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1987/07/24 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 予算委員会 第6号
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1987/07/24 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 予算委員会 第6号

#1
第109回国会 予算委員会 第6号
昭和六十二年七月二十四日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十三日
    辞任         補欠選任
     上杉 光弘君     小野 清子君
     斎藤 文夫君     大塚清次郎君
     本村 和喜君     野沢 太三君
     近藤 忠孝君     上田耕一郎君
     内藤  幼君     吉岡 吉典君
     抜山 映子君     勝木 健司君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                伊江 朝雄君
               大河原太一郎君
                林  ゆう君
                藤野 賢二君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                矢原 秀男君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                石本  茂君
                小野 清子君
                大塚清次郎君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                佐藤栄佐久君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                下稲葉耕吉君
                杉元 恒堆君
                竹山  裕君
                中西 一郎君
                永田 良雄君
                野沢 太三君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                吉村 真事君
                粕谷 照美君
                菅野 久光君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                及川 順郎君
                広中和歌子君
                和田 教美君
                上田耕一郎君
                吉岡 吉典君
                勝木 健司君
                野末 陳平君
                下村  泰君
                平野  清君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣  金丸  信君
       法 務 大 臣  遠藤  要君
       外 務 大 臣  倉成  正君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       文 部 大 臣  塩川正十郎君
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
       農林水産大臣   加藤 六月君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
       郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君
       労 働 大 臣  平井 卓志君
       建 設 大 臣  天野 光晴君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山下 徳夫君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  綿貫 民輔君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       近藤 鉄雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)      三ッ林弥太郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       内閣総理大臣官
       房審議官     本多 秀司君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       警察庁交通局長  内田 文夫君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   山田 薫司君
       総務庁長官官房
       交通安全対策室
       長        原田 達夫君
       総務庁人事局次
       長        田中  史君
       兼内閣審議官
       防衛庁参事官   古川 武温君
       防衛庁参事官   児玉 良雄君
       防衛庁長官官房
       長        依田 智治君
       防衛庁教育訓練
       局長       長谷川 宏君
       防衛施設庁総務
       部長       弘法堂 忠君
       防衛施設庁労務
       部長       山崎 博司君
       国土庁土地局長  片桐 久雄君
       法務省民事局長  千種 秀夫君
       法務省人権擁護
       局長       高橋 欣一君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       国税庁次長    日向  隆君
       国税庁直税部長  伊藤 博行君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省社会局長  小林 功典君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省援護局長  木戸  脩君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産省構造
       改善局長     鴻巣 健治君
       食糧庁長官    後藤 康夫君
       資源エネルギー
       庁長官      浜岡 平一君
       郵政省郵務局長  田代  功君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房総
       務審議官     田村 嘉朗君
       建設省建設経済
       局長       牧野  徹君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
       自治省税務局長  津田  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)(
 内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1
 号)(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十二年度一般会計補正予算、昭和六十二年度特別会計補正予算、昭和六十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。野末陳平君。
#3
○野末陳平君 私は、国民の皆さんが関心をお持ちになっているような当面のしかも身近な問題についてあれこれお伺いしたいと思います。
 まず、相続税におびえる人がかなりふえてまいりまして、その基準となる路線価格について大蔵省に聞きますが、この路線価格が去年からことしにかけてどのくらい上昇したのか。これは、大都市を中心にして平均あるいは最高のところはどうかというような路線価上昇の実態がわかるような説明をお願いしたいと思います。
#4
○政府委員(日向隆君) ただいま委員が御指摘の路線価の上昇率でございますけれども、大都市と申されましたから便宜東京、大阪、名古屋について申し上げますと、東京、大阪、名古屋における相続税の最高路線価、これは東京は三十八地点、大阪は十九地点、名古屋は十六地点でございますが、その六十二年分の六十一年に対する平均上昇率は東京で六八・九%、大阪で三二・三%、名古屋で一九・六%でございます。また、東京、大阪、名古屋の各管内におきます最高路線価の上昇率の中で最も高い例を拾いますと、東京は九八・七%、大阪が九六・四%、名古屋が五三・七%でございます。
#5
○野末陳平君 今後この路線価格というのがどういうふうになっていくのか、これが一番一般の人に関心があると思うんですね。
 そこで、来年も当然上がるとは思いますが、この路線価格というのは公示価格の大体何割ぐらいというのをめどに今後引き上げていくか、どの辺で落ちつくのか、この辺のところも説明してください。
#6
○政府委員(日向隆君) 相続税を課税する場合、相続財産に含まれている土地は相続財産取得時における時価で評価するということは既に委員御存じと思いますけれども、この評価に当たりましては、御案内のように、前年の七月一日現在における地価動向、つまり地価公示価格、売買実例価額及び精通者意見価格をもとにいたしまして、仮にその土地を相続税納付のために売り急いだといたしましても、その評価額が売買価格を上回ることのないようかた目に考えて、代表的な地価公示価格の七〇%を目途に評価するということにしております。しかしながら、最近の大都市における地価高騰が著しい地域におきましては、地価公示価格の七〇%の水準までには正直に言いまして至っていない、こういう実情でございます。
 今後とも、既に申し上げましたような考え方に基づきまして、地価動向を踏まえて適正水準の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
#7
○野末陳平君 公示価格の七〇%までには至ってないというお答えですが、現在のところではタイムラグがあるからぐっとそれを下回ると思いますね。公示価格の路線価は何割ぐらいに現在なっているのか、それはどうでしょうか。東京の場合で。大ざっぱで結構ですが。
#8
○政府委員(日向隆君) 例えば六十二年分において東京都内の最高路線価、先ほど申し上げました三十八地点でございますが、その当該地点における地価公示価格との関係は約五〇%ということでございますが、ただいま委員が御指摘のタイムラグが約半年ございますので、それを勘案するとそれをさらに下回っておるというところが実情であろうかと思います。
#9
○野末陳平君 いずれにしても、路線価格は今後とも上がっていく。ですから、相続税が今までかからないと思っていた人がこれからは当然それに巻き込まれる。そこで大蔵大臣も相続税の改正に意欲を示されたと思いますし、この委員会でもかなりの質疑があったと思いますが、現行法におきましてこの相続税の課税最低限、これはどういうふうに計算になっていますか。
#10
○政府委員(水野勝君) 基本的にまず二千万円を控除いたしますが、そのほか法定相続人一人当たり四百万円ずつ、この合計したものが課税最低限となっておるわけでございます。
#11
○野末陳平君 そこで、相続人が四人という場合に、これは今の二千万円と、それから四百万円に相続人の数を掛けますから三千六百万円、この課税最低限の三千六百万円を上回れば、大ざっぱな話ですが、都会では相続税がかかってくるというケースがかなりあるわけで、地方都市も多分これからますますそうなっていくであろうと思うんです。
 そこで大蔵大臣にお聞きしますが、この相続税法の改正は早くした方がやはりいい。来年六十三年度には間に合いそうですか。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、政府の税制調査会におきましても何度か御議論がありまして、結局最終的に昨年の暮れには、いわば緊急度といいますか優先度といいますか、財源等との関係から考えて今回見送るのはやむを得ないであろうが、しかしといったような雰囲気の話でございました。
 それは昨年の暮れの段階でございますが、その後こういうふうに地価の値上がりがかなり急になっておりますので、いわば当時考えていた緊急性、優先性というのが、あのときにこんなような状況になっておったらどういうふうなことであったかなということもいろいろに感じられますが、ともかく政府としては一遍今回は見送って御提案を申し上げなかったわけでございますが、いろいろなことを考えまして、今後歳出歳入全体を見ながら何とか早い将来に考えなければいけないということを思いつつ、まだ具体的にそれを申し上げるまでの結論に至っておりません。
#13
○野末陳平君 相続税の改正がおくれればおくれるほど税収の方では非常にいいのかもしれませんが、これは庶民はたまったものじゃありませんから、やはり来年度には間に合わせるという緊急度が非常に高いものだ、こういうふうに考えます。
 そこで、さっきの課税最低限ですけれども、基本部分の二千万円というのはこれは当然犬幅に引き上げざるを得ないと思うんですが、四百万円掛ける相続人の数の方ですね、この部分に実は問題があって、ここまでも簡単に安易に引き上げますと、これは悪用する人がますますふえてくるだろうと思われるんですね。現在のところでも、相続人をインスタントに仕立て上げまして数をふやしまして、結果的には見え見えの節税をする、こういう例が幾らもあるんです。
 大蔵省に聞きますけれども、お孫さんとかお孫さんの配偶者なぞを急速相続人に仕立てましてそれで数をふやす。結果的には基礎控除の部分が物すごくふえますね。そういうようなえげつない節税をしているという例がかなりあるようなんですが、目立つ例を幾つかちょっと示してほしいんです、この部分の弊害についても知っておきたいと思いますから。
#14
○政府委員(日向隆君) ただいま委員が御指摘のような例に類似した事例といたしまして私どもが把握している例を申し上げますと、第一に、被相続人が相続開始の一カ月前に子の配偶者及び孫の計六人を養子といたしまして、配偶者及び実子と合わせて法定相続人を十二人にふやしたというケースがございます。もう一つの例を申し上げますと、被相続人が相続開始の二日前に子の配偶者、孫及び今委員が御指摘になりました孫の配偶者計八人を養子にいたしまして、実子四人と合わせて法定相続人を十二人にふやしたという例がございます。
#15
○野末陳平君 相続発生の直前にそういう相続人をふやして、それでどうなんですか、ふやされた相続人は財産をもらっているんですか、それとももらってないケースが多いんですか。そんなところも気になりますが。
#16
○政府委員(日向隆君) その法定相続人が現実に遺産を取得しているかどうかについては、そのケースによって区々であろうかと思います。もらってない場合もあろうかと思います。
#17
○野末陳平君 いずれにせよ、あくまでもこれは節税じゃありませんで逃税ですからね。税を逃げるための悪知恵ですね。これがどうですか、国税庁、合法的に全く問題なくすんなりと認められてきているわけですか。そして今後とも認められるんですか。
#18
○政府委員(日向隆君) 今いろいろと議論になりましたように、最近の養子縁組の中で、この相続税の負担の軽減だけを目的とし、明らかに真の親子関係を創設する意思のない養子縁組の場合には、相続税の計算上これをいわゆる法定相続人に含めないよう取り扱う方向で検討しているところであります。
#19
○野末陳平君 検討していても現実には恐らくなかなか節税目当てかどうかの最後の判定は難しかろうと思うんですが、やはり相続直前にこういう養子縁組というのが行われること自体が不自然で、これは民法の精神とも違う。ですから私は、直前の養子縁組は制限するという方向の方がむしろ当たり前だと思うんですが、これはどうですか、大蔵大臣。
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) こういうお話というのはすぐ世の中に知れていきますので、したがいまして、今の民法の話になりますと大変に難しい問題を含んでおりますから、本当に親子関係をつくる気持ちのない今のような租税の逋脱を目的としたようなと考えられるものについては、税法上はそれは認めないということにやっていきたいと思います。
#21
○野末陳平君 当然だと思いますね。しかし同時に、法の整備からいっても、この四百万円に相続人の数を掛けるという、これがいいかどうか、むしろ一相続幾らと基礎控除一本で何千万と――何千万でいいかどうか別ですよ、この一相続幾らという形で今後考えていく方が時代に合っているんじゃないかと思うんですが、それはどうでしょうか。
#22
○政府委員(水野勝君) その点はまさに相続税の基本の性格にかかわることでございまして、残された遺産に専ら着目して課税をする遺産課税主義と、それからそれぞれ財産を取得された方が遺産をどれだけ取得されたか、その取得されたことに着目して課税をいたします取得課税主義と両方あるわけでございまして、世界にも二つの流れがあるわけでございます。
 御承知のように、日本といたしましては、原則は取得したものにつきまして課税をお願いする、しかし全体としての遺産の価格にも影響させるというやや折衷的な建前をとっておるわけでございますが、基本は取得課税主義でございます。そうしたものを基本的に変更するというのは、これはなかなか民法との関連もございますし、大問題でございますので、これを直ちに変更するというのは相当慎重な検討を要するかと思いますが、ただいまの養子の問題に着目しては、これはこれなりの一つの解決方法もあろうかと思いますので、十分検討をしてまいりたいと思うわけでございます。
#23
○野末陳平君 それでは大蔵大臣、今後の相続税法改正についての幾つかのお願いをしておきたいと思うんですが、まあ基本部分の二千万円はこれは相当な大幅な引き上げがある。四百万円と相続人の数、この部分もある程度残るんでしょうが、同時に、未亡人が相続人の中に入っている、未亡人、妻ですね、これが相続人の中に入っている場合にはこの未亡人の特別控除をプラスするという、そういう方向での課税最低限の引き上げの方が僕は現代人のハートに合っていると思うんですね。そうなりますと、やはり高齢化社会における残された未亡人の生活の安定にもプラスになりますしね。ですから、そういう部分を入れるのがこれからの相続税法の改正ではないか。ですから、未亡人に対する優遇というのを今後織り込まなければいけないと思うんですが、その方向で検討していただけるかどうか、お願いします。
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 二分の一ということはそれでよろしいのではないかと思いますけれども、四千万円といったようなものが妥当であるかどうかということはやはり検討する必要があるのではないかと思います。
#25
○野末陳平君 ちょっとこれは後でほかの問題と一緒にしてもう一度お伺いします。
 相続税法の改正を六十三年度にどうしても間に合わしていただきたいというお願いを繰り返しておきまして、今度は減税にいきますけれども、減税も当然恒久的財源がなければなりませんので、そのためにマル優をという、この考え方もやむを得ないと思います。思いますけれども、マル優の見直しの中身についてはいろいろな議論もあるところであります。
 私が一つ気になる点は、前回の予算委員会でも言いましたんですが、定年後の六十五歳になるまでのサラリーマンですね、ここら辺がやはりかなりこのマル優廃止に不安を持っているようですね。ですから、六十五歳以上の方を優遇するのはそれはそれなりに意味がありますが、定年から六十五歳になるまでの間、このサラリーマンOBに対して何か思いやりの優遇の名案はないものかどうか、それを考えてみるんですが、何かありませんか。
#26
○政府委員(水野勝君) 新しい少額貯蓄非課税制度ということで御提案申し上げましたのは、所得の稼得力が減退した人たちにつきましては引き続き非課税制度を続けようということでございます。したがいまして本来であれば、本当に退職されたのか、あるいはまだどこかで働いておられるのか、そこらを個別に勘案いたしまして措置するのが実態に合うわけでございますが、それは言うべくして難しいことでございますので、六十五歳ということで割り切らしていただいておるわけでございます。
 六十五歳と申しますのは、税法上老年者としては六十五歳、老人に対する特別措置としては七十歳といった基準もございますし、また年全体系との整合性、そこらを全体含めまして六十五歳で措置きしていただくのが適当ではないかというのが原案であったわけでございますが、ここらの点も含めて現在税制改革協議会で議論をされておるところでございますので、その推移を注視してまいりたいというところでございます。
#27
