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1987/09/10 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第5号
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1987/09/10 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第109回国会 社会労働委員会 第5号
昭和六十二年九月十日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月九日
    辞任         補欠選任
     久世 公堯君     石井 道子君
     沓掛 哲男君     曽根田郁夫君
     高橋 清孝君     石本  茂君
     秋山 長造君     一井 淳治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         関口 恵造君
    理 事
                佐々木 満君
                田代由紀男君
                糸久八重子君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩崎 純三君
                小野 清子君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                松浦 孝治君
                宮崎 秀樹君
                一井 淳治君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                中西 珠子君
                沓脱タケ子君
                内藤  功君
                抜山 映子君
       発  議  者  糸久八重子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  平井 卓志君
   政府委員
       労働大臣官房審
       議官       野崎 和昭君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省労働基準
       局長       若林 之矩君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業能力
       開発局長     野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局職員課長  山崎宏一郎君
       総務庁人事局参
       事官       河野  昭君
       外務省経済局外
       務参事官     平林  博君
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       課長       小西  亘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○労働基準法の一部を改正する法律案(第百八回
 国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
○育児休業法案(糸久八重子君外六名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、久世公堯君、沓掛哲男君、高橋清孝君及び秋山長造君が委員を辞任され、その補欠として石井道子君、曽根田郁夫君、石本茂君及び一井淳治君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(関口恵造君) 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○浜本万三君 私はきょうは、基準法はまた後ほど質問いたすことにしまして、財形法の問題につきまして質問をいたしたいと思います。
 勤労者財産形成促進制度、この制度が四十七年一月からスタートいたしましてもう十五年になるわけでございます。この財形制度十五年の歩みを振り返ってみますと、確かに財形貯蓄残高は十兆円を超える高額になってまいりました。しかし、勤労者一人当たりの平均貯蓄額ということになりますと六十万円程度にすぎない、かように思います。
 一方、勤労者の持ち家の取得促進という面では、六十二年三月末で、分譲融資約七百四十三億円、戸数にいたしまして八千百戸程度、それから個人融資が二千九百七十四億円で戸数にいたしまして約四万八千九百戸程度の状態になっております。巨額な貯蓄残高に比較をいたしますと、わずか三・五%程度しか勤労者に還元されていないんではないか、こう思います。これは非常に寂しい限りだと思います。
 今の財形制度は、単に金融機関の金集めの手助けをしておるのではないかという印象も免れないと思います。労働大臣にこの辺の認識をまず伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(平井卓志君) 御案内のように、この財形貯蓄につきましては現在約千九百万人の勤労者が利用いたしておるわけでございまして、勤労者の生活に広く浸透いたしておるというふうに私は認識をいたしております。
 今回の税制の見直しによりまして少額貯蓄非課税制度が原則廃止されます中で、年金、住宅を目的とする勤労者の財形貯蓄につきましては税制上の優遇措置が講じられることとなったわけでございます。勤労者にとりましては、そういう意味で従来にも増して重要な制度であるというふうに理解をいたしております。
 一方、財形持ち家融資の実績でございますが、これはもう大変低調でございまして、委員のおっしゃるとおりでございます。さきの通常国会での財形法改正を含めまして種々の制度改善を実施してきたところでございます。さらに、金融機関におきましても、本年度からは財形持ち家融資制度における調達金利の引き下げ等に協力をいただいておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後財形貯蓄の資金が勤労者に十分還元されるよう、金融機関に対しまして必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#6
○浜本万三君 財形制度ということになりますと、どうしてもこの面での先進国だと言われておる西ドイツのことが頭に浮かぶわけでございます。西ドイツの財形政策は三つの目標があるというふうに伺っておるわけです。一つは、財産配分の不公平の是正、それから二つ目は、勤労者の財産取得による生活基盤の安定と消費購買力の抑制による物価安定、三番目は、勤労者の資本参加ということになっておるようであります。そして、現在は既に一、二の段階から三の段階に移っておるというふうに言われておるわけでございます。
 そこで、大臣に伺うんですが、そういう西ドイ
ツの制度と比較をいたしまして、日本の財形制度というのは少し見劣りがするのではないか、かように思うんですが、御見解はいかがでしょうか。
#7
○国務大臣(平井卓志君) いろいろ考え方はございましょうが、我が国の財形制度と西ドイツのそれとでは、いわゆる仕組み、内容がいささか異なっておりまして、それらを比較して評価いたしますことはなかなか難しい面もあるというふうに思うわけでございます。
 我が国の財形制度は、貯蓄に対する税制上の優遇措置のほかに財形給付金制度、さらにまた財形持ち家分譲融資制度を設ける等、総合的な体系を有しておりまして、必ずしも見劣りするものではないのではないかというふうに考えております。しかしながら、勤労者の財産形成は今後とも非常に重要な課題でございまして、その一層の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
#8
○浜本万三君 先ほど大臣の御答弁の中で、財形制度は相当前進はしておるが、私の申したように持ち家分譲政策というのは大変おくれておるという意味の御回答がございました。確かに、最近個人融資は年々改善されまして、利用者は増加しておるように思います。しかし分譲融資は、毎年の戸数を調べてみますと、大体百戸から二百戸程度というふうに少ないわけでございます。
 このような状況から考えてみますと、いずれにいたしましても持ち家融資はまだまだ利用者が少ないので、これを多くするように改善をしていかなきゃならぬと思うんでございます。持ち家融資の利用者が少ない原因はどのようにお考えになっておられるでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
#9
○政府委員(若林之矩君) 融資制度につきましては、先生御指摘のとおり、まだ低調でございますけれども、これにつきましてはいろいろな原因があろうかと思いますけれども、一番大きな原因はやはり他の公的融資に比べまして貸付金利が高かったという点が挙げられようかと思います。それから、融資要件といたしまして、これまでは三年以上貯蓄をしている人が融資を受けることができるということになっておりましたが、これが長過ぎるのではないかという御指摘を受けてまいりました。また、融資の手続につきましても、財形融資は転貸融資が中心でございますから、ある程度複雑なのはやむを得ないといたしましても、複雑過ぎるではないかというような御指摘もいただいてまいりました。こういった点が融資を伸び悩ませてきた要因ではないかというふうに考えている次第でございます。
 これにつきましては、まず融資要件の、先ほど申しました三年の件につきましてはさきの通常国会で法律を改正していただきまして、一年以上貯蓄をすれば融資を受けられるようにするというふうにしていただいたわけでございます。また、金利につきましても、金融機関の協力をいただきまして大幅な引き下げを行うことができました。手続の簡素化につきましては、現在検討を進めているところでございます。PRも不十分だったのではないかということも御指摘をいただいてまいりましたので、これにつきましては新たに予算措置を講じましてPRを進めることにいたしております。
 また、先ほど御指摘ございました金融機関につきましても、PR等について協力をしてもらうというようなことにいたしておりまして、こういったこと全体を相まちまして、今後融資を大いに伸ばしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#10
○浜本万三君 持ち家分譲融資制度の利用が少なかった理由について三点お答えをいただきました。その中の金利の問題に絞ってひとつお尋ねをいたしたいと思うんですが、個人融資の貸付金利は現在四・二五%の変動金利制になっておるようでございます。一方、住宅金融公庫の貸出金利は四・二%ということになっております。そういたしますと、財形制度の金利の方が〇・〇五%ほど高いということになるわけでございます。
 そこで、まずお尋ねをいたしたいのは、財形持ち家個人融資の貸付金利が住宅金融公庫よりも高く設定されておる理由はどこにあるのか、この点まずお尋ねをいたしたいと思います。
#11
○政府委員(若林之矩君) これまでの財形の金利につきましては、確かに先生御指摘の点があったかと存じますけれども、先ごろ金融機関と折衝いたしまして、財形融資の金利の引き下げを行ったわけでございますが、現在は、先生御指摘のように、調達金利四・二五で調達をいたしまして、同じ金利で貸し付けを行うようにいたしておりまして、変動金利でございます。従来の金利の水準と比較しますと、調達金利が前年の同月比で一・六三%のマイナスになっております。
 財形の融資の場合には三十五年間、変動金利ではございますけれども、同じ体系で融資をすることにしておりますが、住宅金融公庫の場合には最初の十年間四・二でございまして、十一年以降はまた金利が引き上げられるような形になっております。したがいまして、単純に住宅金融公庫と財形とどちらが有利かということは判断は難しいわけでございますけれども、私どもといたしましてはおおむね住宅金融公庫並みの金利が実現できたのではないかというふうに考えている次第でございます。
 さらに中小企業の勤労者に対する貸し付けにつきましては、最近の厳しい経済情勢のもとで企業規模間の福利厚生水準の格差が広がっていることにかんがみまして、さらに国の利子補給制度を導入いたしまして、貸付金利を最初の五年間について住宅金融公庫の融資並みの四・二%にするという形にしてございます。
#12
○浜本万三君 高い理由は、要するに調達金利が四・二五%になっておると、したがってこれを下げない限り金利を下げることができないと、こう理解をするわけなんですが、そこで労働省に一踏ん張りしていただきたいと思うことは、今度この制度が改善されますと、金融機関は直接個人に対しまして財形に入ってくださいというような勧誘をせずに、企業に働きかけまして、企業の方が個人に財形に入ったらお得ですよと、金融機関にかわりまして勧められる状況になるのではないかと思うんですね。
 そうして、それじゃ財形に入りましょうという従業員については、今度は会社と労働組合で賃金からその積み立てだけは差っ引くというようなことになってまいりますと、金融機関の預金コストも非常に下がってくるというふうに思います。しかも有利な条件でございますから、相当多額な積立金が予想されるわけであります。だからますます預金コストは下がってくると、かように思います。したがって、金融機関に対して調達金利をもっと下げろと、こういう主張があっていいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでございましょう。
#13
○政府委員(若林之矩君) 先生の御指摘は、御指摘のとおりだというふうに思います。ただ、ただいま申しましたように、ことしの四月から、相当の折衝をいたしました結果といたしまして、先ほども申し上げましたような金利の引き下げを行ったわけでございますので、私どもといたしましては、まず当面はこの金利で勤労者の皆様方に十分融資を使っていただくようにPRをしていきたいというふうに思っております。
 当面はまず、現行の制度を十分に浸透させていくということに力を注いでまいりたいと存じまして、その動向を見ながら今後のことを考えてまいりたいというふうに考えております。
#14
○浜本万三君 動向を見ながらでは困るんです。もうこれは十兆円から二十兆円というふうにどんどん膨らむわけですから、したがってこれからそういう調達金利引き下げについて精力的に金融機関と折衝すると、このぐらいのことは答弁してもらいたいと思うんですが、大臣、決意のほどを伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(平井卓志君) これはもうおっしゃるとおりでございまして、朝令暮改というわけにはまいりませんが、実態に照らしてそういう方向で検討すべきものというふうに考えております。
#16
○浜本万三君 先般、労働省の「労働時報」の一九八七年八月号に、大臣官房秘書課長の松本さんという人が、新しく入省された人にいろいろお話をされておりました中で、新しく入省された人が、私どもは退職する時期に果たして自分の家が持てるんだろうかという意味のことを質問されて大変困ったという記事がここへ出ておるわけなんでございます。
 そこでお尋ねをするんですが、勤労者はいずれも一生涯のうちに自分の持ち家を建てたいと、こういう気持ちが非常に強いんではないかと思うわけです。ところが、財形制度はあっても持ち家の現状は促進されていないと、こういう結果になっておるわけでございます。せっかく労働省が勤労者に対して自分の家を持つような制度をつくっておるのにその成果が上がっていないという最大の原因は、労働省の方に勤労者の持ち家を推進するような組織がないところに最大の原因があるのではないか、かように思っておるわけです。
 そこで、財移住宅建設のための新しい組織をつくることを検討されてはどうか、こう思うんです。いつまでも家を建てることは建設省だというようなことではなしに、労働省も勤労者の持ち家を促進するというような立場で新しい組織をつくられる考え方はないのか、そういう点についてお尋ねいたしたいと思います。
#17
○政府委員(若林之矩君) 財形の融資は、今後改善を重ねる中で相当に伸びていくものというふうに期待をいたしておるわけでございます。融資件数もふえてまいるわけでございますので、業務量としても相当大きなものになってくるんじゃないだろうかというふうに考えておりますし、PRその他の面でももっともっと拡充していかなきゃならないだろうというふうに考えておるわけでございます。
 そういうことになりますと、先生御指摘のような組織体制というものの整備ということが一つの大きな課題になってくるというふうに考えております。そういうことも踏まえまして、今後とも組織体制の整備につきましては検討してまいりたいというふうに考えております。
#18
○浜本万三君 とにかく勤労者の持ち家を促進するために、先ほど申したように建設省などにばかり任せておくんでなしに、労働省の方でもぜひ何か新しい組織をつくって積極的に対策を立ててもらえるように強く希望しておきたいと思います。
 それから、今回の改正の中身について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 中身を見ますと、財形貯蓄のうち住宅貯蓄と年金貯蓄については非課税扱いになっておるわけでございます。しかし、一般財形は非課税になっておりませんで、二〇%の課税をされるということになっておるわけでございます。私考えてみますのに、勤労者が住宅を建てるということになってまいりますと、住宅貯蓄も年金貯蓄も一般貯蓄も合わせて資金にするということが当然考えられるわけでございます。勤労者の財産形成ということになれば、三つに分けられておるけれどもこれは一つの性格のものであるというふうに思います。したがって、一般財形につきましても非課税対象にすべきではないか、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#19
○政府委員(平賀俊行君) 勤労者につきましては、その資産形成がおくれておる、特に必要性の高いものといいますのは、御指摘のように持ち家の取得、要するに住宅を建設するということ、あるいは年金を自助努力で積み立てる、こういう特別の目的を持った貯蓄に対してやはり勤労者について特別の優遇策を講ずることが必要である。一般財形につきましては、やはりそういった目的を持つか持たないかという点につきましてはやっぱり仕分けされる、そういう意味では目的を持つものを優遇し、その他のものについては優遇措置を廃止するという選択をいたした次第でございます。
 確かに、御指摘のように、一般財形は特に目的を限っていない、したがって、結果的には住宅等の資金に充てられることもあるかもしれませんけれども、やはり税制上の優遇措置をどうするかという政策判断をする場合には、今回のような税制の見直しの場合は、そういう目的を特定しないものについて優遇するということは困難ではないかと考えております。
#20
○浜本万三君 もし改正法案のように、利子に対して二〇%の分離課税が課せられるということになってまいりますと、一般財形貯蓄をやっていくメリットというものが非常に少なくなってくるんじゃないか、かように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#21
○政府委員(平賀俊行君) 一般財形につきましては、やはり財形法の中の制度として残しておりまして、課税上の優遇措置はございませんけれども、そういう制度として天引きをして貯蓄をするということのほかに、例えば年金や住宅貯蓄と同様に財形給付金の制度あるいは一般財形の貯蓄額を基礎にいたしまして持ち家融資の対象となる、その他一般の貯蓄にはないメリットを付与されておりまして、そういう意味では一般財形貯蓄も勤労者の資産形成に資するものではないかと考えております。
#22
○浜本万三君 もう少し勤労者財産形成制度を魅力のあるようなものにするために私は二つの提案を申し上げたい、かように思いますので、ひとつ検討していただきたいと思います。
 その一つは、この財形年金制度と企業の退職金制度との結合を図ることができないかということなんです。つまり、一定の要件のもとで財形年金の積立額に退職時点で退職金を追加するようなことはできないのかというのが一つです。
 それからもう一つは、非課税限度は今五百万円ということになっていますが、これを一千万円に引き上げることは検討できないのか。
 二つの私の提案を申し上げますから、それに対するお答えをいただきたいと思います。
#23
○政府委員(平賀俊行君) 退職金の制度、企業内でそういう退職の際に勤続年数その他に応じてかなりの給付をするという制度、あるいはそれがだんだんと企業の中では年金化しているという現実もございます。ただ、この退職金を年金貯蓄その他に繰り入れることなどにつきましては、仮に税制上の優遇措置という面だけからしますと、退職金については別途特別の優遇措置が講じられております。また、財形につきましては、退職時というよりもその在職中にいろいろ計画的に自助努力をするという建前がございます。
 そういう意味で、制度的な関係あるいは優遇措置としての取り扱いなどについて研究しなければならない点がございます。しかし、財産形成制度、これは勤労者の老後を安定させるといいますか、そういった面で現在の制度に限るという趣旨のものでもございませんし、現在、財産形成審議会におきましていろいろと御検討をいただいておりますが、御指摘の点などもそういう意味で十分検討いただくべきテーマであると考えております。
 それから第二点の、非課税限度額を拡充するべきであるという御指摘でございます。この点につきましては、この制度といいますか、税制上の優遇措置という見地からは、勤労者に対する取り扱いとそれからその他の各層とのバランスなどということも考慮をしなければいけませんが、確かに長期的に年金を積み立てていくというような観点などを含めて、今後ともやはり私どもとして十分政府部内において論議を深めてまいりたいと存じております。
#24
○浜本万三君 相当遠慮した答弁なんですが、いずれにしても、今後政府部内でよく検討していくということをお答えいただいたと思います。
 とにかく、ヨーロッパの方々からも大変批判を受けておりますように、住宅問題は国際的に批判を受けておるわけでございますから、労働省としても勤労者のための持ち家が促進できるように積極的な対策を講じていただくようにさらに要望しておきたいと思います。
 それから、先ほどから御答弁をいただいておりまするように、勤労者の持ち家促進ということは、目標は高く掲げておるけれども実績は余り上がってないという答弁なんでございますが、これを積
極的に進めるために、今後はこれまでの政策のほかに還元融資として、例えば良質な賃貸住宅の供給であるとか土地造成にも利用できるように制度を改善したらどうかという気持ちを持っております。
 特に先ほど組織をつくったらどうかということもお話をいたしましたが、現に労働省の方で直接関係しておられる組織の中には勤住協とか住宅生活協同組合とかいうものもございますので、事業が円滑に行われておるそういう事業団体に土地造成等の融資をされるような制度を検討してもらいたいと思うわけです。住宅を建てようと思いましても土地がなければこれはしようがないことでございますから、したがって良質な宅地を造成し、それに住宅を乗せる、そこまでやっぱり融資制度の中で面倒を見るような体制をつくらなきゃだめだ、かように思います。そういう点についてはどういうお考えでございましょうか。
#25
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘の土地造成につきましては、財形はあくまでも家を建てるということを中心に構成されておりますので、現時点では土地造成というものを特に対象としておりませんことは先生の御指摘のとおりでございます。また、貸付先につきましても事業主とか事業主の団体に対して貸していくということにしておりますので、今お話ございましたような住宅生協とかあるいは地方公共団体あるいは都道府県とか市の住宅供給公社といったところには財形の資金を貸すことができないわけでございます。今お話ございました勤住協には貸し付けする方法はございますけれども、住宅生協とか地方公共団体にはないわけでございます。
 しかし、今後財形制度は特に有利になってまいりましたので貯蓄額は着実にふえていくというふうに期待いたしておりますし、そういたしますとその三分の一を勤労者の生活向上のために還元融資をしていくということになるわけでございますので、そういった形で非常に広く融資対象というものを考えていくということはひとつ可能ではないかというふうに思うわけでございます。
 ただいま先生の御指摘は大変貴重な御提言でございまして、私どもこの点につきましては真剣に研究をさしていただきたいというふうに考えております。
#26
○浜本万三君 実は私住宅生協の責任者をやっておることもございまして、これまで二十年間に一万戸ぐらいの家を建てた経験を持っているわけですよ。それで、住宅生協が勤住協を通して労金から借りる金利が高いときには九%を超すようなことであるわけですね。ことしの金利の四・二五%でも借りて宅地造成をすれば大変安い宅地が造成できると思うわけなんですね。ですから、勤労者の持ち家制度を促進するためには宅地造成から意を用いる政策をとらない限り決してうまくいかない、かように思うわけですね。
 そういう意味で、高い金利を使って宅地造成をしておる住宅生協等に財形の融資の道を開いていただければ大変格安な宅地が勤労者に提供できる、こういうふうに私思いますので、ぜひひとつ検討をいただきまして、早く政策の実現を図ってもらいたいということを希望しておきたいと思います。
 それから、時間が参りましたので最後に一つお尋ねをいたしたいと思うんですが、最近の状況を見ますと勤労者の収入は月々余りふえておりません。住宅等の必要資産は非常に乏しいということが先ほどのやりとりの中ではっきりいたしました。また、高齢化の急進展しておる中で退職後の生活手当ても不十分であるという状態でございます。こうした中で、財形制度は勤労者のトータル的な生涯生活設計の有効な政策となるように改善をしていかなきゃならぬと思います。国民の多数を占める勤労者にもっとこのような政策の光を当ててもらわなきゃならぬと思っております。単に勤労者の年金、持ち家というだけでなく、勤労者の生活設計という全体に目を向けた政策をぜひ実現してもらいたいと思うわけです。
 税の恩典一つをとりましても国として一貫したものがないという批判もございます。またあるときには、恩典があってもそれを十分享受できないという場合もございます。そういう中で勤労者の皆さんは政府の政策に相当の不信感を持っておることは間違いないと思います。したがって、より一層の財形制度の拡大充実を図る必要があるんではないかと思います。これは労働省も大いに責任を感じてもらいたい、かように思っております。
 これらの点につきまして労働大臣の決意のほどを承って、私の質問を終わらせてもらいたいと思います。
#27
○国務大臣(平井卓志君) やはり豊かな勤労者生活を築いていくことが目的でございます。そういう中で、特に立ちおくれております勤労者のストックの充実を図る、そして勤労者の生活の質を高めるということが大変肝要であろうかと思うわけでございます。
 この財形制度は、当面は年金、資産の保有また住宅取得を促進することが中心となるわけでございますが、蓄積されました財形貯蓄の活用の方策、これは非常に多額の資金にもなりまするし、ただいま委員からも御指摘ございましたように、現在対象となっておらない問題も含めまして効果的な方法を今後十分に検討しなければならぬ、そういうことも含めて勤労者の資産形成の一層の促進について積極的に取り組んでいかなければならぬ、かように考えております。
#28
○浜本万三君 終わります、
#29
○糸久八重子君 私は、労基法の改正案につきまして質問をさせていただきます。
 七日の本会議の代表質問の中でも指摘いたしましたとおり、我が国の労働時間は欧米先進国十五カ国の平均よりも五百時間も長い、つまり欧米諸国の労働者と比べて六十三日分も多く働いているという状況であります。しかも重大なことは、この間こうした労働時間の著しい格差は縮まるどころかむしろ拡大傾向さえ見られる、これでは欧米諸国から厳しく批判され国際経済摩擦の要因となっているのも当然であります。
 したがって、今日我が国の労働時間の短縮というのは緊急かつ重要な国民的な課題となっているわけですが、私は、労働時間の短縮はこれまでのように労使の自主的な努力それから労使の交渉に任せるだけでなく、つまり、単に労使間の問題と考えるのではなくて、国民各層の協力を求めて、それこそ官民一体となって、これを進めていかなければならないと思います。そして、日本は働き中毒患者の国などという西欧諸国の批判や汚名を一日も早く返上していかなければならないと考えるわけですが、そこで、きょうは特に外務省、それから人事院、総務庁にもわざわざ御出席をお願いいたしました。
 まず、外務省から御質問をさせていただきますが、今指摘いたしましたとおり、我が国の長時間労働については欧米諸国から非常に厳しい批判の声が聞かれているわけです。我が国の長時間労働の改善というのは、実は非常に長い間の懸案でありまして、政府も例えば十五年前の円高対策において週休二日制の推進に触れておりますが、外務省はこの年に世界各国の週休二日制の実施状況を調査をしていらっしゃいます。それによりますと、欧米諸国のほとんどが当時既に官庁や銀行を含めまして週休二日制が社会的に確立しており、その当時の一人当たりの国民所得が千五百ドル以上の先進諸国では週休二日制を実施していないのは我が国だけだったわけであります。
 現在でもなお欧米諸国との労働時間格差が非常に大きいわけですけれども、こうした格差につきまして、外務省としては一体どのように認識していらっしゃいますのか、お伺いをさせてください。
#30
○説明員(平林博君) 今先生御指摘のとおり、外務省といたしまして、諸外国の労働時間と我が国の労働時間を比べたような調査、検討を何度か過去に行った経緯がございますが、一般的に申し上げまして、欧米の主要国に比べますと我が国の労働時間は長くなっているということは間違いないところでございます。したがいまして、外務省としては労働時間の短縮は労働者福祉の向上のみな
らず、国際的な協調の確保あるいは国際的な協調を重視した経済体制の観点から大きな意義を持つと、こういうふうに考えております。
#31
○糸久八重子君 我が国は、今世界のGNP二割国家とか世界最大の債権国になっております。したがって、今日国際的な経済社会の発展に寄与することが期待されているわけですけれども、実際にはむしろ、国内を見れば勤労国民の労働条件とか生活条件の水準は非常に低いわけですね。そして、国際的に見ましても経済摩擦の震源地となっております。したがって、欧米諸国との労働時間格差を是正することは、我が国にとっても緊急かつ重要な課題であると考えますけれども、外交を所管する外務省としてはどのような見解をお持ちですか。
#32
○説明員(平林博君) 先生今御指摘のとおりだと考えております。労働時間の欧米諸国との格差の是正、解消、この問題につきましては、もちろん国民生活の充実という観点から極めて重大な問題だと考えておりますが、外務省といたしましては、そのほか第一点といたしまして、諸外国との間で調和のとれた国際経済体制を築くためには、労働時間の短縮も避けて通れない問題であるということ。それから第二点といたしましては、この労働時間の短縮は消費の拡大、内需の拡大という効果をもたらすと考えておりますが、この内需の拡大は我が国に対する諸外国からの強い要請でもございまして、経済面における国際的な貢献という観点からいたしましても、労働時間の短縮につきましてはできるだけ早い段階で先進諸国に追いつくということが重要な課題だと考えております。
