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1987/09/01 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 農林水産委員会 第5号
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1987/09/01 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第109回国会 農林水産委員会 第5号
昭和六十二年九月一日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二十七日
    辞任         補欠選任
     渡辺 四郎君     高杉 廸忠君
 八月二十八日
    辞任         補欠選任
     永田 良雄君     北  修二君
     鈴木 和美君     八百板 正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岡部 三郎君
    理 事
                高木 正明君
                水谷  力君
                宮島  滉君
                稲村 稔夫君
                刈田 貞子君
    委 員
                青木 幹雄君
                上杉 光弘君
                浦田  勝君
                大塚清次郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                坂野 重信君
                鈴木 貞敏君
                初村滝一郎君
                菅野 久光君
                及川 順郎君
                諫山  博君
                下田 京子君
                三治 重信君
                喜屋武眞榮君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       農林水産大臣   加藤 六月君
   政府委員
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産大臣官
       房審議官     青木 敏也君
       農林水産省構造
       改善局長     鴻巣 健治君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     浜口 義曠君
       農林水産省食品
       流通局長     谷野  陽君
       農林水産技術会
       議事務局長    畑中 孝晴君
       食糧庁長官    後藤 康夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       労働省労政局労
       働法規課長    長勢 甚遠君
       労働省労働基準
       局主任中央労働
       基準監察監督官  石川 勝美君
   参考人
       全国農業協同組
       合中央会常務理
       事        松本登久男君
       日本農民組合柿
       崎支部長     長井 洋一君
       製粉協会会長   正田  修君
       東京大学農学部
       教授       今村奈良臣君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○食糧管理法の一部を改正する法律案(第百八回
 国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。去る八月二十七日、渡辺四郎君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。
 また、去る八月二十八日、鈴木和美君及び永田良雄君が委員を辞任され、その補欠として八百板正君及び北修二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岡部三郎君) 食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございました。本日は、食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の本委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いをいたします。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十五分以内とし、その順序は松本参考人、長井参考人、正田参考人、今村参考人の順といたします。参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、松本参考人からお願いをいたします。松本参考人。
#4
○参考人(松本登久男君) 松本でございます。このたびの全国農協中央会の執行部の改選によりまして常務理事を務めております。
#5
○委員長(岡部三郎君) どうぞ御着席になられまして御発言をください。
#6
○参考人(松本登久男君) それでは委員長のお許しを得まして発言をさしていただきますが、私たちも平素から先生方にいろいろ御指導をいただいておりまして、おかげさまでこの難しい時期に大過なく仕事をさしていただいておるわけでございますが、この場をかりまして厚く御礼を申し上げます。
 本日は、食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして私どもの立場を主に三点ほど申し上げさしていただきたいというふうに考えております。それで、第一は、本案に対する総括的意見でございまして、後ほど申し述べさしていただきます。第二は、政府買い入れ価格の動向に影響を及ぼすと思われます麦をめぐる最近の事情につきましての一、二の問題につきまして私どもの意見をこの際申し述べさしていただきたいと存じます。第三は、本案に関連いたします麦をめぐります諸政策につきまして生産者団体としての要望についてごく要点のみ意見を述べさしていただくというふうに考えております。
 まず、第一の総括的意見でございますが、食糧管理法の一部を改正する法律案は、同法の第四条ノ二第二項の麦の政府買い入れ価格に関する規定を、昭和二十五年産及び二十六年産の麦の政府買い入れ価格の平均価格に農業パリティ指数を乗じて算出したいわゆるパリティ方式から、生産費等の三要素を反映したものに改正するということが眼目であるというふうに理解しております。この改正につきましては、現行の法規定がかなり時期的には以前の二十五、六年という生産構造を前提にいたしまして、政府買い入れ価格の算出のための算式の基礎にしておるわけでございまして、それらを実態に合わせたものに改めるという意味で、こういった改正を行う方がむしろマクロ経済の実態に合った法の運用にかなっているのではないかというふうに考えております。また、今日農業政策の中心課題になっております構造政策を助長して生産性の向上を達成するという政策課題にも合致しておりまして、その意味では時宜にかなった改正であるというふうに考えております。
 以上がこの問題についての私どもの総括的意見でございます。
 それで第二に、この問題についての私たちの立場を御理解いただくために、最近の麦をめぐります事情のうちの二つほどの問題について若干の意見を申し述べさしていただくつもりでございます。
 まず、最近の事情の中で麦の生産構造についてでございますが、昭和六十一年の麦作農家の平均作付規模を見ますと全国平均では八十アールということになっております。都府県の平均ではこれが六十アール、北海道が三百二十アールでございまして、都府県の平均はまだまだ六十アールという規模でございますが、それでも二十五、六年当時の平均作付規模に比べますとほぼ倍に規模は拡大をしてきております。また、このような過程で生産構造も大きく変わりまして、特に十アール当たりの投下労働時間の面でかなりの合理化が達成されておりまして、今日の生産費、最近時点の生産費で見ますと十アール当たりの投下労働時間は十二時間ということになっておりますが、二十五、六年当時はこれが百四十八時間ということでございました。生産性の面では相当大きな構造の変化が生じております。また、十アール当たりの収量でございますが、これも最近の時点では三百五十七キロということでございますが、二十五、六年の平均でいきますと百八十九キログラムということでございますから、この面でも生産性は大幅に変わっております。また、規模の面でも先ほど申しましたように規模の拡大が進んでおりますが、この麦作の規模拡大はまだまだその期待されている水準からいきますと不十分であるというふうに私どもは考えておりまして、今後とも一層規模拡大を推進する必要があるというふうに考えております。
 ちなみに、田畑経営の小麦作で現状の経済実態を反映いたしまして家計費を充足し得る規模はどうかというふうに試算してみますと、四・二人の平均規模の家族構成を前提にいたしまして、家計費を充足し得る麦作規模というのはおよそ千百六十アールということになりまして、十二ヘクタール程度の規模がございませんと麦作で専業で農業をやっていくということは難しいという事情にございまして、その意味で規模の拡大の必要性はまだまだ大変強くございます。
 また、統計資料の制約もございまして、じゃ、十二ヘクタールぐらいの規模の農家がどれくらいあるのかということを推定して把握してみたいというふうに思って検討してみましたが、私どもの方の持ち得ている材料ではなかなかそれを正確に把握できておりませんで、統計資料の制約から五ヘクタール以上の規模の農家を抽出してみますと、全国で現在五ヘクタール以上の麦作規模を持っている農家は五千六百三十三戸ということでございます。しかしながら、その内訳を見ますと、五千六百三十三戸のうち四千六百八十八戸は北海道ということでございまして、都府県の場合には九百四十五戸ということでございますから千戸足らずということでございまして、実需者並びに国民が期待する麦作を行うための規模拡大ということでいきますと、大変実態からおくれていもというのが今日の実情でございます。私どもは、大変困難な課題でございますが、こういったことを今後とも推進してまいらなきゃならぬということでございまして、後ほど生産者団体の要望の中でも申し上げるつもりでございますが、この問題については特段の先生方の御助力をお願いをしたいというふうに思っておるところでございます。
 第二番目の問題でございますが、品質問題でございます。
 品質問題につきましては、大変関係者からはたくさんの注文を生産者としてもいただいておりまして、そのいただいております注文につきましては確かに現状からいたしますとごもっともな御意見だというふうに考えておりますが、特に品質問題が大事だというふうに考えておりますのは、麦のような原料農産物、こういったものにつきましては特に生産者が物をつくりましてこれを実需者に喜んで利用していただくということが必要なわけでございまして、そういった事情から考えますと、実需者が好みます品質の麦をつくっていくということは生産者にとっても当然第一の課題にしなければならぬというふうに考えておるところでございます。
 それで、また小麦を例に申し上げますと、我が国における小麦の現在の消費量、およそ四百八十三万トンございますが、このうちの何と三百九十六万トンは外麦から供給されておりまして、内麦が賄っておりますものはわずか八十七万トンということでございます。このように外麦のウエートが非常に高いものでございますから、需給の面でも当然のことでございますが、国際的な需給事情の影響を非常に強く受ける作物でございます。また、国際的な小麦との品質の競争も当然問われなきゃならぬ、こういう性格を背負っております。したがいまして、私どもは日本のようなアジアのモンスーン地帯という非常に特殊な自然条件といいますか、その中で麦作を行っているという、西欧、アメリカ大陸の諸州に比べまして不利な自然条件を抱えておりますが、それでも品質問題についてはそれなりの努力をしていかなければならないというふうに考えているところでございまして、その点につきましてはかねがね生産者にはよく趣旨を徹底させてきております。
 しかしながら、まだ現状は実需者側からごらんになりますと大変難しい状況でございまして、品質の向上につきましては課題が大変残されているというふうに私どもは承知をしております。御承知のとおり農業は一年一作でございますから、なかなか生産者にこの趣旨が徹底するのに時間を要しますが、私どもその条件は十分現在整えておりますので、今後とも関係者の御希望に沿えるように品質問題については向上の努力を最優先の課題にいたしまして取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 また、六十一年産麦につきましては、契約生産奨励金の一部を構成を変えまして、品質の格差を広げまして、高品質のものをつくった者は手取りが高くなる、品質の悪いものをつくった者は手取りが低くなるというふうに奨励金の一部の構成を変えておりますので、そういった経済的なインセンティブも十分与えるような仕組みに改定をいたしてきたところでございますので、今後ともこういった方向の努力を続けてまいるつもりでございますので、この面におきましてもひとつ国政に携わる先生方の皆さんからも生産者にその趣旨を十分徹底できるように条件整備をお願いをしたいというふうに思っております。
 最後になりますが、生産者団体としての要望につきまして四点ほど申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
 第一は価格水準の問題でございますが、価格水準の問題につきましては、このたびの法律改正におきまして、従来のように機械的に二十五、六年産を基準にいたしましてパリティで算出されるということから、生産費を基準に算出するという方向に法律形態が変わるということになりますと、生産者が最も関心がございますのは、その際に決められる麦価につきまして、生産者が安心して生産に励むことができる条件が果たして整備されるのかどうかということでございまして、私どもの立場からいたしますと、そういった生産者の希望を反映いたしまして、できる限り安心して生産に励むことができるということを眼目にいたしまして現状の麦価の水準を維持していただきたいというふうに考えております。特に、麦につきましては、六十二年度から始められました水田農業確立対策の中でも大変重要な作物として位置づけられておりまして、我々も麦作の振興というものは引き続き国政上の重要課題だというふうに考えておりますので、その旨先生方にもよろしく御留意のほどをお願いいたしたいというふうに思います。
 第二番目に、関連する施策につきまして幾つかの問題を要望させていただきます。
 第一は、先ほど来申しておりますように、特に土地利用型の耕種農業におきましては、一年一作というのが今日の技術水準からいきますと原則でございまして、その意味で毎年一作しかできませんので、麦作につきましてはできる限り中長期の需給見通しに基づく生産振興の基本方向を農業者に明示していただきたい。今日は中長期見通しというものは六十五年見通しが国政の基準として設定されておりますが、もう既に六十三年産の生産がこれから始められるわけでございますから、そういう中長期の需給見通しということについて生産の基本方向が引き続き堅持されるのだということを生産者にも安心感を与える意味で御提示いただけるようなサゼスチョンを行政当局にしていただければというふうに考えております。
 第二番目は、先ほど来これも申しておりました大変重要な事項でございます麦の生産規模拡大の問題でございますが、生産規模拡大の問題につきましては、御承知のとおり我が国のように大変長い歴史を持っておる国におきまして、大変複雑な権利関係を持っております農用地の利用調整ということをやりませんと、今日のような高地価のもとで規模拡大ということは容易でございません。したがいまして、農用地の利用調整を行って規模拡大をしていくという方向が最も中心的な推進方法だというふうに考えておりますので、私どもはこのために農用地の利用調整という面におきまして、従来の農用地諸制度の面で既存の制度にとらわれずに、新たに利用調整ができやすい制度を今後とも御検討いただきたいというふうに思っておりますのと同時に、今日行われております農用地利用調整の諸制度におきましても、私たち実務に携わっておる者からいたしますとかなりの面で現実的に修正をしてほしいと思う事項がございます。その点につきましても引き続き今後国会におきまして十分御論議を尽くしていただいて、生産者の希望にかなう方向に諸制度の運用を改めていただければというふうに思っております。
 その際に、従来は農用地利用調整につきましては行政機関を中心に利用調整が推進されてまいりましたが、私どもはあくまでも生産者の自主的団体でございます農協等がこの利用調整の中で積極的な役割が果たせますように位置づけていただきたいというふうに考えておりますので、その点につきましても今後の御論議の過程で、できる限り私どもの希望をお酌み取りいただきたいというふうに思っております。
 時間がそろそろ参っておりますので、あとは項目だけ申し上げますが、関連する施策におきましては、もう一つは、先ほど来申しておりますような自然条件を抱えておりますので、それから稲作の作期が非常に早まっておりますので、従来のように二毛作を行うということが大変難しくなっております。したがいまして、できる限り我が国の風土に合った品種の改良ということと同時に、その際にはできる限り良質で、わせで、多収だという性格を持った、そういう形質を持った品種の開発に、国の試験研究機関を動員していただきまして、力を注いでいただければというふうに思っております。
 それから政策関連の最後の要望でございますが、流通におきましても合理化すべき点が多々ございます。特に私ども生産者といたしましては、その中で特に麦につきましては先ほど来申しておりますような性質を持っておりますので、共同乾燥調整施設あるいはばら流通施設の整備などにつきまして、特段の今後とも御配慮をお願いをしたいというふうに思っております。
 以上が私どもが御要望申し上げたい関連施策の要点でございます。
 なお、最後になりますが、この食管法改正につきましては、既に六十三年の生産の早いところではもう播種が始まろうとしております。九月の初旬ないし中旬からはかなりの地域で播種が始まってまいりますので、そういった事情を抱えておりますだけに、この問題につきましては新しい制度のもとで生産者がこの問題に対応しなければならぬということであるとすれば、できる限り結論を早くお出しいただいて、生産者にこの趣旨が徹底できますようにお願いをしたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
#7
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。
 次に、長井参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(長井洋一君) ただいま紹介いただきました長井洋一です。本委員会において発言の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、新潟県中頸城郡柿崎町において、二百五十頭の豚と一ヘクタールの稲作に取り組んでおります。妻は町立保育所の保母をしており、兼業農家でございます。家族は、父と母と子供三人の七人家族でございます。父は柿崎町土地改良区の理事長を務めております。
 本日報告させていただきます件は、私の集落が昭和五十七年より取り組んでまいりました大麦の集団転作についてでございます。私の町では、昭和五十年より土地改良総合整備事業に取り組み、四十八億七千七百万の総事業費で五百二十九ヘクタールの区画整理、暗渠排水など、六十一年三月に竣工いたしました。私の集落では、区画整理が終わったのを機会に、五十七年秋より全戸参加で集団転作に取り組んできました。農家戸数三十戸、水田面積五十一・四ヘクタール、平均耕作面積はおよそ一・八ヘクタールでございます。専業農家は二戸で、二十八戸は兼業農家です。構成員の年齢は、三十歳代が八名、四十歳代四名、五十歳代十四名、六十歳代四名です。
 五十七年、農家組合の総会において集団転作に取り組むことが決定され、正副農家組合長、正副区長、班長五名、中核農家二名の十一名から成る転作推進委員会が発足しました。また集団転作は、毎年転作圃場を移動するブロックローテーションとすること、各農家間の転作面積の増減は、水稲作付田の交換で転作実施面積の均衡を図り、なお増減があるときはその年の課税所得標準により互助制度を行うこと、ブロックローテーションが一巡するまではやめないことを申し合わせました。
 三十アール区画の整理のため、耕作面積の均衡を図るために一区画に二人の耕作者が出ることもしばしばでした。気の合う者や親戚同士を一区画にすれば問題も少ないのですが、そうばかりもいかずトラブルもかなりあります。作付地の決定や栽培作業計画の作成、交換する田の選定、収支の精算など転作実施計画は転作推進委員会において作成し、農家組合総会に諮り実行しております。
 栽培管理は転作委員会の決定に従い農家組合が推進母体となり、農家組合長の指揮のもと順番で出役する共同作業体制を行っておりますが、大型トラクターやコンバインのオペレーターは若手の中核農家が行い、高齢者、婦人は補助作業を行うようにしております。畑作物である大麦を水田転作で栽培するには私たちのところは余り適さない地帯であります。
 昭和五十七年に区画整理が完了し、暗渠排水も五十九年にまでに施工され、徐々に乾田化しておりますが、高田を中心とした有名な豪雪地帯で積雪量が多く、過去十年の平均積雪量百九十五センチ、根雪期間九十八日と長く、非常に厳しい条件と言えます。九月下旬の播種期から積雪期までの間は秋の時雨の季節であり、雨量の多い時期であります。厳しい条件ながら農業改良普及所を初め農協、共済組合、町役場などから御指導いただき、工夫をこらして取り組んでおります。
 一つは前年十二月に転作推進委員会で栽培面積と圃場が決定され、その圃場は大麦の適期播種のため水稲のわせ種が作付され、播種期までに畑状態に近づけ、播種作業の条件をよくすることを心がけております。もう一つはアップカットロータリーに播種機をつけ、砕土、畝立て、播種、鎮圧を一行程播種で行っておりますが、耕運つめの改良と培土板の改善で畝面の中央が高くなる中高畝となるよう工夫をし、十条置きに排水溝が側溝まで確実につながるようにしております。一にも二にも排水対策で、手作業による溝の手直しも行っております。
 過去五回の栽培経験から排水対策には万全を期し、よい条件での播種で出芽を安定させ、越冬前生育量を確保できればかなりの豪雪でも安定した収量は望めるようであります。反面、播種期の天候次第で畑状態にならない中ではアップカットロータリーを使えずよい結果は期待できません。そのほかにも雲形病防除に播種前に風呂を使った温湯浸法を行ったり、来年用の採種圃には種もみを更新し、病気の進入を防いでおります。ブロックローテーションでは連作障害はなく、良い方法だと思います。
 大麦の品種はミノリムギを栽培しており、過去五年の十アール当たり収量は五十八年三百三十四キロ、五十九年収穫皆無、六十年二百四十一キロ、六十一年二百三十八キロ、六十二年五百十七キロとなっております。豪雪が三年続いたとはいえ、大変不安定な収量です。収穫皆無となった五十九年は、九月下旬から十月半ばにかけての長雨で播種がおくれ、悪い条件での播種となり、雪は記録的な豪雪の年でした。本年は播種期の天候に恵まれ、積雪も少なく、根雪は七十七日とよい条件が重なりました。九ヘクタールの栽培面積の平均単収が五百十七キロとなるとは農家組合員のどなたも予想できませんでした。
 本年の大麦の収益を見ますと、自家労働費を含めた十アール当たりの所得が三万六千七百八十一円となり、五万円の転作助成金を加えると八万円を超し、水稲に近い所得が見込めます。五年目で初めて分配できる所得となりました。大麦栽培はほとんど機械化され、十アール当たり労働時間は本年は八・三時間と少なく、種苗費、肥料代、農薬代など直接の生産費が少なく、農機具は稲作と共用でき、転作作目としては取り組みやすいのですが、所得を上げるには収量が不安定です。十アール当たり三百キロ以上の収量が安定して確保されたければ所得には結びつかないようです。条件の悪い中で栽培している私たちにとっては、大麦の価格は低過ぎるというのが農家組合員の一致した意見です。
 本委員会の主題である麦の価格の算定方式について、どのような方式がよいのか私にはわかりません。しかしながら、水田農業確立対策の主要な作目として位置づけられ、不利な条件の雪国でも栽培がふえようとしている中では、一定の収量、例えば大麦の単収三百キロを超えれば必ず所得に結びつく価格でなければならないと思います。豪雪地など収量が不安定で単収の上げづらい地域には生産振興調整額に豪雪地加算のような生産振興はできないものでしょうか。
 私たちの地域は水田単作地帯で、米以外の売れる作物をつくった経験のない農家ばかりです。六十二年度から転作率が一八・五%と二割近くになり、転作奨励金をいただくためだけの転作は見直されており、米、麦、大豆の二年三作体系を確立して稲作並みの所得を上げようという機運が高まっております。その背景には基盤整備の償還金があります。本年度の償還額は十アール当たり二万四百八十五円、一戸平均一・八ヘクタールの耕作面積では三十六万八千七百三十円の負担です。六十一年の水稲の課税所得標準は十アール十一万四千二十円、一・五ヘクタールの作付で百七十一万三百円の所得、そのうち二一・五%が償還金です。基盤整備事業を行い、暗渠排水も完備され、田畑輪換が可能となり、三十アール区画で農業機械の作業効率もよくなりました。基盤整備がなされなければ転作にも取り組めなかったわけですが、償還金が大きな負担になっています。
 本年より始まった水田農業確立対策に真剣に取り組み、米、麦、大豆の二年三作の技術をマスターし、所得向上を目指そうとしている農家がある反面で、米価の引き下げにショックを受け、兼業所得の比率を高めようとする農家も見られます。米価、麦価を初め農産物の価格の上がり下がりに農家は敏感に反応します。五年間続いてようやく成果が見え始めた私たちの集落の集団転作ですが、価格の動向によっては集団が崩れる危険性も感じられます。二割に近い転作は個人個人では決して対応のできるものではありません。集団が崩れれば、せっかく巨額の税金をつぎ込んで基盤整備をした美田も荒れ果てるのは目に見えております。米価、麦価を初め農産物の価格を決定するに当たっては慎重であってほしいと思います。
 今明るい展望を持っている農家は少ないと思います。私も日本から農業がなくなることはないと確信しておりますが、生き残れる農家となるためには並み大抵の努力ではだめだと感じております。まじめに真剣に農業に取り組んでいる人がばかを見ることのない農政を確立していただくことをお願いして発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#9
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。
 次に、正田参考人にお願いいたします。正田参考人。
#10
○参考人(正田修君) 製粉協会長の正田でございます。
 諸先生には、平素業界、大変にいろいろ御指導いただいておりまして、まことにありがとうございます。本席をかりまして厚く御礼申し上げます。大変僭越でございますが、御指名でございますので、実需者を代表いたしまして、今般の食糧管理法の一部を改正する法律案に関しまして、若干の意見を申し述べさせていただきます。
 まず最初に、国内産小麦に関連する私ども製粉業界の実情について御説明をさせていただきたいと存じます。
 お手元に「国内産小麦に関する問題点と要望」という黄色いパンフレットをお届けしてあると存じます。これは昨年の六月に私ども製粉協会がまとめたものでございます。製粉協会ではこのほかにも、昭和五十四年の六月に「内麦に関する基本的考え方」、また五十七年の四月に「国内産小麦の特性と品質上の問題点」、また今年の五月に「国内産小麦の品質評価」という国内産小麦に関する私どもの意見をそのときどきまとめまして関係先に要望させていただいておるわけでございますが、お手元にお届けいたしましたパンフレットが最も広範囲に私どもの問題意識と要望点とを取りまとめておると思いますので、御参考までにお届けさしていただいたわけでございます。きょう申し上げますことは、おおむねその中に盛り込まれている事柄でございますが、大きくまとめまして四つの問題をそこで取り上げております。
 まず第一番目は、国内産小麦の品質問題でございます。これは本日意見として申し上げさせていただきます主題でございますし、また後ほど詳しく申し上げたいと存じます。ただ、一言で申し上げれば、私ども実需者の要望が生産面に余り反映されていないのではないかということでございます。
 また、第二番目には、物的流通の問題でございます。現在、小麦の生産は北海道、九州という日本の両端において非常に増産が進んでおります。このために大消費地である関東、中部、近畿というところとの生産地の乖離が大きくなってきております。このことは、私ども需要者の負担による輸送経費の増大が非常に厳しくなっているということでございます。また、物的流通の問題といたしましては、このほかにはら流通の問題であるとか、あるいは倉庫集約化の問題というものもございます。この点につきまして徐々に状況は改善されてきておるというように認識いたしておりますが、まだまだ不十分でございますし、そのことが単に物流問題のみならず、後に申し上げます国内産小麦の品質のばらつきに非常に大きな悪影響を及ぼしているというように感じております。
 第三点は、麦管理改善対策の問題でございますが、この点につきましては、先般、運用改善通達が出されまして、方向といたしましては改善の方向に向かっているというように認識いたしております。
 第四番目は、小麦の内外価格差の問題でございます。私ども実需者が政府から買い受ける価格、すなわち小麦の政府売り渡し価格についてでございますが、これが現在の内麦の大幅な逆ざやと、その大幅な逆ざやを持っている内麦の急増ということによりまして、政府売り渡し麦価と小麦の国際価格の間に非常に大きな乖離を生じておりますことは諸先生御承知のとおりでございます。現在、私どもで試算いたしますと、現在の私どもが政府から買い受けております価格、政府売り渡し麦価と小麦の国際価格の間には三倍以上の大幅な開きがあるのではないかというように思います。このために、既に自由化されている小麦の二次加工製品の輸入が急激にふえてきております。今年の一月から七月までを昨年の同期間と比較してみますと、例えばビスケットにつきましては、前年同期比三六%輸入が増加いたしております。また国内産小麦の主要な使途でございます日本めん、乾めんの輸入量は昨年の同じ期間に対しまして実に九三%増加、すなわちほぼ倍増しているという現状でございますし、またケーキミックス類におきましては実に昨年同期の三・五倍の量が輸入されております。また、マカロニ、スパゲッティ類につきましても二一%増加をしてきております。また最近ではお隣の国、韓国で豪州産の小麦を原料とした韓国製の手延べそうめんというものが我が国に対して輸出をされているという実態もございます。
 こういったことにつきまして、私どもは大変に危機感を持っておるわけでございますが、今申し上げましたように、原料小麦の品質問題、価格問題、この両面から現在国内の製粉業界、二次加工業界が輸入加工品との競争上、極めて苦しい状況にある、苦しい状況に置かれているということをまず諸先生に御理解賜れればというように存じます。
 次に、内麦の品質問題についてでございますが、現在、私どもは製粉用といたしましておおむね年間四百六十万トンの小麦を政府から買い受けております。そのうち、おおむね七十万トンが国内産小麦でございまして、これは主として日本めん用の原料として使用されております。これがパンやケーキに使用できないということは、その小麦の持っておりますたん白の量、質の関係でございます。これも既に私が申し上げるまでもなく、諸先生御承知のことでございますが、現在の我が国の食生活の高度化、多様化、また飽食の時代と言われる中で、実態は食卓に上がるもの、これがすべて限られた消費者の胃袋を求めてせめぎ合っているというのが実態でございます。
 すなわち、あるうどんが別のうどんとどちらがいいかという競争、あるいはどちらが安いかという競争、これもございますが、それのみならず、うどんとハンバーグ、あるいはうどんとフライドチキン、そういう間で消費者の選択が行われている、それが実態であろうかと思います。そういうときに、この国内産小麦の主要な使途でございます日本めんの需要拡大をしていこうと思いましたらば、よりよいめん、よりよいめん用粉、よりよいめん用小麦というものが必要になってくるのは、これは当然のことではないかと思います。
 それでは、よい小麦とは何かということでございますが、これは二つの側面から判定いたしております。一つは、二次加工特性、二次加工適性というものでございます。これは、めんの場合で申し上げれば、色、外観、食感、食味等のいわゆる官能試験によるもの。また、めんの歩どまり等、経済性によるもの、そういうものでございます。二番目は、製粉適性というものでございまして、これはその小麦からよい粉がどれだけ効率的にとれるかという評価でございます。こういった観点から評価をいたしますと、現在日本めん用として最適の小麦は、豪州産のASWでございます。
 私ども製粉協会では国内産小麦が急増してまいりました昭和五十三年、五十四年以来、一貫して内麦の品質改善を要望してまいりました。残念ながら現在の内麦は、先ほど申し上げました一次適性、二次適性とも豪州産のASWに劣るばかりではなく、内麦の中でも、まず比較的好ましいと思われる品種の作付が減少傾向にございます。また、同一県内で十種類以上もの異なる品種が生産をされたり、あるいは同一地域、同一品種の小麦でもたん白、水分が三%以上も振れる等の品質のばらつきが非常に大きいという欠点を持っております。
