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1987/07/09 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第2号
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1987/07/09 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第2号

#1
第109回国会 本会議 第2号
昭和六十二年七月九日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  昭和六十二年七月九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。青木薪次君。
   〔青木薪次君登壇、拍手〕
#4
○青木薪次君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、先般行われました政府演説、特に中曽根総理の所信表明に対しまして、質疑を行います。
 中曽根総理が政権の座につかれてから四年半余りとなりました。この十月には退陣される予定とのことでありますので、今回が多分最後の国会と考えます。したがって、中曽根政権総決算の国会でもあるわけであります。そうした観点に立って、中曽根総理の政治姿勢についてただしたいと思います。
 総理は、過日、「政治は永田町の論理だけではだめだ」と、たしか六十九歳の誕生日に語っておられますが、これは恐らく自民党田中派の内紛を批判した言葉でありましょう。しかし、国民の日には、中曽根総理ほど永田町の論理で政治をやり、権力維持にきゅうきゅうとしてきた人は歴代総理の中にいなかったと映っております。この言葉は、御自分の政権維持を担当した経過を反省しての言葉であるのかどうか伺いたいと思います。
 総理は、昨年死んだふりをしての強引な衆参同日選挙、ことしは公約違反の売上税導入の悪巧みを行い、そして防衛費GNP比一%を守りますと国会で再三答弁しながら、その裏で一%を突破させることを意図的に実行するなど、国会と国民をごまかし、数と力こそ政治のすべてという考えでやってきたと思うのであります。これが永田町の論理でなくて何でありましょう。
 公約違反の売上税はその典型で、形容詞と装飾語の羅列でぜい言づくりを行い、国民の目と耳をごまかし、ときにはサギをカラスと言いくるめる戦法で、その場限りの無責任な政治を行ってきたと言っても過言ではありません。
 しかしながら、昨年の総選挙後は、総理のうそと虚像が国民の目の前に明らかになったことでメッキがはけ落ち、国民はあなたを信用せず、知恵あれど徳なしの声が全国に蔓延し、ぜい言博士中曽根康弘氏の内閣支持率は、不支持が過半数を超え、しかも不支持の理由は、首相は信頼できないと答えております。信なくば立たすは民主政治の原点であります。総理、明確に答弁してください。
 中曽根総理の第二次臨時行政調査会及び行革審方式の行政は国会の代行機関的役割を担わせるもので、議会制民主主義に反し国会を形骸化すると我が党は反対し、警告いたしてまいりました。我々が指摘した以上に、最近では緊急経済対策や六十二年度補正予算編成に行革審のお墨つきが必要となるほどで、機動的な政策展開を拘束するなど政府にとっても手かせ足かせの弊害となっております。
 さらに問題なのは、この悪政が行政の全般に広がりつつあり、大臣、局長、果ては課長に至るまで、審議会、懇談会など私的諮問機関のオンパレードの状態であり、国家行政組織法の精神を無視するなどひずみを惹起いたしております。明確な総理の答弁を求めます。
 次に、外交問題についてただします。
 中曽根総理は、三木内閣以来十年以上にわたって厳守してきた防衛費GNP比一%の枠を六十二年度予算であえて突破させたことは、アジア近隣諸国に軍国主義復活と軍事大国化の不安を与え、国益を損なうことを我が党は強く警告してまいりました。
 光華寮問題も含めて、ケ小平顧問委員会主任が強い懸念と警告をされたと報じておりますが、これに対し我が国の外務次官は、雲の上の人で日中関係の実態を掌握していないと非礼千万の言辞を弄し誹謗した事実は言語道断で、次官の引責辞任で済む問題ではありません。総理の答弁を求めます。
 六月二十八日、日中閣僚会議の後、六大臣がケ小平主任と会談した際、光華寮は台湾に帰属するとの大阪高等裁判所の判決について厳しい異論がケ小平主任から出されました。二つの中国をつくる陰謀などの主張に対し、我が国の一つの中国の立場は確固不動のものと弁明したと報じていました。もともと本件が裁判になじむかどうかの議論はありますが、弁解や弁明を必要とすること自体、日中友好に大きなマイナスではありませんか。特に光華寮問題をめぐっては、日本政府は国際感覚と外交的配慮を欠き、国内の民事紛争処理と同一視してきたことを指摘しないわけにはまいりません。総理に、本問題にどう対処なさるおつもりか御答弁してください。
 ソ連がアジアに配備したSS20の百の弾頭を廃棄させると説明し、自信のほどを示してきましたが、レーガン大統領は中曽根提案を一顧だにせず、アジアの残存核を認めてソ連のダブル・ゼロ提案を受諾する演説を六月十六日行いましたけれども、米国を説得できなかった理由及び米国のレーガン大統領と中曽根総理の話し合いの内容を詳細に明らかにしていただきたいと思うのであります。
 さらに問題なのは、総理は五月の訪米とベネチア・サミットで、アラスカに中距離核百弾頭の配備を米側に要請いたし、ソ連の核と対峙させようとしていることが明らかになっておるのであります。あなたの考え方は、平和憲法を否定し、歴代日本政府の方針に反するばかりか核兵器競争をあおり、日本を核戦争の危険に巻き込みかねないものであります。もし総理発言が事実であるならば、即刻撤回し、国民におわびすべきだと思いますが、いかがですか。
 また、四千三百人の三宅島島民と町長、町議会が反対するNLP、すなわちミッドウェー艦載機の夜間離発着訓練場建設をめぐって平和な島は今大騒ぎで険悪な情勢です。総理は建設を強行するおつもりかどうか、あわせて御答弁ください。
 次に、中曽根内閣の経済運営についてただしたいと思います。
 中曽根総理の四年半余りの経済運営は失政の一語に尽きると思います。総理は、経済運営の指針として六十五年度までの七年間実質四%成長を公約されました。最近では二%台の成長に鈍化しているのにこれを放置し、新保守主義路線を推し進め、完全な縮小均衡型の需要不足型経済に日本経済を落とし込んでいると思いますが、総理はいかが思いますか。
 土井委員長を先頭に我が日本社会党は、日本経済の潜在成長力は五%以上はあって政策運営が適切であれば経済が苦境に立つことはないと考えます。今日の円高不況や構造的不況は、中曽根総理のしぶちん政策によって人、物、金の経済資源が潜在成長力に比較し半分以上も余ってしまう事態で、これは完全な政策運営の失敗による政治不況であります。今回の緊急経済対策を出発点に失政を改め、公約どおり四%成長達成のために、積極型で拡大均衡の経済に政策の一大転換を図る決意なのか、明確にお答えください。
 なお、総理はさきの予算審議で、今後の財政経済運営は二刀流でいくと述べておりますが、行革と財政再建に足をとられ過ぎて経済景気政策がおろそかになった経緯にかんがみると、二刀流はこれまでどおり二兎を追って一兎も得ずのたとえの愚を繰り返す危険はありませんか。潜在的成長力を十分発揮する経済運営のもとでしか摩擦の少ない産業構造の転換は不可能なことを強く警告いたします。総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
 財政運営については、中曽根内閣最優先の政策課題と言われた六十五年度赤字国債脱却が完全に破綻しました。そして失敗したことでその政治責任は極めて重大であります。財政再建期間を七年に延長し、NTT株の売却益など当初予想しなかったプラス要因があったにもかかわらず、赤字国債脱却が破綻した原因は何ですか。
 鈴木前総理は、五十九年度赤字国債脱却の公約が果たせなかったことで政治責任をとって退陣されました。中曽根総理は、退陣も責任のとり方だが、赤字国債脱却に努力することも責任のとり方の一つと以前に答弁されましたが、これは結局、責任をとらず居座りを決め込んだとしか国民は考えないと思いますが、前総理に倣い政治責任をこの際明確にすべきではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、緊急経済対策に関してただします。
 政府が決定した総額六兆円の緊急経済対策は、日本を取り巻く内外情勢から見て必要な施策であります。しかしながら、いかにもタイミングを失し外圧に屈した施策という点で政府の責任は重大であります。G5によって円高が始まった六十一年度予算で、野党各党は積極財政への転換と財政の出番を強く求めたにもかかわらず、政府は耳をかさず、円高不況のさなかに六十二年度緊縮予算を組んで、これを最善の予算と強弁いたしまして強引にこの五月に成立を図りました。今回二年おくれの緊急経済対策で財政経済政策の転換を行ったものの、国内的、国際的に与えた悪影響ははかり知れません。
 総理は五月訪米した際、レーガン大統領に五兆円超の内需拡大を約束し、サミットでの対日批判回避のために、六十二年度予算成立後十日を待たずに緊急経済対策を決定したのであります。これは国会軽視です。こうしたやり方は納得できません。緊縮財政に固執し、需要不足型経済に落とし込み、その上タイミングを失した政策転換のすべての責任を外圧を装って逃げ込みをはかる中曽根内閣のやり方は許されません。日経NEEDS等の試算で明らかなとおり、GNPを〇・九%押し上げるのがせいぜいであり、今回の措置で三・五%成長実現のめどが立つのかどうかお伺いいたしたいと思います。
 先ごろOECDが加盟二十四カ国の経済見通しを発表いたしましたけれども、我が国の一九八七年の成長率は二%となっております。緊急経済対策が一・五%も成長率を高めることが可能かどうか、御答弁いただきたいと思います。
 国内経済への影響と同時に、海外からは緊急経済対策による国際収支の黒字減らしが期待されております。民間研究機関等の試算ではせいぜい六十億ドル程度の黒字しか減らないとしていますが、六十一年度の貿易黒字一千十四億ドル、経常収支九百四十億ドルと対比すると、黒字削減効果はほんのわずかと言うほかありません。今後、黒字減らしの努力不足を理由に日本批判が激化する危険はありませんか。また、緊急経済対策による国際収支黒字削減の政府見込みもあわせて答弁してください。
 次に、六十二年度補正予算についてただします。
 六十二年度本予算が異常で欠陥だらけの点から見て、予算補正の手順や内容に誤りを犯さないよう政府に強い警告をあらかじめ申し上げます。
 六十二年度予算は、歳入面で売上税収入一兆一千三十億円を計上していますが、売上税案が廃案となったことで大穴があくのであります。他方、所得税減税が売上税法のあおりを受けて棚上げされ、予算で見込んだ一兆百八十億円の減税からすれば、予算以上に税金が取られる勘定であります。さらに、法人税関係では減税の四千三十億円が四月一日から先行実施されながら、見合いの増税措置は前国会で廃案となっております。
 このように六十二年度予算の歳入はずたずたの状態であるのに、財政当局の一部にあると言われる、歳入は単なる見積もりで、歳出と異なって何ら法的拘束力を持つものでないので構わないとか、増減税同額方式で六十二年度予算を組んでいたので売上税法案廃案の穴は大きくないなどの詭弁は許されません。
 さらに、歳出面でも、地方自治体向けの売上譲与税一千八百三十八億円は売上税法案の廃案で実施できませんし、従来の国税三税の三二%を地方交付税としていた制度も、今年度予算では売上税収入を含め全然違った算定方式で地方交付税を計上していたはずであります。また、防衛庁の百十六億円の売上税負担分の計上を初め、大口では建設省、農林水産省等各省庁に売上税相当分が計上された予算が成立しているはずであります。
 このように六十二年度予算は、国会を通過成立した予算書に欠陥が多く、執行は不可能と言わざるを得ません。私は、補正の第一段階はこの欠陥予算の補正を行うことを要求いたします。政府が欠陥予算をほおかぶりで逃げようとしていることは断じて認めるわけにはまいりません。欠陥補正を放置したまま安易に五兆円の緊急対策用予算を今国会で優先措置しようとすることは間違っていることを指摘し、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めます。
 次に、六十二年度減税及び税制改革についてただします。
 不公平と重税にあえいでいる多くのまじめな納税者にとって、減税と公平な税制改革はまさに喫緊の要求であります。しかるに、総理は、国民世論に背を向け、直間比率の見直しと銘打って売上税の復活をねらっていると国民は見ております。我が党は、所得及び資産に対する不公平税制の抜本改革を最優先に行うべきだと主張し、その上に立って二十一世紀をにらんだ税制づくりをと考えております。そして、拙速を避け、国民の理解と協力を得つつ改革案をつくり実施に移そうと提案しております。御答弁ください。
 六十二年度の減税は、基本的税制改革とは切り離して行うべきだと考えます。減税財源は六十一年度剰余金やNTT株の売却益で十分賄えるはずであります。いかがですか。
