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1987/08/28 第109回国会 参議院 参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第8号
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1987/08/28 第109回国会 参議院

参議院会議録情報 第109回国会 本会議 第8号

#1
第109回国会 本会議 第8号
昭和六十二年八月二十八日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  昭和六十二年八月二十八日
   午前十時開議
 第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国政府とカナ
  ダ政府との間の条約の締結について承認を求
  めるの件(第百八回国会内閣提出、第百九回
  国会衆議院送付)
 第二 政府調達に関する協定を改正する議定書
  の締結について承認を求めるの件(衆議院送
  付)
 第三 日本電信電話株式会社の株式の売払収入
  の活用による社会資本の整備の促進に関する
  特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 日本電信電話株式会社の株式の売払収入
  の活用による社会資本の整備の促進に関する
  特別措置法の実施のための関係法律の整備に
  関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改
  正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百
  九回国会衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、公正取引委員会委員長に梅澤節男君を、
 同委員に宇賀道郎君を、
 日本銀行政策委員会委員に武田誠三君を、
 中央社会保険医療協議会委員に三藤邦彦君を、
 電波監理審議会委員に浅見喜作君、岡村総吾君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、公正取引委員会委員長、同委員、日本銀行政策委員会委員、電波監理審議会委員のうち浅見喜作君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、中央社会保険医療協議会委員、電波監理審議会委員のうち岡村総吾君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。田村通商産業大臣。
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(田村元君) 外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 今回の東芝機械の外国為替及び外国貿易管理法に違反した不正輸出事件は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障に重大な影響を及ぼすおそれのあるものであり、極めて深刻な問題であります。これにより、我が国の国際的信用が著しく損なわれたことは、まことに残念と言うほかありません。
 このように、我が国の産業及び技術の発展並びに国際社会において我が国が担うべき責任の増大等の状況のもとで、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる違法な貨物の輸出及び技術の提供が、我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を阻害するおそれが強まってきております。
 このような状況のもと、我が国といたしましては、今回の事件の重大性を深く認識し、このような事件の再発防止のため、あらゆる角度から対策を講ずることが必要であります。この一環として、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる違法な貨物の輸出及び技術の提供に係る罰則及び制裁の強化等の措置を講ずる必要があると考えられます。
 このような要請に対応するため、今般、本法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 まず、国際的な平和及び安全の維持に関連のある特定の技術の提供等の役務取引については、従来から通商産業大臣の許可を受けなければならないこととされておりましたが、今般、これを特掲し、その規制の趣旨をさらに明確化することとしております。
 第二に、通商産業大臣は、許可を受けずに特定の技術を特定の地域において提供する取引を行った者などに対して、三年以内の期間を限り、一定の役務取引、貨物の輸出等を禁止することができることとしております。
 第三に、国際的な平和及び安全の維持に関連のある特定の貨物の輸出について、従来から役務取引に用いられていた表現と同じ表現をもってこれを特掲し、通商産業大臣の許可を受けなければならないものとすることにより、その規制の趣旨を明確化することとしております。
 第四に、通商産業大臣は、許可を受けずにこれらの貨物を特定の地域に向けて輸出した者に対して、三年以内の期間を限り、貨物の輸出及び特定の技術を提供する取引を禁止することができることとしております。
 第五に、この法律の施行に必要な限度において、主務官庁の職員が立ち入ることができる場所に、この法律の適用を受ける取引を行うことを営業とする者の工場を追加することとしております。
 第六に、通商産業大臣は、国際的な平和及び安全の維持に関連のある貨物の輸出及び技術の提供について、特に必要があると認めるときは、外務大臣に意見を求めることができることとするとともに、外務大臣は、国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、通商産業大臣に意見を述べることができることとしております。
 第七に、無許可で特定の技術を特定の地域において提供する取引を行った者及び無許可で特定の貨物を特定の地域に向けて輸出した者は、五年以下の懲役または二百万円以下もしくは目的物の価格の五倍以下の罰金に処することとして、罰則を強化することとしております。また、無許可で特定の貨物を特定の地域に向けて輸出する者は、未遂をも罰することとしております。
 なお、この罰則の強化の結果、時効期間は五年に延長されます。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。菅野久光君。
   〔菅野久光君登壇、拍手〕
#10
○菅野久光君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法改正案について、中曽根総理及び関係大臣に対し質問を行います。
 まず、総理に伺います。
 政府は、何ゆえに今、外為法の改正を必要であると考えるのか、また、改正を急ぐのかという点についてであります。
 今回の東芝機械の外為法違反事件はまことに遺憾であります。しかし、この事件は法律の不備によって引き起こされたわけではなく、申請を偽って輸出を行った企業の行動と、これを見抜けなかった審査体制の弱さにその原因が求められるのであります。したがって、再発防止を期するためには、審査・監視体制の強化と企業への警告等の行政上の対応で十分に事足りるものであり、法改正が必要であるとは考えられないのであります。
 米国議会で東芝制裁条項を含む貿易法案の両院協議会での調整が目前に迫っており、これに対し我が国として迅速な対応が必要であるという事情は理解できます。しかし、問題は、米国議会の対日貿易不均衡のいら立ちに、罰則強化など、このようなこそくな手段で対応しようとする政府の姿勢にあるのではないでしょうか。しかも、この改正案には、我が国の将来にとって国益上ゆゆしい問題が数多く含まれており、その代償は余りにも高価につくのであります。
 政府が安全保障の観点からの経済立法を必要であると考えるなら、拙速を避け、国内で十分論議を尽くすべきであります。政府部内でさえも十分な意見統一を図る時間的余裕もないままに、わずかの準備期間でこの臨時国会に改正案の提出を指示した中曽根総理の真意のほどを伺います。
 続いて、田村通産大臣に伺います。
 大臣は、衆議院で、我が党議員の質問に答え、外為法改正、このようなものを好んで提出するわけではない、しかし、貿易法案が厳しい形で成立し、米国市場を失ったら、東芝はもとより日本経済はもたない、売り手の立場は弱いのだから、日本の経済と雇用を守るためやむを得ないのなどの趣旨を述べております。
 大臣は、この法案が成立したら、貿易法案が緩和されるという確固たる見通しを持っておられるのか。また、そのためにはこの法律改正がどうしても必要なのか。他の方法では対処できなかったのか。七月の訪米の際どのような約束が行われたのか。以上の点について大臣の御所見を伺います。
 次に、ココムの問題について伺います。
 ココムは一九四九年に発足したものであり、米ソ冷戦時代の産物であります。ココム自体が外交上の秘密とされ、国際条約または国際協定という性格のものではなく、参加国間の紳士協定にすぎません。国会の審議を経たこともなく、その実態や内容は国民の前には一切公表されておりません。
 その後三十年余、ココム規制はデタントの時代を経て、大勢としては緩和の方向で今日に至っております。米国は、機会あるごとに、紳士協定から条約上の地位に格上げすることを提案してまいりましたが、欧州諸国の反対に遭い、ココムを脱退する国が出てくる不安もあることから提案を取り下げてきた経緯があります。欧州諸国は、米国の東西貿易に対する政策が一貫性を欠き、ココムを利用して他国の東側市場への参入を抑制し、自国の東側への市場拡大の手段に使ってきた実態を知り抜いており、ココム体制強化の米国の提案を単純には容認しなかったのであります。
 このように建前は安全保障、本音は各国の通商上の利益の追求というのがこれまでのココム運営の実態であります。したがって、欧州各国は、今回の日本政府のオーバーな対応を迷惑と受けとめておるのであります。ココムは既に過去の遺物であります。規制緩和が時代の流れであり、ココムは自然消滅の方向を求めなければならないのではないでしょうか。
 総理は、このようなココム運営の実態についてどのように考え、また、今後ココムにどう対処していく方針であるのか、御所見を伺います。
