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1987/07/24 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第4号
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1987/07/24 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第4号

#1
第109回国会 本会議 第4号
昭和六十二年七月二十四日(金曜日)
   午後三時十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和六十二年七月二十四日
   午後三時 本会議
 第一 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1
  号)
 第二 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第
  1号)
 第三 昭和六十二年度政府関係機関補正予算
  (機第1号)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第五十四番、選挙区選出議員、山口県選出、二木秀夫君。
   〔二木秀夫君起立、拍手〕
#4
○議長(藤田正明君) 議長は、本院規則第三十条により、二木秀夫君を運輸委員に指名いたします。
     ―――――・―――――
#5
○議長(藤田正明君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、国家公安委員会委員に石井成一君を、
 公安審査委員会委員に中川順君を、
 社会保険審査会委員に大谷藤郎君を、
 航空事故調査委員会委員に薄木正明君を、
 労働保険審査会委員に倉橋義定君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、国家公安委員会委員、社会保険審査会委員、労働保険審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
 次に、公安審査委員会委員、航空事故調査委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#8
○議長(藤田正明君) 日程第一 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)
 日程第二 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 日程第三 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長原文兵衛君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔原文兵衛君登壇、拍手〕
#9
○原文兵衛君 ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案の委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 今回の補正は、去る五月、政府が決定した緊急
経済対策を推進するため、公共事業等の追加を行うとともに、中小企業対策、政府調達特別対策、経済協力等の措置を講ずることとしております。
 本補正の結果、昭和六十二年度一般会計予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し二兆七百九十三億円増加し、五十六兆一千八百三億円となっております。
 また、一般会計予算の補正に関連して、特別会計予算では産業投資特別会計など十八特別会計、政府関係機関予算では、国民金融公庫など六政府関係機関について所要の補正が行われております。
 補正予算三案は、七月六日、国会に提出され、七月十日、宮澤大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って、七月二十日から二十四日までの五日間にわたり、中曽根内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し、国政全般にわたり熱心な質疑が行われました。
 以下、質疑の主なもの若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
 まず、経済動向につきまして、「景気は底入れをしたのか。緊急経済対策にもかかわらず、民間調査機関の多くは実質経済成長率三・五%の政府見通しの達成を困難と見ているかどうか。高騰している大都市周辺の地価をどのように安定させるつもりか」との質疑があり、これに対し、中曽根内閣総理大臣及び関係各大臣等より、「経済の現状は、輸出が減少しているものの、消費は堅調で、住宅投資も高水準を続け、民間設備投資は非製造業を中心に増加しており、さらに在庫調整が進むなど、景気は底を打ったと考えている。今後、緊急経済対策により需要が追加されるので、経済は一段と拡大し、為替も安定すれば、内需中心に着実な景気回復が期待される。六十二年度経済に対する民間の予測は政府見通しに比べ、設備投資を弱く、経済成長率も低目に見積もっている。しかし、今回の緊急経済対策は公共投資等の事業量と減税だけで六兆円とGNPの一・八%に相当し、波及効果を勘案すれば、一年間でGNPを二%程度押し上げると試算されるので、昭和六十二年度の実質経済成長率三・五%は達成できる。土地問題について政府は、金融機関に対する不動産融資への自粛要請と特別ヒアリングの実施、土地取引に対する監視対象区域の拡大を行っており、さらには国土利用計画法による規制区域の指定に基づく許可制の実施も検討していく」との答弁がありました。