 総理のかたくなな態度方針が、既に売上税の議長あっせんで廃案扱いとなり、しかも次期国会には提案しないはずの少額貯蓄非課税制度の廃止の再提案を行い、利子課税をしようとしているのは公党間の約束違反で認められません。なお、総理はベネチア・サミットでマル優廃止を公約したと報じられておりますが、事実ですか。事実とすれば、国権の最高機関の決定を踏みにじることとなり、民主主義政治に弓を引く行為で断じて許されません。総理の明確な答弁を要求します。
 そして、税制改革協議会で議調わずの理由をもって協議会を臨時国会の途中で打ち切り、マル優廃止法案を突如として国会に上程するようなことは絶対にしないと明言してください。あわせて答弁をお願いします。
 次に、国鉄問題について伺います。
 六月に認可された六十二年度のJR各社の事業計画は、三月に下方修正されたばかりの収支見通しを今度は一転上方修正しているのであります。この短期間のうちに変転する収支見通しこそ先行き不安を与えるものであります。まず、総理大臣並びに運輸大臣から、何ゆえ収支が好転するのか、経営の現状認識を踏まえて御説明ください。
 JR各社が本州を中心に一万三千人以上が欠員のままスタートし、目下再募集が行われているわけでありまするけれども、広域異動を伴うために応募者が極めて少ない状況にあるのであります。会社側は、再就職職員の地元志向に責任を転嫁する姿勢をとっておりますが、私は納得することができません。住宅や子女の教育問題の解決、各種手当の支給などなど、親身な対応を講ずれば多数の職員の救済が図れるのであります。欠員のために収支が好転した分を承継資産の削減で調整する前にやることがあるはずであります。労働大臣並びに運輸大臣の積極的な対応の決意を伺います。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 臨時教育審議会は、間もなくその使命を終わろうといたしておりますが、その答申に真の教育改革への道を求めることはできません。国民が今日切実に求めている学歴社会の是正などについては何ら具体的成果が期待できないのであります。また、もう一方、初任者研修制度の実施等、政府・自民党にとって都合のよいことだけがつまみ食い的に実施されようとしているのであります。そこで、今日までの臨教審の活動についてどのように評価されているのか、率直な見解を総理大臣に伺いたいと思います。
 今日の我が国の教育において最も重要なことは、上からの画一的な教育制度いじりではなく、全国すべての学校を創意工夫に満ちた生き生きとした場にすると同時に、教育に対する財政投資を大幅に増大することであります。総理大臣の基本的な考えを伺いたいと思います。
 次に、大学の入試改革について伺います。
 この春実施されました国公立大学の受験機会の複数化は、受験生に大きな混乱を引き起こした上に、序列構造の強化など改革のねらいは完全に裏目に出たと言わざるを得ません。来春の入試についても一部手直しが考えられておりますが、人文系におけるB日程への偏重等が生じ、今春よりよくなる見通しはないのであります。
 そこで、政府は、今春の国公立大学の入試についてどのように評価しているのか、また、来春の入試についてはどのように見通しを立てておられるのか伺いたいと思います。
 さて、浜松市住民の暴力団追放が現在問題となっています。六十一年十一月には、組側が暴力団追放運動で日常生活ができず精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求を住民側に提起する一方、六十二年六月十八日には、組員が住民をおどかし、十人が逮捕されました。さらに住民側弁護団長が先日刺され重傷を負うなど、目に余る現状であります。住民の不安に対し警察の機敏な対応は評価されていますが、住民運動を政府としてどう評価しているのか。全国的に社会問題化している暴力団追放運動について、警察として法治国家を守るための方針について質問いたします。
 次に、雇用と失業問題について伺います。
 我が国の雇用情勢は、円高の急激な進展、雇用構造の変化を背景としてその厳しさを増してきており、本年五月の完全失業者数は百九十一万人、完全失業率は三・二%、まさに労働力調査開始以来の最悪の水準に達しているのであります。造船、非鉄金属、石炭、鉄鋼等の不況業種では大量の過剰人員が発生し、一時帰休、希望退職の募集、解雇等の大幅な雇用調整を早める企業が目立っております。関連地域の雇用情勢は極めて深刻であり、そしてさらに合理化が進み、やがて四・二%に上昇すると民間調査機関は伝えております。
 そこで、まず第一に、今後の雇用失業情勢及び雇用対策について伺います。六十二年度の完全失業率二・九%という政府の目標は達成できるのかどうか、またどのようにして達成するのか見解を求めます。
 政府の策定した三十万人雇用開発プログラムは今後どのような効果が見込まれるのか。失業者二百万人時代が目前にある現状では、目標を我が党の五十万人のようにさらに引き上げた計画に修正すべきだと考えますがいかがですか。
 また、政府が在日米軍の労務費を特例措置として二分の一を補助した途端に、沖縄基地日本人従業員の八四%、三百三人の解雇通告が行われました。この米軍の理不尽な措置について、撤回するよう政府の努力について質問いたしたいと思います。
 次に、国際的に評判の悪い我が国の長時間労働制を改めるため、政府はさきの第百八国会に労働時間、週四十時間制を基本に基準法改正案を提案しましたが、不十分な労働時間短縮と引きかえに大幅な労働時間の弾力化を導入するなど本質があいまいであります。労働時間短縮は単に政策目標の明示にすぎないのかどうか。当初は週四十六時間としていますが、完全実施への移行過程はどうか。当面、四週六休相当の週四十四時間に改め、四十時間制への完全実施期日を明確にしてもらいたいと思います。そして、野党の修正案についても応ずる意思があるかどうか、総理並びに労働大臣の答弁を求めます。
 次に、農業をめぐる環境は極めて厳しく、自給力という言葉も消えました。食糧安保の必要性を強調する食糧安全保障といった視点がなくなってしまいました。人間の生存にとって不可欠の農産物を外国に依存する選択をしたのではないかという危惧の念を国民は持っております。総理及び農水大臣の答弁を求めます。
 最近において、我が国農業に対して諸外国、特にアメリカからの圧力が極端に強まっておるのであります。農林水産物の残存輸入制限二十二品目のうち、牛肉・オレンジの輸入完全自由化、さらには米の市場開放まで要求してきているのであります。アメリカのガット提訴、対日審査パネルの協議などの動きとともに、日本政府は、日本農業を守る立場に立ってどう対処するのか。世界最大の輸入国でもある我が国は、食糧自給、米は基幹産業である立場を踏まえ、これらの課題について総理、農水大臣の答弁を求めます。
 先般、生産者米価五・九五%が値下げされる決定がなされました。消費者価格は一体どうするのか、この点もあわせて答弁をしてください。
 次に、森林・林業についてお伺いいたします。
 我が国の森林を見ますと、一見緑豊かに見えるものの、その実態は森林の保有作業が経営的に困難な状況にあります。そのため林地の大規模な荒廃が見られ、森林の持つ経済的機能はもとより、公益的機能の一層の低下が見られるのであります。一方、材価の低迷、諸経費の増高によって山は今ピンチの状態であります。政府においてはこれまでに金融、税制等の施策を行ってはおりますが、その環境は一向に改善されていないのであります。政府はこの原因を深刻に受けとめ、森林・林業の基盤強化に努める決意を、この際、農水大臣の決意表明として全林業家に訴えてください。
 最近の異常な地価の値上がりや株高は極めて投機的要素が強く、天野建設大臣は中曽根内閣の土地政策は失敗だと述べております。残りわずかな政権にとって、東京周辺の地価対策にどう取り組みますか、御答弁ください。審議会にまた諮問されたようでありますが、私権の制限にまで踏み込むということになるのか御答弁ください。
 また、四全総で東京への一極集中排除の政策手段の一つとしての特別事業所税構想が見送られることとなった理由と代案について説明してください。また、四全総では、期間中、官民合わせて約一千兆の基盤投資を見込み、公共投資は四百八十兆と報じています。高規格道路及び住宅問題等期間中の公共投資の目標を数字で示してください。総理の答弁を求めます。
 以上、私は、中曽根内閣の主要な失政の数々について質問いたしてまいりました。今や世界の大勢は、いかにして国民合意形成のために努力するかが政治の焦点でありましょう。力を背景にして自己主張だけを貫くことが総理の指導性ではありません。誠意ある心のこもった答弁を中曽根総理大臣に要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(中曽根康弘君) 青木議員にお答えいたします。各大臣にも御質問でございますから、要点を申し上げたいと思います。
 まず、政治は永田町の論理だけではだめだという私に対する御質問でございますが、やはり政治は国民の信頼の上に究極的には成り立つものでございまして、広範な国民の皆さんの御理解と御協力なしには動くことはできないと思っております。昔の言葉に非理法権天という言葉がございますが、権力は天に勝つことはできない、天とはすなわち国民である、そう心得ております。直接的に国会とかあるいは多数とかというものはございますが、これを支えているのはわくわくたる国民世論であり国民の目である。そういうことを厳しく身に反省いたしまして政治に万全を期してまいりたいと思っております。
 次に、懇談会多用に関する御質問でございますが、行政が独善に陥らないために広く国民の皆さんの御意見も承るという意味において行っておるものでございます。
 もとより行政運営の責任は政府にございまして、政府の責任において政策は決定いたします。
 そして、必要なものは法律その他の形をとりまして国会の御審議をいただきまして、議会制度の本旨にのっとって政治は運行しておるわけなのでございます。
 懇談会を多用して、そして国家行政組織法あるいは民主主義の精神に反するということはやっておらないと確信いたしております。
 次に、防衛費とアジアの近隣諸国との関係でございます。
 我が国防衛力の整備に当たっては、何回も申し上げますように、平和憲法のもとに専守防衛に徹しまして、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、予算編成も節度を持って行う、こういう考えで一貫してやっておるのでございます。一%問題について中国で懸念の表明がございましたが、これにつきましてもよく説明を申し上げておるところでございます。
 今後とも、我々のこの基本政策は不変であるということについて近隣諸国にも十分御説明を申し上げて、理解を得るように努めてまいります。
 いわゆる外務省首脳部の発言につきましては、先月の十五日に柳谷前外務事務次官より、非公式の懇談の場におきまして行ったものが外務省首脳発言として報道されたものなのであります。しかし、これは礼を失する表現でありまして、これが中国側に不快感を与えたことは遺憾であったと本人がまた言明しておるとおりであります。
 いずれにせよ、政府としては、長期的に安定的な友好的な日中関係を持続していくということが、アジアひいては世界の平和の基幹的条件の一つである、そう考えておりまして、今後とも友好増進に努力してまいるつもりであります。
 光華寮問題につきましては、現在司法手続によって進められておる民事事件でありまして、三権分立、司法権の独立が憲法上保障されておる我が国の国家体制におきましては、行政府が介入することは慎まなければならない問題なのでございます。このような状況をよく中国側にも説明を申し上げまして、理解を得るように努力してまいりたいと思います。
 我が国の国家意思は、一つの中国を厳然として認めておるのでありまして、二つの中国ということはあり得ない、この不動の考え方を我々は重ねて申し上げておく次第なのであります。
 次に、INFの問題でございます。
 私がベネチア・サミットで申しましたのは、まず第一に、核兵器は地球上から追放しよう、いわゆるグローバル・ゼロである。全地球上からゼロにすべきである。第二番目は、アジアとヨーロッパが不平等であってはならない。アジアの犠牲においてこの問題が解決されることは絶対反対である。その二点を根本的に主張いたしまして、そして、レイキャビクの幻の合意というものはございましたが、米ソ交渉が進展しつつございます。レイキャビクの幻の合意の中におきましても、ソ連側はアジアに百基これを残そうという考えを持った由で、情報として聞いております。それに対してレーガン大統領は、アメリカ領内に同じく百基持つ権利をアラスカを含めて留保しておる、そういうように聞いておるのでございます。
 今回の米ソの核兵器削減あるいは廃棄の動きというのは実に貴重な動きなのでございまして、今回のベネチア・サミットにおきましても、私は、この問題、要するに核兵器廃棄に向かっての貴重な一歩をぜひとも行わなければならないというこの問題と、それから世界的な通貨安定、特に円・ドル関係の安定というものを最高首脳部の決意として画然と、しっかりと国民の前あるいは全世界の前に見せてこの安定を図ろうと、この二つが最大の現下の問題であると思って出席し発言もした次第なのでございます。
