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1987/09/03 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 地方行政委員会 第2号
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1987/09/03 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 地方行政委員会 第2号

#1
第109回国会 地方行政委員会 第2号
昭和六十二年九月三日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月二十九日
   辞任          補欠選任
    神谷信之助君      宮本 顕治君
 七月三十日
   辞任          補欠選任
    宮本 顕治君      神谷信之助君
 八月二十五日
   辞任          補欠選任
    久世 公堯君      鳩山威一郎君
 八月二十六日
   辞任          補欠選任
    鳩山威一郎君      久世 公堯君
    渡辺 四郎君      高杉 廸忠君
    神谷信之助君      宮本 顕治君
 八月二十七日
   辞任          補欠選任
    高杉 廸忠君      渡辺 四郎君
    宮本 顕治君      神谷信之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         谷川 寛三君
    理 事
                出口 廣光君
                松浦  功君
                佐藤 三吾君
                抜山 映子君
    委 員
                岩上 二郎君
                加藤 武徳君
                海江田鶴造君
                金丸 三郎君
                久世 公堯君
                沢田 一精君
                田辺 哲夫君
                高橋 清孝君
                増岡 康治君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                片上 公人君
                神谷信之助君
                秋山  肇君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
   政府委員
       警察庁長官    山田 英雄君
       警察庁長官官房
       長        小池 康雄君
       警察庁警務局長  大堀太千男君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      漆間 英治君
       警察庁警備局長  新田  勇君
       自治大臣官房長  持永 堯民君
       自治大臣官房審
       議官       森  繁一君
       自治大臣官房審
       議官       小林  実君
       自治大臣官房審
       議官       渡辺  功君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局公
       務員部長     柳  克樹君
       自治省財政局長  矢野浩一郎君
       自治省税務局長  津田  正君
       消防庁長官    関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹村  晟君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局消費者行
       政第一課長    植苗 竹司君
       国土庁計画・調
       整局計画課長   春田 尚徳君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    杉崎 重光君
       厚生省保険局国
       民健康保険課長  加納 正弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。葉梨自治大臣。
#3
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 地方財政の現状にかんがみ、地方公共団体の財源の充実、確保を図るため、昭和六十二年度分の地方交付税の総額につきまして、所要の加算を行うとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 まず、昭和六十二年度分の地方交付税の総額につきましては、同年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込額は一般会計の当初予算に計上された額とするとともに、昭和六十一年度分交付税の精算額五千七百六億円を加算することとして地方交付税法第六条第二項の規定に基づき算定した額に、交付税及び譲与税配付金特別会計における剰余金の活用により加算することとした五百十億円及び地方交付税の総額の特例措置額三千三百十七億八千万円を加算した額から同年度分の利子の支払いに充てるため必要な額三千四百六十一億円を控除した額とすることとしております。
 これにより、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保するとともに、補正予算に基づく追加公共事業等の実施のための一般財源所要額三千五百億円を地方交付税の総額として増額しようとするものであります。
 また、昭和六十六年度分から昭和六十八年度分までの地方交付税の総額につきましては、昭和六十六年度及び昭和六十七年度にあってはそれぞれ千百六十億円を、昭和六十八年度にあっては千百七十五億円を加算した額とすることとしております。
 次に、昭和六十二年度の普通交付税の算定につきましては、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ等に伴い増加する経費に対し所要の財源を措置し、あわせて、生活保護基準の引き上げ、老人保健施策等高齢化への対応に係る経費の充実等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善、教育施設の整備、私学助成等教育施策に要する経費、公園、清掃施設、市町村道、下水道等住氏の生活に直結する公共施設の整備及び維持管理に要する経費、消防救急対策、公害対策等に要する経費、
地域の活性化の促進に要する経費、国際化への対応に要する経費の財源を措置することとしており、さらに、投資的経費について地方債振りかえ後の所要経費の財源を措置することとしております。また、補正予算により増額された公共事業等に要する経費について所要の措置を講ずることとしております。
 以上が地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(谷川寛三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(谷川寛三君) この際、地方行政の改革に関する調査を議題に追加して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○渡辺四郎君 交付税法の一部改正をする法律案の提案でございますが、やはり地方税制と非常に交付税そのものの関連が深いものですから、なかなか質問そのものも的を射ていないと思うんですけれども、関連をするものですから今からお聞きをしてみたいと思うんです。
 まず、直接関係ありませんが、地方税法の改正問題について、個人住民税の利子割の創設によって、確かに老人なり母子家庭あるいは障害者約二千三百万人と直言われておりますが、この方たちを除外して、あとすべての受け取り利息に対して都道府県が一律五%の源泉分離課税を行う、そういうふうに今後はなっていくと思うんですが、間違いないでしょうか。
#7
○政府委員(津田正君) 今回、御提案しております政府案におきましては、利子に対しまして老人等社会的に援護を必要とする方々の非課税は存続しつつ、そのほかには原則的には住民税におきまして五%の税率で分離課税をする、このように御提案申し上げているところでございます。
#8
○渡辺四郎君 そうしますと、今でも県民税すら、県民税の中でも所得割すら納められないような低所得者がおります。現在、大体日本の就労者が約六千万だと、そのうちに所得割納付者は約四千三百万人とも言われておりまして、そうすれば約千七百万人の方たちがいわゆる所得割すら納め切れないという現状の中で、今お話がありましたように、今度の改正案を見てみますとこういう方々についても五%の課税所得が徴収される、そういうことになっていくわけですか。
#9
○政府委員(津田正君) 老人等いわゆる非課税措置に該当する方、それから財形貯蓄におきまして年金、住宅の財形貯蓄を利用される方以外の方々につきましては、原則一律五%で御負担をお願いする案になっております。
#10
○渡辺四郎君 そうしますと、現在の制度では、これはもう大蔵の方が直接あれかもしれませんけれども、例えば利子課税がとられても確定申告をすればいわゆる低所得者については今まで返金をされておった。ところが改正案については、改正案の利子割については所得税が一五%それから県民税が五%、これを納めなければいけない。金融機関で天引きをするわけですから納めなきゃいけないという仕組みになってくるわけですね。
#11
○政府委員(津田正君) 先生御指摘のとおりでございます。
#12
○渡辺四郎君 そうしますと、今までの例えば高額預金者で一億の利子をもらっておった預金者も、一年間に五千円しか金利がつかないわずかの預金者も同じ一五%と五%の一律分離課税が徴収されることになるわけですね。
#13
○政府委員(津田正君) 先生が御指摘のとおりでございますが、この趣旨につきましては、今回の利子課税見直し全体の目的について御説明させていただきたいと思うわけでございます。
 利子課税につきましては、従来マル優制度等があったわけでございます。ただ、現行のマル優の枠が御承知のとおり郵便貯金三百万、それから銀行三百万あるいは国債等の特別マル優三百万ということで一人当たり九百万、したがいまして、四人世帯でございますと三千六百万のマル優枠、非課税枠が利用できる。さらに財形貯蓄を利用いたしますと五百万加わりまして四千百万と、このような非課税枠があるわけでございまして、そういうような高い水準の貯蓄というものを実質的に利用しておる方は高額所得者でございまして、中堅あるいは低額所得者というものは枠を残す。結果的に、現在の制度というものがより高額所得者に利用されておる、こういうような問題があった。
 それから、本来的に勤労所得と利子のような資産性所得というものとのバランスの上において、勤労所得というものを軽減する際に、やはり資産性所得にも税負担をお願いするのが所得間のバランスとしてもいいのではないか、このような観点に立ち、かついわゆる非課税枠というものにつきましては、老人等の場合には的確な管理ができるわけでございますが、これを広く一般の方々に広げますと限度管理ができない、そこでまた、不正利用の問題も出る。こういうような点を考えまして、利子につきましては一律分離課税ということでお願いしておるわけでございます。
 ただ、地方税の場合におきましては五%の税率でございますが、これは現在提案しております住民税の最低税率、これに見合っておるわけでございまして、確かに先生御指摘のとおり、課税最低限以下の方々には若干御負担増になるわけでございますが、そのほかの方々におきましては、むしろ所得割よりもこの五%の利子課税というものが低率の税負担になる、このように考えておるわけでございます。
#14
○渡辺四郎君 それは見解の違いと申し上げておきたいと思うんですが、今おっしゃったように、例えば高額所得者の場合であれば今までは、例えばある一定の金額以上は三五%の利子課税が取られておったわけですけれども、これが今度は一律二〇%になるわけですね。そういう点から見て、私らはやっぱりマル優を残してもらいたいというふうに、絶対に廃止をしてもらっては困るというのは低所得者のためのマル優だ、そういう立場で今までも実は申し上げてきたわけです。
 今おっしゃった中で、例えば管理の問題についても、特に高額所得者がマル優を利用してあるいは今の制度を利用して得をしておるんだというお話もありましたが、昨晩もテレビでやっておりましたけれども、今の日本のコンピューター技術の中では、本当にマル優の悪質利用者を管理しようと思えば、今の技術から見れば直ちにできると思うんです。きのうもやっておりましたけれども、例えば金融機関の名寄せ等の問題です。こういうことについては直ちに着手するという、ゆうベテレビでこれはNTVだったですかどこだったですか、そういうことに着手をするというテレビ放送もやっておりました。
 そういうことを実施すれば限度管理というのはできると思うんです。ですから、今まではそれを放置しておった、そこに私は問題があるのじゃないかと思うんです。
 大臣にちょっとお聞きをいたしたいと思うんですけれども、現行の制度の中では、法人の受取利息に対しては法人税で精算すれば還付ができるという仕組みが残っていきます。そうすると、法人の決算を見てみましても、例えば経常利益は非常に出ておる、ところが精算段階になってまいりますと、その経常利益がどんどん減っていってプラスマイナスとんとんぐらいの決算がよく見られるわけですけれども、法人はそういう制度は残していく。
 しかし、先ほど私が申し上げました個人については、今までありましたいわゆる確定申告という制度、これがなくなっていくわけですから、三五%の金利を二〇%に一律に落としていく。そういう点から見て、私は、廃止になりましたけれども、売上税一律五%とどう制度が変わったのか、もちろん売上税そのものは金利に対する問題ではありませんけれども、性格は一緒ではないか。そうしてみればやはり高額所得者優遇であって低所得者には従来以上の課税になってくるのじゃないか、こういう分析を私自身はしたわけですが、大臣、御見解をお伺いしたいと思います。
#15
○政府委員(津田正君) 現在の限度管理の実情を申し上げますと、金融機関におきましても、ある特定銀行の特定支店の中での名寄せということはできておるようでございますが、同じ金融機関、同じ銀行におきましてもそれが支店が違いますとなかなかできない。さらには、銀行が違うと到底できない、こういうような状況でございます。もちろん今後コンピューター等の技術の発達によりまして全国統一的な、例えば国税で一つの大きなコンピューターセンターを持ちまして、各銀行におきます取引の都度それを国税のコンピューターセンターに連絡する、このようなこともあるいは可能かと存ずるわけでございますが、現状ではまだその点技術的にも難しい問題がございます。
 それから御承知のとおり、既にいわゆるこのような利子課税につきましての限度管理のためのグリーンカード制度というものにつきまして御提案をいたし、国会でも一度議決をいただいたわけでございますが、御承知のとおり、非常に資金がシフトしたわけでございます。金融経済面への撹乱ということもやはり考えなければならないのではないか。
 そしてまた、そういうような銀行取引、個々の銀行取引につきまして、それが国税にしろ地方税にしろ、いわゆる課税当局にすべてが登録されるということが現在の国民的な感情に合うのかどうか、そういうような点を考えまして、まだ時期尚早ではないか。そして先ほど申しましたような、非常に大きな現在のマル優等の枠の利用というものが実質的に高額所得者により受益している、こういうような事態、あるいは勤労所得とのバランスというような点から分離課税、このような案によりまして御提案を申し上げておるわけでございます。
#16
○渡辺四郎君 先ほども申し上げましたけれども、ゆうべのテレビで出たわけです。いわゆる各金融機関が一本になれば支店の分も含めて全国ネットで名寄せができる、そういうことに具体的に着手をする、民間の方が先にそういう取り組みを始めたわけです。
 それでは、自治省ということじゃなくて大蔵省がその気になればできないことはない。今のこんなに進んだコンピューター技術の中ですから、例えば国民年金だってそうでしょう。毎日その日の年金額が厚生省の方に全部各都道府県から報告をされておるわけです。役所の中でもそういうことができておるわけですから、今の段階では本当に限度管理をやっていこうというふうに政府が考えればできないことはない。しかしこれは見解の違いかもしれませんけれども、私らはそういうことを求めていって、そして今までマル優制度を一番悪用した、記憶にありますけれども、一番最高が七百九十一口ですか、これはどこかの農協だったという報道もされたわけです。低所得者というのはやっぱり勤務中は三百万円あるいは六百万円ためるということは大変なことなんです。そういう人まで一律に二〇%の利子課税を取っていこう、そこに私は問題があるというふうに実は考えております。
 大蔵省の方見えておりますか。――私は、今こういう問題について一つの問題ですけれども、低所得者に対して優遇をするという、今の政府そのものが今度の税制改正でも中堅所得者に非常に重点を置いたんだと、こういうふうな説明をしきりになさっておりますけれども、例えば人的控除の問題だって確かに一人二万円、平均家族で八万円という人的控除があります。ところが、低所得者の場合は、この八万円の人的控除を受けても減税になるのは大体一年間に四千円です。そうしますと、高額所得者の場合は同じ四人の標準家庭で計算をしてみますと、八万円の控除を受けますと一万二千八百円だったですか、低所得者は四千円しか減税にならない。高額所得者は人的控除だけでも一万二千八百円、一万二千八百円の減税になる。
 ですから、これはひとつ本会議の方でも、代表質問でも申し上げてみたいというふうに思っておりますけれども、今アメリカの現行制度の中には、御承知のとおり一定の所得金額に達しますとあとはいわゆる頭打ちで、それから以上の金額については人的控除なんかはすべてなくしておるわけなんです。そういう中での問題として、私らは特に中堅階層の場合の消費支出が非常に大きいんだということを今までも申し上げてまいりましたが、消失控除制度なんかを導入して本当に中堅所得者層に重点を置くというのであれば、そういう考えがあるかどうか、大蔵の方の見解を聞いておきたいと思う。
#17
○説明員(杉崎重光君) 人的控除といいますものは、一般的に国民の生活水準から見まして基礎的な生計費の部分を課税の対象外にするという機能を持っておりますし、また家族の構成がどうかということでその控除額が動くというわけでございますから、そうした家族構成に応じた負担能力ということをそこで配慮することになるわけでございます。
 今お話しの件は、こうした人的控除について、所得が高くなるに従ってその控除額を減らしていく消失控除の仕組みを導入してはいかがかというお話でございますが、この人的控除というのは税率の累進構造と一緒になりまして、税率自体と一緒になりまして、全体としての所得税の累進制を定めているわけです。所得がふえるに従ってより重い負担をする、人的控除もその一翼を担っているわけでございます。したがいまして、このような消失控除を設けるかどうかということ、それから人的控除をどのような水準に置くかということは、結局所得税制の累進制というものをどのように考えてやっていったらいいのかということになるわけでございます。
 我が国の所得税の最高税率というのは現在七〇%でございますが、今回の改正法案でそれを六〇%に引き下げるということにいたしております。国、地方を合わせますと最高税率は七六%ということになるわけでございます。それに対しまして、アメリカにおきましては二段階の税率でございまして、最高税率が二八%ということに抑えられているわけでございます。ここからは一つの推測ではございますが、アメリカにおきましては、そういう二段階の画期的なフラット化ということが行われましたようなことも、あるいはこうした消失控除ということを導入したことと関連があるのかもしれないなという感じがいたします。
 要は、したがいまして人的控除をどのように仕組むかということは、累進税率、累進構造をどういうふうに考えるかということになると思います。
#18
○渡辺四郎君 これは、本会議で大蔵大臣の見解を聞きたいと思いますので、その程度にしておきたいと思います。
 申し上げたいのは、政府を中心にあるいは自民党を中心に言っておるのが、今度の税制改正というのは中堅所得者層に重点を置いたんだ、そういうふうに非常に強調しておる。しかし実態としてはそうじゃないんじゃないか。だから、本当に中堅所得者層に重点を置くならば、今申し上げましたように、人的控除の問題だってあるいは消費支出の問題だっていま少し考えて税制の抜本改正をやるべきじゃないか、これは私の考えです。先ほど申し上げましたように、本会議の中でも大蔵大臣に聞いてみたいと思います。
 最後になりますが、自治省にお尋ねしておきたいと思うんですが、現在の税制の中で、三十八年以降と言っていいでしょうか、今日まで所得税が当年度分の所得に対する課税、それから住民税は前年度所得ということになってきたわけです。そうしますと、今度の法案が通過をすれば利子割については当年度分ということになってくるわけです。そうしますと、地方税の中に前年度所得の部分の今までの住民税と、それから利子割による当年度分の方、いわゆる利子割の五%の部分という二つの税が入ってくるという仕組みになるわけですか。
#19
○政府委員(津田正君) 先生御指摘のとおり、今回利子割につきまして一律分離課税にするという場合にこれは現年課税でございまして、従来の基
本的な住民税におきます前年度課税とタイプを異にするわけでございます。なお、現行制度におきましても退職所得につきましては現年課税をしておるような状況でございます。要は、いわゆる総合課税的なものでございますとこれは所得計算等相当複雑なものをやる。これにつきまして、所得税と住民税で二重行政というものを避けるために所得税が現年課税をして、それが翌年三月十五日確定申告で固まったものにつきまして住民税の課税資料として活用する、このように二重行政を排除しまして課税事務の簡素化を図るわけでございますが、分離課税の場合にはこれ性質上現年課税、このような御指摘のとおり二本立てにはなっておるわけでございます。
#20
○渡辺四郎君 行政の二重を避けるために所得税と住民税を分けたというお話ですが、私はどうして住民税も所得税も当年度徴収ということでできないのか。これの方が逆に言ったら行政の二重を簡素化していくんじゃないか。そして国税と地方税の割合を決めておきさえすれば簡単にできるのじゃないかという気がするわけです。ですから、これも本会議の中でもちょっと聞いてみたいと思うんです。
 いま一つお聞きをしておきますが、今度の利子割課税について、所得税の一五%は国一本ですから全国どこの金融機関で徴収しても国税局の方に入ってくるわけです。そうしますと、五%の都道府県に入る県民税、これは金融機関がその都道府県、金融機関がある都道府県といいますか、例えば東京なら東京にある金融機関で徴収した五%は全部東京都に入る、こういう仕組みになるわけですね。そうしますと、今後ますます地方の格差が出てきはしないか、そういう懸念がするわけですが、これは大臣、大臣の方のひとつお考えをお聞きしたいのですけれどもね。
#21
○政府委員(津田正君) まず、私から事務的に御説明申し上げたいと思いますが、今回利子課税の対象といたします中心でございます預貯金につきましては日銀等の統計がございまして、これによりますと各都道府県ごとのいわゆる個人住民税のシェアと、それから個人の貯蓄残高というものを比べてみますと、何と申しますか東京都のような財政力の強い団体におきましては所得割のシェアが大きい、それに対して預貯金残高のシェアは少ない、こういうような格好になっておりまして、現在の所得割の各県の所在状況よりも恐らく利子割課税は財源調整、財源偏在をより均てん化する、このような方向になると考えております。これにつきましては一般的に個人の資産がいわゆる大都市地域と地方圏とどういうような格好になっておるか、こういうような問題があるかと思いますが、日銀の統計等を利用いたしますと預貯金につきましてはむしろ地方型である、このように言えるわけでございます。恐らく大都市の方におきましては土地の資産あるいは株式、そういうようなものへ資産運用がされておるのに対して、地方圏におきましては金融機関に対する預貯金、このような格好で資産が蓄積されておるのではないか、かように考えております。
#22
○渡辺四郎君 大臣どうでしょうか、そういう心配ないでしょうか。
#23
○国務大臣(葉梨信行君) 今税務局長からお話を申し上げましたようなことでございますから、思いのほか大都市偏在ということではないであろうということ、もう一つは、そういうことをバランスをとるために地方交付税制度というものがあるわけでございまして、交付団体、不交付団体とを区別いたしまして、財政力の弱い地方団体に財源配分をするというような機能を果たさせている、こういうことであると私どもは理解をしております。
#24
○渡辺四郎君 時間の関係もありますから交付税、地方税関係についてはその程度で終わって、あと時間の関係で国保問題の方を先にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 国民健康保険問題、これは地方財政と非常に関係があるものですからお聞きをしてみたいと思うんですけれども、私、元の自治省の次官の方からいろいろ教わったわけですが、また学習会へ来ていただいて教わったわけですけれども、今市町村財政の中で一番大きな問題点というのは国民健康保険財政だというふうに元次官も実は言われておりましたが、今の税制改正の中では、国保財政についてはもう解決をしないで今後はますます苦しくなっていくであろう、こういうふうに元次官の方もおっしゃっておりました。もちろん各健保からの案分拠出分なんかも入れまして、急速に伸びる高齢化社会の中では一番大きな問題になってくるのじゃないかというお話も聞きました。
 大臣御記憶あると思うんですが、私も前の一〇七国会で大臣に直接お聞きをいたしました。例の老人保健法の審議の段階で、社労の皆さんとの連合審議の中でもお聞きをしましたが、そのときにもう最終段階でありましたが、大臣は、国保制度は国民皆保険の一環で国の制度として設けたもので、健全育成を進めるのはもとより国の責任で、都道府県の負担導入は国の責任を地方に転嫁するものだ。また国民健康保険の被保険者に対し住民の税金、いわゆる一般財源からの繰り入れの問題ですが、住民の税金を支出するということは、負担の公平を欠くことだという御見解を大臣からいただきました。
 私は、厚生大臣にまたお聞きをしたわけですが、厚生省見えておりますか。――そのときに厚生大臣も、今の自治大臣の見解が述べられた後厚生大臣にお聞きをしたわけですが、厚生大臣も、市町村国保の財政状況を十分見守り、安定的な運営が確保されるよう誠意を持って対応するのは基本方針だと回答をいただいたわけですから、そこでその回答、基本方針そのものはもちろん自治大臣とお変わりはないと思うんですけれども、厚生大臣もきょうは大臣見えないということでありましたから、私はお聞きをしておいてくれというふうにお願いをしておきましたが、この厚生省の基本方針は変わりはないわけですか。
#25
○説明員(加納正弘君) 先般の国会で、大臣から国保の安定的な運営が図れるよう、またその財政基盤が確固たるものになるようできるだけの誠意を持った努力をいたしてまいりたいと申し上げていると思います。もちろんこの決意に変わりはございません。
#26
○渡辺四郎君 そうしますと、これは自治省にも厚生省にもお伺いをしたいわけですが、前の一〇七国会でのいわゆる大臣の考え方あるいは厚生省の基本方針、そのことについて具体的にどういう措置をしてきたのか。私は、六十一年度の国保の決算が大体終わったのではないかということをいろいろお聞きをしましたけれども、まだ自治省の庁でも集約をしていないというお話でありますけれども、私らが調査に行きましたある一政令市では、一般財源から七十億円国保に投入をしておる。しかし一つの政令市では三十億円国保の赤字の解消に入れて、なおかつ二十八億円が赤字で計上された、一つの政令市は六十億円、そうしますと大体一般財源からの持ち出しというのは、政令市の場合が大体五十億から七十億ぐらいの持ち出しをしておる。それから小さな七万から十万ぐらいの市でも三億から六億ぐらいの持ち出しをやっておるわけです。