 質問の第三点は、今回の改正点についてであります。
 この改正法案の本質的な問題点は、対外取引自由の原則を建前とする外為法を、安全保障の観点から管理色の強いものに改めようとするところにあります。
 外為法第一条の目的には、貿易自由の原則がうたわれ、最小限度の規制を加えられるのは、国際収支の均衡、通貨の安定に必要な場合という経済的理由に限られております。そこに改正案は、「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」ものを特定の地域に輸出するものに対して許可制を導入しようとしております。
 本来が経済手続法の性格の外為法に、経済とは異質の政治的、軍事的要因による規制を持ち込むのは木に竹を接ぐようなもので、法体系上の不自然さは免れません。しかも、その許可基準は法文上は明確にされておらず、すべては政令にゆだねられ、解釈権は事実上政府に握られてしまうのであります。自由な貿易と安全保障をどのように調整していくのか、国際的な平和と安全を妨げるとは具体的にどのようなことを指すのか、外務、通産、防衛各大臣の明確な答弁を求めます。
 また、改正案では、ココム規制違反関係の罰則が懲役三年から五年に延長されております。条約でも協定でもない、その法的性格があいまいなココム規制を根拠に、しかも、余りにもつかみどころのない国内法の規定によって罰則を強化するのは罪刑法定主義の憲法の精神に背くものであります。また、他の経済事犯の量刑とのバランス上も、さらに、アメリカを除くココム加盟国の罰則との比較においても、ひとり我が国だけが突出することになるのであって、とても容認できるものではありません。
 総理は、違法輸出の公訴時効をもっと長くしたい旨の国会答弁を行ったことがありますが、あえて罰則を強化しなければならないと考えた改正の動機について明快な御説明をお願いします。
 質問の第四点は、先端技術をめぐる最近の日米関係についてであります。
 東芝機械事件の本質は、日米技術摩擦であると言い切る人もあります。ことし二月のアメリカ国防省の半導体問題についての報告書は、米国の防衛システムの卓越性が直接依存しているエレクトロニクス技術の優越性は遠からず危険なほど細ることになろうと警告しております。
 日米ハイテク戦争と言われる中で、一部の先端技術におくれをとった米国は、この分野における国際的優位性を守り抜くための戦略として、我が国の競争産業たたきを繰り返してまいりました。そこにタイミングよく起こったのが東芝機械事件であり、これをスケープゴートとしてフルに利用し、東芝グループ全体にまで問題を広げ、安全保障を盾に制裁をもくろんできたのが今回の事件の
本質であります。
 この事件が、米国のハイテク戦略からしかけられたものと認識するならば、さきの半導体報復措置や富士通・フェアチャイルド問題等と軌を一にするものであり、今後も我が国の先端技術産業に対しどのような角度から言いがかりをつけてくるかわかりません。今回の事件をめぐる米国議会の異常な空気と我が国政府の過剰な反応は、国民の対米感情の悪化と産業界の政府不信を招いており、両国の議会及び政府の冷静な対応が切に望まれるのであります。
 米国の日本たたきの風潮を助長してきたのは、中曽根内閣の卑屈なまでに米国の言うことなら何でも聞くと言わんばかりの御用聞き外交にあったことは否めません。このような姿勢では、第二、第三の東芝事件が出てくるであろうことは想像にかたくありません。主権国家として言うべきことは言い、米国の冷静な対応を求めるため、毅然たる態度で臨むことを強く要請したいのでありますが、総理の御方針を伺います。
 質問の第五点は、対米、対共産圏貿易の今後の見通しについてであります。
 輸出に占める米国市場に対する依存度は、我が国は約四〇%、西ドイツは一〇%、この違いがココムに対する我が国と欧州諸国の対応の差となってあらわれております。欧州は、ココム緩和の方向で東西貿易のパイプを維持強化しようとしており、我が国は米国市場を失うのを恐れる余り米国の言いなりになっているのであります。
 我が国の輸出に占める米国の比重が高過ぎることは、また貿易摩擦の根本的原因でもあります。産業界でも、日米摩擦の激化に伴い、輸出市場の多角化、特に対共産圏貿易に活路を求めようとしていたやさきのココム規制の強化であります。輸出審査のおくれによって商談は停滞し、さらには、商社駐在員の国外退去要求等のソ連側の報復もあって、産業界、貿易業界は不安を募らせております。
 平和と安全の維持に最も有効なのは、東西間の経済相互依存度を一層深めていくことにあるのではないでしょうか。東西貿易に水をかけるような本改正法案は時代の要請に逆行するものであり、共産圏市場を締め出された我が国企業が、再び対米輸出ドライブに拍車をかけ、かえって日米摩擦を激化させる結果を招くのではないかと危惧されるのであります。今後、対米及び対共産圏貿易はどのように推移していくと考えておられるのか、通産大臣の御見解を伺います。
 最後に、武器等の輸出に関する我が党の基本的な考え方について申し上げます。
 我が国には、武器輸出三原則並びに政府統一見解があり、戦後一貫して国際平和の維持に貢献してまいりました。しかし、武器及び軍事転用される汎用品、技術は一切輸出または提供しないという企業モラルを確立するためには、自由貿易を目的とする外為法による規制ではその実効性に限界があります。したがって、我が党は、憲法の平和主義の理念にのっとり、武器輸出三原則、政府統一見解を具体化した特別立法が必要であると考えます。今回の政府提出の外為法改正案では、自由貿易を著しく阻害し、将来に大きな禍根を残す結果となることは明白であります。
 本法案の審議に当たっては、拙速を排し、問題点を余すところなく洗い出し、慎重に審議を尽くすべきであるとの意向を表明いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(中曽根康弘君) 菅野議員にお答えをいたします。
 まず、法改正の必要性でございますが、このココムの合意というものは、いわば自由主義陣営の国々がばらばらにこのような規制をやっておるということは適当でない、やはり同じ水準でみんなで一緒にやるところに効果がある、そういうことでこのようないわば紳士協約を結んでおるものなのであります。日本の場合は、東芝事件というものは極めて悪質な不正事件でありまして、そのようなルール遵守に関する日本の信義というものについてかなり大きな疑念を抱かせる結果にもなり、それはまた我が国みずからの安全保障を損なうということでもあるわけであります。
 そういうような意味から、この取り締まり体制に対する欠陥を是正する、それを可能な限り速やかに行うということは、日本の国際信用を回復するためにも必要であり、そういう意味におきまして、これを担保するような諸般の対策を講じたわけです。
 この外為法の改正は、その一つの軸であると同時に、また他面におきましては、行政体制もこれを充実させるという諸般の体制強化もやり、また、業界ないし企業に対しても、自主的管理をもってその信義に応ずるような体制強化を強く要請してきたわけでございまして、そのような事由に基づきまして本法案を提案したわけなのでございます。
 次に、ココム規制緩和の問題でございますけれども、最近における科学技術の非常に高度な発達、特にハイテク分野における急速な発達というものは目まぐるしいものがございます。そういう意味におきまして、安全保障の面あるいは貿易自由をさらに強化推進していくという面、こういう面から見ましても、ココムの対象というようなものはある場合には追加される必要があるし、不要になったものは削除する必要がある。そのように各国協議いたしまして、時代に合うように適切な措置を今まで講じてきておるわけなのでございます。
 日本もそういう考えに立ちまして、言うべきことは言い、また、各国の合意については遵守すべきものは遵守する、そういうようなフェアな態度をもって処置してきたわけでございます。今後も追加されるべきものもあるし、削除されるものもございましょう。それは客観情勢に応じて各国合意のもとに行われる。我が国は我が国独自の見解をその際は主張するということは当然のことなのであります。
 罰則の強化につきましては、ただいま申し上げましたような情勢からいたしまして、日本の自由貿易体制及び貿易の確保という面から見まして、これらの自由主義陣営との連携、信頼の維持ということは非常に重要な要素でございまして、そういう意味から必要な措置を今回講じたわけなのでございます。
 この罰則の内容につきまして、いろいろ御議論もあるようでございますけれども、日本の場合は特に相当高度の科学技術力を持っておる、それから貿易量が膨大である、そういう意味におきまして、ほかの国に比べて管理体制は強化する必要がある。これは当然のことでございます。そういうような意味からも、国際的な情勢もよくにらみまして今回の改正を提案したわけです。
 米国におきましては最高十年の禁錮刑、カナダでは最高五年の禁錮刑、ノルウェーでは今回の事件を契機に、最高刑を六カ月から五年に強化するという措置をとったのでございまして、我が国が今回とろうとする措置は、大体それらと比べてみましても常識的な線ではないかと考えており、かつまたほかの諸般の量刑あるいはその他の均衡も考えまして、このような提案をした次第なのでございます。
 米国への対応の問題でございますが、御存じのように、アメリカ人や西欧人というものは、契約とか法とか合意というものに対しては極めて厳格な感覚を持っておる。日本人は、ややもすると、そういうものはルーズな面がございます。そういう意味におきまして、契約とか法という概念に対する我々の再検討というものも一面においては必要であります。また、この背景を見ますというと、現在、日米の貿易摩擦の関係というものも非常に重大化している状況でもございます。そういうような情勢を背景にもいたしまして、我が国独自の公正貿易あるいは公正競争を確保していくた
めに不備を是正する、そういう意味において自主的に行うべきことを我々は当然行うという考えに立つものなのであります。
 最近、日本の高度技術に対する盗取であるとか、あるいはスパイ的行為が頻発しつつありますけれども、日本がこれだけ高度のハイテクを持ち、膨大な貿易量を持っておりますれば、必ずそういうすきが出てきておると考えざるを得ないのであります。そういうような考えから、我々がそれを防止するために必要な措置を最小限講ずるということは、国家として当然のことなのでありまして、経済的利益というもののためにそのような不正を見逃すということは国家としてとるべきでないと、こう考えておるわけであります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(田村元君) 菅野議員にお答えいたします。