 そういう意味におきまして、今までは核兵器は増殖の過程にあってふえてはかりきておりました。ここで減らす、あるいは廃止する、そういう動きが出てきたことは、戦後最も貴重な時代に入ったわけで、ぜひともこの減らし廃止する方向に前進させなければならぬのであります。最初の一歩は小さくても、それは廃止に向かって前進する貴重な一歩でもあるのであります。
 そういう意味におきまして、米ソ交渉をやっていただいて、この廃止するという方向を進めるために、ソ連がどうしてもアジアに百置くと強硬に主張して、そのために廃止の方向に向かっているということが全部御破算になってしまう、これはどういうことであろうか。そういう場合には、ソ連側の百というものをどうしてもシベリアに置くことをやめさせるためにアメリカも対抗要件を持たなければだめだ。核兵器の交渉というものは御存じのように同じカテゴリーで行われておるわけです。ICBMにICBM、IRBMにIRBM、同じカテゴリーで行われておるわけです。そういうことをいたしますと、ソ連がどうしてもシベリアに百置くということになれば、アメリカがこれを相殺する材料を持たなければ交渉になりません。そういう意味におきまして、レーガン大統領のそう言われておる考え方を私は容認して、シベリアの百をゼロにするための交渉材料としてこれを容認した、支持した、そういういきさつであったのでございまして、あくまで全般的にゼロを目的にしてそれは交渉されるように明確に言ってきたのであります。
 最近の情勢を見ますと、そのようないろいろな動きから、また検証問題等の絡みで、全世界的にいわゆるパーシングUとSS20の問題はゼロにしようではないかという空気が出てきつつあるようであります。我々はこれを歓迎いたしまして、ぜひともアジア・ゼロというものを実現しておきたいと考えておるものなのであります。
 三宅島のNLPの問題につきましては、艦載機着陸訓練場の確保は日米安保体制の効果的運用のために必要不可欠でございまして、三宅島は立地条件が極めてすぐれて、これほどの適地はほかにないという報告を受けております。
 しかし、この建設に当たりましては、地方公共団体及び関係住民の皆さんの御理解を十分得るように今後とも引き続いて努力してまいります。
 次に、景気政策の問題でございます。
 需要不足経済に落とし込んだのではないかという御質問でございますが、我々は、行政改革、財政改革を徹底して追求してきて約この五年推移してまいりました。これは余りにも肥大化した、むだな税金遣いというものをやめさせて、そして効率的な小さな政府を実現するという努力をひたむきに追求して、ある程度これは前進してきたと思うのでございます。そういうようなかげんから、いわゆる膨脹を伴うおそれのある行為は慎んでまいりました。
 しかし、最近の情勢を見ますと、一面において財政力は回復しつつあります。租税の収入も順調に回復してまいりました。あるいは、行政改革の結果、NTTの株式の売却が可能になりまして、かなりの金額がある程度の期間うまくいけば入ってくるという見通しもついてきました。また、景気も回復の緒に今つきつつありまして、円・ドル関係も安定してきました。
 このような通貨体制の安定、景気上昇の機運、財政の対応力の回復、これらの状況を見まして、ここである程度の瞬発力を経済に与えて上昇をさらに確実なものにする、そういう段階に入ったと思いますから、したがって臨時、緊急の措置として、公共投資あるいは投資関係の経費というものは臨時、緊急措置として認めまして、六兆円の内需喚起に走ってきたわけで、このようなタイミングを今までずっと見てきたわけでございます。状況が悪いときに幾ら努力しても、そう回復するものではございません。状況がいいというときに瞬発力を与えるというのが景気政策の大事な点でありまして、そういう時期を見計らっていたということを御理解願いたいと思うのでございます。
 拡大均衡への経済政策の転換というものは先ほど申し上げたとおりでございますが、来年度予算編成の概算要求につきましても、経常経費は昨年と同じように引き続いて厳しくこれを査定する、しかし投資的経費や公共事業費は例外とする、そういうような考えに立ちましてこれを行いたいと思います。
 しかし、目標は何であるかといえば、赤字公債依存率を引き下げていくということと、それから予算における公債依存率を引き下げていく。昭和五十七年以前においては約二七%であったのを一九・四%まで行革の結果引き下げたわけです。昨年の補正予算の結果、公債が増発されまして二一・何%になりました。しかし、NTT株そのほかのものを活用いたしましてぜひとも二〇%以下にこれを引き下げたい、そういう目標で来年度の概算要求もしてもらいたい、そう自分としては考えておるところでございます。
 次に、六十五年度特例公債依存体質脱却の問題でございますが、これは来年の三月になりますと日本の公債の残高は約百五十三兆前後になりまして、財政状況はまだ依然として厳しい状況にございます。したがいまして、経常費等あるいは冗費はできるだけ節約して、行政改革、財政改革をひたむきにやはり続けていかなければならぬ状況は続いておるのでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、社会資本充実のためには、今回思い切った瞬発力を与えようという措置に出ておるわけであります。
 しかし、今のような景気の問題、税収の今後の動向あるいはNTT株の売却、そのほかの状況を見ますというと、六十五年度赤字公債依存体質脱却というのは、目標に近づくことは必ずしも望みなきにあらずという状況でありまして、この旗を引き下げる考えはございません。今後とも引き続いてできるだけ努力してまいるつもりでございます。
 緊急経済対策の経済への効果の問題でございますが、大体、GNPにつきましては約一・八%の事業量に当たります。これは今後一年間我が国のGNPを二%押し上げるものと期待いたしております。これによりまして、大体本年度の予想する成長率三・五%程度は可能であると考えておるところであります。
 なお、今回の措置によりまして経常収支の黒字をどれぐらい削減できるかと申しますと、おおむね五十から六十億ドル程度の追加的な削減が可能であろうと試算しております。なおこのほかに、主要企業に追加輸入の増加をお願いいたしまして、六十二億ドル程度追加輸入するという言質を得ておりますが、これも確実に今進行させておるところでございます。
 次に、補正予算と税制改革の問題でございます。今回の補正予算におきましては、税制改革関連の歳入歳出につきましては、税制改革協議会において協議が続けられておることでありますので、今回は補正というものはいたしておりません。しかし、減税につきましては、この協議会の様子を見守りながらぜひ実現したい、そう念願しておるものなのでございます。
 不公平税制の是正につきましては、税負担の公正確保の点から租税特別措置等の見直しを今後も努力してまいりたいと考えております。
 しかし、改革問題については、衆議院における税制改革協議会の模様を見たいと思います。具体的問題については、大蔵大臣から御答弁がございます。
 減税の財源でございますが、減税先行のための六十二年度の財源措置については、六十一年度分剰余金を含めて歳入歳出両面を通ずる六十二年度財政運営全体の中で処理してまいりたいと思います。
 NTT株式売却益の使途につきましては、国民共有の負債である国債償還に充てるという原則は維持しつつ、無利子貸付制度を今回導入しておるところであります。一時的な財源でありまするNTT株式売却益、ある程度の期間はこの売却は続きますけれども、結局はこれは一時的なものでございます。それを恒久的な財源をもって充てるべき減税に使うということは不適当であると考えております。
 マル優の問題でございますが、この問題も税制改革協議会の審議を見守ってまいりたいと思っておりますが、このいわゆる貯蓄優遇制度という制度は、昭和十六年に大きな改革が行われまして、言いかえれば、戦時中の国債消化を促進するための貯蓄増強運動の一環として行われて、ずっと今まで続いておるものなのであります。言いかえれば、戦時経済を補うための国債消化政策として実は起こされたものなのであります。
 しかし、今日におきましては、外国では、これは貯蓄に対して補助金を与えている制度であって、外国ではこういう制度を日本ほど大きくやっている国はないのであって、この貯蓄優遇制度は膨大な貯金を日本に結びつけて、それが円高の原因になり国際不均衡を呼んでおると、そういうことで批判が非常に厳しい。結局、国際水準にそういう部分も直してもらいたいという強い要望が長年あったのであります。
 我々といたしましては、これは国内の問題でございますけれども、国民の皆さんに快い政策であっても外国から厳しい批判を受けているというような問題は、経済摩擦解消、国際国家の考え方から、やはりある程度是正していかなければならないのであります。
 そこで、マル優廃止とおっしゃいますけれども、マル優廃止ではないのであります。我々は、例えば身障者であるとか、御老人であるとか、あるいは母子家庭であるとか、約二千万人前後の皆様方にはマル優制度は維持していく、弱者を守っていくという政策を持っておるのでありまして、税制協議会の、今後の推移も見守りますが、新しいマル優制度と申しますか、今まで我々が訴えてきた約二千万人近くのマル優制度につきましてもある程度の改正を考慮しても結構ではないか、そう考えておるものなのでございます。
 次に、JR各社の事業計画でございます。
 各新会社が作成した今年度の収支見通しては、会社発足後の実情に即しまして所要の見直しが行われて、政府試算に比べて若干の収支改善が見込まれる結果となってはおります。しかし、大体において政府試算の線に沿った情勢でございます。
 しかし、新会社はいずれも積極的な、かつきめ細かい事業経営に入っておりまして、非常に頼もしくこれを見守っておるところであり、健全経営の実現は十分可能であると認識いたしております。
 この点については関係大臣から御答弁がございます。
 臨教審の活動につきましては、過熱した受験競争の問題、あるいは教育荒廃の問題等、種々検討を行っていただきました。そして、二十一世紀を目指した日本の教育のあり方についての基本的な、総合的な観点からの答申をいただきつつあります。
 今、最終答申に向けて努力しておられますが、国民の理解と協力が得られるような御答申が得られるものと確信いたしております。
 教育に対する財政投資につきましては、学校教育においては、児童生徒の個性や能力を十分生かした生き生きとした人間らしい教育が行われるということが望ましいと考えております。
 今までの既存の政策が硬直化していないか、合理化、効率化、あるいはもう少し人間性を加えるような教育体系に変える必要はないか等について今懸命なる審議を行っていただきまして、その答申を見守っております。
 大学の入試改革につきましては、共通一次テストの改革及び大学の入学試験の改革、引き続いてこれは実行いたしました。
 私は、今回の大学入試の改革というものは一歩前進であると評価しております。それは受験生本位の立場に少しずつ変わりつつある、言いかえれば受験の機会を非常にふやして、複数受験のチャンスも与えているし、また試験の内容につきましても、大学によっては、単に硬直的な機械的なやり方でなくして、人間の能力自体を見ようという方向に内容も変わりつつあるところでございます。
 国立大学協会においては、六十四年度以降のより抜本的な改善について早急に検討に着手すると言われておりますが、このような受験生本位を十分考えた改革がさらに前進するように期待しておるところでございます。
 浜松市の暴力団の問題でございますが、政府としては、暴力団追放のために地域住民が立ち上がり、住民運動を展開していることを高く評価しておりますと同時に、政府としても、治安に対する責任を感じまして積極的に支援し、またこれらの不祥事件が再び起こらないように厳重なる措置を講じてまいりたいと思います。
 雇用失業情勢の問題でございますが、最近の雇用統計等を見ますと、有効求人倍率は〇・六五倍として求人はふえておる。また、就職人の数もかなりふえつつある。特にサービス業、流通業等を中心にしてふえておりますが、しかし失業率は三・二%とふえておる。
 これはどういうわけであろうか。閣議でもいろいろ議論が行われました。労働省当局のお話によりますと、失業した方々が地域的に偏在していて再就職のチャンスがなかなか得にくい、いわゆるミスマッチ、摩擦的な失業期間という問題がある。それから御婦人の家庭に引きこもった方々が最近また積極的に職を求めてきつつある。あるいは定年後、普通ならばみんな御隠居なさる方々が仕事が欲しいといって、その希望が非常に最近出ておる、こういうような情勢からふえたのではないか、そういう回答でございました。
 これらの状況をよく把握いたしまして、地域ごと業種ごとに迅速、的確な労働対策、失業対策を講じます。三十万人雇用開発プログラム等もございまして、約一千億円以上のお金も用意しているところでございますから、万全を期してまいりたいと思うところでございます。
 米海兵隊のクラブ人員整理の問題は、現下の沖縄の厳しい雇用情勢から極めて深刻な問題であると認識いたしております。
 従来から、政府は、在日米軍従業員の生活の安定と雇用の安定に努力してきましたが、これらの問題も含め、今後とも引き続き努力してまいる考えでおります。
 牛肉、オレンジの自由化の問題については、八七年度の都合のよい時期に関係国と協議するということになっておりまして、農水省もその問題についてはいろいろ今対策を講じておるところであり、大臣から御答弁があると思います。
