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1987/09/18 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第9号
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1987/09/18 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第109回国会 社会労働委員会 第9号
昭和六十二年九月十八日(金曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十七日
    辞任         補欠選任
     寺内 弘子君     永田 良雄君
     対馬 孝且君     本岡 昭次君
     千葉 景子君     矢田部 理君
 九月十八日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     野沢 太三君
     矢田部 理君     千葉 景子君
     橋本孝一郎君     小西 博行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         関口 恵造君
    理 事
                佐々木 満君
                田代由紀男君
                糸久八重子君
                中野 鉄造君
    委 員
                岩崎 純三君
                遠藤 政夫君
                小野 清子君
                田中 正巳君
                永田 良雄君
                野沢 太三君
                前島英三郎君
                松浦 孝治君
                宮崎 秀樹君
                千葉 景子君
                浜本 万三君
                本岡 昭次君
                矢田部 理君
                中西 珠子君
                沓脱タケ子君
                内藤  功君
                橋本孝一郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
   政府委員
       厚生大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   佐々木喜之君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保険局長  下村  健君
       厚生省年金局長  水田  努君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○精神衛生法等の一部を改正する法律案(第百八
 回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
○国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案(第百七回国会内閣提出、第百九回国会衆
 議院送付)
○重度身体障害者の無年金者救済に関する請願
 (第一〇号)
○重度労働災害被災者の遺族補償等に関する請願
 (第一一号)
○難病患者などの医療・生活の保障に関する請願
 (第六八号)
○小規模障害者作業所等の助成に関する請願(第
 六九号)
○国民健康保険の健全運営確立に関する請願(第
 一〇六号)
○エイズ(天性免疫不全症候群)対策の充実・
 強化に関する請願(第一一一号外二件)
○労働基準法(労働時間法制)の改正に関する請
 願(第一三一号外三二件)
○労働基準法の一部を改正する法律案反対に関す
 る請願(第一五七号外六件)
○国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案反対等に関する請願(第一九八号外四一四
 件)
○労働基準法の改悪反対と最低基準大幅引上げに
 関する請願(第二一四号外二三件)
○国立中津病院の存続と機能充実・強化に関する
 請願(第二一五号外二件)
○エイズ対策の充実強化に関する請願(第二五一
 号)
○重度身体障害者の脊髄神経治療技術研究に関す
 る請願(第二七二号外三件)
○車いす重度身体障害者の雇用に関する請願(第
 二七三号外三件)
○重度身体障害者に対する福祉行政に関する請願
 (第二七四号外三件)
○重度身体障害者の労働者災害補償保険法改善に
 関する請願(第二七五号外三件)
○労災脊髄損傷者と遺族の年金に関する請願(第
 二七六号外三件)
○労災重度被災者の終身保養所設置に関する請願
 (第二七七号外三件)
○労災年金と他の年金との完全併給に関する請願
 (第二七八号外三件)
○無年金の重度身体障害者救済に関する請願(第
 二七九号外三件)
○労働基準法の改悪反対、労働時間の短縮に関す
 る請願(第三三三号外四五件)
○労働基準法の一部改正案反対に関する請願(第
 四九七号外五件)
○労働基準法改悪反対、週四十時間・週休二日制
 実現に関する請願(第六一六号外四二件)
○高齢者就労対策の充実に関する請願(第七二六
 号外一五件)
○暮らしと雇用、労働条件の改善に関する請願
 (第七九九号外一〇件)
○労働基準法改正案反対に関する請願(第一〇二
 〇号外三件)
○労働基準法の改正反対に関する請願(第一〇三
 五号外一件)
○国立腎センター設立に関する請願(第一〇八二
 号)
○労働基準法一部改正案反対に関する請願(第一
 一二九号外一件)
○看護婦の夜勤制限等に関する請願(第一四〇六
 号外四件)
○労働基準法の改悪反対、週四十時間制の実現に
 関する請願(第一五三五号外三件)
○育児休業法の制定に関する請願(第一七五一号
 外三六件)
○心身障害者対策基本法の一部改正に関する請願
 (第一九三六号外一件)
○労働時間週四十時間制の早期実現等に関する請
 願(第二〇四三号)
○労働基準法の改悪反対、労働条件改善の促進に
 関する請願(第二〇四四号)
○労働基準法の改悪反対、労働時間法制の改善に
 関する請願(第二〇八一号)
○養護学校の統廃合につながる国立病院・療養所
 の統廃合計画実施反対等に関する請願(第二一
 九九号外一件)
○労働基準法第三十四条改正に関する請願(第二
 二一五号)
○変形労働時間の法制化反対に関する請願(第二
 二一六号)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十七日、寺内弘子君、対馬孝且君及び千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として永田良雄君、本岡昭次君及び矢田部理君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(関口恵造君) 精神衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○本岡昭次君 私は、政府提出の精神衛生法等の一部を改正する法律案に対して、原案に賛成する立場から若干の質問をいたします。
 私ども社会党は、昭和五十五年以降、精神障害者の人権と医療のあり方について、京都十分会病院事件、東京東村山都病院事件、今回の法改正のきっかけとなった栃木宇都宮病院事件など、十数カ所を超える精神病院の不祥事件に対し国会で追及をしてまいりました。
 我が国の精神衛生行政は、これまで患者を社会から遠ざけることによって成立をしてきました。国は、低利の融資で民間に精神病院の建設を奨励し、その上、精神病院は医療法を守らなくてもよいという特例を設け、さらに行動制限規定によって精神病院の治外法権化も促進をしたという結果になっております。その結果、一部には精神病院は一般社会とは別だという認識を育てて、患者に対する暴行行為、そして人権侵害の多発という異常な事態をつくり出したというふうに私どもは考えております。また、そればかりでなく、この間、国際社会の流れからも著しく立ちおくれ、今日では我が国の国際的立場を傷つけるものとすらなっております。
 このような状況を改めるためには、まず精神衛生法の抜本的改正が何よりも必要であると考え、社会党は国内外で今日まで努力を続けてまいりました。幸いにも社会労働委員会のメンバーの皆さんを初め、歴代の厚生大臣の御理解をいただくことができて今日を迎えたと思っております。この間、七カ年の歳月が流れました。感無量の思いであります。また、精神障害者の御家族、退院者、病院関係者、ジャーナリスト、法律家を初めとする多くの皆さんの献身的な御努力に対して、心からの敬意も表したいわけであります。
 まだまだ多くの弱点を持つ改正案でありますが、厚生省が精神障害者の人権に光を当てて国際的な人権水準に一歩でも近づけようとしたその方向性を評価し、今後の改革に大きな期待を寄せつつ質問をいたしたいと思います。
 まず、厚生大臣に基本的な問題を二、三お伺いいたします。
 厚生大臣は、今回の法改正をもって日本における精神障害者元年といたしたいと私どもの前で発言をなさいました。私も、ぜひそうあってほしいと念願するものであります。しかし、そのためには、当面、また五年後に向けて幾つかの難問を乗り越えなければならないと思います。そうした意味で、以下幾つかの問題について所見を伺っていきます。
 先ほど申しましたように、ことしが精神障害者元年となるためには、見直しを行う五年後にこの政府の改革案が導入した任意入院、社会復帰、医療審査会、地域精神医療などがどのように実りあるものになっているかにかかわると私は判断をいたしておるところであります。
 どうしても必要なこととして、一として、任意入院を原則として開放処遇の拡大を図らなければならないこと。一として、入院中心主義から地域ケア、精神衛生医療への移行を図ること。三、これに必要なマンパワーを確保すること。また、これらを可能とする予算裏づけ毒確保すること。四、精神障害に対するゆえなき偏見と差別をなくすること。
 行政、国会がともに手を携え、国民に理解と協力を求めていかなければならないと考えるのであります。これからがむしろ大事業であると考えます。厚生大臣のこの法改正に当たっての明確な決意を求めたいと思います。
#5
○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘いただきましたように、私は今回の精神衛生法等の一部改正の法律を契機として、本年を日本の精神保健元年、こういうふうにいたしたい、このようにたびたび申し上げてまいりました。そして、就任以来、この精神衛生法等の改正についてのいろいろな方々の御論議、また省内における作業等についても、そのような認識の上に立ってやってもらいたいということで進めてまいったつもりでございます。
 今回のこの精神衛生法の改正をしていただきますことによって、まさに日本の精神保健元年と位置づけられるようなそういう結果につなげていかなければならないわけでございまして、しかしながらこれまでの過去の経過、歴史的な背景等いろいろ考えますと大変難しい問題も多々あり、それを乗り越えていかなければならないことであろうと思うわけでございます。
 この法律の趣旨が本当に生かされ、そして実効あらしむるものになっていくために、最大限の努力をこれからやっていかなければならない、このように認識をいたしておるところでございます。