 こういう観点から、先般、五月の十四日でございますが、経済審議会が出されました建議におかれまして、大変いい意見が開陳されております。外務省といたしましては、こういう点も諸外国にPRをいたしておりますが、ぜひこういう方向で物事が進んでもらいたいと、こういうふうに考えております。
#33
○糸久八重子君 総理は、七日の本会議の私の質問に対して、週四十時間制への移行時期については新前川レポートの目標の実現を図るため、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるように努力すると、そう答弁をなさいました。
 外務省といたしましても労働時間格差についての各国の声を厳粛に受けとめるとともに、総理の答弁を踏まえて関係各省庁に対し格差の解消とか、週四十時間制の確立を積極的に働きかけるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
#34
○説明員(平林博君) 先生今御指摘の新前川リポート、経済審議会の建議の際も、外務省は政府部内でいろいろ意見を申し上げましたが、ただいま申し上げましたようないろいろな国内的な観点のみならず、日本の今後の国際国家としてのあり方という点からも本件は大変重要でございますので、今後とも機会あるごとに関係方面に今申し上げましたような意見をもとに働きかけてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#35
○糸久八重子君 次に、人事院にお伺いをさせていただきます。
 昭和四十八年に人事院も諸外国の調査をしていらっしゃるようですが、近年ますます外国とのギャップが広がってきておりますし、欧米との摩擦の原因にもなっているこの状況、過去の日本の公務員を含む労働時間の推移についてどう認識、評価をしていらっしゃいますか。
#36
○説明員(山崎宏一郎君) 昭和四十八年に諸外国の公務員の勤務時間等の調査を行っております。さらに今年は、昭和六十二年四月一日現在で主要四十カ国の調査を行いました。これを御紹介いたしますと、その四十カ国のうち三十一カ国が完全週休二日制をとっております。しかも一九六〇年代にこの中で十九カ国がそこまで到達しているというような状況、それから平均過所定勤務時間は四十カ国平均で三十八時間二十九分というようなことでございます。これらの状況等も見ながら四週五休を五十六年から実は実施しております。
 今年度は、既に昨年から試行に入っております四週六休でございますが、試行状況は全体として順調であるということで、四週六休の本格実施の勧告をしたところでございます。これらを通じましてさらに時間短縮を図ってまいりたいということで、引き続いて週休二日制の推進あるいは勤務時間の短縮について検討していきたいと思っております。
#37
○糸久八重子君 公務員の制度は、民間の水準に後追い準拠する形となっておりますが、それでは不十分であると思います。むしろ官民一体となって進めていくべきではないかと考えるわけですが、新前川レポートでも時短、週休二日制の推進は大きな課題として取り上げられておりまして、また総理も九月七日の本会議で労基法改正に関連して、四十四時間は三年後、四十時間は一九九〇年代前半のできるだけ早期に移行を目指すという答弁をなさっておられますけれども、人事院の認識はいかがでございますか。
#38
○説明員(山崎宏一郎君) 時短あるいは週休二日につきましては、官民を問わず重要な政策課題だという認識は人事院としても持っております。さらに四十時間労働制を目標に掲げました基準法改正について、国会において審議されているということも認識しております。したがいまして、公務員につきましても完全週休二日制を目標に掲げ、具体的な課題として取り組む必要があるというふうに認識しておりまして、八月の人事院報告の中でその旨見解を述べたところでございます。
 政府側におかれましても、いろいろな条件整備を早目早目にしていただくことがその推進に寄与するんではないかというふうに考えております。
#39
○糸久八重子君 週休二日制を推進するという政府全体の施策の観点からすれば、中小企業を含む民間への促進効果の面からも公務員や金融機関の先行を進める必要があるのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
#40
○説明員(山崎宏一郎君) 新前川レポートにおきましてもそのような趣旨の御提言がされていることは承知しております。それから、公務員において週休二日制が進みますと民間への波及効果も少なからず生ずるということも理解しております。それらのことを念頭に置きながら今後推進策を図ってまいりたいと思っております。
#41
○糸久八重子君 閉庁問題につきましては人事院はどのように考えていらっしゃるのか、基本的な認識をお伺いしたいと思います。
#42
○説明員(山崎宏一郎君) 人事院は、基本的には職員の勤務条件サイドからのアプローチをするということできておりまして、従来から時間短縮あるいは休日増といいますか、そういうものについて御提言なり勧告を申し上げております。今回は四週六休を勧告申し上げたところでございます。
 ただ、将来の週休二日制の展望といいますか、あるいはより望ましい職員の勤務条件の確保という観点から申しますと、閉庁問題というのは避けて通れない問題だと理解しております。ただ、役所を閉めるかどうかという問題は行政サービスをどう国民に対して提供さしていただくかということでございまして、非常に波及するところも大きい問題でございますし、基本的には政府において御判断をいただく問題というふうに理解をしておりますけれども、先ほど申し上げましたような観点から、この夏の報告におきまして土曜閉庁の導入が望ましいという提言をさせていただきまして、政府において積極的に御検討いただくよう期待しておるところでございます。
#43
○糸久八重子君 四週六休制につきましては、昨年の十一月末から試行実施をされておりまして、この十一月で一年を迎えます。我が党としましては、閉庁方式による四週六休制をできる限り速やかに実施すべきであると考えておりますけれども、公務員の勤務条件のあり方にかかわる人事院としては閉庁方式のメリットについて検討されているはずだと思いますけれども、いかがでしょう。
#44
○説明員(山崎宏一郎君) 現在試行を行っておりますのは、いわゆる開庁スタイルといいますか、半舷上陸スタイルといいますか、土曜日に職員が半分ずつ出てくるという形で試行を行っております。したがいまして、今回我々が勧告いたしまし
たのは、今の試行を行っている形での四週六休制をできるだけ速やかに実施していただきたいということでございます。しかし、閉庁方式につきましても政府において鋭意検討されまして、できるだけ早く進展をいたしますことを期待しております。
 閉庁方式がとられた場合のメリットといいますか、職員サイドだけのことを申し上げるのもいかがかと存じますけれども、いろいろ職員サイドから見ますとメリットがありまして、わかりやすく申し上げますと、土曜日に心置きなく休ませていただくということがあろうかと思いますし、非常に少人数の職種、ボイラーマンとか電話交換手とか、そういう少人数の職種しか職場にいない場合とか、あるいは少人数の窓口官署、法務省等で一人なり二人なり三人しかいない登記所等ございますけれども、そういうところではやはり職員側から見ますと閉庁スタイルになりますと比較的休みやすくなるというようなメリットは生ずるかというふうに理解しております。
#45
○糸久八重子君 外務省、人事院、ありがとうございました。
 次に、総務庁にお伺いをさせていただきます。
 総務庁は、最近、サミット参加六カ国を対象とした諸外国行政機関の閉庁状況等の調査結果を発表いたしました。これによりますと、イタリアが過所定労働時間三十六時間で週休一日半制をとっているのを除けば、各国とも官公庁はほぼ土曜閉庁、それから病院、銀行も土曜、日曜休業で、デパートは日曜のみ閉店となっております。我が国でも早急に官公庁の土曜閉庁を実施しなければならないと考えますけれども、いかがでしょうか。
#46
○説明員(河野昭君) ただいま先生から御紹介いただきましたように、総務庁といたしましては主として諸外国の公的部門における閉庁がどうなっているのかという観点から先般調査したわけでございます。調査結果につきましては先生から今御紹介いただいたとおりでございますが、いずれにしましても、イタリアを除きまして他の五カ国は一九六〇年代までに閉庁方式による完全週休二日制というものを実現しているわけでございます。
 総務庁といたしましても、先ほど外務省からも申しましたが、労働時間短縮による国際協調あるいは公務員の勤務条件の改善、そういう観点からもこの閉庁方式による完全週休二日制というものを目標にして努力していくべきものと考えております。
#47
○糸久八重子君 先ほど人事院にも質問をいたしましたけれども、公務員の週休二日制の実施、特に土曜閉庁の実施は中小企業を含む民間に対する時短促進効果があると思うのですけれども、どうでしょうか。また、週休二日制を推進するという政府全体の施策の観点からすれば、公務員や金融機関の先行型でこれを推進する必要があると思うのですけれども、どうでしょうか。
#48
○説明員(河野昭君) これも先ほど人事院からも御答弁しましたが、新前川レポートでは、労働時間短縮のおくれている中小零細企業への指導を積極的に進める、波及効果の大きい公務員、金融部門、これについては積極的に週休二日を進めていくべきであるということになっております。
 政府は、これも新前川レポートを受けまして緊急経済対策というものを閣議レベルで決定したわけでございますが、その中でやはり当面四週六休制へ円滑に移行するように、また閉庁方式の導入を検討するようにということを決定しております。したがいまして、私どもこれからこういう問題を進めていく上には、やはりこういう中小零細企業への波及、そういうことについても十分念頭に置いて進めていくべきであると考えております。
#49
○糸久八重子君 先ほども申しましたけれども、総理は、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに週四十時間制に移行できるよう努力する、そう答弁をしていらっしゃいます。総務庁としましても当然この総理答弁を踏まえまして今後努力されるだろうし、また特に時短促進効果の観点から、公務員の週休二日制、土曜閉庁については公務先行型でこれを推進していくものと考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。
#50
○説明員(河野昭君) 総理の御答弁は、労働基準法の中で法定労働時間を四十時間とする目標年度ということでございまして、これは必ずしも国家公務員の完全週休二日制の目標年度と一致しているというふうには考えておりませんが、いずれにしましても、御答弁の趣旨は国全体として時短を進めていこうということだろうと考えております。したがいまして、その中で大変大きい部分を占めております公務部門につきましてもこの総理の御答弁の趣旨に沿ったような方向で検討を進めていかなければいけない、そのように考えております。
#51
○糸久八重子君 この労働基準法改正案は来年四月実施となっております。一方、公務員の四週六休制はこの十一月で一年を迎えるわけです。公務先行という考え方、閉庁方式の社会的波及力も考慮すれば、私は速やかに十二月から四週六休の実施に踏み切るべきだと思いますし、あわせて閉庁も実施するように最大限の努力をすべきだろうと考えます。
 閉庁については、十二月実施がどうしてもできなかったというときは来年の四月には実施すべきだと、そう考えるわけですが、労基法の改正問題とあわせて閉庁問題が国民の関心を集めておりますけれども、四週六休の本格的実施及び閉庁の実施の方針が早急に、せめて年内に決定をされるならば、その時短促進効果というのは非常に大きいものと思います。
 総務庁としては、どのように考え、また具体化の努力をしていらっしゃるのか、お聞かせください。
#52
○説明員(河野昭君) 先ほど申しましたように、緊急経済対策の中では、公務部門の四週六休制につきましては円滑に移行と、それから閉庁問題につきましては閉庁方式導入の検討ということを決定しておりまして、それに基づきまして今検討しているわけでございます。
 まず、四週六休につきましては、先生御指摘のように昨年の十一月からおおむね一年ということで試行をやっておりまして、現状を申し上げれば九割の職員は試行に入っておりまして、ほぼ順調にいっております。ただ、残り一割、具体的には国立病院等の職員でございますが、これにつきましては現在十月に試行に入ろうということで、業務の見直しとか改善、工夫ということを行っている段階でございます。したがいまして、いつからこれが本格実施になるかということにつきましては、もうしばらくその試行に今入ろうとして努力しているものの状況を見させていただきたいということでございます。
 それから、閉庁につきましては、その緊急経済対策の決定の後、政府部内に人事管理運営協議会幹事会という場がございますが、ここに閉庁問題専門部会というものを設けましてそこで検討してまいりました。昨日、閉庁問題専門部会の考え方を取りまとめまして幹事会に報告したところでございます。今後は、その内容をたたき台にしまして、もう少し幅広く検討していかなければいけないと考えておるわけでございます。
 ただ、いずれにしましても、先生先ほどからの御指摘でございますので、今後ともなるべく早く政府としての方針決定をし、なおなるべく早く実施に移せるように努力してまいりたいと考えております。
#53
○糸久八重子君 冒頭にも申し上げましたとおり、労働時間短縮は官民一体となって取り組む必要がございます。政府部内におきましても、相互に十分連携協力し合って、最大限の努力をするように要請をしておきたいと思います。総務庁、どうもありがとうございました。
 さて、労働省にお伺いをさせていただきます。
 今お聞きになったように、関係各省それぞれに努力をなさっている。私といたしましては、もっともっと努力をしてもらいたいと思いますし、労働省についても最大限の努力をしてもらいたいと思うわけです。ついては、そういう立場で質問を
進めたいと思いますので、積極的前向きに御答弁をお願いを申し上げたいと思います。
 まず、法定労働時間制について質問をいたします。
 新前川レポートでは、一九九〇年に二千時間、そして二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に千八百時間という目標を定めております。政府は昭和五十五年に、昭和六十年までには二千時間を目指すという目標を決めまして、週休二日制等労働時間対策推進計画を策定いたしましたけれども、この目標は結局実現ができない、そして一九九〇年まで延ばされたわけでありますけれども、この推進計画、これは労働省の労働基準局賃金福祉部編となっているわけですけれども、労働省でおつくりになったわけですが、二千時間のその内訳は、実は見てみましたら次のようになっております。ちょっと読ませていただきます。
  完全週休二日制(一〇四日)及び国民の祝祭日の全休(一二日)を享受すれば、年間一一六日が休日となり、さらに平均的な付与日数である一三日の年次有給休暇が完全に消化されると、一年の労働日数は、二三六日となります。一日の所定労働時間を仮に八時間として年間一、八八八時間となり、これに日本的雇用慣行に伴う若干の所定外労働を加えた姿がほぼ欧米主要国並みの水準を実現した姿となるわけです。残業時間については、不況が最も進み、雇用自体が問題となった昭和五〇年における残業時間、月間一〇時間、年間一二〇時間という数値が参考になると考えます。
 そう書かれてあるわけなんです。
 そこで、二千時間、それから千八百時間となった場合の週休日数、それから国民祝祭日、年次有給休暇、時間外労働の内訳はどのようになると想定をしていらっしゃいますか。
#54
○政府委員(平賀俊行君) 先生の御質問は、ただいまの労働省で立てました計画と、それから前川レポートで千八百時間と想定しているものとの祝祭日あるいは年次有給休暇等の想定された日数との相違をお尋ねというふうに理解をして、それでお答えをいたします。
 先ほど先生の御質問の中にありましたように、五十五年に立てた推進計画では週休二日制ということで、百四日、週休を予定しております。それは前川レポートでも同じでございます。
 それから、週休日以外の休日として、推進計画では国民の祝祭日十二日を一応基礎としておりますが、前川レポートではそのほかに慣行的な休暇等なども加えて、今大体慣行的に休んでいる国民の祝祭日も含めて、十六日を予定しております。
 それから、年次休暇につきましては、当時そのころの実績に近い十三日という数字を想定しておりましたが、前川レポートではこれまた既にレポートの中に明らかになっておりますように、二十日の休暇を完全に取得するということを想定しております。
 それから、超過勤務になりますが、そのころ百二十時間という数字を想定しておりますけれども、最近の実績などから見てもう今百八十時間とかなり高目の実績が出ておりますので、前川レポートで聞き及びますところでは百五十時間ぐらいの時間を想定しております。
 それからなおさらにつけ加えますと、実は五十五年の計画でモデル的に一日の労働時間を八時間として実は計算して、それが二百三十六日の労働日に対して千九百時間近い時間を計算して、それに超勤を足して二千時間という推計になっておりますが、前川レポートでは、一日の労働時間は八時間制の建前になって、現在の所定時間の統計的な数値といいますか、それは七・四時間ぐらいになっておりますので、一日の労働時間は七・四時間として計算して、それで合計して千八百時間という程度の数字が積算されているというふうに理解をしております。
#55
○糸久八重子君 何回も申し上げますけれども、総理の答弁は、新前川レポートの目標の実現を図るために一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力すると、そうおっしゃっているわけですけれども、一九九〇年代前半といっても大変幅があります。遅くとも一九九〇年代前半の半ばである一九九三年までには週四十時間制へ移行すべきであると私は考えるのですけれども、大臣この点はいかがでございましょうか。
#56
○国務大臣(平井卓志君) 御趣旨に沿いますよう、最大限の努力をいたしたいと考えております。
#57
○糸久八重子君 ただいまの大臣の御答弁では最大限の努力をしてくださるということで、かなり明確になってきたわけでありますけれども、そうであるならばその年限を法律に明記することができるのではないか、またそうすることによって労働時間の短縮がより一層進むのではないかと考えますけれども、この点はいかがでございますか。
#58
○政府委員(平賀俊行君) 労働基準法で定めます法定労働時間は、御承知のように、すべての事業場に罰則つきで強制される性格のものでございます。したがって、実態とかけ離れたものとすることはできませんし、また実態として週四十時間労働制あるいは完全週休二日制が相当程度普及した状態を前提としなければならないと存じます。そういった労働時間の実際の動向は労使の御努力あるいは経済情勢等に左右されるものでございまして、現時点でその移行時期あるいはそういうような実態なのかどうかということを確定的に見通すことはなかなか困難でございまして、したがって法令上明記することは適当でないと存じております。
 しかし、いずれにいたしましても、労働時間の短縮は重要な課題であると認識しておりまして、労働省としてもこういった実態が早く実現するように最大限の努力をいたしたいと存じております。
#59
○糸久八重子君 これまで政府は労使の自主的努力を基本にして行政指導を行ってきておられますけれども、労働時間の短縮は全くというほど進まなかったという経過を考えますと、やはり実施時期を法律に明記する必要があると思います。その方が経営者としてもあらかじめ労働時間の短縮の計画が立てられ、労働時間の短縮が一層進むものと思われますけれども、この点はいかがですか。
#60
○政府委員(平賀俊行君) 今回、労働基準法の改正を御提案いたしましたのも、御指摘のように、確かに最近、特に最近の十年間、労働時間の短縮がほとんど進んでないという状況にかんがみ、やはり法的な措置が必要であるという考え方のもとに御提案申し上げた次第でございます。
 確かに、その確定期限をもって将来法定労働時間がどういうふうになるかということで、法律上に明記することによって御指摘のような効果があることは、それは私どもとしても考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、実態がやはり必ずしもそういう状況にならないということなどにつきまして問題があると存じております。しかし、法律を改正して、法律をてこにして労働時間の短縮を進めたいという考え方もございますし、また、御指摘の趣旨も十分踏まえて、事業主が計画的に労働時間の短縮を進められるように私どもとしても十分指導してまいりたいと存じますので、御理解をいただきたいと存じます。
#61
○糸久八重子君 今後二千時間から千八百時間の目標に向けて労働時間の短縮を進めていくわけですけれども、その場合に、完全週休二日制の早期確立等が必要不可決でございます。そのためには、当面の法定過労働時間を四十六時間でなく、四週六休制の姿となる四十四時間としなければ目標が達成できないと考えますけれども、大臣いかがでしょうか。
#62
○国務大臣(平井卓志君) この労働基準法は、先ほど来局長からも答弁を申し上げておりますように、罰則つきで全事業場に適用されます最低基準を定めた法律でございますから、中小規模の事業場の半数以上が週四十八時間制となっておるこの実態等を考慮いたしますと、やはり当面の法定労働時間は中央労働基準審議会の建議に沿って週四十六時間といたしまして、なるべく早期に週四十四時間とすることが適当であると考えております。
 ただ、この週四十四時間制への移行時期につきましては、改正法施行後三年をめどに、できるだけ速やかに週四十四時間といたしたいと考えております。
#63
○糸久八重子君 次に、法定労働時間の猶予措置についてお伺いいたします。
 総理は本会議で、その対象となる事業場はなるべく少なく、また猶予期間の長さはなるべく短くすることが望ましいと答弁をしていらっしゃいます。このような考え方に立つならば、当面の法定労働時間の適用が猶予される事業場は小規模零細企業に限定をし、猶予する期間も二年程度とすべきであると考えますけれども、いかがでしょうか。
#64
○国務大臣(平井卓志君) 当面の法定労働時間の適用を猶予される事業場につきましては、規模別、業種別の労働時間の実態に即して、当該規模また業種に属する事業場の相当数が週四十六時間を超えている場合に限定することとしまして、具体的には、中央労働基準審議会の意見を聞きました上で、できるだけ限定する所存であります。
 なお、猶予期間でございますが、この猶予期間につきましては三年とすることを予定いたしております。
#65
○糸久八重子君 政府案によりますと、法定労働時間四十六時間からスタートをし、段階的に短縮されることになるわけですけれども、法定労働時間が四十六時間から四十四時間、さらに四十時間へと移行した際の猶予措置については、今回の猶予措置よりもさらに限定すべきであると考えますけれども、大臣いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(平井卓志君) 法定労働時間が四十四時間あるいは四十時間となりました場合の猶予措置の対象事業場の範囲また猶予期間の長さにつきましては、具体的にはその時点で検討すべきことでございますが、猶予措置の対象となる事業場はなるべく少なく、またその期間の長さはなるべく短いことが望ましいという基本的考え方に立って検討することになるというふうに考えております。
#67
○糸久八重子君 法定労働時間短縮に際しての猶予措置は、猶予という名前が示すように、猶予するのはいつまでだとあらかじめ期限を決めておかなければならないものだと思います。
 本来、事業場の規模や業種の違いによって法定労働時間の適用の差別があってはならないと思いますし、猶予措置を設けても一日も早く解消しなければならないことからすれば、猶予期間が終わったとき、さらに延長されることはよもやないと考えますけれども、大臣いかがでしょうか。
#68
○国務大臣(平井卓志君) おっしゃいます猶予措置でございますが、これは、法定労働時間の短縮に際しまして、直ちに所定労働時間を短縮することが困難な規模、業種の事業について、一定の期限を区切って、その期間中に新たな法定労働時間まで所定労働時間を短縮してもらうためのものでございますので、当初定めました期限を延長することはないというふうに考えております。
#69
○糸久八重子君 次に、変形労働時間制の問題に入ります。
 三カ月単位の変形労働時間制については、衆議院で野党四党の共同要求が政府・与党に受け入れられまして、一日、一週の労働時間の上限、連続して労働させる日数の限度を設けることに修正をされましたが、具体的な時間数、日数についてどのように考えておられるでしょうか。
 一日の上限は、諸外国の立法例等を見ましても十時間とし、また、一週については、週休二日制の時代を考えれば、例えば四十八時間、休日については少なくとも週一日は確保されるようにすべきであると考えますけれども、この点につきましては大臣いかがでございましょうか。
#70
○国務大臣(平井卓志君) この三カ月単位の変形労働時間制における一日、一週等の上限につきましては、中央労働基準審議会の意見を聞きまして決めるということになっておりますが、一日の労働時間の上限は十時間とすることを前提にさらに検討をいたしたいと考えております。
#71
○糸久八重子君 三カ月単位の変形制を採用し、なおかつ時間外労働をさせられたら、労働時間の短縮を図るために三カ月単位の変形制を新たに導入するという労働省の趣旨に反し、これでは何のための変形制がわからなくなります。
 変形労働時間制を採用した場合には、時間外労働を認めるべきではないと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
#72
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のとおり、三カ月単位の変形労働時間制につきましては、業務の繁閑に合わせまして所定労働時間を設定することを認めまして、これによりまして時間外労働をなくして、全体としての労働時間を短縮することを目的としたものでございます。したがいまして、この変形制を採用する場合には、突発的なものは別といたしまして、時間外労働はないということを前提にしていただくべきものというふうに思っております。
 また、実際に、制度的にもこの三カ月単位の変形労働時間制は、法定労働時間が、現在四十六時間にいたすことを予定いたしておりますが、その四十六時間を超えた時間から割り増し賃金を払うのではなく、所定労働時間を三カ月平均で四十六時間以下にしていただきまして、その四十時間を超えた時間から割り増し賃金を払っていただくようにいたしております。そういうことになっておりますので、この制度をとりながら時間外労働をいたしますと、制度をとらないで時間外労働をした場合よりもより多くの時間外割り増し賃金を払わなければならないという結果になりまして、制度的にも時間外労働を抑制するような仕組みになっている次第でございます。
#73
○糸久八重子君 そうはおっしゃいますけれども、制度上は時間外労働をしたら割り増し賃金を支払うことを規定しておりますし、時間外労働を行わせるということもあり得るのではないかということが危惧されるわけです。
 突発的なものは別として、恒常的な時間外労働はないことを前提とするとおっしゃるのならば、そのようなことにならないよう厳重にチェックすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
#74
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のとおりの趣旨でございますので、この制度につきましては、そういう趣旨が徹底するように周知に努力いたしますとともに、時間外労働協定には変形労働時間制を採用しているかどうかがわかるようになっております。したがいまして、届け出があった際にその中身を検討させていただきまして、必要な指導をさせていただきたいというふうに考えます。
#75
○糸久八重子君 次に、妊産婦の問題について質問をさせていただきます。
 妊産婦につきましては、これも私が本会議で指摘いたしましたとおり、母性保護の観点から変形制の適用を除外すべきであると考えるわけです。現行法六十六条は、使用者は、妊産婦が請求した場合においては、時間外、休日労働の協定があった場合でも就労をさせてはならない旨規定しておりまして、それと同様の措置を講ずるべきであると考えるわけですけれども、大臣、この点はいかがでございましょうか。
#76
○国務大臣(平井卓志君) 委員がおっしゃいますように、母性保護は重要であると認識をいたしております。妊産婦につきましての変形労働時間制の適用を除外することにつきましては、本委員会の御議論を踏まえまして適切に対処してまいる所存であります。
#77
○糸久八重子君 次に、育児や介護の家族的責任を有する労働者の問題につきましてお伺いをいたします。
 育児や介護などの家族的責任は、女性の肩にかかっているのが我が国の実態でございます。育児、介護の責任を有する労働者は、勤務時間が日ごとに変わったら職業生活と家庭生活とを両立できないで、事実上働くことができなくなるおそれがあります。また、これは男女雇用機会均等法の目的にも反することになるわけでありますけれども、そのようなことにならないように法令で配慮義務を明確に規定すべきではないかと考えるわけでありますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#78
○国務大臣(平井卓志君) 育児担当者につきましては、男女雇用機会均等法第二十八条におきまして、「事業主は、」「育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行うように努めなければならない」とされておるわけでございます。この趣旨を踏まえまして必要な指導を行ってまいりたいと考えております。
 また、介護の責任を有する者につきましてもこれと同様の配慮がなされるよう、育児担当者とあわせて通達を出し、指導してまいる考えであります。
#79
○糸久八重子君 婦人局長にお伺いをいたします。
 これは先般の労働一般の中でも御質問させていただきましたけれども、均等法の施行後一年半たちますが、施行後の状況はどうなっていらっしゃいますか。また、調査をなさったとおっしゃったわけですけれども、その調査の結果は集計できましたでしょうか。また、コース別人事管理がふえているのではないかと大変危惧するわけですけれども、そのあたりがもしおわかりになりましたら御説明ください。
#80
○政府委員(佐藤ギン子君) たびたび御質問いただきまして、先生も御存じのことと存じますけれども、雇用機会均等法が施行をされまして一年数カ月たちましたけれども、おかげさまで男女を問わない求人あるいは採用、それから新入社員についての男女同じような教育訓練、その他定年制につきましても是正が進んでいるということで、全般的に企業における雇用管理の改善は進んでいるところでございます。
 調査につきましては、私ども今集計をいたしているところでございますので、まだ最終的な結果を私も見ておらないわけでございます。
 ただ、コース別の管理につきましては、確かに金融機関とか商社等でそうした制度を採用するところが出てきております。私どもといたしましては、そうした総合職といいますか基幹的な仕事につかせ、また責任あるポストにつけていく、そういうコースが女性にも開かれたという点では進歩ではないかというふうに思っております。ただ、意図的にそのようなコースに女性をつけないように排除するというようなことのないように、そういうことがございましたときには十分指導をいたしてまいりたいと考えております。
