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1987/08/20 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 商工委員会 第2号
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1987/08/20 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 商工委員会 第2号

#1
第109回国会 商工委員会 第2号
昭和六十二年八月二十日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大木  浩君
    理 事
                下条進一郎君
                前田 勲男君
                福間 知之君
                市川 正一君
    委 員
                佐藤栄佐久君
                杉元 恒雄君
                中曽根弘文君
                降矢 敬義君
                松浦 孝治君
                松尾 官平君
                松岡滿壽男君
                向山 一人君
                梶原 敬義君
                小山 一平君
                本岡 昭次君
                伏見 康治君
                矢原 秀男君
                井上  計君
                木本平八郎君
   衆議院議員
       商工委員長    佐藤 信二君
   政府委員
       資源エネルギー
       庁長官      浜岡 平一君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  植松  敏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に
 関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提
 出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院商工委員長佐藤信二君から趣旨説明を聴取いたします。佐藤君。
#3
○衆議院議員(佐藤信二君) 電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 現在、一般家庭用等に設置される一般用電気工作物の保安の確保につきましては、その電気工事を電気工事士に義務づけた電気工事士法が昭和三十五年に制定されており、また、一般用電気工作物に係る電気工事業を営む者に登録等を課した電気工事業の業務の適正化に関する法律が昭和四十五年に制定されております。両法律は、一般用電気工作物の保安レベルの向上に大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、これら両法律の規制対象となっていないビル、工場等に設置される自家用電気工作物の現状を見ますと、電気工事段階における不備が主要な原因の一つとなって多くの事故が発生しているのみならず、それが広範囲な停電を誘発する事態を招いております。
 このような事態を放置することは、高度情報化社会を迎え、極めて高い質の電気供給を必要とする我が国経済社会にとって重大な問題であり、早急な対応が強く要請されているところであります。
 本案は、このような事態に対処して、自家用電気工作物の工事段階での保安を抜本的に強化し、事故を未然に防止することを目的とするものでありまして、一般用電気工作物の場合と同様に、自家用電気工作物の電気工事についても、これを電気工事士等に義務づける等所要の措置を講じようとするものであります。
 次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず、電気工事士法については、第一に、自家用電気工作物に係る電気工事の作業に従事する者を限定し、自家用電気工、作物に係る電気工事の作業に従事する者は、第一種電気工事士その他の有資格者でなければならないこととし、それ以外の者はこれに従事することを禁止することであります。