 こうした内麦の急増に対しまして、私ども製粉業界におきましては、工程の変更であるとか、設備改善あるいはロット管理等いろいろな苦心をしながら、現在まで内麦の使用を増加してまいりました。しかしながら、現在の消費者の嗜好の高度化、あるいは輸入品との競争ということを考えますと、私どもといたしましては、一日も早くこの豪州産ASW並みの品質のものを国際価格並みで入手できるようになるということがどうしても必要だというように考えております。また、それが実現いたします間にも、国内産小麦で相対的に好ましい品種の作付、また物流の改善、ばらつきの防止というようなことをぜひお願い申し上げたいというように思っておるわけでございます。
 今般の改正法律案におきましても、麦の品質の改善に資するという旨がうたわれております。このことは私ども実需者が従来より念願をいたしておりますことでございますので、この改正法律案には賛成の意思表示をさせていただきたいと存じます。ただし、当初からいろいろ申し上げてまいりましたような諸問題は、この法律案の改正だけで解決するものとは到底考えられません。したがいまして、今後より一層の御理解と御指導を、諸先生に切にお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。
 次に、今村参考人にお願いいたします。今村参考人。
#12
○参考人(今村奈良臣君) 東京大学農学部教授をしております今村でございます。
 私、これまで微力ではございますけれども、小麦の生産流通構造につきまして研究してきました経緯もございますし、本日は、私の専門であります農業経済学の立場から食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして私なりの意見を述べてみたいと、こういうふうに存じております。
 ここで私が述べようと思いますのは、大きく言って二つの点からでございます。第一は、理論的な面も含めまして総括的な観点から、第二は生産構造及び構造政策にかかる観点から述べてみたい、こういうふうに考えております。
 私に意見を求められておりますのは、食糧管理法第四条ノ二第二項の麦の政府買い入れ価格に関する規定の改正、つまり昭和二十五年産及び二十六年産の麦の政府買い入れ価格の平均価格に農業パリティ指数を乗じて算出するという、いわゆるパリティ方式を変更して、生産費その他の生産条件及び麦の需給及び供給の動向、物価その他の経済事情を参酌して麦の再生産を確保するという形で価格決定をしよう、つまり新しい生産費等の三要素により価格を決定する方式へ改正するものというふうに理解しております。
 初めに結論を申し上げますと、私の基本的立場としましてはこの改正に賛成の見解を持っております。そこで、まず理論的な根拠から述べてみたいと思います。
 問題の焦点になりますのは、これまでの食糧管理法で麦の算定に使われたパリティという概念につきましてでございます。このパリティという概念が導入されましたのは、皆さんも御承知のことと存じますが、一九三〇年代、大変な農業恐慌が参りまして、特にアメリカにおきましてルーズベルト大統領のもとでニューディール政策がとられるという過程の中で、その一環としまして一九三三年に農業調整法、アグリカルチャー・アジャストメント・アクトというんですが、一九三三年、その農業調整法がつくられ、さらにそれが三七年、に改正された上で今日まで恒久法としてできてくる経緯がございますけれども、その中でこのパリティ概念を農産物価格の算定に適用するという考え方が打ち出されてきた歴史的経緯がございます。
 この背景には、言うまでもなく農産物が非常な過剰生産に陥り、価格が暴落するというような事態がございまして、農家の所得維持あるいは購買力の維持をいかに図るかという観点からこの方式が取り入れられまして、基準年次に対応した農家の所得、これはもちろん麦だけではございません。いろいろの穀物を含めましてでございますけれども、その農家の所得を維持することをねらいとしてこういうパリティ概念というのが政策価格に適用されるようになったわけでございます。
 しかし、こういうパリティ方式というものが有効性を持つというのは一定の限られた条件のもとにおいてでございまして、農業における生産技術の条件あるいは経営構造などが大きく変化しない、ある意味では非常に短期の期間において、つまり農業生産構造が大きく変化しない短期的な状況の中で適用さるべき性質のものというふうなのが理論的におおむね今日まで考えられたパリティ方式のメリットでもあるしデメリットでもあるわけでございます。
 アメリカでも、戦後このパリティ方式が適用されてまいりました。しかし、御承知のように、アメリカでは戦後、農業の機械化が進み、それから土地生産性、労働生産性も非常に高まり、かつ規模拡大が非常に進展しまして、いわゆる農民層の分化が急速な進展を見せてまいりました。こういう事態を迎えまして、パリティ方式についての適用がだんだん問題を多く含むようになってまいりました。そのために、パリティの二〇%以内だとか三〇%以内という形で価格決定をせざるを得ない。純粋にそれを適用するというふうにまいらなくなってまいりまして、非常に弾力的な運用というものが行われるようになりました。つまり別の表現をしますと、パリティの持つ意味そのものがだんだんその意味を失ってきたというふうに言っていいかと思います。
 こういう背景がございまして、我が国でも食糧管理法を改正して麦の間接統制にするに当たって、このパリティ方式を価格算定方式として導入することになったわけです。ちょうど占領期の末期だと思いますけれども、この方式が適用されるようになりました。御承知のように今日の改正前の規定では、二十五、六年を基準にして物、役務について、農業者の支払う価格の総合指数を乗じて得たる価格を下らざるものとするという形で、非常に固定的、非弾力的な価格適用が今日までされてきた、ここが非常に大きな問題をはらんでいるという意味で今回の改正ということを迎えたのではないかというふうに私は理解しております。
 ついでに世界的な動向を見ましても、農産物価格の政策価格算定に当たりましては、今日では生産費を中心に算定する方式が主流になっております。アメリカでも一九七三年の新農業法、つまり農業消費者保護法というものからパリティ方式を廃して不足払い制度にする。不足払いというのは、簡単に申しますと目標価格、ターゲットプライスを決めまして、これは農家の所得補償価格でございますが、それと市況の変化がございますから、目標価格を下回った分については不足払いを行う、こういう形に一言で言いますと価格政策を変更してまいりました。ほかの国々につきましても今日ではおおむね生産費を中心に算定する方式が政策価格の主流になってきております。
 言うまでもございませんけれども、二十五、六年当時と今日では麦の生産構造は大きく変化してきております。戸数にしまして、二十五、六年当時は五百五十五万戸の麦作農家があったのが、今日では四十三万戸になる。それから作付面積も百八十万ヘクタールから三十五万ヘクタールヘ、さらに収穫量も三百八十万トン前後から百二十万トン前後へというふうな推移をたどってきております。もちろんこの過程で昭和四十年代には急激な麦の作付面積、収量、作付農家の減少がございましたけれども、いわゆる食糧危機以降麦の生産振興対策がありまして、今日かなりの回復を見ているという状態でございます。
 さらに経営規模、作付規模につきましても平均で三十二アールから八十アールヘ、単収につきましても小麦については百八十キロから三百五、六十キログラムヘ、労働生産性の指標であります労働時間についても百四十八時間から今日では十二時間というふうに非常に大きく変わってきております。さらに生産主産地の変更、大きな変動もございまして北海道、九州あるいは関東というところに今日集中してきております。以前は全国まんべんなく麦はつくられたというふうな状況と非常に変わってきております。さらに需要の動向を見ましても、大裸麦というものが大幅に生産減少しまして小麦が今日では中心になってきておる。
 今挙げました幾つかの指標を見ましても麦の生産構造、経営構造というのが非常に大きく変化してきた、こういう実態の中におきまして従来のパリティ方式の適用というのは非常に問題を含むのではないかというふうに理論的にもとらえております。
 さて、次に問題になります改正後、改正されたといたしまして、その価格算定に当たってこれは政令で定めるというふうになっております。先ほど申し上げましたように三つの生産費を初めとする三要素及び二つの条件、麦の生産性向上、品質の改善というものに二つの条件に配慮するというふうに案文では出ております。これにつきまして若干意見を述べさせていただきたいと思います。
 新しい算定方式は政令によって定めることになっておりますけれども、算定方式制定に当たっては慎重かつ合理的な算定方式をぜひとも決定していただきたい、こういうふうに思っております。また現実的には価格水準が大幅に変動するというふうなことになりますと、生産農家の生産意欲というものを大きく左右することになります。多々問題が起こると考えますので、現実的には大幅な価格の激変というふうなことが起こらないような配慮がやはり必要ではないかというふうに思います。
 さて、そこで幾つか新しい価格算定に当たっての配慮すべき点について指摘しておきたいと思いますけれども、第一には麦の生産量、これを一体どういうふうに政策的に目標を掲げて決めていくのかということをかなり、何といいますか、的確にかつ明確に示す必要がある。今日では外麦依存が大きい中で需給の動向、さまざまな問題を持ってきております。こういう中で内麦の生産目標を中長期的に、単年度とかそういうのじゃなくて五年あるいは十年というタームで明確に決めていく、こういうことが今後の生産上もあるいは生産者にとっても必要ではないか、それからまた実需者にとっても必要ではないかというふうに考えております。
 それから第二に、生産費の算定に必要な調査のサンプルが現状では非常に少ないということに問題があるように私感じております。麦の生産費調査につきましてはかって個票にまでさかのぼりましていろいろ分析したことがございますけれども、それらを見ましても麦作農家のサンプルが少ないことと同時に、麦につきましては、収量にしましても生産費につきましても非常に振れが大きい。と同時に北海道と都府県では経営規模あるいは生産構造というものが非常な格差を持っております。経営規模一つとりましても北海道平均では三百二十アールに対して内地平均では六十アールというふうな非常な格差がございます。こういったものを単純に平均しただけでは実際の現実的な価格算定に必要な根拠を持った生産費というのがなかなか算定しにくい。こういったことをどのように考えるべきかというふうな点ぜひともいま少しあわせて検討していただきたいというふうに思います。
 さらに内麦につきましては、品質差が非常に大きいことがこれまで問題になってきております。この品質差はさまざまな要因でもたらされております。品種の差、栽培技術の差、それから経営規模の差、立地条件の差などによって非常に大きな振れがございます。こういったものを価格算定の中でどういうふうに配慮していくのか、参酌していくのかというふうな点が今後十分吟味され、検討されなくてはならないのではないかと思います。
 以上のような点を含めまして、恐らく米価審議会などで諮りながら、この新しい算定方式が検討されると私考えておりますけれども、非常に慎重に米価審議会等に諮りながら、かつ米価審議会の役割が非常に重要性を持っていると考えますので、ぜひとも合理的な算定方式を確立していただきたいというふうに考えております。なお、先ほど松本参考人からも御意見ございましたけれども、来年度の麦価から適用するとなりますと、今日もはやもうすぐ麦の作付が始まります。価格もわからないで農家は何でもつくればいい、そういうことではまずいと私考えますので、ぜひとも早急に価格算定方式を決定する必要があるだろうというふうに思っております。
 それで、時間が参りまして、あと幾つか大きな二としまして、生産対策、構造対策といったような問題がございますけれども、項目だけ述べまして、あとは省略さしていただきたいと思います。
 一つは、規模拡大をいかに図るか、と同時に麦作につきましてはいかに集団的な生産方式あるいは組織的な生産方式を立てながら進めていくか。米麦あわせて日本の代表する土地利用型農業でございます。これが確固たるものでなければ日本農業の今後の展望は描けないと思います。そういう意味で、しっかりした経営者を育てながら、麦作については特に生産の組織化あるいは土地利用の集団化ということを図っていくように望みたい、こういうふうに思っております。
 第二は品質改善の点でございます。これは先ほども申し上げましたので省略さしていただきます。
 それで、第三は優良品種の開発ということが非常に大きな課題になっております。若干時間いただきまして、私のこれまでの調査の経験、一点だけ御紹介さしていただきたいと思います。
 北海道で今日チホクコムギというのが非常に生産を伸ばしてきております。かつてございましたホロシリ、タクネといった余りぐあいのよくない、品質のよくない品種にかわりまして、チホクコムギが非常に生産を伸ばして作付面積もふえてきております。このチホクコムギは製めん適性などにつきましては農林六十一号に若干劣るにしても北海道の中では最も優良品種と考えられております。このチホクコムギは北海道農試の北見農業試験場で非常に苦労の末、育種されたものでございます。
 それは農業基本法以後小麦の品種改良などはだんだんおろそかに日本ではされてまいりました。いわゆる選択的縮小作物というふうなことで位置づけられておろそかにされてきて、予算にしろ人員にしろだんだん不足してまいりました。それで、こういう状況の中でタクネやホロシリという北海道にかつてあった品種ではどうもユーザーからも不評を買うという中で、麦作農民たちが、たしか一俵五十円だったと思いますが、拠出いたしまして、それで基金をつくって、施設その他を北見農業試験場に寄附いたしまして、その結果苦労の末つくり出されたのがチホクコムギだったわけでございます。それで、大変一見美談でございますけれども、こういう品種改良とか新しい品種の開発というのは美談だけでは済まされない問題がございます。やはり総力を挙げてわせの多収穫、高品質の品種をぜひともつくることが日本農業の、麦作農業の発展に寄与するのではないか、こういうふうに考えております。
 それで、まだ多々ございますけれども時間が参りました。大変超過いたしましたが、私の考えを以上述べさせていただきました。どうもありがとうございました。
#13
○委員長(岡部三郎君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○稲村稔夫君 私は社会党の稲村稔夫と申します。参考人の皆様方には大変貴重な御意見をいろいろとお聞かせをいただきまして大変ありがとうございました。それぞれこれから委員の方から御質問申し上げていきます時間の関係等もございますので、私は最初にそれぞれの参考人の方にお聞きをして、そのお答えの後まだ時間が残ればどなたかにまた特に関心のあることをお伺いしたい、こんなふうにしたいと思いますので、ひとつよろしくお願いをいたします。
 最初に、松本参考人にお聞きをしたいわけでありますけれども、特に生産者団体の要望ということで簡単にいろいろと提起をされました。その中で特に農用地の利用調整を進める上で新たにいろいろと新しい問題も出てきているので修正をしてほしい、こういうことで三点ほど御提起がございました。特に行政機関中心で行われているものを農協等の生産者の自主性もというようなことも言われましたが、特にこの辺でいろいろと今までの状況だとネックになっていたのは何なのかというようなことももう少しお聞かせをいただきたいと思います。自主性を中心にしていけばどういうふうな方向へ開けていけるかというような展望等もお聞かせをいただければありがたいと思います。また、ただいま今村参考人の方からも特に品種の問題についてお話ございましたが、これは松本参考人の方も風土に合ったわせで良質で多収でという要望ございましたけれども、これはそうした団体等でもこういう方向へ向けての御努力がいろいろされているんではないだろうかと思うわけでありますが、その辺の御努力があればお聞かせをいただきたいと思います。さらに、流通における問題点ももし加えることがあったらお聞かせいただきたいと思います。
 次に、長井参考人にお願いしたいわけでありますが、特にお話をずっと伺っておりまして、非常に御努力をされて九町ばかりの集団転作、九ヘクタールばかりの集団転作でやっておられる大麦、これでこれからの基盤整備費等の償還金が非常に大きな問題だということを御提起になりました。これは金額的にちょっと触れられた、二万四百八十五円ですか、十アール当たりというふうに触れられましたけれども、これはそうすると実際の大麦作の収入とあわせて考えていただく、実収入、生産費を除いた所得ですね。所得と比べるとこれはどのくらいになりますか。要するに、償還金というのが麦をつくったために、つくってそこで上がってくる収入と償還金とのバランスといいましょうか、これがどういうふうになりますかという点が一つ。それからもう一点は、今まで小麦が大体主としてほかの参考人からは述べられているわけであります。しかし、大麦の場合には需要についても若干気になるところがあるわけでありますけれども、その辺のところ長井参考人は生産現場にいてどういうふうに感じておられるか、これをお聞かせをいただければ大変ありがたいと思います。
 次に、正田参考人には、よりよいめん用の小麦の品質の問題を中心にしてかなり強調しておられました。その点は、よく品質の点というのは大事なことはわかりますけれども、しかしこれはめん用の加工ということになりますと、いわゆる手づくりめんとしていろいろと今までつくられていたものと、それから工業的に生産をされるめんということでのいろいろ質的な違いなどというのもあるのではないかと思いますけれども、その辺のところをもしお考えがあれば伺いたいと思います。
 さらに最後に、今村参考人にお伺いをしたいわけでありますが、パリティ方式を廃止するということについては、それで生産費を中心にして算定をするということについては賛成だというふうに言われました。私もそういうお考えもあるかとも思います。しかし、例えば基準になっております二十五、六年ころの麦生産の経営状態というようなものから考えていって、これが、何といいますか、現在のパリティーで算定をしていったら現在の生産費をかなり上回った高い価格が出てくるとか、そういう格好でありますといろいろと問題があると思います。しかし現実は御指摘のように四十年代から五十二年ぐらいまでかなり急速に栽培が減っておりまして、そしてやっと調整金が加味をされるようになってきてからまた生産がふえてきているという、そういうこともあるわけでありますが、そういたしますと、私は、パリティー計算というのはいずれにしても二十五、六年なら二十五、六年が基準になって、誰が計算しても同じ答えが出るという一定のきちんとしたものが一つ基礎にあって、それに調整額を加えて価格の調整がされてきた、こんなふうに思うんですね。しかし、今度の生産費中心にということになりましても、何か生産費についての、先ほどサンプリングの問題等も触れられましたが、それ以外にも品質も含めましていろいろな参酌要素がふえてきておりまして、そういうことになると、基準とするものがはっきりしない、恣意的にある程度ものが決められるという、そういう欠点を持つんではないだろうか。その辺のところをどういうふうにお考えになっておりますか、お聞かせをいただきたいと存じます。
 以上でございます。
#15
○参考人(松本登久男君) 稲村先生からの御指摘でございますが、三点ほどございましたが、私十分答えられないものも若干ございますのでお許しいただきたいと思います。
 第一の農用地利用調整の問題でございますが、先生方にこの法律案の改正にかかわりまして参考資料で農林水産省から出されております資料を拝見いたしましても、麦作の場合には作付規模別の生産費に非常に大きな生産性の格差がございます。御承知のとおり最低規模と最大規模は三倍以上の格差がございます。そういう意味で、麦作の場合には特に労働粗放的作物でございますから、そういう意味では規模の拡大ということは麦作の場合欠かせない非常に大きな要素だと。しかも生産力格差があるという前提であれば、規模さえ拡大できればコストは下げることができるわけですから大変重要な意味を持っております。しかしながら、今日農用地の利用調整の国が進めております諸施策を拝見いたしますと、私どもと若干ニュアンスが違うところがございまして、国の方は御承知のとおり農用地の利用、流動化促進ということに非常にウエートを置いた施策の推進を行っております。私どもは、農用地の利用調整の場合には、流動は不動産と言われている農地においても有償移転あるいは賃貸借、そういったものも含めまして権利関係の異動はかなりの量が現実にはあるというふうに考えております。
 問題は、それが一定の方向に集積しない。つまり規模拡大し生産性が向上していく、あるいは生産主体が健全化していくという方向に集積しないところに一つの大きな問題点がございます。そういう意味で、今後流動施策のウエートはどちらかというと集積にウエートを置いていかなければいかぬ。事業面も流動化促進事業じゃなくて、むしろ集積促進に置かなければいかぬのではないかというふうに私どもは思っております。ただ、その場合に、集積ということは日本の農村の社会の実情からいったら非常に難しい面がございます。特定の人に集積するということは、安易にやりますとかなりの多くの農業者の反発を招きかねない、
 そのためにいろいろな施策が用意されてあるわけでございますが、現状においては、その中で農協に許されております施策は農業経営受委託あるいは農地信託、こういった制度はございます。しかしながら、これについては残念ながら実績がほとんどございません。特に農地信託という制度は、今土地信託については銀行等で非常に今の高地価を背景にいたしまして信託制度が見直されてきておりますが、貸し付けを目的にしました信託、農地信託におきましても登記その他の諸手続に非常に煩雑な事務を要するということがございますので、この点で一つは推進が非常におくれているという面がございます。これは農村社会の実態からしますと、まだまだ簡素化できる要素がかなりあるのではないかというふうに考えられております。
 それからもう一つは、農協に許されております諸制度は経営受委託制度がありますが、これについては現在の制度では幾つかの問題点、確かに法律上の問題点も若干ありまして、解決には大変な知恵を出さなければならない問題がございますが、現実にはどちらかというと委託者残余方式という方式がとられておりまして、つまり経営を委託しますが、委託した人にリスクの負担も損益の帰属もありまして、つまり受託した人に経済的なインセンティブは余りない。受託した人は全く決められた経費だけで請け負うという形になりますので、実態調査等を拝見しておりますと、うまくいっているところでは受託者残余方式ということを現実的に適用しているところは比較的経営受委託もうまくいっている、こういう面がございまして、既存制度におきましても運用上かなり直していただきたい制度的な要素はございます。
 それからもう一つは、現実に今賃貸借を促進する上で一番大きな施策として組まれておりますのが利用増進事業でございますが、利用増進事業の中ではこれは行政機関が中心になって推進されておりまして、農業者の自主的団体でございます農協はなかなかその中心に位置づけられておりませんで、まあ手伝うのなら結構だよというぐらいの位置づけでございますので、そうではなくて、本当に農業構造を健全化していくということが国の施策の第一課題であるとすれば、もっと農業者の自主的団体である農協がその中に位置づけられて利用調整に積極的に参加していく、それが農業者の合意をつくる上ではむしろ非常に好ましいことではないかというふうに私どもは考えておりまして、そういった点について今後いろいろこれから構造施策について今国会初め以下御議論される機会が多いと思いますので、その際に十分その点をお酌み取りいただいて、この目的が遂行できますようにお願いをしたいということでございます。
 それから、先生の御質問、第二の品種改良の問題でございますが、この点につきましては私どもも、本来でいきますと先生御指摘のように農業団体が自主的にそういったことを推進できる力量を持たなければならぬというふうに私どもも考えておりますが、現実は残念ながら農協も組織のずうたいは大きいわけでございますが、なかなかそれだけの力量を現在持ち得ておりません。そういう意味では今後の私どもの自主的な課題の一つであるというふうに思っておりますが、この種の品種改良のような基本的な科学技術分野といいますか、こういったものについては国の試験研究機関に依存するところが大変多大なものがございます。
 特に最近は非常にその種の分野の技術が発達してまいりましたので、私どもはこの中で特に獲得形質の遺伝ということについてもう少し積極的に取り上げていただいて、それを改良していくといいますか、そういった方向でこの品種改良について努力をしてほしいという希望を持っております。基本的には私どもも努力しなければいけない分野でございますので、余り口幅ったいことは言えない分野でございますので、ひとつその点はお許しいただきたいというふうに思っております。
 流通につきましては、これは先ほど製粉協会の会長さんからも御発言ございましたが、地域的な偏りもございましたりしまして、また現実には我が国の麦の流通の実態、実情を見ますと、主産地から消費地まで持ってまいります流通経費、これは多大なものがございます。
 特に陸上輸送の技術革新が非常におくれておりますので、海上輸送ではるかに何十倍という距離を持ってくるものと同じぐらいコストがかかってしまう面もございますので、そういった意味では私どもはとりあえず今進めておりますのは、ばら流通をできるだけ進めるということをしております。これは検査制度その他もいろいろ関係してくることはございますが、基本的にはばら流通を進めたい。そのための施設として乾燥調整施設を共同施設としてできるだけ整備を地域的にいたしまして、主産地はそれからばら流通ということで流通できるような体制を早急に整えたいというふうに現在考えておりますが、この予算につきましても、今日の国の予算事情からいたしましてかなり順番待ちの状況でございまして、この種のものは農業者の希望も多いものでございますから、できるだけ予算をふやしていただくように御尽力を賜ればというふうに思っております。
 以上でございます。
#16
○参考人(長井洋一君) 稲村先生の最初の質問ですが、大麦の生産費の中に土地改良の基盤整備の償還金が含まれるのかどうかという質問かと思うんですが、先ほど述べました十アール当たりの所得三万六千七百八十一円を算出するに当たっての生産費の中に土地改良の償還金の分は計上してございません。直接かかった生産費、労働費、そういうものだけを計上してございます。それで、転作奨励金等を含めて八万円からの所得になるその中から、先ほど述べました十アール当たりの今年度の償還額である二万四百八十五円の償還金はそこから払うことになります。
 それからもう一つの大麦の需要の件だと思うんですが、生産者として私たちがつくった大麦がどう利用され何になっているかということは生産現場にいる私たちにはわかりません。ただ農協が集荷をしました大麦に関しては、かなり何年か倉庫に眠っているようだと農協の職員の方からもそういう話を聞くことがあります。そういう面で、いずれは大麦の生産調整ということにもなるんではないかというふうに話は聞いたことがありました。それがどうなるのかは本当に心配しているところでございます。
#17
○参考人(正田修君) 稲村先生の御質問に正確にお答えできるかどうかわかりませんが、御質問の中に、めんでもいろいろなものがあるのじゃないかという御趣旨の御質問だったというふうに受け取っておりますが、確かに先生おっしゃいますように、これは嗜好の問題というものが必ずその中に入ってまいりますので、ある方がおいしいと言うものが別の方にとってはそうでないということは十分起こり得ることでございます。先ほど私申し上げましたのは、あくまでも一般的に最も標準的と申しますか、多数をなす意見、これは私どもが自分の仕事を通じましてめん屋さんであるとか、あるいは一般消費者の方であるとか、そういう方とお話をさせていただく中で、やはりこういうものが好まれているんだなということから判断をしてきておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたことは、私は日本めんということに関しましてはまず大方の方に御納得いただける品質の評価ではないかというように考えておりますが、まれにはそうでないという消費者の方もあるいはおられるかもしれません。
 それからもう一つ、手づくりめんと工業めんというお話も先生のお話の中に出ていたかと思いますが、この点に関しましては私はそれに関する小麦あるいは小麦粉という点につきましては、比較的共通性が高いのではないかというように感じております。これがめんでなしにパン用というようなことになりますと、かなり手づくりのパンと、それから大型の製パン工場でつくられるものと、それに適する原料というものが変わってくる場合がございますが、めんの場合には比較的共通というようにお考えいただいてよろしいのではないかと思いますので、以上それだけお答えさせていただきます。
#18
○参考人(今村奈良臣君) 稲村先生からの御指摘、こういうふうに私受け取りました。生産費その他の三要素によって算定するけれども、確固たる基準という、根拠というのができ得るかどうかという御指摘でございますが、一般的に農産物価格の形成原理を考えますと、社会的需要を満たすに必要な限界値における標準経営の生産費を基準とするというふうに言うことができるだろうと思います。
 ただ、そこで難しいのは、私も先ほどの公述の中で申し上げましたように、社会的需要というふうなのをどの程度に考えるのか、どの水準で考えるのかということが非常に重要であるということを申し上げましたけれども、これが第一に非常に大きい問題になるわけです。売れない物をつくるわけにもこれはいきません。どの辺で社会的需要をはかるかということが第一点。
 それから限界値はおきまして、標準経営というときの、これを今日の姿で考えますと、みんな麦作農家が自己完結的に、自分で機械を持ち、土地を持ち、労力を持ち、自己完結的にやっているかどうかとなりますと、そういう農家ももちろんございますが、私のいろいろのこれまでの実態調査などを踏まえて見ますと、やはり麦作というのは土地利用における集団化あるいは団地化というのを図りながら水利用等調整をうまくやる。あるいは機械の利用における生産の組織化、流通改善といったようなことを進めている地域集団が非常に現実にはふえてきているように思います。
 もちろんこの中には、先ほど長井参考人の申し上げましたような転作を契機にやっている場合もありますし、そうでなくて転作でなくてもそういうことをやっているところもございます。例えば北海道などでは一戸当たりの作付面積は大きいのですけれども、かつその上に収穫期を迅速に、品質が悪化しない間に収穫するというふうなために収穫の組織化、機械利用の組織化、あるいは乾燥調整の組織化というふうなことを十勝平野などでは非常にやっているところがございます。
 そうしますと、標準経営というのをどういうふうにとらえるかというのは今日では非常に難しくなっております。つまり自己完結の個別農家の生産費を考えるのか、そういう農家の集団がつくっている生産費というのをどういうふうに考えるかというところで非常に考える方の幅が出てまいります。この辺は今後日本の農業、特に麦について、麦作経営をどういうふうな方向へ進めていくかという政策の基本原則、基本方向とも大いにかかわってくる問題だろうと思います。
 私は三十アールや五十アールを個別農家でやっているようなことでは今後余り望みがない。非常にスケールメリットの発言ができる麦作におきましてはもう少し組織化していく。同時にその過程で先ほど松本参考人が申し上げていましたように農用地の利用調整、本当に効率的な利用をするにはどうしたらいいかというふうな観点からやっていかない限り、日本の本当の力強い農業発展はなかなか見出せないのではないか、こういうふうに考えております。そういう点も勘案して生産費の算定を行い、かつ政策価格の決定も行っていく。こういう意味で非常にその辺、今のところ十分な御返答にならないかと思いますけれども、考え方の原理としてはそういうふうに私は考えております。
#19
○大塚清次郎君 先ほどから貴重な御意見を四人の参考人から伺いましたが、二、三の点につきまして諸参考人にお聞きをいたしたいと思います。
 まず松本参考人でございますが、先ほど稲村先生からございましたことはちょっと割愛いたしますけれども、この中で一つ関連いたしますが、この農地の流動化、これを集積の方向にひとつ力点を置いてやってほしいということ、さすがにそうだと思いますが、そうなりました場合に、現在の農地流動化の諸施策、制度、これがそぐわない、またその中に生産者、いわゆる生産団体も積極的にみずからのこととして参画をいたしたいということでございますが、これは出す方と受ける方があるわけでございますが、どうしても、特に麦についてはやっぱり受ける方としては営農集団で対応していくのが一番受けやすい、だからその受けやすいような方向でこれは施策さるべきだ、そういう制度なりあるいは施策がなされるべきだというお考えのようでございますが、その点につきましてもう少し生産者団体側の意見をはっきり聞いておきたい、このように思っております。
 それとともに、もう一つは質的な問題、品質的な問題でございますけれども、やはりこれも規模と同様に、非常に北海道と九州あるいはその他の地区というように現に二重構造があります。これは一つは畑作麦と水田転作麦、こういうふうに仕分けされるんではないかと思いますが、これをどのようにして質的なものを引き上げながら平準化していくかということについて、何か生産者団体の考えがございますか。その点を二点だけ伺いたいと思います。
 それから、正田参考人にお伺いしますが、やはり今一番問題なのは内外格差の問題だと思います。もうおっしゃるとおりでございます。品質もさることながら、値段についての三倍以上の内外格差、これはやはり今国際経済事情が非常な円高の中、このハンディが一つありますね。それから経営規模上のハンディ、それから気象的な土地条件的なハンディ、これらでこのような大きな格差が出ていると思います。生産農家の努力は、やはり日本の農家より勤勉な農家はないと思います。そういうどうしても克服できない点がここにあるわけで、そういう結果が出ておるわけでございますが、そうなると、これはやっぱりそこの内外格差をゼロにするということは、とてもこれは至難なわざでございますので、まず需要者側としてどの程度までその格差を是正すれば、まずまず国内麦として、需要者としてひとつ許容していただけるものかどうか、その点の一つの見通し、めどについて、非常に難しい質問でございますが、抽象論でよろしゅうございますからお聞かせいただきたいと思います。