#6
○本岡昭次君 原則的なことについてもいろいろ御質問したいんですが、五十分しか時間が与えられておりません。数多く質問したいことがございますので、きょうの大臣答弁なり、また厚生省の答弁を一つのステップとしてこれからの議論を発展させていくということで、次々と質問をいたしますので、ひとつよろしくお願いいたします。
 次は、厚生大臣に国際的な観点からの御質問をいたします。
 厚生大臣も国際法律家委員会からの書簡を受け取られたと思います。今回の国連人権小委員会に国際法律家委員会がおえて議題として日本の精神障害者問題を提出しなかったのは、日本の精神医療のおくれは大変なもので、百年ものおくれを一気に縮めることは不可能に近い。したがって日本政府の努力を評価し、今回の改正をワンステップにし、さらに向こう五年ぐらいの間に今日の日本の国際社会での力量に見合った、国際人権規約を完全にクリアし国際的に精神医療の領域で今度は日本が他の国々の千本となってほしいとする願いが込められているからにほかならないと私は思っております。この点は国際保健専門職委員会についても同様であります。
 我が国は、間もなく国民一人当たりGNPの上でもアメリカを追い越して世界のトップに立とうとしている国であります。国際的な期待を裏切ることのないようにしなければなりませんし、これらの課題に向けて全力を挙げて厚生省は国際的にも取り組む責任があると思うわけであります。私どもも微力でありますが、協力を惜しまないものであります。厚生大臣の答弁を、国連の人権小委員会の中でこの問題を取り上げた人々に対して答弁を求めたいと私は思うわけであります。
#7
○国務大臣(斎藤十朗君) ICJにおかれましても、今回の改正についてこれを歓迎する、しかしながら今後ともなお一層この推進のために努力をしてもらいたい、こういう趣旨のことを言われておるわけでございます。
 今回の法改正を契機といたしまして、我が国の国情に応じた施策を展開いたしてまいり、そして国際的にも精神保健、精神医療の分野においてモデル的な国としてこれから評価されるように努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#8
○本岡昭次君 それでは、具体的な問題に入ってまいります。
 まず初めに、先週十日の衆議院社会労働委員会におきまして、公衆衛生審議会の構成に関する質問がありました。大臣が前向きに検討する旨、答弁をされたと伺っております。そこで、手直しをなさるなら新法の趣旨にふさわしくやっていただきたいのであります。例えば、社会復帰の面では
全家連の代表を、人権の面では日弁連の代表を、任意入院、開放医療の面で民間病院開放医療研究会などから参加を求めるべきであると考えますが、いかがですか。
#9
○国務大臣(斎藤十朗君) 公衆衛生審議会の精神衛生部会のメンバーにつきまして、私が衆議院で御答弁を申し上げましたのは、現在の精神医療の分野におきましては民間に負うところが非常に大きいという点を踏まえて、民間精神医療機関の関係者の皆様方にもメンバーとして参加をしていただくことが必要ではないかというようなことを念頭に置きつつ御答弁を申し上げたわけでございますが、ただいま先生御指摘のような全家連や法律関係者の皆様方等についても、実情を踏まえてひとつ検討をいたしたいというふうに考えております。
#10
○本岡昭次君 ぜひ私の今申し上げました点については、厚生大臣の手によってよい結果が出ますように強く御要請を申し上げておきます。
 次には、予算の問題であります。
 厚生大臣は先ほども精神保健元年としたいとおっしゃっております。まことに結構でありますが、しかし、それも予算の裏づけがなければ絵にかいたもちということになると考えます。
 そこで、当面、長年の社労委員会の論議の中を通して措置入院者あるいは同意入院者、特に措置入院者でありますが、この実地審査をやって、本来措置入院しなくてもいい者を措置入院さしているという事柄にかかわって、その人たちに退院していただくということから、予算等を見ますと、措置入院費が減少してきているんであります。したがって、そうした本来精神医療のあるべき姿を追求する中から従来あった医療費が減少してくる、そのお金を他に回すことなく精神保健対策に回して、圧倒的に不足をしている社会復帰体制の確立に充てるようにしていただきたいとも私は思いますし、また米国、英国並みの精神保健対策費用の一つの水準を目標にして今後努力していただきたいということをお尋ねいたします。
#11
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の法改正の大きな二つの柱は、人権擁護の一層の推進と社会復帰の推進、この二つだと考えておるわけでありまして、社会復帰のための関係予算というものを十分確保してまいるということがどうしても必要なことであり、これからも厚生省として全力を挙げて努力をいたしてまいる覚悟でございます。
#12
○本岡昭次君 具体的なことを重ねて質問して恐縮ですが、この措置入院費の減少問題というのは特にこれはお考えをいただきたい、このように申し上げておきます。
 それから次に、社会復帰に関して幾つかの点について伺っていきたいと思います。
 まず、退院なさった方の住居並びにその後にわたる訪問指導についてであります。これまで、家族が事情によって退院をなさろうとする方を引き取れないというふうなことがあって、本来、入院の必要がないと言われる方が退院の可能性を失うということがしばしばあったようであります。このようなことをなくしていく、すなわち社会復帰の道を閉ざすということがないようにやはり具体的な対策が必要であろうと思います。
 まず、アパートなどを借りる場合、病院の職員の方が保証人となって借りるというのでありますが、これにも限度があるわけでありまして、そうした場合に、公的保証人または公的保証制度というふうなものを確立することができないかというのが第一点であります。第二点に、各種公営アパートの中で一定の居住権というふうなものを保証することができないだろうかということ。三点目、国と自治体において共同住宅の建設あるいはまた精神障害者のための住宅を借り上げるというようなことはできないだろうか。四点目、病院や医療法人が退院者のアパートを経営できるというふうな措置はできないだろうか。ただし、この場合は、当然病院の敷地外にアパートをつくるということになると思います。
 以上、退院を可能にする条件をつくるという問題についても積極的な対応が望まれると思いますが、いかがでしょうか。
#13
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、患者さんが長い間入院しておりますと、お帰りになる自宅がいろいろ問題があったりとかそういうことで、退院の方々がどこへ住むかというのが非常に大きな問題でございます。
 幾つか御示唆がございましたけれども、一部例えば自治体等が共同住居を建設する場合には私どもとしても予算的に補助をするような形で、援護寮でございますとか福祉ホームとか、そういう形での予算補助というのを六十二年度から始めておりますし、おっしゃいましたような公的保証制度等についての考え方、まだまとまっていない部分もございますけれども、いろいろ公営住宅につきましても優先入居の道が開かれていることも承知しておりますが、おっしゃいますように退院者の住居確保の方策というのは非常に重要でございますし、それがひいては社会復帰の成功につながるわけでございますので、私どもといたしましても御指摘の点も含めましていろいろさらに検討させていただきたいと考えます。
#14
○本岡昭次君 次に、訪問指導について伺っておきます。
 退院者に対して、必ず病院がその後の訪問活動を行うということが極めて大事であろうと思うのであります。しかし、現状の診療報酬制度の中では、こうしたことに非常に隘路があるというふうに聞いております。したがって、こうした病院が退院された方についても訪問指導を行うということが診療報酬の点数となる、そうしたことが容易に行い得る、経営にも支障が起こらないというふうなやはり改革が必要ではないかと思うことが一点であります。
 それから二点目に、さりとはいえ病院から退院者に対する訪問をやるといっても、やっぱりおのずから地域が限定をされます。そこで、保健所あるいは精神衛生センターなどの職員がやはりこれを行っていくという体制を一方確立する必要があると、こう思うのであります。
 三点目に、これまで精神衛生相談員という皆さん方がそうした退院された方等の訪問指導等にも当たっておられたわけでありますが、この精神衛生相談員の任務というのが、自宅にいる患者さんを訪問することと、それから保健所にいて来られた患者さんの相談に応じる、こういうことでありまして、やはり精神障害者の皆さんが入退院を繰り返すということがしばしばあります。その場合に、この精神衛生相談員の方が病院に行って患者さんの相談に応じる道というものが今のところないわけであります。だから、相談に応じて入院をしていただく。しかし、それは入院させっぱなしでありまして、その後何ら相談に応じることができないということがあります。その地域の密接な人間関係の中で、ある意味では患者さんの精神的な支えになっておられるような相談員の方もあるわけで、そういう場合は非常に大きな障害になってくるわけですね。だから、こういった点も大いに改善を加えていただかなければならぬのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#15
○政府委員(仲村英一君) 通院中の精神障害者に対します訪問指導でございますが、六十一年の四月の診療報酬改定の際に精神科訪問看護・指導料というのが算定できるようになりましたので、そういう点では前進したわけでございますが、今後も引き続きその観点からの診療報酬上の改善についても私ども担当局にお願いをしていきたいと考えておりますが、今お尋ねのような、地理的な事情等によりまして病院からなかなか行きにくいというケースもあり得るわけでございますので、そういった際には、保健所の精神衛生相談員等が補完的に訪問指導を実施できるような予算措置を六十一年度からとっております。こういう補完的な業務につきましても、地域精神衛生という観点から病院とよく連携をとって、このような訪問活動がさらに行われるように私どもとしても考慮してまいりたいと考えております。
 第三点の、精神衛生相談員が医療機関、入院中の患者さんのところへも行ったらどうだという御
意見でございますが、これを制度化するかどうかによりますと、医療の中身に行政機関が立ち入るという部分もあり得る場合が起こるのではないかという点を考慮いたしまして、今直ちにそのようなことが制度化されるかどうかお答えしにくいわけでございますけれども、同時にまた、精神衛生相談員のマンパワーの充足状況等によりましても、そういうことが実際行われ得るかどうかという問題も含めまして、いろいろ制度的な問題、あるいは実施上の問題で直ちには行いがたい部分もありますけれども、御示唆もございましたので、そういうおっしゃいますような必要性は皆無ではないと思いますので、どのような形でできるかを含めまして検討させていただきたいと思います。
#16
○本岡昭次君 またさらに、退院者同士の横の結びつきを保障していくということも私は非常に重要であると考えます。要するに、仲間づくりができなければ、病院にその後外来患者として通院していくというふうなことについても、なかなか長期にそれが継続できないということがあります。