#81
○糸久八重子君 家族的責任を負っている者が働けるように社会的基盤の整備が必要であるわけですけれども、ILO百五十六号条約を批准すべきではないか、そう考えますけれども、いかがでしょうか。
#82
○政府委員(佐藤ギン子君) 職業生活と家庭生活の調和を図るということは、女子労働者だけではなくて男子労働者についても大変重要なことだと思っておりますので、労働省としては今後ともそういう観点から十分に努力をいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、ILOの百五十六号条約につきましては、家族的責任を有する女子だけではなくて、男子につきましても同じように労働者の必要を考慮した措置をとるように求めておるわけでございまして、こうした趣旨を完全に実現するためには、男子についても女子に認められていると同じような家庭責任を配慮した措置をとることが必要であるというコンセンサスを十分私どもとしてもつくっていかないと、なかなか難しい点もあるかと存じます。ILO百五十六号条約につきましては、まだもう少し解釈等について詰めさせていただきたい点もありますので、そういう点で今いろいろと努力をいたしておるところでございます。
#83
○糸久八重子君 育児休業につきましてお伺いいたしますが、野党四党は、今臨時国会に法案をまとめまして育児休業法案を提出しておるわけでございます。労働省は育児休業促進月間を設けまして、その普及に努めていらっしゃいますけれども、一向に実績が上がっていないという状況があるわけですが、この育児休業の制度化につきましてはどのように認識していらっしゃいますでしょうか。
#84
○政府委員(佐藤ギン子君) 育児休業の請求権につきましては、機会均等法をつくりますときに、審議会でも大変各委員の皆様方に御熱心に御審議をいただいたところでございますが、現時点ではまだ残念ながら普及率が非常に低いというようなことから、これをすべての企業、中小、零細に至るまですべての企業に請求権という形で義務づけるのには時期的に尚早ではないかというようなことから、まず行政が努力して普及に努めるというところからやってくれというような御建議をいただいたわけでございまして、私どもといたしましては、省令措置等の拡充などに努め、また先生からも御指摘ございましたように、育児休業の促進のための旬間をつくりましたり、また育児休業の普及指導員を室に設けるというようなことで鋭意努力をいたしているところでございます。
#85
○糸久八重子君 日本の国はこれから急速に高齢社会になってまいりますけれども、非常に高齢者が多くなる、しかも家庭で介護せざるを得なくなるという状況の中ではどうしても介護休暇というのが必要になってくるわけですが、その介護休暇の制度化につきましてはどのような認識をお持ちでございましょうか。
#86
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに介護を必要とする方々がどんどんふえていくということでございまして、私どももこの問題については非常な関心を持っているわけでございます。ただ、実際には介護休暇というものが現在では普及率が非常に低いというようなことでございますので、私どもといたしましては、こういうものが現在普及しているところでどのように活用されておるのか、あるいはどのような問題があるのかというようなことにつきましてまず検討をしなければならないということで、いろいろと勉強いたしているところでございます。
#87
○糸久八重子君 県によりましては、介護休暇制度というものをつくりまして、現に実施しているところがあるわけでございますけれども、そういうような実態をよく把握いたしまして、これは本当に大事な問題でもございますので、よろしく早期に検討をいただきたい、そう要望をさせていただきたいと思います。
 次に、働きながら高校や大学に通っている勤労学生の問題についてお伺いいたしますけれども、今度の変形労働時間制が採用されるとこれは大変な問題になるということで、私の部屋にもたくさんの陳情の方たちが参りました。
 今全国で定時制に通っている勤労学生が十四万いるということでありますけれども、なかなか今の厳しい労働条件の中で学校に遅刻をしてくる学生が非常に多くなる。また、かつては非常に事業主が配慮をして、四時なり四時半になると学校に行くようにということを言っていたけれども、最近ではそういうこともなくなって、かえって超勤を強いるような実態になっているという実態等も出ているわけでございますけれども、そういう学びながら働くことが困難になってしまうのでは、これはせっかくの就学の機会も失われるという状況で、非常に重大な問題になってくるわけですね。
 この問題は、法令で配慮義務を明確に規定すべきであると思いますけれども、この辺はいかがでございましょうか。
#88
○政府委員(平賀俊行君) 働きながら定時制などに通っております勤労学生につきましては、勤労青少年福祉法に、事業主は、当該勤労青少年が教育を受けるために必要な時間を確保することができるように努めなければならないという規定が既にございまして、
   〔委員長退席、理事田代由紀男君着席〕
私どもといたしましては、もちろんその労働時間の決め方はさまざまでございますが、現在のような所定時間の中でもそういう配慮が必要であろうと思いますし、もちろんその変形制その他の形がありましても当然そういった配慮が必要であろうという考え方のもとに、引き続き必要な指導を行ってまいりたいと存じます。
#89
○糸久八重子君 ただいまも申し上げましたけれども、最近ではこの勤労青少年福祉法十二条の配慮が十分なされていないという実態があります。
勤労青少年福祉法の十二条というのは、「高等学校の定時制の課程若しくは通信制の課程等で行う教育を受ける場合は、当該勤労青少年が職業訓練又は教育を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするように努めなければならない」ということで、これはあくまでも義務規定ではないわけですね。努力規定なわけですから、努力をしたけれどもできなかったということで切り捨てられてしまうという実態、それが非常に多いということなのであります。
 ですから、学業と職業を両立させて働くことができるように指導を十分に強化すべきだと、そう私は申しておるのですけれども、重ねてお伺いをさせていただきます。
#90
○政府委員(平賀俊行君) 御指摘のように、この法律の規定は強行規定ではございません。しかし、私どもが把握しておりますところでは、もちろん私どももそう考えておるわけですが、働きながら勉強するということは非常に貴重なことでございます。したがって、多くの労使の方々、特に使用者の方々はやはりその辺を十分認識しておられまして、私どもが把握したところでは、そういった働く勤労青少年に対して、例えば残業をさせないとか、本人の労働時間を他の方々より短縮するとか事業主の方々として十分配慮しているように考えております。
 しかし、御指摘のような事態が万々起こりませんように、先ほど申しましたように、この法律を根拠にして私どもの出先、あるいは婦人局の出先、あるいは安定局の出先その他労働省の組織を挙げて勤労青少年の就学時間が確保されるよう、この勤労青少年福祉法の趣旨が生かされるようにさらに指導を強化してまいりたいと存じております。
#91
○糸久八重子君 一週間単位の非定型的変形制につきましては、衆議院で大臣は、本人の意見の尊重を省令で定めると答弁をしていらっしゃいます。この点は間違いございませんか。
#92
○国務大臣(平井卓志君) 一週間単位の非定型的変形労働時間制につきましては、おっしゃいますように、衆議院で答弁をいたしたとおり、労働省令におきまして使用者が冬日の労働時間を決定するに当たりまして本人の意思を尊重することを要件に加えることといたしたい、かように考えております。
#93
○糸久八重子君 この一週間単位の非定型的変形制は、日によって労働時間が違いますし、翌週分の労働時間が週末にならないとわからないということでありますから、労働者の生活にとっては好ましい制度ではございません。
 この変形制は、予約や注文などによって事業を営んでいる、例えば旅館業などで採用されるのではないかと考えられるわけですけれども、対象業種は命令で定められることになっておりますが、この範囲は限定すべきであると思いますし、また下請の製造業は、その対象とすべきでないと考えるわけですけれども、この点につきましてはいかがでございましょうか。
#94
○政府委員(野崎和昭君) 一週間単位の非定型的変形労働時間制の対象は、法律で日ごとの業務に著しい繁閑の差が生じまして、しかもそれをあらかじめ予想することが困難な業種を審議会に諮り、省令で定めることにいたしております。審議会に対しましては第三次産業を中心に検討していただくということを考えておりまして、下請の製造業について対象とすることは考えておりません。
#95
○糸久八重子君 次に、一カ月単位の変形制につきましてお尋ねいたします。
 これまであった四週変形制は、今回の改正によりまして最長期間が一カ月に延長され、従来とは異なる利用の仕方が出てくるであろうということも考えられるわけです。新たに導入する場合には、これまでの就業規則を変更すればよいということではなくて、労使間での合意が必要不可欠の要件であるので、三カ月単位の変形制などと同じように労使協定を義務づけるべきではないかと考えるわけですが、この点につきましてはいかがでしょうか。
#96
○政府委員(野崎和昭君) 現行の四週間単位の変形労働時間制につきましては、労働基準法の施行以来労使協定の締結を要件としないで四十年間運用してまいったわけでございます。その結果、現在ではほぼ定着した形になっておりまして、この点について問題が生じているということは聞いていないところでございます。
 したがいまして、この制度は現在具体的には二十四時間連続操業職場でございますとか、あるいは運輸交通関係、あるいは病院の一部というようなところに導入をされているわけでございまして、今後は週四十時間制に向けまして四十六時間制、四十四時間制と進んでいくわけでございますけれども、これが具体的には四週五休制、四週六休制というような形で進んでいくことが多いのではないか、またそれが望ましいんではないかと思いますけれども、この四週五休とか四週六休というのも、実はこの制度に基づく変形労働時間制になるわけでございます。そんなこともございまして、この要件を現行以上に厳しくいたしますと、かえってそういった面の時間短縮が円滑に進まないというおそれもございますので、労使協定の締結を義務づけることは考えていないところでございます。
 しかしながら、一カ月単位の変形労働時間制につきましても労働者の意見が適正に反映されますよう、就業規則の変更の届け出があった際には、これには当然労働者代表の意見が添付されてまいりますので、その意見をチェックいたしまして適切に指導してまいりたいというふうに思っております。
#97
○糸久八重子君 衆議院の修正によりまして、三カ月単位の変形制については一日、一週の労働時間及び連続して労働させる日数の上限を定めることの修正が行われました。一カ月単位についても同じような規制措置を設ける必要があると考えますけれどもいかがでしょうか。
#98
○政府委員(野崎和昭君) 現在行われております四週間単位の変形制の一日の労働時間の長さを調査いたしましたところ、一応十時間というところで線を引いてみますと、十時間以下におさまっているのは実は三五%しかないわけでございまして、三分の二は十時間を超えているわけでございます。十時間から十二時間までが二三%、十四時間から十六時間までが二二%というような状態になっております。
 さらにその中身を見てみますと、例えば交通運輸業でございますと、タクシーの十六時間隔日勤務ということが行われておりまして、これがかなりの数になっております。それから守衛とかあるいはビル管理あるいは小さな駅の駅員さんなどはいろいろな事情から一昼夜交代勤務などがとられております。さらに看護婦さん、ホテルの従業員等の夜勤勤務等にも、これは通勤の関係かと思いますけれども、かなり長いものもございますし、さらに製造業の石油とか化学では、メーターの監視が中心でございますので、十二時間勤務いたしまして週三日間だけ働くと、そんなような制度もとられております。
 そういった内容でございまして、結局これは夜間における交代の不便を避けるためや、一日の労働時間を長くするかわりに週休日をふやすというような、それぞれ必要な理由によってとられているものというふうに考えているところでございまして、また、こういったいろいろな制度につきまして特別問題を生じているということも現在のところ聞いていないところでございます。
 こういうことでございますので、一カ月単位の変形労働時間制につきまして、一日とか一週に上限を設けますことは、実際問題として困難な点がございますので考えていないところでございます。
#99
○糸久八重子君 現状ではそれほど問題がないといたしましても、今後新たな利用の仕方が考えられるということを先ほど御指摘申し上げたわけですけれども、全く心配がないという保証はないわけです。私は、何らかの規制を講じておく必要があると思うのですけれども、大臣いかがでしょう
か。
#100
○国務大臣(平井卓志君) 一カ月単位の変形労働時間制については、先ほど来政府委員の方から御答弁を申し上げておるわけでございますが、さらに乱用されることがないように十分指導をいたしたいと思っております。
   〔理事田代由紀男君退席、委員長着席〕
また、三年後の見直し時期までに十分実態を調査いたしまして、規制の必要があるかないか、その要否、またその方法等について検討いたしたいと考えております。
#101
○糸久八重子君 変形制の最後の質問になりますけれども、就業規則では、始業の時刻及び終業の時刻を定めなければならないことになっておりますけれども、変形労働時間制を採用する場合でも、日ごとの始業の時刻と終業の時刻を定めておく必要があると考えますけれども、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、一カ月単位の変形労働時間制あるいは三カ月単位の変形労働時間制につきましては、就業規則におきまして労働時間の長さだけではなくて、何時から労働時間が始まり何時に終わるか、始業、終業の時刻を具体的に定めていただく必要がございます。
 なお、一週間単位の非定型的変形労働時間制につきましては、就業規則では原則的な始業、終業の時刻を書いていただくとともに、一週間ごとに事前にその一週間の具体的な始業、終業の時刻を通知していただくことになる、そのように考えております。
#103
○糸久八重子君 次に、法四十条の特例問題及び労働時間の換算的取り扱いについてでございますが、政府の改正案ではこれらについて直接取り上げてはおりません。現在、十人未満の商業、サービス業等について一日九時間、週五十四時間制が特例適用をされておるわけでありますが、今日週四十時間制を目指そうとしているときに、このような長時間特例を残すのは問題であり、これは早急に廃止すべきであると思います。この点につきましてはいかがでしょうか。
#104
○政府委員(平賀俊行君) 商業、サービス業等の労働時間の特例につきましては、昭和五十六年以来段階的に廃止することとして、そのような手続が進められてきているところでございます。その結果、規模五人から九人までの事業場の特例につきましては昭和六十三年三月末で廃止することが既に決まっております。
 ただ非常に零細な規模、一人から四人の商業、サービス業の事業場につきましては中央労働基準審議会でその延長の要旨を検討することとされておりますが、いずれにいたしましてもその結果を待ちまして適切に対処いたしたいと考えております。
#105
○糸久八重子君 中央労働基準審議会の建議は、零細規模の商業、サービス業等についていわゆる労働時間の換算的取り扱いを提言しております。これは長時間労働の固定化に結びつくだけでなくて、手持ち時間は労働時間であるという原則を否定することにもなるので、絶対に導入すべきではないと考えますけれども、この点につきましてはどういう御見解でしょうか。
#106
○政府委員(平賀俊行君) 御指摘の点につきましては、零細規模の商業、サービス業の労働時間の取り扱いについてでございますが、先ほども御説明しましたようなこれまでの経過も踏まえまして、中央労働基準審議会で十分御審議をいただき、適切に対処いたしたいと考えております。
#107
○糸久八重子君 次に事業場外、裁量労働の問題に入りますが、事業場外労働、裁量労働の労使協定の締結当事者は、事業場全体の過半数を代表する労働者になるわけですが、事業場外の場合は例えば営業マンのような外勤労働者の声が、それから裁量労働の場合は例えば研究開発に従事する労働者の声が労使協定に反映されるようにすべきであると思います。
 そのためには、せめてパートタイム労働対策要綱のように、何らかの形で当該業務に従事する労働者の意見が反映されるようにすべきであると私は思うのですけれども、この点はいかがでございましょうか。
#108
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、事業場外労働、裁量労働に関しまして労使協定を締結いたします場合には、そこで決められます時間が実態に合っているということがこの制度が円滑に運用されるための基本であろうかというふうに思います。そういうことになりますと、その実態を最もよく承知しているその業務に従事している方たちの意見が適切に反映されるということが重要になってくるというふうに考えますので、通達におきましてはその旨を明らかにして周知、指導に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#109
○糸久八重子君 裁量労働の対象業務は、労使協定で定めることになっておりますけれども、労使協定だとその範囲が不当に拡大されるおそれがあるわけです。ですから、その範囲というのは労使協定ではなくて命令で具体的に定めるべきであると思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
#110
○政府委員(野崎和昭君) 裁量労働につきましては、その仕事の遂行については労働者の裁量に大幅にゆだねる必要がある。使用者としては実際問題として指揮命令をすることが必要がないと申しますか、できないと申しますか、そういう性質の業務が対象になるわけでございます。
 そこでその業務をどう限定するかということでございますけれども、各企業の業務の実態あるいはその遂行の仕方というのは非常に千差万別であろうかというふうに考えます。したがいまして、命令でこれを具体的に定めるということは困難でございまして、各企業において業務の実態についてよく承知しておられます労使で決めていただくということが適当ではないかというふうに思っております。しかしながら、法律では先ほど申しましたような性質の業務を対象に協定が結ばれることを予定しておりますので、そういった性質でない業務についてまでこの対象になるということは適当でございません。
 したがいまして、そういった法の趣旨について十分周知徹底を図りますとともに、裁量労働の対象となる典型的な業務につきまして通達で主要なものを例示して、いずれにせよこの労使協定については届け出をしていただくことにしておりますので、その届け出に基づきまして十分指導をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#111
○糸久八重子君 事業場外、裁量労働はみなし労働時間が実際働いた労働時間に即したものでないとただ働きになってしまいます。そのようなことがないと言い切れますでしょうか。このような問題に労働省としてはどう対処なさるおつもりなのか、お聞かせください。
#112
○政府委員(野崎和昭君) 事業場外労働について申し上げますと、先生御承知のとおり、従来は事業場外で労働をしてその労働時間の算定が困難なものについてはすべて所定労働時間労働したものとみなされていたわけでございます。しかしながら、事業場外労働の中には所定労働時間で終わるものもございますけれども、場合によっては常態として所定労働時間では終わらないような業務も存在するわけでございます。そういうものにつきまして所定労働時間とみなしてしまうということは適当でございませんので、それにつきましてはその業務の遂行に通常必要とされる時間働いたものとみなすということにいたしまして、またこの通常必要とされる時間ということについて後で労使間で解釈の違いが出るといけませんので、その時間はあらかじめ労使間で協定しておいていただくことが望ましいというような仕組みになっているわけでございます。
 したがいまして、こういった制度の仕組みを私どもとしては十分周知いたしまして、その趣旨に沿いました適切な時間が労使間で決められるように指導してまいりたいというふうに思います。
#113
○糸久八重子君 次に、年次有給休暇の問題につきましてお伺いをいたします。
 年次有給休暇の最低付与日数が六日から十日に
引き上げられることになっておりますけれども、これでは大変不十分であります。ILOの条約では三労働週としておりますが、週休二日制を前提とすれば十五日とすべきではないかと思いますけれども、この辺の御見解はいかがでしょうか。
#114
○政府委員(平賀俊行君) 年次有給休暇の問題、御指摘のようにILO条約がございます。そのILO条約の規定ないしはその背景となっている欧米での慣行や実態、それと日本における年次有給休暇の慣行と実態あるいは制度的な内容などを含めて、実はこの法律案を提出しますもとになりました中央労働基準審議会が建議をいたします際に非常に議論がございました。特に最低付与日数の問題につきましてはその焦点の一つとなったところでございます。
 結局、我が国におきます年次有給休暇の付与日数の実態、特に最低基準でございますので中小企業に及ぼす負担等を考慮して、結論としては労働基準研究会の報告どおり六日から十日に引き上げることが適当とされたところでございます。しかしながら、こういった年次有給休暇の実態といいますか、西欧あるいはILO条約の基準なども含めまして、そういったことを考慮しつつ年次有給休暇の最低付与日数の一層の引き上げにつきましては、もちろん労使の方々の自主的努力が基礎になるわけでございますけれども、政府といたしましても今後の重要な検討課題の一つと考えておるところでございます。
#115
○糸久八重子君 六日から十日という大変幅のない引き上げ、私の方では十五日にすべきではないかという意見でございますけれども、このような不十分な引き上げにもかかわらず、猶予措置は三百人以下の事業場については六年間となっているわけであります。
 その規模を限定するとともに、期間も三年以内にすべきではないかと、そう考えるわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
#116
○国務大臣(平井卓志君) この年休の最低付与日数の引き上げにつきましては、中小零細事業場における年休の付与日数の実態にかんがみましておっしゃいますような猶予措置が置かれたものであるということでございますが、猶予期間中でございましても労働基準法本則どおりの年次有給休暇を付与することが望ましいわけでございまして、可能な限り本則の日数の十日を付与するよう、関係事業場に対し指導いたしてまいりたいと考えております。
#117
○糸久八重子君 出稼ぎ労働者につきましてはかねてから年次有給休暇についての強い要望がございます。労働省といたしましてはこの問題につきましては積極的に対応すべきではないかと思いますけれども、この点はいかがでございますか。
#118
○政府委員(平賀俊行君) 出稼ぎ労働者の方々のそういった御要望などがあることについては十分承知をいたしております。しかしながら、出稼ぎ労働者の契約の形態はやはり一般には継続勤務という形にはなっておりませんので、労働基準法の年次有給休暇の規定を適用することはできません。しかし、今回、パートタイムの方々につきまして比例付与の規定を入れることになりましたが、そういった取り扱いとのバランスなども考えまして、実際問題として年次休暇が付与できないか、付与されるように関係業界等に十分指導してまいりたいと存じます。
#119
○糸久八重子君 年休の不利益取り扱いにつきましては衆議院で永井議員の質問がありました。その中では三十年通達は廃止されることがはっきりしたわけでありますけれども、五十二年通達にも大変問題がございます。法違反であるかどうかということではなくて、不利益取り扱いはいけないという見解をはっきり示して強力に指導すべきではないかと、そう思うわけですが、この点につきましてはいかがでしょうか。
#120
○国務大臣(平井卓志君) 年次有給休暇の不利益取り扱いにつきましては、労働者の権利として認められている年次有給休暇の取得を事実上抑制し、労働基準法第三十九条の趣旨に反しますので、これまでもその是正に努めてきたところでございますが、今回の改正を機にその是正指導をさらに徹底してまいる考えであります。
 また、五十三年の通達を見直すなど、本委員会の御議論を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
#121
○糸久八重子君 この問題の解決をするためには、法律で不利益取り扱いの禁止を明確にしていかなければならないと私はそう思います。その点を今後とも検討していただくようにお願いをしたいと思います。
 私ども社会党は、ILO百三十二号条約の批准を要求してきたわけでありますけれども、この条約でも明らかなように、年休本来の趣旨はまとめどりであり、そして計画的付与がその趣旨に沿って採用されることは望ましいわけでありますけれども、現状では年休を病気その他に用いられることも事実であります。特に、労働者が年休取得率が少ないといいますのも、やはりいつどういうことがあるかわからない。例えば、介護の老人がいる、それから育児をする、その場合に、子供や老人がいつ病気になるかわからないというような状況の中で、自分がゆっくり休養をとるという休暇よりもそのためにとっておかなければならないという、そういう気持ちがあるものですから、どうしても取得率が低下している、そういう現状があるわけであります。
 もし、計画的付与が実施された場合に、こうした点にも十分留意して行われなければならないと思うのですが、例えば十五日間の年休を持っていて、十日間計画的付与をして、自分で自由に使える年休というのが五日でしかなかった場合に、こういうような心配が非常に大きくなってくるのではないかと、そう思うのですけれども、その辺につきましては労働省どうお考えなのでしょうか。
#122
○政府委員(野崎和昭君) 先生よく御承知のとおり、我が国の年次有給休暇の取得率は半分、五〇%程度にとどまっているわけでございます。この原因でございますけれども、一つは欧米諸国に見られますような、年休の本来の趣旨でございます心身のリフレッシュのために長期の連続休暇をとるという慣行が十分形成されていないということ、したがってそういった慣行を我が国の場合は夏にまとめてとるというのは適当でないということで、四季折々にそういう連続休暇をとっていただきたいということをお願いしているわけでございますが、そういったことを進めるためには、この今回の法案に規定されておりますような計画休暇ということがどうしても必要になってくるのではないかというふうに思います。
 また、しかし、それと同時に、先生御指摘のように、我が国では労基法に年休制度が設けられまして以来、四十年間にわたりまして、個人の病気であるとか家庭の都合とか、そういうことにこの制度を使うということが我が国の慣行として形成されていることも事実でございます。その両方をどのように調和させるかということで、今回の法案では最低五日間はそういう個人的事情のために留保すると、それを超える日数については計画付与の対象にすることができるという制度にいたしているわけでございます。
 その結果、例えば年次有給休暇の日数が少ない方とかその他特別の事情、どうしても個人的な事情で年休を必要とされる方、そういう方につきましてはそういった方の事情を配慮しないでほかの方並みの計画付与ということになりますといろいろ問題も生ずるかと思いますので、労使協定の中でそういった方については適切な配慮がされることが望ましいと考えまして、そのように私どもとしても指導してまいりたいというふうに思っているところでございます。
#123
○糸久八重子君 新前川レポート、長期ビジョン懇でも指摘をされているとおり、技術革新、雇用慣行の変化等の中で就職後の学習の機会を社会的に保障することが重要となってきているわけであります。
 現在、有給教育訓練休暇助成金制度というのがございますけれども、これでは不十分でありまして、ILO条約の批准に向けて、有給教育訓練休
暇の制度化を早急に検討すべきではないかと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#124
○政府委員(野見山眞之君) 先生お話しのように、技術革新の進展、あるいは職業生涯が長期化していくという中で一働く人たちが生涯にわたって能力を開発、向上していくということは重要な問題でございまして、その中で特に労働者が自主的に勉強していくというような機会を与えるような有給教育訓練休暇制度が大きな柱になることはお話のとおりでございます。
 職業能力開発促進法におきましては、この有給教育訓練休暇制度を労働者に与えることも含めまして、事業主ができるだけ労働者に多様な能力開発の機会を与えていくということを明記しているわけでございます。その規定に基づきまして、お話のような有給教育訓練休暇奨励のための給付金制度を五十年来運用しているところでございまして、順次この利用も高まりまして、最近では七千人を超えるような利用者が出ているという状況にございます。
 しかし、先生のお話のように、この有給教育訓練休暇制度を事業主に義務づけるというような制度化問題につきましては、まだこの有給教育訓練休暇の普及が十分に進んでいないという現状、あるいはこの教育訓練休暇を与える態様につきましても産業なり業種によって多様化しておりますので、むしろ労使の判断等に基づいてこういう制度を実行していくということが適当ではないかというふうに考えているところでございます。
 私どもといたしましては、これを強制的にするということよりも、むしろ先ほど申し上げましたような有給教育訓練休暇を取得しやすいような奨励制度をさらに積極的に進めていくという形で自己啓発の機会をふやしていきたいと、かように考えているところでございます。
#125
○糸久八重子君 私は、今度の労働基準法改正案の中に盛られております問題点の数々を挙げていき、そして労働省の御見解を承ったわけでありますけれども、四十年ぶりに改正される労基法の内容といたしましては非常に問題が多いと思われるわけでございます。
 それで、きょう私は具体的な問題等は一々挙げなかったわけでありますけれども、次はいろいろ具体的な問題等を挙げまして、この現在の労基法の改正案の中身が非常に働く者にとっては大変な問題であるということ等を申し上げたいと思いまして、きょうはここで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#126
○委員長(関口恵造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開会
#127
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#128
○中西珠子君 私は、ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
 この間の本会議で、この改正案の問題点と思われるところを包括的に、また個別的にお聞きいたしましたけれども、きょうはもう少し改正案の本文に即しまして、少し細かい質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、週四十時間制でございますが、これは三十二条に週四十時間制をうたってはございますが、この実現の時期がはっきりしていない。はっきりしていないということは絵にかいたもちということにもなりますので、大体いつごろ実現なさる御予定なのかお伺いしたいと思います。
