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1987/07/06 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第1号
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1987/07/06 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第1号

#1
第109回国会 本会議 第1号
昭和六十二年七月六日(月曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第一号
  昭和六十二年七月六日
   午前十時開議
 第一 議席の指定
 第二 会期の件
 第三 国務大臣の演説に関する件
 第四 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算、
  昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算、昭和
  五十九年度国税収納金整理資金受払計算書、
  昭和五十九年度政府関係機関決算書
 第五 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額
  総計算書
 第六 昭和五十九年度国有財産無債貸付状況総
  計算書
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、議員江島淳君逝去につき哀悼の件
 一、特別委員会設置の件
 一、日程第二より第六まで
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 日程第一 議席の指定
 議長は、本院規則第十四条により、諸君の議席をただいまの仮議席のとおりに指定いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議員(藤田正明君) 議員江島淳君は、去る五月二十五日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は我が国民主政治発展のため力を尽くされました議員従四位勲二等江島淳君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(藤田正明君) 中野明君から発言を求められております。この際、発言を許します。中野明君。
   〔中野明君登壇〕
#6
○中野明君 本院議員江島淳君は、去る五月二十五日都内虎の門病院において腹腔内出血のため逝去されました。まことに哀惜の念にたえません。
 私は、皆様の御同意を得て、議員一同を代表し、工学博士、従四位勲二等故江島淳君のみたまに対し謹んで哀悼の言葉をささげたいと存じます。
 江島淳君は、昭和二年十月、山口県下関市で三百年続いた素封家の家にお生まれになりました。十九年には旧制豊浦中学校から海軍兵学校に合格、翌年敗戦を迎えて旧制山里高等学校に入り直した後、昭和二十六年に東京大学工学部土木工学科を卒業し、日本国有鉄道に就職され、広島鉄道管理局長を最後に退職されました。
 この間、国鉄在職時代には、三年余にわたりサンフランシスコ総領事館へ領事として出向し、当時日本移住百年記念の事務方としてその演出に一役買い、これを大成功に導くなど鋭い国際感覚を養われたほか、広島鉄道管理局長時代には、国鉄動力近代化計画に基づき既に全国からその姿を消していたSLを再度山口線小郡−津和野間に営業運転を復活すべく全力を傾けて全国に先駆けてこれを実現するなど、鉄道技術者としての枠組みを超えた行動力は高く評価されていたところであります。
 昭和五十五年二月に退職後、第十二回通常選挙に山口県地方区から当選され、次いで昨年再選を果たされました。
 この間にあって、五十六年には、「新幹線鉄道の桁式高架橋における地盤振動低減対策のための基礎研究」の論文を執筆され、東京大学から工学博士の学位を授与されております。
 私どもは、激職といわれる国会活動の合間を縫って新幹線鉄道公害防止に対する抜本的解決への君の鉄道技術者としての並々ならぬ良心が生み出したものと拝察するところであります。
 本院におきましては、当選後一貫して運輸委員会に在籍され、同委員会と議院運営委員会理事を務められ、また、科学技術及び国鉄改革特別委員会等の委員あるいは理事を経験されたほか、大蔵政務次官、国土審議会特別委員の要職をも歴任されるなど、卓越した見識とその政治的手腕は高く評価されたものと確信しております。
 また、党におきましても、国際局次長、建設部会、整備新幹線建設促進特別委員会並びに国民運動本部の各副部会長等を歴任されるなど、国際感覚を身につけられた工学博士としての君に二十一世紀を目指した我が国の政治経済のあるべき方向を切り開くことを期待されたこと多大であったと信ずるものであります。
 ここに、君が運輸委員会等を中心に御活躍された足跡を振り返ってみまするに、当選後直ちに、国鉄経営再建促進特別措置法案の審議に参画されたことを皮切りに終始、国鉄経営再建問題に真剣にかつ情熱的に取り組んでこられたことであります。
 特に、象徴的なことは、昨年の国鉄改革特別委員会におきまして、国鉄OBでもあられる伊江朝雄議員、青木薪次議員、穐山篤議員とともにくしくも国鉄改革関連法案の冒頭質問に立たれたことであります。
 その際の君の鉄道管理局長としての豊富な経験を踏まえた、国鉄の抜本的な分割・民営化推進の必要性、世界的水準にある国鉄技術集団の今後の活国策、従来ややもすれば公共性のゆえに種々制約の多かった関連事業推進に当たっての配慮、さらには、まじめに国鉄改革に取り組んでこられた労使双方の職員に対する思いやりと、あわせて国の積極的な支援の要請についての質疑内容は、全国の国鉄職員、家族等を含めて傾聴に値する実のある貴重な意見であったと記憶しております。
 また、五十七年九月には、ストラスブールの欧州評議会に出席され、日欧貿易インバランス問題についての君の発言は、日欧間の貿易の実態を正しくとらえた上で、保護主義的な動向に対しては、世界経済の活性化を通じて失業、インフレ等の諸問題を克服すること、EC側のより一層の対日輸出努力を払うことの必要性をそれぞれ強調されるなど、欧州側議員団に深い感銘を与えたものと思われます。
 なお、欧州評議会出席後オーストリア等への訪問の際、関係者の話によりますと、声楽家でもある瑛子夫人と雨中を親しく楽聖ベートーベン、