 そこで問題は、精神病院に入院されて、そして退院をなさった皆さん方がいろんなところにお集まりになって、そこで横の連携をとりながら、お互いに力を合わせて自分たちの置かれている状況を改善し、またみずからも自立して社会に対して復帰していくというふうなことについての切磋琢磨をやっていくというふうな場が必要であると、私はこう思うんですね。孤立することがやっぱり一番問題であると思うんであります。私も孤立された患者の不幸な状態をしばしば耳にしております。
 そこで、精神衛生センターあるいはまた保健所、あるいは精神科などの診療所、あるいはまた精神病院、特に開放医療を実践されているそういう病院等にデイケア施設をつくって、その地域の人が、退院者同士がそこに集まって横の連絡をとり合う、それで患者同士いろいろ話し合いをされる、そして自立の道を探っていく。こういった各種のデイケアセンター、またそのものを目的とした独立したデイケアセンターをつくるということも私は必要ではないかと、こう思うんでありますが、こうした問題について厚生省がどのようにお考えになっておられるか、伺っておきたい。
#17
○政府委員(仲村英一君) 全く御指摘のとおりでございまして、退院された患者さんが孤立したままでは、こういう社会復帰についてみずから行うというのが非常に難しい部分もあるわけでございますので、患者さん同士が励まし合いながら社会復帰に立ち向かっていただくということが必要なわけでございますので、そういう観点で申し上げますと、デイケアというのは地域ケアの基本的な形態だと考えておりますが、それぞれいろいろのパターンと申しますか形態があっていいのではないか。
 病院に付設される場合、あるいは診療所に付設される場合、あるいはデイケアだけを行う独立の施設ということも考えられましょう。あるいは都道府県に置かれております精神衛生センター、あるいは保健所等に機能的に附置されたというものも必要でございまして、こういう各種の類型の施設がデイケアを大いにやっていただくということは、私どもとしても進めてまいらなくちゃいけないということでございますし、デイケアそのものが医療機関の場合には診療報酬上も認められるような形になっておりますし、財政上、所要の措置も講じてまいっておるところでございますが、おっしゃるような意味でデイケア機能というのはさらに拡充を図る必要があると考えております。
#18
○本岡昭次君 次に、精神障害者のための治療に対して診療機関の社会化というんですか、地域社会の生活圏の中に診療と相談の場があるという状況をつくっていかなければならないのではないかと思うんであります。県レベルでいろいろ病院が幾つあるといいましても、果たして患者の生活圏の範囲内にそういうものがあるのかどうかというふうな状況については、非常に今問題が多いと思います。そして、そうしたことが結果として早期治療ができなかったというようなことから不測の事態が起こるということもあるわけで、そういう意味で以下三点ばかり申し上げますが、これはぜひとも厚生省の力でもって実現していただきたいのであります。
 総合病院が至るところにあります。しかし、その総合病院に精神科が果たして全部設置されているであろうかという問題であります。少なくとも総合病院に二十床ないし四十床程度のベッドを付設して、特に国公立、公的医療機関にはやっぱりこれを義務づけるというふうにする必要があるのじゃないかと思うんであります。患者にしても家族にしても、精神病あるいは精神障害というものに対する差別と偏見が非常に厳しい中にあって、例えばどこの病院に行っておられるんですかというときに、病院の名前を挙げれば、直ちにそれが、ああこの人は精神病患者かというふうに特定できるような状況に今私はなっておると思うんであります。総合病院であれば、何々病院に行くと言えば、これは内科か外科か何かわからないわけでありまして、やっぱりそういうふうなことも今のような状況では私は積極的に考えていくべきではないかと思います。また、私立の場合では厚生省が直ちにそうしたことを義務づけることは不可能であっても、内科に精神科医を必ず配置するというふうなことについても、きめ細かい配慮あるいは指導ができるんではないか、こう思います。
 それから、二点目として精神衛生センターの問題なんですが、精神衛生センターがどれほど日本の精神医療にかかわっているのかという点についていろんな意見があるようでありますが、少なくとも現在この精神衛生センターというものがあり、それが一定の診療機能を持っているわけでありますから、そこの診療機能を強化して、そこに十床程度のベッドを設けて、そしてできれば各県にその分院のようなものを三、四カ所、そうした精神医療について穴があいているところに積極的に置いていくというふうなことができないかということ。
 三点目、今回の法改正が入院よりも要するに外来、訪問診療というものに比重を移さなければ、今回の法改正の意図が貫徹しないわけであります。その点、先ほども診療報酬の点で言いましたけれども、精神医療の診療報酬の中で入院に対する診療報酬よりも、比重を外来患者の診療、そして訪問指導に対する診療報酬、そういうふうなものに比重を移して、病院が入院患者を扱っても外来患者を扱っても訪問指導をやっても、病院の経営について何ら変わるところはないというふうなものを、具体的にやっぱりやっていく必要があるのではないかというようなことを思うのでありますが、いかがでありますか。
#19
○政府委員(竹中浩治君) 地域におきまして精神医療の拠点をきめ細かに確保するということは、御指摘のとおり大変重要であろうかと思っております。
 ただ、地域ごとに精神科医療施設の配置状況あるいは住民の医療ニーズの内容等が異なっておるわけでございますので、すべての病院に一律に精神科を設置する、あるいは精神病床を付設するということを義務づけするというのは、今の段階で必ずしも適当でないのではないかと考えておるわけでございますが、先生の御指摘等も踏まえまして、この問題については医療法上の総合病院のあり方ということを今いろいろ検討いたしておりますので、その中で検討を進めてまいりたいと考えております。
 それから、内科に精神科医を配置するかどうかという点でございますが、それぞれ個々の病院が診療の実態に応じて判断をしていただく問題であって、一律に指導することには若干問題があるのではないかと考えておるわけでございますが、しかし近年、一般診療におきまして精神科的なケア、特にストレスとか心身症の問題が大変重要になってきておりますので、精神科以外の医師においても、精神科的な素養の修得が大変重要であろうかと考えております。そういった面で、教育、研修等においてその充実に努めてまいりたいと考えております。
#20
○政府委員(仲村英一君) 第二点でございますけれども、精神衛生センターにベッドを置いたらどうかという御提言でございますけれども、私どもやはり精神衛生センターというのは、設置目的といたしまして、あくまでも公衆衛生的な精神保健を実施する機関ということで位置づけておりますので、直ちに病床を置くということについては難しい問題があり過ぎるということで考えております。
 ただ、先ほど申し上げましたように、精神衛生センターにおきましてもデイケア活動をもっと活発にしていきたいということも考えておりますし、さらには複雑困難な事例に対する相談事業でございますとか、そういう形での特性を生かしていったらいかがか、さらにはやはり精神保健全体の普及啓発の問題でございますとか、調査研究でございますとか、そういう形で精神保健の中核的な機関として、機能をさらにレベルアップしていきたいと考えております。
#21
○本岡昭次君 次は、医療法上の差別としていまだに残っております、精神科の病院において医師、看護婦などの配置が他の一般病院よりも少なくてもよいという特例の問題であります。
 これは、今までしばしば私も取り上げてきましたし、いろんな方がこの点については指摘をされております。経過的に見れば結核と同じような形で、慢性的な病気であるから少なくてもいいのだろうというふうになってきたようでありますが、四十年という経過を経た今日、かなり精神医療の面も進んでおりますし、そして今回の法改正も、世界から見たら本当に特異に見える長期にわたる入院ですね。平均五百日、長い人になると千日、二千日も入院しているという実態をどう縮めていくかということで、短期に早期に治療をして、そして効果を上げて社会復帰をしてもらうということになれば、この特例という問題をやはり解除をしていかなければならない。今までの審議の中でも、精神病院を調べますと、一般の病院と比べても差別のあるその特例に対してさえも充足しているところがほとんどなくて、七〇%程度充足しておればほぼいいんではないかということが厚生省から答弁の出てくる始末であります。ひどいところになれば五〇%とか、宇都宮病院なんかにおいては、これは一人のお医者さんが実質千人の患者を診ておったということでもまかり通るというのが精神病院の実態であったわけでありまして、今直ちにということは、他とのかかわりがいろいろあると思いますが、速やかにこの特例を排除する、これを見直す、そして一般病院並みの医師、看護婦の配置基準にするということについての計画を立てていただきたいと、強くこれは要望するんですが、この点はいかがでありますか。
#22
○政府委員(竹中浩治君) 精神病院の職員配置の標準でございますが、現在一般病院より緩和されているわけでございます。しかし、最近の精神医療をめぐる状況の変化でございますとか、現場におきます業務量、それから人員配置の実態等々を踏まえまして、現在予定しております第二次医療法改正におきまして、医療機関全体の職員配置基準の見直しの一環として検討してまいりたいと考えております。
#23
○本岡昭次君 そのときには、ぜひこのあしき特例を見直していただきたいということを強く申し上げ、我々もこれから厚生省のそうした検討作業に深くかかわっていきたいと思います。
 次に、医療法による地域医療計画というものがございます。そこで、精神科の、いわゆる精神医療の問題なんですが、これは何か全県一区化制というんですか、一つの県単位にこの精神医療の問題を見ていくということになっておるようで、一般医療であれば一次、二次、三次というんですか、非常に細かく診療体制をとっていくようにしております。
 私は、精神医療の問題も、一般医療と差別せず第二次診療圏の中にやっぱり改めてやらなければならないのじゃないかというふうに思うんです。私が住んでいる兵庫県を見ましても、精神病院というものは非常にたくさんございますが、しかしそれは例えば六甲山の裏側とか、ある一定のところに集中をしているわけですよね。そして、病院の数とベッド数とを兵庫県民の数で割ればこういうものだとトータルが出ても、それは果たして全県的なそうした医療に平等にかかわれるかというと、そうではないという問題点を持っているんであります。
 こういう点について、一般医療と差別をせずに、この精神医療も第二次医療圏の中でという点について強く要望してきたんでありますが、これはいかがでありますか。
#24
○政府委員(竹中浩治君) 医療計画上の精神病床の扱いでございますが、入院環境等の要素を勘案し、あるいは歴史的な経緯等、そういったものを踏まえまして、現在の医療計画では都道府県単位に必要病床数を算定するということで進めておるわけでございます。
 しかし、御指摘の点等もございまして、都道府県単位では必要病床数を満たしておる場合であっても、その地域の実情に応じまして、例えば隣接する二次医療圏を含めまして精神病院がないというような場合には、仮に県全体として必要病床数を満たしておりましても、特別に病床整備ができるよう、そういう配慮を講じておるところでございます。
#25
○本岡昭次君 もう少し詳しく具体的に質問したいんでありますが、先ほど言うように時間がございませんので、またこれは具体的な折衝の中で詰めさしていただきたいと思います。
