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1987/07/28 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第2号
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1987/07/28 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第109回国会 社会労働委員会 第2号
昭和六十二年七月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十七日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     初村滝一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         関口 恵造君
    理 事
                佐々木 満君
                曽根田郁夫君
                糸久八重子君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩崎 純三君
                遠藤 政夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                初村滝一郎君
                前島英三郎君
                宮崎 秀樹君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                中西 珠子君
                沓脱タケ子君
                内藤  功君
                藤井 恒男君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       厚生大臣官房長  北郷 勲夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長尾 立子君
       厚生大臣官房審
       議官       川崎 幸雄君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省薬務局長  森  幸男君
       厚生省社会局長  小林 功典君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  下村  健君
       厚生省年金局長  水田  努君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   岸本 正裕君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    広瀬  権君
       文部大臣官房福
       利課長      伊田 和身君
       文部省体育局学
       校保健課長    込山  進君
       自治大臣官房参
       事官       海老 忠彦君
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (B型肝炎感染予防対策に関する件)
 (原爆被爆者対策に関する件)
 (国民医療総合対策本部中間報告に関する件)
 (老人保健施設のモデル事業に関する件)
 (国立病院・療養所統廃合に関連する医療体制
 に関する件)
 (自治医科大学卒業生の就業先に関する件)
 (柔道整復施術に対する療養費払いの取扱いに
 関する件)
 (輸入血液製剤によるエイズ(後天性免疫不全
 症候群)感染者救済に関する件)
 (インフルエンザ予防接種に関する件)
 (昭和六十三年度社会保障関係予算の概算要求
 に関する件)
 (山地産婦人科クリニック(東村山市)新生児
 死亡事件に関する件)
 (ベビーパウダーのアスベスト混入に関する件
 )
 (年金通算協定に関する件)
 (救急医療対策に関する件)
 (国民年金保険料の免除・滞納に関する件)
 (国民健康保険の被保険者証の交付と保険料滞
 納に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします、
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十七日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(関口恵造君) 社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○浜本万三君 三つほどきょうは質問をさしていただきたいと思います。
 最初の一つは、三重大学附属病院におけるB型肝炎感染の問題でございまして、昨日から本朝にかけまして新聞やテレビの報道で取り上げておられますが、三重大学附属病院におけるB型肝炎感染により研修医師が二人死亡をいたしまして、看護婦さんも一人入院中とのことでございます。この事件に関連してお尋ねするわけですが、当該病院に勤務する者、それから入院患者はもとより、全国の医療関係者、そして国民を極度の不安に陥れておると思うわけでございます。
 そこで、政府は今日の時点で例えば感染の経路でありますとか、あるいはこの医療機関の予防措置その他の問題につきましてどのような情報を把握しておられるのか、まず第一にお尋ねいたしたいと思うわけです。
 また、B型肝炎ウイルスは輸血など血液を介してうつるということが常識的であるということを伺っておるわけでございますが、したがって、これまでも病院の医師など医療従事者は患者の血液採取中に誤って注射針を刺して患者の血液が入ったり、手術中にメスで指を傷つけて感染することが珍しくなかったと言われております。しかし、こうした場合には直ちに免疫グロブリン注射をいたしまして、その後も経過観察する分ら発病するのはまれだというふうに伺っておるわけであります。そういった専門家が言う対応はきちんと行われておったのかどうか。特にB型肝炎医療機関感染対策としては一定のガイドラインも決定されておるというふうに伺っておったんですが、その点につきましてまずお尋ねをいたしたいと思います。
#5
○政府委員(仲村英一君) 三重大学附属病院の事件でございますけれども、現在私ども、三重県を通じまして細かい事実につきましての情報の把握に努めているところでございます。現在も大学当局でいろいろ調査をされておられるようでございますので、まだ最終的な結果が出ておらない段階でございますけれども、二名のお医者さんが亡く
なって、一名の看護婦さんが劇症化を免れて、現在症状はかなり改善しつつあるというふうなことを聞いておるわけでございまして、感染経路その他につきましては引き続き私どもも県当局を通じまして調査を続けてまいりたいと考えております。
 B型肝炎につきましては非常に感染力の強い疾患ということでございまして、エイズなどよりははるかに強い感染力のようでございまして、私どもとしても従前から非常に関心があったわけでございますし、日本を含めましてアジアというのは非常にB型肝炎が蔓延しておる地域でございますので、厚生省としても非常にB型肝炎対策というのを重点を置いてやってまいったつもりでございます。
 五十六年度に専門家にお集まりいただきまして肝炎対策推進協議会というものを設置いたしまして、感染予防知識の普及でございますとか、予防対策の推進等につきましてのいろいろの御意見をいただいたり、それを受けまして私ども六十年の五月には予防方法についての通知を各都道府県にお出しして、それぞれのハイリスクグループについてできるだけの予防対策を講じるようにというふうなことをお願いしたところでございます。
 なお一方、一番危険なのは赤ちゃんでございまして、お母さんからうつるわけでございますが、これにつきましては既に地域的に予防接種をやるということで行政的な措置をしておりますので、今後そういう形でのB型肝炎の蔓延はないわけでございますけれども、現在大人の方々には今お尋ねにございましたような感染が起こり得るわけでございますし、非常に少ない率、一%ないし二%と言われているようでございますけれども、一たん免疫のない方がB型肝炎に感染しますと数週間のうちに劇症化いたしまして亡くなるということがあり得るわけでございます。
 したがって、このガイドライン等についてはさらに十分私どもとしても徹底を図るようなことで考えておりますし、今回の三重大学の事件等を含めまして医療機関内の感染防止対策については、さらに改めて指導を徹底するようなことで考えているところでございます。
#6
○浜本万三君 医療機関の感染対策としては、B型肝炎については既にもうワクチンも開発をされておるというふうに伺っております。しかし、そのワクチンを半年間で三回ほど接種しなければならない。費用は二万円ほどかかるんではないか。その二万円の費用については予防のための保険適用はなされていないということを伺っております。そういうことでは予防ができないと思いますので、私としては予防のためのワクチン接種費用の国庫負担の方法を考えるべきではないか、かように思います。
 昨晩だったと思いますが、この問題についてNHKのテレビで報道されておる内容を見ますと、厚生省は既に検討をしておるやの報道がなされておりましたが、どのような方法で対処されようとしておるのか、その点について伺いたいと思います。
#7
○政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたように、一般の感染源となり得るお母さんから生まれる赤ん坊につきましては、私どもとしては国費をもちまして予防接種をやるということでやっておりますが、このような職場において感染するというケースにつきましては、私どもといたしましては事業主が負担するという考えで整理をさしていただきたいと思っているわけでございます。
 したがいまして、私どもの国立病院の職員についても実はまだワクチンがルーチン化しておりませんけれども、これにつきましては今後要求するようなことを含めまして検討してまいりたいと思っておりますが、文部省もそのようなことをお考えのようなことを仄聞しておりますけれども、医療従事者のワクチンの負担につきましては事業主負担ということで今後も考えてまいりたいと思っております。
#8
○浜本万三君 国庫の負担によるかあるいは医療機関の開設者の負担によるかそれは別にいたしまして、本人が三回の予防接種を十分受けられるような、そういう指導をしてもらいたいということを希望しておきたいと思います。
 最後に大臣にお伺いするんですが、今回の三重大学附属病院を初め医療機関内の不安と患者の動揺をどのようになくしていくのかということが今後の行政の対応としては非常に必要なことになると思うんでございますが、その点、大臣の決意のほどを承りたいと思います。
#9
○国務大臣(斎藤十朗君) 厚生省といたしましては、ただいま来局長の方から答弁を申し上げましたように、昭和五十六年度より専門家による肝炎対策推進協議会というものを設置いたしまして、関係者や国民の皆様に感染予防の知識の普及とまた感染予防対策の推進等について進めてまいったわけであります。今後ともこれらの対策を推進してまいりたいと考えております。
 今回の三重大学附属病院の事故につきましてはまことに遺憾なことと存じておりまして、その原因の究明をし、そしてこのようなことのないように指導をいたしてまいる、そしてまた今後とも一層感染予防の不安の解消について努力をいたしてまいりたいと考えております。
#10
○浜本万三君 次は、被爆地域の拡大に関連することなんですが、黒い雨の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 先般、被爆者実態調査が行われ、一部生存者について調査結果が発表されました。これは、それなりに私は評価いたしたいと思います。しかし、もっと原点に立ち返って、この被爆の地域が的確に把握されていないとしたら、これを問題にしないわけにはまいらないと思います。というのは、原爆被爆とはどこまでを指すのかということにかかわりがあるからでございます。
 そこで、最近の新しい調査結果に基づき問題としなければならないのがいわゆる黒い雨問題でございます。すなわち、被爆後の降雨によって上空に吹き上げられましたちりや灰を含んだ雨が、いわゆる黒い雨として降ったわけであります。この降雨と原爆投下との関連を現在厚生省はどのように把握し施策の対象にしておられるのか、まず最初、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#11
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの黒い雨でございますけれども、黒い雨の原因は、原子爆弾が爆発した際の爆風がちりを吹き上げまして、そのちりが雨にまざって黒くなったというふうに考えておるわけでございます。五十一年当時の知見におきましては、黒い雨の原因となったちりの中に放射能があったと推定されまして、住民に対する放射能の影響が否定し切れなかったために、厚生省といたしましては当分の間の措置といたしまして健康診断の実施については被爆者とみなすという区域といたしまして、黒い大雨地域ということで健康診断特例地域に指定したわけでございます。
#12
○浜本万三君 これは先般の委員会でも問題になりましたが、先般開かれました気象学会でこの黒い雨が降った地域について研究発表が行われております。そこでは、おおむね原爆投下直後に降った黒い雨は従来調査の二倍の範囲に及んでいたと発表されておるのであります。これは、御承知のように、元気象研究所予報研究室長増田氏の発表にかかわる問題でございます。この研究発表につきましては既に把握されておると思いますが、どのように把握されておるでございましょうか。
 また、その研究では、黒い雨の降った地域は広範囲で四十キロメートル以遠まで及んでおるというふうに述べられております。さらに、地域的には島根県美濃郡にも目撃者がおり、その地域の残留放射能調査をすればそれは確認できるんだと申しております。また、降雨域の形も単純なものではない、つまり厚生省が今やられておるような卵型の単純なものではないというふうに申しております。こういった内容についてどのように理解されておられるのでしょうか、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
#13
○政府委員(仲村英一君) 広島の黒い雨地域に関しまして、増田先生という方が学会で発表されたということは承知しておりますし、その内容につ
きましては、県、市を通じまして研究者の増田先生から研究発表の資料を提供していただいて、今内容を精査しておるところでございます。
 なお、増田先生御本人もその後も広島でアンケート調査等を実施されておるというふうに聞いておりまして、最終発表ではないように聞いておりますので、引き続きいろいろなデータを勉強させていただきたいと考えておるところでございます。
#14
○浜本万三君 現に被爆地域の指定を見ていないところで黒い雨を浴びている人がいるし、また体に変調を来している人がいるわけでございます。こうした事実、研究成果などを見ると、広島管区気象台の従来のデータを被爆者救済制度の根拠にしてきた国の対応は正しかったのだろうかという疑問がわいてくるわけでございます。今日の施策の基盤となっているデータは変わらないのか、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。
#15
○政府委員(仲村英一君) 私ども五十一年と五十三年にわたりまして残留放射能調査をしたわけでございますけれども、そのときの知見といたしましては、黒い雨地域と他の地域との有意差はないということでございましたので、私どもとしては、増田先生の研究の基礎資料となりました手記、アンケート調査のみをもって新たなデータが出たというふうな判断をするのは非常に難しいのではないかと考えておりますし、御承知のように五十五年に出されました原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告書にも記載してございますように、残留放射能等、科学的、合理的な根拠のある場合に限って地域指定を行うべきであるということの御意見もいただいておりますので、私どもといたしましては、今直ちにこれで再検討をするという判断をするのは困難だと考えております。
#16
○浜本万三君 局長そうは申されますがね、従来厚生省が基礎にしておるデータと今回の増田先生のデータとを比較いたしますと、私は増田先生の方がより的確なデータではないかと思っておるわけです。
 なぜかといいますと、増田先生の調査方法というのは、広島管区気象台が作成いたしました「広島原子爆弾被害調査報告」を初めといたしまして、新日本婦人会県本部編「木の葉のように焼かれて」、さらに広島市原爆体験記刊行会編の「原爆体験記」、そして広島市が編さんいたしました「広島原爆戦災史」など、三十種類の原爆手記集、記録集を調査、そこから黒い雨に関する記述を抜き出しまして、降り始めた時間、それから降雨時間と雨量などを地図に丹念に書き込み、これをもとに降雨域の線引きを見直したと言われておるのであります。
 この努力を正当に評価するとともに、そういった証言事実の集大成に意を向けるべきだと思うわけでございます。そういう私の主張に対しましてどのように判断をされておるのか、重ねて伺いたいと思います。
#17
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、いろいろなデータを駆使されていることは、私どもといたしましてもちょうだいした資料その他を拝見いたしますとわかるわけでございますけれども、やや主観的な部分も入っておるのではないかということもございますし、増田先生御本人が今後さらに最終的な報告もしたいということでおっしゃっておるということを聞いておりますので、その結論もお聞きしたいと考えておりますけれども、私どもといたしましては、やはり黒い雨が降ったということだけで地域拡大を行うというのは科学的、合理的な根拠に乏しいのではないかということでございまして、先ほどお答えしたようなことになるわけでございます。
#18
○浜本万三君 大臣、最後にひとつ大臣のお考えを伺いたいと思うのでございますがね。広島気象台で当時調査に当たった技師の方々も、あくまで困難な状態の中で最善の調査だったというふうに申されておるわけです。困難な状況というのは、人的にも経済的にも不足をしておった戦後の混乱期であるという困難な状況でございます。そういう環境の中で行った最善の調査であったというふうに言われておるわけです。したがって、もっと時間をかければ降雨域が広がることは予想できた、こう申しております。だから、増田先生の調査結果を聞いたときも、そうかと思ったというふうに感想を述べられておるわけなんであります。
 被爆後四十二年、いかにも遅いという感じを免れませんが、早急に実態調査を行い、地域指定の見直しを行うのが妥当なことではないかというふうに思います。調査と見直しを約束してくださるわけにはいかないでしょうか。特に、六十三年度の概算要求をするということになるので、調査のための調査費というようなものも実現してもらえれば幸せだと思いますが、大臣のひとつ前向きの答弁を求めたいと思います。
#19
○国務大臣(斎藤十朗君) 先生も御承知のように、昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告におきましては、既指定地域との単なる均衡論で地域拡大を行うことは関係者間に新たな不公平を生み出すおそれがあるので、科学的、合理的根拠のある場合に限って地域指定を行うべきである、こういう報告がなされ、政府といたしましても、以来一貫してこの立場で臨んでまいっておるわけでございます。
 増田先生の研究はそれなりに貴重な資料として十分検討をさしていただきたいと思うのでございますけれども、昭和五十一年及び五十三年に厚生省で行いました調査によりますれば、黒い雨が降った地域がそうでないかということによって残留放射能の値に有意性が認められないという結果も出ておるわけでございまして、再度国費で実態調査を行うということはいかがかというふうに考えておりますし、また地域拡大につきましても、科学的、合理的根拠を認めるということはなかなか困難であろう。余り御答弁ができなくて恐縮でございます。
#20
○浜本万三君 局長は、増田さんの調査というのがまだ中間報告の性格のものであるということを申されましたんですが、そうだとすれば、最終調査結果報告があったときにもう一遍再検討してもらえるように希望をしておきたい、かように思います。
 それから三番目の問題なんですが、先般行われました実態調査の結果による高齢者対策についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず大臣に伺うわけですが、去る六月五日、六十年に実施いたしました原爆被爆者実態調査の結果が発表をされました。調査結果をまつまでもないことでございますが、被爆から四十年、一段と健康をむしばまれながら、年をとり、年金や生活保護の不安な暮らしを続けている被爆者が多いことがこの資料で非常に明らかになっておるところであります。大臣は、この調査結果を見られてどのような見解をお持ちか。また、現在の施策で十分対応できているとお考えでございましょうか。大臣の考え方を伺いたいと思います。
#21
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の生存者調査の結果を拝見いたしますと、被爆者の方々が大変高齢化をされ、そういう中で健康に対する不安を非常に持っておられるということを感じさせられるわけでございまして、被爆者行政を担当する私といたしましても大変心の痛む思いをいたしております。
 今後とも、特に健康面での施策の充実ということについて鋭意努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
#22
○浜本万三君 被爆後四十年、当然のことなんですが、高齢化が大変進んでおるという結果が出ていると思います。
 例えばあの調査報告によりますと、被爆者の平均年齢が五十九・九歳、一人世帯被爆者で六十歳以上の方が六七・六%、寝たきり被爆者が七千百七十四人、千人に対する比率は実に三十・九人になっております。寝たきり被爆者千人に三十・九人というのは、一般のお年寄りに対しまして非常に多いわけです。例えば一般のお年寄りは千人に対しまして二十三・八人でありますから、非常に多いわけでございます。こういった要介護被爆者対策には、もちろん今厚生省ができるだけ努力を
されております手当の増額ももちろん重要なこととは思いますが、身辺の介護をどうするのかということも同時に重要なことだと思います。これからますます増加する原爆孤老の老後をだれがどのようにお世話をしていくのかという視点が必要になってきたというふうに思います。その点どうお考えかということです。
 また、広島県、市当局も地域の立場から、要介護被爆者が地域、家庭において安心して生活ができるよう短期の保護、中間施設等の施設対策など、抜本的な援護対策を要望しておられるところでございます。こういった点についてどのように考えられておられるのかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
#23
○政府委員(仲村英一君) 被爆者の高齢化という問題は非常に私どもとしても重要なことだと考えております。
