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1987/08/21 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第6号
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1987/08/21 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第6号

#1
第109回国会 本会議 第6号
昭和六十二年八月二十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和六十二年八月二十一日
   午前十時開議
 第一 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措
  置法の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第二 電気工事士法及び電気工事業の業務の適
  正化に関する法律の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の
  活用による社会資本の整備の促進に関する特
  別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式
  の売払収入の活用による社会資本の整備の促
  進に関する特別措置法の実施のための関係法
  律の整備に関する法律案(趣旨説明)
 一、日本航空株式会社法を廃止する等の法律案
  (趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 我が国の現下の経済情勢を見ますと、国民生活に緊要な社会資本の整備の促進を図ることにより、内需拡大の要請にこたえるとともに地域の活性化に資することが重要な課題となっております。
 他方、国債整理基金の状況を見ますと、昭和六十一年度と同様に日本電信電話株式会社の株式の順調な売り払いが行われれば、国債の償還等国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が同基金に蓄積されることが予想されます。
 このような状況にかんがみ、現下の経済情勢に緊急に対処するため、国債整理基金の円滑な運営に支障の生じない範囲内で同基金に蓄積された資金の一部を活用する無利子の貸付制度を設け、社会資本の整備の促進を図ることとしているところであります。
 これは、厳しい財政事情のもとで、建設国債の増発を可能な限り抑制するよう工夫したものであります。また、この資金については、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の性格を踏まえ、最終的には国債の償還財源に充てることとしております。
 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案は、以上申し述べましたうち、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入による国債整理基金の資金の一部を運用し、社会資本の整備の促進を図るための国の融資に関する特別措置を講ずるとともに当該資金の運用等に関し必要な事項を定めるものであります。
 次に、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案は、ただいま御説明申し上げました特別措置法に定める措置を実施するため、関係四十五法律について所要の規定の整備を行うものであります。
 以上、議題となりました二法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。及川一夫君。
   〔及川一夫君登壇、拍手〕
#7
○及川一夫君 初めに、本論に入る前ではございますが、総理に緊急にお尋ねいたします。
 昨日、ソ連政府が我が国の駐モスクワ大使館付駐在防衛官及び民間会社員に国外退去を求めたとのことでありますが、この経緯及び日本政府の対応についてぜひお答えいただきたいことをお願い申し上げておきます。
 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となっているいわゆるNTT株式の売り払い収入の活用に関する二法案について、この法案は減税の財源問題と密接に絡んでいるものと理解し、このままでは賛成できないとの立場に立ち、総理大臣を初め関係各大臣にその考えをただし、再考を強く求めるものであります。
 以下、その理由を明らかにいたしたいと思います。
 その第一点は、電気通信事業の現状に対する評価と株価の問題であります。
 電気通信事業が百年以上の歴史を持ち、日本の産業、経済、社会の発展に寄与してきたことは今さら申すまでもありません。戦前はともかく、電信電話公社となった昭和二十八年以来七次にわたる拡充計画が推進され、この間、電話設備の自動化、自動即時化を中心とした設備投資額は、民営化を含め三十兆円を超えています。しかも、これらに必要とした資金は、自前とも言うべき電信電話債券の発行と内部資金を充て、政府からの手助けは財政投融資などの約一兆二千億円にすぎなかったのであります。
 一方、昭和五十六年から五十九年までの四年間に、政府の赤字財政を助けるため臨時国庫納付金として計六千八百億円、民営化の際四兆九千六百億円に達していた債券の返済のため、二年間で元金と金利で計一兆六千億円を返し、さらに税額約七千億円を支払い、そして今本格的な競争の時代を迎えようとしているのであります。
 総理、私はあなたのリップサービスを聞く気はありません。しかし、私は、NTTの株価が政府の予想を超え、その結果として売り払い収入の活用問題が生じていることを考えるとき、労使はもとより、電電公社並びにNTTの努力、我が国の産業経済そして政府財政に果たした貢献、国民そして利用者に培ってきた信頼がなければ達成できなかったのではないかと判断しているだけに、民営化の際の論議を思い起こし、改めてNTT事業
に対する総理の評価をお聞きしたいのであります。
 第二点は、第一点の評価にも関連いたしますが、電気通信事業への新規参入をめぐる問題について総理大臣並びに郵政大臣にお聞きいたしたいと思います。
 ずばり一言で言えば、新規参入の企業には育成政策をとり、NTTには、先発巨大企業であるという理由のもとに、許認可制度を盾に有形無形の規制を加え、いわば原則規制・例外自由というNTTのタイムリーな事業運営の展開を難しくしている現状は、極めて問題があると言わねばなりません。しかも、新規参入の企業は、ドル箱と言われる東京―名古屋―大阪間八千億円市場に限っての参加であります。この地域はいわば完成された田地田畑のようなものであります。水を入れ、種をまきさえすれば実りが約束されている市場であります。この意味で、新規参入企業は基本的施設への投資が不要であるだけに、低廉な料金あるいは値下げも容易にできるのであります。
 これに対し、NTTは公共性、公益性、そしてあまねく公平なサービスの確保を至上命題とし、利益の有無だけで事業運営をしてはならないと法律で定められ、こうした地域を多く抱えての競争への参加であります。
 このように、競争に入る出発の時点で大きなハンディがあって、果たして公正競争と言えるでありましょうか。アクセスチャージ問題が棚上げされている現状、第二KDDの調整が失敗しているだけに気になるのでありますが、競争のあり方と需給調整条項の意味、そして受益者負担の性格を持つ料金体系の検討とコスト主義の関係など、事業法制定から二年を経ている経過にかんがみ、検討を要する事項が多々あると思いますが、どのような認識を持っておられるか明確にしていただきたいのであります。
 第三点は、NTT株売り払い収入の活用問題をめぐって、総理並びに大蔵大臣にお尋ねいたします。
 その一つは、本件については、これまで政府及び各党とも「株式売却益の使途」という言葉を使ってまいりました。ところが、今回は「株式売り払い収入の活用」と改めているのであります。この言い直しの理由は那辺にあるのでしょうか。
 特に、「使途」という言葉が「活用」に変わった点については、マル優制度廃止を推進するため、この法律を成立させることによって、NTT株の売却収入をもって充当せよという我が党初め野党の主張を封殺しようとする意図的なものが隠されているように思えてならないのですが、いかがでしょうか。
 二つとして、売却益の使途あるいは売り払い収入の活用については、昭和六十年六月、国債整理基金に繰り入れることが決定し、六十一年度から実施され、実質的に二年目に入ったばかりであります。にもかかわらず、早くも今臨時国会でその活用範囲を広める提案がなされていますが、その理由はどこにあるのでしょうか。第百一から百二国会にかけて、我が党は、電信電話債券の返済に充てよ、社会福祉の充実に使用すべきだなどの意見を表明してまいりましたが、提案が公共的事業への貸付金として充当させることに限ったことは附帯決議を無視しており、いわゆる使途の決定に当たっては野党の意見を尊重したいという当時の政府の態度表明にも反するものであり、納得できないのであります。
 さらに、三つとして、活用の範囲を広める理由として、売り払い収入が予定する国債の償還額を上回ったことを挙げていますが、それなら、予定する償還額とは幾らを指すのか明確にしていただきたいのであります。
 さらにまた、四つとして、本年度以降予定されている百九十五万株ずつ三年間、つまり五百八十五万株の売り払い収入は幾らになるのでありましょうか。六十二年度の予算上の売却予定価格は一株百十九万七千円となっていますが、果たしてこの価格で売却するのでしょうか。昨日の引け値でNTT株は二百五十六万円となっています。六十二年度は一括して証券会社に売却する方法をとるのでありましょう。この場合、常識的には直前一週間ぐらいの平均株価の三ないし五%引きで売却すると言われています。この常識と大きく外れないと思われる一株二百五十万円で私が試算をすると、六十二年度一年分で約四兆八千七百五十億円、六十四年度までの三年分ということになると、実に十四兆六千二百五十億円になるのであります。