 次に、リハビリ関係職員の問題について御質問いたします。
 新法三十八条での社会復帰業務を担う主体はPSWであると思うんですが、いかがでしょうか。この新法三十八条では、病院の管理者は社会復帰云々と、こうなっているんでありますが、その業務を実態的に担っていくのはPSWであると思うんでありますが、どうかという点が一点であります。
 したがって、これからこのPSWの皆さんの身分資格を一日も早く明確にしていかなければならぬと思います。そして、同時に、その業務を診療報酬点数で評価していくということもやっていかなければならぬと思うんであります。向こう一年の間にPSWの資格問題の処理をやるということについて、ぜひともこの場でお約束をしていただきたい。これは残された検討事項であるというふうになっているのでありますからね。
 また、神戸市に私がいるわけでありますが、精神衛生相談員という方が保健所におられて、それは保健婦さんと兼務するんでなくて独立した形でおられるわけであります。そして、神戸市内の精神障害者の皆さん方の支えになって活動しておられるという方が十七人もおられるわけで、一保健所当たり二名程度いるという状態があるわけですね。果たしてこういうようなことが全国的にあるのかどうか。もしないとすれば、自治体でやれることをどんどんとやっぱりやってもらうように厚生省として指導していくべきではないかという点についてお伺いいたします。
#26
○政府委員(仲村英一君) 第一点と第三点のお尋ねについてお答えいたすわけでございますが、新しい法律の第三十八条におきましては、先ほどおっしゃられましたように、私どもとしても、病院の管理者が入院中の患者さんの社会復帰の促進を図るためいろいろ連絡調整するよう努めるようにということでの努力義務を入れたらどうかということで、これは入っているわけでございます。その業務、そういうことをおやりいただく――この三十八条自体は、その業務を担う主体としてどういう方がいいということで特定するための条文ではございませんけれども、恐らく実態的にはPSW的な方がもちろん専門的な業務でおやりになっておりますので実際はそうなるのではないかと思いますが、二点目のお尋ねの身分制度の関連もございますので、こういう条文の書き方になったということでございます。
 それから、精神衛生相談員の専任制の問題、神戸市は非常に先進的なところということで私ども
理解しておりますが、もちろん専任の必要な地域もございましょうし、あるいは保健婦さんがそれぞれおやりになるところ、いろいろ業務と申しますか人員の問題と、それからそういう必要のある業務量との関係もあるわけでございますので、そういう形で進める自治体もおありになってよろしいでしょうし、いろいろな工夫をされる場合もあり得るということでございまして、もちろん専任制は好ましいという中で申し上げているわけでございますけれども、そういうことで考えております。
#27
○政府委員(竹中浩治君) 第二点のPSWの資格制度の問題でございますが、これにつきましては、厚生省といたしまして医療福祉士として資格法制化をするという方向でこれまで医療関係者間の意見調整に大変努力をいたしてまいったわけでございますが、現在の時点ではなかなか関係者のコンセンサスが得られない状況でございます。身分制度は身分制度といたしまして、やはりこういう業務に従事をしていただく方の資質の向上というのが大変重要でございますので、当面講習会の開催等を通じまして、PSWを含めまして医療ソーシャルワーカーの資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
#28
○政府委員(下村健君) 精神医療における診療報酬の問題でございますが、これまで精神科のデイケアあるいはナイトケアというふうな形で点数を創設いたしまして精神医療の推進を図ってきたところでございます。
 御指摘のPSWに関連する点につきましては、これらのデイケアあるいはナイトケアの実施に当たるチームの中に、そういったPSWというふうに特定はできないわけでございますが、そういう業務の重要性を認めて、そのチームの一員として位置づけて評価を行っているというのが現状でございます。したがいまして、今後の精神科の領域におけるケアのあり方についての具体的な議論がさらに深まっていくというふうに考えておるわけでございますが、その成り行き、さらに身分制度をめぐる議論の成り行きを考えながら、診療報酬のあり方についても医療の実態に即して検討してまいりたい、このように考えております。
#29
○本岡昭次君 今の答弁で、もう一度ちょっとお尋ねをしていきたいんですが、検討中、関係団体との調整ということがあるようです、このPSWの身分資格の制定について。だけれど、私の聞いているのはそれほど困難なことではないというふうに聞いております。そこで、向こう一年の間にいろんな問題点を解決して、そしてこの資格問題については、今までの次々とソーシャルワーカーでつくられる制度の一つとしてこれを処理するという約束をここでひとつしておいてください。
#30
○政府委員(竹中浩治君) PSWを含めました医療福祉士の問題でございますが、現在関係者の間でコンセンサスが得られない主な問題といたしまして、一つは業務内容、少し詳しく申し上げますと医師との関係ということ、それから養成課程、この辺が一番大きな問題でございます。医療関係者ということでPSW、医療福祉士を整理するとすれば、これは医療の一環でございますので、包括的な場合もありましょうが、やはり医師の指示というのが前提になるんじゃないかという御意見と、それから医師の指示とは全く無関係に我々は仕事をすべきであるというような御意見、つまり医療福祉士の位置づけというものの一番基本的なところで御意見が分かれておるわけでございます。
 私どもといたしましては、できるだけ関係者の方々の御意見の調整、コンセンサスをつくるということに努めてまいりたいわけでございますが、今申し上げましたような一番基本のところで食い違っておりますので、大いに努力はいたしますが、なかなか一年というのはお約束をいたしかねるのが現状でございます。
#31
○本岡昭次君 できるだけ早く双方に意見の相違があるのなら一致させるように努力をしてまとめていただきたい。また、これは後ほど具体的に折衝という形でかかわらしていただきたいと思います。
 時間がなくなってきましたので、質問もはしょってさしていただきます。一次は、諸外国でも行われている精神障害者法律サービス制度の問題なんであります。財団法人法律扶助協会というのがございまして、この協会が精神障害者法律援助調査研究計画を立てて、厚生省に対して千五百万円の研究費の助成を申請していると聞いております。精神障害者がいろいろ法律サービスを受ける場合の制度として、私はぜひこれは必要であると思うんですが、この点について今どのように対応しておられますか。
#32
○政府委員(仲村英一君) 財団法人法律扶助協会から伺っております精神障害者の法律扶助に関する研究申請、補助申請というのが出ておるのは確かでございますが、内容的にまだ多少整理する部分があるわけでございまして、そういうところを検討しているわけでございますが、人権擁護システムに関する研究ということでございまして、私どももその必要性については否定しておらないわけでございますので、今後さらに詳しく整理するところは整理をいたしまして、そのような方向でさらに検討をしてまいりたいということで考えております。
#33
○本岡昭次君 それでは最後に、やはり国際的な立場での厚生省の考え方を聞かせていただかなければならぬと思います。
 五年後の見直し規定が入ることになりましたが、国際的信義にかけても検討の課題にしなければならないものがございます。それは、国際人権B規約の第二条精神障害者の差別の解消であります。今回も公衆浴場法を改正して、公衆浴場に精神障害者が入ってはならないという差別の条項を削除されました。遅きに失したとはいえ、それはそれでよかったと思うんであります。プールの問題も解決しました。しかし、各都道府県に行っても、お城へ入ってはいかぬとか、博物館へ入ってはいかぬとか、美術館へ入ってはいかぬとか、いろんなものが条例であると聞きます。また、国の法律もいろんなものが、長年ずっとそういうものが、何か慣習的に続けられたというふうなものもあるわけで、これを徹底的に見直すということがなければ、私はやっぱり国際的に見て日本の一体人権感覚はいかがなものかということになるという点が一点であります。
 それから二点目に、国際人権B規約の第九条一項及び四項にかかわる問題であります。
 ここは恣意的に入院、抑留されないということであります。そのために非常に重要なこと、入院を決定する指定医ということが新しく盛り込まれておりますが、患者が入院する病院の指定医が診察して私のところに入りなさいというふうな利益誘導のような形、客観性を欠くような形、こういうものは最低やめさせて、必ず他の関係のない指定医の方に入院の必要ありや否やということを診察させるということでなければこの条項に触れてくると思います。また、入院をされて、一応強制入院になりますから自由を奪われるということになります。そのときに、その入院のありようなり入院の回避の問題、あるいは退院のありよう、また入院中受けたさまざまな権利侵害等を裁いていくところでありますが、それが今度は精神医療審査会というものを設けてやるとなっております。しかし、この法を見る限りでは完全な第三者機関になっていない。また、司法的な性格もそこは持っていないということであって、国際的に見ても一番これは弱点であるというふうに指摘をされている部分であります。
 したがって、今回の法律はこういう形でスタートしたんでありますから、その内容の問題として行政から独立した、そして司法的性格も持つ第三者機関というふうにして、その委員も医師、弁護士あるいはまたPSWというふうな形の第三者の方で構成をしていくというふうなものにやっぱり改めていくということがこの五年間の過程の中でなければ、私は国際的な批判にはこたえられないんではないかという点を思うわけであります。
 これで最後にもう一、二問やりたいんですが、
時間が来ましたから、これは国際的な問題として厚生大臣に、最も人権上の基本的な問題でありますので、お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
#34
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の法改正が衆議院におきまして修正をされ、その中に法施行の実情を見ながら五年を目途として見直しを行って、そして必要な措置を講ずべきであると、こういう趣旨の修正をいただいたわけでございます。今回の改正が、人権擁護の推進という観点からさまざまな新しいシステムを取り入れておるというような点で、これらの実施状況というものを踏まえ、そしてこれを見直し、さらに前進をさしていくべきではないか、こういう趣旨だと私は考えております。
 御指摘の点の精神障害者に対するさまざまな制限が行われておるということにつきましては、今回の改正におきまして公衆浴場の点について改正を行いました。なお、まだ各省庁にまたがる部分も多々ございまして、各省庁に対してこういった点について見直してもらいたいということを私どもから各省庁にお願いをいたしており、また各市町村、地方公共団体における条例等の問題についても見直していただきたいということを言っておるわけであります。また、障害者がいわゆるノーマライゼーションの観点からこういったことについても総合的に見直していくということを政府全体としても決めておるわけでございますので、この点につきましては、五年後といわず日々の努力の中で解決をしていくように努力をいたしたいと考えております。