#129
○国務大臣(平井卓志君) ただいまの御質問でございますが、おっしゃいますように、本会議等々で、また午前中の御質疑にもございましたけれども、この週四十時間制の移行時期につきましては、新前川レポートの目標の実現を図るために一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるよう努力をいたしたいと御答弁申し上げておるところであります。
 しかしながら、委員おっしゃいますように、なぜプロセスを法律で明確にできないのかということでございますが、この労働時間の動向は、やはり労使の努力、またそのときの経済情勢等によって左右されるものでございまして、現在の時点でその移行時期を確定的に見通すことは非常に困難であるということで、法令上明記することは適切でないというふうに考えております。
#130
○中西珠子君 けさほど糸久委員の質問に外務省が答えまして、国際協調のための経済を実現するためにも、外交上の理由からも時間短縮を早く実現することが大事だと思うというお話がございました。
 それで、現在欧米諸国では、御承知のとおりに週四十時間制が普及しているわけでございますね。もっと三十九時間制のところもあるし、労働協約によって三十八時間なんというところもあります。しかし、日本の長時間労働というものは国際的にいろいろと批判されていまして、国際経済摩擦の原因の一つともなっているということも言われているわけでございます。
 それで、週四十時間制を法案の中にうたい込まれたということは、これは大きく評価するわけです。そして、これに向かって労働省が本当に物すごい努力をなさらなければならないということもよくわかるわけです。そしてまた、ILOの勧告百十六号におきましては週四十時間制をうたっております。四十時間条約というのもありますけれども、その目標実現のためには段階的に適用を図ってもいいのだということは書いてございます。
 しかし、憲法の二十七条二項に労働条件法定主義というものが規定されているわけでございますが、そういう労働条件法定主義に基づいた労働基準法は、労働者の人たるに値する最低の基準、人たるに値する生活を保障するための最低の基準というものを設けて労働者の保護というものを目的としている法律であるわけでございますから、週四十時間制をうたってはいながら、いつそれが実現するかもわからないという状況では、これはやはり国際的に見ても、信義にもとるとまでは言いませんけれども、国際的な批判を回避するために週四十時間制をうたっているのだと、実際はいつ実現するかわからないのだということでありますと、これはやはり国際的にもまた批判を招くのではないかと考えるわけでございます。
 それで、週四十時間制に段階的に移行するとしても、どのような移行
措置をとっていつごろ実現するのかということを明らかにしていただきたいということと、それから現在政令で決めることになさっております。その内容を、伺うところによりますと三百人以上の事業場は大体四十六時間でスタートする、そして三年ぐらいたったら四十四時間にしたいというふうなことを伺っておりますし、三百人以下の事業場は現行の四十八時間のまま猶予期間を置いて、大体それも三年間ぐらいは据え置くというふうに伺っております。
 しかし、この事業場三百人以上と三百人以下という分け方は、これはちょっとどうかと思うんですね。事業場三百人以下というところは全事業場の中の九九・八五%を占めているわけですね。これを十把一からげにしまして、この事業場で働く労働者、男の人でいうと八〇・二%、女性でいいますと八八・二%です、そういった人たちが働いている三百人以下の事業場は現行のまま据え置いて猶予期間を設けるということですと、大多数の労働者が時間短縮の恩恵には浴さないということになります。
 ですから、これはやはり猶予期間を設けて、四十人時間で据え置くという事業場は業種的に見てもまたその規模から見てももっともっと限定するべきであると考えますが、いかがですか。
#131
○政府委員(平賀俊行君) 先日の本会議でも大臣が御答弁申し上げ、また午前中の本委員会においてもしばしば御答弁申し上げておりますように、当面の法定労働時間について猶予する対象になっております事業所につきましては、業種あるいは規模等につきましてその実態を十分中央労働基準審議会で御検討いただいて、必要なものにできるだけ限定をすると、こういう方針で臨んでいきたいと考えております。
#132
○中西珠子君 四十時間制の実現の時期につきましても、もう少しはっきりとしためどを法律の中に書き込めないものかと思うんですが、それはいかがですか。
#133
○政府委員(平賀俊行君) これは最初の御質問に大臣がお答えを申し上げましたけれども、私どもとすれば本則に四十時間という規定を入れて、それは言いかえれば一人でも人を雇っている事業所についてはやはり四十時間労働制、言いかえれば完全週休二日制に相当する労働時間制度が必要であるという前提のもとにこういう規定を入れさせていただいているわけでございます。
 現実に罰則をつけてそういった小さな事業所にも適用する労働基準法の性格にかんがみまして、我が国の労働時間の実態一確かに先生おっしゃるように諸外国とは開きがございますけれども、そういう事業所に罰則つきで適用できる実態が備わるまではなかなかそれを法律上明記できないという事情がございます。一したがって、できるだけそういう状態を速やかに実現する、そのめどにつきましても、先日来御答弁申し上げておりますように、前川レポートの趣旨を実現しますように、一九九〇年代の前半、それもできるだけ早い時期に実現するということを目的として最大限の努力をする。したがいまして、そういう状況の実現に応じて法律的な措置がとらるべきものであると考えます。現段階においてそれを法律上明記することは適切ではないと考えております。
#134
○中西珠子君 労働者三百人以上の事業場で週の所定労働時間を見ますと、これは労働省の労働時間総合実態調査なんですが、四十六時間以下の週の所定労働時間で既に働いている労働者というのは、三百人以上のところでは九四・七%もいるんです。それで、とにかく四十六時間ということでスタートなさいますと、五・三%が四十六時間以下じゃないから、これは実現が非常に早くできるだろうと思うわけです。
 これは、四十六時間というものを目安にした場合、どのような労働者の分布であるかということをもう既にいろいろ御検討になった上で四十六時間ということになすったんだと思うんですけれども、この三百人以上の事業所の平均の過所定労働時間というものは三十九時間五十分ということになっているわけです。ですから、四十六時間で始めないで四十四時間で始めるということは可能ではないかと思うんですが、この点はいかがですか。
#135
○政府委員(平賀俊行君) 労働基準法の性格は、先ほどから申しておりますように、一人でも人を雇う事業所、言いかえれば、非常に零細規模の事業所に対して特に効き目のあるといいますか、それらを対象にしていると考えてもいいと思いますが、そういう事業所にも適用される最低基準でございます。もちろん最低基準でございますから、それを上回る条件の労働条件が労使間の協定によって自主的に達成されること、それは望ましいことでございます。
 現在、その労働時間の最低基準は週四十八時間になっておりますが、御指摘のように、三百人以上の規模の事業所については、労使の自主的な御努力により、既に西欧諸国と遜色のない平均して過所定労働時間が四十時間を下回るような状況になっており、四十時間以下の所定労働時間になっているところが七割ぐらいになっている、こういうことでございます。しかし、それは労働基準法の問題というか、労働基準法の対象あるいは労働基準法の基準としてその時間を考えるということではなしに、やはり中小規模あるいはそれ以下の事業所の実態を考えながら労働基準法の最低基準を設定せざるを得ないと私どもは考えております。
#136
○中西珠子君 労働基準法の性格についておっしゃいましたけれども、それはもう私は百も承知しているわけでございます。しかし私が申しましたのは、政令で事業場規模三百人以上のところは四十六時間でスタートするということをおっしゃっているけれども、四十四時間でスタートすることは可能ではないかと。それから、九九・八五%を占める三百人以下の事業場ですが、これは四十八時間で三年間据え置きになさるわけですね。それについては規模をもう少し少なくするとか、それから業種によってもっと限定するとか、そういうことをお考えになってはいかがですかということを申し上げているのでありまして、労働基準法の性格そのものからできないとおっしゃるのと、それから政令を決めるに当たってやはりいろいろ御配慮もなすったんだと思いますが、四十四時間でスタートが事業場規模三百人以上のところはできないものかということを申し上げているわけです。
 時間もありませんので、もっと追及をしたいわけですが、とにかく週四十時間制というものを労働基準法の本文の中にうたっている以上は、その週四十時間制をいつごろ実現できるのかというやはり移行措置をはっきりと法律の中に明記するべきだと思います。それでないと、週四十時間制をうたっているけれども、週四十八時間、現行法のまま据え置かれているところが九九・八五%もある。そういう事業場の割合であるということでありますと、これはやはり国際的に見ても褒められることではなくて、むしろ批判を招くことではないかと心配するわけでございます。いかがでしょうか。
#137
○政府委員(平賀俊行君) 国際的な観点から問題になる、あるいは私ども考えても問題であると思っておりますのは、やはり労働基準法の規定ではなくて、現実に労働時間の長い事業所が多い、平均しての労働時間が長いというその数字でございます。それは、労働基準法をどう規定するか、あるいは政府の政策あるいはもちろん労使の自主的な努力によってどうやってその長い労働時間を短くするかということが必要でございます。
 その短くするための手段として、私どもは特に、先生がおっしゃいました大企業で労働時間の長いところについて、それを例えば四十四時間で規定するということではなしに、むしろ大多数の非常に労働時間の短縮化が進んでいない中小規模の事業所の労働時間の短縮が進む方向で政策を運営する。
 そのために今回労働基準法の改正を御提案して、その運用につきましては、中小規模の事業所も含めて全事業所の労働者の六割が四十六時間以下、四割がまだ四十六時間以上になっている、そういうことで、さしあたりの線引きは四十六時間とするのが適当と考え、そのいわば下の底支えといいますか、それを罰則つきで運用するということで、まず下から労働時間の短縮を進めていくということとあわせて、もう一つ、それは労働基準法の規定としてあるいは先生おっしゃるように今の時点で実施は困難かもしれませんが、先ほど私が申し上げましたように、現在の日本においては、小さな規模の事業所であっても完全週休二日制に相当する週四十時間が必要である、こういうことを本則に書き込んで、いわばその四十時間を、日本において常識であるということを理解させながら、その最低基準以上に引き上げるという努力をする。
 そこで、最終的には先般来申し上げておりますように、前川レポートの趣旨にかんがみ、一九九〇年代前半には少なくとも完全週休二日制あるいは四十時間制が実現するように最大限努力する、官民一体となってといいますか、特に民間の方々、小さな規模の事業所でもそういう状態が実現するように努力していきたい、こう考えておるわけでございます。
#138
○中西珠子君 労働省は、週四十時間制に向けて、この実現を図っていらっしゃる大変な責任をしょい込んでおしまいになったわけでございますし、
また労働省だけではできないことでございますから、各省がこぞって週四十時間制実現に向かって努力していただき、また国民の方も意識の改革を行い、官民ともにそれこそこぞって週四十時間制の一日も早い実現を期すように努力していただきたい、私も努力いたしたいと思うわけでございます。
 一日八時間制につきましては、これは労働基準法研究会では、週の労働時間を割り振る一つの基準にするというふうなことが報告書の中に書かれておりますが、これについては労働省はどのようにお考えですか。
 女性にとっては、また男性にとってもですが、週の労働時間も大事だけれども一日の八時間制というものが非常に大事であるわけです。労働力の摩滅を防いで再生産をやっていくためには、やっぱり一日八時間制というものは守っていかなくちゃならないんではないかと思っているわけですが、労働基準法研究会の報告あたりから推測いたしますと、労働省のお考えはどうなったのかなと、最近少しまた八時間制は大事だということに変わってきたのかなという感じもしますが、この点はいかがですか。
#139
○政府委員(野崎和昭君) 先生御承知のとおり、今回の改正は労働基準法研究会での研究成果を踏まえているのでございますが、その労働基準法研究会の最初の中間報告におきましては、一日八時間ではなくて、これを一日九時間まで緩めるというような提案もあったわけでございます。しかしながら、その報告が出ました後、各方面から一日八時間の原則は崩すべきではないという強い御意見がございまして、その御意見に従いまして研究会の報告自体一日八時間制の原則は残すというふうに変えられたわけでございます。
 ただ、その研究会の最終的な報告におきましては、これから労働時間を短縮していく場合には一日を短縮していくのか一週間を短縮していくのかということになりますと、やはり週の労働時間を短縮していく、四十八時間から具体的には四十時間に短縮していくという方向をとるべきである、しかしそれにつれて一日の労働時間を短縮するということは考えていないわけでございます。
 そういったことから、これからは週の労働時間を目安にすることが多くなるという意味で、今回の改正法案におきましてもその研究会の報告の考え方に従いまして、一項で週の労働時間を書き、二項で一日の労働時間を書いておるという形になっておりますけれども、一日八時間労働制の原則を変えるという考えは持っておりません。
#140
○中西珠子君 中央労働基準審議会の建議に基づき、また労働省は中央労働基準審議会に諮問されてこの改正案ができたというふうに承知しているわけですが、この中央労働基準審議会のメンバーには女性が入っておりますか。
#141
○政府委員(平賀俊行君) 公益委員として女性がお一方入っております。
#142
○中西珠子君 お一人だけですか。
#143
○政府委員(平賀俊行君) お一人だけでございます。
#144
○中西珠子君 どうもこの改正法案は、女性の立場というものを余り考えていない法案であるような気がするわけです。
 中央労働基準審議会の公益委員の女性委員の方、多分学者でいらっしゃるか弁護士でいらっしゃるか、存じませんが、その方だけの御意見ではやはり多数決という場合には非常に弱いものになってしまうし、中央労働基準審議会に諮問をなさる前に女性、殊に働く女性のいろいろ意見を御聴取になりましたか。
#145
○政府委員(平賀俊行君) 特別に女性だけを区別してといいますか、そういう形で意見をつくるという考えはございません。むしろ私どもとしますれば、男女とも同じような立場で労働時間を短縮するにはどうしたらいいかということを考え、また審議会におきましても、御指摘のように事実として女性のメンバーはあるいは少ないかもしれませんけれども、男女を区別せず、男女とも労働時間の短縮を図るべきである、こういう考え方で建議がまとめられたというふうに私どもは考えております。
#146
○中西珠子君 男女ともに労働時間の短縮を図ることは絶対必要だと思いますけれども、家庭責任をやはり男女で分かち合うべきであるということはもう女子差別撤廃条約の中にも書いてあるし、またILOの百五十六号条約、百六十五号勧告の中にも、家庭責任は男女労働者で分担すべきであり、また両親ばかりでなく、子供の養育についても社会的責任があるのだということを明記しているわけでございます。
 現在の日本を考えますと、女子労働者がやはり家庭責任のほとんど大部分を背負っているということが言えると思うのでございます。女子労働者は御承知のように千五百四十八万人もおりまして、全労働力人口の中の、雇用者の中の三五・九%を占めているわけですね。その七割近くが既婚者であるわけですが、子供を持って働いている女性にとってはもう一日八時間という労働時間の規制が本当に重要なんでございます。
 母性保護の面からいってもそうですし、保育所の送迎をしなければならないとか、また家族の食事の支度をしなければならないとか、また、うちにいる老人の介護をしなければならないというふうな負担が女子労働者にかかっている現在、やはり女性に対しての配慮というものが必要なのではないか。男女ともに労働時間は短縮しなければならないし、男女ともに労働者は保護されなければならないんですけれども、しかし女性に対する配慮というものが必要ではないか。
 均等法の一条、二条にも、職業の生活とそれから家庭生活との調和というものを図ることを目的とするというふうなことがうたわれております。ですから、そういった面での配慮というものが必要なのではないかと思うのですが、どうも今回の改正案を見ますと女性に対する配慮が足りないのではないか。殊に、変形労働時間制の導入というものにつきましては女性に過酷な状況が出てくるのではないかと思うわけでございますが、現在の週四十八時間の変形労働時間制のもとで大体どのくらいの女性が働いていますか。これは業種とか規模別でおわかりになりますか。
#147
○政府委員(野崎和昭君) 先生のお尋ねにぴったり合う数字はちょっと持ち合わせていないわけでございますが、私どもが昨年行いました労働時間総合実態調査によりますと、変形労働時間制を採用しております事業場の割合は一・六%でございます。
 規模別に見ますと、やはり規模の大きいところ、三百人以上の事業場では一一%とか、百人から二百九十九人のところでは一一・四%とか、規模の大きいところで一割程度の事業場で採用されておりますが、規模の小さいところではごくわずかでございます。
 それから業種でございますけれども、目立って多いのが運輸交通業でございまして、二二・七%の事業場で採用されております。そのほかで比較的多いのは、例えば保健衛生業五・三%等でございます。
 そこで、この運輸交通業と保健衛生業につきまして男女労働者の割合を見てみますと、運輸交通業は女子の割合は九%でございまして、大部分男子の職場ということになっているわけでございますが、逆に保健衛生業は七七・三%が女子労働者でございます。したがいまして、保健衛生業関係等で相当数の女性の方が変形労働制の適用を受けているんではないかと、そういうことが推察されるわけでございます。
#148
○中西珠子君 ただいまの御説明を聞きますと、大体、運輸交通業とか保健衛生業という交代制を実施しているところに週四十八時間の変形労働時間制が採用になっているということらしゅうございますが、この前の衆議院の参考人の質疑におきまして、使用者代表が、この週四十八時間の変形労働時間制のもとではこれを採用しているところは多くはないけれども、今度一カ月単位の変形労働時間制というものが導入されますと、これはもっともっと採用するところが広がってくるだろ
うというお話がありました。
 それで私は、一カ月単位の変形労働時間制につきましても、一日の労働時間の上限、それから一週の労働時間の上限、また連続労働日の限度というものを決める必要があるというふうに主張しているわけでございますが、これは健康保持の上からも、また家庭生活を健全なものにしていくというふうな面からも必要なのではないかと考えているわけでございます。
 この点については、現行の変形労働時間について、週四十八時間の四週間平均でいいという、現行の制度について何の問題もないから大丈夫なんだという御返事でございましたけれども、女性の数がなかなか出てこないということではございましたが、保健衛生業の中で例えば看護婦さんで交代制勤務をやっている人たちの中では、出産後引き続き働いている人というのは非常に少ないのではないかと思いますが、どういう状況か、また労働時間がどのようになっているかというふうなことについて相当把握していらっしゃいますか。
#149
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のような資料がないかということでいろいろと調べてみましたが、残念ながら余りぴったりした資料はございません。
 ただ、昭和五十七年に労働省で二万人の労働者を対象に健康状況調査というのを行っております。その中の項目によってみますと、交代制ではなくて深夜勤務もない、要するに普通の労働者の方について、健康状態がやや不調であるという方が一五・五%、非常に不調であるという方が一・一%、合計一六・六%でございます。
 一方、交代制でありかつ深夜勤務があるという勤務としては一番厳しいと思われるグループの方について同じように見てみますと、やや不調であるとされる方が一七・三%、非常に不調であるとされる方が〇・六%でございまして、合計一七・九%と、一%ちょっとの差はございますけれども、この統計で見ます限り、健康状態はそういう交代制あるいは深夜交代制勤務に服しておられる方が特に状況が悪くなっているとは必ずしも言えないんじゃないか、そんなふうに見ているところでございます。
#150
○中西珠子君 現在の週四十八時間制の変形労働時間制のもとでは問題がないから、一カ月単位につきましても問題がないということがはっきり言えるかどうか、これは大変疑問だと思うんですね。
 それで、一カ月単位にしますと、結局のところ賃金の支払い期間というものが含まれてきて、通常、賃金支払いのためのいろいろな準備だとか、また医療保険業務というふうなのも月の終わりに大変忙しくなるとかというふうなことも出てくると思うんでございますが、そういったときに一カ月単位の変形労働時間制が乱用されるというか、悪用されて、一日の制限もないままに非常に長時間一日働かされるとか、また、ある特定の週にものすごく長時間働かされるという、そういう心配が起きたときはどうなさいますか。
#151
○政府委員(平賀俊行君) 一カ月単位の変形制、実態としては労働基準法創設以来規定されております四週間単位の変形制、これを例えば給与計算の便宜その他に応じて一カ月まで若干の単位期間の延長を今度の法改正で入れている。実態的には従来の四週間の変形制そのものだと考えております。
 そういう従来の変形制につきましては、先ほど審議官が答弁申し上げましたように、交代制勤務で、そういう意味では運輸業とかあるいは病院あるいは装置産業などについて監視的に業務を運営する、そんなようなことで一日の労働時間が比較的長いというものもございますけれども、非番目とかあるいは週休日等の設定との関係でそこら辺を調整をしており、現在までのところ格段の問題はないというふうに理解をしております。
 しかし、今後こういう形で例えば三カ月の変形制を導入したというようなこともありまして、変形労働時間制についての御関心、少なくとも先生の御質問などについてもそういう御関心が高まるということで御質問をされていると思います。また、一カ月の変形制あるいは四週間の変形制につきまして、過渡的に、例えば四十八時間から四十時間に移行するに際しては、週の労働時間を配分するということで変形制が運用されるという場合も予想されます。しかし、いずれにしても、御指摘のようないわば便乗的な乱用といいますか、そういうものは万々ないように私どもとしても厳正に指導をしてまいりたい、こう考えております。
#152
○中西珠子君 どうも変形労働時間制と申しますのは規制がないと結局乱用される傾向が出てくるという、そういう危険性を考えて、欧米諸国では、変形労働時間制のもとではやはり一日の労働時間の規制、週の労働時間の規制、また一年にわたる変形労働時間制のときにはその一年にわたる変形労働時間制に対する規制というものを設けているわけですね。
 ですから、日本におきましてもやはり、変形労働時間制を導入するのであればやはり一日、一週の労働時間の上限を設けるとか、それから連続労働日の限度を設ける、さもなければ現在の労基法の三十五条にやっぱり変形体日制がございますから、これと併用されると非常に困るということが出てきますので、ぜひ一カ月単位についても一日、一週の労働時間の上限を設ける、また連続して労働者を働かすことができる日数の上限を設けることができるというふうにしていただきたいということを強く要望いたします。
#153
○政府委員(平賀俊行君) 先ほどから申し上げておりますように、労働基準法施行以来四十年間の経過といいますか、四週間単位の変形制というのは比較的大きな規模の事業場で交代勤務が必要な場合に主として利用されている。その場合の労働時間の長さというのは、現在例えば三カ月単位のものに想定しております十時間を超えるものが六割ないしは七割とかいう実態でございます。そういうことを考えますと、同じような形での上限の設定になじまない制度であると考えますし、また、現在までのところそういう特に特別の要件といいますか上限を課さない形で運営されて問題はないと考えております。
 ただ、この制度につきましても、実は今度の改正法案に衆議院で、三年後の状況で、そういった法律の施行状況等を調べて、必要があれば政府が措置をとるように、そういうような形の検討を加える旨の規定がなされております。私どもとしましても、この一カ月単位の変形制も含めまして、全体としての法律の施行状況を十分検討し、またその実態等についても調査をいたしまして、そうした有効な規制がもし必要であるならば、その要否、その他またその必要な施策があればそういった状況についても十分検討したいと考えております。
#154
○中西珠子君 三カ月単位の変形労働時間制につきましては、衆議院段階で一日の労働時間の限度、一週の労働時間の限度、また連続労働日数の限度を、労働大臣が中央労働基準審議会の意見を聞いてから命令でお決めになることができるということになって、これは一歩前進だと評価しているわけでございますが、一カ月単位のものにつきましては、もう議論をすると堂々めぐりでございますが、現在は全然問題がない、何の困ったことも起きていないということですとおっしゃいますけれども、将来これは、現在の大きなところで、交代制のあるところで使っているということじゃなくて、もっと広く使われるようになる、そうするとやはり労働者側にとっては長時間が所定内労働になって、そして残業手当も払われないという状況が発生するし、使用者側にとってはやはり労働者を好きなときに、忙しいときに確保することができるという、そういうメリットのある変形労働時間制なので、ぜひ、問題が発生したときには対処するということを必ず考えていただきたいと思うわけでございます。
 変形労働時間制は殊に女性にとって非常に過酷な状況をつくり出すのではないかということを申しましたけれども、殊に既婚の女子労働者、そしてまた妊産婦については、せっかく労働基準法の六十六条に、妊産婦が申し出たときには時間外労
働や深夜業の免除、またそれから休日労働の免除をするという規定があるにもかかわらず、これは今回の変形労働時間制の導入によりまして所定内労働時間が長くなって残業ということがなくなるということになりますと、この労働基準法の六十六条の規定は死文化してしまうのではないかと思うわけです。
 やはり現在の、どんどん出生率が落ちている日本の現況というものを考えてみますと、人口政策的な面からいっても、また働く婦人自身の母体への影響、胎児への影響というものを考えて、そういった人たちの保護のためにもこの変形労働時間制、三カ月単位だけではなくて一カ月単位のものも、それから非定型的一週間単位の変形労働時間制からも妊産婦の適用を除外していただきたいと強く要望するわけですが、いかがでしょうか。
#155
○政府委員(平賀俊行君) 妊産婦に対する変形労働時間制の適用の問題につきましては、これまで本会議以降再三にわたって御質問がなされております。また、ただいま先生の御指摘についての問題もございます。私どもといたしましては、こうした御審議の経過を踏まえまして、三カ月単位の変形労働時間制ばかりでなくて、一週間単位の非定型的変形労働時間制及び一カ月単位の変形労働時間制についてもあわせて適切に対処するように検討いたしたいと存じます。
#156
○中西珠子君 ぜひ法改正によって適切に対処していただくようにお願い申し上げます。
 それから、変形労働時間制のもとで育児時間はどうなるんでしょうか。
 それからもう一つ、既に、子供がもう少し大きくなって、育児時間というものではなくて、三つ、四つになっていて保育所に預けているというふうな場合もございますね。保育所の送迎にどうしても、保育所というのは延長保育、夜間保育するところが少ないわけですから、五時半とか六時までにはもうどんなに遅くとも駆けつけて子供を連れてこなくちゃいけないというふうな状況にある女子労働者は多いわけでございますが、こういう保育中の子供を抱えている女子労働者に対して保育園の送迎というふうな面での配慮とか、それからまたとにかく所定労働時間が終わったらすぐに学校に駆けつけているような勤労学生ですか、そういった人たち、また老人介護をしなくちゃいけないので、とにかく毎日長時間職場にとどめさせられる長時間労働が所定内労働になったときのこういった人たちの処遇というものは、何とかこれは配慮していただかなくちゃ困ると思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
#157
○政府委員(平賀俊行君) 育児時間を与えなければいけないということが法定されるのは産婦の場合あるいは産婦として法律上規定する場合でございまして、産婦についての対応の措置がとられる場合にはそういう措置がとられると思います。
 その他育児のために時間が必要である、あるいは老人介護のために時間が必要である、働きながら勉強している勤労学生の方々への配慮等々、例えば勤労青少年福祉法とかあるいは男女雇用機会均等法等に関連規定のあるものもございますし、そういったことも踏まえまして、もちろん変形労働時間が適用される場合でなくて、通常の所定労働時間の、通常のといいますか、変形が適用されていない労働時間制度の場合においてもそういう面について配慮をする必要があると思いますが、変形労働時間制の場合であっても当然のことながらそういった面についての配慮がなされるよう十分に指導いたしたいと考えております。
#158
○中西珠子君 強く指導なさるのに根拠規定が何とか見つかる――保育所に送り迎えする育児をやっている女性、それは均等法などにもありますし、それから勤労学生については一応勤労青少年福祉法の中の十二条ですか、それにあるわけですね。しかし、老人介護の問題についてはちょっと根拠規定がないんじゃないですか。それはどういうふうになさいますか。
#159
○政府委員(平賀俊行君) 特別に法律上の規定はございませんが、いわゆる高齢化社会等の状況といいますか、そういう状況が進展いたしますと、確かに介護の問題というのは非常に社会的にも重要な問題になっていると認識しております。そういう問題について恐らく新しい観点から立法措置がとられることもあり得るかと思いますが、そういうことがなくても、私どもとしては、この改正法を施行する際に通達を出しまして、その点を十分指導するようにいたしたいと思います。
#160
○中西珠子君 次に、一週間単位の変形労働時間制について伺いたいと思いますが、改正法案の三十二条の五ですか、これによりますと、一週間単位の非定型的変形労働時間制を適用する事業所の規模とか業種は命令で決めるというふうになっておりますね。これはそのとおりですか。
#161
○政府委員(野崎和昭君) 御指摘のとおり、業種、規模それぞれ中央労働基準審議会に諮りまして命令で定めることになっております。
#162
○中西珠子君 大体どういうものをお考えになっていますか。審議会に諮ってからでなきゃ返事ができませんでしょうか。
#163
○政府委員(野崎和昭君) まず業種でございますけれども、業種の概念については既に法律本文に規定がございますが、日ごとに業務の著しい繁閑がございまして、かつそれをある程度予想して定型的な変形労働時間制をとることが困難な業種ということになっております。したがいまして、おのずからその対象は第三次産業に限定されてくるんではないか、そういうふうに考えておりますし、審議会でも既にそういうような議論があったところでございます。