○野末陳平君 それなら、原案には財形は年金と住宅については一〇%課税という案になっておりましたが、これを現在のままで財形を残すという案は検討に値するんじゃないかと思うんです。これも老後への準備というような意味を含めて言うんですけれども、どうでしょうか。財形を今のままに五百万の枠を残しまして、しかも定年後にはあと五年ぐらいはその財形が続けられる、こういうようなことにしておけば、老後に対する自助努力を認めることになりますから、今の働いている働いてないという話はもう余り考慮しなくていいわけでしょう。どうでしょうかね、大蔵省、この財形というのを残すというのも一つの思いやりといいますか、優遇になるんで、検討に値すると思いますけれども。
#28
○政府委員(水野勝君) 先ほど申し上げましたように、所得稼得能力の減退された方についての非課税貯蓄制度でございますので、本来であれば、現役でお働きになっておられますサラリーマンの方につきましては通常の課税でいかがかと思うわけでございますが、その点は、いわば現在非課税財形制度があるといった点を考慮し、それからまた、今のお話の老後に備えての蓄えを現役の時代から配慮されるという点にもかんがみまして、しかし一般的な財形ではなくて年金、住宅取得、こうした特定目的のために原則の二〇%に対しまして一〇%の財形貯蓄制度を引き続き存続することといたしましたのでございますので、これが原則の二〇に対して一〇%といたしましたところが限界ではないかということで原案としては提出させていただいておったわけでございます。
#29
○野末陳平君 ですから、その原案をさらに検討していただきたいと思うんですね。このマル優も分離課税で二〇%といいますけれども、二〇%というのはやっぱり何か一般の人にはどうもきついように響くようですね。もうちょっと税率は下がらないかという声をよく聞きますが、大蔵大臣、この辺はどうでしょうね。
#30
○政府委員(水野勝君) この二〇%と申しますのは、国税が一五%、そして新しく地方税といたしまして五%を課税さしていただくということでございまして、国税といたしましては、今度御提案した所得税改革案では一五%といいます税率を基本的な税率として観念をさしていただいておったわけでございますので、その一五%、それから地方税の五%を合わせての二〇%ということでございますので、そのあたりの点は御了解をいただきたいということでかつて御提案をしておったものでございます。
#31
○野末陳平君 総理、私は、二〇%でなくて国税、地方税両方で一〇%ぐらいから始めたらどうかと思っているんですけどね。税収からいったらがくんと落ちますけれども、しばらくこれで様子を見るというのも一案だ。というのは、マル優をこういう形で改廃していってどのくらい税収が上がってくるかというのはやってみなきゃならない要素がかなりあるんですね。また、試算のやり方によって大分違うんですね。大蔵省はとりあえずは一兆六千億ぐらいを国税、地方税両方合わせて見ているようですけれども、それ以上になりそうだと、二〇%の場合は。私は一〇%でも恒久財源の中核としてますますで、これでとりあえずやって様子を見るというぐらいの考えはどうかなと思っているんですが、総理、いかがですか。
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題についてはいろいろ御論議がございましても、いわば社会的に特別な配慮を加える必要のある方々には別途の制度を設けますので、そうなりますと、残りはやはり資産所得でございますから、資産所得について二〇%というのは私は決してきつくはないというふうに思います。それから、一〇%にいたしました場合のたしか税収の減は兆円の台になりますので、その点も現実的には大変な大きな問題でございます。
#33
○野末陳平君 そうしますと、総理が新型マル優とか原案をいろいろ手直ししてもいいとかということをちらちらおっしゃったんだけれども、じゃどういうところが新型で、どういうところが手直しできそうな、頭にあったのか、アイデアが。それがわからなくなってくるんですが、ちょっとここで明らかに示してほしいんですが。
#34
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、かつて提出しました原案をもう一回見直して、さまざまな御意見も参考にしながらひとつ出直しをやろう、そういう考えで申し上げたので、特定にどこをどうするということを決めつけてやっておるのではないんです。きょう野末さんからお話を承ったことも留意いたして聞いておるわけでございます。何しろ今税制協議会でいろいろお話をしている最中でございますから、まずその推移を見守るということにいたしたいと思っております。
#35
○野末陳平君 今の総理の答弁をお聞きしますと、大蔵大臣、これは出直しとおっしゃるわけですから、原案そのままが出てくるというふうには受け取れなかったんですが、それでいいですか。
#36
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制協議会の御審議の推移を拝見しておるわけでございますので、総理の御発言の趣旨も体して考えなければならないと思いますけれども、しばらく協議会の御協議を見てまいりたいと思います。
#37
○野末陳平君 協議会の推移を見守るのはそれはいいんですけれども、それだと答えにならないわけですね。こちらは具体的にと思ってお聞きしても、いつも協議会にいっちゃう。テレビをごらんの皆さんはこれは全然わからなくなっちゃうんですね。それだとちょっと困るんで、国会審議というわけにいかないから、もうちょっと前向きにこれからは答えてほしいとお願いしておきますよ。いつも協議会と言ったんじゃ結局答えてないのと同じで、ロボットをそこへ持ってきたっていいんですから。そうはいきませんのでね。
 そこで、じゃ別の角度から聞きますけれども、このマル優の廃止ですが、恒久財源として平年度化する場合一兆六千億ぐらいを計算しておられましたね、国税、地方税合わせて。これは一体平年度安定的に入ってくるのは何年先と見ておられますか。
#38
○政府委員(水野勝君) 先般御提案した制度におきましては、制度実施後案分計算で計算をさしていただくことにいたしておりましたので、厳密に申し上げますと、その金融商品の存続期間が最大の平年度化期間になるわけでございまして、定額貯金が十年でございましたら十年間は厳密には平年度化しないということでございますが、平均的な預入期間等もございますし、一年物定期預金等もあるわけでございますから、おおむねその十年の半分近く前後、あるいはそれよりちょっと長いぐらいが平年度化期間がなという感じを持っておったわけでございます。
#39
○野末陳平君 そうしますと、お金は現実には五、六年先でなければ入ってこないわけですから、六十二年度は幸いなことに財源がありますからいいんですけれども、次の年からは当然不足していくわけですが、それはどういうもので埋める予定ですか、大蔵大臣。
#40
○国務大臣(宮澤喜一君) それは実はちょっと深刻な問題なんでございますけれども、平年度化するのにかなりかかりますから、そうかといって、すべき減税はやっぱりやりたいと思いますので、結局歳出歳入の中でいろいろやりくりをしていく。レベニュー・ニュートラルと申しますか、いきなりきちっと合うというのはやはりどうも無理なものでございますから、それまでの間は歳出歳入でやりくりをしていかなきゃならぬのだろう、そういう時間がかなりあるということは覚悟しなきゃならぬかなと思っております。
#41
○野末陳平君 たまたま六十一年は自然増収が随分ありまして、これが例の、偶然ですけれども、私が宅急便が来るから早く減税先行と言っておきましたけれども、こういうのはいつもはありませんよね。だけれども、この自然増収ですが、大蔵大臣の感じとしては、これはかなりこの傾向は定着するのではなかろうかと私は思うんですが、大蔵大臣はどうでしょうか。今後とも自然増収がかなり見込まれると見ていいのではないかと思うんですが、違いますか。
#42
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十一年度の自然増収の原因は、御承知のように、何度も繰り返す性格のものでない、そういう部分が私は多いように思うのでございます。ただ別途に、経済運営が、少しずつ経済状況が上昇してまいりましたら、そこから来る多少の自然増というものは考えられるかもしれませんけれども、六十一年度はそういう別の事情によると思いますので、これをベースに伸ばしていくわけにはいくまいと思っております。
#43
○野末陳平君 そうなると、株式を売却するという案もあるでしょうが、最悪、赤字国債に頼らざるを得ないなんていうことも出てくるかもしれないと思うんですが、それはどうですか。
#44
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先ほどの、つまり歳入が平年度化するまでの間のつなぎというこ
とでございますね。なるべくそういうことにはいたさないように、ちょっと先のことでございますので、何をどうするということを申し上げかねますけれども、減税分が赤字国債で賄われるという形にはいたしたくないと思っております。
#45
○野末陳平君 いずれにしてもこの五、六年は結構大変だと思いますよ。ですから、不公平税制を一つ一つつぶして、そこで財源を見つけていく、こういう地味な根気の要る作業をやはりこれはしなきゃならないと思うんですね。これが残っているんですから、これをやりながらさっきの二〇%をもうちょっと税率を下げていくというのも一案がなと私は思っているんです。ですけれども、この辺はいろいろと数字の点で難しいところがありますから、お願いだけというより私の意見を聞いていただくことにして、具体的な減税がもう一つ見えないんですね。
 これは特に一般のサラリーマンなどが気にしているわけですが、六十二年度の減税は一体どのくらいなのか、現行法だったら所得税は幾らなのが今度は幾らに減税されるのかというこの具体的な数字を、そうですね、年収五百万円ぐらいで結構ですが、ちょっと出してみてくれますか。
#46
○政府委員(水野勝君) これはまさに今税制改革協議会で御審議いただいているところでございます。現在そういう具体的な減税案があるというわけではございませんが、御指摘のかつての政府原案での計算でございますと、しかも六十二年分ということでございますと、年収五百万円の方でございますと、所得税で二万七千円、住民税合わせて三万六千円、こういうふうな数字にはなっておったわけでございますけれども、その後これらの点につきましても税制改革協議会でいろいろ御議論がされているところでございますので、その推移を注視いたしてまいりたいというところでございます。
#47
○野末陳平君 主税局長、今の五百万で二万何千円かという所得税の減税というのは、前国会でそちらが出されました税率の刻みを十三段階にするあの改革案をもとにした数字ですか。確認しますが。
#48
○政府委員(水野勝君) かつての政府案でございます。
#49
○野末陳平君 そうしますと、今後出てくる政府案はもっと前向きであろうと当然考えられるわけでして、聞くところによると、一兆円を大幅に上積みしていただけるような話も聞いておりますが、そこで、じゃ上積み分というのはどういうところの減税に振り向けるというお気持ちか。大蔵大臣どうでしょうね。
#50
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、また協議会と申し上げますとおしかりがありますので、もう一遍申し上げるわけにいかないのですけれども、いろいろな事情がございまして、なかなかこういうことでと具体的に申し上げるわけにまいらないのでございますけれども、前国会でいろいろ御批判がございました。
 それは結局どういう御批判であったかといいますと、私どもなるべく、サラリーマンになったらば、ちょっと給料が上がったら累進がきくというようなことでなく、社会に出たら税率は一本かせいぜい二本で、昇給してももう高い税率には行かないということにしないと、サラリーマンの重税感が強いということを考えましたので、したがいまして政府提案で申し上げましたのは、実収入で申しますと四百四十万ぐらいまでが一〇%で、その後八百八十八万でございましたか、までが一五%、ほとんど退職するまでもう税率というものは上がらないというような大変な簡素化を実は考えました。
 その結果といたしまして、現在はその間に小さな刻みがございますから、いわば東京−大阪間ノンストップみたいなことをいたしましたもので、途中駅の今の税率というのはみんなすっ飛ばして一〇と一五にしてしまって、ほとんどこれでサラリーマンのまあまあ退職されるまでは行けるなど。ところが、途中に一二とか一四とかいう税率が現在ございますものですから、そこらあたりのどこか一部で、決して増税になるのではございませんけれども、刻みいかんではその減税部分が、あるところは比較的少ない、あるところは多いというようなことが起こってきますことは御想像いただけると思うんですが、そこをならせないか。例えば一二とか一四とかいう税率が今現在ございますけれども、なくなってしまいますから一〇か一五である、こうなってしまいますので、その辺をならすことが必要ではないかということは前国会でも随分当院でも御指摘がございました。そういう工夫があるかどうかというようなことがただいまいろいろ御議論になっておる。私どももできるものかどうかということを暗々に考えておるということでございます。
#51
○野末陳平君 理想的な最終段階においては、確かに総理がもとからおっしゃられているように一〇%と一五%ぐらいでいくのがいいと思いますけれども、私が今お聞きして一番関心を持つのは昭和六十二年度のことしの減税ですから、そうするとこの上積み分も額がそれほどのものではないとして、そうそうあれこれできませんからね。
 重ねてお聞きしますけれども、上積みが何千億かあるとして、それはどういうところに減税を厚くするのか、そこが聞きたいわけですね。ですから、それが前回の案よりも前進している、そういう見方のできる大事なところです。
 主税局に聞きたいんですが、例えば最低税率一〇・五でしょう。最低税率の一〇・五%をもっと課税適用範囲を拡大するなんという話もあるんですけれども、そういうことは考えられるんですか、その何千億かの範囲で。
#52
○政府委員(水野勝君) そのあたりになりますと、まさに税制改革協議会で議論されている焦点でございますので、ちょっと私どもの方から具体的なことを申し上げることは全く差し控えるべき点ではあろうと思いますけれども、先般の税制改革協議会では、与党側からの御提案と申しますか考え方として、所得税の最低税率の適用範囲を拡大するなどというような御提案と申しますか、そうしたものがあったということを私どもはお聞きはしていますが、具体的にどのようなことがイメージされているのかにつきましては、なおよく承知はしていないところでございます。
#53
○野末陳平君 じゃこちらで提案したいと思いますが、最低税率はもう一〇・五でなくて、六十二年も一〇にしてほしいと思うんですね。かなり大きな減税になると思うんです。六十二年度も一〇%に最低税率をしまして、そして適用課税所得を、今までは普通百二十万ぐらいになっていましたから、本来百二十万以下と言いたいところですが、まあ百万でもいいんですね。いずれにしても最低税率一〇%、これが課税所得百万あるいは百二十万以下、このぐらいにしてもらえるならば、これはかなりマル優を妥協してもいいという線だと思うんですが、問題はお金ですから、どのくらいこれでもって減税額になるのか、実は恥ずかしながら自分で計算ができないんですよ。で、専門家に聞きたいんですけれども、どうでしょうか、今私の示した数字で計算してどのくらい減税になりますか。
#54
○政府委員(水野勝君) 繰り返してございますけれども、まさにそこらあたりが大変な焦点といたしまして税制改革協議会で議論されているところでございますので、仮定的な計算あるいは仕組み、そういったものに基づきまして具体的な御答弁を申し上げるというのはなかなか影響も大きいかと思いますので、できればお許しをいただければと思うわけでございます。
#55
○野末陳平君 協議会でそういうことを話していますかね。あそこは減税先行と言っているんで、私は、減税先行するために六十二年度実のある減税をしてもらいたい、前回の提案よりさらに前進してほしいという、それだけをお願いしているわけですからね。計算した額ぐらいは出てもいいんじゃないかと思うんだけれども。やれるかどうか、それを聞いてから考えようと思っているんですから。
#56
○政府委員(水野勝君) 例えば五十万円ぐらいま
での課税所得でございますと、そこに所得階層上下通しまして、全部通しまして二十兆円ぐらいの課税所得が大ざっぱにあるのではないかと思うわけでございます。そこらが一%動けば、ですから二千億動く、一〇・五と一〇の差の〇・五であれば直ちに一千億円ぐらい動くという、極めて大ざっぱな感じとしてはそんなイメージがあるわけでございます。
#57
○野末陳平君 それだったらやはりこの最低税率の一〇%を六十二年にも採用してほしい、適用課税所得については必ずしもこだわらない、こういうふうにして検討をお願いしようと思うんですが、どうですか、大臣。
#58
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう事情でございますので、御説としては承りました。
#59
○野末陳平君 全くもうこれだから、具体的に聞いても答えてもらえないわ、非常に困るんですね。聞いている私がばかみたいになっちゃうんですよね。実に残念だと思いますけれどもね。これが国会審議かと言われますと非常に、まあ難しいのは重々承知だけれども、しかしやはり、協議会というものが別にあって全部そこに征しているといったら、国民には協議会というのは見えないわけですからね。そこのところお願いしますよね。まあちょっと別の問題にして、また元へ戻ります、こればかりやっていると本当にいらいらしてきますからね。
 最近問題になっている土地の高騰、これは非常に私も気になっておりましてね。例の居住用財産の買いかえの特例です。これが特に国土庁ではもう非常に弊害の部分が拡大してきたので改めたいというような御意向かとも新聞などで聞きますが、どうでしょうかね。買いかえの特例、どの点で弊害が出てきたという認識なのか。そのあたりの事情を簡単に説明願えますか、国土庁長官。
#60
○政府委員(片桐久雄君) 居住用資産の買いかえの特例につきましては、ライフスタイルによる住みかえの促進とか再開発を促進するとか、そういう観点から非常に有用な制度であるというふうに私ども理解しておりますけれども、最近になりまして、非常に高額の物件を譲渡いたしまして多額の譲渡益を取得した人が金に糸目をつけないでかわりの土地を取得するという傾向が出て、これが地価の高騰の波及を促進しているという状況があるわけでございます。税金をできるだけ節約するために、全額、余り必要でない住宅宅地を取得するとか、それからかなり高額な物件を金に糸目をつけないで地価の上昇に拍車をかける、そういう傾向が見られるわけでございます。そういうこの特例制度に伴う弊害を何とか除去できないだろうかという観点から、いろいろ検討している次第でございます。
#61
○野末陳平君 そういう傾向も確かにあると思われますね。
 そこで国土庁では、この特例をどういうふうにしたらその傾向がなくなって、地価上昇に歯どめがかかる、そういうふうにお考えなんですか。その改正せんとするポイントはどこですか。
#62
○政府委員(片桐久雄君) この制度のいろいろのメリットを生かしながら、しかもそういう弊害を除去するという観点からいろいろの案を検討しているわけでございます。私ども昨年に、代替の物件を買う場合に余りにも高額の、著しく高い不適正な価格で取得する場合にはこれを制限するというようなことが考えられないかということで、いわゆる一定額に、適正な価格といいますか、そういう価格で制限できないかという案を検討いたしたわけでございますけれども、これはその適正の価格の判断という点でいろいろ徴税技術で実行がなかなか難しいということで、昨年度は提案を差し控えたわけでございます。それにかわるような何か一定の限度額を設けるということができないかどうか、現在検討しているわけでございます。
#63
○野末陳平君 国土庁のそういう検討に対して、建設省の立場で言うと、この特例はどういうふうにお考えですかね、現状で。
#64
○政府委員(田村嘉朗君) ただいま国土庁からお話ありましたように、居住用財産の買いかえの特例は、そもそも住宅の住みかえの促進、これを図る。その際に、国民の生活の本拠であります居住用財産の確保を容易にするという観点から設けられた制度でございますし、この制度がまた都心における再開発用地の供給にも重要な役割を果たしているというふうに我々認識しておるわけでございます。
 これが、先ほどのお話のように、周辺への地価上昇の波及に影響しているという指摘もあるわけでございますので、私どもといたしましては、これらの制度の政策目的、影響、効果、こういったものを総合的に勘案して検討を進める必要があるというふうに思っております。
#65
○野末陳平君 この特例の検討は必要ではありますけれども、非常に難しいですから、両省でよく考えていい案をつくってもらいたいと思います。
 同時に、ここでむしろ当面解決しなきゃならない問題が一つあるんですね、この居住用財産の売却については。今は買いかえの特例のお話をしておりましたけれども、同時に一方においては、十年以上の居住用資産については、三千万円の特別控除というのはこれは選択になっていますね。そうですね、税制上は。これが実は非常に微妙な問題を生じていると思うんです。買いかえの特例のできる人はこれは青天井でどんな高い物件でも買いかえができる。しかし、十年以下という人は三千万円の特別控除しかとれませんから、譲渡益がそれをかなり上回るわけですね、もう現在においては。