 そういう実態を恐らく自治省も厚生省も把握をされておると思うんですが、そういう部分について具体的にどういう措置をしてきたのか、あるいは今後どういう措置をされるのか、それぞれ見解をお聞きしたいと思います。
#27
○政府委員(小林実君) 自治省の小林でございますが、国保問題につきましてのお尋ねでございます。
 御指摘のとおり、市町村国保会計の財政状況、実質的に一般会計の繰り入れというのが行われておりまして、それを差し引いた収支ベースで見ますと六十年度には全団体で九百三十九億円の赤字でございました。五十九年度に比べまして急激に悪化をいたしておるわけでございます。六十一年度決算につきましてはまだ把握しかねておるわけでございますけれども、六十年度に比べましてさらに一段とその差異、差し引き収支の赤字が拡大
するのではないかというふうに考えておるところでございます。
 国保につきましては老人保健制度とか、あるいは退職者医療制度等の制度改定がございまして、制度間あるいは保険者間の負担の調整というのが行われてきておりますが、なお状況は大変でございまして、私ども、厚生省の方で国庫補助金等につきまして所要額の確保等をしていただくよう、お願いをしているところでございます。
#28
○説明員(加納正弘君) 厚生省といたしましては、国保運営の安定を図るためにいろいろ努力を重ねてきたところでございますが、具体的に申し上げますと各医療保険制度間で年齢構成の相違に基づく医療負担の格差があるのではないかという、ここを是正いたしたいということで、老人保健制度の創設、あるいは改革、さらには退職者医療制度の創設を行ってきたところでございます。また退職者医療制度の創設に伴う影響につきましては六十年度千三百六十七億円、六十一年度九百七十億円の国保特別交付金を措置いたしたところでございます。こういった努力を重ねてきておるつもりでございます。
#29
○渡辺四郎君 先の分まで言われたわけですが、厚生省の今の答えというのは前の一〇七国会の段階、厚生大臣からもあるいは私、厚生省の見込み違いについては大蔵大臣、その不足額は全額ひとつ国で見てもらいたい、自治大臣の方は非常にかたい決意で回答をいただいたわけですが、もう大蔵大臣もいろいろ言っておりましたけれども、最終段階では六十年度分までは国で責任を持ちます。しかしそれから後の部分は、やはり先ほどから私が申し上げましたように、今の厚生省がおっしゃったようですけれども、例えば今度案分比率の拠出金によって九〇%に引き上げたわけですね。それによって大体二千億というふうに言われているわけです。しかし、その二千億の部分というのは医療費の増加部分で大体とんとんになっておるのが現状なんです。
 そうしますと、案分比例によって拠出をしていただいた金で国保財政全体の財政状況をよくしていこう、そういう制度改正であった予定の部分が、なかなかそういう結果にはなってないというのが現状だと。ですから、今幾つかの例を申し上げてみたいと思うんですが、ことしの七月二十二日に国保財政安定強化推進協議会が開催をされまして、これは全国の町村会、市長会、国保中央会、ここで決議をされた内容について厚生省なり自治省それぞれ御存じでしょうか。
#30
○政府委員(小林実君) 御指摘の点につきましては承知いたしておりまして、さきの制度改革に伴う国保財政への影響額につきましては、財政上の補てん措置を講ずることというようなことが決議されております。
#31
○渡辺四郎君 厚生省も同じですね。
 そうしますと、この内容をちょっと私もいただいて見てみたわけですが、こういうふうに言われておるわけですね、決議の中で。さきの老人保健制度の改善で国保の財政的安定にかなりの成果を上げることが期待されている。問題はこれからですが、しかしながら、急速に進展する高齢化社会での老人医療費の伸びは今日の経済成長、国民所得の伸びをはるかに上回り、国保財政は依然として厳しい状況にある。ここに私はその新聞も持ってきておりますが、そういう中でいわゆる協議会としては全国的に「三パーセント運動」を実施しようじゃないかということで、例えば収納率を一%上げるとか、そういう決議をして経営努力をやっておるようですけれども、こういうふうにその後述べておりますね。国保は本来的に財政基盤が貧弱で、さらに被保険者として高齢者や低所得者の増加等で財政運営の前途はまことに容易ならぬものがある、と、現状を訴えながら、政府に対して先ほどありましたけれども、要望として三点を出しております。
 その一、二というのは大体国保の制度を抜本的に変えてもらいたい、こういう要求になっておるようですけれども、これは私も昨年の本会議でもそういう主張をいたしました。
 しかし問題は、協議会の要望の第三点というのは、制度改革に伴う国保財政の影響額は国の責任で補てんをせよというふうになっておりますが、これについて厚生省の方、いわゆる制度改革に伴う国保財政の影響は国の責任で補てんをせよという、この協議会の第三点の要望について、内容について御承知ですか。
#32
○説明員(加納正弘君) 要望の内容については私ども十分承知をいたしております。これにつきましては先ほども申し上げましたように、六十年度、六十一年度厳しい財政状況のもとでございますから一定の措置をさせていただいたわけでございます。今後とも情勢を見ながら、状況を見ながら私どもとして誠意を持って適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#33
○渡辺四郎君 それじゃ、国の責任で補てんをしてもらいたいという協議会の要望については、当然国が責任を持って補てんするというふうに確認をしていいでしょうか。大臣ひとつ……。自治省としてもぜひお願いをしたい。あるいは厚生省としてもお願いをしたいわけです。
#34
○政府委員(小林実君) 御質問の退職者医療の見込み違い等による影響額につきまして、まだ未措置の額というのは約一千億残されているわけでございまして、自治省といたしましては、これにつきましては国の責任において適切な措置が講ぜられてしかるべきものというふうに考えておるわけでございます。今後とも国保財政の推移を見ながら、その運営の安定化が図られるよう、所管省におきまして適切な措置を講じてもらうよう要請してまいりたいというふうに思っております。
#35
○説明員(加納正弘君) 私どもといたしましても、国保の安定的な運営が図られますよう今後とも誠意を持って対応してまいりたい、こういう方針でございます。
#36
○渡辺四郎君 自治省、ちょっと今言われましたけれども、一千億見込み違いによっていわゆる不足を生じておる。具体的に六十三年度で予算要求をしておるかどうか、そこをひとつ聞かしてもらいたい。
 厚生省の方も今のお答えなんですが、自治省の方でも一千億、こう言っておるわけですよ。それについて厚生省の方は一体どういうふうな措置をしようとしておるのか、そこを明確にしてもらいたいと思います。
 先に厚生省の方からお聞きしたいと思います。
#37
○説明員(加納正弘君) 今の段階でまだ具体的にどうということではございません。基本的な姿勢といたしまして、私ども安定的な運営が図られますように今後とも誠意を持って対応してまいりたい、こういう方針でございます。
#38
○渡辺四郎君 ちょっと厚生省、概算要求はまとまったわけでしょう。その中でさっき自治省からも言ったように、国の制度改正によって、いわゆる見込み違いによって生じた一千億の金なんですよ。何でそれをことしの六十三年度の予算要求に、厚生省としても自治省と一緒に協議をしないのか。今から概算要求をするというなら別ですよ。既に概算要求は大体終わっておる、そういう時点の中ですから今から考えますとか、そういう時点ではないと思うんですが、もう一回厚生省にお聞きをしたいと思います。
#39
○説明員(加納正弘君) 財政状況との兼ね合い、厳しい財政状況、こういう状況もございます。そういう状況のもとで私どもできる限りの誠意を持って対応してまいりたい、こういうことでございます。
#40
○渡辺四郎君 それじゃ自治省の方から。
#41
○政府委員(小林実君) 六十三年度予算の要求の内容につきましては、私ども承知をいたしておりませんが、国保財政の現状、それから今後の推移等を勘案しながら、今の御指摘の点につきましては厚生省とも十分協議をしてまいりたいというふうに考えております。
#42
○渡辺四郎君 ちょっと自治省の方に。さっき老人保健法の改正によって言われました見込み違いによる一千億、実はそれだけじゃないわけです。
 これは厚生省の方にお尋ねをいたしますが、六
十一年の四月に国民年金法が改正をされました。それまで障害福祉年金を受給していた生活保護受給者が、いわゆる生活保護が切られまして障害基礎年金に移行していったわけです。ですから、障害基礎年金になって生活保護が廃止をされたわけです。そういう制度に変わったわけですね、年金法の改正で。どうでしょうか、国民年金法の改正、厚生省。
#43
○説明員(加納正弘君) ただいま御指摘がございましたように、年金法の改正によりまして年金額が改善され、その結果といたしまして生活保護を受けておられた方が国保に移行するケースが出てきておる、これは私どもといたしましても承知いたしております。
#44
○渡辺四郎君 そのことによって国保が肩がわりをしていったわけですが、国保の肩がわりによる医療費の増加分について厚生省はお気づきになっておるかどうかをお尋ねしたいと思います。
#45
○説明員(加納正弘君) 具体的な件数などは把握をいたしておりませんが、これらのケースによって国保被保険者になっているケースがふえておるということは承知をいたしております。またこの点につきましては、私どもは個々の保険者に対しましては調整交付金によって医療費あるいは所得水準等を勘案いたしまして傾斜的な国庫負担の配分を行っておるところでございます。こういうケースがふえることによりまして医療費がふえるという点につきましては、その需用額の方に反映されてまいります。こういったことによって調整をいたしておるものというふうに考えております。
#46
○渡辺四郎君 私は、調整をしておるということを具体的にこういう地域を持っておる自治体から聞いたことは余りないわけです。
 これとは直接関係がないわけですが、同じようなケースですけれども、例えばある自治体で大病院を持っておる、入院患者の皆さんたちの入院期間が非常に長くなっている。そういう関係の部分で、ここに私は一つ具体的な自治体の計算例を持ってきておりますけれども、ここは大体五百床ぐらいの大病院なんです。ところが、この中の患者の人たちの六十七名がもう今住民票を移動して、そこの自治体の町民になったわけです。そうしますと、さっき申し上げましたように、いわゆる国保の被保険者というふうに変わってきた。そういう中で、この六十七名の部分を検討してみましたところが、六十七名の患者の皆さんたちの保険税は年間八十万二千円、一人平均大体一万二千円程度。ところが、この六十七人分の療養費の給付というのは一億一千六百万余いっておるわけです。これに対して、高額療養費が三千五百八十四万八千円、ですから、保険者負担額というのが一億五千百八十六万二千円、ここの場合は必要になってきておる。このうち確かに収入として国庫支出金等がありますから、保険税合わせて五千二百三十九万一千円が差し引かれますけれども、純保険者負担の増として新たになってきたのが九千九百四十七万一千円、一つの自治体です。
 ですから、ここに「健康保険財政の健全化について」、あるいは「国民健康保険制度の改善について」ということで、中国部会提出とか、あるいは四国部会提出という、これは恐らく厚生省にも自治省にも行っておると思うんですけれども、こういう中でもやっぱり具体的にそういう問題を提起しておるわけです。
 そうしますと、今私調べたわけじゃありませんけれども、国立のそういう病院とか、あるいは施設とか、その部分については何か厚生省の方でその部分を見られておるというようなお話を聞いたわけですが、それは私の聞き違いかもしれませんけれども、こういう部分についてはやっぱり弱者救済という立場からも国として見てもらいたいというのが四国、中国、あるいは今私が計算しましたこの自治体の市長にも直接会ってきたわけですけれども、市民に明らかにされないという、何でよその市の人がうちの市にある病院に入院をしておるがためにうちの国保で一億近い金を払わなきゃいけないのか、医療費を払わなきゃいけないのか。その部分だけは全部、被保険者に対する保険税を上げるか、あるいは一般財源から持ち込む以外にないわけです。だからそこらについて、先ほど自治省の方は老人保健法の改正問題だけと言われましたけれども、それ以外にこういう問題も具体的に自治体の中で出ておるわけです。
 ですから、私冒頭申し上げましたけれども、元の次官がおっしゃったように、これから後小さな町村関係でもしも財政的に行き詰まって再建団体なんかに入っていく、国保の関係でそういう状況ができてくるのじゃないかというような感じすら実はしておるわけです。ですから、ある県の町村長会、特に名前は伏せておきますけれども、ある県の町村長会は国保関係の財政赤字についてはもう一切一般財源から埋めない、そのまま計上する。そしてその翌年度にどうするかということをやっていこうじゃないかという決議をしております。その理由というのはなぜかといいますと、厚生省も自治省も本当のことがわかってもらえないからだと、これが一番大きな町村長会の理由なんです。
 そして昨年もちょっと動きがありましたが、国保関係の七百億ですか、事務費関係も打ち切ろうという動きがあったわけです。ところが、とても事務費だってわずか七百億ぐらいでは不足だ、大変な実は一般財政からの持ち出しをやりながら収納率が落ちていくのをどう食いとめていくか、三%分でも大変な実はPR費も要るわけです。ですから、いわゆる事務費もふやしてもらいたいというのが今自治体の要求なんです。
 時間の関係がありますが、大臣、国保の情勢を言いましたのは、これから後の地方自治体の財政の中で一番大きなこれが問題点になってくるのじゃないか。これから後の二十一世紀に向けて、非常に急速に進む高齢化社会に向けては保険制度では到底対応できないんじゃないか。私はやっぱり国民全体として老人医療は見るべきじゃないかということを前の一〇七国会の段階でも申し上げました。直ちにというふうには申し上げませんが、今当面お願いをしたいのは国庫補助率をやっぱりもとに戻してもらいたい、国保に対する。そして不足部分については一千億と言われた部分がありますが、そこらについては直ちに補てんをしてもらいたいというのが各全国の自治体の非常に強い要望なんです。そこらについてひとつ大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#47
○国務大臣(葉梨信行君) 先国会で先生の御質問に対しまして、老人健康保健法の連合審査会で申し上げました自治省としての基本的な態度は変わりございません。
 今、先生からいろいろ御質問の過程で厚生省、自治省とのやりとりも拝聴しておりました。国保の問題というのは、もっと広く言えば国民医療のあり方が非常に大きな問題をはらんでいる。そして、老人保健法とか退職者医療制度が創設されて何年か運営されてまいりましたけれども、所期の目的を達成していない、こういう問題。さらにその基本にありますのは、先般発表されましたように、昭和六十一年度における国民医療費が予想外に伸びているという、そういう事実でございます。
 そこで、制度の問題にどう対応するか、それから制度を運営している運営の仕方をどう考え直すか。またその制度を支えている、今先生が最後に質問されましたのは、財政的な国の支援措置はどうしたらいいか、こういうように問題を分けることができると思うのでございます。今最後に先生は、この保険制度はどうも対応できないからやめたらどうかとおっしゃいましたが、これはもう、それは先生がたまたま言い間違えられたのであろうと思うわけで、国民の健康維持増進のための健康保険制度、各種の健康保険制度が国民の生活をきちっと支えている。これは大きな基本の制度でございますから、これを今私申し上げましたように、制度面で、運用面で、また財政的な支援という面でどう改善していくかということについて、ちょうど国保問題懇談会がこの五月から開かれておりますから、この場におきまして財政当局とそ
れから厚生省、自治省、三省で十分に検討したいと考えている次第でございます。
 しかも、今高齢化社会の入口にまだ我々はいるわけでございまして、高齢者はこれから人口比率で二〇%もそれ以上にもなろうとしているわけでございますから、今ここでもっとしっかり見直しを行って対応策を考えておかなければ将来本当に大変なことに、今以上に大変なことになるであろう。こういうように、状況は大変重大でまた困難であるというように認識をしております。
 そこで、先ほど先生おっしゃいました一千億近い地方自治体の持ち出し分についてどうするかというような当面の対策も、またこれ財政当局あるいは厚生省と自治省とは交渉していかなきゃなりませんが、その背後にありますあり方を本当に真剣に考えていきたい。そのためには与党、野党、もうこれは政党を、党派を超えて知恵を出していきたいものだな、政府はもちろんでございます、みんなの知恵を集めて確固たる制度として確立するように努力をしていきたいと考える次第でございます。
#48
○渡辺四郎君 大臣、答弁の内容については別にあれですが、一言だけ、私が思い違いで言ったというような大臣のお話がありました。私はそうではなくて、今の例えば国保関係だけを見ても、税率についてももう限界に来ておる、収納率もどんどん落ちておる。そして国保に集中する方というのは非常に所得も低い、そして高齢者がふえてきた。そういう中でさっきから申し上げますように、老人医療問題だって大変な問題だから、生活保障の一環といいますか、行政全体としてやはり二十一世紀に向けての老人医療を考えるべきではないか。そういう抜本的に政策を変革しなければ、例えば国保問題だって解決をしないんだという趣旨でございます。
#49
○国務大臣(葉梨信行君) そういう御趣旨であれば、まさに先生と同じ考え方でございます。
#50
○渡辺四郎君 それでは、以上で国保問題を終わりまして、私は、地方財政と関連のあります特に町民税関係について、非常に残念なことですが、福岡県で事件が起きておりますから、前段、大臣の方に政治倫理の問題についてひとつお伺いをしていきたいと思うんです。
 まず、自治省の方にお伺いをいたしますが、現在全国の自治体で政治倫理条例がどの程度施行されておるか、状況把握をしておるかお聞かせ願いたいと思います。
#51
○政府委員(大林勝臣君) 現在の段階の全体の正確な数字は把握をいたしておりませんが、昭和六十年の一月現在におきまして、大阪府堺市を初めとして六団体、六つの市、町において制定されておりましたが、その後福岡県飯塚市ほかさらに数団体で新たに条例が制定されたと聞いております。
#52
○渡辺四郎君 なぜ私がこういうことをお聞きするかといいますと、自治省設置法の第三条、その中の自治省の任務として、自治省は、民主政治の基盤をなす地方自治の各種制度の企画及び立案並びにその運営の指導に当たるということを自治省の設置法の中で、特に自治省の任務として定めておるわけですから、そういう中で、今まで自治省としてこういう政治倫理条例に向けて助言なり何かをされたことがあるかどうか、お聞きをしたいと思います。
#53
○政府委員(大林勝臣君) 一般の地方団体の組織運営の合理化につきましては、常時努力をいたしておるところでありますけれどを、政治倫理条例を初めとする倫理問題というのは、本来、議員あるいは地方の政治家としての心構えなり道義の問題と理解しておりまして、こういう問題については、一人一人の政治家の自律的な対応の問題として適切に対応していただくように願っておるところであります。特段の行政指導的なものはやっておりません。
#54
○渡辺四郎君 そこが政治倫理についての自治省と私の見解の違いだろうと思うんです。確かに今までの条例制定の状況なんかを見てみますと、これは先ほど御回答がありましたように、五十八年の二月に大阪の堺市が一番最初に制定をして全国に非常に大きな反響を及ぼしたわけですが、その後相次いで制定運動が高まりまして、新潟県の板倉町ですか、近々では福岡の飯塚市等が制定をしたわけですが、その中で徳島県の鳴門市ですかが、本年三月にどういう理由か実は廃止をしたわけです。今回答がありましたように、例えば議員とか首長とかいうようなことについては、地方自治法の中でも百四十一条あるいは百四十二条等の問題、あるいは九十二条の公務との兼務の禁止の問題、こういう問題等が実は定められておるわけです。
 ところが、私が願いたいというのは、自治体の政治の浄化の面からも政治倫理というのは重要ではないか、その部分に対して自治省の役割はないのか。だから、議員さんとか首長が、あるいは住民運動でもちろんそれも必要ですけれども、それ以外に行政庁として自治省の役割、任務として政治浄化に向けて政治倫理の問題について、もう少しやはり積極的に動いて地方自治の確立に向けてやられても、私は何もこれは自治省の越権行為だとか、自治省の自治体に対する介入だとか、そういう批判は起こらないと思うんですけれども、そこを少しお聞かせ願いたいと思います。
#55
○政府委員(大林勝臣君) 御意見でございますが、政治倫理の問題、確かに政治浄化に関連する問題でありますけれども、いろんな不祥事が起こります原因というのは、結局一人一人の政治家の心構えの問題に帰するわけであります。戦前は御案内のように、国あるいは知事におきまして市町村長等に対する懲戒権というものが幅広く認められておりまして、こういった問題について大変な口出しが行われておったのでありますけれども、戦後の民主政治あるいは地方自治の建前といたしまして、そういった政治家のあるべき姿というのは、みずからが律するとともに住民の批判に任すというのがまた制度の建前でありまして、こういった問題については、行政サイドとして余り立ち入ったやり方を行わないというようなのが今日までの姿であろうかと思います。
#56
○渡辺四郎君 今の地方自治法の中にも住民の政治に対する日常的あるいは継続的監視の制度というのがあるわけです。これは何も議員とか首長とかいう問題だけを指して、それはもちろんそういう政治家の部分について住民が常に監視をするということもありますが、いわゆる行政そのものについても住民が監視をするという点もあるわけですね。そういう部分について、私は自治省としての役割があるのではないかというふうに実はお聞きをしたわけです。
 ですから、今おっしゃったように、政治倫理条例というのは、確かに議員あるいは首長の汚職問題に焦点を合わせたいわゆる倫理条例になっておるようですけれども、これはアメリカのウォーターゲート事件に端を発して一九七七年ですか、アメリカ政府の政治倫理法が制定をされた。そういう影響もあって日本の中でも特に首長なり議員さんの中から資産公開をやろう、あるいはやれという条例そのものの制定の動きも出てきたわけですが、私は、その部分ももちろん必要でございますけれども、先ほど言いましたように、住民の政治に対する日常的あるいは継続的監視の制度というのが一番大きな基本でなければいけないのじゃないか、そういう立場から自治省の役割はあるのじゃないかということを実はお聞きをしたわけです。
 そこで、そこらについてはその程度にしておきたいと思うんですけれども、実は福岡県京都郡苅田町で住民税問題を中心とした告訴、告発事件が起きております。きょうも朝地元から電話が入りまして、バス二台で住民一万二千名余の署名を集めて、福団地検に早急に捜査、解明をお願いしたいという趣旨の署名を持って地検の方に住民がお伺いをしたという連絡も実は受けたわけです。
 そういう大変な問題でありますが、まず私は内容に入る前に少し法律用語の意義なんかについて、私自身不勉強であるものですからお聞きをしてみたいと思うんです。
 地方税法の第一章総則の第一節通則に法律用語の意義といいますか、わかり切ったことですが、地方団体とは道府県または市町村をいう、二号が、地方団体の長は知事または市町村長をいう、そして地方税は道府県税または市町村税をいう、こういうふうにいわゆる法律用語の意義としてなっておりますが、これは法律ですから間違いないと思いますが、そのとおりですか。
#57
○政府委員(津田正君) そのとおりでございます。
#58
○渡辺四郎君 そうしますと、さっき政治倫理の中で、第三条の問題について任務の問題を若干申し上げましたけれども、この自治省設置法第四条の所掌事務の七に自治制度及び運営に関する調査研究、それから二十九に地方公共団体の財務に関係のある事務について報告を徴収し、調査し、及び助言をすること。それからまた、自治省組織令の財政局の所掌事務の中の十にもこの二十九と同一の内容で、しかもこれは財政局の任務として位置づけをされておりますが、間違いないでしょうか。
#59
○政府委員(持永堯民君) 御指摘のとおりでございます。
#60
○渡辺四郎君 では、今申し上げたような法律に基づいて、京都郡苅田町に対して自治省として具体的にどういう調査あるいは報告徴取をされたのか、経過について少しお話をお伺いしたいと思います。
#61
○政府委員(矢野浩一郎君) 苅田町問題についてのお尋ねでございますが、御指摘の問題、現在検察当局で捜査中のものでございますけれども、伝えられるようなことが事実であるとすれば、これは大変遺憾なことだと存じます。
 市町村の行財政運営について、一般的には健全な行財政運営の保持のために、これは都道府県知事が助言、指導をしておるところでございますが、自治省として一般的お答えとしては、従来におきましては、市町村につきましては都道府県知事を通じて行政指導をしてきたところでございます。なお、先ほど御指摘のような自治省設置法あるいは組織令等に基づく財務の指導等につきましては、必要な事項をこれは定期的に徴収あるいは調査をいたしております。
 ただ、そういう定期的調査あるいは徴収につきましては、何分にも全国三千余の市町村でございます。それの一つ一つにつきまして全部克明に調査ということはできかねますので、特に問題があればそういう点を個別に徴収するということでございます。
 今回の苅田町の場合、従来から一般的に苅田町に特にそういう調査なり報告の徴取をやってきたことはございませんが、今回の事件が発生いたしまして、県当局においてはその辺をよく調べつつあるところでございますが、何分にも資料その他が現在捜査当局の手にございますために、その分が必ずしも意のとおりにできかねるというのが実情であろうかと思います。
#62
○渡辺四郎君 私は、平常なときにそういうことまでしなさいというふうに申し上げているのではなくて、今の時点、こういう現状ですよ。先ほども申し上げました、きょうも一万二千の署名を持って検察庁に町民の皆さんが打っておる。二万四、五千の自治体ですよ、人口は。その中の一万二千近い署名を集めて検察庁に早期解明をしてくださいというのが住民の要求なんです。そういう一般論でなくて、こういう時点でありますから、自治省の設置法なり組織令に基づいて早急に調査をし、報告を求めて、幾らかでも住民の皆さんに真実を明らかにする役割も行政としてあるのじゃないかということを実はお聞きしたわけです。
 それで、きのうも地元の朝日新聞に大きく実は出ておりましたが、連日のようにマスコミに報道されている。御承知のとおりにもう既に六カ月近くもこの事件は経過をしたわけです。
 私は、自治省としてもこの部分については行政的な立場からの判断ができるのではないかというふうに思うのは、裏口座の名義人は収入役で、収入役の名前もはっきりしておるわけです。そういう収入役名義の裏口座に、北九州にある企業に働く苅田町民の百四十一名あるいは百四十二名という労働者が、納税者の義務を果たして、企業の方で天引きされた町民税を納めて、企業が口座に振り込んだんです。それが明らかに収入役の裏口座だというのが実ははっきりしておるわけです。
 そして、ここに私は、裏口座の引き出しの回数まで全部日にちを追って、何円の金額まで書いてあるマスコミの報道も持ってきておりますけれども、わかっただけでも七十四回、引き出した分だけで七十四回なんです。出し入れは相当な回数になるわけですけれども、入った金というのはその企業からの住民税なんです。ですから、やっぱり納税者の立場からすれば、一体そのお金、我々の納めた住民税がいまだに責任者もわからないということで捜査そのものも進展していない。後ほど検察庁の方にお聞きをしますけれども。
 しかし、私は、自治省としては、自治法なりあるいは自治省の設置規定によって、権限としてもその部分についてはこれは責任者は例えば収入役だと、あるいは首長の責任だと。使途不明金というのが六千五百万とかあるいは八千七百万とか、こう言われておるわけです。五十九年一月十八日です、一番最初に引き出した金が。ところが、当初引き出した金の残金が二百数十万円あるわけです。これは新しく口座が始まった通帳なんです。そうすると、残金が二百数十万円あるということは、以前から裏口座が別にあったわけです。マスコミの報道の限りとしても十数年続いてきた、こう言うのです。そして使途不明金が六千五百万円なり八千七百万円だと、こう言われておるわけであります。裏口座の名義人の収入役さんも知らぬ、こう言っておるわけです。当時の町長も私は知らぬ、こう言っておる。納税者は一体だれを対象に例えば訴訟を起こすのか、損害賠償を求めるのかということだって実はあるわけです。