 財政・税制問題につきまして、「今回の補正予算は緊縮型財政再建路線から軌道修正し、積極型財政に転換したものか。公約の六十五年度特例国債の脱却は可能か。国民が期待する六十二年度所得税減税をどのように実施するつもりか」との質疑があり、これに対し、中曽根内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣より、「今回、内外の諸情勢からNTT株の売却益も利用して補正予算を編成し、公共事業をふやしたが、財政の出動は今後も継続する。六十三年度概算要求基準でも公共投資に配慮していくつもりである。これは従来の行革、財政再建路線を基本的に維持しつつ、若干の修正、補完したものと理解願いたい。六十五年度財政再建の目標を現在断念するにはいまだ早過ぎる。五兆円弱の特例国債が残っており、毎年度約一兆六千六百億円の減額が要求される厳しい情勢ではあるが、NTT株の高値売却が続けば国債償還に充ててもなお資金に余裕が出るし、財政の出動で経済の潜在力が引き出せれば税の自然増収も増加するので、今後も財政再建に精いっぱい努力していく。所得税の減税はぜひ実現したい。財源は税制改革の一環として恒久措置が望ましい。前年度剰余金を活用しても一遍限りの戻し税でなければ明年度以降に財源問題が生じ、また、今後数年間予想されるNTT株の売却益も一時の資産処分で、しかも、減税に浴さない人も出るので減税財源として不適当である」との答弁がありました。
 補正予算に関連して、「前国会で廃案となった売上税に係る当初予算が補正されないまま放置されているのは問題ではないか」との質疑があり、これに対して、宮澤大蔵大臣及び味村法制局長官より、「予算と法律がそごを生じていることは御指摘のとおりで、年度内に整合性を回復させるため補正を行う考えである。目下税制問題は税制改革協議会で討議中で、いずれ何らかの改革の方向が出され、今回補正をしても再補正が必要となるので現実的でなく、今回は見送った」との答弁がありました。
 最後に、ココム違反問題につきまして、「東芝機械の輸出製品とソ連原潜の低音化に明確な因果関係を示さず、関連企業全製品の輸出をアメリカが抑えようとするのは行き過ぎではないか。ココム協定は政治的に重要な国際的取り決めであり、国会の承認を受けるべきではないか。ココム違反の再発を防止するためどのような措置を講ずるつもりか」との質疑があり、これに対し、中曽根内閣総理大臣、倉成外務大臣及び田村通産大臣より、「まず、因果関係については、アメリカとの情報交換等から嫌疑は極めて濃厚と政府は判断している。日本の企業が自由主義陣営の申し合わせに基づいてつくられた国内法に違反し、虚偽申請等を行い輸出したことは論外で許されない。他方、アメリカ国内での保護主義の高まり、貿易インバランス等を考えると、我が国は迅速、果敢かつ誠実に対応することが肝要である。ココムの申し合わせは国際約束ではなく、申し合わせをどう実行するかは各国の国内法で措置することになっており、国会の承認を必要とする条約等とは性格が異なる。ココム違反再発防止については、安全保障及び西側陣営の一員としての認識が産業・経済界の一部に欠如し、行政の監督体制にも欠陥があったことを反省し、刑事罰強化を含む法律改正を初め、戦略物資の輸出入管理、検査体制の強化等の思い切った刷新を行うことにしたい」旨の答弁がありました。
 質疑は、このほか、SDI研究参加に伴う政府間協定及び実施取り決めの合意署名にかかわる諸問題等、広範多岐にわたり行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して野田委員が反対、自由民主党を代表して藤野委員が賛成、公明党・国民会議を代表して矢原委員が反対、日本共産党を代表して沓脱委員が反対、民社党・国民連合を代表して勝木委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和六十二年度補正予算三案は賛成多数で原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(藤田正明君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。山口哲夫君。
   〔山口哲夫君登壇、拍手〕
#11
○山口哲夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 我が党は、国の政策というものは常に経済の情勢に応じて柔軟な政策をとるべきではないかと主張してまいりましたが、中曽根内閣は、この我が党の主張を一切拒否し、政権担当以来の四年半、臨調・行革路線に基づいた歳出削減一辺倒の政策をとり続けてきたのであります。果たせるかな、この緊縮財政政策の誤りが輸出ドライブをもたらし、アメリカのレーガノミックスの失敗も加わって、外にあっては過剰黒字による日本たたき、内にあっては急激な円高と不況を招く結果になったのであります。