 そうしますと、そこに税金を払い、同時に不足分をローンを借りてそして新規の住宅を取得しなきゃならない、こういうのが現実になってきているんですね、今。となると、これからますますこの傾向になりますと、買いかえの特例のみで宅地の供給あるいは住みかえの促進ということはもうできないわけなんですよ。これは税法の問題だと思うんですけれども、どうでしょうかね。三千万円という特別控除の額そのものがこれはもう直すべきときに来ているので、一方に買いかえの特例があり、片っ方が三千万の特別控除で、これが十年という期間でどちらか選択できる、こうなっている。ここがそもそも検討し直さなきゃならないと思うんですが、これはどうですか。
#66
○政府委員(水野勝君) この三千万円といった定額控除額が定められて以後ある程度の期間はたってはおるわけでございますが、一方また、三千万円控除の適用によりまして大体譲渡所得の二兆円ぐらいが課税除外になっておるという金額も別途あるわけでございますので、そのあたりの点はいろいろ勘案して検討すべき点であろうかと思うわけでございます。
#67
○野末陳平君 さらにつけ加えますと、買いかえの特例ができる人は相当地価の上昇した、いいところにたまたま住んでいた。連がいいわけですが、そうでなく、三千万の特別控除を受けながら住みかえをしていく一般のサラリーマンというのは、これは三千万の特別控除をとりますと、今度は住宅ローン減税の方はもうだめなんですよね。ですから、そういう点も、結果は運のいい資産のある人が得する結果になって、一般の人は結局減税は片っ方とったらもう一つはだめである、三千万を上回る利益が出る、そこには課税になる。非常にいろんな点で、むしろ運の悪いというか、一般の人がこういう特例のよさを全然受けてない、こういう結果に今なっていると僕は思うんですけれども、そういう認識は大蔵省にはないですか。
#68
○政府委員(水野勝君) いろいろ御損になるケース、お得になるケースも個々にはあろうかと思いますけれども、やはりこれは全国一律に税制としては適用さしていただくことになるものでございますから、いろんなケースが出てまいろうかと思いますが、基本的には一つの制度で割り切らしていただければと思うわけでございます。
 また、買いかえにつきましては、四十四年前までは、自分の住んでいたところでなくて自分の持っておられた土地を売って住宅を建てられるということも含めて、非常に幅広く適用がなされておったわけでございますが、それに伴いますところ
の弊害もまた非常に大きかったということから、むしろ廃止すべきだということで廃止をされたわけでございますが、その後五十七年には、住みかえの促進でございますとか、そういった点からまた復活された。そこらは常に両面がありまして、その時代時代で拡充されたり廃止されたりしてきているわけでございます。
 こうした点は、余り税制を頻繁に基本的な方向を変えるような形で変えるということはいかがかという気もいたしますので、いろいろ慎重な検討を要するわけでございますが、現時点での問題もまたかなり大きな点があろうかと思いますので、そこらを含めて総合的に検討されるべきものであろうかと思います。しかし、個々のケースになりますと御損になるケースも間々あろうかと思いますが、そこは全国一律の税制として割り切らしていただく面もあろうかと思うわけでございます。
#69
○野末陳平君 回りくどいけれども、要するに損得はしようがないということなんですけれどもね。確かに、基本的な方向をがらがら変えれば、その年その年で損得で、ああ去年すればよかったとか、こういうのはありますから、相続税法なんかはまさにそれですから、これはある程度やむを得ないと思うんですよ。
 ただ、総理、やはりここまで地価が上昇したり非常に時代の流れが変わってきたときに、土地住宅に関する政策は基本があっても大胆に大幅に変えざるを得ないときもあるんですね。ですから、たまたま買いかえの特例がここのところ問題になっておりますが、早急な手直しを現在の土地住宅税制全般に実情を踏まえながらやっぱり再検討を急いだ方がいいと思うんですが、いかがでしょうか、総理。
#70
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、最近の地価の高騰という異常な事態にかんがみまして、やっぱり見直して検討する必要があると私も考えております。状況は前と非常に変わってまいってきております。この機会に、今まで野末さんいろいろ御質問になったことの中で、私の感じていることを御答弁申し上げたいと思います。
 前に、野末さんとサラリーマン新党の青木さんとそれから自民党の福田さんで税に関する共同政策、お考えを発表になりましたが、私もその書類をいただいて拝見して非常に敬意を表する次第です。その中身は、所得税の減税を思い切ってやれ、その見返りに恒久的な措置としてマル優の改組もやむを得ないが、しかしこれは慎重にやりなさい、そういう趣旨のお考えであったように思います。私たちは、今のような考えを、今まで答弁しましたような考えを基本にしまして、この問題が円滑に国民の皆さんが御納得できるような形で進むように、税制協議会の協議の状況を見守りつつ前進さしたいと、そう考えております。
 それから、まず第一に相続税のお話がありましたが、やはりこれも、こういう地価の急騰時代にかんがみまして、相続税は、所得税減税をやってから次は相続税という考えに立っておったわけですが、私は昨年の選挙前には、相続税の見直しをやりますとも、そう議会で答弁しておったこともあります。そういうことにかんがみまして、正常な生活をしている人たちがやはり正常にまた生活を相続があった場合でも受けられるような措置は必要である。ただ、今のような養子を十二人もつくるということがなぜ起きているかといえば、やはり税の体系にゆがみがあるから一部やむを得ずそういう人も出てくるのかもしれない。これはやはり今の制度を見直す一つの材科を我々に与えているものだと、そう思っております。
 もちろん、普通の市民の方々と相当財産を持っておる人との間にはある程度のそれは差は当然生じ得るものと思いますけれども、農地の問題の相続関係それから中小企業や商工関係の相続関係と一般市民の今の土地急騰の場合の相続関係の均衡というものも考えてみる必要もある、そういう意味においてこれは見直すべき時期が来た。情勢によっては、この土地の高騰が続いている間の時限立法みたいな形にしてまた見直すということも将来考えてもいいのではないかと、そう思います。
 それから所得税の減税のお話が出ましたけれども、我々は前からいろいろ申し上げております。売上税が挫折いたしましたが、その前からも申し上げておりますが、我々がかつて出した原案については相当な手直しも考えている、そういうことも申し上げました。税制協議会の審議を見守って、今一番大事なところにかかってきておりますから我々は軽挙な言明はできませんけれども、しかしやはり五、六百万という一番子供が多くていろんな経費のかかるそれらの人々に対してはさらに我々は配慮する必要がある、そう思っております。
 それで、仮にマル優というものが改組された場合に、その結果、負担が多少重くなる、今までよりは多少お金がかかる、今まで助かっていた分が助からなくなる、そういうような部分については、所得税の減税でそれらはカバーできるようにやってあげるのは当然のことであります。
 そういうような点も十分考えまして、この前批判を受けたことに対しては我々も十分周到な配慮をすべきである。また、税制協議会において野党の皆様方から所得税のかなりの思い切った減税の御勧告も受けておりますし、あなたからも今そういういろんなお話を承っておるので、これらを十分参考にして、できるだけ我々としては思い切った線へ前進できるように努力してみたい、そういうふうに考えておる次第であります。
#71
○野末陳平君 最後の仕上げになるようないい仕事をしていただきたいとお願いしておきますが、この相続税に前向きなお答えがありましたから今つけ加えますけれども、どうも相続税の話をしますと金持ちの話、資産家の話だというふうに一般の方は受け取るんですね。ところが、これは普通の人の問題に今なっている。その普通の人というのは、もう普通マイホーム一軒、あとちょぼちょぼと、そういう人の問題になっているということを強調したくてこれは急いでほしいとお願いしたわけなんですね。
 たまたまそれに関連しまして、矛盾は幾つもあるんですよ。高齢化社会ですから、いわゆる女性の老後の安定というものに非常に資産というものは必要になってきたんですが、その場合に、現行法において、例えば結婚二十年を過ぎました妻に対しては居住用財産を夫から一千万の範囲で配偶者の特別控除があるという、こういう制度がありますが、これも先ほどの路線価が急激に上昇しますと一千万の枠というのはマイホームのほんの片隅しかないんですよね。これじゃ意味ないという、せめて半分ぐらいにならないと。ですから、この一千万の特別控除もここらで、ずっと長いこと据え置きになっていますが、もう来年は確実に引き上げるべきだ、何倍かに。そう思いますけれども、これはどうですか。今度は大丈夫でしょう、協議会と関係ないから。
#72
○政府委員(水野勝君) 配偶者につきましては、相続によりまして取得されれば半分はとにかく無税で取得されるわけでございますから、相続までお待ちになればその点は救われるわけでございますが、しかし、生前におきましても配偶者のためにそこは措置をいたすのが実情に即するかということもございまして、御指摘の一千万円の生前の特別の控除があるわけでございます。この金額は昭和五十年に決められたものでございますので、その後がなりな年数がたっておる。この点につきましても引き上げが妥当ではないかという税制調査会の答申はあったわけでございますが、全体としての相続税の改正が今回は見送られておりますので、今回におきましては措置はされていないわけでございますが、引き続き検討すべきであるという線の答申をいただいておるわけでございます。
#73
○野末陳平君 いや全く大蔵省の人は世の中を知らないね。相続まで待ってもらってうれしいわけないでしょう。二十年結婚期間を経て、そのためにこれは御褒美とは言わないけれども、いわば内助の功に報いるために夫から妻に贈与する、それが一千万だったでしょう。税法の精神はそうだったんだよ。それじゃもう大したものはできないか
ら、それを何倍にも拡大しろと言ったんだよ。検討するじゃないんだよ、当然だと言うべきなんですよね。何を考えているのかと思うんだな。
 ですから、さっき相続のときには二分の一優遇したと言うけれども、とんでもない話ですよ。二分の一というのは、いいですか、相続が発生しますね、二分の一もしくは四千万円どちらかなんですが、二分の一を選べるというのは大財産家の話ですよ、あなた。何百億の財産を二分の一、百億でも二百億でも税金は要りませんよ、未亡人の相続は。しかし、一般の人は半分よりも四千万を選ばざるを得ないんですよ、資産状況が。そうすると、ほとんどの相続に関しては四千万円を未亡人の特典としてこれを選ぶ。この最低保障額がもう実情に合わないという、これをこそ大蔵省は答えるべきなんだよ。それを、二分の一もらえるだなんてはかなことを言ってもらっちゃ困るんですよ。
 いやいや本当ですよ、主税局長。ですから、どうですか、じゃ一千万を当然上げてもらう。しかし、今度は相続を待てばいいと言うけれども、相続のときに半分もらえるような大財産家はいいけれども、四千万円以下の人の方が圧倒的なんだ、今までは。そこで四千万円を選ぼうと思っているんですが、残念ながら家一軒、マイホーム一軒でも課税が四千万超えてしまってもうそこに税金がかかってくる、こういう矛盾した状況に一般の人はいるんですよ、普通の人は。そうでしょう、それはわかっているでしょう。
#74
○国務大臣(宮澤喜一君) それで、先ほど四千万円ということをちょっと私御答弁いたしたので、やっぱり四千万円というものは考え直さないといけないなと思っておりますし、今の一千万円もしたがいまして同じく考えます。
#75
○野末陳平君 昔は四千万とかいろいろ言うと人ごとみたいだったんですけれども、今はマイホームでも土地の値段が上がったり、いろんな資産がふえてきましたので、やはり妻の相続時における最低保障の四千万円と二分の一のどちらかというのはいいけれども、この四千万を圧倒的に上げなければ均衡がとれない、こういうことを言いたいので、これはもう実情ですから、それを踏まえて最低保障の四千万は当然上げるべきだ、これを強調しておきますね。時々全くピントのずれたことを言われるので僕も困るんですがね。じゃ前回の委員会の続きの――総理、これは大丈夫ですね、もうここまでお答えいただいたんだから。もうきちっと指令をしておいてくださいね。
#76
○国務大臣(中曽根康弘君) 今大蔵大臣がお答えいたしましたが、そのとおりです。
#77
○野末陳平君 それから農地の宅地並み課税をこの間うちから随分うるさく言っておりましたけれども、その後世論の追い風も吹いているようには思うんですけれども、当局としてはこの宅地並み課税強化、どういう方針で具体的に臨もうとされているのか、その辺のことをちょっとお答え願いたいんですが。
#78
○政府委員(津田正君) 宅地並み課税の点、先生からも御指摘を受けているわけでございますが、五十七年制度改正から五年間たっておりますので、その実績につきまして今地方団体から調査をし、またその意見なども聞いておるわけでございます。基本としましては、まじめな農家は守らなければいかぬだろうと。そのまじめとまじめでない区別をどういうふうにつけるか。それにつきまして地方団体もいろいろ意見がございますし、この五年間の実績も出てまいっておるわけでございますので、そういう意味で営農計画であるとか営農実績であるとか、そういうようなものをどのようにとらえるか、そういうような観点で現在地方団体と相談をしておる最中でございます。
#79
○野末陳平君 私が前回指摘したのは、これは固定資産税の負担の公平という面から特に宅地並み課税はおかしいと、こういうことだったんです。しかし、本来はこれは宅地供給の促進という面を考えた制度でしたから、この宅地並み課税強化は当然きちっと行われなければならないが、さて現状において、どうでしょう、それによって宅地の供給が促進されるのかどうか、この一番大事な問題。農地が宅地に供給されてくれば地価の上昇にもある程度のいい効果がある。その辺のことはどう考えていますか。この強化をするのは結構なんですが。
#80
○政府委員(津田正君) 宅地供給の観点、それだけではなくて都市におきます緑地なり環境の整備というような点も必要でございますし、また町づくりとして計画的に供給される、こういうような必要もあるわけでございます。税制面におきましても私ども今後指導を強化してまいりたいと、かように考えておりますと同時に、農住組合そのほかいろいろな制度もございます。そういうような制度も活用して計画的な町づくりが必要ではないか、かように考えておる次第でございまして、今後行革審等でも土地対策につきまして御審議いただく予定でございますので、そういうような全般的、総合的な観点から住宅供給促進という面も図っていかなければならない、かように存じております。
#81
○野末陳平君 抽象的でなく具体的にちょっといろいろお聞きしょうと用意はしていたんですけれども、時間もなくなってきましたので、それではもうこれは飛ばして別の機会に譲らしてもらいます、土地問題は。
 最後に総理に、土地政策なんですが、どうも地価急騰の背景にはいろいろなことがありますし、土地問題は非常に広くまた深い大問題だと思いますが、何かすべて東京集中型の経済、東京集中型の、何というかな、国民感情みたいなものも含めて、どうやら少し地方に分散していかざるを得ないのかなと。つまり、東京集中というのを続ける限り土地政策が幾らあっても決め手にはならないだろうと思うんですよ。ですから、これは総理の任期中にできるようなテーマでないかもしれませんが、お考え方として、東京集中をこのまま続けるのか、それとも地方分散ということを考えなければもういけないときまで来たのか、その辺の御認識だけを最後にお伺いして、終わりにしたいと思います。
#82
○国務大臣(中曽根康弘君) これは四全総でも明記してありますように、多極分散型の国土形成をやる、そういうことではっきり方向は明示してあるわけであります。
#83
○委員長(原文兵衛君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#84
○委員長(原文兵衛君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村泰君。
#85
○下村泰君 私は障害者の問題についていろいろと御質問をさせていただきます。
 何ですか、今度の予算委員会を拝聴しておりますと、出てくる各先生方が総理にいろいろと送別の言葉を述べていらっしゃるようで、よく聞いていると、ああ御苦労、早くやめろ早くやめろと、そんなような感じがいたします。まことに私はお気の毒だと思います。
 まず、去る六月の六日松寿園の特別養護老人ホーム、これが火事になりました。大変とうとい人命が亡くなっております。慌ててその後いろいろと善後策が出ているようでございますけれども、厚生省としてはその後どういうふうな活動をなさいましたでしょうか。
#86
○国務大臣(斎藤十朗君) 今先生御指摘のように、六月六日、東京都の特別養護老人ホーム松寿園におきまして火災が発生をし、十七名の皆様がお亡くなりになられまして、まことに残念な遺憾な事故でございました。お亡くなりになられました皆さん、またけがをされた方々に対して心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 この事故の重要性にかんがみまして、厚生省としてもいち早く対策を推進いたしておりますが、その第一は、これまでにも施設におきまして防火対策を講じておりました点について、それぞれの施設において十分行われているかどうかということの再点検、そして徹底ということを進めるべきであるということで指示をいたしております。
 第二点といたしましては、社会福祉施設につい
でどういう防火安全対策があるべきであるかということを抜本的に見直してみたいということで、消防庁とも協力を願いまして社会福祉施設に関する防火安全対策検討委員会というものを設置し、鋭意ここで今検討をいたしております。この見直しに基づきまして今後対応をいたしてまいりたいと考えております。
 第三点につきましては、そういう抜本的な見直しと同時に、それを先取りする形で緊急対策といたしまして、既存の施設、その中でも特にお年寄りや身体障害者の方々で、常時介護を要する、みずから避難できにくい、そういう方々を収容しております施設につきましては、スプリンクラーを全部設置するようにということで対応いたしてまいりたいと思います。今回、ただいま御審議をいただいておりますこの補正予算におきましても、そのための国庫補助経費といたしまして二十五億円を計上いたしておるところであります。その施設の設置者であります社会福祉法人の負担をできるだけ軽減いたしてまいりたいという観点から、その自己負担につきまして、社会福祉医療事業団におきまして十年償還、そして無利子という融資制度の道を開いたところでございます。今後とも自己負担のできるだけの軽減に努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#87
○下村泰君 厚生大臣の御努力は大変ありがたいことだと思います。ただ、今厚生大臣のお言葉の中に入ってはいましたけれども、土地があって建物が小さくて、既存のそういったホームがございます。土地があって建物が小さいと、これ継ぎ足し継ぎ足していきますね。そうするとまるでもう迷路、八幡のやぶ知らずみたいな建物もあるわけですね。こういう建築物が意外と多いんじゃないかと思うんです。殊に地方へ行けば地方へ行くほど多いと思います。こういう建築物に対するいわゆる、厚生省としてはただまあ勧告を与えるんでしょうけれども、今度は消防の方がどういうふうになるかというような問題があると思いますけれども、そこまでちゃんと気をつけておやりくださいますでしょうか。
#88
○国務大臣(斎藤十朗君) 元来、施設を増設いたします場合にも、社会福祉施設の基準に合ったようにいたしておりますので、そう迷路迷路という施設は余りないのではないかというふうに考えますが、確かにおっしゃいますように、増築いたしたところの施設との関連性というようなものについてもこの防火安全対策の面から今検討をいたしておりますが、今後とも対応いたしてまいりたいと思いますし、またスプリンクラーにつきましても、新規に建築する場合には比較的容易にできますけれども、既存の施設に設置する場合には大変お金と時間と、また入所者に対して大変御迷惑をおかけするという点がございますので、そういう点をできるだけ最小に食いとめるような簡易な方法によるスプリンクラーの設置ということを進めてまいりたいというふうに考えております。
#89
○下村泰君 こういった施設の安全対策だけでなく、今厚生省が推進している在宅福祉を考える――地域に住むひとり暮らしの老人ですとか、障害者、子供といった自力では避難できない方々、こういう人たちの安全対策についてもこれを機会にもっと積極的に取り経んでいただきたい。これは私の方のお願いでございます。よろしいでしょうか。
#90
○国務大臣(斎藤十朗君) 今先生おっしゃいますように、施設のみならず在宅の方々、特にまた寝たきりのおひとり暮らしのお年寄りなどを中心といたしまして、そういう方々に対する防火安全の対策というようなことも取り組んでまいらなければならないと考えておりまして、来年度何らかのことをいたしてまいりたいということで、今知恵を絞っておるところでございます。
#91
○下村泰君 昨年、第百七回国会の十一月十一日にお尋ねした電動車いすの仲なんでございますけれども、制限速度のアップとか、連続走行能力、余り遅いために踏切へ来てきんこんきんこん鳴っているうちに向こうへ渡れないというような事故があったとか、あるいは線路にはまってしまったとか、いろんな事故があります。これはお願いしたんですけれども、たしかお答えではことしの半ばごろという。半ば若干過ぎたんですが、どうなったでしょうか。