 私といたしましては、現在御審議いただいております外為法改正を初めといたしまして、今回の事件の再発防止のための諸措置の実現に全力を挙げて取り組んでおります。米行政府は我が国のこのような再発防止策を評価しておりまして、また、我が国のこうした対応が議会における本問題の鎮静化に寄与することを期待する旨を表明しております。
 一方、米議会の対応にはなお厳しいものがございまして、予断を許さない状況にありますけれども、今後とも米議会、行政府の一層の理解を得て、いわゆる東芝制裁条項のような法案が成立することのないよう努力していくことが肝要であると考えております。
 また、今回の事件につきましては、我が国自身の問題として認識し、真剣に再発防止のための努力を行っているところであります。このため、現在御審議をいただいております外為法改正に加えまして、輸出審査・検査人員の増加、重点分野について厳格な審査を行うための省内審査会の設置等、あらゆる角度から取り組みを進めているところであります。私といたしましては、こうした対応が議会における本問題の鎮静化に寄与することを期待いたしております。
 また、いわゆる東芝制裁法案につきましては、ココム違反に対する制裁はそれぞれの国がみずからの責任で行うべきでありまして、他国の違反に対して米国独自の制裁を一方的に科すことは問題がある等、そういう観点から反対の立場を表明しております。引き続き、このような法案が成立しないよう米国行政府及び議会の理解を深めてまいりたいと考えております。
 また、貿易立国たる我が国の対外取引の正常な発展及び経済の健全な発展を図るため、従来よりココムの申し合わせを尊重し、外為法に基づく規制を行っていたところでございます。今回の改正によりまして、自由貿易の原則、また、原則自由、例外禁止という外為法の基本的考え方を変更するものではございません。
 今回の改正によりまして、許可の対象となるものの範囲は従来と同様でありまして、改正後の外為法の運用に当たりましても、法第一条に規定されている対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を図るという目的に照らし、適正にこれを行う所存でございます。
 また、「国際的な平和及び安全の維持」とは、国際的な紛争の発生もしくはその拡大を助長するような取引、または西側諸国の安全保障に重大な影響をもたらす取引等を規制することにより、我が国を含む国際社会の平和及び安全が脅威にさらされることがないようにすることを意味していると考えております。
 八五年九月のG5合意以降の円高進展にもかかわりませず、Jカーブ効果等によりまして、我が国通関統計によるドルベースでの我が国の対米貿易黒字は、八六年には五百十四億ドルと過去最高を記録しております。
 しかしながら、ことしに入りまして、通関統計円ペースでの対米貿易黒字は、八七年一−七月で対前年同期比一〇・七%減と大幅に減少しておりまして、ドルベースでも貿易黒字拡大傾向は頭打ちになりつつございます。
 今後ともこうした為替レート調整の効果が我が国の内需拡大、輸入拡大の推進、米国の財政赤字削減努力等々と相まって、日米間の貿易不均衡是正に一層好ましい影響を与えるものと期待いたしております。
 なお、我が国の対米輸出依存度は約四割近いものであります。非常に高いものであります。最近の日米貿易摩擦の状況を考えますときに、今後、ECやアジア近隣諸国等との貿易の拡大を図りながら、過度にアメリカに依存している貿易構造の是正を図る必要があると考えております。
 また、我が国は貿易立国として、自由貿易の考え方のもとで貿易を拡大し、経済発展を図ってきたものでございまして、共産圏貿易につきましても健全な形で発展していくことが望ましいとの考え方に変わりはございません。ただ、我が国が西側の一員として参加しておりますココムにおける申し合わせは、他の参加国とともに遵守していくこととしております。このため、共産圏貿易に一定の制約が生じることはやむを得ないと考えております。
 我が国といわゆる共産圏に属する諸国との貿易は、昨年において、我が国の貿易総額三千三百五十六億ドルのうち二百二十八億ドルとなっておりまして、そのシェアは六・八%であります。今後の対共産圏貿易の見通しについては、為替レートの推移、貿易相手国の外貨事情等不確定な要因が多いために見通すことは困難でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(倉成正君) 菅野議員にお答えを申し上げます。
 私に対する御質問は、自由な貿易と安全保障をどのように調整していくかという御質問でございますが、我が国を含む自由民主主義諸国は、自由経済、自由貿易を基本としつつ、安全保障確保の観点から、共産圏諸国に対する戦略物資の輸出規制の必要性を強く認識いたしております。
 今般の我が国民間企業による不正輸出事件は、我が国を含む自由主義陣営全体の安全保障に重大な影響を及ぼすものと考えております。今次改正は、かかる認識を十分踏まえた上で、我が国自身の安全保障上の深刻な要請に基づくものとして輸出管理体制の強化を図ろうとするものであります。
 また、本法律上、国際的な平和と安全を妨げるとは具体的には何かと申しますと、我が国を含む国際社会の平和及び安全を脅かし、我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展に重大な支障を及ぼすようなケースを指すものでございまして、具体的には個別の貨物及び技術の特性等を判断して政令で定めることにいたしておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(栗原祐幸君) お答えをいたします。
 防衛庁は、外為法を所管しておりませんので、御質問の国際的な平和と安全を妨げる趣旨等に直接お答えすべき立場にはないと考えておりますが、先ほどの通商産業大臣の御答弁には私は賛成でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(藤田正明君) 広中和歌子君。
   〔広中和歌子君登壇、拍手〕
#16
○広中和歌子君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました外国為替及び外国貿易管理法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問するものであります。今回の外為法の一部改正は、東芝機械による外為法違反の不正輸出事件に端を発したものでありますが、通産大臣が一企業の犯した違反行為の釈明のために渡米なさった背景は何なのでありましょうか。
 一九五二年以来、日本政府はココムに参加しておりますが、ココムは紳士協定であり、違反に関しては加盟国それぞれが国内法で裁くということになっております。日本としてはこれまで協定の趣旨にのっとり、外為法に基づき、共産圏への輸出規制をしてきたわけですが、一年に約二十万件に上る輸出申請のうち一件の不正があったからといって、我が国の輸出管理体制に基本的問題を提起するものであるといった政府側の問題認識は生まれ得るのでしょうか。総理はこの見解を支持しておられるのか、お伺いいたします。
 それとも、東芝機械事件はたまたま発覚した事件の一つにすぎず、水面下には多くの不正があったということなのでしょうか。もしそうであるなら、ココム協定に参加しながら、あいまいな運用をしてきた歴代通産大臣並びに通産省の責任が問われなければなりませんし、ココムが紳士協定にすぎず、独自の国内体制で運用されるべきであるなら、今回のような政府並びに通産省の対応は過剰と指摘されなければなりません。この点につきまして通産大臣はどうお考えなのか、お伺いいたします。
 さらに、アメリカ国防総省の見解やアメリカの一都の政治家の主張するように、この東芝機械の不正輸出が西側の安全保障を著しく損なったという非難を受けとめるだけの十分な証拠が本当にあったのでありましょうか。
 国防問題の専門家サム・ナン上院議員はその事実を否定する発言をしたと伝えられておりますし、フランスのフォレスト社の五軸制御工作機械がソ連の潜水艦スクリュー音の低下に関与しているという報道もあります。こうした事実関係について、専門のお立場から防衛庁長官、通産大臣の独自の調査による御見解をお伺いいたします。
 今回の御訪米の際、通産大臣はボルドリッジ前商務長官を初め閣僚、議員などに幅広く会われたのでありますが、通産大臣はアメリカ政府に何を約束されたのか、お伺いいたします。
 それは、今回の外為法一部改正や審査官を増員することなどに十分に反映しているのでありましょうか。さもなければ、再びアメリカ側の不信感を招くでありましょう。一部アメリカのマスコミに伝えられているように、アメリカ並みの厳しいチェックを行う約束をされたということはないのか、通産大臣の明確な御答弁をお願いいたします。
 アメリカの対共産圏輸出は日本の三分の一にすぎませんが、アメリカ並みのチェックとは三千七百万ドルの費用と六百二十名に上る審査官を配置することです。日本においてこのようなことが可能なのでしょうか。
 次に、法案の内容について具体的にお伺いいたします。
 アメリカでは、共産圏への輸出に国防総省や国務省が関係していますが、日本の場合も、今回の改正案において通産大臣と外務大臣とのいわゆる意見交換の規定を新たに設けようとしております。その意見交換の内容を両大臣にお伺いいたします。
 また、防衛庁につきましては、法律上は何も定められておりませんが、実際上どのような役割を果たすのか、担当大臣にお伺いいたします。
 今回の東芝機械の不正輸出事件を契機にして対共産圏への輸出が著しく滞り、多くの輸出キャンセルが続き、かつ新たな貿易の引き合いが減っていると伝えられます。今後ココムを遵守しつつ、東側諸国との経済交流を通じて友好関係を維持するために、政府はどのような対策をとるおつもりなのか、総理、通産、経企庁の各大臣に具体的な政策をお示し願います。
 第二に、平和安全条項に基づく輸出規制は、外為法が目的とする自由貿易の原則と矛盾するのではないでしょうか。言いかえれば、このような輸出規制は、外為法が対外取引の正常な発展を期するという点から行う必要最小限の規制と言えるでしょうか。通産大臣のお考えをお伺いいたします。
