとしておりますが、これはやはり目下、公共投資でも殊に地域的に非常に落ち込んでおります地域がございますし、また何々城下町と言われますように、特に特定産業との関連で落ち込んでいる地域もございますので、そういうことでできるだけ傾斜的に公共投資をお願いいたしたい。
 また、将来の問題と申しますか、これからの問題といたしましては、そういう地域が新しく地域としての再開発をする場合に、いわゆる面的再開発でございますが、各種の公共投資が一時に行われませんと地域としては困るわけでございますが、そういうことに特にこのNTTの社会資本整備勘定を使っていただきたい、こういう希望がございまして、したがいまして今度の補正予算の考え方は、公共事業を中心に、地方並びに特殊の落ち込みました地域に特に重点を置いて、内需の振興、社会資本の整備を図っていきたい、こういうことを申し上げられるかと思います。
#325
○及川順郎君 補正予算の作成、国会提出は、財政法第二十九条によりますと、当初予算作成後に生じた事由による予算の追加または予算の変更を加える場合と明記されておるわけでございまして、大別して二つの要件があると思います。
 これを今回の補正予算に当てはめてみますと、現実に当初予算後に生じた事由として、一つは緊急経済対策による予算の追加措置、もう一つは売上税関連法案の廃案に伴う予算の変更の二点だと思いますが、いかがでしょうか。
#326
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございますし、実は売上税ばかりでございませんで、政府が御提案をいたし、したがってその想定のもとに予算歳入面を組んでおりましたあれこれの税制、廃案になりました限りにおきまして想定が崩れておる、こういうことになろうと思います。売上税もその一つでございます。
#327
○及川順郎君 提出されました補正予算案では公共事業の追加と経済対策についてはきちんと補正をされておりますけれども、なぜこの売上税関連法案の廃案に伴う予算の変更措置がされていないのか、この点をお伺いしたいと思います。
#328
○国務大臣(宮澤喜一君) そればごもっとものお尋ねだと思いますのは、売上税はこのたびの本予算におきましては歳入面にも無論売上税が立っておりますが、歳出面にも売上税が一部含まれております。したがいまして、補正するならばそれらを全部補正すべきだという御議論があろうかと思いますが、そういたしますと、事は売上税にとどまりませんで、所得税を初めその他全部政府は税制改革をお願いするということから改正案を提案いたしまして、それに基づきまして歳入面を組んでおるわけでございます。ところが、これらがほとんどすべて廃案になりましたので、そういたしますと理屈としてはもとの、本来の税制に一遍返る、こういうことにどうもならざるを得ない。改正案がだめになりますと改正前の案に返るかということでございますが、たまたまこの廃案になりました後の経緯が衆議院議長のごあっせんによる各党によりますところの税制改革協議会の御討議にゆだねられましたために、政府としてそれに先んじて何か歳入面をこうこうということを今回の補正で申し上げるわけにまいりません。いわば税制がどうなっていくかがちょっと見きわめのつかない現状でございますために、改正前の税制に戻しますことはかえって誤解を呼びますし、また正確でもない。理屈の筋道だけはそうなるにいたしましてもそれはどうも現実的でないと考えましたために、この際、税制改革関連の歳出入はともに補正をいたさなかったということでございます。
 その結果はしたがいまして、やがて今年度の税制が固まりましたときに、改めましてこのようになりますということを年度末までに国会に申し上げて、それによって整合性を回復する、こういう仕事が残されておるというふうに考えております。
#329
○及川順郎君 ちょっと理解に苦しむんですが、売上税法案が廃案になっているんですね。継続ならば今の大臣の御答弁で私はよく理解できるわけですけれども。しかも前国会で廃案になっている。現在税制協議会で協議している内容というのは別の問題じゃないでしょうか。いかがでしょう。
#330
○国務大臣(宮澤喜一君) 売上税に関します限り、そのようにおっしゃって間違いではございません。それは、例えば地方に対する売上譲与税というものは廃案になったわけでございますし、交付税の中でこのたびは売上税分を二〇%交付税に入れるということも廃案になりました。それから、歳出で申しますと、防衛庁の中にも建設省の中にも売上税相当分が歳出に一部ございますので、それらはみんな歳出歳入ともいわば絵そらごとになってしまったということでございます。しかし、それは実は売上税にとどまりませんで、政府の提案いたしました所得税を初め税制改正案が全部事実上廃案になりましたので、全部実は歳入面をやりかえなければならぬということに理屈の上ではなっております。
 それで、何にやりかえるかということになりますと、改正前の税法にやりかえるしかどうも考えようがないわけでございますが、この点はしかし、国会各党におかれて、もう一遍改正前の税制に返るんだということは、いろいろ税制改革協議会の御議論を見ておりましても、また衆参両院における御議論を伺っておりましても、そういうことは現実のこととしてはあり得ないことであって、やはりこれから我が国の今年度の税制が決まっていくということであろうと存じます。そういたしますと、それを待つことの方がやはり誤解を与えないし実際に即するのではないかと、こういうふうに考えまして、そういう整合性を将来に向かって整えなければならないという問題を私ども承知のまま、またそれをそうしなければならない時期がどうしても年度末までに参らなければならぬわけでございますが、そういう意味で財政演説でこのことを申し上げたわけでございます。
#331
○及川順郎君 しかし現実には、現在の六十二年度予算書では形として、歳入の根拠として残っているわけですね。で、国会として売上税は廃案になりました、しかし予算書では売上税は生きている。こういう形態はやっぱりおかしいんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
#332
○国務大臣(宮澤喜一君) この理屈は実は余り申し上げてもどうかと思いますけれども、歳入に立っておりますということは、もとよりそういう歳入権といいますか租税の徴秘権があるわけではございません。これは税法がございませんと徴税はできないわけでございますから、そのような意味で歳入が見積もりであるということを言われるのであろうと思います。したがいまして、ただいま歳入に出ておりますのは、税法が通るべかりしことを想定いたしました見積もりでございますから、その税法は通っておりませんから、見積もりとしては実は適正でないことはもうおっしゃるとおりだと思います。
 それならばこれにかわるにどのような見積もりが適正であるかということになるわけでございますが、それは改正前の税法の見積もりがとはさすがにどうも現実的には言えないことでございますので、しばらくそこのところを保留をさせていただいておる。整合性がしたがって今の時点ではないではないかとおっしゃいますと、ただいまの時点で整合性がございません。年度の終わりまでにこれはきちんといたさなければならないことでございます。
#333
○及川順郎君 どうもわからないですね。実体のない歳入、すなわち法律の裏づけのない歳入予算が補正修正されないでそのまま放置されている。やはりこの補正予算案というのは法的に見て欠陥と言わざるを得ないと思うんですが、いかがでしょうかね。
#334
○国務大臣(宮澤喜一君) それでございますと、純粋に法律的には改正前の税法、所得税初めすべてのものをもう一遍歳入に組み直してということになりますと、どうもそれで形の上ではあるいはいいのかもしれませんが、しかし今年度の歳入がそういうことになるということはもうよもやあり得ないことでございますから、そのようなことをいたしますことが果たして国会の御審議に対して適当なことであろうかどうかと。先例のないことでございますので、政府部内でもかなり検討いたしました結果、将来税法が国会の御審議を経て成立したときに、そのときに本年度の歳出歳入の整合性を整えるべきではないかということに結論としていたしたわけでございます。
#335
○及川順郎君 やはり法治国家として、法律に基づく運用というものは基本だと思いますね。政治性はわかりますけれども、そういう考え方が横行いたしますと法律はあってなきがごとしという、そういう状況になりかねない、私はこの点を心配しているんです。この点について再度御見解を求めます。
#336
○政府委員(味村治君) 売上税関連法案が廃案になりました現在の状況における税法それと本予算、これを見ますというと、御指摘のようにそごが生じているということは明らかでございます。それで問題は、では直ちに現行税法に合うように修正すべきではないかというのが御質問の趣旨であるかと存じます。
 これにつきましては、大蔵大臣がしばしば申されておりますように、衆議院議長のあっせんによりまして、税制改革問題は現在における最重要課題の一つである、したがって直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力を払うこと、こういうことになっておりまして、現在税制改革協議会においてそれについて御審議中でございます。したがいまして、その税制改革協議会の結論が出ました段階におきまして確定的なことがわかるわけでございます。現在はいわば浮動の状態でございます。フローティングな状態になっているわけでございます。
 そういうフローティングな状態のときに本予算を現行の税法に合わせて変えるということになりますと、これはまたこれが確定いたしましたときにさらにまた補正をしなければならない、こういうことになるわけでございますが、そのような中間的な補正をするかどうかということは政府の政治的判断にゆだねられていることでございます。そして、そのようにごく一時的なフローティングな状態を前提とする本予算の修正ということはこれは適当でもございませんし、財政法の予想しているところでもない、こういうふうに考えているわけでございます。
#337
○及川順郎君 納得できないですね。
 本来、法案が廃案になったら次の補正予算ではそうした事態に基づいてきちっと予算の補正を行うという、あるいは予算に見合った根拠法案を準備するのが私は当然だと思う。今回この売上税関連法案がないんですから、これに見合った予算の補正をするというのが私は今回のこの補正予算の内容の最も大事なところじゃなかったか、こう思うんです。私は意地悪して言っているんじゃないんです。政治的な状況もわかりますけれども、日本は法治国家です。法律がある以上法律に基づいて予算をつくるということも、その執行ということも、これをきちっとやるべきだと私は思うんです。
 私は最近のこのやり方というのは目に余るものがあると思うんですね。どうも財政の基本原則や予算編成の規律が忘れられているんじゃないか。私は、今後に悪例を繰り返さないために、あえてこの問題につきまして総理並びに大蔵大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。
#338
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題を売上税に限って御議論になっておられますので、それでございますと、殊にこれが新税でございますから、おっしゃっていらっしゃることが十分にわかるわけでございますが、それならば所得税をどう扱うかということになりますと、ただいま所得税の年内減税ということがいろいろに御議論になっておりますときに、政府の所得税改正案は全部廃案になりましたから現行の所得税でもう一遍歳入を見積もってお出しするかということになります。それでもいいんだとおっしゃればそういうことでございますが、しかし現行の所得税がそのままいくということはもうほとんどお考えになっておられない、国会の御議論を伺ってまいりますと。