#92
○政府委員(内田文夫君) この問題につきましては、通産省の工業技術院におきまして電動車いすのJISの規格の見直しについて検討しておったところでございまして、もちろんこれに警察庁も参加をしずっと検討してまいりまして、電動車いすの速度の制限につきましては、車両の技術的な安全性の問題、それから歩行者及び電動車いす利用者の安全性の確保というようなことを考慮いたしまして、時速を六キロメートルに引き上げるということになったわけでございまして、この改正のJIS規格が所要の手続を経た後に九月一日に公示される予定と聞いておるところでございまして、我々といたしましても、この規格によります電動車いすを利用される方を歩行者として今後取り扱ってまいるということにいたすことにいたしております。
#93
○下村泰君 電動車いすについてはまだいろいろと使用者側からもろもろの要求があると思うんですが、そういうことにもこたえて早急にそういった問題の解決ができるような体制は整えていらっしゃいますか。
#94
○政府委員(内田文夫君) 先ほど申し上げましたように、九月一日からこれが公示されるといってとで、現在これを製造なさっている業者の方々ともいろいろとその安全性、これから使う場合のいろいろと注意なさっていただくこととか、そういうことの細かい詰めをいろいろと合いたしているところでございます。
#95
○下村泰君 今年度の六月二十五日に、政府が障害者対策長期計画後期重点施策というのをお決めになって発表されたようですけれども、この内容についてちょっと項目だけでも教えてください。
#96
○国務大臣(斎藤十朗君) 今御指摘のように、中央心身障害者対策協議会から、この十年のちょうど折り返し点になります本年、これまでの五年間を振り返り、そして今後の後期に対して取り組むべき御意見を賜ったところでございます。
 これまでの点についてはおおむね順調によくいっておるという評価をしていただき、今後においては、なお一層ノーマライゼーションの推進を図って、そして完全参加と平等の実を上げていくように、こういう趣旨のことでございまして、個々の施策等につきましては政府委員から答弁いたさせます。
#97
○政府委員(小林功典君) 後期重点計画の厚生省関連部分を申し上げますと、第一に心身障害の発生予防及び早期発見、第二に精神障害者の人権を擁護しつつ適切な医療を確保すること、それから社会復帰の促進、そして地域精神保健対策の推進、第三点が心身障害児の早期医療体制の整備、第四点が直ちに一般雇用につくことが困難な者に対する対策の推進、第五に在宅サービスの量的、質的な充実、そして第六に生活環境の整備等でございます。
#98
○下村泰君 もちろん私もこの内容は承知しておりますけれども、私にしますればこの内容一つ一つ全部に質問をしたいくらいなんですけれども、その中で特に四つの点についてお伺いします。
 一つは費用徴収の問題です。二つ目は小規模作業所の助成、三つ目は手話通訳士制度、そして精神衛生法について、これは最後の方で伺います。先に挙げました費用徴収、小規模作業所、手話通訳士制度、この三点について計画書ではどういうふうになっておりましょうか。
#99
○政府委員(小林功典君) まず、費用徴収でございますが、この計画の中では入所施設における利用者及び扶養義務者の費用負担のあり方について検討することというのがまず入っております。
 それから次は何でしたか。
#100
○下村泰君 小規模作業所。
#101
○政府委員(小林功典君) 小規模作業所は実は既に今年度予算で予算化をしております。
#102
○下村泰君 そして手話通訳ですね。
#103
○国務大臣(葉梨信行君) 政見放送は候補者の政
見を伝える重要な機会でございますので、できるだけ多くの方に政見の内容が伝わるよう便宜を計らっていくことが大事である、こう考えております。
 それで、手話通訳の政見放送への導入につきましては、先生からのお話もございまして、昨年の十二月に政見放送研究会というものを学識経験者にお願いいたしまして発足して、先般中間報告が出ました。それで、障害者が立候補されるという場合には、障害者の政見内容を原稿に書いていただいて、それを放送事業者が録音してそれを候補者が使う、こういうようなことで一応のめどがついたわけでございます。
 それから一般の政見放送について手話通訳をつけるという問題でございますが、これにつきましては、聴覚それから言語障害がある方につきましてそういう便宜を計らったらどうか、こういうことでございますが、これについては、できるだけ公平に候補者に政見放送の機会を与えなければならない、しかも厳密にそれを行わなければならない、こういう課題があり、政策上また技術上いろいろ問題がありまして、なおこれからもその問題を詰めていきたい、こう考えているところでございます。
#104
○下村泰君 順番が狂いまして、本来はこの通訳士制度のところで手話通訳など関係職種の資格制度化を検討することというふうにこちらの万のお題目はなっておるんで、これに答えていただいてそれから入るつもりでいたんですが、自治大臣の方が先行されまして、これから私が聞こうと思っておることを先に答えてしまいましたけれども、もう一回やりましょう。
#105
○政府委員(小林功典君) 失礼をいたしました。
 おっしゃるとおり、手話通訳につきましては障害別事項というところで手話通訳など関係職種の資格制度化を検討することというのがございます。
 それから、先ほど御答弁の小規模作業所でございますが、これにつきましても、一般雇用につくことが困難な者に対する対策という中で、小規模作業所に対する助成を充実することという記述がございます。
#106
○下村泰君 まず、費用徴収について伺います。
 昨年の六月三十日、厚生省前に障害者の皆さんが座り込みをしましたが、たまたまいりまでたってもらちが明かないという電話を受けまして、私が参りまして仲介の労をとらさせていただいたんですけれども、障害者の団体とそれから厚生省側との話し合いを持つということと、私が国会でこれを取り上げるということで皆さんに了解していただいたんですが、さきの通常国会の予算委員会で、福祉関係三審議会の中で検討され夏ごろには意見の取りまとめを行いたいという社会局長の答弁があったわけなんです。あれからもう二カ月たっておりますし、夏は目の前、きのう梅雨明け宣言がありましたので、きょうはもう夏なんですね。夏ごろじゃない、夏なんです。
 そこで、くぎを刺す意味でお伺いしますけれども、昭和五十七年三月二十九日の身体障害者福祉審議会答申「今後における身体障害者福祉を進めるための総合的方策」の前文の3のその三に「身体障害者を単に保護すべき客体としてではなく、自立自助すべき主体としてとらえ、施策の再構築につとめること。」、それから同じく五十七年一月二十二日の中央心身障害者対策協議会の「国内長期行動計画の在り方」の第五部第二章に「また、障害者の多くは、一般に「家族の扶養」に相当依存する面があると考えられるが、障害者が成人後も恒久的に「家族の扶養」に依存することは、家族への過重な負担となるとともに、社会の成員たる一市民としての障害者の自立及び社会参加意識を阻害することにもなる。」とあるわけです。
 これについて、今現在の政府の考え方はどうなのでしょうか。
#107
○政府委員(小林功典君) 先生のただいまのお話にございましたように、福祉関係の三審議会で合同企画分科会というものをつくって社司福祉全般について検討を行っておりますけれども、御指摘のありました費用負担の問題につきましては、先般、この合同企画分科会の中に費用負担問題小委員会というものを設置いたしまして、六月以降三回既に審議をしてもらっております。大変熱心な御審議をいただいているところでございます。
 これまで、その小委員会では老人、児童、身体障害者等入所施設全般についての費用負担の基本的な考え方、これについて御審議をいただいております。今のところ順調に進んでおるというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
#108
○下村泰君 次は、小規模作業所の件についてお伺いしますが、今の費用徴収問題はまだまだこれから先も問題があると思います。その都度お尋ねしてまいりたいと思います。
 昨年の概算要求で、総理のおかげでわずかながらでも予算がいただけるようになりました。これは大変ありがたいことです。実際にあのときの国会の様子をテレビでごらんになっていた障害者の皆様方にとってはまさに神の声、天の声でした。ただ、額が少ないんですね。ですから、同じ観音様でも浅草の観音様なんです。一寸八分しかないんですね。今、日本全国に観音様ブームで何十メートルというのがあるんですけれども、そっちへいってない、残念ながら小さいんです。ただ心配なのは、この補正成立後にいよいよ来年度の予算に向けてまた動かれることだろうと思うんですけれども、これはどうなんでしょうか。
 厚生省の方にちょっと伺いますが、これは何か期限がついていますか。何年でやめるとか、これから続けるとかという期限がありますか。
#109
○国務大臣(斎藤十朗君) これは、三年間程度をめどとして補助をしたいという意見を申した者があるようでございますので、そういうお話が大分出回っておることだと思うわけでございますが、元来、これは小規模作業所に補助をさしていただいて、その運営が円滑になり、そしてその経営が軌道に乗るということが望ましいわけでございますので、そういう場合とか、それからいろいろと整備をしていただいて、現在制度として持っております通称授産施設とかデイサービスとかというような施設に、言うならば格上げをしていっていただくというようなことが望まれるわけでございます。そういう意味で三年ぐらいをめどとして皆さん頑張っていただきたい、こういうことでございまするけれども、三年たった時点におきましてもその状態を十分考慮いたしまして、その後も続けていくというような柔軟な姿勢をとってまいりたいというふうに考えております。
#110
○下村泰君 柔軟な姿勢を厚生省の方がとる覚悟でございますと言っても、大蔵大臣、済みません、突如参りまするけれども、今厚生省の方では、三年ぐらいのめどとは言っているけれどもそうではないんだ、柔軟な姿勢で参りたいというようなことをおっしゃっておるんですけれども、大蔵省の方でそれはちょっと認められないななんということになるとまたおかしくなりはせぬかと、こちらにはそういう心配があるんですけれども、いかがでございましょうか。
#111
○国務大臣(宮澤喜一君) 厚生大臣のおっしゃることで結構でございます。
#112
○下村泰君 そうしますと、途中で打ち切りというようなことはないわけだ。
 総理、せっかくこうして総理の肝いりでできたわけです。総理の在任中にこんなすばらしいことができて、しかもこの恩恵をこうむっている方たちがいるんです。ただ、この額が少ないために地方自治体へこれが直接おりるというような手だてが講じられていないわけですね。ここのところに問題があるような気がするんですが、どうなんでしょうか。厚生大臣、これからふやしていって、地方自治体を通して各作業所、いわゆる小規模作業所におりていくというような方法は将来に向かって考えられますか。
#113
○政府委員(小林功典君) 国の助成の手法はいろいろございまして、おっしゃいますように確かに地方公共団体を経由するという道もございます。ただ、私どもは率直に考えまして、この種の補助というものは、障害者とかあるいはこの小規模作
業所といったものの実態に一番熟知しておって、かつ障害者福祉に関して全国的な幅広い活動を行っている団体がよろしかろう、むしろその方が効率的にいくだろうということで日身連を対象に補助金を交付することにしたわけでございます。そこで、当然、県の方もあるいは市町村なども国の補助金が流れますとそれに応じて協力するというのが数多い例でございますので、そういった意味での協力はお願いした方がよろしかろうと思いますが、ただ国の助成制度としては先生も御承知のようにこれ始まったばかりでございますから、そういうことで始まったんですから、この線でスタートをさせていただきたいというのが私どもの率直な気持ちでございます。
#114
○下村泰君 とにかく総理、総理とこのお話をして、そして総理に予算もつけていただきました。もうそのときよりも三百ふえているんですよ、この小規模作業所というのが。全国にもう現在千六百あるんです。ただし残念なことに、何回も言うようですけれども、予算が少ないものですから、千六百近くある中に十分の一ぐらいしか行き渡らない。額も少ないんですけれども、今いろいろと厚生省の方のお話を伺えば、大変目の前が明るく感じでおります。いかなることがありましょうとも総理はこのすばらしいものをそのまま残していっていただきたいと思います。
 手話通訳の資格制度、これも先ほど申し上げました。何か手話通訳にも方言があるんだそうで、津軽の方の手話通訳と鹿児島の方の手話通訳がぶつかったら何かわからなくなるというようなお話なので、実は私もびっくりしたんです。手話通訳に方言があるなんというのは全然知りませんでした。それだけに国家で認める標準的な手話通訳、これがないと全国に通用できない。したがって、先ほども申し上げましたように、これからもう一年半たてばまた通常選挙、そのときにまた耳の聞こえない不自由な方々のために、候補者が今何を言っているか、字幕ばかりでなくやっぱりこれが一番早いんですね、手話が。そういうことによって何とかして皆さんに理解していただけるようにしてほしいということを先般申し上げました。そのときに総理も、「せっかく事態を改善するために一歩前進してきているわけでございますから、もう一息全国共通によくわかるようなそういう方向を大いに工夫してみたい」というふうにおっしゃってくださいました。それから自治大臣もそういう方向でというふうにお答えは出てきたんですけれども、さあ、それがすぐに一年半後には間に合うようになるのかならないのか、そこのところをお聞かせ願いたい。
#115
○国務大臣(斎藤十朗君) 手話通訳につきましては、聴覚障害者のコミュニケーションを図る意味では非常に重要なものであるというふうに考えておりますが、今御指摘のようにさまざまな発展の経緯等もありまして、その標準化ということが望まれておるわけでございます。
 昭和五十七年から全日本聾唖連盟に委託をいたしまして、この手話通訳のあり方等について調査検討を数次にわたって続けてきていただきました。本年の五月にその手話通訳の認定基準というもののあり方について中間報告をしていただいたわけでございますが、なお最後の詰めを合していただいておりまして、本年度中すなわち来年の三月までに最終報告をいただくということになっておりますので、その報告をいただきまして私どもとしても対応をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#116
○下村泰君 そうしますと、今の厚生大臣のお話を伺いますと、どうなんですか自治大臣、一年半後の通常選挙あたりにはそれが実現できるという可能性になってきますね。
#117
○国務大臣(葉梨信行君) 先生一年半後とおっしゃいましたが、二年後ではないかと思います。
 後の方の、一般の政見放送に手話通訳を導入する問題、非常に難しい面がある。引き続いて学識経験者の委員会の先生方に御検討願いたいと思っております。なかなか難しい面があるということを申し上げておきます。
#118
○下村泰君 いろいろと難しいことだろうとは思いますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 さて、次に郵政大臣に伺いますが、去る五月三十日の朝日新聞の「天声人語」にこういう記事があるんです。
  大阪市の岩田美津子さんが点訳絵本を作り始めたのは、わが子のためだった。岩田さんは生まれつきの全盲である。だから絵本を手にした子に「これは?」とたずねられても、答えてやれない。これがつらかった。
 そのつらさを知人に訴えたことがある。知人が点訳絵本の工夫をしてくれた。市販されている絵本の文章を透明の点訳シートにし、それを文章の部分にはる。牛の絵があれば同じ形の透明シートを切りとって、はる。なんでもないことのようだが、これはすばらしい工夫だった
 岩田さんは子をひざに乗せて、次から次に絵本を読み聞かせることができた。絵の内容は子どもが説明してくれる。そのことで親子の会話がはずんだ。ボランティアの人たちが新しい点訳絵本を持ってきてくれるたびに、二人の子は叫んだ。「お母さんの字がついている絵本が来た」。
 本がふえるにつれて、だれもが利用できる「点訳絵本の貸出文庫」の計画が固まってゆく。周りの人の協力でいい本を選び、自らも点訳作業に加わって、絵本をふやしていった。岩田文庫発足は三年前である。本は今、千冊を超える。
 なぜ点訳絵本の郵送を無料にしないのか。郵政省はいう。「点字図書を無料にするのは盲人の福祉増進のためだが、点訳絵本の場合、利用者は健常者の子どもである。だから目的が違う」と。
 温かみのない解釈だし、点訳絵本の利用者が健常者の子だけ、というのも間違いだ。今は点字を覚えたての全盲の子も、絵は見えるが字が読めない強度の弱視の子も、絵本が好きになった全盲の大人も利用している。法をたてに点訳絵本の無料郵送を拒むほど、日本の文化はうすっぺらなのだろうか。
まず総理からお答えください。
#119
○国務大臣(中曽根康弘君) その文章の内容を今お聞きしてみますと、もっともなお話でありますから、郵政省に早速取り上げさして改善するようにいたしたいと思います。
#120
○下村泰君 こういうお答えを聞いておけば間違いない。
 どうぞ郵政大臣、薄っぺらな文化なんて言われないでください。
#121
○国務大臣(唐沢俊二郎君) お尋ねの点訳絵本の件でございますが、経緯を申し上げますと、盲人用の点字につきましては三十六年の郵便法の改正で無料化が決まりました。そのときは点訳絵本というのはなかった。その後出てまいりまして、普及したのは最近でございます。したがいまして、厳密に申しますと点訳絵本というものは盲人用点字のみを掲載したものには当たらないかもしれません。しかし、これを利用するのは盲人の方であります。今おっしゃいますように、全盲のお母さんが子供をひざに、そして絵を見せながら読み聞かせる本でございます。
 したがいまして、三十六年の法改正の精神を尊重いたしまして、今総理の御答弁もありますので、私はその点訳絵本にも盲人用点字と同じような取り扱いをしたらどうかと思いまして、可及的速やかに無料化を図るべく今から進めてまいりたいと思っております。
#122
○下村泰君 これが私は一番気に入らないんですよね、可及的速やかにと。可及的というのは何月何日何時何分と書いてないんですよ。こういう言葉が私は一番嫌いなんだ。
 常に総理がおっしゃっていますでしょう。国民にわかりやすい政治、国民にすぐ理解してもらえる政治、私はこういうところに中曽根康弘総理大臣の意思が生きてくるんではないかと思いますよ。取り上げる部分はこんな小さいことかもわかりません。郵政省がただにするかしないかだけの
話だ。しかしこれは、された人間にとってはどうでしょうか。これが一番国民にわかりやすい政治であり、一番国民の側に立った心温まる政治じゃないかと、私はそう思っていますよ。
 ですから、総理のおっしゃる文化とは一体何なんだと。一国の総理大臣、いわゆる宰相の心得の中にも福祉、文化を説いていらっしゃいました。その福祉、文化がこれだけの「天声人語」というこの活字の中で、こんな薄っぺらなものなのかという一言で片づけられる日本の文化なんですか。情けないでしょう。
 恐れ入ります郵政大臣、まことに御足労ですが、可及的速やかじゃわからないですよ、これは、いつ幾日、いつごろとはっきりおっしゃってください。そんなに郵政省が銭になる話じゃないでしょう。
#123
○国務大臣(唐沢俊二郎君) きょうのあしたというわけにはまいりませんが、いいことは早くやれというお話でありますし、総理から言われる前にやった方がいいと思いますので、来週の月曜日、二十七日から実施いたしたいと考えます。
#124
○下村泰君 珍しいことがある。しかしこれは大ヒットですよ。大ヒットです。総理、こういう下の方がいると楽でようございますよ。
 可及的速やかが来週の月曜日とは、これは本当に可及的速やかになりました。別に、ほかのいわゆる点字まがいのものでいろいろありますね、カレンダーとかいろいろなものがありますが、そういう話じゃないんですから、これはやっぱりその措置が私は一番すばらしいと思います。四十九年に私は国会へ参りましたが、こんなにすばらしい時間はありませんでした。大抵いったか、何だからっともわからないですからね。
 法務大臣に伺います。特別養子制度の件でまたまたお伺いしますが、今国会に出されているんでしょうか、まずそれを伺いたいんです。
#125
○国務大臣(遠藤要君) お答えいたします。
 さきの国会で継続審査になっておりますので、今、あしたにも御審議が願えれば成立するというような段階になっておるわけでございます。
 せっかくお呼び出しをいただいたので、一つだけ参考に私あてに来ている手紙を御紹介したいと思います。たくさん来ておるんですが、地元の宮城県のやつをやったのではどうかと思いますので、兵庫県の方の遠くの手紙を読ませていただきたいと思います。
  私は、昭和六十二年三月二十日付で貴職から先の御回答をいただいたものです。
 今度のおたずねは、本案が先の国会で議決されなかった結果、今後、いつの時期に決定の運びとなる見通しでしょうか。私どもにとっては、非常に不安なのです。
 本案が次の国会に提出されるのでしょうか。
 国会の議決が少々遅れても施行は予定どおり、明年一月一日からなのでしょうか。
 もし、施行が遅れてしまいますと、私の家の子供は、明年二月二十三日に満八才となってしまい、「ただし書」も適用されなくなるのです。
 このことは、私どもと、私どもの家の子にとっては、一生の問題だけに心配でたまりません。
こういうような手紙がたくさん来ております。