 第三は、ココムリストが非公開であることとも相まって、どのような貨物や技術がココムの申し合わせを受けた平和安全条項に触れ輸出や取引が制限されることになるのか、明らかであるとは言いがたいということであります。このことは、企業から予見可能性を奪い、その経済活動を萎縮させ、対外貿易の健全な発展を阻害する要因になるのではないでしょうか。通産大臣の明確な御答弁をお願い申し上げます。
 第四に問題なのは、改正案が平和安全条項違反の罰則を強化しようとしていることであります。
 通産大臣、どうして平和条項違反の罰則を三年以下の懲役から五年以下の懲役に引き上げられたのか。このことは、それ以外の場合の罰則との均衡を失することにはならないのでしょうか。また、果たして立入検査の対象を工場にまで広げる必要があるのでしょうか。仮にその必要性があるにしても、工場に立ち入ることは企業秘密との関係で問題を生じ得るのではないでしょうか。通産大臣にお伺いいたします。
 ココムリストは安全保障の視点からつくられておりますが、その決定は多分に恣意的であり、その視点も対ソ連及び対中国との関係のみならず、中ソ間の政治、外交関係とも微妙に絡むものでございます。さらに、西側参加国の国益上の理由から多くの例外品目が認められ、かつその内容、基準があいまいなことからも、ココムには日本のみならずアメリカを含む多くの国々の違反があったことは既に指摘されているところでございます。その点につきまして通産省の御考察をお願いいたします。
 最後に、最近のココム違反へのアメリカの反応には、ハイテク産業の比較優位をめぐる競争が絡み、ソ連への技術のカーテンを厚くするにとどまらず、技術移転に関して、中核技術といった名目でココム加盟国内部に対する牽制が見られますが、その結果、我が国の高度技術の発展が阻害されることを恐れます。この点につきまして通産大臣にお伺いいたします。
 言いかえれば、今回のアメリカの反応は非常に政治的であり、その行動には、特に産業が疲弊した地元を抱える政治家たちの選挙民への配慮があったと思われますが、そうした背景の中で、アメリカの政治家は対決と論争というアメリカ的手段で日本に迫っております。
 一方、これまでの日本政府がとってきた経済摩擦への対応は、国際社会の調和といった抽象的なスローガンを口にするばかりで、外圧が高まると少しずつ譲歩していくというやり方です。これは諸外国に不信感を与えるだけでなく、日本国民に歯がゆさといら立たしさを感じさせております。このことが、長年多くの人々によって築かれ、培われてきた日米の友好関係をますます傷つける要因となることを恐れるものでありますが、そうした態度に終始した日本の政府の責任は大と言わなければなりません。
 以上の点につきまして中曽根総理の御所見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 広中議員にお答えをいたします。
 まず、東芝事件と輸出管理体制の変更の問題、御質問でございます。
 政府としては、東芝機械の今回の不正輸出事件は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障にとって重大な問題であると認識し、そのこと自体が我が国の貿易体制を阻害する、そういう認識を持ちましていろいろな対策を講じたところでございます。やはり国際的な約束というようなものは守っていかなければならない。特に、日本のような場合におきましては、先ほど申し上げましたように、膨大な貿易量を持ち、かつ高度の科学技術を持っておる国で、そこにそのような国際合意を遵守するに不備な体制があるとすれば、これは我が国の貿易政策上も、また国際信義の上からも、人がどうこう言うという問題ではなくして、我が国みずからが是正すべきものは是正すべきことである。そういう考えに立ちまして今回の法案審議をお願いし、かつ一方におきましては、行政体制における取り扱いや体制管理の整備及び業界あるいは企業に対して自主管理体制の強化等も要請しているところなのでございます。
 また、過去において違法事件があったのではないか、そういう点につきましてはいろいろ調査を進めておる状況でございまして、申し上げる段階ではないのであります。
 東側諸国との経済交流の問題につきましては、我が国は貿易立国として自由貿易の考え方のもとで貿易を拡大し、かつ世界と共存共栄して経済を発展させる、相ともに拡大経済に持っていこう、そういう考えにのっとってやっておるものであります。共産圏貿易につきましても、互恵の原則のもとに健全な形で発展していくことが望ましいと考えていることに変わりはありません。
 ただ、我が国は西側諸国の一員として、ともに安全保障の確保の見地から紳士協約的な合意を行っておるものでございまして、その合意は尊重し、遵守していかなければ、我が国自体の貿易を阻害するという結果が出てくると申し上げている次第なのであり、共産圏貿易につきまして一定の制約が生じているということは、現在の世界情勢から見てやむを得ないと考えておる次第であります。
 今回の法改正は、ココム関連の貨物及び技術の取引等について違法な取引が行われた場合について罰則及び行政制裁を強化しようとするものでありまして、今回の改正において、これを機に規制対象となる貨物及び技術の範囲を我が国が拡大しようとするという考えではないのであります。先ほど申し上げましたように、科学技術の発達等々諸般の情勢から、国際的な協議を持ちまして必要に応じて追加し、あるいは削除をしておる。我が国は我が国独自の考えを持ちましてこのような協議に応じておるということなのであります。
 我が国の外交、政治姿勢につきまして御質問がございましたが、東芝機械の今回の不正輸出事件は、我が国の安全保障を損なう危険があるのみならず、西側自由陣営の安全保障にとっても重大な問題であるとの認識に立ちまして、同様事件の再発防止に万全を期するために諸般の御提案を申し上げており、また対策を講じておるところでございます。
 経済制裁、経済対策等の問題、経済問題の処理につきましては、従来も我が国独自の主張を持ちまして主張すべきものは主張し、また遵守すべきものは遵守するという態度で、本件も例外ではないのであります。我が国外交、政治姿勢の基本は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障を確保し、我が国経済の存立の基盤である自由貿易体制を擁護し、国際社会の調和を図っていくということでありまして、今後とも大局的見地から我が国の進路に誤りのないように考えていくつもりでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(田村元君) 広中議員にお答えをいたします。
 大変御質問の数がたくさんでございますので、少し時間かかるかもしれませんが、どうぞお許しを願いたいと思います。
 政府といたしましては、東芝機械の不正輸出事件は、我が国を含む西側自由主義陣営の安全保障にとって重大な問題であると認識いたしております。このような事件の発生したことにつきまして本当に遺憾に存じております。
 同様の事件の再発防止に万全を期すために、政府としましては、輸出管理体制の強化を図ることとしておりまして、その軸となる外為法改正について国会審議をお願いしているところでございます。
 また、他に違反案件があったか否かにつきましては、現在、通産省におきまして、貿易局審議官を長とする特別検査チームが徹底調査中でございます。具体的調査内容につきましては、調査中でございますので、申し上げることをはばかりたいと思います。
 それから、多くの不正があったかどうかはとにかくとして、このような結果となったことにつきましては、その責任を痛感いたしております。要員見直し等を図りますと同時に、一層の監督に励みたいと考えております。
 今回の東芝機械事件におきまして、ココム関連の貨物の不正輸出等がもたらす影響の重大性を深く認識いたしたのであります。このために、政府としましては、あらゆる角度から類似の事件の再発防止に全力を挙げているものでございまして、過剰反応という御指摘は当たらないものと考えます。
 東芝機械によりましてココム違反事件が起こりましたが、ソ連潜水艦のスクリュー音減音との因果関係につきましては、具体的な証拠、いわゆるエビデンスは入手しておりませんが、因果関係に関する嫌疑は濃厚ということでございます。
 いずれにいたしましても、本件につきましては、我が国として調査を行った結果、本来輸出承認を要するプロペラ加工を行い得る高度な工作機械について、その性能等に関する偽った申告が行われたことなどにより、外為法に違反する不正な輸出が行われたことが判明しております。
 ココムでの申し合わせ及びこれを受けた我が国の法令に違反して高度な工作機械が不正に輸出されたこと自体が、西側の安全保障に重大な懸念を生じかねないゆゆしい問題であると考えております。
 それから、フランスのフォレスト社に関する報道がなされていることは承知しておりますが、事実関係につきましては、現時点では確認しておりません。今後、外交ルート等によりまして確認に努めたいと考えております。
 今回の事件につきましては、我が国みずからの問題として、その再発防止に全力を挙げております。訪米は、こうした我が国の姿勢及び再発防止策を説明することによりまして不信感を払拭するためのものでございました。当方からは、東芝機械事件について遺憾の意を表するとともに、重大な決意を持って再発防止のための徹底した措置を講ずる考えを表明いたしました。このような認識に立ちまして、再発防止策としては、外為法改正案の今国会への提出、輸出管理のための人員の大幅増加、検査体制の拡充強化などを説明いたしました。
 これに対しまして、米国行政府は、日本の立場を評価するとの反応でございました。議会関係者につきましても理解は深められたと考えますけれども、反応には率直に言って非常に厳しいものがございました。
 我が国としましては、今回の事件の重大性を深く認識いたしております。このような事件の再発防止のため、あらゆる角度から対策を講ずることが必要であります。この一環として、今般再発防止対策の軸として外為法改正を提案するとともに、通産省における審査・検査に当たる人員の大幅な増員を要求することとしております。また、これらの再発防止策につきましては、先般の訪米時を初め、累次米国に説明しておりまして、評価を受けているところでございます。
 通産省としましては、今回のような事件の再発防止につきまして、あくまでも我が国自身の問題としてとらえ、再びこのような不正輸出が行われることのないよう、再発防止に全力を挙げているところでございます。その際、今回の事件の教訓を十分取り入れたものとすることとしております。