 そして、国債償還額を、大蔵省が発行している国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算に基づいて算出いたしますと、六十二年度は二兆二千億円となっており、三年分をまとめると六兆六千億円必要となっております。つまり、NTTの売り払い収入は予定された国債償還額を六十二年度で二兆二千七百五十億円、三年分まとめれば八兆二百五十億円も上回るということになるのであります。
 総理並びに大蔵大臣、これだけの上回った売り払い収入を、地方自治体の社会資本の充実のみに活用されるというのでしょうか。野党からどんなによい提案があっても、その意見には耳をかさないというのですか。使途の決定権を政府・与党だけで独占しようというのですか。明確に答えてほしいのであります。
 五つとして、なぜこれだけ確実な見通しがあるにもかかわらず、減税財源として使用することができないのですか。固執される理由が全く理解できないのであります。衆議院における論議では、使用できない理由として、将来償還財源にならないからと答えています。しからば、無利子で貸す金利分はどう理解すべきなのでありましょうか。先ほど指摘をした八兆二百五十億円を例にとれば、金利五%と見ても、年間約四千十二億円の償還財源が実質的に失われる計算になるのであります。もちろん、社会資本の充実への投資はそれなりに経済を刺激するでありましょう。そして、やがて税の増収という形において返ってくるとは思います。
 大蔵大臣、もしこうした経済の原理をお認めになるなら、減税も即内需拡大策であり、景気の活性化にはね返って税の自然増収につながるのではありませんか。金利であれ、減税であれ、税という形において返ってくることと同じではありませんか。あなたはニューリーダーの一人と自負され、積極財政論者として知られています。この先、その信念どおり積極財政でいくのですか。それとも、中曽根総理が志向してきた緊縮財政でいくのですか。国民の重大な関心事だけに、ぜひ明確な態度を示してほしいのであります。
 六つとして、総理、あなたは昨年の同日選挙において所得税の減税をぶち上げ、財源についてはいろいろ知恵を絞る、国有財産もある、NTTや日本航空の株の売却もある、減税財源に増税があるとは限らないと演説をしておられます。これは新聞記事の要約ですが、よもや誤報とはおっしゃらないでしょう。それとも、知恵を絞る一例として挙げただけであり、実施を約束したものではないとおっしゃるのですか。この演説で総理は三百議席を超える大勝利を決定的としたのですから、お答えいかんによっては、国民は、また公約違反の発言をしているという気持ちになるのではないでしょうか。はっきりとした態度を示していただきたいのであります。
 また、総理が言う知恵を絞るということは、前言を翻し、理屈さえつけばへ理屈でもただただ押し通すということが総理としての知恵なのでありましょうか。私はそう思いたくないのであります。私なら、国債償還のための元金という性格を崩したくないというなら、百歩譲る形ではありますが、例えば減税財源のために売り払い収入を無利子で活用させることだってできるではないかと言いたいのであります。
 そして、その返済は、既に六十一年度決算で明らかなとおり、二兆四千億円の自然増収があり、この伸び率九・六%は、内需拡大のための六兆円補正から来る景気の浮揚というプラス要素を含めれば、六十二年度にも十分維持されるはずであります。これを単純計算すると四兆七千億円がさらに上積みされ、六十一、六十二年度合わせて七兆円にも上る増収が考えられるだけに、売り払い収入から借りたとしても返せるし、我が党初め野党三党が主張する二兆円減税の財源は既に確保されていると言い得るのであります。
 総理、そして大蔵大臣、これでもあなたはNTT株売り払い収入の活用の範囲を減税にまで広めることに反対なさるのでしょうか。国民は重大な関心を持っています。腹を決めてお答えいただきたいのであります。
 最後に、税制改革に対する基本的な受けとめ方についてただしたいのであります。
 総理、私は私なりに税制を勉強する過程で、ある発見をいたしました。それは、我が国の国語辞典あるいは百科事典によって税及び租税という言葉の意味を求めたところ、何と説明されていると思いますか。若干のニュアンスの違いがあっても、おおむね、税に対しては年貢ないしは貢ぎ物とあり、租税とは権力によって強制的に取り立てる金銭と書かれているのであります。これは国語学者の誤解なのでありましょうか、それとも認識不足によるものでありましょうか。総理、この解釈に疑問を感じませんか。
 私は、税制改革に当たっては、やはり税とは何ぞやという問題を初め、本質論を交わさなければならないと思います。国民の理解と納得を前提に、その意識の改革を含めてやる必要があると思うのですが、いかがでしょうか。そしてまた、各国の税制にはそれぞれの歴史があり、他国の例を当てはめるにしても、単なる人まねであってはならないこと、改革には国民の合意が必要であり、そのためには手順を大事にし、長い時間がかかってもそれを認め、やり通すといった気概が必要だと思うのであります。この立場に立つとき、なぜ今もってマル優廃止に固執されるのか理解できないのであります。
 総理、冷静に考えてください。マル優を政府の提案どおり廃止したとしても、六十二年度、六十三年度、一体どの程度の財源が確保されるというのでしょうか。二百億、一千億程度の単位ではありませんか。政府が期待する一兆六千億などという財源は十年先の話なのであります。それでも固執されるのでしょうか。
 一将功成って万骨枯るといいますが、総理、あなたは、引退の花道を飾ってもらうために、国民の意思に反した施策をとられてうれしく思うのでしょうか。総理の賢明さで腹の底の底をこの際明らかにすべきことを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 及川議員の御質問にお答えいたします。
 まず最初のソ連の関係の御質問でございますが、今回、ソ連がとった措置はまことに遺憾であります。これは日ソ友好関係に水を差すものであると考えざるを得ません。このようなことが繰り返されないことを希望すると同時に、日ソの友好関係に悪影響を及ぼさないように強く希望しておる次第であります。
 案件は、東京航空計器株式会社のフライト・マネジメント・システムの研究開発資料をソ連のポクロフスキー通商代表部代表代理が違法に入手したということに対して出頭要請を求めたのでございますが、その要請に応じなかったと、そういうことで今回の処置となったものでございます。
 一方において、我が国の竹島防衛駐在官の行為は諜報活動であると指摘された由でありますが、そのような活動を行ったことは全くなく、事実無根であるという報告を受けておるのでございます。
 いずれにせよ、我が国がとった措置というものは、対抗措置とか報復措置という性格のものではございません。日ソ関係についてこれ以上の悪影響が出ないように我々としては強く希望し、期待しておるものであります。我が国は、我が国としての主権の範囲内において正当なる行動をとっておるものであると御承知願いたいと思うのであります。
 NTT事業の現状認識の問題でございますが、電気通信制度改革の趣旨は、公社制度をやめて民間的手法の経営形態に変えて効率化、合理化を進めるということと労使の自主責任体制を確立する、これが大きな眼目でこのような改革が実行されたと思うのであります。これに対して新しい事業者との間で競争関係が成立しておりますが、低廉かつ良質なサービスを提供する競争が起きているということは我々が期待しているとおりのことであり、好ましい結果であると思います。
 NTTは種々の効率化方策を今行っておりまして、成果を上げておると確信いたしております。引き続き制度改革の趣旨を踏まえまして、国民の要望にこたえることを強く期待いたしております。
 また、NTTは、今まで法的に独占を保障された公社時代に形成した全国的電気通信網を承継している一方、新規参入事業者は全く新たに設備投資を行ってサービスを提供するという点、また、NTTは今まで築いた人的、物的、技術的蓄積を生かして、両方切磋琢磨を行いつつ、これに耐え得る十分な態勢にあるものと我々は考えて、さらにNTTがその効率を上げることを期待しておるものであります。
 株式売却益の使途につきましては、現下の経済情勢を見ますと、国民のニーズに応じた社会資本の整備充実を図ることによりまして、内需拡大の要請にもこたえ、地域の活性化に資することが緊要な課題となっております。
 このために、NTT株式売却収入については、国債整理基金の円滑な運営に支障の生じない範囲内において、一時的に収入実績の一部を活用して社会資本の整備の促進を図るということにしたものであります。
 このNTTの株式というものは、国民共有の大事な財産でございます。したがって、この大事な財産につきましては、共有の負債の償還に片っ方では使う。と同時に資産的に残るものにこれは使いたい、そういう考えに立ちまして、社会資本の整備の経費としてこれを充当するという考えに立ったもので、ほかに他意はございません。
 減税の財源にこれを使ったらどうであるかという御質問でございますが、NTTの株式売却代金というものは一時的なものであります。したがいまして、恒久的に永続的に行われなければならない減税というようなものについて、このようないずれ収入が見込めなくなってしまうという一時的な財源を使うことは必ずしも適当でないと考えております。
 また、昨年の選挙中の私の発言につきましては、いずれもこれは政府税調の結論を見守ることといたしたいということを締めの言葉として言っておるのであります。例示として国有財産の売却とか、NTTの株式とか、景気政策とか、いろいろ言っておりますが、いずれの場合にも政府税調の結論を見守ると言っておるので、公約違反ではありません。