 第二に、電気工事の作業に従事する者の資格を追加し、現行の電気工事士を一般用電気工作物に係る電気工事の作業のみに従事できる第二種電気工事士とし、新たに自家用電気工作物に係る電気工事の作業及び一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事できる第一種電気工事士の資格を設けるとともに、自家用電気工作物に係る電気工事勿うち特殊なものに従事できる特種電気工事資格者の資格等について定めることであります。
 第三は、第一種電気工事士に対し、五年ごとの定期講習の受講を義務づけることであります。
 次に、電気工事業の業務の適正化に関する法律については、第一に、自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営もうとする者に対して、通商産業大臣または都道府県知事への電気工事業開始の事前通知を義務づけることであります。
 第二に、電気工事業者に対し、自家用電気工作物に係る電気工事については、第一種電気工事士の使用を義務づけるとともに、特殊電気工事については特種電気工事資格者の使用を義務づけることであります。
 次に、法律の施行日及び経過措置については、第一に、法律の施行日を公布の日から一年後とするとともに、自家用電気工作物の工事に従事する者を第一種電気工事士等に限定すること等については、法施行日から二年間は適用しないこととすることであります。
 第二に、現在、電気工事士の資格を有している者及び十年以上の電気工事の実務経験を有している者について、一定の条件を満たした場合、第一種電気工事士の資格を取得できることとすることであります。
 以上が本案の趣旨及び内容であります。
 よろしく御審議をお願いいたします。
#4
○委員長(大木浩君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○矢原秀男君 本改正案は、衆議院における委員長提案によるものでありまして、我が党も賛成の立場をとるものであります。
 一つは、電気工事業界は、事業者のほとんどが中小零細事業者でありまして、本改正案はこれらの経営基盤の脆弱な電気工事事業者に対して直接的な影響を与えるものであります。それで、法律の施行に際しましては十分な配慮が必要であろうかと思います。こういう点からと、また二点目には、情報化社会の進展に伴い質の高い電気の供給に対して高い信頼性が求められている点から、本改正案がこれら社会の要請や今後の電気保安行政を考える上で重要なものであるという点から、数点、通産当局の具体的なお考えをお尋ねしてまい
りたいと思います。簡単な答弁で結構でございます。
 まず質問の一は、自家用電気工作物の事故についてでございますが、本法案の提案理由説明において、一つは、電気工事二法の規制対象外にあるビル、工場等に設置されている自家用電気工作物において、工事不良を原因とする事故が非常に多発をしております。二番目には、これらの事故は広範囲な停電を誘発しております。特に首都圏では、停電五回ないし七回に一回はこれらの波及事故ということになっているわけでございます。三番目には、高度情報化社会を迎え、質の高い電気供給を必要とする我が国にとって、これらの事故は重大な脅威であろう。等々が述べられているわけでございますけれども、自家用電気工作物の事故の実態的な現況、事故による影響、これを詳しく説明をしていただきたい。
 それから、自家用電気工作物の波及事故に対して、本改正案による有資格者による技術の高い工事の施行は、事故の減少に大きく資するものと考えられますけれども、一方では設置者に対する保安指導もまた重要であると思います。現在どのような指導行政が行われているのかもあわせて伺いたいと思います。簡潔で結構でございます。
#6
○政府委員(植松敏君) お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございましたとおりでございまして、自家用電気工作物の事故の最近の状況を申しますと、年間で大体千三百件から千五百件程度で推移しておりますが、特にこの近年、五年ぐらいを見ますと、むしろ漸増傾向にあるというのが実態でございまして、五十六年度と六十年度を比べますと、この間に三割ぐらいの増加になっております。しかもこれらの事故のうち、その当該事故を起こしたところだけでなく、近隣の需要家にまで停電を発生させるという、いわゆる波及事故が約九割に及んでおるわけでございまして、先生から御指摘ございました全停電事故のうち、五回ないし七回に一回は自家用電気工作物の事故に原因を求められるものが多くなっております。