 次に規模でございますが、規模はなるべく小規模に限るということで、これも審議会の段階で既に三十人未満を念頭に置くということが了解事項となっていると承知しております。
#164
○中西珠子君 ただいまおっしゃいました業種と規模ということですね、大体規模が三十人未満といたしますと、要件としては週四十四時間を超えないという要件になるのかとも思いますし、また労使協定も要件になっているのかとも思いますが、この附則百三十二条の二項に、「一週間の労働時間を四十時間(命令で定める規模以下の事業にあっては、四十時間を超え第三十二条第一項の労働時間に相当する時間未満の範囲内において命令で定める時間)」というふうになっていまして、この前の第一項の規定と同じようになっているわけですね。
 そうすると四十時間というものを一種の要件にするということは、結局三十人未満なんていう小さいところばかりじゃなくて三百人以上の事業所にも適用する可能性があるのではないか、こう考えさせられるようなところがあるわけですね。ですから、本文に書いてある表現と、附則の百三十二条の二項に書いてある表現とが大変そごがあるわけですが、その点についてはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#165
○政府委員(野崎和昭君) まさに先生御指摘のような疑問が生ずる余地はあると思いますが、三十人未満に限定するというのは、これから省令で決める事項でございます。省令で三十人未満に決まるからということをもう法律で予定しまして法律をつくるわけにはいかないということで、三百人以上も含めまして法律はできているわけでございますが、結局省令で三十人未満に限定されますので、三十人を超える部分についての規定はすべて空振りになる、そういうことでございますけれども、法律の性格上論理的にそうならざるを得ないということでございます。
#166
○中西珠子君 法律の性格上、論理的に法の形式を整えるためにやったということらしいですけれども、こちらが優先しまして、省令を三十人未満にしたけれども将来はもっと大きなところでもやっていくということにならないようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#167
○政府委員(野崎和昭君) こういった非定型的変形労働時間制をとる必要がございますのはやはり小規模なところ、ある程度規模が大きくなりますと、例えば旅館業などが想定されているんでございますけれども、大きな規模の旅館ということになりますと、業務の繁閑というのもある程度ならされ
るわけでございます。また、パートタイマーを入れるとか交代制をとるとかいろいろな方法で業務の繁閑に対応することが可能だと思われますが、ごく小規模のところではそういったことが難しいということがこの制度をつくった理由になっておりますので、大きな規模に波及するということは考えられないところでございます。
#168
○中西珠子君 それでは、省令で予定していらっしゃるような事業場で働いている女子労働者の数というのは、大体概数で結構ですがわかりますか。
#169
○政府委員(野崎和昭君) ちょっと今手元に資料がございませんので、すぐ調べまして御報告申し上げます。
#170
○中西珠子君 それではついでに、そういったところで働いている女子労働者の労働時間は現在どうなっているかという資料もあわせて、なるたけ早い段階でいただきたいと思います。お願いいたします。
#171
○政府委員(野崎和昭君) ただいまの資料につきましては、なるべく早く整えましてお届け申し上げたいと思います。
#172
○中西珠子君 この非定型的一週間単位の変形労働時間制、この制度を導入することによってどういうメリットがあるとお考えですか。
#173
○政府委員(野崎和昭君) やはりこの制度をとりますと、業務の繁閑に合わせまして労働時間を設定することができる。そのことによりまして、業務の忙しさに対応することができると同時に、全体としての労働時間が短縮されると、そういう効果があるというふうに考えております。
#174
○中西珠子君 どの程度の時短が見込まれるんでしょうか。
#175
○政府委員(野崎和昭君) まず、この制度につきましては、通常の変形労働時間制の要件のほかに労使協定の締結ともう一つ、週の所定労働時間を四十四時間以下にするという要件がついております。現在三十人未満の事業場と申しますと、大半が四十八時間制あるいはそれを超えたような実態でございますので、この制度をとるところにおきましては、恐らく四十八時間からまず四十四時間に労働時間が短縮されるであろうということが期待されるわけでございます。
 それと同時に、この制度をとることによって、残業時間がなくなると、午前中も御説明申し上げましたけれども、この制度は業務の繁閑に合わせまして労働時間を設定する、それによって残業のない体制をつくるという制度でございます。逆に、残業をしますとかえって割り増し金が高くなるというふうになっておりますので、そういう意味で残業も減ると、そういう二つの面で時間短縮になるというふうに思っております。
#176
○中西珠子君 この制度につきましては、事前通知がやはり要件になっておりますが、事前通知の期間はどのくらいなんですか。
#177
○政府委員(野崎和昭君) 具体的には省令で決めることになっておりますが、前週末までに翌週分の七日分、七日と申しますか、一週間分の勤務割を各人に通知するというふうにしたいと考えております。
#178
○中西珠子君 緊急の場合は前日でもいいということを聞いているんですけれども、その緊急の場合というのはどういう場合なのか、やはりきちっと限定する必要があると思いますが、この点はどうなんでしょうか。
#179
○政府委員(野崎和昭君) 審議会で建議をいただきます際に、そういった点についても確かに御意見が出ておりまして、一つは一週間前に勤務割を通知して全く変更を認めないというのも問題であろう。
 若干卑近な例でございますけれども、例えばある程度予約の客が入っていたのに、台風が接近してその予約が全部キャンセルされてしまった、そんなような事態もあり得るではないかと、そういう場合については変更ができるようにすべきであろう。しかし、当日変更をするということは認められない。当日変更するというのは時間外労働させるのと同じことでございますので、少なくとも変更は前日までにしなければならない、そういうような御議論がございまして、そういった御議論を踏まえまして省令をつくりたいというふうに考えているところでございます。
#180
○中西珠子君 家庭責任を持つ婦人労働者、殊に子供が小さい人なんかは前日に急に言われたからといって明くる日十時間も労働できるものではないわけですね。これは労使協定が要件になっていますけれども、労使協定の適用を個々の労働者というものが拒否できますか。
#181
○政府委員(野崎和昭君) ただいまの点でございますが、あるいはちょっと御質問と角度が違ったお答えになってしまうかもしれませんが、そういう場合に労働者の方の御都合も十分配慮して勤務時間を決めるというふうにすべきだということで、そういう見地に立ってまた省令をつくりたいというふうに思っているわけでございます。
 御承知のように、三十人未満の例えば旅館というような職場でございますと、表現として適切かどうかわかりませんが、非常に家族的な形になっているのが通常ではないだろうかと、そういうところでは業務の都合だけではなくて労働者各人の都合もお互いに十分考えながら勤務割をつくっていただくと、そういう形で円滑に運営していただければというふうに思っているところでございます。
#182
○中西珠子君 これはやはり労使協定の中に入れる条項が大変問題になると思うんですけれども、労使協定そのものが小さな事業場ではちゃんと労働者代表が民主的に選出されて、そして公正な労使協定ができるかどうかというところが大変疑問でもあるし、またその従業員、殊に女性の意思とか意見というふうなものを果たして労使協定ができる前に聞いてくれるかどうかということも大変疑問であるわけですね。こういう状況についてはどのようにお考えになっているんですか。
 労使協定さえ結べれば変形労働時間制はどのような形でも導入していいという考え方は、私は少し安易な気がするんですけれども、いかがですか、この点は。
#183
○政府委員(平賀俊行君) 所定労働時間の制度を運用するということは、まさにその労使関係といいますか、その労働条件の一番基本的な部分でございます。変形労働時間は新しく導入される三カ月のもの、それからこの一カ月の問題についても非常にそういう意味では労使の間で最も関心の深い問題だろうと考えまして、その導入につきまして労使協定を要件としたものでございます。
#184
○中西珠子君 日本で労働組合がある事業場というのはどのぐらいですか。
#185
○政府委員(平賀俊行君) 正確な数字は今持ち合わせておりませんけれども、全体を通じて労働組合の組合員になっている人の割合というのは二八%前後、それから民間の事業所だけについていいますと、労働組合の組合員である人の割合というのは二二、三%というふうに記憶しております。
#186
○中西珠子君 事業場別に未組織がどうかということはわからないんですか。
#187
○政府委員(平賀俊行君) 私の記憶している範囲ではそういう統計はないというふうに思います。
#188
○中西珠子君 ただいまお示しになった統計によりましても、日本は未組織労働者が非常に多いわけですね。中小企業の大多数はとにかく組合もないというところだと思うんですが、労働組合がありましても個々の労働者の意思が労使協定の中に反映されないケースもあって、それが裁判になったりするケースもあるということでございます。
 労使協定で個人の労働者の権利が侵害されないようにする、個人の労働者のやはり意見というものを必ず労働者代表が民主的に公正に選出された上でそれぞれの意見をちゃんと聞いて、個々の労働者の意見を尊重し、またその労使協定の中にも労働者の大多数の人たちの意見というものが必ず反映されるようにするという保証が全然ないわけですから、やはり労働者の代表を選出する公正な手続というものとそれから従業員の意見を聞くという義務、そういったものを何らかの形で担保しなくちゃいけないと思うわけですが、これを法律の中に入れるということは不可能なんですか。
#189
○政府委員(平賀俊行君) 御指摘のように、非常に小さな事業所でいわば働く人たちの、従業員の代表の意見を反映させるという意味でこういう要件といいますか、規定を労使協定という形で設けております。ただ、その内容その他を厳密な手続として規定することは必ずしも適切ではないと思いますし、したがいまして、それは現実にどういう形でそういう従業員代表が選出されるかとか、あるいはそういう方々はどういう人でなければならないかということにつきましては小さな事業所にも合うような形で適切な指導をいたしたいと考えております。
 また、そういった従業員代表が使用者側と物事を取り決める場合に、その関心のある人々あるいはそのメンバーになっている人々の意見を反映するかどうかというのはそれはまさに法律事項ではないと思いますが、小さな現場というか、小さなところであればあるほどそういうようなことが行われることは可能であると思いますし、また適切な方法で選出された労働者代表がやはりそのように構成メンバーあるいは関係のある人々についての意見を十分酌み取って物事を進めるということは適切な方法、まさにそれが常識にかなったやり方であると考えております。
#190
○中西珠子君 これは指導をなさるということだと思うんですけれども、何かやはりそこに根拠がなくちゃならないわけですね。その点はいかがですか。
#191
○政府委員(平賀俊行君) 前半の、労働者代表が適切な方法、手続で適切な方々を選出すべきであるということは、中央労働基準審議会でもそういう指導をするべきであるということを既に建議の中でもうたっておりますし、私どもとしてもそういうことを根拠にし、必要ならば通達を出して指導をいたしたいと思います。
 なお後半の部分、そのメンバーの人、あるいは関係者の人々の意向を酌むというのは、まさにそういった従業員代表の良識によって判断すべき問題ではないかと考えます。
#192
○中西珠子君 従業員代表の良識とおっしゃいましたけれども、日本の労使関係の現状、殊に中小企業の現状を見ますとなかなか難しいのではないか。本当に厳しい行政指導を通達をお出しになってやっていただかなければとてもじゃないけれども労使協定というものが公正に結ばれるという保証はどこにもございませんので、できればこの点に関しては再考慮していただきたいと思うわけです。
 それからフレックスタイム制についてお聞きいたしますけれども、このフレックスタイム制は一応やはり労使協定に基づくということですけれども、清算期間の総労働時間数が足りなかった場合、これはどうなりますか。賃金カットになるわけですか。
#193
○政府委員(野崎和昭君) もう先生十分御承知のとおり、フレックスタイム制は一定期間、今度の制度の場合は一月でございますが、一月の総労働時間を契約しまして日々の労働時間、始業、終業の時刻をどのように決めるかは御本人の判断で決めていく。お話のように、最終的に月末になりまして時間が余ってしまった――超えてしまったということはもちろんあるんでございますが、余ってしまったというような場合の処理はどうなるのかという点につきましては、労使がお決めになるところに従って処理していただくことになるというふうに思います。
 特に賃金をどうするかということが一番問題になるかと思いますけれども、賃金を払っていただいてももちろん構いませんし、カットするという取り決めならばそれもやむを得ない、そういうふうに思います。
#194
○中西珠子君 すべて労使協定に任せるから賃金カットになってもいたし方ないという御返事では大変心配になりますね。一応一カ月なら一カ月という清算期間を置いて、そして総労働時間というのを労使協定で決めるということになりましても、本人の都合で、また業務の都合でその月はちょっと総労働時間として決めてあったのよりも少なかったということも起こり得るし、またオーバーする場合も起こり得るわけですね。そういった場合に外国で、国によっては労働時間の貸し借りというか、足りなかった分は来月に回すとか、そういったことをしているところもありますね。
 これはそういうことは一切考えていないし、労使協定でそういうことをやったって構わないということですか。
#195
○政府委員(野崎和昭君) 今のように短い場合、時間が余ってしまった場合は比較的問題は少ないんでございますが、逆に時間を超えてしまった、百八十時間と決められていたのに百九十時間働いてしまった、その超えた十時間分は翌月の時間を減らすことによって清算をするということをされますと、その百九十時間というのは恐らくもう法定労働時間を超えておりますので、それを超えた十時間というのは実は割り増し賃金を払っていただかなければならない時間になるわけでございます。
 そういう時間を翌月に繰り越すということは、翌月の場合には割り増し率のない通常の賃金しか払われないということになりますので、これは結局法違反と考えざるを得ない。少なくとも超えた場合についての月をまたがる清算というのはそういう問題が生じます。足りない場合の清算の場合はそういう問題は生じないような気もいたしますけれども、とかくそういうことを認めますとやはり法違反を生ずるようなおそれが多分にあるように思いますので、できるだけ各月ごとに清算をしていただくことが必要であるというふうに思っております。
#196
○中西珠子君 今のお話を聞いて大分安心したわけです。というのは、総労働時間数を超えた場合に、やはり残業手当をきちっと払ってもらいたいということを言おうと思ってお聞きしたわけですので、今の点は大変結構だと思います。
 しかし、清算期間を置いて総労働時間数があれば一日は物すごく長くなっても後で調整ができるんだからいいということだと思うんですけれども、やはり働く婦人にとっては一日の労働時間の規制というものが大事なんで、労使協定でフレックスタイム制ができてもそれにやはり自分は組み込まれたくないという人がいた場合、こういう人に対してはどういう扱いができますでしょうか。
#197
○政府委員(野崎和昭君) フレックスタイム制の対象になる労働者の範囲につきましては、まさに労使協定でどの範囲の労働者を対象にするかを決めるということになっております。したがいまして、何らかの事情でその対象になりたくないという方につきましては、その労働者団体の中で十分御相談になりまして、その範囲を協定で決めていただくというような取り扱いをしていただければと思います。
#198
○中西珠子君 個人的に組み入れられたくないときは組み入れられたくないということを強く主張すればいいということですね。労使協定の範囲から外してもらうということができるわけですね。
#199
○政府委員(野崎和昭君) そのとおりでございます。
#200
○中西珠子君 それから、やはりまた女性の立場からお聞きするんですけれども、これは確認していただきたいと思うんです。
 フレックスタイム制のもとで労働時間を清算するときに、育児時間とか生理休暇というのはほかの制度と同じように取り扱われると思うんですけれども、いかがですか。
#201
○政府委員(野崎和昭君) フレックスタイム制を採用した場合に、その期間に生理休暇をおとりになったという場合、もちろんその時間は労働時間に算入されないで通常の勤務体制の労働者が生理休暇をとりました場合と全く同じ扱いになると思います。
#202
○中西珠子君 年次有給休暇について伺いたいのですけれども、年次有給休暇については今度の法改正で三百人以上の事業場では最低基準を十日にする、それから三百人以下のところでは最低基準は三年間は現行の六日のまま、それから四年目から八日にする、そして十日にするのは七年目から
ということになっていますけれども、これはやはり中小企業で働く労働者のことを考えますと、ちょっと差別的待遇ではないかという声があります。
 殊に三百人以下の事業場で働いている女子労働者は九割近いということですので、殊に女子労働者に対しては困ったことだ、おまけに計画的な付与という制度が導入されますと、五日以上の年休は自由にはとれなくなってしまう。計画的付与というその労使協定の中で決めた時期にしかとれなくなってしまう。
 こうなりますと、現在女子労働者殊に家庭責任のある女子労働者は、自分自身のために年休をとるのではなくて、もちろん自分の病気のためにも多少年休をとっておくでしょうけれども、子供の病気とか年老いた親の看病のためとか、病院に入れるためとか、また学校に行っている子供の授業の参観とか、そのほかの学校の行事に行かなければならないということのために年休をとっているわけです。そうすると、五日だけしか自由にとれないということになりますと、これはもう大変困ったことになりまして、働いているお母さんはもうどうしよう、どうしようといって大騒ぎをしているわけです。
 この点に関しては、計画的な付与というものにカバーされたくない労働者、殊に女子労働者という人たちのカバーされないでいいという自由というものは全然保障されないわけでしょうか。この点についてお聞きします。
#203
○政府委員(野崎和昭君) この計画付与という考え方が中央労働基準審議会の建議で出てまいりました背景につきましては、先生もよく御承知のとおり、我が国の年休の取得率がわずかに五〇%でございまして、何とかこれを上げなきゃいけない。
 そうすると、今先生の御指摘のような事情、要するに我が国では年休をそういったいろいろな個人的な事情のために自分の必要とする時期に使いたいという強い御希望のあることは十分承知いたしました上で、しかしこの年休の取得率を上げるためにはやはり外国と同じように心身のリフレッシュのための休暇、そのために日本で言いますと四季折々に連続休暇をとってもらおう。そうすることによって消化率を上げていくことがどうしても必要であろう、そのためにはまた計画年休が必要だ、しかし日本の年休のこれまでの使われ方の点も十分考慮しなきゃいけない、そこで五日間はそういう個人的事情のために留保しようということになったわけでございます。
 平均的に年休の取得日数は、これもわずか七・五日でございます。七・五日のうち五日を個人的事情に留保する、こういう形でそういった従来の慣行的な年休の使い方にも対応できるんではないかというふうに一応考えられているわけでございます。
 しかしながら、それはあくまでも全体的な平均的な数値の問題でございまして、個々には機械的に計画付与をされると非常に困る方が出ることは当然でございます。例えば入社早々で年休が六日しかないというような方につきましては、もともと一日しか計画付与に使う余地はないわけでございます。あるいは十日持っておられる方でも何かの都合でその十日を全部自分のために使わなきゃならないというような事情のある方もいらっしゃるかと思います。そういった方につきましては、それこそ労使協定の中でそういった方の事情を十分配慮して計画付与のあり方を決めていただくと、そういうことが必要だと思いますし、私どももそのように指導してまいりたいと思っているところでございます。
#204
○中西珠子君 年次有給休暇は病気のときに使ったり看護のときに使ったりするものではないという、本来の年次有給休暇の目的は百も承知なんですけれども、現在日本では病気休暇というものもないし看護休暇というものもございませんね。ですから、やむを得ず子供を持つ既婚女性というものは年休を子供たちのため親のために、そういうことのために使っているわけですね。それで、子供が病気になるというのは、計画的に熱を出してくれるわけにもいきませんでしょう。そうすると、たった五日というのは足りないということなんですね。ですから、五日しか自由にとれる年休がなくて、あとは計画的付与に組み入れられる。
 今のお話で、七・五日というのが平均の取得日数だから一日や二日計画的にしかとれなくなってもというお話で、そして労使協定の中で配慮すればいいではないかとおっしゃいますけれども、一たん労使協定が結ばれてしまって、そして今度は計画的に付与するのはいつだという時期が決められた場合、その時期にとらなかった労働者の年休権というのは消滅してしまうのでしょうか、どうなんでしょうか。
#205
○政府委員(野崎和昭君) 夏季に一斉休業ということが決まったというのが計画付与の一つの形態でございます。そのときに年休をとらなかったというのがどういう場合かということでございますが、そういう特別な事情を認めて事業主の方でその日出勤を認め働かせたと、そういう場合には年休は消滅しないことは当然でございます。
#206
○中西珠子君 事業主の方でというのじゃなくて、自分の方でそのときはとりたくないからこれはとらないという場合、労働者本人の都合の場合には消滅しますか。
#207
○政府委員(野崎和昭君) いずれにせよそういう事態が生ずるのは非常に好ましくない事態のように思いますけれども、労働というのは労働者が働きたいというだけじゃなくて、それを使用者の方でも受け入れるという状態がないと成立しませんので、使用者の方が絶対的にそれを拒絶したというような場合どういうことになりますか、非常に難しい問題でございますが、なかなか一概には言えない問題ではないかと思います。
#208
○委員長(関口恵造君) 中西君、時間です。
#209
○中西珠子君 この点に関してはもっと突っ込んで御研究いただきたいと思うんです。この次また続けて御質問いたします。
 先ほどは、計画的付与は年休消化率を高めるために役に立つのだという御説明がありましたけれども、年休消化率を高めるためでございましたらば、私はむしろ現在年休をとったがゆえにボーナスが減るとか精皆勤手当がもらえないとか、また昇進、昇給で不利益な取り扱いをされるとか、また退職金の算定のときに、年休をとった人は退職金の算定で不利な扱いをされるというふうな、そういった年休取得を理由とする不利益取り扱いを禁止する条項を入れた方がずっと効果的ではないかと思うんですね。
 せっかく休みをもらったのに、上役の御機嫌伺いに会社にのこのこ出ていかなくちゃいけないというふうな日本の現状があるわけですから、こういう年休取得を理由とする不利益取扱禁止条項というのを法律の中に入れるべきだと考えるのですが、いかがでしょうか。
#210
○政府委員(野崎和昭君) この問題につきましては、特に労働基準法の中に入れるということになりますと、基本的には労働基準法は先生よく御承知のとおり、罰則つきで禁止する最低基準でございます。
 それで、この年休を取得したことに対する不利益取り扱いについて、そういうことができるかということで私どもも随分検討したつもりでございますけれども、年次有給休暇について申し上げますと、まず休ませるということ、これは使用者はその義務を果たしているわけでございます。それから賃金を払わなきゃならない、これも罰則つきでそういう条件が決められているんでございますが、これも一応果たした。しかし、休ませ、賃金は払ったけれども、例えばボーナスの算定のときに不利益に取り扱ったという場合に、そこまで罰則という形で責任を追及することが果たして妥当であろうか。
 そこまでやりますと、またいろいろな問題が起こってまいりまして、一つは、年休以外に同じような労働基準法に定められている休暇がいろいろございます。生理休暇もございますし、公民権行使の保障というものもございます。これらは、賃金を払うということは義務づけられていないので
ございますけれども、休ませなければならないという点が義務づけられていることは皆同じでございまして、何らかの嫌がらせ措置で休ませなければ、これも皆罰則つきで禁止するのかという問題が出てまいります。
 また、不利益な取り扱いというのは、非常にいろんな形があり得るわけで、構成要件としても非常に不明確になる。そういうことで、罰則つきで禁止することについては少なくとも適当ではないということが労働基準法研究会の報告の結論にもなっておりまして、私どももそのように考えておるところでございます。
#211
○委員長(関口恵造君) 中西君、時間です。
#212
○中西珠子君 たくさん通告いたしました項目が残ってしまいましたけれども、この次に続けて質問させていただきます。どうもありがとうございました。
#213
○内藤功君 労働基準法の一部を改正する法律案、これは、一つは現在の八時間労働制を破壊するという点、それから二つ目は、変形労働時間制の導入と長時間の残業が相まって日本の長時間労働が温存されていく、それから三つ目には、週四十時間制というのは一体いつ実現されるのか皆目わからない、こういうような点で私どもは反対をするわけでございます。
 まずお伺いしたいことは、先ほども御質問がありましたが、御答弁が甚だ不明確でありまして、このたびの建議の土台になっている労働基準法研究会の報告では、一日の労働時間のとらえ方としまして、一週の労働時間を冬日に割り振る場合の基準として考える、こういうことを打ち出しております。当時これは発想の転換というふうに評されておりました。先ほどの答弁では八時間労働制を変えることは考えていない、こういうお考えですが、改めて、労働省としては今のようなとらえ方をとるのかとらないのかという点を明確にお答えいただきたいと思います。
#214
○政府委員(平賀俊行君) 今回提出いたしました改正案の基礎といたしまして一日八時間労働の原則を堅持していく、こういうふうにお答えしたいと思います。
   〔委員長退席、理事田代由紀男君着席〕
#215
○内藤功君 そうすると、労働基準法研究会の考え方はとらないということですか。
#216
○政府委員(平賀俊行君) 労働基準法研究会が八時間労働の原則を崩しているというふうには理解しておりませんが、もし先生がそういう御理解をとっておるとすれば、私どもとしては、その八時間労働の原則を引き続き堅持するというふうにお答えしたいと思います。
#217
○内藤功君 現行法では第三十二条一項で、まず「一日について八時間」というのを出して、その次に「一週間について四十八時間」、こう出しているんですね。冒頭の第一原則であります。ところが、本法案を拝見しますと、第一項の中から冒頭の一日八時間を削っちゃって、そして今までの第二項を別に三十二条の二としてつくって、新しい第二項を立てて、「一週間の各日については、」「一日について八時間」、こういうふうになったわけですね。なぜ第一項の一日八時間というのを、八時間の原則は堅持すると、こう言うなら、一項の冒頭にあるのを削って、わざわざ二項をつくって二項におろしたのですか。
 また、それと関連して、「一週間の各日については」というのをなぜ入れたのか。ここのところは今までとどういうふうに違うのか。現行法とどういうふうに違うのか。特に「一週間の各日については」というのは、これはどういう意味なのかという点をお伺いしたいと思うんです。
#218
○政府委員(野崎和昭君) まず前段の点でございますけれども、従来は、先生よく御存じのように一日八時間、一週四十八時間とか、もっと歴史的に申し上げますと、一日十時間制、それから一日八時間労働制ということで、一日中心に労働時間の規制が考えられていたわけでございます。しかしながら、一日八時間制が一般化しますとともに、労働時間規制の重点は一日からむしろ週に移りまして、一週四十八時間の部分を週四十時間に短縮する。最近、欧米ではさらにそれを超えて週三十何時間制にいくということで、現在では、一日八時間、一週四十八時間と続けて言いました場合には、むしろ一週何時間、一日何時間というふうに言った方が労働時間規制の重点を正しく表現している、そういうふうに考えられますので、そこは確かに発想の転換と申しますか、重点の転換でございます。重点を週の労働時間の規制に置きまして、それを短縮していく。その趣旨を明らかにするために三十二条の規定を現行のように改めたわけでございます。
#219
○内藤功君 今のお話の中で、八時間というのが定着化した、一般化したと言うけれども、私はこれを見るところ、歴史の長いヨーロッパ、アメリカについては言えると思うんですが、日本では一九四七年の労働基準法制定以来定着していないですね。法律にたくさん例外がある。規則にも例外がある。そして長時間労働が現実に行われている。
 ILOは、九月三日に報告を出して、日本は西ドイツ、スイスより五百時間、三〇%、ヨーロッパの平均を超えている。これは一番新しく出た報告書です。そう書いてあります。そういうものができてきたんですね。ですから、あなたのお話は、欧米で定着している。欧米では確かに一日の時間を八時間、それから西ドイツなんかでは七時間、どんどん一日の時間が減っていますから、次は週だと、こうなる。日本はまだ一日なんですね。規制が十分やられていない。こういう点が私は違うと思うんです。
 そこで、質問としては、「一週間の各日については」という点はどういう意味なのか。どこが違うのか。これをさっき聞いたんですが、その答えが落ちておりますので、この点についてお答えを願いたい。
#220
○政府委員(野崎和昭君) その意味は、従来の一日八時間を超えて労働させてはならないという意味と全く同じ意味であるというふうに思っております。
#221
○内藤功君 それならば、いよいよわからないのは、「一週間の各日については」というのは要らないんですね。なくてもいいんですね。
#222
○政府委員(野崎和昭君) やはり一項とのつながりをつける意味で何らかの言葉が必要だろうと思いますし、それによって先ほど申し上げましたような重点の置き方が変わったということがその中に意味として含まれているということは言えると思います。
#223
○内藤功君 先ほどもございましたが、やはり一日の規制は日本では非常にまだ大事だと思うんですね。重点の置き方を移すなんというような時期ではないと私は思うんです。
 ところで聞きますが、そうなりますと、こういう場合はどうでしょう、念のために伺うんです。ある日の労働が継続して翌日まで及んだ。二十四時を経過して翌日まで及んだ場合、つまり午前零時を超えた分は、これは翌日の労働時間とする、こういう解釈をとる余地がこの三十二条二項ではありますかありません。
#224
○政府委員(野崎和昭君) 結論的には 今回の改正によりまして、その点についての従来の解釈は全く変わっていないというふうに思っております。