 そういたしますと、それがこれから決まっていくわけでございますから、売上税でございますと新税ですからこれはないからやめろと、わかるのでございますが、所得税の場合どうしたらいいかというような問題と異質のこれ問題でございますので、決して政治的な動機で何かをいたしたわけではございませんで、いわばそういう今固定されない状況のままでそれは先々固定するのを待って御審議を仰ぐべきではないか、こう考えたわけでございます。政治的な決断ではございませんで、むしろこれはかなりぎりぎり法律的にも政府部内で検討した結果でございます。
#339
○国務大臣(中曽根康弘君) 厳格に法的な面から見ますと確かに及川さんのおっしゃっていることはよく理解できることで、筋の通ったことであると私思うのであります。こういうような予算と収入との関係が不つり合いになっているという状態はそう長く置くべきものではないと思います。しかし、いずれの場合でもそういう場合が生じた場合には是正措置を講ずるについてある一定の期間が必要です、準備期間、調整期間が。今回はその期間を少し長くしていただいている。議長さんのごあっせんで各党の話もあり、税制改正自体がまだ宙ぶらりんな状態にあっていよいよそういうものを決めていくという段階でございますので、その猶予期間を本当ならばもっと短くあるべきものが少し長くしていただいておる、そういうような解釈に立ちまして、決定次第速やかに是正措置は次の機会にやらなければならぬ、それが我々としてとるべき責任である、そのように考えております。
#340
○理事(林ゆう君) 以上で及川順郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#341
○理事(林ゆう君) 次に、山口哲夫君の質疑を行います。山口哲夫君。
#342
○山口哲夫君 最初に、昨日発生いたしました広島大学における学部長刺殺事件についてお尋ねをいたします。
 事もあろうに、国立大学の校舎内で現職の学部長が刺殺されるというまことに重大な事件が発生いたしました。亡くなられた学部長初め御遺族の皆さん、関係者の皆さんに心から哀悼の意を表し、お悔やみを申し上げたいと思います。
 そこで、この事件の取り調べの経緯について、そして文部大臣の所見についてお伺いいたします。
#343
○政府委員(仁平圀雄君) お尋ねの事件は、昨日の七月二十二日午前八時三十分ころ、広島市中区所在の広島大学総合科学部長室におきまして同大学総合科学部長の岡本哲彦氏が殺害されているのが発見されたというものであります。
 この事件につきましては、同日午前八時三十分ころ、同氏が前夜帰宅しなかったということから家人が大学に通報をしまして、その通報を受けました大学職員が学部長室を訪れまして死体を発見しまして一一九番通報し、それが一一〇番に転送されたことによって警察としては認知したものでございます。
 現場に臨場いたしましたところ、被害者は学部長室の入り口に倒れておりまして、背中と胸部にそれぞれ二カ所の、計四カ所の創傷がございました。また、首から足にかけまして砂がかけられておったということ、付近に入れ歯や眼鏡が散乱しておりまして争った形跡が認められましたことなどから、殺人事件と断定したものでございます。
 この事件は、先生がただいま御指摘のように、大学の学部長殺害事件ということであり、しかもその死体が構内の学部長室で発見されたという極めて異例の事件でございますので、警察といたし
ましては直ちに所轄の広島中央警察署に百五十名からなる捜査本部を設置しまして、当面現場資料の収集と分析、検討、被害者の生前の行動の解明、現場周辺における不審者の発見、犯行の動機、背景の解明等を中心に現場検証、関係者からの事情聴取等所要の捜査を懸命に行っているところでございます。
#344
○国務大臣(塩川正十郎君) 岡本学部長が突然の被害を受けられまして、本当に残念でございまして、私からも謹んで冥福を祈りたいと思っております。
 この事件がございましてから広島大学の方から再三詳細な電話が入っておりまして、ちょうど本日昼休みのときに沖原学長からも連絡がございまして、とりあえず大学としては、今警察庁で申しましたように、徹底的な究明をしてくれということを強く申し入れしておるということと、それから大学全体の今後の警備体制についてこの際に見直していきたい、それについては大学自身がやはり管理体制を強めるという方向でやっていきたいということでございました。
 私から、大学としてどういう状態かと聞きましたら、現在非常に冷静にこの事態を見守っておるけれども、学部長、教授等についてはこれの徹底究明ということが非常に強い要件として出ておる、こういうことが電話で連絡ございました。私も適当な措置をとるように指示をしておいた次第であります。
#345
○山口哲夫君 本論に入ります。
 まず緊急経済対策についてお尋ねいたします。
 私、四日間のこの委員会の論議をずっと聞いておりまして、どうしても腑に落ちない点が幾つかあります。その最たるものが実は経済企画庁の態度であります。六兆円の予算を補正として出しながら、日本経済が一体どういうふうに変わっていくのか、また各地域の経済がどういうふうに変わっていくのか、そういう具体的な裏づけになる数字が全然出ていないわけですね。
   〔理事林道君退席、委員長着席〕
だから議論がなかなかかみ合わないと思うわけですけれども、民間の調査機関を見ておりますと全部出してありますね。六兆円の補正予算によってこういうふうに変わります、こういうことが出してあるわけでして、経済企画庁はこの数字を幾ら要求しても出せないというわけですね。そういう計算はしていませんと言うんですけれども、私それはちょっとおかしいと思うんです。
 なぜならば、この「六十二年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」というのは、これは当初予算のときに一月の二十六日に実は出しているわけであります。こういうものが基本にあるわけですから、これは当然六兆円の追加をしたらどういうふうに変わっていくかというものは、この数字を見直していくという、その改訂版というものが出てこなければ予算審議というのは十分にできないんじゃないんでしょうか。その点どうでしょうか。
#346
○国務大臣(近藤鉄雄君) この委員会でもお話しをしておりますように、民間の調査機関の見通しと私どもの当初の見通しとの違いは、民間設備投資をどういうふうに見るかということでございます。消費については、そして住宅投資につきましては、民間の調査機関も私どもも大体同じような線で見通しを立ててございますし、在庫につきましても、これも大体底を打ってこれからプラスになってくるだろう、こういう判断をしておるわけでございますが、民間設備投資がどうなるかということについでは、これは当初私ども多少強気の見通しを立てておりましたけれども、民間調査機関は余り強気でなかった、これが大きな違いでございます。
 ただ、今度の緊急経済対策の発表等、そして現在当委員会で御審議をいただいているわけでございますので、こうした緊急経済対策効果に対して、民間の調査機関も最近は相当プラスの方向に当初の見通しを修正しておりまして、一部の調査機関はむしろ私どもの三・五以上の三・七の見通しを立てておる機関もあるわけでございます。全般として依然として三%前後の見通してございますが、私はこの緊急経済対策の実行と、そしてこれもいろいろ当委員会で御議論いただいておりますが、為替の安定というか、むしろ円安基調に戻りつつございますので、これが民間投資に対してさらにプラスの影響を与える、こういうことを総合勘案してまいりますと、繰り返し申し上げておりますけれども、各細部についての伸びがどうなるかについては今検討中でございますが、全体の傾向として当初見通し三・五%は達成可能であると、こういう判断をしておる次第でございます。
#347
○山口哲夫君 中身を聞いているんじゃないんですよ。例えば年度当初のときに政府支出で一・一%の伸びだと書いていますね。六兆円追加して一・一%全然動かないんですか、これ。どうしてそういうものを修正して出さないんですかと聞いているんです。
#348
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさにその点について先生、今経企庁内部でいろいろ検討作業中でございますので、全体としてGNP対比一・八%の総合経済対策が、モデルで計算をいたしますと二%のGNP押し上げ効果を一年間で持つ、こういうことでございますが、この細部の積み上げについては、実は六十二年度四月からでございますから、実際の具体的な数字はまだあらわれていないわけですね。ですから、具体的な数字を見てそして趨勢の上での細部が出てくるわけでございますから、そういう点でモデル計算と違った修正値を出すにしても、今まだそれができる十分なデータが手元にそろっていないということを御理解いただきたいのでございます。
#349
○山口哲夫君 データがそろってないとおっしゃるけれども、民間でさえ全部出しているんですよ、これ。政府の公共支出によって四・五が一二・九になるとか五・六が一二になるとか、全部出しているじゃないですか、民間機関が。肝心の政府がどうして出せないんですか。
#350
○国務大臣(近藤鉄雄君) 民間調査機関はそれなりにいろいろ分析をしていらっしゃる。そのことはそのこととして評価をいたしますが、例えば税制改正というものが経済に今後どういうふうな影響を与えるかということがございますし、これはまさにこの国会でいろいろ与野党で御議論いただいていることでございますから、そういったものがきちっと決まらない段階で、各項目についての現実的な数字というものを政府の責任においてきちっと積み上げて発表させていただく状況ではない。決して民間の方々が出したことがどうこうじゃないわけでありますが、そこはひとつ私どもとしては慎重に吸わさせていただく、こういうことでございます。
#351
○山口哲夫君 これは納得できませんね。政府の方として、予算を提案したその段階での現状で計算すればいいわけでしょう。民間はそういうふうにしてちゃんとやっているんですからね。だから、私は、予算を提案する執行者である政府が、その裏づけになるような資料を何にも与えないでそして論議せいというから、幾ら言ってもかみ合わないから、まとまっていかないんですよ。そういう点で私は強くこのことだけは委員長にもお願いしておきたいんですけれども、今後こういう予算案を出すときにはその裏づけになるものだけはきちっとやっぱり出すのがこれは政府の責任ですよ。こんなものは常識ですよ。私はそのことを強くお願いをしておきたいと思います。
 それで、五兆円の公共事業の追加でもって一体失業者はどのくらい吸収できるという計算を今していますか。
#352
○国務大臣(近藤鉄雄君) 最近の失業状況については、これも当委員会でしばしば御指摘がございますし、五月はもう最高三・二%完全失業率でございますので、これに対して私どもいろいろ配慮しているわけでございますが、先ほど言いましたように、今度の緊急経済対策で三・五%のGNP成長率は達成、できるだけ後押しするように運営をしてまいる、こういうことでございますので、政府の六十二年度見通しては就業者数が〇・九%程度ふえ、雇用者数が一・五%程度ふえる、こう
いうふうに見込んでおります。完全失業率が二・九%ということでございますので、先ほど来申しておりますが、中のいろんな構成要素につきましては今作業中でございますが、マクロの形としては同じように当初の見通しに大体近づくのではないか、こういうことでございます。
 ただ、これも先生御案内のようないわゆる地域地域の、そしてまた各職業ごとの労働者需給のミスマッチの問題がございますから、これに対してはマクロに対するミクロの対策として、労働省が中心になっていろいろな三十万人雇用プログラムとかやっておりますので、こうしたミクロの対策とマクロの対策をあわせて、結果的には当初の見通しの線に何とか持っていきたい、持っていけるであろう、かように考えておる次第でございます。
#353
○山口哲夫君 何十万人くらいの雇用ができるとか、そういうことを聞きたかったんですけれども、これ以上やってもかみ合わないんで、時間がたつばかりですからやめます。