 この結果、六十一年度の実質経済成長率は二。六%と実に十二年ぶりの低成長にとどまり、昨年末に下方修正された三%成長をも達成できなかったのであります。景気判断の誤りを積み重ね、経済政策を破綻させ、国民、勤労者大衆に多大の犠
性を強いた中曽根内閣の責任は極めて重大であると言わざるを得ないのであります。その結果、中小企業の倒産や失業者が増大したことによって、政府はようやく事態の深刻さに気づき、五月二十九日、緊急経済対策を決定したのでありますが、余りにも遅過ぎた措置であると言わざるを得ません。
 円高不況を克服するための大型内需拡大予算の必要性については、昨年末における党首会談でも、我が党が強く主張したのでありますが、このような国民の声を一切無視しながらも、アメリカなどから内需拡大を突きつけられると、あっさりこれに応ずるという姿勢。一体、中曽根内閣は、国民の声が大事なのか、アメリカの声が大事なのか。国民の声よりもアメリカの声を優先するがごとき傲慢な姿勢は断じて許されないのであります。
 また、中曽根内閣は、民活依存に名をかり、国公有地を極めて高い金額で切り売りし、それを引き金に土地の暴騰をもたらし、財界を潤すだけでなく、地上げや土地転がしの横行を放置し、地価急騰に油を注いでいるのが実態なのであります。
 しかも、政権末期の今ごろになって、土地問題を新行革審へ諮問するがごときこの態度は、土地政策先行を主張し続けた国会の意思を軽視するものであり、政権延命、死に体を避けるためのポーズとしか考えられません。閣僚の中にさえ、土地政策は中曽根内閣最大の失政であったという声のあることを総理はしっかり肝に銘じてほしいものであります。
 次に、委員会でも取り上げられました東芝機械問題でありますが、政府は、東芝機械の輸出とソ連原潜のスクリュー音低減の因果関係について、嫌疑が濃厚との心証を得たとし、外為法の罰則強化等を検討しているようでありますが、ココムの協定や内容が秘密下に置かれていること自体、政治的に重要な国際約束などは国会の承認を必要とするとした大平三原則に反するもので、国会軽視と言わざるを得ないのであります。また、外為法の罰則強化は、自由貿易をうたった外為法の趣旨に反するだけでなく、憲法にも抵触するおそれがあることを警告して、以下、順次反対の理由を申し述べます。
 反対する理由の第一は、政府の緊急経済対策では、六十二年度の政府経済見通しである三・五%成長の達成が困難なことであります。
 政府は、緊急経済対策の成長率押し上げ効果を二%程度、貿易収支改善効果を五十ないし六十億ドル程度と試算しておりますが、これは民間の調査と比較してみても極めて楽観的であることを指摘せざるを得ません。公共事業の内容を見ましても、生活関連の社会資本整備が不十分であり、住宅対策では、住宅金融公庫の貸付基準の緩和と枠の拡大にとどまり、今最も緊急に求められている土地対策が欠落していてはその効果も期待できません。内需拡大に相当の効果をもたらし、欧米諸国からさえ指摘されている労働時間の短縮が遅々として進んでいないことも納得できません。また、地方財政との関連では、補助事業、単独事業を含めて地方負担がますます大きくなり、地方の犠牲において内需拡大を行うのかとの声さえあるくらいであります。特に減税問題など、本年度の歳入が確定しないまま補正予算の執行を求めるやり方には、行政を担当する内閣の姿勢そのものに問題があると言わざるを得ないのであります。
 反対する理由の第二は、中曽根内閣の金看板である財政再建公約が破綻しているにもかかわらず、積極財政への政策転換が明確に示されていない点であります。
 政府は、今回の措置を臨時、緊急的なものと位置づけておりますが、今後とも内需中心に五%程度の成長が必要なこと、あるいは円高による産業構造転換への取り組み、そして最大の政策課題である雇用問題への対応などを考えますと、臨時、緊急の一時的なものではない、息の長い内需拡大策を必要としなければならないのであります。既に六十五年度赤字国債脱却の財政再建公約が完全に破綻しているにもかかわらず、その政治責任を何らとろうともせず、言葉巧みにごまかそうとする中曽根内閣の態度は断じて許すことができないのであります。
 今日、我が国に求められている財政政策は、総理が言う二刀流ではないのであります。二十一世紀を展望しつつ、我が国経済社会のあり方を問い直し、生活と社会基盤の質的な向上を図る視点から、積極的な財政出動による内需拡大政策の持続的な展開こそが求められているのであります。中曽根内閣がみずからの公約に縛られ、中途半端な財政運営を続けていくことは、二兎を追う者は一兎をも得ずの愚を繰り返すにすぎないことを、この際再度警告しておきたいのであります。
 反対する理由の第三は、本補正予算案に所得税減税が盛り込まれていないことであり、しかも、マル優廃止法案の提出を強行しようとしていることであります。
 緊急経済対策では、総額一兆円を下らない規模の所得税減税を行う旨明記されておりますが、減税規模が一兆円というのは極めて不十分であります。少なくとも我が党が要求している二兆円規模の減税を行わなければ、可処分所得の増大に伴う内需拡大効果など到底期待し得ないのであります。六十一年度の剰余金、NTTの株式売却益、不公平税制の是正等によって当面の財源は確保されているのでありますから、速やかに所得税減税を行うことが政府のとるべき政策であったはずであります。にもかかわらず、所得税減税実施の交換条件としてマル優廃止を持ち出すというこそくな手段に訴えるやり方は、言語道断なのであります。高額所得者優遇策にすぎないマル優廃止を政府・自民党が強行することは、公党間の約束をほごとし民主主義への重大な挑戦とも言うべきもので、断じて許すことはできません。