ブラームスの墓地を散策されるなど、君の夫人に対する優しさの一面をかいま見る思いであったとのことでありました。
 君はまた、剣道五段、ゴルフなどスポーツマンでもあられました。
 今日、我が国をめぐる内外の厳しい経済社会情勢の変化等に対応した二十一世紀を指向した明るい国民生活、科学振興、全国総合開発等の構築が政治に求められております。このような中において、本年一月、厳寒の中、君は中曽根総理大臣の北欧、東欧諸国公式訪問に同行されるという大役を果たされました。
 このように精力的に活動を続けられた君に対し、参議院議員二期目の活躍が強く期待されていただけに、突然に五十九歳の生涯を閉じられたことは、返す返すも参議院のため、ひいては国のためにも大きな損失であり、痛恨のきわみであります。
 ここに、江島淳君のありし日の誠実温厚な人柄と業績をしのび、院を代表して謹んで哀悼の意を表します。
 御冥福を心からお祈りいたします。
     ―――――・―――――
#7
○議長(藤田正明君) この際、特別委員会の設置についてお諮りいたします。
 科学技術振興に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る科学技術特別委員会を、
 公害及び環境保全に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る環境特別委員会を、
 災害に関する諸問題を調査し、その対策樹立に資するため、委員二十名から成る災害対策特別委員会を、
 選挙制度に関する調査のため、委員二十五名から成る選挙制度に関する特別委員会を、
 また、沖縄及び北方問題に関する対策樹立に資するため、委員二十名から成る沖縄及び北方問題に関する特別委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、科学技術特別委員会外四特別委員会を設置することに決しました。
 本院規則第三十条により、議長は、議席に配付いたしました氏名表のとおり特別委員を指名いたします。
    ―――――――――――――
   議長の指名した委員は左のとおり
○科学技術特別委員
      岡野  裕君    岡部 三郎君
      木宮 和彦君    後藤 正夫君
      出口 廣光君    成相 善十君
      長谷川 信君    林  寛子君
      堀内 俊夫君    前島英三郎君
      松尾 官平君    最上  進君
      稲村 稔夫君    久保田真苗君
      高杉 廸忠君    松前 達郎君
      飯田 忠雄君    伏見 康治君
      佐藤 昭夫君    小西 博行君
○環境特別委員
      青木 幹雄君    石井 道子君
      石本  茂君    梶木 又三君
      山東 昭子君    関口 恵造君
      曽根田郁夫君    原 文兵衛君
      星  長治君    宮崎 秀樹君
      森下  泰君    小川 仁一君
      田渕 勲二君    丸谷 金保君
      渡辺 四郎君    高桑 栄松君
      広中和歌子君    沓脱タケ子君
      近藤 忠孝君    山田  勇君
○災害対策特別委員
      井上  孝君    岩崎 純三君
      上杉 光弘君    浦田  勝君
     大河原太一郎君    下条進一郎君
      田代由紀男君    竹山  裕君
      永田 良雄君    野沢 太三君
      増岡 康治君    本村 和喜君
      青木 薪次君    梶原 敬義君
      松本 英一君    太田 淳夫君
      片上 公人君    下田 京子君
      勝木 健司君    秋山  肇君
○選挙制度に関する特別委員
      岩上 二郎君    梶原  清君
      金丸 三郎君    久世 公堯君
      佐藤栄佐久君    斎藤栄三郎君
      杉山 令肇君    田中 正巳君
      名尾 良孝君    藤野 賢二君
      降矢 敬義君    松浦  功君
      村上 正邦君    森田 重郎君
      吉村 真事君    上野 雄文君
      小山 一平君    佐藤 三吾君
      安恒 良一君    猪熊 重二君
      多田 省吾君    諫山  博君
      山中 郁子君    栗林 卓司君
      宇都宮徳馬君
○沖縄及び北方問題に関する特別委員
     伊江 朝雄君    板垣 保正君
     岩本 政光君    大城 眞順君
     大浜 方栄君    岡田  広君
     川原新次郎君    北  修二君
     志村 愛子君    高木 正明君
     矢野俊比古君    菅野 久光君
     鈴木 和美君    中村  哲君
     及川 順郎君    中野  明君
     市川 正一君    井上  計君
     喜屋武眞榮君    木本平八郎君
    ―――――――――――――
#9
○議長(藤田正明君) これにて休憩いたします。
   午前十時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時一分開議
#10
○議長(藤田正明君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第二 会期の件
 議長は、会期の件について議院運営委員会に諮りましたところ、会期を六十五日間とすべきであるとの決定がございました。
 会期を六十五日間とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、会期は六十五日間と決定いたしました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(藤田正明君) 日程第三 国務大臣の演説に関する件
 内閣総理大臣から所信に関し、大蔵大臣から財政に関し、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。中曽根内閣総理大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 第百九回国会の開会に臨み、所信の一端を申し述べ、国民の皆様の御理解と御協力を得たいと思います。
