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1987/09/17 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 大蔵委員会 第7号
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1987/09/17 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第109回国会 大蔵委員会 第7号
昭和六十二年九月十七日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月十六日
    辞任         補欠選任
     秋山  肇君     野末 陳平君
  出席者は左のとおり。
    委員長         村上 正邦君
    理 事
                大浜 方栄君
                梶原  清君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                多田 省吾君
    委 員
                井上  裕君
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                中村 太郎君
                福田 幸弘君
                藤野 賢二君
                矢野俊比古君
                山本 富雄君
                志苫  裕君
                鈴木 和美君
                丸谷 金保君
                塩出 啓典君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                吉岡 吉典君
                栗林 卓司君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤井 孝男君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     角谷 正彦君
       大蔵大臣官房審
       議官       土居 信良君
       兼内閣審議官
       大蔵省主計局次
       長        斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局長  足立 和基君
       大蔵省理財局次
       長        藤田 弘志君
       大蔵省証券局長  藤田 恒郎君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       国税庁次長    日向  隆君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        保家 茂彰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○志苫裕君 最初にちょっとただしておきたいことがあります。
 この法案が審議入りした九月十日の委員会で、同僚委員が大手商社七社の法人税に関する質問に対して、国税当局はなぜか質問の焦点をそらして委員長に注意を促される一幕がありました。答弁をためらったのはなぜですか。
#4
○政府委員(日向隆君) 率直に申し上げますと、質問の予告をいただいておりました内容が、商社についての当該数字のお尋ねでございまして、そのくだりに実は議員との接触の過程で議員の方から九社についての数字で結構ですと、こういうふうな点がございましたものですから、私、決して委員の御質問をないがしろにしたわけではございませんで、十分拝聴しておったわけでございますけれども、そういうくだりがあったものでございますから、とりあえず主要商社九社の数字で申し上げようとしたところでございます。
 なお、付言いたしますと、その九社の数字、七社の数字も集計いたしますればわかる話でございますが、固有名詞を挙げられまして九社の数字をお尋ねになり、その次にまた固有名詞を挙げられまして七社の数字をお尋ねになりました場合、結果としてそれを差し引きますと、あとの二社、これは固有名詞がわかるわけでございますが、その数字が明らかになるわけでございまして、仮にそういうことを順次いたしますと、最終的には当該一社の数字が明らかになる場合もありまして、この点、私ども守秘義務の観点から御遠慮させていただきたい、こう思ったものでございますから、以上二つの理由を答弁に立ちました段階で瞬間的に感じまして、主要商社九社について答弁を始めたという次第でございます。
#5
○志苫裕君 率直に言って、あの場の雰囲気は不愉快でしたね。税制は国家の原点とも言うべきものでして、民主社会の成熟度を示すメルクマールだと言われています。今、税について国民的な論議が行われているのは、決してたかだか一人当たり数万円の減税のためだけではありません。税制民主主義のもとで、いかに国民がみずからの政府のために納得をして税金を負担するか、いわば納税民主主義といいますか、納税権を確立するためだ、私はそう心得えておるんです。そのためには歳入歳出にわたるガラス張りの信頼関係が不可欠の要件でありまして、個人のプライバシー以外に国税当局が秘匿すべきものは何もない。また、しばしば捕捉の困難を口にいたしておりますが、資料の不備は先進国の租税当局の恥だと思わなきゃいかぬですよ。みずからの怠慢だと心得るべきだ、私はそのように強く指摘をしたいと思うんですが、大臣いかがですか。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員の考えましたことは、ただいま志苫委員の言われましたプライバシーというものは、これは守らなければならないということでございましたようでありますが、ただいま御指摘の点は今後ともよく私ども留意をさせていただきます。
#7
○志苫裕君 少し政治責任の問題について若干伺いますが、法案の中のマル優廃止条項は、いわゆる関連法案は次の国会に出さないという政党間の約束に反する。あるいはまた、議長あっせんを見守ると言いながら、これだけなぜ抜き出したのだという問題をめぐって何回もやりとりが行われました。九月十六日の委員会の中断の後、委員長から、自民党と政府で協議して明確にするという趣旨の御発言がありましたが、この点はやっぱり政治責任の問題でありますし、法案の成否にかかわる問題ですから、私もただすものはただして、主張を述べておきます。
 私なりに大臣の答弁を要約すると、こういうことになっていますね。一つは、先国会では関連法案であったけれども、それが廃案になった。この法案は新しい法案なんだから関係がない、関連がない。二つ目、議長のあっせんの協議機関では一致しなかったが、所得税減税の実施には恒久財源が必要という合意事項に着目をした。三つ目、合意はなかったが、各党の責任者の協議結果、法案がスムーズに審議され、修正されたいきさつがある。以上三点に要約されていますが、確認求めていいですね。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだって以来、るる御説明を申し上げたところでございますが、今志苫委員の言われましたようなことが私の申し上げておることの中心でございます。
#9
○志苫裕君 私は、実はこの三点いずれも納得をできるものではありません。
 関連法案は次の国会に出さないという公党間の約束で、廃案になったからとか新しい法案だからという論理はすりかえでありまして、これは通用しません。関連法案は出さないというのが合意なり約束なんですから。
 二つ目は、しかし約束違反を免れる場合もある。それは、議長あっせんの協議機関で取り扱い協議が合意した、減税法案はそれに該当します。しかし、マル優は、あっせん案第三項にあります合意に基づいた措置をとるという事項に紛れもなく相反しています。
 三番目は、減税の実施には恒久財源が必要という合意事項は、直接マル優廃止を意味するものではない。恒久財源の選択はほかにもある。また、少額貯蓄の利子課税は当面の財源にもならず、大臣の言うとりあえず急ぐものにも該当しない。
 そして第四点、スムーズな審議と法案の修正が行われた背景を、各党の責任者の暗黙の了解があったものと受け取れるニュアンスの発言ですが、もしそうだとすれば、この協議は国民に背を向けた謀議になる。参加した者の責任は免れない。そうでなければ、大臣の一人合点、こういう論理になるじゃありませんか。
 特に最後のくだり、私は大臣の答弁を撤回された方がいいと思う。冷静な宮澤さんなんですが、あなたは答弁していることの意味がわかっていらっしゃらないのじゃないですか。質問者は、約束に反し合意のないものをなぜ出したのだということを問うているのですよ。いわば出したことの責めを問うているのに対して、あなたの最後のくだりは、出した後のことなんです。審議がスムーズとおっしゃるが、審議をとめるか、進めるかは全般的な国会対策上の判断であって、マル優に対する直接の判断を意味してはいません。とどのつまり、いろいろやりとりをしていると、マル優法案の取り扱いにはいささかつじつまの合わない、きのう中曽根さんの花道だという話もありましたけれども、後ろめたいものがあって、いささか答弁に窮しておる。どうもその辺が、この出した後の各党協議のくだりに話を結びつけておられるようだが、関係ないことです。いかがですかな。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 本件につきましては、せんだってからお尋ねが各委員からございまして、お答えをいたしておるのでございますけれども、私のお答えがどうもお気に入らない、ただいまのように、答弁に窮しておるではないかという御批判もございます。
 率直に申しますと、このことにつきまして、私が政府の立場でお答えをするのは幾つか難しい点がございます。
 一つは、ただいま志苫委員の言われましたように、この問題については、各政党間のいろいろなやりとり、接触がございました。それも主として衆議院の段階においてでございます。その政党間の接触について政府から説明せよと言われますことは、本来的にはなかなか難しいお尋ねでございまして、お尋ねでございますから私が見ておりますところ、知っておりますところを叙述しておりますけれども、事は政府の責任で行われたことでないものでございますから、私から有権的にこうこうだとお答えすることができない。できるだけ起こりましたことを客観的に御説明をいたしておるつもりでございます。
 事実問題といたしましては、議院内閣制でございますので、政府・与党というものは存在をいたしておりまして、その間に緊密な連絡があることはもう御承知のとおりでございますので、そういう立場からも御説明を申し上げておりますけれども、本来これは、先ほど志苫さんが言われました与野党間の国対委員長会談といったようなことでもわかりますように、法律的に言えば、これは政府が直接に関与をしているものではございません。政党間の接触であるということが一つございます。
 それから次に、事はほとんど衆議院の、実はすべてでございますが、段階で起こっておることでございますので、それを他の院に対しましてその御説明をするということは、実はこれも政府の本来の仕事ではない。起こりましたことを存じておりますままに御説明は申し上げておりますけれども、なぜ他の院がこういうことをしたかというようなお尋ねでありますと、それは政府は有権的にはお答えができないということは御理解をいただきたいと思うのでございます。
 したがいまして、この点をめぐりまして、せんだって以来のお尋ねに私が十分御納得をいけるお答えをいたしておりませんことは自分でもわかっておるのでございますけれども、私のお答えし得ることに限界がございまして、どうしてもそうならざるを得ないという点は御理解をいただきたいと思います。
 それを申し上げました上で、現実に起こりましたことは、繰り返すようでございますけれども、八月七日、八月二十六日と与野党の幹事長・書記長会談がございまして、その結果として衆議院がこれらの法案についての審議をお始めになったという、そのような事実があるということを申し上げる以外にないわけでございまして、なぜそうなったのかというようなことは、これは政府が有権的に申し上げることのできないことでございます。
 つまりそういう、これはまさに政治的な、政党間の何回かの接触を経て衆議院でそのような展開になった。と申しましても、各党、野党がこの法案に賛成をせられなかったことは、これはもう記録上はっきりしておりますが、同時にまた、そういう関連で四点について修正が行われたということも、これも明瞭でございます。
 その間の因果関係を説明をせよということになりますと、これは政党間の関連のことであり、かつ院で起こったことでございますから、政府がその間の因果関係を御説明することは、これは政府としてはできないことである。また、それをしようとすれば明らかに越権であると考えます。
#11
○志苫裕君 いみじくも、語るに落ちるという話があるんですが、因果関係を説明しようとして、法案提出後各党責任者の協議があり、その結果審議はスムーズに行われて法案が修正が行われたという事実をあなたは述べている。あなたから聞かなくてもそのことはわかっている。
 ここの焦点になっておりますのは、出さないと言った法案がなぜ出てきたのか、協議機関を見守ると言いながら、そこでまとまりもせぬものがなぜ出てきたのか、何でそれだけつまみ上げたのだということをあなたに尋ねている。出した後どのようなくだりがあったかということは聞いていない。
 だけれども、あなたは、とにかく衆議院ではこういういきさつがあって、修正もされてここまできたんだから、ここもそうは言わぬで御納得してくださいよということも言いたくて、法案を提出した後でいろんな接触があったことを何か入り口まで言って、合意はあったとは言わぬが、と言ってこのことをしばしば述べる。それは客観的に間接話法でいけば、暗黙の了解があったんですよと受けとめるのは当然なんだ、これは。私はその答弁は納得できない。了承ができない。
 これだけ大騒ぎになった法案で、国民注視の中で行われていることが、私は冒頭にガラス張りのことを言ったけれども、薄暗いところで話が行われるわけはない。私はそう確信をしておる。でありますから、この最後のくだりに関する答弁は取り消されるのが至当です。でなければ、そういう議事録を残したままこの法案の通過が行われることは絶対承認できない。これは委員長からも判断をしてもらいたい。いずれこれは政治責任に発展をする。そういう問題の種を本委員会の議事録に残すことはできない。私の主張です。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) そういうお答えを申し上げることになりましたのは、もともと志苫委員の御質問の発端が、五月何日の与野党国対委員長会談の合意というものから出発をしておられますので、国対委員長間の合意というものについて政府は有権的に解釈をする立場にはございませんけれども、国対委員長間の合意というのは、これは政治的な出来事でございます。厳密に申せば、法律、政治と分ければ、これは法律上の出来事ではなくて政治的な出来事である。国会は政党間で運営されるのでございますから、政治的な出来事で国会が動いていくことは少しも間違いのないことで、それは私はしかるべきことであると存じております。そういう政治的な、まず国対委員長間の接触から事が起こっておりますから、最終的に与野党幹事長会談にそれが発展していってこういうことになったということを申し上げませんと、このことのてんまつが明らかでない。
 初めから純粋に法律的なお尋ねでございますと、これは法律的にお答えをすることができるわけでございますけれども、事柄は最初から各党間の政治的な接触の中で起こっておるということを記録のために申し上げさせていただきたいと思います。
#13
○志苫裕君 だから宮澤さん、大蔵大臣ね、問題になっているのは、あなたのおっしゃる部分というのは、政府が無理やり約束違反で法案を出して、この一本の法案からマル優条項を外せと、マル優はだめだ、減税はやれというこの協議が、あなたの言う各党の責任者の話なんだ。こちらが言っておりますのは、前の廃案でポシャっちゃって後始末の話で、関連法案は出さないな、出しません、この話をしている。あなたの言いたいのは、前に次期はもう出しませんと言ったのが、終わった後でまた似たようなのが集まって相談をしているから何か関連があるようにおっしゃっているが、関連はない。あなたは言葉遣いは丁寧に発言しておられますが、間接話法と言うんです、そこまで言ってそこから先言わないのは。しかし、これは非常に不愉快だ。
 また、国民に背を向けたような謀議があったんであれば委員会どころじゃないですよ。それぞれの党が、場合によったら四人ここへ来てもらって事の理非曲直をたださぬといかぬですよ。そういうことを法案の正当性の説明に使われては我々はたまらない。委員長、私が示唆している意味はよくわかるでしょう。これは政治責任の問題です。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 私へのお尋ねはお答えをしたと思うんでございますけれども、委員長の御指名でございますので……。
 今志苫委員の言われました、この法案は、関連法案は出さないな、出しませんという話があった云々、それはいわば法律的な話し合いではなくって、政治的な党の間の話し合いでございますので、それがどのような政治的なプロセスを経ていったかということを私としては御説明をする必要があるので御説明を申し上げておるわけでありまして、これは法律的に政府の提案権とかなんとかいうことを冷たい言葉で申しましても、この場合適当なお答えではないんでございまして、実際上はそういうことで、これも他の院のことでございますけれども、事態の収拾が図られたと申しますか、そういう形で処理をされた。こういうふうに事実経過を私として御説明をさせていただいておると、こういうことでございます。
#15
○志苫裕君 委員長、どうも大蔵大臣と私のやりとりはこれ以上むだなようですね。私は発言の撤回が適当でございましょうと言ってある意味では忠告申し上げているつもりだけれども、このくだりは協議にかかわった者の政治責任にかかわってくる。議事録を起こして正確を期して取り扱いを協議してもらいたいですね。それが終わらないままの法案の処理には、答弁の言い逃げになっちゃいますから、これは了承できません。
#16
○委員長(村上正邦君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#17
○委員長(村上正邦君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午前十時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午前十時五十七分開会
#18
○委員長(村上正邦君) 再開いたします。
 ただいまの志苫君の質疑に対し、大蔵大臣の答弁を求めます。宮澤大蔵大臣。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどの志苫委員の御質疑に関しまして、今回の法案の提出につきまして公党間で暗黙の了解があったといったような印象を私があるいはお与えしたかと心配をいたしますが、そのようなことは実は政府として知り得ないところでございますので、もしそういうような印象をお与えいたしたとすれば、それは私の本意ではございません。御了承をお願いいたします。
#20
○志苫裕君 ただいまの御発言で、二日間にわたる大臣のこのくだりに関する答弁は御自分で打ち消されたものと、このように理解をいたします。
 次に参りますが、報道によりますと、大蔵省はこの法案にできることなら税制改革の展望を盛り込みたかったと、しかし国会対策上の政治判断などで差しとめられたという報道がありますが、何かこのくだりについてコメントがございますか。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) 前国会、通常国会に御提案いたしました税制改革につきましての抜本改革案でございますが、これが廃案となりましたので、その後のことをどうすべきかということは、当然政府としても重大な関心を持っていろいろ検討いたしておるところでございます。
   〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
しかし、何分にも前国会はああいう状況で国会の御意思が示されておりますので、将来像についてはやはりよほど慎重に考え、その上で御提案をいたさなければならないと考えましたので、今回は当面急を要しますいわば減税部分、所得税関連の減税部分等につきましてのみ御提案をいたした次第でございます。
#22
○志苫裕君 そこで、マル優問題については少し詳しくやりますが、なぜマル優をやめて一律分離にするのか、いろんな選択肢があるのになぜそんなことをするのかといういろいろ委員の質問に、どうも答弁も非論理的でもあるし、くるくると変わるし、また総理と大蔵大臣との間にニュアンスの違いもある。どちらかというと、大蔵大臣は制度論をお述べになるし、総理は不正利用論に力点を置くようだし、なかなか食い違っているなという感じもいたしますが、きのうもありましたけれども、どうも中曽根総理が標榜する戦後改革といいますか、とにもかくにも税制改革に手をつけたという評価だけは残したいというそれだけが何か焦りのように先行して、少しつじつまの合わぬものになっているという印象は免れません。おもしろおかしく言えば、ポスト中曽根をねらうニューリーダーに対する協力の踏み絵だとか、そういう論説も出回るぐらいで、税制問題が政局問題にすりかえられるということは、大変不謹慎で不愉快だ、こういう感じがいたします。
 今度は、大蔵大臣の宮澤さん、どうでしょうね。自民党総裁は即、日本の総理大臣になるんでして一党の中のコップのあらしたというように僕ら見ているわけにいかない。国民もそうだと思う。だとすれば、この際、ニューリーダーと称する候補者は、みずからの政権構想の中で国民的関心が強まっておる税制改革についておれはこうするという具体的なものでも提示になったらいかがでしょうか。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま私は大蔵大臣として務めをいたしておりますので、申し上げることは、政府の方針を申し上げておるわけでございます。
#24
○志苫裕君 私は、そういう総裁、総理たらん者はそのようなものを国民に提示する義務がある。我々は、もちろん自民党員でもないし野党だけれども、選ばれる者が一国の総理になるということになれば、それに注文をつける権利はある、このように主張だけは述べておきます。
 それで、税制改革の考え方を以下少しただしますが、この法案は「制度全般にわたる改革の必要性」の一環、なかなかややこしい日本語ですよね。「改革」の一環ではない、「必要性」の一環なんですが、そういう趣旨説明ですけれども、改革事項を見る限りでは、どんな租税理念なものやらさっぱりわかりません。
 税制は一つの体系的な制度として構想されるべきもので、全体像と個々の構成要素を切り離して論じられるものじゃないんじゃないか、このように思います。と言うと、宮澤大臣は、そのような抜本改革のことはある程度頭の中に置いて、とりあえず急ぐものとしてこの法案をまとめたんだという御答弁を本委員会でなさっておるんですが、その頭の中に置いているものというのは、あれでしょうか、例えば政府税調の抜本答申ないしはさきに廃案となった一連の税制法案、そういうものだというふうに見てもいいですか。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的に申し上げました方が誤解を生まないと思いますので、例えば個人所得税につきましては、いわゆる中堅サラリーマンに非常な重税感が強いという現実にかんがみまして、社会に出ましてから退職に至るまでのライフステージで、できるならば一つあるいは二つぐらいな累進の刻みにその間をとどめまして、いわば非常に間隔の幅の広い税率構造といたしますと、全体の税率の刻みも現在よりは非常に少なくなるということになろうかと存じますけれども、そういったようなこと。あるいは法人税につきまして、国際的に我が国の法人税は相当きつうございますので、それもそういう見地から見れば直しておいた方がいい。総じて直接税が企業意欲あるいは勤労意欲を阻害するに至っておると考えられる点をできるだけこの際将来に向かって直しておきたい、そういう構想を持っております。
#26
○志苫裕君 所得税では中堅サラリーマンの累増感、不均等感を何とかしたい、法人税は国際的な見地で見直すものは見直したい、直接税が勤労意欲を阻害しないようにしたい、相互にかかわり合うものですから、そういう意味のことは、今間接税には直接お触れになりませんでしたが、政府の税調答申にも触れられておりますが、私が主張しておきたいのは、この間出ましたものは廃案になったわけでして、議会制度における廃案という意味は、その限りにおいて国民の同意が得られなかったということです。ですから、当初案にこだわらないで合意点を探るというのが民主政治のありようでしょう。
 私は税調答申には評価すべき提言や指摘がたくさんあると思いますよ。しかし、それらのテーマを広く国民の論議に供さずに、戦後政治の総決算を急ぐ余りにやった拙速主義といいますか、あるいは頭数のおこりというか、そんなものが廃案にされた根拠じゃないかとこのように思いますが、その点はどうでしょうか。あなたの御判断は、前のものが廃案になった理由というか根拠といいますかね、それはどういうように考えますか。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり売上税をめぐって最も議論が沸騰いたしましたことについては、政府の考えておりました提案そのものが十分に国民的な理解を得ることができなかったという、一言にすればそこに尽きるわけでございますが、そのよって来るところは、やはりいろいろ私どもにも準備の不足があったし、時間一つをとりましても、国民各位にこの問題を十分検討していただく準備期間とでも申す時間は少のうございました。
   〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
また、結果といたしまして、国会の御議論にそれを期待していた点もございますけれども、国会ではそのような本件をめぐっての御議論の展開に至らなかったといったようなこと全部を含めまして、つまりこの法案につきましての国民的な理解を得ることができなかったということであろうと思っております。
#28
○志苫裕君 なぜその評価をあなたに求めたかというと、とりあえず急ぐべきものとして出しましたこの法案の焦点になっておるマル優の扱いにも似たところがある。先ほどもちょっと申しましたが、利子問題も私は制度面、執行面の両面にわたって問題はたくさんあると思いますよ。だけれども、利子課税の問題を資産課税全体の中でどう位置づけるのか、あるいは将来にどのような所得税制を構築するのか、ここのところを議論をしないままこのマル優制度だけを抜き出してきたものだ。これもまた前国会の税制法案と同じように拙速主義のそしりは免れない、こういう感じが強い。同じ過ちを二度犯すという感じが強いんでありまして、政治的にもあれほど大きい代償を払ったはずの教訓というのはどこへ行ったんだろう、こんな感じがいたしますが、大臣の所見はどうですか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来いろいろな政策目的からこの制度がかなり長いこと設けられておりましたが、それらの政策目的は今日既に従来ほど緊切ではない。といたしますと、本来資産所得である利子は他の所得と同じように課税を受けることが本来でありまして、ただ、今までの経緯もございますし、また従来の経緯の中から社会的に特別の考慮を必要とされる人々の利子所得については新しい制度としてこれを残すことが適当であろうと、こういう判断をいたしまして、そういう政府の判断におきまして御提案をいたしたわけであります。
#30
○志苫裕君 私が申し上げているのは、利子課税制度にはいろんな矛盾もある。だけれども、利子課税の問題をもう少し資産課税全体の中で位置づけをはっきりなさらないと、これから私は次の問題では勤労所得と資産所得をどうするか、どう構築するかというやりとりに移りたいと思うんですが、そこの感がないままにそれを抜き出して、今あなたがおっしゃることは何遍も聞いているんですよ、しかしそれは少し瑕疵があるじゃないか。素直にそう思いませんか。あなただって財政、税制の大家なんでしょう。こういういびつな論議を供すること自身いささか恐縮しているんじゃないですか。どうでしょうね。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたような理由で、本来利子所得というものは、これだけ大きな所得が所得税の課税対象になっていないということ自身がやはりこれは正常なことでないというふうに私は思っております。
#32
○志苫裕君 利子課税は少し後ほど念を入れてやります。
 私も、大臣、制度全般にわたる改革の必要性という限りにおいて異論はございません。むしろおくれておること自身が奇異だというふうに思いますが、しかし税制にはよって来た歴史もありますし、おのずから順序もあろうというふうに思います。
 先ほどもお話がありましたが、政府はサラリーマンの負担感を除くこと、あるいは直接税に偏った税制を是正すること、こういうことを優先をさせて所得税の累進性の緩和であるとか、あるいは前のときは消費全般にわたる課税とか、そういうものの導入に優先順位を与えてきたように見えるんですが、言うまでもないんですが、日本の税制のバックボーンにはすぐれた評価を持つシャウプ勧告がありまして、現行所得税法は資産性所得の担税力に着目をして、勤労軽課、資産重課という建前をとっておるんですが、それ以来たくさんのあの特例、この特例で資産性所得課税の侵食がどんどん行われまして、そして総合制が空洞化をして相対的に勤労重課という格好になってしまった。そうなってくるというと、ベースが狭くなりますから税収が少なくなる。そこで、税率の頭の方をもっと上げるようにするという悪循環を生んで今日までに来たといういきさつを考えますと、優先順位のある改革テーマというのは所得税の中の勤労性所得と資産性所得のバランスのとれた公平の仕組みを再建をするということに優先順位があるんじゃないんでしょうか、いかがですか。
#33
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のように所得、消費、資産この間にバランスのとれた税体系を構築することが今後求めらるべき税制の姿ではないかと思うわけでございます。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
そうした意味におきまして、御指摘のように今回勤労性所得につきまして、その中堅サラリーマンの重圧感の緩和のためにもろもろの施策を御提案申し上げておりますが、資産性所得なり資産につきましての課税のあり方につきましても税制調査会におきましては全般的に検討が行われたところでございまして、決して資産部分につきましておろそかにしておったということではないと考えておるわけでございます。
 ただ、資産に対する所得と申しますのは、これは資産の取得と保有、譲渡もろもろございますが、その中におきますところの保有の問題につきましては、これは資産がそのもの自体として常に収入を生むというものでもございませんので、定常的に資産に対しまして課税をお願いをするというのはなかなか限界があるように思われるわけでございまして、税制として、特に国の場合の税制、資産に対する課税のあり方としてはその譲渡につきましていろいろ検討が行われたところでございます。まだ不十分だという御指摘ももちろん私どもわかるわけでございますが、決して資産性所得、資産に対する課税のあり方につきまして怠っているつもりはない。国会での御議論等も踏まえながら今後とも十分検討してまいりたいと思うわけでございます。