 一般的な老人対策、老人保健につきましても、もちろん我が国全体といたしまして重要問題に逢着しておるわけでございますけれども、今お話にございましたような原爆被爆者の方々は、単純な数字で比較いたしましても御指摘のように千人に対して三十・九でございまして、厚生行政基礎調査の数字二十三・八に比較いたしましてやはりかなり高いという実態もあるわけでございますので、私どももちろん手当の充実のほかに、御指摘のような身辺の介護の施策の充実でございますとか、ショートステイでございますとかいろいろの形での中間的な設備施設の対策等、いろいろなことを考えていかなくてはいけないということを課題の重要な一つとして認識しておるわけでございます。
 要介護被爆者に対しましては、従前から原爆養護老人ホームの整備でございますとか家庭奉仕員の派遣等を行ってきておりますけれども、今後ますますその必要性は高まるということを考えておりますので、地元県、市とも十分御相談をしながら、その対策をさらに進展させていきたいと考えておるところでございます。
#24
○浜本万三君 六十三年度予算の要求のこともあるので、一つだけこの問題についてちょっとお尋ねするんですが、というのは、一般の養護ホーム、特別養護ホームに入所しておる方の負担金を原爆養護ホーム入所者と同額にしてもらいたいということなんです。
 例えば現在原爆養護ホームに入所しておるお年寄りは、今回の調査によって広島、長崎合計四カ所でありますが、七百名の方が入所されております。一方、これも実態調査によりますと老人ホームに二千十三人入所しておられるわけでございます。したがって、二千十三人から七百人を引きますと千三百十三人という方々が他のホームに入所されておられることになっておるわけでございます。
 以上のことからも、現在の原爆養護ホームは数の上でも不十分ということがわかります。また、入所を希望する者の所在地と必ずしも一致しないという問題もあると思います。そこから一般の養護、特別養護老人ホームにやむを得ず入所する場合も多いのだろうと思います。こういう場合には、入所者の負担金は当然原爆養護ホーム入所者と同額になるよう措置することが適切な措置ではないか、かように思います。今日までそういった対応ができていない理由はどこにあったのか。私としては早急に同額にしてもらいたい、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#25
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように七百三十三人の方々が四つの施設にお入りいただいておるわけでございます。計算上、先ほどおっしゃられましたような数字になって、一般の特別養護老人ホーム等に被爆者の方がお入りになっているのも事実だと考えておるところでございます。
 御承知のように、原爆ホームにつきましては、被爆者の特殊性に着目いたしまして被爆者のための施設として設置されるものでございまして、費用徴収に関しましては他の老人ホームに比べまして緩和をしているというのが事実でございます。一方、この施設の運営でございますけれども、その設置の趣旨にのっとりまして、被爆者の方々の中でも介護の程度の大きい方でございますとか、身寄りのない被爆者の方というふうな方々を優先して入所させるというふうなことでいろいろ実際上の配慮をしておるところでございまして、やむを得ず一般の老人ホームに入所している方とは実際上御指摘のような差があるのは事実でございます。
 私どもとしては現在までのお答えどおりやむを得ないと考えているところでございまして、来年度以降どうするかにつきましてまだ結論を得ていない段階でございますので、今ここで私から申し上げるわけにはいかないことを御容赦いただきたいと思います。
#26
○浜本万三君 これは千三百人余りの人が自分で費用を負担するか、自治体が負担をしておる。つまり、厚生省は自治体にその負担をお願いをしておるわけなんでございますが、私は同じような原爆被爆者でございますから、費用の負担はやっぱり国がすべきであるというふうに考えますので、ぜひ六十三年度の予算要求の中で解決をしてもらうように希望をいたしたいと思います。
 時間が参りましたので、最後に大臣の方に伺いたいと思います。
 今回の調査が被爆者の四十年余にわたる心や体の苦しみを的確に描き出しているとは、私はまだ思っておりません。また、原爆被害の恐ろしさ、実相を正しく後世に伝える死没者調査も結果が報告されていないわけでありますから、今日の時点で十分な評価をすることはできないと思います。今後発表される死没者調査の結果を含め、政府の被爆者対策に大きな発想の転換をお願いいたしたいと思いますが、大臣の決意のほどを伺って質問を終わりたいと思います。
#27
○国務大臣(斎藤十朗君) 原爆で被爆されました皆様には、この四十年間という間さまざまな苦しみを乗り越えられ、またその間健康の障害に不安を持ちながら今日まで来られたということに対して、本当に心の痛む思いをいたすものでございます。
 原爆対策についての基本的な考え方といたしましては、これまでとってまいりましたような被爆者についての特別な健康被害ということに着目をいたしまして、原爆二法において対応をいたしてまいりたい、またそれで対応できると、こう考えておりますが、特に先ほども申し上げましたように、高齢化が進んでいるそういう老人対策という面、また健康管理の面、こういった面に特に配慮して施策の拡充を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#28
○糸久八重子君 最初に、国民医療総合対策本部の中間報告についてお伺いをいたします。
 先月の二十六日に、厚生省の部内に設置されております国民医療総合対策本部が中間報告を発表いたしました。この対策本部というのは何を目的に設置され、そして何を検討してきたのでしょうか、簡単にお答えください。
#29
○政府委員(長尾立子君) お答えを申し上げます。
 国民医療総合対策本部の設置の目的でございますが、我が国の医療はいろいろな意味で私どもの健康、それからそれぞれの医療の内容につきましてもすばらしい効果を上げてきたわけでございますけれども、今後の社会におきまして我が国の医療がこのようなすばらしい成果をさらに続けていくことができるように、それから患者さん方の要望も大変変わってきておるわけでございますが、そういった変化の中で十分機能を果たしていくことができるような医療システムの改革ということを考えたわけでございます。良質な医療を効率的に供給していくことができるような、そういう観点に立ちまして、我が国の医療システムにつきまして総合的に検討したいということでございます。
 この検討の内容でございますが、医療供給体制や医療サービスのあり方ということが検討の大きな課題になったわけでございますが、具体的には老人医療の問題、長期入院の問題、大学病院の問題、患者サービスの問題、この四つの問題を中心
に検討を行いまして、中間報告として取りまとめたわけでございます。
#30
○糸久八重子君 報告の第二部の第一、「老人医療の今後の在り方」というところですけれども、老人にふさわしい施設ケアの確立とか、在宅ケアの充実とか、地域ケアのシステム化、老人医療の見直し、老人保健診療の見直し等を問題にしておりまして、本報告ではかなりのウエートを占めているようですけれども、これを見まして、政府の施策が毎年度の予算編成に合わせた糊塗策であるということがはっきりいたしました。
 つまり、昨年度老人保健法を改正して、患者負担の強化、それから被用者保険の負担増大による国庫負担の軽減を行うほか、いわゆる中間施設としての老人保健施設の創設を行ったわけですけれども、その際私どもは、今後の高齢化社会での老人医療はどうあるべきか、そしてその費用はどのように負担していったらいいのか、十分時間をかけて討論すべきことを主張したわけでございます。
 国民医療総合対策本部の設置が一月十四日と聞いておりますけれども、まさにさきの老人保健法の改正は六十一年度予算のつじつま合わせだったということが証明できたわけですけれども、この点についてはどう釈明なさいますか。
#31
○政府委員(黒木武弘君) 大変お答えしにくい御質問だと思うんですけれども、当時、今回の報告みたいなことをあわせて検討をすべきではなかったかというようなお尋ねかとも思うわけでございます。
 当時の検討の状況をかいつまんで申し上げますと、法の附則で三年後の見直しの規定があったわけでございます。そこで私どもは、老人保健審議会に前広にどのような施策を見直し、検討する必要があるかということで御審議を賜ったわけでございます。そこで六項目出てきたわけでございますけれども、一つはヘルス事業をもう少し推進することについての見直し、それから老人診療報酬の見直し、そのほか按分率、一部負担、老人保健施設の中間施設の創設、さらには医療費適正化対策、この六項目について見直し、検討をすべしという御意見をいただきまして、私どもはそれに沿って六項目を検討し、その中で老人保健制度の長期的な安定を図るために必要な法律事項につきまして御提案を申し上げたということでございます。
 その際に、私どもから御説明いたしましたように、単なる国庫補助の削減ではなくて、老人保健制度の二十一世紀を見据えた長期的安定を図る、そしてお年寄りが老後も安心して託せるような制度にしたい、こういう観点から御提案を申し上げたわけでございます。
 今回の報告につきましては、総務審議官からお答えいたしましたように、良質で効率的な医療供給システムの確立を図る、そういう観点から検討し、その一環として老人医療のあり方の具体的な方策を検討したわけでございます。いずれにいたしましても、今後とも各方面の意見を聞きながら、老人保健なり福祉の施策の総合的な推進に私どもは取り組んでまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#32
○糸久八重子君 「老人医療の今後の在り方」の内容といたしまして、どの点がさきの老人保健法の改正に含まれていて、そして何が含まれていなかったのでしょうか。
#33
○政府委員(黒木武弘君) 今回の報告と老人保健法の先般の改正事項との関連でございますけれども、今回の報告は、先ほど申しましたように、新しく違った観点から検討したものでございますから、含まれている事項ということでございますと、あの中で「老人保健施設の整備の促進」というのが書いてございますけれども、それ以外の事項はほとんど先般の改正事項には含まれていない事項でございます。
#34
○糸久八重子君 少なくとも私が見た状況では、「老人医療の今後の在り方」では余り目新しいものはない、そう思います。
 発表と同時に大臣発言があるようでございますけれども、大臣はこの報告を受けて何を事務当局に指示なされたのでしょうか。
#35
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の国民医療総合対策本部におきます中間報告は、先ほどからもお話を申し上げておりますように、今後の医療について、より良質な医療サービスを、そして効率的な医療サービスをいかに提供していけるような環境をつくっていくかということに重点を置いたものでございまして、これはすなわち国民の皆様方、また医療担当者の方々に直接的に関係の深いものでございます。言うならば、医療の内容にまで至るものにもなるわけでございます。
 そういうようなことから、これを実施していくに当たりましては、広く国民の皆様方の御理解をいただくためにいろいろ御意見をお聞きいたしてまいる。また、医療担当者等の御意見を十分聞かしていただく、こういうことを積み上げて着実に一歩一歩これを実現してまいるように心がけてもらいたい、こういうことを申したところでございます、
 なおまた、今直ちに進めていけるもの、また来年度実施をしていけるもの、また検討を始められるもの、そういうものについてはできるだけ積極的にまたこれも進めてもらいたい、こういうことを申したところでございます。
#36
○糸久八重子君 ただいまおっしゃいました中身で、今直ちに進められるもの、つまり本年度の施策の中に盛り込みたいとして検討を命じた点というのはどういう点でございましょうか。
#37
○政府委員(長尾立子君) 中間報告に盛り込まれました方策をどのように実施に移していくかということでございますが、それは今大臣の御指示のもと鋭意検討を進めておるわけでございますが、特に「総合的な地域ケア推進のためのモデル事業」につきましては、来年度の概算要求に盛り込むという方針で検討を進めておるところでございます。
#38
○糸久八重子君 医療と福祉の連携から成る地域ケア体制の確立ということで書かれてあるわけですけれども、これは一体具体的に言うとどういうことでございますか、簡単にお願いいたします。
#39
○政府委員(長尾立子君) 「総合的な地域ケア体制」、この具体的な内容を今詰めておるわけでございますが、いわば検討の柱のようなものを御説明させていただきますと、一つは訪問看護というサービス、これは医療サービスであるわけでございますが、現在の訪問看護のサービスのシステムをもう少しお年寄りの家庭に近づけるような方式というのを考えられないかということが一つのポイントでございます。つまり、訪問看護を受けやすくするようなシステムというのは具体的にどういうのかということであると思います。
 それから、在宅介護の福祉サービスの面でございますが、これも現在、ホームヘルプサービス等があるわけでございますが、実はこのサービス自体の充実も必要であると思いますし、この二つのいわば医療サービス的なサービスと福祉サービス的なサービスを連携するためのシステムづくりということが有機的にどういうふうにやれば具体的になるかということが検討のポイントではないかと思っておるわけでございます。
 つまり、病院、診療所の委託によります訪問看護を推進するとともに、各種の在宅福祉サービスの充実を図りまして、これを連携させていくということにどういう工夫があるか、これを検討しておるところでございます。
#40
○糸久八重子君 この対策本部の中間報告は、中間ということでございますから、いずれ最終報告が提示されると思いますけれども、その際にはどういった点がどのように詰められるのでしょうか。
#41
○政府委員(長尾立子君) 大臣からも申し上げましたように、医療の問題は国民の皆様の生活やそれから文化と申しますか、生活についての考え方ということに非常に深くかかわっていく問題であると思います。中間報告につきまして、どういうところが皆様の今後のコンセンサスが得られるのかということ、それから具体的にどういう形で実施に移していけばよいのかということが当面の重
要な課題であると私どもは考えておるわけでございます。
 報告にも述べておりますように、今回の報告は四つの項目の主として検討を中心に行ったわけでございまして、残された問題も多いわけでございますが、各方面の御意見を十分に踏まえながら今後の検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
#42
○糸久八重子君 中間報告にいたしましても、それから、これから詰められます最終報告でも実施のための手順とか予定があろうかと思いますし、また、あるものは六十三年度の予算要求の中に盛り込んでいくものと考えられますけれども、どのようにそれが整理されておりますのでしょうか。
#43
○政府委員(長尾立子君) この具体的な内容をどういう形で実現していくかにつきましては、関係方面と関係団体の皆様、また専門家の皆様と十分御相談をしながら進めていかなくてはならない問題だと思っておりますが、第一は、いわば来年度の予算の中で、先ほど申し上げましたモデル事業の実施等の予算措置という形で対応していくものが一つでございます。
 それから望ましい老人医療のあり方とか、それからお年寄りにふさわしいリハビリテーションのあり方ということを考えますと、この内容につきましては専門家の皆様の御検討をいただかなくてはならないわけでございますので、そういった検討の機関を設置をしていくということが一つあるわけでございます。そのほかに、こういった専門家の皆様の参加をいただきまして検討いたします項目はそのほかにも若干ございます。
 それからもう一つは、いわば診療報酬のあり方に絡みます大きな問題がございます。これは、ここで申し上げております診療報酬問題以外にも診療報酬全体としての御検討が必要でございますので、次期診療報酬全体を検討いたします過程の中で検討していただくということになっていくかと思います。
#44
○糸久八重子君 いつも言われることですけれども、今日のお年寄りというのは戦後今日まで我が国の経済成長をまさに支えてきた方々でございます。むだを排除し、効率的に使うということは、限られた医療資源でありますから当然でありますけれども、ただ単に医療費がかさむとか、それから老人医療費が増大することだけを目のかたきにすることはないと思います。高齢化社会二十一世紀には、国民所得のどの程度の割合が医療に振り向けられたら妥当だとお考えになっていらっしゃいますか。
#45
○政府委員(長尾立子君) 先生お話しのように、私どもも全く医療費を単に抑制をする、それから必要な医療を受けておられる方についてその方々の抑制をするという考え方のもとに今回の中間報告をまとめたのではございません。お年寄りの真の幸せ、お年寄りにとって本当に望ましい医療システムのあり方はどういうところかということを考えましてまとめたつもりでございます。
 例えば老人の医療の中におきましては、単に入院をされておって、若い人を前提としたような医療であるがためにお年寄りにとって必ずしも幸せでないケースもあるのではないかというようなことも言っておるわけでございますが、こういった意味でお年寄りの医療そのものの内容を、お年寄りにふさわしい形はどういうものかということをひとつ考えていきたいということと、お年寄りのためのいろいろな施設の体系もそれぞれに合ったふさわしい施設体系を考えていく必要があるのではないかということで、両方を総合的に見直そうということを言っております。
 結果といたしまして、こういう検討をすることによりまして医療費が適正なものになっていくという効果は当然あるというふうに考えておりますが、削減をするということだけをねらいに検討したものではないということを御理解いただきたいと思います。
 どういった医療費の規模が適正なものかという御質問でございますが、これはなかなかに難しい問題ではないかと思います。従来私どもは医療費の伸びにつきましては、国民所得の伸びの範囲内にできるだけおさめたいということを申し上げておったわけでございます。今後の社会におきまして我々の医療費の負担、これは当然に負担は伸びていかざるを得ないわけでございますが、一方、国民経済との調和ということも必要であると思います。私どもは従来申し上げておりました線をできる限りできるということが私どもとしての努力目標ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#46
○糸久八重子君 六十一年三月の参議院の予算委員会の中で、二〇二五年には医療費というのは六%程度がよろしいのではないかという答弁があるんですけれども、大体そのように受け取ってよろしゅうございますか。
#47
○政府委員(下村健君) 私どもとしては、社会保障の負担あるいは税の負担というふうなものを合わせまして、西欧の諸国に比べましてかなり低い水準にとどめるべきであるというふうな考え方もございまして、医療費については当面は国民所得の範囲内でやっていきたいというふうなことを努力目標として今日でもやってきているわけでございます。
 しかし現実はそれより多少厳しくなっておりまして、今後の経済成長がどの程度であるかということによっていろいろ違ってくるわけでございますが、現在の経済成長あるいは現在の医療費の伸びというふうなものを想定して考えますと昭和七十五年、今世紀末ということでございますが、その段階でただいまのような想定でいきますと、成長率によって多少の差が出てまいりますが、国民所得に対して九%前後のところまで国民医療費の割合は伸びていくんではないかという推計をいたしております。
#48
○糸久八重子君 それでは次に、老人保健施設のモデル施行についてお伺いをさせていただきます。
 二月に発表されました老人保健施設のモデル施設は病院併設が五カ所、それから特養ホームに併設が二カ所の計七カ所でございますけれども、モデル選考の根拠はどのようなものでしたか。
#49
○政府委員(黒木武弘君) モデル施設の指定の関係でございますけれども、私どもは昨年末、改正法が成立した直後に都道府県に対しまして候補施設の推薦を依頼したわけでございます。その推薦のあった施設につきましてできるだけ多様な設置、運営の形態をモデル施設全体としてカバーできるようにすることを念頭に置きながら選定をいたしたわけでございます。
 その一つとして、事業内容から見まして施設がモデル事業を実施するのに適切であること、二つ目に十分な準備がなされており、早期に開所が可能であること、三つ目に都道府県がモデル事業に主体的に協力できること、四つ目に医師会あるいは福祉団体との関係が良好なことといったような条件に照らし合わせまして個別に検討いたした結果、七施設を選定いたしたものでございます。
#50
○糸久八重子君 本格実施、副会報告に至るまでのスケジュールはどのように考えておられますでしょうか。
#51
○政府委員(黒木武弘君) 法律上、公布の日から一年半以内に本格施行することになっておるわけでございます。逆算いたしますと、遅くとも六十三年の五月までに施行実施ということに相なるわけでございます。それまでのスケジュールでございますけれども、私ども現在お尋ねのモデル施設での施行実施の状況等も踏まえながら、まず施設、人員等の基準につきまして本年秋ごろを目途に老人保健審議会から答申をいただきまして策定をいたしたいと考えております。
 もう一つの施設療養費の額、施設側にお支払いする金額でございますけれども、そういう施設、人員等の基準を勘案いたしながら、本格実施までに中医協の答申をいただきこれも策定をしたいということでございます。
#52
○糸久八重子君 モデル施設の施行で、データとして収集する資料は具体的にどのような点でしょうか。
#53
○政府委員(黒木武弘君) モデル施設からのデータ、どういう項目、内容について収集するのかということにつきましては、老人保健審議会にも御相談をいたしまして私どもは定めたところでございますけれども、これから諸基準を定めるために必要な各種のデータということでかなり多岐にわたるわけでございますが、その主なるものをかいつまんで申し上げますと、一つが施設設備の状況はどうか、二つ目に職員の配置の状況、三つ目に運営の状況、四つ目に利用者へのサービスの内容、五つ目に経営の状況、そういった主要項目についてデータを集めたいというふうに考えております。
#54
○糸久八重子君 それではサービスの内容についてお伺いいたしますけれども、昨年老健法審議の際に厚生省が利用料金五万円として答弁した内訳は、食費が三万四千円、おむつ代が九千円、諸雑費七千円、計五万円と説明をされているわけですけれども、今既に開所されております五つの施設が出しているものを拝見いたしますと、ちょっとこの辺の試算とはかけ離れている部分があるんですね。
 例えばおむつ代は各施設とも一万五千円。一番高くて一万八千円としている施設もあるようですけれども、そういう厚生省が試算した九千円というのは見積もりが過小であったのでしょうか。
#55
○政府委員(黒木武弘君) 利用料の金額につきまして、私どもはとりあえずモデル施設の現在動いているところから報告を受けているわけでございます。お尋ねのように食費等の月額の共通経費が、現在動いているモデル施設に限って申し上げますと三万五千円から四万二千円程度になっておりまして、それにおむつをされる人はおむつ代が加算をされるということになるわけでございますので、利用者によってでこぼこが当然あるわけでございますけれども、押しなべて私どもは五万円前後というふうに判断をいたしております。