 それで、失業対策が出た中でちょっとお尋ねしたいのは、北海道開発庁で今度の補正予算で二五%くらい仕事がふえるわけですね。ところが、仕事がふえるのは結構なんですけれども、これを消化するのに大変なんですね。職員は全然ふえないわけですよ。本来であれば当然これだけの事業を消化するためにはそれに合った職員をふやしていかなければならないんですけれども、全然ふやしていない。これは大変なことだと思うんです。総定員法があってふやせないというんでしょうけれども、しかし中には退職者の補充もしていないんですね。これじゃ現場は一体どうしたらいいのか。だから、ある新聞に出ておりましたけれども、臨調行革が出てから国家公務員の自殺者がふえたなんということまで書いているんですね。大変な疲労こんぱいの状態にある。こういう大変なことを北海道開発庁長官、御認識していらっしゃいますでしょうか。
#354
○政府委員(大串国弘君) お答えいたします。
 先生御存じのとおり、今北海道は景気が悪くて大変なときでございます。そういう意味で今回の補正予算につきまして道民一同期待しているところでございます。
 先生お尋ねの件でございますけれども、これにつきましては開発庁としても業務の簡素効率化等を図りまして支障がないように進めていきたい、このように考えております。
#355
○山口哲夫君 最高責任者の長官いかがですか。その御認識を聞きたいんです。
#356
○国務大臣(綿貫民輔君) ただいまお答えしたように、督励して万遺漏なきょうに仕事を進めていきたいと考えております。
#357
○山口哲夫君 それでは、とにかく大変な事態にあるということだけは御認識いただけると思いますので、現場で十分労働組合の方とも協議をしてやっていただきたい、このことを強くお願いしておきたいと思います。
 それからもう一つ、この失業対策について。北海道の失業率というのは極端に高いわけですね。石炭、鉄鋼、造船あるいは北洋漁業、国鉄。それで、抜本的な対策として、実は参議院のエネルギーに関する調査会で我が党の対馬議員がこの問題で質問をいたしておりまして、リクルートセンターを北海道につくって、そこで再教育をいたしまして、そして情報機関もそれにくっつけまして、そしてそこで教育した人たちを全国に回す、送っていく、そういうような形で一つの抜本的な失業対策として考えてはどうか。大変通産省の石炭部長さんが前向きの答弁をされていらっしゃるんですけれども、大臣としていかがでしょうか。
#358
○国務大臣(田村元君) その前向きの答弁をしたのは私なんです。
 それで、これは今省内で検討を命じて、もう間もなく成案がほぼまとまってくるんじゃないかと思いますが、その上で北海道並びに各省庁に話し合いを始めるということになろうかと思います。
#359
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。野田哲君。
#360
○野田哲君 総理に、今回の緊急経済対策とこれに関連した今後の財政運営について、再度見解をただしておきたいと思うんです。
 総理は、今回の補正予算審議の過程で、私やそれから自由民主党の大河原委員からの、昭和六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却、この目標は達成可能であるのか、こういう趣旨の質問に対して、達成は不可能ではない、こういうふうに答弁をされているわけであります。そこでさらにこのことに関連をして我が党の安恒委員から、達成可能であるならば六十五年までの各年次別の計画を示すよう求めたところ、大蔵省当局では数字的な根拠は示せない、こういう回答があったわけでありまして、総理の答弁と大蔵省の答弁は一貫性を欠いているのではないか、こういう認識を私たちは持っているわけであります。総理は、達成できる、不可能ではない、こういう趣旨の答弁をされている。これは何を根拠にしてこのような見解を示されたのか。
 総理の見解を伺っておきたいと思います。
#361
○国務大臣(中曽根康弘君) 野田議員の御質問、また安恒さんあるいは大河原さんの御質問に対しまして、私が六十五年赤字公債依存体質脱却に関する所見を申し上げました。
 そのときの表現は、望みなきにあらず、そういう表現を使ったのであります。つまり、絶望的ではない、努力すれば光は残っている、そういう意味を申し上げたのでございます。その際に、これからの景気動向、あるいはさらに税収がどういうふうに動いていくであろうか、あるいはNTTの株式がどの程度どういうふうに売れるであろうか。いろいろなそういう総合的なものをもって勘で判断をすると、組み合わせ方ややり方によっては額としてはある程度の金はどうも出てくるかもしれないと。したがって、これからの景気政策そのほかで懸命な努力をすれば必ずしも望みなきにはない、そういう意味のことを申し上げたので、マクロの感覚で申し上げたのでございまして、具体的な数字をもって計画的な指標に基づいて申し上げたのではないのでございます。言いかえれば、政府の努力目標としてこれを依然として保持して努力いたしますと、そういう趣旨であるというふうに御理解願いたいと思うのでございます。
#362
○野田哲君 もう一言。言葉じりをつかまえるわけではないんだけれども、望みなきにあらずということは、現実的には非常に難しくなっている、しかしそれを今認めたのではいろいろまたハレーションが起きるからこういう表現になったと、こういうことですか。
#363
○国務大臣(中曽根康弘君) 当たらずといえども遠からずです。しかし、やり方によっては望みなきにあらずだから、一生懸命努力してみますと、そういうことであります。
#364
○山口哲夫君 税制改革について質問します。
 総理に財政問題を聞きますと、すべてそれは税制協議会だ、こうおっしゃるわけです。ところが、税制協議会の方はどうかといえば、自民党がまだ成案も出していない。お互いに責任のなすり合いをやっているように見えるわけです。非常に私は無責任だなというふうに感じているわけですけれども、これは政権党の自民党にそういうふうな責任があるのではないだろうか。この辺の混乱の責任というのは自民党にあるのかな、そういうふうに考えるのですけれども、どうでしょうか、総裁として。
#365
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院におきます税制改革協議会において今いろいろ各党と折衝中でございまして、自民党としても自民党の考え方をお示しすべく、先般は抽象的な考え方でお示ししましたが各党とも必ずしも御満足でないようなので、今党内調整中でございまして、いずれそういう段階が出てきましたら調整の成果を申し上げる機会があるだろうと思っておる次第でございます。
#366
○山口哲夫君 これはもとはといえば、総理が公約違反の売上税を出してきた、そういう中で混乱をしてきたわけです。そして、またマル優を強行するようなこともにおわす。どうも納得できない
んですけれども、さっきからの論議にありましたように、これは明らかに欠陥予算です。これは私は内閣の責任だというふうに思われてならないわけですけれども、さっき法制局長官が法律以外のことを言っていましたけれども、法律的に見たら、執行者である内閣というものは現状の法律に基づいた予算というものを編成しなければならないと思うんですけれども、どうでしょうか。法制局長官に。
#367
○政府委員(味村治君) 内閣が一つの政策を実行しようというときに、それが法律に関係いたしますれば法律の改正を提案いたしますし、予算に関係いたしますればもちろん予算にその内容を織り込むということでございまして、予算を提出いたしますときに必ずしも現行の税法なり現行の法律を前提にいたしませんで、政府が提出する法律、改正法なら改正法、これを前提といたします予算を組むということはこれは始終行われていることでございます。
#368
○山口哲夫君 四か月も欠陥予算が続いているわけですね。そういう中で執行者としてはこれは何とかしなければならないのでしょう。本来の筋からいけば、当然、全部売上税等関連法案は廃案になっているわけですから、そうすると、現状の中で予算案を提案するというのがこれは筋じゃないんですか。
#369
○国務大臣(宮澤喜一君) それが先ほども申し上げたことで、売上税についてだけ申しますならば、これは新税でございますから、そんなものはないよと。だから、それを歳入に見込んでいるのはいかぬし、歳出に見込んでいるのもいかぬ。そこまでは大変明快だと思うのでございます。
 しかし、政府としますと、それなら所得税の扱いをどうするか。所得税は改正案を御提案して、それに基づいて歳入見積もりをやっておったわけでございますが、これが廃案になった。それなら普通ですと、国会で、それではこういう案で参りますということを、あるいは今の時期にお願いすべきなのかもしれません。しかしそこは、衆議院議長のごあっせんがあって、それは各党で協議するから待て、こういうことになっておりますから、政府はこういう所得税法案にいたしますというしとを今の段階で国会に申し上げるということは、そういう意味でそれは適当なことでない、申し上げようがないわけでございます。そういう現状をそのままどういうふうに国会に正直に申し上げたらいいかというのでこういう形にいたしましたが、これはいずれにしても前例もないことでございますし、完全な姿であるとは私ども思っておりません。
 私どもがいたさなければならないことは、やがてそういういろいろ協議会等々を経まして、今年度の所得税法案はこういたしますということを政府として御提案をしなければならない時期が参ると思います。そうでなければならないと思いますが、そういたしましたら、それに基づきましての予算の補正というものをもう一遍実はやらなければならない。それがこれからの問題であるというふうに考えておるわけで、つまり、平らな言葉で申せば、今としては実は税法がどうなるかわからないのでございます、大変端的に申しますと。現実がそうでございましょう、政治の。ですから、そこへ現行法で書けとおっしゃって、本当に改正前の所得税法の歳入見積もりをもう一遍立てて、こうでございますといって御審議をお願いするのでは、だれがこんな法律をやるものかという御批判があったら、実際それはそのとおりでございましょうから、形の上はそうかもしれませんが、どうもいかにもそれは現実的でないという判断をいたしたわけです。
#370
○山口哲夫君 議長に一任されていらっしゃるんだけれども、見通しというのはないわけでしょう、実際に。そうしましたら、当然、執行者として、現状のままで一たん予算を組んでおいて、そうして、これから何カ月先に決まるかわからないけれども、税制改革の方針が出てきたらそれに基づいて修正を出すというのが、これが当たり前じゃないですか。
#371
○国著大臣(宮澤喜一君) それは私は一つの選択だということは随分考えました。しかし、ことしの所得税についてお考えをいただきますと、政治状況というものは、政府としてもこれは改正をいたしたいと思いましたし、各党各派間においてもまたいろいろそれをお考えでございまして、それが協議会で御議論になっているのでございますから、形の上では正しくても、まさかもう一遍改正前の法律案の歳入見積もりを立てて、これでございますといって御審議を願ったのでは、いかにもそれは、形は合っているけれども現実に合っていないことをお願いするのではないか。
 そこらのところを私ども、前例がないものですからいろいろ考えまして、まあこういうことが一番誠実なやり方ではないかという気持ちでいたしました。法律的にそれは整合していないよとおっしゃればそのとおりでございますから、将来税法が固まりましたら整合した姿で御審議をお願いいたさなければならないと思っております。それは政府の責任でございます。
#372
○山口哲夫君 何か所得税を人質にとったような言い方というのは、私は内閣がとるべき態度ではないと思いますよ。それはいろいろと政治的な駆け引きもあるでしょうけれども、そんなことは政党の自民党さんが考えればいいことであって、内閣としてこの予算案を執行していかなきゃならない責任があるわけでしょう。こんなに長い間欠陥予算だったらどうしますか、地方財政はどうなるんですか。国民は自分の貯金でもって、あるいは減税になる金でもって家を建てようかなと思って考えているけれども、生活設計だって全然できないじゃないですか。