#34
○志苫裕君 局長の答弁もしばしばそのことはお伺いしているんですが、特にサラリマーンの負担感を除くという、さもそれをみんな欲しがっているだろうというような言い方なんですが、そのことに私は異論はないんですよ。だけれども、その累進を緩和するというのは、もう一方に資産所得や事業所得の措置をそのままにしておいちゃだめなんです。こっちの方をきっちり押さえてきっちり課税をするという、これがないまんまその累進構造だけを問題にして縦のカーブを横に寝せていきますと、結局は資産課税の分がそっくり課税から免れるんですから、まさに正真正銘の不公平、金持ち優遇になる。
 私は税率構造の点でも少しやりますが、かつて五五%が八〇になり、今七〇にまで下がっておるわけですが、シャウプの考え方に立てはそれは五〇なり五五でも結構でしょう。しかし、それには前提があるんでして、資産性所得、特にこのキャピタルゲインについてはこの制度の精髄であると、こう述べておるんですが、そういうものがきっちり一カ所に集められてそれに課税されるという前提があってそれは初めて成り立つ。資産性所得についての課税のベースの侵食がどんどん行われ、事実上はもぬけの殻になっておって、それで中堅サラリーマンをだしにしてカーブを寝せることばっかり考えるというのは、逆の不公平の拡大だということを指摘しているんですが、その点はいかがですか。
#35
○政府委員(水野勝君) 今回利子課税につきまして御提案申し上げておりますのも、これまでのところでございますと十六兆円の利子所得が課税から外れておる。これはまさに資産性所得につきましての見直しの一環としてぜひお願いを申し上げておるところでございます。
 ただ、この利子所得だけがもちろん御指摘のように資産所得ではございませんので、そのほか有価証券の譲渡所得、土地の譲渡所得、こういったものにつきましてもそれぞれにつきまして検討をし、御提案申し上げておるところでございます。そうした点につきまして、例えば有価証券でございますと、それはたびたび申し上げておりますように、昭和二十八年に譲渡益としては非課税にする、原則は非課税にしつつその背後の担税力に着目して有価証券取引税をお願いをする。ある意味ではこれは一律分離課税的な課税でもあるわけでございまして、租税負担としてはかなりなものをお願いをしておるわけでございますが、それが一律分離、流通税としてお願いをしておりますので、譲渡益に対する適正な課税のあり方としてはいろいろ御批判があるところでございます。そうした点から有価証券取引につきましては譲渡益の面からも今回見直しを行い、その課税の範囲の拡大を御提案申し上げておるところでございます。
 利子所得につきましては、有価証券取引のように流通税としても御負担をお願いをしている部分が少ないわけでございますので、今回その十数兆円という全く課税から外れている利子所得につきまして、まさに資産性所得につきましての見直しの一環として改正をお願い申し上げているところでございます。
#36
○志苫裕君 いや、私が資産課税一般を取り上げると、だから今その資産課税のうちの貯蓄について手をつけましたとこ至言うんですが、私はそれは優先順位でないということをおいおいと実証いたしますが、率直に言って大金持ちが株や譲渡益を得ても非課税、そしてもう一方では同じ資産所得ではあるが、つめに火をともすような思いで集めた資産は真っ先に手をつけるというのがいかにも不公正で順序が間違っておって、税の信頼性に取り返しのつかない禍根が残るということをずっと各委員も述べておるんです。
 もう一つ資産課税に入る前に伺っておきたいんですが、しばしば広く浅く課税するということを税制改革の考え方で大臣もお述べになっているんですが、聞いているともっともだなという感じがするんですが、私は、皆さんは故意に問題をすりかえていると思う。シャウプ勧告でも、また先ほどのアメリカの税制改革でもそうですけれども、それは広く浅くという考え方は基本的には所得課税の範囲を広くとって税率を下げるという考え方によっておるものでして、ですから課税ベースを侵食する特別措置などを整理をして、そして簡素なものにしよう、公平なものにしようというのが広く浅くという概念なんです。ところが、皆さんの方はいつの間にか課税ベースの広い間接税を採用する理論にそれを持ち出してきておる。これは同工異曲でありまして、不公平を拡大して所得税のベースを逆にどんどん狭める、狭まっておるものを免罪符にして固定してしまうという役割を果たしてしまうと思うんです。こういう故意な広く浅くの援用は本当の意味で税制改革になりませんよ、これは。その点いかがですか。
#37
○政府委員(水野勝君) 現在のように所得水準が上昇をするとともに、外国と比べますとかなり平準化いたしております日本の社会におきましては、租税負担のお願いの仕方も広く浅くすることが公平を保つ一つの方向ではないかと思うわけでございます。その点につきましては、御指摘のように間接税の点につきましても言えるわけでございまして、日本の間接税が酒、たばこ、自動車、ガソリンといったものに非常に偏って、しかも高い御負担をお願いをしているという姿は間接税のあり方としても広く浅くお願いをするようなものが合理的ではないかと考えるわけでございますが、今回その点は御提案は申し上げておりませんが、直接税なり所得税の場合におきましてもこの広く浅くということは私ども一つの考え方として持っておるところでございます。
 累進税率を一〇・五%から七五%まで、そこまで際立ってカーブをきつくして再分配をするというよりは、ほとんどの方のサラリーマンにつきましては、日本のように流動的な社会でございますから、初任給をもらう人もいずれは中堅になり幹部になる、そういう繰り返しの中では同じように流動していくのでございますから、そんなにきつい累進でもって御負担をお願いをするということでなくて、一つ二つ三つぐらいの累進でいかがかということで今回もその一環としての累進税率のあり方をお願いをしているわけでございます。
 それからまた、御指摘の所得税の課税される範囲、この点につきましても、これはまさに御指摘のとおりでございます。したがいまして利子所得につきましては、繰り返しでございますが、十数兆円のものにつきまして今回課税をお願いをしておるところでございます。
 土地の問題につきましてもこれはいろいろな政策的要請からかなりの部分が課税から外れているという部分がございます。この点につきましても少しずつ見直しを行い、課税範囲の拡大をお願いをしておるところでございます。
 有価証券譲渡益につきましては、たびたび申し上げておるところでございますが、現在の原則非課税、継続的取引課税という基準の中でその課税範囲の拡大を図っているところでございます。基本的な課税の方式につきましては今後なおよく研究をすべき課題であると心得ております。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
 したがいまして、広く薄くは必ずしも間接税の世界だけでなくて、直接税なり所得税の世界の中におきましても、私どもとしてひとつその方向でのいろいろな検討をさしていただき、またその中で今回御提案を申し上げているところでございます。
#38
○志苫裕君 それはあなた一つ聞くといろんなことをお答えになるが、私の主張しているのは、いわゆるサラリーマンに藉口をして資産所得その他の所得の課税ベースがうんと狭くなってその部分は見逃されておる、その結果を見て上下の差がなくなったから平らにしましょう、均等に税金を持ちましょうという論理は大事なところを見逃しておるということを指摘をしておるんです。
 資産課税に入る前に一つだけちょっとお伺いしますが、今資産所得を優遇しておるというか、特別の面倒を見ておるというものにはどんなものがありますか。どれだけ勤労所得と比べると優遇されていますか。簡単に述べてください。
#39
○政府委員(水野勝君) この点も再々申し上げでございますが、一つは利子所得でございまして、現在の非課税制度がございます。その中には財形貯蓄あり、それからまた普通の利子所得の申告不要制度等もあります。これが一つ利子所得の範囲。それから、配当所得につきましては源泉分離課税がございますし、少額配当の申告不要制度といったものがございます。譲渡所得につきましては、先ほど申し上げましたように、もろもろの政策から特別控除三千万から百万円までございます。こうしたものの特別控除の適用。買いかえの特例によりますところの課税の繰り延べ、こういったものも土地に関する資産所得の特例であろうかと思います。そのほかは、よく言われます有価証券につきましての譲渡益課税、原則非課税という方式は、これは資産所得の特例であろうかと思います。
#40
○志苫裕君 一つ例を挙げて聞きますが、わかりやすく一千万といきましょうか。給与所得で一千万を得た人、利子所得で一千万はちょっとでかいかなこれ、まあ物は例えですから、利子所得で一千万を得た人、配当所得で一千万を得た人、譲渡所得で一千万を得た人の税額は幾らになりますか。
#41
○政府委員(水野勝君) 所得税、勤労所得につきましては今回まさに御提案を申し上げているところでございまして、現在申し上げております課税方式、御提案しております今回の改正のあれによりますれば、所得税、住民税を合わせまして、現在は一千万ございますと百八十万でございますが、今回の御提案申し上げておりますものによりましてこれが……
#42
○志苫裕君 改正後で言ってもらって結構です。改正した後。
#43
○政府委員(水野勝君) 百六十八万円と相なります。
 利子所得につきまして、利子所得一千万、今回御提案申し上げているのでは、六十五歳より若い方の場合はこれは二〇%になりますから二百万円と相なろうかと思います。
 配当につきましては、この方が三五%の源泉選択を御利用になれば三百五十万の所得税負担となろうかと思うわけでございます。
 土地の譲渡所得といたしましては、これは現在普通の譲渡益でしかも長期譲渡所得でございますと二〇%の分離課税、このほかに六%の住民税がございますが、所得税といたしましては二〇%の分離課税で二百万円ということになろうかと思います。
 それから有価証券の譲渡益でございましたら、この方が継続的取引でございませんでしたら原則非課税、継続的取引に該当すれば普通の所得課税が行われるということでございます。
#44
○志苫裕君 ちょっと違うんじゃないですか。あなた配当所得を分離だけで言いましたね。これ総合にすると七十三万にしかならぬでしょう。譲渡所得は百四十六万にしかならぬでしょう。私は一千万を言いましたが。ここを境に給与所得よりも利子所得、配当所得、譲渡所得が段違いに安くなるんですよ。これは時間がありませんから、こういう不公正がありますので、ここのところをほったらかしておいて、先ほど言ったサラリーマンに藉口しては困るということを強く指摘しておきたいんです。
 そこで資産課税ですけれども、ちょっとこれは大蔵大臣、資産といっても金持ちは、金持ちといってもどの程度を金持ちと言うのか、これがよく問題になるんですが、大蔵大臣の認識では、現代の資産家と言われるものはどの程度の規模のものを考えていますか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論として考えたことはございません。どういう前後の続きにおいて資産家と言われるかによって異なると思います。
#46
○志苫裕君 水野局長、日本で俗に大金持ちとか大資産家と言われる人はどれぐらいのものでしょう。
#47
○政府委員(水野勝君) 突然のお尋ねでございますので、難しい問題でございます。
 資産課税としては相続税というのがございますが、これは四千万円を課税最低限といたしております。経常的な財産課税というのがございませんので、税務統計上は保有財産につきましての統計は国税統計としてはちょっとございませんのでお許しをいただきたいと思います。
#48
○志苫裕君 我々は貧乏人だから、我々の親戚筋でちょっと金のあるやつを資産家がな、金持ちかなと思ったらどうもそうでないらしいんですね。びっくりするようなやつが世の中たくさんいて、これから余り税金取られてないということを少し把握した方がいいと思うんです。
 これは念のために、日経ベンチャーというのがありますね、それが実施した昭和六十二年版「日本の資産家」調査というのによりますと、六十二年六月末で個人資産が百億円を超える資産家が一五%もふえて百五十四人に達した。何か日本とアメリカじゃ資産の勘定の仕方が違うらしくて、日本の場合には、アメリカの場合は法人が持っておる株の個人の支配権というふうなものを換算をするんだそうですが、そういたしますと日本のある鉄道会社の社長さんは三兆一千五百億円の資産だそうですね。アメリカのウォルトンという人がアメリカの一番の金持ちだそうですが、これは四十五億ドル、百五十円で換算いたしますと六千七百五十億円。何と日本の資産家はアメリカの四。七倍に当たるんですね。これはびっくりしちゃったね、本当に。まあ今日上場ブームあるいは地価の高騰というようなものが背景にあるということはだれでも容易に想像づくんですが、一体税金が高いと言われる日本でなぜこのような資産の蓄積が行われると思いますか。
#49
○政府委員(水野勝君) 税制上といたしましては、土地でございましたならば個人でございますと土地の譲渡益には課税はされるわけでございますし、勤労性所得でございましたならばそれは七〇%までの課税は行われるところでございます。したがいまして、稼得されあるいは実現された所得でふえていくという分につきましては必ず課税はお願いをしているわけでございます。ただ、土地なり何なりが、それが時価が上昇して評価額としてはそれだけのものになっている、大きな財産になっているという場合におきましては、そこは未実現でございますと課税としてはお願いをできないところでございますので、地価の上昇等を反映してその保有の土地を評価されれば何億というようなお金持ちと申しますか資産家ができておることは、これは否定できないところだと思います。
#50
○志苫裕君 局長も余り金持ちじゃないんで何億ですが、何兆の話を私はしているんです。何兆の話です。
 まあ、あなた方の口からは言いにくいんでしょうが、結局資産所得に対する優遇や目こぼしがあるからですよ。でなかったら、何でこんなにたまりますか。ですから、ここ二日間の委員会でもこの資産所得に対してひとつ蛮勇でも振るうかという議論が随分熱心に出ているわけです。まあこれだけため込むとなると、うらやましいなんて話じゃないんだな。日本の税制何しているという話です、本当に言って。こういうことになるわけで、もちろんこの膨大な資産の形成、蓄積に寄与しているのは、法人税その他もありましょうが、やはり最大のものはキャピタルゲインだというふうに思うわけでして、しかもキャピタルゲインが個人所得に占めるウエートというのも随分大きいんで、課税のあり方というのは租税政策上まさに喫緊で最重要な問題だというふうに思います。一体今キャピタルゲイン、所有資産の増加益とこう言うのですが、どれぐらいあるものだろうか。
 それで局長は、口を開けばすぐ十数兆円の貯金の話ばかりするが、十数兆円なんていうものじゃない、でかい山があなたの隣にちゃんとあるんじゃないかという感じがするんですね。一体このキャピタルゲインの大きさと、みんなが持っているわけじゃないんで、ないやつとあるやつがおるんですから、どういう分布になっているだろうかということを何か推計できる資料をお持ちですか。簡単に答えてください。
#51
○政府委員(水野勝君) 例えば株式でございますと時価総額というものがございます。しかし、これはほとんど現在は四分の三ぐらいが法人が持っておられる。そうすると残りが個人という場合に、それがどのように分布しているかにつきまして直ちに今そうした数字を具体的には持ち合わせておりませんが、大ざっぱな感じでは四分の一ぐらいが個人というふうに聞いておるところでございます。
#52
○志苫裕君 私も少し勉強したんだけれども、大体土地と有価証券ですよね。有価証券というと株と公社債というふうに二つぐらいに限定しておきますか。土地、株式、公社債についてそれぞれ、今個人分ですよ、法人分は別のあれですから法人分はちょっと別にしまして、個人分で大体時価総額でどれぐらいだろうか、株や公社債については時価だけではなくて売買高になるんですが、売買代金の総額はどれぐらいなものだろうかということを簡単に土地は幾ら、株は幾ら、公社債は幾らというふうにお答えできますか。
#53
○政府委員(藤田恒郎君) 私どもの所管しております株式、公社債について申し上げますと、まず時価総額でございますが、株式の個人が保有している時価総額は、六十二年三月末現在において七十一兆円でございます。公社債につきましては、私ども個人が幾ら保有しているかという統計は持ち合わせておりません。
 それから、お尋ねの売買高でございますが、個人の売買高、株式、公社債について六十一年度の数字を申し上げますと、六十一年度で株式の個人の売買高が百九兆円、公社債の個人の売買高は十兆円でございます。
#54
○政府委員(土居信良君) お尋ねの民有地の話でございますけれども、大蔵省としては特に把握しておりませんが、経済企画庁の国民経済計算年報、六十年末現在のものによりますと、全国で家計部門が六百七十二兆円ということになっております。
#55
○志苫裕君 細かいやりとりはやりませんが、念のために、NIRAという研究機関がございますね。そこでレポートを出しておりまして、これによるとキャピタルゲインの算出の仕方が載っています。このレポートで私なりの計算を立ててみますと、土地についてのキャピタルゲインは、六十年で三十八兆円ぐらいになるようですね。水野さん、十数兆円じゃないんですよ、三十八兆円ですよ。株式のキャピタルゲインも十兆円ぐらいになるようです。公社債の方はちょっとわかりにくいですけれども、先ほどお話がありましたように、公社債の個人の分をおわかりにならないと言ったけれども、そんなことないでしょう。個人分の発表も出ておりまして、六十年の公社債売買高で二千五百九十三兆円のうち個人分は国債一一%以下全部累積をしてまいりますと一六・三五%が個人分でありますから、個人分は四百二十四兆になりますね。これが六十一年になりますと四百五十五兆円ですか。だから随分でかいものです。ですから、皆さんの方も資料を持とうと思えば持てるんでしょうが、随分でかいものだということがおわかりじゃないかと思うんです。ですからあとは、昨日来いろいろとこの資産の課税は、主張を述べれば、財源の規模はでかいし、公平の課題にかなうし、あの特例措置この特例措置と言わないで全額課税を建前にすれば簡素化の課題にもかなうし、悪いところ一つもなしなんですね。要は、どうやって捕捉してどのような課税をするかということにかかるんです。
 これは非常に残念なのは、大蔵大臣がそういうキャピタルゲインの非課税に関するやりとりの中で、正直に申告した者だけが課税されるのは不公平だから、申告しない者は逃げちゃうわけだから、だから原則みんな非課税という論理を述べておるんですが、これはあべこべですよ。不正直なやつに正当性を与えていくというのは本末転倒の話なんでして、不公正なやつは罰するというのを建前にしませんと税制はできませんよね。いや応なしにこれは、とかくの議論はあるけれども、番号制のようなものに行き着かざるを得ない。何遍も出しては失敗したといういきさつがあるけれども、税への関心がこれほど高まって、公平という問題についての理解も行き渡ってくると、あつものに懲りてなますを吹くようなことは言っておれない。
 局長、あなたのこの間の答弁では、国民の理解が得られるだろうかというようなことを言っていましたが、そういうことは国会がやりますから、あなたはそこは心配せぬでもいいということです。これはやっぱり数日来の議論を踏まえて踏ん切るべきだ。全面捕捉、全額課税ということをどんなことがあってもやり切るべきだ。それが今の最優先課題であって、つめに火をともすような思いでためた貯金あたりに日なんか向けておるときじゃないということを私はこの問題では強く主張をしたい。この点は再度ひとつ確認を求めます、大臣も局長も。
#56
○政府委員(水野勝君) 先ほど株式で十兆円というお示しがございました。これが時価総額の上昇分でございますか、あるいは現実に売却して実現したものでございますか、そこらのあたりが私どもよく調べて……
#57
○志苫裕君 いや、それは増加益。
#58
○政府委員(水野勝君) 増加益でございますですね。そこらの点につきましては、その売却して実現した部分につきましてお願いをするとすると、これがどのような数字になるかはまだよく検討をしてみる必要があるわけでございます。
 一方、有価証券の取引、株式の売買につきましては、必ずその一定割合を有価証券取引税としてお願いをいたしておるのがこれが一兆四千億円ございます。ですから、現在はその方式でもって実質的に昭和二十八年以来対処されておるところでございますが、それではなかなか世の中の御理解が得られない。この点はもう再々私どもも御指摘を受け、少なくとも現時点までは課税範囲の拡大に努力をしてまいっておるところでございますが、基本的に、原則課税というところまで踏み切るには、なお実質的に公平が保てるかどうかにつきましての見きわめはまだ私ども残念ながらついていないところでございます。この点につきましては、当委員会におきましても再々の御指摘でございますから、早急に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
#59
○志苫裕君 局長、どうもそこのところがいま一つだめなんだが、執行上の問題なの、制度上の問題として見きわめがつかない、どっちなの。
#60
○政府委員(水野勝君) やはり毎日何億株という動きがあるわけでございますから、執行にすべてを期待することは限界があろうかと思います。この売買取引につきましての資料が制度的に税務当局に集められる、そういう制度的な執行上の対処がなくてはやはり無理ではないかという感じがいたします。
#61
○志苫裕君 いや、その点は有取税でもそうですが、売上代金に対して売り主が負担しているんですね。証券会社が源泉徴収する信用取引には、私が見せてもらったら、こんな御丁寧ないろんな様式の書類も出ますよね。これで納めるんだからこの段階で把握をして、それから後で申告されればよいというとりあえずの便法もあるし、そのほか抜本的な方法もありましょうけれどもね。
 いずれにしても、これはきのう以来しばしば述べておるんですが、大英断をしてやってもらう。しかし、それがしばらく時間がかかるというのであれば、いついつまでにやるというふうな仕掛けをつくって、それまでの間、先ほど言いましたように、資産課税は捕捉されないでどんどん逃げておる、勤労性課税だけは税率を余分に背負って、それで改革をするということになりますと、逃げたら逃げっ放しになっていますから、いわば限界税率の上に暫定税率をつくって、キャピタルゲインで逃げている分の相当分だとか、あるいは富裕税という考え方を持たせるとかというようなもので、暫定的な対応をするお考えがないかどうか、これが一つ。それから、二十八年以降とまっておる資産再評価をこの際ひとつおやりになる気はないかどうか、この点はいかがですか。
#62
○政府委員(水野勝君) 有価証券譲渡益課税につきましては、今後なおよく十分研究をいたしたいということでございます。今回、有価証券取引税の税率を、株式を万分の五十五を五十にする御提案を申し上げておるところでございますが、この点につきましては、今回お出ししている案におきましては、この実施を二年間当面先に延ばすということにいたしておるところでございます。そうした期間の中におきましても、御指摘のような研究を極力早い時期に行いたいと考えるところでございます。
 それから、富裕税につきましては、税制調査会でもしばしば議論をされておるところでございますが、この点もまた有価証券譲渡益と同じような議論を申し上げて恐縮でございますが、一般的に常時資産の保有に対して課税をするというときには、やはり問題となりますのは、公平にこれを把握して的確に課税できるかどうか。これは把握体制の問題が絡んでくるわけでございまして、こうなりますと、今度はあらゆる個人の資産につきまして自動的にその把握が行われるような資料収集体制が確立される必要があるわけですが、そこまで現在社会の合意が得られるかどうかという点につきましては大きな問題でございますので、税制調査会としても、常に検討課題には取り上げながら、なかなか直ちに現実性を帯びるものとしては考えてきていないところでございますが、今後の検討課題の一つではあろうと思うわけでございます。
 再評価につきましては、戦後の極めて著しい物価の変動の中におきまして昭和二十五年のシャウプ勧告によりまして行ったところでございます。その後の物価上昇等につきましては、まだその時点までの変動があると見得る段階まで来ているのかどうかという点につきましてはなお検討を要するところでございますし、またあの当時は再評価税を六%としていただきました。六%をいただいちゃうと、それでもってもう譲渡益課税が終わってしまいますので、現時点でそうしたことで対処してしまうのがいいかどうかというまた別の問題もあろうかと思います。まだちょっと現実的にこの目先の問題として取り上げるにはややまだそこまでコンセンサスは得られてないところでございます。
#63
○志苫裕君 あなた、そこに三日も四日も立って答弁しておるが、できますということは一つもないな。たまにはやってみようかということぐらい言いなさいよ。
 ともあれ資産課税問題、言うまでもないんですが、少々所得の捕捉に無理なところがあっても、まあみんな使ってしまわない限りこれは残りが必ず資産になるんでしてね、まさかその資産を持ってあの世へ行くわけにいかぬので、これは相続になるわけです。
   〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
ですから、資産課税と出口である相続のところできちっと適正に課税をすれば、長いスパンで見れば公平は保たれるわけですね。再配分も可能になるわけです。それが不適切だというと偏った富の蓄積が行われて再配分も行われず、不公平がなお拡大するということになってくるので、これはやっぱり一番出口で大事なところですから、本来であれば増加益は毎年調べて課税すればいいんですよ。未実現な利益だと言うが、もしみんな売り買いしたときにかけるんだったら利子税かけて、これは利子の繰り延べみたいなものですから、毎年納める税金を勘弁してもらっているんだから利子にすればいいという、全額課税でひとつこれはどうしても努力をしてもらいたい。
 この項はこれでおしまいにしますが、とにかく大蔵大臣、金が余ってぐるぐる回っておるというんですよ、私のところはちっとも回ってこないが。この金余りを吸い上げる方法はないものでしょうかね、あるいは公債か増税かという二つになっちゃうわけですけれども、これは選択の問題ですけれども、その選釈の問題については問いませんが、あるいはまた海外に出回っておると、こういううなってその辺に回っておるこの金を臨時賦課税のようなものでいただく方法はないものでしょうか、大蔵大臣いかがですか。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから富裕税、資産再評価税等々についてお話がありまして、これは両方ともシャウプ勧告以後いたしました。両方とも余り成功でありませんでした。というのは、やはり富裕税の場合には目につくもの、当時でありますと家でございますけれども、土地もちょっとありましたが、そういうものにほとんど課税が集中してしまった。それ以外の財産を捕捉できなかったということであったと思うんでございますけれども、といったようなことから、どうも私は資産課税というのは、結局やっぱりおっしゃいますように、相続税のところで課税するのが本当であって、固定資産税とか特別富裕税とかというようなもの、それはつまりいわば所得として実現いたしませんでも課税できる範囲の課税しかできないというのは私は本当だろうと思います、ですから、そういう意味で志苫委員のやはり物の考え方、経済政策といいますか、社会政策といいますか、ということに関連しているんだと思いますけれども、余り大きな資産課税というものをリアライズしない、実現しない資産に課税いたしますと、担税力という問題も出てまいります。どうも私はやはり相続税が本当ではないかというふうに押しなべて考えておりまして、この金余りはどうかできないか、それはやはり本来であれば国内にそれだけの設備投資があり、住宅投資があり、あるいは社会資本に使われるというのが私は本来ではないかと思います。
#65
○志苫裕君 じゃ、マル優に入りますが、このマル優の廃止あるいは政府のあれで言いますと非課税貯蓄制度の改正というやつですが、論議は出尽くした感はあります。既に私ももう述べましたように、資産課税全体の中でこれをどう位置づけるのかということが決まっていませんもので、どうも答弁に説得力は出ない。また、当面の財源規模から言っても、とりあえず急ぐべきものにも当たらない。しばしば答弁をしておるように、いささか苦し紛れの答弁だけれども、総合課税を原則としてそれを志向するんだというのが本音であれば、一時的とはいえ分離を原則とするということは、いかに事態を混乱をさせてこの総合課税への移行をより複雑困難にするかということは一目瞭然ですよ。きのう和田委員とのやりとりでも、五年後の見直しに関していろんな話があって、もっと縮まらぬかというときに、いやこれは一律分離がトップ層で原則ということになれば、コンピューターに入れるも、あれするもこれするも、それなりのコストもかかる。したがって、ある程度の安定性も要ると。これは語るに落ちるで、そういうふうな制度に一遍入ると本則に戻りにくくなるんですよ。そこのをころを和田委員も御指摘になったようだけれども、これは話はあべこべじゃないかな。むしろ若干の問題は残っておるが、大急ぎで原則課税を志向してそれに向かって準備を急ぐということの方がいわば本筋に移行する方も容易ですよ。そのようにお考えになりませんかな、この点いかがです。
   〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
#66
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税の見直しに当たりましては、郵便局にも新しく源泉徴収をお願いをする。それから、従来は課税が行われておりませんでした地方公共団体におきましてもこれを源泉徴収をして対処をさせていただくということになっておるわけでございます。二そういうことからいたしまして、一億人の預金者、また十億口に上る預金口座を対象といたしまして新しく制度を発足いたします際には、とにかくあくまで効率的でありお手数をかけない簡素でかつまた中立的である必要があるわけでございます。これを全部総合ですと言い切って、とにかくその厳正な実施を行いますとなりますと、課税当局も大変でございますし、また預金者も実際にどのように対処しておれば、それが適正であるとされて対処され処理されるのか、そこら辺につきましてのかなりな動揺と不安感が生ずるのではないかと思うわけでございます。極めて大量また浮動性の多いこういう金融資産につきまして新しく制度を始めさしていただきますときには、今回は一律分離課税ということでもって対処をいたしますことが効率の原則にかない、また実質的に公平の原則に沿うものになるのではないかというのが税制調査会の答申の考え方でございました。
#67