 米の市場開放要求の問題でございますが、私は、前から農は国のもとであり、農業は生命産業である、そういうことを申し上げてきているとおりであります。
 そういう意味において今回のサミットの宣言の中におきましても、食糧供給の安定性の必要、それから各国の国情に応じた弾力的な柔軟性のある対策の必要、国情に応じたそういう弾力性というものを考えるべきである、あるいは環境問題に対する配慮、こういうようなことをサミットの声明の中にも入れてもらったのでございます。これらは、日本農業の特殊性というものを考えまして、日本の立場として留保しておくという考えでやったのでございます。
 昨年の農政審議会報告を尊重して、生産性の向上と構造改善を図りつつ、国会における米の需給安定に関する決議等の趣旨も踏まえまして、今後とも努力してまいるつもりでおります。
 地価の対策でございますが、東京の一部の地価が暴騰していることについては非常に憂慮しております。最近の関係閣僚会議におきましても、土地取引規制の強化、国等が土地売買等の契約を締結する場合の特別の配慮、例えば十年以内は転売してはいけないとか、あるいは必ず本人が住み込まなければいけないとか、種々のそういうことを公的土地売買については行わしております。土地税制の見直し、こういうような問題を対策として、今いろいろ推進しておるところであります。
 特に、税制については、税制改革協議会において検討が進められるものと考えており、注目しておるところであります。
 先般、新行革審に対しまして、地価等土地対策に関する基本的かつ総合的な改革方策について御提言願いたいと申し上げて、いよいよその準備に入りつつあるところでございます。
 特別事業所税については、四全総において東京一極集中是正のため、地域の活性化にとって重要となっている事務所の立地を地方都市等に誘導することが必要であると認識しております。
 さらに、東京への事務所立地の集中によって社会資本整備も困難となりつつあるという状況に対処するために、東京中心部等に立地する事務所の費用負担のあり方も含めて、幅広い観点から適切な措置を検討する旨四全総でも指摘されております。これは今後検討してまいりたいと思います。
 公共投資の目標数字でございますが、四全総において、望ましい国土の実現に向けた国土基盤整備として、既定の国土開発幹線自動車道、本州四国連絡橋三ルートの概成を含めたおおむね八千から九千キロの高規格幹線道路の整備、平均住居専用面積約百平米を目標とする良質な住宅ストックの形成等、具体的な整備目標を挙げております。
 内需主導による中成長が維持されることを前提としますと、昭和六十一年度から七十五年度の間の官民を合わせた広義の国土基盤投資としておおむね累積一千兆円程度が想定されます。
 なお、NTTあるいはJRの民営化、民活プロジェクトの進展等を踏まえた場合、今後においては国土基盤投資における官民比率の予測しがたい変動が見込まれることもありまして、その構成要素である公的固定資本形成、民間住宅投資、エネルギー、交通、情報、通信、都市再開発等に係る民間企業設備投資のそれぞれについての投資額の想定はいまだ行っておりません。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建と内需拡大といういわば二律背反した課題について御指摘があったわけでございますが、確かに財政再建の努力を長いこと続けてまいりまして、かなりの成果は得ましたけれども、今日でもなお一般会計の二割というものが国債費である。全体の二割を利払いに充てなければならないということは、大蔵大臣としてはまことに情けないことでございまして、これは財政至上主義というような意味で申し上げるのではありませんで、これから老齢化していきます我が国の社会の中で、財政が本当に必要なときに対応力を持たなければならないという状況の中で、二割が利払いに食われておって、それがなお増大していくということは、どうしてもこの際直しておかなければならないというふうに考えております。
 これは決して財政至上主義ということから申し上げておるのではありませんで、その必要性は私は実は痛感をいたしておりますが、しかし同時に、おっしゃいますように、内需の振興ということが内外からこれほど強く求められる課題になってまいりました。対外摩擦もあり、国内では雇用の問題も出てまいっております。かねて社会資本が非常に不整備であるということはお互いのよく知ってお多ところでございますので、この際、やはりそういろ背景の中で財政としても最大限の努力をいたさなければならないと考えましたのが御審議をいただいております補正予算でございます。
 先ほど御指摘の中で、日本の経済はもう少し潜在的な成長力があるのではないか、縮小均衡になってはいけないという御指摘がありました。確かに、このような技術革新を考え、あるいはまた国内の雇用等々を思いますと、できるだけそういう潜在力を顕在化するということは私は極めて大切なことだと思います。そういう努力をいたさなければなりませんし、また、財政もそのために苦しくてもできることはしていかなければならないというふうに考えております。
 そこで、このたびの補正予算の効果について、これはベネチアでも議論のあったところでございますが、まあ外貨効果が五十億ドルあるいは六十億ドル、GNP効果が二%、そして三・五%の成長は私はできると思っておりますけれども、しかし問題は、一度だけ補正予算を組めばいいということではないであろう。我が国が背負っております内外の命題というのはもっともっと長い努力を必要とするということは前川報告にも私は書いてあるとおりだと思います。また、ベネチアの蔵相会議でもそれは指摘されたところで、もっともだと考えておりますので、したがいまして、このたびの補正予算にあらわれておりますような政府の努力は、今後六十三年度の予算編成を通じ、あるいは将来に向かって、かなり長いこと続けていかなければならないという心構えで考えております。
 それから、このたびの補正につきましての歳入面等々についての御指摘がございました。
 先般、財政演説におきまして、このたびの補正に当たりましては、「税制改革関連の歳入歳出につきましては、今回は補正を行わない」ということを申し上げたことにつきましての御批判であったわけでございます。
 政府といたしましては、先般の通常国会に諸般の一連の税制改革案を提案いたしましたが、御承知のように、これは大部分が廃案になったわけでございます。
 そこで、理屈から申しますと、改革案が廃案になりましたので、それまでやってまいりました現行税制がそのまま生きるという理屈に形式的にはなるわけでございますけれども、御承知のように、廃案になりました際に、衆議院議長があっせんをせられまして、共産党を除く各党でございますが、各党の間で税制改革協議会が設けられることになりました。そして、その税制改革協議会は、今後の税制のあり方について既に何回かの検討を回を重ねておられるというのが今日の状況でございます。
 衆議院議長のごあっせんであり、公党がそのように御協議を始められ、しかも現行の制度を改めるべきであるという方向でいろいろな御検討がなされておりますときに、政府がその進展を見きわめることなく特定の結論を先取りいたしますことは適当なことではない、どうもそういうことをしていい状況ではないであろうという判断をいたしました。
 そのような立場から、今回、歳入歳出、税制関連につきましては補正で触れておらない。これは前例のない事態でございまして、私どもどのように措置すべきかいろいろに考えましたけれども、これが恐らく一番適切な処理であろう、こう考えました次第でございます。
 それからもう一点、今年度の減税と恒久財源についてでございますが、今年度どのような減税を行うべきかにつきましては、先ほど申し上げましたようないろいろ御議論が税制改革協議会で進んでおりますが、ある程度の大きさの所得税の減税が必要であるという方向のように承っておりますが、その規模にもよりますけれども、そうでございましたら、今年度は六十一年度にかなりの剰余金が出ておることでもございますから、それとこの六十二年度の歳入歳出のやりくりの中で今年度の減税につきましての財源は生み出せるのではないか、規模にもよりますが、ただいまとしてはそんな腹づもりを持っております。
 ただ、一度減税をいたしますと、それは恒久の減税にならざるを得ないと考えますので、そういたしますと、恒久財源というものも同時に考えておかなければ、来年になってまたもとの税に戻るということは考えられないことでございますので、恒久財源を同時に考えておかなければならないと思っております。
 そこで、NTTのお話が出るわけでございますが、私どもは、NTTというのは過去の国民の努力がああいう資産になったわけでございますので、この売上代金は、一つには過去のマイナスの資産であります負債の償却に充てる、また、余裕があればこれからの資産的な投資に使っていくべきものではないかと考えております。また同時に、何回かNTTの株の売却はできますけれども、これは限られた何年かでございまして、恒久財源ではございませんから、やはり減税に対しては恒久財源を充てるべきだと、こういうふうに政府としては考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(橋本龍太郎君) 青木議員からお尋ねをいただきましたのは二点ございます。
 まず第一点で、旅客会社及び貨物会社の収支見通しについてお尋ねをいただきました。
 各社とも、昭和六十二年度の事業計画の添付資料としての収支予算書をつくりますに当たりましては、基本的には承継計画作成段階における政府試算を参考にしたわけでございます。しかし、例えば人件費につきましては当初の見込みを変更すべきと考えられたこと、あるいは政府試算の段階におきましては設備投資に計上しておりました改良などの工事における固定資産の撤去費あるいは仮設物に要する経費というものを当期の費用に計上いたしましたことなど、こうした幾つかの発足後の実情に即して各会社が所要の見直しを行いました結果、若干の収支改善が見込まれる結果となったものと承知をいたしております。
 新会社の事業運営は、そのときどきの経営状況に応じまして機動的、弾力的に行われるものでございますし、国鉄時代とは異なりましてこの収支見通しに拘束されるものではございませんけれども、いずれにしましても、現在のところ、各社とも、国鉄改革の趣旨にのっとりまして積極的かつきめの細かい事業運営を展開いたしておりまして、このような経営努力が積み重ねられてまいりますならば、私どもは、健全経営の実現が十分可能である、そのように考えております。
 また第二点で、本州三旅客会社など追加採用に伴います住宅あるいは教育等の問題について御指摘をいただきました。
 住宅につきましては、JR各社におきましてできるだけ社宅などを確保するということを努力してもらっておりまして、今回の応募者に関しましては、総数としては社宅の確保の見込みがあるという報告を受けております。
 また、学校の転入学問題につきましては、文部省から引き続いて転入学の円滑化に努めるよう各都道府県に対しまして指示していただいておりまして、これは従来からも大変積極的な協力をいただいてまいりました。この状況はこれからも御努力がいただけると信じておりますし、清算事業団に対しましても、必要な転入学に関する情報というものを集めて職員に提供するよう指導いたしてまいっております。
 さらに、広域移動に伴う引っ越しなどの費用につきましても、必要なものについては支給されることとなっております。
 このような広域移動を円滑化するための措置に加えまして、清算事業団におきましては、五月十八日の追加募集の開始から六月十五日の締め切りまでの間、できるだけ多くの職員が追加募集に応ずることができるように事業団を挙げて職員に対し積極的な働きかけを行い、さらに、それでも人間のことでありますから、なかなか心を決めかねる場合というのがあるわけでありますので、その心を決めかねておる職員のために、新会社に対し募集期間の一週間延長を求めるなど最大限の努力を払ってまいりました。
 このような努力の結果、北海道、九州両地域から本州及び四国、貨物の各新会社に対しまして千二百三十名の応募があったところでございまして、できるだけ多くの職員が本州三旅客会社などに採用されることを期待いたしております。
 今後、清算事業団に残ることとなりました職員に対しましては、本人の希望あるいは適性を踏まえながら、再就職に必要な教育訓練、再就職のあっせんを行うなどのきめ細かな措置を講ずることによりましてその再就職が図られますように、今後とも清算事業団を指導してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣平井卓志君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(平井卓志君) 順次お答えをいたします。
 JR関連の御質問でございますが、労働省といたしましては、職業安定機関による清算事業団に対する指導、協力は、これはもう当然のことながら、雇用促進事業団による住宅問題を含めた職業生活相談の実施、また、清算事業団職員の円滑な再就職のための取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、関係機関と十分な連携を図りながら、広域就職も含めて、御本人の希望や適性等を踏まえたきめ細かな再就職促進対策に努めてまいりたいと考えております。