 その原因といたしましては、工事不良あるいは保守不良、自然現象等々いろいろございますけれども、中でも直接、間接に工事不良によるものと考えられるものが約半数ということになっております。今回の改正法の御提案の御趣旨もそこにあろうかと存じますが、今回の法案が施行されますと、工事従事者の技術レベルが向上するということにより、工事不良による事故件数が大幅に減少するということが期待できるのではないかというふうに思っております。
 また、最後に御指摘の点でございますけれども、単に工事側だけでなくて、工作物を設置しております側の保安につきましても、当然十分な保安に対する配慮、措置が必要なわけでございまして、この点につきましては従来から工作物を設置しております関係団体、あるいは主任技術者の団体等を通じまして、いろいろな形で、研修でございますとかセミナーをやりましたり、あるいはパンフレットを配付するという形で、工作物を設置しております側の主任技術者等に対する保安レベルのアップにつきましても努力をしている次第でございます。
#7
○矢原秀男君 質問の二は、電気工事二法の改正の業界のメリットについてでございますけれども、今、業者数が約九万、従業者数が約五十万、現行の電気工事上数が約三十万、中小企業の比率は事業者ベースで約九八%、四人以下の零細業者の比率が約六〇%でございます。
 本改正案の主たる内容として、一つは、これまで本法律の対象外であった自家用電気工作物の電気工事についても、これを第一種電気工事士等に義務づける。二番目には、それに伴う新たな資格制度の創設等所要の規制を行う。こういう内容になっております。これは電気工事事業者に対して新たな規制、新たな資格を求めるものであり、また直接の業務に影響を与えるものでありますから、実施、施行に際しては既存の事業者の権益を損なわないように十分な配慮を求めておきたいわけでございます。
 また、電気工事業界では本改正案を積極的に支持していらっしゃいます。通産当局は、この支持の理由をどのように受けとめていらっしゃるのか、簡潔で結構です。
#8
○衆議院議員(佐藤信二君) 今、矢原先生御指摘のとおり、本改正案は、自家用電気工作物の電気工事に従事する者に正式に資格を与えるということで、業界の技術力のアップをまず図るということに力点を置いております。
 そういうことで、業界の信用が確立されて、また社会的地位が向上するということで、業界の高度化に資するということでございますし、そして、このような高度化は、中小企業にとっては、みずからの取引条件を向上させるものとして受注の機会の確保ということが図れるということで、業界のほとんどを占める中小企業は大変歓迎しております。
 また最近においては、自家用電気工作物の工事不良に起因する事故というものが多発しておりますので、損害賠償ということが非常に増大化しているというのが業界内でもって問題になっています。そういうことで、業界としては、今回の法律改正によって規制体系が整備されて事故が防止されるということにつながれば、大変損失が回避できるということで歓迎しているようでございます。
 以上です。
#9
○矢原秀男君 質問の第三は、第一種電気工事士の試験についてでございます。
 本改正案によって新たな第一種電気工事士という資格が誕生することになっておりますが、我が国の自家用電気工作物の設置状況から考えて、どの程度の資格者が当面必要であると見込まれているのか、またその必要な資格者をどのような方法で手当てをしていく方針なのか、こういう点伺います。
#10
○政府委員(植松敏君) まず必要性の方でございますが、最近の動向を見ますと、自家用電気工作物の新設または変更、つまり工事の件数は、新設で年間約一万件程度、変更工事が三万五千件程度ではないかというふうに推定いたしております。したがいまして、全体で四万ないし五万件程度の工事が自家用電気工作物について行われるという点から申しますと、それに見合う第一種電気工事士が必要になるということになろうかと思いますが、一方現在、今度第二種電気工事士になりますいわゆる電気工事士の数が、実際に働いております方々の有資格者数が約三十万人ということでございまして、恐らくこの二年間の経過措置の間に講習を受けて第一種電気工事士の資格も取ろうという方々が約八、九割は出てくるのではないかという点から考えますと、法施行時には二十五万人前後の方々が第一種電気工事士の資格を得るべく講習を受けるのではないかというふうに推測をいたしております。
 さらに、試験制度が新たに発足いたしますが、恐らく年間一、二万人程度が新たな試験を受けて第一種電気工事士になって追加されてくるという点から申しますと、ほぼこの一年間に四、五万件の自家用電気工作物の工事に当たる有資格者としては十分ではなかみうかというふうに考えております。
#11
○矢原秀男君 最後に一点伺いますが、資格試験の実施主体でございます。