 ですから、確かに捜査中でありますから、自治省としての行政上の立場というのは限界があると思うんです。しかし、自治省としてできる部分がありはしないかということをお聞きしたいわけです。
#63
○政府委員(矢野浩一郎君) この事件が起きましたときに、確かに住民税についてそのような事態が生じだということが明らかになったわけでございますので、自治省としては、直ちに福岡県を通じまして事の次第について逐次報告を求めてきておるところでございます。またもちろん今後こういうようなことがあっては重大でございますので、財務関係の事務の適正化に一層留意をするように指導をしておるところでございます。
 ただ、既に起きました事件につきまして、その責任がどこにあるのかというような問題、こういった点につきましては、これはやはり捜査当局の手によって明らかになるのを待たざるを得ない、そういう立場にございます。
 自治省といたしましては、少なくとも財務行政につきまして、こういったような事態が起こることはまことにこれは遺憾きわまりないことでございますので、それらの点については今後とも逐次報告を徴収し、必要な指導を行ってまいりたい、こう考えております。
#64
○渡辺四郎君 確かに、申し上げましたように、捜査が入っておるから自治省としては責任がだれにあるのかというのはなかなか明確にできない難しさがあるんだろうと思う。しかし法律の中に自治体の首長の任務と責任についてというのもあります。
 そこで、実はお伺いしたいのですが、地方自治法の首長の担任事務と責任についてというのがありまして、第一は百四十七条の長の統轄代表権、これが一つ。百四十八条が事務の管理及び執行権。そして百四十九条の担任事務として「地方税を賦課徴収」し、四が決算を「議会の認定に付すること。」、五が「会計を監督すること。」とあるわけです。そして八が、「証書及び公文書類を保管すること。」、百五十四条が「指揮監督」というふうになっておるわけです。首長の責任として、こういうものは法律的に明確になっておるのじゃ
ないかというのが住民の皆さん方の、これほど明確になっておりながら何で責任者が明確にできないのかというのが住民の皆さんたちの、今検察庁に対して捜査を急いでもらいたいという請願を出した大きな内容なんですよ。
 そこで、私はここに一つの資料を持ってきておりますけれども、首長の責任問題について大審院の出した実例判例を持ってきておるわけです。これは収入役の問題で民事でやったのか刑事でやったのかよくわかりませんが、こういう実例判例があるわけです。「収入役は、其の職務を執行するに付、町村長の監督を受くべきものにして、殊に租税其の他公金の保管方法として銀行に其の預入を為すが如き場合に於ては、町村長は常に其の銀行の選択に注意し、収入役を監督して適当なる処置を執らしむべき職務を有するもの」であるというのが大審院の実例判例であるわけです。
 そしていま一つは、税法上の行政不服審査の十九条の二に、住民からの不服審査の請求があり、徴税吏員が処分の過ちを起こした場合の責任は、その徴税吏員が所属する長にその責任があるんだ。問題はそれからですが、その他徴税吏員がした処分の過ちは、所属する地方公共団体の長の責任となる。これが行政不服審査の十九条にあるわけです。
 そうしますと、私はその金を使ったとか使わないとかいうことでなくて、法律上から言って首長の責任はここにあるんだ、それから裏口座を設けた収入役については、例えば背任横領の疑いがあるんだ、金がどこに行ったかわからないわけですから、そういうことは自治省の見解として出してもいいのじゃないか、あるいは法律的にそういう保障はされておるのじゃないかということをお伺いしておるわけですが、そこについてもう一回ひとつお聞きをしたいと思います。
#65
○政府委員(大林勝臣君) 仰せのとおり、首長の責任はその団体を統括する上で、もちろん収入役の監督を含めて重大であります。ただ、その首長の責任問題が現在司直の手を待っておる段階でありまして、先ほど来答弁がありますように、福岡県も再三現地でいろんな事情の聴取に当たってまいりましたけれども、書類等が押収されておりましてなかなか行政サイドで事態を究明することに非常な困難を感じておるところであります。速やかにそういった全容の解明がされることを願っておるわけでありますけれども、首長の責任が制度的に極めて重大であることはお説のとおりでありまして、私どもも同じような認識は持っております。
#66
○渡辺四郎君 それじゃ、警察庁お見えでしょうか。――いろいろ政治倫理の問題まで私は引き出して自治省の方に実はお伺いをしてきたわけですが、これはもう御承知だと思うんですが、さきの一〇八国会の中でも衆議院の法務委員会、そしてまた五月二十六日の参議院の法務委員会、あるいは七月二日の決算委員会等で先輩議員の皆さん方が、それぞれこの問題に対して警察庁なりあるいは法務省なり自治省の方にも質問を出されておりましたけれども、そこの答弁なんかをいろいろ総合しまして今の捜査の進捗状況ですね。なぜ私がこんなに国会の中でこのことを申し上げるか、私は汚職そのものを許すという考えは毛頭ないわけですけれども、一般的に例えば首長が建設業界から百万円金をもらった、公共事業の便宜を図った、これも許してはならない汚職なんですけれども、これとは違った性格を持った事件なんです。納税者の義務で納めた住民税がどこに行ったかわからないという問題ですから、もうかなり経過もしておりますし、その後の捜査の状況についてひとつできるだけお聞かせを願いたいと思います。
#67
○政府委員(仁平圀雄君) 御質問の苅田町の事案につきましては、警察といたしましても関心を持ちまして情報収集に当たってきたわけでございますが、その後、ことしの四月になりまして東京地検の方に告発がなされまして、現在は福団地検におきまして捜査をしておるところでございますので、警察といたしましては、この捜査の進展状況につきましては把握してないわけでございまして、その推移を見守っておるというのが実情でございます。
#68
○渡辺四郎君 どうも私は刑事訴訟法なりそういう部分については弱いわけですけれども、これほどマスコミでいわゆる正確といいますか日にちを追って出し入れされた金額の何円までが、残金までが明確に出ておる。その数も先ほど言いましたように七十四回、一回に百万円以上出されたのが十八回、一千万円以上引き出されたのが四回というのが日付を追って報道されておるわけです。
 そして、私はさっきから言いますように、物的証拠としてはこの裏口座が銀行にあったわけですから、そして名義人も収入役というふうにはっきりしておるわけですから、一般的に言いますように犯人が逃亡とか証拠隠滅のおそれ、収入役さんですから逃亡はせぬでしょう、しかし証拠隠滅のおそれはあるわけです。そうすれば強制捜査に乗り出すというのが今までの刑事事件のパターンであったのではないかというような気がするわけです。ところが、強制捜査があったという話も聞いておりませんし、もちろん私は逮捕しろとかなんとか言っておるわけじゃないんです。何で強制捜査に乗り出して証拠隠滅のできないような状態をつくらないのか。そういう点がどうも今までの一般的な刑事事件あるいは汚職事件等の関係では、今九州管区関係では、九州関係の自治体関係の汚職問題については、非常にスピーディーに問題解決に努力をしておるわけです。現職の首長であろうと直ちに逮捕する、そういうことをやりながら事件解決をやっておりますけれども、この問題だけはどうしても私らはやっぱり腑に落ちないんです、他の事件と比較して。
 そこで、何かの捜査上困難があるのか。確かに地検、検察庁という問題がありますから、警察庁としては非常にやりにくい部分があると思うんですが、しかし今地元では、あるいは御承知かもしれませんけれども、かなりの怪文書が配られておる。その怪文書の中身を見てみますと、何か非常に大きな政治的な問題だというふうに書かれておるわけです。そうして当時の町長の今の衆議院の尾形さんそのものも、いろいろ問題について自分のやっぱりかけられた問題を晴らすために謹告罪とかいろいろやって告訴、告発合戦が非常に激しくやられておりますが、その尾形さんの謹告罪の告発状を読ましてもらいましたけれども、尾形さん自身も政治的におれは利用されたんだというふうに、しきりに政治的に利用されたというふうに書かれておるわけです。ところが片一方では、怪文書の方はほかの方面から政治的に来ておるんだという怪文書が配られておる。そういう事件が非常に大きく発展をするかのような文書が配られておるものですから、さっきから言いますようにこんなにはっきりしておる。そしてことしの五月二十七日の西日本新聞ですか、出ておりまして、収入役さんが、いわゆる裏口座の名義人の収入役さんがこの使途不明金について千五百万、千五百万、そして二千万、千五百万計六千万百万円を町長室で当時の尾形町長に手渡しをした、こういう話のやりとりがありましたということが新聞の一面に大きく出たわけです。ところが、その新聞を見た現尾形代議士は全くこれは作り話だと、収入役が自分の立場をかばうための作り話だということを記者のインタビューでやったわけですね。記者が、マスコミが憶測で書いたというなら別です。記者とのインタビューでやったんですから、警察の方もやっぱり西日本新聞というのははっきりしておりますし、西日本新聞にお願いをして、そのインタビューの事実関係なんかを私は調査ができるのじゃないかというような、素人考えですけれども気がしてならないわけですが、何か捜査上別な要因の困難があるわけでしょうか。それとも政治的にというふうな問題が、非常に告訴、告発状にあるものですから、そういう関係で警察としては捜査に困難があるのか、そこらをお聞きしたいと思います。
#69
○政府委員(仁平圀雄君) 先生御指摘の点は捜査機関にある立場の者としてよく理解できるわけでございますけれども、何分にも本件につきまして
は現在検察庁において捜査中のものでございまして、警察といたしましては事案の具体的な内容を把握しておりませんので、コメント申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
#70
○渡辺四郎君 それじゃ、自治省の方にちょっとお伺いしますが、現地の方からいろいろ聞いたと思うんですけれども、前の収入役さんが、いわゆる裏口座を解消されて、そして配達証明通知で町長あてに文書を送ってきているんです。公金と思考される現金三百六十四万七千七円を預かり、保管しております。これは、六十一年の一月七日に口座を解消するときに引き出した金額に大体似通っておりますが、若干の金額の違いはありますが、それを六十二年の三月十三日に、約一年以上経過した後ですけれども、今の助役さんに金を渡そうというふうに言ってきた。助役さんは今問題になっているからそのお金は預かるわけにはいかないというようなやりとりがされて、だから、配達証明で私はこういうふうにやりましたという文書を送ってきた、こういう話自治省の方御存じでしょうか。そういう調査をされたのか、県の方から報告が来ておるんですか。
#71
○政府委員(大林勝臣君) そういう具体的な件につきましての報告は受けておりません。
#72
○渡辺四郎君 それでは、百条委員会が設置をされたことについては御承知ですか。
#73
○政府委員(大林勝臣君) 承知をしております。
#74
○渡辺四郎君 それは、今申し上げました税金、住民税以外の問題、いわゆる苅田町で実施をされた霊園工事の請負代金の支払い問題と職員採用試験に絡む問題ですが、その百条委員会の報告に基づいて町議会が、いわゆる証人として喚問をした当時の町長である尾形代議士が出頭した、出頭しなかったという争いになりました。不出頭ということで福団地方裁判所に告訴しておることは御存じですね。
#75
○政府委員(大林勝臣君) 承知いたしております。
#76
○渡辺四郎君 その後尾形代議士が、町議会で告訴することに賛成をした十一名の町会議員の皆さん方を謹告罪で告発しておること御存じでしょうか。
#77
○政府委員(大林勝臣君) これも新聞報道で承知いたしております。
#78
○渡辺四郎君 それじゃ、その後の八月二十九日の日に、先ほど申しました職員採用問題で不正があったのではないかということで、百条委員会の方から逮捕を求められておりました現町長が、前町長であります尾形さんを告発したということについても御承知ですか。
#79
○政府委員(大林勝臣君) 新聞報道で承知いたしております。
#80
○渡辺四郎君 それから、新聞報道でなくて、やっぱり先ほどお話がありましたように、県の地方課を通じてあるいは福岡県を通じて事実かどうかということの確認は、私はしておいていただきたいと思うんです。それは要望として申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、少し私自身も不勉強があって申しわけないと思うんですが、職員の採用というのはこれは一般論ですが、何も苅田町の問題をとりえて言うわけじゃありませんが、地方公務員法第十三条の平等取り扱いの原則で、日本国民であれはすべて差別をしてはならないというのが十三条の基本なんですね。
#81
○政府委員(柳克樹君) 職員の採用については、十三条は当然ながら働いできます。
#82
○渡辺四郎君 そこで、払お聞きをしたいわけですが、職員の採用についての首長の裁量権は一体何があるんですか。何があるのかと言ったら非常に回答しにくいと思いますが、例えば私の考えでは、まず公開競争試験であれば採用人員を何人にするのか、あるいは何年生まれ、いわゆる年齢制限をするのか、あるいは場合によっては受験者の地域を限定することがあるかもしれない。これは国家公務員じゃない地方公務員、しかも競争になりますし、よその遠い東京から例えば福岡県の町村の職員を採用するというようなことはないわけですから、そうしますと、場合によったら地域の制限をするかもしれない。そういう程度まで受験の公開をする前の首長の裁量権、首長を中心とした執行部の裁量権、首長の裁量権というか、あとはすべて十三条に基づいて試験をしている。そして合格者名簿に登録をされたいわゆる公平に公募されて受験なさった方が、そのうちから合格者が出る。その合格者を合格者名簿に登録をする。
 一般的に言われておりますのは、一人の公務員を採用するのに五人ぐらいの合格者を採るのだというふうに言われておりましたけれども、そういう中からどんな人を採るかというのは、合格後のどの人を採用するかというのは首長の裁量権かもしれませんけれども、まああると言えまばですね。その段階まで首長の裁量権はないというふうに私自身は判断をするわけですが、いかがですか。
#83
○政府委員(柳克樹君) 職員の採用につきましては、地方公務員法の第六条で御承知のように、任命権者に権限が与えられておりますが、その場合にも当然ながらただいま先生御指摘のとおり、十三条でありますとか、それから十五条でありますとかという地方公務員法の規定の枠内で、そういう採用を行わなければいけないわけでございまして、ただいま先生例示されましたような意味での裁量権という、そういうものの裁量の幅、あるいは試験を行いましたときに何点以上でないといかぬとか、ほかにもあるかもしれませんけれども、そういう程度の裁量ということであろうかと思います。
#84
○渡辺四郎君 もうその問題で、先ほど言いましたように現町長の方が百条委員会から態度を求められておったということで、福岡検察庁の方に告訴をしたという新聞報道、これは私新聞報道ですけれども見たわけですが、まだまだ首長の裁量権で、職員の採用は簡単にできるんだというふうに考えておる首長さんがかなりおるんじゃないか。長崎県でも問題になりましたね。そしてそれは残念なことにこれは地元の新聞なんですけれども、「前町長告発」というふうに書いてあります。これは今度は職員不正採用です。ところが、相場は三百万円だとか五百万円だとか、職員の採用についてこういう金が動いておるといううわさが、かなり真実のように実はマスコミの中でもたたかれておるわけです。
 ですから、私冒頭申し上げましたように問題は税金問題、住民税の問題ですから、これは自治省だけじゃなくて警察庁にも法務省の方にもお願いをしたいわけですが、一般事案と違う。だから、早急にやはり事件の解明をしていただきたい。
 ところが、確かに公的機関ですから、検察庁の方がかなりな書類を持っていかれておる。だから、捜査が困難だという部分もあるかもしれませんけれども、それはひとつ政府一体となって、問題は納めた税金が六千万も八千万も十何年もどこに行ったかわからない。何に使われたかわからない。当時の執行部はおれは知らない、おれは知らないと責任のなすり合い。私はやはり公務員としても、これは警察庁にお伺いしたいんですけれども、公務員として一般論として、このぐらいはっきりもう背任横領が、収入役の場合ははっきりしておるんじゃないかという気がするわけです。
 もう一度申し上げますけれども、収入役の名義の裏口座です。そして七十四回もわかっただけでも引き出しをされておる。その金が町の方から尋ねられてもわからない。余った金額の三百数十万円だけは返しましょうというふうに持ってきた。しかしそれも引き出した後一年間は黙って握っておった。今不明金と言われております例えば六千五百万円、いや金はここにあって、ありましたよというふうに金をそろえて持ってきても、これは公務員としての横領背任というふうに言われるんじゃないかというふうに思うのですけれども、これはひとつ警察庁の方、一般論で結構ですからお考えを伺いたい。
#85
○政府委員(仁平圀雄君) 御指摘のように一般論といたしましては、一応背任横領等の罪名が浮かんでまいるわけでございますけれども、何分にも警察としては具体的な事実関係を把握しておりま
せんので、何々に該当するかというような事実判断につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#86
○渡辺四郎君 それでは、これも一般論で言うわけですが、捜査をなさる場合に少なくとも数千万という税金が行方不明になっておる。そして口座名義人がはっきりしておる。その口座名義人の方が、いや私は六千五百万円はこうこうして何月何日に町長室で町長さんに渡しましたと、こういうふうに言われましたということまで新聞に出たわけですね。しかしこれはマスコミの皆さんの場合によっては憶測、推測はあるかもしれない。しかし私は、たとえそれが推測であっても事実でなければ名誉棄損罪で名前の出た方は訴えるべきだ。このぐらい名誉を傷つけられたことはないわけですよ。
 しかし、お聞きをしたいのは、そのマスコミの発表によって先ほども申し上げましたけれども、本人と記者とのインタビューの中で、自分には全く関係がないというのが当時の町長の言い方なんですが、あれは収入役が自分の身を守るためにでっち上げた作り話だと。これほど二人の関係が明確になっているわけです。六千五百万あるいは八千数百万と言われる金が町長は知らないと、あれは収入役が勝手にやったのだ、そういうインタビューの中で言われたことについて、警察としてはそうインタビューに答えた町長さんに直ちに確認をするような捜査というのはできないのですか、あるいは検察庁としてもできないのですか。一般論でお伺いしたい。
#87
○政府委員(仁平圀雄君) 一般論としては、考えられる問題点につきましては捜査することになるだろうと思います。警察といたしましては本件につきまして地検が捜査を開始しておりますので、捜査の競合を避けるという立場からその推移を見守っておるわけでございますので、警察が積極的にそういった関係について、この段階で事実調査等を行うということは毛頭考えておりません。
#88
○渡辺四郎君 それじゃ、もう時間も間もなく来るようですし、あと関連もあるようですから。
 私がなぜいろいろお聞きをしたかというのは、地元の新聞でこういうふうに大きく再三出ておるわけです。これはもうマスコミというのは私はやっぱり非常に強い、こういう状態を国民に知らせてくれる武器だというふうに思っておるものですからマスコミを信用するわけです。そういう点から一刻も早くひとついろいろ各所関係のやりとりの難しさはあると思うんですけれども、ぜひひとつ納税者の立場に立って事件の解明を急いでいただきたいということを最後にお願いをいたしまして、あと関連質問があるようですからこれで終わります。
#89
○佐藤三吾君 警察庁、せっかく来てくれて、これは今あなたのお話にもあったように検察庁の方が主役をやっておるわけで、検察庁をきょう呼んでおればもっと現在の時点の詳細な点がわかるのじゃないかと思うんですがね。ただ、今あなたの答弁を聞いておって東京地検に告発をしたので、この案件については警察としては見守る、こういうことがあったのですがね。これは通例の場合でもそういうことなんですか。私は、やっぱり警察は警察としての機能、検察は検察としての機能がありますわね。苅田町の事件を見ると東京地検に告発したのは税金の行方不明の部分についての告発をしたのであって、あそこにはそのほかに職員採用不正事件があったり墓園ですか霊園ですか、この問題もあったりいろいろあるわけね。そこら辺も含めて私は警察も検察の方も両方一緒にかかっておる、こういう認識をしておったのですが違うのですか。
#90
○政府委員(仁平圀雄君) 一つの事案につきまして、捜査機関の幾つかが競合するということは間々あるわけでございます。そういった場合につきましては検察の方においてこれを調整するということになっておるわけでございます。通常やはり競合した場合には、一つの捜査機関がこれを行うというのが建前でございます。
 今先生最後の方で御指摘になりましたいろいろあると、事案が、という場合にどうかという問題がございますが、やはり一つの容疑事案がございますと、それに関連する可能性のあるものにつきましては、あわせて一つの捜査機関が捜査を尽くすというのがこれまでの慣例といいますか、建前になっているというふうに私どもは考えております。
#91
○佐藤三吾君 そうすると、この苅田町の問題はまだ告発はしてない霊園の問題とか、今度は職員の問題については告発しましたね。霊園の問題などについても東京地検の方でやる、警察の方は見守る、こういうことなんですか。
#92
○政府委員(仁平圀雄君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。これまでの捜査の関係、ずっと見ましてもそうなっているだろうと思います。
#93
○佐藤三吾君 それは、しかしいかがなものですかね。やっぱり地元の警察があって、事件が起こっておるのにわざわざ東京の方から地検が来てやる、それを見守る図式というのはちょっと解せぬですね。どうなんですか、これは国家公安委員長、こういうのが普通ですかね。公安委員長としてちょっと聞いてみたいと思うんだけどね。
#94
○政府委員(仁平圀雄君) ちょっとその前に。この事案につきまして警察と検察が全く無関係であるということではございません。警察が情報収集をしておりました段階におきましても、福団地検とは緊密な連携をとってやってきたということでございます。
#95
○佐藤三吾君 最後何、今最後に言ったの何なの。
#96
○政府委員(仁平圀雄君) 警察と検察が無関係にこの問題に対処しているというわけではないわけでございます。東京地検に告発がなされる前におきましては、福岡県警におきましても情報収集をしておったわけでございます。その段階におきましては、福団地検とも緊密な連携をとっておったと、こういうことでございます。
#97
○佐藤三吾君 わかりました。
 私はうわさですから正確にはどうか知りませんが、なぜ東京地検に告発したのか、福岡の問題を。例えば警察もあれば福団地検もあるのに、こういうことを私は疑問に思いまして告発者に聞いてみたんです。そうしたら、やっぱり県警の方にも地検の方にも随分この問題はいろいろの角度から告発という形じゃなかったかもしれませんよ、問題指摘をした。しかしなかなか動かない、やはり政治が絡んでいるものだから。そういうことであえて東京地検に告発せざるを得なかった、こういうことが私の耳には入っておるわけですけれどもね。これは足かかどうか確かめたわけじゃございません。
 問題は、そういうことになるとやっぱり警察に対する不信ですね。そういうことにもつながってくるわけで、私はそういうものがこの事件の中に含まれておるのかどうかという疑問を持っておるんですよ、率直に言って。そういう意味では、私は警察のあり方として抜本的に検討しなきゃいかぬのではないか、こういう気もしておるわけですから、ここらはちょっとそういう疑念を県民に抱かせないように、しかもさっきおっしゃったように、事は税金を公職である収入役がどこかに裏帳簿をつくってやるというような、今税金の問題については国民が非常に関心が強い。まさにそういう意味では極めて重要な問題なんですね。単なる汚職腐敗じゃないんです。そういうときに警察に不信があって、警察に言ってもしようがないから東京地検ということでは、これはやっぱりかなえの軽重を問われるようなことではないかと思うので、そこら辺はぜひそうあってほしくないんですよ。
 私はそういう意味でも警察はこの問題についてきちっとした対応をしてほしいなと、そう思っておるんですけれどもね。これは国家公安委員長せっかくいらっしゃるんですから、そこら辺ひとつ見解を承っておきたいのが。一つ。
 七月の二日に私がこの問題を決算委員会で取り上げた際に、大臣にも申し上げましたように、十数年にわたってこれは続いておるわけでしょう、
この事件は。会計課長はその間四回もかわっておるんですね。それが全部事務引き継ぎで、これは裏帳簿だということで、こう来ておるわけでしょう。そうして、その下に今度金を取りに行く課長補佐は、係長ですか、係長はやっぱり何人もかわっておるわけです。それも事務引き継ぎで、こういう不正をやっていることは守秘義務だから外に漏らしちゃいかぬぞと、こういうことがやられてきたわけね。これが苅田町の事例なんで、そういうありようが、さっき行政局長はこういう倫理の問題についてはもっともなことなんですが、おっしゃっておりましたが、あの際に大臣は、私の質問に対する答弁として、そういうようなことはあってはならないと、厳にひとつ戒めてまいりたいと、こういう決意をいただいた記憶があるんですけれどもね。そこら辺の答弁後に所要の措置をとられたのかどうか、これもあわせてお聞きしておきたい。
#98
○国務大臣(葉梨信行君) 前の御質問に対します答弁を申し上げました考え方は変わっておりません。その後ただいま刑事局長から御答弁申し上げたような捜査上の経過がございましたので、その経過を警察としては見守っている、こういうことでございます。この事案につきましては重大な関心を持って今も見守っているところでございますし、刑罰法令に触れる事実が明らかになりましたなちば厳正に対処されるべきものであろう、このように考えている次第でございます。
#99
○委員長(谷川寛三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#100
○委員長(谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#101
○田辺哲夫君 私は、東京都と都内二十三区の制度改革、通常都区制度の改革と言っておりますが、この問題につきまして若干質問したいと思います。
 従来から都区制度は、日本の他の自治体に例を見ないような流動的な変遷を経てきょうに参っております。その一例を申し上げますと、昭和十八年に東京府が廃止になりまして、東京都が樹立された。そして二十三区を主体としておりました東京市制というものは廃止されたわけでございます。そして東京都制が広域行政と基礎的自治体の行政を担っていた。そして二十三区がその補助的機関である。こんな経緯もございますし、戦後、昭和二十二年、地方自治法の制定によりまして区長公選制というものが実現できたわけでございます。
 ところが、昭和二十七年に、また地方自治法の改正によりまして区長公選制が廃止された。ところが、昭和五十年に住民の自治権拡大運動によりまして再度自治法が改正されまして、区長公選制というものが復活されたわけでございます。そして現在、これはもう前からございますが、二十二区の特別地方公共団体を市並みの普通地方公共団体に一つ昇格したい、そして地方自治体としての自治権を拡大したい、こんな連動が盛り上がっておるわけでございまして、今東京都及び二十二区の最大の政治課題となってきておるのでございます。
 このような二十三区の他に例を見ないような流動的な変遷、また首都東京の中心部であります二十三区の二十一世紀に向けてのあるべき姿は何か、この辺で十分検討していただきまして、今の運動を理解していただくべきではないか、このように私は考えておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