 それから、今村参考人についてでございますが、非常に農業経済学的な立場からこの問題をお述べいただいて大変参考になりましたけれども、私は、ここに麦価算定の一つの決定の要素といたしまして三つ、四つございます。その中の主力をなすのが生産費だと思います。これが米についてでさえ非常に問題が多い。これが、しかも加工して需要者に行く、消費者に行く麦については非常にこれは難しい。それとともに、さっきお述べになりましたようないろいろの要素のそれぞれのエレメントについて大きなぶれがある。つかまえどころがなかなか難しい。また、それを計算上、組み立てていくについてもデータがないということですね。ですから、これはともすると公正なまずまずという適正な算定が非常にできにくい、一番できにくい作目の一つじゃなかろうかと、このように思うわけでございます。したがって、パリティというのが理論的には、まあ長期的なものとしては参考にするに値しない、そういうものによるべきでないという考え方がありながら、現在まで私は続いてきたものだと思います。
 そういう点からいきますと、ここでそういう生産費について、本当に標準経営農家をどうつかまえ、それから社会的な事情をどういうように判断するか、その判定の問題になって、だれが判定するかということになると、これが恣意に行われますと、非常に麦作の今後振興ができなくなっちゃう。こういうことからいたしまして、審議会的なものをひとつここで仕組みをしっかり拡充あるいは内容を整えて対応すべきだということをお述べになっておられます。まことにそうだと思いますけれども、この場合、私は米価審議会の構成あるいはあの審議の内容、過程、そういうことでは麦価についてはいけないと思うんですが、ですから、しっかりしたそういう機関をここで用意していく、米価審議会の一つの中のものとしてということではなくして、今度の法律が本当にその実効を上げてまいりますためには、どうしても生産者代表、消費者代表、中立委員。生産者委員、消費者委員、中立委員という、そういったようなことでなくて、むしろそういう需要者側、消費者、生産者側、別にした本当にこれは公正な立場でひとつ議論をし御決定をいただく機関であるべきだと、このように思いますけれども、その点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
#20
○参考人(松本登久男君) 大塚先生から御指摘の点は二点ほどだというふうに了解しておりますが、第一の点につきましては、先ほど稲村先生からの御指摘の際に私も十分触れておりませんでしたので、先生御指摘のとおり、私どももそのように考えております。
 特に、農用地の利用調整の問題につきましては、麦作の場合には受け手が非常に少ないという、しかも受けにくいという状況の方が出し手の問題よりは大きな問題でございますので、その受け手の場合も、我が国における農業の実情あるいは農村社会の実態からいたしますと、私どもは営農集団あるいは麦作集団、こういった集団で麦作を行っていく方向で受け手を設定していくということが最も好ましいというふうに考えておりますし、実態もそのように現実には進んでいる面がかなりございますので、政策的にもこれをしっかり加速していただきたいというふうに思っております。特に、この点につきましては、細部に触れることは省略いたしますが、機械の効率、土地利用の規模、土地の所有の規模、さまざま農業を取り巻く諸要素と経営主体との間のずれがございまして、それらを総合的に調整し得る主体としての麦作集団ないし地域営農集団というものが最も望ましいというふうに考えております。
 それから、第二の品質問題でございますが、これも先生御指摘のとおり、畑作、水田転作と、二つの作型を麦作の中に抱えておりますので、御指摘のとおりでございまして、この間に生産性のかなりの違いが現実にはございます。特にその際に、我々も国の生産指導の上でも今後とも十分御配慮いただきたいというふうに思っておりますのは、一つは、転作ということになりますと、現在は個別の生産者に転作の目標面積が現実には配分されておりますので、そういったことを考えて前提にいたしますと、どうしても転作を効率的に行い麦作の生産性を上げていくということとかみ合わせるということになりますと、個別農家がこれに対応するということにとどまらず、地域農業としてこれをどう処理するかというふうに考えていかなければならぬだろうというふうに思っておりまして、農業団体といたしましても、地域農業振興計画というものをしっかり立てて、その上で作付の計画化、そういったものも達成し、現実の生産も行っていくというふうに考えておりますので、それらを大いに指導の上でも御考慮いただきたいということが一つと、それからもう一つは、水田転作の場合には、どうしてもかん排水に難点のある水田が麦作に充当される面がなきにしもあらずでございまして、その意味では田で行われる麦作につきましては、基盤整備をしっかりやっていただくということが必要でございまして、その点につきましては、我々も生産者の意向の取りまとめに大いに努力をしたいというふうに思っておりますので、田における麦作に基盤整備の適用を加速していただければというふうに思っております。
#21
○参考人(正田修君) ただいまの大塚先生の御指摘、本当に私どもが今最も心配していることでございます。
 最初に、内外格差ということでございますが、一応ここでは私どもが政府から買い受けます政府売り渡し価格、内外麦を合わせましたその政府売り渡し価格、これが私どもの原料価格になるわけでございます。それと、現在の国際麦価というものとの格差ということでお話をさせていただきたいと思いますが、先生既に御案内のとおり、この格差がここ一、二年で急速に拡大している。その拡大している原因の一つは、円高という問題があるわけでございます。そのほか、もろもろの要因から現在の格差になっておるわけでございますし、これが現在のままではとても競争できないというのは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それでは、どの程度に締まれば競争していけるかということでございますが、これは当然のことながら、原料小麦の価格差と、それから製品の関税率あるいはその製品をこちらへ持ってまいりますフレート、そういったものとの関係になってくるわけでございます。したがいまして、通常考えれば、その原料の格差が製品関税率の範囲内であれば、これは私どもとして競争していかなければならないのだろうと思います。それでも競争できないということになりますと、私どもの生産性が海外の製粉業者ないし二次加工業者よりも低いということになります。それではやはりいけないのだ、製品関税率の範囲に原料の格差が入ってくれば、私どもはやはりそれで競争していかなければならないのだというように思います。
 そういうことになりますと、製品関税率は、どうしても現在の情勢ですと下がりこそすれ上がる方向にはないということでございますので、やはりこなせるところというのは二、三割高というところまでかなという感じがいたします。
 ただ、私ども過去におきましても、五割アップぐらいまでのところはこなしてきた経験もございますので、やはり長期的にはその製品関税率の関係で格差を考えなければならないのではないかと思いますが、そこに至るまでの過程では五割ぐらいのところにしていただけたら、まあ現在の輸入急増あるいは輸入品との競争というようなところは、ある一定の期間はしのいでいかなければならないのかなと、そういうように考えております。先生も御質問の中で御指摘になりましたように、どこまでならできる、どこまでからはできないという境目がきちっとなかなか引きにくい問題でございますので、私の感覚ということでお聞き取りいただければと思います。
 以上でございます。
#22
○参考人(今村奈良臣君) 大塚先生から大変難しい質問をいただきまして、確かに麦の価格算定につきましては、生産費など非常にぶれが大きいし、データも少ないということは事実でございます。私ども、そう考えております。ただ、問題は麦作が昭和二十年代非常に盛んだった。それが大体四十年代ボトムにきまして、また上がってくるように、大きな変動をたどってきて、麦の生産がどうにかある意味では緒についたというのは五十年代の半ば以降だろうと思います。
 そういう意味で、一言で言いますと、麦の生産構造あるいは経営構造というのが、大きい意味で言えば変化の途上にあって、これからある意味ではだんだん定着していく方向性にあるのではないか、こういうふうに見られます。それは北海道と内地では大分違いまして、北海道の麦につきましては、根菜類や小麦など土地利用のローテーションがある意味ではかなりしっかり確立する中で、例えば小麦が取り入れられているというふうな形になっているわけです。もちろんその過程で北海道の農業経営は、規模拡大が非常に進んだわけですけれども、全体の土地利用構造なり機械利用の構造なりというのは、それなりに全体的に定着してきた。こういうところは、それなりに生産費も振れが少なく安定的な推移が見られるわけですけれども、内地ではまだそういう方向に、まだ振れがかなり大きいというのは事実でございます。
 そういう意味で、今日の内麦の姿、特に内地の麦の姿は構造変化の途上にある、これはだんだん定着していくものというふうに、私なりに考えております。そういう意味で、事も勘案しながら、価格算定なかなか非常に難しいと私思いますけれども、かつまた何がしかの算定試算といったようなものが、方式の試算みたいなものが出てくればコメントできますけれども、今の段階でそれは不可能でございますので、その程度のことを申し上げます。
 と同時に、いま一つ新しい審議機関などを用意してはどうかということでございますけれども、一面では米価審議会がございまして、屋上屋になりかねないかというふうな感じもいたしますし、なお先生の御発案でこちらの委員会などでそういう御提案などされれば、ということぐらいのことでございまして、私、今の段階では確たる御返答ができない、大変難しい問題でございます。
#23
○大塚清次郎君 松本参考人にちょっとお聞きしますが、結局営農集団を受け皿にするということにならないと規模拡大は私は進まないし、品質格差も是正できないし、この二重構造も解消できないと私は思います。個々の農地の出入りではなかなかこれはできないと、こう思いますが、そうした場合、ここに担い手の問題が一つ出てくるわけでございます。結局、営農集団の中で担い手づくりをしていくということ、これは麦に限らず総合的に考えてやっていくというようなことについての政策の整合性がどうも構造政策として欠けておるということを私は常々痛感しているわけでございますが、その点について最後に伺いたい。
#24
○参考人(松本登久男君) 大塚先生から営農集団と担い手の関係、あるいは経営主体の関係について御指摘がございましたが、私どもも今日国の施策は、昨年ですか、農政審議会で一つの答申を行っておりまして、一つの報告書が出ておりますが、その際に、これからの日本農業の担い手の問題といたしまして地域営農集団という考え方と、それから個別中核農家という考え方と二つの農家が併記されておるようになっております。
 私どもも、大塚先生の御指摘のとおり、個々の農地の貸し借りあるいは売り渡し、買い入れという出し入れでは非常に新しい経営主体創出には限界があるというふうに思っておりますので、この農政審の報告はかなり私どもの主張も入れて、二つの考え方が併記されているというところに非常に積極性を見出しております。それを今後やはりどういうふうにさらに具体的な個々の施策の中で定着さしていくかということがこれからの課題だというふうに思っておりまして、現在農政審におきましても専門部会が設けられて検討がされているというふうに私たちも伝えられておりますので、その場におかれて私どももこれをもう少し深めていただくように具体的なお願いをしたいというふうに思っております。
 御承知のとおり、後継者の就農状況というのは非常に今数が少なくなっておりまして、個々の農家が個別に後継者を得るということが難しい状況になっておりますので、先生御指摘のとおり、地域の中できもんとした農業を後継していく農業従事者がおり、その周辺に兼業ないし高齢者専業、そういった農家が集団としてまとまっていく、それが地域としてAという農家の子弟が今度次の世代ではBという農家の子弟に受け継がれるかもしれませんで、従来のように個別農家はそのまま個々の経営者を持って農業経営を引き継いでいくという状況とは姿は変わるかもしれませんので、そういったことに対応できるような具体的な農地の所有あるいは利用関係の法制度その他さまざま実態に合った施策の整備をこれからしていかなきゃならぬだろうというふうに私どもは考えております。
#25
○大塚清次郎君 終わります。
#26
○及川順郎君 まず松本参考人にお伺いしたいわけでございますけれども、減反転作作物としてその主要を占めているというぐあいに一面では言われているんですが、実質的に、全国的に調べてみますと、減反で減った面積だけそれじゃ麦作面積がふえているかというと、ふえていない。むしろ同時に減っているという状況の中で、転作作物としての位置づけというものが必ずしも定着していないんじゃないかという、こういう感じを強くするわけでございますけれども、さっきから畑作と転作の二面性のお話が出ましたけれども、転作の部分での定着性について、現在わかっている範囲で結構でございますので、その状況をもう少し詳しく御説明をいただきたいということであります。
 それからもう一点は、品質の問題でなかなか品質の改善が進まないという状況があるわけです。品質の改善が進まないという状況がどこにあるのかという点ですね。これを具体的に生産者と生産団体との間でどのような協議をこれまでなさってきておられるのか、この点をお伺いをしておきたいと思います。この二点です。
 それから長井参考人にお伺いをしたいわけですけれども、参考人の土地、地域柄、地域として、例えば転作作物として非常に御努力をされてきたということに対して敬意を表するわけですが、周りの農家を見ますと、ほかの転作を希望する方もいらっしゃると思うんです。地域の風土といいまますか、その状況の中で、この麦作が転作としてやはり一番見通しの立つ作物として、そういう定着している実感があるかどうか、この点を率直に承りたいと思うんです。
 それから正田参考人にお願いをしたい点は、現在の製粉業界の人たちの意見を聞いてみますと、非常に国内の内麦ですね、品質が悪いために内麦で粉をつくっても売れない、現実にもう何カ月も消化する分だけが在庫としてストックされているという状況をよく聞くわけで、国内麦を扱っている製粉業界ほど非常に存亡の危機にさらされている、こういう状況を聞くわけです。そういう状況の中で、現実的には外麦の良質の粉とまぜて出さなければならぬという、こういう実態があるわけでございますが、一面において外麦を請求してもそれが出てこない、そういう政府の管理のあり方に対する御希望ですね。それから内外麦の混入の問題に対する現状、この点に対する実情をお教えいただければと思うわけでございます。
 それから、最後に今村参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど北見農業試験場の例が出ておりましたけれども、輸入品種の品質というものが日本の消費者ニーズに非常にかなっているという状況がはっきりしていながらも、その作物がつくられない、その品種がつくられないという、こういう状況が地質や風土に大きく起因しているのか、それともこれをつくれない内外の、国内と外国との関連の中で、そういう取り決めというものが影響しているのか、この辺のところを品質という点からどういうぐあいにごらんになっているか。品質改良という、今のバイオ等を使って品質改良はかなりこれはできるんではないかという、こういう感じの中で進まない現況等について、学術的な面から御見解があれば伺いたいと思うんです。
 もう一点は、パリティ方式から生産費方式に変わるという今回の状況について、先ほど賛意を示されましたけれども、三つの参酌要素とそれから二つの配慮要素が合理的な算定要素になり得るのかどうなのか。その学理的な裏づけといいますか、そういう御意見がございましたら伺っておきたいと思うんです。よろしくお願いします。
#27
○委員長(岡部三郎君) 質問がたくさんございますので、まことに申しわけございませんが、参考人の方の御答弁簡潔にお願いをしたいと思います。
#28
○参考人(松本登久男君) 及川先生の御指摘二点ほどございましたが、簡単にお答えさせていただきます。
 まず第一の転作作物の主力として麦作が位置づけられておるけれども、その位置づけにおいて必ずしも定着していないのじゃないか、あるいは主力としてきちんと位置づけられてないのじゃないかというふうな御趣旨の御質問でございましたが、私どもも今日米の需給実態からいたしますと、転作は回避できない一つの施策だというふうに考えておりまして、その際に現在の国の施策のよりどころになっております六十五年見通し等から演繹いたしますと麦、大豆、飼料作物の三作物てほぼ転作面積の三分の二程度を充足いたしませんと日本全体の農業生産のバランスが取りにくい、こういうふうに考えられる組み立てになっております。その面からいきますと、まだまだ三作物のウエートはそれほど高くなっておりませんので、もう少しやはりその点について我々も生産者団体も、国の価格支持もしっかりあり、生産振興施策の継続がとられているこれらの作物について農業者が積極的に取り組めるように推進を図らなければならないのではないかというふうに思っております。
 ただ先生御指摘のように、最近の状況では転作面積の中でいわゆる他用途利用米等の面積が若干ふえておりますので、それらも麦、大豆よりは農家としては取り組みやすい技術的な性格を持っておりますので、それらの入ってきたことが若干従来のような形とは転作の姿を変えている面も現実にはございますが、方向といたしましては先生の御指摘のとおり、生産者団体も努力をしなければならぬというふうに思っております。その際に定着の見通してございますが、私どもも明確な資料を現在持ち合わせておりませんが、現状においてはおよそ三割程度のものは定着するのではないかというふうに判断できるのではないかという材料はございますが、必ずしも完全な資料でございませんので、今後その点については引き続き調査その他を行いまして明確な判定をする材料を整えたいというふうに思っております。
 それから品質問題につきましては、今までどういう取り組みがなされているのかということを中心の先生の御指摘だと思いますが、確かに同じ品種を選びまして同じような地域でつくりましても品質が非常に悪いものと比較的いいものと、そういうものが出てまいっているのが現実でございます。そういったことになりますと、営農の条件といいますか、つまり肥培管理その他の営農の条件、あるいは収穫期に雨が降るとかいう非常に不安定な条件をもちろん抱えているわけでございますが、それでも営農の肥培管理等の要素によって品質向上が行える余地というのはかなりあるのではないかというふうに私どもも思っておりまして、そういったものについては現在整備を行っております各地域単位に置いておりますコンピューターにデータを入れまして、気象その他の要素、さまざまな要素を入れましてどういう肥培管理のものが悪いものができてくるのかということについては検討をやる材料の蓄積を行っているところでございます。
 ただ、その点につきましては本日この場にも御出席いただいております正田会長が代表されます協会の方からも私ども生産者団体に強い要望をされておりまして、繰り返し承っておりまして、私どもも基本的にはその御要望に沿う方向で努力をしたいという基本態度でございますが、何度も申し上げて弁解のようになって恐縮でございますが、私どもの団体もなかなか私どもの意向がすぐ完全に構成員のところにつながっていくといいますか、実効が上がってくるような、そういう非常に強力な組織になっておりませんので、私どもはその中間に立ちまして大変苦慮しているところでございますが、できる限り、先ほど来申しておりますように実需者、消費者に好んで使っていただくということを目標にいたしまして努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#29
○参考人(長井洋一君) 及川先生の御質問は麦作が地域の中で定着をしているのかどうかという御質問かと思うんですが、米単作地帯でございまして米をつくらしてほしいというのが本当の農家の気持ちでございます。ただ転作はしないわけにいかないという、特に今まで一二%くらいだったんですけれども、一八・五%の転作率というふうなことで避けて通れないという中で大規模な農家ほど転作面積が大きい。その中で能力的に非常にかからなくて、ある程度転作を消化できるという面で麦作を望んでいる農家が大規模農家ほど多いと思います。小さい農家は転作はできればごまかした程度でやりたい。集団栽培、集団転作は非常に集まって会合開いてブロックローテーションのいろいろ煩わしいことをせにゃならぬ。そういうことはいやだから、できれば避けたいという農家が小さい農家の場合には多いようでございます。それをまとめていくのがなかなか集団を育てていく面では大変だと思います。
#30
○参考人(正田修君) 及川先生御指摘のとおり、製粉業界といたしましては内麦の処理に非常に苦労いたしております。実際に内麦を多く使いました粉の売れ行きというのは非常に悪いというのが現状でございますし、したがいまして、現状においてはできるだけ、内麦で特に私ども問題だと思っております色素、そういうものを改善いたしますために外麦との混合使用ということを努めておるわけでございますけれども、それでもこれだけ内麦が増加してまいりますとその消化というのは非常に苦しいというのが現状でございます。このために今年の六月末の全国の製粉企業の原料在庫を見てみますと、外麦の在庫は〇・五カ月から〇・六カ月という水準にあるわけでございますが、それに対しまして内麦の在庫は一・一カ月から一・二カ月と、倍ぐらいの在庫率になっておるわけでございます。
 こういうことから私どもからぜひともお願いをいたしたいことは、やはりどうしても消費者の望まないものは売れないんだと、これはもうどうしようもない問題でございます。したがいまして、ぜひともやはり需要を反映した原料売却ということをお願いをいたしたい。また、特に今後転作ということが強化されてまいりますと、内麦の増加ということになりますと、この問題は一層大きな問題になってまいります。ぜひその辺について、やはり需要の実態という点について御理解、御配慮をいただきたい、そういうふうに思っております。
 以上でございます。
#31
○参考人(今村奈良臣君) 及川先生からの御質問、二点ございまして、第一点は、日本で品種改良をやっていいものができるかどうか、それから気象あるいは風土といったような要因はどうかという御質問でございますが、私専門は育種学の方でございませんで経済学の方ですからちょっとよくわからない点がございます。ただし、品種の改良を通じて品質を輸入品と同等あるいはそれ以上のことができないかというと、その筋の専門家の話では、できないということはないというお考えのようでございます。それでまた現実に品種改良に取り組んでいるのだろうというふうに考えております。ただ、問題は、年により品質などが非常に変動が激しいということは気象、風土条件が規定するところでございましょうし、他方、栽培管理の条件いかんで同じ地域の中で違ったものができるという振れがございます。この辺は米などとかなり違った特徴を持っているだろうと思います。
 それから、いま一つは、例えばアサカゼコムギというのがございますけれども、これは九州の方で開発されたわけですけれども、これ九州ではこちらにおられます正田さんの方の業界でも非常に余り評判よくない、大変よくないあれなんですけれども、いや、私も実態調査しました。ところが、これ関東に持ってくるとランクがちょっと上がるようなんです。なぜそうなのかというのは私もよくわかりませんし、技術陣の方々もそういうふうにまた一生懸命調べているところでございまして、この辺になりますと私の能力超える問題ですので御勘弁いただきたいと思います。
 それから、第二点のパリティを変えて生産費その他三要素で合理的な算定方式ができるのかということなんでございますけれども、この中で第二項にあります「生産費其ノ他ノ生産条件」という「其ノ他ノ生産条件」というのをどういうふうに考えるか。これは先ほど稲村先生、大塚先生に対する私の答弁と割と似たところに来るわけなんですけれども、この点をどういうふうに織り込んでいくか。これはある意味では生産構造が変動の途上にあると思いますので、これを誘導するというふうな意味合いを持たせるならばそれなりに合理的なものができ上がるのではないかというふうに考えております。
 ただし、その次の「麦ノ需要及供給ノ動向」、この辺をどういうふうに考えるか。これある意味では政策的な決定を必要とするわけですから、ここが非常に重要になってくるだろう。「物価其ノ他ノ経済事情」というのは、これはある意味では算定可能なことでございますので、特に三要素の中の第一項をどういうふうに考えるかというところが一つのポイントではないかと私は考えております。
 以上でございます。
#32
○及川順郎君 どうもありがとうございました。
#33
○下田京子君 参考人の皆さん御苦労さまです。
 まず、松本参考人にお聞きしますが、今回の法改正、そのやっぱり背景というのは前川リポート及び行革審答申、そしてそれを具体化した農政審報告にあると思うんです。つまり、その中身は何かといいますと、内外価格差の縮小ということで構造政策を助長をし生産性の向上に資するんだ、あるいは需給実勢を反映した需給均衡の確保に資するんだという形での今回の法改正ではないか、こう思うんです。それで、この点がどう受けとめられているかということなんですが、参考人御指摘の中で価格を大幅に引き下げれば生産体質は強化されるというふうな議論もあるけれども、私どもは逆だというふうに言われております。私はここが大事だと思うんですね。構造政策がどれぐらい進んだかということを抜きにしてまず価格問題を論じるという今回のことについては非常に疑問を感じているわけなんです。
 そこで、二点お尋ねしたいんですが、第一に、とすれば生産性の向上というのはお話しになりました十二ヘクタール程度云々ということでしたが、規模拡大一辺倒でいけるのか。これは限界があると私は思います。むしろ、小麦の場合にはお米と違ってさらに品質の研究あるいは単収増などの問題がもっともっと検討されてしかるべきだろう。同時に、資材のコスト軽減、ここにもっと力を入れるべきではなかろうか、これが質問の第一です。
 第二点目には価格についてなんですけれども、平均生産費を重視した方式等というようなことを今後の米審の小委員会等で要請していきたいというようなお話を聞いたわけですけれども、もう少しどのような算定方式を御主張されているのかお聞かせください。
#34
○参考人(松本登久男君) 下田先生の御指摘は私はかの場で述べた意見に基づく御質問だというふうに思っておりますが、第一の生産性向上は規模拡大だけでやれるということじゃなくて、その他の要素、単収向上のための品種改善とか、生産資材コストの低減ということが大事ではないか、大切ではないか、こういう御指摘だったというふうに理解しておりますが、この第一の点につきまして私どももその要素は大変大事だというふうに思っております。ただ、麦の場合には、生産費等をごらんいただきますればおわかりいただけますように、先ほど来申しておりますように、非常に労働粗放的な作物でして、生産費の中のかなり大きなウエートを占めております労働費の軽減ということが決定的な大きな意味を持っておりまして、その意味で米やその他の作物と比べますと規模別の生産費格差が先ほども御紹介しましたように非常に大きく規模の大小によって開いてくる。これはほかの作物以上にそういう特徴を持っております。その意味で規模拡大というのは非常に大切な要素だというふうに私どもは理解をしております。先生御指摘である資材コストの低減につきましては私どもも同様な希望を持っておりまして、生産資材コストにつきましても競争国であります米国、ECその他と同様な価格条件で我々に提供をしていただきたいという希望を非常に強く持っております。
 それから、第二番目の価格の算定方式につきましてでございますが、これも私他のところで述べた意見について御質問だというふうに思っておりますが、この価格の算定要素につきましては今後ともしかるべき場を設けて米価審議会の中で検討するというふうに私ども聞かされておりますが、その際に農業団体といたしましては、先ほど来申しておりますような生産費構成を前提にいたしまして、生産の実態からいたしまして現状においては平均生産費という要素を重視していただくことが最も大切な要素ではないかというように私どもは判断をしておるわけでございます。その他詳細の算定方式につきましては、そういった専門家の議論をしていただく場をにらみながら、私どももそれらの内容につきまして検討を加えて御注文をすべきところは御注文をしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
#35
○下田京子君 正田参考人に二点お聞きします。
 一つは、内外価格差が非常に広がっているその大きな原因には異常円高をお認めになっているわけですが、最近日本のメーカーが東南アジア、アメリカに大変海外進出されておりまして、今後これらの第二次加工関係の海外への進出というのは活発になるだろうというふうに見ております。その辺をどのように見られておるのか。そして、そうした動きの中で日本の同じ企業サイドとしての企業努力という点でお考えがあれば聞かしていただきたい。
 それからもう一つは、製粉協会のメンバーの中でこうした海外への進出をどの程度今なされておられるのか、差し支えなければその点お聞きしたいと思います。
 以上です。
#36
○参考人(正田修君) 下田先生の御質問、二次加工業界及び製粉業界の海外進出の問題だと思いますが、まず一般的に申しますと、私どもの得意先であります二次加工業界で海外進出を検討しているところというのは非常に多くなってきているのではないかというように思います。ただ、この点につきましては、二次加工業界が、あるいは製粉業界が海外に進出をするということは、国内における生産体制がそれだけ減少するわけでございますし、そのことは、その業界のみならず、そこに対する原料を供給していただいております我が国の農業に対してもこれは非常に大きな悪影響を及ぼすのではないかというように懸念をいたしております。ただ、この点について下田先生の方から企業努力というお話がございました。当然私どもといたしましても、いかに生産費を下げて効率的に良品質のものをお客様にお届けするかということを日々努力をいたしておるわけでございますが、私どもの製粉業を例にとりますと、その総コストに占める原料費の比率というのが非常に高いわけでございます。したがいまして、その点で海外と三倍以上というような格差がついております現状では、これを企業努力によって輸入商品と競争できるようにするということはまず不可能ではないかというように考えております。
 それから、製粉業界自身の海外進出の現況でございますが、私の聞いております範囲では、製粉協会加盟各社が海外に製粉工場を建てたというようなことは現在に至るところまで聞いておりません。
 以上でございます。
#37
○下田京子君 時間が全体で十二分という限られたものですから、長井参考人、今村参考人にはまとめて一点のみ聞きたいんです。
 それは、先ほど松本参考人にも質問いたしましたが、十二ヘクタール規模で果たしてそういう規模拡大だけで可能か。麦作と米作の違いというのは、やはり一番違うのは単収でないか。ということは、品質の研究、単収増という研究がおくれていると思うわけです。これはやっぱり生産者の責任には属さない。そういう点で土地条件の整備、それから品質の改善、こういう点をまずやって、そしてからこうした法改正ということを私は出すべきだというふうに思うんですが、この点についていかがでしょうか、長井参考人、今村参考人。
#38
○参考人(長井洋一君) 私らも集団転作で取り組んでいるわけですけれども、個々にやっている個別経営と違いますので、それぞれ三反歩ぐらいずつの転作面積を持ち寄ってやっております。そういう面では、個人で十二町という経営に関しては果たしていいのかどうかという判断は持っておりません。それと、麦の品質といいますか、それを本当に消費者のニーズに合うものに生産者の立場でできるのかと思うんですが、現在の私らが取り組んでいる段階の中では、ことしの私たちの大麦は全部一等になりました。そういう面では喜んでいるんですけれども、本当に喜んでもらえるものがどういうものかというのは生産の現場ではなかなかわかりません。私たちが自分たちの今の土地条件の中で合ったものを選んでつくっているということで、それが消費者のニーズに合っているかどうかということを考えてつくっているわけではありませんで、それに対してのお答えはこの程度しかできません。
#39
○参考人(今村奈良臣君) 十二ヘクタールはともかくとしまして、きょう時間ございませんので、幾つかの事例を挙げればよろしいんですけれども、例えば群馬県などで随分集団的に麦作やっている。三十一戸の集落で、その中で中心の九人が六十ヘクタール、だんだんふえて七十ヘクタールぐらいに今日なっているわけですが、そういうところの事例を見ますと、農林六十一号で六百キロ、十俵ですね。これくらいの収量を上げている場合もあります。その周辺で個別にやっている、例えば五十アールぐらいだと三百キロといったようなものもございますし、非常に散らばりが大きいことは確かなんです。生産方法あるいは規模のメリットが出せるような、さっきの集団の例なんですけれども、もちろんコストも低いし労働時間も非常に少なくなっている。それから同時に品質面でも非常に一等比率が高く、ほとんど一等で、同時にばら出荷、ばら流通、ロットで出すというふうなことをやっておりまして、麦のあり方については一つの示唆を与えるのではないかというふうに思っておるわけです。そういう意味で、決して不可能ではない麦作経営構造が展望できるというふうに私は考えております。
#40
○三治重信君 ごく簡単に御質問します。