 私は、六月八日から十日までベネチアで開催されましたサミット、主要国首脳会議に参加し、世界が当面する諸問題について各国首脳と率直な意見交換を行ってまいりました。東西関係が重要な局面を迎え、世界経済が大きな国難に直面している今日、西側主要国の首脳が一堂に会し、西側の結束と政策協調の重要性を再確認した意義は大きいと考えております。
 世界は、今、二十一世紀への方向を定める歴史的分岐点に立っております。軍縮への機運を現実のものへと結実させ、将来にわたり、真に安定的で建設的な東西問題を築き、恒久的な世界平和への基礎としていくことができるかどうか、世界経済が保護主義の台頭により活力を失っていくことなく、各国間の政策協調のもと、自由貿易体制を堅持し、国際通貨関係を確実に安定させ、新たな発展に向かって進んでいくことができるかどうかの重要な岐路にあると思います。私は、このような考え方をサミットの場においても説明し、各国有脳との話し合いや意見の調整もこのような歴史認識の上に立って行いました。
 今回のサミットにおいては、米ソ軍備管理・軍縮交渉を中心とする東西関係の改善と安定、ペルシャ湾における航行の安全、テロリズムの防圧、世界経済活性化のための政策協調の強化のほか、地球環境の保全、エイズ対策や麻薬撲滅のための国際協力、我が国が提唱したヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、京都で開催されたハイレベル教育専門家会議の成果、生命科学の発展の倫理的影響等について有意義な報告と議論が行われ、重要な合意を見ることができました。
 東西の緊張緩和、特に核軍縮の問題については、レイキャビクにおける米ソ首脳の話し合いを踏まえ、中距離核等の削減に向けての大きな進展が期待されております。私は、核軍縮は、部分的なものにとどまるべきではなく、全地球的な規模での各種核兵器の確実な検証を伴う思い切った削減と廃絶、すなわち、地球からのあらゆる核兵器の究極的な追放を目指すことこそが人類共通の課題であり、この目標に向け現実を踏まえつつ着実に歩を進めていくことが我々の責務であると考えます。また、その際、化学兵器の早急な廃棄、通常兵器の均衡ある削減もあわせ行うことが急務となっております。
 サミットの東西関係に関する声明においては、まず、西側首脳として平和の維持と強化に向けともに献身していくとの決意を宣言するとともに、米ソ双方の協力により可及的速やかに実りある成果が生まれるよう、米国の核兵器削減に向けての交渉努力を評価するとともに、ソ連に対し、積極的かつ建設的な姿勢で交渉することを強く要請いたしました。また、東西諸国間の安定した建設的な関係を構築するためには、軍縮のほか、地域紛争の解決、人権尊重等をすべての分野にわたる進展が必要であることを確認いたしました。
 この声明は、西側の連帯と団結を示し、軍縮と東西関係の改善と安定に向け、できるものから一歩一歩進めるべきであるとの認識のもとで、日本がイニシアチブをとり、取りまとめに貢献したものであります。この声明が東西の真に建設的かつ良好な関係の構築への重要な礎石となることを期待するものであります。
 今回のサミットでは、緊張感の高まっているペルシャ湾の問題について、イラン・イラク紛争の早期解決を求めるとともに、ペルシャ湾における航行自由の原則を確認する声明もまとめました。イラン・イラク紛争を解決の方向に導き、ペルシャ湾情勢を安定させるためには、各国がおのおのの事情を踏まえ、協調しながら貢献していくことが重要であります。我が国は、ペルシャ湾経由の原油に輸入原油の約五五%を依存しており、平和国家としての基本的立場と国際国家としての我が国の役割を踏まえ、憲法の許す範囲内において、状況に応じ、可能にして適切な国際的協力を検討し、応分の貢献を果たしてまいりたいと思います。また、これらの問題の解決についての国連安全保障理事会における協議に積極的に参加してまいります。
 我が国は、イラン・イラク双方と緊密な政治対話を維持しており、これまでも、両国に対し、湾内航行の安全確保を働きかけるとともに、紛争の早期解決に向けての環境づくりの努力を続けてまいりました。政府は、今回のサミットの声明をも踏まえ、これまでの外交努力をさらに強化する方針であり、サミット後、直ちに外務大臣がイランを訪問し、最近の湾岸地域の動向、イラン・イラク紛争をめぐる国際世論等を踏まえ、平和の回復と海上交通の安全等につき協議を行ってまいりました。
 また、昨年の東京サミットの成果を踏まえ、今回のサミットにおいて、テロリズムに対する断固たる姿勢と対策を打ち出したことは、有意義であったと考えます。
 今回のサミットにおける大きな成果は、経済運営における先進国間の政策協調の重要性を再確認したことであります。
 我が国は、自由貿易によって初めて生存していくことができる国であり、世界の繁栄なくして日本の繁栄はなく、世界経済の活性化なくして我が国の発展は望めません。また、我が国は、世界経済の一割を占める経済大国として、世界経済の活性化に積極的に貢献していく責任があります。
 世界経済は、米国の大幅な財政赤字、日本の大幅黒字を初めとする主要国における対外不均衡、これを背景とする為替レートの変動や保護主義の動き、また、開発途上国における一次産品価格の低迷等による経済困難や累積債務の増大等多くの問題を抱えております。これらの問題は、我が国も含め、各国が、それぞれの置かれた経済情勢に応じ、政策協調と構造改革を進めることによってのみ解決可能であります。
 私は、サミットにおいて、先般決定した緊急経済対策について説明を行い、各国首脳から高い評価を得ました。また、各国に対し、為替安定、保護主義の防圧、米国の財政赤字の縮小、ヨーロッパ諸国の経済の硬直性打破等について、政策努力の強化が必要であることを特に強調いたしました。
 サミットにおいては、これらの問題についての討議の結果、世界経済の持続的成長と為替安定のため、政策協調を一層進めていくこと、また、このための多角的監視の強化を図ること等広範な分野で意見の一致を見ることができました。
 特に、国際的な通貨の安定の問題について、首脳間で為替レートのこれ以上の変動が経済成長等に対し逆効果となる旨確認され、為替安定に向けての各国首脳の強い政治的意思の一致が明らかにされた意義は大きいと考えます。
 また、保護主義の防圧と自由貿易体制の堅持のため、ガット・ウルグアイ・ラウンドの積極的推進が確認されており、我が国も、これに最大限の貢献をいたします。
 開発途上国に対しては、我が国は、政府開発援助の第三次中期目標の早期達成、二百億ドル以上の官民のアンタイド資金の還流、アフリカのサハラ以南地域等への五億ドルの無償援助を実施することとしており、サミット経済宣言においても我が国のこのような努力を歓迎する旨が盛り込まれました。