 反対理由の第四は、中曽根内閣の軍拡指向に何ら反省が見られず、防衛費の対GNP比一%枠突破が放置されたままであるということであります。
 中曽根内閣の危険な軍拡体質については、これまで幾度となく指摘してまいりましたが、ベネチア・サミットにおける総理のINFアラスカ配備発言を見逃すわけにはまいりません。現在、米ソ岡ではINF全廃に向けての軍縮交渉が行われておりますが、このようなときに、世界で唯一の被爆国である日本の総理大臣が東西対立をあおるような発言をすることは、不謹慎きわまりないものと言わざるを得ないのであります。
 また、補正予算の防衛費は四十一億円程度減額されておりますが、この程度の削減では全く不十分であります。防衛費に含まれている売上税計上額九十三億円の削減が行われていないこと、支出官レートが一ドル百六十三円のまま変更されていないことなど、防衛費削減の努力を怠っていることは断じて許されないのであります。
 以上、今回の政府補正予算案は、今日の急を要する政治課題である内需拡大、円高不況の克服、対外経済摩擦の解消という緊急課題に対して有効なものとはなり得おいこと、また、軍拡から軍縮への転換が全く見られないことなどを指摘して、私の反対討論といたします。(拍手)
#12
○議長(藤田正明君) 大河原太一郎君。
   〔大河原太一郎君登壇、拍手〕
#13
○大河原太一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対して、賛成の討論をいたします。
 中曽根内閣は、発足以来、外には積極外交により諸外国との友好を深め、国際国家日本の地位向上を図るとともに、内には行財政改革、教育改革、税制改革といった困難な課題に真正面から取り組んできました。国鉄を初め三公社の民営化や公務員の定数削減、さらには公債依存度の低下など、その成果も着々と上がってきております。私は、何よりもまず、これまでの総理の御苦労に対
し深く敬意を表するものであります。
 さて、一昨年秋以来、停滞していた我が国経済も、住宅建設や個人消費が堅調に推移し、企業収益も上向いてくるなど明るさが見えてまいりました。加えて、久しく続いた円の急騰もようやく峠を越え、安定的な動きを示しております。今後、景気は確実に回復に向かうと思われますが、雇用情勢にはなお厳しさが見られ、国際収支の不均衡も改善の兆しが見えるとはいえ、依然大幅な水準にとどまっておるところでございます。
 このような現下、我が国が置かれている状況を考えますと、一層の内需拡大を図り、景気回復をより速やかなものとするとともに、対外不均衡の是正等を緊急に行わなければならないのであります。公共投資の拡大等により、六兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策を講ずるとともに、所要の対外経済対策を講ずるため、政府は、去る五月、緊急経済対策を策定しましたが、この一刻も早い実施が待たれるのであります。昭和六十二年度補正予算三案は、この緊急経済対策を実施するため編成されたものでございまして、時宜にかなった適切なものと賛意を表するものであります。
 以下、その主な理由を申し上げます。
 第一に、公共事業等の追加として、一兆三千五百八十四億円を計上するとともに、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入を活用して社会資本の整備を図ることとしております。
 従来、政府は財政改革に配慮し、公共事業の拡大には慎重な態度で臨んできました。後代に負担を残さないため、また、高齢化社会の到来に備え、財政の対応力を回復しておくためにはやむを得ない措置であったと思われます。
 しかし、内需拡大が喫緊の課題となった今、内外の諸情勢に機敏に対応し、より経済効果を高めるため、財政出動を決断することも政府としては当然の措置であります。本補正予算案では、建設国債の増発などにより、公共事業の国費分として一兆七千億円以上もの年度内支出に踏み切りましたが、財政改革に向けぎりぎりの努力を行いつつのことであり、私は高く評価するものであります。
 すなわち、政府は、日本電信電話株式会社の株式売り払い収益の活用や、前年度剰余金の運用により、建設国債の増発を極力抑制するとともに、赤字国債の増発を回避し、財政支出の拡大をしながらも財政改革路線を大幅に逸脱しない努力を行っているのであります。今後、しばらくは積極財政が必要となりましょうが、今回の補正に見られたように、ぜひとも財政改革という点にも配慮を行っていただきたいのであります。
 第二は、中小企業等特別対策費として四百十四億円を計上していることであります。
 円高等内外の経済環境の急激な変化により、影響を受ける中小企業の御苦労は並み大抵のものではありません。これら中小企業に対する事業資金の融通の円滑化を図るため、特別融資制度の拡充を行うなどの措置をとることは極めて適切なことであります。
 第三は、政府調達特別対策費一千十一億円、経済協力特別対策費百八十三億円を計上していることであります。
 今日、国際協調ということがますます重要性を帯びてきております。このため、対外不均衡の是正、調和ある対外経済関係の形成が不可欠なのであります。現在、我が国は大幅な経常収支の黒字を抱えており、この速やかな是正とともに、黒字を国際社会に生かす努力が求められているのであります。輸入の拡大のため政府調達による外国製品調達を追加するとともに、後発発展途上国へ資金協力を行うことは、こうした努力を目に見える形で表現することになり、必ずや諸外国の我が国に対する評価を高めるものと思われ、大変好ましいものであると思うのであります。