 確かにいろいろお話ございますように、工事士試験の実施状況が五十九年で約四〇・五%の合格率ですね。六十年度で二五・〇%の合格率で非常に厳しいなと思っておりますけれども、この新しい資格制度への移行に伴い、資格試験の実施主体または経過措置期間における講習の実施主体等が必要と思います。この具体案について考えていらっしゃいますのか伺ってみたいと思います。
 また試験や講習の内容、期間、費用等についても、これらは受験者に対する明確な方針も考えておかなければいけないし、わかるようにしておかなければいけないと思いますが、最後に伺って終わりたいと思います。
#12
○政府委員(植松敏君) 御指摘の点でございます
が、まだ具体的に十分詰めてございません。この法律が公布されましてから一年後に施行ということになっておりますので、その間に十分な準備を進めてまいりたいと思っております。
 まず、試験の点につきましてでございますが、現在も電気工事士につきましては指定試験機関として財団法人の電気技術者試験センターというのがございます。特に試験機関については公正を期さなければならないという点から、独占的に一財団法人を指定いたしまして、そこに試験を委託するという格好になっておりますが、今度の第一種電気工事士の試験につきましても同様な考え方に立ってやるべきではなかろうかというふうに考えております。
 一方、講習会でございますが、経過措置の二年間の間に、まず講習をする、それから法施行後五年ごとにまた一定の講習を受けることになっております。この辺の講習の実施主体あるいは講習内容、期間、費用等につきましては、今回の法改正の趣旨を十分踏まえまして、受講者にとって不都合のないよう、一方保安の技術のレベルアップのためにも十分資するよう、両面からよく考え、内容、期間、費用さらに実施主体につきましても検討を急いで、かつ慎重にやっていきたいと思っております。
#13
○市川正一君 佐藤委員長、どうも御苦労様です。
 最初に、提案者にお聞きしたいんでありますが、今回の改正において電気工事二法の対象となる自家用電気工作物すなわち高圧受電設備は、電気事業法の体系で、例えば技術基準、ここに持ってまいりました。あるいはここに設備指針がありますが、こういう定めがあります。これを遵守すれば事故の未然防止は可能であるというふうに私は思うんですが、それをあえて新しく第一種電気工事士の資格を設けた、言うならば積極的意義とほ那辺にあるんだと、まずお伺いしたいと思います。
#14
○衆議院議員(佐藤信二君) お答えいたします。
 今、市川さん言われるように、確かに技術基準を遵守すれば事故が未然に防げるということも言えると思うんですが、現実問題として事故が多発しているという現状を見ますと、やはり施工のよしあしというものが事故の発生を左右しているというふうに考えざるを得ない、こういうことで、工事段階において工事者サイドを規制することによって万全を期したいということでございます。
 今回の法の改正は、このような観点から、自家用電気工作物の電気工事に第一種電気工事士という正式な資格者を従事させるということで自家用電気工作物の事故防止を図ろうと、こうしておるところでございます。
 またもう一つは、やはりこの電気工事業者にとっては第一種電気工事士の使用をまず義務づけるということで、中小工事業者の社会的信用の確立だとか、そして社会的地位の向上ということで受注の機会がふえるというような効果もねらっているわけでございます。
#15
○市川正一君 おっしゃる意味はわかるんですが、どうも決定的なという決め手というか、どうもぴしっと決まらぬのですが――。
 それでは、通産省に伺いたいんですが、電気保安の確保を図るという本改正案の趣旨からしますと、経過措置である第一種電気工事士資格を取得するための講習の体制とその内容は、今提案者が御説明されたような立場から見ても極めて重要だと思うんですね。今、同僚議員からもこれに関して御質問があったんですが、現時点でどういう対策を考えていらっしゃるのか、概念的でなしに、具体的に、しかも簡潔にひとつお答え願います。
#16
○政府委員(植松敏君) なかなか難しい御質問でございますけれども、提案者の委員長からもお話しがございましたように、事故の原因を調べてみますと、自家用電気工作物の事故の約半数が、直接間接に工事側に何らかの落ち度があったものというふうに推定をされておりまして、そういう点から、やはり工事側の保安の確保ということが自家用電気工作物の漸増傾向にあります事故を防ぐために重要である。