○志苫裕君 水野さん、あなたそう言うんであれば、この間当委員会に小倉税調会長も参考人としておいでになってこの問題のやりとりで会長は、マル優の政策目的は達しましたということを前提にしながらも、その取り扱いは各論まちまちでまとまらなかったんだ、甲案、乙案、丙案がありましてまとまらなかったんだと、それを何だか自民党がやっつけ仕事かどうかしらぬが一律二〇%にしたんで、そうかまあそれはしょうがないだろうという程度のまとまりなんだというお話なんだな。ともあれ、今まで出尽くしているのを言ってこれが果たして公平にかなうかとかいろんな議論はこの際私はいたしません、もう同じことばっかりでありますから。しかし申し上げておけば、私が先ほど来述べた資産性所得も全部含めていずれその原則に戻る、すべての所得を残らず調べて一カ所に集めてこれに一定の累進で課税をするというこの原則に戻ろうというんですから、いやこんなものはやめたんだと言うのならこれはまた別だ。本則はちゃんと残っておってそれを何年か後に施行しようというのであればそれはあなたの今のは答弁にならない。郵便局に行くとか役場に行くというようなことを言っているけれども、開けばいいんだというようなね、そういう感じがするんです。
 とにかくいろいろ言うけれども、なるほどというものがないんだわ。なるほどというものがない。いみじくも大臣は九月十六日、きのうの委員会では所得税法に手をつけるのであればその一部としてこれを取り込んだまでだと。その心は目の前に十数兆円の宝の山があることへの関心だけなんです。そうでしょう。有名な登山家の言葉に、そこに山があるから登る、というのがありますがね、大蔵省も衝動的に山に登るようにしているんだ。そうでしょう。しかし、私に言わせれば税制の方向がわかってないんだから必ず遭難しますよ、これは。この際、登山はやめることですな。これは当該条項の削除が相当ですよ。突っ張ってないでそのようにしたらどうですか。
#68
○政府委員(水野勝君) お話しのように、昨年の税制調査会におきましては四つの案が取りまとめられたところでございます。全くの総合課税、低率分離、それから申告不要制度つきの課税、それから一律分離といったものがまとめられまして、その四つの案をめぐりまして、いろいろ税制調査会の内部でも議論がされ、それからまたその調査会の四つの考え方を受けまして私ども関係各方面と折衝し、議論をしたところでございまして、やはり課税当局、それから預金者もろもろの関係者の御感触を得て、今回は一律分離課税でもって出発をさせていただくのが現実に公正をむしろ確保できる方策であるというふうに判断して御提案を申し上げたところでございます。
#69
○志苫裕君 きのうの委員会で鈴木委員から百歩譲ってという話が出ましたが、私も百歩譲っても、それぞれの委員からさまざまな提言、工夫がそれぞれ相次いで出ておるんですね、その六十から六十五歳までの問題を私もちょっと取り上げますが、水野局長ね、あなたは六十から六十五歳までの間の問題に、冷たいようで申しわけないが再就職で頑張ってよと、こう言っているわけだね。あなた方除いちゃうと三千億円損しますからと、こういう話でしょう、ここは。だけれども、稼得能力に着目をして六十五歳以上を非課税という趣旨なら、六十から六十五歳の間にもその論理を当てはめてもそう矛盾は出ない。この間には稼得能力を失った者、まだ稼得能力の続いている者が混在をしておるんで、いわゆる退職をしてから六十五歳までのこの間はなだらかな移行期間と考ればそんなに制度的な不整合はない、私はそう思いますよ。ですから、それに至る移行期間というふうにして位置づければ、例えば軽減税率を設けるとか、あるいはまた低所得者に丸谷委員が選択的一律分離課税をひとつどうだと聞きましたが、所得はもう少ないわけですからね、でも幾らがある。大蔵省から天下りするような人は随分金は高いけれども、そうでない人は大体昔働いておった額をちょっと下回るところを保障するために、第二の職場があっても、年金プラスそこでもらう金でもとのよりもちょっと下がった程度、それも二、三年というふうな慣行は気のきいたところではあるようですが、そういうことを考えると、この間はやっぱりそのようななだらかな移行期間としての措置を設けても不思議じゃない。私は皆さんが言っているその論理には不賛成ですよ。だけれども、皆さんの論理に従って稼得能力のない者に着目をして、一定年齢以上の者の非課税措置というものの制度の合理性があるならこの間に移行期間を設けたってちっとも不整合じゃない。方法には幾つかありましょう。この点はどうですか、考え直しませんか。
#70
○政府委員(水野勝君) 御指摘のような問題の指摘も私ども受けまして、いろいろ年齢階層別にその収入状況、就職状況、それから資産蓄積状況等等をいろいろ検討をさしていただいたところでございます。確かに、御指摘のように五十歳までの年齢層と六十五歳からの年齢層とでは収入や就労状況等々は違い、その中におきまして六十歳から六十四歳の年代というのはまさに一つの移行時期であるということは、もろもろのデータから御指摘のようにあらわれておるわけでございますが、六十歳から六十四歳のその実情をつぶさにいろいい拝見しますと、やはりまだかなりお元気で職につかれておるという意味では、むしろ六十五歳以上の世代よりは現役世代の方にもろもろのデータから見ると近い。その割に、収入の割に資産の蓄積状況は割合高い。一方、その支出の内容を見ますと、教養娯楽費でございますとか交際費とかそういう支出のウエートがその下の世代よりは大きく、もちろん教育とかそういったものは少なくなっている。
 そうしたことをもろもろ拝見さしていただきますと、こういうデータからはまだお元気な方の世代にむしろ属していただいた方が自然かという気がするわけでございまして、そこらを割り切らしていただいて御提案申し上げているところでございます。
#71
○志苫裕君 あなたは依然として再就職で頑張ってよという主張なんですが、例えば老年者控除にも二十五万と五十万という関係があるでしょう。あなた方がつくっている仕掛けの中にも六十五歳以上になったら五十万で、それ以下だったら二十五万というのがあるじゃないの。これは同じ考え方ですよ、できぬことはないですよ。そんなこと言っていると、あなた再就職できると限らぬのですよ。この点は特になお審議も続くことですから強く主張をして、きのう鈴木委員は頭の中に入れておけという言葉で結びましたが、頭の中じゃなくて、あしたあたりまでに具体的な案を書いておけというふうに私は主張をしておきたいわけですね。
 そこで、この問題に関して、しばしば出てましたが、結局、所得は消費と貯蓄に分かれるので、貯蓄の分は資産になって、資産の分は相続になる。出口で押さえるというと何十年も不公平が続くことになるので、その出口の話の相続なんですが、よくみんな心配していますのは、何せ大蔵省のもとの偉い人が相続の租税回避の指南番だったというぐらいですから、これはやっぱり相続が問題になるわけで、このいわば貯蓄に対する二〇%課税、それが原則であって、中曽根さんの答弁によれば、とにかく二〇%納めてくれたらあとの調査なんかないんだということになりますと、これは相続への影響遮断ということを考えないと相続に悪い影響を残す。これは紛れもない事実だと忌んですね。この点は、相続税についての私の意見は、ちょっと皆さんのきのうまで述べた人と違います。私は、原則として相続税というのはたくさん取るべきだ。大体てめえで稼いでもいない先祖の稼いだ分をぬくぬくともらうとは何事だというのが私の考え方ですから、できればみんな取れと言いたいですが、社会に返せというふうに言いたいということです。しかし、基礎控除が要りまして、住んでいるところとか仕事している分とか、これは必要ですが、別荘とかあんなものはみんな取りなさいよ、あんた。欲しかったらてめえで稼いでつくればいいじゃないか。
 ともかく、これは相続への影響が出ますね。その遮断はできますか。簡単に答えてください。
#72
○政府委員(水野勝君) 現在におきまして、利子につきましては一定の範囲では支払い調書等の提出をいただいており、それがなくなるという意味におきましては影響が全くないということは申し上げることはできませんが、現在までのその相続税の調査におきましても、それはそうした資料もいただきつつ、しかし、やっぱりその方につきましての全体的ないろいろな課税調査の中で相続税の適正を期しておるところでございます。必要な場合には従来とも預金調査等はお願いをしていたところでございまして、今後ともそうしたことはお願いをすることになりますので、今回の改正がそうした点に大きく影響するということはないのではないかと考えておるところでございます。
#73
○志苫裕君 いや、それはちゃんと調査というか捕捉をしっかり皆さんが責任持ってやるというんなら別ですが、相続のいろんな資産を金にかえまして、小口にばらしちゃって、二〇%取られてしまえばおしまいと。物で持ってればもっと余計取られたのに、二〇%で済むのなら資産はそういうふうに金融債とか幾らでも形が変わりますからね。結局は資産を余計持っているやつが相続税を免れるということは、私は心配要らぬ話じゃないと思いますよ、これは。そうでなくてもあの調査ができない、この捕捉ができないと言っている大蔵省ですから、これはきつくその点は指摘しておきます。
 この点でちょっと私、財形の話が出ましたが、それが一般勤労者のことでありまして、所得だって大したものじゃないということを考えると、きのうは他の所得者、貯蓄者との不公平というようなことを水野局長指摘してましたが、社会的な不均衡や不公正に問題を生ずるほどのものじゃないということだけは主張をして、これもきのうの鈴木発言を補足しておきたいと思うんです。
 ところで、よく何で貯金するのという性格論議を今いたしました。まあ所得の少ない人が細々と将来に備えるという趣旨が一番大きいわけで、そういう意味では、あるものを貯金にする、あるものは保険をかけるというのと性格的には裏腹の関係ですね。さて、そうなってまいりますと、生命保険、今度損害保険も入るようですが、そっちの方の掛金は非課税、同じ目的で老後に備えて蓄える貯金は課税、この不均衡はどうなります。
#74
○政府委員(水野勝君) 生命保険は最高五万円までが所得控除となっておるところでございます。これは戦後の資本蓄積といった、その一環として導入されたものでございまして、この点につきましてはその加入率でございますとか、利用状況でございますとか、おおむね一定の水準に達し、横ばい的な点もある。また、それによる減収額もかなりなものになっておるというところから、税制調査会におきましてはその見直しはたびたび要請をされているところでございます。
 他面、それだけ広い範囲で利用され定着しているという面もございますので、今回の改正におきましてはそうしたこれまでの経緯にかんがみまして、特段のこの控除につきましての改正は御提案はしてないところでございます。
 しかし、利子所得課税との関連におきましては、一時払い養老等のものにつきまして、今回の利子課税に即した横並びの見直しはさしていただいているところでございます。
#75
○志苫裕君 そういうお答えでしょう。
 しかし、一面大きな保険会社の利益というふうなものがその裏にないとは言えないということだけは指摘して、次にまいります。
 税率構造ですが、これはあれでしょうか、このような刻みにすると一兆一千四百億円、まあ一兆五千四百億円の減税のうち配偶者控除等で四千億いきますから、一兆一千四百億ですね。この刻みにするとどうして一兆一千四百億円になるんですか。大蔵省がそう言っているだけで、この委員会は一遍も一兆一千四百億になるという検証をしたことがない。どうしてこの刻みだと一兆一千四百億円になるんですか。やってみると一兆円でとまるかもしらぬし、一兆五千億になるかもしらぬしというふっとした疑念が私にないわけじゃない。根拠を示してください。
#76
○政府委員(水野勝君) そうした計算に直結いたしますのは、課税所得階級別に人員、所得等が明確になっている必要があるわけでございますが、それに直結した資料といったものはないわけでございます。
 しかし、そのための次善の方法といたしましては税務統計のもろもろの資料がございます。申告所得税の実態、民間給与の実態、こういったものには収入階級別、あるいは合計所得階級別の数値がございますし、それにはまた家族の構成ごとの分布もあるわけでございます。こうしたものを基礎にいたしまして、縦横にいろいろ推計をいたしまして課税所得階級を推計をする。これはかなりな作業になるわけでございますが、電算機でもって処理して、極力正確な数字になるように努力をしているところでございます。
 従来、減税に際しましてはこうした作業を繰り返しまして減収額を見積もる、おおむねその後の実績を見ますと、近いところでの減税なり増税が発生をいたしておりますので、私ども従来のこの方法で計算しております方法がまず妥当ではないか。したがいまして、この一兆一千四百億円というのも私ども極力適正なものとしてお示しをしたと考えているところでございます。
#77
○志苫裕君 縦横いろいろがわからぬのよ、こっちは。あなたの方では、直接それを示すものはない、あの資料、この資料、縦横いろいろでこうなると、そう言われた方は煙に巻かれてそうかなと思っているだけです。これは考えてみますと、これほど慎重に減税の議論をしている割には、なぜ一兆一千四百億円かということをだれもわかっていない。わかっているのは縦横いろいろ計算機のあなただけなんだな、今の話によると。縦横いろいろ計算機の資料ないからね、こうなったら幾ら、こうなったら幾らということを国会へ示しなさいよ。
#78
○政府委員(水野勝君) 今回の御提案申し上げております税率の刻みにつきましては、その大ざっぱな刻みの階層別にこの一兆一千四百億円の算定の部分部分に分けて一応お示しをしているところでございます。
 全体としての姿となりますと、これはコンピューターに入っているわけでございますが、一方、世の中にもお出ししております税務統計としては、民間給与の実態、申告所得税の実態、これにはそれぞれ所得種類別、所得階級別、それから家族構成別とございます。こうしたもので大ざっぱに御説明を申し上げ、大ざっぱに御議論を願うことはもちろん可能でございますが、そうしたものを集計いたしましたものとしては、先ほど申し上げました一兆一千四百億、この階層別にはこういう金額であるということは一応お出しいたしております。
#79
○志苫裕君 あなたはさっきから実態調査がどうとかなんとか言ってますが、私の言っているのは、AプラスBプラスCプラスD掛ける何とかですね、という算式はないんですか。使った資料が何々何々とこうあれば、AプラスBプラスCプラスD割る何とかで掛ける頭数とか、何かそんなお得意の数字はないんですか。ただ、縦横いろいろ計算機でと言ったって、それはわからぬ。
 あなたの方の刻み、ここにありますよ。一五・〇を一〇・五にするというと五千八百億円と。普通数字をあらわす場合には、何掛ける何とか、何割る何とかいうんじゃないですか。ただ五千八百億円だから、私はわからぬので聞いている。示せますか、示せない。
#80
○政府委員(水野勝君) それはAプラスBプラスとか、それに掛けるCという簡単なものではございませんで、すぐに一言で申し上げるということはなかなか難しいわけでございます。
 例えば民間給与の実態調査でございますと、給与収入が百万円以下の人は五十七万人いる、百五十万円以下の人は二百六十六万人いる、それが年末調整を行った人、行わなかった人でまず分けられる。それから、その人の給与の収入金額によって給与所得控除を計算する。そういたしますと給与の所得金額が出る。これが今度は、それぞれの階層別に家族構成でもって分類される、そしてそれぞれの所得控除が算出されるわけでございます。また、もろもろの調査から、医療費控除であれ、もろもろの所得控除がある。そういったものもまた階層別、家族構成別に出ておる数字がございますので、それを組み合わしてまた計算をしていく。それによりましてこの階級の課税所得が出ますが、これはしかし統計の数字によりますところの課税所得とは合わない、これを一定の方式でもってややツルカメ算的に案分をするというようなことを繰り返して課税所得を出していく。これは給与所得者だけでございますから、今度は給与所得者が申告をされる場合が多々あるわけでございますから、その重複分はまた過去の経験値からそれを調整するといった作業を、各給与所得者の収入階層別、申告所得税の納税者の階層別にかなりな作業を繰り返していって、こうした数字をお示しするところとなっているところでございます。
#81
○志苫裕君 それはツルカメもいいけれども、だれかわかりましたか、委員長、今言っていること。大臣わかりますか。ツルカメだとか、いろいろ縦横、十文字と言っていますけれども。
 だから、私はこれを聞いているので、これは悪いけれども、こんな重要な法案を審議するときに、今それをツルカメだの、縦横だの十文字なんというだけでは、これだめなんだな。何か算式が――複雑な算式とあなたは言うんだけれども、聞いてる方がよっぽど複雑でね。どうもこれは確証が持てないんだが、これは何遍聞いてもあなたはツルカメの話だからだめだ。
 ところで、あれですか、きょう示さなくてもいいけれども、給与所得あるいは利子所得、譲渡所得、いわゆる全部の所得を総合所得にした場合の所得階層分布というものはございますか。
#82
○政府委員(水野勝君) ただいま申し上げましたように、税務統計としてございますのは民間給与実態調査、これによりますれば給与所得者の人数、給与額、税額が出ております。それからまた、申告所得税の納税者につきましては、申告所得税の実態ということでやはり所得種類別に階層別に出ております。
#83
○志苫裕君 いやいや、私が言っているのはそうじゃない。これ直接これと関係ないんでね。まあいいか、これは時間がないな。できれば、全部の所得を総合所得にしてそれの課税をした場合に、所得階層分布はどうなるんだろうかというちょっとデータを欲しかったんで今聞いてみたんですが、考えてみたら、これ私は通告に言っておかなかったから、これに関する資料はいずれまた要求をすることにいたします。
 時間がなくなりましたが、一つ二つだけやりますが、課税最低限が今度も据え置きで、調べてみると若い独身の人は五万三千円から税金がかかるが、五万三千円の月給取りというのはどんなものかな。公務員の一番出だしだってこの倍でしょう。まさに低い賃金で、結局タックスミニマムというのは生計費非課税の原則で、憲法各条項の要請にもなっているわけだけれども、ただ、皆さんの説明を聞いていると、日本は高い、高いと言うんだね。しかし先進諸国と比べて、あるお金でどれだけのものが買えるだろうかと、土地を買えるか、教育ができるか、自動車が買えるかといういわば購買力平価論というのがございますが、これで比べてみると、日本のタックスミニマムは決して皆さんか言うように高いものじゃない。早い話が東京で一坪土地買おうと思ったらどこだって買えやしません、こんなのね。
 そういう極端な事例は別にしても、せめて生計費非課税の原則というんだったら二百六十一万九千円を三百十九万円にしたらどうですか。そう言うと、所得の高い者が得すると言って大臣も本会議でお答えになっているけれども、それは今度、配偶者特別控除で設けられた消失控除制度を設ければその分は調整できるわけですから、そんなことを理由にしないで、どうですか、標準世帯で生活保護費並み、あれは同じ国がやっていることで生計費ぎりぎりのことなんです。所得が全然ない者が三百十九万円で、所得のある者は二百六十一万というのもつじつま合わぬでしょう、いかがですか。
#84
○政府委員(水野勝君) この点は、ときどき申し上げているところでございますが、課税最低限、確かに今御指摘の購買力平価説、いろいろ説はございますが、一応現在の為替レートを用いまして計算いたしますと、外国に比べますとやはり我が国はかなり高い水準にある。そういたしますと、所得税の負担軽減といたしますれば教育、住宅等にお悩みの中堅サラリーマンに重点的に配慮をさせていただくということが適当ではないか。また、現在の課税最低限の水準でおおむね所得者の七割から八割ぐらいが納税者として御協力をいただいている。やはり現在のような社会でございますと、どちらかと言えば、御負担は広くいただくというところの方がむしろ適当ではないかということから、今回、課税最低限につきましては、配偶者特別控除という点で措置はいたしておりますが、その他の一般の人的控除につきましては見直しを御提案しなかったところでございます。
#85
○志苫裕君 ついでですが、人的控除について消失控除を設ける意思はございませんか。
#86
○政府委員(水野勝君) 控除につきましては、いろいろ税額控除をいたしてみた時代ももちろんあるわけでございますが、現在は一人三十三万円という所得控除が定着をいたしておりまして、これをもって、さらにこれを消失あるいは税額控除にするという考え方は、現時点としてはちょっとそうしたコンセンサスはないところでございます。
#87
○志苫裕君 私は、先ほど来言いましたように、上位の所得階層は資産所得が随分逃げておるということを考えますと、所得の高い人にまで同じ額をずっと人的控除を設けるのも調整した方がいいだろうという意味で、配偶者特別控除に設けられたような、どこに限度を置くかは研究すればいいことですが、消失控除を設ける方が公平にかなうんじゃないかなという指摘はいたしておきますので勉強してください。
 時間がなくなっちゃって一問一答でいいんですが、給与所得控除、今度はこれを全部経費だというふうに考えてこれを超える分だけ実額控除と、該当する者はいないかと言って野末委員が聞いたら、福岡へ毎週一遍飛行機で行く人だと言うんだ。行って税金は戻ってくるかもしらぬが毎週一回行くのが大変だ、これは金がかかって。こういうばかな答弁をしちゃだめなんでしてね。希有な例のためにオーソドックスな税制をつくるなんてはかな話がありますか、あなた。昔、この給与所得控除の意味合いについて大体三十二年ごろは、平均三割としまして一〇%ぐらいが経費の概算控除分だった。税調答申になったら半分になっている。自民党へ行ったら全部になっちゃった。これはどういう理由ですか。
#88
○政府委員(水野勝君) 確かに、税制調査会の抜本改革の答申におきましては、これを半分に分ける、それは別に単に機械的に分けるということでございませんで、給与所得控除の性格として経費の概算控除という要素、それから担税力へのしんしゃくという要素、この背景にはただいま御指摘のございました一〇%程度といういろいろな家計調査からの数字もございますわけですが、そうしたものを背景として半分に分けて、半分が必要経費の概算部分、それを超えた部分につきましては実額控除の選択という方向が抜本改革におきましては出ておったところでございます。
 この点は、所得税が現在百年の歴史を持っておりますけれども、給与所得者につきましてはずっと概算控除でやってきており、それが税務当局にも給与所得者にも定着をして年末調整でもってすべて済むという制度がございます。これを直ちに実額控除制度に移行するということにつきましては、納税者のかえって……
#89
○志苫裕君 そんなことを聞いているんじゃない。何で一〇が半分になったかと聞いている。
#90
○政府委員(水野勝君) あれを招くというところから、また税務当局の対応からもまだそこまではいけないということから、この必要経費概算控除とは質的にちょっと異なる特定支出控除ということで具体的にはまとめさせていただいて御提案をしたところでございます。
 一〇%と申しますのは、よく給与所得控除の経費論、性質論をここで御論議いただきましたときに、いろいろ全部合わせましても、家計調査の数字等からしますと、ぎりぎり一〇%ぐらいが最大限の数字ではないかということで御論議を願ったことがございます。それが一〇%の恐らく数字ではないかと思います。それから、平均は三〇%と申しますのは、現在の制度からいたしまして、普通、平均三〇ぐらいになっています。マクロ的にも三割でございますのでその半分半分ということですと、御指摘の一五%ということになります。しかし、今回は必要経費概算控除にまではいかずに特定支出控除ということで仕組ませていただきましたので、これは給与所得控除を半分に分けてというそことは結びつけないで、給与所得控除をも上回るくらいの大きな特定の支出があった場合には選択的に控除できるというふうに仕組みましたので、半分ということも今回は取りやめさせていただきまして、将来の実額控除制度、特定支出控除をやってみた上でなお御議論、御検討をいただき、そうした方向が出てくれば今後半分とした抜本改革の数字もまた出てこようかと思いますが、今回はそこまではまだまいれなかったところでございます。
#91
○志苫裕君 ちょっとあるんですが、それはあなた答弁をねじ曲げちゃうからわからなくなっちゃうんで、全額経費的な性格に変えたから特定支出控除になったんで、ただそうなってきますと、もし全額経費的な性格だとなると事業所得者あるいはみなし法人に適用するのは二重控除の論理になっちゃってつじつまが合わない。じゃ何で八〇%なのかというような議論も出るんですが、時間がありませんから、たくさんあるんですが最後に一問だけにします。
 年金ですけれども、まあいろいろ計算してみると、なるほどちょっと新しい制度の方が得になる。しかし、私は人が悪いんで、大蔵省がやることに得なことやるわけないという頭があるので、何かがこれはあるんだろうと思っていろいろ考えているところなんですが、そのことはいずれまたじっくりやりますが、公的な財政支出ですよね、全部が全部じゃありませんが、公的な財政支出が何で課税の対象になるんですか。生活扶助料のような公的支出は租税回避があるでしょう。補助金で出せば、それは圧縮記帳で逃れるでしょう。同じ公的支出なのに何で年金は税金かけるんですか。これはどういう理屈、これ。
#92
○政府委員(水野勝君) 確かに、生活保護あるいは失業的な給付、こうしたものは政策的に課税をしなかったりしたりする場合があるわけでございます。ただ、年金となりますと、これが公的年金でございましても、企業年金でございましても、これは一つの年金受給者の通常の生計手段として給付されるものでございますので、そこは生活保護とかそういったものとは異なるのではないかと思うわけでございます。
 したがいまして、こうした公的年金を含め年金につきましては、諸外国ともまずは通常の課税をお願いをするわけでございます。また、これから公的年金によりますところの所得というものが漸次ふえてまいるかと思いますので、これを全く非課税といたしますことは、他の所得者との間での調整も考える必要があるのではないか。しかし、御指摘のように、公的な支出という面もございますので、それに伴いますところの必要な配慮を申し上げるということで、公的年金特別控除で今回措置きしていただいておるところでございます。
#93
○委員長(村上正邦君) 時間が超過いたしました。
#94
○志苫裕君 これで質問終わります。
 ちょっと私の質問の配分が悪くて随分残しまして、自治省を初めわざわざおいでいただいていたのにきょうは質問できなくて済みませんでした。いずれじっくりやらしてもらいますから、ひとつきょうは勘弁をしてください。終わります。いずれ後の機会に。
#95
○委員長(村上正邦君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十分開会
#96
○委員長(村上正邦君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#97
○多田省吾君 私は初めに、このマル優廃止法案を所得税減税法案とセットにして提出をいたしましたことに対しまして強く反対するものでございます。私どもの理解では、去る五月十二日の与野党国対委員長会談で売上税関連六法案は臨時国会に再提出はしないということを合意したと聞いております。また、七月二日の国対委員長会談におきましても、五月十二日の合意を尊重することを政府・与党は重ねて約束した、このように聞いております。ところが、与野党の税制改革協議会の合意のないままにこの臨時国会に国民の期待する所得税減税と今度は国民の強く反対するマル優廃止をセットにして提出をいたしたことは全く納得のいかないところであり、私どもは強く反対するものでございます。そして、この所得税減税の規模においても非常に小さいわけです。最初が一兆三千億円、その後の修正で二千四百億円の上積みを図ったわけでございますが、それでも我が党が主張する六十二年度二兆円規模の所得税減税というものには非常にほど遠いわけでございます。政府が内需拡大と国際経済摩擦の解消を目指して所得税減税をやるのだという割には非常に小さい。大変残念です。
 財源につきましても、私たちは昭和六十一年度決算剰余金やあるいはNTT株売却益、あるいは有価証券取引税の増収分をもって充てれば十分二兆円規模の減税ができる、このように主張しているわけです。また、六十三年度以降の財源につきましても、いわゆる政府の言う恒久財源といたしましてキャピタルゲイン課税あるいは利子配当所得の総合課税化、あるいは多くの十項目にわたる不公平税制の是正などを充当すれば二兆円規模の減税はできるんだということを主張していたわけでありますが、これがかなえられなかった。非常に残念でございます。
 また、マル優制度の原則廃止は国民に大変な不利益を与えるものでございます。少額貯蓄者の預金利子から二〇%の税金を取る、そして三五%の高額預金者の分離課税を二〇%に引き下げるという金持ち優遇税制になってしまっております。しかも、マル優廃止では五、六年たちませんと恒久財源にはならないと、実効が上がらないという姿もございます。なぜそれなのにこのようなマル優廃止を今回やったのか、大変な疑問でございます。それで、私たちは限度管理を徹底すべきだと、あるいはグリーンカードを復活させればこのような不正利用は防げるし、またこのマル優制度というものが国民生活にやはり重要なものであるということを強く主張したわけでございます。
 それで、初めに述べましたように、なぜ与野党国対委員長会談で売上税関連の法案は臨時国会に再提出しないと約束したのに政府があえてマル優廃止法案を提出をしたのか、大臣にまずその辺を歯伺いしたいと思います。
#98
○国務大臣(宮澤喜一君) その間の経緯につきましては、当委員会において私の観察いたしました限りのことをいろいろ御説明を申し上げたところでございましたが、やはり所得税の改正を考えます際に、資産所得であるところの利子というものはかなり大きな部分が非課税となっておるということは政策目的を既に達成したと思われるきょう必ずしも適当なことではない。ただ、しかし社会的に特別の配慮を必要とされる方々にはこの制度を新しいものとして残そう、こういうことを考えまして政府の責任におきまして御提案を申し上げた。
 もちろん、多田委員もよく御承知のとおり、御老人でありますとか、あるいは身体障害者でありますとか、母子家庭でありますとか、従来からこの制度がいわばございましたためにそれを一種のどう申しますか、前提として考えておられたかもしれない、しかも社会的に配慮を必要とされる方方のために新しい制度としては恒久的に残していこう、こういうことで御提案をいたした次第でございます。
#99
○多田省吾君 これは私のなぜ与野党の国対委員長会談の合意を無視して政府がマル優廃止法案を出したのかという質問には全然答えておられないわけでございまして、大変残念です。
 初めに、私は、所得税減税の法案に対しまして二、三質問いたします。
 まず、最低税率一〇・五%をそのままにしたことでございます。当初案では昭和六十三年度から最低税率は一〇%ということにしてありました。ですから、今回の所得税減税法案に対しまして多くの方々が最低税率は一〇%に引き下げられるのではないかと期待したわけでございますが、案に相違して一〇・五%はそのままになりました。したがって、五十万円以下の適用課税所得の方々は全然減税の恩恵にあずかっていないわけです。
 それで、私は総務庁統計局の本年八月十八日の「勤労者世帯の家計」というものを見ましたところ、六月の時点で前年同月比が勤労者世帯では消費支出が名目、実質ともにマイナス一・三%、一般世帯の消費支出はプラス五・九%となっております。ですから、この調査を見ましても、やはり勤労者世帯の家計の厳しさは非常に大変だ、このように感ずるわけでございます。特に国民生活の実態を見ますと、勤労者世帯では前年同月比で一番ふえているのがやはり保健医療費のプラス一七・一%でございます。また、説とか社会保障費なども非消費支出でございますがプラス一・五%ほどあったんです。こういった実態を見ますと、やはり私は勤労者、特に低所得者の方々の所得税減税というものはどうしても必要だと、このように考えるわけでございます。もちろん、中堅サラリーマンの減税も大事でございますが、私は今までの答弁を聞いていて、最高税率の方は一〇%引き下げている。ですから、この前の参考人質疑の中におきましても、参考人の方々はどうも高額所得者は一〇%税率が下がったのにということをおっしゃって、金持ち減税ではないか、こういう意見を述べられました。私もそのように思います。