 この際、特に最近の情勢にかんがみ、アジアにおけ各重要な隣国である中国及び韓国との関係について一言申し上げます。
 中国との間に長期にわたり安定的な友好・協力関係を発展させていくことは、我が国外交の揺らぐことのない柱の一つであります。基本的に良好な日中関係の中で、最近幾つかの問題が生じてはいますが、政府は、日中国交正常化に当たり中国政府との間で確認した諸原則は不変不動のものと考えており、日本の国家意思は、一つの中国であり、二つの中国等の立場をとるものではないことを改めて強調いたしたいと思います。
 また、韓国との関係については、現在の良好かつ安定した関係をさらに発展させることが我が国の基本方針であります。現在、韓国では、憲法問題を中心に真剣な論議が行われておりますが、話し合いにより、その解決が図られつつあることを歓迎するものであります。また、明年予定されているオリンピック大会の成功という国民の総意が実現することを期待いたしております。
 先般取りまとめました緊急経済対策の最大の柱は、抜本的な内需拡大策であります。また、総額十億ドル規模の政府調達による追加的外国製品購入も行うことといたしております。我が国経済は、景気に底がたさはあるものの、製造業を中心に停滞感が続き、雇用面も厳しい状況にあります。今回の対策では、総額五兆円の公共投資等の追加を行うとともに、税制改革の一環として本年度において総額一兆円を下らない規模の所得税等の減税先行を確保することとしており、内需拡大に大きな効果が上がるものと期待しております。対策のうち、上半期における公共事業等の八〇%以上の前倒し等実行可能な分野については既に実施しつつありますが、政府は、本日、この経済対策の裏づけとなる補正予算を国会に提出したところであり、速やかな成立を期待しております。
 今回提出した補正予算においては、歳入面について、これまでの行政改革の成果であるNTT株の売り払い収入の活用等工夫を凝らしましたほか、建設国債の増発を予定しておりますが、財政改革の趣旨に沿って赤字国債の増発は回避した次第であります。
 財政再建を行い、財政の対応力の回復を図ることは、重要な課題として今後ともこれを進めていくことが必要でありますが、臨時行政改革推進審議会のこれまでの議論でも明らかなように、経済の実態に応じた臨時、緊急の措置は許されるべきものであり、今回のように財政出動による経済対策が要請される状況のもとでは、今後においても積極的に対応することが必要と考えます。
 また、昭和六十三年度の予算編成に当たっても、厳しい制約のもとで、引き続き経費の節減合理化に努めるとともに、経済の実態を踏まえ、景気の上昇、内需の拡大等を図るための種々の工夫、努力を行うことといたしております。
 経済構造の転換も、我が国が世界経済と調和した発展をしていくため積極的に進めていかなければならない重要課題であります。無論、経済構造の転換は、その過程で時として種々の摩擦や痛みを生ぜざるを得ない問題であり、一朝一夕に実現できる問題ではありません。しかし、その転換は、国際経済関係の変化に対応して、経済構造を調整し、二十一世紀に向かって長期的に発展し得る経済を再構築しようとする努力の一環であり、経済成長の成果を国民の生活の質の向上に結びつけていく過程でもあります。
 政府は、昨年の経済構造調整推進要綱に基づき、国内炭の生産規模縮小への対応、オフショア市場の開設等金融・資本市場の自由化や国際化、法定労働時間短縮のための法案の作成等を行ってきたところであり、さらに、経済審議会の建議を踏まえ、規制の緩和、住宅の供給、輸入の拡大、労働時間の短縮、情報基盤、高速交通ネットワーク等の社会資本の整備など諸施策を展開してまいります。地価の問題については、さきの国会で改正された国土利用計画法の効果的運用、地価対策関係閣僚会議の機動的運営等総合的対策を実施するほか、臨時行政改革推進審議会から適切な助言を得べく措置いたしました。また、国土の開発の方針に関し、先般、多極分散型の国土の形成を目指す第四次全国総合開発計画を定めたところであり、この計画に沿った施策の実現により国土の均衡ある発展を図ります。
 農業の問題については、サミットにおいても重要議題の一つとして討議が行われたところであり、経済の国際化の進展と無関係に考えることはできません。しかし、農業の問題を考えるに当たっては、食糧の安定供給の重要性や環境、雇用、精神文化面で農業が果たしている役割等をも考慮することが必要であり、また、その政策の遂行は、各国の置かれた事情に応じ、バランスを保ち、多面的に考え、柔軟かつ適切に行うべきであります。この点はサミットの経済宣言においても盛り込まれたところであります。政府としては、先般の農政審議会の報告を踏まえ、農業の生産性の向上を図りつつ、内外の価格差の縮小に努めていくとともに、国民の納得を得られる価格水準で食糧の安定供給が図られるよう各般にわたる施策の充実に努める所存であります。なお、このような観点を踏まえ、生産者米価、麦価をそれぞれ五・九五%、四・九%引き下げたところであります。
 私は、内閣総理大臣に就任以来、戦後政治の総決算を政治課題として掲げ、行政経費の節減と予算の効率化、補助金や人員の削減、公債依存度の引き下げ、電電、専売、国鉄の民営化、医療や年金の改革等の諸改革を行ってまいりました。民営化
された企業によるサービスの向上、社会保障制度の長期的な安定化や世代間の公平化、NTT株売り払い収入の社会資本整備への活用などは、これらの改革の成果として国民生活の安定向上に生かされつつあります。
 しかし、本年一月、私がこの壇上において、「なお克服すべき問題は山積しており、それはあたかも乗り越えていくべき連山を望むがごときであります。」と述べましたように、残された課題は決して少なくはありません。
 教育改革について、政府は、これまで臨時教育審議会の三次にわたる答申を受け、教育内容の改善や教員の資質向上、大学入試の改革等各般の施策を推進してまいりました。臨時教育審議会は近く最終答申を取りまとめる予定であり、政府は、その答申をも踏まえ、二十一世紀を担う世代にふさわしい教育が実現できるよう、その改革に全力を挙げてまいります。
 税制の改革に関し、さきの国会に提案した売上税を含む税制改革法案について、国民の皆様の十分な理解を得るに至らなかったことは、まことに残念であり、政府としてこの事実を真剣に受けとめ、周到な配慮をもって検討を加えなければならないと考えます。