 また、その他人権擁護の推進という観点についていろいろ御指摘があったわけでございますが、こういった点も五年後の見直し、この法律の実施状況を踏まえつつ、当然にしてこの人権擁護の推進という観点から大いに議論されるべきものというふうに理解をいたしており、その方向で進めさしていただきたいと考えております。
#35
○本岡昭次君 終わります。
#36
○中野鉄造君 私は、先ほどからの同僚委員の質問と重複を避けて二、三お尋ねいたしますが、精神衛生法の第三条に「この法律で「精神障害者」とは、精神病者(中毒性精神病者を含む。)、精神薄弱者及び精神病質者をいう。」と、このようにあるわけですけれども、これについて今回の改正案の中には何ら触れられておりません。すなわち、今申しましたこの三者に限定されたままの改正であるわけですね。したがって、いささか実態にそぐわない面や、あるいは無理が出てきているのではないかと懸念されるわけです。
 すなわち、どういうことかと申しますと、現在精神病院では、日常これら今申しましたこの三つに定義づけられた三者以外に時代を反映した神経症、つまりノイローゼの患者さん、あるいは非精神病的一過性の精神障害者等多数、多様の患者さんを収容、治療しているのが実情であるわけです。したがって、この定義の枠を三者に限定せずに「等」というふうに改めるべきではなかったのかなと、こういうように思うわけですが、御参考までに御意見をお聞かせいただきたいと思うんです。
#37
○国務大臣(斎藤十朗君) 御指摘の精神障害の範囲の規定でございますが、精神障害の範囲とか、また病名でこれを規定するのか、もしくは症状によって規定をするのかというような点につきまして、まだ医学的、医学上からも意見の一致を見ていない部分があるわけでございます。そういうようなことで、今回の法改正の作業に当たりましても、障害者の障害の範囲の定義等についてなお引き続き検討すべきであるということを公衆衛生審議会等からも御指摘をいただき、今回の法改正の中ではこれをなし得なかったわけでございますが、なお引き続きこれを検討事項として検討をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
    ―――――――――――――
#38
○委員長(関口恵造君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、木宮和彦君、矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として野沢太三君、千葉景子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#39
○中野鉄造君 これに関連して二、三お尋ねいたしますが、今回の改正では、入院については大別してその様式が任意入院、都道府県知事による措置入院及び医療保護入院のこの三種に限定されております。この中の任意入院であっても本人の捺印あるいは病院の告知を義務づけられておりますけれども、ここにも、先ほどお尋ねいたしました件にもかかわりが出てくるわけでして、すなわち他科つまり内科、外科にあってはお医者さんと患者の話し合いで入退院が成立するわけですけれども、この他科における入退院と本法における任意入院とはどこがどういうように違うのか、その点をお尋ねします。
#40
○政府委員(仲村英一君) 先ほどおっしゃいましたような神経症でございますとか軽いうつ状態の患者さんが現実にも一般の病院にも入っておられますし、精神病院あるいは精神病床にお入りになっている方もおられるわけでございまして、その限りにおいては差はないわけでございますが、任意入院という場合には、精神衛生法上の定義が、まず先ほどお尋ねの定義に当てはまる患者さんでございまして、本人の同意で入院する場合は任意入院ということで、精神衛生法上の制度として位置づけておるということでございます。
#41
○中野鉄造君 したがって、これは非常に微妙なところだとは思うんですけれども、私の考えでは、先ほど申しました「等」というのに該当するような患者さんたちのためにも、できれば普通入院といったような四種類にすべきではなかったのかなというような考えもあります。というのは、仮に普通入院に該当する患者は、先ほど限定されておりますような精神病者、精神病であっても極めてその初期あるいは軽症の方々をこれは含むわけでして、それによって他科並みの普通入院を設けることで精神科診療の実務面に円滑さが出てくるのではないのかなと思うわけです。
 私があえてこれを申しますのは、今日こうした精神障害者への差別撤廃だとか偏見是正が強く叫ばれているにもかかわらず、このように他科並みの入院方法が欠落しているということは、いささか配慮が足りなかったのではないのかなと、こういうような気がするわけでして、しかもどうかすれば、これが民意に逆行した法的根拠を形成するようなそういうことに発展していきはしないかという懸念もちらほらあるわけですけれども、その点についての御見解をお尋ねいたします。
#42
○政府委員(佐々木喜之君) お答えを申し上げます。
 現行の精神衛生法でございますが、この精神衛生法のもとにおきましては、精神障害者はみずからの精神障害について病識を欠く場合が多いということを前提といたしまして、例えば保護義務者が保護に当たるというような規定を置きまして、保護の対象というようなとらえ方をしているわけでございます。
 仰せの入院形態につきましては、措置入院でございますとか、今回の改正後の医療保護入院でございますが、そのように本人の意思に基づかない入院形態だけが規定されているということがございまして、この点についてかねがねいろいろ御議論がございましたので、今回の改正におきまして、みずからの意思に基づく入院を促進するという観点から、任意入院の規定が設けられたというようなことでございます。
 先生のおっしゃる、もっとそれよりも全く印鑑の要らないような入院形態というようなこともございますけれども、今後におきましては、今回改正によって設けられました任意入院制度を活用していただくということでこの推進を図ってまいりたいと、こういうような考えでございます。任意入院の場合におきましては、本人の意思に基づく入院であることをはっきりさせるために同意書をいただくというような形態をとっておりまして、そうでない、全く印鑑の要らないというような形
態も、お説はただいま伺ったところでございますが、制度全体の、例えば保護義務者等の扱いとの関連もございますので、今後の検討課題とさせていただきたいと考えております。
#43
○中野鉄造君 今後の課題として、これはひとつ大いに慎重に検討をいただきたいと思います。
 現在、精神病院というのが千六百カ所ぐらいあるようですが、その中で民間の病院が千三百十三と、このように聞いております。そして、その中で都道府県知事が指定している病院が一千二十二と、こういうように聞いております。その千三百十三から一千二十二、約七割の病院が指定を受けているわけですけれども、この指定を受けていない病院、こういうようなところは今回の法改正後にどういうような指導をされていくのか、その点をお尋ねいたします。
#44
○政府委員(仲村英一君) 指定と申しますのは措置入院患者を入れていただくための指定でございまして、それ以外についてはすべて精神病院として平等と申しますか、同じ扱いになるということでございます。
#45
○中野鉄造君 次に、精神保健指定医の指定というのが今度設けられたわけです。これも参考までにお尋ねいたしますが、第十八条によってこれが設けられておるわけですけれども、他面、優生保護法の第十四条では「都道府県の区域を単位として設立された社団法人たる医師会の指定する医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。」云々と、こうありますけれども、やはり地域医療推進の上からも、地方の実情に密着する点から考えても、その方がベターではないのかと、こういうような意見もあるようですが、この点についてのお考えをお尋ねいたします。
#46
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、優生保護に関しましては医師会にお願いをしているわけでございますが、こちらの方の精神保健の指定医の指定でございますが、これは何を基準にするかということでございます。つまり、指定医になった際には、任意入院を除きます精神病院へ入院するかどうかという適否の判断でございますとか、入院患者を行動制限する場合に、保護室の使用でございますとか、人権の擁護に格段の配慮を要する、一定の行動制限を行う必要があるかどうかの判断を行うということでございまして、そのために必要な一定の精神科医療の実務経験と研修を終了しているかどうかということで私ども資格を認定したいわけでございます。
 これは、先ほどの優生保護の内容と違いまして、優生保護の場合はどちらかといいますと、医学的な専門性それ自体を審査して対象とするかしないかということをお決めいただくために、私どもとしては医師会にお任せしておるわけでございますが、この精神保健指定医の場合には、特に患者、精神障害者の人権の確保という観点が中心で指定されるわけでございますので、その評価の統一性という点にかんがみまして、厚生大臣において一律に行うことが必要ではないかということでこのようなことにしたわけでございます。
#47
○沓脱タケ子君 私は、精神衛生法の一部を改正する法律案について御質問を申し上げたいと思います。
 初めに、今回の改正案というのは、患者の人権を尊重しつつ精神医療の進歩に従った適切な医療を行うということ、患者の社会復帰、社会参加を実現していくということを目指したものであり、その第一歩を踏み出したものとして評価をしていきたいと思うわけでございます。
 私は、この法案、大変長い間の患者の皆さんや御家族の皆さん方の切望と、大変困難な中での運動の末にここまでこぎつけてこられた関係の皆さん方の御努力に対して、心から敬意を表しておきたいと思うわけでございます。
 長年にわたる待望の問題でございますし、本来は、この法案は大変重要な法案でございますから、こういう会期末でなければ十分な審議時間をとって十分な審議をし、十分な内容の法律として発足をさせていくということが非常に大事だと考えておるわけでございます。しかし、こういった会期末の状況でございまして、わずかな時間ということになりますので、ごく限られた点についての御質問を申し上げておきたいと思います。
 今回の改正におきましては任意入院、つまり自由入院というものが規定をされた。これは大変大事な点だと思うわけです。それで、運悪く精神病という疾病にかかったというだけであって、まさに人間として同等の権利を持たなければならない、その疾病のゆえに差別ある扱いをされるということは基本的にやめなければならないという点は、これは私ども一貫した考えでございますし、そういったものが一歩踏み出すことができるという点で、今回の法律案というのは評価できると思うわけでございます。しかし、そういったたまたま精神病という病気にかかった患者さんの人権を本当に守っていく、そして他の疾病にかかったと同等の待遇をしていくというためには何よりも十分な医療の保障、これが大事だと思うわけでございます。自由入院の原則の上に立ちますと、開放病棟をふやしていくというのは当然であります。そのためには、閉鎖病棟に患者を閉じ込めるというふうなことで、そういうことをやるということで医師や看護婦の不足をカバーしているという、こういう大変不正常な状態というものを解消することがまず第一に必要だと思うわけですが、その点についてはどうですか。