 私はこの際、抜本改正でないのならば利子とか配当とかそういった総合課税に至るまでは最高税率は据え置いてもいいのではないか、このように思います。逆に、一〇・五%の課税をされている低所得者の方々は、やはり生活もこのように大変なんですから、〇・五%でも当初案にありましたような一〇%まで最低税率を引き下げる、これをベースにしてやはり所得税減税の十二段階の体系は考えるべきではなかったのか、このように私は思うわけです。そうすればまた違った段階が出てくるだろう、このように思います。
 私は述べるだけ述べますけれども、きのうも話題になりましたが、東京都新財源構想研究会というものがございまして、昭和五十三年の一月に「東京都財政の緊急課題」というものを出しております。生時、高木国鉄元総裁が主税局長時代に、委員会におきましても所得税、総合課税あるいは法人税の問題でこういった資料をもとにして大分議論がございました。御存じであろうかと思います。その際、この所得税におきましても、住民税との関連からどうも高額所得者ほど逆進性が高まっている、こういう議論がありました。というのは、やはり総合課税ではないからです。所得税はなるほど高税率で取られている。しかし、利子とか配当とかみんな分離課税ですから非常に低い、またそれが住民税にも全然はね返らないというようなことで、一人一人の高額所得者の方々の税金というものを調べますと、所得税、住民税あわせてどうも逆進性がある、高額所得者ほど税率が低くなる、こういう調査結果がここにございます。ですから、私どももその際、やっぱり総合課税は早くやるべきだということで随分主張したわけでございます。
 そういったことを考えますと、主税局長がせっかく外国との例を引きながらいかに所得税が、日本は最高税率が高いかということをるるお述べでございますけれども、外国はほとんど総合課税でございます。日本の場合はそうじゃない。資産課税はほとんど分離課税です。ですから私は、最高税率の方はむしろ据え置いても、そして総合課税のときに考えればいい。むしろ、最低税率の一〇・五%、これは当初案のようにやはり一〇%に引き下げるべきではなかったか、このように思うわけでございます。いかがでございましょうか。
#100
○政府委員(水野勝君) 確かに、先般百八国会に御提案した所得税の税率におきましては、六十二年度は一〇・五%でございますが、六十三年度以降の姿といたしましては一〇%に下げておったところでございます。しかし、この案は百八国会におきまして廃案になったところでございます。しかし、我が国の最低税率一〇・五%と申しますのは、我が国の課税最低限、外国と比較するとまた委員からもいろいろおしかりを受けるかもしれませんが、一応課税最低限はかなり諸外国に比べますと高い。一方、課税最低限の上に始まります最低税率というのは諸外国に比べるとまだ逆に低いわけでございます。そうした点から、昭和五十九年度の一兆円減税のときには、むしろこの課税最低限の高さから考えまして当時も人的控除を上げたところでございますので、最低税率はむしろ上げさしていただくということで一〇・五%というやや端数のある数字にさしていただいたところでございます。しかし、抜本改革におきましては、一五%の基本税率の下に一〇%の最低税率ということで、一応六十三年度以降の姿としては、御提案をしたところは御指摘のとおりでございます。このように、現在の課税最低限と最低税率との関連からいたしますと、今年度は一〇・五%は据え置きをさしていただいたところでございます。
 しかし、別途中堅サラリーマンの世帯の負担の軽減合理化ということのために配偶者特別控除を御提案さしていただいているところでございます。これによりまして低所得者でも夫婦子二人の世帯におきましては、例えば三百万円の世帯でございますと七万八千円の御負担が四万八千円になる。約四割が軽減になるということで、下の方の所得階層ほど軽減割合は高い。このような負担軽減状況になっておりますので、この点につきましては御理解を賜りたいところでございます。
#101
○多田省吾君 主税局長はすぐ配偶者特別控除というものを持ち出しますけれども、それは一部恩恵をこうむる方はいらっしゃいます。しかしながら、前から論議されておりますように、独身者とかあるいは共稼ぎの方々は全然その恩恵もこうむらない。ですからその方々は、大変たくさんの方方が減税の恩恵をこうむらず、かえってマル優廃止等の暴挙によって増税になっているという姿がございます。
 私たちは、ですから、一〇・五%をこの際一〇%まで最低税率が引き下げられるのではないかと期待した方々は大変がっかりなさっているわけでございまして、非常に残念でございます。私は、あの当初案の昭和六十三年度からの六段階ですか、あのときはたしか一兆九千五百億円の減税だと思いましたが、今度は一兆五千四百億円です。その程度の減税をなさるならば、私は最初から最低税率も当初案のように一〇%まで引き下げるべきが本当である、このように思うわけでございます。しかし、主税局長はそうじゃないとおっしゃる。大変それは我々残念でございます。ですから、せっかくの所得税減税も金持ち減税ではないかと、こういう非難が絶えないのでございます。四月ごろの本委員会でも、私、金持ち優遇税制だと言って大きな声を上げたために、大蔵大臣も大変厳しい顔をなさったわけでございますが、私は今もって現在も、売上税が廃案になったとはいっても、マル優廃止の問題といい、また所得税減税の内容といい、どうも金持ち減税である、こういう主張は変えられない、このように思うんです。
 もう一つの問題は、これもこの前の参考人質疑で言われた問題でございますが、医療費控除の問題でございます。主婦連の事務局長の清水鳩子さんという方が、最近は高齢者の方々が非常に病気が多い。ところが、このための医療費控除、今まで五万円であったものが足切り額が十万円まで引き上げられた、これは大変残念なことだと、むしろこれは据え置くべきではないかという御意見がございました。私も同じ意見でございます。やはり医療費控除は、現行の五万円から十万円に一挙に足切り限度額を引き上げるということは、二倍に一挙にやるということは非常に無謀過ぎると思います。しかも、かつて限度額が十万円であったものを、五十年度には五万円と引き下げまして医療費負担による国民生活への配慮を行ったわけでございます。このような医療費控除といいますものは、やはり国民の一つの節税であり、また国民生活の防衛策でございます。なぜこのように一挙に二倍も引き上げたのか、まず理由をお聞きしたいと思います。
#102
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、現在の五万円は昭和五十年の改正におきまして決められたところでございます。この医療費控除の制度の趣旨といたしましては、通常の医療費でございますとか、教育費でございますとか、そうしたものは一般的な人的控除、三十三万円ずつで、それが合計されて課税最低限になるわけでございますが、そうしたものの中で通常の支出は御配慮を申し上げる、しかし異常に長く入院されたとか、大きな手術をされたとかということで特別の御負担を医療費でしょわれた方につきましては、それは特別の医療費控除でもってその担税力の減殺をしんしゃくを申し上げる、こういう趣旨でございます。
 この五万円を決めさしていただきましたとき、昭和五十年、このときにおおむね明らかにされておりました医療費の支出水準は、例えばその前々年の四十八年でございますと三万七千円程度ということでございましたが、現在は昭和六十年の数字をとりましても平均が八万二千円ということになっておるところでございます。そういたしますと、平均は八万円で医療費控除の足切りが五万円でございますと、もう普通の家庭の医療費支出の水準というよりは、むしろその半分ぐらいの水準で足切りがございますとほとんどの家庭の方がこれに該当されるということは、平均をかなり上回る水準での特別の支出に御配慮申し上げるという、この医療費控除の制度の趣旨にはそぐわないのではないか。その結果といたしまして、例えば昭和五十年度当時では申告納税者で医療費控除を適用されておられる方は二十万人程度でございましたが、今は百十万人程度となっておるところでございまして、五倍ぐらいにふえておられる。これはやはりその医療費支出の水準の平均水準よりもむしろ足切りが下回ったところからくるところではないかと思うわけでございます。十二年たちましたところでございますので、三万七千円という平均的な支出水準を背景に五万円を決めさしていただいた。現在八万二千円までまいっておりますので、そうしたバランスを考慮いたしまして今回十万円という数字を御提案さしていただいているところでございます。
#103
○多田省吾君 足切り額を五万円から十万円に引き上げたことでどの程度の増税になりますか。
#104
○政府委員(水野勝君) これは制度の趣旨からそのように改めさしていただきたいということでございますので、増税をお願いをしたわけではございませんが、これによりまして見込みといたしましては百億円程度の税収の増加になるのではないかと見込まれるところでございます。
#105
○多田省吾君 ですから、今まで病気をなさって、そして医療費を払い、そしてせめて高額医療費に対しましては国民また庶民の方々が百億円だけ減税また還付金として戻ってきたと、こういう生活防衛と申しますか、また税に対する認識もそれによって大変強まったと思います。そういう姿があったのに、急に足切り額が倍にされて、そしてその恩恵をこうむることができなかったという方がもう百万近くに及ぶという、そうして百億円の減税ができなくなるということは、これは大変なことだと思います。政府は所得税減税と大変宣伝していらっしゃいますけれども、こういった反面、裏の方では本当に国民が生活の防衛のために、また病気療養で多額の医療費を払い苦しんでおられる、その方々がせめてもの節税として期待している医療費控除に対しましてこのような無慈悲な挙に出るということは、私は大変残念であります。
 今まで医療費控除に係る申告件数は、昭和六十年分で百十万人ほどいらっしゃるということを主税局長おっしゃいましたけれども、それでは十万円に引き上げる結果申告件数はどの程度まで減少しますか。予想で結構ですからお述べになっていただきたいと思います。
#106
○政府委員(日向隆君) 直近の年度で申し上げまして、還付申告のうち医療費控除を主たる原因とする還付申告の数は約百四十万件でございまして、ただいま委員御指摘のように、医療費控除の足切り限度を五万から十万に引き上げましたことに伴いまして、そのうち約二割に相当する三十万件程度の申告が減るのではないか、かように考えております。
#107
○多田省吾君 よく答弁がわからないんですが、今までは百四十万件あった、足切り額を二倍にした結果三十万件減少するということですか。
#108
○政府委員(水野勝君) 大変失礼いたしました。
 私が先ほど申し上げたのは、申告納税者、これは七百四十万人ぐらいが納税に税務署へ見える方でございます。その中で医療費控除を適用されておる方が百八万人おられるというのが六十年度の数字でございます。
 ただいま国税庁から申し上げました数字は、別途七百四十万人の申告者のほかに六百五十万人ぐらいの還付申告をなさる方がある。その還付申告をなさる方の中で、医療費の控除の理由でもって還付申告をされる方、これを推計いたしますと百四十万件ぐらいがあるのではないか、これは見込みでございます。この百四十万件について見ますと、この二割程度で三十万件ぐらいが減少するのではないか、そういうことでございます。
 そのような割合で申し上げれば、先ほど申し上げた百十万件あるいは百八万件、これは二十万件ぐらいが減るのではないかというような見込みでございます。
#109
○多田省吾君 ますますわからなくなったんですが、医療費控除に係る申告件数は昭和六十年で約百四十万件である、それが足切り額が十万円に引き上げられる結果二割、三十万件減って恐らく百十万件になるであろう、こういうことですか。
#110
○政府委員(水野勝君) 税務署に医療費控除でもってお見えになる方は、ほかのことで納税を追加納税される、あるいは事業所得者の方はまさにそれが納税行為になるわけですが、そういう納税申告をされる方と、専らサラリーマンの場合でございますが、還付申告でお見えになる方があるわけでございます。
 そこで、その納税申告でお見えになる方の中で医療費控除を適用しておられる方がこれが百十万件ある。それから、還付申告でお見えになる方の中で医療費控除でもって還付にお見えになる方が百四十万件ある。そういたしますと、これは推計でございますが、合わせて二百五十万件の適用が行われているのではないか。そのうち、大きい方の還付申告でお見えになる方の中で医療費控除でもってお見えになる方が百四十万件、これが二割程度減って三十万件ぐらいが減るのではないか。したがいまして、この同じ比率で納税申告の方で医療費控除の適用をされる方がやはり適用件数は二十万件ぐらい減るのではないか。納税申告、還付申告合わせまして二百五十万件、その両方につきまして申し上げれば、還付申告と納税申告を含めまして五十万件ぐらいが減るのではないか、このような見込みでございます。
#111
○多田省吾君 ですから、納税申告なさる方の中にも当然医療費控除をなさる方はいらっしゃるわけでございまして、それを別にお述べになったわけでございますから、まあ御丁寧な御答弁でございますが、医療費控除だけでいらっしゃる申告件数は百四十万件、そして十万円に引き上げられると二割方減ります、三十万件減りまして百十万程度になろう、こういうことですね。これは来年の二月の医療費控除は私はできると思うんです。問題は、再来年の二月かもはこれはできなくなる、具体的。にはそうなりますね。
#112
○政府委員(水野勝君) そのとおりでございます。来年の三月は現在の水準で還付申告をいただく、六十三年分につきまして適用がございますので、六十四年三月のときの話となります。
#113
○多田省吾君 ですから、医療費控除をなさる方は来年はとにかくできたと。ところが、この法案が参議院を通過することによりまして、もし通過いたしますと来年度はできたけれども再来年度行ってみたらもうできなくなった、なぜできなくなったんだと、いや実は一昨年の参議院で法案が通過したことによってできなくなったんですよということになりまして、そんなことがあったのかと、少なくとも三十万人の方々は大変憤慨なさる、このように思うんです。そのことを考えますと、一体参議院の大蔵委員会で何の審議をやっていたんだと、国民の、庶民の本当恒医療費控除という問題に関しまして、余り審議も行われずに通してしまったのかと、このように言われることは私は必定だと思います。
 そういう意味で、これは百億円のことでございますし、またこれが病気にかかわる問題でございます。本当に医療費控除を受けられるような方は生活も大変であり、また病気による大変さもございます。そういった方々、しかもこの前から相当医療費控除の申告もなれていらっしゃるところでございます。税に対する認識も強まったところでございます。そういった方々をむけに、平均がもう既に八万二千円に医療費がなっているんだから、いきなり五万円から十万円に引き上げるんだということは私は非常に無慈悲である、無謀である、暴挙であると言わざるを得ないのです。
 ですから、税源のことを考えますならば、これから総合課税だとかあるいはキャピタルゲイン課税とかそういった不公平税制の是正に向かってぐんぐんこれから進むわけでございますから、この際所得税減税をやったこの機会におきましては、こういった医療費控除の足切り限度額を二倍にするというようなことはおやめになった方がいいんじゃないか、このように思いますが、大臣再度お伺いいたしますが、いかがでございますか。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) この点は先ほど政府委員も申し上げておりましたが、多田委員も御承知のとおり、一般的に所得税における基礎控除、人的控除等々で必要な経費というものは控除されているという、そういう制度をとっておるわけでございますが、しかしその通例の経費を超えて非常に大きな経費がかかる、そういう場合にはそれについて特段の措置を講じようというのが、例えば今御審議をいただいております医療費控除の問題であるわけであります。
 そこで、したがって普通の平均を超えるものはどのぐらいであるかということは、家計支出等々あるいは物価水準の変化等によって、あるいは医療の内容によって異なってまいるのは、これはむしろ当然であろうと思いますので、十年前に医療費の平均が大体四万円ぐらいであると言われましたときに五万円を設定いたしました。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
十年余りたちまして八万円ぐらいになったということでそれを十万円にしたということは、それ以外に全くこの経費というものを考えていないのならばともかく、それは人的控除で考えておることでございますので、非常に還付申請が相当の数になるということ、もうこれは行政上の問題でございますけれども、それよりもやはり物の考え方といたしまして、通常を超える経費ということで十年余りで改定をさせていただきたい。御理解をお願いいたしたいと思います。
#115
○多田省吾君 私は、この医療費控除にまでおいでになった三十万人の方々が、この改正によって医療費控除が全然受けられなくなるということに対しましては大変残念に思い、抵抗を感ずる次第でございます。
 やはり私は、これから老人医療費というものがますます高くなっていく現状でございますし、また病気で悩んでいる方々が大変増加していらっしゃる、そういったことを考えれば、これは今までどおり据え置くべきだと、このように思うわけでございます。
 また、もう一点お尋ねいたしますが、現在、医療費控除の対象になっている中で、この医療費の範囲でございますが、「医師又は歯科医師による診療又は治療」ということでございますが、この場合、例えば人間ドックの費用というものは、検査の結果、疾患が発見されたときに限って控除対象になるわけでございます。しかしながら、やはり予防医学の観点から疾患の有無にかかわらず人間ドックの費用をやはり控除の対象にしてもよろしいんじゃないかな、このように思いますが、これはいかがでございますか。
#116
○政府委員(日向隆君) 医療費控除の対象となる医療費の範囲につきましては、今委員仰せのように、所得税法施行令第二百七条において定められております。「医師又は歯科医師による診療又は治療」の対価とされているところでございます。
 御指摘の一般に人間ドックに要する費用は、疾病等の診療または治療のためではなく、通常健康診断のために要する費用で、大勢の人がほぼ定期的に受けるというものそあるところでございますので、これをすべて医療費控除の対象とすることは難しいことについては御理解を賜りたいと思います。
 ただ、御指摘のこともございますので、健康診断ないしは人間ドックに入った結果、重大な疾病が発見され、引き続き治療を受けるといった場合には、その健康診断ないしは御指摘の人間ドックに要した費用も含めて医療費控除の対象として取り扱うこととしてまいりたい、かように考えております。
#117
○多田省吾君 次に、土地税制で若干お伺いいたします。
 今回も土地税制の改正が入っておりますけれども、昨日、同僚議員の質問にもございましたように、銀行の融資姿勢によってはやはり効果が出ないのではないかという心配がございます。今土地税制に関しましては、いわゆる土地臨調というものが総理の諮問で審議をされているようでございますけれども、私は建設大臣がおっしゃるように、この五年間土地高騰に対して無策であった中曽根内閣の姿勢というものが大変問題だと思います。それで、ただ土地臨調に任せておくだけではなしに、やはり総理も大蔵大臣もあるいは国土庁長官等におかれましても、早急に土地税制は考え直すべきである。今回提案されたもの以上に、やはりしっかりした土地税制を確立すべきである、そして土地高騰を防ぎ、また庶民の土地は守るべきである、このように考えます。
 私たちは、この夏におきましても、例えば大法人、大企業の所有する遊休土地、これが東京二十三区を初め、東京都にもかなりたくさんあります。私たちは、こういった大法人の所有する土地を再評価いたしまして再評価税を課すべきである、こういう考えを持っております。
 この一年だけでも日本全体の土地評価益というものは大変なものになると思います。それとともに、株価におきましてもこの一年間日本全体の株式評価利益増は百六十兆円に上る、このように言われております。ですから、土地並びに株式に対する再評価税をこの際発足させまして、そしてこの再評価税率はシャウプ勧告に基づく資産再評価を参考にいたしまして六%程度にする、そして納税時期は十年間の分納にする。このようにしていくならば、私は土地高騰を防ぎ、また遊休地を遊ばしておく、こういうことも防げるし、また、この前の十一日の参考人質疑におきましても和田八束教授がおっしゃっておりましたけれども、やはり土地保有税というようなものをつくって保有コストを高くして、そういった遊休地をなくすようにしなければならないと意見を述べておられましたが、私たちも同感でございます。
 しかしながら、一定規模以下の個人住宅地等におきましては、やはり固定資産税は据え置くかあるいは軽減する、こういう方向でこの都心から人口がどんどん流出するというようなことは私は防がなければならないと思います。こういった考えに対しまして大蔵大臣としてはどう思われますか。
#118
○国務大臣(宮澤喜一君) 再評価税といったようなことになりますと、やはりこれは一種の資産課税でございましょうが、もしそれを超えて相当のものを課税するといたしますと、負担能力があるか、つまり土地の譲渡をいたしません場合にどのようにしてそのような税額を負担するかというような問題が出てまいります。それを防ごうといたしますと税率もおのずから小さいものにならざるを得ない。ということであれば、それは固定資産税あるいは保有税とどこが違うかということになってまいるのではないか、そういうような問題も考えておかないといけないと思います。
 総じて、しかし今多田委員の言われました土地の問題は、いわゆる臨調が来月の十二同までには当面の対策というものを政府に答申をしてくれるということになっておりまして、概して申せば、税制というのは土地問題については一種の補助、補完的な役割を果たすものだとは思いますけれども、しかし税制そのものもまたなかなか無視できない大きな影響をこの際持ちますので、そういう臨調の御意見もひとついただいた上で全般的な問題を考えなければならないと思っております。
#119
○多田省吾君 また、最近は国有地あるいは元国鉄用地等の売却問題、地価抑制のためにはやはりこれは凍結する方がよろしいんじゃないかとか、あるいは地方自治体に移譲すべきであるとかいろいろな対策が述べられておりますけれども、やはり私たちはこのような国公有地あるいは元国鉄用地等の競売というようなことはこれは絶対に慎むべきである、ますます土地高騰を助長するばかりである、このように思うわけでございます。大蔵大臣でございますので、この国有地等にかかわる払い下げ問題に対しては今どのようにお考えでございますか。
#120
○国務大臣(宮澤喜一君) これも実はただいま申し上げたことに関連をいたしておりまして、国有地そのものでございますと、そう売り払いの件数が多いわけではございません。ただ、国鉄ということになりますと、ただいま再建という問題がございますので、それとの関連でいずれをとるかという難しい問題を含んでおりまして、この点は国鉄当局もいろいろにその辺は考えておられるように、これは私の所管ではございませんが承っております。これもやはり先ほど申しましたような臨調の意見が出ましたときに、あわせましてそういう問題も考えてまいらなければならないのではなかろうか。もうしばらくの間でございますので、それを待ちたいと思っておるところでございます。
#121
○多田省吾君 やっぱり大蔵大臣も総理と同じように土地臨調の答申待ちという御答弁しかなさらないわけでございまして大変残念でございますが、私はやはり積極的にやれる面からどんどんやっていかれた方がよろしいんじゃないか、またそうしなければならぬ、このように思うわけでございます。
 次に、キャピタルゲイン課税につきましてお伺いいたします。もうこの委員会でも何回も論ぜられておりますので、私は具体的な問題だけを申し上げたいと思います。
 現在の有価証券の譲渡益課税につきましても、少し条件を厳しくするだけでございまして、さしたる変化はございません。今までの継続的取引、年間五十回かつ二十万株以上をちょっと変えるというだけでございまして、私はもっともっとやはりこれは改正を口にする以上は厳しくした方がよろしいんじゃないか、拡大した方がよろしいんじゃないか、このように思うわけです。
 これから総合課税があるいはキャピタルゲイン課税ということを行っていく場合に、どうしても把握のためには納税者番号が必要であろう、このように言われております。与党の皆さんは、納税者番号制を導入しているアメリカでも把握率は低いのではないか、一部のキャピタルゲインにしか課税されないのではないか、こういうことをおっしゃる方もおられます。そしてまた、そういう納税者番号的なことをやりますと国民の反発を招くのではないか、このような理由で反対なさる方もいるわけでございますが、私はやはりこの前のグリーンカード制を与党の方々が凍結、廃案になさった、大変残念に思います。あれがもし進んでいるならば、やはりマル優のいわゆる不正問題とか、これも防げるでありましょうし、また今早急にやらなければならない総合課税化ももっと何年か早く進んでいたのではないか、このように思いますと非常に残念でなりません。しかも、朝霞市にはセンターをつくりまして、何百億も金を使ってそれがむだに捨てられている。非常に残念でございます。
 そういったキャピタルゲイン課税あるいは総合課税化に対しまして、番号制あるいはグリーンカードの復活、こういった必要性を感ずるわけでございますが、大蔵大臣はどのように考えられますか。
#122
○政府委員(水野勝君) 私ども昭和五十年代に利子課税等々につきまして課税のあり方を検討いたしました際に、これは番号制度をもってその管理を図るということを考え、昭和五十五年度の税制改正におきましてグリーンカード制度を御提案申し上げ法律化していただいたところでございます。これは国民総背番号といったものでもないし、納税者番号といったほどのところのものでもございませんで、少額貯蓄非課税制度を利用される方がその利用者カードの交付を受けられる、それに番号が付されるというところでございまして、その番号を非課税貯蓄だけでなくて課税貯蓄の利子の受け取り等の際にもそれでもって本人確認をさせていただくという、いわば利用者番号制度であったわけでございます。しかし、そのような番号制度でございましても、立法化されまして昭和五十九年から実施ということでございましたその間におきましてもろもろの動きがございまして、昭和五十八年度にはこの実施を三年間延期するというふうに御提案申し上げてお許しをいただき、結局その三年目の昭和六十一年にどうするかということから、昭和六十年度改正でこの点につきまして税制調査会にもお諮りし、結局現時点ではこれは撤回させていただくほかはないということで、国会に御提案をして撤回をさせていただいたところでございます。
 やはりまだ利用者番号制度の程度のものでございましても、税制上そうした番号が付せられまして、それによりまして金融資産の動きが税務当局に管理、把握されるということにつきましては、やはり国民の皆さんの間には相当なまだいろんなニュアンスがあるわけでございまして、そうした結果としておととしに撤回をさせていただいたところでございますので、現時点におきましてもう一度これを組み直しまして何らかの番号制的なものを制度化し御提案を申し上げるというには、なお社会の情勢もそこまではまだ熟してはいないのではないかと判断をせざるを得ないわけでございます。
 しかし、こうした制度は御指摘のようにアメリカにおき要しては行われている。もちろんアメリカは税制上の番号として始まったわけではございませんで、社会保障番号を活用しているわけでございますが、そうした事例もあるわけでございます。もちろん私どもこうした点につきましての勉強は怠るつもりはございませんが、現時点で御提案をする環境なり、また私どもの準備も整っていないというところでございます。
#123
○多田省吾君 私は、やはり主税局長の御答弁は、番号制にいたしましても、その必要性は認めながらまだその時期ではないというような御答弁でございまして、高資産者の方々を擁護するような答弁になっている、このように思われてなりません。非常に残念です。
 それで、私は、アメリカで行っているいわゆる社会保険番号をもって納税者番号とし、しかもどの程度の把握率であるか、おわかりでしたらひとつお答えいただきたいと思います。
#124
○政府委員(水野勝君) アメリカにおきましては、昭和三十年というか一九六二年からでございますが、申告書等を税務署に御提出になる方はすべて当該申告書に納税者番号を記載することが義務づけられたところでございますが、その番号は社会保障関係事務に使われております社会保障番号とすることにされておるところでございます。こうしたことによりまして、一応金融資産等につきましてはこれにより管理をされる。それによりまして、例えば金融機関に口座を開設いたしました際には、金融機関はその預金者の番号を入手してそれを保持するということ、それから十ドル以上の利子なりの支払いを行った際には、その番号を付した支払い調書を税務当局に提出する、こういった制度があるわけでございます。
 一方、こうした制度はございますけれども、一〇〇%金融資産の把握等につきまして完全に行われているかということになりますと、その点は必ずしもそこまではいってないわけでございまして、例えばキャピタルゲインにつきましては、それは五九%でございますとかいろいろ試算が行われておるところでございます。預金利子等につきましても、これは八六%程度でございますとか、もろもろの試算があるわけでございますので、こうした番号があるからといって一〇〇%というわけでもないわけでございますが、アメリカはアメリカとしてそれなりに効果が発揮されているとも言えるわけでございます。
 しかし、一方におきまして、今般アメリカが所得税率を一五%と二八%にした。それはキャピタルゲインがやはりなかなか番号制をもって対処いたしましても必ずしも十分でない。また、キャピタルゲインそれ自体につきましても四割課税ということでございました。それはやっぱり税率が高いということになりますと、番号制のもとにおきましてもいろいろ回避が、節約が行われる。むしろ税率をフラットにすればそうした納税者の節税努力というもの、租税回避の努力というものもなくなる。そのかわり、ではキャピタルゲインも四〇%課税でなくて一〇〇%課税にする、その方がむしろ公平ではないかと、そうした考え方もあって、所得税率は一五と二八のかなりフラットなものにするとともに、キャピタルゲインは一〇〇%課税にするというふうに改めたとも聞いているところでございまして、なかなか番号制的なものがございましても税務上の執行というものは難しいものだという感じも受けるわけでございます。
#125