#102
○国務大臣(葉梨信行君) 今、田辺先生からいろいろ昔からの経緯等も含めてお話がございましたが、特別区及び特別区住民の自治権拡大運動でございますが、東京における地方自治の一層の充実を図ろうとする真剣なお気持ちのあらわれだと私どもは理解しております。二十一世紀における都区制度のあり方を考える上で重要な運動であると考えている次第でございます。
#103
○田辺哲夫君 御理解ある御答弁、ありがとうございました。
 そこで、これは過去のことでございますが、区長公選制というものが廃止されておりました間は、二十三区の住民は参政権というものが一つ少なかったわけでございます。例えば他の地方自治体の市町村長に当たる選挙、この選挙権も被選挙権もなかった。このような変則的な実は状態であったわけでございまして、参政権というものが基本的人権の原点であるとするならば、私は極めて遺憾な状態であったと思います。法のもとの平等とか、また憲法上の地方公共団体の機関というものは住民の直接選挙による、こういう原則にも反しておるわけでございまして、あえて憲法違反とは申しませんが、憲法の趣旨を逸脱していた感がある、このように申し上げたいと思います。
 これにつきまして自治大臣の見解を承りたいと思います。
#104
○政府委員(大林勝臣君) 昭和二十七年に区長公選制が廃止されまして以来、区長選任をめぐっていろいろ事件が起こったようでありますが、その間いろいろ学説も出ておりました。その事件をめぐりまして御案内のように、最高裁まで上がったのが昭和三十八年でありましたが、そこで最高裁としては、憲法上の地方団体と言い得るためには、住民の密接な共回生活、共同体意識の存在、沿革かつ現実行政上の相当程度の機能の付与を必要とするけれども、特別区は住民の日常生活が特別区の範囲を超えているものが多く、自治権に重大な制約が加えられているため、憲法上の地方団体とは認められないとしておりました。
 したがって、憲法上の地方団体であるかどうかにつきましては、最高裁の一つの判断が下されたわけでありますけれども、果たして二十三区が特別地方公共団体として位置づけられておることについては、その時点からかなりの批判があったことは事実であります。
#105
○田辺哲夫君 今、御答弁にありましたように、最高裁が東京二十三区は憲法上の地方公共団体ではない、こういう判断を下していた。この点私も十分承知しております。そして自治省の見解も同じような過去見解をとってきたわけでございますが、そういたしますと、二十三区の住民は憲法上の地方公共団体としての政治的、行政的な恩恵にあずかれなかった、極めて変則的な地方公共団体、特別区といいますから普通地方公共団体とは若干違うわけでございますが、憲法上の点から考えまして極めて変則的であったわけでございます。それで、現在の時点におきましても、自治省として二十三区は憲法上の地方公共団体ではない、こういうお考えでありますかどうか、お聞きしたいと思います。
#106
○政府委員(大林勝臣君) 二十三区の改革につきましては、昭和三十九年あるいは昭和四十九年、二回にわたりましてその権限問題がいろいろ検討をされ、福祉事務所なりあるいは保健所なり、そういった事務を中心に次第に事務がおりてまいりましたけれども、まだ現在の段階におきましては、一般の市と比べましてその位置づけが事務機能等の配分を中心としまして一般的ではございませんので、現在の段階なおかつ普通地方公共団体とは認識をいたしておりません。
#107
○田辺哲夫君 そこで、二十三区の現在の行政上の実態につきまして若干申し上げますと、二十三区に住んでおります住民は八百三十五万人、昼間人口は約一千百万人、全国の人口の一割に当たるわけでございます。そして二十三区の年間予算が普通会計で一兆七千億強、極めて人口面でも予算面でも膨大でございます。しかも現在、行政事務も相当膨大に抱えております。特に保健所事務等も、全国の自治体では余り保健所事務をやっておる町村は少ないわけでございますが、二十三区は全部やっておる。そして十分しっかり行政をやっ
ておるわけでございます。このような二十三区の特別地方公共団体に対して憲法上のまだ普通地方公共団体でない、こういう見解は住民にとりますと極めて遺憾であり、また行政的にも大きな障害を来すわけでございます。
 特に東京がこれから国際都市、今世界都市と言っておりますが、これに大きく飛躍するためには、二十三区というものが果たすべき政治上、行政上の責務は私は大変重大だと思います。そして二十三区というものがしっかりと行政を果たしませんと、東京都というものもまたよくならないわけでございまして、実力で言うならば私は普通地方公共団体の実力がある、またないとするならば、その自治権を拡大すべきである、このような考えを持っておるのでございます。このような私の考えにつきまして自治大臣の見解を伺いたいと思います。
#108
○政府委員(大林勝臣君) 都と二十三区との関係、その都度いろいろ議論があったところであります。
 御指摘のように、わずか面積で言いますと全国土の〇・二%のところに、昼間ではまさに一割の人口が集中しておる。大変な大都市の中でも極大の都会になっておるわけであります。そういったところで、これから住民に身近な仕事を責任をもって遂行するためには、できるだけ身近な二十三区で処理をすることが望ましいことは申し上げるまでもありません。ただ、従来の経緯が、東京都という特別な制度のもとに位置づけられておりますために、やっぱり都の一体性と二十三区の一体性ということの両にらみで、いろいろ制度が構築をされておるわけであります。もちろん先ほど申し上げましたように、できるだけ二十三区の働きが充実されることを私どもも望んでおりますが、結局は、都の一体性の調整をどこに求めるかという問題に帰すると思います。現在、地方制度調査会で検討が始められておりますので、これを見守ってまいりたいと思っております。
#109
○田辺哲夫君 前進的なお考えをお聞きしまして感謝申し上げます。
 そこで、現在その運動につきましての中身をちょっと申し上げますと、先般百三十四万七千百九十名の方々が署名いたしまして、そして自治省その他関係機関に二十三区の特別地方公共団体から普通地方公共団体、すなわち基礎的自治体への昇格と申しますか、位置づけを求める運動を展開しております。そして今都区一体というお言葉がございましたが、昨年の二月に東京都と二十三区で制度改革につきまして合意がなされたところでございます。ですから、この連動というものは、東京都も二十三区もお互いに理解しまして、共通点に達しまして連動を展開しておる。
 そしてこれも昨年だと思いますが、両国の国技館で決起大会がございました。自治大臣もそこに御出席であったわけでございますが、大変熱意のこもった、そして誠意のある住民運動ではないか、このように私は理解しておるところでございます。また今御答弁にございましたように、幸いにいたしまして自治省でも御理解をいただき、本年六月十一日に地方制度調査会の審議項目にこの問題が加えられ、これから鋭意検討される、このような段階になったのでございます。これはもう一歩前進でございまして、大変喜ばしい現象でございます。
 そこで、お願い並びに要請いたしますが、自治省及び大臣におかれましては、積極的にこれの推進を図っていただきたい。そして具体的には調査会で早期に結論を出していただきまして、それに基づきまして、ひとつ自治省で自治法の改正手続の促進方を図っていただきたい。これがもう二十三区八百三十万人ほとんどの人の気持ちであろうかと存じます。また私は、これが地方自治の本旨に沿っておるのではないか、また二十一世紀東京の確立のためにも必須条件ではないか、このようにも確信しておるところでございます。
 さきに申しましたように、憲法上の地方公共団体ではない、これは極めて変則的でございまして、八百三十万という人間が憲法上の普通地方公共団体の待遇を受けてない、その行政の恩恵を受けてない。これはもう憲法上の地方自治の本旨からいいましても、私は極めて遺憾であると思うのでございます。そこで、地方制度・調査会の審議の促進、促進されましてもノーという結論を出されますと困るわけでございまして、イエスという結論と同時に、自治省の地方自治法の改正手続の促進、これを特段にお願い申し上げたい。これにつきまして、大臣の積極的決意のほどをお尋ね申し上げたいと思います。
#110
○国務大臣(葉梨信行君) このたびといいますか、昨年から東京都及び特別区から要望されております都区制度の改革の内容でございますが、いずれも都区制度の基本にかかわる事項でございます。大都市制度のあり方等も十分に検討し、それを踏まえ、地方制度調査会で十分に御審議をいただき、その答申を得た上で鋭意検討を進めてまいりたいと考える次第でございます。
#111
○田辺哲夫君 よろしくお願い申し上げます。
#112
○片上公人君 去る六月三十日、四全総政府案が閣議決定されましたが、四全総は二十一世紀に至る国づくりの指針とされる計画でありまして、地方にとりましては大変重要な影響を及ぼすものでありますので、作成に関しまして意見を述べるお立場にありました自治大臣にお尋ねしたいと思います。
 これまで東京一点集中が進んできたことに対しまして世論の批判は強いものがあります。三全総までの全国総合開発計画は都市機能の地方分散、地域格差の是正を基本として策定されてきましたわけですが、残念ながら東京集中は近年一層強まっている印象が強いと思います。四全総の政府案は、一応多極分散型国土の形成をうたいまして、東京集中の是正の方向を示しておりますが、自治大臣として国土の総合開発計画はいかにあるべきか、その基本理念について見解はどうなのか。また大臣は、四全総の作成に当たりまして、関係行政機関の長として内閣総理大臣に対しどのような御意見を述べられたのか、お伺いいたしたいと思います。
#113
○国務大臣(葉梨信行君) 自治省といたしましては、これからの国土政策におきまして、国土の均衡ある発展を図るために人口、諸機能の地方分散を進めていくことが必要であると考えておるところでございます。このためには、地域特性を生かした魅力ある地域づくりを進め、多様性を有する国土の形成を図ることが必要であると考えております。地域の総合的な行政主体でございます地方公共団体の果たす役割はより一層増大し、その行財政基盤の強化を図ることが必要であると考えているものでございます。第四次全国総合開発計画の策定に当たりましては、このような観点から所要の意見を国土庁に対しまして申し述べておるところでございます。
#114
○片上公人君 計画案によりますれば、西暦二〇〇〇年までに投入される国土基盤投資は約一千兆円と試算されているようでございますが、このうち公共部門の投資はどれぐらいになるのか、さらに地方の負担部分はどのくらいに試算したのか、これは国土庁。
#115
○説明員(春田尚徳君) 御説明いたします。
 四全総におきましては、今後の日本経済は内需主導による中成長が維持されるであろうとの前提に立ちまして、昭和六十一年度から七十五年度までの十五年間に官民合わせた広義の国土基盤投資といたしまして、おおむね累積一千兆円程度を想定しておることはただいま先生御指摘のとおりでございます。先生御承知されておりますとおり、全国総合開発計画は、長期的な視点から国土総合開発の基本的方向を明らかにする基礎計画としての性格をなすものでありまして、投資額につきましては、これまでもそのときどきの情勢に応じてその大枠についてお示ししてきているところでございます。
 四全総につきましては、多様な主体の参加による国土づくりを目指しておりますとともに、また今後は国鉄、電電の民営化あるいは民間活力の導入の推進などの例に見られますように、国土基盤
投資における官民比率の予測しがたい変動も見込まれます。このようなことから、計画策定時におきましては、官民合わせたおおむねの投資額をお示しすることといたしまして、公共部門等その内訳につきましては想定することはいたしておりません。
 しかしながら、その目標とする多極分散型国土を構築するためには、地方圏の重点的な整備が必要であると考えまして、公共投資の地方圏への適切な配分を確保するとしたところでございます。
#116
○片上公人君 大都市圏の整備につきましては、民間活力などの導入をし、公共投資は地方圏の整備に充てられるのかどうか。もしそうでなければ、ただでさえ苦しい地方の財政をさらに圧迫していくことになるのではないか、東京との地域格差を助長するものとなる、そういう心配もされますけれども、大臣としてはどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#117
○国務大臣(葉梨信行君) ただいまお話しございました多極分散型国土の構築を促進するためには、公共投資の地方圏への適切な配分を確保していくことがもうぜひ必要でございます。同時にまた、各種の公共投資とあわせまして民間投資を促進することも必要でございますが、民間投資は大都市圏と限るのではなくて、地方圏におきましても民間活力の活用を促進する必要があろうと思います。必要な施策を進めていかなければならない、このように考えるわけでございます。
#118
○片上公人君 東京集中の現状が弊害の多いものであるということは、だれもが感じていることでございますが、今回の政府案では工業の分散・再配置、中央各省庁の一部部局の再配置の推進などで是正をしようとしております。ソフト化、情報化、サービス産業化が我が国産業の趨勢であることからしますと、工業の分散の効果というのは疑わしい面があります。また中央省庁の移転はどこまで可能性があるか、これも危ぶまれます。政府案では、遷都問題が東京一極集中への基本的対応として重要だが、引き続き検討するとしております。集中の是正という課題の実現を期すなら、もう少し踏み込んでよいのではないかとも思います。従都、第二都市とでもいいますか、分都などの論議もありますが、これはどのように考えていらっしゃるのか、国土庁にお伺いいたします。
#119
○説明員(春田尚徳君) お答えいたします。
 四全総におきましては、東京一極集中是正策として第一に、工業の分散・再配置政策の推進、それから第二としまして、政府機関の移転再配置等の検討推進、それから三つ目に、全国的文化、研究施設の原則東京外への立地、そして第四といたしまして、事務所の立地を地方都市等に誘導するための適切な措置の検討などをお示ししたところでございます。
 まず、産業構造の変化の中で工業の分散の効果につきましての御指摘でございますけれども、第四次全国総合開発計画におきましても、今申しましたように、新しい産業を地方圏に分散、育成していくということを重要な柱としております。
 それから、工業につきましてでございますが、やはり工業は、従来の発想によります工業、第二次産業としての工業ということもございますが、次第に全体の産業構造の変化を受けまして二・五次化するというような傾向もございまして、そういう意味では依然として工業の分散・再配置ということは重要であろうというふうに考えております。
 それから、遷都問題についての御指摘でございますが、遷都問題につきましては、十年前に三全総をつくりまして、そのとき首都機能の移転の一環として検討の必要性を提起したところでございます。国土庁としましては、その後首都機能の移転問題について検討を進めまして、昨年六月に策定いたしました首都圏基本計画においては、展・分都方式による首都機能の移転から着手することを提起申し上げているところでございます。このたびの四全総におきましては、多極分散型国土を形成するため、東京一極集中の是正の重要性を深く認識いたしまして、そのための施策の一つとして、首都圏基本計画と同様に、政府機関の移転、再配置の検討推進を図るとしてございます。
 また、先生御指摘の首都機能全体を移転する遷都につきましては、国民生活に大きな影響を及ぼしまして、国土政策の視点のみでは決定できない面がございます。しかしながら、東京一極集中への基本的対応として重要であると考えております。このため四全総におきましては、国民的規模での議論を踏まえ、なお引き続き検討していくとしたところでございます。
#120
○片上公人君 また、都心に立地する事務所に対しまして特別負担の措置を検討するとありますが、特別事業所税を創設することには都知事の反対もありますが、固定資産税、事業所税の上に、さらに三重に課税して抑え込むのはこれは間違っており、地価対策は都が独自に条例で土地取引を規制し、効果を上げているというものでございます。また各省庁や都は、都心部、臨海部の公共空き地利用の推進を図っており、東京圏からの計画的分散という四全総政府案の趣旨とこれは隔たりがあると思います。
 大臣は、東京中心部に立地する事務所の費用負担についてどうあるべきだと考えられておるのか、所見をお伺いいたします。
#121
○国務大臣(葉梨信行君) 四全総におきましてはこう述べております。「東京中心部等に立地する事務所の費用負担の在り方も含め幅広い観点から、適切な措置を検討する。」、こううたっておるわけでございます。
 この問題につきましては、税制により解決するということにはおのずから限界があるのではないか、土地対策とかあるいは産業政策など多岐にわたる視点から幅広い検討を加えて結論を出すべきであろう、このように考えている次第でございます。
#122
○片上公人君 政府案の目玉は、地方の定住圏を支えるための地方から全国各地に一日で往復できる高速交通ネットワークの整備であろうと思います。これまで、過疎山村地域につけられました道路は、結局都会への人口流出につながったというのが一般的認識でございますが、今回の交通ネットワーク整備が定住圏形成、産業進出に寄与するという考え方もございますが、一方では一層の東京集中を招くのではないかという心配がございますが、これについて国土庁お願いいたします。
#123
○説明員(春田尚徳君) 四全総におきましては、特定の地域に過度の集中がない多極分散型国土の形成を目標としておりまして、この目標を達成するため、交流ネットワーク構想というものを推進することとしております。これは近年、地域において活発化しております交流を拡大することによりまして地域の活性化を図ろうとするものであります。この構想は、第一に定住と交流の場である地域の整備、第二としまして、交流の基盤となる交通、情報通信体系の整備、それから三つといたしまして、イベントなど交流の機会づくり、こういった三つの柱によって進める考えでありまして、交通ネットワークにつきましては、全国一日交通圏の構築などの考えを示したところであります。
 先生に御指摘いただきました高速交通体系につきましては、国土の均衡ある発展を図る上での重要な基盤といたしまして、これまでにも整備が進められてきたところでありまして、他の諸施策とも相まって、長期的に見ますと、基本的には人口の地方定住の促進等に寄与してきたと考えております。しかしながら、この高速交通ネットワークはまだ完成途上にあるわけでありまして、今後整備が進み、全国のネットワークが整うに従いまして各地で交流がより一層活発化し、地域の活性化が一層促進されると考えております。
#124
○片上公人君 ネットワークの完成には、新たに高速道路八千キロメートルの建設が必要であり、費用は約三十六兆円、三十年かかると言われております。現在財源は財投資金等の借金で充てられており、通行料で償還しております。地方路線の場合採算性がだんだん悪くなっておりまして、この方式は限界に近づいているのではないか、こう
思います。したがって、これからの地方路線が税金等の公的な負担で形成されることになる可能性が大変強いのではないか、こう思われます。しかしその負担が地方にしわ寄せされるようなことはないかどうか、そうあってはならないことと思いますが、新幹線の地方駅の地元負担のようなことが起こらないように、自治当局の所見をお聞きしたいと思います。
#125
○政府委員(小林実君) 高規格幹線道路は、四全総におきまして、多極分散型国土の形成を図る上で重要な役割を果たすというふうに位置づけられておるわけでございます。その整備に当たりましては三つの方式が組み合わされて行う、その方式で行うということに考えられておるわけでございます。その一つは、日本道路公団が国土開発幹線自動車道を整備しておりますが、この方式によることが一つ。それから二番目は、国が直轄事業で実施いたします直轄事業方式でございます。それから三番目に、地方団体あるいは地方道路公社が行います一般有料道路方式、この三つでございます。
 この実施に当たりましては、道路に関する現在の国と地方の財政負担のルール内、そのルールの範囲内で行うということとされておるわけでございます。現行の割合を超えて新たに地方負担を求めるということはないというふうに考えておりまして、この事業の整備に当たりまして、地方団体に財政負担のしわ寄せがなされるということはないというふうに考えております。
#126
○片上公人君 国土庁ありがとうございました。
 次に、去る六月六日に起きました東村山市の特別養護老人ホーム松寿園の火災につきましてお尋ねいたします。
 まず、今回と同様の社会福祉施設の火災としましては、昨年の七月、八名の死者を出しました神戸市の精神薄弱者援護施設陽気寮の火災がございます。私も地元でありましたので、その対策は委員会で触れてきましたが、このたび同じ惨事を繰り返す結果となりましたことは、このときの教訓が生かされなかったことが原因の一つであろうと思います。消防庁としてはどうお考えになっているのかを伺いたいと思います。
 また、もう一つ続けて、消防庁はこのときに各都道府県の消防主管部長あてに出した通知におきまして、収容者の判断能力に応じた避難路の確保、自力避難が極めて困難な方々の避難階への収容、収容者の行動能力の実態に応じた避難訓練の強化、消防機関への早期通報等の対策をとるよう指示しておりますけれども、今回の松寿園火災におきましては、いずれも十分に対応がなされていなかったと思われますけれども、消防庁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#127
○政府委員(関根則之君) お話がございましたように、昨年の七月に八名の犠牲者を出しました神戸の陽気寮の火災があったわけでございます。こういった自力避難の困難な方々を大勢収容しておりますような施設におきましての防火管理体制の強化につきまして、私ども現地の消防機関を指導いたしますとともに、施設の管理者等につきましても、その徹底方をお願いしてまいりました。その段階で、ことしの六月に松寿園の火災が発生をいたしまして多数の死傷者を出しましたことは、まことに残念なことだというふうに考えているわけでございます。
 御指摘がありましたように、陽気寮の火災の後に実際の火災の状況と原因、延焼の経路、死傷者の発生の原因等を究明いたしまして、消防といたしましていろいろな対策を打ち出したわけでございまして、特に自力避難が困難な方々につきましては、すぐに外へ逃げ出せるように、同じ階にできるだけ収容していただきたいという問題等を含めまして、夜間の管理体制でありますとか、実態に即した消防避難訓練の実施でありますとか、そういうことをお願いしてきたわけでございます。そういうものが、現場におきまして徹底を欠いておったうらみがあるのではないかということを私どもも考えているわけでございまして、今後さらに、これらの防火体制を徹底いたしまして間違いのないようにしていきたいと考えているところでございます。
#128
○片上公人君 このたびの火災は、犠牲者が十七名にも上るというだけでなく、平均年齢が八十歳を超える高齢者であったこと、そして何よりも、亡くなられた方々のほとんどが足が不自由なためベッドで寝たままの状態であったということが大きな特徴だろうと思います。
 そして、このような施設が全国では千六百カ所を超え、約十二万人の方々が入所しておられるということであります。現状のままではいつ第二、第三の松寿園が起きたとしても不思議ではないのであります。また今回のような高齢者や体の不自由な方を初めとして、乳幼児等を含むいわゆる災害弱者と考えられる方々の火災による犠牲者は、放火自殺者を除く死者総数の過半数に達すると言われておりまして、人口の高齢化が急速であることも考え合わせますと、この分野の防災対策は大変重要課題であろうと思います。
 本件火災を機にいたしまして、消防庁におかれましては、学識経験者、関係省庁等で構成する社会福祉施設等における防火安全対策検討委員会を設置されて検討を加え結論をまとめられたと聞いておりますが、そこではスプリンクラー設備の面積基準につきまして、社会福祉施設では現行六千平方メートル以上から千平方メートル以上とするなど、基準の見直しが実は打ち出されて、来年四月一日より実施されることと聞いておりますが、このような結論に至った基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
#129
○政府委員(関根則之君) 昨年の陽気寮、ことしの松寿園という形で相次いで社会福祉施設で大変な火災が発生をいたしたわけでございますので、こういったものを貴重な経験といたしまして、今後こういった死傷者を生ずるような火災が起こらないように、そのための防火管理体制を整備しておく必要がある。基本的にこういった施設につきましての防火管理体制をどうしたらいいのかということを各方面の関係者に寄っていただきまして、根本的な見直し方針を決定したいということで、この防火安全対策検討委員会を設置いたしたわけでございます。先日、八月二十八日に最終的な結論は出まして答申をいただいたところでございますが、今後はこの答申に基づきましてできるだけ具体的な施策をとっていきたい、そのため必要な政令改正等につきましても実施に移していきたいと考えております。
 その中で、やはり多数の寝たきり老人等を抱えております施設におきましては、一たん火が出ましてそれが拡大をいたしますと、なかなか夜間の宿直体制等が整っておりましても、実際問題として全員を避難させる、大勢の老人を避難させるということは非常に難しい場面が起こることが考えられますので、どうしても出た火を、出ないことが一番いいわけでございますけれども、火が出た場合にはまず早期にこれを発見し、的確に初期消火対策をとるということが非常に必要だというふうに考えているところでございます。
 初期消火の手段といたしましてはいろんなものがあるわけでございます。消火器でありますとか消火栓でありますとか、そういうものがありまして、現在も整備を進めておりますけれども、やはり何といっても自動的に人の手をかりずに散水といいますか、火を消すことができるスプリンクラーの威力というのは現実の火災の現場でも実証されておりますし、これが非常に有効であるという考え方のもとに、従来六千平米以上のものに義務設置ということでお願いをいたしておりましたものを千平米以上の社会福祉施設については義務設置にするということが答申に盛り込まれているわけでございます。千平米そのものにつきましては、いわば従来の経験値等を参考にいたして決められた数字であろうというふうに考えますけれども、松寿園は約二千平米でございました。しかし、昨年の陽気寮は大体千平米であったわけでございますので、少なくもこの程度の大きさの社会福祉施設にはつけていただきたい、こういう考え方で千平米という線が打ち出されたものというふ
うに考えております。
 なお、来年の四月一日施行というお話がございましたけれども、今後これは消防法の施行令の改正という形で政令改正が必要であるわけでございまして、その審議の段階で最終的に決まることでございますけれども、一応今のところ先生からお話がありましたような形を頭に置いて進めているところでございます。まだ確定したものではございません。
#130
○片上公人君 緊急時に自力脱出が困難な方々が入所をされている施設におきますところの夜間防火管理体制のあり方につきまして、特にどのような検討がなされたのか。また、今回のスプリンクラー設置基準の見直しによりましてどれぐらいの施設をカバーすることになるのか。また、今回の見直しによりましても対象とされない施設に対しては、どのような対策を講じていくのか。さらに、社会福祉施設と同様に自力避難が困難な方々が入院されている病院については、面積三千平方メートル以上と基準を異にしておりますけれども、この理由はどういうことなのかということについて御説明願いたいと思います。
#131
○政府委員(関根則之君) 先ほども申し上げましたような形で社会福祉施設等の防火安全対策を講じていきますときには、物的ないわばハード面の設備も大切でございますけれども、それだけではどうにもならない。やはりソフト面と申しますか、実際の管理、特に人手が薄くなります夜間等におきます管理でありますとか、あるいはふだんの避難訓練でありますとか、そういうことが非常に重要なものになってくるというふうに考えております。したがって、夜間等におきます火災発生時に的確な初動対応ができますよう、夜間におきます宿直その他の人的な体制、あるいは非常時に職員を動員しなければいけませんけれども、そういった職員の動員体制等につきまして、今後体制整備をするための指導をしていく必要があるというのがこの答申にも書かれているところでございまして、私どももそういう方針に基づきまして今後指導をしていきたいというふうに考えます。