#48
○政府委員(仲村英一君) 申しわけございません。もう一遍お願いいたします。
#49
○沓脱タケ子君 自由入院ということになった以上は、従来のように閉鎖病棟に患者を閉じ込めるということではなくて、開放病棟をふやし、当然のこととしてそれに必要な職員の配置、そういうものを保障するということが必要だと思うけれども、その御見解はどうかと聞いたんです。
#50
○政府委員(仲村英一君) 申しわけございませんでした。
 おっしゃいますように、開放処遇をする場合には、閉鎖的な場合よりも恐らくと申しますか、必ずと申しますか、医師、看護婦等マンパワーの充足は必要だということで考えておるわけでございますが、数字的なことでお答えさせていただきますと、精神病院に勤務する医者とか看護婦さん、統計、数字は省略させていただきますけれども、年々増加はしてきております。
 ただ、それが今おっしゃいますような条件の場合に十分かということになりますと、これはなかなかにわかにはお答えしにくい部分もありますけれども、私どもといたしましても、後でお尋ねあるかもしれませんが、そういう観点から診療報酬の問題とかいろいろの部分を考え合わせながら、マンパワーの充足ということについては引き続き努力をしなくてはいけないというふうに考えております。
#51
○沓脱タケ子君 余りようわからなかったけれども、患者さんの人権を保障していくということと同時に、精神医療の進歩に見合った医療の体制をつくり上げるということが大前提でなけりゃならぬでしょう。同時に、これは社会復帰の状況を整えるということなしには絵にかいたもちになるんですよね。そのことで私は質問申し上げた。
 だから、論を進めますが、昭和三十三年の事務次官通達で、精神病院は医師の数は三分の一でしょう、一般医療の患者さんと比べたら。看護婦の数は四分の三でよいことになっていますね。ここを改めなければ、これは自由入院をして一般の患者さんと同じように人権を保障し、進歩している精神医療を十分享受させていくということの保障にならないと思うんですよ。その点はどうなんですか。
#52
○政府委員(竹中浩治君) お尋ねの点は、職員の配置の標準につきまして精神病院では医療法上特例が設けられておる、その点の御質問かと思います。
 先ほども御答弁申し上げましたように、精神科の内容もいろいろ変わってまいっておりますしいたしますので、現場におきます業務量あるいは人員配置の実態等も踏まえまして、今後予定いたし
ております第二次医療法改正におきまして医療機関全体の職員配置の基準の見直しをすることといたしておりますので、その一環として検討させていただきたいと考えております。
#53
○沓脱タケ子君 それで私は、慢性病だということ、あるいは閉鎖病棟が中心だということで、今までは医師の数、看護婦の数、介護者の数というようなものは少なくてもやっていけるということが前提になっていた。こういうことを基本的に改めるということでなければ、患者さんの皆さんの人権を保障して十分な医療を受けるという条件を整えるということにはならないと思うんですよね。そこは極めて大事だと思いますから、ぜひ改善を実現してもらいたいと思うんです。
 同時に、これは配置基準の数の改善をしただけでは実現ができないでしょう。違いますか。これはどうですか。どう考えているかというところを聞きたいんです。基準を変えるということは検討をすると言ったんですね。基準を変えるというだけでこれができるかどうかということ、どうなんですか。
#54
○政府委員(竹中浩治君) お話しの点は、医師で申しますと精神科を専攻するお医者さんの確保、養成といったようなことであろうかと思います。職員配置の数の標準を改正することがまず第一歩で、それに見合うような精神科の関係のお医者さんの養成、これは行政がどこまでやれるのかわかりませんが、学界等とも御相談をして、標準数を変える場合には当然のこととしてその確保に対する対応策を考えていかなきゃならぬと思っております。
#55
○沓脱タケ子君 大体勘が鈍いと思うんですね。それはそうですがな。医者の定数はふやします、看護婦の定数も検討してふやします、それだけで病院がやっていけますかということを聞いているんです。そうでしょう。そんな今のままで医者は何人にしなさい、看護婦さんもほかの病院と同じように入院患者六人に一人にしなさい、今の診療報酬でそれでやっていけますか。問題はそこなんです。違いますか。現実にその点はもう御承知でしょう。詳しく言おうと思ったけれども、時間がないんですよね。
 それで、大体入院患者の一日一人当たりの平均点数というのは、精神病院では一般患者の半分以下になっていますね。これは個々の問題を詳しくは言いませんが、そういうことになっているでしょう。一人当たりの平均点数は、一般、全体で千三百六十六・七点ですわ、これは政管健保の五十九年のデータによりますと。そのうち精神は幾らかと言うたら六百七十八・八点ですよ。比率からいいますと四九・六です。一般の入院患者の半分以下の診療報酬で済むような人員配置しかしてなかったということなんですよね。だから、一般患者並みにするということになれば、必要な診療報酬の引き上げをやって、患者さんたちに十分な精神医療の発展を保障できるというふうに診療報酬を引き上げるということが何よりも大事ではないか。その点はどうですか。
#56
○政府委員(下村健君) これまでの点数については今お話が出たような状況でございますが、精神医療の実態がいろいろ変わってきて、それに応じて人員の配置等も変わってくるということになれば、診療報酬もそれに応じて変わるということになろうかと私どもも考えておるわけでございます。それで、これまでも診療報酬面では大きな流れとしては閉鎖的な処遇から開放的な処遇へというふうな流れで来ていると思うわけでございます。それに沿ってデイケアの点数でありますとか、ナイトケアあるいは訪問看護というふうな面でいろいろ推進を図ってきているわけでございますが、今後も精神医療の動向、それから今回の改正を機にしていろいろ具体的な議論が行われてまいると思いますが、それらの状況を踏まえて適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
#57
○沓脱タケ子君 適切に対応するというからあれなんだけれども、人的配置をきちんと医療法で整えるといえば、これがそういう配置をやって十分に患者さんの精神医療の対応ができる、そして病院がちゃんと運営できると言うにふさわしい診療報酬の引き上げ、これは不可欠です。大臣、そうでしょう。だって、精神医療の保障と、そして受け皿づくりはちゃんとまずやるということが第一歩なんですからね。そこは金のかかることなんで、大臣、ちょっと言ってください。返事を聞きたい。
#58
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の改正によりまして、閉鎖的な処遇から開放的な処遇に一層変化を来してこなければならないわけでございます。それに従って、マンパワーの基準とか、また診療報酬上の問題も当然に変化をしてくるべきものであるというふうに考えております。
 ただ、精神病院の場合には一般病院と異なる点もあるわけでございまして、それというのは、例えば検査とか処置とか手術とかいうような点については少ないわけでございますから、一概に一般病院と同じようになるということにはならないとは思いまするけれども、今申し上げたような精神病院の内容の変化に伴うさまざまな条件の変化というものも我々として十分考えていかなければならない。これからのそういった方向に向け、また実態に即して適切に措置するようにいたしたいと思います。
#59
○沓脱タケ子君 御理解をいただいているので、ぜひこれは実現方を要望したい。それがなかったら、せっかく法律を改正しても私は前進しないと思う。その辺をひとつ強く要請をしておきます。
 そして、外来診療等を大いに地域医療として推進をしていくということなしにはあかんわけですから、そのために外来診療についての改善等については当然お考えでしょうね。これは、私ども現在精神科の外来診療をやっておられる先生方の御意見を聞きましても、大体精神科の診療というのは非常に辛抱強く長時間にわたって患者さんのお話を聞くということ、これが治療をしていく上で非常に大事な治療行為なんですね。医療行為なんです。したがって、精神療法科の診療報酬というのは随分難しいであろうと思いますが、診療の実体に見合う診療報酬にするということでなければ、私は外来診療を非常に広範に広げていくということが難しくなるであろうというふうに思うんです。
 現実にはどういうことが起こっているかといいますと、例えばカウンセリング料一つとりましても、病名によってこれはあかんといってカウンセリング料がつけられない、あるいはせっかくつけてくれておっても週に一回しかつけない、大変制限されているようですね。これは、やっぱり精神病の方も他の疾病を持っているということは、当然人間ですからあり得ることなんですね。ところが、病名に、例えば脳動脈硬化症とか高血圧症とかいうふうな病名が並んで出てきますと、これはカウンセリングの対象ではないということで一切指導料は出さない。こういう問題とか、あるいはてんかんという病名をつけたら、てんかんの病気をお持ちの方で精神病が併発をしているということはあり得ることですね。その場合に、てんかんという病名が一緒についていたら、これはそのカウンセリング料は出さない、こういう制限が大変強くやられているということを聞いています。事実ですか。
#60
○政府委員(下村健君) 余病がありましても必ずしもそういうことはないというふうに私どもは理解いたしております。
#61
○沓脱タケ子君 現実には起こっております。例えばそういうカウンセリング料でも、内科関係の慢性疾患指導料と比べても安いですね。点数は低いです。こういった点は、法改正を機会に洗い直していく必要があろうと思います。
 時間がありませんが、もう一つの重要な問題の社会復帰施設を整えるという問題ですね。お話が出ておりますように、社会復帰施設の条件を整えるということになれば、これは現在入院をされている三十四万人の方々のうち、条件さえ整備されれば十万人は退院できるという状況にあるんですね。したがって今後のこの受け皿づくり、社会復
帰施設の整備の計画というのは極めて大事だと思うわけでございます。
 ところで、六十二年度はこの施設についての予算はゼロじゃなかったんですかね。何ぼでした。六十三年度どうしますか。十万人の受け皿づくりということになれば、これは随分費用が要ると思うんですが、国としてこの法律を改正するに当たってどのように六十三年度は予算措置をするおつもりですか。
#62
○政府委員(仲村英一君) 六十三年度の予算要求についてのお尋ねでございますが、施設整備につきましては、実は予算上の問題でございますけれども、保健衛生施設等施設・設備整備費という枠の中にございまして、その中で社会復帰施設とかいろいろの形の施設に対する整備費補助金が入っておりますので、何カ所という形での要求のスタイルになっておらないわけでございまして、お尋ねの点についてストレートにお答えができないわけでございますが、それ以外の例えば精神衛生センターのデイケア事業とか、小規模作業所でございますとか、社会復帰の運営費でございますとか、そういう点ではそれぞれの箇所数を伸ばして要求をさしていただいているところでございます。
#63
○沓脱タケ子君 またようわからぬですね。条件整備さえできれば十万人の方々が退院して、それぞれ社会復帰を目指しての対応ができるという病状だというんでしょう。十万人に対応するためには、そういう社会復帰の施設というのはどのくらいつくらないといかぬのか、そのうち六十三年度の予算案ではどの程度対応するつもりか、そう聞いたらはっきりするのかな。どうなっていますか。