 第四は、住宅対策の充実についてであります。
 住宅問題については、従来から政府は力を入れてきたところでございますが、なお一段と推進を要することは否めません。最近、内需拡大の有力な手段としても活用され、六十一年度は約百四十万戸の建設を見ました。本補正予算案では、当初予算での対策をさらに拡充し、新たに二万五千戸の戸数を追加するとともに、貸付金利も四・二%に引き下げ、国民の住宅建設のニーズと負担の軽減の要望にこたえております。今回の対策によって国民総生産をおおよそ一兆円程度押し上げ、内需拡大にも大きな効果を上げるものと期待されるのであります。
 最後に、若干政府に要望を述べておきたいと思うのであります。
 税制改革の問題につきましては、衆議院の税制改革協議会の結論待ちということで本補正予算案には盛り込まれませんでしたが、不公平の是正及び減税は国民の切実な願いであり、協議会の結論が出ました暁には速やかにその実施をお願いしたいのであります。
 また、我が国企業のココム協定違反が大きな問題となっておりますが、日本が西側諸国の一員として責任を果たすという点で、その意識が希薄なため生じた事件であると思うのであります。西側諸国の一員としての信頼関係を損ねないよう万全の政府の対応を望むとともに、今後、二度とこのような不祥事が起こらぬよう政府の適切な措置をお願いするものであります。
 これをもちまして私の賛成討論を終わらしていただきます。(拍手)
#14
○議長(藤田正明君) 矢原秀男君。
   〔矢原秀男君登壇、拍手〕
#15
○矢原秀男君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 約四年半にわたる中曽根政治でありましたが、この間、国民の負託にこたえることが余りにも少な過ぎたと指摘せざるを得ません。
 日本列島不沈空母論に端を発した総理の軍拡指向は年々エスカレートし、六十二年度当初予算においては、ついに防衛費は対GNP比一%枠を突破するに至りました。最近も、さきのベネチア・サミットでINFアラスカ配備発言を行うなど、核兵器の廃絶という国是に反し、我が国の平和外交について諸外国に懸念を与えた責任は極めて大きいと言わざるを得ません。中国からも、日中共同声明、平和条約の諸原則がなし崩し的に空洞化されるのではないかとの懸念が強く表明されておりますが、これも教科書問題、GNP一%枠突破など、一連の配慮を欠いた中曽根内閣の政策にあることは言うまでもありません。
 また、総理は、就任以来、戦後政治の総決算を主張し、その締めくくりとして行おうとした税制改革では、大型間接税は導入しないという同時選挙の公約に完全に違反する売上税導入を企図したのであります。国民の大反対を受け廃案に追い込まれ、挫折を余儀なくされたのは当然であります。一国の総理の公約違反がいかに国民の政治に対する信頼を失墜させたか、その政治責任すらとろうとしない総理の態度は許されないのであります。
 さらに、経済政策も失敗に終わったと言わざるを得ません。
 経済情勢を無視して緊縮財政をとり続け、内需拡大策に積極的に取り組まなかった経済政策の破綻が貿易収支の累年の急増につながり、欧米からのジャパン・バッシングと急激な円高をもたらし、我が国を円高不況の混乱に陥れているのであります。
 政府は、ようやく内需拡大を柱とした大型の補正予算を編成したのでありますが、なぜ早く我々の主張や国民の声に耳をかそうとしなかったのか、到底理解できないのであります。
 我が党は、昨年末の党首会談を初め、再三再四にわたり内需拡大の必要性を指摘してまいりました。このような切実な国民の声を一切無視し、その結果、当初予算審議中に大型補正予算の必要性
をみずから表明することを余儀なくされました。そして、財政出動にかわり切り札とされた民活は、マネーゲーム、財テクの横行を許し、ついに土地投機に回って、東京都心部を初め大都市周辺の地価高騰を引き起こした元凶となっているのであります。地価の異常な値上がりは、勤労者のマイホームの夢を奪うばかりか、既に住宅を持つ人々の急激な固定資産等の税負担をもたらし、今や持ち家制度は崩壊しかねない状況にあるのであります。内需拡大を無視した歳出削減一辺倒の経済政策の失敗は明白であります。
 以上のように、中曽根内閣の政策は国民の政治に対する信頼を失わせ、国民生活を悪化させたと言わざるを得ないのであります。総理の反省を促して、以下、反対の理由を申し述べます。
 反対の理由の第一は、今回の補正予算が既に廃案となった売上税について何ら補正を行っていないことであります。
 すなわち、当初予算は、歳入については法律の裏づけがない税収が計上され、歳出についても売上税分が水膨れしている欠陥予算であります。予算編成権を盾にこうした欠陥予算を放置することは、財政民主主義に反し、国権の最高機関たる国会を軽視する行為であり、許すことができないのであります。政府は、廃案となった売上税については、これは歳入から削除し、歳出についても売上税分を減額し、補正予算を編成し直すのが筋であります。
 反対の第二の理由は、後手後手に回り時宜を失する総理の経済運営であります。