 それでは工事側の保安をどうやって確保するかということになりますと、高圧で新しいいろいろな電気設備が出てきておりますが、それを高圧受電しながら利用していくという点になりますと、その設置工事自身が従来の一般用電気工作物について課されております電気工事士の技術レベルではなかなかこなし切れないという面があるということも、つとに指摘されている点でございまして、その点についてはやはり工事者のレベルアップを図るということが必要であろうという認識かと存じます。
 ただ一方で、先生御指摘のとおり、単に工事側だけに責任を負わせるのではなく、その設備を設置しております設置者側についても保安意識の高揚が必要なわけでございまして、この点につきましては従来から主任技術者の選任義務でございますとか、あるいは必要があれば当局の立入検査、改善命令というようなことまで含めて法的な措置は講じつつあるわけでございまして、設置者側及び今回の工事者側のレベルアップ、両面、両々相まって自家用電気工作物の事故の件数を減少させることができるのではないかと期待をしておる次第でございます。
#17
○市川正一君 私が質問したのは経過措置の問題でね、提案者の御説明に対する補足の御説明としてはわかりましたが、矢原委員が経過措置の問題について、いわば二年間のことについて御質問になったことに関して申し上げている。
 ですから、もう少し立ち入って私の方からお聞きしますと、この二年間に約三十万人の現行電気工事士の講習を実施することになるわけですね。単純計算をいたしますと一カ月に一万二千五百人、一カ所百五十人として八十四カ所必要だと、これはまさに単純算術計算ですが。そしてまた講習の内容も、先端技術も含めて習得するとなると、おざなりの講義を受けるだけでは済みません。一定のやはり実習も必要となる場合も出てくると思うんです。しかも、このほかに正規の資格試験も実施されるわけでありますから、相当綿密な計画が私必要だと思うんです。経過措置といえども、仮にも粗製乱造といったそしりを受けないようにすべきですし、また一人の、何といいますか、言い方は悪いんですが、落後者とか失格者が出ないように充実したものにする必要があるということで、そういう立場で通産省はどういうふうになさろうとしていらっしゃるのか、これをお聞きしたかったところです。
#18
○政府委員(植松敏君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、経過措置に二年間の経過措置を置かれた趣旨もその辺にあろうかと存じます。
 受講者数も非常に多くなるということが予想されますし、現に従来無規制でございますので、電気工事士の資格のある方あるいはない方が現に自家用電気工作物の工事をしているという実態も無視できないわけでございまして、そういう点からこの二年間の経過期間の間に、できれば落後者が少しでも少なくなるように、昔この工事をしておられた方々の技術レベルが上がりまして、そして第一種電気工事士として立派な仕事ができるように、講習の面でも、これはまず講習を受講する場合に、いろいろ現に仕事をしている方々でございますから、その方々の業務にできるだけ支障を来さない上うにする配慮が必要でございますと思います。
 また一方で、合格者あるいは資格を取得する人が少ないと、今度は自家用電気工作物の工事の受発注にも支障が生ずるということになるかと思いますので、趣旨は、できるだけ現に工事に携わっている方々が第一種電気工事士として立派な技術レベルを持つような講習内容にすべく、かつその場所、時期につきましても、できるだけ円滑に行われるように、準備期間中に十分な対応を考えてまいりたいと思っております。
#19
○市川正一君 もう一つ大事な問題は、電気主任技術者の問題だと思うんです。
 自家用電気工作物には、電気事業法に基づいて電気主任技術者を置き、電気設備の保守、保安に当たるとともに、電気工事についても計画の段階
から電気主任技術者が監督するということになっております。したがって、工事そのものの質を向上させることが重要であるとともに、この電気主任技術者の仕事をまさに実効あらしめるための対策が必要であると思いますが、通産省、どう考えていらっしゃいますか。
#20
○政府委員(植松敏君) 御指摘のとおりでございまして、電気主任技術者あるいはいわば設置者側が選任義務があるわけでございますが、設置者の方は電気事業法等におきまして、電気工作物の工事、維持及び運用に関して保安の責任を課せられております。そういった点から申しますと、自家用電気工作物の設置者、またはそこに置かれます電気主任技術者が十分な保安意識を持ち、また保安知識を持って任務に当たることが重要であろうと思います。