 ちなみに粗い試算でございますけれども、六月分で単純平均をいたしまして、おむつをしている人、してない人等のでこぼこはありますけれども、単純に平均いたしますと一番高く平均が出ているところが五万一千五百円、それから少なく出ているところが三万九千四百円程度でございまして、私どもとしては五万円前後のところにおさまった形で利用料の負担が平均してなされているというふうに受け取っている次第でございます。
#56
○糸久八重子君 私、自分なりに計算をしてみたんですけれども、今部長は五万一千五百円程度とおっしゃったんですが、例えば共通費用が、共通費用というのは食費と日用品と、大体そういうものが共通費用と言われているんですけれども、それが四万二千八百円として、いろいろ書かれているんですね。例えば寝巻き千五百円、それから家族会費が八百円とか、レクが二千円、それから理美容費が二千円、電気代が千五百円、大体こういうのがお元気なお年寄りでもこのくらいかかるんじゃないかなと思いますと、これ全部足しますと六万二千六百円になります。
 もし寝たきりがあった場合などを考えますと、施設によっては個室の費用等も考えているんですね。大体二千円から、夫婦の部屋でということだろうと思いますけれども五千円。もしこの寝たきりの方が個室を希望するとしますと、これ一日三千円の部屋を使いますと一月九万円ですからね。それで寝たきりですからおむつを使ったり、もちろん寝たきりであっても電気代だとか理美容代だとか、それから寝巻きだとか、そういうものは当然必要だし、また、特別食も必要だといたしますと、ざっと計算してみますと十六万円かかるんですね。
 ですから、一口に老人保健施設が五万円程度で済みますよと言っても、これは大変な計算違いだということを私これを見てまざまざと思ったわけでございます。これから審議会の中でも審議をしていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、そういう細かい資料もきちっと出していっていただきたいと思いますけれども、この点いかがですか。
#57
○政府委員(黒木武弘君) ただいまのお尋ねは、現在動いております五カ所の中で一番高いところを試算するとということだろうと思います。一番低いところは共通経費が三万八千円、それにおむつ代ということで、あとは何も取りませんという施設もあるわけでございまして、さまざまな形で動いているわけでございますが、平均いたしますと、先ほど申しましたようにお年寄り一人当たりで五万円前後のところに現在の状況は相なっておるということでございます。
 いずれにいたしましてもこの状況は私どもは老人保健審議会に提出いたしまして、これから利用料のガイドラインをどうつくっていくかということの審議の際に十分このデータ等を審議をいただこうかと、そういうふうに考えておるわけでございます。
#58
○糸久八重子君 それから、スタッフの配置についてなのですけれども、厚生省の基準では百床で医師が一、看護婦が七から十、介護者が十五から十八、その他ということで、老人保健法の改正のときにはそう示されました。
 開所している施設の中で、これ五十人の場合なんですけれども、医師が一、看護婦が五、介護者が十一、それからOTが二、PTが四、ケースワーカーが六というスタッフで運営をしているそうなんですが、つまり、介護職員の基準では本当は九人になるけれども、九人では夜勤がとても組めない、だから十一人にしているんだということを施設長が言っておられます。すると、特養の介護職員の数と同数になるわけですけれども、やはりこれは特養並みを必要とするということはこのことから出てきたわけですが、その辺の見解はいかがでしょうか。
#59
○政府委員(黒木武弘君) 必要な職種あるいは人員についても、老人保健審議会で現在モデルの施設長等をお招きして御意見を承りながら審議をお願いしているところでございます。確かに介護人については、現在、モデル事業が例えば三十人とかあるいは四十人の規模で、安全を見ながら小規模で実施いたしておるために、非常にローテーションが窮屈だという御意見もいただいておるわけでございますけれども、私どもはその辺も今後の標準的な施設の規模等も含めながら、施設職員が円滑にローテーションが組めるような人員基準というものをこの実験結果も踏まえながら私どもは検討し策定をしていかねばならないというふうに考えております。
#60
○糸久八重子君 入所者がどこから来るのか、例えば病院から来るのか、在宅からか特養からか。モデル実施の段階ではそういったこともデータになるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#61
○政府委員(黒木武弘君) 六月末に稼働いたしております五施設について調査した結果でございますけれども、百三十一名入所者がおられるわけでございます。そのうち六十四名、約半分でございますけれども、医療機関、病院の方から入所があったということでございます。同様に全く同じ数字でございますが、六十四名が在宅から入所された、また三名の方が特別養護老人ホームから入所されたということでございます。なお、在宅から入所された方につきましては、病院から退院後に在宅で療養されてまた入所されたというケースもかなりあるようでございますけれども、詳細なそういった受療歴については現在把握に努めているところでございます。
#62
○糸久八重子君 こういった施設は数ができればよいというものではないと思います。適正な配置ができないと、入院医療費と同じように地域格差だとか地域により需給バランスが崩れるといった事態になると思います。本格的実施に向けて適正配置といった点ほどのようにお考えでしょうか。
#63
○政府委員(黒木武弘君) 老人保健施設が全国に適正配置されていくということは最も重要なことだと承知をいたしております。したがいまして、私どもがお願いいたしました八十カ所分の国庫補助あるいは低利融資を使った事業団等からの融資、そういった中で私どもとしては御指摘のよう
なこの施設が全国的に適正に配置されるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
#64
○糸久八重子君 それでは次に、国立病院の統廃合問題についてお伺いをさせていただきます。
 私は、この二十日、二十一日の両日、国立病院統廃合問題の調査で新潟県に参りました。国立佐渡療養所、国立療養所村松病院、西新潟病院の三カ所を訪問したわけでございますけれども、詳しい論議は後に譲るといたしまして、基本的なことをきょうはお尋ねをしたいと思います。
 その一つは、統合とかそれから移譲対象施設の百二十三のうちに離島とか辺地、それから過疎地域、特別豪雪地帯及び山村といったいわゆる過疎三法の指定地域に立地されたものが二十施設あるわけでございますけれども、こういう特別な地域の医療こそ国が責任を持たねばならないというのが過疎立法の精神ではなかったかと思います。佐渡療養所と村松病院は地域の病院として大きな役割を果たしておるわけですけれども、このような過疎三法の指定地域の国立療養所、国立病院を統廃合の対象にするというのは少しおかしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の国立病院・療養所の再編成につきましては、私どもの基本的な者を方は、国立医療機関として真にふさわしい使命、役割を持って、そして国民の信頼にこたえていけるようなそういう国立病院・療養所に再編成をいたしてまいりたいという基本的な考えからスタートをいたしておるわけであります。
 今御指摘のような問題につきましては、いわゆる一般的な地域医療というものにつきましては、国立医療機関以外の公私医療機関等について十分御担当をいただけるのではないか。それよりも広範囲における総合的な地域医療ということを考えて、その中で高度または専門医療というようなことに重点を置いた再編成をしていくべきではないかというような全国的な視野に立って今回の再編成の計画をさしていただいておるところでございます。
 御指摘の離島とか僻地における医療を確保するということは、申すまでもなく非常に重要なことでございまして、これまでも厚生省としていろいろな角度から力を注いでまいったところでありまして、そういった地域における医療機関を整備する際の補助とか、また医師その他の関係者の確保等についてケース・バイ・ケースにおいて御協力を申し上げておるところでございます。
 また、今回の継続審議になっております、また御審議を賜ります国立病院・療養所の再編成に伴う特別措置法案につきましても、この再編成が行われる際の後医療を確保する場合もしくは移譲される医療機関についての譲渡等の割引につきましても、今御指摘のような僻地とか離島の医療機関として譲渡する場合には他の譲渡よりも優遇した割引率をもっていたしておるということもこういった考え方をあらわしているというふうに御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#66
○糸久八重子君 離島、辺地、過疎地域、特別豪雪地帯及び山村に所在する国立病院とか療養所というのはどこでもプライマリーケアを担える勤務医を求めておるわけです。私が参りましたところでも職員の方たちが申しておられましたけれども、特にお医者さんの場合なんですが、ここに勤務しているお医者さんというのは大体二年くらいの、転勤族ということを言っておられましたけれども、転勤族である、または大学から三カ月から五カ月単位でもって派遣される医師がほとんどだということなのです。そうなりますと、療養所や病院としてみれば多くの外来をとりたいけれども、医師の専門によってはとれない状況にあるということを盛んに訴えをしておられたわけですけれども、厚生省は、国立は高度専門医療と幾らおっしゃってみても、こういう特別な地域の病院というのは僻地中核病院もしくは僻地診療所の機能を担わざるを得ない実情にあるわけです。
 特に私が参りました村松病院は、地域医療計画の中でもベッド数が不足をしているという状況の中にありました。とにかくこういうところにこそプライマリーケア担当の医師がせめて五年ぐらいは定着をしてほしいというのが現地の声だったわけですけれども、厚生省の努力、今大臣も少々おっしゃいましたが、具体的にどのような努力をしていらっしゃるのか、もう一度お願いいたします。
#67
○政府委員(川崎幸雄君) 医師の確保に当たりましては大学病院等の理解と協力が重要でございますけれども、従来から大学病院等各方面と連携を図り、医師の確保について協力を求める等により勤務医の確保、定着化に努力しているところでございます。
#68
○糸久八重子君 この春で自治医大の一期生の九年間の義務年限が修了したわけでありますけれども、その人たちの進路はどうなっておりますでしょうか。
#69
○説明員(海老忠彦君) お答え申し上げます。
 自治医科大学の第一期生の卒業生は百五名でございますが、本年七月一日現在、死亡等四名及び大学院入学等のため義務年限期間が未了の者二十五名を除きました七十六名が義務年限を満了いたしておるという状況でございます。
 これら七十六名の医師の現在の勤務状況を見てみますと、僻地等の診療所、病院に勤務する者が三十四名、四五%でございます。その他の病院等に勤務する者四十二名となっておるところでございます。その他の四十二名の内訳を見てみますと、自治医大に帰りまして学生の教育指導に携わる者が九名、都道府県あるいは市町村立病院に九名、保健所に三名、その他大学病院に十一名、国立病院及び日赤等の公的医療機関に六名といったような内容になっております。
#70
○糸久八重子君 自治医科大学は僻地のプライマリーケアを担当する医師の専門的な養成をするところであるわけですけれども、事実上僻地医療を担っている国立病院とか療養所に対しても各県で養成した自治医大OBを派遣すべきである、そう思いますけれども、今都道府県に九名という数字をおっしゃられましたけれども、実際にこういう方たちはこういう国立病院それから療養所に勤務をしていると把握してよろしいんでございますか。
#71
○説明員(海老忠彦君) 義務年限明けの卒業生につきましては、国立病院に現在一名、その他日赤等の公的医療機関に五名といったような形で勤務をいたしておるという状況でございます。
#72
○糸久八重子君 それでは、大変細切れで申しわけございません、次の問題に移らせていただきます。
 柔道整復師の問題でございますが、社団法人日本柔道整復師会に加盟している柔道整復師以外では、いわゆる療養費払いでないと診てもらえない、これは不都合ではないかという趣旨の指摘を昨年の十二月十六日の本委員会で千葉委員がいたしました。この問題につきまして厚生省の考え方は当時と同じであると考えてよろしゅうございますか。
#73
○政府委員(下村健君) 昨年十二月にもお答えしたわけでございます。ただいま御質問の中でございましたように、千葉委員の御質問に対しまして、療養費払いについては実際に費用を支払った患者本人の申請に基づきまして、保険給付としての必要性あるいは妥当性というふうな点につきまして個別に判断いたしまして償還払いをするのが原則でございますというふうなことをお答えしたわけでございます。
 現在でもその点については変わっておりませんで、限定した範囲内で便宜措置を講じている、日本柔道整復師会のケースが限定した範囲内で便宜措置を講じているというふうに考えているわけでございますが、そういうふうな特別なもの以外は療養費払いについては療養費払いの原則によって支払うという考え方は変わっておりません。
#74
○糸久八重子君 限定した範囲内でということなのですけれども、このことは患者から見ても、それから非加盟の柔道整復師から見ても大変不利益な取り扱いだと思います。このような現状は、厚生省が行政指導によって、社団法人日本柔道整復
師会が都道府県レベルで知事と協定した場合だけ通常の保険給付と同じに取り扱うよう指示しているためでございます。
 内閣法制局にお伺いをしたいのですけれども、昭和五十六年二月十六日、第九十四国会衆議院の予算委員会で当時の角田内閣法制局長官は、行政指導の限界につきましてこう見解を示しておられます。
 行政指導は「相手方の任意の協力を得て行うものであって、国民の権利を制限し、又は国民に対し義務を課したりするような強制力を有するものではなく、行政機関の所掌事務の範囲内において行うものである」、「いやしくも行政権の濫用となったり、財産権の保障等の憲法の基本的人権を侵害することのないよう十分配慮することは当然である」、そう見解を示しておられるわけですけれども、非加盟の施設及びその患者の受ける不利益、不都合はここで示された権利の制限に該当するものではないのでしょうか。
#75
○政府委員(関守君) 行政指導につきましては、今御引用になりましたように昭和五十六年の二月十六日に角田内閣法制局長官がお答えしているところでございますが、それは、そのお答えも実は昭和四十九年の四月の質問主意書に対する答弁書で政府としての見解を述べたところを申し上げたその一部分であろうと思います。
 そこで、したがいまして、行政指導は一定の行政目的を実現するために相手方の任意の協力を得て行うものであり、国民の権利を制限したり、あるいは国民に対して義務を課すというような強制力を有するものではない。そういう性格からいたしまして、いやしくも行政権の乱用になったり、憲法の基本的人権を侵害するというようなことはあってはならないということも当然だと思います。
 今お話しの柔道整復師と、それから医療保険の適用につきましての行政指導の問題につきましては、私どもその内容とか経緯につきましてよく承知しておりませんが、今のお話、先ほどの厚生省の方のお話でございますと、代理受領について、被保険者の便宜を考慮して行った措置だということのように今お伺いしたわけでございますけれども、そういたしますと、この点について国民の権利を制限するというようなことになるのかどうかという点については、むしろそういう問題は生じないのではないかというふうに考えるところでございます。
#76
○糸久八重子君 柔道整復師が特定の民間団体に加盟しているかどうかによって営業上重大な不利益をこうむる。しかもそれを国の行政指導で行っている。この事実は、昭和五十年四月三十日の最高裁大法廷における薬事法第六条等に関する違憲判決と同様、違憲ではないかと思います。
 判決の理由の冒頭には、職業選択の自由は、職業の選択、開始、継続、廃止の自由だけでなく、選択した職業の遂行自体すなわちその職業活動の内容、態様も自由である。したがって、もしこうした自由を阻害する法律があれば、憲法二十二条一項、職業選択の自由ですけれども、に違反し、無効となるとあるわけですけれども、いかがでしょうか。
#77
○政府委員(関守君) 御指摘の薬事法の判決については承知しておりますけれども、先ほどのように、本件につきましては被保険者の便宜のための措置として代理受領を認めているというケースがある。そういうことを反面で認めておって、片方でそれを認めないというような、それを認めるかどうかという問題が直接その営業の自由ということに、今御指摘の憲法二十二条の職業選択の自由あるいは営業の自由というものにかかわりがあるというふうには考えておりません。
#78
○糸久八重子君 法制局ありがとうございました。
 それでは次に、エイズ問題について一問お伺いさせていただきます。
 日本のエイズ患者の特徴というのは、感染者は百八十七名のうち、血液製剤の投与によって感染した人が百五十九名で、その比率は八五%を占めているわけです。死亡者二十五名の中にも十六名、六四%を占めているわけですが、厚生大臣も百八通常国会の参議院予算委員会で我が党委員の質問に対しまして、疫学的、専門的な観点から見ると、血友病患者の五千人程度のうち、約三分の一程度が感染しているのではないかと答弁をしていらっしゃいます。
 エイズの問題でまず第一に解決すべきことは、血友病患者で輸入血液製剤の投与により感染された人々の救済であると思います。五月二十二日の当社労委員会の千葉委員の質問に対しまして、厚生大臣は、このエイズ感染の血友病患者の救済について、臨時国会の間に何らかの方向について報告しなければならないだろうと覚悟している、そう御答弁をなさっていらっしゃるわけですけれども、血友病患者救済方向についての御報告はいただけますでしょうか。
#79
○国務大臣(斎藤十朗君) 血液製剤によりましてエイズに感染されました血友病患者の方々につきましては、まことにお気の毒でありまして、その救済方法が何らかの形でとれないかということを検討いたしますということをお約束いたした次第でございます。そしてまた、この臨時国会中にその御報告はしなければならないと考えておりますというふうに御答弁申し上げたのも事実でございます。
 その後、省内におきまして鋭意検討をし、まさに前向きに、また具体的に今検討をいたしておるところでございますが、まだ御報告をさせていただくには至っておりませんが、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。この国会中には必ず御報告ができるように努力をいたしたいと考えております。
#80
○糸久八重子君 それでは次の問題に入ります。インフルエンザに関してでございます。
 毎年、莫大な予算と労力が使われてインフルエンザのワクチン接種が行われているわけですけれども、保育園や小中学校を主体にして、千五百万人という大規模な予防接種をしても、その流行によって毎年多数の患者発生と学級閉鎖を見ているんですね。予防接種していても流行して、そして学級閉鎖をするという状況なわけですが、ですからこのワクチンには効果がないのではないかという声も多く上がっているわけです。
 このような状況の中で、予防接種のあり方について検討するために、厚生省が六十一年度厚生科学研究費補助金の対象としてインフルエンザ流行防止に関する研究班を新設をし、そしてこのほど、六月二十五日にその研究報告が公衆衛生審議会インフルエンザ小委員会に提出をされたようでございます。
 そこでお尋ねをしたいのですけれども、その報告書の中に集団免疫効果について、報告書には、「集団免疫効果について確実に判断できるほどの十分な研究データはない」とあるわけですが、これはアメリカのモントら、一九七〇年の研究しかないということと理解してよろしいのでしょうか。つまり研究データはほとんどない。このモントの研究たった一つしかないと理解してよろしいのでしょうか。
#81
○政府委員(仲村英一君) インフルエンザの流行防止に関する研究班の報告でございますけれども、六十一年度の厚生科学研究費で行われたものでございまして、内外の文献をレビューしていただいたわけでございますけれども、御指摘のように、国内では研究手法の困難性からそのような研究はございませんでしたけれども、御指摘の米国のモント博士らの研究が私どもとして研究班から御報告いただいた唯一のものでございます。
#82
○糸久八重子君 このモントの研究によりますと、比較検討された二つの地域は地理的に十二マイルも離れているために、この比較が疫学的に妥当であるかについては疑問があるということなわけでありますけれども、そうすると集国免疫効果を科学的に確実に立証する研究データというのは一つもないということになりますね。いかがでしょうか。
#83
○政府委員(仲村英一君) このモント博士の研究は、学童のインフルエンザの罹患を減少させただけでなくて、その地域の他の非接種者のインフル
エンザの罹患をも減少させたという文献でございます。――おっしゃるように、この比較検討した相手の地域が地理的にかなり離れておる、十二マイル離れておるというのも事実のようでございまして、そのデータの読み方が疫学的に正しいかどうかということに疑問を差し挟む研究者もおられるというふうに聞いております。
#84
○糸久八重子君 そうしますと、昨年まで集団接種が行われてきておりますが、この接種については集団免疫効果があったと主張できる根拠は全くないということになると思いますが、この点はいかがですか。
#85
○政府委員(仲村英一君) 集団免疫効果の実際上の学問的な定義いかんにもよるかと思いますけれども、今まで研究班がおっしゃっておりますように、私どもといたしましても、予防接種の集団免疫効果を確実に判断できる研究は存在しないということになろうかと思います。
 ただ、後でも出てまいるのかもしれませんが、私どもといたしましては、個人に対する効果というのは多数の文献によって認められているということでございますので、おっしゃるような前半の御質問に対しては、答えはイエスということになろうかと思います。
#86
○糸久八重子君 次に、大流行対策についてなのですが、これまた研究班報告に、この十年間のインフルエンザの流行の規模は小さく、軽いが、大規模な流行が起こる可能性についても否定できずと書かれております。
 過去の大流行のときに統計上、最も死亡率が高かったのはどういう年齢階層の人たちでしたでしょうか。
#87
○政府委員(仲村英一君) 過去に大きな流行と申しますと、昭和三十二、三年のアジア風邪、それから四十三、四年の香港風邪、それから五十二、三年のソ連風邪でございますけれども、このときのデータを見ますると、罹患数は若年者に非常に高く出ておりますけれども、死亡者につきましては高年齢に行くほど高くなる、それからもう一つの山は乳幼児にあるというふうに私どもの統計は得られておるところでございます。
#88
○糸久八重子君 これら大流行の際に、厚生省はどのような対策をおとりになられたのでしょうか。
#89
○政府委員(仲村英一君) インフルエンザの予防というのはワクチンしかございませんので、私どもといたしましてはワクチンの接種を基本にしておりましたが、いろいろの法律上の問題等がございまして、勧奨で行ってまいりましたり、五十一年度以降は予防接種法に基づいた接種が行われたりしておりますけれども、いずれにいたしましても、インフルエンザの予防対策の基本となりますものは予防接種対策でございまして、それ以外に、もちろん一般的な健康保持、増進のための対策、その他いろいろの一般的な疾病対策も兼ね合わせておりますが、従前の私どものインフルエンザ予防対策の基本となりますのは、やはりワクチンであったというふうに考えております。
#90