○多田省吾君 今の主税局長の御答弁のように、確かに一九八一年のデロイト・ハスキンズ・セルズ会計事務所出所のキャピタルゲインの自己申告比率は五九・四%であったと記録されております。しかしながら、大阪大学の経済学部の八田達夫教授が本年の六月にワシントンを訪ねまして、米国財務省が三月にまとめた部内資料では、株式、債券の売却益に限っても把握率は実に八九%に達しているとあります。自己申告での状況です。これに加えて、八二年から租税公平財政責任法によって、株式の売却の際に納税者番号である自分の社会保険番号を証券会社が国税当局へ通知する義務が課せられたわけでございまして、今日ては把握率はもっと高いという主張もございます。また、アメリカだけではなしに、いわゆる外国の納税者番号制をとっているところは、カナダが一九六〇年代より、あるいはスウェーデンが一九四七年より、デンマークが一九六四年より、ノルウェーも一九六四年より、そのほかたくさんあるわけでございまして、私はやはり総合課税化を早く進めるそして不公平税制を是正するのにはどうしても早くこういった番号制あるいはグリーンカード制の復活、こういりたことも考えて総合課税制をしっかり把握した上で図っていくべきである、このように思うわけでございます。大臣、もう一度御答弁願います。
#126
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的にはいろいろな税務の執行体制を強化いたしまして、また支払い先の協力も仰ぎながらできるだけキャピタルゲインについての把握率を高くしていく。制度上の問題と申しますよりは、これは執行上の公平、不公平という問題が大きゅうございますので、そういう努力を続けていかなければならないと思います。そして、やはり終局的にはそれは総合課税の対象になるべきものであるという点も御指摘のとおりと思いますが、そのような行政が公平に行われ得るような努力をまず税務の方の執行体制が努めなければならないことであろうと存じます。
#127
○多田省吾君 次に、私はマル優廃止問題でお尋ねしたいと思います。
 やはり家庭にあって貯蓄をするのは、日本におきましては福祉あるいは年金制度が非常にまだ完備してないということもございまして、病気、災害のために、あるいはお子さんの進学や結婚のために、あるいは住宅取得のために、いろいろなことを考えて貯金をなさっているわけでございます。しかし、今回マル優制度が原則廃止になりまして、六十五歳以上の方あるいは身障者の方、母子家庭の方を除きますとこの制度は原則廃止になったわけでございます。社会的に弱い方々に特別の配慮をするということでございますならば、先ほどから論議されておりますように、六十五歳以上の方を非課税にすると同時に、私は現在の年金の受給資格である六十歳の方を考えて。また五十五歳から六十五歳までの間の方もいろいろ就職問題あるいは病気の問題等で大変な生活苦を強いられております。そういったことを考えますと、六十五歳以上ならば二千万人近くで二五%だ。じゃ六十歳以上にしますとどうなりますか、三十数%になる。それで私はよろしいんじゃないかと思う。六十五歳を境に生活様式ががらっと変わってしまうわけでもありません。やはり六十歳から六十五歳までの方は老後のために大変な努力をしていらっしゃる。そういったことを考えれば、私は対象者の方が三十数%になりましても、二五%と比べてもそんなに倍になったわけでもありません。
 そういう意味で、私はマル優廃止は絶対反対ではありますけれども、せめて六十五歳以上の方を非課税にすると同時に、六十歳以上の方まで非課税にする方を増加された方がよろしいのじゃないか、このように思うわけでございますが、いかがでございますか。
#128
○政府委員(水野勝君) お示しの年金等の支給年齢は、現時点では、六十歳とされている場合もございますが、あくまで基本的な原則といたしましては、本則といたしましては六十五歳とされておるようでございますので、これから発足をいたします制度といたしましては、そこは六十五歳の姿にそろえさせていただければと思うわけでございます。
 それからまた、六十歳から六十四歳、六十五歳からさらに高齢者のその年齢区分で見ますと、やはり六十五歳までの年齢階層では、どちらかというと現役世代に近い。その収入の状況、資産の状況、消費支出の内容等は、六十五歳以上の世代よりは現役世代に近く、犬方職を得て収入もおありというのが、もろもろの統計数値等から見ますとうかがわれるところでございますので、これは六十五歳をもってお願いを申し上げたい。御指摘の二五%、これが六十歳までになりますと、三八%ぐらいで、約四割に近いものになるところでございますので、これは六十五歳が適当ではないかということで御提案申し上げたところでございます。
#129
○多田省吾君 このマル優廃止の理由として、いつも御答弁なさるのは、不正防止とか、あるいは国際的問題で貯金を奨励するのはどうかと思うとか、あるいは財源にするのだとか、いろいろな理由を述べられておりますけれども、私は一つとして正当な理由がない、このように思うわけでございます。
 不正防止にいたしましても、ようやく一昨年から限度管理が講ぜられ、そしてこれがその緒についたという段階でもうすぐさまこういった改定をしてしまう。グリーンカード制は、せっかくつくったと思ったら、これも凍結、廃止だ。政府の考え方は、もう本当に不正利用を防ごうというような姿勢じゃないのです、その他の理由でこれを廃止しようとしている。本当にこれは今までの経過を見ましても、非常に残念に思います。今までも数多く論ぜられましたので、これには余り時間をかけようとは思いませんけれども、私も大変ふんまんやる方ない思いでございます。
 不正防止ならば、これはやろうと思えばできるわけです。それを高資産家が大変な不正利用をしているというようなことを理由としてこれを廃止して、そして一般国民が、こんな標準家族で三千六百万円も利用している方なんかは非常に少ないわけです。ほとんどいないのです。それで、三百万円単位にわずか利用しているこの少額貯蓄に、その利子に二〇%もいきなり分離課税を一律にかけるというようなやり方は大変な暴挙だと、このように思わざるを得ません。それによってせっかくの所得税減税も吹っ飛んでしまう方が、かなりの方がそうでございます。
 また、国際的問題であるならば、今金余り現象あるいは財テク等の問題がございますけれども、それは主に相当な高資産者の方々の問題でございまして、そういった方々を、どのように金余り現象をなくしていくかということこそ、私は大事であると思います。
 そういったことをやっぱり私は、今まで論ぜられてまいりましたように、利子配当を含めて総合課税に早く持っていくしかないと思うんです。国民の大方の皆さんの少額貯蓄というものは、との日本の福祉制度あるいは年金制度がまだまだ完熟状態じゃない、非常に未熟であり、そしてまた、いろいろな突発事故等に対しましてどうしても貯蓄する必要があるわけで、そして土地が高い、住宅が高いという現在においては、やはり何とか少額貯蓄にその基盤を置いてやっていこうという姿しかとれないわけでございます。それを一律に分離課税をかぶせるということは、絶対これは納得のできないことでございます。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
また、財源といたしましても五、六年先にやっと効果が生じてくるというようなものでございまして、これを所得税減税とセットにして出してくる。大変な私は暴挙である、このように思わざるを得ません。
 それから、もう一つあるのはやはり財形貯蓄でございます。もう何回も質疑されておりますが、我が国の財形貯蓄制度は国や事業所からの給付金がない、全くの自助努力によるものでございます。非課税措置のみが制度促進の要素です。これが課税されますと、一般の財形貯蓄は単なる天引貯金にすぎなくなります。財形制度ではなくなるわけです。ですから、財形貯蓄と言うならば、一般財形貯蓄も年金、住宅と一緒に原則非課税にすべきであり、この中に繰り入れるべきである、このように思います。一方の住宅財形貯蓄を創設するから一。方の一般財形貯蓄は廃止するというのは、全くあめとむちのようなやり方で、納得できないところでございます。特に財形貯蓄は天引で行われておりますので、いわゆる不正、悪用の心配も要らないところでございます。
 初めに述べましたように、一般家庭に比べましてやはり勤労者家庭は、最近の家計調査を見ましても、生活防衛で大変苦しんでおられる。せめてこの一般財形貯蓄を私は残していただきたい。住宅や年金にも振りかえられるんだと言いますけれども、この異常な地価高騰時代に住宅貯金がどれだけ有効かわかりませんし、またいろいろな場合に、あらゆるサラリーマンの皆様にお聞きいたしますと、やはり住宅、年金だけでは利用価値が少ない。どうしても一般財形貯蓄は残していただきたい、こういうのが大方の御意向でございます。
 もう一度大臣にお伺いいたしますけれども、一般財形も非課税枠に残すお考えがないのか、お答えいただきたい。
#130
○政府委員(水野勝君) やはり今回は一般的な貯蓄奨励といったことにつきまして税制上特別の配慮を申し上げるということは、現在の社会経済情勢からして、いかがかと。貯蓄が重要である。こと、特にサラリーマンの方につきましては重要なものであるということは否定するわけではございませんが、そのために一般的に税制上の措置を講ずるということはいかがかということでございますので、その点はサラリーマンの方につきましても、それ以外の方々につきましても一般的な貯蓄、これは普通の利子課税をさしていただきたいということでございます。
 ただ、御指摘のように住宅、年金の部分は、そこは非課税を継続させていただくということにいたしておるわけでございまして、また今回の制度改正におきましては、財形法と税法の方で一般財形は住宅財形、年金財形に移行する道を開いているところでございますので、住宅、年金、こうしたことに備える方というのはサラリーマンの方それぞれおありだと思いますので、極力その方に移行をしていただき、引き続き御活用を願えればと思うわけでございます。
#131
○多田省吾君 大変御答弁に対して不満でございますが、次に、もう一つの問題は五年後見直しの問題でございます。
 昨日も和田議員からも質問がございました。必要に応じてとか、あるいは施行後五年後に見直す、余りにもまどろっこしい。世の中はもっともっと速い変化をしているんだ、また、必要に応じてというのはやらない場合を想定しての文言ではないか、こういった意味の御質問もあったわけでございまして、私もそのとおりだと思います。主税局長等からは、この二百八十七兆円の内容を申されまして、九十三兆円は定額貯金だとかあるいは八十兆円は期日指定の長期の貯金だとかいろいろ理由を述べられまして五年はどうしても必要なんだと、そして国民の預貯金の選択の中立性というようなこともおっしゃいました。だから、五年後が妥当だとおっしゃるわけでございますが、私は本当のお気持ちはそうじゃないんじゃないか、こう思うのです。
 それほど国民の預貯金に対して心配なされるならば、このマル優廃止だってやめるべきでありますし、原則二〇%の一律課税なんというのは預貯金の中立性を踏みにじるものでございます。しかも、廃案にはなりましたけれども、もし売上税なんか創設されるのならば、デパートとか流通業界がどれほど大変なコンピューター化とかいろいろな機械で何百億円もみんな金がかかるんじゃなかったですか。それを今回だけは銀行のためを思いとか、郵便局のためを思って五年はこのままやらせるべきだなんて、これは国民の預貯金の選択の中立性なんという言葉ばかり進んでしまって、その実はそうじゃないんですよ。余りやりたくないという心底が見え見えじゃありませんか。本当に総合課税をやるというのであれば必要に応じてなんて文言は削って、そして三年後見直しをせめてやるべきであります。私はそれはできると思います。もう一度御答弁いただきたい。
#132
○政府委員(水野勝君) やはり同じお答えになろうかと思うわけでございますが、何分にも今お示しのように、現在非課税貯蓄の対象となっておりますものの大半のものは十年物の金融資産でございますとか、五年物、三年物、こうしたものが圧倒的な部分を占めておるわけでございます。こうした長い金融商品を相手に預金者がいろいろ選択をされる、そうした場合にその背景となる制度といたしましては、やはり五年程度のものがこれは安定したものであるということの前提でお選びになるということではないかと思いますので、そうした観点からいたしますと、この安定性の面からいたしまして、五年というのはぎりぎりの年度の年限のような気がするわけでございます。また、お示しの金融機関や郵便局のコスト等ももちろんあるわけでございます。
 こうした観点からいたしまして、私どもこの規定の趣旨に沿いまして対処するつもりでございますけれども、やはり一定期間の安定的な見通しといったものはぜひお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
#133
○多田省吾君 五年後、本当に総合課税化するのならば、当然今からすぐにその準備を進めなければなりません。そして、もう来年でもそれができるという状況をつくっておかなければ、五年後は私はできないと思います。もし五年後やるんだったならば私は三年後もできると思います。五年後しかできないと主張なさるのは、それは五年後もやらないということじゃありませんか。本当にやりたいのならば、やはり今すぐ総合課税に向かうべきであります。五年後を本当に固執するのは大変おかしいと私は思うのです。五年後やるならば早いほどいい。三年後にやるべきじゃありませんか。ですから、やはり五年後を一つの何というか防壁にして、なるべくやるまいという姿勢があらわれている、私はこう言わざるを得ないのです。
 ですから、選択の中立性とかなんとかおっしゃいますけれども、今までとられた政府、特に大蔵省の実行なさったことは何ですか。売上税を導入しようとなされたじゃありませんか。デパートや流通業界はどんなにコンピューター化、あるいはいろいろなものに金がかかるかわかりませんよ。それだってあえてやろうとしたじゃありませんか。グリーンカードだって、与党がおやめになったからと言いますけれども、本当にそれに大蔵省が抵抗したのか。そんなことになったら、おれは大蔵省やめるぞと、そういう方が一人もいなかったじゃありませんか。本当にそういう真剣な姿があってこそ、初めて大蔵省じゃありませんか。与党のせいにして全部平気でやめてしまう。グリーンカードを発足するときも朝霞市には百何十億円もするような設備を調えて、しかもその果ては廃案でございます。そういった今までの姿を見ますと、どうもこれは信用できない。国民の預貯金の選択の中立性なんて、そういうことを国民にさも恩恵ぶったお話をなさって総合課税をおくらせようとしているという以外には考えられません。
 そういう意味で私たちは、必要に応じてとか、あるいは五年後見直しというものを修正いたしまして、三年後見直しぐらいにはせめて法案修正なさった方がいいんじゃないか、このように強く要望いたすわけでございます。大蔵大臣はいかがでございますか。
#134
○国務大臣(宮澤喜一君) この部分は衆議院の修正になる部分でございますが、政府といたしましては、先ほどからるる申し上げましたような事情によりまして、利子所得については分離課税でいくということをこの際の問題としては考えておりまして、ただ、しばしば御議論がありますように、所得税そのものはやがてはすべての所得が総合されることが望ましいということはそのとおりであると思いますので、そういう意味では、それが可能なような行政の執行体制の強化ということにやはり努めていきまして、現実にそれがなし得るような状況をつくってまいることが先決だというふうに考えておったわけでございます。しかるところ、衆議院におきまして、本来総合課税が本来の姿であるのであれば、そういうこともやはりこの法案の中に、法律の中に述べておくべきではないかという御趣旨からこのような御修正をなさったと伺っております。
 五年と言われましたのは、承るところでは、やはり一度制度をつくりますと、それはその制度としてある程度は、朝令暮改でなく、一定の時間を経過してテストをやはりさせていただきたいということについての御理解があって、五年というふうに修正されたというふうに聞いております。
#135
○多田省吾君 総合課税化にこれから進むとおっしゃっておりますけれども、その方途をこの際明らかにしていただきたいと思います。
#136
○政府委員(水野勝君) この利子課税もそうでございますし、たびたびこの委員会で御議論、御指摘のございますキャピタルゲインにつきましても同じ問題でございます。所得税法といたしましては、やはり本来は総合累進課税をもって本則といたすのがそのあるべき姿であるということは考えておるわけでございます。
 ただ、利子にいたしますれば、何千万人の預金者、何十億口と申しますか、十億単位の口座数を持つ金融資産でございますので、実質的に公平な執行のできる制度といたしまして、当面は一律分離課税を御提案を申し上げておるところでございます。この制度をお認めいただければ、これをもって執行さしていただき、その間の執行の状況等を十分注視してまいるつもりでございまして、その間また一方、機械化の方もいろいろと進展するものと思われますし、納税者の意識等もこれはいろいろ時代の変化に応じて変わってくることも考えられるわけでございます。私どもそうしたもろもろの要素を、この制度発足後十分注視して総合課税の問題を考えてまいりたいと思うわけでございます。
#137
○多田省吾君 十一日の参考人質疑のときにある参考人の方から、マル優が廃止されますと、特に六十歳から六十四歳等の中高年の方々がそのよりどころを失って、財テク等に走って大きな被害を受けるんじゃないか、こういう心配もなさっております。私もそのとおりだと思います。ですから、私たちはそういったマル優廃止には強く反対するわけであります。
 最近、財テク失敗による企業や金融機関の巨額の損失が生じる事態が発生しておりますけれども、これらの現状と対策についてお伺いしておきたいと思います。
#138
○政府委員(藤田恒郎君) 最近の財テクブームに絡みまして、債券の先物取引で、ある企業が巨額の損失を受けたという事実が発覚いたしました。これが為替相場さらには債券相場、ひいては先物市場全体の必要性、そういったものについてまでいろいろ悪影響を与えたという点は、私ども非常に残念だと思っております。
 この先物取引につきましては、もう申し上げるまでもないと思いますけれども、一番重要なことは、投資家が先物取引についてのリスクというものを十分自覚する、その上で投資を行うということだと存じておりますが、その観点から私どもは、先物取引を仲介いたします証券会社に対しまして、顧客に対して先物取引の内容その他をよく説明する。さらには、顧客の台帳、カードをつくりまして、その取引状況を把握する。さらには、過大な行き過ぎた勧誘行為に走らないように、常日ごろ指導をするということでいろいろと配慮をしてきているところでございます。
 ただ、今回発生したような事件を私ども少なくとも現在まで調査したところによりますと、過去の取引経緯、そういったところから判断いたしまして、相当大口の取引をやっておられる、いわば一般の投資家というよりも、かなり先物の何たるかをよく知りながらあえてやっておられるというようなところではないかというふうに判断しておりまして、むしろこれは当該企業のリスク管理体制というか、そちらの方の問題ではないかというふうに思っているわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、私ども引き続き先物取引についてそのリスクの大きいところを配慮して、証券会社が慎重に対応してくれるように指導してまいりたいというふうに思っておりますし、また今回の事件の調査を進めまして、何か我々がさらに一層やらなければいけないというようなことがあるならば、そういったものも実施してまいりたいというふうに考えております。
#139
○多田省吾君 次に、大蔵大臣にお尋ねしたいんですが、財政体質の強化のためにはどうしても赤字国債の早期脱却あるいは国債残高を早く減らさなければならない、このように思います。国債残高は百五十三兆円にも及ぶだろうと言われておりますけれども、これを減らすにはいろいろな方策があると思います。現在のように借換制度でどんどん先延ばししていくという姿では、もう国債費ばかりが大きくなりまして財政が大変困難になり、ひいては国民生活を苦境に陥れることになります。
 最近、財団法人の国民経済研究協会とか、鈴木日経連会長なんかが、公社公団等公的機関の民営化とその株式の売却益の活用によって国債残高をぐんと減らしていった方がいいんじゃないか、こういう考えを述べておられるようでございます。
 私なんかは住宅公団なんかはこんなことしたら大変だと反対でありますけれども、例えば道路公団、今回も千住新橋から川口まで高速道路が完結いたしまして、熊本県八代から青森県まで高速道路が完通したというようなことでございますけれども、その一方、次の目から東京の首都高速道路の料金が五百円から六百円になったということで、これはみんな激しく反対しているわけでございまして、道路公団というのは一体どうなっているんだと。もう大都会の方々は、これはただにしてもいいんだと、ところが地方の方は、プール制度だからこれは困ると、まあいろいろ御意見がありますけれども、道路公団あたりはどうもよくわからない、もっとこれは民営化して能率をよくした方がいいんじゃないかという意見もそこから出てくるんじゃないかと思います。
 こういった国民経済研究協会等の御意見、いわゆる公社公団等の公的機関の民営化、そしてその株式の売却益を活用して、百五十二兆五千億円ですか、六十二年度末の国債残高を減らしていった方がいいんじゃないかという御意見がありますけれども、大臣としては、この主張に前向きの姿勢をとられるのか、あるいは全く否定なさるのか、いかがでございますか。
#140
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま例として道路公団ということを仰せられたわけでございますけれども、特定の公団公社等につきましては、私十分存じません。検討いたしておりませんので、一般論として申し上げるしかできないことでございますけれども、一般論として申しまして、公団公社あるいは特殊法人というものはそれなりの理由があって、目的があって設立されたはずであります。したがいまして、現実に今の段階において、その目的をもう既に完了しておるとか、あるいは目的に実は沿わない、必ずしも適当な経営体でないといったようなことがございましたら、それはただいまおっしゃいますように、民営というようなことが考えられるであろう。それは日本電信電話公社においてさようでございましたし、また政府が非常に株を持っておりました日本航空においてもそういうことが言えるわけでございますけれども、一般論としてすべてというわけにはもとよりまいらない。要は、財政収入の立場からと申しますよりは、現に仕事をしております公団公社あるいは特殊法人が現実にそういう今の経営形態を必要とするものであるかどうか、そうであればもうそれでよろしいんでありますし、いや、むしろ民営の方がいいというのであるか、その検討が私は先であろうと思います。
 その結果として民営がよろしい、そしてまた、民営にすることによって財政収入があるということになりましたら、まことにそれは結構なことでございますけれども、収入を考えますより前に、まずその経営体が今の経営形態として適当であるかどうかという検討が先立つべきものと思います。
#141
○多田省吾君 次に、法人税の問題で若干御質疑いたします。
 昭和五十年代の初期、本委員会におきましても法人税の問題は激しく論議されたのでございますが、私は、ただ法人税を引き下げればいいというような考えは反対でございます。
 先ほども申しましたが、その当時、東京都新財源構想研究会の専門委員会が第一次から第六次までの報告をいたしました。先ほど総合課税の問題で御質問したのは、第六次報告の中でございました。法人税の方はその少し先でございますけれども、やはり百億円以上の資本金を持つ日本の大企業というものは、実効税率はともかく、実際の、実質の税率はかなり諸外国に比べるとむしろ低いんだと。なぜならば租税特別措置の中にある価格変動準備金を初め四つの準備金とか、あるいは租税特別措置による減価償却費の問題とか、あるいは法人税の中に含まれている貸倒引当金あるいは退職給与引当金、こういったものを大企業は十二分に活用できる。この結果、諸外国にないような活用が加わりますので、実際の実質的な法人税率というものはかなり低くなりまして、百億円以上の企業でありますけれども、むしろ中小企業の軽減税率よりも低いような実際の税率になっているんだというような姿がはっきり数字によって示されたわけでございまして、大蔵省ではそれに対応するようなはっきりした数字が出せなかったというよりも、調査しておりませんということでございます。
 しかし、その論議によって当時貸倒引当金とかあるいは退職給与引当金等が圧縮されまして、実際改正されたわけでございます。そういった措置を十分にとって比較してこそ諸外国との間の法人税率の問題が論議できるのでございますけれども、ただ単なる表面税率やあるいは実効税率だけを、すなわち国税、地方税を含めた実効税率だけを取り上げて諸外国の税率と比較するのは私はどうかと思うんです。
 そういう意味で、我が国の租税特別措置法による特別措置、あるいは法人税の中に含まれる引当金等のやはり優遇措置というものが特に大企業の法人税率を実際に低くしている姿があるんじゃないか。ところが、中小企業等はそのいろいろな諸施策を十二分に活用できません。ですから、実際には実質税率は高くなっているわけでございます。そういった例を考えますと、法人税の問題もまたさらに準備金、引当金あるいは減価償却の問題等、日本に特有なこういう優遇措置はしっかりと見直して、その上で法人税率のやはり改正を考えていかなければならない、このように私は思うわけでございますが、当局はいかが考えておられますか。
#142
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、昭和五十年代にいろいろ御指摘いただいたところでございまして、当委員会でも多くの御議論、御検討を賜ったところでございます、
 先ほどお示しのような価格変動準備金、これは五十年代におきまして順次縮減されまして、現在は廃止されておるところでございます。また、貸倒引当金につきましては、昭和四十年代は例えば金融機関でございますと千分の十五でございましたが、漸次引き下げられまして、現在は千分の三という、五分の一になっておるところでございます。その他もろもろ御指摘の特別償却準備金等は、昭和五十年代を通じましてかなり毎年のように縮減に努力してまいりましたので、現在の租税特別措置におきまして、法人税上申しますか、企業関係でこれが講ぜられている措置としては四千億円程度になっているわけでございまして、税収に対する割合もかなり低くなっておるところでございます。昭和五十年代に当委員会を初めといたしまして、国会で種々御議論を賜り、その方向で処理をしてまいった結果でございます。
 ただ、資本金の階級別に見ますと、どうしてもそれは中小法人と比べて、場合によっては低かったり同じぐらいであったりということはございますが、これは法人税率それ自体が留保利益と配当利益に対しまして一〇%の差をつけておる、これがどうしても大会社ほど配当性向が高い場合がございますので、そういたしますと規模によってはその税率水準が違ってあらわれるという現象はどうしてもこれは否定できないわけでございます。
 しかし、御指摘のような特別措置によりますところの水準への影響、これももちろん否定できないところでございます。それにつきましては、ただいま申し上げましたように、昭和五十年代を通じてかなり縮減をしてまいったところでございますが、六十二年度改正におきましても、先般三月にお認めいただきました租税特別措置法におきましては幾つかの整理合理化をさせていただいたところでございます。今後はなかなか縮減の対象というものはしたがいまして狭くなってはきておるところでございますけれども、御指摘によりまして常時見直しを続けてまいるつもりでございます。
#143
○多田省吾君 時間もありませんので、最後に景気回復の問題で一問だけお伺いいたします。
 政府は八月の月例経済報告で景気は回復局面偉あるという宣言をされました。これはどの程度の回復を見通されておられるのか。あるいはこれ以上の景気の悪化はないという判断なのかお答えいただきたい。
 また、昨年度の決算剰余金もたくさんございましたが、今年度もやはり予定以上の、いわゆる財テク等によるものかどうかそれも含めて、税収が増加していると聞いておりますが、どの程度見込んでおられるのかあわせてお伺いしたいと思います。
#144
○政府委員(角谷正彦君) 八月の月例経済報告によりまして、我が国の経済情勢につきまして輸出はこのところやや減少ぎみでありますけれども、個人消費とか住宅投資を中心に内需は引き続き増加しており、景気はその足取りは緩やかであるものの回復局面にあるものと認められる、こういう御報告を申し上げておるわけでございます。
 今申し上げたような実態は、実は在庫調整でございますとかあるいは鉱工業生産につきましても生産、出荷ともこのところ増加を続けている、あるいは企業収益等も改善しているという状況が見受けられるわけでございまして、最近のデータで申しますと九月の八日に発表されました日銀の短観におきましても、業況判断がよい悪いというところで見るわけでございますけれども、製造業についてもなお悪いというところが多いわけですが、かなり持ち直しを示しておりますし、先行きますますよくなるだろうと見通しておるところが多い。非製造業につきましては引き続き好調を持続している。経常利益につきましても、製造業は上期、下期とも増益の見通してございますし、非製造業も電力、ガス等は、電力料金の値下げの問題もございますけれども、その他について見ますと上期、下期とも高水準の収益が期待できるといった状況にございます。
 それから、私ども大蔵省の方が四−六月期の法人企業統計についてこれを九月十四日に発表いたしましたけれども、売上高は非製造業は引き続き堅調でございますし、製造業も五期ぶりにプラスになっているといりたふうなことから、全産業とも前年同期比でプラスになっている。経常利益につきましても、製造業も八期ぶりにこれはプラスになるといったふうなことから、全産業ベースでもかなり高い伸びを示している。
 それから、昨日発表いたしました景気予測調査におきましても、これは大企業、中堅企業、それから中小企業あるいは製造業、非製造業を問わず全体としてかなり業況は好調であるといったふうなことが見通されているわけでございまして、いわば景気循環の在庫調整も終了し、これから在庫の積み増し局面に入ってくるといったふうなこと、それから円高の効果もプラスの面が出てきているといったふうなこと、こういったことから景気は緩やかでございますが、製造業の一部におきまして、例えば輸出型産業関連とか、あるいは地域によりましてはばらつきがあることは事実でございますけれども、全体として回復基調にあることは間違いない。それが財テク等による一時的なものではなくて、むしろ基調としてもそういう方向にあるというふうに考えておる次第でございます。
 税収につきましては、別途主税局長からお答えいただきたいと思います。
#145
○政府委員(水野勝君) 六十二年度の税収といたしましてただいま判明いたしておりますのは七月末までの数字でございます。これは予算額に対しましては二一・四%入ってございます。これは前年同期が一八%でございますから三・四%よいわけでございます。
 ただ、今年度におきましてはたばこ産業株式会社の納期が昨年は年に二回、ことしは年に四回ということで四分の一班に入っている、その点が特殊性でございますので、その点を調整いたしますと二〇・八%入ってございます。しかし、二〇・八%にいたしましても、前年同期の一八%を二ポイント上回っているわけでございますので、税収状況としては悪くはないと言えるかと思うわけでございます。