 次に、租税の解釈でございますが、租税は国や地方公共団体が公共サービスを提供するために必要な経費について国民に負担を求めるものであり、手数料などのように直接の反対給付を伴うものではないので、強制的に取り立てるとも言われておりますが、憲法に定める国民の納税義務や租税法律主義の原則に基づき、法律に従い賦課徴収しているものであります。
 いずれにせよ、公共サービスを賄っていくための社会共通の費用である租税を、国民が公平感を持って納税することが大事であると考えております。
 税制改革の進め方でございますが、戦後四十年
間にわたる社会経済情勢の大きな変化に即応して根本的な見直しを行い、また、二十一世紀を展望した新しい税制体系を確立して国民の満足感を得ようというのが今回の試みであり、今回提出した税制改正法案は、十二回にわたる税制改革協議会における議論も念頭に置きながら、個人所得課税の負担の軽減合理化、利子課税制度の改組等、内外の社会経済情勢の変化等に即応して、当面早急に実施しなければならない税制改革項目を取りまとめたものであり、今後税制協議会等の動向を見守りながら、税制改革の体系の一環として、とりあえず提出いたしまして、国会での御審議を通じ、国民の御理解をいただくために行っておるものでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) NTTの株式の売却によりまして多額の収入を政府は得つつございますが、これは電電公社並びにNTTの関係者の過去の大変な御努力の成果でありまして、その点につきましては心から敬意を表したいと存じます。
 次に、社会資本の整備を図り、あるいは地域の活性化を促すということは、ただいまの国民的な緊要な課題であると考えまして、このNTTの売却収入を一時的にその一部を活用いたしまして、社会資本の整備を図りたいと考えておるものでございます。
 これはもとより出し切りになる金ではございませんで、償還をいたしまして、最終的には国債の償還財源に充てると、こういう形を考えました。貸し付けは無利子でございます。そのような意味で活用という言葉を使った次第でございます。
 次に、当面償還を必要とする国債の額はどのぐらいであるかというお尋ねがございました。
 昭和六十二年度におきまして二兆二千億円、六十三年度二兆一千億円、六十四年度二兆三千億円程度。したがいまして、六十二年度から六十四年度の累計は六兆六千億円程度でございます。
 そこで、このNTT株式のこれからの売却収入、仮に二百五十万円で売れたときにどうなるかというお尋ねがございまして、それは十四兆六千二百五十億円ではないかという御指摘がございました。
 大筋においてそうでございますが、手数料収入を実は控除する必要がございますので、ほほ十四兆余り、御指摘の数字と大差はございませんが、仮に二百五十万円で売れるといたしますとそういう計算になるわけでございます。
 ただ、今後の売却につきましては、市場の動向もございますし、各年度各年度の予算編成過程におきまして、その財政状況あるいは前年度の売却結果等を勘案いたしまして、その処分限度数につきましては、その都度国会の御審議をお願いいたしたいと考えておるところでございます。そのように考えておりますので、NTT株式売却益の使途につきましては、決して政府・与党だけで恣意的にこれを決定するといったようなことは考えておりません。
 それから、この収入を減税に使うべきではないかという御指摘につきまして、おっしゃいますように、減税というものが国民生活にプラスになるということはもとより、経済成長を促す、あるいは景気刺激効果を生むということは、それは私といえども決して疑うところではございません。その必要を認めないものではございませんが、ただ、先ほど総理も言われましたように、このNTTの売却益は過去の関係者の御努力の、国民の御努力の集積でございますので、できるならば将来の財産形成に資するように、あるいは負の財産でありますところの国債の償還に充てる、そういうことがいいのではないかというふうに考えました。
 また、何年かは続きますが、しょせんは一時的な財源でございますから、恒久制度であります減税の財源としてはいかがなものであろうかということも考えたのでございます。
 それから最後に、このたびこういう法案を御審議願っておることについて、これは政府が財政政策を転換したものであるかどうかというお尋ねがございました。
 現在、多額の国債を現実に発行しつつございますから、財政改革の推進の必要は毫も衰えてはおりません。ただ、このたびのこのような措置によりまして、もしこれがございませんでしたら、社会資本の充実あるいは地方の活性化というためには、それだけ建設国債を発行しなければならないであったろうということは明らかでございますので、それをこれによって抑制することができた、そういう効果は非常に大きゅうございました。冒頭に申しましたように、過去の関係者の御努力に感謝をいたしておりますのもそのような理由でございますが、現在これだけの国債をなお発行しておりますので、財政改革を放棄したというようなことではございませんので、御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣唐沢俊二郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(唐沢俊二郎君) ただいま総理の御答弁もございましたが、及川先生から御質問のありました二点についてお答えを申し上げます。
 まず、電気通信改革につきましては、日ごろ及川先生にいろいろ御指導を賜りまして、ありがたく思っております。
 御質問の第一点、民営化後のNTTの経営状況につきましては、事業部制の導入、職員の企業意識の浸透、QC運動、トータルコスト削減運動等の各種の施策が講ぜられており、制度改革の趣旨に沿った労使双方の努力によりまして順調にまいってきておるものと判断をしており、今後その成果が国民に還元されることを期待いたしております。
 御質問の第二点、公正競争についてでございますが、電気通信制度改革の目的は、NTTと新規参入事業者が公正かつ有効な競争の中で相互に経営の効率化に努め、その成果を国民に還元することにございます。NTTにつきましては、法的に独占を保障されました公社時代に形成いたしました有形無形の資産を受け継ぎ、これまで蓄積した実力を最大限に発揮することができますが、一方、新規参入事業者はゼロから出発したばかりで、いわば三十数年前のNTTの姿に近いわけであります。このような違いが両者にあるわけでございますが、関係法制におきましては、新規参入事業者を特別扱いにすることなく、自助努力を前提に新たな電気通信産業分野の形成を期待いたしております。
 なお、制度改革後の検討についてのお尋ねがございましたが、ただいま先生お話がありましたように、来月から関東、中部、近畿におきまして三つの新会社の電話サービスが開始されるなど、新会社のサービス提供は緒についたばかりでございます。したがいまして、実施状況の検討を行うに当たりましては、このような具体的な実態を踏まえつつ分析、検討を行ってまいりたいと存しております。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(藤田正明君) 猪熊重二君。
   〔猪熊重二君登壇、拍手〕
#12
○猪熊重二君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる社会資本整備特例二法案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 右質問に先立って、昨日、ソ連政府が在モスクワ日本大使館員及び商事会社員の二名に自主的国外退去を要求した問題につき伺います。
 総理は、今回のソ連の右措置につきどのように考えておられますか。特に、国外退去要求の理由とされたことの事実関係はどうであったのか伺います。
 今回の事件の背景には、ココム違反事件への我が国の対応、SDIへの正式参加決定など日本政府に対する不信があると思われますが、総理はこの点につきどのように判断されますか。
 今回の事件に対し、日本政府も駐日ソ連通商代表代理の国外退去を求めており、日ソ関係の悪化、相互不信がますます増幅することが懸念されます。今後の日ソ関係への影響、特に国連での日ソ外相会談、ゴルバチョフ書記長の訪日問題なども含めて政府の見解を明らかにされたいと思います。
 さて、公明党は、つとに大型減税の実施とともに公共事業の大幅増額を含む積極財政への転換を主張してまいりました。しかし、中曽根内閣は、行財政改革を旗印として縮小均衡策をとり続けてまいりました。その結果、長期にわたる景気の後退、経済の萎縮を招き、これが税収不足の要因となり、公債残高は、中曽根内閣成立前の昭和五十六年度八十二兆円から、本年度末には百五十三兆円へと約二倍に、また、公債の利払い費は一般会計の一二%から二〇%強くと増加し、このことが財政硬直化の最大の要因となっております。
 かかる事態において、政府は、国際公約でもある内需拡大策の一環として、今般の補正予算で公共事業費につき当初予算の三割にも当たる追加を決めました。これは、実質的に当初予算を政府自身が否定し、行き詰まった緊縮財政を放棄して積極財政への転換を図ったものと解釈せざるを得ません。この点につき政府の見解を伺いたい。あわせて今後の財政運営に関し、政府の中長期的な基本方針についても見解を伺いたい。
 ところで、今般、政府は、所得税減税と抱き合わせでマル優制度を廃止する法案を提出しました。現在、歳出の二割が国債の利払い費であり、この支払い利息のほとんどが国債を保有している銀行や優良企業、そして高資産階層の所得となっております。今回の利子所得課税の見直しは、一方において低所得者層を含む国民一般の預金利子に対するマル優制度を廃止し、他方において高所得者層に適用されている現行三五%の分離課税の税率を二〇%の一律分離課税とすることとされています。この改正案は、歳出の二割を占める莫大な利子を取得している高資産階層にさらに低率の一律分離課税を行うという優遇措置を付与するものであります。