 念のため従来の解釈を申し上げますと、従来、一日というのは 基本的には暦日で考えております。しかし、三交代連続操業とか非常に特殊な勤務で暦日で考えますと非常に不合理な結果が生ずるものだけについて、特定の継続二十四時間で一日と数えております。こういった解釈は今日の改正によっても全く変わらないというふうに思っております。
#225
○内藤功君 私があえてこれを聞くのは、午前零時を挟んで、九月十日八時間、九月十一日八時間、こういうふうに継続して十六時間勤務しても、「各日について」ということをもし厳格に解釈すると、午前零時を超えた分は翌日の労働になる、こういう解釈が発生する余地は万々ないだろうなということでお伺いしたわけです。現在のみならず、将来ともこういう解釈はないと確認してよろ
しゆうございますか。
#226
○政府委員(野崎和昭君) あるいは質問の意味を私取り違えているのかもしれませんが、一日というのは、原則は暦日でございます。暦日と申しますのは、午前零時から始まります二十四時間を指すわけでございます。したがって、午前零時をまたがった労働時間というのは原則として別の日の労働時間でございます。
 ただ、三交代連続操業のような非常に特殊な場合についてだけはそうではなくて、一定の時間から一定の時間までを切った二十四時間を一日として計算している、そういうことでございまして、それが現在の解釈であり、今後もその解釈でまいりたいと思っているところでございます。
#227
○内藤功君 わかりました。そういうことであれば、ますます第二項に「各日については」という文言をつくることは誤解を招くおそれがあるんじゃないかと思うんですね。特に、重点の置きどころを日から週に移す、一日の労働時間を制限するという十八世紀末以来の世界の働く人たちのいろんな御努力というものの結果としての八時間労働、これを重点を週に移すがゆえに二項に持っていくということは、私は、基本姿勢、基本精神として非常に納得ができないということを、ここで見解として申し上げたいと思います。
 そこで次に移りますが、本法案は次から次へと八時間労働制の例外をつくっております。現行法でもたくさんある。第三十二条の現行二項を初めとして、三十二条、四十条、四十一条、いっぱいある。そこへ持ってきてまた例外をつくり出しております。
 その代表例が変形労働時間制でございましょう。これに関連して、みなし労働時間制、それからフレックスタイム制というものを含めて、広い意味で変形労働時間と呼ばせていただきますが、私どもの党はこの導入自体に反対でございます。しかし、質問の機会でありますから、若干中に入って御質問をしたい。
 現行法の三十二条二項にも四週間の変形労働時間制が立法当時以来つくられておりますが、私は、これ自体がILO一号条約の違反の疑いがあると思うんです。現行法は四週間ですが、ILO一号条約二条の定めるところは三週間単位というふうに私は理解をしておるわけです。
 本法案は、これをさらに一カ月に拡大し、さらにこのほかに三カ月という、これは使用者側には非常に有利ですね。この三カ月単位の長い周期の新たな変形制を導入する、こういう点は、私は、一九一九年につくられ、もう既に七十年近くの年月をけみしておる一号条約、ベルサイユ体制のときのあの一号条約自体に違反するものだと思うんですね。こういう点についての、まず国際的な条約から見てこれはおかしいのじゃないかという点はいかがお考えになりますか。
#228
○政府委員(野崎和昭君) 第一号条約は、御承知のとおりILOで最初に採択された条約でございまして、歴史的には非常に重要な意味を持つ条約であるというふうに認識しておりますけれども、一日八時間、一週四十八時間制、まだ産業経済等が現在のように大きく変わる前の状態を反映してできたせいかとも思いますけれども、やはり現在から見ますと実態に合わない規定が相当多いと思います。現に先進国でこの条約を批准している国はほとんどないわけでございまして、日本も批准をしていないわけでございます。
 したがいまして、一号条約の中の規定で参考にすべきものは十分参考にいたしたいと思いますけれども、変形労働時間制の規定についてはやはり現在の実態に合っていないと言わざるを得ないと思います。
#229
○内藤功君 日本はILO条約を幾つ批准していますか。
#230
○政府委員(平賀俊行君) 現在三十九の条約を批准しております。
#231
○内藤功君 それはILOの幾つのうち三十九ですか。
   〔理事田代由紀男君退席、委員長着席〕
#232
○政府委員(平賀俊行君) 採択されている百六十二の条約のうち三十九を批准しております。
#233
○内藤功君 百六十二のうち三十九しか批准していない国として余り一号条約云々と言うことは、私は僭越の言だと思いますね。批准をしていようといまいと、ILOのこの百六十幾つかの条約は混然一体になって一つの地球上の世界の働く人の労働条件を守る大きな国際的な法規範になっているわけですから、私は、先ほどの政府委員の言葉は甚だ国際良識を軽んずるように聞こえるので御注意をいただきたいと思います。
 あなたは、また、当時から見れば産業経済の状況は変わったと言った。産業経済の状況は変わったかもしれぬが、人間は変わりましたかね。人間は、やはり八時間働き、八時間眠り、八時間は自己及び家族のために有意義なる自由時間を過ごす。この人間というものの体質は変わっていないんですね。それに合わせようというのがもともと無理の根源だというふうに私は思うのであります。
 そこで次に御質問をしたいことは、三カ月の変形制の問題であります。
 三十二条の四というのを拝見しますと、特定された週あるいは日という表現がございますが、この週や日の特定、この日に長い時間働いてくれ、この週に働いてくれという、この週や日の特定行為は労使協定で、労使の合意でやるんですか、あるいは使用者が使用者の何か権限に基づいてやるんですか。その点ちょっと伺っておきたいんです。
#234
○政府委員(野崎和昭君) 現行の変形労働時間制の場合もその点は基本的に同じでございますが、三カ月単位の変形制の場合、さらに労使協定の締結が要件になっておりますので、その点だけは違うわけでございます。
 労使協定におきまして、三カ月間の全労働日の労働時間の長さ及び始業、終業の時刻を全部あらかじめ労使協定で決めていただく。そうしますと、その決められた時間、ある日が十時間の労働時間が決められていると、今度の場合、平均して全体として週四十時間の中におさまっているということであれば、その十時間の日は一日八時間を超えて働かせても労働基準法に違反しない、そういう特定の日としての効果を持つ、そういうことでございます。
#235
○内藤功君 そうすると、その特定は労使協定の中で、いわゆる労使の中で決める、こういうことですか。
#236
○政府委員(野崎和昭君) 労使協定の中で決めていただくと同時に、就業規則におきましても決めていただく必要があるというふうに思っております。
#237
○内藤功君 就業規則は当たり前のことであります。
 一週単位の問題ですが、一週単位の非定型的変形労働時間の場合ですけれども、旅館の話をしきりにされましたが、適用事業としてはどんなものを考えていらっしゃいますか。
#238
○政府委員(野崎和昭君) 先ほど申し上げましたように、業種の概念自体が法律で規定されておりまして、日々の業務に著しい繁閑の差がある、それをあらかじめ予想して定型的な変形制を組むことができないと、こういう概念になっておりますので、おのずから対象は第三次産業に絞られてくるであろう。その中でも旅館業などが非常にわかりやすい例として挙げられているというふうに思っております。
#239
○内藤功君 第三次産業というのは非常に広い範囲だと私は思いますね。これが一般化されるという危険があると思うんです。
 もう一つは、先ほども御質問がありましたが、緊急の場合あるいはやむを得ない場合、さっき台風でキャンセルされたというレアケースをおっしゃったのですが、そのほかにどんな基準を今考えていらっしゃいますか。
#240
○政府委員(野崎和昭君) これまで審議会の議論の中で出ておりましたのは、その台風のケース以外ちょっと記憶しておりません。
#241
○内藤功君 今どんなことを考えておりますか。
#242
○政府委員(野崎和昭君) 現在のところまだそこまでは検討しておりません。
#243
○内藤功君 非常にこれも漠としておりまして、私は思い出すのは、労基法三十三条でしたか、災害その他やむを得ない場合、緊急の場合と称してどんどん広げられていっているんですね。こういう事例があるから私は聞いているんです。これも限定がないことが今わかって非常に残念であります。
 次に、この一週間単位の方は三十人以下の事業場でやるというふうに伺っておりますが、三十人以下というと男子の比率より女子の比率が非常に高い、こういうのが統計的に出ておると思うんですね。このやむを得ない場合、緊急の場合というのは、これは判断権者はだれですか。だれがやむを得ないかどうかというのを判断するんですか。
#244
○政府委員(野崎和昭君) やむを得ないかどうかの判断は、いずれ省令が決まりますとその省令に該当するかどうかということでございますので、これは客観的に決まる事柄だと思いますが、第一義的には一応使用者の方で判断をされて、そういうことを申し出られるんじゃないか。それと同時に、先生も御承知のとおり、今回の省令におきましては、そういった勤務割をつくる場合には労働者の方の御都合も尊重して決めるということになっております。実際にそういったごく小さな旅館なら旅館、先生先ほど三十人以下とおっしゃいましたが、三十人未満ということになっております。そういうところでは恐らく経営者の方は従業員の方の一人一人の顔、名前、あるいは家庭の状況まで全部御存じの状況の中での経営ではないかと、そういうように思いますので、そういった点につきましても十分な配慮のもとに運用されていくんではないかと、そういうふうに思っているところでございます。
#245
○内藤功君 第一義的に使用者というお話がありましたので、こういう場合に労働者はなかなか意見を言える人はいないですね。第一義的に使用者ということは、この条項の乱用というか、恣意的な運用というか、私非常に心配なわけです。
 旅館のことを盛んに言われますが、さっき言われた第三次産業ですから、おっしゃるようなある特定の旅館、日本式の旅館で親戚とか友人の紹介の人を集めているというようなことをあなたはしきりに例として出されていますが、これは第三次産業全般だと思いますからそういうことが言えるかどうか甚だ疑問だと思いますよ。
 それから、三六協定との関係ですね、変形労働時間と。三十二条の四、五、あるいは三もそうですけれども、それぞれ変形労働時間のための労働時間の総量というのを決めている。それから一方において、第三十六条、三十七条などの時間外協定の適用は一向に適用除外はしていない。ですから、変形労働時間制も適用される、それからそのほかに今までのような残業、休日、深夜も含めたいわゆる時間外労働、残業がここにかぶさってくる、こういう状況に労働者はこれから置かれることになるんですね、これが通りますと。
 変形労働時間制はもともと労働時間を短縮させるための政策だと、盛んにこういうふうに説明し、また宣伝をなさっているんです。それは机上の説明は何とでも可能でありましょう。しかし、もし本当にその変形労働時間制によって時間短縮への道を具体的に歩むというならば、変形労働時間制を導入した場合には、そのほかに労基法による残業、時間外労働はやらせないということもやっぱり法律上明記をされる、変形労働時間制のあった場合には時間外労働は適用しないというようなことをはっきり法律上させるということが私は絶対の条件だと思う。そうでなければ、変形労働時間制の導入によって時間短縮の効果というのは、これは全くうそになってしまうんじゃないですか。私はそういうふうに思うんですね。そういうような立法のお考えはないのかどうか、またその理由ですね、それをお伺いしたいと思うんです。
#246
○政府委員(野崎和昭君) 変形労働時間制を採用しながら、突発的でなく、恒常的にたくさんの時間外労働をしているということでは、私どもの考えでおります変形労働時間制によって労働時間を短縮するという効果が上がらないことは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、今回の制度におきましては、まず週の法定労働時間、一応四十六時間ということで説明をさせていただきますが、四十六時間で三カ月の変形労働時間制を採用できるのではなくて、三百人以下は別としまして、一応四十時間にまず所定労働時間をしなければこの三カ月単位の変形労働時間制は採用できないわけでございます。そして週平均四十時間、三カ月にならしてのそういう勤務割をつくっていただきます。そして残業を仮に何かの都合でさせたとしますと、その平均四十時間を超えた時点から割り増し賃金を払っていただくことにしております。これは附則に明文で規定しております。
 ということは、残業をさせて業務の繁閑に対応しようというならば、この変形制をとらないで、普通の勤務割のもとで残業をした方が経営者としてはむしろ得だということになるわけでございます。要するに、四十六時間を超えた時点から割り増し賃金を払えばいいのに、この制度をとったがために四十時間から割り増し賃金を払わなければならないことになるということになるわけで、この制度をとった以上は、残業というのは使用者としては原則として考えないはずだ、突発的なものだけになるというふうに思っております。
#247
○内藤功君 もし使用者が実際そういうような残業をやらないんだというお見通しなら、むしろますますそういう場合は残業規定は適用しないということをはっきり書くべきだと、逆にあなたの論理だとそうなりませんか。
#248
○政府委員(野崎和昭君) そうは申しましても、予想しない突発的な必要というのは当然生ずるわけでございまして、一切時間外労働がないということまでは言えないと思います。しかし、なるべくそういう場合でも時間外労働を少なくしようと使用者はされるであろう、そうすれば全体としての労働時間は所定労働時間が四十時間に短縮された分と残業が減る分と両方でかなり大幅に短縮されるんじゃないか、そういう期待を持っているわけでございます。
#249
○内藤功君 残業がもう極めて例外なレアケースの場合だけとおっしゃるなら、なおさらこの際きっぱりもう残業というのはやらないというふうにすべきじゃないかと思うんですが、これはこれ以上押し問答になりますから、次の質問に移ります。
 そこで、この場合について先ほど同僚委員の御質問にも答えたし、その他いろんなところに出てくるんですが、十分指導いたしますと。例えば変形労働時間制と残業との関係でも十分に指導いたしますと言うのですが、指導は結局現場の監督官がやるわけですね。どうもこの答弁を聞いていますと監督官の仕事がどんどんふえると思うんですが、一体監督官というのは何人いるんです。
#250
○政府委員(平賀俊行君) 正確に何十何人までではございませんけれども、監督官の資格を持っている者は約三千人おります。
#251
○内藤功君 実際動いている人はどのくらい。
#252
○政府委員(平賀俊行君) 例えば私なども監督官の資格を持っております。そういう本省におって監督官の資格を持っている者などもおります。それらは実際に動いていないとも言えないんですが、現場で監督に従事している、そういう形の者は約二千人余りというふうに記憶しております。
#253
○内藤功君 現場で二千人の方が働いていらっしゃる。
 対象は労働者は何万千万人ですか。
#254
○政府委員(平賀俊行君) 基準法適用事業場の対象労働者は約四千万人前後ということでございます。
#255
○内藤功君 そうすると、二千人の監督官、現場の方が四千万人、まある長みたいな偉い人を除いて二千人が四千万人を見る、一人が二万人見るという勘定になりますね。私はそういう点からいって、安易に指導とかいろいろおっしゃるけれども、これは大変なことだと思いますよ。大変なことだ。ですから、私は指導いたしますということでは引き下がらないつもりでおるんです。
 次に伺いますが、女子労働者の問題については同僚委員からもいろいろ突っ込んだ御質問がありました。現在女子労働者の七割の方が既婚の方でいらっしゃる、そして、もちろん家事、育児の責任は男もありますけれども、しかし、事実上日本では多くの御負担は女子労働者の方に負わされているのが実情だと思います。
 私のところにたくさんいろいろのお手紙が女子労働者あるいは男子労働者の方から基準法で来ておりますが、中でも退社時間が夜の八時、九時、十時というふうになったらとても保育園へ子供を預けて働くことはできませんという切々たるお手紙は、私は本当に変形労働時間制の及ぼす最大の害悪だというふうに思うわけであります。特に、公的な保育所では、これはとても対応ができないというふうに思うんですね。
 それで今、私は東京都心部のあるベビーホテルにその実態はどうであるのかということをお聞きしてみたんです。そうしますと、これは東京都心部のあるベビーホテルでありますけれども、私が初めちょっと予想しておったいわゆる水商売といいますか、そういうところにお勤めの方は一人もいないんです。それで、例えば生命保険の指導員の方、デパートで監督をしている方、みんな女の方です。オペレーター要員、歯科医師、証券会社の方、ある民放テレビにお勤めの方、美容師の方、看護婦さん、養護学校の教員の方、プログラマーの方、それから旅行社の添乗員の方、同時通訳の方、ホテルの従業員の方、それから鮮魚商、お魚屋さんというような、ほかにもたくさんありますが、本当に今まででしたらベビーホテルというところとどのくらい縁があるかと言われる方も含めて、こういう職業になっております。
 そして、子供さんを迎えに来る時間、午後十時、十一時、あるいは翌日の一時、場合によっては午前四時という方も、魚河岸なんかへ行かれる関係でございましょう、あるという、まだ詳しい資料いっぱいありますけれども、時間の関係でこのくらいにとどめますが、こういう実態がやっぱり出てきていますね。大変な高いお金を払ってこういうことをする、こういう深刻な実態が今出ておるわけであります。
 さらに、飯田橋の公共職業安定所の所長が作成しました本年三月現在の求職者の就職意識調査というのを見ますと、昭和六十二年版ですが、就職先を選ぶ基準というのを、男の方と女の方の昭和五十七年の調査と今回六十二年の調査を比べてみた数字があります。これは安定所の窓口にも置いておる文書ですけれども、これによりますと、自分の能力が生かせるところというのが今まで男の方も女の方も一番多かったんですが、今回の調査は五年前と違って女の方の中に、休日、祝祭日、就業時間のはっきりしているところというのがふえてきている。二五・五ポイントから三二・四ポイントにふえているというのが非常な特徴です。皆さん何とか残業のないところに行きたいと、しかし残業のないところは今度は安定所の方からいうと基本給が安い、残業のないところを選ぶのは非常に難しい、こういう実態が一方職業を求める窓口ではある。
 それから、労働基準法と雇用機会均等法があるから大丈夫だと、この間私の質問に対して本会議で中曽根総理はお答えになって、私はもうとんでもない話だと、いろいろ聞いている話は大変です。
 例えばここで今日本の一流企業ですが、東京海上というところでどういう実態が起きているか。この雇用機会均等法ができてから、ある職場ではタイピスト四人のうち三人までが体を壊している。これは「全損保」という機関紙に出ている実態であります。それから、連日夜八時までは当たり前、打合会も八時を過ぎて九時になっても女性に先に帰りなさいの一言もない。ある女性労働者は、やめるときに元の職場にあいさつに行ったのは夜六時過ぎ、制服のまま行った、普通は多少おしゃれをした格好で最後の日はお別れをするのだが、こういう状況で、しかも六時に別れのあいさつに行ったときに、これから八時まで仕事をしなくてはならない、こういうことを言っておられた。
 勤続三十二年のある女子労働者の方は、昨年末に週三回夜八時までの残業をやり、それでも間に合わないで八時半、九時になったこともあったと。まだいっぱいありますが、こういうのが雇用機会均等法が成立をして、妊娠中の方に対する時間外の規定、これはいい規定が入ったんですけれども、今までありました一日について二時間に限るという残業の規定はとられてしまった。
 私の直接聞いたある方は雇用機会均等法ができてかえって私たちは損をしている、それは今まで時間外労働一日二時間というのが削除されて長い残業が命ぜられるので、この均等法のおかげでやめなければならないと言っている方が私のお話を聞いた中にございました。
 いろいろ私は申しましたけれども、私はこういう実態から見て、これはぜひとも、妊娠中の女子労働者についての基準法六十六条の適用除外、こういう御配慮は当然であります、これは当然です。しかし、妊娠中の方に限らず、また女の方に限らず男でもそういう負担を負っている人がいるわけですから、幼児を抱え、あるいは病気の両親を抱え、あるいは寝たきりのお年寄りなど要看護の方を抱えている、面倒を見なければならない立場の労働者については、これは最低限適用除外等も含めた変形労働時間制の弊害を押さえるということがなければ、これはもう弊害をもたらすばかりだと私は思うんですね。
 婦人局長がおられれば婦人のお立場で聞きたいと思うんですが、お姿が見えませんので、政府のこれについてのひとつお考えを伺いたいと思うんです。
#256
○政府委員(平賀俊行君) 変形労働時間制を今回三カ月を単位に、季節間の繁閑の状況に応じて週の労働時間平均して原則として四十時間を要件として実施をすることを新たに規定いたしました。それは再三お答え申し上げておりますように、男女を問わずそういった季節的な需要に対応するとともに、労使協定を要件として導入する結果として、残業時間あるいは所定労働時間も通常の場合に比べて労使の工夫によって減らすことができるということを期待して導入したものでございます。
 したがいまして、女の人について見ますと、変形労働時間が導入されたことによって格別の負担なりあるいは女性の職場の就業の機会が失われるという性格のものではないと存じております。
 先生御質問の中にありますように、女性の方々は確かに、例えば国際条約とか、そういうことで家庭責任を男女で分担するというような問題もございますけれども、日本の現実においてはやはり家庭責任を負って子供さんを育てながら、あるいは老人を介護しながら仕事をするというケース、それが多いということは事実でございますし、にもかかわらずそういう働いている女性が多いということに私は非常に敬意を表しますし、その方々は大変だと思っております。
 そこで、御質問の中にありますように、妊産婦の問題などにつきましては、委員会の議論を踏まえてやはり私どもとしても適切な対応をしたいと存じますし、その他育児、介護の責任を持っている方々の実態に即して、適切な施策をとるように指導したいと存じております。もちろん変形労働時間制にかかわらずすべての労働時間の運用についてそういった家庭責任を負っている女性の方々についての配慮が必要であるということは当然のことと存じております。
#257
○内藤功君 銀座、渋谷、それから横浜等のデパートの閉店時間が六時から七時に最近なっていますね。この結果、デパートに働いているお母さんでこれはもうとても保育園に子供さんを迎えに行けなくなるのでデパートをやめる人、それからデパートをやめなければ今度は子供さんを保育園からほかのところ、さっき言ったようなところに預けがえをする、あるいは賃金カットを覚悟して早く帰らなきゃならぬが、しかしそんなことはできませんからね、自分がやめるか子供さんを保育園をやめさせるかというところに追い詰められている方が何人かいると私は話を聞いております。
 指導ということについては――またまた指導ということを言いましたけれども、二千人で四千万の人をやるということは本当にもう難しいことですから、やっぱり法律にきちんとこれは考えなくちゃいかぬと思うんですね。それが何もないんです、今回の法案には。
 時間がありませんから、次は、昼間働き夜勉強している方々についての問題です。
 私は、自分でも夜学の学生さんを教えた経験がありますので本当に深刻だと思いますね。勤労青少年福祉法には結構なことが書いてありますよ、将来有為の人材を養成するためにやるんだと。それならばこういう法律をつくっちゃいかぬと思いますね。
 私はまず、東京都の高等学校教職員組合の方々の実態調査というものを拝見して驚いたんですね。これは全部二十九校三千四百六十九名の方の御協力を得た調査で、内容は定時制生徒さんの就職率は七九・七%、約八割の生徒が有職者である。職種は、上からいうと各種製造工二二・四%、二番目が飲食関係店員一八%、以下販売店員、運送運輸倉庫関係、技術者、こういう順番が上位五者です。この高等学校の教員の調査によると、残業や労働時間で通学が大変ですと、つまり学校に間に合わないという危険のある人が今でも二三・六%、およそ四人に一人がこういう通学困難を訴えておられるわけでございます。
 私は、この定時制生徒を変形労働時間の適用除外とするぐらいの最低限の配慮がなければ、勤労者青少年福祉法との調和は保てないだろう。むしろ変形労働時間の導入というのは、女子労働者、男子労働者に対する先ほど申し上げたようないろいろな問題と同時に、こういう夜勉強したいという人たちに対する大変な問題を今引き起こしていると思うんですね、このままでは通えなくなると。
 それから東京には夜間中学というのがあるんです。夜間中学の先生方のつくっている研究会が昨年の十月一日から十一月三十日までの間、四百五十名の方を調査した。夜間中学には、東京の場合には特殊な事情として中国などからの引揚者の方、ベトナム、カンボジアからの難民の人たちも入ってはおります。しかし半分はやはり日本人の方である。ここでも就職率が五〇%、そして製品組み立て工、店員、ウエートレスがそれぞれ二十数%を占めて一番多いんですね。こういう方々についてもどういうふうに変形労働時間制によって学べなくなる人を救っていくのかという問題が何も示されていないと思うんです。
 この点、文部省にも来ていただきましたが、文部省、労働省にそれぞれの御見解を伺いたい。文部省なんかこの法案に反対すべきですよ。
#258
○説明員(小西亘君) 高等学校の定時制、通信制課程、あるいはまた大学の夜間部等もそうでございますけれども、これは働きながら学ぶ青少年に対して学校教育の機会を保障するという観点から設けられた制度でございます。このために勤労青少年福祉法におきまして、事業主は、定時制、通信制課程に学ぶ勤労青年が教育を受けるために必要な時間を確保することができるような配慮をするよう努めなければならない、こういうことが求められているところでございます。
 このたびの労働基準法の改正というのは、労働時間について全体として短縮を目指したものだというように私どもも理解しておりますが、この変形労働時間制につきましてもこのような法改正の趣旨を踏まえ、かつ定時制、通信制課程等に学ぶ勤労青年の勉学の時間の確保につきましてもむしろ従来にも増して必要な配慮がなされるべきであるというように考えております。そういうことで、法施行後の運用におきましてもこのような指導が行われますことを私どもも希望しているところでございます。
#259
○政府委員(平賀俊行君) 定時制その他働きながら勉学をするという方々、これまた非常な御苦労があるということを承知しております。勤労青少年福祉法の規定は、このような方々について事業主に労働時間等の面で配慮することを求めておるものと理解をしております。
 そして現実には、事業主の方々はやはりこれらの労働者に対して私どもの調べたところではほとんどの事業所で、ほとんどといいますか実際に労働時間等の面でそういう必要のない、労働時間の制度をとっているところ以外がやはり九%ぐらいございますが、配慮していると答えたところが八八%ございます。したがって、配慮すべき事業所についてはもちろんその働く人の側にとってそれが十分かどうか、それでなおかつ大変だというのも先生の御質問の中にもございましたけれども、しかし現実に事業所の側でそういう配慮をしているところがほとんどであるというのが実情であるというふうに理解しております。
 私どもとしましてはもちろん通常の労働時間というか、例えば九時から五時までという勤務においてもそういった配慮は必要であり、現にしていると思いますが、変形労働時間制の場合にその場面がどちらかというと結果として見ると若干季節的に偏りはありますけれども、そういう配慮すべき状況というのは特定の季節においてはやはりその必要性が高まるということは承知をしております。したがって、従来からそういった配慮を要請し、現に配慮をしているという実情にありますが、今後ともそういった事業主の側の配慮を強く求め、先生は指導ということはどうかというお言葉でございますが、私どもの立場としては十分指導してまいりたいと思っております。
#260
○内藤功君 人員体制をしっかりふやしてそれで指導するならいいんです。今のままで指導というのは問題だと、こう言っているんです。
 そこで、この間の本会議で文部大臣は、随時実態調査をやると言ったですね。実態調査もこういう高等学校や中学の先生たちはやっているんだけれども、文部省が今まで夜学の生徒さん、学生さんの調査したというのを聞いたことがないんですね。それならば今までのことはごてごて言わないけれども、これから本当に調査をやりますか。これはこの法律が通ろうと通るまいとこの実態調査はやってくれますね。
#261
○説明員(小西亘君) 定時制及び通信制の高等学校の実態につきましては、従来私どもも必要に応じ調査をしているところでございます。今後ともまた必要なことが出てきました場合には従来と同様に調査はしていきたいと、このように思っております。
#262
○内藤功君 次の問題に移りますが、政府は労使協定が変形労働時間制の要件にされているから労働者の利益が守られるように説明をしているんですね。これも非常に私の疑問とするところです。第一、現在の三十六条による時間外協定が歯どめとしての効果を私は発揮しているとは言えないと思うんです。特に組織のない職場では会社の庶務課長それから親睦会の会長というような人が労働者代表になっているということも多い。これは本当に労働者の利益を代表できるかどうかは疑問ですね。
 昭和四十六年の九月二十七日に、基発六百六十五号という通達を出していますね。これによると管理、監督者以外の人から選ぶんだと、こういうことを労働省は通達をしております。「監督若しくは管理の地位にある者は望ましくない」、「選挙又はそれに準ずる方法によることが望ましく」と、これが出ている。次に、昭和五十三年十一月二十日の基発六百四十二号で、これは「投票による方法だけでなく、挙手・回覧」、「いくつかの労働組合の話し合いとか、各職場の信任手続を事業場全体で積み上げる方式その他の間接的な選出手続」ということでやることと、こういう通達を出しておりますね。
 これは通達を二度にわたって出していますが、知らない人が多いんですよ。私みたいに一生懸命調べてやっと見つけ出すんですから。つまり、専門的にそういうものをいろいろ調べなきゃわからない。ですから適当に、それ庶務課長、おまえ代表になっておけというようなことがやられているんですね。現実にやられているんです。通達じゃわからないから法律にしろと言うんです。罰則がどうのこうのも問題ですけれども、法律というのは
同時に六法全書に載りますから、使用者も労働者も読みますから、労使双方に啓蒙的な意味があるというのがやっぱり労働基準法の意味なんですね。労働基準法は罰則だって言うけれども、全部罰がついているわけじゃないでしょう。罰のついてないのだってありますからね、中によく調べればありますから。
 ですから、私はほかの委員からもおっしゃいましたが、これを法律にするという必要があるというふうに思うんです。せめて通達程度の内容の、私はこの通達も随分不満ですけれども、せめてこの通達程度の内容の法律をつくる、こういう考え方もないということになりますかね、どうなんですか。
#263
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のように、通達で労働者代表の資格の問題とか、選定の仕方とかについての基本的、原則的な考え方あるいはそれに適合すると思われる事例等を明らかにしまして指導を行っているところでございます。そして、三六協定等の届け出がありました場合には、その届け出の内容と合わせてそういった点もチェックをいたしております。