 雇用問題でございますが、最近の雇用失業情勢は、求人の増加等一部に改善の兆しが見られておりますが、不況業種、またその関連地域を中心に全体として依然厳しい状況でございます。
 こうした状況に対処いたしまして、雇用の安定を図りますためには、御案内のように内需の拡大、為替の安定化等、経済、産業政策と一体となった総合的な雇用対策を推進することが重要であると考えております。
 このために、六十二年度におきましては、三十万人雇用開発プログラムや、また地域雇用開発等促進法に基づく総合的な地域雇用対策の実施等、雇用対策の格段の充実、強化を図ったところでございまして、今後、これら対策の機動的な実施を通じて雇用の安定を図りまして、六十二年度政府経済見通しの失業率二・九彩の達成に全力を挙げてまいりたいと考えております。
 また、この三十万人雇用開発プログラムで十分かどうかという御質問でございますが、この中身は、御承知のように、不況業種における職業転換訓練に対する助成金制度を創設いたしておりまして、産業雇用安定センターに対する援助等を通じた企業間、産業間労働移動の円滑化、さらに雇用調整助成金制度の拡充による失業の予防――これは四月一日から実施いたしております。また、地域雇用開発助成金制度の創設等による新たな雇用機会の開発等を柱としておりまして、これら施策を機動的に推進することにより雇用の安定に努めていく考えであります。
 さらに、先般策定されました緊急経済対策におきましても、同プログラムの効果がさらに確実なものとなるように各種助成金制度の改善を盛り込みまして、これは本年七月から実施いたしております。
 政府といたしましては、これらの制度が十分に利用され、さらに大きな効果が生じるよう全力を挙げて取り組んでおります。
 さらに、このような制度の周知徹底、また運用に当たって機動的、弾力的に行うよう全国安定所に対しまして重ねて指示を行ったところであります。
 沖縄の問題でございますが、現下の沖縄の深刻な雇用失業情勢の中で、今回の在日米軍の発表を極めて厳しく受けとめておるところでございまして、今後関係者の間で協議がなされることになるわけでございますが、労働省といたしましても、雇用対策を所管する立場から、従業員の雇用の安定の確保が最大限図られますように期待いたしております。
 最後に、労働基準法の改正問題でございますが、今回の労働基準法の改正は、週四十時間制を目標に法定労働時間を段階的に短縮すること、さらに年次有給休暇の最低付与日数を引き上げること等を内容としたものでございまして、この法案が成立いたしますれば、労働時間は着実に短縮されるものと期待いたしております。
 なお、労働基準法は、すべての事業場に罰則つきで強制される最低基準を定めた法律でございまして、中小企業の労働時間の実態等を考慮すれば、法定労働時間は中央労働基準審議会の建議に沿って段階的に引き上げることとすることが適当であると認識いたしております。
 労働省といたしましては、週四十時間制への移行が円滑かつできるだけ早期に行われるよう条件整備に全力を挙げる所存でございます。
 なお、修正問題につきまして、その意思ありやなしやという御質問でございますが、いまだ御審議をいただいておりませんで、一日も早く御審議をいただいて、各党さまざまな御議論がおありのようでございますから、十二分に拝聴いたしたい、かように考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣加藤六月君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(加藤六月君) 青木先生の御質問に対しお答えいたします。
 まず、食糧の安定供給の確保でございますが、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資であり、その安定供給を図っていくことは農政の基本的役割であると考えております。
 かかる観点から、昨年の農政審議会からの報告においても、「与えられた国土条件等の制約の下で最大限の生産性向上を図り国内の供給力の確保に努める必要があること。」等が指摘されております。
 この「国内の供給力の確保」という言葉は、従来の食糧自給力の維持強化という趣旨を変更するものではなく、昨今の農業、農政に対する内外の諸要請等にかんがみ、生産性の向上等により、国民の納得し得る価格で農産物を供給していくことが重要であるという意味をあわせ込めたものであります。
 いずれにしましても、農林水産省といたしましては、今後とも農政審議会の報告の趣旨を十分踏まえ、食糧供給力の確保を図るため、すぐれた担い手、優良農地、水資源の確保や農業技術の向上等、各般の策施の展開に努めてまいる所存でございます。
 次に、農産物の市場開放要求に関する御質問についてお答えします。
 まず、農産物十二品目については、ガットのパネルの場で審査が行われており、我が国としては、米国の提起しているガット上の問題点に対して、もろもろの事例を挙げつつ強く反論を行っているところであります。あわせて、二国間協議による現実的な解決についても引き続き努力してまいりたいと考えております。
 牛肉、かんきつにつきましては、一九八七年度、すなわち本年度の都合のよい時期に関係国と協議する予定となっております。今後とも、牛肉、かんきつをめぐる我が国農業の実情等について相手国に十分に説明し、その理解を求めていく考えであります。
 いずれにしましても、我が国としては輸入自由化は困難であると考えております。
 また、日本国民の主食であり、我が国農業の基幹をなすものである米については、昨年の農政審報告を尊重し、生産性の向上を図りつつ、今後とも国内産で自給する方針を堅持していく考えであります。
 次に、消費者米価でございますが、まだ具体的には決めておりません。
 しかしながら、基本的な考え方を申し上げますと、先般の米審の答申が一つあります。また、先ほど来申し上げた農政審報告において、国民の支持の受けられる価格政策の運用を目指すべきであることが指摘されております。内外価格差を極力縮小していくためにも、今後価格政策の基本的なあり方として、可能な限り現に進みつつある生産性向上の成果を生産者価格に反映し、これを消費者価格にも及ぼすようにしながら、消費者の理解と納得を得ていく方向で努力することが必要であると考えております。
 最後に、森林・林業の活性化等についてでございます。
 森林の有している諸機能は、健全な林業生産活動を通じて森林を適正に管理することによって初めて高度に発揮されるものでありますが、近年の林業の不振により、森林の機能の低下が懸念されております。
 農林水産省といたしましては、このような状況に対処するため、昨年十一月にいただいた林政審議会の報告等を踏まえ、木材需要の拡大、造林、林道等生産基盤の整備、国産材主産地の形成と担い手の育成確保、山村振興と森林の総合的利用の促進等各般の施策を推進するとともに、目下「森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画」を実施しているところであります。
 今後とも、金融、税制を含めた総合的な林業振興施策を推進して、森林・林業の活性化に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
#10
○議長(藤田正明君) 伊江朝雄君。
   〔伊江朝雄君登壇、拍手〕
#11
○伊江朝雄君 私は、自由民主党を代表して、中曽根総理並びに関係大臣に対して、現下の諸情勢について質問するものであります。
 もはやその一挙手一投足が世界の各国から注目され、世界経済の動きに大きな比重を持つに至った我が国の国際社会に臨む立場と政策並びにこれに伴ってこれからの国内経済の運営に伴う諸問題について質問をすることにいたします。
 まず初めに、過般イタリアのベネチアで行われたサミットについてであります。
 今回のサミットは、昨年の東京サミット開催時に比べて世界経済の全般的状況が必ずしも明るくなく、巨額な対外不均衡の継続、発展途上国の債務累積問題、保護主義圧力の高まりなど、多くの困難な状況が存在する中で開催されたわけであります。
 一部マスコミは、新味のないサミットと報じましたが、それはまことに当を得ない論調であります。サミット参加の各国首脳が自由貿易を擁護し、ドル安がこれ以上進行することは世界経済にとって望ましくないとの点で意見が一致し、サミット参加国首脳の間で、為替相場の安定促進のため緊密に協力していくことが合意され、黒字国には内需の拡大を、赤字国には財政不均衡の是正を促し、各国間の政策を効果的に調整するための指標が選ばれました。このことは我が国のみならず世界経済の持続的成長と不均衡の是正のため極めて重要であると考えます。
 また、今回のサミットにおいては、米ソの軍備管理、軍縮交渉を中心とする東西関係の改善と安定、ペルシャ湾における航行の安全、テロリズムの防圧や我が国が提唱したヒューマン・サイエンス・プログラム等を通じて重要な合意がなされたのであります。新味がないところか、大きな成果が上がったのであります。
 総理、昨年の東京サミットの中心人物がレーガン大統領であったとすれば、ことしのベネチア・サミットでは我が中曽根総理であったと高く評価している外交評論家がおります。確かに、中曽根総理は、今回のサミットに減税を含む六兆円の国内緊急経済対策、三百億ドルに上る黒字の還流、五億ドルのサハラ以南アフリカ諸国に対する無償援助等々、我が国が行う具体策を携えていったただ一人のリーダーであったのであります。このことは、日本が世界を支える太い柱であり、応分の責任を分担していく決意を世界各国、特に世界の首脳に強く印象づけるとともに高い評価と期待を得たのであります。
 中曽根総理は、世界のリーダーの一人として堂々と期待を担われて振る舞われたことに我々国民は大いなる誇りを感ずるのであります。この十月に総理としての責任ある締めくくりをされるに当たっての大きな功績であろうと存じます。まことに御苦労さまでございました。
 同時に、思い切った緊急経済対策を立案し、ややもすればこれまで縮小均衡型の財政を前面に押し出していた政府の財政政策から、内需拡大を軸とする経済構造の転換に向かって積極財政への転機を求めて政府をリードした我が自由民主党の努力と先見性に拍手を送るものであります。
 我が国の姿勢が問われるのは、しかし、これからであります。いかに着実に世界に公約したことを実行するかにあります。総理の御見解と御決意を承りたい。
 次に、これに関連して、緊急経済対策が策定され、裏づけとして大型補正予算が今回組まれたわけでありますが、今回の対策は、現在、衆議院の税制改革協議機関で検討されている税制改革、その一環としての減税を除いても五兆円に達する大型のものであり、昭和五十年代以降、経済対策としては過去最大のものであります。しかも、国費、地方団体及び財政投融資を合わせ、六十二年度に支出が予定されるいわゆる真水は四兆六千百億円と試算されておりまして、景気の底固めと内需拡大に力強い効果を発揮するものと期待されます。しかし、経済の先行きあるいは国際収支への影響について、その効果を疑問視する向きも見受けられます。
 したがいまして、私は政府に対し、この際、今回の対策による経済成長率、国際収支の改善等の経済の諸効果を明確に国民にお示し願いたいと思うのであります。
 次いで、今後の基本的な経済運営についてでありますが、今回の補正予算により公共事業関係費は七兆四千五十億円となり、前年度当初予算に対して一九%の伸びを確保し、昭和五十九年度以来毎年減額を続けた予算に歯どめがかかりました。問題は、今後の財政運営の方針であります。
 なるほど、今回、積極的な内需拡大策としての財政追加を行いましたが、仮に六十三年度予算で再び公共事業費の削減が行われるといたしますならば、緊急経済対策はまさに一時的、糊塗的な措置にとどまり、せっかく盛り上がり始めた民需に水をかけ、内需型へ転換しようとする経済構造にデフレ的悪影響を及ぼしかねません。私は、来年度においてはもとより、今後三年、四年にわたる中期的構想のもとで息の長い持続的な内需主導型経済を定着させ、財政を中心に拡大均衡型の政策運営が不可欠と考えるのであります。
 と申しますのも、日米不均衡拡大の要因が、米国側の超過需要によりもたらされたアメリカの財政赤字及び経常収支の赤字体質と、日本側の今日までの内需不足に基づいてもたらされた輸出依存体質及び経常収支黒字体質という構造的要因によるものであり、したがって、米国政府が国際競争力回復と財政赤字の削減を図り、日本政府が内需拡大による構造転換を図るためには、中期的に持続されることが必要であるからであります。これにより経済の潜在成長力が持続的に引き上げられ、政府が今日まで必死に取り組んでいる財政再建にも、結果的に税の自然増収を通じて寄与することになるからであろうと思うのであります。
 さてそこで、当面の問題として、来年度の概算要求基準をどのように設定するかについて伺っておきます。
 また、これに関連いたしまして伺いたいことは、六十一年度の剰余金及び六十一年度のNTT株売却益の使途についてであります。
 まず、六十一年度の税の自然増収は約二兆四千億円に達し、このうち四千三十億円は本補正予算の財源として計上されておりますが、今後、地方交付税分等を差し引いたといたしましても、なお一兆三千億円程度の純剰余金が残ると見込まれております。この剰余金は法律どおり二分の一を次年度の歳入に、残りの二分の一を国債償還に向けるおつもりかどうか伺いたい。