 これはそもそも六十一年度にかなりな年度内の増収が生じまして、その結果といたしまして、六十二年度税収予算そのものは六十一年度決算額を下回るという逆の関係になっているところからこうした姿になっているところでございます。ただ、昨年といたしましては年度当初は比較的伸びが低く、それが年度途中に下がってまいりましたが、後半に至りまして急速に伸びたということになってございます。したがいまして、今年度はその逆のところもあらわれるわけでございまして、今後はどちらかというと伸び率としては少し鈍化していくということも考えなくてはいけないわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたまだ二〇%の収入割合でございますので、これをもちまして全体どうこうと言うにはやや難しいわけでございます。去年は十月に補正予算を組みましたが、これは異例な早い時期でございましたので、この場合はむしろ極めて慎重に見積もったところから、結論としては結局二兆四千億円の増収額を生じた。やはり早い時期にいろいろ見通しをつけますことはなかなかどうも結果としては難しい問題ではないかと考えるわけでございまして、今年度もしたがいまして二割の段階ではちょっとまだ確定的なことを申し述べることはお許しをいただきたいと思うわけでございますが、税収状況はそんなところでございます。
#146
○多田省吾君 私は最後に、所得税減税をますます立派に強めるとともに、また総合課税化を早めそして国民を苦しめるマル優廃止に強く反対いたしまして、まだこれからの大蔵大臣等に修正を強く要求いたしまして質問を終わりたいと思います。
#147
○近藤忠孝君 私は、昨日のこの大蔵委員会に欠席いたしました。また、きょうの午前中の審議にも参加できませんでした。あしたもどうなるかわかりません。あした開かれなければよろしいんですがね、これから理事会で協議すると思うんですが。私自身は最も熱心な大蔵委員の一員であろうと思っています。その私がこういう状況だと言うこと自身が、私はこの会期末の大変異常な状況だと思うんです。というのは、特別委員会の定例日にこういう常任委員会を入れたり、また逆になったり、要するに審議をやっていけば、数だけこなせばよろしいというこういう態度がありありですね。こういう状況で、これは審議は数だけやったからそれで法案を通すという状況であってはならないということを私は冒頭に申し上げておきます。
 私自身の質問に入る前に、午前中の志苫議員の質問に対する大蔵省の答弁の中に事実に反する点があったのでこれを明らかにしておきたいと思います。
 これは十日の本委員会でも吉岡議員が七大商社の法人税について質問したのに対しまして、大蔵省が九大商社の法人税について答弁しようとして委員長から注意を受けた。その経過についてきょうの午前中の答弁では、事前に議員の了解を得ていたという趣旨の答弁がありました。これは事実に反するんです。事実の経過を申しますと、大蔵省の方が、七大商社の法人税は守秘義務で答弁できないから九社で答えると言ったわけですね。それに対して大蔵省がどう答えようと、七商社について質問するということであって、事前了解というようなことでは絶対ありません。
 つけ加えて申しますと、五月の当委員会でも七大商社について質問したんですが、それもやはり九社で答えているということがありますね。私はこういうねじ曲がった答弁、これはいかぬと思うんですね。この点について委員長から御注意いただきましょうか。これは答弁は要らぬですよ。――じゃ答えてもらいましょう。
#148
○政府委員(日向隆君) 午前中の私に対する質疑に関する問題でございますので、お許しを得て御説明申し上げたいと思います。
 私どもが政府委員室からいただいています事前通知につきましては、その際申し上げましたように、商社についての数字を答えてほしいということになっておりまして、その下に議員が言っておりますところといたしまして、主要商社九社についての数字でいいというふうなことが明文で書かれておりましたので、私はそれを見て答弁資料を作成したものでございますから、議員の御質問があったときにその答弁資料でお答えをさせていただいたわけでございます。したがいまして、後で委員長のお取り計らいによりましてお時間をいただきましたものですから、七社について再計算いたしまして改めて御答弁をさせていただいたような次第でございます。これが事実でございます。
#149
○近藤忠孝君 そんな了解できることじゃないんですね。要するに、守秘義務で七商社では答えられないという回答に対して、大蔵省がどう答えようと七商社について質問をする、これが経過ですので、ひとつそのように事実を明確にしておきたいと思います。
 まず、マル優についてであります。大蔵大臣は、高額所得者ほどマル優による受益が多いので、これをなくすことは不公平税制をなくすことだとずっと言ってまいりました。これは事実に反するんですね。既にこれは五月十一日の参議院予算委員会で私自身の質問に対して主税局長が答弁しています。四人家族で一億円預金の場合に十二万円減税、十億円の場合に六百八十七万円減税、百億円の場合には七千四百三十七万円減税と、これは大蔵省の答弁です。そして私は大蔵大臣に、中曽根さんと宮澤さんと比較しまして、宮澤さんの方が減税額が多い。たしか中曽根さんは十六万、宮澤さんが五十何万かなんですね。なぜ宮澤さんの方が減税が多いか。宮澤さんの方が貯金が多いからだと。こういう質問をしまして、さすがの宮澤さんもそのときはうまく答弁できなかったんだと思うんです。まさにこれがやっぱり事実なんですね。
 高額所得者ほど今までマル優によって得をしておった。ところが、今度廃止になれば逆に損をするんだと。これは道なんですが、こういう事実を前にして、そう言うと、宮澤さんは不正利用の問題を言うんです。不正利用の問題はまた別の問題ですから、制度としてマル優廃止によって減税になるのか増税になるのか。現に高額所得者ほどそれは減税が多い。これはもう事実ですから、それでもなおかつ今までの御主張は維持されましょうか。
#150
○政府委員(水野勝君) 数字でございまして、お答えを申し上げますと、やはり百億、そうした数字を持ってまいりますとそういう結果になることは前に御答弁申し上げたところでございますが、私ども普通の貯蓄水準、収入水準を見てまいりますと、やはり通常の貯蓄水準からいたしますと、高額所得者はそれだけ非課税貯蓄をたくさん利用されておるから、一般的にはその御負担の増加が多いのではないかということを通常のケース、通常の収入水準と貯蓄水準とをもって御答弁を申し上げていたところでございます。
#151
○国務大臣(宮澤喜一君) どういうことでございますか、マル優制度というのは、所得の高い階層ほど恐らく余計利用していますから、したがって受益が多いということだと思うんです。
#152
○近藤忠孝君 それは事実に反するんだと具体的に申し上げたんですね。この議論はこれでおいておきましょう。
 問題は、不公平かどうかという問題です。だれが不公平だと理解するか。マル優不公平だというこういう議論ですから、だからなくすと言うんですからね。私はやっぱり主権者である国民がマル優制度を不公平税制と考えているかどうかという問題ですが、この点について大臣はどう思っていますか。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得の高い人ほど受益している度合いが多いのでございますから、つまり減免税分が多いということで、不正であるかないかは別にいたしまして、枠いっぱい利用できるというのはそれだけ所得があるということでございましょうから、そういう意味では高額者の方に有利になっている可能性が高い、こういうことかと思います。
#154
○近藤忠孝君 それは確かに預金額五百万と五千万とを比較しますと、四人家族の場合に一口に言って三千六百万まで非課税対象ですから、その比率が占めるところまでは確かに言うとおりなんです。ところが、ちょっと超えて一億になれば、先ほど申し上げたとおり、十二万円逆に今度廃止になれば減税になる。後、額がふえればふえるほど減税になる。これはもう厳然たる事実です、主税局長も答弁しているんですから。その主張は私は当たらないと思うので、ただその点はもういつまでやっても仕方ない。
 問題は不公平感の問題です。不公平感について国民がどう思っているか。今のマル優制度が不公平だと、そのように思っていると大臣はお考えかどうか。その点はどうですか。
#155
○国務大臣(宮澤喜一君) それは国民がとおっしゃいますが、こういう制度になりますと、おのおの自分のことはわかっておりますけれども、高額所得者にはどういうまでの枠があるとかないとかいうことは国民の皆さんが知っておられるでございましょうか、やはりこれは計数をはじいてみて、実際どっちが得をしているかということで判断すべきじゃないかと思います。
#156
○近藤忠孝君 この点、国民は賢明にもしっかりした判断を示しております。これは昨年八月の総理府が行った利子課税についての世論調査でありますが、その結果はどうなっているか御存じですか。マル優制度を不公平と思うかということに対して、どちらが多かったか大臣御存じでしょうか。
#157
○国務大臣(宮澤喜一君) 存じません。
#158
○近藤忠孝君 不公平と思わないのが四八・六%、不公平と思うのが一七・七%、そのほかに、わからないとか一概に言えないなどありますが、しかしはっきりしたのは、不公平と思わないのが四八・六%。ですから、わからないなんかは抜かせば過半数以上ですね。不公平と思うのはわずか一七・七%、この辺がやっぱり国民の、わからぬと大臣おっしゃるけれどもよくわかっておって、これはやっぱり常識的な判断、決して今の制度を不公平と思っていないんです。
 不公平だから是正するとおっしゃるんですが、国民はそう思っていないことを、これは政府みずからの調査がしっかり示しておるんですね。そうすると、国民が不公平だと思っていないのに、ここで不公平だからと言ってなくしてしまう、要するにこれを押しつける、これが私は民主主義なのかどうなのか、これが宮澤さんの政治信条なのかどうか、そこまで含めて御答弁いただきたいと思うんです。
#159
○国務大臣(宮澤喜一君) それは世論調査を持ち出すまでもなく、これだけ大きな枠があれば高額所得者ほどその枠を利用しやすい、利用できるのでございますから、そのことはもう間違いがございませんですね。低額所得者は枠があってもその枠を利用できないわけでございますから、それは低額所得者も受益をいたしております、しかし枠をいっぱい利用できる人ほど受益の度合いが高いということは、これは世論調査によりませんでも明々白々のことだと私は思っております。国民が世論調査にそう答えられた理由が私にはっきりいたしませんが、御自分の立場から、これだけのとにかく減税を受けている、それをやめるということが公平感に合うか合わないかということについて、高額所得者のことまで計算して返事をされる国民は大変に私は少ないんではないかと思いますが。
#160
○近藤忠孝君 今、大蔵大臣のお考えですと、高額所得者ほどマル優による受益が多い、こういう御認識ですから、したがって高額所得者ほどその論理から言えばマル優廃止に反対が私は多くなるんだと思うんですが、そうでしょう、そうなるでしょう。どうでしょうか。――今うなずかれたわけですね。答弁がないんです。
#161
○委員長(村上正邦君) どなたが答弁なさいますか。
#162
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから別に、高額所得者はマル優廃止に賛成されておると私は申しておりませんです。やっぱりそれは、そのこと自身は御自分だけの立場から言えばあった方がいいと。つまり、減税があった方がいいかない方がいいかと言えば、だれでもそれはあった方がいいと言われるのは、私は当然のことだと思います。
#163
○近藤忠孝君 これは読売新聞の六十二年七月一日ですから、一番最新の世論調査ですね。それによりますと、高収入ほど廃止論がふえるんです。ですから、高収入の人ほど廃止論がふえる、これは大臣どうお考えになりますか。
#164
○国務大臣(宮澤喜一君) それもそれだけではわかりませんけれども、マル優廃止ということが独立に今問われているのではないのでして、それを含めた税制改正が問われているわけでございますから、そのことだけで設問をしたのでは、それは私は正確でないと思います。
#165
○近藤忠孝君 これはいろんな設問の一つです。全体の設問についてはまだ後で指摘しますが、要するにこれは利子への課税が三五%から二〇%へ下がることで高額所得者に有利になるから廃止論がやっぱりふえる。実際、例えば年収四百万未満で廃止を望む人が一八%なのに、六首万以上の場合には二六%、これはずっと多くなっていく傾向ですからね。高収入になるほど廃止論がふえる、こういうことなんです。同じこの調査で、廃止に反対する理由として、高額所得者が有利になるから、これが五三%と最も多いという事実が、また逆にこれを裏づけておるんです。一つや二つの調査じゃなくて、幾つもの設問の結果こうなっていますね。
 となりますと、私、これが事実だし、先ほどの減税について宮澤さんと中曽根さんの減額の割合についても指摘したように、これはまさに事実なんですね。そしてまた、これが私は健全な国民の常識だと思うんです。ところが、今政府がやろうとしていることは、この事実を無視し、しかも国民世論は今言ったようなことですから、これに挑戦して、さらに公約違反も加わる。これが今やろうとしていることじゃないんでしょうか。
#166
○政府委員(水野勝君) やはり例えば先ほどお示しのように、五百万円と一千万円あるいは三千万円といった金融資産をお持ちの方について比べれば、この非課税貯蓄制度の見直しによりますれば、貯蓄の多い万ほど御負担がふえるということは事実としてあるわけでございますので、その点を含めてのそうした御意見なのか、世論調査なのか、そこらの点につきましてはつまびらかでございませんが、数字としてはやはり五百万と三千万とを比べれば、三千万の方の方が負担はふえるということ、これは事実としてあるわけでございます。
#167
○近藤忠孝君 大臣、やっぱり事実とそして世論調査の結果は一致しておるんですよ、高額所得者ほどマル優廃止になって得をする。この状況については、これはどうお考えになりますか。そういう世論と事実にも、無視してもやろうとしている。これはもう私は、一つの証拠と世論調査という二つの事実を大臣にお示しして聞いているんですから。そういう世論調査は間違いだとか事実が間違いだというなら、それはいいですよ。しかし、それに対しては今主税局長も認めておるんですから、それを前提にしてお答えいただきたいと思います。
#168
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどお答えいたしたとおりです。
#169
○近藤忠孝君 先ほどのでは今示した事実を踏まえた答弁になっていないから、私は再度お聞きしたんですが、ちょっと委員長からもそのとおりまともに答弁するように、名委員長なんだから、ひとつよろしくお願いします。――答弁がないということは反論できなかったということになりますね。
 そこで今度は、今のは高額所得者のはどうかという問題でしたが、今度はマル優廃止そのものに賛成か反対かという全体の調査があります。これは日経の六十二年五月四日、マル優は政府案どおりやれが二八%、それに対して廃止が六三%。読売の先ほどの調査の一環として別の調査、同じ調査の中の一環ですが、マル優廃止を実現してほしいはわずか二〇・五%、廃止の必要はない、これは六四・三%、三倍以上です。それから、これは昨年の調査になりますが、東京新聞六十一年四月七日、マル優廃止に賛成二一・七%、反対七一・七%。朝日新聞の六十一年五月三十一日、現行制度存続七四%、廃止賛成九%。共同通信、これは昨年の十一月二十日ですが、廃止反対八〇・四%、廃止に賛成一三%という圧倒的な差があるんです。このようにすべての世論調査がこういう結果を示すということは、私はマル優廃止反対が国民の意思だと思います。しかも最近の調査でも、いろいろな経過がありましたから、廃止賛成に対して反対が三倍も上回っている。大臣、この事実をこれどうごらんになりますか。
#170
○国務大臣(宮澤喜一君) それも先ほどお答えいたしたんですが、これ自身は税負担がふえるわけでございますから、それについて反対が多いのは私は当たり前のことだと思います。
#171
○近藤忠孝君 先ほど指摘したとおり、資産がふえればふえるほど逆に税負担は軽くなるんですから、そうでしょう。それをふえるなんて、それは大臣、事実をねじ曲げることですよ。それは主税局長の答弁でも利子所得がふえればふえるほど減税額が多くなってくるんですからね。それに対して大臣の答弁は、負担がふえるんだから反対は当たり前だと、これは答弁になってないと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
#172
○政府委員(水野勝君) 先ほど申し述べたのは、委員が十億円、百億円という数字をお挙げになって、そうした方はもちろん負担は減るわけでございますが、しかし通常の世論調査等あるいは納税者の方が考えられるのはやっぱり何百万であり、何千万である。そういうオーダーとして考えれば、やはり貯蓄の多い方が負担はふえる、それはそういうことを前提として申し上げているところでございます。百億円の貯蓄者といったものを頭に置いての御議論というのはなかなか難しいのではないかと思うわけでございます。
#173
○近藤忠孝君 それじゃ、何千万単位でいきましょうや。何千万単位で申しますと、これは一人の場合ですけれども、中曽根さんが減税十六万かというのは、大体貯金が恐らく三千万ぐらいでしょうかね。宮澤さんが五十数万というのは恐らく六、七千万ぐらいの預金がおありですよね。その利子を五%計算するとそういったことになる。となりますと、だから千万単位で見ればそれぐらいの人は結構おるんですよ、そちら側の方に結構私はおるんじゃないかと思うんですがね。それは比較的いわゆる普通の資産家としていますよ。百億になりゃこれは何人もいないと思いますよね、それでも最近百数十名いるというんですから。しかし、千万単位だったら結構おるんですよ。それを別世界だなんて、それは通用しません。
 じゃ逆に言わせていただきますと、総理大臣や大蔵大臣が減税になる、多くのそれ以下の主税局長といったようなクラスの人はこれは増税になる。私はそれが自民党政治かと、こう言わざるを得ませんね。そういうことになる。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はどういうことをおっしゃろうとしているのか私わかりかねてまことに申しわけないんですけれども、多分おっしゃっていることは、今まで三五%という源泉選択があった、そのことを言っていらっしゃるんでしょうか、それでしたら百億円とか十億円とかいう預金者について余りそれはないケースでございますから、それも三五%適用したらどうかもわからないので、極端なことをおっしゃいましてもどうもそれは、そういうこともあるかもしれません、しかしそれは大数のことじゃないと思いますと申し上げるしかございません。
#175
○近藤忠孝君 だからそれはさておき、数千万単位でやりましょうということを申し上げて、それは私が指摘したのは事実なんですから、これもやっぱり事実に対して的確にお答えになっておらないし、何度繰り返しても同じ答弁しかこないということは極めて残念だということを申し上げておきます。私は、賛否相当ばという状態での国論二分という状況ですわね、だからそれについて現行制度をなくすことは軽々に手をつけるべきでないと思うんです。ところが反対意見が、廃止反対が圧倒的に多い。これはそれにもかかわらず、強引にやろうとすること自身やっぱり民主主義に反すると思うんです。これについてまた同じ答弁しかないことが予想されますので、時間がむだですから、あらかじめこれは答弁不能と判断して次に進みたいと思います。
 今度はやはり貯金の中身の問題について入りたいと思うんです。
 最近、貯蓄率がずっと下落傾向にあると思いますが、そしてその状況はどうか。今後それはやっぱり可処分所得などの伸び悩み、あるいは高齢化社会などから考えて貯蓄率はますます下がる傾向にあるのではないか。今後の予想も含めて御答弁いただきたいと思います。
#176
○政府委員(平澤貞昭君) 最近の貯蓄率を見てみますと、例えば昭和五十四年以降でございますが、一八・二、一七・九ということで、最新時点の六十年は一六・○ということになっております。したがいまして、その意味では貯蓄率は徐々にではあるが下がってきているということでございます。ただ、現在の我が国の貯蓄率は、主要先進国の中では非常に高い水準で推移していることもまた事実でございまして、そういう意味では今後の動向を占います場合に、やはり経済が成熟してまいりますと、徐々に国際的な水準に近づいていくという可能性もあるわけでございます。
 ただ、この貯蓄率といいますのは可処分所得で貯蓄を割ったわけでございますから、可処分所得が急速にふえますと貯蓄率が落ちることもあるわけでございまして、ふえるからどう、減るからどうということもまた一義的には言えないという関係にあるわけでございます。
#177
○近藤忠孝君 その辺の議論はもう既にありましたので省略しますが、この貯蓄の中の性格から見まして裁量的貯蓄とそれから契約的貯蓄とあると思いますね。裁量的貯蓄というのはすぐ簡単に稼いだ貯蓄、傾向から見ますと、四十九年と六十年を比較してみますと、裁量的貯蓄は一八・三%から一一・四%にずっと減っている傾向、それに対して契約的貯蓄の方は六%から一一・一%、これはむしろふえている傾向ですね。
 要するに、裁量的貯蓄は低くなっておるけれども、契約的貯蓄はふえておる。
   〔委員長退席、理事梶原清君着席〕
となりますと、裁量的貯蓄ならいろいろ金利の動向その他でさっさどこかへ行くことも可能ですが、契約的貯蓄はそういうわけにはいきませんね。例えば借金の返済のためにためていくとなればそれは動かすわけにいきませんから、こういう状況のもとではこれは一律に二〇%課税ということは、これは不公平なことになりやしないか、この点どうでしょうか。しかも比較的高所得者の方が裁量的貯蓄をたくさん持っていますよね。どうしても低所得者はやっぱり契約的貯蓄の方がまず最初ですし、それがどうしても先を占める。となると、この一律二〇%というのはそういう意味でも低所得者の方に余計負担をかける、そういうことになりやしないか、この点どうでしょうか。
#178
○政府委員(平澤貞昭君) この契約的貯蓄と裁量的貯蓄という言葉は、国民生活白書に初めて使われたわけでございます。今委員がおっしゃいましたように、その契約的貯蓄といいますのは、生命保険とか住宅ローンとか、あるいは消費者ローンの返済等をいわゆる所得で割った率でございます。これにつきましては、やはり欧米諸国の例を見ておりますと、経済がどんどん成熟してまいりますと、生命保険というのは非常にふえているわけです。それから、アメリカなどの場合は非常に消費者ローンがふえてきておりますから、そういう意味でもこのローン返済もふえてくるということで、この契約的貯蓄率は高まってくるというのが世界的な傾向であるわけでございます。
 したがいまして、我が国におきましても、そういう中でこの契約的貯蓄率が高まり、他方、裁量的貯蓄率は徐々にではあるが減少してくるということが起こっているということでございます。
#179
○近藤忠孝君 ですから、そういう状況の中で一律二〇%課税した場合に、やはり裁量的貯蓄はどうしたって高額所得者の方が多いんだから、そういう点では二〇%一律課税の影響が高額所得者よりも低所得者あるいはやっぱり財政的に結構困難な人の方に及びやしないかと、こういう私の質問ですが、その点どうですか。
#180
○政府委員(平澤貞昭君) 契約的貯蓄の方は、所得の多い少ないとどういう関係があるかという点につきましては、分析は現在のところございませんが、しかし、先ほども御説明いたしましたように、高額所得者が住宅をローンで建てるということもあるわけでございまして、そのような場合は必然的に契約的貯蓄率も高くなる。したがって、契約的貯蓄率が低所得者層において高くて、裁量的貯蓄率が高額所得者において高いということもまたこれ言えないわけでございまして、その意味では、後の論理につきましては私としてもこれと結びつけては御答弁できないということでございます。
#181
○近藤忠孝君 要するに、実態がわからないから答弁できないということだと思うんですが、やはりこれはこれだけのことをやるんですから、その影響という意味で今私が指摘したような点もこれは十分調査をし、その影響をやっぱり考えておくべきだと思うんですよ。そうでないと、国の税、財政全体として不公平なことがやっぱり起きてくるんだと思います。
 この関係で、もう一つ別の角度から質問しますと、貯蓄現在高の所得間格差がやっぱり年々拡大していますね。それは今の全体の状況を見ればそれはわかることだと思います。それに、今回のマル優の廃止というのは、この資産格差拡大の傾向に一層輪をかけることになりはしないか。これはいろんな点から学者も指摘しています。これについての見解はどうでしょうか。
#182
○政府委員(水野勝君) ただいまお話しのございましたまさに契約的貯蓄と任意的、裁量的貯蓄の中で収入階層なりが下の階層におきましてはやはり生命保険的な部分が多いわけでございますが、今回の利子課税につきましては、生命保険課税につきましては一時払い等々を除きましては特段の改正を申し上げてございません。そういう生命保険的なものが下の収入階層なり貯蓄階層に多いとすれば、上の方に裁量的貯蓄が大きいということは、今回の改正はその点だけにつきまして申し上げれば、それは上の方の階層の方にそれだけ響くということが言えるのではないかと思うわけでございます。そのほかもろもろの要素もございますので一口には申し上げられませんが、契約的、裁量的の点で申し上げれば、そのように考えられるわけでございます。
#183
○近藤忠孝君 別の角度から質問しますが、これは大蔵省の財政金融研究所の「フィナンシャルレビュー」一九八七年三月号の中にある論文です。「日本における家計貯蓄の決定要因とマル優廃止の影響について」こういう論文があります。こういったことを研究するのは大変結構なことだと思うんです。
 その中で、日本での貯蓄の利子弾力性はゼロと結論づけた上で、マル優廃止をすれば、マル優制度の対象になる金融資産からマル優制度の対象にならない金融資産や土地その他実物資産へのシフトが起こることによって次の三つの効果があると、こう言っています。その一つは、株式に対する需要、これは株価高騰につながりますね。二番目は、住宅に対する需要。それから三番目は、土地に対する需要、これは地価高騰につながる。住宅に対する需要は、私は景気などの関係でいいと思うんですが、しかし、地価高騰、株価高騰ですね。また、経常収支に対する影響としましては、貯蓄率の低下によって資本の流出、それから経常収支の黒字が減少するという定説は間違っている、こういう指摘もされておるわけです。逆に、マル優廃止によって、国内資産よりも海外資産の相対的優位性がふえますと、資本の流出が増加して経常収支の黒字が拡大する可能性がある、逆の効果が出るんじゃないか、こういう指摘がされておりますが、この点どうでしょうか。
#184
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税の改正におきましては、イコールフッティングそれからシフトの防止ということを大きな眼目といたしておるところでございまして、利子所得それ自体につきましても二〇%という一律のものでお願いをする、それから利子所得以外のそれに類似のもろもろの金融資産につきましても二〇%課税をお願いをするということで、極力金融資産の間におきましてシフト等が生じないように配慮をいたしておるところでございます。
 こうした確定利付の金融資産以外のものとしては、今お示しの株式、土地等があるわけでございますが、何と申しましても、確定利付の資産に対しまして、株式等はその元本の保証がなく上がる場合もあれば下がる場合もある、その配当も流動的でございますし、また土地等につきましては、これは取得にはそれなりの手続と、また取得に際しては租税その他もろもろのコストもかかるわけでございますので、ただいままでがマル優を利用されておられた金融資産がそうした株式なり土地に大きく変動するということは、私どもそれほどないのではないかと考えておるところでございます。
#185
○近藤忠孝君 それは事態を見ていきましょう。
 次に、これも当委員会でしばしば問題になっている不正利用に、対するチェックの問題です。
 大体、悪用人数はマル優利用者の恐らく三%以下ではないかと、こういう指摘がなされて、とにかく少数の悪質者のために全体がこれからひどい目に遭う、こういう状況ですが、我々はずっと以前から限度枠管理、これを強化することによって不正のチェックが可能だということを言ってまいりました。そして昨年一月から本人確認強化が始まったですね。その実施状況はどうか、銀行局長、答弁をいただきたいと思います。
#186
○政府委員(日向隆君) ただいま委員がおっしゃいましたように、六十一年一月一日以後、非課税貯蓄申告書等を提出する際等には、住民票などの公的書類を提示して本人確認を受けなければならない措置が講じられたところでございます。
 この金融機関におきます本人確認の履行状況につきましては、私ども個別の税務調査等を通じて確認することにしておるところでございますが、御理解いただきたいのは、新制度は六十一年一月一月から実施されましたけれども、六十年十二月三十一日以前に提出されている旧申告書に係る洗いかえ申告書の最終の提出期限は六十六年一月三十一日とされています。また、六十一事務年度のマル優調査の対象としている預貯金の大半は、旧制度下で提出された申告書に係るものであるということからいたしまして、現時点では、制度改正後の預貯金について調査の対象となっているものが相当少のうございます。
 したがいまして、この金融機関の窓口における本人確認の状況がどの程度あるかにつきまして、確たることを申し上げることはできないわけでございますけれども、ただ私どもといたしまして、これにつきましては、これまでよりは仮名預金など不適性マル優預金は減少しているのではないかという感触を持っております。
#187
○近藤忠孝君 少なくとも実施し、国税庁としてもしっかり指導していると思うんですが、その効果は上がっている、それも単にちょこっとじゃなくて相当上がっていると、こういう自信はありませんか。
#188
○政府委員(日向隆君) 実態は私がただいま申し上げましたところでございますので、どの程度かということにつきましては確たることは申し上げられません。ただ、以前に比べましてそれなりの効果が上がっている、改善されているというふうな感触を持っているところでございます。
#189
○近藤忠孝君 徳田元銀行局長の書いたものによりますと、これは相当効果が上がってこれを実施してからは原則的には不正利用はできなくなっているんではないか、こういう指摘もあるくらいです。ですから、ひとつ自信を持ってやってほしいし、また限度枠管理をもっと強化すればいいと私は思うんです。
 そこで、この限度管理の技術的問題として、朝霞の管理センターの問題です。これは既に吉岡委員も実際現場へ行ってきまして調査をした結果、技術的に名寄せは可能だということが明らかになっております。大体、新聞で、これは無用の長物だ、何百億をかけたか、とにかく金をかけたけれども、無用の長物だという新聞記事に現場の職員は大変ハッスルしているそうですね。とんでもない、これは十分効果が上がるんだと。
 問題は、老人などの限度管理に当面使うんだと思いますがどうか。そしてそのための来年度予算の要求をしていると思いますが、それは幾らか、まずそこからお答えいただきたいと思います。
#190
○政府委員(日向隆君) ただいまの委員のお尋ねは、現在提出されている政府案によりまして、老人等のマル優の非課税限度の管理をコンピューターでやるというふうにした場合の予算の額でございましょうか。
#191
○近藤忠孝君 現行六十五歳以上。
#192
○政府委員(日向隆君) 六十五歳以上ですか。
 それは正直申し上げまして、資料情報システムを今別途開発しておりますけれども、その資料情報システムの方でその一環としてこれを実施することを今検討しているところでございまして、その資料情報システムの予算といたしましては、今手元に正確な資料ございませんけれども、私の記憶によりますと、約三十五、六億円というふうに覚えております。
#193