 松本参考人には、産品のばら積みですね。生産者から需要家へ移すばら積み、これはもう非常にいいことだと思うんです。そして、ここにどういうネックがあるのか、果たして生産の集荷の農協から各消費の製粉会社へ直接するやり方について、障害があるのならどんな障害があるのか。ぜひこれは実現されるようにやっていただきたい。
 それから長井さんには、集団の生産をやるんですが、これは中核農家がやっているというのは何軒ぐらいでやっておられるのか。転作農家は非常に多いわけです。三十戸ですか、その中で生産委託というんですか、何戸でやっておられるのか。
 それから製粉協会の正田さんには、わかったら、日本のそうめん、九三%輸入がことし対前年同期で多くなっているというんだが、その主な輸入先と、輸入先の原料は、韓国とか台湾というのは自国の生産の小麦粉を使っているのか、あるいは同じように安い国際価格の欧州のやつを持ってきて、そして日本向けに加工しているのか、その点をちょっとわかれば教えていただきたいと思うんです。
 それから、今村参考人には、生産費が御専門なんですが、今後の課題は、やはり農政審が言っているみたいに、どういうふうにして国際価格に近づけていくかという問題について、まあ規模拡大だろうと思うんですが、それはやはり国策として日本の麦作として定着さすためには、やはり国際価格の何倍ぐらいまでに下げるべきが適当か、こういうことがわかればひとつ教えていただきたい。
#41
○参考人(松本登久男君) 三治先生の御指摘の点につきまして、ちょっと私今手元に具体的資料を持っておりませんので記憶でお答えさせていただきますが、ばら流通につきましては現在二つの問題がありまして、一つは産地が非常に北海道、九州というふうに遠隔地に特化していますが、これが現実の製粉を中心といたします工場の立地と地域的に非常に乖離をしておりまして、遠隔地からそれなりの工場までの輸送をしなきゃならぬ。こういうことで輸送費がかなり増高しているという面がございます。その点をどう調整するかということになりますと、産地はやはりかなり産地として動かせない面もございますし、工場も立地を変えるというのも、これもまたなかなか容易でない面がございますので、運輸の革新しかないわけですが、それが一つ。それを今後とも我々もいろいろな努力をしてみたいということを考えております。
 それから、もう一つのネックは、先ほど来大塚先生からも御指摘がありましたように、転作で麦作がふえている面がかなり現実にはございます。その部分が生産のロットといいますか、ユニットといいますか、これが非常に規模が小さくて、これが農協ごとに検査を受けまして集荷をしまして、製粉工場まで、企業まで持っていくという、そのまたルートがかなり細分化されておりまして、非常にそこでコストがかかっているという面がございますので、私どもはできる限り産地を大規模化しまして、そこでのコストを軽減するような方法で努力をしていきたい。また、個別の生産についてもなるべく麦作集団等で規模を拡大してそのロスを少なくしていきたいというふうに現在努力しております。
 ネックは、以上の二つの点でございます。
#42
○参考人(長井洋一君) 集団転作で共同作業で行っておりますので、全戸に出役の義務はあるのでございますが、オペレーターとなっておるのは五人でございます。
#43
○参考人(正田修君) 現在、輸入されております日本めんの輸出国という御質問だったと思うんですが・・
#44
○三治重信君 いや、輸入、輸入。輸入価格が九三%多くなっているというんでしょう。その相手側の日本に輸出する・・
#45
○参考人(正田修君) 日本に対する輸出国でございますね。ほとんど韓国とお考えいただいてよろしいかと思います。
 それから、その韓国めんの原料小麦についてでございますが、これは原料小麦が何であるかということは表示されておりませんので、その品質等からの推定によるしかないわけでございますが、私どもが見ましても明らかにこれは豪州産小麦を使っているというものがかなりございます。ただ、私どもが見ますと、これはどの原料を使っているのかなということがなかなかわからないものもございます。したがいまして、あくまでも推定でございますが、豪州産小麦を原料としているもの及び原料をブレンドして製粉した小麦粉からつくられているもの、そういうように分けられるのではないかと、これはあくまでも推定でございますが、そういうように感じております。
#46
○参考人(今村奈良臣君) 三治先生から国際価格の何倍ぐらいかと言われたんですが、これは非常に難しいことでございまして、私も容易に答えられないことなんですけれども、ただ申し上げたいのは、OECDの閣僚委員会からベネチア・サミットにかけまして、国際的にも農業保護政策の改革を中心にした農政改革が今日課題になっております。が、先進諸国各国とも非常に困難な、そう簡単に農業保護政策を改革できないという事情がございます。
 といいますのは、先進国いずれの国も、例えばサミット構成国、日本以外は農業就業人口率よりも失業率の方が高い国々が全部でございます。日本だけが昨年で失業率が二・九%、農業就業人口率が八・三%ということでございますが、ECはおおむね一〇%ぐらいの失業率、それで農業就業人口率が八%ぐらいということでございまして、農業の効率化を図れば図るほど失業者がふえていく。農業保護で経費を見るのか、失業者対策で財政負担をするのか、こういう非常に一国をとればジレンマに陥っているのが各国の事情でございます。
 こういう中で片方で為替変動が今日非常に激しい状況にございます。同時に、生産を削減できにくいという事情が先進各国にある中で、輸出補助金つけて輸出競争、シェアをふやそうというふうな状況が今日世界的な過剰状況の中でございます。こういう非常に変動が激しい中で何倍かというのは理論的にも、実態的にも把握しがたい、そういう意味でちょっと申し上げにくいと思います。ただ、農業政策の目標としてはこういうぐらいの水準に、いずれ五年先、十年先には持っていきたいというふうな誘導指標と申しましょうか、目標を定めていく。そういうことを通して農業者にも大いに励んでいただくというふうなことが今日非常に必要ではないか、こういうふうに考えております。
#47
○喜屋武眞榮君 まことに申しわけございませんが、お一人一分間程度のお時間しかお答え願えぬと思いますので、よろしくお願いいたします。それで御四名にあらかじめお尋ねの問題を申し上げます。
 まず、松本参考人に、日本農政の柱といえば農は国のもとと答えるわけですが、専業農家が減少しつつあるということを強調しておられましたが、それは何が原因でしょうか。
 次に、長井参考人にお尋ねしたいことは、専業農家は厳しい、明るい展望を持つ農家は少ない、こういう御説明が中にございましたが、これも何が原因でしょうか。
 次に、正田参考人にお尋ねしたいことは、小麦の優良品種の普及を強く求めてきたが、改善よりも悪化の傾向にあるということでございますが、どうしてでしょうかということなんです。
 それから今村参考人にお尋ねしたいことは、国内の自給向上を図るという面と農産物の自由化の問題との関係をどのようにお考えでしょうか。
 以上お尋ねいたします。
#48
○参考人(松本登久男君) 喜屋武先生からの御質問でございますが、私どもそれに適切にお答えできるだけの明確な答えを現在用意できておりません。
 ただ、大ざっぱといいますか、一般的に私ども考えておりますのは、これの引き金になっておりますのは後継者の就農不足でございまして、農家の存在する生産主体に対しまして毎年毎年就農してくる人の数が非常に少ないということのために、農業の中に労働力がきちんと存在しないような状況になっているということでございます。それをつづめて言えば、今日の日本の経済社会環境の変化の中で諸制度と農業生産力とがミスマッチしているというところに原因があるんじゃないかというふうに私ども思っておりますが、これについてはもっと具体的な詰めをこれからしなきゃならぬだろうというふうに思っております。
#49
○参考人(長井洋一君) 専業を初め農家は大変厳しい中にいるというふうに申し上げましたが、先生御承知のとおり、農産物はほとんどが今生産調整が行われている。それから農産物の価格は本当に低迷をしているものが多いわけでございまして、そういう中で本当にぎりぎりの線のコストダウンをやっているわけでございますが、やはりそれに勝ち得るだけの技術を身につけた専業農家は生き残れるけれども、そうでない、まだそこまで達してない農家は本当にだんだんコスト切り下げで、生産費を、価格を下げられる中でもって非常に苦しんでいるのが現状だと思います。
#50
○参考人(正田修君) 小麦の品質改善がなかなか進んでこなかったという原因、恐らくいろいろあるのだろうと思いますが、私自身その原因のすべてを申し上げられるだけの知識は持ち合わせておりません。ただ、一つ言えることは現在に至るまでよい小麦も悪い品質の小麦も同様に扱われていたということ、これがやはり一つの大きな原因になっているのではないか、そういう感じはいたします。したがいまして、今改正法案におきまして良品質への誘導ということがうたわれております点は、非常に私どもとすれば期待をいたしておる点でございます。
 以上でございます。
#51
○参考人(今村奈良臣君) 喜屋武先生から、国内の自給率向上と自由化との関連についてどう考えるかという御質問でございますけれども、事穀物について言いますと、先進諸国の中で穀物自給率が三〇%、つまり日本前後のところはスイスとオランダしか先進国の中ではございません。スイスはそれなりに備蓄をやるし、それからストックとして家畜を大量に持っているというようなこと、永世中立という国是に従ってしかるべき備蓄をやっている、こう考えていいと思います。オランダは農産物間の貿易といいましょうか、有利な集約的な花だ豚だというふうなものを輸出して、そして穀物を輸入する、農業間の分業をやっているのはオランダでございます。唯一日本が違うのは一方的に自給率が下がっていっているということでございます。他方、先進諸国はいずれも自給率をどんどん高めて今日まで来ております。これはなぜなのかということは私もよくわからぬのでございます。とにかく上げてきていることは確かでございます。そう自給しなくてもよろしいと思われる国も上げてきております。これはひとつ先生方においてもぜひとも政治的な意味から、立場からも御解明いただきたいというふうに思っております。
 それからもう一つ、自由化の問題なんですけれども、先ほで申し上げましたように、先進諸国い
ずれも農産物過剰で困っております。過剰を解消するには農業生産を減らし、つまり農家がだんだん少なくなってその失業者の群れに入るか、それとも輸出をふやして、日本のような輸入国がどんどん輸入をふやしてくれるかという二つの手法しか過剰を解消する方法はございません。そうしますと、自由化といいましょうか、いずれの国も農業保護改革についてはなかなか歩調が合わない、意見が対立するにもかかわらず、輸出をうんとふやして日本のような国が輸入をふやすということについては歩調が一致してまいります。それが今日の日本の置かれた状況だろうと思います。同時に、ウルグアイ・ラウンドで問題になっているのもそういう観点があるだろうと思っております。
 そういう意味で、十分お答えにならないと思いますけれども、世界的な視野と同時に、日本がこれからどうするのか、長期の観点に立って今日の短期、中期の問題をどう処理していくか、こういうことがやはり必要ではないか、そういうふうに私考えております。
#52
○山田耕三郎君 まことに失礼な質問の仕方とは存じますが、いただいております時間の関係もございますのでお許しをいただきたいと思います。四人の参考人の方々に同じ問題をお尋ねをして、意見を述べていただいた順序でお聞かせを願いたいと思います。
 第一点は、先ほど内外価格差の大きな点について質問がございました。正田参考人からお答えをいただきました。その価格差が短期的にはせめて五〇%に、長期的には七〇%に努力をしていただければ何とかやっていけるという意味のお答えがございました。そういったことからいたしまして、それでは五〇%なり七〇%にするためには生産性を上げていかなければなりません。日本の小麦作の現状においてその生産性向上が可能と思われますかどうか、そしてその生産性を引き上げていくために最も大切なことは何か、このことにお答えをいただきたいと思います。
#53
○参考人(松本登久男君) 御指摘の点につきまして、私どもは組織としては具体的に検討をして一定の結論を得ているという状況ではございませんので、私の私見にわたる部分がかなりございますのでお許しをいただきたいと存じます。
 私どもは、内外格差が現在問題になっておりますが、現実にかなりこの一、二年開いてきておるのが実情でございますが、それはまさに為替のレートが大きく変わったことに最大の原因がございまして、今後ともこの要素はかなり我々は考慮に入れて生産に励まなきゃならぬだろうというふうに思いますが、農業の場合の難しさは、先ほど来申しておりますように特に土地利用型の場合には一年一作ということでございますから、生産性の向上にもおのずから限界がございます。年間に二〇%、三〇%の生産性の向上が自然を相手に、しかも一年一作ということでできにくい生産環境にございますので、そういった点から格差の存在を私どもはできるだけ時間をかけても縮めていくということの努力は、これは生産者として何としてもしなければならぬというふうに思っておりますが、それ以上の目標がなかなか設定しにくい、こういう状況でございますので、その点はお許しいただきたいと思います。
 今後生産性向上のために何が大切かということにつきまして御質問がございましたが、麦作に関しましては、先ほど来申しておりますように、私は一番大切なことは規模拡大というふうに思っております。第二番目に品種改良による収量増、この二つではないかというふうに思っております。
#54
○参考人(長井洋一君) 生産農家の段階においては生産性向上で内外格差の是正ができるかというふうな点では、生産農家の立場からすれば一生懸命や力たいという気持ちはあるのですけれども、私たちが果たせる力というのは非常な微々たるものでございます。そういう面では努力はいたしますが、本当にできるかどうかというのは何とも言えないところだと思います。
#55
○参考人(正田修君) まず最初に、私が内外価格差と申し上げましたことについてもう一度正確を期するために繰り返させていただきたいと思うのでございますが、私が内外価格差と申し上げまして、また現在三・何倍ということを申し上げましたのは、国際麦価に対して政府の売り渡し価格が三・数倍になっている、こういうことでございます。これが私ども製粉企業の原料のコストになりますので、その点が最も私どもとすれば重要な点だということでございます。
 それからもう一つは、短期的にはまず五〇%、すなわち国際麦価よりも五〇%程度高いところまで持ってきていただきたい。現在三・数倍というやつを一・五倍ぐらいまでのところに持ってきていただきたい。そして長期的には、やはり製品関税等との関係を考えますと一・二倍ぐらいのところに持ってきていただかないとなかなか競争が難しいのではないか、そういうように申し上げたわけでございますので、ちょっと私の申し上げ方があいまいだったかと思います。この機会に明確に確認させていただきます。
 以上でございます。
#56
○参考人(今村奈良臣君) どうも非常に難しい質問でございますけれども、一・五倍というのは非常に容易なことではないだろうと思います。日本は零細農構造ということもございますけれども、非常に高賃金国でございます。今のところ先進国との競争でございますけれども、低賃金国との競争ということになりますと非常にこれまた難しい問題がございます。
 ついでながら申し上げますと、アメリカの農業いろいろ作物ございますけれども、競争力を持っているのは非常に今日では少なくなった。あのアメリカにおいても少なくなった。せいぜいトウモロコシぐらいかというぐらいで、ほかの国々に競争力では負けているのが実情でございます。そういう背景を持ちながらどういうふうにやっていくかというと、一挙に一・五倍というのはそう簡単にほとんどが絶望的にいかないだろうと実際思いますけれども、やはりそうは言いながらも片方で規模拡大、それから品種改良、それからさらに麦作生産の生産システムを改革していくという、いわば一言で言えば組織化をどう図っていくかというところに活路を見出しながらやっていくしかないのではないかというふうに考えております。
#57
○委員長(岡部三郎君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、有意義な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#58
○委員長(岡部三郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 食糧管理法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#59
○稲村稔夫君 食管法のうち麦の価格決定をどうするかということで、今度は政府の方で改正案を提起をしてこられたわけでありますが、きょう午前中の参考人の御意見を聞きながら私もいろいろとまた改めて考えさせられるそういう内容もかなりございました。その辺がこれからの質問の中にどれだけ出てくるかはこれはわかりませんけれども、とにかく我が国の麦作というものについては非常に多くのこれから克服していかなければならない問題点があるということだけは、これはもう強調しても強調し切れないほどのことだと思うんですね。そういう中で特に今回提案をされましたその提案理由の説明を中心にいたしまして、いろいろとこれから私は質問を申し上げていきたいというふうに思っております。
 最初に提案理由の説明の中で、麦は「米と並んで主食としての地位を占める農産物」という位置づけがございます。この主食という意味合いがこれがまたいろいろと理解ができるんじゃないだろうか、難しい問題だなというふうに感じております。かつては主食といえばもう何といったって米というのはこれはもう現在もそうですけれども、そしてそれに変わる麦という場合もその麦をまさにおかずとか副食と比べて言ったらこれだということはすぐわかる日本の食生活の中でありました。しかし最近のだんだん欧米化していく形の中で主食ということの理解の仕方というのはいろいろと変化をしてきている部分があるのではないだろうか、そんなふうにも思うわけで、言葉の定義づけからいろいろと議論をするというつもりではありませんけれども、例えば同じ主食でも微妙なことがありますのは、麦の場合は例えば小麦、パンとかうどんとかという、そのあれでいけば、主食という言葉もそれはすっと当たるかと思うんですね。ところがビスケットなどと言いますと、かつては主食といってもいいような役割を果たしていた時期がありますけれども、現在はこれを主食というふうには言えないんではないだろうかという気もいたします。
 そういたしますと、その小麦の中で主食という位置づけというのがされるのは量的にはどのくらいというふうに見込んでおられるのか、主食として重要な位置づけになっておりますから、そこで伺うわけですが、小麦全体の需要の中で主食として一応判断をされる量はどのくらいあるのかというようなことを含めまして、主食用とほかのものとの区別のつけ方等も何かしておられるようでしたら、その辺もお話しをいただきたい。
#60
○政府委員(後藤康夫君) 稲村先生おっしゃいますとおり、主食というものについての厳密な定義ということになりますと、これなかなか確かに難しい問題があろうかと思っております。ただ、私ども政府売却を小麦についていたしておりますけれども、その際は主食用と主食用以外というふうな区分を一応やっております。その主食用ということでやっておりますのはパン類、めん類、それからビスケットなどの原料になります小麦粉を生産するための製粉用の小麦というものを主食用というふうに申しております。また主食用以外につきましては、しょうゆ用なりみそ用なりあるいは飼料用というようなものがあるわけでございます。
 六十一会計年度で政府が売却をいたしました小麦の用途別の数量ということで申し上げますと、総量で五百九十六万八千トンでございますが、主食用が四百六十四万一千トン、それからしょうゆ、みそ用等が十六万九千トン、それから飼料用、この中にはいわゆる専増産ふすま、ふすまの歩どまりを高めるといいますか、小麦粉の歩どまり含めてといいますか、そういう専増産用のものと配合飼料用のものと合わせてでございますが、百十五万八千トンというような内訳に相なっております。
 主食と申します場合にやはりでん粉質を主としてとるもとというような観点で見ますと、御案内のとおり日本国民が毎日摂取しておりますカロリーのうちの二八%が米からとっているわけでございますが、小麦がたしか一二%ぐらいということで合わせて四〇%ぐらいのカロリーをとっておるということでございますので、カロリー摂取量の面から見ましても米に次ぐやはり主食的な地位を占めているということは一応申せるのではないかなというふうに思っております。
#61
○稲村稔夫君 わかりましたが、そういたしますと小麦の全体の量の中で考えていきますと、飼料用になっている部分というものもかなり大きなウエートを占めております。これはかなりというよりも主食という部分よりもですね。だからそういたしますと、要するに小麦を生産する場合に、生産――失礼しました。それは輸入麦も全部含めての量の中ですけれども、国産麦の場合はそうするとこれは主食用がほとんどですか。それともその他の用途にありますか。
#62
○政府委員(後藤康夫君) 国内産小麦につきましては、ごく一部、例えば加工用等に使うものもございますけれども、大部分は製粉の原料になりまして、主としてめん用粉にほとんど使われるということでございます。
#63
○稲村稔夫君 次に、大麦、裸麦につきましては、これは主食用という用途には、どのくらい使われておることになりますか。
#64
○政府委員(後藤康夫君) 大裸麦につきましては、御案内のとおりいわゆる押し麦あるいは白麦というような形で一般的には主食用として消費されておるわけでございますけれども、その需要量は食生活の変化なり多様化の中で減少傾向にございます。昭和六十年度の私の持っております数字で申し上げますと、二十一万四千トンの売却をいたしておりますが、大裸麦でございますが、そのうち精麦用が十八万五千トン、麦茶用が二万九千トン、この精麦用の中に今申し上げました押し麦、白麦というようなふうに加工されますもの、それからしょうちゅうの原料に充てられますもの、それからみそ用に充てられますもの、これは一括して精麦用ということの売却の区分の中でやっておるわけでございます。したがいまして、精麦用のうちの今申し上げました十八万五千トンの約四割程度が、狭い意味におきます主食用としての押し麦あるいは白麦の形での消費に充てられておるということでございます。
 なお、これは政府売却の面から見たわけでございますけれども、一方自家消費も含めました食料需給表ベースという需給の表がございますが、これで申しますと、大体ここ数年国内で生産をされました大裸麦の中で押し麦、白麦等の主食用に消費されますものが十一万トン弱というくらいのオーダーでほぼ横ばいで推移をいたしております。
#65
○稲村稔夫君 そういたしますと、大麦、裸麦の場合には主食用ということで用いられている量は、量的なものでいきますと、先ほどのあれでは二十一万四千トン、総量の中でいくと十八万トンの四割というと、需給表ベースでいきましても全体の半分いくかいかないかというところですね。ということになりますと、これは主食用用途に栽培というウエートがかなり問題ではないかなという気もするわけでありますが、そのことはまた後ほどの議論にいたしまして、こうした中で小麦、大麦の作付面積につきましては、先ほど今村参考人のお話とも関係をするわけでありますが、昭和四十年代から五十二年までにはかなりの麦作が減少をしておりますね。そして五十三年から少しずつ作付面積が上向きに入るというような形になっております。しかし裸麦はこれはまさに下降一方ということですね。そういうことになりますが、こうした作付の動向というのは、なぜこういう現象が起こったというふうに政府の方は掌握をしておられますか。
#66
○政府委員(浜口義曠君) 先生今のお話のように、麦の作付面積でございますが、昭和三十年代前半までは百五十万ヘクタールの水準を維持してまいりましたが、この原因等々いろいろございましょうけれども、我々考えるところによりますと、兼業化の進展による労働分の減少、あるいは作業体系の点からいいますと田植え機の普及によります稲作の早期化に伴う作期の競合等々の観点で急速に減少をいたしまして、昭和四十八年には十五万五千ヘクタールとなったわけでございます。その後四十九年以降の麦生産対策の強化、行政的な強化がございましたし、それからただいま先生お話しの五十三年から水田利用再編対策の推進、そういうことからあるいはさらに技術上の観点から申し上げますとコンバインあるいは乾燥機の普及による省力化の進展等によりまして増加に転じたわけでございます。五十七年以降は転作等の目標面積の軽減、調整もございまして横ばい傾向となっております。本年六十二年産について見ますと、本年は水田農業確立対策の実施によりまして連作麦、あるいは北海道の畑作麦の増加によりまして三十八万三千ヘクタールと前年に比べまして八%の増加となっているわけでございます。
 先生もう一つお話のございました裸麦につきましては、これは先ほど来需要の議論がございました。そういった点が大きいと思いますけれども、近年の主産地であります四国におきまして、小麦に比べまして収量水準が低い等の議論から小麦への転換が見られるというふうに我々は考えております。
#67
○稲村稔夫君 それにいたしましても、例えば労働力の問題、あるいは田植え機の普及の問題、いろいろ挙げられましたけれども、しかし小麦は全体に需要はずっとふえていっているわけですね。需要がふえていっている中で作付面積はずっと減ってきている時代があります。そして相当低下をして、そしてまた、上向いてきたとはいえ、ひところに比べれば全然もう問題にならない面積しかありません。こういうことになるわけですが、なぜ国産小麦の生産というものがこんなふうに需要はふえているのに生産の方がふえないのか。この辺はどういうふうに理解をしておられますか。
#68
○政府委員(浜口義曠君) ただいま申し上げましたように、一つは我が国におきます稲作との関係で作期の競合といったようなものが進んでいっただろうというふうに考えております。そういう意味で、そこの競合の関係からかなりの部分といったもので麦の生産が落ち込んできた。そういう状況に対しまして、私どもの方におきましても四十九年以降麦生産の強化対策、あるいは具体的に米自体の転作面積の増加によりまして、それにかわるべき作物の振興というような施策等と相まちまして、現実にただいま先生御指摘のとおり、かつての時代との対比におきましては、量は少のうございますけれども、変化といたしまして、特に五十三年が一つのピークであろう、それからさらに、水田農業確立対策の実施に当たっております本年、六十二年が一つの住期だろうというふうに考えておりまして、そういう段階に応じまして一つの麦の振興といいましょうか、麦の作付面積が増加したというふうに考えます。
#69
○稲村稔夫君 ちょっと待ってくださいよ。作期の競合ということを挙げられました。私は確かにそういう面もないわけではないと思います。しかし、作期の競合が本当に主たる原因であろうか、こう考えていったときに私は大きな疑問があるんですよ。ということは、例えば私どもの新潟県の湿田地帯をいろいろと米でもってやってきているというようなところ、それはもちろん米を常に中心に考えていくから、そこで作期が競合すればこれはやらないということになります。しかし米の生産が、例えば天候からいったら不安定であるという場合に、作期の競合があっても、それでもって採算性が一定程度とれるならば小麦の方がいいではないかということだって判断はあり得るわけですね。ですから、作期の競合ということが、これが何か非常に大きなウエートを占めているように言われる感じの答弁についてはちょっと私は疑問なんですよ。適地適産という観点からいきましても、作期の競合はそう問題じゃないんじゃないか。むしろ、なぜ生産が減ってきているかといったら、かなり経営上の経済的な意味というのが大きなウエートを占めているんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。
#70
○政府委員(浜口義曠君) 具体的に例えば麦作の場合、それと稲作の場合というものを比べてみました場合に、先生御指摘のとおり、例えば物理的な反当収量におきましても、稲作におきまして約五百キロのオーダーである。麦作の場合には、確かに諸外国と同じように昭和二十年代におきましては二百五十キロオーダーでありまして、これが現在のところ三百五十キロオーダーになっておりますけれども、今申し上げたような稲作に比べても反当収量が低い。さらにその経済性といったようなものを考えました場合に、先生御指摘の面も多いというふうに考えます。ただ私申し上げておりますのは、経過といたしまして特に三十年代から今日に至りますいろいろの減少傾向、そういったようなところを技術上の観点から見ました場合に、かつては大きく占めておりました稲作、麦作面積が経済状況の中で具体的に減っていったということは、片方におきます稲作の作期の前倒しといったようなものも大きく影響しているのではないかという意味におきまして、先ほど申し述べた次第でございます。
#71
○稲村稔夫君 その辺はまた後でいろいろと議論をしなきゃならないものが残っているわけでありますが、しかし具体的にパリティ価格ということで算定をしてきていた時代には麦の生産はどんどん落ちてきているんですね、パリティ価格だけのときには。調整額をつけてからまた上向き傾向ということに入った。もちろんそれは転作対策ということも、そういう行政上の指導の面もあったでしょう。しかし、事実としてそういうふうになっていませんか。
#72
○政府委員(後藤康夫君) 米と麦の生産動向はいろいろな要因が私は複合しておると思います。それから、五十二、三年ごろから麦作がまた再び上向いてきたということにつきまして、生産振興のための当初は奨励金であったわけですが、四十九年からでございますか、そしてそれを五十二年に価格に組み込んだということもその要因の一つであったということは私どもも否定をするものではございません。ただ、いわば田植え機の普及によりまして稲作がどんどん前へ倒れてくるその時期、三十年代の後半から四十年代の半ばぐらいまでにかけてというのは、一方では米価が非常に上がった時期でございます。そういう意味での相対価格関係ということも、これもまた影響をしなかったとは言えないというふうに思っております。
 なお、作期の競合の問題でございますが、小麦につきましても、稲作が早期化するのに伴いまして、わせで安定多収穫なものを品種として開発しようという努力が随分続けられたわけでございまして、そのことがまた今日の品質問題の一つの原因にもなっている面もあるのでございますが、私今手元に持っております資料で申しますと、小麦のわせ系と中晩生系の作付面積の比率というものを見ますと、昭和五十年産の場合にはわせ系が一%、中晩生が九九%というようなことでございました。最近では、六十一あるいは六十二年は、またこれは推定の段階の数字で、もう確定が出ておると思いますが、近年で申しますとわせ系が二三%、中晩生が七七%というようなことで、米が前に倒れるのにまた合わせまして麦を早くするという努力も一方で行われたわけでございまして、そういういろいろな要素の複合として米と麦の生産動向が決まってきているのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#73
○稲村稔夫君 長官、いろいろとうまい話をされますけれども、私は、やはりいみじくも長官が言われた米の価格の水準のこともあるし、同時に価格の安定というんでしょうか、そういうこともあると思いますけれども、それで単収が一定をしているというか、そんな要因がもちろんあると思うんです。ということは、裏を返していけば極めて経済的なんですよ。経営として成り立つか成り立たないか、経営としてやれるかやれないか、こういう問題で決まってきていると思うんですね。要因は経済が基本にある。その基本にある経済を考えていったときに、果たして国産小麦の、これは小麦に例をとっての話でありますけれども、国産小麦の生産が減ってきて、かってにまだなかなか回復しないということは、いろいろな要因があるとしても、一つ大きな流れとしてやはり農家経営をこれによって一定程度保障をしていくという、そういう体制が不十分であったからということが一口に言ってしまえば言えるんじゃないかと思うんです。ですから、私はやはり価格問題というのは非常に重要な問題なのでありますから、国産小麦がどんどんと落ちてきたということについてはやはり価格決定をやってきたやり方の不適当さにあった、こんなふうに、私はそう指摘をせざるを得ないわけであります。
 ただ、きょうは時間が私はあるといいましても、疑問点がいっぱい、たくさんあり過ぎますので、ここにまたこだわっていると先へ進めませんから次の質問に入っていって、またもし問題があればここへ戻ることもあり得ますということですが、次にこの提案理由の説明の中で「代表的な土地利用型作物の一つ」だと、こういう規定もしておられます。しかし「代表的な土地利用型作物の一つ」だということであれば、それなりに土地利用型作物としての対応策というものを、私はそれに本当にふさわしい対応施策が進められてきたかどうか、その辺のところにも若干、いろいろと疑問がないわけではありません。
 そこで少しお伺いをしたいわけであります。作付面積が昭和三十年に比べて、現在先ほども言いましたように小麦でも半分いってないわけですね。それから二条大麦あるいは裸麦についてはその時代の一割にもいかないというような形になっているわけでありますけれども、そうすると今までこうした麦作をやっていた土地はどういうふうに利用をされたのか、そういうふうな利用状況になった理由は何か、この辺のところからお聞かせいただきたいと思います。
#74
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生のお話は、三十年代に比べまして作付面積の激減の状況の中で、土地利用の動向はどういうことかということでございますので、少しく統計的な面でございますので、状況を先ほど申し上げましたこととややダブる点もございますけれども、具体的に内容に応じまして申し上げてみたいと思います。