 また、NTT株は予想を上回って高騰しておりまして、六十一年度と同様、本年度も多額の売却益が予想されます。本補正予算に六十一年度売却益のうち四千五百八十億円が計上され、公共事業のための無利子融資に充当されますが、このNTT株式売却収入の活用に当たって、なぜに従来の補助金や減税ではなくて、無利子貸付制度を創設することにしたのか、その理由を伺いたい。同時に、六十二年度の場合、どう処置するかについてもお考えをお示し願いたいと思います。
 続いて、財政再建の問題についてでございますが、中曽根内閣は今日まで昭和六十五年度赤字国債からの脱却を目標に専心努力してまいりました。すなわち二十一世紀を展望して財政のあるべき姿を問い、高度成長の情性による歳出の膨脹体質に歯どめをかけて、予算の圧縮、縮小というだれもが予想し得なかった成果を上げたことは財政再建の最大の功績と言えるのであります。我々自由民主党も、この間、歯を食いしばってこれを支え、推進してまいりました。今後も財政改革、そして行革は不断に継続すべき課題でありますけれども、その反面、従来の財政再建は、ともすれば目標に近づこうとする余り、経済の状況変化やその施策の重要性に対して柔軟に対応する妨げとなったことも率直に言って否定できません。
 今や、私は、従来の財政再建を抜本的に見直し、新たな視点に立って財政改革を進めるべきときに来たと思っております。すなわち、今までのように一定期間を定めて機械的に赤字国債の発行額を削減する硬直的財政運営から、建設国債をも含めたすべての国債を対象に、国民総生産に対する国債残高の比率を徐々に一定に保っていく方式に財政目標を改め、経済の変動等に適切に財政が運営できるように変更すべきではないかと思いますが、政府の見解を承りたい。
 次に、雇用問題についてでありますが、造船、鉄鋼を初め、製造業を中心として大量の過剰人員が生じておりますことは御承知のとおりでありますが、このため出向、配転、一時休業の実施や希望退職の募集等の雇用調整が進められており、特に不況業種等における雇用調整の進展は、地域の雇用情勢を悪化させ、企業城下町、輸出関連の中小企業産地等において深刻な雇用問題となっております。
 さらに、これは産業構造上の問題としてではありませんが、先ほども野党議員がもの御質問があったが、新たな雇用不安の問題として発生しております。それは我が国における米国基地の五〇%を超す沖縄において、つい最近、円高によるアメリカ軍の緊縮政策によって三百名を超す基地従業員の大量解雇の通告を受けるなど、新たな深刻な問題が発生しております。いわゆる思いやり予算によって救済策を講じるとか、就職のあっせん、金利の安い転業資金の貸し付け等、今後においても発生が予測される同種問題として善処すべきである。こうしたいろいろの状況や今後の経済構造調整の進展を考えますと、雇用問題の解決はまさに国政の最重要課題となってまいったと考えるものであります。
 政府は、三十万人の雇用開発プログラムの機動的、着実な実施に努めると言われるが、具体的に雇用対策をどう進めていかれるのか、御見解を承りたいと思います。
 次に、経済構造の調整をどう進めていくかについて伺います。
 この五月に行われた経済審議会の建議「構造調整の指針」の前文に、「世界のGNP一割国家」の日本であるが、「国内に目を転じると、低い居住水準、高い生計費、長い労働時間に象徴されるように、必ずしもこれまでの経済成長の成果が生活の質の向上に反映されているとは言い難い状況にある。さらに、円高の下で、現実の為替レートと我々の生活実感からみた円の値打ちとのギャップが拡大している。このため、国民は強い円が生活の質を高めたのか」そういった疑問を強めております、率直に申しまして。「また、一昨年九月以降の円高は、種々の摩擦を生んでおり、国民の間には我が国経済の将来について不安」を感じると、その前文には指摘されております。
 東京における土地価格の異常とも言える上昇によって、マイホーム建設の夢が遠のいたことを嘆き、円高によって電気やガスについての差益還元はあったものの、ガソリンの価格や国内産の食料品価格等々に円高の利益を受け得べきものがあるにもかかわらず、それがなされていないと家庭の主婦は嘆いております。
 私の今までの質問の中での幾つかの指摘は、まさに多くの国民の実感と軌を一にしております。こうした中で、今後政府は経済構造の調整をどのように進めていかれるのか、総理の御見解を承りたいと存じます。
 次は、税制改革についてであります。
 前国会の衆議院議長の裁定により、税制改革は衆議院の税制協議機関の各党協議にゆだねられております。当時の衆議院議長の調停案によれば、直間比率の見直しを含め、税制改革について早急に結論を得る、と記されております。その後、今日まで鋭意各党協議が進められているものの、なお結論を得るに至っておりません。各党協議が整わない最大の理由は、直間比率の是正を認めるか否かにかかっているようであります。しかしながら、最近の調査によれば、国民の間に税制改革の必要性が強く認識され、七割以上の人々かこれを支持しており、特に、不公平税制の見直しが先決ではないかとする意見や直間比率の是正を求める声が強く出されております。
 総理は演説で、二十一世紀を展望した新たな望ましい税制の実施に向けて最大限の努力を傾けると申されました。改めて今、税制改革を急がねばならないその理由と、また、これに取り組む決意について国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。特に、所得税等の減税は緊急経済対策に盛り込まれ、既に国際公約となっておりますので、恒久財源を確保して思い切った断行を切望いたしたいのであります。
 また、国民の間から担税の不公平感を除去してほしいとの要望について、必要とされる財源が確保されるならまことに喜ばしいことであります。政府は現在、そのいわゆる不公平税制の具体的内容についてどのように考え、どのようにこれを改めていかれるかお示し願いたいのであります。
 私は、率直に言って、現行税制の所得、法人に対する直接税中心主義はもう限界に来ていると考えております。不公平感を除去する税制、すなわち、所得、消費、資産の三要素に対し適切にバランスのとれた課税をすることで国民の納得が得られると思いますし、その方向で努力することが大切と考えます。
 また、今後二十一世紀に向けて活力ある経済社会を構築していくためには、製造業の活性化を初めとして新技術の研究と開発等、その活力を維持し、培養していくことが必要であります。しかるに、現在の円高等のもとで企業の体力は弱まり、製造業の設備投資は六十一年度に対して九・二%減と大幅に落ち込みを見せております。このような時期にあってこそ設備投資減税を速やかに実施していただきたい。そしてまた、同時に加速度償却を行うことが必要であろうと存ずる次第であります。これについての所見を伺いたい。次に、今後、人口構造の高齢化が急ピッチで進んでまいります中で、恩給、年金を初め福祉制度が健全かつ安定的に維持運営されるためには膨大な資金が必要であります。この費用は、いずれ加入者のみの負担に依存するには限界があり、やがては破綻につながります。その典型が旧国鉄の鉄道共済組合の財政危機の姿であります。
 政府は、五十九年二月二十四日の閣議で、公的年金制度は昭和七十年度を目途に一元化をすることになっている、しかし、この公的年金の共済組合グループの中での鉄道共済組合の財政は、六十五年度から統合時の七十年度までの間が最大のピンチを迎えると予想され、憂慮されているところであります。この救済の方途について伺いたい。
 同時にまた、福祉政策の拡充維持のための新たな税制を導入する考えはないかどうか、これについても伺いたい。
 いずれにいたしましても、今後、税制改革についての展望と今後あるべき姿についての政府の力強い見解を伺いたい。
 次に、日米経済関係について伺いたい。
 昨今の日米関係は、両国が二大経済大国として総体的には確かに相互依存関係を強めております。この基調は将来とも変わらないと思います。
 総理、「アメリッポン」という新語があるのを御存じですか。カーター政権当時の大統領首席補佐官を務めたブレジンスキーという人がつくった新語であります。アメリカと日本を接続させた、いわゆるハイブリッドされた言葉であります。その意味は、日本の協力なくしてアメリカの経済回復はあり得ないという一体感の主張なのであります。日米が相互に助け合わなければならない情勢であることは、もはやだれも異論はないはずであります。
 アメリカ財務省が発行した証券、略称TBのことし五月の競争入札において、機関投資家等を含めて日本勢が、TB発行額の四五%、約四十億ドルを購入している。申すまでもなくTB売却代金は、アメリカの財政資金となっております。すなわち、アメリカの財政資金調達に日本は大きく貢献していることになるわけであります。このことは、日米相互協力の一つの事例としてぜひ記憶にとどめるべきことでありましょう。
 しかしながら、他方、我が国の対米貿易収支の大幅な黒字や円高問題、半導体、米、農産物の問題等、個別経済問題としては双方に深刻な対立があります。アメリカの対日要求は、マクロ的に言えば貿易黒字問題と内需拡大問題、ミクロ的には個別品目の両面があると言えるわけであります。
 昨年五月の東京サミットで、経済サーベイランスという相互の経済活動を監視しようという提案があったことはいまだ我々の記憶に新たなところでございます。これは要するに、主要国の経済指標を相互に監視し、経済政策協調の実を上げることによって為替の変動をできるだけ少なくしようということであった。今回のベネチア・サミットにおいてもその基調は変わらない。しかしながら、相互の経済活動の監視ということは、内政を監視することにほかならないのであります。そういうことを建前に、だんだんアメリカが個別品目あるいは個別問題、例えば国内税制や今現に問題にされている米の問題等々、今後ともその風潮が高まってくるのではないか。率直に言って、内政干渉のアプローチを広げ、それを許すことに相ならないか。日米経済関係のそういう一面についても御見解を承りたい。
 一方、特に米国においてかなり保護主義的色彩の強い貿易法案が議会で審議されておりますことや、半導体問題のように一方的な対抗措置をとる傾向も強まっております。米国内のこのような保護主義的動きは、日本経済パートナーシップの立場からも、アメリッポンと言われる協力関係からも好ましいものとは考えられない。政府としてどのように見て、いかように対処されるか、お伺い申し上げたい。
 そういう情勢の中で、我が国の昭和六十一年度貿易収支黒字は一千億ドル以上になり、経常収支不均衡の是正を為替レートの調整のみによって行うことはもはやできない状況に立ち至った。したがって、我が国は率先して保護主義を防止し、自由貿易体制を強力に維持することに努めなければならないと思います。まず隗より始めよで、より一層の輸入拡大、市場開放が必要でありますが、これについての御見解も承っておきたい。
 また、近年、対米直接投資が急速に増大し、従来の貿易摩擦に加え新たな経済摩擦発生の懸念が出てまいっております。海外直援投資は、本来、輸出転換効果を通して我が国の対米貿易不均衡の是正と米国の経済成長に貢献する性質のものであったはずでありますが、急速な増大、過度の対米工場進出は投資摩擦を生ずるおそれがあります。事前に手を打つ必要があると思いますが、これについての政府の見解も伺っておきたい。
 次に、世界平和に対する貢献について伺いたいのでありますが、今まで述べてきたように、経済の面でもグローバルの立場から各国が協調しなければならないことは当然であります。世界の平和のためにも、世界各国の相互依存関係を一層深めてまいらなければなりません。今日、世界の平和と繁栄なくして我が国の平和と繁栄もあり得ないのであります。世界の平和のため積極的に貢献すべきものと考えられます。
 他方、現在の国際情勢は、東西関係が軍備管理交渉を中心に一定の進展を見せているものの、その長期的趨勢は予断を許さないものがあり、また、世界各地にはカンボジア問題、イラン・イラク紛争等の地域紛争が見られ、引き続き解決のめどが立っておらず、テロ行為も相変わらず生じております。
 このような状況のもと、先般のベネチア・サミットで安定的で建設的な東西関係の構築を目指した西側の平和意思及びその協調と結束が確認されるとともに、イラン・イラク紛争、テロリズムについても声明が出されたことはまことに有意義であったと考えます。
 日本は、原油輸入の半分以上をホルムズ海峡に依存し、ペルシャ湾の安全航行の最大の受益国の一つでありますが、この地域の安定には、国際社会の責任ある一員として貢献すべきものと考えます。
 この六月、アメリカのジョン・レーマン前海軍長官が、アメリカはペルシャ湾の防衛のために年間四百億ドル、約五兆六千億を支出していると演説をぶち、その半額を日本に肩がわり請求すべきであるということを言ったというふうに聞いておりますが、中近東からの石油輸入に依存している日本の今後のこれに対する総理の御見解を承りたいと思います。
 関連して、FSX、いわゆる次期支援戦闘機選定問題でありますが、現在、米国との共同開発を含む開発、現有機の転用及び外国機の導入かという選択について防衛庁において専門的検討を進めていると承知しております。本件は、九〇年代後期から配備を目指すものであるだけに、二十一世紀にかけて通用する性能を有するものでなければなりません。それだけにその選定は慎重を期すことは当然のことであります。