 だから今、国内ではいろんな面で混乱が起きているわけですよ。その混乱の原因は何かといえば、そういう通りそうもないようなことを出して、そして所得税をちらつかせながら人質にとって、何とか早くやってくれという、そういう態度は私は内閣としてとるべき態度ではないでしょうと言うんです。それはだめですよ。
#373
○国務大臣(宮澤喜一君) まさに地方税という話をしてくださいましたので、そのことでございますけれども、地方財政計画が立てようがない。交付税の出しようがない。現実にそうでございますね。それを、当初の税法をもう一遍持ってまいりましてそれで交付してしまったら、現実にはそのとおりにならないことはだれの目にもわかっておりますから、そういうことでは実際の行政にも政治にも合わないのでございまして、それをあえてせよとおっしゃれば、形式的にはそうかもしれませんけれども、そういうことになるという公算がないのでございますから、さあそれはどんなものだろうかというのが私どもの苦しんだところでございます。
#374
○山口哲夫君 そんなことをおっしゃるんなら、地方税に今欠陥が出ていますよね、そういうものに対して、それじゃ一カ月なら一カ月の間に全部必ず責任を持って埋めますというような、そういう責任が持てますか。
#375
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、交付税は四月と六月でございますか、この分は昨年を、前年を見まして概算でお払いをしているわけで、本当を申せば八月には法律上は決めなきゃならない。しかし、税法が決まらないのに八月に交付税を決めることができないことはもう明白でございますので、大変に政府は困っておるわけでございます。
#376
○山口哲夫君 それじゃ、次の地方財政でやろうと思っていたんですけれども、大蔵大臣がそうやって中に踏み込んでくるのであれば、私の方もそれでお話しをせざるを得ないわけです。
 地方は、通常七月の中旬に県を通じて地方交付税が示されるんですよ。その財源見通しの上で各地方は事業を始めようとするわけです。もう一、二カ月おくれているんですよ。全然先の見通しのない中で、地方自治体は事業をどうやって着工するんですか。余りにも政府として無責任じゃないですか。しかも、こういうものを組ませたのは政府でしょう。地方自治体に対して内節まで出して、売上譲与税をちゃんと自治体の予算に組みなさいと指導したのはだれですか。自治省でしょう。それでまともに組んだら、今度は欠陥予算になりました、いつまでたっても金が来るか見通しがつきません、仕事だけはやりなさい。こんな無責任な話がありますか。――これは自治省の話じゃないですよ。大蔵大臣ですよ。
#377
○政府委員(矢野浩一郎君) 当初政府が国会に御提出を申し上げました地方財政計画並びに地方税法あるいは交付税法につきましては、特に税制改革に関連する分については既に審議未了ということになりました。地方団体は、もとより地方財政計画を参考にしてこれ予算を組むわけでございます。御指摘のように、売上譲与税を組んだ団体も数多くあるわけでございます。したがいまして地方自治体としては、この法案が廃案になりました後のこれからの成り行きについては、もう極めて不安を持っておること御指摘のとおりでございます。私どもとしては、地方自治体に対する指導の責任もございますから、そういった地方自治体に財政に不安のないようにしていかなきゃならない、そういう責任があることは当然でございます。
 ただ、特にその中枢をなしておりますところの税制改革関係の内容、目下衆議院の税制改革協議会で御審議中でございます。そういった協議の結果を踏まえまして、これは政府といたしましては当初に地方団体に対して、こういった仕事についてこれだけの財源ということを地方財政計画を通じてお示ししておるわけでございますから、そういった行政支出、行政の執行に支障のないように、できるだけ早く地方団体の財源を確定させなければならない。ただ、それは一にかかって税制改革の結果ができるだけ早くまとまるかということにあるわけでございますので、その結果がまとまり次第、早急に関係法案も提出し、地方団体にもまた示してまいりたい、こういう考えでございます。
#378
○山口哲夫君 そういう事務的な話を聞いているんじゃないんですよ。一体政治的にこれ内閣としてどうするんですかと聞いているんです。
#379
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変に困っておるわけでございます。そこで、こういう事態になったことは、そもそも国会で廃案になるような税法を出したことがいかぬのではないかとおっしゃれば、それはそうだと、そういう責任はないとは申し上げられない。それは申し上げられません。しかし、国会の御意思で廃案になって、その後の処置を行政府としてはいたさなければなりません。いたさなければなりませんから、地方財政が困りませんように四月、六月と概算払いをやっておるわけでございますね。そうしてその上で、何とか早く今年の税制というものを確定いたしたいと思います。思いますが、これも衆議院議長のごあっせんで各党の間で御協議が始まった。これは政府としていかんともなしがたいことでございます。立法府の御意思でそういうことが始まったのでございますから、その御協議をある程度政府は待たなければならない。これは政治的に私は当然のことだと思う。その間に補正予算を出さなければならなくなった。これは内外の事情に基づくものでございます。そのときにもう一遍廃案になる前の税法を出しまして、これが政府の税制の考えでございますというのは、そうではございませんから、形式的には合っておっても、それは国会に対して決して誠実なゆえんではないと私どもは思ったわけです。
#380
○山口哲夫君 いみじくも今大蔵大臣が行政府の責任というお言葉を使ったけれども、全くそうですよ。だから行政府の責任なんだから、議長さんがあっせんというお話がありますけれども、行政府としては、それでは一カ月以内に出るんですか、これは各党の関係もあるんで相当長くなりますねと、そういうふうに考えたら、当然、それでは行政府としては責任を持てないから、当面これで、今の現状の法律の中で予算を組んでおきます、新しく出てきたらそれをもってもう一度修正さしていただきますというのが行政府の責任じゃないですか。
#381
○国務大臣(宮澤喜一君) 当面組んでおきますと申しましてもそういう税制なり歳入は実行される可能性がないのでございますから、そういうことを申し上げてなるほど形式的な責任は済むかもしれないけれども、こんな税制を本当にやるつもりか、こんな歳入を取るつもりかとおっしゃったら、私どもはそうだということはお答えができませんから、それでこういうことをいたしておるんです。
#382
○山口哲夫君 それはおかしいんじゃないですか。現状の法律の中でやむを得ないわけでしょう。こっちの法律が通らなかったら現状でやる以外にないんじゃないですか、あとどうやってやるんですか。
#383
○国務大臣(宮澤喜一君) 現状でやるしかないのでございますね。これが税法でございませんと、ほかの法律でございますと、改正法が通らなければ旧法が毎日の行政のまさに物差しになるわけですね。ただ所得税なんというものは御承知のように年末調整とかいろんな方法がございますから、現実に改正案が通らなかったから旧法で所得税の徴収をこれからずっとやっていくのかといえば、それは新しい法律ができましたときにいろんな方法で、年末調整をするとかいろんなことをやって新法をこの六十二年分所得に適用するわけでございますから、どなたも旧法が、旧法といいますか、在来の所得税法が適用されると思っておられないときに、あたかもそうであるかのような補正をお示しすることは、形の上ではよろしいんでございましょうけれども、それは国会に対して忠実なるゆえんではないというふうに私どもは考えております。
#384
○山口哲夫君 全く逆ですね。内閣としての責任からいけば、そういう形は私はとるべき措置じゃないです。これはもうはっきり言っておきます。だから、やるとすれば、二つしかないと思うんですよ。さっきから言っているようにもとに戻すか、あるいは一日も早く国民の期待にこたえるようにちゃんとした、税制協議会も通るような、国会も通るようなものを出すのが政府としての責任じゃないですか。
#385
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまことにありがたい仰せでありまして、私どもとしては、税制協議会の御意向を見ながら、一日も早くひとつ今年の税制を国会で御審議いただけるような状態になることを念願しております。
#386
○山口哲夫君 だから、野党が納得できるようなそういう案を早く出しなさいと言うんですよ。それが民主政治でしょう。そんなもの突っ張っていてごらんなさい、年度末までいったってまとまりませんから。
 それで、それじゃ総理に聞きますけれども、この中間報告というのが出ましたですね。これはあくまでも一般的な経過報告なんだと、与野党でどういう点が違うのかという、そういうことを含めた一般的な経過報告である、中間報告というものは。そういうふうに解釈していいですね。
#387
○国務大臣(宮澤喜一君) これは私もうかがい知っているということで申し上げるしかないんでございますけれども、税制改革協議会の座長は、できますならば各党各派の御意見を取りまとめて中間報告をしたいと考えておられるようでございます。で、それが一番望ましい姿と考えておられるようでございますが、仮にその合意が得られないということでございましたら、それは現実の事態をそのまま客観的に淡々と報告をするしかないのかもしれない。しかし、できるならば各党でいわば一緒に起草していただいて、各党のいわば共同の中間報告にしたいという望みは座長としては誇っておられると承知しております。
#388
○山口哲夫君 そういう一般的な経過報告なんですから、五月十二日の売上税等関連六法案は臨時国会に再提出をしないという与野党国会対策委員長会議の合意、七月二日の与野党国対の協議で五月十二日の合意は尊重すると、こういう二つの合意がありますけれども、中間報告でこういうものが影響を受けるものではない、そういうふうに解釈していいですね。
#389
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は各党間の政治的な合意でございますので、行政府といたしましてどうも何も申し上げるわけにまいりません。
#390
○山口哲夫君 自民党総裁としてどうお考えですか。
#391
○国務大臣(中曽根康弘君) これも自民党だけで物は決まるというんでなくて、協議会ですから、やはり協議会としての建前で物は進めていくという形になるんだろうと思います。
#392
○山口哲夫君 あくまでも与野党の合意のもとにやるのであって強行するようなことはしないという、そういう話し合いになっているわけですから、当然こういう国対の委員長の合意というものはそのまま生きているというふうにこれはだれでも解釈すべきだと思うんですけれども、そうでしょうね。
#393
○国務大臣(中曽根康弘君) それを一番希望していますけれども、協議会ですから、協議でどういうふうになることやら、それは見守っているということでございます。
#394
○山口哲夫君 今見守っているそうですけれども、随分これ時間がかかりそうですよね。これからの税制協議会というのは、そういう意味では引き続き協議を続けるんでしょうね、抜本的な対策について。総裁としてどうお考えですか。
#395
○国務大臣(中曽根康弘君) これは各党で御協議願うことで、自民党としてはそれを強く希望いたしております。
#396
○山口哲夫君 相当かかると思いますよ、これはだれが考えでも。それは総理がすぐ通してもらうために我々の考えているようなものをちゃんと出してくれるならあしたでも通るでしょうけれども、なかなか総理はマル優の問題に随分こだわっていらっしゃる。失礼な言い方かもしれないけれども、自民党の中にも、余りうちの総裁がそういうことを言わないでくれた方がまとまりやすいんだけれどもなという、そういう声も陰の声としてあるわけですね。だから余りそういうことを言われるとだんだん混乱をしてきてしまうと思うんですけれども、いずれにしても相当時間がかかると思いますので、これはあなたの任期中にはちょっと無理だと思うんですね。どうですか。