 本来、財政に課せられた最も重要な機能は所得の再分配にあります。所得税における総合課税主義は、その重要なあらわれの一つであります。このような財政の果たすべき機能から見るとき、マル優廃止、二〇%一律分離課税は、政府みずからが財政の本来的機能を放棄し、所得を逆再配分すする結果をもたらすこととなると言わなければなりません。総理、大蔵大臣の所見を伺います。
 なお、政府は、マル優廃止による利子所府課税が、所得税減税の恒久的財源として適切であると説明しております。しかし、マル優廃止によって生ずる税の増収分が平年度一兆数千億円も期待できるのは、預貯金の満期経過後に利子所得が発生することとなるため、数年先になると考えられます。政府は、本年度以降各年度の増収金額をどう見込んでいるのか伺いたい。さらに、利子課税が何ゆえに恒久的、確定的減税財源であるかについても所見を伺いたい。
 次に、本法案について質問します。
 NTT株の売却収入の使途については、公社の民営化に当たり、これが国民共有の財産であるとの認識のもとに、衆参の逓信、大蔵両委員会において慎重に審議された結果、国民共有の負債である国債の償還財源に充てるべきことが国会の意思として決定され、国債整理基金特別会計法の改正がされたのであります。ところが、今回の政府提出法案は、NTT株の売却収入が当初予定していた額をはるかに上回ったことを奇貨として、国債の償還財源以外に振り向けようとする内容であります。今回の政府提案は、国会の意思と相反するものと言わざるを得ません。本法案と右国会の意思との関係について政府の所見を伺いたい。
 さて、政府は、本法案による公共事業への貸し付けが内需拡大に資する旨説明しております。しかし、これを受け入れる地方自治体の財政は、一般財源に対する公債費負担比率が、昭和四十五年度には五・一%であったものが六十年度には一四・三%、現在ではさらに上昇しているものと考えられます。かかる状態において、今般の貸付金に見合う地方負担分としての地方債発行は、地方自治体の財政硬直化をますます進行させることが予想されます。この点について自治大臣の見解を伺いたい。
 さらに、この貸し付けが内需拡大に役立つか否か甚だ疑問であります。真の内需拡大は、大多数の国民に対する全国的規模における資金の配分でなければなりません。仮に公共事業への資金貸し付けである場合でも、住宅、下水道等生活関連社会資本の充実を目指すべきであります。今般の公共事業への貸し付けが内需拡大に真に役立つか否か、経済企画庁長官の所見を伺いたい。
 また、本法案は、公共事業に係る貸付金の償還資金について、国が償還時に償還金相当額の補助金を交付することとしております。政府は、この補助金の資金としてどのような財源を考えておられるのか。仮に、その時点において国債発行を予定しているのであれば、現在において建設国債を発行することに比較していかなる差異があるというのでしょうか。いずれにせよ、今回の措置は将来への負担の先送りであり、財政再建への足かせとなることは明らかであります。この点について大蔵大臣の明確な見解を伺いたい。
 ところで、NTT株は、今後昭和六十二年度から六十四年度まで百九十五万株ずつ売却され、その後も売却可能株式は二百六十万株あります。その売却収入は、現在の株価から見て、かたく見積もっても毎年度四兆五千億円程度になることが予想され、したがって、少なくとも数年間は安定した収入源であると考えられます。政府の今後の株売却による収入見通し及びその使途についての見解を伺いたい。
 以上指摘したように、マル優廃止を含む利子課税の見直しは不公正税制を是正するものではなく、かえって不公正を助長するものであり、他方、NTT株売却収入を本法案のごとく処分しても内需拡大効果が望み薄であることを考慮するならば、NTT株売却収入は大多数の国民に均てんする所得税減税の財源とすべきであり、特に中堅サラリーマン層への減税に充てるべきものと考えます。総理並びに大蔵大臣の所見を伺いたい。
 ところで、内需を拡大するためには、現在の大都市圏における地価異常高騰問題の解決が不可欠と考えます。言うまでもなく、土地は工場において自由に生産し流通に置くことのできる商品ではありません。したがって、土地は本来的に人類共通の公共的資産であり、所有権の対象として見るよりも利用権の対象として見るべきものであります。
 現在の大都市圏の地価の異常騰貴を是正するためには、土地所有権の内容の制限が重視されるべきであります。総理は土地所有権の内容制限を必要と考えられますか。もしそうであれば、その具体的方策について所見を伺いたい。
 次いで、土地がこのように生産不可能の資産であることを考えるとき、土地は可能な限り国有、公有ないし公共的団体の保有にしておき、国民共通の利用に供することが肝要と考えられます。この際、改めて、政府として国有地、公有地の売却処分に対しいかなる見解を有しているか伺いたい。また、現在実行されつつある旧国鉄所有地の売却についても、その妥当性につき再考すべきものと考えますが、この点についても総理の率直な見解を伺いたい。
 最後に、国土利用計画法に規定する土地売買規制地域の早期具体的指定について、国土庁長官の所見を伺って私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 猪熊議員にお答えをいたします。
 まず、ソ連との事件の問題でございますが、先
ほども申し上げましたように、ソ連のポクロフスキー通商代表部代表代理が東京航空計器株式会社のフライト・マネジメント・システムの研究に関連した資料を違法に入手いたしました。我が国法に触れた方法でありましたので、我が国としては出頭を要請していたところでございますが、これに協力しなかったということでやむを得ず退去を要請した次第なのであります。
 また、竹島防衛駐在官の行為につきましては、諜報活動があった由でありますが、報告によればそれは事実無根であると、こう報告を受けておるものであります。
 いずれにせよ、今回ソ連がとった処置については甚だ遺憾でありまして、日ソ友好に水を差すというふうに考えざるを得ません。この問題が日ソ友好関係に悪影響を及ぼさないように我々は希望もしておりますし、こういうようなことが繰り返されないように強くまた希望もしておるものでございます。SDIその他の関係があるからという憶測もありますが、ソ連側の考え方の憶測についてはこれを差し控えたいと思っております。
 いずれにせよ、日本としては正当の理由により主権の範囲内の処置としてとった措置であり、それは対抗措置でもなければ報復措置でもないのであります。
 この案件が日ソ外相会談その他に影響を及ぼすかどうかという御質問でございますが、私は及ぼすものではないと考えております。
 次に、財政運営の基本方針の問題でございますが、政府は、臨調及び行革審の答申の基本線に沿って財政運営を行っております。したがいまして、行革審の答申にも基づきまして臨時緊急の措置、対応はこれを認められておりまするので、来年度の概算要求基準にいたしましても一般行政経費はマイナス一〇%を貫いておりますが、社会資本や公共事業についてはこれを例外としておる、そういう方針をもって対処しておるところでございます。今回の補正予算もそのような緊急措置の一環として編成されたものであり、財政改革の基本方針のもとに、NTT株式売却収入を活用するほか、特例公債の増発を回避した、こういうことであります。
 我が国財政の厳しい状況にかんがみまして、財政の対応力をできるだけ早く回復するため、今後とも財政改革を推進するとともに、経済情勢には適切に対処してまいりたいと考えております。
 マル優廃止、一律分離課税の問題でございますが、今回政府が提出した税制改正法案においては、利子所得の発生の大量性、その元本である金融商品の多様性、浮動性といった特異性に配慮いたしまして、簡素、中立、効率といった要請にもこたえるものとして一律分離課税を採用したものなのであります。
 一律分離課税への移行は、むしろ高額所得者に実質的には負担増を求める結果になり、実質的な公平を進めるものであると我々は考えております。
 増収額と財源との関係でありますが、利子課税制度の見直しによる改正増減収額については現在精査中であり、利子課税制度の改正による税収が平年度化して、歳入増加が完全に実現するまでにはかなりの時間を要するものと考えていることは御指摘のとおりです。所得税減税を利子課税制度の改正を恒久財源として行うとの趣旨は、所得税減税と利子課税制度の改正がいずれも恒久的な制度改正として行われ、平年度において比較さるべきものであるという点において考えるべきであると思います。
 NTT株による国債の上乗せ償還の問題でございますが、上乗せ償還を行って、国債残高の減少に努めることも考えられますけれども、現下の経済情勢に緊急に対処する必要があるため、最終的には国債償還財源に充てる前提で、一時的にNTT株式売却収入の実績の一部を活用し、社会資本の整備の促進を図る、こういう措置をとったものであり、理由は、国民共有の財産であるNTT株式というものは、国民共有の負債の償還があるいは資産として残るものに充当したい、そういう方針に基づくものなのであります。
 NTT株売り払い収入見込みと処分方法でございますが、具体的な収入見通しについては、先ほど大蔵大臣も申し上げましたように、いろいろなファクターがありまして困難でございます。
 今回の御審議をお願いしている法案により、NTT株式売り払い収入の実績の一部については、国債整理基金の円滑な運営に支障のない範囲内で社会資本の整備の活用に努めると、こういうことにした次第であります。
 減税財源としてこの株式売り払い収入を充てるということにつきましては、やはり恒久的な財源措置を必要とするという観点から、適当でないと考えた次第なのであります。