○糸久八重子君 予防対策にはワクチンしかないということでありますが、過去三回の例を見ますと、ワクチン株の型とウイルスの型とが合わないで大流行になった。それもそうだと思うのですね。どんな型が流行するかわからないままに春にワクチン製造に取りかかるわけですから、ワクチン株とウイルス株との間の型合わせができなかった。言いかえてみれば、ワクチン対策は合致したときだけ効果があり、そうでなければ効果がないということになるのですね。どうでしょうか。
#91
○政府委員(仲村英一君) ワクチンに使用いたします株と実際に流行いたします株との乖離と申しますか、その点が非常にインフルエンザワクチンの場合には問題にされるわけでございますが、それは、御承知のように、インフルエンザのウイルスが変異しやすいということでございます。そのために、私どもといたしましては、できるだけ流行しそうな株というものを取り入れるような努力をしてまいっておりまして、例えばよく合っている年ももちろんあるわけでございまして、そこら辺のところを、どの程度一致すればどの程度効果があるかということは議論の集まるところだという学者の御指摘もございますけれども、もちろん株が、流行株とワクチンに使用しております株の抗原構造等が違えば、余り有効でない場合が起こり得るわけでございます。
#92
○糸久八重子君 型合わせをしようとすればするほど生産態勢に入るのが遅くなる、そうすると生産数には限りが出てきますね。その点はいかがですか。
#93
○政府委員(森幸男君) インフルエンザワクチンの製造の問題でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思いますが、このワクチンの製造につきましては、生産数量を予測いたしまして、前の年からそれに見合ういろいろな準備を進めているところでございます。流行株の決定という点について申し上げますと、その決定が四、五月ごろまでに行われれば、最近の製造技術の向上ということもございまして、生産数量に影響を及ぼすことはないというふうに考えております。
 ちなみに、昨年の例で申し上げますと、五月中に流行株の変更ということが確認されましたが、十月の接種時期までに予防接種量の確保ということが行われたところでございます。
#94
○糸久八重子君 少しでも型合わせが可能で、遅くなればなるほど正しい型合わせができると。そうなると、生産数も限りがあるということになりますと、先ほど最も死亡率が高いのはお年寄りだということでしたから、そういう高年齢者層に接種することにしてはどうなのでしょうね。そうすれば、冒頭申し上げましたような莫大な予算を使う必要もないし、千五百万人の児童生徒が痛い思いもしなくても済むし、そして副作用の心配も一掃されると思うのですけれども、いかがでしょうか。
#95
○政府委員(仲村英一君) 学童に集団接種することについての問題と、ハイリスクグループであるお年寄りに接種する問題とは別なことだと考えておりますけれども、前半の高齢者につきましての問題は、発病防止効果で言いますと、若年健康成人に比べて高齢者の場合にはやや低いということも学者の御意見として出ておりますし、ただし、一方、重症化防止効果については比較的効果率が高いということでございますので、そういう点では、お年寄りに接種することについて、なお専門家の先生方と御相談をするということは必要だと考えております。
 もう一方、学童についての問題でございますけれども、先ほども申し上げたかと思いますけれども、個人の発病防止効果あるいは重症化防止効果については、私どもとしては、学者の御意見でも認められておるということでもございますので、今直ちに学童を中心といたしました現在の仕組みで行っております予防接種を全く廃止するということは、なかなか考えにくいのではないかということを申し上げたいと思います。
#96
○糸久八重子君 研究班の報告の中に、「重症化の危険の少ない学童に画一的に接種を行う必要性は低いのではないか」という指摘もございます。また、既に選択制あるいは学校以外の場での個別接種に切りかえている自治体もあります。先ほど個人効果はあるということはおっしゃったわけですけれども、これら自治体の自主的判断に基づいた対応に関して、同じく昨年の十一月二十五日の同僚の千葉委員の質問に対しまして、市町村が法により義務づけられた接種としての位置づけを明らかにした上でならばあえて異論を述べるという考えはございませんと答弁していらっしゃいますけれども、この答弁に違いはございませんか。
#97
○政府委員(仲村英一君) 内容は相違ございません。
#98
○糸久八重子君 ここで言う市町村が法により義務づけられた接種としての位置づけを明らかにするということの意味は、救済制度が適用できるという意味だと理解してよろしいのでしょうか。それともほかにまだ何かございますか。
#99
○政府委員(仲村英一君) 先ほどお尋ねの大流行
時にどういう対策をしたかということでございますが、五十一年以前におきましては勧奨によりまして集団接種をするということで対応してまいったわけでございます。五十一年に法律を改正いたしまして予防接種法に基づく予防接種を始めることとしたわけでございますが、それ以前はどちらかといいますと、この研究報告書の中にも述べられておりますけれども、責任体制が必ずしも十分でなかったという面もあったということもございまして、法に明定いたしまして、先ほどお尋ねのように市町村が法により義務づけられた接種としておやりいただくということをいたしますれば、実施主体でございますとか、責任の所在でございますとか、費用負担等が明定されてくるわけでございますので、そこでお尋ねの救済制度につきましても同様の根拠を持つわけでございます。
 しかし、基本的にはやはり私どもが、今お尋ねのように現在の法の仕組みの中で市町村がおやりいただくということでこのインフルエンザワクチンの接種は行われているというのが事実でございます。
#100
○糸久八重子君 予防接種は学校とか保育園を会場として行われております。そして、担任の教師や養護教諭は積極的に指導する立場にあります。
 そこで、文部省にお伺いするのですけれども、これだけの協力をしている以上、市町村教育委員会、学校にも責任があると思いますけれども、いかがでしょうか。
#101
○説明員(込山進君) インフルエンザの予防接種につきましては、予防接種法に基づきまして地方公共団体が責任を持って実施しているところでございまして、学校といたしましては場所の提供あるいは事前の調査等、市町村との連絡を十分に密にいたしまして協力をしているところでございますが、そのことをもちまして直ちに学校側に法的な責任を問われるということはないというふうに考えております。
#102
○糸久八重子君 協力はするけれども責任はとらないというのが今の法制度上の体制のようですけれども、もし副作用事故が起こった場合に民事上あるいは道義上の責任は問われるのでしょうか。
#103
○説明員(込山進君) ただいまのように、学校ではこの法律に基づきます予防接種に場所の提供その他について協力をしているわけでございますから、先ほど申し上げましたように、そのことをもって法的な個々の責任を問われるというようなことはないと思いますけれども、やはりこの予防接種におきまして、本当にまれではございますが、健康被害の事故が生じているということも事実でございますので、そのような事故が児童、生徒に起こりましたならば、その当該学校の先生方につきましてはやはり心を痛める問題だろうと思っております。
 したがいまして、もし被害が生じた場合におきましては速やかにかつ万全な救済措置がとられることが大切だろうと思いまして、その意味をもちましても予防接種法で救済制度が講ぜられているというそのことが重要な意味を持っているというふうに考えております。
#104
○糸久八重子君 現場の教師たちが副作用事故が起こるのではないかということを予測して、もし起こったらどうしようか、道義的に責任を感ずるということで予防接種を実施したくないということでありますと、これに対してはどう対応なさいますか。
#105
○説明員(込山進君) 先ほど申し上げましたように、この予防接種は法に基づきまして市町村が実施主体となって、特に市町村と契約を持ちました医者が責任を持って実施するという建前になっておりますので、医療行為にかかわるような協力はしていないと思っておりますので、先ほど申し上げましたような学校の場所を提供する、これは学校行事との関係もございますので、そういった便宜を図る、あるいは一連の健康調査に協力するというようなことはやはり市町村と教育委員会、学校関係者がよく話し合って円滑な実施をしていただくのが望ましい方向かと考えております。
#106
○糸久八重子君 とにかく事故が起こらないということが最も好ましいことでありますけれども、厚生省の予防接種のハンドブックでは、個別接種方式は健康被害の発生を少なくすることが期待できるとした上で、個別接種体制の整備を推進する必要があると指摘しております。被害を少なくするためにも、医師による個別接種の方式をとって、教育現場とそれから医療行為とを分離すべきだろうと思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#107
○政府委員(仲村英一君) 御指摘の予防接種ハンドブックにも個別の接種体制の整備を推進する必要があるというふうに書いてございます。そういうことからいたしますれば、私どもとしても個別接種についてのメリットも十分あるということで理解できるわけでございますけれども、一方、集団接種方式についても私どもといたしましては効率的に多数の子供たちに一斉に免疫を付与できるというメリットがあるということで理解しておりますので、非常に実際問題としては捨てがたい方式だと考えております。
 もちろん、不測の事故が起こらないような注意を万々怠ってはいけないと思うわけでございまして、従前から私どもといたしましても、例えば会場の広さでございますとか、その会場の清潔度、あるいは照明の度合いとか、あるいは暖房とか、いろいろのことを考えるべきではないか、あるいはワクチンを取り間違えるというふうな事故も起きたりいたしておりますので、そのようなことのないような特別な配慮、あるいはワクチンを置いておく場所でございますとか、いろいろ細かい配慮をした上で、事故が起こらないような予防を十分配慮した上で集団接種というものも行っていくようにしてまいりたいと考えております。
 さらには個別接種のメリットと言われておりますような各個人の健康状態が十分把握できるということ、それほどまでにいかないといたしましても、例えば問診できめ細かくその子供たちの健康状態を聞いたりあるいは予診をしていただいたりして事故が起きないような十分な配慮を引き続きしていただきたいということをあわせて考えておるわけでございます。
#108
○糸久八重子君 とにかく集団接種は流行の対策にはならない、先ほども申しましたとおり株が合わないということもありまして。それから例えば集団接種の中で自由選択を取り入れたといたしましても、自由選択もいいだろうというふうに報告書には書かれてあるわけですけれども、学校から通知が来て大半の生徒が接種する中で、受けないということは大変難しいんじゃないかと思うのですわ。
 だからそういうことになりますと、実質的には自由選択といっても集団接種ということ、それを持続しようとするものの何物でもないと思うのですけれども、とにかく先ほども申しましたとおり、希望者は問診も十分時間をかけてできるように、学校では画一的で十分な子供の問診ができないんですね。それによって、問診が不足によって病気になった、障害者になったという例もあるわけですから、そういう意味では希望者が医療機関で任意な個別接種というのを採用すべきだと思うのですけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#109
○政府委員(仲村英一君) もしそういうことができますれば非常に理想的だとは考えますけれども、やはり効率の問題もございましょうし、医師会に御協力をお願いするというようなこともございまして、なかなかそのようには全部を切りかえるというのは難しいのではないか、したがって先ほど申し上げましたようなことで、集団接種を行う場合につきましても、いろいろの細かい配慮をし、さらに十分保護者にもこの予防接種の意義を御理解いただくような手だてもいたしまして、事故が起きないようなことで、なおかつインフルエンザの流行ができるだけ未然に防止できるようなことで今後も考えてまいりたいと思います。
#110
○糸久八重子君 それでは、公衆衛生審議会のインフルエンザ小委員会には厚生省としては今までのように集団接種を持続するということでお願い
をするわけですね。
#111
○政府委員(仲村英一君) 今、公衆衛生審議会の伝染病予防部会で御報告をいただきました「インフルエンザ流行防止に関する研究」のリポートを中心にいろいろ御検討いただいておるところでございまして、間もなく結論が得られるということで考えておりますので、その結論を待ちまして私どもといたしましてもできるだけ皆様方の御理解をいただいた形でどのようにするかを考えてまいりたいと思っております。
#112
○糸久八重子君 それでは、あと残された時間は六十三年度の予算編成の問題につきまして二、三お伺いをさせていただきたいと思います。
 まだ七月ですけれども、政府の予算編成は間もなく閣議で決められる、概算要求基準枠の設定から具体化すると思われるわけですが、社会保障費は人口の急速な高齢化に伴いまして毎年度必然的に巨額の当然増が生ずるという特殊性を持っているわけです。来年度につきましても、その額は相当額に達すると思いますけれども、どの程度と試算をしていらっしゃるのでしょうか。まだその財源捻国策はあるのでしょうか。
#113
○政府委員(長尾立子君) 先生お話しのとおり、社会保障関係の私どもの厚生省の予算は、人口の高齢化に伴いまして相当の当然増を生ずる性質を持っております。
 この金額はどれくらいになるかというお尋ねでございますが、現在予算をどういう形で組むかというのを検討しております最中でございますので、確たる数字を申し上げられないわけでございますが、通常の今までの傾向等を勘案いたしますと、七千億を超えるものになるのではないかということを考えておるわけでございます。
 この財源の手当てがあるのかということでございますが、これもある意味では今後我々は検討していかなくてはいけないわけでございますが、なお関係当局とも十分相談しながらやってまいるわけでございますが、社会保障は国民生活の基盤の事業でございます。この安定的な運営が何よりも大切な事業でもございますので、必要な予算額の確保にはぜひ努めたいというふうに考えておるわけでございます。
#114
○糸久八重子君 大臣は六月中、国内それから国外の各種の施設を視察なされたようでございまして、そして大変勉強されていらっしゃったようですが、それらを通じましてどのような御感想、御所見をお持ちになっておられるでしょうか。
 また、その成果の上に立って、我が国の社会保障施策をどのような点に力を入れて拡大、充実させていったらよいとお考えになっていらっしゃるでしょうか。
#115
○国務大臣(斎藤十朗君) 国会の閉会中、六月の十日から約二十日間ぐらいにかけまして、国内で二十一カ所、ヨーロッパで七カ所、合計二十八カ所の施設をできるだけ厚生行政の幅広い観点から網羅して視察をいたしてまいりました。
 感じましたことは、それぞれの施設等で働いていただいている方、また施設に入所されたりまた施設を利用されている方々について大変明るい雰囲気で前向きに取り組んでいただいているということを感じたところでございます。同時にまた大変すばらしいアイデアと、いい施設等あるわけでございますが、こういった施設の今後の普及ということにも力を入れてまいらなければならないというふうに感じました。
 また、ヨーロッパ等を視察いたしまして、日本の社会福祉施設等についても決して遜色のないところに発展をしてきているということを感じさせられたところでございます。
 こういったことを踏まえまして、これからそれぞれの施策、または施設等の連携を一層とっていく必要があるのではないか。まだこれからの施策の立案につきましては、決してデクスワークに陥ることなく、それぞれの場で携わっておられる方々の意見等を十分に組み入れて、施策の推進を行っていくということをもう一度厚生省の各担当の人たちに再確認をしてもらいたい、こういう気持ちで指示をいたしたところでございます。
#116
○糸久八重子君 大臣のすばらしい御決意をお伺いしたわけでございますけれども、新行革審も投資的経費に関してはシーリング枠を外すという考え方を明らかにしております。
 社会保障費の当然増についてもその枠の確保を図っていかなければならないと思いますけれども、どうぞ六十三年度の予算につきましては力いっぱいの努力をなさってくださいますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#117
○委員長(関口恵造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#118
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#119
○初村滝一郎君 私は、原子爆弾被爆地域の拡大について厚生省側の意見をただしたい、かように思います。
 被爆後四十有余年を経過した今日、原爆の後遺症に悩み、高齢化も相まって、介護の問題、あるいは医療、健康不安等の問題を抱えながら、被爆地域として指定を受けられないために現行の原爆医療法を初め法の援護の傘に入らない人がたくさんおることは、皆さん御承知のとおりであります。長崎における地域拡大については、過去昭和四十九年、さらに昭和五十一年に一部の地域が健康診断の特例区域に指定されたにとどまって、その後何ら今日まで進展していないのが実情でございます。
 御承知のとおり、この被爆地域の指定については、昭和五十五年、原爆被爆者対策基本問題懇談会から、科学的、合理的な根拠のある場合に限って行うべきである旨の答申が厚生大臣になされておるのであります。これを受けて政府は、以後、被爆地域拡大の問題については一貫して厳しい対応に終始しているのが今日のありさまであります。
 きょうはこのような経緯を踏まえた上で、特に長崎関係住民を初め県民挙げて多年にわたって念願しております被爆地域拡大問題について御質問をいたしたいと思いますので、政府の確固たる所見をお伺いしたいと考えております。
 まず最初に、六十年実施の被爆者実態調査が明らかにされました。被爆四十年経過後の生存者調査、それはそれで期間と経費をかけて調査したのであって、十分今後施策の充実に役立てていただきたいと思います。しかしながら、原爆被爆とはどこまでの地域なんだろうか、どういう人を指すのかという根本的な問題について判断に誤りがありますと、あるいは調査が不十分でありますと、その実態調査は全く欠陥のあるものと言わざるを得ないのであります。私がこのようなことを申し上げるのは、午前中も社会党の方から質問があったとおり、広島県における黒い雨の地域が全面的には被爆地域として指定を受けていないのと同様に、長崎県においても地域の指定に問題があるからであります。
 そもそも厚生省はこの被爆地域の指定についてどのような考え方で行政の執行を行っているのか、まずお伺いしたいと思います。
#120
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの被爆地域の指定の考え方でございますけれども、長崎について申し上げますと、被爆地域は原爆投下時の長崎市域を中心にいたしまして爆心地からおおむね五キロ以内の隣接区域を含めましたものでございまして、また健康診断特例地域につきましては被爆地域以外の地域で爆心地よりおおむね六キロメートル内を目安に行政区画を考慮いたしまして定めたものでございます。
 拡大の要望ということも伺ってはおりますけれども、被爆地域等の拡大問題につきましては、今も先生おっしゃいました昭和五十五年の基本問題懇談会の報告書にもございますように、科学的、
合理的な根拠のある場合に限って地域指定を行うべきではないかという御意見もございますので、そのような形で従前からやってまいっておるところでございます。
#121
○初村滝一郎君 厚生省は、去る二月六日、NHKでテレビ放映されました「よみがえった被爆データ・追跡・放射性降下物」の内容を御存じでありますか。
#122
○政府委員(仲村英一君) そのような放送があったということを承知しております。
#123
○初村滝一郎君 私はそのテレビ放映の台本を取り寄せていろいろな角度から研究してみたわけであります。その結果は、これは十分科学的根拠を有するものであるという結論になったわけであります。したがって本日質問しているわけでありますが、その内容について厚生省がもしお調べになっておるとするならば、どのような評価をされますか、ひとつ御見解を賜りたいと思います。
#124
○政府委員(仲村英一君) テレビの中で示されておりました残留放射能の昭和六十二年の追跡値というのが出ておったようでございますけれども、私どもといたしましては、この数字は昭和二十年、二十一年に日本学術会議が調査報告されました実測値にほぼ一致するということで理解しておるところでございます。
#125
○初村滝一郎君 厚生省側は理化学研究所が研究した数字とほぼ一致したというふうにお答えになりましたが、大体このテレビ放映の内容は、被爆後、昭和二十年十二月から翌年一月にかけて、理化学研究所がネアー型測定機をもって測定した測定値が、ネアーに不信があってそのまま発表されずに今日に至ったと思います。その当時の測定によりますと、雨や風によって運ばれた放射能の流れというものは今日施策の前提となっているものと相当食い違っておるのではないかということがわかったようであります。
 残留放射能は、私たちが被爆地域拡大を要望している長崎の西山から矢上の方向に行って、それから千々石、島原半島、最後には島原市内の方まで横に高くなっているのであります。やはり天候の関係で風がそのように吹いたと想像できるようであります。また、私が一番関心を持っている間ノ瀬という地区もほぼその中に入っているのであります。こういったデータは今日でも保存されていると聞き及んでおります。これは立派な科学的根拠ではないかと思います。
 したがって、もう一度、こういった資料を分析調査して、地域指定の拡大につなげてほしいというのが私の念願であります。決して後ろ向きではだめです。前向きになって、積極的な姿勢で対応していただきたいと思いますが、厚生省側の見解をただしたい。
#126
○政府委員(仲村英一君) 今回示されましたデータは、先ほども申し上げましたように過去の調査結果と内容的にほぼ一致しておるわけでございまして、私どもとしては、ここで新たに再調査をする必要性はないのではないかと考えておるところでございます。
 今回示されたデータが事実といたしまして、私どもこれをもとに矢土地区の生涯被曝線量を計算してみましたところ、最高二ラド以下ということでございまして、過去四十二年間の自然放射能に比しても高いものとは言えないという結論を得ておるところでございますので、この資料を根拠に、直ちに被爆地域等の拡大を行うのは、まことに申しわけございませんが、非常に困難だということで判断しておるところでございます。
#127
○初村滝一郎君 今の答弁ははっきり了解しておらぬわけですが、なかなか困難なところもあるでしょう。あるでしょうが、やはり被爆者にしてみれば、NHKが全国的に、よみがえった原子爆弾の実態というものを公開したんですから、私どもの地域拡大をどうしてくれるのかと。その証拠が科学的でなければされませんというのが厚生省の今日までとってきた態度である。それをNHKで一般公開をしたんですから、市民もやはりそれを盾にとって、ぜひ前向きでやってもらいたいという要請が私どもの方に常にあるわけであります、二月六日以降。
 再度、前向きの答弁をしてもらいたい。
#128