#397
○国務大臣(中曽根康弘君) これは易者に聞いてもらった方がいいと思います。
#398
○山口哲夫君 あなたはよく、政治というものは一代でできるものではない、継続の中でやっていくんだと、そうおっしゃいますね。だからそういう意味では、時間が長くかかるんであれば、あなたの任期にこだわるものではないという、そういう淡々としたお考えをお持ちでしょうね。
#399
○国務大臣(中曽根康弘君) 命の限り蝉しぐれです。
#400
○山口哲夫君 今も余り長い命じゃないようですから、私は余りそこをこだわらない方がいいと思うんですよ。あっさりと後継者の方にお譲りをして、そして国民の期待にこたえるような案を一日も早くつくり上げてもらわなければいけないと思うんですね。そういう点で、あなたが自民党の総裁として、議長筋に対して何とか今回の会期を延長してくださいと、そしてマル優を通してくださいという、そんなような政治的な行動はとらないでしょうね。
#401
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく税制協議会の成り行きを見守っていると前から申し上げているとおりです。
#402
○山口哲夫君 この問題の最後に特にお願いしておきますけれども、内閣としての責任からいえば、こういうような提案の仕方というものは非常に私は問題があるし、何か所得税を人質にとるようなやり方でもって促進をさせようとする力の政治というものは決して好ましくない。当然筋を通した形でもって、現状でもって予算を組みかえて、そしてその後の法案の審議によってはまた修正をするという、そういうあるべき姿に今後やっぱり戻していただきたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。
 地方財政、先ほど触れましたけれども、これ本当にどうするんですかね、各自治体は全然先の見通しが立たないんですけれども、自治省としては、これはかわるべき財源について責任を持てるんですか。
#403
○政府委員(矢野浩一郎君) 現在御協議をいただいております税制改正、その結果を待たなければならないわけでございますが、その結果いかんによりましては、当初に見込んでおりますところの地方交付税等についてその原資の一部が確保できないというような事態が生ずることもあり得ようかと思いますが、いずれにいたしましても、自治省といたしましては当初に地方財政計画を提出して、これだけの歳出についてこれだけの財源ということを地方自治体側にお示ししておるわけでございますので、その財源の補てんと申しますか、確保については、もとより地方財政の運営に支障のないような措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
#404
○山口哲夫君 自治体に対する公共事業というのは非常に今度は多いわけですね。それで、裏負担にみんな困っているんですよ。それで、全部起債でやれといったって、返さなければならないわけですね。ですから、起債だけでやれというんではなくして、自主財源というものをきちっとやはり自治省として確保してもらわなければ自治体に責任持てないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#405
○国務大臣(葉梨信行君) 追加補正に係る公共事業の財源措置でございますが、通常でございますと、その裏負担は地方債で措置するわけでございます。ただ、今度は普通財源につきましても九千七百四十億円という膨大な額に上るわけでございますので、地方がその公共事業を円滑に執行できるように各般の措置を考えなければならないであろう。こういうことから大蔵省当局とも協議をしておりまして、公共事業が円滑に執行できるようにしていきたいと考えている次第でございます。
#406
○山口哲夫君 ぜひ裏負担、自主財源をつけていただくようにお願いしたいと思います。
 特に産炭地を初めとする構造不況地域ですね、これはもう本当に想像以上の、自治体そのものが倒産寸前だということでございますので、こういう地域に対する特別の対策はいかがでしょうか。
#407
○政府委員(矢野浩一郎君) 炭鉱の閉山等による影響を受ける地方自治体、その他構造不況で影響を受ける地方自治体について、財政的に極めて苦しい状態にあるということはもう御指摘のとおりでございます。この点につきましては、交付税の算定を通じましても、特にそういった点にいろんな面でやはり配慮をしてまいりたい。これは普通交付税、特別交付税双方を通じてやりたい。また、この不況を克服するために実際にいろいろ事業をやってまいらなきゃならない。その場合の財源ももちろんこれは必要でございます。交付税以外にももちろん起債は、地方債はこれはもう具体的な財源措置としてどうしても必要でございますが、そういった地方債につきましても、私ども例えば地域経済活性化緊急プロジェクト等において地方団体が、そういう不況地域が実施する場合には、できるだけ将来元利償還を交付税に算入する仕組みのあるような地方債、こういうものを重点に配分をしてこういった事態に対応してまいりたい、そう考えております。
#408
○山口哲夫君 ひとつ十分な措置をやっていただくように特に強くお願いをしておきたいと思います。
 それで、地方税制の最後の問題、大蔵大臣にお聞きしますけれども、この間の二十一日のここの質問で、同僚議員の質問に対しまして、地方に対する公共事業の補助率、こういうものは今後下げない方針ですねという質問に対して、検討させてくれという、そういうお答えをしているんですね。それで、日経新聞を見ますと、何かそのような含みのあるお答えをしているんですけれども、これはおかしいと思うんですね。前、五月十一日のこの予算委員会で、私のその質問に対しましてあなたはこういうふうに答えているんです。「六十三年度のことでございますが、今回非常に自治大臣、自治体にもいろいろこういうことで御辛抱願った経緯等々から考えますと、もうこういうことはなかなかやれることではないというふうに私自身は痛感をいたしております。」。中曽根総理は、「今御言及の両省の申し合わせは守るようにいたしたいと思います。」、こう言っています。答弁が食い違っていますね。六十三年度の補助金は一切カットはいたしませんということを約束してください。
#409
○国務大臣(宮澤喜一君) それは今まで両省の周に約束がございまして、それに違背するようなことはもちろんしないつもりでございます。ただ、新たに提起されている問題が全くないわけではないものでございますから、それについての検討のこれからの帰趨というものが必ずしもよくわかりませんのであのような答弁を申し上げておるわけでございます。
#410
○山口哲夫君 それでは、大蔵大臣と自治大臣の覚書というものは当然尊重するというふうに解釈していいですね。
#411
○国務大臣(宮澤喜一君) いずれにいたしましても、今新たに提起されている問題についてどのような結論が出るにいたしましても、自治大臣と大蔵大臣とがよく協議をいたしまして、合意の上でなければいたしません。
#412
○山口哲夫君 内需拡大と住宅政策についてお尋ねいたします。
 公共事業の中で句が一番経済効果が高いかということを産業連関表によって試算したのを私も読んでみましたら、やっぱり生活関連施設ですね、住宅、下水道。産業関連施設の道路、空港というのは低いわけです。中でもやっぱり住宅というのが一番経済に対する効果が大きい、こういうふうに言われております。GNPへのはね返り、生産誘発額あるいは雇用の拡大、いずれも住宅そして下水道、こういうふうになっていますね。そういう点では内需拡大政策の重点というものをやっぱりこの住宅政策に置くべきでないかなというふうに私は思うんですけれども、経済企画庁長官どうでしょうか。
#413
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のとおりでございまして、今度の緊急経済対策も七千億円の住宅金融公庫に対する融資増を考えてございますし、この七千億円がちゃんと実行できますように融資についてのいろんな条件の緩和等を考えております。同時に、税制におきましても、借入金の一%を税額控除する、こういうことを今度拡張してございますけれども、さらにこうした線の住宅の積極的な促進を図ってまいりたい、かように考えております。
#414
○山口哲夫君 具体的に幾つかお尋ねします。
 まず、雇用促進住宅の大量建設についてですけれども、今日大変な失業者が出ているときに、今一番雇用促進住宅というものを建設をしなければならない時期でないだろうか。これは建設省でしょうか。そういう点では、ことしは七百戸今回補正予算で追加していますけれども、それでも六十年度以前よりずっと少ないわけですね。私は、こういう不況事態のときにこそこの雇用促進事業団に一番重点を置いてやるべきでないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#415
○国務大臣(平井卓志君) 地域周移動の円滑化促進のためにはこれはどうしても必要でございまして、御案内かとは思いますけれども、現在で総数が約十三万戸既に設置、運営いたしております。それで昭和六十二年度におきましては、当初千八百戸でございましたが、最近の雇用情勢等々にかんがみまして、雇用吸収力の大きい大都市周辺等にさらに七百戸を追加設置すべく補正に計上をいたしておるところでございます。ですから、合計でこのたびは当初も入れまして二千五百戸ということでございまして、既設の十三万戸と合わして最大限に活用をいたしてまいりたい、こう考えております。
#416
○山口哲夫君 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。
 それで、公営住宅、公団住宅ですけれども、新前川リポートを読みますと、最低居住水準未満世帯の解消はもういいんではないか、むしろ持ち家制度に力を入れるということを書いているんですけれども、私はそうではないと思うんですね。持ち家は大事ですからやるべきだと思いますけれども。なぜならば、この最低居住水準未満の住宅に入っている人が何と三百九十五万人もまだいるわけですね。これはもう大変な数で、そういう点では公住に占める割合も非常に大きいんですけれども、この公営住宅というのは、日本は入っている方は六%ですね。イギリスは三〇%なんですね。何でこんなに違うのかと思ったら、日本の公営住宅というのは質が悪くて狭い、こういうふうに言われているんですね。私はやっぱりもっと立派な公営住宅を建てるべきだと思うんです。いまだにふろもないような公営住宅がありますからね。そういう点では、どうですか、こういう公営住宅、公団住宅にもっと力を入れてほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#417
○政府委員(片山正夫君) 公営住宅、公団住宅等の公的賃貸住宅につきましては、年々その質の向上に努めてきておるところであります。例えば規模の面でちょっと申し上げますと、公営住宅の第一種の高層住宅を初めて補助対象として認めましたときは昭和四十二年でございましたけれども、そのときには一戸当たり四十九・五平方メートルでございましたが、その後いろいろ努力を積み重ねまして、昭和六十二年度におきましては二月当たり八十五平方メートルと、こう向上してきております。しかしながら、既存のストックにつきましては、確かに規模の小さいもの、あるいは浴室、浴槽のないものも大変ございますので、そういう面につきましては、まず住戸改善という方式をとりまして、これは二戸を一戸にして規模を大きくする、あるいは増築をする、あるいは設備を向上するというような措置でございまして、こういうものも新規供給とあわせて実施をしてその向上に努めているところであります。
 なお、公営住宅、公団住宅等の全体の戸数の供給につきましては、第五期五カ年計画でもって戸数を設定し、その計画どおり執行するべく六十一年、六十二年度の予算の計上を図っておるところであります。
#418
○山口哲夫君 これからもひとつ積極的に内需拡大の中心的な事業としてやっていただきたいと思います。