 土地の私権の問題でございますが、土地は生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤となる限られた資源であり、適正かつ合理的な土地利用の実現を図ることが極めて重要であります。
 そのためには、土地の私的な保有、処分、利用に対して、公共的な立場から制限及び誘導を行うことが有効である場合もあると思います。
 しかしながら、これは国民の財産権に深くかかわる問題であり、土地に対する制限や負担についての議論を深め、諸方策の整備充実を図る必要があると考えます。
 先日、新行革審に対しまして、地価等土地対策に関する基本的かつ総合的な改革方策について提言を願いたいと要請もし、政府としても、これらの検討を踏まえつつ、総合的な土地対策を積極的に推進をいたします、
 国公有地の売却方針につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございますが、国有地は国民共有の財産であることから、極力公共部門において有効活用を図ることを基本としております。
 処分に当たっては、公用、公共用優先の原則のもとに、地方公共団体に対して優先的に処分する方針でおります。
 地方公共団体等から利用要望のないものについては、有効利用の観点から民間処分としております。
 公有地についても、住民共有の財産であることにかんがみ、公用、公共用優先の考え方のもとに、有効活用を図ることが必要と考えます。
 国鉄清算事業団用地の処分方針でございますが、国鉄清算事業団の用地は、同事業団に帰属した約二十六兆円に及ぶ膨大な債務を償還して、国民負担をできるだけ軽くするための重要な財源であるので、処分に当たっては、投機的取引を防止し、かつ地価の高騰を招かないよう厳格な条件を付した上で、適正な価格により処分する方針でおります。もちろん、この中には信託制度というようなものも当然活用の方針として考慮していい場合もあり得ると思います。
 土地政策との関連につきましては、国鉄清算事業団の用地について、その土地利用に関する計画を策定した上で、有効かつ適切に利用されるよう処分が行わるべきものと考えているところ、今後の具体的な処分の方法等については、国鉄清算事業団に置かれている資産処分審議会において各方面の意見を聞きつつ、適切に対処するよう国鉄清算事業団を指導する所存でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 過般御審議をいただきました補正予算におきましては、御記憶のように、NTT株式売却収入の一部を活用いたしまして、その範囲におきまして建設公債の追加発行を抑制いたしました。また、特例公債の増発を避けたいために、六十一年度の剰余金の見込み額の一部を使わしていただきました。これらはすべて我が国が財政再建途上であるということの認識に基づくものでございまして、したがいまして、今後とも財政再建の努力を放棄してはならないと考えておるところでございます。
 次に、今回の利子非課税制度の改正で分離課税の税率が三五%から二〇%に今度なるということは、高額所得者に有利ではないかという御指摘でございました。
 この点は、実態を考えてみますと、現行では一人当たり九百万円までの非課税枠があるわけでございますから、標準世帯で申しますと三千六百万円までの枠がある、これは低所得者では利用できない大きな枠でございますので、高額所得者はそういう大きな枠を利用し得るのが現在の制度でございます。仮に三千六百万円といたしますと、それが五分に回りますと百八十万円でございますから、今度は二割の課税になりますが、従来は免税でございますので三十六万円の追加負担になるはずでございます。しかも、高額所得者はなおそのほかに割引債を購入しておると考えられます。ワリチョーでございますとか、ワリコーでございますとかいうものは、一六%の分離課税取りっきりでございますので、そういうことを考えますと、今回の制度が高額所得者に有利になるとは実際問題としては申しにくい、実質的には公平な税制になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 次に、利子課税がどれだけの歳入になるかということについては、すぐに大きな歳入にはなるまいと言われますのは、これは御指摘のとおりであります。そこで、例えば定額郵便貯金、郵便年金などは、いつ、どの時点で解約されるかということの予想が困難でございますし、また、どの時点でどのぐらいの利払い額が出るかということもわかりませんので、これから数年間どういう歳入の経緯をたどってまいりますかは、実は必ずしも今から予想がはっきりできませんで、終局的には国、地方、両方合わせまして一兆六千億円余りの歳入になるのではないかと予想いたしますけれども、そこに行きますまでに恐らく数年間かかるのではないかと考えております。したがいまして、そのようなものはいわば恒久財源とは言えないではないかと言われますことは、確かにそこへ行きますまでに何年かかかるということは御指摘のとおりでありますけれども、しかし、そこへ行きますと、いわゆる完全平年度化いたしますと恒久財源になると、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから次に、国債のいわば上乗せ償還、仮に買い入れ償還をいたすといたしますと、現在額面以上しております国債につきまして額面で買い入れるわけにまいりませんので、額面以上で買い入れ償還をいたしますとなりますと、それが国庫にとりまして有利かどうかということは、実は必ずしもさように申せないという場合が多うございまして、したがいまして、買い入れ償還ということを現在としてはやっておらないわけでございます。
 それからもう一点、いわゆるBタイプの貸し出しについては、将来その公共事業への補助金を出して償還をするのであるから、その財源はどうなるのか、それはいわは追加支出になるのではないかというお尋ねであったわけであります。
 私どもが考えておりますのは、仮に毎年十億円ずつある地域に下水道の補助金を出しておる、十年いたしますと百億円でございますが、その地域を一体として団地なら団地で一遍に開発してしまいたいというケースはたくさんございます。その場合に、百億円一遍に支出することができますれば開発が一度に進むということがございますから、そういうふうに今回いわば実質的には補助金の前渡しをいたしてしまいたいと考えておるわけでございますから、そういう意味で申しますと、十年後にはしょせん百億になるべき支出を一時にするということでございますので、新しい財政負担にはならないと、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それからもう一点、NTTの株式売却の収入につきまして、先ほどもお答え申し上げましたが、仮に自動的に計算をいたしまして二百五十万円で売れるといたしますと、手数料を差し引きました三年分の収入は十四兆三千百億円でございますが、これは現実に売れるか売れないかといったような問題がございますことはもとより御承知のとおりで、私どもとしては、毎年度、国会の御審議をいただきまして、その都度の売却限度を国会の御審議にかけたいというふうに考えておりますし、現実にただいままたそういたしております。
 最後に、この財源を減税に使うべきか否かという問題、あるいは国有地の売却に関しましては、総理大臣が既にお答えになりまして、重複をいたしますので省略をいたします。(拍手)
   〔国務大臣葉梨信行君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(葉梨信行君) 本法案の地方財政に及ぼす影響についての御質問でございますが、NTT資金の活用によります公共事業でございましても、地方団体にとりましては、通常の公共事業と性格は基本的に同じと考えられる次第でございます。
 今回の補正予算におきましては、両者を合わせた地方負担が極めて多額となることに対処するために、実は三千五百億円の地方交付税の追加措置を講じた次第でございまして、地方債依存度を大幅に引き下げることとなったということを御理解いただきたいわけでございます。
 明年度以降でございますが、NTT資金の活用によります公共事業量の拡大はしばらくの間行われることとなると思われるわけでございまして、その地方負担につきましては、明年度以降の地方財政対策において適切に対処する所存でございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 それから、公有地の売却方針でございますが、公有地は、先生もおっしゃいましたように住民の共有の財産でございまして、従来から町づくり等のために有効に活用されているところでございます。今後とも公用、公共用優先の考え方のもとに一層有効活用を図ることが必要でございます。
 なお、公有地を処分する際にも、基本的にこのような観点を踏まえて実施することが必要であろうと考えます。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(近藤鉄雄君) NTT株式売却収入の活用による無利子貸し付けにつきましては、地域の活性化に資する波及効果の大きい公共事業、すなわち当該事業により生ずる収益をもって費用を支弁することができるもの、または、ある程度の広がりを持つ面的開発等の一環として一体的に緊急整備を要するもの、さらに、民間活力を最大限に活用して内需振興を図るため、地域活性化の円滑かつ効果的な推進に資する民活事業を対象としておりますので、先生御指摘の住宅、下水道等生活関連社会資本の充実も含むものであり、これらはそれぞれ十分な内需拡大効果を持つものと期待をしております。(拍手)