○政府委員(仲村英一君) 先ほども申し上げましたように、地域拡大につきましては科学的、合理的な根拠が必要だということで五十五年の御意見をいただいているわけでございまして、私どもといたしまして、先ほどの調査結果自体は昭和二十年、二十一年の調査と非常に合致をしておるということでございますので、ここで新たな科学的、合理的なデータが発掘されたというふうな考え方には至っておらないわけでございまして、そういう意味では、先ほどもお答え申し上げましたように、残念ながらこの資料を根拠に被爆地域の拡大を行うのは今直ちには困難であるということでお答えせざるを得ないわけでございます。
#129
○初村滝一郎君 私は、このNHKの台本をとってきてずっと見たんです。あなた方は見たことがありますか、これ。ありますか、ないか。
#130
○政府委員(仲村英一君) 厚生省として拝見させていただいているようでございます。
#131
○初村滝一郎君 拝見した一やっぱり国民の声というものを聞かなきゃいかぬね。あなた方が見て、これは前のと一緒だったけれども、科学的に改まったところはないというような答弁のようですが、それでは私は納得しない。
 私ども県民は、これはいいものが出たな、これで私どもも拡大指定ができるなどいう希望をつないでおるんだから、やっぱりこれは前向きで今後研究してもらいたいということにしておいて、次の質問に移ります。
 厚生省は、長崎市が去年の十一月、五十八年と五十九年において被爆地域拡大是正要望区域住民の健康診断を実施した調査結果をもとに要望書が出されていると思いますが、その分析をされましたかどうかお尋ねいたします。
#132
○政府委員(仲村英一君) 御指摘の調査でございますけれども、昨年十一月に長崎市から私どもの方へ「原子爆弾被爆地域拡大是正に関する要望書」というのが提出されておりまして、その附属資料といたしまして「健康調査の実施状況」というものが添付されております。そこの中に、地域拡大要望地区の健康診断結果とあわせまして現行の指定地域等との比較をなされておるということで私ども検討をしておるところでございます。
#133
○初村滝一郎君 私に与えられた報告によりますと、健康診断の結果では、受診者が七千二百九十九名、うち何らかの病気にかかっている者が二千二百二十二名であります。そのうちで健康管理手当支給対象疾病者は千八百七十名、発現率は二五・六%となっているのではありませんか。この数字は、既に指定を受けている地域と比較して有意の差がないのではありませんか。この数字を正当に評価すべきであると考えますが、厚生省はどういうふうな見解を持っておられますか。
#134
○政府委員(仲村英一君) この御報告でございますけれども、健康診断の結果といたしまして、いわゆる十一の健康管理手当支給対象疾病の保有率と申しますか発現率につきまして、拡大要望地域につきましては千八百七十人、今おっしゃいました数字で二五・六%でございます。私どもがかっての四十九年あるいは五十一年に拡大要望されました地域の障害の発現率は二十数%になっておりますが、これは八障害、当時の八つの障害についての発現率でございますので、このまま両者を比較するのは多少無理があるのではないかということで考えております。
 長崎市の全体の、既に被爆地域と指定されております区域の、この十一の種類の障害の発現率は六二・五%という数字が出ておりますので、私どもとしては、この拡大要望地域が既に指定されております地域と同程度という形では認めにくいのではないかと考えております。
#135
○初村滝一郎君 大臣、私は今までの質問を大臣には問わなかった。それは、一々細かいことをあなたに質問をしますとなかなかいろいろ問題も起きようかと思いますので、私は特にきょうはお願いをして、NHKのテレビ放映によって私どもの盛り上がった考え方を大臣に訴えて、そして大臣
の気持ちを聞きたいというのが今回のねらいであります。
 そこで大臣、長崎における原爆被爆の実態について今まで役所の方にただしたわけです。地域の指定が私は十分でないと思う。また、私が今話したことは、すべてNHKの台本に基づいての研究の結果、科学的、合理的根拠があると私は信じておる。したがって、厚生省において、大臣においては、再度、二月六日放映したものをずっと、どういう理由であれを放映をしたのか、そういう原因等も調査検討されて被爆地域の拡大を約束していただきたいと思うが、どうでしょう、大臣。
#136
○国務大臣(斎藤十朗君) 初村先生も冒頭に御指摘になられましたように、昭和五十五年の原爆被爆者対策基本問題懇談会の報告で示されておりますように、既指定地域との単なる均衡論で地域拡大を行うことは関係者間に新たな不公平を生み出すおそれがあるので、科学的、合理的根拠のある場合に限って地域指定を行うべきである、こういう考え方が報告をされておりまして、この考え方に基づいて、政府は一貫して取り扱ってまいっておるわけでございます。
 本日、先生から御指摘のございましたデータ、これの正確性について疑うものではないわけでございますけれども、しかしながら、そのデータをもって直ちに地域拡大のための科学的、合理的な根拠と考えるには少し無理があるのではないか、こう思うわけであります。しかしながら、現在、原爆線量の再評価結果が発表され、またその人体への影響などについても検討作業が進められているところでございますので、専門家の方々とも御相談をしてみたいと思います。
#137
○初村滝一郎君 専門家の方々とも相談をしてみて、前向きで検討するということに了解していいですね。
#138
○国務大臣(斎藤十朗君) 御専門家の方と御相談をしてみます。
#139
○初村滝一郎君 時間がまだあるようでありますが、私は、昭和五十四年五月二十二日、時の橋本厚生大臣に質問をした速記録を今取り上げて御披露するんですが、こういうくだりがある。これはよく政府側は聞いておってください。
  時津村と長与村を指定地域にする場合に、右端の黄色い線、これは伊木力村、大草、喜々津村、これは町村合併をして多良見町という、時津、長与町が指定された時点で多良見町も実は追加してきたんです。どうしても事務的処置が間に合わないからして一年待ってもらいたい
という御回答があって私どももそのままにしておるわけですね。
 したがって、時津、長与を指定する場合に、事務的に多良見町が間に合わぬから一年待ってくださいというのは厚生省側の言う答弁ですよ。それを私に言ったから私は待っておったら、今日までそれをしておらない。これはどういうわけでしょうか。だからして、そういうものも含めて、ただいま大臣が答弁されたように、関係者とよく相談をしてさらに前向きで検討するということで私も了解をして質問を終わります。
 ありがとうございました。
#140
○中西珠子君 七月三日付の朝日、毎日、読売その他の新聞に報道された事件でございますが、東村山の産婦人科の医院の新生児室で、七月二日の未明、二人の新生児が相次いで突然に死亡するという事件がございました。
 この赤ちゃんは正常分娩で生まれて何の異常もなかったということなのですが、二人の赤ちゃんがほとんど同時に死亡されたという非常に異常な事件だと思われるわけでございます。亡くなられた赤ちゃんの親御さんの御悲嘆はいかばかりかと心から御同情申し上げるとともに、亡くなられた赤ちゃんの御冥福を祈るわけでございますが、死亡した赤ちゃんの親御さんが、死因が大変不審だということで警察に訴えられたそうです。私のところに病院長と親御さんの話し合いのテープがあるわけでございますが、院長は、何が起きたのかさっぱりわからない、私にもわからないと繰り返しておりまして、死亡時の状況説明がないわけでございます。
 警察がこの事件を今担当して調べていらっしゃると伺いましたが、この事件の事実関係はどのようになっていますか。警察の方で説明していただきたいと思います。
#141
○説明員(広瀬権君) お尋ねの件は、本年七月二日未明、東京都東村山市内所在の山地産婦人科クリニックの新生児室におきまして新生児二名が死亡したものでございます。当時、同クリニックには、新生児二十名が保育中でございましたが、うち十六名が新生児室にいたものでございます。
 本件につきましては、事案を認知するとともに、警視庁におきまして関係者からの事情聴取、司法解剖、現場検証等を行い、死亡原因の解明等、所要の捜査を鋭意推進しておるところでございます。
#142
○中西珠子君 保育中の新生児が二十名いたということでございますが、やはりお産を終えたばかりのお母さんも入院していたわけでしょう。それは何名だったんですか。
#143
○説明員(広瀬権君) 同じく二十名と聞いております。
#144
○中西珠子君 その夜の宿直の人はたった一人であって、二十八歳の助産婦さんが一人で宿直をしていたと聞いているわけですが、それはそのとおりですか。
#145
○説明員(広瀬権君) 事故当時におきます同クリニック内での午後六時から翌日の午前八時三十分までの間の宿直勤務者は看護婦一名であったという報告を受けております。
#146
○中西珠子君 この看護婦さんが赤ん坊にブドウ糖水を飲ませて、そしてうつ伏せに寝かせて、自分の仮眠をとる部屋に行って、一時間ほどして戻ってきたら、この二人の赤ちゃんが呼吸困難に陥っていたというのですが、それは本当ですか。
#147
○説明員(広瀬権君) ただいまの捜査状況では、そのように報告を受けております。
#148
○中西珠子君 病院側に落ち度があったのではないかということが、また大変問題にされているわけですけれども、この二十名の新生児とやはり同じ数の二十名の産婦さんというものを合計、赤ん坊と大人と合わせて四十名になりますが、この人たちをたった一人の宿直で見ることは大変難しいと私は思うのですが、この病院側の管理体制というものについては十分であったと厚生省はお考えになっておりますか。
 また、新生児の介護についての基準というものはございますかどうですか、厚生省にお伺いします。
#149
○政府委員(竹中浩治君) この産院は有床診療所であるわけでございますが、この有床診療所の人員配置につきましては、具体的な基準は定めていないわけでございます。しかし、診療所におきまして、医療に支障が生じないような体制を組むことは当然のことでございまして、入院患者のいる診療所においては夜間も適切な人員配置をすることが必要だと考えております。
 先ほどからお話がございましたように、この産院では夜間に看護婦または助産婦が一人勤務をするという体制でございますが、この診療所の医師でございますが、これも同一の建物の中の自宅に居住をしておりまして、一応直ちに対応する体制になっておるというふうに聞いておるわけでございます。
 私どもも私なりに事実の把握に努めてまいりたいと考えております。
#150
○中西珠子君 たった一人で宿直をしていた助産婦さんと報道がありますが、看護婦ということであるか、どちらかわからないんですが、とにかくその女性が赤ちゃんがおかしいというので先生を呼んできたところ、もう先生がなすすべもなかったということらしいんですね。こういう産婦人科の医院で救急の設備が全然ないところで、急に容態がおかしくなったときにもっと設備が整っているところへ救急車でも何でも呼んで送ってくれればよかったのにというのが親御さんたちの非常な不満でもあるわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。厚生省ではどのように考えていらっしゃいますか。
#151
○政府委員(竹中浩治君) この診療所では救急の指定を受けていなかったと思いますが、その場合にその医療機関で緊急に対応できない、あるいはもっと高度の医療機器等が必要だという場合には、それは適時それぞれの診療所で医師の判断に基づいて必要なところに転送していただくということであろうかと思います。
#152
○中西珠子君 この場合は、緊急の措置として緊急の設備のあるところに運んでもらえなかったということが一つあるわけですが、この赤ん坊の死因というものがわかっていないという状況であって、今鋭意捜査中であるということをお聞きしていますが、今のところ窒息死というふうに考えられているわけでしょうか。
#153
○説明員(広瀬権君) ただいま詳細な鑑定結果を待ちませんと死因が何であるかということは明らかにできない状況にございますので、明確なお答えはただいまのところできない状況でございます。
#154
○中西珠子君 ブドウ糖水を飲ましてすぐにうつ伏せに寝かして、そしてさっと仮眠室か何かに引き揚げていって一時間たって帰ってきたということなんですが、厚生省ではうつ伏せに寝かせることについてはどのような指導をしていらっしゃるのですか。
#155
○政府委員(竹中浩治君) 新生児の取り扱いについては、私どもの方では児童家庭局の母子衛生課が担当しておるわけでございますが、うつ伏せに寝かせること自体につきましては通常行われておることでございますので、問題はないんではないかと思います。
#156
○中西珠子君 厚生省の方では、この産院は診療所、クリニックに当たるからとにかくその管理体制には余り問題はなかったと思うという御答弁でしたけれども、テレビなんかの報道によったり、またいろいろの方の御意見を聞いてみますと、一人の看護婦、一人の助産婦の人が新生児を十分に面倒見られる最大限度というのは六人だということが言われているわけですね。二十名の新生児というものの面倒も見なきゃいけないし、また同じ数の二十名の産婦の面倒も見なければいけないという状況に置かれた宿直の女性というものがどのような状況であったかということはわかりませんけれども、厚生省の方のやはり管理体制の基準というものをもう少し強めていただいて、このようなことが二度と起きないようにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#157
○政府委員(竹中浩治君) この産院での状況がどういうことであったか、警察庁からもお答えがございましたように、まだ最終的に状況把握ができていない段階かと思います。いずれにいたしましても、その結果等を見まして必要な指導、対応をしてまいりたいと考えております。
#158
○中西珠子君 厚生省の方でも最終的に状況把握ができていないから、それによって原因、その他状況の解明があった場合に対応するとおっしゃっておりますが、警察の方では、この事件に関して一層捜査を深めていただいて、死亡の原因を究明していただきたい、そして二度とこういうふうなことが起きないように厚生省とともにやはりやっていただきたいと思うのですが、警察の方の所信、決意のほどを伺いたいと思います。
#159
○説明員(広瀬権君) お尋ねの件につきましては、現在業務上過失致死容疑事案として死亡原因を含めまして事案の解明に努めておるところでございますが、今後とも鋭意捜査を推進してまいりたいと思います。
#160
○中西珠子君 どうぞ鋭意捜査を進めていただいて、この事件の真相の解明に当たっていただきたいと思います。
 厚生大臣はこういう事件の起きたことについてどのようにお考えでいらっしゃいますか。新生児は二十名、それから産婦が二十名いても現在の体制のままでよいとお考えでいらっしゃいますか。こういう事件の起きないようにやはり新生児の管理ということについてはもっともっとよく指導をしていただき、管理体制も強めていただきたいと思うわけでございますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
#161
○国務大臣(斎藤十朗君) 東村山市におきまして二人の新生児が亡くなられたということにつきましては本当に痛ましい事件であり、心から哀悼の誠をささげたいと思います。
 夜間の診療所における体制につきましては、本来開設者である医師の判断なり、またそれに基づく医師の責任において行われるべきものとして、法的には決められていないわけでございます。それというのは、やはりそれぞれの置かれている状態、入院されている患者さんの疾病の種類、またそのときどきの状況、そういうことにおいて開設者たる医師が判断をし、責任を持って対応すべきである、こういう考え方であろうと思うわけでございます。
 でありますので、一律にこの基準を決めてしまうということはかえっていろいろな問題をまた起こすことにもなろうかと思うわけでありまして、将来におきまして何か幅の広いガイドラインのようなものを設けるというようなことは今後、検討の後あり得ることかなというふうに思わしていただいておりますが、いずれにいたしましても、今回の件についての事実関係を十分把握いたしまして、適正に対応いたしてまいりたいというふうに考えております。
#162
○中西珠子君 いずれにいたしましても、このような事件が二度と起きないように厚生省は指導していただきたいと思いますし、今大臣のおっしゃいましたガイドラインというふうなものの作成、それから強力な指導というものもやっていただきたいし、やはり一律に基準を決めることはできないとおっしゃいましたが、ある程度基準をきちっと決めていただきませんと、このようなことが再び起きるということになりますので、管理体制の強化ということをやはりお考えいただきたいと要望するわけでございます。
 警察につきましては、一層捜査を深めていただきまして、一日も早く真相の解明をお願いしたいと思います。
 警察の方どうもありがとうございました。これで結構でございます。
 赤ちゃんの問題を今お聞きしましたので、それとの関連でちょっと、ベビーパウダーの中にアスベストが混入していたというショッキングな報道がございましたので、それにつきまして厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
 アスベストが混入されているベビーパウダーは、「医学のあゆみ」という医学週刊誌の七月四日号に出ているわけでございますが、これは以前からこの神山さんと森永さんという方は、ベビーパウダーの中のアスベストについて調査をしていらしたというふうに理解しておりますが、初めの調査の後で厚生省は何らかの措置を既におとりになっているのかどうか。
 多分とられて指導されたのだと思いますが、今回もまた十一社十九製品のうちの五製品にアスベストが含まれていたということでございまして、この論文を書いた方々は、アスベストがベビーパウダーに含まれているということは、発がん物質ではありますが、殊に若い年齢でアスベストにさらされるということは中皮腫に罹患する危険性が非常に高いから、アスベストがベビーパウダーに含まれないように、混入が避けられるように早急の措置が必要だと訴えておられます。そしてまた、消費者団体の方々は、アスベストが混入している製品は直ちに回収するべきだ、そして製造をした会社の名前も公表するべきだと主張をしておられますが、この問題についての厚生省の対応についてお伺いいたします。
#163
○政府委員(森幸男君) 今、先生のお話ございました神山先生の調査によりまして、アスベストの検出されましたベビーパウダーを製造いたしております企業に対しましては、昨年来企業個別にアスベストが検出されないタルクを使用するように指導をしてきたところでございますし、また同時に、昨年十月には業界団体に対しましても、広くベビーパウダー中のアスベストに関しまして同様の注意喚起を行ったところでございます。
 さらにこの徹底を図るという観点から、本年の三月からベビーパウダー等の品質確保に関する検討会というものを設置いたしまして、品質確保のための規格及び試験方法を早急に取りまとめるべく現在検討を行っているところでございまして、その結論を待ってさらに指導の徹底を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
#164
○中西珠子君 試験方法が大変難しくて、各企業でその試験を行うということは、施設の面からもいろんな面から大変無理なことだと聞いております。エックス線の回折計を使わないとアスベストが果たして含まれているかどうかということがわからないから、そういったものを持っているところは皆無と言ってもいいぐらいで、なかなかこれは難しいことと聞いておりますが、どのような対応をなさるおつもりですか。
#165
○政府委員(森幸男君) 今、先生御指摘のようになかなかこの試験方法は難しい技術を要するようでございますが、いずれにいたしましても、そういう試験がこの規制のもとになるものでございますから、そういう能力を持っている試験機関というようなものを企業にも紹介をいたしまして、もしそういうところを利用することが必要な企業につきましては、そういう方向で対応していただくように指導してまいりたいと、かように考えております。
#166
○中西珠子君 アスベストが混入している製品の名前を公表して、そして直ちに回収すべきだという消費者団体の意見についてはどのようにお考えですか。
#167
○政府委員(森幸男君) 御指摘のありましたそのベビーパウダーの安全性につきましては、これはこのベビーパウダーを使用したことによって健康上の問題が生じたという報告は現在のところは全くございません。また、この使用実態から見まして、人体の影響を考えて決められております労働環境基準というものに照らした場合でも、安全性の面では問題はないかと思っておりますけれども、先ほど申しましたように、より品質を高く確保するという意味でその規格及び試験方法の検討を急いでいるというのが実態でございます。
 それから、神山先生から御指摘のありました五つの企業のうち、既に昨年秋の段階で製造を中止しておりますのがもう二社ございます。その他の三社につきましても、安全なタルクへの原料の切りかえであるとかあるいは徹底した品質管理を行っているということで、昨年秋以降に製造されたこれらの企業の製品につきましては問題はないのではないかと、かように考えております。
#168
○中西珠子君 安全性確保のための規格を今検討中でいらっしゃると聞きましたが、いつごろその規格ができる予定ですか。
#169
○政府委員(森幸男君) 今試験内容等につきましてかなり煮詰まってまいっております。もう一歩の段階まで来ておりますので、さらにこの検討を進めて、できるだけ早くこの規格及び試験方法を決めるように努力をいたしたいと、かように考えております。
#170
○中西珠子君 できるだけ早くというお話ですが、大臣はこの問題についてどのような御所見でいらっしゃいますか。
#171
○国務大臣(斎藤十朗君) ベビーパウダーの中にアスベストが検出をされたということは大変重大な問題でもございますので、先ほどから答弁を申し上げておりますように、昨年の春以来、製造メーカーまた業界等にそれぞれ指導をいたしますとともに、厚生省におきましても、品質確保のための検討会を設け、鋭意検討をいたし、このアスベストの検出方法なども含めて検討を急いでおるところでございます。
 この検討の結果を踏まえて、一層安全なベビーパウダーが提供してもらえるように強く指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
#172
○中西珠子君 日本はアスベストに対する対応が大変おくれているわけです。諸外国に比べますと非常におくれていると言ってもいいのではないかと思うわけでございますが、労働省の方では労働環境に関するアスベストの基準がありますが、厚生省の方でもベビーパウダーを含めまして早く基準をおつくりくださいまして安全性の確保を急いでいただきたいと御要望を申し上げます。
 次に、もう一つ簡単にお聞きしたいんでございますが、最近国際化が進展している中で、私立の学校も公立の学校も大学も高校も、また中学も含めまして外国人の教師がどんどんふえております。また、商社や百貨店なんかでも外国人の社員というものがふえておりますが、こういったかなりの期間日本に在留して教えたり仕事をしたりするという外国人に対して、厚生省はどのような医療の保障、年金問題などに――まあ一連の方針をお持ちでいらっしゃると思うのですが、どのような方針をお持ちでいらっしゃるかお伺いいたします。
#173
○政府委員(水田努君) 共済組合の適用事業所にお勤めの方は共済組合法の適用を受けるわけでございますが、厚生年金あるいは健康保険の適用事業所に勤務の方は国籍のいかんを問わず、それぞれ医療及び所得の保障をするという方針のもとで処理をいたしておるところでございます。