 一昨年のG5を契機とした急激な円高は、輸出関連業種を中心に我が国経済に深刻な影響を与えており、円高倒産は一昨年十一月以来累計で千件を超え、完全失業率もこの五月には三・二%と史上最悪を更新しております。特に今回の円高は、既に国際的な競争力の低下、供給過剰に苦しんでいた構造不況業種、輸出比率の高い輸出産地中小企業に大きな打撃を与えており、これらの産業に依存している地域では、地域経済全体の疲弊とこれに伴う雇用問題が深刻化しているのであります。
 こうした状況を招いた元凶は、これまで我が国経済の状況を放置し、何ら有効な施策をとってこなかった総理の経済運営の怠慢にあることは明らかであります。今回の緊急経済対策は、円高不況対策としては極めて不十分で、政府経済見通しの実質三・五%の達成は到底困難であることは言うまでもありません。
 反対の第三の理由は、今回の補正予算に所得税等の減税が全く盛り込まれていない上、減税をマル優廃止とセットで行おうとしていることであります。
 税負担を軽減し、国民の可処分所得を引き上げて内需拡大に資するためにも、一日も早い減税実施が必要なことはだれの目にも明らかであります。ところが、政府は、マル優廃止という増税との抱き合わせで減税を実施しようとしております。六十二年度所得税減税については、六十一年度決算剰余金、NTT株売却益により二兆円規模で実施すべきであり、次年度以降についても、恒久財源についてはキャピタルゲイン課税ほか不公平税制の是正により賄うべきであります。今回の補正予算案において所得税減税を先送りしようとする政府の態度は、断じて容認できないのであります。また、国民の間に広く浸透したマル優を不正利用のためと称し廃止することは、一部の不正利用のツケを一般国民に押しつけようとするものであり、断固反対せざるを得ないのであります。
 反対の第四の理由は、六十五年度赤字国債脱却という総理の言う六十五年度財政再建が不可能であることは明らかであります。
 今回の財政出動についても、総理はみずからの財政運営の失敗を認めるどころか、臨時、緊急の名のもとに、なし崩し的に積極財政への転換を図り、財政再建路線堅持の形式だけを取り繕おうとしているのであります。こうした国民の目を欺こうとする総理のやり方は見逃すことができないのであります。この際、総理は、最大の政治目標であった六十五年度財政再建公約が不可能であることを率直に認め、直ちにみずからの責任を明らかにし、国民に謝るべきであります。
 最後に、我々公明党・国民会議は、財政出動は臨時、緊急ではなく、我が国経済を内需主導型に転換する中長期的、持続的なものとするとともに、地方自治体が過大な負担に苦しむことがないよう配慮すること、また、急騰する地価抑制など土地問題については、早急に有効な手だてを講ずること、六十二年度防衛費については、為替レートの変動、売上税廃案に伴う不用額を計上することにより対GNP比一%枠におさめるとともに、一%枠を外したことし一月の閣議決定の撤回を強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(藤田正明君) 吉川春子君。
   〔吉川春子君登壇、拍手〕
#17
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十二年度補正予算三案に反対討論を行います。
 まず、討論に先立って、本院上田耕一郎議員宅と我が党緒方靖夫国際部長宅に対する電話盗聴事件について触れざるを得ません。特に緒方宅の事件が、現職警察官による組織的、計画的犯行であったことは疑問の余地のないものとなりました。このような盗聴は、憲法の民主的原則への重大な反逆であり、刑事責任が問われるべきは当然であります。再発防止を厳重に指示したという総理の答弁を言葉だけのものにしないためにも、盗聴に関与したすべての警察官の刑事責任を追及することを強く要求いたします。
 今日、世界一の貿易黒字と大企業の蓄積が大きくなる一方で、異常円高と産業空洞化が進み、失業率が戦後最悪となり、勤労者の購買力は低下し、中小企業の倒産、転廃業など経営難が広がり、まさに大企業栄えて民滅ぶという事態であります。対米追随をきっぱりやめ、自主的な円高の是正や国民生活向上のための内需の拡大が今こそ切実に求められております。
 また、被爆国日本の悲願である核戦争阻止、核兵器廃絶は世界の大勢となり、まさに現実的な日程に上ろうとしております。ところが、中曽根内閣の五年間は、このような国民の願い、世界の流れに全く逆行するものでありました。
 中曽根内閣の最後の仕事となるであろう本補正予算案が、アメリカの要求に沿って五月に発表した緊急経済対策の具体化であることは、この五年間の政治姿勢がすべてにおいて対米従属そのものであったことをさらに深く印象づけることになりました。それは国民の期待を裏切り、軍拡路線のもとで日米の巨大企業への徹底した奉仕策を盛り込み、さらに財政再建の看板さえ投げ捨てて、財政再建なき大増税の方向を鮮明にしたのであります。
 以下、具体的に反対の理由を申し述べます。
 第一の理由は、国民から明白にノーの審判が下されたマル優廃止や売上税による増収分を削減せず、あくまで六十二年度内に大増税を強行することをねらったものであることです。
 政府・自民党は、衆議院税制改革協議会の中間報告なるものをてこに、公約違反のマル優廃止法案の再提出をねらっています。弱い者いじめと大金持ち減税であるマル優制度廃止の強行は、国民に対する裏切りであり、絶対に許されません。しかも、六百万国民に支持された日本共産党を不当に排除し、公報にも掲載さえできない私的な組織である税制協議会をあたかも国会の正規の機関のごとく見せかけて、マル優廃止、新大型間接税導入に道を開くやり方は、国民を欺瞞するものとしてあくまで糾弾しなければなりません。同時に、この税制協議会の密室協議に加わり、事実上自民党に手をかしてきた各党の責任も厳しく問われています。