 総理、ちょっとお尋ねしますけれども、今低家賃住宅とか、それから雇用促進事業団の住宅とか、あるいは公営住宅とか公団住宅とか持ち家とか、いろいろ言葉があるんですね、住宅の中に。通称こういうふうに言われているんですね、持ち家をやれる人はまだ裕福なんだ。その次のクラスの人は公団住宅なんだ。生活に困っている人は公営住宅なんだ。そして職のない人は雇用促進事業団なんだ。福祉の人は福祉住宅に入っているんだ。そして非常に生活に困っている人は低家賃住宅、今はもうないと思うんですけれども。そういう言葉を使っているんですね。入る住宅の呼称によって人間に階級がつけられているように見られるわけです、ああ、あなた公営住宅ですかとかね。私は非常にこれは行政上おかしいと思うんですよ。やっぱりもっとそういう差別のないように、住宅によって階級をつけることのないように、その点総理のお考えでぜひ内閣でもって一回研究して、そういう呼称をしないようなことを検討していただけませんでしょうか。
#419
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は差別があるとは思いません。しかし、問題はそれぞれの住宅の質の問題で、実態をよくするということは大事であろうと思いますから、その方面でも努力していきたいと思います。
#420
○山口哲夫君 本当に町の中ではそういうふうにささやかれているということを十分ひとつお考えになって、一度検討をしてみてください。
 それから住宅問題の最後に、住宅の買いかえ、それから宅地の買いかえの税制の問題なんですけれども、七月十二日の読売新聞を見ますと、買いかえの差益に免税もと書いてあるんですね、国土庁ですね。ところが、それから八日たった二十日には住宅買いかえ免税は廃止だと。反対のことが同じ国土庁の方針として出ているわけですね。それからきょうの新聞を読みますと、買いかえ特例見直しが難航していると書いてあるんですね。国土庁は買いかえ特例の見直しを提案する方向で検討中だけれども、特例を発案した建設省の政策担当者は、国土庁の判断は単純過ぎる、特例を下手に縮小すると住みかえはストップし、地価の高踏の先送りになるだけだと批判している。容易にまとまりそうもない。こんなふうに言っている。非常に残念なことだと思うんですが、それほど難しいということでもあると思うんですけれども、そんな中で、これまで売買によって譲渡益が出ると課税していたわけですね。そうすると、せっかくの機会に税金を取られるならばばかばかしいということで、結局一億円で売った場合、一億円の住宅を買えば免税されるんだということで、必要のないものまで買っているわけですね。それが地価の高騰を招いたということが一般論として、国土庁の方々もそういうふうにおっしゃっているわけです。
 そこで政府は、買いかえ制度としての免税をやめて課税すれば必要以上の住宅は買わなくなるだろうといって、この新聞のように今回免税廃止に踏み切る、こういうことなんですけれども、これを読みますと税率は低くすると書いてありますね。幾らにする考えですか。
#421
○政府委員(水野勝君) 買いかえ制度につきましては、昭和四十四年前はかなり広く行われて認められていたところでございますが、これがいろいろな御指摘もございまして、四十四年改正で廃止をしたところでございます。しかしその後、住みかえの促進でございますとか、売ったときの税負担の緩和でございますとか、そういうところから昭和五十七年に、前回よりはやや範囲は縮小いたしましたが、これが復活されたところでございます。
 しかし、その後、今いろいろ御指摘のような問題点も指摘されるようになりまして、これをどうするかといった点につきましてはこれは現時点での問題であるということを私どもは認識いたしておりますけれども、これを具体的にどうするかにつきましては、なお十分関係当局等と検討いたしまして今後対処してまいりたい。現時点におきましてどのようにするかにつきましては、政府サイドとしては固まったものはないわけでございます。
#422
○山口哲夫君 宅地の買いかえだけの問題についても四十三年度まではあったんですけれども、その後なくなっているわけですね。これも非常に問題があると思うんです。そのために非常に空地が目立っているわけですね。
 改正するときに十分考えてほしいと思うことは、確かに悪用する人たちがおるから何とかしなきゃならないということはわかるんですけれども、そのために非常に不幸な人まで犠牲になるわけですね。例えばどうしても病気でもって別なところに住まなきゃならない、あるいは定年退職して息子のところの近くに住まなきゃならない、いろんな理由がある方がいらっしゃる。いわば不幸な方々、そういう人たちまで何か一緒にしちまってそういう課税をするようなやり方というのは、私はちょっと愛情がないだろうと思うんです。その辺十分ひとつ配慮してほしいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#423
○政府委員(水野勝君) まさにいろいろ非常に困った事情から買いかえる、急に転勤になったとかそういう方々の点もございますので五十七年に復活いたしたりしたわけでございますが、一方こういう制度がございますために仮需要を多発することでございますとか、相当な金額の本来であれば課税されるべき譲渡所得が課税除外になっているという御指摘もあるわけでございます。御指摘の点も含め、もろもろの点を考えて今後検討してまいる必要があろうかと思うわけでございます。
#424
○山口哲夫君 そのときに考えてほしいのですけれども、免税にすれば空地の買いかえが促進され、家も建つし、内需も拡大されるというふうに言われていますね。だから、免税すれば確かにそういう点では、それじゃもう一軒家を買おうじゃないか、別なものを買おうじゃないかということになるわけですね。だからそういうようなことも十分考えて、悪用する人たちに対しては追跡調査をすれば十分やれることなんですから、そういう追跡調査をきちっとやるようなことにして、単純にその制度を改正しないように考えてもらいたいと思います。
 日赤の山本社長さんありがとうございます。サハリンの在住韓国人、朝鮮人の一時帰国についてお尋ねいたします。委員長席にお座りの原会長さんを中心にいたしまして超党派の懇談会ができまして、私も樺太におりまして引き揚げの事務を手伝っておったものですから、この問題については特別に関心を持っております。
 そういう点で、今まで残念ながらこれがうまくいかなかったんですね。一九六〇年代に、日本が入国を許可すればソ連は出国を許可するとの態度が示されたときに、日本政府はその受け入れに非常に消極的であった。したがってせっかくの機会を逃がしてしまったという経緯があります。なぜこのときに積極的にできなかったのか。まず外務省のお考えを聞きたいと思います。
#425
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、戦後御承知のとおり、樺太におられる朝鮮の方が約六万人と言われておりますけれども、第二次大戦後南樺太がソ連軍の占領下に置かれましたこともございまして、日本人及び朝鮮人の引き揚げの問題は連合国の責任のもとに遂行されることになりました。
 それで、その際に戦前、戦中に南樺太に渡りました朝鮮人に対して引き揚げの機会が与えられなかったわけでございますけれども、当時我が国としましては連合国の占領下にございまして、日本政府として関与し得る立場にはなかったというのがまず第一の問題でございます、よく御承知だと思いますけれども。それからサンフランシスコ平和条約、一九五二年で、朝鮮が分離独立いたしましたので、日本国籍を喪失されたということでございます。それに伴いまして、日本政府としましてはサハリン在住の朝鮮人の帰還の実現のために行使し得る法的な手段もなく推移をしてきた、こういうことでございます。
 その後、日本政府としましては、本件は専らソ連側に対して交渉すべきものということでございまして、実情調査を含めまして、樺太在住の朝鮮人の方の帰還、親族との再会等を要望して今日に至っているという状況でございます。
#426
○山口哲夫君 いずれにしても、これは日本政府の責任なわけですね。二十万人の朝鮮人を強制連行して、そして引き揚げをさせなかったわけですからね。今四万人くらいの方がまだ残っておって、三千人くらい帰国を希望していらっしゃるわけですね。ですから、せめて一時帰国だけでもできるように、政府としてどういうふうなお考えでしょうか。
#427
○国務大臣(倉成正君) 本件につきましては、本件の人道的性格にも基づきまして粘り強く交渉を続けてまいります。同時に、赤十字のルートにより解決についての摸索も続けていきたいと思う次第でございます。
#428
○山口哲夫君 人道上の問題だけに、ぜひひとつ積極的に対処していただきたいと思います。
 それで、山本社長さん、私も地方で赤十字の仕事をやってきただけに、こういう問題はやっぱり人道上の問題として赤十字に期待するところが非常に多いわけでございまして、ぜひこの機会に赤十字としてのお考えをお聞かせいただければ大変ありがたいと思います。
#429
○参考人(山本正淑君) ただいまの問題は、基本的には日本政府とソ連政府との関係であるかと存じておりますが、お話がありましたように、人道上の問題ということで日赤といたしましても従来何かの協力はいたしているつもりでございます。もう少し具体化してまいりますれば、その推移によりまして政府と連絡をとりながら可能な限り前向きに対処いたすつもりでおります。
 過去におきましても、赤十字は国際赤十字委員会に対しましていろいろ努力をしてもらうように要請いたしまして、国際赤十字委員会もソ連赤十字に対していろいろの要請はしたことがあるわけでございます。また、赤十字の国際会議等におきましても、その都度ソ連赤十字と接触いたしましていろいろ話し合いをいたしておりますが、ソ連赤十字社の考えは、本問題はソ連政府当局の権限内の問題であるというふうな形の表明をいたしておりまして、なお今後とも赤十字でできる範囲内のことは極力進めてまいりたいと存じております。
#430
○山口哲夫君 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それでは次は人権問題のアイヌ民族問題です。前の予算委員会で宿題になっているんですけれども、報告書をつくる場合の関係する学者の名前はどうなったでしょうか。
#431
○政府委員(中平立君) お答え申し上げます。
 専門家、外部の学者からその専門的な御見解を今聴取しておる段階でございますが、前の委員会でも御説明いたしましたとおり、学者先生方は自分の立場もあるので名前を公表することはやめてもらいたい、こういう御要望がございましたので、名前を出すことにつきましては差し控えさしていただきたいと思うわけでございます。
#432
○山口哲夫君 理事会預かりになっているんですよ。理事会預かりということになったんですよ、この間は。
 官房長官への質問、今いらっしゃらないので後に回すことにいたしまして、七月八日付の北海道新聞に「政府の国連報告書 少数民族記述修正へ アイヌの存在配慮 外務省「前報告は不適切」」、こういうふうに何か改めるように書いてありますけれども、中間報告をしていただきたいと思います。
#433
○政府委員(中平立君) 国際人権規約B規約の第二回報告書の作成を現在鋭意やっておるところでございますが、第二十七条に関する記述につきまして、これもその重要な一環といたしまして関係省庁と協議しつつあるわけでございまして、現在のところは一定の結論を得たということはございません。
#434
○山口哲夫君 国会の意見はそれじゃ今後聞いてくれるんでしょうかね。どうなんでしょう。
#435
○政府委員(中平立君) 昨年来国会の席上でいろんな先生方から御意見を拝聴いたしました。そういう御意見も関係各省の検討の過程におきまして十分検討さしていただきたいと思います。
#436
○山口哲夫君 報告書の作成に当たりまして当事者のアイヌの方々と協議するという、そういうお考えはないでしょうか。ぜひしてもらいたいと思うんですけれども。
#437
○政府委員(中平立君) 現在のところは関係各省庁で慎重に検討しておるところでございまして、その報告により客観性を持たせるために外部の学者先生の御意見を拝聴しておるところでございます。