 すなわち、今回の事件は企業の虚偽の申請によるものでございますけれども、通産省としましても膨大な申請件数を少数の者が判定せざるを得ず、ややともすれば個々の案件の処理が画一的に流れる嫌いがあった点を踏まえまして、輸出審査・検査人員の大幅増加、重点分野について厳格な審査を行うための省内審査会の設置、違反防止のための調査体制強化を進めております。これらによりまして、再発防止に万全を期すべく努力しているところでございます。
 従来から通産省は、外務省と、ココムハイレベル会合等、国際的な会合への出席、政令改定時の協議等におきまして緊密な協力を行ってきたところでございます。
 またさらに、この臨時国会に提出しました外為法改正案におきましては、国際的な平和及び安全の維持の観点から、従来の協力関係を一層強化して、通産大臣と外務大臣との間の緊密な連絡、意見交換を行うため、法律に規定することといたしました。
 通産大臣が外務大臣に意見を求めることができる場合といたしましては、例えば重点的に審査すべき案件として、戦略物資等輸出審査会に付議される大口案件や工作機械など特に戦略性の高い分野の輸出に関する場合などが考えられます。
 外務大臣が通産大臣に意見を述べることができる場合としましては、通産大臣が意見を求めた場合のほか、例えば個別案件につきまして、不正行為により許可の対象たる貨物の輸出または役務の取引が行われ、または行われようとしていることにつきまして外務省が情報を入手し、調査が必要な場合。また、戦略物資の輸出管理について国際的な平和及び安全の維持の観点から特に留意すべき点が生じた場合などが想定されます。
 外務省の意見交換を定めました規定は、他の国務大臣がその所掌に基づきまして通産大臣と意見の交換を行うことを何ら排除する規定ではございません。したがいまして、防衛庁が防衛庁設置法第六条第十一号に基づきまして、国際的な平和及び安全の維持の観点から通産大臣に意見を述べることが可能であることは申すまでもございません。
 我が国は貿易立国として、自由貿易の考え方のもとで貿易を拡大いたし、経済発展を図ってきたものでございます。共産圏貿易につきましても、健全な形で発展していくことが望ましいとの考え方に変わりはございません。
 このような観点から、我が国としては、従来から、政府ベースの意見交換の場として、日ソ間では政府間貿易経済協議、日中間では日中閣僚会議、先般も終わったばかりでございますけれども、日中閣僚会議を開催するなど、東側諸国との経済交流の円滑化に努めてきております。
 我が国としては、自由主義陣営の一員として、ココムの申し合わせを遵守しながら、今後とも東側諸国との経済関係の健全な発展に努めてまいりたいと思っております。
 本来、輸出取引等は自由に行われることが原則でございます。申すまでもありません。しかし、戦略物資の輸出などにつきまして何らの規制もなく放置することは、国際的な平和及び安全を脅かし、ひいては我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を阻害するおそれがあるために規制を行っているところでございます。
 今回の法改正は、東芝機械事件でも明らかなように、ココム関連の貨物及び技術に係る違法輸出等の影響の重大性にかんがみまして、このような事件の再発を防止するために罰則及び行政制裁を強化しようとするものでございます。今回の改正によって規制対象貨物及び技術の範囲を拡大するものではございません。したがって、適法な取引を行っている限りにおきましては従来と変わりはなく、原則自由、例外禁止という外為法の基本的考え方を変更するものではございません。要は企業がルールを守れば何ら関係のないことでございます。
 「国際的な平和及び安全の維持を妨げる」と認められるものとして許可を受けなければならない範囲は、現在と同様、輸出令等の政令で具体的に明示することとしておりまして、その範囲が不明確になることはないものと考えております。したがって、企業の予見可能性を奪い、その経済活動を萎縮させるようなことはないと考えております。
 また、今回の外為法の改正による罰則の強化は、違反行為の引き起こす重大な影響に着目し、その保護法益の重大性を反映して行われるものでございまして、他の場合に比して均衡を失するとは考えておりません。
 戦略物資の輸出管理に当たりまして、輸出貨物の性能等につきまして、工場に立入検査を行い、確認することが必要となる場合が予想されますが、従来の規定では、立入検査の対象として工場が含まれているのか否か明確でなかったために、今回の改正において確認的に「工場」という文言を書き込んだものでございます。企業秘密にかかわるものでありましても、輸出管理上必要があると認める場合には立入検査を行うことが必要であると考えております。
 何が戦略上重要な物資であり、その輸出を規制すべきか否かについては、ココムの場において参加国全員の同意のもとに決定されておりまして、その決定が恣意的であるとの御指摘は私は当たらないと思います。
 また、我が国を初め各ココム参加国は、西側の安全保障の確保というココムの趣旨から見て、真に規制が必要なものについて規制を行うことにより、規制を合理的かつ実効あるものにするように努めております。
 なお、我が国以外のココム参加国におきまして、ココム規制に関する国内法違反の事例があることは事実でございます。各参加国におけるココムの申し合わせを尊重して、輸出管理の確実な実施が重要であることは申すまでもございません。
 私の訪米時を初めとする種々の要人との会談の状況などから考えまして、米国側は、今回の東芝機械事件を奇貨として日本のハイテク産業をねらい撃ちしたということではなくて、西側全体の安全保障について大きな影響を生じかねない重大問題であるとの危惧のもとに対応しているものと考えております。すなわち、米国が日本の技術を抑え込むような戦略をとっているとは考えておりません。
 また、実際のところ、今回の事件をめぐる一連の動きによりまして、我が国の高度技術の発展が阻害されることはないものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣栗原祐幸君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(栗原祐幸君) お答えをいたします。
 まず、ソ連潜水艦の静粛化についてでありますが、一般的に、ソ連の潜水艦は静粛化を含めその性能向上が図られているものと承知しており、防衛庁といたしましても、今後ともその動向には注目してまいりたいと考えております。
 しかしながら、ココム規制を所管していない防衛庁といたしましては、ココム規制違反について調査を行う立場にありません。したがって、東芝機械のココム規制違反事件や御指摘の報道の件とソ連潜水艦の静粛化との関係について申し上げることは差し控えたいと思います。
 次に、防衛庁の果たす役割について申し上げます。
 我が国の対外取引の規制は、通産省の所管に係るものでございますが、外為法に言う「国際的な平和及び安全」は、当然のことながら我が国の平和及び安全を包含するものであり、我が国の防衛を所掌する防衛庁といたしましても可能な範囲で外為法の運用に協力していくつもりでございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(倉成正君) 広中議員にお答えいたします。
 国際的な平和及び安全の維持を図ることは、我が国の国民経済の健全な発展を達成する上で基礎的な条件でありまして、かかる観点からの規制は自由貿易の原則と矛盾するものではないと信じます。
 この規定の運用につきましては、外務、通産両省間で緊密な連絡を保ち、極力意見の調整に努めるとともに、より具体的には、主として次のような形で協力していくこととなります。
 通産大臣からお答えになりましたが、通産大臣は、貨物の輸出または役務の取引の許可が国際的平和及び安全の維持に重大な影響を及ぼすと認められる場合、外務大臣に意見を求められます。外務大臣が通産大臣に意見を述べる対象には、ココムの特認をとる必要はないが、規制する必要があると判断したものや、不正行為により輸出が行われようとしており、または行われたことにつき調査の必要があると判断したものが含まれる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(近藤鉄雄君) 総理の御答弁にもありましたように、自由な経済交流を通じて国際経済の調和ある発展を図ることは、我が国対外経済政策の基本でございまして、東側諸国との経済関係におきましてもこの基本は変わるものではございません。
 しかしながら、東側諸国との貿易におきましては、国際的安全保障の見地から、おのずから一定の枠、規制が必要であることも御理解いただけるものと存じます。
 これまで政府は、安全保障の見地から見て、適法な貿易取引の拡大を通じて東側諸国との経済交流が発展していくことが望ましいと考え、従来から日ソ政府間貿易経済協議、日中閣僚会議等における意見交換を通じて東側諸国との経済関係の推進に努めてまいっておるところでございます。
 今回の東芝機械ココム違反事件は極めて遺憾なことでございまして、絶対に繰り返されてはならないものと考えておりますが、今後とも政府といたしましては、政府間協議、トレードフェア等を通じ、東側諸国との経済交流の円滑化及び友好関係の維持に積極的に努めてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(藤田正明君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#23
○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、いわゆる外為法の改正案について質問いたします。
 レーガン米大統領は、就任後初めて出席した一九八一年七月のオタワ・サミットにおいて、「われわれは、ソ連との戦略物資及び関連技術の貿易規制に関する現行制度を改善するため協議する」という宣言を採択させました。
 これを受けて翌八二年一月、パリで三十年ぶりにココムの高級事務レベル会合が開かれて、規制強化の方針が決定され、続いて同年二月に発表された八三年度アメリカ国防報告は、米国の世界的な戦争遂行能力を改善し、ソ連の前進を阻止するよう技術移転を抑制するとして、ココムを対ソ戦略の重点として位置づけました。