 第二の理由は、国民生活を向上させる対策はまともにとらず、アメリカと日本の巨大企業には徹
底した奉仕策を講じていることであります。
 GNP世界第三位、世界一の債権国、貿易黒字国日本において、国民生活はどうなっているでしょうか。まず、社会資本の充実は全く軽視されてきました。下水道の普及率も、米、英、独、仏などの約三分の一程度、公園の面積も、欧米の大都市に比べて東京は四分の一から六分の一という狭さです。住宅の貧しさは言うまでもありません。さらに、国民の生活実態も、一週間のうち家族で夕食をともにできる日がごくわずかしかないほど長時間、超過密労働に追われ、賃金も欧米の六割にしかすぎません。
 ところが、その改善策はどこにも見当たりません。日本の経済成長を支えてきた国民に対して、余りにも冷たい政治ではありませんか。
 労働時間の短縮、賃金の引き上げ、老後の保障を行うことは、大幅所得減税の実施とともに、国民の購買力を高め、内需の拡大につながるのです。また、公共事業も、東京湾横断道路や関西新空港など大型プロジェクトではなく、公共住宅、教育、福祉など国民生活に密着したものにすれば、中小零細企業にも仕事は回ります。また、円高不況に苦しむ中小企業に対する融資の利子の引き下げや返済期限の延長、失業防止などが求められています。
 政府が内需拡大と称して実行しようとしているものは、第一に政府専用機など十億ドルに上るアメリカなどからの緊急輸入であります。これこそまさにむだな外需拡大ではありませんか。また、大企業のためには巨大プロジェクトの推進、民活事業への補助金のかさ上げ、五百八十億円に及ぶ無利子融資、各種の規制緩和など至れり尽くせりであります。このために国債を大増発するばかりか、国債償還財源への繰り入れを義務づけられているNTT株売却益の流用など、財政再建どころか、財政危機を一層激化させるものであり、断じて許せません。
 また、私たちの追及によって、交差点事故が後を断たない原因が、何よりも人命を優先する立場に立てない自民党政府にあることが明らかになりましたが、重ねて交差点人身事故ゼロを実現する抜本的な対策を求めます。
 第三の理由は、核兵器廃絶と軍縮という世界の大勢に敵対し、アメリカの核戦略体制の補完のため、巨額の軍事費をほとんど削減していないことであります。
 政府みずから定めた軍事費の対GNP一%枠突破の既成事実をあくまで貫き、当初予算から円高差益分すら削減しないというのは、中曽根内閣の軍拡路線の本質を如実に示したものであります。
 また、予算委員会での我が党の追及によって、通常兵器がある限り核兵器は必要という自民党のパンフの本質と、核兵器にしがみつく中曽根内閣の本質が鮮明になりました。
 事実上、対ソ仮想敵国の立場まで踏み込んだSDIに関する日米政府間協定の調印、東芝問題を契機とした不当なココム規制、外為法の改悪などは、新たに日本の産業、技術を全面的にアメリカの戦略に組み込み、日本の貿易の自由を奪うものであります。
 三宅島の事態は、島民の自然と暮らしを守る願いを踏みにじる反国民的政治姿勢を示すものであります。主権者である島民の意思に従って工事の強行を直ちにやめ、そして、その背景となっているミッドウエーの母港問題は、NATO加盟国であるギリシャのようにきっぱりと拒否すべきです。このような日米軍事同盟体制国家づくりは絶対に容認することができません。
 日本共産党は、核兵器廃絶、軍事費大幅削減、三兆円所得減税、国民生活防衛、民主主義擁護のために引き続き奮闘する決意を表明し、反対討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(藤田正明君) 橋本孝一郎君。
   〔橋本孝一郎君登壇、拍手〕
#19
○橋本孝一郎君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対する第一の理由は、本予算案が今日の緊急課題である円高不況の克服、内需拡大の推進、対外貿易摩擦の解消などを実施するには甚だ不十分であり、それは国民の期待を裏切るばかりか、国際公約にも背くものになっている点であります。
 我が党は、既に内外ともに行き詰まっている政府の縮小均衡型経済財政路線を改め、積極型経済財政運営への大転換を進めるよう、これまで再三にわたって政府に強く主張してまいりました。しかるに、政府は、これを無視し、昭和三十年度以来の超緊縮予算を編成したのであります。ところが、その後、アメリカ、ECからの内需拡大を求める要求の高まりによって、六兆円に上る内需拡大策を国会に一言も相談することなく急遽決め、これを外国に公約してきたのであります。このような政策転換のやり方は、野党と国会を軽視するものだけでなく、これまでの政策行き詰まりの責任をあいまいにするものと言わざるを得ません。このことをまず表明しておきたいと思います。
 また、この補正予算案では、政府公約の実質三・五%の経済成長は不可能であると考えます。昭和六十一年度の実質経済成長率は、二・六%と極めて低い数字にとどまりました。実質経済成長率が三%を下回ったのは、石油危機の昭和四十九年度以来実に十二年ぶりのことであり、景気の落ち込みは深刻であります。