   〔国務大臣綿貫民輔君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(綿貫民輔君) 国土利用計画法の適用によって可能な規制区域を設けるかどうかということについてのお尋ねでございますが、従来から土地の高騰地域であります東京都などともいろいろと相談してまいりまして、その中でこの規制区域を設けるかどうかということも真剣に検討してまいりました。
 それを受けまして、昨年の四月一日、従来からこの規制区域というのは開発地域を重点に考えておったのでございますが、既成市街地においてもこれを適用できるように通達を改正させていただいたところでございます。
 しかしながら、この規制区域というのはすべての土地の売買が許可制になるわけでございまして、この私権制限というものが及ぼす経済社会に対する大きな影響等も十分考慮しなければならないわけでありまして、さきの国会に成立をさせていただきました国土利用計画法の、監視区域を設けるということができる、この規定をさらに拡充適用させていただき、これらの実施状況を見、ま
たこの国会に短期の転がしに対する超重課税をできるような法律も所得税法の中に入れさせておりますので、これの実施状況等を見まして、なおかつ土地の高騰現象がやまないという場合には、さらに東京都等といろいろと協議をさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
#18
○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#19
○副議長(瀬谷英行君) この際、日程に追加して、
 日本航空株式会社法麦廃止する等の法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。橋本運輸大臣。
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(橋本龍太郎君) 日本航空株式会社法を廃止する等の法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 日本航空株式会社は、戦後我が国の民間航空が立ちおくれていた中で、我が国が速やかに自主的な国際航空運送事業を開始するため、昭和二十八年に政府の出資を得て設立された特殊法人であります。
 以来、同社は、国際線及び国内幹線における定期航空運送事業を経営してまいりましたが、この間、我が国における航空輸送は国際線、国内線ともに著しい発展を遂げ、日本航空株式会社を含めた我が国航空企業は大きく成長し、その企業基盤も強化されてまいりました。この結果、日本航空株式会社は、今日では世界有数の航空企業となり、特殊法人としての同社の設立目的はおおむね達成されたと見られるに至っております。
 こうした状況に対応し、昨年六月、運輸政策審議会から、今後の航空企業の運営体制のあり方について、国際線の複数社制及び国内線における競争促進施策の推進を図るをともに速やかに日本航空株式会社の完全民営化を実施すべきであるという答申がなされ、また、同月、臨時行政改革推進審議会からも、行政改革の一環として日本航空株式会社の完全民営化について答申がなされたところであります。
 政府といたしましては、これらの答申を踏まえ、昨年末、日本航空株式会社について、同社の自主的かつ責任ある経営体制の確立及び航空企業間の競争条件の均等化を図るため、昭和六十二年度において同社を完全民営化するとの閣議決定を行っております。本法律案は、この閣議決定に従って、日本航空株式会社法を廃止いたしますとともに、これに伴い所要の規定を整備するために提出するものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、日本航空株式会社について、特殊法人としての根拠法であります日本航空株式会社法を廃止することといたしております。
 第二に、航空法の一部改正であります。現在、航空法におきましては、外国人等が航空会社の議決権の三分の一以上を占めた場合には、その事業免許が失効することとなっております。このため、現在の日本航空株式会社法におきましては、このような免許の失効を防止するために外国人等に対する株式の譲渡制限の規定が置かれているところでございますが、同法の廃止に伴い航空法の一部を改正し、定期航空運送事業者について、その議決権の三分の一以上を外国人等が占めることによる免許失効を防止するための措置を定めるものであります。
 なお、この法律案は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
 以上が、日本航空株式会社法を廃止する等の法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○副議長(瀬谷英行君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。梶原敬義君。
   〔梶原敬義君登壇、拍手〕
#23
○梶原敬義君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました日本航空株式会社法を廃止する等の法律案につきまして質問をいたします。
 二年前の八月十二日は、日航一二三便が群馬県上野村山中に墜落、大破炎上し、乗員乗客五百二十名の死亡事故を起こした、忌まわしい、忘れてはならない日であります。
 先般、航空事故調査委員会の最終報告書が提出され、事故の再発防止のための勧告が示され、また、事故の刑事責任を追及している群馬県警によって日本航空の立入捜査が進められているところであります。我々は、こうした事故がなぜ発生したのか、隔壁修理ミスがなぜ発生したのか、五百二十名のとうとい生命の生死を分けた原因が何であるのか、徹底究明して再発防止に努めることが、不慮の死を遂げられた方々や遺族の皆様への責任であると考えるものであります。
 その後、国内においては重大な民間航空機事故は発生していないものの、今月八月十一日、高知沖上空で百ないし二百メートル、十九日には千歳上空で五百メートルという至近距離での全日空機と自衛隊機とのニアミス事件が発生したと伝えられております。十六年前に百六十二名の犠牲者を出した雫石事故を思い起こすまでもなく、余りにも重大な事件であり、空の安全についての教訓はどうなっているのか、私は言葉に尽くせない怒りを覚えるものであります。
 昨日の夕刊によると、千歳上空のニアミスについては、航空管制に当たっていた自衛隊側の千歳進入管制所が、三機編隊で飛行していた自衛隊側の情報を全日空側に伝えていなかった公算が大きいと報じられているが、防衛庁長官、事実はどうなのか、お尋ねいたします。
 運輸省、防衛庁はニアミスについての食い違いがあるようでありますが、実際はどうであったのか、国民が納得できるような説明を両大臣にお尋ねをいたします。あわせて、事実関係の究明と責任の所在を明らかにしていただきたいのであります。
 また、米国では、去る十七日に百五十余名の死者を出す墜落事故を起こしたばかりであります。
 本論に返りますが、政府は本法律案により、半官半民の経営体制で運営してきた日本航空を完全民営化させ、同時に、日本航空を国際線と国内幹線に限定した航空憲法四五、四七体制を打破し、航空企業間の競争を促進させようとしているのであります。しかしながら、こうした完全民営化と競争激化が経営を採算性と合理化、効率化一辺倒にさせ、その結果として安全性の確保がないがしろにされる危険性が増大しないか大きな疑問があるところであります。
 自由競争に任せている米国では、今回の大事故を初め、事故に至らないニアミスやサービスの劣悪化、切符のダブリ販売など、競争の余り逆に利用者にとって危険な、看過できない問題が頻発してきており、米国議会ではデレギュレーションの見直しの動きすら出ていることは、その証左と言わねばなりません。
 中曽根総理は、単に行財政改革の一環としてこの日本航空の完全民営化をしゃにむに進めようとしていますが、航空事業の最も大切な安全性の確保をどのように考えておられるのですか。日本航空完全民営化の基本姿勢並びに安全性の確保につき所見を最初に求めておきたいのであります。
 さて、本法律案の内容について具体酌に質問をいたします。
 質問の第一は、日本航空を完全民営化する意義についてであります。
 日本航空の収支は、五十七年度以降では、五十九年度を除きいずれの年度も赤字を発生させ、無配に陥っています。また、旅客輸送量も日航機墜落事故の後遺症が遠のいたとはいえ、十分な回復を示すまでに至っておらず、このようなときになぜ完全民営化を急ぐのか全く理解できません。航空憲法と言われた四五、四七体制が抜本的に改められ、国内線のダブル化、トリプル化等の競争促進や国際線の複数社制、また外国の巨大航空企業との競争も一層激化する中で、日本航空が完全民営化してやっていける見通しがあるのか、今なぜ現行経営体制のもとでの改革でやれないのか、その理由について運輸大臣から国民にわかりやすく説明を求めたいのであります。
 質問の第二は、日本航空の完全民営化を前提とした六十二年度から六十五年度までの中期計画と乗員問題についてであります。
 中期計画では、経営強化施策により、計画最終年度に三百八十億円の経常収益を上げ得ることを見込んでおりますが、同時に、収益については目標を大きく下回ることが懸念され、この達成には容易ならざるものがあると特記されており、極めて不透明かつあいまいな計画となっているのであります。果たしてその実現性はあるのか、運輸大臣にお伺いします。
 加えて、安全性と密接に関連するボーイング747−400型機の二人乗務の是非について検討していた乗員編成会議の答申は、両論併記で結論が出なかったとされております。中期計画は二人乗務を前提に計画されているようですが、安全性を重視するなら当然三人乗務体制での計画に改め、本院の審議に対応した計画を再提出すべきと考えるものでありますが、あわせて御答弁をお願いいたします。
 質問の第三は、航空労働者に対する異常な労務政策並びに合理化政策についてであります。