#438
○山口哲夫君 国際人権規約B規約一条では民族自決権を認めておりますね。政府は質問書に対してもそういうことを認めていますけれども、その点は確認したいと思います。
#439
○政府委員(中平立君) 確かに国際人権規約第一条にいわゆる人民自決の権利ということがございます。この民族自決の権利は、規約作成の時代背景をなす植民地独立の機運の世界的な高まりということを反映いたしまして、主として宗主国に対する植民地人民の政治的な主張を念頭に置きつつこのような国際的に支持されてしかるべき原則として一般的に掲げたものでございます。
#440
○山口哲夫君 認めているんですか。
#441
○政府委員(中平立君) したがいまして、このような規約作成の背景ということを考えてまいりますと、規約に言う人民自決の権利ということについて申し上げますと、例えばアイヌのような人々の例が想定されていなかったのではないかと考えられる次第でございます。
#442
○山口哲夫君 いずれにしても、これでは回答書では認めているんですから、そういうことからいえば、今アイヌの方々は二重言語教育権だとか信仰の自由に対していろいろな面で制限を加えられておりますので、そういう制限を加えられている国内法というものを改正して、例えば一つの儀式にサケを使うだとかクマを使うだとかそういう場合の特別狩猟権というのを認めるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
#443
○国務大臣(加藤六月君) 内水面におけるサケの採捕につきましては水産資源保護法及び北海道内水面漁業調整規則により制限しているところでありますが、特定の場合には北海道知事により採捕が認められており、ウタリの人々の儀式に必要なサケの採捕については北海道とも相談しながら適切に対処してまいる所存でございます。
#444
○国務大臣(稲村利幸君) 先生の御指摘のシマフクロウとかそういうことでございますが、鳥獣保護法でシマフクロウなどの捕獲を制限しているのは野生鳥獣の保護繁殖を図ることを目的とするものでございまして、やむを得ない措置だと環境庁では考えております。
#445
○山口哲夫君 それは聞いていないですよ、私。
 いずれにしても、民族自決権を認めている以上はそういう国内法のことについても十分ひとつ考えていただきたいということを最後に申し上げておきたいと思います。
 官房長官、アイヌの問題の担当省庁はどこになりましたか。
#446
○国務大臣(後藤田正晴君) ウタリの問題は、教育の問題あるいは文化の問題、宗教の問題とか、殊に生活問題とか、非常に分野が各方面に分かれておるわけですね。そこで、中央省庁としてはやはりそれぞれの所管に応じてやっていただく。しかしながら、住んでおるのが昔は別として今はもう北海道地域に限られておりますから、特に重要な福祉の問題等については山口さん御承知のとおりに北海道庁が中心になっておやりになるわけですね。しかし、それが中央へ来ると関係の行政庁が多過ぎるということで、これは閣議決定があったと思いましたが、北海道開発庁が中心になって関係省庁全部が協議会をつくりまして、そして随時協議をやりながら、また予算の編成なんかのときには特に大切でございますから、そういうことで対応いたしております。
 ウタリの数というものが二万であるとか三万であるとか、まあ極めてわずかな数ですよ、これは率直に言って。しかし、わずかな数であるだけにとかく頭の中から消えてしまうおそれがあるわけですよ、対応策をやる場合にね。そこをやっぱり政府としては注意をしなければなるまい。これは国連で言う問題になってくると、話は、私はまた別の意見を言うんですよ。別の意見を言うんですけれども、民族として宗教なり文化なりいろんな違うアイヌ民族というものがあるではないかということについては、これは私は前に答弁でも認めておるわけでございますね。そこで、その数が少ないがゆえにやっぱり気をつけて政府としては対応をしなければなるまい、こういうつもりでやらしていただいておるわけでございます。
#447
○山口哲夫君 では、北海道開発庁ということで確認しておきます。
 最後に、シンガポールにおける社会運動家の逮捕の問題です。
 現在十五名が逮捕令状がないままに逮捕されまして、裁判なしに一、二年の拘禁処分が行われて今拘禁中であります。この問題は六月十七日、ヨーロッパ議会で即時釈放を求める決議が行われております。
 この日、ちょうど倉成外務大臣は拡大ASEAN外相会議に出席のためにシンガポールにおられたというふうに聞いております。この決議の送付を受けているはずだと思いますけれども、外務大臣としてこれに対しての関心はいかがお持ちでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#448
○国務大臣(倉成正君) 五月二十一日、ビンセント・チェンを中心とする十六名がシンガポールの政治社会システムを転覆し共産主義国家を建設しようとの計画にかかわったとして、国内治安法に
基づきシンガポール内務省により逮捕されましたが、その後同内務省は六月十九日にビンセント・チェンには二年、その他の十一名には一年の拘留を命じ、また残りの四名については翌二十日に釈放したと承知しております。さらに六月二十日、シンガポール内務省は本件関係者として国内治安法に基づき六名を追加逮捕しましたが、七月十九日、三名については釈放したと承知いたしております。
 いずれにせよ、本件はシンガポールの内政問題でありますので、コメントは差し控えさしていただきたいと思います。
#449
○山口哲夫君 今お話しになったことはシンガポール政府が言っていることでして、決して政治的な活動をやっているのではなくして社会連動家としての活動をやっている中でそういう理由をつけられて逮捕をされているわけですね。ですから、ヨーロッパ議会でもそういうことを考えているからこそ即時釈放を求める決議までしていらっしゃるわけですね。ですから、日本としてはアジアの一角として当然これから友好関係を結んでいかなきゃならないんでしょうから、シンガポールの国民のことを考えれば日本政府はこの件に関して関心と憂慮を持って見守っているくるいのことは私はやっぱり主張するべき責任があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#450
○政府委員(藤田公郎君) 欧州議会がどのような理由で決議をなさったのかわかりませんが、ただいま委員御指摘のとおり、ASEAN拡大外相会議をやっておりました際に、シンガポールの野党の書記長からその旨の通報を参加国にみんななされまして、その際例えばマレーシアの場合には、マレーシア国民もこの対象になっております、二名対象になっておりますが、これはもうシンガポールの内政であって自分だちとしては一切何も言わぬということを言っておりますし、ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、専らこれはシンガポールの内政問題であるという立場を我が方としてはとっております。
#451
○委員長(原文兵衛君) 以上で山口哲夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#452
○委員長(原文兵衛君) 次に、抜山映子君の質疑を行います。抜山映子君。
#453
○抜山映子君 最初に、SDI協定の中身の不確定さについて確認をとっておきたいと思います。
 SDI協定の第四条を見てみますと、その表現が極めて法律的にあいまいでございまして、「個別の契約その他の取り決めに従った作業の実施の過程において日本国及びアメリカ合衆国の参加者により創出された情報に対しては、公正かつ衡平な待遇が与えられる。」、「公正かつ衡平な待遇が与えられる。」と何を法的に意味するのか極めてわからない表現になっておるわけでございます。これに対しましては恐らく外務省の方では、それは実施取り決めの了解覚書に法的にはっきりしたことが書いてあるからよいのだと、このような回答になると思うのですが、一部の新聞によりますと、共同開発した技術につきましては所有権は米政府に帰属するけれども、日本の方は使用権を与えられるんだ。米政府は「取り消し可能な」、ここが重大なんですね、「取り消し可能な、非排他的」、排他的でなくて「非排他的」となっているんですね。そのような使用権を与えられるというように書いてございますが、これは了解覚書にそのように書いてあるのかどうか、まず確認を求めます。
#454
○政府委員(藤井宏昭君) ただいまの御指摘のSDI協定四項にはいわゆる成果の利用を規定しておるわけでございます。その意味いたしますところは、その第一文におきまして「公正かつ衡平な待遇が与えられる。」ということでございますが、それは米国の法令に従いまして日米両国の参加者は生み出した情報について平等の取り扱いを受けるということでございまして、より具体的には、具体的な権利の内容はもちろん個々の契約によって定められるわけでございますけれども、日本の参加者は次のような権利を与えられるということがアメリカとの間で確認されております。
 第一点は、特許の対象たり得る情報で米国政府が権原を取得するものにつきましては、米国政府は通常日本の参加者に対し、取り消し可能な、非排他的、かつ使用料の免除された使用権を与えるということでございます。さらに、日本の参加者はこれよりさらに大きな権利を要求することができますし、状況によりましてアメリカの法令に従いましてアメリカはより大きな権利を与えることは可能でございます。それから第二点は、特許の対象になり得ない情報につきましては、米国の法令に従って日本の参加者は米国の参加者と同等の権利が与えられるということが了解されておるわけでございます。
#455
○抜山映子君 そこでお伺いいたしますが、「取り消し可能な」という意味はどういうことでしょうか。
#456
○政府委員(藤井宏昭君) 「取り消し可能」と申しますのは、例えばその使用権が長い間放置されておって使われていないとかいう状況がありました際に米国政府がその使用権を取り消すことができるということでございますが、現実の問題といたしまして、米国政府がそのような取り消しを行ったという事例はないというふうに承知しております。
#457
○抜山映子君 本来、契約文言に普通は取り消し不能なという限定を入れる例はよくあるんですが、「取り消し可能な」というのは相手に大変な大きな権利を与えたことになるわけでございます。もしも、今回の東芝事件のように相手が非常に先鋭的になってきまして、安全保障上の理由から取り消す場合もあり得るんじゃないで促すか。
#458
○政府委員(藤井宏昭君) アメリカの法令がございますし、日本との了解あるいは協議ということがございます。したがいまして、安全保障のというような抽象的一般的な理由で取り消しをするということはあり得ないというふうに考えます。
#459
○抜山映子君 それは契約文言に書いてありますか、覚書の方に。
#460
○政府委員(藤井宏昭君) 覚書にどう書いてあるかということは具体的に申し上げられませんけれども、覚書等の趣旨から、覚書と申しますか省庁間の取り決めの趣旨から申し上げて、私がただいま申し上げたとおりであるというふうに存じます。
#461
○抜山映子君 この「取り消し可能な」というのは、長い間放置されて使われていないとか、契約違反の場合に「取り消し可能な」という意味とは全く違うんですよ。「取り消し可能な」というのは、相手方に裁量があるんですよと、法的にはそういう意味なんです。ですから非常に危険な文言だと、私はそのように法律家として思います。
 もう一つ確認いたしますが、「非排他的」、これはどういう意味でしょうか。
#462
○政府委員(藤井宏昭君) 「非排他的」は、文字どおり使用権を独占し得ないということでございます。
#463
○抜山映子君 実はこれが大変な問題なんですね。日米が共同で開発してその技術ですから、日本は排他的に使用権をもらっても本来よいものなんです。それが「非排他的」ということは、アメリカがこの特許権に基づいてだれにでもライセンスできる、こういう意味になると存じますが、そのとおりですね。
#464