 ここでぜひ考慮願いたいことは、その選定が日本独自の航空機産業の技術水準の維持向上につながり、我が国の防衛や産業の面で極めて有意義であることを念頭に置き、日米の貿易上の問題と絡めることなく純防衛的見地から、米国の理解を得つつ我が国の自主的判断によって選定すべきものと思うが、政府のこれに対する御方針を承りたい。
 次に、第四次総合開発計画についてでありますが、昭和七十五年を目途とするこのたびの第四次総合開発計画、いわゆる四全総は、定住と交流による地域の活性化という理念で、交流ネットワークの構想を打ち出しておりますが、その点私は高く評価いたしております。そこで、交流ネットワークを交通問題の面から取り上げて質問をいたしたい。
 四全総では、全国の主要都市間の移動に要する時間をおおむね三時間以内、地方都市から複数の高速交通機関へのアクセスをおおむね一時間以内とすることを目指す一万四千キロの高規格道路構想を打ち出しております。これによれば、人口五万人程度の都市もすべてこのネットワークの中に入り、東京圏への一極集中の機能を分散させる効果として高速交通体系の整備を私は高くまた評価する次第であります。
 そこで伺いたい。国の資金による投資で一万四千キロの高規格道路についてはその構想を鮮明にされておるのに、高速大量の旅客輸送機関である新幹線は、道路建設と同じく国の資金による投資であってよいはずの建設構想がなぜに不鮮明になっているのか、二十一世紀に向けての国土開発の立場からはいささか疑問なしとしない。改めて政府の見解を伺いたいと思います。
 次に、四全総では、国際基幹空港として成田及び新設中の関西空港を位置づけておりますが、これは当然なことであります。現在、成田空港の受け入れ容量、滑走路容量は年間九万回の発着容量であります。現在既に八万五千回に達している、限度いっぱいであります。また、関西空港の供用開始は昭和六十八年予定になっている。この間に我が国に乗り入れの希望をする国が何と三十九カ国に及んで、みんな待ったをかけられている。
 したがって、環境条件とか立地条件、そういった受け入れの条件等が整い、例えば海から入って海に出ていく、そういう離発着が可能で、しかも二十四時間開港体制がとれて、今直ちにでも対応し得る地方空港、例えば沖縄とか長崎などの地方空港を国際空港化して中継基地とすべく四全総計画中の検討課題にのせるべきであると思うが、政府の見解を伺いたい。
 次に、開発に伴って起こるトラブルについて、国あるいは地方公共団体の行う開発、空港建設などの大型プロジェクトやこのたびの四全総の実施に伴う開発もそうでありますけれども、必ずといってもよいぐらい開発があるいは資源保護かの選択をめぐる地域のトラブルが発生しております。行政庁においても裁定に時間を要し、開発がおくれ、その目途さえつかないといった例が多々見受けられる。今後ともそういった事例が多くなると思われる。したがって、一つの提言でありますけれども、こういったことを解決するため、最終的決定の司法機関をまつまでもなく、政府機関を離れた中立的な立場で裁定、調停できる権限を持つ機関の設置を考えるべきではないかと思うのでありますが、御見解を承りたい。
 次に、海外における子女教育と帰国子女の受け入れ教育の問題について御見解を承りたい。
 まず初めに、中国帰国孤児の定住対策についてであります。
 報道によれば、厚生省は、来年度全国に約二十カ所の研修センターを新設して、帰国中国孤児の定住先での日本語指導や生活相談、就職活動を国が一貫して世話し指導する体制を強化する方針と聞くが、そうだとすれば、これはまことに時宜を得た施策であり、ぜひ推進してもらいたいと思うが、それについての総理の御見解を承りたい。
 次に、海外における子女教育と帰国子女の受け入れ教育の問題であります。
 日本の経済が世界的規模において拡大発展するに伴って海外で活躍する日本人がふえ、およそ十年前の約二倍に当たる二十五万人を超す状況であります。在外居住者の悩みは、滞在期間の長期化によって日本の子供たちとの教育の格差をどうやって埋めるかという問題と帰国後の受け入れの不安についてであります。
 一方、日本に滞在する外国人は、六十一年の十二月末現在で、全国に実に八十六万七千人余に及んでおります。その数は今後もふえ続けてまいるでありましょう。これら外国の人たちは、海外在住者として在留邦人が抱く悩みと同じ悩みを持つものだと思います。
 そこで、これは一つの提言でありますけれども、帰国子女は国際感覚も身につけており、それぞれの国の話学も体得している。せっかく取得したこれら貴重な体験に磨きをかけながら、精神的にも生活習慣の面からも、逐次祖国復帰させて有能な社会人、国際人に育て上げる必要があるわけであります。一方、在住外国人の子弟にも日本語や日本の生活習慣になじませながら、日本についてのよき理解者として在日期間を過ごしてもらう。この両方の目的を持つ教育機関、インターナショナル・パブリックスクールなるものを設立してはいかがと思う。御検討願いたい。それについての御答弁をいただきたい。
 いずれにしても、臨教審の教育改革に関する第三次答申においても、海外子女教育、帰国子女の教育に関し、受け入れ体制の整備充実、海外経験教員の活用等々、提言がなされておるのでありますが、それを踏まえて諸施策を充実してほしいと思いますが、政府の御見解を承りたい。
 質問を終わるに当たりまして、総理にお願いがあります。
 ことしの秋は、沖縄において天皇陛下をお迎えしての国民体育大会が開催されます。ことしは沖縄の本土復帰十五年の節目に当たり、また、沖縄国体としては戦後各県一巡の締めくくりの最後の番を受け持つ番になっております。総理は、十月には総理としての政治の締めくくりを表明されておりますが、この時期に陛下にお供をしてぜひ沖縄国体に出席していただきたい。そして、戦後の困難な状況からたくましく立ち上がった県民を励ましていただきたい。心から要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) 伊江議員にお答えをいたします。
 まず、ベネチア・サミットの問題でございますが、日本国民が戦後営々として御努力していただきまして、日本の国際的地位も上がりました。経済力もつきました。そういうものを背景にいたしまして、日本としてはできるだけ日本の考え方を通すように努力した次第でございます。
 何といたしましても、米ソの核軍備交渉、これを廃絶に向かって最大限我々も協力するということ、このための西欧陣営の足並みを結束させるということが第一であります。これができましたので、レーガン大統領は、六月十二日にワシントンへ帰ってソ連に対する呼びかけを行い、ソ連側も好意的反応をして、いよいよ外務大臣同士の会議が行われるというところへ進んできたわけであります。
 第二は、世界経済のために為替を安定させるということでございます。
 今まで大蔵大臣レベルでG5、G7で協議してきましたが、今回は総理大臣・大統領レベルで不動の決意を表明したわけでございます。ほかのいろいろな事情もございますが、最近の為替の安定の一つの要因には、このような断固として投機業者その他とも闘うという決意の表明が背景にあったと考えております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第三に、サミットにおきましては、発展途上国や債務国あるいはアフリカの最貧国に対する我々の協力措置をもっと積極的にやろう、そういうことで一致をいたした次第なのでございます。
 我が国は、このようないろいろな問題につきまして積極的に我々の協力関係も明らかにいたしました。特に、さきに表明いたしました百億ドルに加えて約二百億ドルの資金還流を正式に表明いたしまして、しかもこれはアンタイドでやるということで、関係各国の評価をいただいたわけでございます。
 また、これらはいずれも国際開発金融機関等を通じ、あるいは協力し、あるいは二国間で債務問題に苦しむ諸国を中心とする開発途上国に還流する、そういうことで今積極的に話し合いを進めております。大体先方のニーズにこたえる形でやっておりますが、現在既にインドネシア、フィリピン、ボリビア、トルコ等について話が進みつつある状況でございます。
 アフリカに対する五億ドルの三年間にわたる無償援助も非常に好評をいただいたわけでございます。アフリカに遠い日本が、アフリカのサハラ以南の最貧国に対してそれだけの関心を持ち積極的行動をするという点について、ヨーロッパ側の皆さんが非常に感謝したという状態でございました。
 大体、アフリカは、フランスとか、イタリーとか、あるいはドイツとか、あるいは英国とか、ヨーロッパの国々が非常に大事にし関心を持った地域でございますが、我々はそれらの地域に対しても積極的な意思表示をし、協力を明確にしてきた次第なのでございます。我が国は、既に皆様方の御努力で毛布等を、数十万枚あるいは二百万枚近くでございましたか、寄附する等のこともやって、アフリカを重点政策として取り上げてきたのでありますが、今回のこのような行為によりまして、日本側の誠意はさらに鮮明に世界じゅうに認議されてきたと思う次第でございます。
 経済政策、内需拡大等につきましては関係大臣から御説明がございます。
 財政再建の目標の問題でございますが、最近の円・ドル関係の安定、特に円安の状況の現出、それから景気回復の兆候が濃厚に出てまいりました。あるいは税収の状況も現在は好調の状況で、昨年に引き続いてこの傾向は進むものと考えております。あるいはNTT株の適正なる売却、こういうようないろんな状態を考えてみまして、財政の対応力も回復してまいりましたから、ここで公共事業や社会資本に対してある程度の思い切った措置を講ずる。そして、ようやく景気回復あるいは円・ドル安定という、この底に入ったと思われる時期に回復の瞬発力を与える、こういう意味で緊急措置を行ったわけでございます。
 しかし、やはり依然として行政改革や財政再建の目標はおろすべきではない。我々の目標は、例えば来年度予算編成にいたしましても、そのような緊急措置はやりますけれども、赤字公債依存率を減らしていくということ、それから予算における公債依存度、先ほど申し上げましたように一九・四%まで下がったのでありますが、去年の補正予算でまた二一%に返りましたが、ぜひこれを二〇%以下に戻したい、そういう努力はやはりやるべきであると思っております。したがって、財政再建の旗はおろす考えはありません。
 景気の現状につきましては、足取りはかたいのでありますけれども、非常にばらつきがあって二面性がある、そういうふうに考えております。昨年の税収の好調の原因を見ますというと、法人税がかなりいい。それから有価証券取引税が非常にいい。それから相続税もよろしい。この三つの税が非常に増加してきたわけです。この背景には、土地の投機とかあるいはマネーゲームというものがかなりあるのではないか。これらは一時的なものであります。そういう意味におきまして、景気全般が普遍的にこれが伸びるように我々としては今後努力していかなければならぬ。また、一時のこれらのものに頼るということは危険である。そういうことも十分考えておかなければならないのであります。
 雇用対策につきましては労働大臣から御答弁がございますが、三十万人雇用開発プログラム等を最大限に活用してまいりますし、特に不況地域、失業多発地域につきましては、公共事業費の配分等について十分留意する必要がありますし、農業政策の減反等の影響を受けまする地域につきましても、我々は公共事業費の配分について十分細かい配慮をしなければならぬと考えております。
 海兵隊クラブの人員整理の問題につきましては、今、外務省当局といたしましても、在日米軍その他との関係においていろいろ努力しておるところでございます。
 それから、生活向上に対して、居住水準その他質的にこれから大いに努力しなければならぬではないかという御質問は、まさにそのとおりでございまして、我々がこれから行う仕事は社会資本の充実、その重点の一つには住宅という問題あるいは都市の再開発という問題があると思っております。
 国民生活のためには、これからは減税の問題等、それから労働時間の短縮の問題があると思っております。これらも野党の皆様方の御協力をいただきまして、的確に実行してまいりたいと考えております。
 さらに、税制改革の問題でございますが、お示しのとおり所得、資産、消費に対する普遍的な公平な税制体系を確立する喫緊の必要が出てきております。先般の税制改革も、シャウプ勧告以来の日本の税制のひずみやゆがみ、そういうものに対しまして、これを正常化して、二十一世紀にたえ得るような公平な普遍的な税体系を再構築しようということで行われたものでありまして、所得税あるいは法人税あるいは住民税の相当な減税、それから売上税やあるいは法人の内部留保に対する課税とか、あるいはマル優の問題とか、あるいは土地重課の問題とか、そういう総合的な財源措置も考えて、バランスがとれるように配慮したところでございます。
 売上税の問題でこれが挫折いたしましたけれども、しかし、この税制の大改革をやらなければならないということ、特に二十一世紀が近づくに従いまして高齢化社会が現出いたしまして、そういう状況のもとに、今いる若い人たちが六十を超した場合に年金の恩恵に浴せないではないかという憂いを持ちつつあります。これらの人々が安定した年金が得られるような財源的措置を今から我々が用意しておかなければならないのであります。