 一つの企業に六つもの労働組合が存在し、法に定められた安全委員会や衛生委員会が事実上機能してない異常な状況が続いており、政府の指導責任を免れることはできません。運輸大臣の御答弁をお願いいたします。
 ききにも指摘しましたとおり、ボーイング747−400型機の二人乗りについては、日本航空は秋には役員会で見切り発車を決定するとの報道もされており、我が党としては看過できません。運輸大臣、日本航空に対し、安全のための十分な人員を配置した経営姿勢を貫くよう指導すべきではないですか、御答弁をお願いいたします。
 また、完全民営化で日本航空の資金調達が政府保証債で行えなくなり、やがて利払い費の負担が急増し、この面から日本航空の財務を今以上に圧迫することは避けられないと考えられます。そして、その引きかえに人員の合理化や修理費等の経費の節減に重心がかかり、安全と国民へのサービスが損なわれるのであります。日本航空を今日のむちゃくちゃな状況に陥らせたのは日航の経営者と政府の介在であり、その責任を放置し、国民と労働者側に責任を押しつけることは許せません。
 そこでお伺いしますが、今後完全民営化に向けて現在混乱しておる社内の体制を一体化するためにどのように努力するつもりですか。また、労務政策の公平化、労使関係の正常化をどう指導していくつもりか明らかに願いたいと存じますが、運輸大臣にお伺いします。
 質問の第四は、航空運賃政策についてであります。
 国際線については、円高に伴って生じている方向別格差の是正や円高差益の還元等、利用者の不満が増大しております。国際線で日本発運賃に対し、米国発運賃が半額以下という状態は、何らかの是正なくして国民の納得を得ることは困難と言わねばなりません。政府は、IATA等国際協議の場でこれの是正に向けての努力が必要ですが、運輸大臣にはどのように対処するつもりですか。
 また、国内航空運賃についても格差の指摘があります。政府はどのように対処しようとしているのか、いつ結論が出るのかお伺いをします。
 質問の第五は、さきにも指摘した航空の安全対策についてであります。
 日航機墜落事故の事故調査委員会の勧告に対し、運輸省は修理ミス防止策として、製造工場外での大規模修理では必ずメーカーの技術支援を得る、修理を下請に出しても発注側が重要検査工程や最終工程に立ち会うなどの回答をしております。当然このことは修理検査体制の改革、人員補強が必要となってくるはずであります。しかるに、日本航空は完全民営化に当たり、六十五年度までの間に地上職員九百人を削減すると既に発表しており、航空機の修理検査体制の強化に逆行するような動きを示しております。
 安全の確保は、実際にこれを行う人間が十分対応できなくては効果はないのであります。さきの日航機墜落事故も修理検査体制に十分の人手と時間が注がれておれば未然に防止することができたのではないでしょうか。政府は衆議院の答弁で、検査は航空法にのっとり適正に行われていたとしていますが、完全民営化に当たり、今後修理検査体制の強化を運輸大臣は具体的にどう図っていく所存か、お伺いをいたします。
 質問の第六は、日航の株式売却方法並びにその売却益の使途についてであります。
 国の持ち株四千八百万株をいつ、どのように処分しようとするのか、そしてまた、売却益をどのように使おうとしているのか、大蔵大臣並びに運輸大臣にお伺いをいたします。
 最後に、私は、日本航空の完全民営化については、今日段階でさまざまな問題があることを指摘せざるを得ないと考えますが、いずれにしても、完全民営化が円滑に行われるためには、競争できる経営基盤や国民が安心して乗れる安全対策等の条件が前もって確保されていなければならないことは言うまでもありません。法律を改正すれば安全の問題や経営環境はひとりでによくなるものでは決してありません。言うなら、日本航空の完全民営化を急ぐ現在の政府の理由は、株式を売却して国の財源難を穴埋めすることの意義しかないのではないかと思われてなりません。
 中曽根総理、あなたは、行財政改革に名をかりて国民の財産を処分するいわゆる物売り総理としての名は後世に残すでしょう。しかし、日本航空の完全民営化は時期尚早であり、政府はこれを思いとどまるべきであると考えるのでありますが、総理大臣、いかがですか。
 私は、以上をもって質問を終わりますが、政府の明確な答弁を期待いたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 梶原議員にお答えいたします。
 日航の完全民営化と安全確保の御質問でございますが、日本航空株式会社につきましては、自主的かつ責任ある経営体制の確立を図るとともに、航空企業間の競争条件の均等化を図るため、昭和六十二年度において完全民営化を図る所存なのであります。
 経営者が経営のしがいがあるように、また勤労者が働きがいのある会社になるように、そういうようなことを目指しまして、より一層の効率化、それからサービスの充実、低廉化、そういうことを目指しまして完全民営化を図る考えなのでございます。国営ならば安全で民営ならば不安であるということは当たらないと私は思います。それは鉄道においても航空においても、外国や日本の例を見ても十分実証されているところであり、要は当事者の心構え一つであると、そう考えております。
 私の内閣を物売り内閣とおっしゃいましたが、私は仕事師内閣であると前から申し上げているとおりであります。これもその仕事の大事な一つであると考えておるのであります。
 次に、日米航空協定の改善の問題でございますが、日米航空協定上の不均衡については、現在日米間で継続中の包括的協定改定交渉により、両国
の航空権益の総合的均衡を目指しまして努力してまいりたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点として、高知沖及び千歳上空におけるニアミスの事実関係につきまして御報告を申し上げます。
 機長の報告によりますと、八月十一日の高知沖における異常接近は、全日空三五四便鹿児島発名古屋行きが、レーダー管制下において高度二万九千フィートで飛行中、串本の西南西約百八十キロメートル付近において海上自衛隊U36A訓練支援機と接近したというものであります。
 一方、八月十九日の千歳上空の異常接近は、全日空三三九便新潟発千歳行きが、千歳のレーダー管制下において高度一万二千フィートで飛行中、千歳の東約二十五キロメートル付近において航空自衛隊F15戦闘機と接近したというものであります。
 これらの事例は、目下事実関係の調査に入っておりまして、調査結果はできるだけ早く発表できるようにいたしたいと考えております。
 次に、日本航空の完全民営化の理由いかんというお尋ねでありますが、日本航空は、戦後我が国が速やかに自主的な国際航空運送事業を開始するため特殊法人として設立されたものでありますが、その後の航空輸送の著しい発展により、同社も含めて我が国の航空企業の基盤が強化されてまいりました。
 この結果、国際線、国内線ともに競争の促進が可能となり、それによって利用者利便の向上を図ることが適当であると考えられ、そのためにも企業間の競争条件の均等化を急ぐ必要があると考えられるに至っております。
 また、とかく親方日の丸意識などが批判されております日本航空の体質改善のためには、完全民営化により自主的かつ責任ある経営体制を確立することが適切であると考えられまして、これらにより経営の効率化、サービスの向上等を私どもは期待をいたしております。
 また、中期計画は、日本航空が企業として独自に完全民営化に対応した企業運営の目標として定めたものでありまして、増収と経費削減に努め、安定的な配当を継続し得る企業基盤の確立を目指したものであります。
 本計画は、日航としての基本的な目標を掲げたものでありまして、その達成につきましては、今後の具体的な経営施策を待つ必要がある部分も多いと考えられますが、最大限の努力によってこの目標が達成されることを期待いたしております。
 今後、日本航空が安全運航を確保しながら、全社一丸となって具体的経営改善施策に取り組めば、私どもは、会社が目標としている安定的な配当をし得る経営基盤の確立は十分可能であると考えております。
 また、ボーイング747−400型機は、ボーイング社が機長及び副操縦士の二名で運航できるよう設計開発中の航空機であり、日本航空では現在、乗員編成会議の答申を受け、さらに新機材導入検討委員会を設けて慎重に検討した上で結論を出す予定であると聞いております。
 運輸省としては、日本航空が同型機の導入を決定いたしました場合には、製造国政府の厳しい安全性審査に合格することを前提として、耐空証明の機会において、二名乗員による安全性についての慎重な検討をいたしてまいりたいと考えております。
 また、日本航空の職場における安全衛生委員会につきお尋ねがございました。
 御指摘のように、労働安全衛生法に基づいて安全衛生委員会が設置をされております中に、日本航空乗員組合など一部の組合が参加いたしておりません。これにつきましては、会社側からは、従来から関係の組合に対して安全衛生委員会への参加を呼びかけておると聞いておりますが、組合の方から委員の推薦が行われていないと聞いております。運輸省としては、この事態が労使の努力により改善されることを期待しております。
 また、個別の労使問題に私どもは介入する立場にはございませんけれども、航空輸送事業という非常に公共性の高い事業を監督している立場から、日本航空の労使関係に深い関心を有しております。
 殊に、日本航空が今後完全民営化を控え、厳しい競争状況の中で的確に事業を遂行していくためには、労使双方が信頼関係に基づく健全な労使関係をつくり上げていくことが必要であると考えておりまして、労使双方の関係者の努力を期待いたしております。
 組合の数につきましては、一企業一組合が望ましいと思いますが、これはまさに労使間の問題であり、あるいは労働組合間の問題であると申し上げてもよろしいかと存じます。