 しかしながら、そういった、その通達自身にも書いてございますように、原則的には労働者の意思が適切に反映された代表ということになるんでございますけれども、その実際的な内容というのはいろんな形があり得るわけでございまして、これを法律に規定するということは困難であるということで、先般の中央労働基準審議会での今回の法案の基礎になりました建議を出します際の議論の中でも、その点は随分議論されましたけれども、結局法定することについては意見の一致は見ませんで、その通達の考え方をもう少し整理しまして十分指導するようにという建議になっているところでございます。
#264
○内藤功君 これはILOの第百三十五号条約、もちろん日本は例によって批准していませんよ。批准していませんが、多くの国がやっぱり批准しておる。これにはそういう場合の代表は、「企業の労働者が国内法令又は労働協約に従って自由に選挙した代表であって」と、それが本当に労働者の自由な意思で代表として選ばれるということを国際労働条約は要求しているわけですからね。これは二千人の現場監督官が四千万人の労働者に対してそんなことまで指導できるわけはないんですから、法律できちんと書くということが私は大事だと思うんです。罰則の有無ということについてこだわりませんが、法律ではっきり書いて労使に知らせるということがないと、こういう通達は埋もれてしまっているんですね。
 次に、過半数を占める労働組合がありましても歯どめになるか。私はこの法律できてからいろんな方かも聞いたんです。例えば何千人もの労働者の退職を承認する、断固反対しない、こういう労働組合、あるいは工場閉鎖をやられたら簡単に承認してしまう労働組合、あるいは始終業時刻を繰り上げ、繰り下げして早朝出勤や深夜帰宅の会社側の計画にすぐ賛成してしまうような労働組合、こういう組合は組合という名前があってもこれは歯どめにならぬということをよく聞きます。そのことを指摘しておきます。
 ところで問題は、ある事業場に過半数に満たないが労働組合が存在している。過半数には満たないが小なりといえども労働組合が存在しているという場合に、その労働組合にも多数の過半数組合の結んだ労使協定というものが適用され、その小さな組合はみずから団結権、団交権を保有しながら過半数組合のものに従わざるを得ないということになるんでしょうか。
#265
○政府委員(野崎和昭君) 労働基準法上の労使協定は、ほとんどすべてそうだと思いますけれども、労働基準法上の禁止されている事項についてその禁止を解除する効力を持つわけでございます。そういう意味では、もちろんそういう意思を決める方は一つの団体である必要がございますので、過半数組合一つだけで代表されますけれども、それがほかの組合を拘束する、労働協約が拘束するとか、そういうような意味の拘束という問題にはならないと思います。
#266
○内藤功君 結局、拘束じゃないですか。例えば労働組合法の例を出して恐縮ですが、十七条に「一般的拘束力」というのがある。四分の三以上の労働者を擁する組合がある一つの協定下に置かれた場合は、あとの四分の一の労働者に拘束力を及ぼす。しかし、そこに小なりといえども組合があった場合には、その組合には拘束力が及ばないという解釈が一般じゃないでしょうかね。一般だと思うんですよ。
 ですから、これは論理としては直に小なる組合に及ばないというのかもしれないけれども、結局はその多数派組合の結んだ労使協定で少数の組合はこれに従わざるを得ない。組合と組合の関係は、大小ではなくて、大小であっても権利は平等だと私は思うんですね、団結法の関係では平等だと。こういう問題があると思うんです。現行法はみんなそうだというなら、全部私は見直す必要があると思う。このことを私は非常に問題だというふうに思うのですね。
 次に、先ほども御質問がありましたが、そういう労使協定が、今あなたの答えがあるのでそこに論を進めますが、労使協定が三十二条の三あるいは四で結ばれたといたします。そうして、これにどうしても納得できないと。ここなんですね。この労働基準法改正案の変形労働時間制のいわゆる論議の真髄はここなんですよ。
 自分はどうしても八時間以上働きたくない。その理由はいろいろあるでしょう。子供を保育園に迎えに行かなくちゃならぬという問題から、病院に入っている両親のところに顔を見せて届け物をしなきゃいかぬと、洗濯物を持っていってやらなきゃいかぬ、あるいは帰って子供に夕食ぐらいはつくってやらなきゃならぬ、あるいは男の人の場合に多いでしょうが、おれはもうとにかく健康を維持するためにスポーツ、趣味、あるいは家庭団らんの時間をつくりたいと、父親不在と言われているから帰りたいと、いろいろ理由はあるでしょう。
 理由はあるが、とにかく八時間以上働きたくないんだという労働者がいた場合、その人に対してはこの労使協定が結ばれちゃった以上は、おまえはただこれに従えと、労使協定どおりやっていけと、あるいは従えないなら会社をやめる、仕事をやめる、あるいは我慢せいというだけなのかという問題ですね。
 これでは個人の尊厳というものは維持できないでしょう。もちろん勝手な理由で働きたくないという場合じゃないですよ。やむを得ないやはり家庭生活との調和あるいは人間として生きていく教養、文化を高める上での人間としての生き方はありますからね。そういう面で、どうしてもこれに従えないという人についても、やはりこの労使協定というものはその人に拘束力を及ぼしていくのか。強いて言うならば、労使協定を結ぶと、そこで当然に当該労働者の労働契約上のそれに相応する労働義務を発生するものなのかどうか。
 私は、もしそういうことだとすると、これはいよいよ大変な悪法だと思うんですね。いかに経営側が考えようと、労使協定がどうであろうと、最終的に自分の健康、自分の生活、自分の問題を考えた場合に、ここに拒否できるという自由がないと、この人間は人間でなく奴隷の性格を持ってくると言ったら私は言い過ぎかと思いますが、そこの問題をどうお考えになっておるか。
#267
○政府委員(野崎和昭君) 労使協定自体は、先ほど申し上げましたように、労働基準法上の禁止を解除する効力を持つだけでございますけれども、先生よく御承知のとおり、職場というのは一つの統一的な組織体でございまして、そこでの労働条件その他についてもやはり統一的な整合性のあるものでなければならないわけでございまして、そういった見地からその禁止が解除された範囲内で労働協約、就業規則等で統一的な労働条件が設定される、その労働条件にはやはり従っていただく必要があるわけでございます。
 しかしながら、この労使協定で労働基準法上の禁止を解除していく場合に、先ほど来話に出てお
りますような特別の事情のある方についてはそこで配慮をし、その方については一定の範囲内で禁止を解除しないというようなことを決めれば、その範囲内でそういった方についてはその労使協定に従って拒否等の可能性が出てくる、そういう問題だろうと思います。
#268
○内藤功君 私は、やっぱりこの労働者の同意というのが労働契約上の義務、働く義務というのを発生させる場合の絶対条件だと思いますね、判例は考え方が分かれていますが。学説の中では私のような考え方はかなり有力と私は理解をしているんです。ここのところが最後のポイントですね。しかし、遺憾ながらあなたの御答弁ではそこのところが確認できないですね。そうすると、賛成できないです、こういうことでは。
 もう一つの法案の質問がありますので次の機会に譲らざるを得ませんが、労働基準法については最後にもう一問聞いておきたいと思う。
 それは残業の上限の明示です。これに対して本会議で中曽根総理は、いわゆる指針、これは昭和五十七年労働省告示第六十九号のことを指していると思いますが、指針があると言うんですね。指針は私も調べました。これはあくまで指針であって強制力がない、指導の場合の基準だというんですね。そして一週間の場合は十五時間を目安とする、二週間の場合は二十八時間を残業のめどとすると、こんなふうに別表がついておりますよ。
 私は、これじゃだめだと思う。これもILO条約の要求なんですね。ILO一号条約は一九一九年、今からもう七十年近く前にこの増加時間の最大限度を定むべしと。ILO三十号条約、これは続いて限度を決めると。さらにILOの百十六号勧告は一九六二年、これは各国の権限ある機関は総超過勤務時間数の限度を定めるべきだと。そのほか具体的に一時間に限るとか二時間に限るとかいろんな条約があります。
 これは、中曽根総理はあのときに労使の自主的な努力で決めるとかあるいは指針で決めるとか言いましたけれども、そうじゃない。ILO一号条約以来の国際条約の不動の原則です、残業の上限を決めるということ。日本にはない、そこが問題ですね。これを決める考えはないんですか、これをきちんと。
#269
○政府委員(平賀俊行君) 時間外労働は、確かに現在の日本の労働時間が長いという実態の中で時間外労働が長いということも一つの問題であり、これをできるだけ短くしなければいけないということはほかの要件と同様必要なことと考えております。
 ただ、法的にその上限を規制することになりますと、一つは、現実に我が国の労働慣行の中で時間外労働というのが雇用を維持するための手段として、企業の中での労務政策としてやはり重要な意味を持っているという現実が一つ、それからもう一つは、業種別に言いますと、かなりその時間外労働の実態に差があるという現実がございます。したがって、現段階で法定のその上限を設けるということは適切ではない。したがって、私どもとしますれば、先ほど先生の御指摘の中にありましたような、告示で一日あるいは一カ月の指導リミットというかそれを決めているわけでございますが、今後さらに実態を調査しまして一年間の上限なども定めたいと思いますし、こういった現在の実行上の措置を強化したいと考えております。
#270
○内藤功君 労働基準法について本日はここで質問を終わっておきたいと思うんですが、最初に私が言った八時間労働制破壊、長時間労働温存、こういう性質は今の答弁からも遺憾ながらはっきりしてきたように私は思えるんです。
 では次に、残る時間わずかでありますので、財形につきまして二問御質問したいと思います。時間の関係でまとめて労働省にお伺いしたいと思う。
 第一点は、今問題になっている財形貯蓄の問題、これはことしの四月の選挙で国民の審判が示され、前通常国会で廃案となったことでわかるように、マル優廃止に対する国民の大きな世論の前に私は決着済みの問題だと思うんです。ところがこれを蒸し返して、年一兆六千億円、国民一人当たり一万三千円、四人世帯で五万円の実質増税を庶民の貯蓄にかける一方、大資産家には貯蓄の利子課税を逆に引き下げて大減税になる財形貯蓄非課税制度を含むマル優廃止関連法案を今自民党が強引に今国会で通そうとしておるということであります。
 そこで第一点は、中曽根内閣はマル優廃止の理由として不正利用の防止というのを挙げておりますけれども、貯蓄増強中央委員会の一九八六年世論調査によりますと、勤労者一世帯当たり平均貯蓄残高は六百十八万円となっております。マル優の枠の国民一人について九百万円、財形貯蓄の適用を受ける勤労者は五百万円がプラスされる。この数字からも、一般勤労者にとってはマル優枠を上回るような貯蓄の持ち合わせはないことは明らかであります。
 そこで第一点のお尋ねは、財形貯蓄にマル優の不正利用の例があったかどうか。私はあり得ないと思うんですが、この事例があったかどうかを聞きたい。
 第二点は、だれがマル優の不正利用をしているか。国税庁の調査によりますと、八五年度マル優不正利用のほとんどが一部高額所得者の大口預金であります。残念なことに、金融機関が預金獲得の過当競争の中で不正利用に手をかしておる例もある。不正防止策としては本人確認、限度管理の徹底など金融機関への指導監督の強化及び国税庁のコンピューター化で可能だと関係者は一致して申しております。
 専門誌の「財形」、ことしの一月号の巻頭言でも、「当の悪用者を罰するのでなく、真面目な財形加入者等まで十把ひとからげに課税しようとする貯蓄を無視した政策は将来に影を残さないか」と指摘しているくらいです。マル優廃止でなくてマル優の不正利用の防止こそ政府の責任でやるべきでありますが、これは労働大臣としてというより国務大臣の一員であり、かつ参議院議員でもある平井先生にこの二点目はお答えをいただきたいと思います。
 以上です。
#271
○政府委員(若林之矩君) ただいま財形貯蓄についての不正利用についてのお尋ねがございました。財形貯蓄制度につきましては、この限度額の管理は事業主が行っておりまして、また毎回の預け入れも事業主が給与からの天引きによりまして行っておるわけでございまして、不正利用の余地のない仕組みとなっておるわけでございます。過去、私どもも不正利用の事実があったというようなことは聞いておりません。
#272
○国務大臣(平井卓志君) ただいまマル優の廃止ではなくて不正利用の防止等々について御質問があったわけでございますが、今般のこの利子非課税制度の見直しというのは、ただいまおっしゃいましたような制度の不正利用が見られることも理由の一つではございますが、それ以上に巨額の利子所得が課税ベースから外れておる、そして所得間で税負担の不公平をもたらしていること、また、貯蓄奨励という言葉でございますが、まあ素直にそのまま受け取りますれば、この貯蓄奨励という政策目的の必要性にも変化が生じておるという等々の問題点に対処しようとするもので今般の改正案が出たというふうに私は理解をいたしております。
 いま一つ付言いたしますると、やはりこの利子所得に課税するかしないかという問題は、税制上の一つの選択であろうかというふうに考えております。
#273
○小野清子君 社労委員会では私はまだ大変場なれておりませんので、質問させていただく機会を得ましたことを大変うれしく思いますとともに、いろいろ御指導いただくことが多いかと思いますので、御理解いただきたいと思います。
 我が国の経済社会は、現在大変大きな転換期を迎えておりまして、労働の面におきましても変革が迫られております。こうした時代の要請にこたえていくための重要なかぎの一つが労働時間の短
縮ではないかと、そのように思います。労働時間の短縮は、技術革新の急速な進展など労働環境の著しい変化の中で、それぞれの生活の精神的、文化的豊かさ、あるいは家族の触れ合い、そしてゆとりある豊かな国民生活というものを実現していくことや、あるいは中長期的に見ました雇用機会の確保、そしてその拡大を図る観点から重要となっております。特に最近におきましては、大変厳しい貿易摩擦の中で労働時間の短縮が外国からも指摘をされておりますし、国際協調を図る上でも経済構造への調整や、あるいは消費機会の拡大を図る内需拡大の観点からも非常に重要となってきております。
 このために、我が国は先進国としてのその地位にふさわしい労働時間の水準を実現することが国の内外から大変強く求められていると考えるわけでございますけれども、この労働時間短縮に関する労働大臣の基本的なお考えをまずお伺いしたいと思います。
#274
○国務大臣(平井卓志君) 今委員がおっしゃいましたように、労働時間を短縮して、労働時間の水準を我が国の経済力によりふさわしいものにするということはまさにそのとおりでございます。同時に、国民の生活の質の向上を図っていく。おっしゃいましたように、長期的に見た雇用機会の確保、内需拡大等々ございますけれども、今日的に申し上げれば、内外ともに一つの時代の要請であって、できるだけ早目に時間短縮ということを実現しなければならぬということであります。
 いま一言申し上げますと、時間短縮を達成することによりまして、やはり国民の方々の生活のパターンが一つは大きく変わっていかなければならぬ。そういう中でより一層の質の向上、新たなる需要等々、そういうふうなことが最終的にはなされなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
 そういうことで、労働省では労働時間の短縮をまさしく行政の非常に重要な課題であるということで推進をいたしておるところでありまして、今後は今御審議をいただいておりますこの法制度のもとで労働時間の短縮にさらなる努力をしなければならぬ。
 私たびたび申し上げたんでございますが、この法律改正による時間短縮というのは、やはり実態に即して考えました場合、あくまでも一つの補完的な、なおかつ有力な方法ではございますが、これのみによって時間短縮が達成されるわけではございませんで、午前中の御議論にもございましたように、官民挙げて時間短縮ということについて一層の御理解をいただいて、国民の方々の広いコンセンサスの中で着実に時間短縮は実現していくべきものというふうに考えております。
#275
○小野清子君 今生活パターンの変更というお話でございましたが、まさに私たちが子供時代に育った二十四時間というものが、現在は大変大きく変わっている、そういった意味では、いわゆる労働者の労働時間というものと生活時間パターンというものの違いが逆に非常に大きく目立ってきているという実感もございますけれども、このような労働時間の短縮を行っていくためには労使が十分話し合いを行うという、今大臣がおっしゃったわけですが、生産性向上の成果を今まで以上に労働時間短縮に振り向けていくことが必要である。しかし中小企業が大半を占めている日本の労働者の現状を踏まえますと、機械の整備そのものが従来のものである場合に逆に労働時間の短縮というものはコストアップというものにつながっていくのではないかという危惧も私など素人ながらいたすわけでございます。
 そんな意味で、労働時間短縮をすべて法律でもって実現するというのはやはりいろいろと無理があるのではないかと、そんな感じもするわけでございまして、今図らずも大臣が国民的なコンセンサスをとおっしゃられましたけれども、そういうものを得ながら、やはり労使の間での話し合いというものが大変大事になっていこうかと思いますし、またそうした自主的努力というものを促すことによって達成していくことが望ましい、あるいは必要であると考えるわけですけれども、その辺の具体的な点をもう少し掘り下げたあたりをお聞かせいただきたいと思います。
#276
○国務大臣(平井卓志君) 御指摘のございましたように、我が国は現在賃金水準が欧米主要国に比べまして遜色がなくなった現在でございます。さらに生活の質的な向上を目指していかなければならぬ。そのためには生産性向上の成果配分に当たって、これは前川レポート等でも指摘があるわけでございますが、労使ともに労働時間問題にも十分配慮する必要がある、これはもう委員がおっしゃったとおりでございます。どちらかと申しますと、従来我が国におきましては、生産性向上の配分というのは相当部分が賃金の方へという選択があった、これは否定できない事実でございまして、今後はそういう点にも労使ともに大変な関心を持っていただきたい。
 おっしゃいますように、法律ですべて実現するということはなかなかこれは難しいわけで基本的には労働条件の賃金と並んで非常に重要な部分でございまして、基本的に労使間で十分お話し合いをいただくということは基本でございますが、過去十年の我が国の時間短縮の経過を振り返って見ますると、そのことばかりを言っておってはなかなかこれは進まないということで、補完的な意味と私が申し上げたのは、その一つの手段としてこのたび労働基準法の一部改正ということでお願いをいたしたわけでございます。
 特に午前中の御議論にも出ましたけれども、なかんずく我が国におきましては、公務員関係の時間短縮の問題、人事院の勧告等もございましたけれども、ここらあたりがやはり非常に大きい影響を与える、金融機関に特に御協力をいただかなくてはいかぬ。その結果、一般商店街の方々にも非常に大きい波及効果がございましょうし、そういう流れの中で国民の方々も時間短縮というものに一歩一歩さらなる御理解をいただけるんではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、お触れになりました中小企業対策、これはもう本当に時間短縮は実際にどの程度進み得るかという問題、ここのポイントはもうまさしく中小企業の対策であろうかというふうにも考えておるわけでございまして、時間短縮は今後とも労使の自主的努力に対する指導また援助、そしてまたそういう中で社会的、国民的合意を形成していく。これはまさしく官民一体となって取り組まなければなかなか私は容易ではないというふうに理解をいたしております。
#277
○小野清子君 我が国の労働時間法制は昭和二十二年の労働基準法の制定後、経済社会や国民の意識などが大変大きく変貌を遂げたのにもかかわりませず、ほとんど改正がなく四十年を経過してきたわけでございます。今回の法改正によりまして、四十年間続きました週四十八時間労働制からいわゆる週四十時間労働制に段階的に移行していくことになったわけでございますけれども、労働時間の実態を見ますと、大企業では大体週四十時間労働制、完全週休二日制などが進んでいる一方で、重ねて中小企業においては立ちおくれを感じられる実態があるわけでございます。
 例えば、全国の総事業場数というものが三百四十八万九千、これを一〇〇%といたしますと、いわゆる三十人未満の規模の事業場数というものが三百二十六万一千、これは全体の九三・四%にもなるわけで、こうした割合を拝見するに当たりましても、中小企業の労働時間短縮という問題が実現しませんと、日本における労働時間の短縮問題というものは紙の上のことだけになってしまうのではないかと危惧をするわけでございます。
 そんな意味で、週四十時間労働制を早期に実現するためには、それに向けての条件整備というもの、それからそのための施策、あるいは労働時間の短縮が困難な中小零細企業に関しました特別な指導、援助、こういうものが重要であると考えるわけでございますけれども、労働省としてはどのような施策を考えていらっしゃるのかお伺いをしたいと思います。
#278
○政府委員(平賀俊行君) 労働時間を短縮するた
めには、特に週休二日制、これを完全に週に二日は休めるようにする、労働時間に換算しますと週四十時間制、これを実現することが一番重要な目標であると考えておりますが、御指摘のように所定労働時間を四十時間にするかどうかという点について現状を見てみますと、規模の大きな企業ではかなりそれが達成されている。しかし規模の小さい企業では未達成の事業所が多いし、しかも労働基準法の見地からしますと、昭和二十二年に制定された現行の労働基準法の週四十八時間にとどまっているところが全体の事業所の中でも半分以上そういう状況にある、そのほとんどはもちろん中小零細企業である、こういう実態でございます。
 したがいまして、御指摘のように労働時間対策のためには中小零細企業に対してどういう措置を講ずるかということが決め手となり、これが特に所定労働時間の短縮については一〇〇%このための対策を確立しなければいけないということでございます。
 そこで、私どもといたしましては、やはり第一にはたくさんの中小企業ございます、そのたくさんの中小企業で、その事業所自体がやはり労働時間の問題について考えていただく気風を醸成するということがまず必要であろうかと思います。現にそういう見地から都道府県段階で中小企業に業種別あるいは地域別に中小企業のグループにそういう労働時間の問題について御検討、御協議、御懇談いただく場を設けておりますけれども、それをさらに地域の範囲を拡大して、全国がなり末端に至るまでそういうようなグループを形成して、自主的に労働時間の短縮について話し合う場をつくって、中小企業であっても労働時間の短縮を進めるような基盤を養成し、そのためのまず援助をしたいということを考えております。
 それから、労働基準法を今度改正さしていただきますならば、特に中小企業について、現実の適用といいますか、現実に労働時間の短縮をしていただくことが必要な場面が出てきますので、私どもの組織を挙げて中小企業の方々に新しい労働基準法の考え方を浸透するように最大限努力いたしたいと思っております。
 それから、中小企業につきましては、例えばその取引先との関係その他でなかなか労働時間の短縮を自分だけでは実施できないという場合がございます。したがいまして、先ほど大臣が申し上げましたように、例えば国家公務員、地方公務員あるいは金融機関その他そういう波及力の大きい部門についての労働時間の短縮、週休二日制の実施を実現し、それに伴ってだんだんと地域の中小企業にも週休二日制が浸透するような形での外側からの働きかけというものも極めて重要であると思っています。
 そして第四には、中小企業につきましては大企業との関係あるいはそういう外側からの発注等の問題もございます。産業所管の官庁、通産省のみならず運輸省、農林省あるいはその他の諸官庁などとも協力をして、そういう産業の立場で中小企業について労働時間を短縮しやすいような基盤整備を図るように御相談を申し上げ、協議し、そしてそれらの官庁と協調して施策を進めていくことが必要であると考えております。
 要するに、中小企業はもう日本の津々浦々に至るまでその企業を経営しておられるところでございます。したがいまして、先ほど大臣が国民的コンセンサスと申しましたが、行政機関の側ばかりでなくて、民間の方々あるいはマスコミ等の機関でも十分御協力をいただいて、労働時間の短縮が極めて重要なことであるという認識のもとに、全体として消費者あるいは利用者といいますか、そういう単に労使の場を離れての立場でも労働時間の短縮の重要性を御認識いただいて、国民全体としてこの方面についての気風を醸成するように及ばずながら努めていきたいと思っております。
#279
○小野清子君 変形労働時間についてお伺いをしたいと思いますけれども、全労働者の三六・二%、千五百八十四万人が女子労働者であるという数字が出ております。特にここ数年来、家庭を持っております婦人の職場進出というものが大変著しいものがあるわけでございますけれども、昨年四月から施行されました男女雇用機会均等法におきましてもこれらの点を踏まえまして、家庭責任を負っております女子労働者が職業生活と家庭生活の調和を図りながら仕事ができるように、そういう配慮がうかがえるわけでございまして、今回の労働基準法の改正によりまして変形労働時間制が導入されますと、家庭責任を負っている女子の労働者が働きにくくなるのではないかという心配をしている向きがございます。
 午前中からもいろいろお話がございましたが、子育てをしている時代のお母さんたちというものが、既婚者が大体この中の六割を占めているという点を考えましても、お話が出ておりましたように託児所に子供たちを預ける時間帯の問題とか、それからあるいは高齢者を扱っている、そういった意味での時間的な問題、この変形労働時間というものが一番響いてくるのが、自分のことだけではない、家族との調整を図る婦人労働に非常に大きなしわ寄せが来るのではないか、そしてまた社会に出にくくなるのではないかということを危惧しているわけでございます。
 特に子育てをしている母親にとりましては、経済的な意味合いばかりではなく、社会との接点を持っていくということは、やはり母親が社会的なその意義というものを子供の教育の中にも十分生かしていく大変意義のあるものだと私自身も認識しておるわけでございまして、こういった意味につきましてもこの変形労働時間というものがいろいろ心配されております。そういうことに対する政府としてどういうお考えなのか、もう一度お話を聞かしていただきたいと思います。
#280
○政府委員(平賀俊行君) 今回の労働基準法の改正は、先ほど御答弁申し上げたところでもございますけれども、男の人、女の人を問わず労働時間の短縮を実現しなければいけない、そのために必要な法的な措置を講じて実態としての労働時間の短縮を図ろうということでございます。
 新しく導入いたします特に三カ月単位の変形労働時間の制度などにつきましては、全体として平均的な労働時間を原則として四十時間、規模の小さい事業所でも四十四時間とするということは通常の最低労働基準、当面想定されます例えば四十六時間よりもかなり労働時間を短縮されたレベルにとどめるということで全体としては労働時間の短縮になる、あるいはそれが残業時間を限定するという効果も及ぼすことによってさらに労働時間の短縮を進めることになるというふうに私どもは考えておりますし、またこのことによって女子だけに特別の負担を課するという性格のものではないというふうに思っております。労使が適切な話し合いをすることによって、その辺の運用もできるだけ現実に即した運用がなされることを期待をしております。
 しかし、これまた先生の御質問にありましたように、特定の週にあるいは労働時間が長くなるということを心配され、それが家庭責任を持っている女性の方々に影響があるのではないかというような御懸念も確かにございます。
 そういう御懸念があり、私どもとしては万々問題はないとは存じますが、その点につきましては衆議院の段階で、一日あるいは一週間の労働時間の限度、あるいは連続した労働日数の上限等についてそれを制限することができる旨の規定についての修正をいただいて、そういった御懸念についての対応もさらにまた強められると思いますが、さらにいろいろ御質問ありますように、妊産婦の方々とかあるいは育児とか介護とか、そういう責任を持つ方々の個人的な状況などについて十分配慮を加えるような形で、新しい労働時間制度、変形の制度のみならず、全体としての労働時間制度が運用されて、そういった既婚の女性の方々の就業の場といいますか、適切に就業の場が確保されるように私どもとしてもさらに努めていきたいと存じております。
#281
○小野清子君 それでは、年次有給休暇の件についてお伺いしたいと思いますけれども、昭和六十一年におきましては、我が国の労働者は平均をい
たしますと年間十四・九日間の年次有給休暇を与えられているということになっております。しかしながら、そのうち実際に消化をいたしました日数というのは七・五日でありますから、取得率というのは五〇%にしかなっていないという、これが現状でございます。
 この取得率というのは、昭和五十五年が六一・三%、そして二年後の五十七年が五七・六%、さらに昭和五十九年五五・六%ということで、この数字を拝見いたしますと、五年間の間に一〇%逆行いたしましてレベルが落ちてきているわけでございます。これは大変意外な数字であるわけですが、とかく欧米と比較をしてみたくなってしまうわけですが、この年次休暇に関しましても、欧米諸国を見てみますと、年次有給休暇というのは労働者の権利ということでほぼ一〇〇%消化されていると結果が出ております。我が国の労働者がやはりゆとりある豊かな職業生活というものを送るためにも、また労働時間短縮の見地からも、これはぜひとも欧米並みの完全消化に持っていくことが必要ではないかと、そんなふうに思います。
 そんな意味で、このような見地から考えますと、十年間に不消化に終わりましたその理由は一体何なのか。いろいろ挙げられるだろうと思います。上司が休まないと休みにくいとか、同僚が休まないと休みにくいとか、あるいは今までそういう慣例がなかったとか、いろんなことが挙げられると思いますけれども、もうちょっと整理した意味で、何がこの理由となるものなのか、またこれを一〇〇%消化していくためにはどのような対策をお持ちでいらっしゃるのか、その辺を具体的にお伺いしたいと思います。
#282
○政府委員(平賀俊行君) 詳しく御指摘がございましたけれども、年次有給休暇の付与日数の平均、まあ大体十四、五日ぐらいで、これはほぼここ何年間か横ばいで推移しておりますけれども、現実に取得する日数が下がっている、したがって取得率が下がっている、こういう結果になっております。特に昭和五十九年、六十年、六十一年ぐらいになってかなり取得率が低下をしていること、事実でございます。
 この間に、その前に比べて特に事情の変化というものは考えられませんけれども、やっぱりどちらかといいますといろいろな円高による不況とかそういったことが反映しているのかなと、ポイント幾らという数字でございますけれども、そんなような感じもしないでもないわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、過去十年前の五十何・何%というときでも今の五〇%前後ということでも、欧米の常識とは随分違いまして、やはり年次有給休暇が完全に取得されないという実態にあることは事実でございますし、諸般の事情で最近またそういった取得率が下がっているということも、これまた現実に年次有給休暇の取得数が少なくなる、したがって年間の労働日数は長くなるという実態でございますので、労働時間の短縮のためにはやはりこの年次有給休暇をまず完全にとっていただくことが必要であると考えております。