○政府委員(藤井宏昭君) 「非排他的」という意味は、おおむねそういう趣旨でございますけれども、先生の御質問を聞いておりますと、いかにもただいま私が申し上げましたことは、少なくともそういう権利が与えられるということでございまして、それ以上の権利をもちろん要求することはできますし、具体的には個々の契約で決まるわけでございます。個々の契約と申しますのは、けさほどから大臣が申し述べておりますように、あくまでコマーシャルな個々の日本の企業がアメリカの国防省なりあるいはコントラクターと行うものでございまして、もしその条件がその企業にとって不利であれば、当然のこととして契約は結ばないことでございますし、日本政府もこの取り決め、協定の精神に逸脱するようなことがあればアメリカと常に協議をするということでございます。
#465
○抜山映子君 このSDIの参加は既に英、西独、イスラエル、イタリアが政府間取り決めで参加している。フランス、ベルギー、オランダ、カナダは取り決めなしで民間参加している。ですから、日本は先端技術におくれちゃいけない、汎用技術がたくさんあるんだからこのSDIに参加するのは日本の国益のために必要だと、こういうような説明がいつも政府からなされておりました。ところが、肝心なところを聞いてみますと、取り消し可能でしかも非排他的である、このような了解覚書がつくられたことは、日本の国益から見て大変に残念なことに思います。しかし、締結したものを今さらどうこう言うことができませんので、ひとつこのような重要な了解覚書は、今後は単なる覚書でなくて、ちゃんと国会の審議の対象になるようなやり方でやっていただきたいなということを切望しておきます。
 それでは、通産省にお伺いいたします。最近、外為法の改正が問題になっておりまして、外務省の方で法定協議制度を設けよと、平和とか安全保障の観点から外務省が関与したいというような、こういうような改正意見が出ておるようでございますが、通産省、これについてどのような御意見をお持ちでしょうか。
#466
○国務大臣(田村元君) 直接私まだそのことを聞いてはいないのでございますけれども、両省はココムへも仲よく行っておりますし、また外為法の政令の中身を決めるときも非常にうまいぐあいにやっておるようでございますから、外為法の改正というのは諸般の事情からいってとにかく一日も早く成立させなきゃならないという状況下に今ありますから、新しい議論をまた一つふやすのはいかがなものだろうか。私は、権限争いというのは、新聞で読んでおる程度で直接聞いておりませんけれども、私どちらの肩も持ちません、私は政治家ですから。両省とも信頼していいんじゃなかろうか、優秀な官僚ですから信頼していいんだろうが、ただ我々野人から見ますと、すばらしい官僚ではあっても、予算とか権限に関してはもうなりふり構わずという、私はいつも愚かなことよと思って見ておりますが、そういうばかなことはしないと思います。
 しかし、もし両省で何かそういう点で考えなきゃならぬというのなら、私あたり中へ入って何らかの形で確認をするというようなことをさせてもいいかなと。法律で仰々しくうたい込んで、また新しい議論を巻き起こして、またそのために野党に私がやられるのほかなわぬから、そこいらはそういうことでいいんじゃなかろうかというふうに思っております。
#467
○抜山映子君 この東芝のココム違反事件の後、輸出の許可が非常におくれておるということを通産省の方からも伺っておるわけです。外為法の第一条には取引の自由ということをうたっておりまして、必要最小限な規制にとどめるということも明記してございます。ですから、いろんな意味で輸出業務が遅滞するのは日本の国益上大変問題だと思いますが、通産省はこの審査期間の現在の長期化の程度、そしてこれからどのように審査体制を強化していくか、この点についてお伺いしたいと思います。
#468
○政府委員(畠山襄君) 委員御指摘のように、確かに東芝機械事件が発生しまして以降、再発防止に万全を期するということから、私ども審査が従来より長くなっておるということは事実でございます。申請が不幸なことに企業の虚偽の申請ということに基づいて行われてそうしてああした事件を惹起いたしましただけに、どうしても審査が慎重にならざるを得ないというのが現状でございます。
 しかし、委員御指摘のように、やはり適正に申請が行われている分についてまで非常に審査が渋滞して輸出が停滞するというようなことになりまするのは国益を損ないますし、為替管理法の趣旨にも合いませんので、今はちょっと長くなって三カ月ぐらいになっておりますけれども、これを七月十日に定員を、従来通産局も含めて四十人でございましたものを、省内の振りかえで六十数人にいたしました。さらに今後、これは総務庁等々とも協議をしなければいけませんけれども、この四十人体制を倍増にするべく私ども要求をいたしております。そういうことによりまして、三カ月というようなことじゃなくて、もう少し迅速な審査ができるような体制を確保してまいりたいと思っているところでございます。
#469
○抜山映子君 これは総理に予告してなくて大変申しわけないんですが、午前中に同僚議員が質問したことに答えまして、SDIの関係で総理は、他国と比して日本企業が劣勢に立たないよう配慮してある、このように申されました。ということは、非公表の名取り決め、諸外国と米国との取り決めについて、これを比較検討したのでしょうか、それとも比較検討しないで、想像でそのように言われたのでしょうか。
#470
○国務大臣(中曽根康弘君) 私がまず申したのは、アメリカの企業と日本の企業の関係を言ったのです。他国というのはアメリカという意味があるのであります。それからヨーロッパの国々との関係においても、いろいろ話し合いをする際にドイツやフランスやイギリス等の国に比べて日本の企業が劣位に入らないように十分注意して交渉しなさい、そう言って、それは確保してありますと、そういう答弁でありますから、そういうふうに申し上げたのです。
#471
○抜山映子君 要するに他国との非公表のものは見なかったと、このように了解していいわけですね。
#472
○国務大臣(中曽根康弘君) 他国のものはよく知りません。しかし、大体こういうような原則でやっているらしいということはおぼろげながら知っております。
#473
○抜山映子君 それでは大蔵省の方にお伺いいたします。
 金融界は二十一日、長期プライムレートを上げたいという方向で検討しているというようなことですし、また日経新聞によると、日銀筋が二十二日、プライムレートの引き上げについて、景気に影響ないだろうというようなことで出ておりますし、原油価格は一バレル二十ドルに上昇している、木材や建材の輸入価格も上昇の傾向にあるということで、インフレの芽が出ておるんじゃないかと懸念されるんですけれども、これに対して大蔵省はどのように対策措置をとられますでしょうか。
#474
○政府委員(長富祐一郎君) ただいま先生御指摘のとおり、最近原油価格は海外で二十ドル台に乗せてきておりますし、商品市況もやや堅調でございますが、物価指数は卸売物価が六月で前年比三角の四・二%、消費者物価は五月で前年比横ばいでございまして、インフレの懸念はないものと当面考えております。
 ただ、いずれにいたしましても物価情勢につきましては、非常に大きな問題でございますので、今後とも十分に注意を払っていきたいと考えております。
#475
○抜山映子君 実はこれから大変な高齢化に向かいまして、貯蓄率がこれから低下していくだろうということが心配されております。これは昭和六十二年六月の世界と日本中長期経済研究会の発表した数字でございますけれども、一九八五年の一六・〇%から一九九三年には一三%程度、二〇〇〇年には一一%程度へと貯蓄率が低下していく、このようなことが書かれております。
 それで、それとも関連しまして、これからの高齢者の生活でございますが、実は公的年金についての現行の控除の制度でございますけれども、これが租税特別措置法が二年の時限立法でございまして、本年十二月末日に切れてしまうわけでございます。これが切れてしまいますと、従来の年金だけに頼って生活してきた高齢者に大変な生活の不安を与える。今税制協でやっているからそれまでは何もしないんだというようなことでは大変皆さんに不安を与えるので、ここでこの時限立法に間に合うように高齢者の年金控除については措置できる、このように回答していただけると大変ありがたいんですが。
#476
○政府委員(水野勝君) 今回の税制の抜本改革の一環といたしまして、高齢化社会の進展の状況を踏まえまして、これまでの公的年金につきましての課税のあり方を抜本的に見直すということになっておりまして、老年者控除を二倍に引き上げる、老年者年金特別控除と給与所得控除にかえまして公的年金控除をつくるということで御提案をしたところでございまして、これによりまして負担の軽減合理化が図られるということで私どもは期待をいたしたところでございますが、この点を含めまして全体としては廃案になっておるというのは御指摘のとおりでございます。
 税制改革の問題につきましては、お話しのように、税制改革協議会におきまして検討が進められているところでございますので、その推移を注視してまいりたいというところでございますが、当初の改正におきまして所期したところはこれが貫徹されるように私どもとしては念願をしそのように対処してまいりたいと思っておるところでございますが、いずれにしましても現時点では改革協議会で御検討いただいているというところでございます。
#477
○抜山映子君 税制協の回答がはっきり出ないことにはこれは措置しない、こういうように理解していいんですか。
#478
○政府委員(水野勝君) 形式的に申し上げればそういうことでございますが、実質的に私ども税制抜本改革で所期したところに従いまして極力そのように努力はいたすつもりでございますが、形式的には、申し上げられるのは改革協議会の御審議を注目してまいりたいというところまででございますが、御趣旨は十分理解いたしておるところでございます。
#479
○抜山映子君 公的年金は経済的に稼働力がない老年者の唯一の生活手段ですので、ひとつこの点は積極的に時限立法の措置をしていただきたい、このように思うものです。
 ところで、総理にお伺いいたしますが、やり残したことがたくさんあって内心じくじたるものがある、このように言われましたけれども、次期後経者にぜひこの点は引き継いでもらいたいということがございましたら、おっしゃってください。
#480
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ時間も多少ありますから、申し上げるのは早過ぎると思います。
#481
○抜山映子君 じゃ、行政改革についてやり残した分をおっしゃってください。
#482
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革はやり残している大きな仕事でございます。私は、これは三代十年の仕事だ、そう申し上げておるんです。
 まず第一に、やはり省庁、地方の支分部局、こういうものの簡素化あるいは中央からの地方に対する権限の移譲あるいは補助金の削減あるいは特殊法人の整理統合あるいは定員の削減、こういうような問題がまだ大きく残っておる。またこういう問題は、年じゅう努力していないというと、ちょっとわき見するとふえてしまうものですから、そういうような点は大いに一生懸命やるべきだと思っております。
#483
○抜山映子君 まさしく総理が今おっしゃったことが残っておるわけでございます。総理におかれましては外部の団体についてはかなり思い切った改革をなさいまして、大変にその点は敬意を表しておるのでございますが、肝心の行政の本体にメスを入れる点については、今おっしゃったように多く残っておると思いますので、この点については今後も政界の重鎮として――申しわけありません、ごめんなさい。こういう行政改革の遂行について御尽力いただきたいと切望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
#484
○委員長(原文兵衛君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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