 戦後、先ほどの四麦の作付面積は二十五年で百七十八万四千ヘクタールということでピークだったわけでございますが、それ以降減少を続けまして四十八年には十五万六千三百ヘクタールと最低になったわけでございます。その後増加に転じまして六十一年には三十五万五千八百ヘクタール、六十二年には三十八万五千七百ヘクタールと、回復といいましょうか、増加に転じております。このうち地域的に見てみました場合に、北海道におきましては二十五年の七万四千ヘクタールをピークにその後減少しましたけれども、四十八年から回復をいたしまして現段階では十二万六千ヘクタールに近い水準となっているということでございますので、四麦の作付面積の減少部分は北海道を除く分、いわゆる都府県の減少というふうに一応言っていいと思います。都府県におきます四麦の作付動向を見ますと、三十八年までに百万ヘクタール台を維持してきたわけでございますが、四十年に八十八万七千ヘクタールと九十万ヘクタールを下回りまして、五十八年には十三万三千七百ヘクタールとなったわけでございますが、その後増加に転じまして六十二年には二十六万ヘクタールまで回復をしているということでございます。最近では二十五、六万ヘクタールの水準に回復していると言っていいかと思います。したがって四十年に比べ現在までは麦の作付面積が六十二ないし六十四万ヘクタール減少した、こういうことになりますが、この減少部分を、どういうふうにどうなったかというのを具体的に浮かび上がらせるといいますか、具体的な姿を明確にすることはなかなか困難なことだというふうに思っております。
 しかし、この間におきます都府県の冬における土地利用状況から見ますと耕地及び土地利用については次のような特徴が見受けられます。耕地面積が減少したということが一つでございます。これは四十年に五百五万ヘクタールというものが六十一年に四百十六万八千ヘクタールでございますので、約八十八万ヘクタール減少した、これが一点でございます。それからイタリアンライグラス以外の飼料作物を中心とするその他の作物が増加をしております。それから四麦の中では小麦、二条大麦に比べまして六条大麦と裸麦の減少の度合いが、これも先生御指摘のところでございましたが、相対的に大きいわけでございます。それから不作付地でございますが、四十年の二百六十八万ヘクタールから四十年代末には三百万ヘクタールまで増加をしているわけでございますが、その後この面積は減少しておりまして、三百万から約二百五十八万ヘクタールというふうに六十一年にはなっております。
 これらの状況を総合的に勘案いたしますと、全体といたしまして耕地面積は減少が進んでいる、飼料作物や野菜の転換あるいは四麦の中での転換がある程度見られる一方でございますが、先ほどちょっと触れさせていただきました水田の問題でございますが、水田を中心にいたしまして、かつての麦作地帯が不作付地の状況になっているというものもかなりあるのではないかと推定されるということでございます。
#75
○稲村稔夫君 私は、局長の御説明は随分御丁寧なんですけれども、しかし肝心なところがどうもわからぬで困るんですよ。というのは、例えば今のお話のありました水田を中心にして不作付地がふえているのではないかという判断を最後に言われたけれども、これは非常に大事な問題なんで、ないかでは実際は困るんですね。土地利用型の代表的な作物の一つとして麦はやってきたんです。それが減ってきた、減ってきた中で、じゃ、水田とのかかわりでこうなっているというようなことが出てきて、そうして今のお話の中でいくと、多分裏作の減少だとか何かというようなことが含まれるんでありましょうが、それを不作付地なら不作付地として大体どのくらいのものが不作付地になったとか何とかということというのは、これは動向としてはやっぱりある程度きちっと掌握をしていただいていないと困ることだと思うんですね。
 そこで、ついでに伺いますけれども、そうすると水田の裏作というのがほとんどなくなった時期がありました。またちょっとしているところが出てきているかもしれませんが、この水田裏作がやられなくなったのは、先ほどの稲との作付時期の競合という、作期の競合というような形でこれは言えないわけですが、なぜ水田裏作がこのように大幅に減って、しかもそれが不作付地と判断されるような状況になっているんでしょうか。
#76
○政府委員(浜口義曠君) この点につきましては冒頭私の答弁においても申し述べましたけれども、農家を取り巻く環境の変化と申しますか、具体的には兼業機会の増大、いわゆる兼業化の進展というようなことにも影響があろうというふうに考えております。
#77
○稲村稔夫君 兼業化の進展が裏作をやめさせた、そして裏作の後、作付をしない、そういう状況をつくり出している。こういうことになりますと、そうすると裏作を中心にした、あの大豆のときに議論が少し出ましたが、僕はまたもう一度議論を繰り返さなければならないものがあると思っておりますが、地域輪作農法などという言葉が使われていますけれども、その中で裏作はこういう輪作体系としては考えられないということになりますか、今の兼業化がかなり幅広く行われているという中では。
#78
○政府委員(浜口義曠君) 私の答弁におきまして申し述べた兼業化の議論につきましては、かつて三十年代におきます状況から現時点の前の五十三年前までの減少の原因としてこの点があるのではないかということを申し上げたわけでございます。高度成長が我が国経済で進む中で、我が国農業もいろいろその高度成長の影響というのを受けるわけでございますが、そういう中におきます一つの問題といたしまして農村から労働力が流出するという問題がございます。そういったような中で、まず裏作の冬期間の作付というものが減って、兼業、出稼ぎの方々が多かったという事態は具体的にあるわけでございますが、その後私どもの施策という形で昭和四十九年から麦生産対策の強化、さらに五十三年からの水田利用再編対策といったような段階を迎えまして私どもは麦作の振興といったようなものを推進してきたわけでございます。
 そういった中で、先生御指摘のこの水田農業確立対策の一つの柱といたしまして地域輪作農法の考え方でございますが、この点につきましては大豆のときにもお話を申し上げましたけれども、我が国におきますこれまでの二毛作、歴史的にも二毛作という経験もございました。それから稲作と同じ農業機械を利用できるような機械の開発ということもできましたので、その機械の利用によりますコスト低減を図るといったような点も新たに出てきたというふうに我々は考えております。そういった技術上の諸条件あるいは歴史的な経験といったようなものを踏まえまして、昭和六十二年、水田農業確立対策を実施するに当たりまして、米、麦、大豆といったようなものを一つの基幹作物といたしまして、地域輪作農法の確立といったようなものを水田農業確立対策ないしは我が国農業の一つの発展の方向として打ち出させていただいたわけでございます。
 我が国農業の実態を見ますと、確かに北陸地方あるいは東北地方その他等々含めまして、水田におきましては二千年来培った高い生産力を擁する基盤というのがあるわけでございます。その水田におきます生産力を最大に発揮させて、転作作物の定着を図ることこそ現下の農政の喫緊の課題だというふうに考えまして、ここで前回の大豆のときの御審議に先生からも御指摘を受けましたけれども、やや農法といったような意味でモダンではございませんけれども、地域輪作農法の確立といったようなことを打ち出していたわけでございます。
 この地域輪作農法の場合には、具体的にはいろいろな点が挙げられます。具体的には連作障害を回避することができる、あるいは潜在地方の発揮によりまして肥料等の節減が図られる、土壌の物理改良により農作業が容易になる、雑草の発生量が減少する等々の問題もございますが、問題といいますか、利点、メリットも考えられるわけでございますが、そういうものを包摂いたしまして、麦、大豆が基幹作物として米と並びましてこの地域輪作農法を展開していくというふうに考えているところでございます。
#79
○稲村稔夫君 今僕が聞いていて、聞き方が悪いのかもしれないけれども、僕の聞いていた重点は、裏作がなぜなくなってきたか。そしてそのなくなったものがこれから先裏作が十分に、水田も裏作可能なところはみんな裏作をやれるようになる、やるようになる、こういうような状況判断ができるだろうかどうだろうかという問題意識があって聞いているわけでして、その今の地域輪作農法についての議論はまたこの次の段階でいろいろとさせてもらおうと思っていたんですけれどもね。
 そこで、今の水田裏作は旧に復したんですか。それとも旧に復したとまではいかなくても、それに近くなっているんですか。あるいはもう旧を越して、水田裏作は可能なところはほとんどやっているということになるんですか。
#80
○政府委員(浜口義曠君) 結論の方を先に申し上げますと、やはりこれから旧に復するといいますか、かつての二毛作のところに近づこうというような傾向にあろうというふうに考えます。現時点におきまして裏作が十分だというふうに我々考えているわけじゃございませんが、現実におきましてかつてのような裏作が放棄される極限の状況から回復の途上にあるということでございます。具体的に麦の作付けの面積からいきましても、転作の場合が二八%、水田裏作が四一%、畑作が三一%というシェアでございます。そういった点に見られますように、水田の裏作といったようなものは畑作の中におきましても大きいウエートを持っておりますので、水田の裏作の振興がまた一つの大きな、もちろん転作の麦の振興も大きな牽引力になりますけれども、麦の振興においては水田裏作の振興というのが大きな位置を持ってあろうというふうに考えております。
#81
○稲村稔夫君 局長は大分希望を持って言っておられるようですけれども、私は水田裏作というものがそう簡単に、かつてのようにやれるところは一生懸命みんなどこでも麦をつくってやりますというような形には今の現状の中でなかなかいかないと思うんです。なぜかといえば、一つは先ほど最初のところでいろいろと伺いましたが、やはり経営とのかかわり、経済性の問題というのが、これはやっぱり大きな問題としてあると思うんですね。それで先ほどの、あれは小麦ではありませんでしたが、現場の参考人の御意見でもものすごく収量が一定しない。収量が一定しないことも、やっぱりこれ、ことしは助かったけれども、先どうなるんだろうという不安を常に持っておられるようです。そういったこともやはり経済とのかかわりでは非常に重要な問題になってきているでしょう。そういう経済的要因が解決をされていかなければ、私は水田裏作というふうに指導的な希望はされても、なかなかそう簡単にはいかないのではないかというふうに思っております。これは私の見解でありますけれども。
 そこで、それでは次に水田農業確立対策ということで減反がかなり強化をされる。強化をされたから、そこで何とか転作でもって収入をまた確保しなければならぬという農家のあれがあるわけでありますけれども、この転作麦の栽培、これは現在の水田の七十七万ヘクタールの減反面積の中でいくと、どのくらいが見込まれているわけですか。
#82
○政府委員(浜口義曠君) ただいまお話しの水田の七十七万ヘクタールの減反面積の中でどのくらいのことを麦作に期待しているのか、あるいはどの程度のことを見込まれているのかという御質問でございますが、私どもの考え方の中で、転換されていきます作目といたしまして、麦作は大豆、飼料作物、野菜に並びまして大きな基幹的作物と申し上げておりますけれども、具体的にどのくらいの数字といったようなことを予想をいたしまして、これだけでなければいけないというふうな数字を持っているわけではございません。と申しますのは、水田農業確立対策におきましてはそれぞれの地域輪作農法の確立と言っておりますけれども、地域の立地条件に即した輪作体系が組み立てられて、その中で農家の方々が意欲を持って、その中では先生の御指摘のように経済性といったようなものも頭に置きつついろいろな選択をなさるのであろうと思います。水稲との合理的な組み合わせによります地域輪作農法の確立というのはそれぞれの適地適産と申しますか、地域で図られていくのではないかというふうに考えますし、定着への取り組みがやはりその地域の実情に応じてきちっと農家の方々の中で理解をされていく必要があるというふうに考えます。
 そういたしまして、全体の姿でございますが、これまでの状況を数字的に申し上げますと、五十九年におきましては六十万ヘクタールのうち、この麦作転換でございますが、これは九万七千ヘクタールということでございまして、一五・六%、それから昨年、六十一年の場合は六十・一万ヘクタールで九・五万ヘクタールということでございますので、一五・四ということでございます。本年、六十二年でいきますと七十七万に対しまして三〇%を超える伸び率ということで、麦の転作が十二万六千ヘクタールということでございますので、一六%を超えております。
 ちなみに、麦以外の主要作物のことしの都道府県から報告がありましたものの主なものを申し上げますと、飼料作物が一番多うございまして、これが一六・八、それから今申し上げました麦が第二番目でございます。それから第三番目が野菜の一五・八、それから大豆が一三・二ということでございまして、大体上三つが一五から一六、さらに大豆がちょっと落ちますけれども一三%、そんなようなもので水田農業の転作の部分の大部分を占めているというふうな状況でございます。
#83
○稲村稔夫君 そこの辺のところ、またもう少し後で詰めたいと思いますけれども、そうすると、その場合の麦は永久転作として輪作体系の中に取り込んでいくのかということと、それから田畑輪換を主体として考えていくのかということについては、これは計画はある程度考えておられるんですか。
#84
○政府委員(浜口義曠君) 従来と申しますか、水田農業確立対策が始まる前、基本的なウエートは先生御指摘のところのいわゆる転換畑的な思想があったわけでございます。これにつきましては、やはり我が国におきます米の重要性、米の生産コストダウンということをやはり転作作物と一体的にやるという考え方も強くなりまして、本年から私どもが基本を置いておりますのは、地域地域の条件はありましょうけれども、やはり輪作体系の中に取り込んだ方向ということを力点を置いて考えていきたいというふうに考えております。
#85
○稲村稔夫君 輪作体系というのは、そうすると米を含んでの輪作体系ということですか。
#86
○政府委員(浜口義曠君) 水田におきましては米を輪作体系の中に入れていく場合もありますし、それからやはり麦、大豆、麦、大豆というような輪作体系もあります。ただ、今まではどちらかといいますと、米を排除して麦あるいは大豆その他のものというような輪作体系といいましょうか、もっと基本的に言えば転換畑として水田を転換していこうということに力点があったわけですが、今回はむしろ米も含めてもよろしい、例えば二年三作といったような場合に米、麦、大豆というようなことがあり得るわけでございまして、そういう意味ではむしろ米も含めて、米を必ず含めなきゃいけないという意味じゃございませんけれども、米も含めてという考え方で輪作農法の確立を推進してまいりたいというふうに考えております。
#87
○稲村稔夫君 そういたしますと、私は永久転作という言葉を使いましたが、米を排除してもう畑地としてずっとやっていく、それでその中に畑作物の輪作を考えていく、こういう行き方と、それから米に戻ることがある。要するにオカボなら別ですけれども、田んぼと畑作ということになってまいりますと、変えることができるようにしていく方が圃場状況を整備するための経費的にはそっちの方が安くて済みますか。
#88
○政府委員(浜口義曠君) 一つは、畑地の水田の条件が整っているところは経費は安く上がるかもしれませんが、例えば排水条件といったようなものも考えていく場合、これから冬期で地下水七十センチより以深のものをつくるという場合には一部水田の土地改良の投資が必要であるということもありまして、一概にそこのところは言えないと思います。
 ただ、従来の基本的な考え方が転換畑といったようなものでありまして、どちらかというと転作作物だけ――だけというのはちょっと語弊がありますが、そういうようなことを考えて力点が置かれておりましたことに関連いたしまして、現実にいろいろの各地で展開されております、先生御案内のブロックローテーション、そういう農家の方々の工夫が現実にあるわけでございます。そういった点から考えますと、やはり私どもの方向としては米の生産性の向上というものを含めて水田農業確立対策においては、米、麦、大豆等々の転作といったような方向を追求していくべきではないかというのが私どもの現時点の考え方であります。
#89
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、水田から転作をするということは、それなりに畑作に向くようなそういう基盤づくりをしなければなりません。それでまた田んぼに返れるという条件をつくるときにはそのことも考えた整備をしなければならない、ということはそれだけ経費がかかるということなんです。それは先ほどの生産者の参考人の御意見の中でも、土地基盤の整備の償還金が入ってきて、それもまた、償還金というのもまた頭の痛いものの一つだという意味のお話があったわけでありますけれども、そうすると、転作を推進していくという形の中で、一方で経費がふえていきます。しかもその転作麦の場合の技術水準というのは、これは農家の皆さんには申しわけないけれども、今まで畑作をやっていなかった者はどうしても技術水準としてはそれをマスターするまでの間レベルが低いわけですね。
 そうすると、それを向上していくためのいろいろなまた努力もしなければなりません。経費も考えてやっていかなければなりません。こういうことになるわけでありますが、そうすると、転作を推進していかれるわけでありますから、その転作麦の生産技術向上のために、あるいはそうした整備を促進していくためにどういう援助を具体的にされるおつもりですか。
#90
○政府委員(浜口義曠君) 今、先生御指摘のとおり、需要が減っております米に対しまして、需要の余裕のあるといいましょうか、そういった点におきましてそういう作物を振興していくことにつきましては、農家の方々の、これも先生御指摘の、従来から水田農業一本やりでありました方々に畑作物的な経験をつけていただくというようなことから、いろいろな各方面におきます総合的な対策が裏づけとして必要だというふうに考えております。
 一つは、具体的には小規模の土地改良、あるいは大規模のと申しますか、通常の土地改良事業の整備が必要でございましょうし、それから具体的に実施されます畑作、新しい作目向けの機械、施設の整備、この具体的な場合にはコンバインであるとかあるいはカントリーエレベーターというようなことでございましょう。現実におきまして、機械等につきましては先ほど触れましたように、それぞれの麦作用の、あるいは稲作用の機械というのが独自に開発がされておりますが、最近におきまして汎用コンバインというようなものが新しく出てまいりましたので、そういう意味でのトータルの機械の有効利用というのはもちろんありますが、いずれにしろ機械の整備、それから地域の実情に応じました具体的な、試験場の技術じゃございませんが、麦作技術の開発普及といったようなものも必要であろうというふうに考えております。
 そういう意味で、麦の生産全体の対策というものがどうしても必要だ、そういうことから水田農業確立対策におきまして、具体的な点は省略さしていただきますけれども、総額三百億を上回る特別の対策というものもあわせて実施をするというのがことしの四月からのスタートであったわけでございます。その後におきます補正予算の御審議を賜りまして、麦、稲を通じますカントリーエレベーターの充実、あるいはライスセンターの充実というものをさしていただいておりますが、そういった点を含めまして、今後ともこの麦の高位生産化を推進するための対策というものも充実を図っていかなければいけないというように考えております。
#91
○稲村稔夫君 私、この後の方の通告をしている中の後の四のところの生産性向上のかかわりの中でいろいろとまた聞かなきゃならない問題にもなるわけでありますけれども、いろいろと御答弁になっているけれども、しかし転作麦というのは団地化をしてもせいぜい、さっきも話が出ておりましたが、さっきの参考人では九ヘクタールでしたね。集団転作をしているわけです。大体転作面積をみんな出し合って、そしてそこでやるということで、そうすると、地理上の問題だとかなんかもいろいろとあります。その中で全部が同意をしないとかいろいろなことがあって、それでそんなに合理的にすべてをやれるというわけじゃありません。先ほどのあれじゃないですけれども、十二町歩の経営なら何とかやれるかなんと言ったって、十二町歩の集団転作ですらそう簡単にはいきません。こういう条件のところが多いわけですね。
 そうすると、言ってみれば転作麦というのは経営規模が小さいということを前提にして物を考えていかなきゃならないというのが現状なわけでしょう。その現状の中で、今お話のように例えばカントリーにしてみてもあるいは大型の機械にしてみても、そういうものを投資していくということは、逆に個々の農家にとっては過剰投資をまた強いるということになりかねないという、そういう側面も持っているんではないか、そう思いますけれども、もしそうなったとしたら、これは推進をしていった側の政府の責任ということになりますから大事な問題になります。その辺はどういうふうに理解しているんですか。
#92
○政府委員(浜口義曠君) 具体的に機械の過剰投資になるかという問題でございますが、今申し上げましたように、私どもの麦作の振興において一つの利点といたしまして、やはり今まで導入をしております米用の機械を利用する、あるいは米用の施設を利用するといったような道が開かれているということが一つあるわけでございます。もちろんそれぞれアタッチメントをつけまして、新しくトラクター丸ごと入れるというような事例も間々あるのかもしれませんが、私どもは具体的な転作の実施におきましては、先生の御指摘の点におきまして集団化は難しいというお話がございましたけれども、やはり地域におきます、裏作におきますオペレーターグループあるいは専業的な若い人のグループを中核にいたしまして、その他先ほどのような地域におきましてやや不作付的な裏作というものの地域を、地片を集めまして、地域輪作農法の確立が図られるように推進していくべきだというように考えております。
 具体的に畑作地帯におきまして、例えば前橋の事例であるとか、あるいは水田の事例等におきまして、茨城の事例とか先進的な地域は、それは点の状況であるかもしれませんが、その点を面のように広げていく努力を傾けながらそういう集団的な麦作体系というものを伸ばしていくべきではないかというふうに考えるわけでございます。
#93
○稲村稔夫君 いろいろ努力をしておるところがあって、それなりの成果を上げているところがあることも私も承知をしているつもりです。今、なにが点のと言われたけれども、それは全体の中でこういう点のかもしれないけれども、またこっちの点の方の、どこに立地しているかというようなことまで重要なこれポイントになってきまして、どっちの点にも通ずるような感じがするわけでありますから、それだけに私は、特にこの転作麦の場合にはそうした過剰投資にならないようにというようなことというのはかなり配慮をいろいろとしていかなけりゃならない問題だと思うんです。
 例えば、今、米との共用の話が出ました。例えばコンバイン一台使いましても、そのためにアタッチメントをあれして、新しくつけられるようにまた新しく買ってというようなそういう事情というものは、これは実は麦でコンバインを使いますと掃除が大変なんですよ。その労力、これは実際は大変なものです。それで残っていれば、どこかに残っていれば今度はすぐ米の品質に響いてくるでしょう。ですから現場においては単純でない部分がいろいろあるわけです。だからそういうことも含めてそうした援助については十分に考えてもらわなければならない、こんなふうに思うわけであります。
 三時までというんで、それじゃもう仕方ありません。次へ移っていきます。
 次に「実需者等のニーズに即した品質のよい麦の生産を誘導」するというようなことが述べられております。まず第一にひっかかったこの「実需者」という言葉なんですが、実需者というのはどういう人を言うんですか。実際の需要家という、文字のとおりとればそうですが、さっきはメーカーの偉い人が私ども実需者だと言っておりましたけれども。
#94
○政府委員(後藤康夫君) 稲村先生、常にまず定義からお始めになりますので大変難しいのでございますが、麦の実需者といたしましては、例えば麦の大宗を占めております小麦の場合で申し上げますと、加工業者としての製粉企業、それから二次加工業者としてのパンあるいはめんの製造企業等がございます。さらには流通段階を経て、これらの最終需要者としての一般家庭消費者も確かに実際の需要者であるわけでございます。そういう意味では、広い意味では、非常にいろいろな段階の実需者ということが考えられるわけでございますが、小麦に対する実需者のニーズということになりますと、麦製品に対する末端の消費者のニーズというものが流通段階を経まして、それで二次加工メーカーに伝えられる。その二次加工メーカーがまた、自分が消費者に好まれる製品をつくるのに一番適しておって、また製造上も非常に能率的にできるというものを今度製粉企業に対してそういうニーズを伝えるという形で形成をされてまいりますので、実需者のニーズと申しますと、まず第一義的にはそういった川下のところのニーズがいわば集積をされました製粉企業のニーズというのにまず代表をされるのであろうというふうに考えておるわけでございます。
#95
○稲村稔夫君 そういたしますと、全然ちょっととっぴかもしれませんが、最近、家庭用の電気パン焼き器というのが盛んに宣伝をされ、かなり普及も始まっているという話も聞きます。そういたしますと、これは二次加工業者というのは製粉業者ですね。二次というのはないですね。製粉業者が今のパン焼き器に合う、あるいは逆にパン焼き器が要求をする粉をということになるのかもしれぬけれども、こういった場合は実需者というのはどこになりますか。
#96
○政府委員(後藤康夫君) ただいまお尋ねのような場合におきましては、製粉業者が家庭用のパン焼き器に適した一種のミックス粉を製造する、そしてそれにイーストを加えて売るというような形に恐らくなると思いますので、二次加工業者と一次加工業者が人格的には同一ということになろうかと思っております。
#97
○稲村稔夫君 私がこんなことを聞きますのは、実需者ニーズにこたえてというふうに言われているけれども、私はむしろ消費者ニーズを原則にして、そしてその消費者ニーズが実需者に伝えられてというよりも、それをむしろ実需者ニーズというものは、消費者ニーズで物を判断して実需者に対応させるというくらいの姿勢が本来なければいかぬのじゃないかというふうに思うからなんですよ。何か実需者ニーズと言ったときに、粉屋さんかめん屋さんかパン焼き屋さんかというような形になってくるんでは、これちょっと実需者という言葉にとらわれて本当に恐縮なんですけれども、その辺のところ、今度の法律は生産者に対するものが主力になっている、こういうことでありましょうが、やはり実需者と言ったときには消費者というものを基礎に置いて物を考えていただきたい、こういうふうに思うわけです。
 そこで、そういう消費者の立場に立っていきますと、これから展開する議論がそこの私の根底にあるからなんですけれども、品質のよい麦というのは、これも定義でもって申しわけない形になりますけれども、品質のよい麦というのは、一体その品質というのをどういうふうに受け取っていったらいいのか、ここのところはどうですか。
#98
○政府委員(後藤康夫君) まず小麦の用途としまして、大きく言いましてパンとめんとございますが、パン用に適します小麦と申しますのはグルテンの含有量の高い硬質の春小麦というふうに概論的には言われておりまして、この良質のグルテンを含有いたしますためには、降水量が少なくて割合豊熟期の気候が比較的冷涼な地帯が適地というふうに言われております。我が国でも育種でアオバコムギでございますとか幾つかそういうたんぱくの高いものをつくったりもいたしておりますけれども、なかなかパンの原料としてはしっかりした需要がつきにくいというのが実態でございます。そういうことからいたしますと、我が国の小麦というのはやはりめん用を主体とした需要ということになるわけでございます。
 午前中の参考人の際にも、原料の小麦の品質というものには製粉適性と二次加工適性がございますということを言っておられました。二次加工適性というのはまさに例えばめんならめんで消費者に喜ばれる、好まれるめんができる小麦粉がとれる小麦ということでございます。それからもう一つは、製粉企業の今度立場からいたしますと、一つは例えば製粉歩どまり、同じ原麦一トンからどのくらい小麦粉がとれるか。そしてその場合にふすまと小麦粉と分けるわけですが、例えば品種によりましてふすまがふるいの抜けがいい悪いというようなまた特徴がございます。そういった歩どまりとか製粉の難易というようなものがやはり製粉適性の方の問題になるわけでございまして、そういう意味から申しますと、めん用の小麦粉につきましては、まず二次加工適性ということから、また製粉適性という点から見ますと、歩どまりが高くてかつ灰分が少なくて粉の色なりあるいはグルテンの質の良好なものが良品質というふうに言われております。
 産地品種で例示を申し上げますと、今国内産小麦で良品質麦と言われておりますのは、関東、東海、近畿、中四国、九州の農林六十一号とか農林二十六号、それから近畿、中四国のシラサギコムギ、九州のシロガネコムギと、こういったところが良品質麦というふうに言われております。けさ参考人のお話に出ておりました北海道のチホクコムギというのがその次あたりに続いてくる、そんなランクづけが関係者の間で一応できております。
#99
○稲村稔夫君 例えば小麦の品質といったときに用途ごとによって違う。これは当然なんですけれども、しかしその用途の中でもいろいろと製造する側の宣伝とか、あるいはその時代の一定の政策推進の中で大きく影響を受けるとかいうような要素がいろいろとあると思うんです。
 例えばパン用の小麦ですね。我が国では硬質小麦はだめです、高温多湿の中では。それで、しかし食パンは硬質小麦でなければだめですね。ところが、戦後間もないころに最初に食パンを普及させていった大きなメーカーは、あるメーカーはアメリカから食パンのプラントを買ってまいりました。これはもうアメリカ、カナダの小麦でなければできないパンをつくることしかできないんです。ところが、一方で伝統を持ったヨーロッパではドイツパンだとかフランスパンだとか、いろいろそれぞれの国々が特徴を持ったパンを生産しております。これらのパンはその国の国土に合ったそういう小麦、自分のところの生産している小麦に合ったパンを製造する、伝統的にそういうものをつくり上げていく、こういう形で出てきていますね。
 我が国も例えばフランスパンであるとかヨーロッパのパンの系統であれば我が国の麦も改良していけばそれに近づけることが可能であったはずです。しかし食パンの普及ということが一方でどんどん進められていって、また学校給食で出されたコッペパンというのが極めて子供たちにも評判が悪い状況のものをつくっていきましたね。そういうものの中でますます食パンというものが普及していったという形がある。私は何もこれはメーカーの責任ということで言うんじゃありませんが、しかしそうした社会的な体制というものが、言ってみれば国民の嗜好というものにも重要な影響を持ってきた、こういうことが言えるんじゃないだろうか、そんなふうにも思うわけなんです。ですから、品質ということを問題にするときにやはり我が国自身の風土に合ったそういう小麦の中の品質をよくしていく、こういうことが基本に据えられなければならないんじゃないか、そんなふうに思うんですね。
 同時にまた、先ほどめんの話が出ておりましたけれども、私的なことを申し上げて恐縮ですけれども、私の家内は讃岐の産であります。讃岐はまさにうどんの産地で有名なんであります。これは昔のような味のうどんはもうできないんです。つくってないんですね、まことに残念なんですけれども。昔は地元でつくった麦で、四国のあそこでつくった麦でうどんはつくられておりました。その辺のところも、さっき私はホームメードで、手づくりのものと、それから工場生産をするものとで違いが出てくるんじゃないか、品質というものについての理解の仕方というものにも違いが出てくるんじゃないかと、こんなことも申しましたけれども、こんなことをいろいろと申し上げましたのは、要するに良品質というものが今後価格形成の上に重要な影響を持つということになっていくわけなんでありますから、そうすると品質とは一体何ぞや、どういう品質のものを求める、どういう品質のものを生産するということになっていくのか。これは極めて重大な問題になる、価格に影響が出てくるから、こういうことになるんですよ。ところが品質ということになると多種多様であいまい、こういうことになるから僕の方もよくわからない。ここをどういうふうに整理をするおつもりですか。
#100
○政府委員(後藤康夫君) 一つは最近麦の品質の問題がいろいろ顕在化をしてまいりまして、いわゆる製品適性あるいは二次加工適性から見た原麦の品質評価の基準といったようなものについていろいろ今研究なり関係団体での勉強が行われております。私ども、そういうものを私ども自身もいろいろ将来の価格政策を考えてまいります上で参考にさせていただきたいというふうにも思っているわけでございますが、稲村先生御指摘のとおり、価格を決めるという場合に客観的な基準というものはなくて品質格差というものが考えられるのか、こういうお尋ねだろうと思います。
 これは大変皮肉なことなんでございますが、原料管理のお米につきましては自主流通米というものがございまして、一応集荷の側と販売の側で値段を交渉して決める、この中で品質格差が設定をされるということがあるわけでございますけれども、麦の場合は何せ売買の逆ざやが大変大きゅうございまして、流通する麦がほとんど全部集まってしまうということでフリーなマーケットでの市場評価というものがないわけでございます。それがあれば本当はそこに市場が評価をした品質格差というものが出てまいるはずでございますが、それがつかめないというところが非常に悩みのあるところで現在時点ではあるわけでございます。