 しかし、今後の高齢化社会の到来、経済社会の一層の国際化を展望するとき、さきの国会における衆議院議長のあっせんでも触れられているように、税制改革はぜひともなし遂げなければならない課題であります。国際的水準に見合った税体系の構築、直接税偏重からくるさまざまなゆがみ、ひずみの是正や、中堅サラリーマン層の重税感への対応のためにも、直間比率の見直しや利子課税制度の改組、不公平税制の是正等を含む抜本的な税制改革が必要であります。私は、この点について、最近は国民の皆様の間にも御理解が広がりつつあると考えております。
 これらの問題については、現在、衆議院に設置された税制改革協議会において、鋭意審議、検討が進められているところであります。政府としては、税制改革協議会において、できる限り早期に議長あっせんの内容に沿って実りある成果が得られることを切に期待するとともに、その審議の状況を踏まえ、国民の皆様の声に十分に配慮しつつ、二十一世紀を展望した新たな望ましい税制の実現に向けて最大限の努力を傾けます。
 また、さきの緊急経済対策に盛り込まれた所得税等の減税は、さきに申し上げたような税制改革の一環として、恒久的な財源措置を確保しつつ先行実施するものであり、これらのための税制改革法案を今国会に提出し、減税の年度内実施を図りたいと考えております。いずれにせよ、税制改革協議会における審議の推移を注視してまいりたいと考えております。
 サミットに参加し、国政の最高責任者として、私が強く感じましたことは、想像以上に国家としての日本の国際的地位が上昇し、その責任が拡大されてきているということであります。世界が日本を見る目は、十年前、五年前とは全く異なってきております。
 もとより、我が国は、自由主義社会に属し、アメリカ、ヨーロッパとの三極の協力関係を重視しているとはいえ、アジアに位置し、固有の精神文明を保持し、独自の憲法のもとに、全世界的平和と繁栄と協力とを念願する政策を強く展開しつつあります。このような我が国独自の精神的、文化的及び地政学的立場は、世界の調和と人類の福祉に向かって独特の主張と政策の実現を可能にするものであり、強力な経済・科学技術力と相まって、世界における我が国の存在と役割を飛躍的に上昇させているのであります。
 私は、このような日本の国際的地位の高まりと責任を肌で感じ、これに対応する日本人の意識や諸制度の改革の必要性を痛感しているものであります。
 日本の内政も外交も国際国家という立場に立って、より新しいより大きな軌道に向かって前進しなければなりません。この道は、希望とともに苦難を伴う道でもあります。国民の皆様にもいろいろ御協力を願い、汗を流していただかなければならない場合もあろうかと思います。しかし、この道を歩まずして日本の明日はありません。子供たちの日本もあり得ません。我が国は、今日、このような重大な歴史上の分岐点に立っていると皆様に申し上げたいのであります。
 日本の国際的地位にふさわしい真の国際国家日本のあり方とは何か。私は、それをかのマッキーヴァーのいう「黄金律」に求めたいのであります。それは、「他国民や他民族の立場に立って、その喜びと苦しみを分かち合う心ばえ」であり、東洋哲学では、孔子の「己れの欲せざるところを、人に施すことなかれ」に通ずるものであります。この平凡な常識へ不断に回帰しこれを実践しつつ、人と国家と国際社会に対し行動することこそ、世界に通用する新しい今日の日本人の見識と言えましょう。そこに向かって、我々は前進しなければならないと信ずるものであります。
 私は、国民一人一人が世界の中の日本との自覚を持つ中で、国民の皆様の御理解と御協力を得つつ、政治が、この国の避けて通ることのできない役割を進んで明示し、謙虚にかつ勇断を振るって前人未踏の進路を開拓していくことこそ、二十一世紀への日本の大道であると確信いたします。
 重ねて国民の皆様の一層の御理解と御協力をお願いする次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(藤田正明君) 宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) 昭和六十二年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明申し上げます。
 最近の経済情勢について見ますと、世界経済は、全体として緩やかな拡大を続けているものの、主要国の経済成長は力強さを欠いており、各国の大幅な対外不均衡等を背景として、保護主義が高まりつつあります。また、開発途上国における累積債務問題も、なお、解決を見ておりません。
 一方、我が国経済について見ますと、国際収支の不均衡は是正の兆しはありますが、なお、大幅であります。また、景気は底がたさはあるものの、製造業を中心に停滞感が続き雇用面も厳しい状況にございます。
 このような経済情勢を踏まえ、政府は、内需を中心とした景気の積極的な拡大を図るとともに、対外不均衡の是正、調和ある対外経済関係の形成を目的として、去る五月に、緊急経済対策を決定
したところであります。これは、公共投資等の拡大及び所得税等の減税先行により六兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策を講ずるとともに、所要の対外経済対策を講ずるものであります。
 まず、内需拡大策について申し上げます。
 本対策においては、まず、これまでの最高の公共事業等の施行促進を図るとともに、事業費五兆円の公共投資等の追加を行うこととしております。
 具体的には、一般公共事業で、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の活用を図りつつ、二兆四千五百億円の追加を行うほか、災害復旧事業四千五百億円、施設費等三千五百億円、日本道路公団等の事業費二千五百億円、地方単独事業の追加要請八千億円、住宅金融公庫の融資制度の拡充等による事業規模の追加七千億円を確保することとしております。
 また、本対策におきましては、衆議院に設置された税制改革協議会における協議の状況を踏まえ、速やかに直間比率の見直し等税制の抜本改革の実現を図り、その一環として、昭和六十二年度において総額一兆円を下らない規模の所得税等の減税先行を確保することといたしております。
 さらに、金融政策につきましては、公定歩合が史上最低の水準に引き下げられており、また、短期金利も低い水準となっております。また、資金運用部の預託金利につきましても、去る五月に引き下げを図ったところであり、政府関係金融機関の金利の引き下げも実施されております。
 その他、住宅投資の促進、地域活性化の推進、民間活力の活用、中小企業対策、雇用対策、円高差益の還元等の諸施策を盛り込んでおります。