 ただ、先生御承知のように、社会福祉施設なりあるいは重度の病人を抱えております病院等におきましては、夜間の具体的な宿直者の配置の人数あるいは避難訓練と申しましても、重篤患者を訓練に参加させるということが実際問題として難しい、かえってそのために病状が悪くなるというようなことも心配をされますので、その辺はそれぞれの社会福祉施設なり病院なりの対応に応じましてきめ細かいいろいろな管理のやり方を考えていかなければいけないんじゃないか。余り画一的なやり方をいたしましても、実際問題として意味がなくなってしまうといいますか、現場で無理が生じてくる、そういうことも心配をされますので、今後消防庁の中に、そういった具体的な施設ごとに施設の特性に応じた訓練等を実施いたしますための、どういうやり方をしたらいいかという研究会をつくりまして、その結論に基づきまして具体的な指針のようなものをつくっていったらどうか、そういうことでやっていきたいというふうに考えているところでございます。
 次に、今回仮に一千平米以上というところにスプリンクラー設備を義務づけるということになりますと、現在六千平米以上のものでございますので、千平米以上六千平米未満の施設は社会福祉施設におきまして約四千五百ほどございます。しかしそのうち平家建て等の施設は、これはスプリンクラーは要らないと考えておりますので、今回の政令改正が行われたといたしますと、それによって新たに必要となる施設は二千六百程度というふうに考えております。
 なお、今回のスプリンクラーを義務づけられる以外の施設につきましての防火安全対策でございますけれども、これは、もちろん自動火災報知機でありますとか、あるいは消火器の設置でありますとか、そういうことにつきましては、当然法律に定められたとおりやっていただかなければいけない、必要な消防設備を備えていただくということになりますし、また今回の答申にも盛られておりますように、消防署への通報をワンタッチで、押しボタン一つで通報ができるような施設を導入すべきであるということが述べられておりますけれども、こういった問題につきましては、千平米以下の福祉施設につきましても取り入れていっていただくようにしたいというふうに考えております。もちろん避難訓練でありますとか、夜間の防火管理体制でありますとか、そういうことにつきましても、小さな施設につきましても同じように強化していっていただきたいと考えておるところでございます。
 病院につきましてでございますけれども、病院につきましては、一応答申では三千平米以上を義務設置ということにいたしております。検討委員会の中におきます議論、いろいろ議論が闘わされたようでございますけれども、社会福祉施設と異なる面積にした理由としては二つほどございまして、一つは、やはり病院というのは患者の治療を目的とした施設でございますから、夜間の防火管理体制というのが格段に福祉施設よりも濃厚になされているではないか。例えば当然お医者さんは宿直でおりますし、お医者さんがあれば看護婦、ナースステーションは一晩じゅう機能しておるというのが当然でございますので、そういった管理体制が、この前の松寿園では七十四人の収容者に対して二人の保母さんが宿直をされておった、そういうのに比べますと相当手厚く管理体制がとられでおる、そういうことが一つ。それからもう一つは、入所者の一人当たりの面積がどうしても病院の方が大きいようでございます。同じ面積ですと、福祉施設の方が収容人員が多い、病院は少ないということになっておるのが実態でございますので、その辺のところを考えて三千平米ということを設定したというふうに聞いておるところでございます。
#132
○片上公人君 厚生省では、今回の火災を契機に全国の特別養護老人ホーム、重度障害者、精神薄弱者施設などを対象にして簡易スプリンクラーの設置補助金として補正予算に二十五億円を計上しているとのことであります。この簡易スプリンクラーは、本格的な工事を避けまして、経費を軽減して、入所者の立場を考えて工事期間も短いなどの長所もございますけれども、配管が室内にされるなど、実際の火災時に機能するかどうかという心配な点もあるのではないかと思いますが、この点に関しまして消防庁のお考えをお聞きいたします。
#133
○政府委員(関根則之君) 私どもは、スプリンクラーを設けるという場合には一定の規格を持っておりまして、水圧でありますとか、それから何度で反応しなければいけないとか、そういうことが規定をされておるわけです。そういう規定をしておりますのは、信頼をしているスプリンクラーがいざ火事のときに機能しなかったということになりますと、これはもう大変なことになりますので、スプリンクラーの信頼性を高める上からも、そういった基準というのは必要であるというふうに考えております。したがって、今回スプリンクラーの設置義務を仮に拡大いたします場合にも、そこで必要とされるスプリンクラーというのは、従来の基準に適合したようなスプリンクラーをお願いするというふうに考えております。
 しかし、実際問題として既設の社会福祉施設等には現に入所者が入っているわけでございますので、先ほども申し上げましたけれども、現実を無視して工事をやるということはできないという問題があるわけでございまして、そういったことにつきましては、入所者の病状でありますとか、状況、そういうことを十分配慮いたしまして、現実に合うように、余り無理が起こらないように、弾力的に現地の消防機関とも十分相談をしていただいて対応していくようにしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#134
○片上公人君 今回のような自力避難の困難な方々が火災によりまして死亡するケースは、昭和六十年におきましては放火自殺者を除くところの死者総数のうち実に五八%にも上っております。また寝たきり老人の数も昭和六十年の約六十万人
から七十年には百万人を超えると言われておることも考えますと、施設の入所者の防火対策を推進することは、これはもちろんでございますが、御家庭に住むこれらの方々の安全対策にも積極的に取り組んでいく必要があるのではないか、こう考えます。消防庁といたしましては、どのような考えを持ちまして指導されていかれるのか、お伺いしたいと思います。
#135
○政府委員(関根則之君) 御指摘がありましたように、これから高齢化社会の到来ということが社会の各般にわたりまして重要な問題になってまいります。防火安全の面でもこれは大変な問題提起がなされてくるものと、そういうものに十分に対応していかなければいけないと思っております。特に、必ずしも体が不自由でなくても、一人暮らしの御老人というのが多くなってくるというようなことになりますと、その人たちの火災に対する対応策をどうしていったらいいのかということを考えていかなければいけないということで、十分問題意識を持ちまして、実は今年度から消防庁の中に学識経験者等から構成をされます住宅防火対策検討委員会というものを設置いたしまして、いろいろな方面から検討をお願いいたしているところでございます。
 今のスプリンクラーの話にいたしましても、今までスプリンクラーというのは、非常に大がかりな金もかかるし、とても個人の家庭に備えつけるということが難しい施設であったわけでございますけれども、あれをもっともっと簡略化して、例えば水道に直結するようなスプリンクラー設備というのが外国では実際に使われておるというような報告も受けておりますので、そういったものの機器の開発ができないかということも検討対象にしておりますし、また自分自身でタンクを持っておりまして、熱が加わりますとそこから自動的に水が出る。しかしそれはタンクを持っているわけですから、タンクの水がなくなりますとそれで終わりということになりますけれども、そういったような、いわば簡易自動消火装置といったようなものの開発もやっていったらいいのではないかということの研究をお願いしているところでございます。
 もちろんこれもハード面だけではなくて、ソフト面の、例えば消防機関等への通報の仕方なり、あるいは隣近所への連絡の仕方なり、そういったようなものも含めたハード、ソフト両面を通じまして、家庭における防火安全対策というものに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#136
○片上公人君 どうもありがとうございました。
 次に、地方公務員の週休二日制の推進につきましてお伺いいたします。
 衆議院での地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議事項でも取り上げられましたが、公務員の週休二日制の推進につきましては、中曽根総理が先般のベネチア・サミットで示しました緊急経済対策にも盛り込まれまして、一種の国際公約ともなっておりますが、実際にサミット参加七カ国で実施していないのは日本とイタリアだけとも言われております。
 先般八月の人事院勧告で、国家公務員の四週六休制、隔週週休二日制が取り上げられまして、いよいよ本格的な実施の段階に入ってくると思うのでございますが、自治体の四週六休制の試行の状況はどうなっておるのか、まず概略御説明をお願いしたいと思います。
#137
○政府委員(柳克樹君) 地方公共団体におきます四週六休制の試行の状況でございますが、都道府県におきましては三十九団体、それから指定都市におきまして二団体、それから市区町村におきましては七百二十一団体が試行を始め、あるいは試行することを決定しているというような状況でございまして、率で申し上げますと都道府県、指定都市で合わせまして七一・九%、それから市区町村では二二・一%というような状況でございます。
#138
○片上公人君 自治体の四週六休制が進まないのは、窓口業務など住民生活に大変密着した業務を多く抱えていることなどが試行に踏み切れない要因だろうと、こういうふうに思いますが、自治省として、検討課題としてどのように認識されておるか、お伺いしたいと思います。
#139
○政府委員(柳克樹君) 国に比べまして地方公共団体の試行がおくれておるのはただいま先生御指摘のような事情がございます。窓口業務等住民サービスに直結する業務、それから交代制勤務の職員が多いというようなこと、あるいはもう一つは、地域によっては週休二日制が非常に普及していない、そういう地域内でのバランスの問題、そういうようなものが試行がおくれておる大きな理由であろうかと思います。
#140
○片上公人君 国が本格実施に移行しまして、地方がこのまま放置されておるままであれば国と地方の勤務条件に大きな差が開くのではないかと心配するのでございますが、今まで試行がおくれている自治体に対する具体的な推進策というものはどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#141
○政府委員(柳克樹君) 私どもやはり、先ほど先生おっしゃいましたように、四週六休制についてはできるだけ早く促進するという立場で機会あるごとに地方団体にお話をしたりしておる状況でございますが、確かに先ほど申しましたように、数字としては約二三%と低うございますけれども、四週五休制に入ったときを考えますと、当時は約九カ月たった時点で七%ほどの団体でしか実施していない。今回の場合には約五カ月後でございますか、先ほどの数字でございますからかなり地方公共団体におきましても四週六休制あるいは週休二日制についての理解と申しますか、そういうものが進んできておるのではないかと思います。しかし、何分先ほど来申し上げておりますように、かなりおくれておるような状況でございますので、これからも機会あるごとにその点の指導をするとともに、あわせまして、何せ行政サービスが低下するということは非常に問題でございますから、先進模範例などを地方団体に知らせるなどして具体的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
#142
○片上公人君 附帯決議では土曜閉庁の検討を要望しているようでございますが、自治体は国以上に住民サービスを提供する機関が多く、一層周到な準備が必要だと思われますが、土曜閉庁につきましてどのような環境整備を図っていくか、お考えを伺いたいと思います。
#143
○政府委員(柳克樹君) 先ほど来申し上げておりますように、今先生の御指摘のとおり、地方団体の場合に非常に四週六休あるいは土曜閉庁を検討するに際して問題が多うございます。また現在までの私どもの考え方といたしましても、国との関係ということも十分考えていかなければいけないと存じます。国におきましてただいま御指摘のように検討をしておられるようでございますので、その検討状況を踏まえながら、また先ほど申しましたようにいろいろな具体的な事例を含めて私ども研究をして、ぜひ前向きに取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
#144
○神谷信之助君 我が党幹部の緒方国際部長宅における電話盗聴事件について、東京地検は結局のところ起訴猶予を含む不起訴処分という決定をいたしました。この決定自身、憲法違反の権力犯罪を秘密のベールで覆い隠してしまうという重大な決定であると同時に、憲法に反逆する行為を容認するということにもなりかねない、極めて許すことのできない決定でありますが、それ自身の問題は私を含めていずれ同僚議員が機会を見て追及をいたします。きょうは、本件について重大な責任を持っている警察庁長官の責任について、この点に限ってこれから追及をしていきたいというように思うんです。
 この緒方宅盗聴事件というのは、個人のプライバシーの侵害という点でも、それから言論、表現の自由、通信の秘密、結社の自由、政治活動の自由のじゅうりんという点でも、まさに民主主義社会とは全く相入れない極めて重大な違憲違法の権力犯罪であります。このことは、我が党のみならず各新聞の社説も指摘をしているところですし、
各新聞に投書されている国民の批判もまたこの点に集中をして指摘をしているところです。しかも、現職警官が盗聴しようとしてアジトに閉じこもり、少なくともその仕掛けを行ったと検察も認定しているわけですけれども、これは民主社会の基盤を揺るがしかねない重大事件であります。中曽根総理も、したがってこの国会での答弁でも、憲法にかかわる重大事件だという認識を示していますけれども、長官も同様にこれは違憲違法の許されない犯罪行為だと、そういう認識をお持ちだと思いますが、いかがですか。
#145
○政府委員(山田英雄君) このたび、神奈川県警の現職の警察官が電気通信事業法違反ということで、東京地検によりまして起訴猶予処分を受けたということにつきましては、大変遺憾なことと認識いたしております。
#146
○神谷信之助君 いや、遺憾なことと認識をしている問題じゃなしに、その事件そのものの性格を憲法にかかわる、総理でも憲法にかかわる重大な事件だという認識を示したのであります。長官は、この電気通信事業法違反の罪による起訴猶予処分という、そういう判断が出た、彼らが少なくともそういう仕掛けをしたということを認めて起訴猶予にしているんです。そのことについて、これは事件そのものが憲法に違反をし法律に違反をする、違憲違法のあってはならない犯罪だというようにお考えには、そういう認識はお持ちにならないんですか。
#147
○政府委員(山田英雄君) 検察庁の処分を受けたということ、それがただいま御指摘の罪質に係る事案であるということ、これは厳粛に受けとめております。
#148
○神谷信之助君 憲法にかかわる重大な事件であること、そういう認識をお持ちであるということをお認めになったわけです。
 そこでお聞きしますが、これは長官でなくてもいいですが、警察法の第三条に宣誓の規定がありますが、その宣誓の規定はどういうことになっていますか。
#149
○政府委員(新田勇君) 警察法第三条には「服務の宣誓の内容」というところがございまして、「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」というふうに規定されているところでございます。
#150
○神谷信之助君 したがって、当然起訴猶予の処分を受けました久保巡査部長と林巡査、これらの方々も宣誓をしておられると思うんです。
 ところで、両人が戒告という、懲戒処分の中で最も軽い処分になったのは一体なぜですか。長官に御説明願いたいと思います。
#151
○政府委員(大堀太千男君) お答えいたします。
 神奈川県警では、現職の警察官が電気通信事業法違反として取り調べを受け、その結果起訴猶予処分を受けたこと自体が、警察官としての信用を傷つけたものと判断をいたしまして懲戒処分をいたしたものでございます。なお、この懲戒処分は地方公務員法上の処分でございまして、軽い処分というふうには考えておりません。
#152
○神谷信之助君 地公法二十九条には、「懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。」、こうなっていますね。その場合、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」ということなんですが、懲戒の種類も今言ったように四つあるわけです。そのうち最も軽い処分になさったというのは一体なぜか、これからその点を追及したいと思います。
 八月の四日に東京地検の増井次席検事は、告訴人の緒方さんやそれから諌山参議院議員、それから弁護士らに対して、不起訴処分についで法に基づく公式の説明を行いました。その中で先ほど長官おっしゃったように、事業法の盗聴罪について次のような説明をしています。「昨年一一月中旬から下旬はじめごろにかけて三回にわたって盗聴をしようとした事実については有罪判決をうるに足りる証拠を得たと考えている。」、こう言っています。この事実はお認めになりますか。
#153
○政府委員(山田英雄君) 検察庁の捜査によって認定された個々の証拠判断、そのことについて私どもコメントする立場にはございませんが、結論としての盗聴を企てたと認められたという点につきましては厳粛に受けとめでおります。
#154
○神谷信之助君 そうすると、今厳粛に受けとめておられるのですが、そういう盗聴をしようとしたという検察側の判断、こういう行為自身、これは明らかに憲法二十一条の通信の秘密を侵しているというように思うんだけれども、その点はいかがですか。
#155
○政府委員(山田英雄君) 今回の事案につきまして重大であるという受けとめ方、警察当局としてもいたしております。神奈川県警におきましても十分な内部調査も行っておりましたが、盗聴について職務命令を出したことはないという報告を受けておりまして、神奈川県警として行ったものではないというふうに承知しております。しからば警察官の関与についてどうであったかということでございますが、捜査が先行したこともありまして、神奈川県警の内部調査におきまして、その確認には至っていないという報告も受けているところであるわけであります。
 しかしながら、検察庁においていろいろな証拠判断から盗聴を企てたというふうに認定されたということでございまして、そのことにつきましては、私どもとして、先ほども御答弁を申し上げているとおり厳粛に受けとめ、その是正を図るための措置というものも徹底いたしておるところであります。
#156
○神谷信之助君 「三回にわたって盗聴をしようとした事実については有罪判決をうるに足りる証拠を得た」、こう説明をし、しかもその二人については、指紋、それから足紋、筆記などから確実にアジトに入ったと認定した、こういうことも同時に増井次席検事は説明をしております。だから、あなた方は盗聴しようとした事実さえも何とか覆い隠そうという態度をとっておられるんですけれども、率直にその事実は認めざるを得ないんじゃないですか。そしてその事実を認められるとするならば、まさにこれは憲法二十一条の通信の秘密を侵害したことはもう明らかですね。
 そうすると一体どういうことになりますか、憲法と法律を擁護するという宣誓をしているこの二人は。それから憲法九十九条は、御承知のように公務員の憲法遵守義務、擁護義務を規定しておりますわね。まさに憲法に違反をし、そして宣誓をみずから破る、それが現職警官である。そういうひどいことをやっている。国民に対して顔向けのできないことをやっている。それを最も軽い戒告という処分とは一体どういうことになるのか、そんなことで納得できますか。どういうように長官はお考えですか。
#157
○政府委員(山田英雄君) 確かに、社会、公共の秩序に当たる警察官の立場においては、盗聴を企てるというふうに認定されることはまさにあってはならないことでありまして、これにつきましては、先ほどお答えしましたように、内部調査において確認するには至りませんでしたが、地検においてそのような認定のもとに起訴猶予処分が行われたということを厳粛に受けとめまして、そのことによって国民が警察にかけていただいておる信頼を傷つけた信用失墜行為であるということで、内部的な行政処分も行っておるわけであります。それから同時に、内部的な調査で具体的な関与の事実を確認するに至らなかったことについては、平素の内部管理体制並びに職員の身上監督につきまして大いに反省すべき問題点がある、こう認識いたしております。したがいまして、緊急の局長通達も発しまして、今申し上げました反省点を込めて、再びこのようなことが起きないように都道府県警察に対します指導の徹底を図っているところでございます。
#158
○神谷信之助君 内部調査をして事実の確認ができなかった、だから戒告だというんでしょう。それで済まされるのか。先ほど長官も国民に対して信頼を欠くような事件だというふうにおっしゃっ
たけれども、神奈川県警は、大体処分の決定は県警本部の服務委員会か規律委員会ですか、それで決めるわけでしょう。しかし神奈川県警が独自に自主的にそれを決めたとしても、警察庁長官の責任は私は免れないと思う。あれは神奈川県警が決めたのだからおれは知らぬということにはいかぬ。そうすると、神奈川県警の戒告処分という決定を長官は容認されているということになるでしょう。だから、神奈川県警が内部で調査をして確認できなかったからどうのこうのではなしに、警察庁長官として、警察に対する国民の信頼が一挙に崩れ去っておる、しかも憲法違反の犯罪行為、みずから宣誓しながらこういうことになっているんですね。それが戒告で済まされていいということには私はならぬと思う。
 ところで、起訴猶予処分にした理由の一つとして、次席検事は「二人は本件の責任者でもなく、末端の人間であり、この二人だけ起訴するのは酷てある」、こういうように起訴猶予処分の理由を幾つか挙げておられますが、その一つにそれをおっしゃっておられます。二人は本件の責任者ではない、末端の人間であり、この二人だけ起訴するのは酷であると。検察側は責任者が存在をするということを示唆しておるわけです。ところが、先ほど内部調査では職務命令でやっているのではない、こうおっしゃっているんです。検察側の判断と神奈川県警の内部調査の結論と食い違うように思うんだけれども、長官は、この検察側の判断というものをお認めになるのかならないのか、この点はいかがですか。
#159
○政府委員(山田英雄君) 先ほどお答えしましたとおり、警察におきます調査結果、神奈川県警から受けております報告によりますれば、盗聴において職務命令を出していないということでありまして、神奈川県警の活動として本件事案が行われたものではないと承知しております。一部警察官の行為が問擬されたものと、かように考えております。そのことは、法務省御当局の法務委員会における答弁におきましても、東京地検において組織的犯行であるとまでは認定していないという趣旨の御答弁があることによっても明らかであろうと、かように考えております。
#160
○神谷信之助君 それがおかしいんですよ。次席検事はこう言っているんです、「組織的犯罪を証明する証拠はないが、組織的犯罪との疑いをふっしょくできない。」と。後からまた言いますが、それは証拠隠滅を警察がやっておるからですよ、証拠を隠しているからです。そこに問題があるんです。
 そこで、検察判断と違って内部で調査したけれども、職務命令は出していない、勝手にやったんだとおっしゃるんだけれども、一部の警察官が勝手にやったというとこれまた大変なことじゃないですか。勝手にそういう犯罪行為を警察官がやってああいう戒告でよろしい、こんなことがあったら大変なことじゃないですか。
 例えば、犯罪捜査規範の第二条の二項では、「捜査を行うに当っては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。」、だから、プライバシー侵害のようなこんな盗聴行為というのをやってはならぬのは当たり前ですよ。あるいは法令も厳守しなきゃいかぬ、それは第三条にある。あるいは犯罪捜査規範の第八条には、上司から命ぜられた事項を忠実に実行せいと、専断したらいかぬぞという規定もあるでしょう。まさにあなた方の警察の組織を維持し、そして警察活動の中心である捜査活動について規定違反をしている。こういう者が戒告という軽い処分で済まされていてよいのか、この点はどうお考えですか。
#161
○政府委員(山田英雄君) 神奈川県の地方警察職員に対する処分、神奈川県警の懲戒審査委員会において十分に議論されて行われたと私は承知しております。そうしたあってはならないことについての認定を受けた警察官に対する処分は、処分として相応の処分が行われたと考えておりますが、そのほかに先ほども御答弁いたしましたとおり、組織的にかかることの再びないような措置というものを徹底いたしておるわけであります。そのことによって国民の信頼の回復に努めたいと思っておりますし、いろいろな諸対策、後ほどまたお答えする機会があれば申し上げたいと思いますが、そうした諸対策を徹底することに全力を尽くすことによって本事案の教訓を生かしてまいりたい、再びこのようなことのないように強く戒めてまいる実績を上げてまいりたいと思っております。
#162
○神谷信之助君 今の答弁で納得することはできません。
 さらにもう一つ追及をしますが、検察側が言っております責任者というのはだれですか。
#163
○政府委員(山田英雄君) 起訴猶予処分を受けました二名の警察官以外につきましても、神奈川県警においては調査を尽くしたわけでございますけれども、他の者が本件に関与したということは現在のところ確認されていないわけでございます。そして同時に、検察におきましても本件に加功した者があったのか、いかなる者がいかなる行為をしたのかの件については具体的に認定してはおらないというふうに承知しております。
#164
○神谷信之助君 証拠を隠しておいて、検察側が認定をしなかったから、それ幸いとひた隠しに隠すというまさにその態度こそ私は許せないと思うんですよ。
 しかし、長官、少なくとも起訴猶予処分を受けた二人は、だれの指示でそういうことをやったかということは知っていると思うのが常識じゃありませんか、いかがですか。
#165
○政府委員(山田英雄君) その点が調査において大変私は残念な結果であると思っております。判然としない面が残っておるわけでございまして、それを内部管理体制の不徹底、身上監督の不徹底ということで反省点として受けとめておりますので、そのことを神奈川県警においても今後さらに問題点を究明することを期待しておりますし、また一般的にそうした不徹底な管理が今後行われることのないように徹底することを緊急通達を出して、あるいはいろいろな会議を開催し、幹部の心構えを喚起することによって、現在再びこのようなことのないように努めておるところでございます。
#166
○神谷信之助君 後段の方でおっしゃっている部分はまた後にいたしますが、二人は知っているはずですわね、少なくともその二人は事件の全貌について。ところが、検察の取り調べに対して黙秘をしてわざと事実を隠したということになるのか、あるいは本人たちは正直に陳述をした、しかし検察の方が不起訴にするために故意に責任者がわからないことにしたのか、こういう疑いが残るんですが、長官どう思いますか。
#167
○政府委員(山田英雄君) 捜査につきましては、警視庁の町田警察署にNTTから告発もございましたし、東京地検におきましても共産党からの告発を受けて捜査いたしております。その間の捜査過程において、ただいま御指摘のような証拠を隠滅したというような事実は全くないと私どもは承知しております。
#168
○神谷信之助君 質問に私は答えてほしいと思いますよ。
 二人は事件の全貌を知っているんでしょう、少なくとも。まだ知っている人がおるかもわからぬ、事件に関しては。しかし、少なくとも起訴猶予の処分を受けた人がアジトに出入りをしていた証拠は検察は握っているわけだ。そして盗聴の仕掛けをつくったこともちゃんと証拠としてそろって、有罪判決を得るに足る証拠が集まっている。ここまではいいですれ。