 また、近年の円高傾向に伴い、国際航空運賃について、外国発の外貨建ての航空運賃を円に換算した場合、日本発運賃よりも安くなっているといういわゆる方向別格差の問題を生じております。この現象は、変動相場制のもとではある程度不可避的なものでありますけれども、長期にわたって相当な格差が続く場合には、航空会社の経営状況も勘案しながら、漸次この縮小のための措置を講じてきております。
 昨年度は、太平洋線、欧州線、豪州線につき日本発の運賃を引き下げ、外国発の運賃を引き上げる措置をとりました。また、本年の七月には、太平洋線につきまして、日本発を七・四%値下げをすると同時に、アメリカ発運賃を五%引き上げるといった措置を実施したところでありまして、今後ともに適切な対応をしてまいりたいと考えております。
 また、国際路線を運営いたします航空企業におきましては、確かに外貨建ての収入と外貨建ての経費というものがございますが、この比率がほぼ等しくなっておりますために、円高そのものによる直接の差益はほとんど発生をいたしておりません。しかし、原油の価格低下等に伴って、燃料費についてはかなりの費用削減を見ております。そこで、私どもは、こうした点に着目をしながら、各種割引運賃の拡充でありますとか、国際航空運賃の引き下げ等の措置を講じてまいっております。ただ、航空企業の経営状態そのものは、議員の御質問の中にも一部ございましたように、五十七年以降運賃の設定が行われておりませんこともあり、厳しいものがあることは御理解をいただきたいと存じます。
 また、国内航空運賃の南北格差につきましては、北海道方面は需要量が一般に少ないこと、また季節波動が大きいことから他方面に比べて割高になることはやむを得ない面もありますが、これに加えて、運賃設定後におきまして飛行ルートが短縮され、割高感を増幅しておる面があることは否定できません。今後の運賃改定に際しましては、このような点も考慮して対処してまいりたいと考えておりますが、本件につきましては、航空運賃問題懇談会において、現在意見の取りまとめをお願いいたしておりまして、この御意見等も踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、一昨年八月の日本航空一二三便の事故発生以来、運輸省といたしましては、日本航空に対して業務改善勧告を行い、点検整備の強化、整備要員の増員など整備体制の充実強化を指導いたしますと同時に、航空事故調査委員会の勧告を踏まえて、大規模な構造修理を行う場合の管理体制に係る指針等を定め、航空運送事業者を指導してまいりました。
 日本航空におきましては、これらを受け、整備要員を事故後大幅に増員するなど整備体制の強化を図っておるところでありますが、運輸省としては、今後も整備作業の質及び量に対応した整備体制が十分確保されるよう指導監督してまいりたいと考えております。
 運輸省自身につきましても、昭和六十一年度から航空局に整備審査官を置き、航空会社の整備全般について一層きめ細かい指導監督を実施いたしておるところであります。
 また、日本航空の政府所有株式の放出の方法等につきましては、大蔵省において、国会の御審議を踏まえながら、国有財産中央審議会の議を経て検討されるものと聞いておりますが、運輸省としては、運輸政策審議会の答申にもありますように、この放出に当たりましては、今後の日本航空の円滑な事業活動の維持にも十分配慮する必要があると考えております。
 なお、売却益につきましては、財政当局に空港整備財源として用いるよう要望いたしてまいりました結果、本年度予算におきまして、売却益の一部を活用し、六百二十二億円が産業投資特別会計から関西国際空港株式会社に対して出資されることになっております。
 以上、答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(栗原祐幸君) 御指摘の二件のいわゆるニアミス事件につきましては、今運輸大臣から、その事実関係について運輸省において調査を行っておるというお話がございました。防衛庁といたしましても、これに積極的に協力をいたしまして、早急に事案の解明に努めてまいりたいと考えております。
 それから千歳のニアミスに関する自衛隊側の管制所の対応についてでありますが、管制官が全日空機に対して、出発機がある旨は伝えたものの、それがF15型機の三機編隊であることまでは連絡していなかったという事実でありますが、その際、報告によれば、これら自衛隊機と全日空機とが十分安全な距離を保てるような指示をしていたとのことであります。
 なお、自衛隊の管制は、運輸省のそれと同様の基準により実施されているところであります。
 また、ニアミス発生の責任についてでありますが、一般的に言って、いわゆるニアミスの要因としては、管制ミス、それから管制指示に対する違反、他の航空機に対する見張りの不十分、回避操作の不適切などが考えられます。
 防衛庁といたしましては、航空交通全体から見た制度的な問題についてお答えする立場にはございませんが、現在の枠組みの中でニアミスを防止することは十分可能であり、また、そのための努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 日航株の売却につきまして、ただいま運輸大臣がお答えになられたとおりでございますが、この廃止法案の国会での御審議を踏まえました上で、国有財産中央審議会に付議をいたしたいと存じております。基本的には証券・金融市場の動向に配慮をいたしながら、年度内に売却をいたしたいと考えております。
 政府の保有株式全株を売却する予定でございまして、四千八百万株余でございます。そのうち四千四百万株余りは産投会計が持っております。三百万株余りを一般会計が保有しておりまして、これを全部売却いたしたいと考えております。六十二年度予算におきまして三千六百十七億円の売却益を見込んでおります。
 なお、このうち産投会計から関西国際空港へ六百二十二億円を出資いたすことにいたしておりますが、残余の財源につきましては、それを特定の財源に充てるということは予定いたしておりませんで、一般財源として活用いたしたいと思っております。(拍手)
#28
○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#29
○副議長(瀬谷英行君) 日程第一 水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部き改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境特別委員長山東昭子君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔山東昭子君登壇、拍手〕
#30
○山東昭子君 ただいま議題となりました水俣病の認定業務の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、環境特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院提出に係るもので、その主な内容は、旧公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法による水俣病に係る認定の申請者で、認定に関する処分を受けていないものが環境庁長官に対して認定を申請することができる期限を昭和六十五年九月三十日まで延長するとともに、新たに、公害健康被害補償法施行後五年以内における同法による水俣病に係る申請者等で、いまだ認定に関する処分を受けていないものは、昭和六十五年九月三十日まで環境庁長官に対して認定の申請をすることができることとするものであります。
 委員会におきましては、水俣病の判断条件の検討機関のあり方、水俣病に関する知見の一層の集積方策、司法認定と行政認定との乖離、特別医療事業の拡充、水俣病第三次訴訟判決に指摘された国の行政責任等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤委員より、本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、本法律案に対し、認定業務の不作為違法状態を速やかに解消すること等を内容とする附帯決議が全会一致をもって付されました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#32
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#33
○副議長(瀬谷英行君) 日程第二 電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大木浩君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔大木浩君登壇、拍手〕
#34
○大木浩君 ただいま議題となりました電気工事士法及び電気工事業の業務の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 近年、急速に増加しているビルなどの大型電気設備である自家用電気工作物について、工事者の電気保安の知識の不足による工事不良を原因とする事故が多発しております。
 本法律案は、一般家庭の電気設備である一般用電気工作物と同様にその工事について、電気工事士等に従事させることを義務づける等の措置を講じ、工事段階での保安を強化して事故を未然に防止しようとするものであります。
 なお、本法律案は、衆議院商工委員会提出に係るものであります。
 委員会におきましては、衆議院商工委員長及び政府側に対して質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#36
○副議長(瀬谷英行君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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