 次に、緊急経済対策のうち、対外経済対策に関する部分について申し上げます。
 まず、総額十億ドル規模の政府調達による追加的な外国製品の輸入を行うことを初めとする輸入拡大策を講ずることとしております。
 また、我が国経済の効率化、国際化に資すると同時に、世界経済の発展に貢献していく見地から、金融・資本市場の自由化、国際化を図ることといたしております。
 本対策を受け、また、主要先進国等との金融協議その他の場における意見交換をも踏まえ、去る六月に、「金融・資本市場の自由化、国際化に関する当面の展望」を発表いたしました。これは、預金金利自由化の一層の推進、短期金融市場の拡充、外国金融機関のアクセス改善等を内容とするものであり、これに沿って、今後とも、環境整備を図りつつ、自由化、国際化を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 さらに、開発途上国の自助努力を支援するとともに、累積債務問題の解決を図り、もって世界経済の成長と繁栄に資することも我が国の大きな国際的責務であります。
 このため、政府開発援助につきましては、第三次中期目標について、極力その早期達成を図ることとし、少なくとも七年倍増目標の二年繰り上げを実施し、昭和六十五年のODA実績を七十六億ドル以上とすることといたしております。
 また、開発途上国等の開発・債務問題の解決に資するため、さきに世銀特別ファンドの創設、IMFへの貸し付け等により、約百億ドルの資金還流を図ったところでありますが、今回さらに国際開発金融機関への拠出や日本輸出入銀行、海外経済協力基金及び民間資金の動員等を通じ、今後三年間に二百億ドル以上のアンタイド資金の還流を実現させたいと考えております。
 先日行われましたベネチア・サミットには私も出席してまいりましたが、このたびの緊急経済対策は、世界経済に貢献するものとして各国から高い評価を受けたところであります。
 なお、サミットにおきましては、二月のルーブル会議、四月のワシントン会議等を通じ各国蔵相間で到達した政策協調と為替安定のための合意が首脳レベルの一致した支持を受けましたが、これは、今後とも、各国との政策協調及び適時適切な介入を通じて為替相場の安定を図っていく上で極めて有意義であったと考えております。
 政府は、以上申し述べました緊急経済対策の着実な実行を図ることにより内外の要請にこたえるべく、ここに本対策の施策の実現を図るため、昭和六十二年度補正予算を国会に提出したところであります。
 次に財政改革及び税制改革について一言申し上げます。
 我が国財政は、昭和六十二年度末の公債残高が百五十三兆円を超える見込みとなり、国債の利払い費が歳出予算の約二割を占めるなど、極めて厳しい状況が続いております。今後急速に進展する人口の高齢化や国際社会における我が国の責任の増大など、今後の社会・経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくためには、財政改革を推進して財政の対応力の回復を図ることが依然として緊要な課題であります。近く作業を開始する昭和六十三年度予算編成に当たりましても、制度の基本にさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行い、一層の経費の節減合理化のため積極的に取り組むとともに、内外の経済情勢に適切に対処するための種々の工夫、努力もあわせて行ってまいりたいと考えております。
 税制につきましては、戦後四十年間にわたる経済・社会情勢の著しい変化に即応し、公平、公正等の基本理念のもとに抜本的な見直しを行うことにより、国民の理解と信頼に裏づけられた安定的な歳入構造を確立することが急務であります。
 税制改革問題につきましては、さきの衆議院議長あっせんに基づき衆議院に税制改革協議会が設置され、現在、鋭意協議が続けられているところでありますが、政府といたしましても、この機会に一日も早く抜本的な税制改革案が得られることを期待いたしております。また、さきの緊急経済対策に盛り込まれた所得税等の減税先行については、恒久的な財源措置を確保しつつ、税制改革の一環をなすものとして所要の改正法案を今国会に提出いたしたいと考えております。いずれにせよ、税制改革協議会における審議の推移を注視してまいりたいと考えております。
 次に、今国会に提出いたしました昭和六十二年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました緊急経済対策を実施するため、一般会計におきまして、公共事業関係費の追加として、一般公共事業関係費八千億円、災害復旧等事業費三千四百三十五億円を計上するとともに、一般公共事業に係る所要の国庫債務負担行為の追加を行っております。また、文教、研究開発及び社会福祉関係の施設整備費等の追加と
して二千百五十億円を計上することといたしております。
 これとあわせて、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入について、国債の償還財源に充てるという基本原則は維持しつつ、その一部を活用して社会資本の整備の促進を図るため、四千五百八十億円を国債整理基金特別会計から一般会計を通じて産業投資特別会計に繰り入れ、このうち四千億円を公共事業に、また、五百八十億円を特定の民活事業に充てることといたしております。
 なお、この日本電信電話株式会社株式の売り払い収入の社会資本整備への活用につきましては、別途、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び同法の実施のための法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 このほかにも、緊急経済対策における各施策の実施等のため、中小企業等特別対策費四百十四億円、政府調達特別対策費一千十一億円、経済協力特別対策費百八十三億円等を計上いたしております。
 他方、歳入面におきましては、公共事業等の財源につきまして、先ほど申し述べましたように、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の一部を国債整理基金特別会計から繰り入れるとともに、建設公債一兆三千六百億円を追加発行することといたしました。この公債につきましては、国債引受団による引き受け、資金運用部資金による引き受け及び公募入札により円滑な消化を図ることといたしております。