 さような点で、これはぜひ、先生はもちろんですが、各先生方にもお願いを申し上げて、一日も早く成立されるようにと。
 法務省としてまたもろもろの法案も提出しておりますが、今、一つだけこの機会におしゃべりさせていただきたいと思うんですが、外人登録というのがあるんです。これが今非常に外人の方々なりから問題にされておるわけですが、期間が切れるとその人が違反者になるというようなことで、法務省は違反者を出すのが目的ではございませんので、指紋の押捺も、さきに登録されている人が提出法案が通過すれば違反者にはならずしてそのまま登録されるというようなことにもなりますので、その点をひとつ本委員会を通じて先生方の格段の御協力をお願い申し上げて、お答えといたします。
#126
○下村泰君 今の法務大臣のそのお手紙の中にもありました。確かに八歳未満の者になりますると縁組がおくれます。私は昭和五十一年からしばしばこの問題を取り上げてきたのでございます。
 養子縁組いたしますと、これは今までの法律ですと実親と縁が切れておりません。養い親とつながります。養い親に子供がないからこそ養子をもらう。ところが、その養い親のときに一例えば仮に財産を一億円としましょう。この養子が一生懸命働いて十億円の財産にした。ところがその時点になって、その養い親によそに子供が生まれた。そっちの子供の方に財産を継がせてやりたいというところから、自分でもらって育てておきながら、財産がそれだけ膨れたら、その子供と親子の不存在確認という訴訟を起こして、この子供をほうり出して自分がほかで生まれた子供を連れてきて財産を継がせる、こういう事件がしばしばあるわけですね。それで親子不存在確認という訴訟が大体年間二千件近くあるんだそうです。そして、この訴訟が実際に大阪でありまして、最高裁にいったんですけれども、その答えはと聞いても御無理でしょうね。通告してございませんから御無理だろうとは思いますけれども、そういったような事件が起きているわけです。
 一番望んでいるのは、わらの上から育てたい、これは当たり前の人情なんだ。ですから、生み親でお子さんを育てたくないという方からいただいて、そちらの縁を切っていただいて、養い親の完全な子供、そのかわり勝手な離縁もできないというのが今度の一番骨子になる法律なのでございます。
 したがいまして、今ここにいらっしゃる野党の皆様方に、こんなばかなことを言うのは間違いかもわかりませんけれども、一日も早くこれを通していただきませんと、法務委員会の方ではほかの法案に先行させてこれを通していただきませんと、そういう方々で悩んでいる親子、子供がたくさんいらっしゃるわけです。そして、養護施設とか、あるいは親に捨てられた子供さんの収容されているところとか、乳児院とか、そういうところから養子縁組することによって救われるお子さんがたくさんいるということもひとつ皆様方の頭の中に入れておいていただきたいと思いますが、重ねて法務大臣どうでしょうか。いきそうでしょうか。
#127
○国務大臣(遠藤要君) 先生お話しのとおりで、私自体も熱心に皆さんにお願いしますが、ぜひ今国会で成立させていただくことをお願い申し上げます。
#128
○下村泰君 次は、精神障害者の問題についてお伺いをいたします。
 まず、総理、精神障害者という言葉を聞きまして総理はどういうイメージをお持ちになりましょうか。
#129
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の頭にすぐくるのは人権という問題であります。
#130
○下村泰君 恐れ入りますが、厚生大臣、法務大臣、国家公安委員長、それぞれお答え願いたいと思います。
#131
○国務大臣(斎藤十朗君) 今総理からも人権というイメージをおっしゃられましたように、精神障害者の方は心を病める方でありまするけれども、社会一般的にはなおその理解が不十分であるという状況だと考えております。しかしながら、医療とかまた社会復帰、また精神保健の地域におけるケア体制というものが整い、また一般国民の皆さんの理解が深まることによってかなり多くの方々が社会に復帰できるものであるというふうに考えております。
#132
○国務大臣(遠藤要君) ただいま総理、厚生大臣がお答えのとおりでございまして、まだ世の中においては偏見な見方をされている方が多い、そういうような点で、人権擁護を預かっている法務省といたしましては、御承知のとおり日本が国際国家として世界においてもハイクラスになった、人権問題もやはりそのような水準に引き上げていかなければならぬ。このような点で一層努力し、さらにまた救済制度についても各省庁に御提言をさ
れる点はして盛り上げていきたいと思いますので、御了承願います。
#133
○下村泰君 自治大臣にもお願いします。
#134
○国務大臣(葉梨信行君) 警察に関係している者といたしましては、保護という言葉が浮かんでまいります。お役に立つことがあれば援助をして差し上げたい、こう考えます。
#135
○下村泰君 実は、この前の予算委員会の一般質問の折にやはりこれと同じお話をさせていただいたんですが、あいにくとそのときに総理大臣と厚生大臣がいらっしゃらなかった。あえていま一度取り上げさしていただきますけれども、ここに全国精神障害者家族会連合会、これは全家連と言っておりますけれども、ここが中心になりまして昭和五十八年度に行った「精神障害者の社会復帰・福祉施策形成基盤に関する調査」というものがあります。市民、家族、有識者、専門従事者、この四つのグループに同じ質問を行っておるんです。その中で、市民と専門従事者、この答えが物すごく対照的なんです。
 五十五分までですからその中でおさめるつもりでおりますが、「精神障害者はほうっておくと何をするかわからないのでおそろしい」と思うか。これが質問です。それに対して思うが、市民が五一・一%なんです。専門に従事していらっしゃる方は七・五%なんです。それから「精神病院が必要なのは、精神障害者の多くが乱暴したり、興奮して、傷害事件を起こすからである」と思うかということに対して、市民は思うが多いんですね、五〇・一%。専門家は一〇・五%。それから「精神障害者が異常行動をとるのは、ごく一時期だけであり、その時以外は社会人としての行動をとることができる」、そう思うかという質問に対して、市民はそう思う人が二六・六%、それから専門家は六三・九%がそのとき以外は社会人としての行動をとることができるというふうに答えているわけです。
 ここに精神障害者の問題の難しさの一面がまず出ています。これについてはもっとお話しをしたいと思いますが、ちょうど午前中の時間でございますので午後に譲ります。
#136
○委員長(原文兵衛君) 下村泰君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#137
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十二年度補正予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、下村泰君の質疑を行います。下村泰君。
#138
○下村泰君 午前中ちょっと手短に申し上げましたので、もう一回ちょっと復習させていただきますが、昭和五十八年度に行いました「精神障害者の社会復帰・福祉施策形成基盤に関する調査」というので先ほども申し上げましたが、市民の方、家族の方、有識者の方、こういう障害者のための専門従事者の方、こういう方々の四つのグループに対して同じ質問をした。それに対して、市民と専門従事者のお答えが大分違う。もう一回申し上げます。「精神障害者はほうっておくと何をするかわからないのでおそろしい」という質問に対しまして、市民の側が五一%、専門の方は七・五%。「精神病院が必要なのは、精神障害者の多くが乱暴したり、興奮して、傷害事件を起こすからである」という問いに答えたのが、一般市民が五〇%、厳密に言えば五〇・一%、専門家が一〇・五%。「精神障害者が異常行動をとるのは、ごく一時期だけであり、その時以外は社会人としての行動をとることができる」と答えた市民が二六・六%に対して、専門家が六三・九%、こういうふうに出ております。
 これに対して、今の数字をお聞きになりまして、まず総理はどういうふうにお考えをお持ちでしょうか。
#139
○国務大臣(中曽根康弘君) 一般市民の皆さんは理解力が不足で先入観にとらわれている、専門家は物事をよく見詰めて実証的にお考えになっている、そういうことではないかと思います。
#140
○下村泰君 厚生大臣にもお伺いします。
#141
○国務大臣(斎藤十朗君) 確かに、精神障害者の医療や社会復帰等の施設に携わっておられる方々もしくは御親戚にある方、友人にある方、そういう身近な方と全く無関係な方との間に非常に大きな差があるということは私どもも感じておりますし、そしてそれがかなり社会一般的には理解が進んでいないという平均的な状況にあるということであります。
 精神薄弱者やまた身体障害者の方々に対しましても、二十年ぐらい前までは今御指摘のような状況であったように私は認識をいたしておりますが、その後諸般の施策を推進いたしてまいりました今日、身体障害者や精神薄弱者の方々に対しては非常に理解が深まってまいったというふうに考えております。そういう意味では、精神障害者に対してはこれから一層国民の理解を深めていくために各般の施策を推進していくという必要性があるというふうに考えております。
#142
○下村泰君 そこで、最近の交通関係を除く刑法犯の検挙者数と全人口に占める割合、これ本当ならば関係官庁にお尋ねするところですけれども、手元にございます昭和六十一年版の犯罪白書、「犯罪被害の原因と対策」という、これは法務総合研究所から出ております。これを拝見しますと、精神障害者の検挙者数、これは精神障害者は大体百二十万と推定されます、これと一般の方と比べますと、こういう数字が出るんですね。昭和六十年の検挙者数、これは交通犯を除きます、四十三万二千二百五十人、これは人口一億二千五百万に対しましてこういう数字が出ます。そのパーセンテージでいきますと大体〇・三六%ぐらいになります。この四十三万二千二百五十人のうちに精神障害者の方が件数として織り込まれておりますが、この方たちが二千四百八十九人。ですから百二十万に対しますと〇・二三%ぐらいになるわけなんです。ですから、こういった方々がすぐ即犯罪につながるというような考え方というのは私はちょっと短絡的ではないか、こういうふうに思います。これはあくまでも一つの試算でございますから、すぐ犯罪と結びつけるということはちょっとどうかと思います。
 そこで、差別や偏見というのは一体どうして生まれるのかと考えてみますと、いろんな要素があって一概に論じることはできません。けれども、その意味で法律の持つ意味は非常に大きいんです。社会の風潮が法律に反映することもあれば、法律が差別をつくることもあると考えてもいいんじゃないかと思います。
 一九五〇年の精神衛生法制定当時の提案理由の中に、従来は、精神病者、しかもその精神病者のうち社会生活に極度に弊害を及ぼす者だけを取り上げておりましたが、この法案におきましては、いやしくも正常な社会生活の発展の上に少しでも障害になるような精神上の弊害を持つ者は全部対象といたしまして、精神病者のほかに精神薄弱者、精神病質者も加えたのでありますと、こういうふうに言われております。今日まで根本的には何にも変わっておりませんし、今回の改正にもこの定義には触れてないんです。
 私は、この精神障害者の問題を考えるときに、国として三つの施策の誤りを犯しているんではないかと思うんです。まずその一つとしては精神衛生法の基本的な性格、すなわち鉄格子、かぎのイメージに象徴される社会防衛、保安思想の考え方に立った法律の存在、二つ目は資格の制限規定や法律における排除規定の存在、三つ目は社会復帰施策のおくれ、こういうことなんです。殊にこの三つ目の社会復帰施策のおくれが大変目立つんですけれども、どうしておくれているんでしょうか。厚生大臣の方に何かこれに対する御見解ございますか。
#143
○政府委員(仲村英一君) 社会復帰、リハビリテーションにつきましては、我が国は実は歴史的
にはかなりおくれて出発しておるという認識を持っております。その中でも、今御指摘のように、精神障害者につきましては、先ほど御指摘のございましたような地域社会の無理解でございますとか、施設体系が十分整備されておらないというふうないろいろの条件、環境条件が影響して、私どもとしても現在先進国に比べてまだおくれておるという認識に立っておるところでございます。
#144
○下村泰君 こういう例があるんですよ。精神病院を退院しまして、その方が運送業を営んだんです。事故もトラブルも何もなく頑張っていたわけです。もちろんこれは病院を退院してから免許証を取っているんです、運転免許証を。その方が事業をやっておった。仕事上で、車の上のことじゃないんです、営業上のことでトラブルがあった。ところが、警察官が入院歴のあるのを聞き出しまして、おまえさんは免許証を持っている資格がないんだということで取り上げられたために、この人は生活苦に追い込まれて、しかもめちゃめちゃな人生になったという話もある。こういうのはどういうふうにお考えになりますか。
#145
○政府委員(仲村英一君) 資格制限でございますとかいろいろのことである意味での差別が従前から存在しておったということもございますので、私どもといたしましては、現在お願いしております精神衛生法の改正法案の中で、例えば公衆浴場法についての改正を図りたいとか、それから関連の資格制限その他につきまして、私どもとして通知を出しまして、各省庁に御検討あるいは都道府県につきましても御検討をお願いするということでやっておるところでございます。
#146
○下村泰君 もう一つ伺いますけれども、社会復帰施設を設置できるという今回の改正になっております。そういう表現になっておるんですけれども、義務化はしませんか。
#147
○政府委員(仲村英一君) 私どもといたしましては、先ほどの小規模作業所のような形で、予算補助のような形でいろいろ促進を図るということも考えておりまして、そういう観点で、施設整備でございますとか運営費の補助とか、そういう予算面では私どもとしてもできるだけのことを努力してまいりたいということで、法文上には設置することができるということで御指摘のように整理をさしていただいておるところでございます。
#148
○下村泰君 昭和五十八年の厚生省の実態調査でも、退院可能者が五七%、対応いかんではさらに多くの人が退院可能と、厚生省もこう認めておるわけですね。ですから、この方たちが退院して社会復帰しようとしても、そこのところがネックになって、しかも予算は年々減っているんですね。措置入院者が減っているんだから予算も減っている。社会復帰の方に対する予算というのはまるでゼロに近いわけですよ。そういう人たちを受けているのが総理にお願いした小規模作業所、こういうところでこういう人たちをほとんど受け皿として受けているわけなんです。だから、国の方の施策としてはまるっきりゼロに近いわけですよ。
 もう一度伺います。何とかなさいますか。
#149
○政府委員(仲村英一君) このたびお願いしております精神衛生法改正は二十二年ぶりの改正でございまして、私どもできるだけのことを改正案に盛り込みたいということでやってまいりましたけれども、その重点的な柱の一つが今御指摘の患者さんの社会復帰でございます。これには、施設を整備するということだけでなくで、その施設に従事しますマンパワーの問題でございますとか、その施設の置かれます。国の住民の感情とかいろいろ問題がございまして、今までおっしゃるように十分伸びてない面もございますけれども、今回もし改正法案が通過いたしますれば、私どもとしては、先ほど申し上げましたような重要な柱の一つとして、さらに精神障害者の社会復帰については重点的に取り組んでまいりたいという覚悟でおるところでございます。
#150
○下村泰君 この問題は、午前中のように可及的速やかにというわけにはいかない。これは私もよくわかります。そんな簡単な問題じゃありませんから、相当なこれは年数を要すると思います。しかし、それもできるだけそういう方向に向かって、とにかく日本人というのは、同じ私も日本人なんですけれども、こういう問題に関する感覚というのは物すごく古いんですね。古いというか、固執している。私にもかつてそんなことがありましたけれども、しかしそんなことでは文化程度も疑われますからね。ですから、どんどんこういう問題は解決の方向に向かって努力すべきだと思います。
 アメリカのある精神科医は、――情けないんですよね、日本人のお医者さんの中でこういうのが出てこないんですね。こういう問題に出てくるのは秋元先生ぐらいなもので、あと大抵アメリカの方の精神医学だとかそういう先生の言葉しか出てこない。アメリカのある精神科医は、社会が患者を排除すれば患者も嫌な反応を起こす、社会が温かければ患者も温かくなる、不幸な事件は受け入れる社会の側の問題でもある、こういうふうにおっしゃっているわけですね。ですから、こういうことをアメリカあたりの学者にばかり言わせないで、たまには日本の学者もこういうことを言って大きな提言をというか、波紋を投げてほしいと、こういうふうに考えております。
 それから、時間がございませんからこれでおしまいです。よく総理は、文化あるいは福祉ということをお言葉になさいますけれども、アメリカの前の大統領カーターさんの御夫人が、一国の文明度をはかるには、その国が、その国民の弱き者、例えば老人、子供、病める人、障害者、特に精神病者をいかに取り扱っているかということによって判定すべきである。アメリカではこの精神障害者に対する取り扱い方はまだ十分ではない。だから、アメリカはもっと努力して文明国の水準に持っていきたい。アメリカが言っておるんです。アメリカがおくれているといったら日本はどういうことになりますかね。えらいことになる。これは総理の言っているしととまるで違っちゃう。
 そこで、総理にもいつかお願いしましたが、総理は障害者のための運動の総本部長でございますし、幾らあともう総理でいらっしゃる期限が短いとはいいながら、まだまだ総理でいらっしゃるんですし、新しい方が決まったってその方にバトンを渡すまでは総理なんですから、いろいろと障害者の行事もありましょうし、そういう方々にできるだけお顔をお出しくださいまして、そういう方と語り合っていただきたい。総理が就任されてから私は障害者問題でいろんなことをしていただきました。これからもどうぞひとつこういう弱い方々のために後継者にもそういう言葉を送っていただいてきれいな花道を去っていただきたいと、こういうふうに心から念ずるものであります。
 どうぞひとつお言葉を願います。
#151
○国務大臣(中曽根康弘君) 国連障害者年十カ年計画の半ばになりまして、政府としてもいろいろ努力してまいった次第ですが、下村議員からもいろいろ御忠告やら御鞭撻をいただいて大変ありがたく感ずる次第であります。
 今のカーター夫人のお言葉はまさに我々にも当てはまる言葉でありまして、我々も後期五年の優秀な成果をおさめるためにも政府が率先して努力してまいりたいと思います。
#152
○下村泰君 ありがとうございました。
#153
○委員長(原文兵衛君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#154
○委員長(原文兵衛君) 次に、平野清君の質疑を行います。平野清君。
#155
○平野清君 この臨時国会での予算委員会もいよいよ本日で終わりとなります。中曽根総理としては最後の予算委員会だろうと思います。その最後の質問者という名誉を担って、サラリーマン新党を代表して御質問さしていただきます。
 さて、私、若いころよく所用がありまして車で群馬県下を走ったことがございます。ところどころに大きな看板が立っておりまして、「首相は国民投票で選びましょう 中曽根康弘」と書いてございました。多分鳥川のあたりをよく通ったんですけれども、大変大きな看板で、それを見まして、
なかなかユニークな発想の政治家、中堅将校がいらっしゃるんだなというふうに感じました。ただし、そのとき実感で、余り大きな声じゃ言えませんけれども、今やられてもちょっと中曽根先生無理じゃないかなというようなことを覚えていたような気がいたします。
 しかし、選ばれ方が違うとはいえ、志を達成されて、四十五人目、七十一代の総理となられて四年有半大変御苦労されてきたわけでございます。特に中曽根総理は大統領的首相というふうなことを自負されたと言われております。若いころ提唱されましたこのいわゆる首相公選について今はどのようにお考えになっているか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#156
○国務大臣(中曽根康弘君) 首相公選論は、私はマッカーサー占領下から、いろいろ日本の議会制度をどうするか、あるいは統治形態をどうするかということで考え、かつまた、昭和三十年代に入りましてから憲法調査会ができて、その委員になりまして、そこでまた憲法論の中でも私が展開した議論でございます。
 なぜそういう考えを持ったかといいますと、あの戦後のマッカーサー占領下の日本はかなり混乱もしておりましたし、そういう情勢を考えてみると、やはり全国民の力をかりて直接に政治の力を培養し、そして強力な政権、また民意に沿った政権をつくる以外にないだろう、そういう心配等もありまして、特にワイマール・ドイツの結果を見て、戦後の日本がどうなるだろうか、そういうところからも考えた発想であります。
 端的に言えば、そういう直接選ぶということによって国民にも責任感も出てくる。それで、政治というものは東京の一角やあるいは派閥の影響を受けて政治が動くということでなくして、国民の民意に沿った政治により密着してくるであろう。そういうような派閥政治とかあるいはいわゆる永田町政治という弊害を打破するだろう。しかし、日本の国柄というものもありますから、それはあくまで総理大臣であって大統領ではない。それは天皇が国民投票の結果出た者を任命なさる、そういう形がいいだろう。また、そういう形をやれば恐らく二大政党は出てくるであろう。そして、やはり国民に好かれて当選しそうな人を出してくるわけですから、票が接近してきて、それでどっちが勝つかというので国民も非常にまじめになって政治に関心を持ってあろう。そういうような考え方が基本にありました。