 実際に盗聴をしたかどうかは証拠がないんだと。例えば自動録音装置なんかはないんだ、こういう説明もしていますよね。少なくとも盗聴をしようとした、だから、そういう意味で事業法の盗聴罪に該当する。あとは検察側のサイドで起訴猶予にしたんですからね。だから、少なくとも二人は知っていると思うんです、事件に直接関与しているので。そうすると、二人は検察側に事実をありのままに述べたのか述べていないのかどうなのか、あなたはどう思いますかと私は聞いているん
です、長官に。
#169
○政府委員(新田勇君) 神奈川県警において行われました内部調査でございますが……
#170
○神谷信之助君 内部調査と違うんだよ。
#171
○政府委員(新田勇君) 内部調査の関連でございますので申し上げますが、この調査に当たりまして東京地検等において捜査が行われていたというようなことから、調査につきましてもおのずから限界があったわけでございます。
 それから、ただいま委員の言われる名前を挙げられた警察官の内部調査において一体どうだったのかというようなことについては、この警察官たちは内部調査におきましても多くを語っておりませんので、関与の具体的事実関係や事案の内容を解明するに足る事実を私どもとしては確認するに至らなかったという報告を受けているところでございます。
#172
○神谷信之助君 そうすると、あなた方の主張は、神奈川県警の内部調査においても両名は事実を明らかにしなかった。当然、恐らく検察の取り調べに対しても事実を明らかにしていないだろうということになるわけですね。これは重大な問題ですよ、長官。
 六月四日の参議院の決算委員会で、橋本委員の質問に対して葉梨公安委員長がこういう答弁をしています。「協力を求められました場合には、警察としては捜査に御協力をしたいと考えております。」、そしてさらに橋本委員が「捜査について検察庁から協力やあるいは要請があって事情を聞かれたら、これは包み隠さず積極的に事実を解明するという姿勢で協力する、こういうことで承ってふろしいですか、」と念を押したら、葉梨国家公安委員長は「おっしゃるとおりでございます。」と答弁している。国家公安委員長は、事実を包み隠さず積極的に解明をしていくという姿勢で協力します、こう言っているんですよ。
 ところが実際は、事実経過を見ますと、まさにこの公安委員長の答弁はうそであった、国会でうそをついた。あるいは公安委員長のそういう答弁、方針に長官は従わない、そういうことになるんじゃありませんか、どうですか。
#173
○政府委員(山田英雄君) 大臣がただいま御指摘の答弁をいたしました趣旨、私も全く同様に考えておりまして、地検の捜査につきましては神奈川県警も十分な協力をしたと考えております。
 ただ、個人が知っていると言われますけれども、いろいろな捜査に対して、あるいは調査に対していまだ判然としない面が残っていることは事実でございまして、その点大変残念に存ずるわけでございます。そこを今後、先ほどもお答えしましたとおり、内部管理体制の徹底、身上監督の徹底によって是正してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#174
○神谷信之助君 だから、おかしいんですよ。警察の威信にかかわるような重大な犯罪行為をやった警官が、神奈川県警の内部調査に対しても事実をありのままに述べて積極的に解明をするという態度をとらない、内部の調査に対しても隠すんでしょう。それが戒告ですよ、一番軽い。おかしいじゃないですか。どこから考えてみてもあなたの答弁は筋が通らぬですよ。
 長官、あなたは今、公安委員長のそういう答弁を横で聞いておって、私もそう思ったという答弁をした。私は、それが事実だとするならば検察庁の方でそういう疑惑を持って、そして取り締まりをやるということを長官が知ったら、長官自身はどういう態度をとるべきなんですか。私は思うんですよ、警察官としてやってはならない、違憲の犯罪の疑いをかけられたわけですからね。当然公安委員長がおっしゃったように、事実のすべてを述べるように指導する責任が長官にあったはずだ、あなたはそれをおやりになりましたか。口先だけ協力をする、あるいはそういうように私も決意をしていました、あるいはいますとおっしゃっても、事実そういう指導をあなた直接おやりになったのかどうか、その点どうですか。
#175
○政府委員(山田英雄君) 神奈川県警におきまして、先ほどお答えしましたとおり、私は東京地検の捜査に対して十分な協力をしたと、かように考えております。
#176
○神谷信之助君 事実が解明されないでどういう協力をしたというんですか、犯行に実際に参加をした、加わった少なくとも二人は事実をありのままに解明してないことは明らかじゃないですか。警察法の第二条二項に、「警察の活動は、」「いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない。」と言っているでしょう、これにも違反しているんです。まず、そのことを行った犯行のすべてをありのままに解明する、本人はもちろん警察庁長官が先頭になって、それこそが被害を受けた緒方さんやあるいは国民に対する謝罪の第一歩になるわけじゃないですか。
 いかにどんな通達を出し、これからはもうやりませんと言ったって、泥棒が泥棒をやって、もうこれからはしませんから勘弁してくれと言うのと同じで、またそうなる。そういうことはあり得るわけでしょう。それよりも、やったことについてその事実を国民の前に明らかにしてなぜそうなるか、それはいいことなのか悪いことなのかということをはっきりさしてけじめをつける、処分をすべきものは処分する、責任をとるべきものはとっていく、こうして初めて国民の信頼を回復できるのでしょう。あなた方のは違うんだよ。何でもかんでも隠し通そう、事実を何とか覆い隠そうという、そういう態度では信頼の回復にならない。何ぼ通達を出そうが何しょうが、そんなものはあなた百万たら文章書いたって何の役にも立たない、いかがですか。
#177
○政府委員(山田英雄君) 神奈川県本部を初めいろいろな関係者において、私は十分な努力を尽くしたと思っておりますが、結果として大きな教訓として受けとめなければならない、先ほども申し上げました管理体制の不徹底と身上監督の不徹底があるわけでございます。したがいまして、努力は尽くしたけれどもそういう結果に終わっておる、これをやはり将来に向かって是正していかねばいかぬ、それが検察庁の処分を厳粛に受けとめました結果、将来に向けての方向として、先ほどお答えしました再びかかることのないような対策をいろいろ講じておるということであるわけであります。
#178
○神谷信之助君 どうも、何とか逃げようという構えしか受け取れないですね。
 先ほど内部調査によれば職務命令は出ていない、こうおっしゃっていました。ところが、新聞報道を見るとありますね。上司の命令でやったのに処分なんかされてたまったものじゃないという反発が県警内に広がっている、そういう声が出ていると。そういう声にこたえて戒告という最も軽い処分にする。これは一体どういうことになりますか。憲法も法律もよく知っており、宣誓までしている現職の警官が違憲違法の犯罪行為をやった、それが戒告という最も軽い処分。職務命令でやったんじゃないよと、勝手にやりおったと、勝手に犯罪行為をやっても戒告という一番軽い処分なんです。これはどういうことを意味するんですか。おまえさんたち二人はよく世論の批判にこたえて、そして上級幹部への波及を食いとめてくれた、よう頑張ってくれた、検察の追及をよくうまいことかわしてくれた、その勲章みたいなものじゃないですか、戒告処分というのは。やくざの世界で前科何犯、値打ちが上がるらしいけれども、まさにそういう処分じゃないですか。
 それで長官は、そういうお互い内部の傷をなめ合うような、そういうなれ合いの状態を容認して、協力するどころかひた隠しに隠しているというのが今の状態じゃありませんか。本当に協力する、国民の信頼を回復するといったらちゃんと厳正にけじめをつけなきゃいかぬでしょう。だれが見たってそうでしょう。ほかの公務員で、同じようなこんな盗聴行為をやって、おまえ勝手にやったんだけれども、職務命令でやったんじゃない、戒告でよろしいと、そんなこと通りますか、あなた。自治省の役人さんでも、府県庁の役人や市役所の役人が他人の電話を盗聴する、それがばれ
た、金もうけのためにやったんじゃないからまあよかろう、起訴猶予になったらはいはい戒告でよろしい、そんなことが通りますか。
 しかも、いやしくも現職の警官でしょうが三人が勝手にやるはずはない。アジトを借りるのに金が要るんだ。検察の増井次席検事の説明の中にもありますよ。「田北の印鑑がつかわれていること、」それから「発覚後同印鑑が使われていた個人的通帳(普通預金か総合口座)を解約した事実、アジト近くの銀行の口座に振込送金されており、それは降ろした人間がいる」、こういう説明を被害者本人、緒方さんらにしているんです、次席検事は。だからおるんですよ、二人以外におるんですよ。
 ただ、有罪判決を得るに足る証拠がないという判断をしたから嫌疑不十分であると。この二人以外にそういう人間が存在をしているということもわかる。その人間たちが起訴猶予処分になった巡査部長や巡査という階級よりも偉い人であることもわかっている、わかっているじゃないですか。もう一つ偉い人もおるんだ、その上もあるんだよ。そして最高責任者はあなただ。あなたがやらせてないというなら、おれが承認もしてないそういうひどいことを、勝手なことをなぜやった、警察官としてはふさわしくない、懲戒免職だ、神奈川県警何しておるかということになるでしょう。言うのが当たり前ですよ。あなたがそれを言えないというところにまさに警察の組織的犯罪であることを証明しているんだ、みずから。そうと違いますかどうですか。
#179
○政府委員(山田英雄君) 地方警察職員につきまして懲戒権を行使するのは任命権者である本部長でありまして、その懲戒権を行使する手続として各県とも懲戒審査委員会を設けて、厳重に検討、審査して懲戒処分を決定するわけであります。今回の処分につきましても、検察庁の起訴猶予処分というものを受けまして、十分に神奈川県の懲戒審査委員会において検討を尽くした結果であると思います。
 軽いという御指摘でありますが、公務員にとりまして法律上の懲戒処分を受けるということは将来にわたり長く影響が残ることでありまして、戒告処分に付されたということは相応の処分であると私も考えております。
#180
○神谷信之助君 常識的に言ってそんなもので軽い処分でないということになりますか。飲酒運転がばれて、今公務員は大体懲戒免職あるいは諭旨免職です。そういう情勢ですわね。ところが、そうじゃないんですよ。憲法で禁止をしている通信の秘密を侵したことは明らかだ、違憲の犯罪行為をやっているんです。それで懲戒という処分もあれば停職という処分もあれば減給という処分もあるのに、一番軽い戒告という処分をするのは、こんなのはだれが見たっておかしいでしょう、どうしても私はおかしいんですよね。
 そこで、時間の関係もありますから次にいきますが、私は、先ほどもちょっと言いましたが、全く組織的な証拠隠滅が行われたというように判断せざるを得ないと思うんです。増井次席検事はこうも言っていますね。先ほどもちょっと言いましたが、「昨年一一月中旬から下旬はじめごろにかけて三回にわたって盗聴をしようとした事実については有罪判決をうるに足りる証拠を得たと考えている。しかし、盗聴したとの事実については、直接証拠がない。自動録音装置もない。」こう説明していますね。わざわざ自動録音装置もない、こう述べていること、まさに証拠隠滅の疑いを暗示しているというようなものです。そしてまた同じように、先ほど言いましたように、「組織的犯罪を証明する証拠はないが、組織的犯罪との疑いをふっしょくできない。」という説明も行っております。
 当時あの事件が起こってNTTの方が警察に告訴、告発する、それから緒方さんの方は東京地検にやりました。犯行の現場のアジトを最初に強制捜査をしたのが警察だったわけです。現場保存の執行のために判事が行きましたが、これは入れてもらえなかった。そのとき現場にいた弁護士ら相当数の者は室内で工作をしている音を聞いているし、そしてジュラルミン製の箱を持ち出したことも確認をしている。まさに増井次席検事が言うように証拠隠滅の疑いが極めて濃厚だ。犯罪者が犯罪の現場に行って、そして他の人を隔離して証拠隠滅をやるんですから、これほど確実に証拠を隠すことができる方法はないのに、私はこれ聞いてみても否定なさるに決まっているから、もうその点を指摘するにとどめますが、問題はね、長官、今そのこと自身について長官自身の責任について余りお答えになってないんだけれども、長官自身も、特に国会における答弁で重大な責任があるというように思うんですよ。
 五月七日の参議院の予算委員会で、上田議員の質問に対して長官は、「警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っていないわけでございます。」という答弁をしています。あの質問は、ちょうどその日五月七日の昼にNHKのニュースで、この盗聴事件で現職の神奈川県警の警官に対して東京地検特捜部が事情聴取を行ったという報道があったので、質問の順番を変えて真っ先に上田議員がこの問題を取り上げました。言うなれば長官は、神奈川県の現職警官が電話盗聴の疑いで東京地検の取り調べを受けるということを知り得たんです。検察と警察の関係で、全然連絡なしに事情聴取を行うことはない、でなかったら強制捜査はやりません、だから、事前に知っていたはずです。
 ところが、過去も現在も電話盗聴ということを行っていない。しかし実際はどうだったかと言えば、有罪判決を得るに足りる証拠を得たと検察が判断をするようなそういう犯罪行為が行われた。私は長官、なぜこういう疑惑に対して率直に知っている限りの事実を明らかにして国会を通じて国民に事態を説明しようとしないのか。そうではなしに逆に事実を隠そうとして、結局うそをついた答弁になってしまうようなことを言うのか、この責任は極めて重大だと思うんだが、どうお考えですか。
#181
○政府委員(山田英雄君) ただいま御指摘の上田議員に対して参議院予算委員会で答弁いたしましたのは、もともと警察が責務遂行上行う情報収集活動、これは適法妥当な限度で行うべきでありまして、言語盗聴というような手段をとるはずがない、そういう認識判断もありまして、それから同時に、先ほどもお答えしましたように、神奈川県の内部調査による報告というものも受けておりましたが、県警の活動として行っていることはない。個人についても関与している事実は確認されていない。そういう報告を受けておりましたことに基づきまして、御指摘のような答弁をいたしたわけであります。
 しかしながら、結果として一部の警察官に電気事業通信法違反の起訴猶予処分というのが行われたわけでありまして、そのことにつきましては、先ほど来お答えしておりますとおり、大変残念なことであり申しわけない状態であると思います。今後こういうあってはならないことが二度と起きないように、個々の警察官の指導教育にも万全を尽くしてまいりたい、こう考えておるわけであります。
#182
○神谷信之助君 長官自身の責任はどういうようにお感じですか。
#183
○政府委員(山田英雄君) 先ほど来、あってはならないことに対して再び起こることのないようにということの対策をとっておると申し上げましたが、私自身としては今後このような対策を徹底してまいることによりまして、そのことに全力を尽くすことによって責任を果たしてまいりたい、かように存じておる次第であります。
#184
○神谷信之助君 不満ですが、まだありますから次に移ります。
 その次は、人事異動の問題です。これは七月十四日の衆議院の予算委員会で、正森議員の質問に対して、あの人事異動、報道は事件に対する引責だというこういうのが多いけれども、長官どうかという質問に対して、定例の定期異動を早めたもので、引責人事とか責任をとったということでは
ありませんと答えている。ところが、二週間後の七月の二十八日の衆議院の地方行政委員会、このときには経塚、正森両議員の質問に対して、国民の信頼を回復するために人心の一新を図った。前回の答弁と違う答弁をなさっています。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
 そこで、正森議員が、それは引責人事だったのかという念押しをやると、人心一新の発言は撤回をしないまま引責とは考えていないという答弁をしています。二週間の間に答弁が変わっております、なぜ変わったのですか。
#185
○政府委員(山田英雄君) 一般に人事異動、これにつきましてはいろいろな要素がありまして、さまざまな要因というものを総合的に検討して行うものであると思います。同時にまた、一つ一つの異動について理由を申し上げる筋合いのものでもないと思います。
 今回御指摘の人事は、元来警察庁の場合、いろいろな異動をまとめて夏に定期異動を行うことを例としておりましたが、臨時国会開会という状況を踏まえましてそれを繰り上げたわけでございます。その定期異動の中において私自身もいろいろな要素が考えておったわけでございまして、いろいろな要素に基づく適材適所の配置、あるいは人事の刷新というものも考えたわけであります。したがって、その個々の異動についてのお尋ねが、最初七月十四日に正森委員から衆議院予算委員会でありました際には、今申し上げました趣旨を頭に置きながら、「毎年夏に行っております定例の定期異動を早めたものでありまして、主要なポストについて必要な人事刷新を図ったということでございます。」とお答えしたわけであります。しかしそのとき私の頭の中には、七月二十八日に衆議院地方行政委員会で経塚委員にお答えしました事柄、以下申し上げますことが頭の中には一つの要素として考えておったわけであります。神奈川県警本部長についての、そのポストについての考え方があったわけでありますが、そこで経塚委員には、当時現職の警察官が盗聴容疑事件で検察庁の事情聴取を受けておる、このこと自体が警察に対する国民の信頼を損なう大変遺憾なことであると受けとめております。
 警察の行います情報収集活動、これは適法要当な範囲で行うべきものでありまして、国民からいささかの疑惑も招いてはならないと考えております。そうした点を踏まえまして、過般の定期異動でも、人心を一新して国民の期待にこたえる警察諸活動を展開すべく、関係ポストについて人事刷新を行ったところでありまして、ということで、人事刷新の中身の一部を取り出して申し上げたわけでございます。
 そのときに正森委員が衆議院地方行政委員会におられまして、今委員から御指摘のように、予算委員会の答弁と変化があるけれどもいかがかというお尋ねをそのときもいただいております。そのとき当初から人事刷新ということの要素を考え、詳しく申し上げたようなことも頭の中にありましたので、「予算委員会におきまして正森委員にお答えしました内容で、定期異動であって主要ポストについて人事刷新を図ったものであるということは、つけ加えてお答えしております。」、それで主要ポストについて人事刷新を図ったということは確かでありますし、先ほど答弁いたしましたこれは経塚委員に対してお答えしましたのは、その中身を申し上げたわけでありますというふうにお答えいたしておきましたが、人事定期異動において夏の定期異動を早めたその人事異動の中において考えた要素の一つ、それが人事刷新のただいまお答えした中身であって、それは当初から今に至るまで変わったということはないと自分では考えております。
#186
○神谷信之助君 八月二十六日の衆議院の法務委員会で、安藤委員が質問をしたのに対して法務省の刑事局長がこう言っているんですね。七月十四日の正森質問の答弁を聞いておってその真意がよくわからなかったので警察庁に問い合わせた、そういう事実がありますね。それで文書が出てきたんだと。これは事実かどうか、変わった理由というのは、今変わりはないのだとおっしゃるけれども、大体定期異動で人事の刷新を図らない定期異動というのはないんだね、ところてんのような人事異動でもね。定期異動のときに人事の刷新を図り信頼を取り戻す、あるいは適材適所でやるのは当たり前のことなんで、問題は今回の事件についてどういう態度をとるのかということがはっきりしなかったので、法務省の方から、検察側の方から問い合わせたという答弁がありましたが、それが事実かどうか。変わった理由というのはそこにあるのではないのかという点について答えてもらいたいと思います。
#187
○政府委員(大堀太千男君) 七月十四日の衆議院予算委員会におきまして、長官から正森委員の質問に対しまして、今長官からお答えを申し上げましたとおり、八月の定期異動を早めて主要ポストについて人事の刷新を行った旨お答えをしたところでございますが、
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
この中身につきまして法務省から照会があったことは事実であります。したがって、そこで一連の異動についての長官の真意ということを今長官が御答弁申し上げたとおり、一連の今回の人事は神奈川県警の警察官が電気通信事業法違反として東京地検に取り調べを受けるという遺憾な事態が生じたことを踏まえて、できるだけ早い機会に関係部門の人事を刷新し人心を一新する、こういう中身でございますということを申し上げた次第でございます。
#188
○神谷信之助君 そうすると、法務省の刑事局長の答弁をお認めになったわけですけれども、だから、増井次席検事も不起訴の理由について説明をする幾つかの理由を挙げていますが、その一つにこう言っています。「警察の方で上司や事実上の責任者を更迭し、人心を一新し、何れも警察の警備活動と関係ないポストに移り、外からみても左遷とみられ、」――左遷というのは先ほどから次席検事が言ってい至言葉であったのですけれども、「今までのやり方を見直し、さらに、再発防止について当局の責任者から東京地検の責任者に文書で誓約書がはいっている。」、こういう説明をしていますが、これは事実ですか。
#189
○政府委員(新田勇君) 神奈川県警の本部長から東京地検の検事正に対して文書でそういうことを言ったことはございます。
 その内容でございますが、今回の事案について神奈川県の警察官が関与しているという通報が神奈川県警の方にあって、それについて東京地検から対処方針というものについても打診があったということに対しまして答えたものでございまして、本部長といたしましては遺憾の意を表し、それから関係警察官について相応の懲戒処分を行うとともに、再発防止に努める旨の書面を提出したものでございます。
#190
○神谷信之助君 以上幾つか問題の大半は触れてきたのですが、持ち時間がもうわずかでありますからあと一、二にします。
 長官、私はどうしても納得できないんですよ。神奈川県警で内部調査をして本人が事実をありのままに述べない。だれがやったのか知りませんよ、しかし少なくとも上司でしょう。それに対して事実をありのままに言わないということでしょう。だれが一緒に関与したのか、だれの指示でやったのか、金はどこからつくったのか、その間いろいろ事実があるわけでしょう。それについて述べない。そして検察庁が少なくとも盗聴をしようとしたそのことを認定する。起訴猶予であるけれども有罪判決を得るに足る証拠ですよね。そういう憲法違反の違法の事実であり、しかも宣誓をやりながらそういうことをやった。そういうことをやる行為が犯罪行為であることもよく知っているはずの警察官、公安一課と言ったね。警備活動をやっている専門の警察官、そんなことはよく知っている、熟知している者がやった、犯罪を。この行為をやれば犯罪になるということを知っておりながら警察の権力を利用してやっているわけだ。だとしたら、懲戒という処分におさまるはず
がない。それがなぜ懲戒でとまるのか。なるほど神奈川県警本部長それから警察庁の三島警備局長が退職をされました。それで済む問題じゃないです。最高の責任者は警察庁長官あなたでしょう。
 アメリカで同じ盗聴事件ではニクソン大統領が辞任に追い込まれたでしょう。本来、日本でも内閣総辞職にまで発展しかねない重大な問題ですよ。だからひた隠しに隠している。そして神奈川県警の本部長や警察庁の警備局長には、その事件を含めてまだ定年ではないのに退職する。言うならば責任をとらず。じゃあ、最高責任者のあなたはどうなんですか。そういうことを二度とやらせないようにわしはいつまでも頑張っているんや、そんなばかな話ないですよ。警察庁長官としては、最高責任者として行為をやったそのものを厳しくけじめをつけると同時に、その事実を国民の前にまず解明する。その責任こそ大事でしょう。そうしてその上で、こういう犯罪を部下であれ行ったことについて、警察庁長官として辞職をして責任をとるというのは当然の態度じゃないですか。私はそう思うんだけれども、あなたはどうですか。
#191
○政府委員(山田英雄君) 私自身の責任のとり方についての考え方は先ほど御答弁したとおりでありまして、かかることの再びないようにあらゆる対策を全力を尽くしてとってまいるところに私の責任があると考えておるわけであります。
 それから、懲戒処分並びに実態解明の点につきましては、先ほど来お答えしていることの繰り返しになって恐縮でございますが、実態を解明し得なかったという問題は私自身も痛切に受けとめております。そのことを含めた反省点というものを局長通達を発していろいろな今後の諸対策を打ち立てまして、かかる行為の再びないように、その前提としての職場の内部管理の問題、身上監督の問題を徹底していくことがまず必要である、かように認識して努力をいたしておるところであります。
#192
○神谷信之助君 公安委員長、ずっとお聞きのような長官の答弁ですよ、私は本当に憤慨にたえないですね。これだけの重大な違憲違法の犯罪行為をまさに容認する態度ですよ。再発阻止の通達を出してそれでちゃんとなるのなら結構なことです、そんな警察の体質じゃないでしょう。神奈川県警が内部で調査をしてもいまだに事実が明らかにできない、全部が秘密のベールで覆い隠されている、憲法に対する反逆行為でしょう。憲法に禁止されていることを知りながら、権力を握っている警察官が、しかも組織的にやっているんですよ、だから戒告処分なんです。勝手にやった行動やったら懲戒免になるのが当たり前でしょう。上司の命令を受けてやってちょっと失敗してへまして見つかってしもうた、見つかったのは悪いからその点は戒告しておく。だから戒告なんですよ。こんなことがまかり通っていって民主社会は成り立たぬと私は思う。
 警察に対してしっかりと責任を持っている国家公安委員長として、きょう私が追及した点について責任を持って事実の解明とけじめをつけてもらいたいと思う。そうして初めて憲法が存在をするということが証明できるし、民主主義社会を発展させる決意を示すことになる、あるいはまた、被害者と国民に謝罪をすることにもなる、私はそう思うんですが、国家公安委員長の見解を承りたいと思います。
#193
○国務大臣(葉梨信行君) このたび神奈川県警の警察官二名が電気通信事業法違反といたしまして、東京地検により起訴猶予の処分を受けましたことはまことに遺憾であります。一部警察官の行為が地検の捜査の対象とされ、国民の警察への信頼を損なうこととなりましたことを厳粛に受けとめております。警察庁においては緊急の通達を発するなど、今後再びこのようなことの起こることのないよう指導の徹底を図っているところでございます。
 国家公安委員会といたしましても、警察の諸活動は常に適法妥当に行われるべきであると考えておりまして、こうした立場から警察庁に対しまして、今回の事案を教訓として内部の管理体制を確立するなど、早急に万全の措置を講ずるよう指示しているところでございます。今後このような対策を徹底してまいることによりまして、国民から負託されました治安維持の責任を果たしてまいりたいと考えております。
#194
○神谷信之助君 私は今の委員長の答弁には不服です。不満です。国政をあずかる国務大臣であり国家公安委員長である、政治家の一人である葉梨さんが、官僚のつくった作文を読むようなことでは私は非常に遺憾だと思う。私はそういう答弁を期待しない。まさに民主主義の危機にかかわるような重大事件に対して、毅然とした自分の言葉で語れないような答弁は不満であることを申し上げて私の質問を終わります。
#195
○抜山映子君 地方交付税法によりますと、自治大臣は地方団体に交付すべき普通交付税の額を八月三十一日までに決定しなければならない、こうなっておりますが、今年度は御存じのとおりのこのような状態の中で支給額が今日まで決定できない状況にあります。各自治体は現在どのような状況にあるでしょうか、御説明ください。
#196
○国務大臣(葉梨信行君) 普通交付税の八月決定ができなかったことは、地方団体に対しまして大変心苦しく感じておる次第でございます。
 自治省といたしましては、このことによりまして地方団体の財政運営に著しい支障を来すことのないよう最大限の努力を払ってまいったつもりでございます。既に一部の地方団体におきましては九月補正予算の編成作業に取りかかっているところもあると承知しておりますけれども、自治省におきましては、地方交付税法改正案及び地方税法改正法案の国会審議の状況を踏まえながら、法案が成立次第直ちにこれに沿った普通交付税の決定をなし得るよう、許容される範囲で最大限の事前準備作業を行っております。また地方団体に対しましては、法案成立後の算定見込み額の試算を行い得るよう必要な情報の提供を行ってきているところでございます。