○近藤忠孝君 要するに、どの程度の金でできるかで、どの程度の限度管理が可能かということだと思うんですね。当面少なくとも老人などのマル優の残る層についてこれをやるんでしょうが、技術的には――どの程度金をかけるか別ですよ、だけれども、さらに予算をつけ、この管理センター、これを充実すれば、マル優を廃止しなくても全体についても限度管理は可能ではないか、現場ではそう言っていますから。その点についてと、そしてそれにはどれくらいお金を追加したらできるのか、この点どうですか。
#194
○政府委員(日向隆君) 非課税貯蓄申告書の名寄せは、貯蓄者が全国にわたり複数の店舗に提出している非課税貯蓄申告書の非課税限度額の合計額、これが三百万円を超えるかどうかを確認するためのものでございます。このため、コンピューターを導入しなければ、私どもとても無理でございます。
 ただ、コンピューターを導入いたしますと、それについてどういう手順でやるかということになりますが、例えば住所、氏名及び不動の文字でございます生年月日を名寄せのキーといたしまして、各金融機関の営業所に提出された非課税貯蓄申告書を名寄せいたしますれば、非課税限度額のチェックは技術的には可能であるというふうに考えられます。
 ただ、つけ加えて申し上げさしていただきますと、これはもう委員が既に御質問の中で述べられたことかもしれませんけれども、これまでに提出された非課税貯蓄申告書の枚数は膨大でございます。六十一年三月末で約一億六千五百万枚に達しますが、今後も毎年相当数提出されるものと予想されております。これは約二千数百万枚、したがいまして、これを処理するには相当の事務量と経費を要するところでございます。これは後でまた一つの仮定を置いた試算、計算例を申し上げます。
 それから、なお申し上げておきたい点は、限度計算、限度額管理だけではなくして、このマル優の管理を適正にいたしますためには、公的書類により本人確認を確実に遂行するという問題がございまして、これは依然として残っておる問題でございますし、また仮に金融機関の窓口におきましてこれを適正に行ったといたしましても、借名による不正利用の問題は依然として残るということについて御理解を賜りたいと思います。
 次に、予算の問題でございます。経費の問題でございますけれども、これはこのコンピューターシステムを運用するためには貯蓄者の住所、氏名、生年月日、非課税限度額、金融機関等ADP処理をするための入力票の作成、限度超過となっている非課税貯蓄申告書の出力票の解明、金融機関に対する指導などの各種の事務、電算機のレンタル費用、朝霞センターは現在がなり大きなセンターでございますけれども、しかしこれを実際に膨大な数の非課税貯蓄申告書を処理するものとしてやりますとやはり一定の増改築は必要かと思います。それに関する費用、入力に要する費用など各種の費用、これを考えますと、結論から申し上げまして、一定の仮定計算の結果ではございますが、その総経費は約三百八十億円でございますし、またこれはお尋ねにはございませんでしたので余計なことというおしかりを受けるかもしれませんけれども、これに要します総事務量は約四千九百人というふうに一応の仮定を置いた上でございますが、計算されております。
#195
○近藤忠孝君 そこまで計算できていればなぜ実施しないのか、こういう疑問が私には出てまいりますね。
 大臣にこの後質問しますけれども、その前にもう一つお聞きしたいのは、よく納税者番号とか、国民総背番号制が出てきますね、それがなけりゃできないんです。コンピューターですから、内部の番号をつける、それは私はいいと思うんですよ、つけなきゃこれはコンピューターは入力できない、処理できないでしょうからね。
   〔理事梶原清君退席、委員長着席〕
我々はそう言われればそこまで反対しない、ただ制度化された納税者番号には反対ですけれども。こういう内部の番号で、そういう納税者番号なしに今言ったような処理、先ほどの予算でこれは可能なんでしょうか。
#196
○政府委員(日向隆君) 現時点で一定の前提を置いて私は申し上げておりますので、これからコンピューターシステム等がどう発達するかによりましても対応は違ってくると思いますけれども、今申し上げましたように、例えば住所、氏名及び不動の文字である生年月日を名寄せのキーとして、コンピューターによる名寄せは技術的に可能でございます。
#197
○近藤忠孝君 ここまでのお話、大臣お聞きになっていただきまして、三百八十億は決して少ない金じゃないけれども、これは毎年かかるわけじゃないですね、最初の増築とか一定の設備のためで、そのあとは四千九百人ですか、その人件費が中心だと思いますね。その他一定のものがかかるとしても、そんな大きな金でないのに、しかも限度枠管理できる、そこまで大蔵省はやってきたんですからね、それをなぜ横に置いて今回これ廃止しちゃうのか。できないのなら仕方ないですよ、しかし、やればできるんです。しかも大した金でない。それをなぜおやりにならないでこういうことを、廃止の方へ向かったんですか。
#198
○国務大臣(宮澤喜一君) それは今度のようにいたしましても、やはり免税を受けられる方々の管理はいたさなければならぬわけでございますから、そのためにソフトウエアを開発して今の施設を利用しようとしておるわけでございますね。ですから、決してあの施設をもう便わないというわけではない。
#199
○近藤忠孝君 だから、施設は使うんですが、部分的に使うんですよ。しかし、全体で使えば全体の捕捉可能、限度管理可能と、現に現場ではそう言っていますし、今の国税庁次長の答弁でもこれを裏づける答弁がありましたね。それをなぜやらないのか。じゃ国税庁はできるけれども主税局はできぬと、こういうことになるんですか。
#200
○政府委員(水野勝君) 今回の利子課税の御提案は、現行の非課税貯蓄制度を維持しつつ、その限度管理を適正にしていこうと、不正利用をなくして適正なマル優制度を維持していこうというところとは観点が違うわけでございまして、前々から申し上げておりますように、そもそも個人貯蓄の七割を税制上の措置によりまして優遇を続けることがいいのかどうか、十六兆円の利子所得を非課税扱いとして続けることがよいのか、そうした基本的な所得税のあり方として御提案を申し上げておるところでございます。
 もちろん、不正利用の回避と防止ということもその観点にあるわけでございますが、それも一つの観点ではございますが、こうした制度改正によりまして、自動的に不正の問題も対処できるということを見込んで全体としての改正、改組をお願いをしたところでございますので、限度管理ができるかできないかという観点とはちょっと観点が違うのではないかと思うわけでございます。
#201
○近藤忠孝君 あなたの今の答弁は、私の五月十一日の質問に対する答弁とは違いますね。あのときのあなたの答弁は、結局不正利用だった。やはり納税者番号でもつけなきゃそれは難しいんだと。宮澤さんも結局、先ほど申し上げたとおり、利子所得の多いほど減税も多いじゃないかというようなことで、結局不正利用の問題に行ったんですよ。今不正利用の問題について、それは限度管理可能じゃないかと言うと、今度利子所得の性格云々と。それはまた反論は十分しますけれども、答弁が違っている。ということは、要するにそちらの理由も違っているんじゃないでしょうか。
#202
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもう何度も申し上げているんですけれども、この制度は不正利用があるからやめると私は申し上げていないんです。これは何度もお聞きのとおりで、一体こういう資産所得がなぜ免税にならなきゃならぬかということがおかしいんだということを申し上げていることは、よく御存じじゃございませんでしょうか。
#203
○近藤忠孝君 そんなことは最近言い出したんで、五月段階ではそんなこと全無言いませんよ。言うんだったらそのとき言ってもらえばよかったですね。それはまた反論は幾らでもします。
 しかし、それでは別の問題として、限度枠管理を強化してそこで不正利用をチェックした場合、税収がどれぐらい上がるか、こういう計算はされていましょうか。
#204
○政府委員(日向隆君) この非脱税貯蓄申告書の限度管理を適正に実施した場合に得られる効果につきましては、まず第一に、御案内と思いますが、不正利用元本がなくなることによります税収、まあ増収といいますか、不正に元本が利用された場合に比べての問題でございますけれども、そういういわば直接的な効果と、限度額管理の厳正化に伴って結果的に総合課税分の税収が増加するといったようないわば間接的な効果とが考えられるわけであります。また、一部資金シフトが実際上起こるということも予想されますし、そういったことを全体として考えますと、御指摘の全体の正確な増収額を計算することは難しいことを御理解いただきたいと思いますが、私が第一に申し上げました不適正元本といいますか、不正元本がなくなりますことによります直接の増収について一定の計算をいたしましたところ、それは私どもが先般来申し上げております源泉監査、調査の結果から見て、不適正元本の割合が全体につきまして七%ぐらいである。つまり、マル優及び特別マル優残高百七十三兆八千億に対しまして、私ども調査の結果、不適正に利用されている元本が十二兆二千二十六億円の割合、これが七%でございますが、これを使いまして平均利子率が三・六四%、これは期日指定の定期利回りの現状におきます数字でございます。さらにこの場合、これは大胆な仮定でございますが、平均税率が二五%というふうな仮定を置きまして計算いたしますと、その直接的な増収額は一千百七億円に相なろうかと思います。
#205
○近藤忠孝君 これは随分少ないですね。別の計算をしてみますと、貯蓄動向調査によるマル優対象貯蓄一世帯の平均残高五百万円、で、五百万掛ける三千八百万世帯、これは百九十兆円ですね。一方、これは政府統計による非課税貯蓄は三百兆円。となりますと、この三百兆から百九十兆を引いた約百兆円が不正の疑いの強い貯蓄になると思いますね。そしてこの不正チェックをして課税しますと、百兆の五%の利子として五兆円。これはもう限度枠を超えているものですから総合課税もしくは三五%の課税をしますと、五兆掛ける三五%、一兆七千五百億円。さっきは幾らですか、千何百億、一けた違うですね。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
どうしてこんな一けた違ってきちゃうんでしょう。私のこの計算方法、これはどこか間違っていますか。
#206
○政府委員(水野勝君) 委員の御指摘は百兆円ということで出発されておられる。これは五百万というのは勤労者世帯ではないかと思いますが、それの世帯数でいきますとそうした数字になろうかと思うわけでございます。先般も申し上げましたが、その差額はすべて不正であると言い得るのか。一方、統計のとり方等からくる差異もあるのか。しかし、やっぱりそれだけの差は何らかの問題の金額であるということは言えようかと思うわけでございますが、その金額でもってやればそういう数字になる。
 しかし、今のお話は三五%でやっておられる。先ほどの試算は二五%でやっておられる。それから、五%というのと三・六四%と今聞きましたが、そこらの差異。それから、そもそも元本、ですから百兆円と先ほど申し上げているのは十二兆円ですからそこで八倍ぐらいの差がある、そういう差異ではないかと思うわけでございます。しかし、これはあくまで、恐らく委員の計算も全くの仮定のお話ではないかと思うわけでございまして、元本がオーバーしているというのをわかっていながら、それは座して調査が来るのを待って、そこらが全く全部自動的に出てくればそういう計算になるということではないかと思いますので、一兆七千五百億円といい、千百七億円というのもなかなか大胆な計算ではないかと私どもお聞きしていて感ずるところでございます。
#207
○近藤忠孝君 今大事なときだから大胆なひとつ発想で計算しないとこれはいかぬと思いますね。そうですよ、余り小さく小さく物を見ていっても間違いだと思うし、しかし私の計算の基礎としてはこういうものを基礎に計算をすべきだ。これは確かに百九十兆の中に不正利用があるかもしれぬし、その差の、今私が言った中にそうでないのもあるかもしれませんね。しかし、大きく見れば、ともかくも不正の疑いがある。そいつを限度枠管理がうまくいけば、その可能性はある。となりますと、五%、三・何%、それは差はありますよ。しかし、それは決して先ほど国税庁から答弁あったような一千百何億円なんというものじゃなくて、大体今度のマル優廃止による増税額とそんなに変わらぬものが限度枠をしっかりやることによって出てくる可能性はある、これは私は大きなことだと思うんですよ。それを無視してやる、それはやはり道を間違えるんではないか、こう思いますが、まあ大胆でも何でもいいわ、この指摘に対して大臣どうお答えになりますか。
#208
○政府委員(水野勝君) それはただいまも申し上げましたように、仮に百兆円が限度オーバーである、あるいは仮名であるといった場合に、これは今後は例えば番号なり何なりですべて管理いたしますというときに、それがそうなってもなお残っておりまして不正として自動的に上がってくるものなのか、それは割引債に移行するのか、あるいは他人の名義を利用してなお残っておってあらわれて出てこないのか、それはいろんなケースが考えられると思いますので、それによって直ちに一兆七千五百億円という数字が出てくるかどうかにつきましては、私ども極めて大胆な数字ではないかという感じを強くするわけでございます。
#209
○近藤忠孝君 一兆七千億かどうか、それは二兆でもいいですよね、一兆五千億円でもいいですよ。そういうことか、それとも一千百何十億円か。問題はやっぱりそういうところの違いだと思いますよね。少なくとも私が指摘したいのは、今回のマル優廃止による増税分に大きく見れば限度枠管理によって相当する増収見込みがあるんだということを指摘しておきたいと思います。
 それから、今までは現在の不正利用を問題にしてきましたが、今度はマル優廃止になった場合に新たな不正の問題が起きてきやしないか。ということは、支払い調書義務づけが廃止になりますね。これは本会議で質問しましたが、明確な答弁がありませんでした。となりますと、どんな預金であれ、脱税預金であれ、汚職の預金であれ、ともかく二〇%払ってしまえばあとは国税庁の監視もいかなくなるわけですね。もう二〇%取ってしまえば用はない。中曽根さんがよく言う、人の懐に手を突っ込むんじゃなくて、ともかく二〇%払ってもらえばいいんだとなりますと、じゃ二〇%払ってしまえばあとは架空名義自在ですよ。あるいは家族の分散もこれ自在ですね。この辺に対するチェックはできるんですか、今度マル優廃止になった場合。
#210
○政府委員(日向隆君) 二〇%の一律課税ということになりと、その限りで課税関係は完結いたしますので、支払い調書の提出も必要でなくなりますし、また私どもが現在よっております源泉監査もその範囲ではなくなる、こう考えてよろしいかと思います。
 したがいまして、その範囲におきましては、委員仰せのとおり、私どもが入手し得る課税関係の資料等は少なくなるというふうに考えられますが、しかし他方、本来の所得税の調査、法人税の調査、相続税の調査等におき失して、私どもその脱税の手口だけじゃなくて、脱税資金がどこに隠匿されているかという、そのいわばたまりにつきましても徹底した調査を行っているところでありまして、本来のこの調査のこういう姿をより徹底させるという形で、きちっとした対応をしてまいりたい、こう考えております。
#211
○近藤忠孝君 少なくとも今まで限度枠管理その他のことがあって、そう自在に預金を動かしたり架空名義にしにくかった、これが現状ですね。それに対して、少なくもその面で見る限りは、架空名義にするその面ではチェックがなくなるんですから、ほかの面で税務調査とおっしゃいますが、税務調査なんというのはすべての人にやるんじゃなくて、それは今の陣容から見たってそんな多い数じゃないですよ。しかもある程度選んでいる。となりますと、私はその税務調査で、もとが結構自由にできるようになったものを、そんなに簡単には税務調査でチェックはむしろ難しい。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
出てくるかもしれません。くるかもしれぬけれども、しかし少なくともそういうお金を持っている人に架空名義その他にすぐ誘惑を与えちゃうんだから。それをいかに後の税務調査でしっかりやろうと思ったって、もとがそういう底の抜けたバケツみたいになってしまえば、それは自由自在じゃないでしょうか。
 大臣、そこで質問は、となりますと、今度は少なくとも相続税が大変取りづらくなるんではないか。不動産は、ちょっとこれはもちろん脱税は難しいんですが、架空名義にしてしまえば、あるいはあらかじめ分散をしてしまえば、二〇%払っているというだけで相続税は極めて徴収が困難になってくると思う。この点はどうでしょうか。
#212
○政府委員(水野勝君) 確かにただいま国税庁から申し述べましたように、今普通の課税貯蓄となっている部分につきましてお願いをしております支払い調書は要らないわけでございますが、現在非課税貯蓄となっているもの、それから源泉選択となっているものについては、これは支払い調書はないわけでございます。そうしたむしろ現在非課税貯蓄を利用されている方が、いろいろ無理して仮名とか借名とかをしておられる。今後はそういうことがむしろなくなるわけでございまして、また課税貯蓄につきましても、支払い調書を懸念していろいろ名前を使われているかもしれない。そうしたことはすべて今後は要らなくなる。預金者としても御心配はないとすれば、むしろ今後預金としては普通真正の名義でされる方のケースの方がふえるという場合も考えられるわけでございますので、今回の改正によりまして、所得税、法人税、相続税等につきまして、大きく困難さが変わるということは私ども考えてはいないところでございます。
 従来とも、相続税につきましては、特段支払い調書だけを頼りにしてまいっておるわけではございませんで、そもそも相続税の課税対象になる方は百人で五、六人でございますから、おのずと資料等は常日ごろ収集されているところでございますので、今後ともそこらは適正な調査の努力は続けられると思いますので、これによって相続税が抜けっ放しということは考えなくてもいいのではないかと思うわけでございます。
#213
○近藤忠孝君 全部抜けちゃったらそれこそ大変なんでね。しかし、私が指摘したとおり、今の調査の現状では、またそんなにたくさん税務署員を採用するわけにいきませんから、私は、ピックアップしていっている、こういう状況では極めて困難だということを指摘しておきます。
 時間もあとわずかですので、最後に一つだけ質問しておきます。
 総収入金額報告書です。これは前回の記帳義務化の中で法定されたものですが、要するに前回は収入が五千万超えた場合には、経費その他はもっと多くて所得はゼロでもこの報告書を出さなきゃいかぬ、今度それを三千万にしますね。これは結局所得がないんだから納税義務がない者に義務を課す。私は、義務のない者に義務を課すというようなことで、大変な抵抗を覚えるんです。しかし、それをさらに今度金額を下げようとなりますと。対象範囲が随分ふえるのではないか。そして総収入金額三千万、しかも実際は赤字となりますと、むしろこの対象は、その辺にたくさんある中小零細業者など、その辺にこの提出義務が行って、これが過大な負担になりはしないか。そういう意味では、これを五千万を三千万にする理由。その前に、今まで報告書提出者はどの程度あったのか。これが三千万になることによってどの範囲でふえていくのか。これらについて御答弁をいただきたいと思います。
#214
○政府委員(日向隆君) 前段については私からお答えさせていただきます。
 その前に、先ほど資料情報システムに関する費用を、私記憶で三十五、六億円と申し上げましたが、今正確な数字が届きまして、四十六億円でございますのでそれは訂正をさせていただきます。
 お尋ねの総収入金額報告書でございますが、制度が発足しまして最初の年でございます五十九年分が四十件、六十年分が十五件、六十一年分が九件でございます。
#215
○政府委員(水野勝君) この制度は、納税環境整備の施策の一環として、昭和五十九年に導入をさせていただいたものでございます。納税申告の義務がありながらそれが怠られている場合を回避するために、収入金額でもって五千万円以上あれば、とにかく税務署に紙を出していただきたいということでございまして、その中から税務署といたしましては、申告義務のありそうな方を選定して調査にもお願いをするということで設けられたものでございます。
 しかしながら、現在の税務申告の実態を見ますと、実際に納税額がない場合におきましても、連年申告書をお出しいただいているというケースが非常に多いわけでございまして、そういうことと全く別にこの総収入金額報告書だけの問題としてお出しになっている方というのはしたがって割合少のうございます。それは国税庁から今申し述べたような数字でございます。
 したがいまして、今回この三千万に下げた場合におきましても、その三千万と五千万の間の方で、有税申告は別といたしまして、赤字の場合でもかなり申告書をお出しになっている方が多いわけでございますので、これによって総収入金額報告書の数が格段にふえるというところまでは考えられないわけでございますが、またそうあってはいけないわけでございます。これによって特にふえるという考えも、見込みを立てているわけではございません。したがいまして、どの程度増加するかにつきまして申し述べるほどの計数は持っていないところでございます。
#216
○近藤忠孝君 終わります。
#217
○栗林卓司君 私は、所得税法の一部を改正する法律案について二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 今回の御提案の改正案ですけれども、端的に申し上げますと、どうも半煮えでありまして、一体これからどうしていこうとしているのかよくわかりかねる点があるものですから、これからの税制改革についてまず二、三お尋ねをいたしたいと思います。前回は時間がないものですから飛び飛びになりましたけれども、一つ一つ伺います。
 まず所得税の累進税率構造ですけれども、恐らく政府税調報告のタイプVを踏まえた一〇八国会に御提出になった所得税の税率表、あれを基本にしながらこれから税制改革作業が一応進んでいくんだろうと思いますが、それでそう理解してよろしいのかということ。
 そうまいりますと、実は財源が相当足りなくなります。そこで、では間接税の新設、増徴するのかということになるんですが、実はこれ案外問題でありまして、この間接税については政府税調の抜本答申がいささか無責任でありまして、製造者売上税もしくは事業者間免税の売上税あるいは日本的付加価値税ということを並べただけでどれを選ぶかは幅広く意見を聞いて決めろやというようなことでありまして、ちょっとこの辺がやや無責任でありまして、これを自民党税調が粗っぽく受けて売上税としたのがあの混乱の私は始まりだったと思うんです。そこで、ではこの次の税制改正を進めるに当たって間接税の具体的な姿というのは一体どうやってお求めになるんですか。私は、もしかするとこれは政府税調に改めてお願いし直してこの部分で議論していかないと、とてもこれでいきますというのは出ないんではないか、こんな気がするものですから、この辺はどうやって煮詰めておいでになりますか。どちらからでも結構であります。
#218
○国務大臣(宮澤喜一君) 将来の所得税の姿としましては、今栗林委員が言われましたように、やはり中堅サラリーマンのところの累進構造を緩やかに痩せた格好にできるだけフラットにいたしまして、そして全体としても税率の刻みをうんと少なくして簡素化をいたしたいということをやはり考えております。それから、法人税につきましても国際的に非常に高こうございますので、これも国際化しなければならないだろうということはやはり考えておるわけでございますが、そこで今お尋ねのように、しかしそのための恒久財源をどうするかというところで、せんだっての通常国会における国会の御批判というものを私ども非常に厳しく考えておりますので、したがいまして次の恒久財源をどうするかというところで、ただいま率直に申しましてどういう時期にどうということを申し上げるだけの準備ができ上がっておりません。
 事をさらに複雑にしておりますのは、とれは他の院のことなので申し上げにくいのでございますけれども、御承知のように衆議院に税制改革協議会というものができておりまして、ここで十二回の協議が既に行われ、やがて再開をするかどうかということも御議論中なのですが、将来の減税については恒久財源を必要とするということを事実上合意をしておられる。それについて恐らく今後検討を進めていかれようという姿勢でございますので、これは共産党は入っておられませんけれども、しかし私的な会合の場とは考えにくいものでございますから、事実上共産党以外の各党の御意向が反映をされる協議会と考えざるを得ませんので、したがいまして、その協議会がどういう御意向を示されるかということも政府としては十分に慎重に見守ってまいらなければならないというそういう問題が御承知のようにございますので、両方あわせましてただいま確たることを申し上げ得ないというのが率直なところでございます。
#219
○栗林卓司君 やや意見を交えて申し上げますと、実はマル優問題についでこれが税制改革の一里塚であり、これが通ればドアを半分あけたことになるなどと新聞に出ておるんですが、なぜそういったことを中曽根さんは言うのかなと考えておりまして、ずっとこの大蔵委員会の議論を聞いておりながら、あるいは政府税調の抜本答申を何度となく読みながら、なるほどこんなことだったのかなという気がするものですから申し上げてみたいんです。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
 要するに、これからの税構造の考え方としては、給与所得税それから利子所得、資産性所得ですが、あとはこのほかのキャピタルゲインを含めた資産性所得と消費と、こうしたものの上に税構造が組み立てられないだろうかと、むしろそれが最も近代的な公平で公正な税の構造なんだという思い込みが私はある気がするんですね。ところが、こうしたものが公平で公正な税構造だということは全くコンセンサスはでき上がっておりませんし、しかも利子所得、給与所得あるいは資産性所得、消費と、こういった上にそれぞれに担税力を見つけて税の徴収構造をつくるというのはこれはやや分類所得税の発想でありまして、したがってシャウプ以来の包括所得税とは実になじまない発想であって、果たしてその方向でいくのかいかないのかは、まずそれ自身をとってみても国民の方々を交えた大議論をきちっとしていかないといけないんではないか。そんな気が深くするものですから、例の一律分離課税にしてもそうなんです。とにかく利子所得についてはもうそこで取ってしまえと、一番楽でいいし、これは公正だし簡素だしと、そういうことについては御議論があるんでしょうが、果たしてそれでいけるかどうかは相当慎重な議論をしてみなければいけない部分であるまいか、私はこう思っております。この点についてよろしければ後ほど御意見を賜りたいと思います。
 私が申し上げたいのは、そこでこのマル優なんですけれども、なるほど給与所得あるいは消費、資産性所得と見てまいりますと、利子所得について少額貯蓄は非課税だというのはいかにもこれはバランスを失しておるというのも一つのお立場だろうと思います。そうは言いながら、実は今度特別に配慮をされました六十五歳以上の老人の方々につきましては、それはかってのように資本の蓄積という政策目的を今振り回す必要性は毛頭あるとは思いませんけれども、しかしそれはそれで社会政策として特段の配慮をしていくべきではないかとおっしゃられました。そして六十五歳以上の老人の方々に対しては少額貯蓄に対して利子非課税、すなわちマル優を温存するという形で今回は特別措置を講じることで修正をなさったわけであります。
 そこで、なぜ六十五歳からなんだろうかという議論を蒸し返して申し上げたいんですが、まず六十五歳というのはお年寄りを見ていく政府のおおむねの一つの区切りになっているということをさっき局長が言われましたので申し上げてみますと、高年齢者、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法による労働省令の定義は五十五歳であります。厚生年金の老齢年金の支給開始は六十歳であります。老人クラブの入会資格は六十歳からであります。国民年金の支給開始、これはおっしゃるように六十五歳からでありますが、これはなぜそうなったかといいますと、実は基礎年金導入のための厚生年金のいわば制度大改革の結果としてそうなったのでありまして、その結果何が生まれたかといいますと、特別支給老齢厚生年金が六十歳からの支給になって現在も支給されております。一方、老人保健法による医療の対象としては七十歳からであります。老齢福祉年金の受給資格はこれも七十歳からであります。所得税の老人扶養控除の対象はこれも七十歳からであります。したがって、たまたま厚生年金の支給が六十歳からだということをとらえて六十五で区切るんだというのはいささか乱暴な御議論ではございませんか。
 そこで、ここで申し上げたいのは、いや六十からの方々というのは言うなれば現役と一緒でありまして、それは六十五歳以上の方々とは同一に論ずるわけにはまいりませんと、先ほど同僚議員の質問に局長はお答えになりました。ところが、なぜ現役と一緒なんですか。そんなことあるわけないではありませんか。では、完全失業率で申し上げます。六十から六十四歳四・九、五十五歳三・三、四十から五十四、一・九、二十五から三十九、二・六、それはなるほど若くなるに従ってやや完全失業率はよくはなっておりますけれども、問題の六十から六十四歳は四・九%ですよ。有効求人倍率を見ても同じ傾向であります。したがって、六十から六十五歳、六十五以上というのはもう自分で稼ぎ出す力を失った、職場をリタイアした人たちだという意味でははっきりしているではありませんか。
 そうやって見ると、六十五歳以上の御老人に対してマル優を温存したと同じ意味で、六十歳以上の御老人に対してマル優をきちっと残すのが制度の公平というものではありませんか。その意味で老人の方々に対する特別措置を六十五歳以上とされたこの修正案のやり方というのは間違いなく誤りであります。これは制度の公平な運用のためにもぜひ是正をするべきだと私は思いますが、御見解はいかがですか。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま栗林委員も幾つかの例を言われましたが、例えば老人保健、老人医療でありますとか、あるいは国民年金でありますとか、農業者年金でありますとか、七十歳あるいは六十五歳というのは、政府がやはり老人問題を考える上での一つの線を引いておる例がたくさんございます。それで、しかも国民の寿命はまだ年とともに延びておるということもございます。
 確かに、六十歳以下と六十歳以上とでは稼得状況はそれは違うでございましょう。それは容易にわかることでございますけれども、しかし、そこに決定的な何かはっきり線を引く要素があるかということになりますと、私は必ずしもそうではないだろう。身体障害者あるいは母子家庭等々と同じような意味で社会的配慮を必要とする年齢の境目がどこかということはしょせん相対的なことでございますから、これであってそれ以外は間違いだというようなことは私は言うつもりもございません。それはやはり結局政策判断の問題であろうと思います。
 政府は、六十五歳をもってその境とすることが適当なのではないかと申しますのは、その他の施策においてしばしば六十五歳を老人問題のいわば境界線として考えておるということから、そういうふうに考えております。
#221
○栗林卓司君 私は、時間がもったいないですから個々に読み上げておりませんけれども、一、二、三、四、五、六、その一つは老人家庭奉仕員派遣の対象、いろいろあるんですよね、これは六十歳であります。おっしゃるように、何歳と決めることは非常に難しい、この御判断は私も同感なんです。