 しかし、その後アメリカ議会等を見ておりますと、一方においてはそういう長所もありますけれども、片方におきましては、議会とそれから行政府というものが余りに乖離いたしまして、議会と行政府がばらばらな形に動く、そういう大きな欠点もまた出てくる。あるいはさらに、いわゆる公選された首相というものがややもすというと国会を無視して独善的な行政に流れはしないか、そういう心配もなきにしもあらずである。一長一短だと思っております。
 しかし、韓国の最近の模様を見ますというと、やはり大統領直接選挙に変えよう、そして民衆の力によって政治というものを街の、例えばソウルの街の一角から全国民のところへ開放しよう、そういうような発想が韓国に出てきて、この間のような大英断が下されたのではないかと思います。
 国によってみんな国情は違いますから、国民が選択すべきものである、そう思っていますが、これには憲法を改正しなけりゃならぬ。中曽根内閣は憲法改正、これを議事日程にいたしません、そうも申し上げておるのでありますから、その点は慎んでおるということでございます。
#157
○平野清君 御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 もう一つ伺います。
 総理というのは大変な激務だろうと思います。四年有半にわたって、本当に中曽根総理の知力、気力、体力ということに対しましては、私など一年生議員としてはもうほとほと感心申し上げている次第です。しかし、江戸時代の大老とか明治時代の首相と違いまして、この情報化時代、また世界の経済大国としての日本の総理というものは大変なもう任務をしょっていらっしゃる。総理の決断によっては国民の将来が左右されかねないことが多いと思います。そういう意味で、今大変問題になっております長時間労働の短縮ということ、まず本当なら総理をもう少し休ませて、少し頭なり体なりに充電をして、もう少し日本の将来に直接かかわる、これはという問題に傾注していただく方が国民にとって大変幸せではないかというふうに私なりに考えることが多々ございました。
 確かに立派な内閣官房御もございますし、ここにすばらしい大臣も並んでいらっしゃいます。しかし、売上税の例を見るまでもなく、大事なときには総理が決断をしなきゃいかぬ。そういうことで、これから中曽根さんの後を三人ないし四人の方が座を競っていらっしゃるわけですけれども、それらの人に少しでも頭を休め、体を休め、日本の重要問題だけに大きく取り組むというような立場をお与えになった方がいいんじゃないかというような気もいたします。
 そういう意味では、例えば総理と総裁を分離なさるとか、副首相を二人制になさるとか、いろんな方法があると思います。自民党のことを余計なことをミニ政党が言うなということじゃなくて、その四年有半の激務の中から、今私が申し上げたことで何かお感じになることがございましたらお答えいただければありがたいと思います。
#158
○国務大臣(中曽根康弘君) 総理大臣や政治家に休養を与えなけりゃならぬということは非常にありがたいお言葉で、それは非常に大事なことであると思います。一番大事なのは、やはり一人で置くということだと思うんです、孤独にしておく。元来、総理大臣というものは孤独の性格を持っておりますけれども、判断をするという場合にはやっぱり一人で判断をするわけで、周りの者に影響されない。だから自分の家族からも離れて一人でいる。そういうことが実は非常に大事なことであると思います。そういう意味において、一人で置いて、そうして実によく物を考える、そういうふうな機会を与えていただくということが大事じゃないかと、そう思います。
 それから総理・総裁分離論につきましては私は反対でございまして、現在のような議院内閣制というものをやっておる限りは、この議院内閣制の最大の長所を発揮するというのは、議会与党と政府が一体になって、そうして政府・与党で決めたことは必ず多数の力をもって成就させる、そういう信頼感、あるいは多数決原理といういわゆる民主主義の基本というものの上に立ったものを議院内閣制によって実行していく。したがって、政府の政策、党の政策というものが一体になって、それがより実現しやすいという意味で現在の制度は長所を持っておるわけです。アメリカから比べればもう一目瞭然です。ただ、その場合に、やはり総理大臣と総裁が分離しているということは、ややもすれば力が二分される、あるいは大事な党と内閣に亀裂ができるとか、そういう原因になる危険性があると思います。議院内閣制の一番の長所というのは私はそういうところにあるのではないかと思うんです。
 外国は外国で長い伝統がありますから、党首というものと総理というものと分離しているところがございます。ドイツなんかはそうですけれども、しかし英国あたりはもう完全に一体ですね。日本は英国型の政治を追ってきて、その伝統の上に明治以来の憲政が行われておるわけですから、よほどの欠陥がない限り、長所の方が成熟して今や大きいのではないかと、そう思っております。
 それから副総理その他に仕事を分担させるという点も、それは結構であると思います。
#159
○平野清君 ありがとうございました。
 税制に入る前に、ぜひ通産大臣にお聞きしたいんですが、きのう、ちょうど今ごろですか、一都四県二百八十万戸にわたる大停電がございました。都市機能としては大変な大混乱に陥ったと思います。どういう原因で起きたのか、また監督官庁としてはどういう御指示をなさって、二度とこ
ういう問題が起きないようにされているのか、ぜひお聞かせいただきたい。
#160
○国務大臣(田村元君) 昨日午後一時十九分、東京電力管内で停電事故が発生いたしました。東京などで約二百八十万件が停電しました。この二百八十万件というのは、軒の転じゃなくて事件の件、二百八十万件でございます。原因につきましては目下調査中でございますが、当日の急激な温度上昇による冷房需要の急増に局所的に供給が対応できなかったために一部の変電所からの供給が停止したことによるものと考えられます。
 通産省としましては、この停電事故が社会的に大きな影響を及ぼした事故でございますから、事件発生後直ちに東電から事情聴取するとともに、今回の事故の原因究明、またこの停電の影響についての実態把握を早急に行いまして、再発防止に万全を期するよういろいろと指示を東電に対して行った次第でございます。
 きょう以降の対策としましては、東京電力は、昨日のような停電事故が発生しないように、電力の広域融通、それから都市部の発電所の稼働増、また必要に応じて需給調整契約に基づくピークカットの機動的な実施など、万全の措置をとるものというふうに聞いております。通産省としましても、今後原因の究明を待ちまして、必要のあるたびにそれなりの措置を講じていきたいというふうに思っております。
#161
○平野清君 ニューヨーク、フランスの例もありますので、十分な御指示をお願いしたいと思います。
 それでは減税問題に移りますけれども、まず農林水産大臣にお尋ねをいたします。けげんな顔をなされるかもしれませんが、まず農林水産大臣にお尋ねをいたします。
 農林水産大臣、この国民生活白書、昨年の秋に出ましたけれども、ごらんになったことがありますでしょうか。
#162
○国務大臣(加藤六月君) よく読んでおります。
#163
○平野清君 そうしますと、きのうの予算委員会でクロヨンの存在を他の委員が御質問になりました。そのときに、決してクロヨンは存在していないというふうにはっきり答弁されました。この国民生活白書、政府が刊行物として初めて出したクロヨンを肯定した文書でございます。これは経済企画庁です。農水大臣、お読みになったのなら、その点をもう一度ぜひお聞かせいただきたい。
#164
○国務大臣(加藤六月君) クロヨンという言葉は税法上どこにもありません。
#165
○平野清君 お読みになっているんですから、クロヨンの存在、認めていらっしゃるんだろうと思います。農業の方の肩を持つのも結構ですけれども、実態をはっきり認識していただきたいと思います。
 それでは、商業、工業のことを担当されている大臣は、この白書のクロヨンの存在についてどうお考えでしょう。
#166
○国務大臣(田村元君) 今農水大臣が税法上そういう言葉はないということでございましたが、それは事実だと思いますけれども、実態面では考えなければならない面が多々あると思います。
#167
○平野清君 通産省の方が私に一歩譲ってくださって、大蔵大臣は前からクロヨンの存在を認めていただいておりますので、閣内の不一致はないと思います。私たちサラリーマン新党としましては、この不公平税制一本で闘ってきた政党でございますので、このクロヨン解消にぜひお力をお寄せいただきたいと思います。
 では具体的な減税問題に入りますけれども、大蔵大臣にこの際申し上げておきたいのは、税制のことになると、与野党の協議機関ですべてをやっているので今は答えられないというお答えが返ってきます。午前中も野末陳平先生が御質問なさいましたら、全部そういうお答えでございまして、野末先生の立場からも私たちサラリーマン新党の立場からも質問のしょうがないわけですね。数字をお聞きしますと、それは全部税制協議会でおやりになっている。そういうのじゃなくて、自民党の税制協議会の方は、野党の方とお話し合いになった後では、蔵相やもしくは総理といろんな点で、野党はこう言っているけれどもどうだろうというようなことを当然お話しになっていると思うんですね。だから、そういうふうに数字は申し上げられないとか、ただ逃げるんじゃなくて、もうちょっとサラリーマンが納得する数字をぜひお示しいただきたいと思うんです。
 それからこの税制協議会ですけれども、ちょっと不思議に思うのは、衆議院だけなんですね。参議院でこれだけの先生が大勢、専門家も多分いらっしゃると思います。衆議院だけでやられて参議院はつんぼ桟敷、予算委員会で質問申し上げると、今結果待ち、しかも共産党さんも入っていらっしゃらない。共産党さんが入っていらっしゃらない原因は私わかりませんけれども、ミニ政党、二つも三つもございますが、その二つは全部税金で闘ってきた党でございます。協議会に入れてくださらないのなら、せめて、君たちの考えていることはどういう税制改正か、文書でもっていついつまでに協議会の参考資料とするから出してほしいというようなことを言われても、私は民主政治の中で当たり前じゃないかと思うんですが、大蔵大臣いかがでしょう。
#168
○国務大臣(宮澤喜一君) どうも、私ども一々税制改革協議会ということを申し上げて、いかにもそれを隠れみのにするようで私も本意でないのでございますけれども、現実にそういう事態になっておりまして、もともと、政府の税制改正に関します方針なり意思は前国会に御提案をいたしたわけでございますから、これは極めて明瞭になっておると思うのでございます。
 ただ、その政府の案が衆議院におきまして廃案になり、廃案に際して、院としてその後をどういうふうに処理すべきかという立場から議長があっせんをせられた、そういうことであったわけでございます。したがって、これは衆議院としてのこの問題についての対処の方法を議長のあっせんで各党が、共産党を除きましたが、せられたわけであって、もとよりそれは院議と称する厳密な意味での機関として行われたものではなくしかし、もちろん私的なものではございませんが。参議院とは別の衆議院の中における一つの議長あっせんによる各党の合意によって行われたものと、こう考えております。
 それで、各党が協議をして直間比率の問題を初め、税制改革は大事な問題だからひとつ検討するようにという議長のあっせんに従いまして御討議が行われておるものでございますから、ある段階までは政府が差し出がましくそれについて物を申し上げることはどうも適当なことではない。自民党という立場でございますと、これはまさに協議会でいろいろ主張しますので、それは主張があるわけでございますけれども、政府という立場になりますとそう申し上げることができないものでございますから、まことにどうも歯切れの悪いことを申し上げて、前例のないことで、私どもも、御審議をいただく上で甚だ隔靴掻痒の感をお持ちになられるだろうと思いつつ、どうも今日までそういうふうにさしていただいたような経緯でございます。
#169
○平野清君 そうしますと、午前中の野末陳平先生の例もございますので、ある程度私たちの方の、サラリーマン新党としての税制の減税問題について考えを申し上げながら、その中でお答えいただけることがありましたらぜひお願いしたいと思います。
 今論議されております所得減税は、一兆円などと言わずに二兆円により近い大幅なものであってほしいとサラリーマンの多くは望んでおります。といいますのは、長い間クロヨンの不公平税制に泣いてきたサラリーマンです。そこへもってきて、今一番問題の内需拡大が叫ばれているわけですけれども、そういう内需拡大の柱となるのはやはり大型減税にあると確信しております。
 そこで、その減税ですけれども、中堅サラリーマンを重点とした恒久的な税制改正であるべきであって、したがって一年限りの戻し税方式といった応急手当てではサラリーマンは非常に困るわけ
です。さらにこれを言いかえますれば、所得減税内容については、さきの一〇八国会御提出の改革案をさらに大幅に前進させた厚いものであってほしいと思います。その方法としまして、私たちは、サラリーマン固有の控除であります給与所得控除を中堅層を中心に拡大するのが一番ベストだというふうに考えておりますけれども、大蔵大臣はどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#170
○国港大臣(宮澤喜一君) このたびの所得税改正に当たりまして、サラリーマン、殊に中堅までのサラリーマンを中心に軽減を図りまして重税感を除去しようと考えましたことは、ただいま御指摘のお考えにほぼ私どもも沿った考え方をいたしておると存じます。
 そういう過程の中で、学業を終えまして社会に出て、そして定年に達しますまでのいわばそのライフステージで、余り何度も累進による税額の追加が行われないようにできるだけその間の税率をフラットにしたいと考えまして、御承知のように、四百四十万ぐらいのところまでが一〇%でございますが、それから八百八十八万でございましたか、までが一五%でございます。こういたしますと、ほとんど九百万に近い年間の収入は、まずまずこれで大体サラリーマンの九割ぐらいがカバーできるのではないかと思います。そして社会に出て引退するまで税率は二つであったということで重税感が除ける、この点を一番大切、何といってもやはり税率でございますから、そういうことにいたしまして、そして事業所得の関連もございますから配偶者特別控除のようなものを設けた。
 大体私どもの考え方も、御指摘のような目的を実現するためにと思って政府提案をいたしましたようなわけでございます。
#171
○平野清君 たびたび大蔵大臣にお尋ねして申しわけないんですが、今お言葉の中にも中堅サラリーマンという言葉が出てまいりました。盛んに税制論議が行われますと中堅サラリーマン、中堅サラリーマンという言葉が出てまいります。大臣としては、中堅サラリーマンというのはどの程度の給与所得階層をお指しになっているとお考えなんでしょうか。
#172
○国務大臣(宮澤喜一君) 結局、五百万ぐらいのところかなという感じがしております。前国会で政府提案を御説明申し上げましたときに、殊に衆議院におきまして、ただいま一五%の一番の限界は八百八十八万であると申し上げたのでございますけれども、これは大変に高い、給与所得としては随分な高い額であって、都会ではそうかもしれないけれども、地方ではそんなに高い給与所得者というのはそういるものではない、少し政府がねらっているところが高過ぎたのではないかという御批判が随分ございまして、平均的には私は都会に人が多いものでございますからそれでいいのだと思いますけれども、地方の実感は少し違うよという御指摘がございました。ですから、実感とするとやっぱり五百万とか六百万とかいうことになるのであろうか。別に確たる根拠があって私申し上げているわけではございません。
#173
○平野清君 年間収入五分位階級別の支出及び構成比を見てみましても、平均月収はボーナス込みで四十五万二千九百四十二円となってます。これに十二カ月を掛けますとざっと五百四十万ということになるわけですね。そこで、今大蔵大臣にお答えいただきましたとおり、私たちサラリーマン新党も中堅層というのは大体五百四十万円から六百万円クラスというふうに考えているわけです。そのクラスは子育て、住宅ローン、いろんなもので一番苦しんでいるわけで、今度の大幅な所得減税が行われる場合には中堅層を中心にぜひやっていただきたいと思います。
 それでは減税の財源に移らしていただきたいんですけれども、これ御質問申し上げても、また税制協議会でやっているから答えられないと言われてしまいそうなので、私たちの考えを先に申し上げます。
 サラリーマン新党としましては、マル優の廃止には絶対反対の態度をとってまいりました。しかし、減税の幅とその方法いかんによってはマル優の見直しを前向きでもって検討することにやぶさかでないというふうに考えるようになってまいりました。しかし、ここで、ここにおられる皆さん、マスコミの皆さん、それからサラリーマン同志に誤解のないようにはっきり申し上げておきます。マル優見直しにつきましては幾つかの前提がございます。前にも申し上げましたとおり、二兆円により近い大幅所得減税と引きかえであることはもちろんですけれども、さらに重大なことは、恒久的な財源として我々サラリーマン新党が長い間叫び続けてきたことに緊急に着手していただきたいということです。それには三つの前提条件があります。
 まず、その一つを申し上げます。すなわち、宗教法人、協同組合等への厳正な課税、キャピタルゲインの導入、補助金制度の抜本的見直し、医師優遇制度の廃止、脱税摘発の強化、行政改革の徹底、すなわち小さな政府への移行、特殊法人の整理などなどであります。二十一日の予算委員会で中曽根総理はこう申されました。利益のあるところ説あり、貯蓄利子も同様だと言われたばかりです。
 以上、私が申し上げたことになぜ一つも手がついていないのか不思議でなりません。利益のあるところ説あり、貯蓄利子もそうだという理念なら、今申し上げたことに対して一つも手がつけられていない。ここに大きなサラリーマンの不公平税制感があるような気がいたしますが、その点大蔵当局のお答えをお願いいたします。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳細なことは政府委員から申し上げます。
 例えば宗教法人の問題でございますけれども、これにつきましても、いわゆる収益事業と称するもの、それがしばしばその部分にだけ課税をする、特別の税率を設けておるわけでございますが、それは、しばしば民間のいわば事業と競合するがこときものが現実にかなり出てきておりますしいたしますから、そういう範囲についての見直し、それから税率につきましても特別な税率を、二七%ですかやっておりますわけですが、それでいいかどうかといったようなことは確かに再検討いたさなければならないと思います。
 それからキャピタルゲイン等々につきましては、これは決してほうっておいていいという考えを持っているわけではございませんで、何度も申し上げておりますが、現実に公平を失しないような課税をするといたしますと、やはり税務の執行体制とバランスのとれた行政をやっていかなければならないということから不十分という御指摘がございましょうが、今回も課税の範囲をさらに強化いたすべく御提案をいたしたところでございます。
 医師の問題につきましては、社会保険診療の問題につきましては、既に一つの方式を決定して実行を何年がやってまいっておりますが、その後物価水準等々が相当変動いたしておりますけれども、あのときに決定いたしました階層別の経費、それから課税所得の分け方というのも物価水準の変動などでかなり合としてはきつくなってきたと申しますか、そういう特典を受けられない方々も出てくるようなことになっておりまして、結果としてはまずまず公平な形で運営されておるのではないかというふうに思っております。
 なお、あれこれ政府委員から補足をしてもらいます。
#175
○政府委員(水野勝君) 大臣から申し述べたとおりでございますので、若干技術的な補足をさせていただきますと、宗教法人につきましては、現在本則二七%、特例として二八%の税率でございます。これは本則四三・三%という基本税率に対しましては一五%ぐらいの差があるわけでございますが、これを漸次幅を縮小していくという方向が先般の改革法案では御提案されたわけでございまして、三七・五%の基本に対しまして二七という水準で、一〇%ぐらいの幅に縮小していくということで御提案はさせていただいたわけでございますが、今回これは廃案となっているところでござ
います。
 それから医師の優遇税制につきましては、昭和五十四年度の改正におきまして御提案させていただきまして、それまでの七二%一律の経費控除概算率を四段階に分けるということで改正をさせていただきまして、当時といたしましては八割、九割ぐらいの方がこれに適合しておられたわけでございますが、現在は大体半分程度の方が適合されるということで、半分ぐらいの方は実額で申告をされるようになってきておるということで、相当な改善がされてきているものと思うわけでございまして、むしろ、当時決められました金額が固定されておりますので、これを引き上げるべきではないかという御議論もございますが、全体としての皆さん方に実額で適合いただけるようになることが適当ではないかということで、現在、八年間でございますが、据え置きにされておるところでございます。