 さらに、本年一月に提出された八八年度アメリカ国防報告は、同盟国や友好国がその技術安全保障計画を強化するよう促し続けなければならない、これら諸国の多くは輸出規制により大きい政治的重点を置かなければならない、違反者に対してより厳しい制裁、ペナルティーを科さなければならない、また輸出実施手続を厳重にしなければならないとして、同盟国にココム規制の格段の強化を求めているのであります。
 中曽根総理、今回の法改正はまさにこの米国防報告そのものの具体化ではありませんか。この点について、まず総理の見解を伺いたいのであります。
 実際にも中曽根総理は、六月二十九日、来日中のワインバーガー米国防長官らとの会談で罰則強化などの立法措置を求められ、翌日の閣議でこれを関係省庁に指示したことは、米国務省のココム専門家であるE・アレン・ウエント氏の米下院外交委員会の証言その他で周知のところであります。今回の外為法改正に至る間、ワインバーガー米国防長官らアメリカ側とどういうやりとりがあったのか、その真相を明らかにすることを求めます。
 一九七八年一月の第八十四国会において、我が党の宮本顕治議長は、この本会議場で次のように指摘いたしました。「一九三〇年代の重大な教訓は、わが国の政治が侵略的軍国主義に陥り、しかも、諸国家の平和共存を認めない反共第一の日独伊軍事同盟に走ったことに対する反省にあることは明らかではありませんか。」。これに対して当時の福田総理は、「戦前は非常な大きな失敗をしたわけですが、それをもう今度しちゃいかぬ」と、こう答弁をされております。
 さらに、宮本議長の「社会主義国に対する貿易制限であるココム」は「偏狭なナショナリズム」であるという指摘に対し、福田総理は、「ココムの整理縮小」に努力する、こう答弁されています。
 ところが、先ほど述べたように、八〇年代になってココムは整理縮小どころか逆に異常に拡大強化されております。もともとココムは、NATO結成に伴って一九五〇年、アメリカがその加盟国のソ連への戦略物資の輸出を統制するためにつくったものであります。日本もまた、日米旧安保条約が発効した一九五二年八月、これに加盟したものであります。まさにココムは軍事同盟と一体不可分の産物であり、アメリカの軍事的利益のために、アメリカの仮想敵国であるソ連に対して行う戦略的な輸出規制そのものであります。それは、日米安保条約を認める中国に対しては規制を緩和している事実からも明らかなところであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 したがって、今度の法改正による規制強化は日本が仮想敵国を持つことにほかならぬではありませんか。それは第二次世界大戦のあの反省の上に立って恒久平和を宣言した憲法に根本的に反することは明らかであります。総理の答弁を求めます。
 次に、通産大臣は、貿管令別表第一に基づいてココム規制品の輸出審査、承認をいたしておりますが、その基準は我が国の法令上根拠のない秘密のココム基準によっております。しかも、その基準は、ココムの場でも開示されておらないところの米国防総省の軍事重要技術リストに基づいており、通産大臣もその内容を知らされておりません。したがって、通産省は、先端技術、先端技術製品については、年間百件もパリのアメリカ大使館別館にあるココムの判断を仰いでいるではありませんか。これは明らかに通産大臣の輸出承認権限が秘密、非公然のココムに侵されていること、すなわち日本の主権に対する重大な侵犯ではありませんか。伺いたいと思います。
 東芝問題について申せば、最新の報道では、主役はフランスのフォレスト社製機械であったと伝えられておりますが、ここで重要なことは、フランス政府はそれについて一切公表する必要なしという態度をとっていることであります。このことは、一方では貿易自由化や対日市場の開放を要求し、他方ではココムによる貿易制限の強化を強要するというまことに身勝手、理不尽なアメリカの圧力に唯々諾々と従っている中曽根内閣と際立った対比を示しておりますが、せめてヨーロッパ並みの自主性も発揮できないのか、あわせて御答弁を求めます。
 貿易管理の基本である輸出の自由は、憲法第二十二条が基本的人権の一つとして保障する職業選択の自由、営業の自由の具体的内容であります。一九六九年の東京地裁判決も、ココムの申し合わせを遵守するためという経済外的理由による輸出制限は、それが間接的に経済的効果を伴うものであっても違法と判示しております。したがって、通産大臣が、経済外の、しかもその概念が全く不明確な国際的な平和と安全の維持なるものを理由に、輸出を規制し統制することは、国民の貿易の自由を侵犯する憲法違反で、断じて許されないものと考えますが、いかがですか。また、これは憲法の定めた適法手続、罪刑法定主義に反するものであると考えますが、見解を伺いたいと思います。
 我が国の対米輸出依存度は、先ほど田村通産大臣もあえて「過度に」という言葉を使われましたが、八六年度で三八・五%という異常な高さであります。実は中曽根内閣の五年間に一二・八%も高くなっているということが重大であります。加えて、今度の改正案で、汎用技術、一般ハイテク製品に至るまで、社会主義諸国への貿易活動の全般にわたって統制することになれば、我が国の貿易と経済は、日米安保条約によって軍事的隷属と対米依存をさらに深め、アメリカの不当な対日要求をさらに助長するのは明らかと考えますが、総理、いかがですか。
 そうではなくて、社会主義国を含む世界各国との平等、互恵の立場から、自主的、平和的な政治経済関係を確立することこそ、我が国経済の真の発展に寄与するものと考えるが、いかがですか。総理の所見を求めます。
 最後に、我が党は、ココム規制の強化に断固として反対し、ココムからの脱退、その根源にある日米軍事同盟、安保条約を廃棄することを要求して、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 市川議員にお答えをいたします。
 まず第一は、法律改正の性格の問題でございますが、今回の外為法の改正による罰則及び行政制裁の強化は、一面において、自由貿易原則というものを護持していくためにも、かつまた、ココムによる国際合意に基づく信義を我々が実行していくためにも必要な政策なのであります。もちろん、これらはあくまで自主的な判断のもとに各国との協議の上で実行されているものなのでありまして、米国の国防報告云々という御質問がございましたが、これはあくまで我が国の自主的方針、貿易政策に基づいて推進しているというふうに御理解願いたいと思うのであります。
 ワインバーガー長官との会談は、六月二十九日に会談をいたしましたが、ココムについては、東芝機械事件を深刻に受けとめており、再発防止のための体制強化について検討するとともに米国とも協議をいたしたいと、そういうことを私から通告したものなのでございます。
 次に、ココム規制縮小からの転換ではないかという御質問でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、国際協議に基づいて、その内容あるいは大きさ、枠というふうなものは協議で形成されておるものなのであります。最近における科学技術、特にハイテクの急速な増大、こういうような情勢から見まして、アイテムを追加するとかあるいは削減するとかということは随時行われておるものなのであり、我が国といたしましては、国際的な安全保障の協力、それから我が国独自の貿易政策という面からこの協議に参加しておるという実情なのでございます。
 また、仮想敵国云々という御質問でございますが、これは貿易政策上の取り扱い対象国という意味でありまして、軍事的な意味における仮想敵国という考えは持っておりません。あくまで憲法の平和主義、国際協調主義の理念のもとに我が国の政策は行われているのであります。
 次に、ココム規制の問題に関しまして、先ほど申し上げましたように、外国も同じような考えを持ちまして、各国の自主的判断のもとに各国が協議をし合っているという状態であります。特に、規制に当たるか当たらないかというようなボーダーラインケースが、最近は新しい科学技術の発展に応じて出てきておるわけでありまして、これらのボーダーラインケースにつきましては、各国がそのたびごとに協議して、共同で判定する、そういう形で行われており、あくまでも自主性を堅持しながら各国の協議が行われておる、そういうように御理解願いたいと思うのであります。
 フランス社の問題につきましては、フランスも同じようにココムの一員でありまして、このルールを同じように守って、規制しておる状態なのでございます。フランス社がどの程度の内容の違反をやったかやらないか、この状況については、外国のことでありますから知悉はしておりません。可能な限り調査はいたしてみたいと考えております。
 次に、輸出の自由と法改正の問題でございますが、憲法第二十二条の職業選択の自由は、営業の一環として行われる輸出等の自由をも包摂する概念ではあります。しかし、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる輸出等として許可の対象となる取引は、我が国の対外取引の正常な発展及び我が国経済の健全な発展を阻害するおそれのあるものであり、かかる取引について規制することは、憲法第二十二条に違反するものではないと考えております。
 罪刑法定主義との関係でございますが、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められるものとして、許可を要する技術取引または貨物の輸出については、政令で具体的に明示することとしておりまして、その範囲は明確であります。したがって、罪刑法定主義に反するものではございません。
 次に、自主的、平和的政治経済関係の樹立に関する御質問、特に共産圏との関係でございますが、共産圏貿易についても互恵の原則のもとに健全な、正常な形で発展していくことが望ましいと考えております。我が国は西側自由諸国の一員として、西側全体の安全保障の確保の見地からココムに参加しており、これに関する合意は遵守してまいる考えでおります。このため、共産圏貿易に一定の制約が生じることはやむを得ないと考えておりますが、正常な、健全な貿易というものを阻害する考えは持っておりません。
 ココムからの脱退は考えておりません。
 日米安全保障条約は堅持していく考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(田村元君) 市川議員にお答え申し上げます。
 主要西側自由主義諸国は、戦略物資等の共産圏への無制限な流出を制限する必要があるとの認識に立って、ココムの申し合わせを遵守して各国の国内法で規制を行っているところでございます。