 地方団体におきましては一日も早く正式決定がなされることを望んでおるわけでございまして、自治省といたしましても両法案が速やかに成立するよう強く希望しているところでございます。
#197
○抜山映子君 ただいま一部地方団体ということをおっしゃいましたが、その一部地方団体とはどれぐらいの数に上っていますか。
#198
○政府委員(矢野浩一郎君) 正式の数を確かめたわけではございませんが、通常地方公共団体の最も中心をなします九月補正予算につきましては、一般に都道府県は相当数がもう既に予算編成作業を行っておるところでございます。市町村は一般的には都道府県よりもやや遅く議会が開会されるのが通例でございますので、市町村におきましては府県ほど予算編成作業はまだ進んでいないかと存じますが、いずれにいたしましても、地方公共団体におきましては普通交付税の正式決定に基づいて予算を計上するのが、これが最も予算の計上の仕方として、また提案をいたしました後、議会に対する説明といたしましても必要なことでございますので、先ほど大臣がお答え申し上げたように、早期成立を望んでおるということでございます。
#199
○抜山映子君 そうしますと、参議院において地方交付税法の改正が可決成立いたしましたなら、交付税額を決定して自治体に交付するんでしょうか、それとも地方税法の成立を待って交付額の決定を行うんでしょうか、どちらですか。
#200
○政府委員(矢野浩一郎君) 自治大臣が毎年度地方団体に交付すべき普通交付税の額を決定するに当たりましては、必要な要件といたしまして交付税の総額が確定をしておるということ、それから必要な財政需要を計算するための基準財政需要額、この算定方法が改正を含めて決まっておるということ、並びにての財政需要から差し引くべき基準財政収入額、この合理的算定ができるということ、この要件があるわけでございます。
 地方交付税法の改正案が成立をいたしますと、この三つの要件のうちの二つ、総額の確定及び基
準財政需要額の算定、これは可能でございますけれども、もう一つの要件、基準財政収入額の算定を行いますためには、どうしても改正をお願い申し上げております地方税法の改正法案が成立することがぜひとも必要でございます。そういう意味で、地方税法改正法案が成立をいたしませんと、普通交付税の算定を行うことができないという事情にございますので、この点を御理解賜りたいと存じます。
#201
○抜山映子君 そうしますと、せっかく衆議院の方で八月三十一日の交付決定時期に間に合わせるために、地方税法と地方交付税法をわざわざ切り離して地方交付税法を先に可決した意味合いが無意味に帰する、こういうことになりはしませんか。
#202
○国務大臣(葉梨信行君) そういうことで、ただいま局長から申し上げたような事情がございまして、両法案は一体といいますか、どうしても両法案が成立しなければならないということを実は衆議院でも法案審査の際に御説明申し上げて御協力をお願いしたわけでございます。国会運営の都合上、交付税法案が先に可決成立し参議院に送られたということは、大変残念に思っている次第でございます。
#203
○抜山映子君 地方税法の改正において、今年度の先ほど申されました基準財政収入額にかかってくるのは、たばこ消費税の延長と電気ガス税率の特例措置の二項目にすぎないわけでしょう。そうしますと、これらは次年度以降に精算措置を講ずれば十分なことじゃないのですか。地方団体の方では一刻も早く地方交付税の交付を待っている、多くの地域が不況地域に指定されて哺吟している、そういう地域の経済振興を図るためにも地方交付税は参議院の成立を待って速やかに交付額を決定すべきじゃないですか。
#204
○政府委員(矢野浩一郎君) 基準財政需要額の算定の基礎となります地方税法改正案におきましては、御指摘のように、たばこ消費税の特例税率の適用期間の延長あるいは電気税、ガス税、木材引取税の問題、そのほか非課税等の特例措置の期限切れに伴う必要な措置などが幾つかございます。
 ただ、いずれにいたしましても、政府といたしまして交付税法の改正案を御審議をお願いし、またあわせて、これと不可分の関係にございます地方税法の改正案をお願い申し上げているわけでございますので、やはりそれを前提に財源措置をも組み立てておるところでございます。
 御指摘のように、その部分については後年度において精算をすればいいではないか、こういう御指摘でございますが、現在の地方交付税の算定の仕組みは、その年度の地方財政に対する、地方団体に対する財源措置全体の仕組みの中でできておりますので、御指摘のような電気ガス税あるいはたばこ消費税について、これを放置したままで翌年度の精算に回すということはできかねるわけでございます。現在法律上、地方交付税法上規定があって、精算ができるものは、いわゆる地方の法人関係税のみと、このようになっておりまして、これらにつきましては個別の団体ごとに、やはり年度間の変動がかなりございますので精算措置をとっておりますけれども、それ以外の税収については精算措置をとるような仕組みになっていないというようなこともございますというわけでございます。
 御指摘のように、確かに不況地域等交付税の正式決定を首を長くして待っておる団体が多いわけでございます。私どもも先ほど大臣からお答え申し上げましたように、事前準備作業を通じましてできるだけ地方団体に必要な今年度の交付税の額の決定について、必要な情報が入るような努力をしてまいってきております。そういう意味で地方団体として、大ざっぱではあるけれども、正式決定ではないけれども、この程度の額が大体見込めるのではないかというような予測をできるだけ可能にするように配慮してまいってきておるところでございますが、しかしそれにいたしましても、やはり早期に正式決定が必要なことはもう言うまでもないところでございまして、重ねてその点をお願い申し上げる次第でございます。
#205
○抜山映子君 ところで、自治省が過ぐる八月四日に各自治体に送付した財政課長内簡によりますと、マル優制度の廃止に伴う都道府県利子割交付金を六十三年一月一日から実施することになっているわけですね。しかしこれは、きのう衆議院の方の大蔵委員会あるいは地行委員会で修正案が提案されて、マル優の原則廃止などの実施時期は六十二年の一月一日から六十三年四月一日に延期することになったわけですね。これによって歳入減が生ずることになりますが、これは幾らになって、その補てんをどうするんでしょうか。
#206
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘のように、政府の提案といたしましては道府県民税利子割、並びに市町村に対する利子割交付金については明年一月一日より実施ということで御提案申し上げたわけでございますが、この点が衆議院において、先ほどと存じますが修正をされまして、その実施時期は四月ということになったわけでございます。政府としては一月一日で提案をいたしましたので、提案に当たりましては地方団体にそのように連絡をいたしました。しかし四月実施ということになりますと、これに伴って予定しておる額が、利子割の予定額が本年度は収入できないということになるわけでございますので、これによる影響額が百二億円と算定をいたしております。
 したがいまして、交付団体、不交付団体を通じて百二億円の財源不足額が増大をすることになるわけでございますが、この点につきましては国会の御修正ということでございますので、これを受けとめまして、この財源不足については本年度の当初の地方財政対策の場合と同様、また今回の税制改革の見直しによって生じました地方税、譲与税関係の財源不足、減収額のより大きい部分に対する措置と同様に財源対策債を同額増額することによりまして、地方財政の円滑な運営に支障の生じないよう補てんをしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#207
○抜山映子君 政府は、昨年度の国と地方の約束を破って、今年度も投資的経費を中心として補助率の再引き下げを行いましたけれども、これは国と地方との財政についての信頼関係を破壊することになると思いますが、いかがですか。
#208
○政府委員(矢野浩一郎君) 御指摘のとおり、昭和六十二年度において公共事業等につき、さらに国庫補助負担率の引き下げが行われたのでございますが、この点につきましては委員ただいま御指摘のように、昭和六十一年度の国庫補助負担率の引き下げに際しまして、三年間は基本的に国、地方間の財政関係を変更することをしないという約束がございました。そういう観点からそのすべてではございませんが、特に公共事業について補助負担率を引き下げる。さらに引き下げるということについては地方団体からも強い反対があり、自治省といたしましても三年間は変えないということにすべきであるということで、この点については国の財政当局との間に意見の一致を見ない状態が続いたわけでございます。
 しかしながら、最終的にはいろんな諸事情、特に急激な円高の進展など経済情勢が激変をする中で公共投資の拡大による内需拡大、内需の振興を図るということが、これが重要な課題になっているということ。また第二には、国の財政再建路線を引き続き維持しなきゃならない。また建設国債の増発を避けて、しかも公共事業の事業量を確保する必要があるという、いわば政府全体としての苦しい事情がございます。
 そういう観点から、提示のありました補助率引き下げによる地方団体への影響額を大幅に圧縮をした上で緊急避難的に引き下げをする、こういうことにし、しかもその減少相当額、それによるところの国費の減少相当額は特例措置で地方債で立てかえをするわけでございますが、その元利償還金については個別団体ごとにも、また総額としても交付団体分はすべて将来交付税で特例的に加算をするということに相なりましたので、地方財政に対して、これによって大きな支障が生ずることはないという結果を踏まえ、自治省としては大変
苦しい選択でございますが、やむを得ないと判断したものでございます。
 私どもとしては、国、地方間の財政関係を基本的に変更しないという六十一年度の自治、大蔵両省間の約束並びに国会等に対する御説明、この趣旨に実質的に背くことにならないように、そういった財源措置を講ずることによって何とか国と地方の信頼関係をも保ちたい、こういう努力を払ったつもりでございますことを御理解賜りたいと存じます。
#209
○抜山映子君 ただいま緊急避難的に補助率の引き下げを行ったものであると、このように言われました。緊急避難的にという言葉からいたしますと、そんな緊急事態はそうそうあってもらっては困るわけですね。じゃ、今後はそのようなことはないと確約いただけますか。
#210
○政府委員(矢野浩一郎君) もう御指摘までもなく、こういったようなことが再三行われるということになりますと、これはもう地方団体が中長期的な見地から計画的な財政運営を行うのに非常に支障が生ずるわけでございます。そういう意味では国庫補助負担金の基本は、これはもうやはり安定していなければならないと思います。確かに公共事業の量を拡大してどうしても内需拡大をやらなきゃならないという緊急の状況にあったということは事実でございますが、今後そういうような仮に事情が生じたとしても、軽々にこういった国庫補助負担率の引き下げを行うべきではないというぐあいに考えておるところでございます。
 先ほど申し上げましたように、自治省としては大変苦しい選択でありましたが、そういった事情で地方に対する財源措置をもより一層手厚く講じた上でこれを最終的に合意をしたわけでございますが、今後こういったことによって地方財政の安定的な運営に支障の生ずることの決してないように、国庫補助負担率の問題についてはただいま御指摘のようにこれを軽々に変えるというようなことのないよう十分留意し、努力をしてまいりたいと考えております。
#211
○抜山映子君 今後このようなことがないように努力する、こういうように言われたわけですけれども、大臣、私確認とりたいと思うんですが、このようなことはないと確約していただけますでしょうか。
#212
○国務大臣(葉梨信行君) 今までもこういうことは望ましくないということで財政当局との折衝におきましてはきつく臨んでいたわけでございます。
 ただいま局長から御答弁申し上げたように、この緊急経済対策をぜひ行って景気浮揚を図らなければいけない。こういう状況からいろいろ知恵を出し合った結果、ああいう措置をとったということでございます。
 ただ、今度状況は少し変わってまいりまして、六十二年度の概算要求でございますかについては、経常経費はマイナスシーリングを行いますが、投資的経費については前年同様、あるいはNTTによる資金を利用するというように状況は変わってまいりましたから、昨年度といいますか、昨年度末の予算編成時とは違ってくるのではないであろうか。いずれにいたしましても、地方にこれ以上負担がかからないように努力をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
#213
○抜山映子君 地方団体は中長期的な展望に立ってそれぞれ事業計画を持っておるわけで、このように約束をほごにして補助率の引き下げを行うということは、非常に壊滅的な将来そういう計画も策定できない、こういう結果になりますので、ひとつただいまの大臣の御努力をよろしくお願いしたいと思うんです。
 今年度の場合、投資的経費を中心として補助率の再引き下げを行った。交付税交付団体については臨時財政特例債という地方債の発行を認めて、その元利償還を一〇〇%交付税で措置することとしていると言うんですが、その場合交付税の上乗せを行うんですか、それとも交付税の枠内で処理する、こういうことですか。
#214
○政府委員(矢野浩一郎君) 昭和六十一年度の、つまり昨年度の国庫補助負担率の引き下げに際しましては、それによって国費が減少をする分、したがって、地方団体の負担が補助率の引き下げそのものによって増加をする分につきましては臨時財政特例債を発行し、その元利償還金は、これはもちろん個々の団体ごとに一〇〇%償還年次に当たって基準財政需要額に算入するわけでございますが、その総額の原資については全体の二分の一、これを法定の交付税のほかに特例的に加算をする、こういう約束をしたわけであり、そういう措置を今後とってまいるわけでございます。
 そして昭和六十二年度の、つまり今回のさらにその上の公共事業の補助率カットにつきましては、同様に高率の団体についてはもちろん交付団体、不交付団体を問わず基準財政需要額に算入をするわけでございますが、その原資については、現実に交付税がそれによって増加を必要とすることとなるであろうと推定される額、つまり全体の九〇%でございます。これについて将来法定額の上に特別に加算をする、こういう約束でございます。
 したがいまして、不交付団体につきましては、基準財政需要額には算入いたしますけれども、それによってもなお税収の方が多いということになりますと、結果的に交付税が出ないわけでございますが、これは現在の交付税の仕組み上やむを得ないことと存じ、これは地方債によって必要があれば措置をするということになるわけでございます。
 また六十一年度は、総額の原資としては二分の一でございますが、残りの二分の一の総額の所要額につきましては、これはそれぞれの年度、つまりその元利償還が具体に発生をしてくる年度の地方財政対策を通じて確保を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#215
○抜山映子君 そういうことですと、一〇〇%交付税で元利償還するといっても、それは将来交付される交付税額を先食いするというような結果になるわけですね。
#216
○政府委員(矢野浩一郎君) ただいまお答え申し上げましたように、昭和六十二年の補助率カットによる国費の減少相当分、これに見合って臨時財政特例債を発行したその元利償還金については、それによって生ずる交付税総額の増加額、増加所要額、これについては将来特例加算をするということでございますから、もとよりこれは先食いにはならないというぐあいに考えております。
 昭和六十一年度分については、総額の二分の一が特例加算をされるわけでございますが、それぞれの年度において地方財政対策を通じ、そういった元利償還の増加に伴って交付税の総額が不足する場合にはこれに対して必要な措置を講じてまいりたい、このように考えておりますので、いずれにいたしましても将来の交付税をそのために食われて、これによって地方財政の運営に支障の生ずることにはならないようにいたすつもりでございます。
#217
○抜山映子君 大臣、補助率の引き下げや地方債のツケ回しという形で国の財政再建のしりぬぐいを地方団体が現在負わされる現状ですね。大臣としてどのようにお考えでございましょうか。
#218
○国務大臣(葉梨信行君) 国庫補助負担率の引き下げは国の極めて厳しい財政事情のもとに暫定的に行われているものでございます。その影響額につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、地方財政の運営に支障が生じないよう手厚い補てん措置を講じてきていることからやむを得ない措置であったと考えております。
#219
○抜山映子君 それでは大臣、来年度予算の編成に当たってどのような方針で臨まれますか。
#220
○国務大臣(葉梨信行君) 国庫補助負担率の引き下げ措置は昭和六十三年度までの暫定措置でございます旨は、昨年暮れ大蔵大臣と私自治大臣との間で覚書を取り交わしているところでございます。覚書によります約束は当然守られるべきものでございます。来年度において大蔵省からさらに国庫補助負担率の引き下げを行うような提案はあり得ないと考えております。
 なお、引き続き明年度の予算編成に向けて、単に地方に負担を転嫁するような補助負担率の引き下げ等の措置がなされることのないよう、自治省といたしましては必要な意見を述べ、適切に対応してまいる所存でございます。
#221
○抜山映子君 今回の税制改革によって、国と地方との税源配分の割合はどのようになるんでしょうか。
#222
○政府委員(矢野浩一郎君) 国と地方間の税財源配分の数字がどうなるか、こういうお尋ねと存じますが、昭和六十二年度の当初の見込みでは、租税全体に占める国税と地方税の割合はおおむね六三対三七、国が六三、地方が三七ということになっておりまして、これに国から地方に交付される地方交付税、地方譲与税、これを加味いたしまして実質的な国と地方との財源配分の割合を見ますと、これが国が四七、地方五三、こういう割合になっております。
 なお、当初の提案申し上げました税制改革案を見直しをいたしまして、今回御提案申し上げておる見直し後の国と地方との財源配分の割合につきましては、これは現在までのところ所得税法等改正案に基づく六十二年度の国税収入の見込みがまだ実は明らかにされておりませんので、その辺がはっきりしませんと正確な数字は申し上げにくいのでございますが、仮に国税収入が当初の見込みと同額であるとして計算をすれば、実質的な国と地方との財源配分の割合は当初の場合と同様四七対五三ということになるものと見込まれます。
#223
○抜山映子君 現在地方団体の財政悪化の状況ですね、特に公債費の負担比率、どのように把握しておられますか。
#224
○政府委員(矢野浩一郎君) 今日の地方団体の財政状況が極めて厳しい状況にございますが、その大きな原因をなしておりますものが公債費負担の増高にあること、御指摘のとおりでございます。
 その状況について見てまいりますと、公債費負担比率、まあ簡単に申しますと、一般財源の総額に占める公債費の一般財源所要額の割合でございますが、これを公債費負担比率と呼んでおります。この公債費負担比率が二〇%以上の市町村の状況を見ますと、これは昭和四十九年度にはそういう団体はございませんでした。しかし昭和六十年度、一番新しい決算によれば、この二〇%以上の団体数は市町村で千三十三、そのほかに府県が三つございますが、特に市町村の場合には全団体の約三分の一近くに達しておりまして、地方財政における公債費負担が極めて大きくなってきておると私どもとしては認識をしておる次第でございます。
#225
○抜山映子君 自治省は地方交付税の改正に伴う単位費用の改定において、国の総合経済対策に伴う公共事業等に要する経費の財源を措置するということになっていますけれども、具体的にはこれはどういうことをしていただけるんでしょうか。
#226
○政府委員(矢野浩一郎君) 今回の補正予算によりまして国の公共事業が極めて大きな規模で追加をされたわけでございますが、これに伴いますところの地方負担額、公営企業まで含めますと約一兆二千億でございますが、公営企業は、これは原則起債で措置をいたしますので、それ以外の一般行政の部門、すなわち普通会計の地方負担額は九千八百七十七億円でございます。この中には公営企業への繰り出し分も百三十五億ほど含んでおりますが、この九千八百七十七億円に対しまして、その財源としては地方交付税を三千五百億円、それから地方債を六千三百七十七億円予定をしておるわけでございます。
 従来、追加公共事業の場合には地方負担に対する措置は全額地方債というのが通例でございましたが、本年度の追加規模が大変多額であるということから、厳しい地方財政事情を踏まえまして、各地方団体が安心して追加公共事業の円滑な執行ができますように地方交付税による措置をもあわせて行うということにしたわけでございます。
 なお、地方債で措置する額の中で、これは先ほどお尋ねの国庫補助負担率の引き下げ措置にかかわる部分もやはり同じように入るわけでございますが、これについては国費減額相当額は千三百五十億円、これだけその中に含まれております。これについては先ほど申し上げましたように、元利償還に当たって各団体ごとに全額元利償還費を将来算入してまいる、こういうことにいたしておるわけでございます。
#227
○抜山映子君 ただいま伺ったところによりますと、国の公共事業についてはおっしゃったような財政措置によって事業の遂行は可能だろう、しかし地方自治体が行う単独事業については、特に不況地域とか財政力の非常に乏しい自治体では不可能になるのじゃないか。これらの地域についてはどのような財政対策を講じていただけるでしょうか。
#228
○政府委員(矢野浩一郎君) 緊急経済対策において掲げられました地方単独事業八千億円という額でございますが、その意味は、各地方公共団体が当初予算編成以後補正で追加を期待し得る額ということで組み込まれた、掲げられたものでございます。したがいまして、緊急経済対策における地方単独事業の意味は、当初の地方財政計画の上にさらに上積みをするというものではございませんので、考え方としてはその枠内ということでございます。
 ただ、個別の団体が、特にその状況に応じまして単独事業を積極的にやりたいというところができるだけ予算を追加計上しやすいように、地方債の充当率において特例的な引き上げ、弾力的措置を講ずるということにし、また特に不況地域の市町村側につきましては、地域経済活性化のためのプロジェクトを行うという場合に、地域総合整備事業債、これは将来その一部について交付税の元利償還算入措置のある起債でございます、地方債でございますが、そういう地域総合整備債についての充当の割合を引き上げるなどの財政上の支援措置というものを講ずることにしておるところでございます。
#229
○抜山映子君 ひとつそれをトラスチックに考慮していただきたいと思います。現在の状況をこのまま放置しますと、自治体間の財政力格差がますます拡大していくだろうということが懸念されるわけでございまして、ひとつその点について配慮をお願いしたい、このように思うわけでございます。
 ところで、来年は固定資産税の評価がえが行われる年のように承っておりますけれども、固定資産税の基準宅地の評価上昇率、これ東京二十三区を仮にとりまして、昭和四十五年から昭和六十年まで上昇の率は一体何倍になるのか、お答えいただきたいと思います。
#230
○政府委員(渡辺功君) 基準宅地の上昇率の数字、順を追ってはただいま手元に持っておりませんので、調べましてお答え申し上げます。
#231
○抜山映子君 私がいただいた資料によりますと、四十五年から四十八年が一・三八倍、四十八年から五十一年一・二四倍、五十一年から五十四年が一・一六倍、五十四年から五十七年一・二六倍、五十七年から六十年一・二五倍と、このような数字をいただいております。これは関係官署どこだったかちょっと私も失念しましたが、書いてございませんが、これを掛け算しますと三倍超えておるわけですね、四十五年から六十年まで。これはかなりの上昇率だと思うんです。恐らく収入の方、月収の方はこんなになっておらないと思います。したがいまして、どんどん固定資産税の負担が重くなっているということが言えると思います。
 私から申すまでもなく、地価が上がっても、そこに住んでいる人間にとっては物件を売らない限り何のメリットもなくて固定資産税だけ重くなるというのでは、本当にもう泣くに泣けないわけでございます。しかも老年期にはだれしも友人、知己の多い住みなれた地域に引き続き居住したい、売って引っ越すなんということはとても考えられない、こういう状況にあるわけでございまして、そのことをぜひ勘案して固定資産税を大幅に上げるというようなことはない、少なくとも例年並みというようなことを切望したいと思うのでござい
ますが、この点についてひとつどのようにお答えいただけるかお願いしたいのでございます。
#232
○政府委員(渡辺功君) 失礼いたしました。
 先ほど委員から御質問の固定資産税の基準宅地の評価上昇率でございますが、東京二十三区の基準宅地につきまして、お示しの数字のとおりでございます。
 なお、これが全体として相当な上昇と見るかどうかということにつきましては、いろんな見方があると思います。地方公共団体の基幹的な税目としての固定資産税ということで考えますというと、三年間のこれは評価の上昇でございますから、それをどう見るかということでございます。またもう一つ、固定資産税全体の負担というものが、国民所得対比どの程度になっているかということを申し上げますというと、昭和三十年に一・五%ということでございます。現在が一・六%というような状態でございまして、昭和三十年以来若干下がったりあるいは上がったりした時代もございますけれども、現在の状況はそういう状況でございます。そういうことをどう考えるかということになると思います。
 また同時に、市町村のこれは財政を賄う重要な財源でございますが、その市町村を賄う財源としてのウエートは、固定資産税は年々低下の一途をたどっておりまして、こういった点が市町村の自主財源、自主税源の低下ということの主要な要因になっております。したがいまして、この辺はいろいろな事情があってそういうことに対応しなければなりませんけれども、同時に市町村の財政を賄うという見地からは、これの御負担をいただくということについて御理解をいただいていかなければいけない、そういう課題であろうと思います。
 そこで次に、固定資産税の負担の上昇というものが急激であるということが不適当ではないかという御趣旨の後段のお話でございます。これについてどう考えるかということでございますが、固定資産税は資産の有する価値に着目いたしまして、資産を有することに担税力を認めて税負担を求める、そういう税金でございますから、やはり客観的に土地の利便性、価値というようなものに応じまして、公平にあるいは均衡のとれた形で評価して負担を求めていく必要があると思います。非常に価額の高い住宅地にお住まいの方、それほどでもないところにお住まいの方、あるいは土地を全然お持ちにならない方、いろいろな方がおるわけでございまして、そういった方々の間におきます担税力の差というものを反映させる形で負担を求めていかなければいけない、こういうことが大前提としてあると思います。
 しかしながら同時に、後段御指摘のとおりでございまして、負担の急増をもたらすというようなことは適当でないという点でございます。固定資産税は多くの納税者に対しまして毎年御負担をいただく、そういう税金でございます。そういう税金の性格にかんがみまして、負担の急増を緩和するためになだらかな増加となるような配慮が必要である、税制調査会においてもそういう御指摘をいただいているところでございます。
 今回の地価の動向を見ますというと、大都市の中心、商業地等におきます特異な地価の形成の状況、地価の状況ということがございますので、こういったことに十分留意いたしまして、評価に当たります課税団体と十分調整を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#233