 また、キャピタルゲインにつきましては、一定の継続的取引につきましては課税をお願いいたしております。これを今回その基準を六割程度に縮減させていただくように御提案もさせていただいたところでございます。また一方、我が国におきましては、キャピタルゲインにつきましては原則非課税としつつその有価証券の移転に際します。その背後にある担税力に着目いたしまして有価証券取引税をお願いしておるわけでございますが、これが一兆四千億円程度の税収に現在なってございまして、かなりな税収への寄与となっていることもまた御留意いただければと思うわけでございます。
#176
○平野清君 それでは、マル優見直し是認前提の二に移ります。
 私たちはサラリーマン優遇税制の必要性は今なお大きいと思っております。現在、経済大国ということで外国からしばしば日本人の貯蓄率が高いということで批判を受けている、だからマル優も見直さなきゃいかぬというふうに論議が行われていますけれども、私たち考えますのに、日本人の貯蓄率が高いということは、イコール国民の国への信頼度が低いというふうに判断しております。例えば住宅、教育、医療、年金、老後の生活などなど、どれ一つとってみても、国民の多くが将来に不安を持っているから、なけなしの金を無理して貯金に回しているのが実態だろうと思います。と申しますのは、むしろ貧しかった戦前の方がはるかに貯蓄率が低いことがこれを証明していると思います。決して美徳として日本人は貯蓄しているんじゃないと思いますが、何らかの貯蓄優遇策は依然として必要だと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょう。
#177
○国務大臣(宮澤喜一君) どの国にも、長いことなれ親しんできた制度というものがございます。我が国の場合、貯蓄は御指摘のように優遇されておりますが、発生的にはそれはあるいは富国強兵であった場合もございますし、また戦後の資本蓄積を必要としたといったような理由もあったと思います。しかし、理由はともかくとして、これは制度としてかなり国民が長いことなれ親しんできたものでございますから今日まで来ておるわけでございますけれども、そういう一種のなれと申しますか、先入観を離れまして見ましたときには、なぜ資産所得が優遇されなければならないのか、それも二百八十兆という非常に大きなものが老若男女その貧富を問わずに一様に課税を免かれておるということはなぜかということは、資産所得でありますだけに、先入観を離れましたら結構問われなければならない私は問題ではないかと思います。
 そういう観点から申しますと、資産所得でございますから原則に返って課税をする、しかし従来の長い間のしきたりもあり、また社会的に特別な配慮をしてさしあげることが必要な方々に対しては、そういう方々のために優遇策を残そうではないか、そういうことで、ただいま仰せられましたような、老齢者でありますとか母子家庭でありますとか、あるいは身体障害者でありますとか、そういう方々のために、いわば従来とは一遍切り離しまして、何と申しますか、もう一遍新しく考えられた制度としてつくってはどうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#178
○平野清君 その貯蓄のことにつきましては後ほどもう一度触れますが、マル優見直しの前提の三ということで、私たちは分離課税につきましては税制上極めて邪道だというふうに考えています。総合課税に移行すべきが経済的原則に合っているんじゃないかというふうに思います。そういう意味で、マル優の政府見直し案、いわゆる前回御提案になりましたのは、非課税だったものが二〇%になり、三五%だったものが二〇%になっていました。明らかに金持ち優遇策だったと思うんです。この際、マル優を見直しされるならはっきりと総合課税にお移りになったらいかがでしょう。
#179
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来、所得税の立場から申しますと、いかなる所得も原則としては総合されて累進税率の適用を受けるべきものであるということは、私はおっしゃるとおりと思います。
 ただ、現実の問題といたしまして、本当にマル優等々を総合するかということになりますと、そこから起こってまいりますいろいろな問題、現実の問題としてはやはりこれは大変にまた手数がかかるということもございますので、分離課税でしばらくやらしていただく。少なくとも何か適当な新しい、総合を有効ならしめる方法について国民的なコンセンサスが生まれればまた別でございますけれども、現実に有効な可能な方法として分離課税でやらしていただいてはどうか。また、金融というものが御承知のようなものでございますから、いろいろ各種の、たくさんの種類の取引がございますから、それを一つのものにするか、あるいはもうそれ自身で断ち切って、どういう事情があれもう自動的に一定の税率で処理をする、そういうことの方が現実にはあちこちに御迷惑も実はかけないということもございまして、そういうふうに考えてはどうかと思っているわけでございます。
#180
○平野清君 この分離課税ないし総合課税につきましては、よく御検討をいただきたいと思います。
 それではその四に移りますけれども、これは午前中野末先生も御指摘になりました。六十歳定年が進行中でございますけれども、六十歳でやめて年金がいただける六十四歳までのサラリーマン、私たちこれを谷間のサラリーマンというふうに呼んでおりますけれども、再就職の機会が極めて少ない上にかつ低収入です。年金は減額支給というふうになっておりますので、その上にマル優が適用されないとしたら、一生懸命働いた谷間のサラリーマンは踏んだりけったりだと思うんですが、こういう谷間のサラリーマンに少しでも先が当たるように御配慮をいただきたいと思います。これは野末先生のときにお返事がありましたのでお答えは結構ですけれども。
 その五に移らしていただきます。
 ここでぜひ大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、老後に備えての貯金ですね。いわゆるシルバー貯蓄への優遇策をぜひ前向きに検討していただきたいと思います。今ここで大蔵大臣にお伺いしますけれども、定年を仮に六十歳として夫婦二人で平均寿命近くまで生きるとしたら果たして幾ら貯蓄があったら生活できるとお考えですか。
#181
○政府委員(水野勝君) これは勤労者の老後生活安定対策研究会という研究会の御報告でございますが、その推算によりますと、年金その他もろもろのものを計算いたしますと、六十五歳時に現価格で約千五百万円のものが必要であるという試算があるということを私ども聞いたことがございます。
#182
○平野清君 今のお答えですと、六十歳ですか六十五歳ですか、定年のときに千五百万円なきゃだめだといいます。だけど、どんどんどんどん貯蓄の金利も下がってまいります。私、先般逓信委員会で郵政当局にお尋ねしましたところ、郵政当局ははっきりと二千六百万円なければやっていけないとお答えになっております。マル優は見直しされる、しかも低金利である。果たして普通のサラリーマンが老後に備えてこんな二千六百万円本当
に貯蓄できるとお思いでしょうか。
 そういう意味で、私たちは老後貯蓄としてせめて二千万円ぐらいまでは無税にしてもらいたい。これは暴論に聞こえるかもしれませんけれども、あくまでも厳正な条件を設けていただいて、定年以後じゃなければ絶対におろせない、よほどの重病、死亡とかいうことじゃなければおろせないとか、厳しい条件をつけていただいて老後貯蓄、いわゆるシルバー貯金というものをやっておいた方が、むしろ、高齢社会を迎えてお金のない老人をいっぱい抱えて政府が苦労されるよりも、まず国民に自助努力をさせることの方が、私たちはかえって次の世代に余計な負担をかけないで済むんじゃないかというふうに考えます。いかがでしょう。
#183
○政府委員(水野勝君) 貯蓄の動向を調査したもので勤労者世帯の年齢階層別に見ますと、六十歳から六十四歳というのは千四百万円ぐらいの貯蓄をお持ちでございまして、これを各五歳刻みの年代で比較いたしますと最高の水準のものとなっておるようでございまして、この年代はやはりかなり持っておられるというように感ぜられるわけでございます。それからまた、こうしたものが望ましい水準であるとしても、望ましい水準はすべて税で対処するということには必ずしもすぐ結びつくものでもないのではないかと私ども考えるわけでございます。
#184
○平野清君 どうも一般サラリーマンと高級官僚との間で、お金の持ち方の感覚が違うようです。
 アメリカにIRAといういわゆる個人退職勘定というような方式があると聞いていますけれども、主税当局は御存じですか。
#185
○政府委員(水野勝君) これはアメリカにおきまして、日本の利子課税の非課税制度のとちょっと逆でございまして、一定の金額を払い込んだそのときには課税所得から控除される。しかし、それを引き出したときには課税されるというふうな仕組みであろうかと思うわけでございます。先般のレーガン税制改革におきましては、これがやや乱用されている面があるということから、若干その内容につきまして規制が加えられたというふうに聞いておるわけでございまして、このような対策がよろしいか、日本のような稼得能力の減退した方々についての優遇制度がいいのか、いろいろお考えがあろうかと思うわけでございます。
#186
○平野清君 ちょっとお答えがよくわかりませんけれども、アメリカのIRA、いわゆる老後に備えできちっとした条件を設けて自分たちの力で老後を切り開いていく、老後の準備をするという制度、これ、乱用という言葉が今ございましたけれども、よく内容を検討してみますと、大変いろんないい点がございます。ぜひ参考にしていただいて、高齢社会を迎える中で安心して貯蓄ができる、老後に備えられるという道をお考えいただきたいと思います。
 加えて、間接税について一言申し上げておきます。
 私たちサラリーマン新党が主張しておりますサラリーマン減税の諸施策を実行してくれない限り、マル優の見直しということは絶対反対ですけれども、これでもって、恒久財源が欲しいからといってまた、新しい売上税に名をかりるいわゆる間接税をお考えなんでしょうか。
#187
○国務大臣(宮澤喜一君) この点こそ税制改革協議会において直間比率の問題として議長があっせんをせられた問題でありまして、しかも、協議会はこれについてはまだほとんど議論をしておられないということでございますので、私どもとしては、余り具体的には申し上げることを今御遠慮しておるわけでございますけれども、前国会に政府が御提案いたしましたときに考えましたことは、やはり、我が国のように所得水準がかなり高くなっておりますし、所得格差も少ないわけでございますから、そうなりますと、社会共通の費用というのはある程度国民の皆さんに薄く広く持っていただいてもいいし、それができるという考えのもとに、殊に直接税が七〇%を超えるというようなことは勤労意欲にも企業意欲にも差しさわることでございますから、そういうことも考えまして、殊さらにやがて二十一世紀に向かいますと極端に社会が老齢化をいたします。そうすると、いわゆる老人たちを、六十五歳以上の人々を生産年齢人口が背負っていく比率というのが、今の六・六対一から三対一ぐらいまでなってまいりますから、それではどんなにその方々に所得税を重く負担してもらっても年寄りをしょい切れない。となれば、やはりみんながそういう社会の費用は負担するシステムを今からつくっておかないと、今の若い方が先々困られるのではないか。
 そういうこともございまして前国会にああいう御提案をいたしたようなことでございます。
#188
○平野清君 そうしますと、仮に税制協議会が決裂をいたしましたとします、与野党間で。そうしますと、今の蔵相のお考えですと、やはり名をかりた新たな間接税をどうしても導入しなければならないというふうに解釈してよろしいですか。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣がせんだっての施政に関する演説で言われましたように、この問題をめぐりましては非常に思わざる経緯がございまして、社会的にも十分な理解が行き届かないままに反対という声が強くなってしまいました。といったような経緯がございますから、そういう経緯にもかんがみまして慎重にいたさなければならないとは思っておりますけれども、前国会に提案をいたしましたその基本にあります物の考え方、ただいま御紹介いたしましたような考え方自身は、これは国民に時間をかけて御説明すれば御納得がいただけるのではないか。ただ、それが具体的にどのような形をとった税制になるべきかというようなことになりますと、これはやはりそういう国民の御理解の上に立って考えるべき問題であろうと思います。
#190
○平野清君 そうしますと、六十三年度――今時間を長くかけてよく国民に説明するとおっしゃいましたけれども、六十三年度に想定されているようなことはありませんか。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十三年度とおっしゃいますと、この年末の国会にでもそのような法案を提出する用意があるかということになりますが、何とも私限りで申し上げられることではございませんけれども、それだけの準備はまだできていないように存じます。
#192
○平野清君 すべて税制協議会に話がいってしまいますので、ちょっと減税の点、この辺にいたします。
 次に住宅費減税について聞かしていただきたいと思います。
 今盛んに緊急対策として内需拡大が叫ばれていますけれども、内需拡大の中心は住宅建設にあると思います。土地急騰についてもぜひ触れたいのですけれども、時間がありませんので政府の施策の手おくれを指摘するにとどめて、住宅費減税についてだけ御質問申し上げます。今住宅費減税の現状はどうなっていらっしゃいますか。
#193
○政府委員(水野勝君) 住宅に関する減税と申しますか、税制上の措置といたしましては住宅取得促進税制、これが中心であろうかと思うわけでございまして、借入金残高の一%を税額控除するということでございまして、これは五年間にわたって行われますので、それを累計いたしますと二千四百億円ぐらいのものになろうかと思うわけでございます。これが中心でございますが、そのほか住宅取得資金を父母から贈与を受けた場合の贈与税の特例、それから住宅を取得した場合の登記の登録免許税の税率の軽減、その他もろもろの措置が講じられているところでございます。
#194
○平野清君 そうしますと、もっと具体的にお伺いしたいんですが、住宅建設の金融公庫のいわゆる軽減措置とかそういうものはどうなっていますか。
#195
○政府委員(水野勝君) 税制上の措置といたしましては先ほど申し上げました住宅の借入金の残高の一%を税額控除の対象とするというものでございまして、これは従来は公的資金からの借入金につきましては対象といたしてございませんでしたが、新しい取得促進税制によりましてはこれも対象とすることにいたしておるところでございま
す。
#196
○平野清君 今住宅金融公庫の方は一・〇と聞きました。普通建設ですと〇・三しかまけていただけない。欧米の方はどうなっていますか、先進国の。
#197
○政府委員(水野勝君) 外国におきましては住宅の対策としてではございませんで、例えばアメリカでございますと借入金の利子はこれは控除するという税制でございましたので、この点につきましては、それが住宅の借入金でございましてもこれが無制限に所得控除されるという制度はございますが、これはどちらかと申しますと、住宅ということに着目するよりは借入金の利子の控除ということではないかと思うわけでございます。その他諸外国にはローンの一部を税の面で負担するという制度あるいはローン利子の一部を控除する、その他もろもろの制度は各国ともそれぞれあるようでございます。
#198
○平野清君 各国では住宅建設に相当な援助をしているようですので、ぜひもうちょっと詳しく今度お聞かせいただきたいと思います。
 次に、労働大臣にお尋ねいたします。
 六十歳定年が国の指導によって大変進んでまいりました。大変喜ばしいことだと思いますけれども、実情を見ますと、なかなかサラリーマンの希望に合っていない点があると思います。例えば従来の退職年齢で退職割り増し金を渡してやめてもらう方法、それから二つ目には子会社にある程度強制的に行かせてしまう方法、それから三つ目は大幅な賃金カット、役職外し、唐時昇給ストップというような実態があるように思います。地方銀行の前支店長六人が訴訟を起こして、同じ仕事をさせられているのにすべてこういうような悪条件を課せられたのでは何のための延長がわからないというような訴訟を起こしたことも聞いておりますけれども、労働大臣どういうふうにお考えでしょうか。
#199
○国務大臣(平井卓志君) 六十歳定年制につきましては、御案内のように高齢者雇用安定法の施行、さらにはまた各般の御努力をいただきまして、着実に今一般化しておることは事実でございます。そして、今御指摘になりました定年延長に伴って約三分の一の企業におきまして労働条件の変更が行われておるということでございます。この定年延長の円滑な推進に当たりましては、やはり労使双方が共通の課題としてとらえて企業の実情に応じて工夫努力されるということが私は必要であろうかと思うわけです。御案内のように、これは基本的には労使が自主的に決定すべき労働条件の非常に重要な柱でございます。
 そういう認識に立ちまして、労働省としましては、労使の自主的な取り組みを促進していただくために、高齢者雇用アドバイザーによる相談とか、さらには賃金コスト計算サービスの実施とか、個別企業における条件整備のための調査研究、立案等の援助を行っておるところでございまして、今後ともそういう形において一層各般の御理解を得ながら定年延長を推進してまいりたい、かように考えております。
#200
○平野清君 せっかく六十歳に延長しても、勤労意欲がなくなってしまえばかえって企業が損だと思います。そういう意味で賃金カットの上限といいますか幅を規制もしくは強力に御指導なさる気はありませんか。
#201
○国務大臣(平井卓志君) その点につきましては、おっしゃることが理解できないでもございませんが、やはり賃金問題に関しましては基本的に労使で十二分にお話し合いをいただくということの中で解決していただきたい、かように考えております。
#202
○平野清君 次に週休制のことでちょっとお伺いいたしますけれども、特に公務員の週休制が今一生懸命問題になっております。公務員が率先して週休制をとることによって大企業、中小企業に波及した方がいいんじゃないかということもこの委員会でしばしば論議がございました。
 ただ、先日おもしろいはがきをいただきました。小さな城下町で今不況に大変苦しんでいる。自分たち公務員が町長の命によって四週五休ですか、やっている。小さな町だから銀行マンと公務員だけがうろうろうろうろ町で遊んで、仕方がないのでよその町へ行って遊んでいる。せっかくの遊ぶ金も、土地に落ちないで全部外へ出てしまうというようなこともはがきでもらいました。そういう実例もあるのかな。公務員が率先してやるのも結構ですけれども、そういう特殊事例もあるという地域性とかいろんな問題もよく加味してお考えくださるといいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#203
○国務大臣(平井卓志君) 今御指摘のございましたように、従来いろいろ御議論をいただいておりますけれども、大企業とか公務員中心の話がやや先行しておるではないかということでございますが、決してそうでございませんで、私ども時間短縮を進めるにつきましてただいま法案等を提出いたしておりますけれども、やはりこの十年来の経過を見てみますると御指摘のあった中小零細企業、これは圧倒的におくれておるわけでございまして、経営基盤等の問題もございますが、やはり週休二日制の普及等につきましては中小企業中心に考えていかなければならぬというふうに考えております。
 ただ、御指摘がございましたけれども、中小企業が週休二日制、これの実施をしない理由と申しましょうか、非常におくれておる理由はいろいろございますけれども、やはり同業他社、いわゆる横並び意識と申しましょうか、さらに取引先との関係を挙げてなかなか実施できない理由とした企業が大変多いわけでございまして、したがって労働省としましては、中小企業そのものを一つの集団としてとらえて、時間短縮の問題またその取り組みについて援助をいたしておるわけでございます。
 その際に、いま一つ申し上げれば、下請企業集団につきましては、これはもう必要に応じて親企業の協力を行政から従来要請いたしておるわけでございます。そういう意味で、この中小企業への波及効果ということを考えて、そういう中で国民の方々のコンセンサスをいただくということが重要であるという観点に立ては、先ほど御指摘のございましたような公務員また金融機関の週休二日制というのは、あわせてどうしても推進しなければならない重要な柱である、かように考えております。
#204
○平野清君 相続税の問題、固定資産税の問題等々お伺いしたいんですが、もう時間もなくなってまいりました。大変残念ですけれども次の機会に譲ります。
 最後に、中曽根総理にぜひお答えをいただきたいんです。
 私たちサラリーマン新党は、昭和四十四年に全国サラリーマン同盟を結成以来、二十余年にわたって青木茂代表を先頭にサラリーマンの不公平税制の打破、改善のために闘い続けてまいりました。この間顧みますと、大蔵省にお伺いしてもなかなか課長さんにさえ会ってもらえなかった時代が長く続きました。自分たちの闘いのせいとは言いませんけれども、かいあって国会で私たちのサラリーマン問題が本格的に取り上げられるようになりましたのは、ここまだ数年でございます。中曽根総理は、昭和六十年一月の施政方針演説で戦後政治の総決算をうたわれた際、初めて本格的にサラリーマン税制の見直しに言及されました。今から三年近くなるわけです。そのときには、売上税を含めてこんな大問題になろうとは御自身もお考えにならなかったんではないかと思います。