 そういう状況でございますので、実はもうこれ十年ぐらい前からやっておるわけでございますが、十数年にもうなりますか、先ほども公述人のお話ございましたように、自分のところでつくった麦がどういうふうに使われてどういうふうに評価されているというのがわからないということが一つございます。恐らく農産物の中でそういうのは麦だけかもしれない。全部要するに政府の検査の場所へ持ってきて政府指定倉庫の前に置いて代金をもらえばそれでおしまいという、そういう形になっているわけでございます。そこのところを何とか生産者側と実需者を結びつけて多少とも両側の接触を生み出したいということで麦管理改善対策ということをやっておりまして、そこでいわば内麦、外麦含めまして麦を買っております実需者が一定の積み立てをいたしまして、そしてこういう内麦をつくってもらいたいという要望の強さによってAランクからCランクまで、ことしからDランクまで四段階にふえましたけれども、そのランク別に契約生産奨励金というものを出すというふうなことで、間に食管の政府の売買が入っておりますけれども、その中で実需者が自分たちが積み立てたお金でこういうものについては一俵四百円出しましょう、二百五十円出しましょうということを決めているランク分けがあるわけでございます。
 さしあたりはそういった区分というのを一つの手がかりにしながら他方製粉適性あるいは二次加工適性のいろいろな研究検討の成果を取り入れて、品質格差の問題というのを検討していかなければいけないんじゃないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#101
○稲村稔夫君 いみじくも言われたように生産者は自分のつくった麦がどういうふうになっていくか、これはわからない。それはまさに米と違うところですし、先ほどから実需者を問題にしているのもそこなんですよ。米だったら食べる側の方の消費者に人気があるかないかと、すぐストレートに響いてくるんです。ところがこの麦に関してはかなりの部分が輸入麦であって、そしてその今言われている実需者と称する立場の者はそれを適当にブレンドという、言葉は片仮名にするときれいですからブレンドですけれども、日本語的に言えばかなりはっきりしますね。混合しているんですね。それで出すわけでしょう。出すことだってできるわけでしょう。
 その実需者の要求と言われるけれども、今のまさに実需者がどういう要望を持っているかというよりも、消費者がどういう要望を持っているかということが生産者には全然わからないんです。さっきの米だったら消費者がどういう動向にあるかって生産者がある程度わかるんですよ。だけれども今のメーカーという粉屋とかうどん屋とかというのが間に入ってしまうと、言ってみれば消費者と生産者との間が一度加工段階必ず通るわけですから切れていますね。その辺のところにも私は随分品質ということが価格に加味をされるということになったときには非常に問題なんじゃないかなと、こんなふうに思うんですね。今のお話聞くと実需者というのは要するに粉屋でしょう。
#102
○政府委員(後藤康夫君) これは何といいますか、粒食の文化と粉食の文化という違いの問題にもなってまいるわけでございますが、米の場合はとれました穀粒を食べるわけでございますが、どうしても小麦の場合は二つぐらいの加工過程は必ず通らなければいけないということでございます。私、もちろんその間に介在をしております二次加工業者なり製粉業者というのはみずからの営業としてやっているわけでございますから、当然営業のためということを考えるわけでございますけれども、二次加工業者にいたしましても消費者のニーズに合ったものでなければ営業はうまくいかないわけでございます。ですから末端の消費者のニーズというのは二次加工業者を通じてやはり製粉メーカーが粉を売りますときの評価というものが出てくるわけでございますから、それがまた原麦の評価につながってくる。粉食であります限りはやっぱりそういう過程を通らざるを得ないし、またそういう過程を通ることによって消費者のニーズというものがどこかで断ち切られてしまうということは私はないんではないかというふうに思ってやっておるわけでございます。
#103
○稲村稔夫君 私の持ち時間がもうなくなってまいりました。予定をしているところへまだ一項目足りないわけで、もう一つ先まで行っていなきゃならないのにもう時間が来てしまいましたので、大臣には大分退屈をさせたと思うんであります。そこで、私積み残しているものはまたもう一度きょう一巡が済んでから詰めさせていただきたいというふうに思いますので、最後に大臣のきょうは私は御見解を伺って終わりたいというふうに思っております。
 それで、今いろいろとお伺いをしてまいりましたけれども、一つは麦作については、特に転作麦については経営面積の問題やらいろいろな不利な条件等々もあってまだいろいろとこれから解決していかなきゃならない問題がいっぱいあります。それだけに生産者対策というものは十分に意を用いていただかなければならないというふうに思います。そこで今までの経過の中でいきますと、きょうはもう一つ先までやっているとこれが言いやすかったんでありますけれども、要するに麦の再生産をするに必ずしも十分な価格体制ではなかったということが過去については言えると思うわけなんでありまして、この辺のところ今後価格改定を進めていく今幾つかの指標が出てきて、指標というよりも基本方針、考え方が出ているわけでありますが、そういう中で少なくとも農家が生産意欲を失うようなことにならないように配慮をしていただかなきゃならない。この点が一つ。
 それから実需者という名前でかなりメーカー、製粉業者あるいは二次加工業者という人たちのニーズが大切にされるということになっておりますけれども、この実需者のニーズというものの中でやはりもっと消費者のニーズということを重視をするような仕組みというものを今後いろいろと工夫をしていただけないだろうか、こういうふうに私は思います。その辺のところを大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。
#104
○国務大臣(加藤六月君) 今回の法改正によりまして、提案理由の趣旨説明でも申し上げたわけでありますが、生産性の向上と品質の改善ということを目標といたしておるわけでございます。そしてこのことを通じまして生産者農民が意欲を持ち、励み、努力するということが非常に重要になってくるし、また今回の法改正によって意欲が減退することのないような方法を講じていかなくてはなりません。
 それから、稲村委員が冒頭御質問になりましたように、小麦なら小麦だけの使途、用途というものが非常に多いわけでございます。そういう中で、食用だけ見ても、ビスケットやクッキーから始まりましていろいろなもの、あるいは化学用にも使っておる。こういう中で、パンという、パンの場合でも食パンと菓子パンと何やらパンというように大きく例えば三種類に分かれる。そこら辺の使用目的といいますか主食用目的も若干違ってくる。おっしゃいました消費者と生産者との関係というここら辺、私も実は米審で麦価のことをお諮りしたときに米審の委員の先生方からいろいろここら辺の問題にも触れられまして、なかなか難しいものだなと。また同じように議論で実需者という言葉が出ました。確かに今流通経過、過程が米と小麦というのは抜本的にある面では違うような気がします。そこら辺でやはり実需者の意向イコール一〇〇%消費者の意向とは言えないのだけれども、そこら辺をどう考えるべきであるのか。
 パンの場合とうどんの場合ではまたさらに若干違いまして、うどんの場合は先ほどお話に出ました讃岐うどん等もあるわけでありますが、実は一日農林水産省を開いたときに高松へ行きまして、私も讃岐うどんを食べるのを楽しみにして行ったのでありますが、ASWが七割以上使ってあるということを聞いて偶然とし、我々がどこのうどんがうまい、どこのうどんがうまくないと言っていたんだけれども、要は結局オーストラリアの農民のつくったうどんがうまいとかうまくないとか言っているのかなと。あんパンで言いますと、どこのあんパンがうまいといろいろよく言うんですけれども、外はアメリカの農民かオーストラリアの農民がつくって、中のあんこは中国の農民がつくる、それならあんパン屋の技術というのはあんこに加える香料というか調味料、この違いだけかなと、こう思ったりなんかしておるのですが、消費者、実需者の関係と生産者の関係、そこら辺は今後私たちも大いに検討し勉強していかないといけないんじゃないだろうか。
 要は今回の法改正は、先ほど来議論されておりましたように、今までは量の拡大だけを目指した麦の全体の自給率ということを考えておった。さらに今回からは生産性の向上ということで、品質の改善ということをやりながら全体のレベルアップをしていくというところがねらいでございますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
#105
○稲村稔夫君 その辺はこの次に詰めるところです。ありがとうございました。
#106
○及川順郎君 冒頭、本法改正の内容に入る前に、きのう大蔵省が六十三年度予算の概算要求を締め切ったニュースが本日出ておりまして、これについて一、二点基本的なことを伺っておきたいと思うわけでございます。
 全体につきましては報道のように一二・五%の伸びという状況でございますね。その中で農業関係予算はマイナス〇・八という状況です。ここ数年前に初めて防衛予算と農業関係予算が額面で逆点した。一つの戦後の歴史の節目になるだろうというぐらいに指摘をされる学者もおられます。農は国のもとと言われながら、その関係がだんだん細っていくという状況の中で、日本農業の将来というものに対するやはり一抹の不安というもの、これでいいのかという問題がどうしても残るわけです。
 まして今回の場合、内需拡大という面から見るならば、農業関係予算の中で内需拡大に貢献できる部分もかなりの部分があったんではないか。こういう状況の中で、全体七年ぶりの伸びの中で農業予算がこのように、こんでいく。しかし今の農業関係予算としては、必要な項目に対してはそれなりの努力をして要望をなさったのではないか、このように思うわけでございますが、大臣いかがでしょうか。どういう点を優先して今回の概算要求の骨格をつくられたか。それからもう一つは、内需拡大という面におきまして、どういうところにアクセントを持って今回の概算要求の要望をなさったのか、この点をお伺いをしておきたいと思います。
#107
○国務大臣(加藤六月君) 私もけさの新聞を見まして、ああこれは農林省予算概算要求について誤解を招くな、こういう感じを一番に持ったわけでございます。
 昨年暮れの昭和六十二年度予算編成のときに私が一番苦労し心配しましたのは、農林予算を三兆円を割らしてはならないというところにある面では全力を傾注しまして、御存じのように六十二年度予算額は三兆二百八十六億円でございます。そしてまた、昭和六十三年度予算は、閣議におきまして概算要求基準を決め、それに従いまして、その枠内で当農林水産省の概算要求を決定いたしたわけでございます。実質上は六・六%アップの三兆二千二百九十一億円に六・六%伸ばすことができました。御存じのように、そのうちNTT分の二千二百二億円というのが、当省が使う二千二百二億分は大蔵省所管ということになっております。そこで、農林省所管予算としては、通常分だけが出てきますと三兆八十九億円になりまして、マイナス〇・七ということになるわけでございます。
 それから、そのシーリングにおきましても、やはりいろいろな基準がございました。ただ、ことしの概算要求基準で今までと違いましたのは、公共事業を六十二年度と横並びにする、その他の問題については相変わらず一〇%削減で、激変緩和措置の五%でいく、こういうこと等があったわけでございます。
 そこで、我が省としましても各種経費の節減合理化には努力し、そして重点的かつ効率的な配分を行い、農林水産施策の万遺漏なきを期し、質的充実を図った。そういう面で重点的にやりましたのは、これはもう当委員会においてもたびたび御議論いただいておるわけでございますが、生産性向上、いわゆる構造政策の強力な推進、ここら辺と我が国農林水産業の体質強化、こういう一連の問題と、それからもう一つは、最近特に厳しさを増してきております雇用問題を中心にした地域の活性化、農山漁村の活性化を図るというところを重点にやってきております。また、こういった精神を貫くための公共事業、非公共事業とも相当数の新規事業、新規な創設を行うようにいたしております。これが二番目です。
 それから三番目は、いつも申し上げておりますが、技術開発やあるいは食品産業、消費者対策ということにも重点を置きまして、以上三つを総合して現下の農林水産業としての緊急的な課題あるいは重要課題に配慮をした概算要求を組んだわけでございます。
 なお、NTT、御存じのように先般国会を通過しました。この場合、アバウトを申し上げますと、この金を一兆三千億円で各省庁で使おうということでございまして、そのうちの一兆円と二千億円と一千億円に分けまして、A型、B型、C型という三つのタイプに分けてやるようにしておるわけでございます。そのうちのA型及びC型、これはまあある面で言うと各省庁の知恵の出しどころにもなるわけでございまして、今後このA型及びC型の分につきましては年末の予算編成をするまでにさらに中身を詰め、積み上げていこう、こう考えておるところでございます。
#108
○及川順郎君 新聞報道によりますと、分捕り合戦は建設省がやっぱり焦点になっておりますが、ぜひひとつその中で御尽力を賜りたいと思っております。
 それでは、今回の法改正でございますけれども、これまでのパリティ方式から生産費方式に変えるということであるわけですが、この食管法の第四条ノ二、この改正案で示しております「政令ノ定ムル所ニ依リ」とありますけれども、この政令というのは具体的にいま一釈然としておらない。いかなる内容ですか。
#109
○政府委員(後藤康夫君) 価格の規定につきまして「政令ノ定ムル所二依リ」という場合に、政令で算定方式のようなところまで書くかどうかという問題がございます。例えば米価について申しますと、「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」という法律の文言になっておりまして、その頭に「政令ノ定ムル所ニ依リ」というふうに書いてございますが、政令を見ますと年に一度定めるということが書いてあるという規定の仕方が一方の極端にございまして、それから他方、今の麦価の規定のように付録算式でもってパリティの算式をシグマなどの字も入りました算式までつけて政令で規定をするという書き方といろいろあるわけでございまして、実は食管法の一部改正を成立さしていただきました暁には、ことしの麦価決定の際の米価審議会で、既に通常国会でこれ提出されておりましたので、米価審議会におきまして、法改正の暁には米価審議会に小委員会を設けて算定方式を検討するということが決められておりますので、法成立後速やかに米価審議会に小委員会を設けまして、麦の生産費その他の生産条件、需要及び供給の動向、それからその他の経済事情を踏まえまして具体的にどういう算定をしてまいるかということを検討をしていただくことにいたしております。したがいまして、政令の具体的な書き方ということになりますと、その検討結果を待って措置をいたしたいと思っておりまして、現段階で具体的な内容をまだ完全に固めているという状態ではないわけでございます。
#110
○及川順郎君 政令といっても、事務手続上の問題とか、法律施行の準備の件といった内容のものであれば、そういう状況ということは理解できるわけでございますけれども、ここで決められます政令の内容というものは、やっぱり本改正案においては根幹をなすものというぐあいに位置づけられるではないか、こういう感じをするわけですね。それが法律改正の段階になってできていない。いずれこの法改正が成った後、米価審議会に小委員会を設けて検討する、こういうことでございますけれども、普通の法律改正、法の手続という観点から考えますと、やっぱり順序がちょっと逆じゃないかという感じがするわけですね。むしろやっぱり政令というものがきちっと定まって、それを本委員会にも出して国会審議を深めるという努力、その責任というのは農林水産省として当然負うべきところであるというふうに理解するわけですけれども、その点に対する認識のほどはいかがでしょうか。
#111
○政府委員(後藤康夫君) 及川先生おっしゃいますように、通常、法律案を御審議いただきます際、政令規定見込み事項というようなものについて、こういうものだということをあわせてお示しをして御審議を願うという方がむしろケースとしては多いのではないかということは私どもも認識をいたしております。そういう意味におきまして、例えば改正後の、今御提案申し上げております法律案の中に、考え方につきましては三つの参酌事項あるいは二つの配慮事項という形で、考え方はできるだけ法文の上に出して御提案を申し上げたということでございますが、米麦価につきましては米価審議会という長い歴史を持った審議機関がございまして、生産者、消費者、中立の方がお入りをいただいた審議会がございまして、事前にそういう算定方式の具体的な方式について議論を尽くした上でというのも一つの御意見であろうかと思いますけれども、逆に法改正をいたしませんで、政府の正式な諮問機関であります米価審議会に政府がパリティ価格方式の規定がまだあります中で正式にそういう検討をするということになりますと、これはまた逆に立法府との関係で問題を生ずるじゃないか、こういう議論も一方私どもの中でもあるわけでございまして、そういう意味におきまして考え方はできるだけ法改正の案文の中に盛り込むということで、具体的な算定方式につきましては米価審議会の小委員会で立法府の御了解もいただいた上でやるのがやはり手順としてはよろしいかなという考えで御提案を申し上げておるわけでございます。
 なお、米価審議会というような場所でいいのだろうかという御意見もきょう参考人質疑の中でございましたけれども、私どもも、米価審議会には専門委員というような制度もございますし、例えば米価審議会でございますと人数も限定されておりまして、今お米についての例えば流通関係の方というのは入っておりますけれども、麦の先ほどお話のありました実需者というような方は米審の委員の中にそういった学識経験お持ちの方が入っておられないというような問題もございまして、そういった専門委員的なものを活用する、あるいはまた学者の方々にも来て意見を聞かしていただくというようなことも工夫しながら米価審議会の小委員会で御検討していただいたらどうか、こういうふうに思っておるところでございます。
#112
○及川順郎君 言わんとするところは、長官は察知しているようでございますので、これ以上申し上げませんけれども、いろいろやっぱり問題点が多いと思うんですね。ですから、今後のために私希望しておきますけれども、やはり政令というものの扱いについては、考え方をもう少ししっかりと決めておやりになっていただきたい、こういう感じがいたします。
 次に、法改正の目的、理由につきまして若干不鮮明な点もなきにしもあらずということで、私はその観点から何点かお伺いをしたいと思うんですけれども、今なぜ改正をしなければならないかという理由がるる説明はされておるんですけれども、この改正内容とどうもかみ合わない部分がある。というのは、現行法で具体的に今どんな不都合があったのか。したがって、現時点においてこの法改正をしなければならぬ、こういう点を明確にしていただきたいという、またされるべきだという、こういう考え方があるわけですけれども、一部には安楽死説があったり、あるいは農政審の指摘で、それに右へ倣えで、ともかく変えてという、法改正だけはしてというような、こういう考え方や指摘があったりしておるわけでございますが、この法改正の本音の部分ですね。どこにあったのか。この点をもう一度明確にお願いをしたいと思います。
#113
○政府委員(後藤康夫君) 麦につきましては、きょうの午前中もいろいろ御議論がございましたように、近年、国民各界におきまして農産物の内外格差が多大の関心を持たれております中で、今後やはり現に進展しつつございます生産性の向上を価格に反映をさしていく必要があるというふうに考えておりまして、そしてまた、量的には生産がかなり拡大してまいりましたけれども、先ほどブレンドというお話がございましたけれども、量が小さいときはブレンドを、まぜるということで、ある程度こなせるということはございました。ある程度の量になりますと、やはり内麦は内麦で自分の足で立てるような品質というものに対する努力をやっていかなければいけない。けさほどのお話にもございましたように、かなりこれは緊要な課題に私どもなっているというふうに考えております。そういう意味で、やっぱり内麦の品質問題が顕在化をしているということでございます。
 そういった課題につきまして、昨年の農政審の報告でもかなり明確な指摘がなされまして、また現行の規定によりますパリティ価格というものの考え方につきましては、きょうも農業経済学者のお立場からのお話がございましたけれども、もともと生産構造なり需要の構造というものが余り変わらない、短期的な期間に適用をされる筋合いの方式である。そして、今、生まれ故郷のアメリカの方でも一九七三年にはもう制度から姿を消したというようなものでございまして、今、生産性の向上なり品質の問題というのがこれだけ言われております中で、やはり、パリティ価格を基準とし、これを「下ラザル」という条文をそのままにしておくことが適当ではないのではないかということがまず第一にございます。
 さらに具体的に申しますと、二十五、二十六年当時と今日とで生産構造が全く変わっておるわけでございますが、パリティというような形で当時のいわば実質購買力を今もなお保持しなければならないという根拠がだんだん薄くなってきている、それからまた、生産性の向上を価格に反映をする、あるいは品質差を価格に反映するという点でも、方式としてはこれはやはり限界がどうしてもございます。そういう基本的な問題がございますので、いわば量的な拡大を志向した麦作振興から、生産性の向上と品質の改善を基本にしました麦作振興に速やかに移行する、そういうことによって息の長い内麦振興を図れるような考え方を麦価算定の規定の上にもあらわしておきたい、そういうことで御提案を申し上げておるわけでございます。
#114
○及川順郎君 今のような問題、私は、それを理由とするならば、これまでむしろやってこなければならなかった問題じゃないか、そう思うんですね。したがって、生産性の向上とか品質の改善というのは現行法下でも十分できるわけでございまして、やはりその辺の取り組みということに対して、この麦作の政策的な見地からの取り組みがもう一歩弱かったんじゃないか、こういう感じを率直にするわけです。
 それから、提出されました資料に基づきまして、内麦、外麦の価格差の点から比較相対してみますと、これはけんかにならないわけでして、しかも財政負担という点から考えるとこれは大変な重荷になるということは十分わかるわけですね。ただ問題は、午前中の参考人質疑でも私は非常にこの点を伺ったんですが、品質の改善がなぜ今まで進まなかったのかということがまだ釈然としないで残っている状況があるわけですね。それはそれとして、今までの分は今までの分といたしまして、今後のやっぱり麦作に対する一つの政策的な見地から考えますと、この需要と生産目的のかみ合わなかった部分というものを今後どのように改善しようとしているのか、この辺についての御見解を伺っておきたいと思うわけです。
#115
○政府委員(後藤康夫君) この問題につきましてはいろいろな要因もあると思いますけれども、私ども実はことしの生産者麦価から産地、品種、銘柄によります銘柄の三区分をいたしまして価格に格差を付したわけでございます。
   〔委員長退席、理事水谷力君着席〕
 先ほど申し上げましたような流通する麦がほとんど食管を通して流通をしていくという中で、生産者サイドと実需者サイドで契約生産奨励金というような形で品質評価によって銘柄の区分をいたしておるわけでございますが、その銘柄につきまして都道府県の農業試験場の栽培試験の結果などを見ますと、やはりAランクのものというのはBランクよりも収量が低いわけでございます。それでAランク、Bランク、Cランクというランクの間に単位収量の差がございまして、一本価格でございますと、いいものをつくった方が単収が低うございますから収入が少ないということになるわけでございます。品質の評価をどうするかといういろいろ問題はございますけれども、少なくともいい麦をつくって、買い手がこういう麦を欲しいと言っている麦をつくったら収入が減るということがないようにしようという考え方で銘柄格差を入れたわけでございます。
 そういう意味におきまして、私どもがやっております価格政策の面で申しますと、やはり一本価格でやってまいったということが、特に、わせ、安定多収ということを品種改良とかあるいは技術改善のやはり最優先目標にしてまいりました。これが量的な拡大の段階ではある程度そういうことも必要だったわけでございますけれども、品種によりましては、わせで安定多収だけれども質的には非常に好まれないというような品種もかなりの面積ふえてきたというようなこともございまして、やはり価格政策で、いい麦をつくっても不利にならない、あるいは若干でも有利になるというようなそういう誘導の仕方をこれまでやらなかったということが一つの大きな要因ではないだろうかというふうに考えております。
#116
○及川順郎君 それでは、生産者麦価の算定方式、現在まで行ってきた方式が麦の生産振興にどういう影響を与えたというぐあいに評価認識をなさっていらっしゃるんですか。もう一度その点をお伺いいたします。
#117
○政府委員(後藤康夫君) これは麦作振興あるいは転作政策との関係等もございますけれども、やはり麦の生産奨励金というものを価格に組み込みまして、一方米価の方は五十年代に入ってから抑制的な価格決定になったというようなこともございまして、今までやはり国内麦が四十年代末まで落ち込んでまいりましたのを再び量的に拡大させるという点で、これまでの価格政策は一定の役割を私ども果たしたというふうに思っております。
   〔理事水谷力君退席、委員長着席〕
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、一つは品質問題ということが非常に顕在化をしてまいってきております。それからまた、内外価格差の拡大に伴いまして、二次加工品、三次加工品というところまではどうしてもこれは輸入制限で国境を閉ざすというわけにはなかなかいきにくい状況でございますので、そういったことを考えますと、やはり生産性の向上を図ってそれを国内の価格にも反映をしていくという努力が今まさに必要になっておる、そういう意味で、生産性の向上と品質の改善ということを目指した麦作振興の新しい段階に入ってまいる必要があるんじゃないか、そういう認識に立っておるわけでございます。
#118
○及川順郎君 おっしゃるように、生産性の向上、品質の改善ということなんですが、法改正の意図はやっぱり財政合理化のための麦価抑制にあるんではないかというこの印象がどうしてもぬぐい去れないわけですね、それで、この算定方式に関連しまして、これまで事前に農業関係団体等を含めて事前協議をしたとか、あるいはまた、公式でなくてもこういうお話し合いをなさっているという、こういう今までの実績、積み重ねがこれまであるかどうか、あるとすればその概要をお伺いをしておきたいと思うわけであります。
#119
○政府委員(後藤康夫君) お尋ねの御趣旨が、こういった法改正をするということについてということであれば、生産者団体にも事前に御説明をいたしております。農水それから、それでは改正後どういう算定方式にするかということにつきましては、米価審議会にも農業団体の代表、そしてまた現場で実際農業をやっておられる方も委員に入っておいでになりますので、当然小委員会をつくります場合にも生産者のお立場での御意見を承れる方に、中に入っていただいて検討していただくということになると考えております。
#120
○及川順郎君 どうもやっぱりそういう動きに対しては報告はなさったという、こういう状況はあったとしても、実態に即して協議をしたという感じではない。というのは、この問題を私は問題視しているというのは、現実に米の減反政策の目標面積の消化においてはそれぞれの地域で限界に来ているという状況があるわけです。そういう状況下でこの麦を転作の重点作物として生産奨励をする、その一方で価格の抑制のために法改正を行う、この点に政策の整合性がどうしても欠けているんではないかという、こういう感じはぬぐい去れないわけです。この点に対する認識はいかがですか。
#121
○政府委員(後藤康夫君) 先ほども申し上げましたように、私ども量的な拡大を志向した麦作振興から、生産性の向上と品質の改善を基本とした麦作振興に移行するということを考えておるわけでございまして、この法改正後におきましても国内麦の生産が健全に発展するということを当然頭に置きながら価格政策の運用をしてまいるという考えでございます。
 ただ、午前中もお話がございましたように、麦と申します作物は非常にスケールメリットの大きな作物でございます。生産性を上げられる余地が生産のやり方、けさも生産組織の問題あるいは農地の集団的な利用の問題、いろいろ御議論がございましたけれども、そういった形で麦作を伸ばしていきますれば、私は、麦は日本の自然条件からいたしますと、ヨーロッパに比べると我が国においてはハンディキャップをしょっている作物でありますけれども、まだ生産性の向上を図り得る余地のある作物だというふうに考えております。
#122
○及川順郎君 それならば、やはりこの麦作の将来展望に対して政策的な見通しを立てるということが大事なわけですけれども、今の長官の御説明の中でそこまで麦作の位置づけということを考えていらっしゃるならば、例えば生産構造や生産目標、担い手像などについて具体的な将来展望をどのように描いていらっしゃるのか、現状で御説明をいただきたいと思います。
#123
○政府委員(後藤康夫君) きょうの午前中の御議論の中にも、麦の今後の生産目標というようなことについて見通しを立てるべきではないかというような御議論もあったわけでございます。昨年の農政審報告の際に六十五年見通しにつきましていろいろな検討が行われましたけれども、不確定要因が非常に多いということで七十年見通しというようなものを数値で示すことはしなかったということでございますが、麦につきましては今日までその生産の推移を見ますと、大体六十五年見通しの線に沿ってこれまで量的な拡大はいたしてまいってきております。
 ですから、これからの課題ということになりますと、やはりそういうふうな地域の条件に即した合理的な土地利用方式の展開によりまして、土地利用型農業の重要な作物でございます麦につきまして、輪作作物あるいは裏作作物としての位置づけ、あるいはまた食品工業原料としての性格といったものに配慮をしながら、やっぱり生産コストの節減と、それから需要のニーズに即した品質のものを生産をする。やはり需要のないところには生産はあり得ないわけでございまして、短期的にはそれをいろいろ政策的につなぎましても、それは永続するものではございません。そういう意味でやはり需要のニーズに即した品質の内麦の振興を図ってまいる。
 その際に、やはりきょういろいろお話の出ておりました作業の受委託でございますとか、あるいは中核農家への土地利用の集積、生産組織の育成といったようなものを通じまして、やはり作業単位を大型化をしていくということが非常に大事だと思いますし、もう一つは、生産、実需両サイド、今まで麦管理改善対策ということでの接触はございますけれども、さらにいろいろな面での接触を深めていただきまして、これは米価審議会でも、育種などについてもそういう両者の意見をいろいろ聞きながら育種をするようなことをもっとシステムとしてつくるべきじゃないかというふうな御意見も米価審議会でも出ているわけでございますが、やっぱり加工適性の高いわせの多収品種の育成なり普及、こういったことを通じて、そしてまた共同乾燥調製施設とかあるいはばら流通、こういったことで物流の合理化も図りながら、何しろ外麦の方は非常に今船型も大型化しておりまして、大きな船で非常に均質のものが製粉工場の港頭のサイドに直接に船から入るというふうな状況になっております。
 そういう意味でも物流の合理化ということも内麦の振興には非常に大事なことでございます。そういった点を重点に置いて、国内のめん用の需要のできるだけ大きな部分を、現在五十数%でございますが、内麦で占められるような方向に持っていきたいというのが私どもの考え方でございます。
#124
○及川順郎君 新算定方式にちょっと移りたいと思うんですが、時間が参りましたのでまた通告をしました内容は次回に回す部分はあると思いますが、まず一点、今までのパリティ方式と比較してこの新算定方式はどういう具体的な相違があるか。趣旨説明の中にも述べられておるわけでございますが、その中で、これまでの価格に織り込まれておりました生産振興調整額、これをどう扱うのかという点ですね。
 これを一点お伺いしたいことと、それから確かに需給バランスの上に立った生産性ということが一貫して先ほど来から出ておるわけですが、これがきちっと定着しているという部分において、やはり収益性の問題というのはこれはどうしても避けて通ることができない。午前中の私は参考人質疑の中で、減反の定着性という問題についてお話を申し上げましたけれども、例えば北海道や九州、それから東北、東山における麦作を集中的にやっている規模の大きい地域、こういうところはある程度減反の定着がなされておるわけですが、私の地元の山梨県を例にとりますと、六十一年実績で比べまして、稲作が昨年に比べて、その前の前年に比べまして二百十ヘクタール減少している。ところが、その減少した分が転作として、それじゃ、稲作の減反して減少した分と麦作の関係を見てみますと、全体で麦類は三百八十一ヘクタール、前年比で三十九ヘクタールやっぱりこれまた減少しているわけです。減反も行われ、麦作も減少している。こういう状況の中で、特に小麦をつくっている人たちが少なくなっている。こういう状況から考えますと、この減反転作という点は全国一律にはいかない、やはり地域性というものを非常に大事に見ながら今後政策立案をしていかなければならぬのではないか、こういう感じを強くするわけでございまして、この点に対する見通しをこれを述べていただきたい。これが二点目。
 それから三点目として、三つの参酌要素と二つの配慮要素というのが述べられておるわけでございますが、この三つの参酌要素と二つの配慮要素というものが、考えようによればさじかげんでどうにもなるというこういう状況、見る人によってはどのようにでも見られるという要素になるわけでございまして、これがこういう形で算定方式に具体化されますということが今回の改正では明らかになってないんですね。ですから、この点に対してはどのような考え方でおられるのか、この点をきょうの質疑の中では承っておきたいと思うわけでございます。
#125