 また、特例公債の増発を回避するため、やむを得ず、昭和六十一年度の決算上の純剰余金の二分の一の範囲内で四千三十億円を計上する等所要の補正を行うことといたしました。
 これらの結果、昭和六十二年度一般会計補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し二兆七百九十三億円増加して、五十六兆一千八百三億円となっております。
 なお、先ほど申し述べましたように、税制改革問題については、税制改革協議会において協議が続けられていることでもありますので、税制改革関連の歳入歳出につきましては、今回は補正を行わないことといたしております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うことといたしております。
 財政投融資計画につきましては、緊急経済対策を実施するため、住宅金融公庫、日本道路公団等十三機関に対し、総額八千四百五十二億円の追加を行うことといたしております。
 以上、昭和六十二年度補正予算の大要を御説明申し上げました。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
#16
○議長(藤田正明君) ただいまの演説に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#18
○議長(藤田正明君) 日程第四 昭和五十九年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十九年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十九年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十九年度政府関係機関決算書
 日程第五 昭和五十九年度国有財産増減及び現在額総計算書
 日程第六 昭和五十九年度国有財産無償貸付状況総計算書
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。決算委員長菅野久光君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔菅野久光君登壇、拍手〕
#19
○菅野久光君 ただいま議題となりました昭和五十九年度決算外二件につきまして、決算委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 昭和五十九年度決算は、昭和六十年十二月二十四日国会に提出され、同六十一年五月二十二日当委員会に付託となり、また国有財産関係二件につきましては、同六十一年一月二十八日国会に提出され、同日当委員会に付託されました。
 当委員会では、昭和五十九年度決算外二件の審査に当たりましては、国会の議決した予算が法規に基づき厳正かつ効率的に執行されたかどうかについて審査し、あわせて政府の施策全般について広く国民的視野から実績批判を行い、その結果を将来の予算策定及びその執行に反映させるべきであるとの観点に立って審査を行ってきたのであります。
 閉会中審査を含む十六回にわたる委員会審査におきましては、後に述べるような内閣に対する警告にかかわる質疑のほか、決算審査の充実、会計検査院法改正、財政再建、税制改革、外交、防衛に関する問題を初め、円高対策、食管制度、雇用問題など行財政全般について熱心な論議が行われましたが、それらの詳細は会議録によって御承知願います。
 昭和六十二年七月三日質疑を終了し、討論に入りました。
 議決案の第一は本件決算の是認、第二は内閣に対する五項目の警告であります。
 討論では、日本社会党・護憲共同を代表して梶原理事、公明党・国民会議を代表して田代理事、日本共産党を代表して橋本委員、民社党・国民連合を代表して関委員から、それぞれ本件決算は是認できないが、内閣に対する警告案には賛成である旨の意見が述べられ、自由民主党を代表して大島理事から、本件決算を是認するとともに、内閣に対する警告案にも賛成である旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、議決案を採決の結果、本件決算は多数をもって是認すべきものと議決され、次いで内閣に対する警告案については、全会一致をもって警告すべきものと議決された次第であります。
 昭和五十九年度決算にかかわる内閣に対する警告は、次のとおりであります。
 (1) 近時、航空自衛隊三沢基地、新田原基地等に所属する自衛隊機の墜落、同百里基地におけるミサイル不時作動、陸上自衛隊上富良野演習場におけるりゅう弾砲の誤射等の事故が続発し、またこれらの事故の中には過誤によるとみられるもの、あるいは事故発生の公表が遅れたものがあったことは、誠に遺憾である。
   政府は、基地周辺住民等の生命及び財産の安全を守り、また、国有財産の損失を防ぐため、過去の教訓を生かし、事故の再発防止に万全を期すべきである。
 (2) 旧日本原子力船開発事業団が、原子力船「むつ」の修理を佐世保港で行うことに伴い、国は長崎県に対し、魚価安定対策事業のための魚価安定特別基金として、二十億円の補助金交付を行ったが、その後同基金のうち国庫補助金相当額は、国に返還すべき条件に適合する状況にあるにもかかわらず、未だに返還実現されていないのは、水産県・被爆県でりながら国の要請を受けて原子力船「むつ」修理を受け入れた長崎県の立場は理解できるとしても、看過できない。
  政府は、国費の効率的使用の観点からも、可及的速やかに長崎県との協議を整え、早期返還が図られるよう努めるべきである。
 (3) 政府開発援助の拡充強化は、平和国家たる我が国の重要な国際的責務であり、今後ともその拡充に努めなければならないところ、国際協力事業団が発注した海外開発調査業務等について不祥事件が発生したことは誠に遺憾
 である。
  政府は、政府開発援助の原資が国民の税金等であることに留意し、同援助が相手国の経済社会開発及び民生の安定と福祉の向上に資するため、適正かつ効果的・効率的に使用されるよう努めるとともに、この種事件の再発防止のため、同事業団に対し、業者選定の厳格化、職員の綱紀粛正を図るよう指導監督を強化すべきである。
 (4) 租税の徴収に当たり、徴収額に過不足が生じた事例が見受けられることは、国民が期待する適正かつ公平な税務執行の観点から看過できない。
  政府は、徴収額の決定に誤りなきを期すため、税務職員に対する研修の充実、納税者等に対する税法の周知徹底等税務執行体制の充実に配慮し、公正な税務執行に一層努めるべきである。