 そこで中曽根総理にぜひお伺いしたいんですが、総理としては予算委員会で最後の御発言になりますのでぜひ真剣にお答えいただきたいと思います。あなたは、日本のサラリーマンの実情をどう把握していらっしゃいますか。また、サラリーマン四千三百万人を取り巻くもろもろの問題の解明を後継者にどのように引き継がれるかをお答えいただければありがたいと思います。
#205
○国務大臣(中曽根康弘君) サラリーマン同盟以来皆さんが御苦労なさいまして、今日国会に地歩
を築かれるに至った御努力については、非常に敬意を表する次第であります。
 つとにあなた方が予見されましたように、日本の勤労者集団というのは非常に激増しております。特にまた最近は流通方面、第三次産業の方にも拡充されつつある状況で、ますますふえていくという時代になると思います。そういう意味におきまして一昔とはまるっきり変わった社会構造になりつつあるのでありまして、これらのサラリーマンの皆さんが非常に働いていただいたがゆえに今日の経済大国というものがもたらされたと思うんです。それらの方々に対する政治からの思いやりというものは、ややもすれば薄いのではないかと批判されてまいりました。私はその点を非常に憂慮いたしておりまして、政治はこのような時代の変化に対応できるものでなければならない、そういう考えに立ちまして、自民党内部におきましてもこの問題に関心を持っている方もかなり大勢ございまして、昭和六十年以前からもその点については注目し努力もしてきたところでございます。
 一番端的な問題は、やはり今は減税の問題であるだろうと思います。したがいまして、今回通常議会にも減税法案を提案したのでございますが、売上税との関連におきまして挫折したことは甚だ遺憾であります。しかし、この臨時国会を通じまして減税をあくまで思い切って断行もし、それに必要な恒久財源も同時に確保して、そしてサラリーマンの皆さんに恒久的に安心感を持っていただく措置を講じたいと思っておる次第でございます。
 また、そのほかサラリーマンの皆さんの問題については、いろいろ住居の問題とか、交通、通信の問題とか、その他たくさんございますが、今後とも皆様方の御助言、御鞭撻をいただきまして万全を期していくつもりでございます。自民党は、だれが総裁、総理になりましてもこの政策は不変でございまして、どうぞ御安心して大いに御鞭撻いただきたいと思う次第でございます。
#206
○平野清君 どうもありがとうございました。
#207
○委員長(原文兵衛君) 以上で平野清君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#208
○委員長(原文兵衛君) それでは、これより昭和六十二年度補正予算三案に対する討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。野田哲君。
#209
○野田哲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対し反対の討論を行うものであります。
 反対の第一の理由は、本補正予算案が内需拡大による円高不況克服、対外経済摩擦緩和という喫緊の課題に対し、時期おくれ小出しであり、何ら有効な施策となっていない点であります。
 我が党が当初予算審議においても、六十二年度予算が内需拡大に対し無力な予算であることを再三にわたり指摘し、本格的な政策の転換を要求したにもかかわらず、政府は全く耳をかそうとしなかったのであります。しかるに、本予算成立後わずか二カ月もたたないうちに経済対策を理由に補正予算案の提出に至ったことは、政府が経済の先見性に全く欠けることの証拠であり、政策が遅きに失した政治的責任は重いと言わざるを得ません。
 しかも、今回の補正予算案は公共投資の追加を柱にしていますが、その実態は相も変わらぬ場当たり的ばらまき投資にすぎず、社会資本整備に対する長期的展望に欠けるばかりか、その大半は政府の失政により招いた地価高騰により用地費として消え去るなど、内需拡大への効果は極めて薄いと言っても過言ではありません。こうした場当たり的有名無実な経済政策では、円高不況を乗り切り、内需主導経済に転換をすることは困難であり、政府経済見通し三・五%を達成するなどは全く望むべくもないのであります。しかも、単独事業を含め二兆円にも及ぶ巨額の負担を地方に押しつけ、地方財政をより一層悪化せしめることは、地方自治の本旨をまたも踏みにじるものとして、断じて許すわけにはいかないのであります。
 その場しのぎの継ぎはぎ政策は一刻も早くやめ、長期的視野に立った国民生活密着型の社会資本整備を積極的に行うとともに、大幅な所得税減税を実施し国民の購買力をふやすなど、内需拡大へ向け抜本的政策転換を図ることを要求するものであります。
 反対の第二の理由は、総理が就任以来最優先課題としてきた財政再建が既に破綻をしているにもかかわらず、いたずらにこれに固執し、その政治的責任を明白にしょうとしていない点であります。
 五十七年、中曽根総理就任以降、国債残高は累増し続け、公約の赤字国債発行減額は五年間で二兆二百七十七億円にとどまり、残り三年間で約五兆円の赤字国債を削減する六十五年度財政再建の達成は、既に完全に不可能になっております。しかるに、総理はその失敗を認めず、砂上の楼閣と化した財政再建目標に固執し、今国民が切望する積極財政による内需拡大と景気浮揚に背を向けているのであります。
 総理の言う財政再建と内需拡大二刀流の政策は国民を迷わせ、結局アブハチ取らずで何一つ成果を生み出し得ないことは明白であります。経済政策無策の為政者によって不況が長引き、国民生活がより一層苦境に陥っていくことは断じて許されるものではありません。総理、今こそみずからの歳出削減一辺倒の財政再建の失敗を率直に認め、積極財政による均衡拡大を目指すことを明確にすべきであります。
 反対の第三の理由は、防衛費のGNP一%枠を守れるにもかかわらず、防衛費の減額補正を怠っている点であります。
 我が党が本年度予算審議で修正案を提出した上で明らかにしたごとく、昭和六十二年度防衛費は、最初に突破ありきで、無理やり一%枠を突破させたのであります。しかし、今厳格に防衛費を計算し直すと一%枠におさまるのであります。すなわち、政府みずからが認める円高による外貨関連経費四十一億四千万円の減額に加え、売上税廃案による相当分九十三億円を減額することにより、百三十四億円を減額補正することが可能であります。この結果、防衛費はGNP一%枠を遵守することが可能にもかかわらずこれを放置しており、本補正予算案は根本的に欠陥予算であることを厳しく糾弾するものであります。
 反対の第四の理由は、緊急経済対策で公約した一兆円を下回らない所得税等の減税を全く盛り込んでいないばかりか、その実施をカタに公党間の約束違反となるマル優法案の再提出をもくろんでいる点であります。
 マル優制度廃止は、売上税とともに国民の反対の前に消え去ったはずであります。ところが、総理はベネチア・サミットでマル優廃止に言及し、減税を人質に衆議院の各派協議会に委ねられたはずの税制改革論議を無視し、外国からの批判を装い、それを国民に押しつけようとしているのであります。こうした外圧を利用した卑劣きわまりないやり方は、議長あっせんを無視し、国会と国民への公然たる挑戦以外の何物でもありません。
 マル優廃止に対し、我が党は全力を挙げてこれを阻止するとともに、NTT株売却益をも含めた二兆円を上回る規模の大規模減税を早急に実現すべく全力を尽くすことをここに断言し、私の反論討論を終わります。(拍手)
#210
○委員長(原文兵衛君) 次に、藤野賢二君。
#211
○藤野賢二君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対しまして賛成の討論を行います。
 御承知のように、内需拡大に対する内外からの要請が本年度に入り一段と高まってまいりましたが、幸い、昨年の総合経済対策や本年度予算にお
ける一般公共事業の事業費の拡大と機動的な財政運営に向けた政府の努力が現在に至って実を結び、我が国経済の行く手にも明るさが見えてきました。加えて、久しく続いていた異常な円高も峠を越え、安定に向かう動きを示してきております。今後景気は回復の道を着実に歩んでいくものと思われ、これまでの政府の御苦労に対し私は深く敬意を表するものであります。
 しかしながら、好転しつつある景気を速やかに確実なものとし、同時に過度な輸出依存体質を改め、内需主導型の経済を実現させるためには、より大規模な財政の出動が望まれ、去る五月に策定された緊急経済対策の早期実施が必要であります。本補正予算三案は、この緊急経済対策を実施するために編成され、財政支出の追加により思い切った公共事業の拡大を行おうとするものであり、大いに賛成する内容となっております。
 内需拡大の要請にこたえるため、これまで政府は財政改革というハードルを努力と工夫によって乗り越え、国費を抑制しつつも一般公共事業の事業費については拡大させてきたのであります。来るべき高齢化社会を前に、財政の弾力性を回復させるために行ったこの措置は、国債依存度の低下や今回の景気回復に見られるように、財政改革と内需拡大にそれなりの効果を上げてきました。しかしながら、海外からの要請や社会資本の充実の声にこたえるためには、やはり政府みずから財政を拡大することが必要であります。
 今回、財政が苦しい中ではありますが、一兆三千六百億円の建設国債の増発等によって総額五兆円にも上る公共事業費を確保しましたことに対し、私は惜しみない拍手を送るものであります。財政出動が遅きに過ぎたとの批判もありますが、財政改革はぜひともやり遂げなければならない重要課題の一つであり、慎重であった政府のこれまでの態度は決して批判されるものではありません。既に我が国経済は回復の道を歩み始めており、今回の措置が加わることによってその歩みは確実かつ速やかなものとなり、政府経済見通しの三・五%を必ずや達成できると確信いたす次第であります。
 このほか本補正予算案では、政府調達による追加的な外国製品の輸入拡大のための経費一千十一億円や経済協力費百八十三億円が計上されております。これらもまた現下の課題である対外不均衡の是正、調和ある対外経済関係の形成に欠くことのできない措置であり、諸外国に向け日本の努力をあらわす手段としてまことに適切であると思われます。
 以上申し上げましたように、本補正予算案は、緊急に我が国が行わなければならない課題に向けて最大限の努力を行おうとする政府の意欲がひしひしと感じられる内容となっており、これ以上の補正予算は到底望むべくもありません。
 これをもちまして私の賛成討論を終わります。(拍手)
#212
○委員長(原文兵衛君) 次に、矢原秀男君。
#213
○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和六十二年度補正予算三案に対し反対の討論を行うものであります。
 反対の理由を述べる前に一言政府に申し上げます。
 今回の補正予算は、売上税が既に廃案となっているにもかかわらず、何らその補正を行っておりません。このような法律の裏づけのない歳入と売上税分が水膨れの歳出という欠陥予算の補正を行わず、六十二年度補正の骨格、歳入補正二兆七百九十三億円だけを行うとは国会を弄するものであり、二度とこのようなことがないよう強く政府に要求するものであります。
 以下、反対の理由を順次申し述べます。
 反対の理由の第一は、後手後手に回る総理の経済運営のまずさであります。
 一昨年のG5以降の急激な円高は、我が国経済に円高不況を蔓延させ、特に構造不況業種、輸出関連中小企業に依存してきた地域経済への影響は極めて深刻なものとなっております。今年に入ってからも依然円高倒産はとどまるところを知らず、完全失業率はこの五月に三・二%と史上最悪を記録しているのであります。これも、公共事業の抑制を続け、何ら有効な手を打ってこなかった総理の無策の経済運営の結果にほかなりません。
 今回の緊急経済対策も海外からの非難を避けるために拙速に作成されたもので、内容的にも不十分である上、円高不況対策としては余りにも遅きに失したと言わざるを得ず、評価できるものではありません。これでは、緊急経済対策を実施しても、なお政府経済見通しの実質三・五%成長の達成は不可能と言わなければなりません。
 反対の第二の理由は、今回の補正予算に所得税等の減税が全く盛り込まれていない上、減税をマル優廃止とセットで行おうとねらっていることであります。
 政府の内外への公約である内需拡大を図るため、一日も早い減税実施が必要なことはだれの目にも明らかであります。ところが、政府はマル優廃止という増税との抱き合わせで減税を実施しようとしております。減税は、今年度については決算剰余金、NTT株売却益により、次年度以降についてもキャピタルゲイン課税ほか不公平税制の是正により十分に実施可能であり、こうした減税を先送りしようとする政府の態度は断じて容認できないのであります。政府はこれらを財源として直ちに総額二兆円規模の減税を実施すべきであります。また、国民の間に広く浸透したマル優を不正防止のためといって廃止することは、一部の不正利用のツケを一般国民に押しつけようとするものであり、断固反対せざるを得ないのであります。
 反対の第三の理由は、六十五年度財政再建という総理の金看板が既に破綻しているにもかかわらず、一向にその政治責任を認めようとしないことであります。
 総理就任以来、国債残高、国債費ともに年々増加の一途をたどっており、総理の言う六十五年度財政再建が不可能であることは明らかであります。今回の財政出動についても、総理はみずからの財政運営の失敗を認めるどころか、臨時緊急の名のもとになし崩し的に積極財政への転換を図り、財政再建路線堅持の形式だけを取り繕おうとしているのであります。こうした国民の目を欺こうとする総理のやり方は断じて見逃すことができないのであります。立つ鳥跡を濁さずとも申しますが、総理は最大の政治目標であった六十五年度財政再建が不可能であることを率直に認め、直ちにみずからの責任を明らかにし、国民に謝るべきであります。
 最後に、財政出動は臨時緊急ではなく、我が国経済を内需主導型に転換する中長期的、持続的なものとするとともに、地方が過大な負担に苦しむことのないよう配慮すること、また急騰する地価抑制など、土地問題については早急に有効な手だてを講ずること、六十二年度防衛費については、為替レートの変動、売上税廃案に伴う不用額等を計上することにより、対GNP比一%枠におさめるとともに、一%枠を外したことし一月の閣議決定の撤回を強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#214
○委員長(原文兵衛君) 次に、沓脱タケ子君。
#215
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十二年度補正予算三案に反対の討論を行います。
 本補正予算案は、円高の是正や国民生活向上につながる内需の拡大などの国民の期待にこたえないばかりか、内需拡大を口実にアメリカと日本大企業への徹底した奉仕策を盛り込んだ財政再建なき大増税を推し進める最悪のものであります。
 また、我が党幹部宅盗聴事件は、警察権力による憲法に対する反逆を容認するかどうか我が国の民主主義の重大問題であり、断じて巨悪を眠らせてはならないことを強調するものであります。
 以下、反対の理由を述べます。
 第一の理由は、国民から明白にノーの審判が下されたマル優廃止や売上税による増収分を削減しないという、大増税の強行を大前提としたもので
あることであります。
 政府・自民党は、衆議院税制改革協議会の中間報告なるものを足がかりに公約違反のマル優廃止法案の再提出をねらっていますが、これは国民への二重三重の挑戦であり、断じて許せません。我が党を不当に排除し、公報掲載さえできない私的な税制協をあたかも国会の正規の機関のごとく見せかけて、マル優廃止や新大型間接税に道を開くやり方は、国民を欺瞞する中曽根政治の手法の典型であります。同時に、この税制協の密室協議に加わり、事実上自民党に手をかしてきた各党の責任も厳しく問われるものであります。
 第二の理由は、国民生活向上対策をまともにとらない一方で、日本とアメリカの巨大企業には徹底した奉仕策を講じていることであります。
 政府専用機やスーパーコンピューターなど十億ドルに上るアメリカなどからの緊急輸入は、全くのむだ遣いではありませんか。また、大企業のためには、巨大プロジェクトの推進、民活事業への補助金のかさ上げや五百八十億円に及ぶ無利子融資、各種の規制緩和など至れり尽くせりであります。さらに、このために国債を大増発するばかりか、義務づけられているNTT株売却益の国債償還財源への繰り入れを取りやめるなどは、財政再建どころか財政危機を一層激化させるものであり、断じて許すことはできません。
 また、我が党の追及によって、交差点事故が後を絶たない原因が何よりも人命を優先する立場に立てない自民党政府にあることが明らかになりましたが、重ねて交差点人身事故ゼロを実現する抜本的な対策を求めるものであります。
 第三の理由は、核兵器廃絶と軍縮という世界の大勢に敵対し、アメリカの核戦略体制の補完のため、全く軍事費を削減していないことであります。
 さらに、本委員会での我が党の追及によって、総理のINFアラスカ配備提案がアジア太平洋地域におけるアメリカの核優位を維持し続けようとするものであることが明らかになり、核兵器にしがみつく中曽根内閣の危険な本質が鮮明になりました。SDIに関する日米政府間協定の調印、東芝ココム事件を契機とした外為法の改悪、三宅島へのNLP基地の建設強行、これら一連の事態の背景に憲法や非核三原則を踏みにじる日米軍事同盟があることがいよいよ明白になりました。このような対米従属路線は断固容認できないものであります。
 我が党は、非核、平和、中立、国民生活向上のため全力を挙げて奮闘する決意を申し上げて、反対の討論を終わります。(拍手)
#216
○委員長(原文兵衛君) 次に、勝木健司君。
#217
○勝木健司君 私は、民社党・国民連合を代表して、昭和六十二年度補正予算三案に反対の討論を行うものであります。
 反対する第一の理由は、本予算案が今日の緊急課題であります円高不況の克服、内需拡大の推進、対外貿易摩擦の解消などを実施するには甚だ不十分な内容であり、それは国民の期待を裏切るばかりか、国際公約にも背くものになっている点であります。
 また、我が党が既に内外ともに行き詰まっております政府の縮小均衡型経済財政路線を改め、積極型経済財政運営への大転換を進めるよう、これまで再三にわたって政府に強く主張してまいりました。しかるに、政府はこれを無視し、昭和三十年度以来の超緊縮予算を編成したのであります。ところがその後、アメリカ、EC諸国からの内需拡大を求める要求の高まりによりまして、六兆円に上る内需拡大策を国会に一言も相談することなく急速決めて、これを外国に公約してきたのであります。このような政策転換のやり方は、野党と国会を軽視するものだけでなく、これまでの政策行き詰まりの責任をあいまいにするものと言わざるを得ません。このことをまず表明しておきたいと思います。
 反対の第二の理由でありますが、その内容が従来の延長線上にとどまっているため、その効果に疑問があることであります。
 特に公共事業につきまして、昨年度補正後予算と比較してみて、道路、港湾などのいわゆる事業別シェアはほとんど変わっておりません。これでは、不況地域とか不況産業の転換に役立つ公共事業には到底なり得ません。我々は、公算事業の実施においては用地費率が低い事業や住宅、下水道など国民生活向上に資する事業を優先するとともに、不況地域の活性化や産業構造のスムーズな転換に寄与する重点的、効率的配分を行うよう強く求めるものであります。
 反対する第三の理由は、行財政改革に満足すべきものが見られず、このままでは財政再建も行革も歯どめなきものになるおそれが強いことであります。
 土光臨調は行革はなお道半ばと最終答申したにもかかわらず、政府の行革に対する姿勢は依然として言行不一致の消極的なものにとどまっており、官僚機構に大なたを振るう抜本改革が先送りされております。財政運営を転換するからといって、なし崩し的に行革と財政再建を後退させることは断じて許されないことをここに表明しておきます。
 我が党は、二兆円規模の減税、事業費ベース六兆円の公共事業などから成る総額八兆円、国家による財政出動は五兆円程度の内需拡大策を提唱しております。大幅減税の先行は、ぜひとも実現しなければなりません国際公約でもあります。また、内需拡大のために不可欠の課題であります。しかるに、政府・自民党は、減税を一兆円程度にとどめると主張するのみならず、廃案となりましたマル優法案を再提出しょうとしていることは極めて遺憾であります。昭和六十一年度の決算剰余金は、補正予算に回す分を除きましても一兆三千億円、今年度のNTT株売却収入は当初予定をおよそ三兆円上回る見通しであり、減税の財源は十分あります。
 この際、潔く減税とマル優問題を切り離し、マル優問題は不公平税制是正の一環として、時間をかけて十分論議することを強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#218
○委員長(原文兵衛君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 昭和六十二年度一般会計補正予算、昭和六十二年度特別会計補正予算、昭和六十二年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して採決をいたします。
 三案に賛成の方は起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#219
○委員長(原文兵衛君) 多数と認めます。よって、昭和六十二年度補正予算三案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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