 政府は、景気も底がたく、この補正予算の編成により実質三・五%の成長が可能だと言っておりますが、このままでは空約束になることは明白であります。我々の試算によれば、当初予算のままでは一・五%の成長に終わるため、これに少なくとも二%の実質成長を上乗せするには約八兆円の経済対策が必要であります。政府の緊急経済対策は六兆円でありますから、せいぜい三%の成長が限度であります。これでは極めて中途半端で、国際公約の内需拡大にはほど遠いと言わざるを得ません。
 この五月に失業率はとうとう三%台に突入し、三・二%となりました。この数字は、現在の調査方式が採用された昭和二十八年度以来の最悪の数字となっております。とりわけ失業者は、我が国の高度成長期の主役となり今日の経済繁栄の礎を築いた中高年労働者に集中しております。中曽根内閣は、国のために尽くしたこれらの人たちをもう必要ないからといって切り捨てるのではありませんか。この現状をどう見ておられるのか。私は怒りを表明せずにはいられないのであります。
 また、急激な円高にもかかわらず、貿易摩擦の解消も一向に進んでおりません。昭和六十一年度の我が国の経常収支、貿易収支は、それぞれ九百三十七億六千二百万ドル、一千十四億三千四百万ドルの黒字幅を記録し、いずれも史上最高となっております。この補正予算では、この対外摩擦の解消も困難であると言わざるを得ません。これが第一の理由であります。
 反対の第二の理由は、その内容が従来の延長線上にとどまっているため、その効果に疑問があるということであります。
 特に、公共事業について、昨年度の補正後予算と比較してみて、道路、港湾などのいわゆる事業別シェアはほとんど変わっておりません。これでは不況地域とか不況産業の転換に役立つ公共事業には到底なり得ません。我々は、公共事業の実施において用地費比率が低い事業や住宅、下水道など国民生活向上に資する事業を優先するとともに、不況地域の活性化や産業構造のスムーズな転換に寄与する重点的、効率的配分を行うよう強く求めるものであります。
 また、公共事業拡大は緊急の課題であるとはいえ、地方債の発行によって地方へのツケ回しを拡大することは極力避けなければなりません。地方債の発行は既に限界に達しており、事業の円滑なる執行に支障を来すおそれがあります。政府においてはこのことに特に配慮し、公共事業を進めるべきであることを強調しておきます。
 反対する第三の理由は、行財政改革に満足すべきものが見られず、このままでは財政再建も行革も歯どめなきものになるおそれが強いことであります。
 本補正予算案では、経費の節減も不徹底なものとなっており、行政府みずからが骨を祈らず、そのツケを国民に回す従来の体質が是正されていないことは問題であります。土光臨調は、行革はなお道半ばと最終答申したにもかかわらず、政府の行革に対する姿勢は依然として言行不一致の消極的なものにとどまっており、さらに官僚機構に大なたを振るう抜本改革が先送りされております。これは行革を大看板にして生まれた中曽根内閣として、その政治責任は極めて重大であり、我が党として到底容認できないことをここに表明しておきます。
 後の世代への負担を極力抑えるために、行財政改革の旗は決しておろしてはなりません。さきに中曽根総理に提出された新行革審の緊急答申においては、これまで主張されてきた増税なき財政再建へのトーンがダウンし、このままでは財政再建達成の目標すらあいまいとなるおそれが生じ、極めて遺憾であります。積極財政への転換と財政再建はともに両立し得るものであり、また、何としても両立させねばなりません。財政運営を転換するからといって、なし崩し的に行革と財政再建を後退させることは断じて許されないことをここに表明しておきます。
 我が党は、二兆円規模の減税、事業費ベース六兆円の公共事業などから成る総額八兆円、国家による財政出動は五兆円程度の内需拡大策を提唱しております。現在、与野党間で税制協議会が行われており、今後の税制改革の動きは協議会でのあり方にかかっておりますが、大幅減税の先行はぜひとも実現しなければならない国際公約であり、また、内需拡大のためにも不可欠の課題であります。
 しかるに、政府・自民党は、減税を一兆円程度にとどめると主張するのみならず、廃案となったマル優法案を再提出しようとしていることは極めて遺憾であります。昭和六十一年度の決算剰余金は、補正予算に回す分を除いても一兆三千億円、今年度のNTT株売却収入は当初予定をおよそ三兆円上回る見通しであり、減税の財源は十分あります。わざわざマル優問題にこれを絡め、中曽根内閣のメンツにこだわる政府・自民党の姿勢は極めて非現実的であり、しかも、国際公約の実行をいたずらに難しくするものと言わざるを得ません。この際、潔く減税とマル優問題を切り離し、マル優問題は不公平税制是正の一環として時間をかけて十分論議することを強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
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#21
○議長(藤田正明君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#22
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、三案は可決されました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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