 我が国としましても、自由主義陣営の一員でございますから、その規制の必要性を認識して、主要西側自由主義諸国との円滑な貿易関係を維持する必要があるとの認識に立ちまして、みずからの判断によってココムの申し合わせを遵守しているところでございます。
 したがいまして、我が国として、このような規制を行うことによって我が国の主権が侵されることになるとは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(瀬谷英行君) 関嘉彦君。
   〔関嘉彦君登壇、拍手〕
#27
○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表しまして、外国為替及び外国貿易管理法の一部改正案につきまして、政府に対して質問するものでございます。
 第一は、この改正案の背景になっている基本的考え方につきまして総理に質問いたします。民社党は基本的にはこの改正案に賛成するものでありますが、政府の考えが我が党のそれと同じであるかどうかを確認するためでございます。
 まず最初に明らかにしておきたいことは、国際情勢の認識についてであります。
 戦後既に四十二年を経過しましたが、その間、局地的な紛争は連続して起こっているにかかわらず、世界的規模では平和が維持されてまいりました。それはアメリカを中心とする自由世界とソ連を盟主とするソ連共産世界とがその軍事的衝突を回避してきたからでございますが、その衝突の最大の抑止力になったのは、自由世界がソ連共産世界に劣らないだけの力の均衡を維持し得たからであります。確かにゴルバチョフ書記長のもとのソ連は、軍縮などの対外政策及び国内改革について歓迎すべき変化の兆候を見せておりますけれども、全面的軍縮交渉の前途はなお遼遠であり、国内改革の前途には多難が予想されます。当分の間は米ソの軍事的対立はなお続くものと考うべきであります。
 そうであるとするならば、日本は、日本と同じ憲法体制を持つ自由世界の一員としてそれに協力する以外に道がないわけであります。もちろん日本は、憲法の制約があります。したがって、軍事的協力には限界がありますが、少なくとも日本の安全保障が自由世界の安全保障に依存することを認識して、先般の東芝機械の不正輸出に見られるような、自由世界の軍事力を弱めかねないようなことは断じて許してはならないと思うのであります。
 これに対しましては、政治と経済とは別であって、政治的には対立しても経済的には自由貿易をソ連圏とも続けるべきであるとか、あるいは安全保障の見地を経済に導入するのは自由貿易に反するという意見の人もありますが、それは私はいずれも間違いであると思います。政経分離論は、政治、経済、防衛等を多元的に分離して考える自由世界の内部においては通用しても、政治がすべてを支配する一党独裁の国においては適用しないわけであります。自由に経済活動ができるのはその国の安全が保障されているからであります。自由経済と自由放任とは違います。自由経済論者であったアダム・スミスも、「国富論」の中で、航海条令を擁護する論拠といたしまして、「国防は富裕よりはるかに大事である」と言っております。
 民社党は、以上のような見地から改正案に賛成するものでありますが、総理の見解はそれと同じであるかどうか、それを確認したいと思います。
 第二に、総理にお伺いしたいことは、今度のような不祥事件を招いたことについての歴代自民党内閣の責任についてであります。
 今回の東芝機械事件発覚のきっかけをつくった熊谷独氏の「文藝春秋」八月号に寄せた手記によりますと、ソ連へのそのような物資の売り込みは日常茶飯事であり、東芝機械事件は氷山の一角にすぎないと述べております。私は、必ずしもこの記述がすべて正しいとは即断いたしませんが、日本の企業や国民の一部の中に、国家の安全保障についての感覚が十分でないことは否定できないと思います。さらに、東芝機械事件について最初にココムから日本に照会がありましたのは六十年の十二月であり、アメリカ政府から外交ルートを通じ照会があったのは六十一年の六月であります。そのような通報を通産省は軽視していたのであります。これも通産省官僚の国家の安全保障への感覚の希薄さを示すものと言えましょう。
 このように、水と安全とはただで手に入ることができるのだ、そういうふうな考え方が日本の国民の一部にありますけれども、そのような考え方が経済界、官庁あるいは国民の一部に見られることの責任の一半は、歴代政府が国家の安全保障の重要性を正面から国民に訴えることに対して積極的でなかったことにあると思います。昨年の安全保障会議設置のときも、民社党は国家安全保障会議と国家という名称をつけることを要求したのに対して、総理は国家という名はいかつい印象を国民に与えるからという理由で拒否されました。このようなあいまいな政府の態度が国民の安全保障感覚を希薄ならしめたと反省はされませんですか。
 この問題に関連して第三の質問を通産大臣に申し上げます。
 それは、改正法案の第二十五条及び第四十八条に書かれている「国際的な平和及び安全の維持」の文言についてであります。この場合、国際の平和はまだいいとしましても、国際的な安全の維持とは一体何を意味するのでありますか。これは国連憲章であるとか日米安保条約とは違いまして、国内法であります。まず日本の国家の安全保障、安全のためにと書くべきではないでしょうか。
 今度の法律の改正につきましても、アメリカが怒っているからそれをなだめるためであるとか、あるいは日本たたきを緩和するため、外交上の配慮からやむを得ずやっているのだという印象を持っている人が少なくありません。最近ヴォルフレンというオランダのジャーナリストが「日本問題」という論文を書きましたが、その中で、日本という国は外圧を加えなければ動かない国だという趣旨のことを書いております。今度の場合も、もしアメリカの圧力に屈して日本が対応したのだという印象が広がりますならば、単にアメリカのみならず、他の外国もその要求を貫徹するために外圧を加えてくるでありましょう。また、泣く子と地頭には勝てないのだ、だから頭を下げるというのでありますならば、国民の間に屈折したナショナリズムが起こってくる危険があるわけであります。
 私は、これは極めて危険なことであると思います。あえて文面の修正を求めるのではございませんが、その危険を避けるために、今度の改正はまず何よりも日本の安全の保障のためにやるのだということを経済界及び国民に対して強調していただきたい。また、必要な場合は、単に外務大臣の意見を求めるのみでなしに、防衛庁長官の意見にも進んで耳を傾けていただきたいと思いますけれども、通産大臣の所見をお伺いします。
 第四の質問は、外務大臣に対してであります。
 ココム協定は紳士協定と言われるものでありますが、約束した以上はそれは遵守しなければなりません。しかし、最近の技術、特に先端技術の領域では、進んでいるものがたちまちにして陳腐化し、民需用と軍事用の境界が明白でない、いわゆるグレーゾーンに属するものがふえてきつつあります。それゆえ、その禁輸リストの絶えざる見直しが必要であります。しかも、ココムの委員会は自由圏諸国内における貿易上の利害が対立する場でもあります。いやしくも力の強い国の企業の利益が優先することがないように、外務省としましても、関係省庁と連絡の上、格段の努力をしていただきたい。そして、これは単にココム関係だけの問題ではなしに、外交交渉すべてについてであります。真の国際主義というのは、それぞれの国がその国益を主張し合いつつ、その協調点を求めていくことにあると思います。これについて外務大臣の所見をお伺いいたします。
 最後に、私の質問を終わるに当たりまして、ウィンストン・チャーチルの言葉を引用しておきたいと思います。
 第二次大戦でイギリスを戦勝に導いたチャーチルは、戦後「第二次大戦回顧録」という本を書いておりますけれども、その開巻第一ページに、「イギリス国民は、善意ではあるが無知と軽率であったため、不必要な戦争を自ら招き寄せた」と書いております。ナチスが台頭してきて、ベルサイユ条約を無視するような行動をしていたときに、イギリス国民は平和を愛好する善意は持っておりましたけれども、歴史の教訓に無知で防衛の問題を軽視していたために、戦う必要のなかった戦争をみずから招き寄せたという意味であります。日本国民もそのようなイギリス国民の失敗の教訓から学んでいただきたい、そのことをつけ加えて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) 関議員にお答えをいたします。
 関議員がおっしゃいましたように、今日の平和と安定が東西間の力の均衡、抑止力によって維持されている、その冷厳な現実を踏まえて我々は今後とも政策をやらなければならない、かつまた自由主義、民主主義という共通の価値観を共有している諸国と連帯と協調が不可欠である、政経分離あるいは安全保障と経済というものを分離する、そういう考えは全体主義国家、一党独裁国家については通用しないというお考えでございますが、全く同感であります。
 今回の外為法の改正と安全保障の問題につきましては、これは実は東芝が行った虚偽の申告を見抜けなかった、また調査を行いましたが、その調査が必ずしも完全でなかったという点について政府は大いに反省もし、管理体制不備の是正という問題について誠意を持って取り組んでおるところであり、かつまた、企業に対しても自覚がルーズであったという点の警告を発しまして、企業の自主管理体制をさらに強化しておるということなのでございます。
 今回は、そういう意味におきまして、法文上も原則自由の体系は維持しながらも、ココム関連の貨物輸出等につきましては、国際的な平和及び安全の維持に関連のある取引を法文上明記いたしまして、これに係る違反行為について罰則の強化等を行いまして、その点に対する反省も加えた次第なのでございます。
 次に、安全保障意識の御質問でございますけれども、国の安全保障の重要性というものはあくまで私は認識しております。国防会議を廃止いたしまして安全保障会議を設置し、また総合安全保障関係閣僚会議もあわせて適宜開催しておりますが、国民に対しましては、常に白書あるいはその他を通じまして、安全保障に対する重要性を認識するように努力しておるところでございます。
 関議員の御持論でありまする、安全保障会議に国家の名前を冠しないのはけしからぬという御質問でございますが、それも一つの御見識であると思いますが、そう肩を張らないでも、実質的には同じであって、むしろ現在の日本国民に対しましてはこういうソフトな表現の方が国民一般に受け入れられやすい、そういう感じも実は政府といたしましていたしておるのでございます。あくまで安全保障というものは国家が責任を持ってやるものでありまするから、おっしゃるような御趣旨は我々も全く実質的には同感であるということであります。