 そういう意味からいたしまして、できるだけ国民に普遍的に、そして苦痛ができるだけ少ない状態で安定的な財源が得られる税体系を構築するということは大事なのでありまして、それが間接税という問題であり、ある意味においてはマル優の改正という問題もそれに絡んでくるわけでございます。そういうような税制全般に対する大改革をやらなきゃならぬという国民の認識や御理解は最近非常に深まってきたと思います。そういう点につきまして、我々も十分考え、税制改革協議会におかれましても国民の御要望にこたえ得るように真剣な御努力がなされることを期待しておる次第であります。
 所得税の減税等につきましては、先ほど申し上げましたように税制改革協議会の推移を見守っておるところであります。
 次に、米国の保護主義の動きでございますが、最近はこの傾向が非常に強くなってまいりました。特に東芝事件というものが決定的にアメリカ議会に悪い印象を与えておるのでございます。先般、上院におきまして、いわゆる包括貿易法案に対するライダー、上乗せの法案が出されましたが、東芝製品を輸入させないと、たしか二年ないし五年ぐらいであると思いました。この表決が九十六対五という大差で成立した。九十六対五というこの表決の事実がアメリカ議会におけるこの問題に対する、あるいは保護主義に対する傾向を物語っておるのであります。
 我々としては、このような状況をできるだけ改善していただいて、そして包括的貿易法案が保護主義的性格を持っている場合には、レーガン大統領は拒否権を行使すると言明しております。この拒否権を行使するためにはアメリカの上院の三分の一プラス一票が必要なのであります。この三分の一プラス一票を獲得するために今ホワイトハウスは懸命な努力を各議員、各選挙区にしておるわけであります。我々は、このアメリカ大統領の拒否権行使が有効に成立するように、この際、全力を振るって支援しなければ、保護主義に負けるのであります。
 そういう面からいたしましても、我々は国を挙げて、今のような保護主義法案成立阻止のためにアメリカの心ある人たちと協力していかなければならぬ。そのためには、我々でなすべきことはなさなければならぬ。東芝問題に対するいろいろな問題も、できるだけ早期にこの悪い条件を解消する努力をしなければならぬ、そういうように考えておる次第であります。
 ブレジンスキーさんのアメリッポンの論文は私も読んでおりまして、これは日米協力関係が自動的に自然的にそういう方向へ形成されていくであろうという予測のもとに、意識的に協力関係を調整していったらどうかという趣旨の考え方でございます。これはしかし、考えようによりますと、日米だけで提携するということは、ヨーロッパあるいは世界じゅうからの誤解を受ける危険性がある。自然の流れでこれが形成されるということならいいんですけれども、それを意識的に日米だけでという考えでいくということは非常に危険がありまして、その点については私は極めて慎重な態度を持っておる次第なのでございます。
 ペルシャ湾の問題につきましては、一番の根本はイラン・イラク戦争を速やかに中止するということでございまして、サミットにおきましても、このペルシャ湾の安全航行、イラン・イラク戦争を中止させるための議論を相当我々は熱心にやりました。今後とも共同連携していくということをやったわけであります。
 しかし、我が国には独特の憲法もございますし、我が国の防衛・外交政策には一つの限度がございます。したがって、その限度の範囲内において、ペルシャ湾の航行に対しては最大受益国である日本はできる限りの協力をいたしましょう、そういうような国際的枠組みができる場合には、我々も十分前向きに検討いたしますと、そういうことを申し上げてまいりました。
 現在、国連におきまして、イラン・イラク戦争をやめさせるための安全保障理事会を中心にする決議案が検討されております。この決議案がどういう効果を生むか、我々は今非常に注意深くこの問題の参加について検討しておるところでございまして、倉成外務大臣を先般イランに派遣しましたのも、こういう動向を踏まえてイラン当局に対して情勢を伝え、かつまた自重を要望する、こういう面で伺ったという面もあるのでございます。
 次に、輸入拡大と市場開放ということでございますが、もとより、ただいま申し上げたような状況のもとにこれは推進されなければなりません。しかし、市場開放という言葉は、私は最近直すべきであると思っています。日本の市場の開放度は、世界の水準やヨーロッパの国々と比べて決して劣っているのではないのであります。かつては劣っておりました。しかし最近は、市場開放と言われる部分は相当進んでおりまして、決してほかの国に遜色あるものではないのです。したがって、輸入の増大とかあるいは市場アクセスの改善と言うべきであります。現在いろいろ言われている問題を見るというと、日本の商慣習とか、あるいは社会的な生活環境から来ている違和感がそのような閉鎖性という言葉で言われておるので、市場は法的に閉鎖されているわけではないのであります。そういう意味におきまして、このような違和感を解消するために、具体的、現実的行為を経済界の皆さんにとっていただくということが大事なのでありまして、我々はそういう点について努力してまいりたいと思います。
 対米直接投資の問題につきましては、最近非常に増大してまいりました。特にこれが不動産関係について急速に伸びておりまして、ややもすれば誤解を受けかねまじき点もございます。それらについては、関係業者に厳重なる自粛、自戒もまたお考え願わなければならぬ場合もあり得ると思っております。
 政府は、この対外投資の増大に対しましては、OECDの多国籍企業の行動指針の周知徹底、遵守を指導してきております。一昨年十二月には、通商産業大臣から主要経済団体幹部に対して、いわゆる投資摩擦の未然防止方を呼びかけており、民間団体におきましてもこれを踏まえまして、共同して発展途上国に対する投資行動の指針の見直しを行いました。また、本年四月から、先進国をも対象とした新たな海外投資行動指針が遵守されておりますが、さらに、これらについては経済団体と協力して摩擦の起きないように努力してまいります。
 新幹線の整備につきましては、最近の四全総におきまして新幹線の「整備計画五線については、国鉄改革の趣旨をも考慮して、逐次建設に着手する。」、こういうふうに明文化したところでございます。政府は、いろいろな今の条件を解消するように、今努力し、検討しておるところであり、希望の灯は消さない、そういうように私は前から申し上げております。問題を解決して、その希望の灯をさらに明るくするように努力してまいりたいと考えます。
 公共事業の予算の配分につきましては、失業多発地帯あるいはその他について特別に配慮すると申し上げたとおりです。先ほど申し上げましたように、減反等によりまして農村関係でそのような停滞が出てくるところについても、今回の配分については特に注意しなければならぬと考えております。
 民間活力の活用については、既に関西新空港、東京湾横断道路、関西文化学術研究都市あるいは総合保養地域の整備等々、民間と協力してこの導入を今促進しようとしております。
 御指摘の地方空港、さらにヘリポートを各県に建設していただこう、そういう意味におきまして、このヘリポート等についてはNTT株の売却益の一部を無利子でお貸しする、そういうことで各県にこれを積極的に参加するように呼びかけておるところでございます。
 中国残留孤児の問題については、この定着自立は国民的課題でありまして、全国民を挙げてこの施策の一層の充実に努力してまいりたいと思っております。
 帰国子女等に対する国際学校につきましては、先般の臨時教育審議会の第三次答申でもうたわれておりまして、新国際学校についての提言がございます。この趣旨を踏まえて、我々はこういうような新しい考え方に踏み切ってまいりたいと思います。
 特に、海外の子女教育の問題でございますが、御指摘のとおり、これらの子女は異文化をも理解し、語学もたけておる面もございまして、これらの長所を保持して、そして日本の内部において、あるいは国際的に活躍できるように学校教育体系もこれを改革する必要がある、新しい時代に即応するように改革していく必要がある、そういうように考えて努力してまいりたいと思います。
 沖縄国体につきましては、今お話がございましたが、沖縄は大事なところでございまして、天皇陛下が初めて行幸なさいます歴史的な秋でございます。もし御要望がございますならば、天皇陛下にお供いたしまして参上いたしたいと考えておりますが、これはいろいろの事情等もよく検討してみなければならぬと思っています。いずれにせよ、この画期的な大事な行事が天皇陛下御親臨のもとに大成功裏に終わるように祈念いたし、政府としても全面的に協力いたしたいと申し上げる次第であります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国経済が縮小均衡に陥らないように、持っている潜在力を引き上げるために財政も努力すべきであるという御説に対しましては、まことにそのとおりに存じます。
 財政再建の途中ではございますが、そのような制約の中でできるだけ努力をいたさなければならないと思っておりまして、御説のように、今回一回だけの補正予算で目的を達するとは考えておりません。したがいまして、六十三年度予算編成に当たりましてもそのような基本方針で臨みたいと考えております。
 なお、それとの関連で、六十一年度に非常に大きな剰余金が出た、これをどうするのか。将来、国債の償還のためにその二分の一を使うかというお尋ねでございましたが、この点は、今年度所得税等の減税につきまして、税制改革協議会等でどのような御検討の結果が出ますか、その規模にもよることでございまして、規模いかんによりまして、あるいは財政事情によりまして、あるいは国会のお許しをいただきましてこの剰余金を減税財源に充てさせていただくこともあろうかと存じますが、もうしばらく推移を見させていただきたいと存じます。
 それから、NTT株の売却益を社会資本整備に使うのはよろしいが、どういうふうにやるのかというお尋ねでございました。
 これは、貸し付けの対象によりまして、収益を生じますような事業につきましては、長い年月でよろしゅうございますから償還をお願いしたいと思っておりますし、あるいは収益を伴わない事実上公共事業の補助金に当たります部分につきましては、これは将来補助金を交付することによりまして相殺する、そういう形を考えております。したがいまして、この資金は回転をいたすということになるわけでございますが、本来が国債償還、国債整理基金が持っておる金でございますので、本来の目的に将来充てていきたいというふうに考えておることには違いございません。しかし、ただいまのところ、社会資本の整備が急務でございますので、売却収益に余裕がございますれば、それに相当分を充てていきたいと考えておるわけでございます。
 最後に、設備投資減税につきましてお話がございまして、私どもも新しいニーズに従いまして、古いものをやめ、新しいいわゆる産業構造調整でありますとか、民間活力の推進等のための投資減税等々を前国会で御提案いたしたところでございます。
 それから償却資産の耐用年数につきましては、技術的な陳腐化の問題もございますから、そういうことに即応しつつ今後とも見直しを行ってまいりたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(橋本龍太郎君) 二十一世紀の我が国を考えますとき、高速交通体系の整備は必ず必要であります。
 こうした観点から、四全総におきます新幹線の取り扱いにつきましては、長期構想として、全国新幹線鉄道整備法に基づく既定計画路線を基本としつつ、社会経済の動向、新たな鉄道事業体制への移行の成果、技術の進歩等を見きわめながら対処するといたしております。
 また、計画期間中の施策につきましては、整備計画五線について、国鉄改革の趣旨をも考慮しつつ逐次建設に着手するといたしております。
 整備新幹線の具体的な取り扱いにつきましては、現在、整備新幹線財源問題等検討委員会において、財源問題等の着工の前提条件についての検討をいたしておるわけでございますが、先般来、政府・与党から成る少人数のグループによる作業を早急に行うことが確認され、現在、その方針に沿って検討を進めております。
 また、運輸省といたしましても、国際線の就航する空港の地方展開は進めていく所存でありまして、今後それぞれの地域の需要、内外航空企業の運航計画、諸外国との関係等を考慮しつつ、御指摘の地方空港の国際空港化については検討してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣綿貫民輔君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(綿貫民輔君) 四全総の中におきます高速交通網の整備の中で、新幹線、空港の国際化の地方展開等につきましては、ただいま総理、運輸大臣からお答えになったとおりであります。
 御提案の、四全総の中の個別の事業の実施に当たりまして、さらに円滑に進めるために行政機関によらざる第三者の機関の設置という御提案でございますが、いろいろの今までのルールとか組織もございますが、大変貴重な御意見でございますので、十分関係省庁と連絡して勉強させていただきたいと考えております。(拍手)
#16
○副議長(瀬谷英行君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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