 今度の改正で、労使の間でいろいろ工夫をいただいて計画的な取得が容易になるような仕組みを考えていただくこともその一つの手段でございますけれども、私どもとしますれば、欧米のように一つの時期にまとまって二週間、三週間、あるいは五週間、六週間という長い休暇をとるという習慣はまだ定着をしておりませんけれども、まず夏の間子供さんの休みのときに親御さんも一緒に家族連れで長く休むというようなこと、あるいはゴールデンウイークとかあるいは秋のそういう期間とか、そんな四季折々にできるだけ長い休暇をとっていただくような習慣をできるだけ醸成していただくための環境づくりをまずして、基本的には労使の方々でそういう長い休暇をとれるようなそういう考え方をつくっていただくといいますか、それがやはり基本である、働き方とともに休み方についても十分工夫をしていただくことがまず大事ではないかと思っております。
#283
○小野清子君 データばかり目の前に並べておりますと、労働時間の国際比較などを拝見しますと、アメリカとイギリスに比べて日本の労働時間は二百時間オーバーで、西ドイツ、フランスになりますと五百時間もオーバーだというこの現実、私も勉強さしていただいて驚いているわけでございますけれども、やはり健康で長寿社会というものをこれから目指していかなければならないときに、労働者の質の向上というものは非常に大きな問題があろうかと思いますので、ぜひともこういった問題に対する積極的な取り組み方を今後とも御提案を申し上げ、そして御協力申し上げていきたいと思います。
 ありがとうございました。
#284
○抜山映子君 このたびの改正法は、時短につきまして法律では四十時間、しかし当面は政令で四十六時間で続くと、こうなっておりますけれども、法律というものはある程度摩擦とか抵抗とかいうものがあっても、新しい時代をつくるために推進役を果たさなくちゃいけないという側面がなくちゃいけないと思うんです。そういう意味で、四十六時間というのは何といっても微温的だと思うんです。
 まず当面、第一段階として四十四時間制を真っ正面から打ち出すべきと思いますが、先ほど大臣言われましたね、時短は行政の重要課題として推進すべきだと、この観点からいかがですか。
#285
○国務大臣(平井卓志君) 本委員会で大変さまざまな御意見をいただいたところでございまして、前川レポート等によりましても、一九九〇年代できるだけ早期に四十時間の実現ということでございます。
 委員のお考えも私ども政府の考え方も、よく考えてみますると、この四十時間制を時間短縮という意味においてできるだけ早期に実現するということについてはまさしくさしたる意見の相違はないと私は思います。
 ただ、それに至るまでの過程、またスケジュール、考え方について若干御意見の一致しないところがあるかなという感触を持っておるわけでございますが、申し上げておりますように、前川レポートの目標の実現ということになりますると、先ほど来のお話のとおり、一九九〇年代前半にできるだけ速やかに移行できるように全力を挙げて努めてまいる。そしてこの労働時間の動向というのは、総理からも御答弁ございましたように、労使の双方の努力というのはこれはいかなる場面においても至極当然また必要なことでございまするし、経済情勢等によって左右されるものであることもまた事実でございまして、そういう中でスケジュールが明確でないではないかという御指摘をたびたびいただいておりますけれども、現時点でその移行期を確定的に見通してしまうということが甚だ困難であるということで、法令上明記することは適当でないという考えに立っておるわけでございます。一また、委員はただいまこういうふうな問題のときには多少の摩擦はあっても思い切って法律先行と申しましょうか、やったらどうかということでございましょうが、午前中の御議論にもございましたように、やはり中小企業の現在の実態というのを考えますると、やはりコストの問題というのがございまして、過重な負担は一遍にかけるべきでないというふうな実態からの我々の考えでございまして、そういう中でできるだけ早期にこの問題を解決して、実現に向けたいというために最大限の努力をすると御答弁申し上げておるところであります。
#286
○抜山映子君 ただいま中小企業の実態を考えますとというようなことを言われました。しかし、現在三百人以下の事業所でも五十人以上の事業所をとれば大体四十四時間を達成しているんですよ。三千人以上の企業では過所定労働時間が既に平均三十九時間五十分になっている。そうすれば、時短の効果が今の法律の改正案ではさっぱり上がらないということになるじゃありませんか、大臣。――大臣にお伺いしています。
#287
○政府委員(平賀俊行君) 最初に事務的なお答えをさしていただきます。
 ただいま比較的規模の大きい事業所の労働時間の実態について御質問がございましたが、比較的規模の小さい事業所、三百人未満の事業所について見ますと、やはり現在の労働時間の実態というのは、四十四時間はおろか四十六時間に達しないところがほぼ半数近くでございますし、特に小さな規模で言いますと、四十八時間の状態にとどまっているのが過半数というような姿でございます。したがいまして、罰則をもって四十四時間から出発するということは極めて困難な実情にあるわけでございます。
#288
○国務大臣(平井卓志君) 今局長からも御答弁申し上げましたように、三百人以下の事業所をとらえまして、いろんなとらえ方はございますけれども、現実四十六時間以上の事業所という、またそれに勤務する勤労者というのは非常に多いわけでございまして、簡単に二時間を切り込むと設定いたしました場合に、年間五十二週としてやはり百四時間というのがある意味ではコストアップにもつながりまするし、そういうところで私は先ほど御答弁申し上げたときに、一遍に過重な負担をかけるのはいかがであるかなという点で実態に即して考えて、そういう無理のないようにという意味で申し上げたわけであります。
#289
○抜山映子君 いずれにしても、四十時間の完全実施の時期が不明確であるということは非常におかしいと思います。これは労基法の最低基準を定めるという性格に反するということは、大臣お認めになりますね。
#290
○政府委員(野崎和昭君) 先生、法律の御専門家でいらっしゃいますのであえて申し上げることはないと思いますが、罰則で担保される法定労働時間は附則の規定によりまして政令で明確に定められるわけでございます。したがいまして、最低基準を定めるという労働基準法の性格は何ら変わっていないわけでございます。
#291
○抜山映子君 政令でどう明確に定めていただくんですか。
#292
○政府委員(野崎和昭君) 政令でまず週の労働時間を四十六時間と当面定めさしていただきまして、あわせて同じく附則に根拠規定がございますので、中小規模事業場について、どのような規模、業種のところについて、期間は三年を予定しておりますが、猶予期間の対象にするかということをあわせて定めることにさしていただきたいと思っております。
#293
○抜山映子君 政令で明確に定められないから心配して私は言っているわけですよ。政令で、例えば一九九二年とか、そういうように定めていただけるんですね。
#294
○政府委員(野崎和昭君) 今先生のおっしゃいましたのは、四十時間にする時期を定めるかどうかという点でございますが、その点につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、その時期を確定的に見通すということができない。確定的に見通せないものを法律で書くということはいかがかということで、そのことについて法律に規定することは困難であるというふうに思っているところでございます。
 ただ、最低基準としての法定労働時間、これは当面まず四十六時間と政令で定め、続いてそれを四十四時間と引き上げる、そういう形で政令できちんと定められることになるわけでございます。
#295
○抜山映子君 今確定的に見通すことが困難とおっしゃいました。そして、先ほど大臣も同僚委員の質問に対しまして、四十時間制移行の時期は現在時点で明確にすることは非常に困難である、このように言われました。目的の到達点を定めるわけでしょう。それになぜそう困難がありますか、どんな困難があるんですか、大臣。
#296
○国務大臣(平井卓志君) 先ほども申し上げましたように、やはりその実態がある程度前へついていきませんと、この問題については私は先ほど来申し上げておりますように、法律だけが先に先行することはいかがかと思うということを申し上げたわけでございまして、これが実態ということになりますると、これもたびたびお答え申し上げておるわけでございますが、やはり経済状態、今後の動向にもよりましょうし、また労使のさらなる努力にもよりましょうし、公務員関係その他の時間短縮も含めて、国民の方々のさらなる御理解、コンセンサス、いろんなそういう要素を総合して実態が前へ進んでいくものというふうに考えておるわけであります。
#297
○抜山映子君 実態を前に進めるために法に推進役の側面を与えなくちゃいけないということを、だからこそ先ほどから申し上げておるわけですが、時間がもったいないので、この問題は飛ばします。
 次に、中小企業についての時短の問題ですが、当面法定労働時間の適用を猶予する事業場については、対象範囲を縮小して三十人以下という零細小規模事業場に限定すべきと思いますが、この点はいかがですか。
#298
○政府委員(平賀俊行君) この問題につきましては、労働基準審議会の御意見を聞いて政令で定めることになろうかと思いますが、現在のところ最初に法案を提出する前の審議会の考え方とすれば、三百人以上の規模の労働時間の実態と三百人以下の事業所の労働時間の実態に大きな開きがありますので、その三百人以下の事業所について当面の法定労働時間の適用を猶予するということで包括的な書き方をしておりますけれども、私どもとしますれば、その業種、規模等の労働時間の実態をよく検討していただきまして、その実態が四十六時間以上のものが相当部分あるということになります場合においては当然適用を猶予しない。要するに、適用を猶予する対象の事業所というのは、その実態に即してできるだけ限定いたしたい、こう考えておるわけでございます。
#299
○抜山映子君 有給休暇の方でございますけれども、中小企業の方の有給休暇を三年ごとに二日ずつ引き上げることになっておりますけれども、中小企業の経過措置はやはり毎年一日ずつ引き上げるのが穏当でなかろうかと、その方がむしろ中小企業の方も徐々に徐々に時短に対応していけるんではないかと、このように思うんですが、いかがですか。
#300
○政府委員(平賀俊行君) 年次有給休暇の最低付与日数の引き上げについて、中小企業の実態にかんがみ、三年間は現状のまま、あと三年間、六年の間は八日、それ以後は十日という形で経過措置を設けております。しかし、御指摘のように、中小企業であってもできるだけ本則の形での最低付与日数をできるだけ早く付与することが必要であると思いますし、そのために現実的な付与日数の増加の手順といたしましては、御指摘のようなやり方は確かに効果的であろうと考えられますので、そういうようなことを考慮しながら中小企業に対して将来を見越しての付与日数の増加について指導してまいりたいと考えております。
#301
○抜山映子君 次に、変形労働時間制のことについて伺います。
 これはあくまでも例外でなくちゃいけないと、ですから、乱用を厳しく規制することが必要だと思うのでございます。一日の労働時間の限度は、既に衆議院の方で十時間とするのが常識的な線であると、こういう答弁を得ておりますが、フランスでは週平均三十九時間、一年単位の変形制で一日十時間、一週四十八時間、この四十八時間を絶対的週最高労働時間と、こういうように決めて、これを超えて労働させることはできないと定めております。また、西ドイツは法律上過労働時間の限度は四十八時間、一日の労働時間は十時間を超えることはできないと、こういうように非常に厳しい規制を加えておるわけでございまして、これは既に同僚委員も何度も質問いたしましたけれども、非常に乱用されると大変弾力的運用の結果が怖いわけです。
 したがいまして、一日の労働時間はもう十時間とするのが常識的な線であるということでなくて、十時間とすると、一週の上限は四十八時間とすると、連続して労働する日数は少なくとも週一日は休みをとって六日とすると、このようにするのが、少なくともそういう厳格な規制を設けることが必要だと思いますが、この点について御見解
を伺いたいと思います。
#302
○政府委員(平賀俊行君) 衆議院の修正によって設けられました三カ月単位の変形労働時間制についての限度に関する規制の運用につきましては、いずれにいたしましても中央労働基準審議会の御意見を聞いて定められることになっております。
 ただいま御指摘のように、一日の労働時間の上限については十時間とすることを前提といたしまして、その他の問題についてもさらに検討さしていただきたいと存じます。
#303
○抜山映子君 この変形労働時間ですね、ぜひ検討していただくと言っていただいたんですけれども、生活というのは一日単位で組み立てられていますから、一日八時間という原則が非常に大事だと思うんです。ひとつこれを考慮に入れて、事業活動の抑制期にぶらぶらして、繁忙期には次の休みを待ってぐたぐたになるまで働くというような、そういう変形労働時間制にならないように配慮していただきたいと思います。
 次に、妊産婦の適用除外でございますけれども、既に何度も本委員会の審議を踏まえて適切な対応をするという回答をいただいております。既に審議も大分進んでまいりました。適切な対応とは変形労働時間制の適用除外とすると、このように理解してよろしいですね。
#304
○国務大臣(平井卓志君) これはおっしゃいますように、たびたび御答弁を申し上げたわけでございますが、妊産婦について変形労働時間制の適用を除外することにつきましては、法的措置も含めまして本委員会での議論を踏まえて適切に御懸念のないように対処をいたしたいと、かように申し上げておるところであります。
#305
○抜山映子君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、一カ月単位の変形労働時間制なんでございますけれども、この委員会での今までの答弁を聞いておりますと、現行法の変形労働時間制は四週単位の変形労働時間制でこれはほぼ定着し問題が生じていないと、こういうような答弁でございました。
 しかし、一カ月になりますとこの変形労働時間制がぐっと一般化されて広がっていくということが想定されるわけでございまして、四週間単位の変形労働時間制が定着して問題がないから一カ月でも大丈夫だというのは少し乱暴な議論だと思いますが、いかがですか。
#306
○政府委員(平賀俊行君) 四週間単位の変形制、従来の場合につきましても、給与計算等で一カ月に延ばしてといいますか、一カ月を一つの計算単位として運用されているという実態もございます。その場合に、計算方式等についてはやや複雑な手続等が必要でございますので、法の規制においても一カ月単位での計算が可能なように規定を改めようとしている次第でございます。
 したがって、現実には先生おっしゃるように一カ月になったから急に変形制への需要といいますか、そういう要請がふえるということではございません。四カ月単位ということで従来からも必要な部分については変形制が適用されて問題は生じていないと、こういうふうに理解をしているわけでございます。
#307
○抜山映子君 ですから、一カ月にするのはいいんですよ。一カ月にするともっともっと一般化するだろう、そうすると変形労働時間制をたくさんの企業が採用して非常に乱用される場合もあるじゃないか、そういう意味で、先ほど就業規則の変更届は労働者代表の意見も付されておりますので、これをチェックするから大丈夫ですというような回答もございましたけれども、就業規則ではだめだと思うんです。
 あくまでもこれは労使協定でなくちゃいけない。そうでないと就業規則の変更なんていうのはほとんどの、御存じでしょうけれども、一方的に変更されるケースが少なくないんです。ですからあくまでも労使協定が必要、そしてできるならば例外的措置ですから限度時間を定めなければならない。このように思いますが、この点、労働大臣いかがですか。
#308
○政府委員(平賀俊行君) 従来の四週単位の変形労働時間制、新しく一カ月まで若干の期間の延長を規定した制度でございますが、これもたびたび。御答弁申し上げておりますように、主として交代制勤務等において、場合によってはかなり長い時間の労働時間を設定した変形制、長い時間を設定するかわりに非番日あるいは週休日等も長く予定をしておる、一週間の労働時間としては限度内におさまっている、こういう形の運用でございます。したがって、これについて今三カ月単位の新しい変形制と同じような形での上限の設定は事実上不可能であると考えております。
 また、この変形労働時間制が新しくふえてくるという可能性のある分野といたしましては、業種とかそういうことでふえるということではなしに、むしろ四週単位で過渡的に四十八時間制から例えば四十六時間、四十四時間という形で四十時間に近づく過程で一週間の労働時間、日曜以外に週休制をふやすということになりますと、その週だけ四十時間、あとは四十八時間という形で平均四十六時間という形での労働時間の運用、これはこの法律を読みますとこの一カ月単位、従来の四週間単位の労働時間の運用になるわけです。主として小さな規模の事業場でそういうことが確かにふえるという可能性がございます。これはそういう意味ではなるべく手続を簡略にするという必要もございますので、したがって、そういう意味で従来の形での規定をそのまま維持したいと考えているわけでございます。
 ただ、御指摘のように、こういう場面で三カ月単位の変形制ができた、したがって何とかその規定などの趣旨を考えて一カ月単位の変形制を、どちらかというと法の趣旨を乱用するような場合については私どもとしては実態を見ながら、というのはもしそういうようなことが考えられるとしますれば、多くの場合は就業規則の変更の届け出等がございますので、そういう場面で十分指導したいと考えておりますし、先ほどから御答弁申し上げておりますように従来はその問題がなかった。これからは問題がありそうだ、しかしそれも必ずしもその運用の実態等を十分考えなければいけませんので、衆議院で修正をいただきました三年後の見直し等の時期までにその一カ月単位の変形制の運用の実態を調査いたしまして、必要があれば適切な措置をとってまいりたいと存じております。
#309
○抜山映子君 ただいま限度時間を定めることについては不可能と。なぜ不可能かわかりませんが、不可能という回答をいただきました。労使協定の締結については何も触れられなかったので、労使協定の締結を要件とすることはお認めいただいたわけですね。
#310
○政府委員(平賀俊行君) 先ほど御答弁申しましたように、これからふえるという、相当ふえると思われますのは小さな規模の事業場で四十八時間の現行の基準からだんだんと上げていくときに週休制をふやすという形での運用、これがふえるということ。小さな規模の事業場について、そういう形で労使協定の締結という要件を新たに課するということは全体の小さな規模の実態から見でなかなか複雑な手続だというような感じを与え、かえって労働時間の短縮といいますか、週休制をふやすということがなかなかできにくくなるという、これは建前からしますとどうかなと思われますけれども、実態はやはりそういうこともございますし、現在の四週間の変形制の運用は労使協定等の要件もなく大体適切に運用されていると考えますので、このたびは、従来からのものについてはほかの上限の設定あるいは労使協定の締結等の要件を付与することは必ずしも適当でないとこう考えているわけでございます。
#311
○抜山映子君 小さな規模でふえる傾向があると言われました。小さな規模でふえる傾向があるから就業規則だけに任せておくのは大変不安であると私はそう言いたいんです。そういう意味で、ぜひ労使協定も要件にしていただきたい、このことを切望いたします。
 次に、労基研報告の中では年休取得に対する不
利益取り扱いの是正について触れられていましたが、この年次有給休暇の不利益取り扱いを禁止する旨を改正法案では規定していませんけれども、これは明確化、明文化していただけますね。
#312
○国務大臣(平井卓志君) この年休の不利益取り扱いにつきましては、御案内のように労働基準法第三十九条の趣旨に反しますので、これまでもその是正に努めてきたところでございますが、今回の改正を機にその是正、指導をさらに徹底してまいる考えでございまして、その他本委員会の御議論も踏まえて適切に対処いたしたいと考えております。
#313
○抜山映子君 事業場外労働の三十八条の二の規定でございますね。これは労使協定の届け出義務を規定しておりますけれども、この規定については法定労働時間を超える労働時間を定めている労使協定だけが該当すると、こうなっているわけです。しかし事業場外労働時間が実態に応じて算定されるようにする意味で、事業場外労働時間を定める労使協定全部について届け出を義務づけることが必要だと存じますが、いかがですか。
#314
○政府委員(野崎和昭君) 先生御指摘のとおり、この事業場外労働に関する労使協定の届け出につきましては、法定労働時間を超える時間を定めているものについて届け出をしていただくことにしたいというふうに思っております。
 この事業場外労働のみなし労働時間制の場合には、労使協定で所定労働時間労働したものとみなすという形になるのが原則でございますけれども、その所定労働時間というのが八時間ならばともかく、八時間以下七時間とかそういうような場合がございます。そして労使間で協定されるみなし時間が七時間三十分というような時間をみなされた場合、法定労働時間を下回っている時間の処理に関する協定まで届け出を義務づけることはないであろう、そういう考え方でございます。
 しかしながら、今申し上げましたようなケースというのは非常にまれなケースでございまして、労使協定が結ばれる場合のみなされる時間というのはおおむね法定労働時間を超える時間になるのではないか。そういう場合には全部届け出ていただくと、そういうふうな扱いにしたいというふうに思っているところでございます。
#315
○抜山映子君 そういうことにすると、一体実態がどうなんだかわからないと、こういうことになるんですよ。だから全部届けさせれば非常に正確に把握できると、私はこう言いたいんですよ。
#316
○政府委員(野崎和昭君) ただいま申し上げましたように、数は少のうございますけれども、法定労働時間に達しない時間をみなし時間としている協定がございました場合に、そこまで届け出の義務を課すというのはやはりいかがかというふうに考える次第でございます。
#317
○抜山映子君 私は、そうすることによって一体事業場外労働時間がいいかげんなふうでなくてきちっと把握できるだろうと、そのことによって実態を明確に把握することができると、だからそれをやるべきじゃないかと、そういうように言っているわけなんですがね。
#318
○政府委員(野崎和昭君) これはもう先生のような法律の専門家にお答えすることじゃないんでございますが、労働基準法は最低基準を定める法律であって、その最低基準を上回った取り決め等については労使の自治に任せるというのが基本的考え方でございます。法定労働時間を超えるようなものについては届け出等で私どもチェックさせていただくつもりでございますけれども、法定労働時間の範囲内で処理されていることについてはやはり労使の自治にゆだねておくことが適当ではないかと思う次第でございます。
#319
○抜山映子君 下回ることだからいいんだというそこのところで把握しないで、要するに実態を把握するために労使協定を届けさせること自体は、何も下回るものをどうこう規制するわけじゃないじゃないですか。届け出だけのことじゃないですか。この点はもういいです。
 次に産婦ですね。要するに生後一年に満たない乳児を持っている女子が変形労働時間に従事した場合の育児時間については、現行一日三十分ずつ二回の規定があるわけですけれども、もしそういう場合には一日三回各三十分与えると、こういうようにしなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
#320
○政府委員(平賀俊行君) 育児時間についての規定でございますが、現行の一日二回各三十分という規定が十分であるかどうかということはわかりませんけれども、これまたいろいろな経過を経て決められた規定であると思います。ただ、育児時間について必要なものを与えなければいけないという点で、現在の産婦として適用除外される方以外も含めて育児のために必要な時間というのは必要に応じて現実の配慮がなされるべきであると考えております。
#321
○抜山映子君 現実の配慮がなされるということは、法に規定していただくと、こういうように了解していいんでしょうか。
#322
○政府委員(平賀俊行君) 法律の規定ということではなくて、現実に法律の規定以外に必要な場面について配慮をするということでございます。
#323
○抜山映子君 配慮をする内容についてもう少し具体的にしてください。
#324
○政府委員(平賀俊行君) 具体的に何分ということではございませんけれども、そういう実態として育児のために必要な方がおられる場合に必要な時間について配慮をするということでございます。
#325
○抜山映子君 では私の方から聞きますけれども、一日三回各三十分とするというような行政指導でも通達でも出していただけるんでしょうか。
#326
○政府委員(平賀俊行君) 固定的な時間としてではなくて、必要な場合に配慮をするということになろうかと思います。
#327
○抜山映子君 先ほど来、寝たきり老人とか、病人を抱える音あるいは勤労学生等について、新しい立法の措置がされるかもしれませんが、通達を出して指導するという回答がございました。そういう事態を十分認識しておられるんだったら、この際はっきりと法律に明定してはいかがかと思いますが、いかがですか。
#328
○政府委員(平賀俊行君) 介護のためにいろいろな事情がある方というのはだんだんふえるだろうということは認識をしております。ただ、現時点でその問題について法律上の措置をとるところまでは至っておりません。
 ただ、先ほどの育児のために時間を必要とされる方、その他家庭的責任を有す各方等について、確かに現実の職業生活、仕事の場との調和が必要であろうかと思いますので、そういう場面について必要な配慮を加えるということを今回は通達という形で措置をさせていただきたいと存じます。
#329
○抜山映子君 終わります。
#330
○委員長(関口恵造君) 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 暫時休憩いたします。
   午後四時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時五十六分開会
#331
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 育児休業法案を議題といたします。
 発議者糸久八重子君から趣旨説明を聴取いたします。糸久君。
#332
○糸久八重子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合等を代表いたしまして、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、女性の職場進出は目覚ましく、一九八六年には雇用されて働く女性の数は千五百八十四万人に達し、そのうち有配偶者が約六割を占めるに至っており、今後も乳幼児を持ちながら働く女性の増加が見込まれております。
 しかし、働く女性の職場環境を見ますと、出産後も勤続する意思を持ちながら、育児のためにやむなく職場を離れなければならない例が多く見ら
れ、一度離職すると再就職が難しく、また不利な労働条件を余儀なくされる場合が多い実態にあります。この職業と家庭生活との調和の問題に対処するためには、延長保育、夜間保育、ゼロ歳児保育を行う保育施設の整備充実を図るとともに、育児休業制度を普及させることが不可欠となっております。
 ヨーロッパ諸国では、多数の国において、早くから育児休業制度あるいは親休暇制度が立法化され、働く女性の人権と母子福祉、育児についての手厚い配慮がなされております。これに対し、我が国では、現在公務員である女子教員、看護婦、保母等について無給の育児休業が制度化されているのみで、極めて対象範囲が限られております。労働省の調査では、一九八五年で、三十人以上規模の事業所で育児休業を実施している事業所はわずかに一四・六%にすぎません。しかも、この数字は現行法による取得者を含んでいるものであり、その他の事業所ではさらに低いものとなっております。
 一九八五年六月に、我が国が批准した国連の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、「子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識」すると述べております。
 また、ILOも一九八一年に男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約及び勧告を採択しており、その勧告では「両親のうちのいずれかは、出産休暇の直後の期間内に、雇用を放棄することなく、かつ、雇用から生ずる権利を保護された上、休暇(育児休暇)をとることができるべきである」とうたっておりますが、現在これらの理念が世界共通の認識となるに至っております。
 しかるに、一昨年六月、第百二回国会で成立したいわゆる男女雇用機会均等法は、その目的及び基本的理念において「職業生活と家庭生活の調和を図る」ことをうたいつつも、育児休業については、「事業主は、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行うように努めなければならない」との単なる努力規定にとどまっております。
 かかる実情の中で、我が国においても、雇用を継続しながら、一定期間休業し、育児に専念できるように、女子労働者のみならず男子労働者も含めすべての労働者を対象とする所得保障を伴う育児休業制度を早急に法制化する必要があります。
 これがここに育児休業法案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律は、育児休業について最低の基準を定めて、子を養育する労働者に育児休業を保障するとともに、育児休業をする労働者に対して育児休業手当を支給することにより、その労働者の負担の軽減と継続的な雇用の促進とを図り、もって労働者の福祉の増進に資することを目的としております。
 第二に、使用者は、父または母である労働者のいずれか一方が、その子が一歳に達するまで養育するための休業を請求したときは、その請求を拒むことができないこととしております。
 第三に、育児休業をする労働者には、その期間中、賃金の六割相当額の育児休業手当を支給することとしております。育児休業手当の支給に必要な財源は、すべての労働者、事業主及び国が、それぞれ三分の一ずつ負担することとしております。
 第四に、育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止を規定するとともに、使用者は、育児休業をした労働者には、休業終了後、原職または原職に相当する職に復帰させなければならないものとしております。
 なお、この法律は、公務員を含めた全労働者に適用されるものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#333
○委員長(関口恵造君) 以上で趣旨説明聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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