#64
○政府委員(仲村英一君) 私どもの推計では、三十四万人のうち条件が整えば退院できるであろうという患者さんは二〇%と踏んでおりまして、六万八千人でございます。そのうち三〇%は援護寮でございますとか福祉ホームとかにお入りになるであろう、それから一〇%は授産施設等にお通いになるだろうということで推計をしておるわけでございますけれども、それを何年間でどのような形で整備をするということでは、計画としてはまだできておらないというのが実情でございます。
#65
○沓脱タケ子君 時間がないのでちょっとゆっくりやれないんだけれども、退院して社会生活ができる人というのはほぼ一〇%でしょう。三万人余りでしょう。それで、条件が整備さえできれば退院可能の人たちというのは約七万人、二〇%ですね。そうでしょう。その人たちを、これは法律改正に基づいてやはり受け皿をつくっていくということが政府の責任だと思うんですよね。まあ言うたら五千カ所、私が概算しても五千カ所ぐらい要るのと違うかなと思いますが、さっきの話を聞いていると、二階から目薬みたいな話にしか聞こえませんけれども、本気でやる気になるんやったら、一遍に五千カ所つくれとは言いませんよ。そんなむちゃなことはできないんだから。しかし、こういう計画でこういうふうに進めていきますということをやはり明確にされないと、せっかく法改正をする意義がありませんよ。その点を簡潔に聞きたい。
#66
○政府委員(仲村英一君) そういうふうなことの必要性は私ども十分認めておるところでございますし、理解をしているわけでございますが、今おっしゃいましたように一挙につくるというわけにはなかなかまいらないということで、先ほどのようなことで私ども今年度も予算を実施しておりますし、来年度以降もそういう形での補助金をさらに要求してまいりたいということで考えておるわけでございます。
#67
○沓脱タケ子君 国が責任を持ってやるつもりはないんですな。私はそこが問題だと思っているんですよ。だって法律には、国が責務を明らかにしてないと思ったのは、これらの施設については補助についても国が補助することができるというふうになっているんですね。補助することができるといったら、できるけれどもしなくても罰則もない、しなくてもよろしいということになるんですね。ですから私は、やはりこの点では他の福祉法の規定と同じように、他の福祉施設と同じように、これは国の補助というのは義務規定にするべきだと思う。それをしないから、五千ぐらい要るだろうと思うけれども、大体何カ年計画でどうだこうだということさえも言えない。これでは私は、法改正について大きく一歩を踏み出したと申し上げたいけれども、全く入り口だなという感じがしてならないわけですが、この点が非常に重要だと思いますので、時間がありませんから多くのことを申し上げられませんけれども、最後に大臣に、これを本気でやってくれるんだったら金が要る、それから義務規定が要るというふうに私は思うんですが、補助についての義務規定ですね、そういう点で大臣の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#68
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の法律の大改正の中におきましても、社会復帰の促進ということは一つの最も大きな眼目でございます。そのためには社会復帰施設を整備していかなければならないということでありまして、先ほどから御指摘がございますように、条件が整えば約二割の方々が退院できるであろう、そしてそのうちの約三割の方々についてのいろいろなケアの施設が必要、また一割の方々については適所の授産施設というようなことが必要であろうということを私ども踏まえておるわけでございますが、しかし、これを一挙に整備をするということにつきましても、これを受け持つマンパワーの確保とか、またそれぞれの地域における適正な配置とか、またそういったことへの条件の整備というようなものも必要でありますので、これらを踏まえて適切に対応をいたしてまいるということが妥当ではないかというふうに考えております。
 また、予算上の補助できるという規定につきましては、先生がおっしゃるように、できるということはしないでもいいということではございませんで、できるということにおいて予算上の措置をいたしておるわけでございます。また、六十二年度も新しい福祉ホームとか、そういう施設の整備を図るための新規予算を計上いたしておりますし、また来年はこういった社会復帰施設の運営費の補助ということについても今概算要求で要求をいたしておるところでございますから、この社会復帰施設が適正に整備され、そしてこれが十分運営されていくように私どもは必ず措置をいたしてまいるということをお約束いたしたいと思います。
#69
○沓脱タケ子君 多くの質問点があるんですが、時間でございますので、これで終わりたいと思います。
#70
○橋本孝一郎君 今回の改正案では、現行法にない社会復帰施設その他福祉施設を充実する努力義務を国や地方公共団体に課したり、あるいはまた地方公共団体に社会復帰施設を設置する権限を与えていく、さらに施設の設置や運営に対する補助規定も新設している。このように改正案に社会復帰対策が一部盛り込まれたことにつきましては、私どもとしても評価は十分できると思います。これは今までなかったのがむしろおかしいのであって、中身もまだ十分なものとは言えないわけであります。今後さらに努力していく点が多々あるわけでありますが、私は精神障害者の社会復帰対策について数点にわたって政府の見解をお伺いしたいと思いますが、できるだけ重複を避けたいのですけれども、先ほどの質疑の中でわかりにくい点もありましたので、重複する点はひとつお許し願いたいと思います。
 まず、我が国の社会復帰施設の現状についてお伺いしたいと思います。
#71
○政府委員(仲村英一君) 現在、精神科のデイケア施設というのは十四カ所、精神障害者の援護寮が五カ所、この箇所数につきまして施設整備及び設備整備補助を行ってきております。それから、保健所におきます社会復帰相談事業でございますが、これは五百六十三カ所で行われておりますし、二十都道府県におきます精神衛生センターでデイケア事業をやっておりますし、各都道府県に
おきまして通院患者リハビリテーション事業、俗にこれは職親制度と呼ばれておるものでございますが、そういう関係の事業を今までやってまいっております。
#72
○橋本孝一郎君 そうしますと、先ほどの質疑でも、今回の法改正によって約二〇%の方のいわゆる社会復帰施設が必要である、それに対する裏づけとなる予算、施設は必ずしも十分でない。ここらのところが相矛盾するわけでありますけれども、精神障害者を地域社会で受け入れる条件整備、これを進めることなしに人権問題のみを考えて脱入院化を進めていくことは、地域社会に混乱を引き起こしたり、かえってそれがまた精神障害者の障害を悪化させる、このような悪循環にもなりかねないと思います。
 そういうふうな意味から、社会復帰対策というのは一遍にということはそれは無理なことはわかりますけれども、早急に充実していく必要があると思うんです。これは重複している部分ですけれども、改めて予算を含めて政府の計画的な案があるならばひとつ御発表願いたいと思います。
#73
○政府委員(仲村英一君) 六十三年度の概算要求について御説明をさせていただきますと、現在六十二年度でこの改正法案にあわせまして社会復帰施設に対します補助として新たに福祉ホームでございますとか適所授産施設等を加えておるというのが六十二年度の新しい部分でございますし、小規模作業所に対します助成につきましても今年度から新たに開始をしたわけでございますし、先ほど申し上げました精神衛生センター、保健所におきます精神保健対策関係予算の充実というのも図ってまいったわけでございますが、六十三年度におきましても引き続き今申し上げたような社会復帰施設の運営に対する補助を含めまして、財政当局に今要求を行っておるところでございます。
#74
○橋本孝一郎君 いずれも、その法案の規定が努力義務にとどまっておりまして、国の補助規定も予算の範囲内で、こういう予算補助であります。法律補助でない。これらの規定で精神障害者の社会復帰対策が早急に充実されるということはなかなか困難と思うわけですけれども、今後この点について改めるとか、そういう方向の見解があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#75
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、社会復帰促進のために我が国の現状としては必ずしも進んでおらなかったという御指摘も事実だと考えておりますし、今後このような法律改正をしていただきまして、さらに力を入れなくてはいけないということでございますが、義務規定としておらないのはなぜかというお尋ねに対しましては、やはり私どもとしても全国市町村津々浦々、その施設の利用者数から見て設置が義務化できるかというふうな問題でございますとか、社会福祉法人あるいは医療法人等の民間の活動の導入と申しますか、そういう点での整備が望ましいという点もあることから、私どもとしては一律的に義務づけなかったということで御理解いただきたいわけでございます。
 もちろん、予算の範囲内で、先ほど大臣からもお答えいただきましたけれども、私ども補助できるという規定にしてございますけれども、必要性は十分私どもとしても理解しておるつもりでございますので、できるだけの対応を財政的にもしてまいりたいということで考えております。
#76
○橋本孝一郎君 時間がありませんので、我が党のひとつ見解を申し上げておきたいと思いますけれども、今回の改正案では、これまでの目的規定、であった精神障害者等の医療と保護に加えて、社会復帰の促進という福祉の向上を新たに目的規定としておるわけであります。そして、今回の改正の柱の一つは、言うまでもなく患者の人権の保障であり、この部分についてはかなり前進した内容となっておると思います。
 だが、もう一つの柱であります目的として新たに入れられた社会復帰の促進は、残念ながら満足できる規定とは言えないと思います。しかし、それ自体重要な政策課題であるわけでありまして、精神障害者の福祉を精神衛生法の中に取り入れようとしたのが誤りではないのか。身体障害者福祉法と同様、単独の福祉法を制定すべきであると思います。
 我々民社党は、精神障害者の社会復帰、社会参加に関する国と地方の責務の明確化、社会復帰に関する業務を行う精神障害者福祉司の設置と職員養成の義務づけ、住居の保障、雇用の促進、社会復帰施設の整備、家族相談員の設置と家族会等の育成、在宅介護手当の支給、医療費の公費負担、精神障害者週間の設置、精神医療機関へのケースワーカーの設置などを内容とする精神障害者福祉法を制定すべきであると主張しております。今回の改正後の社会復帰に対する進展状況いかんによっては、このような単独法制定も検討していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。
#77
○国務大臣(斎藤十朗君) 今回の法改正が、人権擁護の一層の推進と社会復帰の推進ということを二つの大きな柱にいたしておるわけでありまして、この社会復帰の推進ということはこれまでの精神衛生法の考え方にはなかったことでありまして、すなわち精神障害者の福祉の向上ということを大きな眼目として改正をさしていただいておるわけであります。そういう意味も含めて法律の題名も精神保健法、こういうふうに改正をさしていただくわけでございますが、このような観点から今回の改正が福祉を大きく考え、取り込んでいくということになっておるということを御理解いただきたいと思います。