 なおまた、今回の規制というようなものはアメリカや外国に対するつき合いから不承不承やるというような、そういうものではないのでありまして、国際信義を回復し、かつまた安全保障を確保し、我が国の貿易政策を健全発展たらしむる、そういう意味から自主的にこれは積極的にまた行っている、そういうことを御理解願いたいと思うのでございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
   〔国務大臣田村元君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(田村元君) 関議員にお答えをいたします。
 「国際的な平和及び安全」とは、国際社会の一員たる我が国を含めた国際社会の平和及び安全を指すことは申すまでもございません。
 外為法で「国際的な平和及び安全」という文言を用いましたのは、国際紛争の脅威等によって我が国を含む国際社会の平和及び安全が脅かされることに着目したものでありまして、平和国家たる我が国の立場を踏まえたものでございます。
 今回の東芝機械による不正輸出事件にかんがみますと、国際的な平和及び安全の維持を妨げると認められる取引を何らの規制もなく放置することは、西側諸国の我が国に対する経済的圧迫を招き、我が国自身の対外取引の正常な発展と経済の健全な発展を阻害することは明らかでございます。このため、同様の不正輸出事件の再発防止に万全を期すため、その違反行為を従来以上に厳しく罰する必要があるとの認識に基づきまして、我が国みずからの判断でココム関連貨物、技術に係る外為法違反行為に対する罰則強化等を主たる内容とする外為法改正案の審議をお願いしているものでございます。
 改正後の第六十九条の四の規定は、外務大臣以外の国務大臣がその所掌に基づき通産大臣と意見の交換を行うことを何ら排除する規定ではございません。したがいまして、防衛庁が防衛庁設置法第六条第十一号に基づき、国際的な平和及び安全の維持の観点から通産大臣に意見を述べること及び通産大臣が防衛庁長官に意見を求めることが可能であることは申すまでもございません。通産省としましても、必要に応じ防衛庁の意見を求めていきたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣倉成正君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(倉成正君) 関議員にお答えいたします。
 御指摘のグレーゾーンに当たる汎用物資のココムにおける取り扱いにつきましては、通商の利益と安全保障上の考慮を調整する必要のある端的な例であると考えておりますが、西側の安全保障を確保するとの共通の利益の立場に立って判断すべき問題でございまして、我が国としては、我が国の利益も踏まえつつ、公正に対処するとの見地に立ちまして、技術の進歩に応じまして絶えず見直しを行うために、関係各省庁間で十分協議する体制を整えてココムの場で遺漏なきを期してまいる所存でございます。
 なお、外交はその国の国益を主張し、同時に相手国との調和を図るべきであるという先生の御意見は全く同感でございます。ありがとうございました。(拍手)
#31
○副議長(瀬谷英行君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#32
○副議長(瀬谷英行君) 日程第一 所得に対する租説に関する二重課税の回避及び税理の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)
 日程第二 政府調達に関する協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長森山眞弓君。
   〔森山眞弓君登壇、拍手〕
#33
○森山眞弓君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、カナダとの租税条約は、現行条約を全面改正するものでありまして、事業所得に対する相
手国の課税基準、投資所得に対する源泉地国の課税軽減、二重課税の排除方法等について規定しております。
 次に、政府調達協定の改正議定書は、現行協定について、政府調達の適用範囲の拡大、入札手続の改善、落札に係る情報の公示等の改正を加えるものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
 昨二十七日、質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の立木委員より、両件について反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、両件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○副議長(瀬谷英行君) これより両件を一括して採決いたします。
 両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、両件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#36
○副議長(瀬谷英行君) 日程第三 日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案
 日程第四 日本電信書話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長村上正邦君。
   〔村上正邦君登壇、拍手〕
#37
○村上正邦君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法案は、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入による国債整理基金の資金の一部を活用し、社会資本の整備の促進を図るため、国の無利子貸付制度を創設するとともに、その財源措置その他、同制度の運用に関し、所要の規定を設けようとするものであります。
 次に、日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法の実施のための関係法律の整備に関する法律案は、さきに申し述べました特別措置法に定める措置を実施するために必要な関係法律の整備を図るため、奄美群島振興開発特別措置法等四十五法律について所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両案を一括して議題とし、質疑を行いましたところ、本資金の活用のあり方として、無利子貸付制度によって社会資本整備を促進することの妥当性、特例公債の現行六十年償還ルール圧縮の必要性及び所得税減税財源に充当することの可否の問題が、また、現在の厳しい財政事情から見た六十五年度を目標とする財政再建計画の意義等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、両法律案について討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して赤桐操理事、公明党・国民会議を代表して多田省吾理事、日本共産党を代表して近藤忠孝委員よりそれぞれ反対、自由民主党を代表して大浜方栄理事より賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、両法律案を順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両法律案に対し、「昭和六十三年度以降の日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用に当たっては、諸般の要請に応え、その効果が広く国民に均霑するよう配慮すること」等、五項目にわたる附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#38
○副議長(瀬谷英行君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。
     ―――――・―――――
#40
○副議長(瀬谷英行君) 日程第五 大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案(第百八回国会内閣提出、第百九回国会衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岡部三郎君。
   〔岡部三郎君登壇、拍手〕
#41
○岡部三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 大豆なたね交付金暫定措置法の一部を改正する法律案は、最近の大豆及び菜種の生産をめぐる諸情勢の変化に対処するため、基準価格の算定方式の改正等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、法改正の基本的考え方、基準価格及び最低標準額の算定方式の具体的内容、種類等別基準価格設定の是非、国産大豆の品質の特性、法改正が大豆及び菜種生産に与える影響、大豆の作付と価格決定の時期のあり方、大豆及び菜種の自給率の向上対策及び生産性向上のための諸施策、転作大豆及び菜種の生産振興対策、流通機構の合理化対策、国産大豆の消費拡大対策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、本法律案について、日本共産党を代表して諫山委員より反対である旨の発言がありました。
 討論終局の後、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、六項目にわたる附帯決議を全会一致をもって行いました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#42
○副議長(瀬谷英行君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○副議長(瀬谷英行君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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