○政府委員(後藤康夫君) 三点お話がございましたけれども、第一点と第二点はそれぞれ算定方式に関係する問題でございます。これまでの麦価の規定がパリティを基準とし、パリティを「下ラザル」ということで非常に固定的に書いてあるものでございますから、それに比べると何か非常にぼやっとしているではないかというお尋ねを実は衆議院でも受けたわけでございますけれども、他の農産物の価格、米価にいたしましても、畜産物にいたしましても、法律上の価格の規定の中では参酌事項とか配慮事項、比較的麦価の今回御提案申し上げております規定の中では詳しく書いてある方でございます。
 もともと価格と申しますのは経済事情が非常に大きく変わりますので、一定の固定的な方式ということを米価そのものについてすら、例えば昭和三十五年以来生産費・所得補償方式ということでやってまいってきておりますけれども、その中で節目節目でいろいろな算定方式の見直しも行われているわけでございまして、むしろそういった弾力性がないと行政価格の算定方式というのはなかなか長続きがしないという面が反面あるというふうに私考えております。
 それで、生産振興調整額の扱いの問題につきましては、これは現行のパリティ価格方式の中で使われている一つの要素でございます。これを例えば改正後の麦価規定のもとでどのように扱っていくかということ、それ自身も算定方式の米価審議会の小委員会での御議論の一つの問題だろうというふうに思っております。「生産費其ノ他ノ生産条件」というのはやはりパリティが法文から消えました場合の一番大きな第一の参酌事項になるだろうということで、参酌事項の三つの事項のうちの第一に掲げておるわけでございますが、こういったようなことになりました場合に、その生産費というものの中に、もうこれが算定方式の切りかえによりまして埋没をするといいますか吸収をされるという形になるか、あるいは何らかの形でそういう調整額みたいなものをまた考えていくということにするのか、この辺は算定方式自身の問題であろうと思います。
 恐らくお尋ねのお気持ちは、この法改正がなされまして、算定方式が新しく検討されるという際に、この生産振興調整額がすとんと落ちてしまって、価格水準が大変激減するのではないかということを御心配になっておられるのではないかと思います。ことしの小麦の価格で申しますと、八千七百円ぐらいのパリティ価格の上に千七百円ぐらいの調整額が乗っかっているわけでございます。そういうことについての御心配の上に立ったお尋ねであろうと思いますが、私どもやはり行政価格というものには一定の連続性があることが望ましいというふうに考えておりますので、そういった水準の連続性ということは、当然私どももそう考えておりますし、米価審議会でもそういうことについての配慮も当然頭に置いた御検討がなされるであろうというふうに、私どもとしては考えているわけでございます。
 それから、麦作の地域性の問題でございますが、かつてに比べましてやはり主産地の形成ということは非常に進んでまいってきております。それからまた、これからはやはりある程度まとまった規模での生産ということでございませんと、生産の能率も非常に上がりにくい。それからまた、品質の均一性というのも保てない。それからまた、ばら流通というようなものに対する対応も非常にしにくいということになりますので、やっぱり地域地域でのまとまりのある生産というものをできるだけ考えていくという方向が必要だというふうに、私どもも考えているところでございます。
#126
○諫山博君 きのう、九州、沖縄を台風が襲いまして、非常に大きな被害が生じております。本日付の毎日新聞福岡版を見ますと、台風十二号、秋の実り総なめ、被害総額百四十五億円超す、これは三十一日午後六時現在ですけれども、被害はまだ広がりそうと書かれています。現在、九州、沖縄地方で農業被害がどういう状況なのか、おわかりでしょうか。
#127
○政府委員(青木敏也君) 今回の台風十二号によります農林漁業関係の被害状況につきましては、現在私ども関係県を通じ、鋭意その実態把握に努めているところでございます。
 今回の台風被害の特徴は、通常大量な洪水災害を伴う態様が一般的なあれでございますが、それに比較いたしますと、いわゆる風台風あるいは波浪台風ということが言えるかと思うわけでございまして、そういう意味におきまして、その被害の態様も、一つは沖縄等におきますサトウキビ、それから水稲等の倒伏被害、それからもう一つは果樹の落果被害、これはまだ特に東北地方の果樹の落果状況については正確に把握ができない状況でありますけれども、青森県下のリンゴ等につきましても、およそ一割程度の落果があるのじゃなかろうかという報告もあるわけでございます。もちろん鳥取県の二十世紀ナシの落果もございます。もう一つの態様は、施設園芸のハウスあるいは養鶏とか畜舎等の施設物の倒壊、そういう被害が多く見られるというというのが一つの特徴でございます。
 また、先ほど波浪台風と言いましたのは、長崎県下でかなり漁港施設関係について被害が出ているように現在承っているわけでありまして、残念ながら今の段階でそれを金額的にどの程度と言うことはまだ十分できない段階でありますが、いずれにいたしましても、この辺の災害なり被害の態様に即応いたしまして、私ども準備いたしております各般の災害対策手段、一つは農業共済金等の早期支払い、あるいは天災融資法の発動の検討も含めた被災農家に対する資金措置、あるいは農地、農業用施設、漁港等も含むそういう施設の災害復旧事業、そういうものの対策につきまして万全を期してまいりたいと、こう考えているわけであります。
#128
○諫山博君 農水大臣、九州、沖縄だけで百四十五億円の被害ですけれども、今の御説明によりますと、この被害はもう全国に及んでいる。そして、被害の中心は農業関係だという実情ですから、速やかに実態を把握していただいて、今指摘されたような措置を緊急にとっていただきたいということを要望いたします。
#129
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど審議官から申させましたようなことで、心構え、あるいは準備を十分いたします。被害が判明し次第、適宜適切な処置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
#130
○諫山博君 このたびの改正法案というのは欠陥法案であるということを私指摘しようと思っていましたけれども、及川委員が同じような角度から指摘され、農水省の見解も示されました。私は、もう答弁はそれでいいと思いますけれども、なぜ私が欠陥法案だと考えたかといいますと、この法案を読んでも何のことかさっぱりわからないからです。私が読んでわからないだけではなくて、それぞれの農業専門家に聞いて、これが何を意味するかわかりますかと聞くと、だれもわからないんですよ。農水省の説明を聞いたり解説書を読んだりすると、ああなるほどそういう意図が隠れていたのかなということが理解できるわけですよ。これは欠陥法案であると同時に法治主義の原則に反するものだと思います。
 今の法律は、麦とか米とか大豆などの価格はどういう方式で算定するかということを法律で決める、こういう建前になっているはずです。ところが、「生産条件」だとか「需要及供給ノ動向」とか、抽象的な言葉は並べられておりますけれども、どういうふうにして算定するのかという具体的なやり方は何も書かれていない。そして、今の説明では、それは弾力性を持たせるためだということのようですね。弾力性を持たせるというのは、価格の決定は農水省にお任せください、そこまでは法律に書く必要はありません、こういう立場だと思うんですよ。法治主義の原則に反するのではないのか。法律で価格を決めるという建前をとりながら、実際は行政が決めていくという仕組みをつくり上げようとしているのではないか。現在の法律を見ると、まがりなりにも「農業パリティ指数ヲ乗ジテ得タル額ラ下ラザルモノトシ、其ノ額ヲ基準トシテ」と書かれているんですね。なかなかわかりにくいけれども、下回らないものにする、これが基準だということが一応書かれている。ところが、今度の法案には、それが何にもないんですよ。今後いろいろ立法作業をされるときにこういう知能犯的なやり方はやめていただきたいということを要求して次の問題に移ります。
 ところで、農業パリティ指数というのが今目のかたきにされているようですけれども、まだ改正の対象になっていない品目が残っているようですけれども、これまでもうやめてしまうつもりでしょうか。この点お答えください。――だれもおられませんか。そんなことはだれでもおわかりだと思ったけれども。
 じゃ、パリティ指数という方式廃止を今後ほかのものにまで適用していくのかという方向ですけれども、これだれもお答えできませんか。
#131
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど来、答弁でお答え申し上げましたように、価格を決定するにはいろいろな方式、方法があるわけでございます。そういう中で、あと残っておりますのはてん菜、サトウキビ、カンショ、バレイショ、大豆と菜種はもう済ましていただきましたから、あとこれだけが残っているわけでございますが、生産費・所得補償方式あるいはパリティ方式その他いろいろ実需実勢に見合うもの等々いろいろな価格がありますが、要は時代の情勢に合わし、そして生産性の向上とその生産に携わる人が意欲を持っていただくように、精農家が、篤農家が、意欲ある人が励ましになるような方法にもっていくという一つの基本的な考え方でやっていくわけでございます。
#132
○諫山博君 ことしの五月二十二日に、私は鹿児島市農協と田上農協の合併問題について質問しました。そのときに私が一番憂慮したのは、この合併によって労働者が犠牲になるようなことは避けてもらいたい、とりわけ合併によって労働者が職場を失うというようなことはあってはならないということを要望いたしました。そして安宅産業と伊藤忠の合併のとき、平和相互銀行と住友銀行の合併のときに、これは我が国では典型的な吸収合併ですけれども、労働者が職場から離れるような事態にはならなかったということを指摘して要望しておりましたけれども、現在吸収合併が実現しまして、たくさんの労働者が農協から離れております。そして現在もぜひ田上農協で働きたいというような人もまだおられます。こういう問題について、農水省としては実態を把握しておられるのかどうかお聞きしたい。
#133
○政府委員(青木敏也君) ただいま御指摘の点につきましては、十分私どもも把握をいたしておるつもりでございます。
#134
○諫山博君 二つの農協が合併しまして、五十八あった職場が三十五に減りました。しかし、二つの農協のエリアは同じです。仕事の量も同じです。ところが、人員が約五百名いたのに三百四十名に減少しております。そのために、田上農協で働いている労働者も非常な労働過重、これは単に労働過重というだけで似なくて労働基準法に違反した就労が強制されているというのが実態で、これが大問題になっております。この問題で鹿児島市労働基準監督署に労働組合から労基法に基づく申告がされておられますけれども、この申告に基づいて労働省は調査をされたかどうか、調査されたとすれば、実態はどうだったか、御説明ください。
#135
○説明員(石川勝美君) ただいま御指摘の件につきましては、先月、当該農協の労働組合の一つから所轄の労働基準監督署に対しまして、時間外労働、休日労働あるいは女子の深夜業等に関しまして申告書の提出があったところでございます。所轄の監督署におきましては、合併直後ということもございまして、とりあえず農協からは事情説明を受けたところでございます。その際、あわせまして女子の深夜業の排除あるいは時間外労働、休日労働の適正化等について指導を行っておるところでございます。
#136
○諫山博君 私の調査によりますと、合併直後は夜の十二時あるいは午前一時、二時ごろまで仕事がされている。その中には女子労働者もいた。真夜中にこうこうと電気が照って通常どおりの仕事が行われたという状況で、現在は幾らか緩和されたということですけれども、そういう実態もおわかりですか。
#137
○説明員(石川勝美君) この件につきましては、先ほど申し上げましたように合併直後ということもありまして、とりあえずの調査に入ったということでございまして、今後さらに詳しく実態を把握していくこととしているところでございます。
#138
○諫山博君 労働者に、休日、時間外労働をさせるためにはいわゆる三六協定が必要だということは当然です。田上農協には今二つの労働組合がありまして、経営者は、田上農協職員労働組合、組合員は約百名ですけれども、こことは三六協定を結んでおります。しかし、鹿児島市農協職員組合とは三六協定は結んでおりません。こちらの組合員は百四十名で、組合員の数は市農協職組の方がずっと多いわけです。ところが、実際は田上農協の職組と三六協定を結んでいるからすべての職員に残業命令が出せるんだという立場をとっているようです。これは間違いなんでしょう。どうでしょう。大きな労働組合と三六協定を結ばずにすべての職員に残業を強制することができましょうか。
#139
○説明員(石川勝美君) 時間外労働あるいは休日労働に対します労使協定、三六協定はいわば刑事免責を与える手続でございまして、その締結当時労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そういう労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する労働者との協定を行うことになっておりまして、当該協定の有効期間中はその組織等に異動があっても有効であろうかと思うわけでございますが、ただし新たな事業場が吸収合併によりできたような場合、このような場合にはその時点での適正な三六協定が必要になろうかというふうに考えております。
#140
○諫山博君 事実の認識がお互いに食い違っているようですけれども、従来からあった田上農協とはつい最近三六協定を結んだわけです。当然組合員のはるかに多い市農協職組とは新たに三六協定を結ぶ必要があるはずですけれども、そういう事実関係でしたらどうですか。つい最近三六協定が結ばれたという状況。
#141
○説明員(石川勝美君) 三六協定を締結する場合のその単位といいますか、それは事業場ごとにということでございまして、そこの事業場の過半数を占める労働組合があれば当然その労働組合になろうかと思います。
#142
○諫山博君 別な観点から言えば、過半数を占めない労働組合が協定を結んだからといって職場全体を拘束することにはならないということでしょう。過半数にならない労働組合が協定を結んでも、職場全体に残業を強制することはできない、そうでしょう。
#143
○説明員(石川勝美君) 先ほどから申しておりますように、適正な三六協定が締結された場合、なおそれを監督署に届け出た場合でございますが、その場合には、法的には法定の労働時間あるいは休日に労働させることができるという性格のものでございまして、適正でない場合、その場合の適正でない協定が締結された場合、あるいは届け出をされなかった場合、このような場合には、その刑事免責の効果があらわれないということになろうかと思います。なお、その労働者に残業義務といいますか、時間外労働の義務があるかないかというのは、また労働協約等の別の観点からの問題であろうかと思います。
#144
○諫山博君 要請したいんですけれども、鹿児島市ではこれは大変な問題になっている。鹿児島市だけではなくて、上部団体は全農協労連ですけれども、全国的に田上農協の実態というのが問題になっている。そこで、ぜひ夜間に立入調査を行っていただいて、どういう実態がということを調べる。その場合に、当然労働者に事情聴取をして、労働基準法違反の実態を調査して、基準法から見て問題があると思われる点については速やかに是正措置を講じていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#145
○説明員(石川勝美君) 先ほど申し上げましたように、この件につきましては今後さらに実態把握をすることといたしているところでございまして、真に実態を把握するためにどのような方法で調査に入るかという点につきましては、現地の監督機関に任せているところでございまして、近いうちに実態が把握できるものと思っておりますが、その際、法に照らして違反の事実が確認されました場合には、当然違反の是正に対し厳正に措置することとしております。
#146
○諫山博君 職場では労働基準法違反が大問題になっていると同時に、田上農協の経営者が鹿児島市農協の職員組合と団体交渉をしないということが問題になっています。団体交渉をしない理由をいろいろ挙げているようですけれども、一つは、忙しくて余裕がない。もう一つは、この問題は農協の県中央会に一任しているから団交に応じる必要はない。もう一つは、従来からの田上農協職員組合があるから鹿児島市農協職員組合と団体交渉をする必要はない。こういうことが挙げられているようです。これは、どれ一つ取り上げても団体交渉を拒否する理由にならないと思います。
 例えば、農協の県中央会に一任しているからと言いますけれども、労働組合が要求している交渉事項は、まさに田上農協の職場における労働条件について団交を求めているわけです。田上職組があればいいという言い方がされていますけれども、もっと大きな労働組合が職場にあるわけで、あの労働組合とは団体交渉するけれどもこの労働組合とは団体交渉しないということは許されないと思いますけれども、労働省の見解を聞かしてください。
#147
○説明員(長勢甚遠君) 県の労政課等からの報告によりますと、合併直後で忙しいというような理由でまだ団体交渉が行われていないような報告を受けておりますけれども、今お尋ねの鹿児島市農協職組があるのに、ほかの田上農協職組と交渉しておるからいいんではないかという点につきましては、労働組合法におきまして、使用者はその雇用する労働者が加入する労働組合からの団体交渉の申し入れというものに対しては正当な理由なく拒否することはできない、不当労働行為として禁止されているというところでございますので、田上農協に雇用されておる労働者の中に鹿児島市農協職員組合に加入される者がおられれば、その組合からの団体交渉に対しては、正当な理由のない限り応すべき立場にあるものと考えております。
#148
○諫山博君 鹿児島市農協の職員組合と団交を拒否する理由の一つとして、鹿児島市農協の職員組合には田上農協の職員以外の者が入っているということを言っているようです。それは、合併に伴って解雇されて今係争中の者を指していると思います。しかし、そういうことは団交拒否の理由にはならないはずですけれども、どうでしょうか。委員長は田上農協に就職することができませんでしたから、今地労委で係争中です。こういうことを団交拒否の理由にしていいのかどうか、労働省の見解を聞かしてください。
#149
○説明員(長勢甚遠君) 鹿児島市農協職員組合の組合員に田上農協に雇用される労働者がいる場合には、当該その組合は、仮に田上農協の労働者でない人を組合員として含んでおりましても、団体交渉を申し入れすることができるわけでございますが、それは当然、田上農協に雇用されている労働者の労働条件についての団体交渉の申し入れをするということができるということでございまして、そのような場合には、農協の方では正当な理由のない限り団体交渉に応ずべき立場にあると考えております。
#150
○諫山博君 念を押しますけれども、鹿児島市農協職員組合の委員長が田上農協の職員でなくても団交拒否の理由にはならないということを確認していただいていいですか。
#151
○説明員(長勢甚遠君) 田上農協に雇用されている労働者を組合員としておる組合に対しては、当然団体交渉に応ずべき立場にあると考えます。
#152
○諫山博君 農水省にお聞きいただきたいんですけれども、労働基準法違反が大変問題になっています。その背景にあるのは合併に伴ってたくさんの労働者が排除されたということです。仕事は減っていないけれども労働者の数が減った。これは労働組合のチラシを見ますと、例えばある職場では最高二十三人の職員がいた。合併直前は十六名になっていた。ところが今は十一名しかいない。そこで、組合の資料によりますと、けんか腰の職場になっている。午後八時より早く帰ることは全くできないというような状況。そしてこれが、鹿児島市農協職員組合とは残業協定がないまま、こういう残業が行われているわけです。他の職場では、職員が十三人いた支店と六人いた支店が統合されて十人になった。結局合併に伴って九人の職員が減った。そのために夜七時半より早く帰ることは全く不可能になった。
 この問題をめぐって労働組合で会議を開いたところが、次のような声が出てきたそうです。昼食をとれない女子が多くなった、パンの差し入れで昼食は済ましている、二日間の夏季休暇もとりようがない、母親がこういう職場だったらやめさせたいと言ってきたけれども、労働組合でこれを慰留している、これが労働者が反対した吸収合併のもたらしたものです。こういう形で労働者に犠牲を押しつける農協合併というのは避けなければならないと思いますけれども、どうですか。
#153
○政府委員(青木敏也君) 今回の鹿児島市農協の田上農協への吸収合併に際しましては、関係職員三百五十五名でございますが、このうち既に再就職の決定者は三百人でございます。また再就職決定者の三百人のうち田上農協には実に百九十二人の再雇用がなされているわけでございます。ただいまるる先生から御指摘の労働基準法違反の実態があるのかどうか、それは私ども現在のところ承知しておりませんし、仮にそういう実態があったとしましても、それが今回の合併に伴うことによるものかどうかということも定かではないわけでございます。
 いずれにいたしましても、今回の両農協の合併につきましては、前回の御質疑いただいたときにも先生からお話ございました、関係の職員に犠牲を強いることのないようにということを私どもは十分念頭に置いて指導をしてまいりましたし、田上農協におきましても再建の合理化路線の中で許容し得る最大の職員の受けとめということについて意を用いたもの、こういうふうに私どもは考えております。
#154
○諫山博君 この合併については県の農協中央会は労働者を路頭に迷わせるようなことはしないと繰り返し繰り返し強調しております。それは御存じでしょうか。
#155
○政府委員(青木敏也君) 今回の合併に際しましては、御指摘のようなことで関係農協におきましても中央会に雇用対策本部というものを設置いたしまして、関係職員の再雇用、田上農協への吸収、また田上農協に再雇用できない職員については他の関連会社あるいは連合会、一般企業等への再就職のあっせん等について最善の努力をしているところ、こういうふうに理解をしているわけでございます。
#156
○諫山博君 労働組合の調査によりますと、約五十名の職員が再就職のあっせんを求めて再就職できないままにいる。さらに六名ないし七名の人はどうしても田上農協で働きたいということで、今地労委で係争中だというような状態です。路頭に迷わすようなことは絶対にしないということを前提に合併が行われ、そのことを前提に退職願を集めているわけですから、万難を排して就職のあっせん、さらに田上農協で働きたいという人に対しては田上農協で働けるような指導をすべきだと思いますけれども、いかがお考えですか。
#157
○政府委員(青木敏也君) ただいまの先生の御指摘には事実の誤りがございますので訂正をさせていただきますが、先ほど申し上げました三百五十五人の職員のうち就職あっせんを希望しながら就職が現在未決定な者は二十三名でございまして、五十人という数字じゃございません。それから田上農協への再就職を希望しながら田上農協への再就職が事実上できないでいる職員は現在のところ、先ほど六、七名と申されたんですが、四名でございます。
#158
○諫山博君 この問題は退職願の効力などをめぐって法的な係争事項になっておりまして、まだもちろん地労委の結論は出ていません。ただ合併に伴ってこういう紛争が起こり、一方では労働基準監督署に申告がなされる、他方では人員問題をめぐって地労委で争われるというような事態というのはまことに不名誉で改めなければならない事態だと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
#159
○政府委員(青木敏也君) 今回の合併は、そもそもの発端は鹿児島市農協の再建と鹿児島市農協の系統全体の救済策を図るための一つの手段として合併という手法を選んで対応してきたものと考えておるわけでございます。したがいまして、合併後の田上農協への職員の再雇用、何人再雇用できるかというのは、機械的に鹿児島市農協の全職員を承継するということではなくて、やはり田上農協の合理的な再建計画の路線の中で組織がみずから自主的に決定すべきものというふうに私は考えているわけでして、今回の一連の問題はそういう中で関係農協あるいは労組を含めて話し合いの中で現在に至っているというふうに理解しているわけでございます。もちろんこの種の問題については、先生御指摘のいろいろな係争なり何なりの手段があるわけですから、そういう中で十分その辺は関係当事者の中で論議をすることは、それはそれとして結構なことじゃないか、こう思います。
#160
○諫山博君 農水大臣にお聞きします。
 鹿児島県では、農協合併というのは今でもいろいろ準備されております。恐らく全国的にそうだろうと思います。その場合に鹿児島のようなことになったら大変だと労働者は恐れていますよ。少なくとも鹿児島県では農協合併と聞いただけで労働者はびくっとするという状態です。労働条件は切り下げられる、労働強化を押しつけられる、そして気に食わない労働者は職場から排除される。これが鹿児島県でも大問題になっておりますし、先日開かれた全農協労連の全国大会でも議論になっている。農協合併というのは農水省が推進している方針のようですけれども、これに伴ってこういう事態が生じているのに何かよそごとのような態度をとられるというのはゆゆしい事態ではなかろうかと思いますけれども、大臣はどうお考えですか。
#161
○国務大臣(加藤六月君) 先ほど来の質疑応答を承っておりまして、私は日本国有鉄道の分割民営、そのときのいろいろな議論等を思い浮かべておるわけでございます。四十二万人体制が二十一万人体制になりました。そしてもちろん清算事業団というもの、あるいは新幹線保有機構というもの、あるいは財団法人鉄道総合技術研究所というものもあるわけですが、実際に営業を行い車を運転しておるJR各社、ここら辺の皆さん方それぞれの職場、地域においてほとんど半分以下になったわけでありますけれども、今日国民の声というのは、よく働き出した、親切がよくなったということ、しかもまだ発足間がないのでありますが、対前年の営業収益はそれぞれ数%水揚げは伸びておるということを聞きまして心からある面では喜んでおるわけでございます。
 まあそれと今日御質疑になりました鹿児島市農協と田上農協との合併問題を比較検討するのはもちろん次元が違う、こう思うわけでありますけれども、私にしてみますと、膨大な債務をつくった鹿児島市農協、これが鹿児島県内の各農協並びに鹿児島県民への負担ということだけでなしに全国の農民への負担につながる救済措置を先般講じたわけでございます。そこら辺から申し上げさしていただきますと、一日も早くこれが再建の軌道に乗り、そして向こう二十年間も何十億というものを全国の農民あるいは農民の貴重な預貯金の一部からこれが救済に回るということを、ある面では新しい農協の管理者も従業員も職員もよく認識してやってもらうということが今の時点において一番大切である。農林大臣の許可を出すときに私はある面ではそういう思いを込めて許可をしたということを申さしていただきます。
#162
○諫山博君 国鉄と比べられましたけれども、国鉄ではあれだけの多い職員の中で解雇された人はいないんですよ。清算事業団に回った人はいます、しかし解雇された人はいないんです。国鉄で解雇なしにやれたことがなぜ農協でやれないのかというのが私の第一の問題です。
 もう一つは、鹿児島市農協が大変な経営状態だったということは私も認めます。ただ、それに対して労働者は何の責任もないということです。全く経営陣の責任です。そして、今御説明でも田上農協にどうしても移りたいという人が四名はいるということですけれども、その四名を田上農協に移すことがなぜ難しいんでしょうか。その点ではぜひ農水省としても指導していただきたいということを要望したいんですが、指導されますか。
#163
○政府委員(青木敏也君) 先ほど触れました就職の未決定者が二十三名ほどございます。また田上農協にぜひ再就職したいという希望を持っておる職員が四名ございます。この辺の方々につきましては、先ほども触れました雇用対策本部におきまして今後とも鋭意その全員の再就職という方向で努力をするということで現在対応いたしているわけでございます。私ども行政サイドにおきましても、そういう方向で全員が再就職につながるように行政サイドからもいろいろバックアップしていきたい、こう考えておるわけでございます。
#164
○諫山博君 私は田上市農協の職場の実態を聞いて労働基準法違反が非常に多いことにあきれたわけですけれども、昭和五十年二月二十日に「農協における職員の労務管理の適正化について」という文書が出されています。これを見ると、農協における労働基準法違反というのを相当詳細に調査されて、そして具体的に指導されているようですけれども、これ以外、これ以後同様の調査をされているのか、その後の指導はどうなっているのか聞かせてください。
#165
○政府委員(青木敏也君) ただいま御指摘ございましたように、農協におきます労務管理の問題につきましては、昭和五十年に局長通達を発しまして、その適正化について指導を図ったところでございます。以来この通達に基づきまして、農協の中央会において行います毎年度の研修の場等を通じまして、農協の労務関係の担当者に対しまして労働基準法等労働関係法令の遵守が図られるように指導をしてまいっているところでございます。
#166
○諫山博君 この資料には調査結果の具体的な数字、例えばどこそこの農協にはどういう労働基準法違反が何件あったというような数字が出ていますけれども、昭和五十年以後そういう数字はありますか。
#167
○政府委員(青木敏也君) 五十年段階、これは端的に言いますと、先生が国会の論議におきまして御指摘もあって私どもこういう形の調査もいたしたわけでございますが、五十年段階にいたしました調査と同じような次元のものはその後はいたしておりません。先ほど申し上げたような形で、発出いたしました通達の趣旨に沿って中央会等の研修の場を通じて労務関係担当者に対する労務管理の適正化を指導しているところでございます。
#168
○三治重信君 食管法の改正の中身は大豆、菜種の価格の決定と同じように麦作についても生産費を主体としての決定をする、こういうふうになっておりますが、その中で麦作のそういう今度の改正、生産費のやり方についての中に、私は日本の土地利用型作物で米と麦と大豆は三大土地利用型の作物ではないか、こういうふうに思っておるんですが、大豆のときには何というのですか、土地利用型作物の中で特に輪作体系の中に入れるんだ、こういうふうなことが非常に主張されているんですが、麦の今度の改正理由の中には輪作体系というのが入ってなくて、最も転作作物、裏作作物として重要だ、こういうことになっているんですが、日本農業の将来から見ると、やはり余り僕は常々、後でまたちょっと議論しますけれども、水田と畑作、耕種作物でいながら水田と畑作と分けて作物対策をやるところに僕は基本的な矛盾があると思うんですね。
 何で田んぼだけが余計な金使ってやらなくちゃならぬか、これじゃ、畑持って生産していた人と水田をたまたま持って生産していたところが、えらい水田だけがずっと有利になっていて畑作の方は全然それに対して配慮がないのか。水田に対してはずっと戦後の累計からいけば何兆円という金使っている。畑作についてはそんなこと全然ないじゃないか、こういうふうに言いたくなるし、殊に麦、大豆というものと稲というものを三大作物としていくときには、私は今後の日本の農業というのは、やはり水田と畑作というといかにも余りに区別し過ぎているものだから農業政策というものがみんなめちゃくちゃになっている。何で水田だけがそんな特別金出さなければならぬか。それは戦後の食糧不足で米が不足しているときにはいいんですよ、一つの不足対策とか特別扱いする。
 それで、今水田を何と言うかな、転作するというと、裏のやつでも、転作というのはあくまで第二次的な考え方でしょう。水田は水田としてとっておきたいという考え方でしょう。そんなことをいつまででもやっていくというと、これはまあ農業の生産政策というのは僕はちっとも進歩しないと思う。そういう意味において、水田も畑作も同じような輪作体制に入れていく。それで、何のために土壌整備やるかといったら、みんな主たる目的はかんがい排水やって、田んぼも乾田にできるようにして、そうしてやっていくということなんでしょう。そうすると、言うことと、実際のこの提案理由のやっと、転作と裏作というのは完全に田んぼを畑と別にしている。殊に麦は両方つけられるやつに何でこんなことをするんだと。これはぜひ輪作体系に入れるということをやらぬと、農業の経営理念に僕は反すると思うんだけれども、どうかね。
#169
○政府委員(浜口義曠君) 先生御指摘のように、麦につきましても基本的に、やや結論的に申し上げますと、輪作体系の中に入れていかなきゃいけないというふうに我々考えているわけでございます。ただ、麦につきましては六十一年産の作付面積割合で現実の姿というものを見てみた場合に、転作の場合には二八%、水田裏作で四一%、いわゆる畑作、北海道を中心といたします畑作の面積においても、以上申し述べました二つと相並びまして三一%のウエートを持っているわけでございます。この場合、麦は先ほど御指摘のとおりでございまして、水田作におきましては今の申し上げた数字からおわかりと思いますけれども、冬作物として稲作と有機的に結び得る作物であります。また、畑作におきましては連作障害の回避という観点から、イネ科の作物といたしましてその他の豆類あるいは根菜類と組み合わせました合理的な輪作体系を、やはりこの場合も畑作におきます輪作体系を構成する作物でございます。ともに水田作あるいは畑作におきましても、土地であるとかあるいは機械、施設の有効利用を図っていくという意味におきまして重要な作物である、そういうふうに考えているわけでございます。
 なお、一点つけ加えさしていただきますと、私ども水田にこだわりますというのは、二千年来水田が維持されてきているわけでございまして、例えば一点、連作障害の回避といったような点を考えますれば、水の力をもって行っているという極めて有効なる先祖伝来の装置であります。そういう意味で、私どもこの受け継いでまいりました水田といったものを今後とも維持していかなければならないというふうに考えるわけでございます。
#170