 (5) 地方公共団体が、地方債を財源の一部として建設事業を実施する場合において、特定の地方公共団体が地方債の許可申請に当たり、同事業の事業費から控除すべき指定寄附金を控除していなかったり、あるいは貸付対象外費用を同事業費に含めていたことなどにより、結果として、簡易生命保険の積立金の長期貸付けにおいて過大貸付けの事態が発生したことは看過できない。
   政府は、地方公共団体等に対する貸付けの適正化を図り、この種事態の再発防止に努めるべきである。
 次に、国有財産関係二件については、採決の結果、いずれも多数をもって異議がないと議決された次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
 初めに、日程第四の昭和五十九年度決算について採決をいたします。
 本件の委員長報告は、本件決算を是認すること及び内閣に対し警告することから成っております。
 まず、本件決算を委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#21
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、本件決算は委員長報告のとおり是認することに決しました。
 次に、委員長報告のとおり内閣に対し警告することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#22
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもって委員長報告のとおり
内閣に対し警告することに決しました。
 次に、日程第五の国有財産増減及び現在額総計算書及び日程第六の国有財産無償貸付状況総計算書を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり異議がないと決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#23
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、両件は委員長報告のとおり異議がないと決しました。
     ―――――・―――――
#24
○議長(藤田正明君) この際、常任委員長の辞任についてお諮りいたします。
 内閣委員長岩本政光君、地方行政委員長松浦功君、法務委員長太田淳夫君、外務委員長宮澤弘君、大蔵委員長井上裕君、文教委員長仲川幸男君、社会労働委員長佐々木満君、農林水産委員長高木正明君、商工委員長前田勲男君、運輸委員長中野明君、逓信委員長高杉廸忠君、建設委員長鈴木和美君、予算委員長桧垣徳太郎君、決算委員長菅野久光君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#26
○議長(藤田正明君) つきましては、この際、欠員となりました常任委員長の選挙を行います。
#27
○倉田寛之君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。
#28
○本岡昭次君 私は、ただいまの倉田君の動議に賛成いたします。
#29
○議長(藤田正明君) 倉田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、内閣委員長に名尾良孝君を指名いたします。
   〔拍手〕
 地方行政委員長に谷川寛三君を指名いたします。
   〔拍手〕
 法務委員長に三木忠雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
 外務委員長に森山眞弓君を指名いたします。
   〔拍手〕
 大蔵委員長に村上正邦君を指名いたします。
   〔拍手〕
 文教委員長に田沢智治君を指名いたします。
   〔拍手〕
 社会労働委員長に関口恵造君を指名いたします。
   〔拍手〕
 農林水産委員長に岡部三郎君を指名いたします。
   〔拍手〕
 商工委員長に大木浩君を指名いたします。
   〔拍手〕
 運輸委員長に田代富士男君を指名いたします。
   〔拍手〕
 逓信委員長に上野雄文君を指名いたします。
   〔拍手〕
 建設委員長に村沢牧君を指名いたします。
   〔拍手〕
 予算委員長に原文兵衛君を指名いたしまる。
   〔拍手〕
 決算委員長に穐山篤君を指名いたします。
   〔拍手〕
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十七分散会
     ―――――・―――――
昭和六十二年七月六日(月曜日)
   開 会 式
 午後二時五十八分 参議院議長、衆議院参議院の副議長、常任委員長、特別委員長、参議院の調査会長、衆議院参議院の議員、内閣総理大臣その他の国務大臣、最高裁判所長官及び会計検査院長は、式場に入り、所定の位置に着いた。
 午後三時 天皇陛下は、衆議院議長の前行で式場に入られ、お席に着かれた。
   〔一同敬礼〕
 午後三時一分 衆議院議長原健三郎は、式場の中央に進み、次の式辞を述べた。
   式 辞
  天皇陛下の御臨席をいただき、第百九回国会の開会式を行うにあたり、衆議院及び参議院を代表して、式辞を申し述べます。
  現下、わが国をめぐる諸情勢はまことに多端であります。
  われわれは、この際、当面する内外の諸問題に対処して、すみやかに適切な施策を講じ、もって国民生活の安定向上につとめるとともに、国際社会に一層大きな役割を果たしていかなければなりません。
  ここに、開会式にあたり、われわれに負荷された重大な使命にかんがみ、日本国憲法の精神を体し、おのおの最善をつくしてその任務を遂行し、もって国民の委託にこたえようとするものであります。
 次いで、天皇陛下から次のおことばを賜った。
   おことば
  本日、第百九回国会の開会式に臨み、全国民を代表する諸君と親しく一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
  ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の課題に対処し、その使命を遺憾なく果たし、国民の信頼にこたえることを切に望みます。
   〔一同敬礼〕
 衆議院議長は、おことば書をお受けした。
 午後三時六分 天皇陛下は、参議院議長の前行で式場を出られた。
 次いで、一同は式場を出た。
   午後三時七分式を終わる
ソース: 国立国会図書館
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