 ところで、今回はマル優の廃止に伴って六十五歳に至るこの一団の人たちに特別の処置を講じようということをなさったわけですから、そのときには六十歳以上、もうほとんど自分で稼ぎ出す力を社会的に見て失っていると言わざるを得ません。しかも労働省系の調査でも六十五歳で千五百万円の貯金がないともう公的年金だけでは希望の生活が送れない。ぜいたくな暮らしをしようというんじゃありませんよ。そういった中で、そこに至るまでのいわば金融資産の形成について特段の配慮をしようというわけですから、六十五歳以上でなくて六十歳以上の老人をすべて対象になさるのが一番正しい処置ではありますまいか。
 そこで、私がこう申し上げながら加えて申し上げますのは、こうしますと実はマル優の二五%ぐらいをカバーすることになっちゃって、マル優廃止の意味がなくなっちゃう、それは困るんだというお話もあるようでありますが、そうであったとしても、今回マル優を廃止してあの利子所得に対して課税をするという基本線は貫けるのではありませんか。しかもその基本線だけで将来の税構造をお決めになるわけではないわけでありますから、ここのところは余りそれはこだわる必要はないのではありますまいか。くどくは申し上げませんが、いかがですか。
#222
○政府委員(水野勝君) やはり労働省の高齢者就業実態調査報告等を見ますと、確かにそこで差があるということではございません。ふだん主に仕事をしているというのが五十歳ですと九五%、六十歳から六十四歳ですと八八%、六十五歳から六十九歳になると八一%。五歳刻みで七%ずつぐらいが低下しているということでございますので、六十ではっきり切れるか、六十五ではっきり切れるかというのは、まさにそこは政策的な割り切りの点ではございます。したがいまして、そういう場合におきましては他の整合性、税制上の措置としては六十五なり七十を使わしていただいているということで割り切らしていただいてはいかがかということでございます。
 確かに、六十歳の方、恐らく退職金の支給を受ける方が多いからであろうかと思います。年収は六十歳代前半になりますと、その前の八割ぐらいになりますが、年収に対する資産の割合は五十歳代の一・六倍から二・六倍ぐらいまで上がる、恐らく退職金であろうかと思います。その退職金につきましては一定の年数に従いまして退職金の所得控除をいたしておりますので、三十年ぐらいでございますと一千万ぐらいまでは退職金それ自体も非課税になるように配慮さしていただいているところでございますので、そうしたもろもろの配慮の上で何とか六十歳代前半におきましてはどこで切るかは確かに流動的な面はございますけれども、税制上の措置としては六十五でお願いを申し上げているところでございます。
#223
○栗林卓司君 今の所得税一部改正法案の中身を見ると、こういう言い方は失礼かもしれませんが、十分に煮詰まり切っていない御提案が各所に拝見されるように思うんです。したがって、これからもちろん可及的速やかではありますけれども、多少長い時間をかけてきちっとした改革作業を進めていくというのが今の所得税一部改正法案について判断すべき状況だろうと思うんです。例えば配偶者特別控除にしましても、いやあれでいいのか、二分二乗を採用した方がいいのか、それともN分N乗でいくのか、どうするのか、これもいろいろ議論してみなきゃいかぬでしょう。実額控除にしてもまだこれからですよね。
 そういった議論をしていく中の一つに、実は老齢者を対象にした社会政策的配慮が入る、そう理解をしてむしろふんわりとこれは考えていってよろしいんではないでしょうか。しかもいずれ相当な額の財源措置は全般に講じなければいけませんし、そのためにはまさに健全で大規模な国民の討論を起こしていかなきゃいけませんですね。そのときに、国民の気持ちから、ああ何と政府はむごいことをしたなという印象を残すのと、ここのところはああやっぱりわかってくれたかという印象を残すのと、どっちが将来に向けての政治なんでしょうか。私はまけてくれる方にこだわって物を言っているんじゃないですよ。そういった意味では、ここのところはもっとふわっとしてお考えになってよろしいのではあるまいか。最後に、この点の御意見をお伺いして質問を終わります。
#224
○国務大臣(宮澤喜一君) 承っておりまして、今後ともよく御指摘の点は考えさしていただきますが、私どもは基本的にこの利子課税というのは課税が本則であるという考えをとっておりますし、あるいは栗林委員のお立場は、さあそれはどうかなと、従来の制度というものはそれなりの意味があったんではないかとお考えであられるかもしれません。その基本的な立つ立場によりましてどこで線を引くかというようなことの判断もあるいは分かれてくることがあるかもしれないと思いながら伺いましたが、いずれにしても、ただいまの御意見はよく今後とも考えさしていただきます。
#225
○野末陳平君 初めに、通告はしていないんですけれども、今までの私の質疑に対してのおさらいを含めてちょっと確認しておきたいことが幾つかあります。まず、相続税のことはきょうも質疑に出ましたが、これは大蔵大臣も相続税法は見直さなきゃいかぬということで前回お答えをいただいておりますけれども、路線価の方ですね、これは去年からことしにかけてかなり上がりまして、また来年にかけて上がるだろうと思うんですね。そうすると、来年の相続の発生はことし以上に税金面ではきつくなる、こういうことになりますね。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
ですから、もう待てない。来年相続税を改正して、少なくも来年の一月一日以降の発生する相続に関してはやはり今よりもずっと安くするという方向以外考えられないと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
#226
○政府委員(水野勝君) 相続税につきましては、抜本改革答申におきましてもその見直しが指摘されていたところでございますけれども、具体的に六十二年度改正を仕組む際にはやはり改正の優先度等からこれは御提案しなかったところでございます。しかし、その後におきますところの地価の動向等もございますので、やはりこれは全体の財政事情もございますが、今後検討すべき課題であると思うわけでございます。
 ただ、これを六十三年度改正に当たりまして相続税だけをここでどうする、どういうタイミングでどういう内容の御提案をするかというところまで具体酌に申し上げる段階にはまだ至っていないところでございます。
#227
○野末陳平君 もちろん具体的なことまではお答えいただくと思っていないんですが、少なくも、主税局長、路線価はまだかなり上がりますね。ことしの分よりも公示価格との比率などを見ていますとこのままおさまるというわけないので、これは来年上がりますよね。上がりますと来年の相続税はことしよりももっときつくなる、これはもうこのままであれば当然ですね、どうですか。
#228
○政府委員(日向隆君) 委員十分御存じのように、路線価は前年の七月一日におきます公示価格、売買実例価格、精通者意見価格をもとに、これを仮に相続税納付のために売り急いだとしても、その評価額が売買価格を上回らないようにかた目に設定することにしておりまして、現状では大体代表的な価格でございます公示価格の七〇%を目途に評価しているところでございます。しかし、委員よく御存じのように、地価が急激に上昇している場合には最長一年半のタイムラグもございますし、実情といたしましてはその七〇%にまでは達していないということではなかろうかと思います。
#229
○野末陳平君 ですから、考え方としてはそのとおりなんですけれども、達していないのでさらに路線価を来年引き上げていかないと余りにも現実に遊離するでしょう。そうすると、来年の路線価はもう一度上がりますね、場所によって何割上がるかは別として、上がりますね。そうすると、相続税法がそのままだったらことし以上に来年の相続税はきつくなりますね、こういうふうにお聞きしたわけです。
#230
○政府委員(日向隆君) 大変失礼いたしました。
 六十三年分に適用される路線価は六十二年七月一日現在の私が先ほど申し上げましたような手続によるデータで算定されるわけでございまして、現在の地価の動向からいたしますと、委員が仰せられますように相当程度上がるのではないか、かように考えられます。
#231
○野末陳平君 ですから、最近急に路線価という言葉が一般になじみ深くなったらしくて、これも全部都会地の人なんですけれども、相続税がきつくなるとすぐそういう結びつけ方で今非常に騒いでいるというか、不安に思っているわけですね。ですから大蔵大臣、今の答弁のようにこのままにしていくと、ことしても騒いでいるけれども、来年の相続発生はもっと大騒ぎになるよと、それはもう目に見えているんです。つまり、路線価が上がることははっきりしているんですよね。上げなきゃいけないんですね。となるとどうかな、このまま相続税法をほっておくわけにいかない。だから、具体的なお答えを聞かなくていいんですよ。来年はもう待てない、そういう認識を大蔵大臣はお持ちかどうか、念を押したかったんです。
#232
○国務大臣(宮澤喜一君) それは先般も申し上げたところでございますが、何分にもただ具体的にどうするか、財政状況がどうなるか、他の税制がどうなるかというようなこととの関連がございますものですから、ただいまとしては野末委員の御指摘になりましたことは私もよく承知をしております、関心を持っておりますと申し上げさしていただきます。
#233
○野末陳平君 それからもう一つ、固定資産税の問題があるんですが、直接大蔵大臣の立場じゃないんですけれども、これも評価がえが来年になりましたね。これを凍結しろというような意見も一部にはあるし、しかしそれはちょっとどうかなと思ったりいろいろ考えまして、この固定資産税の評価がえの来年の上昇についてもどうでしょうか、何がしかの配慮が政府としては必要じゃなかろうかという考え方も持つんですが、これについては大蔵大臣はどう考えますか。
#234
○国務大臣(宮澤喜一君) これは御指摘のようにいろいろ御議論があり、政府部内でもいろいろ検討しておるように存じておりますけれども、ただいま私所管でございませんので、ひとつ答えはお許しをいただきたいと思います。
#235
○野末陳平君 これはいずれ総理にもお聞きしなきゃならないぐらいにちょっとこの辺何か配慮をしなきゃまずいという気はしますがね、まあ自治体によってはそれぞれ考えているようですが。
 それから、キャピタルゲインはきょうも出ましたけれども、このキャピタルゲインの問題も課税実績がもう一つはっきりしないんで、この間質問したときも途中で終わっていたような気がするんですが、今までの課税実績が、どうやら申告件数が七十件余りで、課税ベースで何百億とかいうその程度のお答えはいただいたんですが、実際にどのくらいの税収が入ってきているのか、キャピタルゲインからですね、その辺がやっぱりわからないと、今後検討するのにちょっとデータ的に中途半端かな、そんなふうに思うんですよ。
 改めて国税庁にお聞きしますが、最近のキャピタルゲインの課税実績ですけれども、どの辺まではっきりわかっているんですか、もう一度繰り返しますが、お答えをお願いします。
#236
○政府委員(日向隆君) 御承知のとおりでございますが、株式の売買にかかる所得につきましては五十回以上かつ二十万株以上の売買による場合は雑所得として申告されてまいります。私ども全国の税務署に提出される膨大な数の申告書に記載されている雑所得等の中からこの条件に合致するものとして申告があった件数について報告を求めておりますが、それが委員が仰せられました昭和六十年分は七十件でございます。
 この有価証券の譲渡益に係る所得金額は、今申し上げましたように雑所得等に区分されておりますので、申告面におきまして他の所得と総合されて申告されてきておりますので、その中から有価証券譲渡益に係る所得のみを直接取り出して金額を申し上げることはなかなか難しゅうございますが、申告面の数字を拾い上げまして若干の推計を加えて申し上げますと、申告されました七十件に係る収入金額は約二百六十億円、必要経費を差し引きました売買利益は約五億円でございます。
 次に、税額についての御質問でございますけれども、これがまさに総合課税のもとにおきましてはこういった各種の所得が総合されて申告され、それについて税額計算がされるわけでございますので、この中で有価証券の譲渡益に係る税額のみを取り出して計算する仕組みということにはなっておりませんので大変難しいことでございます。税額を正確に申し上げることができないことについては御理解をいただきたいと思います。
#237
○野末陳平君 この場では正確には言えないまでも、申告書を全部見れば、それを足していけばわからないではないんでしょう。
#238
○政府委員(日向隆君) その場合、七十枚の申告書について逐一当たればということでございますが、その全データが正確に保存されているかどうか、私も今確かめるわけには至っておりませんのではっきりは申し上げられません。
 そこで、委員の再三のお尋ねでございますので、全くの仮定計算で恐縮でございますが、申告した七十人の所得はそれぞれ平均的にキャピタルゲインを稼得したというふうに仮定し、かつこの七十人に適用される限界税率、これは上積みというふうに考えまして、限界税率が五〇%、これは大体課税所得が一千五百万から二千万円の金額の税率でございますが、これを仮定いたしまして機械的に計算いたしますと、その税額は二億五千万円になろうかと思います。
#239
○野末陳平君 もちろん、だから今の数字でこれが実態だというわけではないですけれども、少なくもこのキャピタルゲインというのはどのくらい出ているか知りませんけれども、申告にあらわれた限りにおいては、もうほんのわずかな税収であるという感じはだれだって持つと思うんですね。これをさらに三十回十二万株という形で強化、強化と言っても、そもそもがキャピタルゲインというものが課税の対象に現実的になっていないというぐらいにこれは非常に低い数字だと、そういう感じがするんですけれども、主税局長、そんな感じを持ちましたが、どうですか。
#240
○政府委員(水野勝君) 御承知のように五十回二十万株という基準が長い間適用されておりましたので、したがいましてその五十回の計算の方法でございますが、これはいろいろ工夫されて、一回とカウントする範囲がかなり広がっている面がございます。そうしたことが一般化されまして、大体の場合五十回におさまるようにされているケースが非常に広まってきておりますので、従来の件数としてはただいま申し上げているような件数になっているのではないかと推察されるところでございます。これが三十回でございますので、半分とはまいりませんが、それは相当な数の圧縮でございますから、件数にかなり響くとも考えられるわけでございます。
 ただ、この件数がどのくらい増加するかという具体的な見込みになりますと、私どもちょっと自信のあるところは申し上げかねるところでございます。
#241
○野末陳平君 なぜこだわるかというと、これについては課税強化だと、そういうふうに大臣も趣旨説明でも述べられているので、さてじゃそんなに実効が上がるかどうか、それが聞きたくてあえて繰り返したんですけれども、主税局長のような考え方でいって五十回が三十回になったって、やっぱりいろいろ工夫していればそれほどふえるとも思えないし、つまりこういう三十回十二万株あるいは現在の五十回二十万株、この枠というのは余り意味がないんだと思うんですね、このキャピタルゲイン課税には。だから、この方向で強化を幾ら図っても意味がなく、結論は、今まで出ているような考え方に基づいてやはりこれは総合課税の対象に持っていくように工夫するしかない。
 それは、勉強しているというのは今までの大蔵省のお答えだったけれども、思い出してみると、私はここでやってもうかなりになるけれども、十年ぐらい前からこれはあるんだね、キャピタルゲイン課税の問題は。大体いつも難しいということで、いろいろ勉強している、これで繰り返し来ちゃったのでもうどうもこれも待てない。となると、無理なことを要求するわけじゃありませんで、やはり大臣、キャピタルゲイン課税をきちっとするんだと、それが不公平の是正になるんだ、こういうお考えであるならば、これはやはりいつまでにこういう形にしなきゃいけないと目標を立てなきゃいけない。少なくも勉強している過程で、やっぱり諸外国はこうだというのをはっきり実情を我々にわかるように勉強会の報告で、レポートですね、そういうものも示してもらいたいし、あるいは考えられる課税方式といったってどういうのがあるのか。やっぱりコンピューターになった時代と五年、十年前とは大分違うでしょうし。ですから、大蔵省が真剣にこの問題に取り組んで勉強する以上は、これをやはり報告してもらわないと困るんですね。いつも同じことをやっていたんじゃ、これは番号制の問題も含めてですよ、どうでしょう、大臣、この問題に関しては、ここで毎回難しい、あるいは勉強する、研究するという答えからもう一歩も二歩も前進させて、勉強の経過を報告する。少なくもいついつまでにと、このぐらいのことまでして積極姿勢を示さないと、どうもいつも煮え切らないで困るんですけれども、どんなものでしょうかね。
#242
○政府委員(水野勝君) 先ほど御指摘のございましたように、昭和五十年代からずっとこの点につきましては御議論をいただいているところでございます。継続的取引で五十回二十万株ということになりますと、先ほどのお話のように回数におきましていろいろ工夫がされる。そこで、この委員会での御指摘等もあって、五十四年の改正で、それでは一銘柄二十万株、これはもう回数を問わない、こういう新しい課税方式を導入してやってまいったところでございます。これは件数でその後五十四年以来ぼつぼつふえてはきておりますけれども、しかしやはりそれほど目覚ましい件数があるわけではございません。したがいまして、税制調査会でもそうした点を踏まえていろいろ検討がされておるところでございまして、具体的には例えば年間の大量取引に係る所得は課税対象とする、年間の取引金額が何千万とか何億とかという場合はもういかなる場合でも課税対象にする。そういうことではなかろうかと思いますが、五十回二十万株、その次は一銘柄二十万株、その次は一定の大量取引は課税対象に入れる、そういう方向で検討してはどうかということが述べられておるところでございます。
 そして、「究極的には原則課税を志向すべきである」というふうにいたしておりますが、しかしその場合には「適正、公平な税務の執行の確保を図るためには、有効な課税資料の収集のための実効ある措置が不可欠であることに留意すべきである。」というふうに付言されているところでございまして、この「有効な課税資料収集のための実効ある措置が不可欠」、この不可欠な条件が満たされるようになれば原則課税という方向に行けるわけでございます。
 アメリカにおきましては、先ほどお話しのございましたように納税者番号と申しますか、社会保障番号によりまして逐一その資料が税務当局に届けられる、そういうことを背景といたしまして総合完全課税がレーガン税制改革で行われたところでございます。一方、イギリス、フランス等におきましては、分離課税の方向の道が残されている。ドイツはまだ原則的非課税ということでございます。
 こうした外国におきましてももろもろの課税方式が行われておりますことを検討しつつ、また税制調査会が有効課税資料の収集のための方策を検討しつつ原則課税に行けというふうな方向を出しておられる、これらを踏まえて今後十分に検討してまいりたいと思うわけでございます。
#243
○野末陳平君 今までの勉強のプロセスその他はわかるんですよ。ですけれども、いつまでもこればかりやっていても、この問題に関心を持っている国民も多いでしょうから、これからの勉強の成果を前向きに報告する、あるいはここだけでもいいですよね、そういう方向でこれひとつ大臣考えていただかないと、いつまでたってもこれは前進しそうもないようなふうになってしまいますから。今までのはわかりました。これから一年、二年勉強の成果をレポートでも、非公式でも、そういうもうちょっと前向きなお返事をこの際いただかないと、ちょっとこの問題終わりというわけにはいかないんですけれども、どうですかね、大臣。
#244
○国務大臣(宮澤喜一君) これは制度論ではございませんで、今申し上げましたように、実際上どういうふうに行政をやっていくかということでございますから、それらを今政府委員が申し上げましたように、税制調査会の御意向なんかも伺いながらさらに詰めてまいります。いつまでにどうということを今申し上げるだけの先が見えておりませんけれども、その都度またお尋ねに対しましてその段階での御報告を申し上げていきたいと思います。
#245
○野末陳平君 これはもうちょっと積極的にお願いしたいところですがね。
 ついでに言えば、利子所得の課税についての見直しの問題もそうですよ。総合課税への移行を含めて見直すと言うんですけれども、これは見直した結果がどうなるやらさっぱりわからない。今回もしこういう規定を入れるなら、何年を目途に総合課税に行くんだとここまでしないと、今や総合課税が当たり前みたいになっているのに、ちょっとこの見直しというところがおかしいんですけれども、大体どういうふうに見直しをするんですか。この見直しという意味の中身はどういうことなんでしょうね。今の制度ではだめかどうかを見直して必ずしもその結果総合課税になるとは限らないと、こういうようなふうにも読めるけれども、これはどうなんですか、大臣。
#246
○国務大臣(宮澤喜一君) これは御記憶のように、先般衆議院の大蔵委員会の中村理事が当委員会において修正の趣旨を御説明せられたところでございまして、衆議院における御修正でございます。この修正が国会の御意思となりました場合には、文字どおりひとつ誠実にこの五十一条の規定を履行してまいらなければならないと思っておりますが、ここに述べら九ましたとおり、必要があればこの「五年を経過した場合において見直しを行う」、その「見直しを行う」内容は何かと言えば、ほかにいろいろあるかもしれませんけれども、総合課税への移行問題もその一つであると、こういうふうに理解をいたします。
#247
○野末陳平君 そうなると、大臣がこの見直しの意味を受け取った場合に、じゃ総合課税の準備をそれまでにしなきゃならぬというような積極性はまだないわけですね。要するに、このままほっておいてしばらく五年間様子を見ようと、こういう意味にとれたんですが、どうですか。
#248
○国務大臣(宮澤喜一君) この御修正の意味につきまして、私どもは少なくとも一つの制度を施行いたします場合に、それが非常に短期間でございますればその制度として定着をしない、むしろ混乱を生ずるおそれすらございますから、そういう意味で恐らく衆議院におかれて五年という日時をお決めになったのではないかと考えております。
#249
○野末陳平君 利子所得の課税のあり方を五年間様子を見るのはいいんですけれども、そもそも総合課税に移行しなきゃいかぬというふうに初めから大蔵省もそういう基本的な姿勢を持っているわけですからね。どうも僕なんか考えるのに、五年後の見直しはいいんですが、それまで総合課税へ移行するための準備は何もしないでずっと待っているのか、その時点から必要であるならば始めるというのか、その辺がちょっとわからない。そこでお聞きしているんですよ。
 ですから、総合課税が必要だと、原則当然そうならなければいけないというならば、野党からも意見が出ておりますこの番号制の問題だって、きょうは消極的なお答えを相変わらずしていますけれども、これだってかなりの準備をしなきゃ、もうコンピューター化している今、昔と全く違うだろうと思うので、その辺の取り組み方についてお聞きしたいわけで、見直しまで、じゃ何もしない、総合課税へ行くかどうかは、原則そうであるけれども、具体的には何もしないと、こういう意味でしょうか、準備を。それが聞きたい。
#250
○政府委員(水野勝君) この五十一条の規定は、まさに私ども文字どおりこれを読ましていただき、この趣旨に従って対処してまいる必要があるわけでございます。ただ、今回の改正はかなり基本的な改正でもございますので、まずは今回の改正が円滑に実施されるように注視してまいるのがまず最初の仕事になるのではなかろうかと思うわけでございます。ただ、理念といたしましては、総合課税といった点は残っておるところでございます。そうした理念を持ちつつ、しかし今回の改正の影響するところ等々を見、これがまず実施されるものを注視してまいるというところが第一歩ではないかと思うわけでございますが、まずこれを御可決いただければ、そうしたことで注視してまいり、この五十一条の趣旨を十分体して対処するというところまで、現時点としてはこの規定をいただいた政府サイドとしては、そこまでの申し上げるところまでではないかと思うわけでございます。
#251
○野末陳平君 何かどうも、このキャピタルゲインを含めて、総合課税というのにいま一つ積極さを感じられないんですけれどもね。まあひとつ頑張ってもらうしかないんですけれども、これに関連して言うと、国税職員の増員問題も毎年ここで出る。しかも附帯決議にまで盛り込まれる。
 さて、この問題ですがね、これは竹下さんのころは行革だからちょっととか言っていたんですけれども、国民の方は、いわゆる一般の納税者の方は、国税職員を増員することにそんな強い反対はないんじゃないかという気がするんですよね。強いて反対があるならば、国税職員を増員していくことがいかに不公平を正し、課税の公平化に近づいていくんだという、そういうPRを政府みずからが、やはり大蔵省がやるべきじゃないかと、そのぐらいに僕は考えるんです。ですから、国税職員が増員されることがそんなに国民に抵抗があるとは思えないんだが、なぜもっと積極的に国税職員の増員を図るように大蔵省はPRをし、国民に働きかけてということをしないのか、それが不思議でしょうがない。そこで大蔵大臣、どうですかね、やはりこれは国民の理解を求める方向で大蔵省そのものがもうちょっと積極的になるべきじ神ないかと思うんですよ。もっとふやすべきだと、ふやさしてほしいと、それはどうなんでしょう。そこまでしないのがちょっと物足りないと思う。
#252
○国務大臣(宮澤喜一君) それは御理解のある御発言をいただきまして、所管の大臣としては感謝をいたします。どの役所でもやはり自分のところの所管はそれなりに大変な意義があるというふうに考えるわけでございますから、勢いどこでもやはり人が余計に欲しい。そういたしますと、国庫大臣の立場といたしましては、なるべくそういうところは大きくしていきたくないという気持ちがまたございますものですから、何よりも先に合理化をしてもらいたい、あるいは機械化をしてもらいたい、能率を上げてもらいたいということを申さざるを得ないというこれは国庫大臣としての私の立場になりますわけで、そういうこともありまして、いろいろ難しいところもございますけれども、御理解をいただいておりますことには感謝をいたしますし、どうしてもやむを得ないときにはお願いしなければならないと思います。
 ただ、もう一つつけ加えさせていただきますならば、先ほどから執行体制と申し上げておりますことの中に、確かに税務職員そのものの問題もございますけれども、民間の企業活動に対して実は非常に大きな重荷を負わせあという問題があるわけでございます、御推察のように。そのことは、国として最小限度の仕事をする上でならば、民間の御協力を仰ぐことにあえてちゅうちょはいたしませんけれども、大変なその結果複雑な事務をしょわせするということは、私どもの気持ちからいいますと、やはり日本経済全体の効率化と申しますか、いわば市場経済が本当になるべく身軽に動いていくということからいいますと、それにはおのずから限度があるという気持ちがございまして、その点は税務職員だけの問題でなく、そういう問題がございますことも御理解を願っておきたいと思います。
#253
○野末陳平君 そういう面ともう一つ、余りにも低い実調率というこの現実と、どちらをやはり重大に考えるかということになると思うんですね。いずれにせよ、これはこのままで事務が円滑にいくとは思えないので、やはり国税職員というものの増員を納税者に積極的にむしろ働きかけていくべきであると、そういうようなことをじゃ注文しておきます。
 もう時間がなくなりましたので、ちょっときょうは通告していたところに入れないんですけれども、もう一ついきます。
 今回の所得税法の改正案ですが、総理は前々からこれはサラリーマンのための減税だと、こういうお答えを予算委員会などでもなさったんですけれども、サラリーマンが確かに今回相当中堅層が減税の恩恵に浴することはわかりますけれども、しかしサラリーマンのための減税だと言うならば、固有の給与所得控除について見直さないのはおかしい、こういう見方もできるんですね。これは、サラリーマン新党なんかみんなそういう意見の人が大分多くて、何か会合を開きますとそういう意見が出るということを聞きましたけれども、主税局長に聞きますが、給与所得控除をあえて今回は見直していないというのはどういう理由かなと。平均すると給与所得控除は三〇%ぐらいになっているし、それからその意味も、この内容といいますか、いろいろ取り方があるんですけれども、どうですかね、平均三〇%であっても、五百万ぐらいの年収ならばその程度に見合っているけれども、これがもうちょっと高くなって一千万ぐらいだと二〇%になりますから、となると中堅所得層とそこを重点にした場合にこの給与所得控除の見直しというのも必要ではなかったかとそう思うんですけれども、時間もないんだけれども、これについてまずちょっと、なぜ見直さなかったのか聞いておきましょう。
#254
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、平均的には三〇%の適用率になっておるわけでございまして、これが趣旨としての必要経費の概算控除、それから担税力への配慮、こういった観点からするとかなりな水準に達しているのではないかと思うわけでございます。また、下の方は五十七万円の最低保障がある。これはかなりなまた効果を発揮しているわけでございまして、それが逆にバート問題等を起こしているという点もあるわけでございます。
 もう一つ給与所得控除をどんどん拡充いたしますと、これが結局はみなし法人の事業主報酬にも適用され、青色事業所得者の専従者給与にももろに適用され、さらには中小同族法人の従業員と申しますよりはその家族従業員にもどんどん適用される。そういたしますと、給与所得者本来のと申しますのはおかしいわけでございますが、本来の普通のサラリーマンのためのものがそういう事業所得者なりの方に完全に適用されておって、果たしてこれが好ましい姿なのかどうかということについてはいろいろ議論があるわけでございます。
 したがいまして、今回は水準の問題よりは、その適用のあり方につきましてむしろ検討をすべきではないかということでもろもろの研究検討を行ったところでございますが、なお抜本的に実額控除へ移行するとか、そこまではいけなかったわけでございますが、一つは特定支出控除、一つは配偶者特別控除、一つはみなし法人の報酬水準の抑制、こうしたところまではまいったわけでございますが、やはり水準をさらに拡大すると、そうしたもろもろの矛盾点も拡大するような嫌いがございますので、ちょっと水準のところにつきましては今回は御提案をしなかったところでございます。
#255
○委員長(村上正邦君) 時間が参りました。
#256
○野末陳平君 それでしたら、水準は見直さなくて結構ですから、税調の答申にはみなし法人その他についてはちゃんと出ていたんですね。それがどっかへ消えちゃったというのがおかしくなりますね。
 最後に一つ、いわゆる本当の雇われているサラリーマンと、そういう言い方はないんですけれども、雇用されているサラリーマンと、今言ったように、自分のところで働いて税法上サラリーマンを名のっている、そういう人との差を考えた上で給与所得控除を見直すべきじゃなかったんですか。これが全然ないというのもおかしいということを、これ最後の質問にしておきます。
#257
○政府委員(水野勝君) 大変大きな問題でございますので検討はして、その若干の回答を御提案はしていますが、なお完全なものとは思っておりませんので、今後ともよく検討してまいりたいと思うわけでございます。
#258
○委員長(村上正邦君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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