 精神障害者の皆様の福祉法というものが別途必要であるかどうかということについては、今後の法施行の状況等慎重に見きわめながら検討をいたすべきものであるというふうに考えております。
#78
○委員長(関口恵造君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#79
○委員長(関口恵造君) 次に、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を議題といたします。
 本案は、去る十六日、既に質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#80
○糸久八重子君 本案を議了するに当たり、日本社会党・護憲共同を代表して、本案に対する我が党の立場を要約して述べたいと思います。
 我が党は、これまでの審議の過程で政府案の矛盾や再編成計画のずさんな内容を徹底的に追及してまいりました。これらの点をここで繰り返すのではなく、社会党ならばこの問題にどう取り組んでいたかということを明らかにすることによって、本案件に反対の理由としたいと思います。
 まず第一に、国の直営事業、国民の共有財産については、いわゆる民間活力を望ましい方向に誘導するための最有力の手段として最大限活用する立場に立ちます。国立病院・療養所でいうならば、高齢化社会に対応できる病院のあり方、適正な医療を適正な医療費で供給する病院のあり方を率先して実践することによって、結果的には国家財政にも貢献するという方針を基本に据えるならば、国立病院・療養所総数二百三十九施設はむしろ少ないくらいだと言わなければなりません。
 第二に、国立病院・療養所の経営の効率化を図るに当たっては、地元自治体を初め利用者、住民を代表する人々の参加を求めることによって、各施設ごとに運営協議会もしくは運営モニターを組織する必要があります。政府・自民党は、民間活力といえば企業の活力のことしか念頭にないようですが、私たちはその企業をも支えている一般市民の力、いわゆる市民活力を基本に据えた改革を進めなければならないと考えているわけであります。
 第三に、国立病院だけでなく、国がその政策に直接協力を求めることのできる病院を政策協力病院として位置づけ、これを全体として再編整備する計画を策定すべきであります。
 例えば、国立大学附属病院、各省庁の直営病院、各種社会保険立の病院などを縦割り行政を乗り越
えて一元的に機能評価や経営分析をし、これら全体が国の政策を分担して推進する体制が必要であります。
 加えて第四に、各都道府県の地域医療計画の策定が完了するまで、現存の国立施設に大きな変更をもたらす措置は差し控えるということであります。厚生省は地域の実情に応じてとか地元関係者と十分協議してとか言われますが、これらが空文句にならないようにするための最低条件がこのことなのであります。
 最後に、僻地、離島などの施設は、すべて過疎地医療を担当する地域中核病院としての整備計画を立てることとし、国立病院特別会計の中でも僻地等担当病院勘定として区分することであります。
 以上、我が党の提案を交えた反対の理由を述べましたが、政府・自民党におかれてはこれら論点に理解あるところを示し、全国約三千の自治体の議会決議を初め国民世論にこたえる努力を尽くし、国立病院・療養所を支える現場職員並びに患者の皆さんに安心していただけるようにすることを強く要望し、私の反対討論を終わります。
#81
○田代由紀男君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に賛成の意を表するものであります。
 近年、我が国の医療を取り巻く環境は大きく変化してきており、公私医療機関の整備が進んだ結果、マクロ的に見れば、我が国の医療機関の量的な確保はほぼ達成されつつあると言えます。
 このような情勢の変化を踏まえ、国立病院・療養所については、今後、国立医療機関にふさわしい役割を積極的に果たしていくことが要請されており、そのためには、国立病院・療養所の再編成が必要であります。
 本案は、国立病院・療養所の再編成の円滑な実施を図るとともに、再編成に伴う地域の医療を引き続き確保するために、国立病院等の用に供されている資産の割引等の措置を講じようとするものであります。
 なお、再編成の実施に当たっては、政府は、自治体を初め地元関係者との十分な話し合いを行いながら、地域医療の確保に支障を来さないよう万全な配慮のもとに進めていくことが肝要であると考えております。
 この点について政府に強く要望し、私の賛成討論を終わります。
#82
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 本法案は、国立医療の重点を高度専門医療に移すと称して、国立病院・療養所を地域医療から撤退をさせ、二百五十三施設の約三分の一、七十四施設を統廃合または移譲、譲渡するという大規模な再編成を行おうとするものであります。
 今、国民が求めている国立医療のあるべき姿、これは身近にある国立医療機関が基本的、一般的医療と同時に、特殊、専門医療をともに担う総合的医療機能を持つことであります。
 ところが、今進められようとしている再編成は、離島、辺地等の医療過疎化を一層進め、地域住民の生命、健康を直接脅かすものとなっているのであります。国立だからこそ地域での医療供給が可能であったものを、財政状況から到底受け入れが困難だと言われている地方自治体にその経営を押しつけ、それが受け入れられなければ民間医療機関にたたき売ろうというのでは、医療への営利性導入を政府みずからが推し進め、医療の荒廃に一層手をかすものではありませんか。
 国立医療にふさわしい役割を発揮させるという上でも、長年にわたって医療スタッフ不足を当然視し、当たり前のことと見、地域住民と自治体の期待に十分こたえてこなかったこの政府の姿勢を何ら改めることなく、今になって国立らしい医療とか高度先駆的医療などといいましても、結局のところは資金計画もなければ医療スタッフを初めとした人員確保の計画もない。ただあるのは、統廃合と移譲という安売り、たたき売りだけではありませんか。
 さらに法案は、国民医療のために長年献身、努力をしてきた国立病院・療養所の職員の身分の保障については何ら触れられておりません。その上、審議の中では、将来にわたってこの職員の身分についての不安が広がるような無責任な対応が言われていることであります。
 今、国立病院・療養所の統廃合計画に対して、既に全国の九割を超す地方自治体で反対の決議、意見書が採択をされ、多くの国民が反対運動に立ち上がっておりますのも、国立医療に対する期待と信頼があったからこそではありませんか。こうした国民の意向を無視し強行するところにも、この再編成計画の反国民的な性格が示されているところであります。
 我が党は、国民の貴重な財産を安売りし、国民の生存権を脅かすようなこのような統廃合、移譲の計画と、これを推進するための本法案に強く反対をするとともに、国立医療に携わる公務員労働者が安心して働けるように、身分保障など、そして公務員労働者の基本的権利を守るためにも、また現在入院中の患者の皆さん方が安心して療養のできるためにも、全力を挙げて奮闘することを表明して、私の反対討論といたします。
#83
○委員長(関口恵造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#84
○委員長(関口恵造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
#85
○委員長(関口恵造君) 次に、精神衛生法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、先ほど既に質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 精神衛生法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#86
○委員長(関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 本岡君から発言を求められておりますので、これを許します。本岡君。
#87
○本岡昭次君 私は、ただいま可決されました精神衛生法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    精神衛生法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講すべきである。
 一、任意入院、応急入院等が導入されたことにかんがみ、これら制度の円滑な実施に努めるとともに、人権擁護に配慮した適正な精神医療の確保及び社会復帰の促進のための法改正であることを踏まえ、その趣旨に沿って適切な運用に配意すること。
 二、社会復帰施設の整備等社会復帰のための施策の一層の推進を図るととともに、地域精神保健医療の推進に努め、関係予算においても十分配慮すること。
 三、医師、精神科ソーシャル・ワーカー等の専門家の養成などマンパワーの充実に努めること。
 四、今回の改正の趣旨、今後の精神医療のあり方を踏まえ、診療報酬の面等において適切な配慮を行っていくこと。
 五、精神障害者に対する資格制限等について検計を行うとともに、社会における精神障害者に対する不当な差別・偏見を解消するために
  必要な努力を払うこと。
  右決議する。
 以上であります。
#88
○委員長(関口恵造君) ただいま本岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#89
○委員長(関口恵造君) 全会一致と認めます。よって、本岡君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、斎藤厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斎藤厚生大臣。
#90
○国務大臣(斎藤十朗君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
#91
○委員長(関口恵造君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(関口恵造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#93
○委員長(関口恵造君) 次に、請願の審査を行います。
 第一〇号重度身体障害者の無年金者救済に関する請願外七百八件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第六九号小規模障害者作業所等の助成に関する請願外五件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一〇号重度身体障害者の無年金者救済に関する請願外七百二件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(関口恵造君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(関口恵造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時一分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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