#174
○中西珠子君 今共済組合のお話が出ましたので、共済組合関係の方から大変困った問題だと言われていることをちょっとお聞きいたしますが、例えば私立学校の共済組合、私学共済でございますが、私学で教えている外国人教師に共済組合員になってもらうときに当たりまして、大変困った問題がある。
 それは公務員の共済もそうだと思いますが、医療をカバーする短期給付と、それから年金関係の長期給付、これを一本にまとめて掛金を払うということになっておりますが、外国人の教師は短期給付の医療の方は欲しいけれども、年金の方の長期給付は入ったくない、これを分離して短期給付だけ入らしてほしいという主張をされる方が大変多くて困っているということなんです。それで、長期給付は年金の掛金を掛けていても、年金がもらえるころになると自分は本国に帰ってしまっていてむだになってしまう、だからこれは短期給付と長期給付を別々に扱うことによって、保険料も短期給付だけを払うというふうにさせてもらいたいという要望が多くて困るという話を聞いているわけでございますが、この点は文部省の福利課はいかがお考えでいらっしゃいますか。
#175
○説明員(伊田和身君) 先生御指摘のように、私立学校共済組合の制度は国家公務員等共済組合、それから地方公務員等共済組合と同じように医療の短期給付、それから年金である長期給付を一体の制度といたしまして、これは相互扶助、相互救済組織を生かした社会保険制度として行われているわけでございますが、これを外国人教員についてだけ特例的に任意加入を認める、ないしは短期給付のみを適用するというようなことは、したがいまして制度的に大変困難な問題であると考えている次第でございます。
 仮に、御指摘のような措置を講ずることとした場合に、いろいろ不都合が出てまいります。例えば、勤務時間中の万一の障害とか死亡がありました場合に、それに対する保護が欠ける方々も出てくるというようなこともありまして、いろいろ問題が生ずるということで、制度的に極めて困難な問題であると考えている次第でございます。
#176
○中西珠子君 長期給付の場合に、ただいまおっしゃったような障害とかそういったものが起きたときにはもちろん掛けていた方がいいわけですけれども、障害が起きるなんて本人は考えてもいないでしょうし、そして、とにかく日本に滞在中の年金の掛金がむだになるという主張はもっともな面もあると思うわけでございます。
 そこで、外国の年金と日本の年金との通算制というものが私は必要だと思うんです。ヨーロッパの国々では年金通算制がございますが、日本ではまだなかなかそこまでいかない。かつて、日米間の年金通算制の交渉というのがあったと聞いておりますが、それが今中断している理由は何でしょうか。
#177
○政府委員(水田努君) 国際的な人事交流が活発化することに伴いまして、年金に関します国際協
定の必要性というのが国内的にも、先生御指摘のように国際的にも高まってまいっているわけでございます。
 私ども、年金の通算協定を結ぶ目的は二つあろうかと思います。一つは、先生御指摘の短期滞在者の掛金の掛け捨ての防止。それから、いずれの国の年金権も取得できない場合がございますので、それを通算して年金の受給権を保全してやる。この二つの目的があろうかと考えております。私ども厚生省としましては、こういう内外からの要請にこたえまして非常に人事交流の多い西ドイツ及びアメリカと協定を結ぶべく鋭意努力を重ねているわけでございます。
 先生は、ドイツ、それからアメリカの協定というものがどういうところに問題点があって、必ずしも進展していないのか、これがお尋ねの趣旨がと思いますが、現在交渉中でございますので、具体的内容を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、大変抽象的に申し上げますと、まず、協定を結ぶ場合には協定の目的について両国が完全に合意に達する必要が一つあろうかと思います。
 それから次に、もともと日本とアメリカ、日本とドイツとの間は年金制度に非常に違いがあるわけでございまして、違いのあるものに通算という形でブリッジをかけるわけでございますが、そのブリッジをかける場合にある程度割り切りをして妥協点を見出し、その妥協点に従って協約を結ぶということになるわけですが、その妥協点の到達した内容というのがそれぞれの国の年金の家風に合う合わないという問題や、やはりそれぞれの国で国会の承認、手続というものを経る必要がございますので、それは両国の政府が非常に国会というものを意識するわけでございまして、それぞれの国の年金制度の家風に合う妥協点が見出せるかどうか、大きく言ってこの二点が一番中心的な問題点になるわけでございます。
 非常に要請も強いことでございますので、私どもも鋭意努力をいたしているところでございまして、先月、西ドイツには担当課長を派遣をしまして、できるだけ進展するように話し合いもいたしているところでございます。
#178
○中西珠子君 日本と西独の間では交渉が進展中と聞いておりますが、日本とアメリカの間では交渉は中断しているというふうに理解しているわけですが、レーガン政権でもかわらないとだめではないかという考え方、次の新しい政権にでもかわらないとだめではないかといううわさも飛んでいるわけでございますが、アメリカとの間の通算制の交渉というのは今中断しているんでしょう。
#179
○政府委員(水田努君) 積極的に中断しているという表現が適切かどうかわからないわけでございますが、当方も年金改革その他の懸案があって、むしろ西ドイツの方が早く到達できるんじゃないか、これを一つの軸にいろんな国との交渉を進めていきたいということで、西ドイツに力点を置いたということは確かでございます。
 アメリカの場合、向こう側の誤解に基づくものもあるわけでございまして、現在アメリカは賦課式になっているわけでございまして、社会保障税を課して、それで年金財政を運営しているわけでございますので、やはり当面の財政の出入りというものが条約を結んだ場合にプラスと作用するのかマイナスと作用するのか、アメリカの政府の方はそこを極めて合理的にお考えになる。我々は給付の面でイコールになればいいんじゃないかという発想を持つんですが、アメリカの場合は賦課式になっておるものですから、当面の財政がどうなるかということに非常にウエートを置いてお考えになるという面があるわけでございます。
 確かに一時は日本に来ておられるアメリカ人よりも、アメリカに行っている日本人の方がはるかに多かったという問題があったわけですが、最近はアメリカから日本に来ておられる方の数もふえておりますんで、かなりそこらあたりの問題点は変わってきていると思いますので、大変乏しい外国旅費の中で工面をしながら、またアメリカとも時期を見て積極的に交渉さしていただきたいと思っております仁
#180
○中西珠子君 乏しい外国旅費の中で工面をしておるとおっしゃいました。大変御同情申し上げますが、もっと予算要求をなすっていただきたいと思っておりますが、とにかく国際化の中で日本人で外国に長期滞在する人も多くなっておりますし、また逆に日本に来て仕事をしている外国人も多くなっておりますので、大変厚生省も御苦労なことと思いますが、アメリカ、西独その他の国々ともやはり年金の通算制というものをそれぞれの国の年金事情が違う中で、やはり一致点に達するのは難しいことでしょうけれども、一層の御努力をお願いし、年金通算制を外国との間でも推進していただきたいと思いますが、大臣の御決意のほどを伺いまして私の質問を終わります。
#181
○国務大臣(斎藤十朗君) 先生御指摘の、国際化に伴います年金の通算協定の必要性というものは、私どもも以前から十分認識をして取り組んでまいっておるところでございます。
 ただいま御答弁申し上げましたように、何といいましてもその協定を結ぶ場合には相互互恵主義というものに基づいていかなければなりません。そういう中には各国の制度の違い、歴史的な沿革、また滞在人数の違いというようなものもいろいろと出てくるようでございまして、なかなか今日までその妥結を見るに至っていないということはまことに残念でございますが、しかし、そういう難しい問題を乗り越えてぜひとも通算協定が結んでいけるように粘り強い努力を続けてまいりたいと思います。
#182
○中西珠子君 どうもありがとうございました。終わります。
#183
○中野鉄造君 私は、まず最初に救急医療の現況についてお尋ねしたいと思いますが、以前よく病院をたらい回しにされたと、こういったような事件がよく耳に入りましたけれども、最近私が聞いたところでは、あるお年寄りの方が日曜日ではない普通の日にけがをした。そして、動けなくなって救急車を呼んだ。救急車の人がすぐ参りまして、とにかく病院をどこに連れていくかは任じてくださいと、そういうことで個人の病院に連れていったそうですけれども、そこで診察した結果、当分これは入院を必要とする、こういうようなことで入院をした。
 ところが、差額ベッドが一日三千円以上かかる。結局家族の人たちが仕事でいろいろ看護ができない、当然ながら付き添いが要る、すると、当然その付き添いの人が一日一万円、夜もやっぱり付き添っていなければ年寄りであるしちょっと困るというようなことで、結局さらに八千円、それで合計一万八千円の付添料を毎日毎日支払わざるを得ない、こういうようなことなんですね。結局、基準看護になっていないから看護婦は面倒を見れないと、個人病院でありまして、こういうような患者さんもいるわけです。
 そこで、そういうことを避けるために、国立病院だとか国公立のようなところの総合病院にしたい、こういうことで救急車の人に頼もうとした場合には、結局電話で予約をしておかなければそれはできませんよと、はなから断られる。しかしそうであっても、あちこち電話をして国公立の総合病院に予約をとろうとしても全部断られる。まず年は幾つですかということを聞かれる。七十歳だとか、七十二歳だとか言うと、それを聞いただけでちょっとうちはだめだというようないろいろな理由を設けて断られる。そして、しかも予約がないと救急車自体も運んでくれない、こういうようなことが事実起こっているわけです。
 こういったようなことについては、救急医療体制とその現況、厚生省はまさか知らないとはおっしゃらないと思いますけれども、こういうことが事実あるんですけれども、どうお考えですか。
#184
○政府委員(竹中浩治君) 救急医療体制、昭和五十二年以来私どもその拡充に努めてまいっておるところでございますが、先生の今のお話の内容はむしろ救急における搬送の問題であろうかと思うわけでございます。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
私ども搬送を担当していただいております消防庁に対しまして、そういった場合、できるだけ患者さんの御希望も踏まえて搬送先を決めていただくようにお願いはしておるわけでございますが、しかし実際問題といたしましては、やはり患者さんの希望どおりになかなかいかないということで、とにもかくにも救急医療をしてもらえる医療機関にできるだけ早く届けるということが搬送側の仕事でございますので、患者さんの希望どおりにはなかなかいかない面があるのは事実だろうと思います。
 ただ、今の問題の、例えば室料差額の問題でございますとか、付添看護の問題でございますとか、そういった点については、それはそれで別途これは保険局の所管でございますが、対応をして仮に個人病院に搬送されても患者さんに特段の御迷惑がかからないように全体として対応するということであろうかと思います。
#185
○中野鉄造君 そこで、今搬送の問題ですが、やはり国公立の病院は予約がなければ受け付けないと、こういうふうになっているんですか。
#186
○政府委員(竹中浩治君) 救急でございますので、予約というのがどういうことかよくわかりませんが、ただ、搬送する側では救急医療情報センター等と連絡をとりまして受け入れ可能な医療機関を探すわけでございます。その際に、近くでしかも国立公立が見つかっておれば、受け入れ体制があればそれは搬送側もそこへ持っていくということになるんじゃなかろうかと思います。
#187
○中野鉄造君 そういう緊急の場合のことですから、国立でなければだめだとかなんとか、そういうことを言っていられる状況ではないと思います。まずはやはりどこでもいいから早く病院にということになると思いますけれども、さあそうした場合に、個人の病院に入ったときに基準看護でないために大変な費用がかかるといったような場合も出てくるわけですから、先ほど答弁の中にもありましたようにその後のことについてはいろいろひとつ善処方を考慮していただきたいと、こういうふうに思います。
 ちょっと話はかわりますけれども、七月三日付の朝日新聞の中の「天声人語」に、これは神奈川県のある老人病院についてのいわゆる「老人病棟」というルポが載っておりました。ここで一々読み上げることは避けますけれども、既にこれはごらんになったと思いますけれども、こういう状況をどのようにお考えですか。
#188
○政府委員(黒木武弘君) 私どももその記事を読みまして大変ショックを受けておるわけでございます。
 ただ、現在県当局におきまして事情聴取を再三行っておりますし、現地に出向いても調査をするといったような形で今調査を進行中でございますので、あのような事実があるかどうか――恐らく、ルポでございますからそういう疑いも推測できるわけでございますけれども、今調査中であるということでございますので、今後の措置等を含めまして、しばらく時間をいただきたいというふうに考えております。
#189
○中野鉄造君 やはり、まともな人でも一カ月間ベッドに縛りつけておけば、これはもう足も腰も立たなくなってしまうのは当たり前のことですけれども、
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
おむつを外す、そしてベッドを汚すからというただそれだけの理由で、抑制という名のもとにベッドにお年寄りを縛りつけておく、十二時間も十九時間も縛りつけておくというのは、これはまた本当にいかがなものかと思うわけですけれども、ひとつ、今おっしゃったように、これは神奈川県の問題だけじゃない、方々にこれはあると思うんです、こういったような事例は。よくそこのところをひとつ調査していただきたい、こう思います。
 次に、年金の問題についてちょっとお尋ねしますが、新しい年金制度が昨年四月からスタートしたわけですが、この手続がなかなか、ちゃんとやっておかないと非常に損をする人が出てくる、こういう場合があるわけですね。
 例えば専業主婦の場合、昨年三月まではこれは任意加入であったわけですけれども、四月からこれはもう全員が強制加入となったわけです。保険料は夫が加入している厚生・共済両制度の方でまとめて保険料を負担するようになりましたけれども、そのためには加入手続をしなければならないわけですけれども、社会保険庁の方では、現在まだ手続をしていない人がどのくらいいるのか把握できていますか。
#190
○政府委員(岸本正裕君) 先生おっしゃるとおり、新制度が発足いたしましてから、サラリーマンの被扶養の配偶者につきましては、手続をいたしますと保険料を納めないで、夫の保険料の中に自分の保険料が含まれるという形で保険料を納めたこととする制度になっているわけでございまして、私ども、その手続が完全に行われるように、これは制度の発足する半年ほど前、六十年の秋ごろから、事業主を中心にいたしましてこの啓発活動を行ってきたわけでございます。それ以前には、サラリーマンの被扶養の配偶者として任意加入をされている方々、この方々につきましては、六十年の秋からスタートいたしまして、非常に早い時期にこの手続が完了したものというふうに考えているわけでございます。
 一年少しを過ぎたわけでございますけれども、六十二年の三月末でございますが、私どもで承知いたしておりますのは、届け出数が一千百七十六万人に達しておりまして、これ、全体が幾らあるかというのは正確にはなかなかわかりにくいわけでございますけれども、私ども、ほぼ九八%くらいは達成をしておるというふうに考えておりまして、残りが二十万人程度いらっしゃるのではないかというふうに思うわけでございます。
 本年度も引き続きこの三号被保険者の届け出の促進について各種のPRを続けていきたいというふうに考えております。
#191
○中野鉄造君 自営業者が加入するいわゆる国民年金の掛金が、ことしの四月からこれは三百円また上がりまして七千四百円になりました。夫婦で一万四千円という額は、これはもう大変な負担であると思うわけですけれども、最近の保険料の免除者の動向をお尋ねいたします。
#192
○政府委員(岸本正裕君) 最近の免除者の動向でございますけれども、これはいろいろな事情が絡んでいるわけだと思いますけれども、免除率は昭和五十五年くらいから見てみますと、昭和五十五年に一一・八%でございましたけれども、それが五十九年度にはピークの一七・四%というところに至りまして、その後六十年度で一四・八%というふうに減少傾向になっております。六十一年度につきましては、まだ確定数値が出ておりませんけれども、この一四・八%をさらに下回るような数字になるのではないかというふうに考えております。
#193
○中野鉄造君 なるほど、おっしゃるように免除者の数というものは減ってきた。この減ってきたという主な理由は、要するに申請免除の行政上の取り扱いを厳正にしたからということだろうと私は思うんです。
 例えば、例を沖縄県にとりますと、沖縄県は前年度が四二・四%から、それが一六%も減って今や二六・三%に下がっております。そのように沖縄県が急激に収入実態がよくなったということは考えられないわけですけれども、要は、こういうように無理をして行政を進めようとすると、その行政の統一性、安定性というものを欠くことになりますし、むしろこれは弊害が別な面で起きやしないか。つまり、今度は滞納者という形になってその数がふえてくるのではないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#194
○政府委員(岸本正裕君) 免除率が減少傾向にあるということでございますけれども、これは私ども行政努力といたしまして、保険料を納めやすい環境づくりというのを精力的に進めているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、毎月納付とか、それから口座振替制度の推進でありますとか、納付組織の育成強化といったような各種の施策を進めて
いるわけでございまして、そのほかにも催告状の発行でございますとか、電話や戸別訪問による納付の相談指導、こういうようなきめ細かな対策を講じているということでございます。
 そのようなことが一方にございますが、もう一つは、免除を受けるということが将来の御本人にとって必ずしも有利な取り扱いを受けたことにはならないという趣旨を徹底いたしまして、そしてこの免除につきましては適正な対応をしてきているわけでございます。そういうことから免除率の減少が起きているというふうに考えているわけでございます。
 滞納の問題でございますけれども、これは近年の経済事情でございますとか、また保険料が年々少しずつではございますけれども上がっているとか、また私どもといたしましては、今申し上げましたように、できるだけ多くの方々に年金の適用を受けていただこうということで免除から非免除への切りかえでございますとか、また今まで適用を受けていらっしゃらなかった方々に対しまして、ある場合には年金手帳を送付するというようなことで、職権適用というようなことまでいたしましてこの適用を積極的に進めてきているわけでございます。
 そういう場合にはなかなか保険料の納付に結びつきにくいという面も持っているわけでございますので、私ども一生懸命適用を進めることによりまして、逆に滞納の率をふやしているというような形にもなっているわけでございますけれども、これにつきましても、今申し上げましたように、納めやすい環境づくりということを積極的に進めまして、滞納者が少しでも少なくなるように努力をしていきたいというふうに考えております。
#195
○中野鉄造君 今も申しますように、夫婦で一万四千円の保険というのは、ただでさえもこれは大変な額だと思います。御承知のように、地代、家賃の統制が撤廃になりまして半年たちまして、場所によっては地代、家賃が今までの二十倍ないし三十倍と、こういうように高騰しておりまして、衣食住というその住居を追い立てられかねない。滞納してでも、まずは家賃、地代を払わないと住むところに困るというようなことで、どうしても心ならずも保険料の滞納といったようなことがやっぱり今後大いに出てくると思うんですね。
 これはもう前になりますけれども、昭和六十年の三月二十六日の議事録をここに持っていますけれども、その当時、この社労委員会でも、免除者と未納の方を合わせて二五%ぐらいの方が保険料を要するに納めない人が出てくると思われますと、こういうように答弁しておられます。そして、その当時として、国民年金の検認率から見ますと、保険料を納めておられない方は大体五%ぐらいになっておりますと、その当時でですよ。ところが、今は既にもうかなりそれを上回っておる。
 そういうところから見ますと、今申しましたように、社会のいろいろな物価、地代、家賃、そういったようなものが高騰しておりますし、これはもっともっと滞納者がふえるということはあっても、減るということはないと思いますけれども、この滞納者、そして免除者、合わせてどのくらいを見通されておりますか。このまま横ばいとは思えないと思うんですけれども、いかがですか。
#196
○政府委員(岸本正裕君) 今申し上げましたように、免除者につきましては減少の傾向でございますけれども、逆に検認率も減少といいますか、滞納者も増加というような形をとっているわけでございます。たびたび申し上げて恐縮でございますが、私ども、納めやすい環境づくりを一生懸命やることによって滞納者が増加しないように、そしてまた、減少するように行政努力を進めていきたいと、こういうふうに考えておりますので、今後、滞納者が非常にふえるということはないのではないかというふうに考えているわけでございます。
 六十一年度の見込みで、まだ確定数値でございませんので恐縮でございますけれども、六十一年度は、御承知のように見かけ上、この三号の被保険者が保険料を納めなくて済むというふうに切りかわりますので、従来の六十年度までの免除率、検認率の傾向が変わってくるわけでございますけれども、それを差し引きましても、検認実施月数といいますか、実際に保険料を納めている人の絶対数が六十一年度には増加傾向に転じているというふうに私ども考えておりまして、徐々にではございますけれども、このような環境づくりの効果があらわれてきているのではないだろうか。こういうことから見ますと、今後滞納者がどんどんふえていくというようなことは食いとめられるのではないかというふうに考えております。
#197
○中野鉄造君 私はそうは思いませんね。免除者はおっしゃるように減るかもしれませんけれども、滞納者は常識的に考えて減ることはないと思うんです。
 今、厚生省では十月からそういう滞納者には差し押さえといったような強硬な手段ででも滞納者を一掃していくというような手段に出られるようですけれども、いずれにいたしましても、現在一五%に及ぶ免除、そして一〇%以上の滞納者、この実態を見るとき、今も申しますように、この秋からは、一部のそういう人たちに対しては差し押さえを行う、強制執行といったことを行うということをやったとした場合、行政の現場では、各市町村では、これは大混乱を来すと思うんです。年金の保険料は確保できたけれども、一方では大変な住民不信がということになりはしないかということを私は懸念するわけですけれども、この点についてどのようにお考えですか。
#198