○三治重信君 そういうことをおっしゃると、逆になぜ米の生産制限ばかりやって、一番生産力のある水田で米をつくらせないで、生産力の低いほかのものをつくれつくれといって金ばかり出してつくらしているか。そんな政策というのはどう考えたって矛盾じゃないか。こう思うんですが、それはまあ言ったってならぬでしょう。だから、そういう言い方をするというと、そう言いたくなる。水田なんだから、何で米をいっぱいつくって、食糧の自給率は下がる下がる、下がると言っていながら、米の生産は一生懸命制限しているじゃないの、一生懸命制限。
 それは何かというと、裏がある。これは農家の所得補償というものに余り農林省はこだわるから、従来の農家の現在の生産のままでの所得補償というものにずっとこだわり過ぎるものだから、全然生産構造の改善も何もできない。所得補償に余りとらわれ過ぎてきたために、水田農業の改善も何もできない。だから、基本的な考え方を僕は変えぬと、これは今おっしゃった水田の生産力というものを農林省自身が抑えてきちゃっているわけだ、生産を。そうでしょう、全部。今年度なんか七十七万ヘクタールも生産力のある水田をつくっちゃいかぬと言って抑えて、そして別に金を出して、生産力の低い麦や大豆をつくらしているわけでしょう。
 そういうことを基本的に、考えると、何でそんなことをやっているかというと、それは従来の生産のままで農家の所得補償を維持せんがためにやっている。これは基本的に、最近の二十一世紀の農政審の答申を見ていると、それは後でまたちょっとやるんだけれども、農政審の方向は僕は非常に今度は正しいと思うんだが、その方向に変えること、その変えることで大豆や麦作の今度は法改正が出てきたから、僕は非常にいいと思うんだけれども、あなたたちの考えている物の考え方を基本的に変えていかぬと、農政審の答申のようには行政が展開しないんじゃないか、こう思うんで、殊に、だからこの際、米価の決定においても生産費・所得補償方式というものをやめて、生産費の補償にどうして一緒に変えなかったんですか。
#171
○政府委員(後藤康夫君) まず法律の条文について申しますと、生産者米価につきましては食管法で、生産費及び物価その他の経済事情を参酌をして再生産を確保することを旨として決定をするということになっておりまして、御提案申し上げております麦価の決定では大分簡単な規定になっておるわけでございます。それで、実際に米価政策の運用に当たりまして、もう申し上げるまでもないことでございますけれども、近年米の過剰基調がございます。これを踏まえまして、生産費及び所得補償方式の運用におきまして、国民が必要とする米の生産をできるだけ生産性の高い農家に担っていただくという観点に立った生産費のとり方をしまして、潜在需給ギャップの反映方式という方式でございますが、抑制的な米価決定を図ってまいってきているわけでございます。
 それから、御案内のとおり本年産の生産者米価につきましても、生産性の向上を反映させる、そしてまた今申し上げましたような需給のギャップの大きさによりまして生産費のとり方が変わってくるというふうな仕組みになっておりますので、そういうことを含めまして五・九五%の引き下げを行ったということでございまして、運用上米価につきまして、最近の需給事情ないし生産性の向上というものを反映をさせられるような運用をやってまいってきているわけでございます。
 米と麦、あるいは先般御審議いただきました大豆との価格決定の仕方の関係でございますけれども、やはり国民生活なり農業生産に占める地位、あるいは価格政策の仕組みなり需給事情というようなものは違っておりますので、価格算定方式をぴったり同じにしてしまうというわけにはなかなかまいらないというふうに考えております。ただ、先ほど農蚕園芸局長申しましたような、二千年来の蓄積によってできました一種の非常に大きな装置産業の装置とも言うべき水田、そしてかんがい水が養分も補給をしてくれるというこの装置の生産力を、その上で水稲もつくれますし、畑作物もつくれるという形で需要に見合った生産を水田農業全体として効率的にどうやっていくかという観点で価格政策もこれから考えていかなければいけないということは、私どもも十分考えておるところでございます。
#172
○三治重信君 価格決定と関連して、食品産業の問題をやりますが、最近、何も今度は価格決定を変更するからということではなくて、食品産業の原料が米においても、麦においても、砂糖においても、粉乳においても、牛豚の肉等においても、いわゆる食品産業が買い入れる価格が、農林省が提供する価格が国際価格に比べて著しく高い、そのために食品産業の加工業者というものが非常に、それ配慮して輸入関税残しておけばいいやつを全部自由化しちゃう、自由化しちゃったでしょう。だからどんどん今入ってくる。
 そうすると、農家は救われるかもしらぬけれども、今まで提携していて二次加工やっていた業者が今度みんな今つぶれかかる。あるいは有力なところは外地へ持っていって生産工場を移して空洞化する。こういうふうなことになりつつあるわけなんだけれども、これら対策について農水省は農家だけ維持すればいい、食品産業はつぶれても構わぬ、食品産業に雇用されている労働者は失業してもいいと、こういうふうな考えではまさかないと思うんだが、食品産業に対する原料価格をせめて国際価格に合うような特別な価格対策、払い下げ対策というものをやはり特別考えなくちゃいかぬじゃないか。あるいはそれができなければ関税でそういう二次製品の加工のやつの関税を暫定的に上げるとか、それから、それは二国間協定でそういうものは輸出しないでくれとか、何かそういう対応策をとっていかぬと、これは二次産業はもうこれ参っちゃう。参っちゃうというと、これ麦をどんどん増産はするけれども製粉会社は売るところがなくなってきちゃう。こういうぐあいになるんじゃないですか。
#173
○政府委員(谷野陽君) 最近、円高の中においていろいろの問題が生じてきているわけでございますが、食品製造業全体として見ますと、売上高、経常利益率等も安定的に推移をしておるわけでございますけれども、ただいま御指摘のように、特定の分野につきまして輸入品増加等の問題を抱えているものがあるわけでございます。ただいまお話にもございましたように、我が国の食品産業は国民に対しまして安定的な食糧の供給を図る上で、農業と並んで車の両輪にも例えられるべき地位にございますし、また、これもお話にございましたように、現在、国産農産物の約四割は加工業を通じまして消費者のもとに届けられている、こういうことで重要な販路となっておるわけでございまして、その経営の安定を図ることは極めて重要な課題であるというふうに考えております。
 ただいま御指摘の農産物価格、原料価格の問題につきましてもなかなか難しい問題もあるわけでございますけれども、例えば他用途利用米の制度を図る、こういうようなことで食品産業の実情に対しましてもできる限り配慮をしてまいってきているところでございます。また、関税につきましても一部の豚の調製品等につきましては、税率につきまして肉と一定のリンクをしておる、こういうような制度を交渉の上で設けてきたという経緯があるわけでございます。
 ただいま御指摘のような新しく制度を設けるということにつきましてはいろいろと難しい問題あるわけでございますが、今後いろいろな国際交渉におきまして関税等の交渉を行います際には、そのような事情をも十分念頭に置いて対処してまいらなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
#174
○三治重信君 きのうの八月三十一日の日経の社説なんかを見ると、「”IQくぐり農産物”はなぜ増える」ということで、そういう輸入、何といいますか、輸入制限をやっている原材料が米にしても麦にしても国内価格がえらい高いために、そうするともうみんなそれをほかのものとまぜて入れてくる、例えばココア調製品というのはココアに粉乳が九〇%以上つけて入ってくるとかというようなことが書いてあるわけで、こういうのはアメリカだと、これに書いてあること、そういうものについてはココア製品と認めないとか、そういうふうにして調製品として輸入制限くぐりのやつについてはちゃんと制限措置をとっているというんだが、日本では全然とってないというのは、こういうようなことに対して対策をやる気持ちはないんですか。
#175
○政府委員(谷野陽君) ただいま御指摘のように、例えば乳製品につきましては、アメリカはガットにウエーバーを掛けまして、この輸入制限をいたしております。その輸入制限の範囲といたしまして、乳分が大変多いものがバルクで入ってくる。こういうものにつきましてはこれを制限品目に入れる。あるところで線を引いておるわけでございますけれども、そういう措置を講じておるわけでございます。またECにおきましては、共通農業政策の対象となっております幾つかの品目につきまして、これは輸入制限ではございませんが、例えば乳あるいは穀物の比重の極めて高いものにつきましては、それと一定の比率でリンクをいたしまして、これに調整のためのレビーを掛ける、こういうような制度をとってきておるわけでございまして、これらはそれぞれ歴史的な経緯の中ででき上がってきておるものでございまして、現段階で言いますと私どもにとりましても大変勉強になる制度でございますが、諸般の情勢を考えますときに、現段階で現在の制度をそのままにして、これに加えてこのような制度を新しく創設するということは、現下の情勢のもとで極めて困難であるということになるわけでございます。
 しかしながら、ただいま御指摘のような事情もあるわけでございますので、今後諸般の対外交渉を行います際には、それらのことも念頭に置いて対処をしていく必要があるというふうに考える次第でございます。
#176
○三治重信君 大臣、この食品産業を農業と、農家と同じようにひとつ考えてもらわぬと、一緒になってやらぬといかぬから、それひとつ農水大臣としても考えていただくということと、もう一つ。そこにいわゆる農産物輸入制限のIQくぐりの農産物に対してどう対処するかという、それはいろいろ問題があるでしょうけれども、大臣として今後の農政の中で重点にひとつしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#177
○国務大臣(加藤六月君) 私は我が国の農業、国産農産物というものと食品加工業というものは車の両輪であるということ、そしてまたある面ではこれの産出額その他という数字を見ましても年々大きくなってきておるわけです。そういう中におきまして、ただいま御指摘になりましたIQくぐり農産物という、実は今ことし以来ガットの場で十二品目についての激しいやりとりをいたしておるわけでございます。そしてそれらについてもよくよく勉強してみまして、どうも頭隠してしり隠さずという感じがあるんじゃないかなというようなものも実はいろいろ痛感をしておるわけです。
 しかし、先ほど局長からお答えさせましたように今までの経緯と経過があるわけでございますが、何としても食品工業が空洞化することは避けなくてはならない。特にそういう観点からもこういう業界に対する原料、材料手当てという問題、そして食品加工業まで保護貿易のカテゴリーの中へ置いたのでは、これはもう産業としては全然将来の望みがない。ここら辺今後どうやって調整していくかということも率直に申し上げまして考えておるところでございまして、これ以上今申し上げますと、今激しくやり合っておる最中でございますので、物議を醸してはいけませんけれども、御指摘のような問題を十分念頭に置いて今後やっていかなければならぬというお答えで答えにさせていただきたいと思います。
#178
○喜屋武眞榮君 私、緊急事態の問題として最初にお尋ねいたしたいと思います。
 それは、台風と言えば沖縄、沖縄は台風銀座と言うわけでありますが、台風十二号が去る八月二十九、三十、二日間にわたって猛威を振るっておる。ややもすると、沖縄の人間は台風に免疫になりがちでありますが、私も実は大したことはないだろうと、こういう気持ちでおったわけですが、実態を手に入れて実は驚いておるところでありますが、それで、政府とされても台風十二号の実態について把握しておられると思いますが、どの程度実情を把握しておられるか報告してください。
#179
○国務大臣(加藤六月君) 先ほどまで青木審議官がおりまして諫山委員にお答えしたところでございますが、今回の台風十二号の特徴というのはいわゆる風台風、ところが、沖縄の場合は雨も伴ったようでございますが、それによりまして被害状況も強風による被害というものが相当大きく出ております。沖縄県におきます私もサトウキビの被害を随分心配しておったところでございますが、沖縄県のサトウキビの強風による倒伏、それから葉が裂傷を受けておる、相当の被害が出ておるようであるということで、目下、鋭意調査中と承っております。
#180
○喜屋武眞榮君 私が最初に申し上げ要望したいことは、日本のどこかでどういう事件が起ころうが、その衝におられる方は心のアンテナを大衆に向けてほしいということです。いつ、どこで何が起ころうが、敏感にその関係省庁はいち早く心のアンテナにその実態を掌握していただきたい。このことをまず最初にお願いをしておきます。
 そこで、私が手に入れた実態をかいつまんで申し上げます。
 台風十二号、三十日午後四時現在、県警の調べで瞬間風速五十四・六メーター、被害状況、けが六人、家屋全壊三、半壊五、一部倒壊三、非住家損壊六、床上浸水一、床下浸水一、沈船十三、停電二十五万世帯、そして事業所、農作物の被害が大きい、調査はこれから。さっきおっしゃいましたサトウキビ、野菜。野菜の内訳はサントウサイ、カラシナ、エンサイ、ニガウリ等、こういうふうに一応調査をしておりますが、けさ参りました二つのローカル新聞に全面的にこのように――後で見てください。こういう悲惨な状態。いまさらのように沖縄に生まれておる出身の喜屋武も驚いておるところです、そんなにとは思わなかったという驚きを今新たにしておることなんです。こうです。後でひとつ見てください。こういう実情を一刻も早く速やかに実態をキャッチしていただきたい。そして、それに対応する政府のいわゆる災害補償、それぞれの分野にわたって災害補償の手が打たるべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。
#181
○国務大臣(加藤六月君) 実は、昨日は宇都宮において一日農水省を開いておったのでございますが、朝からその台風十二号の被害には大変心配しました。わかり次第刻々情報を送るようにということも言い、また一日農水省をやっておりましたホテルにファックスで次々入ってくるということで、政府としても大変この問題には気を使っておった、情報も十二分にとるようにいたしておったということをまず申し上げます。
 そして、けさの閣議の前でもこの問題が話に出ました。例えば山下総務長官の関係の木材工場も吹っ飛んだという話まで出ました。それぞれ各担当閣僚は協力してこういう問題について万全を期すようにしなければならぬなということを、実は閣議前にいろいろ話をしたところでございます。ただ、被害状況、沖縄県、鳥取県、青森県、長崎県、佐賀、熊本、島根、宮崎、北海道、東北等々の各県別のいろいろな状況は入っておりますが、まだ現地が何さま復旧といいますか、それに取り組んでおるところでございまして、具体的な報告がなかなか入ってこない。今後、そういうものを被害調査をいたしまして、とるべき方法を十分にやっていかなくてはならぬ、こう考えておるところでございます。
 そしてまた、本日は防災の日でございまして、朝からこういう問題もいろいろあったわけでございますが、きょうは主として地震の関係の防災訓練をいろいろ何百万という人に参加していただいてやったわけでありますが、この台風の今回の被害に対しましても、大いにやらなくてはならないということを申し合わせもいたしたところでございますので、万遺漏なきを期していきたいと考えております。
#182
○喜屋武眞榮君 重ねて申し上げますが、最近の台風の習性といいますか、癖といいますか、沖縄の南方の小笠原に大体台風の温床がありまして、そして南北、大東へ来て北上するわけですが、大体沖縄近海では非常に足が緩やかでのろのろのろのろ。ところが、沖縄を過ぎますと、それこそ最近、疾風迅雷という言葉で表現しますが、九州それから本州に近づくにつれて、もう通り魔のごとく足が速くて、それだけにあっという間になぎ倒す、被害甚大というのが最近の傾向でございますね。
 それで、私はこの温床である沖縄の実態を申し上げまして訴えたわけですが、その台風は沖縄で壁をつくったわけじゃなく、通り魔の足跡ほど被害が大きいということも十分予想されます。ですから、この台風十二号の通り魔の足跡は、ひとつ全国的に、全面的に実態の調査を急いでいただいて、それぞれの対策を構じて、しかも速やかにということを強く要望申し上げておきます。その点よろしくお願いします。
 何かお答えがありますか。ありましたら。
#183
○国務大臣(加藤六月君) 今おっしゃったことで、おっしゃったとおりだなと。壱岐、対馬等で、福江では最大風速は五十五・六メートル、沖縄よりか風速も十数メートルという、対馬でも最大風速五十二・一メートルといったような報告も来ております。
#184
○喜屋武眞榮君 それでは、問題に移りまして、大臣、本年六月の六十二年産の生産者麦価決定において、銘柄間の格差の導入あるいは等級間格差の拡大、そして今回算定方式を改定する法律案が提出された。この足跡を顧りみますと、このような一連の価格政策は、法律至上主義といいましょうか、その考え方に基づくものであって、結果的に生産条件の悪い弱小農家の切り捨てになるものではないだろうか、こういう懸念を持つものであります。大臣、この点ひとつ政府の考えをお聞かせください。
#185
○政府委員(後藤康夫君) 本年産麦価の決定におきまして、銘柄間格差を導入いたしまして、等級間格差を広げたわけでございますが、これは先ほどもちょっと御説明を申し上げましたように、平均的に見ますと、品質グループ別に申しますと、評価の高い麦の作付が減ってきているわけでございますけれども、そういうものほどやはり十アール当たりの収量が低いということがございまして、いい麦をつくったが、十アール当たりで損になるというような状態は解消しなくちゃいけない。銘柄間格差というのはちょっと恥ずかしいような話でもございます。むしろ、実質的にバランスをとる。
 それから、等級間格差にいたしましても、これも大変お恥ずかしい話なんでございますが、昭和三十年以来ずっと据え置いてまいりまして、その間に麦の価格は五倍になっているわけでございます。そうなりますと、やっぱり丁寧に乾燥調製をしようという経済的な誘引と申しますか、そういうものがなくなってくる、むしろそうしないで下位等級で出した方が実入りが多いという状態に価格関係でなっているというのは、やはり今のような内麦の品質問題というのが顕在化しているときには少なくとも直していかなきゃいけないんじゃないか、そういう考え方でやったものでございますし、それからまた生産性の向上ということにつきましても、今弱小農家というお話もございましたけれども、きょうの参考人の御質疑でも出ておりましたように、それぞれ所有面積としては小さくてもそれをまとめて集団的な土地利用をする、あるいはまた生産組織をつくって、ある地域的なまとまりの中で役割分担をしながら、能率的な生産をしていくというふうなお話も出ていたわけでございます。
 私ども御提案申し上げておりますのは、やはり今の麦価算定方式の見直しをいたしまして、生産性の向上とか品質の改善という緊要の課題に対処して、量的な拡大から質あるいは生産性といったものを含めた麦作振興に移行するという考え方で御提案申し上げておるわけでございまして、弱小農家の切り捨てというようなことを目的にして御提案を申し上げているわけではございません。
#186
○喜屋武眞榮君 今のお話を聞きまして、大変恥ずかしい話ですけれどもというお言葉を繰り返されたが、これは謙虚なお気持ちはよくわかりますけれども、指導性を持つ政府が恥ずかしい話ですけれどもという、こういう格好で後手を打たれたのでは、それこそ先見性を持って恥ずかしい話にならない前に診断し、治療をして対策を講ずる、こういうことが大事ではないでしょうかね。そしてけさの参考人のお話を聞きましても、専業農家が減少しつつある、その専業農家といえども厳しいとか、あるいは明るい展望を持つ農家が少ないという、こういうお言葉を参考人の方も強調しておられましたですが、こういうことからも日本の農業に本当に明るい希望が持てて初めて農は国のもとというあの柱が光るのでありまして、意味があるのでありまして、アドバルーンだけを上げて実態は寒々としておるようでは、じめじめしておるようでは農は国のもとというこの柱が泣くんじゃありませんかということを思うんですね。
 それでは幾つも用意しておりますけれども、時間が迫りましたので、一つだけ沖縄の麦作についてお尋ねします。
 沖縄の戦前、戦後を通じて、そして現状に照らしまして、いろいろ特殊事情があるということはもう今さら申し上げる必要はないと思っております。ところでそういう沖縄でありますけれども、昭和三十年のころの統計の示すところでは、麦の作付が千八百二十六ヘクタールですね。そして収穫量が千六百八十四トンとれておったということは統計に示してありますね。ところが昭和六十年の時点では作付面積が三ヘクタール、千八百二十六ヘクタールがたったの三ヘクタール、収穫量が千六百八十四トンからたった四トン。三ヘクタールの四トンに、沈没しておる、こういう状態でありますが、どうして沖縄の麦が衰退したのか、その理由はどのように認識しておられるでしょうか、お聞かせください。
#187
○政府委員(浜口義曠君) ただいま先生お話しの点でございますが、沖縄の作付面積全体の耕地面積でございますが、私、手元にあります数字が昭和三十五年から六十年までの数字でございます。耕地面積を見てみますと、この数字におきまして、三十五年に沖縄全県におきまして四万四千七百ヘクタール、六十年におきましてはそれが四万六千二百ヘクタールと全体で増加をしているわけでございますが、そのうち重立ったものの今のお話の点に申し上げますと、確かにこの昭和三十五年から、数字がちょっと違いますけれども、麦の場合は千二百七十八ヘクタールが六十年わずかに三ヘクタールに減少した、こういうことでございます。その他の稲、カンショ、麦、果樹、野菜、サトウキビといった数字をつぶさに検討してみますと、やや結論的でございますが、麦の栽培は、元来比較的乾燥した冷涼な気候を好むものであり、沖縄県の亜熱帯気象下では単収が相対的に低くて収益性が低いことから、亜熱帯の気象条件を生かした作物でありかつ換金性の高いサトウキビ、野菜、パイナップル、肥飼料作物への作付転換が行われてきたのではないか、行われてきた結果である、そういうふうに考えてよろしいんではないかと思っております。
#188
○喜屋武眞榮君 次に譲ります、時間ですから。
#189
○山田耕三郎君 既にたくさんの方が質問をされましたので、重複をいたす面もありますけれども、私の論理で質問をさしていただきます。
 今回の食糧管理法の一部改正法案が意図されます麦の価格の算定方式の改正は、つい先日審議をいたしました大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案の延長線上にあり、価格算定に関する思想と価格の低減による財政負担の軽減を目指すことについては全く軌を一にしておるものと存じます。このように連続して施行されようとする農家犠牲の価格政策だけで、果たして生産性の向上を図り、実需者のニーズにこたえた品質のよい農産穀物の生産を誘導できると思っておいでになりますのでしょうか。ただいまの沖縄の麦のように、採算性のないものはもう捨てられていくという現実は直視をせなければならないと思います。
 生産性の向上といい、品質の改善といっても、机上の論理や経済的指標だけで実現できるものではなく、担い手は生産農民、すなわち人間であります。人の心をつかむことができるかどうかにかかっていると私は思います。日本農業の今日の姿は、ある意味では今日までの農政が、善良だが物も言わなければ権利の主張も少ない農民をだまし続け、近代化の指導を行った所産だとさえ論評する人もいます。生産性の向上も品質の向上ももちろん私は必要であると考えます。それが今日において、なお多くの問題を未解決で残し、その実が上がらないのは、それなりの歴史的な経過がありますということだけでは済まされません。午前中からの参考人の意見聴取の中でも、正田参考人は幾ら品質改善を要望をしても、そのむなしさを表明しておられました。これも質問にありましたし、私もこの現実は不思議でなりません。それをいわば小手先の価格政策だけで本当に実を上げることができると思っておいでになりますか、まずこの点についてお伺いをいたします。
#190
○政府委員(後藤康夫君) 生産性向上なり品質改善、これは価格政策だけでやれることではないというふうに私ども思っております。生産対策あるいはまたいろいろな技術開発といったような問題含めまして、それからまた午前中からお話が出ておりましたような物流というようなことも含めて考えますと、作付規模の拡大というようなそういう実態面の裏づけがなければ、価格だけで生産性の向上なり品質改善が自動的に進んでいくというふうには私ども考えておりません。ただ、やはり先ほどもちょっと申し上げましたが、品質改善というようなことにつきましては、例えばつくるのはちょっと難しい、あるいは単位収量は低いというような、しかし品質は非常に評価されているというようなものと、つくりやすくて安定多収だ、収量も高いというものと同じ価格にしておくというのではなくて、そこにやはり価格の面でも質の高い麦を生産しようという誘因をつけるという価格政策の面での努力、こういうものも必要ではないか、生産性につきましてもやはり麦作全体の生産性向上が促されるような方向で価格政策の面でも取り組んでいく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。価格政策だけでできるというふうには思っておりません。
#191
○山田耕三郎君 これも先ほどの質問にもございましたように、今回のこの法律改正は非常にわかりにくい、こういうようにおっしゃっておられました。私自身もそのように思いますが、そういう立場から私なりに判断をしてみますと、生産性の向上と品質の改良の名において施行されようといたしておりますこの改正案は、その実は政府の財政負担の軽減にねらいがあるのではないか。もしそうだといたしますと、こんなわかりにくいもので主権者であります国民に、すなわち政府が奉仕をしなければならない国民に、わかりにくいことで、うそを言っておいでになるようなことになりかねません。今日の世相の悪化の原因となっておる人間の心のひずみをさらに拡大することになりはしませんかということを恐れるものです。
 特に本年の麦価は生産性向上や品質改善の成果を上げる前に既に引き下げられてしまっておるのはなぜなのか。日本の農産物、わけても穀物は外国産に比較して生産コストは極めて割高になっておりますことは理解をいたしており、しかしそれは超大国と途上国の一部であって、他の先進国との間にはそんなに極端な格差のあるものではありません。しかもその原因については、私が今ここで解説するまでもなく、政府が一番よく知っておいでになります。その困難な諸問題を克服して、大きな価格差を解消するほどの生産性の向上を可能と考えておいでになりますのか。午前中の参考人の方々の意見はやっぱり否定的であり、学者でおいでになります今村さんは、ヨーロッパ諸国も保護農政は続けざるを得ないのではないかという意味の御意見がございました。私は、この法改正の思想の延長線上には、日本農業の崩壊を招く心配はあっても日本農業の活性化をもたらす可能性は極めて少なく、予算の締めつけの結果の苦し紛れの施策ではないのか、農業安楽死への一里塚ではないのかとさえ思っておりますが、政府はこんなことになる心配はお持ちになりませんかどうか、所信をお尋ねをいたします。
#192
○政府委員(後藤康夫君) まず、この新しい御提案申し上げております麦価の規定でございますが、非常にわかりにくいというお話でございますが、考え方としまして、パリティにかえまして第一に「生産費其ノ他ノ生産条件」、それから「需要及供給ノ動向」、そしてまた「物価其ノ他ノ経済事情」ということを規定をいたしまして、また二つの配慮事項も書いておるということでございます。
 今までのパリティ価格の規定が非常に詳細に固定的に書いてあるものでございますから大変そういう印象をお持ちかと思いますけれども、例えば米価についての規定は、生産費、物価その他の経済事情を参酌し再生産の確保を旨として、これだけでございます。それから、例えば生乳の加工原料乳の法律上の規定でございますが、加工原料乳の保証価格でございますが、「生乳の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として」、それから、生糸の例えば安定基準価格なり安定上位価格というものについての法律上の規定を申し上げますと「生糸の生産条件及び需給事情その他の経済事情からみて適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として、」ということでございまして、特に農産物につきましての法律上の規定としまして今回御提案申し上げておりますものが、全く思想がなく、また非常に恣意的なものになるのではないかという御心配をいただくような条文では私どもないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 私ども、先ほど来申し上げておりますように、量的な拡大ということでここまでせっかくまいった内麦でございます。それが今需要サイドからも品質の問題、あるいは二次加工品の輸入との関係での価格の問題、いろいろな問題が今顕在化しているわけでございまして、そういうものに少しでも対応しながら、生産性の向上なり品質改善を念頭に置いた内麦振興ということにこれから努めていかなきゃいけない、そういう気持ちで御提案を申し上げているわけでございます。
 それから、午前中の参考人質疑もございましたけれども、私ども基本認識としまして、農産物の国際価格と申しますのは、各国みんな農産物の何らかの保護政策をやっている場合が大部分でございます。国内で需給安定を図る、その作況のふれあるいは過剰生産というようなものが国際市場にしわ寄せされて出てまいりまして、国内でどうしてもさばけなければ輸出補助金も出すということでございまして、国際価格そのものが能率的な生産の国内価格を下回っているということはよくあるわけでございますし、また国際価格というものは非常に変動が激しゅうございます。国際価格と国内価格を、そういう意味で現在の世界農産物市場の状況からいたしますと、一致させるというようなことは国内の生産安定という点からいっても直ちにできることではこれはない、こういうふうに私ども思っております。
 また、麦を需要してくださる方々も、行政も生産者の方も品質改善とか生産性向上に努力をするという方向が見えてくれば、内麦を使ってくれる方向で、きょうも企業が海外進出というようなお話随分出ましたけれども、内麦離れということを起こさないでそれを引っ張っていけるということができるのじゃないか、またそういうふうにしていかなければいけないというふうに我々考えておるわけでございます。
#193
○山田耕三郎君 私の偏見かもしれませんけれども、今回の改正法案の中心点は、食糧管理法の現行規定の中に昭和二十五年及び昭和二十六年産麦の政府買い入れ価格を基準にパリティ指数を乗じて算出するパリティ価格を下限として、これに生産振興のための調整額を加算する算定方式がとられることになっております。しかし、これをより的確に生産性の向上を反映させる観点から、パリティ価格を用いた規定を外したいとのことだと存じます。
 実際には昭和六十二年産麦価の決定において、価格面から来る財政負担の軽減は既に現行で引き下げの目的を達しておいでになると思います。いわば係数操作で何とかなるものでございますようですが、将来においてパリティ価格に関連する規定が値下げのための大きな障害になることを懸念をして提案をされておるように思いますが、私の間違いですかどうか、その辺をお答えをいただきたいと思いますと同時に、現在においてさえかなり自由な価格の操作権を握っておいでになる政府が、さらに幅の広い自由裁量権を握っておきたいとなさる観点からパリティ計算をお外しになるのではないでしょうか。
 昭和二十七年、麦の間接統制移行のときに国会審議において最も配慮されました点はやはり価格算定方式であり、農家の生産意欲を阻害するような価格決定が行われないことを担保するための修正により法律化されましたのは例のパリティ価格を基本とする条項であります。今それが取り払われようといたしておりますのですけれども、歯どめを取り外してしまうことになって農家に犠牲を背負わすようなことになりかねないと思いますけれども、その辺の御所見をお願いをいたして私の本日の質問を終わりたいと思います。
#194
○政府委員(後藤康夫君) 午前中の参考人質疑のときのお話にもございましたように、もともとパリティ価格というものは生産構造とか需要構造が変わらない短期間に適用されるものだという本来的な性格を持っているわけでございまして、そういう意味では、先ほどお恥ずかしいという言葉を使いましたところ、そういう先見性のないことではいかぬと、こういうおしかりをこうむったわけでございますが、そういう規定を改正するのをおくらせるということは、さらに先見性のないこととおしかりを受ける種をつくるのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
 生産構造の変化ということについていろいろお話がございました。けさお話の出なかった点で申しますと、例えば品質格差というようなことを将来いろいろ勉強していかなけりゃいかぬと思っておりますけれども、麦の品種ということから申しますと、昭和二十五、二十六年当時の上位十種の品種の中で、今日上位十種の品種に残っているものは農林六一号ただ一つでございます。それ以外の品種というのは二十五、二十六年のときには存在をしなかった品種でございます。これの二十五、二十六年当時の価格にパリティをかけるといっても元がないわけでございます。パリティというのは、そういう意味におきまして、やはり二十年、三十年引っ張るという性格のものではもともとない。恐らくこれは想像でございますけれども、昭和二十七年にパリティ方式を規定されました立法者のお気持ちとしては、その後昭和六十二年の今日まで麦の管理がこういうふうになる、そのまま続くということを予想しておられなかったのかもしれないという気もいたすわけでございます。
#195
○委員長(岡部三郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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