 先ほども申しましたけれども、こういった自家用電気工作物の設置者や電気主柱技術者に対しまして、保安レベルの向上を図るべくいろいろな啓蒙普及活動を実施いたしておる次第でございます。これは、具体的にはそれぞれ関係の団体がございますが、そういったところでセミナー、研修会、講習会等を開催をするとか、あるいはいろいろなパンフレットをそういった団体を通じて配布するとかというような形で、技術レベルのアップと同時に保安意識の高揚に努めておる次第でございます。また、それでも不十分な場合には、法に基づきまして立入検査、さらに改善命令等の必要な措置を講ずるという体制をしいておるわけでございまして、今後ともその点については十分配慮をしていきたいと思っております。
#21
○市川正一君 その位置づけについて私の指摘したことと同感だと言われたので前へ進めますが、これは波及事故をなくすという点でも極めて重要な意味を持っていると思うんです。
 ここに持ってきましたのは、東京通産局の公益事業部の、昭和六十年度の管内における自家用電気工作物の事故件数ですが、これによりますと、全部で三百八十二件、そのうち三百二十二件、すなわち八四%が波及事故になっております。事故を起こしますと大体波及事故になるというのが最近の特徴だと思う。
 したがって、自家用電気工作物に第一線で責任を負っているのは電気主任技術者でありますが、一般的に言って、その設置者に雇用されているという場合が多いために、保安面を最優先にした対策がとりづらい立場に置かれているわけですね。また、委託している場合でも同様のケースが多うございます。こういう問題に私は具体的に対応する必要があると思うんですが、この点はいかがですか。
#22
○政府委員(植松敏君) まさにそういう点があるのではないかという懸念は常に指摘されている点でございますが、先ほども申しましたように、この電気工事業法もそういうことでございますが、単に主任技術者を一方で置くということだけでなくて、設置者自身に、つまり使用者に対しても一定の保安の責任を課すという形になっておるわけでございます。
 それらを実際に法律で縛りましても十分な実が上がらないというようなことがあってはいけないわけでございまして、そういう点からは、この電気工作物を設置しております使用者側につきましても十分な保安意識の高揚ということを図ることによりまして、一方では法律的な義務づけと、それから保安意識の高揚と、両面から設置者側の保安面の向上ということを図っていくべきであろうと考えております。
#23
○市川正一君 最後に、今回の法改正に関連して、電気保安の原則である保・工分離ですね、この考え方について確認をいたしておきたいんでありますが、つまりこの原則はこれからも堅持していく必要があると考えます。通産省もその点同じだと思うんですが、今回の電気工事二法の改正に当たって、一部でこの保・工分離の原則に風穴をあげるような動きがあったやに聞いておりますが、通産省はこの保・工分離の原則を貫くという立場をこの機会に明確にしていただきたい。重要な問題なので、最後に確認をいたしたいと思います。
#24
○政府委員(植松敏君) 結論だけ申しますと、保・工分離の原則というのは今後も堅持していきたいと思っております。
 ただ、今回の改正の趣旨を拝察いたしまするに、中小ビル等における大型エアコンの普及でございますとか、従来一般用の電気工作物に該当するような分野、つまり中小ビル、中小企業、そういったところで必ずしも設置者側に十分な保安の知識を、過度の加重した要求をいたしましてもなかなか保安が十分保てない面もある。一方で調べてみますと、工事の面で工事不良を直接間接の原因にいたしまして事故が起こっているということも無視できないという点から、やはりこういった分野につきましては電気工事を行う側にも規制を、充実を図っていくことが必要であろうということで今回の改正案が出されたというふうに私ども承知いたしておりますが、その点とこの保・工分離原則というのは一応切り離して、今後とも保・工分離と申しますか、保守管理側の保安意識の高揚ということについては従来どおり堅持してまいりたいと思っております。
#25
○市川正一君 保・工分離の原則は貫く、堅持するということですね。
#26
○政府委員(植松敏君) さようでございます。
#27
○市川正一君 終わります。
#28
○委員長(大木浩君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#30
○委員長(大木浩君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました川
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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