○抜山映子君 どうも今の回答を伺っておりますと、財源確保ということに非常に重点を置いた回答だと思うんです。土地の利便性を特に考慮するというようなこと至言われました。しかし特異な地価の状況ということ直言われましたけれども、この特異なという状況ですね、ノーマルじゃないんですね、特異な地価の状況を、これを考慮に入れることが果たして穏当なのかどうか。例えば田園調布なんかでは、完全にこれは住宅地でございますけれども、一坪一千万円というようなことも言われておりまして、こういうものを考慮に入れて固定資産税を取る。それはもちろん地方団体の財源確保の意味においては大変結構なことでしょうけれども、例えば年金で暮らしているような老夫婦にとっては払えないじゃないかというようなことになってくると思うんです。
 ですから、先ほどなだらかな増加と、漠然とした言葉で言われましたけれども、実際にはどれぐらいの上昇率のことを考えていらっしゃるのか、もうちょっと明確に答弁していただきたいと思います。
#234
○政府委員(渡辺功君) 先ほどの御答弁で若干舌足らずだったかと思うのでございますが、特異な地価の形成の状況に配慮して評価がえをすると申し上げましたのは、そういう非常に急激な上昇というものがあるのだから、それをそのまま反映させるというような意味での配意、こういうことではございませんで、固定資産評価基準の中におきまして、市町村長は固定資産評価基準によって評価する、こういうことになっております。その評価基準の中におきましても、地価というものが例えば買い急ぎであるとか、あるいは将来の期待価格であるとか、そういったものによって不正常な要素で上昇しているという部分については、不正常な要素として除いて評価をする、これが固定資産税としての評価の基準指導として行われているところでございます。
 従来のような比較的全国的に同じような水準で地価が上昇するような場合には、ただいま申し上げましたようなかねてから評価基準の運用の上で注意事項となっている点も、特に強調をしないでも評価がえということが行われて、適正に行われてきたわけでございますが、今回のような状況になりますというと、特に従来から言われております。その点、特に留意をして課税団体でああ、評価団体であります市町村にも指導いたしまして、適切な評価がえが行われるように調整を図ってまいりたい、こういうことでございます。
 それから、どの程度の水準となるのかということは、まさに評価権限者であります市町村長の評価の問題でございまして、まだ申し上げられる段階になっておりませんが、委員御存じのとおりでございまして、特に最近の一年間におきます地価の上昇は非常に急激なものがありますが、それ以前の三年間、これが大体今回の評価がえの基礎となる数値というものをその段階で収集することになるわけでございますが、そういった段階におきましては比較的、絶対的には地価の上昇度合いも小さいということもございます。
 それからもう一つ、東京の二十三区の最高価格値というようなものの平均というのは相当な高さでございますが、全体としての商業地というものの上昇率はそこまではいってない、そういったような地価のいわば非常にばらつきの多い姿でございます。そういったこともよく念頭に置いて、市町村の評価がえに当たりましては指導を的確に行ってまいりたい、こういうことでございます。
#235
○抜山映子君 ということは、結論から言うと従来の上げ幅よりもっと大きく上げる、こういうことですか。
#236
○政府委員(渡辺功君) 従来の上げ幅より大きくなるということを申し上げているわけでございませんし、また必ずしも地域によっては少なくなるとも申し上げられませんが、地価の上昇が今のような状態で、ただいま私が申し上げましたような状態でございますから、世間に言われているような意味の大きな上昇率ということではないのではないかということは申し上げられるのじゃないかと思いますが、いまだその内容について申し上げられる段階には至っておりませんので、御了承をいただきたいと思います。
#237
○抜山映子君 ただいま、従来の上げ幅より大きくなるとは申せませんとお答えいただきましたので、特にそのことを再確認いたしておきます。
 それから、今度は霊感商法のことをちょっとお伺いしたいと思います。
 経済企画庁、霊感商法が、昨今新聞紙上あるいは雑誌でいろいろ書かれておりますが、この苦情件数の推移を五十九年、六十年、六十一年度において明らかにしてください。
#238
○説明員(植苗竹司君) お答えいたします。
 私どもの調査によりますれば、いわゆる霊感商法にかかる相談件数は五十九年度二千八百七十六件、六十年度三千二百九十九件、六十一年度五千三百五十七件、それから本年度の六十二年度に入りまして、四月から六月までの件数が千七百五十一件でございます。
#239
○抜山映子君 ついでに契約金額の推移、それから該当件数の推移ですね、これもお願いします。
#240
○説明員(植苗竹司君) この契約金額でございますが、これは一件当たり平均でございますが、約百六十万円でございます。
 それから、調査の内容をもう少し申し上げますと、特性につきましては、女性の被害者が約八割を占めておりまして、年代的には三十歳代が二二%、最も多くなっております。
 以上でございます。
#241
○抜山映子君 今、当事者の性別構成を明らかにしていただいたんですけれども、契約金額の推移ですね、徐々に大きくなってきていると思うんですよ。そこのところを明らかにしてください。
#242
○説明員(植苗竹司君) お答えいたします。
 契約金額につきましては、トータルでの平均が百六十万円でございますが、最も大きいものは二億二千八百万になってございます。
 金額の推移につきましては必ずしもデータ的に正確に出ておりませんが、傾向としてはかなり大きくなっていると言えようかと思います。
#243
○抜山映子君 私の方で昨日数字をいただいたのがありますので、多分おたくにもお手元にあるのじゃないかと思いますが、これですね、おたくからちょうだいしたものでございます。
 既払い金額、すなわち既に払った金額ですね、五十九年度がこれ、百万単位ですか。
#244
○説明員(植苗竹司君) 百万単位でございます。
#245
○抜山映子君 ありますでしょう。それちょっと明らかにしてください。
#246
○説明員(植苗竹司君) 大変失礼いたしました。
 既払い金額、これは年間トータルの金額でございますが……。
#247
○抜山映子君 ええ、それで結構なんです。
#248
○説明員(植苗竹司君) 百万単位でございまして、十八億五千九百万、これが昭和五十九年度でございます。それから六十年度が二十億六千八百万、六十一年度が六十五億ということでございます。
#249
○抜山映子君 該当件数もお願いします。
#250
○説明員(植苗竹司君) 該当件数、先ほど申し上げましたように、その金額の被害が出ております件数につきましては、昭和五十九年度二千二十七件、それから六十年度二千百二十八件、六十一年度三千七百十八件でございます。
#251
○抜山映子君 今明らかにしていただいたように、どんどんこの霊感商法の被害が大きくなってきている、こういうことが言えると思うんです。これは、衆議院の物価問題等に関する特別委員会におきましても、警察庁の方で「各種の悪質商法の中でも最も悪質なもの、」だと、「根絶されるまで、」「諸施策を講じていきたい、」、こういう答弁が出ております。
 そこで、警察の方にお伺いしたいんですけれども、検挙例を罪名別におっしゃってください。
#252
○政府委員(漆間英治君) 霊感商法に関する検挙状況でございますが、これまで警察庁に報告のありましたものは十五件であります。適用罪名別では詐欺罪、恐喝罪、脅迫罪、訪問販売等に関する法律、薬事法、迷惑防止条例等を適用して検挙いたしております。
 そのうち、昨年からことしにかけて五件検挙いたしております。それ以前は、特にこの霊感商法を指定して報告を求めておりませんので、必ずしも正確ではございませんが、昨年からは検挙すれば必ずこちらに報告をよこすようにということでございますので、この五件は正確にとっておる数字でございます。これは、いずれも印鑑の販売に絡むものでありまして、詐欺罪、迷惑防止条例違反、脅迫罪、それから同じく詐欺罪、こういうような状況になっております。
#253
○抜山映子君 経済企画庁の方で出た苦情件数は大変多いわけですが、検挙例は大変数としては少ないわけでございます。ひとつ、警察としても厳正に刑事法の適用をお願いしたいと思います。
 この被害防止についての経済企画庁並びに警察の今後の取り組み姿勢をお伺いいたします。
#254
○説明員(植苗竹司君) この商法に対する対応といたしましては、国民生活センター等におきまして、この種に対する消費者の相談等を受け付けますとともに、経済企画庁といたしましては、政府広報等によりましてこの商法の代表的な手口、商品等の情報提供を行って、今後消費者の啓発を行ってまいりたい、こう思っております。
#255
○政府委員(漆間英治君) 警察といたしましては、霊感商法を含むいわゆる悪質商法に対しましては消費者保護、弱者保護の立場から被害の未然防止、拡大防止を最重点として取り組んでおります。
 霊感商法につきましては、その態様によりまして脅迫罪、恐喝罪、詐欺罪あるいは薬事法、訪販法などを適用して厳正な取り締まりを行っていくとともに、関係行政機関等と密接な連携をとりつつ、その実態について効果的に広報をいたしまして、被害の未然防止、拡大防止に努めていく所存でございます。
 具体的には、霊感商法を含む悪質商法対策といたしまして、警察と地方自治体、消費者センター等との定期的な会議開催による情報入手、連携活動。それから各都道府県警察に悪質商法一一〇番というのを設置しまして、気軽に相談に応じられるような体制づくり。さらには「あなたを狙うだましのテクニック」というようなパンフレットをつくりましてこれをお配りいたしております。これは隠れたるベストセラーと言われるほど非常に幅広く各方面で使われているようでございます。
 そういったようないろいろな広報媒体を利用いたしましてこの商法の悪質性につきまして広報、啓発活動を行っているところでございます。
#256
○抜山映子君 各地方団体で消費者保護条例あるいはこれに類似する条例をつくって、このような霊感商法に該当するようなことについては企業名を公表したり、勧告したり、あるいは立入調査したりというような条項がある条例もあるわけです。けれども、余りそれが明確でない、そういう規定のない条例も恐らくあると思うんですが、このようなことへの各地方公共団体の取り組みがそれぞれまちまちであるということが、余計被害防止策を講じるについて不便ではないか、このように思うんですけれども、これに対してどのように今後取り組んでいかれるか、お伺いしたいと思います。
#257
○国務大臣(葉梨信行君) ただいま保安部長から御答弁申し上げたことに尽きると思いますが、違法行為がありましたら厳正に対処していきたい。
 それから、こういうやり方につきましてはいろいろな各方面に広報活動を行いまして、善良な国民が被害に遭わないようにしていきたいと思います。そういう意味では地方公共団体にも警察庁の担当の方からいろいろ連絡をいたしまして、十分にそういう活動が行き渡るように努力をしたいと考える次第でございます。
#258
○抜山映子君 終わります。
#259
○秋山肇君 最近というか、もうここ数年になるわけですけれども、地価高騰に関して一般の方々、国民の方を初め学識経験者、民間企業の経営者等いろいろな方面からの意見、要望が連日のようにテレビ、新聞等、マスコミに取り上げられておる現状でございます。これは単に地価が高くなったということだけではなくて、今まではある一部の人のこととして済んでいた相続税の問題、固定資産税の問題は先ほど抜山先生からもお話がありましたけれども、一般の人にまで重圧となって広がってきた。つまり、それだけ地価が高くなり過ぎたということになろうと思います。
 さらには、地上げ屋による悪質な手口、不動産業者が絡んだにせ領収書を発行して脱税の手助けをするいわゆるB勘屋の暗躍等、土地売買をめぐる手口が巧妙かつ悪質化してきている点も見逃せ
ない問題だと思います。
 具体的な数字で見ますと、六十二年四月一日の地価公示価格によれば、東京都の平均の前年地価変動率は住宅地で五〇・五%、商業地では七四・九%という超高率となっております。これらの実態に対処するため、東京都を初め自治体でも独自の対策を講じておられますし、政府も大変遅い対応だと思いますけれども、国土法改正に基づく監視区域制度を実施されたわけでございます。このような現状を踏まえました上で地価高騰対策に関することに関連して幾つかお伺いをいたしたいと思います。
 最近、土地の私権制限に関する議論が活発になってきました。これは私有財産制度を認める憲法の原則、私企業の自由等から考えてみても難しい問題を抱えていると思うのであります。またそれより問題なのは、地価高騰抑制を身をもって行わなくてはならない国が、国公有地を一般競争入札で売却するとすれば、民間の土地取引を抑えながら国が地価をつり上げるようなことをすることになり、地方自治体に対しても示しがつかないのであります。東京都では国より先に都条例で三百から五百平方メートル以上の土地取引をすべて届け出制にしました。ことしの七月までに届け出のあった約千三百件のうち三分の一を都が引き下げ勧告したりと努力をしてきております。自治体の力としてはおのずから限界があろうと思います。民間の土地取引のみ規制をして、国公有地の処分には何ら規制がないというのでは、現在の異常な地価高騰を抑制、鎮静化することはできないと思います。国公有地の売却に関しては、改正国土利用計画法の規制対象に含めるべきではないかと考えますが、自治省としてこの問題等を含め、また、大臣は、地価抑制に対してどうお考えなのか、この点を最初にお伺いいたします。
#260
○国務大臣(葉梨信行君) 今お触れになりました中の国有地とか旧国鉄用地の問題について申し上げますが、こういうような処分予定地の中には、各地方公共団体の都市開発とか町づくり等に重要な位置を占めているものが多くございます。
 国有地につきましては、公用とか公共用優先の原則のもとに、関係地方公共団体への随意契約によります優先譲渡がされることとなっております。また旧国鉄用地につきましても、公共用、公用等に供するための用地につきましては、地方公共団体への随意契約が可能となっているところでございます。地方公共団体はこれらの制度を有効に活用し、都市開発、町づくり等の施策を進めていっていただきたいと希望しているところでございます。
 旧国鉄用地が民間等に処分される場合におきましても、地方公共団体の土地利用計画等との整合性に十分配慮して、いろいろな計画を進めていただきたいと考える次第でございます。
 地価抑制の問題、地価の高騰問題についてどう考えるかと言われましたが、これについてはもうお答えは申し上げるまでもないことでございまして、ここ数年来のいろいろな要因による高騰については政府の責任も私は厳しく考えているところでございます。ただ、ここまで来た上は、これから先、これ以上このようなことが続くことがないように適切な対策をとらなければならないと考えておるところでございます。
 総理初め中曽根内閣におきましても、地価対策閣僚会議を設けていろいろ対応策を考えてまいりましたけれども、先般臨時行政改革審議会でございますか、あの中に地価対策を専門に御審議いただくセクションをつくっていただきまして、早急に結論が出せる問題、また長期的に、さっき先生もちょっとおっしゃいましたか、私権制限等に関する、もっと憲法にもかかわるような重要な基本的な問題についても検討していただくように要請をしているところでございます。
 国民経済にとりまして、地価というのが一番基本的な要件であろうと思いますから、国の経済の発展あるいは地方の活力、地方の繁栄のためにも、この対策には国民全体の衆知を集めて取り組んでいきたい、こう考えております。
#261
○秋山肇君 土地の値上がりはもう一部の人が利益を受けているということが大きな原因にもなっているわけですけれども、地価抑制策として今自治大臣もおっしゃられました監視地区制度の強化、私権制限、都市部機能の分散、いろいろ議論されているところですけれども、私は、現実的かつ実効的な面から見て、国公有地の土地信託制度の有効利用はどうなのかなというふうに思うわけであります。東京都も美濃部都政のときに財政破綻を来していて、新宿副都心の土地を売ってしまうということであったのですが、都民全体の財産を売るべきではないということを私、都議会のときに主張いたしまして、それが現在新宿で実施をされているわけです。これは土地信託制度の公有地版というものになるわけですけれども、信託銀行は受託した公有地にビルや商業施設などを建設し、その管理も担当、賃貸料などを政府、地方自治体に支払うシステムになっているようであります。信託期間が過ぎると公有地も不動産も政府、地方自治体に戻される。これだと土地の売却が伴わないので地価の高騰をあおらないということになろうと思います。
 そこで、私がお伺いするのもおかしいんですが、都が計画をしている都有地の場合、安田信託銀行の案を中心にして、住友、三菱の三行が共同でやっておられるといいますか、この詳細について数字であらわしていただきたい。
#262
○政府委員(大林勝臣君) 御指摘の東京都の土地信託でありますが、先般新都庁舎予定地に隣接します西新宿二丁目の七千平米余りの土地につきまして、安田信託銀行を中心に三信託銀行と二十年間の土地信託契約を締結いたしております用地上二十九階地下三階の賃貸用事務所ビル、インテリジェントビルとして建設、管理を委託したものであります。六十三年四月に着工いたしまして六十五年六月竣工、六十五年七月から賃貸を開始する予定と、こう聞いております。もちろん御指摘のように、これは信託銀行のノーハウを使いまして、将来都庁舎としても利用し得る可能性を担保しつつ、地価高騰を助長せずに都心部におけるオフィス需要の盛り上がりに対応した有効活用の例と考えております。
#263
○秋山肇君 今のお答えにもありましたけれども、二十年間で二千四百億円の配当が受けられるということを聞いております。売却益に相当するし、売らずに利益を上げることができるというわけであります。
 東京都以外でも大分県大分市の県立大分高校跡の再開発や大阪市の弁天町駅前の市有地開発、愛知県小牧市近郊の県有地、群馬県伊勢崎市の県の流通団地の分譲地などがあるということを伺っております。
 東京、大阪など大都市のオフィスビル需要がふえる中で、地方公共団体の施設が公有地信託で活用される例も出てきていると聞いておりますが、具体的にはどういったものがありますか。
#264
○政府委員(大林勝臣君) 現在私どもが聞いておりますのは、大体十カ所前後軌道に乗りつつあると認識をしております。御質問の大都市を中心といたします例といたしますれば、先ほどの東京都の例のほか、御指摘の大阪市港区弁天町の市有地に、将来事務所、賃貸及び分譲マンション、ホテル等から成ります超高層ビル群に加えまして、アミューズメント施設、商業施設をも建設しようという計画が現在決定をされております。
 さらに、これも場所は大阪市でありますが、徳島県の大阪事務所、相当老朽化が著しいものでございますので、御堂筋に面した一等地であることから、徳島県の大阪事務所及び物産センター、さらには民間テナントが複合いたしますインテリジェントビルを建築して有効活用を図ることが決定されております。
 さらに、東京都の新宿区市ケ谷におきまして、これは豊橋市の宿泊施設があるわけでありますが、これも老朽化が著しゅうございますので、市の宿泊施設と民間テナントが複合する建物を建築いたしまして有効活用を図ることが決定されております。
 大都市関係の信託事例としては以上でございます。
#265
○秋山肇君 大分今の御説明で数が出てきておるようですが、自治体の土地信託について自治省は事前聴取を自治体から受けることになっているでしょう。それで、法律改正後何件ぐらい事案が出てきたのでしょうか。
#266
○政府委員(大林勝臣君) おおむね十件ぐらい出てきております。
#267
○秋山肇君 全体として予想より私は少ないのではないかと思うんですが、事前聴取の中で行政指導がどういうふうにされているか。例えば行政施設の割合に上限を置くなど、制度の活用を抑える指導をしているということの事実はどうなんでしょうか。事実とすれば、より弾力的に対応していただいて前向きにこれを各自治体が取り組めるようにすべきではないかと思いますが、この点についていかがでしょう。
#268
○政府委員(大林勝臣君) 事前に御相談をいただいておる十件程度の計画というのは相当具体的に煮詰まった段階において御相談をいただいておるわけでありまして、まだ具体的な煮詰まりはございませんけれども、地方で自主的に現在検討が行われておる箇所というのは相当あるというふうに伺っております。最初の制度でございますので、地方団体としても経験がございません。信託銀行と地方団体の間に立ちましていろいろ慎重な取り運びをお願いしておるわけでありますけれども、この信託の制度を抑制するという趣旨では毛頭ございません。
#269
○秋山肇君 ぜひ積極的に信託の制度というのを推進していただきたいなというふうに私は思うわけですし、今までの既存の制度の有効利用というのをぜひ積極的にやっていただきたいと思います。地価抑制、土地の有効利用、地方自治体の財政負担の軽減ということからいっても効果があるだろうというふうに思います。
 それともう一つ、最近リゾート基地構想と言われる構想が出ていますね、あっちこち。何というんですか、これは。逆に民間の会社が、列島改造のころというと随分古い話になりますが、買ってある土地で利用できないで困っている、地方自治体と手を組んだらば生かせるというふうな土地があると思うんです。私も先日大島に行ってまいりましたけれども、大島へ行って話を聞きますと、二、三カ所そういう土地があるけれどもそれぞれでは利用ができない。それと島当局と組んでもっとお客さんのためになるような、観光客のためになるような、言うなれば逆信託ということになりますか、民間が公と組むという、公が民間にということじゃないんですが、この点についてはいかがなんでしょう。
#270
○政府委員(森繁一君) 今先生お話しの総合保養地域整備法につきましては先般の国会で成立いたしたわけでございますが、これまでおおむね七土地域ほどが指定を受けたい、こういう内々の意見の申し出がございます。それぞれの地域につきまして、現在どういう整備を進めていったらいいか、特に民間の活力を導入して行うということを一つの骨子にいたしておりますので、その辺を含めまして現在それぞれの地域で検討が行われておる段階であろうかと思います。その中には、今先生お話しのような仕組みをとるようなところも出てくるかもしれませんが、私ども現在のところ、まだそこまで承知をいたしておりません。いずれにいたしましても、民間の活力を最大限に利用するというのがこの法律の一つの骨子になっておりますので、その点は十分含んで今後対処してまいりたいと思っております。
#271
○秋山肇君 いろんなケースが出てくると思いますから、その点の対応をぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいし、また民間の方々とも自治省の担当の方は常に相互連絡を取り合って勉強していただきたいというふうに思います。
 次に固定資産税で、先ほど抜山先生も御質問でしたけれども、ちょっとお伺いをいたしますが、評価がえがもう来年に迫っているわけですけれども、先ほどのお話で極端なアップがないということでありましたけれども、ぜひひとつその点を踏まえまして、この辺が今の国民の、都民の皆さんの大部分の一番の関心事だろうと思うんです。というのは、何でそういうことを言うかというと、相続税は六十年、六十一年の路線価は変わらなかったのに六十二年になってほんと上がってきていますから、これは大蔵省の関係ですけれども、そういうようなことがあると大変な不安感を抱くわけですから、ひとつぜひその点を留意していただきたいと思います。
 固定資産税がそういうことになると、あと課税率の問題とかいろいろあるわけでありますけれども、そろそろ評価の問題が、三年に一度ほんと上げていくということだけじゃなくて、いろいろな点について手がつけられてない問題があろうと思いますが、この点の改正については自治省としてはどういうお考えなんでしょうか。
#272
○政府委員(渡辺功君) 固定資産税の問題についていろいろ検討すべき課題はないのかという御質問だと思います。
 私ども、固定資産税について現行制度を見ておりますというと、諸外国の類似の税金、一番似た形の税金を持っておりますのは合衆国でありまして、合衆国のプロパティータックスが一番の親戚でございます。そのほか、こうした不動産に対する課税はイギリス、あるいは西ドイツ、フランス等にあります。しかしこうしたヨーロッパ各国の不動産課税の状況と比べますというと、我が国の固定資産税は非常にすぐれた制度になっているというふうに考えます。ヨーロッパの状況を見ますというと、例えば評価がえということが的確な時期ごとに行われないために非常に不公平な税金となって、そのためにかえって批判が増大して、それが地方団体の財源としての意義を順次喪失してきているというようなこともございます。またアメリカの場合は、割合的確な評価がえが行われ、それによってアメリカの地方政府の存立の基礎となっておるわけでありますが、同時にその場合におきましてもいろいろな問題点を抱えているようでございます。
 固定資産税は、何せ非常にたくさんの、全部の土地というものを評価して、その評価に基づいて公平な負担を求めていこうとする税金でございますから、私どもといたしましてはそうした基本的な部分についてゆるがせにならないようにやっていかなきゃならない、こういうことが基本だろうと思っております。
 どういう点をお考えの上で御指摘かわかりませんが、例えば評価がえをもっと三年でなくて五年でやったらどうかとか、あるいは評価をもっと上げて税率を下げたらいいではないかとか、いろんな御意見があることは私ども承知しておりますが、それ一つ一つにつきましていろんなまたそれに伴う問題点がございます。私どもといたしましては、現在の評価というものを重ねることによりましてできるだけ評価の均衡化を図る、これがまず第一に必要なことではないか、こういうふうに考えております。
#273
○委員長(谷川寛三君) 時間ですから、簡潔に願います。
#274
○秋山肇君 今の、それは時間があればもっとあなたが言っていることに説明をしたいんですが、私が言いたいのは、今おっしゃるように公平でなきゃいけないという、やっぱり利用される形態と果たして固定資産税の評価がえをされているのが公平であるかどうかという問題がありますから、これは、時間ですからあれですが。
 ちょっともう一つ、法人事業税の分割基準について、これは二つ以上の都道府県にまたがる法人にかかわる法人事業税については、課税標準額を関係都道府県で案分するための分割基準が設定されております。現在資本金が一億円以上の法人にあっては本社従業員数二分の一として算定することとされているため、本社が集中している東京都は六十一年度四百三十五億円の減収を余儀なくされておるわけであります。最近、自治省内に研究会を設置されて、さらに都から財源を吸い上げるというような分割基準を見直そうという動きがあ
るように聞いておるんですが、この進捗状況というのはどうでしょうか。時間が過ぎて申しわけないんですが。
#275
○政府委員(津田正君) 事業税の分割基準につきましては、先生御指摘のとおり、本社人員を二分の一、そのほかのものは一〇〇%、こういうような配分でやっておるわけでございます。これは、昭和四十年代に検討の結果このようになっておるわけでございまして、当時の情勢といたしますと、いわゆるコンビナートであるとか、そういうような装置産業がかなり出てきておる。人数は少ないんだが非常に広大な面積をやり、工業活動も非常に活発にやっている、単純な従業員だけでの案分では公平な配分ではないのじゃないか。こういうような反省のもとに、本社二分の一というような算定が行われておるわけでございます。
 いずれにしましても、この分割基準の問題は、事業活動と行政サービスとの受益関係を的確に反映させ、税源帰属の適性化を図る必要がございます。四十年代に見直してその後行っておらないわけでございますが、最近の経済情勢を見ますと、いわゆる製造部門にロボットというものが導入される、人がいないでロボットでほとんど生産活動をやるとか、あるいは事務部門におきましてもかなりのOA化が進んでおる、従来のような従業員だけでいいのかどうか、こういうような議論が出ておるわけでございまして、もう十年以上たった状況でございますので、改めて現在の産業、経済の変化に適応した妥当な分割基準があるかどうか、検討を開始したような状況でございます。まだ二回程度の研究会しか闘いでおりませんで、今後企業の実態調査等も含めまして総合的な検討を進めてまいりたい、かように考えております。
#276
○委員長(谷川寛三君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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