○政府委員(岸本正裕君) 今まで申し上げましたように、保険料の納めやすい環境づくりを精力的に進めてきたわけでございますけれども、新制度になりまして、基礎年金という、みんなで支え合うという相互扶助に基づく保険料納付義務、こういうものが明確に打ち出されたわけでございまして、私どもといたしましては、保険料を負担する能力が十分にありながら納付を怠っている者につきまして、さらにこれを放置した場合には著しくそういう新年金制度の理念から見て公平性が損なわれると認められる者に対しましては、従来の措置のほかに督促状の発行等の措置を行っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 私ども、今申し上げましたように、この措置というのは新年金制度の理念を実現するために行うものでございまして、本当に保険料を負担する能力が十分にあるという者、そしてそれでなお納付を怠っている者について限定をする考えでございます。いわゆる低所得者というような方々を対象とするようなことは全く考えていないわけでございます。
 そして、督促状の発行、滞納処分の実施ということにつきましては、あらかじめ戸別訪問等を行い、その場でいろいろと納付相談等行いまして、できる限り自主的な納付が行われるように十分に説得をした上でというふうに考えておりまして、このような手順をきちんと踏んで行っていきたいというふうに考えておりますので、市町村の現場で混乱が起こるというようなことは避けられる、避けなければいけない、住民の不信を招くことのないように行っていさたいというふうに考えております。
#199
○中野鉄造君 最後に大臣にお尋ねしますけれども、こういったような現況でございまして、現在免除されている方は、年金加入期間のある一時期免除の適用を受け、将来保険料が納められるようになった段階で追納していくといった本来の免除制度のあり方にはなっていないわけですね。恐らくこれはこのまま免除者が長期にわたって固定していくんじゃないかという、そういう懸念もあるわけです。そういうことでは、もういざ老後、年金受給期間になったときに、制度はあるけれども年金額はもうほんのちょっぴりしかもらえない、真の意味の年金制度ではないというような結果が出てくるんじゃないかと思うわけです。
 前回も私はこの委員会で申し上げたことがありますけれども、今いろいろ強制執行といったような、そういうような当面糊塗策ではなくて、やはりこれは国民の将来を考えた場合に、国民年金の保険料を現在の社会保険方式で賄っていくという
ことがこれはほとんど非常に難しい段階に来ているんじゃないのかと、こういう気がしてならないんですけれども、大臣のお考えを最後にお聞きしたいと思います。
#200
○国務大臣(斎藤十朗君) 御承知のように国民皆年金制度をとっておりますが、その皆年金制度の中にありましてもそれぞれが一定期間納付をすることによって年金を支給されるというシステムになっておるわけであります。また、先般の基礎年金の実現によりまして、相互に扶助してこの年金を支えていく、こういう考え方に立ってこの基礎年金がスタートをいたしておるわけでありますので、そういった法の趣旨等について、また御自身御自身がみずからの問題として老後の年金を得られるようなことを考えていかなければならないわけでありまして、例えば医療保険の場合でございますと、もう近々に病気になるかもしれないというようなことにおいてかなり理解をされるわけでありまするけれども、年金の場合にはかなり先の話でございますので先になればどうにかなるだろうというようなお気持ちでなかなかこういった制度の趣旨を十分御理解いただきにくい部分があろうと思うわけでございます。
 しかしこういった制度の趣旨について十分御理解をいただき、また負担能力のある方については厳正な免除との区分けというものをやっていくという必要があると思うわけであります。今御議論をお聞きいたしておりまして、免除者がかなり減ってきているというのも、そういった新しい制度の趣旨にのっとって大変な努力をいたしておりますことによってその厳正な免除基準というものが守られつつあることかと思うわけでございます。
 一方免除者が減るとともに一方において滞納者がふえてくるという問題が出てまいるわけでございますが、この滞納者につきましては先ほど来いろいろ申し上げておりますように、できるだけ納めやすい方式、こういうようなものをいろいろ工夫をいたしまして年金の掛金を容易にしていただけるような努力を一方で行い、そして滞納者を減らしていく、こういうことによって国民皆年金の実を上げてまいりたい、この努力を一層続けていくことによってできるだけ多くの方々が満額の基礎年金を得ていただけるように努力していくことが大事であるというふうに考えておるところでございます。
 また、今御指摘の督促状の発行等につきましては真に負担能力がありながら滞納しているという方に限って試行的に行ってみよう、こういうことでございまして、先ほど御心配のような事態が起きないように私ども十分注意をして進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
#201
○中野鉄造君 終わります。
#202
○沓脱タケ子君 それでは初めに大臣、地球上で初めてアメリカの原爆が我が国に投下されていよいよ四十二年目の日がめぐってまいることになります。
 私どもいつもそうなんですが、やはりその日を迎えるに当たって人類に再びこの惨禍を繰り返してはならない。そのための決意を新たにすると同時に、あの原爆の被害を受けられた、惨禍を受けられた人々に対して今なお多くの問題が抱えられておるわけでございますけれども、少しでも手厚い援護の手を差し伸べなければという思いを新たにするわけでございます。そういう点できょうは同僚委員からも広島、長崎からもお話が出ておりますので、特にそういった問題を含めましてまず最初に大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#203
○国務大臣(斎藤十朗君) 世界で唯一の被爆国であります日本、そして、広島、長崎におきます原爆投下による惨事というものは本当に目を覆うものがあるということを私も昨年広島へお邪魔をいたしまして肌に感じさせていただいたところでございます。私たちは二度と再びこのような惨禍を再現することは絶対にしてはならない、そういう意味から恒久平和を願いまた地球上から核兵器の廃絶に向かって努力をいたしてまいるということが何よりも必要なことであるというふうに考えております。
 同時にまた、この原爆の放射線の被害を受けられました方々につきましてそういった特別の被害という状況にかんがみて、これらの方々に対する被爆者対策というものも一層充実をいたしてまいらなければならないと考えておりますし、特に本年は四十年目の生存者調査も実行をいたしその結果を得ておるところでございまして、それを見ますると特に被爆者の方々の高齢化が進んでいる。その高齢化に対応する健康管理の面に重点を置いた一層の施策の拡充を図ってまいらなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。
#204
○沓脱タケ子君 まず長崎からお伺いをしたいんですが、幸いにして同僚委員で地元御出身の初村先生から、地元では長年にわたっていわゆる指定地域の拡大についての御要望というのが切々と訴えられたわけでございます。したがって、私はそのことについて繰り返して触れようとは思わないわけですが、そういう県民の熱意にこたえるという点でやはり地方団体ではいろいろと御苦労もしておられる、あるいは地域住民の皆さん方の御要望もくみ上げていくための御努力もしておられるということがよくわかるわけでございます。
 具体的にお聞きしますが、六十一年の、昨年の十一月二十七日に長崎市長名で、いわゆる黒い雨地域で未指定地域になっている住民に昭和五十八年、五十九年に健康調査を行ったその資料を付して厚生省に地域の拡大についての御要望があったようでございます。これは先ほどもお話がありましたから厚生省はよく御承知でございますね。
#205
○政府委員(仲村英一君) 御案内のように、先ほどお答えいたしましたけれども、長崎市から要望書が参っております。
#206
○沓脱タケ子君 それで要望についての御検討をなさったと思うんですが、その結果は先ほど同僚委員にお答えになったようなお話ですか。これから検討をしてみるということですか。
#207
○政府委員(仲村英一君) 先ほどお答えいたしましたが、五十八年、五十九年に長崎市が「原子爆弾被爆地域拡大是正に関する要望書」というのを出してまいりましたが、その附属資料としてついておりましたのが「健康調査の実施状況」でございまして、私どもといたしましては直接長崎市の担当者から話を聞くなど、十分検討させていただいているところでございます。
#208
○沓脱タケ子君 それで、ところで長崎市長名で提出をされました検査結果についての内容に重大なデータの改ざんがあったということが最近問題になっておりますね。これは今月の、七月九日の読売新聞に端を発しまして大問題になっておるようですけれども、これは御承知ですか。
#209
○政府委員(仲村英一君) 承知しております。
#210
○沓脱タケ子君 それでは長崎市に対して何らか対応をされましたか。
#211
○政府委員(仲村英一君) 私どもといたしましては、調査の内容を新聞で報道されたようなことを行った事実はございませんが、昨年十一月に長崎市から拡大要望地区住民の「健康調査の実施状況」をお示しいただいたわけでございますけれども、この資料の中にいろいろ問題があったということで指摘をしたことは事実だと考えております。
#212
○沓脱タケ子君 提出をされた資料について問題があるという御指摘をなさったんですか。
#213
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの意味、ちょっとわかりかねますが、提出された資料ということではないと思います。
#214
○沓脱タケ子君 この重大な改ざんがあったというのは私、大問題だと思って、まだ十分調査をし切れていませんけれども、今わかっている範囲で言いますと、拡大要望地域の対象者が一万三百三十九人、一般検査を受けられた方が七千二百九十九人で有疾病者がそのうち二千二百二十二人ですね。ですから、対象者に対して有疾病者の率というのは二丁五%になっている。ところが、これはいわゆる在来被爆区域の被爆者、七万四千九十七人ですが、この方々の健康診査をして有疾病者の
数というのが一万三千五百三十九人、率にして一八・三プロというのが元の資料であったわけでございます。
 ところが、実際に市長名で厚生省に出ております数値というのは、これはその一八・三プロのところが六二・六プロにすりかえられているんですね。この問題がマスコミでも取り上げられ、同時に長崎市議会でも大問題になって取り上げられたわけでございますが、その中で担当の部長、課長が――課長はかわっているそうですが、部長は、自分の責任でこれは数値を差しかえた、このことを明確に公開の常任委員会で言明をしているわけですね。私は大問題だと思うんですね。
 今私申し上げた、これ元資料ですね、いわゆる指定地域が一八・三プロで、拡大を要望している皆さん方の方が二一・五プロということになれば、これは当然すぐ手を打って拡大の対応をしなきゃならないということになるので数値を差しかえたということが考えられるわけですね。これは長崎市議会では何のために差しかえたとは言わなかったそうですよ、その担当の部長さんは。しかし自分の責任で差しかえたと。市長名での要望を厚生省に提案する前に、この元資料を持って厚生省に御相談に来た。こういういきさつもあるんです。したがって、厚生省から何らかの示唆があったのではないかということが問題になっている。
 私は、今、厚生省が、担当者が何を言うたかというその犯人捜しをやろうと思っていないんです。むしろ、これだけ被爆者対策を強化しなくちゃならないと言っておるときに、厚生省のだれかがそういう示唆をもしするというようなことになったら、これは被爆者援護のための予算をふやすのがかなわぬから、とにかく抑えるんやと、そういうことにしか考えられない。こういう点では、非常に重大な問題だと思うんですが、この点について御見解があれば伺いたい。
#215
○政府委員(仲村英一君) 言葉はいかがかと思いますが、改ざんというふうなことは私ども全然考えておりませんし、長崎市がおやりになったデータではございますけれども、統計処理上非常に問題があったということで私どもは理解をしておるわけでございまして、一八・三という数字は、むしろ、そういう意味で言いますと、間違えた数字であるということで私どもは考えておるわけでございますので、そのようなことを目的として、この数字について何らかの示唆を与えたということは全くございません。
#216
○沓脱タケ子君 私は、厚生省がまさかと思います。しかし、細かく言うと時間もかかるから割愛しますが、部長やあるいは相談に来た課長が、やはりいろいろ長崎市議会では物を言っているわけです。そういう疑いをやっぱり払拭するためにも――全く意味のない数字を差しかえているんですね、これはもう部長がはっきり言っていますから。健康管理手当申請者数を出していた。これは五万八千四百七十一人というのは、そういうことなんです。この数字を差しかえたんだということを既に当事者が言っておられるわけでございますから、こういう重大な問題が起こっているので、ぜひこのことを考慮に入れて、長崎市と対応していただかなくちゃならないと思うんです。
 長崎の担当者が、自分の責任で数値を差しかえたなどと言っておられます。しかし、県民の要求がいっぱいあって、そして厚生省に何とか地域拡大をしてもらいたいということで御要望されるという立場にある市の関係者が、自分が好んで改ざんをするというようなことは、あるいは差しかえをして、新しく指定してもらいたいという地域の方が、どうも患者が少ないという印象を植えつけるような数字を差しかえるというようなことはやらないですよ。考えられないです。
 だから、そういうことについては、多くを申しませんけれども、しかし担当者が数値を差しかえたということを言っておるんですから、極めて事は重大ですから、そういう点で直ちに調査をなさって、特に指定地域拡大についての御要望に対応できるようにひとつ積極的な対処をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
#217
○政府委員(仲村英一君) 繰り返えさせていただきますけれども、統計処理上に誤りがあるということで私どもは御指摘をしたわけでございまして、健康管理手当の対象となる疾病を発現しておる率は六二・五%でございまして、これを一八・何%ということで御理解いただくと、むしろ被爆者対策としてはおかしなことになるということもあるわけでございますので、細かく言うと時間がかかりますので省略させていただきますけれども、分母、分子の関係とか延べ数とか実数とか、いろいろ数字がばらばらであったことを私どもとしては統計処理上御示唆を申し上げたということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 なお、引き続きこのようなデータにつきまして、長崎市から何かおっしゃることがあれば、私どもとしても十分お聞きする用意はあるわけでございます。
#218
○沓脱タケ子君 大臣、私、この問題は非常に重大だと思うんです。統計処理上と簡単におっしゃるけれども、担当者が数値を差しかえて、そしてこれから指定をしてもらいたいという地域の患者の率が少ないんだというふうなことが作為されるようなやり方というのはあってはならない。
 いわゆる基本問題懇では、科学的、合理的な理由と盛んに言っておられるんだけれども、こんなゆえない数字を並べて要望をなさるというようなことにまでなっておるというふうな事態というのは重大ですので、これは御調査をされて、ぜひ前向きに要望を実現できるように対応してもらいたい、調査をしてもらいたいと思いますが、国は責任を持って調査を一遍してみたらどうですか。大臣でいいです。
#219
○政府委員(仲村英一君) 誤解があってはいけませんので、大臣の御答弁の前に申し上げたいと思いますが、数字を直したところは在来の被爆者地域の疾病の対象者の発現率でございまして、そこが一八・三という数字は全くおかしいということで私ども申し上げておるわけでございますので、そこを誤解のないようにぜひお願いいたしたいと思います。
#220
○国務大臣(斎藤十朗君) 事実関係は今保健医療局長が申し上げたとおりでございまするけれども、今先生が御指摘のように、作為的に対象者数を減らすというようなことがあってはならないというお話がございました。もっともなことだと思います。
 同時にまた、統計のとり方とか、また比較の仕方とか、数字の使い方の誤り等で、結果として実態よりも多く数が出てしまうという結果になってもこれは正しい比較にはならないと思うわけであります。でありますので、そういった調査の結果をまとめられるときに、正しい調査の結果を反映していただくようにしていただかなければならないということはもとよりであると思っております。
#221
○沓脱タケ子君 それはぜひきちんとして、前向きに対応してもらいたいと思います。
 時間の都合がありますから、広島の問題についてちょっと伺います。これも同僚委員から既にお話がございました。
 広島の黒い雨地域についての問題は、前国会の当委員会で私御指摘を申し上げておいたわけでございますが、いわゆる増田先生の調査に基づく学会報告、これで検討する必要が出てきているんではないかということを申し上げたんですが、その後の御検討の経過等がありましたらお聞かせをいただきたい。
#222
○政府委員(仲村英一君) 五月の本委員会で先生から御指摘、御質問がございまして、私ども研究結果をちょうだいいたしまして検討するということをお答えいたしました。
 その後、県、市を通じまして、研究をされておられました増田先生から研究発表の詳細なデータを提供していただいておりまして、今内容を精査しておるところでございますが、午前中にも申し上げたわけでございますけれども、その後も引き続き増田先生の方ではいろいろの活動をされておるようでございますので、さらにデータをちょうだ
いできる範囲でいろいろ検討さしていただきたいと思っております。
#223
○沓脱タケ子君 増田さんというのは気象学者ですね。だから、この調査はこれからだという言い方をなさっているのはそうだと思うんですね。気象学者としての立場での御検討であったけれども、それだけでは極めて不十分という立場での御意見なんですね。
 ところが、その問題以後、広島市議会からも、それからこれは広島県佐伯郡湯来町の町議会と町長さんの陳情書、意見書というものが提出をされています。
 私は、増田さんがこれからだというふうに自分の分を心得ておっしゃっておるのは全くそうだなと思うんです。というのは、やっぱり科学的、合理的理由というものを探っていく場合に、この種の問題で、土壌汚染、半減期がどうなっているかというふうな問題をきっちり調査するという、そういう調査も確かに大事だ。同時に、被爆を受けた人の原体験というものをきちんと見ていくということが非常に大事じゃないか。というのは、人類で未経験の問題ですから、四十二年たっておるけれども、しかし生き残っておられる方々の原体験をきちんと握るということは、科学的、合理的な理由を確定していく上で一番重大な問題だと思うわけですよ。
 私は湯来町の陳情書を拝見して胸を打たれました。こんなところがどうして指定地域になってないのかなと思った。
 ぜひ指定地域拡大について検討をされますようにということで、理由の一はこう書いていますよ。「当時住んでいた住民の殆んどが黒い雨の降ったことを証言して」いる。「黒い雨が相当多く降ったと証言して」いるという点、あるいはそのそばの「水内川流域一帯の降雨量は一時的に五十ミリ以上に達しており、山頂から各河川へ流出した雨量は相当多量であったことを、当時の生存者は等しく認めて」いるというふうな点。理由の第二は、「当時の湯来町住民の飲料水は、大部分の人が谷川の表流水を利用し、河川に近い平坦地では、井戸水を利用した者が多く、しかも、当時の井戸は、比較的浅く、河川の水が直接浸透したものであり、多量の黒い雨を直接体内に摂取しています」。理由の三は、「原爆投下当時、黒い雨が降った後に原因不明で下痢、発熱等の症状が出たことを、おぽえている者が可成りおります」というふうに書いてあります。だから、私は、こんなところがまだ指定もされてなかったのかなということで、私どもの不勉強さを実は突き上げられた思いがしているわけです。
 こういう点でひとつ早急に、幸いにして生存者がおられるわけですから、そういう被爆の実態等についても国の責任で再調査をしてきちんと対応し、地域の拡大を図るように対応されるということが今一番大事ではないかというふうに思うんです。
 先ほども、午前中にもお話がありましたけれども、被爆者の平均年齢が六十歳に近づいている、いよいよ老齢に入ってくるわけでございますから、これは早くやらないと間に合わない。とにかくきっちりやりましたけれども対象の皆さん方は高齢になって亡くなってしまっておられましたでは、これは責任がとれないと思うので、そういう点でぜひ厚生省が早急に再調査を行って、被爆者援護の道をやはり積極的に大臣がお話しになったように開いていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
#224
○政府委員(仲村英一君) 既に指定されております地域との単なる均衡論で地域拡大を行うことは、関係者の間に新たな不公平を生み出すおそれがあるので、科学的、合理的根拠のある場合に限って地域指定を行うべきであるということが基本問題懇談会の報告で示されておるわけでございまして、五十五年以来政府は一貫してこの方針でやっておるところでございます。
 黒い雨地域につきましては、五十一年と五十三年に行いました残留放射能調査でも他の地域との有意差は認められておらないので、私どもとしては黒い雨が降ったということのみを根拠に地域拡大を行うことは困難であるということで理解しておるところでございます。
#225
○沓脱タケ子君 増田さんの調査だって、戦後の困難な情勢の中でのいろいろな関係者の御調査を丹念に調査をし直して出てきた結果だというふうに報道されているんですね。ですから、五十一年のも調べました、いつのも調べました、それにはなかったからもう科学的、合理的理由がないと絶対にやりません、そんな絶対ということはあり得ない、私は厚生省もっと考えるべきだと思いますよ。被害を直接受けた人たちがおるのにその地域は違いますのなんのと言って、それは他とのバランスがあってできませんのなんのというようなことは大問題ですよ。
 これはすぐにそうしますと言えなくても、私は考えるべきだと思うんですよ。早くやるべきだと思うんです。亡くなられてからでは話にならぬ。それはぜひ重ねて強く要望しておきたいと思います。時間がないからもうやめますけれども、大臣最後に一言。
#226
○国務大臣(斎藤十朗君) 黒い雨地域の指定につきましては、当時の知見では黒い雨の原因となりましたちりの中に放射能があったと推定され、住民に対する放射能の影響が否定し切れなかったために、昭和五十一年に当分の間の措置として健康診断の実施について被爆者とみなす区域として黒い大雨地域を指定したわけでございます。しかしながら、その後、昭和五十一年及び五十三年に実施された残留放射能調査では黒い雨地域と他の地域との間に有意差が認められなかった、こういうこととなっておるわけでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#227
○沓脱タケ子君 今の御答弁了解できません。というのは、現実に生きた被害者がいるわけですから、そういうものをやっぱり調査するべきだということを重ねて申し上げて、次の問題に移ります。
 次に、国保の問題についてお伺いをしたいんです。これも多くを申し上げる時間がありませんけれども、今私ちょっと驚きなんですが、国民健康保険という制度が国民皆保険の一環として制定されて以来、昨今ほど国保の問題について国民の中で不安と怒りの声が広がっているというときはないと思うんですね。
 そこで、端的に聞いていきたいんですが、国保の保険証が交付をされないために不安が広がっているんですけれども、国民皆保険のもとで保険証を渡さないというのは違法と違いますか。
#228
○政府委員(下村健君) 国民健康保険法では被保険者証を交付するということが決まっておりまして、保険者は被保険者証を交付するわけでございますが、その渡し方については各保険者がいろいろな方法をとってやっている。
 ただいまの御質問の、渡さないというふうなお話が出ましたが、それは多分普段いろいろ保険料の滞納等がございまして、役所に来ていただきたいと、保険料納付についての御相談をしたいというふうなことを申しましてもなかなかおいでいただけないというふうなことがございまして、被保険者証の受け取りを兼ねておいでいただきたいというふうなことで時間がかかっているような場合のことをおっしゃったんだと思いますが、私どもとしては、特に都市の場合には被保険者と保険をやっております市町村の関係者との接触がなかなかできないというところが実は国保の運営で非常に大きな問題になっておりますので、あらゆる機会を通じてそういう努力をするということはぜひとも必要なことではないかと考えております。
#229
○沓脱タケ子君 渡さないということは違法ですね。だから、渡さないということはないんですね。
#230
○政府委員(下村健君) 保険料滞納についての御相談をいたしたい、被保険者証を受け取りにおいでいただきたいと、こう言っているんだと思います。
#231
○沓脱タケ子君 私の聞いておることに答えてもらいたい。取りに行かないということがあるという問題はありますよ。しかし、被保険者になったら保険証を渡さなければならないんでしょう。渡
さなくてもいいんですか。
#232
○政府委員(下村健君) 渡さないとは言っていないんだというふうに思っております。
#233
○沓脱タケ子君 いや、まともに言わんね。
 だって、国民健康保険法では、その「区域内に住所を有する者は、」「国民健康保険の被保険者とする」。そして、「住所を有するに至った日」、その「日から、その資格を取得する」いって、ちゃんと明記してある。それで、被保険者には「被保険者証を交付しなければならない」。義務ですよ。ちゃんと書いてある。
#234
○政府委員(下村健君) 保険証の交付の仕方がいろいろあるわけでございまして、交付をするについて保険料の問題もお話をしたいんで受け取りにおいでくださいということを申し上げているんだというふうに申し上げたわけでございます。
#235
○沓脱タケ子君 だからね、保険料の滞納の問題と保険証を被保険者に渡さなければならないということとは別の問題でしょう。
#236
○政府委員(下村健君) 別の問題でございますけれども、保険証を渡す渡し方については保険者としてのいろいろな考え方があるんだろうというふうに申しているわけでございます。
#237
○沓脱タケ子君 別の問題だということははっきりしたわけですね。
 それはそうだと思うんだ。こない言われたらなかなか取りに来い言っても行けませんで。滞納をしてたら、これ以上納めてくれなかったら保険証を返してもらいます、あるいは滞納整理上やむを得ず財産差し押さえの処分に着手しますとか、そないいうて言われて、とにかく来い言われたって怖くて行けない。だから、その点は保険証は渡さなければならないという義務があるわけだから、保険証を交付するということと滞納という問題とは別の問題として考えなくちゃならないという点をきちんとしてもらう必要がある。滞納の処理についてはこれは別な話でやっていかにゃいかぬですからね。どうですか。
#238
○政府委員(下村健君) 保険証を渡さなければならないというのもそのとおりかもしれませんが、保険料も払っていただかなければならないわけでございます。
 払わなければ保険証を渡さないと必ずしも一律にそう申しているわけではありませんので、保険料を払わない事情についてしかるべき説明が欲しい、あるいはどうしても払えないならば払えないという事情をちゃんと御説明いただいて、延納なりあるいは保険料軽減の手続をとるなり、しかるべき手続を踏んでいただきたいわけでございます。決して何も滞納処分をするとか、だれにでもするというふうなことを言っているわけではございません。
#239
○沓脱タケ子君 その問題は多くのことを言おうと思っていなかったんだけれども、簡単に返事してくれぬから長いことかかったんだけれどもね。
 滞納の処理については相談をするというのは、これは厚生省の方針ですね。だけど、そのことの相談に来ないから渡さぬということは、これはおかしいじゃありませんかと。国民健康保険法の趣旨からいって渡さなくちゃならないという問題があるんだから、それははっきりしましょうと。
 これ、東京都ははっきりしてますわ。とにかく四月の更新の際に、保険証が渡らない人が東京都で三万六千世帯ぐらいあるのかな。今月末までに国保の保険証未交付を解消する、滞納の有無にかかわらずすべての被保険者に交付するということを原則にするというふうに通達を出したようですよ。私はね、その辺ははっきりするべきやと思うんですよ。そんな国民を、あんた、借金あるからやるでやらぬで、借金払わぬとこれあげへんで、そんな種類の問題ではないという点だけはひとつはっきりしておきたいと思うんです。
 これは去年の国民健康保険法の改正以後に前後してこういう問題が起こってきたんですね。去年のこの問題の審議のときには、悪質者に限るという御答弁を、これは大臣も局長もなさったんですよね。これは間違いありませんか。
#240
○政府委員(下村健君) 被保険者証をお渡ししている方が、滞納が起こってまいりまして、そのために被保険者証を返していただく、それで資格証明書を交付すると、そういう措置の対象にするのは悪質者に限る、これはそのとおりでございます。
 ただいま御質問の話で出ております東京都の例は、被保険者証の更新に際しまして、保険料を納めておられない、一向に御連絡がないという方について、更新の時期に、それを機会に保険料の納付について御相談をしたい、おいでくださいと、こう言っているんだと思います。もちろん、いつまでも渡さないわけにはいかないんで、東京都の場合には、あるいはただいまお話がありましたように、今月末なりしかるべき時期に被保険者証の再交付の事務を終えるというふうな方針を決めたものかと思いますが、被保険者証をいつどういう形で渡すのかという話と先般の法律改正とは直接に法律上の問題として関連しているわけではございません。
#241
○沓脱タケ子君 私何でそのことを一緒に言うたかというと、あの法律が改正をされて以後でも、国民健康保険の被保険者は、保険証を持っているか資格証明書を持っているか、どっちかでないといかぬ、何にもないということがあってはならぬわけでしょう、制度上。だから言っているんです。それが何も持ってない人たちが東京都でも三万六千世帯もある、大阪にも大分あるようです、あんじょうつかめてないですけれどもね。そんなあり得ないことが起こっているから、その辺ははっきりしなさいと言っているのはそこなんです。
 国民健康保険の被保険者であれば、保険証を持っているか、滞納をしているために法改正によって出た資格証明書をもらっているか、何かを持ってないといかぬわけです。何にもないということはない、そうでしょう。
#242
○政府委員(下村健君) 制度の建前としてはおっしゃるとおりだと思うんです。しかし、実際に都市の場合には、そこにいらっしゃるかどうかもわからないというふうな方も大勢いらっしゃるわけでございます。しかも保険料の納付もないと、一向に何の連絡もない、住所が移っているかもしれないというふうな被保険者がかなり多数いらっしゃるというのが都市の実態ではないかと思います。したがって、被保険者証を更新する際にとにかく一遍連絡をとってほしいということが、東京都のあるいはそれぞれの区で行われている実情ではないかというふうに考えております。
#243
○沓脱タケ子君 余り私の聞いていることに答えてくれないんだけれども、とにかく国保の被保険者であれば、国民健康保険の保険証を持っているか、あるいは滞納した場合には今度の改正法によって資格証明書をもらうか、どっちかを持っているというのが通常の姿ですねといって聞いているんです。
#244
○政府委員(下村健君) 制度の建前としてはそうだと、それはそのとおりにお答えしたわけでございます。ただし、実際の保険制度の運営になりますと、どこにそういう方がはっきりおいでになるかどうかということさえもなかなか確認できないような住民がいらっしゃる。都市の場合はかなりそういう例がたくさんあるんです。
 住所が移ってもなかなか連絡がない、保険料の納付書をお送りしても納められない、あるいは延納の手続あるいは減免の手続もとられない、こういう方が非常に大勢おいでになるというのが、実は今の都市部の国保の場合の非常に大きな問題点になっておりまして、したがって、そういう場合にいろんな機会をつかまえて、被保険者との接触あるいは被保険者の確認をしたいというのが市町村としては非常に大きな問題になっておりますので、持っていなければおかしいじゃないかと、こうおっしゃるわけでございますが、一方で被保険者のはっきりした確認をしなければなかなか出しにくいという事情もあるわけでございます。
#245
○沓脱タケ子君 だから、出しにくいから出さない、持ってない人があってもやむを得ない。厚生省がそれやったら困るんですよ、その辺は。
 これは私、局長は建前としてそのとおりだとおっしゃったから、国保の被保険者というのは保
険証を持っているか、滞納してお金をよう払わぬから資格証明書をもらっているか、今の制度ではどっちかやと、それ以外のものがあってはならないというのが建前だと、建前のとおりやってもらったらいいわけですね。
 こういう問題が起こってきている背景というのはあるんですよね。これはもう御案内のように、保険料の急激な引き上げなんですわ。本当に払いたくても払えないようなことになっているんです。例えばこういう例がある。これは東大阪市の実例ですが、生活保護基準の一級地で四人家族、これは一類、二類それから教育扶助、住宅扶助、期末一時扶助などを全部合計しますと年間約二百四十万円になるんですね。生活保護の方ですから医療を受ける場合には医療扶助を受けることになるんでしょう。
 ところがこの二百四十万円を所得として働いて確保したら、保険料は例えば東大阪市の場合は三十一万円の上限金額になるんです、四人世帯で。それなら二百四十万の人がこの三十一万円の上限額を払ったら生活保護基準の以下になるわけです、収入が。これちょっと不細工な結果に今ごろなっているんですよ、これうそと違うんです、きっちり計算してみてそうなるんです。三十一万が上限なんです。こんな高くなったらそれは払えないのは当たり前なんです。
 時間の都合があるから私まとめて言いますがね、それでどのくらい急激に高くなっているかというのを大阪府下全体の資料を見てみたんです。そうしますと、昭和五十九年から六十二年までの上がりぐあいをずっと見てみますと、一五〇%以上上がっているところというのが随分ある。一番高いところが一七四%、三年間に上がっている。
 ですから一人当たりの国保料が、例えば四条畷市というところなんかは昭和五十九年が三万九千何がしです。それが六十年には一挙に五万九百四十九円、六十一年は六万三千九百四十四円というふうな上がり方なんです。そういうことで、本当に払いにくくなってきて滞納の問題が大問題になり、滞納があるさかい保険証を渡されへんのや渡さぬのやと、こういう実に初歩的なことで論議をしなくちゃならないという事態が起こってきていると思うんです。この原因は何かという問題なんです。時間の都合がありますから私申し上げますが、これはやっぱり退職者医療のときの見込み違いというんですか、いろいろ言われましたが、国の負担の大幅な減額が急速な保険料の引き上げになった結果、これが滞納問題を急速に広範に引き起こしている原因だと思うんですね。
 これ私、細かく計算をしてもらってみたんですが、五十八年度の総医療費に対する国の費用というのは四〇%余りですよね。今はそれが二七・八%ですね、六十二年度、国庫負担の総計が。これを全部四〇・八%という五十八年度のペースで国庫負担が出ていたとしたら、今六十二年度のその分を全部国保料金の引き下げに充てたとしたら三五%下がる。つまり、今市町村の一人当たりの保険料というのは平均して四万三千三百五十七円のようですけれども、その三五%は下がる。つまり一万五千円ぐらいは保険料を引き下げることができるんです。ですから、そういう点が今の国保問題を起こしてきている最大の根源だという点は、もうだれが見ても明らかです。
 私は、この問題の最後に大臣にお伺いしたいんですが、ペナルティーを強化するというようなことだけでこんな国保問題というのはまともな運営ができるわけじゃないんですよ。やっぱり国民の不安を解消し、安心して医療が受けられる、そのためには少々無理でも保険料も私わにゃならぬというふうな、払える保険料にしていく、こういうことが今一番求められていると思うんですが、そういう点で大臣の所見を一言、この問題について伺っておきたい。
#246
○国務大臣(斎藤十朗君) 先生も御承知のように、国保制度につきましては、国庫補助につきましても給付費の二分の一を補助するということで他の制度には見られない高い補助率で補助をいたしておるところでありまするし、また国民健康保険がお年寄りの加入率が非常に多いというようなことから先般老人保健法の改正をしていただきまして、加入者按分率の公平化を図っていただいたということによって、そういった面での財政的な負担が軽減されてまいったと思っております。
 また、先ほど御指摘のございました退職者医療にかかわる財政的な措置につきましても、大変厳しい財政事情の中ではありまするけれども、最大限の努力をさしていただいておるところでありまするし、なおまた今後とも引き続き国保の安定的な運営のために最善の努力を払ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 また、今先生が御指摘の滞納者とのかかわりの問題でございまするけれども、せんだっての老人保健制度の改正に伴って悪質な滞納者に対する資格証明書の交付ということを盛り込んでいただいたわけでありますが、先ほど御指摘のございますのは、それに至るまでの方々について保険証を交付するつもりでも、し得ない状況が、先ほど保険局長から答弁を申し上げたような状況があるということであります。こんなことをいろいろ考えてみますると、先ほどの年金の問題もそうでございまするけれども、医療保険につきましてもやはりみんながその能力に応じて負担をしていただくということを十分理解していただき、それは人のことではない、みずからのことなんだということをもっとよく御理解をしていただくという必要があると思うわけでございます。
 せんだって来、先生所属の共産党の内藤先生からの御質問、具体的な例を挙げての御質問もございました。それらをよく聞いてみますると、御家族の方もしくは御本人が病気になられた、数日後に全部保険料を完納された、こういうことも現実にあるわけでございます。そんなことを考えてみますると、やはりみずからが病気になったときのために国保に加入し、また保険料をしっかりとその能力に応じて負担をしていただくということを十分御理解していただくために私どもも一層努力をし、また皆様方の御協力を得て、そして国民皆保険の実を上げていくということが必要であるというふうに痛感をいたしておるところでございます。
#247
○沓脱タケ子君 大変丁寧な答弁をしていただいたんだけれども、病気になったら二、三日したら保険料を払うた。それはそうなんだ。借金してでも払うんですよ。そういうことになっているんです。何を言っているんですか。それがサボってて払わなかったのを病気になったから払うたんやなんというようなことの受け取り方をされていたんでは事態を正確に把握することはできないと私は思います。その点つけ加えておきます。私も医療機関の実情を知っていますから。そういうことですよ。
 時間がなくなってきたんだけれども、もう一つお聞きをしたいのは、都市児童健全育成事業についてお聞きをしたいと思っています。
 いわゆる学童保育というふうに言われておりますが、私非常に感慨深いんですが、本事業が発足をしてからもう十一年経過したんですね。この十年余りの間にこの制度というのは、非常に需要あるいは必要性というのが高まってきていると思うんですね。時間の都合で詳しく言いませんが、昭和五十年から六十年の間に婦人の労働者というのは三百八十万人ふえているんですね。それで、核家族で共働きで小学生の子供を持っているという世帯が五七・七%、約六割あるというんですね。ですから、低学年齢児の対策というのは非常に大事な段階だと思うんです。これは十年前よりも需要がいよいよ切実になっていると思います。
 まあちょうど今夏休みでしょう。共働きで両親が働きに行っていたら小学校一年二年の幼い子が家でぽっつり一人でおるという姿を考えてみてください、実際。学童クラブなどへ行っている子供はちゃんと一緒に遊ばしてもらったり、山へ行ったりあちこちへ連れていってもらったりしているわけです。だから、その点では子供たちの健全な発達育成のために欠くべからざる状況になってき
ていると思うんです。特に大都会では遊び場がない、コミュニケーションが少ないという状況の中でこれはどうしても大事な問題だと思うわけです。十年の間に随分苦労してやっておられますから、全国で五千七百カ所ぐらいあるらしいですね。
 ところがどんな状態になっているかと、私、大阪市内の近所のところを調べてみたんです。二十五人の子供さんを預かっているなかよしクラブという学童クラブで、これは国の基準で言うたら五十七万一千円がな、それだけのお金でしょうが、大阪市がほんのわずかプラスして六十一万円年間くれるらしい。それで、夏休み毎日毎日やっていますよ。
 それなら結局六十一万円のお会いったらどない使えるかといったらせいぜいおやつ代にあるかないか、一年間に。だって年に六十一万ですから。そしたら子供たち、そんなボランティアって厚生省おっしゃるけれども、大都市の中で婦人の方々、お母さんたちそないボランティアやる人おりませんで。だから結局だれか一人が中心になって専任がおって、そしてパートのような姿でのボランティアでやっているわけですが、そうなったらやっぱり例えば若干の手当も要るわけです。
 そこは家賃が要らぬで、篤志家が家を貸してくれているものだから、家賃なしだけれども、そういう一年間とにかく二十五人から三十人ぐらいの子供たちを見ていこうと思ったらやっぱり五百万の金はかかる。家賃要らないからこれまだ助かっているんですと、ところが、しようがないから親から少しはもらわないかぬということで、今親から一万三千円ずつ毎月保育料というんですかお守り料というんですかをいただいている。お母さんたちもボランティアで一生懸命やるものだから、二カ月に一回ずつはバザーをやって二、三十万、まあ三十万円ぐらいのお金はつくって何とかやっているという状況なんです。
 私は、この十年非常に厳しい中で少しずつでも努力をしてきてくれているという足跡を見て皆さんの労を多としているんです。しかし、十一年たってここへ来てやっぱり実態、状況というのは変わってきているので考え直してもらわないかぬ時期へ来ているんではないかなというふうに思うんですが、そういう点でそういう篤志家を中心にボランティアの方々やお母さんやらみんなが必死になってやっている姿についてどういうふうに思われますか。
#248
○政府委員(坂本龍彦君) 今お尋ねになりました留守家庭児童対策につきましては、大きく分けまして私どもは二つの方策で対処をしております。
 一つは、児童館の設置によりまして、学校が終わった子供が留守家庭であってもなくてもそこで一緒に遊べるようにという考え方で児童館の設置を進めております。それと同時に、特に都市部において児童館がまだ整備されていないというところもございますので、児童育成クラブというようなものを設置していただきまして、そこで各地域における留守家庭児童あるいはその他の児童と一緒に、地域における自主的な活動の中で健全育成を図っていただくために奨励的な補助として国もこの十年間補助してまいったわけでございます。
 補助額につきましても、スタートいたしました当時から見ますとほぼ倍になってきておりますし、私どもとしては関係者の方もいろいろ御苦労されておりますし、またこういった事業をできるだけ全国的に普及していきたいということで、国としては現在の補助基準というものもできるだけ事情の許す範囲内で今後増額も考えつつこの事業が充実できるように進めてまいりたいと思っております。
#249
○沓脱タケ子君 時間があったらもう少し言いたいんだけれども、まあ積極的に前向きに進めていくという答弁だから、その点は多としながら最後に一つ申し上げたいのは、やっぱり児童館、十年前にはろくになかった。今三千ぐらいできましたか、全国で。とても足らぬわけですね。
 そこで、私はやっぱり今この十年の運営中で問題になってきているのは、運営の形態とかやる場所とか、それから発足後多種多様なニーズに基づくいろんなやり方というのは出てきていると思うので、こういう点が発展できるような援助措置という点で見直す必要があるんではないかという点が一つですよ。
 それから、これは大臣に、もう時間ないから最後に言いたいんですが、例えばこれどのくらい苦労しているを言うたら、場所がないために、大阪市内なんかやったら長屋の文化住宅借りて、例えば十人、十五人の子供でも見ていると近所からうるさい言われるものだから、ついにあっちこっち転々として行くところがなくて、十二万円の家賃を払うてマンションの一階を借りて二十三人の子供を実は見ているわけです。ところが夏休みになったら、もう朝から来ているでしょう。近所からうるさいいって内容証明は来るわ、もう出ていけと、追い出すというふうな形で、ボランティアでやるという、善意の仕事で進めるんやという方針やけれども、片方ではそういう事態も起こっている。
 それで、私はこれはぜひ大臣に考えて対処してもらいたいと思うのは、やっぱり児童館が全国的に敷衍していない、十分でき上がっていないという状況のもとで、こんな善意の仕事が苦労してやっているのに追い出しを食ろうたり、いろいろ苦労せんならぬというふうな状態というのは見るに見かねますよ。
 だから、幸か不幸か教室が一万教室ぐらいあいているそうだから、それで文部省の方でも空き教室の利用についても積極的な御提起もなされている時期なので、学童ですからね、児童生徒の児童なんですよね。学校とは無関係でもない存在でもありますし、ぜひこれは文部大臣にその空き教室の利用についての中で、ひとつそういう学童クラブの問題につても活用のできるような配慮をしてもらいたいということをぜひお話し合いをしていただきたいと思うんです。これやってくれたら、大臣物すごい土産になりますよ、いや本当。それ本当に話し合いをして実現さしてやってほしいと思うんですが、どうですか。
#250
○国務大臣(斎藤十朗君) 児童育成クラブが地域の方々の善意なり、またボランティアの盛り上がる中で大変御苦労をかけながらも発展をしていただいておりますること、十分感じさしていただいております。
 どういう場所で行うかということについては特に規定をいたしておらないわけでございますし、また、今学校の空き部屋等についてのお話がございましたが、現にそういう利用をしている地域もあるように聞いておるところでございます。でありますので、それぞれの個々のケースにおいて十分お話し合いをいただき、また、地域住民の皆様方の御理解を十分得て、そしてこの児童健全育成というものを推進いたしてまいりたいというふうに考えております。
#251
○委員長(関口恵造君) もう時間です。
#252
○沓脱タケ子君 そない言わぬと文部省とも一遍御相談をいただいて、要望のあるところでは対応ができるような柔軟性をぜひ文部大臣にもお願いをしてくださいよ、それだけ頼みます。
#253
○国務大臣(斎藤十朗君) 文部省とも協議をしてみたいと思います。
#254
○沓脱タケ子君 終わります。
#255
○委員長(関口恵造君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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